約 541,618 件
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/156.html
ゆっくり魔理沙はご満悦だった。 今までお友達のゆっくり霊夢たちと思う存分ゆっくりしていたからだ。 日があるうちはぽかぽかとしたお日様の下で草原を走り回り、蝶々を追いかけばったと一緒に飛び跳ねる。 お腹が空いたら蝶々やばったを食べたり花の蜜を吸ったりした。 夜はゆっくり霊夢たちの巣で、夜通しゆっくりとおしゃべりに興じたり、星を眺めて眠ったりした。 この数日間は、ゆっくり魔理沙にとって本当に幸せな日々だった。 もっとゆっくりできるといいなと思いながら、ゆっくり魔理沙は自分の巣に戻ることにした。 お友達のゆっくり霊夢たちは、もっとゆっくりしてほしそうだったが、たまには別のゆっくりをしたくなるのだ。 「ゆっくりしていってね!」 おおよそ四日ぶりに巣に戻るゆっくり魔理沙。 その巣は落雷で死んだ木の洞だ。 ゆっくり魔理沙一匹には広すぎるが、自分が気に入ったものを並べたりできるから、そこはまさに楽園だった。 巣の周りには緑鮮やかな木々が立ち並んでおり、草も豊富で色とりどりの花々が思い思いに咲き誇っている。 そばには川も流れていて、そこで暮らしている限りゆっくり出来ないことなどないと思える。 大勢でゆっくりするのもいいが、一人でゆっくりするのもまたいい。 ゆっくり魔理沙は久しぶりにするそれに、期待で目をぎらぎらさせながら飛び跳ねていた。 鼻息も荒く、興奮で頬ははちきれんばかりにふくらみ、いつも以上に赤らんでいる。 焼け焦げが目立つ折れた木が見えてきた。 そこには四匹のゆっくり魔理沙たちがいた。群れのようだ。みな微笑みながらゆっくりしている。じつに楽しそうだ。 同種のゆっくり同士には、基本的に縄張りの意識はない。 だから帰ってきたゆっくり魔理沙は元気よくその群れに飛び込み一声あげた。いつもどおりの鳴き声だ。 「ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしていってね!」 次々と聞こえるそれはやまびこのようだった。 帰ってきたゆっくり魔理沙は手近なところにいた中くらいの、と言っても帰ってきたゆっくり魔理沙と同じくらいのゆっくり魔理沙にほお擦りをした。 「ゆぅ~」 「ゆゆゆ」 気持ちよさそうな声をあげて親愛の情を返す中ゆっくり魔理沙。 その様子を微笑ましそうに見ている群れの長だろう大ゆっくり魔理沙。これは帰ってきたゆっくり魔理沙よりも一回り大きい。 明らかに繁殖経験ゆっくりだ。きっと群れの仲間はこれの子供たちなのだろう。 しばらく五匹でゆっくりしていたが、小さな声が聞こえてきた。 「おかーさーん、ゆっくりしようね!」 「しよーしよー!」 「ゆーゆー!」 大きな木の洞から小さなゆっくり魔理沙が三匹でてきた。中ゆっくり魔理沙よりも一回り小さいそれらは、今まで眠っていたのか大きなあくびをしている。 「ゆゆっ!?」 帰ってきたゆっくり魔理沙は戸惑いの声をあげた。 今、小ゆっくり魔理沙たちが出てきた見覚えのある洞は、自分の巣ではないか? そんな疑問を抱いたゆっくり魔理沙をよそに、小ゆっくり魔理沙たちは大ゆっくり魔理沙に頬をこすられて気持ちよさそうにしている。 「ゆゆゆゆっ!?」 いぶかしげな顔をしながら、ゆっくりと巣に近づいて、中の様子を探るゆっくり魔理沙。 「ゆ゛っ!?」 中は酷い有様だった。ゆっくり魔理沙が集めた宝物の鳥の頭蓋骨は粉々に砕かれていてもはや白い残骸だ。 布団代わりに敷き詰めた草は半分以上がむさぼられていたし、後で食べようととっておいた桃はどこにもなく、代わりに食べかけのカボチャがでんと置かれていた。 なかでも一番嫌だったのが、巣の中から自分の臭いがまったくしないのに、それとは違うゆっくりの臭いがしていることだった。 急にゆっくり魔理沙の頭に餡子が上る。 その視線の先には飛び跳ねている小ゆっくり魔理沙の姿があった。 「ゆぅううーーーっ!」 跳躍し、小ゆっくり魔理沙の一匹に体当たりする。 「ゆぎゃっ!!」 吹っ飛ばされ転がる小ゆっくり魔理沙。 続いて他の小ゆっくり魔理沙を弾き飛ばそうとするが、それは出来なかった。中ゆっくり魔理沙が思い切り体当たりしてきたのだ。 「なにするのー!」 「ゆぐっ!」 家族を攻撃されて、こちらも頭に餡子が上った中ゆっくり魔理沙。威嚇なのか「ぷんぷん!」といいながら帽子のリボンをひときわ大きく広げている。 他の中ゆっくり魔理沙も無言でにじりよってくる。 弾かれた小ゆっくり魔理沙は、ほかの小ゆっくり魔理沙たちと一緒に、大ゆっくり魔理沙にすりよって慰められていた。 体勢を立て直したゆっくり魔理沙は、その場で勢いよく飛び跳ねて声高に訴える。 「ゆっゆっ!わるいのはそいつらだよっ!」 「わるくないよっ!まりさたちはいいものだよっ!!」 すぐさま言い返す中ゆっくり魔理沙。リボンはまだ大きい。 言い合いは続く。他の中ゆっくり魔理沙もそれに混じる。 「ゆぅ~、ここはまりさのおうちなのっ!ゆっくりしないでね!」 「なにいってるの?ここはまりさたちのおうちだよ!!!」 「ちーがーうーの~!まりさのおうちなの~~!いいからさっさとでてってね!!」 「いやだよ!ここはまりさたちがゆっくりするおうちだよ!!」 「ちがうもん!ちがうもん!!はやくでてけっ!」 地団太を踏むように小刻みに跳ね続け、顔を真っ赤に染めてゆっくりしないで叫ぶゆっくり魔理沙。 中ゆっくり魔理沙たちは、そんな様子を餡子が腐ったようなものを見る目でみつめている。 「ここはまりさたちがみつけたんだよ!」 「まりさたちのおうちだもん!ゆっくりしないでさっさとどっかいってね!!」 「はやくきえてね!まりさたちはゆっくりするから!」 「「「ばーかばーか!うそつきー!どっかいけ!!かえれー!!!」」」 ゆっくり魔理沙は三匹に立て続けに言われてとうとう怒ったのか思い切り飛び掛った。 「いいからさっさとでてくのーーー!」 体当たりされて転がる中ゆっくり魔理沙。それを見て勝ち誇るように鼻で笑うゆっくり魔理沙。 「なにするのーッ!!!」 「ゆ゛ッ」 同時に重い音とともに潰されるゆっくり魔理沙。大ゆっくり魔理沙が飛び乗ったのだ。 すぐさま中ゆっくり魔理沙のもとへと跳ねよる大ゆっくり魔理沙。だが中ゆっくり魔理沙は大丈夫だと言うように跳ねている。 そのままゆっくり魔理沙へと向かう。 「ゆ~~」 体を起こすと、ゆっくり魔理沙は中ゆっくり魔理沙に囲まれていた。いや中ゆっくり魔理沙だけではない、六匹の群れが全員でゆっくり魔理沙を取り囲んでいるのだ。 ゆっくり見渡したところ、逃げられるような余裕はなかった。とたんにきょろきょろと慌てるゆっくり魔理沙。 「ゆっゆっゆっ?」 なぜ囲まれているのかゆっくり魔理沙には理解できない。自分はただ、自分の巣でゆっくりしたかっただけなのだ。 「ゆー!」 べよん。 小ゆっくり魔理沙が体当たりする。少し痛かったが、すぐにしかえそうとするゆっくり魔理沙。 しかし逆側からも体当たりされる。 「ゆぅっ!!」 そちらを向く。 すると背中に衝撃が。 「ゆぐっ!?」 ほどなくゆっくりリンチが始まった。 大ゆっくり魔理沙がのっかり攻撃し思い切り飛び跳ねる。 まわりで中ゆっくり魔理沙は三方向から勢いよく体当たりをする。 その隙間からは小ゆっくり魔理沙が噛み付いているのが見える。 みんな思い思いの方法で、ゆっくり魔理沙に暴行を加えている。 ゆっくり魔理沙は最初こそ反抗的だったが、ものの数秒もしないうちに号泣し、命乞いの声をあげていた。 しかし群れの攻撃はやむどころか弱まる気配すらない。ぼこぼこぼこぼこといい音がしている。 それに混じる悲鳴や泣き声。なにかが飛び出る音。 「ゆっゆ゛っゆっゆ゛っゆっゆ゛っ!!!」 「いや゛っ!いや゛っ!よじでっ!びゅっ!」 「ぐるぢいよ!だぢでっ!やべでぇっ!!だぢでよおおお!!!」 「どお゛じでごん゛な゛ごどずる゛の゛ぉ゛お゛ぉ゛!?」 「い゛や゛ぁあ゛ぁぁぁ゛ぁ゛ぁあ゛ぁ゛ぁぁぁ」 「も゛う゛や゛め゛て゛ね゛っ゛!」 「い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛」 「ゆ゛っぐり゛じだい゛よ゛ぅ」 「ゆ゛……っぐり゛……ざぜ……でぇ……ぜっぜっ」 「……ッ!……ぅっ!!…………っ」 ぴくぴくと動くゆっくり魔理沙のようなもの。 それは涙と鼻水、よだれや泥で汚れきっており、餡子まみれで帽子もこれ以上ないほどによれて、ところどころに噛み跡が見える。 もはや虫の息でゆっくりとしているゆっくり魔理沙。 「ゆっ!」 仕上げとばかりに大ゆっくり魔理沙はそれに思い切り体当たりをする。 餡子を撒き散らしながら声もなく転げていくそれを追いかける三匹の中ゆっくり魔理沙たち。 それは近くの川岸でゆっくりと止まった。 その様子に明らかに不満顔で膨れていく三匹。顔を見合わせると、何かを決めたように頷く。 「「「ゆぅ~う~うぅ~っ!!!」」」 声を合わせて、三匹は汚れたゆっくり魔理沙を川に投げ入れてやった。 「「「ゆっくりしんでね!」」」 汚れたゆっくり魔理沙が川をゆっくりと流れていく様子を、げらげらげらげらという笑い声が見送っていた。 ぶくぶくと泡をだしながらゆっくりと薄れていく意識の中でゆっくり魔理沙は思った。 こんなことならゆっくり霊夢たちの巣でもっとゆっくりしてればよかった……と。 おわり。 著:Hey!胡乱
https://w.atwiki.jp/simyukkuri/pages/16.html
ゆっくりの種類について
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/3371.html
注意 自分設定があります。 赤ゆっくりがでてきます。 すっきりできないまま、終わるかもしれません。 「「「ゆっきゅりちていってね!」」」 「「「ゆっくりしていってね!」」」 ここはとあるゆっくりの群れ。 たった今、生まれたばかりのゆっくりが目をキラキラを輝かせながら親たちに向かって、お決まりの挨拶をする。 親たちもまた、お決まりの挨拶を返し、その後は頬を擦り合わせて親愛の情を示すのだ。 平凡かもしれないが、とてもゆっくりした親子たちであった。 子供たちは初めて見る『おそと』に興味津々であった。 あるもの全てがとても綺麗なものとして感じられる。 木々の緑、風の流れ、太陽の暖かな光、どれもこれも当たり前のものだが、全て素晴らしいものとして感じている。 この時の感情をゆっくり風に言い表すならば、『とってもゆっくりしている』であろう。 大人になってからでは目を向けないものだが、生まれたてのゆっくりだからこそ分かるのだ。 やがて子供たちは自分を生んでくれた親の元へと集まり、家族であることを確認する。 彼らはとても、とてもゆっくりしていた。 「へぇ、いっぱいゆっくりがいるなぁ」 「ゆっ!?」 人間の、どこか呑気そうな声が聞こえてきた。 ゆっくりは慌てて周囲を確認する。ゆっくりにとって、人間とは『ゆっくりできないもの』として分類されているからだ。 すぐさま、一匹のゆっくりが茂みから顔だけ覗かせている人間を見つける。 それは若い男であった。大きなリュックを背負って、物珍しそうにゆっくりたちを眺めている。 いきなり襲って来ないことに安堵したのか、ゆっくりたちはその場に留まって人間を威嚇する。 「ゆうぅぅぅ! にんげんさんはあっちにいってね! ここはれいむたちのゆっくりぷれいすだよ!」 ぷくぅ、とゆっくりれいむは頬を膨らませて、身体を大きく見せる。 この動作は他の動物に対しても威嚇の効果はあまり持たないが、ゆっくり的には真剣である。 本気で相手を驚かせられると思っているのだ。 勿論、人間相手ではまったく威嚇の効果は見込めないが。 「いやいや、ごめんごめん。ゆっくりできないことはしないから、安心してくれよ」 笑顔のまま、男は両手を挙げて敵意の無いことを示す。 それでも、ゆっくりたちの威嚇の構えが解けないので、背中のリュックからあるものを取り出した。 「それじゃ、お近づきのしるしということで、これをあげるね」 それは山の中で採っていたキノコであった。 ここで、ゆっくりに人間の食べ物を渡すほど、男は知識不足なわけでもない。 人間の食べ物に舌が慣れてしまったら、大抵はろくなことにならないからだ。 「ゆゆゆ!? きのこさんだね! みんなはちょっとまってね!」 集団の中心ゆっくりと思しきゆっくりれいむが、まずは毒見をしてみる。先ほどの頬を膨らませたゆっくりれいむである。 むーしゃむーしゃ、と食べてみても、おいしいだけで毒はないようだ。 「きのこさん、おいしいよ! もっとちょうだいね!」 「はい、どうぞ」 ゆっくりにも食べやすいように、ある程度ばらばらにして地面にばらまく。 親ゆっくりたちはわっ、とそのキノコに群がって食べ始める。 出産直後であったために、とてもお腹が空いていたのだ。 「うめぇ! まじうめぇ!」「まじぱねぇ!」 「むーしゃ、むーしゃ! しあわせー!」 凄まじい勢いでキノコを食べていくゆっくりたち。その様子を男は笑顔で眺めている。 一方、子供のゆっくりらはまだキノコのような固形物を食べることはできないため、食べ終わるまで待たされている。 子供であるため、食べ物という概念を完全には理解できていないが、おいしそうであることはなんとなく分かる。 いいなー、というような視線で親達を眺めている。 男はそれを不憫に思ったのか、そちらへと話しかけた。 「君たちは可愛い赤ゆっくりだね。お持ち帰りをしたいくらいだよ!」 突然、人間に話しかけられた子供たちは「ゆゆ!?」と驚いて親たちの背中に隠れる 親れいむの方もぶくーっと膨らんで、再度の威嚇行動を取る。 「れいむのかわいいあかちゃんをもっていかないでね! ぷんぷん!」 「おかーしゃーん、がんばれー!」 「本当に持って行くつもりはないよ? そのぐらい、赤ゆっくりが可愛いってことさ!」 男の言葉に少しは気を許したのか、親れいむはぷひゅるる~、と頬から空気を抜く。 勿論、それにつけこんだ催促も忘れない。 「ゆっ! いくられいむのあかちゃんにめろめろになったからって、へんなこといわないでね! あと、きのこさんをもっとちょうだいね!」 随分と偉そうではあるが、親れいむは他の者を相手にする時、『下手に出たら負け』と思っている。 常に堂々としていることで、相手を圧倒しようというわけだ。これは同じゆっくり相手には通じる場合もある方法である。 場合によっては野生動物にも効くかもしれない。声に驚くこともあるからだ。 勿論、人間にはまったく効果はないが、男には人語を解してる、と感じられてむしろ好意的にすら思っていた。 男は普通の『良い人』であり、極端な嗜好の持ち主ではない。 ゆっくりによってもたらされた被害に眉をひそめることはあっても、潰そうとは思わない性格であった。 はいはい、と頷くと、男は再びきのこをばらまく。 ゆっくりたちもこの人間は敵ではない、と判断したのか、きのこを食べながら思い思いにゆっくりし始めた。 しばらくの間、男は触れるでもなく、ただひたすらに子供のゆっくりを眺めているだけであった 「いや、ホントに可愛いな~赤ゆっくりは」 ニコニコと満面の笑みを浮かべながら、何度目かになるその台詞を言う。 そこで、ようやくゆっくりたちは疑問を持った。 「ゆ? あかゆっくりってなに? れいむのあかちゃんはれいむだよ!」 親れいむがややこしいことを言う。 ちなみに、ゆっくりに個体名というのは存在しない。あるのは『れいむ』や『まりさ』などといった種族名のみである。 それでは相手のことを呼び合えずに不便に思われるかもしれないが、ゆっくりは飾りによって相手を識別している。 どんなに美しいとされるゆっくりでも飾りがなければ、ゆっくりできないゆっくりと思われる。 家族であっても、飾りのないゆっくりは排斥しようとするのだ。 飾りは取れやすい、という欠点はあるが、相手を識別するのに最も必要なものである。 加えて、ゆっくりは親しい相手のことは微妙なニュアンスで呼び分けてもいるらしい。 余談ではあるが、人間がそれぞれ違う名前を持っている、というのはゆっくりにはよく理解できないことなのだ。 だから、人間を『にんげんさん』や『おにいさん』などといって一括りにしようとする。 もしかすると、人間には飾りがないのでゆっくりしていないと思っている可能性もある。 飾りがないゆっくりとは、人間で言えば名前のない人間と例えれば、少しは理解できるかもしれない。 「ああ、赤ゆっくりっていうのはね、赤ちゃんのゆっくりのことだよ。 可愛い赤ちゃんの赤を取って、赤ゆっくり」 男は親れいむを見ながら、丁寧に説明する。 その説明に親れいむも納得の表情を浮かべて頷く。 「ゆ! あかちゃんのことだったんだね! そうだよ! れいむのあかちゃんはかわいいもんね!」 元々、大きかった声をさらに張り上げて親れいむは胸、もとい顎を張る。 男は頬を綻ばせながら、ゆっくりの様子を見ている。 「皆が『れいむ』じゃ、ちょっと呼びにくいもんね。赤ちゃんのことぐらいはそう呼んでみたいんだよ」 男は人間なので、ゆっくりの区別は大きさの大小などでしか区別ができないため、一つそんな提案をしてみる。 親れいむはというと、その提案に乗り気であった。 「ゆゆゆ! おにいさん、あたまいいね! ゆっくりよんでいいよ!」 男は褒められはしたが、流石に苦笑いで返す。 しかし、許可は出たので思う存分、呼ぶこととした。 「それじゃ、赤ゆっくり可愛いな~。ウチでも飼いたいなぁ。でもなぁ……」 わずかに陰鬱な表情になりながらも、触れずに愛でる男。 猫好きなのに猫アレルギー持ちのような可愛がり方である。 親れいむはそんな男の様子を見ていて、なんとなくうずうずし始めていた。 先ほどから男の言葉が気になって仕方ないのだ。 赤ゆっくり。赤ちゃんを指し示す言葉である上に、ゆっくりという言葉が入っていれば気にならないわけがない。 つまるところ、自分も言ってみたいのだ。 「ゆっ、ゆっ! おにいさんだけにはあかちゃんをまかせておけないよ! れいむもよぶよ!」 すぐに我慢の限界が訪れ、よく分からない論理を展開しながらも親れいむが自分の子供に近寄る。 「ゆ~♪ れいむのあかゆっくり~♪ とってもかわいいんだよ~♪」 「「「ゆ~」」」 赤ちゃんゆっくりとは親れいむなりのアレンジだろうか。 子守唄のようなものを歌いながら、己の子供を頬ずりをする親れいむ。 頬ずりをされている赤ゆっくりはなんだか妙な表情をしている。親が重いのかもしれない。 そして、周囲にいたゆっくりもその光景を見て、ゆっくりしたくなってきた。 「ゆっ、ゆっ! まりさのあかゆっくりもゆっくりするよ!」 「あかゆっくりちゃんって、とってもとかいてきなかんじね!」 「ゆ! あかちゃんゆっくりかわいいな~♪」 などと、自分の子供とゆっくりし始めた。 各々がゆっくりしている状況を見て、男はゆっくりしているのを邪魔していけない、と感じた。 人間がゆっくりと関わっても、ゆっくり側に良いことはあまり起きないからだ。 そういう意味で男は少し関わりすぎた。 「それじゃ、僕はここで失礼するよ。後は皆でゆっくりしていってね!」 「「「「ゆっくりしていってね!」」」」 こうして、男とゆっくりたちは別れた。 できればもう一度会いたいな、などと考えながら、男は家路に着いたのであった。 男と出会ってから一週間程が過ぎた。 その間、親れいむたちは酷い目に会うこともなく、毎日を過ごしていた。 食べ物がちょっと少なかったり、木にぶつかったりなど、些細な不幸はある。 しかし、それを補って余りあるほど自分の赤ゆっくりは可愛いし、皆と一緒にいられるのもとても幸せである。 みんなゆっくりしている、はずであった。 なんだかあかちゃんゆっくりのようすがへんだ、と何となく親れいむは思っていた。 言葉ではうまく説明できないが、妙な違和感を親れいむは持っていた。 赤れいむに元気がないわけではない。むしろ、普通に甘えてきたりもする。 呼べば返事もちゃんとする。多少の偏食はあっても、さして重要視すべきことでもない。 だが、何か変だった。 「ゆ~? よくわからないよ? でも、ゆっくりできないからいいや!」 親れいむは考えることを放棄した。元来、ゆっくりとは考えることを常とするモノではない。 刹那的に日々を過ごしていく奇怪な動く饅頭である。 ともあれ、親れいむは先ほどまでの考えをすっかり忘れて、我が子に頬ずりをする。 「す~り、す~り♪ れいむのあかゆっくり、ゆっくりしていってね~♪」 「ゆっきゅり~♪」 赤ゆっくりもそれに応じて、頬ずりをする。とても仲が良い関係であった。 さらに幾日か過ぎた。 何度かの不幸はあったが、親れいむたちはゆっくりしている。 しかし、なんとなく違和感が残ったままであった。 「「ゆっくりしていってね!」」 仲間同士で言い合う中でも、何か釈然としないものがあった。 誰もがなんとはなしに分かっているはずなのに、分からない。 そんな状態が長く続き、親たちはどこかゆっくりできなかった。 そんな中でも赤ゆっくりたちはいつもどおりにゆっくりしていたが。 ある日、親れいむは仲の良いゆっくりまりさに思い切って相談してみることにした。 自分の考えすぎかもしれないが、ずっと心の底からゆっくりできていないのだ。 これではストレスが溜まって仕方ない。 親れいむは親まりさを人気ならぬゆっくり気のない場所に呼び出して、問いかけた 「ゆぅ……まりさはゆっくりできてる?」 「ゆっくり、できてるよ! どうしてそんなこときくの?」 「ゆっ……!」 まりさの言葉の間、『ゆっくり』の部分にわずかな躊躇いがあることを親れいむは見逃さなかった。 もしかするとまりさもゆっくりできていないのではないか、と親れいむは感じたのだ。 「まりさ、ほんとうにゆっくりできてる?」 「ゆ……ゆっくりできてるよ?」 「ほんとうに?」 「ゆ、ゆぅ……」 親れいむに何度も問いかけられることによって、まりさも徐々にゆっくりできなくなっていく。 心の中にあったわずかな疑念が段々と大きくなっていくのが分かる。 「……まりさも、すこしゆっくりできてないよ……」 注意して見れば、まりさの身体は葉っぱなどによってできた擦り傷がいくつかある。 親れいむにもあるが、自分の赤ゆっくりのために食べ物を取って来る時にできた傷である。 子育てとは大変なものである。 だが、ゆっくりできない問題とはまさしくそこにあった。 「まりさのあかゆっくりが、へんなんだよ……」 まりさが沈痛な面持ちで語りだす。 そこには隠し切れない苛立ちも含まれていた。 「もうずっと、ごはんをあげてるのにぜんぜんゆっくりしてないんだよ…… まりさががんばってるのに、ぜんぜんてつだってくれないし、もっと、ちゃんとしてほしいよ……」 まりさが愚痴を言うように呟き続ける。 親れいむにはまりさの辛い気持ちはよく伝わったが、何が起こっているのかはよく分かっていなかった。 出した結論は、 「やっぱり、まりさもゆっくりできてないんだね!」 だった。原因は未だ不明だが、その推測は当たっていた。 そして、このゆっくりできない状態は群れ全体へと波及していくのであった。 さらに数日。そこで繰り広げられている光景は酷いものであった。 「ゆっくりできないあかゆっくりは、どっかいってね!」 「「まま~! どおぢでそんにゃこどいうの~!?」」 「こんなあかゆっくりちゃんはとかいはじゃないわ!」 「「ときゃいはってな~に?」」 「あかちゃんゆっくりなんて、もういらないよ!」 「「おかーしゃーん!?」」 親であったはずのゆっくりたちが己の子を罵っている姿がそこにはあった。 その中には、あの親れいむの姿もある。 「どおして、れいむのあかゆっくりはおおきくならないのぉぉぉおお!?」 「「「おか~しゃん、おこらないでね!? おこらないでね!?」」」 親から受ける圧力に、赤ゆっくりはとてもゆっくりできていなかった。 どうして親たちが怒っているのかも理解できない。 しかし、言われも無い迫害を受けているとは言いがたい状態でもあった。 親れいむの言葉は真実である。 赤ゆっくりたちは男と会った時と比べても、ほとんど成長していないのだ。 いや、全く成長していないと言い切ってしまってもいいかもしれない。 「ほんとうに、れいむのあかゆっくりはじゃまだよ! ゆっくりできないよ!」 「「「どうちてしょんなこというのぉぉぉぉぉ!!??」」」 親れいむは可愛がっていたことも忘れて、赤ゆっくりを罵る。 赤ゆっくりが生まれてから、ずっと食べ物を与え続けているにも関わらず、まったく大きくならない。 それが、親れいむには不気味に映り、またゆっくりできないように思えたのだ。 赤ゆっくりは赤ん坊であるために食べ物を自力で食べられず、親が噛み砕いたものなどを食べる。 一般に言われている限りでは数週間もあれば、赤ゆっくりから子ゆっくりへと成長する。 子ゆっくりともなれば、親が噛み砕いたものを食べる必要はなく、それなりに固形物を食べられるようにもなる。 また、身体にも弾力性が出てきて、赤ゆっくりと比べてはるかに死ににくくなる。 赤ゆっくりを育てるというのは神経を使うものなのだ。 それが一向に成長しないともなれば、余計にイラつくのも無理はない。 「もうへんなあかゆっくりなんてそだてないよ! さっさときえてね!」 「「「おか~しゃ~~ん!!!」」」 親れいむの最後通牒によって、親子間に決定的な溝ができた。 かえってきて、と泣く子を無視して、れいむは自分の食べ物を探しに行く。 見れば、周囲の親ゆっくりたちも一様に我が子を見捨てて、思い思いに行動し始めている。 「ゆ~♪ これでようやくゆっくりできるよ! ゆ~♪ ゆ~♪」 れいむは意気揚々と跳ねていく。 その頭の中は己の願望で一杯であった。 「まずはあたらしいおうちをみつけないとね! れいむのかわいいかわいいあかゆっくりがいっぱいほしいよ! ちゃんとおおきくなるあかゆっくりがほしいね!」 この家族は何か特別なゆっくりではなかった。そこらに存在している一般的なゆっくりでしかない。 それは群れのゆっくりも同じである。では、何故今回のようなことが起こったのか。 それは、『あかゆっくり』という言葉によるものであった。 群れの子供たちは己の名前ではなく、明らかに『あかゆっくり』などと呼ばれることが多かった。 本来、ゆっくりは人間が気づき得ない微妙なニュアンスの差異で他の個体を呼び分けている。 それによって、己の自我を確立し、他の個体とはわずかに違った精神構造を持つ。 それが『あかゆっくり』と一括りにされることで乱れてしまったのだ。 最初に自我を確立させるべき相手から、名前を呼ばれないことで奇妙な変化が起こっていた。 子供たちは自分のことを『あかゆっくり』であると思い込み、そうであろうとする意思が働いていた。 『あかゆっくり』であるから、大きくならない 『あかゆっくり』であるから、固形物を食べられない。 『あかゆっくり』であるから、身体が柔らかい。 『あかゆっくり』であるから、うまく喋れない。 『あかゆっくり』であるから、ものが良く分からない。 『あかゆっくり』であるから、『あかゆっくり』でなくてはいけないのだ。 つまり、『あかゆっくり』と呼ばれ続けることで精神と身体が赤ゆっくりの状態で固定されているのだ。 餡子の遺伝によって、親が思う『あかゆっくりとはこうあるべき』という形が子にまで伝わっていたのだ。 この状態は自分の子供を『あかゆっくり』と呼び続ける限り、変わらないのだろう けれども、れいむたちは今後もそう呼び続ける。 「れいむのあかゆっくり」と括ることで、通常よりも「この子供は自分のモノである」と印象付けることが可能だからだ。 何に印象付けるのか。勿論、自分と周囲に対してである。 いわば、自分が如何にゆっくりしているのかを証明するアイテムが『あかゆっくり』となっているのだ。 恐らく、ゆっくりたちは何故自分たちが子供のことを『あかゆっくり』と呼びたいのかは理解してはいないだろう。 そう呼んだらゆっくりできる気がする、そんな程度の理由しか思っていないのかもしれない。 ゆっくりたちは、どの個体も皆ゆっくりしていたい。 自分がどれくらいゆっくりできているかの指標として、『あかゆっくり』が必要とされたのだ。 『自分はこんなにもゆっくりしているものを持っている。だから、自分はとてもゆっくりしているのだ』 要約すれば、こういう理屈になるはずであった。 しかし、現実に赤ゆっくりは生きている。 れいむはその弱々しい個体を生かし続けるのが苦痛となったために捨ててしまったのだ。 赤ゆっくりがいる家族は、見た目とは裏腹にゆっくりできることが少ないからだ。 れいむはこれからもさらなるゆっくりを得るために、『あかゆっくり』を産んでは捨てていくのだろう。 多分、死ぬまで。 「ゆっくりしていってね! れいむのあかゆっくり!」 「ゆっきゅりしていってね!」 書いた人 ゆっくりまんじゅうの人
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/284.html
「ユックリシテイッテネ!!!」 夕飯の買い物から途中、そんな声を上げる物体を見かけた。 普通のゆっくりによく似ているが、体が赤くて通常のゆっくりと比べると随分早口で甲高い声だ。 「ユックリシテイッテネユックリシテイッテネ!!!」 またとんでもない早口で喋ると、こちらに向かって飛んできた。ギリギリで避けられたが、物凄い速さだ。 「な、何だお前?く、食い物が欲しいのか?」 「ユックリチョウダイ!!!ユックリタベサセテネ!!!」 何だか気味が悪いので大根の葉を少しちぎって投げてみる。 普通のゆっくりなら地面に落ちた後で「食べていいの!?」などと喚きながら食べるだろう。 だが、こいつは地面に落ちるどころか手を離すとほぼ同時に飛び上がって食いついてきた。 何て意地汚い奴だ。目にも留まらぬとはこの事か。 何だかちょっと面白くなってきたので試しにキャベツを一枚剥がして投げてみる。 また飛び上がって食いつく。今度は流石に一口では食いきれないようだが、これまた尋常じゃない速さで食い尽くす。 「何なんだぁお前は?随分ゆっくりしてないゆっくりだが」 「レイムハレイムダヨ!!ツウジョウノサンバイユックリシテルサンバイレイムダヨ!!」 「早口で喋るのはやめてくれ聞き取りづらい。そうか三倍れいむか……そんなのもいるんだな」 「オジサンユックリデキルヒトダネ!!オウチニツレテイッテヨ!!」 「あ?やだよ。お前大食いっぽいんだもん」 「ダイジョウブダヨ!!レイムジブンデゴハントッテコレルヨ!!ツレテイッテヨ!!!」 「…ならいいが。言っておくが家の中を少しでも荒らしたりしたら潰して食うからな」 「ワカッタヨ!!ユックリシテイクヨ!!ユックリツレテイッテネ!!!」 「お前に言われると物凄く説得力が無いんだけどな。まあいいや付いて来い」 「ユックリー!ユックリシテイッテネー!!」 上機嫌そうに付いてくる三倍れいむ。自分でエサを取るなんて、珍しい事を言うゆっくりだな。 それに赤いし、早口だし、全然ゆっくりしてないし。時々普通に歩いてる俺を追い越して待ってる事まである。 「ハヤクハヤク!!ユックリカケアシシテネ!!!」 「無茶言うな。何だってお前はそんなにすばしっこいんだ」 とにかく変わったゆっくりだ。こいつを増やせば高く売れるかもしれんな…… そんな思惑と共に帰宅。 「そら着いた。ここが俺の家だ。言っておくが、お前の家じゃないぞ」 「ワカッテルヨ!!オジサンノオウチダヨ!!セマクテウスギタナクテクサイケドイイトコロダネ!!ユックリシテイクヨ!!!」 「死にたいか?」 「ゴベンダザイ!ヒログデギレエデイイニオイガジマズゥ!!ユッグリザゼデグダサイ!!」 まだ何もしてないのに泣き叫ぶ三倍。変わった奴だな本当に。 「まあいいがな。しかしお前なんだって俺の家に来たがったんだ?エサは自分で取るとか言うし、メリット無いだろ」 「サビシイノハイヤナンダヨ!!ダレカトユックリシタインダヨ!!!ユックリサセテネ!!!」 「寂しいってお前、友達とか居ないのか?」 「レイムトモダチイナイノ!!ミンナレイムノコトイヤガルノ!!オジサンモレイムキライナノ!!?」 「いや別に。まだ何もしてないからなお前は。……ふうん。お前変な奴だからなぁ。それで嫌われてんのか」 狼等の動物も怪我や病気等で他とは違うような奴は爪弾きにされるという。ゆっくりもそうだったのか。 「ま、どうでもいいや。さっきも言ったが、自分でエサを取って、家の中を荒らしたりしないなら家に置いてやる」 「ヤクソクスルヨ!!ゴハンハジブンデトッテコレルヨ!!オウチノナカモコワシタリシナイヨ!!オジサンアリガトウ!!ユックリシテイッテネ!!」 凄く嬉しそうにその場で跳ねまくる。あまりに素早いので表情がよく見えない。声もステレオで面白い。 さて、そうして三倍ゆっくりれいむとの奇妙な同居生活が始まった訳だが。 確かにエサは自分で取ってくるし、家の中でもなるべく大人しくしようとしている。 一ヶ月経ってもその様子に変化は無く、ゆっくりの割に約束事を守れる非常に珍しいゆっくりだ。 あまりに早口なので集中しないと言葉を聞き取れないのが難点だが、それは何度言っても直らなかった。 まあ、それが原因で他のゆっくりから迫害されたのだからもう矯正は無理なんだろうな。 下手に弄って普通のゆっくりと同じになられてもそれはそれで困るし。実害が出てしまう。 そういえば、試しに眠っている隙にこっそり千切って食ったら辛かった。味まで変わってるとは。 その後飛び起きて「ユックリアヤマッテネ!!ユックリアヤマッテネ!!」と泣き叫ぶ三倍を宥めるのに苦労した。 結局傷口を塞いで抱いて寝てやったらとても喜んでいた。普通のゆっくりと違って手間も少ないし、可愛いかもしれない。 そんなある日、そろそろ季節が変わろうかという頃。 普通のゆっくりれいむとゆっくりまりさのつがいが家の庭に這入り込んでいた。 「おじさんだあれ!?」 「ここはまりさたちがみつけたおうちだよ!!!ゆっくりでていって!!」 見つけたも何も、俺は始めから家の中に居たんだが。と、その声を聞きつけたのか三倍が猛スピードでやってきた。 「ユックリデテイッテネ!!!ココハレイムトオジサンノオウチダヨ!!!サキニミツケタノハオジサンダヨ!!」 「ゆっく!?へんなひとがいるよ!!」 「ぴょんぴょんはねてぜんぜんゆっくりできてない!!」 三倍を見てゲラゲラと笑い出した二匹。なるほどこんな感じで迫害されてたのか。 見れば三倍は跳ねるのをやめ、プルプルと震えている。物凄い勢いで。顔がブレて表情が見えん。 「ウルサイウルサイウルサイ!!!ユックリデテイッテネ!!ユックリデテイッテネ!!」 「うるさいうるさい、だってさ」 「おお、こわいこわい」 そう言って再びゲラゲラ笑い出すゆっくり二匹。うーむ。やっぱり普通のゆっくりの方が腹立つな。 三倍なら何を言ってるのかいまいち聞き取りづらいし、動きも異様に速いから逆に笑えるんだが。 「ゆっくりできないひとたちはれいむたちのおうちからでていってね!!!」 「ゆっくりでていってね!!ゆっくりしんでね!!!」 一通り笑ってから飛び掛ってくるノーマルゆっくり二匹。手で弾こうと思った瞬間、二匹とも凄い勢いで横に飛んでいった。 「オジサンニナニスルノ!!ユックリデテイッテネ!!」 どうやら三倍が突き飛ばしたらしい。三倍どころかこいつらの十倍以上の速度はあったと思う。 突き飛ばされた二匹は何が起こったのか分からないような顔をしていた。 「ユックリデテイッテネ!!ユックリデテイッテネ!!」 威嚇しつつ叫ぶ三倍を見て漸く自分達がこいつに突き飛ばされたのだと理解したのか、 顔を真っ赤にして焼いた餅の様に全身を膨らませて三倍に向かっていく。 だが、異常なまでのスピードで跳ね回る三倍には手も足も出ず、一方的に四方八方から突き飛ばされて転がるだけだった。 「ユックリシネ!ユックリシネ!!レイムヲユックリサセナイヒトハユックリシネ!!」 「や゛べでよ゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!ゆ゛っぐり゛でぎな゛い゛よ゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!」 「どう゛じでゆ゛っぐり゛ざぜでぐれ゛な゛い゛の゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!」 はいパターン入った。この台詞が出る頃には大抵戦意などどこかへ行ってしまっているのだ。 それでも攻撃の手を緩めない三倍。今日のように迫害された日々の記憶でも甦ったのだろうか。 「ユックリシネ!!ユックリシネ!!…ウメェ!!メガッサウメェ!!ハフハフ!!」 「ぎゅっ!!い゛だい゛!!や゛べで!れ゛い゛む゛をだべだい゛で!!」 「ま゛り゛ざはお゛い゛じぐだい゛よ゛!!れ゛い゛む゛だげだべでよ゛お゛お゛!!」 飛び跳ね、突き飛ばしながら少しずつ皮を食いちぎっていく三倍。見る見るうちに餡子が露出していく。 「びゅぐっ……ゆ゛っゆ゛っ……ゆ゛っぐ、り゛……じだい゛……」 「びくびくっ……ぼっど……ゆ゛っぐり゛……じだ……が……」 「ユックリウメェ!!タマンネェ!!ハム!ハフハフ、ハフ!!」 完全に二匹とも動かなくなった後もぐるぐる周囲を回って餡子を食い続ける三倍。結局十分程度で二匹とも食い尽くしてしまった。 「お前、同類でも構わないで食っちまうゆっくりなんだな」 「アンナノナカマジャナイヨ!!ユックリサセテクレナイモン!!」 「ふうん。じゃあお前一人ぼっちなんじゃないのか?」 「ヒトリジャナイヨ!!レイムハヒトリジャナイヨ!!オジサンガイテクレルモン!!ユックリデキテルヨ!!」 ゆっくりの割に殊勝な所もある三倍ゆっくり。あのスピードにこの性格。 ひょっとしたら加工場に持っていけば対ゆっくり用ゆっくりとして高く売れるかも知れない。 それにはまずこいつの数を増やさないとな。可愛いくて忠実なだけじゃ生き残れないんだぜ三倍。 翌日、早速三倍ゆっくりを連れて加工場へ向かう。幸いこいつは加工場がどういう所か知らないらしく、散歩だと言えば喜んで着いてきた。 受付で事情を話すと、奥の部屋へ連れて行かれた。手に持っている三倍がウズウズしているのが分かる。 「中に入ったら大人しくしていろ」という言いつけを守ってくれるのは正直ありがたい。普通のゆっくりは絶対に聞かないからな。 「お待たせいたしました。それが三倍ゆっくりですか?」 部屋で少しの間待つと、この工場の偉い人が来た。何でも繁殖・飼育全般の責任者兼副工場長なのだとか。 「ええそうです。普通のゆっくりと違って赤いでしょう?それに早口で、動きも素早いです」 「ふぅむ…ちょっと部屋の中を走らせてもらっていいですか?」 「はい。おい三倍。この部屋の中を一周だけ走ってみろ。絶対に物を壊したりするなよ」 「ワカッタヨオジサン!!ユックリハシルヨ!!」 ゆっくり、と言いつつその速度は全然ゆっくりしてない。 いつもの超スピードで部屋を一周すると、凄い勢いで膝の上に戻ってくる。タマちゃんが痛い。 「ど、どうですか。こんなに速く動くゆっくりなんて珍しいでしょう」 「そうですねえ。ゆっくりフランの飛行速度よりも随分と速いようです。 番ゆっくり、でしたか。貴方の言う事もよく聞いてるようだし、確かにいけるかも知れないですね」 「そうですか。それでは繁殖の件は……」 「試してみる価値はありそうですね。ただ、失敗すればこの子が死ぬかも知れないですが本当によろしいのですね?」 「ええ、構いません。どうせ拾い物ですし」 「そうですか。それでは早速用意しましょう。着いて来て下さい」 「ユックリデキル!?ユックリデキルヨネオジサン!!」 「ああゆっくりさせてやるよ。だから安心しろ」 不安がってこちらを見て震える三倍。だからブレて表情が見えないってば。怖がってるのは分かるけどさ。 案内された部屋には、数匹の発情したゆっくりれいむが居た。 「ゆっくりれいむは受けになる事が多いですから。では三倍も発情させましょう」 ゆっくり業師とかいう人に三倍を手渡す。業師は慣れた手つきで三倍の体を撫で回し、揺すった。 「ユユユユユユユユユユユユユユユユユユユユユユユユユユユユユユユユユユユユユユックリシテイッテネェェ」 目がとろんとして動きが少しだけ緩慢になった三倍。ちゃんと表情を見れたのなんて久しぶりだ。 すかさず発情れいむが入っている檻に入れられる三倍。 自身と同じく発情した相手を見つけるやいなや猛スピードですり寄って行く。速すぎて気持ち悪い。 「ゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆっくりいぃぃぃぃん!!」 「ユユユユユユユユユユユユユユユユユユユユユユユユユックリイッテネ!!ユックリイッテネ!!」 凄まじい勢いで発情れいむに擦り寄りまくる三倍。見る見るうちに発情れいむの息が荒くなっていく。 「ゆっく……ゆっくりいくよ!!ゆっくりいくよ!!ゆぅん……んほおおおおおおおおっ!!」 「ユユユユユユユユユユユユユユユユユユユユユユユユックリシテイッテネ!!!!!」 例の雄叫びを上げ、ぶるりと大きく震えて動きを止める二匹。しばらくすると三倍の方は元気良く動き回る。 「スッキリー!!」 一方ノーマルれいむの頭からは赤い蔓が伸びている。やがて蔓には三倍と同じ赤い実がいくつも実り、目を覚まして騒ぎ出した。 「ユックイチテイッテネ!!!」「ユックリオハヨウ!!!」「オジサンタチユックイデキユヒト!!?」 「どうやら上手くいったようですね。貴方も三倍も、本当にありがとうございます」 「いえいえ、私は何も。では私はこれで。三倍、帰るぞ」 「ユックリシテイクヨ!!!レイムハココデユックリスルヨ!!!」 「何言ってるんだ。お前の家は……」 「レイムノアカチャンガイルモン!!レイムガソダテルヨ!!オジサンダケカエッテネ!!!」 「…せっかくだからこいつも引き取ってもらえますか?」 「ええ、喜んで。では後でお礼をお渡ししますので先程の部屋でお待ち下さい」 その後、わざわざ工場長までやって来て、普通のゆっくりよりも随分沢山の代金を受け取った。 せっかくなので赤ん坊の三倍を売って貰えないだろうか、と尋ねると無料で一匹貰えた。 これから番ゆっくりが商品化すれば、売り上げ次第でまた配当がもらえるらしい。ラッキーだ。 今はすやすやと高速で寝息を立てているちび三倍を持って家に帰ると、そこには普通のゆっくりが我が物顔で居座っていた。 早速餌が手に入ってありがたい事だ。 大金を貰って機嫌のいい俺は大声で呼びかける。 「おおいゆっくり達。美味しいお菓子があるからおいで!!」 「ゆっ!おかし!!おかし!!おじさんはやくたべさせてね!!」 「さっさとちょうだいね!!くれないならかえってね!!」 上機嫌な俺にそんな口撃は通用しない。さらばゆっくり。 足元に群がってきたゆっくりを一匹残らず踏み潰す。 「ゆ゛びゅぷっ!!」「ぐぇあ」「びゅぷるぷっ!!」「ぱっびっぶっぺっぽおっ!」「い゛だい゛よ゛ぶっぷ!!」 悲鳴でちび三倍が目を覚ます。体は小さいがスピードは成体と変わらないようで、素早く地面に飛び降りて残骸を食い始める。 「ハァハァ、ウッメ!!オジサンオイシイヨコレ!!オジサンモタベレバイイヨ!!ユックリタベヨウネ!!ハム!ハフハフ、ハフ!!」 「俺はいらん。好きなだけ食べな」 こいつも普通のゆっくりとは性格が少し違うようだ。ちゃんと躾ければ番ゆっくりとして役に立つかもしれない。 YUKKURI THE RED COMET END 作:ミコスリ=ハン
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/312.html
「強制ゆっくり」 「君達は、こんなところで何をしているのかな?」 帰り道、畑の端っこで野菜を貪り食っているゆっくりを見下ろして問う。 むーしゃむーしゃ♪と美味しそうに食べていた野菜を放ると、17匹のゆっくりは一斉に僕を見上げた。 「ゆ!?ゆっくりしてるんだよ!!」 「おにーさんはゆっくりできるひと?できないならどっかいってね!!」 「ここはまりさたちのゆっくりプレイスだよ!!」 成体のまりさとありす。それに、15匹の子ゆっくり。 周りには、野菜の食べかすと思われるものが無造作にばら撒かれている。 「そうかそうか、でもここは野菜を作ってるおじさんの畑だから、勝手に食べたらダメだよ」 別に、自分の畑ではないのだが…一応人としてそこらへんは注意しておこうと思った。 もちろん、無駄だということは分かっている。 「なにいってるの?やさいはかってにできるんだよ!!おにーさんばかなの!?」 「ここはさいしょにありすたちがみつけたんだから!!とかいはのゆっくりプレイスだよ!!ゆっくりりかいしてね!」 僕に対して反論するのは親であるまりさとありすだけで、他の子ゆっくりたちはまったく意に介さずゆっくりしている。 実際ゆっくりに『ばかなの!?』とか言われて、僕の怒りが有頂天にならないわけがないのだが… これから起こるであろう惨劇を思えば、その怒りも絶妙なスパイスとなる。 「仮にそうだとしても、畑のおじさんはそうは思ってない。 君達が正しいとしても、おじさんは怒って君達を殺したり食べたりすると思うよ」 「ゆ!!ばかなおじさんだね!!まりさたちにかなうわけがないのに!!」 「とかいはのありすにかてるわけないのにね!!これだからイナカもののおじさんはイヤなのよ!!」 「まりしゃたちもゆっくちやっちゅけるよ!!」「ありしゅもやっちゅけるよ!!」 無駄に好戦的なゆっくり一家である。今まで人間に負けた…酷い目にあわされた経験がないのだろうか。 まぁ、僕もゆっくりに負けた経験はないので、これから僕とゆっくり…どちらかが新しい経験をするのだろうな。 おそらく新しい経験をするのは、このゆっくり一家の方になると思うが。 「そんなおじさんと戦うのも疲れるだろ?お兄さんと別の場所でゆっくりしない?」 「ゆ?ここよりゆっくりできる?」「そこはとかいはのこーでねーとなの?」 「もちろん、とてもゆっくりできるよ。と言うより…そこでは“ゆっくり”以外できないんだ」 穏やかな笑顔で、奥に潜んだ悪意を包み隠す。そんなことしなくても、ゆっくり一家は気づかないと思うが。 「ゆ?よくわかんないよ!!でも、ゆっくりできるならところならつれていってね!!」 「はやくあんないしてね!!のろまなイナカものはきらいだよ!!」 「つれちぇって!!つれちぇって!!」「ありしゅもいきたい!!」 あっさり釣れたので、僕はゆっくりと自分の家へ案内した。 僕の家の前。 すでに、ゆっくり一家は僕の家へ飛び込もうとスタンバイしている。 念のため、僕はもう一度“ルール”を説明することにした。 「これからゆっくりする君達に言っておきたいことがある」 「ゆ?そんなのどーでもいいからね!!はやくゆっくりさせてね!!」 「今から言うことを守らないとゆっくりできなくなる…それでもいいのかな?」 「ゆ…ゆっくりきくよ!ゆっくりせつめいしてね!!」 “ゆっくりできなくなる”とか適当に言っておけば、大抵のゆっくりはおとなしくこちらの話を聞く。 僕はゆっくりと説明を始めた。 「この中に入ったら、君達はずっとゆっくりし続けることになる。ゆっくり以外のことは全て禁止だ。 もしゆっくり以外のことをしたら、お兄さんが二度とゆっくり出来なくさせてあげるからね」 もし今の言葉に危機感を感じたとしたら、そいつはかなり賢いゆっくりだ。 大抵のゆっくりは… 「まりさたちはいつもゆっくりしてるからだいじょうぶだよ!!」 「とかいはのありすたちが、ゆっくりしないなんてありえないよ!!」 「ゆっくちするよ!!」「ゆっくりしゅるよ!!」「じぇんじぇんだいじょうぶだよ!!」 こんな風に、自分の“ゆっくりスキル”に揺ぎ無い自信を持っている。 自分はゆっくり以外のことを絶対にしない、と思っている。 だからこそ僕も、じゃあこちらも全力でゆっくりさせてあげよう、という気になるのだ。 「そうか、そうだよね。君達はゆっくりできるゆっくりだから、全然問題ないよね!」 「そうだよ!!まりさたちはゆっくりできるものだよ!!だからはやくゆっくりさせてね!!」 僕が家の扉を開けると、17匹のゆっくり一家は我先に中へ入っていった。 ゆっくりを案内した部屋は、何の変哲もないただの六畳間である。 普通と違う点と言ったら…床に新聞紙を隙間なく貼り付けてあることくらいだろうだ。 これは、事が終わった後に片付けやすいように、との配慮である。 「ゆー!!ここならひろくてゆっくりできるね!!」 「とかいはのこーでねーととしてはまだまだだけど、しかたないからここでゆっくりしてあげるね!!」 「おにーさん!!ゆっくりごはんをもってきてね!!そしたらゆっくりさせてあげるよ!!」 「ここをまりさたちのおうちにするよ!!おにーさんおしえてくれてありがとう!!」 おお、さっそく“自分の家”宣言ですか。人間様を完全にナメているな。 「どういたしまして。それじゃ始めようか。 お兄さんが合図をしたら、絶対に“ゆっくり”以外のことを“したり”“言ったり”するのはダメだよ」 「おにーさんあたまわるいね!!まりさたちがゆっくりしないわけないでしょ!!」 「イナカものはものわかりがわるくてこまるね!!とかいはのありすたちをみならってね!!」 子ゆっくりたちがすでにゆっくりし始めているその傍で、まりさとありすは大きく跳ねながら僕を怒鳴りつける。 うん、かなり頭にきた。でもこんな風に威張る事が出来るのも今日が最後なのだから、思う存分やらせておこうと思った。 僕はゆっくり一家に笑顔を振りまきながら、大きく手を振り上げた。 「よし、じゃあ始めるぞ。よーいスタート!!」 「ゆっくりぃ~!!」 ゆっくり一家17匹の、ゆっくり耐久レースが始まった。 「じゃあおにーしゃん!!さっそくごはんもっちぇきてね!!ゆっくりごはんたべたいよ!!」 「はいアウト!!」 最初の脱落者は、子まりさだった。予想はしていたが、早すぎる。 僕はその子まりさを持ち上げると、頭をがっしり掴んで少しずつ力をこめていく。 「おにーさん!!あかちゃんをはなしてあげてね!!」「それじゃゆっくりできないよ!!」 「は?お前らバカなの?“ゆっくり”以外のことを言うな、って言ったのにさぁ… どうして“ごはんもってきて”って言葉が出てくるの?お兄さんの説明聞いてた?」 「ゆがあぎゃああぁぁぁぁぁあ!!!いだいいだいいだいいだい!!どうじでごんぎゃごどずるぼおおおお!!?」 「どうして?…“ゆっくり”以外の言葉を喋ったでしょ?そんな子は、ここでゆっくりする資格はないよ!ゆっくり死ね!!」 「びぎゅあああああああぁぁっぁおえごえg!!??」 一気に力をこめると、子まりさはあっさりと粉砕され…帽子だけがそこに残った。 指の隙間から、餡子がぼたぼたと新聞紙の上に零れ落ちる。甘い匂いとかすかな湯気が、一家の恐怖を煽った。 「ゆぎゃあぁぁぁぁぁあゆっぐぢでぎないいいいぃぃぃ!!!おうぢがえるううううぅぅぅ!!!」 「ひどいごどずるおにーざんはここでゆっぐりじててね゛!!まりしゃはおうぢにがえるよ゛!!!」 「はい君達もアウト!!」 玄関から逃げ出そうとした子ありすと子まりさを、華麗な手さばきで捕まえる。 「君達バカだね!“ゆっくり”以外のことをするなって言ったのに、どうして逃げようとするの?」 「ゆぎゃあああぁぁぁ!!ご、ごめんなざい!!わざどじゃないでしゅう!!」 「ゆっきゅりさせてね!!もうにげないからゆっくりしゃしぇbんろ!!??」 問答無用だ。僕は両手に掴んだ子ゆっくりを左右から思いっきり正面衝突させる。 顔面と顔面からぶつかった子ゆっくり2匹は、盛大に餡子をばら撒きながら即死した。 「さて、君達はもうわかったよね!!ゆっくりしない子は、こうなっちゃうんだどぉ~♪うっう~うあうあ~♪」 新聞紙の上に散らばった餡子とカスタードクリームを指差しながら、僕はれみりゃダンスを披露した。 「ゆ…ゆっくりぃ~!!」「ゆ、ゆっ…ゆっぐりぃ……!!」 お、すごい、本当に“ゆっくり”しか言わなくなった。 「そうそう、ここは“ゆっくり”するための部屋だからね!!ゆっくりしない子は邪魔だからゆっくりできなくするよ!!」 生き残っているのは、親であるまりさとありす。 そして、子まりさ5匹の子ありす7匹の合計14匹だ。 通常、ゆっくりというのは長時間ゆっくりさせないと死んでしまうらしい。 では…強制的にゆっくりさせるとどうなるのだろう? いくらゆっくりと言ったって、年がら年中24時間ゆっくりしているわけではないだろう。 そこを、人間の手で強制的に長期間ゆっくりさせる…結果どうなるのか、僕は自分の目で見てみたい。 「は~いおまたせー♪美味しい美味しいご飯だよ!!」 「ゆ…ゆっくりぃ~!!」「ゆっくりゆっくりぃ~!!」 原則的に“ゆっくり”以外の行為は禁じているが、食事と睡眠はゆっくりするために必要なものとして例外とした。 そんなわけで、僕は一家のための食事を用意して部屋の中に入る。 嬉しそうな顔をして、14匹のゆっくり一家が集まってきた。家族を3匹も失ったというのに、切り替えの早い奴らだ。 美味しいご飯と言っても、庭の雑草を抜いて洗っただけのものだが。 「ゆっくりぃ~♪」「ゆっくりゆっきゅりー!!」 そんないい加減なものでも、ゆっくり一家は美味しそうに食べている。野生の一家だから、何でも食うのだろう。 雑草があまりにも美味しかったのか、一匹の子ありすがこんなことを口走った。 「ゆっきゅりぃゆっきゅりぃ~♪しあわせ~♪」 …周りのゆっくりたちが、一斉に静まり返った。 「はいアウト!」 「ゆ?ゆゆぅ!!ゆっくりゆっくりぃ!!!」 首を振って否定してくるが、ちゃんと見てるんだぞ、お兄さんは。 「お前は今、“しあわせ~♪”と言ったな。ゆっくりしない子は…ゆっくり出来なくするって言ったよね…」 「ゆぎゅ!!ゆるぢでね!!ありしゅこんどからちゃんとゆっくりするからね!!」 子ありすの訴えに耳を傾けることなく、僕は輪ゴムを取り出して子ありすの頭に二重に巻いていく。 強い力で頭を締め付けられた子ありすは、今までにない悲鳴を上げた。 「びっぎゃああああぇrlがlrlが!!あだまいだいいだいいだいいいrlがじぇrgじあp!!!!」 「ゆぅ~ゆっくりゆっくりぃ!!」「ゆっぐりぃ……!!」 うん、いい悲鳴だ。 周りのゆっくりたちも何か言いたそうにしているが、ゆっくりとしか言わないので無視する。 僕は輪ゴムを三重、四重、とどんどんきつく巻いていく。 そして…だいたい同じ動作を十回繰り返した頃… 「いぎゃぎゃぎゃあだだだぢあいあいいああいああいおえrgじゃえびゅえっ!!??」 おでこから上が綺麗にちぎれて、ぽろっと落ちてしまった。泡を吹きながらびくびくと痙攣している子ありす。 それを見守るゆっくり一家は、もう何も言わずに涙を流しながら見ているだけだ。 当然である。何か粗相をすれば、今度は自分が同じ目にあうのだから… 「あばばばばば…ぴぎゃっ!!」「ゆううううううぅぅぅ!!!ゆっぐりい゛い゛い゛ぃぃぃぃぃ!!!」 手に持ってるのも気持ち悪いので、子ありすを床に叩きつける。 新聞紙の上には、カスタードが放射状に飛び散った。 「うーん、君達は偉いね!ここは“ゆっくり”するための部屋だ、ってのがよく分かってる!」 「ゆぅ…ゆっぐりぃ…!!」「ゆっぎゅりいいぃぃ…!」 “ゆっくり”以外の言葉を発することの出来ない一家は、その目で僕に訴えかけてくる。 きっと僕のことを思い切り罵りたいに違いない。僕に体当たりしたいに違いない。 でもそれはできない。それをした瞬間、“ゆっくり”以外の行為をしたとして…先立った子供たちと同じ運命を辿ることになる。 こいつらはそれが分かっているから、どんなに僕が憎くてもその感情を発散させることは出来ずにいるのだ。 「せっかくだから、ありすたちをゆっくりさせてあげるよ!!」 そう言って、僕は子ありすを一匹持ち上げた。さっきまでの僕の行動を思い出してか、ぶるぶる震えている。 「そんなに怖がらなくていいよ。ゆっくりさせてあげるからね!」 「ゆぅ?…ゆっきゅり♪」 何故か分からないが、子ありすの恐怖は吹き飛んだらしい。 僕は右手で子ありすに小刻みな振動を与える。 「ゆゆゆゆゆゆ…ゆっくりぃ…ゆっくりぃ~!」 すると…まだ赤ちゃんであるにも拘らず、子ありすはしっかり発情した。 「ゆゆゆゆゆゆゆゆ!!!ゆっくりぃーーーーー!!!!」 涙とか涎とかいろいろ撒き散らしながら、一番近くの子まりさに圧し掛かる。 子まりさの方はすっかり豹変してしまった子ありすを恐れて逃げようとするが、発情子ありすに力で敵うわけがない。 あっさりねじ伏せられて、強制的に振動させられる。 「ゆぶぶ!!ゆっぐり!!ゆっぐりぃ!!!ごどもうびだぐないいいぃぃぃぃ!!!」 「ゆゆゆゆゆゆゆゆ!!!まいしゃかわいい゛!!いやがるどころもずでぎいいいぃぃぃ!!!! ありしゅのがわいいごどもをうんでえぇぇぇえぇぇぇぇぇぇぇえ゛え゛え゛ぇぇ!!!!!」 子供のクセに、なかなかのテクニシャンだ。早くも2匹は絶頂に達しつつある。 「んほおおおぉぉぉお゛お゛お゛ぉぉぉぉ!!!!イ゛ッグう゛う゛う゛う゛う゛ぅぅぅぅうぅぅ!!!! ありしゅのあいを!!!うげどめでええぇぇぇぇぇえ゛ぇぇぇぇぇえ゛え゛ぇぇ!!!!」 「おっと危ない!はいアウト!!」 「う゛う゛ぅぅぅぅ…ゆ?おにーしゃんどーして!!!ありしゅをすっきりさせてね!!!」 性的絶頂の手前でお預けを食らった子ありすは、真剣な顔で僕に抗議する。 まだ興奮が収まっていないのか、その小さな身体は小刻みに震えている。 「どうして?今理由を聞いた?お前バカなの?“ゆっくり”以外するなって言ったのに、どうしてすっきりしようとするの? もうお兄さんの説明忘れちゃったの?バカなの?アホなの?死ぬの?」 「ゆ…ゆっぐりぃ!!ゆっぎりゆっぎゅりぃ!!!!」 今になってルールを思い出したのか、必死に今までの愚行を無かった事にしようとしている。 それでなんとかなると本気で思ってるところが、僕にはまったく理解できない。 「…そんなにすっきりしたいなら、すっきりさせてやってもいい。でも、その瞬間お兄さんはルールを破った君を殺す」 「ゆぶっ!!ゆゆ…ゆっぐり!!ゆっぐりぃ!!」 「だってそうでしょ?ルールを破るのはゆっくり出来ない子だもん。そんな子はここにいなくていい。殺しちゃえばいいよね! …それでもいいのなら、すっきりさせてやる。すっきりした瞬間、死ぬ。それでもいいのなら」 お預けを食らった子ありすにとって、すっきりすることと生きることは同等の価値を持っている。 すっきりして死ぬか、すっきりしないで生き続けるか… 「ゆ゛!ゆっぐり!!」 子ありすは、気丈にも頭を横に振った。 「そうかそうか、すっきりしないのか!!ありすは偉いな~!」 と言いながら、僕は再度子ありすに小刻みな振動を与えて発情を促す。 すっきりしたい!でもすっきりしたら殺される。だからすっきりしたくない!!なのにすっきりしたい! 性的興奮が収まればそんな苦しみもなくなるのだろうが…僕が繰り返し発情を促しているので、それも叶わない。 子ありすは、“すっきり”と命のどちらをとるか… 「おにーじゃんやめでええぇぇぇ!!!ずっぎりじだぐないいいぃぃぃ!!!」 「そうだろう?すっきりしたくないんだろう?お兄さんはそんなありすを褒めてあげてるんだよ!偉い偉い!!」 と頭を撫でるフリをして、もっと振動を加える。子ありすの目の色がだんだんヤバくなってきた。 粘液を周囲にばら撒きながら、子ありすは必死に快感に耐えている。 変わり果てた子ありすの様子を見て、他のゆっくりはもう言葉を発する余裕もないようだ。 「いびゃあぁぁぁぁああぁぁぁああ!!!イ゛ギだぐないいいぃぃぃぃぃ!!!じにだぐない゛い゛い゛ぃぃぃ!!!」 「死にたくない?なら話は簡単。すっきりしなければいいだけでしょ?何も難しいことはないよね!!」 と言いつつ、もっともっと振動を加える。もともとこいつを生かしておくつもりはない。 だって、最初の段階でこいつはもうルールを破っているのだから… 「いびゃああぁぁあぁぁあイッグウ゛ウ゛ゥゥゥゥゥウ゛ウ゛ゥゥ!!!アッバッバアァァァアァァアァァ!!!!」 「あれ?すっきりするの?死んじゃうけど…いいの?」 「うぎゃああぁぁぁあっぁあlrlgぁllrぁぁぁあ!!!……ずっぎり゛ー!!!」 その言葉を発する子ありすの顔は、まったくすっきりしていなかった。 すっきりの先に待っているのは、死だから… 「ありすはすっきりするためなら死をも恐れない!!勇敢なゆっくりだね~(笑)お兄さん感動したよ!!」 「いやあぁぁぁあぁぁぁぁごろざないえいjがぶぎっ!?!?!」 いろいろ後始末のことも考えて、床の上に普通に叩き付けた。 拡散したカスタードが残された一家の顔に飛び散る。 「ゆううううううううう、ゆっくりぃ……」 「ゆ……ゆっきゅりぃ…」「ゆっくり……ゆっくりぃ…」 一家はもうすっかり元気を失い、ゆっくりする以外何も出来なくなっていた… それから。 僕は一家をゆっくりさせ続けた。 ご飯を味わえば何を言うか分からない。眠れば寝言で何を言うか分からない。 恐怖に駆られた一家は、本当に“ゆっくり”だけをするようになった。 ご飯はただ貪り食うだけ。熟睡する事ができないので、常に寝不足。 交尾をしたくなっても、すっきりすれば殺される。ゆっくりすること以外の欲求をすべて封じられた形だ。 だから…ただ、その場に留まり、無意味に壁を見つめているだけ。 ゆっくりしていなければならない。ゆっくりしないと殺される。 何故なら、ここは“ゆっくり”するための部屋だから。 ゆっくりしない子は、二度とゆっくりできなくなる。そういう部屋だから。 だから、ゆっくりしつづける。 ゆっくり以外は、何もしない。何も出来ない。 ただ、ゆっくりする。何もないところで、ゆっくりする。 ゆっくりすることを考え、『ゆっくり』と言い、『ゆっくり』という声を聞き、ゆっくりとしたものを見て、ゆっくりし続ける。 それがゆっくりの本来の姿。ゆっくりしないゆっくりはただの饅頭だ。そんなゆっくりに存在価値はない。 そう教え続けて一ヵ月後、一家はたった3匹になっていた。 残ったのは親まりさと親ありす、そして子ありすであった。 「外に出たいの?いいよ!これからは外で自由にゆっくりしてね!!」 僕の仕事はもう9割は終えた。あとは、野外でこの一家がどういう行動に出るか…だ。 「いやあぁぁぁぁあぁぁありすはゆっぐりじだぐないいいぃぃぃぃすっぎりもいやあぁぁぁぁぁぁああぁぁ!!!!」 「ごっぢにごないでね!!まりさはゆっくりしたくないよ゛!!」 「ありしゅゆっくりしないからね!!みんなはむこうでゆっくりすればいいよ!!」 ぶるぶる震えながら、野生のゆっくりたちを追い払う一家。 「あんなのとはゆっくりできないよ!」「あいつらゆっくりしねばいいのにね!!」 などと勝手なことを言い残して去っていく野性のゆっくり。 「ここはまりさたちのゆっくりしないプレイスだよ!!いそいでいってね!!」 「あなたはゆっくりできるひと?だったらでていってね!!ゆっくりしないならここにいてもいいよ!!」 「いそいでいこうね!!ゆっくりしたらぜったいにだめだよ!!」 もはやゆっくりしたものを目にすると安心できない。ゆっくりしたものを聞くと不安感に苛まれる。 この一家は、病的なまでに“ゆっくり”を嫌い、恐れている。 これが、僕の努力の成果。 一ヶ月間強制的にゆっくりさせられたゆっくり一家は、もう二度とゆっくりしようとしないだろう。 「ゆっくりしたくない!!」 ゆっくりに有るまじき発言。 僕はそれを聞いて、性的絶頂に近い何かを感じた。 (終) あとがき あまり深く考えてないです。ただありすをすっきりできなくさせてやりたかったから… 作:避妊ありすの人 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/292.html
出来た・・・。ゆっくりれいむはゆっくりしながら感慨に浸っていた。 ゆっくりのゆっくりによるゆっくりのための安住の地、ゆっくりハウス。 ゆっくりれいむそのままのゆっくりな外観、 ゆっくりできるのに十分、いやゆっくりにはかなり大きすぎるほどのゆとりあるスペース、 ゆっくりの安全を確保する強度のある壁。 ゆっくりがどうこしらえたのかはさておき、実に完成度の高いゆっくりした住居だ。 「これでゆっくりできるね!」 さっそくゆっくりまりさたちと落成記念ゆっくりと洒落込もう。そう思うとゆっくりれいむは今夜のためのご馳走を調達しに向かうのだった。 たっぷりごちそう(といっても果物程度)をもって帰り、ゆっくりハウスにもどってきたれいむ。しかし戸を開けると、思わぬ先客がいた。ヒトだ。 「おう、ゆっくりさせてもらってんぞ」 「ゆ、ゆっくりしていってね!!」 「そうさせてもらってる、狭いな」 ・・・反射的に挨拶をしてしまったが、これは困った。どうも留守の間に勝手に上がりこんで来たらしい。ゆとりがあるとはいえゆっくり用の住居にヒトが入るとは・・・いや、感心している場合じゃない。 「こ、ここはれいむのおうちだよ!!おじさんはゆっくりできるひと?」 「おーそうかそうか。俺はゆっくりできる人だ。見ての通り、今ゆっくりしてるだろ?」 確かにムカつくぐらいにゆっくりとゴロゴロしてくれている。が、れいむにとってはちっともゆっくりではない。 「いやー住むところがなくてなぁ、今日の寝床はどこにすんのか物色してたらこれだろ?つい入っちゃってなーはっはっは」 勝手に上がりこんでおいて今晩とまらせろとでも言うのだろうか。たまったものではない。落石記念どころか、こんなデカいヒトがギチギチに入っていては一人でも満足にゆっくりできやしない。少々気の毒だが、寝床は他に探してもらうことに・・・。 「お、なんだメシまであるじゃないか。ひとつもらうかな」 「ゆ?!おじさんこれはれいむn・・・」 「まぁまぁまぁまぁいただきまーす。あーん」 そういうとヒトはれいむのもっていたりんごを奪い取り、あっさり口に運ぼうとする。 「おじさんやめて!!それはれいむの!!おじさんのじゃないの!!」 「うっせーなちょっと黙ってろ」 そういうとヒトは片手でれいむの頭・・・もとい体を押さえつけ、もう片方の手でむしゃむしゃとりんごを頬張る。くやしい。しかし、かなわない。 「ゅー!!ゆー!!おじさんひどい!!」 「んー、まぁまぁかな。まだあるみたいだからもらっとくぜ」 「ゆっくりやめてよね!!」 「そうかーゆっくりかー。じゃぁ全部食う頃まで時間をかけて、ゆっくりやめてやるよ。なーんてなハハハ」 れいむはつぶれるかつぶれないかギリギリの圧力に押さえつけられながら、持ってきたご馳走を全部平らげてしまった。 「あー食った食った。ちょっと横になるかぁ」 そういうとヒトはずうずうしく横になる。そのとき。 クシャッ。 ヒトの足元で音がした。 「ん?なんか踏んだか?」 「ゆっ!?」 ゆっくりれいむの大切にしていた、お母さんのリボンが踏んづけられていた。 「なんだゴミか」 「ゆー!!ゴミじゃないよ!!おかあさんのリボンだよ!!」 「へー、そいつぁわるいことしたなーごめんなさーいっと」 もう我慢ならない。勝手に居座られて、ご馳走は食われて、宝物は汚れてしまった。有無を言わさず出て行ってもらうしかない。 「おじさんとはゆっくりできないよ!さっさとでていってね!!」 「んー、ここ悪くないな。決めた。ここ俺の家な。お前でてけ」 「ゆっ?!」 ・・・な、何言ってんだこいつ。 「ここはれいむのいえなの!おじさんのいえじゃないよ!」 「今俺の家になったんだよ。ゆっくりのくせに、自分らの常套句も分からないのか?いつもいってるだろ、勝手に上がりこんでおいて「ここはゆっくりのいえだよ!!」宣言。だから俺もやるの」 「だ、だってゆっくりはゆっくりだもん!おじさんゆっくりじゃないもん!」 「理由になってねーよバーカ。やっぱしょせん餡子ブレインだなこの糞饅頭が」 ここまでコケにされては、もうだまってはいられない。話し合いで決着がつかないなら、力でねじ伏せるまで。ゆっくりれいむは渾身の力をこめて体当たりをした。 「・・・んー、いいマッサージだー。おいおいゆっくり、そんなんじゃおじさんは痛くも痒くもないなー?」 やはりヒトとゆっくりの差は歴然だった。ダメージは皆無だ。そして。 「ゆっくり、よく覚えとけよ。攻撃って言うのはな、」 ヒトが拳を固めると、 「こうやるんだよ」 ゆっくりれいむに向けて、勢いよく振り下ろした。 「・・・ゅー・・・ゅー・・・」 ゆっくりな外観のゆっくりハウスの玄関、体半分がひしゃげロボトミー化したゆっくりれいむが呻いている。なかではヒトが我が物顔で、新しい寝床に満足しながら眠りこけていた。 「自分の家宣言」を逆にしてみた
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/510.html
「う~う~♪」 俺が散歩にと道端を歩いているとそんな声が聞こえた。 「ゆっ、やめてね、まりさは食べないでね!」 見ると、ゆっくりれみりゃがゆっくりまりさを食べようとしているところだった。 周りを見るとゆっくりれいむの髪飾りやそれよりも小さい飾りや帽子が落ちていた。 なるほど、ゆっくり一家を食べつくしたか、れみりゃにしては大戦果だ。 「ゆっ、ゆっ! あ、お兄さん、ゆっくり助けてね!」 まりさがこちらに気がついた。なんだかうざい声でぴーちくと助けを求めてくる。 なんでれみりゃはさっさと食べないんだ。 「う~おながいっばい~♪」 なるほどな。 もう少しお腹に余裕ができるまでまりさをキープしてるのか、 それともまりさをいたぶっているのか、ゆっくりゃのくせに生意気だ。 そこである考えが思いつく、れみりゃがいたぶっているのを見ていたら俺もしたくなった。 「やぁ、れみりゃ、そんな食べ飽きたものは捨ててぷっでぃ~ん食べたくないかい?」 「う~♪ れみりゃぷっでぃ~んも食べる、もっでぎでー♪」 最初は甘言で連れて行こうとしたが早くも面倒くさくなった。 何故俺がゆっくりゃなどにない頭を割いてまで考えねばならないのか。 と、言うわけで優しくれみりゃに近づき、羽をもぐ。 「うっっがっぎゃゃー! ざ、ざくやー!!」 とたんにすさまじく泣きだし、暴れる、うるさいので殴る。 「うぎゃー!」 「お兄さんありがとう! ゆっくりれみりゃはゆっくりしんでねっ!」 その隙にまりさが逃げようとする、それも捕まえる。 「ゆっ、なにするのお兄さん、ゆっくりれみりゃと同じ場所ではゆっくりできないよ! ゆっくりはなしてねっ!」 そう言って媚びた笑いを向けてくる、こいつは俺を味方と思っているんだろう、うざいので殴る。 「どぉじでごんなごどずるのー! だべるなられいむからだべでー!」 食べないし。それにお前が身代わりにしようとした家族はもういないよ。 俺は泣き叫ぶれみりゃとまりさを両脇に抱えて家へと帰った。 家に帰ってきた俺はさっそくれみりゃをゆっくりれみりゃ用透明ケースに詰め、まりさは適当に籠に閉じ込めた。 (まずは腹を空かせてもらわないとな) れみりゃは今、満腹なはずなので少し時間を置くことにする。 次の日、再び様子を見に来た。 「ざくやー! れみりゃおながずいだー!」 れみりゃを見る、よし、再生してるな。 しかしなんという燃費の悪さ、昨日はあんなに満腹だったのに。 「ゆ、ここじゃゆっくりできないよ、ゆっくりだしてね!」 まりさは昨日のことは覚えてないようだ、とりあえず籠から出してやる。 一瞬れみりゃに怯えるが、動けなそうなところを見ると揚々とこちらに近づいてきた。 「ゆっくりおなかへったよ! ゆっくりごはんだしてね! 出さないのならはやく出て行ってね!」 ぴょんぴょんと俺の目の前で跳ねる、うざい。 「あぁ、まりさ、ご飯だけどな」 「ゆっくりはやくだしてね!」 「まりさには餓死してもらうから、ないんだ」 軽く言う、実際どうでもいい。 「ゆっ?」 意味がわかってないんだろうか、まりさは少し考え。 「どおじでぞんなごどいうのー!」 泣き出した、うざいので殴った。 まあ、まりさいじめは今回は置いておこう、今回の主役はれみりゃなのだから。 早速れみりゃをケースから取り出してまりさを渡してあげる。 「う~♪ う~♪ れみりゃの御飯だぞー♪」 お腹がすいていたのか、今度はすぐにまりさを食べようとするれみりゃ。 まりさは痛みとショックで固まってる。 もちろん、俺もれみりゃにご飯を食べさせる気はない。 まりさがれみりゃの口に入るその直前、れみりゃをぶん殴り、まりさを救出する。 「うあっー、ざくやー! どおじでー!」 そう、俺の考えとはれみりゃのゆっくりを食べるをやめさせることだった。 もちろん、いやがらせの意味で。 とりあえず、同じことを朝昼晩三回繰り返す。 次の日、部屋に入ると 「「おながずいたのー!」」 ゆっくり二重奏だ、これは耳障りな音楽だ。 しかしこいつらには昨日のことは忘れてしまったのか、取り合えずまりさを取り出す。 「おにいざん、ばやぐごばんもっでぎでー!」 「駄目だよ、もう二度とまりさはご飯を口に入れられないんだよ」 「どぼじでぞっ!?」 話の途中で面倒なのでまりさの口をホッチキスで止める、伝統的ゆっくり口封じである。 「うっーうっー」 はは、なんだかまりさ、れみりゃみたいだぞ。 さて、つぎはれみりゃだ、っと。 「うぎゃー!」 れみりゃの髪を引っ張ってケースから出す、こいつ重くて出すのも面倒になってきた。 でも、出しとかないとまりさ奪還失敗するかもしれないしなぁ。 もうちょい広いケース買えばよかったか。 「ほーら、れみりゃ、ご飯だぞー」 「う~♪ う~♪ れみりゃのごはん~♪」 こいつ昨日と同じセリフはいてやがる、もちろん、食べる前に殴る。 「なんで~なんでれみりゃにごばんだべざぜてぐれないのー!」 「それはね、れみりゃがゆっくりを食べるからだよ」 「れみりゃのごはんー!」 「ちがうよ、れみりゃのごはんはゆっくりじゃないんだよ」 「う~?」 じゃあ、何を食べるんだろう、俺も問答の答えは用意してなかった。 ぷりんか、いやいや、そういえば雑食じゃないか、なんでも食うのか。 ならばべつにゆっくりにこだわる必要ないのか、まりさいらなかったな… まりさを踏む。うーうー唸っている。 これはこれでいいか。折角だ、続けてみよう。 一週間後、今日も同じようにれみりゃを取り出す。 髪をつかみ続けたせいで10円禿ができてしまった。 まりさのほうはもう、ほとんど動かない、死の目の前だ。 「ざくやー、ざくやー」 「はいはい、ごはんですよー」 まりさを渡す、れみりゃは少し考える、空腹で目の前のゆっくりを食べたい、でも絶対阻止される。 でも食べたい、でも絶対殴られる、食べられない上に殴られる? れみりゃは気がついた、もうこれは食べられない。 「いや゙ぁぁぁぁ! もうゆっくりだべだぐないのぉぉ!」 そう言ってまりさを投げ捨てる。 ここにきてようやくわかってくれたか、うんうん。 ピクピクしてるまりさ、気分がいいので口を破って(癒着してた)あげる。 「ゆ……ゆ…」 「まりさ、よろこべ、ご飯をやるぞー」 「ゆ…?」 そう言って一週間前のれみりゃの羽をあげる。 「ゆ…ゆ…」 はじめはゆっくりと食べていたまりさだったが、徐々にスピードを上げて羽にがっつく。 「むしゃむしゃむしゃむしゃ!」 そしてフィニッシュにゆっくり味わうまりさ。 「むーしゃむーしゃ、しあわせー♪」 「それはよかった」 うん、どうやら体力も大体回復したみたいだな。 「おにいさんもっとごはぴぐ!?」 そしてまたホチキスで止める。 「最後の晩餐、楽しんでもらえてよかった」 そう言ってまりさをかごに押し込む、必要もないので、もう二度と出さないだろう。 「れみりゃにもご褒美上げないとなー、はい、ピーマン」 「う~ざぐやー!」 お気に召さないようだ、一週間も食べてないのにすごい根性だ。 「あ、そ、じゃあ、いらないね」 「う~だべる~」 「あげない」 目標は達成したし面倒になってきた。 れみりゃは割と好きだし、ひと思いに殺してあげよう。 「う~! ざくやー! このおじさんごろじでー!」 やっぱりれみりゃはなぶるように殴る蹴る。 「やっぱり死なないなぁ」 れみりゃは再生能力が高いのだ、面倒なので、ケースに詰めておくことにした。 「だ、だずげ…」 「れみりゃ、やっぱり君もそのまま餓死ね」 そのまま俺は部屋を出て行く。 「だずけでーざくやー! い゙や゙ぁぁぁ!!」 れみりゃは次の日に死んでいた。 まりさの方も三日と持たなかった、やはり体力が落ちていたか。 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/551.html
二匹のゆっくりが、だいぶ山奥の、木の葉のかさかさしたとこを、こんなことを云いながら、あるいておりました。 「このやまはゆっくりできないね。ちょうちょもありさんも、ぜんぜんいないね。」 「はやくつかまえてゆっくりしたいね。ゆっくりしようね。」 それはだいぶの山奥でした。案内してきた専門の鴉天狗も、ちょっとまごついて、どこかへ行ってしまったくらいの山奥でした。 「ゆっくり寒くなってきたね。」 「ゆぅ、ゆっくりもどろうね。」 ところがどうも困ったことは、どっちへ行けば戻れるのか、いっこうに見当がつかなくなっていました。 風がどうと吹いてきて、草はざわざわ、木の葉はかさかさ、木はごとんごとんと鳴りました。 「お゙な゙がずい゙だよ゙ぉぉ。な゙に゙がだべだい゙よ゙ぉ。」 「れいむ、やまを下りたらお花をいっぱい食べようね。」 「あ゙る゙ぎだぐな゙い゙よ゙。何がだべだい゙よ゙ぉ。」 「ゆぅ、まりさも何か食べたいんだよ」 二匹のゆっくりは、ざわざわ鳴るすすきの中で、こんなことを云いました。 その時ふとうしろを見ますと、立派な一軒の西洋造りの家がありました。 そして玄関には RESTAURANT 西洋料理店 SLOWLY HOUSE 低速亭 という札がでていました。 「れいむ、おうちだよ」 「れいむたちが見つけたんだかられいむたちのおうちだよ」 「ゆ!いいにおいがするよ」 「たべもののにおいだよ、ゆっくりしようね!!!」 二匹は玄関に立ちました。玄関は白い瀬戸の煉瓦で組んで、実に立派なもんです。 そして硝子の開き戸がたって、そこに金文字でこう書いてありました。 「どなたもどうかお入りください。決してご遠慮はありません」 二匹は字が読めないので中に入りました。 「あたたかいね、ゆっくりできるよ」 「うん、あたたかいね。もっと奥があるよ」 「いってみよう」 そこには扉が一つありました。そしてそのわきに鏡がかかって、その下には長い柄のついたブラシが置いてあったのです。 扉には赤い字で、 「お客さまがた、ここで髪をきちんとして、それからはきものの泥を落してください。」 と書いてありました。 「ゆ、れいむがむこうにもいるよ」 「それはカガミっていうんだよ。とかいはのゆっくりアリスがもってたよ」 二匹は字が読めないので、そのまま扉をがたんと開けて、次の室へ入って行きました。 早く何か暖いものでもたべて、元気をつけて置かないと、ゆっくりできなくなってしまうと、二匹とも思ったのでした。 扉の内側に、また変なことが書いてありました。 「鉄砲と弾丸をここへ置いてください。」 見るとすぐ横に黒い台がありました。 「ゆ、また扉があるよ」 「ゆっくり開けてね」 二匹は字が読めないので中に入ると、また黒い扉がありました。 「どうか帽子と外套と靴をおとり下さい。」 しかし二匹は字が読めないので気にせず中に入りました。 扉の裏側には、 「ネクタイピン、カフスボタン、眼鏡、財布、その他金物類、 ことに尖ったものは、みんなここに置いてください」 と書いてあり。扉のすぐ横には黒塗りの立派な金庫も、ちゃんと口を開けて置いてありました。鍵まで添えてあったのです。が。 二匹は気づかずにそのまま飛び跳ねていきました。 「おっきなおうちだね」 「これだけおっきいといっぱいゆっくりできるね」 すこし行きますとまた扉があって、その前に硝子の壺(つぼ)が一つありました。扉にはこう書いてありました。 「壺のなかのクリームを顔や手足にすっかり塗ってください。」 みるとたしかに壺のなかのものは牛乳のクリームでした。 「うっめ、これめっちゃうっめ」 「むーしゃ、むーしゃ、しあわせー♪」 それから大急ぎで扉をあけますと、その裏側には、 「クリームをよく塗りましたか、耳にもよく塗りましたか、」 と書いてあって、ちいさなクリームの壺がここにも置いてありました。 「ゆー、おいしくてゆっくりできるね!!!」 「きっと、おくにはもっとゆっくりできるものがあるよ!!!」 するとすぐその前に次の戸がありました。 「料理はもうすぐできます。 十五分とお待たせはいたしません。 すぐたべられます。 早くあなたの頭に瓶の中の香水をよく振りかけてください。」 そして戸の前には金ピカの香水の瓶が置いてありました。 二人はその香水を、頭へぱちゃぱちゃ振りかけました。 ところがその香水は、どうも酢のような匂いがするのでした。 「すっぺ、これめっちゃすっぺ」 「すっぱいけどおいしい!!ふしぎ!!」 二人は扉をあけて中にはいりました。 扉の裏側には、大きな字で斯う書いてありました。 「いろいろ注文が多くてうるさかったでしょう。お気の毒でした。 もうこれだけです。どうかからだ中に、壺の中の塩をたくさん よくもみ込んでください。」 なるほど立派な青い瀬戸の塩壺は置いてありましたが。 「おしおはたべれないね」 「のどがかわいてゆっくりできなくなるね」 奥の方にはまだ一枚扉があって、大きなかぎ穴が二つつき、銀いろのホークとナイフの形が切りだしてあって、 「いや、わざわざご苦労です。大へん結構にできました。さあさあおなかにおはいりください。」 と書いてありました。おまけにかぎ穴からはきょろきょろ二つの青い眼玉がこっちをのぞいています。 二人は扉をあけて中にはいりました。 ばたん ゆっくりたちの入ってきた扉が勢いよく閉まり、ゆっくりたちが何をしても開きません。 ゆっくりたちの目の前に、胸の平らなメイド服の女の人が立っていました。 「おねえさん、ここはまりさたちのおうちだよ!!!」 「ゆっくりできないならでていってね!!!」 女の人はゆっくりたちを掴むと、さらに奥の部屋へと進んでいきました 「「いたいよ!!やめてよ!!ゆっくり放してね!!!」」 女の人は部屋の中にゆっくりを投げ入れると、外から鍵を閉めました。 「いたいよ!!ゆっくりやめてね!!」 「まりさ、ここはゆっくりできそうだよ!!」 部屋にはふかふかなベッドを始め、高級そうな調度品が並んでいました。 二匹はベッドに飛び乗り、ポンポン飛び跳ねます。 「ゆっくりできるね♪おねえさんはゆっくりおいしいものをもってきてね♪」 「ここがまりさたちの新しいおうちだよ♪ゆっくりしていってね♪」 「うっう~♪」 _,,....,,_ _人人人人人人人人人人人人人人人_-''" `> !!!!!!!!!!!!! <ヽ  ̄^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y ̄ | ;ノ´ ̄\ \_,. -‐ァ :__ _____ ______ | ノ ヽ、ヽr-r'"´ (.__ _,, '-´ ̄ ̄`-ゝ 、_ イ、:_,.!イ_ _,.ヘーァ'二ハ二ヽ、へ,_7´ .. .、ン、: rー''7コ-‐'"´ ; ', `ヽ/≧- -─==', i :r-'ァ'"´/ /! ハ ハ ! Σiヾ iゝ、イ人レ/_ルヽイ i | :!イ´ ,' | /__,.!/ V 、!__ハ ,' i (◯), 、(◯) | .|、i .|| :`! !/レi' (◯), 、(◯)Σ'i !て ,rェェェ、 ". 「 !ノ i | :,' ノ !'" ,rェェェ、 "' i .レ',.く |,r-r-| . L」 ノ| | : ( ,ハ |,r-r-| 人! :||ヽ、 `ニニ´ . ,イ| ||イ| / :,.ヘ,)、 )>,、_`ニニ´_,.イΣハ ル` ー--─ ´ルレ レ´: このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/544.html
昨今の幻想郷では、ゆっくりが餡子の材料、ペット、ストレス解消など様々な利用方法をされている。 そして大工の場でもゆっくりが使われていた。 家を建てる際に草木を撤去し、凸凹とした土地を平らに均す必要がある。 その時にゆっくりを使うわけだ。 まず平らにしたい土地を柵で囲っい、れみりゃ除けに網をかけてその中にゆっくりを何匹か放り込む。 逃げられないようにするためと、無必要な部分まで整地されないようにするためである。 ちなみに中にいれるのはゆっくり霊夢、それも母ゆっくりだけだ。 まりさ種を入れると何かと理由をつけてさぼったり、それが原因でゆっくり同士喧嘩しだすのでNG。 ありす種を入れると他種のゆっくりが犯されて殺されるのでNG。 ちぇん種は仕事に対して集中できないうえ目を離すと遊びだすのでNG。 みょん種などは話が通じるか分かり辛いのでNG。 そんなわけで割と素直で真面目なれいむ種が使用されるわけである。 今日もまた新たなれいむ家族が箱に詰められて現場へと連れてこられた。 箱の中からはゆっくり家族達の声が聞こえる。 「ゆっくり出してね!」 「おかーしゃん、ゆっくりできないよ!」「くらいよ!」「せまいよ!」「こわいよー!」 「うるさいなぁ。ほら着いたぞ」 大工の一人が箱を開けて中を確認する。 母ゆっくり一匹。子ゆっくり二匹に赤ちゃんゆっくり二匹。 その中から母ゆっくりだけを取り出して柵の中へと置いた。 「ゆ! ひろいよ!」 柵の中は今まで閉じ込められていた箱に比べればずっと広い。 母ゆっくりは清々しい表情をする。 「わたちたちもゆっくりだちてね!」「だしてだして!!」 子供たちの声を聞いて子供たちを思い出したのか、母ゆっくりは大工へ向かって抗議する。 「れいむのこどもたちもゆっくり出してあげてね!!」 「だめだ。お前が仕事を終わるまでこいつらは預かっておく」 「ゆ"!? なんでそんなこというの!? ゆっくりだしてね!!」 「聞けよ。仕事が終わったら放してやるって言ってんだろ」 「おじさん、なにいってるの? なかなの?? はやくこどもをだしてね!!!」 「あー、めんどうな奴らだな」 こんなやり取りを今までに何度もしてきたので大工はうんざりだという顔をする。 「仕事の説明はあそこにいる他のやつらに聞け。仕事が全部終わったら子供に会わせてやる」 同じ柵の中、向こう側で寝ているゆっくりの群れを指で示してそれだけ言うと大工は背を向けて去って行った。 「ゆっくりまってね!! こどもたちをかえしてね!!」 しかし大工は聞かず、そのまま自分の小屋へと帰った。 今晩の食事はちょうど手に入った4つの饅頭だ。 そうして残された母ゆっくりはしばらくの間、すでにいない大工や子供たちに話しかけたり、 柵に向かって体当たりしていたがどれも適わなかった。 その音に目を覚ました他の母ゆっくり達四匹が集まってきた。 「「「「ゆっくりしていってね!!」」」」 「ゆ? ゆっくりしていってね!」 他の母ゆっくり達の挨拶に母ゆっくりも挨拶を返す。 「れいむもこどもたちをもってかれたの?」 「ゆ! そうだよ! ゆっくりしないでたすけなきゃ!!」 母ゆっくりは再び柵に向かって体当たりしようとする。 「ゆっくりもんだいないよ!」 「しごとがんばればかえしてもらえるよ!!」 と、他の母ゆっくり達は言う。 「それが本当かどうかわからないよ!!」 「だいじょうぶだよ! さいしょにいたゆっくりはこどもたちかえしてもらってたよ!!」 「ゅ! しあわせそうにおそとへいってたよ!!」 それは他のゆっくりに、がんばれば子供を返してもらえると示すための大工によるヤラセのようなものだ。 ちなみにその子供を返してもらったゆっくりは他の現場へと連れていかれたが、残るゆっくり達は知る由もない。 ただ、仕事を頑張れば子供と一緒にゆっくり出来ると信じていた。 「じゃあだいじょうぶだね! しごとってなにをするの!?」 他の母ゆっくり達の言葉に安心した母ゆっくりはようやく仕事する気になったようだ。 「ゆっくりせつめいするね!!」 「しごとはここのじめんをぺったんこにするだけだよ!! たべものはここにあるくさだよ!!」 「でもくさをいっぱいたべないでね! これいがいはないからね!!」 「ゆっくりわかったよ! みんなでゆっくりがんばろうね!!」 さすがは母ゆっくり、今の説明で理解できたようだ。 母ゆっくりの群れなので食事の量の管理も問題ないだろう。 それから母ゆっくり5匹のお仕事が始まった。 昼間は小石を柵の隅へと退かしたり、口や大きな体を使って地面を平らにしていく。 また、食事と整地も兼ねて草を食べていく。 疲れたらそれぞれ自由に休んでいた。 暗くなるとゆっくりタイムだ。 といってもこの辺りは明かりになる物もないのでみんなで擦り寄って眠るだけだが。 子供たちのことが心配ではあったが、仕事が終わればまた家族でゆっくり出来る。 それに共にがんばった他のゆっくり達の家族とも一緒に遊ぼう。 最初ここに連れてこられた時は不安でしょうがなかったが、甘い未来を想像するとゆっくり出来た。 それから一週間経ったころ、大工は様子を見にきた。 最初は凸凹で草木もたくさん生えていたこの土地はしっかり整地されていた。 草一本生えず平らになっていた。 「いい感じだな。よくやったなお前たち」 「ゆっくりがんばったよ!!」 「ゆうしゅうでごめんねー」 「ゆー♪ゆー♪」 自分たちのがんばった仕事を褒められてゆっくり達は嬉しそうだ。 仕事の最後の方は食べるものも少なくなって辛かったが、労いの言葉にゆっくり達の言葉は満たされた。 「がんばったのだからご褒美をあげないとな」 「ゆ! おぼえてるよ!! はやくこどもにあわせてね!!」 「あとおなかへったからごはんもってきてね!!」 「こどもたちはゆっくりしてる? ゆっくりあいたいよ!!」 「ごほうびごほうび!! こどもとたべものちょーだいね!!!」 「こどもたちといっぱいたべたいよ!!」 ご褒美と聞くと5匹の母ゆっくり達は口を揃えて望みを言う。 「じゃあ、そこまで連れていくからこの箱に入れ」 大工はそう言うと、持ってきた5つの木箱をゆっくり達のいる地面へ置く。 「はこ? はこはいやだよ!」 「せまいからゆっくりできないよ!!」 「お前たち疲れてるじゃないか。だから箱に入れて運んでやるんだよ」 「じゃあもっと広いはこにしてよね!!」 「まっててあげるからゆっくりよういしてね!!!」 「嫌だよ阿呆饅頭。とにかく箱に入らないなら食事無しで子供にも会わせないからな」 図々しいゆっくり達もさすがに食事と子供を盾にされると贅沢言わなくなり、自分から箱へと収まった。 「ゆっくりはこんでいってね!!!」 リヤカーにゆっくりの入った木箱を5つ積むと、大工はリヤカーを引いていく。 何も見えずにただ揺らされるゆっくり達は不平不満を垂らす。 「ゆっくりできないよ! いつつくの!?」 「おそとがみたいよ!」 「ゆれがはげしいよ! ゆっくりはこんでね!!」 しかし大工にとってそれは雑音にすぎない。 無視してリヤカーを引いていく。 そして数時間後、ゆっくり達入った木箱の蓋が外されて地面へと降ろされる。 「ゆっくりできるよ!」 「ひろいよ! くさがいっぱいあるよ!!」 「ゆ? こどもたちは? どこにいるの!?」 「ゆっくりしないで会わせてね!!」 「今度はここで仕事だ。前と同じだからがんばれよ」 「ゆ”! どういうこと!! やくそくがちがうよ!!」 「ゆっくり達のしごとはもうおわったんだよ!!」 「仕事はあそこだけなんて言ってないだろう?」 「い、いやだよ!! もうしごとしないよ!!」 「そうだよ!! はやくしょくじとこどもをもってきてね!!」 「そしたらしごとすることかんがえてもいいよ!!」 「食事ならそこにいっぱい生えてるじゃないか」 大工の指差した先には確かに草木が茂っていた。前の土地よりも多いかも知れない。 「あまいのがいいよ!」 「おかしもってきてね!」 「あとこどももね!!」 「こどもは仕事が全部終わったらって約束だろ? じゃあ後はがんばれよ」 ゆっくりとの無駄な問答に付き合ってられないと大工は去って行った。 「ゆ"う"ぅ"ぅ"ぅ"ぅ"ぅ"ぅ"ぅ"!! まっでえぇぇぇぇぇ!!!」 「せめて! ひとめだけでもみせてね!!」 「ゆっくりまたないとおしごとしないからね!!!」 最後のゆっくりの言葉に反応して大工は振り返る。 「一か月後に仕事ができなかったら子供は食べるからな? しっかり仕事しとけよ?」 今度こそ大工は去っていった。 後に残されたのは柵に囲まれた広大な土地と5匹のゆっくり達だけだった。 今度の仕事場は大豪邸でも建てるのか前に比べてずっと広い。 5匹のゆっくり達は誰も何も言わず呆然と佇んでいた。 一ヶ月後に見事に仕事をやり遂げた5匹のゆっくり達はご褒美をもらえた。 苦しむことの無いよう鉈で一刀両断。これがご褒美だ。 きっと子供たちに会えるはずだ。仕事を始めた日には死んでいた子供に。 きっとあの世でね。 終 by ゆっくりしたい人 主にゆっくりれいむ家族を虐めたいだけ。虐待というか人質とって強制労働というべきか。 ある種グッドエンドっぽいけどあの世で子供に会えるか決めるのはえーき様。 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/181.html
「ゆっくりメダル」 [参考:ゆっくり虐待スレ3 341] ゲームセンターによくある、メダルをタイミングよく投入すると迫り出す板によって端のメダルが 押し出されて落ちるやつ。ありますよね。 あれをゆっくり達でやってみようと思います。 メダルと違って、ゆっくりを投入するタイミングはあまり問題になりません。 適当なタイミングで投入すると、投入されたゆっくりは板の上を埋め尽くすゆっくりたちの上に転 がり落ちる。そして、板が移動して隙間ができたところで、自ら転がってその隙間に落ちていきます。 つまり、メダルだとタイミングよく投入しないと隙間にメダルを落とせないのに、ゆっくりの場合 は勝手に移動してくれるわけですね。 「ゆっくりー!れいむもここでゆっくりするよ!!」 さて、もともとスペースにゆとりがなかったところに、一匹ゆっくりが増えたわけですから… 次に板が迫り出したとき、最低一匹のゆっくりが落ちることになります。 「落ちたくないよ!!ゆっくりできないよ!!」 「れいむは落ちないよ!!まりさが落ちればいいよ!!」 「ゆっくり落ちていってね!!」 端のゆっくりたちが押し合います。どうやら落ちたくないようです。 当然のことです。落ちてしまったら、もう“ゆっくりできない”のですから。 落ちた先で待ち受けるのは、ふたが開いた透明な箱。 大きさは、ちょうどゆっくり一匹分… みんな、そこに落ちたらどうなるか知っているのです。 周囲は電流が流れる鉄板で囲まれているので、逃げ場はありません。 板が迫り出して、どんどんスペースが狭くなっていきます。 それに従って、ゆっくりたちの争いも激化します。 「ゆっくりしたいよ!ここでゆっくりざぜでえ゛え゛!!!」 「ここでゆっくりするのはまりさだよ!!れいむはゆっくり落ちていってね!!」 そんな醜い争いの中、ゆっくりれいむとゆっくりまりさの2匹が落とされました。 急な斜面を、2匹は必死に登ろうとします。 お互いを蹴落としながら、生まれながらの粘着力で何とか上に戻ろうと… でもぎりぎり登れない角度に設計されているので、結局2匹は箱の中に落ちていきます。 箱の大きさは、さっきも説明したとおり一匹分です。 しかし、2匹は無理やり箱に押し込められ、ふたが閉じられてしまいました。 「ぐるじい゛い゛い゛い゛い゛!!ごごがらだじでえ゛え゛え゛!!」 「ゆっぐりざぜでえ゛え゛え゛え゛え゛!!!」 箱の中でも居場所をめぐって押し合う2匹。この期に及んでまだゆっくりしたいようです。 通常の半分に圧縮されたゆっくり2匹は、ベルトコンベアで運ばれていきます。 そしてほかのゆっくりたちによく見える位置に移動すると… 「びゃあ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛!!やめ゛でえ゛え゛え゛え゛え゛!!!」 「どおじてぞんなごどずるの゛お゛お゛お゛!!??」 「しんじゃう!!しんじゃうよぼお゛あ゛お゛お゛お゛!!!」 箱の容積はどんどん小さくなり、中のゆっくりが押しつぶされていきます。 「れいむがゆっくりできないよ!!ゆっくりたすけてあげてね!!」 「ま゛り゛さ゛あ゛あ゛あ゛!!ゆ゛っくり゛してよお゛お゛お゛お゛!!!」 「お゛にいさん!!ゆ゛っくり゛してない゛でたすけてあげてえ゛え゛え゛!!」 見ているゆっくりたちがわめきます。 さっきまで醜い争いを繰り広げていたゆっくりたち。 あの2匹が落ちた原因が自分達であることも忘れて、2匹を助けるよう懇願します。 箱の圧力が高くなっていくと、ゆっくりの皮が破れて中の餡子が丸見えになってしまいます。 行き場の無くなった餡子は、下の穴から漏れ出していき… 「あ………ばっ……ゆ゛っ……っぐり…!」 「ゆ゛っ……ゆ゛ゆ゛っ……ゆ゛ーーーーあぼろっれべげばへおばおあえrkごえ!!!」 目から口から裂け目から、至るとこから餡子を出して、苦しみと絶望の中でゆっくりは息絶えます。 それを見ていたほかのゆっくりたちも、次は自分がこうなるかもしれないという恐怖の中、 ゆっくりできる場所を求めて争い続けるのです。 あ、ちなみに2匹のゆっくりを落としたので、2匹の別のゆっくりが排出口から戻ってきます。 この2匹には、ガラスの向こうにいるたくさんのゆっくりがどんな目にあっているのか、わかっていないようです。 「ゆっくりしていってね!!みんなもゆっくりしていってね!!」 「みんな楽しそう!!れいむもあそこでゆっくりさせてね!!」 プレイに飽きたら、持ち帰って虐待するもよし、食すもよし、加工場に売るもよし。 楽しみ方は無限大!! 「ゆっくりメダル」でたくさんゆっくりしていってね!!