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ゆっくり小ネタW ※ゆっくり小ネタを2つ用意しましたが、それでも足りないくらいです。 ※激しいいじめでもないのであくまで燃料として使ってくれるとありがたいです。 ※本編には出てきませんが、前もって言っておきます。体つきれみりゃ嫌いです。豚は好きです。れみ豚は死刑☆ ゆっくり小ネタその一…『ゆっくり揚げ?』 お腹が空いたので適当に赤ゆっくりを箱から取り出す。 俺はゆっくりは嫌いだが自分が食べるものでもあるので腐りかけの生ゴミなどを餌にはしない。 野菜の残りが餌で良いというのはやはり人間側から見たゆっくりのメリットでもある。 但し、それだけだと只の甘ったるい饅頭。そのまま調理しても味は下の上。 だからこそ俺は定期的に痛い目に遭わせている。 それ以外は一切関わっていないが、ゆっくりは基本嬉しかったことを優先的に覚える。 そう、奴らにとって俺は美味しいお野菜をくれる良い人(利用できる人間とは思っていないようだ)と思っている。 つまり、嬉しい→苦しい→嬉しい→苦しいのサイクルを定期的に繰り返すことで、加工所に勝らずとも劣らずの味を誇っている。 「ゅ?おぢちゃんおやちゃいくれれぅにょ?」 「おぢちゃんれいみゅにおいちいおやちゃいちょうでゃい!!」 「おぢちゃんもゆっくちちていっていいにょ!!!」 忘れてた忘れてた。 心底腹の立つ発言を無視して俺は赤れいむのリボンに火をつける。 「ゅ”っ!!!??」 赤れいむの平均全力走行速度は大体1.3cm/秒。 火を点けたれいむを15cmの板にのせる。 「あ"あ”あ”あち”ゅい”い”いい”い”!!!」 「ゆ”っぐぢでき”ない”ぃいいぃ”いぃ!!!」 「こここここっちにおみじゅがあれぅよ!!!ゆっくちいしょぎゅよ!!!」 「「ゆっくちりきゃいしちゃよ!!!」」 れいむたちは鍋の方向へゆっくりなりの全力で走る。 先ほど言った通り赤れいむの平均全力走行速度は大体1.3秒/秒。 想定より早く9秒で鍋の中に飛び込んだ。 「これでゆっくぎゃあlっぁぁぁああ!!!!!」 飛び込んだ瞬間、鍋の中が真っ赤に燃える。 あらかじめ鍋の中に少量の油を入れておいた。 これで加工所で好評発売中の揚げゆっくりが―――――!!!! その後は悲惨だった。 後一歩で火事になる所だったこと。 肝心の赤れいむが黒こげでとてもじゃないが食えなかったこと。 慌てて鍋を掴んだおかげで火傷したこと。 そもそも揚げるということが分からなかった。油入れて揚げる奴に火を点ければいいのかと・・・ 今度、料理の本を買ってこよう。 ゆっくり小ネタその二…『ゆっくり擬似的立体音響』 一匹の まりさを てにいれた! 「ゆゆ!おにいさんさっさとたべものをわたしてでていくんだぜ!!」 この小生意気でだぜ口調・・・100%ゲスである。 僕はゲスを屈服させることが大好きだが今回は違ったことをしてみる。 さっきからごちゃごちゃ五月蝿いまりさに黒い目隠しで視界を奪う。 「ゆ!!!?おにいさんまっくらだぜ!!もうよるなのぜ!?」 それを無視して今度はちょっとした小細工を施した台車にスピーカーを乗せ、電源を入れる。 『ゆっくりしていってね!!』 「ゆっくりしていってね!!」 これには予めゆっくりの声を録音している。 そしてその声を認識した台車は・・・ゆっくりと回転した。 『ゆっくりしてぃってn・・・・・・りしていってね!ゅっく・・・ね!!』 「ゆっくりしていってね!!ゆっくりしていってね!!ゆっ・・・ぐぐり・・・」 おお、面白い面白い。 ゆっくりと台車を回転させているので目隠しをしていると音が自分を中心に回っているような感覚に陥る(実際回っているが)。 「ゆ”っ・・・ぐぐぐぐ・・・ねねねえねねええ・・・・ケロケロケロケロ」 その頭が回るような声に耐え切れず吐き出してしまった。 そんなまりさなど構わずに台車は回り続ける。 そして苦痛はそれだけではない。 ゆっくりは「ゆっくりしていってね!」と言われると、本能で返してしまう。 それを何回もリピートされると、何も出来ない。食事も出来ない。動けない。 つまり、餡子を全て吐き出すか、餓死するまで、ずっと返事だけの人生になってしまったのだ。 「それじゃあまりさ、『死ぬまでゆっくりしていってね!!!』」 「ゆっくりしていってね!!・・・ゆがががかあがかあ」 Happy End 昨日溜め込んだネタを一気に吐き出した。 溜め込んで吐き出したネタその他 fuku3427.txt ドキドキ!まりさのおぼうしかえしてゲーム このSSに感想を付ける
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~ゆっくりパチュリーの生涯~ 「むきゅうぅぅぅ・・・」 木の洞(うろ)の中から弱々しい声が聞こえてくる。 声の主はゆっくりパチュリーだ。今にもその命の灯が消えようとしていた。 ゆっくり種というのは頭は悪いが、生命力だけはあるというのが特徴である。 しかし、ゆっくりパチュリー種だけは違う。とても体が弱いのである。 生まれたときから喘息(ぜんそく)を患っているため、満足に獲物(昆虫など)を追いかけることが出来ない。 また、木の実などを食べていると、ゆっくり魔理沙や霊夢がどこからともなくやってきて、 「さっさとどいてね!」 「私達がゆっくりするよ!」 と体当たりされ、 「むきゅうー!」 と泣きながら転がっていく。もちろん食べ物は横取りされてしまう。 こうして食べる物は辺りに生えている雑草くらいしか無くなってしまうのである。 このようなことは野生のゆっくりパチュリー種において珍しいことではなく、栄養不足によって死んでしまう ことはよくあることであった。 「むきゅぅ・・・」 先ほどよりもさらに弱々しい声を上げるゆっくりパチュリー。もう動くだけの体力は残っていない。 薄れゆく意識の中、足音のようなものが聞こえた気がした。 「むきゅ?」 見知ぬ一室のふかふかなベッドの上でゆっくりパチュリーは目を覚ました。 周囲を見回す。窓とドアが一つずつ、とても清潔な感じの部屋だった。 キョロキョロとしているとドアが開き金髪の女性が部屋へ入ってきた。 「むきゅ!」 警戒するゆっくりパチュリー。野生のゆっくりパチュリーはとても警戒心が強く、人里の畑などを荒らすゆっ くり霊夢や魔理沙と違い、人間の前にはめったに姿を見せないのであった。 「あらあら、そんなに警戒しなくていいわよ。あなたを治療したのは私なのよ?」 そう言うと金髪の女性はゆっくりパチュリーの前に色とりどりのお菓子を置いた。 最初はむきゅーと警戒してお菓子を口にしようとしなかったが、空腹に耐えかねてすぐにお菓子に飛びついた。 「むきゅっ、むきゅっ、おいしいよおねえさん!」 いつも食料を横取りされていたゆっくりパチュリーにとってまさに天国だった。 置かれたお菓子を食べ終わるとゆっくりパチュリーはむきゅー!っと元気のよい声を上げた。 そして金髪の女性は話し出した。 「森を散歩していたら木の洞の中から弱々しい声が聞こえてきて覗いてみたらあなたが今にも死にそうだったの よ。急いで家までつれて帰って治療したってわけ。」 金髪の女性に言われ、ゆっくりパチュリーの脳裏にはあの時の状況がよみがえる。そして感じた死の恐怖を思 い出し、ガタガタ震え涙を流す。 「大丈夫よ、ここにいればゆっくりできるわ。」 「あ゛りがとおぉぉぉ、おね゛えさぁぁぁん。」 「私の名前はアリス・マーガトロイド、アリスでいいわ。今日はゆっくりと休みなさい。」 そう言うとアリスは部屋から出て行った。 お腹がいっぱいになったゆっくりパチュリーはゆっくりと眠りについた。 次の日、目を覚ますと目の前には笑顔のアリスが立っていた。 「おはよう、ゆっくりできたかしら?」 「むきゅー、ゆっくりできたよ!ありがとうありす!」 満面の笑みでお礼を言うゆっくりパチュリー。 「あなたにお饅頭を食べさせてあげようとしたんだけど失敗してばらばらになってしまったの。見た目は悪くて も味はいいはずよ。食べてもらえるかしら?」 「むきゅー!たべたい!たべたい!」 普段からまともな物を食べることが出来ないゆっくりパチュリーにとって見た目などどうでも良かった。 アリスは部屋から出ると餡子と皮がぐちゃぐちゃになった物を皿の上に乗せて戻ってきた。 普通の人間だったら口に運ぶのさえ敬遠する形状であったが、おかまいなしにむきゅーとばらばらになった饅 頭(?)に飛びつくゆっくりパチュリー。 「かわったあじだけどとってもおいしいよ!ありがと!」 食べながらアリスの顔を見てお礼を言うゆっくりパチュリー。アリスの笑顔が目を覚ました時見たものとは若 干異なっていた気がしたが目の前のばらばらの饅頭を食べるのに夢中ですぐに忘れた。 アリスの看病のおかげでゆっくりパチュリーはみるみると元気になっていった。 「そろそろお家に帰っても大丈夫そうね。」 アリスはゆっくりパチュリーを野生へ返そうとしていた。しかしゆっくりパチュリーはそれを聞くと震え、 「おうちいやだぁぁぁ!こわいよぉぉぉ!」 ついには泣き出してしまった。 「あらあらどうしたの?」 ゆっくりパチュリーは説明した。 おいしいそうな木の実や果物を見つけるとなぜかすぐにゆっくり魔理沙や霊夢が現れていつも横取りされてし まう。それでもなんとか生きていく分の食料は得ることができていた。そうあの時までは。 秋が終わりに近づきゆっくり種の中では頭の良いゆっくりパチュリーは巣に食料を蓄えていた。 冬は食べ物が少なくなり、こうしなければ体の弱い自分は生き残ることができないとわかっていたのだ。 そしてぎりぎり冬を越せるぐらいの食料を蓄えた数日後、事件は起こった。 いつものようにせっせと食料を集め巣に持って帰る(ほお袋に入れて)ゆっくりパチュリー。 「むきゅ~♪」 最近はゆっくり魔理沙や霊夢に邪魔されず順調に食料を蓄えることができてご機嫌である。 しかし巣に戻ると驚愕した。巣の中でゆっくり魔理沙と霊夢の2匹が自分が一生懸命集めた食料をむさぼって いた。 「むぎゅー!なにじでるの゛ー!」 普段はおとなしいゆっくりパチュリーであったが顔を真っ赤にして怒り、果敢にも2匹に体当たりをする。 しかし、 「おおこわいこわい。むぎゅー!だってさ。」 「いまはれいむとまりさがゆっくりしてるの!じゃましないでね!」 あえなく返り討ちにあうゆっくりパチュリー。目の前で自分の食料がどんどん減っていくのをただ見つめるこ としかできなかった。 「じゃあね!またくるよ!」 「ちゃんとたべものあつめておいてね!」 2匹が去り、巣に残ったのは集めた食料の残骸(2匹の食べ残しや食べかす)だけであった。 「むぎゅうぅぅぅ、むぎゅうぅぅぅ」 ゆっくりパチュリーはただ泣くことしかできなかった。 本格的な冬を迎え、食料を失ったゆっくりパチュリーはだんだんと衰弱していった。 「そう、そんなことがあったの。つらかったわね。」 そう言うとアリスはゆっくりパチュリーの頭をなでてあげた。 「それなら違うお家に引っ越してみない?私の家のすぐ近くの木にも大きめ洞があるわよ。何かあったら私が助 けてあげるわ。」 恐る恐るゆっくりパチュリーは聞いた。 「そこはゆっくりできるところ?」 「えぇゆっくりできるわよ。」 「むきゅー♪」 うれしそうに声を上げるゆっくりパチュリーであった。 「ここよ。」 ゆっくりパチュリーはアリスに案内され木の洞の前までやってきた。 「どう?気に入るといいのだけれど。」 ゆっくりと洞の中へ入っていくゆっくりパチュリー。入り口は小さかったが、中は以前自分が住んでいた洞の 2~3倍の広さはあった。ここなら十分ゆっくりできそうであった。 「きにいったよ!きょうからここがぱちぇのおうちだよ!」 「そう、よかったわ。今は冬で食べ物も少ないでしょうからプレゼントするわ。」 アリスの後ろを二匹の人形が大きな包みを抱え飛んでいた。アリスが指示すると二匹は洞の中へ入って行き、 包みの中身を中へ広げ戻ってきた。 「私が作った特別製のお菓子よ。痛みやすいから今日中に食べなさい。」 アリスはゆっくりパチュリーの前に洋菓子を置いた。 「そろそろお別れよ、さようなら。」 アリスは手を振りながらもと来た道を戻っていった。 「むきゅー、ありすありがと~」 飛び跳ねながらアリスを見送るゆっくりパチュリー。アリスがくれたお菓子を食べると巣の中へ入っていった。 目の前に山いっぱいの食料が広がっていた。以前の巣で冬越し用に蓄えた食料の量をゆうに超えていた。 さっそく食べようとしたが、急に眠気がおそってきて意識はまどろみの中へ消えていった。 次の日、ゆっくりパチュリーはなぜか巣の外で目を覚ました。しかも体にいくつか傷を負っていた。 巣の方からはなにやら音が聞こえてくる。急いで巣に戻ると言葉を失った。 ゆっくり霊夢、魔理沙さらにアリスまでもが自分の食料をむさぼっていた。 「む゛、む゛、む゛ぎゅー!」 ゆっくりパチュリーの声を聞いて3匹が振り返る。 「またむぎゅー!だってさ、こわいこわい。」 「やくそくどおりまたきたよ!」 「こんなぜいたくなたべものはいなかもののぱちぇにはもったいないわ。とかいはのわたしたちがたべてあげるわ。」 前回と同じように果敢にも体当たりするが相手が3匹では当然敵うはずもなく、 「まりさたちのじゃまをしないでね!」 「ここはもうれいむたちのゆっくりぽいんとだよ!」 「いなかもののぱちぇがいるだけでゆっくりできないのよ、でていって!」 トリプル体当たりをくらい「むぎゅー」と泣き転がって巣の外へ追い出されてしまった。 「どうじで、どうじで、ゆっぐりざぜでぐれないの~。」 涙が滝のようにあふれてくる。 「あらあらどうしたの?そんなに泣いて?」 振り向くとそこにはアリスが立っていた。 「あ゛、あ゛、あ゛りずぅぅぅ~。ゆっぐりでぎなぐなっちゃだよぉぉぉ。」 「そう、また食料を横取りされてしまったのね。」 「あ゛、あ゛りずだずげでぇぇぇ。」 「それじゃ食料を横取りしたゆっくり達をゆっくりできなくすればいいのかしら?」 「おでがい、ありずぅぅぅ。」 「えぇ、も・ち・ろ・ん・よ!」 アリスは見たものを恐怖に陥れるような笑顔で笑い、ゆっくりパチュリーをおもいっきり木の洞目掛けて蹴った。 「む!むきゅぅぅぅ!」 何が起こったかまったくわからなず転がるゆっくりパチュリー。食料をむさぼっていた3匹が再び入ってきたゆ っくりパチュリーに気が付く。ゆっくり霊夢が先陣を切ってゆっくりパチュリーに体当たりを仕掛けようとする。 「わたしたちのゆっくりぽいんとだってわからないの!」 しかし次の瞬間、 「ゆ゛!、ゆ゛ぅぅぅぅ!!! 」 悲鳴を上げ、八つ裂きにされるゆっくり霊夢。 「「れいむぅぅぅ!」」 ゆっくり魔理沙とアリスは絶叫した。 ゆっくり霊夢を八つ裂きにしたのはアリスの操っている上海と蓬莱人形だった ゆっくりパチュリーは目の前で絶命したゆっくり霊夢の光景を見て一気に顔が青ざめた。 もともと体が弱く臆病なゆっくりパチュリーにとって(いやゆっくり達にとっても)悪夢のような光景だった。 しかし、その悪夢はまだまだ続いた。 その光景を見るや否や我先にとゆっくりアリスを置いて洞から脱出しようとするゆっくり魔理沙。 もちろん二体の人形は見逃さない。上海がゆっくり魔理沙の体を壁に押し付けると蓬莱が金槌とごっすん釘を取り 出す。それを見たゆっくり魔理沙は必死に、 「あ、ありすがここでゆっくりしようっていったんだよ!、ま、まりさはわるくないよ!、ゆっゆっゆっくりしてね!、 こ、こっちにこないでね!、い、いや゛あ゛ぁぁぁぁぁ!」 ゆっくり魔理沙の必死の懇願もむなしく額にぐっすん釘が打ち込まれる。 「いだい、いだい、や゛め゛でぇぇぇ!」 ごっすん釘を打ち込みゆっくり魔理沙を動けなくなった。2体の人形を見てゆっくりアリスはガタガタ震えている。 「ご、ごめんなざいぃぃぃ、あ゛りずはどがいはじゃないのぉぉぉ、ほんとうはいながもののゆっぐりなのぉぉぉ!」 ゆっくりアリスの願いが届いたのか2体の人形は洞から出て行った。 「た、たすかったの?」 ゆっくりアリスは急いで洞から脱出を計る。 (もうゆっくりパチュリーをいじめるのはやめよう。新しいゆっくり魔理沙をさがしてゆっくりしよう。) 暗い洞の中から光あふれる外へ勢いよく飛び出すゆっくりアリス。 「ゆ゛!?ゆ゛う゛ゔゔあ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!」 悲鳴を上げながらゆっくりアリスの体は3枚におろされ、黄色のどろっとしたものを回りに撒き散らす。 ゆっくり霊夢や魔理沙の中身は餡子だがゆっくりアリスの中身はカスタードクリームなのだ。 「あら、逃げられるとでも思ったの?」 笑いながら冷たくあしらうアリス。 ゆっくりパチュリーの青ざめた顔はもう真っ白になっていた。そして涙を流しガクガクとおびえていた。 巣の外からアリスの声が聞こえる。 「約束通り助けてあげたわよ。うれしいでしょう?」 「ひ、ひどいよありす!や、やりすぎだよ!」 「あら、何言ってるの?食料を横取りしたゆっくり達をゆっくりできなくすればいいのかと聞いたらあなたがお願い と言ったのよ。私はあなたのお願いを聞いてあげただけ。しかも特別に新たな食料まで用意してあげたのよ。」 ゆっくりパチュリーは周囲を見回すが、あるのはゆっくり霊夢の成れの果てとごっすん釘で固定されたゆっくり魔 理沙だけであった。 「あなたの、目の前にある残骸とゆっくり魔理沙よ。」 「む、むぎゅぅぅぅ、た、たべられないよ!」 「何言っているのかしら?私の家でたくさん食べていたじゃない。変わった味だけどおいしと言って。」 ゆっくりパチュリーは目の前に広がるゆっくり霊夢の成れの果てを見て、アリスの家で自分が食べた物とそっくり なのに気が付く。 「い、いや゛あ゛ぁぁぁぁぁ。ゴ、ゴホ、ゴホッゴホ、ゲホ、ゲェェェェェ。」 自分が食べていた物がゆっくりの残骸だと気づくと悲鳴をあげ持病の喘息が発症し、むせ返るゆっくりパチュリー。 「そうそう、あなたがもう邪魔されずにゆっくりできるように入り口に特製の糸を張っておいたわ。もし誰かがあな たの邪魔をしようと巣の中へ入ればさっきのゆっくりアリスの様に3枚におろされるわ。もちろんあなたも例外では ないから気をつけなさい。」 「あ゛りず、どうじでごんなひどいごとするのぉぉぉ。ゲホッゲホ。」 しばらくの沈黙の後アリスは答えた。 「あなたがあの紫もやしと同じ名前だからよ!」 吐き捨てるように言うとアリスは家へ帰っていく。 「ごごがらだじでぇぇぇ!ゴホッゴホッ。」 ゆっくりパチュリーの泣き声はアリスに届くことはなかった。 -アリス邸- 「あの紫饅頭最後まで私のことを呼び捨てにしてたわね。今思い出すだけでも腹が立つわ!」 アリスは椅子に座り紅茶を飲んでいた。 「それにしてもあの紅白と黒白饅頭思っていたより使えたわね。ゆっくりアリスまでいたのはびっくりしたけど。」 -1ヶ月半前- 「おーいアリスー。」 上空から手を振るのは霧雨魔理沙、アリスが好意を寄せる人間だ。 「いらっしゃいお茶の用意をするわ、あがって。」 「おう、遠慮なくあがらせてもらうぜ。」 何か特別なことをするわけでもなく、アリスは魔理沙との何気ないお茶会と雑談を楽しんでいた。 しかしそんな楽しい雰囲気も魔理沙の一言で終わりを告げた。 「そうそう、昨日図書館に行ったらパチュリーが古い魔導書を見つけたらしいんだ、しかも複数!」 「へ、へぇそれはすごいわね。」 (なんで私の目の前であの紫もやしのことなんて話すのよ) 「それでな、けっこう昔の文字らしく解読が必要で泊りがけで一緒に解読しないかって誘われたんだ。」 パリン アリスの握っていたカップが床に落ち割れた。 「おいおい、気をつけろよ。」 「ご、ごめんなさい。」 動揺するアリス。 (な、泊りがけですって!あの紫もやし魔導書をエサに魔理沙をつるなんてなんて卑怯なの!) 「そ、それで魔理沙はどうするの?」 「もちろんいくさ!」 その瞬間アリスの心は絶望のどん底に叩き落された。 「・・・どのくらいの期間なの?」 「パチュリーは最低でも1ヶ月近くはかかるんじゃないかって言ってたぞ。」 (1ヶ月!ダメよダメよ!魔理沙!行っちゃダメよ!) 「というわけでしばらくアリスには会えないんだ、悪いな。」 「え、えぇ私のことは気にしなくても大丈夫よ。」 (何言ってるのよ私、ここで止めないと1ヶ月も魔理沙に会えなくなっちゃう!) 「そうか、それじゃ雲行きが怪しいしそろそろ帰るかな、またくるぜ。」 「見送るわ。」 外に出ると魔理沙はほうきにまたがり、 「またなー。」 と言って帰っていった。 雨が降ってきた。アリスの心を反映しているかのようだった。 「ま゛り゛ざぁぁぁ、どうして私じゃだめなのぉぉぉ!あのもやしなのぉぉぉ!」 アリスは雨に打たれながらその場に泣き崩れた。 数日後、アリスは椅子に座ってボーっとしていた。まだショックから立ち直れていないようだ。 庭からなにやら音がする。窓から覗くとそこにはゆっくり霊夢2匹、魔理沙1匹が花壇の花をムシャムシャと食べ ていた。普段なら追い返すが今のアリスにとってどうでもいいことだった。 しかし次の瞬間アリスの頭の中にある計画が思いついた。再び生気が宿ったアリスはすぐさま人形達に森に住むゆ っくりパチュリーを気づかれないように探し出すよう命令した。そしてアリスは庭に出て行った。 「おねぇさんだれ?」 「ここはまりさたちのゆっくりぽいんとになったんだよ!」 「じゃまするならでていってね!」 なんてふてぶてしいゆっくり達だろう。勝手に人の庭に入ってきて自分の場所だと主張するなんて。 「1匹には見せしめとして死んでもらいましょうかね。」 そう言うと手をゆっくりの方へ向け、詠唱を始める。 そして出現した火の玉がゆっくり霊夢に命中し一瞬で消し炭となる。 悲鳴を上げながらゆっくり霊夢と魔理沙は一目散に逃げ出すが人形達が押さえつける。アリスが近づくと、 「わ、わるいのはあのしんだれいむだよ!れいむがここをゆっくりポイントにしようっていったんだよ!」 「おねがいゆるしてぇぇぇ」 泣き叫ぶ2匹のゆっくり。そこへ先ほどゆっくりパチュリーを探しに行った人形達が帰ってきた。 「これで役者がそろったわ。」 そう言うとアリスはかがみこみ2匹のゆっくりに話し出す。 「私の言うことを聞くなら助けてあげてもいいわよ。そのかわり、少しでも逆らったらあの死んだゆっくりの様になる わよ。」 「わ、わかったよ、いうこときくよ!」 「いうことききます!だからたすけてぇぇぇ!」 -時は戻って再びアリス邸- 「私の指示通りきちんと紫饅頭のエサを横取りしていたようね。」 ゆっくりパチュリーがエサを横取りされたのも餓死しかけたのもすべてアリスの計画だった。 「わざとエサを集めさせて蓄えたエサを一気に食べられたときの紫饅頭の顔と言ったら最高だったわ。睡眠薬入りのお 洋菓子も何の警戒もなく食べちゃうし、本当にばかな紫饅頭ね。」 -閉じ込められて3日後- 「おでがい、ゆるじでぇぇぇ。」 弱々しく泣き叫ぶのはごっすん釘で固定され、動くことができないゆっくり魔理沙だった。ゆっくり種は中の餡が 無くならない限り死ぬことはない。だがそれが仇となりゆっくり魔理沙は苦しみ続けていた。 ゆっくりパチュリーはと言うと空腹に犯されていた。目の前にはゆっくり霊夢の成れの果てが散らばっていたが口 にはしていなかった。 「おなかへったよぉぉぉ、ぱちゅりーがたべないならまりさがれいむをたべるうぅぅぅ。」 「むぎゅぅぅ、しずかにしてね。」 ゆっくり魔理沙がわめき散らしていたが体力を消耗するだけなのでゆっくりパチュリーは無視して目を閉じた。 次の日、ゆっくりパチュリーが目を覚ますと空腹がおさまっていた。 目の前に散らばっていたゆっくり霊夢の成れの果てが無くなっているのに気が付いた。 「ひどいよ、ひとりでぜんぶたべちゃうなんて、ぱちゅりーのいじわる!」 「むきゅ?なにいってるの?」 「とぼけないでよ、まりさのめのまえでれいむをたべてたじゃない。」 ゆっくりパチュリーは固まった。ゆっくりまりさはごっすん釘で固定されていて動くことができない。唯一の出入 り口はアリスによって封鎖されている。そうなるとゆっくり霊夢を食べたのは・・・。 「い゛や゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!」 突然悲鳴を上げるゆっくりパチュリー。死んでいたとはいえ無意識にゆっくり霊夢を食べてしまったことを信じた くはなかったのだ。 「ぱちぇじゃない、ぱちぇじゃない、ぱちぇはたべてない。」 自らに言い聞かせるように何度も繰り返すゆっくりパチュリー。 「まりさのめのまえでおいしそうにぱちゅりーがたべてたよ。」 「うそだーーーーー!」 普段はおとなしいゆっくりパチュリーの大きな悲鳴を聞いてゆっくり魔理沙は口を閉ざした。 ゆっくりパチュリーはゆっくり魔理沙から一番離れた壁に顔を張り付けひたすら、 「ぱちぇじゃない、ぱちぇじゃない、ぱちぇはたべてない。」 と次の日も次の日も言い続けた。 -閉じ込められて6日後- ゆっくりパチュリーが目を覚ますとまた空腹が収まっていた。恐る恐るゆっくり魔理沙の方へ振り返るとごっすん 釘に固定されたゆっくり魔理沙はいた。白目を見開いて体を痙攣させ体の半分が無くなっているゆっくり魔理沙が。 「む゛、む゛、む゛ぎゅう゛ぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!」 これまでにないほどの悲鳴を上げるゆっくりパチュリー。そして、 「おっまんじゅう~♪おっまんじゅう~♪」 と歌いながら残りのゆっくり魔理沙をむさぼる。ゆっくりパチュリーの目はうつろで生気が消えていた。 餓死しようとしていたときの恐怖。やさしかったアリスの変貌。目の前で起こった虐殺。 そして無意識にゆっくり霊夢と魔理沙を食べてしまったのを認めることができない自分。 短期間にゆっくりパチュリーに降りかかったその惨劇はついにゆっくりパチュリーの精神を破壊してしまったのだ。 「あら、もう壊れちゃったの?せっかくもっといたぶってあげようと思ったのに面白くないわね。」 アリスは洞の中から聞こえるゆっくりパチュリーの声を聞くと残念そうに言った。そして入り口の糸をはずす。 「上海!蓬莱!」 命令されると2体の人形は洞の中へ入りゆっくりパチュリーを引きずり出す。 「おっまんじゅう~♪おっまんじゅう~♪おっいしっいな~♪」 「これは完全にダメね、しかたないわ。」 アリスはゆっくりパチュリーに糸を巻きつけると上海と蓬莱にゆっくりパチュリーを木の上へ固定させる。 「そのうちゆっくりを捕食するゆっくりにでも食べられるでしょ。」 そう言うとアリスは家へ帰って行った。 その夜、まだゆっくりパチュリーは歌っていた。 「おっまんじゅう~♪おっまんじゅう~♪」 その声を聞きつけてか遠くから丸い物体が飛んできた。 「おまんじゅうだ~♪いっただっきま~す♪」 大きな口をあけてむかってくる饅頭を食べようとするが次の瞬間ゆっくりパチュリーは真っ二つになり地面へぐ ちゃっと音を立て落ちた。 「うー♪うー♪」 ぐちゃぐちゃになったゆっくりパチュリーを食べているのはゆっくりれみりゃ。スピードを利用し羽で真っ二つに したのだ。 こうして、運悪くアリスの標的となってしまったゆっくりパチュリーの生涯は閉じたのであった。 End 作成者:ロウ 後書き 最後まで読んでくださった方々、まずはお礼を申し上げます。 ゆっくり達の生涯シリーズ(?)第4弾『ゆっくりパチュリーの生涯』はいかがでしたでしょうか? 今回のコンセプトは精神的いじめです。過去3作は意外と頭の中に文章がポンポンと浮かんできたのですが、今作 はなかなか文章や内容が思い浮かばず苦労しました。気が付くとけっこうな長文となってしまいました。 ちなみに、私にはSSを書くとき一つのポリシーがあります。それはなるべく幻想郷の人物を登場させるというこ とです。加工場の設定を使わせていただくときは職員を登場させなければなりませんが、オリジナルのキャラクタ ーをなるべく登場させないようにしています。 理由は単純で、東方が大好きだ!というだけです。 (旧作はやっていませんが紅魔からの作品はすべて持っています) オリジナルのキャラクターが登場する作品が嫌いなわけではありません。むしろ最近はさまざまなSSが投稿され てうれしいくらいです。誤解のないようお願いいたします。 (最近のSSではゆっくりきゃっちゃーがお気に入りです) 次回作は既に頭の中に浮かんでいます。最近はやり(?)のゆっくり一家に登場してもらう予定です。 毎回言うようですが私は文章を考えるのが苦手&遅いのでゆっくりと書かせていただきます。 そういえば、私は幻想郷のキャラいじめ板の頃からSSを投稿していますが、その頃から読んでくださっている方 はこのスレにもいるのかな? ↓今回のおまけは後日談です。 -後日談- 次の日朝早くから扉をたたく音がしてアリスは目を覚ました。 「もぉ、朝っぱらから誰よ。」 扉を開けるとそこに立っていたのは魔理沙だった。 「よぉ、アリス久しぶりだな、元気だったか?」 あまりの出来事に声が出ない 「どうした?体調でも悪いのか?なんなら出直すが。」 「だ、だ、だ、大丈夫よ、全然体調なんか悪くないわ。それにしてもどうしたの?こんな朝早くから。」 「1ヵ月半もかかったけど魔導書の解読が大体終わってな、アリスに読ませてやろうと思ってパチュリーが寝ている隙 にかっぱらってきたぜ!あと、しばらく泊まらせてもらうぜ!」 「え!と、泊まる!?」 「いやなら別に帰るが、ダメか?魔導書の量もあるし、アリスは昔の文字なんて読めないだろ?」 「ま、魔理沙がどうしてもって言うなら泊めてあげてもいいわよ。」 (何言ってるのよ私!素直に泊まってってどうして言えないのよ!魔理沙が帰ったらどうするのよ!) 「そうか、それじゃ遠慮なく泊まらせてもらうぜ!それよりアリス、それ寝巻きか?なかなかかわいいじゃないか。」 アリスは一気に顔を赤くして、 「魔理沙のばかぁぁぁ~。」 と言いながら急いで着替えに戻って行った。 「なにあいつ赤い顔なんてしてるんだ?」 こうしてアリスは魔理沙とゆっくりと楽しい時間をすごした。 目を覚ましたパチュリーは目の前に置かれていたメモを見ていた。 (魔導書を持ってアリスのところへ遊びに行ってくるぜ。) 「む、むきゅ~~~~~!」 パチュリーの声は紅魔館中にこだました。 おまけEnd
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今日は紅魔館のピクニックの日である。 最近、昼間に起きているようになったレミリアが思いつきで開催したものだが、主とその妹以外は基本的に昼型の紅魔館である。 メイドたちも前日から嬉しそうに準備をしていた。 「全員集まったようね。それじゃあ出発しましょう」 レミリアの合図で数十人のピクニックが始まった。 その中には、図書館から無理矢理連れてこられたパチュリーも含まれている。 「う~! さくや~、れみりゃもいく~♪」 「ふらんもいぐー♪」 ふと、後ろから咲夜を呼ぶ声がする。 振り向くと、屋敷に住み着いているゆっくりれみりゃとフラン。 二匹とも手に日傘をもってよたよたと走ってくる。 とたんにレミリアが顔をしかめる。 「アレは私の予備の日傘じゃない、しかも私の鞄まで背負ってるし。咲夜! 今すぐあの二匹を昼食に加えなさい」 高貴な自分の物が泥臭いゆっくりに手に握られている、それは決して我慢できるものでは無いようだ。 「まぁまぁ、お嬢様。ゆっくり達がしたことですし。二匹ともピクニックの為に頑張って用意したんですから」 いつの間にか、ゆっくりを自分のもとへ来させた咲夜がそう言ってなだめる。 「これはれみりゃのだよ!! れみりゃじゅんびちたの!!!」 「ふりゃんもじゅんびしたの!!! だからふりゃんにょなの!!」 そう言って二匹は、大きめのポーチを開けて中身を見せる。 そこの中には、無造作に詰め込まれたお菓子、蝋燭台、置物などなど。 どれもレミリアの部屋に置かれていたものばかりだった。 「この、中華まん……」 それ以上語らず、二匹の首を締め上げるレミリア。 「がー!! ひゅー、ひゅー」 必死に暴れて離そうとするが、力の差が歴然なのでそれもかなわない。 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!」 口から肉汁の泡を吹き、みるみる顔が真っ青になっていく。 「お嬢様! おやめください」 あと少し、と言うところで時間を止めてレミリアの手から二匹を助ける。 当の二匹は咲夜にしがみ付いて泣いている。 「ざぐやーざくやー!! わるいひどがいじめるよー!!!」 「ざぐやー!! わるいひどをやっつげでー! ゆぐっりじねーー!!!」 「はいはい。もうだいじょうぶですよ」 そう言って、両手で抱きしめて慰める咲夜は、顔だけをレミリアの方に向ける。 「お嬢様! 変えの品は直ぐに準備いたしますので気を荒げないでください」 「だって咲夜、そいつが私の……」 「この二匹は、メイド達も可愛がっているんですよ。少し我侭ですけど、まだ小さいんですから、大目に見てやってください。」 ねぇ、と他のメイド達に視線を向ける。 皆一様にハイ、とか、そうです、と言ってはいるが本心でないのは丸分かりだ。 しかも、先日咲夜と一緒に買い物に出かけた二匹のゆっくりが居なくなった。 それらは最近になって庭に住み着いたのだが、それでも咲夜は懸命に街中を探し回った。 それからは、一番初めのゆっくりであり、屋敷内で生活していたこの二匹を今まで以上に大事にするようになった。 外は危ないので買い物にも連れて行かず、庭に出るときも休憩中のメイドを呼び出して監視させた。 それゆえ、最近はれみりゃ達が泣こうものなら目を真っ赤にして飛んでくる、凄い溺愛ぶりを発揮しているのだ。 当然、今日も自室に置いていこうと思ったのだが、どうやら事前にこの事をしってこっそりと準備していたようだ。 ちまちまとポーチにモノをつめる二匹を想像して、思わず顔がにやける咲夜。 それを見てため息をつくレミリア。 「……、まぁいいわ。私の邪魔にならないようにして頂戴」 この場はそれだけ言って引き下がる。 レミリアとしても、折角のピクニックに水を挿したくはないのだろう。 「う~♪、こんどいじめたら、しゃくやにいいづけてやる!!!」 「ゆっくりしね!!! ゆっくりしね!!!」 ゆっくりの性か。 既に泣き止み、ふてぶてしい笑顔でレミリアにそう言い放つ。 レミリア達が反応する前に、咲夜の手からはなれ列の中ではしゃいでいた。 「いいわ、先を急ぎましょう」 それを合図にまた歩を進める一向。 二匹のゆっくりは、自分達からすればかなり早く歩いている事が不満らしく、咲夜に文句を言って歩く速度を遅らせた。 今日のピクニックは色々と波乱に満ちている。 満足そうに笑いながら、ヒョコヒョコと傘にバランスを取られつつ進んでいく二匹を見て、咲夜以外の誰もがそう思った。 ペースは遅くなったが、それでもお昼前には目的地に着くことができた。 小悪魔が提案した小高い丘の上、近くには綺麗な川も流れている。 程なくて、全員が集まったのを確認しレミリアが挨拶をする。 「さて皆、今日はゆっくり羽を伸ばして、明日からまた頑張って頂戴」 レミリアが言い終わると、各々がシートを広げて昼食の時間が始まった。 一番見晴らしの良い場所に陣取ったシートには、レミリア・フランドール・パチュリー・小悪魔・紅・咲夜という、何時ものメンバーが陣取る。 「たまには全員でピクニックも良いものね」 「お姉様、それ私が食べようと思ってたのに……」 「早い者勝ちよ! パチェ、本ばかり読んでいないで景色を楽しんだら?」 「さっき見たわ。……小悪魔、それは私じゃなくて、きちんとあなたが食べなさい」 「ギクッ」 屋敷にいる時とあまり変わっていない様にも見えるが、本心では全員楽しんでいるのようだ。 「そうだ。咲夜、霊夢とそれから魔理沙も呼んできて頂戴。折角だから大人数で楽しみましょう」 「畏まりました」 既に昼食を食べ終えた咲夜は、そのまま博麗神社へと飛んでいった。 ここに戻ってくるまでには一時間は掛かるだろうか? 一方、れみりゃとフランの二匹は我が者顔で走り回っている。 「ゆくっりしね! ゆっくりしね!」 「いだい! さくやー! さくやー!」 フランに傘で殴られながら、必死で傘を盾にして防ぐれみりゃ。 既に何度か殴られたのか、顔は醜い泣き顔になっていた。 幾ら泣いても咲夜は来れないのだが、もはや口癖に様になっているれみりゃに言ってもしょうがない。 「う~、おなかへった~♪」 「ぐすっ。れ、れみりゃもへった~♪」 お腹が減ったら仲直り、一瞬で醜い笑顔に戻ったれみりゃと二人で、また日傘をさしてシートをうろつく。 「う~♪ がぁお~♪」 「れみりゃも! れみりゃも! がぁお~、た~べちゃうぞ~♪」 ずんずんとシートの上に土足で上がりながら縦断していく、メイド達が遊んでいたトランプの山を蹴飛ばし、殆ど残っていないランチボックスは、中身が気に入らないようでまた蹴飛ばす。 メイドたちは咲夜が怖くて黙って見ているだけ。 それがいっそう二匹をエスカレートさせる。 「う~♪ う! がぁお~! た~べちゃうぞ~」 さくやがいたシートを覚えていたれみりゃ、しかし既に咲夜はいなかった。 が、変わりにまだまだ沢山残っているランチボックスを見つけて大声で踊り出す。 「う~♪ うっう~♪」 「ふらんもするのぉ! う~う~♪」 なにが楽しいのか、日傘を持ったまま起用にたどたどしいヒゲダンスを踊る二匹。 一通り踊り終わると、今一度ランチボックスに向き直り一言。 「れみりゃごはんたべるぅー♪ どって~」 「ふりゃんもたべるー♪ はやくどって~」 にぱーっとステレオ笑顔で話す二匹。 自分達でとれる距離にある上に、そんなふてぶてしい顔で言われても取る人はこの席にはいないだろう。 勿論、直ぐ取ってくれる咲夜もこの付近にはいない。 「……。あぅ。はっ、はーい、れm……どうぞー」 周りの空気に耐えられなくなった小悪魔が、慎重に言葉を選んで二匹に差し出す。 その手のには大きなおにぎりが二つ。 和風なお弁当、と言うレミリアの提案で今日のお弁当は全て和風のもので締められた。 中でもおにぎりは、初めて一緒に外で食べる主に食べてもらいたくて、小悪魔が一生懸命作ったもの。 何故かは知らないが、おにぎりを作っただけなのに、彼女の手には沢山の絆創膏がしてあった。 「がぁおーーー!!!」 地面に落ちていくおにぎり、勢いよくれみりゃが叩き落としたからだ。 「あっ」 それを踏みつけるれみりゃ、見ていたフランも倣う。 「れみりゃは、さんどいっちたべたいの!! こんなのいらない!!」 「ふらんもさんどいっちたべちゃい♪ さんどいっち!!」 ズカズカとシートに上がりこんで、バスケットの中身をおにぎりごとを全て踏みつけ、勝利のヒゲダンスを踊る二匹。 「う~♪ さんどいっち♪ さくやのさんどいっちたべるぅ~♪」 「さくやのさんどいっち! ふらんもたべる~♪」 「お前達! いいかげんn「そうですか、サンドイッチが食べたいんですか?」」 レミリアがこの場で不夜城レッドを繰り出そうとした時に、小悪魔が微笑みながら二匹に聞き返す。 人間以上の生き物なら分かるが『目が笑ってない』という状態だ。 レミリアもいそいそと退散する、オーラは既に大悪魔そのものだったから。 「うっう~♪ さんどいっち! はやくたべるぅ~♪ はやくしないどさくやにいいつけちゃうぞ~♪」 「う~♪ はやくもってこないならゆっくりしね♪ さくやにおこられてゆっくりしね♪」 異常な気配にも気付かずに命令する二匹、この性格は似ている吸血鬼とゆっくりの性格が合わさってできたものだろうか。 「はいはい直ぐ用意しますよ♪」 今度は目も笑って、そう答える小悪魔。 バンザイして喜ぶ二匹。 「「う~♪ しゃんどいっじ~♪ うーーー!! ? うー! う゛わ゛ーーー!!!!」」 勢いよく風が吹いた瞬間、二匹とも自分の片腕が切れ取られていた。 一瞬何が起こったのか分からなかった二匹だが、直ぐに痛みが押寄せて状況を理解する。 「うーー? !! う゛わ゛ーー!! う゛わ゛ーーー!!!」 「ゆ゛っぐりしんじゃう゛! ゆ゛っぐりしんじゃう゛!」 「はいはい、直ぐ準備しますから泣かないでくださいね♪」 ブチッ、ブチッっと二匹の羽を引きちぎる、二匹は口から肉汁の涎を出しながら絶叫している。 「「うあーー!! ざぐあーーー!! ざぐあどごーーー!!!」」 「そんなに涎を垂らさなくても、後ちょっとですよ」 羽二枚で同じゆっくりの腕を包んでサンドイッチの出来上がり。 「はい♪ どうぞめしあがれ♪」 有無を言わさず、サンドイッチを元のゆっくりの口に無理矢理ねじ込んでいく。 「むぐむぐ!! ごれはれみりゃのおでで!! れみりゃのおででなの!! むぐ……」 「ちがうの! むぐむぐ……、これはさんどいっちじゃないの!!!」 「美味しいですか? そもそも最初のサンドイッチは、サンドイッチ伯爵が……」 二匹の口を押さえつけながら、サンドイッチの薀蓄を語り出す小悪魔。 「……なんですよ。ねっ、レミリア様、フランドール様」 「「はっはいっ!!!」」 パチュリーの後ろにしがみ付いていた二人。 急に話を振られたので思わず声が上ずった。 「よかったー、あってました。と言うわけです、美味しかったですか?」 押させていた手を離して尋ねる小悪魔。 なみだ目になりながら、なんとか完食した様だ。 「うーー! おいちくない! ざくやにいいつげでやるーーーー!!!」 「ゆっくりしね!!! ざくやにおごられでゆっくりじね!!!」 「えー、美味しくなかったんですか?」 額に指を置いて考えるポーズをする小悪魔、その間に二匹の欠損部も再生したようだ。 「う~♪ さくやにいいつけやる~♪」 「ゆっくりしね♪」 小悪魔の目線まで飛んで得意げにしゃべり出す、このまま咲夜を探して飛び回るつもりだろう。 「あっ、わかりました♪」 そう言って、今度は一気に羽を切り落とす。 「れみry……ぶんぎゃ!!!」 「ぼぎょあ!!!」 羽がなくなった二匹は、勢いよく地面に飛び込んで顔面とお腹を強打。 その後勿論泣き喚く。 「そういえば、れみりゃさまは甘いほうが宜しかったんですね。反対にフラン様はお肉の方が宜しかったんですね!」 すぐ準備します、と宣言し手早くサンドイッチを作っていく。 今度は両腕を使って大盛りにするつもりらしい。 程なくして出来上がったそれを口にねじ込む。 「どうですかぁ? おいしいですかぁ? おいしいですよねぇ? ご自分がすきなものですからねぇ? それも上質な肉と餡子ですもんねぇ?」 今度はがっちり押さえ込んでいるので口も開けない。 飲み込んだ頃を見計らって手を離してやる。 「う゛わ゛ーーー!!!! ざくや!!! ざぐやどごーーーー!!! ごわいひどがいるよーーー!!!」 「ゆっぐりじね!!! ざくやにいじめられでゆっくりじんでーーー!!!!」 傘を畳んで、ペチペチ叩いてくる二匹。 「ああこわいですねぇ♪ だったらー、言いつけられなければいいんですよね?」 「「う? うーーーー!!!」」 小高い丘、そこから勢いよく蹴り落とされる二匹。 蹴り落とした小悪魔は終始ニコニコ。 ニコニコしながら丘のの下まで飛んでゆく。 「はいはいー縛りますよ♪」 二人を手足を縛って近くの大きな洞窟へ、ポイッ。 後生大事に持っていた傘もポイ。 そして、ありの子を散らすように出てくる沢山のゆっくり霊夢と一匹のアリスほか二匹。 「おねーさん、ありすのおうちにれみりゃがはいってきたよ」 「それは、私からの贈り物ですよ。ちょっと早いけれど、人は夏と冬に二回贈り物をするんです、特に都会の人はいっぱい貰うんですよ」 「ゆっ!! ありすはとかいはだよ!!! しかたがないからこれももらってあげるよ!!!」 「アリィス、モットトカァイハァ」 「トカイハー」 「ふふ、ありがとうございます。きつく縛ってあるし、魔法もかかっているので絶対外れないですよ。知ってると思ういますけど、れみりゃもふらんも少し残しておくと再生しますから、これから越冬するあなた達にはもってこいでですよ」 「しってるよ! そんなこと、とかいではじょうしきだよ!!! おねえさんはいなかものだから、しらないんだね!!!」 「そうですか、よくしってるますね。では、私はこれで失礼します」 そういって近くにいた一匹のゆっくり霊夢の頭を撫でる。 「ゆゆ! おねえしゃんもゆっくりちていってね!!」 そう言って、仲間と一緒に戻ろうとした一匹を川に遠投。 ご馳走に夢中な他の家族は全く気付かなかった。 「むしゃむしゃ♪ おいしー」 「うっめぇ、これめっちゃうめー」 「だめだよ、そんなことばつかっちゃ、でなーのときにわらわれるよ!」 「はーい」 「う゛あ゛ーーーー!!! ざぐやー!!!!」 「ゆっくりしんじゃうよーーーーーーー!!!」 美味しそうに餌にかぶり付く声を聞きながらその場を後にする。 丘に戻り、シートまで飛んでいく。 どうやら、咲夜はまだ戻ってきていないようだ。 ほっと一安心知ってシートに目をやる。 「えっ」 本を読みながら、潰れたおにぎりを食べている主。 ふと、こちらに気付いて一瞬目が合うが、直ぐにまた本に目を落とす。 「パチュリー様! 汚いですよ、お屋敷にもどったら急いで何か作りますから」 「大丈夫よ、シートの上に落ちたのだし汚れた部分はちゃんととったから」 「でも、でも」 「それにね」 目に涙をいっぱい浮かべている小悪魔を諭すように話す。 「こんなにしょっぱいおにぎりじゃ、蟻も食べてくれないわ」 「ぱちゅりーざまー!」 「抱きつかないで、涙で本にしみが出来る」 「あう」 魔法で突き飛ばされた小悪魔、その目線の先には咲夜がいた。 「さっさくやさん、あの、その……」 「わかってるわ、れみりゃ様とフラン様が悪戯したんでしょ。ここは私が片付けるから大丈夫よ」 手馴れた手つきで片付け始める、霊夢と魔理沙は、と姉妹が聞いてきたが二人とも留守でした、とだけ言って作業を再開する。 モノの数分で掃除が終わり、いとしのゆっくりを探す咲夜。 「れみりゃさま、フラン様! 和食は合わないだろうと思いまして、さくやがサンドイッチとミルフィーユを作ってきましたよ、ミルクセーキもよく冷えていますよ」 しかし、反応はない。 何時もだったら、醜い顔をさらして駆け寄ってくるのだが。 「れみりゃさまー……、フランさまー……。へんねぇ、あなた達二人を見なかった?」 近くにいたメイドに聞く。 ここで踊っていました。 違うメイドに聞く。 ここで遊んでいました。 何人のメイドに聞いても、二匹の足取りを辿るような答えは摘めなかった。 まるで事前に口裏を合わせたような答えに、あっちへフラフラこっちへフラフラと走り回る咲夜。 「その二匹ならあっちに駆け出していったわ」 「パッドしか見てないけどね」 そう言ったのはレミリアとフラン。 「「まさか私達にもお守りをしておいてくださいなんて、言わないわよね?」」 丁寧に肯定し、一目散にその方角へ向かう。 あの綺麗な川ものある森の反対側。 ゆっくり達が沢山住んでいる森へと。 その後さすがに主を放ってはおけないので、皆で帰る前に戻ってきた咲夜だが、その日から雪が振る一ヶ月の間、暇を見つけたはあの森に探しに行っていたようだ。 この事を契機に、姉妹が小悪魔に妙に礼儀正しくなったり、小悪魔の部屋が豪華になったり。 小悪魔に投げられた直後、子供の数を正確に把握していたアリスは食後に一匹足りない事に気付いたが、都会派の親は反抗期の子供を持ってこそだと訳の分からない理屈で軽く流したり。 味を占めたアリス一家が雪が降り始めた頃、里に下りて半数が高値で売られたり。 暇な越冬中に、偶然傘の開き方が分かり得意げに傘で遊んだり、自分達のポーチの中身を得意げに説明して自分の宝物にするアリスを見て、自分達のモノだと傲慢に主張する二匹がまた食べられたりするが、それはまた別な話。
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多数の設定お借りさせていただいています セリフすっきり 出産要素 家族 ・赤ちゃん ***************************************************************** 赤ちゃんのゆっくり返し ***************************************************************** れいむは今までのゆん生を振りかえっていた。 やさしいおかあさんとたくましいおとうさん、 たくさんのおねえちゃんたくさんのいもうとに囲まれてゆっくりした日々。 おさんぽ途中に出会いひとめぼれしたまりさ。 思い切って告白したらまりさも好きと言ってくれた感動。 大好きなまりさと一緒にいれる毎日。 なら次にすることは…。 「ねぇ、まりさ」 「なに?れいむ」 「れいむたちゆっくりしてるけどさ」 「うん」 「あかちゃんがいればもっとゆっくりできない?」 「そうだね!あかちゃんがいればとってもゆっくりできるね!」 「じゃあ…しよ?きて…まりさ…」 「うんいまいくよ…」 「「んほおおおおぉぉぉぉぉ!!すっきりいいいぃぃぃぃぃ!!!」」 真夜中の山に響くゆっくりのクライマックスな叫び声。 行為が終わった後自分のお腹がふっくらと膨らんでいくのが目に見えた。 「ゆゆ?れいむにんっしんっしたよ!」 「やったねれいむ!かぞくがふえるよ!」 赤ちゃんが生まれたらどんなことをしようか。 一緒にいっぱいゆっくりできるご飯をむしゃむしゃしよう、 一緒にいっぱいおひさまに当たってぽかぽかしよう、 一緒にいっぱいおうたをうたおう、 一緒にいっぱいすりすりしよう、 一緒に…。 れいむが未来に見えるすばらしいゆっくりエブリディを想像している横で、 まりさはすっきり疲れか早々に寝込んでいた。 にんしんっしたその日かられいむは無性にお腹が減るのを感じた。 きっと赤ちゃんに栄養を欲しがっているんだ。 まりさにゆっくりできるご飯をたくさん取ってきてもらおう。 「あかちゃんのためにおいしいごはんをたくさんとってきてね!!」 「まりさがんばるね!」 まりさが外で頑張っている間は何をしようか。 そうだ、赤ちゃんがゆっくりできるようにおうたを歌ってあげよう。 「ゆっくりそだってね!あかちゃん!」 「ゆ~♪ゆゆゆ~♪ゆゆゆゆゆ~♪」 おうたを歌い疲れて眠ってしまっていたところにまりさが帰ってきた。 帽子にたくさんのご飯が詰まっている。むしゃむしゃして赤ちゃんをゆっくり育てよう。 「ただいまれいむ!あかちゃんのためにたくさんむしゃむしゃしてね!」 「これであかちゃんがゆっくりできるよ!」 「じゃあいただきますを「むーしゃ!むーしゃ!しあわせー!」 「もうぽんぽんいっぱいだよ!あかちゃんゆっくりそだってね!」 たくさんご飯を食べたらもうお空が真っ暗。 早く寝ないと赤ちゃんゆっくりできないよね。 「おやすみ!まりさ!あしたもゆっくりしていってね!」 赤ちゃんのため食っては歌い食っては眠りの生活が始まってからしばらくしたら、 お腹がにんっしんっする前の自分が入ってしまいそうなくらい膨らんだ。 たまに自分の意思に反してお腹がピクピクと動くことも増えてきた。 もうすぐ赤ちゃんに会える、とってもゆっくりした赤ちゃんに…。 そのためにはたくさんゆっくりしてあげないと! 「まりさ!きょうもよろしくね!」 「…うん!まりさがんばるよ!!」 ***** ところ変わってれいむのお腹の中。 すでに形の整った5匹の赤ちゃんが相談していた。 「おきゃーしゃんとっちぇもゆっくちしてるね!」 「ゆっくり♪ゆっくり♪」 「そのゆっくちにまりしゃはどうやっておかえちしようか」 「ゆゆーん♪そんにゃのかわいいれいみゅをみればいちころだよ!」 「まりしゃそれだけじゃたりないようなきがするよ!」 「「「「ゆゆ??」」」」 一番の親孝行はゆっくりしている自分を見せることだ。 それだけではいけないのか?他の赤ちゃんが驚いた。 「きょれだけおきゃーしゃんがゆっくちちてくれてるんだもん! まりしゃたちをみるだけじゃおかえちにならにゃいかも」 「「「「ゆー……」」」」 とってもゆっくりしているお母さん。 そんなお母さんをゆっくりさせるには自分を見せる以外のワンポイントゆっくりが必要。 そう感じて赤ゆっくりたちは考え込んだ。 「れいみゅゆっくちおもいついちゃよ!」 「どんにゃことしゅるの?」 「れいみゅきゃわいいことびゃをつかっちぇゆっくちしゃせてあげりゅよ!」 「どんにゃの?ゆっくちおしえちぇね!」 「こうやりゅんだりょ!」 「ゆっきゅちちちぇいっっちぇにぇ!!」 「ゆゆーん♪しゅっごくゆっくちちてるね!」 赤れいむは舌っ足らずなしゃべりを磨きにかけることで、 母性本能ならぬゆっくり本能を刺激しようと考えた。 「まりしゃはわいるどにいくよ!」 「ゆっくちきににゃる!」 「『ゆっくちちていってね!』いがいのあいさつをしゅるよ!」 「かっきょいいね!」 赤まりさは『ゆっくちちていってね!』と言わずに、 自分オリジナルの挨拶を実行することで、 今までの赤ちゃんとは何かが違う感を出すことにした。 「れいみゅはへんかきゅうだよ!」 「へんきゃきゅう?」 「うちろからうまれりゅよ!」 「おきゃーしゃんもびっくちだね!」 普通ゆっくりの胎生型出産の場合、赤ちゃんは顔から出てくる。 赤れいむはその法則を覆すことによって、 お母さんに新鮮な驚きを与えようと考えた。 「まりしゃはかきぇにでるよ!」 「どんなかきぇかおちえてね!」 「おきゃざりをもっちぇいかないよ!!」 「ゆゆ!それはゆっくちできないよ!」 「ふっふっふ…まりしゃはちゃんとかんがえちぇるよ!」 飾りのないゆっくりは他のゆっくりにゆっくりできないゆっくりと言われる。 赤まりさはあえて飾りを捨てることにより、 この子はお母さんがゆっくりさせてあげなきゃだめだ、 と使命感を煽るように演出しようとした。 「れいみゅはなにかおもいついた?」 「れいみゅは…ひみちゅだよ!」 「もったいぶりゃないでゆっくちおちえてね!!」 「あとのおたのちみだよ!」 ***** 「むーしゃ!むーしゃ!しあわうっ!!」 まりさの持ってきたご飯を食べた直後、 お腹に今までに感じたことのない強い痛みが走った。 「いだ゛い゛い゛い゛!!れいむのぼんぼんさけちゃう゛う゛う゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛!!!」 「れいむ!あかちゃんがうまれるよ!がんばって!!」 れいむの顎のあたりにぽっかり穴が空き、そこから赤ちゃんが見える。 しかしその穴は狭い、そこへその穴の2倍以上の大きさの赤ちゃんが通ろうとしている。 皮が引っ張られ今にもちぎれそう、痛みがゆっくりとゆっくりとれいむを蝕んでいく。 「うぐぐぐぐぐぐ!!」 「れいむ!あかちゃんだよ!あかちゃんのかおがみえたよ!!」 痛みで意識を失いそうな中、赤ちゃんという単語だけがれいむの精神をつないでいた。 早く赤ちゃんに会いたい!この思いがれいむの体を無意識に動かしていた。 「ゆーゆっゆー!ゆーゆっゆー!」 「れいむ!もうすぐだよ!あかちゃんでてくるよ!」 ポンッ! その音と共にれいむを蝕んでいた痛みが急速に引いていった。 ようやく辺りを見回す余裕を得られたれいむが見たものは…。 つぶらなおめめ、かわいいお口、しっとりと黒い髪に、 蝶のような大きなリボンを結んでいる。 まるで自分を見ているように思えるほどれいむに似た赤ちゃんだ。 赤ちゃんを産んだらまず何をするか、挨拶だ。 「ゆっくりしていってね!」とお互いに言いあうことではじめて、 お互いにゆっくりできる存在と認識することができる。 「ゆっくりしていってね!!」 「ゆっきゅちちちぇいっっちぇにぇ!!」 どうもおかしい。 うまくしゃべれない赤ちゃんでも「ゆっくちちていってね」くらいは言えるはずだ。 なのにこの赤ちゃんはそれすら言えてない。 これは聞き違いなんだ、もう一度やり直して…。 「ゆっくりしていってね!!」 「ゆっきゅちちちぇいっっちぇにぇ!! ゆゆ?おきゃあしゃんっはちょおうっちぇもぅゆっきゅちちちぇりゅにぇえ!! きゃひゃいひれいみゅをみちぇみょうぅちょゆっきゅちちちぇいっっち」 「うまくしゃべれないあかちゃんはゆっくりしんでね!」 「ゆべっ!」 なかなな挨拶ができない赤れいむにしびれを切らしたまりさは、 赤ゆっくりにあんよの一撃をくらわせる。 「みゃぢゃ…ゆっきゅち…ちちぇにゃいにょに…」 「ゆっくりしね!」 ギリギリ息があった赤れいむにとどめの一撃が炸裂。 あまりにも展開が早すぎてれいむの餡子は付いていけない。 そして、まりさの下につぶれている赤れいむを見つけた。 なんで?なんで?なんで?なんで? (「むーしゃ!むーしゃ!しあわせー!」) 「ど…」 (「すーりすーり!おかあさんのほっぺとってもぽかぽかさんだよ!」) 「どぼじで…」 (「おかーさんのことだーいすきだよ!」) 「どぼじでぞんなごどずるのお゛お゛お゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛??!」 「ちゃんとしゃべれないあかちゃんはゆっくりできないからだよ!」 ちゃんとしゃべれなくってこれから練習していけばいいじゃない。 ゆっくり見守っていけばいいじゃない。 それなのに…それなのに…それなのに…。 「れいむ!またあかちゃんがうまれてくるよ!!」 「ゆゆ!?ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛!!」 初回に穴がある程度広がったおかげか、 二回目の出産はそれほど痛みを感じなかったが、やはり慣れるものではない。 「ゆーゆっゆー!ゆーゆっゆー!!」 ポンッ! 次に産まれてきたのは、 りりしい瞳、輝く金髪の上に形の良い山高帽をちょこんと乗っけた、 愛するまりさそっくりの赤ちゃん。 まりさに似てるんだ、だから挨拶もきちんとできるはず。 「ゆっくりしていってね!!」 「おーっちゅ!」 え…? なんで挨拶出来ないのだろう。 もしかしてれいむのことを弄んでいるのだろうか。 「ゆっくりしていってね!!」 「おーっちゅっちゅ!!」 「あいさつをきちんとできないあかちゃんはゆっくりしんでね!」 「おーっちぶじ!」 キチンと挨拶が出来ないとまりさに判断された赤まりさは早々に潰されてしまった。 愛するまりさに似た赤ちゃんがあっという間に餡子の塊へと姿を変える。 「どぼじでぞんなごどずるのお゛お゛お゛お゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛??!」 「あいさつできないあかちゃんはゆっくりできないからだよ!」 挨拶なんて所詮形式的な儀式のようなもの。 それができないがためにいきなり殺されるなんてあまりにも不条理だ。 ゆっくり挨拶を教えることもできたのに…できたのに…できたのに…。 「れいむ!またまたあかちゃんがうまれてくるよ!!」 「ゆゆ??」ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛!!! 二回目の出産があれほど楽だったのだから、三回目はもっと楽だろう。 そうたかをくくっていたのだが。 「ゆーゆっゆー!ゆーゆっゆー!!ゆーゆっゆー!!!」 「どぼじでうばれでぐれないのお゛お゛お゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛??!」 いくら力んでも赤ちゃんが出てくる気配がない。 まるで赤ちゃんが自発的に出る気がないように。 「れいむ!このあかちゃんおかおがないよ!」 「ぞんなわげないでしょお゛お゛お゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛?! いだい゛い゛い゛ぼんぼんいだい゛い゛い゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛」 「ゆ゛ーゆ゛っゆ゛ー!ゆ゛ーゆ゛っゆ゛ー!!」 実に最初の出産の数倍の時間をかけてようやくポンッ!と赤ちゃんが産まれてきた。 その時出産の衝撃で一時的に空を飛ぶ赤ちゃんと一瞬目があったような気が…気のせいだ。。 「ゆっくりしていってね!!」 「ゆっくちちていってね!!」 ちゃんと挨拶をしてくれた! 今まで挨拶が出来ないからってまりさが赤ちゃんをゆっくりさせちゃったけど、 ちゃんと挨拶できたからもうまりさは怒らないはず。 赤ちゃん、これからもずーっとゆっくりしていってね。 「ところであかちゃん」 「あかちゃんじゃないよ!れいみゅはれいみゅだよ!」 「どうしてうしろからうまれたの?れいむすごくくるしそうだったよ」 「あれはれいみゅがきゃわいくうまれてくるためにしちゃんだよ! とっちぇもゆっくちできちゃでしょ!」 「れいむをくるしめるあかちゃんはゆっくりしね!」 「きゃわいくってごべっ!」 まりさのあんよに潰されて物言わぬ饅頭となる赤れいむ。 何で?今度はちゃんと挨拶してくれたのに何が気に入らなかった? 「どぼじでぞんなごどずるのお゛お゛お゛お゛お゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛??!」 「おやをくるしめてはんせいしないあかちゃんはしょうらいゲスかくていだからだよ!」 ゲスになるかなんてこれからの教育次第でゆっくり決まるものじゃないか。 それなのに一回間違ったことをしただけでゲス確定なんて。 その理論ならなら自分はとんでもなくゲスな奴だ。 きっとまりさは焦っているんだ。なだめなきゃ、なだめなきゃ。 「まりざあ゛あ゛あ゛もっどゆっぐりじでよお゛お゛お゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛」 「そんなことよりまたまたまたあかちゃんがうまれてくるよ!」 「ゆゆ?ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛」 四回目の出産で、さらに先ほど無駄に力んだためか穴はもうガバガバ。 すんなりと産まれてきてくれた。 「ゆっくりしていってね!!」 「ゆっくちちていってね!!」 良かった。この子もきちんと挨拶できる。 ちゃんと苦しめずに産まれてくれたから、 きっとまりさも赤ちゃんのことを褒めてくれるはず。 このまりさに似たりりしい瞳に輝く金髪にその上にちょこんと乗った山高帽が………ない!? 「かざりがないあかちゃんはゆっくりしね!!」 「ゆべっ!」 「どぼじでぞんなごどずるのお゛お゛お゛お゛お゛お゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛??!」 「かざりがないゆっくりはゆっくりできないでしょお゛お゛お゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛??! ゆっくりかいのじょうしきでしょお゛お゛お゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛!!?」 確かに飾りのないゆっくりはゆっくりできない。誰が誰かわからないからだ。 でもこの赤ちゃんは飾りがなくても確かに自分たちの赤ちゃんということがわかる。 それならば飾りなんて本来の意味での飾りだ。 「さっきからゆっくりできないあかちゃんばかりうんでるね!ばかなの?しぬの?」 「でもまだあとひとりあかちゃんがのこってるよ!」 「ほんとう?だったらゆっくりみせてね!!」 お腹の中にはあと赤ちゃんが一人残っている感覚がある。 最後までゆっくりした赤ちゃんだもの、見ればきっとまりさもゆっくりしてくれる。 そしたら三人で末永くゆっくりしよう。 「あかちゃん!ゆっくりうまれてきてね!!」 ***** 一方れいむのお腹の中では赤れいむがゆっくりしていた。 「あなさんがひらいちゃけどれいみゅはうまれにゃいよ!」 「みんにゃはうまれちゃったけれでも、れいみゅもうまれちゃったら おきゃーしゃんのぽんぽんがさみちくなるからうまれないよ!」 「おきゃーしゃんのなかにずっといる。れいみゅのことがみりぇなくても、 れいみゅがぽんぽんにいるだきぇでおかーしゃんはゆっくちできるんだよ!」 「れいみゅおきゃーしゃんにあえないからさみちいけれども、 おきゃーしゃんをゆっくちできるならがまんしゅるよ!」 「おきゃーしゃんゆっくちしていってね!」 ***** 「あかちゃんはまだ?ゆっくりしすぎだよ?」 「どぼじであがぢゃんうばれでぐれないのお゛お゛お゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛??」 なぜこんな時に赤ちゃんが産まれてくれないのか、れいむは考えた。 もう赤ちゃんはすでに死んでいる。これはない、確かに赤ちゃんの感覚があった。 赤ちゃんは弱すぎて出ることができない。これもない。手助けすれば絶対出れる。 こうなれば自発的に産まれるのを拒否しているようにしか思えない。 つまり、 「まりさ!あかちゃんはれいむのなかでゆっくりしたりないんだよ! だからあかちゃんのためにたくさんごはんをとってきてね!! 「だまれ…」 「あかちゃんはえいようがたりないとしんじゃうだよお゛お゛お゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛??! そんなこともわからないなんてばかなの?しぬの?」 「だまれえ゛え゛え゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛!!」 まりさは何てわがままを言っているんだ。 赤ちゃんはれいむたちをもっとゆっくりさせてくれる存在で、 そのゆっくりのために働くのは至極当然のことであって… 「おばえは!あかちゃんがでぎでがら!ずーっとばりざをえざをどってぐるどうぐみたいにじで! だまにのぞいだらおうだをうだっだりひるねじだりとおばえばっかりゆっぐりじでるじゃないか!!」 「でもれいむがゆっくりしないとあかちゃんは」 「ぞれはおおめにみるどじで!づがれでがえっでぎだばりざに! おばえはいだわりのごどばをがげだごどがあるか?!」 「あがぢゃんがでぎでがらおばえはいづもいづも「これであかちゃんがゆっくりできるよ」 とあがぢゃんのごどばがり!ばりざのごどなんでなーんもみでぐれない!」 「でもあかちゃんはだいじだよ?」 「ほらまだあがぢゃんのごど!!ばりざはおばえのどれいじゃない゛い゛い゛ぃ゛ぃ゛!! じがもぜっがくのあがぢゃんはびんなゆっぐりできないやづら!! ごんなごどになるんだっだらおばえなんがどずっぎりじなげればよがっだ!!!」 「ど、どぼじでぞんなごどいう゛の゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛??!」 「どうもごうもあるが!!おばえのがおなんでにどどびだぐない゛い゛い゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛!!」 そう言うとまりさは外に出て行ってしまった。 赤ちゃんのことを大切に思えないなんて恐ろしいほどのゲスだ。 でも今はそんなことより今は赤ちゃんの方が大事だ、早く赤ちゃんのためにむしゃむしゃしないと。 確か貯蔵庫に…。 「どぼじでごはんざんがないのお゛お゛お゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛!??」 きっとまりさがこっそり全部食べてしまったんだ。なんてゲス。 仕方ない、ならば自分で動いてご飯を取りに行くしか…。 ん?体が重くて動かない…。 「どぼじでれいぶあるげないのお゛お゛お゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛!?? これじゃあごはんとりにいげない゛い゛い゛い゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛!!!」 ご飯をどうしようと考えていたら急に力が抜けてきた。 大きくなった赤ちゃんが今まで以上にれいむの栄養を吸収し始めたのだ。 「あがぢゃんんんんん!ずわないでえ゛え゛え゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛!! おかあざんじんじゃう゛う゛う゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛!!」 あ…目がかすんできた…。 れいむはもうだめなんだ。 赤ちゃん、一緒にすりすりしたかったなー。 「もっどゆっぐりじだがっだ…」 こうしてれいむは赤ちゃんの望み通り、 とーーーーーってもゆっくりすることができたとさ。 終 ***************************************************************** 自分のゆっくりできることを他人にしなさい。 聖ゆっくりの教えを産まれる前から実践できるってすごい。 今まで書いた作品 初めての制裁 僕のうさばらし ゆっくりは死んだ 見せあいっこ ゆっくりの伝道師 妄想お兄さん このSSに感想をつける
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このSSには罪の無いゆっくりれいむ、ゆっちゅりー、体つきゆっくりゃが虐待されます。 また、ゆっくりめーりんが登場します。 嫌な方は見ないで下さい。 ゆっこーまかん 前編 ここは幻想郷の森の中、かの有名な紅魔館から少し外れた暗い森の中。 人がやっと一人入れるような小さな洞穴があった。 洞穴の中にはヒカリゴケの明かりがともされ、少し埃っぽい空気で満ちていた。 その洞穴の中に鎮座するは人でもなく動物でもなく、虫や魚でもなく漬物石ほどの大きさの 奇妙に蠢き奇声を挙げる存在が3つあった。 「ゆっ!そのごほんをれいむにちょうだいね!」赤いリボンの下膨れの饅頭のような物体が かくもたどたどしい言葉で、かつ中途半端に枯れた汚い言葉遣いをしている。 これがゆっくりれいむ、幻想郷で近年話題の人間の特徴を備えた饅頭妖精の一種である。 「むっきゅ!~!!??ちょれはぱちゅりいのだよ!かってにもってがなぁ~いでっ☆」 シュークリームの皮のような帽子らしき物体を被ったそれは目が半分しか開いておらず舌を だらしなく垂らしては引っ込める。不気味に結ばれた紫の紫蘇と思しき髪の毛に相当する部分は ぼいん、と動くたびに不可解なリズムで揺れる。 「うぎゃおー!ごごはれみぃさまの「ごーまがん」だどっ!やかましくするなー!きぃーーーーー!!!!!!」 誰よりもやかましい物体はなんと人間の幼児ほどの体をそなえたゆっくり、ゆっくりゃ(ゆっくりれみりゃ)である。 これまた肉まんのような帽子を被り、ババクサイ服を着てへらへら笑いながら手を絶妙なリズムでスライドさせながら 踊っている。背中に付いたお飾りの羽もつられて踊っている。この種は体つきになると羽が使えなくなるのだが 本体の意思に応じてご都合主義的に動くことができるのだ。もっとも、空を飛ぶほどの力は無い。 「ゆっ!くっせえ!めっちゃくせえ!ゆちゅりーこのごほんきたなくてくっさいよ!じちょうしてね!」 れいむはそういって口に咥えた本を振り投げて捨て去る。 「むっ牛~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!」 「むっ牛~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!ユヂュディのでえじなでえじな「ごぼん」があああああ!!」 号泣するゆちゅりー。 「むーぎゅー♪ぱちぇはがーわいーいどー♪」 汚いダンスを続けるゆっくりゃはまるでこの狂想曲を指揮しているかのようである。 「じゃあお☆じゃあお☆ぱっどちょーじゃあお☆」 そこにのこのこと現れたのは辛そうな赤い髪をしたゆっくり、ゆっくりめーりんである。 「ごっ、メーディンいーどごおいで。デイブとぱちぇがじぇんがしているど♪」 どうやらゆっくりゃは「来たね」と「おいで」を勘違いして使っているらしい。 知能が幼児並というゆっくりの中でもとりわけアホのゆっくりゃはコミュニケーションに必要な最低限の能力すら欠如しているようだ。 「じゃあお☆れいむう。ぱあちぇ。ジェンガはやめるんじゃお☆」 めーりんもやはり「けんか」を「ジェンガ」と勘違いしている。 そもそもゆっくり種が人里へ出ることは何らかの手段で処分されることを意味しているので 何でゆっくりが人語を解する上喋ることができるのか、理由は謎に包まれたままである。 「ゆっ!ゆっくりしていってね!!」 「むっ。むっきゅりしていってね!」 「うっ!たーべちゃーうぞー♪しゃくやー♪」 れいむに続いてゆちゅりーもゆっくり種に固有の挨拶「ゆっくりしていってね!!」を唱和した。 しかしゆっくりゃだけは相変わらず自分の世界から抜け出さない。 この種は何かゆっくりとは違った存在なのかもしれない。もっと恐ろしいものだ・・・!! 調停するジャオ。 「じゃおじゃお」 「ゆゆ?」 「ウジャジャ、じゃーお、じゃーお、じゃじゃーん!」 「ゆゆっ!ゆー☆ゆゆんゆさいぱちゅりー!」 「むっ。わかればいいのよ」 さも当然な表情をするゆちゅりー。 イライラしてきた一人ぼっちにされたゆっくりゃはストレス発散に叫ぶ 「んー・・・・ぎゃおー!れみぃさまはごーまがんのおぜうさまだど♪うあうあ♪」 「じゃおお。それはりくつがおかしい」 冷静な表情で反論するジャオ。 「じゃおー!デヴィのいうどおりにずるどー!!」 きれたゆっくりゃは汚い涙を溜めながらジャオを豚みたいな手で殴る。ヒヅメ付きだから結構痛い。 パシッ「じゃ」 ぺちっ「ジョン!」 どすっ「JAOOOOOO!!」 こめかみにヒヅメがクリティカルヒットした。ジャオは悲しそうだ。 「わじゃじゃじゃ・・・!!」 涙が溢れ、口角を上げようと必死でこらえている。 「・・・・・・・!!!」 「うっうー♪プリンをちょうだい?さくや!」 「ゆっ!れみいは言葉が上手くなったね!」「むきゅ。これはちんぽだわ」 「進歩」をあられもない言葉と言い間違えたゆちゅりー。 「ゆっ!ぱちぇ今のはちんぽじゃないよ!ちんぼだよ!」 「むきゅ?むぅ~、ち~んぼっ!わかったわむきゅきゅ」 クールに笑おうとするゆちゅりー。ますますひどい。 りん。 「・・・・・ゆ?」 鈴の音がする。 りん。シャン。りん。 その音は近づいてくる。 「ゆっくりだれかがきたよ?」 「うー?デヴィのおうぢにおきゃくざま?」 その少女は現れた。美しい着物に身を包んだ黒髪の美少女。 稗田阿求、通称AQNである。 「うふふふふふ・・・ここね・・・ついにつきとめたわ」 AQNは体のあちこちに色々な植物や森の障害をくっつけて微笑んでいる。 彼女はゆっくりを殺すことに生きがいを感じていた。異常性癖と言えるがそれは限られた命が可能にした一瞬の輝きである。 「ゆ?おねーさんはゆっくりできるひと?」 「なによ、ごほんよみにきたの?」 「うーうー!こんやはたのしいよるになりぞーで!」 「じゃおお!ここはとおさないぞ!」 様々な反応を見せるゆっくりたち。AQN嬢は微笑んだまま動かない。 「うふふふ・・・そうね・・・いいわ・・・。」 「・・・はあ・・・はあ・・・はあ・・・・・・ねえ、おねえさんをゆっくりさせて?」 「ゆ?ゆっくりしていってね!」 「むっきゅりしていってね」 「ぎゃおー!ぶっでぃ~ん☆ぷりんをちょうだい、さくや?」 「わじゃじゃじゃじゃじゃwww」 どうやらゆっくりしたいという意思表示だろうと安心した様子のゆっくり達。しかしそれは違っていた。 むんずっ 「じゃお?じゃあい!おそらをとんでるみたいじゃお!」 嬢はジャオを掴んでいた。人間から見てサッカーボールほどの大きさしかないそれを掴むのはとても容易い。 重さも2キロくらいで丁度持ちやすい。ジャオは自分に迫る危機に気が付かないで浮かれている。 「じゃじゃじゃwwwわじゃじゃじゃじゃじゃwww」 下品な表情で楽しそうにしているジャオを見たAQNは感じていた。 自分の核心が心臓の鼓動と共に脈打ち、隆起してくるのを感じた。 「・・・・・はぁ・・・・あぁ・・・・・ねぇ、おねえさんの方向いて?」 「じゃん!」 ジャオはうれしそうに向いた。 ドシャ 瞬間、ジャオの体は嬢の手に隠し持っていた飛び出し式鉤爪で引き裂かれた。 これは厚い皮を誇るジャオですら内部から全て8片に刻む優れものだ。 「むじゃ~あああん、ジョオオオオオオン!」 目は飛び出し、赤い髪は地面に落ちる。ジャオの最後はあっけなかった。 「ゆ、じゃ・・・お・・?」 「むきゅ、じゃお・・・?」 「うー?・・・ジャオ?ジャオおおおおおおおおおおお!!!??」 三匹の叫び声が木霊した。嬢は爪を舐める。 「ああ・・・この醤(ジャン)の味・・・ふぁっ!」 ビクン 嬢の核心が大きな快楽で震えている。脊髄を通る快感に嬢は打ち震えた。 「ゆ~~~~~~!!どぼじでじゃおをごろじだのおおおおお!!!」 「むぎゅぎゅぎゅぎゅ!!!じゃおをあのよへもっでがないでええええ」 「んー!んー!デヴィがだべだがっだのにいいいい!」 3匹は大きく泣いていた。 「んふ、あん、・・・ふぅ。気持ちいいわ。こんなのやめられるわけないじゃない。さ、次はどのこにしようか・し・ら☆」 ゆっこーまかん 中篇 ジャオの醤を指に付け、物欲しげな雌の目で人差し指、中指をしゃぶる少女、AQN 涎にまみれた指をいとおしそうに見つめながらゆっくり達へ目を移した。 「はあ・・・はあ・・・・はあ・・・ああ・・・こんなにかわいらしい本棚があるわね」 「むきゅっ!それはぱちゅりーのごほんでつまっているよ!」 ゆちゅりーが目を潤ませながら嬢の袴を掴んで止めようとする。振り返って嬢は 「あら?そういえばこんなところにとてもちっちゃなむらさきもやしさんがいたのね」 「むきゅん!ぱちゅりーはむらさきもやしなんかじゃないよ!」 「あら?否定するとどうなるかわかる?・・・んふふ・・・」 そう言うと嬢はおもむろに本の一つを取り出しめくる。破り捨ててやろうという魂胆である。 中身はスーパーの広告チラシや電話帳の切れ端で作られていた。 所々クレヨンか何かで落書きされた跡がある。嬢は不思議に思って尋ねた。 「あら、・・・ねーぇ、もやしちゃん?」 「む~きゅ~??なあにお姉さん?・・・っぱぱちぇはもやしじゃないよ!」 ゆちゅりーはもやしと言われても否定をし忘れた。 「このぉ、・・・ご本は何が書いてあるのォ?・・ねぇ、お・し・え・て?」 「むっきゅん!しょれはね、ぱちぇのだいじなでえじなけんきゅうざいりょうなんだよっ」 「研究・・・材料?ここは何が書いてあるの?」 嬢は広告の「特選土用うなぎ 1980円」の部分を見せた。 「むっきゅん!それはね・・・とくせいのおやつでぱちゅりいがみりょくてきないせいになるには・・・」 ぶちっ 嬢の中で、何かが切れた。ゆちゅりーから本を取り上げる。 「むきゅ!まだごほんよんでるの」「しゃああああらくうううせえええええいいい!!!!」 ビリビリビリ! 「ぶぎゅううううううん!!!!」 嬢は本をビリビリと破き、地面に落とした。 ゆちゅりーは半月状の目から溢れんばかりに涙を流し、地面の本に駆け寄る。 「どぼじでやぶっぢゃうのおおお!!!ばぢぇのでえじなでえじなごぼんが」「カスが」 嬢は興奮が止まらず、本、いや紙くずを踏みにじる。紙が泥と砂でぐしゃぐしゃになっていく。 ぱちゅりーがだいじにしていた、とくせいびようほうのかかれたごほんが・・・・。でえじにしてたひみつのむきゅりかたがよめないよお・・・・・・・・・・ ゆちゅりーの無い頭の中で思いのようなものが蠢く。 ゆちゅりーは足が震え、嬢の前に跪くと紙くずを寄せ集めようと必死になった。 「むきゅ、むきゅ、・・・っげふんげふん!むきゅむきゅ。・・・げふん!むきゅ。」 「ゆぢゅりいいいいい!!ゆっぐりだずげるじょ!!!」 「ああ・・・いい声ね・・・。むふっ、私・いけないこだわ・・・あぁん☆」 嬢はそういって股間に手を寄せて微妙な振動を与える。 一方喘息の発作を起こしたゆちゅりーの元にそれまで呆然としていたゆれいむが慌てて駆け寄る。 ゆれいむはゆちゅりーの頬を舐めてなだめる。 「ゆ。ゆ。ゆ~~!ぱちぇははやくげんきになってね!れいむがたすけるよ!」 「むきゅ。・・・ありがちょ。」 「・・・ふあああああん!!・・・ぁあ~、イッちゃったわ・・・さて、と」 「ゆっ。まかせてね!ってぎょおおおおええええええ!!!??」 誇らしげなゆれいむの頭の先を頂点を迎えた嬢が持っていたナイフですっと切り取る。 りぼんはかろうじて外れないで餡子だけを上手く露出させることに成功。 「むっぎゅううううううん!!??(>.<Uつo でいぶどぼじだのおおおおお!!?」 「ゆゆゆゆああああああ!!!!ゆ~・・・ゆ~・・・ぱちぇでいぶあだまのざぎがおがじいよおおおおお」 「むっぎゅん!!はやくよぐなっでな!よぐなでえええ!」ぺちょ・・・ぺちょ・・・ ゆちゅりーは訛りながらゆれいむの頭を舐める。実は甘いことに気づいたゆちゅりーは舐める速度を早くする。 「べちょっ!うっめむきゅ!これめっちゃうめむきゅ!べろべろベッチョン!」 「ゆああああああああ!!!」 ますます苦しむゆれいむ。それを見た嬢は思いついた。 「・・・あらあら・・・んふっ☆・・・イイこと思いつーいたっ。」 嬢は地べたに座り、袴をたくし上げて少女の秘部を露出させる。 それはいかなる文学的な表現を以てしても喩え尽くす事の出来ない楽園である! 弛まぬ人類の歴史を通して幾兆の男達が夢見、そして目指した偉大なる目的。 それは花びらを飛び立つ蝶の一片の燐粉ですら覆い尽くす事の出来ない幻の愉悦。 ああ、このいとおしく、かつ悩ましい存在のためにどれだけの文学が現れては消えていったことか!! ひとまずそこまでにして、嬢はゆれいむの餡子を指ですくう。 「ゆげっ」 「ごめんねー。治療するからね。」 「むきゅ!わたしのれいむになにをするの!?はしたないよ、おねえさん!」 「・・・んふ。私、そんなにぃー、・・・・・・はしたないかしら?」 「そうだよ、はしたないむきゅ!」 「れいむを治してあげたいわよね?」 「むきゅ!当たり前だよ!」「ゆぐう!はやぐなおじでねええええ」 「じゃあ治してあげる。今からおねえさんの言うとおりにしてね?」 「むきゅ!何でも手伝うよ!」「ゆぶぶぶぶぶ」 れいむは口から泡を吹いている。嬢はその餡子をおもむろに秘部に塗りたくった。 「むきゅきゅ!!??なにじでるのおねいざん!むっきゅりなおじでね!?」 「はぁ・・・はぁ・・・じゃあ、ングッ、・・・じゃーぁ・・・・おねえさんの餡子にまみれたここ、舐めてくれるぅ?」 「むぎゅ!!?ほんとになおるの?げふんげふん」「パ・・・ヂュディ・・・」 つづく このSSに感想を付ける
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GSPOー幻想郷総合警邏機関。 それは博霊の巫女の鶴の一声によって作られた 幻想郷の小さな事件や異変を解決する警察みたいな組織である! 【登場人物】 ジャック GSPOゆっくり課の隊員。人間、男性、20代。 性格の悪いゆっくりは嫌いだが素直なゆっくりは好き。 標準装備はGSPO隊員に支給される拳銃。早撃ちが得意。 最近レフィが嫌みを言わなくなって機嫌がいい。 レフィ GSPOゆっくり課の隊員。妖怪、女性、年齢不明。 前は何かにつけてジャックに絡んできていたが今は矛先をYdmtⅩにかえている。 ジャックのことが少し気になる様子。 ドスまりさ ジャックによってゆっくりから解放されGSPOに入ったが、 上層部に気に入られGSPOのマスコットになってしまった。(第一話参照) YdmtⅩ GSPOゆっくり課の隊員。メカ、性別不明、まりさ型。 性能テストともかねて入隊したところ初日に大活躍したため(第三話参照) 幻想郷の名誉住民になった。バルカン砲やミサイルなど結構重武装。 レフィとよく言い争いをしている。(ジャックは漫才と言ってるが) __________________________ 「暇ね~。」 レフィが足をばたつかせながらボヤく。 足下では掃除ユニットを装着したYdmtⅩが 壁にぶつかっては進路を変え、ぶつかっては進路を変え、 まるで全自動掃除機のように動いている。 最近は珍しく一通の通報もなかった。 平和なのはもっともだが事件がないと商売あがったりで困る。 まあ、他の課の連中は結構忙しそうなあたり決して平和とは言えないがな。 「折角だしパトロールいくか。」 今までは人員が少なくてできなかったが三人(?)になったのでできるようになったのだ。 「パトロール行く人~。」 「は~い。」 「お断りします。」 「YdmtⅩが行かないなら私が行くわね。 でも何で行かないの?いい暇つぶしになるのに。」 「今日は一人で整備したい気分なんです。」 と言って帽子を持ち上げ、中から様々な工具を持った無数のロボットアームが伸びてきた。 工具がYdmtⅩのボディを止めてるボルトや何やらをてきぱきと外していく。 ボディをはずすと基盤剥き出しの結構キモイ姿になり、 なんだかいい気分じゃないのでレフィとさっさと外に出る。 俺たちと入れ替わりに入った掃除のおっちゃんが悲鳴をあげていたが気にしない。 ゆっくり課のパトロールってのは実際はあまりやることがない。 俺たちが必要な事件なんて通報されるし、ゆっくりが命を失うことはロス並みに日常茶飯事だからだ。 まあ、一度だけ目の前で群の襲撃が起こったから阻止したことはあったが。 「あ、ゆっくり発見。」 レフィが指さす方向をみると、緑色のリボンをつけた珍しいゆっくりがいた。希少種かな? 「ゆっくりふゅーじょんしましょ?」 「かわい~。」 レフィが希少種ゆっくりを撫でようと手を伸ばした瞬間。 「触るな。そして動くな。」 後方からドスのきいた声が響く。 声の主は相当な殺気を放っているため従わざるを得ない。 そして後方の誰かが手を突きだした途端、希少種ゆっくりが灰色になって動かなくなった。 「いいぞ、動いても。」 プハーと深呼吸して地べたに座る。 後ろを振り向くと、ローブのような服を着た男が立っていた。 「誰かと思えばゆっくり課の連中か。」 男が口を開く。こいつもGSPO隊員なのだろうか。 「いい子そうなゆっくりだったのにいきなりひどいんじゃない?」 「ひどい? まったく、ゆっくり課の癖に危険指定ゆっくりのことも知らんとは度し難いな。」 危険指定ゆっくり。 希少種の中には人体に有害だったり、ひとたび暴れると甚大な被害を出す種があり、 これに指定されたゆっくりには触らない捕まえない餌をあげないと呼びかけられている。 最近は長らくそういうゆっくりを見てなかったからすっかり忘れてたぜ。 男が動かなくなった危険指定ゆっくりを持ち上げる。 動かなくなったというよりは石になったが正しいな。 「こいつはゆっくりうつほという種でな。 迂闊に触れて『めがふれあ』なんて言われたら体内の核融合炉がメルトダウンを起こし、 周囲が放射能で汚染され何百年も生物が生きられない地になるんだ。」 「そう、ごめんなさい。私最近ゆっくり課に配属されたばかりで知らなかったの。」 「なら覚えておくんだな。見慣れないゆっくりには迂闊に触れないことだ。」 「ところであんた、やけにゆっくりに詳しいじゃないか。どこの課の誰だ?」 「私はRW課のマーゼンだ。」 RW課!? マジかよこいつあの化け物集団の奴だったのか。 RW課───リーサルウェポン課は一般の隊員には手が着けられない大事件を担当する特別な課だ。 テロリストや武装集団の繊滅、時限爆弾の解体に危険指定ゆっくりの処理等 RW課の担当する事件はたいてい多くの人の命がかかっているため、 選りすぐりのエリートしかなれないって話だ。 つまりは化け物の集まりってこと。 まあ、そんな事件なんて滅多に起こらないから普段は給料泥棒状態なんだが。 「ゆっくりうつほを目撃したと通報があってな。 RW課の隊員の中で石化処理ができるのは私だけなので こうして赴いたらイチャついた君達が起爆スイッチを押そうとしていたいたというわけだ。」 「「イチャついてない!」」 声がハモる。二人して赤面する。 「…まあ悪かったな。俺はジャック、ゆっくり課の隊員だ。」 「私はレフィ。同じくゆっくり課の隊員よ。」 「先ほどもいったがRW課のマーゼンだ、よろしく。 まあ私は石化処理ができるという立場上、危険指定ゆっくりに関わる事件に遭うことが多い。 君たちと関わることも多くなるだろう。」 できればあんまり関わりたくないな。 「ところで────」 マーゼンが話を切り出す。 「君は人間か?」 「俺?俺は人間だが。」 「フゥ、よかった。私は近くに妖怪がいるとアレルギーで…。」 「私妖怪だけど。」 そう言うレフィを見てみるみるうちに顔が青くなるマーゼン。 「うげえええええ!!!エレエレエレ。」 「うわっ!汚ねえっ!吐きやがった。」 「大丈夫!?」 「レフィとやら…よ…寄らないでくれ…悪化する…げろげろー。」 「水でも持ってこようか?」 「ああ、頼む…。何か甘い物もくれ…。」 十分ほど吐き続けてげっそりな状態になりぶっ倒れるマーゼンを介抱する俺。 レフィは離れたところでおとなしくさせている。 綺麗な川で水を汲み、マーゼンに飲ませる。 あとは甘いものか。外で手に入る甘いものといやあ…。 ある平原で幼なじみのれいむと待ち合わせをしていたまりさのもとへれいむがやってきました。 「ゆ~ゆっくりしていってね!」 まりさが挨拶をします。 「ゆゆ!ごめんねおくれちゃった! どうやら時間に遅れてしまったようですがまりさは気にしていない様子です。 「ぜんぜんまってないよ!なんのようじ?」 「まりさ、きょうはねはなしがあるの!」 「ゆ?なあにれいむ。」 顔を赤らめもじもじするれいむ。 「れいむね、まりさのことがね…すきなの!」 子供の頃から一緒だったまりさへの愛の告白。 「ゆっ!まりさもだよ!」 「ずっといっしょにゆっくりしようね!」 幸せの絶頂です。二人でこれから助け合って生きていこうと決意します。しかし…。 「ゆっくりしていってね!」 「「ゆっくりしてびびゃあああ!!」」 甘味確保。弾丸がしっかり貫通しているか確かめる。 幸せそうなゆっくりを殺すのは嫌いだがこちとら人命がかかってるんだ。 恨むならマーゼンかレフィか神様にしてくれ。 「助かった…。礼を言う。」 俺が捕ってきたれいむを貪りながら復活したマーゼンが言う。 「私は昔から妖怪アレルギーでな。妖怪に近づくとひどい状態になるんだ。 魔法使いになれば直ると思って捨食の術も試してみたが変わらなかった。」 「へ~大変だな。 っていうかおまえ魔法使いだったのか。」 「まあな。体があまり丈夫でない私は術が得意だったからな。 先ほどうつほを石化処理するときに使ったのも術だしな。」 「いや、男の魔法使いなんてきいたことなかったからな。」 「まったくこれだからこの世界は度し難い。 女尊男卑が行き過ぎている。 力もない、子も産めない男に存在価値が見出せなくなりつつある。 私はいつかこの流れを断ち切ってみせる。 男尊女卑まで行かずとも男女平等には持っていきたい。」 なんか語り始めたぞこいつ。 あまり深く関わらない方が良さそうだ。 「でもそんな体質じゃあRW課の仕事なんてできないんじゃないか? 結構妖怪相手に戦うことだってあるだろうに。」 「そのときは抑制剤を飲むのだが、その前に…。」 マーゼンが余ったまりさ(半殺し状態)をもって草むらに入る。 そして 「ゆぎゃあああああああああ!!!」 死に掛けてたとは思えないほどの断末魔が草むらから聞こえてきた。 「ふう、すっきりした。」 「何したんだよ。」 「いや、少し精力付けを…。」 「性力の間違いだろ!!」 まりさの死体の口から白濁色の液体が出ていた。 「いや、ケフィアだ。」 どうやらこいつは見た目と態度に比べて相当な変態らしい。 「…とりあえず今鎮静剤を飲んだからもうレフィとやらを呼んでいいぞ。 どうせ今から暇なのだろう? 介抱してくれた礼におもしろいところへつれていってやろう。」 礼もなにも原因は俺たちなんだが気にしない。 面白いところっていうので少し不安になったがいざとなればこいつを殴って脱出すればいいしということで行くことにした。 離れて野良ゆっくりと遊んでいたレフィを連れ戻し、マーゼンについていく。 しばらく歩くと立派な家が見えてきた。 屋敷と言うには足りないが、一軒家の中ではいい方に入る大きさだ。 「私の家だ。」 まじかよ、こいつこんな家に住んでやがるのか。 RW課は皆高給取りって話は本当だったんだな。 安月給で貧相なアパートに住んでいる俺の身にもなってみやがれ。 マーゼンの家に入り、怪しげな扉を抜け地下へ進む。 ズラーっと並ぶビーカーの中にはホルマリン漬けのゆっくりが標本のように浮いてやがる。 レフィはうわーって顔をしていたがマーゼンにこいつらは人間に迷惑をかけたゆっくりだと説明されたら真顔になった。 「ここは私のゆっくり研究所だ。 主に未だ謎の多い希少種の研究をしている。 加工所ではあまり希少種についての研究はされていないしな。」 怪しげな実験器具のある部屋を見せながら説明する。 「べべべべべべべべべべ!!」 ある部屋では電気椅子にゆっくりもこうが縛り付けられて拷問されていた。 電気椅子のコントローラーのコンピュータの画面には 『6:こげ』と表示されている。 「これはなにの実験なの?」 「不死と言われているもこう種をどうやれば始末できるかの実験だ。 もこう種にはなぜか石化処理がきかないのでな。 もこう種の関連する事件が起こる前に調べておかねばならん。」 「ぎゃぴいいいいいいいい!!!」 断末魔をあげ黒こげになった体から煙をもうもうと上げるもこう。 次の瞬間「もこたんいんしたお!!」と言いつつ焦げた皮を破って復活しやがった。 「電気椅子レベル6もダメ…か。電撃なら効くと思ったのだが。 気に食わんからもう一回死んでこい。」 マーゼンが残念そうな顔をして再び電気椅子のスイッチを入れた。 「べべべべべべべががががががが!!!」 もこうの悲鳴だが電撃音だかわからない音が木霊する。 「うわっ!」 「すごーい!れてぃがいっぱい!」 次の部屋には行った俺たちは思わず叫んだ。 だだっ広い部屋にずらっと並ぶレティの列。 「ここはレティをどうすれば効率よく始末できるかを調べているのだ。 レティは希少種の中でも数が多い方でな。 一匹出るたびに大騒ぎになるから駆除法を確立しておきたいのだ。 実験に回数を重ねる必要があるため繁殖させたのだ。」 ゆっくり相手によくやるぜ。 まあ確かにれてぃは手強いからな。 以前駆除依頼があった際、倒すのに丸一日かかった俺は身を持ってそれを知っている。 「次の部屋は女性には刺激が強すぎるかもしれん。 レフィよ、ここで待っておいた方がいいぞ。」 次の部屋の扉を前にマーゼンが忠告する。 「そんなこと言われたら気になるじゃないの。 大丈夫よ。少々のことじゃ驚かないから。」 「そうか、なら入るがよい。」 「HAHAHA!!ここか!ここがいいのかな?」 「やべでえええでいぶのう゛ぁーじんがあああ!!!」 「犯(まわ)せ犯(まわ)せ!」 「バターニシチマイナ!」 「よし!次は3Pといこうか!フフフフフ!」 「いやああああああああ!!!」 「そんなこといっちゃって!喜んでるじゃないか!」 酒池肉林。一言で言うとそんな光景だ。 ホールのような広い部屋で人間×ゆっくりの乱交パーティーが行われていた。 レフィはとっくに気絶してぶっ倒れている。 「ここは?」 「人間とゆっくりの間に子ができるという噂があるだろう? それの実験だ。」 人間とゆっくりの間に子ができる───いつしか広まった噂だ。 生物学的にはあり得ないのだがいくつか前例があるらしく 嘘か真か未だにはっきりしていない。 だがもしハーフなんて生まれたら一番気の毒なのはそのハーフ本人だろう。 「火のないところに煙は立たぬと言うだろう。 私は真実が知りたいのだ。 そのためにゆっくりレイパー達にギャラを払って協力してもらっているのだ。 たまに私も参加しているがな。 欲がたまったときはこれに限る。」 真剣な面もちで淡々と語るマーゼン。相当な変態だぜこいつ。 あまりいい気分でもないのでレフィをたたき起こし次の部屋へ。 次の部屋はなにもない部屋だった。 「ここは通常種のゲスゆっくりとの戦闘シミュレーションをする部屋だ。 まあ相手は本物のゆっくりだがな。」 そう説明しながら壁のボタンを押すマーゼン。 すると奥の壁からゆっくりまりさが出てきた。 「ゆっへっへ!にんげんがまりささまにかてるとおもっているのぜ?」 そういってこちらに向かってくるまりさ。 マーゼンが右手を挙げると、まりさの足下に赤い魔法陣が現れ そこからわき出た炎によってまりさは跡形もなく焼き尽くされた。 「…とまあこんな具合だ。」 「へえ、おもしろそうだな。一回やらせてくれ。」 俺は壁のボタンを押すが、なにも起こらない。 マーゼンがにやにやしながら壁の細い穴を指さしつつ俺に言う。 「コイン、いっこいれる。」 絶対こいつ変人だ。 十円払い、出てきたまりさを腹いせに蜂の巣にしてやった。 「どぼじでにんげんにがでないのおおおおおお!!!?」 知るか。 「最後の部屋だ。」 重厚な扉を抜けると、観察室のような部屋だった。 ガラスの壁の向こうには閉ざされた部屋。 「希少ゆっくりの危険性を調べる部屋だ。」 マーゼンがパネルを操作すると、ガラスの向こうの部屋に外でマーゼンが処理したのとおなじ、 うつほ種がせり上がる床に乗り現れた。 「こうやってうかつに触ると…。」 ロボットアームを操作し、うつほに触れる。すると。 「めがふれあ!」 ボンッという音とともに目の前に広がるキノコ雲。 核融合炉というよりまるで核爆弾じゃないか。 しちしとうをくれと言いたい。 マーゼンがいなかったらあのとき生身でこれを食らうかもしれなかったと思うとぞっとする。 というか核爆発を食らってもビクともしないガラスがすごいや。 案内も終わり、外へ出る俺たち。 すっかり夕方になっていた。 「暇なときはまた来るといい。今度はもっとすごい実験を見せてやるぞ。」 二度と行くもんか。 とりあえずYdmtⅩを待たせているのでマーゼンに別れを告げ急いで帰る。 「遅かったじゃないですか!さてはパトロール行く振りをして二人で あんな事やこんな事してたんじゃないでしょうねー。」 「「違う!」」 声がまたハモった。最近よくハモる気がする。 マーゼンの事について話すとYdmtⅩは 「今度私も連れていってください。」といった。 そのうち連れてってあの乱交パーティーを見せつけ度肝をぬいてやるのも悪くないだろう。 あいつに肝があるかどうかは別だが。 翌日。オフィスに行くと、マーゼンがいた。 「何でおまえがここにいるんだよ。」 「いや、な。RW課だけだと仕事が少ないから服属としてこっちに来ることになったんだ。 私以外は妖怪課に行ったようだが。 まったく誰か上層部に研究所のことを告げ口したのか? 私は人間課の方がよかったというのに。」 「マスコットのドスまりさが上層部にチクったらしいぞ。」 「度し難いな。後で仕置きしてやらねば。」 そのドスに吹き込んだのは俺だがな。 その後、アヘ顔のドスと服装の乱れたマーゼンが戻ってきた。 何があったかは本人のみぞ知る。 ~後書き~ うん、こう言うのも悪くないね。 実験物は結構好きだったりする。 ついでに人間×ゆっくりも。 感想書いてくれる人ありがとう! すっごくちからになるよ! 過去作品 「ゆっくり兵」 「ゆっくり焼き串」 「アサシンゆっくり2 お兄さん虐め編」 「ゆっくり護身術」 「ゆっくりになった男1」 「ゆっくりになった男2」 「ドスのいる村」 「食ゆ植物」 「ゆっくりミキサー車」 「GSPOゆっくり課」 「GSPOゆっくり課2」 「GSPOゆっくり課3」 このSSに感想を付ける
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灰色に染まった壁と、鉄格子で区切られた窓。 冷たく、硬い地面。 無機質に区切られた小さな部屋で、1匹のゆっくり霊夢が途方に暮れていた。 「ゆっくりさせて!」 大きさはバスケットボールほどにもなる。 そして頭には、一本の茎が生えていた。 「あかちゃんもゆっくりできないよ!」 心配そうに見上げた茎には、9匹の赤ちゃんゆっくりが実っている。 れいむ種が5匹、まりさ種が4匹。 どれもプチトマトより一回り小さいが、あと数時間もすればぷっくりと実って生れ落ちるだろう。 「まりさ!どこにいるのぉお!?」 何も置かれていない、8畳ほどの部屋。 その部屋の中心でれいむは叫んだ。 茎に実った赤ちゃんに気をつけながら周囲を見渡すが、最愛のゆっくり魔理沙はどこにもいない。 「まりざあ・・・まりざぁ・・・」 赤ちゃんを身ごもっているゆっくりは、パートナーへの依存度が高い。 このれいむも例外でなく、姿の見えない伴侶を求めて身重の体を引きずり這いずり回っていた。 「まりさ・・・にんげんにいじわるされてるのかな・・・まりさ・・・あいたいよ・・・いっしょにゆっくりしたいよ・・・」 れいむはこの部屋に連れてこられた時のことを思い出していた。 それは昨日のこと。 れいむとまりさは森の入り口で日光浴をしていた。 春先とはいえ、まだ寒さの残る日が多い。 あたたかいお日様にあたって赤ちゃんにゆっくりしてほしい、まりさが提案したことだ。 最初、れいむは反対した。 自身の両親は日光浴の最中に人間に捕まったからだ。 それも、茎に命を宿しているときに。 人間達は両親に宿った、妹となるはずの赤ちゃんを皆殺しにした。 巣穴を襲撃され、茎を同じくした姉妹が次々と殺され、一家は崩壊した。 れいむが助かったのは、親のまりさが最後まで諦めずに守ってくれたからだ。 だが結局親まりさは力尽き、残ったのはれいむ1匹となってしまった。 れいむは住み慣れた土地を逃げ出した。 ただ怖かった。 川を越え、野原を越え、山を越え、皮がぼろぼろになりながらもれいむは生き延びた。 時は流れ、あのときの親ゆっくりと同じくらいの大きさにまで成長できた。 だが人間への恐怖心がなくなることはなかった。 かつての両親の姿が頭によぎり、外に出る気が起きなかったのだ。 しかし、赤ちゃんに日光浴をさせてあげたい気持ちもあった。 いつもおいしいご飯を取ってきて、自分をゆっくりさせてくれた親まりさ。 幼い自分を必死で守ってくれた親まりさ。 そんな親まりさを、れいむはずっと尊敬していた。 自分も赤ちゃんだけは何があっても守る、ゆっくりさせてあげると決めていたのだ。 パートナーのまりさは言った。 れいむとあかちゃんはまりさがぜったいにまもるよ、と。 だかられいむはその言葉に甘えることにした。 「ゆっくりしたけっかがこれだよ・・・ゆぅぅぅぅ・・・」 結局、親と同じように人間に捕まってしまった。 まりさは懸命に戦ってくれたが無駄だったのだ。 れいむの前に一人の男が現れた。 右手はまりさの底部を掴み、逆さ吊りにしている。 「ゆっ!おにいさん、まりさをかえしてね!!」 れいむは餡子脳ながらも、その男を覚えていた。 自分とまりさを誘拐した男だということを。 「ほらよ」 ふわりと宙を舞い、まりさは硬い床に落とされた。 「ゆべへっ!」 顔面から落下したまりさに、れいむは擦り寄った。 幸い、餡子は吐いていない。 死ぬことはないだろう。 「まりさ、まりさっ!ゆっくりしよう!ゆっくりしていってね!!」 なかなか顔を上げないまりさ。 れいむは不思議に思い、まりさの体を見回した。 「ゆっ・・・!?」 丸々とした、美しい曲線を描いていたまりさの輪郭は、どこにもなかった。 あちこちが歪み、ところどころ陥没や隆起を繰り返している。 何度も殴られたであろう皮は、餡子の色がうっすらと滲み、黒いアザを作っていた。 逆さ吊りにされて帽子が落下しなかったのは、ぼこぼこになった頭部がうまいこと引っかかっていたためだ。 「ど・・・どうして!?まりさ!!あのにんげんにやられたの!?」 れいむは男に振り返り、威嚇をしようと息を吸い込んだ。 だが、途中で膨れるのをやめた。 膨れて不用意に茎を動すと赤ちゃんに悪影響があるかもしれない、れいむはそう判断したのだ。 「おにいさん!れいむはゆっくりおこったよ!!まりさにひどいことをしないでね!!」 精一杯の抗議。 しかし男はれいむの言うことなど気にもせず、籠から道具を取り出し吟味していた。 ハンコほどの太さがある鉄の棒と、ハエ叩き、アルコールランプ。 れいむには、何に使う道具なのか理解できなかった。 「れ、れいぶぅ・・・・」 背後から聞こえてきたまりさの声に、れいむは振り返った。 「ま!まりざぁああ!!?」 まりさの顔面は真っ黒に腫れ上がり、不気味な色をしていた。 暴力に耐え切れなかった内部の餡子が行き場を失い、皮の下で蠢いているのが見て取れる。 皮に傷らしきものはなかった。 人間で言うと、内出血に近い状態かもしれない。 「ごべんねぇ・・・まりざあ・・・・ごべんねえ・・・」 痛みを少しでも和らげてあげたい。 そんな思いから、れいむはまりさに頬擦りをした。 「ゆべぇっ!!いぎゃぁっ!!いぢゃいいい!!」 膨れた傷に力強く押し付けられたれいむの頬は、まりさに激痛をもたらした。 「やめでぇ!いだいよぉ!!!」 予期せぬ悲鳴に、れいむは思わず体を引いた。 そしてその言葉の意味をゆっくり理解する。 「ご、ごめんねまりさ!もうすりすりはやめるよ」 まりさは触れられた頬が痛いのか、目から涙をこぼした。 「ごべんねれいぶ・・・まりざ、れいむをまもっであげられながった・・・!それに・・・ありざのがわぃいかおがぁ・・・!」 「ゆっ!?ちがうよ!まりさはわるくないよ!!ぜんぶあのおにいさんがわるいんだよ!!」 元はといえば、いきなり自分たちを誘拐したあの人間が悪いのだ。 頬をあわせることはできないが、れいむはまりさに寄り添う。 そしてまりさの分の怒りも込めて、れいむは男を睨み付けた。 男はそのやりとりを冷めた目で見ていた。 この2匹を捕まえてから、男はまりさだけを隔離し暴行を加えた。 男にとって、まりさは重要ではなかった。 れいむの茎に実る赤ちゃんが大きくなるのを待つ間の退屈しのぎに利用されただけだ。 捕獲の際、邪魔をしたことに対する制裁の意味もあったが。 暴行に使われたのはハエ叩き。 竹製のごく一般的なものである。 スナップをきかせて延々と叩いた結果が、あのボコボコ饅頭である。 ハエ叩きは当たる部分の面積が大きいため、皮を破ることなく衝撃だけを伝える。 右頬、左頬、底部に頭頂部、後頭部。 全身余すところなく叩かれたまりさは、動くことすら苦痛なはずである。 念入りに叩かれた顔面は、見るも無残なほどに黒あざだらけだ。 『やめて!もういたいのいやだよ!』 『いだいよぉ!まりざのおかおがぁ!』 『きぼちわるいよ!なかがきもちわりゅいぃ!』 そんな叫びの声を掻き消すように、男はハエ叩きを振り続けた。 最後の頃になると、その場にいないれいむにまで助けを求めていた。 れいむを守るために戦っていたというのに、そのれいむに助けを求めるとはなんとも情けない話だ。 そして今、れいむの茎に実る赤ちゃんはプチトマトよりも一回り小さいくらいに成長していた。 捕獲した時点ではビー玉ほどであったから、だいぶ大きくなったといえる。 もうまりさに用はない。 男はハエ叩きを手に取った。 「ゆっ?おにいさんなんなの!?ゆっくりこないでね!!」 男に振り返り、れいむは警戒態勢をとる。 まりさは男の手に握られたハエ叩きを見て、黒あざだらけの顔を青くした。 「やぁああ!!!いだいのいやだよぉおっ!!!もうたたがないでえええぇぇ!!!」 ひゅんひゅんと、風を切る音を立てて男は素振りをした。 まりさの様子を見て、れいむはとっさに男の前に立ちはだかったが、横を難なく素通りされてしまった。 「さあ、続きをやろうか」 「ゆぅああ!!ゆるじでね!!もうゆるじでねえ!!」 壁に追い詰められたまりさに、容赦なくハエ叩きが飛ぶ。 鼓膜を突き抜けるような、乾いた音が部屋に響いた。 「ゆべえ!!いだいよぉお!!やめでええ!!」 倒れようとするまりさ。 そうはさせまいと、まりさの顔面に向かってハエ叩きがアッパーをする。 「びっぶぅ!!ゆぅぐぅ!!」 仰向けに倒れたところで、男は右頬と左頬に往復ビンタのごとく連続して攻撃をする。 手首のスナップが重要な技である。 「おにいさんやめてね!!まりさがいたがってるよ!!ゆっくりしないでやめてね!!」 ずりずりと近寄ってくるれいむに向かって、男はハエ叩きを突きつけた。 「赤ちゃんを叩き落としてやろうか?」 その言葉に先に反応したのはまりさであった。 「やべてね!まりざとれいむのあがぢゃんをいじめないでねっ!!」 「まりさ・・・!」 「れいむぅ、れいむは離れててね・・・!まりさならだいじょうぶだよ!」 必死で体を起こすまりさ。 それを見たれいむは無言でうつむくと、男から離れた。 「まりさぁ・・・」 「ゆっくりしていってね!!あかちゃんといっしょにゆっくりしていってね!!」 れいむに笑顔を見せたまりさだが、すぐにその表情は崩された。 やむことのないハエ叩きの嵐。 皮が破れないから餡子も漏れない。 いつまでもまりさの苦痛は続いた。 「まりさ・・・!まりさ・・・!」 れいむはただ、愛するものの名前を呼ぶことしかできなかった。 10分もすると、まりさは声すら上げなくなった。 男がハエ叩きを振り上げたまま、動作を止めた。 ドラ焼きのように平べったくなったまりさは僅かに痙攣しているものの、動く様子は見られない。 「まりざぁああ・・・・!!」 近寄ろうとするれいむに、男はハエ叩きを向けて牽制した。 「そろそろいいか。じゃあな、まりさ」 そう言うと男は立ち上がり、まりさを見下ろした。 一瞬、れいむに視線を移したがすぐに戻す。 「なにをするのぉぉ!?まりざをいじめないで!!」 れいむが言い終えるのを確認し、男は右足でまりさの体を蹴り飛ばした。 「ゆ゙っ!」 それだけ言い残し、饅頭もといドラ焼きがはじけ散る。 飛び散った餡子が壁にこびり付いた。 「い゙ゆあぁあ゙ああ゙ああ゙ああぁぁ!!!!!まりざああ゙あぁああぁあ゙ああ゙あ!!!!」 形が歪んだ帽子を前に、れいむは泣き崩れた。 最後まで赤ちゃんと自分を守ってくれたまりさ。 ありし日の親まりさと姿が重なり、れいむは赤ちゃんのことも忘れて泣き叫んだ。 「静かにしろ」 れいむの頬に、強烈な衝撃が走る。 「ゆびぃっ!?」 ひりひりと頬が痛む。 男の手に握られたハエ叩きを見て、れいむはその痛みの正体を知った。 まりさはこんなに痛いことをされていたんだ、れいむは身の危険よりも先にまりさへの感謝を覚えた。 「やべでえ!!れいむにはあがぢゃんがいるんだよ!!やべでねえっ!!」 「だったら黙っていろ。それなら叩かない」 普通だったら構わず泣き叫ぶところであったが、頬の痛みが冷静な考えを生み出した。 いま泣き叫んではまりさが守ってくれた赤ちゃんが危険にさらされる、と。 「ゆっ・・・・!ゆ・・・・!」 れいむはこぼれそうになる嗚咽をどうにか喉の奥に押し込め、代わりに涙を垂れ流した。 「そうだ。そうやって黙っていれば叩かない。赤ちゃんもちゃんと産める」 ハエ叩きを無造作に床に投げ捨て、男はアルコールランプに火をともした。 「ゆっ・・・!」 燃え上がる炎に、れいむは餡子が冷える思いをする。 それは本能からくる反応でもあったし、経験からくる反応でもあった。 れいむは以前、足(底部)を人間に焼かれ、動くことができなくなったゆっくり魔理沙の話を聞いたことがあったのだ。 あのゆっくり魔理沙も、人間に捕まった伴侶や子供を殺されて開放されたのだという。 男は右手に持った鉄の棒を火にかざしていた。 長さも太さも、ハンコほどだ。 熱で火傷をしないため、手ぬぐいのようなものを間に挟んで棒を持っている。 「さっきお前を叩いた道具、それで生まれたばかりの赤ちゃんを叩いたらどうなると思う?」 れいむに目線を移すことなく、男は言った。 声を出していいものかれいむは迷ったが、これはきっと大丈夫だろうと判断した。 「ゆっ・・・」 声に出すのも恐ろしい、れいむは返答に困る。 だが黙っていては、また叩かれてしまうだろう。 れいむは意を決して答えを告げた。 「・・・つぶれちゃうよ。・・・やめてね!おねがいだよ!」 餡子脳でも簡単に導き出せる結論だ。 あの叩く部分は赤ちゃんゆっくりの体よりもはるかに大きい。 さきほどの力で叩かれれば、簡単に潰れてしまうだろう。 「よくわかってるな。じゃあ俺の言うことを守れば赤ちゃんは潰さない」 「ゆっ!はやくおしえてね!!ぜったいにまもるよ!!」 火にかざした鉄の棒を見ていた男の目が、れいむを捉える。 「目を閉じて、俺がいいというまで黙っていろ。そうしないと・・・」 「ゆっくりとじるよ!だからあかちゃんをいじめないでね!!」 言い終える前にれいむは目を閉じた。 理解の早いゆっくりに、男は関心した。 「いいって言うまでだぞ。途中で目を開けたら、赤ちゃんがまりさみたいになるぞ」 「ゆぎっ・・・!ぜったいにあけないよ!!」 まりさみたいに、という表現にれいむは苦虫を噛み潰したような顔をしたが、目は閉じたままであった。 それを確認すると、男は熱した鉄の棒を火の上かられいむの頭上に移動させた。 そこにいるのは丸々と実ったれいむの赤ちゃんだ。 どれも順調に育っているが、まだ生れ落ちるほどではない大きさ。 男は一番手前にいた赤まりさに目をつけた。 左手に持ったピンセットで、ぴっちりと閉ざされた赤まりさの口を開ける。 目を閉じたままの赤まりさが表情に疑問符をつけるが、そんなものはどうでもいい。 赤まりさの口は、成長段階だけあってあまり大きくなかった。 ハンコの太さがぴったり合うくらいだろう。 喉も小さく、綺麗に研いだ鉛筆で穴を開けたくらいの大きさだ。 声は出るのかわからない。 男は熱した鉄の棒を躊躇うことなく、赤まりさの口内に押し込んだ。 予想通り、太さはぴったりであった。 「ゅ゙っ!?」 蚊の消え入るような、小さな悲鳴が男にだけ届いた。 れいむは赤ちゃんの危機も知らずに、目を閉じたまま待っている。 高温の鉄の棒は赤まりさの口内を焼き付けていく。 何度か鉄の棒を火に当て直しながら、男は鉄の棒で赤まりさの口内をこねくりまわした。 赤まりさはどうにか苦痛から逃れようと体を揺するが、男相手では無意味であった。 男が棒を抜くと、口をあけたままの赤まりさがいた。 口内はコゲで硬くなり、閉じることもできない。 喉も完全に焼き潰れたため、声を発することも、ものを食べることもできないだろう。 口としての機能はなく、ただ窪んでいるだけ。 そのことをわかっているのかいないのか、赤まりさは今にも死にそうな顔をしていた。 閉じた瞳から今にも涙があふれそうである。 男は思わず顔がにやけた。 時間がかかったが、男は同じように全ての赤ゆっくりの口を丸コゲにした。 赤ちゃん達から「くち」がなくなってから10時間ほど経った頃。 「ゆっ!あかちゃんうまれるよっ!」 ようやく出産のときがやってきた。 口を開けたままの赤ゆっくりが揺れ始めている。 男は読んでいた本を床に置き、その光景を楽しそうに眺めた。 一段と揺れが大きくなったかと思うと、ぽとりと1匹の赤ちゃんが床に落ちた。 長女となったのは赤れいむだ。 「ゆっ・・・!」 声をかけようとして親れいむは口を閉じた。 赤ちゃんの第一声を待とうと思ったからだ。 だが、いくら待っても赤れいむは声を上げない。 口を大きく開いているが、そこから出てくるものはなかった。 「ゆっ・・・?がんばってね!!」 生れ落ちた感動に喜んでいた赤れいむの顔は、徐々に暗く落ち込んでいく。 懸命に体を揺すったり飛び跳ねている様子から、声を出そうと努力していることが見て取れる。 静かな部屋に、赤れいむの跳ねる音だけが空しく響いた。 「おちびちゃん!ゆっくりがんばってね!!がんばってね!!」 「・・・」 飛び跳ねるのを止め、親れいむを見上げる赤れいむ。 その目には、涙が溜まっていた。 「お゙ねがいだよぉおぉおおっ!! おかあざんとお゙しゃべりしよゔよぉお゙おお゙ぉぉ゙ぉぉ!!!」 涙のダムは、その言葉をきっかけに崩壊した。 何本もの涙の線が、赤れいむの顔に浮かぶ。 「ゆっくりしていってね!!ゆっくりしていってねっ!!!ゆっぐりじでいっでねええぇえっ!!!」 「・・・」 お手本を聞かせようと、親れいむは定番のセリフを壊れたカセットテープのように繰り返す。 親の期待にこたえたいのか、再び赤れいむは体をねじったり、飛び跳ねたりを繰り返した。 そのやり取りを見ていた男は笑みを浮かべていた。 ゆっくり達のアイデンティティーともいえるセリフ「ゆっくりしていってね」は、男によって赤れいむから永遠に奪われているのだ。 それも知らずに無駄な努力を続ける親子を見ていると、笑いがとまらない。 「ゆっ!?またうまれるよ!こんどはげんきなあかちゃんがほしいよっ!」 「・・・」 茎に違和感を覚えたのか、親れいむは茎を見上げた。 間接的にではあるが「元気でない赤ちゃん」の烙印を押された赤れいむは、恨めしい顔をして親れいむを見ていた。 ふらふらと揺れる赤まりさ。 それは最初に口を潰された赤ちゃんであった。 「ゆゆぅ!がんばってね!!ゆっくりうまれてね!!!」 赤まりさはゆっくりするはずもなく、すぐに茎から離れた。 赤れいむのすぐ横に落ちた赤まりさ。 まだ目も開けていなかったが、親れいむは待ちきれないとばかりに声を荒げる。 「ゆっくりしていってね!あかちゃんっ!!ゆっくりしていってね!!!ゆっくりしていってねっ!!」 今度の赤ちゃんは、ちゃんとおしゃべりができるはず。 親れいむの願いが声のボリュームを引き上げる。 「ゆっくり!!ゆっ!!!ゆっぐりじでねっ!!!ゆっぐりいいいいい!!!!」 とても赤ちゃんを迎える表情ではなかった。 赤まりさが最初に見た親の顔は、般若のごとく歪んだ表情であった。 「・・・」 驚いたが、声は出なかった。 口内はウェルダンを通り越して丸コゲなのだ。 赤まりさは体を起こし、声を出そうと体をひねった。 「ゆっ・・・!?こっちのおちびちゃんもなのぉおお!?」 その動きに、長女の赤れいむと同じものを感じる親れいむ。 しばらくすると、赤まりさは飛び跳ね始め、そして泣き出してしまった。 やっぱりこの子もおしゃべりができない子なんだ、親れいむはその事実を認めざるを得なかった。 「で、でもつぎのあかちゃんはきっとゆっくりできるよ!!」 茎を見上げる親れいむの目は、希望と不安が入り混じった色をしていた。 焼かれた時点でこの結果は決まっていた。 結局、生まれ落ちた赤ちゃんゆっくり9匹は、1匹として第一声をあげることがなかった。 「どぼじでぇ・・・・どぼじでなのぉお・・・!?」 9匹の赤ちゃんを前に、オロオロと対処に困っている親れいむ。 それを黙って見つめる9匹の赤ゆっくりも神妙な面持ちだ。 「ゆっくちさせて」「ゆっくちちたいよ!」「おかーしゃんとすりすりしたい!」などと一部の人間が聞いたら有頂天になるようなフレーズを言うものはいない。 中には涙を流している赤ゆっくりもいるが、口が笑っている状態のため、あまり可哀想に見えない。 「ゆっ・・・!」 親れいむは思う。 喋れなくても、自分とまりさの大切な赤ちゃんなのだと。 少し生活に困るかもしれないが、自分が守ってあげればきっと元気な、ゆっくりした子に育ってくれるはずだ。 この子達にとって、ただ一人のお母さんなのは自分。 亡きまりさが守ってくれた赤ちゃん。 自分を守ってくれた親まりさのようになるんだ。 親れいむは赤ちゃん達を正面から受け止める決心をした。 「みんな、ゆっくりしていってね!!!」 力強さを感じる親れいむの「ゆっくりしていってね」。 赤ゆっくりから不安が消えた。 このお母さんならゆっくりさせてくれる、そう感じるほど頼りがいのある声であった。 「それじゃあゆっくりごはんをたべようね!」 まずは赤ちゃんの旺盛な食欲を満たそうと考えたのだろう。 親れいむは水に濡れた犬のように体を揺すり、頭に生えた茎を落とした。 「ゆっくりたべてね!」 満面の笑みで親れいむは子供達を見守る。 赤ゆっくりの目も笑っていた。 幸せな家族のワンシーン、そうなるはずだった。 「ゆ・・・?ゆっくりたべてね?」 茎の周りに9匹の赤ゆっくりが群がっているのだが、1匹として食べる気配がなかった。 顔を近づけ、口に含むような動きをするが、それから先へは続かない。 口内は硬くて動かない、そして喉もないので飲み込めない。 男だけが赤ゆっくりの不思議な行動の理由を知っていた。 「ゆっ!わかったよ!」 何を思いついたのか、親れいむは赤ゆっくり達の間に押し入り、茎にかじりついた。 むーしゃむーしゃと言いながら、茎を咀嚼する親れいむ。 横取りされるのではないかと、不安な表情で9匹が見守っている。 「まずはおちびちゃんからだよ!」 一番近くにいた赤れいむに、親れいむは口を近づける。 そして、開きっぱなしの赤れいむの口に、噛み砕いて唾液まみれになった茎を流し込んだ。 「かたくてたべられなかったんだね!!でもゆっくりりかいしたよ!!」 記憶をたどり、自分が赤ちゃんであったときのことを親れいむは思い出していたのだ。 ご飯が食べられなかった自分におかあさんが、噛み砕いたご飯を食べさせてくれたことを。 口移しを終え、親れいむは達成感にあふれる顔になった。 「ゆっくりたべてね!むーしゃむーしゃだよ!」 だが赤れいむはそれに答えず、固まっていた。 開いた口には噛み砕かれた茎がそのまま残っている。 「むーしゃむーしゃだよ!!!ゆっくりりかいしてね!!むーしゃむーしゃだよっ!!!」 自分はできたこと。 それなのに、なぜ自分の赤ちゃんはできないのだろう。 親れいむの中に不安が広がり、声が荒くなっていく。 それを敏感に察知した赤れいむは、必死で飲み込もうと努力をした。 だが、開いてない喉にご飯は通せない。 しばらくすると、動くことをやめて親れいむを見つめ始めた。 助けてくれると信じて。 「・・・」 「どうじでぇ・・・?ごはんをたべないとゆっぐり゙できないのにぃいい・・・・」 他の赤ゆっくりにご飯を食べさせようとしたが、結果は変わらなかった。 途方に暮れた親れいむは、男に頼ることにした。 「おにいざん・・・・あかちゃんにごはんをたべさせてあげて・・・」 親れいむの顔はどことなく歪んで見えた。 涙で皮がふやけたのかもしれない。 「無理だな。赤ちゃんの世話はお母さんのお前が一番上手に決まってる」 「ゆぅ・・・そうだよね・・・ごめんね・・・」 「そんなお前が赤ちゃんにご飯を食べさせられないなんて」 「ゆゆ・・・」 「お前が無能なせいで赤ちゃん達はゆっくりできないんだよ。ダメな親を持って残念だったね、そこの赤ちゃん達」 男が言い終えると、赤ゆっくり達はうつむいていた顔を上げた。 その顔に涙は無い。 あるのは怒りの表情。 口は笑っているが、その目は鋭く、眉は45度を保っていた。 「ゆっ・・・?どうしたのおちびちゃんたち・・・?」 最初に飛び掛ったのは赤まりさだ。 プチトマトほどの赤まりさが、バスケットボールほどもある親れいむの頬にタックルを仕掛ける。 「ゆ!?」 特に反撃をしたわけでもない。 体格差から、親れいむは赤まりさを弾き飛ばしていた。 「どうしたの!?ゆっくりやめてね!!」 その赤まりさを引き金に、次々と赤ゆっくり達が親れいむに体当たりを始める。 無言で飛んでくる弾丸プチトマト。 顔には怒りと憎しみだけが写し出されていた。 「やめてねっ!!おかあさんだよ!?ゆっくりやめてね!!」 親れいむはケガをするどころか、痛みすら感じなかった。 質量も速度もない赤ちゃんゆっくりの体当たりには、攻撃のコの字すら感じられない。 しかし、親れいむはその衝撃を通じて赤ゆっくり達の声を聞いた。 『おまえのせいでゆっくりできない』『やくたたず』『それでもおやか』『ゆっくりしね』 『ゆっくりさせろ』『まりさがくるしいのはおまえのせいだ』『れいむはゆっくりしたいのに』 『おねがいだからゆっくりさせてよ』『もっとゆっくりできるおかあさんがほしかった』 無論、それは親れいむの餡子内で勝手に想像した言葉にすぎない。 だが赤ゆっくり達が訴えたい内容としては、正しいものだろう。 本来であれば、そっちの人たちが天にも昇るようなセリフで親を罵っているはず。 一言も喋ることなく体当たりを繰り返す赤ゆっくり達の姿は、実に新鮮だ。 先ほど弾かれた赤まりさは、ころころと床で数回転がると、すぐに立ち直った。 そして再び眉を引き締め、親れいむの元へ跳ね寄る。 今度は顎のあたりを目掛けて体当たりを繰り出し、また弾き飛ばされた。 赤まりさは言葉を発することなく、延々と同じような動作を繰り返した。 その異常な光景に、男は声を立てて笑い始めた。 親れいむが男を一瞬だけ睨んだが、すぐに赤ゆっくり達に向き直る。 「もうやべでえええ!!!ゆっぐりじでよぉおおおっ!!!」 壁に追いやられた親れいむが叫んだ。 相手は弱っている、と勘違いした赤ゆっくり達がさらに体当たりを加え始める。 赤ゆっくり達の体には、かすり傷ができていた。 親れいむにぶつかった時や、床を転がるときにできたのだ。 体当たりをする度に増え、見ていて痛々しいのだがそれでも懸命に赤ゆっくり達は立ち上がる。 それを見て、親れいむの心が痛む。 傷だらけになってまで自分を殺そうとする赤ゆっくり達に、体は痛まないが心が痛む。 ゆっくりさせてあげると誓った赤ゆっくりが、ゆっくりすることなく自分に立ち向かう。 なぜこんなことになってしまったのだろう。 親れいむは嗚咽をこぼし、涙を流す。 それが赤ゆっくりを調子付けているとも知らずに。 「赤ちゃん達、ちょっといいかな」 猛攻を止めたのは、暢気に鑑賞していた男。 何かを期待しているのか、赤ゆっくり達の目が輝いている。 「君達、ご飯食べられないんだよね」 9匹が目線を床に移した。 親れいむだけは男の目を見たままだ。 「あんまり運動すると、おなかすいて死んじゃうよ」 「ゆっ!!」 親れいむは思わず声を漏らしてしまった。 ご飯を食べないと餓死してしまう。 そんなことにまで頭が回っていなかったのだ。 「ちびちゃんたち!うごいちゃだめだよ!!おなかがすいてしんじゃうよっ!」 その言葉に、赤ゆっくり達は顔を青くした。 もうすでに空腹感があるのだろう、迫りくる死をゆっくり理解したようだ。 「ゆぅぅううぁぁああ!!!どうじだらいいのぉおぉ!!??」 慌てふためく親れいむとは裏腹に、赤ゆっくり達は静かに瞳から雫をこぼした。 「泣いてると、喉が渇いて死んじゃうよ」 そもそも、喉が渇くどころかコゲている。 男の言うことがわかるのか、赤ゆっくり達は顔に力を入れて涙を止めようとした。 「はやくじないどあかちゃんがゆっぐりでぎなくなっぢゃうよぉおぉ!!!」 生まれたときからゆっくりしていない、男はそんな感想を持った。 8時間が経った。 男はその間、一切口を挟むことはなかった。 死のゴールが見えているゆっくり達をいじる、そんな無粋なマネはしない。 最期の時まで生暖かく、助かる道を探す親れいむを見守るのだ。 そんな道など存在はしないが。 「ああぁぁ・・・おちびちゃん・・・ごめんねぇええ・・・・」 今、1匹の赤ゆっくりが目を閉じた。 通算8匹目。れいむ種では最後の1匹となる。 あれから、赤ゆっくり達は何もしなかった。 忍び寄る餓死の足音におびえながら、目の前にいる親れいむを恨む事でなんとか正気を保っていたのだ。 憎しみに染まった8の瞳が、親れいむをずっと捉えていた。 赤ゆっくりは総じて体力が少ない。 小さな体では、体力となる餡子があまり確保できないからだ。 旺盛な食欲は、生きるための本能である。 親れいむへの攻撃と、それによって負った傷は予想以上に赤ゆっくりから体力を奪っていた。 7時間を越えた辺りで最初の1匹、赤まりさが永遠にゆっくりした。 それから先は早く、赤ゆっくりは次々と瞳を閉じた。 動かなくなった赤ゆっくりは、ほとんど皮だけの状態になっていた。 最後まで親れいむを睨み続けていた目の周囲や眉間に、深いシワが残っている。 「がわいいれいむがぁあ・・・!おめめをあげでねぇえ!!れいむ゙をにら゙んでもい゙いがらぁ・・・おね゙がいだよお・・・・」 れいむれいむと泣き叫ぶ親れいむを、最後に残った赤まりさが真っ赤になった目で睨みつける。 赤まりさの体はほとんど皮だけになっており、あちこちにシワが走っていた。 もう長くないはずだ。 そう思っていた男、そして親れいむも赤まりさの次の行動に驚く。 「・・・・ゆ゙っ!?」 たるんだ皮を引きずり、赤まりさは親れいむに近寄っていく。 その目に光はない。 幼くして死を受け入れた目。だが、その奥には黒く歪んだ感情が潜んでいた。 「まりざぁ・・・!ゆっぐりしようねっ!おがあじゃんがすりすりじであげるがらねっ!!」 隠された激情に気がつかない親れいむ。 最期の時を親である自分と過ごそうと思っている、そう勘違いした。 「ゆ゙!おがざんと・・・いっじょにゆっぐりじようねっ!!」 だから、親れいむは笑顔を作った。 赤まりさをゆっくりさせてあげたい。 切なる願いだった。 「・・・・ゆ?」 体に感じた、小さな衝撃。 それは、赤まりさの最期の体当たりだった。 「ゆ゙ぁあ゙ああ゙あぁ゙ぁあ゙っ!!!!」 弾けとんだ赤まりさは、床に落ちて絶命した。 仰向けに倒れたままだ。 「あ゙りざあぁあぁぁあ゙あ!!!どぼじでえ゙ええ゙ええ゙っ!?!?!?」 他の赤ゆっくりと違い、赤まりさの目は開いたままだった。 完全に光を失いながらも、その瞳は親れいむを睨みつけていた。 「あ゙ぁああ゙ああ゙ぁあああ゙ああ゙あ゙あ!!!!!!ごべんねええ゙ぇえ゙ええ゙っ!!!ごべんねぇええ゙え゙!!!おがあ゙ざんをみらいでえぇえ゙え!!!」 狂ったように嘆き叫ぶ親れいむを置いて、男は部屋を後にした。 「ぁあ゙あ゙・・・・あ゙ああ゙あぁ゙あ゙あ゙ぁぁ・・・」 外へ通じる扉を開け放したまま。 しばらくして男が部屋に戻ると、そこに親れいむの姿は無かった。 床には赤ちゃんゆっくりの死骸も見当たらない。 食べたのか持ち帰ったのか、男にはもう興味のないことであった。 それから数日後、農家の男性が1匹のゆっくり霊夢を発見した。 どうやら洞窟の中で赤ちゃんを育てているようだった。 男性は、そのれいむがエサを探しに行っている間に赤ちゃんを捕獲ようと、洞窟に入った。 だが中にいたのは、真っ黒になって腐っていた9匹の赤ちゃんゆっくりであった。 帽子やリボンがあったので、かろうじて赤ゆっくりだと判断できた。 不気味に思い、洞窟を離れたところで親のれいむが帰ってきた。 様子を伺っていると、洞窟の中かられいむの歌が聞こえたり、赤ちゃんにご飯を食べるよう促す声が聞こえてくる。 男性は気味が悪くなり、その場から逃げたのであった。 それからさらに数日後。 男は書斎で、一冊の本を手に取った。 「お、また来てる」 文庫本ほどの大きさ。 今もこの世界や別の世界で、ゆっくり達が虐待されている。 その様子を自動で小説に変換し、ページを増やす、魔法の本。 男はこの本に影響されて、ゆっくり霊夢を虐待することに決めたのだ。 本に登場する赤ちゃんゆっくりは、大抵我侭で口が悪く、生意気で浅ましい。 男の経験でもそれは正しかった。 親を親とも思わないものばかりだ。 そんな物語を読んでいた男は、赤ゆっくりをゆっくりさせることなくその命を散らせてやろうと思ったのだ。 まったく関係のない親れいむにとってはいい迷惑である。 「・・・これ、俺じゃん」 新しいページには、赤ちゃんゆっくりの口を焼く男の話が載っていた。 どう読んでも自分のことである。 「あー、新作まだかなー」 男は本を棚に戻すと、たまった鬱憤を晴らすため、今日も森へと足を運んだ。 作:アルコールランプ このSSに感想を付ける
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道を歩いていたら茂みから体高30cmほどの変なものが飛び出してきた。 「「ゆっくりしていってね!」」 姿を現したのはゆっくりと呼ばれている下膨れの顔饅頭が2匹。 一方は赤いリボンを頭にのっけた黒髪で、もう一方は黒いとんがり帽子と長い金髪が特徴的なゆっくりだった。 どちらも見ているだけで妙にイライラさせられる笑みを浮かべている。 「「ゆっくりしていってね!」」 聞くところによると、こいつらの仲間はこの言葉を聞くと同じように「ゆっくりしていってね!」と返すらしい。 突然の状況に呆然として、その返事をしなかった俺の態度を無視しているものと勘違いした2匹は再びその言葉を口にする。 今度はさっきのような純然たる笑顔ではなく、少し目元がつりあがっていてどこか怒っているようにも見える表情で。 ぴょんぴょんと意味も無く跳躍を繰り返しながら、何度も「ゆっくりしてい」ってね!」を連呼している。 「ゆっくり・・・ゆぎゅ!?」 あまりに鬱陶しいので思わずより近くにいた赤いリボンを付けた方を軽く蹴り飛ばしてしまった。 蹴られたゆっくりは4mほど吹っ飛ばされ、4mほどバウンドし、更に4mほど転がって計12mほど向こうまで飛んでいく。 思った以上に軽く、弾力があり、転がりやすいその体ならではの飛距離だろう。これは面白い。 「ゆううう!ゆっぐぢーーー!ゆっぐぢでぎないよおおおお!」 「ゆーっ!まりさのれいむになにするのー!?」 なるほど、黒髪のほうはれいむで、金髪のほうはまりさと言うらしい。 れいむは蹴られた痛みのせいか身動き一つとれずに泣きじゃくっている。 一方のまりさは俺の前に立ちはだかると空気を思いっきり吸い込んでぷくぅっと頬を膨らませた。 そうやって威嚇しているつもりらしいが人間相手には何の意味も無い。 まりさの前にしゃがみこむと右手で頬に平手打ちを食らわせ、即座に反対側の頬にも平手打ちを食らわす。 「ゆうううううう、ゆぎぃ!・・・ゆぎゅ!・・・ゆぎゃ!・・・ゆげぇ!」 俺が手を振るたびにまりさの膨らんだ頬に挟まれた口から呻き声と空気が漏れ出していく。 右!左!右!左!右!左!右!左!右!左!右!左! 右!左!右!左!右!左!右!左!右!左!右!左! 右!左!右!左!右!左!右!左!右!左!右!左! 何度も何度も平手打ちを繰り返し、掌が痛くなってきたところで手を止めた。 「ゆ、ゆ・・・ゆびぃ・・・」 「や、やめてえええええ!でいぶのまりさをいぢめないでえええええええ!」 頬は腫れ上がり、顔中青だか赤だかわからない色に染まり、白目をむいて泡を吹くまりさは一目でわかるほどに満身創痍。 やりすぎたか、と少し後悔していると今度はようやく痛みから立ち直ったれいむがまりさを守るべく声を上げてこちらへやってくる。 ぽよん、ぽよん・・・と1m進むのに5秒はかかる信じられないほどの鈍足で吹っ飛ばされたわずか12mの距離を1分かけて戻ってきた。 そうして、ようやくまりさの前に立ちはだかったれいむは荒い呼吸を整える暇もなく俺に体当たりを仕掛けてきた。 「ゆーっ!ゆんっ!ゆゆーっ!」 顔を真っ赤にして自分の大事な仲間を傷つけた俺に何度も何度もぶつかって来る。 弾かれても弾かれても起き上がってはキッと俺を睨みつけて体当たりを繰り返すその姿は実に果敢だ。 しかし悲しいかな俺に全く効いていない。 それでもれいむはぶつかっては弾かれ、起き上がってはまたぶつかるを繰り返し続ける。 その目にはうっすらと涙がにじんでいて痛みを必死に堪えていることが伺える。 なんだか気の毒になってきた俺は何度目かの体当たりを仕掛けてきた際につま先で引っ掛けるように蹴り上げてやった。 「ゆゆっ!た、たかいよーっ!?」 突然の浮遊感に驚いたれいむは下を見た瞬間に、自分が空高く舞っていることを理解した。 その高度約4m。同時にその高さから落下すれば相当痛いこと理解し、恐怖のあまりに悲鳴を上げる。 「ゆびぇえええええええええええええ!!?」 そうして最高到達点に達したれいむは、徐々に地面めがけて落下していく。 やがてやってくる痛みに備えて目をきつく閉じ、身を小さくしている彼女の体を小刻みに震えている。 「ゆううううう・・・ゆぅ?」 しかしいつまで経っても痛みはやってこなかった。 そのことに疑問を感じたれいむが恐る恐る目を開けると、そこには俺の顔。 流石にこれは死ぬかもしれないと思った俺は落下する前こいつを受け止めたのだ。 ようやくその事を理解したれいむが満面の笑みを浮かべた瞬間、思わず彼女を放り投げた。 「ゆうううううううううううううううううううううううううううう!!?」 ただし、あくまで低空で、バウンドと転がった分によって移動距離を稼ぐようなそんな投げ方。 れいむは俺の狙い通り、あまり舗装されていない地面をごろごろと転がっていった。 「ゅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ・・・」 「れいむうううううううううううううう!?」 遥か彼方、と言っても50mほどなのだが、まで転がっていったれいむの名を叫ぶのは頬の痛みから立ち直ったまりさ。 散々一方的に酷い目に合わされ、どんな抵抗も無意味だと理解したまりさは攻撃を仕掛けてくることも威嚇することもしない。 ただ、目から大粒の涙をぼろぼろと零し、きゅっと結んだ口からは嗚咽が漏れている。 「ゆっく・・・まりさたちなにもぢでないよ・・・もうやべでよ、ゆっくぢさせでよぉ・・・」 その声がどんどん涙声になってゆき、やがて泣き声になる。 体裁も見栄も何もかもかなぐり捨てて、まりさはただひたすら大声で泣きじゃくる。 そうすることで「お願いだからゆっくりさせて」と必死に訴え続けていた。 「ゆわあああああああん!ゆうううううううううん!ゆっぐ・・・ゆぅ・・・」 それだけしか出来ない彼女のその姿のなんと弱々しいこと。 何の意味も無く自分達を痛めつけた悪党相手にただ泣きじゃくって許しを請うとしか出来ない。 哀れんでもらって、それから見逃してもらう・・・それだけが唯一の生き残る道なのだ。 「ゆえええええええええええええん!ゆああああああああああん!ゆぎぃ・・・ゆぐぅ・・・」 正直、その泣き声が鬱陶しくなってきた俺は大きく開いた口に足を突っ込むと舌と下あごを力任せに踏みつける。 必死の命乞いを無視されたまりさは恐怖と絶望と苦痛と不快感で白目を剥き、ほぼ塞がれた口で必死に何かを喋っている。 それが恐らく相も変わらずの命乞いであることは容易に想像がつくが、それに従うくらいなら最初から何もしない。 まりさの懇願を完全に無視して口内をひとしきり蹂躙しつくしたところで、俺はまりさをれいむめがけて蹴り飛ばし、2匹を解放してやった。 「まりさああああああ・・・!」 「れ、れいむううううう・・・!」 涙を流しながら頬をすり寄せ合って、互いの無事を喜ぶ2匹。 しかし、俺がゆっくりと2匹のほうに歩いてくることに気づくと、必死の形相で茂みの奥へと逃げていった。 「もうやだ!おうちかえる!」 「ゆ、ゆっくいかえるよ!」 もうこれ以上虐めるつもりは無かったのだが、その言葉を聞いた瞬間に食指が動いてしまった。 あいつらの家とはどんなものなのだろうか?他にも仲間がいるのだろうか? そんな好奇心に駆り立てられて、非常に緩慢な動きで近くの森へと向かうれいむとまりさのあとを追いかけることにした。 「ゆっくりかえったよ!」 「「「「おきゃーしゃん、ゆっくりちちぇっちぇね!」」」」 「「ゆっくりしていってね!」」 結論から言えば、この家族は群れなどに属していないようだった。 その代わり、愛らしい子どもが4匹もいるようだ。内訳はれいむ種もまりさ種も2匹ずつ。 れいむ達の巣は彼女達の体格同様に小さくて、人間の俺では中に入れそうに無い。 お菓子の一つもあれば簡単におびき出すことが出来そうだが、今は何も持ち合わせていないので諦めることにした。 「しかし・・・ゆっくり虐めか・・・」 新しい楽しみを見つけた俺は足取り軽くスキップをしながら来た道を引き返した。 ‐‐‐あとがき‐‐‐ シンプルさを重視したので子ども達への虐待はなし。 ストレスで寿命がマッハだぜ、と言う方は脳内でどうぞ。 byゆっくりボールマン このSSに感想を付ける
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#現代設定 ゆっくりとオートバイ 先日、夏の間から延々と引きずっていた仕事が終わったため、男はやっと取りそびれていた夏休みを取ることができた。 夏休みと言っても名ばかりで、山は既に紅葉で赤く色付き朝晩は冷え込んでかなり寒い。 しかし、せっかく取れた休みなので、男は久し振りに趣味のバイクでツーリングに行くことにした。 男はまだ日の昇る前に寝床から這い出して、昨日の内に用意しておいた装備を身に着けると、ヘルメットと荷物を抱えて玄関へと向かった。 サイドジップの革ブーツを履いてジッパーを上げ、靴棚の上に置かれた時計を確認する。 時計の時刻はまだ六時前だったので、今から出発すれば通勤渋滞を避けることができるはずだ。 「それじゃ、いってきます」 見送りなどいないが、一声かけてから玄関の鍵を閉めて駐車場へと向かった。 駐車場は自動車二台ほどのスペースがあり、乗用車と自転車が二台ほど停めてある。 男は駐車場の隅のブルーシートで覆われた一角へと向かった。 男の家の駐車場は屋根が無いため、バイクはバイクカバーをかけた上にブルーシートを被せて保管してある。 バイク用のシェルターなども売ってはいるが、少々値が張るため行楽時の敷物から建築現場の養生と、万能振りを発揮するブルーシートを使用することにしたのだ。 「あれ、ほどけてるな。結び忘れたか?」 ブルーシートは風で飛ばされないように紐で結んで杭に固定していたのだが、一箇所紐が緩んでシートに隙間ができていた。 昨日バッテリーとエンジンの調子を確認したときに結び忘れたらしい。 男が結んである紐をほどいてブルーシートを外すと、その下からなにやらバレーボール大の物体が姿を現した。 「……ゆっくりかよ」 ゆっくりは二匹いて、片方が帽子をかぶったゆっくりまりさ、もう片方がリボンのついたゆっくりれいむだった。 男は以前に、ブルーシートの中で猫にマーキングされて酷い目に会ったことがあるため、バイクの周りに猫避けシートを敷き詰めていた。 その猫避けシートの上に、まりさが見事に鎮座していた。 れいむは猫避けシートには乗らなかったらしく、まりさの後ろに寄り添っていた 動けないまりさを見捨てなかったということは、この二匹はもしかしたらつがいかもしれない。 どちらのゆっくりにも飼いゆっくりの証であるバッジが無いことを確認し、とりあえず現状を把握することにした。 「あー、こりゃみごとに刺さってるな」 猫よけシートは、網目状のプラスチックの上に棘のような突起が生えているシートである。 男はその一辺三十センチ程の正方形のシートを連結して、バイクの周りに敷き詰めていた。 猫は足の裏の肉球が敏感なため、猫避けシートの棘の上は痛くて歩くことができない。 ゆっくりは体の底面の”あんよ”が傷つくことを極端に恐れるため、この猫避けシートはゆっくり避けとしても効果があった。 そのシートの上にまりさが乗っかっており、底面に長さが3センチはある棘が根元まで突き刺さっていた。 二匹はどちらも眠っているようで、まりさが苦しそうに「ゆ゛っ、ゆ゛っ」と呻いているのに対して、れいむは「ゆー、ゆー」と気持ちよさそうな寝息を立てている。 風を通さないブルーシートの中が快適だったのだろう。 とりあえずシートを引きずり、バイクの方を向いていたまりさの向きを変えて顔が見えるようにする。 「ゆ゛っ、ゆ゛っ」と呻いているが起きる気配がまったくない。 れいむの方もまりさの隣に移動してやるが、こちらも熟睡しているようだ。 この二匹をどうにかしないといけないのだが、眺めていても仕方がないので二匹を起こすことにした。 「ゆっくりしていってね!!」 二匹の真上で声をかけてやると、 「「ゆっくりしていってね!!」」 と声を上げて二匹とも目を覚ました。 ゆっくりは、”ゆっくりしていってね”と声をかけてやれば余程のことが無い限り返事をする習性をもっている。 「ゆっ、おやねがなくなっちゃたよ!?」 「ゆっ? どうしたんだぜ、なんかあんよがいたいんだぜ?」 どうやられいむは、ブルーシートが無くなったことに困惑しているようだ。 まりさは足の違和感に首を――首は無いが――かしげている。 れいむが目の前に立った男に気が付き声をかけてきた。 「ゆっ、おにいさんはゆっくりできるひと?」 それに続けてまりさが言った。 「ここはまりさのおうちだぜ!! おじさんはまりさにたべものをもってくるんだぜ!!」 れいむの挨拶はゆっくりとしては一般的なのだが、まりさはなんとなくゲスっぽい感じがした。 おうち宣言をしたということは、昨夜の内にブルーシートの隙間から入り込んで住み着こうとしたのだろう。 そこで、最初に入ったまりさが猫避けシートの上に飛び乗って身動きできなくなり、れいむは動けないまりさに寄り添っていたが、二匹とも疲れて眠ってしまったというところだろうか。 男は無駄だとは思ったが、一応ゆっくりたちと話をすることにした。 「ちがうよ、ここはお兄さんのおうちだよ。ゆっくり理解してね!」 と男は二匹に言った。 「なにいってるの? ここはれいむとまりさのおうちだよ!!」 「ゆ゛っ!! ここはまりさのおうちだっていってるんだぜ!! おじさんはゆっくりでていってね!!」 この二匹は住宅街の野良なのに、人間の怖さをまだ学習して無いらしい。 男は二匹の周りを見回して言ってやった。 「おうち? どこにおうちがあるのかな、どこにも無いんだけど?」 「ゆっ?」 れいむが自分の周りを見ると、寝る前までは青くて暖かいおうちの中にいたはずなのに、いつのまにか外に出てしまっていた。 「どぼじでおうちがないのぉおおおおおおおお!!」 「ゆっ、どういうことなんだぜ!?」 とまりさも周りを見ようとして、 「ゆぎぃいい!! あ゛んよがいだいんだぜ!!!!」 と悲鳴を上げた。 「ゆゆっ!? まりさ、どうしたの!?」 痛がるまりさをみてれいむがおろおろとしている。 「ゆ゛っ!! おかしいんだぜ、まりさのあんよがうごかないんだぜ!!」 「ゆっ! どうしてなのぉおおお!!」 まりさはやっと自分が動けないことに気が付いたようだ。 「で、おうちは無いみたいだね?」 と男が言うと。 「ゆぎぃいい!! きっとこのじじいがまりさのおうちをとったんだぜ!!」 と、まりさがあんよの痛みをこらえながら言ってきた。 ブルーシートを外したのは男なので、ある意味間違ってはいない。 「ゆっ、そうなの!? まりさ、おうちをとりかえしてね!!!!」 「あんしんするんだぜれいむ、このまりさがあんなじじいすぐにころしてやるんだぜ!!」 概ね予想通りの展開に男はため息を吐いた。 「まりさはどうやってお兄さんを殺すのかな?」 「ゆふ~ん、おじけづいたのかだぜ? まりさのたいあたりはゆっくりでいちばんなんだぜ! れみりゃにもかてるんだぜ!!」 とまりさが自慢げに踏ん反り返る。 どうやらあんよが動かないことは忘れたらしい。 「そりゃすごい、早くやってみろよ。ほら、お兄さんは避けないからさ」 「ゆぐっ! まりさをばかにしてるのかだぜ? あとであやまってもゆるざないぜ!!」 と言うと、まりさは男に飛び掛かるために踏ん張ろうして、 「ゆぎぎぃいいいいい!! あ゛んよがいだぃいいいいいいいい!!!!」 と叫び声を上げた。 痛いはずである。底面一面に棘が刺さって固定されているのだから。 先ほど自分であんよが動かないと言っていたはずなのだが、さすが餡子脳といったところだろうか。 まりさはあまりの痛さにのた打ち回ろうとするが、底面を猫避けシートがガッチリと固定しているためにその場から動けずにいる。 「ゆゆっ!? まりさ、どうしたのぉおおおお!?」 その横で、痛がるまりさにれいむがあわててすりすりしている。 「どぼじであ゛んよがうごがないの゛ぉおおおおお!!」 「まったく、まりさは馬鹿なの? アホなの? 死ぬの?」 「ゆがぁああああ!! ばでぃざはばがじゃないぃいいいいい!!! ゆぎぃいいいい!!」 まりさは男の挑発に飛び掛ろうとして、再度痛みに悲鳴を上げた。 「お前なぁ、あんよにそんなものが刺さっているのに動けるつもりなのか?」 「ゆ゛っ!! おぼいだしだぁああ!! ぎのういきなりこのとげとげがざざっだんだぜえええ!!」 「ゆっ、そうだったよ! おうちをみつけたとおもったらまりさがうごけなくなっちゃったんだよ!!」 「おじざぁあああん!! ばりざをだずげでほじいんだぜぇええええええ!!」 このまりさは、先ほどまで自分が何を言っていたか覚えていないらしい。 媚びているつもりなのか、じじい呼ばわりしていた呼称がおじさんに戻っていた。 「あー、はいはい。で、ここはだれのおうちなの?」 「ゆっ? ここはれいむとまりさのおうちだよ!!」 「なにいっでるんだぜ!! ごこはばでぃざのおうぢだっていっでるんだぜ!! ばかなのかだぜ!!」 予想はしていたが、れいむとまりさは考えるぞぶりも見せずに言い切ってくれた。 「おうちなんかないよ?」 「ゆーーっ!! おにいさんがとったんでしょぉおおお!!!」 「おじざん、はやぐばりざをだずけるんだぜぇえええ!!」 「まぁ、助けてもいいけどさ、君たちが二度とここに来ないって約束したら助けてあげるよ」 「なに゛いっでるんだぜぇええええ!! ここはばりざのおうぢだっていっでるんだぜぇええええ!!」 「ゆーっ! はやくまりさをたすけてね!! おうちもかえしてね!! れいむおこるよ!!」 ぷくーっ! とれいむが膨らんで威嚇する。 「おお、きもいきもい」 久しぶりのツーリングなのに出発する前から可愛くも無いゆっくりの相手をさせられて、男はかなり苛付いてきた。 つんつんと、軽く足でシートの端を突付いてやる。 「ゆがぁあああああ!! なにずるんだぜぇええええ!!」 「ゆっ!? どぼじでそういうごとするのぉおおおおおお!!」 「おまえらさ、いい加減邪魔なんだわ」 と男は動けないまりさから帽子を奪い取った。 「ゆ゛っ!! ばりざのすできなおぼうしがえすんだぜぇえええ!!」 「で、ここはだれのおうちなんだ?」 「ばでぃざのおうぢだって――ゆぎゃっ!!」 またシートを突付いてやる。 「やめてね、まりさをいじめないでね!! まりさをたすけたらゆっくりしんでね!!」 と、まりさの横でれいむが飛び跳ねている。 「それじゃ、おまえがこの帽子を取ることができたら助けてやるよ」 れいむにそう言うと、男は手にした帽子を50センチほどの高さにぶら下げてやった。 ただしその場所は猫避けシートの真上だったが…… 「でいぶぅううう!! ばりざのおぼうしをとりかえしてほしいんだぜぇええ!!」 「ゆーっ、ゆっくりがんばるよ!! おじさんはれいむがとれないとでもおもったの? ばかなの?」 れいむは「ゆーーっ!」と力むと、「ぴょーん!!」 と擬音を口にして跳ね上がった。 跳ね上がったれいむは、帽子の鍔を咥えて見事に男の手から帽子を奪い取った。 しかし、跳ね上がったら次は下に落ちるのが世の定めである。 れいむはそのまま見事に着地した――猫避けシートの真上に。 「ゆびゃぁああああああ!!! でいぶのきれいなあんよがぁああああああ!!!」 叫び声を上げたれいむの口から、まりさの帽子がこぼれ落ちる。 「ゆ゛ぅうううううう!! はやぐばりざのおぼうしをよこすんだぜ!!」 まりさはれいむよりも自分の帽子の方が心配らしい。 「まぁ、やくそくしたからコレは返してやろう」 男は帽子を拾い上げると、まりさの頭に被せてやった。 「ゆっ、まりさのおぼうしもうどこにもいかないでね!!」 まりさは帽子が戻ったことに安心したらしく、ゆ~ゆ~言い出した。 どうやら足の事やいまの状況は忘れてしまったらしい。 とりあえず二匹とも動けなくなったので、男は猫避けシートを脇に避けるとバイクからバイクカバーを剥がしてブルーシートと一緒に杭に縛り付けた。 まりさとれいむがなにやら叫んでいたが、とりあえず無視する。 ゆっくりの相手はいい加減にして、さっさと出発しないと通勤車の渋滞に巻き込まれてしまう。 男はバイクにトップケースとタンクバッグをつけると、ウエストにつけたポーチから取り出したキーをバイクに差し込んで捻った。 続けて、チョークを引いてセルスイッチを押し込み、セルの回る音を聞きながら軽くアクセルをあおってやると、排気音を響かせてエンジンが掛かった。 「ゆ゛ーーっ、ゆっぐりでぎないおどがする!!!!」」 「おじさんやめるんだぜぇええ!! ばりざのあんよにひびぐんだぜええええ!! 心地よい重低音が響いているのだが、この二匹にとっては不快らしい。 男はアイドリングが安定したことを確認すると、エンジンの暖気をしている間にゆっくりを捨ててくることにした。 猫避けシートからまりさとれいむの乗っかった部分を取り外し、二匹の頭を掴んで持ち上げる。 バレーボール程度とはいえ餡子の詰まったゆっくりは結構重い。 「ゆっ、おそらをとんでるみたい~♪」 「ゆっ、おそらをとんでるみたいだぜ~♪」 男は二匹をぶら下げたまま、駐車場から出ると、近所の公園へと向った。 別にこのまま叩き潰してゴミ収集所のダストボックスに放り込んでもいいのだが、ツーリング前に殺生を犯して――饅頭相手に殺生になるかは分からないが――けちを付けたくなかった。 男はゆっくり愛護派でも虐待派でも無いので、よほどの実害が無い限りゆっくりにも寛大だった。 「ゆ~、れいむをどこにつれていくの!?」 「おじさん、まりさをはなすんだぜ!!」 近所の公園に着くと、男は芝生に覆われた広場の中心へと向った。 「まぁ、ここら辺でいいだろう」 れいむを足元に落とす。 「ゆぎゃぁあああああ!! あんよがいだぃいいい!!」 次に男はまりさを裏返すと、底面から猫よけシートを一気に剥ぎ取った。 「そぉい!!」 「ゆぎぃいいいいい!! あんよがぁあああああ!!」 ぐにぐにと動くまりさを押さえつけて底面を見ると、棘の刺さった痕が規則的に並んでいた。 そこから餡子汁が滲み出しているが餡子は漏れておらず、傷口は皮の圧力で締まっているのでしばらく安静にしていれば治るだろう。 「ほれ」 「ゆぎゃぁあああああああ!!! あんよがぁああ!! ――ぐぶぇえ!!」 男がまりさを地面に落とすと、まりさは絶叫を上げてあまりの激痛のためか餡子を少し吐き出した。 「じじぃ……ゆ゛っぐりじねぇ……」 「おまえなぁ、親切で助けてやったのにそういう態度かよ」 そのまりさの様子を見て、れいむが目を見開いている。 「ゆっ、ゆっぐりやめでね! れいむはおうちにかえるよ!!」 男はれいむを持ち上げると同様にシートを剥ぎ取ってやった。 「ゆびぇえええええ!! でいぶのあんよがぁああああああ!!」 れいむは落とさずに、ゆっくりと芝生の上に降ろしてやった。 「ゆ゛う゛ぅう!! あんよがじくじくするよ!! はっぱさんでいぶのあんよをじくじくしないでぇえええ!!」 どうやら、芝生が傷口に刺さって痛いらしい。 「それじゃ、おまえらそこでゆっくりしてろ。動かなければそのうち治るだろ」 男は足元でもだえているまりさとれいむに告げると公園から立ち去った。 背後からなにやら恨み言が聞こえてきたが気にしなかった。 駐車場に戻った男がバイクの油温計に付いた時計を確認すると、すでに時刻は6時半を過ぎていた。三十分以上ゆっくりの相手をしていたことになる。 早朝のこの時間に、ゆっくりの罵声はかなり近所迷惑だったのではないだろうかと不安になる。 せっかくのツーリングなのに、出発前のアクシデントでいきなりテンションが下がってしまった。 男はヘルメットをかぶってあご紐を止めるとバイクに跨った。 近所迷惑にならないように、ゆっくりとアクセルを開けて道路へと出て行く。 男はふと、ゆっくりを置いてきた公園が猫の集会所になっていたことを思い出した。 「猫ってゆっくり食べるのか?」 とりあえず、帰ってきたら公園に確認しに行こうと思いながら、男は久しぶりのツーリングへと出発した。 #おまけーね 男が立ち去った後、公園にはれいむとまりさが取り残された。 二匹は何度も跳ねることができないか試してみたが、あんよに力を入れるたびに激痛がするため、まったく跳ねることができなかった。 それならば、そろ~りそろ~りと這ってみようとしたが、少しでも動こうとすると傷口に芝生が突き刺さり再び激痛に泣き叫ぶことになった。 「ゆぅうう、あんよがじくじくするよぉ」 「はっぱさんがいだいんだぜ……」 二匹は移動することは諦めたらしく、、なんとかして芝生からあんよを離そうともがいている。 「ゆ゛っ、ゆ゛っ――ゆびゃぁああ!!」 れいむが体を後ろに傾けてあんよを芝生から浮かそうとするが、力んだために傷口が圧迫されて体内から餡子汁が滲み出してしまう。 やがて、無理な体勢に限界が来て力を抜いてしまうと、芝生が激しく傷口に突き刺さるのだった。 そのような無駄な足掻きを繰り返しているために、二匹の傷口は治るどころか悪化してしまっていた。 安静にしていればゆっくりの理不尽な再生力により、数時間で這うことができるぐらいまでは回復可能なはずだったのだが。 「ゆ゛っ!! まりさはよいことおもいついたぜ!!」 まりさは舌を延ばし、自分のかぶっている帽子を目の前に逆さに落とすと、 「ゆ゛ぐぅうう! ぞろ~り゛、ぞろ~りぃいい!!」 と、痛むあんよを無理やり動かして帽子の上に移動した。 「ゆふぅ~、これであんよがいたくないんだぜ!! ゆっくりー!!」 芝生があんよに触れなくなり痛く無くなったまりさは、「ゆふん!」とふんぞり返った。 「ゆゆっ、すごいよまりさ! れいむもゆっくりおぼうしにのらせてね!!」 そう言ってれいむがまりさの帽子に乗せてもらおうとするが、 「ゆっ? まりさのおぼうしはひとりようだぜ!! れいむはゆっくりがまんしてね!!」 とまりさはそれを拒否した。 「どぼじでそういうごどいうのぉおおおおおおお!! れいむはまりさのはにーでしょぉおおおお!!」 「そんなこといっても、おぼうしにはひとりしかのれないんだぜ!!」 などと言い合いをしているうちに、日の出の時間になり公園に朝日が射してきた。 「ゆ? おひさまがでてきたよ!!」 「ゆふぅ、おひさまがあたるとぽかぽかだぜ!! ゆっくり~♪」 「ゆぅうう……、あんよがゆっくりできないけど、おひさまはゆっくりだよぉ~」 朝日に当って暖かくなってきたためか、先ほどまでの言い争いも忘れて二匹はゆっくりし始めた。 れいむはあんよが痛いようだが、日射しに当って暖かくなってきたためか幾分か痛みが和らいでいるようだ。 やがて日が完全に昇ると、公園の広場にどこからともなく近所の猫たちが集まり始めた。 一匹、二匹とやって来ては芝生の上に寝そべって日向ぼっこを始める。 猫たちは、自分たちの集会所にゆっくりがいるとこをいぶかしんでいたが、とくに気にせずに思い思いの場所にねころんでいた。 「ゆふぅ~、ねこさんたちもゆっくりだよ」 「ゆ~、ここはまりさのゆっくりぷれいすだぜ」 れいむとまりさも最初は猫たちを警戒していたが、ゆっくりした猫たちをみて安心してゆっくりしはじめた。 だが、しばらくすると好奇心の強い若い猫たちが二匹に興味を持ち始めた。 いつも耳障りな雑音を発して跳ね回っているこいつらが、なぜ自分たちの集会所に居座っているのだろうか? と一匹の黒猫がれいむとまりさの前に歩み出た。 「ゆ? ねこさんゆっくりしていってね!!」 「ゆふ~、ねこさんもゆっくりするんだぜ!」 普段ならば自分が近寄るとはねて逃げるか飛び掛ってくるこいつらが、なぜかその場から動こうとしないのだろう? と黒猫は疑問に思った。 「ゆっ、なにかようなの? れいむはゆっくりしてるからあっちいってね!!」 「ゆふぅ、まりさのゆっくりぷれいすからでていくんだぜ!!」 なにやら言っているようだが、この人間の顔のような物体をみていると無性に腹立たしくなる。 黒猫は、おもわず前足をれいむに向けて繰り出していた。 「ゆぐっ!! あんよがいたいぃいいい!!」 それほど力をいれなかったのだが、目の前の物体が悲鳴を上げる。 黒猫はそれが面白くなってもう一度、こんどは力を込めて猫パンチを繰り出した。 「ゆ゛ーーっ!! どぼじでそういうごどずるのぉおおお!!」 「ゆっ、ねこさんやめるんだぜ!! ゆっくりしてないぜ!!」 黒猫が攻撃しても、目の前の物体は叫び声を上げるだけで動こうとしなかった。どうやら動けないらしい。 楽しくなってきたので、もう一度と黒猫は身構えたが、もう片方の黒い奴の背後から顔見知りの茶トラの猫が近づいているのに気が付いた。 まりさに後ろから忍び寄った茶トラが右前足を振り上げる。 「ゆべっ!!」 と茶トラの振り下ろした前足に後頭部を強打されたまりさが、叫び声を上げる。 「ゆぐぁあああ!! あんよにひびぐぅううう!!」 「ゆ゛ーーっ!! やめてね、ねこさんあっちいってね!!」 それを見たれいむががふるふると震えている。 黒猫は今度は爪を出し、れいむの頬目掛けて前足を振り抜いた。 「ゆあ゛ぁ!! でいぶのかわぃいぽっべがぁあああ!!」 黒猫の爪はれいむの頬に、三本の傷跡を刻んだ。 「ゆうぅううう、やべるんだぜ!! これいじょうしたらおこるんだぜ!! ぶひゅ~~!!」 まりさが膨らんで威嚇するが、後ろから叩かれて息を吐き出してしまう。 二匹の猫を見ていた他の猫たちが、なにやら面白そうなことをしていると集まりだした。 先ほどから眺めていて、れいむとまりさが動けないことがわかったので、まだ他の猫たちより一回り小さい子猫まで寄ってきていた。 「ゆ゛っ、ゆ゛っ、やめてね! やめてね!」 「ゆ゛ーーっ、やめるんだぜ!! いまならゆるしてやるんだぜ!!」 数匹の子猫たちがペシペシとれいむに攻撃を加える。 一匹の子猫が、れいむの頭上でヒラヒラと揺れるリボンに気が付き、れいむの頭の上に飛び乗った。 そのままカリカリとリボンに爪を立てる。 「でいぶのすできなおりぼんにさわらないでぇえええええ!!」 一方、まりさのほうは成体の猫たちに袋叩きにあっていた。 「ゆびぇ!! ――ゆぎゅ!! ――やべでぇえええ!!」 と、猫たちが交互にまりさを突き飛ばしている。 まりさがひときわ大きな猫に体当たりされて帽子の上から転がり落ちると、別の一匹が帽子を加えて振り回しはじめた。 「ゆ゛ぅううう!! ばりざのおぼうじかえすんだぜぇえええええ!!」 ヒラヒラと振られる帽子に、狩猟本能を刺激された猫たちが踊りかる。 やがて数匹の猫に爪を立てられ、噛み付かれて、まりさの帽子はずたぼろになってしまった。 「ゆぎぁああああ!!! ばりざのぼうじがぁあああああ!!!」 「ゆぐぅううううう!!!! ぺしぺししないでぇえええええ!!」 早朝の公園に、猫たちの楽しそうな鳴き声と二匹のゆっくりの悲鳴が鳴り響いていた。 このSSに感想を付ける
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ゆっくりとたばたば 一応注意・ゆっくりが現代入りしてます。 私は映画が好きだ。 週に5,6作は見る。近所のビデオ屋で借りては見て、借りては見てを繰り返していた。 モニターに映しだされる作品の数々は、趣味の少ない私にとって貴重な娯楽だった。 今日借りてきたのは「コンスタンティン」 キアヌ・リーブス主演の悪魔払いの映画だ。 友人は酷評していたが、私は映画を見るときにあまり面白さは追及しない。 B級ならB級で、駄作なら駄作で、名作なら名作で、何か得るものが必ずある。 何を得るかって? そりゃ、人生観とか新しい価値観とか色々さ。 でも、一番多く得るのは… 隣の部屋で飼っているたくさんのゆっくり達を虐めるアイデア。 私のもうひとつの趣味は…虐待だぁ!! ビールと柿ピーを交互に口に入れながらコンスタンティンを見る。 映画自体は、ふーん、こんなもんかーって感じではある。 しかし見始めてから1時間ほど経った時である。 主役のキアヌ・リーブスが机の上を歩いていた蜘蛛の上にコップをかぶせて捕まえて… 『俺の世界へようこそ…』 おお!煙草のけむりを吹きいれたーっ!!! 蜘蛛はそのままパタリと倒れてしまったっー! 私の脳内を電撃が駆け巡る。 これだ! 今回の映画の虐待ネタはこれに決定だ! 虐待プランを脳内で構築し始める。 こうなると映画は後回しだ。デッキを停止してテレビを消し、隣の部屋に行く。 「あ、おにいさん!ゆっくりしていってね!!」 「「「「「ゆっくりしていってね!!」」」」 部屋に入ってきた私に気づいたゆっくり達が挨拶をする。 私も適当に、あぁゆっくりしていくよ、と返す。 この部屋には、れいむ種、まりさ種、それと少しのぱちゅりー種が合わせて50匹ぐらいいる。 みんなそれなりに調和も取れているし、ゲスもいない。 れいむ種とぱちゅりー種の数の合計がまりさ種と同じになるぐらいに調整しているので まりさの取り合いになることもあまりない。 その中から一組のれいむとまりさのつがいを呼び寄せる。 「今から君たちの家族全員をいい場所に連れてってあげるよ。子どもたちをつれてきなさい。」 「ゆっ!ほんとう!?ゆっくりつれてくるよ!」 「あっ。みんなには内緒だからね。」 「わかったよ。こっそりつれてくるよ。」 れいむとまりさが群れの中に戻り、5匹の子供たちを連れてくる。 「よし。じゃぁ行こうか。」 他のゆっくり達の群れに金平糖を撒いて注意をそらし、そのすきにれいむ一家を連れて部屋に戻る。 「さて、やるか。」 れいむ一家を適当にもてなしながら準備を進める。 虐待恒例アイテム防音ボックスに仕切りをしいて、一匹の子まりさ以外を中に一匹づつ入れる。 「ゆっ!おにいさん!せまいよ!」 「ゆっくりだちてね!」 「まりちゃおねーちゃんだけずるいよ!」 「おにいさん!ここはぜんぜんいいばしょじゃないよ!はやくいいばしょにつれていってね!」 各々勝手なことを喚くので 「ここで静かに良い子にしてたらすぐ良い場所に行けるからね。ゆっくり待っててね。 始めはこのチビちゃんから連れてくからね。」 となだめる。 「ゆ!わかったよ!おちびちゃんたち!いいこにしてればゆっくりできるよ!」 「ゆっくりまってようね!」 「わかっちゃよ!ゆっきゅりまちゅよ!」 ちょろいもんである。 後は外が見えないように布をかぶせておけば子供は寝るだろうし、親二匹は静かに待っているだろう。 さて、一匹の子まりさは目を輝かせながら「良い場所」に行けるのを心待ちにしている。 待たせるのも悪いので早速クリアケースに入れる。 これは特に防音されていない。断末魔も聞きたいところだし。 煙草に火をつける。軽ーく一服。 そして 「おれの世界へようこそwwww」 ぷはーっとケースの中に煙を吹きいれる。 「ゆっ!げほっげぼっ!!くちゃいよー!」 ケースがでかいので一回じゃ無理か。 というわけでもう一回ぷはー。 ついでにもういっちょぷはー。 「やめじぇ゛----!!!ゆ゛っぎゅり゛でぎない゛---!!!」 子まりさが泣きながら息苦しさを訴える。 煙で目も痛いのか、涙が溢れ真っ赤になっている。 それ、もういっちょ、ぷはー。 「ぎゅ゛ぇ゛--!!ぐる゛ぢぃ゛---!!!」 子まりさは悶えながらクリアケースに体当たりを始める。 そんなんじゃこのケースから出ることはできないぞー。まだまだぷはー。 「う゛ぎぃ゛ぃ゛---!!!も゛う゛や゛じゃーーーー!!!お゛うぢがえ゛るぅーー!!!」 おお、苦しんでる苦しんでる。 それ、ぷはー。 「う゛ぎゅ゛う゛ーーーーーー!!!ゆっぐ…り……」 子まりさは最後のセリフを餡子と共に吐きだして、ケースの壁に寄りかかるように息絶えた。 ありゃりゃ、もう死んじゃったか。 うーん、やっぱ子どもだと弱いかなー。 しかもガス室みたいで映画のクールさが全く出ない。 煙草を使った虐待はなかなかに面白いので、子ゆっくり達を使って良い方法がないか実験をすることにした。 大学のレポートのネタにはちょうどいい。 題名は「ゆっくりにも煙草の害はあるか。」 うむ、良いレポートになりそうだ。 先ほどの一家の元に戻り、次の子れいむを取る。 「ゆっ!ちゅぎはれいみゅだね!!ゆっきゅりできりゅときょろへちゅれていってね!!」 「おにいさん!ほかの子たちもゆっくりしないで連れて行ってあげてね!!」 「れいみゅいいなー!」 これから行き着くところを知らないというのは、幸せなもんだ。 蓋を閉めて、さっきのクリアケースに子れいむを入れる。もちろん子まりさの死体と餡子は掃除してある。 「ゆっ!?ここがゆっきゅりできりゅところ?」 子れいむは何とも無邪気な顔できょろきょろとしている。 「そうだよ。存分にゆっくりしてね。」 数本の火のついたタバコをお香立てに差してケースの中に入れる。 「ゆーっ!!くちゃいよ!ゆっきゅりできないものをいれないでにぇ!!」 子れいむがヒンシュクの声を上げる。 しかし 「ぎゅっ…ゆっきゅりで…きな…」 おお、さっきの子まりさよりもだいぶ早く死んだぞ。 さっきの子まりさは主流煙で、今回の子れいむは副流煙だったからか? まりさ種がれいむ種より丈夫なせいもあるだろうが。 もう一匹の子れいむを取り出す。 「ゆっ!おにいさ」バタンッ もうゆっくり共と会話する気もない。 今はこの実験に集中したい。 連れてきた子れいむに煙草を食べさせてみる。 ニコチンやタールは人間にも猛毒で、特にニコチンは依存性があるうえ、成人でも40~60mg 摂取しただけで死んでしまう。 ゆっくりならどうか。 「さぁ、甘くておいしいおやつだよ。」 煙草にコーヒー用のシュガーカットをかけたものを与える。 「ゆっ!おにいしゃんありがちょー!」 そういって子れいむは煙草を数本一気にむしゃむしゃ食べた。 「むーしゃ、むーしゃ、しあ…」 即死である。 解剖したところ煙草は体内に残っていなかった。 一瞬で餡子に吸収されていしまったようである。まったくデタラメな生き物だ。 ニコチンはゆっくりにとっても有毒であることがわかった。 子れいむはさっきのでいなくなったので、子まりさを取り出す。 ケースから取り出すとき、あまりのスピードにゆっくり達は何も言えなかった。 今までの子まりさと子れいむ達の餡子を食べさせてみる。 ニコチンの毒によって死んだゆっくりの餡子に有毒性は認められるか。 「なにきょれっ!あまっ!むっちゃあまくてうまっ!!むーちゃ、むーちゃ。めちゃうまっ……まずっ!!!」 最初のうちはむーしゃ、むーしゃ、と幸せそうに食べていたが突然不味いと言って白目を剥いて 餡子の泡をふきながら卒倒し、そのまま逝ってしまった。 ニコチンを含んだ餡子を食べただけでこの効果である。 最初のほうの、受動喫煙で死んだゆっくりの餡子はあまりニコチンが含まれていなかったのだろう。 毒性は多少弱かったようだ。 ただ、煙草を食べたゆっくりの餡子はがっつりニコチンを含んでいたようで、それを食べた瞬間これだ。 最後の子まりさを取り出す。 ゆっくりにニコチンに対する依存性はあるか調査する。 禁煙用のニコチンパッチを小さく切ったもので徐々に体にニコチンを馴染ませていく。 最初貼ってからは大したことはなかったが、しばらくの間、ある程度時間を置いてから服用を繰り返すと ニコチンパッチを貼っていない間は落ち着かないようになった。 微妙にそわそわして、些細なことに苛立つようになっていった。口調も少し荒い。 通常の子ゆっくりにはあまり見られない症状である。 本人曰く「ぴったん(パッチのこと)しないとゆっくりできない。」らしい。 それでもニコチンパッチを貼ってしばらくの間は治まり、ゆっくりを取り戻す。 しかし、服用を繰り返すにつれ一度の量を増やさないと不快感が晴れず、また服用の間隔も狭くなっていった。 最後のほうになると 「ぜんぜんたらないよ!もっといっぱいぴったんしてね!!ぐずぐずしないでね!!」やら 「のろまなおにいさんだね!!はやくはってね!りょうがたらないよ!!」と ゆっくりらしからぬ早口でまくり立てながら怒る状態が続いた。 最終的に、体全体に貼っても間に合わないようになったので、今度はパタリと貼らないようにしてみた。 「ゆっー!ぜんぜんゆっきゅりでぎない゛ー!!じぬーっ!!」 と、体中がむず痒いかのように転げ回り、言葉づかいも一層荒く、切羽詰まった内容になっていった。 完全な禁断症状である。子まりさは落ち着きを失い、苦しんだ。 つばきを飛ばしながら口汚くありとあらゆるものを罵り、髪は振り乱し、目には鈍く妖しい光をたたえていた。 人相も悪い。実験前のやわらかな人相(といってもゆっくりだからヘチャムクレのまんじゅう顔だが)は見る影もない。 その後は、ストレスに耐えきれず嘔吐を繰り返すようになり、衰弱死していった。 さて、ここからが本番である。 子ゆっくり達によっていくらかのデータはそろった。 副流煙のほうが効く。 ニコチンはゆっくりにも毒。 ニコチンを採ったゆっくりの餡子にも毒性が出る。 体の強いゆっくりなら、ある程度のニコチンならば徐々に採っていっても大丈夫。 ただし、ニコチン依存症にはかかる。 以上を踏まえて 成体のゆっくりに喫煙が可能かどうか試してみる。 親まりさよりは体が弱い親れいむに実験体になってもらう。 まずはニコチンパッチによりニコチンへの抵抗をなくす。 そして「ゆっくりできる。幸せになる。」などと唆して煙草を吸わせる。 あとは勝手に依存症におちいってくれた。 意外にも親れいむは数日間生き続けた。 その間、やはりあの子まりさと同じように苛立ち、口汚くなっていた。 自分では煙草に火がつられないため、 「おにいさんはきがきかないね!れいむがたばたばをくわえたらさっさとひをつけてね!!!」 などとしょっちゅう私を呼びつけた。 煙草を吸うときは幸福そのものといった表情で 「すーぱ、すーぱ、しあわせー!!」 と、ふかしていた。 が、数日後にニコチン摂取量の限界を越えたのか、ひゅーっひゅーっ、と変な呼吸音で息をし始めたかと思うと 息苦しさを訴え始め、数分後深刻な酸素欠乏症に陥って死亡した。 人間でいうところの肺気腫にでもなったか、それとも肺がんか、どちらにせよゆっくりには肺がないので よくわからない。とりあえずニコチンの摂り過ぎで死んだということにしておこう。 今回は詳しい原因の究明はしない。 ゆっくりなんて適当な生き物だ。その辺は教授も見逃してくれるだろう。 さて、最後に残された親まりさである。 この個体には、喫煙ゆっくりとなったうえで、非喫煙ゆっくりの群れに放り込まれてもらう。 さてはてどうなるか、実に興味深い。 とりあえず、ニコチンパッチ法でニコチンに慣らし、煙草を吸わせる。 30分もしないうちに「すーぱ、すーぱ、しあわせー!!」と完全に煙草の虜になった。 さっきの親れいむの様に怒鳴られて煙草の火付け役にされるのも腹立たしいので100円ライターを与えて 使い方も覚えさせる。 手もないのにどうやって使ってるんだろう。まったくもって適当な生き物である。 2,3日監察下に置く。 どうも、まりさ種はれいむ種よりもニコチンに強いらしく、まったく身体に異常が出ていない。 ただ、依存は同程度であるので、実験には問題ない。 ただ、ニコチンの影響なのか、やっぱり口や態度が悪くなる。 もはやゲスといえるレベルだ。 もとはほかの家族を気遣うやさしいゆっくりだったのに、今は目の前に転がる自分のパートナーであった れいむの死体にすら心を動かさないばかりか、死体を灰皿として使い始めた。 ゆっくり達を飼っている部屋に行き、やもめのぱちゅりーと、その子どもたちを連れてくる。 大きめの飼育ケースに十分なエサと小屋と本を入れておく。 半日ほどすれば、環境の違いにも慣れ、ゆっくりしだした。 ぱちゅりー種は虚弱で環境の変化に敏感なので注意が必要だ。 さて、ぱちゅりー一家が十分新しい環境に慣れたようなので、喫煙まりさを投入することにする。 「やぁ、ぱちゅりー。このまりさが君の新しいパートナーだよ。前のまりさが忘れられないかもしれないけど 子どもたちのためにも新しいまりさと夫婦になったほうがいいよね?」 このぱちゅりーは、まりさを事故(私がゆっくり部屋を出るときにうっかりドアに挟まれた)で失っている。 餌が与えられる飼いゆっくりなので、やもめでも生活できるのだが、やはりパートナーがいない状態というのは 不安になるようで、私に再婚できる相手を探して欲しいと言っていたのだ。 「むきゅっ!ありがとう、おにいさん。早速お見合いするわね!」 「ああ、わかったよ。ほら、まりさ。」 まりさを飼育ケースに投入する。煙草とライターも忘れずに入れてやる。 「ゆへへ…なかなかかわいいぱちゅりーだぜ。」 「むきゅ!なんてワイルドなまりさなの!」 ぱちゅりーには今まで見たことがない物を吸っているまりさが格好よく見えた。 口調が荒いのも、ワイルドと感じる。 恋は盲目、である。 「お互い気に入ったみたいだね。これからは二人でゆっくりしていってね。」 あとは飼育ケースを閉じ見守るだけである。 「みんなでておいで!あたらしいぱぱよ。」 ぱちゅりーは小屋の中に待たせていた子ども達を呼ぶ。 子ぱちゅりー3匹と子まりさ1匹が小屋から出てきて、喫煙まりさに挨拶する。 「ゆっきゅりしていっちぇね!!」 「ああ、ゆっくりしていくんだぜ。」 まりさは子ども達にはあまり興味なさげに煙草をふかしている。 このケースには空気穴があるので煙草の煙が充満することはない。 よっぽど近づかない限り煙の害にさらされることはない。 子まりさがその好奇心から、まりさが咥えている物に興味を示す。 「おとーしゃん。それはなにをたべちぇるの?」 しかし、まりさはその質問には答えない。無視してすーぱ、すーぱ、とふかしている。 まりさはすっきりするための相手が欲しかっただけなのだ。 だから相手の連れ子などに興味もないし、むしろ鬱陶しく思っている。 何を言っても無視されるので、子まりさは黙ってしまった。 そのうちに、まりさの傍にある煙草の箱に興味を示した。 「ゆゆ?なにきょれ?」 箱の中から棒状のものが覗いている。 子ゆっくりがそれに触ろうとしたその時である。 「それはまりささまのたばたばだぜ!!さわるんじゃねぇぜ!!」 先ほどまで何も言わずに煙草をふかしていたまりさが大声をあげて飛び上がる。 「ゆびゅっ!!?」 次の瞬間子まりさは、まりさの巨体につぶされ死んでしまった。 しかし、まりさは攻撃の手を止めない。 「まりささまのたばたばをとろうなんてとんでもないくそったれのどろぼうぱちゅりーだぜ!!おしおきしてやるぜ!」 子まりさの死体をぐちゃぐちゃと踏みにじる。 ぱちゅりー達は何が起こっているか一瞬わからず呆けていた。 しかし、目の前の惨事に気を取り直したとき、飼育ケースの中はパニックになった。 親ぱちゅりーが泣きながらまりさに食って掛かる。 「ばりざなにじでるのー!!!!どぼじでぱぢゅりーのこどもころずの゛ー!!!?」 大切なあのまりさの残した子が、見るも無残な姿になっていたとあっては、いかに聡明なぱちゅりーでも 平静ではいられない。 しかし、まりさは非情である。 「けっ!このうすぎたないがきがまりささまのたばたばにさわったからおしおきしたんだぜ! まったく、おやのかおがみたいんだぜ!!」 ぱちゅりーへの批判すらし始める。 「おねーしゃんをかえちてね!!」 「むきゅーー!!」 「おかあしゃんのわるきゅちをいうげすなまりちゃはちね!!」 姉妹を殺された子ぱちゅりー達が一斉にまりさに非難を浴びせて、体当たりをしかける。 しかし、体が強い大人のまりさに貧弱な子どものぱちゅりーの体当たりなど効くはずもない。 たとえ3人がかりだったとしても。 「うっおとしいぜ!!まりささまのすぱすぱをじゃまするわるいぱちゅりーはこうしてやるぜ!!」 まりさは一匹の子ぱちゅりーを捕まえると、くわえた煙草の火を押し付けた。 根性焼きである。 「む゛ぎゅーーー!!!!!!!!!!」 根性焼きをされた子ぱちゅりーはあまりの熱さに悲鳴をあげ、ショックで生クリームを吐き死んでしまった。 親ぱちゅりーはまた一匹、子を殺されたショックで白目をむいて立ちすくむ。 残された2匹の妹達は、さらに怒りまりさに体当たりを続ける。 しかし妹達の体当たりは当然まりさには通用せず、逆にまりさのストレスを加速させるだけであった。 「いいかげんにするんだぜ!!まりさのすぱすぱのじゃまはさせないんだぜ!!」 まりさは体をぷくーっと膨らませて煙草を吸った。そして足元にぶつかってくる子ぱちゅりーに 思いっきり煙を吐きかけた。 すると、突然二匹の子ぱちゅりーが咳きこみ苦しみ始めた。 どうやら、煙草の煙を吸って気管が狭くなりぱちゅりー種の持病である喘息の発作を起こしたようだ。 「げほげほっ!!!ぐぇっ!お゛え゛ぇぇええ!!」 「むぎゅっ!!…ぐるぢぃ…げほっ!」 二匹の子ぱちゅりーはその場にうずくまり、苦しんだ。 呼吸音がひゅーっひゅーっという喘息時独特のものなり、時折えずいた。 子ども達が発作に見舞われたのを見て、親ぱちゅりーが正気に戻り、駆けつけて背中をさする。 しかし、時すでに遅し。 すぐに、片方の子供はクリームを吐きだし死亡。もう一匹も呼吸困難ですぐに姉妹の後を追った。 残された親ぱちゅりーは涙する。 愛し合った前のまりさが残した大切な子ども達がすべて死んでしまった。 天国のまりさに申し訳が立たない。子ども達を守ってやれなかった自分の不甲斐なさを呪う。 子ども達への謝罪の言葉を呟きながら、ほんのりと乳の香りのする涙を零した。 しかし、まりさはその光景を嘲笑った。 「げらげらげらげら!!!まりささまのすぱすぱをじゃまするからそんなめにあうんだぜ!!これで じゃまされずにすぱすぱできるんだぜ!す~ぱ、す~ぱ、しあわせぇ~!!げらげら!!」 ぱちゅりーはまりさを睨む。 自分がこんなゲスと再婚したから、子どもたちが死んでしまったのだ。 まりさが憎い。 しかし、ぱちゅりーには分かっていた。まりさには絶対に敵わないことを。 だから、やさしいお兄さんが次に来たときにこのゲスを殺してもらうよう頼もうと思った。 自分の無力さと、自力で仇を討てない悔しさに包まれながら子ども達の亡骸に寄り添い、 さめざめと泣いた。 まりさは、反対にご機嫌だった。 邪魔な連れ子を全員始末できたこと、邪魔されずに喫煙できること、そしてぱちゅりーという性処理の道具を 手に入れたことに。 一服ふかし終わると、早速まりさはぱちゅりーに詰め寄った。 「ゆへへ…ぱちゅりー、まりささまはすっきりしたくなったんだぜ。」 ぱちゅりーは強く拒否する。 「むきゅー!こないで!!ひとごろしのまりさ!!」 しかし、まりさは全く気にかけず、強引にぱちゅりーを組み敷く。 「ゆへへへ!!まりささまのふとくてでかくてりっぱなぺにぺにですっきりさせてやるぜ!!ありがたくおもうんだぜ!」 そういうと、まりさはぱちゅりーのまむまむにぺにぺにをあてがった。 しかし、 「ゆへへ!!んっ!?」 「いや!やめて、まりさ!!って、むきゅ!?」 二匹は何とも言えない違和感を感じた。 ぱちゅりーは、自分の中にねじ込まれるであろう、ゲスの悪根が入ってこないことに。 まりさは、自慢のぺにぺにがいつものように大きく硬くならないことに。 「ゆっ!!?なんだぜ?いつもみたいにおっきくなるんだぜ!!かたくなるんだぜ!!」 まりさは自身のぺにぺにに檄を飛ばす。 しかし、体の下部からぶら下がったそれは、ピクリとも動かなかった。 どうやら煙草の吸い過ぎで勃起不全、つまりインポテンツになってしまったようだ。 まりさは必死になってぺにぺにを叩いてみたりぱちゅりーに擦りつけたりして臨戦態勢にさせようとしている。 「なんでたたないんだぜ!!?ぱちゅりー!!ぺにぺにをくわえてなぐさめるんだぜ!!」 まりさは強引にぱちゅりーの口にぺにぺにをねじ込んだ。 その瞬間、ぱちゅりーはあることを思いついた。 やわらかいぺにぺになら、自分にも噛みちぎれるのではないかと。 「むきゅーっ!!!!!!!!!!」 ぱちゅりーは全力でまりさのインポぺにぺにに噛みついた。 たとえぺにぺにを噛みちぎられて逆上したまりさに殺されても構わないと思った。 ただ、子ども達の無念を晴らすために、一矢報いてやろうと考えたのだ。 「ゆ゛ぎゅ゛ぅぅううううう!!!!!??何するんだぜーーーーーーーっ!!!??」 強かにぺにぺにを噛まれたまりさは、ぱちゅりーを何とか振りほどこうとする。 しかし、死に物狂いのぱちゅりーは噛みついたまま決して離そうとしなかった。 しばらくの間、攻防は続いたが、まりさが体を大きく振り回したとき、ついにぱちゅりーは 引きはがされてしまった。 壁に打ち付けられ力尽きるぱちゅりー。 しかし、奇妙なことにまりさもそのままばたりと倒れて動かなくなってしまった。 飼育ケースの蓋を開けて、二匹の死体を検める。 すると、ぱちゅりーの口の中からまりさのぺにぺにが出てきた。 そう、ぱちゅりーは最後まで口を放しはしなかったのだ。 遠心力でまりさのぺにぺにが引きちぎれてしまったのだ。 不幸にも、壁に打ち付けられた際に命を落としてはしまったが、ぱちゅりーはまりさに勝利したのだ。 まりさの死体を調べてみる。 ぺにぺにの痕からは少量の餡しか漏れ出ていなかった。どうやら失餡死ではないようだ。 表情は苦悶の相ではあるが、ショック死のように白目を剥いてはいない。 後日、ゆっくり外科の知り合いに検死してもらったところ、死因は脳卒中だった。 煙草の喫煙と、激しいストレス、ぺにぺにを噛みちぎられたショックによって起こったのだという。 かくして実験は終わった。 私は今回のことをつぶさにまとめ、発表した。 この論文は、ゆっくりと人間の身体的構造があまりにも違うため、煙草の健康被害についてはあまり評価されなかったが ゆっくりん・ピースから少しの謝礼金と、数多の虐待お兄さんからの感謝の声を受けた。 前者は、ゆっくりを煙草の被害に晒さないための研究として。後者は、新たな虐待の方法として。 私は少しの謝礼金を手にビデオ屋に向かう。 コンスタンティンを返却し、またあらたな作品を借りるため。 いやぁ、映画って本当にいいものですね。 終。 あとがき 今回初投下です。映画シリーズで続けていきたいなぁ このSSに感想を付ける