約 5,590,494 件
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/654.html
※これはfuku1783 ゆっくり腹話術(前)の続きになります 子れいむと親れいむを失い、残り四匹となったゆっくり一家の後を追う。 親れいむが人間に連れ去られたショックはあるものの、ゆっくり一家にあるのは悲壮感ばかりではなかった。 残ったものが死んでいったものたちの分までゆっくりしよう、という思いなのだろう。 「ゆぅ、おにゃかちゅいたね…………」 ポツリ、と子れいむが呟いた。 「「ゆぅ……」」 その言葉に賛同するように声を漏らす二匹の子まりさ達。 このゆっくり一家は食べ物を求めて人里にやってきたが、狙った食べ物にはことごとくありつけなかった上に死ぬかもしれない思いまでしている。 空腹は既にかなりのものになっていることだろう。 腹を空かせる我が子の姿を直視できないのか、なんでもいいから食べ物を探そうとしたのか、親まりさは視線をキョロキョロと辺りに飛ばす。 すると、 「お~い、ノブナガ~。メシだぞ~」 近くの民家から一人の老人が皿を持って外へ出てきた。 どうやら飼っている犬にエサを与えに来たようだ。 老人が犬小屋の前にエサを盛った皿を置くと、バネ仕掛けのおもちゃのように勢いよく一匹の柴犬が犬小屋から飛び出してきた。 ガツガツと勢いよく食べる飼い犬の姿を満足そうに眺めた後、老人は家の中へと戻っていった。 「「「……………」」」 視線をゆっくり達へ戻すと、案の定というか子ゆっくり達は羨ましそうに犬のエサを見つめ、口の端からはだら~、とよだれまで出ていた。 親まりさも私と同じくその姿を見たのか、 「ゆっ、まりさにまかせてね。いぬさんからごはんをもらってくるよ!」 そう子ゆっくり達に言い残してすぐさまその場を駆け(跳ね)だした。 本来は人里の美味しい食べ物を狙いにきたのだろうが、犬のエサまで狙うとは。 余程腹を空かせていたのだろう。 「ゆっ、おとうしゃんがんばっちぇね!」 「むのうなおかあしゃんとはちがうもんね!」 「いぬしゃんなんかぶったおちちゃえ!」 親まりさの背後からは子れいむや子まりさの声援。 その声援を受け親まりさは犬のもとへ向かう速度を更に加速させると、そのままの勢いで食事中の犬のどてっぱらに体当たりを仕掛けた。 「ゆぉぉぉぉぉぉ!!」 「キャウンッ!?」 突然のことに思わずよろめき、その場から退く犬。 それを自分の勝利と思ったのか、親まりさは子ゆっくり達に「みんな~、おいで~。ごはんだよ~」と呼びかけていた。 「やっちゃー、さすがおとうしゃん!」 「おなかちゅいたよ~」 すぐさま親まりさの元へ結集する子ゆっくり達。 そしてゆっくり一家は犬のエサが盛られた皿に一斉に殺到した。 「「「む~しゃむ~しゃ、ちあわせ~」」」 犬のエサといえど野生のゆっくりの常の食事に比べれば豪勢だ。 子ゆっくり達の幸せそうな顔を、子の幸せは我が子の幸せだという顔で見つめる親まりさだったが、自分も腹を満たさねばと皿のエサを食べようとするが 「バウッ!!」 犬の鳴き声に驚き飛び上がった。 「ゆっ、ゆっ!? び、びっくりさせないでね! これはまりさたちのごはんなんだからいぬさんはさっさと────い゛だい゛いいい!!!!」 親まりさは抗議の声をあげたが、犬に言葉が通じるわけもなく、頭の一部を噛み千切られていた。 噛み千切られ失った左半分の頭部からは餡子が漏れ出ている。 「ゆっ、おとうしゃん!?」 「おとうしゃんににゃにするのぉぉ!!」 「だめぇぇぇぇ!! にげてぇぇぇぇ!!」 親の仇だ、と犬に突進しようする子まりさ達を諌める親まりさの声に、この犬も人間同様敵わぬ相手と悟ったのか、すぐさま逃亡を図る子ゆっくり達。 親まりさも噛み付かれたが頭部は千切られていたため、すぐにその場を離れることができた。 だが、子れいむが一匹、逃げ遅れていた。 犬から一番遠い位置に居て、犬に突っかかろうともせずに逃走の体勢に入っていた子れいむ。 本来ならば真っ先に逃げられていたであろうが、子まりさが子れいむを踏みつけていったため逃げ遅れていたのだ。 「ゆっ~、まっちぇぇ!」 背後からは犬が外敵を排除せんと追ってきている。逃げ遅れている自分。 恐らく子れいむは最初に死んだ自分の姉妹のことを思い出していたことだろう。 しかし、ここで子れいむを殺してしまっては私の計画が狂ってしまう。 私は子れいむを踏みつけていった子まりさに狙いを定めると、『腹話術』を使用した。 「ゆっ!? 〝ガメラが飛ぶ時の回転数すごすぎぃぃぃぃぃ!!!〟」 『腹話術』をかけられた相手はその間気を失う。 つまり、気を失った子まりさの足は止まるということだ。 足の止まった子まりさを追い抜いていく子れいむ。 理由は分からないだろうが助かったので特に気にすることはないだろう。 「…………ゆっ!? なんでれいむがまえにいりゅ────ゆ゛ーーーーー!!!!!」 子まりさが気が付いた次の瞬間には、子まりさは犬に咥えられていた。 「いだいよ゛ぉぉぉぉ!!! おどうじゃんだずげでよ゛ぉぉぉ!!」 噛まれ、宙に浮く子まりさは泣き叫び親に助けを乞う。 しかし親まりさは無力である。ゆっくりが自分より体の大きいものに敵うはずもない。 「ゆっ、ゆっ……!」 犬は鎖に繋がれているため鎖の長さ以上の距離を逃げている親まりさ達は襲われることはない。 だが犬の行動範囲内に飛び込もうものなら今度こそ問答無用に殺されてしまうだろう。 子まりさを助けることは最早不可能だった。 「ゆ゛っ、ごべんね、ごべんねぇぇぇぇ!!」 親まりさは涙を流しながら子まりさを見捨てた。 残った子まりさと子れいむを連れて全速力でその場を逃げ出したのだ。 「ゆっ、おとうしゃん、まりさのいもうちょがぁぁぁぁ!!!」 「だめだよぉぉぉ!! みんなしんじゃうよぉぉぉ!!」 親まりさに咥えられた子まりさは犬に咥えられた子まりさを助けるよう求めるが、それは叶わぬ願い。 子れいむも子まりさを助けようとしたのかいくらか逡巡していたが、やがてどうやっても助けられぬと分かったのか去り行く父親達の後を追っていった。 「どぼぢでぇぇぇぇ!!! なんでまりしゃを……ゆがべぺ……ゆ゛っ!!」 助けられなかった子まりさは、身の程を弁えぬ所業と身内を蹴落とすという外道な行いの報いを受ける。 子まりさは少しずつ咀嚼されるという苦しみの中息絶えていった。 その死に顔は私の胸がすっ、とするほどの絶望と苦しみに彩られていた。 「…………くふっ」 思わず笑いが漏れる。 遂に半分にまで数の減ったゆっくりの一家はその歩を人里の中心に向けていた。 だが当人達は気づいてないだろう。ただ襲い来る脅威から逃げていただけにすぎない。 やつらは気づいていない。自分達から危険に近づいていることに。 「……ゆっ? おとうしゃん、いいにおいがするよっ!」 それまで俯いてしょこしょこと小さく跳ねていた子まりさがその場で嬉しさを表現するように跳びはねた。 言われ親まりさと子れいむもその場で立ち止まり鼻(?)をひくひくさせて臭いを嗅ぎ取ろうとする。 「ゆっ、ほんちょだ! おいちしょうなにおいがしゅるよ、おとうしゃん!」 「ゆゆっ、ほんとうだね! こっちからするよ! ゆっくりできるよ!」 それまで沈んでいた家族の間に笑顔が戻ってきた。 ゆっくり一家はその笑顔のまま臭いのする方へとぴょこぴょこと進んでいった。 だがゆっくり一家がその先で「しあわせ~」になることはないだろう。 ゆっくり達の向かった先、「いいにおい」の出所は、焼き鳥屋だった。 私もよく行く馴染みの店だ。 夜になると人間や妖怪達が一緒に酒を飲み騒いでいる。 今日も店の中からは様々な笑い声や上手そうな焼き鳥の匂いが漏れ出ている。 中の者だけではなく近くを通りかかった外の者まで陽気にさせる、私の好きないつもの雰囲気だった。 「ゆっ、ここからおいしそうなにおいがするよ」 「ゆっ♪ ゆっ♪ これでゆっくりできるね~♪」 パンドラの箱に残った希望を見つけた人間のような表情をしながら焼き鳥屋の方へと跳ねていくゆっくり一家。 焼き鳥屋の入り口は引き戸なのでゆっくりには開けられないかと思ったが、誰かが閉め忘れたのか若干開いており、そこに親まりさが自分の頬を突っ込んでむりやり戸をこじ開け入っていった。 私は店に入るか入るまいか若干迷ったが結局入ることにした。 「ゆ~♪ おいちちょ~♪」 中に入ると子ゆっくりが歓喜の声をあげていた。 店の者達は入ってきたゆっくりを気にもとめず(というか気づいていない)皆好き勝手に飲み騒いでいた。 まだ日が沈んでから一刻も経っていないというのに気の早い連中だ。 ぴょこぴょこと跳ねながらゆっくり一家はカウンター席の方へと向かっている。 私もゆっくりの後に続いてカウンター席へと向かう。 普通に歩いてはゆっくりを追い抜いてしまうから牛歩戦術だ。 ゆっくり一家はカウンター席の下まで辿り着くと、親まりさが空いている席の椅子へとジャンプした。 そして椅子からカウンターへと再びジャンプ。カウンターの上に乗った親まりさはカウンターの向こう側で焼き鳥を焼いている店主(私達は敬意と親しみを込めて〝マスター〟と呼んでいる)に向かってこう要求した。 「ゆ~、おじさん! まりさたちにもごはんちょうだいね!」 どうやらマスターが客に注文された酒や焼き鳥を渡すのを見て、マスターが食べ物をくれる人だと勘違いしたようだ。 「おぉう? なんだ、ゆっくりじゃねぇか」 親まりさにマスターよりも先にすぐ隣の席で酒を飲んでいた客が気づいた。 って、誰かと思えば飲み癖と悪食とロリコン趣味で有名なタケさんじゃないか。 流石に稗田家の当主はやめておいた方がいい、と今日こそ言うべきか? 「なんだ? 誰がゆっくり入れたのは」 タケさんが親戚のわんぱく坊主でも見るかのような反応を示したのに対し、マスターは明らかに不機嫌そうだった。無理もないか。 「いや、店の戸が半開きだったんですよ」 タケさんの隣の席に座り、誰かに濡れ衣が着せられる前に私がフォローに入った。 「おぉう、なんだ、お前がゆっくりを連れてきたのか? ……ゥィック」 「違いますよ」 やんわりと否定しておく。どっちかっていうとゆっくりが私を連れてきたようなものだ。 というかタケさんもう酔ってるんかい。 「ゆっ! ゆっくりむししないでね! さっさとまりさとまりさのこどもたちのためにごはんをよういしてね!」 見ると親まりさがその体を膨らませて怒っていることをアピールしていた。 それを見てタケさんがゲラゲラと笑い、マスターが更に不機嫌そうな顔になり、私の虐待エナジーが高まる。 「ちょうだちょうだ! さっさとまりしゃたちにごはんをよういしてね!」 カウンター席の下、タケさんの足元で子まりさも親に続き抗議の声をあげる。 タケさんがその声で子ゆっくりが居ることに気づき視線を下に向け 「おぉう、ちみっこもいるのか~」 と陽気に笑った。 …………決めた。 親まりさ、貴様を潰すのは後だ。 ここでは子まりさを潰す。 私は『腹話術』を、今度はゆっくりではなく、タケさんに向けて発動させた。 「〝おぉう、マスター! ちょいとこの子ゆっくり焼いてくれや!〟」 「「ゆっ!?」」 親まりさと子まりさが跳ね上がる。 私は『腹話術』をかけられ自分が注文したことを知らないタケさんに代わり、床にいる子ゆっくりを拾い上げた。 「ゆっ!? まりしゃをどうちゅるの! ゆっくりはなちてね!」 「はなちぇ~!!」 掴まれた子まりさがジタジタと身をよじり、側にいた子れいむがピタンと体当たりをしかけるが効果は無し。 なんの障害もなく子まりさは私からマスターへと手渡された。 「まったく、タケさんの悪食っぷりは相変わらずだねぇ」 マスターはそうぼやくだけで特に疑問ももたず子まりさの調理にかかった。マスターも馴れたものだ。 「まりさのごどもがえせぇぇぇぇぇ!!!」と私が子まりさを掴んだあたりから親まりさが騒いでいたが、タケさんが面白がって押さえつけていたので何もできていない。 マスターは子まりさを軽く水あらいして「ゆぐがぼべっ!!」、さっと振って水気を飛ばすと「ゆゆゆっ!?」、焼き鳥を焼く金網の上に子まりさを乗せた。 「あ゛ぁぁぁつ゛つづっっいいいぃいぃよおおぉぉ!!!」 ボロボロと涙を流す金網の上の子まりさ。零れ落ちた涙はすぐにジュッと蒸発する。 なんとか金網の上から逃れようとするもマスターが上から菜箸で押さえつけているため動けない。 「ゆぎゃ"ぁ"ぁぁ"!!!ま゛り゛ざのごどもがぁぁぁ!!いぎゃ"ぁ"ぁ"!! タケさんに押さえつけられている親まりさがカウンターで泣き叫ぶ。 ガハハハハハと笑いながらタケさんに押さえつけられている無力な親まりさは素晴らしい程に滑稽だった。 「ぶわっはっはっはっは」 とついつい私も笑ってしまう。 私のことを知らない他人が見ればどこの大根役者だと思うことだろうが。 「おどうじゃん、だずげでよぉぉぉ!!! いぎゃ"ぁ"ぁ"!! まりじゃのあぢがぁぁぁぁ!!」 金網の上で泣き喚く子まりさを、マスターは無慈悲に菜箸で転がす。 今度は顔面が金網のつく形になった。 「ゆ゙ーーっ゙!!! も゛う゛や゛め゛でえ゛えええ!!」 ハッキリ言って煩いが顔面を焼かれているためすぐに大人しくなるだろう。 もう一つのうるさい親まりさはと言うと 「グワッハッハッハ、なんだお前、頭ないじゃんぶわっはっはっは」 と欠けた頭部からタケさんに箸を突っ込まれ頭の中の餡子をグチャグチャにされていた。 「ゆ゛! ゆ゛! ゆ゛! ゆ゛…!」 なんだか白目を向いて痙攣していた。はっきり言って気持ち悪い。キモイじゃなくて気持ち悪い。 「へい、焼きゆっくり一丁!」 やがて子まりさが焼き上がり小皿に乗せられタケさんの前に置かれた。 「ま"り"ざのごどもがぢんじゃっだぁ"ぁ"ぁ"!!どぼじでごんなごとずるのぉ"ぉ"!!」 「あれ? 俺焼きゆっくりなんて頼んだっけ?」 「なんだい酔っ払いすぎだよタケさん」 「そうだよタケさん、酔いすぎだよ」 焼きゆっくりの注文は私が『腹話術』で頼んだためタケさんは覚えているはずがないのだが、マスターの言葉尻に乗って酔ったせいにしておく。 「んあ~、そう言われれば頼んだ気も…………でもいらねぇや」 タケさんはそう言って子まりさを掴むと床に叩きつけて草履の踵部分でグリグリとすり潰した。 その光景を子れいむは間近で見ることになったことに、私は気づいていた。 「あぁ、もう。やめてくれやタケさん、掃除するの俺なんだから」 「おっと、わりぃなマスター。代わりにもう一杯くれや」 「何が代わりなんだか」 「ゆぐ……ぐずっ……なんでごんなごどするのぉ……まりざのごどもがぁ……」 「なんだ、まだいたのかこのゆっくり」 「あ、私が外に出しておきますよ」 マスターの不機嫌が本気でヤバい段階にいきそうだったのでマスターに潰される前に私は親まりさを抱えて外に向かっていく。 もちろん子れいむも忘れずに足で外へと蹴飛ばしながらだ。 「飲みにきたんじゃないのか?」 「焼き鳥を家で食おうかな、と思っただけです。後でまたとりにきますから焼いといてください」 「あいよ」 成り行きで今晩の飯が決まった。 だが飯の前に、最後の仕上げだ。 ふっふっふっ、最後は私自ら手を下そうぞ。 どこのラスボスだよ。 私は親まりさを抱え子れいむを蹴りながら焼き鳥屋と隣の酒屋の間の狭い路地に入った。 その間親まりさを子れいむも子供のようにボロボロと涙を流し続けていた。 「さて、と」 子れいむを蹴飛ばすのをやめ、子れいむの脇に親まりさを置いた。 ゆっくりと視線を合わせようと、その場にしゃがみこむ。それでも私の方が視線が上だが。 「おいゆっくり。なんでこんなことになっているかわかるか?」 「ゆっ、ゆぐっ……まりざのごどもがぁぁぁ……」 「質問に答えろよクズ饅頭」 親まりさの口に拳を突っ込む。喉までだ。 そして体の奥底の餡子を一握り掴むと勢いよく引っ張り出した。 「ゆべぇぇぇぇぇ!!!」 叫び、咽る親まりさ。 その顔に親まりさの体から抜き出した餡子を叩き付け、もう一度問う。 「なんで、こんな、ことに、なって、いるか、わかるか?」 脳の足りないゆっくりにも分かりやすいように一語一語区切りながら。 それで流石に理解したのか親まりさは泣きながら答えた。 「ゆぶっ、にんげんだぢがまりざだぢのじゃまずるがらだよぉぉぉ!!」 「残念、不正解だ」 罰として今度は親まりさの歯を引っこ抜いてやる。 もちろん道具など使わない。素手だ。 左手で上顎を掴み、右手で前歯の一本(歯は飴だった)を情け容赦なく引っこ抜いてやった。 「ゆぼぉぉぉ!?」 「ゆゆっ、おとうしゃん!!」 それまで親まりさの後ろでガタガタ震えていただけの子れいむも恐怖を忘れて親まりさを心配する。 だが子れいむ。貴様は今は後回しだ。 「正解を教えてやるよ」 私はそう囁きかけながら引っこ抜いた歯を親まりさの右目にぐりぐりとおしつけてやる。 「ゆがっ、べぽ……ぜいがいっでな゛に゛ぃぃぃぃぃ!!!」 「お前らが身の程も弁えず人間の里に来たこと。それと家族を見捨てたことだ」 親まりさはその言葉でカッと目を見開く。何故知っているのかという顔だ。 だが今はそこを言及する場合ではないと分かっているのか、口にしたのは弁解だった。 「ゆっ、だっで、だっで、ごはんがもうないんだよっ! にんげんのごはんをもらわないといぎでいげないんだよっ!」 「それはお前等の怠慢だ」 罰として頬をちぎってやる。 「ゆ゙ーーっ゙!!! …………ぞ、ぞれに、みずでだわげじゃないんだよっ! あぁじないど、みんなゆっぐりでぎないがら、じがだがなかったんだよっ!」 「ほぉ、つまりお前は多数を助けるために少数を尊い犠牲としたと?」 「ゆ゛っ! そうだよ! まりさはかぞくをたすけるためにしかたなく────!」 私は親まりさの行動を思い返す。 確かに、親れいむほど悲しみに打ち震えていなかったが、子まりさほど死んだ者を罵倒してもいなかった。 子れいむの足を引っ張って死なせたのも子まりさだ。親まりさじゃない。 親のほうのまりさは、割といい親だったのかもしれない。 こいつの言い分を鵜呑みにするならば、必要以上に悲しみに暮れなかったのも、一家の大黒柱の責任故だったのかもしれない。 でもそんなの関係ねえ。 「でもな、まりさ?」 「ゆっ?」 「そのまりさが助けたようとした家族、子れいむ以外みーんな死んじゃってるけど?」 「ゆっ!? ゆゆゆゆっ……!」 私の言葉にガタガタを震える親まりさ。 気づいたのだ。多数を助けるために少数を犠牲と成すやり方で、助かったのは少数なのだと。 「で、でもっ! れいむはいぎで────」 「こんなクズな親のもとにいたられいむゆっくりできないから、この子は私がもらっていくね?」 「「ゆっ!?」」 それまで黙っていた子れいむまで驚愕する。 そんなゆっくりには構わず私は子れいむを掴むと着ていた服の懐に入れた。 くぐもった「ゆ゛っーーー!!」とした声がわずかに聞こえてくるが無視しておく。 「ゆ゛ぅぅぅぅ!! ゆっぐりやめてね!!! まりざのごどもがえじでね!!」 子供を取り返そうと飛び掛ってくる親まりさの顔面を掴んでやると私は立ち上がり、そのまま表まで歩いていった。 手の中で「ゆがぁぁぁぁ!! はなぜぇぇぇぇ!!」と親まりさが喚いている。 吐息が気持ち悪かった。 私は人里の中を親まりさを掴んだまましばらく歩く。 道行く人、妖怪が親まりさの叫びに気づいてこちらを見やるが、私がゆっくりを掴んで歩いているのを見ると「なんだ、ただの虐待お兄さんか」と視線を外した。 そして私は人里の中で、二つの通りが交差する場所まで来ると、親まりさを地面へと落とした。 「ゆべっ!?」 ずでん、と転がる親まりさを一回蹴った後、私は懐からさっきの子れいむを取り出した。 「ゆっ! れいみゅをかえちてくれりゅの?」 無視。 「さてまりさ。選ばせてやる」 「ゆっ、ゆっ、まりざのごどもをがえ────」 「黙れクズ饅頭。喋っているのは私だ」 まともに会話できそうにないので口元を踏みつけて黙らせた。 しばらく「ゆ゛ーーー!! ゆ゛ーーー!!」と身を捩じらせていたが私が足をどけないと分かると少し静かになった。 「さて、お前に選ばせてやる」 そういいながら手の中の子れいむを眼前に突き出してやる。 子れいむも煩いので指を口に突っ込ませて黙らせている。 「お前があくまでこいつを返して欲しい、と私に戦いを挑むのであれば、こいつは死ぬ」 「「────っ!?」」 ゆっくりの目が見開かれる。 「だが、お前がこいつの命を助けて欲しいと願うのであれば、私はこいつをゆっくりさせてやるし、お前も逃がしてやろう」 私はそこで足をどけてやる。 「ゆっ! おじさんほんと!?」 「おにいさんだクズ饅頭」 口に蹴りをぶち込み歯を二、三本折ってやる。 「あぎゃぁッああ!! …………ゆ゛っ、おにいさん、ほんどう? そのごゆっぐりざぜでぐれる?」 「ああ、もちろんだとも」 「このまままりざががえれば、そのごゆっぐりでぎるの?」 「その通りだ」 このやり取りの間、子れいむはずっと声も出せず泣いていた。 目の前で親が見るも無惨にやられている。 悔しいのか、悲しいのか。 私にとってはどちらでもどうでもいい。 ただ指にたれてきた涙の生暖かさが、こいつは〝私流〟にゆっくりさせてやろうと決意させただけだ。 私は親まりさの頭をつかむと後ろを向かせてやった。 「道が二つある。どちらでも好きな方へ行って帰れ」 そう言ってやると、親まりさはしばらくその場で悩んだ。 だが、答えはもう決まっているだろう。 「ゆ゛っ、わがっだよ。まりざはおうぢがえるよ。だから、まりざのごどもゆっぐりざぜてね?」 「ああ、約束だ」 「じゃあね…………バイバイ……」 そう呟く親まりさの語尾は尻すぼみに消えていった。 やがてとぼとぼと左右のうちの右の道から里の外へと向かっていく親まりさ。 私は子れいむの口を塞いでいる指を抜いてやった。 「ゆぐっ……! おとうしゃぁぁぁぁぁん!!」 親を呼ぶ子の声。 今生の分かれとなる親子の、最後の会話。 親まりさは子れいむの声に振り返ると、くしゃり、とその顔を涙で崩すと、精一杯の声で叫んだ。 「ゆっくりしていってね!!!」 それで最後。 親まりさは子れいむの反応も見ずに全力で駆け出した。我が家へと。 親まりさの選択は正しかった。 命あってのものだねだ。 最後は二匹になってしまったが、全滅はしていない。 あの親まりさも私が見逃してやったことによって、やがてまた新しい所帯を持つことだろう。 この悲劇を教訓に、次こそゆっくりとした生涯を送るであろう。 次こそ、そう次こそ────。 「見逃してあげても、よかったんだけどねぇ」 君が悪いんだよ、まりさ。 私は選ばせてやった。〝どちらの道で帰るか〟を。 なのに君はそっちを選んだ。 あぁあ、なんてこったいまりさ。 君が逆の道を選んでいれば、幸せになれたかもしれないのに。 君が、いけないんだよ。 君がそっちの道を選ぶから 「君は、彼女へのプレゼントだ」 親まりさが選んだ道。 そこにはある伝統の家系の家がある。 幻想郷を見続けてきた、幻想郷縁起を編纂してきた名家。 稗田家が、ある。 全力で駆けるまりさが、稗田家の前に来た瞬間、私はまりさに『腹話術』をかけた。 「〝あっきゅうちゃ~~~ん。あっそびましょ~~~う〟」 おわり 子ゆっくりの運命は…… ───────── あとがきのようなもの コミックス版「魔王」最新刊五巻を読み終わった勢いで書いてしまいました。 そのため文体が安定していないかもしれません、申し訳ありません。 他に書いたもの:ゆっくり合戦、ゆッカー、ゆっくり求聞史紀、ゆっくり腹話術(前) このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/399.html
物心が付いたときからまりさはずっと箱の中に居た。 本当に、箱の外の記憶は無かった。 広さはそれほどではないがそれなり歩き回れる程度の大きさはあった。 普通のゆっくりの巣に比べれば天井は大分高めだろうが広さだけとればそこまで大差は無い。 箱の中には何も無く、ただ定期的に餌が与えられるだけ。 まりさが思うに、生まれてからずっと箱の中に居たような気がする。 一度か二度だけ箱を引っ越したような覚えもある、しかし定かではなかった。 ひょっとしたら産まれてすぐに箱にでも入れられて ペットショップでバラ売りでもされていたのかもしれないが まりさにはそんなことはわかるはずもなかった。 わかるのはまりさが一人ぼっちだということだけである。 そしてまりさは一度も「ゆっくり」と言った覚えさえなかった。 生まれた時くらいは言ったのかもしれない。 だが記憶のある間では一度たりとも「ゆっくり」と言った経験はなかった。 そもそも何か喋ること自体が無かった。 言葉が喋れないわけではない。 ゆっくりは喋る力だけは生まれつき持っている。 だが話す相手が居ないのでは喋っても仕方が無いのだ。 箱の中はまりさの出す音以外物音一つしない。 ただただ静かなだけである。 それも気が狂いそうなほどにだ。 まりさはまだ若いゆっくりだが孤独に心を蝕まれて若々しい覇気とも無縁で暗くさび付いていた。 確かに箱の中にはゆっくりが生きるために必要なものは全て与えられていた。 しかし唯一つ、そこにはゆっくりだけがなかった。 ある時、いつもの時間に餌が与えられずに数時間まりさは放置された。 しかしまりさは別になんとも思わなかった。 そもそも時間の感覚が殆ど無く、ただ空腹を訴える体を不思議に感じていた。 そのままぼーっと空を眺めながらこのままこの感覚に飲み込まれて消えてしまいたいとまりさが思った時 ぶぅん、という不思議な音が耳をくすぐった。 「!?」 まりさは驚いたが、声は出なかった。 余りに長い間聞いたことの無い自分以外の出した音に、喋ることさえ忘れていた。 音のする方を振り向くと緑色をした細身の何かが居た。 逆三角形の頭の二つの角にギョロリとした大きな目が付いていてそれでまりさのことをじっと見つめていた。 胴体からはさらに細い棒が延びていて、一番上から伸びた太めの二つの棒は折れ曲がり 鋭く、何個も何個も棘が並んでいた。 ゆっくりしていない形だと直感的にまりさは思った。 動きもそうだ、二本の棒を擦り合せてくりくりと盛んに首を動かしながらも、目だけは絶対にこちらから視線をそらさない。 そのゆっくりしてなさが恐ろしかった。 「ゆ、ゆっく…ゆっくりして、いっ」 まりさは恐る恐る、その珍客に向かって挨拶をしようとした。 この言葉にどんな意味があるのか 使うべき機会も使ったことも無いまりさにはわかるわけも無い。 だがそれでもゆっくりの本能がそういえと言っていた。 まりさは頬が引き攣りながらも愛想笑いを浮かべようとした。 まりさの口許がぴくりと痙攣した瞬間、緑色のソレは動いた。 「ゆひいいいいいいいいいいいいい!?」 まりさは産まれてから一番大きな悲鳴を上げた。 緑色のソレは背中の薄い板を広げたかと思うと一瞬でまりさの頭の上に乗っかり、肩から伸びた棒をまりさに添え力を入れた。 棒から伸びる鋭い棘が突き刺さり、触れた部分をズタズタにしていく。 初めて感じる痛みにまりさは狂乱し、体を揺すって振り払おうとしたが 強い力で押さえつけられその棒がしっかり皮に食い込んでまるで外れない。 だが皮に噛み付かれて切り裂かれる音を聞きながら、それが恐ろしくて仕方ないのに どこかどうでもいいと感じる自分もいるのをまりさは感じた。 このまま食べられて死んでしまうんだというのを受け入れているまりさがまりさの中に居た。 このまま消えてしまおう、とまりさは思った。 こんな時、他のゆっくりならこういうんだろう。 「もっとゆっくりしたかったよ」 と だがまりさはこう呟いた。 「ゆっくりしてみたかったよ…」 心の底から漏れた呟きだった。 まりさは目を瞑り力を抜いて緑色の何かに身を委ねようとした。 「がんばれ!!」 その時、頭にくっついた虫よりもさらに上の方から声がした。 まりさははっと目を見開いて天井を見上げる。 さっきのような音ではなく、確かに意味を持った声だった。 「ゆ…!?ゆ…!?」 まりさは必死に声の主を探した。 箱の天井の向うに、見たことの無い何かが居るのをまりさは確かに見つけた。 「がんばれ!いくのよ!」 言葉の意味はなんとなくわかった。 それは確か相手を応援するための言葉だった。 呆然とそれを見つめているまりさに それまで忘れていた饅頭皮を棘の並ぶ棒で切り裂かれる痛みが現実感を伴って蘇った。 「ゆ、ゆがああああああああああ!!!!!!!!」 まりさは体を無我夢中で動かして箱の中を暴れまわった。 このまま死んでしまいたくなかった。 声の主と話をしたかった。 まりさは産まれて初めて必死になった。 体を打ち付けすぎて逆に傷口から餡子が漏れるほど激しく箱の中を転がった。 気付いた時、緑のソレはバラバラになって潰れていた。 体の一部は体液を垂れ流してまりさにべったりとへばり付いたままだった。 「あ…あ…!ゆ、ゆっくりしていってね!ゆっくりしていってね!」 はっと我に返ってまりさは慌てて天井を見上げてゆっくりしていってね!と繰り返した。 まりさが初めて心の底からゆっくりしていってね!といえたのがその時だった。 しかしまりさが箱の上を見てもどこにもさっきの人影は見当たらなかった。 まりさはがっくりと肩を落として愕然と壁にもたれかかってぜぇぜぇと息を吐いた。 全身が疲れきっていたが瞳だけは未だに興奮冷めやらずに見開かれていた。 それから、まりさはずっと待っていても餌がいつもの様に与えられないので 空腹で空腹で、耐えかねて遂に恐る恐るバラバラに潰れた緑のソレに舌を這わせてみた。 ぺろり、と舐めるとそれまでの餌とはまるで違う、えぐみや苦味の強い感覚が舌を刺激した。 「はっ…ふっ…」 まりさはそれに怯えながらも、耐え難い渇きを感じついに緑のソレの残骸を口に放り込んだ。 「むーしゃ、むーしゃ、しあわせ~~♪♪♪」 うまかった。 胸のの奥深くからしあわせという言葉が湧き出して口からこぼれた。 無我夢中でバリバリグチャグチャと音を立てながらひとかけらも残さずに緑のソレを食べつくした。 まりさは興奮覚めやらぬまま、ぼーっと天井を見つめた。 ひょっとしたらあの時の人影がまた現れるかもしれないからだ。 まりさは自分と世界が確かに変わっていく感覚に、夜も眠れなかった。 次の日、また餌の時間には箱の中に珍客が現れた。 昨日と同じ、緑色のソレである。 まりさが警戒を怠らないように、ちらりと上を見ると確かに昨日の人影が見えた。 箱はすりガラスのようにざらざらした素材で出来ていて向うを完全に見ることは出来ないが 確かに誰かが箱の壁の向うに存在した。 まりさは今相対する緑のソレ以上にその存在に対して興奮した。 「ゆ、ゆっくりしてい」 「ぼーっとしてないで行った行った!」 まりさの言葉をさえぎってその人影から発せられた声に一瞬考えこんだ後はっとしてまりさは目の前を見た。 緑色のソレが羽を広げ、視界一杯にその逆三角形の顔を突きつけていた。 「ゆぎゃっ!?」 鋭い棒がまりさのおでこの両側を捕らえ、逆三角形の頭から生える牙が蠢きながら眉間に齧りついた。 「ゆぎぎぎぎぎ…!」 皮を切り裂かれる痛みにまりさはうめき声をあげたが、その実内心冷静だった。 そう慌てることは無い。 昨日と同じように壁に叩きつければ勝てるのだ。 まりさは痛みを堪えて、壁に向かって突進した。 「危ない!」 上方から悲鳴にも似た甲高い声が飛び出す。 ドンっ、と壁に頭をぶつけてふらふらとしながらもまりさは上に居る人影に笑みを返して安心させようとした。 その時、ブスリと何かがまりさの背中に突き刺さった。 「ゆびゃっ!?」 予想だにしない痛みにまりさは驚き、後ろを振りかえった。 しかし後ろに居るはずの何かはまりさに何かを突き刺しまりさを捕らえたままで後ろについて動いた。 「ゆぐっ、ぐうううう!」 まりさは今度こそと思って背中から壁に突っ込んだ。 ドシン、と音がすると同時に今とさっき、何が起こったのかを悟る。 頭上でぶうんと音がすると同時にまりさの目の前に緑色のソレは降り立った。 目を丸くするまりさに対して振り返り、鋭いその棒を振り下ろして頬を並んだ棘が裂いた。 「ゆぎっ…!」 餡子こそ出ないものの、斬られて数瞬してからゆっくり、かつ鋭くやってくる痛みにまりさは顔を歪めた。 まりさが驚きでじっとして居ると次々と鋭い棒が振り下ろされる。 再びあの棒で捕らえられるのを恐れまりさは後ろへと飛び跳ねるが緑のソレはそれ以上のスピードでまりさに襲い掛かる。 まりさのやわらかい饅頭皮はその棒が掠るだけで容易に、惨たらしくその表面を切り裂かれていった。 「恐ろしいまでの切れ味の鎌ね!」 ああ、この鋭い棒は鎌というのか… そんなことを思いながらまりさは彼女の声を聞いて昨日、初めてゆっくりしていってね!と言った時のことを思い出した。 思えば、あの時の自分のゆっくりしていってね!、はちゃんと彼女に届いたのだろうか。 声を発した時には、既に彼女の姿は無かった。 きっと届いていない。 ならあの「ゆっくりしていってね!」は独り言のようなものだ。 それで本当にゆっくりしたと言えるのだろうか。 きっと違う、とまりさは思った。 「ま゛だま゛り゛さ゛は゛ゆ゛っく゛り゛し゛て゛な゛い゛のおおおおおおおおおおおおおお!!!」 腹の底から、本当に心を込めた雄たけびが箱の中に響き渡った。 ずっと一人でゆっくりせずに居た自分が、彼女と言葉を通わせて初めてゆっくりすることの片鱗を見たのだ。 あと少しでゆっくりできるに違いないという確信がまりさの中にあった。 彼女と一緒ならきっとゆっくりできる。 彼女に自分のゆっくりを聞いて欲しい。 まりさもゆっくりしてみたい。 だからここで死ぬのは絶対に嫌だった。 ここで死んでしまったらゆっくりには届かず孤独なまま死ぬのだ。 そして傷だらけの体でまりさは飛び上がった。 実際にはそれほど大きなジャンプでもなかったがまりさにとっては空を飛ぶかのように大きな意味を持ったジャンプだった。 緑色のソレは羽を広げ飛翔し、それまでと同じように回避しようとする。 が、飛び上がった瞬間まりさの足にぶつかり、そのまま踏み潰された。 べちゃりという深いな感覚を足に感じまりさははっとしてあたりを見回す。 緑のソレはどこにもおらず、確かにこの下で潰れていることがわかった。 安全を確認し慌ててまりさは天井を見上げて彼女に向かって叫んだ。 「おねえさん!ゆっくりしていってね!!」 彼女は既に背を向けて立ち去ろうとしていたが、今度こそ確かに彼女に伝わったはずとまりさは思った。 鎌で惨たらしく切り裂かれズタボロになった顔で、まりさは最高の笑顔を浮かべた。 その日、まりさは顔が痛くて仕方ないにも関わらずに最高にゆっくりした気持ちで眠りについた。 朝起きて、まず上を見上げた。 あの人影は無かった。 しかし餌の時間に必ず姿を現すことを信じてまりさはわくわくしながら待っていた。 餌との戦いは命がけだが二戦連続で物にして相手を喰らったことがまりさに自信をつけていた。 傷もまだ治りきらず、動けば痛みが走るが負ける気はしなかった。 そして、衝撃で傷口から餡子が噴出してしまうほど何度もジャンプして緑のソレを踏み潰すことに成功した。 途中、餡子が噴出す痛みにくじけそうになったが例の人影から「その調子!」との声援を受けてなんとか自分の戦法を信じて頑張ることが出来た。 彼女の声援が無ければきっとまりさはくじけて自分を信じられなくなり負けてしまっていただろう。 まりさはこれまでの感謝の思いを込めて彼女に「ゆっくりしていってね!」と言った。 それから一週間ほど経った。 まりさは毎日ゆっくり眠って体を休め、朝起きるとすぐに天井を見上げて彼女の姿を探すのが日課になっていた。 初めてゆっくりしていってね!と言ったときから、彼女の存在はまりさにとって生きる支えとなった。 彼女と接して初めてゆっくりするということを学んだまりさにはもはや彼女無しの生活は考えられないようになったのだ。 彼女という存在があって、初めてまりさはそれまで重く圧し掛かっていた孤独というゆっくりしていない事象から開放された。 まりさのゆっくりは彼女による、彼女のためのゆっくりとなった。 まりさは彼女のことが好きで好きで仕方が無かった。 だから、毎日のように行われる戦いも、彼女の声援を受けられるのならば恐ろしくない むしろ楽しみなくらいだった。 彼女が戦いの際、声援を送ってくれるなら必ずそれに応えようとまりさは奮闘した。 彼女ともっと親しくなり、ゆっくりしたい。 彼女と心を通わせ、ゆっくりしたい。 そのために、生きて生きて彼女にゆっくりしていってね!と呼びかけ続けること。 それがまりさの今の生きる目標だった。 戦い、彼女の声援に応え勝利を手に彼女に「ゆっくりしていってね!」と 声をかける時に、まりさに最高のゆっくりを感じていた。 これこそ生きる、ゆっくりするということだとまりさは思った。 今日も、まりさの箱に珍客が放り込まれた。 それを見てまりさは緊迫して相手を凝視した。 それまでの緑の相手とは違い今度は黒く、短く、そして太かった。 その黒さにまりさは目を奪われた。 自分が身にまとっている大切な帽子と同じ色なのに 何故か禍々しさと恐怖を感じ、その存在感に威圧されてごくりと唾を飲んだ。 その顔つきの恐ろしさのためかもしれない。 まるで地獄の住人のような険しい表情を黒いソレはしていた。 相手の出方を伺い睨み合うこと数瞬。 黒いソレの恐ろしい表情を浮かべる顔から伸びる細い糸が ふわりと揺れたかと思うとキリッキリッ、と鋭い音がまりさの耳を劈いた。 びくりと体を震わせ一瞬視界から黒いソレが消えたかと思うとさっきと同じ鳴き声と そして何かを齧る音だけが箱の中に響き渡った。 「ゆ…ゆ…!?」 まりさは辺りを見回すが、箱の中はまるで何事も無かったかのように黒いソレが来る前となんら変わらない姿をしていた。 違うのはただあの黒い奴が発する鳴き声と何かを齧る音がまりさの耳に聞こえ続けている点のみである。 「ど、どおぢでなにもいないのにおとがきこえるのおおおおおおお!?」 箱中を見渡したが確かにさっきのは居ない。 しかし音だけは止まない。 齧る音が聞こえてもまりさに痛みは無かったがその止まない音の恐怖がまりさの心を蝕んだ。 「ゆうううう!ゆうううううううう!?」 恐怖にかられたまりさは箱の中を転がりまわった。 ごろごろと意味も無く箱の中を廻っている内に黒い黒いまりさのぽてんと帽子が落ちた。 流石にまりさも慌てて帽子を拾いなおそうとして、見つけた。 黒いソレはまりさの帽子をギチギチと顎を動かして齧っていた。 既に、小指が一本通る程度の小さな穴が開いていた。 「ま、ま゛り゛さ゛のだいじなぼう゛しにな゛に゛お゛ずる゛のおおおおおおおお!?」 まりさはこんな小手先で自分を騙していたことと大事な帽子に穴を開けられたことに激昂し それまでの恐怖も忘れて飛び上がって黒いソレを踏み潰そうとした。 その時、まりさは見た 黒いソレが自分より遥かに高く飛び上がる瞬間を。 「ゆぅ!?」 その跳躍の余りの高さにまりさは驚き、彼女の人影を探す以外の理由で初めて天を仰いだ。 黒いソレは帽子の上に突っ込んでしりもちをついているまりさの鼻先にどん、と飛び降りると ギチギチと顎を開いて鼻の頭に齧りついた。 「ゆぎぃ!!ゆぎゅぁああああああ!!」 慌ててまりさは転がって黒いソレを潰そうとするがそれよりも早く跳躍してまりさの間合いの外へと逃げ出した。 再びまりさが向き合うや否や、黒いソレの太く節くれだった足が爆ぜてて跳躍しまりさに飛び乗る。 そうしてまた同じようにまりさが振り払おうとすると傷を負うより早く黒いソレは飛び跳ねてまりさの手からするりと逃れた。 「も゛う゛や゛べでえ゛えええええ!だずげでぐだざいいいいいい!!」 完全なヒットアンドアウェイの前にまりさは何も出来ずに体中を齧られていく恐怖と痛みでぼろぼろと涙を流して命乞いをした。 「いいわよ!じっくりいきなさい!」 その時、天井の方からあの声がした。 それはまりさにとって天啓だった。 その声を聞くだけで、恐怖はすっと引いて行き、まりさは落ち着きを取り戻した。 痛みに歯を食いしばりながら 今、自分は相手の策に完全にはまっていることを認めて その突破口を探すために冷静に辺りを見回す。 とにかく突破口を見つけるまではじっくりといくしかないのだ。 「………ゆ!」 じっと黒いソレの攻撃に耐えながら、まりさははたとひらめき 帽子に向かって転がり走った。 黒いソレもまりさを追って跳躍する。 「ゆううううううううううん!!」 その瞬間をまりさは待っていた。 帽子を口に咥え、へこみの方を空高く跳ぶ相手に向かって突きつけた。 黒いソレはすっぽりと帽子の中にはまった。 「ゆっぎゅりゃあああああああ!」 確かな感触を感じてまりさはさっと帽子を地面に置いて黒いソレを捕らえた。 黒いソレが跳躍して、帽子にぶつかりぼとりと地面に跳ね返される音が中から聞こえてきた。 「そこでずっとゆっくりしていってね!」 まりさは力いっぱい優越感と憎しみを込めてそう言うと帽子に飛び乗った。 中に閉じ込められていた相手がぐちゃり、と潰れるのを帽子越しに感じて まりさは箱の向うの彼女を見て感謝の限りを込めていった 「ありがとうおねえさん!ゆっくりしていってね!!」 彼女はそう言い放つまりさを見つめて、背を向けてまたどこかへと去っていった。 それから一月ほどが経った。 その間まりさは毎日戦い、苦境に陥っても彼女の助言を頼りに勝ち続けた。 彼女の言葉を信じて戦うまりさは迷いが無く、実力を遥かに上回る力を発揮し続けた。 体の傷も増えて、その姿はまるで歴戦の勇士のようだった。 そしてまりさの彼女への想いも高まっていき、それはもはや信仰に近いものがあった。 あれからも彼女とまりさがまともに言葉を交わすことは無いが それでも戦いの間の彼女の声援と、去っていく彼女にかける「ゆっくりしていってね!」 を通してまりさは彼女と自分の心は通じ合っていると信じられた。 まりさはそのことが確かだと感じるだけでとてもゆっくりした。 まりさは彼女の存在があるおかげでこの生活が始まる以前の ただ箱の中にある餌を食べていただけのまるで生ける屍のような生活とはまるで違う 確かな彼女とのゆっくりを感じながら今を生きていた。 そんな幸せな日が変わることなく続いていったある日。 まりさの箱に緑色の例の相手が現れた。 「ゆふん」 まりさはそれを見て鼻で笑った。 ソレは最初に戦い、それからもう何度も打ち倒してきた相手と同じ種類のものだった。 多少、今までより体が大きいがなんら問題ない。 まりさは一刻も早くこの敵を打ち倒し彼女に「ゆっくりしていってね!」と言いたかった。 最初はまず睨み合い、緑のソレのギョロリとした目玉はもはやまりさに恐怖を感じさせるものではなくなっていた。 まりさはじりじりと必殺の跳び踏み潰しの間合いに緑のソレを入れようとにじり寄る。 緑のソレは野生の勘で危険を感じたのかそうはいくまいと後ずさるが、やがて箱の隅に追い詰められた。 「ゆっくり…しねぇ!」 まりさは緑のソレを完全に追い詰めると必勝を期して跳び踏み潰しを繰り出した。 勝利を確信してニヤリと笑った時、ブウンと激しい羽音が聞こえ、まりさの足元を涼やかな風が通り過ぎた。 「ゆ!?ゆっく…!」 ジャンプした隙に足元を通って後ろに廻られたまりさは慌てて後ろを振り向こうとした。 そと同じか否や、緑のソレがまりさの帽子に突っ込んだ。 「!?ゆっくらしてい」 緑のソレの体当たりで落ちた帽子がまりさの顔面に引っかかって視界をさえぎり、目の前が真っ暗になった。 必死に光を探して、帽子の中に差し込む小さな光に目をやっている最中まりさはギョロリと光るあの目と目が合った。 もはやまりさに恐怖を感じさせないはずの目は暗闇で薄く光り、それに見つめられてまりさは悲鳴を上げた。 度重なる戦いでまりさの帽子はところどころ穴だらけになり 緑のソレはその穴から体を入れて暗闇で唯一動いているのが見えたまりさの左目に喰らい付いた。 「ゆっびゃあああああああああああああああ!?!?!?」 まぶたは鎌に引っ掛けられて用を成さなくなり直接目玉にキバを立てられて穴が開いたまりさの目玉から中を満たしていた餡汁がどろりと垂れた。 「ゆひいい!ゆっぴいいいいいいいいい!!」 まりさは頭をぶんぶんと横に振り帽子を振り払った。 緑のソレも深追いをせずに鎌をはずして距離を取った。 「ま゛ぢざの゛お゛べべ…お゛べべがああ!!!」 まりさは左目からぬるりと流れ出る餡汁が頬を伝う悪寒に身をよじった。 目玉の中の体液と涙が交じり合って地面にこぼれた。 それを踏んだ感触でまりさはさらに混乱を酷くした。 それまでまりさの目に見えていた世界の半分に暗闇が満ちる。 勝利によりこれまで培ってきた自信は瞬く間に失われ、心の奥底からまりさは恐怖に支配された。 「ゆひっ…ゆひっ…」 まりさは狭くなった視界から緑のソレを逃すまいと必死に残った右目を動かすが 羽を持って飛びかうソレはまりさの視界から消えては現れ消えては現れた。 「ゆ…ゆっ…!」 まりさはすがるように天を仰いだ。 そこには彼女が固唾を呑んで見守っていた。 「ゆふぅー…ゆふぅー…」 彼女と緑のソレを交互に見ながらまりさは呼吸を落ち着けていった。 助言も、声援もなかった。 だがまりさにはわかった、彼女の期待が。 物言わぬその姿から確かに強い強い彼女の想いを感じ取ったのだ。 まりさはゆっくりと相手を見つめ、精神を集中した。 膠着状態の中じっと緑のソレと見詰め合った。 また恐怖は感じなくなっていた。 十秒か、一分か、五分か 二匹にとってとても長くて短い時間が流れ、ついに膠着が解かれた。 先に動いたのは緑のソレだった。 まりさはその飛ぶ勢い、方向を見て勝利を確信した。 「ゆっ!」 それを着地地点をそこから予測してそれ以上の高さでまりさは緑のソレの着地地点と思しき場所にとんだ。 箱の中のこの狭さでは一度跳んでしまえば殆ど方向転換する余地は無い。 落ちる速度を考えればもう一度ジャンプするより早くまりさの体が緑のソレを押しつぶすのは必定。 相手の後の先を突くまりさの完璧な勝利への作戦がそこにあった。 「ゆっくりつぶれてね!」 勝利を確信して飛んだ先にあったのは漆黒の三角形。 「ゆ!?」 さっき落としたまりさの帽子がその先にあった。 緑のソレはその頂点に足をつけると間髪居れずに方向転換して別の場所へと滑空していった。 足場さえあれば方向転換は容易である。 体の軽い緑のソレにとって帽子のとんがりは足場にするのに充分な強度を持っていた。 その時点で踏み潰すには若干まりさは高く跳びすぎていた。 まりさは再び自分の宝物である帽子に裏切られて泣きそうに顔を歪めながら呻いた。 「そ、そんな」 そして緑のソレを超える高さで限界まで飛び上がったまりさが着地した先にあったもの、それは 「ゆびゅぇええええええ!?」 着地の衝撃に耐え切れず傷つけられ抑えるものの無くなった眼窩から噴出す餡子と目玉だった。 「ゆぎいいいいいいいい!!!」 痛みと勝利の確信を打ち砕かれたことで狂いそうになりながらまりさは目を押さえようとした。 しかしまぶたはもはや用を成さないほどボロボロで余計に痛み、狂ったように身をよじるだけである。 「ゆっ?!どこにいったの!?」 痛みに狂いながらもはっとまりさは緑のソレが完全に視界から消えたことに気がついた。 「ゆっ!?ゆっ!?ゆっ!?ゆっ!?」 必死に相手を視界に捕捉しようとまりは辺りを見回した。 特に失った左の視界を補うよう右目を必死に左へ、左へと向けながら。 だから、右から襲い掛かる緑の鎌にギリギリまで気がつくことは無かった。 「……ぁ」 ぎょろりとした瞳、逆三角形の緑の頭 それがまりさがこの世で見た最後のものになった。 「や゛びゅぉお゛おお゛お゛お゛お゛おお゛お゛おおおお゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あああ゛ああ゛あ!?」 痛みと悪寒と恐怖と暗闇に襲われてまりさは喉がはちきれそうになるほど悲鳴をあげた。 「や、べえ!ゆっぐ!ゆっぐぢぢでぇ!」 まりさの命乞いなど意にも介さずに、緑のソレは黙々とまりさの命を奪う作業を継続した。 まりさがいくら抵抗しようとも視界を完全に奪われたまりさに勝ち目はなかった。 次々と食い千切られ中の餡子を垂れ流す皮、引きちぎられ咀嚼される髪、頭を突っ込まれて中身を舐められていく眼窩 まりさを狂い死にそうになるくらい痛めつけるには充分すぎる蹂躙行為であった。 「ぁ…ぁ…ァ…ゅ…ゅっく…ぃ…」 そんな痛みと恐怖に苛まれた暗闇の中で、死を恐怖しながらもどこかまりさは晴れやかであった。 最初に緑のソレに殺されかけた時とはまったく別の感情がまりさの中に芽生えていた。 「ぉね…ぇさ…」 まりさは暗闇の中で彼女のことを想っていた。 自分をゆっくりさせてくれた彼女のことを。 彼女と出会えて、ゆっくりできたことを考えれば思っていたよりもずっと悔いは無かった。 彼女の期待に応えられなかったことだけが残念だったが、それでも自分は全力を尽くした。 そのことにまりさは悔いは無かった。 まりさをゆっくりさせてくれた彼女の期待を受けて戦えた一生にまりさは満足していた。 「やった…やった…!やったぁ!やったよ!あはは!やった!」 『ゆ…?や…った…?』 その時、暗闇の中のまりさに確かに彼女の声が聞こえてきた。 まりさはその言葉の意味を理解するのに長い時間を要した。 彼女が発する言葉はきっとまりさが負けたことによる悲しみか、失望か、怒りか そのいずれかの言葉を発するものだと信じきっていたからだ。 だから何故彼女がやった、と歓声をあげるのかまりさにはわからなかった。 「遂にやったよ!勝った!一対一でゆっくりに蟷螂が勝ったんだ!」 喜び勇むその声を聞くまりさにそっと彼女と思しき手が触れた。 そして彼女は蟷螂と呼ばれた緑のソレをそっとまりさから引き離した。 『ゆ・・・?あ、ありがとうおねえさん!ゆっくりしていってね!』 まりさはそれまでの彼女の言葉はひとまず忘れて助けてもらえたことを喋る余力が無いので心の中で感謝した。 「この美しさの欠片も無い憎たらしい饅頭頭に私の可愛い蟲達が負けてなんど苦渋を舐めたことかわからない」 『!? どおぢでぞんなごどいうのおおおおおお!?ま゛り゛ざはがわいいよおおおおお! ぞれにま゛り゛ざはお゛ね゛えざんのだめ゛にがんばっだん゛だよ゛お゛おおおお!?』 まりさは暗闇の中で突然自分を罵倒する彼女の言葉を、信じられないと悲鳴を上げた。 「でもそんな苦労も遂に報われるのよ あなたの子孫がどんどん増えて、この幻想郷を覆えばゆっくりより強い蟷螂が幻想郷の蟷螂になる! そんな蟲たちがもっと増えればゆっくりに怯えて暮らす必要も この幻想郷で、生態系の中で下に付くことも無い! 私の可愛い蟲達こそがゆっくりの捕食者となるのよ!」 しかし彼女の言葉はただひたすらにまりさを倒した蟷螂に対して向けられた。 『なにを…なにをいってるの…!?』 まりさには彼女が何故そんな恐ろしいことを言っているのかわからなかった。 彼女はまりさの勝利を願ってあの恐ろしい者達と戦わせ、応援していたはずなのだ。 なのに何故相手の勝利を喜び、笑い声を上げているのかわからなかった。 「ここでゆっくりを相手にした淘汰と 生き残った蟲同士での交配を繰り返して 私の可愛い蟲達はどんどん強くなってきてる この調子で行けばそのうち他の蟲達の中にもゆっくりより強い蟲が現れてくる! そしてその子達が繁殖すれば ぽっと出の新参の癖に幻想郷の中で私達より大きな顔してる あのゆっくり達より強くなれる!」 「そりゃあ世の中弱肉強食なんだから、私達蟲が弱いならゆっくりに食べられても仕方ない だったらゆっくりより強くなってやる! そう思って、みんなとここまで頑張ってきたのが遂に報われる!」 彼女が力強く放った言葉がまりさの耳に木霊する。 「ずっとこの日が来ると信じてたよ、私の可愛いあなた達 妖怪の私が手を出したら意味が無いから、一生懸命応援してたけどその甲斐があったわ!」 繰り返される蟲達への賛辞。 『あ…あ…』 ここまで話されればもうまりさにも理解できた。 彼女の気持ちは、一片たりともまりさになど向いていなかったのだ。 事情はよくわからない、だが少なくともまりさは彼女達がゆっくりに勝つための訓練道具でしかなかった。 戦いの最中で、彼女から降り注いでいると確かに感じたあの強い視線、声、想いは 全てまりさの相手の蟲達に注がれていた。 ならば、まりさの感じたゆっくりとはなんだったのか。 まりさは孤独に苛まれ続けてゆっくりできずに生きてきて 彼女と心を通わせることで初めてゆっくりできたと思った。 ならば本当は彼女と心が通じていなかったのなら まりさの想いがすべて独りよがりで、未だに孤独の中にいたのならば ゆっくりしたと思ってきたものは全て嘘のゆっくりだったのだ。 少なくともまりさはそう確信した。 例えそれまで感じたゆっくりが本当だったとしても 今ではそのゆっくりは嘘偽りとしかまりさにしか映らない。 まりさはゆっくりするということを誰からも学べなかったのだから。 彼女を中心に形作られていたまりさのアイデンティティは今この時崩壊した。 「今日は祝賀会ね、みんなを集めてあのゆっくりをたべるわよ!」 『や、やめてね…いや…いや…』 まりさの願いも空しく、何十、何百という羽音がまりさの耳に飛び込んだ。 『やべでええええええええ!』 ギチギチという音で蟲達が顎を蠢かせて獲物を見て舌なめずりをしているのがわかった。 『いやいやいやいやいやいやいやいやいやあああああああああああああああ! ま゛り゛さ゛は゛まだいちどもゆ゛っぐぢぢでな゛いの゛お゛お゛おおお!! ゆ゛っぐりぢないでぢぬ゛の゛なん゛て゛い゛や゛ああああああああああああああ!!! や゛べぅ゛う゛ぁ゛あ゛あ゛あ!!ごないで!ごないでむ゛じざんだぢ!!ごないでえええ!! お゛ね゛えざん!お゛ね゛えざんだずげで!いっじょにゆっぎりぢでええええええ! ゆ゛っぐりぃ!ゆ゛っぐりぃ!!どぼぢでま゛り゛ざはゆ゛っぐりでぎないのおおおお!? ほ゛ん゛と゛のゆ゛っぐりっでな゛んだの!?ゆ゛っぐり!ゆ゛っぐりじでいっでね! ゆ゛っぐりじでいっでね!?ゆ゛っぐりっでな゛に゛!?ゆ゛っぐりっでどん゛な゛ごどなの?! だれ゛でぼい゛いがらま゛り゛ざにゆっぐり゛を゛おぢえでよ!ゆ゛っぐり゛!ゆ゛っぐり゛ぃ! ゆ゛っく゛り゛ち゛た゛い゛!ゆ゛っく゛り゛ち゛た゛い゛ゆ゛っぐりぃ!ゆ゛っぐり゛ぃぃい゛!?』 まりさの心に瞬く間に後悔の念があふれ出した。 あと少しで触れられると思った、触れられたと信じたゆっくりを全て否定され ゆっくりを求めるまりさの想いはぐちゃぐちゃになって暴走し、生きてゆっくりしたいという強い渇望となった。 だがもはや喋ることのできないまりさの想いが誰かに届くことは無い。 無常にもまりさの体に蟲達が一斉に群がった。 『ま゛り゛さ゛も゛ゆ゛っ く゛り゛し゛て゛み゛た゛か゛っ た゛よ゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛』 ――――――……・・・ ある時から、ゆっくりの間でこんな噂が広まった。 『魔法の森の奥深くに おいしい花が美しく咲き乱れ 太陽は燦燦と降り注ぎ 小川はその光を照り返してやさしくせせらぐ 緑に溢れ夜もやさしい空気が安らかな眠りに誘う そこには争う者はおらず誰であろうともゆっくりできる そんなゆっくりプレイスがあるという その場所の名は 何度夜が来てもずっとゆっくりしていられる という意味を込めて 永夜緩居(えいやゆるい) と呼ばれていた』 この物語は永夜緩居を目指したゆっくりと蟲達の物語である。 永夜緩居― 第四話[ゆっくり]
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/600.html
「じゃおおおおおおん!!」 怪獣のような雄たけびが森に響く。 声の主はゆっくりめーりん。知能はあまり無いが、皮が分厚く耐久力は凄まじく高いゆっくりだ。 そして今のようなじゃおおおんという言葉(?)しか話せないため他のゆっくりから苛められる存在である。 「じゃおおおおおん!」 再び声を上げるめーりん。良く聞けばその声は悲しみの色を含んでいることがわかる。 そう、このめーりんも他のゆっくりに苛められている真っ最中なのだ。 彼女を取り囲むのはゆっくりれいむとまりさ、そしてありすだった。 れいむ達三匹はこの辺りでは誰も適うゆっくりがいないほど力の強いゆっくりだ。それ故いつも好き放題している。 めーりんの後ろには大きな木が道を塞いでおり、逃げ場はない。 特に珍しくもない光景である。 「ゆっ! やっぱりめーりんをいじめるのはたのしいね!」 「『じゃおおおおん』だって! いつきいてもへんななきごえだね!」 「いなかもののめーりんはとかいはのわたしたちにあそんでもらえるだけでもかんしゃすることね!」 それぞれ好き勝手なことを言い、めーりんに体当たりしたり石を投げたりしている。 皮の厚さのおかげで致命傷には程遠いものの、めーりんの体はボロボロだ。 その目には涙が浮かんでいる。 何故自分はいつも苛められるのだろう。何もしていないのに、ただゆっくりしているだけなのに。 「じゃ…じゃおおおん!」 「ゆっ! こいつないてるよ! きもちわるいね!」 「めーりんのくせになまいきだね!」 再び石をぶつけようとれいむ達は近くにあった手頃なそれを口に銜える。 めーりんは襲い来るであろう痛みへの恐怖から思わず目を閉じた。 そして。 「待ていッ!!」 耳をつんざくような自分たち以外の大きな声。突然聞こえたそれに四匹は動揺する。 だが辺りを見回してもこの周辺には自分たちしかいない。 「ゆっ!? だれなの!」 「かくれてないででてきなさい! このいなかもの!」 だがそんなれいむ達の言葉を無視して謎の声は続ける。 「愚かなるゆっくりどもよ…、森の声を聞け! 風の声を聞け! 弱き者を虐める貴様らの心を嘲笑っているぞ!」 そして大きな影がめーりんを守るように三匹の前に天から舞い降りた。正確には木の上から飛び降りてきた、のだが。 現われたのは妙な姿をした生き物だった。いや、形を見れば人間だとわかる。それは間違いない。 だがそれは顔に変な――少なくともゆっくり達はそう思った――顔の上半分を覆う仮面を被り、大きなマントをはおっているが背負っている籠のせいでマントは風になびかずにいる。 そしてその肩には小さなゆっくりぱちゅりーがちょこんと乗っていた。 呆然とする四匹を気にせず、突然現れたそれは声高々に名乗りを上げた。 「ゆっくり仮面! ただいま参上!」 「むきゅ。説明しよう、ゆっくり仮面は弱きを助け強きを挫く正義のヒーローである」 バーン、と決めポーズをとるゆっくり仮面(自称)と解説役のぱちゅりー。 相変わらずゆっくり四匹は呆気にとられたまま声も出せない。 そんなゆっくり達を無視してゆっくり仮面は続ける。 「哀れなるゆっくり共よ、貴様らのそのゆっくりできぬ腐った根性、叩き直してくれよう!」 今までの出来事を処理できず、フリーズしていた餡子脳がここで再び動き出す。 とりあえず目の前の変な格好をした人間が何物かはわからないが自分達が馬鹿にされたことはわかる。 そういうことには敏感に反応する餡子脳であった。 「ゆっ! よくわからないけど、れいむたちをばかにするおじさんはゆっくりしんでね!」 「そうだね! ゆっくりしね!」 「きっといなかもののばかだからありすたちのおそろしさをしらないのよ!」 次々と罵倒を浴びせる三匹。だがゆっくり仮面はどこ吹く風、腕組みをして余裕しゃくしゃくだ。 「ふはははは、やはり臆病な悪党だな。私が恐ろしくて言葉でしか攻撃できないのだろう!」 見え見えの挑発。だが単純な餡子脳には効果は抜群だった。 そんな態度にゆっくり達が怒り始める。 「ゆぅぅ! もうおこったよ! おじさんはゆっくりしね!」 と、まりさがゆっくり仮面に突撃する。 勢いよくゆっくり仮面の足元へと体当たりするまりさ。しかしそこは人間とゆっくり、圧倒的な力の差は崩せない。 自分の攻撃が全くダメージを与えられていないことにさらに憤るまりさ。 何度も何度も体当たりをするが、ゆっくり仮面は全然動じない。 どれぐらい繰り返しただろうか、まりさの顔に疲れが見え始めた。 「まりさ! がんばって! もうすぐやっつけれるよ!」 「とかいはのまりさのこうげきをうけてへいきなわけないわ! あいてはやせがまんしてるだけよ!」 本気でそう信じ切っている友達の声援を受け、まりさは自分の体から元気が溢れ出てくるのを感じた。 そうだ、攻撃が効いてないわけない。もう一息だ。 まりさはそう信じ、全速力でゆっくり仮面に向かって突進する。 「ふむ。いいか、悪のゆっくりよ。攻撃とはこういうものだ…ゆっくりキックは破壊力!」 と、ゆっくり仮面は勢いよく突っ込んできたまりさの顔面に蹴りをぶしかました。 「ゆ゛ぶう゛ぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!??」 綺麗な放物線を描いて飛んでいくまりさ。しばらく飛び、その延長線上にあった木にぶつかって地面に落ちる。 仰向けに倒れたまりさの口からは餡子が漏れ出していた。 白目を剥いているが、体はピクピクと痙攣しているので気絶しているだけだろう。 「ま゛り゛ざあ゛あぁぁぁぁぁぁぁ!!」 「どうしでぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!??」 さっきまではにやにや笑っていた二匹が泣きながらまりさに駆け寄る。 二匹が何度も呼びかけるがまりさの意識が戻る気配はない。 「ゆ゛うぅぅ!! ありす! まりさをみててあげてね! れいむがかたきをとってくるよ!」 「きをつけてね! あいつ、いなかものだけどあなどれないわ!」 れいむは振り返り、ゆっくり仮面を睨みつける。絶対に許さない、と。 そしてれいむは駆ける。友のため、そして貶された自分のプライドのため、あの人間を倒すと心に決めて。 勢いよく走るれいむがある地点でジャンプした。 足は危険と判断したのだろう、上半身に攻撃するための全力での跳躍。 「ゆっくりしんでね!」 「今のを見てもまだ力の差が理解できぬか…。所詮は脳なしの腐れ饅頭だな」 再び馬鹿にされ、鬼のような顔で怒るれいむ。 だがそんな悪口を言えるのもここまでだ、自分の全力の体当たりでゆっくりしね!と彼女が思った瞬間。 「ゆっくりチョップはパンチ力!」 「ゆ゛べっ!」 垂直に手刀を放つゆっくり仮面。それは迫ってくるれいむの脳天に直撃した。 べちゃっ、という音と共に顔面から地面に叩きつけられるれいむ。 皮が破れ、少量の餡子が飛び出したが命に関わるほどではないようだ。 まりさと同じく気絶しているだけであろう。 「ああ゛…ああ゛あ゛゛あ…」 ありすは恐怖した。まさかあの二人がやられるなんて。 そんなありすにゆっくり仮面ははゆっくりと近づいていく。 ありすの前で立ち止まり、自称正義のヒーローは静かに問う。 「さて、どうする? 君も私と戦ってみるかね?」 そんな選択肢はありすには無かった。三人の中で一番弱い自分が適うはずはない。 ではどうするか。 逃げる? そんなこと出来る筈がない。 他のゆっくりならまだしも、れいむとまりさは幼い頃からずっと一緒に育ってきた親友だった。 そんな二人を見捨てて逃げるくらいなら死んだ方がマシだ。 ならば――。 「お゛じざん、ごめんなざいぃぃぃぃぃ。あり゛ずがわるがっだでずぅぅぅぅぅぅ!!」 ありすは泣いて謝った。 こうやって反省したふりをすれば許してくれるかも知れないと考えたから。 以前三匹が人間の畑を荒らした時も、泣いて謝ったら許してもらえたという経験があったからこその判断。 もっとも、その畑の主が虐待お兄さんではなく善良なおじさんだったからなのだが。 都会派の自分としては情けないが命には代えられない、とありすは思う。 「ふむ、なるほど。君は反省しているわけだね?」 「そうですぅぅぅぅぅ!! も゛うこれがらはめ゛ーりんをい゛じめたりじまぜんんんんんん!!」 「うん、それはいい心がけだね」 ゆっくり仮面の露出した口元が微笑む。それを見てありすは心の中でほくそ笑んだ。 ほら、やっぱり人間は馬鹿だ。簡単に騙される。 とりあえずこの田舎者がどこかに行ったられいむとまりさの手当てをしよう。 めーりん苛めだってやめるものか。今日の腹いせに今度は思いっきり三人で苛めてやる。 そんな事をありすが考えていると、急に頭を掴まれた。 ゆっくり仮面は右手でありすを持ち上げ、一気に力を加える。 「い゛い゛いだぁぁぁぁい゛!! どうじででぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」 突然の痛みに戸惑うありす。この馬鹿な人間は許してくれたはずなのに。 さらにゆっくり仮面は掴む力を上げ、指がありすの皮に食い込んだ。 演技ではなく本気で顔を歪めるありす。そのとかいは(笑)の顔は涙や鼻水でぐしょぐしょになっている。 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あぁぁぁぁ!!! あ゛り゛ずのあ゛だま゛がぁぁぁぁぁぁ!! い゛だい゛ぃぃぃぃぃぃぃぃ!!」 「反省した? 馬鹿を言っちゃいけない。貴様らのようなゆっくりがこの程度で反省するわけがなかろう」 「あ゛あ゛あ゛あぁぁぁ!! ぼんどうでずぅぅ!! だがらゆるじでぇぇぇぇぇぇ!!!」 ゆっくり仮面はそのまま左手で気絶しているまりさを掴んだ。 元の場所へと戻り、置いていた籠に二匹を詰め込む。 さらにその上からこれまた気絶しているれいむを押し込んだ。 「とかいはのありすはこんなところじゃゆっくりできないわ!」 もう元気を取り戻したのか、抗議してくるありすを無視してゆっくり仮面は未だ状況が理解できていないめーりんに近づいた。 ビクッ、とその体をめーりんは震わす。もしかしたら自分も酷いことをされるのかもしれない。 ゆっくり仮面はめーりんの前でしゃがみ、手を大きく振り上げ…めーりんの頭を優しく撫でた。それと同時に肩に乗っていたちびぱちゅりーが地面に飛び降り、めーりんを周りから観察し始める。 「じゃ…じゃおおおん?」 最初は怯えていためーりんだが、相手が自分に危害を加える気がないとわかると笑顔が浮かぶ。 そしてゆっくりと理解した。この人は自分を助けてくれたのだということを。 無邪気に笑うめーりんにつられてゆっくり仮面も微笑む。 それは先程のありすのときに見せた作り笑いなどではなく、心の底から湧き出た本物の優しい笑みだった。 「ぱちぇ、めーりん君の様子はどうだ?」 「問題ないわ、皮の表面が破れてるだけ。命に別状はないわ」 てきぱきと動くちびぱちゅりーの言葉にゆっくり仮面は安堵の息を吐く。 この解説役兼マスコットのちびぱちゅりーは知識が豊富でゆっくりに関する医術も少々心得ていた。 と言ってもゆっくりは食べ物なので医術もクソもこれといってないのだが。 「よし、ではこれを使おう」 と、ゆっくり仮面はポケットからあるものを取り出した。 「むきゅ。説明しよう、これは『ゆっくり傷薬』。その名の通り、傷ついたゆっくりを癒すゆっくり仮面七つ道具の一つである」 ちびぱちゅりーの解説に頷きながら、ゆっくり仮面は傷薬をめーりんの患部に塗っていく。 傷口がしみるのか最初は嫌がっていためーりんだが、次第にゆっくりし始めた。 この傷薬から発せられる匂いにはゆっくりを落ち着かせる効果もあるのだ。 「ちなみに加工場製の税込315円よ」 「余計な事は言わんでよろしい」 薬を塗り終え、ゆっくり仮面は立ち上がる。 「よし、ではそろそろ行くか」 ありすの喚き声が聞こえる籠を背負い、ちびぱちゅりーを肩に乗せる。 ちびぱちゅりーがちゃんと捕まっているのを確認したゆっくり仮面は再びしゃがみ、めーりんの頭を右手で優しく包んだ。 「めーりん君、これからも辛いことがあるかもしれない。だがそんな時は今日のことを思い出してほしい。君は一人じゃない、君にはこのゆっくり仮面がついている。 それに私だけではない、他の人もきっと助けてくれるだろう。だからいつでも笑っていてくれ。 なぜなら、正義とは常にポジティブなものなのだから!」 グッ!と左手の親指を立てるゆっくり仮面。その口元から覗く白い歯がキラーンと光った。 ゆっくりめーりんはまるで子供のような、きらきらと輝く純粋な瞳でそれを見ている。 「ではさらばだ! ふははははははは!」 鬱陶しいほど声高らかな笑い声を残してゆっくり仮面は去って行った。 「じゃおおおおおおおおん♪ じゃおおおおおおおおん♪」 遠くなっていく背中にめーりんは叫び続ける。 言葉の意味はわからなかったがその声には確かに喜びと感謝が強く含まれていた。 今日もか弱きゆっくりを助けたゆっくり仮面。次はどこへとゆくのだろうか。 明日は明日の風が吹く。弱きを助け強きを挫く正義のヒーロー、お呼びとあらば即参上! ありがとう!ぼくらのゆっくり仮面! つよいぞ!ぼくらのゆっくり仮面! 所変わって先ほどの森から少し離れたところにある何の変哲もない家。 静けさに包まれていたこの場所に主が戻ってきた。 「ただいまー」 「むきゅ、ただいま」 家に入ってきたのはゆっくり仮面とちびぱちゅりー。そう、ここが彼らの自宅だった。 ゆっくり仮面は背負っていた籠を床に置き、マントを脱ぐ。 「ふぅー、今日も楽しかったぜ」 そう言いながら顔に付けていた仮面を外すゆっくり仮面。 その下から現れたのは特にこれといった特徴のない爽やかな青年だった。 「むきゅ、お疲れ様。何だか今日は一段とテンション高かったわね」 ちびぱちゅりーが青年の肩から近くのテーブルに飛び移る。 彼女は普通のゆっくりとは違う、加工場生まれのゆっくりだった。 体は小さいが中の餡子はよく詰まっており、いわゆる知能強化型のゆっくりだ。だから台詞にも漢字が使えたりする。 一人暮らしが寂しかった青年が話し相手として加工場から購入したもので、今では二人は強い信頼で結ばれた相棒となっている。 「ふふっ、どうしてかは知らないけど気分が高まってね。木から飛び降りた時に脳内で何か分泌されたのかもしれない」 「別にいいけど、あまり無茶はしないでね」 和気あいあいと和む二人の耳に籠に詰められたゆっくりありすの声が聞こえた。 「ちょっと! さっさとだしなさいよね! とかいはのありすにこんなことしていいとおもってるの!?」 「ああ、忘れてた」 「お兄さん、こいつらも『お仕置き』するの?」 ちびぱちゅりーが聞く。 これまで捕えてきた悪のゆっくりは青年が『お仕置き』してその腐った性格を治しているのだ。 正義のヒーローとして悪を捕まえ、それを『お仕置き』によって更生させる。 それがお兄さんの趣味だった。ちびぱちゅりーも何だかんだで楽しんでいる。 「当然だ。ぱちぇも知っているように、俺は一方的な『弱い者いじめ』をする奴が大嫌いなんだ」 その言葉を聞いてちびぱちゅりーは溜息を吐いた。 が、それは別に不快感から来ているわけではなく、元気な子供に手を焼く母親のような印象を受ける。 「やっぱりあんたいい性格してるわ」 「おいおい、照れるじゃないか」 「むきゅー、褒めてないわよ」 ははははは、と二人の楽しげな笑い声が家の中に響く。 お兄さんとちびぱちゅりー、二人の妙な趣味はこれからも続く。続くったら続く。 おしまい このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/1228.html
幻想郷。 失われた自然といまだ人が共存する地。 大地の恵み、川の恵み、風と雨に立ち向かい、その猛威を畏れ、恩恵に感謝する。 自然と対峙し、ときに糧を得るべく狩り、または育む。 人が自然の中に生きるために狩るもの…それは、ゆっくりと呼ばれる存在であった。 この村には風変わりな家がある。この家には一人の男が住んでいる。 村の規模はまだ小さく、発展の途上にあることが十分に伺える。頑丈な、これだけはまずしっかりと拵えた柵の内に村人は家を建て畑を耕し、しかし、この男と幾人かの村人は農民の生活に合わせず、 朝は遅くまでベッドの上、夜はいつ帰るともしれず、それでいて男を見る村人の眼はいつも尊敬の念にあふれていた。 そんな男の家は村の中心にあり、村長の家をしのぐ大きさを誇る。ただ、その形が異様だ。大きな台形のような外見で、二階には大きな窓が二つ、屋根は真っ黒に塗られ、天井は高く尖り、家の後ろには波打った藁のようなものが垂れていて、 近くで見るとつるつるとした壁肌が、村からゆっくり離れて、段々とその形が周辺の者なら誰でも見覚えある形にまとまって見えてくる。大きな、大きな、ゆっくりまりさの形に。 この男の家はゆっくりでできていた。 村の中で異彩を放つ、その家は庭のようにちょうど周囲を取り巻く柵を境に、ゆっくりを丸ごと家に改造したものなのだ。 かつて村を襲った脅威の一つ、10m級ドスまりさを剥製化して、職人を招き、住居として手を加えたもの。 あんぐりとあけっぱなした巨大な口には、すっぽりと豪奢な鉄のドアを嵌め込んで。 目の部分は二つの円窓を誂え。 皮は、樹脂とゆっくりの餡子を練りこんだ特製の油を塗りこみ、コンクリートのように硬化処理し。 風船のようにぷっくりと広げた内部は餡子を残らず抜き取って大黒柱と支柱を数本立て、床には絨毯を敷き詰め。 帽子と髪の毛も腐敗処理を施して屋根として利用してある。 この家はまさしく、「ゆっくりの家」だ。 そんな奇妙な家の内装もまた、あらゆるものがゆっくりで作られていた。 成体のゆっくり各種を背中から切り開き、餡子を抜いて代わりに綿を詰めて縫い合わせたゆっくり縫いぐるみ。 生きたままのゆっくりの頭部に穴をあけ、花の種を植えたゆっくり植木鉢。これはゆっゆっと掠れた声でぴょんぴょん跳ねながら、頭の花をゆらゆら揺らしている。 柱に打ち付けられたゆっくり時計。膨らんだ腹部に鳩時計と同じ仕掛けを施し、定時になると生まれたての赤ん坊ゆっくりがぽーんと転がり出てくる。 箪笥や、床に置いた道具箱などもゆっくりから拵えたものばかり。 なぜ、これほどにゆっくりにこだわるのか。男にしてみると、こだわるとかそういった問題ではなかった。ただ、生活に関わるあらゆるものが、ゆっくりであっただけで… この男の職業は、ゆっくりハンターだから。 人口は百足らず。時折訪れる行商人とのわずかな交易と狩りの成果に頼る小さな村は、つい最近の開拓によって作られた。 都市を出て郊外を離れ、ずっと森の中に分け入ったさらに先、自然の趣たっぷりな平野に新天地を求めた人々によって築かれた。 だが、そこは伝説でしか知られない不自然の脅威にさらされる地だったのだ。 大きな森や山に必ずいるという、生まれつきの素質をもつ個体が、強運と狡猾さで生き延びて、群れを支配するまでに巨大化した、ドスまりさ。 都では滅多に確認されない、ドス級の巨体に加え、鮮やかな桜色のリボンがトレードマークのれいむ種、リオれいむ。ドススパークに匹敵する火炎球を放つという。 姿かたちは元の種と変わらず、やや大きめの体に人間でも追跡できぬ異常な素早さと凶暴性を秘めた、ちぇんクック。さらに凶悪なちぇんガルルガなる種も噂に語られる。 遠目からでも、地響きと20mという巨体ゆえに目立つ、ティガれみりゃ。 それ自体が一つの山と数えられ、もはや災害そのものにまで増長し、都の防衛庁が対策を講じねばならぬという、ラオシャンみょん。 もはや伝承ですら語られることも稀な、 伝説に忘れ去られた古代の知識を身に着け、天を裂き山を揺るがし、自然現象を操る超常の種、ミラボレぱちゅ。 ……………………………………………………………………………………………………………………………………………………… 辺境の村はどこもゆっくりの脅威に晒された。ある村は蝗の様に襲いかかるゆっくりの大群に畑を食い尽くされ、ある村は見たこともない巨大なゆっくりに家を踏み潰され、村があった場所はもはやただの平原に変わったという。 ゆっくりを対処する手段が求められた。ゆっくりを研究し、ゆっくりにのみ通用する毒やゆっくりの本能を刺激して罠にかける方法が編み出された。だが、それだけでは足りなかった。 小さなゆっくりには人的手段が通用したが、災害に等しい巨大種には常人では対抗しきれない。 そうして立ち上がったのが、ゆっくり虐待派と呼ばれた青年たちだった。はじめ、彼ら彼女らは生き物を無残に遊び殺すと忌避された。しかし、ゆっくりを様々な方法で玩ぶうちに、虐待派はゆっくりのあらゆる特性を学んでいった。 彼ら彼女らはただゆっくりを殺害する手段だけではなく、生活に役立つ道具としてゆっくりを加工する手段も編み出していったのだ。 いつの間にか、森に棲むゆっくりを狩り、ゆっくりから武器や防具を加工して、仲間同士で連携して巨大種を倒す技を身につけた者を 「ゆっくりハンター」 と呼び、いまや開拓村、辺境の町ではなくてはならない存在となった。 ハンターには素質が必要だ。それはゆっくりを傷めつける虐待の精神がなにより重要とされる。 ゆっくりは極めて世代交代のサイクルが短い。また、個体自体の「進化」と他の生命体なら呼ばれるだろう環境への適応能力もまた著しく高いのが特徴である。 その最たる例が、『虐待などで過度のストレスを長期受け続けたゆっくりの餡子は非常に甘くなる』というものである。 これは殆どのゆっくりに当てはまる、環境への自己適応である。 ハンターはゆっくりを狩り殺すだけが能ではない。生業として成立するために、ゆっくりから様々な道具を作り出す知識を身につけている。ゆっくりにかける負荷の度合いや部位によって、硬度や弾力性に変化を持たせることで、 巨大種の皮や餡子、または眼球や舌などから衣服、調度品、薬品、そしてハンターがゆっくりを狩るための武具を作り出すのだ。 ゆっくりを狩る者にも色々いるが、(都では、身長を超えるような大きな玄能を嬉々として振り回す少女のハンターがいるともっぱらの噂だが)時には、胴体付きゆっくりを捕獲して調教ないし教育し、 ペットや使用人、あるいは狩りの手伝いをする助手として利用することもある。 この開拓村に、ゆっくりの家を造って暮らす男は、随一のハンターである。討伐、捕獲、採集、あらゆる依頼をこなし、かつてはラオシャンみょんの進行を阻止する要塞戦で勝利を収めたほどの猛者だ。 日が沈み、夜が訪れる頃。 男の家に客人が現れた。村長だ。曲がった腰を杖で支え、ドアをゆっくり叩いた時、男はちょうど食事の時間で、飼いゆっくり(ピンクと白の縞々帽子をかぶせたまりさ)を撫でながら、コックのれみりゃが作った小籠包を味わっていたところだった。 村長の用事はわかっていた。それは依頼だ。 「急ですまんがの。また森のほうでゆっくりがあらわれたそうじゃ。行商人が依頼を持ってきた。なんでも近く都のほうで新しい建設の計画があるそうじゃが、その付近で凶暴なゆっくりが群れをつくっとるそうじゃ。都から派遣されるハンターと共同で討伐してくれとの。」 男はそれだけ聞くと、口元の肉汁を拭い、膝の上のゆっくりを払い落して無言のまま、壁に掛けた武具を取り出し装着した。 彼が身につけるのは、かつてラオシャンみょんを討伐した際、剥ぎ取った表皮を乾燥させ、薬品に漬けこむことで銃弾の衝撃を吸収するほどの耐衝撃性をもたせたものを甲冑として鍛えた「暁丸」、 武器はラオシャンみょんの牙を削った太刀「楼観剣」である。 準備が整うと、村長が手配したゆっくり車(底部に車輪を取り付け、横長に変形した2m級のドスまりさ二体が牽引)に乗り、鞭を振るった。 ひぃっと小さく声を上げると、ドスまりさがゆっくりと移動を始めた。 地図に示された狩り場に辿り着くのは深夜。もっとも狩りに適した時間だ。それまで男は休息を取るべく目を閉じた。ハンターの習性ゆえに、男はすぐに眠りに落ちた。 目が覚めた時には、非情かつ冷酷なハンターがそこにはいるだろう… (続く) おはようとそしてこんにちは、それからこんばんは VXの人です。 どうしても書きたかった。後悔はしてはいけないと信じてる。シンジテル。 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/1393.html
美鈴のゆっくりお昼ご飯 「みーんみーん」 蝉の声が響き渡る。夏、真っ盛り。 ここ、幻想郷にも夏が来た。氷精がどっかで溶けてたりしそうなくらい熱い夏。 タライに水張って足を突っ込みながら将棋、としゃれ込みたいほどうだる暑さの中、門番は立っていた。 「暑い…」 流れる汗を手で拭う、人民服に紅い髪のスリットグラマー、その名はちゅうg「紅 美鈴!!!」 もとい。華人小娘、紅 美鈴である。紅魔館の門番にして武術の達人。 その名は、強さと親しみやすさから幻想郷の人間と妖怪に知れ渡っていた。中国として。 「なんだか失礼なことを言われたような気が…」 呟きながら、もう一度汗を拭う。ただいま時刻は午後二時。最も暑い時間帯である。 そんな時間に日影はないわ湖の照り返しがきっついわ館の紅が目に悪いわするところにいたら汗もかく。 「暑い暑い暑い暑い……」 武術の達人は汗を流れる量をコントロールできると言う。暑さ寒さもへっちゃらだともいう。 しかし、美鈴は武術の達人ではあっても、今はむっちゃだれていた。 ぶっちゃけていうとやる気があんまりなかった。 理由は二つ。暑くてシエスタもできないから。お腹すいたから。 普段住み暮らしているめーりんハウス(真紅のテント)は、この時間だと中は地獄のような暑さになっているだろう。 昼寝なんてしたらメイド長に刺し殺されるか、妖怪に寝首を掻かれる前に干からびる。 そこいらで寝るのもダメだった。一度夏に横になって寝たら、身体の右側だけに日焼けの後がばっちりついて恥ずかしい思いをしたからだ。 日焼け跡は、秋になるまで消えなかった。 そして、もう二時を回ろうか、と言うのに、お昼ごはんを食べていない。 普段はメイド長がじきじきに持ってきてくださる。シエスタしていないかの監視の意味も含めて。 しかし、今日はメイド長はいない。ここ紅魔館の主、レミリアのお供をして博麗神社に行っているのだ。 そういうことはよくある。そして、メイド長がいない時は妖精メイドが美鈴の食事の用意をしてくれるはずなのだが…。 気まぐれで、美鈴以上にやる気のない妖精メイドにそんなもの期待しても無駄、というものだ。 咲夜がいないときは、美鈴は常にすきっ腹を抱えることになる。 「おなかすいたー…」 何度目かの虚しい呟きを繰り返す。気を紛らわそうにも、一人○×も一人しりとりも、もう飽き飽きしていた。 暇つぶしに大図書館の本を借り出そうとしたこともあったが 「夏は本が日焼けするからダメ」 という、図書館の主の一言によってあっさり拒絶された。 太極拳もお腹がすいた時にはやりたくない。 そう、美鈴は暇だった。 「だれか襲撃でもこないかなー…黒いのでもいいから…」 しかし、美鈴の物騒な希望はかなえられない。黒いのこと普通の魔法使いは客として既に図書館にいりびたっているからだ。 風もまったく吹かない、じめっとした幻想郷の夏の午後。 暇なときは、門番はひたすら暇だった。 見飽きた光景をなんか面白いものないかな、と半ば諦めの境地で見やったとき、珍しいものを見かけた。 「ゆっ!ゆっ!」 ゆっくり霊夢の家族だ。 ここ紅魔館の周りにはゆっくりれみりゃやゆっくりフランなど、ゆっくりの捕食者たちが数多く生息している。 普通の、よわっちいゆっくりはとっくに食い尽くされたものだと思っていたのだが… 「珍しいこともあったもんだ」 と、ぼそりと呟くと、先頭のゆっくり霊夢がその声を聞きつけたらしい。 「ゆっくりしていってね!!」 お決まりの台詞を叫ぶ。 「はいはい、ゆっくりしてますよー」 よい暇つぶしが出来た、と笑顔で近づく美鈴。その答えを聞いて、ゆっくり霊夢たちが嬉しそうに叫び返す。 「「「おねえさん、ゆっくりしてるひと?!」」」 「そうだよ、ゆっくりしてるよ。」 こいつら、もっと静かにしゃべれないのかなー、とか考えながら答えてやる。 「じゃあ、いっしょにゆっくりしよう!」「あのおうちはれいむたちのおうちなの!」「ゆっくりできるよ!!」 超☆喜んでいる。単純なもんだ。ぴょんぴょん飛び跳ねている…ん?おのおうち? 「ねえ、あなたたち。お家ってどこにあるの?」 「そこだよ!」 と一番ちいさなゆっくりが紅魔館を見ながら飛び跳ねる。 ああ、やっぱり。 こんなのが襲撃者か…と内心ため息を吐きながら説得を試みる。 「あのね、あなたたち…」 「おねえさんはゆっくりできるひと!!」「いっしょにゆっくりさせてあげるよ!!」「れいむたちのおうちでゆっくりしよう!!」 「だから、あそこはレミリアさm」 「きっとたくさんおいしいものがあるよ!!」「ゆっくりできるよ!!」「ゆっくりさてやるからありがたくおもってね!!」 「あそこはあなたたちのいえじゃないと…」 「「「ゆっくりできるよーーーー!!!」」」 美鈴の言葉はゆっくりたちの叫びの前に完全にかき消された。 「ゆっくり!!」「ゆっくりぽいんとだー!!」「れいむがいちばんゆっくりできんだーーー!!」 などと口々に勝手なことをほざきながら紅魔館に向かって行進し始める。 その瞬間、美鈴の怒りは簡単に有頂天に達した。暑くて空腹で堪忍袋の緒はゆるゆるだったのだ。 丹田に気を込め、一気に発声!! 「やかましいっっっっっっ!!!!!」 この一声でゆくっりたちはすべて目を回した。夜雀を声だけで叩き落した美鈴の複式発声法、伊達ではない。 「はあ、結局暇つぶしにもならなかった…」 スカートの前側を持ち上げて、そこにゆっくりを乗せていく。素晴らしき哉、脚線美。 「大声だしたから余計お腹が…」 そこではたと気付く。こいつら食えるじゃん、と。美鈴は、さっきと打って変わった軽い足取りでめーりんハウスへと向かった。 「フンフン♪」 地獄のように熱く真紅に染まっためーりんハウスの中で、なにやらごそごそ探している。 「どこかの巫女じゃないけど、やっぱり饅頭にはお茶がないと…」 どうやらここでお茶を入れたりもしているようだ。不憫。 外に出て、お茶が沸くまで正座で待つことしばし。 ちょっと補強したみかん箱の上にゆっくりをならべ、いただきます。 ゆっくりどもはまだ気絶している。気絶したまま食われたほうが幸せなのかも知れないが。 美鈴は行儀悪く、どれから食べようか迷ったあと、一番小さなゆっくりを掴んで、一口で食べた。 口の中でかすかな悲鳴が聞こえたような気もする。 「うーん、甘くておいしい…」 あまり甘いものが好きではないが、空腹は最高のスパイスだ。そして久々の甘味。おいしくないほうがどうかしている。 次のちびドマンジュウも一口。口の中に広がる甘さ、出涸らしの番茶とあいまって、美鈴を至福の時への誘った。 そしてもう一つ。一口で食べるには大きかったので、かじる。 「ゆ゛っ?!」 あ、起きた。寝てたほうが幸せなのに、と思ったが、構わず食べ続ける。 「いだいいいいいい?!!」 「あ、こら、手の中であばれるんじゃない…あ。」 ぽとり。あんまり暴れるので手からこぼれて地面に落ちる食いかけのゆっくり。 露出していた餡子が衝撃ですべて飛び出る。それがトドメになったらしく「ぎっ?!」と叫んで動きが止まる。 「あーあ、もったいない…」 さすがに落ちたものを食べる気にはなれない。蟻に寄付しようと思い直して次に取り掛かる。 どいつもこいつも、一口食われた瞬間に目覚めていきなり叫びだす。 「妹様なら断末魔もお喜びになるんだろけど、私にはそんな趣味はなー…」 ぼやきながらも次々に平らげていく。同族が食われて悲鳴を上げているというのに、他のゆっくりどもは目を回したままだ。 薄情なのか美鈴の声がそれほどすごかったのか、どちらなのか。 そしてちびゆっくりをすべて食べ終えたとき、美鈴はぽつりと呟いた。 「…飽きた…」 いくら久しぶりの甘味とはいえ、饅頭を腹いっぱい食べれるものではない。基本的に美鈴は辛党なのだ。 しかし空腹はまだ収まらない。さりとてこれ以上ドマンジュウを食べる気にはならない。 のこったれいむをどうしたものか、と思案していると、 「うー!うー!」 よたよたとこちらに寄ってくる影が一つ。 紅魔館の主、レミリア…にそっくりなゆっくりだ。 顔だけのときは日光で死んでしまうが、胴体が生えると日光の中でも活動できるようになる。 というより胴体の生える種類はゆっくりれみりゃとゆっくりフランしかいない。生命の神秘である。 だが美鈴の頭の中にあったのは、生命の神秘への遥かなる探究心ではなかった。 「こいち、確か中身肉まんだったよね?」 という食欲100パーセントな考えだった。 甘ったるいドマンジュウの口直しにはちょうど良い。確か家の中に醤があったはずだ。それで味付けして食べてしまおう。 そう考えるとよだれが出そうだった。 「うー!うー!」 どうやら美鈴が捕まえたゆっくりれいむ目当てに出てきたらしい。 調理道具を持ち出す時間稼ぎのため、母ゆっくりれいむを投げつけてやる。 「ゆ?」 その衝撃で意識を取り戻すれいむ。目の前にはれみりゃがいた。 「ゆぎゃあああああああ?!」 目を血走らせ歯茎をむき出しにした顔で叫ぶれいむ。必死で命乞いをする。 「れいむをたべてもおいしくないよ!!ゆっくりできなくなるよ!!」 捕食主のれみりゃがそんなもの聞くわけがない。 「うー!うー!」 右手で髪を掴み持ち上げ、空いた左手で頬を思いっきり引っ張る。 「ゆーーー?!い゛や゛だぁぁぁぁぁぁ!?いだいいいいいい?!」 痛みに泣き叫ぶれいむと、その反応を楽しむように徐々に力を込めるれみりゃ。 ぶち。 「ゆ゛ーーーー?!」 引きちぎった皮を食べ、露出した餡子に喰らいつき、餡子をゆっくりと吸い出していく。 「うま^^!うま^^!」 「ゆ゛っゆ゛っゆ゛っ!?」 餡子を吸い出され、痙攣する。生きながら脳を吸い取られるようなものだ。 れいむの目がぐりんと白目を向く。 餡子を2割程―れいむが死なないギリギリのラインだ―吸い取ったところで、今度は一気にかぶりつく。 「ゆぐぎゃああああっ?!」 痛みに意識を無理やり引き戻される。 「うー!うー!」 れみりゃはれいむの反応を楽しんでいるようだ。なるべく残酷に、なるべく苦しむように捕食している。 「うはー、レミリアさまと同じでどSなんだな、ゆっくりも…」 中華鍋を火にかけ、準備完了した美鈴があきれたように呟く。ちなみに火は気を掌に集中、発熱させて木を燃やして起こした。 「ゆ゛………っぐ…り゛……」 れいむはからだの半分ほどを食べられたところで息絶えた。 「うーーー!!」 死んだことに気がついたれみりゃは、子供が飽きたおもちゃを捨てるように投げ捨て、 「ぎゃおーーーー!たべちゃうぞーーー!!」 残ったゆっくりれいむのほうによたよた歩み寄ってきた。 「食べ残すなんてゆっくりの分際でぜいたくな…」 自分がれいむを食べ残したことを棚に上げて憤る、が気を取り直して、 「れみりゃー?れいむりおいしくてゆっくり出来る食べ物があるんだけど?」 慣れない猫なで声で呼び寄せる。 「うーー?おかし?くっきーー?!」 妖精メイドたちが甘やかしてお菓子で餌付けしたりするもんだから、口が肥えている。生意気、と美鈴はさらに苛立つ。 「もっとおいしいものよ?」 私にとってはね、と口の中で付け足す。美鈴が手に持っているものは醤。豆板醤の瓶だ。 「おかしーーーーー!うー!うー!」 みょうちきりんな踊りを踊りながらもたもた近づいてくる。 残っていた何匹かのゆっくりれいむは既に逃げ出していたが、美鈴もれみりゃも気にしていなかった。もっとおいしそうなものが目の前にあるのだから。 「おかしーーーー…?」 美鈴の持った瓶を見たれみりゃの顔が曇る。当然ながらクッキーやケーキには見えない。 「うーーー!!」 美鈴の手から瓶を叩き落とす。 「やだやだやだやだ!!!くっきーじゃなきゃだめーーー!!くっきーたべうーー!うー!」 地面に寝そべって駄々をこね始める。この甘えた根性は妖精メイドたちが甘やかしたせいらしい。 美鈴は慌てず騒がず瓶を拾い上げ、れみりゃの顎を掴み、瓶の中身を口の中に流し込んだ。 「う゛ゆ゛ーーーーー?!」 れみりゃは顔を真っ赤にして暴れる…暴れようとするが美鈴ががっちり顎と間接をホールドしているので、身動きすらも出来ない。 「うー?!う゛ーーーー?!」 「はいはい、おとなしくしてねー」 抑えるのも面倒になったので、浸透剄を叩き込んで無理やり黙らせる。 もう一発。さらにもう一発。とどめにもう一発。これで醤と肉まんがうまく混ざり合ったはず。 「さ、本日のメインディッシュと参りましょうか!!」 中華鍋が充分熱されているのを確認する。それから、逃げられないように羽、手足を引きちぎる。 気絶したれみりゃの身体が痛みに反応して痙攣するが目は覚まさない。 ちぎった羽と手足はもちろん捨てたりはしない。これは後から素材そのままの味でいただくのだ。 「えいっ!」 手足と羽をもがれて達磨みたくなったれみりゃを鍋に放り込む。油がはねる。熱さに起きた達磨がのた打ち回る。 「うーーー!!ううーーーー!!あづーーーい!!」 「まずは表皮をこんがりと…!!」 悲鳴を無視して料理に集中する。半年振りの肉なのだ。気合が入るのも当然と言えよう。 れみりゃは必死で身体を動かして鍋から逃げ出そうとする。しかし油ですべってうまく動けないうえに、端に来たと思ったら鍋を振られて中央に戻されてしまう。 さっきまでおいしいれいむを食べていたのに、何故こんな目に遭うのか分からなかった。 身体の外が熱い。身体の中が熱い。身体の中をかき回されたように痛い、生えてくるはずの手足が生えてこない。 「うーーー!!うーーーー!!ゆ゛っぐり゛じだいいいいいいい!!」 もう、ゆっくりできないのだろう。何が起こったかはわからなかったが、それだけは分かった。 れみりゃは、絶望のなかで焼け死んだ。 そんなれみりゃの絶望なんか知ったこっちゃない美鈴は、久々の中華の火力にハイになっていた。 「料理は愛情、中華は火力!!まだまだ火力がたりなぁい!!」 手に気を集中、鍋にダイレクトに熱を伝える。一気に火力が上がる。肉がはぜる音が激しくなっていく。 「燃えてる燃えてるハラショーー!!アイヤーー!!」 テンションが上がりすぎてお国言葉が出だした。 吹き出る汗、張り付くチャイナ。大変艶かしい。 最後の仕上げとばかりにもう一振り醤を加え、馴染ませるために鍋を思いっきり振る。 「あれ?」 突然手が軽くなる。赤熱して引きちぎれた鍋の取っ手しか手元にはない。 何が起こったか瞬時に理解する。が、どうしようもない。 「あ、ああああ?!」 美鈴のくびきから逃れた鍋は慣性の法則に則り、放物線を描いて…紅魔館の少ない窓の一つにジャストミートした。 その日の夜。もちろん美鈴は晩ご飯抜きだった。れみりゃの残りすらも取り上げられ、すきっ腹で門番を続けている。 ゆっくりを食べようとした結果がこれだよ!!
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/2912.html
注意書き タイトルこそとある落語ですがその落語との関連はありません。 虐待無し。人間虐め。 作者当てシリーズってやつです、見事正解した名前あり作者さんの中から抽選で一人、このSSの作者とネチョるSSを書いてくれるという話はありません、あしからず。 やあ!僕は虐待おにいさん!使い古された感があるこの挨拶だけど、たまにはいいよね!! そんな自分の元に一人の青年が訪れる、彼とは昔から付き合いがあり、自分もゆっくりを虐待したいと言ってきたので簡単な虐待道具を見繕った事がある。 そんな彼がゆっくりのことで話があると言ってきたのだ、そしてゆっくりは見せないでくれとも言ってきた。 「やめでぇ!!おにいざん!!でいぶばなびもじでないよぼぉぉ!!がえじで!!おうじがえじでぇぇ!!」 「うっさい」 さっきまで潰れると潰れないのぎりぎりの力でトンカチで殴っていたれいむを透明な箱に入れて蹴り飛ばす。 「もうおぞらどびだぐないいいぃぃぃ!!」 そんなことを言いながられいむは隣の部屋へと吸い込まれていった。 「やあ!よく来たね!!ゆっくりしていってね!!」 そんな挨拶をしながら青年を迎え入れる、彼はもともと健康的な顔色をしているというわけではなかったのだが、今日は一層顔色が悪くなっているような気がした。 「すいません…それ、やめてくれませんか?」 「ん?どうした?あんなにゆっくりをいたぶるのが好きだって言ってたのに…」 「そのことを含めて相談に来たんです、とりあえずゆっくりは全部閉まってくれましたか?」 「ああ、さっき全部奥の部屋にしまったよ、とりあえずあがりたまえ、お茶と饅じ…煎餅でも出そう」 青年を居間に通す、ソファに座らせそこで待ってるように言った後、お茶を入れて持ってきた 「それで、何の相談だ?好きな人ができたとか言われても彼女いない歴=年齢な俺には恋愛相談には乗れんぞ?」 「そんなんだったらあなたには聞きません、実はこれを返しに来たんです」 そう言って彼が取りだしたのは自分が少し前に彼に上げた、透明な箱をはじめとするゆっくり虐待道具だった。 「おいおい、それは俺が君にあげたんだ、返してもらわなくても…」 「俺、ゆっくり虐待を止めようと思うんです」 「…なに?」 なんだって?ホワイ?なんで?どして? 「とりあえず、理由を聞かせてもらおうか?」 「はい、じゃあ…」 青年は一口、お茶を飲んでから話し始めた。 「あなたに教えてもらってから、ゆっくりを虐待したとき、俺はとても楽しかった、いろいろな鬱憤をゆっくり相手に発散できた、虐待という麻薬にトリップしていたといってもいいでしょう」 「その例えは俺達がみな麻薬常習犯みたいに聞こえるからやめてくれないか」 いきなり何を言っているんだ、こいつは? 「僕はゆっくりを捕まえて、いろいろな虐待をしてきました。殴る蹴る、箱に閉じ込める、足を焼くなどです」 まあ、当然だろう。その三つは虐待の初歩の初歩といってもいい、虐待が趣味の人間でこの三つをしたことがないというやつはほとんどいない。 「ただ、つい最近、あることに気付いたんです。自分はゆっくりの親子を使った虐待、親の前で子を殺すという虐待をしていなかったんです」 「うん、それで?」 「内容としては簡単なものでした、親の足を焼いてその目の前で子を一匹ずつ殺して行くというものでした、親は泣き叫ぶし、子は僕が口添えしたので親が自分たちを見捨てたと思って親を罵る、 必死な親と俺に殺されようとしているのに親を罵ることしか考えない子ゆっくりがとても滑稽なものに見えて何とも言えない気分になりました」 「無力な饅頭風情の生死を自分が握っている、その間隔がとても心地よいものだったろう?他の生物では味わえない、ゆっくり虐待ならではの特権だな」 「まあ、そうなんでしょうかね」 無力なのに自分たちの生存権と所有権をひたすら主張するだけの汚いまんじゅう、そんな生物に自分たちの無力さを思い知らせ、親子間に誤解を生ませてそのまま一家まとめて皆殺し… ああ、なんていいんだろう。と、俺がトリップしかけたところで青年が話を続けた。 「その虐待がしばらく僕のマイブームになっていました、ただ、先日あるれいむ一家を虐待しようとして…怖くなったんです」 「怖いって、何が?」 れいむ種?まりさ種ならドスになりかけのやつでいきなりスパーク撃たれて髪が焦げたという話は聞いたことがあるが…そんなことを考えていると青年は少しづつ話し始めた。 「さあ!!今日も張り切って虐待するぞ!!」 そんなことを言いながら外に出た僕は虐待お兄さん。 実際はそこまで虐待回数も多くはないからお兄さん見習いってところかな? 今僕がはまっているのはゆっくりの親子を使った虐待だ、まさに人生の春を謳歌しているというゆっくり一家を捕まえ家に持って帰ってから、親の足を焼く。 たいていゆっくりどもは「ばりざだじだにもばるいごとしでなびのびどぼじでぇぇぇえ!?!?」とか言ってくるけどお前みたいなのが道端を歩いているから悪いんだ。 学校でも会社でも虐められる立場だった俺でも今は何とか生活している、そんな俺にすぐ捕まってしまうような饅頭の癖に家庭持ちなんて生意気だし、そんなに非力な存在なら 人間に危害を加える前にさっさと一家心中した方が地球環境のためにもなると思うんだけどね。 「おかーちゃんにひどいことしりゃいでぇ!!」 「おかーちゃんをはにゃちぇ!!」 当然親の悲鳴を聞いた子ゆっくり達は抗議の声を上げてくるがそんなものは無視、弱者の懇願をはなから無視するのってある種の快感だよね。 「お、おがぁざんのごどはいいがらちびじゃんだげでもにげでえぇ…」 残念、子ゆっくりはジャンプしても越えられないような深さの桶に入れてるから土台無理なのよね。 「ゆっぐりでぎないおじざんはじね!じねぇ!!」 あーはいはい、いつか死にますよ、確実にお前らよりは後だけどな。 とりあえず親の足(?)の部分をなでまわしてこんがり焼けていることを確認する。 「どーだーゆっくり、ちゃんと歩けるか?」 とりあえず確認のために地面に置いて煽る。 「あるけなぐじだのはおばえだろおぉぉ!!じね!あやばれぇぇ!!」 生首が体中を震わせながら目を真っ赤にしながら泣きわめくさまはどう見て持ちも気悪い、気持ち悪いのがさらに俺のテンションを上げてくれる。 さて、喚くだけで動けない親を桶がよく見えるようにおいて、子を殺すことにする。 「おじびじゃん!!にげでえぇぇ!!」 「おかあちゃんどこにいりゅの~!?」 桶の中からは親はよく見えない。だが親の悲鳴から俺をゆっくりできない人間と認識したのか必死に逃げようとする。 まったくもって無様だ、こんな狭い桶の中で逃げ切れるわけないのに。 「はなちぇ!!はなちちぇ!!おかあちゃんたちゅけてぇ!!」 とりあえず最初に一匹掴み、親と子両方からよく見える位置までもって行く。 「れいむのおちびじゃんをはなじぇえええ!!」 「おねーちゃんになりちゅるのー!!」 「いもーちょをはなちぇ!!そしちぇあやまりぇえ!!」 「はい一匹目ドーン!」 「ゆぎゃ…!!」 俺の手の中で一匹目の赤ちゃんがはじけた。一瞬の静寂の後、親と子が同時に叫ぶ。 「でいぶのあがちゃんがあああああああ!!」 「いやじゃああ!!じりたちゅない!じにたちゅにゃいよ!!」 「どおじでごろじだの!でいぶだじばにもじでないのにいぃぃ!?」 「アッハハハハ!!馬鹿見てぇ、お前ら足焼かれて閉じ込められて俺に家族をつかまれてたのにまさか殺されないだろうとは思ってたの?馬鹿見てぇ!!」 そこらへんの虫だって人間に捕まれたら全力で逃げだそうって言うのに? 「ほら、泣きわめくのはそこまでにしとけよ、まだまだ殺して行くんだからそんなにないたら水分持たないぞ?」 ほれ二匹目。 「ゆべしっ…」 「ああああああああ!あがじゃんんん!!」 三匹目。 「おかーちゃんたちゅげ…」 「れーみゅのいもーちょがああぁ!!」 「おかーちゃんたちゅけちぇえ!!」 「ちにちゃくにゃいよぉぉ!!」 「れーむたちにゃにもしてにゃいのにどおちてこんなことするのおぉぉ!?」 「そりゃお前たちゆっくりが生きるにも値しない屑生物だから俺みたいな屑に殺されるぐらいしか存在価値がないんだよ、あとお母さんは助けに来ない、なぜなら君たちのことなんかどうでもいいから」 「うしょだああ!!おみゃえがおきゃあしゃんににゃにかしたんだあ!!」 む、それに気づくとはこいつら、結構利口な方なのか?まあいいや、次からは子と親を隔離してから足を焼こう。 「まあ、そうだね、でそれに気付いてどうなるって言うんだい?あ、そ~れ!!」 「おきゃあ…ゆぎゃあ!!」 眼窩から眼球と餡子が噴き出し絶命っと、次で最後の一匹だ。 「やべろおおぉぉぉ!ぞのごがらでおはなぜぇぇぇ!!」 「いやだ~!おかあしゃんたちゅけて~!!」 だから親は助けにこれないんだって、というかゆっくりに限った話でもなく戦争映画とかでは何で死ぬ前に母親のことを呼ぶんだろうね?戦場に親がきて助けてくれるわけでもないし、 映画は好きだし戦争映画も好きだけど人が死ぬ前にモルヒネを撃たれながら「ママ、ママ…」って呟くやつは大っきらいだ、そんなこと言ってもままはたちゅけてくれまちぇーんとか言いたくなるよね。 少し横にそれた。ごめん。 で、最後の一匹を手にしその手に力を込めたとき… 「やべろ!やべろ!やべろおぉぉ!!!」 べりっ!! あれ?べり…? 音がした方向を振り向いたとき目に映ったのは、焦げた足を突き破り、そこから餡子を漏らしながらも自分に向かって襲いかかってくる親ゆっくりのかをがあった。 ついさっきまで滑稽なものだとしか思っていなかったそれが、その時だけおにや悪魔の類に思えた。 「っ…いってえ!?」 とっさに顔をかばおうとして出した左腕を噛まれる、ゆっくりに噛みつかれたことなんて初めてだったけど、こいつらってこんなに噛む力があるのか!? →手につかんでいた子ゆっくりを一瞬で握りつぶし、まだ左腕に噛みついてる親ゆっくりを左手でぶんなぐる、親ゆっくりは絶命したが、自分の腕にはかなり大きいゆっくりの歯形が残っていた。 そこまで話し終えた後、青年はお茶を一杯飲んだ。 「それで君は、ゆっくりという存在が怖くなったと、ゆっくりを見るたびに最後の親れいむの顔を思い出してしまうと」 「はい、その通りです。あの顔を見た後、ゆっくりという生物が怖くなったんです、そして自分は昔いじめられた腹いせにその虐めてきた相手と同じこと、 もっとひどいことをしてたんじゃないだろうかって…だから自分はこれ以上ゆっくりを虐めることができないんです。だからこれを返そうと…」 「まあ、待て」 青年の言葉をさえぎり、袋から一つの饅頭を取り出す。 「この普通の饅頭を潰してみるんだ」 「え…?でももったいなくないですか?」 「いいから、やれ」 「じゃあ…そぉい!!」 テーブルの上に置いてあった饅頭は一瞬で周りに餡子をまき散らしながら潰れた。 「それで、いまの行為を酷いことだと感じたか?自分をいじめた相手と同じことをこの饅頭にしたと思ったか?」 「え…?いいえ、だってこれはただの饅頭でしょ?」 「そう、これはただの饅頭だ、ゆっくりもただの饅頭なんだ」 それを聞いた瞬間、青年の顔が明るくなる。 「そうか、ただの饅頭は虐待してもいいんだ!!」 「少し違うけどそういうことさ」 そう言って袋からもう一つの饅頭を取り出し、そこに般若の顔をしたゆっくりれいむの顔をペンで書く。 「これを見てみろ、この顔が怖いか?自分の行為が幸せな動物を殺してしまうんだと思うか?」 「いいえ、だってただの饅頭ですもんね!!」 「そう、ただの饅頭だ」 そう言って言葉を続ける。 「ゆっくり虐待はアブノーマルな趣味だ、これを趣味に持つことが公に知られて職を失った人だっているという。確かに生物を虐めるのが大好きだという人間がいれば社会では認知されにくいだろう… だが、ゆっくりは饅頭なんだ、生物じゃない。ただの饅頭親子、団子大家族をたたいたり焼いたり潰したりしても本来は咎められることではないし、気に病むことではないんだ。 まあ、アブノーマルな趣味といってもいろんな人がいる、ゆっくり虐待にも俺以外の考え方を持っている人もい多いだろう、だから俺はこれ以上君には何も言わないよ」 「わかりました、今日はありがとうございます、話を聞いてもらえて少し楽になりました」 「そうか、それでこの透明な箱はどうする?いらないなら私が引き取るが…」 青年が返すといって持ってきた箱を指さすと、青年は笑顔で答えた。 「やっぱり持ち帰ります、僕にはまだこれが必要みたいです」 あとがき 制裁以外の理由で虐待する人間を書こうとするとどうしても人間の屑みたいなやつになります 作者当てシリーズ このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/1201.html
男が家に帰てきた。その戸を開ける音にビクついたものが居た 「うー?」 ゆっくりの中でも胴体を持つ珍しい種のれみりゃだった 以前夜道を歩いているところを見つけて捕獲した そして今は部屋の隅に設置してあるゲージの中で飼育されていた ゲージは縦横5mと以外と広く、食事も適度に与えられていた 「うー♪ うー♪」 れみりゃは男が抱えているものに興味深々だった れみりゃ種と同じ胴体をもつ種のゆっくりフランだった 「ギャオー!! ギャオー!!」 男の腕の中で激しく暴れまわっていた 「うー♪ トモダチ? うー♪ トモダチ?」 これから行われることも知らず、手を叩きはしゃぐれみりゃ 男はゆっくりフランを床に降ろすと、暴れるその手を力でねじ伏せて。両手両足を皮ベルトで拘束する 「ゆっくりしね!!!ゆっくりしね!!!・・・・・・・もがッ!!」 さらに叫ぶ口に布を巻きつけて、口を封じる 「フーー!! フーー!!」 羽だけがバタバタと暴れる ゆっくりフランを床にうつぶせに組み伏せてると、着ているスカートをまくりさらに下着を脱がせる 「ングー!! ングー!!」 その露になった幼い尻のその肛門に男は容赦なく、中身の入った酒瓶を突っ込んだ 「ッッ!!!!!!!!!」 もの凄い勢いで腸にアルコールが流し込まれて吸収されていく 「・・・・・ッ・・・ン・・・・・・・・」 急性アルコール中毒になり徐々に意識が遠のいていくゆっくりフラン 羽が枯れた草のようにしおれだし、口の布の越しに今に消え入りそうなうめき声だけが聞こえてきた フランがおとなしくなるのを確認して酒瓶を引き抜く ブピィィィィィという不快な水を音とともに餡子混じりの酒が肛門から逆流し、噴出した 部屋は一瞬でアルコールと餡子の甘ったるく生温い空気に包まれる 男は衣服脱ぎ、既に臨戦状態だったイチモツをその純真無垢な乙女の秘所にあてがう そして前戯も無しにいきなり奥まで突き刺した ブチブチと中を削りながら進むペニス 本来絶叫するはずの激痛にも関わらず、とうのゆっくりフランは感覚が麻痺しているため大した反応は見せず、夢と現実の狭間を行き来していた 「いぎゃあああぁぁぁああああぁあああぁぁぁあぁぁあぁぁあああ!!!!!」 絶叫したのはゲージの中のれみりゃだった。れみりゃは性器を弄られたことはあったが、まだ性交はされていなかった 自分と似た種の仲間がレイプされている、目の前の光景がただただおぞましかった ゲージの柵を握りガシガシと揺らす。もちろんそれぐらいではゲージはびくともしないのはわかっていた わかっていたが目の前の仲間が傷つけられるのが我慢ならなかった ここに来て飼われてから、れみりゃはいっしょにいて寂しさを紛らわせてくれる“仲間”が欲しかった 本当は怖かった。許されるなら隅で毛布をかぶりガタガタと震えていたかった バックから犯されるゆっくりフラン 確実に内臓を破壊しながらストロークを繰り返す男 腰が動くたびに膣内から血のように赤い餡子が掻き出された 「いギィッ・・・・・・・・イギッ・・・・・・・・・・アグッ・・・・・・・・ヒグッ・・・・うあ゛~~~~~~」 いつの間にか口の布は緩み外れていたが、そこから垂れ流される声に感情は無かった。ただ肺から空気が漏れたような音しかしなかった そんなうめき声など意にも介さず。男はただ我武者羅に快感と征服感に身を任せて、ひたすらピストン運動を続けていた ジュポジュポ ヴぁ~~~~~~~ ガンガンッ!! ペニスが膣をかき回す音と、ゆっくりフランのうめき声と、ゲージを揺らす音はもうしばらく続きそうだった ゆっくりレイパーが果てた頃には、ゆっくりフランの膣内はズタズタだった。種族の特性故に傷は短時間で再生するが、一度破壊された処女膜はもう元には戻らない ゆっくりレイパーはアルコールで完全に意識の飛んだゆっくりフランを毛布で包むと、れみりゃのいるゲージの中に寝かせた ゲージが閉じられるとゆっくりレイパーがゲージの中にお菓子を4つ放り込む れみりゃは2つ食べて、残りの2つには手をつけなかった お菓子を2つ食べ終わると、れみりゃは気絶するフランの元に恐る恐る近づいた れみりゃにとってゆっくりフランは天敵であることを本能が感じ取っていた 近づいて酒で真っ赤になった頬を指先でつつく。しかしフランの反応は無い 自分を襲ってこないと分かると本能が警戒を解いた ゆっくりフランの頭を持ち上げて膝枕をして頭を優しく撫でて介抱する 「うー♪うーうー♪う~~~~♪うー♪うー♪うー♪う~~~~うー♪うー♪」 そして微笑み、まるで赤ん坊を寝かしつけるようにれみりゃは歌い始めた この夜、酔いからさめたゆっくりフランは遅れてやってきた激痛にのたうち回ることになる れみりゃはその間、ゆっくりフランを励ますようにずっと抱きしめていた その姿はまるで姉が妹を守るようで尊かった
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/2301.html
現代モノです。子供が遊びの為に何の悪意も無くゆっくりをポイポイと使い捨てていく話です。 ====================================================================== ゆっくりドラッグ 最近男子小学生の間で注射器を使ったゆっくりドラッグが大流行している。 ゆっくりドラッグのもたらす快楽にとりつかれた男子小学生たちはみな注射器を持ち歩きゆっくりの捕獲に熱中した。 最初は誰もゆっくりがこんな快楽をもたらすとは考えてもいなかった。ゆっくりにはこんな使い道もあったのだ。 大人たちもこの大流行は知っていた。母親たちの一部にはこれを由々しき事態ととらえて禁止を訴えるものも居た。 しかし大抵は父親たちがそれをなだめて男子小学生たちのゆっくりドラッグを認めさせていた。父親達は口々に擁護する。 「男の子っていうのはこういう遊びを通じて大人になるんだよ」 「俺らが小さい頃はゆっくりは居なかったが似たような遊びはしてた」 「スリリングだし頭も使うしこれは教育にいい遊びだな」 「とにかくスカッとするよ。お前も一緒にどうだ?」 何がそんなに男たちを惹きつけるのだろうか?それは男子小学生達がゆっくりドラッグをやる様子を見れば一目瞭然である。 ここ湯栗市立南小学校でもゆっくりドラッグは大流行中だ。彼らがゆっくりドラッグをやる様子をちょっと観察してみよう。 「お~い、ゆっくりドラッグやろうぜ!いいの捕まえたんだよ」 『ゆっ!まりささまをどうするきなんだぜ』ぴょんっ ぴょんっ 「お~、イキも良いしジャンプ力あるなぁ。これ胴回りいくつ?」 「45センチだからライト・ミディアム級だな。お前持ってる?」 「いや~50センチだからギリギリでミディアムだわ」 「俺はいいぜ?このまりさならミディアムよりキテる」 「あぁ?俺のれいむなめてんのか?負けたらシッペだかんな!」 「お前が負けてもシッペだぞ!わかってんだろな!」 「おっしゃー!じゃあやるぞ!」 ひとしきり何やらバトルらしきものの前の煽りあいを済ませると少年達はニヤニヤしながらゆっくりを地面に置いて頭を押さえつけた。 『ゆっ!ゆぐっ!やめるんだぜ!』 『ゆっくりはなしてね!ゆっくりはなしてね!』 ゆっくりの文句には耳も貸さず彼らは集中力を高めて前方を見つめていた。 「あの木でいいな?」 「ちょっと遠くねえか?こっちの電信柱にしようよ」 「別に良いよ。じゃあ電信柱までな」 そして二人は左手でゆっくりを押さえつけ、右手に注射器を持ってカウントダウンを始めた 「3!2!1!・・・」 ゆっくりの尻に注射器が刺され、一気にラー油が注入された。 『『ゆぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃ!!!!!!!!』』 ゆっくりが子供達の左手の下で凄まじい痙攣を起こしている。彼らがホイールスピンと呼んでいる現象だ。 「「ゼロ!」」 二人が左手を離すとゆっくりはとてもゆっくりとは思えない凄まじいスピードで電信柱に向かって突進した。 『ゆぎゃぎゃぎゃ!・・・ぎゃぎゃ!・・・ぎゃ!・・・・ごふっ!!!!!!』ゴロゴロゴロ・・・ 『ゆぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃ!!!!!!!!』ぐしゃっ! 最初にリードしたのはれいむだったが突然失速し電信柱の1メートルほど手前で餡子を吐いて絶命してしまった。 絶命したままそこまでの勢いで少し転がったがゴール手前ギリギリ10センチ程で停止。 まりさは物凄い勢いで一気に電信柱に激突しその勢いで破裂して死んでしまった。まりさの勝ちである。 「イェーイ!勝った勝ったー!シッペな。お前シッペ!」 「くそ~、ぜってー勝てると思ったんだけどなぁ・・・」 負けた少年は悔しそうな顔をして腕を出すと勝者からのシッペを受けた。 そう、ゆっくりドラッグとはゆっくりを使ったドラッグレースの事である。 この「ゆぎゃぎゃぎゃぎゃ!」という変わった悲鳴と凄まじい痙攣、そして断末魔の急加速はこの殺し方でないと得られない。 そしてそのスピード感と豪快さが子供達の心を魅了し一気に全国にブームが広がって行った。 子供達はそれぞれの地域ごとに独自のルールを作り、その中でレースを楽しんでいた。 そして子供から大人まで男というものは「高速化のためのカスタマイズ」というものが大好きだ。 この遊びも当然例外ではなくさまざまな工夫がされていた。 「しかしお前のれいむ速かったなぁ。ゴールまで生きてたら俺負けてたぜ。何か改造してるの?」 「してるよ。でも教えてやんない」 「教えてよ~。いやまじあの加速は尊敬した。お前改造の天才だな。」 「ん~?ん~・・・んふふ」 「俺のまりさも速かっただろ?あれ級のジャンプ力ある奴が多い場所見つけたんだよ。そこ教えてやるからさぁ」 「じゃ、じゃあ誰にも言うなよ。俺とお前しか知らないスペシャルカスタムだからな。」 「おう、ぜってーいわねえ!」 口止めの約束を取り付けた少年はポケットから秘密兵器を取り出した。 「これだよ。」 「ね、ねりワサビ・・・?」 「そう。これをラー油に溶かし込むとすげー加速力が増すんだよ。俺はニトロって呼んでる。」 「そっか!考えてみりゃワサビの方がツーンとくるからゆっくりにとっては痛みが強いんだな!」 「多分そうだろね。だから早く死んじゃうんだよ。今回もゴール前に死んじゃったし。」 「あ~、だから最初ゴールを遠い木にしようって言ったのに近い電信柱に変えたのか」 「そう。まだニトロをどれだけ混ぜるのかとか距離によってデータ集めが必要だね」 「んじゃ今からさっき約束した俺の秘密の狩り場でゆっくり沢山捕まえて実験しね?」 「いいね!ただこれチューブもう空っぽだから途中でスーパー寄ってこ。」 「オッケー。じゃあ出発!」 二人は自転車にまたがるとスーパーに向かった。 「調味料売り場・・・調味料売り場っと・・・あ、あった!ここだここだ」 「ハウスとS Bがあるね。どっちがいいんだろ?」 「ん~俺ハウスしか使った事ないな。ニトロのブランドによって加速力違うのかな?」 「ていうかよ、これ!ちょっと気にならね?」 「ハバ・・ネロ?・・・」 「これって確か世界で一番辛い唐辛子だってテレビで言って奴だよ」 「何か凄そうだな。でもこれ粉だから溶けにくくね?」 「良く振れば溶けるでしょ。ワサビとどっちがニトロ効果高いのかなぁ」 「両方とも買ってみてどっちが速いか調べてみようぜ」 「ハウスとS Bはどっちが速いんだろ?」 「ハバネロとワサビ比べてワサビの方が速かったらそれも調べよっか」 「いいね!最強のニトロラー油作ろうぜ!」 「おう!俺たち最強のレーシングチームだぜ!」 「負けねえ!最強!俺ら超はええ!」 「ぎゃはははは!」 男の子の会話というのは子供も大人も大差無いものである。 所変わってここは隣の北小学校の学区。 先ほどの彼らの通う南小学校は公団なども多く比較的低所得なエリアを学区にしてるのに対し、高台の北小学校には裕福な子が多い。 そしてここでもゆっくりドラッグは大流行していた。しかしやはりそこは金持ちの子。レースへのアプローチもかなり違う。 捕まえてきたほぼ同サイズの10数匹のゆっくりがひしめく箱を抱えた子供が帰宅した。 「ただいま~」 『ゆー!おうちかえる!もうおうちかえる!』 『だしてね!ここからゆっくりだしてね!』 『ゆえ~ん、せまいよ~、くるしいよ~』 『ゆっくりできないよ!ゆっくりさせて!』 少年は椅子に登るとアクリル板で囲いを作ったランニングマシーンの上でその箱をさかさまにし、囲いの中にゆっくりを落とした。 『ゆ~!いちゃい!』 そして少年は二つのスイッチを入れた。徐々に動き出すランニングマシーン。 『ゆゆ?ゆかがうごいてるよ』 『ゆっくりできないよ!ゆっくりさせて!』 『ふん!もうつかれたからねるんだぜ』 動き出す床を気にせずフテ寝しようとしたまりさが後ろに達したときバチバチッと閃光が走り一瞬にして丸焦げになってしまった。 『ゆぎゃああああ!!』 『ゆゆゆー!?なにがおこったの!?』 『ゆえ~ん!こわいよ~!』 「見て分かんねえのか?後ろの板には高圧電流が流れてるんだよ。ゆっくりしてたら死ぬぞ」 『ゆぅぅぅぅぅぅぅ!!!!!』 『だずげでぇぇぇぇ!!!じにだぐないぃぃぃぃぃ!!!』 のろのろと這っていたゆっくりたちは力の限りぴょんぴょんと跳ねだした。それを見て少年はマシンの速度を上げた。 『どぼじでごんなごどずるのぉぉぉぉぉ!!!!!』 『づがれだああぁぁぁぁ!!!ゆっぐりじだいぃぃぃぃ!!!』 『おうぢがえるぅぅぅ!!!おうぢがえるぅぅぅ!!!』 『も・・・もう・・ハァハァ・・・づがれだ・・・づがれ・・・ゆぎゃあああ!』バチバチッ 『ゆっぐり・・・ざぜで・・・ゆっぐり・・・・ハァハァ・・じだ・・ゆぎゃあああああ!!!』バチバチバチッ 基礎体力の無いものは最初の10分の定速運動で振り落とされた。ランニングマシンの後端にススがカサカサと動いている。 ここからがセレクションの本番である。ドラッグレースに必要なのは何よりもスピード。少年はグイグイ速度を上げていった。 『もう・・・はしれ・・・ない・・・・ゆぎゃあああああ!!!!』バチバチッ 『ゆぐっ・・・ゆぐっ・・・じにだぐ・・・・な・・ゆぎゃあああ!!!!』バチバチバチッ 最後の3匹になった。今日のセレクションはこれで終了である。少年は速度を緩めた。 『おにいさん!きかいをとめてね!』 『これじゃゆっくりできないよ!』 「何言ってんだよ。鍛えなきゃ速くなれねえだろ。一晩中走ってろ馬鹿」 『ゆゆゆー!!!』 さすが金持ちである。カスタマイズにも金が掛かってる。 続く このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/1334.html
※変態お兄さんが登場します。すなわちR-18です。 ※変態お兄さん兼虐待お兄さんなのでかなり不快な野郎です。 ※この作品はfuku2091.txtの続きです。 メイドキャップ付きの銀髪三つ編みのカツラを被った変態お兄さん改め鬼畜お兄さんが洞窟最奥がにんっしんゆっくりゃのいる部屋にたどり着くと、そこには生まれたてのゆっくりゃが数匹転がっていた。 また、さきほど先に奥の部屋に行って交尾するように命令しておいた子どもたちが黒ずんで動かなくなっている。 どうやら素直に言うことを聞いて、約束通り姉妹で交尾をして朽ち果てたのだろう。 その死体の頭にはまだ茎が残っていて、中指ほどの大きさしかない体つきのゆっくりゃがまだ数匹そこに成っている。 しかし、どのゆっくりゃも声を発することすらままならずに死んだ魚のような目であたりをきょろきょろ見回しているだけだ。 「ほ~・・・体つきは体つきのまま生まれるんだな・・・」 「なにしにきたんだどー!ここはれみりゃのおやしきだどー!!」 「・・・・・・で?」 鬼畜お兄さんはにんっしんゆっくりゃの文句を聞き流し、周囲にいる生まれたて、それも子ども同士から生まれたがゆえに未熟児同然の赤ん坊ゆっくりゃの様子を伺う。 声一つも上げられないのはやはり未熟だったことと衰弱していることが原因なのだろうか? 「はやくでていくんだどー!!」 「ぎゃおー!たべちゃうどー!!」 「おやしきにいたかったらたべものをもってくるんだど-!!」 勿論、その間もにんっしんゆっくりゃが抗議を続けているが、無視を決め込んで、未熟児ゆっくりゃを回収しているお兄さんには何の効果もない。 「れみりゃのあがしゃんにさわるなーー!!」 「ふむ・・・きちんと生まれたものでも手のひらサイズか・・・」 「しかし・・・流石は痛めつけられると従順なゆっくりゃだな。まさかどっちの頭にも茎が4本も生えるまで交尾し続けるとは・・・」 「未熟児サイズが14匹と茎に残っていた中指サイズが6匹か」 その生まれたての赤ん坊達を回収し終えたお兄さんは、すぐに死んでしまいかねない赤ん坊達の口に母体となった子ども達の中の具を含ませる。 それすらも出来そうにない個体に対しては少し傷をつけてそこから具を流し込む。 「でびりゃのあがぢゃんになにするんだどーーーー!!」 状況を飲み込めないなりにも、突然交尾を始め、死んでいった子どもの残したものを育てようという感傷でも持ち合わせているのか。 それともただそこにいる赤ちゃんは自分のものだと主張したいだけなのか。 どちらなのかは定かではないが、にんっしんゆっくりゃはお兄さんを必死に赤ちゃんから遠ざけようとする。 実はこの行為は救命・延命措置なのだが、ゆっくりゃにそんなことを理解しろというのは恐らく酷というものだろう。 「・・・う?」 「・・・・・・うぅ~?」 「うっう~♪」 「・・・あう~」 その措置が功を奏して赤ん坊達は次々に産声を上げていく。 手の平サイズの未熟児だけではなく、中指サイズの未熟児とさえ呼べないような個体までも意識を取り戻し、ゆっくりと動き始めた。 「あ、ああ・・・あがぢゃんがうごいだどおおおおおおお!!」 叫び声の主はくわっと目を見開いて部屋の中央に鎮座しているにんっしんゆっくりゃ。 流石にこのサイズなら今までに出産経験もあるだろう。 動けない赤ん坊がそこにいるのに何もせずじっとしていたのは経験則からすぐに死ぬことを理解していたからなのだろうか。 もしかしたら、あれだけのコミュニティを持ちながらにんっしん出産をしているのも赤ん坊の生存率を重視しているからかもしれない。 真意を知る術は無いが、赤ちゃんが動き出したことににんっしんゆっくりゃは感極まって涙を流していた。 全員焦点が合っておらず目は機能を果たしていないし、さっきの無反応を見た限り耳も殆ど使い物にならないだろう。 それに今後建って歩けるようになるものは皆無だろうが、母ゆっくりゃはその事実を知る由もなく、ただ赤ん坊達が生きていたことに感涙している。 そんなゆっくりゃの方へ振り返り、お兄さんは優しく微笑んだ。 「これで赤ちゃんたちは元気になったよ」 「うっう~♪おじさん、ありがとうだどー!おれいににれみりゃのめしつかいにしてあげるどー♪」 どうやらこのゆっくりゃはまだ他のゆっくりたちがこのお兄さんに全滅させられていることに気付いていないらしい。 確かにこの部屋からでは入り口付近で起きた惨劇なんてあまり見えないだろうが、あれだけの叫び声を聞いておいてなんとものんきなものである。 「そうか。じゃあ、れみりゃくんが俺の主人なんだね?」 「うー!そうだどー!」 「それじゃ、主人として召使の性処理をしないといけないなぁ・・・!」 一瞬にして今までしぼんだ状態にさせていたお兄さんのモノがむくむくと膨れ上がっていく。 そして鋼の如き硬さを帯びたそれをゆっくりとにんっしんゆっくりゃの前に差し出した。 「うっうー!れみりゃはこうまがんのおぜうさまだどー!めーれーなんてされないんだどー!」 「ごちゃごちゃやかましいぞ!」 「ぎゃ!?」 お兄さんはイチモツを力強く振りかぶると、ゆっくりゃのにんっしんによって普段の倍近くにも膨れ上がった頬を殴打した。 その一振りはビシッと軽快な音を立ててにんっしんゆっくりゃの顔を揺らす。 「なにするんだ、どっ!?」 「君に!」 いきなりの攻撃に対して怒りに任せて抗議しようとするゆっくりゃだが、お構いなしに次の攻撃を打ち込まれる。 バシッ!! 「いだいーー・・・いっ!?」 「与え!」 痛さと理不尽さのあまりに目に涙が浮かんでくる。しかし、お兄さんは止まらない。 ベシッ!! 「ぎゃっ!?」 「られた!」 良く見てみると口から肉汁が滴っている。叩かれているときに喋るから噛んでしまったのだろう。 ズビシッ!! 「やべ、でっ!?」 「選択!」 ついに我慢の限界に達したらしく、涙があふれ出す。もっとも、それは攻撃をいっそう激しくする結果を招くのだが。 ズバシュ!! 「ぎゃっ!?」 「肢は!」 涙に嗜虐心をそそられたお兄さんは加速させすぎてぺにぺにで斬撃を放ってしまったらしく、ゆっくりゃの頬が少し切れている。 ザシュ!! 「いだ、いっ!?」 「咥え!」 2回目の斬撃によってゆっくりゃは反対側の頬にも切り傷をつけられる。さっきの一撃より鋭いそれはゆっくりゃの皮をかなり深く抉っているようだ。 「ぎゃおおお、おっ!?」 「るか!」 自重したお兄さんは斬撃を止め、再びビンタに戻す。しかし、切り傷に触れられるためさっきまでのビンタよりもずっと痛い。 ビシッ!! 「ぎゃっ!?」 「咥え!」 今度はかなり深く切りつけられた頬への一撃。ついでにお兄さんは「赤ちゃんは大丈夫かな?」と尋ねてみる。 バシッ!! 「あがじゃん、がっ!?」 「ないで!」 またしても肉汁が滴っている。赤ちゃんのことに触れられ、喋ろうとしてしまったのが災いしたようだ。 ベシッ!! 「ぎゃっ!?」 「死ぬ!」 涙と肉汁を撒き散らすゆっくりゃ。今度はお兄さんのイチモツによる下からの突き上げが襲い掛かる。 ズビシッ!! 「うぎゃ!?」 「かっ!」 突き上げと同時に跳躍したお兄さんは落下の勢いに任せて白目を剥いているゆっくりゃの頭部へぺにぺにを叩き込む。 ガスッ!! 「でび、りゃっ!?」 「ふたつに!」 着地と同時にお兄さんはゆっくりゃの横を駆け抜けざまにラリアットの要領でゆっくりゃの下あごを強打する。 ガッシ!! 「うぎゃ!?」 「ひとつ!」 そして、座ったままであるにも関わらず勢い良く吹っ飛ばされたゆっくりゃに向かってとどめの突きをお見舞いする。 ボッカ!! 「いだい、ぎゃっーーーーー!?」 「だっ!」 その一撃によってゆっくりゃは洞窟の壁面に後頭部を叩きつけられ、そこからだらだらと具がこぼれる。 「いだいーーーーーーーーーーー!!いだいーーーーーーーーーーーーー!!」 「さあ、どうするんだい?咥えるかい?死ぬかい?」 極上のスマイルを浮かべたお兄さんは再びゆっくりゃにモノを突きつける。そこには平仮名で「ないふ」と書かれている。 「ざぐやあああああああ!!ざぐやああああああああああ!!」 「やれやれ、全く話を聞いていないな」 が、恐怖でお兄さんの話など耳に入ってこないゆっくりゃは必死にいるはずもない従者の名前を呼びながら後ずさる。 「なんでしょうか~、おぜ~うさま~!」 勿論、さくやでも咲夜でもない。声の主はメイドキャップ付きの銀髪三つ編みのカツラを被った全裸の鬼畜お兄さん。 「ぢがううううううううう!!おばえはざぐやじゃないどおおおおおおおおおおおおお!!」 「ひどいですわ~、おぜ~うさま~!」 「ごっぢにぐるなああああああああ!!」 「そんな事いうおぜう様にはお仕置きが必要ですわね~♪」 「い゛や゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ!?・・・う、うばれりゅ!!?」 散々殴られたせいかどうかは知らないが、いきなりゆっくりゃが産気づいた。 「よし、じゃあ、さっさと産んでお仕置き続行ですわ~♪」 言うが早いか、お兄さんは産道をこじ開け、手を突っ込むと中ですくすくと育っていた子ゆっくりゃを引きずり出した。 「うぎゃあああああああああああ!!いだいーーーーーーーーーーーー!!」 その乱暴な行為が母ゆっくりゃの表情をまたしても歪ませる。 「いぢゃいーーーーー!!」 一方、産道の中の子ゆっくりゃも乱暴に頭を掴まれ、産道から力任せに引きずり出される痛みで泣き喚いている。 しかし、お兄さんは問答無用。空いている手でにんっしんしているゆっくりゃの頬を掴むと勢い良く子ゆっくりゃを引きずり出した。 「ぬぅん!!!」 その一声と同時に子ゆっくりゃは産道から引きずり出され、洞窟の地面に打ち付けられ、3,4メートルほど転がって背中から壁にぶつかり、再び悲鳴を上げた。 「うぎゃああああああああああああああああああああ!!」 「しゃらっぷ!!」 即座に跳躍したお兄さんは着地の際に子ゆっくりゃの両脚を踏み潰すと前のめりに倒れ、手を突いたついでに両腕を破壊した。 「―――――――ッあああああああああああああああ!!」 「でびりゃのあがぢゃんーーーーーーーーーー!!」 唐突に四肢を破壊された子どもと母親の絶叫が洞窟の中にこだまする中、お兄さんは先ほど蘇生させた20匹あまりの赤ん坊を子ゆっくりゃのお腹の上に置く。 「う~」 「おいちいど~♪」 「うっう~」 「むしゃむしゃだど~」 「いぎゃああああああああああああ!!でびりゃをだべるなだどおおおおおおおおおおお!!」 「うぎゃああああああああああああああああ!!」 母と子がいくら悲鳴を上げたところで目も耳も使い物にならない赤ん坊たちには何の意味も成さない。 四肢を失った子どもが体をゆすって抵抗するも、動けば傷が痛むし、思った以上に赤ん坊たちは力強く、なかなか落ちてくれない。 「ざぐやああああああ、だずでえええええええ!!」 「な~んでしょうか~、おぜうさま~♪」 くどいようだが返事をするのはお兄さん。「おばえなんがざぐやじゃないいいいい!!」と喚く母ゆっくりゃにつかつかと歩み寄ると、さっきの連続ビンタで少し腫れてしまった頬を強く握る。 そして、母子の阿鼻叫喚の二重奏をBGMにお兄さんは本命と言っても過言ではない、母ゆっくりゃの産道への挿入を開始した。 慎重に狙いを定め、徐々に閉じつつある産道に「ないふ」と書かれたモノをねじ込んで、再びこじ開ける。 「ぬふぅ・・・こ、これは・・・!」 「ざぐやあああああああああ!!だずげでえええええええ!!」 「用があるなら早く言ってくださいね、お~ぜうさま~!」 そう言いながら問答無用に腰を振るお兄さん。しkし、内心こう思った・・・がばがばじゃないか、と。 「ざぐやい゛や゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!ざぐやなんであっぢいげえええええええ!!」 「ふんっ!ふんっ!ふんっ!ふんっ!ふんっ!ふんっ!ふんっ!ふんっ!ふんっ! ふんっ!ふんっ!ふんっ!ふんっ!ふんっ!ふんっ!ふんっ!ふんっ!ふんっ! ふんっ!ふんっ!ふんっ!ふんっ!ふんっ!ふんっ!ふんっ!ふんっ!ふんっ!」 思った以上に締まりが悪かったとこに失望した鬼畜お兄さんは始めてしまった以上最後までやらねばという意味の分からない義務感だけで腰を振りつづける。 もっとも、考えてみればアレだけのサイズの子どもが出てくる道が締まりの良い訳がないのだが。 さっさと済ませたい一心で腰を振るお兄さんにはもはやゆっくりゃへの興味など微塵もない。 「ぬんっ!!」 産道に精液を流し込むと、出し切る前に引っこ抜き、さっき四肢を潰した子ゆっくりゃのほうへ歩いていく。 射精してやることを済ましてしまえばこれ以上ここにいる理由はない。 しかし、自分をぬか喜びさせた母ゆっくりゃにはお仕置きをしないと気がすまないお兄さんはさっき生まれた子どもと赤ん坊20匹を産道にねじ込んでその場を後にした。 ついでに赤ん坊を産んだ親の屍骸もねじ込んでから、きっちり産道の入り口を封印しその場を後にした。 鬼畜お兄さんが洞窟を後にしてから数時間後。 「ゆ!ここはすごくゆっくりできそうなばしょだよ、まりさ!」 「ほんとうだね、まりさ!あかちゃんたちもゆっくりついてきてね!」 ゆっくりゃたちの巣の前にやってきたのは2匹のゆっくりまりさ。 1匹は鬼畜お兄さんに子どもを持って行かれた母まりさで、もう一匹はゆっくりゃと何度もすっきりさせられたゲスまりさだった。 2匹の連れている子どもは胴体なしのゆっくりゃが42匹とまりさが51匹のあわせて93匹。 「さっきのおにーさんがここにはたべものもいっぱいあるからすごくゆっくりできるっていってたよ」 「あやまったらまりさのこともゆるしてくれたし、いいおにーさんだったね」 わいわいがやがやとお喋りをしながら巣の中に入る一家。 そのお兄さんが言っていた通り、そこにはたくさんの食料があった。 両手両脚を縛られ、内側から子まりさに具を食べられ続けるしにぞこないのゆっくりゃ。 魔改造によって異常に長い胴体と4本の腕を得てしまった、立ち上がることもままならない赤ちゃんゆっくりゃ。 同じく魔改造によって異様に短いうえに足しかない胴体を与えられ、座ることも出来なくなった赤ちゃんゆっくりゃ。 そして6匹のゆっくりゃ種が連結され、ひとつになってしまったもの。 大量の子どもや赤ちゃんをねじ込まれ、頭部が重くなりすぎた結果、頭をゆかにこすりつけたまま身動きが取れ中なったもの。 動くことのままならない個体が10匹以上。 ここなら餌を取りに行かなくてもずっとゆっくり出来そうだと一家は思った。 ---あとがき?--- 鬼畜お兄さん。虐待お兄さんと違ってゆっくりと交尾します。 また、変態お兄さんと違ってゆっくりを虐待・虐殺します。 言動や思考はすさまじく身勝手で他のお兄さんからも煙たがられています。 俺だってこんな奴とは関わりたくありません。 今度はゆっくりをひたすら魔改造する作品とか書いてみたいな。 byゆっくりボールマン このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/2303.html
幻想卿にゆっくり虐待に生涯を捧げた虐待お兄さんがいた。 男は畑を荒らす泥棒ゆっくりを見つけては虐待し。 親子で仲良く暮らすゆっくりを探しては、親の眼の前で子供を食い殺し。 恋人同士幸せに暮らすゆっくりを探しては、仲違いさせ殺し合わせ。 元気に遊ぶ子ゆっくりを探しては、底部を焼き眼を抉り二度とゆっくり遊べないようにした。 やがてそんな虐待お兄さんにも、虐待嫁ができ虐待息子ができ虐待孫ができ。 気がつけば、いつお迎えが来てもおかしくない年齢になっていた。 死期を悟った老いた虐待お兄さん、いや虐待爺さんは人生最後にと、虐待祭りを開いた。 虐待爺さんの屋敷に近隣に生息していたありとあらゆるゆっくりを集め。 虐待爺さんとその家族は、盛大にゆっくり達を殺しいたぶり蹂躙し皆で大いに楽しんだ。 十日で、五百匹のゆっくりを虐待したこの祭りの三日後、虐待爺さんは親戚縁者に見守られ眠るように息を引き取った。 虐待爺さんの人生はこれで終わったのだが、死後の世界というものは存在し、虐待爺さんは生前の罪の裁きを受けることになった。 虐待爺さんは生前の記憶を持ったまま、三回ゆっくりに転生した後地獄行きという、非常に厳しい判決を受けた。 小さくも威厳のある幻想卿の閻魔様、四季映姫・ヤマザナドゥが言うには、 「そう、あなたは少しゆっくりを殺し過ぎた、一度虐げられる側、ゆっくりの立場に立ってみることでこれまでの無益な殺生について反省しなさい」 との事だ、判決を聞いた虐待爺さんは何度も抗議をしたが聞き入れられなかった。 映姫が槌を叩くと、その瞬間虐待爺さんは意識を失った。 目覚めると虐待爺さんはゆっくりの茎に生えた、一匹の赤ちゃんゆっくりになっていた。 「ゆっくりうまれてね!」 「ゆっくりしたいいこになるんだぜ!」 わしの真下にはゆっくりれいむが居る、そばのゆっくりまりさはキラキラした目でわしを見つめている。 多分こいつ等が、わしの両親なんじゃろう。 どうやらあのツルペタ閻魔の言っていたことは本当だったようじゃ、わしはゆっくりになってしまったようだ。 虐待爺ともあろうものがゆっくりになってしまうとは、何とも情けない話じゃ。 それにしても、よりによってわしはまりさ種に生まれてしまったのか。 せめて捕食種のゆふらんとかなら、ゆっくりを虐待しまくれるんじゃが。 そんなことを考えた瞬間、元虐待爺さんのゆっくりまりさの体に電撃が走った。 何故人間じゃないとゆっくり虐待が出来ないんだ?、何故ゆふらんじゃないとゆっくり虐待が出来ないんだ?、何故ごく平凡なゆっくりまりさはゆっくり虐待が出来ないんだ? ゆっくり虐待に必要なのは人間の体でも、ゆっくりより強い力でもない、眼の前のゆっくりを虐待したいという虐待魂だ!!! わし、いや、俺は、この第二の人生いや饅生を虐待ゆっくりとして生きるのだ!!! 自分達のかわいい愛の結晶の中に虐待ゆっくりがいることには気づかないれいむとまりさ。 ゆっくりの両親は、茎に実った可愛いわが子達に目を細めていた。 その数時間後、邪な野望を持った虐待ゆっくりは五匹の姉妹たちと一緒にこの世に生まれ落ちた。 ちなみに俺の姉妹はれいむがニ匹にまりさが三匹だ。 「「「「「ゆっくちちていっちぇね!!!!」」」」」 「ゆっくりしていってね」 「ゆぅ~!れいむたちのあかちゃん!ゆっくりしていってね!」 「ゆ~!ゆぅ!みんなとってもゆっくりしてるんだぜ!」 元気に、ゆっくりしていってねと叫ぶ姉妹達。 生まれてきた我が子を見て、目に涙を浮かべながら歓迎するゆっくりれいむに、巣の中で飛び跳ねて大喜びをするゆっくりまりさ。 どいつから虐待しようかな?うきうきワクワクしてきたぜ。 親れいむは、頭に生えていた茎を落とすと赤ゆっくり達に食べるように言った。 「「「「「むーちゃ!むーちゃ!ちあわちぇ~!」」」」」 「むーしゃ!むーしゃ!幸せー!」 ゆっくりになったのだから、味覚も当然ゆっくりと同じになっているようだ。 茎はなかなかうまい、柔らかくて噛むといい匂いがする。 しばらくすれば虫や雑草を食べねばならない、そう思うと気が滅入るがゆっくりになった以上仕方のないことだ。 それに俺の味覚はゆっくりそのものなのだから、美味しく感じるはずだし今は気にすることじゃないな、まずはこの体で俺がどのくらい動けるかを試してみることが大事だ。 俺達は食事の後、親から跳ね方を学んだ。 もと人間の俺は、跳ね方のコツがつかめず苦戦したが、 「ゆ~!いそがなくていいよゆっくりおぼえてね!」 「ゆっふふ!まりさはゆっくりしてるんだぜ!れんしゅうすればゆっくりすぐにはねれるようになるのがまりさにはわかるんだぜ! と微笑みながら両親は語りかけてくれた、おお母性愛、母性愛。 俺が上手に跳ねれるようになるころには、他の姉妹共はそれぞれ遊んだり昼寝をしたり、思い思いに過ごしていた。 まさに幸せなゆっくり家族の巣といった感じだ。 俺も笑いながら姉妹たちの遊びに加わった、鬼ごっこをしたり跳ねる高さの競争をした。 せっかくゆっくりに生まれたのだ、一度姉妹のゆっくりとゆっくりの体で遊んでみるのも一興だろう。 後ろでは、両親が本当に幸せそうな顔で俺達について話している。 「れいむたちのはじめてのこどもだねまりさ!」 「ゆ~!ゆっくりしたいいこにふたりでそだてるんだぜ!」 もちろんだ、俺は最高にゆっくりした子供になってやるぜ。 俺はその後も姉妹たちと、夜遅くまで遊んでいた。 「ゆ~!そろそろおねむのじかんだよ!ゆっくりおねんねしようね!」 「「「「「ゆっくちおやちゅみなちゃい!」」」」」 「ゆっくりお休みなさい!」 五分もたつと、両親も俺の姉妹たちも、眠りの世界に旅立ったようだ。 親まりさと親れいむを中心に、俺の姉妹たちは気持ちよさそうに眠っている。 俺は笑みを浮かべながら隣で寝ている、俺より一回り小さい俺の妹、ゆっくりまりさの前に立つ。 可愛いらしい顔をしばらく眺めた後、妹の口に思い切り噛みつき引き千切る。 ぐじゃ!!っといい音がした。 「びゅ………!!!!!!!!!」 「むしゃ!ふひひ…良い味だぜ、まりさの妹…!」 口を噛み裂かれたせいで悲鳴を上げられない妹を押さえつけて、幼く穢れを知らない白く柔らかい身体を本能のまま貪り喰らう、言うまでもないが食事的な意味でだ。 餡子のつながった妹だからだろうか?それともゆっくりにとっての最高の美味はゆっくりだからであろうか。 口の中に広がる芳醇な甘みは、前世で数多食らった、どのゆっくり達にも勝るまさに至高の味だった。 食事を終えると俺は妹まりさの帽子を咥えて、家族を起こさないようにゆっくりと巣穴の外に出た。 外で、妹の帽子を吐き捨てると、巣穴に戻って俺自身も、睡眠をとることにした。。 俺は家族たちから少し離れて、ついさっき食い殺した妹の恐怖に染まった表情を思い浮かべながら目を閉じた。 「「ゆっくちおはよう!」」 「「「「ゆっくりおはよう!!!!!!」」」」 「ゆっくり起きたよ!」 姉妹たちも両親も、一匹家族が欠けている事に気がつかないようだ、さすがゆっくりだ。 俺達はその日も巣の中で、ゆっくり過ごした。 別段変ったことは無い日だったが、一つだけ素晴らしい発見があった。 どうやら、ゆっくりは同族を食うと体力や運動能力が上がるようだ。 体が昨日より明らかに軽く、素早く動けるようになっている。 今夜も誰かを食い殺して力をつけるとするか…。 俺はその日も残った姉妹のうち、一番小さい妹まりさを昨日と同じ方法で噛み殺した。 きちんと全部食おうとは思ったが、親れいむや親まりさが朝起きて娘の惨殺死体を見つけたらどんな顔をするか見たくなったので、半分ほど残してその日は寝た。 俺が目を覚ますと、ゆっくり虐待が好きな者なら垂涎の光景が繰り広げられていた。 「ゆぅぅええ!!!ぇえぇぇぇん!!!!」 「れいみゅおねーちゃんちっかりちてね!!」 妹のれいむがゲロを吐いてい痙攣しているのを見ながらおろおろしている妹のまりさ。 「ゆぅぅぇぇぇ…ぇぇ」 それを見て貰いゲロをしている姉れいむ、ゲロといっても吐いているのは餡子だからそれほどグロくないし実にシュールな光景だ。 生まれて二日目の赤ん坊ゆっくりがゲロなんて吐くなんて命にかかわる大事だ、現に妹れいむはあくまで目測だが致死量に至るだけの量の餡子を吐いているもう助からんだろうね、合掌。 ちなみに俺の両親はというと、妹の死骸、昨日の俺の食い残しの傍で騒いでいた。 「ゆぅぅ!!!あかちゃんしっかりしてね!!すーりすーり♪‥」 「れいむ…やめるんだぜ‥あかちゃんはもう…もう…」 「ゆゆ!!!うるさいよ!!あかちゃんはねてるだけだよ!!すーりすり♪…おねがいゆっくりおきてね!!」 親れいむは泣きながら俺が食い殺した妹れいむの死体に頬擦りをしている。 そんな事して生き返ると思っているのか?馬鹿なの?、今世話をしてやるべきは餡子吐いちゃってる生きてる方の妹達だろ。 一方、親まりさは親まりさで汗をかきながら、挙動不審に体を揺らしている。 御自慢のお家で殺饅事件が起きて動揺してるんだな、それにしても全く駄目だな奴だ、一家の大黒柱はもっとどっしり構えてなきゃ駄目だぜ。 結局その日は、餡子の吐きすぎで妹れいむが死んで、家族みんなで大声で泣いた。 俺はその日一日泣きまねをしなければならないので実に疲れたので、この日は夜に妹達を食い殺すことはやめておいた。 ゆっくり虐待は体が資本、体調管理は大事な仕事のひとつなのだ。 「ゆぅえぇぇん‥おねぇちゃん‥なんでちんじゃったの‥」 「ゆぅぅ‥れいみゅやまりちゃとゆっくちちたかったよ…」 夜遅くまで死んだ、妹を思って泣く姉妹たちを気にせず、俺はたっぷり睡眠をとった。 「あかちゃんはまりさがまもるんだぜ!!ゆっくりあんしんするんだぜ!!」 「ゆぅぅ‥がんばってねまりさ!!れいむはあかちゃんといっしょにゆっくりねむるよ!!」 ちなみに親まりさはゆっくりできないものが襲ってこないか寝ずの番をするそうだ、まぁゆっくりゃに襲われないようにほどほどに頑張ってくれ。 「ぷくくぅぅ!!れいむひどいよ!!まりさはおこったんだぜ!!!」 「ぷくぅぅぅぅ!!!まりさがくちだけなのがいけないんだよ!!!ゆっくりはんせいしてね!!!」 「おかーしゃんたちゆっくちけんきゃやめてね!!!」 「ぷくぅぅししゃだめだよ!!ゆっくちちてね!!」 続く このSSに感想を付ける