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ここは、広大なゆっくり平原。 ゆっくり名所である川に沿って上流へ向かうと、おなじく名所である林に入る。 さらに上流へと足を進めると、そこはもう山だ。 天を突くほどに伸びた木々は、その身に枝葉を思う存分茂らせ、さまざまな木の実をつけている。 数多の木々が作り出す静寂とした空気。 山にある森は知るゆっくりぞ知る、ゆっくり名所であった。 だが、山はゆっくり名所でありつつもゆっくり難所でもある。 なぜか? それは動物の数が下流の平原よりもはるかに多いからだ。 よほどの経験を積んだゆっくりでもなければ、山の森で暮らそうなどという者はいない。 そんな森の中に、 「ゆっくりしていってね!」 という声が漂ってきた。 2匹のゆっくり魔理沙だ。この山の中を飛び跳ね、餌を探している。 この2匹はつがいで、2回目の出産を経て、ようやく産後の肥立ちから回復したのだ。 交尾してから久しぶりの夫婦水入らずの狩りだった。 2匹がやってきたのは、川原だ。 水源にはまだ遠いが、この上流の水はとても綺麗で、きらきらと輝いて見える。 この水を毎日飲んでいれば、それはすくすくと育つだろうと思わせるほどだ。 この川には、ゆっくりを捕食する生き物も集まるが、餌も豊富というリスクに見合うリターンが確実にある場所だった。 しかも、今2匹の目の前には、魚がぴちぴちと跳ねていた。 川の中ではない。地べたで、だ。 2匹のゆっくり魔理沙は天の恵みとばかりにそれに近づいていった。 「おさかなさん!ゆっくりしていってね!」 「ごちそうだね!」 そう言って、わずかに体の大きいほう、年長のゆっくり魔理沙がその魚を口に含んで飲み込んでしまった。 無論、食べようとしているわけではない。巣への運搬のために一端体内に保存しているのだ。 鵜飼いとは違うが、あれを想像してもらえるとわかりやすいだろう。 2匹でびちびちと活きの良い魚を一尾ずつ飲み込んで、 「ゆ!まりさたちのえーよーになってね!」 「あわてないで、ゆっくりしていってね!」 などとご満悦の表情だ。 「あとは、きのみとかとっていこう!」 「そうだね、おさかなさんがいるから、それでじゅうぶんだね!」 来たときよりも重めの体を全力で飛び跳ねさせる2匹。 2回の子作りで、群れも10匹と大きなものになった。 上の四匹の子供達はそろそろ本格的に狩りに連れて行っても良い頃合だろう。 家族で狩りという、夢膨らむ素敵な想像に、2匹は浮かれつつも巣への帰路へとついた。 日が傾き、空が橙色に染まりつつあるころ、森もその様相を刻一刻と変化させていった。 木々の陰はゆっくりと伸びていき、まるで生き物のように森を昏い色で飲み込んでいく。 夕闇が迫りつつあった。 10匹のゆっくり魔理沙たちは、狩りの成果を思う様堪能していた。 年老いた大木の洞のなかをねぐらにしているので、広さは十分にある。 地面に並べられたご馳走は、無数の木の実に、色鮮やかなツツジの花。 そしてメインはなんといってもお魚さんだ。 もう1尾は明日の食料として、奥のほうで笹の葉に包まれている。 「はふはふ、うめぇ!めっちゃうめぇ!おさかなさんおいちい!」 「ゆっくりあじわってね!」 「おちついてゆっくりしてね!」 子供達の旺盛な食欲を温かく見守るのは、2匹の親ゆっくり魔理沙だ。 その表情は母といって差し支えないものだ。 子供達もそんな母たちの見ている中、喧嘩ともいえないようなじゃれ合いをしながら、ご馳走を食べている。 赤らんだ顔に溌剌とした眼差し、張りのよい高い声、あふれる覇気を支える柔軟性に富んだ動き。 その全てが健康状態が良好であることを示している。 さらに、はちきれんばかりに発揮されている元気から、この子らがのびのびと成長していることも存分にうかがえる。 ゆっくりにとって理想の家族像がこれだと言われたら、信じてしまいそうな情景だった。 この家族であれば、どんな苦難が降りかかろうとも、身を挺して子供達を守るに違いない。 そう、親が子を、姉が妹を、何を措いても守るのだろう。 年少のゆっくりは、そんな年長のゆっくりの行動を指標とし、さらに年少のゆっくりに対して同じように接するだろう。 ゆっくりたちにも受け継がれる意志があるのだ。 これは秋に起こったこと。 日々を満腔の幸福で彩っていたゆっくり親子を襲った黒い絶望のお話。 橙色の空が、恐怖に蒼褪めたように暗くなり、とうとう墨を流し込んだようになったころ、ゆっくり親子は巣でゆっくりしていた。 最年少の子供たちはすでに夢の中へと潜りこみ、安らかな寝息を立てている。 4匹がそれぞれお互いの顔を見合わせるような、円陣を組んだような体勢。寝付くまで年少組だけでおしゃべりに興じていたのだ。 そのすぐ隣には、年少組より二回りほど大きな4匹が、これまた円陣を組んでおしゃべりをしている。 年長組だ。 2匹の親ゆっくり魔理沙が狩りに出かけている間、年少組の世話をするのが日々の仕事だった。 むろん、簡単な狩りの真似事ならお手の物で、妹たちが蝶々や飛蝗をねだると、それらを取ってやっていた。 そんな年長組だから、妹たちが寝付いたときから、ぽそぽそと声を潜めてお話をしていた。 けれど、迫る睡魔に抗する術も持たないのか、すでに目がとろんとしていてまぶたも落ちかかっている。 「あしたもゆっくりしようね」 「みんなでゆっくりするよ」 と今日へのお別れを口にしていた。 親ゆっくり魔理沙たちは、8匹の子供たちが、全て寝静まるのを確認してから眠りにつくことにしている。 だから、真夜中の来訪者に気づいたのも、当然のことながら2匹の親ゆっくり魔理沙だった。 巣が揺れる。 地震だろうか?いや、違う。 何かがぶつかっているような音がしている。 それだけではない、みしみしと巨木が軋む音がかすかに聞こえてきている。 「ゆっ?なに?」 「ゆっくりかんがえてもわからないよ!みてくるね!」 「ゆっくりきをつけて!」 勇敢にも大きいほうのゆっくり魔理沙は、入り口から外を確認にしにいった。 片親は8匹のそばに跳ねていく。 まだ眠りの門は破られていないのか、安らかな寝息は乱れていない。 ほっと安堵の表情を浮かべる親ゆっくり魔理沙。 子供らを背に、入り口へと向き直ると、愛するつがいの怒声が聞こえてきた。 「うるさいよ!こどもたちがおきちゃうでしょ!ゆっくりいなくなってね!!」 続く静寂。 迷惑な来訪者は去ったのだろうか? いや、揺れはおさまってはいない。それどころか大きくなっている気配すらある。 何かがあったに違いあるまい。 即座に子供達を起こし始めるゆっくり魔理沙。 寝ぼけ眼をしぱしぱさせて、 「ゆっくりねむたいよ」 と口々に言う子供達。 「ゆっくりできないよ!おきてね!」 「ゆっ!?」 「ゆ゛っ!」 親ゆっくり魔理沙の声色にただならぬものが含まれているのに気づいたのか、姉ゆっくり魔理沙たちはしゃきりと身を持ち直す。 「ゆっくりおきてね!えらいことになるよ!」 「ほらほら、ゆっくりして!」 1匹1匹がそれぞれ年少組をきちんと起こし始める。 ゆっくりとは思えないほどのしっかりとした行動。 親ゆっくりへと連綿と受け継がれた教育がしっかりと根付いていることがうかがえる。 それからいくらもしないうちに、年少組を含めた8匹の子ゆっくり魔理沙たちは完全に覚醒していた。 9匹でそろりそろりと入り口の穴へと向かう。 当然先頭は親ゆっくり魔理沙だ。 その後ろに姉と妹でペアになった、4組の姉妹ゆっくり魔理沙。 親ゆっくり魔理沙は、入り口の穴から体を出しているつがいの後ろ姿を見つけた。 「まりさ!どうしたの?」 問いかけるも返答がない。 訝しんだゆっくり魔理沙が、それに触れるとぐらりと倒れた。 生きた匂いを感じさせないその動きは、9匹に冷たいものを与えた。 倒れたゆっくり魔理沙の体表面からは暗い色の塊が見える。餡子だ。それには顔がなかった。 「ゆ゛っ!?なかみがみえでるよ゛っ!!おがおがないぃいいぃいっ!!ぶりゅっ!!!」 つがいのゆっくり魔理沙が、その体の前半分を削り取られたことを理解すると、絶叫する親ゆっくり魔理沙。 声を上げた瞬間、その体躯に太いものが突き刺さった。 毛むくじゃらのそれは、たやすく親ゆっくり魔理沙を絶命せしめ、そのまま壁に叩きつけた。 「あ゛、あ゛~~~っ!」 「おが~~~ざ~~んっ!!」 それは、甘い匂いのするほう、姉妹ゆっくり魔理沙たちの方へと動き出した。 がりがりという音。荒い息遣い。 これはきっとバケモノだ。がたがたと震え始める遺された8匹。 恐怖にまみれているが、入り口から入って来れないのが救いと思っているのか、逃げようとしていない。 いや、そもそも裏口などと言うものがないのだ。 この巣は天然自然の作り出した洞穴。 ゆっくり魔理沙たちに、地面を掘り進むほどの膂力はない。 そもそもなだらかな地面には噛み付けるような場所も見当たらない。 「ゆっくりでていってね!」 「ゆっくりできないよっ!!」 「どこかへいってね!」 口々に叫ぶ姉妹。それが功を奏したのか、もぞもぞと探るように動いていた毛むくじゃらのバケモノはゆっくりと外へ戻っていった。 そのままじっとしていると、そのバケモノは本当にどこかへ去っていったのか、巣の揺れも鎮まっていた。 自分達の、8つの荒い呼吸音が重く響く。 どれほど経ったのだろう?じっと動かずに入り口を凝視していた8匹がやっと動き出した。 ふたつの遺骸を巣の奥へと運ぶ。 生前、2匹は自分達が何かで死んだら、その体を食べて栄養にしてね!と子供達に言い聞かせていた。 子供達は嫌がりながらもそれを受け入れた。それが埋葬という概念のないゆっくりたちの鎮魂なのだった。 しかし、そんなことはずっと遠い、想像することも出来ないくらいゆっくりと訪れる遠い日のことだと思っていたのだ。 姉ゆっくり魔理沙たちは、涙をかたく堪えながら、ただの大福と化した物言わぬ塊を運ぶ。 それに対して妹ゆっくり魔理沙たちは誰憚ることなく泣いていた。泣けるうちに泣いておいたほうがいい。涙は悲しみを流してくれる。 姉たちは妹たちに、自分達の分まで泣いておくれと、願っていた。 次の日、恐怖の晩が去り、辛い現実を受け入れたのか、静まりかえった巣の中では8匹のゆっくり魔理沙たちが、親の亡骸をむさぼっていた。 味に対する言葉を何も吐かず、食べられる幸福を見知らぬ誰かたちに伝えようともしていない。 ただ、親の死肉を口にしている。 その食事は、おそらく彼らにとって荼毘に付すのと同じ意味を持つ行為なのだろう。 粛々と進む、ゆっくりにあるまじき食事行為。 8匹の姉妹に去来しているのは昨日までの両親の笑顔か。 やがて、亡骸を全て8匹が身に納めると、とたんに騒がしくなる。野生生物は悲しんでばかりいられない。これからを両親の分まで生き延びなければならないのだ。 幸い、親の遺産とも言うべきお魚さんが巣の奥にある。数日はそれだけで乗り切れるだろうが、程なく飢えることは想像に難くない。 早急に狩りを習得しなければいけなかった。 姉妹は皆で協力して狩りをすることに決めた。2匹の姉ゆっくり魔理沙と2匹の妹ゆっくり魔理沙を一組として、二手に分かれていった。 数時間後、巣に集合した8匹の収穫は、木の実が多かったがまずまずというところで、彼らに自信を与えた。 「ゆ!これならまりさたちだけでもくらしていけるね!」 「ゆっゆっ!よかったね!おかーさんたちのきょういくのたまものだね!」 一斉に喜んでいる8匹を襲う揺れ。 「ゆ……っ!!!」 とたんに顔を蒼白に染める。また来たのか?あれが!? みんなで入り口に向かうと、案の定毛むくじゃらのバケモノが暴れていた。 がりがりと地面を掻き毟っていて、それはまるで穴を掘っているようだ。いや、ようだ、ではない、それはまさに穴を掘っているのだ。 それに思い至ったのか身をすくめて震える姉妹たち。両親を昨晩に亡くしたばかりで、もう彼らの命は風前の灯。 勇敢にも震えを抑えてそれに飛び掛る1匹の妹ゆっくり魔理沙。 「もうやめてね!ゆっくりでてってね!ゆっくりできないの!ゆっくりさせてね!」 飛び跳ねて、涙ながらに訴え、それに体当たりをしている。小さいながらも家族を守ろうと必死なその様子は、他の家族たちに勇気を与えた。 一斉に飛び掛る姉妹ゆっくり魔理沙。だが悲しいかな、最初の犠牲者はその勇気を与えた妹ゆっくり魔理沙だった。 「ゆぅ~~、はなしてね!ゆっくりさせてねっ!」 それに捕えられ、引きずり出される。そして外に連れて行かれた。 「まって!いまたすけるよ!!」 「いもーとをはなせっ!」 追いかける姉妹。 「ゆ゛ぅう゛ぅう゛う゛ぅう゛ぅう゛ぅぅっ!!!」 断末魔とそれに続く咀嚼する音。 「う゛わ゛ぁあ゛ぁぁぁっ!!」 妹の仇!とばかりに外に飛び出す姉妹。この毛むくじゃらのバケモノをどうにかしないと、これからもゆっくりできなくなる!そんなのは嫌だ!! 体の奥にある勇気を奮い立たせて次々と外に向かっていく。 「ゆ゛っ!?」 まごうことなき家族の仇を前にしたゆっくり魔理沙たちは、そんな声をあげて硬直していた。 その毛むくじゃらのバケモノは、それの一部に過ぎなかったのだ。 その巨大な獣は現れた甘い匂いのするものをじっくりと見下ろしていた。その口元には餡子とわずかの皮が付着している。 妹が食べられたことを悟っても、ほかのゆっくり魔理沙たちは身動き一つ出来ない。 絶対者の視線に射抜かれて、竦んでいるのだ。 それは熊だった。それも「山の神」と謳われるほどの羆だった。 おおきい。おそらくは400㎏は下らないその巨躯は、ゆっくり魔理沙たちに死を悟らせるのに十分だった。 右腕を振り上げ、振り下ろす。 たったそれだけの行動で、7匹のゆっくり魔理沙たちは次々と吹っ飛び、屠られていった。 何故羆がゆっくりたちを?その理由は川で親ゆっくり魔理沙たちが見つけた魚が、この羆が獲った餌だったからだ。 熊は総じて執着心が強い。 一度自分の物だと定めたものを奪われたら、それを奪い返すために執拗に追いかけてくるのだ。 この家族の運命は、両親が魚を見つけたときに決まっていたのだった。 ここは広大なゆっくり平原。 ありとあらゆるゆっくりが、思う存分ゆっくりできる場所。 しかし山に暮らすゆっくりたちは、1年ともたない。 秋になると、冬眠を控えた熊の餌になるからだ。 万が一、運良く逃れたとしても、冬眠に失敗した「穴持たず」に、冬篭り真っ最中の巣を襲われ、根こそぎ食い尽くされてしまう。 山に入って、春を迎えられるゆっくりは存在しない。また、山から帰ってきたゆっくりもいない。 だから、平原にいるゆっくりたちの何割かは、毎年まだ見ぬ新天地を求めて山へ向かうのだ。 自分達の体から漂う甘く、美味しそうな匂いが、もっとも危険な獣を引き寄せることも知らずに。 終わり。 陸上最強生物の羆さんにお出まし願いました。 参考文献:三毛別羆事件の記事 熊こえ~ 著:Hey!胡乱 このSSに感想を付ける
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※『森のお医者様』 ]]『村のお医者様』の続きですので、そちらのほうを読んでから このSSを読んでいただかないと話の流れが分からないと思うので、上記2作を読んでいない方は、お手数ですが 上記2作を読んでからこのSSを読んでください・・・ 勝手ですが、作者からのお願いです。 (ちなみに、 青年=えーりんを飼っている男、幼馴染=青年の幼馴染である虐待お兄さん、男=めーりんを飼っている男、と分けていますです。 えーりんは、幼馴染の言葉にしばし呆然となった。 えーりんは呟いた。 「・・・どうして?」 どうしてなのだ。自分がぷれいすを離れたのはあいつらに言われたことが原因だというのに。あんまりにも身勝手すぎる。 「おい」 えーりんの飼い主の青年は呼びかける。幼馴染は顔を向ける。 「マジで?」 「こんな微妙な嘘つくわけねえだろアホか」 「・・・めんどくせえなぁ・・・えーりん、どうするんだ?」 ガリガリと頭を掻きながら青年はえーりんに問いかける。 「いかないというわけにもいかないでしょう」 「そうか・・・」 その会話に、怪我をして先程治療を受けに来ためーりんを飼っている男が口を挟んだ。 「あー、その・・・行く必要は無くなったみたいだぞ」 「え?」 二人と一匹は男に顔を向ける。 男は、青年の家の窓から少し離れた位置から、地面を見下ろしている。 その方向には・・・ 「「「「「えーりんをかえしてね!!ぷんぷん!!!」」」」」 「「「「「ぷきゅーっ!!」」」」」 地面には5匹の成体ゆっくりと、同じく地面に5匹の赤ゆっくり達が固まっていた。 成体ゆっくりのうち2匹(れいむとちぇん)は、腹が膨らんでいる。にんっしんっしているのだろうか。 赤ゆっくりは、まりさが2匹ありすが2匹、みょんが1匹。 その全てが、頬を膨らませて威嚇している。 「そういやあこの家って森に一番近いんだったっけな・・・」 幼馴染は呟く。 えーりんは黙って家の窓のふちまで跳ねていき、そこからそのゆっくり達を見下ろした。青年達はそんなえーりんの後姿を見守っていた。 「ゆ!えーりんだぜ!!」 まりさの一言に弾かれたように、ゆっくり達は威嚇を止めて、 「えーりん!れいむたちのゆっくりぷれいすにもどってきてね!!」 「おねがいするわ!あなたがいないとふあんでゆっくりできないのよ!」 「ちーんぽ!」 「わかってねー」 成体5匹は口々にこう言う。赤ゆっくり達は目を輝かせて「ゆぅ~」と言いながらえーりんを見つめている。 それを見たえーりんは、目を細め、不機嫌そうな表情で、突き放すように言った。 「・・・いやよ」 それを聞いたゆっくり達は、 「「「「「どぼじでぞんなごどいうのぉぉぉぉぉぉぉ!!!???」」」」」 と、涙を撒き散らしながら声をそろえて嘆く。 「いまさらぷれいすにかえるきになんてならないもの」 「なにいっでるのぉぉぉ!!!えーりんはありずだぢのゆっくりぷれいすのおいしゃさまでしょぉぉぉ!!」 そう言うありすに向けて、えーりんは答える。 「それはちがうわ。 わたしはゆっくりのおいしゃさま。あなたたちだけのものになることはできない」 「ぞんなごどいわないでねぇぇぇ!!!」 「えーりん!おねがいなのぜ!かえってきてほしいのぜ!」 そう言うまりさに、えーりんは顔を向け、 「あなたがそれをいうの?どのくちでいってるのよ?」 そこまで言ってから一呼吸置き、さらに咎めるような口調で言った。 「ねえまりさ。あなた、どうしてわたしがぷれいすをはなれたのかわかってるの?」 「・・・ゆ?・・・ぷれいすがゆっくりできなくなったから?」 「うん。じゃあゆっくりできなくなったげんいんは?わかる?」 えーりんは静かに、しかし強い口調で、まりさに言葉をぶつけていく。 このまりさは、ぷれいすが捕食種達に襲われた次の日に、治療をするえーりんを罵倒したゆっくりの一匹である。 頬につけられた、治りかけている大きな傷が目印だ。 そのときに言い放たれた言葉を、えーりんは未だにはっきりと覚えている。 「えーりんなんてえいえんにゆっくりできなくなっちまえなのぜ!!!」 そうまで言ってのけたまりさが、今こうしてえーりんを連れ戻そうと説得しているのは、ひどく滑稽に思える。 「・・・わからないのぜ」 まりさは数十秒間悩んだが、答えを導き出すことができなかった。 自分に都合の悪いことは忘れてしまうという通常ゆっくりの性質を、えーりんは改めて確認した。 「そう。まあ、あなたがおぼえていたとしてもわたしはぷれいすにもどったりすることはないけどね」 「どういうことなのぜ?」 「ねえまりさ。わたしがぷれいすをでていったのは、あなたにもげんいんがあるのよ」 「ゆ!?・・・なにいってるのかわからないのぜ」 「はぁ・・・」 えーりんは溜め息をついた。 えーりんを見上げていたゆっくり達も、折れないえーりんを見て、すっかり元気を無くしてしまっている。 数秒の沈黙の後、えーりんは振り向いて、青年達に向かって、 「こいつら、どうおもいます?」 と問いかけた。 「勝手だな」 「しつこい」 「いじめまくりたい」 と、青年、男、幼馴染の順に言った。 「・・・さいごいがい、わたしもどうかんです」 えーりんは言う。 「どぼじでぞんなごどいうのぉぉぉぉぉ!!??」 幼馴染は叫ぶ。 「・・・おにいさんのおともだちさん、ゆっくりがそのごしゅみをりかいするわけにはいかないのです」 「・・・そうか・・・」 「そのごしゅみは、ぐたいてきにどういうことをするのかは、どすゆかりんからきいています」 「なんでそんなこと知ってるの君のところのドスは・・・」 「しょうじき、そのごしゅみのたいしょうがわたしにむけられたら・・・とおもうと、すごくこわいです。 まあ、でも、そのごしゅみのたいしょうをわたしにむけられることがなければ」 「なんだそうか。安心しろ、君を虐めたいなんて思わないから」 幼馴染は満足げに頷きながら言う。 「というか、そのごしゅみじたいなくしていただけると、ほんとうにあんしんできるのですが」 「すまぬ、それは無理だ」 「・・・まあ、それはともかく、こいつら、なんとかしていただけませんか?」 「え?マジ!?」 「あ・・・その・・・わたしがおねがいしたいのは、こいつらを、 おにいさんたちのほうからもとのぷれいすにもどるようなんとかしていただきたいというだけです。 いじめたり、えいえんにゆっくりできなくなるようなことはしないでいただけますね?」 「ゆ・・・?」「え、えーりん、なにいってるの?」 ゆっくり達と同様に、青年達も困惑した。 「・・・いいのか?その、言うこと聞いてやらなくて」 幼馴染は確認する。それに、えーりんは頷く。 「いいんです」 「そうか。あ・・・その、さ、君のとこのドスからなんか報復されたりする可能性があるのかもしれないのが心配」 「だいじょうぶだとおもいます。どすはわたしがぷれいすからはなれることにはんたいはしませんでしたし、 こいつらは、どうせどすからのきょかもとっていないでしょう。どすがこんなおおぜいをよこしてくるとはおもえませんから」 ちなみに、許可を出された?のはまりさ一匹だけである。 「ドスねえ・・・君のとこのドスって、そんな優秀なのか?」 再び聞いてきた幼馴染に、またえーりんは頷く。 「どすは・・・きびしくもありますが、どすのいうとおりにすれば、どんなこともうまくいくんです。」 「・・・そうか。ドスには怒られ、さらに時間を割いて村まで来たのにえーりんを連れ戻せなかった、じゃあ 得することがなんも無くなっちまうから、絶対にえーりんを連れ戻さなくちゃいけないわけだ」 「・・・わたしにはなんともいえませんが・・・そうなのかもしれませんね。こんなにしつこいのは」 「ハハッ、こいつらも馬鹿だな。苦しんで殺される位なら怒られるほうがマシなのに」 「え?」 「いやなんでもない」 彼は、少々心が痛むが、えーりんに言われたことを守るつもりは無い。 幼馴染は、猛スピードで玄関へ向かい、青年の家から飛び出して、頬を膨らませるゆっくり達を捕まえようとした、その時・・・ 「ま、まって、ください!にんげんさん!!」 という声が聞こえた。 えーりんとゆっくり達と幼馴染は、声のした方向に顔を向けた。こちらに向かってきたのは・・・ 「「「「「「「らん!」」」」」」」「らんとは。珍しい」 群れの幹部の、あのらんであった。 「はぁ、・・・はぁ・・・」 「らん、どうしたのよ?!」 えーりんはぽいんと窓から降りて、らんに尋ねる。青年はそれを追うように窓に歩み寄って、窓から地面を見下ろす。 らんは、息を切らしながら告げた。 「・・・っ、そいつらを、つれもどしに、きた」 「?」 「ら、ら、らんだぁぁぁぁぁぁ!!」 「ゆっくりできないわぁぁぁぁぁ!!!!」 「ゆっくりごろしがれいむにぢがづがないでねぇぇぇ!!」 「ちっ、ちんぽ!!」 「・・・」ガタガタ 叫ぶ4匹、みょんの背後に隠れて震えるちぇん。五匹の普通ではない反応と、そしてれいむがらんに向けて言った言葉が、えーりんは気にかかった。 「らん、あなた、なにをしたの?」 「・・・」 らんは俯きながら黙っている。 「らんは・・・らんは、れいむをえいえんにゆっくりできなくさせちゃったんだぜ!!!」 まりさが叫ぶ。その言葉に、えーりんはにんっしんっれいむを見ながら首を傾げる。 「れいむならそこにいるじゃない。なにいってるの?」 「そうじゃないぃいいい!!!もうひとりれいむがきてたのぉぉぉお!!!」 「ああ、そういうことね・・・でも、」 えーりんの知っているらんは・・・というか捕食種でないゆっくりなら当然のことだが、 無闇に他のゆっくりを殺したりはしない。らんは群れの幹部をやっていけるくらいなのだからなおさらのことだ。 らんが我を忘れてそんなことをするとは、ただ事ではない。恐らく・・・ 「そのれいむが、らんをおこらせるようなことをしちゃったんでしょ?」 「ゆ・・・まあ、それは・・・」 「やっぱり」 「それよりらん、れいむのあかちゃんはどうしたのよ!?まさかおきざりに・・・」 らんは黙ったまま尻尾で帽子を上げて頭頂部を見せる。そこに、 「ゆぅ~・・・」「ゆぴー」 あの3匹の赤れいむ達がいた。グッスリと眠っている。目に隈が出来ている。泣き疲れてしまったのだろうか。 「あぁ・・・」 五匹は安堵の溜め息をつく。 それを見てから、らんは口を開く。 「れいむのことは、ほんとうにすまなかった。ばつはかならずうける。 おまえたちといっしょにぷれいすにもどってからな」 「・・・」 「だからたのむ、ぷれいすにもどってくれ、みんな」 「えーりんは・・・どうするの?」 ちぇんはえーりんのほうを向いて尋ねる。 「なんどいえばわかるの?」 「わっ・・・わかるよ~・・・ごめんなんだよ~」 「っていうかあなたたちなんでわざわざおちびちゃんたちまでつれてきたのよ?あしでまといじゃない?」 「ゆ・・・それはね・・・」 れいむはまりさのほうをちらりと横目で見る。 まりさは口を開いた。 「おちびちゃんはゆっくりできるものだぜ!かわいいぜ! だからおちびちゃんたちをみせればにんげんもめろめろになって、えーりんをつれてかえってもひきとめられないだろうとおもったのぜ!」 それを聞いた青年は呟く。 「ゆっくり理論は理解出来ん・・・」 それを聞いたえーりんが振り向き、青年を見上げて、そして苦々しげに笑いかけ、言った。 「しょうがないです。にんげんさんとわたしたちはちがいますから」 「そうだな」 青年とえーりんは笑いあった。 「えーりん、なにしてるのぜ?」 まりさの呼ぶような声が背後から聞こえたので、えーりんはまた振り向いた。 「なんでもないわ。それより、いつまでここにいるつもりよ?」 「えーりんがまりさたちといっしょにぷれいすまでかえるけっしんをつけるまでだぜ」 それを聞いたらんは、イライラしたような声でまりさに言い放つ。 「・・・まりさ」 「ゆ?」 「いいかげんにしろ。もうすぐひがくれる、れみりゃやふらんがあらわれるじかんだ。はやくもどらないといけないぞ」 「そうなったら、にんげんのおうちをうばえばいいのぜ。そんなこともわからないのぜ?」 「えっ」 「何それ怖い」 まりさの言った言葉に、青年と幼馴染は反射的に呟いた。 それに対し、まりさはこう言った。 「ゆ?なにまぬけなかおしてるの?まりさたちにできないわけないでしょ?」 「「「「・・・」」」」 青年と男とえーりんとらんは、心底呆れたような顔でまりさを見つめている。 「な、なんなのぜ?できないとでもおもってるのぜ?」 それに対して、幼馴染が答える。 「何なの?出来るとでも思ってんの?」 「あたりまえだぜ。にんげんがたばになってかかってきてもまりさにかなうわけないでしょ」 「いつも思う。その自信の根拠はどこから来るのかと。お前今まで人間に会った事あるか?」 「これがはじめてだぜ」 「えっ・・・おかしいって思ったことは無いか?」 「ないぜ。でも、まりさはもりのなかならつよいほうにはいるとはおもってるぜ!」 「えっ・・・その、もう一回聞くが、ゆっくりが人間に勝てると思ってるのか?」 「そうだぜ!ひとめみてわかったぜ!にんげんにまりさがまけるわけないぜ! おおきさなら、にんげんとまりさはおなじくらいなのぜ!!」 どうやらこいつは頭の大きさで敵の強弱を見極めるタイプのゆっくりのようだ。 「ああ・・・なるほどね。でもさ・・・本気で思ってる?」 「あたりまえだよ!!!なんかいいわせるの!?」 「えぇ~何コイツ思考回路おかしいよ絶対・・・えーりんに診てもらうべきだろ・・・」 と嘆く青年に、幼馴染は諭すように言い始めた。 「まあそう嘆くな我が友よ・・・ ゆっくりにも個性ってものは当然ある。その個性が形成されていく過程で、ゆっくりは色んなことを吸収していくわけだ。 親のからの知識だったり、自分の体験からだったりな。 そんで、このまりさはたまたま、自分と同じくらいの大きさの敵に勝ち続けてきちまったんだ」 「れみりゃにぼろぼろにされちゃったことはわすれたみたいですけどね」 「・・・だから、ゆっくりの基準なら、特別頭がおかしいってわけじゃないのさ。こんなこと言うゆっくりはたくさんいるぜ。 それに、さっきえーりんが言ってただろ。人間とゆっくりは違うって」 「・・・ふーん。ためになるお話をありがとう」 青年は、別になんとも思っていないような表情で幼馴染に礼を言った。 「・・・で、らん、どうするのよ?」 えーりんは、無表情のままらんに問う。 それに対し、らんは、呆れ顔で言った。 「・・・さっき、もりのなかでわたしのいったことをおぼえてないようなら、わたしと、れいむのあかちゃんだけでぷれいすにもどる」 「「「「ゆ!?」」」」「ら、らんしゃま?」 「・・・らん、ぷれいすにかえるの?」 えーりんは確認する。 「そうだな。もうかえる。・・・ゆかりんさまから、つれもどしてこいとしれいをうけていたのだがな。 そのけっかがあかれいむさんにんだけとは、もうしわけないきもするが」 「どすになんていうつもり?」 「ありのままをはなすしかないだろう」 「そう。・・・らん、たっしゃでね」 「ああ」 「・・・あ、らん。いつもの、わすれてたわね」 「え?」 「ゆっくりしていってね」 「・・・ああ。ゆっくりしていってね!」 えーりんと別れの挨拶を交わしたらんが後姿を見せた瞬間、ちぇんはその後を追おうとした。 「ちょ、ちょっとまってらんしゃま!まって、おいてかないで!!」 「・・・どうしたのちぇん?にんげんさんはこわくないんじゃなくて?」 えーりんの問いに立ち止まって、振り向いて、ちぇんは答えた。 「・・・らんしゃまは、どすがあいてをしてもにんげんさんにはかなわないっていってたよ~・・・はじめはしんじられなかったけど、 らんしゃまのいうことはいつもただしいんだよ・・・だから、いまさらだけどこわくなってきたよ・・・それに、」 「ん?」 「らんしゃまにみすてられるのも、おなじくらいこわいよ~・・・ゆっくりできないんだy・・・ゆ?」 「・・・」 そこまでえーりんに向けて言ったとき、ふと、ちぇんは、まりさの様子がおかしいことに気付いた。 「まりs」 どうしたの?と続くはずだったのだが・・・ 「ゆっくりでぎないえーりんはゆっぐりじねぇぇぇぇぇぇ!!!」 まりさはそう叫び、えーりんに体当たりをした。 「ゆ゛っ!?」 えーりんはそのまま幼馴染の足元まで転がる。 それを見たちぇんは・・・いや、まりさ以外の、そこに居合わせた全ての生き物が驚愕した。 叫び声を聞きつけたらんがこちらまで戻ってくるのが見えた。 「ちょ、ちょっとまってねまりさ!えーりんをゆっくりできなくさせちゃだめだよ!!」 れいむはそう言うが、まりさは怒りの形相のまま再び叫ぶ。 「なんでえーりんはまりさたちのいうことをきいてくれないのぜ!?いうこときいてくれないと、まりさおこるのぜ!! まりさをおこらせるといたいめにあうんだよ!!またいたいめにあいたくないなら、いまのうちにぷれいすにもどるけっしんをしてね! でないと、まりさがえーりんをえいえんにゆっくりできなくさせるよ!!!」 その言葉を聞いた他の4匹はうろたえた。 「・・・ふふっ」 えーりんは、横になったまま砂だらけの顔に笑みを浮かべるだけだ。 「えーりん!さっさt」 「このばかまりさがぁぁぁぁ!!!」 「ゆべっ」 その時、らんがまりさに体当たりをして突き飛ばした。まりさの帽子が舞い上がる。 突き飛ばされたまりさのほうに、成体4匹は跳ねていく。 落ちてきた帽子を咥えて横に置くと、らんはまりさに向かって言い放つ。 「じぶんのいうとおりにならなければゆっくりできなくなれだと?・・・きさまがそんなわがままだとはおもいもしなかったぞ」 「ら、らん・・・」 「それにまりさ・・・いつもいつも、もじどおり『みをけずって』けがをなおすえーりんがいたみになれていないわけがないだろう。 こうげきでえーりんをおることはできん。 そんなちょうしだからえーりんにあいそをつかされるのだ」 「ゆ・・・」 「まりさ、こんごいっさいぷれいすにはもどってくるな。このぼうしはつかえなくしておく」 「ゆぅ!?」 言い終えたらんは、まりさの帽子を尻尾に引っ掛けたまま、今度こそ森の方向へ去っていった。 「ち、ぢょっどまっでぇぇぇぇ!!!ばりざのおぼうじぃぃぃぃ!!ゆっぐりでぎないよぉぉぉ!!!がえじでぇぇぇぇ!!!」 まりさは横になったまま顔を歪めて号泣するが、らんが振り向くことはなかった。 そんなまりさを、周りの成体4匹は冷ややかな目で見つめていた。 えーりんは、玄関から外に出てきた青年に抱きかかえられたまま、5匹を見下ろしていた。 いたたまれなくなったちぇんはらんの向かっていった方向に顔を向ける。既にらんの姿は見えなくなっていた。 ちぇんは口を開いた。 「みんな・・・かえろうよ・・・」 まりさ以外の3匹は、その言葉に無言で頷いた。 4匹は、抱きかかえられているえーりんを見上げ、一斉に言った。 「「「えーりん、にんげんのむらでゆっくりしていってね!!!」」」「ちーんぽ!!!」 その言葉に、えーりんは答えた。 「ゆっくりしていってね!!!」 と。 「なんか日本語として成立してない気がするんだが」 「だから人間とゆっくりは違うんだってば」 「いや、きっと今のえーりんの『ゆっくりしていってね』は『ゆっくりしていくね』って意味なんだろ」 「なら『ゆっくりしていくね』って返せばいいじゃん」 「それは『ゆっくりしていってね』って言われたから仕方ないことさ。これが定番だし」 「えっ・・・俺初対面のとき『ゆっくりしていくよ』って返しちまったんだが」 「まあそれは、お前は人間だから気にしなくていいんだよ。俺なんて『うるせえ死ね』って返すし」 「「それは無いわ」」 頭上で繰り広げられる『ゆっくりしていってね』についての議論に耳を傾けながら、 らんと同じ方向へ去っていった4匹をえーりんは見送った。 「・・・そう。分かったわ。残念だけれど」 「もうしわけありません」 運よく、捕食種に出会うことなくぷれいすに帰ったらんは、元の親れいむの家の中に、食料を添えて赤れいむ3匹をそっと置いた後、 ドスゆかりんの巣穴に戻り、今回のことのありのままを報告した。 「らん、あなたもゆっくりだから、もちろん失敗することもあるのはわかるわ。とは言えど、今回が初めてよね。失敗したのは」 「はい」 「正直、意外だったわ」 ゆかりんは笑いながららんに言う。 「私は『なんとしてでも連れ戻して来い』って言ったのにね。あなたが私の指令を破るなんて思ってもみなかったわ」 「ほんとうに、もうしわけありませんでした」 「良いのよ、気にしなくて。ま、ゆっくり殺しの件の罰は考えておくけれど」 「はい」 「今日は、あとはゆっくりおやすみなさい」 なんとも妙なことだ。数時間前と言っていることが違っている。 「はい。おやすみなさいませ」 「ええ」 自室に戻るらんの後姿を見送り、ゆかりんは考える。 (人間さんと交流をなくしてしばらくすれば、こういうことは必ず起きるっていうことを覚えとかなくちゃね) 思えば、森の奥にぷれいすを移してから2年が経っている。 ちなみに、群れの創立は6年前、らんが幹部になったのは3年前である。 (群れのゆっくりがまた減ったのは大変だけど、よく考えたら結構簡単に私たちは数を増やすことができるし、 このぷれいすに住んでるわけじゃない他のゆっくりがここに住み始めることはちょくちょくあるのよね) 事実、らんが人間の村に行っている間にも、一匹のまりさが、このぷれいすでおうち宣言をさせてもらったりしている。 (大丈夫だと思っておこうかしら。きっとあのまりさ達はもう帰って来ないだろうから、もう人間さんに関わろうなんて誰も思わないだろうし。 あのまりさ達には申し訳ないけど、誰かがこういう目に会わないといけなかったのよね。 ・・・でも、食料調達のとき以外は、しばらくは群れの外出を制限しようかしらねぇ・・・) そこまで考えたとき、外から、数匹のゆっくりの声が聞こえてきた。 声の雰囲気からすると、なぜだか知らないが、安堵したような様子である。 なにやら良い予感がしたゆかりんは、隙間をつなげて、上空からぷれいすを見下ろした。 ゆかりんの視線の先には、成体ゆっくり4匹と、その子供達が映っていた。 (・・・らん。これだけ帰らせてきたなら、十分に仕事はしてきてくれたみたいね。 外出制限じゃなくて、代わりに人間さんについての勉強が必要になっちゃうでしょうけど) ゆかりんとらんが居る限り、このぷれいすは安泰だろう。 いつものとおり、村のゆっくりの診察をし、夕食を食べ、そしてまた診察をし、 と言った調子で過ごしたこの日の夜。 「えーりん、本当に良かったのか?」 青年は布団にえーりんを入れながら尋ねる。 「はい?」 えーりんは首をかしげる。 「ぷれいすに戻らなくてさ・・・必要とされてるんだぞ?」 「いいんです。・・・ここにもひつようとしてくれるゆっくりがいます。それにわたしは、ここのほうがゆっくりできるんです」 「・・・そうか」 「はい。とっても」 「・・・」 「それに、このむらにすんでるひとたちもやさしいですしね」 「・・・そうか」 「はい!」 えーりんは笑顔で言う。 そんなえーりんを見て、青年は思った。 (なら、絶対にあいつに手は出させないようにしないとな。飼いゆっくりに手を出したことは無いって言ってたけど、それでも心配だ) 「それと、えーりん」 「はい?」 「君でも怒ることがあるんだな」 「・・・うふふっ、あたりまえですよ」 「そうか」 「ええ」 「おやすみ、えーりん」 「はい、おやすみなさい。おにいさん」 一人と一匹は夢の世界へ入っていった。 「ひゃ、ひゃめるのふぇ!まりふぁにほんなことひないでほひいのへ!!」 部屋の中には、頬を膨らませた帽子の無い成体まりさと、一人の男がいる。 「やめるわけねーだろカス。とっととその口ん中のお前の子供吐き出せよ。それともその口、二度と開けないようにするか?」 「ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛!!!」 口を閉じて涙を撒き散らしながら首・・・?身体を振るまりさに平手打ちをしているこの男は、 先程のえーりんの飼い主の幼馴染だ。彼は筋金入りの虐待家なのだ。 「喋れ。どうして欲しいのか言ってみろ。子供を吐き出して自分だけは助かりたいのか。 それとも子供を飲み込まざるを得ないような口にさせられて、子供だけは俺の手に触れさせないようにして、あと自分は餓死したいのか」 「ん゛ん゛っ」 どちらに対しても首を振るまりさを見て、にやりと笑った彼は、今度は拳を握り締めて、まりさの顔面を殴りつけた。 「ゆ゛っ!!」 嫌な音と共に、まりさは壁に激突した。その拍子にまりさは横になり、あんよを晒した。 真っ黒に変色している。つまり、このまりさはもう動くことはできない。 つまり・・・まりさのゆん生は、いわゆる『詰み』に嵌ってしまっているのだ。 近づいてくる彼を見るまりさの心に、絶望が広がっていった。 次の日、大きな餡子の塊が入ったゴミ袋が、ゴミに出されていた。 あとがき 結局、全体的にあっさり気味になってしまった。 あと、本当はあの5匹とその子供達も虐めたかったんだけれど途中で飽きたのでこんなんになっちゃいました。 まあ、そんなことより、 何回も地の文とか台詞を書き直してるせいか、書いてる最中「えーりん」の文字がゲシュタルト崩壊した。 byめーりん萌え このSSに感想をつける
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前 8匹のゆっくりが生れてから1週間が経った。 巣穴には1匹の親まりさ、1匹の子パチュリー、そして7匹の赤ゆっくりがいた。 「むっきゅ!きょうのごはんはケムシさんね!ゆっくりしてておいしそう!!」 次々と口から確保したエサを吐き出す親まりさに子パチュリーは目を輝かせた。 毛虫といえば滅多に食べることができないご馳走だ。 「ゆゅー・・・、おかあさん・・・ありすもケムシたべたいよ」 「まりさもゆっくちしたいよ・・」 巣穴の隅に集まった7匹の赤ゆっくり達は、蚊の消え入るような声を上げた。 生まれて1週間が経った今も、この7匹はプチトマトサイズのまま変わっていない。 「うるさいよ!!これはパチュリーのご飯だよ!みんなはいつもみたいにゆっくりしててね!」 後頭部を向けたまま、親まりさは恫喝する。 暗かった顔をさらに暗くし、7匹の赤ゆっくりは巣穴を出た。 「ゆ・・・どうちてありすたちは ごはんをもらえないのかしら・・」 「まりさもゆっくちちたいよお・・」 「まりさ なかないでね!きっといつかゆっくちできるよ!」 「そうだよ!パチュはからだがよわいんだからがまんだよ!」 「おねーさんだからがまんしようね!!」 巣穴を出ると、小さな穴がある。 蟻の巣だ。 「ゆ・・!アリさんゆっくちちてね!まりさとゆっくちだよ!」 巣から出てきた小さな蟻に舌を伸ばす。 粘着性のある舌に捕らわれた蟻は、そのまま赤まりさの口の中に納まった。 生まれてから1週間、7匹の赤ゆっくりが食べたものは蟻と草だけだった。 巣穴の周りの草は、赤ゆっくりの旺盛な食欲のため2日でなくなってしまった。 ほんの少し離れれば、草は無限に広がっていたが、赤ゆっくりにとって巣穴から離れることは恐怖である。 親まりさから離れたら危険、そう思うと草を食べることができなかった。 育児など一度もしてくれなかった親まりさであるが、いざとなったら守ってくれると赤ゆっくりは思っていた。 「ぜんぜんおなかいっぱいにならないよ・・ゆっくちちたいよ・・・」 食欲旺盛な赤ゆっくりのお腹が膨れることはない。 思い出すのは親まりさが取ってきた、あの毛虫。 ふさふさでカラフルな毛と、はち切れんばかりに丸々とした体、とても美味しいそうだった。 「ありすもケムシたべたいよ・・」 ふとこぼれる独り言。 それを聞いた6匹の赤ゆっくりは何も返事をしなかった。 一度も親まりさからご飯をもらえたことはない。 いつだって親まりさの持ってくるエサは子パチュリーのものだった。 一度、赤まりさが子パチュリーのエサに飛びついたことがあった。 「ゆゆっ!おねーちゃんも食べちゃうよ!いっしょにゆっくちちようね!」 赤まりさはおちゃめのつもりだった。 親まりさは笑って許してくれる、そう信じていた。 周りの赤ゆっくり達も、それに便乗する形でエサに飛びついた。 そうだ、きっと許してくれる。だって自分達のお母さんだもの。 子パチュリーは病弱だから、ご飯を優先してるだけだ。 だから別に自分達は嫌われてるんじゃない、本当にお腹がすいたことが分かれば食べさせてくれるはずだ。 子パチュリーがかつてやってもらったように、きっと1匹ずつ咀嚼したご飯を口移しで食べさせてくれる。 赤ゆっくり達は無条件に親まりさを信頼していた。 しかし、親まりさにとってはもはや7匹は、最愛の子パチュリーからエサを奪おうとする敵にしか映らなかった。 結果、7匹は親まりさに巣穴からつまみ出された挙句、罵詈雑言を浴びせかけられ、死なない程度に体当たりをされた。 だが、それでも赤ゆっくり達は親まりさのことを信頼していた。 おそらく今日は機嫌が悪かったのだろう、だから次は大丈夫だ。 餡子脳と親への愛が入り混じり、現実味の無い答えが導かれる日々であった。 7匹が巣穴に戻ると、ワラのベッドの上で親まりさが飛び跳ねていた。 「ゆゆっ!パチュリーこうだよ!!ゆっくり飛び跳ねてね!!」 ワラのベッドには子パチュリーもいた。 同じように飛び跳ねる子パチュリーであるが、赤ゆっくりの身長ほどの跳躍しかなかった。 「むっきゅ!むっきゅう!!ぜんぜんとべないよ!!どうしてなの!」 子パチュリーの大きさは、すでにソフトボールほど。 未熟児だったが、もう正常に生まれるはずだった大きさまで成長できた。 「ゆっ!?どうして!?パチュリーがんばってね!!!ゆっくり跳ねてね!!」 お手本なのか、それとも勇気付けるためか、親まりさが跳ね続ける。 その高さは1メートルほどにもなる。 「むきゅっ!むきゅー!!」 何度繰り返しても子パチュリーは、自身の身長の半分ほどしか跳躍はできなかった。 この大きさのゆっくりならば、30センチメートルをゆうに越える跳躍をするはずだ。 周りで眺めている赤ゆっくり達も、子パチュリーに飛び乗るくらいは跳ねることができる。 「パチュリー、ゆっくちとびはねてね!!」 「こうだよ!ゆっくちはねようね!!」 応援するように一緒になって飛び跳ねる赤ゆっくりを見て、親まりさは気が付いた。 7匹が栄養を吸ったせいで、子パチュリーに先天的な障害が生まれてしまったことに。 「むきゅ!ありがとう!ゆっくりはねるね!!!」 7匹に笑みを向ける子パチュリーに、親まりさは顔を苦くする。 子パチュリーが今苦しんでいるのは、全てこの7匹が原因なのだ。 白々しい応援などするんじゃない、親まりさの体が怒りで震えた。 「ゆっ!赤ちゃん達、ゆっくり外について来てね!!パチュリーはゆっくり練習しててね!!」 親まりさの言葉に7匹の赤ゆっくりは目を輝かせた。 今まで親まりさから話しかけてくれることなど、一度もなかったのだ。 もしかしたら美味しいご飯を食べさせてくれるかもしれない。 「ゆ!ゆっくちついていくよ!!」 「ごめんねパチュリー!おねーちゃんはゆっくちしてくるよ!」 「ゆっくちできる!?」 「むきゅん!ゆっくりしていってね!!」 子パチュリーは満面の笑みで親まりさと7匹の赤ゆっくりを見送った。 子パチュリーは親まりさのことは大好きだったが、7匹に対する接し方は理解できなかった。 同じ姉妹なのに、餡子の繋がる8人姉妹なのに、どうして親まりさは7匹を毛嫌いするのだろうか。 そんな疑問を子パチュリーはずっと抱えていた。 ご飯を7匹にも食べさせてと言っても、親まりさは外で食べさせているといって聞かなかった。 7匹がご飯を食べさせてもらえず、最近では蟻ばかり食べていることは知っていた。 「むっきゅん・・。みんなでゆっくりしたいよ・・・」 巣穴に子パチュリーの跳ねる練習の音が響いた。 「パチュリーがゆっくりできないのは、お前達のせいだよ!ゆっくり反省してね!!」 巣穴から出た途端、7匹の赤ゆっくり達は親まりさの体当たりを受けることになった。 「ゆきゅっ!どうちて!?」 「いたいよ!!おかあさんやめて!!」 「ゆっくちできないよ!!」 「まりさはわるくないよ!!」 口々に抗議を始める赤ゆっくりであったが、そんな言葉に親まりさは耳を貸さない。 「黙ってね!!生まれただけで悪いんだよ!!ゆっくり理解してね!!!」 バスケットボールほどもある親まりさの体当たりは、プチトマトサイズの赤ゆっくりには脅威だった。 弾き飛ばされた赤ありすの中には、餡子を吐き出しているものもいる。 「ゆゆ!ゆっくちやめて!!」 「あやまるからゆるしてね!!ゆっくちゆるしてね!!」 「ごめんだよ!!ゆっくちさせてね!!」 餡子を吐き出した赤ありすの周りを6匹の赤ゆっくりが囲む。 どれも吹き飛ばされた衝撃で皮は擦り傷だらけになり、目には涙が浮かんでいる。 まとめて踏み潰す、そう思ったが親まりさはその考えを押し込めた。 ここは巣の外。 どこで群れの仲間が見ているかも分からない。 もし子供を殺していることが見つかれば、群れを追われるどころか制裁で殺されてしまう。 それだけは避けなければならなかった。 「ゆっ!わかったよ!ゆっくりやめてあげるよ!ゆっくり反省してね!!」 そういい残し、親まりさはそそくさと巣穴に戻っていった。 「ゆっ?いたがじゃまではいれないよ!」 赤まりさの餡子流出が止まったのを確認して巣穴に戻ってくると、入り口に板が挟まっていた。 7匹が協力して板を動かそうとするものの所詮はプチトマトサイズ。 全く動かない。 「うわぁああああん!!!おうちいれてええええええぇぇぇぇ!!!!」 最初に泣き出したのは赤まりさ。 それはすぐに伝染し、7匹の赤ゆっくり達は一斉に泣き始めた。 「ふんっ!そのままゆっくり死ね!」 巣の中、親まりさはかすかに聞こえる板の向こうの泣き声を聞くと、奥へと入っていった。 中ではまだ子パチュリーが跳ねる練習をしていた。 もともとが病弱なのだ、あまり練習をさせては喘息で死んでしまうかもしれない。 親まりさは子パチュリーに近づくと頬を擦りあわせた。 「ゆゆっ!今日の練習はここまででゆっくりしようね!!頑張ったご褒美にご飯だよ!!ゆっくり食べようね!」 子パチュリーは一緒に出て行った赤ゆっくり達が気になった。 「おねーちゃんたちはどうしたの?」 親まりさの顔が歪む。 「ゆっ・・・赤ちゃん達はお外でご馳走を食べているよ!だからパチュリーもゆっくりご馳走を食べようね!!」 その答えを子パチュリーは受け入れた。 きっと自分の今までのお願いを聞いてくれたのだと信じて。 「おいしい蛾だよ!!!一緒にゆっくり食べようね!!!」 食料置き場から親まりさが引っ張ってきたのは、子パチュリーほどもある大きな蛾だった。 全体的に茶色く、ところどころに見られる毒々しい模様が美しい。 運んできた親まりさの顔は、そのリンプンで包まれている。 「むきゅーっ!!ゆっくりできそう!!!」 「お腹のおいしい部分はパチュリーが食べてね!!」 羽を千切り、蛾の膨らんだ胴体部分を親まりさは差し出した。 子パチュリーが胴体を噛むと、飛び出した緑色の体液が口内に広がる。 「むっきゅうーん!!おいしい!すごくゆっくりしてるね!!」 顔をリンプンだらけにしながら羽を貪る親まりさも満足げな顔だ。 一方、外に締め出された赤ゆっくり達は途方に暮れていた。 「ゆっ・・・からだがいたいよ・・・」 「うぅううう・・・どうちたらいいのおおおお・・・!!」 「ゆっくちしたいよおお!!!」 季節は秋。 凍死するほどではないが、秋の風は容赦なく体当たりで傷つけられた赤ゆっくり達の体力を奪っていく。 「ゆっ!みんなであつまろうね!そのほうがゆっくちできるよ!」 赤ありすの指示で7匹が一箇所に集まる。 風を遮るものが何もない、平野のど真ん中に位置する巣。 巣から少し離れたところには草もあるし、風を遮る大きな石もある。 だが、そこまで行くことは恐怖でしかなかった。 「ゆっ・・・!きっとおかあさんがあけてくれるよ!ゆっくちまとうね!!」 板の前で7匹は身を寄せ合い震え続けた。 「ゆっ、まだ生きてたの?」 親まりさが巣穴から出てきたのは数時間後のことだった。 いつまで経っても戻ってこない赤ゆっくりを心配に思った子パチュリーが騒いだため、仕方なく板を外した。 巣穴の入り口で7匹は一塊になって熟睡している。 「ゆぅ・・・ゆゅ・・・」 いびきのような、寝息のような声を立てて眠っている7匹に殺意が芽生えた。 しかし親まりさは思いとどまる。 「早く起きてね!ゆっくり中に入ってね!!」 砂利を口に含んだ親まりさが、寝ている7匹に向かって勢いよく吐き出す。 飛んだ砂利が赤ゆっくり達の体を容赦なく叩きつける。 「いちゃいっ!!!」 「ゆきゅああっ!!」 「いっちゃいよぉぉおっ!!」 傷口から砂利が内部に入り込んだ赤ゆっくりもいるようで、尋常でない叫び声をあげるものもいる。 「言わなくても分かってるよ!早く中に入ってね!今度は開けないよ!!!」 「ゆっ!いちゃいけどゆっくちはいるよ!」 「すぐはいるよ!しめないでね!!」 「ゆきゅっ・・・!!いちゃいよっ・・・・」 傷が浅いものは飛び跳ねて、砂利が内部に入った赤ゆっくりは転がりながら巣穴へと入っていった。 それからまた1週間が過ぎた。 赤ゆっくり達はまだ赤ゆっくりであった。 食料は一切もらえず、最近では蟻の巣も壊滅状態で餓死寸前であった。 子パチュリーから見えない位置に体当たりで追いやられ、7匹は身を寄せ合い生きていた。 「ゆっくち・・・ゆっくちできないよ・・・・」 土を食べていた赤ありすがたまらず吐き出した。 やはりここには食べるものなど何もない。 「どうちてありすたちは ゆっくちさせてもらえないの・・・?」 「ゆっくちしたいよ・・」 弾力のない皮をすり合わせる7匹。 すると、決心したのか1匹の赤ありすが言った。 「おかあさんが ごはんをとりにいってるうちに あるものをたべてゆっくちしよう・・・!」 親まりさはいつも、子パチュリーがいつお腹を空かせてもいいように食料を溜め込んでいた。 赤ありすはそれを食べてしまおうと提案したのだ。 「ゆっ・・・ゆっくちできなくなるくらいなら、おこられたほうがいいね・・・」 「そうだね・・・みんなでたべようね・・・」 のろのろと食料を保管してある場所へと向かう。 自分達が隔離されていた場所からはそう遠くない。 ゆっくりと、確実に進む。 「ゆっ!あれだよ!ゆっくちできるよ・・・!」 枯葉で隠してある食料保管庫だ。 すぐさま7匹が駆け寄り、中身を確認する。 蛾、ムカデ、ダンゴムシ、アゲハチョウにタンポポ。 御馳走だらけだ。 「ゆっく!もうがまんできないよっ・・!」 赤まりさが飛びついたのを皮切りに、一斉に食料を貪り始める。 「ゆっ!!めっちゃうめ!!」 「ゆっくちできるぅー♪」 「しあわせー♪」 「ゆっゆっゆ!!!ゆぅあああーー!!」 単純な体のためか、あっというまにプクプクに膨れ上がる7匹。 保管庫に溜めてあった食料はあっという間に無くなった。 「ゆー♪」 「おいちかったね!」 「ゆっくちできたよー♪」 「ぷくぷくだね!!」 「でっぷりちていってね!!」 お互いに、膨れ上がった体を見て笑い始める。 久々の満腹でテンションは最高潮だった。 「でもおかあさんになんていうの?」 「ぜんぶたべちゃったね・・」 もうすぐエサ取りを終えた親まりさが帰ってくることを思うと、赤ゆっくりの中に不安が芽生える。 「だいじょうぶだよ!こんなにぷっくりしたありすたちをみれば、きっとよろこんでくれるよ!!」 「そうだよ!げんきなまりさたちをみれば きっとゆるしてくれるよ!!」 餓死寸前に追いやられてなお、赤ゆっくり達は親まりさを信頼していた。 日々体当たりをされ、罵倒され、食事を与えられず、しかしそれでも赤ゆっくりは親まりさが好きだった。 「だって、ありすたちのおかあさんだもん!!」 ただそれだけが唯一、この7匹を支えるものだった。 「ゆっくり死ね」 帰宅した親まりさは、丸々と太った7匹とカラッポの食料庫を見て言った。 顔は般若のごとく変貌し、怒りで体は小刻みに震えている。 「どうじでぇええ!!?まりさだち、ごんなにがわいいのにいぃぃぃ!!!」 「ありず、ごんなにぷりぷりじてるんだよぉお!?」 見当違いの弁解に、親まりさは何も答えない。 親まりさの頭の中は、どうやって7匹を殺そうかという考えだけだ。 「おがあざん!!ゆるじでええ!!だっで、ありずだちはおがあざんのこどもでじょ!!!??」 大粒の涙を流して許しを乞う赤ありすの一言に、親まりさの顔がさらに歪んだ。 ありすたちはおかあさんのこどもでしょ? アリスたちはおかあさんのこどもでしょ? アリス達はお母さんの子供でしょ? リンゴのように赤くなった親まりさは唾を撒き散らしながら怒鳴りつけた。 「お前達は悪魔の子供だよっ!!!ま゙り゙さはお゙前らな゙んか一度だっで子供だと思ったこどはな゙いよ゙ぉっ!!」 一瞬、巣穴が静寂に包まれる。 赤ありすの眼は焦点が定まらなくなる。 自分は親まりさの子供だ、それだけを頼りに今日まで必死で耐えてきたのだ。 それなのに悪魔の子だと言われ、大好きなお母さんは鬼のような顔で自分をにらみつけている。 受け入れられるわけなかった。 信じたくなかった。 「お゙前らな゙んか誰に゙も望ま゙れずに生まれてきたんだよ゙っ!!!わかったらゆっくり死ねっ!!!」 親まりさの手前にいた赤ありすが、手加減のない強烈な体当たりを受けて弾け飛んだ。 「ゆっ・・・!?」 いつも一緒だった、7匹の赤ゆっくり。 その大切な1匹が、餡子を撒き散らしながら死んでいた。 満足にゆっくりできることもないままに。 「ゆぁ゙あ゙あ゙あ゙っ!!!な゙んでごどずる゙の゙っぉぉぉぉお゙っ!!!!」 潰れた餡子に跳ねよるが、もはや皮はバラバラで蘇生はどう見ても不可能だ。 だとすればどうすればいいのだろう、赤ありすは必死で少ない餡子を回転させる。 「ゆっ!!みんなにげるよっ!!!」 赤ありすは巣を離れる決心をした。 ここにいては危険だ。 親への愛を、間近に迫る脅威が上回った。 「ゆっ!わかったよ!!」 「ゆっくちしないでにげるよ!」 6匹がいっせいに巣穴から飛び出した。 それを追うのは狂乱状態の親まりさ。 もはや親まりさは怒りで我を忘れている。 赤ゆっくり達は、初めて巣穴から遠く離れたことに全く恐怖は感じなかった。 それよりもすぐ後ろまで迫ってくる親まりさから、いかに逃げ延びるかが重要だ。 草むらに飛び込み、大きな石を越え、森へと逃げ込んだ。 森は身を隠すのに適したものがいくつでもあった。 赤ゆっくり達6匹は大きな石の裏に隠れ、親まりさをやりすごすことにした。 「ゆっ・・・どうじでぇ・・どうじでなのぉ・・・」 こぼれる涙と、理不尽な運命への怨みつらみ。 親まりさの怒号が遠くになっていくのを感じ、6匹は森の中をふらふらと当てもなくさまよった。 「ゆっ!?こんなところに赤ちゃんがいるわよ!どうしたの!?」 森をさまようこと数時間。 目の前には自分たちよりも遥かに大きい、バレーボールほどのゆっくりアリスがいた。 始めてみる成体ゆっくりに、6匹は警戒する。 「ゆんゆん、そんなに構えなくても大丈夫よ!とかいはのありすは優しいのよ!!」 6匹は不思議な感じがした。 なぜだか、このゆっくりアリスは信頼できるような気がする。 気が付くと、6匹はまるで警戒心がなくなっていた。 「とかいはのお姉さんに、ちょっとお話をしてみるといいわよ!」 赤ゆっくり達はいままでの経緯を簡単に成ありすに説明した。 生まれたときから相手にされなかったこと、ご飯を貰えず大きくなれなかったこと、追い出されたこと。 そして、これからどうするかを決めていないことも。 成ありすは、赤ゆっくりの話をちゃんと聞いてくれた。 生まれてから、成体ゆっくりと一度も会話らしい会話などしたことがなかった赤ゆっくりにとって、それはとても新鮮であった。 赤まりさ2匹は、成ありすにすぐに懐いた。 自身と同じ魔理沙種の親まりさが、あんな酷い親だったのだ。 アリス種の姉妹は優しい、そして目の前の成ありすもそうだ。 赤まりさの目には、アリス種はとても素敵な種族に映った。 それになんだか、成ありすも赤まりさのことを気に入っているようで、赤ありすに対してよりも長く頬擦りをしていた。 赤まりさは生まれて始めての成体との頬ずりに感動し、親まりさに追われていることも忘れてはしゃいだ。 「ゆっ!おねーさんはすごくゆっくちできるよ!」 「まりさ、おねーさんとゆっくちしたいよ!」 その言葉が嬉しかったのか、成ありすはヨダレを垂らしながら微笑を返した。 誰かに悩みを聞いてもらうことは、自身の心の整理に繋がる。 成ありすとしばらく話をしていると、だんだん赤ゆっくりも落ち着きを取り戻していた。 「ゆ、みんなそろそろ落ち着いたみたいね!これからどうするのか、ゆっくり考えてね!!」 成ありすの一言に、6匹は円陣を組むように集まった。 親まりさの元に帰るという結論を出したのは、赤ありす4匹であった。 「ちゃんとあやまったら ゆるしてくれるよ!」 「そうだよ!ありす、あくまのこじゃないよ!おかあさんのこどもだもん!きっとゆるしてくれるね!!」 「おかあさんとはなれたくないよ!」 「おかあさんといっしょじゃないと ゆっくちできないよ!!」 赤ゆっくりは生存能力の無さから、親に頼らざるを得ない。 その本能が、またしても赤ありすから正常な判断を奪ってしまった。 さっきはいきなりだったから怒ってしまったんだ。 ちゃんと謝れば許してくれる。 いつもと同じ考えだった。 対して、親まりさの元には戻らず、成ありすと行動を共にすることを選んだのは赤まりさ2匹だ。 「あんなのおやじゃないよ!」 「おねーさんといっしょのほうがゆっくちできるよ!!」 親に対する愛情よりも、生きるためならすぐ裏切る魔理沙種の本能が強く現れたのだろう。 成ありすが一緒に暮らすことを提案したとき、すぐに赤まりさは賛成した。 姉妹は一緒に行動を共にしたかったが、結局どちらも折れることはなく、ここで別れることになった。 森の入り口の近くまで、成ありすに赤ゆっくり達は連れてこられた。 「ゆっ!じゃあここでお別れをしようね!ちっちゃいありす達もゆっくりしていってね!!」 成ありすの声に、赤ありす達が振り向いた。 「ゆっ!きっとまたあえるよ!まりさもゆっくちしててね!!」 「はなれてても しまいだからね!!ゆっくちしていってね!!」 「おねーさん!!まりさをゆっくちさせてあげてね!!」 「ありすたちもゆっくちするからねー!!!」 その顔に迷いはなかった。 赤まりさ達も、飛び跳ねながら返事をしている。 「まりさはゆっくちするよ!みんなもゆっくちしていってね!!」 「ゆっくちするよ!!みんなもゆっくちだよ!!」 離れていく4匹の赤ありすの後頭部を3匹は見送った。 「それじゃあ、とかいはのありすのおウチへ案内するわよ!」 「ゆ!ゆっくちしようね!おねーさん!!!」 「ゆゆっ!これからいっしょにゆっくちだよ!」 成ありすの笑った口元からは、とめどなくヨダレ、そして赤まりさが見たこともない粘着質のある体液が溢れている。 きっと、家族が増えて嬉しいんだろう。 赤まりさ達は自分を歓迎してくれる成ありすのことが大好きだった。 森を抜けると、見慣れた巣穴が少し遠くに見えた。 「ゆゆっ!あのおねーさんはすごいね!!!」 「ほんとだ!おうちがあるよ!!」 成ありすには巣穴の場所は教えていない。 やっぱり大人のゆっくりアリスは凄いんだね、赤ありす達は深く考えずに納得した。 「ゆ!はやくかえろうね!!」 「おかあさんにゆっくちあやまろうね!!!」 森を抜け、石を飛び越え、巣穴の前の草むらに飛び込んだときだった。 「ゆぴゅぼあっ!!!」 気が付くと、4匹いた赤ありすが3匹になっていた。 空に舞う黒い影は、かつて赤ありすだったものだ。 「ゆっくり死ねっ!!!」 草むらに潜んでいた親まりさが飛び出してきた。 3匹は殺された1匹を諦め、すぐに謝罪を始める。 「ゆっ!ありすはんせいしたよ!!ごはんをたべてごめんなさい!!」 「おかあさんゆるちて!!ゆっくちはんせいしたよ!!」 「ゆっくちさせてよ!!」 「うるさいよ!!ゆっくり死んでね!!それが反省だよ!!」 飛び跳ねた親まりさが、まとめて2匹の赤ありすを踏み潰す。 完全に下敷きになった赤ありすは、悲鳴をあげる間もなく絶命した。 「ゆっぐっ!!ゆ゙っ!!!おがあ゙さん゙ん゙ん゙!!ありずいいごにずるがらあああああ!!!ゆるじでえええ!!!」 ひどくゆっくりした動作で近寄ってくる親まりさ。 次の瞬間、信じられないようなほど空高く親まりさは飛び上がった。 ああ、お母さんはあんなにジャンプができるんだね。 凄い。 ありすもお母さんの子供だもん、大きくなったらあんな風に跳べるかな? 視界が黒に染まるまで、赤ありすはそんなことを考えていた。 「まりさ、まりさはゆっくりできないんだね。自分の赤ちゃんを殺すようなまりさはゆっくり死んでね」 餡子にまみれた親まりさが振り返ると、そこには1匹のゆっくり霊夢がいた。 体の大きさは親まりさと同じくらい。 ご近所に住むゆっくり霊夢だ。 親まりさは何度かエサ取りで一緒に協力したことがあった。 『自分の赤ちゃん』 親まりさは、ゆっくり霊夢の言ったことに苛立ちを隠せない。 「ゆ!あんなのはまりさの子供じゃないよっ!!れいむはゆっくり理解してねっ!!!」 れいむになぜあんな子供のことを言われなければならないのだろう。 親まりさはれいむに背を向けた。 こんなバカは放っておいて、さっさと巣に帰ろう、親まりさはそう思ったのだ。 「ゆっ!?」 しかし、そこには10匹近くの成体ゆっくり、そして1匹の大きなゆっくり霊夢がいた。 バランスボールほどあるゆっくり霊夢は群れの長だ。 「ゆっ。まりさは赤ちゃんを殺したね、ゆっくりあの世で反省しようね!それがこの群れの掟だよ」 長れいむが言うと、成体ゆっくりが親まりさをとり囲む。 四面楚歌。 成体ゆっくりの大きさは全てが親まりさと同じか、それ以上だ。 それに長まででてきては、勝ち目はなかった。 「ゔるざい゙よ゙ぉ゙っ!!な゙に゙も知らな゙いバカなヤツら゙はゆ゙っぐり゙死ね゙っ!!!ゆっぐり゙死ねぇ゙え゙ええ゙っ!!!!」 平原に親まりさの呪詛の言葉が響いた。 「むきゅう・・・おかあさん、まだかな・・・」 一人巣穴に残っていた子パチュリー。 食料保管庫を赤ゆっくりに荒らされ激怒した親まりさは、子パチュリーが止める間もなく出て行ってしまった。 子パチュリーは親まりさが帰ってきたら、ゆっくりと話し合うつもりであった。 赤ゆっくりを目の敵にするのは理由があるのだろう、だが子パチュリーはそれでも赤ゆっくりを平等に扱って欲しかった。 なぜなら、自分達は姉妹なのだ。 餡子の繋がった、かけがえのない姉妹。 自分の見えない位置に追いやられ、餓死しそうになっていた赤ゆっくりを子パチュリーは眺めることしかできなかった。 悔しくて悲しくて、ワラを涙で濡らすこともあった。 親まりさに直訴しても、苦笑いをするばかり。 でも、それも今日までにするつもりだったのだ。 帰ってきた親まりさと話し合いをし、折れてもらわなければ巣を離れる決意までした。 「おねーちゃんたちと、ゆっくりしたいもんね!むきゅっ」 自分より遥かに小さなお姉さん。 いつも満足に跳ねることができない自分に、お手本を見せてくれた優しいお姉さん。 子パチュリーは赤ゆっくりのことが大好きだった。 「おかあさんがもどってきたら、ぱちゅががんばるからね。きっと、みんないっしょにゆっくりできるよ・・」 幸せな日々を夢見つつ、ワラの上の子パチュリーは親まりさを待ち続けた。 作:アルコールランプ このSSに感想を付ける
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ゆっくり真空パック 俺設定 「ゆーっ!ここはゆっくりできないよ!!」 れいむは怒っていた。突然群れにやってきた人間達に捕まり、大きな袋に放り込まれた。 夫のまりさや他のゆっくり達も次々と袋に入れられ、ぎゅうぎゅうに押し込められること約半日。 空腹の限界点も通り過ぎた頃にようやく解放され、袋から出られたと思ったら見たこともない四角い部屋。 そしていきなり頭上から土砂降りの雨が降ってきて、みんなパニックを起こしかけた。 雨はすぐに止んだが、そのあとたくさんやってきた人間達にまた袋に入れられてしまった。 しかも今度はなぜか種族別に分けられたので、大好きなまりさとも離ればなれ。 そして今、透明な小さな袋の中にひとりづつ入れられ、動く細い床の上に乗せられていた。 「おなかへったよ!ひどいにんげんさんはれいむにたべものをもってきてね!」 袋の外では白っぽい服を着た人間達が黙々と歩き回っている。れいむの訴えに耳を貸そうとする者はいない。 「れいむはおこってるんだよ!むししないでね!ぷくー!」 精一杯威嚇してみるが全く効果なし。次々とれいむの目の前を通り過ぎて行く。 「もうやだ!おうちかえる!」 この動く床から脱出しようと、思いっきり跳ねてみた。 「ゆべっ!」 しかし周囲に見えない固い壁のようなものがあって、頭をぶつけてしまった。 それ以前に袋がいやに体にまとわりついてうまく動けないので、逃げ切れるかどうかは疑問だったが。 「ゆううぅぅぅっ!ゆっくりさせてよおおおっ!!」 あまりの仕打ちにとうとう癇癪を起こしてしまった。 その時、突然れいむの体が浮いた。 1人の青年が、れいむを袋ごとつかんで持ち上げていた。 「ゆーっ!おそらをとんでるみたい!」 まもなくれいむは白い台の上に優しく置かれた。動く床から解放されたのだ。 「おにいさんありがとう!あとれいむをふくろからだしてね!ゆっくりさせてね!」 助けてくれた青年に満面の笑みを向けるれいむ。 だが青年は笑うこともなく、黙ってれいむの後方を指さした。 「ゆっ?なに?」 振り返ると、そこには見るからにおいしそうな色とりどりの果物が大量に積まれていた。 「ゆーっ!すごいよ!くだものさんだよ!」 群れの生活では、こんなたくさん食べる機会などなかった。 れいむは口を大きく開き、涎を垂らさんばかりの表情でそれを見つめた。 “早く袋から出してもらって、ゆっくりむーしゃむーしゃするよ!” そう思った瞬間―― れいむの両方の目玉が、ものすごい力で締め付けられた。 目玉だけではない。頭、足、耳、唇。れいむのありとあらゆる部分に尋常ではない力が加わっている。 ――なに、これ、いだい、いだい、ゆっくり、できない―― 力は喉の奥まで押し入り、出かかった悲鳴をたやすく封じ込めた。 ――やべて、つぶれ、ちゃう、ゆ゛あ゛ぁ゛―― とても身動きできないほどの圧力なのに、れいむの体が破裂することはなかった。 圧力はあらゆる方向から均等にかかっているため、変形させることなく、ただただれいむを締め付けるのみ。 ――めが、いだい、あづい、やべて、つぶれる、しんじゃう―― 締め付ける力は、隙間という隙間の奥の奥まで届き、眼球や舌根をこれでもかというくらいに絞り上げる。 視界は様々な色が混じり合ってぼやけ、もう何も見えたものではない。 ――たずげて、おにいさん、だずげで、まりさ、まりざ―― 体の中心から焼けるような熱さが広がっていく。 聞こえる音はぐわんぐわんと響く耳鳴りだけ。 頭の中はぐるぐると回っているような、ぐちゃぐちゃとかき乱されているような。 一瞬のうちに、れいむは地獄に叩き込まれた。 加工所の新商品として、「ゆっくり真空パック」というものが発売された。 “産地直送!生きた新鮮な甘味をご家庭で!”という文句で売り出されたこの商品。 要するに生きたゆっくりをそのまま真空パックし、注文先に配達するという、名前通りの商品である。 前々から真空パックという方法は一部の商品で使われていた。 しかし冷凍や加熱処理で仮死状態にした後にパックしていたので、それなりに手間もコストもかかる。 そこで考案されたのが、“殺菌処理のみした後すぐパックする”という方法だ。 「別にゆっくりなら仮死状態なんかにしなくてもいいよね?」という軽い発想も手伝って生まれたのだが・・・ これがなかなか望外な効果を持っていた。 真空パックで締め付けたまま放置しておくと、甘味が増していくのだ。 成体ゆっくりはゆっくりさせたままだととても不味いので、従来の加工の際はゆっくりさせない配慮が必要だった。 しかし真空パックのおかげで無理に苦痛を与える必要が無くなり、加工所の職員達は(一部を除いて)歓迎の声を上げた。 実用化が決定されてからは、どんどん研究や開発が進んでいった。 無造作にパックしてしまうと唇がつぶれて餡子が漏れだしてしまったり、まぶたが閉じてしまったりする。 いかに効率的に苦痛を与え、きれいにパックするか。 まず薄くて柔らかい、それでいて破れにくいビニールシートが開発された。それを袋状にして中にゆっくりを入れる。 次に、ごちそうを見せることによって目を見開かせ、大口を開けさせるという方法が提案された。 隙を作って背後から空気を吸い出し、眼球や舌をビニールで締め上げる。 これらは全てうまくいき、あっという間に商品化までたどり着いた。 真空パックには、商品を受け取った人が自分好みの糖度になるまで熟成することができる、 後頭部から包丁を突き立てれば、何の抵抗も絶叫もなく物言わぬ饅頭になる・・・といった利点もあった。 斬新な仕組みに、人々は面白がって注文した。 もちろんパックの中のゆっくりは生きている。時間が経てばパニック状態からは抜けだし、思考能力も元に戻る。 もっとも耳はあまり聞こえないし、眼球は固定されているので焦点は一点しか合わないが。締め付けに延々苦しむのだ。 しかしビニールに穴を開けてやれば、たちまち蘇生し喋り出す。 このことから、特殊な理由での注文も相次いだ。 近所に野良ゆっくりがおらず、一度現物を見てみたい、という人。 解放したことに恩を売り、そのままペットにしたい、という人。 人には言えないようなアブノーマルな趣味を持っている、という人。 その他様々な人からの需要を発掘し、大ヒットとなった。 今の加工所では、手間もコストも大幅に削減されるので、通常種の成体の4割をこの方法に回すようになっている。 あまりの売れ行きにライン生産までされるようになった。 引き続き開発も進められている。現在の案件は、解放した瞬間に生クリームをほとんど吐き出してしまうぱちゅりー種について。 “にんっしん”したゆっくりのパックも開発中だ。植物型は特に問題ないが、胎生型は1/2程度の確率で死産になってしまう。 加工所期待の商品「ゆっくり真空パック」は、粛々と生産され続けている。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― あとがき 虐待短すぎ、説明長すぎですね・・・反省してます・・・ 過去作品 ゆっくりバルーンオブジェ 暗闇の誕生 ゆっくりアスパラかかし このSSに感想をつける
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ここに文字を入力注意書き: 某4コママンガを参考にしています。詳細は文末に示します。 秋も深まり、山々はすっかり紅葉で覆われ、少し肌寒い風が吹き抜けていく。 そんな日々、市場で買い物を終え自宅へ向かう途中のこと、 獣道を歩く僕の前に一匹のゆっくりれいむが立ちはだかった。 高さ40cm余り、横幅は60cmにもなるかなり成長した個体のようだ。 この獣道、普段は殆ど人が通らない場所で、言ってみれば秘密の近道ってとこかな。 「ゆゆ!おにいさん?こっからさきはれいむのおうちだよ! とおるにはゆっくりつうこうりょうをはらっていってね!!!」 「通行料?具体的には何が欲しいのかな?」 「ゆ、ゆーん… れ、れいむにおいしいおはなさんをおいていってね!!!」 「なんだ…花か。ほれよ。」 「ゆゆゆ?むーしゃ、むーしゃ、しあわせー♪」 相手するのも面倒だったので、僕は買い物袋の中からハーブをれいむに差し出すと、 足早に先へ進もうとした。なぜか右足が重い。 「そ、そこからさきにはゆっくりすすまないでね!!! こ、これだけじゃつうこうりょうがたりないよ!ゆっくりはらっていってね!!!」 なんと右足にれいむがしがみついて来たのだ。 ゆっくりにしては珍しい行動だったので再び問いかける。 「今度は何が欲しいと言うのかね?」 「ゆ!? ゆーん… ゆっくりあまあまのおさとうをちょうだいね!!!」 「なんだ…砂糖か。ほれよ。」 「ゆぐっ…! むーしゃ、むーしゃ、しあわせー♪」 「じゃあ僕は先に進むからね。」 僕は買い物袋から角砂糖とカリン糖を十数個差し出し、この場を後にしようとした。 再び右足に荷重がかかる。 「そ、そこからさきにはゆっくりすすまないでね!!! ま、まだつうこうりょうがたりないよ!!!ゆっくりはらっていってね!!!」 いくらゆっくりとは言え欲張りな行動である。 「今度は一体何が欲しいと言うのかな?」 「ゆゆ!? ゆーんゆーん… れいむにゆっくりはちみつさんをちょうだいね!!! もしはちみつさんがないのならゆっくりひきかえしてね!!!」 「蜂蜜か…。ほれよ。」 「ゆゆゆ!?どおじておにいさんはちみつさんなんかもってるの!!!」 「れいむがくれっていったんだろ?」 「ゆぐっ…! むーじゃ、むーじゃ、じあわぜー!」 「今度こそ僕は先に進むからね。」 再び重くなる左足。何か他に理由があると言うのか…? 「ぞ、ぞごがらざぎにはゆっぐじずずまないでね!!! ま゙、まだまだづうごおりょおがたりないよ!!!ゆっぐじはらっでいっでね!!!」 「欲張りなれいむだね。今度は何が欲しいのかい?」 「ゆがっ・・!?ゆう・・・ゆーん・・・ れ、れいむにゆっくりあまあまなくりーむをちょうだいね!!! もしもっていないのならゆっくりひきかえしてね!!!」 「クリームか…。ほれよ。」 僕は買い物袋の中からコンデンスミルクを取り出すと、れいむの口に注ぎ込んでやった。 甘ければいい。細かいことはわからないだろう。 「ゆがっ!?どぼじでおに゙いざんぐぢーむなんがも゙っでるの!!!」 「れいむがちょうだいっていったんだろ?」 「ゆががっ…! むーじゃ、むーじゃ、じあ゙わ゙ぜーー!!!」 とは言いつつも両目からぼろぼろと大粒の涙をこぼしている。 気にせず先に進もうとすると 「だ、だべなんだがらね!!!ごのざぎにはゆっぐじずずまないでね!!! ゆっぐじひぎがえじでいっでね!!!」 またしても右足にしがみつくれいむ。食べ物が目的じゃないとすると、 この先には相当大事なものでもあるというのか? 「こっち行かないとお兄さんは帰れないんだけどなぁ?」 「ざ、ざぎにずずむならゆっぐじでいぶにづうごおりょおをはらっでいっでね!!!」 「でいぶのお遊びに付き合ってる暇なんか無いんだけどなぁ…。ゆっくりどいていってね!!!」 「ゆがっ!? でいぶにゆっぐじおでんじじゅーずをぢょおだいね!!! ないならゆっぐじひぎがえじでいっでね!!!」 「お兄さんのおうちにはオレンジジュースがたくさんあるよ? 通してくれたらでいぶに分けてあげてもいいけど?」 「や、やっぱりだべだよ!!!ゆっぐじひぎがえじでね!!!ゆっぐじひぎがえじでね!!! ごごがらはでいぶのおうぢだよ!!!ゆっぐじごっぢごな゙いでね!!!」 もう「でいぶ」に構うのも飽きたので、無視して歩みを進める。 すると前方の草むらの中、木の根元の穴から伸びるオレンジ色の塊が姿を現した。 ゆっくりの卵である。 握り拳よりやや小さいゼリー状の塊が蛇のように連なり、見えているだけでも数百は下らない。 恐らくは巣の中で卵を産みつけていたが収まりきらず、外まではみ出したってところだ。 一つ一つの形状は縦に長く昆虫の卵のようでもあり、長く長く連なる様子は蛙のそれを彷彿とさせる。 よく見ると内部に非常に小さいながらもゆっくりらしき姿が見て取れた。 「ははぁー…こういう訳だったのかぁ。」 「やべでね!ゆっぐじやべでね!!!でいぶのかわいいごどもにでをだざないでね!!!」 「ふーん…」 それだけ言うと僕は、卵の群れの一角に塩を振りかけ始めた。 浸透圧により見る見るうちに卵がしぼんでゆく。 「やべでえええええ!!!でいぶのおぢびぢゃんになにずるのおおおおおお!!! ゆっぐじやべでいっでね!!!ゆっぐじやべでえええええええ!!!」 れいむは卵の前に立ちはだかり、塩をこれ以上子供たちに浴びせまいと大きく口を広げた。 「ゆっぎゃあああ!!!でいぶのおめめがっ!いだいよ゙おおおおおおおおお!!! でいぶのおぐぢがぁああああああああ!!!ゆっぐじやべでえええええ!!!」 目や口などの粘膜に塩がかかるたび、れいむは悲痛な叫びを上げた。 体が大きめなだけあってその叫びも一段と大きい。余計に敵を呼び寄せてもおかしくはない。 「ほーら、今度はこっちだ。おいしいお塩をあげるからねー♪」 オレンジ色のゼリーは塩と触れると直ちに縮み始め、こげ茶色の塊へと変貌していく。 「やべで、やべでよおおおおおお!!! でいぶのおぢびちゃんはおじおなんでいだないぼおおおおおお!!!」 れいむは満身創痍ながら卵の前で塩を受けとめようと必死にかけずり回る。 「でいぶのおぐぢが、おぐぢがゆっぐじでぎないよ゙おおぉぉおおおおおお!!! おにいざんはゆっぐじやべでね、ゆっぐじやべでいっでね!!!」 両目から滝のように涙を流しているが、それでも諦めようとはしなかった。 ふと視界に蜂蜜色の物体が飛び込んだ。 近寄ってみると息を荒げるゆっくりありすであった。面白いことを思いついたぞ…! 「ゆふー、ゆふー、れいむのこえがきこえるわ!!!どこなのお? ありずがずっぎりざぜであげるよおおおおおおおお!!!」 「やぁやぁとかいはのありすちゃん。」 「ゆゆ?とかいはのありすはいまいそがしーのよぉ?おにいさんはてみじかによーをすませなさいよ?」 「そのれいむのとこにつれてってあげようとおもってさ。」 「ゆほっ!?べ、べつにありすはれいむのことなんてどおでもいいのよ? でもおにいさんがつれてってくれるっていうならのってあげてもいいわよ?」 ありすは顔を赤らめ涎を垂らしながら答える。その顔、本心がわかりやすく見て取れる。 僕ももちろんそのつもりだ。 ありすを抱きかかえ足早にれいむの元へと向かう。 「ゆっほおおおおおお!?れいむのかわいいたまごがたくさんあるわ!!! みてるだけですっきりしちゃうわあああああ!!!すっきりー♪」 ありすから放たれた乳白色の粘液に卵の一角が覆われていく。 「やべでええええ!!!すきなひとじゃないとあかちゃんのもとかけちゃだべえええええ!!!」 「ありすのためにこんなにたくさんよういしてくれたのね!!! れいむってつんでれねえええええ!!!」 「だべえええええ!!!れいむのだいすきなまりさじゃないとだべええええ!!! ゆっぐじやべでいっでね!ゆっぐじやべでええええええ!!!」 「そのまりさってのは、こいつの事かな?」 「ゆがっ!?ま゙、ま゙、ま゙り゙ざぁあああああぁああああ!!!」 数十分前のことだ。市場を後にし藪森へ歩みを進めようとした頃―― 「こっからはまりさのてりとりーなんだぜ!!!おにいさんはゆっくりあっちへいけだぜ!!!」 「ここをとおらないとお兄さんおうちに帰れないんだけどなあ?」 目の前にこれまた60cmもあろうかという大きなゆっくりまりさが立ちはだかった。 無視して先へ進もうとすると… どかっ! 尻に鈍い痛みが走る。まりさの体当たりだ。 重さも相当なため思わずよろけてしまう。 「まりさのたいあたりなのぜ!これにこりたらゆっくりむこうへいけなのぜ!!!」 まりさは僕の前に回り込んで自慢げに語りだす。 「ほぉおお? 向こうへ行かなかったらどうするのかなぁ?」 「ゆがっ!?と、とにかくこっからはすすませないだぜええええええ!」 まりさが再び体当たりを仕掛けてくる。 一歩横によけてみる。ゆっくりにしては速いがかすりもしない。 案の定まりさの勢いは止まらず向こう側の木に突進し、盛大に全身を打ち付ける。 「ゆがっ…!ゆ・・・ゆぐぅ・・・」 「おーい?いきてるかー?」 まりさは白目を向き天を仰いでいる。もっとも枝葉に覆われ空を拝むことはできないのだが。 「あーあ、見事に伸びちまったなぁ。しゃーない、持って帰ってやるとするか。」 僕は背負っていた篭にまりさを放り込み、その場を後にした。 「ゆ…ゆーん・・・ ゆゆっ!?ここはどこなのぜ?」 「ま、まりさ!?きがついたのね!!! みてみて!!!れいむね、いっぱいおちびちゃんうんだんだよおおおお!!!」 「れ、れいむううううう!!!よくがんばっただぜえええ!!!」 「でもこのありすとそのおにいさんがゆっくりできないんだよ!!!」 「ゆゆゆ!?ゆっくりできないおにいさんとありすはゆるさないのぜええええ!!!」 まりさは近くにいたありすに体当たりを仕掛ける。 発情ありすとはいえ体格差は歴然であり、放物線を描き地面に叩きつけられる。 「ああああっ!? まりさってとんだえすえむぷれいなんだからぁああああ!?」 程なくして気を失った。 「さっきはよくも、よくもおおおおおお!!! でいぶまでいじべで、ま゙り゙ざぼおゆるざな゙いのぜええええ!ゆっぐじじねええええぇぇええええ!!!」 再びまりさが僕に突進を仕掛ける。僕は手近にあった太い枝を拾い上げると、 一歩左に下がり野球の打者の要領で勢いよく振りぬいた。 「ゆべっ!? ゆびぶべぼばびぶべぼゆびゃぁああぁああああああああああぁぁぁぁ!!?」 真っ二つに裂かれたまりさは壮大な断末魔を上げると、物言わぬ餡子の塊と化した。 「ど、ど…、どぼじでごんな゙ごどずる゙の゙おおぉぉおおおおお!!?」 「いや…、どぼじでって言われてもなぁ…。れいむ達から仕掛けてきたんだろ?僕はそれに応じただけさ。」 「でいぶのおぢびぢゃんがえじでええええええ!!!ばでぃざをがえじでよおおおおおおぉおおおお!!!」 「卵ならまだ全滅しちゃいないだろーよ。」 「すきなひどにあがぢゃんのもどかげでもらわないとうま゙でないよ゙おおおぉおおぉおお!!! ゆっぐじがえじで、ばでぃざをがえじで、でいぶのあがぢゃん、がえじでよぉおおおおぉおおおおお!!!」 「んなこと言われてもなぁ…。」 「ど、どぼじで…、どぼじでな゙の゙ぉぉおおおおぉおおお!!! ばでぃざ・・・、あがぢゃん・・・、がえじで、がえじで… がえじでぇぇええええぇぇ・・・」 その大きな饅頭は、大粒の涙をぼろぼろとこぼし、悲痛と怒りの余り泣き叫んでいた。 溢れる涙は「彼女」の足元に水溜りを作り始めていた。 僕はただ家に帰りたかったがためにやっただけ。 道を邪魔をした挙句そんな剣幕で問い詰められても困るのだ。 絶望に打ちひしがれる「でいぶ」を目の前にして、僕はどうしていいかわからなかった。 「んほっ!?なみだによだれにぐっちょぐちょのれいむもかあいいのよぉおおおおお!!!」 「ゆがっ!?ゆっぐじごっぢにこないでね!ゆっぐじやべでね!!!」 途方に暮れているうちにありすが気を取り戻した。すぐさまれいむに一直線。何という見上げた根性・・・。 塩攻めにされ、愛するまりさを失ったショックを受け、泣き疲れたれいむにもはや策は残されていなかった。 ありすの為すがままになるしかない。 「んっほおおぉおおおぉおおお!ぐっちょぐちょのれいむぎもぢいよおおおおおお!!! あらてのろおしょんなのねえええええええ!!!すっきりー♪」 「やべでぇええええぇええ!ずっぎじー!」 「めをそむけなくていいのよおおおおおおお!!!れいむったらつんでれね!!! すっきりー♪」 「ゆっぐじやべで、ゆっぐじやべでね!!!ずっぎじー!」 「れいむのろおしょん、れいむのろおしょんあまじょっぱくておいしいいいいいいいいいい!!! もっとちょおだい、もっとちょおだいねええええええええええ!!!」 「でいぶおいじぐないぼおおおおおお!!!」 「ひていしなくていいのよ?れいむったらつんでれなんだからああああ!!!すっきりー♪」 「やだぼおおお、やだぼおおおおおおおお!!!すっぎじー!」 「もっと、もっとありすにあいをちょおだいねええええええ!!!」 「ゆっぐじやべでね!ゆっぐじ・・・ゆ・・・ゆっぐ・・・」 この状況を打破してくれたありすには感謝しなければならないのかも知れない。 そんな僕の内を余所に、ありすの勢いは止まることを知らなかった。 「れいむ?ねちゃったのぉおお?とかいはのありすのてくがきもちよすぎたのねええええ! うぶなれいむもかぁいいよぉおおおおおおお!!!」 れいむは気絶か、腹上死でもしたのか、とにかく動かなくなった。 いずれにせよその額からは緑色の突起が数多く現れ始めており、運命は決まったも同然である。 「あら…?たまごがたくさんあるじゃなあああい! ありすのためによおいしておいてくれたのねええええ!!!すっきりー♪ みてるだけですっきりしちゃったわ!!!すっきりー♪ れいむっておませさんなんだからああああああああ!!!すっきりー♪ ゆっほおおおおぉおおおおおおおお……」 この後どうなるかは想像に容易い。 夥しい数の卵を貪るうちにありすは干からび、万が一孵化できたとしても誰が育てると言うのだろうか。 冬が近いこの季節、子供たちだけで生き抜くには絶望的である。 オレンジ色の卵達が徐々に乳白色に染まっていくのを見届けていた僕は、 追われる様にして我が家への道を急いだ---- 終われ その後...塩がかからずにありすの精子餡を受けたたまごたちは、「ゆっくりしていってね!」という声で生まれてきたが、そこには朽ち果てたありすとれいむがいたこの子達がこの後どうなるかは一目瞭然だろう。加工所にみつかり研究され尽くされるか、餓死するか、死ぬのも生ぬるい地獄を虐待鬼威山に見せられるかだろう愛でおにいさんに見つかろうとも、 親のいないゆん生を歩むには難しいだろう ほんとに終わり Ref. 1) 東方アクロバティカより ttp //flat-racing.sakura.ne.jp/oretoumi/hp/touhou44.jpg あとがき 昆虫型と名付けたのは、蛙のように外側が粘膜で覆われていないためです。 交尾してなくても卵生むの? 充分に成長し時期が来たら大量の卵を産みます。 それでいて本体は交尾するとにんっしんしてしまうという破天荒な設定です。 by まりさつむりの人 他に書いたもの ゆっくりいじめ系800-802 まりさつむりの記憶 ゆっくりいじめ系854 ゆっくりバイブレーション1 アリス×ゆっくり系16 アリスのゆっくり水爆弾 白玉楼×ゆっくり系5 みょんとの出会い ゆっくりいじめ系932 愛しのありす ゆっくりいじめ系1024 嘘つき少女の悲劇 このSSに感想を付ける
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※俺設定注意 僕は、一匹のゆっくりを飼っている。 数年前に訪れたゆっくりブーム。人々はこぞってゆっくりをペットにしたがった。 僕もそんな流行に流された者の一人だ。 それから暫く経ってゆっくりブームは収束し、ゆっくりをつれて歩く人もまばらになったが、いまだに僕はゆっくりを飼い続けている。 「やぁ『まりさ』。ゆっくりしてるかい?」 「ゆっ!!おにいさん!!!まりさはとってもゆっくりしてるよ!!!」 今日も今日とて良いご挨拶。 やっぱりゆっくりの声はどことなく癒される。 「今日はちょっと豪勢なゆっくりフードを用意したよ。さ、お食べ」 「ゆゆっ!!うめっ!!これめっちゃうめっ!!が~つが~つ!!」 ちょっぴり眉をしかめる僕。 元気の良いことは大変結構だが、それでもちょっと食べ方が汚すぎる。 これは躾が必要だな。 「こら、『まりさ』。そんな汚い食べ方しちゃいけないだろう?」 ぶすり。 まりさの両目に指を突き込み、かき回す。 そうして引き抜いた指先には、ぐちゃぐちゃになった『まりさ』の両目があった。 「ゆぎゃあああああああああああああああああああああああ!!!!!」 「いい天気だね、『ありす』。ゆっくりしてるかい?」 「ゆっくりしているわ!!!」 今僕達はお散歩中。 カチューシャにリードを取り付けられて、綺麗な蒼いおめめをぱちくりさせながら『ありす』は駆け回る。 元気だなぁ。これがとかいはと言うやつだろうか。 「おにいさん、ここ!!ここにゆっくりできるばしょがあるわ!!」 「はいはい」 ありすがベンチを見つけたらしく、そこに座ろうと急かしてきた。 まったく、そんなに急いでもベンチは逃げないぞ。 「・・・・・・ゆっくり、していってねぇ・・・・・・」 「うわ、何だ!?」 のそりと、ベンチの下から何かが這い出してきた。 ゆっくりれいむ。ただし、薄汚い野良ゆっくりだが。 久しぶりに見た。まだ駆除されないで生き残っている奴がいたのか。 「ゆっくりしていってね!!!」 「おい、ありす。そんな奴に構わなくてもいいって」 薄汚い野良風情に挨拶を返す『ありす』。 もし野良が擦り寄ってきて、『ありす』が薄汚れてしまったらどうするつもりなのだろう。 「ゆっ!!れいむはきっとゆっくりできるゆっくりよ!!おにいさんは、そこでみていてね!!」 「ゆっ・・・、あ、あでぃずぅ・・・・・・」 「あ、こら」 僕の忠告を無視して、ゴミへと近寄っていく『ありす』。 いけないな。飼い主の言うことは素直に従わなくちゃ。 これはおしおき決定だな。 ありす目掛けて、思い切り蹴り上げる。 全速力で振りぬかれた僕の爪先は、ありすのまむまむの周囲、そしてその少し上にある口を削り取った。 飛び散るクリームと白い飴の歯と求肥の舌。 「・・・・・・っ!?・・・・・・っひゅーっ・・・・・・ひゅー・・・・・・」 口を失い、代わりに掘られた穴からはヒューヒューと風音がする。 薄汚い野良れいむはそんなありすを見て失禁していた。 「『ぱちゅりー』、その本面白い?」 「おもしろいわ!とってもゆっくりできるごほんよ、おにいさん」 家の中、僕は『ぱちゅりー』と一緒に本を読んでいた。 小難しい小説を読む僕と、むきゅむきゅと逆三角形の口をとがらせて簡単な絵本を読む『ぱちゅりー』。 まったくもってほほえましい光景だ。 「おにいさん、つぎのごほんはないの?」 もう読んでしまったのだろうか。 次の絵本をねだる『ぱちゅりー』。 そうは言っても絵本なんてうちには殆どない。あるとすれば・・・・・・。 「じゃあこの絵本を貸してあげるよ、『ぱちゅりー』」 「ゆ?そのごほんは・・・・・・」 「ああ、古いだろう?僕の宝物だった本なんだ」 古ぼけた一冊の絵本を物置から引っ張り出す。 昔はこれをずっと抱えていたっけ。 「ぱちゅりー、貸してはあげるけど汚さないでくれよ。もうその本売ってないんだ」 「むきゅ!わかったわ!あ、でもこのほん・・・・・・」 意気揚々と僕から本を受け取り、開く。 本を開いたその瞬間、埃が舞い上がった。 その埃をもろに吸い込んでしまう『ぱちゅりー』。 「むぎゅ!!ごほっ、ごほっ・・・・・・えれっ、えれれっ!!!」 「あ」 咳につられて、嘔吐までしてしまう『ぱちゅりー』。 本にびしゃりとクリームがかかる。 もうこれは読めなくなってしまっただろう。 「ごほっ、げほっ、えれれ、ごぼっ!!」 「ああ、僕の絵本が・・・・・・」 汚さないでと言ったのに。 『ぱちゅりー』は僕の思い出を容赦なく汚してしまった。 これはお仕置きしなくてはいけない。 『ぱちゅりー』の脳天に抜き手をかます。 元々薄い『ぱちゅりー』の皮はあっさりと破け、簡単に手首まで埋まってしまった。 あとはハンドミキサーの要領でぐりぐりと手を掻き混ぜる。 「っ!!!?・・・・・・けひっ!!かひぇっ!?・・・・・・・くひぃっ!!」 ぐるんと白目を剥き、わけの分からないことを叫んで痙攣を始める『ぱちゅりー』。 もうこれでクリームを吐き散らかすようなことはしないだろう。 僕はぱちゅりーの頭から手を引き抜き、払ってクリームを振り落とした。 「やぁ『れいむ』。ゆっくりしてるかい?」 「ゆっ!!おnいさん、れいmはとっtもゆっkりしてrよ!!!」 『れいむ』に話しかける僕。 『れいむ』は今日も今日とて良いご挨拶・・・というわけにはいかなかったようだ。 「あれ?れいむ、今なんて言ったの?」 「ゆ?おにiさん、rいむはとってmゆっくrしてるyっていったnだy!!!」 僕の問いかけに返事を返す『れいむ』。 やっぱり聞き間違いではなかったようだ。 そういえばもう長いところ調整していない。そろそろガタが来たのかなぁ。 「うーん、こりゃ酷いな。総メンテが必要になったのかな?」 「ゆyっ?oにいsん、いったiなnのkと?」 僕を見上げるその瞳がカメレオンのように別々に動き始める。 ぐるぐると一箇所を見続けることはなく、時々白目を剥いたり、黒目に戻ったり。 うん、やっぱりこれは内部まで点検しないといけない。 「それじゃあ『れいむ』。ちょっとの間眠っててね」 「ゆ!おnいさn、rいmまdねmくな・・・・・・」 振り上げた拳をそのまま『れいむ』に叩きつける。 頭を不気味に変形させて、目と言わず口を言わずありとあらゆる穴から餡子を噴き出す『れいむ』。 一瞬の断末魔もなく、『れいむ』はそのまま静かになった。 「えーと、電話電話・・・・・・確かこの番号に・・・・・・」 電話帳を片手に、電話のボタンをプッシュする。 プルルとお馴染みのコール音。相手が出たのは、2コール後だった。 『はい、加工所愛玩部でございます』 「あ、すいません。ゆっくりの修理をお願いしたいのですが―――」 数年前に訪れたゆっくりブーム。 何故ゆっくりなんていうものがペットとして流行ったのか、それにはある理由があった。 先ず第一に人間の言葉が使えること。 犬や猫と違い、言ったことがそのままわかると言うのはペットとして大きなニーズを獲得した。 勿論、言語が通じることで生じる問題もあったが。 第二に、飼育が簡単であると言うこと。 なんせ生ゴミを適当に与えておいても勝手に育つのだ。 面倒くさいマニュアルなんてものはいらない。それはペットとして大きな魅力だろう。 そして、第三。恐らくこれが最も大きな要因だろう。 ゆっくりは、簡単に『修理』できるのだ。 他の動物なら致命傷でも、ゆっくりならば簡単に直せる傷なんてのは良くある。 元々体の脆いゆっくりの事、お手軽にペットを治療できるなんてのは病院代に悩む飼い主を救うことを意味していた。 それは、後々別の意味を持つことになる。 『ゆっくり救急治療キット』が世に出てから随分経つ。 名前の通り、そのキットにはオレンジジュースをはじめとするゆっくりを直す道具が一通り揃えられていた。 このキットが売り始められた時期と、ゆっくりのブームは奇しくも―――いや、必然だろう――― 一致する。 人々はゆっくりを『治療』するだけには止まらなかった。 治療と言う名の行為が行き着く果て―――それは改造だ。 今やペットショップにはゆっくりの種類別に分けられた眼球などのスペアパーツが並んでいる。 僕もそんなゆっくりを『改造』するものの一人だ。 この『れいむ』―――いや、その前は『ぱちゅりー』で、その前は『ありす』。更にその前は『まりさ』。 ではその前は一体なんだったろう。たしかみょんだったようなちぇんだったような・・・・・・?よく覚えていない。 とにかくこの元の種族すら分からない一匹のゆっくりを、僕は延々と改造し続けている。 その姿に飽きれば皮を剥がして、目を入れ替えて、植毛して、中枢餡を残したまま中身を入れ替えればよいのだ。 他の動物には真似出来ない、立派なゆっくりの長所だと思う。 まぁ時々こうして中身の不具合が出るのは加工所に任せるしかないんだけどね。 ともかく、ゆっくりがこの世に出てからいくらか経ったこの時代。 品種改良を重ね続けて、ゆっくりは完全に人に迎え入れられるような形となった。 人のために姿を変え、記憶を変え、魂まで変える。 なんとひたむきで、いじらしいのだろう。 『れいむ』を受け取りに来た職員さんに、そっと『れいむ』を差し出す。 一週間でお返しできます、との言葉を最後に職員さんは車を出していった。 きっとあの車の中には『れいむ』と同じようなゆっくりが積み込まれているのではないか。 遠くなっていく影を見つめながら、僕は一人思いを馳せる。 今度はどんな姿に改造してやろう。 もう『れいむ』の姿には飽きてしまった。つきはどんな姿がいいだろう。 そうして、つい最近入荷された新製品の事を思い出す。 確かあれは『ゆっくりゆうかセット』だったっけ。 緑の髪、赤い瞳、そして植物を栽培するらしい習性。 よく分からないが希少種・・・?のためらしく値段が少々高い。 それでも、セットに描かれていたあの姿は可愛らしかった。 きっとあの姿ならすぐには飽きない。少しは長く楽しめるだろう。 よし、決めた。次は『ゆうか』にしてやろう。 あの『れいむ』・・・いや、あの『ゆっくり』は喜ぶだろうか。 喜ぶだろうな。なんせあんなに可愛いのだから。 思い立ったが吉日。 僕は一週間後の改造に備えて、意気揚々とペットショップへと歩いていった。 人のためのゆっくり。 それは、ペットと人形の中間で人間に弄ばれる存在なのかもしれない。 おわり ――――― 書き溜めです。 ちゃんとゆっくりを愛でてみようと思って書いてみました。 着せ替え人形みたいにその日その日でお手軽に姿を変えられるペット、これは流行る。わけがない。 このSSに感想をつける
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ゆっくりわさび 家に帰宅するなり、自分を迎えてくれたのは無残にも散らかされた部屋と 開けっ放しの冷蔵庫、そして水道の水がジャーと音を立てたまま流れ続けている。 そして部屋の奥で笑顔の紅白の饅頭だった。 「ゆ? ここはれいむのおうちだよ、ゆっくりしていってね!」 と言い出す、お饅頭。 これは、ゆっくりという生物らしく、見た目は人の顔だをした生き物だ。 このゆっくりは、ゆっくりれいむという種族で、赤いリボンをしているのが特徴。 それからゆっくり達の顔は、みんな女の子の顔をしており髪の毛もしっかりついている ゆっくりの赤ちゃん達も生まれながらに髪の毛と、種族がれいむならリボンも付いているらしい。 「おじさんはだれ? ここはれいむのおうちだからかってにはいらないでね」 人の家に無断で侵入しておいて、よくもまあそんな事が口から出てくるものだ これが動物ならば家の主が帰ってくれば一目散に逃げ出すのだろうが このゆっくりという種族は知能をもち、人語を話す、動物と違い会話ができる知能がある。 しかしその中途半端な知能は人間にも動物にも圧倒的に劣る。そのアホな知能のお陰で大抵のゆっくり達は長生きができないのだ なぜかって? どんなに悪事を重ねても(ゆっくり達に善悪はわからない)満面の笑顔で。 「ゆっくりしていってね!」などとほざく。 善悪が分からないということは可哀想といえば可哀想だ。 とりあえず俺は、ゆっくりれいむを無視して部屋の片付けに取り掛かった。 まずは出っぱなしの水道を止める。けっこうキツめにひねっておく。 次は部屋の片づけだ。 本棚からあふれ出された本を片付ける、いくつかはページやカバーをやぶり捨てられている 多分、食物と思いページを食べたのだろう。 食べられないと分かると、はき捨てたページと思われる、ゆっくりが吐き出した胃液でぐちゃぐちゃになっている塊が そこら中に散らばっている。 それらを一つ一つ、手に取り、ゴミ箱に捨てる。 もちろんゴミ箱もご丁寧に倒されてあり、中のゴミが散らばっている。 そのゴミも一緒に、さっきのページの塊と一緒にいれていく。 ゆっくりのよだれと見られる白い液も雑巾で拭いていく。 その様子にゆっくりれいむは、この男が部屋の片付けに来てくれたのだと思いこう言う 「おじさん、れいむのおうちをきれいにしてくれてるんだね、ありがとう」 ほう、勘違いしているとはいえ、ゆっくりもお礼を言うことくらいはできるのか 「でもきれいにしたらでていってね、ここはれいむのおうちだから れいむがひとりでゆっくりするよ」 やれやれ、前言撤回だ。 このゆっくりという生き物は、自己中心的で自分の事しか考えられないらしい この性格が災いして、黙っていればそこそこ可愛いかもしれないのに、人の怒りに触れてしまう その結果、殺されてしまう。 こういえば怒るとか喜ぶとかがよく分かっていないらしい 完全に自分のルールの中だけで生きているのだ、子供のうちは仕方ないかもしれないが、大人になっても こうであるのだからどうしようもない。まあ、ゆっくりだしね。でもやっぱり喋るのがいくない。 この喋る機能のせいで、大抵の人の神経を逆撫でしてしまうのだ。 そして最後に開けっ放しの冷蔵庫を見る。 中に入っていたものは食い散らかされ、見るも無残な姿になっている。 倒れて、ぼたぼたと中身が流れている紙パックのオレンジジュース、牛乳 潰れた卵パック、袋を破り捨てて食ったと思われる、ハムやウィンナー 野菜も全滅。 どの野菜も不味い茎や根っこの部分だけご丁寧に残っている。 はぁ… と冷蔵庫を閉めようと思った俺は冷蔵庫の奥に残っているものを発見した。 「こ、これは… わさびじゃねーか!」 前に刺身用に勝ってきた新品のわさびである。 なぜ新品かというと、大抵の刺身にはわさびも一緒にくっついてくるものなのだ。 だから使わずに新品だった、それだけ事なのだ。 そのわさびを見つめ、俺は面白い事を考えた。 このゆっくりに天国と地獄を見せてやろうと。 後ろを振り向きゆっくりれいむの方を向く。 「おうちがきれいになったよ ありがとう おじさんはもうでていってね」 まだそんな事を言ってやがる、まぁいいや、俺はゆっくりにある提案を持ちかけた。 「ごめんな、ここはれいむのお家だったんだよな、でもおじさんも帰るおうちがないからここに住まわしてほしいんだよ」 ぷぅーと顔を膨らませこう言い返す。 「だめだよ、ここはれいむだけのおうちだもん ゆっくりするのはれいむだけだよ」 なんという自己中饅頭だ。 仕方ないので条件を出すことにした。 「じゃあおじさんがいまから美味しい食べ物を持ってきてあげる だから一日だけでいいから泊めて、お願い」 その条件を聞き、ゆっくりれいむの顔つきが変わった。 「おいしいものくれるの、じゃあいいよ でもあしたになったらでていってね」 ちゃっかり明日には出て行けといい忘れない所にゆっくりの自己中心な性格を感じる。 そして俺は、ゆっくりに占領された我が家を出て、夜のコンビニに向かった。 「いらっしゃいませー」 コンビニに着いた俺は、早足で目的の商品を買う。 目的の商品は、わさび二つと、抹茶アイス二つだった。 「ありがとうございましたー」 商品を店員から受け取ると急いで家へと向かう。 家のドアを空けるなり、ゆっくりれいむが近寄ってきた。 「おじさんおかえり! はやくおいしいものたべたいよ!」 ぽよんぽよんとゴムボールのように跳ねまわり、よだれを垂らしながら俺の持っているコンビニの袋に飛びつこうとする。 「まだ駄目だよ、この食べ物はよーく冷やさないとおいしくないんだ、今食べたらおいしくないぞ」 そう俺に諭されゆっくりは残念そうに袋をみる 「ゆぅ… わかったよ がまんするね」 とりあえず買ってきたわさびとアイスを冷蔵庫に入れる。アイスだけは溶けないように冷蔵庫の一番上の冷凍庫に入れる。 ちなみにこの段は何も入っていなかったのでゆっくりに襲われずにすんだ場所である。 それ以前にゆっくりの跳躍では一番上まで届かないということでもあるが。 とりあえずよく冷えるまで一時間程度置いてみる事にした。 その間また何かされては困るので、監視もかねて、ゆっくりれいむと遊んであげる事にした。 そして一時間後 買った時よりもよく冷えた、わさびとアイス。 これを別々に同じ容器に入れる。透明なガラスの容器なの冷たさを一層引き立たせる。 遠目で見ると一見同じ、抹茶アイスだが片方はわさびの塊である。 チューブのわさびを二本まるまる使ってできた一品である。 「これでよし… と」 思わず口元がにやける、これから始める悪戯に対して、いい歳しつつもワクワクしてしまうのだ。 最初に抹茶アイスの方だけをゆっくりれいむの方へ持っていく。 「これが美味しいアイスっていう食べ物だよ」 ゆっくりれいむの目には、コンビニの抹茶アイスが輝いて見える。 冷たそうで美味しそう。透明な器に入れてあるのでより一層そう感じる。 初めて見る食べ物に、ゆっくりれいむの口元からはよだれがだらだら溢れてきていた。 「まずは俺が一口」 ぱくっとスプーンでアイスを口に運ぶ俺。 感想は、まぁ抹茶アイスですね… くらいか それを見たゆっくりれいむは自分にも早く早くとばかりに、ぴょんぴょんとアイスに食いつこうと跳ねる跳ねる。 「おじさん! はやくれいむにもそれちょうだい ゆっくりはやくたべたいよ」 ゆっくりはやくという言葉の意味はわからなかったが、スプーンで一口すくい、ゆっくりれいむの口に入れてやる。 ゆっくりれいむの口の中に広がる、極上の冷たく甘い刺激! 一口のアイスを何度も下で転がし味わいまくる。 「しあわせー!!!」 たった一口のアイスを思い切り味わったゆっくりれいむの表情はご満悦といった感じだった。 「おじさん! もっとちょうだい! もっとゆっくりたべたいよ!」 きらきらした目と表情で、もっとよこせと訴えてくるゆっくりれいむ 「いいよ、全部食べなよ」 俺はそう言って残りのアイスを全部あげることにした。 「ゆっくりいただきまーす!!!」 物凄い勢いで、器の中に頭を突っ込みむしゃむしゃとアイスを頬張るゆっくりれいむ。 こんな汚い食べ方は動物でもしないだろう。見ていて哀れにしか見えない。 あっという間にアイスを感触し、満足そうなゆっくりれいむ。 ゆっくりゆっくり言ってる癖にゆっくり食べるという頭はないのだろうか。 ゆっくりれいむは俺の方を向きこう言う。 「おじさん! もっとないの! もっとたべたいよ! いますぐもってきてね!」 そう来ると思った。俺はすぐに準備してあったわさびアイスを持ってくる。 「はいはい、ちゃあんと準備してあるよ」 ゆっくりれいむの傍に、わさびアイスを置く。 「いただきまーす!!!」 おかわりのアイスを目の前にゆっくりれいむは、抹茶アイスではないわさびアイスに飛びつく。 思い切り大きな口を開け、わさびのアイスを丸呑みだ 「やった!」 思わず口から喜びの声が漏れる。ついにこの馬鹿饅頭にわさびの塊を食わせる事ができた。 これからどうなるのか? 考えただけでぞくぞくしてくる。 「ん…? なんだかこれへんなあじがするよ さっきのとはちがうよおいしくないよ」 バカタレめ、食い意地はって一口で丸呑みにするからだ。 全部食ってからようやく気付きやがった。しかしもう遅い! 数秒後、ゆっくりの表情がみるみるうちに変わっていく 「うあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!! ぐぢのなががからいよ! めがいたいよ!」 ついにわさびの効果がきき始めてきたか。 ゆっくりれいむは目から顔から大量の涙と汗をたれ流し、のたうち回りはじめた。 「うげえええ!!! ぶぅうぅおえええええええええええええええええええ!!!」 口を大きく広げ、なんとか食べたわさびを吐き出そうとする、ゆっくりれいむだが、既にわさびは消化済みらしい 「いだい!いだい!いだいよ おくちがいだいおおおおおおお!!!」 目からは涙は止まらない、いや顔全体から液という液が垂れ流しになっている状態だ。 このままでは自分は死ぬと悟ったゆっくりれいむは、のたうちまわるのをやめ、ある場所へと突撃した。 その場所とは水道である。この危機を打破する為には水を飲むしかないと判断したのだろう。 「みずぅ!! おびずうううううう!!!」 物凄い形相で水道の方へ飛び跳ねていくゆっくりれいむ。 だが、そんな簡単にいかせるわけにはいかない。 「そうはいくか!」 俺はすかさず、後ろからゆっくりれいむを掴み、壁に叩きつけた。 「うぶぇ!!!」 壁に投げられずりずりとすり落ちていくゆっくりれいむだが、口の辛さと、目の痛さがそれを許さなかった。 すぐさま起き上がり、水道へと網突進を開始する。 「びず!!! びずぅううううう!!!」 「オラァ!」 またまたすかさず、飛び上がった隙を狙う。 「ぶふぅ!!」 飛び上がったゆっくりれいむを殴りつける俺。もちろん全力ではない。 それでもゆっくりに対してはかなりの威力があったらしく、殴られた勢いでぼよんぼよんと床を何回もバウンドし叩きつけられた。 「ゆ… ゆぅ…」 今ので結構なダメージらしくなかなか起き上がってこない。相当に顔にもダメージを受けている。 だが、目の痛さと口の辛さは休むのを許してくれなかった。 「ゆぅぅぅ!! ゆっぐりどいてねぇえええ!!!」 修羅のような顔で、三度目の突撃を開始する、ゆっくりれいむ。 もはや、ゆっくりれいむには水道しか見えていない。 そして俺は、水道を守護する門番な気分になっていた。 飛んできては、殴り、投げ、殴り、投げの繰り返し。 それでも、ゆっくりれいむは水道に行くのをあきらめなかった。 「ゆっぐり!どいてよぉおおおおお!!!」 「おみず! のませでぇええええええ!!!」 「ほんどに ほんどにじんじゃうううう!!!」 根気負けという奴だろうか、俺はついに水道への道を開けてやる事にした。 「しょうがない、俺の負けだ 早く行けよ」 「おびずぅぅぅ!!!」 真っ赤な顔をして一目散に水道へと向かう、ゆっくりれいむ。 もはや、ゆっくりれいむの顔は限界に来ていた。 口の中の感触がまるでない、焼け爛れたようにジンジン痛みが襲ってくる。 眼球が飛び出そうだ、涙も枯れ果てている。 一歩、一歩、水道が近づいてくる。 そして、水道の真下までたどり着いた。後はこの上まで飛び上がるだけだ。 ゆっくりれいむは最後の力を振り絞り、大きな跳躍を見せ、見事水道の蛇口まで飛び上がった。 そして、蛇口をひねれば水が出るという事を知っていた、ゆっくりれいむは蛇口に口を挟み、ひねり始めた。 「む゛ー!!! む゛ー!!!」 必死に蛇口を回そうとするが、一向に回る様子がない蛇口。 どうして? どうして回らないの? と涙は出ずとも、悲しい表情のまま蛇口を必死にひねり続ける。 なぜ回らないのかというと、別に特別な仕掛けを仕掛けたわけでもなく、きつめに捻っておいただけだ。 しかしゆっくり程度の口の力ではまわすことも適わない。 「む゛ー!!! む゛ー!!!」 ぷはっと口を離してしまい、そのまま水道の流し台にすっぽりはまる、ゆっくりれいむ。 なんともお似合いの格好だ。これが便器だったらさぞや面白い光景だったろう。 「どうじで… どうじでまわらないの!!」 すっぽり水道にはまった、ゆっくりれいむを上から見下ろす俺。 「どうしたんだよ? 早く水を飲まないと本当に死ぬぞ」 にやにやした顔つきで、ゆっくりれいむに状況を聞いてみる。 「おじざん… だめだよ じゃぐちがあかないよ… おねがいだよ じゃぐぢをひねってね!」」 ここに来て、俺を頼ってきたか。仕方ない俺は鬼でも天狗でもない、助けてやろう。 もちろん条件つきでな。 「とりあえず、ゆっくりれいむよ、ここは俺の家だ、それだけはまず最初に認めてもらう」 「ゆぅ… わかったよ ここはおじさんのいえだよ… だからはやくじゃぐちを」 もはや反抗する気力もないのか条件を認める、ゆっくりれいむ、なんがか張り合いがないな。 「次に、散々人の家を散らかした罰だとして、しばらく働いてもらうからな」 「わかった わかったよぅ だからはやくおみずを… おびずをください!!」 条件に承諾したのを確認したので、俺は蛇口を思い切りひねった。 ジャアアアアーーー! 勢いよく冷たい水が噴出してくる。 その真下にいた、ゆっくりれいむに水がどばっと落ちてくる。 「おびずぅぅぅ!!!」 大きな口を限界まで広げ、冷たい水がわさびで腫れた口を癒してくれる。 もちろん顔中に水はかかるので、目にも潤いがすこしづつではあるが戻ってくる。 しばらくそれを見ていると、真っ赤に腫れていたゆっくりれいむの顔が普通の肌色に戻っていく。 顔色が良くなったのを確認すると蛇口の口を逆にひねり水を止める。 「ゆぅー」 命が助かったのを顔全体で安心しているのか、ゆっくりれいむの表情は非常に穏やかだった。 「良かったな、お水が飲めて、飲ませてやったんだから、明日かたは俺の言うことに従ってもらうぞ」 「ゆ? おじさんなにいってるの? ここはれいむのおうちだよ、おじさんはでていってね」 なんという事だ。この饅頭は、つい数分前の約束すら覚えていない。 それも自分に都合の悪いことは全て忘れる、どうしようもない脳みそを持ってやがる。 「ゆっくりでていってね おじさんはきらいだよ」」 … やれやれだ、俺は冷蔵庫に向かい、最後のわさびチューブを取り出す。 そして、水道にすっぽりはまっている、馬鹿饅頭の元へと戻っていく。 「おじさん はやくでていってね まずいものをたべさせる おじさんはだいきらいだよ」 身動きが取れないその状態でよくもそんなセリフが吐けるものだ。 つくづくこの馬鹿饅頭に感心させられる。 「口を開けろ」 そう俺はゆっくりれいむに命じた。 「ゆ? またおみずをくれるんだね! ゆっくりあけるよ」 馬鹿でかい口を、あーんとばかりに大きく開ける。 「今度はゆっくり味わってね」 わさびチューブをゆっくりれいむの舌や口の中に塗りつける。そりゃあもうべっとりと。 「じゃあな、俺は出て行くよ さよなら」 水道にはまったゆっくりれいむを後にし、俺は家を一旦出た。 何かを自分の舌や口の中に塗られた気がしたが、男が居なくなって、ご満悦のゆっくりれいむ。 「ようやくゆっくりできるね… ゆっ!」 再び先程の悪夢が蘇る。 口の中が大火事だ、眼球が燃えそうに熱い、汗が止まらない。 「ゆびゅおあああああああ!!!」 すぐに真上にある、蛇口をひねろうとするが、なんと自分ははまって動けない。 んーんー! と精一杯の力で脱出を図ろうとするが全然取れない。 その間にも、顔の中から地獄の業火のような痛みが続く。 「おぼぇえええええええええ!!! おじざん!!おじざん! じゃぐちをひねってぇえええ!!!」 しかしそこにはもう男の姿はない。それに自分が今さっきでていってねと催促したのではないか、今更遅い。 「うぶぉああああああああああああ!!! だずけでぇええええええええええええええええええ!!!」 その声を俺は玄関の外から聞いていた、もう少し、ゆっくり慎重に言葉を選ぶ餡子があればこうはならなかった のになと心の中で不遇に思った。 ゆっくりれいむは絶命する直前に幻覚を見た。 他のゆっくり達が綺麗な水のあるオアシスでゆっくりしているのに、自分だけは終わりのない灼熱の砂漠でさ迷っている。 どんなに足掻いても、オアシスには辿り着けずに永遠に砂漠をさ迷う自分。 その幻覚はそのまま今の現実に直結していた。 ほんのすぐ真上にある蛇口、しかし自分ははまっていて身動きがとれない。 水のあるオアシスの入り口は目の前だというのに。 「ゆぅー ゆぅー ゆぅ… ゆぅ」 息もたえたえになって意識が薄れてきた、それでも顔の中からの激痛はやまない。 もうこのまま死にたいが、激痛がまだ、死につれていってはくれなかった。 目はもはや眼球が飛び出そうだ、ぶちゅぶちゅと眼球の間から、中の餡子がちょっとずつ出てきている。 「いだいよぉおおお!! いだいよぉおおお!!」 ひたすら叫ぶのを繰り返す、ゆっくりれいむ、でも助けは誰も来ない。 「だれかだずげでぇえええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!」 そして三時間後、俺は、ゆっくりれいむの悲鳴だけを聞くのも飽きたので友達の家へ遊びに行っていた。 帰宅して早速、洗面所を見にいく。 すると、燃え尽きたような黒い饅頭がすっぽり水道の流しにはまっているではないか、やはりこのまま絶命したか。 本当に心から哀れな生き物だと思い、その黒い饅頭の残骸を生ゴミ袋に捨てた。 自分の事ばかり考えて生きてきた結果がこれだよ! ゆっくりわさび 終 ゆっくりにわさびを食わせたらどうなるんだろうと、考えたSSです。 もちろん自分は、大量のわさびなんぞ食った事ないので、大量のわさびを食べた生物がどうなるのかなんぞ 知りません。 すべて自分の想像です。 でも多分、死ぬんだろうな・・・ このSSに感想を付ける
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ゆっくりいじめ系3111 ゆっくりブリーディング1 から 先程までののんびりとした雰囲気はどこに行ったのか。 部屋は阿鼻叫喚の坩堝と化していた。 泣き叫び俺から逃げ惑う赤ゆっくりもいれば、目を見開いたままガチガチと歯を鳴らすことしか出来ない赤ゆっくりもいる。 「ゆゃああああ!!!」 「ごわ゛い゛い゛い゛い゛い゛!!!」 部屋の隅に、押し合いへし合い団子になって震える赤ゆっくり達。 「・・・・・・・・・」 事態を理解したくないのか真っ白になったまま動かないゆっくり。 反応は様々だが、共通して俺に恐怖を抱いている事は確かだ。 鞭の効果は絶大。これで俺に逆らえばどういう事になるか良く理解しただろう。 ゆっくりに対する飴と鞭は、3対7が理想とされている。 しかしこれは成体の場合。 記憶容量が少ない赤ゆっくりは都合の良いことしか覚えようとしないので、幼体のころは飴など殆ど必要ない。 先ずはビシバシ厳しくして駄目な奴から切り捨てていく。 代わりはいくらでも居るのだ。 「うにゅーーーーーっ!!!」 ・・・・・・代わりが無いタイプの奴がまたも俺に対して体当たりを仕掛けている。 またかよ。ほんと学習してねぇな、コイツ。 あと俺が怖くないのか。一応お前の仲間の赤ゆっくりブチ殺しているんだけど。 普通こんな事をされたら問答無用でブチ殺しているのだが相手はゆくうだ。 短気で殺すには惜しい価値を持っている。 幸い他の赤ゆっくりどもはパニックになっており、おくうの蛮勇は見えていなさそうなので影響を受ける心配は無さそうだ。 ならば処置は決まり。俺はゆくうに向かってデコピンを見舞う。 さっきよりもだいぶ強い力で、だが。 ベチィ! 「う゛に゛ゅ゛ん゛!!!!」 コロコロコロ・・・・・・・・・ 顔を大いに凹ませ、勢い余って転がっていくゆくう。 やがて回転は止まったが、ゆくうは気絶してしまったようでピクリとも動かなかった。 むしろ好都合だ。今の内に他の赤ゆっくりどもにしっかりと上下関係を教え込もう。 「分かったな?俺の言う事に従わないとどうなるか」 「「「「「ゆ゛ひっ」」」」」 部屋に散らばった赤ゆっくりの一匹一匹を睨め付けるように言い含めていく。 視線が合った赤ゆっくり達は、「ゅぴぃ」と言いながら震えるばかり。 「俺の言うことが理解できたのならその場で跳ねろ。跳ねない奴は殺す」 「「「「「ゆ゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛ぅぅぅ!!!」」」」」 言うや否や、凄まじい勢いで跳ね始める赤ゆっくり達。 その顔は恐怖に歪み、引き攣っている。 俺が止めろと言わなければ体力の限界まで跳ね続けるだろう。 跳ねると言う行為自体は先程と全く同じなのに、少し脅かしただけでここまでの変わり様とは。 だからゆっくりは面白い。 「止めろ。全員理解したな。それで良い。早速だが、飯だ」 茎を回収して赤ゆっくり達のほうへ放り投げる。 赤ゆっくり達は俺の行動にビクッと身を竦ませたが、それが特に何の危険も無いと分かるとまた震えて俺を見続けた。 流石にいきなり食いつくような馬鹿は居ないか。もし居るとしても、その馬鹿は気絶中である。 今日の予定はこれでおしまい。さっさとこの部屋を後にしよう。 「ちゃんと全員で仲良く分けろよ?独り占めするような悪い子は要らないからな」 それだけ言って赤まりさ達の遺骸を回収し、ドアを開け、俺は部屋を後にした。 ドアの向こうでは赤ゆっくり達の安心したような気配が伝わってくる。続いて餌を食べようとする気配も。 最初に残ったのは290匹か。なかなか幸先の良い出出しだ。 それにゆくうの存在――あれの躾を考えると気合が入る。 ゆくう専用の教育課程でも組んだ方が良いかもしれない。それとも教師役として別のゆっくりでも付けるか。 何にせよ他の赤ゆっくり達の事も考えると色々やっておくべき事はある。 一匹たりとして同じゆっくりは居ない。それぞれに見合った躾を考えてやる必要がある。 ―――もちろん、服従させる方法も。 さぁ、今日からちょっとだけ忙しくなるぞ。 赤ゆっくり達の最初の教育は、数の数え方から始まる。 普通のゆっくりは3以上の数を「たくさん」としか認識出来ない。これはゆっくりの習性みたいなものだ。 だがこの赤ゆっくり達はその習性がすっぽり抜け落ちているので案外教えるのは容易い。 ―――野生のゆっくりと人間が対立する原因はその「価値観」の相違にある。 先ずはこうして、赤ゆっくり達の認識を人間寄りに近づける必要があるのだ。 「おい、そこのれいむ。こっちへ来い」 「ゆひぃ!?」 「怯えるな。殺しはしない。算数の勉強だ」 「・・・ゆっ?さんすう?」 「ゆっ!!きらきらしゃん!!!」 「そうだ。これはおはじきと言う。俺の出す問題に全て正解できたら次の勉強の時間まで貸しておいてやるぞ」 「ゆっ!?れいみゅがんばりゅよ!!」 「さて問題。れいむ、今俺が持っているおはじきは何個でしょう?」 「いっこ!!!」 「正解。それでは次の問題、そこに更に一つおはじきを追加しました。いったい何個でしょう?」 「にこだよ!!!」 「正解。さて更に次、もう一個おはじきを追加。さぁおはじきは何個だ?」 「たくしゃん!!!」 「不正解。おはじきは貸せないな」 「ゆが~~~~ん!!!」 大抵の赤ゆっくりは最初に躓くものだが、それでも何匹かは正解を答えたりする。 そんな時には約束通りご褒美としておはじきを一個貸してやるのだ。 「ゆゆっ!!きらきらしちぇる!!!いーなぁ」 「とっちぇもゆっくりしてるのじぇ」 「むきゅ。すごいわ、ありしゅ」 「がんばったからしぇんしぇいはありしゅにきらきらしゃんをくれたわ!ありしゅのたからものにしゅるわ!」 「あ、貸しただけだからな?ちゃんと返せよ」 「ゆがが~~~~ん!!!」 中にはそういったゆっくりを妬んでおはじきを奪い取ろうとする赤ゆっくりもいる。 そういう個体も不適格。さっさと処分してしまう。 「れいみゅにそのきらきらしゃんちょうだいね!!さっさとちょうだいね!!」 「むきゅ、れいむ、これはぱちぇががんばって・・・・・・」 「いいからちょうだいね!!!」 「む゛ぎゅっ!?え゛ほっ、え゛ほっ・・・・・・」 「何やってんだそこのれいむ」 「ゆっ!?れいみゅはきらきらしゃんがほしいんだよ!!だからぱちゅりーからもらってあげぴぃ!!!」 数の数え方と平行してひらがなの読み取りも教える。 これは後に本を読ませたりして人間のルールを教え込むのに役立つこととなる。 人間の保育園に置いてあるような五十音表を使って赤ゆっくり達に教え込む。 「まりさ。この字はいったい何と書いてある?」 「ゆっ!!しょれは『あ』だよ!!」 「正解。ではこれは?」 「『い』だよ!!」 「正解」 ゆっくりは言葉を喋れるからか、比較的早い段階から文字を読み取れるようになる。 それでもゆっくりらしく最初の内は平仮名しか読めないが。 最終的にはある程度の漢字も読ませられるように仕上げる。 「ゆゆ~ん!!らくしょうだよ!!」 「・・・そうか?じゃ、これは?」 「『さ』だよ!!ちぇんちぇい!!」 「ハズレ。これは『ち』です。じゃあこれは?」 「ゆっ・・・・・・こ、これは『は』だよ!!」 「ハズレ。『ほ』だ。じゃあこれは?」 「ゆ、ゆゆぅ~~~~・・・・・・『め』、だと、おもうよ・・・・・・」 「『ぬ』だよ、ハズレ。どこが楽勝なんだ?ええ、まりさ?」 「ゆ、ゆぅぅぅぅぅぅぅ!」 先の算数と比べると簡単だが、それでもこうやって失敗する赤ゆっくりは後を絶たない。 例外として、ぱちゅりー種だけはほぼ全員完璧に答えられている。 やっぱり本の虫になるべくそういう才能があるのだろうか。 「よしぱちゅりー、良く出来たな。ご褒美として絵本を貸してやろう」 「むきゅん!?いいの!?」 一通り読めたものにはこうして絵本を貸し出してやる。 内容はひらがなオンリーの、『ゆっくりのるーる』という本だ。 読んで字の通り、ゆっくりが覚えるべき決まりを分かりやすく記されたものとなっている。 「ゆぅ~!ぱちゅりー、しゅごーい!!」 「ごほんよんでー!!」 「むきゅきゅ、てれるわ。ええと、『ゆっくりのてぃーぴーおー』・・・むきゅ?なにそれ?」 こうやって本を読める者が読めない者に教えることで手間をある程度省くことが出来る。 それに読めない者の文字の勉強にもなって一石二鳥だ。 ゆっくりの常識がごっそり抜け落ちた彼女たちは、本に書いてある内容以外の判断基準を持たない。 ここで赤ゆっくり達は人間の常識に対応する下地を作り上げるのである。 先程のおはじきもそうだったが、ここで借り物の本を自分のものだと言い張る個体が現れる。 ある程度まで注意はするが、それも聞き入れないなら処分だ。 此処で赤ゆっくり達に我侭は許されていない。 「いやよ!!これはぱちゅりーのごほんよ!!もってかないで!!」 「さっき俺は『貸してやる』と言ったんだが?いい加減返さないと酷い目を見るぞ」 「これはぱちゅのなの!!せんせいのじゃないの!!」 「あっ、そう。それじゃあさよならだ」 「むきゅ!?なにいって・・・むぎゅううううう!!!」 運動も忘れずに行わせる。 いくら飼いゆっくりとは言っても、最低限の体力をつけなければペットとして不適格である。 それに運動させないとゆっくりはデブになる。過剰な餡子を排泄物として排出する個体も居る。 体内の餡子を循環させ、知能の発育を促すためにも運動は必須なのだ。 「それじゃあこの部屋を大きく一周。遅れているものが居たら助けるように。では初め!」 「「「「「ゆゆーっ!!!」」」」」 ここではやはりと言うか、まりさ種、みょん種、ちぇん種が得意とする分野である。 逆に苦手なのはぱちゅりー種とありす種。後者はこういうドタバタした動きが苦手らしい。 れいむ種は平均・・・よりちょっと下、といった所か。算数も読み取りも同じような成績だ。 万能と言うよりは、器用貧乏といった方が合っているかもしれない。 「ゆっせ、ゆっせ、ゆっせ、ゆっせ」 「みょん、みょん、みょん、みょん」 「わかるよー、みんなはやいんだねー」 「む・・・むきゅう・・・・・・」 「ぱちゅりー、だいじょうぶ?ありしゅにつかまってね」 「れいみゅにもつかまってね。いっしょにがんばろうね」 こんな調子で脱落者はほぼゼロ名となっている。 例外は、最初から走ろうとしない怠惰なものだけだ。 やはりある程度注意はするが、それも聞き入れないようなら処分する。 「みんなばかだねー、もっとゆっくりすればいいよー」 「おいちぇん、何故走らない?お前だけが走っていないぞ」 「ちぇんははしりたくないんだよー。それよりもひなたぼっこのほうがゆっくりできるよー」 「・・・・・・ふむ。ある意味猫らしいが、そういうの要らないから」 「わぎゃっ!?・・・・・・わ、わぎゃらないよ゛ー・・・・・・・・・」 ゆっくりの成長に、餌と言うのは欠かせない要素だ。 食べたものを餡子に変換するといっても、栄養のある食物を摂取した方が知能や精神の発育に良いのだ。 しかし、あまり美味い餌を食べさせると舌が肥えてしまう。 酷いものになると人間のお菓子でしか満足できないようになったり、それが元で餓死してしまうのだ。 そういうことを勘案した結果、赤ゆっくりに与える餌は加工所謹製のゆっくりフードを使うことにしている。 値段は4kg500円。「安っ」と思われるかもしれないが生物未満であるゆっくり専用の餌なのでこんなもんである。 それにこの世には一トン千円台の飼料もあるのだ。栄養とか内容物とかがアレなので使わないが。 ちなみに加工所以外のゆっくりフードは毒性の強いものが多いので気をつけよう。 「ほら、お前ら。餌だぞ」 「「「「「ゆっー!!!」」」」」 餌用の大皿にゆっくりフードを注ぎ込みながらそう宣言する。 津波の如く集団でこちらへやってくる赤ゆっくり達。 「待て!」 「「「「「「ゆっ!?」」」」」 そこで『待て』の命令をかける。 こういう所でも指示に従わせ、ヒトの言うことをきちんと聞くゆっくりに育て上げるためだ。 ・・・勿論、そう上手くいかないのは重々承知である。 「ゆっ!!ごはん!!ごはん!!」 「まりしゃがいちばんなんだじぇー!!!」 身の程知らずの赤れいむと赤まりさが一匹ずつ飛び出してきた。 とりあえず警告1。二匹を強めのデコピンで弾き飛ばす。 べちん。 「ゆぎゅっ!!」 「ぷべっ!!」 ころころと転がり、他の赤ゆっくり達の下へと戻る二匹。 赤れいむはそれで懲りたようだが、赤まりさは起き上がると同時にまたこちらへとやって来た。 警告2。先程よりも強いデコピンで迎え撃つ。 ベチッ 「ちゅぶん!!!」 ころころころ・・・ 「ゆ゛ゆ゛・・・・・・まりしゃのごはん!!」 再び転がり倒れ、それでも餌への執着を止めない赤まりさ。 仏の顔も三度まで。もう手加減はしない。 過ぎたる執着は身を滅ぼすのだ。 赤まりさをつまみ上げ、そのまま捻っていく。 「ゆぎゅっ・・・ぢゅみまぢぇん!!まりぢゃ、はんちぇいしまぢだ!!だぎゃらたちゅkあぎゃああああああ!!!」 聞く耳持たず、赤ゆっくり達の目の前で赤まりさを惨殺する。 基本として、こういう処分が決定した赤ゆっくりはみんなの前でむごたらしく殺す。 その方が他のゆっくり達にとっていい薬になるからだ。 「ゆっくりぃ・・・」 「こわいよ・・・」 「しぇんしぇいやっぱりこわい・・・」 目の前で仲間を殺された赤ゆっくり達は、それがトラウマとなり以後そのような行動を慎むようになる。 俺への恐怖心も忘れない、個人的に気持ち良い、一石三鳥だ。 赤ゆっくりは物事を忘れやすいため、ちょくちょくこういう事をやる必要がある。 「俺の言うことを聞いていれば殺したりはしない。お前ら、分かったな?」 「「「「「・・・ゆっくりりかいしたよ・・・・・・」」」」」 「良し。それじゃあ食べて良いぞ」 「「「「「ゆっくりいただきます・・・・・・」」」」」 「ほら、おくう。あたいと一緒にがんばろ?ね?」 「う、うにゅ・・・・・・」 ゆくうには特別に、教師役のゆっくりを付けることにした。 胴付きのゆっくりおりんである。相性は最高だ。 ⑨のゆくうの教育も、これで格段にやりやすくなるだろう。 算数。 「おくう、今おはじきは何個ある?」 「ひとつ!」 「正解。じゃあこれは?」 「ふたつ!」 「正解。それじゃあもう一つ足して・・・さぁどうなる?」 「・・・・・・あ ろっと!」 「何で英語?」 読み取り。 「・・・・・・おくう。これは一体何と読む?」 「H!」 「・・・・・・じゃあこれは?」 「U!」 「・・・・・・これは・・・・・・?」 「Pu!」 「・・・・・・何で元素周期表なんだよ・・・・・・」 運動。 「うにゅーーーーーっ!!!」 「㌧㌦」 「うにゃー、おくうったらもう飛べるようになったんだねぇ」 「いや、そうじゃないだろおりん。なんか違うだろ」 「一応おへやの中を一周してるからだいじょうぶじゃない、お兄さん?」 「・・・・・・いやまぁ問題ないっちゃ問題ないんだが・・・・・・」 「うにゅーーーーーっ!!!」 食事。 「待て、おくう」 「うにゅ!!」 ~三十分後~ 「・・・・・・もう食べて良いぞ、おくう」 「うにゅ!・・・・・・うにゅ?」 「・・・三歩歩く前に忘れてやがる。ほら、おくう。もう食って良いぞ」 「うにゅ!・・・・・・うにゅ?」 「いやだからもう食べても良いって」 以下略。 ・・・・・・規格外であった。 根が素直そうなので言う事は聞くものの、結果がすべて斜め上なのだ。 とりあえずデコピンをかます。相当強い力で。 「うっっ゛に゛ゅ゛ん゛!!!」 ひとまずはこんな所である。 赤ゆから子ゆへと成長する過程で、最も多くのゆっくりが死ぬ。 一週間経過した現在、既にゆっくり達の数は150を切った。 これからもバシバシ死ぬだろう。 道徳や交通ルール、人間の常識などの教育は子ゆっくりになってから行う。 その頃には十分な知識の下地を作っている筈だ。 落伍するとしたら、性格に難ありの者。 所謂"己がゆっくりしたいから従っているだけ"の"ゆっくりさせろ"タイプ。 その手のゆっくりは後々堕落するので最後まで育てる事は無い。 もうすぐ赤ゆっくりから子ゆっくりへの成長――第一次成長期――に達する。 その時にはまたどれ程のゆっくりが残るだろうか。 非情に・・・・・・いや、字が違った。非常に楽しみだ。 つづく ――――― 書き溜めです。 気付いたらゴミ箱に埋もれていた物をちょちょいと手を加えて完成させました。 今までのゆっくりに足りないものは何か?→爆発オチだよ! と言うわけで爆発要員の確保、これからオチに困ったら基本自爆させます。続きは未定。永遠に未定。 このSSに感想を付ける
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「う~、ぷっでぃ~んおいしいど~♪」 「むきゅ!このけんきゅうしりょうはきょうみぶかいわ!」 「むこうであそぶんだぜ!」 「ゆふ~」 好物に舌鼓を打つもの、ただの広告チラシを百科事典と勘違いするもの、家においてある遊具で遊ぶもの、何もせずただぼーっとしているだけのもの。 とある家の一室でみな思い思いの方法でゆっくりしている。 彼女達はこの家の主である青年の飼いゆっくりだ。 しかし普通のゆっくりとは違う部分がある。 それはこのゆっくり達がすべて体つきの固体だからだ この家の主である青年はゆっくりのコレクターだ。 ただのコレクターではなく、体つきのゆっくり専門とするコレクターである。 「ゆ!おにいさん!まりさもあまあまたべたいよ!もってきてね!」 「はいはい、わかったよ」 体つきまりさの尊大な口調にもニコニコ顔で請け負う青年。 彼はここのゆっくり達がゆっくりする事に関して手間を惜しまない。 それが自らのコレクションを最高品質に保つもっともよい手段だと分かっているからだ。 ましてそれが希少種を通り越して奇形種とまで言えるようなまりさの要求であればなおさらだ。 いそいそと台所に向かう青年。 自慢のコレクションのすばらしさをかみ締めながらプリンを用意した。 「ああそうそう」 「むきゅ?」 青年は読めもしないチラシを見ていたぱちゅりーを抱えると楽園とも呼べるその部屋を後にした。 所変わってここは家の地下室。 ここにも体つきのゆっくり達がいる。 しかしその様は先ほどと同じ家とはとても思えないものだ。 青年はとある特殊な用事のためにその部屋へ足を踏み入れた。 「ゆっくりしね!ゆっくりしね!」 「ゆ!おじさん!れいむをはなしてね!」 青年が入るなり罵声が飛び交った。 数対の体つきゆっくり達が木でできた簡素なベッドに固定されオレンジジュースをチューブで与えられている。 ここはゆっくり達の養殖場だ。 体つきゆっくりの子は比較的体つきとなる可能性が高いため不要になった体つきゆっくりを養殖用の家畜としてここに置いている。 彼は最も質の高い個体が一種につき一体いればOKという主義だった。 「うああああ~!!!うばでるどおおおおお!!!!」 今まさに一匹のれみりゃが子を産もうとしている。 体つきは動物型にんっしんが多いため時間も手間もかかる。 しかし質のいい固体を生ませるには必要な手間だ。 犬や馬などと同じくゆっくりもやはり優秀な固体からは優秀な子が生まれやすいのだ。 すぽーんとれみりゃの下膨れから赤ゆっくり達が産み落とされる。 「う~…、れみりゃのあかちゃんだどぉ…、かわいいどぉ…」 「う~♪まんまぁ~♪」 「どれどれ。…はあ」 産み落とされた赤れみりゃは早速親に甘えようとしている。 親のれみりゃは出産の消耗で元気が無いものの素直に子供の誕生を喜んでいる。 しかし青年は産み落とされた子を見るなり落胆のため息を漏らした。 勢いよく出てきた時点で分かりきっていたことだがこの赤れみりゃは体無しだ。 「う?うべっ!!!」 それを確認すると青年はその赤れみりゃを勢いよく踏み潰した。 その光景に一瞬何が起きたか分からぬ表情をするれみりゃ。 しかしすぐにその光景の意味するところを悟り大声で騒ぎ出す。 「う゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ!!!!!でびりゃのあ゛がぢゃんがあ゛ああ゛う゛う゛っ!!!!!!」 しかしその声も途中で掻き消える、なにせ次の子が生まれようとしているのだ。 結局生まれてきた子はすべて体無しであった。 無論すべて青年によって踏み潰されている。 「あ…ああ…れみりゃのあかちゃん…」 もはや悲しみを叫ぶ気力も無いれみりゃを無視し先ほどから呆然とその光景を見ていたぱちゅりーに振り返る。 ぱちゅりーには分からない。 なぜあの優しい青年がこんな残酷なことをするのか分からない。 なぜ自分がここに連れてこられたのか分からない。 なぜ自分を抱いている青年が他のゆっくり達と同じようなベッドに自分を固定しているのか分からない。 なぜ青年が自分にチューブを突き刺さすのか分からない。 さっきまで天国のような場所にいたのに。 さっきまでごほんを読んでとてもゆっくりしていたのに。 ぱちゅりーが考えているうちに作業は終わった。 もはや他の母体と変わらぬ有様に自分がどういう事態になったのかようやく理解する。 「むぎゅぅ!!!!はなしてぇ!!!!」 大声で懇願するが青年は耳一つ貸さない。 今まで何か言えば必ず聞いてくれた青年が一切話を聞かない。 その事実はぱちゅりーを大きく打ちのめした。 青年はというと先ほどとは別のぱちゅりーの前にいた。 「まったく何度も死産しやがって、もう代わりがいるからお前はいらないよ、この不良品」 「む、むぎゅううううぶべら!!」 青年は騒ぐぱちゅりーを踏み潰す。 加工所に持っていけばそれなりに高く売れるのだが独占してこそのコレクション。 彼は売ってしまうくらいなら自分の手で殺すことこそ愛情であるという考えなのだった。 死体は繁殖用のありすが食べてしまうだろう。 用もなくなったため青年は部屋から出ていく。 「むぎゅうううううううううううううう!!!!!!」 一体のぱちゅりーの悲痛な叫び声を残して。 さて先ほどの青年はまた別の場所を訪れていた。 「むきゅ!おにいさんこんにちは!」 「ぷっでぃ~んをよこすんだどぉ~♪」 「れいみゅはあまあまたべちゃいよ!もっちぇきちぇね!」 ここは子ゆっくりを育てる場だ。 無論すべて体つきである。 この中から青年のお眼鏡にかなったものは晴れてコレクション入り、この家で最高の扱いを受けることとなる。 逆にお眼鏡にかなわなかったものは先ほどの養殖場行きか捕食種達の餌となる。 青年は子ゆっくり達に餌を与えるとコレクション入りを果たしたぱちゅりーを連れて行く。 「むきゅ?みんなごはんたべてるのにどおしてぱちゅりーだけつれていくの?ぱちゅりーもごはんたべたいよ」 「ああすまない、別の場所で食べさせてあげるからご飯は少しまってね」 そう言いながら出口へと向かう。 他の子ゆっくり達は出された餌に群がっている。 最近生まれた連中は質もよくないし落第が多そうだ。 「おにいさんもういっちゃうの?ゆっくりしていってね!」 不意にそんな声がかけられる。 子まりさだ。 この子まりさは性格も温和で髪質も良好、肌も質がよくで順調に育てばすぐにでもコレクション入りを果たすだろう。 「お兄さんはまだやることがあるからね、後また来るよ」 「ゆっくりりかいしたよ!まりさはゆっくりまってるね!」 そんな言葉をかけながら自分も餌の元へ向かう。 数日後この子まりさの代わりに生意気な体つきまりさが天国から地獄へ落とされたのは言うまでもない。 この青年は後に新種のゆっくりの発見で世間をにぎわせることとなる。 それでも変わらず彼は自慢のコレクション達とゆっくりし続けた。 彼は本当にゆっくり達を愛していた。 ──────────────────────────────── 過去書いたもの 奇跡のゆっくりプレイス 醜い男 生きるための選択 このSSに感想を付ける
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※初SSなので文章に変な所があるかも ※虐待成分薄め 「う~ん、コレはさすがに買いすぎたかな」 そう言った俺は大きな袋を2つ抱えていた。 袋の中身は瓦煎餅だ、瓦煎餅とはその名の通り、瓦のように固い煎餅である。 元々好物ではあったのだが、そのとき対応してくれた店員の女の子が可愛かったので、 つい見得を張ってしまって買いすぎたのだ。 「さすがにこれだけあると食べきれないしなあ・・・、隣の虐待お兄さんにでもあげるか」 虐待お兄さんと仲がよいといっても、俺は虐待派ではない。あくまで、制裁派だ。 「でもあの虐待お兄さん少し捻くれてるから素直に貰ってくれそうにないな・・・」 そんな独り言を言っているといきなり何かが茂みから飛び出してきた。 「ゆっくりしていってね!!」 それはバレーボールほどの大きさのゆっくりれいむだった。 「何だゆっくりか・・・、お兄さんは、ゆっくりしてるよ」 「ゆ?おにいさんそのふくろのなかみはなんなの?」 ゆっくりれいむがこちらの持っている袋に気づいたようで中身を聞いてきた。 「ああこれは煎餅だよ、君も食べるかい?」 そう言いながら、袋から1枚取り出しゆっくりれいむに見せる。 「ゆ?いいの?でもこどもたちにもたべさせてあげたいからいえまできてくれる?」 この母れいむは、家族思いのいい奴だったらしい。 「よし、着いて行こうじゃないか」 「ゆ!じゃあ、ゆっくりあんないするよ」 ゆっくりれいむはこっちだと教えるようにこっちを時々振り返りながら先を進む。 5分ほどすると、ようやく巣らしきものが見えた。 「ここがれいむたちのいえだよ、ゆっくりしていってね!!!」 ゆっくりれいむ達の家は広くしっかりしており、 大人3人が入ってもまだ余裕があるくらいのゆっくりにはもったいない広さだった。 先にゆっくりれいむが中に入っていったので、俺もそれについて入っていく。 「みんな!ゆっくりただいま!!ちゃんとゆっくりしてた?」 「おかーしゃん、おきゃえり!」 「れいみゅはちゃんとゆっきゅりしてたよ!!」 「そのおにーしゃんだれ?ゆっきゅりできるひと?」 巣の中にはピンポン球ほどの赤れいむが3匹とれいむ達より 2回りほど大きい寝ている子まりさが2匹。 つがいは見当たらない様なので、すでに食われたりしたのだろう。 「このおにーさんはゆっくりできるひとだよ!おせんべいさんをくれるいいひとだよ!」 「「「ゆっ!にゃらだいじょうぶだにぇ!!」」」 子れいむたちが声を合わせて言う。 「おにーしゃん、おしぇんべいさんちょうだい!」 「はやく、ちょうだいにぇ!」 「しゃっしゃと、たべさしぇてね!」 子供達は次々と要求を口にする。 子れいむ達の相手の怒りを誘うような言葉を俺はスルーする。 「ねてるこたちもはやくおきてね!おいしいものがたべられるよ!!」 そう言いながら、母れいむは寝ている子供達を起こしに行く。 子まリさ達が目を覚まし口々に言う。 「はやくおいしいものをよこすんだぜ!!」 「まりさにたくさんたべさせてほしいんだぜ!」 母れいむはいい奴なのに何で、子ゆっくり達はこんなにむかつく奴なのだろう。 「さっ、これがお煎餅だよ、ゆっくりたべてね!!」 そういいながら袋から煎餅を何枚か取り出し、子ゆっくり達の前に置く。 「じゃあまず、みんなにおせんべいさんをわけるね!!」 長いこと1匹で育ててきたのだろう、かなりしっかりしている母れいむだ。 その瞬間、子まりさ達が煎餅に向かっていく。 「このせんべいはまりさたちがぜんぶいただくんだぜ!」 「れいむたちはそこでゆっくりしてるんだぜ!」 本当に同じ親から生まれたのかと疑うような発言をする。 子まりさたちはゲスだったようだ、母れいむよかわいそうに。 「「ゆっくりたべられてね!」」 そう言いながら子まりさが煎餅に思い切り齧り付く。その瞬間子まりさ達が泣き叫ぶ。 「ま゛り゛ざのはがお゛れぢゃったよ~!!」 「この゛かたいせんべいなに~!!」 どうやら煎餅が固すぎて歯が折れたようだ。 「りぇいむたちよりしゃきにたべようとしたかりゃだよ!」 「てんばちゅがくだったんだにぇ!」 「しょんなことすりゅまりしゃはゆっきゅりしにぇ!!」 子まりさ達の様子を見て赤れいむ達は罵倒する。 「みんなゆっくりおちついてね!みんなでなかよくたべるよ!」 「「「ゆっきゅりりかいしたよ!!!」」」 「「ゆっぎゅりりかいしだよ・・・」」 子まりさ達の方は口の中が痛いのか心持ち元気がない。 子ゆっくり達を落ち着かせた母れいむが煎餅を分けようとする。 「ゆっ、ゆぎっ!がっ」 だが母れいむがどんなに力を入れても煎餅は割れそうにない。 中々割れないのでおかしいと思ったのか、こちらを向いて話してくる。 「おにいさん!このおせんべいさんはほんとうにたべられるおせんべいさん?」 「普通に食べられる煎餅だぞ」 そう言いながら、袋から煎餅とりだし齧る。 「ゆっ!ふつうにたべてるね」 と、煎餅が普通に食べられる事を教え、ふと子ゆっくり達のほうを見ると 勝手に煎餅に向かっていき、食べようと悪戦苦闘していた。 「ゆゆゆっ、ぐがっっ、がぎっ」 歯が残っているほうの子まりさが奮闘している。 「まりさがたべられるようにがんばるんだぜ」 歯が折れたほうはただ応援しているだけだ。 赤れいむ達も他の煎餅に齧りついているが、まったく成果が出ない その輪に母れいむも加わっていく。 10分ほどが過ぎたが、煎餅が食べれた気配はない。 「にゃんで、おしぇんべいしゃんたべりゃれてくりぇにゃいの~!!」 「はがいたくてゆっきゅりできないよ~!」 「このおしぇんべいしゃんがたべりゃれなくてゆっきゅりできないのはおかあしゃんのせいだね!!」 「きっとそうだぜ!」 「はがおれたのもきっとおかあさんのせいだぜ!!」 何ということか、とうとう子ゆっくり達は煎餅が食べられないのは 母れいむのせいだと責任転嫁し始めた。 「な゛んでそんな゛こどいうの゛~~!!」 母れいむが泣き叫ぶ。 さすがにここまで荒れると元通りの家族関係に戻すのは不可能に近い。 良い母れいむだったが、ここでお別れだ。 「じゃあ、お邪魔みたいだからそろそろ帰るね!」 そう言って俺は最後にゆっくりしていってね!!と言いゆっくりの巣から出た。 「結局あまり煎餅は減らなかったな・・・、とりあえず虐待お兄さんに 普通に渡しても貰わないだろうから、新しい虐待方法を思いついた!とか言ってあげるか。」 あとがき お兄さんの顎の力が凄いのは気にしちゃいけない所。 このSSに感想を付ける