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(※出題編のつづきです) 谷口「犯人は、この中にいる!」 キョン「な、なんだって!? それは本当か!?」 ハルヒ「な、なに言ってるのよ! バカ言わないで!」 鶴屋「まあまあ二人とも。ああ言ってるんだから、谷口くんのご高説を聞いてあげようじゃないの」 谷口「この事件の犯人は!」 みくる「私を殴った犯人は……!?」 谷口「………」 谷口「誰だっけ?」 長門「………」 キョン「………」 ハルヒ「………」 みくる「………」 ハルヒ「やるか」 キョン「やっちまうか」 ~~~~~ 古泉「なるほど。昨日、僕が神人退治のため早々に学校を出た後、そのようなことが」 古泉「それで朝比奈さんは今朝から、浮かない顔をしておられるのですね」 キョン「ああ。あんなことがあった後だし。それに、まだ記憶も戻っていないようだしな」 古泉「いえ。僕の推理が正しければ、朝比奈さんの事件当時の記憶はもう戻っているのだと思いますよ」 キョン「なんだって?」 古泉「だからこそ、彼女は浮かない顔をしているのです」 キョン「どういうことだ?」 古泉「確証はありません。記憶が戻り思い出してみた結果、朝比奈さんがよく知る人物が犯人だったから、名前を出すのを躊躇しているのでは、という推測にすぎません」 キョン「それじゃあ、お前、話を聞いただけで誰が朝比奈さんを殴った犯人か分かったって言うのか?」 古泉「話をうかがった上での推測で、ですよ」 キョン「それでもいい。お前の推理上での犯人は誰なんだ? 教えてくれ」 古泉「犯人は谷口さんがおっしゃった通り、昨日文芸部室にいたメンバーの中にいますよ」 古泉「みなさんが自己申告したアリバイを思い出してください。各々がばらばらの場所、時間を述べていますが、一つだけ共通していることがあります」 古泉「それは全員のアリバイ申告に、それを証明することのできる第三者がいるということです。だから、皆さんが語った話は、全て正しいのでしょう」 キョン「じゃあ、犯人は昨日文芸部室にいたメンバーの中にはいないということになるんじゃないか? 全員に証人がいるんだろ?」 古泉「そうでしょうか?」 古泉「確かに、全員に事件当時のアリバイを立証できる証人がいます。しかし一人だけ、そのアリバイに空白のある方がいます」 古泉「朝比奈さんが部室で頭を殴打されたのは、15:20。本人の申告なので、これは間違いないでしょう」 古泉「涼宮さんはホームルーム後、15:40までずっと担任の岡部教諭と共にいた。涼宮さんに犯行は無理です」 古泉「あなたも、クラスメイトと共に教室を掃除をしていた。あなたの言が正しければ、15:50まで教室にいたあなたに犯行は不可能」 古泉「谷口さんも、正確な時間の申告はできていませんが、犯人ではありません。僕の推理上で彼は犯人の条件に当てはまりませんから。納得できないのなら、阪中さんに証言をもらってもいいでしょう」 古泉「鶴屋さんが廊下で学友とお話しているところは僕も見ていますから、彼女が友人と一緒だったことは事実です。鶴屋さんは、事件のあった時刻に友人といたはずです。アリバイはある」 キョン「……ってことは、消去法でいくと」 古泉「犯人は長門さん、ということになりますね」 キョン「長門が!? どうして。宇宙人があんな骨董品の急須になんか興味を持つとは思えないんだが」 古泉「急須は関係ないでしょうね。もし本当に急須狙いの犯行だとしたら、大事な盗品を昇降口になんか置いていかないでしょう。必要なかったから、置いて行ったのです。もしかすると、捨てたつもりだったのかもしれません」 古泉「長門さんのアリバイを証明することができるのは、図書室の顔見知りの生徒です。しかし、長門さんは彼女の前から一度消えている」 キョン「本を返却して、一度図書室を出たところか」 古泉「そうです。長門さんが図書室から出た時間がどれだけのものかは分かりませんが、その間、長門さんにはアリバイがない」 古泉「そして決定的な証拠は、朝比奈さんが意識を失う前に残した血文字ですよ」 古泉「床に 『なが』 と書かれていたのでしょう? これは誰がどう考えても 『ながと』 と書こうとしたものに間違いないじゃないですか。解答そのものです」 キョン「いや、しかし……」 古泉「あなたは涼宮さんが朝比奈さんに長ネギを持たせて云々、という話をされていたようですが」 古泉「不意打ちをくらって意識を失う寸前の人間が、とっさに 『ながねぎ』 なんてメッセージを残すと思いますか?」 古泉「どうせメッセージを残すなら、犯人をもっとも象徴しているワードを書き残すと思いませんか?」 古泉「ミステリー作品のダイイングメッセージではよく、犯人にメッセージだと気づかれぬよう分かりにくい暗号を残すものだと相場が決まっていますが」 古泉「実際問題、暴行を受けた被害者が、突然のことで頭が混乱し急激に思考力が低下していく中、とっさに気のきいた暗号を思い浮かべることができると思いますか?」 古泉「メッセージを残すとしたら、その犯人を表すのにもっとも容易で具体的な単語、特に、犯人の氏名などを残すのが現実的な手段だとは思いませんか?」 キョン「まあ、そう言われれば……そうか」 古泉「長門さんは昨日、『私は朝比奈みくるを殴打していない』 と一言でも言いましたか?」 キョン「……そういえば、言っていないな。急須はいらない、と言っていた覚えはあるが」 古泉「長門さんが急須を奪ったのにどういう意味があったのかは分かりませんよ。強盗を装った犯行に仕立てたかったためか、それとも単なる嫌がらせのためか」 古泉「しかし。誰がなんと言おうと一つだけ確実にいえることがあります」 古泉「長門さんが、朝比奈さんを殴った犯人だということですよ」 ~~~~~ ハルヒ「有希、お願いだからやめて!」 キョン「よせ、長門! これ以上罪を重ねるな!」 みくる「ちょっと痛かったですけど、私は気にしていませんから。だから、もうやめてください!」 鶴屋「どうしたの? 有希っ子が食堂に立てこもったって聞いて飛んできたんだけど」 古泉「昨日の事件のこと、うかがっていますか?」 鶴屋「……うん。キョンくんから聞いたよ。みくるを殴ったのが、有希っ子だったって」 古泉「なんでも、胸のことで話をしていたらカッとなって、手近にあった僕の将棋版でつい事に及んでしまったというのが、真相のようです」 鶴屋「……なんか、コメントしづらい展開だね」 古泉「現代人はキレやすいと言いますから。ちょっとしたことでも、ついカッとなって信じられないような行動に出てしまうものなのですよ」 鶴屋「他人にとってはどうでもいいことでも、身体的特徴って当人にとってはすっごいコンプレックスになったりもするし……有希ちゃん、コンプレックスだったんだね」 長門「………気休めはやめて。私は一時の気の迷いとはいえ、してはいけないことをしてしまった」 ハルヒ「だから、みくるちゃんも許してあげるって言ってるじゃない! ね?」 みくる「そうです。長門さん、あなたの気にさわることを言ってしまったのなら謝りますから、もう馬鹿なマネはやめてください」 長門「………私は、自分で自分が許せないだけ。だから私は、この業務用牛乳缶を一気に飲み干し、罪を精算することに決めた」 キョン「よせ長門! そんなことをしたら、全身が牛乳になってしまうぞ!」 長門「………今度生まれ変わることができたなら。その時はきっと、貧乳がデフォの世界に……」 谷口「やめるんだ、長門くん!」 ハルヒ「下衆男……」 キョン「下衆、お前……」 みくる「下衆さん……」 古泉「げs……谷口さん」 鶴屋「下衆」 谷口「どうやらキミは、勘違いしているようだな。長門くん。一言キミに言っておく」 谷口「ナイチチというジャンルを、キミは知っているか?」 長門「………ない…ちち?」 谷口「そう。要するに、貧乳のことだな。パイパイの大きさで女性の価値が決まると思い込んでいる女性がいるが、それは違う。巨乳が好きな男がいる一方で、貧乳が好きな男だっているんだ」 ハルヒ「何してるのみんな!? 下品なこと言ってるあいつを早くひっとらえないさい!」 キョン「神妙にしろ、谷口! 天下の食堂でなに卑猥なことを大声で叫んでるんだ!」 谷口「ちくしょう、離せ! 離せよ!」 長門「…………」 谷口「貧乳? 巨乳? そんなの関係ない! パイパイ様は、ただそこにあるだけでありがたいものなんだ! 大きさに拘っちゃいけない!」 古泉「谷口さん、観念してください!」 谷口「離せ! 俺の双肩に、ひとりの少女の命がかかってるんだぞ!?」 谷口「男の世界を見てみろ! イチモツが大きいヤツは英雄として扱われ、小さいやつは鼻で笑われる弱肉強食の修羅界だ!」 谷口「乳みたいに、大きいのと小さいのの両方に需要なんてありあしない! 小さいやつはそれだけで肩身のせまい思いをして一生を送らねばならぬのだ!」 ハルヒ「いい加減にしなさいよ、この下衆野郎!」 谷口「離すでゲス、離すでゲス!」 谷口「包茎者がどんな気持ちで日々を過ごしているか分かるか!? まだ需要のある貧乳なんてレベルじゃねぇぞ!」 谷口「仮性人だって同じだ! 銭湯じゃ思わずタオルで前を隠してしまうほどのコンプレックスを抱いて生きているんだぞ!」 鶴屋「殿中でござる! 殿中でござる!」 谷口「ちくしょう! 離せよぉ!」 谷口「離すでゲス、下衆でゲス!」 谷口「甘ったれるな! 牛乳飲んでデカくなるってんなら、俺が飲みたいわ! 俺によこせ!」 谷口「俺によこせえええぇぇぇ!」 長門「………」 谷口「おおきくしてくれええええええええええええ!!」 ~~~~~ ハルヒ「よかった。有希が思いとどまってくれて。戻ってきてくれて……」 キョン「ああ。手段はともかく、今回ばかりは谷口に感謝しないとな」 古泉「ま、こういうこともありますよ」 長門「………あなたには、酷いことをしてしまった。こんなことが言えた義理ではないが、許してもらいたい」 みくる「いいんですよ。もう。言ったでしょう? 気にしてないって」 ハルヒ「これにて一件落着。雨降って地固まるということわざもあることだし。これを機に、さらにSOS団の絆は強固なものになったはずよ!} キョン「ま、今はそういうポジティブな思考が一番いいな」 みくる「それにね。私も、長門さんの気持ちが、痛いほどよく分かったから」 長門「………え」 みくる「だって。私、豊胸手術で胸を大きくしたんですもの」 ハルヒ「だまされた……orz」 キョン「だまされた……orz」 古泉「だまされた……orz」 鶴屋「だまされた……orz」 みくる「長門さん。これからも仲良くしましょうね」 長門「………うん」 みくる&長門「(*゚∀゚)人(゚∀゚*)ナカーマ」 ~おしまい~
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『真冬のゆっくり対策』 「この時期に色々と対策を取ったほうがいいですよ」 ある村で会議が開かれていた。この村はゆっくりによる農作物の被害が多かった。 「確かに今が一番いいわね。今ならみんな冬篭り中だし手こずる事も無いでしょう」 ちなみに今は真冬。ゆっくりは冬篭り中で村には出没していない。そのうちにゆっくりの数を減らしてしまおうというのだ。 「春になったらまた子作りしますよ。そうしたら被害が増えるだけだ」 「ドスまりさも冬は動けませんよ。やるなら今です」 「しかしこの村の人数ではな…」 「でしたら周りの村や町にも応援を頼みましょう。虐待好きな方も動員しましょう」 「わざわざ来てくれるかね」 「どこも真冬はゆっくりが少なくて虐待が中々できないそうですよ。この辺りはゆっくりが多いようですから見つけやすいんじゃないですか? 喜んできてくれますよ。」 「いや…そっちの人のことを言ったんじゃないんだが…」 何はともあれゆっくり駆除の募集が行われた。 「ふ~ん…ゆっくり駆除ね」 新聞を読みつつ虐待お兄ちゃんは呟いた。 "ゆっくりを虐めたくてうずうずしてませんか?" 「してる。この時期は粋の良いゆっくりがいないんだよなあ」 彼の住んでいる村のそばだけでなく大抵の場合冬になるとゆっくりを見つけるのに少々手間取ってしまう。手間をかけてまでゆっくりを捕獲し 虐める人はそんなにいない。たまに自宅に忍び込もうとするゆっくりを捕まえて虐待するくらいだ。 「そういえばこの村は結構ゆっくり被害が多かったな」 "報酬はあまり出せませんが特産品をご馳走します" 「あ、この村確か良い酒があったんだ。結構高いやつ」 村の経済状況ではそれが精一杯だった。 "いつでもお越しください。ご協力お願いします" 「人助け&酒&虐待。良いこと尽くめじゃないか。早速出かけよう」 「うう…寒いわ」 虐待お兄ちゃんは村に着いた。彼が住んでいる村とは違い雪が積もっていた。 「そうか…雪がよく降るところだから米が良くて酒が美味いんだな」 彼の他にも多くの人達が着ていた。 「皆様、遠いところから良くおいで下さいました」 「この村はゆっくりによる被害が多くて困ってます。力を貸してください」 「無理はなさらないでください。夕方には戻ってきてください。夕食を用意いたします」 「ドスはここからかなり遠いところにいるので遭遇する心配はありません。ご安心ください」 「皆様お願いします」 彼らは準備を整え山へ向かった。 虐待お兄ちゃんは木の根っこの辺りを探していた。まずゆっくりが巣にしているのは木の根っこの下である。 「うーん…あ、ここ怪しい」 ゆっくりは冬篭りをする時入り口に草や石などを詰め寒さを防ぐという。不自然に石が固まって置いてある場所は巣の可能性がある。 「手ごろな大きさの石はないかな…」 彼はブロック程の大きさの石を見つけた後シャベルで木の根っこの辺りを掘り出した。 巣の中- 「ゆぅ…きょうはさむいね」 「おきゃあしゃん!しゅりしゅりすりゅちょ、ちょっちぇもあっちゃかいよ!」 「まりさともすりすりしてね」 「れいむも、れいむもすりすり~」 巣の中は典型的な幸せ家族であった。まりさとれいむに子れいむ、赤まりさ、赤れいむの5匹だ。巣の中は5匹と貯蔵している食糧でギリギリ といったところであった。 「せまくてごめんね、らいねんはもっとひろいおうちにすもうね」 「そんなことないよ。まりさががんばってつくったおうちだもん。とってもゆっくりできるよ」 「しょうだよ!まりしゃちょっちぇもゆっきゅりしちぇるよ!!」 そんな幸せムードもここまでだった。 「……で……~。は……す…よ…」 「ゆ!なにかきこえるよ」 「ゆ!なんだかさむくなってきたよ!!」 「しゃみゅいよお」 「はるですよ~!!!!!」 「「「「「ゆゆゆ!!!!」」」」」 入り口が壊され虐待お兄ちゃんが巣の中をのぞいていた。 「はるですよ~。なんちゃって」 「きょきょはまりしゃたちのゆkk…ゆぴいいいいい!!!しゃみゅいいいい!!!!」 「おちびちゃんたちはおかあさんのおくちのなかにはいってね!!」 「おじさん!!ゆうう!!!ここはまりさたちのおうちだよ!!さっさとでていってね!!!さむうううう!!!!!」 「あれ、まさか冬篭り中だったかい?」 「そうだよ!!!!だからゆっくりしないででていってね!!!!ゆううう!!」 「すまないねえ。なあ、ゆっくりと遊びたいんだけどこの辺りにゆっくりはいないかい?」 「ゆっくりしないででていってね!!!いりぐちなおs…ゆぴいいいい!!!!」 「早く教えてよ。いないんだったら君達と遊ぼうか」 「となりのきにありすがいるよ!!!まりさもいるよ!だからはやくでていってね!!」 「そうか、それはどうも。お礼に入り口埋めてあげるよ」 「ゆっくりしないでね!」 「じゃあ奥に入ってくれ」 「わかったよ!れいむ、おちびちゃんおくにいってね」 ゆっくり達が奥に入ったのを確認すると彼は石を巣の中にぶち込んでいった。 「丁度すっぽり挟まったね。これなら大丈夫だね」 彼は隣の木に向かった。 「ゆううう!!!!おじさん!!!ふさがってないよ!!!」 「もう…まりさがふさぐ…ゆゆゆ!!いしさんがじゃまでまえにすすめないんだぜ!!!」 「さむいよおおおおお!!!」 「ゆっきゅりできなああいいい!!!!」 「ゆんしょ…ゆんしょ…ゆうううう!!!!!」 「さて、多分ここだな。ここがありすのおうちか。今度はベーシックにいこう」 彼はシャベルで掘り始めた。 「はるですよ~。はるですよ~。でてきてね~」 巣の中- 「むきゅ…きょうはひえるわね」 「ぱちぇ、まりさとくっつくんだぜ!まりさがあっためてあげるんだぜ!」 「むきゅ~ん…ほかほかするわ」 「ぱ…ぱちぇ…まりさは…まりさはぱちぇとすっきりしたいんだぜ!!!」 「だめよまりさ。ごはんがすくないわ。あかちゃんなんてうめないわ」 「はるまでまてないんだぜ!!」 「まりさ……むきゅ!いりぐちがこわれてるわ!!」 「ゆ!」 「おうおう、おアツイねえ。あれ、ありすじゃねえ」 彼は巣を覗きニヤニヤしていた。 「おじさん!まりさのあいのすになんのようだぜ!!!」 「さむいわ!!ゆっくりできないわ!!」 「いやはや、おアツイところを失礼したよ。でもアツすぎると赤ちゃん産んじゃって冬越せなくなっちゃうよ。頭冷やそうね」 彼は巣の入り口を滅茶苦茶に壊していった。 「やべでえええ!!!!!あいのずがごわれぢゃううううう!!!」 「ゆぴいいいいい!!!!さむくてゆっぐりできなあいいい!!!!」 入り口どころか巣は修復不可能なほどに壊されてしまった。 「これなら少しは冷静になるね。じゃあね」 「むきゅううううう!!!!!!!」 「おじざん!!!!!!ゆうううう!!!!!おうぢなおじでええええ!!!!さむくでゆっくりできないよおおお!!!!」 「どうじだらいいのおおおお!!!!!」 「おうぢなおずんだ…ゆぴいいいいい!!!…ゆうう!!!ごはんがかぜでとばされでるんだぜええ!!!」 「今度こそありすのおうちはここだな」 巣の中- 「みんなごはんにするよ!」 「ゆっくりできるよ」 「きょうはむししゃんがたべちゃいよ」 「きょうはとくにひえるからとかいはならんちにしましょう」 「やったね!ごちそうだね!」 「「「「「むーしゃむーしゃ…しあわせぇ♪」」」」」 こちらも幸せな家族団欒であった。ありすとれいむの若干珍しい組み合わせ。子ゆっくり2匹と赤ゆっくり1匹だ。 「こんやはもっとひえるからよくたべてねましょうね」 「さむいよおお」 「だいじょうぶだよおちびちゃん。れいむおかあさんとす~りす~りしましょうね~」 「「す~りす~り」」 「ありちゅもしゅ~りしゅ~りしちゃ~い」 「ありすもす~りす~り」 突然だった。 「ゆ!なんだかすうすうするよ!!」 「おきゃあしゃん!おしょちょがみえちぇりゅよ!」 「とかいはなおうちをこわすいなかものはだれ!!!!さむいっ!!!!」 「ビンゴ。ありすだ」 「ここはありすたちのとかいはなおうちよ!!!いなかものはでていってね!!」 「しょーだしょーだ!」 「おかあさん!!さむいいいい!!!!」 「ハハハ。悪い悪い。プレゼント持ってきたんだけど余計だったかな」 「ぷれぜんと!」 「あまあまさん?おにいさん!あまあまさんくれるの?」 「べ…べつにぷれぜんとなんかでつられないわよ!だけど…あげたいならもらってあげてもいいわよ!」 「じゃあみんな、巣の奥に入って目を瞑っててね」 「ゆっくりおめめつむるよ」 「さみゅいきゃらゆっきゅりしにゃいでね」 「あまあまさん…あまあまさん…」 ドサアア!!!! 「ちべだあああいいいいい!!!」 彼が巣の中に入れたのは雪だった。 「遠慮するな。どんどん入れてあげるから」 「ちゅめちゃいよ!!!」 「やべでええ!!!ありすのとがいはなおうちがああ!!!!」 「それそれ!それそれ!」 「やめ…むぐうううう!!!…っぺっぺ…やべでええええ!!!!!むぐううううう…」 「いやあああああ!!!!ゆきさんこっちごないでええ!!!!」 「ほれ。トントンっと」 巣の中が雪でいっぱいになるとパンパンっと雪を固めて入り口を塞いだ。 「一面銀世界だなんてなんて都会派なんだろうね!!」 彼は次のターゲットを探したが中々見つからなかった。実は木の根っこを冬篭り用の巣にするゆっくりは少数らしい。 というのも巣が広げにくく食糧が貯めにくい事と雪の重みで入り口が壊れてしまうケースがあるからだ。 「あ、ここも空っぽだ。仕方ない根っこは諦めるか」 春になったら戻ってくるゆっくりもいるらしい。彼は山の奥の方へ向かった。 虐待お兄ちゃんがいなくなってから数分後- 「「ゆんしょ…ゆんしょ…」」 「おきゃあしゃんがんばっちぇね!」 「あかちゃんさむくない?す~りす~り…」 「しゅ~りしゅ~り…ゆうううう…しゃみゅいよおお」 石で入り口を中途半端に塞がれた家族である。 「ゆうううう!!!いしさん!!おうちからでていってね!」 「これじゃだめだよ…みんな!てつだってね。みんなでがんばればいしさんをどかせるよ!」 「まりしゃもぎゃんばりゅよ!」 「あかちゃん、がんばろうね」 「「「「「えいえいゆー!!」」」」」 「「「「「ゆんしょ!ゆんしょ!…」」」」」 微かに石が動いた。 「ゆ!うごいたよ!」 「みんながんばってね!」 「「ゆうう…みょうちゅかれちゃよ…」」 「れいむももうだめええ」 3匹が力尽きた時だった。 「「ゆべっ!!!!」」 「おかあさん!!」 「「ぎゃああ!!!!」」 親ゆっくり2匹が石に潰されてしまった。 「ばりざのあんよがああああ!!!!」 「でいぶのおがおがあああ!!!」 もうこの家族は冬を越せないだろう 「ゆびゅううううう…どうじよう…」 巣を壊されたまりぱちゅ。なんとか巣をそれらしい形にまでは戻したが寒気は容赦なく巣の中に入ってくる。食糧も大半が風で飛ばされてしまった。 「む…き…ゅ…」 「ぱちぇえええ!!!しっがりじでええ!!!!」 「もうだめだわ…ぱちぇは…もう…」 「ゆっくりしようよ!!!!!まりさといっしょにゆっくりいいいい!!!!」 ビュウッ!!!!! 強めの風が吹いた。 「ゆがああああ!!!!おうぢがあああ!!!!」 巣が壊れてしまった。さらに 「ゆああああ!!!!!まりさのぼうじがああ!!!!!ぼうじざんまっでえええ!!!!」 まりさの帽子が飛ばされてしまった。まりさは帽子を追って巣から出て行ってしまった。 「…ま…りさ…ぐ…ずっ…ひどいわ…」 まりさが帽子を取り戻し巣に戻ってきた頃にはぱちゅりーは死んでいた。まりさも直にぱちゅりーのもとへ逝くだろう。 「「「「「………………」」」」」 巣の中に雪を詰められた家族はみな固まってしまい動いていない。 「「「「「………………」」」」」 凍死ではなく仮死状態のようだ。解けた雪が体を溶かすより早く意識を戻すことができるのだろうか。 つづく by 虐待おにいちゃん
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※これはfuku1783 ゆっくり腹話術(前)の続きになります 子れいむと親れいむを失い、残り四匹となったゆっくり一家の後を追う。 親れいむが人間に連れ去られたショックはあるものの、ゆっくり一家にあるのは悲壮感ばかりではなかった。 残ったものが死んでいったものたちの分までゆっくりしよう、という思いなのだろう。 「ゆぅ、おにゃかちゅいたね…………」 ポツリ、と子れいむが呟いた。 「「ゆぅ……」」 その言葉に賛同するように声を漏らす二匹の子まりさ達。 このゆっくり一家は食べ物を求めて人里にやってきたが、狙った食べ物にはことごとくありつけなかった上に死ぬかもしれない思いまでしている。 空腹は既にかなりのものになっていることだろう。 腹を空かせる我が子の姿を直視できないのか、なんでもいいから食べ物を探そうとしたのか、親まりさは視線をキョロキョロと辺りに飛ばす。 すると、 「お~い、ノブナガ~。メシだぞ~」 近くの民家から一人の老人が皿を持って外へ出てきた。 どうやら飼っている犬にエサを与えに来たようだ。 老人が犬小屋の前にエサを盛った皿を置くと、バネ仕掛けのおもちゃのように勢いよく一匹の柴犬が犬小屋から飛び出してきた。 ガツガツと勢いよく食べる飼い犬の姿を満足そうに眺めた後、老人は家の中へと戻っていった。 「「「……………」」」 視線をゆっくり達へ戻すと、案の定というか子ゆっくり達は羨ましそうに犬のエサを見つめ、口の端からはだら~、とよだれまで出ていた。 親まりさも私と同じくその姿を見たのか、 「ゆっ、まりさにまかせてね。いぬさんからごはんをもらってくるよ!」 そう子ゆっくり達に言い残してすぐさまその場を駆け(跳ね)だした。 本来は人里の美味しい食べ物を狙いにきたのだろうが、犬のエサまで狙うとは。 余程腹を空かせていたのだろう。 「ゆっ、おとうしゃんがんばっちぇね!」 「むのうなおかあしゃんとはちがうもんね!」 「いぬしゃんなんかぶったおちちゃえ!」 親まりさの背後からは子れいむや子まりさの声援。 その声援を受け親まりさは犬のもとへ向かう速度を更に加速させると、そのままの勢いで食事中の犬のどてっぱらに体当たりを仕掛けた。 「ゆぉぉぉぉぉぉ!!」 「キャウンッ!?」 突然のことに思わずよろめき、その場から退く犬。 それを自分の勝利と思ったのか、親まりさは子ゆっくり達に「みんな~、おいで~。ごはんだよ~」と呼びかけていた。 「やっちゃー、さすがおとうしゃん!」 「おなかちゅいたよ~」 すぐさま親まりさの元へ結集する子ゆっくり達。 そしてゆっくり一家は犬のエサが盛られた皿に一斉に殺到した。 「「「む~しゃむ~しゃ、ちあわせ~」」」 犬のエサといえど野生のゆっくりの常の食事に比べれば豪勢だ。 子ゆっくり達の幸せそうな顔を、子の幸せは我が子の幸せだという顔で見つめる親まりさだったが、自分も腹を満たさねばと皿のエサを食べようとするが 「バウッ!!」 犬の鳴き声に驚き飛び上がった。 「ゆっ、ゆっ!? び、びっくりさせないでね! これはまりさたちのごはんなんだからいぬさんはさっさと────い゛だい゛いいい!!!!」 親まりさは抗議の声をあげたが、犬に言葉が通じるわけもなく、頭の一部を噛み千切られていた。 噛み千切られ失った左半分の頭部からは餡子が漏れ出ている。 「ゆっ、おとうしゃん!?」 「おとうしゃんににゃにするのぉぉ!!」 「だめぇぇぇぇ!! にげてぇぇぇぇ!!」 親の仇だ、と犬に突進しようする子まりさ達を諌める親まりさの声に、この犬も人間同様敵わぬ相手と悟ったのか、すぐさま逃亡を図る子ゆっくり達。 親まりさも噛み付かれたが頭部は千切られていたため、すぐにその場を離れることができた。 だが、子れいむが一匹、逃げ遅れていた。 犬から一番遠い位置に居て、犬に突っかかろうともせずに逃走の体勢に入っていた子れいむ。 本来ならば真っ先に逃げられていたであろうが、子まりさが子れいむを踏みつけていったため逃げ遅れていたのだ。 「ゆっ~、まっちぇぇ!」 背後からは犬が外敵を排除せんと追ってきている。逃げ遅れている自分。 恐らく子れいむは最初に死んだ自分の姉妹のことを思い出していたことだろう。 しかし、ここで子れいむを殺してしまっては私の計画が狂ってしまう。 私は子れいむを踏みつけていった子まりさに狙いを定めると、『腹話術』を使用した。 「ゆっ!? 〝ガメラが飛ぶ時の回転数すごすぎぃぃぃぃぃ!!!〟」 『腹話術』をかけられた相手はその間気を失う。 つまり、気を失った子まりさの足は止まるということだ。 足の止まった子まりさを追い抜いていく子れいむ。 理由は分からないだろうが助かったので特に気にすることはないだろう。 「…………ゆっ!? なんでれいむがまえにいりゅ────ゆ゛ーーーーー!!!!!」 子まりさが気が付いた次の瞬間には、子まりさは犬に咥えられていた。 「いだいよ゛ぉぉぉぉ!!! おどうじゃんだずげでよ゛ぉぉぉ!!」 噛まれ、宙に浮く子まりさは泣き叫び親に助けを乞う。 しかし親まりさは無力である。ゆっくりが自分より体の大きいものに敵うはずもない。 「ゆっ、ゆっ……!」 犬は鎖に繋がれているため鎖の長さ以上の距離を逃げている親まりさ達は襲われることはない。 だが犬の行動範囲内に飛び込もうものなら今度こそ問答無用に殺されてしまうだろう。 子まりさを助けることは最早不可能だった。 「ゆ゛っ、ごべんね、ごべんねぇぇぇぇ!!」 親まりさは涙を流しながら子まりさを見捨てた。 残った子まりさと子れいむを連れて全速力でその場を逃げ出したのだ。 「ゆっ、おとうしゃん、まりさのいもうちょがぁぁぁぁ!!!」 「だめだよぉぉぉ!! みんなしんじゃうよぉぉぉ!!」 親まりさに咥えられた子まりさは犬に咥えられた子まりさを助けるよう求めるが、それは叶わぬ願い。 子れいむも子まりさを助けようとしたのかいくらか逡巡していたが、やがてどうやっても助けられぬと分かったのか去り行く父親達の後を追っていった。 「どぼぢでぇぇぇぇ!!! なんでまりしゃを……ゆがべぺ……ゆ゛っ!!」 助けられなかった子まりさは、身の程を弁えぬ所業と身内を蹴落とすという外道な行いの報いを受ける。 子まりさは少しずつ咀嚼されるという苦しみの中息絶えていった。 その死に顔は私の胸がすっ、とするほどの絶望と苦しみに彩られていた。 「…………くふっ」 思わず笑いが漏れる。 遂に半分にまで数の減ったゆっくりの一家はその歩を人里の中心に向けていた。 だが当人達は気づいてないだろう。ただ襲い来る脅威から逃げていただけにすぎない。 やつらは気づいていない。自分達から危険に近づいていることに。 「……ゆっ? おとうしゃん、いいにおいがするよっ!」 それまで俯いてしょこしょこと小さく跳ねていた子まりさがその場で嬉しさを表現するように跳びはねた。 言われ親まりさと子れいむもその場で立ち止まり鼻(?)をひくひくさせて臭いを嗅ぎ取ろうとする。 「ゆっ、ほんちょだ! おいちしょうなにおいがしゅるよ、おとうしゃん!」 「ゆゆっ、ほんとうだね! こっちからするよ! ゆっくりできるよ!」 それまで沈んでいた家族の間に笑顔が戻ってきた。 ゆっくり一家はその笑顔のまま臭いのする方へとぴょこぴょこと進んでいった。 だがゆっくり一家がその先で「しあわせ~」になることはないだろう。 ゆっくり達の向かった先、「いいにおい」の出所は、焼き鳥屋だった。 私もよく行く馴染みの店だ。 夜になると人間や妖怪達が一緒に酒を飲み騒いでいる。 今日も店の中からは様々な笑い声や上手そうな焼き鳥の匂いが漏れ出ている。 中の者だけではなく近くを通りかかった外の者まで陽気にさせる、私の好きないつもの雰囲気だった。 「ゆっ、ここからおいしそうなにおいがするよ」 「ゆっ♪ ゆっ♪ これでゆっくりできるね~♪」 パンドラの箱に残った希望を見つけた人間のような表情をしながら焼き鳥屋の方へと跳ねていくゆっくり一家。 焼き鳥屋の入り口は引き戸なのでゆっくりには開けられないかと思ったが、誰かが閉め忘れたのか若干開いており、そこに親まりさが自分の頬を突っ込んでむりやり戸をこじ開け入っていった。 私は店に入るか入るまいか若干迷ったが結局入ることにした。 「ゆ~♪ おいちちょ~♪」 中に入ると子ゆっくりが歓喜の声をあげていた。 店の者達は入ってきたゆっくりを気にもとめず(というか気づいていない)皆好き勝手に飲み騒いでいた。 まだ日が沈んでから一刻も経っていないというのに気の早い連中だ。 ぴょこぴょこと跳ねながらゆっくり一家はカウンター席の方へと向かっている。 私もゆっくりの後に続いてカウンター席へと向かう。 普通に歩いてはゆっくりを追い抜いてしまうから牛歩戦術だ。 ゆっくり一家はカウンター席の下まで辿り着くと、親まりさが空いている席の椅子へとジャンプした。 そして椅子からカウンターへと再びジャンプ。カウンターの上に乗った親まりさはカウンターの向こう側で焼き鳥を焼いている店主(私達は敬意と親しみを込めて〝マスター〟と呼んでいる)に向かってこう要求した。 「ゆ~、おじさん! まりさたちにもごはんちょうだいね!」 どうやらマスターが客に注文された酒や焼き鳥を渡すのを見て、マスターが食べ物をくれる人だと勘違いしたようだ。 「おぉう? なんだ、ゆっくりじゃねぇか」 親まりさにマスターよりも先にすぐ隣の席で酒を飲んでいた客が気づいた。 って、誰かと思えば飲み癖と悪食とロリコン趣味で有名なタケさんじゃないか。 流石に稗田家の当主はやめておいた方がいい、と今日こそ言うべきか? 「なんだ? 誰がゆっくり入れたのは」 タケさんが親戚のわんぱく坊主でも見るかのような反応を示したのに対し、マスターは明らかに不機嫌そうだった。無理もないか。 「いや、店の戸が半開きだったんですよ」 タケさんの隣の席に座り、誰かに濡れ衣が着せられる前に私がフォローに入った。 「おぉう、なんだ、お前がゆっくりを連れてきたのか? ……ゥィック」 「違いますよ」 やんわりと否定しておく。どっちかっていうとゆっくりが私を連れてきたようなものだ。 というかタケさんもう酔ってるんかい。 「ゆっ! ゆっくりむししないでね! さっさとまりさとまりさのこどもたちのためにごはんをよういしてね!」 見ると親まりさがその体を膨らませて怒っていることをアピールしていた。 それを見てタケさんがゲラゲラと笑い、マスターが更に不機嫌そうな顔になり、私の虐待エナジーが高まる。 「ちょうだちょうだ! さっさとまりしゃたちにごはんをよういしてね!」 カウンター席の下、タケさんの足元で子まりさも親に続き抗議の声をあげる。 タケさんがその声で子ゆっくりが居ることに気づき視線を下に向け 「おぉう、ちみっこもいるのか~」 と陽気に笑った。 …………決めた。 親まりさ、貴様を潰すのは後だ。 ここでは子まりさを潰す。 私は『腹話術』を、今度はゆっくりではなく、タケさんに向けて発動させた。 「〝おぉう、マスター! ちょいとこの子ゆっくり焼いてくれや!〟」 「「ゆっ!?」」 親まりさと子まりさが跳ね上がる。 私は『腹話術』をかけられ自分が注文したことを知らないタケさんに代わり、床にいる子ゆっくりを拾い上げた。 「ゆっ!? まりしゃをどうちゅるの! ゆっくりはなちてね!」 「はなちぇ~!!」 掴まれた子まりさがジタジタと身をよじり、側にいた子れいむがピタンと体当たりをしかけるが効果は無し。 なんの障害もなく子まりさは私からマスターへと手渡された。 「まったく、タケさんの悪食っぷりは相変わらずだねぇ」 マスターはそうぼやくだけで特に疑問ももたず子まりさの調理にかかった。マスターも馴れたものだ。 「まりさのごどもがえせぇぇぇぇぇ!!!」と私が子まりさを掴んだあたりから親まりさが騒いでいたが、タケさんが面白がって押さえつけていたので何もできていない。 マスターは子まりさを軽く水あらいして「ゆぐがぼべっ!!」、さっと振って水気を飛ばすと「ゆゆゆっ!?」、焼き鳥を焼く金網の上に子まりさを乗せた。 「あ゛ぁぁぁつ゛つづっっいいいぃいぃよおおぉぉ!!!」 ボロボロと涙を流す金網の上の子まりさ。零れ落ちた涙はすぐにジュッと蒸発する。 なんとか金網の上から逃れようとするもマスターが上から菜箸で押さえつけているため動けない。 「ゆぎゃ"ぁ"ぁぁ"!!!ま゛り゛ざのごどもがぁぁぁ!!いぎゃ"ぁ"ぁ"!! タケさんに押さえつけられている親まりさがカウンターで泣き叫ぶ。 ガハハハハハと笑いながらタケさんに押さえつけられている無力な親まりさは素晴らしい程に滑稽だった。 「ぶわっはっはっはっは」 とついつい私も笑ってしまう。 私のことを知らない他人が見ればどこの大根役者だと思うことだろうが。 「おどうじゃん、だずげでよぉぉぉ!!! いぎゃ"ぁ"ぁ"!! まりじゃのあぢがぁぁぁぁ!!」 金網の上で泣き喚く子まりさを、マスターは無慈悲に菜箸で転がす。 今度は顔面が金網のつく形になった。 「ゆ゙ーーっ゙!!! も゛う゛や゛め゛でえ゛えええ!!」 ハッキリ言って煩いが顔面を焼かれているためすぐに大人しくなるだろう。 もう一つのうるさい親まりさはと言うと 「グワッハッハッハ、なんだお前、頭ないじゃんぶわっはっはっは」 と欠けた頭部からタケさんに箸を突っ込まれ頭の中の餡子をグチャグチャにされていた。 「ゆ゛! ゆ゛! ゆ゛! ゆ゛…!」 なんだか白目を向いて痙攣していた。はっきり言って気持ち悪い。キモイじゃなくて気持ち悪い。 「へい、焼きゆっくり一丁!」 やがて子まりさが焼き上がり小皿に乗せられタケさんの前に置かれた。 「ま"り"ざのごどもがぢんじゃっだぁ"ぁ"ぁ"!!どぼじでごんなごとずるのぉ"ぉ"!!」 「あれ? 俺焼きゆっくりなんて頼んだっけ?」 「なんだい酔っ払いすぎだよタケさん」 「そうだよタケさん、酔いすぎだよ」 焼きゆっくりの注文は私が『腹話術』で頼んだためタケさんは覚えているはずがないのだが、マスターの言葉尻に乗って酔ったせいにしておく。 「んあ~、そう言われれば頼んだ気も…………でもいらねぇや」 タケさんはそう言って子まりさを掴むと床に叩きつけて草履の踵部分でグリグリとすり潰した。 その光景を子れいむは間近で見ることになったことに、私は気づいていた。 「あぁ、もう。やめてくれやタケさん、掃除するの俺なんだから」 「おっと、わりぃなマスター。代わりにもう一杯くれや」 「何が代わりなんだか」 「ゆぐ……ぐずっ……なんでごんなごどするのぉ……まりざのごどもがぁ……」 「なんだ、まだいたのかこのゆっくり」 「あ、私が外に出しておきますよ」 マスターの不機嫌が本気でヤバい段階にいきそうだったのでマスターに潰される前に私は親まりさを抱えて外に向かっていく。 もちろん子れいむも忘れずに足で外へと蹴飛ばしながらだ。 「飲みにきたんじゃないのか?」 「焼き鳥を家で食おうかな、と思っただけです。後でまたとりにきますから焼いといてください」 「あいよ」 成り行きで今晩の飯が決まった。 だが飯の前に、最後の仕上げだ。 ふっふっふっ、最後は私自ら手を下そうぞ。 どこのラスボスだよ。 私は親まりさを抱え子れいむを蹴りながら焼き鳥屋と隣の酒屋の間の狭い路地に入った。 その間親まりさを子れいむも子供のようにボロボロと涙を流し続けていた。 「さて、と」 子れいむを蹴飛ばすのをやめ、子れいむの脇に親まりさを置いた。 ゆっくりと視線を合わせようと、その場にしゃがみこむ。それでも私の方が視線が上だが。 「おいゆっくり。なんでこんなことになっているかわかるか?」 「ゆっ、ゆぐっ……まりざのごどもがぁぁぁ……」 「質問に答えろよクズ饅頭」 親まりさの口に拳を突っ込む。喉までだ。 そして体の奥底の餡子を一握り掴むと勢いよく引っ張り出した。 「ゆべぇぇぇぇぇ!!!」 叫び、咽る親まりさ。 その顔に親まりさの体から抜き出した餡子を叩き付け、もう一度問う。 「なんで、こんな、ことに、なって、いるか、わかるか?」 脳の足りないゆっくりにも分かりやすいように一語一語区切りながら。 それで流石に理解したのか親まりさは泣きながら答えた。 「ゆぶっ、にんげんだぢがまりざだぢのじゃまずるがらだよぉぉぉ!!」 「残念、不正解だ」 罰として今度は親まりさの歯を引っこ抜いてやる。 もちろん道具など使わない。素手だ。 左手で上顎を掴み、右手で前歯の一本(歯は飴だった)を情け容赦なく引っこ抜いてやった。 「ゆぼぉぉぉ!?」 「ゆゆっ、おとうしゃん!!」 それまで親まりさの後ろでガタガタ震えていただけの子れいむも恐怖を忘れて親まりさを心配する。 だが子れいむ。貴様は今は後回しだ。 「正解を教えてやるよ」 私はそう囁きかけながら引っこ抜いた歯を親まりさの右目にぐりぐりとおしつけてやる。 「ゆがっ、べぽ……ぜいがいっでな゛に゛ぃぃぃぃぃ!!!」 「お前らが身の程も弁えず人間の里に来たこと。それと家族を見捨てたことだ」 親まりさはその言葉でカッと目を見開く。何故知っているのかという顔だ。 だが今はそこを言及する場合ではないと分かっているのか、口にしたのは弁解だった。 「ゆっ、だっで、だっで、ごはんがもうないんだよっ! にんげんのごはんをもらわないといぎでいげないんだよっ!」 「それはお前等の怠慢だ」 罰として頬をちぎってやる。 「ゆ゙ーーっ゙!!! …………ぞ、ぞれに、みずでだわげじゃないんだよっ! あぁじないど、みんなゆっぐりでぎないがら、じがだがなかったんだよっ!」 「ほぉ、つまりお前は多数を助けるために少数を尊い犠牲としたと?」 「ゆ゛っ! そうだよ! まりさはかぞくをたすけるためにしかたなく────!」 私は親まりさの行動を思い返す。 確かに、親れいむほど悲しみに打ち震えていなかったが、子まりさほど死んだ者を罵倒してもいなかった。 子れいむの足を引っ張って死なせたのも子まりさだ。親まりさじゃない。 親のほうのまりさは、割といい親だったのかもしれない。 こいつの言い分を鵜呑みにするならば、必要以上に悲しみに暮れなかったのも、一家の大黒柱の責任故だったのかもしれない。 でもそんなの関係ねえ。 「でもな、まりさ?」 「ゆっ?」 「そのまりさが助けたようとした家族、子れいむ以外みーんな死んじゃってるけど?」 「ゆっ!? ゆゆゆゆっ……!」 私の言葉にガタガタを震える親まりさ。 気づいたのだ。多数を助けるために少数を犠牲と成すやり方で、助かったのは少数なのだと。 「で、でもっ! れいむはいぎで────」 「こんなクズな親のもとにいたられいむゆっくりできないから、この子は私がもらっていくね?」 「「ゆっ!?」」 それまで黙っていた子れいむまで驚愕する。 そんなゆっくりには構わず私は子れいむを掴むと着ていた服の懐に入れた。 くぐもった「ゆ゛っーーー!!」とした声がわずかに聞こえてくるが無視しておく。 「ゆ゛ぅぅぅぅ!! ゆっぐりやめてね!!! まりざのごどもがえじでね!!」 子供を取り返そうと飛び掛ってくる親まりさの顔面を掴んでやると私は立ち上がり、そのまま表まで歩いていった。 手の中で「ゆがぁぁぁぁ!! はなぜぇぇぇぇ!!」と親まりさが喚いている。 吐息が気持ち悪かった。 私は人里の中を親まりさを掴んだまましばらく歩く。 道行く人、妖怪が親まりさの叫びに気づいてこちらを見やるが、私がゆっくりを掴んで歩いているのを見ると「なんだ、ただの虐待お兄さんか」と視線を外した。 そして私は人里の中で、二つの通りが交差する場所まで来ると、親まりさを地面へと落とした。 「ゆべっ!?」 ずでん、と転がる親まりさを一回蹴った後、私は懐からさっきの子れいむを取り出した。 「ゆっ! れいみゅをかえちてくれりゅの?」 無視。 「さてまりさ。選ばせてやる」 「ゆっ、ゆっ、まりざのごどもをがえ────」 「黙れクズ饅頭。喋っているのは私だ」 まともに会話できそうにないので口元を踏みつけて黙らせた。 しばらく「ゆ゛ーーー!! ゆ゛ーーー!!」と身を捩じらせていたが私が足をどけないと分かると少し静かになった。 「さて、お前に選ばせてやる」 そういいながら手の中の子れいむを眼前に突き出してやる。 子れいむも煩いので指を口に突っ込ませて黙らせている。 「お前があくまでこいつを返して欲しい、と私に戦いを挑むのであれば、こいつは死ぬ」 「「────っ!?」」 ゆっくりの目が見開かれる。 「だが、お前がこいつの命を助けて欲しいと願うのであれば、私はこいつをゆっくりさせてやるし、お前も逃がしてやろう」 私はそこで足をどけてやる。 「ゆっ! おじさんほんと!?」 「おにいさんだクズ饅頭」 口に蹴りをぶち込み歯を二、三本折ってやる。 「あぎゃぁッああ!! …………ゆ゛っ、おにいさん、ほんどう? そのごゆっぐりざぜでぐれる?」 「ああ、もちろんだとも」 「このまままりざががえれば、そのごゆっぐりでぎるの?」 「その通りだ」 このやり取りの間、子れいむはずっと声も出せず泣いていた。 目の前で親が見るも無惨にやられている。 悔しいのか、悲しいのか。 私にとってはどちらでもどうでもいい。 ただ指にたれてきた涙の生暖かさが、こいつは〝私流〟にゆっくりさせてやろうと決意させただけだ。 私は親まりさの頭をつかむと後ろを向かせてやった。 「道が二つある。どちらでも好きな方へ行って帰れ」 そう言ってやると、親まりさはしばらくその場で悩んだ。 だが、答えはもう決まっているだろう。 「ゆ゛っ、わがっだよ。まりざはおうぢがえるよ。だから、まりざのごどもゆっぐりざぜてね?」 「ああ、約束だ」 「じゃあね…………バイバイ……」 そう呟く親まりさの語尾は尻すぼみに消えていった。 やがてとぼとぼと左右のうちの右の道から里の外へと向かっていく親まりさ。 私は子れいむの口を塞いでいる指を抜いてやった。 「ゆぐっ……! おとうしゃぁぁぁぁぁん!!」 親を呼ぶ子の声。 今生の分かれとなる親子の、最後の会話。 親まりさは子れいむの声に振り返ると、くしゃり、とその顔を涙で崩すと、精一杯の声で叫んだ。 「ゆっくりしていってね!!!」 それで最後。 親まりさは子れいむの反応も見ずに全力で駆け出した。我が家へと。 親まりさの選択は正しかった。 命あってのものだねだ。 最後は二匹になってしまったが、全滅はしていない。 あの親まりさも私が見逃してやったことによって、やがてまた新しい所帯を持つことだろう。 この悲劇を教訓に、次こそゆっくりとした生涯を送るであろう。 次こそ、そう次こそ────。 「見逃してあげても、よかったんだけどねぇ」 君が悪いんだよ、まりさ。 私は選ばせてやった。〝どちらの道で帰るか〟を。 なのに君はそっちを選んだ。 あぁあ、なんてこったいまりさ。 君が逆の道を選んでいれば、幸せになれたかもしれないのに。 君が、いけないんだよ。 君がそっちの道を選ぶから 「君は、彼女へのプレゼントだ」 親まりさが選んだ道。 そこにはある伝統の家系の家がある。 幻想郷を見続けてきた、幻想郷縁起を編纂してきた名家。 稗田家が、ある。 全力で駆けるまりさが、稗田家の前に来た瞬間、私はまりさに『腹話術』をかけた。 「〝あっきゅうちゃ~~~ん。あっそびましょ~~~う〟」 おわり 子ゆっくりの運命は…… ───────── あとがきのようなもの コミックス版「魔王」最新刊五巻を読み終わった勢いで書いてしまいました。 そのため文体が安定していないかもしれません、申し訳ありません。 他に書いたもの:ゆっくり合戦、ゆッカー、ゆっくり求聞史紀、ゆっくり腹話術(前) このSSに感想を付ける
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※他作者様の設定を使わせていただいております。 ※下品な表現がありますので、それが嫌な方は今すぐに回れ右してください。そう、今すぐに、です。 ゆちゅりーのゆっくりアイス 暑い。 とにかく暑い。 今年の夏は例年以上に暑く、ここ毎日最高気温を更新していた。 そんな中、俺は冷房を28度に設定した部屋の中で、ゆっくりと「ゆっくり宇治金時」を食していた。 うん、今流行のクールビズってやつだね。電気代も高くなっているそうだし、一人身はちょっとお財布の紐を硬くしておきたいのさ。 といっても、我が家の電気は全て「ゆっくり回し車」で発電しているから問題ナッシングネスなんだけどね。苦労するのはゆっくりだけだし。 「んまーい♪」 絶望と恐怖で凍りついた表情を張り付かせたままの、ソフトボールくらいの大きさのゆっくりれいむの頭頂部を外し、しゃくしゃくと気持ちの よい音をさせながら、凍った抹茶餡を崩して口に運ぶ。さらりとした甘さの抹茶餡が溶けながらのどを滑り落ちていく。 ゆっくりれいむはまだ息があるのか、「ゆ”…ゆ”…」とか細い声を上げながら、命の源が少しずつ少しずつ削り取られていく恐怖におびえていた。 「流石自家養殖の新鮮なゆっくりれいむは味が違うねー」 このゆっくりれいむは、我が家および公営スキー場の雑草処理係の内の1匹として、つい1週間前までは元気に飛び跳ねていたのである。 雑草だけを純粋に食べるよう調教されたゆっくりの餡子は、通常の粒餡から、小豆を残したまま濃い緑色をした抹茶餡へと変化する。 餌によってゆっくりの中身が変化することは知られているが、まだまだ未解明な部分が多かった。ある地方で捕獲されたドス・まりさの中身は、 濃い黄金色をした、濃厚な栗餡に変化していたという報告が出ているし、とある家庭で飼われていたゆっくりれいむの中身は、鮮やかな紫色を した紫芋餡へと変化していたという。 もともと謎の多いナマモノであるゆっくり。突然出現したこれが、人家や農作物に被害をもたらし害獣認定されてから3年。 その3年で、さまざまな研究が行われて、ゆっくりの生態などが解明されてきたが、まだ未知の領域が残っているのである。 うん、ロマンに満ち溢れているナマモノだね、ゆっくり。おいしいしね。ウザイけど。 「ゆっくりれいむとゆっくりまりさは餡子が変化するんだけど…そのほかの通常種はどうなんだろ」 すっかり中身のなくなったゆっくりれいむの皮を飲み込むと、俺はそう呟いた。 「たとえば、ゆっくりぱちゅり。あれの中身は生クリームなんだけど…他のに変化するのかな。たとえばイチゴ味とか。よし、試してみるか」 そう思い立ったら吉日。 俺は部屋を飛び出し、炎天下の町へと繰り出していった。 1時間後。 いろいろと買い込んできた俺は、慣れた手つきでゆっくり専用拷問部屋の中に機材をセットした。 今回の犠牲者…もとい、犠牲ゆっくりになっていただくのは、つい昨日捕獲されたばかりの野生のゆっくりぱちゅり3匹。 大きさはちょうどハンドボールくらいで、成体になる1歩手前だろうか。 加工所で購入してきた、3匹のゆっくりぱちゅり、通称ゆちゅりーをわが社の新商品「ちょうきょうくんG」に、起こさないように顔をを上向きにして入れる。 このクソ暑い中でも目を覚まさないなんて、加工所の仮死状態維持システムは凄いね。 そして、DVDプレイヤーから伸びた音声出力コードをドルビーサラウンド5.1チャンネルアンプを介してから、ちょうきょうくんG下部にある音声入力端子につなげる。 「うし、これで準備完了ーっと。でわでわ逝きますかー」 微妙なニュアンスを含んだ一言を呟き、俺は魔法の言葉を大声で叫ぶ。 それは、愛しのお姫様を目覚めさせる魔法の言葉。それは、悲劇のヒロインを絶望のどん底に陥れる呪いの魔法。 「ゆっくりしていってね!!!!!!!」 「「「ゆっ…ゆっくりしちぇいってね!」」」 そういうと、ほぼ同時に3びきのゆちゅりーが目を覚まして言った。 「おじさん、ここはぱちゅりたちのゆっくりぷれいすにするわ」 「わかったらゆっくりでていってね」 「ごはんとごほんをゆっくりとはやくよういしてね」 うんテンプレどおりっ!ははは、何も知らないって無知だね。といっても、生クリーム脳じゃ理解できないんだろうけど。 知能が高いと言われているゆちゅりー。でも、それは他のゆっくりと比べてであって、やっぱりゆっくりでした!ごめんなさいっ! 「透明な箱に入って何言ってるのかなベイビー?ここはお兄さんの家で、君たちはこれからお兄さんの実験につきあってもらうんだよ。ユーアンダスタン?」 これから始まるであろう惨劇を想像してぞくぞくする俺。やべぇ、少しおっきしてきた。 俺、もしかしてドSのHENTAIさん?いや、違うっ!紳士という名のッッッHENTAIなのだッッッッッ!!! 「なにいってるのおじさん?ばかなの?しぬの?」 「はやくごはんとごほんもってきてよね」 「さっさとゆっくりでていってね。ここはゆちゅりーのゆっくりぷれいすにするんだから」 人を小ばかにしたようなこの言い草。自分が生態系の最底辺に位置する完全被捕食生物であることを理解していないみたいだね! よし、ではこれからそれを思う存分思い知らせてあげよう! 「うん、また、なんだ。この映像は僕のおごりさ。でも、これを見たときに、君たちは確かなゆっくりを感じることができると思う」 ニコニコしながらそういいつつ、俺は傍らにあった液晶ディスプレイをゆちゅりーたちの目の前に設置し、スイッチを入れる。 と同時に、ちょうきょうくんGのふたを閉めて、南京錠できっちり鍵を閉める。 それと同時に、ある映像が流れ始めた。 主演はもちろん、この俺。 俺が、大小さまざまなゆっくりれいむやゆっくりまりさ達を、惨殺し、喰らい、拷問している映像だ。 今年の春に、社食に現れたゆっくり一家にキレた俺が、ついつい暴走したことがあった。そのときの隠し撮り映像(撮影:同僚A)である。 今では、加工所でゆっくりの仕上げに使われているという。 くそう、楽しみにしていた特盛ダブルカツカレーとイチゴの洗面器パフェ台無しにしやがって。ちょっとむかついてきた。 画面の中のゆっくりは、あるものは後頭部から喰らわれ、あるものは核ごと手刀で撃ち貫かれ、あるものは正拳突きで核を引き抜かれ、あるものは左右5つの 穴から餡子を噴出しながら、のたうちまわっている。おまけには生き赤ゆっくりの焼き饅頭だぜフゥハハハー。 まさに血しぶきならぬ餡子しぶき飛び散るスプラッタ映像。心臓の悪い人やお子さんは見ちゃいけないぞ!お兄さんとの約束だ! でも、その音は外部には聞こえてこない。静かなものだ。だがしかーし、箱内部のゆちゅりー達にはその音が、ゆっくり達の命乞いや断末魔の叫び声と、俺の狂った 笑い声が生々しく聞こえているはずだ。その証拠に、ゆちゅりー達はひくひくと痙攣しながら体中の穴という穴から謎の液体を噴出している。 このちょうきょうくんGは、優れた防音性を持ちながらもゆっくりを痛めつけないように優れた環境維持性能を持っている。 その上、内部に直接音声を流すことによって、ゆっくりたちに確実な恐怖を与えることができるのだ。 うむ、そろそろ頃合かな。 俺はDVDの再生を止め、ふたを開ける。 そして、ひくひくと痙攣しているゆちゅりーに声をかける。 「おーい、生きてるかー?」 「ゆ”…ゆ”…あ”か”ち”ゃんた”べないでぇ…」 「い”や”…い”や”…こ”な”い”でね”ぇえ”え”えっ!!」 「ゆ”ゆ”ゆ”ゆ”ゆ”」 「生きてるな。簡単に死んでくれたら困るんでなー」 そう言いつつ、今度はゆちゅりーの口をこじ開けて中に管を挿入する。 管の先には、2リットルのペットボトルの中にイチゴ牛乳を入れたものがつながっていた。それを3匹に1つずつつなげ、口の皮をガムテープで寄せて固定する。 「さて、あまーいイチゴ牛乳ですよー。たくさんあるからゆっくり全部飲んでね!!!」 そういうと、管をはさんでいた洗濯ばさみを取り去る。管を伝って勢いよくイチゴ牛乳がゆちゅりー達の中に流れ込み、その衝撃で飛びかけていたゆちゅりー達の意識が 戻ってきた。 「「「ん”ん”ん”ん”ん”ん”ん”ん”ん”ん”ん”ん”ん”ん”」」」 目を見開き、恨めしそうに俺を見るゆちゅりー達。 「うんうんそうかそうかー。おいしいかー。おにいさんうれしいなー」 見事なまでの棒読みで相槌を打つ。 すると見る見るうちにゆちゅりーの体が膨らんでいく。2リットルのイチゴ牛乳が全て入り終わるころには、ゆちゅりー達の体はもともとよりふた周りくらい膨らんでいた。 すげえ、全部入っちゃったよ。つーか、ちょうきょうくんGにみっちり詰まってやがる。 デジカメで写真を撮り、ついでにガムテープをはがして管を抜いてやる。 「ゆ”っ…ゆ”っ…ひ”どい”よひ”どい”よ”お”おぉおぉぉっ!!」 「こ”のし”し”い”、ゆ”っく”りし”でえ”ぇぇぇぇぇっ!」 「asawsedryguhnjiko lp +*!!!!!」 憤怒と憎悪の形相で、俺をにらみつけるゆっくり達。しかし、徐々にその体が赤らんできた。心なしか、そわそわしているようにも見える。 「どうしたのかなー?もしかして、出ちゃうのぉー?」 この上なく棒読みで、ニヤニヤした笑みを浮かべながら聞く俺。しかし、ゆちゅりー達は、そんな余裕はない様子だった。 よく見ると、あごの下にあたる部分に、黒い穴が開き始めていた。 あー、こりゃすぐポロロッカ状態になりそうだな。 ゆっくりは、基本的に排泄行為を行わない。口に入れたものはほとんど全てが内臓器官で消化される。 しかし、何らかの理由で、1回に内蔵で処理しきれないほどの水分を摂取してしまった場合、体内の餡子が解け出てしまうのを防ぐために、体の一部を変形させて一時的に 排水を行うことができる。 その際には、人間でいう下顎周辺に新たに排泄口ができ、そこから排水を行う。そして、排水が終了すると同時に閉じるのである。 俺は、そこに手早くシリコン製のチューブを体の奥まで差し込んだ。そして、反対側のチューブを口の奥まで差し込み、舌の上にガムテープで固定する。 「「「い”だあ”あ”あ”あ”いいい”ぃぃぃっ!!!!!!!!ぼじざんな”に”ずるのぉぉぉぉ!!!」」」 「ごめん、手が滑った。それよりいいのかい?おしっこ出ちゃいそうなんでしょ?すっきりしたいんでしょ?お兄さんのことは気にしないで、すっきりしたら?」 「ゆっ!?」 「このままじゃすっきりできないでしょ?」 「ゆっゆっ!そうだったね!」 「はやくすっきりするよ!」 「ぱちゅもすっきりするの!」 排泄のための穴に管を挿入された痛みもすっかり忘れたのか、ゆちゅりー達は口々にそう言った。やっぱりゆっくりはゆっくりだね。 そう言い終えたゆっくりの口を、俺はすかさず再び閉じ、ガムテープで厳重に目張りをする。ゆっくりの下の世話をするのは嫌だからね。 そうこうしている内に、ピンク色の液体が管を勢いよく流れていく。おー、そのまま出るのか。俺の予想どうりじゃないか。 そして!行き着く先はッッッ!もちろんゆちゅりー達の口の中だああぁぁぁぁぁ!!!!! 「「「ん”ん”ん”ん”ん”ん”ん”ん”ん”」」」 苦しそうに目を白黒させて悶えるゆちゅりー達。うわ、すげー嫌そうな顔してる。てか、お前ら下手なところできれい好きなのかよ。ゴミ饅頭の癖に生意気な。 ま、俺も飲尿趣味なんてないから、ごめんこうむりたいけどな! さてさて、なぜ俺がこんなHENTAIじみたことをしたのか種明かしといこう。 ゆっくりは、常に同じ種類の餌を摂り続ける事によって自身の中身を変化させる。 だから、雑草だけを食べ続けたゆれいむの中身が粒餡から抹茶餡に変わっていたのだ。 今回の実験は、同じものを摂り続けたゆちゅりーの中身(生クリーム)が、別のもの(イチゴクリーム)に変わるかどうかを確認することが目的である。 しかし、イチゴなんてものはこの季節には売っていないし、例え手に入れることができたとしても高価なもの、ゆっくりごとき下等生物にやろうなんて気はさらさらない。 ならばどうしたらいいか。 ゆっくりは、過剰摂取した水分をそのままの形で排水する。そして、消化器官で吸収できる分はゆっくりの体内に吸収され、栄養となり消費される。 つまり、餌となる成分の含まれた水を過剰摂取させ、それの排出→摂取→吸収というサイクルを確立させれば、餌やりも特別いらず、かつ同じ種類の餌を続けて供給できる ことになるのである。 もちろん、ゆっくりに人権なんぞないわけで、こんなひどい仕打ちをしても問題はないわけで。 「さてと、このままションベンが出なくなるまで、君たちにはそのままでいてもらうよ!もちろん、キミの食事は自分のションベンだけだからね!嫌でも飲まなきゃ死んじゃ うから、頑張って飲み続けてね!それじゃ…たっぷりゆっくりしていってね!!」 そう言うと、俺はゆちゅりー達の入ったちょうきょうくんGのふたを閉めて南京錠で開かないように固定した。 ゆちゅりー達の憎しみと恨みと怒りが篭ったうめき声を聞きながら、俺はゆっくり専用拷問部屋をあとにした。もちろん、ドアにはきちんと鍵をかけてね! それから20日後、ようやくゆちゅりー達の水分排出が止まった。 そこから逆算すると、ゆちゅりーが1日に必要な水分の量は100ミリリットルとなる。大体コップ半分くらいだね。多いように見えるが、実際には食事からも水分を摂っている ため、水分単体で見るとそう多くはない数字だ。 うちのゆっくり回し車の参考になるなと思いながら、俺はゆっくり専用拷問部屋に入った。いくらか成長したのか少し窮屈そうにちょうきょうくんGに入っているゆちゅりー達。 「ゆっくりしていってね!」 開口一番そう声をかけたが、ゆちゅりー達は虚ろな目で明後日の方向を見ながらかすかな呻き声をもらすばかりだった。 「ありゃ、こわれちゃったか。でも、これからお亡くなりになってもらうんだし、どうでもいいか」 そう言うと、俺はちょうきょうくんGのふたを開けて、1匹目のゆちゅりーを取り出した。 丁寧にガムテープやら管やらをはずす。そして、手にしたぺティナイフでことさらゆっくりとした手つきで、帽子と髪ごと後頭部を切り開く。 生きたまま体を切り開かれる痛みに、ゆちゅりーの目が大きく見開かれるが、声は出ない。かすかな呻き声が出るだけ。 「おー、いい色に染まってるじゃないの。実験成功したじゃん」 ゆちゅりーの生クリームは、見事薄いピンク色に染まっており、甘いいい匂いを放っていた。 俺は、スプーンでそれを一口すくうと口に入れた。 口の中にイチゴの芳醇ないい香りと甘い味が広がる。 「どれどれ、他のはどうかなー?」 2匹目、3匹目のゆちゅりーも同じように切り開いて確かめてみる。 結論から言うと、2匹目3匹目のゆちゅりーも、1匹目と同じように中身がイチゴクリームに変化していた。 これで、ゆちゅりーも同じ餌を摂り続けることによって、中身が変化するということが証明できたわけである。 「よーし、忙しくなるぞー。とりあえずは、研究レポート持ち込んで上の連中を説得するか!」 そう言うと、俺はすっかり廃ゆっくりとなってしまったゆちゅりーたちをお盆に載せて部屋を出て行った。 それから数ヵ月後。 クリスマス商戦にあわせて、加工所から新しい商品が売り出された。 その名も「ゆちゅりーのゆっくりアイス」である。 ゆちゅりーの中に、ゆちゅりーのクリームをそのまま固めたアイスが詰まっているというこの商品。 それぞれのゆちゅりーの中に、異なった味のゆちゅりーアイスが詰まっているということもあり、大家族用夜パーティー用に売れたとか。 おしまい あとがき マイサンがおっきしてくれた勢いで書いてしまった人生初の投稿SS、楽しんでくれたならば幸いです。 粒餡が別の餡子に変わるのならば、生クリームも変わらないはずがない!と、単純な思考かつ短絡的なネタです。 おいしいですよね、アイス。暑いときにはぴったりですよ。私はかき氷も好きですがね! でわ、また気が向いたら投稿するやも知れません。そのときは生あったかい目で生あったかく見守ってやってください。 ご意見、ご感想などお待ちしております。 ゆっくり虐待スレ29 レス番号602の人 このSSに感想を付ける
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「むーちゃ、むーちゃ、ちゃーわせー」 赤ちゃんのゆっくりれいむはここで一人で暮らしている。 両親は随分前に実験で死亡した。親のゆっくりまりさの方は実験による破損が少なかったため最期に赤ちゃんに会うことができた。 とは言え、餡子の中に大量に異物を埋め込まれているため思考能力は低下し、 赤ちゃんに逃げろともなんとも伝えずに死んだけど、 「おねーしゃん、ゆっくりちていってね」 「そうさせてもらいますよー」 永琳様の言いつけで、赤ん坊の世話なんかしているが、 こんな奴が一体何になるんだろう。何も指示は受けていないし・・・。 適当といわれてるからテキトーでいいのかな。 香霖堂で買った外の世界のマッサージチェアにてゐは腰掛ける。 まさか、永琳様や鈴仙の古着があんな高値で買い取られるとは。 ただ、一番高値で売れたのが姫様の上等な着物じゃなく、寝巻きにしていたジャージだったのがあの店らしい。 「おねーしゃん、あそぼ」 「無理だねー、できないねー、お断りだねー」 「・・・じゃあ、れいみゅがおうたうたってあげる」 「迷惑だねー、独善的だねー、うるさいねー」 赤ちゃんのゆっくりれいむは困っていた。 遊びたい盛りなのに、誰も相手をしてくれる人がいないのだ。 いつも部屋にやってくるお姉さんは椅子に座ってゴロゴロしたり本を読んだりしてるだけだ。 何も楽しくない。ああ、思いっきり遊びたいな。ゆっくりれいむはいつもそう思っていた。 「おねーしゃん、おもちゃちょうらい」 「拒否だねー、嫌だねー、自分で作ってねー」 「・・・ボールちょうらい」 「断固拒否だねー、絶対嫌だねー、がんばって自分で作ってねー」 「・・・」 ゆっくりれいむが黙り込んだのに満足し、てゐは文々。新聞のマンガ欄を読み始めた。 ゆっくりれいむはつまらなかった。 誰も遊んでくれないから一人でゆっくりしていた。 食事も水もある。意外に美味しい。 つまらないながらも満ち足りた生活を送っていた。 しばらくして、赤ちゃんのゆっくりれいむはすっかり大人になった。 「はーい、残念ながらお前が死なずにゆっくりしてたから、イライラしてるお姉さんから仕方なく御褒美だよ」 てゐは本当にイライラしていた。 永琳はこのままこいつを群に戻すそうだ。 それも一番待遇の良い部屋にだ。このまま一人で死ぬんだと思っていたてゐは裏切られた気分だった。 「ゆっくりし」 「しねーよ!!」 「ゆ!!」 「他の仲間がいるところに連れて行くから、さっさとこのかごに入れよ!!」 「あそべる?」 「バカ知るかバカ、入れクズのろま、ゆっくりバカ、バカゆっくり。死なせるぞ、何百回も死なせるぞ」 てゐはキャラクターが崩れるほどイライラしていた。 ゆっくりれいむはそそくさとかごに乗り込む 「はーい、イライラ発、超イライラ行き特急がストレスマッハで発車です」 かごを持ち上げ部屋を出るてゐ。 「わー、おそらを」 「飛んでねぇよ!」 「わー、おそらを」 「絶対飛んでねぇよ!!」 「・・・」 ゆっくりれいむは目に涙をためて黙り込んだ。 「絶対に飛んでねぇからな!!」 その後、ゆっくりれいむが何か言うたびにてゐは聞こえるように舌打ちをした。 ゆっくりれいむは群に戻される。 はじめてみる子にみんな興味心身だ。 「ゆっくりしていってね」 「ゆっくりしていくね」 すぐに友達になる。 「永琳様、何の実験か、教えてプリーズ。さもないとあの群に飛び込んで餡子のプールを練成してくるよ」 「それは後日お願いするわ。見ていなさい。あのゆっくりれいむはもうダメよ」 永琳の言葉通りになる。 ゆっくりれいむは最初、みんなと遊びたがった。 しかし、自分と同じぐらいのゆっくりは子育てやら何やらで忙しい。 「ゆ?あそぶの?いそがしいからあとでね」 「あそぶ?れいむ、こそだては?」 「れいむ、まだあそびたいの?ゆっくりしてないでおとなになってね」 「れいむはまだこどもだね!!」 下の世代と遊ぼうとしても相手にされない。 ゆっくりれいむは群の中で孤立していった。 「じゃあ、てゐ、お願いするわ」 両手に斧を装備したてゐが部屋に入ってくる。 「私は遊びの神、皆の者遊んでいるか」 「ゆっくりしていってね」 「断る。遊べ」 「ゆ?あそぶひまなんてないよ、ばかなの?」 「馬鹿はお前だ。遊びの神の前で何たる暴言」 自称遊びの神はゆっくりまりさを斧でかち割った。 「おかーしゃん!!」 さきほど殺されたゆっくりまりさの子どもが死体に駆け寄る。 「なんだお前、死を悲しむ前にやる事があるだろ」 「ゆ?」 「ゆ?じゃねぇよ。遊べよ!!」 また一匹、自称遊びの神はゆっくりを殺した。 「あ、あそぶよ。あそべばいいんだね?」 群のリーダーのゆっくりまりさが言う。 「イエス、遊べ。まずは追いかけっこだ。」 みんな走り回った。追いかけているのが誰とも知らず。 遊びの神は何もせずただ見守っていた。 一時間も走り回っていると、体力のないゆっくりパチュリーなどは疲れて動けなくなってくる。 「どうした、遊べ」 「む、むきゅ・・・むり、ゆっくり・・・させてね」 「プレイorダイ!!」 ゆっくりパチュリーは斧で真っ二つにされた。 パートナーのゆっくりまりさが駆け寄る。 「パチュリー・・・なんでゆっくりさせてくれなかったの」 「遊べよ」 「いやだ。ゆっくりしたい!!」 「じゃあ、お前は死体」 ゆっくりまりさは殺され、群の中では脱落するものも増えてきた。 脱落すれば死ぬ。追いかけっこはまだまだ続いた。 「はーい、追いかけっこやめー」 急に自称遊びの神からのストップ宣言 「自己紹介してなかった。ここに最近来たゆっくりれいむいる?」 「ゆ?あのこだよ」 ゆっくり達は一斉に部屋の隅にいるゆっくりれいむの方を向く。 「あの子、遊びたがってただろ?」 「うん、おとななのにね」 うるせぇ!!と答えたゆっくりまりさに斧を投げつける。 「大人とかどうでもいいんだよ。遊びに子どもも大人も生きるも死ぬもねぇんだよ」 ゆっくり達は怖がって相槌も打てない。 「えー、そのゆっくりれいむが遊びたいと強く願ったから天界の方から来ました遊びの神です」 一斉に遊びたがっていたゆっくりれいむを睨む。 「何睨んでるんだよ!!遊ばない奴の方が悪なんだよ!!」 遊びの神は投げた斧を拾うついでに何匹もゆっくりを潰す。 「じゃあ、追いかけっこを再開します」 しばらくして、部屋にはゆっくりれいむ一匹だけが残った。 遊びたいといっていた子だ。自分の我が侭が引き起こした惨状に半分気が狂っている。 「みんな、あそぼうよ!!」 ピョンピョン跳ねて、もう死んでいる仲間を遊びに誘う。しかし返答はない。 仕方なく、遊びの神の所に行く。 「おねーさん、あそぼ」 「無理だねー、できないねー、お断りだねー」 そう言って遊びの神は部屋を出て行く。 「・・・ゆゆ?みんなどうしたの?あそぼ?」 ゆっくりれいむはその後、ずーっと一人で追いかけっこをしていた。 ~あとがき~ 次回はもう少しはっちゃけたてゐの活躍が見てみたいです てゐとかチルノにはえーりん実験室一部屋ぐらいぶっ壊して欲しいです by118
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谷口「まっふふーん。ぼじょれーん。ろまねちんこふふーん」 谷口「WAWAWAわらびもち。こんにちは。ネバーランドの住人、ティンポーベル谷口です」 谷口「うふん。お邪魔しますよ」 谷口「おんや? 誰もいない? 誰もいない? 放課後なのに文芸部室に誰もいなぁい?」 谷口「わふう! これはワショーイの千載一遇チャンス。すぐさま倍々プッシュしなければ!」 谷口「ふおー! ふおー!!」 谷口「ふお……? あれ? いつも涼宮が座っている団長席の横に、なにか落ちて……」 谷口「こ、これは! 等身大1/1サイズ、朝比奈みくるフィギュアだと!? おお、お、お持ち帰りぃ!」 谷口「いや待てハンサムボーイ。よく見てみろ。この肌。このツヤ。この質感。まるで息遣いまでもが聞こえてきそうなほどに精巧な朝比奈フィギュア」 谷口「いや、違う! これは等身大フィギュアなんかじゃない! 朝比奈さん本人だ! 朝比奈さん本人が倒れているんだ!」 谷口「なんだ。等身大フィギュアじゃなかったのか。がっかりしたよ」 谷口「………」 谷口「…………」 谷口「い、いや、これはきっと等身大フィギュアなんだ。そうに違いない。だから、ちょっとだけ触ってみても……」 谷口「はあはあはあ!」 谷口「はあはあはあはあはあはあ!」 谷口「それでは! 失礼いたします! いただきマンモス!」 ハルヒ「やっほー! 遅くなってごめ……… ハルヒ「あ」 谷口「あ」 ハルヒ&谷口「あああああああああああああああああああああ!!」 ハルヒ「ちょ、ちょっと谷口……! あんた、なにやってるのよ……なんで、みくるちゃんを……!」 谷口「いやあああ! 見んといてえええ! いくらリアルとは言え等身大フィギュアにうつつを抜かしていたなんて、言いふらさんといてえええ!」 ハルヒ「大丈夫、みくるちゃん!? しっかりしてよ!」 みくる「……ぅうう……す、涼宮さん………?」 ハルヒ「ああ、よかった。無事みたいね。ビックリしたわよ。部室にきたらこの下衆がみくるちゃんに狼藉を働こうとしてたんですもの」 ハルヒ「いくら下衆でもこんな実力行使に訴えるようなヤツじゃないと思ってたのに。とうとうそこまで堕ちたのね、谷口!」 谷口「ち、ちがう! 俺は何もしらない! その俺を責め立てるような目線に興奮を禁じ得ないことは認めるが、断じてこれは俺のした事じゃない!」 谷口「俺が文芸部室にやってきたら、誰もいなくて、団長席の隣に朝比奈さんがのびてたんだ! 俺はそれを等身大フィギュアだと勘違いしただけなんだ!」 ハルヒ「そんな言い訳が通じるわけないでしょう! こんなこと、あんた以外の誰がやるっていうのよ!?」 谷口「ちがうんでゲス! 俺じゃないんでゲス!」 ハルヒ「みくるちゃんが見てる前で白々しい。みくるちゃん、誰があなたをこんな目に遭わせたか、被害者の口からこのバカにビシッと言ってあげなさい!」 みくる「あ、あの……その……ええとですね………」 谷口「ちがうんでゲス! 俺がなでなでしようとしたのは、あくまで等身大フィギュアなんでゲス! 猥褻物陳列罪だけはご勘弁!」 みくる「……あの……私、部室に最初にやってきてお茶を淹れてて、誰かに襲われたという記憶はあるんですが……」 みくる「それが誰だったのか、記憶が曖昧で思い出せないんです。誰かに後ろから頭を殴られたことは確かなんですが」 ハルヒ「頭に衝撃を受けて、一時的な記憶喪失になってるのかしら。かわいそうなみくるちゃん。でも大丈夫よ」 ハルヒ「谷口は私がSOS団団長として責任をもって抹殺しておくから。あなたはゆっくり休んでて」 谷口「ちょっと待てぇ! だから俺はちがうと言ってるだろう! 何を証拠にそんなことを! あなるさんもビックリだ!」 ハルヒ「あんたが倒れているみくるちゃんに触ろうとしていた状況証拠だけで十分よ!」 ハルヒ「女の子に相手してもらえない下衆なあんたは、とうとう欲求不満が限界に達した」 ハルヒ「そして誰もいない文芸部室にみくるちゃんが入ったのを見計らって、かねてよりの計画に及んだ」 ハルヒ「みくるちゃんを襲い、力ずくで欲望を満たそうという、畜生にも劣る行いにね! そうなんでしょ!?」 谷口「確かに俺は犬だ豚だ畜生だと罵られて快感を感じる下衆だ。そこは否定しない。だがな、実力で女人をどうこうしようなんて、そこまで腐っちゃいないつもりだぜ!」 長門「…………」 キョン「よー、遅くなって……うわ、また谷口がいる! って、どうかしたのか? なんかシリアスなムードじゃないか」 ハルヒ「あ、キョン、有希。いいところに来たわ。聞いてよ。実はね、カクカクシカジカというワケなのよ!」 キョン「なんだと!? シカシカウマウマだって!? 谷口、よくも朝比奈さんに不埒なマネを!!」 谷口「だから違うって言ってるだろ! 俺はシオナガスオオクジラ!」 みくる「ああ!」 キョン「どうしました、朝比奈さん!?」 みくる「わわ、私が家から持ってきていた最高級の急須が……なくなってる!!」 ハルヒ「最高級の急須?」 みくる「そうです! 東洋好きで有名な19世紀の伝説的英国陶芸家、イヤンバ・カーン氏が焼き上げた芸術的急須が手に入ったんです」 みくる「それで皆さんにお茶を淹れてあげようと思って持ってきてたのに……なくなってる……」 谷口「あなるへそ。分かったぞ。朝比奈さんを殴った犯人は、その急須を狙った強盗に違いない! 間違いない!」 ハルヒ「長井秀和には似てないから。無理しなくていいから」 みくる「でも、私が急須を持参したっていうことは誰も知らないはずです。休み時間に鶴屋さんとの話の中で少し自慢したくらいで」 谷口「じゃあ鶴屋さんが犯人にちがいない!」 ハルヒ「最重要容疑者がえらそうなこと言ってるんじゃないわよ。鶴屋さんは名家のお嬢様なの。急須の一つや二つで友人を殴打したりするわけないでしょ」 長門「………床に、文字が」 ハルヒ「あ、本当だ。みくるちゃんが倒れていたところに、血? 血文字で何か書いてあるわ」 谷口「俗にいうところの、ダイニングキッチンというやつですな」 みくる「これは私の筆跡ですね。記憶があやふやですけど、私が意識を失う間際に犯人の情報を書き記したのかしら?」 長門「………『なが』 と書いてある」 ハルヒ「この 『なが』 の後にも何かを書こうとした跡があるわ。でもここまで書いて意識を失ったみたいね」 谷口「わかった! 犯人は長門だ! この血文字は、長門と書こうとしたに違いない!」 ハルヒ「このバカ! 有希がそんなことをするわけないでしょ!?」 長門「………」 プルプル キョン「そうだぞ。長門は本とパソコン以外の物にはまったく興味を示さない、物欲のない淡白人間なんだ。急須がほしいからって犯罪に手を染めるなんて考えられない」 長門「………そんな急須なんて、グリとグラの絵本に比べればゴミクズ同然……」 ハルヒ「あら? この机の上にある物はなにかしら。将棋板? うちには似つかわしくもない、本格的な物ね。ものすごい大きい」 キョン「これ、古泉の私物だな。名前が書いてある。昨日まではこんなデカい将棋板なかったから、今日持ってきたんだろうな」 キョン「ちょっと待て。古泉はどうした? この将棋版を持って来たということは今日、一度部室に来てるんだろ?」 ハルヒ「そう言えば、そうね。どこに行ったんだろう。トイレかしら?」 鶴屋「いやっほ~! みんな元気っかな!? 私はめがっさにょろにょろ元気っさ!!」 谷口「見切った! 犯人は一度犯行現場に戻るというが、今まさに犯人が現場に舞い戻ってきた!」 谷口「鶴屋さん! 犯人はあんただ! 言い訳無用で神妙にお縄につきませい! げへへへへへへ! ふ~じこちゅわ~ん!」 谷口「ゲースゲスゲスゲス!」 ~~~~~ 鶴屋「なるほど。それで今にいたるわけなんだ」 谷口「はあはあはあ。鶴屋さん、どうか、どうかこの惨めで哀れな畜生めをもっとグリグラお踏みつけくださいませ!」 鶴屋「ひょっとしてみくるが無くしたっていう急須、これのこと?」 みくる「アッー! それです! それこそ稀代の名匠、イヤンバ・カーン氏の名器に間違いありません! どうしてこれを鶴屋さんが!?」 鶴屋「昇降口にあったんだよ。あんまり見事な急須だからね。誰かの忘れ物かと思って職員室へ届けに行こうとしてたんだけどさ」 鶴屋「みくるが急須の話をしてたのを思い出してね。確認してみようと思い、ここへ来たってワケ」 鶴屋「あ、そうそう。古泉くんなら私、見かけたよ」 鶴屋「私が昇降口へ向かう途中、ずいぶん急いだ様子で、バイトがあるから~って言って、超特急で帰って行ったよん」 谷口「あああ~、鶴屋さま。もうちょっと上の方を……あふん! ぎゃろっぷ!」 ハルヒ「まさか、古泉くんが……いえ、団員を疑うなんて。そんなことできないわ。それより、この床の 『なが』 は一体どういう意味?」 みくる「すいません、書いた本人である私にも、何を伝えたいものなのかは皆目……。記憶が戻れば分かると思うのですが」 谷口「長門の 『なが』 じゃないとしたら……長ネギ?」 キョン「そういえばハルヒ、お前こないだ、朝比奈さんにロイツマを踊らせようと、長ネギを持てと強要してただろ。それを全力で拒否されたから、カッとなって……」 ハルヒ「な、なによ。まさかあんた、私が犯人だって言いたいわけ!?」 長門「………可能性の話」 キョン「この犯行。学校外部の不審者や、校内の不審人物によるものだとは思えない」 キョン「いくら朝比奈さんでも、そんな怪しい人にやすやすと背後は見せないだろう?」 ハルヒ「みくるちゃんは、後ろから殴られたんだったわね」 鶴屋「顔見知りの犯行ってこと? みくるが他人から恨みを買うとは思えないから、やっぱしこの急須狙いの犯行なのかな」 谷口「それは分からないぜ。昨日、朝比奈さんと長門、部室で言い争いしてたじゃナイスか。バストがどうとかバストがどうとか、あと胸がどうとか」 みくる「そ、それは! ……私の胸がどうこうということで、話が進んだだけで。言い争いというわけでは」 ハルヒ「きゃあ! な、なによこれ!?」 キョン「どうしたハルヒ!?」 ハルヒ「掃除用具入れの中に、ムチ、ろうそく、ロープ、バット、はりせん、ボーリング玉……」 キョン「なんだってこんなに、見覚えのない物がゴロゴロと……」 長門「………それは、彼の私物」 谷口「いやあ。置き場所に困ってさ。うひひ。保管庫として使わせていただきやしたwwww」 キョン「って、お前の私物かよ!!」 鶴屋「とりあえずさ。身内で疑いあっても仕方ないし。みんなそれぞれここへ来る前に何をしていたか明らかにしない?」 みくる「アリバイ証明というわけですね」 ハルヒ「仲間内に犯人がいるって疑うのはイヤなんだけどな。この際しょうがないわね」 ~涼宮ハルヒの場合~ ホームルーム後、私は担任の岡部に呼ばれて、生徒指導室にいたわ。普段の学園生活がどうこうと、暗にSOS団の活動批判をされてるようで、イライラしながら話を聞いてた。 岡部の話が終わって、ぶつぶつ言いながら部室にきたわ。生徒指導室を出たのは、15:40だった。 だから私のアリバイなら、岡部が証明してくれるはずよ。ずっと一緒にいたんだから。 ~キョンの場合~ 俺は教室の掃除当番だった。だらだらと雑談まじりだった上にホウキが壊れてしまったから遅くなってしまったんで、掃除後は一直線に部室へやってきた。 ここへ来る途中に長門と廊下で会った。俺のアリバイならクラスメイトが証人になってくれる。掃除が終わったのは、15:50くらいだ。 アリバイ云々は別にしても、どんな理由があろうとも俺が朝比奈さんを殴打するなんてあるはずがない。世界の終わりが訪れたって、俺はそんな重罪は犯さないぜ。 ~長門有希の場合~ 私はホームルームが終わった後、借りていた本を返却するため図書室へ赴いた。そこで、図書委員の顔見知りに挨拶をされた。 そこで一度図書室を出たが、その後部室で読むための本を借りようと思い立ち、再び図書室に入った。そこで少々時間を潰し、本を借り、ここへ来た。図書室を出たは15;50。 私の言うことに誤りがないかどうかは、図書委員の顔見知りに尋ねれば証明してくれるはず。 ~鶴屋さんの場合~ 私はホームルームが終わった後、クラスの仲良しの友達たちと一緒に廊下でおしゃべりしてたさ。 どんな内容は、別に言う必要もないだろうけど。テレビ番組の話とか、タレントの話とか野球の話とかいろいろ。んで、その後帰ろうと思って昇降口に行ったら、例の急須を見つけたってワケよ。 古泉くんと会ったのは、15:10くらいだったかな? ちょろんと挨拶したくらいだったけど。 友達と別れたのは、15:20。私のアリバイならお友達が証明してくれるっさ。 ~谷口の場合~ 昨日、同じクラスの阪中にペットのルソーが死んでしまったと泣きつかれたんで、代わりのペットを買っていたんだ。んで、昨日買っておいたAIBOを阪中に手渡していた。 新ルソーの取り扱い上の注意を読んで聞かせていたら、時間が経っていた。教室を出たのは何時かって? 覚えてねえよ。俺は時間ごときに縛られる人間じゃないんだ。 それが終わって文芸部室へ遊びに行こうと思い来たら、朝比奈さんが団長机の横に倒れていたって寸法よ。ドゥーユーアンダースタン? 鶴屋「みんな一様にアリバイがあるってことだね。となると、一番怪しいのは古泉くん?」 キョン「そうですね。いくら急ぎのバイトとはいえ、あいつが何の連絡もなしにSOS団を休むとは思えない」 ハルヒ「仲間を疑いたくはないけど、外部の犯行と考えにくいことも事実ね。みくるちゃん、もっと覚えていることはない? ほら、事件の起こった時刻とか」 みくる「う~ん、詳しくは覚えてないのですが……私が襲われたのはメイド服に着替える前だから、15:20くらいかな?」 ハルヒ「おっかしいわね」 キョン「どうしたんだ?」 ハルヒ「さっきから古泉くんの携帯にコールしてるんだけど、電波の届かないところにいるか電源切ってるかってアナウンスが流れるのよ」 ハルヒ「このあたりで電波の届かないところ、あったっけ? それとも電源を切らないといけないような場所にいるのかしら」 谷口「き、きっと、こっそり作ってる彼女とあんなこと、こんなこと……うひ、うひひひひひwww」 みくる「キメェwww」 谷口「うーあーおー」 キョン「なんだよ。気持ち悪いな。旧式のパソコンがフリーズした直後のファンみたいな不安を駆り立てる声だして」 谷口「あ! わかったぜ!」 谷口「わかったぜ、この事件の犯人が! 犯人は、この中にいる!!」 キョン「な、なんだって!?」 ~出題編 完~
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ゆっくり達を飼い始めてどれくらいになるだろうか。 最近私が教育していたゆっくりに変化が訪れた。 私が育てているのはれいむ種が2匹、まりさ種が2匹、ありすが1匹、みょんが1匹。 それぞれ違う部屋で、別々に教育を施した。 人間に対して元より持つ野性的な行動を取らせない事が第一の教育方針。 これはどの種にも行い、それをしっかり身に着けさせるには骨が折れた。 しかし今回この場で話すのはそんなストレスがマッハになるような事例では無い。 この、各ゆっくりに対する育て方の違いで―この謎の生命体は驚くべき変化を遂げたのだ。 1つ目のれいむの部屋に入る。 「おにーさん、おかえりなさい!」 小さい畳を敷き、ミニチュアな鳥居と賽銭箱を備えた透明ケースから声を上げるれいむ。 「ただいまれいむ。今日もれいむのゆっくりぽいんとでゆっくりしてたんだね」 「ええ、ゆっくりしてたわ。でもちょっとくらいなにかおこらないの?」 れいむは部屋に一緒に住まわせていた亀の上に乗りにこやかに話す。 このれいむ、リボンには変化が無いものの、髪の毛が綺麗な紫色となっているのだ。 こんな感じになったのは―ここに住まわせて1ヶ月位経った頃だろうか。 ゆっくりと他の動物を一緒に住まわせたらどうなるか試した所、偶然にもこのような変化をもたらしたのだ。 「そんなれいむの為に、今日はこんなのを用意してみたよ」 そう言って私は捕まえてきていた野生のれいむをケースの中に入れる。 「ゆ!ここはとてもゆっくりできるよ!!!ここをれいむのゆっくりぷれいすにするよ!!!」 何と言うか、お約束の一言。 よくもまぁこんな言葉をすらすら言える本能を持っているものである。 「ゆゆ、へんなれいむがいるよ、かみのいろがへんなれいむはゆっくりでていって…ゆべっ!?」 「ひとさまのいえにきて、よくもまぁそんなくちがたたけるわね」 紫髪のれいむに対して暴言―おっと、本能の言葉だった―を吐きつけるれいむに対してのしかかる紫髪れいむ。 「どぼじでごん゛な゛ごどずる゛の゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛」 「あなたが、みのほどをしらないからよ」 「ゆびぃっ」 泣き喚くれいむに上からのしかかり、息も絶え絶えになったれいむに冷たい言葉を放つ紫髪れいむ。 そしてそのままとどめを刺さずに放置。 「ふぅ、これでいへんかいけつね。おにーさん、すてきなできごとありがとね」 髪の毛が紫になったれいむは以前に比べ好戦的になり、いつもと違う事が起きるとそれを解決するようになった、ようだ。 それじゃまたね、と紫髪れいむに挨拶をし、私は次の部屋へ向かった。 「あ、おにいさん!ゆっくりしていってくださいね」 ミニチュア鳥居にミニチュア神社、渡り石などを広げたケースから丁寧な声が聞こえてきた。 ここは、もう一匹のれいむを育てていた場所である。 「きょうもかみさまのはなしをきかせてくださいますか?」 「それはもう少し後でいいか? 今は皆の所を順番に回っているんだ」 ここではれいむに対して神様のお話を毎日欠かさずしていた。 これもまた1ヶ月位していたのだが、段々とリボンが小さくなり、れいむのかみのけが緑色になり… そして今では立派な"ゆっくりさなえ"に姿を変えていたのである。 「そうだったのですか」 「ああ、もう少ししたら皆に会わせてあげるよ」 これが元々れいむ種だったと誰が思うだろうか。 礼儀正しくてとても懐いてくれる、躾の行き届いたゆっくりである。 「もし私を悪く言うゆっくりが来たら、さなえはどうする?」 「そのわるいゆっくりをこらしめます!」 うんうん、さなえも私に対する信頼度は高いみたいだ。 野良ゆっくりに対しても紫髪れいむとまではいかないが攻撃を仕掛けるだろう。 「うふふ、おにいさんきょうもきてくれたのね」 魔法陣っぽい絵柄の書いてある地面にゆっくり用の本や何やらを用意したケースから笑い声と共にまりさが迎えてくれた。 「お、まりさ。今日も勉強してるのか?」 「ええ、どすとやらはふしぎなわざがだせるんでしょ?わたしもまけてられないわ」 躾ついでに本を読ませて勉強させてみた所、このまりさは帽子が紫色に、髪が赤色に変わった。 オマケに口調まで変わったときたものだ。 基本、まりさ種がうふふと笑うのは酷い虐待を受けて頭の中がイカレた時にしか言わないと考えていたのだが。 どうやら違う条件でもうふふと言うようになる、それの手段の一つなのかもしれない。 「うふふ、もっと強くなるわよ、うふ、うふ、うふふふふ・・・・・・」 自分の世界に入りながらも勉強する姿を見て、私は次の部屋に向かう。 「わぁっ!!!」 「うわぁ!?」 「ふふふ、おどろいたかい?」 薄暗い部屋のなか、ちょっと廃墟っぽいイメージを施したケースを覗き込んだ途端、後ろからした声にびっくりしてしまった。 元々はまりさ種を飼っていたのだが・・・・・・驚かせて、悔しかったら私を驚かせてみなと挑発したの結果なのだろうか。 "ゆっくりみま"、と言うらしいゆっくりになってしまった(本人がみまと名乗った)。 帽子もとんがり帽子となり、透明ケースをすり抜けられるようにまでなってしまった。うーん。 「今日は油断してしまったな、こいつは一本取られたよ」 「ふふ、でもまだまだおどろかせたりないからねぇ、だんだんといままでのぶんかえさせてもらうよ」 「言ってな、次はそう簡単に驚かないさ」 まぁ、こんな面白いゆっくりが出来るとは思わなかった。 「おにーさん、もっとじゅぎょうしてくれるの?」 綺麗に整頓した本にトランプ兵隊のミニチュア等を置いたケースから優しい声が聞こえてくる。 「ありす、今は授業の時間じゃないからね」 「ざんねん」 「大丈夫、ありすはいつも全力で頑張ってくれるじゃないか」 「えへへ、おにーさんありがと」 まりさは勉強を自主的にさせたのに対し、ありすには自分でみっちりと教え込む形にした。 レイパーになる危険性のある種だけに、細心の注意をしただけ、のはずだったのだが。 カチューシャがいつのまにか青色のリボンに変わり、心なしかサイズも小さめになっている。 すぐそばにはお気に入りの本が1冊あり、いつも持ち運んでいる。 「いざというときにぜんりょくでがんばれるようにならなきゃ」 「きっとありすならなれるさ、保障するよ」 「ありがとおにーさん」 レイパーとは似ても似つかないその姿に、正直ちょっと感動してしまった自分がいる。 いい子に育ってくれるだろうと思いつつ、次の部屋に足を運んだ。 「おお、お兄さんではないか」 畳に掛け軸、いかにも和風な部屋。 どうにかしてぺにすぺにすちーんぽなのを何とか喋らせようと頑張ってみた。 ついでに剣術も面白半分で覚えさせてみた所。 「本当に変わったなぁ」 「なに、昔は若気の至りが過ぎたんじゃよ、しかし殆どの者がああだとは嘆かわしい」 立派な髭を生やし、貫禄も十分。 縁側で一緒にお茶を飲むとすごくゆっくりできそうである。 "ゆっくりようき"だそうだ。 「こうして育ててくれた事には感謝しておる」 「まぁ、飼うと決めたからなぁ」 「あの姿のまま一生を送るなど、今の私には考えられぬ。本当に御主人様にはここまでして頂いた恩義をいつか返さねば」 まぁ、何と言うか。 凄く穏やかでゆっくりしているとはこういうのをいうのだろうか。 しかし私より貫禄あるかもしれないような姿になるとは思いもしなかった・・・・・・ ともあれ。 どうやら私の育てたゆっくりは『進化』したらしい。 もしくは『変異』したのだろうか? しかも野生のゆっくりに対し立ち向かったりする位だ。 ひょっとしたら昨今の被害に対するいい対抗策になるかもしれない。 ここまで立派に育ったんだ、試しにこの6人を顔合わせした後、わざと家の玄関を開けて外出しよう。 帰ってきた時が楽しみだ。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー あとがき ゆっくりがずっとあのままの姿でしかも主にいる面々だけ…とは限らないかなと。 何らかの要因で姿が変わる事くらいあってもいいんじゃないかなと思いました。 今まで書いたもの 博麗神社にて。 炎のゆっくり このSSに感想を付ける
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※fuku2103の続き。人物オリジナル注意 前回のあらすじ ゆっくりできなくなっちゃった★ 第四話「憎しみの炎(笑)終幕」 少年の家の上空を三匹のうーパックが旋回していた。 中にはまりさが二匹、ぱちゅりーが一匹。 しばらくすると少年が庭に出てきた。 少年は箱の中からゆっくりれいむを取り出し、庭に放つ。 れいむの体は遠目から見てもボロボロだった。 皮は垂れ、リボンはあちこちがちぎれ、頭頂部には無数の釘が刺さり、底部は焼かれ、口には歯がなく、片目を失っていた。 うーパック内のぱちゅりー達はその惨状に涙した。 少年はムチのようなものを取り出し、れいむに叩きつける。 それを受けたれいむは必死に這って動いていた。無理矢理マラソンさせているのである。 その様子を見ていたゆっくり達はこう思った。 (れいむをあのにんげんからたすけよう!!!) (れいむをゆっくりさせてあげよう!!!) その決意を胸にうーパック達は森へ帰ろうと進路を向けた。が ただ一匹ぱちゅりーはもう少しだけ様子を見ようとしていた。 俺は昨日から朝早くにれいむを庭で無理矢理はいずり回らせている。 理由なくやらせているわけではない。でも今は秘密だ。 這うのをやめた瞬間俺はムチをれいむの体に走らせる。 「ゆぴゃっ!!!ひゃへへ!!!はひひはひゅうううううううう!!!」 歯がないのでわかりにくいが「やめて!!!はしりますうううううううう!!!」と言っているのだろう。 これくらいなら歯医者じゃなくともわかる。 「おにーちゃーん!」 隣のあの子の声だ。ラジオ体操の帰りなのだろう。 慌ててれいむを縁側の下に蹴っ飛ばす。 「おにーちゃん、なにしてるの?それなーに?」 やべ!ムチ持ったままだった… 「に…にしおかすみこのモノマネだよ!アーーーーーーーーーーーッ!!!」 「あーそっかあ!おにーちゃんじょうずー!」 我ながらナイスだ。 近所を通りかかった人達の視線が痛いが。 ~~~~~~~~さかのぼること二日前~~~~~~~~ まりさはズタボロの体を引きずり、ある場所へ向かっていた。 それは、独り立ちする前日、母まりさから教えられていた場所だった。 「いい!!!まりさ!!!もしもほんとうにゆっくりできないときがきたら、もりのどすまりさにあいにいくんだよ!!!」 「どすまりさ???」 「とってもとってもゆっくりしておおきいまりさだよ!!!どすまりさならどんなゆっくりでもゆっくりさせてくれるよ!!!」 「ゆ?ほんとう???」 「でもほんとうにゆっくりできないとおもったときだからね!!!ゆっくりできるときはたよっちゃだめだよ!!!」 「わかったよ!!!まりさはれいむとゆっくりするよ!!!」 まりさは母親のいいつけを守り、れいむとひたすらゆっくりした。 だがもう一つのいいつけを破り、人里に降りてしまった。 まりさとれいむはその人間をゆっくりさせてあげようとしたが、その人間はゆっくりできなかった。 狭い箱に閉じこめられ、家族は殺されおうちも失い、せっかく出来た子供達は皆殺しにされ、自分自身も酷い目に遭い、れいむはもっと酷い目に遭った上に人間に捕まった。 まりさはゆっくりできなくなった。 今まりさの中にあるのはれいむを助けたいこととあの人間に対する復讐心だけだった。 だからまりさはドスまりさに頼る道を選んだ。 まりさは自分がゆっくりできなくなったことをわかっていた。 だがドスまりさはどんなゆっくりでもゆっくりさせてくれる。その母親の言葉だけを信じ森を駆けるのであった。 しかし痛んだ体についに限界が訪れ、まりさは、森のど真ん中で気を失った。 「ゆ…………」 「ゆっ!!!まりさ!!!きがついたんだね!!!」 まりさが目を覚ますと、そこは見知らぬ洞窟の中だった。 目の前には、心配そうな、だが独特のふてぶてしい表情のれいむがそこにいた。 「れ、れいむっ!!!れいむううううう!!!」 「ゆっ!!!まりさ!!!まだうごいちゃだめだよ!!!ゆっくりおちついてね!!!」 まりさはれいむの姿を見るや飛びつこうとするが制止される。 やがて落ち着きを取り戻し、目の前のれいむが捕まったれいむと別ゆっくりであることに気付く。 「ゆ…れいむ、ここはどこなの…?」 「ここはどすまりさのかくれがだよ!!!まりさはもりのなかでたおれてたかられいむがはこんできたんだよ!!!」 「どすまりさの…」 まりさは倒れた時点で既にドスまりさのテリトリーに入っていたのだ。 そこで食料を集めていたれいむが偶然見つけ、今に至る。 「まりさ、ひどいけがしてるからいまはうごかないでね!!!でもみっかもすればもとどおりうごけるようになるってぱちぇがいってたからね!!! いまはゆっくりがまんして、ゆっくりげんきになってね!!!」 「うん…ゆっくりりかいしたよ…」 本音を言えばまりさはすぐにでも行動を起こしたかった。 だが今の痛みきった体のままでは復讐などとてもできたものではない。 まりさは素直にれいむの言う通り、自身の回復を待つことにした。 人間は「れいむは生かしておく」と言っていたし、何よりこのれいむにはあのれいむの面影があったからだ。 …この期に及んで人間の言うことを信じるあたりやはり餡子脳と言ったところか。 「ゆ…ううううぅぅうぅぅう……」 「いだいよぉおおおぉおぉおぉぉ………」 「ぐるじいよおおぉぉぉぉぉおぉお……」 「むぎゅううぅぅううぅぅうぅぅぅ………」 「ごのままじんじゃうんだね、わがるよ………」 「そんなこといっちゃだめだよ!!!きっとたすかるよ!!!ゆっくりがんばってね!!!」 よく周りを見渡してみると、そこには自分と同じ、もしくはそれ以上の大怪我を負ったゆっくりたちが呻き声を上げており、 それを必死に看護する元気なゆっくりたちの姿があった。 さながら戦時病棟のようである。 「むきゅ……も……だ…め…」 「ぱちぇ!!!ゆっくりがんばってね!!!がんばればきっとゆっくりできるよ!!!」 「ま……りさ……ごめ……むきゅー」 「ぱちぇえ゛え゛え゛ええ゛ぇ゛ぇ゛ぇぇ゛ぇ゛え゛えぇ゛え゛ぇえ゛え!!!」 体の半分近くを失っていたぱちゅりーが今息を引き取った。 ぱちゅりーにしてはよく持った方であろう。それはひとえにゆっくりたちの必死の看護の賜物である。 「ゆ……れいむ……みんなどうしたの?なんだかゆっくりできてないよ……」 「あのみんなはね、にんげんにひどいめにあわされたかわいそうなゆっくりたちだよ!!!ここはそんなゆっくりをゆっくりさせてあげるためのへやなんだよ!!!」 まりさは激怒し、悲しんだ。 自分達と同じ境遇の持ち主がこんなにたくさんいたとは。やはり人間は忌むべき存在だと。 「にんげんはほんとにゆっくりできないいきものだね!!!みんなしねばいいとおもうよ!!!」 「ゆっ!!!まりさ!!!そんなこといっちゃだめだよ!!!」 「どうして!!!みんなにんげんのせいでゆっくりできないんだよ!!!ゆっくりできないにんげんはみんなころせばいいんだよ!!!」 「どう゛じでぞん゛な゛ごどい゛う゛の゛お゛お゛お゛ぉ゛お゛ぉぉ゛ぉ゛お゛おお゛!!!」 まりさとれいむはお互いの言うことが理解できなかった。 何故れいむはそこまで人間をかばうのか。 何故まりさはそこまで人間を殺そうとするのか。 全く理解できなかった。 二匹はお互いの事情を説明した。 まりさは自分たちが人間に受けた酷い仕打ちのこと。 れいむはゆっくりたちが人間に悪さをしたこと、その結果ゆっくりが迫害されたこと。 その他もろもろの事情をお互いに打ち明けた。 「だからしかたがないんだよ!!!これいじょうのひがいをださないためにもにんげんにてをだしちゃだめだよ!!! もしにんげんをころしちゃったりしたら、このさとがゆっくりできないってどすがいってたもん!!!」 「なにいってるの!!!にんげんはゆっくりできないやつなんだよ!!!おもいしらせてやらなくちゃだめなんだよ!!! しかえしされるのがいやならにんげんをみんなころしちゃえばいいんだよ!!!」 もはや「あの」まりさと同一人物とは思えぬ憎しみに満ちた発言。 平和的解決を望むれいむ達ドスサイドと人間達への制裁を望むまりさ。 まりさの不満が爆発し、れいむにこう言い放った。 「じゃあそのどすまりさにあわせてよ!!!したっぱれいむじゃはなしにならないよ!!! どすまりさににんげんがどれほどおそろしいかおしえればきっとわかってくれるよ!!!」 「ゆううぅうぅ……わかったよ!!!じゃあどすまりさにあわせてあげるよ!!! でもどすはきっとみんながゆっくりできないことにさんせいなんてしてくれないよ!!!」 簡単に折れたれいむはボロボロのまりさを丁重にドスまりさの間へと案内した。 ドスまりさは基本的にオープンなので、誰でも謁見できるのだ。 『ゆっ!!!まりさ!!!きがついたんだね!!!よかったね!!!これからはまりさのさとでゆっくりしていってね!!!』 「ゆ…ゆ…ゆっ……!!!」 まりさはドスまりさの大きさにただただ驚愕するしかなかった。あの人間より遙かに大きい。これなら人間に勝てるに違いない。 そう餡子が回ったまりさはすぐさまドスまりさに自分の事情を話した。 『ゆううう…!!!それはつらいめにあったんだね…!!!かわいそうに…!!!』 それを聞いたドスまりさは自分のことのように悲しみ、滝のような涙を流した。 「まりさはれいむをとりかえしてにんげんをころしてやりたいんだよ!!!ゆっくりちからをかしてね!!!」 『な゛に゛い゛っでる゛の゛お゛お゛お゛お゛お゛おお゛ぉ゛ぉお゛ぉぉ゛ぉお゛おお゛ぉ゛ぉぉお゛お゛おお゛!!!』 ドスまりさは絶叫した。 このまりさは何を言っているのだ。「人間を殺す」? そんなことをすれば他の人間によって報復を受け、平和にゆっくりしていたゆっくりは皆殺しにされてしまうだろう。 ゆっくりたちが真にゆっくりできることを望むドスまりさにはそんな考えは理解できなかった。 『にんげんをころしちゃったらゆっくりできないよおおおおお!!!ゆっくりりかいしてね!!!』 「だったらしかえしされないようににんげんをみんなころせばいいんだよ!!!そっちこそゆっくりりかいしてね!!!」 「むきゅー。どす。このまりさはきっとくわしいじじょうをしらないのよ。ゆっくりせつめいしてあげればわかってくれるわ」 ドスまりさの脇からまりさより一回り程大きいぱちゅりーが呟いた。 このぱちゅりーは里の知恵袋としてドスまりさの片腕を担っている。 『そ、そうだね……まりさ、おねがいだからゆっくりきいてね!!!まりさたちがゆっくりできるためのだいじなおはなしだからね!!!』 「ゆ…わかったよ!!!ゆっくりきいてあげるね!!!でもまりさのかんがえはかわらないよ!!!」 「自分達がゆっくりするため」の話なのでまりさは仕方なく聞いてやることにした。 ドスまりさは自分達の事情を話した。 まずは、自身の強さだ。ドスまりさの戦闘力は人間よりも上である。まともにやり合えば人間だろうと簡単に殺してしまえる。 それを聞いたまりさは歓喜した。それならあの人間を殺すことができると。 その後、ドスまりさは何故それほどの力を持ちながら人間に手を出さないのかを説明した。 先程も言ったことだが、人間を殺せば当然その他の人間は黙っていない。 集団でこの一帯のゆっくりを皆殺しにするだろう。 まりさは人間に勝てるなら返り討ちにすればいいと言ったが 集団でかかられればドスと言えど勝ち目がないことを教えた。 以前に集団で襲いかかられ滅ぼされたドスの里があるということも教えた。このドスの里には、その里の生き残りのゆっくりが何匹かいるのだ。 その本人達の話も聞き、まりさは理解したようだった。 一通り話し終え、まりさは言葉を発した。 「ゆっくりりかいしたよ、でもまりさはれいむをたすけたいよ、あのにんげんもころしてやりたいよ。 それさえできればまりさはゆっくりできるよ」 『ゆううぅぅぅうぅぅうううぅ………』 まりさはドスまりさの話が理解できなかったわけではない。ただれいむを助けたい、あの人間を殺してやりたいだけなのだ。 それだけは絶対に譲れなかった。 「むきゅー。どす。ならばようすをみてみましょう。そのにんげんがほんとうにせいさいすべきかどうかたしかめるの。 そのあとどうするかきめればいいわ。それにもしかしたらすきをみてれいむをたすけてあげられるかもしれない」 悩むドスに助言を与えるぱちゅりー。この「制裁」とは「殺す」という意味が含まれているが 野蛮な言葉を嫌うぱちゅりーは「殺す」という単語を使いたくなかった。 『ゆ…!!!そうだね!!! まりさ!!!よくきいてね!!!いまからそのにんげんのおうちのちかくに「てーさつぶたい」をおくるよ!!! そのこたちにようすをみにいってもらうよ!!!そのにんげんをその…ころすかどうかはそのあときめてね!!! もしかしたられいむもたすけてあげられるかもしれないよ!!!』 「ゆ……!ほんとう!!!ゆっくりおねがいするよ!!!」 まりさはその意見に賛成した。「様子を見る」ことには不満があったが「れいむが助かるかもしれない」ことを聞き、期待することにした。 まりさはその人間と家の特徴を覚えている限り教えた。 それを聞いたドスとぱちゅりーは偵察部隊…別のぱちゅりーとまりさ二匹を呼び、すぐに発つよう伝えた。 移動には雇われうーパックに報酬を払う必要があったが、まりさに「うーパックが五匹殺された」ことを聞かされ、タダで乗せてくれることになった。 そして現在に至るのである。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ (ここででていってもゆっくりところされちゃう!!!) 隙を見てれいむを助けだそうとしたぱちゅりー達だが、常に近くにはあの少年がいる。 隙など見あたらなかった。 「むきゅー。でもだいたいのじじょうははあくできたわ。どすのもとにかえりましょう」 「「「うー!!!うー!!!」」」 「「ゆっくりりかいしたよ!!!」」 他のゆっくりに帰還する旨を伝え、再び庭を見下ろすぱちゅりー。 その時だった。 「むきゅ!?」 庭で少女と話していた少年と目が合った……気がした。 (ど、どうして!?……いいえ、きっとぐうぜんだわ。むきゅー) 自問自答したぱちゅりーはうーパックに指示し、森へと帰って行った。 気づかれないように距離と高度にはちゃんと気を配っている。気づかれるはずがない…そう思った。 「おにーちゃん、どうしたの?おそらになにかあるの?」 「ううん。なんでもないよ。そろそろおうちに帰んな。姉ちゃんが朝飯用意して待ってるぞ」 「そうだね。じゃあまたね、おにーちゃん」 「……………………」 ドスの隠れ家に帰ったぱちゅりー達は少年の家で見たことを全て話した。 まりさはれいむを助けられなかったことに落胆したものの、れいむがまだ生きていたことに安堵した。 それを聞いたドスまりさは考え事をしながら、こう言った。 『ぱちゅりー、そのにんげんの「にんそうがき」をかいてね!!!そのにんげんがなにものかかくにんしたいよ!!!』 「むきゅー。わかりましたわ、どす」 ドスまりさは偵察ぱちゅりーに「人相書き」を描くように指示した。 事情を聞いて、それほどの酷い仕打ちをした人間が何者なのか確かめたかったからだ。それには理由がある。 「むきゅー。かけましたわ」 『どう?ぱちぇ』 「ぱちぇ」とは片腕のぱちゅりーのことである。「ぱちぇ」は最も親しいぱちゅりーに対する呼称なのだ。 「むきゅううううううん!!!まちがいないわ!!!「ひゆっくリスト」なんばー6!!!「ありすごろし」といっちしてるわ!!!」 「「「な、なんだってー!!!」」」 非ゆっくリスト― それは呼んで字の如く「ゆっくりできなくなる」人間のいわゆるブラックリストである。 人相書きはどいつもこいつも子供のラクガキ以下で人間には判別不可能だが、ゆっくりにはわかるようだ。 ドスまりさの里ではゆっくりがゆっくりできるために気を付けるべきの存在のリストを作る傾向がある。 非ゆっくリストのナンバーは危険度により序列されており、少年は6番目に危ない人間として認識されている。 「ありす殺し」というのは少年がゆっくりありすを中心に虐殺を行っていることから名付けられた。 ある時は道ばたでれいむとすっきりしていたありすを殺し、ついでにれいむも殺した。 ある時は集団でとかいは(笑)を気取っていたありすを虐待し、見せ物のごとく磔にされた。 ある時はまりさ一家を集団レイプしていたありすを焼き殺し、とばっちりを受けまりさ一家も全滅した。 ある時はぱちゅりーと本気で愛し合っていたありすをぱちゅりーの目の前でむごたらしく殺した。ぱちゅりーはむきゅむきゅうるさいので殺した。 気がついた時にはこの町一帯からありすが消えていた。 故に少年は「ありす殺し」として恐れられている。 もっと恐ろしいのはこの町にはその少年を上回る虐待派がまだ五人もいることである。 『ゆううぅうぅうう…やっぱり……』 ドスまりさは「そんな気がしていた」といった感じで溜息をついた。 「やっぱりあいつはゆっくりできないんだよ!!!ころしてやろうよ!!!」 ドスまりさはこれまで、「非ゆっくリスト」に乗っている危険人物達に自ら「交渉」していた。 「ゆっくりをゆっくりさせてあげてほしい。わるさをしたゆっくりはどうしてもいい。でもゆっくりしてるだけのゆっくりはゆっくりさせてあげてね」 そう言うと人間たちはみな首を縦に振った。目の前の巨大なドスまりさが怖かったからだ。 だが、リストの1番から10番までの人間たちは虐待派としての「格」が違った。 何人かと交渉してみたが全て破られてしまった。だからトップ10の人間には特に関わらないように注意していた。 ちなみにトップ10の中にはドスまりさを恐れている者も少なくはない。だからあちらからドスの里に直接手を出してくることはなかった。 ドスまりさは考えていた。「まりさとれいむをゆっくりさせてあげる方法」を。 そして、長い思考の後、一つの答えを導き出した。 『…わかったよ!!!そのにんげんに「せいさい」をくわえることをきょかするよ!!! でもあいてはとっぷ10だからね!!!ゆっくりさくせんをたててからじっこうしようね!!! ほかのにんげんにばれないようにきをつけることもかんがえようね!!!』 「ゆっくりりかいしてくれてありがとう!!!そのときにそなえてゆっくりからだをなおすね!!!」 そう言ってまりさは病室へと戻っていった。 「…いいの?どす。にんげんにたたかいをいどむなんて。いままでにきずいてきたすべてがパーになるかもしれないのよ」 『しかたないよ!!!そうでもしないとまりさとれいむがゆっくりできないよ!!!まりさはゆっくりみんなにゆっくりしてほしいだけだよ!!! だいじょうぶ!!!ばれないようにころせばやりかえされないよ!!!うまくいけばみんなもっとゆっくりできるよ!!!』 「むきゅー。そうね」 ドスまりさが人間に手を出さないのは「ゆっくりがゆっくりできなくなるから」だ。 その為に人間達と安定した関係を築いてきた。 真にゆっくりしたいゆっくりは人間に近づかず、悪さをするゆっくりは制裁を受けた。悪いゆっくりはドスから見ればゆっくりできていない。殺されても仕方がないのだ。 だがあのまりさは「悪いゆっくり」ではない。真にゆっくりした結果人間に酷い仕打ちを受けた可哀想なゆっくりだった。 ドスまりさはまりさをゆっくりさせてあげたかった。その為に人間を殺すことを選んだ。 反対する者はいなかった。みな同じ気持ちだったから。 (れいむをあのにんげんからたすけよう!!!) (まりさとれいむをゆっくりさせてあげよう!!!) ドスの里数千匹のゆっくりの心が今、一つになった。 ゆっくりたちはたった二匹の仲間をゆっくりさせてあげたい一心で、命を賭けて戦う決意をした。 戦いの準備をするために、偵察部隊は三日かけて少年を監視し、調査し続けた。 その甲斐あってか、少年は一日に一回決まった時間に人気の無い草原でれいむを枕にして昼寝をしていることがわかった。 その隙にれいむを取り返そうと考えていたが、たった六匹(うーパック含む)で向かっていってもすぐに察知され全滅させられてしまう恐れがあった。 その話を聞いたドスまりさと片腕ぱちゅりーら首脳陣は次の日の同じ時間に作戦を決行することを告げた。 その時ならば他の人間に見つからないし、何より少年が一番油断している時だと考えたからだ。 決行前夜、片腕ぱちゅりーから当日の作戦をゆっくりしっかり伝えられた。 それを全てゆっくり理解した里のゆっくりたちはいつもより多くの食料を用意し晩餐会を開いた。 明日の活力をつけるためと、あまりにも完璧すぎるぱちゅりーの作戦を聞いて勝利を確信し、気の早い祝勝会といったところだ。 「ねえ、おにーちゃん」 「何だい」 俺は隣の家の縁側で女の子と一緒にこの子の姉の切ったスイカを食べている。 お呼ばれされたから来たまでだ。そうじゃなかったらわざわざ夜に外に出たりしない。 「どうしてゆっくりはわるいことするのかな」 「いきなりどうしたんだよ。そんなこと聞いて」 「おねーちゃんとおかいものにいったときにみたんだよ。おさかなくわえたゆっくりがさかなやさんとおいかけっこしてたの」 「それはひどい」 「それだけじゃないよ。たくさんのゆっくりがやおやさんのおやさいみんなたべちゃったの」 「最低だな」 「まえのちぇんだってそうだよ。おうちにはいってきたゆっくりのせいでおほしさまになっちゃった」 …この子が今飼っているちぇんは二代目なのだ。 前のちぇんは留守中に進入した「ゆっくりずむ」なれいむとまりさに殺された。 その二匹は俺が裏でこれ以上ない程の苦しみを与え殺してやった。 そしてちぇんを失ったこの子の悲しみを紛らわすため当時虐待用として飼っていたちぇんを修理し、譲ってあげた。 ちなみにそのちぇんは中のチョコクリームを少し入れ替えたため、俺のことは忘れてしまっている。 「だからね、いつもおもうの。なんでゆっくりはわるいことするのかなって」 「ちぇんはどうなんだ?」 「ちぇんはいいこだよ」 今のも前のも元々ブリーダーに育てられていたヤツだ。当然だろう。 …だが、そうでないゆっくりはどうだ。 この子の大事なちぇんを殺し、他人の家に上がり込み食い物を要求、店の食べ物は平気で盗む、人間にゆっくりを強要する、騒音を出す、ウザい、キモい、ムカつく。 どう考えても害悪でしかない。世の中にはそれらを愛でる愛護団体などというものも存在する。はっきり言って頭がおかしいとしか思えない。 「それはゆっくりが自分のことしか考えてないからだよ」 「?」 「人間だってそうさ。自分のことしか考えてない奴は嫌われるんだ。他人に好かれたかったら、相手のことを理解してあげなくちゃいけない ゆっくりはそんな考えができないから、人間から見て悪いことをするんだよ。しかもそれを悪いこととは思っちゃいないんだ」 「でも、ちぇんみたいないいこもいるよ」 「それは人間が必死に教え込んだからだよ。それでもいい子にならないゆっくりの方がずっと多いんだ」 「そう、なんだ…」 「君はゆっくりが好きなんだね」 「いいこはすきだよ。でもわるいこはきらい。ちぇんをいじめたもん」 「そうだね、みんないい子だったらいいのにね」 本当にそうだよな…性格と、あのツラと、言葉遣いと、デカい声がなけりゃな… ゆっくりはゆっくりすることを求める饅頭だ。 他人がゆっくりできれば自分もゆっくりできる。そう考えている。 だから他人を「ゆっくりさせてあげる」のだ。 そう、全ては「自分がゆっくりするため」。 ゆっくり同士ならそれで「しあわせ~♪」になるが、人間からすれば煩わしいだけである。 故にゆっくりと人間は決して相容れない存在なのである 続く このSSに感想を付ける 選択肢 投票 しあわせー! (35) それなりー (0) つぎにきたいするよ! (1) 名前 コメント すべてのコメントを見る 本家の霊夢と霧雨魔理沙の性格を組み込んだらもっとマシになるよ。 -- (名無し) 2016-11-24 22 22 56
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比較的街に近い、さほど高くもない山の中、一人の男が息を潜めて標的のゆっくりに近づいてゆく。 彼の視線の先にいるゆっくりはごく平凡なゆっくりれいむの子どもで、陽気に中てられたのか無防備な寝顔を晒していた。 「ゆぅ~・・・ゆぅ~・・・」 安らかな寝息を立てる子れいむと男の距離は10m程度。 彼はゆったりとした動作で手にした筒を口元に持って行き、思いきり息を吹きかけた。 瞬間、筒の中に収まっていた小さな矢が子れいむめがけて飛んでいき、下あごの辺りに刺さった。 「ゆびゅ!?」 痛みで目を覚ました子れいむだが、ゆっくりの体の構造上自力で深々と刺さった矢を抜くことは出来ない。 それでも、体を捩ったり、近くの石に矢をぶつけたりと試行錯誤するが、やはり徒労に終わってしまう。 それどころか体内で矢の先端が動き、餡子を引っ掻き回したために余計な痛みを味わう羽目になった。 「ゆぐ・・・いぢゃいぃ、いぢゃいよぉ・・・」 しかし、泣き声がゆっくりにしては妙に小さい。 本来なら小さな体を目いっぱい使って信じられない大声で泣きじゃくるはずなのに。 子れいむはすすり泣く、といった表現が相応しい控えめな声で泣いている。 「ゆえーん、ゆえー・・・ゆぎっ」 どうやら、泣くだけでも餡子や矢が動いてしまい激痛が走るらしい。 痛みを耐え切れずぽろぽろと涙を流すその表情が時々苦痛によって歪んでいた。 「ゆっぐ・・・もうやだ、おうちかえる」 しばらく泣きじゃくっていた子れいむはそう叫びながら巣に戻るために飛び跳ねた。 そして、着地した瞬間に衝撃で矢が動き、また苦痛に顔を歪めた。 もちろん、矢は刺さった後に飛び出す特殊な返しのおかげで抜けることなく刺さったまま。 「ゆ゛っ・・・ゆっぐちしたいよー・・・」 結局、子れいむは跳ねて移動することを諦め、ゆっくりと地べたを這いずって巣へと戻っていった。 「おかーしゃあん・・・いぢゃ、いぢゃいよぉ!」 「おちびちゃん!ゆっくりだよ、ゆっくりしてね!?」 「ゆっぎぢできないよぉ!とって!はやくとってー!」 数時間後、幸いにも日が暮れる前に巣に戻った子れいむは母れいむに矢を取ってもらおうとしていた。 しかし、母れいむが矢を少し動かすだけで激痛が走ってしまい、彼女は大泣きしてしまう。 そのせいで子どもに甘い母れいむは娘が痛がるのに無理に引き抜くことが出来ず、右往左往。 「おがーぢゃん!どっぢぇ!はやぎゅどっぢぇー!?」 「ゆぅ・・・おにぇーちゃん!ゆっくち、ゆっくちだよ!」 「ゆっくち!ゆっきゅちちていっちぇね!」 「ゆっくりぢでいっでね、ゆぎぃ!?」 泣きじゃくる子れいむの周りで母れいむと一緒に右往左往しているのは妹のれいむとまりさ。 当然、彼女達に何かが出来るはずもなく、子れいむにつられて泣き出してしまった。 「ゆぅ・・・わがらないよぉ!れいぶ、ゆっぐぢでぎないよおぉぉ!?」 そればかりか、とうとう母れいむまで泣き出してしまった。 慰めるものもおらず、ただひたすら泣きじゃくるれいむ一家。 一家の大黒柱のまりさが帰ってきたとき、彼女達はようやく泣き止んだ。 「ゆゆっ!ゆっくりりかいしたよ!まりさがぬいてあげるね!」 事情を聞いたまりさの動作は素早かった。 すぐさま子れいむに刺さった矢の露出している息を受ける部分を咥えると思いっきり引っ張った。 「ゆぎゅぅぅぅうぅううぅぅう・・・!?」 当然、返しに阻まれて簡単には抜けず、子れいむは尋常でない痛みのせいで悲鳴をあげることすら出来ない。 ただ歯を食いしばりながら大量の涙で水溜りを作るばかり。 しかし、そんな地獄の苦しみも永遠に続くはずがなく、数十秒後には解放された。 「ゆっ!」 「ゆ゛ぐぅ!?」 まりさが引き抜いた矢には返しが4つ、ちょうど十字に見えるように付いている。 それはつまり、それが子れいむの体から引き抜かれたことを意味していた。 「ゆ゛っ・・・!ゆ゛っゆ゛っ・・・!?」 大きな口を両断され、底部をべろんとめくられた子れいむはまるで口が3つあるように見える。 その傷はあまりに大きく、そしてあまりに深かった。成体ならまだしも、子どもにとっては確実に致命傷。 現に傷口から餡子を撒き散らした子れいむは白目を剥いて、割れた口から危険信号といわれる「ゆ゛っ」という嗚咽を漏らしていた。 「ゆゆっ!おちびぢゃん!ゆっぐぢ、ゆっぐぢぃー!」 「おにぇーちゃああん、ゆっきゅちー!ゆっきゅちー!」 「まりさのおぢびぢゃん!ゆっぐぢぢぢゃだべだよおおおお!ゆっぐぢー! 「もっぢょ・・・ゆっくちちたかったよ・・・」 異常に気付いた両親は必死に子れいむを励まして、傷口を舐めたが何の意味もなさず、子れいむは息絶えた。 「れ、れいぶのおぢびぢゃんがああああああああああ!?」 「ゆえええええん!おぢびぢゃあああああああああん!?」 悲嘆に暮れるれいむとまりさ。 しかし、彼女達にはゆっくり絶望する暇すら与えられない。 「ゆき゛ゅ!?」「い゛っ!?」 短く悲鳴を上げたのは姉を失い、母親同様に悲しんでいた赤れいむと赤まりさ。 赤れいむののこめかみと赤まりさの後頭部には先ほど子れいむの命を奪ったあの矢が突き刺さっていた。 ---あとがき--- ありそうであんまりなかった矢ゆっくり。 文字通り矢が刺さったままになっているゆっくりです。 動くと激痛、抜くと死ぬ、放っておくと狩りなんてまず出来ない。 こんな有様の赤ゆっくり2匹を抱えて生きていくこの一家の行く末は・・・ たいちょさんが書いてくれるらしいです( byゆっくりボールマン
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「おにいさん!れいむたちのおしごとのおてつだいをさせてね!」 「・・・・・・は?」 ある初夏の晴れた日のこと。 俺はいつも通り田吾作さんの畑のわりと近くにある自分の畑で仕事をしていた。 すると、人里のゆっくり対策の進んだ最近では珍しい山から下りてきたゆっくりの一家がやって来て、そんな事を言いやがった。 他所の地域では虫取りや他の害獣を追い払うのに役立てることもあるらしいが、ここではそんな習慣はない。 そもそも、人間の役に立とうという殊勝なゆっくり自体が極めてまれな存在だ。 「・・・農作業の手伝いって、お前らに何が出来るんだ?」 「れいむたちはむしさんやはっぱさんをむーしゃむーしゃできるよ!」 「野菜と雑草の区別はつくのか?」 「あたりまえなんだぜ!」 そう言って、ゆっくり一家の両親はゆへんと偉そうに胸(下あご?)を張った。 両親はれいむ種とまりさ種で子どもは親と同じ種族の赤ん坊サイズのものが2匹ずつ。 いわゆるオーソドックスファミリーだ。 「子どもが勝手に食ったりしないだろうな?」 「「「「しょんなことちなにゃいよ、ぴゅんぴゅん!」」」」 俺の言葉に反応した子ども達は反論の後、一斉に頬を膨らませた。 さて、どうしたものか・・・。 さっきの応答や言動・態度を見る限りにおいて、ゲスっぽい気配は無い。 それどころか家族揃ってゆっくりにしてはかなり聡明なようだ。 「ん~・・・」 「おにーさぁん・・・おねがいだよ!」 「・・・で、何が目当てなんだ?」 「ゆゆっ!・・・すごいぜ、れいむ!まりさたちのもくてきはばればれだぜ!」 「ほんとうだね!さすがにんげんさんだね!」 「「「「ゆっきゅちしゅごいよ!」」」」 珍しく殊勝な奴らだと思えばやっぱり見返り目当てだったが、それでも勝手に畑の野菜を食い漁るよりはずっと賢明だろう。 物珍しさにも後押しされ、俺は大根4本と交換で一家の申し出を受け入れることにしてみた。 野菜と雑草の区別が出来ていることを確認してから、柵の中に招き入れ、一家のためにそこそこの大きさの小屋と水飲み場を設置してやる。 こうして、俺とゆっくり一家の共同作業が始まった。 結論から言えばこの一家はいつも俺の予想をいい方向に裏切ってくれた。 ちゃんと雑草と野菜を区別して雑草だけを抜き取ってくれるし、虫の駆除もほぼ完璧。 流石にそれ以上のことは殆ど出来なかったが、虫害をどうにかしてくれるだけでも本当に助かる。 一度だけ子まりさが野菜に口をつけようとした事もあったが、その時には自分の子どもをちゃんと叱りつけていた。 なるほど、これだけ出来のよい個体であればゆっくりであってもそれなりに役に立つ。 それに・・・・・・ 「「ゆゆっ!おにーさん、ゆっくりしていってね!」」 「「「「ゆっくちちていってね!」」」」 「仕事があるからゆっくり出来ないっつーの」 「「じゃあゆっくりおしごとがんばってね!」」 「「「「ゆっくちがんばってね!」」」」 何より、間違ってもおうち宣言のようなこっちの神経を逆なでするようなことは言わなかった。 それどころか、仕事の合間の休憩時間の話し相手としても活躍してくれた。 柵では対処しきれない鳥類が作物を荒らそうとしたときには大声で俺を呼んだ。 とにかく、ゆっくり一家は十分すぎるほどに役に立ってくれた。 「れいむぅ・・・とってもゆっくりしてるね~」 「そうだね、まりさ」 「つぎのおにさんはれいむだよ!」 「「「ゆっくちにげるよ!」」」 また、柵と小屋に守られた畑で安全に食料を確保できるこの状況は一家にとって、とてもゆっくりできる環境だったらしい。 子ども達は赤ゆっくりから子ゆっくりへと成長し、餌を食べ終えた後に畑の周辺でよく鬼ごっこをしていた。 好奇心旺盛で俺に人間のことをあれこれ聞いてきたりもした。 「おにーしゃん!どうちでにんげんさんはむしさんをたべないの?」 「いや、食べられることは食べられるし、食べることもあるぞ」 「でも、おにーしゃんはたべないね!」 「虫はなぁ・・・人間には小さすぎるんだよ。あと、見た目がグロい」 「どうちて?おいちいのに?」 「人間の好みじゃないんだよ。さて、仕事に戻るからもう話しかけんなよ?」 「「「「ゆっくちりかいちたよ!」」」」 と、まあ、こんな具合に鬱陶しくも愛嬌のある奴らだった。 たまに引っ掴んで持ち上げてやるだけで「おしょらをとんでりゅみたーい!」と大喜びするので、散歩いらずな分犬よりも手間がかからない。 「おにーしゃん!いもうとたちにもおしょらちてあげてね!」 「「れーみゅもおしょらとびちゃいよ!」」 「「まりしゃもぶれいじんぐしゅたーちちゃいよ!」」 そうそう、そういえば相当ゆっくり出来たせいか、夏の間に家族が4匹ほど増えていたりする。 れいむ種とまりさ種が2匹ずつ。まだ生まれて間もない赤ん坊だが、にんっしんっで産まれたので結構大きい。 1回のにんっしんっで産まれたのは2匹で両種が1匹ずつ。 まずはれいむが産み、その次にまりさが産んだ。 そんなわけでいつの間にかこの一家は両親2匹に子ども8匹と言うかなりの大家族になっていた。 勿論、新しく出来た家族も親や俺の言うことをきちんと守って、虫や雑草を駆除してくれた。 おかげさまで、今年はいつもよりもずっと収穫が多かった。 そして収穫を終えた日の夜。 翌朝には一家に約束の大根を渡し、野に返してやらねばならない。 俺は前々から読者にも伏線すら提示せずに考えていたある計画を実行に移した。 そろーりそろーりと連中の小屋に忍び込むと、夏に生まれた子どもを各種族1匹ずつ捕まえ、いったん自分の部屋へ戻った。 それから、今までは常時開放されていた小屋の出入り口に扉を取り付け、しっかりと施錠も出来るようにした。 仕上げに、残った家族をこいつらの本能に刻み込まれた言葉で叩き起こした。 「ゆっくりしていってね!」 「「ゆゆっ!ゆっくりしていってね!」」 「「「「「「「ゆっくりしていってね!」」」」」」」 いとも容易く目を覚ました一家はしばらくのん気に「おにーさん、どうしたの?」などと言っていた。 が、やがて家族が減っていることに気づくと顔を真っ青にして右往左往し始めた。 「おにーさん!れいむのおちびちゃんがいないよおおおおお!?」 「そりゃそうだ。俺が預かったんだからな」 「どうしてそんなことするんだぜ!?」 「それはね!お前達との取引を無効にしたいからだよ!」 「「「「「「「「ゆゆっ!?」」」」」」」」 俺の突然の宣言に「びっくりー!」とでも言わんばかりに目を見開いて驚くゆっくり一家。 今までそれなりに仲良くしてきただけに、その信頼の全てを根底から覆す言葉が信じられないのだろう。 その証拠に、しばらく唖然していたれいむは我にかえるや否や、頬を膨らませてこう言った。 「おにーさん、じょうだんはやめてね!ゆっくりできないよ、ぷんぷん!」 初めて俺に出会った日から数えると、なんと100日以上もの付き合いがあるのだ。 流石に俺がそんなことをするとは思えない、或いは思いたくないらしい。 しかし、残念ながら全て事実であり、目をそらしても変わることの無い真実。 そのことをれいむ達に理解してもらうために、俺は近くにいた、親に連れられてここに来た1匹の子まりさを踏み潰してやった。 「「「「「・・・・・・ゆゆっ!?」」」」」 「これで分かっただろ?俺は本気だよ」 「ゆああああああああああああああああああああ!?」 「でいぶのおぢびぢゃんがあああああああああああああ!?」 「「「「「ばりぢゃあああああああああああああ!?」」」」」 家族が1匹踏み潰されたことでようやく事態の深刻さを認識した一家は恐怖と絶望に顔を歪め、彼女らの双眸からは涙が溢れ出している。 が、泣き止むまで待つのも億劫なので「ゆっくりしていってね!」を利用して半ば強引に泣き止ませると、即座に用件を伝えた。 「さっき言ったとおり大根はやらん。嫌なら全員殺す・・・理解したか?」 「「ゆぐっ・・・・・・ゆっくりりかいしたよ!」」 「「「ゆえーん!」」」 「おにーしゃんひどいよ!やくそくをやぶりゅなんてゆっくちしてないよ!」 「しょーだよ!ゆっくちできないよ!」 残り7匹のうち、5匹は自分の立場をしっかりと弁えてくれたようだが、2匹だけそうでないものがいた。 1匹は両親に連れられてきた子まりさで、もう一匹は夏に生まれた子まりさだった。 彼女らは「ゆっくりさせてね!」などとのたまいながら、成体一歩手前の体を思いっきり跳躍させて俺に体当たりを仕掛けてくる。 が、悲しいほどに痛くもかゆくもないのでしばらく黙ってその攻撃を喰らってやる。 最初はいい気になって「ゆっくりこうさんしてね!」などと言っていたが、やがて息が上がり、冷静になった頃には己の無力を理解した。 「「どほぢでじぇんじぇんぎがにゃいのおおおおおお!?」」 泣き叫ぶ2匹の呼吸は荒く、また体当たりを繰り返したせいでところどころ青あざが出来ていた。 ぼろぼろになりながら、己の無力をかみ締める姿は可哀想でどこか哀れみを誘うものがあるが、容赦することなくお仕置きを加えてやった。 「うりゃ!」 「―――――――――――――ッ!!?」 サミング、いわゆる目潰しを食らわして子まりさの目玉を両方とも抉り出すと、悲鳴にもならない金切り声が子多重に響き渡った。 両親はガタガタと震えながらも「やめてあげてね!いたがってるよ!」と俺に許しを請う。 その傍では素直に言う事を聞いた殊勝な子ども達が両親にへばりついて泣きながら、歯をガチガチと鳴らして震えている。 そして、当の子まりさは目のあった場所から餡子を漏らしながら床を転げまわっていた。 「ゆっくりにげりゅよ!そろーりそろーり・・・」 「ハイ残念、もう見つかった!」 「ゆゆっ!?やめてね!こっちこないでね!?」 子まりさの惨状を目の当たりにした子れいむもまた涙で頬をぬらしながら、必死に逃げ回っていた。 しかし、普段は開けっ放しの出入り口は閉まっており、この小屋には隠れられるような場所も無く、逃げ場所なんて何処にもなかった。 それでも子れいむは俺から逃げ続けた。俺がわざと泳がせていることにも気づかずに一心不乱に逃げ続けた。 そして、疲労が限界に達し、一歩も動くことが出来なくなった瞬間に彼女は俺によって光を奪われた。 俺は一家に食料の代わりに安全に越冬できる巣、以前から使用していたあの小屋を貸してやることにした。 ただし、扉はしっかりと施錠されているし、他の場所から外に出ることもできない。 勿論、食料をやるつもりは微塵も無いので、このままでは何も食べることは出来ず、飢え死にするのを待つだけである。 「そこで、赤ゆっくりのできる蔦やそれに成っている赤ゆっくりと大根を交換してやろうと思う。嫌なら飢えて死ね!」 「ゆゆっ!・・・お、おにーさんはあがぢゃんをあづめでどうずるの・・・?」 「いい質問だ。俺の家に連れて行ったお前らの子どもに食べさせる。ちなみにそれ以外の餌は与えない」 「「「そ、そんなひどいことちないでよ!?ゆっくちできないよ!」」」 自分たちの立場を理解しているとは言え、流石にこの提案ばかりは呑めないらしい。 必死の形相で抗議し、何とか俺から妥協を得ようと一生懸命媚びへつらったり、泣き落とそうとしたりしている。 が、やっぱり何の意味も無い。 「お仕置きされたいか?」 「「ゆゆっ!おしおきはやだよ!ゆっくりできないよ!?」」 「「「おしおきごわいよぉ~!」」」 「「ゆぎぃ!?お、おぢごぎいやあああああああああああああああああ!?」」 どんなに頑張ってもたった一言ですべてが消し飛んでしまう。 両親は子をかばい、子は両親にすがりつき、既にお仕置きを受けたものは気が狂ったかのように喚いていた。 そんなどうしようもなく無力な一家に向かって更に話を続ける。 「ちなみに家のほうの子どもの食事は君たちと交換した蔦や赤ちゃんだけだからね。ゆっくり理解しろよ?」 「「ゆぐっ・・・ゆ、ゆっくりりかいしたよ・・・」」 それから交換レートについても話し合い、蔦1本=大根の葉っぱ10g,赤ゆ1匹=大根の葉っぱ3gという相場に決定した。 ちなみに、うちで取れる大根1本の重さが1000gの可食部分が900g程度であるから蔦1本に赤ゆが5匹なると仮定して1本=25gである。 つまり、40本の蔦を手渡してようやく1kgの食料を得られるのだ。 一家はその分量を示されたときに少なすぎるとゴネたが、手近な成体間近の子れいむにお仕置きをしてやったら快く同意してくれた。 植物型であっても自分が生きたまま子どもを産めるだけの大きさに達しているのは両親と最初からいた4匹の計6匹。 ただし、子どものほうは蔦を3本も生やせば命に関わるだろうし、連続出産なんてとてもじゃないが出来ない。 勿論、いくら十分成熟している両親と言えど5本以上蔦を生やすと流石に危ないのは言うまでもない。 現在生き残っているゆっくりは7匹。 両親のれいむとまりさ、成体間近の子れいむが2匹と子まりさが1匹。 子ども達に関しては1匹のれいむを除いて全員お仕置きによって目を失ってしまっている。 そして、夏に生まれた子れいむと子まりさが1匹ずつ。 こちらは子まりさの方だけがお仕置きによって目を失ってしまっていた。 「ゆっぐ・・・ほどぢでごんなごどになっだのぉ・・・」 「ゆっぐぢでぎないよぉ~・・・」 「「ゆっぐちちだいよ~・・・」」 「くらいよ~・・・ゆっくちでいないよぉ・・・」 そんな絶望的な境遇の中で苦しみにあえぐ一家を眺めながら俺は小屋の出入り口へと向かっていく。 そして、たった一つだけ希望を与えて小屋を後にした。 「俺の部屋の子ども達は来年の農作業用だから餌以外は最高の環境でゆっくりしているぞ」 れいむとまりさは本当に賢い個体だった。 男の言葉を聞いて、意味するところを、男の意図をきわめて正確に把握していた。 また、ゆっくり特有の希望的観測をせずに自分たちの末路を理解した。 「れいむ・・・ごべんね。まりさがにんげんさんのおでつだいしようなんていったせいで・・・」 「ちがうよ、まりさ!れいむもさんせいしたんだよ!」 「「「ゆっくりできないよぉ~」」」 「もうやだ、おうちかえる!」 「おちびちゃんたち、ゆっくりがまんしてね!はるになったらおうちにかえれるよ!」 勿論、嘘だ。男は「部屋の子ども達は来年の農作業用」だと言っていた。 つまり、来年には子ども達がこの小屋で寝泊りをして虫や雑草の駆除に従事することになる。 その時、自分たちが生きていると余計なことを吹き込んでしまう恐れがある。 「きょうはゆっくりやすもうね!」 「あしたになったらきっとおにーさんもゆっくりできるようになってるよ!」 「「「「「ゆっくりりかいしたよ・・・」」」」」 しかし、その事実を伝えるのはあまりに酷だと判断した両親は何も言わず、ゆっくりすることを提案した。 両親の言うことを聞いて痛みや恐怖を堪えながら、そしてそれらから逃げるように子ども達は眠りについた。 彼女達はそれがこの世界で最後のゆっくりになることを知るはずがなかった。 「そろーりそろーり・・・れいむ、ゆっせーので、でいくよ?」 「ゆっくりりかいしたよ。ゆっせのーで」 あっという間に眠りについた子ども達を起こさないように静かに傍まで這いずって行った両親は掛け声と同時に子れいむに噛み付いた。 その子れいむは夏に生まれたばかりの子どもで、まだ小さく成体2匹にいきなり噛みつかれてはひとたまりも無い。 一瞬にして大量の餡子を失った子れいむは断末魔を残して終らないゆっくりへと旅立って行った。 「・・・もっと、ゆっくちちたかったよ・・・」 「「む~しゃむ~しゃ・・・ごべんねぇ・・・」」 そうして子れいむの亡骸を食べ終えた両親は次に両目を失った子まりさを食い殺した。 言うまでも無いことだが、出来ればこんなことはしたくないのだろう。 悲しみの色に染まった双眸からは涙が溢れ出し、水に弱い頬をふやけさせてしまっている。 夏に生まれた子まりさも同じように殺すと、その亡骸を両目を失った成体間近の子まりさ2匹の口にねじ込んだ。 舌を使って器用に口の奥へと運び、何とかこぼれ落ちないようにする。 その後、両親は我が子に頬をこすりつけていわゆるゆっくりにとっての交尾“すっきりー”をした。 途中で子どもが目を覚まし、「ゆっくりできないよー!」と泣いていたが、それでも無理矢理最後までやり遂げた。 「ごべんねぇ・・・」 「「も、もっと、ゆっくちしたかったよぉ・・・」」 「おぢびぢゃんだち・・・ごべんねぇ」 翌朝、唯一生き残った成体間近の子れいむが目を覚ましたとき、部屋には3本の蔦を頭に生やした両親しかいなかった。 それ以外のものは見慣れた壁と床と、わずかばかりの黒いかたまり、そして、10本の蔦を生やしている黒ずんだ大きな塊だけ。 朝早くにやってきた男は、以前のようにゆっくりしていることは無く、その蔦を全部引っこ抜くと足早に小屋を後にした。 「ねぇ、おかーさん・・・いもうとたちは?」 「れいむ、ゆっくりきいてね!」 「ゆっ・・・ゆっくりきくよ!」 神妙な面持ちの親れいむのただならぬ気配を察知した子れいむも真剣な表情になる。 「れいむのいもうとたちはね・・・・・・おかーさんたちがころしたんだよ!」 「ゆゆっ!?う、うそいわないでね!おこるよ、ぷんぷん!」 「ほんとうなんだぜ。いっぱいいてもごはんがへるだけだからころしたんだぜ!」 「ど、どほぢでぞんなごどずるのおおおおおおおおおお!?」 その残酷な言葉を聞かされた子れいむは泣きじゃくり、ぴょんぴょんと飛び跳ねながら両親に怒りをぶつける。 が、両親は「しかたなかったんだぜ!」とか「れいむのためだよ!」などと言うばかりで、何一つ納得のいく言葉を口にしてくれない。 やがて我慢の限界に達した子れいむは親れいむに飛び掛るがあっさりと弾き飛ばされ、まりさに取り押さえられてしまった。 「おがーざんのばがああああああああ!?」 「しかたないんだよ!こうしないとゆっくりできなくなっちゃうんだよ!」 「ぞんなのぢらないよ゛!ゆっぐぢでぎないおがあざんなんでゆっぐぢぢね!!」 厳しい自然の中で仲間を失った経験の無いこの子れいむにとって、生存のためでも仲間を切り捨てるなんてことは考えられない。 だから、親の気持ちも知らずに泣きつかれて眠るまでただひたすら呪詛を吐き続けた。 「ゆっくりしね・・・だって」 「おお、こわいこわい」 本来ならふてぶてしい表情で言うはずのこの言葉を、今ばかりは悲しみに満ちた表情で口走る。 ここにいてもいつか殺されるだけなら、いつか脱走を試みなければならない。 そして、そのためにはまず生き延びなくてはならないし、脱走の際に足手まといにしかならないものを生かしても仕方が無い。 そんな個体はよしんば逃げ延びても冬の野原や森で生き残ることなどまず不可能なのだから。 ならばさっさと間引いて一番逃げ延びる可能性のあるれいむだけでも救いたい。 また、きちんと蔦を提供することで、男の部屋の子ども達も何とか生き延びることができるかもしれない。 それが子どもが決して知ることの無い両親の想いだった。 頬を涙でぬらしながらも安らかな表情で眠る我が子の傍で2匹は再び6度に渡ってすっきりを繰り返した。 それが終わるとタイミング良く男がやって来て、さっきの分の餌(大根の葉っぱ650g)を床に置き、再び蔦を引き抜いていった。 結論から言えば両親は、餌には一切手をつけずに命を削って20本近い蔦を提供したが、子どもを逃がす機会を手にすることは出来なかった。 子れいむは両親の本心を理解しせず、度重なるすっきりで疲弊しているところを彼女に襲われたのが両親の死因となった。 小屋に残されたのは世間知らずで、両親ほど賢くもなかった1匹の成体間近の子れいむとおよそ1000g分の大根。 3ヶ月ばかり続く長い冬の間、最初の数日は両親の教えに反発するように適量以上を食べ続け、その後数日は妙な臭いを発する両親の死体で飢えをしのいだ。 が、やがてそれも尽き、2,3週間かけて子れいむはゆっくりゆっくりと飢えて、やせ衰えて、死んでいった。 「もっと・・・ゆっくり、したかったよ・・・」 おわり 善良なゆっくりは心理的な抵抗とは別の次元でも虐待しにくい気がする。 ちなみに、男の部屋の子ゆっくりは男が餌を管理してくれたおかげで無事生き延びました。 で、畑仕事を手伝いながら、10匹の子ゆっくりを授かり、冬には(以下略 このSSに感想を付ける