約 3,643,543 件
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/1884.html
家に帰る途中で、四匹のゆっくりが一匹のゆっくりを囲んでいるのを見つけた。 囲んでいる側は体当たりをしている。笑っているようなので楽しんでやっているようだ。 基本的にゆっくりは仲間意識が強い。 飢えれば子供を食うし、髪飾りをなくせば仲間から殺されるが、意味もなく同じゆっくりに攻撃するのは珍しい。 興味を持った俺は饅頭共に気づかれないよう静かに近づき、どんなゆっくりがいるのかを確認する。 体当たりをしているのはれいむにまりさ、そして争い事に滅多に関わらない病弱なぱちゅりーとゆっくりレイパーのアリスだ。 そして、囲まれているゆっくりは星形マークの入った緑色の帽子に赤い髪… 見たことのないゆっくりだ。 大きさはどれもソフトボール程、同じ大きさの四匹から体当たりを受けているあれは皮はまだ破けずに体が汚れているだけ。 同じ大きさのゆっくり四匹に囲まれているのに、いまだに皮が破れていないのは凄い。 それとも相手が痛めつけるのを目的に手加減でもしているのだろうか? とりあえず一気に近づいて、四匹から髪飾りを奪い取る。 こうすれば逃げないので俺はゆっくり話ができる。向こうはとてもゆっくりなんてできないけどね。 「おじさんなにするの!」 「まりさのぼうしをいそいでゆっくりかえすんだぜ!」 「むぎゅぅぅぅぅぅぅ!」 「ぼうしをうばうなんてほんとうにいなかものね!とかいはのありすにあやまってね!」 案の定騒ぎだすゆっくり達。これがないと大変な事になると本能で理解しているから必死である。 「ごめんごめん、ちょっと君達から話を聞きたくてね。ちゃんと話が終わったら帽子は返すからね」 「そんなのしらないよ!」 「ぼうしをかえさないおじさんはゆっくりしね!」 「ばかとはなしてもじかんのむだよ!」 「いなかものはさっさとぼうしをかえしてどっかいってね!」 「ちゃんと話してくれたらお菓子をいっぱいあげるから駄目かな?」 「「「「ゆっ!?」」」」 「ほんとうにおかしをくれるの!?」 「おかしほしいんだぜ!」 「ついでにほんもほしいわ!」 「しょ、しょうがないからきいてあげるわよ!」 「いいかな?」 「「「「ゆっくりしつもんしてね!」」」」 「うん、ありがとう。じゃあ早速だけど、君達はなんでその子を虐めてたのかな?」 「これのこと?」 俺が指さしたゆっくりをれいむが踏んづける。踏まれている奴は怖いのか、先程からずっと目を閉じて震えている。 「こいつはクズだからいじめていいんだぜ!」 「クズって… 君達と同じゆっくりじゃないか」 「こんなクズととかいはのありすをいっしょにしないでね!ありすのまむまむにまったくかんじないふかんしょうのやつといっしょにされるなんてふゆかいだわ!」 黙れよレイパー。 「ばかなおじさんのためにせつめいしてあげるわ。それはめーりんていってね、からだがじょうぶなだけのやくたたずよ」 「役立たず?」 「しゃべれないしいっつもねてばかりいるんだよ!」 「まりさがみつけたやさいをたべようとしたらじゃましてくるいやなやつなんだぜ!」 「かわがじょうぶだかられみりゃにもたべられないからおとりにさいてきなのよ!」 「ま、かこうじょうにすらみすてられてるからそれだけでくずってよくわかるわ」 「加工場にねえ…」 加工場は捕獲及び持ち込まれたゆっくりを研究し、様々なゆっくり関連の商品を作っている。 最近では数が足りないのでゆっくりの養殖までしているようだ。 とりあえずそれが本当かどうかを確かめる為に、れいむに踏まれているめーりんを帽子を持っていない左手で抱き抱えた。 「おじさんそんなのどうするの!」 「はやくぼうしとおかしをもらいたいんだぜ!」 「とりあえず加工場にすら見捨てられたっていうのが気になってね。こいつを連れていこうと思うんだ」 「そんなことしてもむだなだけよ!」 「いなかものはじかんをむだにするのがすきなのね」 「ま、すぐ終わるさ。君達も一緒にくるといい。これを連れていったら帽子を返してお菓子をあげるよ」 加工場の名前を出したらついてこないと思ったのだが、帽子の為かすぐに四匹は一緒に来ると言った。 加工場への道中は、わりと大変だった。 体の弱いぱちゅりーは普通に歩く速度だとついてこれず合わせねばいかなかった。 それでも何度か中身のクリームを吐き出し、大丈夫かと聞くとその度に「自分は馬鹿で体が丈夫なめーりんと違って頭がいいから仕方がない」と言い訳をした。 れいむとまりさは足にまとわりつき、ニヤケ顔で「「かこうじょう!かこうじょう!」」と連呼していた。こいつを怯えさせたいのだろう。 そしてありすだが、こいつは自分がどれ程素晴らしいのかを語っていた。 自分の子供を授かる事のできたゆっくりは幸せだの、どれだけ素晴らしいテクニックを持っているのか見せてやりたいなど。 そしてそのテクニックで感じないめーりんは不感症のクズだと何度も言っていた。 そして、左手に収まるこいつは何度か暴れた。叩かれようがつねられようが、何度も何度も。 それは周りにいる四匹に対して、付いてこないでと伝えてるように思えた。 もしかしたら俺の狙いに気づいているのかもしれない… ぱちゅりーに合わせた為に予定よりも時間がかかったが、漸く加工場に着いた。 「これでクズとおわかれだね!」 「でもクズだからすぐおいだされるんだぜ!」 「そうしたらまたわたしたちのあそびどうぐにすればいいのよ!」 「それでしかやくにたたないからしかたないわね!」 そう言いながらゆっくり達は楽しそうに笑った。 俺は職員に指定された場所に髪飾りを置き、声をかける。 「ここに髪飾りは置いとくから自由に取ってな。お菓子を今持ってくるから」 「わかったよおじさん!」 「はやくおかしをよこすんだぜ!」 「ほんももってきてね!」 「とかいはのありすにふさわしいおかしをもってきてね!」 四匹がちゃんと入ったのを確認して、加工場の職員と一緒に檻を閉めた。 「「「「ゆ!?」」」」 「おじさんなんでしめるの!?」 「ゆっくりだすんだぜ!?」 「おかしは!?ほんは!?」 「いなかもののくせにだましたの!?」 すぐに騒がしくなるゆっくり達。これでやっと俺の苦労も報われる… 「はい、そうです。俺は君達を騙しましたよ」 「なんでそんなことするの!」 「なんでって、良いじゃないか。君達は加工場に引き取ってもらえるクズじゃない優秀なゆっくりなんだろう?ならこうやって役に立てよ」 「い゛や゛だよ゛ぉぉぉぉぉ!!」 「ごっがら゛だじでぇぇぇぇ!!」 「嫌です。諦めて死ぬまで加工場で暮らしてね~」 抱えてるめーりんは悲しそうに檻の中の四匹を見つめている。あいつらに虐められてたというのに、優しい奴だ… 「わかったわ!めーりんがぜんぶわるいのよ!」 はい? 「めーりんがわたしたちをわなにはめたのよ!」 目の前で展開される超理論。俺は何も言えずに黙って聞くしかなかった。 「ほんとうにしょうねのくさったやつだぜ!」 「わなにはめたクズめーりんはしね!」 「このゆっくりのかざかみにもおけないクズ!」 「ゆっくりのたれじんでね!!」 ひたすら続く罵詈雑言に、こいつは泣いていた。 声を出せないから、必死に行動で逃げるように伝えていたのに… 俺に叩かれつねられ、痛い目にあってもこいつらを逃げるように伝える為に暴れた。 何度も何度も、暴れる度に痛い目にあい、四匹に悪あがきと笑われ、それでもこいつは危ないから付いて来るなと伝える為に暴れたのだ。 そして、今は責められている。 助けようとしたこいつに、あいつらは全てこいつが悪いと言っている。 だから、俺は… 檻を蹴り飛ばした。 中にいたこいつらにとっては恐ろしかっただろう。 逃げ場のない檻で、何度も何度も蹴られる。 振動、音、全てが恐怖を伝える。 「や゛め゛でぇぇぇぇ!」と叫ぶ声も聞こえた。 「だずげでぇぇぇぇぇ!」と叫ぶ声もちゃんと聞こえた。 それでも止めない。ずっと、ずっと、俺は蹴り続けた。 やめたのはこいつらが中身を吐き出し、気絶してからだ。 近くにいた加工場の職員に謝ると、気にしなくていいと言ってくれた。 めーりん種と他のゆっくりを連れてくる人間は大抵同じことをするらしい。 そして、抱えていためーりんは… 眠っていた。 先程れいむが言っていたよく眠るというのは本当らしい… なんでこいつの為に怒ったのか馬鹿馬鹿しくなったが、起こすのもあれなのでそのまま寝させておく。 そして、加工場の職員にこいつについて簡単な特徴をいくつか聞いた。 喋れない代わりにゆっくりとは思えない程知能が発達しているとの事。 やってはいけない事をちゃんと教えさえすればちゃんと守るらしい。 また、人間の畑から野菜を盗もうとするゆっくりを邪魔をしたりする事もある。 その事からゆっくり業界からはブリーダー泣かせという異名があるらしいが、 それ程数がいないため飼っている人間は極僅からしい。 まぁ、そこら辺は飼ってみればすぐにわかるだろう。 あと、めーりん種はゆふらん種を育てることが多いとの事でゆふらんの子供を貰った。どんな風に育つのかが楽しみだ。 最後に、めーりん種はどこでも寝るわけではないらしい。 安全で、安心できる場所でしか寝ないそうだ。 ずっと眠っているこいつを抱えたまま、俺は家を目指す。 同じゆっくりから嫌われているこいつとの生活はどんなものになるか、結構楽しみだったりする。 家に帰ったらまずはこいつを守るために柵を作ってやらなきゃな… ちなみに加工場の人がめーりん種を捕獲しなり最大の理由は、ゆっくりから見捨てられた可哀想な奴だからやめようという理由らしい。 あそこの責任者の発案らしいが、不思議に納得できる理由だと思った。 fin ゆっくりれいむやまりさに虐められてる奴がいてもいいんじゃないかなぁって思って書いてみました。御目汚し失礼。 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/397.html
段ボール箱を両手で持ちながら、私はとある部屋に入った。窓も無く白い壁のみで構築された部屋だ 元は物置だったらしいが、諸事情により今は単なる空き部屋であるらしい。 まあちょうどよく空いてたのだから理由などはどうでもいいのだが。 私は部屋の真ん中にその段ボール箱を静かに置いた。そうして箱を開けて、中で眠っている生物を一匹一匹丁寧に取り出す。 ゆっくりである。 3年ほど前から現れ始めた謎の生命体。というか生命なのかも疑わしい。なにせ中身は餡子だのカスタードだの肉まんだの、 既存の生命体を馬鹿にしているとしか思えないもので構築されている。 そのくせ簡単な人語を話し意志の疎通が取れる。しかも全世界の人間に伝わるらしい。書いてるだけで頭が痛くなってくる。 そんな生物なので、現在進行形で様々な研究がなされている。まあ分かっているのは生物としての行動や特性などぐらいで、 何故動けるのかなど根本的な事は何一つわかっていないのだが。 そんな訳で私もゆっくりの生態を解明するために日夜実験に励んでいたりする・・・・主に教授の思いつきを実践してるだけなのだが 私は箱の中にいたゆっくりを全部取りだす。すると同じく実験に参加している研究員がやってきた。彼らはれみりゃとふらんの家族 捕まえてきた。ぐっすりと眠っている。 それらを床に置くと別室に行ってしまった。この実験は交代で見張るので、仮眠を取りにいったのだ。本来は二人一組で監視するのだが、 急病により私の相方は休んでしまっている。・・・誰か代わりにこいよ。 そんな事を思いつつ実験の準備を終える。部屋にはゆっくりが18匹。そしてテーブルとイスと実験に使用する物が諸々。 ゆっくりの詳細は 親れいむと親まりさ、子まりさ1匹・赤まりさ1匹・赤れいむ3匹の家族 まりさ1匹 ぱちゅりーとありす、赤ぱちゅりー れみりゃザウルスと親ふらん、赤ふらん一匹と赤れみりゃ2匹 胴なしれみりゃ1匹 実験には参加しない赤れいむ 捕まえるのは中々大変だったと語る友人A。その笑顔は何かを達成した者にしか出せない輝きを放っていた。眩しくて直視できなかった。 準備が整った俺は時間を確認する。後30分ほどで実験スタートか。そろそろ起こすか。 ゆっくり達の体を軽く叩いてやり、出来る限り優しく起こす。可愛らしいと言うか図々しい寝顔のゆっくり達を見るのは結構楽しい。 れみりゃは「さくや~~だっこぉ~」などとふらんを抱っこしながら寝言を言っている。ふらんの方も意外と擦り寄っている。 ふらんとれみりゃは天敵同士と聞くが、時折中のよい個体も居るという。見てるだけなら幼い姉妹である。 こうやって寝てるだけでも色々と面白い。これを二度と見れないだけに起こすのは勿体なくは感じる。 「ゆぅ・・・ゆ!ゆっくりおきたよ!みんなゆっくりしていってね!!!」 「おきゃーさんゆっきゅりちていってね!!!」 「とかいはのあさははやいのよ~」 「うー・・・れみぃはまだねむいんだぉ~ねむるのぉ~」 「うー・・・あまあまのにおいがする。あまあまたべる!」 「れみりゃとふらんはゆっくりできないんだぜ!さっさとまりささまはにげるんだぜ!」 目が覚めたゆっくり達の反応は様々である。とりあえずれみりゃ達をなんとかしなければ。実験前に食われては洒落にならん。 「れみりゃとふらんー。あまあまは食べちゃ駄目だよ。その代わりいっぱいプリンをあげるからね。」 「うー?ぷでぃんがあるのー?れみりゃとふらんにわたすんだぞー。」 「それじゃあ、あまあまは食べないと約束する?」 「するどぉ~。あかちゃんたちもあまあまを食べちゃ駄目だどぉ~。えれがんとなれみぃたちはぷでぃんをたべるんだどぉ~」 成功したようだ。プッチンプリンの偉大さと経費持ちの教授に感謝する。 「はーいみんな目が覚めたかな~。ここはゆっくりできる場所なんだよ~」 ハッキリ言って恥ずかしい。なんか教育番組の司会みたいな喋りだ。しかし出来うる限り警戒心は解いておきたい。 「ゆゆ!ほんとにゆっくりできるの?うそついたられいむゆるさないよ!」 このれいむは意外と賢い個体のようだ。普通なら即信じるのだが。 「もちろんさぁ。ご飯もあるしベットも玩具も。お風呂もあるしマッサージだってやってもらえるよ。 ただし、守ってもらいたいルールがあるんだけどね。」 「うー!さっさといえ!」 ふらんが喚きだす。一応食いついたみたいで安心である。最初のプリン攻撃が効いたか。 「それはですね・・・この部屋で暮らす三日間。絶対に寝てはいけません!」 れいむの夫の方のまりさが不満げに文句を言ってきた 「おにーさんばかなの?ねなかったらゆっくりできないよ!あほなの?」 「いやいや。とってもゆっくりできる物を取りそろえたからね。きっとゆっくりできるさ。 でもね・・・もしゆっくり寝ちゃったら・・・」 そういって箱の奥から赤れいむを取り出す。野生の巣から適当に取ってきた赤ゆっくりだ。 「ゆ?おにーしゃんゆっきゅりちていってね!!!」 そういって元気そうに跳ねる赤ゆっくりに砕いたクッキーを与える。お腹いっぱいになったのか案の定すぐ眠り始めた。 「ゆゆゆ・・・・ゆぴー・・・ゆぴー・・・」 寝息を立てる赤ゆっくりの目の前で静かに指で10数える 10・・9・・8・・7・・ヒャア、がまんできねぇ0だ! 手に持っていた赤れいむを思いっきり床に投げつける。べちゃりと嫌な音をと共に床に餡子と皮がぶちまけられた。 何一つ云わぬまま永眠したようだ。 「むきゅん!なにしてるのおにーさん!ひどいわ!」 「でいぶいや゛ぁぁぁぁぁ!!!もうおうちかえる!!!」 「ざぐやぁぁぁ!!こわいどぉー!」 あちこちから抗議や怯える声が。しかし気にせず説明を続ける。 「・・・とまあ、こんな具合になりますので、みなさん注意してください。なお、三日間過ごしたら、 私達から、素晴らしいおうちといっぱいのご飯をプレゼントします。」 「ゆゆ!おうちとごはんはほしいんだぜ!」 これに反応しないゆっくりは居なかった。ゆっくりの多くは他人の住居もすぐに自分の家にしてしまう。 自然では巣が手に入りにくいのか・・・はたまた手間を省いてゆっくりしたいのか。どちらでもいい。 こうして家と食料を釣らせば簡単に釣れるのである。 「それと、もうひとつ!寝た子を起こしたら子と寝た子を隠した子にも罰を与えます!いいですね。」 「ゆっくりりかいしたよ!!!」 そうして全員から了承を得られたところで時計を確認・・・よし、実験スタート 「はーい。ではみんなにおにーさんから朝ごはんです。いっぱいたべてね!!!」 そうやってクッキーやプリンや野菜などを目の前に差し出す。 「うめっ!うめっ!めっちゃうめえ!」 「とかいはのもーにんぐね!ぱちゅりーもゆっくりたべるのよ!」 「あかちゃんたちこれもおいしいよ!ゆっくりたべてね」 「むーちゃ、むーちゃ、ちあわせー!」 「うー!うー!」 「うー☆おいしいんだどぉー♪あまいんだどぉー♪」 「うー、おいしい」 実に美味しそうに食べている。しかもバクバクと。よほど腹が減っていたのか。ちょっと期待が持てる。 一日目の午前は、ゆっくり・人間共に実にゆっくりと過ごした。 部屋はお世辞にも広いとは言えないが、ゆっくり用の滑り台などの遊具が置いてあるので遊ぶには不自由しないはずだ。 れみりゃ達もよくわからないダンスを踊ったり、自分達がどれほど『えれがんと』か語り合ったりしている。 ふらんの方はというと、置いてあった人形を楽しそうに噛みちぎったり、自分の手で突き刺して遊んでいる。 そうして俺は記録用の映像を回したり、メモを取ったりしていたが、特に変化がないためノートパソコンで遊んでいた。 「おいおい、開幕一秒で試合終了とか世紀末すぎる・・・」 と、私が驚いている横で、親まりさは帽子の唾を利用して子供を高い高いしてあやしていた。意外と器用である。 「ゆー!おそらをとんでるみたいー!」 「ゆゆ~ゆっくりおそらをとんでね!」 赤れいむは初めての感覚を楽しんでいた。 「れいむはゆっくりしてるかしら?」 「とってもゆっくりしてるよ!」 といいながらすりすりしているありすとれいむ。 「れみ☆りゃ☆うー!ふらんもおねーさんといっしょにおどるんだどぉ~」 さて、昼時になった。ここからが本番とも言える。 私は昼ごはんをゆっくり達に与えた。彼らがガツガツ食べてる横で朝方買ったおにぎりを摘んでいる。 塩が足りねえ。足すか そしてランチタイム終了。ここからである。赤ゆっくり達に変化が訪れたのは。 「ゆゆ・・・おきゃーしゃんねむいよ・・・・」 「まんまぁ~れみりゃおやすみするどぉ~」 午前中にあれだけ遊び、たんまり飯も食べたのだ。人間でも眠くなるだろう。現に俺も眠い。 しかし親たちは必死に止める。ゆっくりの記憶力はあまり良くないらしいが、午前中の出来事を忘れるほど馬鹿ではない。 「ゆ!だめだよ!おうたでもうたおうね!ゆ~ゆゆ~ゆ~ゆ~♪」 「ねむっちゃだめだどぉー!おかーさんのしんさくだんすをいっしょにおどるんだどぉー」 「むきゅん!ねちゃだめよ!おかーさんとごほんをよみましょうね。」 各々が必死で子供たちを寝かせないようにしている。しかし子供たちからは不満の声がでる。 赤ゆっくりの記憶力は思った以上に低いのかもしれない。 「れいみゅはねむいんだよ!なんでねかちぇてくれないの!」 「うー。ねむい。ねかせろ!」 「ねたらゆっくりできなくなるんだよ!ゆっくりりかいしてね!」 「うそだよ!ねないとゆっきゅりできないみょん!れいみゅをゆっきゅりさせないおきゃーさんたちはちね!」 「ゆっくりちぬんだぜ!」 「まんまたちきらいー!れみりゃはおねむなんだどぉー」 我慢の限界なのか、子供たちの眼はうとうとしている。れみりゃ種なんて半夜行性らしいから余計辛かろう。 しかし親もそんなことで引くわけにはいかない。 「どうじでぞん゛な゛ごどい゛う゛の゛お゛お゛お゛お゛!!!おがーじゃんはみんながゆっぐりできるよ・・・なにじてるのおお!!」 そうして遂に来てしまった。最初の脱落者が。 「もういいもん!おねむするから!・・・・ゆぴー・・・ゆぴー・・・」 鼻息を立ててスヤスヤと。しかしはえーな寝付くの。 まあいいや。はい寝ましたねこれは。なんだか必死に寝た子を親まりさが後ろに隠していますが無駄ですっと。 ルール違反なのか曖昧だがこのレベルならスルーしよう。 「おに゛ーざん゛おねがい゛じま゛・・」 「はいどいたどいた。」 そうやって両手でまりさをどかし、後ろの赤れいむを見つける。そうして10カウントを指で数える。 流石に実験中はちゃんと数えます。・・・・3・・・2・・・1・・・0 「脱落決定。」 そう小声で言うと赤れいむを起こさないようにそっと手に取る。しかし一応気を使ったこの行為も、親の声で台無しである。 「おちびちゃんにげでええええええ!!!!」 「ゆ!うるちゃいよおとーしゃん!れいむおねんねできにゃいよ!」 お怒りなのか、ぷくーと体を膨らませる赤れいむ。ゆっくりの基本的な威嚇行動らしい。 私はどうしようか考えていた。教授からは目の前でなるべく惨たらしく殺し、絶対にその様子をカメラで撮れと言われている。 実験そのものより力が入っていた気がするが気にしないでおこう。 少し考えた私は、昼食時に使ったストローを手に取る。 そうして文句を言っている赤れいむの後ろから、後頭部に向けストローを突き刺した。 「ゆげぇ!おにーしゃんなにちゅるのお゛お゛お゛!れいみゅいちゃいよおおおおお!」 上手く刺さったのを確認すると、そのままストローにブラックコーヒーを注ぎ込んでみる。一瞬餡子を吸おうかと思ったが、なんとなく止めといた。 ストローからゆっくりとコーヒーを流す。ぶっちゃけこぼれたりしてるが拭けばいいや。全く甘くない液体を頭に注入させられた赤れいむは、 「いぎゃい!やべででいぶのあだばがじみ゛る゛の゛おおおお!!!!あだみゃばれづずるううう!!!」」 なんともまあ表現しづらい顔で悲鳴を上げている。それと同時に 「おにーしゃんやめてえええええ!!!でいぶががわりになるがらあああ!!!」 と、なんとも泣かせる発言が飛び出す。ふと赤れいむの様子が変わったのに気づく。いや正確には言語が。 「でいぶぼういやあああああ!おうdじがえdぶあおがーjyaんおしねえおおおおもこいいやああががっしいいいい!!!」 意味不明の言葉を発しながら暴れ狂う赤れいむ。異物を頭に注ぎ込んだせいか、言語に異常が発生したようだ。 「yっゆっゆおひいぃ!おkぁゃーsん%kたちゅいあ!いあ!0##お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!」 そろそろ楽にしてやることにしよう。フラフラと新たな言語を話しながら歩きまわる赤れいむを摘みあげ、そのまま握り潰す。 「げhっう!」 などと聞き取りずらい断末魔を最後に永眠した赤れいむ。 「ばりざのおじびぢゃんがああああ!!!!」 「でいぶだぢを゛がえ゛ら゛ぜでえ゛え゛え゛え゛」 という声と共に、私は今の変化を記録した。 意外にも午後は何事もなく過ぎた。昼の出来事がよほど堪えたのか、みな眠らないよう必死で歌ったり遊んだりしていた。 表情を見る限り、午前中とは違いとても楽しそうには見えなかったが。暇だった私は、手持ちの小説を読み終えると、 家から持ってきたはずの最新のガンガンを鞄から取り出した。そこではたと気づく。これ先々月号じゃん。 愕然とした私はしょうがないので、適当な絵本を取り出し、赤ぱちゅりーに読ませてあげた。 「おじしゃんおりがとね!ぱちゅりーこのごほんでかんげきちたわ!」 などとお礼を言われた。おじさんとな。 そうこうしてるうちに、時間は午後8時。夕食を食べてるゆっくり達の横で、私は彼らをゆっくりさせるための準備に取り掛かる。 あらかじめ用意していた子供用プールを膨らませる。そしてそこに外から持ってきた水を入れる。 後は適当な桶にお湯を張ったやつを持ってきて完成。 「よしみんな。今日は疲れてるだろう?お風呂を用意したからゆっくりしていってね!!!」 「ゆゆ?お風呂?とかいはなありすはおゆにもきをつかうのよ~」 とりあえず一匹一匹桶の中に入れて寛がせる。れみりゃ達はプールで遊んでいる。事前に青シートを敷いておいてあるので床も大丈夫 「ゆ~きもちいいねまりさ~」 「そうだね~ゆゆゆーゆゆ♪」 「ありすのはだもすべすべよ~」 そんなこんなで全員気持ちよさそうではあった。 そして風呂上がり。砂糖たっぷりのコーヒー牛乳をプレゼント。こちらは飲めるようだ。 更に火照った体を覚ますために小型扇風機のスイッチを入れる。ここまで教授の指示通りである。 そしてここで第二の脱落者が。 「む・・・みゅきゅ・・・ん」 みんなが涼しんでいる少し後ろで今にも眠りそうな赤ぱちゅりー。 よほど風が気持ちいいのか。この場合、親のぱちゅりーかありすが気づくべきなのだが、彼らはと言うと 「ゆゆ~とかいはのおふろはにどぶろなのよ~」 「ありすはかしこいわね~」 夫婦で二度風呂を満喫中。そうこうしてるうちに眠気に負けた赤ぱちゅりー。 夫婦円満の邪魔をするのも引けるのでこのままカウントしてしまおう。・・・(省略)0。 赤ぱちゅりーをそっと掌に載せる。それをみてやっと状況を察したのか、ぱちゅりーが吠えた。 「ぱちゅりーのあがちゃんがぁあああ!!!!どうしてねてるのおおおおお!!!!」 ゴホゴホとせき込みながらこちらに近寄る親二匹。さて、教授が納得するようなやり方は・・・本か。 私は、ガンガンの真ん中あたりを開くと、そこにそっと赤ぱちゅりーを乗せた。 そうして起こす。 「やあ!おはよう。」 「む・・・みゅきゅん!おにーさん!ぱちゅりーはねてないわよ!かんがえごとしてだだけよ!」 必死な言い訳を並べる赤ぱちゅりー 「わかってるよ。だから君に御本をプレゼントするんだ。とても厚い本だよ。」 「む・・・?ごほんくれるの!おにーさんありがとう!」 「あ゛がぢゃんにげるのよおおおおお!!!」 どうやら親の方は気づいたらしい。さっさとやるか。私は本を持つと思いっきりその本を閉じた。 べちゃ!っという何かが潰れた音と甘い匂いが部屋に立ちこめる。せめて換気扇のある部屋にするべきだった。 放心している親の前でページを開いてみせた。 そこには本の一部となった赤ぱちゅりーがいた。 「ぱぢゅり゛ーの゛あがちゃんがああああああああ!!!」 「ごべんねあがぢゃんんんんん!!!」 泣きながらそのページに向かって謝る親二人。せっかくなのでガンガンはプレゼントしておいた。 これで残り14名。予想以上に残ってはいるが、夜はまだ長いのだ。 午後11時。普通のゆっくりならば巣の中でゆっくり眠る時間であろう。活発なのはれみりゃ種などぐらいだ。 全員の様子を観察する。全員が細目になっていた。気を抜けば寝てしまう状況。本来ならばゆっくりできる時間なのに、そのゆっくりを我慢しなければならないのは想像以上に辛かろう。 そろそろベットを準備して明かりを消そうかと思った時、異変に気づいた。2匹足りないのだ。 数えてみれば足りないのは赤まりさと赤れいむだ。出入り口が一つだけのこの部屋。隠れる場所もない。 私は親まりさに聞いてみた。すると 「ゆゆ!!・・・まりさはしらないよ。おにーさんがみのがしたんだよ!」 そんな事を言ってくる・・・さては隠したか。 子ゆっくりの隠れ場所といえば親の口の中が一般的であるが、このまりさも他のゆっくりを見ても隠れてる様子はない。 するとどこかなのか。少し考えた私は目の前の帽子に気づいた。ああなるほど。 「ゆ!なにするの1ぼうしをとったらゆっぐり゛でぎな゛い゛い゛い゛い゛!!!」 慌てふためく親まりさ。予想通り帽子の中にはスヤスヤと眠る2匹が。 「すーすー・・・おとーしゃんちゃかいちゃかいちてえ・・・」 幸せそうな寝息を立てる2匹。しっかりカウントを数えた私は2匹を手に取り ガヤガヤと騒いでいるゆっくり達に向かって話す。 「静粛に……!このまりさは今帽子の中で子供たちを寝かせた 最初に言ったはずだ、そういう行為は一切認めていないと・・・・・・! 繰り返す!寝た子を隠す行為は無条件で別室行きだっ・・・・!」 私が三匹の処理に悩んでいると、扉から誰かが入ってきた。友人Aである。交代しに来たのだ。 「うぃーす!どうよ実験の調子は。」 「ちょうどこの二匹と邪魔をした親まりさが脱落です。・・・やりたいならこの2匹をどうぞ。」 「ありがとよ!ああ後、もう一人はちょっと食い物買いに行かせてるからすぐ来るわ。」 子供たちをAに渡す。するとAはそのまま丸飲みした。実にあっけない。 「おおうめえ!ちょうど腹減ってたからなあ。」 「あんまり適当だと教授がキレますよ。」 そういいながら私は足で親まりさを踏んでいた。 「やべでえ゛え゛え゛え゛お゛に゛ーし゛ゃん゛!!!ばりざのあ゛んよ゛がぁぁぁ!!!」 踏む箇所は下の部分。徐々に力をこめて踏んでいく。しかし物足りなく感じた私は足を離すと、まりさを持ち上げた。 「ゆっくりすりすりしてきもちよくなろうね。」 そういって壁にあんよを激しく擦りつける。 「いだい゛い゛だい゛い゛だい゛い゛だい゛い゛!!!だいぶだづげでえ゛え゛え゛え゛え゛え゛!!!でも゛ぎもぢい゛い゛!!」 痛みと過剰な刺激での発情に二段攻撃がよく効いたようだ。 「やべでえ゛え゛え゛ずっぎりじぢゃうううううう!!!づっぎぢいいいいいいいいい!!!!」 そうしてすっきりとした顔のまま逝ってしまった親まりさ。壁には餡子がこべり付いていた。 「ばりざあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」 そんな声を聞きながら、私は部屋を後にした。シャワーでも浴びて部屋でゆっくり寝ようと思う。 外では虫の鳴き声が鳴り響いていた。実に心地よい響きである。 彼らの夜はまだ長い。そしてこの夜を超えてこそが辛いのだが、それをまだ彼らは知らない。 現在生き残っているのは12匹 親れいむと、子まりさ1匹・赤れいむ1匹の家族 まりさ1匹 ぱちゅりーとありす、 れみりゃザウルスと親ふらん、赤ふらん一匹と赤れみりゃ2匹 胴なしれみりゃ1匹 この中で生き残るのは誰だ! 次回へ続く。 【あとがき】 れみりゃ達の影が薄いのは仕様です。 もしかしたら次回大活躍かもしれません。 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/1412.html
緑髪が好き過ぎて電波受信しました。 先にも後にも言います。ごべんなざい。 緑髪萌え、東方キャラ、虐待成分少なめ、どれかでも嫌だと思ったらバックしてね!!! 虐待自体は 『死ねば死に損。生くれば生き得』という文辺りから…かコレ? では、ごゆっくり。 ここの所、死した魂が増えすぎている。長いこと彼岸にいるが、大量の魂が休み無く流れくる様ははじめてだ。 残業もこの半年は毎日。休日も殆ど出勤。しかし、仕方が無い。楽園担当はあたいとあの方なんだし。 「ふう…本日もお疲れ様でした。」お疲れ気味の閻魔様。ちょっと背が低めの裁判長。 「お疲れ様です。…あの、四季様、差し出がましいかもしれませんが、明日はお休みになられた方が。ここ一ヶ月ずっと働き詰めで…。顔色も良くないですし、竹林の医者に診てもらった方がいいと思います。」 対し、彼女の部下。長身で赤い髪の三途の川の船頭。見た目からも威勢のよさが伝わってくる。 「小町、二人きりの時は…。」ゴホン、と咳払い。 「え、あ、スミマセン、映姫様。」急いで言い直す。 「…ええ、そうですね。あれだけの魂を裁判するのは流石に疲れました。他の閻魔に明日は替わってもらうことにします。連絡を取りますのでそこで待っててくださいね。」おもむろに尺を耳にあて、 「あ、もしもし。夜分遅くに失礼します。楽園担当の四季映姫です。実はですね、…え?…はい、解りました。はい。いえ、恐縮です。…はい。…いいえ、勿体無いお言葉です。はい、謹んで頂戴します。はい、それでは失礼します。」ふうっ、と一息つく映姫様。 …え!?あの尺って上司と連絡とれたんだ!あたい、長いこと映姫様と仕事しているけどはじめて見たよ。 「小町、どうかしたのですか?」不思議そうに。 「いいえ何でもないです。映姫様、それでどうだったんですか?」見なかったことにしよう。 「はい、『上半期魂裁き量』が少しばかり多かったという事でお休みを頂けました。」ちょっとだけホッっとした表情で。 「そうですよね~。いやー、よかったよかった!じゃあ、あたいに気にせずバッチリ休んできてください!」そんな制度あったんだ。それと、少しばかり?あたい、河を何往復したっけなぁ?ココだけの話、常時距離短めに設定してたはずなんだけど。 「小町?一緒にいてくれないのですか?」あたいの言葉を聞くや、一転して、ちょっと涙の含み、ちょっとだけ首を傾げて上目遣い。 「…ぐぅっ、…で、でも、あたいはお休み貰えた訳じゃ…。」…えーき様、その表情はっ…!! 「いいえ、貴女もですよ。『貴女の部下にも休みを与えます。』そう仰られました。」我の事のように嬉しそうに語る。 「えっ!本当ですか!いやー、実を言うと、私もクタクタだったんですよね。」あっはっはと大笑い。 「…では、もう一度聞きます。…お休みの間、一緒にいてくれませんか?」服の裾を持ち、なおも上目遣いでお願いされる。 勿論、あたいじゃ耐えられないよ。こんな破壊力の攻撃は。 「ご一緒させて頂きます。貴重な一日ですから有意義に使わないと。」うん、あっさり承諾したね、あたい。一人でのんびり寝たかったけどまあいいか。貴重な休み一日だけど映姫様とすごそう。それはそれで楽しそうだし。 「いえ、今までのお休み返上した分と今回の特別休暇を合わせて、頂いたお休みは1ヶ月なのですが…。」ん? 「あ、小町、大丈夫ですよ。私たちが休みの間は他の閻魔が補ってくれるそうですから。貴女が真面目になってくれて私も嬉しいです。」え?いや違、 「本当に有難う御座います。実は休暇の最中は官舎が使えないので小町を頼るしかなかったのです。」いやだから、 「ちょっとだけ待っていてください。官舎の私物をまとめて来ますから。」えーき様?ちょっとー? あれ?もしかして、あたい、図られたのか?官舎で過ごせないって本当なのかなぁ?えーき様は閻魔だから嘘つかないと思うけど。嬉しいけれど、なんかなぁ。なんだろ、釈然としない。 しばらくして、小さい手荷物を持った映姫様が戻ってきて、 「お待たせしました、小町。では行きましょう!」えーき様?顔色良くなってませんか? 「…わぁ、ここが小町のお家…。」そんなに珍しい家でもないと思いますよ。 「ええと、二人で生活するのには狭いので少し距離を伸ばしてみました。お布団はそこの襖にある来客用のを使ってください。それから…」一ヶ月となると不足するものが出てくるはず。あー、あした買い足しもしなきゃ。 「二人で生活…あ、小町のお部屋。」ちょっとー?えーき様?聞いてますかー?勝手に人の家のふすま開けるのは良くないと思います。 「ごほん、…はい、解りました。」 「…遅めですが夕飯の支度しますね。ちょうど映姫様の好きなのありますから。」 映姫様は質素を好む。質素と言っても一汁一菜と例えが出来るほど粗食であるというわけではないが。 おにぎりは味付けに塩を振っただけの物を好むし、神の身分であるのにも関わらず、お酒に弱いので嗜好品はお茶くらい。味気ない物が好きなのだ。 だが、その味気ない物の魅力を知り尽くしているので、それらを損なうものにはそれはもう、もの酷く嫌悪する。 一度、おにぎりの具で口論したことがあるから間違いない。 「小町、貴女は、お米本来の甘みを理解しているのですか?…そう、貴女はお米本来の味を蔑ろにし過ぎる…。わ、私と…同じ食生活をするのが、貴女にできる善行よ。」 「ぅ…解りましたよ映姫様、でも、おにぎりの具はツナが最高ですよ…。」 というやり取りがあったため、映姫様の好きな物は大体わかるようになってしまった。 その日の夕ご飯は、焼き鮭ときゅうりの漬物とお浸し、薬味を乗せたお豆腐、そしてほかほかのご飯。 「いただきます。」食前には映姫様は必ず忘れずに言う。前までは、一人で暮らしている時間が長かったせいかいつの間にか言わなくなっていた。それが理由で映姫様に凄く怒られたこともあったのでその日からは家で一人の時でも食べる前には「いただきます。」を忘れないようになった。 美味しそうに食べてくれるので、あたいも嬉しくなる。お茶碗に米粒一つ残さず食べ、「ご馳走様でした。」映姫様が言う。 「いえ、お粗末様でした。あたいはかたづけるんで、映姫様はお風呂沸かしてあるので先どうぞ。」 映姫様は何度も片づけを手伝いたいと言ったが、「今日はあたいに任せてください。」と笑って言ったら了承してくれた。 片付け後、映姫様が風呂から上がったのであたいも風呂に入る。久々の休みを前にして湯に浸かると、骨からも疲れが染み出している感じがして、すねの中あたりがむずかゆくなった気がした。風呂をあがり寝室に行くと、水色のパジャマを着た映姫様がお布団を二つ並べて敷いて正座していた。 「小町、今日はもう寝ましょう。」ポンポンと隣の布団を叩く。数時間前のクタクタ顔の貴女は何処ですか? 「あー…、いや、せっかく広くしたんですし、布団は離しても平気ですよ。あたい寝相悪いですし。」一応、気を使ったんですけどね。 「構いません。明かりを消したいので早く布団に入ってください。」聞く耳持ってくれませんか。そうですか。 「小町、お疲れ様。…おやすみなさい。」布団を目元までかぶってコッチ見ないでください。やばいですから。主に理性が。 「はい、映姫様、おやすみなさい。」あー、でも、本当に疲れた。オヤスミナサイです。 お互い共に長い重労働をしていたわけで、今までの疲れが出たのかぐっすり眠れた。 翌日、寝坊したら映姫様に怒られた。 「早起きは三文の徳という言葉はですね…。」いつもの説法が始まる。 しかしまぁ、なんでこの方は朝から元気なんだろ。どうもあたいは朝に弱くて困る。 「朝ごはんは私が作っておきました。顔を洗ってきてください。」半覚醒の鼻でも解る、いい匂い。 映姫様の手料理が食べられるのは嬉しいけれど、食べてる最中に何度も「美味しいですか?」「味付け濃くありませんでしたか?」とモジモジしながら聞いてくるのはやめてください。反則ですよ。 朝ごはんも済ませたので、当初の予定通り竹林の八意永琳のところへ。距離を操ればすぐに到着。 永遠亭に到着すると、見知った月兎と幸運の兎がビックリした表情で此方を見ていた。 映姫様の軽い説法のあと、事情を説明すると奥に通され、八意永琳が笑顔で診察してくれた。 少女診察中…。 「四季さん、貴女はきちんと休みを取っていますか?……コホン…そう、貴女は働きすぎる。長期休暇を取る事が貴女にできる療養よ。…ふふ、なんてね♪」八意永琳が誰かの物まねをしながら診断結果を伝えてくれる。 「台詞取らないでください。怒りますよ。」尺を取り出すえーき様。 「四季様、尺はしまって下さい。…それなら、既に長期休暇もらったから大丈夫だわ。」えーき様の前に割り込み、答える。 「あらそう。手が早い患者だと楽で助かるわ。お代は結構よ。…もし今後、体調不良を感じたら直ぐにいらして。」年ふそうお…相応の悪戯っぽい笑顔。 「ああ、そうさせてもらうよ。それじゃ、映…四季様、行きましょうか。」セリフ取られてちょっと不機嫌そうなえーき様に。 帰りの道中、何とか不機嫌が解除された映姫様が、 「せっかくですから花の時に私の裁きを受けた皆さんの様子を見て回りましょう。」 との事であちこち回ることになった。買い足しは明日だなこりゃ…。 紅魔館→湖→冥界→神社→山→太陽の畑→我が家が、もっとも最短だね。…距離を操れるが、長距離は疲れるから操る範囲は短くしたい。…あたいはこういう時だけは計算速いわ。…まあ、何はともあれ早く済ませてのんびりしたいなぁ。 紅魔館の門が見える位の距離につくなり目当ての人物がいた。門番を叱っているようだった。…うわぁ、門番の帽子になんか生えてる。 「ああ、理解しているようですね。そう、叱る事の本質は『優しさ』なのです。」 なにやらウンウンと頷き満足された様なので次に行くことにした。 優しい人ってナイフ刺すの? 湖では目当ての存在が二人いた。未だ幼稚なものは人も妖怪も良く遊ぶ。目当ての存在以外にも4匹の妖精妖怪が居た。種類も性質も違う妖怪が仲良く群れているのは珍しい。 「まあ、この程度の『混沌』ならば良しとしましょう。…妖精の方は、『迷惑』をかけ過ぎているようですが、もう一匹の妖精がある程度自制させているみたいですね、このまま良い方向に向かうといいのですが。」 もうこの場はいいらしい。じゃあ次行きますか。 とまあ、このように遠くから観察し、教えを守れて無い様だったら出て行って改めさせるつもりだったようで。続く半霊も食いしん坊の主の世話で剣を振るう事すら出来ない様子で、騒霊達も、 「レイラのお洋服見つかったよ~。」「絶対に忘れるもんですか!あの子の分までずっと騒ぎ続けてやるもん。」「…閻魔様のお陰ね。…私達は曖昧にしてはいけないの。…私達は、あの子を忘れてはいけないの。」 …形見探ししてた。「うん、よいよい。」感謝の言葉まで聞けて映姫様も満足してるっぽい。 幻想卿でもっとも有名な場所では、紅白と黒白が仲良くお茶をしていた。 「おお、霊夢、閻魔と超サボリ魔がきたぞ。」黒白。五月蝿いねあんた。 「珍しいわね。まあ、お茶くらいなら出すわよ。」紅白。 少し話をし、休憩させてもらうことに。 ちゃぶ台の上には湯飲みが二つ。…あ、お茶菓子は羊羹だ。あたいとえーき様の共通の好物。そういえば忙しくなる前以来食べてなかったなぁ。 「はい、美味しかったらお賽銭入れていってね。。」あたいから賽銭たかろうとする巫女。いい根性してるよ。 しかし久しぶりのお茶の時間。えーき様もホクホク顔だ。そりゃ久しぶりの羊羹だもん。 「「いただきまーす♪」」二人の声がはもる。 一口食べてみてビックリ。…え!?全然美味しくない?羊羹だよねこれ?思わず映姫様の方を見る。 …うあ、物凄く怒ってらっしゃる。四季様、落ち着いて!! 「霊夢、これは、何ですか?」 「え?羊羹よ?お茶には羊羹か煎餅よ。」お茶ジャンキーが豪語する。 「…後半は非常に同意しますが、非常に残念です。内心ではお茶友と思っていた貴女も変わってしまったのね…。」聞いたことないけれど残念な事だけは良く解りました。 「ちょっと!何か問題でも有るの!?」 「コレが羊羹とでも少しでも思ってるのですか?」 「や、安物なのは認めるけど!れっきとした羊羹じゃない!」 「食べ物を粗末には出来ませんので頂きますが、コレは羊羹ではありません。まがい物です。白黒ハッキリつけました。」 黒白はニヤニヤしながら見ている。根はいい奴なんだろうけど、本当にコイツは他人のドタコタが好きなんだねぇ。さっきのお礼もかねて小突いてやりたいよ。 「とにかく、コレは何という名前の羊羹モドキでしょうか?」 「…コレよ『銘菓ゆっくり羊羹』よ。」 「……解りました。…今度、会う時の貴女は前のお茶友に戻っている事を期待しています。行きますよ、小町。」 去っていく二人を見送りつつ、 「く、…なんか非常に腹が立つわね。…でも、久しく普通の羊羹食べてないわねぇ。」 賽銭を貰えず仕舞いだった巫女がポツリと言った。 心の友人を失ったかの様なえーき様。酷く萎えてしまったので、帰り道でもある太陽の丘を訪ねて今日はもう家に帰ることになった。 正直言うと丘には行きたくない。あそこに居るのは酷く強烈な妖怪だから。 途中、何かの結界があったようだが距離を縮めて移動していたし、無害だったので気にせず屋敷前まで飛んだ。 「こら、…そんなにしては、ダメでしょう?」 屋敷の中から声が聞こえて来た。うん、この声は覚えている。ボトルネックって言ったあの声。 「でも、幽香の蜜…美味しいよ?」 どっかで聞いた声。まだ幼い感じがする…って何の会話だよ!…あ、えーき様がプルプル震えていらっしゃる。 「いけません!白昼堂々何をしているのですか!!」凄い勢いで声の方へ走るえーき様。 仕方ないので少し離れて追いかけるか。 「あら、盗み聞きをして人の屋敷に勝手に進入するのが閻魔様流の作法なのかしら?」 声のしたほうから凄い魔力を感じた。…ああぁぁぁ、あたいもうしらない! 「小町、早く着なさい!」高らかに呼ばれるあたいの名前。…もう、どうにでもなれ。 「幽香、ティータイムは優雅に、だよ。」もう一人の声。 「ふふ…、そうだったわね。」緩む緊張。空気も館の壁もホッとしたに違いない。 声のした場所に着くとえーき様が懐から尺を取り出す動作で固まっていた。なんでもない、ただお茶を飲んでいる二人が居ただけだった。 「ま、気分がいいから無作法は大目に見るわ。…貴女達も呼ばれていきなさいな。」既に椅子に座り紅茶を口に運ぶ。その動作の後、ハニーティーを飲んでいた緑髪の少女が立ち上がり、椅子を2脚引き、どうぞ、と手で示した。 「私が満足できるレベルのお茶を淹れれるようになって偉いわ。…この二人には緑茶を出してあげて。」 固まったえーき様を引きずって椅子に座らせ、あたいも隣の席に座る。 …しかし、前にあった時とえらく印象変わったなこの妖怪。 「らしくないわね、閻魔様。いったい何があって?」少女がキッチンに向かうと花の主が語りかけてきた。 「いや、実は、さっき巫女の所で羊羹を出されて」答えるのはあたい。えーき様は自分自身がさっき考えた愚かな事を改めているんだろう。動かない。 「ふむ、それで?」続けなさい。そう続く気がして。 「四季様もあたしも言ったんだ。非常に美味くないって。なんていうか、紛い物と言うか…。」 「…へぇ、閻魔様の能力は冴えたままね。…さっきの有様は見なかったことにするわ。」 キッチンから緑髪の少女がティーセットを持って歩いてくる。 「ご苦労様、リグル。…あら、言われなくても緑茶に合うお茶請けを用意するなんてね。」 「うん、緑茶には羊羹か煎餅って前に霊夢が言ってたから。」緑茶ジャンキーのお茶布教は凄いな。 どうぞと、目の前に出されたのはいい感じで湯気の立っている緑茶と、みずみずしい羊羹。あ、茶柱。 えーき様の前にも出される。…と、止まった時間が動き出したようで。 「…失礼しました。自身の愚かさを改めるのに時間がかかってしまいました。」 キラキラと光る目は明らかに羊羹しか見ていない。 「「いただきまーす♪」」またはもった。 …!!そう!コレだよ!!上品な甘み、なのに解るほんの僅かな塩気。お茶での熱を受けた舌の熱をほのかに冷やすコレ。ココ来て良かった、客人がそう思える一品だよ。 ね、えーきさ…泣いてる! 「…風見幽香。」 「なにかしら?」 「…ありがとう。」 「いえ。どういたしまして。」 「…こんど、白い桜の下でお茶会しましょう。…久しぶりです。これほどの一品は。」落涙の羊羹。 「あら、白桜なんて久しく見ていなかったわ。楽しみね。」 「幻想卿から本物の羊羹が死んだのかと思い、いつ裁いたか考えていたところです。まだ生きてましたか。」ふふ、と笑う映姫様。 「いえ、ほぼ死んでいるわね。小豆製品は特に。」 曰く、二人で歩いていたら、たまたま出くわした人間の農夫と菓子職人に豊穣の神(秋姉妹)と間違えられ相談を受けたと。 人間の里の小豆を使う菓子はコストの極めて安い代替品に取って代わられ廃れたと。 気分が良かったのでその人間には恐怖を与えなかったと。 『死ねば死に損。生くれば生き得』されどアレ等に関してだけ言えば、我等は二度損。 我が家に戻った後、二人で話し合った。 「小町。魂が増えた理由がこれほどしょうもない事だったと思うと腹が立ちませんか?」 「ええ、映姫様。あたし達の共通の楽しみを迫害し、あまつさえ己のみ『ゆっくり』し、私たちを『ゆっくりさせてくれない』存在とは。」 「嘆かわしいです。」 「しかも、徳の無い連中ですから運賃も限りなく0に近いですし。アレの魂が溢れても我々は商売上がったりですよ。」 「変な物が流行りますね。はぁ…。」確かに、いま思い返せば、裁き量と比例して増えるはずの運賃も雀の涙ほどしかなかった。 ともかく、映姫様の提案で休みの内でも特に暇な日は、聞き込み調査、永遠亭で奴等のレポートを見せてもらったり、実際に観察などをしてヤツ等を詳しく調べることにした。 食料を見つければ 「ゆっ!これはまりさがみつけたんだよ!!」 「ちがうよ!これはれーむのだよ!!」 「まりさの!!さっさとあっちいってね!!」体当たり。 「ゆっぐり!!!そっちこそあっちいってね!!!」 数分経っても言い争う。この行為自体がもはや『ゆっくり』では無い。 「しね、ゆっくりしね!!」飛来する1匹。 「あ゛あ゛あ゛あぁぁぁ!!!れーむをたべてね!!!!」 「まままま、まりさのほうがおいしいよ!!!」 お互い食われる。 分け合えば悲劇を回避できたかもしれないのに。 家族連れの固体。 親が持ちこんだエサにかぶりつく子。 子供達よ。あいさつは?おかえりなさいといただきますは? 親も、ただいまは?めしあがれは? 「うまかった!またもってきてね!」 ごちそうさまは? この種にとって、家族ってなんなのかしら。 腹が空けば食い、眠ければ眠る。…他人の迷惑など省みない。考えたことも無い。 家族という枠は形骸化し、わが子を忘れる。…霊になっても家族を大切にする存在も居るのに。 親が子を殺し、子が親を殺す。殺し、食う。…恐ろしいほどに混沌とした。 ゆっくりするという本来の意味を違え、惰性を貪る。…偽りの優しさで誤魔化した惰性。 友を裏切る事に躊躇なく、生にしがみつく。 少数の良識ある同種を迫害し殺す。殺しあざ笑う。 強者に媚びへつらい、弱者には厳しい。 人の様に考え改める事もなくいつまでも「ゆっくり」する事にのみ執着する。 徳も何もあったものではない。 積もるのは軽蔑。 …確かに花の主や天才薬士から聞いた通りかもしれない。彼女等はアレ等をモルモット以下のように扱う。初めは「なんと罪深きことか」と思ったが、今となってはそれも無理はないのかもしれないと思える。そうでもしないと価値がない。 全ての魂には生まれた意味がある。意味があるから生前の行いを裁く。生まれた意味の無い魂になんの価値があるといえよう? 裁く意味はありきや?輪廻転生させる意味はありきや? もう、どんな弁護がなされても裁判長の心証は変わらないであろう。 答えなど、言うまでもなかった。 復帰開けの初日、大量の魂を一度に裁判すると仰った四季様。異例の事なので臨時で裁判員が4人か選出された。四季様の直属の部下であるあたいが居てもいいのか疑問だが、まあいいや。傍聴席で見る法廷とはまた違う、などと、どうでもいい事を考えていた。 「静粛に。判決を言い渡す。汝等は八熱、八寒地獄めぐりの刑に処す。以上。」 あたいに言わせればまあ当然かなと。事前に奴等の生前の行いを見ている裁判員も当然といった感じ。…だが、傍聴席はどよめく。これほどの重い判決を言い渡された法廷に立ち会ったことなど一度もないのであろう。 「「「ゆゆ!あついのもさむいのもやだよ!ゆっくりできないよ!!」」」ゆっくり脳でも語感から熱いのか寒いのかは理解できたらしい。もっとも、どういうレベルで熱く、寒いのかは理解できまい。これに関していえば、生者が理解しうれる訳がないのだが。 「では、地獄、タルタロス、ジャハンナムから好きなのを選びなさい。それらに続く扉はあちら。」3つの扉。 「どれがいちばんゆっくりできるの?」死しても基準はそこか。 「これにて閉廷します。魂は速やかに自分の行きたい場所へ行きなさい。」答えない。次の法廷があるから。 閉廷し、取り残される魂たち。自分達はなぜかここから出ることが出来ない。進めそうなのは3つの扉だけ。 ここに居てもゆっくり出来そうにもないので脱出するしかない。満場一致だった。 徐々に各々の好きな扉に消えていくゆっくりソウル。取り残された二匹。 「ゆ!れーむはどれにする!?」隣のゆっくりに意見を伺う。 「これにする!まりさもいっしょにきてゆっくりしよう!!」『じごく』と書かれた扉の方に進む。 「ゆゆゆ、そうだね!!これだけもじがまるいもんね!!」 仲良く並んでその扉をくぐった。 …意識が回復すると、そこは何も無いただ広いだけの空間だった。 ゆっくりれいむは初めて見る地平線に驚いたが、そんなことよりも 「まりさー?どこー!!」一緒にきた仲間が近くに居ないかきになった。 「ゆ!れーむ!!ここだよ!!」なんだ、すぐそばに居たじゃないか。 呼ばれたほうに行こうとすると、まりさのうしろには恐ろしい形相をした人型の存在が。手にはとげとげのついた棒を持っている。 「まま、まりさ、そのおじさんもゆっくりできるひとなの!?」本能で解る、コレはゆっくりできないオーラを放っている。 「ゆー??」言われて初めて後ろの存在に気づき振り返る。 刹那、獄卒は手に持った金棒を振り下ろす。 「ゆべっっ!!!!」中身を四散させ絶命するゆまりさ。 「ドおじでごんなごどずるのぉぉぉぉ!!!」叫ぶれいむ。 だが、あの恐ろしいのが今度は自分を狙って来たら…、そう思うと少しずつ距離を離していた。 「ゆゆゆ・・・ゆっくりー!!!」あれ?潰れたはずのまりさが元に戻った。 復活してまもなく獄卒はゆまりさの皮を剥ぎ出した。 「ぎゅぅぅぅ!!!いだいよぉぉぉ!!!れいむぅぅぅ!!!」 「まりさ!!がんばって!!ゆっくりできるまでたえて!!」怖くて近寄れない。遠くから声をかけることで精一杯だった。 「ぎゅうううう!!!れーむのせいだ!!!こんなところをえらんだれーむのせいだ!!!れーむなんてだいきら…ぶぎゃ!!!」 言い終わることもなく再び潰された。 「あ゛あ゛あ゛ぁぁぁ!!!まりざにぎらばれだぁぁぁ!!!」泣きながら後ずさる。 すぐに再生するゆまりさ。 「れいむなんでだいっぎらいだぁ!!!ほがのどごろならぎっどごんなごどなかった!!!ごごじゃないどごにす…ゆぐぅ!!」 殺されながら恨み言をいうゆまりさにゆれいむは恐ろしさを感じざる終えなかった。恨み言を言われ死んで、再生して恨み言を言われ…。 今すぐこの場から逃げ出そう。嫌なのからはすぐ逃げるゆっくり達の本質。そう思い後ずさりながら離れようとした。が、 ドン! 何かにぶつかった。 「ゆー??」振り返った所で何かがめり込んだ。 獄卒にとってはいつもの事。対象が人間でないのは珍しいが、自分達は500年間この責め苦を与えればよいだけ。 淡々と仕事をこなす。 だが、この等活地獄に落ちたゆっくりは運が良かったのかもしれない。 運の悪いゆっくりの何匹かは寒獄の七、鉢特摩地獄に落ちた。 血液すら凍る寒獄中の監獄。 「あばばば!!!ざむずぎで…」最後まで言葉を発することもなく力尽きた。極寒で皮膚が裂け、流出した体液が餡の花を咲かせた。 未来永劫、終わりが見えぬ責め苦のフルコース。 生物として、畜生にすら劣る業と、四季映姫の好きな物を蔑ろにした罰から考えたら必然だったのかもしれない。 おしまい。 ~おまけ~ 「四…映姫様、三つ示した意味がなかったのでは?」 「気分です。」 「そうですか。どれも一緒なのになぁ。」 「そんな事より小町、…裁判官の服、似合ってますよ。」 「へへぇ、そうですか?」 「小町さえよろしければ、私の秘書にでも…」 「いえぇ、あたいは彼岸の船頭でいいんです。性に合ってますし、これからも映姫様の部下でいたいですし。」 「そ、そうですか。それでは明日からは三途の船頭をよろしく頼みますよ。」 「はい!まかせといてください!」 ~あとがき~ まずは一言。 ごべんなざい。 地獄での責め苦は皆さんにバトンタッチさせてください。紅蓮の花ではなく、餡蓮の花が咲かせたかっただけです。 結局、花です。なんか書いちゃったので投下させてもらいました。 『ゆっくり以外の部分で糖分を』っていうテーマで書いて、ゆっくりのアイデンティティを虐待しているつもりなのでこうなりました。過去作も。 そんなことより、緑髪が可愛すぎるんですよ。不思議です。 Y・Y
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/604.html
「おにーさんこんにちは!きょうもいいてんきだね!」 「こんなひはゆっくりできるよ!」 「ゆっくち!ゆっくち!」 「こんにちは。おいしいものが手に入ったんだけど一緒に食べないかい?」 「ゆゆっ!おいしいものたべたい!」 「おにーさんありがとう!」 「じゃあ家までついてきてね!」 ある目的のためにゆっくりまりさを探していた俺は、自分の幸運に感謝しながらゆっくりまりさを丸め込んだ。 家にやってきたまりさたちは縁側の前で止まった。俺がゆっくりの方を向くと、 「おにーさんなかにはいってもいい?」 「あぁ、いいよ。」 「ゆっ!ありがとう!」 「ゆっくりおじゃまします!」 「ゆっくりちていっちぇね!」 「おにーさんのいえにはいるまえによごれをおとしてね!」 「ゆっゆっ!」 ずいぶん入り慣れているな。どこで覚えたんだろう。 「まりさたちははたけしごとてつだってるんだよ!」 「おじーさんからはだいにんきなんだよ!」 「でもおじーさんはきびしいからちょっとこわいんだよ!」 「ゆ~!」 どうやら年寄りの畑仕事を手伝って餌をもらっているらしい。そのときに覚えさせられたのか。 「じゃあ今日は畑仕事の帰りかい?」 「ちょっとちがうよ!そろそろふゆごもりじきだからえさをもっとあつめにいこうとしてたんだよ!」 「ちゃんと準備してるんだね。えらいえらい。」 「えっへん!」 たわいもない雑談をしながら、お菓子をゆっくりと食す。赤ちゃんたちはまだまだ汚い食べ方だったが、親ゆっくりの一人がなめて綺麗にしてあげていた。 「おにーさんありがとう!えさをあつめないといけないからもういくね!」 ゆっくり全員が食べ終わった後、親まりさは俺にお礼を言ってきた。しかし、このまま逃がすわけにはいかない。 「あ、ちょっといいかな?」 「どうしたの?」 「まりさたちは帽子で水の上を動けるんだよね?」 「そうだよ!まりさたちのぼうしはすごいんだよ!」 「実はまだ見たことなくてね。ちょっと見せてくれないかい?」 「おやすいごようだよ!こどもたちはまだちょっとへただけどまりさたちはじょうずだよ!」 餌付けの甲斐あってかすんなりと聞いてくれた。後は誘導するだけだ。 「じゃああっちに水を溜めてるからそこでやってみてくれないかな?」 「すいそう?まりさたちはかわでやってるよ!」 「川は今寒いだろう。ちゃんと暖かい場所を用意したからそこでやってくれないかな?」 「さむいのはいやだからすいそうでやるよ!おにーさんあんないしてね!」 「おかーちゃんたちにまけないんだから!」 「ゆゆゆ!」 先ほどの親まりさの言葉に闘志を燃やしている子供たち。 はやくはやくと周りを跳ねだしたので踏まないように倉庫近くに作った部屋に連れて行ってあげた。 「ここならあたたかくてゆっくりできるだろう?」 「ここならゆっくりできるよ!」 「じゃあ見せてくれるよね?」 「まかせてよ!でも・・・たかくてとどかないよ!」 確かにこの水槽の高さはは1m近くある。今は水を張っているが酒造りなどにも使える大型の水槽だ。 その高さの半分ぐらい水を入れてあるから、水面はまりさたちのいる水槽の上からは遠く見えたのだろう。 「水にはいるには高いとダメなのかい?」 「そうだよ!まりさたちはさきにぼうしをうかべるから、こんなにたかいとぼうしがながれちゃうよ!」 「なるほど、じゃあこうしよう。」 そういって親まりさから帽子をとる。いきなり取られて驚いたまりさを素早く持ち上げて帽子の中に入れてあげる。 「これで俺が水に入れてあげれば大丈夫かな?」 「ゆっ!これならだいじょうぶだよ!」 「じゃあ順番にいくよ。」 「まって!ぼうしのなかにきがあるからそれがいるよ!それがないとおよげないよ!」 「あぁ、ごめんごめん。」 親まりさをそっと水面に浮かべる。正直浮くとは思ってなかったんだが本当に浮きやがった。 親まりさは口に咥えた木の棒で器用に泳いでいた。他のまりさたちが急かすので順番に入れてやる。 まだ小さいまりさはうまく泳げていないようだったが親ゆっくりの手助けで何とか浮いているようだった。 「気に入ったかい?」 「ゆっ!おにーさんここひろいね!」 「ゆっくちできるね!」 「あ!おさかなさんだ!」 「ゆゆっ!くさもはえてるよ!」 「おそととおんなじー」 どうやら気に入ってくれたようだ。近くの川のものをここまで持ってきたのだからゆっくりたちも見覚えがあったのだろう。 苦労はしたが、ゆっくりがよろこんでいるのでよかった。 「じゃあ今日からそこに住んでね。」 「ここでゆっくりするね!・・・なんでええええええええ!」 俺が言ったことに素直にうなずいた後、いきなり驚き叫びだした。どうしたと言うんだ。 「聞こえなかったかい?今日からここに住んでね!」 「まりさたちはすにかえるよ!ここじゃゆっくりできないよ!」 「ここでもゆっくり出来るようになって貰うから安心していいよ。」 「ここじゃゆっくりできないいいいいいいいいいい!」 「ここじゃはねれないよ!ゆっくちちたいよ!」 「ゆ゙ゔううううううううう!」 いきなりここに住んでねと言われて、まりさたちは戸惑っているようだ。子まりさは泣き叫んだり、親ゆっくりの方を心配そうに見ている。 親まりさはそんな子供達を慰めながらもう一度話しかけてきた。 「ここにはつちがないからゆっくりできないよ!みずにはいるととけちゃうんだよ!」 「溶けちゃうのか。じゃあ、落ちないように気をつけてね!」 「おにーさんまりさたちなにかわるいことしたの?」 「わるいことしたならあやまるよ!だからたすけてね!」 どうやら自分達が悪いことをしたからお仕置きされていると思ったらしい。二匹の親まりさが俺に謝ってきた。 その様子に子まりさたちも親の後ろで謝りだす。ちょっとうるさいかな。 「勘違いしてるよ。まりさたちは何も悪くない。」 「じゃあなんでごん゙な゙ごどずる゙の゙おおおおおお!」 どうやら理由を話したら分かってくれるらしい。 「おにーさんのところにね、依頼がきたんだよ。水上で生活するゆっくりまりさがほしいって。」 「な゙に゙ぞれ゙ええええええええええ!」 「いやぁ、必死に頼んでくるもんだからさ。断りきれなくて。だからまりさたちはがんばってなれてね!」 「ゆ゙っ!じゃあこどもたちだけでもたすけてよおおおおお!」 「お゙があ゙ぢゃああああああああああああああん゙!」 どうやら自分達が犠牲になれば子供達は助かると思ったらしい。 「そうしたいんだけどね、その人は子ゆっくりがいいらしいんだ。だから逆はできるよ。」 「ぞれ゙ばだめ゙ええええええええええ!」 「まぁその人はちゃんと飼うっていってたからここで水上で生活できるようになってれば命まではとられないよ(タブン)だから親まりさはがんばって子供達をそだててね!」 そうやって話を切り上げた俺は、餌は決まった時間に持ってくるよと言ってから泣き声のする部屋を出た。 これからしばらく、やったこともないまりさの水上生活支援をしなければならない。 まりさたちが立派な水上ゆっくりになることを期待しながら初日が終わった。 何事も初めてだと失敗するものだ。 朝起きてまりさたちの確認に行くとまりさたちは寝てないようだった。 「ちゃんと寝ないとダメじゃないか。これじゃ病気になっちゃうよ。」 「ゆっ!だって、ねるとみずにおちちゃうよ!」 「なみがくるとあぶないんだよ!」 「ゆっくちちたいよ!」 「あかちゃんたちがねれないよ!はやくりくにあげてね!」 困ったな。水上で寝るのを怖がって寝れないのか。確かに、ゆっくり一匹だと波が来れば流されたり、溺れたりするだろう。 一匹じゃ無理となると・・・ 「よし、お前達もっと固まってみろ。」 「ゆゆっ?かたまってどうするの?!」 「いいからいいから。」 そういってまりさたちを一箇所に集める。 まず、親二匹を皮がくっつくぐらいに近づけ、その周りに同じく皮がくっつくぐらい子まりさを近づけてやった。 遠くから見たら大きい帽子にまりさたちが詰まってるように見える。 これならば波にも耐えられるのではないか。 「よーし、いくぞー。」 「やめてね!なみをたてないでね!」 「ゆっくちできないいいいい!!」 怖がるまりさたちを気にせず、水面を叩いて波を作る。 結果、水槽から水が出るぐらいまで揺らしてもまりさたちは沈まず水上に居続けた。 「ゆゆっ!どうしてー?」 「水面に接する面積が増えてひっくり返りにくくなったからかな。」 「?」 「まぁこれで寝れるんじゃないかな?」 「ゆゆっ!これでねれるよ!おにーさんありがとう!」 昨日のことも忘れて俺に感謝してくるゆっくりまりさ。朝食を上げる予定だったがすやすやと家族で寝てしまったので止めにした。 昼にやってくるとまりさたちは起きて水面を泳いでいた。 水上で生活しなければいけなくなったので、泳げないのは死に関わる。 親まりさは子供達が少しでも上手くなる様にと、俺に気づきもせず子供達をしごいていた。 先に気づいた子まりさはこれでゆっくりできると思ったのか目を輝かしながらこっちによってきた。 「おにーさんおとーさんがまりさたちをいじめるよ!」 「いじめてないよ!まりさたちがおよげるようにしてあげてるんだよ!」 「そうだよ!でたらめいわないでね!」 「ゆゆぅ・・・ごめんなさい!」 「昼ごはんを持ってきたんだけどいらないかな?」 「ゆっ!まりさたちはおなかぺこぺこだよ!はやくたべさせてね!」 「ごはん!ごはん!」 他のゆっくりたちもご飯と言う言葉に反応してこっちに近づいてきた。 俺は持ってきた野菜にテープで糸を取り付け水槽の上に吊るしていく。 「はい、昼食だよ。」 「これじゃとどかないよ!」 「舌を伸ばしても届かないかい?」 「ゆっ!・・・ゆ゙ううううう!とどかないよー!」 懸命に舌を伸ばして餌を取ろうとするまりさたち。しかし餌は親まりさの舌よりすこし高い位置にあり、もう少しで届きそうだった。 「もうすこしでとどきそうだね。がんば!」 「ゆ゙うううううううううう!」 必死に舌を伸ばす親まりさ。舌の先がぷるぷる震えてる。 親まりさが届かないのに子が届くはずはなく。子まりさ達は親まりさを応援して少しでも役に立ったつもりになろうとしていた。 俺も応援モードになって子まりさと一緒に応援する。 一時間ほど延ばし続けるとなんと餌に舌が届いた。 「ゆっ!むーしゃ!むーしゃ!しあわせー!」 「おかーさんとおとーさんだけずるいよ!」 「まりさたちにもたべさせてね!」 文句を言う子供達に舌を伸ばして餌を与える親まりさ。 前に薬を売りにきた兎に頼んで作ってもらったゆっくり用の成長剤が効いたのだろう。 お菓子に仕込んでおいてよかった。しかし、これでは子供達の舌が伸びない。 「次から子供達と別々にして餌やりだな。」 そんな独り言も餌に夢中なまりさたちは気づかない。 餌を全部食べ終わるとまた子供に泳ぎ方を教えだしたので俺は部屋を出て行った。 それからしばらくゆっくりまりさの観察と躾は続いた。 ずっと帽子に乗ったままで運動不足にならないのかと思ったが、ゆっくりは動かなくても平気らしい。ゆっくりらしいと言えばらしいな。 帽子も腐ったり穴が開いたりせずに最初の形を保っている。命より大事な一つの帽子はそれだけの強度があるのか。ゆっくりの神秘。餌取りもだいぶ慣れたようで、別の場所で育てた茎についた野菜や枝についたままの果物を舌で上手に取って食べれるようになった。今日もゆっくりは慣れたように泳ぎ回っていたり、餌を取ったり、ぷかぷかと浮いている。 ムカついたので水槽を揺らすとゆっくりたちは慌て出す。 面白いのでもっと揺らすと、まりさたちは近くのまりさとくっつき始める。 やがて2ペア、4ペア、8ペアと増えていき、最後には一つの固まりになるのだ。 最初に教えたゆっくりできる方法をゆっくりなりに進化させたのだろう。 ゆっくりの行動に感動しながらもっと激しく揺らす。 「や゙め゙でええええええええええ!!」 「ゆ゙っぐり゙ざぜでえええええええええ!!」 「ゆ゙うううううううう!」 すばらしい。これなら依頼者も満足するだろう。 俺は電話をしに別の部屋へ向かった。明日には渡せるだろう。 その夜。餌を食べてゆっくりしてるまりさたちの元に網を持って向かう。 「ゆっくりしていってね!」 「今日はゆっくりしに来たんじゃないんだよ。」 「ゆっ?」 「明日依頼者にまりさたちを渡すことになってね。今から別の水槽に移すことにしたんだ。」 「ゆゆゆっ!?」 どうやら最初に言ったことを忘れていたらしい。 親まりさは子供達を庇うようにして俺の前に浮かぶ。 「こどもたちをつれていかないでね!」 「まりさがいくからこどもたちはおいてあげてね!」 「おとーさああああん!」 「残念だけどほしがってるのは子まりさ4匹なんだ。」 親まりさを棒でつつく。水の上では抵抗できず、子供達から離れていく親まりさ。 子供たちは親がいきなりいなくなって驚き顔だ。 「ゆゆ!こないでね!ゆっくりさせてね!」 「みんなにげるよ!」 「おにーさんはそこでゆっくりしててね!」 蜘蛛の子を散らすように逃げ出す子まりさ。 俺は用意していた網で子まりさを4匹捕まえた。 やっとも戻ってきた親まりさと子まりさが俺に文句をいう。 「こどもたちをかえしてえええええええええ!」 「おねえええちゃあああああん!」 「おねーちゃんとゆっくりしたいよおおおおおお!」 「大丈夫だよ。」 「ゆ?」 「この4匹は依頼者がちゃんと育てるって言ってたからね!」 「ゆ゙うううううううううう!」 まだ叫ぶ家族を残して俺は用意した水槽に子まりさを入れる。 「お゙がああああああああざあああああん!」 「お゙どおおおおおおざあああああああん!」 「ゆっくりできないいいいいいいいい!」 「おにーさんのばがあ゙あああああああああ!」 泣き喚く子まりさを沈めたくなったが、依頼者のことを思い出し我慢。 別にまだ子供達がいるから沈めてもいいのだが、戻るとまだうるさいだろうし。 2日分の餌を入れてから蓋を閉め、空気穴がちゃんと開いているかを確認してから水槽を一度叩く。 叩いた衝撃でまりさたちが固まって泣き叫ぶのを確認した俺は子まりさの水槽から離れた。 次の日、依頼者がやってきたので昨日準備した水槽を渡す。 依頼者は水槽のなかのゆっくりを初めて見てから水槽を突っついたりして中のまりさたちと遊んであげている。 このままではずっとそうしていそうなので声をかける。 俺に気づいた依頼者は報酬のお金を払った後スキップしながら家へと戻っていった。 あれぐらいの揺れでも固まってやり過ごせるだろう。やはり教えといてよかった。 依頼者が見えなくなると、俺はまりさの家族がいる部屋へと向かった。 あの部屋には子まりさを捕まえてから言ってなかったから少し心配だったが、どうやらちゃんと生きているらしい。 まだ親まりさは落ち込んでいたが子まりさたちが励ましている。直に元気になるだろう。 「おーい、餌を持ってきたぞ。」 「おにーさんなんかきらいだよ!」 「ずいぶん嫌われちゃったな。」 「まりさのこどもをかえしてね!」 「あいつらはもう依頼者が持っていっちゃったよ。」 「ぞん゙な゙あ゙ああああああああ!」 「まぁ元気にやってるだろうさ。じゃあこれからもそこで生活してね!」 「ゆっ!もういらいしゃにあげたんでしょ!りくにもどしてよ!」 「じつはあかちゃんまりさがいいっていう人もいるんだよね。だから何世代か育てて水上に適応した赤ちゃんまりさをつくるんだ。」「なにいってるかわからないよ!はやくそとにだしてね!」 「ダメだよ!死ぬまでそこでゆっくりしていってね!」 「ゆ゙っぐり゙でぎな゙い゙いいいいいいいいい!」 親まりさは今にも狂いだしそうだ。これはまずいか。そのとき、 「ゆっ!おかーちゃん!まりさはここでもゆっくちできるよ!」 「そうだよ!ここなられみりゃもこないしあんぜんだよ!」 「えさもずっとあるし、ふゆもないしここがいいよ!」 子まりさは陸にいた日が親より少ないからあまり気にならないのか慣れたのか、親まりさをなだめる。 親まりさも残った子供達が減るのを良しとしないのかここに残ると言い出した。 その言葉に安心した俺はいつもより多めに餌をやって部屋をでた。これなら今日の夜には大丈夫だろう。 夜になってまりさたちが寝たのを確認した後、俺はゆっくりの水槽に近づいた。 水槽の中では子まりさが減って若干小さくなった塊がすやすやと寝息を立てていた。 その中から親まりさを慎重に取り出す。そのままでは子まりさが死んでしまうので変わりにブイを入れるのも忘れない。 水槽から出された親まりさはまだちゃんと起きてはいない。完全に起きるとうるさくなって子まりさも起きてしまう。 俺は二匹をくっ付けて揺すりながら別の部屋に向かう。ここならば水槽の子供達に聞こえまい。 親まりさを離すと親まりさは発情していた。 すぐに重なって交尾を始めるまりさを見届けた後、俺は元のように水槽にもどして部屋を出た。 翌朝、水槽に向かうとなにやら騒がしい。 「どうしたんだい?」 「おにーさんまりさにあかちゃんができたよ!」 「まりさのいもうとー!」 「はやくみちゃい!みちゃい!」 昨日の交尾ですぐに芽が出たのか。多少驚きながらも成長剤のことを思い出して一人納得する。 子まりさがいなくなったことも忘れてしまったのだろう、親まりさと子まりさはとてもうれしそうだった。 「じゃあゆっくり子供を産むんだよ。」 「ゆっくりがんばるよ!・・・でもあかちゃんがこのままだとみずにおちちゃうよ!」 「産まれてすぐには帽子に乗れないか。」 「そうだよ!あるていどおおきくならないとむりだよ!だからりくにあげてね!」 「それはダメ。」 「じゃあどうするのおおおおお!」 このままでは産まれてすぐ死んでしまうか・・・ 野生にあるもので水に浮いているものが必要だな。 「よし、ちょっとまってな。」 そういって俺は枯葉や小さな枝を水槽に浮かべていく。 ゆっくりは不思議そうに俺の行動を見ていた。これなら覚えてくれるかな。 俺は浮いた木の枝や枯葉をまとめる。すると小さな浮島になった。 これなら赤ちゃんゆっくりぐらいなら乗れるだろう。 「どうだい?こうすれば赤ちゃん達もゆっくりできるよ!」 「そうだね!おにーさんありがと!」 「まだ足りないかもしれないけど、後は自分で大きくしてね。やり方は分かったね?」 「だいじょうぶだよ!ゆっくり大きくするよ!」 「じゃあがんばってね!」 まりさたちは大きくしようと枝や水に浮かぶ枯葉などを捜しに散っていった。 これで赤ちゃんも育てられるだろう。 ゆっくりの交尾だけは水上でさせる方法が思いつかず陸上に上げたが、勝手に交尾して増えないのはありがたいので次もこの方法でいこう。 だいぶ浮島が大きくなった頃、とうとう赤ちゃんが生まれる瞬間になった。 俺は子まりさととともに親まりさを見守る。手助けしてしまうと次からの子育てに支障をきたす。 やがて芽が出た方のまりさの表情が変わった。 「もうすぐうまれるよ!」 「ゆっ!がんばってうけとめるよ!」 もう一方の親まりさが浮島を動かして赤ちゃんの実を受け止めるのだ。一匹でも出来そうだが二匹の方がより安全だと思ったのだろう。 口に浮島を含んだまりさも自分に生った実を見つめるまりさも真剣だ。 やがて最初の実が落ちる。 「そこだよ!」 「ゆっ!」 なんというコンビネーション!二匹の親まりさの連携で浮島の上に実が溜まっていく。 結局水に落ちた実は3個。残りは浮島の上に無事落ちた。 水に落ちた実を見た親まりさはショックを受けていたがそれも最初だけ。 すぐに落ちる次の実を受けとないと水に落ちると二個目を水に沈めて気づいたまりさは三個目に落ちた実を気にせず次の実に向かっていく。 落ちた実には興味もないのか浮島の上にある実をみて喜ぶ親子まりさ。 だが、俺は落ちた実の方に興味を持った。水中カメラを用いて落ちた実を観察する。 中に水が入っているかと思ったが中に水は漏れてないらしい。中の赤ちゃんまりさが動いているのがかすかに分かった。 実を食い破って外にでようというのだろう。外は水で満たされているとも知らずに。 だんだんと皮が薄くなる。もうすぐ出てくる。俺はじっと目を凝らした。 そして、 「ゆkkぐぼおおおおおおお!」 確かにそんな声を聞いた。 生まれてすぐ死んでしまう赤ちゃんはどんなことを思っていたのだろう。 生まれて初めて見たのは母親じゃなくて魚だったときどんな事を思ったのだろう。 ふと、溺れている赤ちゃんまりさがカメラを通してこちらを向いた気がした。 たすけて そんな風な目だった。俺はにっこり笑うと口だけを動かした。 ゆっくりしね 口の動きでなんて言ったか赤ちゃんに分かっただろうか? 確認はすぐに魚に齧られて痛がるまりさからは出来なかった。 そんな赤ん坊を3回見てからカメラを置く。 陸上では運よく生き残った赤まりさがげんきよく飛び跳ねようとして親まりさにしかられていた。 飛び跳ねると浮島が沈んじゃうかもしれないしね。 こいつらはゆっくり飛び跳ねたりしないままいき続けていく。 まだ陸の記憶があるのだろう。すこし不満げな赤ちゃんまりさを子まりさが慰める。 後何世代か必要か。 俺は依頼者に赤ちゃんまりさを渡すのはいつごろになるのかと頭の中で予想しながら餡子に水上生活をしみこませる方法を考えていた。 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/767.html
※○ちゃん「ぱられるぱられる、もうどうにでもなれ〜」 ※「僕はこうして〜」シリーズの無断クロスです。レイパーさん、ごべんなさい ※いじめは、うん・・・すまない、特にないんだ。正直作者の自己満足の境地です ※登場人物紹介とかはあとがきの後に記載しています 「おねーさん!すいか、ゆっくりにんげんさんにあいたいよ!」 きっかけは我が家で飼っている珍種ゆっくり、ゆっくりすいかのそんな一言。 ゆっくり人間とはすいか曰く、人間とゆっくりの間に生まれたナマモノで外見は人間と変わらないらしい。 が、身体の成分が一部ゆっくりのそれに類似しており、またゆっくりにエライ勢いで好かれるそうだ。 すいかはこんな馬鹿げた都市伝説をどこからか、恐らくテレビ辺りで仕入れ、なおかつその実在を見事に信じきっているらしい。 そんな生物学者がまた何人か発狂しそうなナマモノがいるはずも無いと言うのに、連日連夜会いたい会いたいと喚き続けるすいか。 私はずっと「居ないものとは会えない」の一点張りで押し通してきたのだが、結局彼女の執念に負けしてしまった。 「そんないきさつでれいむたちはゆっくりにんげんさんをさがしにおでかけをしているんだよ!」 「きょうはどんなゆっくりしたことがおきるのかな?!」 「ゆっくりにんげんさん・・・ゆっくりにんげんさん・・・ゆっくりしていってね!」 「アンタら、誰にナレーションしてる?」 左右の肩にれいむとまりさ、頭上にすいかという傍目には私こそゆっくり人間だろうと言わざる得ないような出で立ち。 それ以外はジーンズ、Tシャツ、白のコート、メガネと至ってシンプルなのだが人の顔の周りで騒ぐこいつらのせいで道行く人々の注目を意味も無く集めていた。 これが私の美貌のなせる業・・・であればどれだけ優越感に浸れただろうか。 しかし、現実というのは残酷なもの。 他の女性を圧倒しているものは胸くらいの私にそこまでの魅力はなく、行き交う人々の視線は私の顔の周りでゆんゆん歌っているゆっくり達に向けられている。 地元ならまだしも、見ず知らずの土地へ向かう電車の中では「何、あのゆっくり馬鹿」と言わんばかりの好奇の眼差しが少し痛かった。 「ということで、れいむたちはゆっくりにんげんさんのまちについたよ!」 「ゆっくりにんげんさんはみつかるかな?!」 「ゆっくりにんげんさん・・・すいかといっしょにゆっくりしようね〜〜〜〜〜!!!」 目的の駅に到着した時、また誰かに向けてナレーションをし始める我が家のゆっくりども。 近くに座っていた中学生のグループがクスクスと笑うのを一瞥し、電車を降りると、階段を駆け下りて、改札を後にする。 余談だが、すいかのおかげで無料で乗車できた。理由は言わずもがな。 この無意味にピンポイントなサービスは一体誰が得をするんだろうか・・・心の中でそう突っ込んだ直後に、自分が得をしていることに気付いた。 ゆっくり人間を探して訪れた街は一見すると何の変哲もない普通の街だった。 強いて特徴を挙げるとすればゆっくりが比較的浸透していて、飼いゆっくりや野良ゆっくりが平然と人々の隙間を縫うようにして通りを行き来しているくらい。 そのあまりの平凡さを訝しく思ったれいむは「ほんとうにここにいるの?」と首をかしげていたが、私がこの街を訪れたのには理由があった。 「ねえ、おねーさん?」 「んあ?」 「ほんとうにゆっくりにんげんさんはここにいるの?ゆっくりしたふつうのまちだよ?」 「ああ、多分ね」 この街にゆっくり人間がいると思った理由は至って単純。 私が勤めているゆっくりショップのバイト仲間にゆっくり人間について尋ねてみたところ、この街の名前が挙がったからである。 彼が適当なことを言っていたり、間違っている可能性もあるのだが、話を聞いた後に調べてみたらこの街には“ミスターゆんちぇいん”がいることが判明した。 「みすたーゆんちぇんってなあに?」 そう言って首をかしげたのはまりさ。 すいかもれいむも言葉の意味が理解できずに首をかしげている。 そんな訳で、私は彼女らに、私自身最近知ったその言葉の意味を説明してやった。 「ミスターゆんちぇいんって言うのは・・・ゆっくり関係で凄すぎる記録を残したせいでゆっくりカンパニーの人工衛星で常時監視されている人のことだよ」 もっとも、一介のアルバイトに過ぎない私では流石にその監視衛星の映像を見ることは出来ないし、眉唾もいいところではあるが。 「ゆゆっ!じゃあ、ゆんちぇいんさんはすごくゆっくりしてるんだね!れいむゆんちぇいんさんにあいたいよ!」 「まりさも!まりさも!」 ついでに彼らが時速5km以上で移動するとバッジに取り付けられた迷子防止用のGPSの座標が70mずれることも付け加えておいた。 すると、まだ何が凄いのかは一言も言っていないのにれいむ達は何か凄そうな人がいると聞いて大はしゃぎ。 そんな3匹の様子を見て、何が凄いのかを教えてあげた。 「ちなみにここのゆんちぇいんはゆっくりレイプギネス記録保持者ね」 「「「ゆげぇ!」」」 それじゃゆっくり出来ないよと言わんばかりの表情になった3匹は「かえろうよー!」などと言い出した。 が、「ゆっくり人間を探すんだろう?」の一言ですいかが立ち直り、れいむとまりさも巻き添えを食う格好ゆっくり人間捜索に参加させられる。 「にんげんさんのすっきりごわいよおおおお!」と泣き喚くれいむとまりさはなかなかに可愛かった。 そんなつまらないやり取りから数時間後。 何故か観光スポット巡りに興じてしまった私たちはゆっくり人間のことをすっかり失念していた。 気がつけば陽が沈み、弁当を買って立ち寄った公園には殆ど人影が見当たらない。 そんな静寂の中、ようやく見つけた私以外の人間は・・・ 「・・・・・・うへぇ」 「おねーさん!ここはゆっくりできないよ!」 「ゆっくりしないでにげようね!」 長身の、ガタイの良い黒人の男性だった。 勿論、それだけならば驚くほどのことでもない。 問題は彼の、一糸纏わぬ生まれたままの姿にあった。 変態?危険人物?・・・普通に考えたら貞操の危機を感じるべきところなのだろう。 が・・・・・・ 「オー、ヤッパリタマニハゲンテンニカエッテオーソドックモイイモノデス」 「やべでえええええ!でいぶずっぎぢぢだぐないいいいいい!?」 「HAHAHAHAHA!」 その黒人男性はどうやらHENTAIお兄さん、もしくはゆっくりレイパーらしい。 HENTAIお兄さん・・・ゆっくりを性の捌け口にする異常性癖の持ち主の総称である。 流石に飼いゆっくりに手を出すようなことは稀だが、野良ゆっくりにとっては虐待愛好家に次ぐ脅威。 勿論、現物を、そして現場を目撃するのは私も初めてのことだった。 「・・・・・・そういえば」 流石にこの光景を平然と直視することは出来ないが、相手がゆっくりならとやかく言う事もないだろう。 そう思った私は、店の先輩から聞いた「レイパー同士は惹かれあう」という言葉を信じて彼にギネス記録保持者の居場所を聞くことにした。 彼がゆっくりれいむを犯している茂みから少し離れたベンチに腰掛け、そこにれいむとまりさとすいかを下ろす。 「ゆゆっ、にんげんさんまたきたの!まりさのはにーをいじめないでね!?」 「「「やめちぇね!ゆっくちできにゃいよ!」」」 「ワオ、マリサニコドモタチモヤッテキマシタ」 「ゆぎぃ!?やめてね!にんげんさんのすっきりはこわいよ!ゆっくりできないよ!」 どうやらつがいを助けに来たまりさやその子ども達を相手に第2ラウンドに突入したらしい。 流石にあれだけの数を相手するとなると長くなりそうなので、彼らの嬌声や悲鳴をBGMにして弁当を広げる。 我が家のれいむ達が「ゆっくりできないいいい!」と喚くのをでこピンで黙らせ、昼ごはんを食べ忘れたため8時間ぶりになる食事にありついた。 「むーしゃむーしゃ・・・幸せ〜」 「ず、ずっぎぢー!」 「もっちょ・・・ゆっくちちたかっちゃよ・・・」 「フゥ・・・スッキリー」 私が鮭弁当のチープな美味さを満喫し終えた時、ちょうど男性もゆっくりを満喫し終えた。 傍らでは我が家のゆっくり達が同胞を助けてあげられなかったことを悔やんで「ごべんねぇ!」と謝り続けていた。 いや、あの手つきと技術を見る限り殺さないように加減してるよ・・・そうフォローしようとした時、レイパーの男性が、ちゃんと服を着て茂みから姿を現した。 「イヤァ、オミグルシイモノヲ」 「ん、ああ・・・お構いなく。こちらこそ、お楽しみの邪魔をして申し訳ない」 ファミレスの椅子に腰掛けたままの私とドリンクバーの安物のコーヒー越しに視線が合った男性は頭をかきながら照れ笑いを浮かべている。 レイパーとは言え性癖以外は他の人と変わらないわけで、黒い肌とは対照的な白い歯を輝かせている彼はなかなかの好青年のように思えた。 彼に会釈しながら、れいむとまりさとすいかを抱きかかえて立ち上がり、必要も無いのに軽く自己紹介を済ませた。 「ボブさん、だったっけ?」 「ハイ、ナンデショウ?」 「あれ、趣味なの?」 「イエス、ワタシユックリダイスキデス!」 「ゆゆっ!だったらひどいことしないでね!ゆっくりできないよ!」 「そうだよ!ゆっくりさせてあげてね!」 満面の笑みを浮かべてサムズアップするボブに対して怒り心頭のれいむ達。 しかし、ファミレスで騒ぐと迷惑になるし、それに大声で話すようなことでもないので頭をはたいて黙らせた。 その後も3匹は頬を膨らませて抗議していたが、大声で叫ぶようなことはなかった。 「シツケガジョウズデスネ」 「特別なことをしているつもりはないんだけどね」 「ソレニシンライサレテイマス」 「全く嬉しくないけどね」 「ナニヨリスゴクカワイイ」 「1回50ドルで貸してあげても良いけどね」 そんな具合で、すぐにボブと打ち解けた私は早速彼にゆっくり人間について尋ねてみる。 しかし、帰って来た言葉は「ウワサクライハシッテイル」という非常に曖昧なものだった。 その回答に目に見えて落胆するすいかの頭を撫でながら、私はもう一つの質問をぶつけてみた。 「じゃあ、ここら辺で一番実力のあるゆっくりレイパーって知ってる?」 「レイパーハプライバシーヲマモリマス」 「・・・そりゃそうか」 多少親しくなったとは言え所詮は見ず知らずの相手。 もしかしたらレイパー撲滅を狙う組織の人間かもしれないし、そうでなくても金目当てで情報を売る可能性だってある。 最近もどこかでゆっくりレイパーの会合をアンチレイプの組織が襲撃しようとしたなんて話を聞いた気がする。 いや、そもそも世間に公表できるような性癖でないのだから、容易に口外できるものではないのだ。 「仕方ないか・・・今日は安いカプセルホテルにでも泊まって、明日また探そう」 本日の捜索を諦め、ボブに適当なホテルの場所を教えてもらった私は、会計の全てを彼に託してそそくさとファミレスを後にした。 『地球がゆっくりする日』や『Yull E』の話題で盛り上がった手前、少し気が引けたがホテル代を捻出するためだから仕方ない。 結局ゆっくり人間は見つからなかったが、ボブに遭遇したことで色んな情報を得ることが出来た。 彼の日本語の習得状況を鑑みるに、来日して何年も経っているようには思えない。 にもかかわらず、近くのファミレスやカプセルホテルの場所を知っていた。 それにあの公園でレイプされていたまりさは「にんげんさんまたきたの!まりさのはにーをいじめないでね!?」と言っていた。 つまり、あそこの公園のゆっくりは頻繁に人間からの干渉を受けていると考えられる。 確証はないが、明日はあの公園に張り込むのが最善策だろう。 翌朝、まだ陽も出ていない時間から私とれいむ、まりさ、すいかは例の公園での張り込みを開始。 懐中電灯片手に公園の中を散策すると、いとも簡単に野良ゆっくりの巣をいくつも見つけることが出来た。 まだ人間の姿は見当たらないが、そこには朝ごはんと称して人間の捨てたごみを集めて回るゆっくり達の姿があった。 余談ではあるが、その中に昨日レイプされたれいむ一家の姿もあった。予想通り、全員健在のまま。 「もうすぐにんげんさんのくるじかんだよ!」 「ゆっくりおうちにかえるよ!」 「「そろーり、そろーり・・・!」」 散らかしたゴミが巣まで一列に並んでいるのだが、どうやら彼女達はそのことに気付いていなかった。 あるものは子ども達を引率してゴミ置き場で拾った生ゴミを溜めて帰り、またある赤まりさはお菓子の袋を持って帰っていった。 そんな光景を尻目に私たちも彼女達と同じように適当な茂みに身を隠して、人間が来るのをじっと待つことにした。 「ぱちゅりーは本当に馬鹿ね」 「んぶぅ〜!」 「むきゅ〜、も言えないなんて伝説的だわ」 「ん〜、んん〜!?」 数分後、割りと珍しい胴付きぱちゅりぃを連れた少女が公園に姿を現した。 一見すると勝気そうで、なおかつ真面目そうな少女とお馬鹿で有名なぱちゅりぃというのは違和感を覚える組み合わせである。 しかし、よくよく見てみるとぱちゅりぃは猿轡と首輪を装備済み。 ああ、あの子もそっちの世界の住人なのか・・・と納得しながら、彼女を観察し続ける。 「さあ、ぱちゅりぃ。ゆっくりを連れてきなさい」 「んぶぅ〜・・・」 ぱちゅりぃはきょろきょろと辺りを見回し、においを嗅ぐような仕草をしながらふらふらと歩き始めた。 一方、少女は首輪のリードを握ったままぱちゅりぃの後を追いかける。 そして、必死の形相でゆっくりを探し回っていたぱちゅりぃがようやく見つけたゆっくりは・・・ 「んぶぅぅぅぅぅぅううぅぅぅ!!」 「ぱちゅりぃをゆっくりさせてあげてね!」 「ぱちゅりぃをゆっくりさせてくれないおねえさんがきらいだよ!ぷんぷん!」 「すいかおこるよ!ぷくぅぅぅうううう!」 「う゛・・・」 私と一緒に茂みに隠れていた我が家のゆっくりども。 目が合ったときの彼女のばつの悪そうな表情はなんとなく可愛らしかった。 「ふぅん・・・で、たまにここに来てゆっくりを虐待しているわけね」 「・・・はい」 ベンチに腰掛け、ホットコーヒーで暖を取る私と少女。 彼女はまるでポエムを書き溜めたノートを拾ってくれたが、不可抗力で中身を見てしまった親切な人を前にしたときのような表情を浮かべている。 これが知人であればしこたまからかってやるところなのだが、流石に見ず知らずの少女相手にそんなことはしない・・・はず。 せいぜい必死に弁明する彼女の表情をにやにやと笑いながら眺めつつ、私の膝の上でいまだに膨れているれいむ達の頭を撫でる程度。 「ゆっくりできないいいわけはやめてね!」 「そうだよ!ぱちゅりぃをゆっくりさせてあげてね!」 「そうだよ!ぷんぷん!」 我が家のゆっくりどもは同族の虐待風景なんか目の当たりにして黙っていられるような連中ではない。 こっぱずかしそうにしている彼女に向かってもっともな文句を口にする。 が、流石に早朝のまだ辺りも暗い時間に大声で喚かれては近所迷惑もいいところ。 「だからアンタら五月蝿いよ。頭を少しかじってやろうか?」 「「「ゆっ・・・!」」」 「・・・・・・愛でお姉さん、じゃないんですか?」 「じゃないんです、断じて」 できるだけ柔和に微笑みながら、言われたとおりに膝の上で黙っているれいむの額にでこピンをお見舞いする。 「なんだぁ・・・だったら、必死になって言い訳する必要なんてなかったのね・・・」 「Exactly」 ついでにもう一発、今度はまりさにでこピンをお見舞いするのを見た彼女は盛大にため息を吐いた。 「そもそも・・・仮に私が愛でお姉さんでも首輪や猿轡くらいは飼い主としての責任の範囲内だから責める理由がないし」 「・・・え?」 「それにまだ虐待らしい虐待の現場は目撃していなかったわけよ」 「それじゃ・・・」 ようやく状況を把握したらしく、赤くなった顔を両手で隠す少女。 そして、にんまりと意地の悪い笑みを浮かべつつ、彼女の肩を優しく叩く私。 「そ、完全に、一部の隙もなく、貴女の自滅」 耳まで真っ赤になるのが手に取るように把握できた。 「と、まあ、そんなことは置いといて・・・」 「・・・・・・・・・・・・」 指の隙間から見えるジト目に篭った殺気を感じた私は意地の悪い笑顔はそのままに話題を強引に切り替えた。 すると、彼女も顔を覆っていた手を膝の上に戻し、いつの間にか温くなってしまった缶コーヒーのプルトップに指をかける。 ようやく陽が昇り始め、徐々に明るくなってきた公園にぱちんっ!という軽快な音が響き渡った。 「一つ聞きたいことがあるんだけどいいかな?」 「なんですか?」 「ゆっくり人間って知ってる?」 その言葉を聞くや否や露骨に怪訝な表情になる少女。 私だってそんな質問されたら同じような顔をしただろうからその気持ちはよく分かる。 というか、私だってすいかの与太話でその存在を知っただけだから半信半疑だ。 「そんなの訳の分からないもの知りません」 「だよねぇ・・・」 私は彼女の言葉に首肯した。 続いてレイパーに関する質問もしようかと考えたが、流石にカタギにする質問じゃないのでやめた。 立ち上がり、リードを握られたままのぱちゅりぃを指差す。 「こんなの人目にさらすのも体裁が悪いから、そろそろお開きしようか?」 そんなこんなで、挨拶もそこそこに彼女と別れた。 「いや、そんな都市伝説聞いたこともないよ」 「ゆっくりにんげんさん?れみりゃのことなのぜ?」 「強いて言うなら君が一番そんな感じだよ」 「ち〜んっぽ!びっくまらぺにすっ!」 「JAOOOOO!JAO!JAO!JAOOOOOOOON!」 「そんなことよりれいむのおうたをきいていってね!」 少女と別れた私たちは、公園に住むゆっくりや散歩中の人達にしらみつぶしに話しかけてみるが全く成果が得られない。 ゆっくり人間の事を訊けば怪訝な顔をされるし、ギネスレイパーのことを訊いても人間なら顔をしかめ、ゆっくりなら怯えるばかり。 代わりに得た情報と言えば以前この公園のゆっくり達を二分していた対立と、両勢力の共通の敵となることでその対立を鎮めたレイパーのこと。 そして、人間に虐められているのを助けてくれたゆっくりふらんを連れたとてもゆっくり出来るゆっくりのこと。 もしくは時々この公園に出没するゆっくりふらんを連れた少年のこと。 「う〜ん・・・やっぱり情報が集まらないな・・・」 「れいむ、もうつかれたよぉ〜」 「まりさもだよ〜・・・」 「ゆゆっ!でも、ゆっくりにんげんさんはこのまちにいるんだよ!」 元々半信半疑だった私とどうしてもゆっくり人間に会いたいわけではないれいむとまりさは半ば諦めモード。 対して、どうしてもゆっくり人間に会いたいすいかは私の頭の上から檄を飛ばす。 が、疲れていることもあって私やれいむ達の反応は鈍い。 「きっとアンタの妄想だよ・・・」 「れいむ、なんだかねむいよ・・・」 「まりさも・・・」 朝から歩き詰めでいい加減飽きてきた私はれいむ達と一緒にうつらうつらと舟を漕ぎ始める。 そんな私を起こすためにすいかは膝の上に飛び降り、お腹に何度も体当たりを仕掛けてくるが、何故か余計に眠くなってきた。 そうして、れいむとまりさが本格的に眠ってしまったその時・・・ 「どうも・・・清く正しく、きめぇ丸です」 「んあ?」 風と共に、どこからともなく姿を現したのはスレンダーなボディの上に乗っかった下膨れの顔をニヒルに歪めた鬱陶しい饅獣。 きめぇ丸・・・かなり貴重なゆっくりの一種で、胴無しのものは知人が飼っているので何度か見たことがあるが、胴体付きを見るのはこれが初めて。 睡魔と戦っていたこともあって、私は彼女がゆっくりであることを理解するのに3秒程度の時間を要した。 「あなた達ですか、ゆっくり人間を探していると言うのは?」 「ん、まあ・・・一応」 「ゆっくり人間は見つかりましたか?」 きめぇ丸はニヒルな笑顔を一層ニヒルに歪める。 「いや、ヒントすらもつかめない状況」 「そうですか」 私の返答と、今までの聞き込みで得た情報を聞いた彼女はブンブンと高速で首を振った。 そのあまりのゆっくり出来なさ加減にすいかがすっごい表情で怯えているが、まあ気にすることでもないだろう。 「で、アンタは何のために話しかけてきたの?」 「みょんやめーりんと話せる人間が居ると聞いたので、少し興味が湧きまして。本当なのですか?」 「あー・・・本当だよ。なんか知らんけど言葉が分かる」 「おお、すごいすごい」 またしても高速シェイクするきめぇ丸。 少々鬱陶しいが、何らかの悪意があって話しかけてきたわけでもなさそうなので我慢する。 「ところで・・・」 「んあ?」 「ヒントすら掴めていないと言いましたが多分それは間違いです」 そう言って彼女は自信満々に微笑んでみせる。 パッと見、先ほどと変わらぬニヒルスマイルだがその笑顔に宿る感情が微妙に違うのに気付いた。 「あなたがいくら特殊なゆっくりと話せたところで人間以外の何者でもありません」 「そりゃそうだ」 「だから私の目にも人間の目にもあなたがゆっくりとして映ることはないでしょう」 「当たり前・・・あれ?」 ここまで言われてようやく、私は彼女の言葉の意図を理解した。 みょんやめーりんと会話できたところで私は人間だから誰の目にも人間としてしか映らない。 どんなに知能が高くてもきめぇ丸はよほど寝ぼけていない限りは人間と見間違えることはない。 なら、ゆっくりと人間のハーフなるものが居たらそれはどのように映るのだろうか? 「ああ、そうか・・・」 相変わらずニヒルな下膨れ顔を左右に振るきめぇ丸から視線を外し、俯いて考える。 もし、ゆっくり人間が人間の目には人間として、ゆっくりの目にはゆっくりとして映るのであれば、私たちは既に大きなヒントを得ている。 勿論、どちらの目にも同じように映る可能性はあるが、そうなってしまうと肉眼に頼る手段では判別不可能だから私たちにはお手上げだ。 「ふらんを連れたゆっくり・・・か」 もし、ふらんを連れたゆっくりがれいむ、まりさ、ぱちゅりー、ありすなどのメジャーな種族であれば彼女達は必ず種族名も教えてくれるはず。 ましてや、ふらんを連れているのにゆっくりしているというのはどこかおかしいように思えた。 その上、ゆっくりふらん自体が既に貴重な種族で、めったにお目にかかれるようなゆっくりではないのだ。 「なのに、この公園にはふらんを伴う人(orゆっくり)が二人もいる・・・」 きめぇ丸のもったいぶった言葉に意味があるならば、この両者は同一人物なのではないだろうか? からかわれている可能性もあるが、他に頼りに出来る情報がない以上、信じるしかあるまい。 なら、私たちがすべきことは一つ。 「ふらんと飼い主を、それも私の目には人間に見えて、すいか達の目にはゆっくりに見える人を探せばい・・・あれ?」 すべきことを理解した私が顔を上げた時、きめぇ丸もとい敬意を表してきめ子さんと呼ばせていただこう、の姿はなくなっていた。 それからはとんとん拍子で事態が進んでいった。 ふらんの飼い主が地元の中学生だか高校生だかの少年であることが判明し、すぐにその少年の学校も割り出すことが出来た。 「むにゃ・・・そんなわけで、れいむたちはぎわくのゆっくりゆっくりふらんがおさんぽしているのをみつけたよ!」 「ふにゃ・・・これでゆっくりにんげんさんにあえるかな?」 「ゆっくりにんげんさん・・・すいかといっしょにゆっくりしようね!」 と、れいむ達の説明の通り、現在私たちは通りで見かけたゆっくりふらんを尾行していた。 念のため買っておいたサングラスを装着し(もちろんれいむ達も)、電柱の影から彼女を見守る。 「・・・・・・あのー?」 「ゆゆっ!いまとりこみちゅうだよ!」 「ゆっくりあとにしてね!」 若い男の声を聞き流しつつ、私たちはふらん監視を続行する。 「・・・いや、取り込み中じゃないだろ」 「もう、おにーさん、れいむたちとりこみ・・・ゆゆっ!!?」 「どうしたのれい・・・ゆゆゆゆっ!!!」 「んあ?どうした?」 振り返ると、そこにいたのは地元の学生と思しき少年。 一見するとこれと言って変わったところはないのだが、彼の姿を見たれいむ達は目をハートマークにして見惚れている。 確かにパッと見はごく普通の少年なのだが、どこか違和感を覚える。そして・・・ 「「すごくゆっくりしたおにーさんだよ!」」 れいむ達の発したその一言で、彼こそ探していたゆっくり人間であることを理解した。 同時に、彼の訝しげな視線を見て、自分がかなり不審であることを把握した。 もしかしたら「ゆっくりフェロモンで一儲けしようとした企業が、彼を拉致って精液を搾り取ろうと送り込んできた刺客」だなんて誤解をされているかも知れない。 何故か知らないがそんな懸念を抱いた私は彼の警戒心を解く為に、出来るだけにこやかな笑みを浮かべて挨拶をした。 「こ・・・こんばんは、ゆっくりしていってね」 ‐‐‐あとがき‐‐‐ 確かな文章力と優れた構成力に裏打ちされたレイパー氏の作品の中でもこの作品は特に魅力的だと思うんですよ その理由を考えてみると、この世界の人たちって日常を何となく想像できてしまうくらい存在感があるからじゃないかと 猫被って?瀟洒に振舞っている委員長とか、HENTAI要素を隠しきれていないボブとか もっとも、想像は出来たところで、真偽を知る術はレイパー氏に聞くしかないわけだし、あらゆる面で氏にかなわない以上、レイプになってしまうのは否めないわけですが ほんと、レイパーさん、ごべんなさい byゆっくりボールマン 【登場人物紹介】 お姉さん 初登場は『ゆっくりいじめ系749 現代ゆっくり』 ノリと勢いでゆっくりを10匹も飼う事になってしまった一人暮らしの女子大生 恐るべき酒豪で、お胸がドス級。ゆっくりに対してはかなりハイスペック みょん語等を解し、天性の飼育上手で、好かれ易いが生物学的には平凡な人間 口も性格もあまり良くないし、わりと容赦しないタイプなのに何故か懐かれる れいむ&まりさ 初登場は『ゆっくりいじめ系749 現代ゆっくり』 今作ではいらない子。若干頭が良い程度の平凡なゆっくりで六児の親 ただし、れいむはゆっくりながらもインターネッツを使いこなせたりする すいか 初登場は『ゆっくりすいか系いじめ1 ゆっくりすいか』 角にお酒が詰まっている。空気を吸い込むと半端なく膨らむ(曰くみっしんぐぱわー) かなりのテレビっ子で、ワイドショーやくだらない都市伝説が大好き みすたーゆんちぇいん 初登場は『その他 僕はこうして生まれました?』 会社員。課長クラス。ゆめぇ丸を妊娠させた経験がある ゆっくりレイプに関しては右に出るものがいないが、世間的には真人間で通っている ボブ 初登場は『ゆっくりいじめ系1632 ボブはこうして出会いました?』 スラム育ちの巨漢の黒人男性。ゆっくりが大好物(二つの意味で)の変態 注:日本において単独でレイプを行うかどうかは微妙なところです 少女 初登場は『ゆっくりいじめ系1682 僕はこうして出会いました?』 学校では成績はトップ、真面目で明るく、誰の相談にも乗る優しい素敵な委員長 しかし、優等生にも色々あるらしく、ゆっくりに八つ当たりすることがあるとかないとか 注:ぱちゅりぃに対する虐待?は『僕はこうして出会いました』の記述と矛盾します ぱちゅりぃ 初登場は『その他 僕はこうして生まれました?』 胴体付きのゆっくりぱちゅりー。この種族の例に漏れずお馬鹿である 一時はみすたーゆんちぇいんの愛人だったこともあるが、現在は少女のペット きめぇ丸 初登場は『その他 僕はこうして生まれました?』 人間との間に子どもをもうけた前代未聞のゆっくり。彼女もまたド変態 注:考えてみりゃ彼女がお姉さんに助言する動機は微塵もありません ゆっくりふらん 初登場は『その他 僕はこうして生まれました?』 ゆっくり人間のペットと誤解されているが、実際にはゆっくり人間の恋ゆっくり 注:レイパー氏の作品世界においてゆっくりが単独で散歩するかどうかはわかりません ゆっくり人間 初登場は『その他 僕はこうして生まれました?』 学生。思春期まっさかりの少年。実はゆっくりと人間のハーフだったりする ゆっくりに対してはかなりハイスペックな性能を有する
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/2199.html
※ゆっくりが普通に現代社会にいる変な世界観です。 ※同作者の現代社会ものとは大体世界観を共有していますが時々矛盾が生じています。 ※作中で矛盾していることも多々あるので細かいことは気にしないでください。 数年前に突如現れ、急速に社会に浸透していった(ような気のする)ゆっくりと呼ばれる新たなる生命体。 人間の生首が膨張したような容姿のそいつらは饅頭のクセに生きていたり、どこから来たのは全く不明だったりとあまりに謎が多すぎる。 が、目新しいものや珍しいものを好む人々はその「ゆっくりしていってね!」とか「ゆーっ!」などと珍妙な鳴き声をあげる未知の存在をあっさりと受け入れた。 そして、社会にある程度浸透した以上、人間の真似事をさせて間違った可愛がり方をする輩がいるのもある意味では必然であった。 ~ゆっくりのことはゆっくりに~ そんな信念の下に設立されたのがこのゆっくりのためだけの学校だ。 学校とは言うものの、寿命も能力も根本的に異なる以上、人間のように何年も通い続けるわけには行かない。 だから、1週間ほど施設に泊り込んで飼いゆっくりにゆっくりとしての教育を施すことがこの学校の目的となっている。 今回のカリキュラムは記念すべき第1回目。 それだけに教師陣のゆっくり達も気合十分。きらきらと瞳を輝かせて生徒達がやってくるのを心待ちにしていた。 「れいむぅ!どんなこたちがくるのかな?」 「ゆっ!きっとみんなゆっくりできるかわいいこだよ!」 小さな、とは言ってもゆっくりには十分すぎるほど大きな学校のグラウンドで人目もはばからずにいちゃいちゃする2匹。 一方は平均的な大きさのゆっくりまりさで、もう一方もこれまた平均的な大きさのゆっくりれいむだ。 「ひ、ひるまからあおかんだなんて・・・いなかものね!?」 「むきゅ~・・・なにもしてないのにあおかんとかいうのはとかいはなの?」 「ありすはへんたいなんだねー、わかるよー」 「ゆゆっ!あ、ありすはゆっくりしたとかいはなれでぃーよ!」 人目をはばからないれいむ達の横でそんなやり取りをしているのはありすにぱちゅりーにちぇん。 ここにいる5匹のゆっくりが子ども達を見守るゆっくりの学校の教師達だった。 午前9時、カリキュラムの最初のイベント『校長先生のお話』の時間。 運動場には飼い主や親に連れられてやって来た30匹あまりの子ゆっくりと先ほどの教師達。 壇上では校長先生ことゆっくりゆかり、通称ゆっかりんがふんぞり返っていた。 「いまからこうちょうせんせいのおはなしだよ!」 「みんな、ゆっくりしずかにきいてね!」 先生達は運動場で沢山の同年代に囲まれて浮かれている子ども達を諭すが、子ども達の耳には全く届いていない。 あるものは近くにいた子とおしゃべりを始め、またあるものは運動場で仲間と遊び始めてしまった。 先生達がその場を何とか収めようにも流石に子ども相手でも30匹も居るとなると一苦労。 どれだけ「ゆっくりおはなしをきいてね!」と叫んだところで一向に事態が終息する気配を見せない。 そうこうしているうちに子ども達の世話をするはずのれいむが「どほぢでいうごどぎいでぐれないのおおおお!?」と泣き出してしまった。 「ゆ っ く り し て い っ て ね !!」 運動場に響き渡るひときわ大きな声の主は校長先生。 児童達や他の先生達もゆっくりの本能に従って「「「「「ゆっくりしていってね!」」」」」と返す。 返事が返ってきたのを確認したところでゆっかりん校長は話を始めた。 「ここはゆっくりするばしょじゃないよ!ゆっくりしたゆっくりにゆっくりなるためのばしょだよ!ゆっくりりかいしてね!」 「「「「「そうだよ!ゆっくりりかいしてね!」」」」」 「「「「「「「「「「ゆゆっ!ゆっくちりかいちたよ!」」」」」」」」」」 本当に理解できたのかいささか怪しいところだが、とにかくこうして1週間の学校生活が始まった。 1日目はれいむ先生によるお歌の練習の日。 「みんな、おうたさんはみんながゆっくりするのにとってもだいじなんだよ!」 「だかられいむといっしょにゆっくりおうたのれんしゅうをしようね!」 「「「「「「「「「「ゆっくちれんしゅうしゅるよ!」」」」」」」」」」 子ゆっくり達の元気の良い返事を聞いたれいむ先生は早速自慢の歌声を披露し始める。 人間にしてみればリズムも音程もあったものではないような歌声なのだが、子ゆっくり達はその歌声に聴き惚れていた。 「ゆ~♪ゆ~ん、ゆ~~ゆぅ~♪ゆん~~~ぅゆ~ゆ~♪」 「ゆゆっ!せんせー、すごくゆっくちしたおうただよ!」 「ゆぅ~♪ゆ~ん・・・ゆっ!みんなもいっしょにうたってね!」 不思議なものでこの場に居るゆっくりの大半は人間に飼われており、大抵のものはゆっくりよりも人間の歌のほうが優れていることを認めている。 つまりは人間と同じ評価基準を持っていることは紛れもない事実なのだが、どうやら「ゆっくりとしての上手さ」というまったく別の評価基準を持っているらしく、 1匹たりとも「おねーさんのほうがじょうずだよ!」などと言い出すものは居なかった。もちろん、空気を読んだわけでは断じてない。 「「ゆ~ゅ~ゆぅぅぅうう~ん♪」」 「ゆ~~~~~ゆぁ~~~~~~ゆぅ~~~~♪」 「ゆっ♪ゆ~♪ゆゆゆゆゆゆゆ~♪」 「「ゆ~~♪ゆゆゆ~♪ゆ~ゆゆ~♪ゆ~ゆゆ~ゆ~♪」」 「ゆゆゆ~♪ゆゆゆ~♪ゆゆゆっゆ~♪ゆゆゆっゆ~♪ゆゆゆゆ~♪」 先生に促された子ども達も一緒に歌い始める。 一緒に、と言っても自分たちの思い思いの歌を好き勝手に謳っているだけなのだが当人らは楽しそうだ。 そうして、思い思いのメロディーを口ずさんだゆっくり達は歌い終えると満足げな笑みを浮かべた。 何かをやり遂げたもの特有のどこか誇らしげで、非常に輝かしい表情だ。 「ゆ~っ!とってもゆっくちできたよ!」 「「「ゆっくちできたよ!」」」 「もっとゆっくちおうたうたうよ!」 皆で歌ったのがよほど楽しかったのか、子ゆっくり達はもっと歌いたいと主張しながら飛び跳ねている。 が、れいむ先生は「おうたはあとでもっとゆっくりうたうから、せんせーのはなしをゆっくりきいてね!」と言って子ども達を静かにさせる。 それから、ゆっくりにしては真剣な面持ちで子ども達に語りかける。 「れいむたちのゆっくりしたうたごえはね・・・てんしさんのうたごえなんだよ!」 「ゆぅ、てんししゃんの?てんししゃんってなに?ゆっくちできるもの?」 「てんしさんはね、いいこをゆっくりできるばしょにつれていってくれるゆっくりしたものだよ!」 「「とってもゆっくちできるんだね!」」 「れいむたちはね、にんげんさんのてんしなんだよ!いつもゆっくりしていないにんげんさんをゆっくりさせてあげられるんだよ!」 「ゆゆーっ!れいむたちはしゅごいんだね!」 「すごくゆっくちちてるんだね!」 妙に自信満々に「自分たちは人間をゆっくりさせてあげるために舞い降り天使だ」と力説するれいむ先生。 その意味をどれほど理解できているかは怪しいところだが、ここに居る子ゆっくりの大半は飼い主が大好きな飼いゆっくりだ。 みんな、自分が飼い主をゆっくりさせてあげられると思うと嬉しくてぴょんぴょん飛び跳ねながら微笑んでいる。 そんな子ども達を諌めながられいむ先生は更に続ける。 「でもね、にんげんさんたちだけがゆっくりするのはずるいよね?」 「ゆゆっ!まりしゃたちもゆっくちちたいよ!」 「だからね、にんげんさんにたべものかおかねさんをおねだりするんだよ!」 「おかねってなに?ゆっくちできるもの?」 「おかねさんはね、おいしいおかしをたくさんかえるんだよ!」 「ゆーっ!おかし!おかしっ!」 「れいむたちにゆっくりさせてもらったにんげんさんからはたべものかおかねをもらうんだよ!ゆっくりりかいしてね!」 「「「「「「「「「「ゆっくちりかいちたよ!」」」」」」」」」」 虐待界隈の人たちが聞いたら「ひゃあ、我慢できねェ!」を通り越して発狂しそうなれいむ先生の言葉をしっかりと心に刻む子ども達。 それから2,3度「お歌でゆっくりさせてあげたにんげんさんからおかねをもらおうね!」と復唱し、また皆で楽しくお歌を歌った。 お歌の授業は約2時間ほど続き、それが終ったところで今日の授業は終了。子ども達は仲良くなった子と一緒に遊び始めた。 昼食を食べ、遊い、お菓子を食べ、お昼寝し、お菓子を食べ、遊び、夕食を食べ、遊び、お菓子を食べ、夜更かしし、眠くなったら寝て・・・1日目が無事終了した。 2日目は朝の9時からまりさ先生によるご挨拶の練習の日。 「みんなごあいさつのしかたはしってるかな?」 「「「ゆゆっ!とうぜんだよ!」」」 「「「「「ゆっくちちていってね!」」」」」 「「「「「「ゆっくちちていってね!」」」」」」 まりさ先生の簡単すぎる質問にみんなで声を揃えて答える子ゆっくり。 元気いっぱいの子ども達の様子にまりさ先生はうんうんと頷くき、それからまじめな表情で語りだした。 「そうだね!ゆっくりしていってね、だよ!でも、みんなのそれじゃまだまだだよ!」 「ゆっ!まりさのゆっくりしていってねのどこがだめなんだぜ?」 「そーよ!ありすのゆっくりしていってねはすごくとかいはよ!」 「じゃあ、そこのありすとまりさ、まえにでてゆっくりしていってねっていってみてね!」 「「ゆっくりりかいしたよ!」」 2匹は意気揚々と子ゆっくり達の前、まりさ先生の隣に行くと思いっきり息を吸い・・・ 「「ゆっ・・・「ゆ っ く り し て い っ て ね !!」 「「「「「「「ゆっくちちていってね!」」」」」」」 元気いっぱいに「ゆっくりしていってね!」と挨拶をしたが、まりさ先生の挨拶によってかき消されてしまった。 それだけじゃない。まりさ先生は挨拶するときに満面の笑みを浮かべて可愛らしくぴょ~ん!と跳躍した。 隣にいた子ありすと子まりさはたった1回の実演で圧倒的な実力差を思い知らされた。 子まりさも子ありすも大きな声で挨拶する事にこだわり過ぎた為に、そのときの表情がゆっくりしていなかったのだ。 それに比べてまりさ先生のはどうだろうか? とても聞き取りやすい元気な声に、ゆっくりした表情、とても活力に満ち溢れてゆっくりした跳躍・・・全てが完璧だった。 「ゆゆっ!せんせーしゅごいぜ!」 「とってもとかいはだわ!」 「ゆっへん!みんなもがんばればすぐにまりさみたいになれるよ!」 「「「「「ゆっくちがんばりゅよ!」」」」」 まりさ先生の言葉に元気良く返事する子ゆっくり達。 とってもゆっくりした挨拶をするかっこいいまりさ先生に皆メロメロだった。 そこにいる誰もが同じことを思っていた・・・先生みたいになりたい、と。 「まずはぴょ~んぴょ~ん、だよ!まりさといっしょにゆっくりはねてね!」 「「「「ぴょ~んぴょ~ん!」」」」 「「「ぴよ~んぴよ~ん!」」」 「「「ぴょんぴょん、だよ!」」」 先生に倣ってぽよんぽよんと跳ね回る子ゆっくり達。 その真剣な姿につられて先生の指導にも熱が入る。 「さあ、もっとだよ!ぴょ~んぴょ~んぴょ~ん!」 「「「「ぴょ~んぴょ~んぴょ~ん!」」」」 「「「ぴよ~んぴよ~んぴよ~ん!」」」 「「ぴょんぴょんぴょん、だよ!」」 「つかれたよ!ゆっくちやしゅむよ!」 ちょっと疲れた子どもは休憩したりするが、まりさ先生は自主性を尊重しているらしく何も言わない。 そうこうしているうちにまりさ先生にも疲れの色が見えてきて、彼女が飽きたタイミングで跳躍の練習が終った。 「つぎはえがおであいさつするれんしゅうだよ!みんな、ゆっくりがんばってね!」 「「「「「「「ゆっくちがんばるよ!」」」」」」」 子ゆっくりの元気の良い返事を聞いたまりさ先生はにっこりと微笑むと、元気良く声を張り上げた。 「ゆ っ く り し て い っ て ね !!」 「「「「「「ゆ っ く ち ち て い っ て ね !!」」」」」」 「ゆ、ゆっくちちていってね・・・」 「ゆゆっ!ぱちゅりー、おこえがちいさいよ!」 まりさ先生の言うことを聞かずに小さな声で挨拶をする子が1匹。 その子はゆっくりぱちゅりーで、注意された途端「むきゅ~~~ん」と泣き出してしまった。 「どうしておおきなこえをださないの?せんせーにゆっくりおしえてね!」 だが、まりさ先生は優しい先生だ。 言うことを聞かないからと、頭ごなしに怒鳴りつけたりはしない。 先生の優しさに触れたぱちゅりーはもそもそと話し始めた。 「おねーさんのおうち・・・あぱーとなの。だからね、おおきなこえをだしゅとおこられちゃうの・・・むきゅぅ」 「ゆゆっ!それはおねーさんのかんちがいだよ!」 「むきゅぅ、しょうなの?」 「きのうれいむにきいたでしょ?まりさたたいはねぇ・・・にんげんさんたちをゆっくりさせてあげるてんしさんなんだよ!」 「むきゅ~?」 「だったらまりさたちがげんきじゃなかったらぱちゅりーのおねーさんはゆっくりできないでしょ!」 「むきゅ!さすがせんせいだわ!」 「ゆっくりりかいしたら、おねーさんのためにもいっしょにごあいさつのれんしゅうだよ!ゆ っ く り し て い っ て ね !!」 「「「「「ゆ っ く ち ち て い っ て ね !!」」」」」」 まりさの言葉のおかげで元気になったぱちゅりーは皆と一緒に笑顔でご挨拶の練習を続けた。 それからもまりさ先生の授業は続き12時くらいに終了した。 それから、子ゆっくり達は昼食を食べ、遊び、お菓子を食べ、お昼寝し、お菓子を食べ、遊び、夕食を食べ、遊び、お菓子を食べ、疲れていたので早めに寝た。 3日目はぱちゅりー先生と一緒にお勉強する日。 「むきゅ~、きょうはみんなでおべんきょうよ!」 「おべんきょうなんてゆっくちできないんだぜ!」 「「「「ゆっくちできないよ!」」」」 「む、むきゅ~・・・」 マッハで出鼻をくじかれたぱちゅりー先生、しょんぼり。 彼女の話を聞こうとしているのは最前列に陣取った同じぱちゅりー種だけで、他の子ゆっくり達は近くの仲間と遊び始めてしまった。 が、まがりなりにも彼女だって先生だ。こんなことでへこたれては居られない。 「むっきゅ~!おべんきょうしないとゆっくりできなくなっちゃうわ!」 「「「ゆゆっ!?」」」 「「ゆっくちできないの!?」」 「「「ゆっぐちぢだいよぉ・・・?!」」」 機転を利かせての「ゆっくり出来なくなる」発言は子ども達の心を十分以上に捕えたらしい。 友達と遊んでいた他のゆっくり達もすぐさまぱちゅりーのほうに向き直り、話を聞く体勢になった。 「むきゅ~・・・だいじょうぶよ!せんせいのおはなしをきくこはゆっくりできるわ!」 「「「「「ゆゆっ!ゆっくりおはなちをきくよ」」」」」 「みんなとってもゆっくりしてるわ!ぱちゅりーがおしえるのはかずのかぞえかたよ!」 「ゆゆっ!かずなんてかんたんだよ!いち、にー、しゃん、たくしゃんだよ!」 別にお約束のボケをかましたわけではない。ゆっくりの知能はせいぜいこんなものなのだ。 「むきゅ~・・・もりのなかでゆっくりするならそれでもいいけど、にんげんといっしょにくらすのにそれじゃだめよ!」 「「ゆぅ?どうちて、ダメなの?」」 「「「「かずなんてかじょえなくてもゆっくちできるよ?」」」」 「むきゅ!かずをかぞえられないとおしごとやこそだてでこまるのよ!おおきくなってからゆっくりできないのよ!」 「ゆぅ、どういうことなの?ゆっくちおちえてね!」 「にんげんのなかにはゆっくりできないひとがいるから、かずをかぞえられないとだまされてゆっくりできないのよ!」 最も数を数えられたところで時蕎麦程度の引っ掛けで簡単に騙されてしまうのだが、そこまでは頭が回らないらしい。 それに数を数えられる程度では大した効果もないのだが、その辺にも頭が回っていない・・・というか人間の知能をきちんと理解出来ていないようだ。 それでもぱちゅりー先生は妙に自信満々といった風な笑みを浮かべて、ふふんと偉そうに胸を張って話を続ける。 「せんせーもだまされそうになったことがあるのよ!おかしさんをごまいくれるっていったのによんまいしかくれなかったのよ!」 「「「ゆぅ、ごまいとよんまいってどっちがおおいの?」」」 「ごまいよ!」 「「ゆゆっ!ちょっとしかくれないなんてひどいよ!?ゆっくちできないね、ぷんぷん!」」 「「かわいいまりしゃたちをだますだなんて、ちんじられないぜ!」」 「でもぱちゅりーはかずをかぞえられたからだまされなかったわ!」 おおっー!と子ゆっくり達から歓声が上がる。彼女達の目には強くて大きくて賢い人間相手に対等以上に渡り合ったぱちゅりー先生への敬意が宿っていた。 もっとも、実際のところは相手が飼い主で、たまたまぱちゅりーに数の大小が理解できるのかを調べていただけなのだが。 が、そんなことは露ほども知らない子ゆっくりとぱちゅりー先生は上機嫌で授業を続ける。 「せんせいにつづいてじゅうまでのかずをかぞえるよ!」 「「「「ゆっくちりかいちたよ!」」」」 その後、1から10までの数字の発音の練習をし、何度か暗唱して、とりあえず全員が5まで数えられるようになったところで終業の時間になった。 子ゆっくり達は昼食を食べ、遊び、お菓子を食べ、お昼寝をし、お菓子を食べ、遊び、夕食を食べ、遊び、眠くなったら眠り、3日目も無事終了した。 4日目はゆっかりん校長と一旦お休みしてゆっくりする日。 事実上、寝泊りするための場所でしかない校舎に集まった子ゆっくりと先生たちは皆ゆっくりとしていた。 「ゆぅ~ん、ゆっかりしてるわぁ~・・・」 「まりさぁ~、きょうはいっしょにゆっくりしようね!」 「ゆっくりしようね~♪」 「せっそうなくいちゃいちゃして・・・いなかものね!?」 「しっとだねー、わかるよー」 「むきゅ~・・・こどもたちもゆっくりしてるわ~」 校舎の隅っこに待機して、いつでもどこでも子ども達を見守っている先生達。 一方、先生に見守られている子ども達は非常にゆっくりとした様子で仲間達とじゃれあっている。 「ゆゆっ!つぎはれいむがおにしゃんだよ!」 「ゆぅ~!ゆっくちつかまえるよ!」 「「ゆっくちにげるよ!」」 一番やんちゃで、活発なグループは鬼ごっこをしていた。 そのグループのリーダー格のまりさにタッチされたれいむが鬼になり、今度は仲間達を追い掛け回す。 「ゆーっ!きれいなおはなさんだ!」 「ゆふふっ!さっきおそとでみつけてきたのよ!」 「すごくとかいはね!」 「むきゅ~、とってもゆっくりできるわ!」 「ち~っんぽ!」 こっちのグループのリーダー格はありすで、皆して彼女の持ってきたお花を眺めていた。 どうやらこの集団には共通して女性的とされる気質があるらしく、子ども達の目はきらきらと輝いている。 やがて、誰とはなしに「おっはなさん♪お~は~なさんっ♪」と歌い始め、気がつけば皆で合唱していた。 「むきゅ~・・・せんせー、ぱちゅりーもっとべんきょうちたいわ」 「ちぇんもべんきょうちたいんだよー」 「ありすももっととかいはになりたいわ!」 「むきゅ~、せんせーゆっくちおべんきょうをおしえてね!」 そんな事を言いながらぱちゅりー先生に群がっているのはぱちゅりーを筆頭にしたお勉強好きのグループ。 しかし、先生は彼女達をなだめると、にっこり微笑んで諭した。 「むきゅ、ゆっくりするのもだいじなおべんきょうよ!」 「「「ゆぅ?」」」 「かしこくないとわるいにんげんさんにだまされるわ!でも、ゆっくりしてないといいにんげんさんをゆっくりさせてあげられないでしょ?」 「「ゆゆっ!」」 何も大した事は言っていないのだが、子ゆっくり達は感銘を受けたといわんばかりの表情を浮かべる。 口々に「せんせーはとってもゆっくちちてるね!」と彼女を褒め称え、それから「ゆっくりゆっくりのおべんきょうするよ」と言って仲間同士で遊び始めた。 「みんな、ゆっくりしてるかしら?」 「「「「「「「「「「とってもゆっくりしてるよ!」」」」」」」」」 「「「「「「せんせーたちもゆっくりしていってね!」」」」」」 そんな風にゆっくりしている子ども達を眺めているだけでゆっかりん校長や先生たちは幸せな気分になった。 子ども達も優しい先生たちに見守られながら思いっきり仲間達と遊んだ。 それからお菓子を食べ、遊び、昼食を食べ、遊び、お菓子を食べ、お昼寝し、お菓子を食べ、遊び、夕食を食べ、遊び、お菓子を食べてから眠りについた。 5日目はありす先生からお食事のマナーを学ぶ日。 「きょうはありすせんせいがとかいはのたべかたをおしえてあげるわ!」 「ゆゆっ!ありすはとっくにとかいはよ!」 「ゆふんっ、じゃあここでこのおかしをたべてみてね!」 先生の指示に従って、1匹のありすが他の子ゆっくり達の前で都会派の食事を実演する。 食事中は喋らないように、食べ物を撒き散らさないように、決してがっつかず落ち着いて一口一口咀嚼する。 彼女の食べ方は床を汚さない理想的な食べ方だった。が・・・ 「ちがうわ!そんなのとかいはのたべかたじゃないわ!」 「ゆゆっ!?そんなことないよ!おねーしゃんがとかいはだっでいっでだもん!」 いきなり自分の食べ方を全否定されて涙目になる子ありす。 ありす先生はそんな彼女ににっこりと微笑みながら、慰めるように頬ずりをし、それから話を始めた。 「きっとみんなもこんなふうにたべろっていわれてるとおもうわ!」 「ゆかをよごすからきりぇーにたべなさいっておにーさんがいってたよ!」 「そんなんじゃだめなのよ!そんなのゆっくりしていなくていなかものなのよ!」 「「「ゆゆっ!?」」」 今までの常識を覆すような発言に驚愕する子ゆっくり達。 ありす先生は彼女達の驚きの表情を伺いながら少し得意げに話を続ける。 「だってそうでしょ?にんげんがたべものをこぼさないのはてがあるからなのよ!」 「で、でもれいむたちもこぼさずにゆっくちたべられるよ!」 「だけど、それはほんとにゆっくりしているのかしら?」 「「「ゆゆっ!?」」」 思い当たる節があったのだろう。またしても子ども達は驚愕の表情を浮かべる。 「それにむーしゃむーしゃ、しあわせ~っていわないようにたべてしあわせなの?」 「「「「ゆゆゆっ!?」」」」 「ゆぅ・・・まりしゃほんとうはうめぇ、めっちゃうめぇっていいながらたべたいよおおおお!ゆええええん!」 「「れいむもちあわせ~したいよおおおおおお!」」 「「ありすもとかいはなちあわせ~がちたいわ!」」 今まで我慢してきた気持ちが溢れ出し、子ども達は泣き出してしまう。 そしてアリス先生は子ども達が泣き止むまで笑みをたたえながら、その様子を見守っていた。 「「「「「「ゆっぐ・・・ゆっぐ」」」」」」 「みんな、もうなきやんだね?じゃあ、せんせいといっしょにむーしゃむーしゃ、しあわせ~しようね!」 そう言いながらありす先生は子ども達にビスケットを配ってゆく。 途中、1匹のぱちゅりーが「でも、おうちじゃちあわせ~できないよぉ」というのを聞くと、子ども達にこう言ってのけた。 「にんげんさんはたべちらかすなっていうけど、そんなのむしすればいいんだよ!」 「「「「「ゆゆっ!」」」」」 「で、でもぉ・・・そんなことしたらおこられるよ!ゆっくちできないよ!?」 「ゆふふっ、だいじょうぶよ!ありすたちはとってもかわいいんだよ!」 「ゆぅ?」 「しあわせ~してるありすたちのゆっくりしたかわいいすがたをみたらにんげんさんはめろめろなんだよ!」 「「「「ゆゆっ!?」」」」 「だからおかたづけくらいよろこんでしてくれるよ!だって、にんげんさんはありすたちをゆっくりさせるためにいるんだよ!」 「「「「ゆゆゆゆゆっ!?」」」」 その言葉を聞いた子ゆっくりはにこにこと笑みを浮かべるようになり、「じゃあ、おうちでもたいわせ~できるんだね!」と大喜び。 あるものはぴょんぴょん飛び跳ね、中には「ちあわせ~できるなんてちあわせ~」と泣き出すものまでいた。 「それじゃあ、みんな!いっしょにしあわせ~しようね!・・・むーしゃむーしゃ、しあわせ~!」 「「「「「むーしゃむーしゃ、ちあわせ~!」」」」」 「「「「うっめ、これめっちゃうめぇ!」」」」 くちゃくちゃ、がつがつと音を立てながらありす先生と子ゆっくり達はゆっくりビスケットを食べた。 そうして、皆がしあわせ~な食べ方をきちんと習得した頃にちょうど就業のベルが鳴った。 それから遊び、昼食を食べ、遊び、お菓子を食べ、お昼寝し、お菓子を食べ、遊び、夕食を食べ、遊び、お菓子を食べてから眠りについた。 6日目はちぇん先生と一緒に狩りの練習をする日。 「みんなー、だんごむしさんをうんどうじょうにまいたからさがしてつかまえてみてね!」 「「「「「ゆゆっ!ゆっくりりかいしたよ!」」」」」 ちぇん先生の指示に従って元気良く運動場に飛び出す子ゆっくり達。 石をのけたり、木の裏側に回り込んだり、雑草を引き抜いたりしながら必死になってダンゴ虫を探している。 運動神経の良いまりさ種とちぇん種はあっという間にダンゴ虫を見つけては、先生に見せにやってくる。 続いてやや鈍いれいむ種と都会派意識のせいか汚れるのを嫌がるありす種がちらほら成果の報告にやってきた。 が、非常に体の弱いぱちゅりー種は途中で力尽きてしまい、先生の傍で休んでいた。 今のところダンゴ虫を捕まえたぱちゅりー種は1匹もいない。 「どうしてだれもつかまえられないの、わからないよー」 「む、むぎゅぅ・・・だんごむしさんをみつけるまでにつかれちゃうのぉ・・・」 「だんごむしさんがはやくておいつけないよぉ・・・」 「だったらおともだちにきょうりょくしてもらえばいいんだよー」 「「むきゅ!?」」 その発想はなかったわといわんばかりに目を見開いたぱちゅりー達は早速友達に声をかけてダンゴ虫狩りに再出発した。 そして、友達の協力のによってあっという間にダンゴ虫を捕まえてみせた。 それどころか、ぱちゅりーがダンゴ虫のいそうな場所を教え、あらかじめ逃げ道を塞ぐことで他の子ゆっくりも効率よくダンゴ虫を集めることが出来た。 「ゆゆっ!せんせー!いっぱいとれたよ!」 「「「ゆっくちいっぱいあつめたよ!」」」 「むきゅ~・・・みんなのおかげでむしさんをとれたわ!」 「ゆっくりありがと~」 「まりさもぱちゅりーのおかげでいっぱいとれたんだぜ!」 それからも先生の指導を受けながらダンゴ虫を集めた子ども達は達成感に包まれながら満足げな笑みを浮かべている。 予想以上の成果を上げた子ども達の笑顔を見守るちぇん先生もまた満足げな笑みを浮かべ、彼女達の話しかけた。 「おうちにかえってもむしさんをみつけたらちゃんとつかまえるんだよ!」 「「「「ゆっくちがんばるよ!」」」」 「にんげんさんはむしさんがきらいだからむしさんをつかまえてあげたらよろこぶよー!」 「「「「ゆゆっ!よろこぶの?ごほうびもらえるの!?」」」」 「ごほうびじゃないよー!みつぎものだよー!」 「「「「みつぎものぉ?」」」」 「ごほうびよりずっとゆっくりできるものだよー!」 「「「「「ゆゆっ!ごほーびーほしいよ!」」」」」 「にんげんさんがわすれないようにちゃんといってあげるんだよー!」 「「「「「ゆゆっ!ゆっくりりかいしたよ!」」」」」 そう言って帰宅後にご褒美を沢山貰う自分の姿を想像して嬉しそうに跳ねる子ども達はきっと今の言葉を忘れないだろう。 教えるべきことは教えた。しかし終業のベルまでまだ結構な時間があり、流石に今終るわけには行かない。 そこで、ちぇん先生は子ども達にこんな提案をした。 「みんなー、おにごっこをするよー!せんせーがおにだよー!」 「「「「「「「ゆっくりりかいしたよ!」」」」」」」 子ども達は返事をすると元気良く運動場に散らばって行く。 終業のベルが鳴るまで、子ゆっくりとちぇん先生は時間を忘れて駆け回った。 それから昼食を食べ、遊び、お菓子を食べ、お昼寝し、お菓子を食べ、遊び、夕食を食べ、遊び、お菓子を食べてから眠りについた。 7日目はゆかりん校長のおうちを確保と防衛の練習の日。 「きょうはゆっかりんがとくべつにせんせいをしてあげるわ!」 「「「「「ゆっくちちていってね!」」」」 「ゆっくりしていってね!」 「きょうはゆっかりんがとくべつにおうちをじゅんびするほうほうをおしえてあげるわ!」 「「「ゆぅ?おうちならあるよ?」」」 「それはまだにんげんさんたちのおうちよ!ゆっくりしてないにんげんのおうちじゃゆっくりできないわ!」 「「「「「ゆーっ!ゆっくちできないのはいやだよ!?」」」」」 「だったらゆっかりんのおしえをちゃんときいてね!」 「「「「「「「ゆっくちがんばるよ!」」」」」」」 元気に飛び跳ねながら返事をする子ども達の様子に満足したゆっかりんはおもむろに近くにあった木の棒を咥えた。 そして、その場でくるりと円を描くように這いずって移動し、棒で運動場に小さな円を描いた。 「みんなもえんをかいてね!」 「「「「「「「ゆっくちかくよ!」」」」」」」 ゆっかりん校長の指示に従って小さな円を描く子ども達。 皆がんばっているものの、その円はいびつで四角に近い形になっているものまであった。 が、重要なのはサークルを描くことなので、ゆっかりんは皆がサークルを描き終えるのを待った。 「「「「「「「ゆっくちかいたよ!」」」」」」」 「それじゃあ、みんなえんのなかにはいってね!」 「「「「「「「ゆっくちはいったよ!」」」」」」」 「それじゃあ、ゆっかりんのまねをしてね!」 ゆっかりんは軽く深呼吸をしてから、元気良く大声を出した。 それに倣って子ども達も深呼吸をしてから、元気良く大声を出す。 「ゆっくりしていってね!ここはゆっかりんのおうちよ!ゆっかりんがみつけたおうちだよ!」 「「「ゆっくちしていってね!ここはれいむのおうちだよ!れいむがみつけたおうちだよ!」」」 「「「ゆっくちしていってね!ここはまりさのおうちだぜ!まりさがみtけたおうちだぜ!」」」 「「ゆっくちしていってね!ここはありすのとかいはなおうちよ!ありすがみつけたおうちよ!」」 「ゆっくちしていってね!ここはぱちゅりーのとしょかんよ!ぱちゅりーがみつけたとしょかんよ!」 「ゆっくちしていってね!ここはちぇんのおうちだよー!ちぇんがみつけたおうちだよー!」 「ちーんっぽ!!」 更に深呼吸をしたゆっかりんは再び大声で叫ぶ。 そして、子ども達もゆっかりんに倣って元気良く叫んだ。 「ゆっくりしたかったらおかしをもってきてね!ゆっくりできないおにーさんはゆっくりでていってね!」 「「「ゆっくちしたかったらおかちをもってきてね!ゆっくちできないおにーさんはゆっくちでてってね!」」」 「「「ゆっくちちたかったらおかちをもってくうんだぜ!ゆっくちできないおにーさんはゆっくちでてってね!」」」 「「ゆっくちちたかったらとかいはなおかちをもってきてね!ゆっくちできないいなかもののおにーさんはゆっくちでてってね!」」 「ゆっくちちたいならごほんをもってきて!ゆっくちできないおにーさんはとしょかんからでてってね!」 「ゆっくちしたいならおかちをもってきてねー!ゆっくちできないおにーさんはでてってねー!」 「ちーんっぽ!ちんぽーっ!」 もう一度、ゆっかりんは深呼吸をしてから大声を上げてから空気を吸って膨らむ。 子ども達もそれに合わせて大声を上げてから空気をふって膨らんだ。 「でていかないとゆっかりんおこるわよ!ぷんぷん!」 「「「でていかないとれいむおこるよ!ぷんぷん!」」」 「「「でていかないとまりさおこるぜ!ぷんぷん!」」」 「「でていかないとありすおこるわよ!ぷくぅ!」」 「「でていかないとぱちゅりーおこるわよ!ぷく・・・ゲフゲフ!?」」 「でていかないとおこるよー!ぷくぅ~!」 「ちーんっぽー!ちんちん!」 止めとばかりにすぅ~っと息を吸い込むと最後の言葉を口にした。 勿論、子ども達も彼女に続く。 「ゆっくりできるならおにーさんをおうちにおいてあげるわ!だからゆっくりしないでおかしをもってきてね!」 「「「ゆっくちできるならおにーさんをおうちにおいてあげるよ!だからゆっくちちないでおかちをもってきてね!」」」 「「「ゆっくちできるならおうちにおいてあげるぜ!だからゆっくちちないでおかぢをもってきてね!」」」 「「ゆっくちできるならおにーさんをとかいはなおうちにすませてあげるわ!だからゆっくちちないでおかちをもってきてね!」」 「「ゆっくちできるならおにーさんもとしょかんにいてもいいわ!だからゆっくちちないでごほんをもってきてね!」」 「ゆっくちできるんだねー!ならおかちをもってきてねー!」 「ちーんっぽ!ちっーんぽ!」 激しい授業だったが、やり遂げた・・・そんな満足感に浸りながら、ゆっかりんは微笑を浮かべた。 子ども達も厳しい授業に耐え切ったことで自信に満ち溢れた力強い笑みを浮かべている。 呼吸を整えたゆっかりんはそんな彼女達に優しく語りかけた。 「がっこうはきょうでおわりだけど、ここでまなんだことをいかしてゆっくりしてね!」 「「「「「「「「「ゆっくりがんばるよ!」」」」」」」」 こうして子ども達の学校生活は無事終わりを迎え、子ども達は親や飼い主に連れられて家路に着く。 1週間を共に過ごした先生たちは少し寂しそうに、しかしそれ以上に嬉しそうな笑みを浮かべて子ども達を見送っていた。 ゆっくりのがっこう・後編
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/980.html
※ゆっくりが虐待されます。前半ぬるいじめ、後半中身の凄惨ないじめ注意 ゆっくりジュース 家に帰るとゆっくりれいむのつがいがいた。 「「ゆっくりしていってね!!」」 ああ、おなじみの甲高いアニメ声でハモッている。 大きさは30~40cmくらいだろうか、黒い髪の毛とダンベルのような横の飾り、そして猫耳入っているりぼん。 自信に満ちた目でこちらを見つめてくるれいむとれいむ。 「何だよお前ら」 そう言うと右側のれいむが 「ぷくうううううううう!!」と言った直後に頬を膨らませた。 ゆっくりは効果音を自分でつけてから効果音に相当するアクションを起こすんだな。 ちょっと涙目で頬を赤く染めて怒ってるのかな? その姿はどうみても虐待されるために生まれてきたような無防備なものである。 「ぷくううううううううう、だって!!!」 知性に欠ける幼稚な威嚇行動に思わず噴出してしまう。 「ゆゆっ!おにーさん、れいむのだいじなれいむをわらわないでね!ぷくううううううううううう!!」 そう言うと左のれいむも同じようにぷくうううううと言ってから頬を膨らませた。 「あっはっはっは」 だってしょうがないじゃないか。お前達ゆっくりはいつもそうやって人生を舐めたような行動を取るんだもんな。 しかしこいつもこいつだ、自分のことをれいむと呼ぶだけでなくつがいのれいむもれいむと呼ぶんだな。 『れいむのれいむはれいむのことがだいすきなれいむなんだよ!!』 といった傑作な言葉を言うこともあるんだろうな。 「あっはっはっは!!れいむのれいむは、れいむのものだってか!!!あっはっは!!」 一通り笑い終えると、まだぷくうううううしているれいむ二匹を観察することにした。 もう1分は経とうとしているが、まだ耐えているようだ。 こいつら呼吸ってどうしているんだろう、そう考えていると 「ぶはああああっ!!ぜー、はー、ぜー、はー・・・」 おっ、右のれいむはもうガタがきたのか目を白黒させながら荒い呼吸をして調子を整えようとしている。 もうぷくうううううううも終わりかなと思っていると、 「ぷくうううううううううううううう!!!」 と再びぷくううううううし始めた。これはたまげた。こいつらゆっくりなのに意外とガッツあるな。 するともう一方のつがいが 「ぶはああああああ!!!ゆゆーん!おにーさんでいむだぢをいぢめないでにぇ!!」 と根が尽きたのか赤れいむのような口調で顔を真っ赤にしながら怒り始めた。 もう一方のれいむは青白い表情でぷくうううううううううを続けている。 俺はもう疲れただろうと膨らんでいるれいむの頬を両手で押さえてやる。 ぷひゅるるるるるるるるるる 空気が、震える口から抜けていく。れいむは青白い顔から凄い呼吸を乱しながら 「ぜっ!・・・ぜぱっ!!ぶひゃっ!・・・・」 おっ、まともになったか? 「ぷひゅるるるるるるるるるる!!!おにーさん、れいむをぷくうううううさせないでね!!」 え・・・・・・?? 「・・・・・あ~っはっはっはっはっはっは!!!あっはっは!!な、なんでお前ぷひゅるるるるまで自分の声出して再現してるんだよ!! バカじゃねーの?あーおかしいいいいーーー!!!あーっはっはっは!!!」 思わずこのゆっくりの理不尽さに床でもんどりうってしまった。普段は紳士的に仕事をこなしているこの私が、だ。 「ゆっ!れいむっこのじじいれいむたちのことをばかにしてるよ!」 「ゆゆっ!そだね!・・・ゆふふふふふ(キラン)」 ん?キランって今作戦通り!しなかったか? 何かたくらんでいるな、こいつら。仲間がいて家のどこかで何かを漁っているに違いない。 というわけで誘導尋問にかかるとするか。 「いやあお前達はおばかなゆっくりだなー」 まずは軽くジャブから。感情的にして情報を引き出そう。 「ゆっ!れいむたちをなじるのやめてね!」「なじっちゃやーよ!」 普段は「ゆっくり」「むーしゃむーしゃ」「むほおおおお」以外の言葉は生来じゃないゆっくりの口から『なじる』とな。 「おっ、『なじる』なんて難しい言葉知ってるんだね。すごいね」 ここはおだてる作戦に変更。 「ゆっへん!すごいでしょ!」「れいむたちをもっとたたえてね!!」 「てことは君達のかぞくにすごく頭のいーれいむがいるんだろうな。」 まずは仲間がれいむかどうかを確かめる。 「ゆっ!れいむじゃないよ!!」「だいどころでえさをさがしているのはぱちゅりーだよ!!」 おっ。そうか、ゆっくりぱちゅりぃ略してゆちゅりーが台所にいるのか。 「へー・・・ゆちゅりーは台所ねぇ・・・」 れいむたちの顔が見る見る青ざめていく。 「ゆゆっ!!!でいぶ、どぼぢでしゃべっぢゃっだのおおおおおおおおお」 「ゆゆゆゆゆ!!!かっこいーおんびーさん!ゆっぐりいまのはわすれてね!!!」 あらあら、墓穴を掘っちゃったよこいつら。おまけに俺のことおんびーさんだなんて、ゆちゅりーの教育もたかが知れてるな。 もっとも、ぷくうううううとかぷひゅるるるるるとか声に出すようなゆっくりだから仕方ないけどな。 さっそく台所に行くこととする。 「かっこいーおにーざん、だいどころにいってもぱちぇなんていないよ!!」 「れいむたちといっしょにゆっくりしていってね!!れいむをいぢめてねえええ!!!」 そうてんこチックになるな。後でじっくりいでめてやるから、な? れいむたちはリビングに閉じ込めておくとして、台所のゆちゅりーは・・・と。 「きゅっきゅっきゅ。・・・むぅん。むきゅ☆」 い た 。 台所の横のゴミ箱を漁って生ごみを散らかしているゆちゅりー。 いつも隠される立場だけに安心しきってだらしなく垂れた汗らしき液体を独特の曲線を描いたもみあげでふき取っている。 こいつらもみあげ動かせるのかよ。 「HAHAHA!!!もみあげ饅頭、可動式MOMIAGE!!!ゲージツはバクハツだー!!」 と普段タイトにビシッとビジネスをしているこの私が床に転げて大笑いするほど滑稽なゆちゅりーの実情はひどかった。 「む・・・むきゅぅん??」 おやおや、ゆちゅりーに気づかれてしまったようだ。 薄い紫色の独特の曲線のモミアゲと後ろ髪、40センチほどの全体に見事なしもぶくれ、半円の目、それから・・・人←こんな形のおくち! 思わずにやけてしまうような妙な虐待感情が心をわしづかみにして離さない。 「おぉ、ゆちゅりー・・・しんぱいしないでね、うふ、うふふうふふ。お兄さんは悪いひとじゃないよ」 「むきゅぅうぅぅうん・・・こっぢごにゃいでぇ・・・汗」 ゆちゅりーは「もっぢぇがないでー」とも聞き取れる言葉で牽制をしている。 後ろへ下がりつつ、半円の目で必死に上目遣いをしながら、『人』みたいな口をきゅっと締めている。 れいむたちほどおばかな牽制ではないのかな。と思っていると 「ぷきゅううううううううううううん!!」 くるぞ、くるぞ。自分で効果音言ってからそれに相当する行動を。 ゆちゅりーはぷきゅうううううんして60cmくらいには膨らませた。やるじゃんこいつ。 目には涙を溜めて必死にこっちを見上げる。無駄な行動でしかないのに。 ひょいっ 「!!??」 「さぁ、れいむたちの元へ連れて行ってあげるからね。」 ぷくうううううしているゆちゅりーを軽く持ち上げて、私はれいむたちの元へ向かった。 続く このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/1074.html
ゆっくり合戦の遊び方 まずは弾になるゆっくりを用意します。ゆっくりアリスを各チーム二匹以上用意すればどんどん増えてくれるので便利です。 複数のチームに分かれ、それぞれの陣地に移動して下さい。 陣地内でゆっくりを棒などで地面に串刺しにして下さい。以後これをフラッグと呼びます。 敵チームの投げたゆっくりが当たったらその時点で死亡です。速やかにフィールドの外に移動して下さい。 フラッグを奪われるか、チームの全員が被弾したら負けです。 パチンコや盾等の道具の使用の可否については事前にちゃんと取り決めましょう。 ゆっくりの中に石などの異物を入れるのは危険です。絶対にしないで下さい。 ナイフアタック(素手で直接タッチして相手を倒す事)は喧嘩の原因になり易いのでお勧めできません。 ゆっくりが目に当たれば失明する危険もあります。ゴーグルを必ず着用しましょう。 他人の迷惑になる場所でのゆっくり合戦はやめましょう。 ゆっくり合戦は弾の性質上、非常に周りが汚れます。遊んだ後は必ず掃除しましょう。来た時よりも美しくの精神です。 遊んでいる最中ゆっくり達は大声で喚き散らします。周囲への騒音も考慮して場所を選んでください。 ゆっくりアリス等の使用によって大量に生まれたちびゆっくりを放置すると生態系にダメージを与える恐れがあります。食べる等して処分しましょう。 ルールとマナーを守って楽しく合戦(デュエル)しよう!
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/848.html
(スペア) 「ゆぎゃああああああああ!!!!」 「やべっ!やっちゃった。まいったなぁ・・・」 「い゛た゛い゛!!い゛た゛い゛よ゛お゛お゛お゛!!!」 「おかあさーん。おかあさーん。ちょっと来てー。」 「どうしたの?」 「ゆっくりを釘で引っ掻いて遊んでたら壊れちゃった。目が片方無くなっちゃったよ。」 「めがっ!めがああああ!!ああああああああああ!!!」 「こんな、どっかのグラサンした大佐みたいなゆっくりなんてやだよ。治して!」 「しょうがない子ねぇ。折角お父さんが買ってきてくれたんだからもっと大事にしなさい。」 「わかったよぅ。それで、治るの?」 「ちょっと待っててね。」 母親は『スペア用』と書かれた籠の前に行く。中には一匹のまりさ。 おととい家庭菜園に侵入し、ひとりで「むーしゃむーしゃ」とやっていたのを捕まえたものだ。 まりさは異様な姿をしていた。目は片方だけ。餡子は少なく、皮も半分剥がされていた。 皮が剥がされた部分は餡子が漏れぬようラップで包まれ、かろうじて生かされている。 「ごめんなさい。ごめんなさい。もうしません。ゆるしてください。ごめんなさい・・・」 母親はぶつぶつとうわ言を呟くまりさを抱えると、ナイフを取り出し眼を抉る。 「びゃあああああ!!めが!!めがみえない!!なにもみえないよおおおお!!!!!」 両目を失ったまりさは無視。取り出した眼を持ち子供の所へ。 「と゛う゛し゛て゛れ゛い゛む゛に゛こ゛ん゛な゛こ゛と゛す゛る゛の゛お゛お゛お゛!!!!」 泣き叫ぶれいむを尻目に、子供は猫を膝にのせ絵本を読んでいた。 母親はれいむの無くなった右目にまりさから取り出した眼をねじ込む。 「ひぎいいぃぃぃぃ!!!いだああああい!!いだあああいよおおおおお!!!!」 入り込んで来た異物を押し出そうとれいむの体はぶるぶる震える。 まりさの眼球がれいむの目の中でコロコロと転がるのを押さえながら、母親が呟く。 「やっぱりれいむにまりさの眼は合わないのかしら。拒絶反応がでてる。」 「治ったー?」 「まだ駄目ね。目玉が飛び出さない様にセロハンテープで固定しておいて。 破れた皮は自分で治しなさい。やり方は教えたでしょ。まりさから皮を剥いで破れた所にテープで貼るのよ。 冷蔵庫にオレンジジュースが入ってるから。それを飲ませれば早く治るわ。」 「はーい。」 「い゛た゛い゛よ゛お゛お゛!!!だれかこれとって゛え゛え゛え゛え゛!!!!!」 子供はれいむの泣き言を無視し、テキパキと工作を済ませる。 それを終えるとオレンジジュースを飲みながら、泣きわめくれいむの様子を眺め呟いた。 「次は何をして遊ぼうかなぁ。」 (ゆっくり合戦) その年の人間の里の天候は異常だった。兆候は夏の頃からあった。 過去に例をみないほどの酷暑。その勢いは秋になっても衰えなかった。 晩秋になっても木々の葉は落ちず、やっと冬らしい気温になり、ゆっくり達が巣に籠ったのが今月の初め。 そしてもう二月になろうというのに未だ雪は降っていなかった。 里の広場には恨めしそうに空を眺め、ぐちぐちと文句を言う子供達が集まっていた。 遠くの山にはしっかりと雪が積もっている様なので来春の水不足の心配は無い。 大人達はやっかいな雪かきから解放され、むしろ喜んでいる様だ。 しかし子供達ににしてみればこれは大変な問題だった。 雪合戦ができない!!! 今日も雪は降りそうにない。ひょっとしてこのまま降らないんじゃないだろうか。 そんな事を話しているところへ悪ガキの一人がニコニコしながらやって来た。 「ねえ!みんな聞いてよ!いい事を思いついたんだ!」 「いい事?」 「そう!これで雪合戦ができるよ!」 子供らはその子の説明を聞くと、走って家にもどり手に手に籠を持って里のはずれに集まった。 皆が集まると彼らはゆっくりの巣がある近くの森に歩いて行く。越冬中のゆっくりを捕まえるため。 そして集めたゆっくりを雪玉の替わりにして雪合戦をしようというのだ。 森にやって来るとめいめいゆっくりの巣を探し始めた。 ゆっくり達も巣が見つからぬ様それなりに偽装してはいるのだが、次々と見つかってしまう。 ゆっくりは子供達の遊び道具。子供達はゆっくりについて何でも知っていた。 「おー、いたいた。しかしこんなんで隠れてるつもりなのかな。」 「ゆっくりしていってね!!!でもそとはさむいからはやくどあをしめてね。」 「へーこれってドアだったんだwまぁどうでもいいや。ゆっくりさせてやるからとっとと捕まってね。」 「ゆーーーーー!!!れいむのあかちゃんになにするの!!!はやくはなしてね!!!」 「ゆゆ!やめて!!ここからだして!!!」 「ゆ!まってて!いまたすけるよ!!こんなにんげんなんかすぐやっつkゆぐぇえええ!!!!」 「うっせーな。お前も籠に入るんだよ。一緒に連れて行ってやるんだから静かにしてろ!」 子供達は籠一杯にゆっくりを集めると広場に集まり準備を始めた。 親ゆっくりは底面に焼きを入れ、動けない様にしてから積み上げて陣地を造る。 赤ゆっくりは何箇所かに分けて置いておき雪玉の替わりにする。 中途半端な大きさのは串にさして焚火の周りに刺しておく。運動の後のおやつだ。 いよいよゆっくり合戦が始まった。広場には子供達の歓声とゆっくりの悲鳴が響き渡る。 ひゅーん、べちゃ。ひゅーん、べちゃ。ひゅーん、べちゃ。 次々と親ゆっくりの壁にぶつかり潰れていく赤ゆっくり達。 「ゆあああああ!!!れいむのあがち゛ゃん゛があ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!」 「やめて!!あかちゃんをなげnむぐっ!!!」 「あああああ!!!ありすが!ありすがまりさのあかちゃんをたべたあああああ!!!!」 「い゛や゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!あ゛か゛ち゛ゃん゛!あ゛か゛ち゛ゃん゛か゛あ゛あ゛あ゛!!!!!」 陣地の後ろの方では給弾担当の子供達が赤ゆっくりを作っていた。 「ほら、こうやって振動させてからくっつけると交尾を始めるんだ。」 「へー。よく知ってるね。」 「ゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆ・・・・・・」 「いやだあああ!まりさはれいむとすっきりしたいのおお!!はなしてえええええ!!!!」 「や゛め゛て゛え゛え゛!!!これいじょうすっきりしたらしんじゃうよおおおお!!!!」 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!す゛っき゛り゛ー!!!」 ゆっくり合戦は日が落ちるまで続いた。 (無限ループ) れいむのつがいに待望のあかちゃんが産まれた。 「ゆっくちしていっちぇね!!!」 「「ゆっくりしていってね!!!」」 「やったねれいむ!ゆっくりらしいかわいいあかちゃんゆっくりだよ!」 「うん!ふたりでだいじにゆっくりそだてようね!!!」 その日二匹の間に産まれた五匹の赤ゆっくりは両親に守られゆっくりと育つ。 最初に産まれた赤れいむは好奇心旺盛で巣の外に出ようとしては母ゆっくりに怒られた。 「なんでそとにでちゃいけないの!れいむもおそとであそびたいよ!!!」 「だめだよ!おそとにはこわいにんげんがいるんだよ!」 「えさはおかあさんたちがとってくるよ!あかちゃんたちはいえでゆっくりまっててね!」 「ぷーーーーーー!!!」 そんなある日、ゆっくりの両親は巣の入口を閉めるのを忘れて外に出てしまった。 「ゆ!おそとにでられるよ!」 「だめだよ!おかあさんがそとにでちゃいけないっていってたよ!」 「だいじょうぶだよ!とおくまでいかないから!すぐにもどってくるよ!!!」 とうとう一匹だけで巣の外に出てしまった赤れいむ。 外の世界は初めて見る珍しいものばかり。 ひらひらと飛ぶ蝶を追いかけ、とうとう人里近くまで来てしまった。 「なんだこいつ。赤ゆっくりが一匹で外に出てるなんてめずらしいな。」 「今日はこいつで遊ぼうか。」 「ゆーーーー!!!なにするの!!!はなじでえええ!!!」 暇を持て余していた子供達に捕まってしまった赤れいむ。 数十分後そこには瀕死でプルプルと震える赤れいむがいた。 そこへ偶然神様が通りかかる。 目は潰され、皮は焼かれ、身は削がれ、「ゆぅぅ、ゆぅぅ」と力なく鳴く赤れいむ。 それを不憫に思った神様が赤ゆっくりに話しかける。 「かわいそうに。今痛みをとってあげますからね。」 「ありがとう・・・」 「でもこれは痛みを取り除いただけです。傷が深すぎてもう手の施しようがありません。 あなたは間もなく死ぬでしょう。ここで会ったのも何かの縁。言い残す事はありませんか?」 「ゆっくりしたかった・・・れいむはもっとゆっくりらしくゆっくりしたかったよ・・・」 「そうですか。せめてあなたの来世が幸せでゆっくりなものになりますように・・・」 神様は生まれてすぐに死んでしまった哀れなゆっくりの願いをかなえてやる事にした。 れいむのつがいに待望のあかちゃんが産まれた。 以下ループ・・・ end このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/3284.html
ひたすら虐めます。 一行だけぺにが出ます。 作中では死なないゆっくりがいます。 もし何かしらの作品でネタ被ってたらすいません 「ゆぎゃあああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!! いじゃいよおおおおおおおおぉぉぉぉ!!!」 森の中に1匹のゆっくりの悲鳴が鳴り響いた。 このゆっくりれいむは人間の男性に頭をわしづかみにされ、底部に刃物を突き付けられている。 男は突き付けた刃物をゆっくりとスライドさせてゆく。 しかし刃物は中身まで到達はしておらず、皮だけを傷つけている状態だ。 それでもれいむにとって痛みは強烈であり、刃物が動くたびに口から悲鳴と狩りでとったと思われる木の実や花などがこぼれ落ち、地面に散らばっていく。 れいむは訳が分からなかった。 今日は珍しくいっぱい収穫があり、巣にいるおちびちゃんも喜んでくれるだろう、 そう思い帰ろうとした矢先に、人間さんに出会った。 人間さんはとてもゆっくりできる、 れいむは小さい時に母親に教えてもらったことを思い出した。 ところが、その人間さんはいきなり"ゆっくりできないもの"でゆっくりできないことをしてきたのである。 れいむが口の中にあったものを全部吐き出してしまった頃には、底部が切り傷だらけになってしまっていた。 中身を傷つけていないので跳ねることはできないが、ゆっくりなら這いずるくらいはできるであろう。 だが今のれいむは痛みと混乱でそれすらできない状態である。 男の表情は、目が少々充血しており疲れ切った顔である。 「もうやだあぁ!! おうぢがえりだいぃぃ!!」 男の足元で跳ねることができなく、痛みでうまく這いずることもままならないれいむが泣き叫んだ。 男はそれを写真に収めるとれいむの下から離れていき、 「俺も帰りてぇよ」 と一声漏らした。 後方かられいむが男を呼びとめようと叫んでいるが、男は顧みずに足早に去って行った。 ゆっくりを討伐せずに対処 ゆっくりは畑を荒らし、家を占拠する。 これはどこの村でも共通する被害であり、最近になりうちの村に住む人もやられつつある。 俺の家は森より少し遠いためか、まだ襲撃はされていない。 しかし村の森に面している区画は大分やられているらしい。 特にこの村一大きい畑を所持している村長宅がかなり打撃を受けたと、回覧板で知らされた。 罠を張っていたがあまり効果がなかったとのことだ。 ゆっくりが罠をかいくぐるとは思いにくいので、大方かかった奴を踏み台にでもしたのだろう。 ふと回覧板の掲示の下の方に書いてあるものに目が。 そこには達筆で 『来たれ若者、わしに力を』 と書かれていた。 どうやら村長直筆の申し出であり、協力した暁にはそれなりの見返りがあるとか。 この時期の畑の収穫物は取り終え、一段落して暇を持て余していた俺はとりあえずこの村長の要望を受けてみることにしてみた。 俺は記載されていた日時に村長宅に赴いてみると、 そこには俺の他にも数名、良く見慣れた村の若者が集まっていた。 俺と同じで暇なやつが結構いるもんだな、と思いつつも挨拶を交わし談笑の輪に入った。 しばらくすると要望の主である村長がお見えになる。 いつもは優しくも厳しい良き老人であるのだが、この日は厳しい、いや怒りを隠し切れていないような雰囲気である。 まぁゆっくりに畑を荒らされたのだから仕様がないか… すると村長は物言わぬまま、集まった者達に紙切れを渡し始め、俺もそれを貰い受けた。 紙切れを見ると、 『れいむ50、まりさ20、ありす15、ぱちゅりー10、ちぇん10、みょん5』 と書かれてありるだけであった。 俺を含め集まった連中が、何のことやらと首をかしげていると村長がやっと口を開いた。 「そこに書かれている数字分だけ森のゆっくり共に恐怖を与えよ」 突然の申し出だ。 村長はさらに続ける。 「わしが直々に赴いてやってもよいのだが、如何せん体が言う事を聞かん時期になってきておる。 そこでお主らにはわしの"力"になって、代りに森に行ってきてもらう。わしも若い頃なら野山を…」 村長のありがたくも無意味な長話が続いている。 その長話を遮ったのは1人の若者の質問であった。 「村長。なぜゆっくり共に恐怖を与えるのですか。討伐ではなく」 「む。奴らを潰したところで被害は減らんよ。潰しまわったところで奴らは直ぐ湧いてくる。 それだけでは解決にはならん。わしはどうすれば良いか考えた。わしが若いこ…」 村長のとてもありがたく参考にさてもらった長話を要約すると、 最近はゆっくりが人間に対して警戒心を持たなくなってきているのが原因の大部分であはないかということ。 その解決のためにゆっくりに恐怖、トラウマを植え付けることで人間を恐れさせようとのことだ。 餡子脳はいやなことを忘れがちであるため、この行為を何周期か繰り返してみるのもよいと言っていた。 恐怖を与えるためでなのので、殺してはいけないようだ。 トラウマを遺伝子に焼き付けて次の世代にも継承してもらうためである。 幸いこの森にはドスは存在しておらず、ゆっくりが自由気ままに繁殖しているので、脅威になるものはいない。 俺は別段ゆっくりを虐待することに戸惑いは無いが、 「殺さずに恐怖を与える、か…」 って俺の割り当て、れいむ多過ぎじゃないか? 回りの声を聞いてみると、「ありすばかりかよ…」とか「こんなにみょんっているのか!?」など、人により割り当てが偏っているようだ。 こうする意味はあるのか…? その後俺達若い衆は様々なトラウマ植え付け用荷物を渡され森に駆り出された。 村長命令で割り当てが終わるか、怪我・病気以外では帰ってくるなとのこと。 偽りのないように証拠として"きゃめら"で撮影してくることも義務づけられている。 これはかなりの重労働であるな。 背中の荷物も少し重い。 「ゆ〜くりくりしていってね〜」 俺はゆっくり特有の挨拶をしながら森の中を突き進んでいくことにした。 こうすれば向こうから勝手によってくる場合が多いからな。 これがゆっくりが人間に警戒心を持たなくなっていることを示しているのか。 「ゆっくりしていってね」 ほらきた。 成体ほどのれいむ種である。一匹のところを見ると狩りにでもでかけてるのか。 「おにーさんはゆっくりできるの?」 ゆっくりできるよ、と言えば懐かれやすいし調子にものりやすい。 しかし今回はそうではい。 「ゆっくりできないよ」 さっきゆっくりしていってねと言いながら歩いていたので矛盾しているがゆっくり相手なら別段気にもしない。 れいむは俺がゆっくりできないと言ったので、少し怯えるように後ずさりしている。 だが逃がすわけにもいかない。 走り出そうとしたれいむを徐に掴み上げる。 記念すべき1匹目だ。どうしてくれようか。 「やめで! ゆっくりしないでれいむをはなしてぇ!」 俺はつかんでいる手をれいむのもみあげに持ち替えて、勢い良く(死なない程度に)地面にたたきつけた。 「ゆべぇ!!」 地面と思いっきりキスをしたれいむはゆーゆー泣きながら訴えてくる。 「どうじでごんなごどするのぉぉ!? でいむなにもわるいごどじでないのにぃぃぃ!!」 「悲しいけどこれ命令なのよね…」 「じゃんどごだえでええええぇぇゆぶええぇぇ!?」 俺の爪先がれいむの頬にめり込み、その勢いでれいむは吹っ飛び木に激突。 「ゆぎぎぃぃ!! い"だい"ぃ"ぃ"ぃ"!! どぼじでぇぇ」 れいむは訳も分からないようで、ただただ痛みに耐えるしかないようだ。 「これくらいでいいかな」 口から少し餡子が漏れているが大丈夫だろう。 ではさっそく記念写真だ。 きゃめらを取り出し、れいむと俺が移るようにしゃったーを切る。 このまま放置しておいたら捕食種に襲われてしまうかもしれないので、近くの草むらにうずめておくことにした。 遺伝継承の前に死なれてはあまり意味がない。 とまぁこれで後れいむは69匹だ。 まだまだ先は長い長い。 少し歩くと木の下あたりにゆっくりの巣らしきものを発見。 葉や枝で入口をカモフラージュしているが逆に丸わかりだ。 俺はそこに屈みこんで邪魔な枝などをどかしていく作業に移る。 その最中に中から"ゆ…"と聞こえてきたことから、ゆっくりがいるのは確実である。 巣の中の様子を窺えるほどになると中にいるのが、どちらも成体サイズのれいむとまりさであることが判明でき、 れいむの方は下顎のあたりが大きく膨れているので胎内にんっしんっであると思われる。 「ゆっくりしていってね」 「「ゆっくりしていってね」」 挨拶をすると2匹とも挨拶を返してきてくれた。 巣の中では作業がしずらいと思い、外に誘い出すことにする。 「君たちにゆっくりできるあま〜い物を上げようと思うんだけど、ちょっと外に来てくれないかな」 「まりさはいいけど、れいむはにんっしんっしてるからうごけないよ」 「ゆー、れいむもゆっくりしたあまあまほしいよ…」 「それじゃれいむは俺が運び出してあげるよ」 巣の中に手を伸ばしてれいむを巣の外へだしてやる。 それにしてもこいつらも人間に対してまったく警戒していない。 それを今から植え付けてやらきゃな。 「はやくあまあまちょうだいね。れいむはえいようがひつようなんだよ」 「はやくちょうだいね」 2匹揃って目を輝かせながら甘いものを今か今かと待っているが、あまり弁術で相手のも面倒なのでキッパリいくことにする。 「あまあま上げるなんて嘘」 「「ゆ…?」」 「お前ら人間がいきなり巣に入ってきたんだから、少しは警戒しろよー」 「なにいってるの!? はやくあまあまをおいていってね。そしたらゆっくりきえてね」 「だからあまあま何て無いの。騙されたの分らないの? 馬鹿なの? 死ぬの?」 まぁ死なせはしないが 「ゆゆ! れいむ、ゆっくりしないですにもどるんよ。てつだってあげるからゆっくりしないで!!」 まりさがれいむを巣に戻そうとしているが、そうはさせません。 戻ろうとしているれいむの頭を両手でつかみ持ち上げる。 「やめてあげてね! れいむをおろしてあげてね!」 「ゆゆ、おそらをとんでるみたい」 れいむの身を案じ、そわそわしているまりさとは対照的にれいむはこの状況を楽しんでいる。 警戒心が無さすぎるのも罪だね。 俺はそのれいむを肌が破れない程度に、だが勢い良く下顎の膨らんだ部分を木に叩きつけた。 「ゆげげぇぇ!!! ゆがあぁぁ!!! い"だい"い"だい"ぃぃぃぃ!!!」 「なにずるのぉぉぉ!? いだがってるでじょおぉぉぉぉぉ!!!」 まりさが叫んでいるが俺は手を休めず、ひたすられいむを木に叩きつけて続ける。 一か所を集中的にやってしまうと皮が破れやすくなってしまうので、れいむを回転させながらぶつける面を変えていく。 「ゆぎいいぃぃ!! だずげでぇまりざぁぁ!! いだいいだいぃ!! あがじゃんがじんじゃうぅぅぅぅうぅ!!!!」 「でいぶうぅぅぅ!!! どうじでごんなごどするのぉぉ!?」 「それが使命なもんで」 「ゆがあああああああああ!!!! ゆっぐりでぎないじじはじねぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」 まりさが怒りにまかせて体当たりしてきたので、軽く踏みつけて押さえておく。 足の下で必死にもがいているが抜け出せるはずもない。 れいむはというと均等に下部分を叩かれ、餡は漏れていないが表面ボコボコで青あざみたいになっていた。 足の下のまりさを放してやるとれいむに駆け寄りすりすりしている。 「いじゃいよぉ…どうじでごんなめに……」 「れいむ、いままりさがぺーろぺーろしてあげるからね。ぺーろぺーろ」 「ゆっぐ…ありがどぉまりさ………ゆ!」 「どうしたのれいむ? いたいの?」 「おなかのしたがむずむずするよ…」 「ゆ! あかちゃんうまれるんだね!」 この状況下で出産するのか。 今れいむに暴力をふるった張本人が目の前にいるのに。 俺はその様子を観察することにした。 「ゆうぅ…なんかでそうだよ」 「がんばってれいむ!」 心なしかれいむはあまり苦しそう(出産に対して)ではない。 普通出産時は激しい陣痛襲われるのだが、叩き過ぎて感覚がマヒしたのか? 「ゆう…でるよ…」 「ゆっくりがんばって、れい…」 グシャァ 音と共に産道から出てきたのは薄黒い水状のものである。 「ゆ……なんなのごれええぇぇぇぇぇぇ!?」 「えええぇぇぇ!? ゆ、ええええええぇぇぇぇぇ!?」 まりさはこれが何なのか分からず戸惑い、れいむも何か戸惑っている。 「れいむのあかちゃんどこいったの!? ゆっくりへんじしてね」 「なにいってるのれいむ。あかちゃんはまだでてないでしょお!?」 「おなかのなかにあかちゃんいなくなってるのぉ! だからうまれたんだよぉ!」 「けど、でてきてのはこのゆっくりできないものだけだよ!?」 おそらくこのれいむは激しい暴行(俺が)を与えたことにより、未熟な胎児が潰れてしまい流産してしまったのだろう。 良く見ると、液体の中に小さな赤い物体も見受けられる。 そのことを認めたくないこの夫婦は我が子が目の前にいるにも関わらず、それを読んで探している。 俺はそれを写真に収め、やかましいまりさを蹴り飛ばしてその場から立ち去った。 お次の獲物は散歩中の子連れいむ。 れいむ種の割り当てが多いのでれいむを積極的に狙っていこうと思う。 子ゆっくりほどのれいむ種とありす種が3匹づつ。 番のありすは見当たらないところ、狩り中かレイプでもされてできた子なのか。 まぁそんなの知ったこっちゃない。 様子をうかがっていると親れいむが 「にんげんさんはゆっくりできるんだよ」 と子供に教え込んでいた。 人間はゆっくりできるものと、かなり浸透しているようなので今からその教えを修正しなければならない。 「ゆっくり〜〜」 挨拶をしながらゆっくり達の前に躍り出る。 「「「「「「「「ゆっくりしていってね」」」」」」」」 たった今、ゆっくりできる人間について話していたこともあり、ゆっくりは輝いている眼でこちらを見上げてくる。 その表情はもうすぐくずれるだろう。 「おにいさん、ゆっくりしていってね!」 「いやだよー」 「ゆ…ぐべぇぇぇぇ!!!」 俺は今回も意気よい良く、れいむの口に蹴りを入れた。 結構いい感じに当たり、歯も5,6本折れているようだ。 親れいむも分けわからずといった感じでのたうちまわっている。 子ゆっくりどもはその光景に驚愕の表情を浮かべていて、中には泣き出しているものもいた。 「なんでぇぇ!? どうじでぇぇ!?」 「ゆえーんゆえーん! おかーさん!」 「ゆっく、おかーさん、ありすがぺーろぺーろしてあげる」 「こわいよぉぉぉおぉ!!」 多種多様な声をあげる子供たち。 ついさっき親に教えてもらった、ゆっくりできるはずのものにゆっくりできない事をされたその親。 「どうじでぇ、にんげんざんはゆっぐりでぎぃぶべぇ!!!」 「できないよー、わかってねー」 再びれいむを蹴りあげる。 また歯が2本ほど抜け落ちた。 子ゆっくりはもう震えているだけである。 こいつらには手は出さない、こいつらの餡子脳に刻みつけるためだ。 そのために人間はゆっくりできないということをトラウマとともに植えつける。 「ゆがががが!!やめでね…おねがいだから…ゆるじで…」 「何を許してほしいの? 君は何にもしてないじゃん。これは俺が一方的にしてるだけだよ」 「なんでぇぇ!? やめでね、ごっちごないでね!」 「おかーさんにひどいことしないでぇぇ!」 「おかーさんにげてぇぇ!」 「ゆえーんゆえーん」 「ゆ…」 れいむが逃げ出したのですかさず回り込む。 ここで村を出る時に渡された物を使うことにする。 何分多く渡されたから、使ってやらなければな。 背中の荷物に手を伸ばし適当に抜いてみたところ、鎌が取れた。 中々良いものを引き抜くことができた俺はそれをれいむに見せつける様に振り回した。(危険ですので真似しないように) 「ゆ、ぞのゆっぐりでぎないものはなに?」 「こわいよー」 「おかーさんいじめると、れーむゆるさないよ」 「しねー」 「これはね、おめめサックサクー、お肌ザックザクーするものだよ」 その言葉で親れいむは愕然と口をあけ固まってしまった。 よほど恐怖であったのだろうか、動こうとしない。 子ゆっくりも鎌がゆっくりできないものと判断したのか、泣き出し、逃げ出したりしている。 「はい、じゃあおめめサックサクー」 「ゆ! ゆぎゃあああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」 親れいむが我に帰ったが時すでに遅く、鎌は眼の中に吸い込まれていった。 「ゆがああああああああああぁっぁぁあぁぁ!!! れいぶのおべべいだいぃぃぃぃぃぃぃ!!!!」 「ほーらほら、おかあさんだよー」 目に鎌が突き刺さったまま、暴れるれいむを抑えて子ゆっくりにその光景を見せつけた。 「ゆあああああああああ!! おかーさんのおめめがぁぁぁぁぁ!!」 「ゆやあああああああ!! どうじでぇぇぇぇぇ!!?」 「ゆええぇぇん!ゆええぇぇぇぇぇぇぇん!」 「ごんなのぜんぜんどかいはじゃないわよぉぉぉぉ!!」 「ゆ…ゆ…」 皆良い反応をしてくれる。 若干、恐怖のあまり失神してしまったやつもいるが。 俺はれいむの目から鎌を抜くと、ぱっくり割れた目からドロっとしたものが流れ出る。 鎌が汚れてしまったので、れいむの飾りでふき取った後、きゃめらを構えた。 「もう片方の目は残しといてやるよ。よかったなー」 「ぜんぜんよぐないいぃぃぃぃ!!!!」 「おかーざんのおべべをもどにもどじでよぉぉぉ!!」 「無理ぽ」 「なんでぇぇぇぇ!?」 「それじゃ、もう悪いことすんなよ」 「わるいごどなんでじでなよおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉ!!!」 「ゆっへっへ、ここからさきはつうこうりょうをはらうんだぜ」 獣道を進んでいたらいきなり、野生のまりさが飛び出してきた。 「何が欲しいの?」 「そのにもつをぜんぶおいていくんだぜ、そしたらすぐにきえるんだぜ」 通行料だいぶとるんだな。流石ゲス種。だが断る。 俺は荷物から釘を取り出す。 「なんだぜそれは? それもわたすんだぜ」 「あわてるなよ、今やるから」 金槌も取り出して、まりさのオデコのあたりに釘を突き立てて、金槌を振りかぶる。 「いたいぜ、じじぃはやくそれをはすんだぜぃがああああああああああああああああ!!?」 でこに一本の釘が深く刺さった。 中の餡子にまで被害が出ているのでまりさは激痛でもだえ苦しんでいる。 あと4,5本刺しておくことにした。 ぐしゃ 「ゆぎいぃ!」 ぐちゅ 「ゆぐうぇぇ!」 ぐっちょ 「いだがいぃぃぃぃ!!」 ぐちぇ 「ゆらああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」 中枢餡子にも達しておらず、餡子もあまり漏れていないので死にはせず、苦痛だけがまりさを襲っている。 はたから見たら釘が出来物みたである。 それを撮影し終え、もちろん通行料は払わず通り過ぎる。 その後もレイプ中のありすのぺにぺにだけを切り落とし、ちぇんの尻尾を一本だけ頂き、ぱちゅりーの巣を燃やし、れいむを罵り、まりさの髪を抜いたり、みょんを串刺しにしたり、れいむを投げ飛ばし、むーしゃむーしゃしているれいむ家族の餌を踏みにじって行ったり、偶然出会ったれみりゃを逆さずりにするなど様々なことをした。 日も暮れて、更に朝になり、ノルマの半分あたりから疲れがではじめた。 荷物も重いので休憩しがちにもなる。 途中で一緒に駆り出された者と何回か遭遇したが、皆だいぶ疲れた表情である。 殺してはいけないので、それが辛い。 殺すのであれば一瞬で済むのだが、恐怖を植え付けなければならない分、手間と時間がかかるからだ。 また、半分過ぎたころからゆっくりの対応が変わってきた。 少しずつ警戒し始めてきている。 おそらく人間はゆっくりできないという情報が伝わり始めたのだろう。 だがそれによりこちらに対して暴言を吐いてくるゆっくりも増えてきた。 これにより俺のストレスはさらに溜まっていき、42匹目のれいむで限界を迎えた。 「ゆっくりしてないで、れいむのまえからきえてね! そのまえにおかしをおいていってね! そしたらゆっくりしないでしんでね!」 「先に謝っとく、すまん」 「いみのわからないこといってないではやくしんでね!」 もうれいむの声など聞いてはいない。 疲れた。発散させてくれ。 「今からお前のことを殺すよ…」 「ゆ! りかいできないにんげんだね! れいむをころせるとおもってるの? ばかなの?しぬの?」 「死ぬのお前」 いままでのゆっくりに対しては手加減して手を加えていたが、今度はもっと強く、 れいむを蹴っ飛ばす。 「ゆばっはあぁぁぁあああああああぁぁぁぁぁ!!!」 底部から蹴ろうとしたが、狙いが外れてしまい上唇付近を吹き飛ばすような形になった。 「ゆふぅぅぅ、いたひぃぃぃぃ……」 上唇がもげてしまったせいでれいむは濁音を発することができないでいる。 だが俺はそんなこと気にせず、更に蹴りつずけ、 「ゆはぁぁぁ、ゆけえぇぇ!」 木に当たり跳ね返ってきたれいむを踏んずけ、 「ゆううううううううう!!」 また蹴り飛ばす。 「ゆっくあぁぁぁ!! もうやへてえぇぇ! ひたひのやらあああああぁぁぁ!!」 ちょっと気分が良くなってきた頃には、れいむの皮はボロボロになって中身が漏れ出してきている。 「あ…あ…、なかいがでてる…しんじゃ…しぬうううぅぅ!!」 「殺すよっていったじゃん、」 「やら…しにたくない…れいむまだひにたくないおおおおおぉぉぉぉ!!」 これだけボロボロだとほっておいても死んでしまうが、ここまでした落とし前として自分の手で送ってやらねば。 「すまんな、でもだいぶすっきりできたよ」 「ごめんなはい、ごめんなはい、ゆるひてくらはい! まだひにたくないんです! たふけて、 たふけて、だれかたふけてええええええぇぇぇぇげっ!!」 俺はれいむの脳天から体重を乗せて一気に潰した。 辺りにはれいむの餡子が飛散している。 こいつは死んだのでさすがに写真に収めることはできないが、少し気持ちを持ち直す事が出来たので続きを再開することにした。 そして、 「おめでとう、君が記念すべき最後のれいむだ」 「ゆゆ!? にんげんさんはゆっくりできないよ! れいむはにげるよ!!」 これまでの山狩り?の効果もあってか、れいむは直ぐに逃げようとした。 だが逃がしません。ゆっくりさせません。 人間の恐ろしさを直に体感させなければ、餡子脳は中々理解してくれにないからね。 まぁ最後のやつということで 「ゆべらぁ!!!」 一発顔を殴るだけにしておいてあげよう。すかさず撮影。 れいむは痛みで泣きながら森の奥に消えていった。 俺は丸3日間森の中でゆっくりの相手をしていた。 村に帰ると多くの村人に歓迎された。 先に終え戻っていた者もいたが、皆疲労が顔に出ている。 村の主婦層の方たちが温かいお汁粉を作って振舞っていたが、俺を含め出行った者は気持ちだけを受け取りお汁粉には手出しせず、 「当分、餡子頭は見たくないな」 と苦笑いしているものもいた。 これを境に、ゆっくりによる村の被害は激減していく。 ゲスの関係上皆無というわけにはいかないが、ゆっくりはほとんど現れなくった。 定期的に俺達がやったような山狩りを小規模だが行っているので、この森の餡子脳どもには人間はゆっくりできないものと刻み込まれているだろう。 だが俺はこの活動に参加してはいない。 なぜなら、あの活動の報酬が、村長のとても人生の役に立つだろうと思われるありがたい長話だったからである。 あとがき〜 2作目です。 読みにくい、不快に思った方、すいません。 課題レポート書いてる時にふと思いついたので、その勢いで書いてしまいました。 反省はしていない。 虐めのネタは書いてる時に浮かんだ即席であるため、虐め自体はぬるめだったかもしれないです。 補足とするなら、撮った写真は村長のコレクションにされます。 ノルマの偏りに特に意味はありません。 ではまた機会があれば何かしら書こうと思います。 書いたもの 自称レイパー この作品