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ぱちゅりーの朝は、早い。 お日様も昇っていない時間、ぱちゅりーは、ゴミ捨て場を漁っていた。 目的は、本を発見し、持ち帰る事である。 お日様が出てくるような時間に漁っていては、すぐに人間に見つかってしまう。 そうなっては、ぱちゅりー程度では逃げる事は適わず、すぐ潰されてしまうだろう。だからこんな時間に活動するのだ。 「むきゅ~~~。きょうは、ごほんさんがおちてないわね……。」 がっくりと肩を落とす。ご本(新聞やチラシ)が今日は全く見当たらない。 ぱちゅりーは知らないが、今日は燃えないゴミの日である。 本当にご本を狙うならば、資源回収日か、燃えるゴミの日を狙うべきなのだ。 しょうがない、こんな日もある。ならば代わりに何か持って帰ろう。 2時間かけて、山にある群から、人のいる町まで跳ねてきたのだ。ただで帰るわけにはいかなかった。 辺りを見回していると、少し後を振り向いた辺りに、キラリ、と光る物が落ちているのを見つけた。 「これは、にんげんさんがたまにかけている、めがねというものね。」 正確には、安物の伊達眼鏡、おもちゃ眼鏡である。だが、ぱちゅりーは普通の眼鏡だと思い込んだ。 そしてぱちゅりーは、眼鏡は、ごほんを読んでいる人間さんがよく掛けている、というちょっと曲がった情報を持っていた。 自分も本を読むのだし、掛けるべきでは?という結論に辿り着いたようで、眼鏡を装着し始めた。 「むきゅきゅ。にあうかしら?」 初めて、アクセサリー(花輪)を着けた時のような高揚感が湧き上がる。鏡さんは………、残念ながら無い様だ。 早く自分のおうちに帰って、自分のおうちにある鏡で確認しよう。そんな事を思い、ぱちゅりーは踵を返す。 ガラスの反射で姿を確認しても良さそうだが、ワクワクソワソワしているようで、考えに至らなかったようだ。 ゴミ捨て場を後にし、しばらく跳ねていると、景色が全く違う事に気づいた。 「にんげんさんのもじが、よめる!?」 さっきまで、人間さんの文字の半分も読めなかったぱちゅりーだが、今は全て読む事が出来た。 これは、まれ、ではなく、とまれ。というよみかただったのね………。あれは、たこき、じゃなくて、たこやきやさん、ね。 全ての文字が読めるようになって、世界がガラリと色を変えたかのように見える。 なんでだろう?もしかして………この眼鏡のせい? 人間さんは、賢い。だが、本を読んだりする人間さんはもっと賢いはず。 ならば、本を読む人間さんが掛けているこの眼鏡は、知能をアップする為の道具ではないのか? そして、その眼鏡を今、自分が掛けている。だから今では人間さんの文字を読めるんだ! 強引な展開式だが、ぱちゅりーはそう結論付けた。 「ほかにもめがねがおちてないかしら?」 まだ、日の出までは時間がある。人間さんが活動を開始するまで余裕がある。 他にも、眼鏡を何個か見つけようと、ぱちゅりーは町を跳ね回る。 「ゆゆ?ぱちゅりーが、にんげんさんのめがねをかけてるよ?」 「なかなかとかかいはなこーでぃねーとね!」 「かっこいいんだぜ。それになんだか、かしこくなったようなかおつきだぜ!!」 「わかるよー。ぱちゅりーはすごくあたまがいいみたいにみえるんだよー。」 友達が自分を出迎えてくれた。とりあえず、挨拶しようと息を吸う。 「みんな、おはよう。ゆっくりしていってね!」 「「「「ゆっくりしていってね!!!」」」」 ん、今日は気合が入っている。普段は自分の挨拶にここまで大きな声で呼応してはくれない。これもメガネ効果だろうか? 「きょうのぱちゅりーは、なんだかきれいなんだぜ?」 「!!…もう、まりさったら、いきなりほめないでよ……!」 まりさにストレートに誉められて照れる。 「ほんとにきょうのぱちゅりーはすごいんだよー?わかってねー?」 「ふん!メガネをかけたくらいで、ありすよりとかいはだなんておもわいことね! ……まあ、でもちょっとは、とかいはにちかづいたわよ!?」 「ゆぅー・・・。れいむもうらやましいよ。れいむもメガネさんをつけたいよ!!」 「でも、ぱちゅりーのめがねはぱちゅりーのなんだぜ!!まりさもほしいけど、ゆっくりがまんするんだぜ!!」 れいむが眼鏡を欲しがっている。ふぅ・・・沢山眼鏡を拾ってこれてよかった………。 友達だからいきなり眼鏡をちょうだい、なんてことは言ってこなかったけど、欲しくて堪らないようだ。 帽子の中に隠している眼鏡を、どのタイミングで出そうか見極める。会話が終わりそうな気配で切り出したい所だが。 「でもがまんできないよ!!!!れいむは、いまからめがねをさがしにいくよ!!!」 「わ、わたしもついていくわ!!べつにありすはいまでもじゅうぶんとかいはだけど!しょうがなくよ?」 「ちぇんもいくんだよー。つれていってねー?」 「じゃあみんなでいくんだぜ!!!」 「ちょ!ちょっとまって!!!みんなのぶんもあるのよ!!!?」 危なかった。会話の流れが急すぎてついていけなかった。今にも駆け出しそうな勢いの友人達を慌てて止める。 最初から帽子の中の眼鏡を出しておけばよかった。やれやれ、と頭を振って眼鏡を帽子から落とし、友人達に渡す事にした。 ぼとぼと、と眼鏡が帽子から大量に落ちる。いろんな色や、大きさの眼鏡を見て、友人達は目を輝かせる。 「ゆ!れいむはあかいろのがいいよ!!」 「まりさはくろがいいぜ!!」 「ちぇんはちっちゃいのがいいよー?」 「ありすはとかいはなかたちのがいいわね!」 持てるだけ持ってきて良かった。20本ある眼鏡の中から好きなものを選ぶ友人達。 さすがに群全員の分は持って来れなかったが、友人達の分としては十分だろう。 「れいむは、ちょっとかがみさんでおめかししてくるよ!!」 そういってれいむが眼鏡をくわえて駆けて行った。れいむはああ見えて乙女チックだ。 まりさが目の前にいるからか、それとも淑女の嗜みか、アクセサリーを付ける時には気を使うらしい。 「ぱちゅりー、つけてみたぜ!にあうかおしえてほしいんだぜ?」 「よくにあってるとおもうわ!まりさ、すてきよ!」 ゆゆーん、と照れるまりさ。実際、本当に素敵だった。やんちゃな感じが無くなり、大人びた格好よさを醸し出している。 子供みたいな無邪気なまりさも好きだけど、紳士さを帯びた格好いいまりさも良いな、と思った。 「まりさは、ちょっとじまんしてくるんだぜ!!」 物凄い勢いで跳ねていった。なんだか物凄く気に入ってくれたようだ。ぱちゅりーも嬉しくなる。 さて、ありすはどうかしら、と顔を向ける、……とそこにありすの姿は無かった。 「『ありすは、おねーちゃんにもめがねをもっていってあげるわ!』、っていってとんでいったよー。わかるねー?」 都会派を自称しているありすは、お姉ちゃん子だ。年が離れている姉に憧れて、いつも背伸びをした発言や行動を取っている。 そして、何をするにも、お姉ちゃんがした行動を真似したがっている節がある。 眼鏡をつけるのも、まずお姉ちゃんが着けてから。お姉ちゃんを真似しないと気がすまないのかもしれない。 数本眼鏡が無くなっている。似合いそうなのを持っていって、お姉ちゃんに選んでもらうのだろうな、とぱちゅりーは思った。 眼鏡に対する収集癖もないので、特に気にしない。それより、ちぇんがまだ眼鏡を付けていない。迷っているのだろうか? 「ちぇんは、まだめがねをえらべてないの?」 「どれがにあうか、わからないよーーー。たすけてねー?」 「むきゅ……、わかったわ。いっしょにえらびましょ。」 ちっちゃい眼鏡の中からちぇんに似合いそうなのは……、やはりこのオレンジのかしら? 一番小さくて、オレンジの縁がよく映える眼鏡をちぇんの目の前に持っていく。 元々、このオレンジのが気になっていたのか、あっさりと、ちぇんはこれでいい、と頷いてくれた。 「わかるよー。なんだか、すごくゆっくりしてるよー。」 「よかったわ。………ねぇ、ちぇん?ちょっとこのおはなさんのかずをかぞえてもらえるかしら?」 そういって、十数本の花を目の前に置く。ちぇんは、というかゆっくりは、4以上の数を数えられない事が多い。 10以上数えられるのは、ぱちゅりーのような極極少数の存在だけである。 友人であるちぇんは、確か昨日までは、3までしか数えられなかったはずだ。 「いーち、にぃー・・・」 素直に数え始めるちぇん。自分は、昨日まで、10までしか数えられなかった。 だが、今日は少なくとも20までは数えられるようになっている。ちぇんはどうだ? 「さーん、しぃー、……ごー、ろーく・・・しぃーち、はーち、きゅーう、じゅー…………いっぱいだよー?わからないよー?」 「!!ちぇん!?あなたいま、じゅうまでかぞえれたのよ!?」 「わかるよー?ぱちゅりー、じゅうまでのかずがわからないんだねー?」 「ちがうわよ!!あなたは、きのうまでさん、しかかぞえれなかったのに、いまはじゅうまでかぞえれるようになってるのよ!?」 「……そういえば、そうだよーー。ちぇんはかしこくなったんだねー!?」 かしこくなった、と嬉しそうにぴょんぴょん跳ねるちぇん。呑気なものだ。そう頭の片隅で思う。 ぱちゅりーはこれで確信が持てた。眼鏡をかければ、みんな賢くなれるのだ。 「どう、おかーさん。かわいくみえる?」 「きょうのれいむは、すごくゆっくりしてるよ!おかーさんのじまんのむすめだよ!」 「おにぇーちぇん、しゅごくきゃわいいよ!!」 「れーみゅも、めがにぇほしいよ!!」 「ゆふふ、わかったよ!ぱちゅりーにたのんで、めがねをどこでひろったかおしえてもらうよ!!」 「ゆっへっへ。めがねをかけてかりのちょうしもぜっこうちょうだぜ!!!」 「きょうのまりさはすごいみょん!!そのめがねのおかげかみょん!?」 「うらやましいのぜ!まりさおねーちゃんみたいなめがねを、まりさもほしいのぜ!!!」 「ちーーんぽ!!(まりさおねーちゃん、すごーい)」 「まかせるんだぜ!!みんなのぶんのめがねも、ゆっくりとってきてやるんだぜ!!!」 「ゆっゆゆー♪おねーちゃんのせんすでえらばれた、このさんかくっぽいめがねは、すっごくとかいはだわー!!」 「おにぇーちゃん、しゅっぎょくときゃいはだにぇ!!」 「ありがと!………ってあれ?おねーちゃんは?」 「おっきぃありちゅおねーちゃんは、しびゃりゃくたびにでりゅっていっちぇ、どっきゃいっちゃったよ?」 「そんな!!おねーちゃーーん!?…………うう、おいてかれちゃった。………でも、とかいはのたましいはうけとったわ……!! おねーちゃんがいなくても、むれじゅうにめがねをくばって、みんなをりっぱなとかいはにしてみせるわ!!!!」 「おにぇーちゃん!しゅぎょーい!!!」 2週間後には、群のほぼ全てのゆっくりが、眼鏡をかけるようになった。眼鏡ブームという訳ではない。 眼鏡をかけると、知能が上がるという事が解り、眼鏡装着はもはや当たり前の事になっていたのだ。 当然、群全体の生活レベルが上がった。狩りの効率が良くなった。無計画な食事もしなくなった。 外敵への対処にしても、今では数匹のゆっくりがチームを組み、武器を使う事で野犬も追い払える程レベルが上がっていた。 恐らく、これからは、冬も難なく越せるだろう。群はめがねゆっくりぷれいすと化した。 ―――その後。 ちぇんとぱちゅりーは、ミレニアム問題に挑んでいた。 実は、眼鏡をかけたゆっくりの中で一番知能の成長が良いのはちぇんだった。 ちぇんが、『わからないよー』発言をした際、ぱちゅりーが必死に何故解らないのか、どうしたら解るのかを模索し、 教え込んでいった成果である。 今では、フェルマーの最終定理も、『わかるよー。』と答える程であった。 「むきゅ、きょうも、ぽあんかれよそうにいどみましょ。」 「わからないよー………。もうむりだよー、ぱちゅりー、あきらめてねー?」 「だめよ、ひゃくまんどるをいただいて、わたしたちはゆっくりぷれいすをつくるのよ。」 ちぇんは、もうウンザリしていた。もう解らないままでいい。わかるよー。はすごくゆっくりできるけど、今の問題を わかるよー。になるには、どうしていいかサッパリ解らないのだ。出口が見えないのなら、解らないほうが幸せではないか。 だが、何度説得しても、ぱちゅりーの教育熱は冷めない。実は、フェルマーを解く際には、体罰を使い始めていた。 鞭(のようなもの)で、叩かれるのが嫌で必死で頭を回転させ、脳味噌が沸騰するくらいになって、ようやく ちぇんは、世界最高峰の頭脳レベルに達し、フェルマーを解いたのだった。 だが、それがまずかった。味を占めたぱちゅりーは、どんどん体罰の数を増やし、今では無数の体罰をすぐに使ってくる。 「ほら!!さっさと!ときなさい!!!あなたみたいなゆっくりは!これがいいんでしょう!!!」 「わがらない゛よお゛お゛お゛お゛!!!きもちいい゛い゛い゛よおお゛お゛お゛お゛!!」 問題を解くのはウンザリしてきたが、最近は鞭で叩かれるのが気持ちよくなってきたちぇんだった。 お尻の辺りを叩かれると、何故か気持ちがいい事に気づいたのは何時だったか? 体罰を使ううちに、いつの間にかサド属性のついたぱちゅりー。そして、叩かれるのが嬉しいちぇん。 最悪な組み合わせであったが、実は、この方法は効率が良く、ポアンカレ予想を1年後に解くのであった。 れいむは、ご機嫌だった。 眼鏡をかけて初めて街を歩いてみた所、数人のおねーさんに呼び止められた。 そして、眼鏡のれいむは凄く可愛いと誉められ、お菓子をたくさん貰ったのだった。 今度は誰に誉めて貰おうか?と満面な笑みで街中を闊歩していく。 「お、眼鏡を掛けたゆっくりれいむがいる。」 横から声を掛けられた。背の高いおにーさんだ。そうだ、この人に誉めてもらって、高い高いしてもらおう。 お空を飛んでるみたいで凄くゆっくりできそうだ。れいむはそう思った。 「なーに?おにーさん。ゆっくりしていってね。」 「お前は、目が悪いのか?眼鏡をかけるゆっくりなんて始めて見たよ。」 「おしゃれだよ!おにーさん、とってもよくにあっててかわいいでしょ!!?」 「んーー・・・。」 おにーさんが高い高いをしてくれた。目の前で眼鏡を良く見ているだけなのだが、れいむはたかいたかいだと喜んだ。 「度が入ってない……、な。当然か……。全く……、何も解ってないド素人が!!」 お兄さんが吼えた。れいむは何が起きたか解らずにびくっと震えた。 「ゆゆゆ!!?おにーさんどうしたの!!?」 「いいか、れいむ?眼鏡というのは、簡単に言えば屈折を変えるレンズ、そしてフレーム、その他から構成されている。 一般的には、このフレームが外見のイメージを変える訳だ。だが、まあおにーさんは、レンズこそが大事だと思っている。 こう、多少斜めに顔を向けるとレンズの屈折で、顔の輪郭が歪んで見えるんだ。それこそが眼鏡の眼鏡たる所以でね。 真正面から見ても、常に歪みが認識できるようになるには、おにーさんも時間が掛かったが………、まあいい。 つまり………、こんな伊達眼鏡は偽者だってこと。」 ぱっと、れいむから眼鏡を取り上げるおにーさん。 「ゆあああ!!れいむのめがねをかえしてね!!!!!」 「駄目だ!!こんなものは眼鏡では無い!!」 「ぞんなあ゛あ゛!めがねがないとゆっくりできないよお゛お゛お゛!!」 泣きながら、その場でぴょんぴょんと跳ねるれいむ。だが、跳ねた所で、おにーさんに取られた眼鏡は帰ってこない。 「安心しろ。俺がお前にあった眼鏡を用意してやる!!」 「いらないよお!!いまのめがねでいいよおお!!れいむのめがね、かえしてねえええ!!!」 れいむは、ぽすん、ぽすんと、おにーさんの足に体当りを開始した。 「む、教育が必要だな………。しばらくおにーさんと暮らして、眼鏡の良さをゆっくり知ろうね。」 そう言って、れいむを抱え上げ、おにーさんは自宅に向かった。 「半年一緒に暮らせば、れいむは立派な眼鏡れいむになれるよ!」 「いやあ゛あ゛あ゛!!!でいぶはもう゛おうちにかえるう゛う゛う゛う゛!!!めがねをがえじでねえ゛え゛え゛え゛!!」 まりさは、ありすから逃げていた。 「やめてね!すっきりはゆっくりできないよ!!」 「うふふふ、そんなことないわぁ!しそんをのこすことは、せいぶつにとってあたりまえのことなのよぉおおお!!」 「れいぷはやめてね!!ゆっくりできないよ!!まりさはすっきりしたくないよ!!」 「いやだわ、れいぷじゃないわよ!!あいよ!あい!このよはあいこそすべてなの!!」 こんな台詞を吐きながら、まりさはあらゆる体術を使い、ありすを避けていく。 先日など、れみりゃを単体で倒すに至ったまりさだ。身体の鍛え方、動かし方の基礎が並ではない。 一方、ありすは運動能力では多少まりさに劣っていたものの、持ち前の精神力でくらいついていた。 ありすの自慢は、組み付いた瞬間にすっきりさせる事が出来るテクニックだ。 故に、まりさは、運動能力では勝っているものの、自慢の体当りを封印され、防戦一方の状態である。 今まで数回襲われた時は、完全に逃げ切って、おうちを変えてきた。 しかし、ありすの追跡技術は突き抜けていた。匂いを辿り、足跡を辿り、勘を駆使し、探り当てるのである。 ここで倒しておかなければ、永遠に付き纏われ、いずれすっきりされてしまう。 今日は、防戦でありながらも、逃げない。ここでありすを倒す決意をもって戦う。 まりさは、戦いの未来を読める。ありすがどちらに飛ぶかを、体重移動、視線などを観察し、当てる事が出来た。 そして、今までの経験から、自分の攻撃で、相手がどう反応し、どう動くかを何となく知っている。 だから、数手先の見えるまりさは、絶対に捕まる事は無い。逃げながらチャンスを待ち、ありすを仕留めれる状況を待つ。 「まりさったら、ほんとつんでれねぇ!!こうやってつかず、はなれずのきょりをとるなんて!!じらしのてんさいだわあ!!!」 「ふん、そんなせりふはききあきたぜ!きょうこそは、そのうすぎたないくちをひらけなくさせるんだぜ!!!」 数合、ありすの攻撃を回避していると、ありすが、ガクンと体勢を崩した。 完全に地形を把握しながら戦っていたまりさは、地面の凹凸を常に考慮していたが、ありすは違う。 まりさの通った道を続いてきただけだ。凹凸にかかり、体勢をくずすのを、まりさはずっと待っていたのだ。 「いまが、ちゃんすなんだぜえ!!おちろおおおおおお!!!」 尖った枝をくわえ、跳躍する。れみりゃを一撃で倒した必殺の攻撃。狙いは、身体の中心!! だが、その時、見てしまった。―――ありすが薄く笑っているのを。ありすは体勢をくずしたフリをしていただけだった。 罠。気づいた時には遅い。何もない空間に枝を突き刺してしまう。自身も跳躍の反動で数瞬硬直してしまう。 そして、その隙をありすは逃さない。すっきりするのは一瞬。 何手か先を読めるが故に、まりさは空中で、敗北を悟った。 「ふぅ・・・。ありすのあかちゃん、ちゃんとそだててね、まりさ。ありすは、せかいじゅうにあいをひろめてくるわ・・・。 にんげんさんにかわれているゆっくりを、あいですくいだしてあげたいの。だから、ありすはいくわね。」 そう言って、ありすは、去っていった。 まりさの頭上からは茎が伸びている。知能が上がってしまった今は、自分の子供を殺す事が残酷すぎて、出来ない。 レイプされて出来た子供を、自分一人で育てなくてはいけない絶望感を抱いて、泣く事しか出来なかった。 果たして、自分は子供達を愛する事が出来るだろうか。解らない。駄目かも知れない。 群に戻って、事情を説明し、子供達を群に預けて育てようか……。だが、群に戻ったとしたら、誰の子供か聞き出されてしまう。 そしたら、レイプされたと、話さなくてはならない。 レイプされて生まれた子供達は、群の皆に受け入れられるだろうか。わからない。……駄目だ。 もう、何もかもが、解らない。そして、まりさは、眼鏡をはずした。 賢くなっても解らないというのなら、考えない分だけ、馬鹿なままの方がマシだ。 嗚呼、最初から、眼鏡なんてしなければ、良かったのか。まりさはそう、思い至った。 「みとめたくないものね。わかさゆえのあやまちというのは。」 「ゆ・・・。だれ?まりさにはなしかけてるのは、だれなの?」 見ると、黒い眼鏡を掛けたゆっくりがいた。レンズの透明度がないので表情が読めない。 「いもうとのしまつは、わたしがつけるわ。ごめんなさいね。いもうとがあんなふうになったのは、 わたしがしっかりしていなかったからだわ。ちゅうとはんぱなことだけをおしえてしまったようね。 ちゃんと、きょういくしてないままで、わたしがたびにでたりしたから・・・こんなことになってしまったのね。」 「ありすの、………おねーさん?」 「わたしは、かこをすてたおんなよ。…けど、あなたをすくうことはできるわ。あなたをゆっくりぷれいすにつれていってあげる。 ドスにかんりされてて、たべものがたくさんあるわ。こどもたちのせわも、むれのみんながみてくれるわよ。 ………こんなことしか、できないけど。あかちゃんをなかったことには、できないの。ごめんなさい。」 「……ありがとう。……ありがどう゛!!!!」 まりさは、感謝した。絶望の中から救ってくれたこの姉ありすに感謝した。 そして、安堵感から、気絶するように眠りに落ちた。 目を覚ますと、そこはすごくゆっくりできそうな場所に居た。けど、姉まりさの姿は無かった。 おうちと、たべものを用意してくれたぱちゅりーに、姉ありすについて聞いてみたが、 妹に会いに行く、の一言だけ残して行ってしまったらしい。 姉ありすは、妹を、あのありすを殺す気で、行ってしまった。 残されたまりさは、せめて姉ありすが無事で帰ってきますようにと、祈った。 ------------- 前に書いたの まりさとの平日 ぱちゅりーとおにーさん お野菜が勝手に生えてくるゆっくりぷれいす
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ゆっくりは草食である。 「幻想郷甘味事情の救世主」「ストレス解消の的」などと呼ばれるゆっくりが 農家に害獣扱いされるのはこの時点で決まったようなものだった。 とはいえ実際のところ農民がゆっくりを毛嫌いしていると言う事実は無く、他の人間同様に 甘い物を安価に手に入れられて良かったと思っている者の方が多かった。 畑にわざわざ侵入して野菜を盗み食いするよりは、野原で昆虫をゆっくり追いかけるほうを好む ゆっくりの習性がどちらかというと無害である事をを人々に意識させたのだ。 その筈だった。 外から迷い込んで農業の真似事をしていた筈の私が、今ここでこうして畑を荒らすゆっくりたちの 進入を待ち伏せしているのは、連中が有害という事実を示していた。 事のそもそもの発端は一月前にさかのぼる。 ここへ迷い込んだ後、とにかく食料を得るため借りた貧相な畑でサツマイモがそろそろ収穫という時期だった。 その日の朝、畑へ行った私は、三匹のゆっくりが芋を掘り返してかじっているのを見た。 最初に思い浮かんだのが、手塩にかけて育てた芋を台無しにされた怒りよりも、 生で食べると腹(?)を壊すんじゃないかと言う心配だったのは我ながら間抜けであったと思う。 ともかく現在進行形でかじられてる芋は諦めるとして、これ以上被害を増やさないために私は考えた。 なまじ甘い態度を取るといつまでも居座るとはベテランの農夫の談、直ちに追い出さなければならない。 さらに、頭が妖精よりも弱いと評判のゆっくりは、生半可な恐ろしさで怒鳴って追い出しても 明日には忘れて再び現れるというのが考えられる。 これを満たす手段を考えていた私は、「外」に住んでいたとき農家がカラスの死骸をつるしていたのを思い出した。 (幻想郷では見られなかった。鴉天狗に血祭りにされかねないからだろう。) この手段を採用した私はゆっくりの死体を3つ生産すべくゆっくりと背後に近づき、 奇襲効果を得られるうちに攻撃するためクワを振りかぶった。 「ゆっくり?」 振りかぶった瞬間、ゆっくりが一斉にこちらを向いた。 ゆっくりが太陽とは逆を向いていたのを失念していたのである。 ここで止められる訳が無い、全力でクワを振り下ろした。 「ゆ゛っ!」などと断末魔をあげて真ん中の紅白饅頭が絶命する。 直ちに第二撃を繰り出すため、刺さった歯を抜き構える。 「や゛め゛て!ゆ゛っく゛りし゛ようよ!!」 もう一匹の紅白饅頭が命乞いのセリフを吐き出した。 黒大福は薄情なことに「ゆっくりしんでね!」などと言って逃走した。ひどい大福だ。 とりあえず死体は一つ手に入ったので、生きている方の紅白饅頭を捕縛して自宅に戻った。 紅白饅頭を押入れの布団の下に放り込んだあと必要な材料を持って畑へ行き、 近くの木の枝に死骸を入れた袋を「私は悪いゆっくりです」と書かれた板と一緒にぶら下げた。 黒大福を逃したのが心残りだったが、私は一仕事終えた充実感を胸に帰宅した。 それから1週間後、どうやったかは知らないが あの逃走した黒大福が仲間を大勢引き連れて(2ダースはいたと思う)畑を荒らしていた。 「おいしいね!」「ゆっくりたべようね!」 早すぎでも収穫すべきだったと後悔しつつ、私は鍬を振り上げ突進した。 「ゆっくりしていってね!!」「さっさとかえってね!」 などと腹の立つ言動をしながら大福と饅頭が向かってくる。 だが所詮ゆっくり、金属製の鍬を受けるとあっさり昏倒、あるいはバラバラになり、それをみた 他のゆっくりは蜘蛛の子を散らすように逃げてしまった。 結局、饅頭四個分の餡子と皮を生産し、捕虜(めんどくさいので木に吊るした)を2匹手に入れただけだった。 それからは毎日ゆっくりの襲撃を受けるようになった。 毎回毎回追い回すのも面倒なので、5回目の時点で進入方向を限定するための柵を設置した。 進入経路で待ち伏せて5回目は畑に入ることすら許さなかったが、6回目は大量に引き連れて数で突破された。 (後で適当な大福を尋問したところ、黒大福がこの畑に「メッチャうめえ」物があると吹いているようだった) ゆっくりどもにこちらの恐ろしさを教育してやるため、襲撃後ただちに里へ香霖堂へ装備の調達に走った。 陣地を構成する障害物は鉄条網・トゲつきの柵・斜めにつきたてた槍などがその後の何回かで増えた。 そして現在、21回目の襲撃後の畑は様変わりしすぎて畑と呼ぶことが難しくなりつつある。 時計からそろそろ襲撃時刻(午前6 00ごろに来る)になりつつあることを見た私は、 香霖堂で調達した双眼鏡を森の方へ構える。 木々の緑の中に紅白・黒の丸い物体がポツポツと見え始めた。 「総員戦闘配置!」 10回目頃から事態に気づき、加勢してくれたヒマな農夫や 天然のゆっくりがノコノコやってくるということで協力しに来た加工所職員へ 大声でゆっくりが来たことを伝える。 最近は畑よりも捕虜の救助が目的でゆっくりが襲撃してきているようなので、 紅白饅頭をガラスケースに閉じ込めたものを数個、進入経路に設置してある。 「いまだしてあげるね!」「いっしょにゆっくりしようね!」「がんばってこわすよ!」 案の定、その地点で群れが停止した。 そこまでを確認した私は、地面に斜めに突き立っている筒の所へ行き、その筒へ何物かを入れた。 その物体が筒の一番下まで到達すると、瓶の栓を抜いたような音があたりに響いた。 「5、4、3、2、だんちゃーく、今!」 言い終えると同時にガラスケースの所で爆発が起きる。宙を舞うゆっくりが確認できた。 下ろして欲しいという意図の悲鳴がここまで聞こえてきた。 その意図は直ちにかなえられ、地面にたたきつけられたゆっくりはずっとそこでゆっくりすることになった。 「毎回掛かるのはやはり脳が足りないんですかね?」 加工所職員に話をふると「そもそもあるのかどうか…」と気の抜けた返事が返ってきた、同感だ。 香霖堂で調達した迫撃砲は数に限りがあるので一発で射撃を終了する。 いつものようにゆっくりの群れがこちらに向かってきたが、前面の鉄条網で押しとどめられる。 「い゛た゛い゛!い゛た゛い゛ぃ゛ぃぃ゛!」「ゆ゛っく゛り゛おさ゛な゛いでぇ!」 鉄条網に引っかかった仲間の上を通るという共産軍さながらの方法で、第一線は通られた。 本来ならばさらに第二、第三と鉄条網を張るつもりであったが、流石の香霖堂でも鉄条網が そう簡単には手に入らず、第一線の後は射的タイムである。 おのおの、弓やボウガンや猟銃を構えて号令を待つ。 第一線を乗り越えたゆっくりは150匹であった。 最初の迫のダメージで7匹力尽き、そこへ最初の射撃が到達し12匹が倒れる。 この射撃音で怖気づいた22匹が逃走し、さらに第ニ射で16匹が倒れた。 「もうやだ!おうちかえる!」「おうちかえっぶげぇ!」 地面に刺しておいた槍の障害物で、遮二無二突進した9匹が串刺しになった。 柵と組み合わせたその障害物でまごまごしてるあいだに第三射が全弾命中し18匹が死体となった。 さらに15匹逃走して、残りが何とか射撃線へと到達する。 加工所職員が柵を乗り越え、慣れた手つきでゆっくりを8匹捕縛し、31匹逃走させた。 1ダースとなったあの黒大福を含むゆっくりの精鋭は農夫には目もくれず私のところへ突進してきた。 手近にあった陣地構築用の洋ノコをとっさに構え、まず飛び掛ってきた一匹を切り裂いた。 「ゆ゛っ゛く゛りぶぇ゛!?」 雑な切断面から餡を撒き散らしながら落ちる物体には目もくれず、二匹目を足で蹴り飛ばした。 蹴った瞬間破裂した物体は飛翔しながら餡と皮に分解していった。 さらに突進してきた三匹目は一番悲惨で、フルスイングされたノコの直撃を受けたあと、 バラバラになりつつ飛翔して障害物の槍に刺さった。 残りの9匹のうち4匹が農夫に捕縛され、散り散りになって逃げ出した最後の5匹は背中に射撃を受け 「もうゆるじで!!」「やめて!ゆ゛っく゛りし゛ようよ!!」 2匹にまで数を減らしつつ逃走に成功した。 この2匹が命からがら森へ入ったのが6 58であった。 以上が22回目の襲撃とそれまでの経過の概要である。 選択肢 投票 しあわせー! (25) それなりー (5) つぎにきたいするよ! (8) 名前 コメント すべてのコメントを見る
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いつも疲れた帰りに 875のゆっくりれみりゃが寄ってくるの。 そしたら腹立たしくなって「がおー、お前をたべちゃうぞ~」って言ってやったら 「う”-!だべぢゃやだぁああ」とかゴネ出すんだよ。それで 「冗談だよ、よしよしお前はいつも可愛いな」って撫でてやると 「ぅ、うー♪うん!」って膝に抱きついてくるので暑苦しく感じながらよしよしして 「じゃあ、おすもうさんごっこがいいな」って言ってやる。 「おすもぅさん、ごっこ?うー、それなにぃ?」ってつぶらな赤い目をぎょろりと向けてくるれみりゃ。 ウゼェ。と指を差込みたくなる衝動を抑えながら相撲のルールを手短に説明。 合点がいって「うー♪わかったうー!」っとぴょんぴょん跳ねるゆっくりゃ。 「じゃあこかされたら負けだよ」「がぉー♪たべちゃうぞ~♪」とのらくらと踊っているつもりなのだろう。 てめぇのような知能の低い薄汚い豚に食べられたら先祖に顔向けできねぇよ。 「じゃあはっけよーい、のこった!」さあスタートだ。さっきからウザかったゆっくりゃをいじめてやる。 ゆっくりゃはババクサイかっこしてるから色んな所をすぐ掴める。 一方ゆっくりゃは俺の膝までしかないから脚にしがみつこうとする。 よける度にこけそうになるゆっくりゃをさっと後ろから抱える。 「う!がぉ~♪つかまっちゃったぞぉ~♪」と何故か嬉しそう。 ますますむかついたからそのまま両手で合掌するごとくゆっくりゃを徐々にプレスする。 最初は楽しそうだったゆっくりゃはやがて苦しそうに 「う”-!はなじで!うぁ!」とじたばたしだす。そこで俺は手を背中の翼に伸ばしぶちっと一気に引きちぎる。 「う”あ”あ”あ”あ”あ”あ”!!!!!!!!いだいよぉぉおおおおお!!」 絶叫するゆっくりゃの口に思いっきり羽を突っ込んでやる。 「うるさいから黙ってろ」「ん”-!ん”-!!」ともごもごさせるれみりゃは正に豚のようだ。 相撲のことなんてどうでもよくなった俺は早速ゆっくりゃを床に叩き付ける。 「ふぶっ」と醜い声を漏らしたあと、「ん”-------!!!ん”-----!!」とさっきより苦しそうにじたばたしている。 俺はれみりゃの足についた蹄をキッチンから包丁を取り出して切断する。 れみりゃの豚足なんて不味くて食えないだろうけどな。 「ん”あ!!!!!」と汚い声とともに 卑しくも翼を吐き出したれみりゃは「びどいよぉ”なん”でごんな”ごどずどぅの”ぉ”」 とブヒブヒ呻いてる。黙れ汚いんだよこの豚が。
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―――ここは幻想郷にある人里 この人里で、俺は便利屋として生計を立てていた。 趣味と実益を兼ねたゆっくりの駆除を行い、甘党な俺は仕事が終わったあとで頑張った自分へのご褒美(笑)に狩ったゆっくり達の餡子でスイーツパーティー(笑)を行うのが恒例行事であった。 しかし・・・最近人里で、とある噂が囁かれている。 「ゆっくり達が消えるのではないか」という噂だ。 幻想郷にある日突然現れた生物(?)であるゆっくり達は「ゆっくりしていってね!!!」という独特の鳴き声をしており、 人語も多少は解するが中身は餡子やらクリームやらであることから人里では甘味の材料として重宝されていた。 実際、以前は人里を少し離れれば頻繁に見かけられたゆっくり達がここ数週間殆ど見当たらないのだ。 本当に居なくなってしまうのだろうか・・・ まぁそれならそれで構わないし、ゆっくりが幻想郷に突如出現するまでは普通に農作業を手伝ったり、獰猛な野犬の駆除などをして生活していたのだ。 その生活に戻ったところで大して困ることも無いさ。 そんな事を考えながら過ごしていたある日、里の少しはずれの畑で農夫の手伝いをしていると森の方から大きな物音が聞こえてきた。 音のする方へ急ぐと、森の入り口に異様に大きなゆっくりまりさがどっしりと構えていた。 巨大ゆっくりまりさの近くにある若木から察するに、身の丈は六~七尺程であろうか・・・ゆっくりとしてはとんでもない巨体である。 俺と農夫が近づくと巨大ゆっくりまりさは声を張り上げて叫んだ。 「よくもまりさたちのおともだちをたくさんころしたね!!!まりさたちをゆっくりさせないにんげんたちはゆっくりしね!!!」 その言葉を発した直後、どこに隠れていたのか大量のゆっくりが「「「「ゆっくりしね!!!」」」」の掛け声と共に巨大ゆっくりまりさの元に現れた。 近頃ゆっくり達を見かけなくなっていたのは、この蜂起の準備をしていたせいなのだろう。 「・・・早く!あなたは里に戻って自警団に報告してください!」 俺はひとまず農夫をこの場から逃がし、ゆっくりの大群と相対した。 ボスまりさの後ろには様々な種類のゆっくりが群れを成している。その総数は二千は下るまい。 「「「ゆっくりしね!!!」」」 近くにいる十数匹のゆっくりが俺にいっせいに飛びかかってくる。 人間を滅ぼそうというゆっくり、それがこの数で飛びかかってきた。 「う・・・うぉわあぁぁぁああぁあああぁぁ!!!」 死ぬ、そう思った。 ボムッ、ボヨォン、ブニッ。「……あれ?」 と思いきや無傷、まったくの無傷であった。 数の多さと勢いで圧倒されるかと思ったが・・・よく考えれば所詮はただの饅頭である。殺傷能力などあろうはずもない。突進の速さも種族の名に違わずスロウリィ。 「・・・ふ、ふふふ、うふ、ふふふふふふ」 と、在りし日の魔法の森の白黒のような笑いがこみ上げてくる。 「ゆ?きもちわるいわらいかたするにんげんはゆっくりしんでね!」「ゆっくりじゃまするにんげんはゆっくりはやくしんでね!!!」 「がぁおー♪たーべちゃーうぞー♪」「ちーんぽ!!!」「わたしたちのあっとうてきせんりょくにぜつぼうしちゃったんだね!!!わかる、わかるよー!!!」 俺の様子を見たゆっくり達が騒ぎ立てるが、ゆっくり達が集まったところで全くの無力。 それを悟った俺には、もうこの状況が――― 「すいいいぃぃぃぃいいぃぃつ祭りィ・・・、開催じゃあああぁぁぁああぁぁああぁッ!!!!!みんなァッ!!!ゆっくりしていってねえぇっ!!!」 ―――もはや、大地一杯に広がる甘味畑にしか見えなくなっていた。 大声で「ゆっくりしていってね!!!」という言葉を聞いた途端に動きが止まるゆっくり達、これも種族の性か。 大地を蹴りゆっくり達の群れの中心に飛び込む。手当たり次第にゆっくりをつかみ上げて噛みちぎり、啜り尽くし、薙ぎ払い、踏み潰し、蹂躙する。 「おいちいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!最高でえええぇぇぇぇぇッス!!!」 気分がノってきて、すごく楽しくなってきた。やっぱりゆっくり狩りは最高だね!こんな楽しい事が無くなっても構わないなんて、 最近の俺はどうかしてたね!!!スイーツ(笑)最高おおおおおおおおおおおおお!!!」 「おじさんはゆっくりできてないよ!!!ゆっくりやめてね、こっちこないdぎゅbりゅぎッ!!!」 「ゆっぐりじだげっががごれだよ゙おおぉぉおおぉぉっ!!!」「もっど、ゆっぐり、ぢだがっだよおおおぉぉおおぉぉっ!!!」 「ぢぼっ、ぢんっ、ぢんぼおおおぉぉおおぉぉぉっっ!!!」「わがら゙な゙い、わがら゙な゙いよ゙おおおおぉぉおおおぉぉぉ!!!」 辺りに鳴り響く大量の断末魔、阿鼻叫喚とはこの事を言うのだろう。 「あ、肉まんはいいや、ポイだポイ。」言うと俺はゆっくりれみりゃの両腕を千切り取り、遠くへ投げ捨てた。 「あ゙あ゙あ゙があ゙あぁぁ゙!!い゙だい゙、いだいぃぃぃ!!!でみでゃのぷりぢーなおででがあ゙あ゙ぁぁあ゙ぁぁっ!!! ざぐやにいいづげでやどぅううぅぅ!!ざぐや!!ざぐやあ゙あ゙あ゙あ゙ぁぁぁ!!!」 投げ捨てた両腕に向かって飛んで行こうとするゆっくりれみりゃの両足を捕らえて地面に叩きつける。支える腕の無いゆっくりれみりゃは顔面から勢いよく地面に激突した。 「ぶぎゅる!!がぁおー!!!だべぢゃうぞおおおおおぉぉぉ!!!」 それでも闘志を失っていないのか、それともただやけっぱちになっているだけなのか、恐らくは後者であろう。この期に及んでまだ威嚇などしている。 これ以上時間をかけても面倒なので、手早く頭を踏み潰すと俺は再び他の甘味ゆっくりの蹂躙を始めた。 ひとしきりスイーツ(笑)を堪能し終えた頃、自警団や里の男達が鎌や鍬を携えてやってきた。 俺は里の者達と合流して残党ゆっくりの掃討を始めた。逃げ遅れたゆっくり達が残っている、こいつらも処分しなければ。 「どおぢでええええええええぇぇ…。」 「ゆぎぐがあああああああああああああああああ!!!!!」 残党をあらかた処分し終えた頃、ある事に気付いた。群れを統率していた巨大ゆっくりまりさの姿が見当たらないのだ。 「逃げたか・・・」 ゆっくりまりさ種は自分の身に危険が迫ると群れを犠牲にしてでも逃げる狡猾さで有名だ。 しかし所詮はゆっくり、まだそんなに遠くには逃げていない筈だ。幸いなことに、その巨体の重さ故に巨大ゆっくりまりさの移動跡は大きく荒々しい。 程なくして巨大まりさは自警団に発見・捕縛された。辺りを必死に逃げ回ったのだろう、所々皮が破れて中身が見えている。 「まりざはなにもわるいごどじでないよおおおおおおお!!!ごろずならほがのゆっぐりにじでねえええぇぇぇええぇぇっ!!!」 巨体から発せられる大声を間近で受けて、耳にキーンときた。 なにはともあれ、ここまで人間を恐れるようになってしまえば、もう駆除までの手間は普通のゆっくりまりさと大して変わらない。さっさとバラしてしまおう。 と、ここで巨大まりさの餡が露出した部分から濃く甘い匂いが漂ってきた。なぜだろう、さっきまでゆっくり達を喰い散らかしていたというのに唾液が止まらない。 中身の露出した部分へ腕を突っ込み、手で掬って口へ運んでみる。 「ゆ゙ぎぎぐうぅぅぅっっ!!?」 巨大まりさが耳障りな悲鳴を上げたが、俺はそんなものは意識に入っていなかった。 「これは・・・美味い!凄く甘くて美味い!!」 強烈な甘さ、それに特有の舌触り。この味は――― 「栗だ、こいつの餡は栗の味がするぞ」と、農夫が言う。 そう、栗の味がする。この巨大ゆっくりまりさの中身は通常のゆっくりと違って栗餡なのだ。 おせち料理の栗金団に入っているアレである。 「よし、こいつは持ち帰ってみんなで食べよう。今晩は宴会だァ!!!」 「「「「うおおォーーーッ!!!」」」」 ・・・でもまずは、この残骸を片付けないとな・・・。思い切って残業(笑) その後、生きたまま里へと持ち帰られた巨大ゆっくりまりさの中身の栗餡は里を挙げて行われた夜の宴会にて振舞われた。 ―――厨房にて 「もう・・・やべでええええええぇぇぇぇぇ・・・・・・」 特別に用意された十尺四方の檻の中で力なく抵抗する巨大ゆっくりまりさ、もはや暴れる気力も体力も無いようだ。 食べる時は栗餡の鮮度を保つため、食べる分だけを巨大ゆっくりまりさの背中に空けた穴の中からへらを使ってこそぎ取る。 「ゆぎゃが゙あ゙ぁぁぁあ゙ぁ!!!や゙め゙っ、ゆ゙るじでぇぇぇぇぇ…ま゙りざのながみ…なぐなっぢゃうのほお゙お゙お゙ぉぉお゙お゙ぉ…!!」 「こいつは・・・すごいな」ゆっくり加工所勤務の友人が言う。 「そんなにすごいのか?」 「ああ、このゆっくり、エサを口に入れたそばからどんどん消化して栗餡にしてるよ。この特異体質のせいで今まで野性で生き続けられたんだなぁ。これなら死なない程度に餡を取って、エサを与え続ければかなり長い間餡が採れそうだ。子を産ませるのも良いかもな。」 ふたりの会話を聞いた巨大ゆっくりまりさは悟った。「もう自分は二度とゆっくりできない」と。 (ゆっくりしたけっかが・・・・・・これだよ・・・・・・) きっとこれからも、ゆっくりは人間達に搾取され続けるのだろう。スイーツ(笑) このSSに感想を付ける
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「ゆゆっ!おにーしゃん!ちゅいにじぇんぶそろったね!」 「ああ・・・そうだな、長い旅だった。でもこれで旅も終わりか・・・」 「これでまりしゃたちのおきゃーしゃんがいきかえりゅんだね!」 「うっう~♪まりさたち、おめでとうだど~!」 「これでゆっくりできるのね!」 「ちーんっぽ!」 「おねがいがかなうんだねー。わかるよー」 「むきゅ!でんせつのゆっくりぼーる・・・きょうみぶかいわ!どすもそうおもうでしょ?」 「そうだね、ぱちゅりー!でもまりさはみんながゆっくり出来れば何でもいいよ!」 何も無い荒涼とした大地。 そこに人目を避けるようにして集った9つの影。 1つは人間のものだ。中肉中背の男性が、じっと足元に置かれた7つの珠を見つめている。 その珠はゆっくりボールと呼ばれ、全て集めたものの願いを一つだけかなえてくれるといわれている。 他の8つの影は全員ゆっくりと呼ばれる下膨れの生首饅頭だった。 常時薄ら笑いを浮かべているように見える顔立ち。妙に不快感のある声。落ち着きの無い性格に、何故か喋れるが思考能力の伴わない半端な知性。 そのどれもがどこか嗜虐心をそそる不思議な生物?がずらりと並んでいた。 赤ちゃんゆっくりれいむ、赤ちゃんゆっくりまりさ、ゆっくりれみりゃ、ゆっくりちぇん、ゆっくりみょん、ゆっくりありす、ゆっくりぱちゅりー、そしてドスまりさ。 男性も含めて、皆力を合わせてゆっくりボールを集めた仲間同士だった。 「さて、行くぞ・・・」 男性が神妙な声で合図を送るとゆっくり達は一斉に静まり返った。 「出でよ!シェンみょん!!」 その言葉がつむがれた瞬間、男性が見つめていた7つの珠が強烈な輝きを放つ。 珠を中心に風が起こり、巻き上げられた砂や木の葉がくるくると渦巻いている。 およそ5秒ほどそうやって瞬いていた珠が更に強い光を放った直後、珠からゆっくりみょんが出現した。 そのゆっくりみょんは非常に巨大で、体高はゆうに20mを超え、人知を超えた不可思議な力で宙に浮いている。 『ゆゆっ!みょんを呼んだのは君達なんだね!ゆっくりお願いをしてね!』 「さあ、れいむ、まりさ!はやくおねがいをしなさい!」 「ゆゆっ、ほんとうにれいむたちのおねがいでいいの?」 「あたりまえだど~♪」 「そのためにぱちゅりーたちはたびをつづけてきたのよ!」 「早くおかーさんを生き返らせてみんなでゆっくりしようね!」 「み、みんな・・・ありがとう!」 『ゆっくりしないでお願いしてね!お外じゃゆっくり出来ないよ!』 「ゆゆっ、ゆっくりりかいしたよ!それじゃあ、れいみゅのおきゃー「ギャルのパンティーをおくれ!」 赤ちゃんれいむがみんなに背中を押され、シェンみょんに急かされてお願いを言おうとしたとき、男性の変なお願いにさえぎられた。 『ゆっくり理解したよ!みょんはもうおうちに帰るね!』 シェンみょんがきっちりとその意味のわからない願いを叶え、パンティーがひらひらと地面に落ちるのを見届けると再び珠の中に戻っていった。 「どほぢでぞんなごどいうのおおおおおおお!?」 「おにいざんのばがあああああああ!?」 「いやぁ・・・ごめんごめん、何かついうっかり・・・」 「ちーっんぽ!!」 「うっかりじゃないわよ!またゆっくりぼーるをあつめなおさないといけないのよ!」 「次は気をつけてよね、おにーさん!」 総すかんを食らっている男性が、きまりの悪そうな表情でボールのあったほうに目をやると、ボールはゆっくりと四方八方に転がって移動していた。 そして、それらはあまりにゆっくりで、まだ2mほどしか移動していない。 その光景を見た男性はふとした思い付きでさっきの呪文を再び口にした。 「出でよ!シェンみょん!」 『どほぢでまた呼ぶのおおおおお!?これじゃゆっくり出来ないでしょおおおおおお!!』 予想通り、機嫌を損ねているがシェンみょんはきっちり呼び出しに応じてくれた。 ゆっくり達が予想外の展開に呆然としている中、男性だけが満足げな笑みを浮かべて何かを思案していた。 「・・・8匹と一人だから・・・よし!これだな!」 『ゆっくり早くしてね!お外じゃゆっくり出来ないんだよ!』 「わかったよ!じゃあ、お願いだ。次からは願い事を9つ叶えてくれ!」 『ゆぐぅ!?そんなの無「無理ならずっとゆっくりさせないぞ!」 シェンみょんは却下しようとするが、男性に脅される格好でしぶしぶそれを承諾すると、ボールの中へと戻っていった。 「これで皆の分のお願いが出来るぜ?」 男性はそう言って仲間達に微笑んで見せた。 「出でよ、シェンみょん!!」 『もおやべでええええええ!?みょんがゆっぐぢ出来ないよおおおおおおお!!』 「まず一つ目のお願いだ!」 お兄さんはシェンみょんの抗議を聞き流してさっさと願い事を要求する。 「まずはれいむとまりさのお母さんを生き返らせてくれ!」 『ゆっくり理解したよ!ほあっ!!』 シェンみょんの掛け声と同時に現れた光の中から、れいむとまりさの夫婦が現れる。 「「ゆゆっ?ここはどこ?」」 突然の事態に夫婦は困惑していたが、れいむ達の姿を見ると2匹とも一目散に駆け寄ってきた 「「れ、れいむ!まりさ!どうしてここにいるの!?」」 「あにょね!れいみゅたちがおきゃーしゃんたちをいきかえらちぇたんだよ!」 「まりしゃたちおきゃーしゃんにあいたかったんだよ・・・ゆっぐ・・・」 こうして4匹は感動の再会を果たした。 『早くゆっくり次のお願いしてね!みょんゆっくり出来ないよ!!』 空気の読めないシェンみょんに促されて、男性は次のお願いを考えた。 「次にここにいる皆を不老不死にしてくれ!」 『ゆっくり理解したよ!ほあっ!!』 「ゆ?おにーさん、ふろーふしってなぁに?」 「ずっとゆっくり出来るってことだよ」 「「「ゆゆっ!さすがおにーさんだね、すごいや!」」」 その言葉に無邪気に喜び、飛び跳ねるゆっくり達。 その表情から永遠の生の恐ろしさなど全く想像していないことが伺える。 『早くゆっくり次のお願いしてね!みょんゆっくり出来ないよ!!』 「それから、ぱちゅりーをもっと病弱にしてくれ!」 『ゆっくり理解したよ!ほあっ!!』 「むきゅー!?なんでぞんなごぐほっ!がほぉ!?げっふぅ!!?」 その瞬間、少し声を張り上げただけなのにぱちゅりーが中身を吐き出した。 「「「「「ぱちゅりー!?」」」」」 「あー、こりゃ致死量吐いたな・・・」 「ぎゅ~・・・ぎぼぢわるい、ぐるぢいのにぜんぜんぢなないわ・・・」 「ってことは本当に不老不死になったのか、すげえな」 「「「おにーさん、どういうことなの!?」」」 『早くゆっくり次のお願いしてね!みょんゆっくり出来ないよ!!』 「ああ言ってるから説明は後だ」 「ドスまりさは赤ちゃん並の体力にしてくれ!」 『ゆっくり理解したよ!ほあっ!!』 「ゆゆっ!?おにーさんなにいいだすの!?」 「しゃら~っぷ!」 男性がドスまりさに蹴りを見舞うとドスまりさにはそれなりの重さがあるにもかかわらずあっけなく吹っ飛んだ。 「ゆげぇ!?いだい、いだいよおおおおおおお!?」 「おお、本当に弱くなってる」 『早くゆっくり次のお願いしてね!みょんゆっくり出来ないよ!!』 同族?が酷い目に遭っているというのにシェンみょんは自分がゆっくりすることしか眼中にないらしくまたしても急かしてきた。 「れみりゃを絶世の不細工にしてくれ!」 『ゆっくり理解したよ!ほあっ!!』 「うーっ!?なんでぞんなおねがいずるんだどーっ!?」 そう言って抗議するれみりゃの顔に特に変わった様子は見られなかった。 「ゆゆっ!?れみりゃ、ぎぼぢわるいがらこっちむかないでね!」 「ゆげぇ・・・こんなにきもちわるいのはじめてだよ!」 「ゆゆっ、なんていなかものなの!?いなかものにしつれいなくらいいなかものだわ!」 「うううううううう!?でびりゃはがわいいいどおおおおおお!!」 どうやらゆっくりには違いがわかるらしい。 「・・・・・・ごめん、何が変わったのかお兄さんにはさっぱりだわ」 『早くゆっくり次のお願いしてね!みょんゆっくり出来ないよ!!』 「ありすを永久にすっきり出来ない体質にしてくれ!」 『ゆっくり理解したよ!ほあっ!!』 「ゆっ!?すっきりできないってどういうこと!?」 突然の指名に驚き、ありすは男性をねめつけるが彼はそんなこと意にも介さず、主無理鬼ありすに振動を与え始めた。 「つまり・・・こういうことさ!」 激しい揺さぶりがありすを瞬く間に快楽の世界へ誘う。 「ゆっ・・・ゆっ・・・ゆっ・・・ゆっ・・・」 その揺さビルはどんどん激しくなっていき、アリスはあっという間に絶頂寸前にまで達したが・・・ 「ゆううううううう!ずっぎりでぎないいいいいいいい!?」 「わかっただろ?イく一歩手前で永久にお預け食らわされてしまうのさ!」 『早くゆっくり次のお願いしてね!みょんゆっくり出来ないよ!!』 「俺に大量の虐待道具をくれ!!」 『ゆっくり理解したよ!ほあっ!!』 すると空から大量の虐待道具が降り注いできた。 お約束の透明な箱から焼き土下座用の鉄板、果ては苦悶の梨なんかまで。 「おぉ~・・・本当にいっぱい降って来たなぁ・・・」 『早くゆっくり次のお願いしてね!みょんゆっくり出来ないよ!!』 男性が感嘆しているとまたしてもシェンみょんが急かしてきた。 「こいつらが俺から逃げられないようにしてくれ!」 『ゆっくり理解したよ!ほあっ!!』 その瞬間、こっそり逃げ出していたまりさとれいむの一家が男性のほうに吸い寄せられるように戻ってきた。 『これでそこにいる子達はお兄さんから半径50mより外に出られなくなったよ!』 「しぇんみょん!どほぢでごんなごどずるのおおおお!?」 「しぇんみょんのばかあああああああ!!」 「ゆっぐりでぎないぢぇんみょんなんがゆっぐぢぢねええええええ!!」 どうやらゆっくり達は男性への罵倒を諦めて、標的をシェンみょんに変えたらしい。 『早くゆっくり次のお願いしてね!みょんゆっくり出来ないよ!!』 しかし、次のお願いをかなえればボールに戻れるシェンみょんはゆっくり達の罵倒を完全に聞き流している。 「シェンみょん、お前を虐待させてくれ!」 『ゆっくり理解した、よ・・・ゆぎいいいいいいい!!』 その言葉を聞いた直後、シェンみょんは体を持ち上げていた神秘の力を失い、どすんと大地に落下した。 「ふっふっふ、ずっとこの日のために我慢してきたんだ・・・ひゃあ、もう我慢できねぇ、虐待だぁ!!」 一箇所に固まっておびえるばかりのどうしようもなく無力なゆっくり達。 ドスまりさは赤ちゃん並の力になってしまった上に、シェンみょんも男性に虐待されるための存在になってしまった今、全くの無力。 そして、ここは人目のない荒野。 つまり、男性は誰にも邪魔されることなくゆっくりを虐待できるということだ。 「「「「「「「「「「『これじゃゆっくりできないよ!!』」」」」」」」」」」 何も無い荒野に無力なゆっくり達の悲鳴がこだました。 ‐‐‐あとがき?‐‐‐ ゆっくりは儚いからこそ虐め甲斐があるんだと思うんだ。 でも、永久に赤ちゃんのままのゆっくりは個人的にあり。 byゆっくりボールマン このSSに感想を付ける
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ほんのりペニマム設定あります ゆっくりの宿 バチバチと大粒の雫が地面を跳ねる。真っ黒な雲に覆われた空からは、まるでバケツを返したような雨がザーザーと降ってくる。 季節はずれの通り雨。いっそのこと濡れて帰ろうかとも思ったが、いささか水遊びをするには寒すぎる。 貼り付いた前髪を絞りながら空を睨んでいると、ふいに足元より声が響いた。 「ゆっくりしていってね!!」 雨音にも負けないよく通る声、挨拶をくれたのはゆっくりまりさ。帽子のつばからは水滴がしたたっている。 「おにいさん、ここじゃゆっくりできないでしょ? まりさたちのやどで ゆっくりしていってね!!」 そう言ったかと思うと裾を咥えて引っ張りはじめる、泥がはねて汚い。 たまらず反射的に足を引く。一瞬ぐにんっと伸びたかと思うと、そのままの勢いでまりさは濡れた地面に突っ伏した。 何やらブクブクとヌタ場の中で蟹のように泡を立てている、新しい遊びだろうか。 「ゆ、ゆえええええええええ!!! なんであじ ひっばるのおおおおお!!!??」 そうして起き上がったかと思うとわんわんと泣きだす。その顔は泥やら涙やらが入り混じって凄いことになっている。 「せっかく、まりさが、おにいさんを、しょうたい、しようと、してる、のにい!!!」 グスグスと嗚咽交じりに訴えてくる。途切れ途切れの言葉を纏めるとこうだ。 何でもこのまりさは宿屋を経営しているらしく、この雨の中立ち尽くす俺を見かねて声を掛けて来たらしい。 ゆっくりの宿屋というものにいささか興味はあったものの、この雨の中をこれ以上歩き回るのは勘弁願いたい。 そんなわけでその旨をまりさに伝える。だが彼女は依然として食い下がる。 「ゆぐっ!? ごはんもだすよ!! おもてなしするよ!! ゆっくりしていってよー!!」 「おきゃくさんつれていかないと れいむにおごられるううぅぅぅ!!」 どうやら俺に声を掛けたのは親切心からでなく、ただの客引きだったらしい。 そんなこと言われると殊更行く気が失せるのだが、雨上がりまでわめかれても面倒だ。 仕方がないので、まりさに案内してくれるよう頼むことにした。 「ゆゆ!! もうおにいさんたら つんでれなんだから!! ほんとうはまりさのおうちで ゆっくりしたかったんでしょう?」 途端、手を返したようにニヤニヤと薄ら笑いを浮かべるまりさ。ちょっとうざい。 そうして俺とまりさは林を奥へと進んでいった。 「ついたよ!! まりさのおやどにようこそ!!」 宿と呼ばれたそこは何の変哲も無い洞窟であった。 特にこれといった装飾もなく、剥き出しの岩がボコボコと殺風景である。 私が唖然としていると奥のほうから数匹のゆっくり達がぽよぽよと跳ねよってきた。 「いらっしゃいませ!! おやどのおかみのれいむだよ!! ゆっくりしていってね!!」 「「「ゆっくりしていってね!!」」」 こいつ等がここの従業員らしい。 「ゆ!? まりさ、どろどろしてばっちいよ!! どろをおとしてからはいってきてね!!」 「おとうさん、ゆっくりしないで はやくおかおをあらってきてね!!」 「ゆぎぃ!!? まりざがんばっでるのにどうじでぞんなごどいうのおおぉぉぉ!!!??」 「どろをとばさないでね!! いいからはやくあらってきてね!!」 自称女将のれいむの剣幕に押され、まりさはすごすごと出口へ向かっていった。 しかし先程の会話を聞いているとどうやらこのゆっくり達は家族らしい。この女将れいむが母親だろうか。 「しつれいしました!! おきゃくさまはきにせずゆっくりしてね!!」 まりさを見送ったれいむがこちらに向き直る。 「きゅうけいと しゅくはくがあるけど、おにいさんはどうするの?」 よく解からないが取り合えず雨が止んだら出て行くと答えた。 「ゆっくりわかったよ!! おだいはいっちまんえんでいいよ!!」 高い。生憎と私の懐には黄色いお札様はいらっしゃらない。 あからさまに渋い顔をすると、れいむは察したのか言葉を続けた。 「いっちまんえんがないなら そこにあるみかんさんでもいいよ!!」 そう言って、れいむは私の籠を見つめながらダラダラと涎を垂らす。 これは先程友人の家を訪ねた際、たくさん成ったからと貰ってきたものだ。 恐らくあのまりさもこのミカンに釣られて来たのだろう。まぁかなりあるし少しくらいなら構わない。 そこで私は、持て成しに満足できたらミカンを分け与えると約束した。 「こうしょうせいりつだよ!! それじゃおちびちゃん、おきゃくさまをおへやまであんないしてね!!」 「ゆっくりわかったよ!! おにいさん、おにもつはこぶからゆっくりわたしてね!!」 そうして女将より一回り小さなれいむが足元まで跳ねてくる。 流石にゆっくりには重いだろうと荷物運びは断ったのだが俄然として聞かない。 「れいむつよいこだからだいじょうぶだもん!! わかったらおにもつわたしてね!!」 ぷんぷんと膨らんで抗議の声をあげる。仕方がないので、俺はミカンの籠を頭の上に乗せてやった。 「ゆべべっ!!? ゆぐ、ゆっぐりはごぶよ・・・」 ぶちゅりと口から空気と餡子を吹き出す。何やら涙目になっているが平気と言うからには平気なのだろう。 ズリズリとナメクジの様に這い進むれいむに連れ歩く。しばらくすると開けた空間に出た。 そこは一面に枯葉が敷き詰められており、至る所にコケシやらダルマやらと統一なく様々なものが置かれていた。 さながら子供の秘密基地といったところだろうか。そう感心する私の傍らでは、ぜえぜえとれいむが虫の息になっていた。 「お、おにいさん・・・れいむ、ゆっくりがんばったよ・・・」 荒い息をつくれいむに、私はありがとうと礼を告げた。するとれいむはにこりと笑った。 「・・・・・・・・・・・・・・・・・」 顎をはって自慢げな顔をしたまま硬直する。まだ何かあるのだろうか? 「・・・れいむゆっくりがんばったよ!! ね!! ね!?」 ああ、そうか。チップが欲しいのか。 とはいえゆっくりの欲しがる物等わからない。取り合えず髪の毛に鼻クソを付けてみた。 「ゆぎゃあああああ!!!?? なにずるのおおおおおお!!!!!」 お気に召さなかったらしい。涙目になりながらズリズリと頭を岩肌に擦り付けている。 そんなれいむを見ているとある物を見つめていることに気付く。 俺はミカンを1つ籠から取り出し、おもむろに皮を剥く。 そうしてその手をれいむの方へ伸ばす、れいむはだらしなく涎を垂らしている。 「ゆあーーーーーぶびぃ!!!??」 絞ったミカンの皮からは勢いよく汁が飛び出し、それは無防備なれいむの顔面に降り注いだ。 「いぎゃああああ!!! れいむのおめめがああああああ!!! ゆっぐりできないいいいい・・・・」 そのままれいむは元来た道を戻っていった。今度はお気に召したようでなによりだ。 そうしてやることも無いので上着の水を切って暇を持て余すこと数分、またもゆっくり達がぽよぽよとやって来た。 ただ今度は皆が皆総じてその頬を大きく膨らませている。その姿はまるでリスか何かのようである。 何事かと見ていると、そのうちの1匹が大きな葉っぱをゆんしょゆんしょと地面に広げていく。芭蕉か何かだろうか。 「おにいさん、これからごはんをよういするよ!! ゆっくりたべていってね!!」 そう言うや否やぺっぺと口から何かを吐き出していく。 まさか食事まで出てくるとは思っていなかった。丁度小腹もすいていたので幸いである。 だが眼前に用意されたメニューはドングリや芋虫など、残念ながら人間の口にするような代物ではなかった。 中には食べられそうなキノコも見受けられたが、生、それも唾液まみれでベタベタと糸を引くそれを食べる気にはなれなかった。 仕方がないので出された食事を断り、またもミカンを食べて腹を膨らませることにした。 「ゆぅ・・・それじゃあこのごはんは れいむたちがたべるね!! ゆっくりいただきます!!」 「「「いただきます!!」」」 もう運ぶの面倒なのかこの場で食事を始めるゆっくり達。だがその様子はどこかおかしい。 「むーしゃ、むーしゃ・・・ゆううぅぅぅぅ!! こんなのおいしくないよ!!」 「おかーさん、れいむもあまあまな みかんさんたべたいよ!!」 黙々と食事をしていた一家だが、ついには子ゆっくり達が次々と不満をもらしはじめる。 部屋中に満ちるミカンの甘くも爽やかな香り、それはゆっくりを誘惑するには充分な威力を発揮していた。 刺さるような視線に耐えかね、俺はミカンを分け与えようかと声を掛けた、しかし。 「おにいさん、ありがびゃあぁ!!?」 子ゆっくりに与えられたのはミカンではなく強烈な体当たりであった。 「「「いぎなりなにずるのおおおおお!!!??」」」 「うるさいよ!! おきゃくさまのものを ほしがるなんてゆっくりしてないよ!! いじきたないちびちゃんは はんせいしてね!!」 「「「ゆびゃああああああああぁぁぁぁぁぁ!!!」」」 ぼむぼむと体当たりを繰り返す女将れいむ。子ゆっくりの涙も謝罪の声も関係なしだ。 何もここまでしなくても良いと思うのだが、彼女には彼女なりのプロ意識が在るのかもしれない。 声を掛けるのもはばかれたので、俺は静かにミカンを頬張ることにした。 「ゆううううう・・・・・」 腹が膨れる頃、ぐったりした子ゆっくり達を尻目に女将れいむは何やら考えこんでいた。 「おしょくじも おきにめさなかったし、これじゃあれいむ おかみしっかくだよ!!」 どうやら俺のことを気にしているらしい。 別にこちらとしては構わないのだが、どうもこのれいむのプライドがそれを許さないらしい。 「そうだよ!! おにいさんにはとくべつ いあんさーびすをしちゃうよ!! ゆっくりまっていてね!!」 何か思いついたのか女将れいむはそう告げると、倒れている子ゆっくり達を蹴っ飛ばし連れ立って奥へ引っ込んでいった。 残された俺はやることもなく、手持ち無沙汰とばかりにミカンの皮を剥くのであった。 やがて指先が黄色くなる頃、またまたゆっくり達はやって来た。 「ごめんね、おにいさん。おめかししてたら おそくなっちゃったよ!!」 「「「かわいくってごめんねー!!!」」」 ゆっくり達はそれぞれ頭に花や落ち葉をつけていた。お洒落のつもりだろうか。 「これかられいむの せくしーなしょうが はじまるよ!! ゆっくりみていってね!!」 「「「ゆゆゆ~ん、ゆんゆゆ~~♪」」」 そうして子ゆっくり達は歌いはじめる。お世辞にも上手いと思えない歌は洞窟内でわんわんと響く。 四方八方から襲い掛かってくる雑音。そんな中、女将れいむは岩の上に飛び乗った。 「ゆっふ~ん、ちょっとだけよ~♪」 そうして甘い声を出しながら体をくねらせ始める。一体なんの真似だろう。 「こういうところはじめて? しこっても、い・い・の・よ☆」 顔をポッと染めながら、下腹部を突き出してくる。どうやらストリップのつもりらしい。 生憎と俺は饅頭に欲情する性癖は持ち会わせていない。とは言え、折角ここまでしてくれているのだ。 無下に断るのも何か気が引け、結局は見続ける羽目となってしまった。 「そんなにみつめられるとれいむ、はずかしいところからくろみつでちゃう~♪」 一見ノリノリな様に見えるが、よくよく考えると家族の前でこんなことを行うのは並大抵のことではない。 もしかしたらあの仮面の下では餡子が羞恥で煮え返っているのかもしれない。 ここまでされたらと、チップ代わりのミカンを手に取る。だがそこであることに気付いた。 これが人間ならパンツにでも挟むところだが、ゆっくりはそんなもの着けていない。 かといってステージに投げ込んで邪魔をするのも申し訳ない。 そう考えていると、れいむのアゴのあたりから何やら液体が垂れているのが目に留まった。 どうも穴が開いていて何かが漏れているらしい。ポケットのようなものだろうか? 何はともあれ御あつらえ向きである。俺は右手一杯にミカンを掴み、それを勢い良く手首まで突っ込んだ。 「ゆっっっばあああああああああああ!!!!!???」 「「「おかああああざああああああああん!!!??」」」 女将れいむは大きな声をあげ仰向けに倒れた。その体はビクビクと震えている。 引き抜いた右手は黒くベタベタと汚れていた。しかし、涙を流し泡まで吹いて喜ぶれいむを見るとやった甲斐のあるというものだ。 そうこうしていると、騒がしい洞窟内とは対照的に外が静かなことに気付いた。 出口から顔を出すと雨はすっかり上がっていた。俺は父まりさに声を掛けた。 「ゆ? もうかえるの? それじゃゆっくり おだいをだしてね!!」 貴重な体験ができたしそれなりに面白かったので、俺は籠ごと残りのミカンを与えることにした。 「まいどありがとう!! ゆっくりまたきてね!!」 そうして俺はゆっくりの宿を後にした。 「おかあさん、しっかりしてね?」 「げんきだしてね!! ゆっくりしてね!!」 「ゆぐううぅぅぅ・・・」 子ゆっくり達の輪の中心で女将ゆっくりはぐったりと伸びていた。その下腹部はボコボコと不自然に膨らんでいる。 「れいむ、おにいさんにミカンいっぱいもらったよ!! これをたべてゆっくりしようね!!」 そう言って父まりさは勢い良く籠の中身をぶちまけた。鮮やかな橙色が宙を舞う。 「ゆゆー!! ゆっくりいただきます!!」 「「「ゆっくりいただきま・・・す?」」」 地面に散らばった大量のミカン。しかしそれは全て皮だけであった。 「「「どおいうごどおおおおおお!!!??」」」 洞窟の中では、いつまでもゆっくり達の悲鳴が響き続けたのであった。 澄み渡った空は雲一つ無く、先程までの天気がまるで嘘のようであった。 黄色くなった男の頭上には、同じように星々が黄色い光を暖かく放っていた。 終わり 作者・ムクドリ( ゚ω゚ )の人 このSSに感想を付ける
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※厨なオリキャラ注意 ※もはやゆっくりじゃネエヨ的なゆっくり注意 ※ドス注意どころの騒ぎではない ※舞台が現代なのに蓮子・メリー以外の原作キャラ注意 ※れいぱー注意 ※何かもうやりたい放題注意 「しゃちょ~・・・なんで、私が貴女と一緒に山登りをせにゃならんのですか?」 「ん~、そうねぇ・・・そこに山があるからかしら?」 「意味が分からん!」 私はゆっくりカンパニーの系列店『ゆっくりショップ』でアルバイトをしている程度の普通の女子大生だ。 現在、何故かゆっくりカンパニーの(見た目は)若き(年齢不詳の)女社長と一緒に山を征服中。 一体何故、と訊かれても社長が何も語らない以上、私にも分からない。そもそも、社長と私には殆ど接点がない。 服装こそいかにもこれから登山!と言った感じのものになっているが、寝ている間に社長に着せられたものだったりする。 ついでに言うと、寝ている間の連れてこられたので、ここが何県にある何という山なのかも全く分からなかった。 それ故に釈然としない気持ちを彼女から渡された登山用のリュックと一緒に抱えながら、えっちらおっちら歩を進めていた。 「ふふ・・・素直で宜しい」 文句を言いながらもついてくる私を見て、社長は微笑む。 当の彼女の服装は八卦の描かれたどこかチャイナテイスト・・・のような気のする紫色のドレスで、とても登山向きではなかった。 なのだが・・・社長は年齢(不詳だけど)を感じさせない軽やかな足取りで、うふうふ笑いながら事も無げに先へ先へと進んでいる。 そんな彼女のウェーブのかかった艶っぽい金髪の揺れる背中を見つめながら、私は完璧超人っているものなんだなぁととしみじみ思った。 美人で、若くしてひとやま当て、あの体力で、きっと頭も良いのだろう。もっとも、真性の変人ぶりが全てを台無しにしているが。 「さあ、目的地まであと1200mよ、もちろん高さで。三次元を感じましょ」 「『しょ』じゃない。寝起き早々それは拷問・・・そもそも、ここ何処?」 「ひ・み・つ♪」 社長の口から飛び出したかなりあんまりな数字にため息を吐きつつ突っ込みを入れるが、当然全く相手にしてもらえない。 目元に胡散臭い笑顔を浮かべ、いつの間にやら取り出した扇子で口元を隠した、全く思考の読めない表情で私の様子を伺っている。 ここは何処なのか、何故登山をさせられているのか・・・などなど、私の問いはことごとくはぐらかされていた。 この質問をすること自体、もう何度目になるかも分からないような有様で、既に諦めてはいるけれど。 まともに回答を得られた質問と言えば「うちのゆっくりどもは?」というものくらいだが、今の私の置かれている立場を把握する上では何の意味もない。 「はぁ、酒でも飲みながらゆっくりするつもりだったのに・・・」 「肉体労働の後の一杯は最高よ?」 「理由の分からない強制労働でなければ、ね・・・はぁ」 暖簾に腕押し、柳に風、ぬかに釘・・・こういう諺は枚挙に暇がない理由が何となく理解できた。 きっと、昔の人もこういう偉い人の酔狂に振り回され、会話のドッヂボールに惨敗し、頭を抱えまくったんだろうな・・・。 相手がゆっくりというわけでもないのに会話が成立しないというのはなかなか煩わしく、私は心の中で毒づいた。 このゆっくり人間がッ!・・・と。いや、ゆっくり人間にどうこう言うつもりはないが。 「と、まあ、出発と終着の境界を飛び越えて、目的地に到着」 「何が飛び越えて、だか・・・あ゛ー疲れた~・・・」 4時間後。私と社長は苦労の甲斐あって無事目的の場所とやらに到着した・・・らしい。 何故「らしい」と付くのか?答えはいたって簡単で、ここが山頂ではなく、そこを目的として登山する理由が見出せないから。 山頂はまだ大分先で、右を見ても左を見ても木々が鬱蒼と生い茂るばかり。どう見ても道に迷ったとしか思えない。 道中を省略されてしまったので分からないかもしれないが、何度か質問はした。そして案の定、はぐらかされた。 「ふむ・・・なるほど・・・あらあら・・・」 で、今に至っては一人で辺りを見渡しながら、うんうんと頷きつつ、何か訳の分からないことを呟いている。 万が一にも実は「ふむ・・・なるほど、道に迷ったのね?あらあら、大変」なんて言っていたら、たとえ社長でも張り倒してやる。 そんな事を決心しながら、限界に近い足をゆっくりさせてやる為に近くにいたゆっくりに腰かけ、悠長な様子の彼女を睨め付けていた。 「ゆぐっ・・・」 ようやく一息つけたということもあって思わずため息が漏れる。さっきから漏れっぱなしのような気もするがこの際、気にしない。 「ゆっくりぃー・・・」 散々山道を歩き続けた私の足はもはや抱腹絶倒の大爆笑で、喉は乾季の砂漠の如くカラカラだった。 「ゆっくりしてよー!」 それに、無理矢理連れてこられたものだから朝ごはんも食べておらず、その事を思い出した途端にお腹の虫が鳴きだした。 「ゆっくりできないよぉー・・・」 腹の虫がまるで我が家で飼っているゆっくりどものようにゆーゆーと喚いてうるさいったらありゃしない。 「・・・・・・んあ?」 「ゆえーん!ゆっくりできないよおおおおおお!?」 「あら?」 私のお尻の下で泣いているのは一匹のゆっくりれいむ・・・・・・どうやら私は本当に疲れていたようだ。 そこにゆっくりがいると理解した上でゆっくりに腰掛けたのに、ゆっくりがいることを完全に失念していた。 かなり大きな個体で体高は70cmくらいはあるが、中身が餡子のクセに異様に軽いゆっくりの場合、体重は20kgあるかどうか。 なおかつ彼女達は非力だ。その上に2倍以上の体重があるであろう私が乗るとなると相当な苦しみを伴う。 「ゆえーん!ゆえーん!いだいよおおおおおお!?」 「・・・はぁ、参ったなぁ」 「あらあら、大変」 いや、大変というよりも面倒臭いんだよ・・・そう突っ込んでやろうと社長のほうを振り向くが、彼女は私に背中を向けて、あらぬ方向を見ていた。 そして、その視線の先には・・・何故か、社長を下膨れ饅頭風に、つまりゆっくり風にデフォルメした巨大ゆっくりがいた。 あれは確か『ゆっくりゆかり』、またの名を『ゆっかりん』と呼ばれるゆっくりだ。それにしても本当に馬鹿でかい。 念のために言っておくけど、1mやそこらの大きさじゃない。目測だが、5mを優に超える規格外の巨体である。 『ゆっかりんたちのゆっくりしたおうちからゆっくりいね!』 力強い怒声と共に社長をデフォルメしたような風貌の饅頭巨体が社長本人めがけて思いっきり突進してきた。 いくらゆっくりと言えどこのサイズになれば重さも相当なもの、1tを超える可能性だって否定できない。 流石にこれは不味いんじゃなかろうか?しかし、私が助けに入ってどうにかなるような状況でもないし、第一間に合わない。 しかし、多分原因が私にある以上、放っておくわけにも行かず、やれやれとまたため息をつきながら立ち上がったとき、社長は左手の掌を突き出して私を制止した。 そして右手の扇子を閉じると、巨大ゆっかりんに向かって掲げ・・・巨体の持つすべてのエネルギーを容易く受け止めてしまった。 厳密に言えば、扇子の先から発せられているくるくると回る不思議な光の壁によって膨大なエネルギーが無力化された。 『ゆっ・・・ゆゆっ!?』 「んなっ・・・?!」 「・・・貴女は囮。本命はあっちの子ね」 その美貌に相応しい、思わず聞き惚れてしまいそうな妖艶な声で囁く彼女の左手にはいつの間にかクナイが握られている。 そして私の、いや正確には私の後ろにいる何かを一瞥すると巨大ゆっかりんを制したその姿勢のまま、腕力だけでクナイを投擲した。 本来は工具だったと言われているそれが時速100km近い信じがたい速度で私の横をすり抜けて行く。 ありえない速さではないが、壁を這うゴキブリを赤ゆっくりで潰せる程度には野球やソフトボールの経験のある私の目にはそれはありえないものだった。 常識的に考えて、腕力任せの下手くそな投擲で、あんな速度を出せるはずがない。 『ゆぎゃ!?』 クナイが通り過ぎた直後、背後から短い、しかしはっきりと聞き取れる大きな悲鳴が聞こえた。 とっさに振り返った私の視線の先にいたものはもう一匹の巨大ゆっくり。こちらはまりさ種で、恐らくドスまりさと呼ばれるゆっくりだろう。 見るのは初めてだが、有名な巨大種だから、間違いない。最強のゆっくりと名高いそれが、たった一本のクナイで無力化されている。 舌を突き出して、ごろんごろんとのたうち回っては周囲の木々をなぎ倒し、自分の皮を傷つけていた。 『ゆゆっ!どうしたのまりさ!?』 『ゆぎぃぃぃいい!したがっ!したがああああ!?』 「ドスパークのエネルギーを充填しきる前に暴発させてもらっただけよ、死にはしないわ」 飄々と、今の社長にはそんな言葉が良く似合う。2匹の巨大ゆっくりを前にして、彼女の余裕に満ちた心も、衣服も全くと言っていいほど乱れていない。 ドスまりさは口内の火傷のせいで戦闘を続行できるような状態ではないし、巨大ゆっかりんも既に戦意を喪失していた。 全く状況を飲み込むことが出来ないが、一つだけ確かなことは私は今まで人外の何かから給料を貰っていたということだろう。 さて、どうしたものか・・・と頭をかいていると、今度は木々の陰から無数の通常サイズのゆっくりが躍り出てきて、社長めがけて石をぶつけ始めた。 「「「ゆっくりーー!!」」」 「どすをいじめないでね!」 「「ゆっくりできないよ!」」 「「「「「ゆっくりできないおねーさんはゆっくりどこかにいってね!」」」」」 小さな体をめいっぱい使って、あらん限りの力を振り絞って、口にくわえた石を投げつける通常サイズのゆっくり達。 相手は巨大種が2匹同時に挑んでも敵わない、まさに次元の違う強大な存在、ソレと対峙することが怖くないはずがない。 しかし、ゆっくり達は社長に睨まれ、怯みながらも逃げ出さずに果敢に投石を繰り返す。 もっとも、腰が引けているせいで殆ど届きさえしないし、届いたところであっさりと叩き落されているのだが。 「へぇ・・・こっちでよくもまぁ、これだけのゆっくりを集められたものね」 飛んでくる石の中から、当たるであろう石を瞬時に、かつ正確に見極めて、空いている左手でそれらを叩き落とす社長。 彼女の目は一見微笑んでいるように見えるが、「痛くも痒くもないけど向かってくるのなら仕方ない」という消極的な殺意が宿っている。 その殺意の外にいる私でも背筋が凍りついて、蛇に睨まれた蛙のように身動き一つ取れない。おお、怖い怖い。 『ゆゆっ!み、みんな止めるのよ!お姉さん、この子たちはゆっかりんを守ろうとしているだけよ!』 「言われなくても分かるわ、それくらい」 『だから見逃してあげてね!ゆっくり出来ないのはゆっかりんだけでいいのよ!』 「あら、何かしようってつもりはなかったのに、貴女から進んで研究対象になってくれるなんて、嬉しいわ」 「「「「「「ゆっかりんをゆっくりさせないおねーさんをゆっくりやっつけるよ!」」」」」」 最後の社長の言葉を聞いたゆっくり達は、投石による攻撃を諦めて体当たりを仕掛けようと接近する。 どう考えても投石のほうが効果的な気もするが、これだけの数がいるのなら案外押しつぶすことも出来るかもしれない。 もっとも、相手が巨大種の突進を容易く受け止めるような化け物でなければの話だが。 「・・・ゆっくりにしては勇敢ね」 リーダー思いのゆっくりを見つめる今の彼女からはいつの間にか殺気が消え、どこか慈悲深い笑みをたたえている。 先ほどの殺意など微塵も感じさせない、太母という言葉が似つかわしい、そんな柔和な表情。 貴女達の勇気に免じて・・・社長はそう呟きながら、ゆるやかな、そしてしなやかな動作で左手を右から左へ振った。 「「「「「「ゆゆゆっ!?」」」」」」 すると、一瞬にしてその場にいた全てのゆっくり達が足元に出現した不気味な穴へと吸い込まれていった。 突然の巨大饅獣VS超人の対決からおよそ3時間後。 現在、私と社長は巨大種2匹を含むゆっくり達から手厚い歓迎を受けていた。 『おねーさんもおねーさんも、ゆっかりんのおうちでゆっくりしていってね!』 『ゆっくりしていってね!』 「「「「「「「ゆっくりしていってね!」」」」」」」 「「はいはい、ゆっくりゆっくり」」 私たちの周りをにこにこ笑顔を浮かべながら跳ね回り、喧しく騒ぐゆっくりども。 先ほど、スキマ(と言うらしい)に落とされたゆっくり達は全員傷一つない状態で、ゆっかりんの傍に落とされたので一匹たりとも欠けていない。 ソレによって、察しの良いゆっかりんが私たちに害意がないことに気付き、お詫びの意味も兼ねて歓迎したいと言い出し、あれよこれよという間に今に至る。 「ところで社長・・・」 「何かしら?」 「結局、何で私が同行させられたんで?」 「それはね・・・貴女がゆっくり人間だって聞いたからよ。私だけじゃリーダーがみょん種だったら会話が成立しないもの」 いや、私は生物学的見地から至極平凡な人間である事が証明されているんだが。鏡見ても普通に人間にしか見えないし・・・と言ってたところで話を聞きそうにないか。 やれやれ、と心の中で呟きながら、目の前にうず高く詰まれた宴会用の食料の山に目をやる。 雑草や虫など人間があまり食べないものがメインだが、中には私でも食べられそうな果実やキノコなんかも積まれていた。 それらを川で洗い、時には近くにあった木の枝を洗ってから、ソレに突き刺して、社長の熾した火で炙って食べる。 「むしゃむしゃ・・・んまい♪」 「そうねぇ、たまにはこういうのも悪くないわねぇ」 「これでお酒があったら言うことないんだけど・・・」 「・・・飲む?」 なんだかよく分からないがとりあえず食べられるキノコを咥えたまま、中空にスキマを作り出した社長は、そこから大きな瓢箪を取り出した。 スキマの中から「こらー!私の瓢箪返せー!」という声が聞こえたような気がしたが、スキマが閉じられ、確認する術がないので気にしないでおこう。 そして、いつの間にやら用意していた2人分のコップにお酒を注ぎ、そのうちの一つを私に手渡した。 「ありがたくいただきます、社長!」 「ふふ、現金ね」 コップを受け取り、乾杯を済ませた私たちは最初の一杯目を一気に飲み干す。 それからは、各々勝手に瓢箪のお酒を注いでゆく。私も社長もかなりのハイペースなのに瓢箪のお酒は一向になくなる様子を見せない。 どうなっているんだろうと思ったものの、昼間に彼女が人ならざるものであることを散々見せ付けられていることもあってか、追求する気にはならなかった。 美味しいお酒が沢山飲めるのならそれでいいじゃないか。 『ねえ、お姉さん達!』 「ふぅ・・・なにかしら?」 これで7杯目になるお酒を飲み干した社長は、ドスまりさの呼びかけに応じて彼女の方を向いた。 一方、私は「達!」と言われた所で巻き添えを食っただけの身の上なので、全てを社長に任せて、適当に群れのゆっくりと戯れる。 先ほど下敷きにしてしまったれいむが、お酒に興味を示していたので少しだけ飲ませてやると、不味いと叫びながら泣き出してしまった。 社長はそんな私を横目で一瞥して「早くあやしなさい」と無言の圧力をかけて来る。 『お姉さん達はここに何しに来たの?』 「私たちはここのゆっくりの調査に来たのよ」 『ゆっかりんたちの調査?』 「ええ、最近この山でおかしな事が起きていると聞いたものだから」 私に抱え上げられてあっという間に機嫌を直し、「おそらをとんでるみた~い」と大喜びするれいむの目を見ながら、2匹と1人の話を聞いていた私はようやく合点が行った。 確か、ゆっくりカンパニーの環境方針には野生のゆっくりや野良ゆっくりによる生活環境や自然環境への影響の調査や予防が含まれている。 今までの調査でこの山にゆっくりが生息していることを把握していた彼女は、この山の異変がゆっくりによるものではないかと調査に乗り出したんだろう。 ・・・理由が分かったといっても、何の意味もなく巻き込まれたことはやっぱり腹が立つが。 『おかしな事ってどんな事?』 「一晩で木々が30本ほどなぎ倒されていたり、大木に絞め殺しイチジクにでもやられたみたいな跡があったり・・・」 『ゆゆっ!まりさ達そんな事しないよ!』 社長の言葉に反応して、自分たちの無実を訴えるゆっかりんとドスまりさ。 もっとも、社長も彼女達がそんなことをするとは思っていないようで、分かってるわとだけ言って頷く。 私もその意見に全面的に同意で、とてもじゃないかこいつらが無差別破壊をやらかすとは思えない。不可抗力で・・・という可能性はあるが。 そもそも、そんな目立つ行動を取ってしまってはドスまりさ達の存在が公のものになってしまうのではないだろうか? そして、そんなデカブツを素直に放置してくれるほど世間様は甘くないだろう。 「そう・・・仕方ないわね、続きは明日にして、今日はここで寝ましょう」 『お姉さん達はゆっくり出来るからまりさ達と一緒にゆっくり寝てもいいよ!』 ちょっと待って欲しい、平凡な人間である私はあんな巨大饅頭に寝返りを打たれたら死ぬ。 しかし、既に寝る気満々の社長にそんな私の命に関わる重要なツッコミ入れる隙は一瞬たりとも存在しなかった。 ゆっくり風に言うならば、ごわぐでぜんぜんゆっぐりでぎないよおお!と言ったところだろうか。 いつ寝返りを打つか分からない巨大種2匹に戦々恐々で、全く眠りにつくことのできなかった私は、集落から200mほど離れた小川で夜風に当たっていた。 適当な岩に腰掛け、夜空に瞬く無数の星を眺めながら、川のせせらぎと風に揺れる木々のざわめきに耳を傾ける。 「・・・・・・・・・静かだなぁ」 自宅にいる時はこの時間ならまだれいむ辺りを抱きかかえたまま、テレビを見ながらすいかの角の酒を飲んでいる頃だろうか。 何にせよ、パジャマに着替えたは良いがまだまだ宵の口といった程度で、バカ騒ぎの真っ最中だろう。 あいつら、今頃どうしてるかな?・・・案外平然としてたら癪だな。 社長が面倒は部下に見せていると言っていたけど、迷惑をかけていないだろうか? などなど、気がつけば鬱陶しい金食い虫の居候のことを考えている自分に気付き、思わず苦笑が漏れる。 『ゆゆっ!どうしたの、お姉さん?』 とまあ、一人最近のラノベにありがちな語り部も兼ねる無気力系主人公の成長フラグみたいなことを考えていると、巨大ゆっかりんが小川にやって来た。 ぽよんぽよんと体高だけでも私の3倍を超えようかという巨体を揺らしながら私の隣に跳ねてくる。 うっかり踏まれたりぶつかられたりすると即命に関わるのかと思うと少々笑えないが、流石にそんな失敗はしないだろう。 予想通り、私の傍まで来たところで跳ねるのを止め、底部を細かく動かして私の隣に腰を下ろすゆっかりん。 立っているのか座っているのかの区別のつかない連中ではあるが、多分座っているつもりなのだろう。 「んあ・・・ゆっくりしてただけだよ」 『ゆゆっ!じゃあ、ゆっかりんも一緒にゆっくりするわ!』 ちょっと予想外の展開。ゆっかりんは力を抜いてゆっくりとした表情を浮かべ、ゆっくりした雰囲気を放ち始めた。 まさにこれこそゆっくりといった感じだ。ゆっくりのゆっくりたるゆえんをゆっくりとゆっくりしてゆっくり体現している。 でかくてもやっぱりゆっくりはゆっくりなんだな、と妙に感心してしまった。 『お姉さん』 「んあ?」 『お姉さんはとってもゆっくり出来る人だわ!だから・・・す~りす~りしてもいいかしら?』 「止めて、プレッシャーだけで死ねる」 『ゆぅぅぅ・・・・・・』 涙目になるな鬱陶しい、とは巨大饅獣相手には流石に怖くて言えなかった。 何を饅頭ごときにと思うかもしれないが、そういうことは袈裟懸け(ヒグマ)の2倍に達する巨体を目の当たりにしてから言って欲しい。 でかいというのはとにかく理不尽かつでたらめなものなのである。おお、饅頭怖い饅頭怖い。 『そうだわ!だったらお姉さんがゆっかりんにすりすりしてね!』 「・・・何その斬新な発想?」 『ゆっかりん暖かいわよ?ゆっかりんの綺麗な髪に包まってもいいのよ!』 なまじ(何故か)社長をデフォルメしたようなデザインも手伝ってか、なんか殴りたくなってくる。 ・・・のだが、物凄く期待に満ちた眼差しでこっちを見ていることに気付いてしまい、なんだか断れなくなってしまった。 チクショウ、こいつ綺麗な目ぇしてやがるじゃないか・・・。 「・・・わかったよ、すりすりすりゃいいんだな?」 『ゆっかりすりすりしてね!』 「はいはい・・・」 しぶしぶゆっかりんの髪を引っ掴んで包まり、ゆっかりんの頬にぴたっとへばりつき、頬擦りをする。 ゆっくりゆかり特有の(と思われる)物凄い弾力と、意外にも綺麗で張りがあって艶やかな頬は想像を絶する触り心地の良さだった。 それに・・・ゆっかりんの頬、暖かいナリ。悔しい、悔しいが認める。こいつ気持ち良い。 すりすり・・・すりすり・・・ ぷにぷに・・・ぷにぷに・・・ 『ゆゆ~ん、やっぱりお姉さんはゆっくりしてるわ!ゆっかりんのお母さんみたい!』 「いろんな意味でお前みたいな子どもはいらない」 『でもね・・・ゆっかりんのお母さん、ずっと昔に死んじゃったんだよ・・・凄く強くて大きなドスまりさだったけど・・・』 「・・・・・・」 ああ、もうチクショウ、潤んだ目でこっちを見るな。分かったから、気が済むまですりすりしてやるから! 観念した私はがしっとゆっかりんの頬を掴んで頬擦りをしてやると、ゆっかりんはだらしない笑みを浮かべて一層ゆっくりし始める。 すりすり・・・すりすり・・・ ぷにぷに・・・ぷにぷに・・・ 昔、友人に性格と口は悪いけど面倒見が良いからなんて理由で部活の副部長に推薦されたのを思い出した。 彼女達がそんな具合に仲良くゆっくりしていた頃、山では異変が起きていた。 「ゆぐっ!?やべでね!でいぶのおぢびぢゃんゆっぐぢさせであげでね!?」 「「「「おきゃあああぢゃああああああん!!」」」」 群れには属さないゆっくり一家の巣のすぐ外で、惨劇が繰り広げられていた。 そのゆっくりれいむのつがいはゆっくりまりさで、彼女達の間には7匹の子どもがいた。 4匹がゆっくりれいむで、3匹がゆっくりまりさ。皆とってもゆっくりした可愛い子ども達だった。 しかし、いまやつがいのまりさも3匹の子まりさも黒ずんで朽ち果てていた。 彼女達の亡骸の頭には無数の蔦が生えている。が、あまりに量が多く、実を結ぶことはない。 『んっほっほ・・・おちびちゃんたち!ありすのとかいはなあいをそそいであげるわ!』 「やめぢぇえええええええええええええ!?」 「うにぇうにぇしゃんきょあいいいいいいい?!」 「おきゃああああああしゃあああん!」 彼女達に絡みついて身動きを封じるのは太くて長い触手。そして、それらの持ち主はゆっくりありすの変異種だった。 しかも、馬鹿でかい。体高は2mを上回り、触手も太い部分は成人男性の腕くらいの太さでなおかつ4mほどの長さ。 そんなものが10本ほど、巨大なゆっくりありすに備わっていた。 大方、性欲によって定向進化でもしたのだろうが、これはもはやゆっくりではないと言わざるを得ない。 「やべでね!でいぶのおぢびぢゃんにひどいごどぢないでね!?」 『ひどいことなんてしてないわ!とかいはなあいをあげているのよ!』 「ゆびぇ!・・・ぢゅ、ぢゅっぎぢー・・・・・・」 本来ならばすっきりの恐ろしさなど子ゆっくりには漠然としか分からない。 しかし、まりさ達が犯し殺されるのを目の当たりにしている子ゆっくり達はそれがゆっくり出来ないことであると理解している。 だからこそ、必死になって巨大ありすの触手から抜け出そうと抵抗するが、あまりにも力が違い過ぎる。 何度目になるかも分からないすっきりさせられて黒ずんだ子れいむが投げ捨てられ、さっきまで彼女の上を這いずっていた7本の触手が別の子れいむへと大挙する。 『ゆふふふふふふっ・・・つぎはあなたをとかいはにこーでねーとしてあげるわ!』 「やめちぇええええええええええええ!」 『そんなこといって・・・れいむちゃんってばツンデレさんね!』 そして再び繰り広げられる凄惨な陵辱。 子れいむはあまりにも大きすぎる触手を口内に乱暴にねじ込まれ、今にも窒息しそう。 しかし、実は呼吸をしなくても生きてい行けるともっぱらの噂の彼女達は窒息によって楽になることはありえない。 口内を乱暴にかき回され、思わず餡子を吐き出しそうになるが、汚らわしい触手がそれを許さず、吐き気がずっと留まっている。 「うびぃ・・・うっ・・・」 『さあ、たのしくすっきりするのよ!』 そればかりか、子ゆっくり1匹相手には過剰とも思えるような数の触手が子れいむの頬をさすり、全身に振動を与えてゆく。 うねうねと蠢く触手に弄ばれる子れいむはやがてありすと同時に最初のすっきりを迎え、幼くしてば~じんを失った。 その後も終わることなく嬲られ続け、ものの数分で百回近くすっきりさせられ、アレコレ注がれた子れいむは蔦を生やしたまま黒ずみ、朽ち果てた。 「やべでね!でいぶのおぢびぢゃんごれいじょういぢめないでね!」 『ゆふふ・・・じぶんからすすんでまっさーじだなんてとかいてきなれいむね!』 「おきゃあしゃん・・・がんばっちぇね!」 「おきゃーしゃんがおみゃえをやちゅけてくれりゅよ!」 もはや母にすがるしかない子れいむ2匹は、現実から目を背けて必死に母を応援する。が、当然全く歯が立たない。 れいむが何度体当たりしてもありすは揺るぎもせずに次の子ゆっくりを犯しに取り掛かっている。 が、しかし、犯すばかりの単調作業に飽きたのか、何の前触れもなく、子ゆっくりを握りつぶしてしまった。 「おぢぶぢゃあああああああああああああん!?」 『ゆふふふふ・・・これであなたのいなかもののおちびちゃんはあとひとりよ!』 「ゆぐっ・・・ぐすっ・・・お、おかーしゃぁん・・・」 「おでがいぢまずうう゛う゛ううう゛!なんでぼぢまずがらぼうでいぶのあがぢゃんにひどいごどぢないでええええええ!?」 最後の1匹になってしまった我が子を前に、必死になって許しを請う母れいむ。 それを見た触手ありすは、しばし何かを考え・・・ 『だったらあなたがありすをすっきりさせてね!』 そんなことを口にしながら、母れいむの口内に触手を1本ねじ込む。 妙に臭い触手を咥え、必死に舐めるれいむ。しかし、触手ありすはそれを冷めた目で見つめていた。 なんだ、期待はずれか。 心の中でそう毒づいて、最後の一匹を握りつぶした。 「ゆぐっ!で、でいぶのおぢび、ぢゃん・・・」 『かわいそうね!あなたのてくがいなかものだからしんじゃったわ!』 「ゆっ・・・ご、ごべんね・・・だづげで、あげ・・・ゆっぐ・・・」 物言わぬ饅頭と化した最後の子れいむを前に泣きじゃくる母れいむ。 その悲劇と絶望を田舎モノの三文芝居とせせら笑い、触手ありすは母れいむを叩き潰した。 『あれだけやっておいて最後はアレですか。おお、怖い怖い』 直後、またしてもゆっくりならざるゆっくりが何処からともなく姿を現した。 トナカイのような大きな角に、獅子を髣髴とさせる逞しい肉体、大蛇を髣髴とさせる大蛇に巨大な漆黒の翼、そして紛れもなくゆっくりの下膨れ顔。 目の前に広がる惨状にも眉一つ動かさず、きめぇ丸譲りのニヒルな笑みの張り付いた顔をブンブンとシェイクしている。 『あら、きめら丸じゃない!どうしたのかしら?すっきりしたいの?』 『どうしたのかしら、じゃないでしょう。貴女のお遊びにこれ以上付き合っている暇はありませんよ?』 『ゆゆっ!ゆっくりおもいだしたわ!とかいはなどすとすっきりしにいくのよね!』 『口を開けばすっきりですか。おお、卑猥卑猥・・・などとやっている場合ではありませんね。ティガを待たせていますから急ぎましょう』 2匹は住人のいなくなった巣を後にし、もう1匹の仲間ティガれみりゃと合流し、巨大ゆっかりん達のゆっくり集落へと向かっていった。 『ゆゆっ!何か来るわ!』 『どうも、清く正しくきめら丸です』 『お姉さんはまりさとあのお姉さんを呼んで来てね!』 「・・・んあ?」 突如姿を現したきめら丸と名乗るゆっくりを前に臨戦態勢に入るゆっかりん。 1匹だけこの場に放っておくのも心配ではあったが、目の前にいるきめら丸も人間をはるかに凌ぐ巨饅獣。 地面から頭までの高さだけでも2m近く、体長に至ってはゆっかりんを上回るほど。 こんな奴相手に私が出来ることなんて、饅頭相手にこういうのも癪ではあるが、やはり何一つないだろう。 「・・・わかった」 私は言われるがままにきびすを返し、ゆっくりの集落へと急ぐ。 後ろから、とてもゆっくり同士の喧嘩で出すような音ではない轟音が響いてくるが、振り返ってもしかない。 私はただひたすらゆっくりの集落を目指して疾走した。 異常事態にもつれる足を奮い立たせて何とか集落に到着した。が・・・・・・ 『んほっ!いっぱいいるわ!』 「「「「ごわいよおおおおおお!」」」」 「「「ごっぢごないでね!ぷくううううう!」」」 集落も何処かのおとぎ話から飛び出してきたような化け物に襲撃されていた。 1匹はレイパーありすの変異種だろうか、気色の悪い、おそらくぺにぺにが進化したであろう触手を巣の中へと伸ばしてゆく。 しかも、とにかく馬鹿でかい。他の巨大種よりははるかに小柄だが、それでも2mを超え、触手を含めると5mを軽く超えるだろう。 「やめちぇええええええ!?」 「やめてあげてね!いたがってるよ!」 『とかいはのあ~いをあげましょ~♪』 「わがらないよー!?」 「ちーんっぽ!?」 歌いながら10本の触手を自在に操ってれいむを、まりさを、ありすを、ぱちゅりーを、ちぇんを、みょんを片っ端から絡めとってゆく。 そして、口の中に触手をねじ込み、抜き差しを繰り返しながら快感を貪っている。 助けてやれるものなら助けてやりたい所だが、私が跳び出していってどうにかなるような相手とは思えない。 いかにもなレイパー面をしたそいつに見つからないように急いで木々の間を駆け抜け、ドスまりさの巣に急ぐ。 が、しかし・・・・・・ 『ぎゃお~!たべちゃうぞ~!』 「「でびりゃだああああああああ!」」 『みんな!まりさのうしろにかくれてね!』 ドスの巣の前にもこれまたおかしなゆっくりの姿があった。 一見するとただのれみりゃ変異種のれみりゃザウルスに過ぎないのだが、こいつもやっぱり馬鹿でかい。 ペタン、と座り込んでいるにもかかわらずドスまりさの帽子と同じ高さに顔がある。 立ち上がったらきっと8m以上になるだろう。 「・・・もうやだ、訳がわかんない」 何か頭の悪い夢でも見ているような気分になってきた私は頭を抱えながらドスの後ろに回り込み、彼女の巣の中へ入る。 もちろん、目的は社長。昼間にゆっかりんとドスまりさを容易く一蹴した彼女ならこの事態を確実に打開してくれるだろう。 しかし、私のそんな期待はいとも容易く打ち砕かれることになった。 「・・・こんな状況で平然と寝てるよ」 「zzz・・・zzz・・・」 この社長、何をやっても一向に起きる気配を見せない。 揺すっても、くすぐっても、叩いても・・・は後が怖いので出来なかったが、うんともすんとも言わない。 いくらなんでも寝すぎだろ。そう思いつつ万が一の奇跡にかけてキスもしたがやっぱり無駄だった。 サヨナラ、私のファーストキス・・・いや、いくらなんでもテンパり過ぎだ。 『うるさいんだどぉ~!』 「ゆぎゅ!」「れいぶのおぢびぢゃあああああああん!?」 「もっぢょ・・・ゆっくりいたかった、よ・・・」 『どすぱあああああああああああく!!』 『うぎゃあああああ!いだいんだどぉ~!』 外ではドスまりさとでかいれみりゃザウルスがゆっくりらしからぬ轟音をとどろかせながら大暴れしている。 その轟音が巣の中にまで侵入し、反響して耳を劈く大爆音になる、が・・・やっぱり社長は目を覚まさない。 王子様でも探してこなきゃならんのじゃなかろうか、真剣にそう思い始めたとき・・・ 「おね゛ーざぁん!どずが、ゆっぐぢぢないでにげでねっでい゛っでたよ!」 「・・・ん、ああ」 そう泣き叫びながら私たちの元にやってきたのは昼間私の尻に敷かれたれいむ。 と言われても、このゆっくりを差し置いてこの騒乱の中で惰眠を貪っている馬鹿社長をどうしたものか・・・。 何となく踏み潰されても大丈夫そうな気がしなくもないが、ゆっかりんの攻撃を妙な術を使って受け止めていた以上、多少の怪我はするかもしれない。 それに、あの気色悪いありすにまあなんだ、性的なニュアンスを伴うアレをナニされたりしたら流石に可哀相だ。 などと考えてしまうと放っておく訳にも行かないのだが・・・ 「らん~・・・ごふぁん、まだぁ~・・・・・・?」 その寝言を聞いた瞬間、れいむを抱きかかえ、巣の出入り口に向かって全力で駆け出した。 もう知らん。寝ている間にeraい目にあっても私にゃ関係ない! 一瞬でもあんな変人の心配をしたことを少し後悔しながら、巣から飛び出して森の中へと突っ込んでいった。 『うっう~、もうあきらめるんだど~♪』 『ゆぐぅ・・・ま、まだだよ!まだ、まりさは戦えるよ!』 私はれいむの目と口を塞いだまま、木々の陰に隠れて彼女達の様子を伺う。 巣の入り口付近では2匹の戦闘に巻き込まれた大量のゆっくりが餡子を撒き散らして平らになっていた。 僅かに息があるものも、呻き声を上げるのが精一杯で、どう見てももう助かりそうなものは皆無。 唯一その場でまともに動けるドスまりさも傷だらけでところどころ餡子が露出している。 「う~・・・めんどくさいやつなんだど~!」 『ゆっ!どうしてまりさをやっつけないの?強くてエレガントなれみりゃなら簡単でしょ?』 「そんなのきまってるんだど~!いきてつれてこいっていわれてるからだどぉ~!」 『ゆぅ・・・誰かがまりさを狙っているんだね?』 ただの無駄話・・・というわけでもないようだ。 よく見てみればドスまりさは自分の足元に微弱なゆっくりオーラを展開して体力の回復を図っている。 どうやら、れみりゃの単純な頭を利用して褒めることでおだてつつ、話に乗せているらしい。 しかし、対するれみりゃは四肢一本の欠損すら見られず、多少の擦り傷や火傷以外の外傷が全くなかった。 多少傷が癒えたくらいでどうにかなる相手でないことは、目に見えていた。 『そう・・・まりさがいたせいでこんな風になったんだね・・・』 そう呟き、俯くドスまりさ。 それは違う。その誰かは・・・恐らく人間だ。まりさが居たせいじゃない、これはただの人間のエゴだ。 出来ることなら駆け寄ってそう言ってやりたい。が、飛び出していってもどうにもなるまい。 れいむを抱きかかえたまま、ドスまりさに背を向けて山林の中を駆けていった。 『ゆふんっ!まだいっぴきのこってたのね!』 「うげ、見つかった・・・」 「ゆえええええええん!こわいよおおおおお!?」 私だって怖いっつーの!ついでにレイプ中のこいつらの顔は生理的に受け付けないよ! しかし、怯えるれいむの前でそれを口にするわけにもいかず、決死の逃走を繰り広げる私達の前に立ちはだかる触手ありすを睨む。 見ているだけで不愉快な化け物とは言え所詮は饅頭だ。斧の一つでもあれば何とか対抗できるかも知れないが・・・ 「・・・うへぇ」 彼我の戦力差は圧倒的。そう判断した私は恐らくゆっくり達が舗装した道から、巨体には不利な木々の密集地へと駆け出す。 うねうねと蠢きながら襲い来る触手を必死にかわし、木々を避けながら触手ありすを誘導する。 幸い巨大化していてもゆっくり特有の鈍足は健在、私が全力で走ればある程度距離を稼げる程度の移動速度でしかない。 もっとも、結構な大型のれいむを担いで全力疾走できる距離など知れており、結局追いつかれる羽目になるのだが。 「よしっ!」 『れいむううううううう!ありすがとかいはのあいをあげるわああああああ!!』 とはいえ、そんなことはいくら私でも最初から想定している。 何とか狭い道を選んで木々をバリケード代わりにしながら触手ありすとの距離を保ち、逃げ続ける。 何処へ向かっているかを考える余裕なんてなかったし、そもそも自分が今何処にいるのかも分からない。 ただ、あんなのに捕まりたくない、それにれいむを放っておくわけにもいかない。 その一心だけで木々の隙間を駆け抜けた。 「おねえええざぁん!」 「あーっ、もうっ!五月蝿い!?」 抱きかかえられているれいむは大粒の涙をぼろぼろ零しながらも私の衣服に必死に噛み付いている。 多分人間でいうところのしがみ付くに相当する行動なんだろうが、動きにくくなるので正直鬱陶しい。 それにいい加減腕が疲れてきた。しかし、触手ありすの不快な咆哮がまだ聞こえてくる以上、ここで休むわけにもいかない。 『まぢなざああああい!れいむううううううううう!』 「ごわいよおおおおおおおおお!?」 怖っ!本当に何処の神話の世界から飛び出してきたんだか、あのミュータントは・・・。 とはいえ、上手く通行を阻むことが出来たのか、その声は徐々に小さくなっている。 このままなら何とか逃げ切れるはず。 そう思って安堵した瞬間・・・ 『ゆ゛っ・・・お、おね゛ーさ、ん?!』 『おや、ご自分から戻ってくるとは・・・おお、愚か愚か』 一体、どうすればこんなデカブツを見落とすのかと思うような巨体が2つ。 不運にも瀕死のゆっかりんと、きめら丸に鉢合わせてしまったらしい。 ぼろぼろの体で懸命に這いずってきめら丸と私たちの間に立ちふさがるゆっかりん。 『だべよ・・・おねぁざんはゆっがりんが守る、よ・・・』 彼女がきめら丸に蹂躙される光景を目にした瞬間、頭の中が真っ白になる。 更に絶望的なことに、薄れゆく意識の中で撒いたはずの触手ありすを視界の隅に捉えてしまった。 ゆっくりいじめ系2165 巨大ゆっくりの饗宴(後編)」?に続く
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『ゆっくリズム』 「ゆっくりしていってね!」 ゆっくりと呼ばれる饅頭みたいな生き物が人間の男に近づき、にこにこ笑いながらゆっくりしていくことを強要してきた。 この人間にもゆっくりしてほしい、そんな気持ちから笑顔で今日もゆっくり流のあいさつを人間にする。 ちなみにこのゆっくりは、まりさ種と呼ばれるもので、黒い薄気味悪い帽子を被っていて、金色の長くて綺麗な髪をもつゆっくりである。 これまでに挨拶した人間はみんな「ゆっくりしていってね」と笑顔で挨拶を返してくれた。 だから、この人間も笑顔で挨拶を返してくれる。まりさはそんな人間達が大好きなのだ。 だけど今回の人間はゆっくりまりさの期待している行動とは全く別の行動をとったのだ。 男は、ひょいっとゆっくりまりさのサッカーボールくらいの大きさの顔を、頬のあたりを掴んで片手で持ち上がる 「ゆっ! ゆっくりやめてね」 驚いているゆっくりまりさを男は無視する。 持ち上げたゆっくりまりさを片方の腕で「ぽすっ」と口と顎の中間辺りを叩く。 人間でいえばこの辺がお腹になるのだろうか? 顔しかない生き物だからよくわからない… が、ここをお腹と仮定する。 出産する時のゆっくりは口と顎の中間辺りから子供を産むと聞くから、ここがお腹だとは思われる。 「ゆっくりやめてね」 少しぷくっと膨れた顔で怒るゆっくりまりさ。 力を全く入れずに叩いただけなのて平気らしい。しかし男は何回もゆっくりのお腹を叩いていく。 「たたくのはゆっくりやめてね!」 「ほんとにまりさおこるよ!」 「ゆっ! ゆぶっ… ゆぶっ!」」 いくら力を入れないパンチといってもそれを何回も入れられるとゆっくりにとっては効いてきたらしい。 「おぅおぅ、言うね言うねぇいっちょまえに! こぉのゆっくりが!」 どんどん殴る速度を速め力も入れていく。 「ゆぶぅ゛!! ゆぶぅ゛!!」 今度は地面に仰向けの状態でゆっくりまりさを下ろし、マウントポジションを取ると、両手で殴る。 小刻みにリズムを取りながら、さらに速く速く殴っていく。 「悪いのは、この口か? この口か?」 タタタン♪ タタタン♪ タタタン♪ 規則正しいリズムの音がゆっくりを殴りながら聞こえてくる。 「も゛う゛… や゛べでぐだざい… ぐぶょ!!」 タタタン♪ タタタン♪ タタタン♪ まりさの言葉などには耳を貸さずに殴り続ける男。 そして仕上げに、思い切り強く平手を喰らわせる。 バシィィー!! 「ぶべあ゛ぁぁぁ゛!!」 いい音と声がした。そのまま5mくらい地面をぼよんぼよんとバウンドしながら飛んでいくゆっくりまりさ。 俯けで倒れたまま動かない。 男は倒れているゆっくりまりさに近づくと、ゆっくりまりさの帽子を取ってみる。 すると帽子を取られた事にはすぐに反応し、ずるずると起き上がった。 「や゛… やめてね… まりざのぼうじをかえしてね…」 ぼろぼろの顔で帽子を返せと言ってくる。 そんな言葉には耳をかさず、男は帽子を両手で持ち、力を入れてばりばりと真っ二つに破り捨てた。 これにはゆっくりまりさも大ショック! 大粒の涙を流し泣き始めた。 「ま゛ま゛りざのぼう゛じが゙あ゙あああああ!!!」 今度は帽子を失ったゆっくりまりさの長い髪をつかみ持ち上げる。 「ひ゛どい゛よ゛おじざん!! ぼうじを゛ぼうじ゛を゛がえ゛じで ごびゅ!!!」 ゆっくりまりさを地面にびたんと叩きつけ、再び両手でお腹を殴り始める。 「おぅおぅ言うね言うねぇ! こぉのゆっくりが!」 タタタン♪ タタタン♪ タタタン♪ 「お゛おじざん… やべでぇ!」 再びゆっくりを殴るリズムが始まった。 タタタン♪ タタタン♪ タタタン♪ 「ゆっくりの癖に調子くれて帽子なんか被りやがって…」 タタタン♪ タタタン♪ タタタン♪ 「おまけに、ゆっくりの癖に綺麗な髪しちゃって」 タタタン♪ タタタン♪ タタタン♪ 「しかも髪の色は金髪… おしゃれさんだねぇ」 タタタン♪ タタタン♪ タタタン♪ 「ぼ… ぼぅ… ゅるじでぐだ… ざぃ」 か細い声でそう訴えかけるゆっくりまりさ。 男が我に返ると目や口から餡子が漏れ出し、潰れた饅頭に変形していた。いくら軽く殴っていたとはいえ殴りすぎたようだ。 だからといってやめる気配は一向になかったが。 バシィィー!! もう一度、仕上げに本気の平手をお見舞いする。 「ゆびゅ゛う゛お゛え゛え゛え゛ぇぇぇ」 ものすごい奇声を上げ、ごろごろと転がっていくゆっくりまりさ。 そして、ピクピクと痙攣したまま動かない。 そんな事はお構いなしに再びゆっくりまりさの長い髪をぐいっと引っぱり持ち上がる。 「ゆ゛…」 殴られすぎてもはや何かを喋る気力さえないゆっくりまりさ。 ゆっくりまりさは思う。これだけ殴られた自分にまだ何をするのだろう? でももうこれ以上は殴らないだろう、だからこのまま目をつぶってやりすごそう。 無抵抗の自分を殴るほどこの人間も酷くはないだろう。 そう思いながら目を閉じてやりすごそうとする。 「おぅおぅ言うね言うね! こぉのゆっくりが!」 その言葉で閉じようとしていた眼がぐわっと開く。 「ま゛! ま゛り゛ざなにもい゛っでな゛ぐべぁ!!」 タタタン♪ タタタン♪ タタタン♪ もちろんゆっくりまりさは何も言っていない。男に対して最初から「ゆっくりしていってね!」しか言っていない だけどその「ゆっくりしていってね!」が男の怒りにスイッチを入れてしまったのだ。 そして、このゆっくりまりさは日が暮れるまでリズム良く殴られ続け、フィニッシュには平手をお見舞いされるを繰り返された。 ギリギリで生きてはいるが元の形に戻るには時間がかかることだろう。 おわり ゆっくりまりさは、ゆっくりの中でもいぢめたいNo1です。 人を見下したような表情、卑怯な性格、黒い帽子、長い金髪。 これだけ揃えばいじめたくなります。 でも、このお話に出てくるゆっくりまりさは良いゆっくりまりさです。 何もしてないのに可哀想ですね。 このSSに感想を付ける
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3000年前…力を持った一匹のゆっくりが自らを魔王と名乗り人々を苦しめた。 だがやがて勇者が現れ魔王は封印される。魔王は封印される間際に言った。 世が乱れ憎しみで満ちたとき我は再び蘇る、と。そして現在、ついに魔王が復活したのだった! 第一章 プロローグ 魔王はまりさ種であるが全長10mをゆうに超え、頭には2本の角、鋼のような黒く硬い皮膚を持っていた。 その赤い瞳からは知性を感じさせるが同時に残忍さを感じさせる。側には四匹の側近が付き添っていた。 魔王により各地のゆっくり達は魔王の根城、風雲ゆっくり城へと集められていく。 「ゆっ!魔王さまがゆっくりできない人間達をこらしめてくれるね」 「これでみんなゆっくりできるようになるよ!」 ゆっくり達は魔王が人間達を倒したつもりになって喜んでいる。 「でもなんで魔王様はみんなを集めたのかな?」 「きっとゆっくりできるいい話だよ」 やがて世界中のゆっくり達が魔王の住む風雲まりさ城に集まった。魔王がゆっくりと口を開く。 魔王「皆に集まってもらったのは他でもない…朕はゆっくり達が平和で幸せにゆっくりできる世界を創ろうと思う」 ゆっくり達から歓声が上がる。やはり魔王さまはゆっくり達のために戦ってくれるのだ! 魔王「だが問題なのは勇者の存在…奴は必ず我の前に立ちふさがるであろう。お前達は我に協力してもらいたいのだ」 ゆっくりたちの歓声はさらに強くなる 「みんな魔王様と一緒に戦うよー」 「みんなでゆっくりできる世界をつくろうねー」 だが魔王はゆっくりと首を振る 魔王「いやその必要は無い」 魔王はゆっくりと息を吸い込むとゆっくりたちに向けて吐き出す。魔王の息は炎となりその場のゆっくり達を焼き饅頭に変える。 突然の事態にパニックになりながらも逃げ惑うゆっくりたち。 「い゛ぎゃ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛づい゛い゛い゛い゛!!」 「な゛ん゛でな゛の゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!」 「も゛っ゛どゆ゛っ゛ぐり゛じだがっ゛だよ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛!」 逃げ惑うゆっくり達をみながら魔王は口を開く。 「前回勇者に倒されてから朕は考えていたのだよ…なぜ朕が人間ごときに負けたのか」 それに続き側近達が口を開く。 「それはお前達雑魚ゆっくり達が勇者に倒されることにより経験値を与え勇者を強くしたからだ」 「ゆっくりを倒すことでしかLVUPできない勇者は雑魚ゆっくりが滅びれば強くなれない」 「お前達雑魚ゆっくり達は我ら上級ゆっくりのために滅びてもらう」 「ちからなきゆっくりたちよ…ゆっくりちね!」 それを聞いたゆっくりたちは逃亡にかかる。 「魔王さまの考えはゆっくりできないよ」 「ゆっくり逃げようね!」 だが入ってきた扉が閉まりゆっくりたちはみな閉じ込められた。 ゆっくり達の中には無謀にも魔王に歯向かおうとする者もいた。 だが魔王の鋼鉄の毛が針のように体に突き刺さり身動きが取れなくなる。 「あ゛、あ゛が…あ゛があ゛あ゛」 針が刺さっても餡子が漏れる事はないのでなかなか死ぬことができない。 激痛のためもがこうとするが針が食い込みより痛みが強くkなる。 「光栄に思うがいい、魔王さまの手にかかり魔王さまの経験値となることができることを!」 「喜ぶがいい、魔王さまに食べられ魔王さまの血肉となることができることを!」 その日風雲ゆっくり城はゆっくり達の悲しみと苦痛の叫びで満たされた。 第二章 悪霊のごときお兄さん 勇者の血を引く人間”き゛やく”が主人公。魔王の追撃から唯一逃げることができたゆっくりれいむは 魔王に復讐すべく勇者に倒され経験値となる。だが勇者もゆっくり1匹程度の経験値ではレベルアップできない。 勇者の相方で僧侶の”まいこ”はリザレクションの魔法で何度もゆっくりれいむを蘇らせ勇者に倒させる。 そのうちゆっくりれいむの経験値に満足できなくなった勇者はゆっくりれいむをその辺に住む醜悪なモンスターと合体させる。 醜くなった代わりに強化されたれいむのおかげで楽々LVUPする勇者。ついに前勇者が魔王を倒したLVに到達する。 れいむ「こ、これだけ強くなれば十分だよね?もうれいむを殺さないでね」 き゛やく「いや俺LV上げるの楽しくなってきたわ。このままLV99目指すぜ(ザク)」 れいむ「い゛ぎゃ゛あ゛あ゛あ゛い゛だい゛い゛い゛い゛い゛!れ゛い゛ぶま゛だじぬ゛う゛う゛う゛う゛!」 まいこ「死んでもすぐ生き返らせるから大丈夫ですよ。リザレクション!!」 やがてLV99になる勇者 れいむ「こ、今度こそもう終わりだよね…もうれべるあっぷしないもんね」 き゛やく「それがさっき調べたらLV99になると転生してよりパワーアップすることができるらしい。 LVが1に戻る上LVUPに必要な経験値が3倍になるけど強くなるためにはやるっきゃないよね(ザク)」 れいむ「ぐげえ゛え゛え゛え゛え゛!も゛う゛でい゛ぶを゛え゛い゛え゛ん゛の゛ね゛む゛り゛に゛づがぜでえ゛え゛え゛え゛え゛!」 まいこ「じゃあ生き返らせますね。リザレクション!!」 ※ゆっくりと別の生き物との合体がゆっくり転生と設定が被るので没になりました。 第三章 そして伝説へ チルーザム「さあ来いき゛やく!オレは255回斬らないと倒せないぞオオ!」 き゛やく「チクショオオオオ!くらえチルーザム!」 勇者は携帯用火炎放射器をチルーザムに向けると炎を吹き付けた。 チルーザム「ギアアアア!」 物理攻撃には強いチルーザムだが炎には弱いらしく一瞬で消し炭になる。 レミール「チルーザムがやられたようだな…」 デスレイム「ククク…奴は四天王の中でも最弱…」 メフィスリン「人間ごときに負けるとは上級ゆっくりの面汚しよ…」 チルーザムが倒れても四天王は3匹残っていた。 音速で移動・ワープができるレミール、即死魔法を使うデスレイム、そして全てが謎の存在メフィスリン。 いずれもチルーザムなど比較にならないほどの強敵である。 き゛やく「ウオオオオオオ!この炎をくらえエエエエ!」 3匹「グアアアアアアア!」 部屋に入ってきた勇者は3匹に火炎放射器の炎を向ける。3匹も一瞬で消し炭になった。 き゛やく「やった…ついに四天王を倒したぞ…これで魔王のいる風雲まりさ城への扉が開かれる!!」 魔王「よく来たな勇者き゛やく…待っていたぞ…」 き゛やく「こ…ここが風雲まりさ城だったのか…!感じる…魔王の魔力を…」 魔王「き゛やくよ…戦う前に一つ言っておくことがある。 朕の魔王スパークは一撃でトウキョウ租界を消滅させるほどの威力を持つが、撃つまでに溜め時間が10時間必要だ」 き゛やく「な 何だって!?」 魔王「そしてちょうどこれから溜め始めるところだ。どう考えても間に合わないなクックック…」 大魔法が間に合わないなら詠唱時間の短い魔法で戦えばいいんじゃね?と思うだろうが、 勉強嫌いな魔王は魔王スパーク以外の魔法を勉強していなかった。 いわゆる”ギガデインが使えれば他の魔法使えなくてもいいんじゃね?”理論である。 き゛やく「フ…上等だ…オレも一つ言っておくことがある。ここに到達するまでに 強敵(ライバル)との戦いや伝説の装備集め、可愛い相方とのラブラブイベントなどがあると期待していたが ホームセンターで火炎放射器を買ったのと四天王討伐以外のイベントは何一つ無かったぜ!」 魔王「そうか」 第二章が没になったので勇者のLVは1。相方の存在自体もなかったことになっている。 魔王はゆっくりと魔王スパークの溜め状態に入り完全に無防備な状態となった。勇者はすかさず魔王にとびかかる。 勇者 「ウオオオいくぞオオオ!」 き゛やくの勇気が世界を救うと信じて…!ご愛読ありがとうございました! 過去の作品 ゆっくり転生(fuku3037.txt~fuku3039.txt)
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(※出題編のつづきです) 谷口「犯人は、この中にいる!」 キョン「な、なんだって!? それは本当か!?」 ハルヒ「な、なに言ってるのよ! バカ言わないで!」 鶴屋「まあまあ二人とも。ああ言ってるんだから、谷口くんのご高説を聞いてあげようじゃないの」 谷口「この事件の犯人は!」 みくる「私を殴った犯人は……!?」 谷口「………」 谷口「誰だっけ?」 長門「………」 キョン「………」 ハルヒ「………」 みくる「………」 ハルヒ「やるか」 キョン「やっちまうか」 ~~~~~ 古泉「なるほど。昨日、僕が神人退治のため早々に学校を出た後、そのようなことが」 古泉「それで朝比奈さんは今朝から、浮かない顔をしておられるのですね」 キョン「ああ。あんなことがあった後だし。それに、まだ記憶も戻っていないようだしな」 古泉「いえ。僕の推理が正しければ、朝比奈さんの事件当時の記憶はもう戻っているのだと思いますよ」 キョン「なんだって?」 古泉「だからこそ、彼女は浮かない顔をしているのです」 キョン「どういうことだ?」 古泉「確証はありません。記憶が戻り思い出してみた結果、朝比奈さんがよく知る人物が犯人だったから、名前を出すのを躊躇しているのでは、という推測にすぎません」 キョン「それじゃあ、お前、話を聞いただけで誰が朝比奈さんを殴った犯人か分かったって言うのか?」 古泉「話をうかがった上での推測で、ですよ」 キョン「それでもいい。お前の推理上での犯人は誰なんだ? 教えてくれ」 古泉「犯人は谷口さんがおっしゃった通り、昨日文芸部室にいたメンバーの中にいますよ」 古泉「みなさんが自己申告したアリバイを思い出してください。各々がばらばらの場所、時間を述べていますが、一つだけ共通していることがあります」 古泉「それは全員のアリバイ申告に、それを証明することのできる第三者がいるということです。だから、皆さんが語った話は、全て正しいのでしょう」 キョン「じゃあ、犯人は昨日文芸部室にいたメンバーの中にはいないということになるんじゃないか? 全員に証人がいるんだろ?」 古泉「そうでしょうか?」 古泉「確かに、全員に事件当時のアリバイを立証できる証人がいます。しかし一人だけ、そのアリバイに空白のある方がいます」 古泉「朝比奈さんが部室で頭を殴打されたのは、15:20。本人の申告なので、これは間違いないでしょう」 古泉「涼宮さんはホームルーム後、15:40までずっと担任の岡部教諭と共にいた。涼宮さんに犯行は無理です」 古泉「あなたも、クラスメイトと共に教室を掃除をしていた。あなたの言が正しければ、15:50まで教室にいたあなたに犯行は不可能」 古泉「谷口さんも、正確な時間の申告はできていませんが、犯人ではありません。僕の推理上で彼は犯人の条件に当てはまりませんから。納得できないのなら、阪中さんに証言をもらってもいいでしょう」 古泉「鶴屋さんが廊下で学友とお話しているところは僕も見ていますから、彼女が友人と一緒だったことは事実です。鶴屋さんは、事件のあった時刻に友人といたはずです。アリバイはある」 キョン「……ってことは、消去法でいくと」 古泉「犯人は長門さん、ということになりますね」 キョン「長門が!? どうして。宇宙人があんな骨董品の急須になんか興味を持つとは思えないんだが」 古泉「急須は関係ないでしょうね。もし本当に急須狙いの犯行だとしたら、大事な盗品を昇降口になんか置いていかないでしょう。必要なかったから、置いて行ったのです。もしかすると、捨てたつもりだったのかもしれません」 古泉「長門さんのアリバイを証明することができるのは、図書室の顔見知りの生徒です。しかし、長門さんは彼女の前から一度消えている」 キョン「本を返却して、一度図書室を出たところか」 古泉「そうです。長門さんが図書室から出た時間がどれだけのものかは分かりませんが、その間、長門さんにはアリバイがない」 古泉「そして決定的な証拠は、朝比奈さんが意識を失う前に残した血文字ですよ」 古泉「床に 『なが』 と書かれていたのでしょう? これは誰がどう考えても 『ながと』 と書こうとしたものに間違いないじゃないですか。解答そのものです」 キョン「いや、しかし……」 古泉「あなたは涼宮さんが朝比奈さんに長ネギを持たせて云々、という話をされていたようですが」 古泉「不意打ちをくらって意識を失う寸前の人間が、とっさに 『ながねぎ』 なんてメッセージを残すと思いますか?」 古泉「どうせメッセージを残すなら、犯人をもっとも象徴しているワードを書き残すと思いませんか?」 古泉「ミステリー作品のダイイングメッセージではよく、犯人にメッセージだと気づかれぬよう分かりにくい暗号を残すものだと相場が決まっていますが」 古泉「実際問題、暴行を受けた被害者が、突然のことで頭が混乱し急激に思考力が低下していく中、とっさに気のきいた暗号を思い浮かべることができると思いますか?」 古泉「メッセージを残すとしたら、その犯人を表すのにもっとも容易で具体的な単語、特に、犯人の氏名などを残すのが現実的な手段だとは思いませんか?」 キョン「まあ、そう言われれば……そうか」 古泉「長門さんは昨日、『私は朝比奈みくるを殴打していない』 と一言でも言いましたか?」 キョン「……そういえば、言っていないな。急須はいらない、と言っていた覚えはあるが」 古泉「長門さんが急須を奪ったのにどういう意味があったのかは分かりませんよ。強盗を装った犯行に仕立てたかったためか、それとも単なる嫌がらせのためか」 古泉「しかし。誰がなんと言おうと一つだけ確実にいえることがあります」 古泉「長門さんが、朝比奈さんを殴った犯人だということですよ」 ~~~~~ ハルヒ「有希、お願いだからやめて!」 キョン「よせ、長門! これ以上罪を重ねるな!」 みくる「ちょっと痛かったですけど、私は気にしていませんから。だから、もうやめてください!」 鶴屋「どうしたの? 有希っ子が食堂に立てこもったって聞いて飛んできたんだけど」 古泉「昨日の事件のこと、うかがっていますか?」 鶴屋「……うん。キョンくんから聞いたよ。みくるを殴ったのが、有希っ子だったって」 古泉「なんでも、胸のことで話をしていたらカッとなって、手近にあった僕の将棋版でつい事に及んでしまったというのが、真相のようです」 鶴屋「……なんか、コメントしづらい展開だね」 古泉「現代人はキレやすいと言いますから。ちょっとしたことでも、ついカッとなって信じられないような行動に出てしまうものなのですよ」 鶴屋「他人にとってはどうでもいいことでも、身体的特徴って当人にとってはすっごいコンプレックスになったりもするし……有希ちゃん、コンプレックスだったんだね」 長門「………気休めはやめて。私は一時の気の迷いとはいえ、してはいけないことをしてしまった」 ハルヒ「だから、みくるちゃんも許してあげるって言ってるじゃない! ね?」 みくる「そうです。長門さん、あなたの気にさわることを言ってしまったのなら謝りますから、もう馬鹿なマネはやめてください」 長門「………私は、自分で自分が許せないだけ。だから私は、この業務用牛乳缶を一気に飲み干し、罪を精算することに決めた」 キョン「よせ長門! そんなことをしたら、全身が牛乳になってしまうぞ!」 長門「………今度生まれ変わることができたなら。その時はきっと、貧乳がデフォの世界に……」 谷口「やめるんだ、長門くん!」 ハルヒ「下衆男……」 キョン「下衆、お前……」 みくる「下衆さん……」 古泉「げs……谷口さん」 鶴屋「下衆」 谷口「どうやらキミは、勘違いしているようだな。長門くん。一言キミに言っておく」 谷口「ナイチチというジャンルを、キミは知っているか?」 長門「………ない…ちち?」 谷口「そう。要するに、貧乳のことだな。パイパイの大きさで女性の価値が決まると思い込んでいる女性がいるが、それは違う。巨乳が好きな男がいる一方で、貧乳が好きな男だっているんだ」 ハルヒ「何してるのみんな!? 下品なこと言ってるあいつを早くひっとらえないさい!」 キョン「神妙にしろ、谷口! 天下の食堂でなに卑猥なことを大声で叫んでるんだ!」 谷口「ちくしょう、離せ! 離せよ!」 長門「…………」 谷口「貧乳? 巨乳? そんなの関係ない! パイパイ様は、ただそこにあるだけでありがたいものなんだ! 大きさに拘っちゃいけない!」 古泉「谷口さん、観念してください!」 谷口「離せ! 俺の双肩に、ひとりの少女の命がかかってるんだぞ!?」 谷口「男の世界を見てみろ! イチモツが大きいヤツは英雄として扱われ、小さいやつは鼻で笑われる弱肉強食の修羅界だ!」 谷口「乳みたいに、大きいのと小さいのの両方に需要なんてありあしない! 小さいやつはそれだけで肩身のせまい思いをして一生を送らねばならぬのだ!」 ハルヒ「いい加減にしなさいよ、この下衆野郎!」 谷口「離すでゲス、離すでゲス!」 谷口「包茎者がどんな気持ちで日々を過ごしているか分かるか!? まだ需要のある貧乳なんてレベルじゃねぇぞ!」 谷口「仮性人だって同じだ! 銭湯じゃ思わずタオルで前を隠してしまうほどのコンプレックスを抱いて生きているんだぞ!」 鶴屋「殿中でござる! 殿中でござる!」 谷口「ちくしょう! 離せよぉ!」 谷口「離すでゲス、下衆でゲス!」 谷口「甘ったれるな! 牛乳飲んでデカくなるってんなら、俺が飲みたいわ! 俺によこせ!」 谷口「俺によこせえええぇぇぇ!」 長門「………」 谷口「おおきくしてくれええええええええええええ!!」 ~~~~~ ハルヒ「よかった。有希が思いとどまってくれて。戻ってきてくれて……」 キョン「ああ。手段はともかく、今回ばかりは谷口に感謝しないとな」 古泉「ま、こういうこともありますよ」 長門「………あなたには、酷いことをしてしまった。こんなことが言えた義理ではないが、許してもらいたい」 みくる「いいんですよ。もう。言ったでしょう? 気にしてないって」 ハルヒ「これにて一件落着。雨降って地固まるということわざもあることだし。これを機に、さらにSOS団の絆は強固なものになったはずよ!} キョン「ま、今はそういうポジティブな思考が一番いいな」 みくる「それにね。私も、長門さんの気持ちが、痛いほどよく分かったから」 長門「………え」 みくる「だって。私、豊胸手術で胸を大きくしたんですもの」 ハルヒ「だまされた……orz」 キョン「だまされた……orz」 古泉「だまされた……orz」 鶴屋「だまされた……orz」 みくる「長門さん。これからも仲良くしましょうね」 長門「………うん」 みくる&長門「(*゚∀゚)人(゚∀゚*)ナカーマ」 ~おしまい~