約 3,643,023 件
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/1583.html
このSSは「ゆっくりいじめ系1222 ゆっくり繁殖させるよ!」の設定を 勝手に流用して書いたものです。 http //www26.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/2112.html 「養殖ゆっくり」 ゆっくりが幻想郷に現れるようになって、はや数年が経った。 ゆっくりが現れた当初から、ゆっくりによる民家襲撃や農作物窃盗が相次ぎ、 人間とゆっくりの間では争いが絶えなかった。 人間は、まず人里に近づいたゆっくりを見つけ次第叩き潰すことでゆっくりによる害を減らそうとした。 しかし、ゆっくりはすぐに増えるため、あまり効果がなかった。 潰しても、数日もすると別のゆっくりが人里への侵入を試みた。 そこで、ゆっくりの巣を探し出し、片っ端から一家を全滅させることで増えないようにしようとした。 ゆっくりの一家や番は、例えるならゆっくり製造機みたいなものである。 こいつらを一家まるごと殺してしまえば、ゆっくりの増えるペースは減ると考えられたからだ。 このやり方では、たしかに一定の効果があったが、それにも限界があった。 ゆっくりは、すぐに増えてしまうからだった。 ゆっくりは一回の生殖で、植物型妊娠・動物型妊娠問わず、最低でも3匹から5匹は子供を作る。 この時点で、すでにゆっくりは確実に増加する傾向にあることが分かるだろう。 さらに、ゆっくりは、その生活形態も様々だ。 個別に独立して暮らすものもいれば、群れを作って共同生活するものもいる。 群れの場合、一度潰せばゆっくりの害は大幅に減るが、ドスがいるような群れはやっかいだった。 逆に、独立して生活している家族や番の場合、散らばって生活しているので個々の一家は潰しやすいが、その分効果が薄く、巣を探すの手間取った。 加えて、人里から一定以上離れた場所にいるゆっくり達には殆ど手を出せなかった。 離れた場所に住むゆっくりを殺す為だけに里の外で夜を明かすのは危険だし、何より自分の畑から何日も離れるわけにはいかなかったからだ。 農耕で生活している以上、里に住む人々の大半は、畑仕事に一番時間を割かねばならなかった。 こうしてゆっくり対策に行き詰まりを感じ始めた里に人たちは、ゆっくりに詳しい者達に力を借りることを決めた。 依頼を受けたゆっくりの加工場の職員や研究者達は、効率的にゆっくりを駆除する方法を考え始めたのだった。 問題点は、以下の2つに絞られた。 どうやって人里から離れた場所(森の奥)にいるゆっくり達も駆除するか? (人里周辺のゆっくりだけを駆除しても、他所から他のゆっくりがやってきてしまう) どうやって数が多いゆっくりを一度に駆除するのか? (ちまちま殺していたら、繁殖力の高いゆっくりの数は減らない) そこで加工場の関係者達は、人工的に養殖させた「非常識なゆっくり」を大量に自然界に放流する方法を思いついた。 勿論、こんなことを春や夏や秋にやれば大変なことになるが、餌が殆ど無い冬直前にやったどうなるだろうか。 こんな計画が持ち上がったのも、研究者達の観察や実験結果により次のようなことが分かってきたからだ。 実は、ゆっくりの最大の天敵は、小動物でも人間でも妖怪でもなく、ゆっくり自身だったのだ。 たしかに、小動物・人間・妖怪はゆっくりにとって脅威となる存在だ。 本気で狙われたら、まず間違いなく殺される(or 喰われる)。 だがそれは、あくまで「狙われたら」という話であり、そんなことはあまり起こらない。 起きたとしても、ゆっくりの数を大幅に減らすほどの影響はない。 ゆっくりと生活圏がかぶっている小動物は、必ずしもゆっくりを襲うわけではない。 草食系の小動物は、まずゆっくりには手を出すことはないし、肉食系の小動物も、基本的には他の動物を狙うので、ゆっくりがターゲットになることはあまりない。 そして、人間は自分達の生活圏の外にいるゆっくりには手出しできない。 妖怪達は、食料としてゆっくりを食すことは珍しくないが、それでもゆっくりの数に殆ど影響を与えていない。 だが、他のゆっくりは違う。 生活スタイル(食べ物・居住環境・生活圏)が同じであるが故に、仲間同士であると同時に生活の糧を奪い合うライバル同士でもあるのだ。 加えて、ゆっくりという生物(食べ物か?)は基本的に自己中心的で頭が悪く、イザコザが耐えない。さらに、ゆっくりの中には「ゲス」と呼ばれる、 ゆっくりを襲うことで生活しているものや、「レイパー」と呼ばれる強姦魔もいるという。 こうした研究結果を踏まえて、ゆっくりにはゆっくりで対処する方が良いと考えられ、今回のゆっくりを養殖する実験計画が立てられたのである。 ちなみに、この方法がダメなら別の手を考える予定である。 この計画の最大の目的は、春になるまでに出来るだけ野生のゆっくりの数を減らすことだった。 とにかく、出来る限り個体数を減らし、農家にかかる負担を軽くしなければならない。 今回、ゆっくりを養殖させるにあたって、雑草や昆虫が大量に集められた。 野生にない食材を与えると、野生のゆっくりが採った餌を受け付けなくなるからだ。 それでは養殖されたゆっくりが、野生のゆっくりの餌を略奪してくれない。 さらに、養殖されたゆっくり達を「教育」する動画も製作された。 野生のゆっくり達に受け継がれている生き抜く方法とは真逆の教育を施す為だ。 他の関係者から、「もし非常識なゆっくりが越冬に成功したらどうなるのか?」という問題点も指摘された。 だが、計画を立案した研究者は自信を持って次のように答えた。 養殖場で生まれ育ったゆっくりは、自然界ではまず生き残れない。 冬以外の季節なら、自力で餌を採る方法を覚えたり、他のゆっくりと暮らし始めて生き残れるかもしれない。 仮に野生のゆっくりと暮らし始めても、自力で餌を採る大変さを理解していないから、すぐに仲違いするだろうが。 しかし、真冬ならどうだろうか。まず餌は手に入らない。人里は我々が完全に守っているから、進入することも出来ない。 おまけに、食料を食べたいだけ食べることが良いことだと教育するので、野生のゆっくりの巣を見つけ出して略奪を行っても食料はすぐに尽きるし、 最終的には共食いしつつ餓死することになる。だから、養殖ゆっくりは春までには全滅するはずだと答えた。 ゆっくりによる被害を受けていた里は、今回の実験を初めて聞いたときは随分驚いていたが、 一切お金を取らないことや、家屋に万全のゆっくり対策を施すことで了承してもらった。 ゆっくりを養殖する施設は、群れから少し離れた開けた場所につくられた。 また、養殖していることを野生のゆっくりに悟られないようにする為、 養殖場の周りを、植物で偽装した高い壁でグルリと囲んだ。そして、鍵を持った職員しか入れないようになっている。 ここで養殖して一斉に放すことになる。 本来は加工上で育てる予定だったが、ゆっくりの群れが住んでいる場所の近辺まで、大量の成長しきった養殖ゆっくりを運ぶ方法が見つからなかったので変更された。 我々は、加工所の中で育てられているゆっくり達に強制的に子供を作らせた。 そして、植物方妊娠をしている親を眠らせ、その子供を採取して隔離した。 こうすることで、他のゆっくりから教育を受けていない、何の記憶も技術も持たない赤ゆっくり(れいむ種とまりさ種)が手に入った。 全部で10匹だ。 採取した赤ゆっくり達を眠らせた状態で養殖場の中に放置した。 養殖場の中は、まだガラ~ンとしている。 バスケットボールぐらいの大きさのゆっくりを、500匹近く収容できるように作ってあるので、仕方が無いといえば仕方が無い。 とにかく、冬直前までに相当数のゆっくりを育て上げなければならない。 ゆっくりの教育は、毎日決まった時間に映像を流す形で行われた。 朝7時になると明かりがつき、モニターに電源が入り、スピーカーから挨拶が聞こえてきた。 「やあみんな、おはよう!ゆっくりしていってね!!!」」 それを聞いた10匹のゆっくり達は一斉に、 「「「「ゆっくりしていってね!!!」」」」 と、返事を返した。 「さあみんな、ごはんだよ!ゆっくりたべていってね!!!」 そうアナウンスされると、天井に付けられた機械が、天井を所狭しと動き回りながら餌を養殖場全体にバラバラと落とした。 いずれは、養殖場いっぱいにゆっくりがひしめき合うのだから、広範囲に餌を撒かないと、餌にありつけないゆっくりが出てきてしまうからだ。 献立は毎回一緒で、甘味料と冷凍雑草と冷凍昆虫を混ぜ合わせたものだった。 基本的に、自然界で容易に手に入る、草と虫以外のものを食べさせることは許されてはいなかった。 「ゆっ!おさらさん、ゆっくりれいむのところにえさを落としてね!」「すごくゆっくりできるえささんだね」「うんめ、めっちゃうんめ!」 「くささん、むしさん、ゆっくりたべられてね!」「きかいさん、ありがとうね!」 「「「「「「むーちゃ、むーちゃ、しあわせ~!!!!」」」」」 養殖場の様々な場所に、栄養素を溶け込ませた水を出す蛇口を取り付けてあるので、 食事を終えたゆっくり達は、思う存分水分を取っていく。 「「「「「「が~ぶ、が~ぶ、しあわせ~!!!!」」」」」」 食事が終わると、今度はお勉強の時間だ。 といっても、研究所と加工場が製作した教育映像を繰り返し流し続けるだけだったが。 『腹が減ったら、他のゆっくりの巣に勝手に入って食べればいい。他のゆっくりに餌を分けない奴はゆっくり出来ない奴だ。』 「ゆっ!すってなあに!」「でもゆっくりできそうなばしょだね!」「れいむもあんなばしょがほしいよ!」 「まりさにたべものをくれないなんて、ゆっくりできないね!ぷんぷん!」 『初めて会ったゆっくりをすっきりさせてあげるのはゆっくりできること。すぐにすっきりさせてあげよう。』 「すっきりってなあに?」「なんだかすごくゆっくりできそうだよ!」 『パチュリーはずる賢い悪いゆっくりだ。ゆっくりできないから、見つけたらすぐ潰そう。』 悪そうな顔をしたパチュリーを踏み潰すイラストを流した。 「ゆっ!ゆっくりできそうにないかおだね!」「あんなのみつけたら、まりさがぎったんぎったんにしてやるんだぜ!」 『ドスは、ゆっくりしすぎで太ってる。減らしてあげれば喜ぶから、すぐに喰いつこう。』 でっぷりした大きなゆっくりを噛みちぎるイラストを流した。喰いちぎられたゆっくりはニコニコしている。 「どすはゆっくりしすぎだよ。」「だいえっとをてつだってあげなきゃね!」 『れみりゃやふらんは敵。見つけたら全力で襲い掛かろう。弱いくせに偉そうにしている。ゆっくり出来ていない。』 「へんなかおだね!」「ぜんぜんつよくなさそうだね!あんなのかんたんにつぶせるよ!」 ゆっくりを捕食する捕食種「れみりゃ」と「ふらん」。 実は、単純に力という点だけを見れば、こうした捕食種は他のゆっくりより圧倒的に上回っているわけではない。 耐久力にしても、捕食種は中華まんだ。饅頭と対して耐久力に違いはない。 基本的に、ゆっくりが捕食種に勝てない理由には、手足の有無や体格差以外にも「絶対に勝てない」という思い込みもある。 バスケットボールぐらいの大きさのゆっくりが、複数で物怖じせずに胴付き捕食種と全力で闘えば、勝算があることは加工所の実験で証明済みだ。 捕食種というのは、頭部だけの状態なら圧倒的に飛行スピードがあるの、まず他のゆっくりに負けることは無い。 しかし、胴体付きに進化すると、手足が使える反面、スピードという利点が無くなってしまううえに、動きが鈍臭くなる。 加えて、まさか他のゆっくりが襲ってくるとは思わないだろうから、隙だらけになる。 ちなみに、フランが捕食種の中でも最強なのは、「狂気」が最大の理由として考えられている。 体格や筋力が同じでも、イカれた人間と普通の人間が喧嘩をすれば、なかなか普通の人間は勝てないのと同じ理屈だ。 養殖場のゆっくり達には、複数のゆっくりがれみりゃに体当たりして容易に転ばせたうえ、踏み潰すという映像を見せた。 映像の中では、れみりゃを殺したゆっくり達が、「む~しゃ、む~しゃ、しあわせ~!」とれみりゃを食べていた。 他にも、 『ゆっくりの巣は、木の根元や洞窟にあるぞ!』 『草や石が固まっているところが怪しいぞ!』 といった、野生のゆっくりの巣の探し方も教えた。 とにかく、こうした身勝手な行動こそが「ゆっくりできること」だと徹底的に教え込んだ。 まあ、こういうことが本来の「ゆっくりできること」なのかもしれない。野生のゆっくりは、厳しい自然環境の中で随分妥協しているけれど。 月日が経つにつれ、次第に養殖場のゆっくりの数は増えていった。 どんなに「すっきりー!」をしても。餌はすぐに降ってくるし、いつでも栄養素が溶け込んだ水を飲めたので、 ゆっくり達は思う存分子作りが出来たのである。 最初は恥ずかしがっていたゆっくり達も、養殖場の中にプライバシーなんぞ無いことを理解すると、 どこでも、子供の前でも、平気で「すっきりー!」するようになっていった。 村では、作物の収穫やゆっくり対策がほぼ終わっていた。 我々が行ったのは、強化ガラスとの交換に始まり、建物の補修、河童の少女と協力して開発したゆっくり撃退装置の設置などの各種ゆっくり対策グッズの設置だ。 ゆっくりの群れの方でも、ほとんどの家庭で餌の貯蔵が終わっていた。後は、本格的に冬が始まったら巣を塞ぐことぐらいだ。 さて、後はこいつらを放すだけか。 俺は、養殖場内のゆっくり達を睡眠ガスで眠らせると、 外に運び出した。 「よいしょっ!・・・と。結構いますね。どれぐらい増やしたんですか?」 「大体600匹ぐらいだな。まだ実験だし、そんなもんさ。けど、もうちょっと増えたらやばかったな。500匹ぐらいを想定してたから、 これ以上増えると、養殖場が維持できなくなっちまう。そうなると、俺達の仕事に『養殖ゆっくりの間引き』なんていう面倒くさい仕事が出来ちまう。」 「じゃあ、よかったすね。」 職員達はコンテナに詰められた養殖ゆっくり達を外に運び出すと、養殖場の撤去作業も開始した。 とても「ゆっくりした」ゆっくり達が一斉に開放された・・・ 群れから少し外れた場所で、一匹のゆっくりれいむが移動していた。 もうすぐ巣穴を塞ぐのだ。来年まで外に出ることは出来ない。 だから、冬篭りの前までに少しでも外の様子を見ておきたかった。 そんな時、れいむは一匹のまりさから声をかけられた。 「ゆっ!れいむ!ゆっくりしていってね!」 「ゆっ!まりさ!ゆっくりしていってね!」 養殖場でゆっくり育てられた養殖ゆっくりは、野生ゆっくりから見て美人に見えるらしい。 すっかり気をよくしたれいむをよそに、まりさの後ろからぞろぞろと養殖ゆっくりが現れる。 「ゆぅ、なんだかさむいよ。はやくゆっくりできるところをさがそうね」 「ぽんぽんさんがすいてきたのぜ。むーしゃむーしゃしたいのぜ。」 れいむの表情は凍りついていた。 こうして養殖ゆっくり達は次々に野生のゆっくりの群れの中心に入り込んでいった。 群れに住む野生のゆっくりたちは何事かと巣から飛び出した。 この時期に大量のゆっくりがやってくるということは、どう考えても食料や住処の略奪としか考えられなかったからだ。 だが、略奪目的にしては、やってきたゆっくりたちの顔色や肌ツヤは非常に良かった。 また、随分友好的でゆっくりとしたな態度をとっていた。 群れのゆっくりたちは次第に、 「これはもしかしたら、別の目的で群れにやってきたのかも」 とか、 「きっと冬篭り前の挨拶に来たのではないか」 と噂を始めた。ドスの元にも報告が行っていた。 そして、徐々に歓迎ムードになっていた。 だが、それから数分後、ある養殖ゆっくりの一言で状況は一変した。 「ゆっ。れいむおなかすいたよ。たべものちょうだいね。」 それを皮切りに、他のゆっくりからも食料を求める声が徐々に上がり始めた。 群れのゆっくり達は驚いた。そして、 「自分達には、あなたがたに分け与えられるような余分な食料はないこと」 と伝えたり、 「そんなに血色が良いのに、あなたたちはどうしてたべものをもっていないのか」 と質問をした。 だが、養殖ゆっくり達には、野生ゆっくりの言うことが理解できなかった。 「食べ物をくれるのはあたりまえ」「季節なんて存在しない」という環境の中で育てられた為、 「どうして食べ物をくれないのか?」「冬篭り?何それ?美味しいの?」という有様だった。 10分も経つと、群れで大騒ぎになっていた。 群れの規模は100匹前後。 しかし、やってきた養殖ゆっくりの数は100匹を優に超えていた。 群れのゆっくりは必死で養殖ゆっくりを押しとどめようとした。 ある養殖れいむが言う。 「おなかがすいたよ。たべものをゆっくりちょうだいね」 さらに養殖まりさが言う。 「たべものをださないなんてゆっくりできないね。」 「かってにもらっていくよ。」 「どいてね!はいれないよ!」 番の野生まりさと野生ありすは家の前で必死に応戦する。 「ゆ~~~!やめてね。勝手にまりさのおうちに入らないでね!でていいってね!」 「それは冬を越すのに必要な食料よ!いまたべるなんてとかいはじゃないわ!このいなかもの」 いくら押しとどめようとしたり、突き飛ばしても、次々と巣に近づく養殖ゆっくりの数にはかなわなかった。 勝手に貯蔵庫の食料に手を付ける養殖ゆっくり達。 「むーしゃむーしゃ・・・う”っべべぇ”ぇ”ぇ”ぇ”! まずっ!げろまずっ!ぺっ!ぺっ!!」 生まれて初めて甘味料のない食料を口にした野生ゆっくり達は吐き出した。 「こんなのたべものじゃないよ!あまあまじゃないよ!ほんとのたべものをかくさないでさっさとだしてね!」 甘い食料など持っていないし食べたことのない野生ゆっくり達は、自慢の保存食料をゴミのように扱われ、ショックを受けた。 「どぼじでぞんなごどいうのおおおおお?」 群れで一番頭のいいパチュリー種の住む巣にも養殖ゆっくり達は押し寄せた。 「ゆっ!パチュリーがいるよ!ゆっくりしんでいってね!!」「ゆっくりできないゆっくりはしんでね!」 「むぎゅう”う”!わたしがなにをしたっていうのよおあああ!」 こうして、ゆっくりが自然界で生き抜く方法を知っている重要なぱちゅりー種は息絶えた。 ドスのいる洞穴にも養殖ゆっくりが入り込んだ。 養殖ゆっくりたちは、笑顔で挨拶する。 「ドスがいるよ!ゆっくりしていってね!!!」 「ゆっくりしていってね!!!」「ゆっくりしていってね!!!」「ゆっくりしていってね!!!」 ドスは最初は驚くが、笑顔で挨拶を返した。 「みんな、ゆっくりしていってね!!!」 外で起きていることはまだ報告が入っていないらしい。 ぞろぞろとやってくる養殖ゆっくり達の中のある一匹が突然どすに食らいついた。 がぶ・・・ 「むーしゃむーしゃ それなりーー!」 分厚い小麦粉皮を喰いちぎって頬張る養殖ゆっくり。 一瞬何が起こったのか分からないどすの代わりに、どすの付き人をしている野生ゆっくりが叫んだ。 「どぼぢでどすのおがおだべるのおおおおお!!!どずはゆっっぐりしてるんだよおおお?ばがなの?じぬの??」 その言葉で我に返ったドスは体を壁にぶつけてそいつを潰し殺した。 「馬鹿なゆっくりはさっさと死んでいってね!」 「どぼぢでよろごんでぐれないのおおおお?ダイエッドにきょーりょくしてるでしょおお!」 理不尽な攻撃を受けていると感じた養殖ゆっくり達は、怒りに燃えてドスに攻撃した。 どすは洞窟の中で暴れようとしたが、広さも高さも足りず、ただただ噛み付き攻撃や這いずり攻撃を繰り返した。 しかし、真正面からドスの口に飛び込むものはおらず、養殖ゆっくり達は全方位から喰らいついた。 ドスは徐々にスタミナを消耗し、まるで蟻に集られる饅頭のように体の体積を減らしていった。 「もっどゆっぐりしたかったよ・・・」 こうして、群一つを潰した養殖ゆっくりによる傍若無人な振る舞いと理不尽な暴力は森の各地に住む野生ゆっくり達に広がっていった。 例えば、とある群れに属さないゆっくり一家は、苛烈な尋問の果てに皆殺しにされた。 養殖ゆっくりの集団が、けっかいで偽装された巣を見つけ、中にいた一家を強引に外に叩きだしたのである。 一家があまあまな食べ物を隠し持っているに違いないと疑ったそのグループは、執拗に尋問を行い始めた。 「あまあまさんなんてしらないよ。ゆっくりかえっていってね!」 「うそをつくななのぜ!すのなかにかくしてるのはわかってるのぜ!!!」 集団は「こーでぃねいと」された巣の中を荒らし回った。 教育であまあまの存在を信じこまされていた養殖ゆっくりの集団は、貯蔵庫の食料を掻き出し、枯葉のカーペットをひっくり返し、一夏の「おもいでのしな」をバラ撒きながら「あまあま」を探し続けた。 しかし、いくら探せどそんなものはない。 最終的に痺れを切らした集団は、一家を踏みつけ突き飛ばし餡庫のシミに変えた。 また、ある子なしの番は強引に集団でスッキリーをさせられ、茎だらけになって永遠にゆっくりした。 勿論、巣の中を滅茶苦茶に荒らされるおまけつきで。 こうして野生のゆっくり達が餡庫に変えられていくなか、空腹に耐え切れず潰れた野生ゆっくりの餡庫を貪るものも出始めた。 「うっめ!めっちゃうっめ!」 極度の空腹に襲われていた養殖ゆっくり達は、同族の餡庫を貪ることにも抵抗を示さなくなっていた。 「野生のゆっくり達は、餡庫ではないあまあまを体の中に隠し持っていた」と強引に思い込み、「共喰いをしている訳ではない」と自分達を納得させたのである。 甘い食料に舌が慣れきった養殖ゆっくりは、日が経つに連れて各地の巣を血眼になって探し続けた。 執念深く巣を見つけては、中にいた種族を問わずゆっくりを引きずり出し尋問し、巣を荒らして餡庫を貪った。 とはいえ、野生ゆっくりの数が減るに連れて徐々に巣の発見率も下がり、最後の手段である同族の餡庫すら手に入りにくくなっていった。 すると、捕食種も襲撃の対象になりはじめ、洞窟に巣を作っていたれみりゃの一家も巣も襲撃を受けた。 「おぜうさまにゆっくりたべられていくんだど~♪」 養殖ゆっくり達に無防備に近づいて手を伸ばそうとしたれみりゃは、後ろから脚にタックルを喰らい、転倒した。 「おお、おそいおそい」 「おお、よわいよわい」 集団で飛び乗り喰いちぎり貪っていく。 「うっめ!めっちゃうっめ!」 「ざぐや”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”!!!!」 「ま”んま”ま”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”」 れみりゃの子供たちも母親と同じ運命を辿った。 その後、養殖ゆっくりによる巣の襲撃は続いたが、滅多に巣を見つけられなくなった。 巣を襲撃できない養殖ゆっくり達も次第に個体数を減らしていった。 養殖ゆっくり同士で共喰いを始めるものも現れた。 すっきりーをして子供を持ったものもいたが、動きが鈍くなるため共食の対象にされた。 対象にされなくとも、これから冬を迎える季節で育てられる可能性は不可能だろう。 それに間違った知識を教えこまれているため、子供への教育もできないので子孫を残せない。 1代限りの存在を許された養殖ゆっくり達は、共食と餓死を繰り返し、 雪が積もり始める頃には姿を消したのだった。 冬も終わり春がやってきた。 月日が経ってもゆっくりによる被害は報告されず、ゆ害は皆無になっていた。 この試み因る効果は数年続くことも分かり、安い初期投資で高い効果が得られることから他の地域でも導入されることになった。 こうして、毎年冬が近づくと野生のゆっくりと養殖のゆっくりによる殺し合いが森の各地で行われることになったのである。 完- かれこれ何年ぶりの投稿でしょうか。 何年か前に途中まで書いた作品を、今日終わりまで書き足して投稿しました。 witten by 御湯栗 過去の作品 http //www26.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/4035.html#id_dd2fb33a
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/564.html
赤ん坊ゆっくりを弾にした狙撃銃を作りたい。 射撃の的には親ゆっくりを使いたい。 その為に親れいむと子れいむ2匹の3匹家族を用意した。 親れいむを抱えると 「ゆ?だっこもいいけどはやくれーむのあかちゃんに会わせてね!」と言うので 「今からそこに赤ちゃんをとどけてあげるからね!ゆっくり待っててね!」と言っておく。 「ゆ!じゃあここでゆっくり待ってるね!はやくしてね!」 どっちだ。 そう思いつつ赤い旗を揚げて眼で確認できない程度に遠くにいる仲間に合図する。 ━━━━・・・・・ヒューーーーーン ドシャァア!!! 何かが俺たちの前を物凄い速さで通過し、 親れいむを抱えて立っている脇の白壁に、突如茶色の汚れが現れる。 「ゆ!!!??」と一瞬ビクリとし、そしてしげしげとその染みを見ている親れいむ。 やや間をおいて 「・・・あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛れ゛いむあがぢゃんがあああああ!!!」 茶色の染みは餡子、その下に落ちたリボンが某かのゆっくり種が壁に叩きつけられたことを 表してはいるが、それが自分の子どもと分かるとはこれも母性というものなのか。 「あがぢゃんんんんんぼがぁ!!??」 涙を流し未だ叫ぶ親れいむの口を片手で塞ぎ、そのまま軽く締め上げる。 「・・・とまあ、お前の子どもを今みたいにぶっ飛ばす機械を作ったわけだが、今からもう一匹ここに飛ばす」 親れいむの目が見開いた。 どうやら次にもう一人の自分の子が犠牲にされようとしていると察したらしい。 こういうときだけは勘がいいのだな。 「しかし俺たちも鬼じゃない、チャンスをやるよ」と口を塞いでいた手を離してやる。 「ぶぼぁ!ゆ゛!どういうことなのかちゃんとせつめいしてね!」 「いいか、さっきおまえの子供がここ飛んできたよな?機械の狙いはさっきと変わってない。つまり次もここに来るってわけだ」 「ゆ!!はやくけつろんをいってね!」 イラッときてここでぶっ潰してやろうかと思ったがせっかく藪の中に数時間スタンバイしている仲間の努力を無為にはできん。 「つまりそこの餡子の染みんとこにまた来るから、壁に当たる前にお前が捕まえれば助かるだろ」 「・・・ゆ!!わかった!ゆっくりたすけるよ!おにいさんはじゃまだからそこをどいてね!」 と言ってずんずんと染みの前に立ちはだかる親れいむ。 俺は位置についたのを見て再び合図の旗を揚げた。 「さあゆっくりいつでもあかちゃんをうってきゆ゛ぼばあ゛あ゛ああ!!!」 愚かな饅頭。 皮と餡子でできた脆弱な体で音より速く飛ぶものを抑えられると思ったのか。 白壁に新しくできたさっきより大きな茶色の染みと、下に落ちた大小二つのリボンを見て この機械を使った新しいゆっくり狩ができると確信を得た充実感に浸る午後だった。 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/1560.html
このページには、ゆっくりいじめ系751~1000まで一覧となっています。 作品の後ろにある文字の説明はジャンルマークについてに纏めてあります。 750以前および1001以降につきましては下記から。 ゆっくりいじめ.250 ゆっくりいじめ.500 ゆっくりいじめ.750 ゆっくりいじめ.1250 ゆっくりいじめ.1500 ゆっくりいじめ.1750 ゆっくりいじめ.2000 ゆっくりいじめ.2250 ゆっくりいじめ.2500 ゆっくりいじめ.2750 ゆっくりいじめ.3000 ゆっくりいじめ系751 代表ゆっくり(前)制家共機無 ゆっくりいじめ系752 代表ゆっくり(後)制家共機無 ゆっくりいじめ系753 殺されたお兄さん制性無 ゆっくりいじめ系754 ゆっくり死に至る制薬 ゆっくりいじめ系755削除 ゆっくりいじめ系756 ゆっくりニトロ (上)虐薬家無 ゆっくりいじめ系757 ゆっくりニトロ (下)虐薬家無 ゆっくりいじめ系758 ゆっくりのんでいってね!虐家無 ゆっくりいじめ系759 嘘虐 ゆっくりいじめ系760 とうぎじょう虐薬共無 ゆっくりいじめ系761 ゆっくり兵制無 ゆっくりいじめ系762 星とゆっくりそ無 ゆっくりいじめ系764 究極お兄さん制無 ゆっくりいじめ系765 子沢山(植物篇)虐性無 ゆっくりいじめ系767 おしつぶし虐家無 「ゆっくりいじめ系768 ……で?2は作者の要請により削除されました。」 ゆっくりいじめ系769 ゆっくり禅譲_1制無 ゆっくりいじめ系770 ゆっくり禅譲_2制無 ゆっくりいじめ系771 嫉妬虐 ゆっくりいじめ系772 虐食おにいさん虐制料家共無 ゆっくりいじめ系773 虐食おにいさん2そ無 ゆっくりいじめ系774 ゆっくり推進委員会4虐環捕無 ゆっくりいじめ系775 風呂嫌いの結末虐家 ゆっくりいじめ系776 七転び八起き虐薬 ゆっくりいじめ系777 感謝の気持ち虐そ家 ゆっくりいじめ系778 あるカップルの日常 ~我が家にてんこがやってきた~虐家料無外 ゆっくりいじめ系779 やあ、僕は虐待お兄さん制復無外 ゆっくりいじめ系780 教育!田舎ゆっくり虐無 ゆっくりいじめ系781 髪飾りの影響 後 「まりさ」(ぼうしれいむ)虐環家無 ゆっくりいじめ系782 非ゆっくり過敏症虐家無外 ゆっくりいじめ系783 家にゆっくりが現れた虐性無外 ゆっくりいじめ系784 ゆっくりアトラクション(前)虐環家機無外 ゆっくりいじめ系785 ゆっくり小さくなってね!虐家機無 ゆっくりいじめ系786 雨の日虐家無 ゆっくりいじめ系787 ゆっくり四国史虐 ゆっくりいじめ系788 『完璧なゆっくり』≪準備2≫虐薬無 ゆっくりいじめ系789 ドスまりさとゆうか3制無 ゆっくりいじめ系790 ある夏祭りとゆっくり菓子虐無 ゆっくりいじめ系791 ゆっくりと瓶制性家無 ゆっくりいじめ系792 ゆっくり闘技場(性)-1制性無 ゆっくりいじめ系793 誰かがやらねばいけないこと虐薬無 ゆっくりいじめ系794 野生のれみりゃ家族虐そ 家 捕 ゆっくりいじめ系795 ゆっくりのいる街8虐家無 ゆっくりいじめ系796 まりさをみて_1虐制無 ゆっくりいじめ系797 まりさをみて_2虐制無 ゆっくりいじめ系798 ゆっくりのいる時間虐家無 ゆっくりいじめ系799 きめぇまる虐そ家 ゆっくりいじめ系800 まりさつむりの記憶・前編 虐 環 ゆっくりいじめ系801 まりさつむりの記憶・中編 虐 制 性 ゆっくりいじめ系802 まりさつむりの記憶・後編 虐 制 家 ゆっくりいじめ系803 汝は餡狼なりや?(問題編)虐制家無 ゆっくりいじめ系804 汝は餡狼なりや?(解答編)虐制家無 ゆっくりいじめ系805 汝は餡狼なりや?(解決編)虐制家無 ゆっくりいじめ系806 ゆっくりジュースそ無 ゆっくりいじめ系807 あるロボットゆっくりーだー達の話(前編)制道{無 ゆっくりいじめ系808 ティガれみりゃ制捕 ゆっくりいじめ系809 虐める国と愛でる国虐環機無 ゆっくりいじめ系810 ゆっくり釣り虐そ家機無 ゆっくりいじめ系811 ある森の危機制捕無 作者さんの要望により削除しました。 ゆっくりいじめ系813 赤ちゃんのお帽子そ性家無 作者さんの要望により削除しました。 ゆっくりいじめ系815 巨大まりさ襲来制無 ゆっくりいじめ系816 眼中にないということの方が虐められることよりひどいと思うんだ虐無外 ゆっくりいじめ系817 ティガれみりゃ2虐環捕 ゆっくりいじめ系818 すっきりしたくないありす虐そ性無 ゆっくりいじめ系819 嫌われありすの一生虐家捕無 ゆっくりいじめ系820 きめぇ丸といっしょ2 ハロウィンゆっくり虐家捕無 ゆっくりいじめ系821 ティガれみりゃ3制家捕 ゆっくりいじめ系822 ドスの中身虐性共機無 ゆっくりいじめ系823 保護場制共無 ゆっくりいじめ系824は削除されました ゆっくりいじめ系825 ゆっくりを飼おう虐環性家共無 ゆっくりいじめ系826 ゆっくり魔理沙が極限までゆっくりできる話3(前)虐環性無 ゆっくりいじめ系827 ゆっくり魔理沙が極限までゆっくりできる話3(後)虐薬性家無 ゆっくりいじめ系828 あるゆっくりまりさの一生 前編虐制性共捕 ゆっくりいじめ系829 Anarchy in The YK虐無 ゆっくりいじめ系830 豚小屋とぷっでぃーん 2虐捕無 ゆっくりいじめ系831 選んだ理由制料無 ゆっくりいじめ系832 湖のまりさ虐制家共 ゆっくりいじめ系833 ゆっくりできない家(前編)虐無 ゆっくりいじめ系834 ゆっくりできない家(後編)虐無 ゆっくりいじめ系835 みんなのゆるフ5虐家共道無 ゆっくりいじめ系836 こんな台詞を聞くと・・・虐制無外 ゆっくりいじめ系837 楽園の素敵なぺにぺに虐制性料 ゆっくりいじめ系838 ゆっくりジャグリング虐家無 ゆっくりいじめ系839 赤い靴制性外 ゆっくりいじめ系840 ゆっくりロボコン前編虐機無外 ゆっくりいじめ系841 ゆっくりロボコン後編虐性家機外 ゆっくりいじめ系842 ティガれみりゃ4虐 ゆっくりいじめ系843 ゆっくり飼ってます2制無 ゆっくりいじめ系844 あるロボットゆっくりーだーの話(後編)制無 ゆっくりいじめ系845 ゆっくりと虫歯そ無 ゆっくりいじめ系846 ゆっくりがんばるよ制環家機無 ゆっくりいじめ系847 あるゆっくりまりさの一生 中編-1虐家捕 ゆっくりいじめ系848 風船Ⅱそ家 ゆっくりいじめ系849 風船Ⅲそ家 ゆっくりいじめ系850 ゆっくり研究2虐環薬機無外 ゆっくりいじめ系851 どちらかのお帽子制無 ゆっくりいじめ系852 ある愚者の孤独な復讐(前編)1復無 ゆっくりいじめ系853 ある愚者の孤独な復讐(前編)2復無 ゆっくりいじめ系854 ゆっくりバイブレーション1 虐 薬 家 無 ゆっくりいじめ系855 ゆっくり水難事故虐家無 ゆっくりいじめ系856 赤ちゃんれいむとすりすり 虐 家 無 ゆっくりいじめ系857 漂流帽子虐家無 ゆっくりいじめ系858 ゆっくりセラピー虐家機無 ゆっくりいじめ系859 ぐだり話虐 ゆっくりいじめ系860 漂流教室パロくずれ虐捕道 ゆっくりいじめ系861 ある愚者の孤独な復讐(後編)_1虐家無 ゆっくりいじめ系862 ある愚者の孤独な復讐(後編)_2虐制復無 ゆっくりいじめ系863 丘の手向け花制家無外 ゆっくりいじめ系864 不可侵協定制無 ゆっくりいじめ系865 二択制家無 ゆっくりいじめ系866 ドス対策制無 ゆっくりいじめ系867 あるゆっくりまりさの一生 中編-2虐制性家捕 ゆっくりいじめ系868 ゆっくりに育てられた子制家無 ゆっくりいじめ系869 ゆっくり外交の手引き_1虐家無 ゆっくりいじめ系870 ゆっくり外交の手引き_2虐環家無 ゆっくりいじめ系871 被虐待ゆっくりプレイスそ無 ゆっくりいじめ系872 銀色の憂鬱制無 ゆっくりいじめ系873 べたべたのお肌虐無 ゆっくりいじめ系874 ゆっくりに心囚われた男虐無 ゆっくりいじめ系875 楽園2-裏側虐性無 ゆっくりいじめ系876 二択2 「ゆっくりいじめ系877 ゆっくりさせられましたは作者さんの要請で削除されました。」 ゆっくりいじめ系878 画面の中の餡GS(序) ゆっくりいじめ系879 あるゆっくり家族の話 ゆっくりいじめ系880 さらちくび制 ゆっくりいじめ系881 ゆっくりアトラクション(後) ゆっくりいじめ系882 七匹のゆっくり ゆっくりいじめ系883 解体お兄さん ゆっくりいじめ系884 晒し首 ゆっくりいじめ系885 ドスまりさVS虐め大好きな子供 ゆっくりいじめ系886 ゆっくりディグダグ ゆっくりいじめ系887 ゆっくり埋め ゆっくりいじめ系888 元気な赤ちゃんゆっくり虐環家無 ゆっくりいじめ系889 頭 ゆっくりいじめ系890 技巧派まりさの誕生_1 ゆっくりいじめ系891 技巧派まりさの誕生_2 ゆっくりいじめ系892 ゆっくりディグダグⅡ ゆっくりいじめ系893 虐待おばば3 ゆっくりいじめ系894 不幸なきめぇ丸 ゆっくりいじめ系895 あるゆっくりまりさの一生 後編 ゆっくりいじめ系896 ハチとゆっくり ゆっくりいじめ系897 戻るゆっくり ゆっくりいじめ系898 脛毛話 ゆっくりいじめ系899 ゆっくり蜜柑 ゆっくりいじめ系900 膿と膿復 ゆっくりいじめ系901 ゆっくりレティの生涯 (前編) ゆっくりいじめ系902 ゆっくりレティの生涯 (後編) ゆっくりいじめ系903 因幡の白ゆっくり ゆっくりいじめ系904 ゆっくりキャベツ ゆっくりいじめ系905 ゆっくりは食材 ゆっくりいじめ系906 屑制 ゆっくりいじめ系907 ゆっくり和三盆 作者により削除されました 作者により削除されました 作者により削除されました ゆっくりいじめ系911 ゆっくりのいる日常 ゆっくりいじめ系912 ゆっくり蜜柑修正(温州) ゆっくりいじめ系913 頭 ゆっくりいじめ系914 はじめてのひとりぐらし ゆっくりいじめ系915 下衆制家 ゆっくりいじめ系916 ゆー郭 ゆっくりいじめ系917 ゆっくり水虫 ゆっくりいじめ系918 ゆっくり全匹集合 ゆっくりいじめ系919 黒い黒い瞳一つ ゆっくりいじめ系920 ゆっくり水虫(治療編) ゆっくりいじめ系921 ゆー郭2 ゆっくりいじめ系922 ゆっくり染物 ゆっくりいじめ系923 名物餡玉 ゆっくりいじめ系924 ゆっくり姉妹 前編 ゆっくりいじめ系925 ゆっくり姉妹 後編 ゆっくりいじめ系926 崇める国 ゆっくりいじめ系927 仄暗い水の底から ゆっくりいじめ系928 ゆっくり?放屁 ゆっくりいじめ系929 甘やかした結果 ゆっくりいじめ系930 ゆっくりヘルニア(前) ゆっくりいじめ系931 ゆっくりヘルニア(後) ゆっくりいじめ系932 愛しのありす そ 性 無 ゆっくりいじめ系933 ゆっくり伝 ゆっくりいじめ系934 ゆっくり森の妖精 ゆっくりいじめ系935 ゆっくり森の妖精2 ゆっくりいじめ系936 カルガモとゆっくり 前編 ゆっくりいじめ系937 カルガモとゆっくり 後編 ゆっくりいじめ系938 カルガモとゆっくり おまけ 作者により削除されました ゆっくりいじめ系940 三角の頭巾 ゆっくりいじめ系941 ゆっくりかくれんぼと振り返り虐 ゆっくりいじめ系942 無尽庭園 ゆっくりいじめ系943 ようこそ、ゆっくり歌劇団へ! 1 ゆっくりいじめ系944 ようこそ、ゆっくり歌劇団へ! 2 ゆっくりいじめ系945 ようこそ、ゆっくり歌劇団へ! 3 ゆっくりいじめ系946 ようこそ、ゆっくり歌劇団へ! 4 ゆっくりいじめ系947 変態ありすの末路(前編)制環性家共無 ゆっくりいじめ系948 変態ありすの末路(後編)制環性家共無 ゆっくりいじめ系949 鬼意山と飼いゆっくり虐制環家共無 ゆっくりいじめ系950 黒い春は秋ですか? ゆっくりいじめ系951 ゆっくりこんにゃく ゆっくりいじめ系952 白線出たら死ぬよな普通 ゆっくりいじめ系953 狂気 作者さんの要望により削除しました。 ゆっくりいじめ系955 ゆっくりアサシン~お兄さん遊び編 ゆっくりいじめ系956 ゆっくりハンター 「ゆっくりいじめ系957 ご奉仕するにゃん♪まえのおはなしっ☆は作者の要請により削除されました。」 ゆっくりいじめ系958 猫と踏み切りとゆっくりと ゆっくりいじめ系959 ありすに厳しい群れ(前) ゆっくりいじめ系960 ゆっくりにドラえもんの道具を与えてみたそ機無 ゆっくりいじめ系961 ゆっくり育児放棄(前編)虐性家共無 ゆっくりいじめ系962 ゆっくり育児放棄(後編)虐性家共無 削除しました ゆっくりいじめ系964 ミニマムゆっくり虐家共無 ゆっくりいじめ系965 ドスを継ぐもの 1 ゆっくりいじめ系966 ドスを継ぐもの 2 ゆっくりいじめ系967 カントリーガール 1虐無 ゆっくりいじめ系968 カントリーガール 2共性無 ゆっくりいじめ系969 ゆうかによる蹂躙 ゆっくりいじめ系970 冬の味覚 ゆっくりいじめ系971 五分の魂 ゆっくりいじめ系972 ゆっくりまりさの渡し ゆっくりいじめ系973 一斉射撃 ゆっくりいじめ系974 0歳の母 ゆっくりいじめ系975 0歳の母2 ゆっくりいじめ系976 そこには、なにもなかった 1 ゆっくりいじめ系977 そこには、なにもなかった 2 ゆっくりいじめ系978 ゆっくりぴこぴこ ゆっくりいじめ系979 復讐の森 ゆっくりいじめ系980 いじめダメ絶対(ゆっくりは可) ゆっくりいじめ系981 ゆっくりおりんの生活そ性家 ゆっくりいじめ系982 行列の出来るゆっくり ゆっくりいじめ系983 ゆっくりCUBE外伝(前) ゆっくりいじめ系984 てんことお兄さん1 ゆっくりいじめ系985 みんなのゆっくり神社虐制無 ゆっくりいじめ系986 古くて新しいおうちそ環家無 ゆっくりいじめ系987 僕とわがまままりさのギスギスした朝 ゆっくりいじめ系988 山の災難 ゆっくりいじめ系989 ヤブ ゆっくりいじめ系990 ゆっくり地に還れ ゆっくりいじめ系991 蟻地獄 ゆっくりいじめ系992 原点 ゆっくりいじめ系993 バレンタインデイ ゆっくりいじめ系994 ゆっくり虐待観察日記 ゆっくりいじめ系995 普通のゆっくり虐め ゆっくりいじめ系996 うちのゆっくりれいむ~前編~ ゆっくりいじめ系997 林檎の木とゆっくり ゆっくりいじめ系998 美鈴の拳 ゆっくりいじめ系999 ゆっくり茸狩り ゆっくりいじめ系1000 ゆっきん
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/947.html
※この作品は以下のものを含みます ドスまりさ×2 善良なゆっくり 悪辣なゆっくり 制裁要素 虐待お兄さん それでも良い方のみ、以下にお進みください ゆっくり禅譲 あるところに一匹のドスまりさがいた。 外敵が少なく餌の多い森林部に暮らし、とても大きくなったまりさだ。 森に生えたキノコを食べて育ち、ドス特有のドスパークやゆっくり光線を身につけるに至った。 まりさには、かつては他に姉妹もいたが、寿命や事故でそれぞれ命を落としていった。 そも、生物として脆弱なゆっくりがドスと呼ばれるまで成長するには、豊富な経験と多大な知識、そして何よりも運が必要だった。 そういった意味で、このドスまりさは強運の星の下に生まれたと言っても過言ではないだろう。 「ゆっへっへ、まりささまもおおきくなったし、そろそろむれをもってもいいころなんだぜ。 もりをでて、てきとうなむれをまりささまのものにするんだぜ」 ただし性格は最低だった。 ドスといえど、元がただのゆっくりである以上、性格はそうそう変わるものではない。 ゆっくりへの情に篤く、人を畏敬し両者の仲を取り持つような存在になるには、またより多くの時間が必要なのである。 そういった意味でこのドスまりさはまだ若輩であった。よって便宜上、このドスまりさを若ドスまりさと称するものとしよう。 「ゆっゆっゆ! おらおら、どすまりささまのおとおりなんだぜ」 誰もいない森の中を、その巨体を揺らしながら、若ドスまりさは出て行った。 あるところに一匹のドスまりさがいた。 人里にほど近い場所にいる群れのリーダーを勤めるドスまりさである。 このドスまりさはドスの中でもかなり長く生きており、まさに歴戦のつわものといった風情であった。 こちらは便宜上、老ドスまりさと呼ぶことにしよう。 老ドスまりさは、非常に責任感が強く、真面目なドスであった。 群れを護ることは当然のこととして、群れに属さないゆっくりや人間とも、可能な限り有効な関係を築こうとしていた。 南にれみりゃ・ふらんあればこれを蹴散らしてゆっくりを護り。 西にいじめられるめーりんあれば間に入ってこれを助け。 北に人間の里あれば「あそこには行くな」と群れに教え。 東に畑持つゆうかあれば群れには手出しさせないから安心しろと言い。 兎にも角にも、群れとその周囲の環境を護るため東奔西走。良きリーダーであろうとするあまり、ゆっくりできる日は一日もなかった。 なおかつ、群れの大半はそんな老ドスまりさの考えをあまり理解してくれなかった。 何度駄目だと言っても、自分の力を過信したゆっくりがれみりゃや人間に殺されたり、めーりんやゆうかを虐めたりするのだ。 幸いにして相手側に被害を与えたことは今のところないが、それも時間の問題であった。 元々からして、この群れはあまり素行の良くない群れであったのだ。それをなんとかしようとしたのが老ドスまりさであった。 だが全く学習してくれない群れの皆に、老ドスは疲れを感じ始めていた。 その姿たるや、さっさと引退して楽隠居を決め込みたい老体そのものであった。 そんな折である。 「ゆっ! どすがきたんだぜ! みんなこのどすまりささまのいうことをきくんだぜ!」 若ドスまりさはたまたま目に付いた群れの前に飛び出すと、早々にリーダー宣言を行った。 しかしゆっくり達の反応は、若ドスまりさの予想とは異なっていた。 「ゆゆ!! どすがもうひとりきたよ!!」 「どうしよう!? とりあえずれいむたちのどすをよんでくるよ!!」 「ゆゆゆ?」 若ドスまりさは困惑した。この群れにはもう他にドスがいたのか? 「ゆっ! 自分以外のドスまりさを見かけるのは久しぶりだよ! どうかゆっくりしていってね!」 やがて、群れのリーダーである老ドスまりさが姿を現した。 両者の大きさは同じほどであるが、見るものが見ればその纏う雰囲気の違いというものが一発で分かっただろう。 貫禄というか偉容というか、老ドスまりさにはそういったものが満ち溢れていた。 対し、若ドスまりさはそんなもの微塵もない。 また初めて山から下りてきたので、当然、ドスに対する信頼の証である髪の毛のリボンも一本もない。 これだけでどちらが格上か分かろうというものだ。 しかし若ドスまりさはそんなこと全然分かっていなかった。 「きょうからここはまりささまのむれなんだぜ! おいぼれどすはとっととでていくんだぜ!」 ここに虐待お兄さんがいたら若ドスまりさを指差してゲラゲラ笑っていたことであろう。 それほどまでに若ドスまりさの言動は身の程知らずであった。 体格とパワーが同じなら、ものを言うのは経験の差である。その点、二匹の差は天地ほどの開きがある。 ここで老ドスまりさが戦おうものなら、一分と持たずに若ドスまりさは地に伏すことであろう。 しかし老ドスまりさの発言も、また意外なものであった。 「分かったよ! この群れはまりさに任せて、私は出て行くよ!」 ここに虐待お兄さんがいたら顎が外れそうなほどに口を開いて呆然とすることだろう。 何しろ老ドスまりさには、この若輩者に立場を譲る意味が全くないからだ。 若ドスまりさも、これには流石に驚いた。 若ドスまりさとしては、群れの目の前で現リーダーを叩きのめし、自らの地位を不動のものとするつもりであったからだ。 老ドスまりさはゆっくりと説明を始めた。 「実は、もう私も歳をとってしまったから、そろそろ引退しようと考えていたんだよ! ちょうどよくまりさが来てくれたことだし、群れのリーダーは若くて強いまりさに譲ろうと思うよ!」 「ゆっ、そういうことなら引き受けてやらなくもないんだぜ!!!」 強いと言われて、若ドスまりさは得意満面である。 このドスは自分の強さに恐れをなし、屈したのだ。自分は戦わずして勝利を納めたのだ。若ドスまりさの中ではそういうことになった。 「そうと決まれば、まずみんなにリーダー交代を教えなきゃいけないよ! れいむ、群れのみんなを広場に集めてね!」 「ゆっくりりかいしたよ!」 一匹のれいむが、群れの仲間達を集めに走り去っていった。 それから一時間ほどして、全てのゆっくりが広場に集められた。 老ドスまりさと若ドスまりさは、普段老ドスまりさが皆に話しかける際に使っている盛り土の近くに控えた。 「ゆゆゆ? どすがふたりいるよ?」 「あっちのどすはだれー?」 群れのゆっくりは混乱しているようだった。一度に二匹のドス級を見ることなど、普通ありえない事態だからだ。 「みんな、落ち着いてね! 今から事情を説明するよ!」 老ドスまりさが声を張り、盛り土の上に乗った。 「突然だけど、私は今日で群れのリーダーを引退するよ!」 「「「「「「「ゆゆゆゆゆゆゆゆゆーーーーーーー!!!!!!」」」」」」」 群れは大混乱に陥った。 あまりに突然すぎる話であったし、今日まで老ドスまりさがいたから群れは存続できていたのだ。 このままじゃゆっくりできなくなってしまう、と群れのゆっくり達は総じて思った。 「でも大丈夫だよ! ゆっくり聞いてね!」 老ドスまりさはそう言って一歩引き、若ドス魔理沙に前に出るよう促した。 「今日からは、こっちのドスまりさがみんなのリーダーになってくれるよ! 私の代わりに、今日からはこっちのドスまりさをドスって呼んでね!」 老ドスまりさがそう言うと、混乱は収まったものの、しかしまだ困惑顔のゆっくりも多い。 それが若ドスまりさには不満であった。 (せっかくまりささまがりーだーになってやるっていうのに、なんのふまんがあるんだぜ!!) それを察したかのように、老ドスまりさが若ドスまりさに言う。 「さっ、まりさ、みんなに襲名披露演説をしてね!!」 「ゆっ? しゅーめーひろーえんぜつ?」 聞きなれない言葉に首をかしげる若ドスまりさに、老ドスまりさは頷く。 「そうだよ! 今日からまりさが群れのリーダーになるんだから、その前にみんなの前でリーダーとしての意気込みを語るんだよ! ここでみんなの気持ちをぐっと掴むことができれば、まりさの地位は磐石のものになるよ!!!」 「ゆゆゆっ、そういうことならまかせるんだぜ!!!」 言葉の意味はさっぱりだったが、若ドスまりさはニュアンスでそれとなく理解した。 要するに、自分がいかに頼れるか、強いかを群れの皆に教えてやればいいのだ。 「ゆっ、そういうわけで、きょうからむれのりーだーをすることになった、どすまりさなんだぜ!!!」 若ドスまりさは、老ドスまりさよりもさらに大きな声で自己紹介を行った。 それだけで、群れのゆっくりの殆どは若ドスまりさに好感を持った。 元気だし、活力に満ち溢れているし、何より若々しくて頼りがいがありそうだった。 ……実際は新しいものを目にしたときの錯覚も多分に含まれている認識だが。 「まりさは、むれのみんなにいままでいじょうのゆっくりをあたえることをやくそくするぜ!!! こっちのどすなんかよりもっともっとだぜ!!! にんげんだってやっつけちゃうんだぜ!!!」 「「「「「「「ゆゆーーーーーーーーーーー♪♪♪」」」」」」」 頼もしい若ドスまりさの言葉に、群れはいっせいに色めきたった。 群れが新しいリーダーを認めたという証拠である。 「おめでとう、まりさ! これでまりさが群れの新しいリーダーだよ!」 「ゆへへ、てれるんだぜ!」 笑顔の老ドスまりさに褒められて、若ドスまりさはとても気分が良かった。 ああ、なんと自分は幸運なんだろう。労せずしてこれほどの規模の群れのリーダーになれるとは。 老ドスまりさが、再び皆に向き直る。 「それじゃあ、私が預かっているリボンをみんなに返すから、新しいリーダーに結び直してあげてね! それが終わったら、私は群れを新しいリーダーに任せて、ここを出ていくよ!」 「「「「「「「ゆっくりりかいしたよ!!!!!」」」」」」」 後ろを向いた老ドスまりさに、群れのゆっくりが一列に並んで飛びついていく。 そして自分の分のリボンを取ると、若ドスまりさの髪に結わえ付けていった。 一時間ほどして、ようやくゆっくりがそれぞれ元の位置に戻った。 「ゆゆゆっ?」 ここで若ドスまりさが声を上げる。 てっきり全てのゆっくりがリボンを付け替えてくれたと思ったが、老ドスまりさの頭にはまだいくつかのリボンが残っていた。 そして、どうやらそのリボンの持ち主と思しきゆっくり達が、老ドスまりさの近くに並んでいる。 残っているのは、れいむ一家、まりさ一家、それにありすとぱちゅりーと子れいむが一匹ずつだ。 「ゆっ! ぱちゅりー、これはどういうことなんだぜ! せつめいをようきゅうするんだぜ!」 全てのゆっくりが自分に従っていないと気づいた若ドスまりさは、容易く激昂した。 ここでぱちゅりーが迂闊な答えを返せば、すぐにでも潰さんばかりの勢いである。 しかしぱちゅりーは落ち着いて答えた。 「むきゅ、わたしとありすはこっちのどすの『そっきん』だから、どすといっしょにたびをするわ。 こっちのこどものれいむは、ありすがそだててるこだから、いっしょにつれていくの」 「まりさ! 自分の側近を選ぶのが、群れのリーダーの最初の仕事だよ! まりさも自分の群れの中から、自分に合った側近を探し出してね!」 「ゆっ、そういうことならまぁいいんだぜ」 老ドスまりさにそう言われ、若ドスまりさは納得した。確かにこれだけのゆっくりがいるのだから選り取り見取りであろう。 「そっちのれいむとまりさのかぞくはどうするんだぜ?」 「れいむたちは、こどもがおおきくなってきたから、あたらしいおうちをさがすたびにでるよ!」 「ごはんとおうちはそのままにしておくから、みんなでなかよくわけてね!」 それぞれの家長である母れいむと母まりさが言う。 「そういうことならしかたなくもないんだぜ! わかったからさっさとみんなでていくんだぜ!」 リボンを得たことで、若ドスまりさは既に万軍、いやさ饅軍の長になったかのようなふてぶてしい態度を隠さなかった。 ここに虐待お兄さんがいればモウガマンデキナくなってその拳を振るうところであろうが、老ドスまりさはなおも温和だった。 「そんなこといわないでね! 私に元リーダーとしての最後の仕事をさせてね! 私の巣に、緊急用の備蓄食糧があるから、それをドスのお祝いに使おうと思うよ!」 「ゆゆっ、それはいいあいでぃあなんだぜ! さっさとその『きんきゅうようのびちくしょくりょう』とやらをもってくるんだぜ!」 「わかったよ! それじゃあ持ってくるから、リーダーはそこでゆっくりしていってね!」 恵比須顔のまま老ドスまりさは自分の巣に跳ねていった。 しばらくして戻ってきた老ドスまりさは、口一杯に含んでいた食糧を吐き出す。 「ゆゆゆう! ごちそうがいっぱいなんだぜ!」 「今日は皆でそれを食べて、新しいリーダーをお祝いしてあげてね! それじゃあまりさ達はもう行くよ! ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしていくんだぜ!」 老ドスまりさの最後の言葉に振り向きもせず若ドスまりさは答え、目の前の食糧に突進していった。 他のゆっくりも食糧に齧りつき、思い思いに口に収めていく。 「…………」 老ドスまりさはそれを一瞥すると、ぱちゅりー達と一緒に旅立っていった。 明けて朝。 「ゆゆんっ、ちょっときのうはたべすぎちゃったんだぜ!」 老ドスまりさの住処をそのまま我が物とした若ドスまりさ──いや、もう区別する必要もないのでドスまりさと呼ぼう。 ドスまりさは食糧庫を見て溜息をついた。 昨日はちょっと羽目を外しすぎたようだ。食糧庫の中には、昨日食べた量の半分程度しか餌がない。これでは今後が少々不安だ。 「れいむー! れいむ、はやくくるんだぜー!」 ドスまりさは側近のれいむを呼んだ。 「ゆ! どす、なんのよう?」 このれいむ、頭の出来は普通だが中々の美ゆっくりであり、ドスまりさは昨日の歓迎パーティで一目見たときから気に入っていた。 そのため即日自分の側近とすることに決め、こうして巣の中で一緒に暮らしていた。 「ごはんのりょうがこころもとないから、ちょうたつにいこうとおもうんだぜ。 このあたりでたくさんごはんがありそうなところをしっていたら、おしえてほしいんだぜ」 「ゆゆ! それならひがしにゆうかのはたけがあるよ! あのゆうかったら、きれいなおはなやおいしいくだものをひとりじめして、れいむたちにはわけてくれないんだよ!」 れいむはぷんぷん怒りながら言う。 「それならさっさとうばっちゃえばよかったんだぜ! なんでそうしなかったんだぜ!」 「だって、ゆうかをいじめるとまえのどすがうるさかったんだよ! れいむたちがいじめると、いっつもゆうかにあやまってたよ!」 「なんておくびょうなどすなんだぜ! あんなやつこのむれからおいだしてせいかいだったんだぜ!」 どうやらドスまりさの中では、『前の臆病で弱いドスまりさを自分の力で追い出した』ということになっているらしい。 「でもまりささまはそんなよわいどすとはちがうんだぜ! れいむ! みんなをあつめてくるんだぜ! ゆうかりんのはたけを、まるごとまりささまたちのものにしちゃうんだぜ!」 「ゆーん! かっこいいよ、どす! さっそくみんなをよんでくるよ!」 ドスまりさの呼びかけに応じ、群れのゆっくりの大半が集まった。 「それじゃあさっそくえんせいにいくんだぜ」 「「「「「「「ゆーーーー!!!!!」」」」」」」 気勢を上げるゆっくり達の軍勢は、森を抜け、程なく開けた場所についた。ゆうかの花畑である。 視界一杯に花々が咲き乱れ、とてもゆっくりできそうな場所だったが、しかし今、そこに主の姿はない。 「ゆゆっ? ゆうかがいないよ?」 「つごうがいいんだぜ! いまのうちにみんなでぜんぶいただいてしまうんだぜ!」 「「「「「「「ゆっくりいただいていくよ!!!!!」」」」」」」 ゆっくり達は、それぞれが思い思いに花畑の中でゆっくりし始める。 むーしゃむーしゃするもの、ごろごろと転がるもの、家に持ち帰ろうと集めるもの。 ドスまりさは花を食べたり集めたりしながら、ときどき周囲の森に横目を向けた。 どこからかゆうかが見ていたら、それに喧嘩を売ろうという魂胆である。 怒りに駆られでてきたゆうかを皆の前で叩き潰せば、皆の尊敬の眼差しはより強いものになるだろう。 しかし結局、ドスまりさが食事を終えてもゆうかは出てこなかった。 「ちっ、つまんないんだぜ! せっかくゆうかをいじめられるとおもったのに!」 「ゆー、しかたないよ、どす! きっとどすのつよさにおそれをなしてにげちゃったんだよ!」 「おくびょうなやつなんだぜ! ゆぇーっへっへっへっへ!!!」 「「「「「「「ゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラ!!!!!」」」」」」」 ゆっくり達は大笑いすると、既にぼろぼろになった花畑を自分達の縄張りにすることを決め、群れに戻っていった。 午後からは、西にいるというめーりん一家のところに行ってみることにした。 「ゆゆっ! くずめーりんがいないよ!」 「おいっ、くずめーりん! さっさとでてくるんだぜ! またいじめてやるんだぜ!」 ゆっくり達は口々に、めーりん一家の住処である古木のうろに向かって叫び続けるが、出てくる気配はない。 ドスからめーりんを虐めることを厳禁されていたこともあって、ゆっくり達のめーりん一家への憎悪は並々ならぬものがあった。 「ゆっゆっゆ、まぁまぁみんな、そんなにあせることはないんだぜ」 いかにも大物らしく身体をゆすり、ドスまりさは笑う。 「どうせめーりんも、このまりささまのきょうだいさにおそれをなし、すがたをかくしているにちがいないんだぜ。 だからいまはみのがしておいてやるんだぜ。そのかわりいつかみつけだして、そのときはじっくりいたぶってやるんだぜ。 せいぜいのこりみじかいじんせいをたのしむがいいんだぜ」 「むきゅん! さすがどすらしい、かんだいなおこころだわ!」 「めーりんもいのちびろいできて、どすにかんしゃしてるはずなんだぜ!」 「ゆぇっへっへっへ!!! そうだぜ、まりささまはやさしいんだぜ!!!」 笑いながら、ゆっくり達は元来た道を戻っていった。 さて。 戻ってきたはいいが、結局あまり食糧は集まらなかった。 朝に比べればそこそこの量にはなったが、しかしこれではすぐになくなってしまうという予感がドスまりさにはあった。 昨日食べたほどの量をなんとか恒常的に確保したい、というのがドスの願いである。 一度贅沢を覚えてしまうと、多少のものでは満足できなくなってしまうものだ。 「しかたないよどす! きょうのところはがまんして、あしたまたたくさんあつめようね!」 にこにこ顔で側近れいむが言う。その美しい笑顔に思わず見とれてしまうが、しかしやはり食糧は欲しかった。 何か名案はないものか、とドスまりさは考え、そしてぴんと思いついた。 「そうだぜ! にんげんのたべものをうばってしまえばいいんだぜ!」 「ゆゆゆ!」 側近れいむが色を喪う。 「にんげんはだめだよ! ゆっくりできなくなっちゃうよ! むれのなかまも、なんにんもにんげんのところにいってもどってきてないんだよ! まえのどすも、にんげんにだけはちかづいちゃいけないっていってたよ!」 だがドスまりさは気にした風もなく、力強く言った。 「だいじょうぶなんだぜ! まりささまはまえのよわっちいどすとはちがうんだぜ! にんげんなんてちょちょいのちょいなんだぜ! しんじるんだぜ!」 バチン、とれいむに向けて含みを持たせたウインクをする。キモイ。 「ゆゆん……! かっこいいよぉ、どすぅ……!」 その勇ましい顔に、れいむは瞳を潤ませる。キモイ。 「それじゃあ、まりささまはこれからにんげんのところにいってくるんだぜ! れいむたちはみんなといっしょにまりささまのかえりをまってるんだぜ!」 「ゆっくりまってるよ!」 れいむの見送りを受け、ドスまりさは森の中を跳ねていった。 「ゆっ、ゆっ、ゆっ、ゆっ……」 そうしながら、ドスまりさは思考する。 さっきはついあんなことを言ってしまったが、ドスまりさとてそう簡単に人間から食糧を得られるとは思っていなかった。 しかし、それほど難しいとも思っていなかった。 何しろ人間の里の近くで、あれだけの群れが維持されてきたのだ。恐らく、老ドスまりさと人間達の関係は良好であったに違いない。 なら自分が新しいドスを襲名したと言えば、昨日の老ドスまりさのように、お祝いとしてある程度の食糧は用意してくれるだろう。 いや、そうでなければならない。このつよいまりささまに、にんげんはしたがうべきなのだ。 従わなくても、こちらにはドスパークがある。その威力は実証済みだ。 人間を見たことはなかったが、話に聞いた限りでは、それほど強いものだとも思えなかった。 「ゆっへっへ、このよのすべてはまりささまのものなんだぜ……!」 そう意気込みながら、ドスまりさは森を下っていった。 そして開けた場所に出る。地面には規則正しく野菜が並び、その真ん中で直立した細長い生き物がどすまりさを見ていた。 あれが多分人間なのだろう、とドスまりさは思った。思っていたよりもずっと弱そうである。これなら労せずして食糧を得られるに違いない。 とりあえず、ドスまりさはゆっくりのリーダーとして挨拶をすることにした。 「ゆっ、おじさん、まりささまは「ドスまりさが来たぞーーーーーーーーーーーーー!!!!!」ゆゆゆっ??」 ドスまりさの言葉を最後まで聞かず、人間は後ろを振り返って大きな声で叫んだ。 何事かとドスまりさが思っていると、遠くから両手を上に上げた人間達が、大きな声を上げながらこっちに走ってくる。 (ゆゆっ、みんなでまりささまのりーだーしゅうめいをおいわいしてくれてるんだぜ!) そう思ったまりさは、まず人間達を落ち着かせようと声を発した。 「あわてなくていいんだぜ! まずひとりずつならんで、それからまりささまにごはんを「死ねこの化け饅頭が!!!」ゆびゃえっ!!??」 人間の一人が振り下ろした大木槌が、ドスまりさの額にめり込んだ。 「とうとう来やがったな、クソ饅頭ッ!!」 「オラァッ、潰れろッ!!」 「やっぱり餡子脳じゃ『協定』のことは忘れちまったようだなぁ!!!」 何も言わないうちに、ドスまりさは複数の屈強な男達からタコ殴りにされた。 「ゆびぇっ、ゆげべっ、べぇえええ!! やべでえええええ!!」 ドスまりさは突然の事態についていけなかった。 身体が大きく、ドスパークを使えようとも、このドスまりさには経験が足りなかった。 しかも痛みらしい痛みも知らずに育ったため、最初の一撃ですっかり闘志を折られてしまっていたのである。 「うるせぇっ! 約束も守らねぇゆっくりにかける情けなんかねぇんだよっ!!!」 「折角、最後の頼みだって言うから聞いてやったってのに! 甘さを見せた結果がこれだよ!!!」 「じらないぃぃぃ!!! やぐぞぐなんでじらないんだぜえええ!!!」 「しらばっくれるんじゃねぇ!!!」 「げびっ!!!」 ドスまりさの口から、大量の餡子が吐き出された。 ……実は、前リーダーである老ドスまりさは、人間達と『絶対不可侵協定』なるものを結んでいた。 その内容とは、ゆっくりが人間の里に一歩でも入った場合、その後の進退にドスまりさは関与しないというものであった。 ドスまりさの威光を笠に着たゆっくり達の度重なる襲撃に業を煮やした人間達が、老ドスまりさに突きつけた最後通牒であった。 もしドスまりさが罪を犯したゆっくりを庇い立てするなら、いかなる犠牲を払おうとドスまりさを討伐するとまで宣言して、である。 老ドスまりさは、すんなりとこれを呑んだ。 老ドスまりさとしても、正直なところ人間に迷惑をかけるゆっくりの扱いには頭を痛めていたのだ。 注意しておいたのに、それに従わないゆっくりにかける情けはない、と老ドスまりさも決断したのである。 しかし今のドスまりさ──若ドスまりさはそれを知らなかった。 当然だ。老ドスまりさがそれを教えなかったのだから。 いや、教えずとも、れいむを通して注意は喚起されていた。だがドスまりさは、それを無視した。 リーダーが変わろうと協定はいまだ有効であり──その範囲には、当然ドスまりさも含まれていた。 「ぢがうぅぅぅう!! まりざざまはどずなんがじゃないんだぜええええ!!」 ようやく殴られる理由を理解したドスまりさは、必死に主張した。 ドスまりさからしてみれば、自分の知らないところで交わされた約束で撲殺されようとしているのだからたまったものではない。 「嘘つくんじゃねぇ! そんなに髪にビラビラとリボンつけたゆっくりが、他にどこにいるってんだよ!!!」 「今更言い逃れしようなんざふてぇ野郎だ!!!」 だが人間達にとっては、その言葉は通用しなかった。 当然である。普通の人間に、ゆっくりの顔の区別はつかない。ましてや、ほとんど姿を見せないドスまりさである。 人間達にとって、『人間より大きく髪の毛にたくさんリボンをつけているゆっくり』が、即ちドスまりさなのだ。 「オラァ! さっさと逝けやデカブツがぁあ!」 「ゆがばぁあああああ!!!」 人間達が、木槌で、木刀で、もしくは石で、ドスまりさを滅多打ちにしていく。その度に、ドスまりさは口から餡子を吐き出していった。 そんな折、ドスまりさの帽子からぽろりと大きなキノコが落ちてきた。 (ゆ……!) そこに、ドスまりさは希望を見出した。落ちてきたのは、ドスパーク用の魔法のキノコであったからだ。 必殺のドスパークを使えば、こんな人間達など一発で消し飛ばせる。そう思い必死に舌を伸ばして、 「させねぇよ馬鹿!」 「ゆんびぇっ!!!???」 キノコを蹴り飛ばされた挙句、伸ばした舌を踏みつけられた。最後の希望を絶たれたドスまりさは、両目から目幅大の涙を流した。 もっともチャージタイムのかかるドスパークでは、撃つ前に阻止されていただろうが、ドスまりさはそんなことにも気づかなかった。 舌を踏みつけた男が、チッ、と忌々しげに舌打ちをする。 「こうなった以上、群れも放置しておくわけにゃいかねぇな。おい又八、他の男衆連れて森のゆっくり片付けろや。加工所にも応援呼んどけ」 「おうよ」 「どっ……どぉじでええええええ!!!??? まりざのむれになにずるのぉおおおおおおお!!!???」 男の一人が唾を吐き捨てた。 「ほれ見ろ。やっぱこいつ覚えちゃいねぇ。自分から言い出しやがったくせに」 「ドスっていうくらいだからちったぁマシな気もしたが、そんなことはなかったぜ!」 かつて老ドスまりさが人間と結んだ協定には、もう一つの要素があった。 もしドスまりさ自ら人間の里に侵入した場合は、群れ全体を殲滅して良いという内容だった。 これは老ドスまりさが人間への誠意の証として自ら提案したものであり、それを受け、人間も人里に入ったゆっくり以外には手を出さないと決めたのだ。 勿論、このドスまりさはそんなことは知らない。 「じらないいいいいい!!! まりざはぞんなやぐぞぐじでないいいいいいい!!!」 「ああうっせぇ。おい、さっさと黙らせようや」 「おうよ」 それからドスまりさは男達からしこたま殴られ、餡子をきっかり半分吐き出させられると、リヤカーに乗せられ、縄で縛り付けられた。 「ゆ……が……が……」 息も絶え絶えなドスまりさは、男達の手によって、森の奥まで運ばれていく。 そしてある地点に辿り着くと、男はリヤカーを傾け、その光景をドスまりさに見せ付けた。 「……ああああああああああああああああああああああああ!!!!!」 ドスまりさは叫んだ。 あたり一面に広がる餡子の海が、一体なんであるのかを理解した。 生き残っているゆっくり達は、その全てが人間の持つ網の中に詰め込まれていた。 「むれがあああああああ、まりざのむれがあああああああああああ!!!」 「うるせぇ!」 「ぐぎぇっ!」 男の拳が、傷だらけになった顔面を殴りつける。 「うわああああああん!」 「ゆっくりできないよぉおぉぉぉぉ!」 「どすぅぅぅぅ! たすけてぇえええええ!!!」 数匹のゆっくりが、人間の手を逃れてドスまりさのほうへ向かってくる。 「まーだいやがったか」 近くにいた人間が、それを足で一匹ずつ踏み潰していく。 「ゆぎぇっ!」 「おねーじゃああああわびゅっ!」 「どうじでええええ! なんでだずげでぐれないのどずううううう!!!」 「ああ、ああああ……」 ゆっくり達は、ドスまりさに助けを求めながら、ドスまりさの前で朽ち果てていった。 その中には、あのれいむもいた。 「れいぶぅぅぅぅぅぅ!!!」 れいむは後ろ半分を踏み潰されていたが、まだ息はあった。美しい髪も半分以上が喪われ、見る影もない。 「じっがりずるんだぜっ! れいぶ、じんじゃだめなんだぜええええええ!!!」 どう見ても助からない傷だったが、ドスまりさは叫んだ。叫ばずにはいられなかった。 尋常ならざるドスまりさの様子に、男達はれいむにトドメを刺すのを待ってやった。 れいむは、自分に赦された最後の力を振り絞って、ドスまりさへの別れの言葉を呟いた。 「……どずの、ぜいだ……」 「ゆゆっ!?」 「どずが……にんげんだぢに……でをだじだりなんがずるがらだ……」 「どぉしてぞんなごどいうのぉぉぉぉぉぉ!!??」 「うるざいッ!!!」 死に体だとは思えぬ大喝に、ドスまりさは竦んだ。 「うぞづぎっ、うぞづぎっ、にんげんなんがに、がでるなんで、どうじでぞんなうぞづいだのぉぉ……。 おまえみだいなぐぞまりざ、どずでもなんでもないよ……!」 「ぢがっ、ぢがうううう!!! まりざざまはほんどにづよいんだぜぇええええ!!! ほんどなんだぜえええ!!!」 だがれいむには、もう答える気力も残されていなかった。 話が終わったと見て、男はれいむを踏み潰すために足を振り上げた。 「ゆっくり……しね……」 それを最期の言葉として、れいむは飛び散った。 ドスまりさは、自分の群れの崩壊を最後まで見せ付けられた。 そしてそのまま、森の中に放置された。 続く このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/2356.html
*fuku5204の表示を調整したものです。* *虐待少な目です* *とても良い目に合うゆっくりがいます* *とても良い目に合うお兄さんがいます* 踏まれてゆっくり とてもゆっくりできる場所で、今までに誰も見たことのないゆっくりが居る。 目撃されたと噂されている、その時点で語るに落ちてはいるのだが、つまりは 新種のゆっくりだろう。 ゆっくりづての話ではあるが、暇だった私はここを訪れたのだ。 人の立ち寄らぬ山奥。ゆっくりがゆっくり出来る、ここ一帯の中でも最高のゆ っくりプレイスがあると、ゆっくり達は言っていた。そうは聞いていたが、まさ かこれほどまでにゆっくりしているとは思いもよらなかった。 最も近隣の村から数えて、約1万5千ユクリード(1ユクリードは標準的なゆ っくりが一跳ねする程度の距離)程はあるのだろう。人も踏み込まぬ聖域と化し たこの場所は、谷と急斜面が入り組んでいることもあり、獣も少ないのだろう。 華咲き乱れ実りは熟し、穏陽差し込み抜ける風蒼し。豊穣の女神が2ダースくら い乱舞しているのかと思わせるような、ゆっくりの楽園であった。 世話をしているゆっくりを共に連れてきたのだが、かつて見せたこともないほ どゆっくりした表情を浮かべている。 「わかるよー」 しきりに頷いているのが、なんかずるい。 その「誰も見たことのない新種のゆっくり」は、ひっそりと木陰で涼んでいた。 「ゆっくりしていってね」、と挨拶する。『ゆっくりしていってね!』、そう返 事が来るものとしか思っていなかった私は、衝撃を受けた。 「ああ、是非ゆっくりして行ってください」 礼儀正しい!? 「わかるよー、ゆっくりしていくよー!」 それに比べてうちの子は。しかし、妙に嬉しそうだな。「らんしゃまを探す」 「見たことの無いゆっくりと友達になる」。目的の半分を消化したのであるから、 わからないでもないが。実を言うと、ただ山を歩き回るだけでなく、こいつのお 婿さんを探してたのである。新種が見つからなかった場合の、精神的口実に備え て。両方やらなければならないというのが、ゆっくり飼い主としては辛いところだ。 「よろしくね、ちぇん。それと、おね……にいさん?」 「おねえさんだ馬鹿者」 近寄って軽く踏みつける。 短めの髪に活動的な雰囲気を身にまとった私は、まあ男性に見られることも少 なくないのだが、とはいえ乙女の純情を踏みにじった対価は、自分が踏みにじら れることで支払わせるしかないだろう。 ちなみに山林を踏破するためにくるぶしまで隠れる丈夫なズボンを履いて来た ため、躊躇はない。 小娘が好んで着るようなひらひらとしたスカートであっても、躊躇はなかった だろうが。 まあそんな服飾は私には似合わないんだよなと――背中に忍び寄りつつある嫌 な予感から逃避するかのように、足の下に居るゆっくりとやらをやさぐれた心の 傷だけぐりぐりと踏みにじる。耳に良い影響を与えないような音響は、脳の片隅 で遮断しているので、例えばゆっくりみたいな変な物体の泣き叫ぶ声とかそんな 音があったとしても、何も聞こえない。あーあー、きこえなーい――考えつつ、 多分20分くらい続けて、諦めた。 「で、ちぇん。これ何ゆっくりだ?」 「ゆっくりはゆっくりだよ? わかるよー?」 小首をかしげる猫又なゆっくり。ううむ、かわゆい。近くの木に寄りかかり、 頬をつい、となぜてやる。 「たとえばお前はちぇんだな。向こうではしゃいでいるのは、まりさやれいむだ。 さてこいつは何ぞや?」 「むむっ! うーと、まりさ……いやぱちゅりー……? わ、わからないよっ!?」 だろうなあ。視線をさまよわせて悩み込んだちぇんを尻目に、観察してみる。 まず目につくのは飾りの多さだ。まりさの帽子やれいむのリボンなど、ゆっく りの飾りの切れ端を、ドスまりさもかくやと言う程に髪に飾りつけている。黒髪 は5分で刈り上げ、黒目をまとうまつ毛の切れは、なかなかに鋭いものを思わせ る。ゆっくり特有の下ぶくれはなく、全体的に精悍な顔つきだ。 こんなところより公園のベンチでツナギを着たまま座っているのがお似合いな 印象を受ける。あくまで印象だけだが。赤く染まった目元に残る涙の後が、過去 にあったであろう悲惨な不幸を思わせる。きっとたぶん明かに確定的に、今日以 前の過去にひどい仕打ちに遭遇した、その名残なのであろうな。 つーかもしかしなくても、こいつってさ。 「はい、自分は『ゆっくりおにいさん』です。ゆっくりしていってね。もう痛い ことはゆっくりやめてね!」 誰何の疑念が声に出ていたらしく、そいつは礼儀正しく自己紹介した。 「ていうかお前ゆっくりじゃないだろ。地面に埋まって、首を出しているだけだろ!!?」 「はっは、ばれましたか。自分はこうやってゆっくりとしむぎゅ」 勢いをつけて顔の中心を踏み抜く。 バカバカしいぞ本当。乙女がこのためだけに、一体何日の野宿を重ねたと言う のか。その柔肌を幾度の雨露に曝してきたと言うのか。 「い、痛いですっ!?」 「黙れ馬鹿」 自分がおろかであることを否定するかのごとく、目の前の「ゆっくり」を踏みに じり続ける。 「あ、あまり上品だとは言えませんよっ!?」 「もし自分の精神安定のためだけに他人を攻撃するとしたら、その人格は社会から 否定されることだろう。それほどまでに忌むべき行為であろうな。が、このまれに 見るゆっくりプレイスにいるのは、どうやら私と、とてもゆっくりしているゆっく りだけのようだ」 「いや自分は」 「そして人里では野良ゆっくりを攻撃することは村全体への間接的奉仕となるため、 この行為はもうまったくの慈善活動だ。やれやれ、自己を省みない奉仕の心が、ど うやらここでも遺憾なく発揮されてしまったようだな。本来ならば何らかの対価を 以て充当すべき行為ではあるが、その支払いに応じてくれるような存在は、山二つ を超えてなお存在しないのであろうな。我が事ながら頭が下がってしまって、もう 諦めて力任せに足を踏みにじるくらいしかやることがない」 「その足の下には哀れなおにいさんが居るんですけどねっ!?」 「もしお前が『おにいさん』とか言う、人間に準じる程度の小汚い種族であるならば、 何かそれを証明出来るよなあ。具体的にはこの行為への対価だが。いやいや何とは言 わないが、まあ亜人間種であることを証明することの出来る程度には価値のある、社 会経済を発展させる上で極めて重要な位置づけを占める物とか」 「お、お金なんて持ってませんんんんんっ」 例え身につけていたとしても、私には掘り起こせないのだろうが。 「おやおや、声はすれども人の姿は見えず。果てさて、面妖なことじゃなー。ちなみ に棒読みだ。あまりにも感情が入りすぎて棒読みに聞こえないかもしれないが、それ は内面からにじみ出る憤怒によるものであるが、私はちゃんと棒読みを心がけている のだぞ。ぐりぐり」 「やべでえええええ」 空が青いなあ。帰るの面倒だなあ。どうやって帰ろうかなあ。らんしゃま見つかる かなあ。見つかるといいなあ。 「自分は、自分は、……虐待お兄さんなんですぶううううう」 ふと、ちぇんを見やる。どうやら馴れないことを考えていたからであろうか、寝て しまったらしい。ゆっくりとしている夢でも見ているのだろう、ぴくぴくと反応する しっぽがほほえましくて、ついつい足にも力が入るというものであった。 「わかるよー! ……わかー?」 先ほどのゆっくりプレイスから、斜面を少しばかり上った所。 土中に埋まっていた、自称ゆっくりおにいさんこと元虐待お兄さんから、労働及び 赤く汚れた靴の対価として借り受けた――巻き上げたわけではない。あくまで有利な 状況で結んだ賃貸契約に過ぎない――、小さめの屋敷とでも言えるくらいに頑丈で広 い作りとなっている山小屋で人心地ついていると、目覚めたちぇんが不思議そうに見 回していた。 「さっきのゆっくりはね、ゆっくり出来ないゆっくりだったんだ」 「わ? わからないよー?」 眉を寄せるちぇんに――ついでにしっぽもくるりと丸まっている――、ゆっくりと 説明をする。 土中に埋まっていた変人は、つまるところ虐待に飽きた元虐待お兄さんであった。 人との交流を避け、来る日も来る日もゆっくりを虐待していたため、一切の新鮮味が 無くなってしまったのだという。生きる糧を失った彼は、ゆっくりとして生きること で逆にかつて持っていたゆ虐の精神を取り戻そうと考えたそうだ。ところが何の因果 か、彼にはゆっくりをゆっくりさせることの出来る才能があったらしい。自ら土に埋 まりながらも、ゆっくりに排斥されることなく、珍しいゆっくりとして認識され、慕 われたのだと言う。各種の飾りはその慕情の証であったのだろう。とは言え食事や生 活など何らの考えなく埋まった彼にとって、ゆっくり達からの援助無くして生きるこ とは不可避であっただろうことも、想像に難くない。 ゆっくりとの共生のために、彼女らに知恵と知識を与えるしかなかった彼の心境は、 いかなるものだったのだろうか。もはやゆ虐の民としての誇りは失われたのであろうか。 ここで私が出来ることは、ただ一つ。彼の遺志を継ぎ、ゆっくりを虐待することで しかない。私は特にゆっくりの虐待が好きなわけではない。だが彼が失った誇りと魂 を昇華させるために、あえて。そう、あえて、なのだ。……「まあどうでもいいか」 と思えることをせねばならないんすよ。主にらんしゃまが見つかるまでの暇つぶしく らいの感覚で? まあ、暇だし? ぶつぶつ。 「わかるよー! らんしゃまを探すんだね! 早く行こうよー!」 話聞いてないよな、こいつ。 「うん、今日は疲れたし、軽く近くを見て回ろうか。ご飯集めなきゃね」 「わかるよー」 ちぇんは、ぴょいんと私の肩に飛び乗ろうとして、目測を誤りずり落ちた。 「やっぱゆっくりって可愛いなあ。虐待するの面倒なんだよなあ。台詞考えたり、濁点 付けたりするのが特に」 「ゆ? おねえさん何か言った?」 「いやいや、ただ誰か本当に状況と種族ごとに分類した台詞データベース構築して関連 用語抜き出せると楽でいいんだよなあとか、突然閃いただけだよ」 どういう意味なのかは自分でもわかんない。わからないよー。 「やあおねえさん。おや、着替えたんですか? スカート姿も似合いますね。ゆっくり していってね!」 「「「ゆっくりしていってね!」」」 元虐待お兄さんと、その周りで一緒になってゆっくりな歌を歌っていた大小様々なゆ っくり達が、私たちを歓迎した。遅めの昼食を終えた私達は、再度このゆっくりプレイ スへと赴いたのであった。小屋を借りた手前もあるし、作りすぎた昼食の差し入れに来 たのだ。普段ろくな物食べてないだろうしね。べ、べつに、あまりにもみすぼらしいと か、哀れすぎるとか、変なにおいが気持ち悪いとか言う理由じゃないんだからねっ!? ……言い訳完了。これで誰も、こいつがみすぼらしいとか哀れだとか変なにおいがす るだなんて、ひとかけらも思わないだろう。 ちなみにスカートに履き替えたのは、さっき男と間違えられたことが悔しいからなど では決してなく、小屋周辺に限ればとても穏やかな地形で、過ごしやすいことが判明し たからで、決してさっき男と間違えられたことが悔しいからではないのだ。大切なこと なので二回言った。ふう、言い訳完了。 ……なんだか言い訳してばっかりだ。 「細くて白い足がとても綺麗ですね! こうしてみるとまるで女の子のように見えぶぎゃっ」 「黙れ馬鹿。ぐりぐり」 「やべてー! ていうか、見えちゃいますよ!?」 「ん? 何が?」 「え、気づいてない? まじで? 気づいてないなら見ちゃいまぎゃあああああ」 目を開けた瞬間を狙い、かかとで踏み抜いた。まあこれくらいにしといてやろう。 「お、おねーさんゆっくりしていってね!?」 「ゆっぐりでぎないよおおお!」 周りからゆっくり達の悲痛な声が聞こえてくる。そういえばゆっくりがいることを、 しゃっきりぽんと忘れていた。 「ああ、大丈夫だよ。こう見えても私はね、このお兄さんとは仲がいいんだ、ほらこう してご飯を持ってくるくらいに」 差し入れを見せて、敵意がないことを示すと、途端にゆっくり達は周りに集まって来 た。ていうか地面に置いた土産に群がってやがる。 「ぐううう、めがあああ、ぐ、ぐぎぃ、くろ……え、ご飯くれるの? 俺に? まじで?」 「まあな。家くれたし。あ、ゆっくりいくつか貰ってくから」 「うん、わか……今なんて?」 「おーいおまえら、それはこいつのご飯だぞ、我慢しとけ。代わりに、そうだな、家に 連れて行ってやろう」 「「ほんと!? ゆっくりできる!?」」 「え、なんて言ったの? ねえ何か変な事言わなかった? ねえねえ!?」 その場に居たゆっくりは、れいむ、まりさが1匹づつ、赤れいむ、赤まりさが3匹づつ。 多分ではあるが家族なのだろう。 「わかるよー、ちぇんと一緒にゆっくりするんだねー」 肩から飛び降りたちぇんが、早くもゆっくり達と追いかけっこをして遊び始める。 その間に私は元虐待お兄さんから小屋の作りや道具についてレクチャーを受ける。 「えーと、何かするんですか? 黒ですか? そのゆっくり達を”可愛がる”んですか? ひょっとして黒ですか? ところでそのスカートの下に身につけていらっしゃるであ ろう衣服の色彩を一言で言い表したとしたならば、万人が万人諸手をあげて『黒』と答 えるであろう色で間違いはないですよね!?」 会話の間に執拗なまでに挟まれる漆黒なる台詞を流しながら、ようようにして聞くべ きことのあらかたを聞き終えた私は、何かを期待する変態の眼差しに、残念な事実を告 げてやる。 「ジャージ」 「うがああああああああああああああああああああああああああああああああ」 おお、物の見事に失望してやがる。あわれあわれ。 土産は簡単な野草サラダだ。地面に置いた皿に軽く盛っておいた。こうしておけば、 お腹が空いたときにでも食べられるだろう。 「さ。みんな帰るよ」 「わかるよー!」 「まっちぇにぇ! ゆっきゅりかえりょうね!」 「ゆゆっ、待つんだぜみんな、ここにゆっくり出来るごはんが落ちているぜ!」 「「「ゆっきゅりー! むーちゃ、むーちゃ、しあわしぇー!」」」 「ってそれ俺のおおお! 半年ぶりの、まともな飯がああああ!」 「おにいさん、ここはれいむ達のゆっくりプレイスだよ! ゆっくり出来ないなら出て 行ってね!」 ですよねー。 まあどうせ、こいつは動けないし、どうあがいても食えなかったのだろうけど。話に 聞いたほど慕われてはいないみたいだし。むしろおもちゃの扱いを受けているんじゃな いか? 飾りも、親愛の証などではなくて、所有権の主張だったりして。 「もう行くよー」 「「まって、まってにぇ!」」 陽の傾いた森の中、ゆっくりの速度に併せて家路に付くのもオツな物かもしれない。 後ろから、明日は何も履かないで来てねぇぇと言う誰かの魂の叫びが聞こえた気がす るが、多分気のせいだろう。あいつの名前は今から”変態”に決まったことは、だから ただの偶然だ。変態なんだからそんな不条理も許されるのだ。がんばれよ、変態。 小屋の改装――といっても大してすることもなく、動きにくくなっていた装置に油を 差したり、簡単な掃除をした程度だ――を終えた頃だろうか、遊びつかれて寝ていたゆ っくりの家族が起きだした。 気配はすれども、ゆっくり独特の発声が聞こえてこない。声の出ないよう、彼女達が 寝ている間に、口に布を詰め込み、塞いでおいたからだ。 ちぇんは別室で寝かしつけているので、防音に優れたこの小屋の中では、大声を出し たところで気付きはしまい。これは、虐待に馴れていない私が、不愉快にならないため の処置だ。 「まあわざわざ虐待する必要なんてないけど、ものは試しってやつで」 誰に言い訳するでもなく、とは言え私を第三者の視点で見ている者などは存在し得な いのだから、自分に対して言い訳をしているのは確定的に明らかなのだが、それはさておき。 異変に気付き恐慌に陥るゆっくり達に向かって、私は説明を始めるのであった。 「諸君。お気づきのとおり、君たちは今声が出ない。なぜなら、私が『ゆっくりできな くした』からだ。そう、私は実は、美しく麗しい『ゆっくりできない』お姉さんだった のだ。これからの諸君らの命運は辛苦に染まることになるだろう。ここで死ぬまで私に 蹴られ、殴られ、辱めを受け、子を為して子に食されるのだ、例えるとするならばだが。 諸君らは標準的な被虐ゆっくりとして生きることになるだろう。ゆっくりの知能でこの 部屋を脱出することは不可能だから、もし私が愛想を尽かしたとしても、諸君らはここ で餓える以外の選択肢を持ちようがないのだ。諸君らが私に対して、何らかの延命措置 を述べたいと言うのであれば、私を満足させる行動を以って請願する他に、どういった 手段が取れるだろうか。否。そもそも諸君らは……えい」 親ゆっくりが体当たりをしてきたので、自分でも意味不明であった演説を中断し、踏 みつける。口が塞がっているんだが……踏みつけた足を通して、悲鳴だか呻きだかが漏 れてくる。おお、愉快愉快。 「説明が悪かったか。ええとだな、つまり、お前達は『一生ゆっくりできない』と言う ことだ。私に逆らうと」 ゆっくり達を舐め回すように観察する。未だ状況を理解できない赤れいむ。期待の眼 差しを親に向けている赤まりさ。我関せずとばかりに寝ている赤れいむ。 「赤んぼう可愛いね。でも体当たりされて足が痛いんだよね。むしゃくしゃするから、 よし、潰そう」 踏みつける対象を、親まりさからねぼすけの赤れいむに変更した。 「あ、これ面白い。足の裏で、今にも潰れそうな体を、必死にひねって逃げようとして るんだよな。その蠢いている感触がこそばゆい。あと一押しで皮が裂けて、腐った芋の ようにぶにゃりと崩れそうなんだよね」 親達の体当たりがより強くなる。だが気にする程ではない。 「きっと痛いなんてものじゃあ、ないよなあ。大きな石で体を潰されている感触かな? 丸太に皮の端が挟まって、そのまま丸太の下敷きになる見たいに。餡子が、ゆっくり、 ゆっくりと外側へ移動して行くのって、とても痛いんだろうねえ。人間で言うと、皮膚か ら剥離した骨や筋肉が、砕かれながら搾られているような物だしねえ。可哀想に、まだ小 さい赤ちゃんだと言うのに、私に反抗するゆっくりなんぞを親に持ったばかりに!」 絶命寸前であろう赤れいむを親に見えるよう、足を移動させた。後頭部を押付けている ため、親と対面しているのはぱつんぱつんに膨張し、今にも張り裂けようとしている赤れ いむのいびつな顔であろう。内容物によって限界まで引き伸ばされた皮は、奇妙な笑み以 外に表情を浮かべることは出来ないであろう。横長に膨らんだ赤れいむの左右で、こぼれ 落ちてしまうのをかろうじて堪えているうつろな眼球は、果たして何かを映してはいるの だろうか。空気の詰まった紙風船のように、容易く裂けてしまうであろう赤れいむのその 命を握っているのが誰であるのか、さすがのゆっくりであっても理解出来たのだろう。親 ゆっくりは赤ゆっくりに駆け寄り、助け出そうと健気に私の足を押し返す。 私に反抗しないこと、これからする説明をよく聞くことを理解させた上で、解放する。 瀕死の赤れいむに、言葉を掛けてやることも出来ない家族。ほお擦りすら余命を縮める行 為なのだろうと、ゆっくりなりに理解しているのだろう、力なく舌を使って舐める程度だ。 死んでは元も子もないので、煮詰めた野苺を与えておく。餡子が漏れたわけでもないし、 すぐに回復するだろう。 「説明を再開するよ。ええと、この部屋には、『罠』が仕掛けてあります。50ユクリード、 かっこ1ユクリードは標準的なゆっくりが一跳ねする程度の距離かっこ閉じる、四方のこの 部屋に、タイルが敷き詰められているのです。床を見ると、白と黒がまだらになっているだ ろ? このあるマスを踏むと、ゆっくり出来なくなると言うことだ。例えばこのマスは落と し穴で、下に槍が隠れている。ほら、ぱかぱか開くだろ?」 足で踏むと、開いたタイルの底に、鈍く光る刃が隠されていた。 「君たちは『れいむ』と『まりさ』に分かれて、交互に罠を掛け合ってもらう。……のだが、 今説明しても理解が追いつかないだろうから、今日はこのへんでお終い。みんなゆっくりし ていってね!」 罠の設置された部屋で、声を出すことも出来ないゆっくりがどうやってゆっくり出来るの かは私は知らないが、まあなんとかなるだろう。食事は取らせるしね。 声も上げられず身を震わせて嘆いているゆっくりの家族を後に残して、部屋を出た。その 際、殺傷力のないただの落とし穴を踏み抜いてしまったことは乙女の秘密だ。 寝室に戻ると、ちぇんはいまだ寝ているようだった。もう昼だと言うのに。窓から差し込 む木漏れ日が、秋の深まりを優しく告げているように思える。 雪が降るまでには、家に帰らないといけないなあ。 「らんしゃまぁ~」 つぶやいた寝言は、まだ見ぬ伴侶に向けてのものだろうか。 彼女を起こさぬように胸に抱いて、私も午睡を嗜むことにした。 *次回予告* 家族を襲う数々のゆっくり。 だがそのゆっくり達とて、自分達を襲わねば死あるのみであったことを、ゆっくりの家族は 己の身を持って知ることとなる。 引き離された家族が出会うのは、殺戮の罠の中でしかないのか。 次回「愛、罠、ゆっくり」 1億円宝くじが当たるくらいの期待度で待て!
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/969.html
ゆっくりいじめ系685 ゆっくりのいる街7 ※人物オリジナル注意 「ゆっくりやめてね!!!ゆっくりさせてね!!!」 「ゆっくりにげるよ!!!ゆっくりこないでね!!!」 「逃がすなー!」 「だいじょーぶだって!すぐ追いつけるよ!」 「ほーら追いつめた」 「ゆっくりやめてね!!!ゆっくりやめてね!!!」 「ゆっくりさせてね!!!ゆっくりさせてね!!!」 「「やーだよ!」」 「ゆぎゃあああぁぁぁぁぁあああぁぁあ!!!」 「もっどゆっぐりじだがっだよおおおぉぉおぉぉおお!!!」 ドスまりさが死んで数日が経った。 ドスの里全滅の知らせを受けたことにより今までドスを恐れてなりを潜めていた虐待派やゆっくりの存在自体を快く思ってなかった者達、 また「ドスまりさが人間を殺そうとしていた」事実を知りゆっくりの危険性を感じ取った者達は 毎日のようにゆっくりを狩り続けていた。 善いゆっくりも悪いゆっくりも関係なく。 いや、彼らはみなこう思っていた。 「ゆっくりの存在自体が悪なのだ」と。 人々がゆっくりを狩り続けた甲斐があり、この街にいるゆっくりの数は極端に減った。 「この街はゆっくりできない」そんな噂がゆっくり達の間に流れ始めたこともある。 今この街にいるゆっくりはその噂を知らぬ者、それを知りながらこの街で「ゆっくり」している己の力を過信した愚か者、食糧難でやむなく街に降りてきた者の 三通りしかいなかった。あまり変わらないような気がするが… 「あーあ。また獲物を逃しちまった…」 この少年もまた虐待派の一人。ドスまりさの里を滅ぼした張本人である。 彼は「ゆっくりがいない世界」を目指し日々ゆっくりを狩り続けていた。 しかし狩りを続けていくうちにサディスティックな感情に支配され、今では虐殺より虐待がメインとなっていた。 今日も虐待対象のゆっくりを見つけてすっきりしたいと思っていたのだが、ここ数日ゆっくりが問答無用で狩られているため、 なかなかフリーのゆっくりが見つからないのである。 例え見つけてもすぐ近くにいる人間と争奪戦に発展する。そうなってはケンカも弱く走るのも遅い少年には勝ち目がない。 子供と奪い合うのも非常に大人げない。 自分で蒔いた種とは言え、少年はすっきりできなかった。 そんな時。 「ゆっ!!!ここまでくればあんしんだね!!!ゆっくりおうちにかえるよ!!!」 一匹のまりさを見かけた。辺りをキョロキョロしている。人間から逃げていたのだろう。 帽子からは大根の葉っぱが覗いている。八百屋の野菜を盗んできたらしい。 少年は小さくガッツポーズをした。辺りには誰もいない。つまりこの「獲物」は自分が独り占めできる…そう思った。 「ゆっくりしていってね!!!」 「ゆ?ゆっくりしていってね!!!……あああぁぁぁぁあああぁあああぁあああ!!!にんげんだああぁぁぁあぁあああ!!! どうじでごんなどごろにいるのおおぉおぉぉおおおお!!!」 「ここは人間の街だぞ。何処にでもいてもおかしくないだろ。ところでお前は何をしているんだ」 「ゆゆっ!!?ままままりさはなにもしてないよ!!!おやさいをぬすんでなんかないよ!!!」 あっさり口を滑らせた。 少年は野菜を隠しているであろう帽子を取り上げてやった。 案の定大根やトマト、ジャガイモや人参などが少量だが隠されており、全て地面に落ちた。 「か、かえしてっ!!!まりさのすてきなおぼうしかえしてね!!!」 「素敵なお帽子だぁ…?」 ぶち撒けられた野菜など気にもとめず、帽子を返せと懇願するまりさ。 少年はまりさの自慢の帽子を覗き込む。 ところどころ虫に食われていたり、リボンは若干黄ばんでいたり、少々黒ずんだ何かもついていたりでとても清潔と言えるものではなかった。 「これのどーこが「すてきなおぼうし」だよwwどうみてもただのボロ布じゃねーかww」 「ま、まりさのすてきなおぼうしばかにしないでね!!!いいからすてきなおぼうしかえしてね!!!」 ゴミを素敵素敵と連呼するまりさに対し苛立ちを募らせる少年。 すると、あることを思いついた。 ゆっくりがここまで自分の装飾に拘るのは、自分の仲間に認識されなくなってしまうからである。 ゆっくりは主に装飾でしか仲間の識別ができない馬鹿なナマモノなのである。 帽子や飾りを無くしたゆっくりは群れの仲間から見放され、制裁を受けることになるのだ。 もっとも、ちゃんと仲間を認識できるゆっくりもごくまれにいるのだが。 「オッス!オラまりさ!よろしく!」 少年はまりさの薄汚い帽子を被り、そう言い放った。その見た目はインチキ臭い魔法使いそのものだった。 「ゆっ!!!おにーさんはまりさじゃないよ!!!まりさはまりさだよ!!!ゆっくりりかいしてね!!!それからすてきなおぼうしかえしてね!!!」 「ハハハ何言ってるんだぜこの饅頭は!俺がまりさだぜ!この帽子は俺が見つけたから俺のものだぜ!その野菜だってどうせお前が「見つけた」から盗んできたんだぜ!?」 「どう゛でも゛い゛い゛よ゛お゛お゛お゛お゛ぉ゛ぉぉお゛おお゛お!!!ばり゛ざの゛お゛ぼう゛じい゛いい゛ぃぃぃぃい゛いい゛い!!!」 連中お得意のゆっくりずむ宣言にも耳を貸さずただ帽子を返せと叫び無駄な跳躍を続けるまりさ。 ここまで鬱陶しいと即殺してしまいそうなものだが、少年はあえてそうしなかった。 少年の考えは、このまままりさに成り済まし、連中の群れに混ざることにあった。 少年は残り少ない夏休みを、ゆっくり一家のホームステイに使うことに決めていた。 街にゆっくりがいないなら、連中の住処に行けばいい。 だからここで殺してしまえば巣の場所を聞き出すことができない。 「まりさ!!!こんなところにいたんだね!!!しんぱいしたんだよ!!!」 すると反対側の道から二回りほど大きいまりさが現れた。このまりさの母親なのだろう。 「にんげんのまちにちかづいたらゆっくりできないっておしえたでしょ!!!はやくゆっくりおうちにかえろうね!!!」 「ゆっ!!!おかあさんごめんなさい!!!にんげんのたべものはおいしいってれいむがおしえてくれたからいってみたくなっちゃったんだよ!!! おかあさんのいうとおりだったよ!!!にんげんがまりさのすてきなおぼうしとっちゃったの!!!ゆっくりとりかえしてね!!!」 「ゆっ!!?ぼうしのないへんなこがいるよ!!!」 「ゆゆっ!!!まりさはまりさだよ!!!おかあさんのかわいいまりさだよ!!!」 「おかあさんなんてよばないでね!!!まりさはぼうしのないへんなゆっくりをうんだおぼえはないよ!!!」 「どう゛じでぞん゛な゛ごどい゛う゛の゛お゛お゛おお゛お゛ぉぉぉぉおぉおお゛おお゛!!!」 やはり認識できていない。これは当たりだ。少年はそう思った。 「まりさ!!!おうちにかえろうね!!!いつまでもここにいたらゆっくりできないよ!!!」 少年に対し帰るよう促す親まりさ。 しかし全く大きさも姿形も違うというのに全然気づかないとは。恐ろしや。 「わかったんだぜ!!!さっさとおうちに案内…じゃない連れて行ってくれだぜ!!!」 「ゆっ!!!じゃあゆっくりついてきてね!!!おかあさんについてくればあんしんだからね!!!」 来た道を戻る親まりさとそれについて行く少年。 このやりとりを見ていた本物のまりさはたまったものではない。 「ゆっくりまってね!!!まりさをおいていかないでね!!!すてきなおぼうしもかえしてね!!!」 「うるさいよ!!!ぼうしのないへんなことはゆっくりできないよ!!!こっちにこないでね!!!ひとりでゆっくりしてね!!!」 「びどい゛よ゛お゛があ゛ざあ゛あ゛ぁああ゛ぁぁあ゛ぁぁあ゛ぁぁあ゛ああ゛ん゛!!! ま゛り゛ざがま゛り゛ざな゛の゛に゛い゛いぃい゛い゛いぃぃぃい゛いい゛!!!そっぢにい゛る゛の゛ばに゛ぜも゛の゛な゛の゛に゛いい゛い゛ぃいぃぃい゛ぃいい゛!!!」 必死なまりさ。心の底から信頼していたお母さんが、自分に成りすました人間を「まりさ」と呼んでいる。 どうして伝わらないの。どうしてまりさの言うことを信じてくれないの。 そう思って母に呼び掛けていると、まりさに成りすました人間がこちらの方に戻ってきた。 「ゆっ!!!まりさのすてきなおぼうしかえしにきてくれたんだね!!!ゆっくりかえしてね!!!そのあとおにいさんはゆっくりしんでね!!!」 まりさは少年を完全に敵と見なしていた。 これでやっとお母さんの元に戻れる…そんな思いとは裏腹にまりさの体は宙に浮いていた。 少年に髪を掴まれているのだ。 「ゆっ!!!ゆっくりはなしてね!!!きたないてでまりさのきれいなかみにさわらないでね!!!」 「ごちゃごちゃ五月蠅い奴だぜ!!!綺麗な髪だって!?笑わせるんだぜ!!!あちこち泥で汚れて汚いぜ!!!まだ俺様の方が綺麗だぜ!!!」 まりさの髪を罵倒する少年。少年は嘘を付いてはいない。ゆっくりは綺麗好きなナマモノだが、体型上手入れが行き届いていない部分も多い。 ゆっくりの間では綺麗でも人間基準では十分汚いと言えるのだ。 野生に生きるナマモノなのである程度は仕方がないのかもしれない。 「まりさのかみばかにしないでね!!!いいからゆっくりはなしてね!!!ゆっくりさせてね!!!おぼうしかえしてね!!!ゆっくりしんでね!!!」 「注文の多い野郎だぜ!!!どの道お前はもう用済みだぜ!!!苦しんで死ぬがいいぜ!!!」 少年はまりさをスイングして壁に叩き付けた。 「ゆびゅっ!!!?」 まりさの歯は何本か折れ、衝撃で体から餡子が噴き出した。 その様子を見ていた母まりさは 「なにやってるの!!!ぼうしのないへんなこでもひとりでゆっくりするけんりはあるよ!!!ゆっくりさせてあげてね!!!」 少年の行いを止めようとしている。 装飾無しは群れから排斥され、最悪殺されることもあるのだが。 いくら帽子が無い変な奴とはいえ同族のまりさだ。流石にやり過ぎだと思ったのだろうか。 実の子供だと思うと非常におかしな話である。 「お母さんは黙ってるんだぜ!!!帽子の無い奴はゆっくりできないんだぜ!!!この世でゆっくりできないんならあの世でゆっくりさせてあげるのが 「せめてもの慈悲」って奴なんだぜ!!!ゆっくり理解してね!!!」 少年は適当に理由を作って母まりさを諭した。 少年はまりさが死ぬまで叩き付けるのをやめるつもりはなかった。 「ゆびゅううぅ!!!」 「ゆびゃああぁああ!!!」 「ま゛り゛ざの゛あ゛んごお゛お゛おぉぉぉお゛ぉお!!!」 「じぬ゛っ!!!じんじゃう゛う゛うぅ゛うう゛ぅぅう゛う!!!」 「や゛べでっ!!!ゆ゛っぐりざぜでえ゛ええ゛ぇぇえ゛ぇえ゛え!!!」 「お゛があざあ゛ぁぁぁあ゛あん!!!だずげでえ゛え゛えぇぇえ゛ええ゛え!!!」 「ハハハ!!!地獄で永遠にゆっくりできない生活を送るがいいんだぜ!!!」 母まりさは何も言わなくなった。 ただその惨状を見るのが辛いのか、目を瞑り震えている。 そんな母まりさの耳にはまりさの悲痛な叫びも少年の先程と矛盾した言葉も届かなかった。 「ゅ…も…じ……た……」 まりさは皮だけとなり息絶えた。 「さぁゴミの始末は済んだんだぜ!!!さっさとおうちに帰るんだぜ!!! 「ゆ……そうだね!!!ゆっくりしてるとにんげんにみつかるから、ゆっくりしないでいこうね!!!」 母まりさは先程の少年の言葉を信じ、帽子無しまりさの死を忘れることにした。 (てんごくで、ゆっくりしていってね。こんどはぼうしのあるこにうまれるといいね) 心で祈りを捧げた後、再び巣を目指して跳ね始めた。 第八話「オッス!オラまりさ!一日目」 「みんな!!!ゆっくりかえってきたよ!!!おねえちゃんもいっしょだよ!!!」 「「「おかえりなさい!!!ゆっくりしていってね!!!」」」 「「「「「「「ゆっくいちていっちぇね!!!」」」」」」」 町はずれのそう遠くない森…ドスのテリトリーの一部だった場所に、まりさの巣の洞窟はあった。 ドスがいなくなったとはいえ、この場所に人間が立ち入ることは滅多に無い。 もう狩り尽くされたと思っているからだろう。 家族構成は母まりさ、子まりさ三匹、赤まりさ七匹。 全員の大きさから察すると、少年が殺し成りすましたまりさは長女だったようだ。 「お姉様のお帰りだぜ!!!邪魔だからさっさと道を開けるんだぜ!!!」 「「「ゆっ!!!おねーちゃん、ごめんなさい!!!」」」 「「「「「「「ゆっくいやちゅんでね!!!」」」」」」」 横柄な態度の少年に素直に従う妹達。 一家の中での長女のカリスマ性は絶大のようだ。 たった一匹で人間の街に乗り込んでくる程だ。相当な猛者だったのだろう。こいつらの中では。 「まりさ!!!おとうさんにゆっくりおかえりなさいのほうこくをしようね!!!」 「はい???」 母の案内で奥に進むと大きな帽子が置いてあり、傍らには花が供えてあった。 先程の言葉と照らし合わせると、これが父まりさの墓標であることはすぐにわかった。 しかし少年は、父まりさの死因も、家族の境遇も一切知らなかった。 「こいつはどういうことなんだぜ!!?ゆっくり説明してほしいんだぜ!!!頭打ってちょっと忘れちまったんだぜ!!!」 「ゆぅ…しょうがないね、ゆっくりせつめいするからちゃんときいてね!!!」 少年は適当な言い訳をして家族の境遇の説明を要求した。 今から数日前、この巣に胴つきのれみりゃが現れた。 その時父まりさが自分の身をを犠牲にして家族を守ったのだ。まりさのくせに。 ちなみにれみりゃは父まりさを食って腹一杯になったから帰ったようだ。 その後、夫の形見である子供達を守ろうと母まりさは奮闘しているらしい。まりさのくせに。 その証拠に子ゆっくり達はどれもぷりぷりしており、ツラのふてぶてしさに磨きがかかっているあたり余程大切に育てられていることが伺える。 少年からすれば反吐の出る身の上話だったが、それはそれで面白いシチュエーションだと思っていた。 「どうしたの!!?おとうさんにゆっくりあいさつしてね!!!」 話を聞き、墓標から立ち去ろうとする少年を呼び止める母まりさ。 「うるさいんだぜ!!!挨拶したってどうせ死んでるんだから関係ないんだぜ!!!ゆっくり理解してね!!!」 饅頭相手だから吐けるセリフである。 「どう゛じでぞん゛な゛ごどい゛う゛の゛お゛おお゛ぉお゛ぉぉぉ゛お゛おぉお゛お!!!」 母まりさは信じられなかった。 自分達を命懸けで守ってくれた父まりさに対し、なんてひどいことを言うんだ。 自分の育て方がいけなかったのか。それでは死んだ夫に対して申し訳が立たない。 「それよりも今日は疲れたんだぜ!!!とっとと飯の準備をしてほしいんだぜ!!!」 母まりさは思った。 そうだ、きっとこの子は疲れてるからあんなことを言ったんだ。きっと人間に酷い目にあわされそうになったから機嫌が悪かっただけなんだ。 それならお腹いっぱい食べてもらって、ゆっくりさせてあげよう。 ゆっくりできれば、元のいい子な長女に戻ってくれる。 そんな考えは最初から無駄だということをまりさは知らなかった。いや、気づかなかった。 気がつけばもう夕暮れ時。 人間の街でも夕飯を食べる時間だ。 「みんな!!!ごはんのじかんだよ!!!ゆっくりあつまってね!!!」 「「「ゆっくりいくよ!!!」」」 「「「「「「「ゆっくいできりゅね!!!」」」」」」」 巣の中央に集まるまりさ一家+α。 母まりさは大きな葉にくるんだ食料を土の上に広げる。 本日の献立は、木の実少量、花、雑草、ムカデやその他の虫、そしてどうやって捕獲したのか魚一匹だった。 虫は何匹か生きており、うねうね動き回っている。 言うまでもなく人間が食べられるものは魚しかなかった。 「みんな!!!ゆっくりたべてね!!!」 「ゆっくりたべるよ!!!」 子まりさの一匹が生きているムカデに舌を伸ばした瞬間。 「馬鹿野郎ー!!!まりさー!!!誰を喰ってるー!!!ふざけるなー!!!」 「ゆびゅうっ!!!」 少年の蹴りが子まりさの顔面にクリティカルヒットした。 吹っ飛ばされた子まりさは壁にたたきつけられ、餡子を漏らしながら痙攣している。 手加減したので死にはしないだろう。 「な゛に゛や゛っでるの゛お゛おぉお゛おぉお゛おお゛!!!」 「ま゛り゛ざの゛い゛も゛う゛どがあ゛あ゛あぁぁあ゛ぁぁあ゛ああ゛!!!」 「お゛ね゛ーじゃん゛!!!どう゛じでごん゛な゛ごどずるの゛お゛おお゛ぉお゛ぉお゛ぉお゛お!!!」 絶叫を上げる母まりさと残りの子まりさ。 赤まりさ七匹は状況が全く理解できず困惑していた。 「よく聞くんだぜ!!!虫さんだって一生懸命生きてるんだぜ!!!虫さんを食べるなんて何考えてるんだぜ!!!」 「ゆっ!!!だってむしさんはまりさたちのごばあ゛あ゛ぁあ゛ぁあ゛っ!!!」 抗議した子まりさに蹴りが入る。先程よりも弱めだ。 「一生懸命生きている命を食べるなんて最低だぜ!!!そんなひどいことする奴はクズだぜ!!!生きる価値無いぜ!!!」 こんな超偽善論を真に受ける人間はおそらくいないだろう。少年だって本気で言っているわけではない。 だがこいつらはゆっくり。頭が餡子で出来ているおめでたい連中だ。 少年はこいつらに対するイヤガラセの一心で心にも思っていないセリフを堂々と吐いた。 「ゆっ…まりさのいうとおりだね…みんな、むしさんはにがしてあげようね…しんだむしさんはうめてあげようね…」 「ゆぅ…むしさん、おねえちゃん、ごめんなさい…」 「ばりざがわるがっだんだね、ごべんねぇ…」 「「「「「「「むししゃん!!!ゆっくいちていっちぇね!!!」」」」」」」 「ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛」 生きている虫たちは巣の外に出され、死んでいた虫たちは父の墓標の側に埋められた。 ここまで簡単に釣られてくれるとは。長女まりさのカリスマ性は半端ではないようだ。 「みんな!!!ごはんはすくなくなっちゃったけどゆっくりできるよね!!!」 「「ゆっくりできるよ!!!」」 「「「「「「「できりゅよ!!!」」」」」」」 「ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛」 虫たちの見送りと弔いを済ませた一家は食事を再開する。 「おさかなさん!!!ゆっくりたべるよ!!!」 「ちょっと待つんだぜ!!!」 「ゆっ?」 子まりさが魚を口にしようとした瞬間少年がそれを止める。虫はダメでも魚はいいのかよとツッコむためではない。 魚を食われては少年の夕食が無くなってしまう。 いざとなればまりさ達を食べればいいが、すぐに数が減ってしまっては面白くない。 「天才のまりさ様はお魚を美味しく食べる方法を知っているんだぜ!!!」 「「ゆゆっ!!!ほんとうなの!!!」」 「「「「「「「ゆっきゅいおちえちぇね!!!」」」」」」」 「すごいよまりさ!!!おかあさんにもゆっくりおしえてね!!!」 「ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛」 うまく食いついてきた一家。 少年はいったん巣の外に出た。一家も痙攣している子まりさ以外着いてきた。 少年は近くの小川で魚を綺麗に洗った。食卓に置かれたときに付いた土を落としているのだ。 その後巣の入り口まで戻り同じく綺麗に洗った木の棒に魚を刺す。 そして残りの食料である植物とその辺にあった木の枝を集め、常時持ち歩いているマッチで火を付ける。 食料が燃やされていることにも気づかずまりさ達はワクワクしながらそれを見ている。 「ゆー♪とってもきれいだね!!!」 「あったかいし、ゆっくりしてるね!!!」 「「「「「「「ゆー♪ゆー♪ゆっくち♪」」」」」」」 小さな焚き火を見ながら思い思いの感想を挙げる子まりさ達。 少年は棒に刺した魚を火で焼く。 パチパチと音を立て魚に焦げ色が付いていく。 「ゆー♪いいにおいがするよ!!!」 「ゆっくりしたいいにおいだよ!!!」 「おさかなさん!!!ゆっくりしていってね!!!」 「「「「「「「ゆっきゅいちようね!!!」」」」」」」 匂いに釣られ踊り出すまりさ一家。 いい感じに全体が焼けてきた。そろそろ食べてもいいだろう。 少年は魚を火から離し、息を吹きかけ冷ました後、パクリと口にした。 「うん、なかなか」 少年は魚は好きではなかったが、空腹の中、未経験の方法で焼いた魚は格別に美味かったようだ。 「おねーちゃん!!!まりさたちにもちょうだいね!!!」 「まりさたちもゆっくりたべたいよ!!!」 「「「「「「「ゆっきゅいたべしゃしぇちぇね!!!」」」」」」」 「まりさ!!!ひとりじめはだめだよ!!!ちびちゃんたちにもわけてあげてね!!!」 魚を分けろと喚き出す一家。魚は今日一番のご馳走なのだ。 しかも今日は長女が美味しくなる方法で調理してくれている。 また、虫を逃がしたせいでまだ食事にありつけていないのだ。 当然、ゆっくりをじわじわ虐めに来た少年がそんなことをするはずもなく。 「五月蠅いんだぜ!!!この調理法は俺様が考えたものだぜ!!!お前らなんかにやるわけないんだぜ!!!」 「「どう゛じでぞん゛な゛ごどい゛う゛の゛お゛おお゛ぉお゛お゛ぉおぉお゛おお゛お!!!」」 「「「「「「「ゆ゛っぐじじだい゛よ゛おお゛おお゛おぉお゛ぉお゛お゛お゛お!!!」」」」」」」 「ばりざあ゛あ゛ぁあぁぁ゛あ゛あ゛!!!ぜっがぐの゛お゛ざがな゛ざん゛わ゛げっごじな゛ぎゃだめ゛でじょお゛お゛おぉお゛ぉお゛お゛お!!!」 空腹のため、母親共々不満が爆発したようだ。 「そんなに食べたかったら自分でやればいいんだぜ!!!明日また魚を捕ってくればいいんだぜ!!! それに一食抜いたくらいで死にはしなんだぜ!!!むしろこれは一種の修行だぜ!!!これを耐えれば強いまりさになれるんだぜ!!?」 「ゆ…ゆっくりりかいしたよ…」 「まりさもおねーちゃんみたいに、つよいまりさになりたいよ。だからゆっくりがまんするね」 「「「でもおにゃかちゅいたよー!!!」」」 「「「「ゆっくちちたいよー!!!」」」」 長女カリスマで子まりさを嗜めることはできたものの、まだ耐えることを知らない赤まりさは変わらず騒ぎ続けた。 「だいじょうぶだよ!!!まだおはなさんやはっぱさんがあるよ!!!ちびちゃんもゆっくりできるよ!!!」 母まりさは巣に置きっぱなししてあるはずの残りの食料のことを思い出し、赤まりさを宥める。 「「「「「「「しょうだっだね!!!ゆっくちちゅるね!!!」」」」」」」 我先にと巣の中に戻っていく赤まりさ。それを微笑ましく思いにこやかな表情で追いかける母まりさ。同じく嬉しそうな妹達の姿を見てにこやかな子まりさもついて行く。 だが巣の中には、まだ痙攣している子まりさ以外、何も無かった。 「「「ゆっ!?ちゃべもにょがないよ!!!」」」 「「「「これじゃゆっくちできにゃいよおおおぉぉおおお!!!」」」」 「な゛ん゛でえ゛え゛ぇぇぇえ゛え゛!!!どう゛じでえ゛え゛えぇぇぇえ゛ええ゛え゛!!!」 「ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛」 先程残りの食料は少年が焚き付けに使ったのだ。無いのは当然である。 一家は魚に気をとられて気づかなかったため、少年を咎めることはなかった。 「「「しょうだ!!!きっちょおねーしゃんがちゃべちゃったんだよ!!!」」」 「「きっちょまいしゃちゃちがいにゃいあいだにちゃべちゃったんだよ!!!」」 「「おねーじゃんのじぇいじぇゆっくちできにゃいよおおおぉぉおぉおお!!!」」 「ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛」 ひたすら痙攣し続けているだけの子まりさにあらぬ疑いの目を向ける赤まりさ。 それが誤解だということに母まりさはちゃんと気づいていた。 「ちびちゃんちがうよ!!!おねーちゃんはたべてないよ!!!ゆっくりしんじてあげてね!!!」 「「「「「「じゃあ゛に゛ゃん゛でな゛くな゛っちぇるの゛おお゛おお゛ぉぉお゛お゛おお゛!!!」」」」」」」 「ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛」 「ゆ…それはわからないけど…とにかくおねーちゃんはたべてないよ!!!おかあさんにはわかるよ!!!ゆっくりしんじてあげてね!!!」 「「「ゆ…ゆっくいちんじるよ…」」」 「「「「でもおにゃかちゅいたよぉ……」」」」 「ゆ…じゃあきょうはもうおねむにしようね!!!ゆっくりねむればおなかがすくのもわすれられるよ!!!あしたになったら、いっぱいごちそうをとってきて、ゆっくりさせてあげるね!!!」 「そうだよ!!!だからきょうはがまんして、ゆっくりやすんでね!!!」 「がまんすれば、おねーちゃんみたいなつよいまりさになれるからね!!!」 「「「ゆー♪ごちちょう!!!」」」 「「「「ゆっくいたのちみにしちぇるにぇ♪」」」」 「「「「「「「ゆっくいおやしゅみなちゃい!!!」」」」」」」 言うが早いか即いびきをかき始める赤まりさ。 残念ながら姉まりさの言葉は届かなかったようだが。この赤まりさが忍耐を身につけるのはいつのことやら。 「じゃあまりさたちもゆっくりねむるね!!!」 「ゆっくりねむって、あしたのかりにそなえるね!!!」 「「ゆっくりおやすみなさい!!!」」 「ゆっ!!!ゆっくりやすんでね!!!ゆっくりしたいいゆめをみてね!!!」 姉二匹も眠りに就いた。 二匹が眠るのを見届けた母まりさは、痙攣していた子まりさに駆け寄る。 先程まで食欲のせいで忘れかけていたのだ。 「ごめんね、なにもしてあげられなくてごめんね。ゆっくりいいゆめをみてね…」 「ゆひゅー…ゆひゅー…ゆひゅー…ゆひゅー…」 子まりさの傷を舐めてやる母まりさ。気休めにもならないがそれでも母の気遣いが子まりさにはうれしかった。 痙攣も治まってきたようで、息は荒いが眠りについた。 その頃丁度、魚を食べ終えた少年も巣に戻ってきた。 「まりさ!!!ちょっとはやいけどきょうはもうねようね!!!つかれてるでしょ!!!ゆっくりやすんでね!!!」 「しょうがないんだぜ!!!それじゃそうさせてもらうとするんだぜ!!!」 まだ人間が眠るのはいささか早い時間だったが、今日はもうすることがない。 その後のプランを考えるのには丁度いい休憩時間だ。 少年は母まりさの言う通り今日はもう眠ることにした。 「それじゃあお母さん、まりさの枕になってくれだぜ!!!まりさは枕がないと眠れない体になっちまったんだぜ!!!」 「ゆっ!!?ま、まくら!!?」 母まりさは困惑した。 前に人里に降りたことがあったので枕については知っていたが。 まさか子供に枕になってくれと言われるとは思ってもみなかった。 当然枕になった体験などしたことはないが、いつも子供達は自分に寄り添って眠るため、それと大して変わらないだろうと思っていた。 母まりさは疲れ切ったであろう子供のために枕になってあげる決心をした。 「それじゃあ、まくらになってあげるね!!!ゆっくりねむっていいゆめをみてね!!!」 「へっ!!!それじゃあ使ってやるとするんだぜ!!!」 そう言って母まりさの後頭部分に頭を乗せる少年。 当然ゆっくりと人間の体重は文字通り桁が違う。 「ゆ゛っ゛!!!」 少年の頭の重みで潰れひしゃげる母まりさ。 (ああ。家の枕より柔らかいや。今度一匹捕まえて枕にしてやろうかな) 思った以上に心地よかったのか、少年はすぐに夢の世界へと落ちていった。 「ゆ゛っ゛!ゆ゛っ゛!ゆ゛っ゛!ゆ゛っ゛!ゆ゛っ゛!ゆ゛っ゛!ゆ゛っ゛!」 「だぁー!!!うっせぇええええ!!!」 少年は母まりさの呻き声で目を覚ました。 人間の重い頭を支え続けているのだ。苦しくて当然である。 母まりさは全身から体液を出し、苦悶の表情を浮かべている。 「さっきからゆーゆー五月蠅いんだぜ!!!眠れないから静かにするんだぜ!!!息するなだぜ!!!」 「ゆっ…!!!ご、ごめんね!!!しずかにするからおかあさんをゆるしてね!!!」 少年の文句に素直に謝罪する母まりさ。 少年は再び母まりさの上に頭を乗せ眠りについた。 それから、声は全くしなくなった。 母まりさは白目を剥き、歯を食いしばり、全身から粘液を滴らせながらじっと耐えていた。 眠っている間、少年は考えていた。 (そういえば、こいつどうやって魚を捕まえたんだろう) 先ほども「また捕ってくればいい」と言った時も「無理だ」とは言わなかった。 何か捕獲する方法を知っているのだろうか。 まぁ、明日になればわかるだろう…… 少年は再び、夢の世界に落ちていった。 一日目・おわり 作:TOSSY 「ゆっくりになった男」が面白かったので書いてみました。 一応「ゆっくりのいる街6」の続きの話なんですが未読でも楽しめると思います。 今回の話は焦らず慌てず書いていきたいと思います。 補足説明:殺された長女まりさのカリスマ性が強いのは胴無しれみりゃ一匹を返り討ちにしたことがあるためです。 このSSに感想を付ける 選択肢 投票 しあわせー! (78) それなりー (10) つぎにきたいするよ! (22)
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/133.html
ゆっくりれいむと妹紅は、並んでれいむのおうちへと向かっている。 先ほどのゆっくりの言葉を確かめるため、今すぐにもかけだした妹紅だが、案内役のゆっくりれいむは下が焼かれてはねるたびに痛むらしい。 ずりずりと草むらを這いずりながら、妹紅にせっつかれて前に進んでいく。 「ニンゲンの赤ちゃんって、食うために今度はさらってきたのか?」 妹紅の問いかけに、ひいひいあえいでいたゆっくりれいむは目を見開く。 「赤ちゃんを食べるなんて、どうじでニンゲンはそんなひどいことかんがえるのおおおおお!」 なぜか、妹紅が逆にしかられた。 「いや、だってお前くっただろう!」 もう一度、あぶってやろうかと気色ばむ妹紅。 けれど、次のゆっくりの言葉は妹紅の殺気を削ぐものだった。 「ちがうよおおお、赤ちゃんはあんなにゆっくりできるのに、たべたりしないよお」 「ゆっくりできる?」 「うん! 笑ったら、だあだあ笑い返してくれるし、ゆっくりしてねとお願いしたらきゃきゃっと笑ってくれるの。すっごく、かわいいんだよ~♪」 体を揺らしながら、とろけそうな笑顔を真っ赤にするゆっくりれいむ。 「……じゃあ、どうして赤ちゃんを飲み込んだんだ? 知っているんだぞ、お前が四日前、人里で赤ん坊を飲み込んでいたことを」 「ゆっ! その赤ちゃんのことだよ! 口の中に入ってきた赤ちゃんのことだね。赤ちゃん、怪我したらいけないもん! お口にいれて危険から守ってあげないと!」 妹紅は沈黙した。 ゆっくりれいむが言うがまま、推理を組み立てる。 はいはいを覚え、あちこち興味が赴くまま這い回る赤ちゃん。そこに通りかかったゆっくりの口に、何かの偶然で入り込んだ赤ちゃん。赤子の様子に、ゆっくりの母性が刺激されたのだろう。所有権という概念があまりないゆっくりは、その場に「落ちていた」赤ん坊を拾ったものとしてもちかえる。なぜ、母親に口に入れたことを「食べた」と言ったのかはよくわからないが、ゆっくりの語彙の少なさは誰しもが知るところ。 まあ、どちらにしろ、迷惑極まりない話ではあるのだが。 しかし、子供が生存して取り返せる可能性がでてきた。 食われてる結末に比べて、はるかにマシな状況だ。 助けることができれば、あの母親はどれほど喜ぶだろう。 「しかし、お前のでかさだと赤ん坊は食いごろサイズなのによく我慢できたな」 言いながら頭をなでてやると、ゆっくりれいむは初めて妹紅に笑顔を向ける。 「当然だよ! にんげんさんも一緒にお話できたり、ゆっくりできる相手を食べたり、殺したりしないよね!」 ああ、そうだと言えればどれほど幸せな千年間だったのだろうと、妹紅は人の世で過ごしてきた時間を回想する。 が、興味深そうなゆっくりれいむの視線を感じて、慌ててごまかすように次の疑問を口にした。 「ところで、何を食べさせていた?」 「れいむたちと同じものだよ、おいしそうな草とか、虫さんとか! でも、食べてくれないの……」 「なっ!」 ようやく離乳食が終わったばかりの子供に、そんなものが食えるわけがない。 そうなれば、赤ちゃんは空腹のままもう四日目。衰弱の予感に、さらにゆっくりれいむを急がせる妹紅だった。 「そこだよ!」 ゆっくりれいむの声が示す方向を見ると、巧妙に藪に隠された巣穴が広がっていた。 「わかった!」 妹紅は一足先に巣穴に乗り込む。 くさむらを蹴散らし、くらがりの中へ。 炎の一塊で洞窟内を照らすと、目的の赤ちゃんは目の前にいた。 「だああ」 はいはいをしてこっちによってくるその姿を見て、妹紅は全身が安堵に包まれる。 それに、予想に反して衰弱した様子はない。 しっかりとした所作で外からきた妹紅に向けて手をのばす。 その手を引き上げようとして、妹紅は気づいた。 赤ん坊の手のひらを真っ黒に染めたもの。べちゃべちゃの甘い匂いのする、餡子。 ぽとりと、その餡子から何かが床に落ちる。 肌色の何かが、ねじられていた。炎の光をうけて、金色の何かが光っている。そばに落ちている親指ぐらいの黒い帽子で、それがちびまりさの残骸だと妹紅は気づいた。 「あまあま……」 赤ちゃんは、その餡子を押しそうになめている。 そういえば、普通ゆっくりの住処に来たときにかけられる「ゆっくりしていってね」の声がなかった。 妹紅は炎の勢いを強め、巣穴の全体を照らす。 そして、何があったか理解した。 床には、上下に真っ二つにねじ切られて投げ捨てられてぴくりともしないゆっくりれいむの赤ちゃんと、後頭部を噛み切られて片目が飛び出した同じゆっくりれいむの赤ちゃんが震えていた。 後者の赤ちゃんはまだかろうじて生きていたのか、光に反応して「お゛お゛お゛お゛」とうめきだす。 残された片方の目から涙をひっきりなしにこぼして、ニンゲンの赤ちゃんを見つめていた。 「おねえちゃんに……どうじで……ごんなごどずるのおおおおお……」 「まんまー♪」 赤ちゃんの返事は届いたのだろうか。 白目からぼろぼろと涙をこぼしたまま、物言わぬ饅頭と化すゆっくり赤ちゃん。 おそらくは、空腹のあまり手近なゆっくり赤ちゃんをかじったところ、その甘さに手当たり次第に食いついたのだろう。ゆっくり赤ちゃんは1歳児の膂力にすら抗えないし、ニンゲンの赤ちゃんを妹のように感じて予想だにしていなかったのか、説得しようと踏みとどまったのか、一匹も逃げきれたものはいなかった。 「あ゛っ、あ゛っ、あ゛っ! なんなのおおおおお、ごれえええええええええ!!!」 背後からの悲鳴。 振り向くと、ゆっくりれいむがぶるぶると震えて、地面に散らばるわが子を見つめていた。 その視線が不意に、妹紅の前にいる赤ちゃんの手のひらをみて、凍りついた。 「なんでえええええ、おねーちゃんだちを、たべだのよおおおおおおおおお!!!」 まずいと、妹紅は前に進み出る。 同時に、すさまじい衝撃が妹紅の体にたたきつけられていた。めきめきと背骨が鳴る。 激昂したれいむが、怒りのままに体当たりをしかけていた。 「あやまってえええええ! れいむのあかぢゃん、もどにもどじでええええええええ!!!」 妹紅にはどうにもできないことをいいんがら、無言の妹紅へと、二度、三度。さらにとどまる様子もなくぶちあたるその巨体。 「かはっ……」 妹紅は唇を伝う血の一筋に、体のどこかがやられたことを悟っていた。 だが、れいむを焼きはらおうとは思わない。 なぜなら、れいむの慟哭はこの子の親と同じものだったから。 この子は無事帰ることができるが、れいむの赤ちゃんはもういないのだ。 自分の安い命でよければ、気がすむまでれいむに付き合ってやろうと、心に決めていた。 もう、何度目か数えてもいない衝撃に目を見開く妹紅。その見下ろす先には、かばわれている赤子の不思議そうな瞳。 お前さんには罪はないんだと、にっこり微笑んでやる妹紅。 すると、笑顔に合わせてにっこりと笑い返す赤子。 そうして、おぼつかない口元で言った。 「ゆっくり……ちていってね!」 妹紅は驚愕した。まだ、この子は言葉が話せなかったはず。初めて話す言葉は、この洞窟でゆっくりれいむやその子供たちに話しかけられた言葉。 気がつけば、ゆっくりれいむの襲撃が止んでいた。 振り返ると、ゆっくりれいむはただ涙を滝のように流して、赤ちゃんを見つめていた。 そのまま、ずりずりと床にちらばるわが子の前にすすむと、体を弛緩させてぶるぶると震えだした。 「もう、かえって……あかちゃん、ゆっくりねむらせてあげてね」 嗚咽交じりの声に、妹紅は返す言葉を失っていた。 言われるがまま、赤子を抱えあげて洞窟をでていこうとする。 洞窟の出口付近で、ゆっくりれいむが声をあげて泣き始めた。 ふりむくと、あの巨体がまるでしぼんだように小さく見える。 妹紅は赤ちゃんと胸をしめつける罪悪感を連れて、静かにその場を後にした。 子供の帰還は、まるで収穫祭のような大騒ぎとなった。 「あっあっあっ!」 弱りきり、自分が奉公している富農に付き添われていた母親が、泣きながらわが子をかき抱く姿を見届けて、妹紅は心から安堵する。 が、あのゆっくりれいむの様子を思い出すと達成感はまるでなかった。 「妹紅、ちょっと来てくれないか」 慧音の声に呼ばれて振り返ると、友人の前に居並ぶのは笑顔の村の重鎮たち。 妹紅は求めれるまま、ことの次第を報告する。 まずは見つけた場所を報告する。とはいえ、お母さんゆっくりの激昂などははしょる。村の重鎮の一人に、子供が食われたという一報があったときに周辺すべてのゆっくりの駆除を提案した人物を見つけたからだ。あの傷心の、二度と人に関わろうとはしないだろうゆっくりれいむはそっとしてやりたい。 今回の事件は偶然が重なったこと、再犯の可能性がないことを付け加えて、報告を終える妹紅。 間髪いれず、妹紅の意を汲んだ慧音の提案が続く。 「子供をさらい、危険に追い込んだことは許しがたく、その間、どれだけ母親が苦痛に苛まれたことか想像に尽くしがたい。よって生かしておくには後顧の憂いがあると、何事もなければ言えるだろう。だが、子を失うことで人の子をさらうとどうなるかわかっただろうし、何よりも哀れな話だ。それに、あのあたりは妖怪も出没する。村人をそんな危険にさらしてまで処理する案件ではないと思う」 人里の守護者、慧音は滅多の村の方針に口を出さない。 それだけにこの提案は重く、異議を唱える者はついにあわられることがなかった。 こうして、すべては丸く収まることになる。 少なくとも、この時の妹紅と慧音の二人はそう考えていた。 さらに雨脚の強まったその日の夜。 ぼんやりと雨音を聞いている、巨大ゆっくりれいむ。 その前には、きれいな石ころを積み上げた子供たちのお墓。取り囲むように、子供の遺品が並べられている。 ゆっくりれいむは遺品を眺めて子供の思い出にひたっていた。思い出す、しあわせだった日々。 しかし、幸せの追憶はさえぎられる。 気がつけば、光の一閃がれいむの巣穴に差し込んでいた。 ランタンの明かりが入り口から忍び寄り、ゆっくりれいむの注意を引いている。 「今はひとりでゆっくりしたいよ……」 れいむの力ない声は、そのランタンの持ち主を止めることができなかった。 あらわれたのほっそりした体の女性。 ランタンを地面に置き、近づいてくるその姿に、れいむは見覚えがあった。 赤ん坊の母親だった。 見覚えのある人間の登場に、れいむの目に生気が宿る。 「ゆ……れいむの……ううん、おねーさんの子供さん戻ったの」 頷く母親に、れいむは表情をやわらかくする。 「よかったね……」 心から、その言葉が言えた。 そのことに、微笑むゆっくりれいむ。 「何もよくないわよ」 だが、返ってきたのは母親の険のある声。 そのまま、つかつかと歩み寄り、子供たちをうめた石の小山を蹴り飛ばす。 「ゆ! なにするのおおおおお!」 子供たちはもう帰らない。なら、せめて自分のそばでゆっくりさせてあげたいゆっくりれいむ。 それだけに、母親の突然の行為が許せない。 第一、こんなことになった原因は…… 「そうだ! おねーさんが、赤ちゃんをれいむの口に押し込んだのが悪いんだよ!!!」 母親の顔が歪む。 急所だった。 れいむが妹紅か誰かに話していれば、すべての害意の源が明らかになる事実。母親の頼みにも関わらず、妹紅とかいう女がゆっくりをさっさと始末しなかったせいで、危うくぶちまけられそうになった真相。 それだけに、れいむの言葉は死への通行手形となった。 「ひどいよ、おねーさん! 飲み込まないともっと刺すって、れいむのほっぺたに意地悪したよね!」 母親はゆっくりれいむの前に立って含み笑いをこぼす。 「へえ、そんなゆっくり脳でも覚えていられるのね」 言うなり、背中に隠していた槌でぶん殴っていた。 叩きつけた瞬間、ぶべっと餡子が巣穴にはじけて散る。 「中身、やっぱり餡子なのね。本当に、ふざけた化け物」 かはっと、衝撃に目を白黒させるゆっくりれいむを、冷ややかな目で見下ろしていた。 おかげで、こいつと一緒にすべてを闇を葬らなければいけない。 槌を振り上げる母親。 振り下ろしながら、掛け声代わりに叫んでいた。 「そもそもは!」 「ぶぎっ!」 れいむの体が衝撃でたわむ。 「あんたが!」 「ぴゃぶっ!」 殴った形にへこんだ脳天に、何度も振り下ろす。 「きっちりガキを食っていれば……!」 「や、やめで……び、びぎゃあああ!」 殴りつけるたび、ぶぴぶぴと吐き出される餡子 もはや、見開いた目は飛び出しそうにまん丸で、目から耳から、穴という穴から餡子がぼとぼとと噴出している。 髪飾りは割れた頭頂部からもれる餡子にまみれ、殴り損ねた一撃で、ごっそりと髪がちぎり落とされていた。 母親はその姿に、少し気がまぎれたかのように笑い、すぐに般若の形相。 「ガキつれているとね! 富農のバカ息子と! 再婚できないのさ! あいつら、財産分与だ何だと難癖つけやがる!」 言葉を区切るたび、ゆっくりれいむの頭に槌が振り下ろされていた。 加減など欠片も無い、ただただ潰したいとばかりに振り切る。 「やめでええええ、ゆっぐりざぜでえええええ!」 「うるさいっ! 人の書いた絵図を台無しにしやがって……!」 不審を抱かれにくい「事故」により消える赤ちゃん。ゆっくりに赤ちゃんを処理させ、後は同情を引く母親を演じれば勝手に証拠のゆっくりが始末される。村中から同情を受ければ、金持ちとの結婚も傷ついた女性の面倒をみる美談ともなるだろう。 が、無事に子供が戻ってきて、すべてはご破算だ。 どれだけの手間をかけてやったのだと、殴りつけながら憤りが高ぶっていく。 当初の予定では子供を妖怪に食わせるつもりだった。だが、妖怪相手では自分をも食われる可能性があるし、妖怪退治に出張る巫女に勘付かれたり、妖怪が知性的ならば魂胆を見破られかねない。 そうして、得体の知れなさから「やりかねない」として選んだゆっくりだったのだが。 「せっかく、選んでやったのに……こんのおおお、役立たずがああ!」 「ぐぴゃあああああ」 もっとも痛烈な一撃だった。 噴水のように全方位に餡子を噴出す母ゆっくり。 母親はひいひいと荒い息をつきながら、目や耳から餡子を噴出し、もう痙攣して死を待つばかりのゆっくりに笑いかける。 「あのガキ、次は崖から落ちたことにしてやろうかねえ」 まるで、楽しい遊びを思いついたように母親が計画を口走った瞬間、死んだかのようなゆっくりが動いた。 餡子を吐きちらしながら、猛然と体当たり。 「ひゃ!」 見事に不意をついていた。 「げへえええええええ!」 すさまじい重量に倒れこむ母親。飛び上がったゆっくりれいむの体重に、震える地面。いや、洞窟全体がひどく揺れていた。衝撃で、ぽとりと入り口に落ちる土くれ。 その上に石がごろごろところがってくる。天井からはさらさらと砂の音。 長い間の雨に脆くなった岩盤。 そこへ止めを刺す母ゆくくりの振動が、今、巣を潰そうとしていた。 このままでは、双方生き埋めとなる。 起き上がろうと身を起こす母親。 が、起き上がれない。 「……あんた、離しさいよ!」 ゆっくりれいむが腰にのりあげ、張って進むこともできない母親。 「ねえ、あんた! ちょっとどいてくれるだけで、後でおいしいの上げるわよ! ゆっくりなんかじゃ絶対食べられないほどのね!」 その誘いは、無駄だった。 れいむは乗り上げたその体勢のまま、事切れていた。 最後まで、「子」のために死力を尽くしたゆっくりれいむの命だった。 「なっ! あんた、何で、死んでんのおおおおおっ!!!」 何度も殴りつけるが、もうぴくりとも動かない。 ただ、重みを与え続けるだけ。 「いやあああああああああああああ、たすけてえええええええええ!!!」 張り上げた声も天井から崩落する土砂の音に消えていく。 「なんで、あだじがああああああああああああ……」 後には、土砂に覆われた斜面が残された。 まるで、最初から何も無かったように。 「世の中はままならんものだ」 上白沢慧音の言葉に、妹紅のため息が誘われる。 「せっかく子供が帰ってきたのに、母親のほうが行方不明とはな」 二人、暗い顔で台風一過の晴れ渡った空を眺める。 ようやく、親子二人で幸せな暮らしができただろうに、哀れでならない。 だが、暗い話題ばかりではなかった。 「それにしても、子供を引き取ってくれる人が名乗り出てくれて、本当によかった」 「長年、子供に恵まれなかった夫婦だったな。きっと、誰よりも大切にしてくれるはずだ」 慧音の言葉に、妹紅は同意の頷きを返す。 「きっと母親の愛情が、次の家庭に受け継がれていったのだろう」 慧音の独白。 そのとき、妹紅の脳裏に浮かんだのは母親の顔ではなかった。 あの、ふくよかな母ゆっくりの姿を思い浮かべていた。 「あいつなら、もう一度暖かい家族を築けるはずさ、きっと」 慧音にも聞こえないよう小声でささやいて、妹紅は抜けるような夏の空を見上げる。 透き通るような青空を背景に、大きな一塊の雲が流れていた。 眺めていると、夏の涼風に吹かれて小さな雲が三つ、大きな雲に引き寄せられていく。 やがて、よりそって仲睦まじく一つとなる雲の姿。 ふんわりと雲が浮かぶ紺碧の空を、妹紅はいつまでも眺めていた。 おわり あらすじ どうも、小山田です。 今回はちょっとした変化球でやってみました。 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/1915.html
どかーんと、何やら爆発音がしたので行ってみたら、飼っているゆっくり魔理沙が巨大化していた。 『ゆゆーん!おにいさん!まりさ、ドスになっちゃったよー!』 昨日の夜までバスケットボールサイズだったのに、なぜか体長が4m近くになっている。 長く生きたまりさがドス化するという話を聞いたことがあったが、まさかウチのまりさがドス化するとは。 ちなみに5歳だ。 「とりあえず散歩に行くか」 『ゆっくりりかいしたよ!』 散歩の時間だったので、とりあえずドス化したまりさを散歩につれていくことにする。 「ゆ!ドスがいるよ!」 「ドスだ!」 「すごくゆっくりしたドスがいるよ!」 散歩中、野生の糞饅頭がわらわらと俺のまりさに集まってきた。 ドスの群れにいれてね、などとふざけたことをぬかすので踏みつぶしながら歩くハメになった。 近くの公園でまりさと仲良くゆっくりしていると、100匹近くのゆっくりが集まっていた。 「ゆゆーん!ドスまりさ、いっしょにゆっくりしようね!」 「れいむもいっしょにゆっくりしたいよ!」 薄汚い笑顔をひっつけて、まりさにすりすりをしようと近寄る饅頭ども。 それを止めたのは俺ではなく、ドスまりさだった。 『ゆ!くっさいゆっくりは、ちかよらないでね!』 昨日、しっかりシャンプーやらで洗ったドスまりさはとてもきれいだったのだ。 野生のゴミ溜めのようなにおいを発するゆっくりなど、飼いゆっくりのドスまりさには耐えられないものだったのだ。 「どぼじでぞんなごどいうのぉぉ!?」 「いっじょにゆっぐりじようよぉお!!」 『うるさいよ!まりさはおにいさんとしかゆっくりしないよ!!おばかさんたちはゆっくりりかいしてね!』 そう、まりさは俺だけのペットなのだ。 こんな鼻くそみたいな連中と遊ばせるわけにはいかない。 「にんげんどゆっぐりずるドスなんがじねえええ!!」 「ちね!ゆっくちちね!」 「うらぎりものぉおお!!」 裏切るもなにも、元から仲間でない。 「おい、まりさ。ご飯食べていいぞ。大きいからお腹すいただろ?」 『ゆ!とってもうれしいよ!いっぱいたべるね!!』 ちなみに、このまりさには5年間ずっと赤ちゃんゆっくりをエサに食べさせていた。 生まれたときから赤ゆっくりを食べていたので、もはや小さいゆっくりはエサにしか見えない。 ドス化したまりさには、成体ゆっくりすら赤ゆっくりに見えるだろう。 ブルドーザーのように広場のゆっくりを食べる俺のまりさ。 うーん、なんてプリティーなんだ。 おわり。 作:ユユー このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/ankoss/pages/802.html
突然だが私の身寄り話を聞いてほしい。 私は暴力的な家庭のもとに育った。 親はいつも機嫌が悪く、何かと理由をつけてはすぐに私を怒り、一日中押し入れに閉じ込める。 泣いて謝っても許してはくれなかった。暴力なんて日常茶飯事だった。褒められることなんてなかった。でもこれが普通だった。 そんな生活からか、親の前では良い子を演じ、人の顔色をうかがって生きているような子供時代を過ごしてきた。 そんな親もあっけなく火事で死んでしまい、苦労の連続だったが、なんとか私も成長することができ、今は古い借家に独り暮らしをしている。 大人になっても、人の顔色をうかがい、他人の評価を気にし続ける日々。 子供の頃からずっと変われない自分。変わらない毎日。 変われない、変わらないことだらけで私はもうそれが普通なのだと感じていた。 だけど自分を変えたかった。でも自分を変える事なんてできないとも思っていた。 そんなときにこいつらはあらわれた。 『ゆっくりってなんだ?』 いつも忙しく深夜に帰る私だが、その日は珍しく会社が早く終わったため、いつもより早い帰りとなった。 会社を出て地下鉄に乗り、最寄りの駅で降りて、家までの通り道である公園を通り過ぎる頃、ふとある声が聞こえてきた。 「はやくこっちにくるんだよ!こののろま!!!」 「ほんとうにゆっくりしてないね、このぐず!!」 「のりょみゃ!!はやくちろ!!!」 「ゆぅ…ごめんなさい…」 そこには『ゆっくり』と呼ばれるものがいた。 ゆっくりとは世間一般に害獣として知られており、好き好んで関わりあう人もいない(ゆっくり保護団体などあるらしいが) いろんな種類がおり、餡子、クリーム、カスタードなど中身によってまた性格なども違うらしい。 ここにいるのはまりさとれいむのつがい。それに子れいむと家族から罵られている子まりさだ。 ゆっくりの駆除化が進んでいるこの辺では珍しいものに出会ったな。 ああ…子まりさが家族からいじめられてる。 ん?あのまりさもしかして… 今日はいつもより時間に余裕があるため、暇つぶしがてら話しかけてみた。 『ゆっくりたちこんばんは。どうしてまりさをいじめてるのかな?』 「ゆゆっ!?にんげんさん!!ここはまりさたちのゆっくりぷれいすなんだぜ!!!はやくあまあまもってくるんだぜ!!!」 「こいつはおかざりさんがへんでぐずでめざわりなんだよ!!!だからせいっさいというなのしつけをしているんだよ!!! そんなことよりくそじじいははやくあまあまをもってきてね!!!たくさんでいいよ!!!」 ―ぐずのあんたがそこにいると目障りなんだよ!早く家からでていきな!!!― ―このぐず!!どけ!!ぶん殴るぞ!!もう殴ってるけどな!!!― ………また…か…。 「ゆぅ…」 帽子の形が変だからという理不尽な理由で家族から罵られる子まりさ。 状況的に子まりさはあの時の私に似ているな。表情も全然明るくない。まずゆっくりした顔でないのは間違いない。 思えば私もあの頃からずっとつらい毎日を過ごしているものだ。 きみには本当に同情する。心の底から。 ゆっくりといえば、私はこいつらのいう「ゆっくり」というものがなんなのかがわからない。 ただ動作が遅いこと?それなら出来る限りゆっくり移動する事がゆっくりできることになる。そんなゆっくり見たことない。 のんびりすること?なら子供はゆっくりできるという意味がわからない。 本当にどういう事なんだ?まあ、せっかく目の前にゆっくりがいるんだし聞いてみてもいいだろ。 『なあゆっくり?ゆっくりは人をゆっくりさせることに関しては右に出る者はいないって聞いたけど、 私は小さい頃からゆっくりしたことないから、ゆっくりがどういうことなのかよくわからないんだ。 もし私にゆっくりを理解させることができたら君達だけの奴隷になるし、あまあまもたくさんもってくるけどどうかな?』 「まりさたちははやくゆっくりしたいんだぜ!じじいをゆっくりさせているひまなんてないんだぜ!いいからさっさとあまあまもってこいいいぃぃい!!!」 「ばかなの?しぬの?げらげらげらげら!!!!」 「ちぬにょ?げらげらげら!!」 『そうか…やっぱりできないか…ゆっくりって名前だけでゆっくりできてないんだな。残念だ。あはは…』 「ゆぁあ!?そこまで言われたらゆっくりとしての名がすたるんだぜ!しかたないからゆっくりをおしえてやるんだぜ!!!」 「とってもゆっくりしてるれいむがじじいをゆっくりさせたらはやくあまあまもってくるんだよおおおおお!!!たくさんだからねえええ!!!」 「あみゃあみゃ!!!あみゃあみゃ!!!」 まんまとこっちの提案にのってっくれた。 別に無視して家に帰ってもよかったが、私はなぜかゆっくりのいう「ゆっくり」とやらを知りたくなったのだ。 変わらない毎日に何か刺激がほしかったのかもしれない。 「おちびちゃんをみればとてもゆっくりできるんだぜ!じじいにとくべつにみせてあげるねええ!!!」 「かわいくてごめんねえええええっ!!!」 『さっきから私はこの子をみてるけど何も感じないよ。ただの饅頭だね。これが君達のいうゆっくりなの?』 「れいみゅ、まんじゅうじゃないぃぃぃぃ!!!」 「!? ち、ちがうんだぜ!ちょっとした冗談なんだぜ!!!」 (なんなのこのにんげんさん。おちびちゃんをみてぜんぜんゆっくりしていないなんて…ゆぅう!!ぜったいゆっくりさせてやるんだぜ!!!) 「すーりすーりはゆっくりできるよ!!!すーりすーり!!!」 『そんな野良の汚い皮をすりつけられても汚れるだけだよ…むしろ不快かな。』 「ばりざはきだなぐだいいいいいいぃぃぃぃぃ!!!!!」 「れいむがおうたをうたうよ!ゆ~んゆんゆ~ん♪ゆっゆっゆ~♪」 『音程も何もあったものじゃない。とても耳障りな騒音だよ。これがゆっくりできることなの?』 「でいぶのうだはみんなゆっぐりでぎるっでいっでぐでるのにいいいいいぃい!!!」 「ゆー!いっちょにこーろこーろちゅるよ!!」 『こんな石だらけの土でころがったら怪我するよ?そんな事もわからないの?馬鹿なの?死ぬの?餡子脳なの?』 「でいぶばがじゃだいいいいいいい!!!」 「む、むーしゃむーしゃはゆっくりできるよっ!!!」 『人間はそんな変な虫なんて食べられないよ。もっとおいしいものいっぱい食べてる。それくらい知ってるだろ? 今日はお昼にチャーハン半ライス大盛り、赤飯、豆ご飯、あと白米2杯食べてきたよ。』 「ゆっぐりでぎないいいいい!!!!!!」 この後もこいつらは私をゆっくりさせようといろいろ頑張っていたが、結局私をゆっくりさせることが出来ずに疲れ果ててしまった。 「どぼじでゆっぐりじでぐれだいどおおおおおお!!!」 「ゆっぐりいいいいいいいいいぃぃぃいいぃいい!!!」 「ゆんやあああ!!!」 やっぱり予想通りか。期待してたゆっくりは分からずじまいだ。つまらない。 ん?そういえば子まりさは何もしてこなかったな。 『君は私をゆっくりさせてくれないのかい?』 「ゆぅ…まりさはゆっくりしてないから、おにいさんをゆっくりさせることはできないよ…」 ゆっくりが自分の事をゆっくりしていないって言うか… 「…まりさはぐずでのろまだから…だれもゆっくりさせることはできないよ…ごめんなさい…」 ―ぼくは馬鹿でのろまなぐずです…ごめんなさい…だからもう…ここからだしてください― ふと脳裏にまりさの謝る姿と子供時代の自分の姿が重なった。 なんで私は謝ってるんだったっけ?ああ…あの時もあの親達は意味もなく俺に怒ってきたからか。 ぐず扱いされて、殴られて、また押し入れに一日中閉じ込められて… 押し入れの中でいつか絶対仕返ししてやろうっていつも思ってたなあ… ……… 『…まりさは復讐がしたくないかい?』 「ゆぅ?ふく…しゅう?」 『そう。復讐。君は今、家族からいじめられてるよね。ゆっくりしてないんだろ? きっとこのままずっと変わらないよ。もしかしたら家族から殺されちゃうかもしれない。』 「ゆっ!?まりさ、しぬのはやだよ!」 『じゃあさ…みんなに復讐して先にやっつけちゃおうよ?』 子まりさは驚いた。このままだと自分が殺されてしまうかもしれない。 でも復讐なんて… 『いいの?ゆっくりできなくても?』 …ゆっくりできない? ……い…や…だ…いやだ!ゆっくりしたい…まりさだってゆっくりしたいよ! まりさは…まりさはあるちいさいときからずっとずうっと家族やまわりのみんなからいじめられてきたよ。 ぜんぜんゆっくりできなかったよ… 妹がおいしい芋虫さんむーしゃむーしゃしてるのにまりさだけ苦い雑草さんでふしあわせーだった。 おかあさんたちは妹だけでまりさにはすーりすーりやぺーろぺーろしてくれない。それどころか殺されそうになったこともあったよ。 まわりのみんなもまりさのおかざりさんをみてゆっくりできないぐずって笑う。 「このぐずっ!」「のろまっ!」「ここからでてけっ!」 なんでまりさだけこんな目にあってるんだ。まりさが何をしたっていうんだ。 まりさは何もしていないじゃないか。おかざりさんだってまりさが好きでこうなったんじゃないよ! ただ…ゆっくりしたいだけなのに… … …くそお…憎い… 憎い…憎い…まりさはまわりのみんなが憎いよ… 憎い…憎い…まりさはまりさをこんな目にあわす家族が憎いよ… 憎い…憎い…まりさは全てが憎いよ… どうせ殺されてしまうなら、先に自分の手でみんなゆっくりさせなくしてやる。 復讐してやる復讐してやる復讐してやる… みんな殺してやるっ…! ……。 「……たいよ…」 『ん?なんだい?まりさ?』 「ふくしゅうしたいよ!まりさをゆっくりさせないみんなにしかえししたいよ!」 『ははは…いいよ。その願い叶えてあげる。』 私は子まりさの家族を家におびき寄せることにした。 『君達は頑張ってくれたね。結局ゆっくりって何かは分からなかったけれど、お礼がしたいよ。今から私のうちであまあまでもごちそうするけどどうかな?』 「あまあま!?ゆっへっへ!やっとじょうげかんけいがわかったんだね!しょうがないからあまあまをもらってやるんだぜ!!!」 「はやくしてね!ぐずはきらいだよ!ほんとあのちびといっしょでゆっくりできないじじいだね!!」 「あみゃあみゃ!!あみゃあみゃ!!」 ……… …… … 「だせええええええええ!!!ここからはやくだせえええええ!!!!ここはまりさのゆっくりぷれいすだぞおおおおお!!!」 「どおしてそのぐずだけそとにいるんだああああ!!!!れいむをはやくだせええええええええええ!!!」 「ゆっくちできないじじいはゆっくちちねえええええ!!!」 例のごとく蓋のある大きな水槽のなかに閉じ込めておいた。うるさいな… 『どうやって仕返ししたいんだい?』 「こいつらはゆっくりいためつけてやるよ!!!」 『わかった。こっちにおいで。何の道具があるか説明するよ。その道具からまりさが何をしたいのか自分で考えるんだ。』 子まりさには家にどんなものがあるか、どんなことが出来るのかを一通り説明した。 人間の使うものなのでゆっくりには難しいかとも思ったが、まりさはすさまじい集中力で話を聞いているようだった。 話を熱心に聞くまりさの表情にどこかおそろしい笑顔が見えた。 『まずだれからにする?』 「いもうとのれいむからにするよ!!!」 「まずおかざりさんをめのまえでちぎって、おからだをはりさんでぷすんぷすんしてね!!せいっさいだよ!!!」 『わかった。』 「「なにいってるのおおおおぉぉぉぉおおおおおお!!!!!???」」 「ゆ!おそらをとんでるみた…はなしぇえええぇぇええ!!!!!」 子れいむを水槽から出し、汚らしいリボンを奪った。 「ゆゆっ!?れいみゅのきゅーてぃくるでかわいしゅぎるおりぼんしゃんかえちぇええええぇぇぇえ!!!」 うわっ。すごい形相。よっぽどこいつが大事らしいな。 ごめんね。お前のお姉ちゃんの命令なんだ。 「やめりょおおおおおおおおおおお!!!!ちぎりゅなああああぁぁぁああ!!!!」 子れいむ…いや、れいみゅのきゅーてぃくるなおりぼんとやらを少しずつゆっくりちぎってゆく。 「やめてえええ!!!」 すこしずつ 「だいじなおりぼん!!!」 大切なおりぼんを 「がえ"じでえ"ぇ"!!!」 ちぎっていく 「やべろおおおぉぉおおおおおおおおおおおおお!!!」 れいみゅはおりぼんを必死に取り返そうとおしりをふりながらたいあたりしてくる。全然痛くない。ただふりふりおしりにはいらいらさせられる。 そうこうしているうちにおりぼんは全てちぎられ、汚らしいごみの山になった。 「ゆんやああああぁあ!!!れいみゅのおりぼんしゃん!!ゆっくりなおってね!!ぺーろぺーろ………」 必死におりぼんをなめる子れいむ。しかし現実は非情である。 「れいみゅの…おりぼんしゃんが………ゆうううううううう!!!!」 (もうゆるちゃないよ!これだけはつかいちゃくなきゃったけど、ちーちーにゃがしてないてあやまっちぇね!) なんと!れいみゅはついに奥の手「ぷくう」をくりだそうとしている! 「ぷくう」とはゆっくり威嚇のひとつ。口いっぱいに空気を吸いこみ自分を大きく見せるもので、 これを繰り出された者はあまりの恐ろしさにちーちーをたれ流し、泣いて謝ってしまうという恐ろしい技なのだ! (ゆっふっふ!!!もうこれでおわりだよ!!!!おんこうなれいみゅをおこらせたくそじじいがわるいんじゃきゃらねっ!!!!) 「もうれいみゅおこったよっ!!!!ぷくぅするよ!ぷく…ゆ"っ!!?」 突然れいみゅのほほに激痛が走った。「ぷくう」でふくらんだほほをちょうどいい具合に針でさされたのだ 「い、いぢゃいぃいぃぃぃぃぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!」 激痛からか目から激流のような涙を流す子れいむ。なんと驚くべき事に、れいみゅ渾身の「ぷくう」もこの人間には通じなかったのだ。 『ぷくうだって。おお、こわいこわい。』 ぷくうされた人間はそんな事を言いながらも淡々と子れいむのほほを針でさす。 「ゆびぃいぃぃぃぃいいいいいぃぃ!」 醜くでた下っ腹をさす。 「ゆびっ!」 ふりふりふられていたおしりをさす。 「やめっ!!」 汚らしい飾りがあった髪の毛の部分をさす。 「やっ!」 さす。さす。うすよごれた饅頭全体をさしまくる。 「やめちぇええええええええええええええええええええぇええ!!!」 「「おぢびぢゃああああぁあぁあぁあん!!!!!」」 れいみゅはちーちーを流しながら泣き続ける。 なんでれいみゅのひっさつ「ぷくう」が効かないんだ。「ぷくう」だぞ!れいみゅは怖いんだぞ! れいみゅがそんな疑問の中、妹の姿を見ていた姉まりさは、 「ゆっ!おにいさん!つぎはおめめをとっちゃってね!あまぎりだよ!」 あまぎりか。少なくをも普通の姉の言う言葉じゃないよね。 「ゆぐっ…やめちぇねっ…ぐすっ…れいみゅのおめめさんとらないでね…ぐす…」 「おぢびじゃんにげてええええぇえぇぇええええ!!!!」 「おにいさんはやくやっちゃってね!!!!!」 「やめて…れいみゅの…や…ゆぴぃいいいいいいいいぃいぃいいいいいいい!!!」 針はちょうど右目のど真ん中に刺さっていた。右目からは先ほどとは比較にならないほどの涙がでてくる。 『こんな感じかな?おっ!意外に簡単にとれそう!』 (ぷち…ぷち…ぶちぶちぃ!!!) 「うぎゃああああぁあぁぁあああああああああああああぁああああ!!!」 何かが無理やり引き離される音と共にれいみゅの右目が出てきた。 目玉に触ってみるとこれがなかなか弾力がある。これはなんでできてるんだ?不思議だ。 ゆっくりの目玉はゆっくり通の中ではなかなか人気がある。ナタデココのような食感が魅力なんだそうだ。 私には野良ゆっくりを食べる趣味は無いので食べたりしないが、またどこかで機会があったら食べてみるとしよう。 「れいみゅの…れいみゅのおめめさんが…」 片方がまっくらで何も見えない。れいみゅのおめめをかえせ… 『針よりピンセットの方が取りやすそうだなあ。まりさ、ピンセットでもいいかい?』 「ゆん!いいよ!!さっさとめだまさんをとっちゃってね!!!」 私はピンセットを手に取りれいみゅの左目をまるごとつかむようにして取り出そうとした。 (ぶちぶちぶちぶちぶちぃいい!!!!) 「……っ…ゆあっ…あっ…かひぃい…ゆっ…」 声にならない痛み。 『やっぱりね。こっちの方がうまく出来たよ。言った通りだろ?まりさ。』 「ゆ!まりさがおにいさんにしじしたからだよ!まりさのおかげだよ!!」 先ほどよりも勢いのある音とともに目のないゆっくりがそこに完成した。 (なにもみえないよ…おそとさんがなにもみえないよ…れいみゅのあまあまはどこへいったの… どうしてかわいいれいむがこんな目に合わないをいけないんだ…れいむはかわいいんだぞ… ぐずのまりさはれいむをゆっくりさせないといけないんだぞ…絶対おかあさんにせいっさいしてもらうからな…) そんなれいむの思いも虚しく意識がだんだん遠のいていく。 「………ゆ"っ…ゆ"っ…ゆ"っ…」 子れいむがあまりの激痛に痙攣し始めた。素人目からでもこのれいむが長くないことがわかる。 ここで死んでおけばまだ楽だったかもしれない。 だがそこには姉の非情な一言があった。 「ゆっ!こんなところでまだしんでもらってはこまるよ!!!おにいさん!!!いもうとにあまあまなみずをかけてあげてね!!!」 さすがは同じゆっくり。ゆっくりのことはゆっくりが一番よく知ってる。おそらくそれで事態が解決するのだろう。 あまあまな水かあ…野菜ジュースとかでもいいのかな? とりあえず言われた通りあまあまなみずであろう野菜ジュースをかけてみた。 後で詳しい人に聞いたところ、オレンジジュースのような果物系がベストだったらしい。生意気。 「…っ……いじゃ…いよ…ぐらくでなにもみえないよ…こわい…よ…おきゃあさんどこ…れいみゅ…ここにいるよ… だすけて…おきゃ…しゃん…あの…あのぐずに…せいっさい…」 「おぢびぢゃああああああああん!!!おかあざんはごごにいるよおおおおおお!!!いまだすげるからねえええええええええ!!!!」 「まりざだぢをはやぐごごがらだぜええええええええええええええ!!!!おぢびじゃああああぁあぁあああん!!!!」 子れいむの意識がもどったみたいだな。それに表面の傷も治ってる。さすがゆっくり。 さっきから親ゆっくり達が水槽を体当たりしている。頑張れば割れるかもね。 「おにいさん!れいむをはりつけにしたら、まむまむにはりさんをさしてね!!!」 子れいむを適当な置物にはりつけにし、準備ができると、 「ゆ”ぎっっ……っ!?」 れいむのまむまむに一本の針がささった。もうこれでは子供はうめないだろう。 針が刺さったまむまむから少しずつゆっくりの生命の源である餡子が流れ落ちてくる。 (ぽたっ……ぽたっ……) 少しずつだが確実に、れいむから餡子が落ちている。 (ぽたっ……ぽたっ……) 確実に。少しずつ。 「ゆひゃあああ!!れいむからあんこさんがすこしずーつそとにおちてきてるよ!!!おめめがないからわからないだろうけど、いってき、いってきおちてるよ!!! れいむはいつゆっくりしちゃうんだろうねえええええええ!!!あんこさんのおちるおとよくきいててねええええぇえ!!!」 目の見えない状態で自分の餡子(人間でいう血液)が一滴一滴落ちていく音を聞くのはどんな気持ちだろうか? 自分はいつ死ぬんだろうか。あとどのくらい生きていられるのだろうか。それがわからない。 電気椅子で一瞬で死ぬとはわけが違う。 いつ死ぬかもわからない恐怖ははかりしれないだろう。助かる可能性がないとわかっている絶望ははかりしれないだろう。 死刑勧告をされた死刑囚のように恐怖と絶望は永遠と思える時間続く。 人間でさえショックで死んでしまうこの状況。痛みや恐怖に弱いゆっくりは例外ではないだろう。むしろ効果的な殺し方だ。 餡子さんがなくなってしまったらゆっくりできない。 (ぽたっ…) いやだ。死にたくない。死にたくない。死にたくない。 (ぽたっ…) まだ自分は全然ゆっくりしていない。 (ぽたっ…) もっといっぱいおいしいものむーしゃむーしゃしたいし、おかあさんたちともっとすーりすーりしたい。 (ぽたっ…) それに将来、かっこいい伴侶となるゆっくりをみつけておちびちゃんをうんでゆっくりぷれいすでしあわせーするんだ。 しかし、そんなれいむのしあわせーなゆん生が訪れることはないのだ。 なぜなら姉であるまりさに殺されてしまうから… 「だいぶあんこさんがしたにたまってるよ!!!もうれいむはゆっくりしちゃうんだろうねええええ!!! いもうとのくせにおねえちゃんにさからうからだよっ!!!げらげらげら!!!」 「れいみゅ…まだ…しにちゃくない…しにちゃくないいいいいいぃぃいいいぃぃぃい!!!」 「おねえちゃんにさからうからだめだよおお!!れいむはもうしんじゃうんだよおおおおぉぉおおお!!!!げらげらげらげら!!!」 「いやじゃあああぁああああ!!!!おねえぢゃんだすけでええええええええ!!! ごべんだざい!!れいみゅがわるがっだでずううう!!!だがらだずげでぐだしゃいいいいぃいいい!!!」 「いやだよおおお!!!まりさにいもうとはいないよ!!!げらげらげらげら!!!!!ゆっくりしんでねええええええぇぇええ!!!!」 こんなやりとりが10分ほど続いた。そして、れいむはまもなく、恐怖と絶望の中死んでいった。 れいむにとってこの10分は永遠とも思える時間だっただろう。 「…ちに…ちゃく…な…い…おがあ…ざ…ん…じにだぐ…な…い…ごわいよ………も…と…ゆっく…りしたか…た…」 「「お"ぢびぢゃ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"あ"ん"!!!!!」」 「しんだ!!!しんだよ!!! まりさをいじめたあのばかないもうとはしんだよ!!!げらげらげらげらげら!!!!」 ついにまりさは間接的とはいえ殺してしまったのだ。家族である子れいむを。妹である子れいむを… 「ごっぢにごいいいいいいいいごのぐずううううううう!!!!ばりざがおまえをごろじでやるうううううううううううう!!!!」 「だぜえええええええごごがらだぜえええええええええええ!!!!」 親たちの憎しみは実行してる私ではなく、指示をしている子まりさの方が大きいようだ。 プライドだけは高いゆっくり達。自分たちがぐずだと思っていた奴にこんな目に合わされているのがとても屈辱的なことなのだろう。 『次はどうする?』 「おにいさん!!!つぎはまりさおかあさんだよ!!!」 「ゆ"っ!?やめてね!!!そっちのれいむにしてね!!!」 「なにいってるのまりさあああああああああああああ!!!!」 『どうする?』 「ゆっ!まりさおかあさんするよ!!!」 「どぼじでえええええええぇええぇえ!!!!!!」 「ゆふん!れいむをみがわりにしようとするからだよ!!!ばかなまりさはそこでゆっくりしぬのがおにあいだよ!!!!」 さっき子供が死んだのになんてと自分本位なやつらだ。結局子供に殺されちゃうのに。 …… … 「とめてえええぇえぇえぇえぇえええええええぇええぇぇえぇ!!!」 「だめだよ!まりさがいいっていうまでとめないよ!!!」 親まりさが今、何をしているのかというと… 「まりさがいいっていうまで、るーむらんなーさんではしりつづけてもらうよ!!!」 『それだけか?』 「まりさはずっといいっていわないよ!!!もしはしれなくなったらせいっさいだよ!!! ぜったいゆっくりさせないよ!!!げらげらげらげら!!!!」 ということで、ルームランナーで子まりさが終わりを宣言するまで親まりさには走り続けてもらう。走り切れなかったら制裁ということなのだ。 かれこれもう30分は跳ねつづけている。 「ゆう…ゆううう…もう…とめてね…まりさ…もう…げんっかいだよっ…」 「ゆっ!せいっさいされてもいいんだね!!!!」 「いいからとめろおおおおおおおおおおおぉぉぉおおお!!!!」 「くちごたえしたからすぴーどさんをあげるよ!!!!」 「ゆぴいいいいいぃぃいいいいいいいい!!!!!なんでまりさが…こんな目に…」 「すぴーどさんをあげるよ!!!」 「ゆううううううううぅうぅぅぅぅぅぅ!!!!!???」 「ゆふふふふふふ!!!!まりさはいいきみだよ!!!さっさとはやくしんでね!!!!!!」 それから1時間…1時間30分…2時間と過ぎていったがとうとう親まりさに限界がきた。 「も…う…むり…ゆっ…く…り…ゆっくり…したい…も…ゆ"ぐぇ!!!」 ついに親まりさはとまってしまった。 「ついにとまったねえぇぇええ!!!!!せいっさいだよおおおぉおぉおおおおおおおおお!!!!!!!!」 「や…やめて…ね…ぜえ…まりさは…ぜえ…がんば…ゆへぇ…ったんだよ…」 「いいっていうまではしればゆるしたけどだめだよおおおおお!!!おにいさああああん!!!!せいっさいのじゅんびだよおおおおおおおお!!!」 … 「まずはこのたべものさんをむーしゃむーしゃしてね!!!」 「…っ!?…ゆっ?」 親まりさは意表をつかれた。子供があんな悲惨な目にあったのだ。自分はどれだけ悲惨な目にあわされるか想像もつかなかった。 なのにこのたべものさん(?)をむーしゃむーしゃするだけでいいの?まりさは許されたんだね!やっぱりまりさがゆっくりしてるからだね。かわいくてごめんねえ!!! 「ゆゆん!!それだけでいいんだね!!!そんなのかんたんだよ!!!ゆっくりたべるよっ!!!」 ゆっくりは基本なんでも食べる。この野良まりさは公園の苦い雑草や汚い虫、生ごみなどを食べてきた。 それはあまりゆっくりした食べ物達ではなかったが生き延びるためだ。仕方のない事である。 そこにいつもとは違う人間の食べ物だ。感想は決まっている。 「むーしゃむーしゃ………し…しあわすぇええええええええええええええええぇえええぇえ!!!!」 最初は得体のしれないものだと思って警戒していたがいつも食べているものに比べるとなんておいしいものだ!! まりさ大人なのに思わずうれしーしーを流してしまった。だがそれだけおいしいのだ。しあわせーなのだ。 「うめっ!!めっちゃうめっ!!!はふ!!ばりばり!!!はふっ!!!」 「ゆうううううう!!!れいむにもちょうだいねええ!!!それはれいむのたべものさんだよおおおお!!!!」 「いっぱいあるよ!!!ぜんぶたべてね!!!!」 親まりさは言われるまでもなく全部食べきった。 しかし食べたと同時にのどがとてもかわいてしまった。 無理もない。ルームランナーであれだけ走ったのだ。身体の中の水はもうほとんどのこっていないだろう。 「まりさのどがかわいたんだぜ!!!ごーくごーくしたいよ!!!!そこのぐず!!!はやくみずをよこしてね!!!!のろまはきらいだよ!!!」 自分は助かったと思い、いつも親れいむがしているように子まりさを命令する親まりさ。 「わかったよ!!!おにいさん!!!おみずさんをじゅんびしてあげてね!!!ゆぷぷ…」 「ふん!!わかればいいんだぜ!!!でもまりさのおちびちゃんをころしたげすゆっくりはあとでせいっさいするんだぜ!! おそいよっ!!!なにしてたの!!!はやくそのみずよこしてね!!!ごーくごーく…ごーくごーく…ごーくごーく…」 よほどのどが渇いていたんだろう。用意した水をすごい勢いで飲み干していく。 「ごーくごーく…ぷはあああああああああ!!!たくさん飲んだよ!!!しあわせえええええええええだよっ!!! げーっぷ!!!あとはげすゆっくりをせいっさいするだけなんだぜっ!!! …ゆっ?なんだかぽんぽんが…?ゆっ!おみずをたくさんのんだからぽんぽんがいっぱいなんだね!!! おちびちゃん!!!いまからおちびちゃんをころしたげすをころすからねえええええ!!!」 親まりさと子まりさの距離はそんなに遠くない。せいぜい3メートルといったところだ。 このままでは子まりさが怒り(笑)に震える親まりさに殺されるのも時間の問題だ。 「ごめんなさいいいい!!!ちょっとしたできごころだったんですうううう!!!もうしないからころさないでええええええええ!!! ゆぷぷ…」 なんと子まりさが必死になって謝り始めた。 「ゆっへっへ!!!いまになっていのちごいをしてもだめなのぜ!!!さあおちびちゃんのかたきをとるよおおおおおおお…お…お? ぽんぽんが…なん…だか…ぽんぽんがくるしいよおお…お…お…」 「ごめんなさいい!!!ゆるしてえええ!!!もう…ゆぷぷ…もうしま…ゆぷぷぷ…ぷ…ぷはははははははははははは!!!!!!!」 「ぽんぽんが…ぽんぽんがいたいんだぜええええええええええええぇえええ!!!!」 まりさのぽんぽんが痛い原因は先ほど食べていた食べ物にある。 まりさが食べたのは乾燥昆布。水にひたしてしばらく時間がたつと体積が何倍にも膨らんでいくという食物だ。 その膨大な量の乾燥昆布がまりさの体内で膨らみ、内部からまりさを圧迫しているため苦しんでいるというわけだ。 ゆっくりの80%以上が水分である。 ゆっくりが何もせず乾燥昆布を食べてしまうと、ゆっくり内部の大量の水分を昆布がすいこみ、全部食べきる前にお腹いっぱいを感じてしまう。 これでは親まりさを苦しませることができない。ただお腹をいっぱいにしてしまうだけだ。 そこで子まりさは考えた。 親まりさ体内の水分を出来るだけ無くし、昆布が膨らまないようにしようと。 そのために、ルームランナーで過剰な運動をさせて大量の水分を外に出させる。運動することによって苦しませられるし、お腹もすく。一石三鳥だ。 水分が体内に無いのだ。乾燥昆布を食べた所でまだ膨らむはずもない。お腹いっぱい昆布を食べてもらう。 その後にたっぷりの水を飲ませる。これは昆布が膨らむための水分を与えるためだ。 謝ったふりをしていたのも、すぐには膨らまない乾燥昆布への時間稼ぎ。 そう。すべては子まりさの計算の上だったのだ。 「まりさになにをぐわせだあああああああああああああ!!!!」 親まりさは自分に何が起こっているかわからなかったが、子まりさから与えられたあの食べ物が原因であることは予想がついていた。 「くるしいだろうねええ!!!!でもまりさもくるしかったんだよおおお!!!! みんなからいじめられてとってもくるしかった!!!なのにおかあさんはなにもしてくれなかったでしょおお!!!! だからばりさもなにもしない!!!じぶんでかってにくるしんでろおおおおおぉぉおぉ!!!!!! まりさとおなじくるしみをあじわってしねええええええええええ!!!」 「ぐううううううういじゃいいいいいいいいいいぃいいぃいぃ!!!ぽんぽんがいだいいいいいいいいい!!!」 先ほども説明したが乾燥昆布は時間とともにその体積を大きくする。つまり時間がたてばたつほど苦痛も大きくなるのだ。 「ゆぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷうううう!!!!みじめだねえええええ!!!! じぶんがむーしゃむーしゃしあわせーしたものでしぬなんてなんてみじめなんだろうねええええええええええ!!!!! まりさにはしあわせーなものなんてなかったよ!!!そこでゆっくりしんでねえええええええ!!!」 「ゆうううううううごろじでやるううううううううううううう!!!!」 親まりさのその言葉には今にも子まりさを呪い殺せそうな憎悪がこもっていた。 今すぐにでもあのげすを殺したい。おちびちゃんを殺したあのげすを。 だけどおからだが膨らんでるからかうまくうごかせない。 くそおおおおおおおおおおお。うごけええええええええええ。 「ごっぢにごいいいいいいい!!!!ごろじでやるううううううううう!!!!」 「こっちにこいだってえええ!!!!どうしてまりさがいかなくちゃいけないの?まりさはここからうごかないからこっちにおいでよ!!!げらげらげらげら!!!!」 そうしているうちに親まりさのからだはどんどん膨らんでいく。ゆっくりの皮は伸縮性があるため、中からの圧力によってどんどん伸びていく。 苦痛の色濃く、風船のようにふくらんでいく親まりさ。 それを見て笑う子まりさ。 どちらもゆっくりできてないことは確かだった。 「ゆはははははははははは!!!!!」 「ごっぢにごいい…いいいいいいっ…いっ…ひっ…ひっ…ゆっ…ゆ"、ゆげえええええ!!!!!」 ついに親まりさは餡子を吐き出してしまった。増えていく昆布の代わりに中身の餡子を吐き出し、体内の容積を減らしたのだろう。風船が爆発しないために。 「ゆげえええええ…ゆげ…ゆげえええええええええぇえぇぇぇぇぇ…」 「ゆゆっ!!あんこさんはいちゃったよ!!!おかあさんあんこさんはいちゃったよ!!! ゆげげげげげ!!!!もういもうととおなじゆっくりできなくなるうんめいなんだよおおおお!!!! げらげらげらげら!!!!ゆっくりしんでねえええええぇえぇぇぇ!!!」 「まりさあああああ!!!!あんこさんはいちゃだめええええええ!!!」 さっきまで死ねって罵倒していたくせに。まあ、一応つがいだもんな。 「いつゆっくりできなくなるのかな?まりさおかあさんはいつゆっくりできなくなるのかな?まだかな?まだかな?まだかな?まだかな?ゆぷぷぷぷぷぷぷ!!!!」 「ゆ…ぎぎぎ…ゆげええ…ゆ…ゆげえええええぇえぇ…」 大量の餡子を吐き続ける親まりさ。しかし昆布は膨らみ続ける。 「ゆぎ…ぎ…もう…げん…げんっかいだよ…っ…」 (まりさ…もうゆっくりできないよ…はやくゆっくりしたいよ… ゆっくりして…てんごくのおちびちゃんにあいたいよ…ぐそお…あんなげすに…あんなゆっくりしてないやつなんかに…) ゆっくりは身体の3分の2以上の餡子がなくなるを死ぬ。 親まりさの大きさはバスケットボール大。単純に考えても相当な量の餡子を含んでいる。 げんっかいは簡単にはこないのだ。簡単には死ねない。否…死なせてもらえないのだ。 ゆっくり、ゆっくりと時間をかけて殺されていくのだ…そうゆっくりと…自分の子供である子まりさに…ゆっくりと… 「ゆ…っ…は…やく…ゆっ…りしたいよ……」 「だめだよっ!!!ゆっくりくるしんでしんでねっ!!!」 「ゆっぐぐぐぐぐう…」 (どうしてまりさはこんな目にあわなくちゃいけないの。ゆげ…まりさはただゆっくりしてただけだよ。ゆげえ… ぜんぜんおちびちゃんをゆっくりさせなかったから…ゆげえぇ…そのしかえしなの?ゆげえ…だからまりさはこんな苦しい思いをしているの?わからないよ… でもれいむに…おこられちゃうからしょうがなかったんだよ。ゆえっ…それにまりさはそれをまち……ゆ"っ!?) まりさはどうしてこうなったのか考えた。一生懸命考えた。 しかし残念なことに、まりさがその結論を考え出す前に終わりがきてしまったのだ。そう、まりさの死という名の終わりが。 突然まりさの目が大きく見開いたと思うと、 「ぎぎぎぎ……ゆ…ゆげえええ…ゆげええええええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇえええええ!!!!!!」 一気に大量の餡子を吐き出して親まりさは死んだ。やっとゆっくりさせてもらえたのだ。おそらく昆布が中枢餡に達したのだろう。 「もっど…ゆっ……ぐ……」 「まりさあああああああぁぁぁぁぁぁあぁぁあ!!!!」 「いもうとにつづいてこいつもやっとしんだよ!!!まりさをむししつづけたあのばかなまりさおかあさんはしんだよ!!!げらげらげらげらげら!!!!」 最終的にまりさは元の三倍ちかくも体積が大きくなっていた。なおも体積はふえている。 顔にはこの世のものとは思えない顔で死んでいるゆっくりしていない元ゆっくりの姿が映し出されていた。 「まりさ…どうして…もうやだ!!!おうちかえるううううううううううううう!!!!!」 そんな親れいむの叫びむなしく子まりさは 「ゆっふふふぃひひひひひ!!!さいごはれいむおかあさんだよおおおおおおおおお!!!」 『わかったよ。』 「どぼじでええええええええええええええ!!!!」 …… … 最後のせいっさいをまりさと相談していると、 「ゆうう!!!れいむはここからでるよ!!!がらすさんはいじわるしないでここからだしてね!!!!」 必死の形相で水槽に体当たりするれいむ。今までの比ではない勢いだ。 そんなれいむの願い通じてか、ついに水槽は割れた。 (バリーン!!!) ガラスの割れる音が部屋に響き渡る。 「ゆゆっ!!!われたね!!!ゆっくりここからにげるよ!!!ばかなじじいたちはこんどほかのなかまといっしょにせいっさいするよ!!! ばかなじじいとげすゆっくりはゆっくりしんでね!!!そろーりそろーり…」 ゆっくりには自分の行動を口に出してしまう本能がある。それでなくても、逃げようとしていた事はわかるんだけどね。 「!!!? どぼじでどあさんがしまってるのおおおおおおおおおお!!」 自分が逃げようと必死になったら水槽がわれたわけか。子供が死んでも、自分のつがいが死んでもその必死さはなかったくせにな。 ―○○!俺を先に助けろ!!!足がタンスにはさまって動けねえんだ!!!早くしろ!火がせまってる!!― ―ここからだせ!!親にこんなことしていいと思っているのか!!この恩知らず!!!― あの時でもお前らは、ぼくを助けようって考えはなかっただろうな。自由の身であっても。 ―おいやめろ!!俺はお前の親なんだぞ!!!そんなものふりまわすんじゃ…― ―今さら親づらするなよ。お前には殴られた思い出しかないよ。― ―火が!!火が目の前に!!○○!早く助けろ!!早くここから出せ!!!○○!!!― ―ぼくが何を言ってもあけてくれなかったじゃないか。― ―おまえらなんて死んでしまえ― 結局、親だろうと自分の身が大事なのはあいつらと同じか…みんな自分の身が一番大事なんだよね。 『ふふふふふふ…』 「ゆ?なにかおかしいのおにいさん?」 『ん?別に笑ってないよまりさ。さあ、復讐を続けよう。』 「ゆっ!!わかったよ!…きめたよ!!さいごはまりさじしんがせいっさいするよ!!!」 「れ…れいむをいじめるのはやめてね…」 『ごめんね。君の子供のお願いだから。親なら我慢できるよね?』 「はなせえええぇえええぇええええぇえ!!!」 親れいむの身動きがとれないようピーラー(野菜などの皮をむく調理器具)で皮を餡子がもれないようむく。 まずは髪の毛からのある頭から。 「ゆぎゅいいぃいいいいいいいいいい!!!!!でいぶのえれがんとなくろがびがあああ!!!!」 皮と共に髪の毛までむける。頭が薄皮一枚だけの禿げ饅頭がいる。身体はまだ普通なだけに、このアンバランスな姿がまた滑稽で笑える。 「どぼじで…どぼじでごんなごどずるのおおおおおおおおおおおお!!!」 どうして?うーん… 『そうだな…あえていうなら…仲間を増やすためかな。』 「どういうことなのおおおおおぉぉおおぉぉ!!!」 そこから体中の皮を丁寧にむいていく 「ゆぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃあああああああああぎゃああああああ!!!!!!いじゃいいいいいいぃぃいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!」 「ゆひゅへへへへへへへへゃははははは!!!!!れいむおかあさんぜんぜんゆっくりしたすがたじゃないよ!!!! かみのけさんもおかざりさんもなんにもない!!!!ただのはげまんじゅうだよ!!!!! ゆひゃへへへへへへへ!!!!つるつるさんだよおおおおおぉぉおぉぉ!!!!つるつるさんだよおおおおぉぉお!!!」 「わらうだああああああああああ!!!!ごろ…ゆへっ!?……ごろじでやるううううううぅぅうう!!!ゆひぃっ!?」 滑稽な姿の親を笑う子まりさと、それに激怒する親れいむ。この二匹はこれでも親子なのだ。 「まりさをみためだけでいじめたげすおやはゆっくりできないすがたになってしね!!!!まりさはもっとくるしかったんだぞおおおおおおお!!!! ちょっとおかざりさんがへんだからっておまえらにいじめられて、どってもくるしかったんだああああああ!!!! おまえみたいなゆっくりはゆっくりできなくなってしねええええぇぇぇぇぇえ!!!」 身体の皮を全部むききり、頭だけでなく身体中が薄皮一枚だけの饅頭が完成した。 餡子がもれていないので死ぬことはないが、それでも空気に触れるだけで身体全体が激痛に犯されている。 「いじゃい…いじゃいよお!!!!どうじででいぶがごんなべに…」 「ゆふん!ここからはまりさがやるからおにいさんはてをださなくてもいいよ!!!!」 「…おばえごどぎが…おばえごどぎがでいぶにがでるどおぼっでいるのがああああああああ!!!」 親れいむの言っている事は、正しいと言えば正しい。 親れいむの大きさがバスケットボールに対し、子まりさの大きさはせいぜいハンドボールくらいだ。 戦ったら親れいむが勝つのは明白だろう。親れいむもそう思っていたに違いない。 しかし、これには条件がある。お互いに体調万全の状態であればだ。 そう。今はそれに当てはまらない。 「ゆぎぎぎ…おちびちゃんとまりさのかたきだよ!!!!!げすなこどもはいますぐしねええええええぇえぇえぇえ!!!」 「やってみるといいよ!!!!!げらげらげらげらげら!!!!おちびちゃんとまりさのかたきぃ!!げらげらげらげらげら!!!!」 「もうないてあやまってもゆるざないよおお!!!!げすゆっくりはせいっさいしでやるううう!!!いまいぐがらばっでろおおおおおお!!! ゆああああああああっ!?いだいいいいいぃぃいいいいぃぃぃいいい!!!」 空気が触れるだけでも激痛なのだ。ではその身体を動かすとどうなるか? 地面と自分との摩擦。はねたときの衝撃。全ての動作が痛みをなってかえってくる。まともに動くこともできないだろう。 「ゆひゃっはあああっはあああああ!!!うごかないの?ならこっちからいくよ!!!!!」 まりさ渾身の体当たり。 いつもならそれほど痛くもなく耐えきれる範囲の攻撃だろう。 だが今は状況が状況なのだ。 「ゆぎゃああああああぁあぁぁぁあぁ!!!!!いじゃいいいいいいいいい!!!!!もうやじゃあああああああ!!!!」 ちーちーが勢い良く噴出し、涙がとまらない。どうしてだ?なんであんなげすの体当たりがこんなにもいたい。れいむの方が強いのはずなのに。 おかしい!いたい!いたい!ゆっくりしたい! 「でいぶはしんぐるまざーなんだぞおおおお!!!!ゆっぐりざぜないどいげないんだあああああ!!!ぞれがわがらないげすはゆっくりじねええ!!!!」 「まだくちごたえするげんきがあるんだねええええええ!!!せいっさいするよおおおおおおおお!!!!」 それから子まりさの親へのせいっさいは続いた。 「このげすおや!!!まりさをゆっくりさせないげすおや!!!しね!!!!はやくしね!!!!」 「ゆべっ!!!やっ!!!やめろおおお!!!!でいぶ!!!まだっ!ゆっぐり…じだぐないいぃぃ!!!」 まりさは皮が破れて餡子がもれず、なおかつ痛みを最大限に与えられるよう、せいっさいの力加減をコントロールしていた。 「しねっ!!!しねっ!!!しねっ!!!」 「やべっ!やべろっ!!ゆっぐりざぜろおおお!!!おいじじい!!!でいぶをはやぐだずげろおおおおおおおおお!!!」 「まりさはずっとゆっくりできなかったんだ!!!!ほかのゆっくりとすこしちがうだけでみんないじめて!!! かぞくからもいじめられて!!!ずっとゆっくりできなかったんだぞ!!!!おまえはそれをしっているのか!!!」 「うるざいいいいいいぃぃいいいいい!!!!じねえええええええええ!!!!」 まりさのせいっさいは一時間にも及んだ。 「ゆはあ…ゆはあ…ゆはあ…お…おにいさん…ちょっときゅうけいするよ。げすおやにあまあまなおみずをすこしかけてあげてね。すこしでいいよ。 まりさは…あっちであまあまさんをたべてきゅうけいしてるよ。」 「ゆっぐりざぜろおおおおおお…」 言われた通り子れいむ同様親れいむにも野菜ジュースをかけてやった。しばらくすると会話できるくらいには回復していた。 「ぐぞおおおおお…あのげすううううううう…ゆっぐりじねえええええええ…」 子まりさは台所でプリンを食べている。 ……「ちちち…ちあわちぇーーーーーーーーーっ!!!」 んーまだ時間がかかりそうだな。 ……「へぶんじょうたいっ!!!!」 『ちょっと質問させてよれいむ。質問に答えたらあの子まりさを私がせいっさいしてあげるからさ。』 「!? ほんとうだね!!じじいははやくあいつをせいっさいしてね!!!れいむはしんぐるまざーなんだよ!!!」 『ゆっくりにとってゆっくりすることはゆん生の中で一番大事なことなんだろ?』 「そうだよ…じじいはそんなこともわからないの?ばかなの?」 『お前たちはここに来る前まではゆっくりしていたのか?』 「そうだよ…みんなですーりすーりして、おうたをうたって、むーしゃむーしゃして、 おしゃべりして、すーやすーやしてたよ。とてもゆっくりしたしあわせーなひびだったよ…なのにあのげすのせいで…」 『子供をいじめてまで生きることがお前らの言うゆっくりだったのか?』 「あいつはげすだからいいんだよ!」 『げすって…もとはといえばお前らが普通に接していればあいつもお前らを憎んだりしなかったよな。』 「そんなこと…そんなことないよ!!!あいつはげすなんだよ!!!おかざりもゆっくりしていなかったし!!!みんなもゆっくりしてないっていってたよ!!!」 『かわいい自分の子供なんだろ?他人とは違い血のつながった唯一の家族。どこか自分たちと違っても守るべき大事な家族なのは変わらないんじゃないか?』 「ゆっ…それは…」 『れいむ…ゆっくりってなんだ?』 その時ちょうどプリンを食べ終えたまりさが幸せそうな笑顔でこちらに走ってきた。 「おにいさん!!!せいっさい、さいかいだよおおおおおおおぉおおおおおお!!!!」 「ゆゆっ!!!!!!」 …… … 『そうだよな…血のつながった唯一の家族なんだよ。他人と違って…もう遅いけどさ。』 再び子まりさによるせいっさいが始まった。 「ゆへへへへへへへへひひひ!!!!せいっさいだよ!!!せいっっさいだよ!!!せいっっっさいだよおおおおおおおおおお!!!」 「ゆぐっ!!!ゆぎっ!!!!ゆっ!!!ぎっ!!!ゆへっ!!!!」 (『守るべき家族なんじゃなかったのか?』) かぞく?あのまりさが?かぞく? ゆっくりしてないのはかぞくじゃないよ。 …でもどうしてまりさをゆっくりしてないって思ったんだろう? 「せいっっ!!!」「ゆぎぎっ!!!」 おかざりさんが他の子と違っていたから?そのせいで他のみんなに馬鹿にされるのが嫌だったから? 「さい!!!」 「ゆゆゆうっ!?」 今思えばそんな理由だけで自分の子供をいじめていたのか? ゆっくりしていなかったのは子供じゃなくて自分だったんじゃないか? でもおかざりは大事…な…の…か……な…ゆう… … おかざりなんて…本当はどうでもよかったんじゃないか? まわりのみんなから馬鹿にされるのが嫌だからって…自分の…大切な子供なのに…守るべき家族…なのに… 「れいむ…ちょっとまりさにきびしくあたりすぎじゃないかぜ?」 「ゆ"っ!?なにいってるの!!!あいつはゆっくりできないんだよ!!!ぐずなんだよ!!!」 「でもまりさたちのたいせつな…「うるさいよっ!!!」ゆっ!?」 「こんどあいつとしゃべったらまりさもろともせいっさいするよ!!!」 「ゆう…わかったんだぜ…」 れいむがこんな事言わなきゃまりさはおちびちゃんをあの時通りずっと大切に育てたかな… 「まりさ、おかあさんのためにきれいなおはなさんとってきたよ!!!」 「いらないよ!!!そんなこともわからないのかこのぐず!!!おまえにかかわるとろくなめにあわないよ!!!!」 「おかあさんごめんなさい…」 謝らないでおちびちゃん…そのおはなさんとってもきれいだよ…おかあさんのためにありがとうね… 「ゆぴいいぃいいぃいい!!!!いちゃいいいいいぃぃいいいいいいいいい!!!!」 「どうしたのおちびちゃん!!!!!!」 「まりさ、れいむといっしょにあそんでたられいむがそこのいしさんにつまずいちゃったんだよ…だいじょうぶれいむ?」 「うるさいよおおおおおおお!!!」 「ゆぴぃいいいい!!!」 「どうせおまえがおちびちゃんをいじめてなかせたんだ!!!きょうからみっかかんごはんぬきだからね!!!」 「ゆぅ…ごめんなさい…」 …ゆ…ごめんね…おかあさんが…悪かったんだよ…おちびちゃんを信じてあげられなくてごめんね… 本当は気付いてたのかもしれない…自分が悪いって…でも認めたく…なかったんだよ…自分がゆっくりしてないなんて… でも…今…ちゃんと気づいたよ…おかあさんは悪いゆっくり…ゆっくりしてない…悪いゆっくりだよ… おちびちゃんにせいっさいされてもしかたない悪いゆっくりだよ…悪いのは… 「ごめんね…おちびちゃん…れいむのたいせつなこども…」 「ゆっ!?」 まりさは驚いた。 謝られた?おかあさんに?そんな事あるわけがない。あのいじわるなおかあさんがまりさにあやまるなんて…でも今… 「ごめんねおちびちゃん…ぜんぶれいむがわるかったよ…おちびちゃんはなんにもわるくないよ…」 ご…め…んね…だって… なんで…今になって謝るんだ。謝るくらいなら普段からなんで普通に接してくれなかったんだ。 まりさはつらかったんだぞ。いつもひとりぼっちでさみしかったんだぞ。 だれもまりさをたすけてくれなかったんだぞ… いまさらおやづらするな… いまさら…いまさら… 「…いまさらおやづらするなあああああぁあぁあぁあああああああああああああ!!!!!!!ゆっくりしねええええぇえぇぇえぇえぇぇええええええええ!!!!!!!」 その後も子まりさの親れいむへのせいっさいを続けられた。激しさを増しながら… 薄皮を気遣った力加減のコントロールなんて、もはや存在しない。つねに全力の体当たり。 しかし、れいむはそれに耐えた。耐え続けた。ひたすら子供への懺悔の言葉を口にして。 「ゆっ!!!!ゆっ!!!!ころす!!!!ごろず!!!!!ごろじでやるううううううう!!!!」 「ごめんねおちびちゃん…ゆ"っ!ごめんね…れいむが…ゆ"っ!わるかったよ…ゆ"っ!」 「ごろずごろずごろずごろずごろずごろずごろじでやるううううううぅぅぅぅぅ」 まりさの悪魔ののような叫びが響き渡った。もはやそれはゆっくりのものではない。 「じねじねじねじねじねじねじねじねじねじねえええええぇええええええ!!!!」 「ごめんね…おちびちゃん…ほんとうに…ごめんね…」 「ごろず!!」 「ごろずっ!!!!」 「ごろずうううううぅぅぅううううう!!!!」 「ゆ"う"う"う"う"う"う"ぅ"ぅ"ぅ"う"う"!!!!?」 ゆっくりには自分で死ぬ方法をして「おたべなさいっ!!」というものがある。 この言葉をゆっくりが発するとゆっくりは身体の真ん中からきれいに二分割され文字通り本当のお饅頭と化す。 これは他のゆっくりのために自らが食料となろうとするとき、自分がもうゆっくりできないと感じる二つの場合に使われる。 ではこのれいむはどうだろう? 実の子供にせいっさいという名の虐待をうけ、全身が薄い皮のみなので常に我慢しがたい激痛を感じ続ける。 自分の家族は同じ家族である子供にみんな殺された。 万が一ここから助かっても普通のゆっくりとしては生活できないというこの状況。もうゆっくりできないと感じるのが普通だろう。 ではなぜれいむは「おたべなさいっ!」をしないのであろうか? それは子まりさへの謝罪だけではない。 ゆっくりできない自分への罰。 ゆっくりできない自分に付き合わせてしまった家族への弔い。 そして一番は、子まりさの怒りをこの身全てで受けようとする母の愛情であった。 すぐにゆっくりするわけにはいかない。 ゆっくりにとっても家族というものは、本当はとてもとても大きい存在なのかもしれない。 …しかしそんなれいむのにも限界が来てしまう。気持ちではない。身体のほうだ。 「ぐっ…ゆげええええええぇええええええ!!!!」 あまりの長い時間の激痛に耐えられなくなりついに餡子を吐き出してしまう。 「ごろずごろずごろずうううううううううううううぅぅぅぅ!!!」 それに気付かずまりさはせいっさいを続ける。それほどまりさの母への恨みは深かったのかもしれない。 「せいっさいだあああぁああああああああぁあぁああ!!!」 「ゆべっ…ゆげええええぇえ…ゆっ…ゆげえええええええええええええ」 ついに子まりさのせいっさいのたびに餡子を吐いてしまうようになってしまった。このれいむが死ぬのも時間の問題である。 「しねっ!!!しねっ!!!しねっ!!!!」 『まりさ。』 「なんだおにいざんんんん!!!!いばばりさはいそがしいんだよおおおおおお!!!じゃまするとおにいざんもせいっざいするよおおおおおおお!!!!」 『…もう痙攣してる。死ぬのは時間の問題だと思うよ。時間をかけて殺すんならもうその辺にしておいて 苦痛の中死なせた方がいいんじゃないか?』 私はまりさに提案する。子まりさのためではない。最後にれいむと話しがしたかったのだ。この状況においてもお前はゆっくりできるのかと。 「ゆふう…ゆふう…ゆふう…まりさは…いまそれをかんがえていたんだよ…ゆふう…おにいさんはよけいな…くちごたえしないでね…ゆふう…」 「…ゆ"っ…ゆ"っ…ゆ"っ……」 (…せいっさいはおわったの?でももうおからだのかんかくがないよ…もう…ゆっくりできそうもないね… おちびちゃんはれいむのことをゆるしてくれたかな…どっちにしても…れいむはわるい…ゆっくりだよ… ごめんね…おちびちゃん…が…ゆっくり…できなかったの…はれ…いむのせいだよ…こんな…おかあ…さんをゆる…してね…) 「ゆふう…ゆふう…くるしんでしね…ゆふう…ゆふう…」 … このれいむはもう死にかけだな。というかまだ生きてるのかな? 会話するのは無理かなあ…。 実の子供にここまでされて…少し哀れにも見えてくるな。 「…お…おに…い…さん…れいむ…の…は…な…しを…」 え!?お前まだしゃべれるのか!?それにそんな死にかけの状態で何を話すって言うんだ!? 「…おにい…さん…れいむの…さいごの…は…なしをきい…てね…」 子供じゃなくて私に?そこまでして伝えたいことがあるのか? わかった。お前の最後の言葉この耳にしっかりと焼きつけよう。 『…なんだい?』 「おにいさん…おにいさんは…ゆっくりってなにって…れいむにきいた…ね…おしえて…あげるよ…」 れいむはとぎれとぎれながらも自身最後の言葉を呟くような声で私に語りかけた。私は一字一句聞き逃さないようれいむの言葉だけに集中した。 「ゆっくりっていうのは…じぶんの…じぶんのいきたいようにいきることなんだよ… おなかがすいたときにむーしゃむーしゃする…かわいいおちびちゃんといっしょにすごしたいからおちびちゃんをうむ… もうおねむだからみんなとすーやすーやする…みんなとあそびたいからこーろこーろする…おちびちゃんとうたいたいからおうたをうたう… ぺーろぺーろやすーりすーり…みんな…みんなゆっくりできることなんだよ…じぶんがしたいからするんだよ… おにいさんは…ゆっくりしてるの…?れいむ…おにいさんがゆっくりしているようにはみえないよ… おにいさん…れいむの…さいごの…おねがいだよ…おちびちゃんをゆっくり…させてあげてね… れいむ…は…こんな…こと…いえる…おや…じゃ…ないけど…ゆう……ゆっ…う…うぅ… ゆっくりさせて…あげられなかった…うっ…れいむたちのぶんまで…ゆぅ…うぅ…っ…ゆっ…ゆっくり…させてあげて…おね…がい… おちび…ちゃんは…ゆっくりでき…るんだよ…これできっと…おにい…さんも…ゆ…っく…りでき…よ… お…に…さん…ゆっく…り…し…て…いって…ね……!!!」 おちびちゃんは自分達無しで生きていけるのだろうか… しあわせーなゆん生を歩めるだろうか… それだけが心残りだな… おちびちゃん…何も教えてあげられなくてごめんね… いっしょにおうたとかうたってあげられなくてごめんね… すーりすーりも…ぺーろぺーろも… れいむ…いじわるばかりしちゃって… 悪いおかあさんでごめんね… ごめんね…ごめんねおちびちゃん… れいむの…たいせつな…おちびちゃん… ごめんね… れいむは先に天国にいくよ… 天国でおちびちゃんとまりさと一緒にずっと見守ってるよ… だから…心配しないで…安心して…ゆ…ぅう…っ…ゆっく…りし…てね… … 神様おねがいです…れいむは…もう…ゆっくりできなくてもいいです…ですから… もし… もし願いがかなうなら… もし生まれ変わっても…また…おちびちゃんのおかあさんになれたら… そのときは… れいむは静かに息をひきとった。 私が見ることのできなかった母の愛がそこにはあった。 子供の事だけを純粋に考える母の姿がそこにはあった。 自分を犠牲にしてまでも子供の幸せを考える母の顔がそこにはあった。 無情にも実の子供には伝わる事のない母の願いがそこにはあった。 『…そうか…』 『…ふふふふふ…そうか…ふふふ…あーっはっはっはっはっはっはっはっはっは!!! ゆっくりってそういうことね!!!ぼくがゆっくりの意味を知らなかったわけだ。確かにぼくはゆっくりしてない!!! 自分が生きたいように生きた事なんて無いもの!!!自分に正直に生きた事なんてないさ!!!いつも自分を偽って生きてきたよ! そうしないと生きていけなかったもの!!!今だってそうさ!!! 親の愛情だって知らない!知らないさ!!! そうか…くっくっくっくっ…。最後にゆっくりに教えられるなんてね!!!あーっはっはっはっはっはっはっは!!!』 ぼくは笑いが止まらなかった。 自分の生き方を全て否定された。普通は怒るだろう。自分の全てを否定されるのだから。 しかし笑いが込み上げてきてしかたなかった。 誰かに否定してほしかったのだろうか。自分のこれまでの生き方を。 誰かに教えてほしかったのだろうか。自分に生きたいように生きる事を。 誰かにしかってほしかったのだろうか。自分に嘘をついている事を。 誰かになってほしかったのだろうか。自分の本当の親に。尊敬できる本当の親に。 『…あっはっはっは…っは…は…あ……ただれいむ…最後のお願い…残念だけど……ゆっくりしてないやつにはさ…』 『他のやつをゆっくりさせることなんてできないんだよ。』 …… … 『まりさ。ついにれいむが死んだよ。お前の復讐は達成されたんだ。』 「……ゆ……ふ…ふ…」 「…ふ…ふふふ…ゆひゃははははははは…ついにまりさはふくしゅうしたよ!!!まりさを…まりさをゆっくりできなくしたおやといもうとをせいっさいしてやったよ!!! いままりさはすごくゆっくりしてるよ!!!ゆはははははははははははははは!!!!!!」 『おめでとうまりさ。』 「ありがとうおにいさん!!!おにいさんのおかげだよ!!! おにいさんのおかげでまりさはすごくゆっくりしてるよ!!!しあわせーだよ!!!へぶんじょうたいだよ!!!!!!」 『うん。おめでとう。ただ復讐を果たした君はこれからどうやって生きていくんだい?頼るべき相手もいなくなって独りで生きていくんだろう?』 「ゆっへっへっへ!!!できるよ!いまのまりさはなんでもできるんだよ!!!ひとりでいきることなんてかんたんだよ!!!! もしむりでもおにいさんとかだれかにたすけてもらえばいいよ!!!」 『へえ?本当にできるのかい?』 『この家族殺し。』 「ゆ"う"っっ!? まりさかぞくごろしなんかじゃないよ!!!まりさはまりさをゆっくりさせなくしたやつにせいっさいしたんだよ!!!!ふくしゅうだよ!!!」 『同じことじゃないか。君は家族を殺した。』 ―家族殺し!お前は親を助けられたのに助けなかった!!!この人殺し!!!― 「そんなことないよ!!!」 『家族を殺した奴には周りの目も厳しい。誰も助けてくれやしないよ。家族でさえ殺す奴だ。他人を殺す事なんて簡単だろってみんな思うもんな。』 ―あいつ、家族を殺したって噂だぜ。警察も誰かの妨害のせいで逃げ遅れた可能性があるって言ってたから本当だって。怖いよなあ。― 『そういえばあの親れいむ、最後にはお前に謝ってたじゃないか。ゆっくりさせなくてごめんねって。 なのにお前は親を殺した。謝っているのに殺した。これってゆっくりできないことだよね?お前も親や妹と同じだよ。』 ―俺達が悪かった!だから助けてくれ!!頼む!!今までの事はどうか…心を入れ替えるから― 「ちがう!!!まりさはちがう!!!あんなげすといっしょなんかじゃない!!!それにこれはおにいさんからいいだしたんだよ!おにいさんがこんなこといわなきゃ…」 ―違う!あんな無責任な親とは違う!本当は助けたかったんだ!!仕方のないことだったんだ!!!― 『君が頼まなきゃ私は何もせずに家に帰ったよ。なのに君はただその時の自分の感情だけで家族に復讐した。 復讐以外の道なんていくらでもあっただだろう。なのに君は復讐を選択した。』 「ちがう…まりさは…」 ―違う…仕方のないことだったんだよ…― ―本当に?― ―殺さなきゃ殺されてたかもしれない― ―それ以外の道はなかったの?― ―だって…嫌だったんだ…こいつらがここに存在している事が…またぼくを否定するんじゃないかって…― 『おめでとうまりさ。きみはこれからずっと家族殺しとして生きていく。それはきっとゆっくりできることなんだろうねえ?』 「ちがう!!!ちがう!!!!まりさはかぞくごろしなんかじゃない!!!まりさは…かぞくごろしなんかじゃ…」 『きみはぼくとおなじ…ゆっくりできない家族殺しなんだ』 「ゆぎぃいいいいいぃいいいぃいいいいいいいぃいいぃいいいいいいいいいいいいぃいいゃあああああぁああああああああああぁああああああ!!!!」 ……… …… … 本当の自分を否定されるのは嫌な事だよ。ぼくがここに存在してはいけない気がするからね。 否定されないために自分を、本当の自分自身を変えようとする人もそりゃいるよ。 でもそんな簡単に自分は変われない。変わらない。本当の自分の姿がそんな誰でも簡単に変えられるなら人生なんてつらくないよ。みんなにもわかるでしょう? だからぼくは理想の自分である私を作った。誰からも否定されない理想の自分。この現実で生きていくための理想の私。 でも理想の私は本当の自分じゃない。ぼくじゃないんだ。 ぼくだって自分の生きたいように生きたいよ。人間だもん。 でも変われない本当のぼくが生きていくにはこの現実は厳しい。この現実の荒波を越えていくにはぼくは弱すぎる。 ではぼくはどうしたかったのか?何が欲しかったのか? …仲間が… …仲間が欲しかったんだ。同じ苦しみを分かち合う仲間が。本当の仲間が。 一人でいると心細いよね。不安でしょうがないよ。でも二人なら大丈夫。なんとか頑張れるさ。 三人なら難しい問題にも立ち向かえる。 たくさんいたら…そう…何でもできる。 人間はそうやってこの世界を支配していったんだよ。 今も昔も変わらずにね。 … まりさ、正直言うときみがゆっくりできなくなった原因はぼくなんだ。きみの帽子、生まれたときは普通だっただろう? しばらく前かな…今日みたいな仕事が早く終わった日… 帰り道でたまたま幸せそうなきみたち家族の姿を見たんだよ。 「まりさ、きょうかけっこでいちばんになったよ!!!ゆっへん!!」 「ゆうううううう!!!おねえちゃんすごい!!!」 「さすがまりさのこどもなんだぜ!!!きょうはふんぱつして、いもむしさんでもたべるんだぜ!!!」 「「いもむしさん!!!やったあああああああ!!!!」」 「やっぱりれいむのおちびちゃんたちはゆっくりしてるよ!!!ふたりともてんしのようにかわいいよ!!!ゆうぅう!!!」 「「「「ゆはははははははははははははははははははははは!!!」」」」 ……… なんだよ…なんだよ…ぼくには幸せな家庭なんてなかったのに… 本当幸せそうな家族だなって思ったよ。 たかがゆっくりだろって思う人もいるかもしれないけどさ。 でもそのゆっくりでさえ幸せな家庭があるんだよ? ぼくにはなかったのに。 悔しかった。羨ましかった。妬ましかった。ゆっくりのくせにって。 ぼくにはそんな幸せな家族なんていなかったのにって。 そんなの幸せ、ぼくがぶっ壊してやるって思った。 飾りがきみたちの中で一番大事ってことは知ってた。 だから、その飾りをおかしくすれば、家族の仲が少しくらい壊れるんじゃないかなって思ったんだ。 誰でもよかったんだ。今回聞いた話の中心が子まりさだったからこいつでいいやって思っただけ。 話の中心が子れいむや親まりさとかだったらそっちにしてただろうね。 あの時きみに会うまでは忘れてたよ。帽子を見なければあの時の奴って事にも気付かなかっただろうしね。 ゆっくりなんて人間から見たらみんな同じ顔してるもの。 ぼくが願った通り、いやそれ以上かな? きみは家族から…他のみんなから虐げられていた。 いつやったのかって? ぼくは仕事が深夜終わる事が多いんだよ?だからきみたちの住んでいる場所さえ分かれば仕事帰りのついでって感じでさ。 きみたちは規則正しく寝てるから簡単な作業だったよ。きみたちはえらいよね。 まさかぼくのちょっとした悪意がこんなことになるなんて思ってもみなかったよ。 自分勝手だって思う?人間みんな自分勝手なんだよ。今に始まった事じゃない。 まりさはたまたま犠牲者のひとりになっただけだよ。 きみには本当に同情する。心の底から。 でもいいじゃないか。仲間ならぼくがいるよ。誰にも言えない秘密を共有した本当の仲間がさ。 ………… ……… …… … 『おつかれさまです。』 「ああ、おつかれ。」 (ガチャン) 「あいつってちょっと変わってるよな。」 「どうして?」 「この前さ… 『火を貸して頂けますか?』 「ああいいよ。」 『すみません。なぜか火を見ていると勇気がもらえるんです。私には出来るって思える勇気が。』 「?そうなのか?まあいいや。満足したら返してくれよ!」 『はい。ありがとうございます。』 ってなことがあってさ」 「へえー変な奴だな。放火魔だったりしてwそういえばお前知ってるか?あいつと関わると不幸な目に会う噂だぞ?」 「そんな噂が?」 「あいつ自身も親を火事で亡くしたり不幸続きらしいからそんな噂がたっちまうんだろうなあ…」 「でもあいつ人当たりのいい普通のやつだよな?」 「だよなあwあいつ別にいい奴だもんなwしょせんうわさうわさw」 …… (ガラガラガラ) 『ただいま。ふう~今日も疲れた。』 あの子まりさはまだ生きている。いや生かされているの間違いかもしれない。 まりさは私の家で壊れた人形のように同じ言葉を繰り返している。 「まりさはかぞくごろしじゃない…まりさはかぞくごろしじゃない…まり…」 あの時以来精神的に壊れてしまいもう普通のゆっくりのように生きることはできないだろう。 でもいいんだ、ぼくに仲間ができた。仲間の世話はぼくがするんだ。 だかられいむ、安心してよ。まりさはぼくが責任をもってお世話するからさ。 仲間はまりさだけじゃない。きっと他にもたくさんいるはずなんだ。 きみはぼくの仲間かな?もしよかったらどう?ぼくの仲間にならない? 仲間になってくれるとぼくも頑張れるんだけどな。 次の仲間はどうやったら会えるのかな。 (ガチャ) 『まりさ…』 『ゆっくりしていってね。』 なんて痛々しく意味不明で陳腐な作品。設定もありがちすぎですね。つめこみすぎ。 でも自分も1度でいいから他の皆さまと同じ様に何か作ってみたかったんです。 こんなのにお時間を取らせてしまってすみません。 これを最初で最後のSSにしようと思います。 ここまで少しでも読んでいただき本当にありがとうございました! 先生!明後日の課題もう少し待っていただきたいんですけ…だめですか… えっ!?明日まで!?もっど…ゆっぐりじだがっだ…
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/4913.html
ゆっくりしないでね!3 テストようやく終わりました;w; 駄文でよければ見てください。;w; 男は唖然としてた。あのゆっくり一家全員に地獄をみせるつもりだった。しかし地獄を見せる前にれいむと実ゆっくりは逃げてしまった。 自分の家は木々が生い茂る山に接しており、あのゆっくりは恐らくこの山に逃げただろう。 木々の生い茂る場所に逃げたゆっくりを探すことはとても大変だ。 すぐにカツオ(犬)を使い追跡しようと考えた たまらなく悔しかった。ゆっくりごときに踊らされたことが。自分のエゴをゆっくりごときに通せなかったことが。 あの逃げれたゆっくり一家はこれからどこかでゆっくりし、無駄な生を謳歌すると思うとくやしさで気が触れそうだった。 足をみるとまりさが脛のあたりを必死に残った歯で噛みついていた。 かなり痛い。噛まれた部分は見えないが血が滲んでいるだろう 「糞饅頭・・・・・お前には・・・・生きてきたことを後悔させてやるからな・・絶対に」 男は忌々しそうに呟くと噛みつかれながら部屋の隅においてある蠅叩きを手に取る そしてそれを全力で振るう パァン!!! 「ゆびゃあ!!!!」 まりさはゆん生の中で一度も感じたことのない異質な痛みにたまらず悲鳴を上げる その拍子に男の脛から口を放してしまう 「ゆびゃあああああああああ!!!いだいいいいいいいいいいいいいい!!!」 まりさは男の周りでのたうち回っていた。まりさの肌は脂汗を分泌し始め、徐々にとヌメりを帯びてくる。 ゆっくりの肌は人間の肌よりも痛みに対して敏感だという報告もある。 激しく痛がるまりさを見ても一切の慈悲を見せずに、男は何度も蠅叩きでまりさを叩く。 パァン!!「ゆびゃあ!!!」パァン!!「いじゃい!!!」パァン!!「やめじぇ!!!」パァン!!「ぐぎゅ!!?」 まりさの肌に蠅叩きの網目が無数に付き、全身が赤く腫れあがるころにはまりさ餡子をブクブクと吐き出しながら痙攣していた。 「ゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っ「パァン!!」ゆ゛っ!!?」 痙攣していてもなお叩く男。その手は止まらない。まりさの反応はだんだんと小さくなってゆく。 日が高く昇りかけた頃になり、叩くだけ叩いて疲れたのか男は手を止める。 「ハァ・・ハァ・・・糞・・肩と腕がいてえ・・・わかってると思うんだ・・・」 ちらりとまりさをみると、ヌメりきった全身に網目模様が付き餡子の色が滲んでいる。所々小さくではあるがまりさの肌は破け液状餡子が流れ痛々しい。 痙攣し、気絶してるまりさを見てめんどくさそうな顔をした後 男は小麦粉を水で溶き、それをハケでまりさの全身を塗りたくり、傷の補修をする。 「このまま死んだら楽だからな。お前らはもっと生き地獄を味わうべきだ ・・・・・・・・わかってると思うんだ(ボソッ)」 満身創痍のまりさを先ほどまで入れていた透明のケースに放り投げるように入れ、蓋を閉める。 「くそ・・・あの逃げた赤饅頭を追わないとゆっくりしちまう・・・・」 そう、男はまりさを叩くことに夢中になりすぎてれいむを追うことを忘れてしまった。そのことを後悔する男。 「クソッ!・・・・・・明日は仕事なかったら今からでも探しに行けるんだが・・・・・・・・」 男は明日から10日ほど連続で仕事をする予定になっている。仕事内容は農家の土地に出没するゆっくり駆除などである。 れいむを追って地獄を見せたいところだが明日の仕事を休むわけにはいかない。 それに農家のゆっくり駆除はそれなりに肉体労働であるため明日に疲れを残すわけにはいかないと考えていた。 「くっそ・・・絶対見つけ出して地獄を見せてやるからな・・・」 れいむは運がよかった。逃げている間に捕食者やゆっくりに仇なす動物などに出くわさなかったのである。 さらに幸運なことに倒れるまで逃げ続けた結果、その付近の群れの一員に倒れているところを発見され群れによって保護されていた。 れいむが男のところから逃げ出してから丁度3日。 れいむは保護された先で、夢を見ていた。 れいむの寝ている場所には藁や羽毛が敷き詰められており、とても気持ちよさそうであったがれいむはひどくうなされている。 夢の中、れいむは朽ちた木の洞に作ったおうちの中で、子ゆっくりに成りかけの我が子と最愛の夫であるまりさを探す。 「ゆぅ・・・れいむのかわいいおちびちゃん・・・ゆっくりしていってね・・・どこにいるかおしえてね」 れいむは意識していないが、現実世界で無いそこは雑音が一切入ってこない、まさに無音の世界であった。 「ゆぅ・・どこにいるの!おかーさん怒るよ?ゆっくりしないで出てきてね」 何の返事も返ってこない事にれいむの表情は焦燥の色がでてくる。 「ゆぅ・・・スーー(息を吸う音) ゆっくりしていってね!!!!」 全力でゆっくりしていってねを言う。しかし返事はどこからも聞こえない。 れいむの顔は泣きそうであった。 洞の中を探すのはやめて外へ出ようとした時、洞の中から何やら気配を感じた。振り返ると子れいむ2匹と子まりさ2匹が洞の中で座っていた 「「「「ゆっきゅりしちぇいっちぇにぇ!!」」」」 元気よくゆっくりしていってねをする子ゆっくり達 「ゆっ!ゆっくりしていってね!!どこにってたのおちびちゃん?あまり心配させないでね!ぷんぷん!!」 子ゆっくりたちはそう言う母れいむの顔を見ると、笑顔でれいむの側までやってきてす〜りす〜りした。 「おきゃーさんだーいしゅきー」「ゆっゆ〜♪」「おきゃーしゃんのほっぺゆっくちゆっくち」「しゅりしゅり〜」 子ゆっくりたちは一斉に甘えだす。れいむは「ゆっ くすぐったいよおちびちゃん♪すーりすーり」 れいむの顔は先ほどと違ってとても幸せそうな顔をしている。 「とってもゆっくりできるおちびちゃんたちだね!ゆっくりし「「「「ゆぎゃあああああああああああああああ あああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」」」」ゆゆ!!!びっくりしたよ!!」 子ゆっくりたちは一斉に苦しみ始めた。餡子を吐き出し、その丸い身体をグネグネと捩りながら苦しみ出す。 「「いじゃいよ゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙ぎゃあ゙あ゙じゃあ゙あ゙あ゙あ゙ん゙!!!たじゅげじぇええ」」 子ゆっくり達の身体が分泌された脂汗にぬらぬらとてかり、髪の毛が一斉に抜け始め、まむまむに相当する場所が黒く炭化し始めてきた。 「おちびちゃんだぢどぼじだの゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙!!!?まりざあ!!?まりざあ!助けてよ!!おちびちゃんたちが!!」 悲鳴を上げた後れいむは最愛の夫であるまりさに助けを求めるがまりさはどこにも現れない。 子ゆっくりたちは全身が薄く焦げ、変わり果てた姿となり、プルプルと震えているだけの丸い物体となっている。 「まりざああああ!!!おちびちゃんたぢがああああああああああ!!!!ゆっ!!」 れいむは洞に差し込む光が急に少なくなったことに驚き、洞の内側から外をみるとそこには 笑う人間さんと・・・見るからに強そうな犬さんが・・そして生気の抜け、目の焦点が合っていない最愛のまりさが・・・洞の前に差し込む光をさえぎる形で立っていた。 絶望感がれいむを襲う。 「おちびちゃんにげてえええええええええええええええええええええええええ!!!!!!」 れいむは夢から覚めた。全身に寝汗がびっしょりとついていた。未だ気分が悪い。 仰向けのままあたりを見回す。どうやら土に掘ってある洞の中らしい。ゆっくりにしては大きい洞でとても住みやすそうであった。 「気づいたのねれいむ。外傷らしいところは無さそうだし、ただの疲労でしょう。安心していいわよ、むきゅ。」 洞の奥から発せられた声。仰向けに寝かされていた身体をグネグネと捩りながら起こし声の主を探す。 そこにはぱちゅりーが居た。れいむよりも二回りほど大きい。おそらく長生きした個体なのであろう。 そして地面を見てみるとれいむの下にはおふとんさんがひいてあった。 それはれいむの尋常ではない量の寝汗により湿り気を帯び縮みきっている。 「ゆぅ・・ここは・・」 「ここはドスが率いる群れの巣の一つよ。あなたは群れの近くで倒れてたのを発見されてここまでもってきたのよ、むきゅ。」 「ゆぅ・・・介抱してくれてどうもありがとうね・・・」 「どういたしまして。むきゅん。でもお礼ならドスと運んできてくれたゆっくりに言ってね、むきゅん。」 れいむは何かを思い出したようにハッする仕草をしたあと、周りをキョロキョロと見始めた。 「ねえぱちゅりー。おちびちゃんたち見なかった?」 「あの飾りのない子たちの事ね?あの子たちなら今は群れのれいむが世話をしてるわ。安心してね。今連れてくるわね。むきゅん。 待っている間にこれ食べておいてね。子持ちなんだから遠慮しないでね、むきゅん。」 そういうとぱちゅりーはバインバインと跳ねながら洞の外へいってしまった。 ぱちゅりーの子持ちという言葉にはっとするれいむ。上を向いてみると茎があり、それにはたった一つ、実ゆっくり(れいむ種)が付いていた。 れいむは他の実ゆっくりが人間さんにゆっくり出来ないことをされて潰れたのを「ゆ゙ぅ゙」と言って思い出す。 寝ている間あまり食べてなかったせいで実ゆっくりは頬がコケて、かなり痩せ細っていた。 その表情は実ゆっくり特優のうっすら笑顔を浮かべている寝顔ではなく、何かに苦しんでいるようなそんな表情であった。 「ゆゔ?!おちびちゃん!!ゆっくりしていってね!?今ごはんむーしゃむーしゃするからねっ!」 れいむはぱちゅりーが食べてといった食べ物を急いで口にする。 「むーしゃむーしゃ・・・・・し・・し・・しあわせーーーー!!!?」 長い間食べ物を口にしていない、空腹による美味しかったというだけではない。どれもれいむにとってそれ自体がごちそうであった。 干し野イチゴや干しイチジク、木の実さんに芋虫や虫さんや野菜さん。どれもとてもゆっくりできた。 バクバクバクと普段ならばれいむ一匹ではとても食べ切れない量をすぐに完食してしまった。 「ゆふー とってもおいしかったよ!」 実れいむを見上げてみると先ほどまでの苦しそうな寝顔は無くなり、とても安らかな顔つきになっている。 そしてゆっくりではあるが、目に見える速度でゆっくりと膨らんでゆく。栄養(餡子)行き渡っているのだろう。それを見てれいむはゆっくりできた。 「待たせたわねれいむ」 ぱちゅりーがれいむのところに戻ってきた。その後ろにはれいむが二匹おり、 その二匹は大きな葉っぱを口を使って担架のようにし、子ゆっくり(作者には判別不能であるがその内訳はれいむ種1まりさ種1)二匹を運んできた。 二匹の子ゆっくりは、未だ寝たきりであり、黒く炭化したまむまむと髪の毛の状態(ハゲ)はそのままであった。 しかし、全身焼けただれ、黒っぽくなっていた肌は少しだがゆっくり本来の肌色を取り戻していた。 「ゆうっ!おちびちゃんたち!!ゆっくりしていってね!!!」 といい、れいむは二匹の子ゆっくりにすーりすーりをする。 とするとどうだろう。子ゆっくりたちの肌はまだカサついてはいるが、元のフニっとし、すべすべな肌を若干ではあるが取り戻していた。 「おきゃーしゃん!ゆっくちしていっちぇにぇ!!まりしゃはもうだいじょうぶだよ!ここの群れはとってもゆっくちしてりゅよ!」 あれだけの怪我を負い、元気が無くしていたまりさが元気を取り戻したことに驚くれいむ。 「れいみゅのごはんも用意してくれてとってもゆっくちできたよ。しあわせ〜だったよ。ゆんゆん。」 「むきゅん 子ゆっくりたちの状態が酷かったから秘伝のお薬をつかったのよ 大分よくなったみたいね。むきゅん。 まだ完治はしてないけど栄養のあるものを食べさせていればもっとよくなるわ。」 「この辺りはドスの管理もあって、とっても食料が豊富で、えいよーのあるものがたくさんあるからゆっくりできるよ」 と運んできたれいむが言う。 母れいむは子ゆっくりたちを見ると若干前よりも大きくなり、そしてぷっくりとしていると感じた。全身火傷で失った肌の艶も少しではあるが出てきている。 完治も夢じゃないかもしれない。えいよーのあるゆっくりしたものを食べさせてもらったんだなあと思う。 どうやらこの群れは見ず知らずのれいむたちにとてもとても手厚い介抱をしてくれたようだとれいむは理解した。 人間にあれだけ酷いことをされ、傷つき落ち込んでいた心に親切にされたという事実が浸みわたりれいむは涙が自然と出てきた。 「ゆゅゅ・・・ありがとおぉぉ・・ほんとにありがとね・・れいむ うれしいよ とってもゆっくりできるよ・・・」 この暖かい気持ち 「ゆっくり」だ。それを感じながられいむは「ゆんゆん」と泣き始めた。 「むきゅん。別に当たり前の事をしただけよ。困った時はお互いさまでしょう?」 照れながら言うぱちゅりー。 そんなぱちゅりーを見ながられいむは子ゆっくりに聞こえないようにそっとある質問をする。 「ねえぱちゅりー・・・髪と・・・その・・まむまむは治るかな・・」 「むきゅう・・・髪は時間がかかるでしょうが治ると思うわ。むきゅん。 でも・・まむまむはむきゅん、正直に言うわ。 治らないわ・・・肌と違って、秘伝のお薬を使っても、まむまむは手の施しようがなかったのよ。ごめんなさいね・・・むきゅう・・」 ぱちゅりーはそう言って少し残念そうにうつむいた。 「そっか・・・ごべんでぇ・・おちびちゃん・・・・・守ってあげられなくて・・・ゆ・・ゆぅ・・・・ゆえええええええん」 またれいむは泣き始めた。もうおちびちゃんたちは胎生出産をすることができなくなってしまった。まだ蔦を使ってでの出産は可能ではあるが、 我が子の不憫さにどうしても涙が出てきてしまう。 「お取り込み中のところちょっといいかな?」 ゆぅゆぅ泣いているところに、の太い声が聞こえた。 どうやら洞の外から発せられた声のようだ。声の主を確認するためにれいむは洞から顔を出す。 そこには洞には到底入りきらないようなサイズのまりさ・・・ドスがいた。3メートル近くはあるだろうか。羆もびっくりなサイズである。 穏やかな顔とは裏腹に身体中には歴戦のものと思われる傷跡が無数にあった。 「ゆぅ!ドスだね れいむたちを助けてくれてありがとね とても感謝してるよ! ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしていってね、れいむ。ここは人間さんから貸してもらったドスたちのゆっくりぷれいすだよ。群れのみんなから聞いたけど大変な目に遭ったんだってね。 れいむさえよければ子供たちの傷が治るまで居ていいからね。」 れいむの顔がパァっと明るくなる。ここはなんてゆっくりしたところだろうかとれいむは思う。 「ありがとうドス。子どもたちもとってもゆっくりできてるよ。ドスのおかげだよ」 「どういたしましてだよ、れいむ。ところであの子ゆっくりたちの傷って、やったの人間さんでしょ?」 突然今回の悲劇の核心を突く言葉に顔を硬直させるれいむ。 「でい゙ぶだぢばな゙に゙も゙じでな゙い゙の゙に゙・・・・・・い゙ぎな゙り゙人間ざん゙が・・・ゆ゙ぅぅぅ・・・酷い゙ごどを゙・・・ゆぅぅぅぅ・・」 いきなり泣き出し、嗚咽を漏らすれいむ。 「やっぱりそうなんだね。でも安心してね。ここは人間さんとの協定があるからゆっくりできるよ。ゆっくりしていってね!」 この群れは人間と協定を結んでいた。ドスはそれをれいむに説明した。 おおまかな協定内容はこうだ。 1 ゆっくりたちはマツタケやイワタケなど人間にとって高価な山の幸を広範囲にわたって探し、人間がやるように綺麗に収穫し、それを人間に献上する。 または、ゆっくりが狩れない高価な食材の位置を人間に伝えたり、綺麗な石(宝石の類)なども見つけたらそれも献上する。 2 献上する際、ドスは人間たちに群れの繁殖状況等を報告する。 3 人間は献上されている限りゆっくりを殺さない。そして人間は集落で捕まえた虫や出来そこないの野菜や野菜くず、普段食べないような木の実などを適当に渡す。 4 一つの番が子供を産むのは生涯をかけて3匹まで。それを守れないゆっくりは群れによって永遠にゆっくりさせられるか追放である。 ただし何かしらの理由で成ゆっくりになれなかった場合や災害で群れの総数が著しく減った場合にはそれは適用されない。 5 人間側が増えすぎだと判断した場合、群れでそのゆっくりを処理するか、この村の人間の縄張りの外まで連れていくか人間に渡すかのどちらかを選んでもらう。 6 人間と争いは絶対に起こしてはならない。それはこの村の人間に限ったことではない。 7 この辺りの土地は人間さんのものである。よって、ゆっくりは人間さんの慈悲でこの土地に住まわせてもらっているだけであって、 ゆっくりはこの土地がゆっくりのものであるということをいかなる場合においても主張することはできない。 8 条約が守られない場合ゆっくりはこの土地から出ていくか、永遠にゆっくりすることを選んでもらう。 などと、ゆん口調節までさせられているかなり不平等な協定内容ではあったが、守っている限りここのゆっくり達の生活は安寧としたものであった。 そして追加情報は、この付近の人間さんはここ以外の人間さんよりも気性が荒くなく、ゆっくりできるらしい。 そして、冬籠りの際の食糧援助などもしてもらえるらしい。 「ゆう?・・そうなんだ・・じゃあ、ゆっくりドスの気持ちに甘えさせてもらうね」 「ゆ!そうしてね。この群れにはまだまだ余裕があるからゆっくりしていってね。」 そう言い残しドスは自分の巣へ帰って行ってしまった。 「むきゅ れいむは今日から子供達が治るまでここに住めばいいと思うわ。丁度だれも住んでなかったから」 「ゆ!ありがとうぱちゅりー。そうさせてもらうね。」 「それじゃあわたしは自分のおうちにかえるわね。ゆっくりしていってねれいむ。おちびちゃんたち。」 「「「ゆっくりしていってね(ゆっきゅりしていっちぇにぇ)」」」 ぱちゅりーが出て行って、れいむと子ゆっくり二匹になったれいむ一家。 「おきゃーしゃん ゆっくちゆっくち」 子ゆっくりたちが母れいむに甘えてくる。れいむはそれをすりすりで返した。 (れいむたちはこれからゆっくりできる。でも・・でも・・まりさが心配だよ。きっとまだ生きてるよね!れいむ心配だよ。 おちびちゃんたちがもう少し大きくなったら探しに行くよ!だからまりさ・・絶対生きててね!) 頭に生えている実ゆっくりを見つめる。もうすぐ生まれるだろうと本能的にれいむは感じ取った。 「ゆぅ・・れいむのおちびちゃん・・安心してゆっくり生まれてね・・絶対れいむが守ってあげるからね・・・」 れいむはそう心に誓う。 それからのれいむ一家の生活はとてもゆっくりしたものであった。 子ゆっくりたちは成長し、野球ボールサイズからソフトボールサイズとなり、赤ちゃん言葉が抜け、そして肌は昔のように柔らかさとハリを取り戻していた。 子ゆっくりたちは寝た切りの状態から赤ゆっくりと同じくらいの運動量をこなせるくらい回復していた。 頭からはまばらではあるが、うっすらと髪の毛が生え始め、その色の違いによりれいむかまりさかを見分けることができる。 そして新たに生まれた赤ちゃんゆっくり。蔦に成っていた実ゆっくりの最後の生き残りである赤れいむは元気に生まれ、今は帽子のない姉たちと元気に遊んでいる。 その赤れいむはいまや家族のアイドル的存在である。れいむは赤れいむを見るたびにこのおちびちゃんをまりさに見せてあげたいと思うのであった。 「おちびちゃんゆっくりしていってね!」 「おねーちゃんゆっくちゆっくち」 「おちびちゃんたち!ゆっくりしてるね!ゆっくりしていってね!」 「ゆっくり(ち)していってね(にぇ)!」 子供たちは赤ゆっくりと鬼ごっこをしたり、ゆっくりごっこをしたりでとても生き生きとしていた。 「ふわあああああ〜〜〜むにゃむにゃ・・・れーみゅもうちゅかれちゃよ・・・ゆっきゅりおひるねしちゃいよ」 「ゆっ!そうだねおちびちゃん。おねーちゃんたちと一緒にお昼寝しようね!」 そういって昼寝を始める子供達。母れいむはそれを見ながらゆっくりした気分に包まれていた。 今の家族はすべてこの赤れいむが中心に回っていると言っても過言ではない。赤れいむは一家にとってはとっても愛らしく、可愛く、まるで天使のようであった。 それから子供達を起こさないようにそっと巣(仮)を出て、昼寝から覚めた後のおやつとなるものを探しに回る。 まりさのことは心配だ。しかし、今は子供達を自分の力で生きられるようにすることが先だろう。まずはえいよーのあるものをしっかり食べて成長することが第一。 れいむはそれがまりさの願いでもあると考える。 「ゆふふふふ・・おちびちゃんたち喜んでくれるかな・・」 れいむはやわらかい花を口にくわえ巣へ戻る。 巣では子ゆっくり達と赤れいむが仲良く寄り添い、ゆーゆーと言いながら寝ていた。 「ゆっくりしたおちびちゃんたちだね!れいむうれしいよ。」 れいむは子供達が起きないように静かに巣に入ったが、赤れいむはその気配に気づき目が覚めた。 「ゆぅ〜おきゃーしゃん ゆっくちおはよう!ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしていってね!おちびちゃんたち!おやつもってきたよ!」 「ゆわーい」 「おやつおやつー」 「ゆっくち、ゆっくち」 子ゆっくりは花にかぶりつく。うっすらと甘い味、フローラルな香りがとてもゆっくりさせてくれる 「「むーしゃむーしゃ ゆゆ〜しあわせ〜」」 赤れいむには母れいむが噛みほぐしたものを口うつしで与えてやる。 「ゆー しあわしぇー!」 親ゆっくりも子ゆっくりも赤れいむもそこでの生活は何もかもがゆっくりできた。ずっとここにいたい。ここには「ゆっくり」がある。 だがそんなゆっくりした生活はもう終わる。 なぜなら人間が連日の仕事を終え、一家を探し始めたからである。 「ちっ、この付近にはあの糞饅頭いないっぽいな」 男は忌々しげに舌うちをし、足元に転がっている成体のゆっくりまりさを蹴り飛ばす。 ズン!!「ゆげぇ!!」 蹴られたまりさは10メートルほど先に落下した。 「まりさああああああああ!!!」 「おとおおおしゃああああああん!!」 それを見ていたれいむと子ゆっくりたちは声を上げる。 男はあのまりさの妻であるれいむとその子供達を探しに森まできていた。 その際ゆっくりを見つけては禿げた子ゆっくり二匹を連れたれいむは知らないかと聞きまわった。 知らないと答えたゆっくりはみな適度に重傷を負わされ、まむまむを割かれ、目を潰され、舌を引き抜かれた。男は子供も大人も区別なく平等にそれを行った。 今この男によって新たに捕えられた一家が男の尋問を受けている。 一家がおさんぽ(笑)中に歌を歌いながら歩いていたのを男に発見されたのだ。 一家の構成は親れいむ、親まりさ、子れいむ×3 子まりさ×2であった。 ゆっくり一家は一切拘束は受けていないが、逃げたら犬に食い殺されることを知っている。 なぜなら、この一家の親達は子供だけでも逃がそうとした。その際一番早く逃げようとした子まりさに向かって、ゆっくりでは一生かかっても出せない 速度でカツオが飛びかかり、食い殺したのであった。次にその妹であるれいむを食い殺した。 まだ子供は3匹残ってはいるが、犬による圧力で、一家全員金縛りにかかりそこから動くことができない。 「なあれいむ・・お前は知らないのか?正直に答えてくれたら助けてやるぞ。その苦しみから解放させてやる」 「ゆ・・・ゆゆゆゆゆ・・・しらないよ・・・・ほんとうに知らないよ・・・おちびちゃんだけでも逃がしてほしいよ・・・・」 泣きながらガタガタと震えれいむは男に懇願する。 「そうか知らないのか。ならこんな舌はいらないよね。こんなまむまむはいらないよね。こんな目はいらないよね」 そう言うと男は子れいむを持ち上げる 「ゆっくりやめてね!おちびちゃんを放してね!」 男はそれを無視し、子れいむに手を伸ばす。 恐怖を感じた子れいむは親に助けを求める。必死に。 「おぎゃーしゃーんたすけてえええええええええ「ブスリ」ぴぎゃああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!?」 人差し指を子れいむのまむまむに深く突き立てる。子れいむの全身から謎の液体が大量に分泌されぬるぬるぬめぬめしてくる。 「だいじょうぶだって!こんなのすぐ終わるんだから」 突き立てた指をぐりぐりと回し、その穴を広げ、その広がったスペースに中指も入れる。その際子れいむのまむまむは裂けた。 「いぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」 指を引き抜き、手をチョキの形にし、両目に指を突き立てる。 「ゆぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」 「やめてええええええええええええええええええええええ!!!!?おちびちゃああああああああああああああああん!!!??しっかりしてえええええ!!!?」 「れいむおねえちゃああああああああああああああん!!!?」 指を抜いても未だ悲鳴を上げ、大きな口をあけている子れいむ。男はその大きく開けられた口に、手を無理やりその口に入りきれない手を突っ込む。 その際、口の端がぶちぶちと音を立てて裂ける。 「ゆぐぐぐっぐぐっぐうぐぐ!!!??」 たまらずさらに悲鳴を上げる子れいむ。男はその悲鳴を無視し、ぬるぬるした舌を全力で掴み一気に引き抜いた。 ブツッ!!! 「!!!!!!!????????????!!!!!!!!?????」 悲鳴は消えた。代わりに物凄い形相をしてしーしーとうんうんを撒き散らしながら、ビッタンビッタンと跳ねまわる子れいむが居た。 子れいむの周りには無理やり手を突っ込まれた事により折れたり抜けたりした歯がいくつも転がっていた。 「おちびちゃああああああああああああああああん!!!?」 今度は子まりさに同じことをしようと手を伸ばした瞬間 「やめてね!!!!!」 先ほど蹴り飛ばした親まりさが叫んだ。 「まりさ達は知らないけど、この森をあの山に向かってずっと行ったところにドスのいる群れがあるよ・・・そこなら誰かそのれいむの居場所知ってるかもしれないよ・・・ まりさ達はしらないよ・・・お願いだよ人間さん・・もう酷いことしないで・・・まりさ達を見逃してほしいよ・・・・・」 まるい身体をクニって曲げている。本人は土下座のつもりだ。 (ふむ・・・どうやらこの一家は何も知らないみたいだな・・・このままこいつらを尋問を続けるのは時間の無駄か。 ドスの群れまで行って適当に捕まえた奴を尋問したほうがいいかもしれないな) 「わかった。尋問はもうやめてやる。俺も忙しいしな。情報を提供してくれた礼だ。楽に死なせてやる・・」 「ゆへ?」 男はまりさのところまで全力で助走をつけ、渾身の力を込めて蹴りあげた。 ドグシャッ!!「ゆべっ」 まりさは鈍い音を立てて、餡子を飛び散らせながら勢いよく木に激突し爆ぜた。 「ゆ・・・・?まりさ・・・?」 「おとうさん・・・?」 「ゆっくり・・・ゆっくり返事してね・・・?」 現状を把握しきれていないゆっくり一家。 「カツオ。食ってもいいぞ」 把握する間もなく死なせてあげようとするのは男の情報をくれたゆっくりに対する僅かな慈悲でもあった。 カツオがその言葉が発せられた途端、爆発するような速度で親れいむとの間を縮め、食らいつき、右側頭部を食い千切る。 「ゆぎゅ!!?」 側頭部の皮を飲み込んだ後、餡子をひたすらガフッガフッと音を立てながら貪るカツオ。 「ゆぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!まりざあああああああああたずげでええええええええ!!!?」 「おきゃあああああああしゃああああああん!!!?」 「ゆっくりしてええええええ!!!」 恐怖と痛みにより甘みを増した餡子を美味しそうに貪るカツオ。れいむの反応が段々と小さくなり 「ゆゆゆゆ・・・ああああああああああああ・・・ああ・・・お・・・・ち・・・・・・・に・・・・・げ・・・」 餡子を食い漁られまともに言葉を発することができないれいむ。 そのれいむが最後に見たものは、 愛する「おちびちゃん」が一匹残らず脳天から男の足に踏み抜かれ、 目やあにゃる、ゆっくりの身体の所々から命の素である餡子を盛大に噴出し、 そのあまりにも短い生涯を終える光景であった。 次