約 541,618 件
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/492.html
どこまでも晴れ渡った青空のもと、広い草原の上。8匹のゆっくり達がゆっくりとした時間を過ごしている。 まだ小さい赤ちゃんゆっくりが6匹、成体の、おそらく赤ちゃんゆっくりの親であろうゆっくりが2匹いる。 赤ん坊は全て霊夢種のゆっくりで、両親の愛情をうけていままでゆっくりと暮らしてきたのだろう。 野生種にしては肌に張りがあり、髪も艶がある。要するにとても健康なのだ。 満面の笑みを浮かべながら、「ゆっ♪ゆっ♪ゆっくり~♪」と跳ねながら歌っている。 子供たちよりも二回り大きい霊夢種と、その霊夢種より少し大きい魔理沙種の両親がそれを見守っている。 見守る親ゆっくりの表情もとてもゆっくりとした良い表情だ。 両親の髪には、昨日我が子が自分達のためにと採ってきてくれたタンポポが刺さっている。 自分の子供たちがゆっくりとしたやさしい子供に育ってくれたことが、彼らにはうれしかった。 「れいむたちのこどもいいこだね!」 目を細めてゆっくり親霊夢が言う。 「まりさたちのこどもゆっくりだね!」 親魔理沙もうれしそうに言う。 両親ともにやはりとても健康だ。 そう、私の娯楽に付き合うのに彼らは完璧だ。 長い間ゆっくりの家族たちを見てきたが、彼らほどお互いのこと思いあっているゆっくりの家族はそういるものではない。 彼らを私の素敵なパーティーに招くためには第一印象が大事だ。 できるだけやさしい声で、彼らに話しかける。 「やあ、ゆっくりしていってね!」 「「「ゆっくりしていってね!!!」」」 種としての本能か、彼らはやはりゆっくりしていってね!!!と返してくる。 この反応で10日前にやった遊びを思い出す。 ふと、どんな状況でも「ゆっくりしていってね! 」と言えば「ゆっくりしていってね! 」と言い返してくれるのか実験してみた。 ゆっくりの足?かどうかはわからないが、底の部分をのこぎりでゆっくり切る。もちろんゆっくりは泣き叫ぶ。 「ゆっくりしていってね!」と言えば、 「つっづゆっづっりじていっべぇねぇ!!!」と、激痛の余りゆがめた口から、泣きながら「ゆっくりしていってね!」らしき言葉を話していた。 そのゆっくり霊夢は元の場所に帰してやったが、おそらくもう死んでいるだろう。 おっと、いかんな。今大事なのは目の前の彼らを私のパーティーに招くことだった。 「おじちゃんゆっくりできるひと?」 「おじさんゆっくりできるひとなの?」 おじさんかぁ…まあいい。私から溢れるダンディーな雰囲気から、お兄さんではいけないと考えたんだろう。 彼らが聞いてくる。驚いたことに、ゆっくりとだが私から距離をとり、まだ小さい子ども達の前に霊夢種と、なんとあの魔理沙種が立っている。 おそらく私が襲いかかってきたときに、子供たちを守り、子供たちを逃がすためだろう。 特に魔理沙種が子供たちを守ろうとする姿勢は私を感動させた。あの親兄弟子供さえ自分のためなら切り捨てる魔理沙種が! 彼らに会えたことを心の底から感謝しなければ!! 「うん、ゆっくりできる人だよ。ところでそこの君達、とてもきれいな髪飾りだね」 「「うんわたしたちのあかちゃんがくれたんだよ!!」」 「「「おかあさんたちにあげたんだよ」」」 親ゆっくりはうれしそうに、子供ゆっくりは誇らしげに私に向かってしゃべる。 髪飾りを褒めただけで警戒を解くところは、やはりゆっくりといったところか…。 「ところで君たち、ご飯を食べないかい? たくさん持っているんだけど一人で食べるには多いからね。一緒に食べよう」 「ゆっ!!ゆっくりちょうだい!」 「ゆっくりまってね!」 子供たちはうれしそうに駆け寄ろうとするが、親ゆっくり達に止められている。 彼らは少し疑わしそうにこちらを見ている。なるほど、毒を警戒しているのか? ゆっくりにしては賢い。相当修羅場をくぐりぬけてきたのだろうか? 「ははは、毒なんかはいってないから、心配せずに食べてごらん」 ニッコリ笑って風呂敷袋からおにぎりを取り出し咀嚼する、うんおいしい。やはりおにぎりの具は梅干しだ。 「うたがってごめんね!ゆっくりちょうだい!」 信用してくれたようだ、別の風呂敷袋からまた別のおにぎりを取り出す。具は特にない。 そしてなかには無味無臭の睡眠薬が入っている。 それを4個彼らに与える。 「うめぇ!めっちゃうめぇ!」 君達ね、君達の食べているおにぎりを私が食べたわけではないのになぜ毒がないと思うかな? まぁゆっくりだからしかたないか。 彼らが気に入ってくれたようでよかった。 人生最後の食事、いや饅生最後の食事なのだから、ゆっくり味わってほしいのだが、尋常ではないスピード食べている。 君達全然ゆっくりしてない、ちゃんと味わっているのか? すぐに彼らは食事を終えた。 親ゆっくりたちが子供の口に付いたご飯粒を取ってあげている、心温まる光景だ。 「おじちゃん!とってもおいちいよ!ありがとね!」 「おじさん!とってもおいしかったよ!ゆっくりしていってね!」 この家族に私は気に入ってもらったようだ、しばらく彼らと遊んだ。 遊ぶといっても、小さいゆっくりを持ち上げて立ってやるだけなのだが、いつもと違った景色にご満悦のようで、 「ゆっ!とってもたかいよ!」と喜んでくれる。 特におそらく末っ子の一番小さいゆっくりはこの遊びを気に入ったらしく、私の掌でとび跳ねながら 「ゆっ♪ゆっ♪ゆっ♪」 と喜んでくれている。 一番ちいさいのでちびゆっくりと呼んでもいいかと聞くと、 「ゆっ♪おじちゃん大好きだからいいよ」 といってくれた。かわいいゆっくりだ。 そうこうしているうちに薬が効いてきたのか、子供ゆっくりが眠そうだ。 「なんだかねむいね…」 それに気づいた親ゆっくり達は、家に帰ることにしたようだ。 「「おじさん!きょうはありがとね!ねむたいしきょうはおうちにかえるね!」」 親ゆっくりも少しは眠そうだ。体が大きい分薬の回りが遅いようだ。 このまま家に返してしまっては彼らをパーティーに呼ぶことができない。 「子供ゆっくりちゃん達も眠そうだし、そのまま帰るのは危ないよ。だからさ、今日は僕の家に来ないかい? 食事もあったかい寝床もあるし、気に入ってもらえるならそのまま君たちの家にしてもらってもいいよ」 「ゆっ!ほんと!」 「おじさんのうちにいくよ!ゆっくりつれてってね!」 すっかり私のことを信用してくれたようだ。 「うん、それじゃあちょっと狭いけどこの籠の中に入ってくれるかな? 家に着いたらたっぷりゆっくりさせてあげるよ」 ゆっくり達は何の疑いも持たずに籠の中に入っていく。 少しの間はゆっくりたちも私に話しかけてきた。 「ゆっくりできるおうちだったら!れいむたちのおうちだね!」 「とくべつにおじちゃんもすんでいいよ!」 しかし数分もすれば全て寝息になっていた。 私は鼻歌を歌いながら自分の家に向かう。 自宅につくと、地下室に用意したパーティー会場。 鉄製の箱で、蓋はしていない。ゆっくりたちが十分ゆっくりできるほどのスペースは無い。 そこに彼らを一匹一匹かごから出して置いていく。 あと数分もすれば目覚めるだろう。 それにしても良い寝顔だ。なんの心配もなくゆっくりとした表情で寝息を立てている。 親ゆっくり達を中心に、子供ゆっくり達が寄り添うようにして眠っている。 彼らは目を覚ませば、またゆっくりできると思っているのだろう。 「ゆっ~ん」 一匹起きたようだ。それにつられてかほかのゆっくりたちも起きてくる。 「ゆっくりねたね!」 「おはようおじちゃん!ゆっくりちていってね!」 「おうちについたね!ゆっくりするね!」 それぞれ思い思いのことを言いながら飛び跳ねている。 その彼らに、一匹一匹ポリタンクの中からうつしたバケツに入った、とある液体を刷毛でゆっくりの髪にぬりつける。 「ゆっゆ!きもちわるいよ!」 「なにこれ!つめたいよ!」 「こんなことしてゆっくりあやまってね!!」 「「はながよごれたよ!ゆっくりあやまってね!!」」 ゆっくりの両親が揃って抗議する。 鼻?普通髪を謎の液体まみれにされたことを怒らないのか?なぜに鼻? 鼻…はな…花…あっ!このゆっくり子供たちにもらった髪飾りが汚されたことを怒っているのか、 ふーん感動的だね。これからどうなるかも知らないで。 「ああ、ごめんね。君達に灯油を塗ったのはゆっくりするには大事なものだからなんだ」 「ゆっくりできるんだね!」 「はやくゆっくりしたいよ!」 「とうゆでゆっくりできるの?!」 「はやくとうゆでゆっくりしたいよ!」 ゆっくり達にとってゆっくりできると言えば、大抵のことを信じてくれる。便利な言葉だ。 まぁちゃんとした器具を使ってしかるべき使い方をすれば、冬場は家の中でゆっくりできるものだ。私の言ったことはあながち嘘ではない。 さて、準備は整った。それじゃあパーティーの始まりだ。 とりあえずマッチを擦ってみる。シュッ 一度で火がつかない…。 シュッシュッシュボ やっとついた。ニッコリ笑顔で、自分に一番なついてくれたちびゆっくりを呼ぶ。 「いちばんちっちゃいゆっくりからゆっくりさせてあげるよ」 他のゆっくり達からは抗議の声があがったが、順番にゆっくりさせてあげるというと納得した。 飛ぶようにこっちに向かってちびゆっくりが跳ねてくる。 ご飯をくれた、自分と遊んでくれた優しいおじちゃんが、自分を一番にゆっくりさせてくれる。 そう考えたんだろう、満面の笑みで素早く足もとまで来た。 「それじゃあゆっくりさせてね!」 私もニコニコ顔で答える。 「その前に少しの間目を閉じていてね。ほかのゆっくりたちもだよ」 すべてのゆっくりが目を閉じている。どの顔もとてもゆっくりとしていて、これから起こるゆっくりに期待している。 それを確認した私は、ちびゆっくりにマッチの火を素早く近づけようとする。 「ゆっくりはなれろ!!!」 薄目を開けていたらしいゆっくり親魔理沙が、マッチに向ってタックルを仕掛けてくる。 少し驚いたが遅すぎる、止まって見える。マッチの火が素早くちびゆっくりを炙る。 それまで幸せだった人生が変わる瞬間、私はそれがたまらなく好きだ。 火がついた瞬間。 「ゆぎゅぎぃぃいぃ!!」 大声を出して地面を跳ねまわるちびゆっくり。 その絶叫と甘い物が焼ける匂いに、素早くほかのゆっくりたちも目を開け、惨劇に驚愕する。 ちびゆっくりは大声で泣き叫んでいる。無理もない、頭を火ダルマにされているのだ...もっとも顔だけしかないが。 ともかく体に火が付いているのだ、苦しくて当然だ。 ほかのゆっくりたちは、 「れ゛ぇぇむ゛れ゛ぇぇむ」 姉妹の名を叫ぶゆっくり、 「はやくけして!」 私に助けを求めるゆっくり、 「ひぃっ」 あまりの出来事に一瞬息をのみ、 「じぃじぃのぜいでゆっづぐりできないよ!じねぇぇ!」 その後怒りの声をあげるゆっくり。 じじいとは失礼な!!老け顔だが20代だぞ!!! おっと、怒りで我を失ってはいけない。 そうこうしている間に、子供をゆっくりの両親が助けに行ったぞ。 ふふ、あとは椅子に座って見てるだけだ。 「あづぃぃよ゛!!おがぁざぁん!!!!」 熱さにのたうちまわる火ダルマの子ゆっくりを見ても、ゆっくり親霊夢もゆっくり親魔理沙は、まだ助けることができると信じた。 「「すぐたすけるよ!!」」 何とか体当たりでも何でもして火を消すのだ。 二人を突き動かすのは、わが子を助けたいという気持ちだった。 ほかの姉妹たちと違って、生まれてすぐにゆっくりしていってね!を言わなかった我が子。 しばらくして 「ゆっくりしていってね!」 と言ってくれた時はどれだけ安心しただろう。 この娘たちの中で一番小さいゆっくり霊夢は、とても優しくて、ゆっくりとした良い子に育ってくれた。 この二匹の親ゆっくりがつけている髪飾りを取ってこようと最初に提案してくれたのは、今火ダルマで苦しんでいるこの子なのだ。 二人のゆっくりは灯油が塗られた体で火をけすため、飛びつこうとした。その時。 火の粉が舞ったそれは、ちびゆっくりのより近くにいたゆっくり魔理沙の、ちょうどあのタンポポでできた簡素な髪飾りに降り立つ瞬間、燃え始めた。 「ゆ゛っまりさ!かみとぼうしが!!」 ゆっくり魔理沙は驚愕した、なぜ自分はいきなり燃えたんだ、 しかし理由など考えている場合ではない、頭が燃え始めているのだ。 しかも燃えているのは自分の帽子なのだ。 「ゆ゛ッ!!!!」 ゆっくり達にとって、帽子やリボンは仲間の識別に使われる、ある意味命よりも大切なもの。 なければ自分のことを仲間だと認識してもらえず、食われたり、いじめ殺される。 ゆえにその大事なものをとることなどできるはずがない。ちびゆっくりのことも忘れて必死になって火を消そうと地面を転がる。 ゆっくりとは思えないかなりのスピードだ。 しかしその分火の粉が飛んでしまう。 近くにいた二匹の子供にも火の粉があたり、一瞬で火ダルマだ。 「あっづいぃ!!あっっづぃぃぃ!!!」 「ア゛ッつ゛ィぃぃィ゛」 いつもそそっかしいゆっくりが、 世話好きのゆっくりが火ダルマになって飛び跳ねている。 ゆっくり母霊夢の頭にはだんだん事態が飲み込めてきた。 自分たちはこの”とうゆ”という危険な液体をかけられていて、火がついたものの近くにいると発火してしまう。 そしてじぶんの嫁であるゆっくり魔理沙や子供たちは、火の粉をまき散らしながら飛び跳ねている最悪の状態だ。 涙を流しながら叫ぶ。 「ゆっくりはなれて!」 もう火がついた子供を助けることなどできない。 現に最初に燃やされたちびゆっくりはもう動いていない。 火が付いてしまった以上、彼女たちは自分のかわいい子どもから、恐ろしい殺戮者に変貌してしまったのだ。 本格的におもしろいことになってきた。どうやらあの親霊夢は、自分たちが非常に危険な状態にあるということを理解できたようだ。 ゆっくりとは思えないほど賢いな、やはりこの家族を選んで正解だった。 焼酎とつまみを楽しみながらゆっくりをいじめる。 最高の娯楽だ。みんなが火ダルマになってダンスパーティーを楽しんでいる。 数時間前までは、ゆっくりした時間を家族と一緒に過ごしていたのに。 ものの三分で、大事な家族は自分を殺す凶悪な兵器になってしまったんだ。 いま彼らはゆっくりの反対、ものすごくいそいでいるんだろう。 「いそいでにげてね!」 彼らに私なりの声援を送る。 子供の中では一番大きなゆっくり霊夢は、一番臆病なゆっくり霊夢を引きずるようにして、元姉妹から必死に逃げている。 「ゆっくり!いそいでね!」 「ゆゅくり!いぃいそぐよ!」 あまりの恐怖に、顔面蒼白で体中を震わせながら、姉に言葉を返すゆっくり霊夢。 後ろからは姉妹がすさまじい絶叫を上げながら飛び跳ねてくる。 「ア゛ッつ゛ィいダぁイ!!」 声からして、おそらくいつも自分を助けてくれた姉の声だろう。 一度湖に行った時、大きな蛙に食べられそうになったときなど、 カエルに豪快なタックルを決めて追い払ってくれた。 その大好きな姉が、今や火だるまになって追いかけてくる。 少し離れたところでは、完全に体に火が燃え移ったゆっくり魔理沙が絶叫しながら飛び跳ねている。 後ろにはもう姉が来ている。 追いつかれるそう思った瞬間、とっさに体が動いた。 自分をひっぱて逃がそうとしてくれた長女をつかんで、後ろから来る火の玉にぶつけていた。 「ア゛ッつ゛!!」 「ぎゃァぁあいぁ!!」 火の玉は粉々に崩れたが、新しい火の玉が飛び跳ねている。 必死になってにげながら、「ゆっぐりじだぁい!!」 と泣き叫ぶ。しかしできるはずもない、すぐについさっき自分が裏切った姉の火で、自分も火の玉になる。 「ははははは、傑作だねこれは。」 まさに因果応報だ。 悪いことは出来ないものだ、やはり清く正しく生きなければ。 それにしても、思ったよりゆっくりは力があるな。 自分よりだいぶ大きいゆっくりに噛み付いて投げ飛ばすとは。 単に火事場の馬鹿力だったのだろうか。 しかしこれで残りは親霊夢と子霊夢だけだ。 部屋の中心でぶるぶる震える子霊夢を、母霊夢が必死に守っている。 実に感動的だ、髪飾りが落ちているのも満身創痍といった感じで面白い。 まわりでは元家族たちが大きな声で歌いながら、火の衣装を身にまとって踊り狂っている。 この素晴らしいダンスパーティーも終盤だ。 一つ今回の主役達に最後に言ってやろう。 「さいごまでゆっくりこわがってね!!」 元家族たちが、自分達の周りを絶叫しながら飛び回っている。 最後に残った自分の子供が 「みんなでゆっくりしたっかたよ!」 と泣きながら目をつぶって呟いている。 少し前までは、みんなで一緒にゆっくりしていたのに。過去の楽しかった思い出が胸を締め付ける。 涙を流しながら親霊夢も 「みんなとゆっくりできないよ!」 と叫ぶ。めのまえに大きな火の玉が来る。 四方から聞こえる、声にならない声。 火の粉がついに、自分の体につく。すさまじい熱が一瞬で体を包む。すべての思考が切り裂かれ、痛みが体を支配する。 「ゆぎゅぅぅ!!!」 何も考えず飛び跳ねる。否、考えられない。 体を動かさずにはいられない。 あの草原で、子供たちとゆっくりと楽しむため飛び跳ねていたころとは違う、 痛みで飛び跳ねている。何かが体にぶつかって、そこにさらに痛みが走る。また一つ火の玉が増えた。 その五分後、残ったのは八つの炭化した饅頭と、 一輪のたんぽぽだけだった。 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/5271.html
俺は以前から実ゆっくりを使ってヤリタイ実験があった・・・ そのためにわざわざ山奥まで行きにんっしんっ!したれいむ(でいぶ)を3匹ほど連れてきた 幸い1匹のゆっくりから5本ほど茎が生えていたので材料には事欠かない その日はわくわくしながら眠りについた 次の日 「ゆっくりしていってね!」 「くそどれいはゆっくりはやくごはんさんをたくさん持ってきてね!」 「くそじじいはあまあまをおちびちゃんのためにさっさとよこしてね!」 まー五月蝿い五月蝿い 爽やかな朝を阻害されたような気分だが我慢しよう 「分かったよ 今持ってくるからNE☆」と胡散臭い笑顔に棒読み口調でさっさとキッチンに行った ちょうど生ごみが溜まっていたのでコンポストとして活用した 腐ってるのもあるけどゆっくりだし、いいや 「おじさんだれなの?」とか言わないあたりこいつらは扱いやすいな… そう思ってる間にも 「うんめっ!めっちゃうめっ!!」 「幸せえええええええ!!」(幸せを頭の中で死遭わせと変換する) 「ゆっ!ゆっ!」 うぜぇ・・・・握りつぶしたくなるが我慢我慢、奴らが食っている間に準備は完了した 実験の開始DAAAA! まずは茎ごとゆっくりを採る! 合計したところ13個の茎が集まった 「でいぶのあ゛がぢゃああああん!!」 「じね゛ええええええ!ごどぐそに゛んげええええん!」 「うんめっ!うんめっ!・・・ゆ?ゆああああ゛あああ!お゛ぢびぢゃああああん!」 うむ!いい返事(?)だ! 1匹遅れた奴いたけど その茎の3本をそれぞれハバネロsoup、廃油、塩水(飽和水溶液)に入れ、あとの7本は冷蔵庫へシュウウウッ! 超exciting! ぎゃーぴー流石にうるさいので「最高にゆっくりしたおちびちゃんになるようにしているんだよ」と言ったら 「ゆ、てんさいのれいむはゆっくり理解したよ!」 「さすがはれいむのくそどれいだね!れいむのうんうん食べてもいいよ!」 「ゆっふふうう!おちびちゃんの美貌にひれ伏したんだね!」 途端に横柄になりやがった・・・1週間後にはどんな表情になるのか 俺は実ゆっくりと親ゆっくりの顔を記録するためにカメラを設置した 1週間後 素晴らしい結果が出た! ハバネロsoupにつけていたのは素晴らしい(虐待鬼威山目線で)表情で死んでいた 廃油につけていたのは全て欠ゆとなって生まれていたし、塩水は生まれたはいいが水の拒否反応がすさまじかった あとの10匹も有効活用したいところだ 「あ゛がぢゃあああん!ゆっぐりじでえええええ!」 「ゆっぐりじでいっでね!・・・どぼじでへんじしでぐれな゛いのおおおおお!!」 「お゛びず飲んでえええええ!」 続く 作者より 初めてssを書いてみました 中3なので駄文は生暖かい目で見つめてやってください、3話に分ける予定です 最後に・・・・ゆ虐は超exciting!
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/562.html
俺は、蔵の中に閉じ込めていたゆっくりまりさをさがしていた。 ふつうの成体のゆっくりよりサイズが大きかったのですぐ見つかると思ったが中々見つからない。 「しかたないな。」 埒があかなかったので、飼っているゆっくりのために用意してあまったゆっくりまりさの餡子でおびきだすことにした。 餡子を放置してしばらく隠れることにする。 「うっめ、これめっちゃうっめこれ」 愚かなやつだ。 まりさがのこのこ出て来た。 群れからはぐれて半日、何も食べていないので仕方ないといえばしかたなかったが。 まあ食欲を完全に抑える事など、ゆっくりであるまりさには出来るはずもない。 「さてと」 餡子を食べている途中のまりさをつまみあげる。 まりさに餡子をやるために蔵に来たんじゃない、今回の仕事のために尋問しに来たのだ。 「まりさ、お前の群れの巣は何処だ?」 顔をつき合わせて単刀直入に聞く。 「おにいさんみたいなゆっくりできないひとにはおしえないよ、はやくまりさにつづきをたべさせてね。」 断られた、もちろん一筋縄で行くとは思っていない。 ゆっくりをゆっくりいたぶるには……、と。 転がっていたノコギリを拾うと、まりさの頬を撫ぜるように切った。 まりさの頬の表面が削り取られる。 「いたっ、なにするの?」 「巣の場所を言わないともっとやるぞ」 「まりさはむれのりーだーなんだよ、いえるわけないよ。だからゆっくりやめてね!!!」 まりさには珍しく強情だな。 「じゃあ、ゆっくりとやめてやる。やめるまでお前はたえられるかな?」 「ゆっ?!!」 まりさを上から押さえつけ、ゆっくりとノコギリを頬にあてた。 「次は、もっと強く切るぞ」 「やめて、やめてね」 「大丈夫、すぐには終わらせないから。ゆっくり苦しんでね……」 ノコギリを押しつける力を強くしていく。 「いだいよ、ゆっぐりやめでね」 ある程度強くすると、手に伝わる感触変わる。 無数の刃がまりさの頬に小さい穴をいくつも空けていくのがわかった。 「いだいぃぃ、やめでやめでね!」 「なら、巣の場所を言え」 「だめだよ、それはむりだよぉ」 だめか、じゃあ仕方ないね。 俺はノコギリをゆっくり引き始めた。 弾力が強いまりさの頬の皮はよく伸びた。 「まりざはいわないよ、だがらゆっぐりやめでね!」 耐えてやがる、仕方ないもっと引くか。 ノコギリを引いていくうちに刃に引っかかっている皮が切れ始めた。 まとめて切らない様にノコギリを引くのはゆっくりと。 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛……」 プチプチとした感触とともに頬の裂傷が広がっていく。 まりさは、引っかかっている皮が一箇所切れるたび唸り声をあげた。 しかし、一回目の斬撃が終わっても巣の場所は聞き出せなかった。 強情すぎる、このまま切り続けても変わらんな、アプローチを変えるか。 「こりゃ、おまえを殺して自分で探すしかないかな」 「ころさないでね。すのばしょをいうからゆっくりさせてね!!!」 自分の身に危険を感じたら急に堕ちやがった、やはりリーダーとは言ってもまりさはまりさか。 まあ、上等なサイズのゆっくりなんであまり傷つけたくなかったし良かった良かった。 俺は、巣の場所を聞き出すと群れごと降伏するように説得に入った。 「お前たちの群れ全てを加工場に連れて行きたいから、おまえから説得してくれないか?」 「できないよ、かこうじょうはだめだよ」 ゆっくりなら当然の反応だ。 予想していた俺は、ある物が入った箱をまりさに見せた。 「言う事を聞け、みんなでこうなりたいのか?」 「ゆゆゆっ?!!」 家で消費したゆっくりの装飾品だった。 霊夢種や魔理沙種のものが多いが、レミリア種の物も混じっていた。 「元々駆除しなきゃならなかったんだ、逆らえば全滅させるぞ。ならば、加工場で少しでもゆっくりした方がいいだろう」 まりさを見る。 少なくとも不思議そうな顔はしてないので理解しているようだ、むしろ考え込んでいる。 「それに、子供たちはペットに回してもらうようにするから」 さらに、畳み掛ける。 まりさは相変わらず考え込んでいた、聞いてるのかこいつ? しばらくして、まりさはゆっくりと結論を出した。 「ゆっくりわかったよ……、まりさもすまでつれていってね!!!」 「ああ、おたがいのためによろしくな」 「うん、まりさはしっかりやるね!!!」 天然の子ゆっくりは、躾ければ大分ましなゆっくりに育つのでペット用にまわされることもある。 全滅を避けたいリーダーとしては魅力的な話なんだろう、多分。 俺は、やたら元気なまりさを手当てして、食べかけの餡子とともに籠に入れると一息ついた。 ゆっくり駆除の仕事なんて面倒だと思ったが、案外楽にいきそうだ。 やはり、依頼主の村長がリーダーのゆっくりまりさを生け捕っていたのが大きかった。 巣の場所は聞き出せたし、リーダーもこちらに引き込んだ。 明日は、檻とリアカーだけで足りるだろう。 ここにある物騒な秘密道具は使わなくて済みそうだ。 明日の準備を終えると、蔵の鍵を閉めて母屋で眠ることにした。 翌日、まりさから聞き出した場所に行く。 農作業がひと段落ついた村の人にも何人か来てもらった。 そして、ゆっくり達の巣である洞窟についた。 時間はおやつの時間といったところかな。 「いまのじかんなら、まりさのむれはみんなこのなかにいるよ」 籠の中のまりさが言った。 頬の傷は跡は残っていたが塞がっていた。 「じゃあみんなを呼んでくれ、頼む」 昨日の打ち合わせどうり呼び出すように頼んだ。 しかし、まりさは呼ばなかった。 「どうしたんだ?」 まりさに問う。 「おにいさんのていあんもよかったけど、まりさはもっといいてをしってるよ」 何言っているんだこの阿呆は。 そう思うのも束の間、まりさが巣の中に向かって叫ぶ。 「みんなー、ゆっくりできないひとがきたからかくれてー!!!」 !!? 「しばらくしたらにげてねー!!!」 やられた。 このままでは、駆除すらできない。 この糞饅頭めが。 次の手を考えていると、まりさがいやらしい笑みとともに話しかけた。 「おにいさん、しばらくゆっくりしたらまりさのかちだよ」 「出てくるように言え、でなければ全滅させるぞいいのか」 悔しいがまりさのほうが有利だ。 無理だと思ったが、一応言ってみる。 「ぜんめつにはならないよ。おとなはみつかるかもしれないけど、すきまにはいったこどもたちまでみつけられるわけないよ」 駆除するにしても通常の手段では、ゆっくりたちに有利すぎる。 全部駆除するのに時間がかかりすぎるのだ。 夜になれば妖怪がうろつきはじめるため、ここを離れねばならない。 そして、次にここに来る時には巣はもぬけのからになっているだろう。 そう、ゆっくりにゆっくりされたら負けなのだ。 手段はないわけではないが、経費がかかりすぎる。 なのでもう一度言った。 「もう、加工場に行く気はないのか」 もちろん、まりさが言う事を聞くはずもなく、 「おにいさんはなさけないね、そんなおねがいをするなんてみじめだよ」 さらに罵倒してきた。 ふーーーーー。 「まりさ、お前の策は完璧なんだな?」 「ゆぅーー?」 「お前の策は完璧かと聞いている」 「そうだよ、おにいさんははやくまけをみとめて、ゆっくりくつじょくをあじわってね!!!」 わかった、ならば虐殺だ。 そして俺は、最後の手を使おうと決心した。 まりさの返答を聞くとすぐに村人の所に行った。 「すいません、取りに戻る物ができたので、ここを見張っててくれませんか」 「大丈夫なんですか?」 「また、ゆっくりに来られたら村は……」 「もう駄目だー」 一部始終を聞いていた村人達は不安を口にしたが、何とかなだめて言うとおりにさせた。 まりさは籠ごと預けた。、 「にげないでゆっくりしていってねぇー!!!」 去り際にまりさがさらに罵倒してくれた。 うん、勝った気になってるね、うん。 家まで戻った俺は、蔵の奥から秘密道具をとりだした。 これなら穴倉に逃げ込んだ事を後悔させられるな。 そして、他に必要なものを用意し、リアカーにそれらを乗せ急いで戻った。 ゆっくりの巣に戻ると、まりさの籠を受け取り、村人達に巣から離れるように言った。 今回の秘密道具は大変危険なものなので、当然の処置だ。 「おにいさん、まりさたちでもこんなにゆっくりしないよ、まだあきらめないの?」 まりさの言う事に耳を貸さず、リアカーに積んでおいた耐火服に着替える。 「おにいさん、まりさをここからだしてあきらめてくれたらここをすててどこかにいってあげるよ、わるくないでしょ!!!」 「駄目だな」 まりさに答えながら着替えを終えると、双胴のタンクを担ぐ。 中身はもう充填ずみだ。 タンクにホースで繋がっている銃部を持って準備完了だ。 「行くぞ」 「まりさをにがしてくれたらむれごとここからいなくなってあげるっていうのわからないの?ばかなの?」 ……。 まりさの籠を持ち巣の中に向かった。 洞窟の入り口あたりに着いた。 「おにいさん、ゆっくりぜつぼうした?」 巣内の壁面には所々窪みがあり、ゆっくりが隠れられそうな所が多そうだ。 10メートルほど奥に何かがいるのが見えた。 あそこが居住部かな、距離は問題無いな。 「そうだな、さっきまではしてたよ。でも、もうしていない」 「まりさはめーわくしてるんだからとっととあきらめてね!!!」 こちらも、諦めるわけにはいかない。 「まりさ、お前にも絶望してもらうぞ」 儲けのためにね。 俺は、まりさの籠を地面に置き発射体勢に入った。 銃部を構え、巣の奥に向ける。 燃料噴出のトリガーを引き、着火装置を入れる。 大量の炎が勢いよく巣の奥に放射された。 「うわー、あかくひかってきれー!!!」 まりさが呑気なことを言ったが、炎の色しか見えてないからだろう。 なにが起こっているか理解できないようだ。 火炎放射器が使われるすこし前から巣の居住部の状況を見てみよう。 居住部では、小さめのゆっくり達は窪みに入り込み、大きめのゆっくり達は岩陰にかくれてじっとしていた。 「「「せまいよー、ゆっくりだちてね」」」 小さいゆっくりは隠れるのに慣れていないせいか文句を言っていた。 「だめだよ、リーダーが帰るか、夜まで待ってね」 しかし、一人部屋の中央に鎮座するお母さんれいむに注意されると、おとなしくなった。 他のゆっくり達は慣れているのか黙って隠れていた。 この群れは隠れる事で群れを人間から守っていた。 人間や他のゆっくりに、『ゆっくりしていってね!!!』されても出て行かないほど徹底されている。 時には、群れの一部を囮にしてでも群れを守る、昔からそうやってきた。 今回は、何度も襲っていた畑の主たちに待ち伏せされたので、リーダーまりさが囮となり捕まってしまったのだ。 「まりさもがんばってるし、こどもたちにはゆっくりいきのびてもらわなきゃ」 お母さんれいむはリーダーまりさが捕まったと何となく気づいていた。 いざとなったら自分も囮になる覚悟はできていた。 ふと、お母さんれいむが入り口を見ると人間が入ってくるのが判った。 リーダーまりさの声がまた聞こえたが油断はできない、さっきから入ってこないのを鑑みると捕虜になっているのかもしれない。 群れを、子供達を守る為には見捨てねば。 そんな事を考えているお母さんれいむだったが、突然視界が真っ赤に染まった。 「ゆっ?!!」 反射的に目蓋を閉じた。 続いてすさまじい熱さが襲った。 「あぢゅっ?!!」 燃え盛る燃料が、ジェット噴流となって轟音とともに居住部を襲ったのだ。 その勢いは止まることを知らず、壁や天井に当たると跳ね返り舐めるように燃やし尽くした。 「あづいー!」 「ゆっぐりできない゛ーーー!」 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛?!!」 中央にお母さんれいむは真っ先に炎を浴び、岩陰に隠れていたゆっくりたちも燃え始めていた。 もはや隠れてられる状況ではなく、岩陰に潜んでたゆっくりは火を消そうと転げまわっていた。 小さいゆっくり達は助かったかというとそうはならなかった。 「くるちい、くるちいよー!」 「くちのなかあちゅいー!」 「おがあざーーーーん!」 燃えることこそ無かったが、高温のすすや空気を吸い込み体の中から火傷をおっていたのだ。 辺りには焼き饅頭の香りが漂っていたが、そんな事を気にするゆっくりは一匹もいなかった。 すこしすると燃えていたゆっくりたちの火が消えた。 燃え尽きたものいたが、結構な数のゆっくりが生き残っていた。 「いだい゛ー、うごげない゛ー!!」 「ぐるじい、ぐるじいよー!!」 「みず、みずをのま゛ぜでー!!」 「おしょと、おしょといくー!!」 しかし、生き残っているだけでもう虫の息だった。 全身のほとんどが焼き饅頭となり、運動機能と代謝機能に異常をきたしていたのだ。 大部分の皮が伸縮できないのでいつもの様に動けず、保水性が無くなった皮はただでさえ失われた水分を放出するのみだった。 もちろん、火傷の痛みが全身からする。 少しの刺激がすさまじいまでの痛みを引き起こした。 さらに、燃料やゆっくりたちが燃えた事で酸素が失われ、動くのに大量の餡子を消費するようになっていた。 その消費するべき餡子も、大部分が焼けてパサついて使い物にならなかった。 動いたらまともな餡子が減って衰弱して死に、動かなくても水分が失われてまともな餡子が乾燥して死ぬ。 全滅は時間の問題だった。 巣の入り口に戻ってみよう。 「おにいさん、なにしたの?まりさにおくをしらべさせてね!!!」 まりさは困惑しているようだ。 俺が何かしたのはわかったが、まりさにはきれいなだけだった。 しかし、奥からは群れのゆっくり達の呻き声が聞こえてくる。 それが気がかりなのだろう。 「だめだ、もう少し待て」 しかし、まりさに死んでもらっては困る、それにまだ換気が済んでいない。 一酸化炭素がこわいです。 「ゆっくりちゃちぇてー」 換気を待っていると、巣のおくからちびゆっくりが這い出してきた。 跳ねて移動する元気が無いようで、さらに全身すすまみれだった。 「どうしたのぉーーー?」 まりさがその姿に驚き声をかける。 「おにいさん、ちびゆっくりをたすけてあげてね!!!」 そして、俺に助けを求めた。 ふふふふふ。 「だめだ、汚いゆっくりでは」 「あらってあげればだいじょうぶだよ、はやくたすけてね!!!」 まりさが食い下がった、説明するか。 ちびゆっくりを持ち上げる。 そして、口から舌を引き出しまりさに見せる。 「この舌を見ろ、中まで汚れているだろう。それにもう衰弱しすぎてる、どのみち助からないんだよ」 ちびゆっくりの舌は火傷のため腫れて煤がこびりついており、まったく抵抗しない事から相当に衰弱しているのがわかった。 まりさが唖然としていたので、ちびゆっくりを地面に落とし、そのまま踏み潰した。 ぷちっ。 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛、まりざのあがぢゃんがーーー!!」 まりさは泣きながら叫んだ。 いい顔だ、しかしまだ足りない。 その後も何体かちびゆっくりが出てきたがまりさに見せ付けるように踏み潰していった。 ぎゅっ、ぷちっ。 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」 ぎゅぅーー、ぷちっ。 「やめで、やめでーーーー!!」 ぎゅぎゅぎゅぎゅぎゅ、ぷち。 「なんでごんなごどずるのーーー!!」 最後の一匹には何もしなかった。 これはやさしさじゃないよ、まりさに絶望してもらうためなんだからねッ!!! 「おにいさん、まりさのいうこときいてくれてありがとう!!!」 大分卑屈に出るようになったな。 「ちびれいむ、ゆっくりしてね!!!」 「……」 まりさが、籠の前で止まったちびゆっくりに声をかけるが反応が無い。 「ゆっくりしていってね!!!」 「……。」 「ふ……、ふざけてないでまりさとゆっくりしてね!!」 気づいてるな。 「もう死んでいる諦めろ、おまえのせいだ」 「ちがうよ、まりさはわるくないよ。ちびれいむはゆっくりしすぎてるだけでしんでないよ」 泣く必要はないと思うがな。 「ゆっくりしていってね!!、ゆっくりしていってね!!、ゆっくりしていってね!!」 まりさはしばらくの間狂ったように繰り返していたが、それに答えるものはいなかった。 最後のちびゆっくりが死んでから少したった。 「だれかまりさとゆっぐりじでよぉー」 ようやく、死んでるのを認めたか、ゆっくりしすぎだな。 「いいだろう、奥に連れて行ってやる」 もう換気は済ん頃合いだろう。 「はやぐ、みんなにみんなにあわぜでー」 うるさいな。 まりさの籠を持ち奥に進み始める。 「さて、みんなどうなってるかな、まりささんよぉ」 まりさの様子を見ながらゆっくりと進む。 「ゆっぐりじないでー、はやぐじでー」 もちろん無視して、ゆっくり進む。 ゆっくり絶望していってね♪ 奥に進んでいくと、予想どうりの惨状だった。 途中すすだらけで力尽きたちびゆっくりが何匹もいた。 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」 まりさは、もう死んでるとわかっているのか嘆きの声しかあげなかった。 まあ、止まって見せるたび声をあげ泣くだけいいか、きちんと絶望してるって事だし。 奥に近づくと、急に転がってるゆっくりのサイズが大きくなった。 サイズは一般の成体程度、髪の毛はチリチリで頭頂部は禿げ上がっており、焦げ目が多いがこんがり焼けて肌はガサガサだった。 そのゆっくりの後ろには、体を引きずった後が少量の餡子とともに続いている、跳ねて移動できなかったらしいな。 すさまじい苦悶の形相で固まってるところを見ると、相当の苦行だったようだ。 「ゆっくりしていってね……」 目の前の状況に考えをめぐらせていると、急にまりさが言った。 元気が足りていない、いい兆候だ、というか心配してあげろよ。 「ゆっぐりじで、まりさとゆっぐりじでぇー!!」 さすがにこのサイズのゆっくりは少なかったが、見つけて止まるたび、まりさは同じような反応をした。 しかしその反応はどれも、自分本位で仲間の事を軽んじてる反応だった。 「みんなーででぎでー、もうででぎでまりざどゆっぐりじでぇぇぇーーー!!」 まりさが言うが誰も出てこない。 全滅した事をわかってもらうために籠から出してやる。 「みんなででぎでぇー!!」 「もう諦めろ」 「れいむ、れいむー」 聞いちゃいないな。 「ま、まりさ……?」 「れ、れいむ?!!」 急に別のゆっくりの声が聞こえる。 なんと、お母さんれいむが生きていたのだ。 しかしその状態はひどかった。 所々焼け焦げており、皮の大部分は焼き饅頭化しておりガサガサだ。 飾りは残っているものの、髪はチリチリになり禿げ上がってしまっている。 さらに、低酸素状態にあったためか衰弱もしていて、ほとんど動かない。 幸いだったのは、体が大きく皮も厚いため、餡子は中まで焼けずにいた事だ。 れいむが口を開く。 「まりさぁなんで、なんでこんなことになったのぉーーー?」 「そ、それは……」 れいむが問いかけるがまりさは答えられなかった。 リーダーの言うとおりにした結果がこれでは問いたくなるのも仕方ない。 なので、俺が代わりに教えてあげる事にした。 「れいむ、こうなったのはまりさが俺の提案を断ったからだよ」 「まりさひどいよ、まりさのせいでこうなったんだからどうにかしてね!!」 れいむ、初見の俺の言う事を信じるなよ。 さて、どう言い訳するかな、まりさは。 「しかたなかったんだよ!!!、おにいさんはかこうじょうにみんなをつれてくっていったんだ、しかたなかったんだよ!!!」 「ゆゆっ、かこうじょうはだめだよ。おにいさんふざけるのもいいかげんにしてね!!」 この程度は予想済みだ、仕方ない。 でもこいつはお母さんれいむだ。 なら確実に堕ちる、次の言葉で。 「俺は、子供は助けるって言ったよ。そうじゃなきゃ全部殺すって」 「ゆゆゆっ?!!まりさほんとうのことなの?」 「ううう……」 すごい食いつくなー、さすが群れのお母さん。 一方まりさは答えなかった、しかしれいむは沈黙を肯定ととらえたようだ。 「まりさ、こどもをたいせつにしないりーだーにはもうついていけないよ、出てってね!!!」 いいぞ、もう堕ちた。 そう思ってると、まりさが反論した。 「こどもなんてあとからいくらでもつくれるよ。まりさがいることのほうがむれにはたいせつだよ」 「……」 それが本音かよ、れいむ黙っちゃったよ。 じゃあ、もっとまりさのお株を奪うか。 「そうだよなまりさ、まりさは殺されないために巣の場所言っちゃうくらいだもんな」 「ううう……」 「ほんとなの、おにいさん……」 「ホントだよ、まりさを殺すと言ったらすぐに教えてくれたよ。」 れいむが食いついてきたのでこたえてやった。 それにしてもこいつ、動けないだけで普通のゆっくりと変わらん元気さだ、新鮮な酸素のおかげかな。 そして、れいむがまりさを完全に見放した。 「まりさはゆっくりころされればよかったんだよ!!!、そうすればあしたにはれいむたちここをすててたのに」 「ひどいよれいむ、みんなつかまりそうだったからまりさがおとりになってあげたの!!!。」 まりさが何か言ったが、れいむがすぐに反論した。 「つかまったんならいみないよ、りーだーだったらゆっくりしんでね!!!」 「まりさわるくないよ、おにいさんがわるいんだよ……」 まだ言い訳するか。 「まりさがしんでるか、へんなことれいむにふきこまなければこうなってないよ。もうどっかいってね!!!」 「れ゛い゛む゛ぅーーーー!!!」 追い詰められたまりさがれいむに飛び掛った。 はっきり言って、たいした勢いではなかった。 例えるなら、言い負かされた子供がついつい怒って相手を叩いてしまうぐらいだった。 まりさには害意などなかった、しかし……。 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛、ひどいよまりざぁぁぁーーー!!」 ほぼ全身が焼饅頭となり、皮と餡子の結合が所々剥離したれいむには強烈すぎた。 左半分の皮が中央から耳辺りまで剥がれ落ちてしまっていた。 餡子が剥き出しなったのはもちろん、眼球は飛び出したままにまだくっついており、きれいな歯並びも丸見えのため非常に怖かった。 「まりざぁぁぁ、じね、じね、じねぇぇぇ!!!」 右側が引きつった怒りの表情、左側が剥き出しの無表情餡子フェイスに飛び出した眼球ときれいな歯並びが映えるお母さんれいむがまりさに迫る。 普段は温厚なお母さんれいむをここまで怒らせるとはさすがまりさ。 「ひいぃぃぃっ」 まりさは恐怖に身がすくみ、声をあげるばかりでほとんど逃げる事ができない。 対するれいむは、唯一まともに動かせる底面の皮を器用に動かし、体を引きずるように進んでいた。 その速度はとても遅かったが、恐怖に支配されたまりさを追い詰めていくには十分だった。 「こないでね、こないでね……、ひっ?ひいぃぃぃ」 まりさが下がる途中で仲間の死骸にぶつかったようだ。 そして、まりさが辺りを見回す。 周りには仲間の死骸がたくさんある。 すすだらけのちびゆっくり、完全に炭化した小さめのゆっくり、死にきれず足掻きに足掻いて苦悶の表情のまま死んだ成体のゆっくり。 「じね!、じね!、ゆっぐりじねぇぇぇ!!!」 そこに、お母さんれいむの呪詛が加わる。 その声は洞窟内で反響し、全ての死骸がまりさを責めているかのようだ。 「い゛やぁぁぁーーー!!、まりざわるぐないわるぐない゛、みんなごな゛い゛でよ゛ぉぉぉぉぉ」 「じね!、じね!、じね!、じね!、じね!、じね!、じね!、じね!、じね!、じね!、じね!、じね!、……」 まりさは自分の群れに、巣の入り口まで追い立てられてしまった。 「ふふふ、ころせる、まりさをころせるよみんなぁー!!!」 怒りに狂ったれいむは、巣の入り口の前で完全にまりさを捕らえた。 まりさはもう、必殺の間合いから逃げられなくなっていた。 でも、俺としてはまりさが死ぬのは困る。 俺は、火炎放射器をれいむに向け燃料噴出のトリガーを引いた。 「ゆゆっ?」 ゲル化した燃料がれいむに振りかかった。 するとまりさが言った。 「れいむ、まりさはいきのこりがいたらたすけてっておねがいしたんだよ、だからゆるしてね!!!」 俺が水でもかけたと思ったらしい、すごい変わり身の速さだ。 しかも、この隙に間合いを離している。 「ああ、まりさにこうしろっていわれたんだ」 相槌を打ってやった。 さあ、もっと怨まれろよまりさ。 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!、がゆい゛ぃぃぃ……、いだい゛ぃぃぃ……」 れいむの様子がおかしい。 燃料に体中を侵されたせいだろう。 剥き出しの餡子や火傷の跡にはさぞ痛痒い事だろう。 「まりざ、ゆっぐりじないでじねぇぇぇ!!!」 「うわああああああ?!!」 れいむが、まりさにまたも迫る。 そして、動けないまりさ。 「れいむ、ゆっくり焼けてね」 俺は、れいむを止めるために火炎を吹きつけていた。 「あ゛あ゛あ゛あ゛!、あ゛づい゛い゛い゛ぃぃぃ!、ぎえでぇぇぇぇぇ!!!」 燃料まみれだったれいむあっという間に火達磨になった。 もう転がって消すこともできず、ただ焼かれていく。 洞窟内とは違い酸素が豊富なので、炎が消える事もない。 「じねじねじねじねじねじねじねじねじねじねじねじねじねじねじねじね……」 れいむは、まりさへの恨みの言葉を吐きながら炭の塊になっていった。 しばらくしてれいむの火が消える。 まりさはまだ恐怖に震えている。 俺は、れいむだったものに鉈を打ち込み割ってみる。 中央はまだ餡子が残っていた。 まりさの冬眠の食いだめ用には丁度いいな。 残ったれいむを鉈ですくうとまりさに食べさせた、もちろん強引に。 「吐くなよ」 火炎放射器を向け飲み込ませる。 もう、これが危険なものだと理解したらしい、とてもいいことですね。 「お、おにいさん、まりさをたすけてね……」 餡子を食べたまりさが助けを求めてくる。 「駄目だ、群れをつぶしたリーダーを生かしておける訳ないだろ」 実際には売るためなんだけどね。 「なんでもじまずがらぁぁぁ!!!」 「うん、無理なんだ、すまない。あの世でみんなによろしくな、無理だろうが」 俺は、捕獲用の冷却スプレーをまりさに吹き付けた。 「だずげでぇぇぇぇ……」 いい表情だ、うん最高級確定。 まりさは恐怖の表情のまま覚めることのない眠りについた。 まりさは自分の群れの巣の前にいた。 しかし、お兄さんもいないし籠にも入っていない。 「よかった、やっとゆっくりできるよ」 今までのは悪い夢だったんだ。 巣の中のみんなに生還した事を祝福してもらうんだ。 まりさは軽やかな足取りで巣の中に入っていった。 しかし、様子がおかしい。 誰も自分を出迎えないのだ。 群れを守った英雄に失礼だろうとまりさは思った。 そして、プンプンと怒りつつ居住部に着くと、しっかりとみんなが出迎えてくれた。 「「「「ゆっくりしんでね!!!」」」」 まりさは驚いて返す。 「みんなどうしたの?ゆっくりさせてね!!!」 「「「「ゆっくりしんでね!!!」」」」 出迎えの言葉は変わらない。 「まりさはむれをすくったえいゆうだよ、ふざけてないでゆっくりさせてね!!」 まりさは一機に奥に入っていった。 「あ゛あ゛あ゛あ゛、うぞだぁぁぁ!!」 しかし、そこにいたのは悪い夢と同じ焼かれたゆっくり達だった。 すすだらけのちびゆっくり、完全に炭化した小さめのゆっくり、苦悶の表情のまま焼き固まった成体のゆっくり。 悪い夢と違う点は、どれも元気に動き回る事だ。 「「「「ゆっくりしんでね!!!」」」」 同じ言葉を繰り返しながらまりさに迫る焼饅頭達。 中でも、お母さんれいむは左半分が餡子剥き出しでずっと燃え続けている。 「あ゛あ゛あ゛あ゛!、ごめんなざいごめんなざいごめ゛ん゛な゛ざい゛ぃぃぃ!!」 まりさは巣の中から逃げだした。 悪い夢とは違い全速力で逃げられた。 「ここまでくればだいじょうぶだよ、ふりきったよ」 まりさは近くの崖まで逃げてきていた。 ここまでくれば大丈夫、ゆっくりして落ち着いたらもっと逃げよう、そう思っていた。 「「「「ゆっくりしんでね!!!」」」」 しかし逃げられない、気づいたら囲まれていた。 追ってこられているような気配はなかった、急に囲まれたのだ。 「ゆるして、ゆ゛る゛じでよ゛、み゛ん゛な゛ぁぁぁ!!」 「「「「ゆっくりしんでね!!!」」」」 「う゛わ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁぁ!!」 まりさは逃げ出そうとした。 しかし、崖を背にして囲まれているのでみんなのいる方にしか逃げられない。 群れのゆっくりに邪魔され、崖のふちに戻される。 「「「「ゆっくりしんでね!!!」」」」 何度も逃げようとしたがすべて無駄だった。 そのたび戻され、死ねと言われる。 まりさの精神は極限まで磨り減っていった。 「じにます、じにまずがらゆるじでぐらざい゛ぃぃぃ!!!」 ついにまりさは諦めた、逃げる事をやめた。 そして、自ら死ぬ事を選んだのだ。 「「「「……」」」」 みんなの沈黙を肯定と捉えたまりさは崖から飛び降りた。 「これで、あのよでみんなとゆっくりできるよ……」 まりさは、ひとすじの涙を流しながら崖の下に落ちていく。 そして、地面に叩きつけられた。 まりさは、自分の餡子が四方八方に飛び散るのをはっきりと感じていた……。 まりさはまたも自分の群れの巣の前にいた。 やはり、お兄さんもいないし籠にも入っていない。 「よかった、ようやくゆっくりできるよ」 今までのは全部悪い夢だったんだ。 今度こそ、巣の中のみんなに生還した事を祝福してもらうんだ。 まりさは軽やかな足取りで巣の中に入っていった。 しかし、またもや様子がおかしい。 誰も自分を出迎えないのだ。 群れを守った英雄に失礼だろうとまりさは思った。 そして、プンプンと怒りつつ居住部に着くと、変わらずみんなが出迎えてくれた。 「「「「ゆっくりしんでね!!!」」」」 まだ悪夢からは抜け出せない。 群れのみんなの事は無視しようとして無視できるものではない、繰り返される恨み言に精神をすり減らす。 かといって逃げても追いつかれる、逃げ続けても気づけばいつの間にか巣の中に引き戻されている。 「う゛わ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁぁ……」 まりさは何度も何度も自殺し続けた。 では、まりさの本体は何処にいるか? それはどこかのお屋敷の冷凍庫の奥底、最高級ゆっくりと書かれた箱の中に入った状態で忘れ去られてしまっている。 まりさは覚めることのない眠りの中、れいむの餡子から発せられる終わらない悪夢にうなされ続けるのだ。 おわり。 作者 怪僧トンポ ゆっくりは消毒だーにしようとしたら、なんか脱線してしまった。 テッドさまや、ザ・フューリーの様な圧倒的火力だと即死だから虐めようがないんです。 あと、今回はれいむの方が正しかったですが捕まったのがれいむだとれいむが悪くなります。 れいむだと子供で脅せば楽に篭絡させられるんですよね。 捕まったのがぱちゅりーなら空気読んで群れは助かったかもしれません。 むしろ、昔そんなことがあったのかも。 最後になりましたが、お読みいただきありがとうございました。 ちょっと句読点変えました。 あと、ゆっくりの設定 りーだーまりさ 優先順位は、1:自分の命、2:群れ、3:お母さんれいむ、4:子供 非常にずる賢く、相手の欲求を読み取りそれを生かして立ち回る。 しかし、非常に臆病で優先順位2位以上を特に優先する。 最初は燃やす予定でしたが、それはお母さんの役目になりました。 お母さんれいむ 優先順位は、1:子供、2:群れ、3:りーだーまりさ、4:自分 子供を大事にするいいお母さんで、非常に温厚。 しかし、子供の事が特に大事でそれに関しては常軌を逸した行動を取る。 最後の燃えがなければ、生き残る可能性があった唯一の焼き饅頭。 長期にわたる水分と餌のサポートが必須ですが。 ちびゆっくり 初めてのかくれんぼの結果がこれだよ。 ダメージが中途半端で結構苦しんだはず。 小さめのゆっくり 『隠れる』と言う教育はほぼ済んでいた。 隙間に隠れられない、体格が小さい、の二点のせいで炭化した。 一瞬で終われたのはむしろ幸せだったかもしれない。 成体サイズのゆっくり 『隠れる』と言う教育を修了したエリートゆっくり。 このサイズが一番苦しむように火炎放射器の被害を調整しました。 火傷、充分でない酸素、減り続ける餡子と水分、まさに生き地獄。 確殺ではあるが、必殺ではない。 お兄さん 利用できるゆっくりは利用するというポリシーが裏目にでた。 さすがに、まりさが交換条件出して群れごと逃げようとするなんて思いません。 まあ、依頼が『ゆっくりを追い払う』だったらまりさの条件をのむでしょうが。 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/1441.html
以前大福を作った際余った餡子となんとなく買った生クリームを混ぜたことがある すると意外と美味だった訳だよ。 大体2 5くらいかな?みんなも暇があれば試してみるといい。 凍らせるのもいいぞ、見事なアイスクリームに代わるから。 「「ゆっくりしていってね!!」」 待ってましたと言うように出てきたゆっくりれいむとゆっくりありすと赤ゆっくり4匹。 この組み合わせは珍しいな・・・とそんなのどうでもいい。 問題なのはこいつらが俺の家に勝手に入ってきたことだよ。 人の家に勝手に入り込むなぞ外道め、成敗してくれる 「ゆゆ!おにいさんはだあれ?ゆっくりできるひと?」 れいむは不思議そうな顔でこちらを見つめる。 赤ゆっくりもこちらに気がついたようで徐々に騒ぎ始める。 「ゅゆ!おにいちゃんはゆっくちできりゅひちょ?」 「おにぃちゃんもゆっくちちようね!」 「ゅゅー!」 ぅう・・・五月蝿い。 こいつらの鳴き声を聞いてると頭に血がのぼる。 しかし・・・これはチャンスよ! れいむの中身は餡子!ありすはまぁ・・・カスタードだが・・・いいか。 「よーしそれじゃゆっくりしようか、その前に」 僕は親れいむと親ありすを抱え込む。 「わぁい!おそらをとんでるみたい!」 「とかいはのありすにしてはひくすぎるけど・・・しかたないからがまんするわね!」 「おかあちゃんだけぢゅるいよ!れいみゅもゆっくちちたい!」 いちいち騒がないで欲しいなぁ・・・これだからゆっくりは・・・ しかし、この親ゆっくりは茶番よ! こんな年老いたようなゆっくりなんぞを食べる気にはなれんね! 「じゃあお母さん達とお兄さんはおかしをつくるから君達はゆっくり待っててね?」 『お菓子』。 この言葉を聴いただけで赤ゆっくりだけでなく親も目を輝かせる。 「おかち!?おにいちゃんはやきゅゆっくちおかちちょうだいね!」 「おかあちゃんがんばっちぇつくっちぇね!」 「ゆゆ!おにいさん!れいむたちにもおかしをちょうだいね!」 「ああ、無事作れたらあげるともさ!」 早く潰したい、その気持ちを今はぐっとこらえて台所へ向かった。 「おにいさん!れいむたちおなかへったよ!ゆっくりおかしをつくってね!」 「とかいはのありすはゆっくりまってあげる」 いやぁ、本当にゆっくりは他人任せだなぁ。 たまには苦労するということを教わるのもいいだろうよ。 「そぉい!!」 ベチャッ。 二匹の断末魔は聞こえることなく、第一作業終了。 餡2:カスタード5の割合でいくから・・・このくらいか。 僕は出来上がったものをリビングへと持っていった。 ※余ったカスタードはあとでスタッフが美味しくいただきました※ 「ゅゆ!おにいちゃんだ!」 「おかちおかちー!!」 俺の姿を確認すると真っ先に飛び出してくる赤ゆっくりたち。 「・・・ゅ?おにいちゃん!おかあちゃんたちはどこ?」 今すぐこれだ、といったら食べてもらえないから適当にスルー。 「さぁみんな!これが今日のおやつだよ!!」 小さなお皿に盛り付けされたクリーム。正直色は微妙だが、味は確か、確認済みだ。 「ゅー!!」 皿を前に出してやると、真っ先に飛びついてくる。 「・・・ゆ!!あまーい!!おいちいよおにいちゃん!!」 「うっめ!これめっちゃうっめ!!!」 「ちゅっきりー!!!」 「ちょかいはのありちゅにちてはまだまだね!!」 よしよし大好評この上なし。 赤ありすの言動に少し腹は立ったけど。 赤ゆっくりたちがある程度食べ終えたところでいざカミングアウト。 「おや?お母さん達が戻ってくるよ!みんなでほめてあげなきゃね!」 「ゆ!?おかあちゃんがつくったんだもんね!ゆっくりほめてあぎぇるよ!」 「「「「ゆっくちほめりゅよ!!」」」」 子供たちも嬉しそうだぜ母さん達よ。 俺は台所から持ってきたさ。 お母さん達の抜け殻をなっ! 「ほーらおかあさんたちも嬉しそうだぞっ☆ゆっくりしていってね!(裏声)」 ・・・あれ? おかしいな、この後家族で和気藹々となる光景が目の前に現れるはずだったのに。 今見えるのは徐々に青ざめていく赤ゆっくりの姿で・・・ 「「「「おがぁ”あ”ぢゃ”ああ”あ”あ”あ”ぁ”ん!!!!」」」」 一気に大量の涙。あれれー? 「おがぁじゃんになんでごどすりゅのぉお!!!」 「おにいぢゃんはゆっぐぢでぎないひどだよ!!ゆっぐぢぢね!!」 「人聞きの悪い!お母さん達を食べたのは君達じゃないか!!ゆっくりしぬのは君達さ!ハハハハハ」 少し壊れてきた。俺がね。 「それに君達は勘違いをしているっ!俺はお母さんを殺したわけじゃない! お母さんは君達においしいおかしをあげるためにしんだのさ! 俺は何もやってないぞ!?無実のお兄さんを虐める君達は悪い子だ! 悪い子には恒例の・・・お仕置きタイム!」 ながーいセリフを言い終えた僕はボウルに赤ゆっくりを放り込む。 「い”やだぁああ!!!ゆっくちちたい!!ゆっくちちたいよぉおお!!!」 「ありちゅはわるくないよおおお!!!どおじでごんなごどするのぉおお!!??」 「おがあぁあぢゃぁあああん!!!だづげでぇええええ!!!」 「やめろー!やめてくれー!しにたくなーい!しにたくなぁああああぁああい!!!」 1匹のれいむが豹変したがまぁいいさ。 赤ゆっくりはれいむ3匹、ありす1匹とカスタードが足りなくなったがそこいらはさっき余ったカスタードで補おう。 「いでよ!ハンドミキサー!スイッチON!」 僕はハンドミキサーのスイッチを入れた。勿論強さはMAXの5。 「びっぶうっぶぶぶぶぶぶおlgじょいびあ!!1」 「gyぐggyぐぐうfllだlだあかがあだ」 「びぇllbぇdぁだぁっぁdkっだぐっがglがあ」 「ゆうびゅあbっびゅゆゆゆゆgっぐちdyぎゅだいあがったよ!!!」 ちゃんとした言葉を話す暇を与えることなく混ざり終わった。 ためしに味見してみる。 「おお!流石赤ゆっくりはとろみが効いてて美味い!美味いぞ!!!」 これは・・・近い内商品化の話を加工所に持ち出す必要があるぞ!! そんな思考が頭をよぎった僕は急いで身支度をはじめた。 勿論、そんな安易な発想で作られた商品は既に発売していたとさ。 「ゆっくりした結果がこれかよ!!」 お兄さんは激怒したとさ。 終 ______________________________________________________ あとがき 知ってる人は少ないとは思いますが前にゆっくり大福を作ろうとした馬鹿です。 その後の体験をゆっくりに持ち込んでみました。 これを書いてる初めありすの中身を生クリームと勘違いして・・・・ 仕方ないのでカスタードでもいけるだろうと無理矢理通した作品です^^; 材料が揃ったので時間が空けばもう一度ゆっくり大福を作ろうかとも考えています。 勿論気まぐれでただの大福だけ作って食べる、なんてことも・・・・むしろそっちのほうが可能性高い。じゅるり。 では、最後まで読んでさった方、本当にありがとうございました! 代表作(?) ゆっくり大福 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/2736.html
注意事項 「性」要素あり。 人間は虐待しません。なので、虐待成分は薄めかもしれません。 ナレーションが地の文の役割を果たしているので、描写が不足&単純かもしれませんがご容赦ください。 設定は一応現代ですが、あまり関係ないです。 NYK撮影のドキュメンタリー 「ゆっくりの一年」 皆さんは、ゆっくりがどのように一年を過ごすのかご存知でしょうか? ゆっくりには、ゆっくりなりの季節の過ごし方があります。 今回は、皆さんにゆっくりれいむとゆっくりまりさの夫婦5家族を一年間密着して撮影した記録をご覧になっていただきます。 季節は春 長い冬を終え、雪は溶けて新緑が萌える季節です。 そして、越冬を終えたゆっくりが巣から出てくる季節でもあります。 「ゆゆゆ、ゆっくりしていってねー!!」 おや、そうこう言っている内にA家族のゆっくりまりさが厳重に戸締りしていた入り口を開け放って飛び出してきましたよ。 「ゆぅ~ぽかぽか暖かいよー」 その後ろから、ゆっくりれいむもゆっくり出てきましたよ。 「ゆ!おうちでのこりのご飯たべたら、ゆっくり狩りにいこうね!」 「そうだね!ゆっくり むーしゃ、むーしゃ、しようね」 どうやらこの夫婦は食料を残したまま無事に越冬を終えたみたいですね。 ゆっくりの中には秋に餌集めを怠ったり量が集められなくて巣の中で餓死してしまう家族もいますから、この夫婦は優秀なゆっくりと言えるでしょう。 さて、他のゆっくりはどうなっているのでしょうか? 「ゆ~きょうはこののこりのご飯で、ゆっくりしようね!」 「ゆっくりしようね!」 「「むーしゃ、むーしゃ、しあわせー♪」」 どうやら、B家族もA家族と同じように無事に越冬できたみたいですね。 「ゆ~、ゆっくりしないでご飯たべにいこうね」 「ぽんぽんがぐーぐーなって、ゆっくりできないよ」 おや、CとD家族は元気がありませんね。 どうやら餌が少なかったのか、はたまた無計画に食べてしまったのか途中で餌が無くなってしまったようですね。 しかし、狩りにいく元気はあるようなので大丈夫でしょう。 さて、最後のE家族は・・・ 「ゆぅ・・・ゆっくりしないでご飯たべてくるんだぜ・・・」 おやおや、ゆっくりしないでと言いつつ、ゆっくり這いながら森の中へ入っていきましたよ。 でも、おかしいですね。番のれいむがでてきませんよ?ちょっと巣の中を見てましょう。 おやや、中はスッカラカンですよ。 餌がないのは当然としてもベッドや防寒用として使う葉っぱや藁などが見当たりませんね。どうやらお腹が空いて食べてしまったみたいです。 そして、床に何か落ちてますよ?この赤と白のリボンは・・・おそらく番のれいむのものですね。 どうやら空腹に耐えかねて共食いをしてしまったようです。 「うっめ!これめっちゃうっめ!」 先ほどのまりさが虫を食べていますね。よほどお腹が空いていたんですね、周囲を気にすることなく一心不乱に食べています。 しかし、季節は春。目覚めるゆっくりは他にもいます。当然その中には・・・ 「ま゙りさああぁぁぁぁ!!!ごんなどころでわだじをばっでいたのねええぇぇぇぇぇ!!!!」 「ゆゆゆゆっ!!ありすぅぅ!?」 あらら、ありすに見つかっちゃいましたね。 冬眠を終えた直後のありすは冬の間中積み重なった性欲が爆発するので、ゆっくりにとっては非常に危険な存在なんですね。 「ゆっ!ゆっくりしないで逃げるんだぜ!!」 「わだじを捕まえてごらんってわ゙げねええええぇぇ!!もえるわ゙ああああぁぁ!!!!」 ぴょんぴょんと跳ねて逃げていますが、まだ完全に栄養を補給したわけじゃありませんから、ありすにどんどん差を詰められていますね。 「づかまえ゙だわよぉぉぉぉっ!!!わだじのあいをうげどめでねぇぇぇぇぇっ!!!」 「ゆぎゃぁぁぁぁ!!やめてぐれなんだぜぇぇぇ!ま゙りさにはれいぶがいるんだぜぇぇぇっ!!」 おやおや、自分で食べてしまったれいむを使って命乞いしようとしていますね。どうやらこのまりさは、げすまりさのようです。 でも、レイパー化したありすにとっては・・・ 「んほぉぉぉぉぉおぉぉ!!!ま゙りさは、ひどづま゙だっだのねえええぇぇっ!!!ますますもえるわ゙ぁぁぁああぁぁっ!!!!!」 やっぱり、こういうことになります。それにしても、人妻なんて言葉どこで覚えるのか不思議です。もっとも「人」ではないんですけどね。 「いい゙わ゙ぁぁぁ!!さいごお゙ぉよ゙ぉぉぉぉっ!!!い゙まならおぞらもとべるぐらいぎぼぢいいいわああぁぁぁぁぁああぁっ!!」 「ずっぎりぢだくないんだぜええぇぇ!!ゆっくりしないでやべるんだぜええええ!!!」 「つんでれなまりさもい゙い゙わあああああぁぁっ!!ひどづまでつんでれなんでさいこおぉぉよおぉぉぉっっ!!! んほぉおおおおおおお!!!もうい゙ぐわ゙あ゙あ゙あ゙ああぁぁぁ!!!!ゔげどめ゙でね゙ばでぃざあ゙あ゙あ゙あ゙あ゙」 「「んほぉぉぉおおおおお!!!すっきりーーーーーー!!!!!!!」」 おっと、すっきりーしましたね。植物方の出産では交尾を終えた母役ゆっくりの頭から茎が生えてくるんですねー ここから実のように赤ちゃんが実るわけですが、その際に大量の餡子を吸われるので、それが原因で死んでしまうゆっくりもいます。 「ゆぐぐ・・・・・・」 瀕死ではありますが、どうやら助かったようですね。しかし、長い冬眠でヘドロのように積み重なった性欲をこれぐらいで発散できるわけもありません。 「ごんどはびょうじゃくなのぉぉぉ!?「ひとづまつんでれびょうじゃく」だなんてとかいはだわあああぁぁっ!!ぺにぺにもふっがづよおおぉぉぉおぉぉぉぉ!!」 「ゆ゙ゆ゙ゅ゙ーーーーーーーー!!!!!」 こうなってしまったらもはや助かる見込みはないでしょう。早々に1家族が大自然に帰しました。 さて、他の家族は夫婦で交尾をしていますね。 秋から冬は交尾すると冬眠の際に住宅や食料で問題が起きますから、後先を考えるゆっくりは春に交尾をするのが普通なんですねー 「「すっきりーーー!!!」 おや、A家族が交尾を終えたようです。母役のれいむから茎が伸びてきましたよ。 「れいむゆっくりできてる?」 「ありがとうね、まりさ!すごくゆっくりできてるよ!」 妊娠したゆっくりは巣の中で安静に過ごすのが普通です。 そのため父役のゆっくりは餌を集めるのは勿論のこと、葉っぱややわらかいものを集めて番や生まれる赤ちゃんのためにベッドを作ってあげるんですねー どうやらこのまりさは、もうベッドを作ってあり餌も大量に集めているようですね。これならば、れいむもゆっくりできるでしょう。 BもC家族も同じように準備ができていますね。 「ゆ~これがあかちゃんようのてーぶる!こっちがいすだよ!!」 「ゆゆっ!さすが、まりさだね!これならあかちゃんもゆっくりできるよ」 おや、D家族はさらに家具まで用意していますよ。 ゆっくりは家具と称して石や木を巣の中に置くことがあります。 冬眠での準備不足を反省したのか、今回は準備万端のようですね。 通常、茎が生えてから赤ちゃんが茎から落ちてくるまで1~2週間かかります。 ここで赤ちゃんが生まれてくるところまで時間を飛ばしてみましょう 「「あかちゃん、ゆっくりうまれてね!」」 A家族の赤ちゃんが、自ら体を振って茎から落ちようとしていますね。 こうなると、もう数分も待たずに生まれるでしょう。 おっと、赤ちゃんが生れ落ちましたね。れいむ種が2匹とまりさ種が2匹のようです。 「「「「ゆっくちしていっちぇにぇ!」」」」 「「ゆっくりしていってね!!!」」 無事に生まれたようです。B、C家族も同様のようですね。 おっと、D家族も生まれるようですよ。 「ゆゆっ!あかちゃんすごいげんきだよ!これならしょうらいは狩りのめいしゅになれるよ!」 「たくさんごはんあつめてきたかいがあったね!」 D家族の赤ちゃんは大きく体を振っていますね。 赤ちゃんは妊娠中に母ゆっくりが、どれだけゆっくりしていたかや餌の食べた量に発育が影響されるんですねー 家具を取り揃えたり、餌を大量に集めていただけあって赤ちゃんも凄い元気ですよ。 「うまれるよ!れいむとまりさのあかちゃんうまれるよ!!」 「ゆっくりしないで、はやくうまれてきてね!!」 おやおや、嬉しさと期待のあまりか赤ちゃんに「ゆっくりしないで」って言ってますね。 でも、赤ちゃんも親の期待に応えようとしているのか、さらに体を大きく振っています。 お、ついに茎からちぎれましたよ。 「ゆっくちし、ゆげぇ!!!」 「「・・・・・・・・・・・・・ゆ?」」 あらら、元気に体を振りすぎたせいで落ちる時に横に飛んでしまいましたよ。 そして、横に置いてあった家具の枝に突き刺さって死んでしまいましたね。 「「でいぶとばでぃざのあ゙がぢゃんがあ゙あ゙あ゙あ゙あ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙!!!!」」 期待していた赤ちゃんが死んで悲しんでますね。 でも、ここは泣き叫ぶのではなくて他にやらなければならないことがあるはずですが・・・ 「ゆっきゅちしないでうみゃれるよ!!」 まだ、茎には3匹の赤ちゃんが残っていますが、たったいま起きた惨劇には気づいてないようです。 さっきの赤ちゃん同様に体を大きく振って・・・あ、落ちましたね。 「ゆっきゅ、ゆべっ!!!」 今度はテーブルとして使っている石に当たって餡子を吐き出して死にましたね。 「どぼじでごゔな゙る゙の゙おおおおぉぉ!!!!!」 「あがぢゃん、ゆっぐりうまれてえええええええ!!!!」 「「ゆゆ?わきゃたよ!ゆっくちうみゃれるね!」」 ここでようやっと体を大きく振らすのをやめましたね。 おかげで、残ったれいむ種とまりさ種1匹ずつは無事に生まれてきました。 「「ゆっくちしていっちぇね!!」」 「「あがちゃん、ゆっぐりしでいっでね!!」」 まだ、先ほどの悲しみが残っているようで親ゆっくりは泣いていますね。 何はともあれ、残りの春はどの家族も無事に過ごせたようです。 では、季節を夏まで飛ばしてみましょう。 つづく 後書き 処女作だというのに、こんな変り種を書いてしまいました。 本当は春・夏と秋・冬の2部作にしたかったのですが、執筆スピードが遅いのでとりあえず春編だけでもUPしておきます。 書きなれていないため、色々と読みにくかったり詰まらなかったりする点もあると思いますので、皆さんのご指摘お待ちしています。 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/4562.html
ペットショップネタ 読みづらいのはいつものこと れいむはれいむお母さんから生まれた。とてもゆっくりしていてお歌も上手だった。 お姉ちゃんや妹もたくさんいてみんなと遊んだり、ご飯を食べたりするととてもゆっくりできた。 このままずっとゆっくりしていたい。 でもそれは突然終わりを告げた。 朝になってれいむが目を覚ましてお決まりの「ゆっくりしていってね!」というとてもゆっくりできる挨拶をすると 近くにいた姉妹たちも目を覚まして「ゆっくりしていってね!」を返す。 でもその日はいつもと違い、お母さんの「ゆっくりしていってね!」はなく、辺りを見回してもお母さんはいなかった。 頑張って探しても見つからない。れいむは寂しくて、ゆっくりできなくて泣いてしまった。 その時、お兄さんがお部屋に入ってきた。いつもれいむたちにゆっくりできるご飯をくれる人間さんのお兄さん。 お兄さんならお母さんがどこにいるか知ってるかもしれないと思い、れいむはお兄さんに尋ねた。 「れいむたちはこれからもっとゆっくりするために、お母さんから離れてここで暮らすんだよ」 そんなことはない、お母さんと一緒にいればゆっくりできる。だからお母さんに会いたい。そうお兄さんに伝えても 聞いてくれなかった。 「あっちを見てご覧」 お兄さんが指差した方にはれいむたちよりも大きいれいむが「ゆっくりしていってね!」と言っていた。 だがそれはれいむたちにむかって言った言葉ではない。そのれいむは透明な壁さんの向こうにいる人間さんに必死に 「ゆっくりしていってね!」と言いながらぴょんぴょん跳ねていた。その様子はゆっくりできているとは思えなかった。 お兄さんはあのれいむを指差しながら 「ゆっくりできるゆっくりには飼い主さんが現れてもっとゆっくりすることができるんだ。だから みんなはゆっくりできている姿を見せてあげてね」 もっとゆっくりできる、その言葉にれいむは敏感に反応した。きっとたくさんのあまあまが食べられる、 ぽかぽかしてふわふわなベッドがある、そして綺麗なゆっくりと一緒になって赤ちゃんをたくさん産んで もっともっとゆっくりできるに違いない。れいむは目を輝かせバラ色の生活に胸を躍らせた。 もっとゆっくりしたい、そうと決まったられいむは我先にと透明な壁さんの向こうにいる人間さんに れいむがいかにゆっくりしているかを教えなければと、れいむは透明な壁さんの近くで一生懸命 「ゆっくりしていってね!」と言った。 お兄さんは大きいれいむを抱えてお部屋を出て行った。きっとあのれいむは飼い主さんが現れたのだ。 次はれいむの番だよ!「ゆっくりしていってね!」 月日は流れ、れいむは今日も向こうにいる人間さんに「ゆっくりしていってね!」と挨拶をする。 周りにはれいむのお姉ちゃんも妹も誰一人としていない。みんないなくなってしまった。きっと今頃は 飼い主さんと一緒にゆっくりしているに違いない。でもまだれいむの飼い主さんは現れない。 「ゆっくりしすぎだよ……れいむもゆっくりしたいよ……」 もう何回寝たかもわからない。それでも飼い主さんは現れない。れいむはこんなにゆっくりしているのに、 どうしてれいむにだけ飼い主さんが来てくれないの?お兄さんに尋ねてもわからないと言われた。 でも今日はいつもと違った。お兄さんがご飯ではなく、たくさんの小さいれいむたちを抱えてきた。 みんな眠っていてとてもゆっくりしている。でもれいむには関係ない。早く飼い主さん来てね! 透明な壁さんの向こうの人間さんにれいむがゆっくりしていることを教えてあげることに集中する。 やがて小さいれいむたちが目を覚ます。関係ない。「ゆっくりしていってね!」 お兄さんが何か言っている。関係ない。「ゆっくりしていってね!」 小さいれいむたちが透明な壁さんの向こうの人間さんに「ゆっくりしていってね!」と言い始める。 れいむも負けじと叫んだ。「ゆっくりしていってね!!」 その時すっとれいむの体が浮いた。「おそらをとんでるみたい!」と自然と声が出た。 気付くとお兄さんに抱きかかえられていた。しばらく考えて思い至った。 やった!ついにれいむにも飼い主さんが現れたんだ!れいむは舞い上がった。 でもゆっくりしすぎだよ!だからその分、たくさんゆっくりしようと考えた。 まず何をしようか、たくさんのあまあまさんが食べたい。その次にふわふわしたベッドで お昼寝しよう。そしてとてもゆっくりしたゆっくりと一緒に赤ちゃんを作ってゆっくりするんだ。 れいむはこれからの生活を思い、喜びに満ち溢れていた。 そしてさっきとは違うお部屋に入った。まず暗い、なんだかゆっくりできない気がする。 「ご飯だよー」 「ゆゆっ?ごはんさんはいらないよ!かいぬしさんのところにつれていってね!」 「あまあまだよーいらないのー?」 あまあま!欲しい!きっとお兄さんはれいむのお祝いのためにあまあまをくれるんだ! それならそうと言ってくれればいいのに、「ちょうだいね!」と言おうとして固まった。 「うーうー♪あまあまー♪」 初めて聞く声なのにとてもゆっくりできない声。その声はれいむよりも上にある木のおうちからした。 そしてそこからピンクのお帽子、ニコニコと笑った顔、そして後ろにはゆっくりしてない黒い羽。 「れ、れ、れみりゃだー!!!」 自然と口から出た。はじめて見るはずなのに。でも体は勝手に動いた。お兄さんの腕から飛び降りて 部屋の隅に逃げる。 「あのれいむ食べていいよ」 「なにいっでるのおおおお!?」 「うー!」 れみりゃがこっちに来た。逃げなきゃ、さっき入ってきた壁さんに急いで跳ねた。でも開かなかった。 「どおじであがないのおおおお!?」 「うーうー」 「ごっぢごないでねっ!ゆっぐりじででっでね!?ゆっぐりじででっでね!?」 ゆっくりしていってね、これでゆっくりしないはずがない。でもれみりゃは止まらなかった。 「ぎゃおーたーべちゃーうぞー♪」 「おにいざんだずげでええええ!!ゆぎゃああああ!!」 お兄さん、いつもご飯を持ってきてくれるお兄さんなら助けてくれるはず。でもお兄さんは何も答えなかった。 れみりゃがれいむに噛み付いた。痛い、ものすごく痛い。こんなこと生まれてから一度もなかった。気が狂いそうだった。 「がいぬじざああああんんんん!!れいむをゆっぐりざぜでええええ!!」 飼い主さんに助けを求めた。飼い主さんはれいむをゆっくりさせてくれるんだ。呼べば必ず来てくれるはずだ。 だが来なかった。 「どおじでええええ!?れいむはごんなにゆっぐりじでるのにいいいい!!」 ゆっくりしてるれいむがゆっくりできないはずがない。なのにどうしてこんな目にあわなければならない。 れいむはこれからたくさんのあまあまを食べて、たっぷり寝て、綺麗なゆっくりと一緒になって、 それから、それから……なんだっけ?もう思い出せない。餡子さんいっぱい吸われちゃったせいかな。 「もっと…ゆっくり…したかった…」 れいむはゆっくりできないまま、絶望と苦痛の底に沈んだ。残ったのは何の表情も浮かず、 何も語らない皮だけであった。 れいむの餡子を全部吸い尽くしたれみりゃはご満悦な表情でれいむの成れの果てから口を離し、 巣である木箱の中へと戻っていった。これだけたくさん食べたのだからもう食べられないのだろう。 まだ食べてもらわなければならないゆっくりはいるのだが次の食事まで待つことにしよう。 このれみりゃは売り物にならないれみりゃだった。一緒に生まれた姉妹たちはゆっくり以外のものも 喜んで食べていた。だがこのれみりゃだけはゆっくり以外を口にしようとしない。ゆっくりを毎回の 食事にしていては食費でとんでもないことになる。ペットとしては失格だった。 だが幸いなことにうちはペットショップであり、廃棄されるゆっくりは毎日のようにでる。 これはあまり綺麗ではないから、これは声が悪いから、これは帽子の形が悪いから。しかし捨てるには 店のイメージダウンになるから普通のゴミに捨てるわけにはいかない。しかたなく業者に頼むが 金がかかって仕方ない。そこでこのれみりゃに処分してもらっているのだ。 あのれいむは子ゆっくりとして売り出した内の一匹だったがその中でも群を抜いて駄目なやつだった。 なんと言うか他人を見下すような態度を取っていたのだ。しかもそれを自覚していない。 こんなのでも欲しがる人はいるかもしれないと思ったのだがやっぱり駄目だった。 ゆっくりしたいという気持ちが面に出すぎていてゆっくりさせることができていなかったのだ。 ただ飯食いの役立たずだったな、と思うがパチンコで負けたと思えばそこまで懐は痛くない。 部屋に箱を持ってきて中身を取り出す。今日追加した子ゆっくりの中で駄目だと思ったのを 抜き出してれみりゃに食べてもらうためだ。腹が減れば勝手に食べてくれるだろう。 「ゆっくりしていってね!」 声をかけてやると皆一斉に「ゆっくりしていってね!」と返す。 残り数時間の生だ。最後までゆっくりするといい。扉を閉めてその部屋を後にした。 終わり ペットショップは全部が全部売れてくれるわけではないのです。 じゃあ売れ残りはどうなるのか?などと考えて書いてみました。微妙。 『オマケ』でした。 このSSに感想をつける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/139.html
初日 「ゆっくりしていってね!!!」 最近、このような鳴き声をよく耳にする。 ゆっくりとか呼ばれるそれは、ここ数ヶ月で幻想郷のあちこちで見るようになった謎のナマモノだ。 「ゆっくりしていってね!!!」 食用や愛玩用やストレス発散用、果ては性欲処理や衣料品にすら使われている。 種類によって特徴は異なるが、総じて知能は低く傍若無人。 「ゆっくりしていってね!!!」 甲高い声で常に大騒ぎする上田畑を荒らす事もあるので嫌っている人間も多い。 かくいう俺も、そんなゆっくりが大嫌いだ。 だがその理由は上記のものではない。知能が低かろうが大声で騒ごうが、そんな事は瑣末な問題だ。 「ゆっくりしていってね!!!」 俺が一番気に入らないのは奴らが常に他人に『ゆっくりする』事を要求している事だ。 全く気に入らない。生物か無生物かすらよく分からんようなナマモノの分際で人間様に命令するなんて。 そんな訳で野生のゆっくりをこの俺直々にゆっくりさせてやる事にした。何て親切なんだ俺。 「ゆっくりしていっt「ゆっくりしろぉ!!」 先程から散々騒いでいたそいつに、いきなり怒鳴り返してやる。 物凄く驚いたようで、目が白くなっている。歯茎まで見せ付けて気色悪いったらない。 「ゆっk「ゆっくりしろよぉ!!」 このように、人様にゆっくりさせようとする度にゆっくりさせ返す。 この必殺ゆっくり返しを続ければ、いくらクサレ脳味噌の奴らでもゆっくりしろ等とは言えなくなるだろう。 「y「だからゆっくりしろっつってんだろ!!」 ゆっくりブレインでも俺の鞭の愛を理解できたのか、壁の隅で感極まってブルブル震えている。涙まで流して、可愛い所あるじゃないか。 その日はもう喋らなかったので普段通り過ごす。 二日目 「ゆっくりしていってね!!!」 ゆっくり達の朝は早い。日の出と共に起き、とりあえず寝ている奴を片っ端から怒鳴って起こす。 何とも不快な習性だ。目覚まし時計よろしく壁に叩き付けて粉砕してやろうかと思った。 だがいけない。今の俺は愛の調教師。自分がやっているのは悪い事なのだと、こいつに教えてやる使命がある。 「ゆっくりs「ゆっくりしろモーニング!!」 朝の挨拶と調教を兼ねた、我ながら素晴らしい文句だ。寝起きの頭脳は時々こういう奇跡を起こすから面白い。 朝食を食べる頃には、何故あんな間抜けな台詞に感動したのか自分でも理解に苦しんだが。 「ゆ゛っ……ぐい゛……じで……っでね!!!」 呆れた事にこいつは食事中(芽が伸びまくってしまったジャガイモ)もこの台詞を吐いていた。 何という傲慢さ。これは思った以上に手強い相手だ。 「ゲフゥッ…ゆっくりしていtっ「ゆっくりしろ!!」 また顔が固まっている。いちいち面白い顔をするのはいいが、本当に理解しているのか疑問だな。まぁ、何とかなるだろう。 今更ながら付け加えると、うちのお隣さんまでは徒歩二十分かかるので安心だ。聞かれたら流石にヤバいし。 その後も四回ほど怒鳴りつけてから仕事にかかる。今育てているのはトメィトゥだけだ。 俺は親が莫大な遺産を残してくれたおかげで、好きな野菜を栽培しまくるという農家的に最大級の贅沢ができている。 去年は畑一面スウィートポテイトゥ祭りだった。 奴ら三日周期で収穫できる上一個120Gで売れるからつい植えすぎて大変な事になるんだよな。ウハウハだけど。 それはともかく紐で目の届く所にゆっくりを縛り付けてお仕事お仕事。可愛いトメィトゥに愛情たっぷりだ。 日が傾く頃には作業も終わった。その間ゆっくりさせた回数実に四十五回。喉がいてえ。 ゆっくりの紐を解き、家に連れて帰る。流石に反省したのか、家に入ってもぼんやり虚空を見つめている。 自分の夕食を済ませてからエサを与え(畑に生えていた雑草ども)風呂に入れる事にする。 エサを食ったら反省が消し飛んだのか、反抗的な目でこちらを睨んでいる。 「どうしたんだゆっくり。風呂に入れてやるからさっさと来い」 「ゆっくりしていっt「ゆっくりしろよ!!」 もう何が何だか。固まってる隙に風呂場に運び、湯をかけて全身をたわしで洗い、湯船に放り込む。 ゆっくりは綺麗好きというのは本当だったようで、先程までの反抗的な目はどこかへ行き、泣きながら俺に感謝していた。 「ゆっく…ゆっぐりじでいっ「ゆっくりしろ!!」 「ゆくくっくりじd「ゆっくりしろ!!」 風呂が気持ちよくてはしゃいでいるのか何度も何度も怒鳴らせられる。まだまだ調教が足りないな。 百数えてから湯船から引っ張り上げ、水を入れて湯を冷ましてから浸かる。 風呂はいいなぁ。人間の生み出した文化の極みだよ全く。ゆっくりが感動のあまりゴロゴロ床を転がって呻くのも良く分かる。 三日目 小鳥の囀りと共に目が覚める。布団の中を見るとゆっくりは起きていた。 起きていても騒がないとは、どうやら調教が効いてきたようでほっとする。 またあの雑音で起こされたら今度こそ壁を汚しそうだったしな。 だが朝の挨拶は大事だ。とりあえずゆっくりさせてから着替えて朝食を摂る。 食後歯を磨きながらゆっくりのエサ(昨日切った爪と壁を這っていた女郎蜘蛛)を与える。 今までのような汚い食い方ではなく、静かにゆっくりと食べていた。調教の成果に満足する。 だがまた忘れてはいけないので、特に何も言わないゆっくりをゆっくりさせておく。 またゆっくりを縛り付けて仕事に入る。昨日と違って随分静かで良い事だ。一時間に一回ゆっくりさせておく。 仕事を終え、ゆっくりを解こうかと思っていると野生のゆっくりが俺のゆっくりの傍にいた。 「ゆっくりしていってね!!!」 「…………」 「ゆ?ゆっくりしていってね!!!」 「…………ゆぅ……」 追い払っても良かったが、調教具合を確かめたかったので事の成り行きを見守る事にする。 「ゆっゆ。ゆっくりしていってね!!!」 「…………」 その後も野生のゆっくりは何度もがなり立てていたが、すっかり更正した俺のゆっくりは殆ど反応しなかった。 やがて飽きたのか、野生のゆっくりは俺のゆっくりの顔に一度体当たりしてからどこかへ行った。 俺の所有物に手を出すとは全くもって許せんので、帰る前にそいつを捕らえて鍬で潰しておく。 紐を解いていると何やら言いたそうにこちらを見ていたが、先回りしてゆっくりさせるとまた虚空を見つめていた。 その日のゆっくりのエサは夕方潰したゆっくりだった。 意趣返しをした主の俺に涙を流して感謝しつつゆっくりと食事するゆっくり。そんなに感謝されると照れるぜ。 とりあえずゆっくりさせてからハイパー風呂タイム。 昨日は男らしいちょい熱めの風呂だったので今日は温めに湯を沸かす。 タワシで洗ってからゆっくりを湯船に入れてやり、俺も体を洗ってからゆっくりを上がらせ湯を沸かして入る。 ゆっくりは温めの湯も気に入ったようで、ガチガチブルブル震えて俺に目で感謝していた。中々殊勝なのでゆっくりさせてやった。 風呂から上がって床に就く。そういえば今日はこいつ一度もゆっくりさせようとしなかったな。良い事だ。 四日目 今日も静かなグッモーニン。今日も騒いで起こさなかったゆっくりを誉めてやろうと思い、布団をめくると。 ゆっくりは干からびて死んでいた。 慌ててもしょうがないのでいつものように食事を済ませて仕事をする。 午前中で仕事を切り上げるとゆっくり加工所に連れて行く。あそこは最近ちょっとしたゆっくりの怪我等も見るらしい。 「朝起きたらこんな物が転がっていたんです。一体何なんでしょうかこれは?ゆっくりなのは分かるんですが…」 「これはゆっくりの死骸のようですが…しかしこの様な死に方は初めて見ます。解剖して調べてみても宜しいですか?」 「ええ、勿論です。別にペットとかいう訳でもないですし」 「そうですか。では、大した額ではありませんがどうぞ」 「これは?」 「ほんの気持ちです。変わった死に方をしたゆっくりを標本として提供してくれた方にお支払いしています」 「そうなんですか。どうもありがとうございます。では私はこれで」 「ええ。またおいで下さい」 珍しい死に方とか言っていたが一体何なんだろうな。その内聞きに行くとするか。 家に帰ると、野生のゆっくりが数匹飛び掛ってきた。何だ何だ。俺はゆっくりに恨みを買うような覚えは無いが。 饅頭が飛び掛ってきた所で痛くも何とも無い。とりあえず全て踏み潰しておいた。 また一匹捕まえて調教しようかとも思ったが、これ以上やると喉を痛めそうなのでやめておく。 ゆっくりは肥料にもなるらしい。とりあえずよーく潰してから畑に撒く。 また仕事をして、夕食を食べ風呂に入って寝る。 ゆっくり調教生活も今日で終わりだ。お疲れ様でした俺。 後日聞いた話だが、何でもあのゆっくりの死因は『ゆっくり欠乏症』とか言うらしい。 何らかの原因で長期間ゆっくりできずにいるとああやって死ぬんだとか。 俺がもっとゆっくりさせてやればあいつは長生きできたのだろうか。 そんなどうでもいい事を考えながら、今日もトメィトゥ達に愛を注ぐ。 TOMATO END
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/2344.html
都市型ゆっくり達の受難 作 キャベツ頭(仮称です。ハチの人から改称しました) ※すっきり描写&スカトロ描写注意(そこまでハードじゃないと思います) 都市に生きるゆっくりは、人間が出すゴミを食料源とする。 家庭のゴミをつめたビニール袋を破かれる側にしてみれば、 そうした行為は迷惑極まりないわけで、即座に対策が講じられた。 「ゆっ!!きょうもゆっくりさがそうね!!」 「「「ゆっくりさがすよ!!!」」」 ニワトリよりも甲高く、耳ざわりなコーラス。ゆっくりれいむの一家だ。 メロンサイズの親一匹に、リンゴサイズの子三匹。子は皆れいむ種である。 これからゴミ荒らしにかかろうというわけで、やる気満々である。 「ちびちゃんたち、ゆっくりがんばってね!おかあさんはここでみてるからね!!」 「「「ゆっくりがんばるよ!!!」」」 ふてぶてしい顔つきでどっしりと構える親れいむ。 どうやらゴミ荒らしが、野生における狩りに等しい行為となっているらしく、 子れいむたちは今日がその「狩り」デビューの時らしかった。 「まずは、じゃまな“あみ”をくぐってね!!でないとちかづけないよ!!」 「「「ゆっくりりかいしたよ!!」」」 カラスよけの網をくぐって、ゴミ袋を食い荒らすと言うのが、 ゆっくりのやり方だった。そこで、第一の防波堤として、 特殊な素材で編み上げたネットが用いられた。 「ゆっくり、ゆっくり……ゆっ?」 勢い良く近づき、ネットをくぐろうとした一匹の子れいむ。 違和感をおぼえ、一歩飛びのいたが、既に遅かった。 その体には、格子状の切り込みが入り、うっすらと餡がにじみ出している。 「ゆぅああああああああ!!!いだいよおおおおおおおおおおお!!!」 「どぼじでええええええええええええ!!!!???」 素材としてピアノ線を用いたネットは、いともたやすく、 饅頭の体を切り裂いた。 ぱっくり、ぱっくりと幾つも傷口を開き、絶命する子れいむ。 「もうやだ!!おうちかえる!!!」 「ゆっ!!!まっで、いまがえっだら、ごはんがたべられないよ!!!」 この場を去るか否かで揉め始めた親子。 本当は子れいむたちの判断が正しかった。ここで第二の防衛システムが作動する。 「そんなにごはんがたべたいなら、おかあさんだけここにのこってよね!! れいむたちしにたくないよ!!」 「そうだよ!いじきたないおかあさんはゆっくりいつまでもここにいてね!!」 「どぼじでぞんなごどいうのおおおおおお!!!?……ゆぴぴっ!!!!!」 仲間割れした親子。そこに高圧の冷水が吹き付ける。 しつこく居座るゆっくりを退治するのと、 ネットにかかって死んだゆっくりを掃除する為の、洗浄用スプリンクラーだ。 強烈な水圧の為、触れるそばからゆっくりは粉みじんになっていく。 「あ゛ああああああ!!!!!!おがーざ いぴぴぴっ!!!」 「どぼじでえええええええええ べべべべ!!!!」 無残な餡塊となったゆっくり一家は水の流れに乗り、道路脇の排水溝へ一直線。 道路も綺麗に洗うことができて、一石二鳥である。 このおかげで、路上のゴミ袋を狙うゆっくりは絶えていなくなった。 「ゆぅ~これじゃ、まりさたちちっともゆっくりできないよ!!」 「れいむもおなかぺこぺこだよ!!ゆっくりごはんがたべたいよ!!」 不満を爆発させる、ゆっくりまりさとゆっくりれいむ夫婦。 数日前から降り続く雨と、人間の仕掛けたトラップのせいで、 いつものように餌を取りに行くことが出来ず、飢餓状態となっている。 ドブに突き出した家庭用の排水管にもぐり込んで、 命を永らえたのだが、もはや飢えと渇きは耐え難かった。 当然、排水管の中には、何の蓄えもない。 「ねぇれいむ、このなかをさがしてみようよ!」 「ゆぅ~、そうだね。おそとはあめさんがふってるからしかたないね…」 本来、暗くてじめじめした場所を好まないゆっくり。 デリケートなれいむは特にそうで、乗り気ではなさそうだが、 このままじっとしていても埒が明かない。 疲れた体に鞭打って、のろのろと排水管をさかのぼる二匹のまんじゅう。 「ゆっ!?まりさ、あかりがみえるよ!!」 「ほんとう!!?これでゆっくりできるね!!!」 「ゆぅ~、でもたかくてとどかないよ!!! これじゃぜんぜんゆっくりできないよ!!!!」 見上げれば確かに光が見えるが、ほぼ垂直に伸びる管。 これを登っていくのは、かなり骨が折れそうである。 「れいむ、ゆっくりとまりさがふみだいになるよ! そうすれば、くだにひっかかってよじのぼれそうだよ!」 「ゆっくりりかいしたよ!」 まりさが下敷きになり、れいむがそこに飛び乗る。 饅頭にしては良く考えたもので、自らの体の特性を生かし、 ぎゅうぎゅう詰めの状態で、体を蠕動させることによって、 じわじわと管をのぼっていこうというのだ。 「ゆっくりのぼるよ!!」 のろまなれいむはまりさの助けを借りて、 まりさは自慢の跳躍で、うまく足がかりを得て、 二匹は順調に排水管をさかのぼってゆく。 体力のとぼしいれいむは、途中で何度も休息をとりつつ、 のぼり続けて、気が付けば管の出口にいた。 「まりさ、でぐちだよ!!れいむやったよ!!」 「ゆっくりいそいで、まりさもゆっくりさせてね!!」 まりさのくぐもった声。れいむはぶよぶよと体を動かし、 管から飛び出した。続いてまりさも、同じように飛び出る。 薄暗いその場所は、使われなくなった廃屋のトイレで、 その排水管は、和式の便器に繋がっていたのだった。 「ゆぅ~、やっとゆっくりできるね、れいむ!!」 「そうだね、まりさ!!やっぱりまりさはかしこいね!! れいむほれなおしちゃったよ!!」 「ゆぅ~ん、はずかしいよ…」 顔を赤らめ、恥じらいながらも、れいむの言葉に満更でもない様子のまりさ。 いつしか二個の饅頭は発情し、激しく体をこすり合わせ、 ぎとぎとした粘液にまみれている。 「んほおおおおおおおおおおおおおおお!!ばでぃざ!!!」 「きひいいいいいいいいいいいいいいい!!でいぶぅ!!!」 干上がった和式便器の中で愛を叫ぶ、つがいの饅頭。 そこに闖入する者があったが、二匹は気付く由もない。 「これ、お前さんたち」 「「んひひひひひひひひ、ほおおおおおおおおお」」 「これこれ」 「……ゆ゛っ゛!!!!???おじさんだれ!!!?」 「わしはこの家で雨宿りしているホームレスじゃ」 「れいむたちすっきりー!するんだからじゃましないでよね!!!」 「こりゃすまんすまん。しかし、雨で体が冷えて、催してきてのう」 「もよおす?もよおすってなあに?おいしいもの?」 「うーん、食ったことが無いからわからんのう。試してみるか?」 「「ゆっくりたべたいよ!!!」」 「よしよし。それじゃ、そこに座って待っておるんじゃ」 「「ゆっくりりかいしたよ!!!」 言うが早いか、尻をまくって突き出し、力みだす老人。 その様子に目を白黒させる二匹の饅頭だが、望みのものはすぐにやって来た。 「ゆっ!ゆっくりでてきたよ…」 「ゆっくりたべさせてね!!ゆっくりさせてね!!」 「こ、これはゆっくりできんほどの量じゃぞ…!!」 飛び出したのは、悪臭を放つ、暗褐色の巨大な塊だった。 それが、れいむの右顔面を直撃し、穿つ。 「ゆっくり、ゆっく…… づぶぶびびっ!!!」 「でいぶうううううううううううううう!!!」 恐るべき質量を持った、ゆっくり風に言えば、うんうんの塊は、 新幹線のような勢いで、れいむに激突した。 やわな饅頭が耐え切れるはずもなく、 れいむの顔面はいともたやすく吹き飛び、うんうんに混じってわからなくなった。 「ゆぎゃああああああああああああああああああ!!!!! いだいよおおおおおおおおおおおお!!!!!!!おうぢがえる!!! いまずぐがえる!!!!!」 「でいぶ!!!!!!!!でいぶ!!!!!!!!!!!!!!!!!」 「これはしばらく止まらんぞ!!東京から終点までノンストップじゃゾイ!」 便器にこんもりとしたうんうんの山ができあがり、 黒い新幹線はJR博多駅へ到着していた。 顔半分となったれいむは虫の息で、まりさもすっかりうんうんまみれである。 「いやあ、すっきりしたわい。おまえさんたち、味の方はどうじゃったかな?」 「ゆ……ゆっぐり…じねぇぇ……」 「……!…!…………!……」 まりさが悪態をつき、ハーフれいむがビクンビクンと痙攣して、 老人の言葉に答える。もはや、先は長くないだろう。 「よしよし。後は流して仕舞いじゃな」 その言葉とともに、老人が紐を引くと、赤さびた水が勢い良く噴射し、 すべてを押し流してゆく。幾度も紐を引いたので、 数分後には、すべてが綺麗に洗い流されていた。 「なんと、まだ水が出たとはのう。これで、わしもホームレス脱却じゃな」 つい先ほどまで、苦労してよじ登っていた管の中を、 ひどい臭いのする水とともに流されながら、まりさはひたすらに、 つがいのれいむのことを思っていた。 死ぬ前に、もう一度だけ、もう一度だけ「すっきりー!」をしたかった。 するはずだった。それが、すっきりしたのは、わけのわからないじじいだった。 目の前を、半分だけになったれいむが、うんうんとともに流れていく。 急速に近づく外の明かり。 まりさは、降り続く雨のことを思い出し、溶けはじめている体で、 なおも「どうしよう」などと考えたが、排水管から勢い良く飛び出して、 ドブの壁面に激突し、放射状の餡塊となった。 ほんの数秒前、同様の餡塊となったれいむの上に折り重なるようにして。 ドブに張り付いた、ふたつの饅頭。 しかし、その痕跡すら、後続の汚水が洗い流してしまうのだった。 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/132.html
森の中を三匹のゆっくりが並んで歩いていた。 真ん中に居るのはゆっくりアリス、繁殖には欠かせないゆっくりだ。 両側に居る四肢のある小さいゆっくりは、ゆっくりシャンハイとゆっくりホラーイ。 稀に、ゆっくりアリスと共に生まれてくる種類だ。 知能は意外と高く実際の人形並み、つまりゆっくり並にあるそうだ。 「ァリス、ココデユックリスルノ?」 「ユークリスルノ?」 「うん、きょうはここでゆっくりしようね!」 「ハァイ」 「ハーイ」 今日選んだ場所は、森にぽっかりと空いた広場。 寂しがりやのゆっくりアリスは時々、ここまでやってくる。 だからと言って何かするわけでもなく、ただジーッと木の陰から他のゆっくり達が遊ぶのを眺めているのだ。 ゆっくり達も気付いてはいるが、向こうからやって来ない事、それと何度か誘って一緒に遊んでも、やたらとはしゃぎ過ぎるので、大抵はそのまま気まずそうに遊んでいるのだ。 「まりさもれいむも、ちゃんとあそぼうっていってくれたら、あそんであげるのに」 「ァリィスカラサソェバ?」 「サソーエバ」 「せっかくきてあげたんだから、あっちがさそわなくちゃいけないの」 「ソォカ」 「ソッカー」 それでも、一緒に居るシャンハイとホーライのおかげで寂しくないアリス。 口から出るのは強がりばかりだった。 「そろそろ、おうちにかえってゆっくりしよう」 「ゥン、ユックリシヨゥ」 「ユクーリスルヨ」 先ほどの場所から、家までは随分遠いので家に着く頃には真っ暗になっていた。 「やっとついたよ!!!」 「ツカレタァ」 「ユックーリデキルネ」 その日も三匹固まって眠りに付く。 翌日、今日は初めて人里に行ってみることにした。 以前、同じように木の陰で話を聞いていると、最近、人里近くの綺麗な土地で野菜を食べていたゆっくり達が、人間の家に御呼ばれされているらしいと聞いたからだ。 これは聞き間違いだったが、友達の欲しいアリスには効果が抜群だった。 自分が人里に下りて人と仲良くする光景を想像する。 そんな光景に、アリスの心は激しく踊った。 翌日、ワクワクしながら街へ向かう三匹。 ようやく目的の街へ着いた時には、太陽が真上に昇りかけた頃だった。 「すごくひとがいっぱい」 「スゴォイネー」 「イッパーイダネ」 人里に下りると、沢山の人たちがひっきりなしに動いている。 初めての街、多い人、賑やかな空気、どれもこれも初めてな三匹は目を輝かせて驚いた。 しかし、三匹に誰も見向きもしない。 自分をかまってくれる人もいない、自分から動いてみることにする。 「でも、みんなゆっくりしてないね。アリスたちでゆっくりさせてあげようか?」 「ゥン」 「イイヨー」 「「「ゆっくりしていってね!!!」」」 大声で叫ぶ、ちょっと恥ずかしかったアリスだが、人と仲良くなろうとちょっとだけ勇気を出してみた。 …………。 ちらちらと振り向く人は何人かいたが、振り向くだけでみんな直ぐに通しすぎてしまう。 がっかりするゆっくりアリス。 「なんでいそいでるんだろ?」 「シャンハイワカラナィ?」 「ホラーイモワカンナーイ?」 「おなかすいたね」 「ォヒルマダタベテナィ」 「オヒルタベターイ」 ぐるっと辺りを見回す三匹、すると近くの屋台からから、美味しそうな匂いが漂ってきた。 「あそこからいいにおいがするね!」 「ィィニォーイ!」 「タベターイ!」 急いで屋台に駆け寄っていく三匹。 「おやねがついてるね?」 「デモ、カベガァナイヨォ」 「ダイガタカーイヨ」 初めて見る屋台、少し警戒したが食欲には勝てない。 勢い良く跳躍。 「おいしそうのみーつけた♪」 屋台の上に上がると、匂いの正体であるから揚げが目に入った。 時間はちょうどお昼時、山積みになった大量のから揚げは、人間でなくても食欲を掻き立てる。 「おいしそう! これだけあればゆっくりたべれるね!!」 「ユックリィデキルネェ」 「イタダキマース」 山盛り一杯のから揚げを美味しそうにほおばる三匹。 「おいしい! とってもおいしい!!」 「ホォラィ、ァーン」 「オイシイー、シャンハーイモアーン」 「ォィシィネ」 「ネー」 ボロボロと、涎や食べかすを口からこぼしながら食べる三匹。 店の主人は何処に行っているようでここには居ない。 「ホカノダィニモ、タクサンノッテルゥ」 「イーロイロオイシソーオ」 「こんなにおいしいのに、みんなきづかないのかな?」 「ミィンナ、ィソィデユックリシテナィカラ、キヅカナイノカナ?」 「ゆっくりすれば、おいしいたべものもいっぱいおちてるのにね」 「ネー」 「こんなばしょにかくれてるから、みんなみつけられないのかな」 「ソォウダネェ」 「ダネー」 気付かないわけではない、今ここでは屋台市が開かれようとしていた。 もちろん、まだ始まっていないので誰も屋台には来ない。 店主達は、出展許可証を貰いに行ってここには居ない。 それだけの事だった。 「ここにおちてるたべもの、みんなにだしたら、みんなもゆっくりできるかな?」 「デキィルヨ!」 「アリスー、アタマイー!」 「あたりまえだよ。ありすは、とかいそだちだもん♪」 えへんと、得意げなゆっくりアリスそれでもから揚げを食べる口は休めない。 一皿を粗方食べつくすと、三匹で隣の皿に移動する。 「みんなといっしょにゆっくりしようね!!!」 「シィヨウネ」 「ネー」 「いくよ」 「ゥン」 「ウーン」 ガッシャーン シャンハイとホラーイが皿をちょこっと持ち上げ、それをアリスが落とす。 勢い良く地面に転がるから揚げと、散乱する皿の破片。 「はやくほかのたべものもおとしてあげよう」 「ゥン」 「ハーイ」 次々に落とされるたべもの。 勢い余って屋台も壊している。 途中からじれったくなった三匹は、段々と雑に落とすようになっていた。 箱に入っているものは箱ごと落とす。 汁物が入っている鍋は揺らしてぶちまける。 その、光景に呆然と立ち尽くす人々。 ずらっと円形に円形に並んでいる屋台、屋台越しに移動する。 「アリスー」 「コッチモ、ィッパィアルヨ」 「ゆっくりたべてもらおうね!!」 「アリスーコーレハ」 「ゆ! これはとくにおいしそうだかから。みつけたありすたちでたべよう」 「ゥンソウシヨゥ」 しばらくして、市中の食べ物をひっくり返し終わった三匹。 食べ物ではないほかの屋台もひっくり返していたが、知能の低いゆっくりは気が付かなかった。 ガラス品や瀬戸物の屋台は、勢い良く着地した反動だけでもぐしゃぐしゃになった。 掛け軸の屋台も同様、葉っぱ同様に突破する三匹は難なく破り落とす。 閉じているものも地面に落とされ、料理の汁を吸って無残な状態に成り果てた。 「おわったね」 「ォワッター」 「オワータラオナカスイター」 「たべよっか?」 「「「ゆっくりいただきまーす」」」 意気揚々と地面に落としたものを食べ始める、自分達が普段こうやって食べているので人も同じだと考えたようだ。 「おい!お前達!俺の屋台でなにしてくれるんだ!!!」 一人の男が近寄ってきた。 彼は最初のから揚げ屋台の男なのだが、そのことは三匹も知らない。 いや、三匹は初めて声をかけてもらえた事で随分と喜んでいるようだ。 特にゆっくりアリスは、自分にも人と話すことが出来たことで非常に興奮していた。 「あっありすが、たべものいっぱいみつけたんだよ! おっ、おじさんもゆっくりしていってね!!!」 「ィッショニタベヨゥ」 「タベヨー」 「おじさん!! こっ、これおいしいよ♪」 ちょっと緊張してしどろもどろになりながら、近くに転がっていた食べ物を、パクッと口にくわえて男の足元に持ってくる。 地面に転がり埃まみれの上、ゆっくりの涎まみれになっていたそれは、間違いなくあのから揚げだった。 「ユックリダベヨォネ」 「コレモオーシーヨ」 同じく、散らばった田楽、トン汁の里芋を両手で掴んで男の本へ持っていくシャンハイとホーライ。 二匹も、初めて人と話が出来て楽しそうだ。 「……」 しかし男は、黙ったままプルプルと震えているだけだ。 「ゆ? ……おっおいしいよ。みっみんなもゆっくりしようね!!!」 こんどは違う女性に食べ物を運んでいく、今度はうなぎの蒲焼だった。 「これも、すっごくおいしいよ!!! ゆっくりたべてね!!!」 「……」 また無言、同じ反応だった。 「ユックリシヨゥ」 「ユークリデキルヨ」 「ゆっくりしていtt 「うるせー!」」 「「「!!!」」」 「お前らが好き勝手に遊んだ所為でこっちは商売上がったりなんだよ!」 「どうしてくれるんだい!」 「人が折角親切にしてやってたのに」 「やっぱり最初に来た時に追い返せばよかったぜ」 四方から浴びせられる罵倒、話の内容は分からなかったが、自分が何かいけないことをした事は気付いたようだ。 「ゆ! ごめんなさい!!! そうだ、しゃんはい、ほーらい、あれをあげよう」 急いで、円の中心部にあった屋台に向かう。 そこにあったのは四つの屋台、うち三つは、特に高そうな花瓶や壷が売られていた。 それも、躊躇なく倒す三匹。 三匹にとって、石を倒した位にしか思っていないだろう、これで整然としている屋台は一つになった。 それは、とても美味しそうだったので、自分達で食べようと思って取っておいた屋台。 高そうな、霜降りの牛肉が沢山並んだ屋台。 その荷台も同じようにひっくり返し、地面に落とす。 その中でも一番高そうな、ゆっくり達にしてみれば美味しそうな、一塊の肉を加えて戻る。 シャンハイたちも、次に美味しそうなものを持ってくる。 だがどちらも、肉が大きくて重いのだ。 アリスが運ぶと地面を摺り重さで千切れる、その度になんども噛み直す。 シャンハイ達が飛びながら運ぶと、今度は重さで肉が伸び、耐え切れなくなって落とす。 そんな光景が最後まで続いたのは、それがモノの二分程度で終わった事と、完全に屋台市を破壊され人々が呆然としていたからだ。 あの高級な肉は、運び終わった頃には、全体に噛み跡がある土まみれの肉に様変わりしていた。 「ごめんなさい。あやまるから、みんなでゆっくりしようね!!! こっ、これもおいしいよ!!!」 そういって肉を加えて男の前に置く。 「ほんとはありすがたべようとおもったけど、おじさんたちにあげるね♪」 「ゴメンナァサィ。コレシャンハィノダケェド、タベティィヨォ」 「ゴメンナサーイ。ホーライノモタベテイーヨ」 微笑みながら差し出す、これだけいいお肉を出せば喜んでもらえると思った。 だが実際は、火薬庫に火種が入っただけだったが。 「ふっざけるなぁ!!!」 男の足がアリスを捕らえる、そのまま後ろに吹っ飛ばされる。 「ゆゆっ! いたいよ! やめてよ!」 「アリスダィジョォブ?」 「アリスイタガテールヨ!」 人々は意に返さず、アリスたちに詰め寄っていく。 「ゆ゛!」 それは、アリスたちからみれば大きな壁のように見えた。 「ゆっぐりじないんだったら、ありすもうかえる! そっちからさそわれたってもうこないから!!!」 「アリス、ハヤクカエロォ!」 「カエーテ、サンニンデユクゥーリシヨー!」 そうは言ったものの、既に前面壁となっており、三人が出て行くスペースはない。 「おじさん、とおして!!! ありすもうかえるんだから!!!」 「トォシテ!!!」 「トーシテ!!!」 そういってズンズンと近づいてくる三匹、直ぐに蹴り返される。 それが合図になった。 落下地点で蹴られる、また次の落下地点で蹴られる。 もはや三匹はボールと化し、痛みと浮遊感しか感じていなかった。 「ごめんなざい。なんでもするがらゆるしてくだざい!!!」 「ユゥルジデ!!!」 「ゴメンナザーイ!!!」 人々も、何時までもこうしていては埒があかないと思ったのだろう。 直ぐに蹴りは収まり、代わりにここを掃除しろといわれた。 「なんで? ぜっがくよういじであげだのに、なんでみんなだべでぐれないの?」 「ガンバッテ、モォッテキタノニィ!」 「オイシーヨ、クサーテナイヨ!」 「人はテーブルの上で食うんだよ!! 地面に落としたのなんかゴミなんだよ!!」 それ以上の質問を許さず、作業を始めさせる。 大きな物体は人が運ぶしかないので、地面に散らばった残飯を綺麗に掃かせた。 シャンハイとホーライは、散らばっていた角材をモップ代わりにしたが、アリスは手足がない。 暫くぼうっとしていると、急に体を押された、それに付随して散らばった残飯も一緒に進んでいく。 「ゆゆっ! やめで、からだがよごれじゃうよ。やめでよぉ!」 「こうすればできるだろ」 それだけ言って一発蹴られた、直ぐに掃除を始めるゆっくりアリス。 もちろん自分の体をモップ代わりにしてだ。 「ゆっ!? いだい! いだいよ!」 ガラス片か瀬戸物の破片が刺さったのだろうか、途中で何度も絶叫するアリス。 それが何なのは分からなかったが、止まるとまた蹴られるので急いで掃除に戻る。 「い゛だい゛よ゛ー! ゆ゛っぐり゛じだい゛よ゛ー!」 片付けていく残飯の中に、売られていない餡子が混ざり始めた。 「ァリス、ァトチョットダカラガンバッテェ」 「モースグオワルカーラ」 「ゆ゛っぐり゛ざぜでーー!!!」 結局、掃除が終わったのは夕刻を過ぎた後だった。 全身傷だらけになったゆっくりアリスは、文字通り蹴り出されて村を後にする。 ひとはやばんだから、もうぜったいにいかない。 家に戻って、二匹に傷を手入れしてもらっている最中に二人に話しかけるゆっくりアリス。 二匹も当然と言った感じで答えた。 「ニンゲン、コワァカッタネェ」 「ゼンゼン、ユックリサセテクレナカータネ」 破片を全て抜き終えたあと。 都会派らしく、痛がりながらも近くの川で汚れを落とした。 その後、何時もよりギュッと寄り添って三匹は眠りに着いた。 翌日、昨日の傷の所為で遅くまで寝ていたアリスだったが、外で自分を呼ぶ声が聞こえたので、外に出た。 一日寝て、傷は大分良くなったようだ。 「まりさ!れいむ!ぱちぇりー!」 そこにいたのはアリスが一緒に遊んでいるらしい、あの三匹だった。 「みんなどうしたの?」 「これからみんなで、まちにいくの!」 「むきゅー!」 「いつもさんにんでいってたの、そうしたらこのまえ、おじさんがみんなといっしょにおいでっていってくれたの」 「れいむも、おかあさんたちといっしょにいくよ!!」 少し視線をずらすと、ゆっくり霊夢の家族が見えた、全部で15匹位だろうか。 他にも、時々三匹と一緒に遊んでいる、ゆっくり達、ゆっくりアリスが知っている友人も、知らないゆっくりもそこには居た。 「ありすもいっしょにまちにいこう!」 「ゆっくりできるよ」 「……うん、いっしょにいこう」 「ァリス、ィイノォー?」 「マタ、マチニイクノー?」 「うん、せっかくおともだちがさそってくれたんだもの。ひとづきあいをだいじにするのも、とかいはのすることなの!」 「ワカッタァ」 「ワカッター」 大勢のゆっくりで街に向かって歩いていく。 その列の、一番後ろに居たアリス達、途中で三匹が得意そうに説明するのを聞いて、ようやく昨日自分達がした事の間違えに気付いた。 ようやく街に着いた一行だが、今日の街はガランとしていた。 「おうちぐるま、あんまりでてないねー」 「ちがうよれいむ、やたいっていうんだよ」 「そうだったね! でもでてないねー」 「むきゅー? ひともすくないよ」 不思議がる霊夢達。 それはそうだ屋台の殆どは未だ修理中なのだから。 「あ、おじさんのやたいあった」 いち早く、それを見つけたゆっくり魔理沙と霊夢が近寄っていく。 一行も後に続く。 「おじさん、やくそくどおりみんなつれてきたよ!!」 「みんなでゆっくりさせてもらうよ!!」 「「いつものからあげちょうだい!!!」」 「ふざけんな! まためちゃくちゃにしに来たのか?」 そう言って二匹を蹴り飛ばす、直ぐ後ろに来ていたゆっくり達にぶつかったため、あまり飛ばされなかった。 「ゆっ!? おじさんどうしたの。いたいよ!」 「いたいよ。おじさん!!! いつもまりさたちにからあげくれてたんだよ!!!」 「うるせい! 今まで好意でくれてやってたのに。こっちは昨日大変だったんだぞ!」 そうして、怒鳴り散らす男、騒ぎを聞きつけてゆっくり達の周りには大きな人だかりができていた。 「そんなわけないよ。ありすはとかいはのゆっくりだもの!!!」 「それはちがうところのゆっくりだよ、ありすがそんなことするわけないよ!!!」 「むきゅー!」 それを聞いて霊夢達が反論する。これがいけなかった。 「やっぱりお前らグルだったのか! 昨日の仕返しにきたんだろ!」 昨日と同様に人の壁に囲まれたゆっくり達。 ただ昨日と違うのは、今日の人たちはそれぞれ鍬や鋤をもっていた事だった。 「ゆ゛ー!!!」 一匹のゆっくり霊夢の子供に鋤がっ刺さった、その直後、絶命した。 「あまり乱暴にするな、こいつらの餡子は高く売れるんだから!」 「ゆっくりにげてね!!!」 母親のゆっくり霊夢が子供を逃がす、混乱しているがどうにか意味は理解したらしい。 アリの子を散らすように逃げていく。 「わかるよわかるy!よーーー!!!」 「!!! ちーんぽ!!」 「うっう~♪ う゛ーーー!!!」 「ゆっくりしね! ゆっくりしn、しんじゃうよー!!!」 お母さんゆっくりも何時ものように子を守ろうと前に出るが、ゆっくり相手とはわけが違う。 あっという間にボロボロになる。 「ゆ~!!ゆ”ーーー!!!」 「こいつは餡が固そうだ」 近くの川に流されるお母さんゆっくり、その直前に見た景色は、自分の子供達全員が捕まった所だった。 「はやくにげないとゆっくりできないよ!」 「おがあざん!おがあざん!」 「むきゅ~」 ゆっくりアリスと数人のゆっくり達は逃げていた。 おそらく、今捕まっていないのは自分達だけだ。 まだ街を抜けるまで随分とかかる。 それでも、走るしかなかった。 必死に必死に走った、息が上がろうがゆっくしできなかろうが走った。 ようやく、一番近かった霊夢の家に飛び込んだ時には全員息が上がっていた。 アリスは、昨日自分がした事が間違っていたことに気付いていた。 しかし、親切でやったのにこんなに怒るなんて、人はやっぱりこわい。 これが今の彼女の心情だった。 「ここまでくればゆっくりできるね」 ゆっくりアリスが尋ねる、返事が無い。 息が上がって話せないのかと思い直して振り向く、確かに息が上がっていた。 ただし、そこに居たのはとシャンハイとホーライだけだった。 「みんな、み゛ん゛な゛。うっ、ぐす、ゆっぐりじだがったよー」 シャンハイもホーライも泣いていた、息が上っている為声が出なかっただけだ。 その後、一日待って戻ってきたのは傷だらけのおかあさんゆっくりだけだった。 広い広い森の中、沢山のゆっくりが住んでいたその一帯は、今やたった四匹のゆっくりしか住んでいなかった。 Please waiting next Story.
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/3087.html
※ 作者名:天海 ※ 時代考証とか世界観とか、その他色々と気にしない方向でお願いします。 年越しの準備をあらかた終えて日常の落ち着きを取り戻した小さな村落に、地響きが鳴り渡った。 「来おったか……」 村の長老は極めて冷静にそうつぶやいた。 ドスまりさと多数のゆっくり達の襲来を まるで予想していたかのように。 この地方は冬でも雪が降る事は稀であり、この辺りに住むゆっくり達は冬籠りという物をする必要がなかった。 もちろん外は寒いし、食糧となる虫や植物も無いため、巣に籠りがちになるのは変わらないのであるが。 とはいえ、少なくとも巣に籠っている間に食糧が尽きたまま泣き寝入りしたり、積もった雪で出口が防がれたりという事もない。 ゆっくり達にとっては冬でも比較的安全である場所なのである。 ドスまりさは村の広場に辿りつくと、早々に長老へと切り出した。 「まりさのむれは たべものがたりなくてこまってるんだよ。だから たべものをわけてほしいよ。どうかおねがいします。」 無理を招致で言っているのであろう。ドスまりさのトーンはゆっくりとは思えないほどに低かった。 そう、ドスまりさにもわかっているのだ。 毎年、草原には群れの皆だけでは食べ切れないほどの植物が生い茂げるのに、この年に限って植物は異様なほどに少なかった。 村落の畑の方も 人の手が入っているとはいえ、そう思わしい収穫は得られなかったであろう。 それでも仲間のゆっくり達を幸せにしないといけないという使命感から、ドスまりさは今回の行動に出たのだ。 ……ドスまりさはゆっくり側の被害を覚悟の上でも、人間と戦って食糧を得るという覚悟を決めていたのである。 その証拠が、ドスまりさの後ろに並び立つ100を超える数のゆっくり達である。 とは言っても、人間は強い。 ドスまりさはさておき、普通のゆっくりでは束でかかっても人間に敵うわけがない。 そこでドスまりさは一策を講じていたのである。 ここにいるゆっくり達は いわば囮。 これだけの数のゆっくりがいれば、対応する人間側も それなりに人員を割く必要がでてくるであろう。 人間達が広場に集まったところで、ドスまりさがゆっくりオーラを発動させる。 その隙に別動隊が人間の食糧庫から食糧を奪おうという作戦であった。 人間達には食糧を長期間保存する技術がある。 また、長距離を移動する術や、隣村へのツテもある。 多少の食糧が無くなっても、強い人間達ならなんとでもできるはずなのだ。 さらにいえば、この村の人間達は過去一度たりとも、ゆっくりの群れに手出しをしてきたことがない。 そのような経験もまた、今回のドスまりさの決断を手伝ったのである。 そして、こんなことを考えてはいけないが……もし人間が今回に限って怒りを見せた場合、 囮となるゆっくり達、そしてドスまりさ自身の事を食糧の替わりに人間に食べてもらっても良いとすら、ドスまりさは考えていた。 人間達の怒りを、それで鎮められるのであれば。 ゆっくりの共食いはタブー。それを一度でも崩してしまえば群れの存続はありえないであろう。 人間にゆっくりを差し出して替わりに野菜をもらうという悪魔の考えも思い浮かんだのだが、これをしては他のゆっくり達の信用を失う。 それでは結局群れの存続はありえない。 だが、戦って食われるなら仕方ない。 結局数体のゆっくりが食われて、替わりに野菜を得るという結果は変わらないが、過程の違いが群れの存続には重要なのである。 「残念ながら聞けぬ相談だ。こちらも苦しいのでな。」 長老の返答は、ドスまりさの予想した物だった。 「だったら」「力づくか……? それもよかろう」 実力行使を示唆するドスまりさの言葉を遮った長老はさらに続ける。 「ただし、互いに損害は最少に留めるべきだろう?」 「……ゆゆ?」 予想とは違う展開にドスまりさは戸惑う。 「1vs1。人間とお前で決着をつけ、お前が勝てば食糧をやろう。お前が負ければ、おとなしく帰るんだ。我らは何も奪わぬ。」 「……ゆゆゆ?」 これはゆっくり達にとっては、予想よりも遥かに美味しい提案ではないのか。ドスまりさはさらに戸惑う。 ドスまりさは、このような美味しすぎる提案に諸手をあげて喜べるほどの餡子脳ではないのだ。そもそも手がないし。 「ただし、ルールはこちらで決めさせてもらう。それに納得が行かなければ他の方法でくるがいい。」長老はそう付け加えた。 やはりきたか、とドスまりさは思う。人間の考える事には何か裏があるのだ。とはいえ、ルールを確認だけしてみる価値はある。 ドスまりさはさらに詳細を聞く体勢に入った。 長老の示したルールは以下のような物であった。 ドスまりさと人間の1vs1で決着をつける。他の人間及びゆっくりの手出しは禁止する。 両者とも、互いの同族を人質及びゆっくり質にとることを禁止とする。 場所は広場に特設した7m四方のリング。場外への脱出は試合放棄とみなし、反則負けとする。また、相手を故意にリング外に落とすことも禁止する。 人間はオープンフィンガーグローブ、マウスピース、ファウルカップ、レガースの着用を義務づける。その他のあらゆる道具は使用禁止とする。 人間はドスまりさへの目つぶし攻撃、口内への侵入、帽子への攻撃は禁止とする。 人間はドスまりさへの噛みつき攻撃及び食すことを禁止とする。 ドスまりさは人間を口内へ含むこと、食すことを禁止とする。 ドスまりさは故意に自らの帽子を落とすことを禁止とする。 ドスまりさはあらゆるキノコの使用を禁止とする。 両者、故意での急所攻撃を禁止とする。 軽度の出血あるいは出餡をした場合は、傷を塞ぐ応急処置を施して試合を続行する。その他の場合の応急処置等は一切認めない。 1ラウンド内に3度ノックダウンを奪われた場合、その時点でTKO負けとする。 その他、レフェリーの判断により試合続行不可能な状態と認められた時点で、レフェリーストップとして試合を終了する。 3分間3ラウンドで戦い、それでも決着がつかない場合はジャッジによる判定で決着をつける。 「ゆゆ〜……」 ドスまりさは熟考した。 このルールは思いの他、ドスまりさの事も考えて作られている。 ただ一点、キノコの使用禁止が気にならないではないが、人間と1vs1で戦うのであれば、このくらいのハンデは仕方ないであろう。 このドスまりさは体長2mほど。帽子を含めればさらに高くなるが、ドスまりさ種としては比較的小さい、若いドスまりさであった。 一方この村落の人間達の中に、見たところ自分より大きい人間はいない。 さらにルールで自らの身も、仲間のゆっくり達の身も安全を確保されており、思う存分戦うことができるのである。 そして万が一人間側が何かを仕掛けてきても、長老は何も奪わないと公言したではないか。 「ゆゆ! わかった! やるよ!」 ドスまりさは決断した。 「……そうか。 では日時と場所は、本日夕刻からこの広場で。 準備ができるまでここでゆっくりしてるがいい。」 そう言った長老は、村の者達にリングの準備と、ゆっくり達へのもてなしを命じた。 夕刻。 組みあがったリングの周りに設けられた観客席は、小規模ながらも村の者たちでびっしりと詰められていた。 一方向は特設ゆっくり応援シートとなっており、ドスまりさが連れてきたゆっくり達と別動隊のゆっくり達が雛壇にびっちりと詰められていた。 なかなか珍妙な光景である。 10カウントゴングが鳴り、会場の照明が灯る。 「皆様、大変長らくお待たせいたしました。これより、試合を開始いたします!」 場内に響くアナウンスは、おあずけ状態だった観客たちのボルテージを一瞬にして最高点まで上昇させた。 「それでは、青コーナーより、ゆっくり代表選手の入場です!」 「「「 どすー、ゆっくりさせてねー 」」」 「やっさっいっ!やっさっい!」 「むーしゃ、むーしゃ、しあわせー」 特設ゆっくり応援シートのゆっくり達から、一斉に声援(?)が飛ぶ。 花道に焚かれるスモーク。その中に巨大な影が現れた。 それと同時に会場に響くのは、女性声の入場コール。 「インザブルゥゥゥゥーコォナァァァー!、 フロォム、チカクノソウゲェン、 ドォスゥゥ、マ、ルィッスァァァ!!」 「その巨大な背中に背負うのは、幾多のゆっくり達の願い……ゆっくりしたい、ゆっくりさせたい、必ずゆっくりさせてやる! 絶対ゆー者、ドスまりさ入場!」 実況席の言葉に、応援シートのゆっくり達がさらなる盛り上がりを見せる。 ドスまりさはリングの前まで小刻みに跳ねていき、そこから高々とジャンプしてリングへと着地する。 その際の衝撃音が、村の者達の不安を駆り立て、ゆっくり達の高揚を呼ぶ。 ドスなら自分達をゆっくりさせてくれる。ドスまりさに人間が勝てるわけがない。 ゆーゆーとリングに着地したドスまりさは、応援シートのゆっくり達の方へ向き気合をいれる。 「「「「『 ゆっくりしていってね! 』」」」」 ドスまりさとゆっくり達の、ゆっくりしていってね大合唱である。 さらにドスまりさは本部席にいるゆっくりれいむを見やる。 このれいむは試合に決着がつかなかった場合のジャッジ役の一人に選ばれたゆっくりであり、ドスまりさの愛するゆっくりでもあった。 ドスまりさは愛しのれいむにウインクをしてみせる。頬を赤らめるジャッジ役のれいむ。 この試合が終わったらいよいよ婚約を申し込もう、そう心に決めて試合への決意をさらに高めるドスまりさであった。 ちなみにジャッジは計3人。 不公平にならないように、ドスまりさの承認も得た上で以下のメンバーにジャッジを任せることにした。 村の代表として長老を、ゆっくりの代表としてれいむを、そして中立の立場として村から離れた場所に住んでいる一人の少女を。 レフェリーはその役割の都合上 村の者になるが、ドスまりさの参謀のぱちゅりーとありすをセコンドに置き、何か不平があればレフェリーに抗議できる権利を与えることでゆっくり側の了解を得た。 再び、アナウンスの声が場内に響き渡る。 「つづいて、赤コーナーより、人間代表選手の入場です!」 「「「 にんげんさん、ゆっくりしていってね! 」」」 「どぼぢでれいむのぶんのおべんとうたべぢゃったのぉぉ?」 「ゆゆ、こんなところにのこしておく れいむがわるいんだぜ!」 特設ゆっくり応援シートのゆっくり達から、一斉に野次(?)が飛ぶ。 花道に焚かれるスモーク。その中に人影が現れた。 それと同時に会場に響くのは、やはり女性声の入場コール。 「インザルェッドォーコォナァァァー!、 フロォム、ココノムラ、 ギャクゥタァァイ、オ、ニィッスァァァンッ!!」 「道具など要らない、仲間など要らない、ゆっくりさえいればそれでいい! その虐待魂は地獄の閻魔にも止められはしない! 虐待お兄さん入場!」 実況席の言葉に、今度は村の者達の盛り上がりが最高潮となる。 花道に姿を現した虐待お兄さんは一目散にリングへと駆け、リングインすると同時にドスまりさの目前に立ち、ドスまりさと頭を合わせて睨みつけ続ける。 慌てて両者の間に割って入り、なだめるレフェリー。 両者のボディチェックを終え、少しだけ間を計って、レフェリーが試合開始の合図を送る。 同時に会場にゴングの音が鳴り響いた。 第1ラウンド序盤は静かな立ち上がりとなった。 ドスまりさとの間合いを慎重に測る虐待お兄さん。 虐待お兄さんの出方を窺うドスまりさ。 互いが互いを牽制し、両者とも攻撃らしい攻撃をせずに、ただ時間だけが過ぎ去っていく。 そんな展開を観客席の人間、そしてゆっくり達はじっと見つめていた。 突如、マットを強く蹴る音が会場の静けさを打ち破る。 先手を打ったのは虐待お兄さん。 一瞬の踏み込みから、ムチのようにしなるローキック。乾いた打撃音が響きわたる。 そしてすぐさま、元の間合いに下がる虐待お兄さん。 観客席からは一斉にどよめきの声が漏れだした。 虐待お兄さんのローキックは、確かにドスまりさの顎の側面にクリーンヒットした。 クリーンヒットしたのだが…… 「ゆふん、ぜんぜんいたくないよ!」 ドスまりさにはまったく効いていなかった。 ローキックは一見地味な技ではあるが、威力は回し蹴りの中でも高い部類であるはずだ。 そして打つ際の隙の少なさという利点もある。 どこを蹴ってもそう違いが無いであろうドスまりさ相手には、もっとも適した打撃であることは確かであった。 ……が、それが欠片も効く様子が無い。 ただでさえ中身が餡子である。皮さえ破れなければ、ゆっくり種は打撃には強いはずなのだ。 その様子を見たセコンドのぱちゅりーとありす、ジャッジれいむ、そして応援シートのゆっくり達はドスまりさの勝利を確信した。 そもそも体格的にはドスまりさが圧倒的に勝っているのである。 何度打撃を打たれようとも、ルール的に人間はそれ以上のことはできないはずである。 その打撃が効かないとあれば、あとは一度でもドスまりさが踏みつけ、あるいはのしかかり等を決めれば、ドスまりさは勝てるのだ。 虐待お兄さんはしかし、その事に動じる様子は無かった。ただ、冷静な視線でドスまりさの動きを見つめている。 その様子を見て、長老はうなずく。頼もしい青年に育ったものだ、と心の中で青年の成長を喜んでいた。 この虐待お兄さんは、元々孤児であった。 孤児であるが故のストレスを発散するかのように、ゆっくり達を むやみに傷つける生活を送っていた。 それを知った長老が少年を家族として受け入れ、そして諭し、格闘技に打ち込むように促したのである。 試合は進む。 虐待お兄さんはヒット&アウェイの要領でローキックを放ち続けていた。 しかしそのどれもが、目に見えたダメージをドスまりさに与えるには至らない。 ドスまりさは余裕の表情で、じりじりと虐待お兄さんへ近づくように動くだけである。 虐待お兄さんの身体からは汗が噴き出していた。 仮にも格闘技に打ち込んできた虐待お兄さん。スタミナ面ではなんの不安も無いはずなのである。 しかし、リング上での実戦となると、今回が初めてなのだ。この村にそのような機会はそうそう無いのだから。 リングを照らす照明が冬の屋外とは思えぬほどの温度を生み出していた。 不慣れな環境での戦いが、虐待お兄さんのスタミナを奪っていたのかもしれない。 第1ラウンド残り1分のあたりで、アクシデントは起こった。 虐待お兄さんがローキック後に後方へ下がる際に、自らの汗が溜まっていた場所で足を滑らせてしまったのである。 虐待お兄さんが仰向けにスリップダウンすると、ドスまりさはすかさず間合いをつめ、虐待お兄さんへとのしかかった。 観客の人間達からは悲鳴が、ゆっくり達からは大歓声が起こる。 ドスまりさは完全に虐待お兄さんの上にのしかかり、観客からは虐待お兄さんの姿を確認することができなくなってしまった。 ドスまりさの重量は定かではない。ただ、恐らくは人間でいう百貫デブなどとは比べ物にならない重さであろう。 さらに完全にドスまりさとリングの間に挟まれている状態で、窒息状態に陥っているかもしれない。 ともすれば、レフェリーストップ負けになる恐れもあるのだ。 レフェリーはしきりにドスまりさの下を確認する。しかし虐待お兄さんの姿は見えない。 第1ラウンド終了まではもう少し時間が残っている。ゴングに救われる可能性を期待するのは厳しい状態だ。 ドスまりさは鎮座する。虐待お兄さんの真上で、不適な笑みをうかべながら。 「まりさ〜、すてきよ〜」 ジャッジれいむが、ドスまりさの不適な笑みに思わず声援を送る。 公平さの欠片も見られないが、ゆっくり種にそんな物を求めるだけ無駄である。 「まっててね、もうちょっとでおわるからね!」 ドスまりさはリングから声をかける。 すでに勝った気でいるゆっくり達を横目に、村の者達と長老は冷静に試合を見守っていた。 「……ゆ?」 ドスまりさが声を漏らす。何か自分の体の下部に違和感を感じたのだ。 次の瞬間、ドスまりさの体が横方向に傾く。「ゆゆゆ!?」 ごろん、と横方向に1/4回転したところで、しばし姿の見えなかった虐待お兄さんが姿を現す。 虐待お兄さんの両腕は、ドスまりさの下部をつねってひっぱった状態で、両足はその根元を固定しているようにカニ挟みの状態になっていた。 おそらくその部分でのテコの原理を利用して、相手を回転させたのであろう。 いわば、対ゆっくり用のオモプラッタである。虐待お兄さんの攻撃手段は、何も打撃だけというわけではないのだ! 横たわるようにひっくり返ってしまったドスまりさから手を放し、虐待お兄さんは立ち上がった。 セコンド、及び応援シートのゆっくり達は一体何が起こったのかわからず、一様に呆けた表情を見せている。 虐待お兄さんはそんな事もかまわず、ドスまりさの底部にあたる部分に、今度はミドルキックの連打を浴びせ続けた。 ドスまりさが動けない状態である以上、ヒット&アウェイに徹する必要は無くなったのである。 第1ラウンド終了まではもう少し時間が残っている。ゴングに救われるまで、ドスまりさはひたすら底部を蹴られ続ける羽目となった。 第1ラウンド終了のゴングが鳴る。 虐待お兄さんは赤コーナーに戻り、用意された椅子に腰を掛け、タオルを頭からかぶり、水を口に含み、そして吐き出した。 スタッフ達がドスまりさの体躯を立たせてやり、青コーナーまで戻す。 セコンドのぱちゅりーとありすは声をかける。 「むきゅ、さいごはやられたわね、つぎのちゃんすがあったら、じゃんぷしてふみつけるのよ!」 攻撃のアドバイスを施すぱちゅりー。 「あんなてくをもっているなんて、あいてはなかなかのとかいはね! きをつけて!」 防御のアドバイスを施すありす。 その言葉にうなずくドスまりさ。アドバイスとして役に立つのかは疑問であるが、人間には推し量ることができない所なのであろう。 そうこうしているうちに、インターバルは終了し、第2ラウンド開始のゴングが鳴り響く。 第2ラウンド開始直後から、虐待お兄さんは再びローキックでのヒット&アウェイ作戦に出た。 ドスまりさはそれを気にせず、ひたすら虐待お兄さんとの間合いをじわじわと詰めるだけである。 だけであるのだが…… おかしい。先ほどよりも間合いを詰めることができない気がする。 インターバルの休憩で虐待お兄さんのスタミナが回復したせいかもしれない。 またリング上の汗が拭きとられたことで、虐待お兄さんが動きやすくなったのかもしれない。 ドスまりさは考える。 今の素早い動きの虐待お兄さんにジャンプ踏みつけを決めることができるのか。 リングは広くて平坦なため、虐待お兄さんの動きを封じた状態からジャンプしないと、とてもじゃないが踏みつけを決めることはできないであろう。 闇雲にジャンプ踏みつけを繰り返す方法もあるにはあるが、いたずらにスタミナを消費すると後が怖い。となると…… ドスまりさの作戦は、再び相手のスタミナ切れまでひたすら耐える事となった。 消去的な作戦ではあるが、先ほどのようにスリップダウンを期待できるかもしれない。 そしてなにより、なかなかにゆっくりした作戦ではないか。 そんなよくわからない理由で作戦を決定したとは露知らず、虐待お兄さんはひたすらローキックを何ダースと放っていく。 そしてそのまま、ただただ時間が過ぎていった。 リズミカルなローキックの音に、応援シートのゆっくり達はうとうとと船を漕ぎ始めている。 第2ラウンド残り1分のあたりで、再びアクシデントは起こった。 なんと、またもや虐待お兄さんがローキック後に後方へ下がる際に、自らの汗が溜まっていた場所で足を滑らせてしまったのである。 虐待お兄さんが仰向けにスリップダウンすると、ドスまりさはすかさず間合いをつめ ……られない。 足が思うように動かないことに、ドスまりさはここへ来て初めて気がついたのである。 第2ラウンド開始直後から間合いを詰める速度が遅くなったように感じたのは、ドスまりさの動きが遅くなったからなのだ。 虐待お兄さんのローキックは、ドスまりさに痛みを与えることは確かに無かった。 無かったのではあるが、一撃ごとに見えない傷をドスまりさの下部に確かに刻み続けていたのである。 その傷が増えたこと、そして打撃を浴び続けたことにより、ドスまりさの下部及び底面の皮と餡子が硬化して、ドスまりさの歩行を妨げるようになったのである。 ドスまりさは驚き、そしてとっさに考える。このままではまずいのだ。 今は少しだけなら動けるのだが、このままローキックを浴び続けていれば、きっと完全に動けなくなる。 そうなれば、ジャンプしたりのしかかることすらできない。それどころか、自ら倒れることもできない。 ドスまりさの攻撃手段が完全に失われてしまうのだ。 これ以上 もたもたするわけにはいかない。ドスまりさは最後の賭けに出ることにした。 大きく口を開け、口内から輝きが広がりだす。ドスパークの体勢である。 ルールにより、キノコの使用は禁止されているが、体内に残っているキノコ成分を搾りだせば、何とか一発くらいはドスパークを放つことができるのである。 虐待お兄さんはハッと気づき、横方向に回避するが…… 『あまいよ!』 ドスまりさは振り返り、ドスパークを発射させた。閃光が広場に広がる。 キノコが無い分、通常のドスパークより威力は無いが、それでも十分な威力は残っている。 閃光が収まった後、ドスまりさは自らが奪ってしまった命に黙祷を捧げる。 『ごめんね、こうするしかなかったんだよ。あの世でゆっくりしていってね。』 ……確かにドスパークの威力は十分であった。 特設ゆっくり応援シートとそこに座っていた100を超えるゆっくり達を完全に蒸発させるには十分であったのだ。 「「「ゆ、ゆ、ゆ、ゆぎゃああああぁぁぁぁ」」」 セコンドのぱちゅりーとありす、そしてジャッジれいむの悲鳴が場内にこだました。 そして聞きなれた打撃音が再び響きだす。 虐待お兄さんはドスパークをしっかり回避していたのである。 最初の回避で特設ゆっくり応援シートの方向にドスパークを誘導させた上で、斜めに回り込むように前転してドスまりさの背後へまわっていたのだ。 ドスまりさは魂が抜けたかのように固まっていた。 自ら、群れの同族を、100を超える同族達を消し去ってしまったのである。 その後は第2ラウンド終了のゴングが鳴るまで、虐待お兄さんの足とドスまりさの体が聞きなれた打撃音を奏で続けることとなった。 第2ラウンド終了のゴングが鳴る。 「リング調整のため、しばらく時間をいただきます。あらかじめご了承ください。」 ドスパークで消失したロープを補修するため、インターバルは少し長めに取られることとなった。 虐待お兄さんは赤コーナーに戻り、用意された椅子に座って眠りはじめてしまった。 慣れない環境で第1ラウンド途中から動きっぱなしで、さすがに疲れてしまったのであろう。 一方のドスまりさは、スタッフの手を借りずには動けないほどひどい状態であった。 セコンドのぱちゅりーとありすも目の前で起こった惨劇のショックからか、口数は少ない。 ジャッジれいむは白目をむいて気絶していた。 「むきゅ、すぎたことはしかたないのよ。きりかえて、さいごまでたたかいましょう。」 なんとかドスまりさを勇気づけようとするぱちゅりー。 「まりざがぁぁぁぁ! ありすのはにーがぁぁぁぁ!」 隣でショックをぶり返させるかのように泣き叫び続けるありす。 どうやら応援シートにいた最愛のまりさ(通常サイズ)を失ってしまったようである。 その言葉を聞き、ドスまりさは目に涙を浮かべはじめていた。 「むきゅ、ありす、しっかりして! しぬことはかくごのうえだったはずよ!」 ぱちゅりーがありすをなだめる。 「ゆぅ〜、ゆぅ〜、ゆぅ〜…… そうね…… どす、あいてはあんなにへばってるわ、ちゃんすはあるはずよ。」 深呼吸をしてどうにか落ち着きを取り戻したありすは再びアドバイスを送った。 「レフェリー、まりさの足の応急手当を要求するわ!」 レフェリーを呼びつけるぱちゅりー。 しかし、レフェリーは首を横に振る。ルールに明記してあるからだ。 ”・軽度の出血あるいは出餡をした場合は、傷を塞ぐ応急処置を施して試合を続行する。その他の場合の応急処置等は一切認めない。” この試合、ドスまりさは餡子を流していないのである。 「む、むきゅ〜」 ぐうの音も出ないぱちゅりー。 そうこうしているうちに、インターバルは終了し、第3ラウンド開始のゴングが鳴り響く。 「ひゃっはぁぁぁぁぁあああああ!」 第3ラウンド開始と同時に、虐待お兄さんはラッシュをかける。 「「『な、なんで? さっきまであんなにつかれていたのに!?』」」 ドスまりさもセコンドの2匹も驚きを隠せない。虐待お兄さんのどこにそんなスタミナが残っているのか。 虐待お兄さんは思い出す。自らの過酷な練習の日々を。 玄翁を持ってゆっくりを追いかけまわすロードワーク。 群れからこっそりと誘拐してきたゆっくり達の皮をつぎはぎして作ったサンドバッグ。 その中に赤ゆっくり達を詰め込んでのキック練習。 そして、ゆっくりをそのままミットにしてのコンビネーション打撃練習。 どの練習もとても過酷で……とても楽しく身が入った。 この練習を考えたトレーナーには感謝しきりである。 そんな楽しい練習を続けてきた虐待お兄さんにスタミナの心配など不要なのである。 先ほど眠っていたのは、より全力でラッシュをかけるための準備にすぎない。 虐待お兄さんは短時間の睡眠で体力を完全に回復させることができる、生粋のアスリートとなっていたのである。 左右パンチ、フック、ストレート、アッパー、ローキック、ミドルキック、ハイキック、ジャンピングキック、膝蹴り、エルボー、頭突き、ハンマーブロー、水平チョップ、ドロップキック、フライングクロスチョップ、延髄蹴り…… 先ほどまでとは打って変っての打撃技のオンパレード。まるで水を得た魚のようである。 全力の生身虐待をぶつけることをできる喜びを、技の一つ一つで表現するかのようであった。 「ゆぎゃっ!」「ゆぶっ!」「ゆげっ!」「ゆぼぅっ!」 その一撃一撃はドスまりさへ確かに痛みを伝えていた。 先ほどまでのローキックはあくまで表面を傷つけるために放っていた物である。 しかし今回は内部の餡子を傷つけるために攻撃を放っている。 時には中枢餡へと届くかというような攻撃もあるのだ。 第3ラウンドは3分間みっちり、虐待お兄さんのラッシュが続き、そのまま終了のゴングが鳴った。 「それでは判定に入ります。」 ゆっくりがほとんどいなくなった場内にアナウンスが響き渡る。 「ジャッジ長老……10 0 赤、虐待お兄さん!」 長老は静かに、リングを見つめ続ける。妥当と言えば妥当なジャッジである。 「ジャッジれいむ……0 10 青、ドスまりさ!」 気絶状態から復活した涙目のれいむ。ゆっくり種としては当然なジャッジである。公平ってなんだろう。 結局、勝敗は一人の少女ジャッジに委ねられる事となった。 「ジャッジ阿求……10 10 ドロー!」 少女の名前は阿求と言うようだ。 結果は1−1、ポイントも20−20で完全なドローである。 不測の事態に本部とアナウンスは慌て出す。 数分の協議の結果、一つの結論が導きだされた。 「ジャッジで決着がつかなかったため、3分間の再延長戦を行います!」 場内アナウンスに、観客達は大いに沸いた。 「ゆゆ? ゆゆゆゆゆ!?」 ドスまりさは驚きを隠せない。もう終わったと思ったのに。もう帰れると思ったのに。 第4ラウンド開始のゴングが非情にも鳴り響いた。 「いやっはぁぁあああああぁぁぁぁ!」 ジャッジの最中も再び眠りについていた虐待お兄さんはこのラウンドも元気いっぱいである。 第4ラウンドも3分間みっちり、虐待お兄さんのラッシュが続き、そのまま終了のゴングが鳴った。 再びジャッジが行われる。まるでデジャブであるかのように。 そしてその結果もまた、デジャブであるかのようであった。 「ジャッジで決着がつかなかったため、3分間の再々延長戦を行います!」 ……この一連のデジャブは2度3度と続いていくのであった。 結局、その後第10ラウンドまで行ったところで、ぱちゅりーがジャッジれいむを説得してゆっくり側の敗北を認めるこっとなった。 「ゆ゛……ゆ゛……ゆ゛……」まともな言葉も発することができなくなっているドスまりさ。 試合後にようやく応急処置が認められたが、自走できる状態ではなく、村の者たちが巣まで送り届けてやることとなった。 「はい、あなたのれいむよ。」 阿求という少女が、れいむをドスまりさのところに連れていってやった。 「あなたはよくやったわ。群れも無くならないでしょ? だって……あなたが自ら口減らししたんだもの。」 少女がドスまりさに言う。 その言葉は慰めにならない。その言葉は追い打ちにしかならない。もちろん、その事は言葉を発している少女が一番よくわかっているのであるが。 なにより、その声のトーンは喜びの色を隠し切れていなかった。 「ゆゆ? ゆっくりしていってね!」 うなだれるドスまりさを見て、れいむは無垢な表情でそういった。 あまりのショックで記憶を失っているのかもしれない。むしろその方が幸せなのであろう。 ドスまりさは、れいむに合わせる顔が無く、うつむいたままであった。 「れいむ、ぼうしのなかにはいってね……」 ドスまりさはうつむいたままそう言って、阿求に手伝ってもらい、帽子の中にれいむを収納した。 これで少なくとも巣に帰るまで顔を合わせずに済むのである。 「おさわがせしてごめんね……ゆっくりしていってね……」 ドスまりさはそう言って、村を去っていった。 正々堂々と戦い敗れたドスまりさに、観客達からは拍手が浴びせられる。 しかしその拍手さえも、ドスまりさには慰めにすらならなかった。 ドスまりさ達が去ったのを確認した後、リングとその周辺には残された虐待お兄さんと長老、そして観客達が興奮さめやらぬ様子で居残っていた。 虐待お兄さんがマイクを要求し、これを受け取る。 「しょっぱい試合してすんませんでした!」 リングの各方向にお辞儀をする虐待お兄さん。 「そんなことないぞー!」「おもしろかったぞー!」 観客はそれを否定し、虐待お兄さんはその言葉に再びお辞儀をした。 「長老、はいってきてください!」 虐待お兄さんは長老を呼び込む。 「長老、ここまで育ててくれて、本当にありがとうございます! これからもご指導よろしくお願いします!」 虐待お兄さんは長老に非常に感謝しており、この場を借りてお礼を言いたかったのだ。 何せ、今日までの特訓のトレーナーを務めたのは、誰あろう長老その人であったのだから。 その言葉を聞き、観客達は大きな拍手を送る。2人の事情を知っており、涙ぐむ者までいる。 すると、今度は長老が虐待お兄さんからマイクを受け取り、言葉を発した。 「素晴らしい試合だった。本当にありがとう! 感動した!」 まずは虐待お兄さんを労い、続ける。 「そして、長年の計画に協力してくれた皆、本当にありがとう!」 長年の計画…… 長老が若い頃から抱いていた野望…… それは1vs1ならば人間にも勝てると思っているドスまりさの心を、完膚なきまでに叩き折る事であった。 長老もまた、虐待お兄さんだったのである。 計画の主軸はすなわち、生身の人間との1vs1でドスまりさを打ち倒すことである。 この計画を思いついた時点で、残念ながら初代虐待お兄さん=長老の肉体は すでにピークを越えて久しかった。 そこで出会ったのが、ゆっくり虐待していた孤児の少年=今回戦った虐待お兄さんであった。 長老は少年に比類なき虐待の素質を感じた。そしてその可能性にすべてを賭けたのである。 長老は少年にゆっくり虐待アスリートとしてのエリート教育を施した。 そして、少年が青年になり、肉体のピークを迎えつつある今、計画を実行に移したのである。 今年は草原の植物が異様に少なかった。ドスまりさ達はそう思っていた。 しかし実際は、長老が命じて早い段階で植物の芽を摘んでいたのである。 村の畑は今年も豊作で、食糧庫には売るほどの蓄えが備わっているのだ。 村の者達はゆっくりの群れに手をだすことはない。ドスまりさ達はそう思っていた。 しかし実際は、長老が命じて気づかれないように誘拐して、各種処理を施していたのである。 その結果、虐待お兄さんのトレーニングは非常に身になる物となったのだ。 「それでは、皆さん、御唱和願います。」 長老は続ける。 その手には1匹のゆっくりが握られ、ガタガタと震えていた。 それはゆっくりれいむ種。ジャッジれいむであったゆっくりれいむである。 隣でジャッジを務めていた少女が気を利かせて、ストックしていた他のゆっくりれいむと飾りだけを交換して、偽物のれいむをドスまりさに渡したのだ。 長老は続ける。 「いくぞー!」 観客は応える。 「「「『 おー! 』」」」 そして長老と観客達が声を合わせる。 「「「「『 3! 』」」」」 「「「「『 2! 』」」」」 「「「「『 1! 』」」」」 「「「「『 ひゃっはああぁぁぁ! ぎゃくたいだあああぁぁぁ!!! 』」」」」 合唱とともに、長老……いや、初代虐待お兄さんは、手にしたゆっくいれいむを握りつぶした。 感動の試合をその目に焼きつけ、幸せな年の瀬を迎えるであろう村の者達であった。 一方、ドスまりさ達は絶望の年の瀬を迎えることになる。 それでも、ドスまりさは生き続けなければならない。 そうでなければ群れのために死んでしまった……いや自分が殺してしまった者達に示しがつかないのである。 だからドスまりさは生き続ける。 人間と1vs1で負けたことを背負い生き続ける。 100を超える同族を殺した罪を背負い生き続ける。 愛するれいむを失ったことも気づかぬまま生き続けるのである。