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むかしむかしのどこかに おじいさんとおばあさんがいましたある日おじいさんは山にしばかりに おばあさんは川へ洗濯に行きました おばあさんが洗濯していると、川上から今にも死にそうなゆっくり霊夢が流れてきました「ゆ·····く·····り······」その霊夢をおばあさんは川からひきあげると霊夢はこう言いました。「ゆ······おば···さん···だれ?···」おばあさんがこたえると、霊夢は言いました、山の上に住んでいる虐待鬼威参にいじめられた挙げ句、川に捨てられたこと、そしてにんしんしていることを おばあさんは、霊夢を連れ帰りました。 数日後····霊夢は回復し、子供も無事生まれました。いじめられたのと拾って助けてもらった恩のおかげでゲス化もしませんでした。 その頃、近くの村や町で鬼が金品や女子供を強奪するという 事件が起き始めました。このままではこの村も危ない時に霊夢と霊夢の子供は決心しました「ゆん!!おばあさん!!おじいさん!!霊夢決めたよ!!!鬼さんを退治するよ!!!」もちろんおばあさんおじいさんは、止めました でも霊夢と霊夢の子供の意志は変わりません 仕方なく虫や木の実がたくさん入った袋を持たして行かせました 霊夢と霊夢の子供はしばらく歩くとみょんに出会いました、霊夢は事情を話しました、そして取引をして武器を作ってもらいました「ゆん♪ゆん♪ゆん♪ゆ〜ん♪ ゆ〜ん♪ゆん♪ゆん♪」そんなふうに歌っているとゆっくり魔理沙がいました 魔理沙もみょんの時のようにして付いてきてもらいました。そして一旦休憩「オチビちゃんたち!みょん!魔理沙!ご飯さん食べようよ」 「む〜ちゃむ〜ちゃ、ちあわちぇ〜〜〜!!」「ゆふふ、オチビちゃん口についてるよペ〜ろペ〜ろ」「ゆふふ、くちゅぐっちゃいよ!おきゃあしゃん!!」ちなみに魔理沙やみょんからは少し白い目で見られいた 「それじゃあ出発するよ!!」 数分後··· うーパックが現れた 霊夢は取引した「うー♪うー♪うー♪」「ゆゆ〜ん♪れいみゅおしょりゃをとんでりゅよ!!」「オチビちゃん!気をつけないとおちちゃうよ!おちたら永遠にゆっくりしちゃうよ!」「ゆ〜ん···ぎょみぇんにゃしゃい··おきゃあしゃん」「だいじょーぶじゃよ!!おきゃあしゃん!!ちょっちえもときゃいはにょありしゅはおちにゃいよ!」ちなみに霊夢の子供は霊夢種とアリス種である「ゆん♪ゆ〜〜♪ !?ゆぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!たちゅけちぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」「ゆっ!?オチビちゃん今助けるよ」「やめたがいいのぜ、霊夢」「ゆっ!?なんで⁉」「霊夢が行ってもあのアリスは助からないのぜ それに霊夢が行ったところで二人とも死んで終わりなのぜ」「ゆっ···で··でも··」「霊夢には他の子供と鬼を倒すという目的があるのぜ、それをこんなところで無駄にするのかぜ?」「···ゆん!!わかったよ!あのオチビちゃんには悪いけど霊夢は行かないよ!!」 一方そのアリスは「ゆわぁぁぁぁぁぁぁ!!おぢゃゔ〜〜〜!!くじゅおや〜〜〜!!たしゅけぶっ!!!」 数十分後···「霊夢!見えてきたよ!!」「ゆぅぅ〜〜〜ん、なにが〜?」「鬼の住んでいるところだよ!!霊夢!武器を持って!」「ゆん!わかったよ!」 鬼ヶ島到着「ゆぅぅぅ〜〜〜んいっちょにいきちゃいよ!」「だめだよオチビちゃんはここで待っててね!それと···明日の朝になっても帰って来なかったらおばあさんおじいさんにお母さんは死んじゃったって伝えてね!」「ゆ〜〜ん··わきゃったよ、きおちゅけちえにぇ」「ゆん!それじゃあ行って来るよ」 そう言うと3匹のゆっくりは鬼ヶ島の奥へと向かった 「じゃあ作戦があるのぜ!」「ゆっ!作戦!?」「そうなのぜ鬼は胸にゆっくりでいう、中枢餡があるのぜ、そこをこの武器で刺すのぜ!以上が作戦なのぜ!じゃあ鬼を見つけたらそうするのぜ!」この3匹はとても運が良かったのだろう、島が遠かったおかげで鬼はもう寝ていたからだ。 数分後···「ゆ〜〜ん···鬼を倒せたよ!」たくさんと言っても5体ほどだが「ゆっ!魔理沙!みょん!」「霊夢ここにいたのかぜ!!少し話したいことが」「霊夢もだよ!霊夢鬼をたくさん倒せたよ!」「魔理沙は十二体倒せたのせ!あとみょんは十五体倒せたのぜ!」「ゆゆ!??ゆ!???ゆ〜〜!???!じゅうに?じゅうご?」「じゅうには三が三個と一個でじゅうごは三が三個とニ個なのぜ!」「ゆゆゆ〜〜???わかんないけどとにかくたくさんなんだね!!」「まあそうだぜそれで話しというのはこの奥にここの長がいたんだぜ!でも大きくて武器が刺さらないんだぜ!だから霊夢の武器も貸してほしいのぜ!」「わかったよ霊夢の武器を貸してあげるよ!」「助かるんだぜ!霊夢!」 移動中··· 「ここなんだぜ!ここに長がいるのぜ!!」「ゆわぁ! おっきい鬼だね!」霊夢がそんなことを行っているうちに魔理沙とみょんは武器で武器を押し込み心臓を貫いていた「ふぅこれでいいのぜ」「ゆん!!さすが 魔理沙すごいね!」「まあそれほどでもあるんだぜじゃあ帰るんだぜ!」「そうだね!!帰ろう!!」 移動中··· 「オチビちゃ〜〜〜ん!!!」「ゆっ!!!!おきゃあしゃんおにはたおしぇちゃにょ!?」 「うん!そうだよ!!うーパック!帰りも乗せていってね!!」「うー♪うー♪」「ゆわ〜〜〜い!れいみゅおしょりゃをとんでりゅよ!!」「オチビちゃん気をつけないと落ちちゃよ!!」「ぎよめんにゃちゃ〜い」こうして鬼から分取った宝を持ち帰りその後その3匹は英雄として崇められましたとさ。めでたしめでたしちなみに連れ去られた人は普通に人間の舟で帰れたとさ
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「ゆっくりしていってね!ゆっくりしていってね!」 家の外に一匹のゆっくりがいた これはたしか・・・まりす?まりさ?そんなやつだ ひまなので家に入れてやる 「ゆー!おそらをとんでるみたい〜」 「ありがとうおにいさん!いっしょにゆっくりしようね!」 はいはい 「ゆゆ〜ん!おにいさんがゆっくりしてればまりさもゆっくりできるよ!」 ……んー? ってことは今オレはゆっくりしてないってことか? 「ゆっ!?」 だってオレは普通にしてるぞ?ゆっくりしてないぞ? 「ゆゆゆゆ!?おにいさんゆっくりしてないの!?」 つまり今まりさはゆっくりできてないってことだ 「いみがわがんないよおお!?ゆっくり!?ゆっくりぃ!」 とりあえずさ、まりさくん?そのしゃべりかた全然ゆっくりしてないよね。もっとゆっくりしゃべろう? 「ゆゆ?ゆっくりしゃべればゆっくり・・・」 それがゆっくりってもんだろう? 「ゆ! ゆ っ く り は な す よ !」 「む〜〜〜しゃ、む〜〜〜しゃ、し あ わ せ ー !」 どうだい?ゆっくりできてるかい? 「と っ て も ゆ っ く り で き る よ ! ま り さ は い っ ぱ い た べ た か ら ゆ っ く り お ひ る ね す る ね !」 え?寝るの? それってゆっくりしてないよね 「ゆっぐりぃ!?」 あ、話し方戻った だって、寝るってことは動かないんだろ?とまるんだろ?それじゃ"ゆっくり"じゃないじゃん。うごいてないのは止まってるってことだ 「とまっちゃ・・・ゆっくりしてない・・・うごくよ・・・まりさはゆっくりうごくよ・・・」 話し方もどってやんの まぁゆっくりしていってね! 「ゆひぃ…ゆひぃ…もうつかれたよ…たいようさんもどっかいっちゃったよ…ねむいよ…」 あれ?どうしたんだ止まっちゃって、ゆっくりしてないな 「まりさ…ねたいよ、ゆっくりねたいよ…」 ゆっくりねる?寝ながらゆっくりするのか? 「ねむいよぉ…つがれたよぉ…もうゆっぐりしたくない…」 ゆっくりしたくないの?まぁいいけど じゃあおまえのこと"ゆっくりしないまりさ"とでも呼べばいいのかな? 「ゆ…ゆっくり…しないの、まりさゆっくり、していってね、ねむいの、しないの、ゆっくり、していってね ゆっくりしていってね、ゆっくりしていってね、ゆっくりしていってね、ゆっくりしていってね、……」 あ、壊れた。 まぁ明日ゆっくり料理とかググッてみよう ホアタァ! 「ゆっくりしてい で ぶ ぅ!」 おまけ 翌日、まりさが平然といた 「ゆっくりしていってね!」 あれ?ゆっくりしなくていいの? 「ゆっくりしていってね!なのにどうしてまりさがゆっくりするの?ばかなの?しぬの?」 おお!?開き直った? 「ちわーみかわやでーす」プシュアァァァァァ.... と謎の噴射を起こしながらまりさはどこかへ飛んでいった 一体なんだったんだろう ん? こ、これは昨日のまりさの死骸…どういうことだ!? 「すりかえておいたのさ!」デーンデデーンデデデン!(ry となぜかドアからさっきのまりさが出てきた つまりこいつはまりさの幽霊だったりするのかな? 南無阿弥陀仏 「ぎゃあああああ!!おのれはかったな!らめぇ!とんじゃう!まりさとんじゃうううぅぅぅぅ」 このSSに感想をつける
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ゆっくりって蝶を食べてるんですね。だから幻視したかも。 蝶を追いかけ回してた仲の良い複数のゆっくりが太陽の畑に迷い込む。 蝶々花々、見渡す限りのご馳走に思わずどっきり。 「新しいゆっくりポイント発見だね!!」 思わぬ収穫に仲間達と向かい合って皆でにっこり。 向日葵に蝶が止まった所を狙い定めてダイビング捕食。向日葵は重さに耐えれずにぽっきり。 「おいしいね!!」「もっといっぱい食べようね!!」「ゆっくり食べようね!!」 折れた花に群がるゆっくり達。皆が満足するだけの花を折って食べ、跳ねて蝶を食べお腹がぽっこり。 広大な向日葵畑。花のと葉の砦は自分達の隠れ家にはうってつけだと考え、皆でにっこり。 畑の中に移動し食後の運動を兼ねて隠れ家作り。心行くまでゆっくりできるスペースを確保するため円形に向日葵をばっさり。 沢山の食料が見つかり満足。太陽もポカポカで気持ちがよくゆっくり達は自然とまったり。 満腹で暖かな日差しに包まれて、皆で輪になりぐっすり。 良い場所を見つけて幸せを感じ、皆の寝顔はにっこり。 「…ゆ゛っぐり゛ぃ!!??」 体に何か入ってきたような感覚に襲われた紅白のゆっくりの突然の悲鳴にみんなびっくり。 「どうしたの!!」「びっくりさせないでね!!」「しっかりしてね!!」 苦しむ紅白の周りに心配になったほかのゆっくり達が見守るように囲んでひっそり。 パチン。ゆっくり達の後方で何かを弾く音がしたと同時に周りを格子状のつたに囲まれてどっきり。 「むきゅー!!」「これじゃゆっくりできないよ!!」「ゆっくりどかすよ!!」 3匹のゆっくりがポヨンポヨンと勢いをつけてつたに体当たりしたらざっくり。 「ゆ゛っぐりぃぃぃ!!」「いだい!!いだいよぉぉ!!」「むぎゅーぅ!!」 つたを除けようとしたゆっくりの悲鳴。よく見るとつたには鋸の様に細かい無数の刃がびっしり。 2匹は全身に無数の裂傷を負って地面にばったり。1匹がつたに絡まり絶命してぽっくり。 「もっどゆっぐりじだがっだよぉぉぉ!!」皆が叫ぶも返事はさっぱり。 理不尽だよ、ゆっくり皆でのんびりしていたのに。程なくして最初に悲鳴をあげたゆっくりがむっくり。 「痛かったけど大丈夫!!」「良かった!!」「元気になったね!!」 しかし1匹は絶命し2匹は瀕死、仲間を助けたくてここから出る方法を皆で考えても思いつかなくてがっくり。 「…あらあら。今日はお客さんがいっぱいね。」 突然、ゆっくり達の後ろから女性の声。振り返ると緑の髪をした綺麗なお姉さんが日傘をさしてにっこり。 救いの手が来たと歓喜。ピョンピョンと飛びはねながらお姉さんに助けを求めるゆっくり。 「おねえさん!ココからだして!!」「友達が危ないの!!」「わかるよー!!このままじゃ死んじゃうよ!!」 お姉さんはつたの檻の中で突っ伏す2匹と、つたに絡まって中身をむき出しにし絶命した1匹を見てにっこり。 「あらあら…。お友達が2人も死んじゃって可愛そう。」と言ってにっこり。 2人?聞き間違ったのかなと皆で首をこっくり。しかしそんな疑問よりも仲間が苦しんでいるのににっこりしているお姉さんに憤りを見せる。 「おねえさん!友達が大変なのにひどいよ!!」「ゆっくり謝っていってね!!」 それでもニコニコしているお姉さん。おもむろに綺麗な指を弾いてパチンと弾いた。 「「「???」」」 ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆでゅでゅ…、ゆっくり達の近くからぐぐもったような変な音がした。 最初に苦しんだゆっくりが出していることに気づいて驚愕した。うめき声を上げ痙攣しながら苦しみだした。 「どうしたの!!」「ゆっくり元気になってね!!」 小刻みに震え体表に何かが浮かんでくる。何かが脈動し醜く変形するゆっくり。恐怖から他のゆっくりは震えながら固唾を呑んで見守った。 断末魔。 「ゆ----------!!!」 …ブチィ!!と何かが引き千切れる音。苦しんでいたゆっくりの側面…頬辺りから植物のつぼみが突き出した。つぼみは外気に触れるとビクビクと小さく脈動した後に紅白の花を咲かせた。 「ひぃぃぃぃ!!」「わからないよ!?わからないよ!!」「ちーんぽ!!」 恐怖が他のゆっくりに伝染する。2匹目の仲間が目の前で花を咲かせ絶命した。虚空を見つめ、側面に花を咲かせている図は滑稽で理解不能で更なる恐怖を煽った。怖くて逃げ出そうとしたゆっくりが小石に躓き、つたで傷つき突っ伏していたゆっくりの上に勢いよくつっこんだ。傷から中身をひり出しながら痙攣し、絶命した。ゆっくりたちがまた絶叫する。転んだゆっくりの顔は後悔と混乱で蒼白、餡を浴びて汚れた。 「うふふ…。意外と綺麗なお花ね。それと、お友達またへっちゃったね。」お姉さんは日傘をいじりながら事も無げに言い放ってにっこり。 「早くここから出して!!」「うー!!うー!!」 ゆっくりたちは早くこの恐怖から開放されたかった。この場所にいたら自分も花になってしまうのでは?逃げたい。半狂乱状態でお姉さんに懇願する。ここから逃げ出せるなら、救いの手が差し伸べられるのならばどんな事でもしてみせれる気さえした。 「いいわよ。一人だけなら。」目を細めながら言った。…お姉さんはとてもにこやかだ。 お姉さんがパチンと指をならした。…ただ指を鳴らしただけだった。新たな『つた』も『花』も生えない。だが、トリガーは弾かれた。 呆然とするゆっくりを尻目に黒大福が2匹目の裂傷しているゆっくりをふみつけた。何度も何度も体全体を使ってトランポリンのように跳ね続けた。吹き出る中身。 「ゆっくりあっちに逝ってね!!」「むぎゅぅぅん!!」 飛び散る餡。絶叫するほかのゆっくり。もう動かなくなっているのに狂ったかのように跳ね続けている。黒大福は本気だった。仲間のために知らなかったとはいえ命を張った仲間を、友を踏みつぶしている。 その光景が、今度は狂気が伝染する。このままおとなしくしてたらゆっくりできない体になる。嫌だ。自分だけがゆっくりするんだ! 1匹堕ちれば後は総崩れ。この中にいるのは全員敵。排除しないとゆっくりできない。 「ゆっくり死んでね!!」「早くゆっくりさせてね!!」 自分だけが助かりたい。ここから逃げ出したい。ゆっくりたちが体全体を使い相手をつたのほうへ弾き飛ばそうとする。踏み潰そうとする。餡が飛び散る。狂気が、殺意が加速する。 日傘を揺らしながら、その光景をにっこりと見つめるお姉さん。 「ぢーんぼぉぉ!!」「痛いんだね!!わかるよー!!」 断末魔。白髪ゆっくりがつたに絡まった。何を理解したのか尻尾のついたゆっくりはわかるよー、と白髪ゆっくりを押し付け、傷を確実に広げていく。痛みで気絶したら後は軽い圧力だけで死に至る。止めのために踏みつける。 あちらこちらで悲鳴とブルュブリュと止めを刺す音が聞こえる。絶命の度にお姉さんはにっこりした。 「ゆっく…しっかり死んでね!!」「いだい!!わ゛がらないよぉー!!」 決着がつきそうだ。黒大福が尻尾を咥え自分を中心に尻尾ゆっくりをくるくると回転させて、十分に勢いをつけたところで、 「ぷはっ、ゆっくり飛んで死んでいってね!!」 口を離した。十分に加速したゆっくりはつたに押し付けられ二つに崩れた。 餡がつたの先にボトリとおち、周りをキョロキョロとみわたしたあと 「ゆっくり!これで、私は、私だけがゆっくりできるよ!!」 たった一人、生き残った黒大福は勝利の余韻に浸って、返り餡を落とすことなく檻の中心でふかく目を瞑ってゆっくりしていた。 「…さ、約束ね。」お姉さんが指を鳴らすとつたが消えた。 「ゆっくりできる!!おうちかえる!!」 黒大福はお姉さんに一礼するとさっさと、そこら中に散らばった餡や皮を踏みつけながら鼻歌交じりでその場から去って行った。 もう、かつての友など気にもせずに。 黒大福を笑顔で見送って 「…向日葵達が殺され理不尽に土に還らされた。家畜のような存在のエゴの為に。だからそいつらを理不尽な手段で土に還した。」 残されたお姉さんが言った。 数分後に…パチンと指をならした。笑ってはいなかった。 それから数日して、天狗が向日葵畑の上空を通過しようとした際に何かに気がついた。この前までは確かに一面の黄色だったはず。だが、今は違う。畑の一部が人為的に円形に空いており薄い青色の月見草や紅白の薔薇、水芭蕉、鬼灯など場違いな花が仲良く並んでいた。 ここの管理者らしくない対応だったが、近くでそれらをみて、確かに取り除くのには惜しい、見事に綺麗な草花だと思った。 主曰く「花びらが散って土に還るまでこのままよ。それにこの子達は今はもう元通りで仲良しよ。咲く時期も近いもの。」 女である私でも惚れ惚れするぐらい綺麗に微笑んだ。……こっそり写真も撮った。 そう言われてみれば、『仲良し』確かにそんな気もする。だが、『今はもう?』『元通り?』イマイチ意味が解らない。 これらは異変の前触れ?実は既に異変発生?わずかばかりそういう事を期待したがどうやら空振りだったようだ。 だが、滅多に取材できない相手だけに天狗はチャンスとあれこれ聞こうと考えた。が、珍しく上機嫌な太陽の主と仕事抜きでのんびりするのも悪くは無い気がした。今日だけは主も拒まないだろう。 …不思議とこの場所はなんだかゆっくりできる気がした。 さらに数ヶ月が過ぎた。太陽の畑から数分歩いた森の中にボロボロに汚れた黒い繊維質のゴミクズが転がっていた。ゴミクズのそばには白くて可愛らしいクロッカスが孤独に咲いていた。 クロッカスの花言葉は「信頼」「裏切らぬ事」。 裏切り者の嘘つきは最後まで嘘つきだった。
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ゆっくりの飾りの話に興味をもったので書きました。 最近、面白い話を聞いた。 ゆっくりは、死んだゆっくりの飾りを身につけると他のゆっくりに殺されるらしい。 何度かゆっくりたちに家や畑を荒らされてた俺は、それを聞いてその話に興味が湧いた。 どうすればゆっくりを苦しませて殺せるか、ずっとそれを模索していたからだ。 あいつらは絶対に自分が間違ったと思わない。 仮に間違ったと言っても、それは中身を伴わない単なる命乞いだ。 こっちの怒りが少しでも収まると分かると、手のひらを返したように、 「せっかくだから、ゆるしてあげるよ!!!」 「ほんとーはれーむとまりさのおうちだけど、そこまでゆーならすんでもいーよ!!!」 と言う。もちろん、そんなことをいった奴らは踏み潰した。あいつらは反省しない、 というより反省するのに必要な記憶力も思考力もない。なら、どうやって自分たちの罪の重さを分からせるか? 答えは簡単だ。苦しませればいい。 死んだゆっくりの飾りを身につけると、他のゆっくりに殺される。自分が仲間だと思ってきた連中にいきなり攻撃され、 ショックを受けるゆっくりたちを想像すると、いてもたってもいられず森の中に入っていった。 森に住むゆっくりの飾りを手に入れるためだ。 森に入って10分ぐらい経つと、目の前にゆっくり霊夢が現れた。 ゆっくり霊夢は赤いリボンを着けている。 俺はそれを見た瞬間、「これだ!」と思った。 帽子と違って、リボンなら結びつければ外れない。 ただし今は殺さない。話によれば、死んだゆっくりの飾りを盗ったものは呪われるらしい。おお、こわいこわい。 だから、リボンが必要になるまでは生かしておこう。 こうして何匹かゆっくり霊夢を捕まえた俺は、籠に詰めるとさっそく家に向かった。 帰る途中で、 「おにーさん、どこにゆっくりたちをつれていくの?」 「ここ狭いよ!ゆっくりできないよ!」 「はやくれーむ達を出してね!」 とか聞こえてきたが全て無視した。 家に着くと、俺はゆっくりたちを木製の箱に詰めた。最初は 「おにーさん、ここ狭いよ!出してよー!ゆっくり出来ないよー!」 と叫んでいたゆっくりたちだったが、詰められた後に餌を与えられるとすぐに懐いてきた。 「むーしゃ♪ むーしゃ♪ しあわせー!」 本当に単純な思考回路を持ってるな。 あとは、畑か家がゆっくりに襲われるのを待つだけだ。 それにしても、復習する為にわざ襲われるとは、本末転倒だな... それから5日が経った。家の近くにある茂みに隠れていると、 「おっ、来た来た。」 何も知らないゆっくりの家族が俺の畑にやってきた。 親霊夢と親魔理沙の2匹に加え、4匹ほどの子ゆっくりたちがいた。 子ゆっくりの内訳は、霊夢が3匹、魔理沙が1匹だった。 俺はこの日のために罠をしかけておいた。 ゆっくりたちに分かるように、畑の一箇所にいくつかクズ野菜の塊を放置していた。 無論、被害が出ないように育てていた野菜は収穫し、家の中も散らかりそうなものは全てしまって鍵をかけておいた。 クズ野菜の塊に気づいたゆっくり達は、さっそく餌にありつく。 しかしその瞬間、ボソッと餌ごとゆっくり達の姿が消える。 落とし穴にかかったのだ。 「かかったな、阿呆めが!」 そう言って、俺は茂みから飛び出し、落とし穴に近づいた。 「重いよー!れーむたちをゆっくり助けてー!」「おかーさん!この野菜臭いよー!汚いよー!」「何があったんだぜ!ゆっくり教えるんだぜー!」 そこで俺はこう言った。 「大丈夫かい?ゆっくり助けてあげるよ!」 「おにーさん、れーむたちを助けてー!」 「いーよ、でもちょっと待っててねー!」 そう言って、俺は家に向かった。家の押入れには俺があらかじめ捕まえたゆっくり霊夢たちが入っていた。 餌は十分に与えていたし、そこそこ大きい箱だったので、殺し合いはしていないようだ。 「明るいよー!おにーさん、ゆっくりしよー!」 「れーむ達の家でゆっくりしていってね!」 「暗かったよー!やっとゆっくりできるね!」 ゆっくり霊夢達が、それぞれ思い思いの感想を口に出しているところを、俺はいきなり握りつぶし始めた。 「痛いよー!ゆっくり出来ないよー!離しtt!!!」 「おにーさん何するのー!ゆっくり出来ないならさっさとdd!!!」 必死に叫ぶ霊夢たちを全て握りつぶすと手を洗い、早速その箱と紐が括り付けられた桶を持って落とし穴に向かった。 続く... Part.2へ このSSに感想を付ける
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前 *注意 ゆっくりいじめ描写無し。人間いじめ含む。 「こんにちは」 「………………」 「こんにちは」 「………………」 「ハロー・ニーハオ・ボンジュール」 「………………」 「さて、どうする、参謀? ワット・ドゥ・ユー・ドゥ?」 「言い直さなくていいです。私としてはちょうど良かったように思いますが、時期的に」 「クリスマスプレゼントか。天に召されるにしてもいい日ではあるな」 「観点が違いますよ、わざとでしょうけど」 「いや、そういう見方もできるということだよ。そう悪意でばかり捉えられると困るな」 「これまでの行いを省みることですね。ともかく調理班を呼ぶのが適当かと」 「うん、妥当だな。まあ、そうだ」 「長には、何か懸念でも?」 「いや、確かにこれは据え膳だろう。他の動物や妖怪に横取りされる前に、とどめを刺して解体するのが当然だろうな。ゆっくりは動物であり妖怪でもある存在だ」 「当然というより自然ですね。摂理に合ってます」 「それに、この衰弱具合では胃にも腸にも入っているものは何一つないだろう。臭みが取れていて美味いだろうな」 「そうですね。では、何が問題なんです?」 「意地が悪いな。本当はわかって聞いているんだろう」 「わかってはいますが、理解できないだけです」 「殺す人間を選り好みするのは、逆に生命を冒涜している……ということかな?」 「言いたいことの一つはそうですね」 「残りの理由は?」 「意地が悪いですね。本当はわかって聞いているんでしょう?」 「おぉ、言葉を返されるとは思わなかったな。というより、」 「『自分の意見を最小限にとどめて、相手の言葉を引き出す会話法を使っているね、さっきから』、ですか?」 「ハハッ、素晴らしい、その通り。いやいや、ますます可愛くなくなるね。売れ残りのクリスマスケーキも幾星霜を経れば、逆に価値が出るものなのかい?」 「それはお互い様ですから、ご自分の胸に聞くのが一番早いでしょう」 「本当に芯が強くなったなあ。もういっそお前さんが長をやったらどうかな。代わりに俺が参謀になろう。通り名はチビ黒参謀」 「そうですね。では引き継ぎを行いたいので、とりあえずどこかのお寺にこもってください。焼き討ちに行きますから」 「下剋上か。是非も無し。しかし、それではたった三日の天下だぞ」 「『鳴かぬならどうでもいいやホトトギス』」 「投げやりだな」 「では長もやり逃げはしないでください」 「責任は取れ、ということか。OK、認知しよう」 「ええ」 「俺の責任の下に、俺が命じよう」 「ではお考えをお聞かせ願いたく」 「まず、食糧に困ってない」 「困ってますよ」 「確実に餓死するほどではないだろう。備蓄にやや不安があるだけだ」 「流入してきたゆっくりが多すぎます。そのほとんどが冬眠もできず、食域も狭いです」「外部からの移民は晩秋初冬の風物詩だろう。予測した上で食糧は溜めておいた」 「それでも何かしらトラブルがあれば厳しいことになります。少しでも余裕があった方がいいでしょう」 「そう、それは認める。だが、絶対的に必要というわけでないのも事実だ」 「まあ……それは、その通りです、確かに。しかし、外部活動をする者たちからは不満も漏れ始めていますよ。『働かざる者が食うなんて』という旨のことです」 「それについては、食糧を前借りするのは正当な権利だと伝えておくことだな。それに流入者が下手に外部活動できるのでなくて、却って良かったのじゃないか? 外での活動が結局は一番糧秣を食うわけだしな」 「……ええ。少し話がずれてしまいましたね。苦しいところはあれど食糧は足りているという点で、長と私の意見は一致します」 「うん。それで、後の理由だが、お前さんの言う通り『選り好み』だよ」 「基準がわかりません。一体何ですか?」 「俺は面食いだ。彼は好みのタイプだ」 「なるほど」 「納得したか」 「はい」 「そうか」 「はい」 「………………」 「………………」 「すまない。俺が悪かった」 「早く話を進めてください」 「ん、基準の話だったな。上級の妖怪と同じ基準でこちらもやりたい」 「は? それは、ええと、確か」 「うん、生きるに値しない人間を選んで食べるということさ」 「『生きるに値しない』……というのはどういうことですか?」 「その辺りはまた話が長くなるな」 「しかしはっきりさせてくれないと困ります。ごく稀に私はそのことで酷く混乱するんですから」 「俺が不在の時は参謀の基準で行ってくれればいい。さっきの俺の基準は、群れにとっては最優先事項でないからな」 「確かにこれまでは問題なく処理できています。群れにおいても疑問視する声は聞かれません。けれど、曖昧にはしておきたくないんです。明確な基準とその意味をはっきりさせておきたいです」 「言い分はわかる。当然と言えば当然だ。わざわざ人里に入って人間を食い殺したと思ったら、今度は山で行き倒れた人間を助けたりするなんて、矛盾を感じてもおかしくはないな」 「え……? ……っ! 助けるつもりなんですか!?」 「そのつもりだ」 「信じられません。突発的かつ手前勝手な慈愛の精神に目覚めたのですか? このまま凍死にせよ、餓死にせよ、死ぬに任せておいてから解体するつもりだと思ってました。これなら殺さずに食糧を確保できます。でも、それでさえ理解できないというのに……」 「いやいや、理解できなくていいよ、そっちのつもりはないから。それに、通常なら殺してしまって問題ないというのはさっき言った通りさ。ただ、条件が揃っているなら、何かしら施してやってもいいだろうとは考えている」 「条件?」 「そう、彼我のね。さて、殺さない理由と生かす理由の有無を検証してみようか」 「…………………っ……」 「おや、ナイスタイミングかな? では、彼我の彼を確認してみよう。あー、アンニョンハセヨ?」 「普通に言ってください」 「…………だ、……ぇ」 「この界隈に群れを形成しているゆっくり、その長だ。初めまして。聞こえているかな?」 「…………ぅ……」 「そうか。では早速で悪いのだが、この縄張りから出て行ってもらえるかな。お前さんの存在は何かと物議を醸しているんだ」 「……べ…ぉの…」 「食べ物か。確かにその衰弱ぶりでは、自力で出て行けはしないな。しかし、こちらの台所事情も逼迫気味でね、その要求を満たすのはやや難があるかな。まあ、横にいる健啖な参謀は、是非とももてなしたいと言っているんだけどね。クリームと酢と塩を擦り込んだ上で」 「宮沢賢治じゃありませんよ」 「化け猫でなくて、化け饅頭だしな。──さて、人間、今のやり取りでお前さんを助けることが決定された。しばらく待っていてくれ」 「長、ちょっと待ってください」 「うん、手短にな、あの男が事切れる前に」 「私はまだ完全には理解できていないのですが」 「理解できたところまで話してくれ」 「人間の存在が問題になるのはわかります。何もせずに放置するのはありえません。特に群れの中でのことですから」 「そう、殺しもせずに死ぬのを待つのでは、虐待と変わらない。群れの教育上よろしくないな」 「しかし、そこから先がわかりません。助けられないならひと思いに介錯してあげるべきです。しかし、長は『助ける』と言った。『人間に渡せる食べ物はない』という台詞と共にです。矛盾していませんか」 「二点見落としているな」 「はい?」 「『彼我の彼の条件』は何かな」 「え、と、その話ですか。ええと」 「彼は殺されてしかるべき人間ではないようだ。よだれを垂らして飛びかかってくるようなら、むしろ話が早くて良かったのだけどね」 「正当防衛は使えない、そして彼の人柄は……。『彼我の彼における殺さない理由』はわかりました。私の目には、ただのお人好しにも映りますが」 「生命の危機に際しても、手軽に食えるゆっくりに手を出さないからな。特に参謀は食い出があるのに」 「長は煮ても焼いても食えませんけれどね。ともかく、彼は少なくとも生を弄ぶような人間ではない」 「そう、俺の基準で言えば、彼は殺したくない部類の人間だ」 「一つは片付きました。そして後一点、私が見落としているのは、『彼我の我における生かす理由』です。これがなくては、どんなに長が殺したくなくても、殺さざるをえなくなる」 「いや、何が何でも助けたいわけではないよ。助けられるから助けるのであって、そうでなければためらいなく殺すさ」 「やはり、見落としているのは食糧のことですね。それこそが彼を助けるものですから。しかし、だからこそわかりません。私の疑問符はどう外されるのですか?」 「単純なことだよ。まず参謀は俺の台詞を誤解している。俺は『難がある』と言ったのであって、『できない』とは言ってない」 「同じ事では? ギリギリの状態なのに、外部の者に譲渡する義理はありませんよ」 「非常時でもなければ食べない物があるだろう。与えるのはそれだ」 「……え? いえいえ、まさか。人間の食域はゆっくりのそれに比べて、格段に狭いはずです、少なくとも私たちの群れにおいては」 「今やそうなっているね。古参のゆっくりはみんな悪食のプロフェッショナルだからな」 「長がそう仕向けたんでしょうが、まったく。とにかく、群れの誰にも食べられないものが人間に食べられるはずがありません」 「それは事実だ。ただ何事にも例外があってな」 「例外、ですか?」 「さて、参謀。俺とくじ引きをしよう」 「本当に何とお礼を言ったらいいか」 「何度も言うが、気にしなくていい。成り行きでしたことだからな」 「そんなことはない。君たちは命の恩人だ。必ず借りは返すよ」 「いや、こちらとしてはお前さんが『何もしない』のが最善なんだ。気持ちだけ受け取っておく、とさえも言えない。ともかく、お前さんには早くここから出て行ってもらいたい」 「ああ、わかった。それからもう二度と群れには近づかないでおくんだね」 「そう願う」 「約束するよ。本当にすまないね、群れには食糧が無かったのに分けてもらって」 「本来は捨てるはずのものだ。そんなものを食べさせたんだが」 「だけど、そのお陰でこうして生きていられる。感謝するよ。わざわざ温めてもらって、暖も取れた」 「それは勘違いだな。加工したてだから温かかったんだ。いつもは廃棄するものだから、備蓄はない」 「あれは加工品の廃棄物なのか。なかなか美味しかったよ、素朴な味わいで。何て言う物なのかな」 「お前さんは丼物を知っているかな」 「ああ、鰻丼とか親子丼とか」 「では、鉄火丼も知っているね」 「『てっか』……? いや、初耳だよ。あれが?」 「まあ、具だけだがな。それもいらない部分を寄せ集めたものだ」 「そうか、あれが……。作り方を聞いてもいいかな。村に帰ったらもう一度食べてみたいんだ」 「残念だがそれは無理だ。人間と食料を争奪することになりかねない。だから、今回のことは他言無用とお願いしているわけだよ。察してもらいたいな」 「ああ、わかった。約束するよ。……貴重な食材なんだね」 「最寄りの村はこの先にある。お前さんが来た村とは別だが、冬が開けるまで世話になるといい。案内はできない。最近村人が妖怪に食い殺されてね、ゆっくりに対しても絶賛警戒中なんだ」 「ありがとう。お礼しか言えない自分が恥ずかしいが、心から感謝するよ。ありがとう」 「さあ、早く行ってくれ。『ここでは何もなかった』。いいな?」 「これにて一件落着と。さて、俺たちも昼食にしようか」 「………………」 「ん、どうした? 何か心配なのかな。大丈夫だろうさ、あの人間は。身体に差し障りがあるはずがない。栄養価も悪くないし、毒性なんてあるはずもないのは検証済みだ。現にあれだけ回復していたじゃないか」 「………………」 「味も香りも不快なものではなかったろう。感謝していたわけだしな、家畜人ヤプーほどじゃないにせよ」 「………………」 「それとも、彼が事実を知ることを畏れているのか? 鉄火丼を知らなかったんだ、幻想郷には海がないから、普通に生きている限りは一生知ることはないさ。だから、海亀のスープみたいなことにはなりえないよ」 「………………」 「それにしても、我々にとってはトラブルでも、彼にとっては運が良かったな。いや、運だけでは命を繋ぐことは不可能だったろう。最後まであきらめない根気、そしてくよくよと細かいことに囚われない良い意味での鈍さ。すなわち『運根鈍』が彼を救ったんだ。そして、彼が食べたのは──」 「それ以上は黙ってください」 「何だ、せっかくオチを付けようと思ったのに」 「冗談じゃないです! 何で私があんなこと!」 「おいおい、厳正なるクジ引きの結果じゃないか。正規の業務の外なのだから、俺と参謀にしかできないことだったわけだしな」 「一軒一軒回って、あんな、あんなお願い……っ」 「涙目になる程のことかな。ちょっと変な目で見られたくらいだろう」 「くらいじゃないですよ! くらいじゃ! あぁ、もう私どんな顔してみんなに会えばいいの……」 「明日から子供たちのヒーローだな」 「長っ!」 「じゃあオチを付けるぞ。彼が食べたのは」 「長ァッ!」 「駄目か? じゃあウンコ丼は止めて、ホカ便にしようか」 「いい加減にしてください!!」 「参謀だったらどっちがいい? アンコ味のウンコか、ウンコ味のアンコか」 「ッ! 失礼しますっ!!」 「あ、参謀! ちょっと待ってくれ! 参謀! おい! …………参ったな……」 「……最後はクソクラエと罵倒してほしかったんだが」 黒ゆっくり4 過去作 fuku2894.txt黒ゆっくり1 fuku3225.txt黒ゆっくり2 fuku4178.txt黒ゆっくり3 このSSに感想を付ける
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森に入りすこし大きな木を探して歩いていると木の根元の穴からゆっくりれいむの親子が出てくるのを見つけた。 いつものようにゆっくりに向かって叫ぶ。 「ゆっくりしていってね!」 「「「「ゆっくりしていってね!!!!」」」 外に出ていた4匹のゆっくりが反応してこちらを向く。大きさから親二匹と子供二匹というところか。 最近のゆっくりは人間を警戒するので近かった子供二匹をすばやく掴み、背負った籠に投げ込む。 すぐに何が起こったか理解できずにいる親ゆっくりを捕まえ先ほどのように籠に投げ込む。 「なにするの!ここじゃゆっくりできないよ!」 「おとーさんおかーさんおもいよ!」 「ゆっくりどいてね!」 「せまいよー」 背中でうるさいれいむどもは放っておき穴の中を探ることにする。 籠を地面に置くと、中のれいむたちは外に出ようと飛び跳ねる。 しかし籠の中は狭く、れいむたちは顔を離せずにいた。そんな状態では満足に飛ぶことも出来ないので外に出ることは不可能だった。 籠から出れないのを確認した俺は穴の中を見る。中は暗くよくは見えなかったが何かが動いたような気がした。 もう一度ゆっくりを捕まえるための言葉を叫ぶ。 「ゆっくりしていってね!」 「「「・・・ゆっくぃちていってね!」」」 「お菓子があるんだけど出てきてくれないかい?」 「ゆっ!おかち!おかちほちぃ!」 「ゆっくぃいくよ!」 「ゆーゆー!」 れいむ種は馬鹿なのですぐに顔を出す。まりさ種やぱちゅりー種はすぐに出てこないから難しい。アリス種はまりさがいるといえばすぐに出てくる。 そんなことを思いながら、出てきた三匹の赤ちゃんれいむを掴み籠に投げ込む。 「おかちどこー?」 「ゆっ!みんなだいじょうぶだったんだね!」 「おかしはないけどゆっくりしようね!」 「ゆっくぃするよ!」 家族の対面を眺めた後籠を担いで家に戻る。 玄関を開けて扉を閉めて外に逃げれなくすると、籠のれいむたちを外に放り出す。 「ゆぐぅ!」 「もっとゆっくりだしてね!」 「だいじょうぶ?れいむのかわいいこどもたちがけがするでしょ!」 「おなかすいたよ!おじさんなにかたべさせてね!」 「きたないおうちだね!れいむたちのおうちのほうがきれいだよ!」 「おかち!おかち!」 外に出たとたんに騒ぎ出すれいむたち。このままでは埒が明かないので一番近くにいたれいむを蹴り飛ばす。 「い゙だあ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!」 「な゙に゙ずる゙の゙お゙お゙お゙お゙お゙!!」 「「おとーさんをいじめるなー!」」 どうやら父役のれいむだったようだ。母役のれいむと成長している子れいむが文句を言う。赤ちゃんゆっくりは母ゆっくりのそばで震えていた。 俺は気にせず父ゆっくりを踏みつける。餡子をすこし出す父れいむ。 「ゆ゙ゆ゙ぅ・・・」 「静かにしろ」 「そのあs・・・いだぁあああ!」 「静かにしろ!」 喚く親子を黙らせる。子ゆっくりも何か言おうとしていたが、蹴られた母れいむを見て静かになった。 「よし、今から俺の言うことを聞けば生かしてやる。聞かないのならここで餡子をぶちまけろ。」 「言うことを聞けばお前達には何もしない。しかし、言ったことを守らなければすぐに潰す。」 俺の言ったことに対しれいむたちは考えるような仕草をみせた。 親れいむは目線で相談している。子供達は親れいむの決定をただ待っていた。 やがて決まったのか、親れいむがこちらを向く。 「おじさんのいうことをきくよ!」 「だからゆっくりさせてね!」 「こどもたちをころさないでね!」 「いうこときくからやくそくはまもってね!」 「あぁ、もちろんだ。約束を破らない限り約束を守ろう。」 子供達が大事だったのか俺に従うゆっくりれいむ。 俺は家の屋根を支える柱の一つにれいむたちを連れて行く。 「ここにお前達が上れる梯子がある。ここを上って小屋組に乗れ。その小屋がお前達のこれからの住処だ。」 「ゆゆっ?」 「上に大きい木が横になっているだろう。その上で住めと言ったんだ。屋根からは出れないように板を張っているから安心しろ。」 そう言ってゆっくりを一匹ずつ登らせていく。最後に俺も梯子のぼりゆっくりたちが全員木に乗れたことを確認する。 小屋組用の木はゆっくりが何とか一匹通れる大きさしかない。れいむたちは一列に並んだ状態になっていた。 それを確認した俺は梯子を降りて梯子を外す。これでれいむたちは無事に下に降りれない。 「その上でいる限り俺はお前達に何もしない。ただし、木を齧ったりしたら問答無用で潰すからな。 後、木から落ちて地面に着いたら俺は落ちた奴を潰す。数は覚えたから俺がいない間に落ちても探し出して潰す。餡子一粒でも落としたら潰す。 餌は3回俺が下から投げてやるから上手くとれ。それで落ちても容赦なく潰すからな。出来るだけ落ちないように投げてやるからそこは安心してろ。」 寝床は屋根に使ってる藁をとって勝手に作れ。ただし、お前達が動かした物を落としたら飯抜きだ。わかったな!」 言い終わるとゆっくりたちが理解できたかを確認する。れいむ種は馬鹿なので何回か言うつもりだったがどうやら理解したらしい。 用は地面に落ちなければいいというだけなのだかられいむでも何とか覚えれたか。そんな風に思いながら、今日は寝ることにした。 翌朝、目が覚めると天井のゆっくりたちを確認する。どうやらまだ一匹も落ちていないようだった。 しかし、赤ちゃん以外のれいむたちは疲れているように見える。 「どうした?ゆっくり寝れなかったのか?」 「こんなところじゃねれないよ!もっとひろいところがいいよ!」 「赤ちゃんは寝れたみたいだな。」 「おかーちゃんがくちのなかでねしゃせてくれたの!」 「まぁそのうちなれるさ。」 赤ちゃんが元気な理由を確認してから朝食を作る。 天井のゆっくりたちはそれを隣の部屋の天井から覗き込んできた。よだれが落ちないように口を閉じてるが体ごと落ちてきそうだった。 そんな様子を笑いながら見ていると、押入れの中から音がしだした。どうやら一緒に暮らしている一匹が起きたのだろう。 ふすまが開くと紫の髪と黒い帽子を被ったそいつらは俺に向かって一言。 「「ゆっくりしていってね!」」 「おう、おはよう」」 「「おにーさんおは『ゆっくりしていってね!』ゆっ!?」」 どこからか聞こえてきた声に驚く二匹。きょろきょろするが該当するものが見つからなかったのか、二匹で仲良くこっちに跳ねてきた。 天井の上にいるれいむたちは木が邪魔で見えなかったようだ。 上にれいむの家族がいることに気づかなかった二匹は俺の作った朝食をれいむたちがいない部屋の机に並べてくれた。 この二匹はゆっくりまりさとゆっくりぱちゅりーで、去年森で傷つき倒れていたのを拾ってからの付き合いだ。 元気になってからは積極的に俺の手伝いをしてくれるので家においている。どうやら恩返しのつもりらしい。 今ではまりさとぱちゅりーに押入れの一つを巣として提供し、一緒に暮らしていた。 俺としても話し相手とゆっくりの行動を観察という暇つぶしが二つも出来て結構満足していた。 そんな二匹と朝食を食べる。ゆっくりの下には新聞を敷いているがほとんど汚さないままゆっくりと食べている。 二匹が仲良く食べてるのを見た俺は隣部屋の天井を見る。そこではゆっくりれいむたちが俺達の朝食を眺めていた。すこし騒がしかったがこちらの部屋までは聞こえてこない。 親子が横一列に並んで俺達を見ている姿は面白く、俺は笑いをこらえるのが大変だった。 「ゆっくりたべたよ!ごちそうさま!」 「よし、それじゃあ今日は俺が一人で片づけするからお前達は外で遊んできていいぞ。」 「むきゅ!でもおにーさんにわるいよ!」 「まぁたまにはいいじゃないか。二人で遊んでおいで。あ、それと向こうの部屋には入らないでね。入ると俺がゆっくりできなくなるんだ。」 「わかったよ!べつのへやでゆっくりするね!いこう、ぱちゅりー!」 「むきゅう!」 俺の申し出に最初は戸惑っていた二匹だったが、向こうの部屋に入るなという言葉で、俺が何か大事な仕事があると勘違いしたのだろう。 二匹は縁側の方に飛び跳ねていって、そこでゆっくりしだした。 俺は残ったご飯でおにぎりを7個作り、れいむたちのいる部屋に入る。 「おい、ご飯を持ってきたぞ。」 「おそいよ!はやくもってきてね!」 「まりさとぱちゅりーだけずるいよ!」 「ごはんーごはんー」 口々に文句と朝食を催促するれいむたちに先ほどのおにぎりを投げてやる。 「ちゃんととれよ。」 そういってゆっくりと放り投げてやる。まず最初に親と子ゆっくりがそれぞれきゃっちし食べ始める。 それをうらやましげに見つめる赤ちゃんゆっくり。 「おかーさん、れいみゅのもとってー」 「おとーさん、わたしもー」 「はやくたべたい!」 「わかったよ!おじさんあかちゃんたちのはれいむがとるからこっちになげてね!」 赤ちゃんゆっくりに急かされて、おにぎりを食べた母れいむがおにぎりを捕まえようと口をあける。 母れいむに一番近い赤ちゃんは母にべったりとくっついて一番に貰う気のようだった。 俺はまとめて3つ投げてやった。 「ゆっ!?」 驚く母ゆっくり。しかし、3つともまとまっていたので少し動くだけで3つとも取れた。 「ごはんとれたよ!ゆっくりまってね!」 べちゃ。 「あれ!?れいむのあかちゃんがひとりいないよ!」 見回してもあかちゃんが一匹いないことを不思議がる母れいむ。周りのゆっくりたちを見ると全員青い顔で下を見ていた。 まさか・・・ 「い゙や゜あ゙あ゙あ゙あ゙れ゙い゙む゙の゙あ゙がぢゃん゙ん゙ん゙ん゙ん゙!!!」 母親もやっと気づいた。おにぎりを三つ取ったときに動いたせいで赤ちゃんを突き落としてしまったのだ。 赤れいむは何が起こったのか分からない顔で畳に激突した。餡子が飛び散る。 これは手を出すまでも無かったので畳の餡子とれいむだった皮を回収。 いまだ声が出せないれいむ達を置いてまりさとぱちゅりーのところに向かった。 「おやつのじかんだぞー。」 「ゆっ!おやつおやつ!」 「むきゅきゅーん!」 三人で仲良く死んだれいむを食べる。地面に着いた方をゆっくりに食べさせ上のまだ綺麗な方を俺が食べた。 しばらくそこでゆっくりと戯れてかられいむ達を見に行った。 先ほどのことは都合よく忘れたのだろう。れいむたちは落ちないように木にくっついていた。 「どうした?そこは飛び跳ねたりしても安全だぞ。何もしないからゆっくりしていいぞ。」 「ここじゃこわくてとびはねられないよ!」 「もっとゆっくりできるばしょがいいよ!」 「や゙め゙でえええ!みをのりださないでえええ!」 ゆっくり一匹が乗れるぐらいの木の上では満足に飛び跳ねれないのだろう。そろそろと這うように木の上を動いている。 位置を変えるときはどちらかがその上を通らないとダメで、できるだけ潰れるれいむをそろそろとれいむが這って動くのは面白い動きだった。 親ゆっくりは先ほどのことをまだ覚えていたのか、子供達が落ちないように動作一つ一つに気をつけていた。 特に赤れいむには顕著で、自分から離れようとする赤ちゃんをすぐしかりつけて近くに置く始末だった。 これじゃゆっくり出来ないのも無理は無い。そう思いながら畑仕事に向かった。 畑仕事もまりさとぱちゅりーは手伝ってくれる。まりさは畑に生えた雑草を抜き、ぱちゅりーは生えている野菜に何か異常が無いか調べる。 俺は野菜に水をやり、ぱちゅりーの調べた野菜に薬を撒く。雑草はまりさとぱちゅりーが食べてくれるので、捨てる必要はなかった まりさとぱちゅりーが雑草や野菜につく虫を食べている間に俺も昼食を取る。 昼飯ようにおにぎりをれいむたちの分と一緒に作ってやる。俺の分にはおかずを入れ、れいむたちには何も入れない。 おにぎりをもって畑に向かう前に朝のように投げてやる。今度は赤ちゃんは母れいむに近づかなかった。 餓死されては掃除が面倒なので、それなりの量のおにぎりなので重く、親ゆっくりは平気だったが子ゆっくりは受け取ると同時に落ちそうになった。 周りの子ゆっくりと親ゆっくりが齧りついて何とか落ちなかったが、大きいおにぎりを口に含んで喋れない子れいむの顔は喉を詰まらせたみたいで、目が吹っ飛ぶんじゃないかと言うような顔だった。 声が出せなかったが齧られて相当痛かったのだろう。 そんな様子を見て満足した俺はまた畑仕事に戻った。 畑仕事が終わり戻ってくると、なにやら騒がしい。俺はまりさとぱちゅりーに先に庭で遊んでおいでと言って中に入る。 案の定、子れいむが一匹落ちたらしく必死に柱を登ろうと柱に向かってジャンプしていた。 子れいむは赤れいむよりは頑丈だったようで大きなあざはあったが餡子は出ていなかった。 それを上かられいむたちが応援している。扉が開いて俺が入ってきたことに気づいた天井のれいむたちは落ちたれいむを助けようと叫ぶ。 「おじさんがきたよ!ゆっくりにげてね!」 「ゆっくりかくれてね!」 「ゆーゆー!」 「ゆっくりかくれるよ!」 そんなことを言いながら、子れいむはなべの中に飛び込んだ。 俺は先ほどから見ていたのですぐになべに入ったれいむに近づく。 「ゆゆっ!そこにれいむはいないよ!おじさんばかだね!」 「そうだよ!れいむはかしこいからもうにげちゃったよ!」 「おじさんばかだね!」 「ゆっゆっ!」 どうやら必死に俺の注意を逸らそうとしているようだったが、逆効果だ。 俺はなべのなかで震えているれいむをとりだす。 「ゆっくりやめt「おらぁ!」ゆべっ・・・」 何か言おうとするれいむを無視して両手で押さえつける。れいむは喋れなくなったがまだあんこは出ない。 台所に行きれいむをまな板に載せ包丁を入れる。 「あがっがgっがgggg」 「なかなかかたいな。」 皮を何とか切り開くとおいしそうな餡子が見えた。切り口を引いて餡子を取りやすくする。 まだ意識はあるようで「ゆ゙っゆ゙っ・・・」と震えるれいむを皿に押し付け喋れなくし庭に持っていく。 働いた後の甘味はとてもおいしいのだ。 途中れいむたちのいる部屋を通ると俺が何を持っているのか気づいた親れいむは泣きながら良く分からない言葉を叫ぶ。 子供達は発狂したような親れいむからできるだけ離れようと必死だった。落とされないためだ。 庭に着いた俺はまりさとぱちゅりーを呼び、一緒にれいむ餡子を食べることにした。 天井で満足に跳ねたり寝ることも出来なかったれいむはずっとストレスを溜めていたためとてもおいしかった。 加工場ほどの味ではなかったが、手軽に出来るため、我が家のおやつとして定着していた。 ちなみにまりさとぱちゅりーは同属の餡子を食べてることには気づいていない。 いや、気づいているのかもしれないがあまり気にしていないようだった。 森で住んでいたときに何かあったのだろうが今はどうでもいい、俺はおいしそうに餡子をたべるまりさたちを見ながられいむの頭の中に手を突っ込んだ。 存分にゆっくりし、夜食をまりさとぱちゅりーとともに取る。れいむたちにはおにぎりをいつものように投げてやる。 残飯でも良かったが、そんなものを食べた餡子を食べたくなかったのでおにぎりをやることにしている。 今回も落ちずにご飯を食べれたれいむ達を見てまりさやぱちゅりーの部屋に戻る。 まりさとぱちゅりーが押入れに入ったのを確認した俺はれいむ達をまた見に行く。 子れいむと親れいむたちは眠そうにしているが、寝ると落ちるので必死に寝るのをこらえていた。 母れいむは赤ちゃん達が落ちないように口の中に入れて起きている。中で赤ちゃんがすやすや寝ているのをどう思っているのだろう。今までの経験から一週間ほどでフラフラと全部落ちてくるだろう。それまでにまた補充しないとな。 「おやすみ。ゆっくりしていってね!」 次の日に森でまたれいむ一家を捕まえた。れいむ種が一番数が多いので良く見つかる。 籠に入れて戻ってきた俺は籠から出したれいむに天井での生活を教えこませて天井に梯子をかけた。 このSSに感想を付ける
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※これはfuku1783 ゆっくり腹話術(前)の続きになります 子れいむと親れいむを失い、残り四匹となったゆっくり一家の後を追う。 親れいむが人間に連れ去られたショックはあるものの、ゆっくり一家にあるのは悲壮感ばかりではなかった。 残ったものが死んでいったものたちの分までゆっくりしよう、という思いなのだろう。 「ゆぅ、おにゃかちゅいたね…………」 ポツリ、と子れいむが呟いた。 「「ゆぅ……」」 その言葉に賛同するように声を漏らす二匹の子まりさ達。 このゆっくり一家は食べ物を求めて人里にやってきたが、狙った食べ物にはことごとくありつけなかった上に死ぬかもしれない思いまでしている。 空腹は既にかなりのものになっていることだろう。 腹を空かせる我が子の姿を直視できないのか、なんでもいいから食べ物を探そうとしたのか、親まりさは視線をキョロキョロと辺りに飛ばす。 すると、 「お~い、ノブナガ~。メシだぞ~」 近くの民家から一人の老人が皿を持って外へ出てきた。 どうやら飼っている犬にエサを与えに来たようだ。 老人が犬小屋の前にエサを盛った皿を置くと、バネ仕掛けのおもちゃのように勢いよく一匹の柴犬が犬小屋から飛び出してきた。 ガツガツと勢いよく食べる飼い犬の姿を満足そうに眺めた後、老人は家の中へと戻っていった。 「「「……………」」」 視線をゆっくり達へ戻すと、案の定というか子ゆっくり達は羨ましそうに犬のエサを見つめ、口の端からはだら~、とよだれまで出ていた。 親まりさも私と同じくその姿を見たのか、 「ゆっ、まりさにまかせてね。いぬさんからごはんをもらってくるよ!」 そう子ゆっくり達に言い残してすぐさまその場を駆け(跳ね)だした。 本来は人里の美味しい食べ物を狙いにきたのだろうが、犬のエサまで狙うとは。 余程腹を空かせていたのだろう。 「ゆっ、おとうしゃんがんばっちぇね!」 「むのうなおかあしゃんとはちがうもんね!」 「いぬしゃんなんかぶったおちちゃえ!」 親まりさの背後からは子れいむや子まりさの声援。 その声援を受け親まりさは犬のもとへ向かう速度を更に加速させると、そのままの勢いで食事中の犬のどてっぱらに体当たりを仕掛けた。 「ゆぉぉぉぉぉぉ!!」 「キャウンッ!?」 突然のことに思わずよろめき、その場から退く犬。 それを自分の勝利と思ったのか、親まりさは子ゆっくり達に「みんな~、おいで~。ごはんだよ~」と呼びかけていた。 「やっちゃー、さすがおとうしゃん!」 「おなかちゅいたよ~」 すぐさま親まりさの元へ結集する子ゆっくり達。 そしてゆっくり一家は犬のエサが盛られた皿に一斉に殺到した。 「「「む~しゃむ~しゃ、ちあわせ~」」」 犬のエサといえど野生のゆっくりの常の食事に比べれば豪勢だ。 子ゆっくり達の幸せそうな顔を、子の幸せは我が子の幸せだという顔で見つめる親まりさだったが、自分も腹を満たさねばと皿のエサを食べようとするが 「バウッ!!」 犬の鳴き声に驚き飛び上がった。 「ゆっ、ゆっ!? び、びっくりさせないでね! これはまりさたちのごはんなんだからいぬさんはさっさと────い゛だい゛いいい!!!!」 親まりさは抗議の声をあげたが、犬に言葉が通じるわけもなく、頭の一部を噛み千切られていた。 噛み千切られ失った左半分の頭部からは餡子が漏れ出ている。 「ゆっ、おとうしゃん!?」 「おとうしゃんににゃにするのぉぉ!!」 「だめぇぇぇぇ!! にげてぇぇぇぇ!!」 親の仇だ、と犬に突進しようする子まりさ達を諌める親まりさの声に、この犬も人間同様敵わぬ相手と悟ったのか、すぐさま逃亡を図る子ゆっくり達。 親まりさも噛み付かれたが頭部は千切られていたため、すぐにその場を離れることができた。 だが、子れいむが一匹、逃げ遅れていた。 犬から一番遠い位置に居て、犬に突っかかろうともせずに逃走の体勢に入っていた子れいむ。 本来ならば真っ先に逃げられていたであろうが、子まりさが子れいむを踏みつけていったため逃げ遅れていたのだ。 「ゆっ~、まっちぇぇ!」 背後からは犬が外敵を排除せんと追ってきている。逃げ遅れている自分。 恐らく子れいむは最初に死んだ自分の姉妹のことを思い出していたことだろう。 しかし、ここで子れいむを殺してしまっては私の計画が狂ってしまう。 私は子れいむを踏みつけていった子まりさに狙いを定めると、『腹話術』を使用した。 「ゆっ!? 〝ガメラが飛ぶ時の回転数すごすぎぃぃぃぃぃ!!!〟」 『腹話術』をかけられた相手はその間気を失う。 つまり、気を失った子まりさの足は止まるということだ。 足の止まった子まりさを追い抜いていく子れいむ。 理由は分からないだろうが助かったので特に気にすることはないだろう。 「…………ゆっ!? なんでれいむがまえにいりゅ────ゆ゛ーーーーー!!!!!」 子まりさが気が付いた次の瞬間には、子まりさは犬に咥えられていた。 「いだいよ゛ぉぉぉぉ!!! おどうじゃんだずげでよ゛ぉぉぉ!!」 噛まれ、宙に浮く子まりさは泣き叫び親に助けを乞う。 しかし親まりさは無力である。ゆっくりが自分より体の大きいものに敵うはずもない。 「ゆっ、ゆっ……!」 犬は鎖に繋がれているため鎖の長さ以上の距離を逃げている親まりさ達は襲われることはない。 だが犬の行動範囲内に飛び込もうものなら今度こそ問答無用に殺されてしまうだろう。 子まりさを助けることは最早不可能だった。 「ゆ゛っ、ごべんね、ごべんねぇぇぇぇ!!」 親まりさは涙を流しながら子まりさを見捨てた。 残った子まりさと子れいむを連れて全速力でその場を逃げ出したのだ。 「ゆっ、おとうしゃん、まりさのいもうちょがぁぁぁぁ!!!」 「だめだよぉぉぉ!! みんなしんじゃうよぉぉぉ!!」 親まりさに咥えられた子まりさは犬に咥えられた子まりさを助けるよう求めるが、それは叶わぬ願い。 子れいむも子まりさを助けようとしたのかいくらか逡巡していたが、やがてどうやっても助けられぬと分かったのか去り行く父親達の後を追っていった。 「どぼぢでぇぇぇぇ!!! なんでまりしゃを……ゆがべぺ……ゆ゛っ!!」 助けられなかった子まりさは、身の程を弁えぬ所業と身内を蹴落とすという外道な行いの報いを受ける。 子まりさは少しずつ咀嚼されるという苦しみの中息絶えていった。 その死に顔は私の胸がすっ、とするほどの絶望と苦しみに彩られていた。 「…………くふっ」 思わず笑いが漏れる。 遂に半分にまで数の減ったゆっくりの一家はその歩を人里の中心に向けていた。 だが当人達は気づいてないだろう。ただ襲い来る脅威から逃げていただけにすぎない。 やつらは気づいていない。自分達から危険に近づいていることに。 「……ゆっ? おとうしゃん、いいにおいがするよっ!」 それまで俯いてしょこしょこと小さく跳ねていた子まりさがその場で嬉しさを表現するように跳びはねた。 言われ親まりさと子れいむもその場で立ち止まり鼻(?)をひくひくさせて臭いを嗅ぎ取ろうとする。 「ゆっ、ほんちょだ! おいちしょうなにおいがしゅるよ、おとうしゃん!」 「ゆゆっ、ほんとうだね! こっちからするよ! ゆっくりできるよ!」 それまで沈んでいた家族の間に笑顔が戻ってきた。 ゆっくり一家はその笑顔のまま臭いのする方へとぴょこぴょこと進んでいった。 だがゆっくり一家がその先で「しあわせ~」になることはないだろう。 ゆっくり達の向かった先、「いいにおい」の出所は、焼き鳥屋だった。 私もよく行く馴染みの店だ。 夜になると人間や妖怪達が一緒に酒を飲み騒いでいる。 今日も店の中からは様々な笑い声や上手そうな焼き鳥の匂いが漏れ出ている。 中の者だけではなく近くを通りかかった外の者まで陽気にさせる、私の好きないつもの雰囲気だった。 「ゆっ、ここからおいしそうなにおいがするよ」 「ゆっ♪ ゆっ♪ これでゆっくりできるね~♪」 パンドラの箱に残った希望を見つけた人間のような表情をしながら焼き鳥屋の方へと跳ねていくゆっくり一家。 焼き鳥屋の入り口は引き戸なのでゆっくりには開けられないかと思ったが、誰かが閉め忘れたのか若干開いており、そこに親まりさが自分の頬を突っ込んでむりやり戸をこじ開け入っていった。 私は店に入るか入るまいか若干迷ったが結局入ることにした。 「ゆ~♪ おいちちょ~♪」 中に入ると子ゆっくりが歓喜の声をあげていた。 店の者達は入ってきたゆっくりを気にもとめず(というか気づいていない)皆好き勝手に飲み騒いでいた。 まだ日が沈んでから一刻も経っていないというのに気の早い連中だ。 ぴょこぴょこと跳ねながらゆっくり一家はカウンター席の方へと向かっている。 私もゆっくりの後に続いてカウンター席へと向かう。 普通に歩いてはゆっくりを追い抜いてしまうから牛歩戦術だ。 ゆっくり一家はカウンター席の下まで辿り着くと、親まりさが空いている席の椅子へとジャンプした。 そして椅子からカウンターへと再びジャンプ。カウンターの上に乗った親まりさはカウンターの向こう側で焼き鳥を焼いている店主(私達は敬意と親しみを込めて〝マスター〟と呼んでいる)に向かってこう要求した。 「ゆ~、おじさん! まりさたちにもごはんちょうだいね!」 どうやらマスターが客に注文された酒や焼き鳥を渡すのを見て、マスターが食べ物をくれる人だと勘違いしたようだ。 「おぉう? なんだ、ゆっくりじゃねぇか」 親まりさにマスターよりも先にすぐ隣の席で酒を飲んでいた客が気づいた。 って、誰かと思えば飲み癖と悪食とロリコン趣味で有名なタケさんじゃないか。 流石に稗田家の当主はやめておいた方がいい、と今日こそ言うべきか? 「なんだ? 誰がゆっくり入れたのは」 タケさんが親戚のわんぱく坊主でも見るかのような反応を示したのに対し、マスターは明らかに不機嫌そうだった。無理もないか。 「いや、店の戸が半開きだったんですよ」 タケさんの隣の席に座り、誰かに濡れ衣が着せられる前に私がフォローに入った。 「おぉう、なんだ、お前がゆっくりを連れてきたのか? ……ゥィック」 「違いますよ」 やんわりと否定しておく。どっちかっていうとゆっくりが私を連れてきたようなものだ。 というかタケさんもう酔ってるんかい。 「ゆっ! ゆっくりむししないでね! さっさとまりさとまりさのこどもたちのためにごはんをよういしてね!」 見ると親まりさがその体を膨らませて怒っていることをアピールしていた。 それを見てタケさんがゲラゲラと笑い、マスターが更に不機嫌そうな顔になり、私の虐待エナジーが高まる。 「ちょうだちょうだ! さっさとまりしゃたちにごはんをよういしてね!」 カウンター席の下、タケさんの足元で子まりさも親に続き抗議の声をあげる。 タケさんがその声で子ゆっくりが居ることに気づき視線を下に向け 「おぉう、ちみっこもいるのか~」 と陽気に笑った。 …………決めた。 親まりさ、貴様を潰すのは後だ。 ここでは子まりさを潰す。 私は『腹話術』を、今度はゆっくりではなく、タケさんに向けて発動させた。 「〝おぉう、マスター! ちょいとこの子ゆっくり焼いてくれや!〟」 「「ゆっ!?」」 親まりさと子まりさが跳ね上がる。 私は『腹話術』をかけられ自分が注文したことを知らないタケさんに代わり、床にいる子ゆっくりを拾い上げた。 「ゆっ!? まりしゃをどうちゅるの! ゆっくりはなちてね!」 「はなちぇ~!!」 掴まれた子まりさがジタジタと身をよじり、側にいた子れいむがピタンと体当たりをしかけるが効果は無し。 なんの障害もなく子まりさは私からマスターへと手渡された。 「まったく、タケさんの悪食っぷりは相変わらずだねぇ」 マスターはそうぼやくだけで特に疑問ももたず子まりさの調理にかかった。マスターも馴れたものだ。 「まりさのごどもがえせぇぇぇぇぇ!!!」と私が子まりさを掴んだあたりから親まりさが騒いでいたが、タケさんが面白がって押さえつけていたので何もできていない。 マスターは子まりさを軽く水あらいして「ゆぐがぼべっ!!」、さっと振って水気を飛ばすと「ゆゆゆっ!?」、焼き鳥を焼く金網の上に子まりさを乗せた。 「あ゛ぁぁぁつ゛つづっっいいいぃいぃよおおぉぉ!!!」 ボロボロと涙を流す金網の上の子まりさ。零れ落ちた涙はすぐにジュッと蒸発する。 なんとか金網の上から逃れようとするもマスターが上から菜箸で押さえつけているため動けない。 「ゆぎゃ"ぁ"ぁぁ"!!!ま゛り゛ざのごどもがぁぁぁ!!いぎゃ"ぁ"ぁ"!! タケさんに押さえつけられている親まりさがカウンターで泣き叫ぶ。 ガハハハハハと笑いながらタケさんに押さえつけられている無力な親まりさは素晴らしい程に滑稽だった。 「ぶわっはっはっはっは」 とついつい私も笑ってしまう。 私のことを知らない他人が見ればどこの大根役者だと思うことだろうが。 「おどうじゃん、だずげでよぉぉぉ!!! いぎゃ"ぁ"ぁ"!! まりじゃのあぢがぁぁぁぁ!!」 金網の上で泣き喚く子まりさを、マスターは無慈悲に菜箸で転がす。 今度は顔面が金網のつく形になった。 「ゆ゙ーーっ゙!!! も゛う゛や゛め゛でえ゛えええ!!」 ハッキリ言って煩いが顔面を焼かれているためすぐに大人しくなるだろう。 もう一つのうるさい親まりさはと言うと 「グワッハッハッハ、なんだお前、頭ないじゃんぶわっはっはっは」 と欠けた頭部からタケさんに箸を突っ込まれ頭の中の餡子をグチャグチャにされていた。 「ゆ゛! ゆ゛! ゆ゛! ゆ゛…!」 なんだか白目を向いて痙攣していた。はっきり言って気持ち悪い。キモイじゃなくて気持ち悪い。 「へい、焼きゆっくり一丁!」 やがて子まりさが焼き上がり小皿に乗せられタケさんの前に置かれた。 「ま"り"ざのごどもがぢんじゃっだぁ"ぁ"ぁ"!!どぼじでごんなごとずるのぉ"ぉ"!!」 「あれ? 俺焼きゆっくりなんて頼んだっけ?」 「なんだい酔っ払いすぎだよタケさん」 「そうだよタケさん、酔いすぎだよ」 焼きゆっくりの注文は私が『腹話術』で頼んだためタケさんは覚えているはずがないのだが、マスターの言葉尻に乗って酔ったせいにしておく。 「んあ~、そう言われれば頼んだ気も…………でもいらねぇや」 タケさんはそう言って子まりさを掴むと床に叩きつけて草履の踵部分でグリグリとすり潰した。 その光景を子れいむは間近で見ることになったことに、私は気づいていた。 「あぁ、もう。やめてくれやタケさん、掃除するの俺なんだから」 「おっと、わりぃなマスター。代わりにもう一杯くれや」 「何が代わりなんだか」 「ゆぐ……ぐずっ……なんでごんなごどするのぉ……まりざのごどもがぁ……」 「なんだ、まだいたのかこのゆっくり」 「あ、私が外に出しておきますよ」 マスターの不機嫌が本気でヤバい段階にいきそうだったのでマスターに潰される前に私は親まりさを抱えて外に向かっていく。 もちろん子れいむも忘れずに足で外へと蹴飛ばしながらだ。 「飲みにきたんじゃないのか?」 「焼き鳥を家で食おうかな、と思っただけです。後でまたとりにきますから焼いといてください」 「あいよ」 成り行きで今晩の飯が決まった。 だが飯の前に、最後の仕上げだ。 ふっふっふっ、最後は私自ら手を下そうぞ。 どこのラスボスだよ。 私は親まりさを抱え子れいむを蹴りながら焼き鳥屋と隣の酒屋の間の狭い路地に入った。 その間親まりさを子れいむも子供のようにボロボロと涙を流し続けていた。 「さて、と」 子れいむを蹴飛ばすのをやめ、子れいむの脇に親まりさを置いた。 ゆっくりと視線を合わせようと、その場にしゃがみこむ。それでも私の方が視線が上だが。 「おいゆっくり。なんでこんなことになっているかわかるか?」 「ゆっ、ゆぐっ……まりざのごどもがぁぁぁ……」 「質問に答えろよクズ饅頭」 親まりさの口に拳を突っ込む。喉までだ。 そして体の奥底の餡子を一握り掴むと勢いよく引っ張り出した。 「ゆべぇぇぇぇぇ!!!」 叫び、咽る親まりさ。 その顔に親まりさの体から抜き出した餡子を叩き付け、もう一度問う。 「なんで、こんな、ことに、なって、いるか、わかるか?」 脳の足りないゆっくりにも分かりやすいように一語一語区切りながら。 それで流石に理解したのか親まりさは泣きながら答えた。 「ゆぶっ、にんげんだぢがまりざだぢのじゃまずるがらだよぉぉぉ!!」 「残念、不正解だ」 罰として今度は親まりさの歯を引っこ抜いてやる。 もちろん道具など使わない。素手だ。 左手で上顎を掴み、右手で前歯の一本(歯は飴だった)を情け容赦なく引っこ抜いてやった。 「ゆぼぉぉぉ!?」 「ゆゆっ、おとうしゃん!!」 それまで親まりさの後ろでガタガタ震えていただけの子れいむも恐怖を忘れて親まりさを心配する。 だが子れいむ。貴様は今は後回しだ。 「正解を教えてやるよ」 私はそう囁きかけながら引っこ抜いた歯を親まりさの右目にぐりぐりとおしつけてやる。 「ゆがっ、べぽ……ぜいがいっでな゛に゛ぃぃぃぃぃ!!!」 「お前らが身の程も弁えず人間の里に来たこと。それと家族を見捨てたことだ」 親まりさはその言葉でカッと目を見開く。何故知っているのかという顔だ。 だが今はそこを言及する場合ではないと分かっているのか、口にしたのは弁解だった。 「ゆっ、だっで、だっで、ごはんがもうないんだよっ! にんげんのごはんをもらわないといぎでいげないんだよっ!」 「それはお前等の怠慢だ」 罰として頬をちぎってやる。 「ゆ゙ーーっ゙!!! …………ぞ、ぞれに、みずでだわげじゃないんだよっ! あぁじないど、みんなゆっぐりでぎないがら、じがだがなかったんだよっ!」 「ほぉ、つまりお前は多数を助けるために少数を尊い犠牲としたと?」 「ゆ゛っ! そうだよ! まりさはかぞくをたすけるためにしかたなく────!」 私は親まりさの行動を思い返す。 確かに、親れいむほど悲しみに打ち震えていなかったが、子まりさほど死んだ者を罵倒してもいなかった。 子れいむの足を引っ張って死なせたのも子まりさだ。親まりさじゃない。 親のほうのまりさは、割といい親だったのかもしれない。 こいつの言い分を鵜呑みにするならば、必要以上に悲しみに暮れなかったのも、一家の大黒柱の責任故だったのかもしれない。 でもそんなの関係ねえ。 「でもな、まりさ?」 「ゆっ?」 「そのまりさが助けたようとした家族、子れいむ以外みーんな死んじゃってるけど?」 「ゆっ!? ゆゆゆゆっ……!」 私の言葉にガタガタを震える親まりさ。 気づいたのだ。多数を助けるために少数を犠牲と成すやり方で、助かったのは少数なのだと。 「で、でもっ! れいむはいぎで────」 「こんなクズな親のもとにいたられいむゆっくりできないから、この子は私がもらっていくね?」 「「ゆっ!?」」 それまで黙っていた子れいむまで驚愕する。 そんなゆっくりには構わず私は子れいむを掴むと着ていた服の懐に入れた。 くぐもった「ゆ゛っーーー!!」とした声がわずかに聞こえてくるが無視しておく。 「ゆ゛ぅぅぅぅ!! ゆっぐりやめてね!!! まりざのごどもがえじでね!!」 子供を取り返そうと飛び掛ってくる親まりさの顔面を掴んでやると私は立ち上がり、そのまま表まで歩いていった。 手の中で「ゆがぁぁぁぁ!! はなぜぇぇぇぇ!!」と親まりさが喚いている。 吐息が気持ち悪かった。 私は人里の中を親まりさを掴んだまましばらく歩く。 道行く人、妖怪が親まりさの叫びに気づいてこちらを見やるが、私がゆっくりを掴んで歩いているのを見ると「なんだ、ただの虐待お兄さんか」と視線を外した。 そして私は人里の中で、二つの通りが交差する場所まで来ると、親まりさを地面へと落とした。 「ゆべっ!?」 ずでん、と転がる親まりさを一回蹴った後、私は懐からさっきの子れいむを取り出した。 「ゆっ! れいみゅをかえちてくれりゅの?」 無視。 「さてまりさ。選ばせてやる」 「ゆっ、ゆっ、まりざのごどもをがえ────」 「黙れクズ饅頭。喋っているのは私だ」 まともに会話できそうにないので口元を踏みつけて黙らせた。 しばらく「ゆ゛ーーー!! ゆ゛ーーー!!」と身を捩じらせていたが私が足をどけないと分かると少し静かになった。 「さて、お前に選ばせてやる」 そういいながら手の中の子れいむを眼前に突き出してやる。 子れいむも煩いので指を口に突っ込ませて黙らせている。 「お前があくまでこいつを返して欲しい、と私に戦いを挑むのであれば、こいつは死ぬ」 「「────っ!?」」 ゆっくりの目が見開かれる。 「だが、お前がこいつの命を助けて欲しいと願うのであれば、私はこいつをゆっくりさせてやるし、お前も逃がしてやろう」 私はそこで足をどけてやる。 「ゆっ! おじさんほんと!?」 「おにいさんだクズ饅頭」 口に蹴りをぶち込み歯を二、三本折ってやる。 「あぎゃぁッああ!! …………ゆ゛っ、おにいさん、ほんどう? そのごゆっぐりざぜでぐれる?」 「ああ、もちろんだとも」 「このまままりざががえれば、そのごゆっぐりでぎるの?」 「その通りだ」 このやり取りの間、子れいむはずっと声も出せず泣いていた。 目の前で親が見るも無惨にやられている。 悔しいのか、悲しいのか。 私にとってはどちらでもどうでもいい。 ただ指にたれてきた涙の生暖かさが、こいつは〝私流〟にゆっくりさせてやろうと決意させただけだ。 私は親まりさの頭をつかむと後ろを向かせてやった。 「道が二つある。どちらでも好きな方へ行って帰れ」 そう言ってやると、親まりさはしばらくその場で悩んだ。 だが、答えはもう決まっているだろう。 「ゆ゛っ、わがっだよ。まりざはおうぢがえるよ。だから、まりざのごどもゆっぐりざぜてね?」 「ああ、約束だ」 「じゃあね…………バイバイ……」 そう呟く親まりさの語尾は尻すぼみに消えていった。 やがてとぼとぼと左右のうちの右の道から里の外へと向かっていく親まりさ。 私は子れいむの口を塞いでいる指を抜いてやった。 「ゆぐっ……! おとうしゃぁぁぁぁぁん!!」 親を呼ぶ子の声。 今生の分かれとなる親子の、最後の会話。 親まりさは子れいむの声に振り返ると、くしゃり、とその顔を涙で崩すと、精一杯の声で叫んだ。 「ゆっくりしていってね!!!」 それで最後。 親まりさは子れいむの反応も見ずに全力で駆け出した。我が家へと。 親まりさの選択は正しかった。 命あってのものだねだ。 最後は二匹になってしまったが、全滅はしていない。 あの親まりさも私が見逃してやったことによって、やがてまた新しい所帯を持つことだろう。 この悲劇を教訓に、次こそゆっくりとした生涯を送るであろう。 次こそ、そう次こそ────。 「見逃してあげても、よかったんだけどねぇ」 君が悪いんだよ、まりさ。 私は選ばせてやった。〝どちらの道で帰るか〟を。 なのに君はそっちを選んだ。 あぁあ、なんてこったいまりさ。 君が逆の道を選んでいれば、幸せになれたかもしれないのに。 君が、いけないんだよ。 君がそっちの道を選ぶから 「君は、彼女へのプレゼントだ」 親まりさが選んだ道。 そこにはある伝統の家系の家がある。 幻想郷を見続けてきた、幻想郷縁起を編纂してきた名家。 稗田家が、ある。 全力で駆けるまりさが、稗田家の前に来た瞬間、私はまりさに『腹話術』をかけた。 「〝あっきゅうちゃ~~~ん。あっそびましょ~~~う〟」 おわり 子ゆっくりの運命は…… ───────── あとがきのようなもの コミックス版「魔王」最新刊五巻を読み終わった勢いで書いてしまいました。 そのため文体が安定していないかもしれません、申し訳ありません。 他に書いたもの:ゆっくり合戦、ゆッカー、ゆっくり求聞史紀、ゆっくり腹話術(前) このSSに感想を付ける
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以前大福を作った際余った餡子となんとなく買った生クリームを混ぜたことがある すると意外と美味だった訳だよ。 大体2 5くらいかな?みんなも暇があれば試してみるといい。 凍らせるのもいいぞ、見事なアイスクリームに代わるから。 「「ゆっくりしていってね!!」」 待ってましたと言うように出てきたゆっくりれいむとゆっくりありすと赤ゆっくり4匹。 この組み合わせは珍しいな・・・とそんなのどうでもいい。 問題なのはこいつらが俺の家に勝手に入ってきたことだよ。 人の家に勝手に入り込むなぞ外道め、成敗してくれる 「ゆゆ!おにいさんはだあれ?ゆっくりできるひと?」 れいむは不思議そうな顔でこちらを見つめる。 赤ゆっくりもこちらに気がついたようで徐々に騒ぎ始める。 「ゅゆ!おにいちゃんはゆっくちできりゅひちょ?」 「おにぃちゃんもゆっくちちようね!」 「ゅゅー!」 ぅう・・・五月蝿い。 こいつらの鳴き声を聞いてると頭に血がのぼる。 しかし・・・これはチャンスよ! れいむの中身は餡子!ありすはまぁ・・・カスタードだが・・・いいか。 「よーしそれじゃゆっくりしようか、その前に」 僕は親れいむと親ありすを抱え込む。 「わぁい!おそらをとんでるみたい!」 「とかいはのありすにしてはひくすぎるけど・・・しかたないからがまんするわね!」 「おかあちゃんだけぢゅるいよ!れいみゅもゆっくちちたい!」 いちいち騒がないで欲しいなぁ・・・これだからゆっくりは・・・ しかし、この親ゆっくりは茶番よ! こんな年老いたようなゆっくりなんぞを食べる気にはなれんね! 「じゃあお母さん達とお兄さんはおかしをつくるから君達はゆっくり待っててね?」 『お菓子』。 この言葉を聴いただけで赤ゆっくりだけでなく親も目を輝かせる。 「おかち!?おにいちゃんはやきゅゆっくちおかちちょうだいね!」 「おかあちゃんがんばっちぇつくっちぇね!」 「ゆゆ!おにいさん!れいむたちにもおかしをちょうだいね!」 「ああ、無事作れたらあげるともさ!」 早く潰したい、その気持ちを今はぐっとこらえて台所へ向かった。 「おにいさん!れいむたちおなかへったよ!ゆっくりおかしをつくってね!」 「とかいはのありすはゆっくりまってあげる」 いやぁ、本当にゆっくりは他人任せだなぁ。 たまには苦労するということを教わるのもいいだろうよ。 「そぉい!!」 ベチャッ。 二匹の断末魔は聞こえることなく、第一作業終了。 餡2:カスタード5の割合でいくから・・・このくらいか。 僕は出来上がったものをリビングへと持っていった。 ※余ったカスタードはあとでスタッフが美味しくいただきました※ 「ゅゆ!おにいちゃんだ!」 「おかちおかちー!!」 俺の姿を確認すると真っ先に飛び出してくる赤ゆっくりたち。 「・・・ゅ?おにいちゃん!おかあちゃんたちはどこ?」 今すぐこれだ、といったら食べてもらえないから適当にスルー。 「さぁみんな!これが今日のおやつだよ!!」 小さなお皿に盛り付けされたクリーム。正直色は微妙だが、味は確か、確認済みだ。 「ゅー!!」 皿を前に出してやると、真っ先に飛びついてくる。 「・・・ゆ!!あまーい!!おいちいよおにいちゃん!!」 「うっめ!これめっちゃうっめ!!!」 「ちゅっきりー!!!」 「ちょかいはのありちゅにちてはまだまだね!!」 よしよし大好評この上なし。 赤ありすの言動に少し腹は立ったけど。 赤ゆっくりたちがある程度食べ終えたところでいざカミングアウト。 「おや?お母さん達が戻ってくるよ!みんなでほめてあげなきゃね!」 「ゆ!?おかあちゃんがつくったんだもんね!ゆっくりほめてあぎぇるよ!」 「「「「ゆっくちほめりゅよ!!」」」」 子供たちも嬉しそうだぜ母さん達よ。 俺は台所から持ってきたさ。 お母さん達の抜け殻をなっ! 「ほーらおかあさんたちも嬉しそうだぞっ☆ゆっくりしていってね!(裏声)」 ・・・あれ? おかしいな、この後家族で和気藹々となる光景が目の前に現れるはずだったのに。 今見えるのは徐々に青ざめていく赤ゆっくりの姿で・・・ 「「「「おがぁ”あ”ぢゃ”ああ”あ”あ”あ”ぁ”ん!!!!」」」」 一気に大量の涙。あれれー? 「おがぁじゃんになんでごどすりゅのぉお!!!」 「おにいぢゃんはゆっぐぢでぎないひどだよ!!ゆっぐぢぢね!!」 「人聞きの悪い!お母さん達を食べたのは君達じゃないか!!ゆっくりしぬのは君達さ!ハハハハハ」 少し壊れてきた。俺がね。 「それに君達は勘違いをしているっ!俺はお母さんを殺したわけじゃない! お母さんは君達においしいおかしをあげるためにしんだのさ! 俺は何もやってないぞ!?無実のお兄さんを虐める君達は悪い子だ! 悪い子には恒例の・・・お仕置きタイム!」 ながーいセリフを言い終えた僕はボウルに赤ゆっくりを放り込む。 「い”やだぁああ!!!ゆっくちちたい!!ゆっくちちたいよぉおお!!!」 「ありちゅはわるくないよおおお!!!どおじでごんなごどするのぉおお!!??」 「おがあぁあぢゃぁあああん!!!だづげでぇええええ!!!」 「やめろー!やめてくれー!しにたくなーい!しにたくなぁああああぁああい!!!」 1匹のれいむが豹変したがまぁいいさ。 赤ゆっくりはれいむ3匹、ありす1匹とカスタードが足りなくなったがそこいらはさっき余ったカスタードで補おう。 「いでよ!ハンドミキサー!スイッチON!」 僕はハンドミキサーのスイッチを入れた。勿論強さはMAXの5。 「びっぶうっぶぶぶぶぶぶおlgじょいびあ!!1」 「gyぐggyぐぐうfllだlだあかがあだ」 「びぇllbぇdぁだぁっぁdkっだぐっがglがあ」 「ゆうびゅあbっびゅゆゆゆゆgっぐちdyぎゅだいあがったよ!!!」 ちゃんとした言葉を話す暇を与えることなく混ざり終わった。 ためしに味見してみる。 「おお!流石赤ゆっくりはとろみが効いてて美味い!美味いぞ!!!」 これは・・・近い内商品化の話を加工所に持ち出す必要があるぞ!! そんな思考が頭をよぎった僕は急いで身支度をはじめた。 勿論、そんな安易な発想で作られた商品は既に発売していたとさ。 「ゆっくりした結果がこれかよ!!」 お兄さんは激怒したとさ。 終 ______________________________________________________ あとがき 知ってる人は少ないとは思いますが前にゆっくり大福を作ろうとした馬鹿です。 その後の体験をゆっくりに持ち込んでみました。 これを書いてる初めありすの中身を生クリームと勘違いして・・・・ 仕方ないのでカスタードでもいけるだろうと無理矢理通した作品です^^; 材料が揃ったので時間が空けばもう一度ゆっくり大福を作ろうかとも考えています。 勿論気まぐれでただの大福だけ作って食べる、なんてことも・・・・むしろそっちのほうが可能性高い。じゅるり。 では、最後まで読んでさった方、本当にありがとうございました! 代表作(?) ゆっくり大福 このSSに感想を付ける
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どこまでも晴れ渡った青空のもと、広い草原の上。8匹のゆっくり達がゆっくりとした時間を過ごしている。 まだ小さい赤ちゃんゆっくりが6匹、成体の、おそらく赤ちゃんゆっくりの親であろうゆっくりが2匹いる。 赤ん坊は全て霊夢種のゆっくりで、両親の愛情をうけていままでゆっくりと暮らしてきたのだろう。 野生種にしては肌に張りがあり、髪も艶がある。要するにとても健康なのだ。 満面の笑みを浮かべながら、「ゆっ♪ゆっ♪ゆっくり~♪」と跳ねながら歌っている。 子供たちよりも二回り大きい霊夢種と、その霊夢種より少し大きい魔理沙種の両親がそれを見守っている。 見守る親ゆっくりの表情もとてもゆっくりとした良い表情だ。 両親の髪には、昨日我が子が自分達のためにと採ってきてくれたタンポポが刺さっている。 自分の子供たちがゆっくりとしたやさしい子供に育ってくれたことが、彼らにはうれしかった。 「れいむたちのこどもいいこだね!」 目を細めてゆっくり親霊夢が言う。 「まりさたちのこどもゆっくりだね!」 親魔理沙もうれしそうに言う。 両親ともにやはりとても健康だ。 そう、私の娯楽に付き合うのに彼らは完璧だ。 長い間ゆっくりの家族たちを見てきたが、彼らほどお互いのこと思いあっているゆっくりの家族はそういるものではない。 彼らを私の素敵なパーティーに招くためには第一印象が大事だ。 できるだけやさしい声で、彼らに話しかける。 「やあ、ゆっくりしていってね!」 「「「ゆっくりしていってね!!!」」」 種としての本能か、彼らはやはりゆっくりしていってね!!!と返してくる。 この反応で10日前にやった遊びを思い出す。 ふと、どんな状況でも「ゆっくりしていってね! 」と言えば「ゆっくりしていってね! 」と言い返してくれるのか実験してみた。 ゆっくりの足?かどうかはわからないが、底の部分をのこぎりでゆっくり切る。もちろんゆっくりは泣き叫ぶ。 「ゆっくりしていってね!」と言えば、 「つっづゆっづっりじていっべぇねぇ!!!」と、激痛の余りゆがめた口から、泣きながら「ゆっくりしていってね!」らしき言葉を話していた。 そのゆっくり霊夢は元の場所に帰してやったが、おそらくもう死んでいるだろう。 おっと、いかんな。今大事なのは目の前の彼らを私のパーティーに招くことだった。 「おじちゃんゆっくりできるひと?」 「おじさんゆっくりできるひとなの?」 おじさんかぁ…まあいい。私から溢れるダンディーな雰囲気から、お兄さんではいけないと考えたんだろう。 彼らが聞いてくる。驚いたことに、ゆっくりとだが私から距離をとり、まだ小さい子ども達の前に霊夢種と、なんとあの魔理沙種が立っている。 おそらく私が襲いかかってきたときに、子供たちを守り、子供たちを逃がすためだろう。 特に魔理沙種が子供たちを守ろうとする姿勢は私を感動させた。あの親兄弟子供さえ自分のためなら切り捨てる魔理沙種が! 彼らに会えたことを心の底から感謝しなければ!! 「うん、ゆっくりできる人だよ。ところでそこの君達、とてもきれいな髪飾りだね」 「「うんわたしたちのあかちゃんがくれたんだよ!!」」 「「「おかあさんたちにあげたんだよ」」」 親ゆっくりはうれしそうに、子供ゆっくりは誇らしげに私に向かってしゃべる。 髪飾りを褒めただけで警戒を解くところは、やはりゆっくりといったところか…。 「ところで君たち、ご飯を食べないかい? たくさん持っているんだけど一人で食べるには多いからね。一緒に食べよう」 「ゆっ!!ゆっくりちょうだい!」 「ゆっくりまってね!」 子供たちはうれしそうに駆け寄ろうとするが、親ゆっくり達に止められている。 彼らは少し疑わしそうにこちらを見ている。なるほど、毒を警戒しているのか? ゆっくりにしては賢い。相当修羅場をくぐりぬけてきたのだろうか? 「ははは、毒なんかはいってないから、心配せずに食べてごらん」 ニッコリ笑って風呂敷袋からおにぎりを取り出し咀嚼する、うんおいしい。やはりおにぎりの具は梅干しだ。 「うたがってごめんね!ゆっくりちょうだい!」 信用してくれたようだ、別の風呂敷袋からまた別のおにぎりを取り出す。具は特にない。 そしてなかには無味無臭の睡眠薬が入っている。 それを4個彼らに与える。 「うめぇ!めっちゃうめぇ!」 君達ね、君達の食べているおにぎりを私が食べたわけではないのになぜ毒がないと思うかな? まぁゆっくりだからしかたないか。 彼らが気に入ってくれたようでよかった。 人生最後の食事、いや饅生最後の食事なのだから、ゆっくり味わってほしいのだが、尋常ではないスピード食べている。 君達全然ゆっくりしてない、ちゃんと味わっているのか? すぐに彼らは食事を終えた。 親ゆっくりたちが子供の口に付いたご飯粒を取ってあげている、心温まる光景だ。 「おじちゃん!とってもおいちいよ!ありがとね!」 「おじさん!とってもおいしかったよ!ゆっくりしていってね!」 この家族に私は気に入ってもらったようだ、しばらく彼らと遊んだ。 遊ぶといっても、小さいゆっくりを持ち上げて立ってやるだけなのだが、いつもと違った景色にご満悦のようで、 「ゆっ!とってもたかいよ!」と喜んでくれる。 特におそらく末っ子の一番小さいゆっくりはこの遊びを気に入ったらしく、私の掌でとび跳ねながら 「ゆっ♪ゆっ♪ゆっ♪」 と喜んでくれている。 一番ちいさいのでちびゆっくりと呼んでもいいかと聞くと、 「ゆっ♪おじちゃん大好きだからいいよ」 といってくれた。かわいいゆっくりだ。 そうこうしているうちに薬が効いてきたのか、子供ゆっくりが眠そうだ。 「なんだかねむいね…」 それに気づいた親ゆっくり達は、家に帰ることにしたようだ。 「「おじさん!きょうはありがとね!ねむたいしきょうはおうちにかえるね!」」 親ゆっくりも少しは眠そうだ。体が大きい分薬の回りが遅いようだ。 このまま家に返してしまっては彼らをパーティーに呼ぶことができない。 「子供ゆっくりちゃん達も眠そうだし、そのまま帰るのは危ないよ。だからさ、今日は僕の家に来ないかい? 食事もあったかい寝床もあるし、気に入ってもらえるならそのまま君たちの家にしてもらってもいいよ」 「ゆっ!ほんと!」 「おじさんのうちにいくよ!ゆっくりつれてってね!」 すっかり私のことを信用してくれたようだ。 「うん、それじゃあちょっと狭いけどこの籠の中に入ってくれるかな? 家に着いたらたっぷりゆっくりさせてあげるよ」 ゆっくり達は何の疑いも持たずに籠の中に入っていく。 少しの間はゆっくりたちも私に話しかけてきた。 「ゆっくりできるおうちだったら!れいむたちのおうちだね!」 「とくべつにおじちゃんもすんでいいよ!」 しかし数分もすれば全て寝息になっていた。 私は鼻歌を歌いながら自分の家に向かう。 自宅につくと、地下室に用意したパーティー会場。 鉄製の箱で、蓋はしていない。ゆっくりたちが十分ゆっくりできるほどのスペースは無い。 そこに彼らを一匹一匹かごから出して置いていく。 あと数分もすれば目覚めるだろう。 それにしても良い寝顔だ。なんの心配もなくゆっくりとした表情で寝息を立てている。 親ゆっくり達を中心に、子供ゆっくり達が寄り添うようにして眠っている。 彼らは目を覚ませば、またゆっくりできると思っているのだろう。 「ゆっ~ん」 一匹起きたようだ。それにつられてかほかのゆっくりたちも起きてくる。 「ゆっくりねたね!」 「おはようおじちゃん!ゆっくりちていってね!」 「おうちについたね!ゆっくりするね!」 それぞれ思い思いのことを言いながら飛び跳ねている。 その彼らに、一匹一匹ポリタンクの中からうつしたバケツに入った、とある液体を刷毛でゆっくりの髪にぬりつける。 「ゆっゆ!きもちわるいよ!」 「なにこれ!つめたいよ!」 「こんなことしてゆっくりあやまってね!!」 「「はながよごれたよ!ゆっくりあやまってね!!」」 ゆっくりの両親が揃って抗議する。 鼻?普通髪を謎の液体まみれにされたことを怒らないのか?なぜに鼻? 鼻…はな…花…あっ!このゆっくり子供たちにもらった髪飾りが汚されたことを怒っているのか、 ふーん感動的だね。これからどうなるかも知らないで。 「ああ、ごめんね。君達に灯油を塗ったのはゆっくりするには大事なものだからなんだ」 「ゆっくりできるんだね!」 「はやくゆっくりしたいよ!」 「とうゆでゆっくりできるの?!」 「はやくとうゆでゆっくりしたいよ!」 ゆっくり達にとってゆっくりできると言えば、大抵のことを信じてくれる。便利な言葉だ。 まぁちゃんとした器具を使ってしかるべき使い方をすれば、冬場は家の中でゆっくりできるものだ。私の言ったことはあながち嘘ではない。 さて、準備は整った。それじゃあパーティーの始まりだ。 とりあえずマッチを擦ってみる。シュッ 一度で火がつかない…。 シュッシュッシュボ やっとついた。ニッコリ笑顔で、自分に一番なついてくれたちびゆっくりを呼ぶ。 「いちばんちっちゃいゆっくりからゆっくりさせてあげるよ」 他のゆっくり達からは抗議の声があがったが、順番にゆっくりさせてあげるというと納得した。 飛ぶようにこっちに向かってちびゆっくりが跳ねてくる。 ご飯をくれた、自分と遊んでくれた優しいおじちゃんが、自分を一番にゆっくりさせてくれる。 そう考えたんだろう、満面の笑みで素早く足もとまで来た。 「それじゃあゆっくりさせてね!」 私もニコニコ顔で答える。 「その前に少しの間目を閉じていてね。ほかのゆっくりたちもだよ」 すべてのゆっくりが目を閉じている。どの顔もとてもゆっくりとしていて、これから起こるゆっくりに期待している。 それを確認した私は、ちびゆっくりにマッチの火を素早く近づけようとする。 「ゆっくりはなれろ!!!」 薄目を開けていたらしいゆっくり親魔理沙が、マッチに向ってタックルを仕掛けてくる。 少し驚いたが遅すぎる、止まって見える。マッチの火が素早くちびゆっくりを炙る。 それまで幸せだった人生が変わる瞬間、私はそれがたまらなく好きだ。 火がついた瞬間。 「ゆぎゅぎぃぃいぃ!!」 大声を出して地面を跳ねまわるちびゆっくり。 その絶叫と甘い物が焼ける匂いに、素早くほかのゆっくりたちも目を開け、惨劇に驚愕する。 ちびゆっくりは大声で泣き叫んでいる。無理もない、頭を火ダルマにされているのだ...もっとも顔だけしかないが。 ともかく体に火が付いているのだ、苦しくて当然だ。 ほかのゆっくりたちは、 「れ゛ぇぇむ゛れ゛ぇぇむ」 姉妹の名を叫ぶゆっくり、 「はやくけして!」 私に助けを求めるゆっくり、 「ひぃっ」 あまりの出来事に一瞬息をのみ、 「じぃじぃのぜいでゆっづぐりできないよ!じねぇぇ!」 その後怒りの声をあげるゆっくり。 じじいとは失礼な!!老け顔だが20代だぞ!!! おっと、怒りで我を失ってはいけない。 そうこうしている間に、子供をゆっくりの両親が助けに行ったぞ。 ふふ、あとは椅子に座って見てるだけだ。 「あづぃぃよ゛!!おがぁざぁん!!!!」 熱さにのたうちまわる火ダルマの子ゆっくりを見ても、ゆっくり親霊夢もゆっくり親魔理沙は、まだ助けることができると信じた。 「「すぐたすけるよ!!」」 何とか体当たりでも何でもして火を消すのだ。 二人を突き動かすのは、わが子を助けたいという気持ちだった。 ほかの姉妹たちと違って、生まれてすぐにゆっくりしていってね!を言わなかった我が子。 しばらくして 「ゆっくりしていってね!」 と言ってくれた時はどれだけ安心しただろう。 この娘たちの中で一番小さいゆっくり霊夢は、とても優しくて、ゆっくりとした良い子に育ってくれた。 この二匹の親ゆっくりがつけている髪飾りを取ってこようと最初に提案してくれたのは、今火ダルマで苦しんでいるこの子なのだ。 二人のゆっくりは灯油が塗られた体で火をけすため、飛びつこうとした。その時。 火の粉が舞ったそれは、ちびゆっくりのより近くにいたゆっくり魔理沙の、ちょうどあのタンポポでできた簡素な髪飾りに降り立つ瞬間、燃え始めた。 「ゆ゛っまりさ!かみとぼうしが!!」 ゆっくり魔理沙は驚愕した、なぜ自分はいきなり燃えたんだ、 しかし理由など考えている場合ではない、頭が燃え始めているのだ。 しかも燃えているのは自分の帽子なのだ。 「ゆ゛ッ!!!!」 ゆっくり達にとって、帽子やリボンは仲間の識別に使われる、ある意味命よりも大切なもの。 なければ自分のことを仲間だと認識してもらえず、食われたり、いじめ殺される。 ゆえにその大事なものをとることなどできるはずがない。ちびゆっくりのことも忘れて必死になって火を消そうと地面を転がる。 ゆっくりとは思えないかなりのスピードだ。 しかしその分火の粉が飛んでしまう。 近くにいた二匹の子供にも火の粉があたり、一瞬で火ダルマだ。 「あっづいぃ!!あっっづぃぃぃ!!!」 「ア゛ッつ゛ィぃぃィ゛」 いつもそそっかしいゆっくりが、 世話好きのゆっくりが火ダルマになって飛び跳ねている。 ゆっくり母霊夢の頭にはだんだん事態が飲み込めてきた。 自分たちはこの”とうゆ”という危険な液体をかけられていて、火がついたものの近くにいると発火してしまう。 そしてじぶんの嫁であるゆっくり魔理沙や子供たちは、火の粉をまき散らしながら飛び跳ねている最悪の状態だ。 涙を流しながら叫ぶ。 「ゆっくりはなれて!」 もう火がついた子供を助けることなどできない。 現に最初に燃やされたちびゆっくりはもう動いていない。 火が付いてしまった以上、彼女たちは自分のかわいい子どもから、恐ろしい殺戮者に変貌してしまったのだ。 本格的におもしろいことになってきた。どうやらあの親霊夢は、自分たちが非常に危険な状態にあるということを理解できたようだ。 ゆっくりとは思えないほど賢いな、やはりこの家族を選んで正解だった。 焼酎とつまみを楽しみながらゆっくりをいじめる。 最高の娯楽だ。みんなが火ダルマになってダンスパーティーを楽しんでいる。 数時間前までは、ゆっくりした時間を家族と一緒に過ごしていたのに。 ものの三分で、大事な家族は自分を殺す凶悪な兵器になってしまったんだ。 いま彼らはゆっくりの反対、ものすごくいそいでいるんだろう。 「いそいでにげてね!」 彼らに私なりの声援を送る。 子供の中では一番大きなゆっくり霊夢は、一番臆病なゆっくり霊夢を引きずるようにして、元姉妹から必死に逃げている。 「ゆっくり!いそいでね!」 「ゆゅくり!いぃいそぐよ!」 あまりの恐怖に、顔面蒼白で体中を震わせながら、姉に言葉を返すゆっくり霊夢。 後ろからは姉妹がすさまじい絶叫を上げながら飛び跳ねてくる。 「ア゛ッつ゛ィいダぁイ!!」 声からして、おそらくいつも自分を助けてくれた姉の声だろう。 一度湖に行った時、大きな蛙に食べられそうになったときなど、 カエルに豪快なタックルを決めて追い払ってくれた。 その大好きな姉が、今や火だるまになって追いかけてくる。 少し離れたところでは、完全に体に火が燃え移ったゆっくり魔理沙が絶叫しながら飛び跳ねている。 後ろにはもう姉が来ている。 追いつかれるそう思った瞬間、とっさに体が動いた。 自分をひっぱて逃がそうとしてくれた長女をつかんで、後ろから来る火の玉にぶつけていた。 「ア゛ッつ゛!!」 「ぎゃァぁあいぁ!!」 火の玉は粉々に崩れたが、新しい火の玉が飛び跳ねている。 必死になってにげながら、「ゆっぐりじだぁい!!」 と泣き叫ぶ。しかしできるはずもない、すぐについさっき自分が裏切った姉の火で、自分も火の玉になる。 「ははははは、傑作だねこれは。」 まさに因果応報だ。 悪いことは出来ないものだ、やはり清く正しく生きなければ。 それにしても、思ったよりゆっくりは力があるな。 自分よりだいぶ大きいゆっくりに噛み付いて投げ飛ばすとは。 単に火事場の馬鹿力だったのだろうか。 しかしこれで残りは親霊夢と子霊夢だけだ。 部屋の中心でぶるぶる震える子霊夢を、母霊夢が必死に守っている。 実に感動的だ、髪飾りが落ちているのも満身創痍といった感じで面白い。 まわりでは元家族たちが大きな声で歌いながら、火の衣装を身にまとって踊り狂っている。 この素晴らしいダンスパーティーも終盤だ。 一つ今回の主役達に最後に言ってやろう。 「さいごまでゆっくりこわがってね!!」 元家族たちが、自分達の周りを絶叫しながら飛び回っている。 最後に残った自分の子供が 「みんなでゆっくりしたっかたよ!」 と泣きながら目をつぶって呟いている。 少し前までは、みんなで一緒にゆっくりしていたのに。過去の楽しかった思い出が胸を締め付ける。 涙を流しながら親霊夢も 「みんなとゆっくりできないよ!」 と叫ぶ。めのまえに大きな火の玉が来る。 四方から聞こえる、声にならない声。 火の粉がついに、自分の体につく。すさまじい熱が一瞬で体を包む。すべての思考が切り裂かれ、痛みが体を支配する。 「ゆぎゅぅぅ!!!」 何も考えず飛び跳ねる。否、考えられない。 体を動かさずにはいられない。 あの草原で、子供たちとゆっくりと楽しむため飛び跳ねていたころとは違う、 痛みで飛び跳ねている。何かが体にぶつかって、そこにさらに痛みが走る。また一つ火の玉が増えた。 その五分後、残ったのは八つの炭化した饅頭と、 一輪のたんぽぽだけだった。 このSSに感想を付ける
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「「「おはようございます!」」」 「おはよう、しばらくぶりね。みんな」 ざわざわと、決して狭くない部屋中に騒がしい声が満ちる。 夏休み後の寺子屋は、朝から晩まで、色黒になるまで遊び倒した子供達で一杯だ。 そんな様子を微笑ましく眺めるのは、先生である上白沢慧音。 「夏休みはどうだったかな? ……もちろん、宿題はやってきたでしょうね?」 にこやかに告げる慧音に、ビクっと震える子供が1人。どうやら、たっぷり遊び倒したせいでやって来なかったらしい。 慧音は、笑顔のままで固まった子供をちょいちょい、とその細い指を使って招いた。 寺子屋から、ごつんごつんと硬いものがぶつかる音が聞こえると同時に、悲鳴が響き渡った。 『ゆっくり研究してね!』 「……あれだけ時間があったのだから、ちゃんとやって来なきゃダメでしょう?」 慧音は、夏休み明け初日から頭突きをした事に内心ため息をつきながら、なみだ目の子供の頭をなでた。 どこの世界でも宿題をやって来ない子はいるが、寺子屋に限ってはかなり少ない。 それもそのはず、寺子屋の夏休みの宿題は自由研究だけだし、慧音の頭突きが怖くて痛いからだ。 「じゃあ、みんなのやってきた事を見せてもらいます。机の上に出してね」 宿題をやって来なかった子に「反省する事」と言い残して別の子達の方を向いた慧音は、はーいと返事をする子供達を見て笑顔のまま固まった。 「ゆっくりの一日」「水に入れたゆっくりがどれだけ生きているか」「ゆっくりの食べ物」と、研究内容がゆっくりに対してばかりだったからだ。 何やら透明な箱に入れられて、気が触れた様に笑うゆっくりを掲げている子もいる。 ――ゆっくり以外の研究がないじゃないかっ! 慧音は、頭を抱えてしまいそうになる自分を必死になだめながら、震える手を教卓に置いた。 「じゃ……じゃあ、左前から順番に発表してね」 噛みながらも言えた。ちょっと自画自賛しながらも、それは現実逃避だと頭を振り、発表を聞く慧音。 左最前列の子がちょっと恥かしそうに立ち上がり、発表を始める。 「ぼくは、ゆっくりが一日どうやってすごしているかについて調べてみました。その結果が、この紙に書いてあるものです」 ぺらぺらの紙に書かれたものは、円グラフと色とりどりに描かれたゆっくりの一日について。 それによると、ゆっくりは明六つ辺りまでは寝ていて、暮六つ以降に巣に戻るとなっているらしい。 午の九つ辺りには食事を取り、生意気な事におやつの時間まであるらしい。ちなみに、人間と同じく八つに摂っている。 案外詳しく調べられているそれに、先ほどの光景など忘れてしまった様に慧音はうんと一つ頷いた。 「なかなか詳しく調べられていますね。よろしい、合格です」 頭を撫でられた子供は、真っ赤な顔をして嬉しそうに微笑んだ。 「……じゃあ、次の子の発表を聞きます。君は、何について調べたのかな?」 「ゆっくりです!」 ガタンと、古いバラエティ番組っぽい動きで音を立ててこける慧音。 その様子を見て、自分の研究はダメだったのかとなみだ目になる二番目の発表者に向けて、何でもないと手を振って答える。 ――そういえば、全部ゆっくりだったな。気にしすぎない様にしないと。 落ち着けと自分に言い聞かせつつ、慧音は次の子、更に次の子と発表を聞いていく。 皆が特色ある自由研究をしている。だが、内容は全てゆっくり。 流石に食傷気味だったが、数人聞いて他の子は聞かないなど出来ない。慧音は、鉄の自制心で似た様な研究を聞いていった。 「じゃあ、次のゆっくり……じゃない、君は何について調べたの?」 「はい、ぼくはこのゆっくりについて調べました」 誇らしげに言いつつ、子供は透明な箱を掲げた。 中のゆっくりは完全に気が触れているらしく、ただうふうふと笑っている。 慧音は、その光景にちょっと引きつつも、更に問いかけた。 「えーと……そのゆっくりを使って、何を調べたの?」 「ゆっくりの赤ちゃんを目の前で食べたら、何匹目でうふうふ言い出すか調べました。18匹目でした」 目の前で自分の赤ちゃんを食うのはただの自由研究だったと宣言されても、何も反応を見せずにうふうふと笑うゆっくり。 どれほどの惨劇を目の当たりにしたのか、目がにごっており、口の端からはよだれが一筋流れている。 「そ、そう……すごいわね、あなたも合格」 慧音は完全に引いていたが、この子も研究はキチンと出来ている。やった事は認めなくてはならない。 口の端を引きつらせながらも笑顔を浮かべる慧音は、真に先生と褒められるだけの存在だった。 「じゃ、じゃあ……次の子……ふぅ」 ゆっくりの○○、○○をするゆっくりなど、自由研究と言うよりはゆっくり研究とでも言えるそれの時間はまだまだ終りそうにない。 もうお腹一杯の慧音は、流石に息をついてしまった。子供達にため息だと気付かれなかったのが唯一の幸いか。 「……はい、皆色々な研究をしてきましたね。皆合格です」 やって来なかった奴はー? と聞く子に、その子はまた後からやってもらいますと答えて当人の顔を青ざめつつ、ゆっくり研究は終った。 「ここまで見てきた結果を踏まえて、皆に一つ言いたい事があります」 なんだろーと騒ぐ子供達。慧音は手を叩いて静かにさせてから、おもむろに宣言した。 「次回以降、ゆっくり研究は禁止にします。皆、ゆっくりが簡単に手に入るからって研究しすぎです」 えーと騒ぐ子供達。 慧音は、延々と続くゆっくり研究が終ってくれた開放感を噛みしめつつ、今日の授業を開始する。 その心に、帰り道で会ったゆっくりは即叩き潰そうという物騒な誓いを立てていた。 21スレ459の話を聞きつけて、書いてみました。 グダグダだけど書いてて結構面白かった。 by319 このSSに感想を付ける