約 3,642,996 件
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/1297.html
慧音先生とゆっくり。 上白沢慧音は里で寺子屋の教師をしている。 まだ、幼い子供達に文字を教えたり、計算を教えたりしていた。 そんな彼女のもとに、ある子供がゆっくりを連れてきた。 ゆっくりとは生首のような生物で、ぴょんぴょん跳ねたりして移動する。 足という部分もあるらしいが、詳しい事はよく分かっていない。 中身が餡子なだけに、美食家達からも重宝されている。 しかし、ゆっくり達にはある欠点がある。 それは恐ろしいまでの知能の低さだ。 なぜか頭に付いている帽子を外すと、仲間と認識できなくなり攻撃する。 さらに、自分の妻が産んだ子供を自分が生き残るために殺したりする。 これは動物界では珍しい事ではないと言われるかもしれないが、なにせこいつら、言葉を話すのだ。 簡単な言葉ばかりで、難しい話をすると頭を傾げるが、大抵の事は理解する。 このゆっくりの中の種類にゆっくりまりさというものがいるが、そいつが典型的な裏切り者だった。 逆にいえば悪知恵が働くと言うが、時々人間らしさを見せるゆっくりが子供を見捨てたり、理不尽な事を言って仲間のゆっくりを攻撃しているのを見れば、並大抵の人間は怒りを覚えるだろう。 しかしこの慧音、ゆっくりと言う生物をあまり知らない。 大抵里に行くときは授業のためだし、家に帰れば残った仕事をするので、あまり接する機会が無かった。 「これが、ゆっくりって奴か」 慧音は興味深そうにそれを見つめる。 子供が持っていたのはゆっくりれいむで、うまく育てれば普通の家庭でも育てられる。 他にいる、まりさ、ありすも育てようと思えば育てられるが、まりさは何をしでかすかわからないし、ありすは異常性欲と言う特性をもっているので、あまり飼おうとは思わない。 ゆっくりれみりあなど例外だ。 この他にもゆっくりはいるのだが、それは省略する。 「おねーさんこんにちわ! ゆっくりしていってね!」 れいむは慧音に向かって挨拶をする。 「ああ、こんにちわ」 慧音は優しく挨拶をする。 彼女は、最初ゆっくりは害獣だと聞かされていた。 畑をあらし、民家に侵入しては食い物を荒らす。 そしてあたかも自分の家としてふるまう。 やることだけなら山賊に近い生物だ。 (なんだ、ゆっくりって結構礼儀のある奴もいるんだな) 「慧音先生、ゆっくりっておもしろいんだよ!」 そう、生徒の一人が言う。 「ほう、何か芸でも覚えているのか?」 慧音が尋ねると、生徒の一人がれいむを机の上に置いた。 そして、いきなり指を目の上に突っ込むと、そのまま目玉をくりぬいた。 「ゆぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!」 「お、おい! 何してるんだ!」 突然起きた生徒の行動に、慧音は叫ぶ。 だが、生徒は手馴れたようにもう一個の目玉をくりぬいた。 「ゆ゛っぐえ゛!」 目玉を両方失ったれいむの目が合った場所から、涙のように餡子が流れ出ている。 「はい慧音先生、目玉の部分はぷるぷるしてて中に餡子が詰まってて美味しいんだよ」 そう言って、生徒は固めを慧音に差し出した。 しかし、彼女は受け取らず生徒をしかりつけた。 「何してるんだ! 仮にも生き物だぞ!」 生徒は怒られた事にびっくりしていた。 まるで、なぜ怒られたんだと言うような目だ。 「で、でも……」 「でもじゃない! 生き物を大切にしない奴は私は大嫌いだ! 出て行け!」 慧音は怒鳴りつける。 生徒は、裏切られた気持ちで半べそを書きながら、目玉の無いれいむを連れて出て行った。 しかし、他の生徒から非難を浴びる。 「先生ひどいよ! あの子は先生においしいお菓子を食べさせようとしたんだよ!」 「そうだよ! 先生はゆっくりの事なにも知らないの?」 「うるさい、ゆっくりがどんな生き物だろうと私はああやって悪戯に命を奪う奴が大嫌いなんだ」 結局、慧音は怒ってその秘の授業を全部自習にした。 竹林を抜けて、慧音は家へ向かう。 「まったく……近頃の子供は命の尊さというものを知らないのか」 怒りながら進んでいくと、人並みくらいにでかい物体が竹林を抜けていた。 ゆっくりと進むそれは、巨大なゆっくりまりさだった。 「ゆ? おねーさんはゆっくりできるひと?」 その質問に、慧音は笑顔で返す。 「ああ、できるぞ」 「ゆゆ! じゃあおねーさんたべものちょうだいね!」 通常、妖怪おにいさんだったら攻撃するか策略を練っていたぶるだろう。 だが、相手はゆっくりを知らぬ慧音だ。 「ああ、腹が減ってたのか。 昼の残りならあるぞ」 そう言って食べ切れなかった握り飯を巨大まりさに与える。 すると、どこに隠れていたのか寺子屋で見たときと同じくらいの成体ゆっくりがわらわらと現れた。 「おかーさん! それちょうだいね!」 「まりさにはこどもがいるからさきにちょうだいね!」 握り飯を分けても足りないくらいに成体がいる。 そこで、慧音はある提案を出した。 「そうだ、私の家にくれば少しだけだがあげられるぞ」 「ゆっ!?」 その言葉にまりさは警戒心を強める。 まるでまたかとでも言うような感じだ。 「おねーさんはうそつきだね! そうやってまりさたちをいじめようとしてるんだね!」 「ち、違うっ。私はそんな事思ってない!」 慌てて慧音は言う。 そして思った。 (こいつらは人間達にいじめられてきたのか……かわいそうに) 「わかった、ここでその親と待っててくれ。私が持ってくれば文句無いだろう?」 「ゆっ……わかったよ、でもうそだったらおねーさんつぶすからね!」 巨大ゆっくりは警戒心剥き出しでそういった。 確かに、この質量のゆっくりにつぶされれば人間ならひとたまりも無いだろう。 「安心しろ、約束は守る」 そう言って、慧音は家に戻り自分の分を残したあまり物の野菜などをまりさ達に持っていった。 「ゆっゆっ! このおねーさんうそつきじゃなかったよ!」 「まって! やさいにどくがはいってるかもしれないからまりさがさきにたべるよ!」 巨大まりさは慎重に言う。 確かに、おにいさん達なら睡眠薬やら入ってただろう。 「だからそんなもの入ってないぞ」 困った風に慧音が笑う。 そして巨大まりさが食べ終えた。 「だいじょうぶだったよ! このおねーさんはいいひとだからみんなでごはんたべようね!」 その言葉を合図にまりさたちは一斉に野菜を取り囲んだ。 成体ゆっくりが野菜をくわえ、その後ろにいる子供にも分け与える。 そして他人の子にも分けていた。 どうやら群れで行動しているゆっくり達は団結力が強く、みな家族だと思っているようだ。 そういう触れ合いを見ていると、慧音も嬉しくなる。 どこまでも甘い人だ。 そこがいい所でもあるのだが。 「おねーさんありがとう!」 「「「「ありがとう!」」」」 「ああ、どういたしまして」 慧音は笑顔で去っていくまりさたちに手を振った。 ちなみに、この時彼女は里の襲撃を防いだということは後に分かる事である。 ■■■ しばらくして、慧音の家に一匹のまりさが来た。 なんでも、パーティをやるからおねーさんも食べ物を持ってきて一緒に来いとの事だった。 慧音は自分の分の食料しかなかったが、それを半分にして持っていくことにした。 ぴょんぴょん跳ねるゆっくりまりさ、慧音はその後をついていく。 しかし、山の近くである事件が起きた。 「う゛~♪ だ~べちゃ~うぞ~♪」 ゆっくりれみりあが襲い掛かってきたのだ。 れみりあ種はゆっくり達を食べる種類なのでまりさ達は恐れていた。 「おねーさんたすけてね!」 「あ、ああ……」 見た目は頭が以上にでかい子供なので、いささか抵抗があった。 しかし。 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!! ま゛り゛ざのぼうじがあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」 丁度、ゆっくりれみりあがこけてまりさの後ろに倒れたときだった。 闇雲に振り回した腕が、ちょうどまりさの帽子を引き裂いたのだ。 「くそっ! この!」 軽く蹴飛ばして、ゆっくりれみりあを追い払う。 半べそをかいてざぐやざぐやと叫んでいた。 「大丈夫か?」 「ゆぅ……大丈夫だよ」 傷ついたまりさを抱えて慧音は山を登った。 巣に着いたらうんと楽しませてやろう。 この傷が少しでもいえるように。 そう慧音は思っていた。 「ここだよ! ここにまりさのおうちがあるんだよ!」 「そうか」 慧音は山の中にできた洞窟に入る。 元々ここら辺には山賊がいて最近妖怪に食われたと言う話を以前聞いたのでたぶんここがその砦だったのだろう。 ついた頃にはもう日が暮れていた。 「おかーさん! おねーさんを連れてきたよ!」 すると、中にいた成体ゆっくり達が一斉に帽子のないまりさを見る。 そして案の定非難の声を浴びせた。 「ゆ! ぼうしのないやつはまりさじゃないよ!」 「しらないゆっくりはゆっくりしんでね!」 その光景に慧音は困惑する。 「お、おい……これはお前達の仲間だぞ?」 「そんなぼうしのないまぬけなまりさはしらないよ!」 そういわれてぼうしのないまりさは泣き出す寸前だった。 その時。 「みんなばかだね! あれはまりさたちのまりさだよ! おかーさんにはわかるよ!」 洞窟の奥から巨大ゆっくりまりさが現れた。 そして帽子なしまりさは希望に満ちた顔をする。 「ありがとうおかーさん! きづいてくれたんだね!」 「みんながばかでごめんね! あとでぼうしつくってあげるからね!」 多少の違和感があるが誤解は解けたようなので慧音はほっとする。 しかし、その瞬間慧音の袋に入れた野菜がかすめとられた。 「!?」 「そしておねーさんもばかだね! みんな! あとでおねーさんのおうちにあんないするよ! ここよりとってもゆっくりできるよ!」 いきなり手のひらを返したように罵倒してきた帽子なしまりさに慧音は唖然とする。 「は?」 そうしている間に、慧音に数匹のゆっくりがタックルしてきた。 もう帽子なしまりさを仲間と認識したようで、いつもの団結力だった。 一匹だけならマッサージ程度にはなっていたが、数匹になると子供に突き飛ばされたくらいの痛みがあった。 「きゃっ」 慧音は地面にしりもちをつく。 そして馬鹿にしたように巨大まりさが舌を出した。 「おねーさんはほんとばかだね! あたらしいおうちをおしえてくれてありがとう! ゆっくりしね!」 巨大ゆっくりは転がって慧音の足をつぶす。 折れはしないものの、とても痛い。 「ぐっ!?」 さらに膝。 太もも、胴。 巨大まりさに体をつぶされていく。 (なんで……どうして、パーティをするんじゃなかったのか) 慧音は裏切られた気持ちになる。 そして、何とか動こうと頭を動かしたとき、月が目に入った。 「!!」 慧音の体から動物本能が目覚める。 上白沢慧音はハクタクと呼ばれる妖怪のハーフで、満月になると本来のハクタクの姿となるのだ。 「ぐが、おおおおおおおおおっ!!」 裏切られた怒りと悲しみとで、力任せに巨大まりさの体に腕をねじ込む。 「ゆぐっ!?」 通常のゆっくりより耐久力のある巨大まりさだが、妖怪の本気に勝てるわけが無い。 そのまま足を引き裂かれ、体の中に腕が侵入する。 「あ゛がががががががががが!!!! ゆ゛っぐり゛でぎだい゛よ゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!!」 そして侵入させた腕に力を込め、弾幕を発射した。 弾はまりさの餡子脳を突き破り、天井を削る。 しばらく弾を浴びせた跡、まりさは破裂して弾けとんだ。 「お゛がああざあああああああああああああん!!!」 「ゆ゛ううううううううううううう!!!」 成体ゆっくりが叫び声をあげる。 びちゃびちゃと雨のように降る餡子の中、慧音は月夜に照らされて手についた餡子を舐める。 その姿には、普段の生真面目さがない獣のような獰猛な姿であり、妖しく美しくもあった。 「ひぃいいいいいいっ!!」 一匹のまりさが恐怖にかられて洞窟から出ようとする。 だが、慧音に捕まり握りつぶされた。 「ゆびげぇ!」 目玉を飛び出し、歯を食いしばりながら死んでいくまりさを見て、慧音は楽しいと思った。 なぜ、こんな下衆のような奴等に餌を与えてしまったんだろう。 それだけが悔しかった。 「まりさはおいしくないよ! ほかのまりさをたべてね!」 そう言って子供のまりさを差し出す。 「ゅー! ゅー!」 小さなまりさは怯えている。 慧音は再び殺意を覚えた。 「子供を差し出してまで自分が助かりたいかぁっ!!」 拳を唸らせ、差し出したほうの成体まりさを潰す。 さらに、集団でタックルし、逃げる機会を作ろうとまりさが飛び掛る。 だが、慧音の手刀で横に薙ぐ。 すると、食らったまりさの横顔が歪み、皮が破れて餡子が飛び散る。 あとは怯えているまりさたちだけだった。 「……おまえら、もうだれも騙さないと誓えるか?」 「ぢがいまずううううううう!! おでがいでずううううううう!!!」 慧音はもう殺す気など起きなかった。 こんな下衆野郎は殺すに値しない。 だが。 「せいぜい暗闇の中、その私から盗んだ野菜で生き延びるがいい」 そう言って洞窟を出て指をパチンと鳴らす。 背後で爆発音がしたかと思うと、土砂がくずれて洞窟を塞いでしまった。 「はぁ……今日は妹紅の家に泊めて貰おう」 妙にむしゃくしゃした気分が晴れないまま、慧音は山を降りていった。 ■■■ それから。 「なぁ、君」 「は、はい……」 教室の中で先日叱った子供を呼んだ。 「その……すまない。酷い事言って……私が間違っていた」 両手を合わせて頭を下げる。 すると生徒は笑って許してくれた。 嬉しくなって慧音は生徒を抱きしめる。 なんとうらやまし、もとい感動的な光景だろうか。 しかし、代わりにゆっくりの目玉が食べたいと言った。 「よしまかせろ、先生の習性については最近よく知ったからな」 こうして、しばらくは課外授業として生徒達と慧音のゆっくり狩りは続いた。 そしてその中で、慧音は一生ゆっくりまりさの事を嫌いになったそうな。 あとがき 即興で書いたからって言い訳にしませんよ。 生徒、俺と代われ、その乳は私のものだ! このアホが作った作品。 霊夢の怒らせ方 ゆっくりデッドライジング1~3? 霊夢のバイト 作:神社バイト このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/498.html
「ゆっくり記憶していってね!」 「んんにゅふううううううううぅぅぅぅ!!!」 「んほおおおおおおおおおすっきりしちゃうよおおおおお゛お゛お゛お゛!!!」 この日、二匹のゆっくりは同時に達した。 口からは涎、目からは涙、全身からなんとも形容しがたい体液を漏らしながら、びくびくと痙攣している。 「ゆふぅん……ゆふぅ…」 「す、すっきりしたよぉ…まりさぁ…」 余韻に浸る二匹。 思い出すのは、自分達が今までゆっくりしてきた記憶だ。 ゆっくりまりさとゆっくりれいむは、生まれたときから仲良しだった。 自分のお母さんであるまりさとれいむの仲がよかったために、この二匹も幼い頃から共に遊んでいたのだ。 片方が池に落ちると、もう片方が助ける。 片方が蜂に追われると、もう片方が隠れる場所を教えてあげる。 片方が人間の畑でゆっくりしてると、もう片方がその危険性を教えてあげる。 そんな風に互いが互いを支えあい、今までゆっくりしてきた。 この二匹が俗に言う『夫婦』の関係になったのは、今から二ヶ月前である。 昔から仲がよかったので、夫婦になってからも二匹は仲良くゆっくりしてきた。 一ヶ月前に見つけた今のおうちも、二匹にとってはぴったりだが… 今から生まれるであろう赤ちゃんも含めると、もしかしたら狭くてゆっくりできないかもしれない。 そしたら新しいおうちを探さなきゃね、と微笑む二匹。 そうこうしているうちに、れいむの頭から蔓が生えてきた。 そして数時間後。 「ゆ!!ゆっくりそだってね!!」 「ゆっくりいいこになってね!!」 赤ちゃん達が生まれるのを、今か今かと待ち望んでいるゆっくり夫婦。 何かが起こると感じ取ったれいむが、ぶるぶると震え始めた。 「ゆ!?…ゆゆゆゆゆゆゅゅゅ…」 ぷちっ! ぽとん!! 「ゆ!ゆっきゅりちていってね!!」 「う、うまれたよ!!まりさたちのあかちゃんがうまれたよ!!」 喜びを隠せないまりさ。 一匹目の誕生に続いて、次々と赤ちゃんが蔓から落ちていく。 「ゆぷ!ゆっきゅいちていってね!!」「ゆっくりちていってえ!!」 生れ落ちたのは、合計5匹のゆっくりれいむだった。 自分と同じ種がいないことにまりさは少し寂しく感じたが、自分の子供が無事生まれたことを思えば些細な ことだった。 「みんな!!いっしょにゆっくりしようね!!」 涙を流しながら呼びかける母れいむ。 それに答えるようにして、子れいむたちは一斉に声を上げた。 「「「「「ゆっくりしていってね!!」」」」」 その姿こそ、親ゆっくりにとって最高の幸せ。 二匹のゆっくりは涙を流しながら、頬をすり合わせていた… 数ヵ月後。 すくすくと成長した子れいむたちは、母れいむの半分ぐらいの大きさになった。 もう親に頼らず、自分で餌を取るようになる時期である。 「ゆっくりいってくるね!!」「ごはんたくさんたべるよ!!」 「みんな!!ゆっくりきをつけてね!!」 5匹の子供たちを見送る、母れいむとまりさ。 野性の世界で、親が二匹とも無事でいられるのは珍しいことだ。 大抵は交尾の段階で片方が朽ちるか、子供の成長を待たずして捕食種や他の野生生物の犠牲となってしまう。 そういった意味で、この一家は他のゆっくりに比べれば格段に幸せだった。 「ゆゆゆぅ…れいむぅ…いっしょにすっきりしようねぇ!」 「ゆふん、いいよぉ…でももっとおくにはいろうね!」 子供たちが視界から居なくなったのを確認して、互いに誘い合って巣の中へと入っていく二匹。 今いる子供たちももうじき独立するだろう。ならば、親のするべきことは新たな子供を作ることだ。 二匹は完全にその気だったのだが…第三の声が、二匹を邪魔した。 「やあ!!ゆっくりしてるかい?」 「ゆゆ!?」 巣の外からの突然の声に、二匹は驚いた。 これからすっきりしようというのに、どうして邪魔をするのか。 知らない人が居たら、気になってすっきりできないではないか! すっきりモードに入っていた二匹は、来客に対して大いに不満を漏らした。 「ゆ!!おにーさん!!じゃましないでね!!」 「これからまりさとれいむはすっきりするんだよ!!ゆっくりどっかいってね!!」 「あぁ、ごめんごめん…そうか、君達には子供がいるんだね。じゃあ子供が戻ってくる頃にまた来るよ!」 そう言って立ち去ろうとする、見知らぬお兄さん。 「もうにどとこないでね!!」「すっきりをじゃましたおにーさんとはゆっくりできないよ!!」 巣の出口までやってきて、お兄さんを罵倒する二匹。 お兄さんはそんなの気にせずに去っていき…二匹の視界から完全に消えた。 「ゆふん…これでやっとすっきりできるよぉ…♪」 「まりさぁ、ゆっくりおくにいってすっきりしようねぇ…♪」 夜。ご飯を食べ終えて、一家で眠ろうという時間帯だ。 昼間の交尾では赤ちゃんは出来なかったが、チャンスはいくらでもある。 二匹は何とかして、新たな赤ちゃんを授かろうと考えていた。 「ゆ!!れいむいもうとがほしいよ!!」 「おかーさん!!ゆっくりいもうとをうんでね!!」 「ゆゆ…おかーさんたちがんばるからね!!ゆっくりまっててね!!」 と、家族計画を話題に談笑する一家。そこへやってきたのは… 「お!今度は子供たちも揃ってるね。ゆっくりしていってね!!」 昼間すっきりを邪魔したお兄さんだった。 「ゆゆ!?ゆっくりしていってね!!」 とりあえず本能に従って挨拶を返す子れいむたち。 それに対して、親二匹はお兄さんに対して明らかに警戒心を示していた。 「ゆ!?おにいさんはだれ!?ゆっくりできるひと!?」 「ゆっくりできないならでていってね!!ここはまりさたちのおうちだよ!!」 ゆっくりたちにとっては、ゆっくりすることが全てである。 ならば、ゆっくり出来ない者は人間であろうと何であろうと、自分の家に入れるわけにはいかない。 親二匹は、ゆっくりの本能に従って…そして、親としての責任をもって、外敵を排除しようとしていた。 「いや、お兄さんはゆっくりできるよ。皆をもっとゆっくり出来る場所に案内しようと思ってね」 「ゆゆ!?ほんとう?おにーさん、はやくれいむたちをゆっくりできるばしょにつれてってね!!」 あっさりとお兄さんに懐柔されてしまう子れいむたち。 『ゆっくり出来る』という言葉を聞いて、親二匹も興味を持ち始めた。 「れいむもいくよ!!はやくゆっくりしたいよ!!」 「よしよしわかった。今から案内するからついて来てね」 一家は笑顔でお兄さんのあとについていく。 だが、この行動が一家の命取りになることを…一家はまったく予想できなかった。 お兄さんに招かれて、お兄さんのおうちに入っていく一家。 案内された部屋は冷房が効いていて、しかもとても広かった。 「ゆゆ!!すずしいね!!」「ここならゆっくりできるよ!!」 「おかーさん!!おうたうたって!!」 「ゆっゆっゆ~♪ゆゆゆっゆ~♪ゆーゆゆーっ♪」 母れいむの歌を聞いて、楽しそうに踊る子供たち。 遠くから眺めているまりさも嬉しそうだ。 「ここをれいむたちのおうちにするね!!」 「きょうからここがまりさたちのおうちだよ!!」 「「みんなでゆっくりしようね!!」」 あまりにも快適なので、すぐにここを自分達の家にすることに決めた。 お兄さんも笑って賛成してくれたから、れいむたちはとても安心していた。 それから一週間。 気がつくと、母れいむが居なくなっていた。 「おにーさん!!おかーさんがいなくなっちゃった!!」 「れいむがいないよ!!どこにいったの!!」 優しいお兄さんは、優しく説明してくれた。 「皆のお母さんは病気を治すために、僕が狭い箱に入れてあげたんだ。今は別の部屋でゆっくりしてるよ」 「ゆ!!おにーさんがびょうきをなおしてくれるの!?」 「おにーさんやさしいね!!」 感謝の声を上げる一家に対し、お兄さんは説明を続ける。 「病気が治ったらすぐに箱から出してあげなきゃいけない。 みんなだって、狭い箱に閉じ込められたままなんて、いやだよね!」 「ゆゆ!!いやだよ!!」「せまいところじゃゆっくりできないよ!!」 「でもね、箱の中から出るには鍵を開けなきゃいけない。皆にはその番号を覚えて欲しいんだ!」 お兄さんはニヤッと笑う。 一家は最初困惑して、お互いの顔を見合わせたが… 「れいむおぼえるよ!!ゆっくりおしえてね!!」「ゆっくりおしえてね!!」 お母さんのためなら、多少の困難は乗り越えられる。 根拠の無い自信を持っている子れいむたちとまりさは、お兄さんの願いを受け入れることにした。 「よし、今から言うからゆっくり覚えてね」 「ゆっくりおぼえるよ!!」「れいむもおぼえるよ!!」 「その番号は…115だよ!」 『いち・いち・ご』 その番号が、一家のゆっくりメモリーに刻まれる。 「いちいちご、だね!!」「いちいちご!!ゆっくりおぼえたよ!!」 「みんな覚えたかな?それじゃあお兄さんはもう番号を忘れちゃうからね。 みんなが番号を忘れちゃったら、お母さんは箱から出られなくなっちゃうよ!!」 「だいじょうぶだよ!!れいむぜったいわすれないよ!!」 「れいむもわすれないよ!!こんなかんたんなばんごう、わすれるわけないよね!!」 えへんと胸を張って、子れいむは自信を見せた。 「そうだよね!!お母さんを助けるための、たった3桁の番号を忘れるわけが無いよね!!」 お兄さんはケラケラと笑っていた。 さらに一週間。 母れいむはまだ戻ってこないが、残された子供たちとまりさは仲良くゆっくりしていた。 今までは自力で食料を調達する必要があったが、今となってはそれは不要な努力だ。 なぜなら、好き勝手にゆっくりしていればお兄さんが食べ物を持ってきてくれるからだ。 以前は母れいむが歌を歌っていたが、今は代わりにまりさが歌を歌ってあげる。 「ゆゆ~ん♪ゆっゆっゆ~ん♪」 「おうたじょうずだね!!」「もっとうたってー!!」 母れいむほど上手ではないが、まりさの歌も子れいむたちにとってはお気に入りだった。 お兄さんは、部屋の中で退屈している子れいむたちの遊び相手にもなってくれた。 特に子れいむたちが気に入っているのは、一匹ずつ手のひらに乗ってお兄さんと部屋中をお散歩することだ。 「わぁい!!おそらをとんでるみたい!!」 この時だけは、普段なら経験できないほど高い場所から周りを見渡すことが出来る。 子れいむたちは、まるで自分が鳥になったような気分だった。 「はやくおりてきてね!!つぎはれいむのばんだよ!!」 「ちがうよ!!こんどはれいむがのるんだよ!!」 順番をめぐって言い争う子れいむたち。 そんな子供たちを、お兄さんは優しくなだめる。 「喧嘩はしないでね。ちゃんと全員乗せてあげるからさ」 「わーい!!おにーさんはやさしいね!!」「おにーさんだいすきー!!」 そういうと、お兄さんは恥ずかしそうに顔を赤らめた。 そしてある日、お兄さんが透明な箱を一家の目の前に置いた。 その中には… 「みんな!!ゆっくりあいたかったよ!!」 一週間前から別の部屋でゆっくりしていた、母れいむの姿があった。 「ゆゆ!おかーさんだ!!」「おかーさん!!さみしかったよぉ!!」 あっという間に箱のまわりに群がる子れいむたち。 後からやってくるまりさも、嬉しさが顔全体に染み渡っている。 「まりさ…」「れいむ、ゆっくりまってたよ!!」 そして全員でお兄さんを見上げる。 「おにーさん!!おかーさんをここからだしてあげて!!」 「れいむをだしてあげてね!!これからぜんいんでゆっくりするよ!!」 すると、お兄さんは満面の笑みでこう言った。 「そうだね。それじゃ皆でお母さんを出してあげてね!」 「ゆ…?」 最初、皆はどういう意味か分からなかった。 お兄さんは、分かるようにゆっくり説明してくれる。 「この前教えてあげた番号、覚えてるよね。その番号をお兄さんに教えてくれれば、開けてあげられるよ」 「……………ゆ?」 不思議そうな顔をする一家。 …しばらく考え込んで、ある子れいむが飛び上がった。 「ゆゆ!!ずっとまえにおにーさんにばんごうをおしえてもらったよ!! そのばんごうがわかれば、おかーさんはそとにでられるんだね!!」 「そうだよ、よく分かったね」 褒めるお兄さん。しかし、問題はその後だった。 「みんなゆっくりばんごうをいってね!!おにーさんにばんごうをおしえてあげてね!!」 箱の中の母れいむは早く出たいのだろう、まわりのゆっくりたちを急かす。 しかし、母れいむを除く一家は考え込んだまま何も言おうとしない。 「ゆゆ!!ばんごうおぼえてるでしょ!?ゆっくりおしえてね!!」 「ゆぅん…ゆっくりわすれちゃったよ!!まりさおかーさんは!?」 「ゆゆゆゆゆ………あ、おもいだしたよ!!いちごだよ!!」 「は?イチゴ?」 まりさの答えを聞いて、お兄さんは困惑顔だ。 「番号は3桁なんだよ。まりさは『15』の2桁しか思い出せなかった。 きっと十五とイチゴの語呂合わせで覚えたんだね。でも、あと1桁分からないと開けられないよ!」 「ゆぎゅうううううう!!!どおしてわすれちゃったのおおおおおおお!!??」 母まりさが、悲痛な叫びを上げる。 番号がわからない状態で一番困るのは自分だから、当然といえば当然だ。 「ゆゆ!ごめんね!!でもおもいだせないよ!!わすれちゃったよぉ!!」 「ばかばか!!みんなのばか!!そんなばかなこたちとはゆっくりできないよ!!」 顔を真っ赤にして激怒する母れいむ。 でも、箱から出てこられないのでまったく怖がらない子れいむとまりさ。 「でもおかーさんがはこのなかにいても、れいむたちはゆっくりできるよ!!」 「そうだね!!そばにいるならだいじょうぶだよね!!」 「おかーさんはずっとそのなかにいてね!!れいむたちはそのまわりでゆっくりしてあげるよ!!」 必死な母れいむとは正反対に、あっさりと諦める子れいむとまりさ。 母れいむの呼びかけもむなしく、まわりのゆっくりたちは勝手にゆっくりし始めた。 「どおじでええええええええ!!!がんばっでおぼいだじでよおおおおおお!!!」 「おかーさんはそこでがまんしてね!!れいむたちがおうたうたってあげるからね!!!」 「うたはいらないのおお!!こんなせまいところでゆっぐりでぎないいいいいいい!!!」 「ゆ~ゆゆ~ん♪ゆゆ~yぶぎゃあ!!??」 歌が途中で途切れた。 歌っていた子れいむのほうを見ると、お兄さんの拳が子れいむだったものを押しつぶしている。 ニコッと微笑むお兄さんがその拳を上げると、その手から餡子がボトリと落ちた。 「ゆぎゃあああああああああ!!!まりざのごどもがああああああああああ!!!」 「おにーさんひどいいいいいいいいい!!!どおじでぞんなごどずるのおおおおおお!!??」 「まったく…大切なお母さんを見捨ててゆっくりするなんて、酷いなぁ!」 怒っているようだが、顔は相変わらず笑っている。 お兄さんは立ち上がると、逃げ惑う子れいむたちを片っ端から潰し始めた。 「ゆぎゃッばびぃいいいいいいいいい!?」 「まったく!!」 「ぐべえああああおあおあおあおあおあ!!!」 「お母さんを何だと思ってるんだ!」 「ふぎゅおうおおあおあおあおあおおお!!??」 「しかも番号を忘れちゃうなんて…!」 「るばっやああああああああああああ!!??」 「どうして!!たった3桁の番号を…君達は忘れちゃうんだ!?」 子供を全て潰し終えると、お兄さんは立ち上がる。 お兄さんは、泣いていた。顔は笑っているが、泣いていた。 箱の中の母れいむの横で、まりさはお兄さんの顔を見上げる。 「ゆ?おにーさん……ないてるの?」 子供を潰された怒りよりも、目の前のお兄さんが泣いていることに対する興味が勝った。 今まで自分をずっとゆっくりさせてくれたお兄さん。 子供を全員殺されたが、お兄さんが泣いている原因を解決すれば、またゆっくりさせてくれるかもしれない。 そんな期待がまりさにはあったのだ。 「ゆっくりなかないでね!!まりさがなぐさめてあげるよ!!」 「……」 お兄さんは無言でまりさのほうへと歩み寄る… が、まりさの横を素通りして、箱に収まったれいむの目の前に座り込んだ。 「ゆ!?おにーさん!!ばかなこどもをころしてくれてありがとう!! こんどはゆっくりここからだしてね!!」 もはや母れいむの関心は、ここからどうやって脱出するか…そのひとつしかない。 自分を見捨てた子供も…かつて愛を誓い合ったまりさも、もうどうでもよかった。 「ふふふ…あっはははははははははははは!!!」 お兄さんは優しい笑顔のまま、狂ったような笑い声を上げる。 母れいむとまりさは、完全に怯えきってしまった。 まりさに至っては、恐怖のあまり硬直してしまってその場から逃げることも出来ない。 「どうして!!どうして君達はそんなに馬鹿なんだ!! 3桁の!!たった3桁の!!簡単な番号を!!どうして忘れるんだアアアアアァァァァァァ!!!!!」 バァンッ!!! 箱を思い切り叩くお兄さん。母れいむがびくっと震える。 お兄さんは何かを発散しようとしているようだった。 内に秘めた黒い感情を、すべて消化しきってしまおうとしているようにも見える。 「あぁゾクゾクするよ!!君達の馬鹿っぷりにゾクゾクするよ!! どうして君達は到底敵わない人間に喧嘩を売るんだ!!どうして人間の作物を荒らすんだ!? もうどうしようもない馬鹿だ!!可哀相で可哀相で、笑いが止まらないよおお!!! 君達はどうして!!どうして!!どうしてどうしてどうしてどうして!!! どうしてそんなに!!!馬鹿なんだアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!???」 大声とともに腕を振り下ろすお兄さん。 居場所が悪かったためか、その腕がまりさに直撃し… 「ゆぶぎゃあああああ!!??」 まりさは破裂した。あっけない最期だった。 「ゆゆ!!ゆっくりやめてね!!ゆっくりここからだしてね!!」 「ふふふ…出せるわけないだろう。あの子達が、番号を覚えてなかったんだから…」 くくくと笑うお兄さん。顔は優しい笑みだが…その笑い声に、唯一生き残った母れいむは恐怖する。 「でも安心してね。れいむはこの中にいればずっと安全だよ。お兄さんも守ってあげるからね」 「ゆゆ!!やめて…ここじゃゆっくりできない……ゆっくりだしてよ!」 お兄さんは笑みを崩さず、首を横に振る。 そしてれいむが収まっている箱を抱きしめて、その場に寝転がった。 「馬鹿な子供たちは殺してあげたよ。馬鹿な恋人も殺してあげたよ。だかられいむ…お兄さんとずっとゆっくりしようね」 一体何をどこで間違えたのか。 母れいむは必死に記憶をさかのぼるが、どうしてもわからない。 どこをどうすれば、こんな目にあわずに済んだのか… 餡子脳の記憶容量では、さかのぼれるのはせいぜい数週間前まで。 唯一わかるのは、いまさら考えても遅いということだけだ。 れいむの入った箱を優しくなでる優しいお兄さん。 その笑みは、狂気に蝕まれてる。 「ふふふ…れいむ…君は一生その中でゆっくりしていってね!」 「イやだよおおおおおおオオオオオおおおおおおお゛お゛お゛お゛!!!!」 その日から。 れいむはずーっと、お兄さんとゆっくりし続けた。 晴れの日も、雨の日も、風の日も、雪の日も。 れいむは箱の中で、狭い箱の中でゆっくりし続けた。 出して、と言ってもお兄さんは出してくれない。 定期的に食べ物を与えられて、ゆっくりし続けるだけ。 お兄さんが、おじさんになって。 おじさんが、おじいさんになって。 その間も、れいむは窮屈な箱の中でゆっくりし続けた。 ある日、おじいさんが二度と目覚めなくなった。 おじいさんが布団の中からいなくなって…れいむだけが取り残された。 れいむはとてもお腹がすいてきた。そのうち意識も朦朧としてきた。 迫りくる死の影を目の前にして…れいむはやっと安堵の表情を浮かべて、こうつぶやいた。 「ゆっくりしていってね…!」 あとがき 優しいお兄さんを書いてたら、いつの間にか変なお兄さんになってたよ!! ゆっくりしていってね!! 作:避妊ありすの人 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/5085.html
ゆっくりいじめ系3097 ゆっくりずvs1 から どすん 『彼』は様子を見ていた一番大きな屋根の上から降りて来た。 「ゆ?」 家の一番近くで燃え上がる木を見てくつろいでいたゆっくりれいむがそれに気づく。 「まりさ! にんげんがいるよ!」 「ゆ? ほんとかだぜ? れいむ!」 まりさも『彼』の方を見た。 確かにそこには『何か』がいた。 人間のような何かが。 だが、まりさは違和感を感じていた。 まりさは一度だけ人間に会ったことがあった。 それはこの村に攻め入ったときだが、そのとき見た人間は――― あんな石みたいな顔をしてなかった。 足や手がトカゲさんみたいなもので覆われてなっていなかった。 体中になにやらぶら下げていなかった。 指があんなにとがってなかった。 しかし、目の前の『それ』は二本足で歩いている。 「(やっぱりにんげんだ!)」 それだけでまりさの餡子脳は結論を出した。 他に二本足で歩く生物を見たことないのだから無理ないかもしれないが……。 「にんげんがなんでこんなところにいるんだぜ! ここはまりさたちのゆっくりぷれいすなんだぜ! ばかでよわいにんげんはとっととでていくんだぜ!」 彼の視界には最優先捕獲対象である『ドス』しか映っていなかった。 無論、化面の視覚タイプを「熱感知視覚」にしている以上、他のゆっくりも映し出してはいた。 だが、普通ゆっくりなど駆除するにも値しないと判断した『彼』には、ほかのゆっくりなぞ意に介するにも値しないものだったのだ。 どすんどすん 重量感を持った足音がする。 『彼』はドスに向かって歩いて行く。 「だがら“ごれ”は“れ”い”ぶだち”な”ん“だよ”ぉ“お”お“お”!?」 一方のドスは仲間たちに攻められて涙目になっていた。 「ゆ! まりさをむしするんじゃないぜ! よわいにんげんはゆっくりしね!!」 まりさはさらに声を上げるが『彼』は一向に反応しない。 やがて他のゆっくりも『彼』の存在に気づき、次第に声を上げ始めた。 「ゆ~!!にんげんがいるよー!」 「わかるよー。にんげんがいるんだねー」 「ゆゆ! よわいににんげんしゃんはゆっくりちんでね!」 「れいむたちのゆっくりぷれいすからゆっくりしないででていってね!」 「むきゅ~へんなにんげんだけどそんなにつよそうじゃないわね!」 「ほーけい!たーんしょ!ちっこう!!」 引き続き無視。 「なんでぶじずるのおおおおおおお!!!」 そして一番先に『彼』に気づいたれいむ一家に後一歩というところまで近づいた。 「べんじじろぉ“お”お“お”お“お”お“!! くそじじい”い“い”い“い”い“」 まりさが目を剥き唾を飛ばしながら絶叫する。 「おちょうちゃんをむちちゅるなー」 「ゆゆ~きこえないの? びゃかなの?ちぬの?」 赤まりさと赤れいむが『彼』の飛び出し声を上げた。 「おちょうちゃんがほんきだしゅたりゃじじ、びゅびゃ!」 「みみがきゅこえにゃいにゃんておおあわ、れみゃ!」 潰した。 『彼』には潰したという感覚すらないだろう。 蟻を潰しても人間には全くわからないのと同じくらいの価値しかない普通サイズのゆっくり。 赤ゆっくりなどはゴミ以下の価値もないものだったのだ。 「「「「……」」」」 『彼』をののしっていたゆっくり達は一瞬で静かになった。 全員目を限界まで見開き、潰れた赤ゆっくりを凝視している。 『彼』は相変わらずの様子でドスに向かって歩いて行く。 「ばりざのあがぢゃんがぁ“あ”あ“あ”あ“あ”あ“あ”!!」 「どぼじでごんな“ごどずるの”ぉ“お”お“お”お“お”お“!!」 「わがらないよお“お”お“お”お“ーー!!」 一斉にあがる悲鳴。 先ほどの罵声とは大きさが全然違う。 と、その悲鳴に巨大みょんが気がついた。 「みょん……? !! みょーーーーん!!」 巨大みょんも人間に気がついた。 ギャーギャーと喚く普通サイズのゆっくり達にも気がつく。 「し、し、しんせーーーーーーーーーーいほーーーーけーーーーー!!」 巨大みょんのあげた雄たけびに、村の中にいたゆっくり達が視線を向ける。 「ゆ“お”お“お”お“お”お“……ゆっ?」 「「「「「「ゆ?」」」」」」 泣いていたドスも、ドスをののしっていたゆっくり達も全員それを確認した。 にんげんだ! おいはらったはずのにんげんがなんでここに! あいつがまりさのあかちゃんをころした!? にんげんのくせに!にんげんのくせに! …… ……ゆっくりしね! ……ゆっくりしね! ……ころせ! ……ころせ! ころせころせころせころせころせころせ!! 『彼』は歩みを止めた。 ゆっくり達の様子が変わったのだ。 熱感知による視覚にその違いははっきりとでた。 ゆっくり達の体全体の温度が上がっている。 同時に中にある中枢餡子の温度がさらに上をいっている。 これは怒り。 ゆっくり達は怒っているのだ。 そして明確な殺気を放っていた。 「ゆ~っくり!!」 ドスまりさが声を上げる。 赤ゆっくりや子ゆっくりは数匹の普通ゆっくりと一匹の巨大れいむに連れられ広場から離れて行く。 他の普通ゆっくり達は縦横綺麗に整列しはじめ、巨大ゆっくりをリーダーとした『隊』を作っていく。 それぞれの隊は100匹ほどで構成されており、隊は扇形になるように散開し広場を包囲した。 そしてそのすべてを指揮するドスまりさと参謀巨大ぱちゅりー。 「ゆ!! 馬鹿な人間だね! たった一人でこの村にくるなんて! 大きなまりさやれいむを殺したのもおまえなんだね!!」 ドスまりさは怒気を込めていった 「もう許さないよ! ゆっくりできない人間はゆっくりと永遠にゆっくり出来なくしてあげるから覚悟してね!!」。 一方『彼』はその場で立ち止まり、周りのゆっくり達を眺めているようだった。 「ゆふん!! 今更後悔しても遅いよ! お兄さんはみんなでゆっくり踏み潰すからね!ゆっくりしないで死んでね!」 ドスは『彼』が自分達にビビッていると思っていた。 そして――― 「むきゅ!! ゆっくりーーにさんぶんたいとつげきー!!!」 「「「「「「「「「「「「「「「ゆーーーーー」」」」」」」」」」」」」」 真正面の隊が『彼』に突撃を開始した。 続けて左側、右側の隊も突撃を開始。 これでゆっくりが乱戦を行なうときに見られる『突撃中に仲間を踏み潰してしまう事故』は格段に減る。 大きくなって頭がさらに良くなった参謀巨大ぱちゅりーが編み出した会心の策だった。 かくしてゆっくり達の戦争が始まった。 仮面のモニターに字が表示される <対象身体状態> 興奮状態 ―――『戦闘意思あり』 <対象処理方法> 普通ゆっくり―――殲滅 巨大ゆっくり―――殲滅 ドスゆっくり―――殲滅 殲滅殲滅殲滅殲滅殲滅 『狩リノ時間ダ』 最狂の狩人(ハンター)が目覚めた瞬間である。 突撃したゆっくり達が空中に舞い上がった。 いつもならここで「ゆ~♪ おそらをとんでるみたい~♪」という暢気な声がしただろう。 「ゆゆっ?」 「うわあ~れいむがおそらとんでる~」 「ゆっくりとんでる~」 それを見ていた他の隊のゆっくり達がうらやましそうに言った。 やがて宙から落ちてきたゆっくり達だが何の反応もない。 そのうちの一匹が隊のすぐ前に落ちてきた。 「ゆ~つぎはれいむ……? まり……ゆぎゃあああああ!!!」 「ゆ? ……ま、まりざあああああ!?」 今までお空を飛んでいたまりさの顔は前半分が綺麗にそぎ取られていた。 これではさすがに即死である。 いつもの『お空を~』発言も聞けないのも納得だ。 何故こんなことになっているかというと、彼の手にはいつの間にか槍が握れていた。 それは二メートル近くある彼の身長より長く、上下に刃が取り付けられていた。 いつのまにそんなものを? と疑問に思うが、この槍は伸縮自在で今までは背中に背負われていたのだ。 混乱する隊をよそに彼は開戦を報せる雄たけびを上げた。 「ぐおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」 大気を震わすその雄たけびはゆっくり達のそれより遥かに大きく、そして凶暴なだった。 「「「「「「ひっ!」」」」」 それによってゆっくり達は立ちすくんでしまった。 跳躍。 ドスまりさの背丈以上の高さに彼は跳んだ。 そして群れ全体のちょうど真ん中にいる隊の、巨大ありすに槍を突き立てつつ着地した。 「ゆべっ!!」 それは中枢餡子を正確に貫いており、声を上げるまもなく巨大ありすは絶命した。 続いてありすを突き刺したまま槍を振り上げ振り下ろし、隊の普通ゆっくりをつぶした。 槍には返しが付いているため振り回しても外れないのだ。 ドスン!! 「ゆ~! ありすがおそらを……ぶべびゃ!!」 「ゆぎゃああああ」 ドスン!! 「どぼじであ”り“ずがびん”な“を”づぶずの”ぉ”お“お”お“……おびゅ!!」 「ゆっくりにげ……ゆべえっ!」 ドスン!! 「でがま”ら”っばっ!!!」 「だじげでぇ“え”え“え”え“っにぐまっ!!」 隊の半数が潰れたときだった。 「ありすをはなせぇえええええ!!」 他の隊の巨大まりさが彼に飛び掛った。 その跳躍は高さ三メートルを超えるもので、巨大になった体だからこそ出来るものだった。 「ありすをいじめるにんげんはゆっくりしないでしねえええええええ!!」 「(ありす! いまたすけるからね! それでこのわるいにんげんをたおしたらまりさとずっとゆっくり……)」 どうでもいいけど死亡フラグです。ほんとうに(ry 彼は槍を遠心力をつけるため一回転させ、まりさが頂点に来た瞬間に巨大ありすを投げつけた。 同時に槍を縮小させる。 これによって返しも内側に引っ込み、ありすはつっかえを失い空中に放り投げられた。 「ありすううううぅぅぅ―――ぶびっ!!!」 空中でありすと正面衝突するまりさ。 よほどの勢いだったのか。 アリスがぶつかった瞬間、お互いのぶつかった部分が心地よい『パーン』という音と共に爆ぜ、地面に餡子の雨を降らせる。 「ゆ“ぅぅぅぅ!! ゆ”っぐり“でぎな”ぃぃぃぃぃ!!!」 あまりの悲惨さに、餡子を浴びたゆっくり達は叫び声をあげた。 勢いを失った巨大ゆっくり二匹の胴体は地面に落ち、下にいたゆっくり達を潰した。 「ゆ“!! な”ん“でごっ”ち“に”ぐびょ!!」 逃げればいいものをのんきに叫んでいるからである。 一方の彼は槍を元の長さに戻し、槍に付着した餡子を空を切ることによって払った。 同時に飛び散った餡がついた仮面を拭った。 「むきゅ! にんげんはつかれているわ! よんこぶんたいとつげきー!」 「「「「ゆー!!!!」」」 攻撃の手がやんだのを見た参謀巨大ぱちゅりーの勘違いの元、さらにゆっくり隊が押し寄せてくる。 ちなみにここまでで全滅に近い被害を受けたのは二個分隊である。 「ゆっくりしてるにんげんはゆっくりじ、にゅべえぇぇぇぇ!!!」 「しょせんいなかものね! たたかいのとちゅうでやす、むぼほおおおおおお!!」 当然同じようになぎ払われ散っていくゆっくり達。 「ゆっくりしんでねぇぇぇ!!!」 隊長の巨大れいむが地面から低くはねて高速突進を繰り出してきた。 彼は鋭い左ストレートでそれを簡単に止める。 「ゆぎゅっ!!」 左手が深く顔面にめり込む。 ミチミチと音を立てて顔面の皮が破れ、体内の中に左手がもぐりこんでいく。 「ゆががががががが!!!!」 しかし未だ終わらない。 左手をすぐさま引き下からのアッパーカット。 巨大れいむの体が腕から抜け宙に浮いた状態にする。 そこに体のひねりを加えた渾身の右踵落とし!! 「ゆぶっ!!」 地面に叩き落された巨大れいむの体は接地面がはぜ散った。 続いてその隙を見てか背後から巨大みょんが鋭い枝を突き立てんともう突進してくる。 しかも二本咥えての二刀流である。 「みょおーーーん!」 いつもなら意味不明な淫語を連発するくせに、今回はまともなみょんだった。 しかし彼は背後を見ることもなく、巨大みょんの枝を左手で掴み止めた。 「ぺにすっ!?」 思わずいつもの淫語マスターに戻る。 そして止めた手をそのままに、振り向きざまの槍を持った右手よるジャブ。 先ほどの巨大れいむと同じく、巨大みょんの体に腕が思い切りめり込む。 「でがまっら!?!?」 そこに右手を引き抜く体の回転を利用した後ろ回し蹴りを放った。 おっとうまくきまった!(実況:ジョ○・カ○ラ) とめるのむずかしいですからねー(解説:き○ざわつ○し) 巨大みょんは高速で吹っ飛ばされ、控えていた他の隊の巨大ありすに衝突した。 しかも持っていた枝二本がありすの両目に突き刺さった。 はいった! きまった! これでどうだああああああ!(実況:ジ○ン・○ビラ) うおおおおおおおー!(解説:きた○わ○よし) 「ゆぎゃあ“あ”あ“あ”あ“あ”あ“あ”あ“あ”あ“あ”あ“あ”あ“あ” ばでぃ“ずの”どがい”ばな“お”め“め”がぁ“あ”あ“あ”あ“あ”あ“あ”あ“あ”あ“あ”」 「ちぃぃぃぃん、ぽ……」 巨大みょんは受けた衝撃で気を失いかけている。 しかもジャブと蹴りを喰らった際に皮が破け餡子が飛び出している。 「ゆー!!! みょん! ゆっくりなおってねゆっくりなおってね!!」 「ぺーろ! ぺーろ!」 巨大ありす隊の普通ゆっくり達がみょんを気遣ってくれている。 このみょんは群れの中でもかなり人気があり、みんなから一目置かれている存在だった。 「ま……まーら」 みょんはお礼を言った。 そして立ち上がろうとした。 みんなのためにもあの人間を止めなければ。 でないとますます多くのゆっくりがやられてしまう。 自分ひとりではダメだったがみんなでやれ――― ブシャッ 「な”ん”に”も”び“え”な“い”ぃ“ぃ”ぃ“ぃ”ぃ“ぃ”ぃ“」 目を失い痛みに暴れる巨大ありすが、みょんの弱っていた体に止めを刺した。 見ると隊のゆっくりのほとんどは既にありすによって潰されていた。 それを止めようと寄ってきた他の隊のゆっくりもだ。 「な”に”や”っでる“の”お“お”お“お”お“ぉ“ぉ”ぉ“ぉ”ぉ“!?!?」 「“みょ”ん“をぶん”じゃだめ“でしょお”お“お”お“お”ぉ“ぉ”ぉ“!?!?」 みょんの手当てをしていたゆっくり達は叫んだ。 しかし巨大ありすはわめき散らすだけで一向に収まらない。 さらに暴れ散らし他のゆっくりを潰していく。 「む“じずる”な“あ”あ“あ”ぁ“ぁ”ぁ“ぁ”ぁ“ぁ”!!!」 「ゆっぐり“でぎな”い“あり”ずは“じね”っ!!!」 「ゆ“ぎゃあ”あ“あ”あ“あ”!?!?!?」 実に醜い仲間割れである。 一方、普通ゆっくりを近づかせることもせず槍で粉砕している彼の元へ、二つの影が接近していた。 「ちぇんたちのこんびねーしょんをみせるんだよー」 「わかるよー。ひっさつわざなんだねー」 巨大ちぇんである。 巨体に見合わぬ速さ(まあ……Gくらいですかね)で接近してくる。 実は今、突撃をしている普通ゆっくり達は、ちぇん達がそれぞれ指揮する隊のゆっくりで、二人の攻撃を成功させるための囮だった。 無論、普通ゆっくり達は囮にされていることも気づかずにやられているが。 二手に分かれたみょんは高く跳躍し、左右からのボディプレスを放った。 彼は前後左右から突撃してくるゆっくりに気をとられている――― 「ゆっくりしないでしぬんだよー!」 「わかるよーおわりなんだよー」 ガシシッ 「「ゆ?」」 ―――わけなかった。 左右からきた巨大ちぇんズを左右一本ずつの手でしっかりと受け止めた。 槍は足元にいる普通ゆっくりを地面に串刺しにしていた。 「お、おにいさん、ちぇんをゆっくりはなしてね!」 「わかるよーさくせんしっぱいなんだねー」 そしてそのままちぇんの体同士を空中で叩きつけた。 「「ゆみ”ゃ!!?」」 そのままどんどん力を入れていき…… 「や”ぁぁぁぁぁめ“ぇぇぇぇぇでぇぇぇぇぇ!!……ゆぎゅ!!」 「わ、か……るよぉ~て……お、くれ……なんだ……ねぇっ!!」 体を貫通した。 彼が両手を外側に払うと、巨大ちぇんは腕から抜け地面に転がっていった。 彼は再び槍を取って狩りの続きを再開した。 「むきゅ~……しんじられないわ……」 「ゆっ……」 ドスと参謀巨大ぱちゅりーは唖然としていた。 あの槍を持っているならば普通ゆっくりが敵わないのも頷ける。 だが槍を使わなくとも、あの人間は易々と巨大ゆっくりを葬る事ができる。 次々と物言わぬ饅頭となっていくゆっくり達。 普通ならばゆっくり達は、最初の隊が全滅した時点で逃げ出しただろう。 それでも逃げ出さないのはこの群れのルールがあるからだった。 『一番手柄をたてた隊に、一番ゆっくり出来る権利を授ける』 昨日までこの村に居座っていた巨大まりさとれいむは、先の戦いで一番人間に怪我を負わせた。 だから今日、山のみんなが来るまでゆっくりしていていい権利が与えられたのだ。 他の隊の連中がやられてくれれば自分の隊がゆっくりできる公算が高くなる。 そう思って大多数はいまだ留まっているが…… 「も“う”い“や”だあ“あ”あ“あ”あ“あ”あ“」 「ゆ”……づぶざな“い”でッ……づぶざ……ゆびゃ!!」 「あんよがああああああぁぁぁ! れいむのきれいなあんよがああああ!!!」 「ゆっぐ……み“、み”ん“な”ど“ご~……な”に”も“びえ”なぃぃぃぃぃぃ……」 「い”だい“よ”お“お”お“お”お“お”ぉぉぉぉぉ!!!」 「だれがぁぁぁ!!! まりざをゆっぐりじないでだずげでよぉぉぉぉぉ!!」 「かわがむりぃぃぃぃぃ!?!?」 大多数が『願望に溺れて溺死しろ』状態である。 「ゆぐぐ……」 ドスは空を見上げる。 それは何かを待っているかのようであった。 その時であった。 「ゆう、ドス」 「ゆ?」 ドスが後ろを見ると、そこには子・赤ゆっくりを避難させた巨大れいむがいた。 「なに? れいむ?」 ドスはつまらなそうに答える。 「れいむおもうの……みんな……このままだところされちゃう……」 「むきゅ! ばかいわないで!」 それに対して声を荒げたのは参謀巨大ぱちゅりーだ。 「わたしのかんぺきなさくせんがあるかぎり、はいぼくはないわよ!」 「ゆ! でもぜんぜんにんげんさんはたおせてないよ! むれのみんながいたずらにしんでるだけだよ!」 実はこの巨大れいむは、巨大ぱちゅりーの前の村の参謀だった。 しかし前回の人間の村襲撃作戦に反対した為左遷され、今では群れの外れにすんでいるのだ。 「むきゅ! いまはよ! いずれにんげんもつかれるわ! そのときまでたえるのよ!」 「ゆ!! そのときになってみんながしんでしまってたらいみないよ!」 一歩も譲らない両者の意見に、ドスの言葉は――― 「れいむ! ゆっくりだまってね!」 「ゆ……!」 「これ以上群れの戦士を馬鹿にすることは許さないよ! みんな一生懸命戦ってるのにれいむはいつも反対してばかりだね! 少しは協力しようと思わないの!?」 ドスの横で、参謀巨大ぱちゅりーが勝ち誇ったかのように口元を歪めている。 「きょうりょくしてるよ! こどもたちのめんどうをみてるよ!」 「嘘つかないでね! 子供達に『人間と仲良くしよう』だなんて教えてる事、ドスは知ってるんだからね!」 「ゆう……。 でも……! いぜんはどすもそうやっていって……!」 「もう違うんだよ! 人間を倒してみんなをゆっくりさせるのが大切なんだよ! れいむはいい加減にゆっくり理解してね!!」 「そのにんげんをたおすためになんにんのこどものおやをころすの!! そんなのぜんぜんゆっくりできないよ!! どすの―――ゆっくりごろし!!」 「ゆ“!!!!」 その一言にキレたドスは巨大れいむに体当たりをした。 「ゆぎゃ!!」 いかに巨大種といえど、さらに大きいドスの体当たりを受けて無事なわけがない。 巨大れいむは地面に転がり倒れ、口から餡子を吐き出した。 その様子を参謀巨大ぱちゅりーは「おお、あわれあわれ」というような目で見ていた。 「それ以上言ったられいむを許さないよ! ゆっくりしないで子供達の場所に戻ってね!!」 その時、ドスは巨大れいむの後方を見て笑みを浮かべた。 「それにね……もうこの戦いは終わりだよ!」 「ゆ?」 巨大れいむは後方を振り返った。 そこには―――いや、後方の空には―――巨大うーぱっくとその一団が迫っていた。 「むきゅう! やっときたわね!」 参謀巨大ぱちゅりーが声を上げる。 巨大うーぱっくは縦二メートル、横一メートル以上の巨大な体をしており、その中に数匹の普通ゆっくりと大きな石を積んでいた。 他の普通サイズうーぱっくも、中に石と普通ゆっくりを乗せており、いわば爆撃隊のような存在であった。 ドスが待っていたのはまさしくこの空中戦隊だったのだ。 広場から少し離れた所に固まって避難している子供達は、いち早くそれを見つけ空に向かって歓声を送っていた。 「どうれいむ? あの人間も空からの攻撃は防げないよ。 どんな人間もそれは同じだよ。これでみんなゆっくりできるんだよ」 「ゆ……」 巨大れいむは思った。 確かにそうかもしれない……だけど……。 れいむには気になっていることがあった。 あの時……広場にあった木を燃やした『光る弾』の存在。 あれはあの人間が撃ったものではないか? だとしたらいかに巨大なうーぱっくも太刀打ちできないのではないか? とはいえ、あれを人間が撃った瞬間をみていないので、れいむはそれを強くいえなかった。 なにせ『何もない所』からいきなり光る弾が出てきたのだから。 「ゆーーー!! うーぱっく! ゆっくりこっちに来てね! 人間の上に石を落としてね!!」 「うーーーー!!」 巨大うーぱっくに大声で呼びかけるドスまりさ。 それに大声で答えるうーぱっく。 無論、それを彼が聞き逃すはずなかった。 巨大ありすを引き裂いた彼の耳に飛び込んできた声。 「ゆーーー!! うーぱっく! ゆっくりこっちに来てね! 人間の上に石を落としてね!!」 ドスまりさが視線を向けている方を見る。 空に複数の熱反応。 そのうち一つはかなり大きい。 彼は腕のモニターを開いた。 そしてボタンを入力する。 すると、背中の肩の部分についていた小さな筒が方の上へと競りあがった。 まるで小さな大砲のようだ。 銃身を前方に向ける。 そしてその横から赤い光がでる。 小さな点を三角形の形に配置したそれは、巨大うーぱっくの顔に照射されている。 そして、彼の被った仮面のモニターに三角形の照準が現われ、うーぱっくにそれを絞って行き――― ピーーー シュバッ 小さな機械音と共に、銃身から白い光弾が発射された。 残滓を残しつつそれは真っ直ぐにうーぱっくに飛んでいき―――着弾し、爆ぜた。 ドガーーーン 思いのほか音は小さかった。 だが、光弾の直撃を受けた巨大うーぱっくは一瞬で絶命した。 光弾は着弾と同時に爆ぜ、その中身を空と地上にぶちまけた。 それによって巨大うーぱっくの周りを飛んでいた、普通うーぱっくもそのほとんどが絶命。 その中身を地上に撒き散らす結果となったのだった。 「「「……」」」 それをしっかりと見ていたドスと参謀巨大ぱちゅりー、巨大れいむは声も上げられなかった。 だが、巨大れいむだけは他のものを見ていた。 撃墜されたうーぱっくの中身が落ちて行く先には――― 「みんな!! にげてえええええええええええええ」 子ぱちゅりーは大きいれいむが大好きだった。 大きくなった大人たちは『人間を倒す訓練をする』と言って、全然遊んでくれなかった。 だが大きいれいむはそれに参加せず、自分達と遊んでくれた。 大きいれいむは本当にいろんなことを教えてくれた。 狩の仕方や寝床の作り方。 捕食種からの逃げ方や友達との上手い付き合い方。 喧嘩したまりさとも仲良くなる方法を教えてくれた。 群れのゆっくりから教えられる、『特別なお勉強』よりずっとためになった。 『ゆっくりは人間より強い』 『人間はお野菜を独り占めする悪い存在』 『人間はゆっくりによって倒されねばらない』 『子供達は早く大人になって戦えるようにならなければならない』 大きい大人たちが増えて、人間の村に攻める事が決まった日から、そんなことが教えられている。 他の赤・子ゆっくり達は、特別なお勉強が気に入ったようで、 「にんげんはゆっきゅりちね!」 「にんげんはゆっくりぷれいすをひとりじめするわるいやつなんだね!」 「わきゃりゅよぉーわりゅみょにょにゃんだねー」 「にんげんなんていなかものよねー」 「みゅきゅ! おびゃきゃにゃにんげんはゆっきゅりできにゃいわ」 そんなことばかり言っている。 でも自分は、それがゆっくり出来ない事のような気がしていた。 だから、勉強を抜け出しては巨大れいむの家に行って、色々な話を聞いているのだった。 そして今日、ついに人間の村に移動するという事で、群れは大移動をした。 子供たちのお守り役として、巨大れいむが付き添ってくれたときはすごく嬉しかった。 だが、他の子供たちはそれをよく思っていないようだった。 「おばさんはむれのはじさらしなんだね!」 「おとーちゃんたちがてゃてゃきゃうにょににゃんでにげりゅにょ?」 「おくびょーにゃんちゃね!」 「ありすはしってるわよ! こういうおとなをごみくずっているのよ!」 「ごみくずれいむはゆっくりしね!」 「わきゃりゅよぉーこんにゃおとにゃにはにゃらにゃいんだよー」 「みゅきゅ! ぱちゅりにちかよりゃねいでね!」 ぱちゅりーはやめるように言いたかったが、友達にいじめられるのもいやだった。 だから、何も言わないでみんなの中に立っているだけだった。 それでも巨大れいむは何も言わなかった。 ゆっくり出来ない人間が突然現われ、大きな大人たちが戦いを始めたときも、巨大れいむはみんなを守ってくれた。 大人たちがどんな戦いをしているかはここからでは見えない。 今、自分とみんなは安全なところにいて、巨大れいむはドスとなにやら話しに言っている。 その時、友達の一人が声を上げた。 「ゆ~! うーぱっくがくるよ!」 私はお空を見上げた。 そこにはおっきなうーぱっくがいた。 大きな大人たちと一緒で、ある日突然大きくなったうーぱっくが。 あのうーぱっくは確か、参謀ぱちゅりーの案で『投石部隊』になるうーぱっくだったはず。 何人かの大人を乗せて、悠然と空を飛んでいる。 わたしはその姿に感動を覚えた。 「ゆ~~!! まりちゃもにょしぇるんだじぇー!」 「ゆゆ! おそらをとんでるみたい!」 「とてもゆっくりしてるね!」 「ゆふん! にゃかにゃかときゃいはねぇ!」 友達達も興奮している。 そしてうーぱっくは私たちの真上まできた。 うーぱっくの中の大人たちも笑顔で私たちを見ている。 と――― ドーーーン 突然うーぱっくが光った。 赤い光と白い光が混ざってとても綺麗。 それがたくさん空で光っている。 うーぱっくが落ちてくる。 ぼろぼろの体。 大人たちが落ちてくる 中身がこぼれてとてもゆっくりできなさそう。 大きな石が落ちてくる。 まりさの上に。 れいむの上に。 ありすの上に。 ちぇんの上に。 みょんの上に。 わたしの上に。 ドドドドドドドドッ 沢山の石や岩が地面に落下した。 巨大れいむは急いでそこに駆け寄る。 「ゆ……ああああああああああああああああ!!!」 そこは子・赤ゆっくりたちが避難していた場所だった。 運悪くも、うーぱっく達はその真上を飛行中に撃墜されたのだった。 「みんな! おちびちゃんたち! いまたすけるからね! いまたすけるからね! まっててね!!」 巨大れいむは体当たりと舌を使い分け岩をどけていく。 潰れた餡子。 ぼろぼろになったリボンや帽子。 子供達に作ってあげた花飾りの花びら。 ばらばらになったカチューシャ。 飛び出た小さな目。 黒い餡子。 白い髪の毛。 千切れた尻尾。 潰れた胴体。 「ゅ……ゅ…………」 「!!」 小さな声。 急いで岩をどかす。 そこには一人の子ぱちゅりーが。 「ゆ、ゆ……ゆあああああああ!! おちびちゃん!! よかったぁぁぁぁぁあああ!!」 岩の下から引っ張り出そうと近寄ったとき。 ズシン 巨大れいむの目の前に岩が転がってきた。 「ゆ?」 いきなりの事に呆然とする巨大れいむ。 下を見る。 そこには破れた小さな月の髪飾りだけが残されていた。 「…………ゆ………… あ“あ”あ“あ”あ“あ”あ“あ”あ“あ”あ“あ”あ“あ”あ“あ”あ“あ”あ“あ” あ“あ”あ“あ”あ“あ”あ“あ”あ“あ”あ“あ”あ“あ”あ“あ”あ“あ”あ“あ” あ“あ”あ“あ”あ“あ”あ“あ”あ“あ”あ“あ”あ“あ”あ“あ”あ“あ”あ“あ”」 「うそよ……うそ……ぱちゅりーのひみつへいきが……かんぺきなさくせんが……」 「ゆがああああああああぁぁぁぁぁ……」 ドスと参謀巨大ぱちゅりーは頭の中が真っ白になった。 巨大うーぱっくが墜落した場所を呆然と眺めていた。 同時にここへきてついに、あの人間に対する恐怖が芽生えた。 「ゆ、ゆっくりたいきゃ……」 チュドン 「!!」 しゃべろうとした参謀巨大ぱちゅりーの声が途切れた。 墜落現場の方に、失った半身から中身を飛び散らせながら吹っ飛ぶ巨大参謀ぱちゅりー。 ドスは振り返った。 彼は槍とショルダーキャノンを使いゆっくりと殺戮を行なっていた。 近距離のゆっくりは槍で払い、遠距離のゆっくりはショルダーキャノンで攻撃する。 ゆっくり達はそこにいてはやられると必死に動き回るが、ショルダーキャノンの正確無比な砲撃と チートな追尾性能によって確実に数を減らされていった。 「どぼじでごっち“ね”ら“う”の“お”お“お”お“!!!」 「まりさはゆっくりにげるんだぜ! れいむはしっかりおとりになるんだぜ!」 「あじゅい”い”い”い”い“い”!! あ“り”ずの“どがい”ばな“あ”じ“があ”あ“あ”あ“あ”あ“」 「たいちょうたすけ……ゆびゃあああああああ!!!」 すでに隊はばらばらになり、群れは壊滅状態であった。 「ゆぅぅぅぅぅ……!」 ドスは正真正銘最後の切り札を使う事にした。 隠し持っていたキノコをかじる。 そして、チャージを始める。 ドスパークである。 実はキノコが後一個しかなく、次のキノコがいつ手に入るかわからなかったため、 たった一人の人間に使うのはもったいないと思っていたのだ。 うーぱっくも駄目。 ぱちゅりーも死んだ。 群れも半数がやられた。 もうこれしかないと判断した。 ドスの口腔内にエネルギーが溜まっていく。 「(ゆっくり、もーちょっとだよ!)」 が、しかし。 ドスは自分の眉間に赤い斑点のようなものがあるのに気がついた。 「(ゆ!?)」 それはゆーぱっくを撃墜したショルダーキャノンだった。 彼はすでにドスまりさの行動に気づいており、こちらに照準を向けていたのだ。 「(ゆううううううう!? ゆっくり待ってね! ゆっくり待ってね!)」 その時だった。 彼に飛び掛る一つの影が! それはあの養育係の巨大れいむだった。 一瞬の隙を突き突撃したのだ。が、 ズン それは彼の槍によって阻まれた。 しかし――― ギン!! 「!?」 なんと槍が弾かれた! 見ると巨大れいむの口の中にはうーぱっくが運んでいた岩が入っていた。 それが槍の一撃を弾いたのだ。 「おちびちゃんだちのかたきぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!」 今までのどのゆっくりより、明確な殺意を持って飛び掛ってくる。 バシュッ バシャアアア だが届かない ショルダーキャノンからの一撃。 巨大れいむは岩と共にバラバラに砕け散った。 しかしその間に、ドスはドススパークのチャージを完了させた。 「ゆううううぅ……ごおおおおおおおお!!!」 「!!」 彼がドスの方へ向き直ると、ドスパークが発射されたのはほぼ同時だった。 ピカッ 「うおっまぶしっ」 まばゆいほどの閃光。 一瞬だけ、その場のすべてが白色に染まった。 続く
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/3257.html
ゆっくりの重さ ゆっくりの体当たりがなぜ効かないか? 喰らってみればわかると思うけどゆっくりは見た目よりも非常に軽い。 それは何故かを今から標本を作りつつ説明しよう。 「れいみゅおなきゃすいちゃよ!はやきゅごはんをもっちぇきてね!」 机の上で腹が減ったとわめいているのはゆっくり子れいむ、頬を膨らませたり、 悪態をついたりと態度が悪い、あまり出来の良い個体とは言えないゆっくりである。 「きこえちぇるの?はやきゅれいみゅにごはんをちょうだいにぇ!ばかにゃの?しにゅの?」 男はれいむの言葉を無視しつつ、標本作りの準備に取り掛かる。 「今から永遠にゆっくりさせてあげよう・・・」 男はそう言うとれいむの頭に素早く下敷きを振り落とす。 「ゆ゙っ!」 れいむは反射的に悲鳴をあげるが自分の体に何が起こったかは理解していない。 しかし襲い掛かる激痛が自分の体に起こった事を嫌でも知らしめる。 れいむは男が振り下ろした下敷きに体を左右対称、真っ二つにされてしまったのである。 「「ゆ゙びぃげgfpg!い゙おgjおげgljh〜ぃ゙」」 左半分と右半分からそれぞれ悲鳴が聞こえる。 何を言ってるかは解からないが、「ゆびぃ!いたい〜」っとでも言ってるのであろう。 男はれいむと下敷きの設置面を瞬間接着剤で固めていく。 そして餡子を吹き出す可能性が高い目と口も同様に接着剤で塞いでやる。 本当なら口から塞ぐほうがよいのだが手馴れた人ならどちらからやってもかまわない。 目を塞ごうとするとれいむは反射的に目を閉じようとする。 しかし、男の指にまぶたを押さえつけられ目に直接接着剤を塗られることになった。 「ゆ゙っgklっ!ゆ゙qぁlっ!」 何を言ってるかは依然としてわからないが綺麗に切り落としたのでまだまだ元気である。 悲鳴を聞けなくなるのは残念だが、口も塞いでやる。 ここで男はこだわりを見せる。 唇を塞ぐほうが圧倒的に簡単なのだが喉の奥を接着剤で固めることにより、 れいむは餡子を吐き出すことが不可能となる。 「・・・・・・!」 これによりれいむは口を動かすことはできるが声や餡子を吐くことは出来ない状態になる。 男は最後に注射機をれいむの頭に突き刺す。 ゆっくりの痛みによる膨張を防ぐための薬品がれいむに注入される。 これでゆっくり標本の山場は終わりである。 後で理由も説明するがゆっくりは激しい痛みに襲われると餡子を吐き出してしまうために ここまでの一連の作業は素早く行う必要がある。 あとは下敷きの余分な部分を切り落とせばゆっくり標本の出来上がりである。 ここから先はこの標本を使ってゆっくりが軽い理由をを説明しよう。 断面を見ると皮の部分と餡子の部分が見える。 餡子の部分は中枢餡子と通常餡子の2種類があるのだが、人間の目にはどちらも同じに見える。 餡子はゆっくりにとって生命を維持するために必要な物である。 この餡子は饅頭などに詰まっている餡子と似ているがまったくの別物である。 ゆっくりの餡子を顕微鏡で見ると、エアインチョコみたいな構造になっている。 ゆっくりが軽い理由の一つである。 皮にも同様に気体が存在し、このせいでゆっくりの体は見た目よりもかなり軽い。 そしてこの気体は空気よりも軽いために浮力が発生する。 このためゆっくりは長い滞空時間をもったジャンプをすることが可能である。 反面、地面の力を利用することが出来ないためにその動きは非常にゆっくりしている。 エアインチョコのような体の構造、空気よりも軽い気体が詰まっている。 この二つの理由によりゆっくりは見た目よりも非常に軽い。 しかし、ここで一つ疑問が残る。 そんなに軽い饅頭がなぜ水に入ると溺れるのか? ここで一つ実験をしてみよう。 男は一匹の子まりさを取り出す。 「ゆぅ?ここはどきょ?おじしゃんはゆっきゅりできりゅひと?」 まりさは男に色々と話しかけるが無視して持ち上げる。 「ゆ〜おしょらをとんでるみたい!」 まりさは始めて見る光景に感動する。 しかし、男が手を離すことによって一気に恐怖のどん底に落とされる。 ボチャッ 子まりさは水槽の水に着水する。 「ゆぴぃっ!ごぼぼっおぼりぇる!ごぼっ!おきゃ〜しゃんごぼっ!たしゅけちぇ〜!」 まりさはこの場にいない母に助けを求めるが当然いないものが助けに来るはずもない。 「おじしゃん!ごぼぼっ!まりしゃをたしゅけて!ごぼ!ったしゅけちぇ〜」 子まりさは男に助けを求めるが男は見つめているだけである。 「ゆぼぼっ・・・どぼじで・・・まりしゃごぼっ!もっちょゆっくりごぼぼぼぼ」 しばらくするとまりさは水の底に沈んでいく、沈んだ状態でもゆっくりは生きている。 しかし皮が破けることにより餡子が流出することにより死んでしまう。 水槽の底でまりさは体をよじらせたり跳ねようとしたりするがほとんど動けていない。 ゆっくりが水に沈む理由、 ゆっくりの体の中に存在する気体は水溶性が高く、水が浸水しやすい。 水を吸収してしまったゆっくりは非常に重くなる。 ゆっくりも水分を必要とするが取り過ぎた場合、普通なら体外に放出することが出来る。 しかし、雨などゆっくりの意思とは関係なく水分を吸収させられるような状況に陥ると、 ゆっくりは涙やしーしーすることにより水分を放出しようとする。 それでも間に合わない場合、体がどんどん重くなり最終的に動けなくなり雨に打たれて、 皮が破け、体外に餡子が流出して死ぬ。 水槽の中のまりさもそろそろ餡子が漏れ出したようである。 (まりしゃのあんきょしゃんでちぇいかにゃいでね!ゆっきゅりしちぇいっちぇね!) まりさの願いもむなしく餡子はどんどんと流れ出てまりさのゆん生は終わりの時を迎えた。 (もっちょ・・・ゆきゅり・・・しちゃかっちゃ・・・) 最後のセリフも水の中では言うことができずに、まりさのゆん生は幕を閉じた。 エアインチョコのような体の構造、空気よりも軽く水溶性の高い気体、 この二つの特性のせいでゆっくりはゆっくりとしか動くことができない。 そして自然災害というか雨でも死にやすい。 そうでなくてもゆっくりは体に痛みを感じると餡子を吐き出して死んでしまう。 次は何故ゆっくりが餡子を吐き出すかを子ありすを使って説明しよう。 ありすの中身はカスタードだが、吐き出す理由は同じなので問題はない。 「ゆっきゅりしちぇいちぇね!」 ありすは特に警戒することもなく、男にゆっくりしていってねと挨拶をする。 男はありすの挨拶に対してでこピンで答える。 ビシッ 「ゆぴぃっ!」 ありすは悲鳴をあげて転がっていく、自分が何故こんな目にあったか解からないありすは 一瞬きょとんとした表情になる。そして次に何かがはじけたように泣きだす。 「ゆぴゃ〜あぁあぁ〜いちゃいよ〜!みゃみゃ〜っ!」 泣き喚く子ありすに対して男はものさしで殴り続ける。 「ゆびぃっ!・・・いちゃい・・・みゃみゃ〜!」 うざい泣き声でみゃみゃとか言うから殴り続ける男は手加減するのが大変である。 男は手を休めることなく殺さない程度にありすをビシビシと殴り続ける。 「ゆびっ・・・もうやめちぇ・・・ありしゅ・・・ちにちゃくにゃい・・・」 男が殴り続けて5分ほどするとありすの口からカスタードがもれ始める。 体の中が破れたり、口の中を切ったとかではない。 そうならないように手加減して殴り続けた。 しかし、ありすはカスタードを吐かないように必死で口を塞いでいる。 なぜか? ゆっくりは強い痛みやストレスを与え続けると、体内の気体が増量して、 餡子やカスタードを圧迫し始めるのである。 このありすは今まさにその状態である。 「ゆぴぃ・・・もうだみぇ・・・ゆぷびっ!」 ありすはガマンをしていたがついにカスタードを吐き出してしまう。 そこに強烈な一撃をさらに与える。 さらにカスタードを吐き出す。 「ありしゅ・・・しゅっきりしちゃかっちゃのに・・・もっちょゆっきゅり・・・しちゃかっちゃ・・・」 そう言ってありすは一度もすっきりすることもなくゆん生を終わらせた。 ゆっくりの中に詰まっている気体はゆっくり同様に謎が多い、 これを解明することによりなんたらかんたら・・・ おわり よくある設定談議の話でゆっくりの重さについて考えてみた。
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/4903.html
※俺設定注意 「ゆぐぐっ・・・うばれるぅ・・・!」 「ゆっ!がんばってね、れいむぅ!」 ミチミチ。ミチミチ。 どこにでもある光景。狭い穴ぐらの中、一匹のゆっくりれいむが赤ん坊を産もうとしていた。 ちなみに胎生出産である。 れいむの顔、その下膨れを押し開き赤ちゃんが顔を覗かせている。 表情はまさにゆっくり。これから自分のゆん生には希望しかないと言わんばかりの満面の笑顔だ。 もうこの時点で鬼意山ならば爪先を百ぺんほどぶち込んでいるだろう。 まぁしかしここには鬼意山どころか妖怪、人間の姿さえ無いのでそういう愉快な事にはならない。本当に残念である。 とか何とか言ってる内に、そろそろ赤ちゃんが出てきそうだ。 どうでも良い事だが出産の痛みによってれいむの顔面は相当面白い事になっている。 「ゆぁっ・・・うばれぁっ!!」 「ゆゆ〜〜〜ん!!!まりさのあかちゃんがうまれるよぉっ!!」 スッポーーン。 コルク瓶の栓を抜いた時に似た軽快な音と共に母より撃ち出される赤ゆっくり。 「『出産』っつーより『射出』じゃねぇのコレ?」と疑問がよぎりそうなほど綺麗な放物線を描いて飛んでいく。 「あがちゃんっ・・・!ゆっぐり、ゆっぐりじでいっでねぇっ!!!」 「まりさのあかちゃん!ゆっくりしていってね!!!」 息も絶え絶えだが、それでも尚赤ちゃんのために挨拶を送るれいむ。 生まれ落ちてきた我が子の為に、生涯最高の笑顔を浮かべるまりさ。 両親の祝福を受けながら、未だ飛行中の赤ゆっくりもそれに応えようとする。 「ゅっ・・・ゆっくちちちぇいっちぇ『パン!』ゆびゅぇっ!!!」 爆裂。 四散。 炎上。 赤ゆっくりは地面に到達する事無く、その生涯を終えた。 享年2秒であった。 「ゆ゛があ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!?あがぢゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ん!!!?」 「どぼじでえ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛ぇぇぇぇぇぇ!!!?」 何が起こったのか分からぬ親ゆっくり達。 そりゃそうだろう。何も無い所でいきなり赤ちゃんが爆裂四散したのだから。 「・・・・・・ゆぐっ!!?う、うばれる!!まだうばれるよおおぉぉぉっ!!!」 「ゆうっ!!?がんばっでね゛ぇ、れいぶぅ!!」 が。 その後生まれた子供達も全て、空中で炸裂、または産道から顔を覗かせた時点で四散してしまった。 「どぼじででいぶのおちびぢゃんがあああぁぁぁ!!!?」 「なんでゆっぐりじでぐれないのおおおぉぉぉっ!!?」 もはや燃えカスとなった我が子たちを見ながら親ゆっくり達は絶望した。 親ゆっくり達には赤ゆっくり達が突然死んだように見えたが、実はちゃんと理由があるのだ。 赤ゆっくり達は殺された。ある存在に打ち負かされ、否定され、そして燃やし尽くされた。 ではその存在とは・・・・・・それは、大気を漂う『水の分子』である。 もう人間がどうだとか、捕食種がこうだとか言うレベルではない。 ゆっくりはその脆弱さを極め、とうとう分子にすら敗北したのだ。 この調子でいけば原子一個に負けるのも時間の問題であろう。 悲劇――喜劇?――はこれだけで終わらなかった。 この日を境に、世界中のゆっくりが窮極の進化を遂げたのだ。 弱者たるゆっくりの最終進化。 この世の構造そのものに耐え切れない泡沫の存在。 それから間もなくゆっくりは絶滅した。 ――――― 書き溜めです。パクっちゃったZE☆ 『本当に弱い』ってのはなァ!!こういうレベルの事を指すんだよォッ!! このSSに感想をつける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/2983.html
ゆっくりとたばたば 一応注意・ゆっくりが現代入りしてます。 私は映画が好きだ。 週に5,6作は見る。近所のビデオ屋で借りては見て、借りては見てを繰り返していた。 モニターに映しだされる作品の数々は、趣味の少ない私にとって貴重な娯楽だった。 今日借りてきたのは「コンスタンティン」 キアヌ・リーブス主演の悪魔払いの映画だ。 友人は酷評していたが、私は映画を見るときにあまり面白さは追及しない。 B級ならB級で、駄作なら駄作で、名作なら名作で、何か得るものが必ずある。 何を得るかって? そりゃ、人生観とか新しい価値観とか色々さ。 でも、一番多く得るのは… 隣の部屋で飼っているたくさんのゆっくり達を虐めるアイデア。 私のもうひとつの趣味は…虐待だぁ!! ビールと柿ピーを交互に口に入れながらコンスタンティンを見る。 映画自体は、ふーん、こんなもんかーって感じではある。 しかし見始めてから1時間ほど経った時である。 主役のキアヌ・リーブスが机の上を歩いていた蜘蛛の上にコップをかぶせて捕まえて… 『俺の世界へようこそ…』 おお!煙草のけむりを吹きいれたーっ!!! 蜘蛛はそのままパタリと倒れてしまったっー! 私の脳内を電撃が駆け巡る。 これだ! 今回の映画の虐待ネタはこれに決定だ! 虐待プランを脳内で構築し始める。 こうなると映画は後回しだ。デッキを停止してテレビを消し、隣の部屋に行く。 「あ、おにいさん!ゆっくりしていってね!!」 「「「「「ゆっくりしていってね!!」」」」 部屋に入ってきた私に気づいたゆっくり達が挨拶をする。 私も適当に、あぁゆっくりしていくよ、と返す。 この部屋には、れいむ種、まりさ種、それと少しのぱちゅりー種が合わせて50匹ぐらいいる。 みんなそれなりに調和も取れているし、ゲスもいない。 れいむ種とぱちゅりー種の数の合計がまりさ種と同じになるぐらいに調整しているので まりさの取り合いになることもあまりない。 その中から一組のれいむとまりさのつがいを呼び寄せる。 「今から君たちの家族全員をいい場所に連れてってあげるよ。子どもたちをつれてきなさい。」 「ゆっ!ほんとう!?ゆっくりつれてくるよ!」 「あっ。みんなには内緒だからね。」 「わかったよ。こっそりつれてくるよ。」 れいむとまりさが群れの中に戻り、5匹の子供たちを連れてくる。 「よし。じゃぁ行こうか。」 他のゆっくり達の群れに金平糖を撒いて注意をそらし、そのすきにれいむ一家を連れて部屋に戻る。 「さて、やるか。」 れいむ一家を適当にもてなしながら準備を進める。 虐待恒例アイテム防音ボックスに仕切りをしいて、一匹の子まりさ以外を中に一匹づつ入れる。 「ゆっ!おにいさん!せまいよ!」 「ゆっくりだちてね!」 「まりちゃおねーちゃんだけずるいよ!」 「おにいさん!ここはぜんぜんいいばしょじゃないよ!はやくいいばしょにつれていってね!」 各々勝手なことを喚くので 「ここで静かに良い子にしてたらすぐ良い場所に行けるからね。ゆっくり待っててね。 始めはこのチビちゃんから連れてくからね。」 となだめる。 「ゆ!わかったよ!おちびちゃんたち!いいこにしてればゆっくりできるよ!」 「ゆっくりまってようね!」 「わかっちゃよ!ゆっきゅりまちゅよ!」 ちょろいもんである。 後は外が見えないように布をかぶせておけば子供は寝るだろうし、親二匹は静かに待っているだろう。 さて、一匹の子まりさは目を輝かせながら「良い場所」に行けるのを心待ちにしている。 待たせるのも悪いので早速クリアケースに入れる。 これは特に防音されていない。断末魔も聞きたいところだし。 煙草に火をつける。軽ーく一服。 そして 「おれの世界へようこそwwww」 ぷはーっとケースの中に煙を吹きいれる。 「ゆっ!げほっげぼっ!!くちゃいよー!」 ケースがでかいので一回じゃ無理か。 というわけでもう一回ぷはー。 ついでにもういっちょぷはー。 「やめじぇ゛----!!!ゆ゛っぎゅり゛でぎない゛---!!!」 子まりさが泣きながら息苦しさを訴える。 煙で目も痛いのか、涙が溢れ真っ赤になっている。 それ、もういっちょ、ぷはー。 「ぎゅ゛ぇ゛--!!ぐる゛ぢぃ゛---!!!」 子まりさは悶えながらクリアケースに体当たりを始める。 そんなんじゃこのケースから出ることはできないぞー。まだまだぷはー。 「う゛ぎぃ゛ぃ゛---!!!も゛う゛や゛じゃーーーー!!!お゛うぢがえ゛るぅーー!!!」 おお、苦しんでる苦しんでる。 それ、ぷはー。 「う゛ぎゅ゛う゛ーーーーーー!!!ゆっぐ…り……」 子まりさは最後のセリフを餡子と共に吐きだして、ケースの壁に寄りかかるように息絶えた。 ありゃりゃ、もう死んじゃったか。 うーん、やっぱ子どもだと弱いかなー。 しかもガス室みたいで映画のクールさが全く出ない。 煙草を使った虐待はなかなかに面白いので、子ゆっくり達を使って良い方法がないか実験をすることにした。 大学のレポートのネタにはちょうどいい。 題名は「ゆっくりにも煙草の害はあるか。」 うむ、良いレポートになりそうだ。 先ほどの一家の元に戻り、次の子れいむを取る。 「ゆっ!ちゅぎはれいみゅだね!!ゆっきゅりできりゅときょろへちゅれていってね!!」 「おにいさん!ほかの子たちもゆっくりしないで連れて行ってあげてね!!」 「れいみゅいいなー!」 これから行き着くところを知らないというのは、幸せなもんだ。 蓋を閉めて、さっきのクリアケースに子れいむを入れる。もちろん子まりさの死体と餡子は掃除してある。 「ゆっ!?ここがゆっきゅりできりゅところ?」 子れいむは何とも無邪気な顔できょろきょろとしている。 「そうだよ。存分にゆっくりしてね。」 数本の火のついたタバコをお香立てに差してケースの中に入れる。 「ゆーっ!!くちゃいよ!ゆっきゅりできないものをいれないでにぇ!!」 子れいむがヒンシュクの声を上げる。 しかし 「ぎゅっ…ゆっきゅりで…きな…」 おお、さっきの子まりさよりもだいぶ早く死んだぞ。 さっきの子まりさは主流煙で、今回の子れいむは副流煙だったからか? まりさ種がれいむ種より丈夫なせいもあるだろうが。 もう一匹の子れいむを取り出す。 「ゆっ!おにいさ」バタンッ もうゆっくり共と会話する気もない。 今はこの実験に集中したい。 連れてきた子れいむに煙草を食べさせてみる。 ニコチンやタールは人間にも猛毒で、特にニコチンは依存性があるうえ、成人でも40~60mg 摂取しただけで死んでしまう。 ゆっくりならどうか。 「さぁ、甘くておいしいおやつだよ。」 煙草にコーヒー用のシュガーカットをかけたものを与える。 「ゆっ!おにいしゃんありがちょー!」 そういって子れいむは煙草を数本一気にむしゃむしゃ食べた。 「むーしゃ、むーしゃ、しあ…」 即死である。 解剖したところ煙草は体内に残っていなかった。 一瞬で餡子に吸収されていしまったようである。まったくデタラメな生き物だ。 ニコチンはゆっくりにとっても有毒であることがわかった。 子れいむはさっきのでいなくなったので、子まりさを取り出す。 ケースから取り出すとき、あまりのスピードにゆっくり達は何も言えなかった。 今までの子まりさと子れいむ達の餡子を食べさせてみる。 ニコチンの毒によって死んだゆっくりの餡子に有毒性は認められるか。 「なにきょれっ!あまっ!むっちゃあまくてうまっ!!むーちゃ、むーちゃ。めちゃうまっ……まずっ!!!」 最初のうちはむーしゃ、むーしゃ、と幸せそうに食べていたが突然不味いと言って白目を剥いて 餡子の泡をふきながら卒倒し、そのまま逝ってしまった。 ニコチンを含んだ餡子を食べただけでこの効果である。 最初のほうの、受動喫煙で死んだゆっくりの餡子はあまりニコチンが含まれていなかったのだろう。 毒性は多少弱かったようだ。 ただ、煙草を食べたゆっくりの餡子はがっつりニコチンを含んでいたようで、それを食べた瞬間これだ。 最後の子まりさを取り出す。 ゆっくりにニコチンに対する依存性はあるか調査する。 禁煙用のニコチンパッチを小さく切ったもので徐々に体にニコチンを馴染ませていく。 最初貼ってからは大したことはなかったが、しばらくの間、ある程度時間を置いてから服用を繰り返すと ニコチンパッチを貼っていない間は落ち着かないようになった。 微妙にそわそわして、些細なことに苛立つようになっていった。口調も少し荒い。 通常の子ゆっくりにはあまり見られない症状である。 本人曰く「ぴったん(パッチのこと)しないとゆっくりできない。」らしい。 それでもニコチンパッチを貼ってしばらくの間は治まり、ゆっくりを取り戻す。 しかし、服用を繰り返すにつれ一度の量を増やさないと不快感が晴れず、また服用の間隔も狭くなっていった。 最後のほうになると 「ぜんぜんたらないよ!もっといっぱいぴったんしてね!!ぐずぐずしないでね!!」やら 「のろまなおにいさんだね!!はやくはってね!りょうがたらないよ!!」と ゆっくりらしからぬ早口でまくり立てながら怒る状態が続いた。 最終的に、体全体に貼っても間に合わないようになったので、今度はパタリと貼らないようにしてみた。 「ゆっー!ぜんぜんゆっきゅりでぎない゛ー!!じぬーっ!!」 と、体中がむず痒いかのように転げ回り、言葉づかいも一層荒く、切羽詰まった内容になっていった。 完全な禁断症状である。子まりさは落ち着きを失い、苦しんだ。 つばきを飛ばしながら口汚くありとあらゆるものを罵り、髪は振り乱し、目には鈍く妖しい光をたたえていた。 人相も悪い。実験前のやわらかな人相(といってもゆっくりだからヘチャムクレのまんじゅう顔だが)は見る影もない。 その後は、ストレスに耐えきれず嘔吐を繰り返すようになり、衰弱死していった。 さて、ここからが本番である。 子ゆっくり達によっていくらかのデータはそろった。 副流煙のほうが効く。 ニコチンはゆっくりにも毒。 ニコチンを採ったゆっくりの餡子にも毒性が出る。 体の強いゆっくりなら、ある程度のニコチンならば徐々に採っていっても大丈夫。 ただし、ニコチン依存症にはかかる。 以上を踏まえて 成体のゆっくりに喫煙が可能かどうか試してみる。 親まりさよりは体が弱い親れいむに実験体になってもらう。 まずはニコチンパッチによりニコチンへの抵抗をなくす。 そして「ゆっくりできる。幸せになる。」などと唆して煙草を吸わせる。 あとは勝手に依存症におちいってくれた。 意外にも親れいむは数日間生き続けた。 その間、やはりあの子まりさと同じように苛立ち、口汚くなっていた。 自分では煙草に火がつられないため、 「おにいさんはきがきかないね!れいむがたばたばをくわえたらさっさとひをつけてね!!!」 などとしょっちゅう私を呼びつけた。 煙草を吸うときは幸福そのものといった表情で 「すーぱ、すーぱ、しあわせー!!」 と、ふかしていた。 が、数日後にニコチン摂取量の限界を越えたのか、ひゅーっひゅーっ、と変な呼吸音で息をし始めたかと思うと 息苦しさを訴え始め、数分後深刻な酸素欠乏症に陥って死亡した。 人間でいうところの肺気腫にでもなったか、それとも肺がんか、どちらにせよゆっくりには肺がないので よくわからない。とりあえずニコチンの摂り過ぎで死んだということにしておこう。 今回は詳しい原因の究明はしない。 ゆっくりなんて適当な生き物だ。その辺は教授も見逃してくれるだろう。 さて、最後に残された親まりさである。 この個体には、喫煙ゆっくりとなったうえで、非喫煙ゆっくりの群れに放り込まれてもらう。 さてはてどうなるか、実に興味深い。 とりあえず、ニコチンパッチ法でニコチンに慣らし、煙草を吸わせる。 30分もしないうちに「すーぱ、すーぱ、しあわせー!!」と完全に煙草の虜になった。 さっきの親れいむの様に怒鳴られて煙草の火付け役にされるのも腹立たしいので100円ライターを与えて 使い方も覚えさせる。 手もないのにどうやって使ってるんだろう。まったくもって適当な生き物である。 2,3日監察下に置く。 どうも、まりさ種はれいむ種よりもニコチンに強いらしく、まったく身体に異常が出ていない。 ただ、依存は同程度であるので、実験には問題ない。 ただ、ニコチンの影響なのか、やっぱり口や態度が悪くなる。 もはやゲスといえるレベルだ。 もとはほかの家族を気遣うやさしいゆっくりだったのに、今は目の前に転がる自分のパートナーであった れいむの死体にすら心を動かさないばかりか、死体を灰皿として使い始めた。 ゆっくり達を飼っている部屋に行き、やもめのぱちゅりーと、その子どもたちを連れてくる。 大きめの飼育ケースに十分なエサと小屋と本を入れておく。 半日ほどすれば、環境の違いにも慣れ、ゆっくりしだした。 ぱちゅりー種は虚弱で環境の変化に敏感なので注意が必要だ。 さて、ぱちゅりー一家が十分新しい環境に慣れたようなので、喫煙まりさを投入することにする。 「やぁ、ぱちゅりー。このまりさが君の新しいパートナーだよ。前のまりさが忘れられないかもしれないけど 子どもたちのためにも新しいまりさと夫婦になったほうがいいよね?」 このぱちゅりーは、まりさを事故(私がゆっくり部屋を出るときにうっかりドアに挟まれた)で失っている。 餌が与えられる飼いゆっくりなので、やもめでも生活できるのだが、やはりパートナーがいない状態というのは 不安になるようで、私に再婚できる相手を探して欲しいと言っていたのだ。 「むきゅっ!ありがとう、おにいさん。早速お見合いするわね!」 「ああ、わかったよ。ほら、まりさ。」 まりさを飼育ケースに投入する。煙草とライターも忘れずに入れてやる。 「ゆへへ…なかなかかわいいぱちゅりーだぜ。」 「むきゅ!なんてワイルドなまりさなの!」 ぱちゅりーには今まで見たことがない物を吸っているまりさが格好よく見えた。 口調が荒いのも、ワイルドと感じる。 恋は盲目、である。 「お互い気に入ったみたいだね。これからは二人でゆっくりしていってね。」 あとは飼育ケースを閉じ見守るだけである。 「みんなでておいで!あたらしいぱぱよ。」 ぱちゅりーは小屋の中に待たせていた子ども達を呼ぶ。 子ぱちゅりー3匹と子まりさ1匹が小屋から出てきて、喫煙まりさに挨拶する。 「ゆっきゅりしていっちぇね!!」 「ああ、ゆっくりしていくんだぜ。」 まりさは子ども達にはあまり興味なさげに煙草をふかしている。 このケースには空気穴があるので煙草の煙が充満することはない。 よっぽど近づかない限り煙の害にさらされることはない。 子まりさがその好奇心から、まりさが咥えている物に興味を示す。 「おとーしゃん。それはなにをたべちぇるの?」 しかし、まりさはその質問には答えない。無視してすーぱ、すーぱ、とふかしている。 まりさはすっきりするための相手が欲しかっただけなのだ。 だから相手の連れ子などに興味もないし、むしろ鬱陶しく思っている。 何を言っても無視されるので、子まりさは黙ってしまった。 そのうちに、まりさの傍にある煙草の箱に興味を示した。 「ゆゆ?なにきょれ?」 箱の中から棒状のものが覗いている。 子ゆっくりがそれに触ろうとしたその時である。 「それはまりささまのたばたばだぜ!!さわるんじゃねぇぜ!!」 先ほどまで何も言わずに煙草をふかしていたまりさが大声をあげて飛び上がる。 「ゆびゅっ!!?」 次の瞬間子まりさは、まりさの巨体につぶされ死んでしまった。 しかし、まりさは攻撃の手を止めない。 「まりささまのたばたばをとろうなんてとんでもないくそったれのどろぼうぱちゅりーだぜ!!おしおきしてやるぜ!」 子まりさの死体をぐちゃぐちゃと踏みにじる。 ぱちゅりー達は何が起こっているか一瞬わからず呆けていた。 しかし、目の前の惨事に気を取り直したとき、飼育ケースの中はパニックになった。 親ぱちゅりーが泣きながらまりさに食って掛かる。 「ばりざなにじでるのー!!!!どぼじでぱぢゅりーのこどもころずの゛ー!!!?」 大切なあのまりさの残した子が、見るも無残な姿になっていたとあっては、いかに聡明なぱちゅりーでも 平静ではいられない。 しかし、まりさは非情である。 「けっ!このうすぎたないがきがまりささまのたばたばにさわったからおしおきしたんだぜ! まったく、おやのかおがみたいんだぜ!!」 ぱちゅりーへの批判すらし始める。 「おねーしゃんをかえちてね!!」 「むきゅーー!!」 「おかあしゃんのわるきゅちをいうげすなまりちゃはちね!!」 姉妹を殺された子ぱちゅりー達が一斉にまりさに非難を浴びせて、体当たりをしかける。 しかし、体が強い大人のまりさに貧弱な子どものぱちゅりーの体当たりなど効くはずもない。 たとえ3人がかりだったとしても。 「うっおとしいぜ!!まりささまのすぱすぱをじゃまするわるいぱちゅりーはこうしてやるぜ!!」 まりさは一匹の子ぱちゅりーを捕まえると、くわえた煙草の火を押し付けた。 根性焼きである。 「む゛ぎゅーーー!!!!!!!!!!」 根性焼きをされた子ぱちゅりーはあまりの熱さに悲鳴をあげ、ショックで生クリームを吐き死んでしまった。 親ぱちゅりーはまた一匹、子を殺されたショックで白目をむいて立ちすくむ。 残された2匹の妹達は、さらに怒りまりさに体当たりを続ける。 しかし妹達の体当たりは当然まりさには通用せず、逆にまりさのストレスを加速させるだけであった。 「いいかげんにするんだぜ!!まりさのすぱすぱのじゃまはさせないんだぜ!!」 まりさは体をぷくーっと膨らませて煙草を吸った。そして足元にぶつかってくる子ぱちゅりーに 思いっきり煙を吐きかけた。 すると、突然二匹の子ぱちゅりーが咳きこみ苦しみ始めた。 どうやら、煙草の煙を吸って気管が狭くなりぱちゅりー種の持病である喘息の発作を起こしたようだ。 「げほげほっ!!!ぐぇっ!お゛え゛ぇぇええ!!」 「むぎゅっ!!…ぐるぢぃ…げほっ!」 二匹の子ぱちゅりーはその場にうずくまり、苦しんだ。 呼吸音がひゅーっひゅーっという喘息時独特のものなり、時折えずいた。 子ども達が発作に見舞われたのを見て、親ぱちゅりーが正気に戻り、駆けつけて背中をさする。 しかし、時すでに遅し。 すぐに、片方の子供はクリームを吐きだし死亡。もう一匹も呼吸困難ですぐに姉妹の後を追った。 残された親ぱちゅりーは涙する。 愛し合った前のまりさが残した大切な子ども達がすべて死んでしまった。 天国のまりさに申し訳が立たない。子ども達を守ってやれなかった自分の不甲斐なさを呪う。 子ども達への謝罪の言葉を呟きながら、ほんのりと乳の香りのする涙を零した。 しかし、まりさはその光景を嘲笑った。 「げらげらげらげら!!!まりささまのすぱすぱをじゃまするからそんなめにあうんだぜ!!これで じゃまされずにすぱすぱできるんだぜ!す~ぱ、す~ぱ、しあわせぇ~!!げらげら!!」 ぱちゅりーはまりさを睨む。 自分がこんなゲスと再婚したから、子どもたちが死んでしまったのだ。 まりさが憎い。 しかし、ぱちゅりーには分かっていた。まりさには絶対に敵わないことを。 だから、やさしいお兄さんが次に来たときにこのゲスを殺してもらうよう頼もうと思った。 自分の無力さと、自力で仇を討てない悔しさに包まれながら子ども達の亡骸に寄り添い、 さめざめと泣いた。 まりさは、反対にご機嫌だった。 邪魔な連れ子を全員始末できたこと、邪魔されずに喫煙できること、そしてぱちゅりーという性処理の道具を 手に入れたことに。 一服ふかし終わると、早速まりさはぱちゅりーに詰め寄った。 「ゆへへ…ぱちゅりー、まりささまはすっきりしたくなったんだぜ。」 ぱちゅりーは強く拒否する。 「むきゅー!こないで!!ひとごろしのまりさ!!」 しかし、まりさは全く気にかけず、強引にぱちゅりーを組み敷く。 「ゆへへへ!!まりささまのふとくてでかくてりっぱなぺにぺにですっきりさせてやるぜ!!ありがたくおもうんだぜ!」 そういうと、まりさはぱちゅりーのまむまむにぺにぺにをあてがった。 しかし、 「ゆへへ!!んっ!?」 「いや!やめて、まりさ!!って、むきゅ!?」 二匹は何とも言えない違和感を感じた。 ぱちゅりーは、自分の中にねじ込まれるであろう、ゲスの悪根が入ってこないことに。 まりさは、自慢のぺにぺにがいつものように大きく硬くならないことに。 「ゆっ!!?なんだぜ?いつもみたいにおっきくなるんだぜ!!かたくなるんだぜ!!」 まりさは自身のぺにぺにに檄を飛ばす。 しかし、体の下部からぶら下がったそれは、ピクリとも動かなかった。 どうやら煙草の吸い過ぎで勃起不全、つまりインポテンツになってしまったようだ。 まりさは必死になってぺにぺにを叩いてみたりぱちゅりーに擦りつけたりして臨戦態勢にさせようとしている。 「なんでたたないんだぜ!!?ぱちゅりー!!ぺにぺにをくわえてなぐさめるんだぜ!!」 まりさは強引にぱちゅりーの口にぺにぺにをねじ込んだ。 その瞬間、ぱちゅりーはあることを思いついた。 やわらかいぺにぺになら、自分にも噛みちぎれるのではないかと。 「むきゅーっ!!!!!!!!!!」 ぱちゅりーは全力でまりさのインポぺにぺにに噛みついた。 たとえぺにぺにを噛みちぎられて逆上したまりさに殺されても構わないと思った。 ただ、子ども達の無念を晴らすために、一矢報いてやろうと考えたのだ。 「ゆ゛ぎゅ゛ぅぅううううう!!!!!??何するんだぜーーーーーーーっ!!!??」 強かにぺにぺにを噛まれたまりさは、ぱちゅりーを何とか振りほどこうとする。 しかし、死に物狂いのぱちゅりーは噛みついたまま決して離そうとしなかった。 しばらくの間、攻防は続いたが、まりさが体を大きく振り回したとき、ついにぱちゅりーは 引きはがされてしまった。 壁に打ち付けられ力尽きるぱちゅりー。 しかし、奇妙なことにまりさもそのままばたりと倒れて動かなくなってしまった。 飼育ケースの蓋を開けて、二匹の死体を検める。 すると、ぱちゅりーの口の中からまりさのぺにぺにが出てきた。 そう、ぱちゅりーは最後まで口を放しはしなかったのだ。 遠心力でまりさのぺにぺにが引きちぎれてしまったのだ。 不幸にも、壁に打ち付けられた際に命を落としてはしまったが、ぱちゅりーはまりさに勝利したのだ。 まりさの死体を調べてみる。 ぺにぺにの痕からは少量の餡しか漏れ出ていなかった。どうやら失餡死ではないようだ。 表情は苦悶の相ではあるが、ショック死のように白目を剥いてはいない。 後日、ゆっくり外科の知り合いに検死してもらったところ、死因は脳卒中だった。 煙草の喫煙と、激しいストレス、ぺにぺにを噛みちぎられたショックによって起こったのだという。 かくして実験は終わった。 私は今回のことをつぶさにまとめ、発表した。 この論文は、ゆっくりと人間の身体的構造があまりにも違うため、煙草の健康被害についてはあまり評価されなかったが ゆっくりん・ピースから少しの謝礼金と、数多の虐待お兄さんからの感謝の声を受けた。 前者は、ゆっくりを煙草の被害に晒さないための研究として。後者は、新たな虐待の方法として。 私は少しの謝礼金を手にビデオ屋に向かう。 コンスタンティンを返却し、またあらたな作品を借りるため。 いやぁ、映画って本当にいいものですね。 終。 あとがき 今回初投下です。映画シリーズで続けていきたいなぁ このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/1411.html
ゆっくり輪廻転生していってね! 「ううん、いい陽気だねえ」 そう言いながらお日様に向かって伸びをする少女が一人。けしからん物体が揺れる。 彼女の名は小町。三途の川の渡しを生業としている。 平和な幻想郷では人死にもないのか、えらくのんびり出来る…嘘、のんびりしているのは彼女がサボっているからだ。 他の渡しは忙しそうに働いている。 普段はこんなにも忙しくはない。だが、最近「ゆっくり」と呼ばれる謎の生き物が現れてから、三途の川は大混雑だ。 普通なら閻魔の裁きを受けることはないはずなのだが、このゆっくりというドマンジュウ、畜生の分際で魂があるらしく、三途の川を渡れるのだ。 もちろん渡し賃も持っていない。だが、こういった手合いを追い返すはずの奪衣婆は、今、ぎっくり腰で寝込んでいる。一匹一匹対処するには、数が多すぎたようだ。 「皆が働いている時に休むのは格別…ん?」 彼女の上司あたりが聞いたら激怒しそうな台詞を吐きながらゴロン、と横になる。またしてもけしからん物体が揺れる。 そんな小町の目に、あるものが飛び込んできた。 ゆっくりの家族だ。9匹ほどいる。 もちろん既に死んでいるので、足?というか顔の下のところががない。ふよふよ浮いている。 「家族連れで三途の川、かい」 よっこいしょ、と身を起こし、そちらを眺めやる。けしからんも(ry 暇つぶしに読んだ文々。新聞に書いてあったことを思い出す。 ドマンジュウの顔が嗜虐心を煽るとかで、面白半分に殺すものが増えている。子供の教育によくないのではないか、とハクタクが語っていたような気がする。 「あんな見た目とはいえ命は命、弄ぶのは感心しないな」とブンヤに語った覚えがある。 本音は「仕事増やすな」だったのだが。どうせ仕事なんて滅多にしないのに。 そこら辺に転がっていたカマに掴まって立ち上がると、もっぺん伸びをする。 「そろそろ仕事に取り掛からないと、またぞろ四季様に怒られる、と」 そういうと目の前のゆっくり、多分母親と思われるもの、の尻尾を掴んだ。 「ゆ゛?!」 急な出来事に目を白黒させるゆっくり。 後ろに続いていた子ゆっくりたちも、突然現れた人影に驚きあわてている。 「おねえさんだれ?」「おかあさんをはなして!」「ゆっくりできるひと?」と騒がしい。 「ゆっくり出来る人だよ」と子ゆっくり達に微笑みかけておいて、お母さんゆっくりに話しかける。 博麗の巫女に似ているから「ゆっくり霊夢」と呼ばれている種類のようだ。 「おねえさん、ゆっくりできるひと?」 とお母さん霊夢が尻尾を掴まれたまま聞いてくる。 「そうだよ、あたいは小野塚小町、三途の川の渡しさ」 一応答えてやる。が、もちろん理解できるとは期待していない。これも規則で決まっているのだ。 「さんずの…かわ?なにそれ?ゆっくりできるとこ?」 ほら、理解できてない。後ろのちっこいのも同じようなことをステレオで喚いてくる。 「そうさね、分かりやすく言えば、あんたたちは死んだのさ」 直球ストレートに投げ込んでみる。 「しぬ?それってどういうこと?」 だめか。この頭にプリンのかわりに餡子が入っているようなのに理解できるように… 「もうゆっくりできないってこと」 これならわかるだろう、と噛み砕いて言ってやる。 こうかはばつぐんだ! 「い゛や゛だあああああ!ゆ゛っく゛り゛でぎな゛い゛な゛ん゛でい゛や゛だあああああ!」 お母さんゆっくりが泣き出したことで、子ゆっくりにも伝染する。 「「「「「「「「ゆ゛っぐり゛じだい゛い゛い゛い゛い゛い゛い!!!!!」」」」」」」 とりあえず耳を塞いでみた。あまりこうかはないようだ。 「あー、大丈夫、これからもしかしたらゆっくりできるかも…」 聞いちゃいない。汚らしく鼻水や涙を撒き散らしながら転げまわる。 普通の魂にはこんな器用な芸当はできないはずなのだが。 生命の神秘に思いを馳せようとした小町だが、とりあえずうるさかったので、黙らせることにした。 「えい」 鎌の柄で殴った。ひたすら殴った。 渡し仲間が言っていた。「うるさいから殴って気絶させて運べ」と。 生きているゆっくりならとっくに餡子を撒き散らしているはずの打撃をうけても、まだ泣き叫んでいる。 「しぶといな…」 腕がそろそろ上がらなくなるかな、というところで最後の子ゆっくり霊夢が黙った。 魂のくせに気絶するなんて器用な奴、とぼんやり考えながら、渡し舟に放り込む。 普段なら魂たちの話を聞きながらのんびり(あえてゆっくりとは言わずにおいた)三途の川を渡るが、今回は別。 距離を操って、さっさと対岸につけた。また騒ぎ出されても面倒だ。 「はーい、ごとうちゃーく」 『四季映姫法廷』と名札のついた法廷に放り込んで、さっさと退散しようとする。 だがその試みは失敗に終わった。法廷の床がやたらと滑ったからだ。 「きゃん!」 油断していた小町は滑って転んで思いっきり腰を打った。腰をさすりさすり立ち上がり、もう一度逃げ出そうと試みる。 「小町、お待ちなさい」 ダメだったようだ。恐る恐る振り返ると、もう裁判長席には彼女の上司が腰を下ろしていた。 四季映姫・ヤマザナドゥ。楽園の閻魔。 「後で話があります。そこの傍聴席に座ってなさい」 ちびっ子閻魔は、やつれた表情で言った。 それもそのはず、普段は二交代制のはずが、ゆっくりが現れてからはろくに休みも取れていないのだ。 おいたわしや…、と思いながら「あ、あたいは仕事が…」と逃げ出そうとする。 「小町、嘘はいけません。舌を抜かれたいのであれば止めませんが?」 目が笑ってない笑顔でそうおっしゃった。 小町はとぼとぼと傍聴席に座る。四季映姫の本気を感じ取ったからだ。もうひとつ、ゆっくりに対する裁判がどういうものか気になったのもあったが。 小町は傍聴席につくと同時に部屋を包み込む甘いにおいと、その発生源に気がつく。滑った原因もそれで分かった。 「餡子…」 さっきおもいっきりぶん殴ったときはでなかったのに、餡子を出す特殊な方法でもあるのかな、と考え始めた時、四季映姫の声が響いた。 「被告人、母ゆっくり霊夢!」 カーン!と木槌を打ち付ける。その音でゆっくり達が目が覚めたようだ。そのとたんに騒ぎ出す。 「ここどこー?」「ゆっくりしたーい」「おなかすいたー」「おうちかえるー」 だが、映姫は慣れたもの。手にした木槌でぶん殴った。黙るまで、ひたすらぶん殴った。 その顔にどことなーく笑みが浮かんでいるのを小町は見たが、「四季さまも疲れていらっしゃるんだ」と思い、心の奥底に封印しといた。 敬愛する上司のそんな顔なんぞ覚えていても得がない。 「ゆっくり霊夢、あなたは幻想郷の人里、彦太郎の家屋に侵入、家の中にあった食料を子ゆっくり達と食べつくし、さらには丹精込めて育てられた畑を荒らしました。違いますか?」 「ちがうよ!あそこはれいむたちのおうちだもん!ゆっくりおやさいたべただけだもん!」 なんでさっきのあたいの説明がわからなかった脳みそ餡子が今のを理解できたんだろう?と小町は頭を捻った。 そして答えが出るわけがないのに気がついて、傍聴に集中することにする。とりあえず映姫さますごい、ということにしておいた。 「いいえ、あそこは先祖代々彦太郎の家です」 「ちがうもん!だれもいなかったもん!さいしょにゆっくりできるとこみつけたのはれいむだもん!」 議論は平行線を辿った。他にも様々な罪状(大体盗み食いとか)が上げられた。 だが、ゆっくりれいむの答えはすべて「ゆっくりできることみつけたのはれいむだもん!」だった。 子ゆっくり達にも一匹一匹同じ罪状認否を繰り返したが答えは決まって「おかあさんたちとゆっくりした!」だった。 (こりゃ映姫さまもやつれるわ…)と小町は心底同情した。 ゆっくりには罪の意識のカケラもないのだ。そんなのを悔い改めさせようとしても無理がある。 そんな無為な裁判が始まって、2時間が過ぎた。四季映姫が木槌を打ち鳴らす。 「以上の罪状に母ゆっくり霊夢以下ゆっくり家族9名は畜生道行きを命じ渡す!幻想郷に輪廻なさい!」 そう言って母ゆっくり霊夢を悔悟の棒で叩く。力の限り。 すると中の餡子が噴出し、母ゆっくり霊夢は子ゆっくり霊夢と同じ大きさになる。 「ただし、母の愛情深きを考慮し、一堂、同じ家族に生まれることをさし許す!」 そして側にぶら下がっていた紐をひくと、床に大穴が開く。 「「「「「「「「「ゆ゛うううううううう?!」」」」」」」」」 まったく同じ悲鳴を残して消えていく。後に残ったのは、餡子だけ。 小町は、ぐったりしている四季映姫に駆け寄った。 「四季さま、なぜ畜生道に?奈落に落としてしまえばよいものを」 そんな小町の問いかけに四季映姫はため息を一つ吐いた後答えた。 「私もたまに落としてしまいたいと思うこともありますが、それはしてはならないことです。小町、畜生とは?」 「は、『苦しみ多くして楽少なく、性質無智にして、ただ食・淫・眠の情のみが強情で、父母兄弟の区別なく互いに残害する人間以外の生類』……ゆっくりそのままですね。」 四季映姫はもう一つ深々とため息をついた。 「でしょう。ですから、畜生道に落とす以外はないのです。しかもゆっくりの魂は特殊らしく、ほかの動物に転生させることもままなりません…」 小町は、普段渡している魂とゆっくりの魂を想像の中で比べてみた。比べるまでもなく異常だ。長いこと渡しをしているが、あんな変なの見たことない。 「ゆっくりはゆっくりにするしかない、はあ、だからこんなに忙しいのですね…」 そう小町が言った瞬間。四季映姫の肩がぴくりと反応した。 (あ、地雷ふんだ…) そう直感した小町は「それでは四季さま、あたい、仕事に戻らせt」などと白々しい嘘を吐きながら逃げようとした。 むろん逃げられるものではなかった。がっちり肩をつかまれて、正座させられる。 説教は二時間にも及んだ。 説教をおえて、なんだかつやつやした顔の四季映姫の元から解放された小町は、三途の川の此岸側に来ていた。 げっそりした顔で「仕事しよ…」と呟く。 そんな小町の目にまたゆっくりの姿が見える。生まれたばかりで死んだばかりの赤ちゃんゆっくり霊夢9匹。 数の符号に嫌な予感を感じながらも、声を掛ける。 「あー、あんたたち、兄弟かい?」 「「「「「「「「「うん!おねえさん、ゆっくりできるひと?」」」」」」」」」 その息の合い方に間違いなく兄弟だと感じながらも、とりあえず小町は鎌の柄でぶん殴った。うるさかったからというのもあった。 そして、こいつらのせいで二時間説教される羽目になった、という恨みもこめた。 今日も三途の川の渡しは忙しい。ゆっくりが現れた結果がこれだよ! え、虐待というより虐待の裏側をぬるく書いてみました。期待はずれだった方、ごめんなさい。 『』内はwikiより引用。
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/947.html
※この作品は以下のものを含みます ドスまりさ×2 善良なゆっくり 悪辣なゆっくり 制裁要素 虐待お兄さん それでも良い方のみ、以下にお進みください ゆっくり禅譲 あるところに一匹のドスまりさがいた。 外敵が少なく餌の多い森林部に暮らし、とても大きくなったまりさだ。 森に生えたキノコを食べて育ち、ドス特有のドスパークやゆっくり光線を身につけるに至った。 まりさには、かつては他に姉妹もいたが、寿命や事故でそれぞれ命を落としていった。 そも、生物として脆弱なゆっくりがドスと呼ばれるまで成長するには、豊富な経験と多大な知識、そして何よりも運が必要だった。 そういった意味で、このドスまりさは強運の星の下に生まれたと言っても過言ではないだろう。 「ゆっへっへ、まりささまもおおきくなったし、そろそろむれをもってもいいころなんだぜ。 もりをでて、てきとうなむれをまりささまのものにするんだぜ」 ただし性格は最低だった。 ドスといえど、元がただのゆっくりである以上、性格はそうそう変わるものではない。 ゆっくりへの情に篤く、人を畏敬し両者の仲を取り持つような存在になるには、またより多くの時間が必要なのである。 そういった意味でこのドスまりさはまだ若輩であった。よって便宜上、このドスまりさを若ドスまりさと称するものとしよう。 「ゆっゆっゆ! おらおら、どすまりささまのおとおりなんだぜ」 誰もいない森の中を、その巨体を揺らしながら、若ドスまりさは出て行った。 あるところに一匹のドスまりさがいた。 人里にほど近い場所にいる群れのリーダーを勤めるドスまりさである。 このドスまりさはドスの中でもかなり長く生きており、まさに歴戦のつわものといった風情であった。 こちらは便宜上、老ドスまりさと呼ぶことにしよう。 老ドスまりさは、非常に責任感が強く、真面目なドスであった。 群れを護ることは当然のこととして、群れに属さないゆっくりや人間とも、可能な限り有効な関係を築こうとしていた。 南にれみりゃ・ふらんあればこれを蹴散らしてゆっくりを護り。 西にいじめられるめーりんあれば間に入ってこれを助け。 北に人間の里あれば「あそこには行くな」と群れに教え。 東に畑持つゆうかあれば群れには手出しさせないから安心しろと言い。 兎にも角にも、群れとその周囲の環境を護るため東奔西走。良きリーダーであろうとするあまり、ゆっくりできる日は一日もなかった。 なおかつ、群れの大半はそんな老ドスまりさの考えをあまり理解してくれなかった。 何度駄目だと言っても、自分の力を過信したゆっくりがれみりゃや人間に殺されたり、めーりんやゆうかを虐めたりするのだ。 幸いにして相手側に被害を与えたことは今のところないが、それも時間の問題であった。 元々からして、この群れはあまり素行の良くない群れであったのだ。それをなんとかしようとしたのが老ドスまりさであった。 だが全く学習してくれない群れの皆に、老ドスは疲れを感じ始めていた。 その姿たるや、さっさと引退して楽隠居を決め込みたい老体そのものであった。 そんな折である。 「ゆっ! どすがきたんだぜ! みんなこのどすまりささまのいうことをきくんだぜ!」 若ドスまりさはたまたま目に付いた群れの前に飛び出すと、早々にリーダー宣言を行った。 しかしゆっくり達の反応は、若ドスまりさの予想とは異なっていた。 「ゆゆ!! どすがもうひとりきたよ!!」 「どうしよう!? とりあえずれいむたちのどすをよんでくるよ!!」 「ゆゆゆ?」 若ドスまりさは困惑した。この群れにはもう他にドスがいたのか? 「ゆっ! 自分以外のドスまりさを見かけるのは久しぶりだよ! どうかゆっくりしていってね!」 やがて、群れのリーダーである老ドスまりさが姿を現した。 両者の大きさは同じほどであるが、見るものが見ればその纏う雰囲気の違いというものが一発で分かっただろう。 貫禄というか偉容というか、老ドスまりさにはそういったものが満ち溢れていた。 対し、若ドスまりさはそんなもの微塵もない。 また初めて山から下りてきたので、当然、ドスに対する信頼の証である髪の毛のリボンも一本もない。 これだけでどちらが格上か分かろうというものだ。 しかし若ドスまりさはそんなこと全然分かっていなかった。 「きょうからここはまりささまのむれなんだぜ! おいぼれどすはとっととでていくんだぜ!」 ここに虐待お兄さんがいたら若ドスまりさを指差してゲラゲラ笑っていたことであろう。 それほどまでに若ドスまりさの言動は身の程知らずであった。 体格とパワーが同じなら、ものを言うのは経験の差である。その点、二匹の差は天地ほどの開きがある。 ここで老ドスまりさが戦おうものなら、一分と持たずに若ドスまりさは地に伏すことであろう。 しかし老ドスまりさの発言も、また意外なものであった。 「分かったよ! この群れはまりさに任せて、私は出て行くよ!」 ここに虐待お兄さんがいたら顎が外れそうなほどに口を開いて呆然とすることだろう。 何しろ老ドスまりさには、この若輩者に立場を譲る意味が全くないからだ。 若ドスまりさも、これには流石に驚いた。 若ドスまりさとしては、群れの目の前で現リーダーを叩きのめし、自らの地位を不動のものとするつもりであったからだ。 老ドスまりさはゆっくりと説明を始めた。 「実は、もう私も歳をとってしまったから、そろそろ引退しようと考えていたんだよ! ちょうどよくまりさが来てくれたことだし、群れのリーダーは若くて強いまりさに譲ろうと思うよ!」 「ゆっ、そういうことなら引き受けてやらなくもないんだぜ!!!」 強いと言われて、若ドスまりさは得意満面である。 このドスは自分の強さに恐れをなし、屈したのだ。自分は戦わずして勝利を納めたのだ。若ドスまりさの中ではそういうことになった。 「そうと決まれば、まずみんなにリーダー交代を教えなきゃいけないよ! れいむ、群れのみんなを広場に集めてね!」 「ゆっくりりかいしたよ!」 一匹のれいむが、群れの仲間達を集めに走り去っていった。 それから一時間ほどして、全てのゆっくりが広場に集められた。 老ドスまりさと若ドスまりさは、普段老ドスまりさが皆に話しかける際に使っている盛り土の近くに控えた。 「ゆゆゆ? どすがふたりいるよ?」 「あっちのどすはだれー?」 群れのゆっくりは混乱しているようだった。一度に二匹のドス級を見ることなど、普通ありえない事態だからだ。 「みんな、落ち着いてね! 今から事情を説明するよ!」 老ドスまりさが声を張り、盛り土の上に乗った。 「突然だけど、私は今日で群れのリーダーを引退するよ!」 「「「「「「「ゆゆゆゆゆゆゆゆゆーーーーーーー!!!!!!」」」」」」」 群れは大混乱に陥った。 あまりに突然すぎる話であったし、今日まで老ドスまりさがいたから群れは存続できていたのだ。 このままじゃゆっくりできなくなってしまう、と群れのゆっくり達は総じて思った。 「でも大丈夫だよ! ゆっくり聞いてね!」 老ドスまりさはそう言って一歩引き、若ドス魔理沙に前に出るよう促した。 「今日からは、こっちのドスまりさがみんなのリーダーになってくれるよ! 私の代わりに、今日からはこっちのドスまりさをドスって呼んでね!」 老ドスまりさがそう言うと、混乱は収まったものの、しかしまだ困惑顔のゆっくりも多い。 それが若ドスまりさには不満であった。 (せっかくまりささまがりーだーになってやるっていうのに、なんのふまんがあるんだぜ!!) それを察したかのように、老ドスまりさが若ドスまりさに言う。 「さっ、まりさ、みんなに襲名披露演説をしてね!!」 「ゆっ? しゅーめーひろーえんぜつ?」 聞きなれない言葉に首をかしげる若ドスまりさに、老ドスまりさは頷く。 「そうだよ! 今日からまりさが群れのリーダーになるんだから、その前にみんなの前でリーダーとしての意気込みを語るんだよ! ここでみんなの気持ちをぐっと掴むことができれば、まりさの地位は磐石のものになるよ!!!」 「ゆゆゆっ、そういうことならまかせるんだぜ!!!」 言葉の意味はさっぱりだったが、若ドスまりさはニュアンスでそれとなく理解した。 要するに、自分がいかに頼れるか、強いかを群れの皆に教えてやればいいのだ。 「ゆっ、そういうわけで、きょうからむれのりーだーをすることになった、どすまりさなんだぜ!!!」 若ドスまりさは、老ドスまりさよりもさらに大きな声で自己紹介を行った。 それだけで、群れのゆっくりの殆どは若ドスまりさに好感を持った。 元気だし、活力に満ち溢れているし、何より若々しくて頼りがいがありそうだった。 ……実際は新しいものを目にしたときの錯覚も多分に含まれている認識だが。 「まりさは、むれのみんなにいままでいじょうのゆっくりをあたえることをやくそくするぜ!!! こっちのどすなんかよりもっともっとだぜ!!! にんげんだってやっつけちゃうんだぜ!!!」 「「「「「「「ゆゆーーーーーーーーーーー♪♪♪」」」」」」」 頼もしい若ドスまりさの言葉に、群れはいっせいに色めきたった。 群れが新しいリーダーを認めたという証拠である。 「おめでとう、まりさ! これでまりさが群れの新しいリーダーだよ!」 「ゆへへ、てれるんだぜ!」 笑顔の老ドスまりさに褒められて、若ドスまりさはとても気分が良かった。 ああ、なんと自分は幸運なんだろう。労せずしてこれほどの規模の群れのリーダーになれるとは。 老ドスまりさが、再び皆に向き直る。 「それじゃあ、私が預かっているリボンをみんなに返すから、新しいリーダーに結び直してあげてね! それが終わったら、私は群れを新しいリーダーに任せて、ここを出ていくよ!」 「「「「「「「ゆっくりりかいしたよ!!!!!」」」」」」」 後ろを向いた老ドスまりさに、群れのゆっくりが一列に並んで飛びついていく。 そして自分の分のリボンを取ると、若ドスまりさの髪に結わえ付けていった。 一時間ほどして、ようやくゆっくりがそれぞれ元の位置に戻った。 「ゆゆゆっ?」 ここで若ドスまりさが声を上げる。 てっきり全てのゆっくりがリボンを付け替えてくれたと思ったが、老ドスまりさの頭にはまだいくつかのリボンが残っていた。 そして、どうやらそのリボンの持ち主と思しきゆっくり達が、老ドスまりさの近くに並んでいる。 残っているのは、れいむ一家、まりさ一家、それにありすとぱちゅりーと子れいむが一匹ずつだ。 「ゆっ! ぱちゅりー、これはどういうことなんだぜ! せつめいをようきゅうするんだぜ!」 全てのゆっくりが自分に従っていないと気づいた若ドスまりさは、容易く激昂した。 ここでぱちゅりーが迂闊な答えを返せば、すぐにでも潰さんばかりの勢いである。 しかしぱちゅりーは落ち着いて答えた。 「むきゅ、わたしとありすはこっちのどすの『そっきん』だから、どすといっしょにたびをするわ。 こっちのこどものれいむは、ありすがそだててるこだから、いっしょにつれていくの」 「まりさ! 自分の側近を選ぶのが、群れのリーダーの最初の仕事だよ! まりさも自分の群れの中から、自分に合った側近を探し出してね!」 「ゆっ、そういうことならまぁいいんだぜ」 老ドスまりさにそう言われ、若ドスまりさは納得した。確かにこれだけのゆっくりがいるのだから選り取り見取りであろう。 「そっちのれいむとまりさのかぞくはどうするんだぜ?」 「れいむたちは、こどもがおおきくなってきたから、あたらしいおうちをさがすたびにでるよ!」 「ごはんとおうちはそのままにしておくから、みんなでなかよくわけてね!」 それぞれの家長である母れいむと母まりさが言う。 「そういうことならしかたなくもないんだぜ! わかったからさっさとみんなでていくんだぜ!」 リボンを得たことで、若ドスまりさは既に万軍、いやさ饅軍の長になったかのようなふてぶてしい態度を隠さなかった。 ここに虐待お兄さんがいればモウガマンデキナくなってその拳を振るうところであろうが、老ドスまりさはなおも温和だった。 「そんなこといわないでね! 私に元リーダーとしての最後の仕事をさせてね! 私の巣に、緊急用の備蓄食糧があるから、それをドスのお祝いに使おうと思うよ!」 「ゆゆっ、それはいいあいでぃあなんだぜ! さっさとその『きんきゅうようのびちくしょくりょう』とやらをもってくるんだぜ!」 「わかったよ! それじゃあ持ってくるから、リーダーはそこでゆっくりしていってね!」 恵比須顔のまま老ドスまりさは自分の巣に跳ねていった。 しばらくして戻ってきた老ドスまりさは、口一杯に含んでいた食糧を吐き出す。 「ゆゆゆう! ごちそうがいっぱいなんだぜ!」 「今日は皆でそれを食べて、新しいリーダーをお祝いしてあげてね! それじゃあまりさ達はもう行くよ! ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしていくんだぜ!」 老ドスまりさの最後の言葉に振り向きもせず若ドスまりさは答え、目の前の食糧に突進していった。 他のゆっくりも食糧に齧りつき、思い思いに口に収めていく。 「…………」 老ドスまりさはそれを一瞥すると、ぱちゅりー達と一緒に旅立っていった。 明けて朝。 「ゆゆんっ、ちょっときのうはたべすぎちゃったんだぜ!」 老ドスまりさの住処をそのまま我が物とした若ドスまりさ──いや、もう区別する必要もないのでドスまりさと呼ぼう。 ドスまりさは食糧庫を見て溜息をついた。 昨日はちょっと羽目を外しすぎたようだ。食糧庫の中には、昨日食べた量の半分程度しか餌がない。これでは今後が少々不安だ。 「れいむー! れいむ、はやくくるんだぜー!」 ドスまりさは側近のれいむを呼んだ。 「ゆ! どす、なんのよう?」 このれいむ、頭の出来は普通だが中々の美ゆっくりであり、ドスまりさは昨日の歓迎パーティで一目見たときから気に入っていた。 そのため即日自分の側近とすることに決め、こうして巣の中で一緒に暮らしていた。 「ごはんのりょうがこころもとないから、ちょうたつにいこうとおもうんだぜ。 このあたりでたくさんごはんがありそうなところをしっていたら、おしえてほしいんだぜ」 「ゆゆ! それならひがしにゆうかのはたけがあるよ! あのゆうかったら、きれいなおはなやおいしいくだものをひとりじめして、れいむたちにはわけてくれないんだよ!」 れいむはぷんぷん怒りながら言う。 「それならさっさとうばっちゃえばよかったんだぜ! なんでそうしなかったんだぜ!」 「だって、ゆうかをいじめるとまえのどすがうるさかったんだよ! れいむたちがいじめると、いっつもゆうかにあやまってたよ!」 「なんておくびょうなどすなんだぜ! あんなやつこのむれからおいだしてせいかいだったんだぜ!」 どうやらドスまりさの中では、『前の臆病で弱いドスまりさを自分の力で追い出した』ということになっているらしい。 「でもまりささまはそんなよわいどすとはちがうんだぜ! れいむ! みんなをあつめてくるんだぜ! ゆうかりんのはたけを、まるごとまりささまたちのものにしちゃうんだぜ!」 「ゆーん! かっこいいよ、どす! さっそくみんなをよんでくるよ!」 ドスまりさの呼びかけに応じ、群れのゆっくりの大半が集まった。 「それじゃあさっそくえんせいにいくんだぜ」 「「「「「「「ゆーーーー!!!!!」」」」」」」 気勢を上げるゆっくり達の軍勢は、森を抜け、程なく開けた場所についた。ゆうかの花畑である。 視界一杯に花々が咲き乱れ、とてもゆっくりできそうな場所だったが、しかし今、そこに主の姿はない。 「ゆゆっ? ゆうかがいないよ?」 「つごうがいいんだぜ! いまのうちにみんなでぜんぶいただいてしまうんだぜ!」 「「「「「「「ゆっくりいただいていくよ!!!!!」」」」」」」 ゆっくり達は、それぞれが思い思いに花畑の中でゆっくりし始める。 むーしゃむーしゃするもの、ごろごろと転がるもの、家に持ち帰ろうと集めるもの。 ドスまりさは花を食べたり集めたりしながら、ときどき周囲の森に横目を向けた。 どこからかゆうかが見ていたら、それに喧嘩を売ろうという魂胆である。 怒りに駆られでてきたゆうかを皆の前で叩き潰せば、皆の尊敬の眼差しはより強いものになるだろう。 しかし結局、ドスまりさが食事を終えてもゆうかは出てこなかった。 「ちっ、つまんないんだぜ! せっかくゆうかをいじめられるとおもったのに!」 「ゆー、しかたないよ、どす! きっとどすのつよさにおそれをなしてにげちゃったんだよ!」 「おくびょうなやつなんだぜ! ゆぇーっへっへっへっへ!!!」 「「「「「「「ゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラ!!!!!」」」」」」」 ゆっくり達は大笑いすると、既にぼろぼろになった花畑を自分達の縄張りにすることを決め、群れに戻っていった。 午後からは、西にいるというめーりん一家のところに行ってみることにした。 「ゆゆっ! くずめーりんがいないよ!」 「おいっ、くずめーりん! さっさとでてくるんだぜ! またいじめてやるんだぜ!」 ゆっくり達は口々に、めーりん一家の住処である古木のうろに向かって叫び続けるが、出てくる気配はない。 ドスからめーりんを虐めることを厳禁されていたこともあって、ゆっくり達のめーりん一家への憎悪は並々ならぬものがあった。 「ゆっゆっゆ、まぁまぁみんな、そんなにあせることはないんだぜ」 いかにも大物らしく身体をゆすり、ドスまりさは笑う。 「どうせめーりんも、このまりささまのきょうだいさにおそれをなし、すがたをかくしているにちがいないんだぜ。 だからいまはみのがしておいてやるんだぜ。そのかわりいつかみつけだして、そのときはじっくりいたぶってやるんだぜ。 せいぜいのこりみじかいじんせいをたのしむがいいんだぜ」 「むきゅん! さすがどすらしい、かんだいなおこころだわ!」 「めーりんもいのちびろいできて、どすにかんしゃしてるはずなんだぜ!」 「ゆぇっへっへっへ!!! そうだぜ、まりささまはやさしいんだぜ!!!」 笑いながら、ゆっくり達は元来た道を戻っていった。 さて。 戻ってきたはいいが、結局あまり食糧は集まらなかった。 朝に比べればそこそこの量にはなったが、しかしこれではすぐになくなってしまうという予感がドスまりさにはあった。 昨日食べたほどの量をなんとか恒常的に確保したい、というのがドスの願いである。 一度贅沢を覚えてしまうと、多少のものでは満足できなくなってしまうものだ。 「しかたないよどす! きょうのところはがまんして、あしたまたたくさんあつめようね!」 にこにこ顔で側近れいむが言う。その美しい笑顔に思わず見とれてしまうが、しかしやはり食糧は欲しかった。 何か名案はないものか、とドスまりさは考え、そしてぴんと思いついた。 「そうだぜ! にんげんのたべものをうばってしまえばいいんだぜ!」 「ゆゆゆ!」 側近れいむが色を喪う。 「にんげんはだめだよ! ゆっくりできなくなっちゃうよ! むれのなかまも、なんにんもにんげんのところにいってもどってきてないんだよ! まえのどすも、にんげんにだけはちかづいちゃいけないっていってたよ!」 だがドスまりさは気にした風もなく、力強く言った。 「だいじょうぶなんだぜ! まりささまはまえのよわっちいどすとはちがうんだぜ! にんげんなんてちょちょいのちょいなんだぜ! しんじるんだぜ!」 バチン、とれいむに向けて含みを持たせたウインクをする。キモイ。 「ゆゆん……! かっこいいよぉ、どすぅ……!」 その勇ましい顔に、れいむは瞳を潤ませる。キモイ。 「それじゃあ、まりささまはこれからにんげんのところにいってくるんだぜ! れいむたちはみんなといっしょにまりささまのかえりをまってるんだぜ!」 「ゆっくりまってるよ!」 れいむの見送りを受け、ドスまりさは森の中を跳ねていった。 「ゆっ、ゆっ、ゆっ、ゆっ……」 そうしながら、ドスまりさは思考する。 さっきはついあんなことを言ってしまったが、ドスまりさとてそう簡単に人間から食糧を得られるとは思っていなかった。 しかし、それほど難しいとも思っていなかった。 何しろ人間の里の近くで、あれだけの群れが維持されてきたのだ。恐らく、老ドスまりさと人間達の関係は良好であったに違いない。 なら自分が新しいドスを襲名したと言えば、昨日の老ドスまりさのように、お祝いとしてある程度の食糧は用意してくれるだろう。 いや、そうでなければならない。このつよいまりささまに、にんげんはしたがうべきなのだ。 従わなくても、こちらにはドスパークがある。その威力は実証済みだ。 人間を見たことはなかったが、話に聞いた限りでは、それほど強いものだとも思えなかった。 「ゆっへっへ、このよのすべてはまりささまのものなんだぜ……!」 そう意気込みながら、ドスまりさは森を下っていった。 そして開けた場所に出る。地面には規則正しく野菜が並び、その真ん中で直立した細長い生き物がどすまりさを見ていた。 あれが多分人間なのだろう、とドスまりさは思った。思っていたよりもずっと弱そうである。これなら労せずして食糧を得られるに違いない。 とりあえず、ドスまりさはゆっくりのリーダーとして挨拶をすることにした。 「ゆっ、おじさん、まりささまは「ドスまりさが来たぞーーーーーーーーーーーーー!!!!!」ゆゆゆっ??」 ドスまりさの言葉を最後まで聞かず、人間は後ろを振り返って大きな声で叫んだ。 何事かとドスまりさが思っていると、遠くから両手を上に上げた人間達が、大きな声を上げながらこっちに走ってくる。 (ゆゆっ、みんなでまりささまのりーだーしゅうめいをおいわいしてくれてるんだぜ!) そう思ったまりさは、まず人間達を落ち着かせようと声を発した。 「あわてなくていいんだぜ! まずひとりずつならんで、それからまりささまにごはんを「死ねこの化け饅頭が!!!」ゆびゃえっ!!??」 人間の一人が振り下ろした大木槌が、ドスまりさの額にめり込んだ。 「とうとう来やがったな、クソ饅頭ッ!!」 「オラァッ、潰れろッ!!」 「やっぱり餡子脳じゃ『協定』のことは忘れちまったようだなぁ!!!」 何も言わないうちに、ドスまりさは複数の屈強な男達からタコ殴りにされた。 「ゆびぇっ、ゆげべっ、べぇえええ!! やべでえええええ!!」 ドスまりさは突然の事態についていけなかった。 身体が大きく、ドスパークを使えようとも、このドスまりさには経験が足りなかった。 しかも痛みらしい痛みも知らずに育ったため、最初の一撃ですっかり闘志を折られてしまっていたのである。 「うるせぇっ! 約束も守らねぇゆっくりにかける情けなんかねぇんだよっ!!!」 「折角、最後の頼みだって言うから聞いてやったってのに! 甘さを見せた結果がこれだよ!!!」 「じらないぃぃぃ!!! やぐぞぐなんでじらないんだぜえええ!!!」 「しらばっくれるんじゃねぇ!!!」 「げびっ!!!」 ドスまりさの口から、大量の餡子が吐き出された。 ……実は、前リーダーである老ドスまりさは、人間達と『絶対不可侵協定』なるものを結んでいた。 その内容とは、ゆっくりが人間の里に一歩でも入った場合、その後の進退にドスまりさは関与しないというものであった。 ドスまりさの威光を笠に着たゆっくり達の度重なる襲撃に業を煮やした人間達が、老ドスまりさに突きつけた最後通牒であった。 もしドスまりさが罪を犯したゆっくりを庇い立てするなら、いかなる犠牲を払おうとドスまりさを討伐するとまで宣言して、である。 老ドスまりさは、すんなりとこれを呑んだ。 老ドスまりさとしても、正直なところ人間に迷惑をかけるゆっくりの扱いには頭を痛めていたのだ。 注意しておいたのに、それに従わないゆっくりにかける情けはない、と老ドスまりさも決断したのである。 しかし今のドスまりさ──若ドスまりさはそれを知らなかった。 当然だ。老ドスまりさがそれを教えなかったのだから。 いや、教えずとも、れいむを通して注意は喚起されていた。だがドスまりさは、それを無視した。 リーダーが変わろうと協定はいまだ有効であり──その範囲には、当然ドスまりさも含まれていた。 「ぢがうぅぅぅう!! まりざざまはどずなんがじゃないんだぜええええ!!」 ようやく殴られる理由を理解したドスまりさは、必死に主張した。 ドスまりさからしてみれば、自分の知らないところで交わされた約束で撲殺されようとしているのだからたまったものではない。 「嘘つくんじゃねぇ! そんなに髪にビラビラとリボンつけたゆっくりが、他にどこにいるってんだよ!!!」 「今更言い逃れしようなんざふてぇ野郎だ!!!」 だが人間達にとっては、その言葉は通用しなかった。 当然である。普通の人間に、ゆっくりの顔の区別はつかない。ましてや、ほとんど姿を見せないドスまりさである。 人間達にとって、『人間より大きく髪の毛にたくさんリボンをつけているゆっくり』が、即ちドスまりさなのだ。 「オラァ! さっさと逝けやデカブツがぁあ!」 「ゆがばぁあああああ!!!」 人間達が、木槌で、木刀で、もしくは石で、ドスまりさを滅多打ちにしていく。その度に、ドスまりさは口から餡子を吐き出していった。 そんな折、ドスまりさの帽子からぽろりと大きなキノコが落ちてきた。 (ゆ……!) そこに、ドスまりさは希望を見出した。落ちてきたのは、ドスパーク用の魔法のキノコであったからだ。 必殺のドスパークを使えば、こんな人間達など一発で消し飛ばせる。そう思い必死に舌を伸ばして、 「させねぇよ馬鹿!」 「ゆんびぇっ!!!???」 キノコを蹴り飛ばされた挙句、伸ばした舌を踏みつけられた。最後の希望を絶たれたドスまりさは、両目から目幅大の涙を流した。 もっともチャージタイムのかかるドスパークでは、撃つ前に阻止されていただろうが、ドスまりさはそんなことにも気づかなかった。 舌を踏みつけた男が、チッ、と忌々しげに舌打ちをする。 「こうなった以上、群れも放置しておくわけにゃいかねぇな。おい又八、他の男衆連れて森のゆっくり片付けろや。加工所にも応援呼んどけ」 「おうよ」 「どっ……どぉじでええええええ!!!??? まりざのむれになにずるのぉおおおおおおお!!!???」 男の一人が唾を吐き捨てた。 「ほれ見ろ。やっぱこいつ覚えちゃいねぇ。自分から言い出しやがったくせに」 「ドスっていうくらいだからちったぁマシな気もしたが、そんなことはなかったぜ!」 かつて老ドスまりさが人間と結んだ協定には、もう一つの要素があった。 もしドスまりさ自ら人間の里に侵入した場合は、群れ全体を殲滅して良いという内容だった。 これは老ドスまりさが人間への誠意の証として自ら提案したものであり、それを受け、人間も人里に入ったゆっくり以外には手を出さないと決めたのだ。 勿論、このドスまりさはそんなことは知らない。 「じらないいいいいい!!! まりざはぞんなやぐぞぐじでないいいいいいい!!!」 「ああうっせぇ。おい、さっさと黙らせようや」 「おうよ」 それからドスまりさは男達からしこたま殴られ、餡子をきっかり半分吐き出させられると、リヤカーに乗せられ、縄で縛り付けられた。 「ゆ……が……が……」 息も絶え絶えなドスまりさは、男達の手によって、森の奥まで運ばれていく。 そしてある地点に辿り着くと、男はリヤカーを傾け、その光景をドスまりさに見せ付けた。 「……ああああああああああああああああああああああああ!!!!!」 ドスまりさは叫んだ。 あたり一面に広がる餡子の海が、一体なんであるのかを理解した。 生き残っているゆっくり達は、その全てが人間の持つ網の中に詰め込まれていた。 「むれがあああああああ、まりざのむれがあああああああああああ!!!」 「うるせぇ!」 「ぐぎぇっ!」 男の拳が、傷だらけになった顔面を殴りつける。 「うわああああああん!」 「ゆっくりできないよぉおぉぉぉぉ!」 「どすぅぅぅぅ! たすけてぇえええええ!!!」 数匹のゆっくりが、人間の手を逃れてドスまりさのほうへ向かってくる。 「まーだいやがったか」 近くにいた人間が、それを足で一匹ずつ踏み潰していく。 「ゆぎぇっ!」 「おねーじゃああああわびゅっ!」 「どうじでええええ! なんでだずげでぐれないのどずううううう!!!」 「ああ、ああああ……」 ゆっくり達は、ドスまりさに助けを求めながら、ドスまりさの前で朽ち果てていった。 その中には、あのれいむもいた。 「れいぶぅぅぅぅぅぅ!!!」 れいむは後ろ半分を踏み潰されていたが、まだ息はあった。美しい髪も半分以上が喪われ、見る影もない。 「じっがりずるんだぜっ! れいぶ、じんじゃだめなんだぜええええええ!!!」 どう見ても助からない傷だったが、ドスまりさは叫んだ。叫ばずにはいられなかった。 尋常ならざるドスまりさの様子に、男達はれいむにトドメを刺すのを待ってやった。 れいむは、自分に赦された最後の力を振り絞って、ドスまりさへの別れの言葉を呟いた。 「……どずの、ぜいだ……」 「ゆゆっ!?」 「どずが……にんげんだぢに……でをだじだりなんがずるがらだ……」 「どぉしてぞんなごどいうのぉぉぉぉぉぉ!!??」 「うるざいッ!!!」 死に体だとは思えぬ大喝に、ドスまりさは竦んだ。 「うぞづぎっ、うぞづぎっ、にんげんなんがに、がでるなんで、どうじでぞんなうぞづいだのぉぉ……。 おまえみだいなぐぞまりざ、どずでもなんでもないよ……!」 「ぢがっ、ぢがうううう!!! まりざざまはほんどにづよいんだぜぇええええ!!! ほんどなんだぜえええ!!!」 だがれいむには、もう答える気力も残されていなかった。 話が終わったと見て、男はれいむを踏み潰すために足を振り上げた。 「ゆっくり……しね……」 それを最期の言葉として、れいむは飛び散った。 ドスまりさは、自分の群れの崩壊を最後まで見せ付けられた。 そしてそのまま、森の中に放置された。 続く このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/1952.html
商品に含まれる主な成分 名無しの人間とその会話 新建造物 ありすのすっきり 新解釈 生き残るゆっくり ゆっくり専門店 ありすホイホイ 馬車の幌に入ると妙ににこやかな店主が一人。ここは移動型ゆっくり専門店「ゆっくりらんど」。 商品は各種ゆっくりと、飼育用品。そして虐待道具だ。 特に虐待道具はアマチュアの虐待師から買い取ったものまで販売しているためやたら種類が多い。 近くにこの店がやってきたのは久しぶりなので新商品を冷やかしに来てみたのだ。 「おっちゃん、この足を焼いたまりさはえらい高い値札の割りに普通に見えるんだけど、 値段に見合うすごい細工してあるの?」 「ああ、それはありすホイホイと言いましてね。ごーかんまのありすをすっきりさせて殺すんですよ。 新作で自信作、私が作ったお勧めの一品です。」 変形とか期待していたのに、店主から返された答えに拍子抜けしてしまった。 それでもこんな店を開くような人間の作品だ。普通の仕掛けじゃないだろう。 しかし、ごーかんまのありすはすっきりましーんだ。並大抵のまりさでは1時間と持つまい。 「毒でも入ってるんですかね?」 「いやいや、そんなことをしたら野良ゆっくりを食べれなくなりますからね。 それの中にはこいつを埋め込んであるんですよ。」 そう言って店主は戸棚からU字に曲がったチューブ状のゆっくり皮を出して来た。 乾燥していてよくわからないが、チューブということはぺにぺにを加工したものなのだろう。 「まあ、効果は実際見てもらった方がいいですね。御時間に余裕はありますか?」 実演販売されても値段高すぎるので無理と考えたが、見せびらかしたいだけのようなので頷いておく。 にこやかな顔で手近な檻からありすを2匹掴み出して小刻みに揺らす店主。 ありすは最初は身をよじって抜け出そうとしていたが、すぐにおとなしくなった。 「これがとかいのあらなみなのねぇぇぇ!」とか、 「うつくしくはばたくちょうになるのよぉぉぉ!!」とか言っている。 ちょぉノリノリである。 店主はすっきりする寸前で2匹を空の柵の中に放り込み、棚からまりさを取り出してくる。 「もうありすとすっきりしたくないよぉぉぉ!!!。どぼじでまりざにごんなごとざぜるのぉぉぉ!!!」 見た目も性格もごく普通のまりさだ。檻にいれて・・・前後からありすに突っ込まれている。 「わいるどなまりさにとかいはのしゅくじょのありかたをおしえてあげるわぁぁぁ!」 「とっぽいまりさをきれいにこーでぃねいとしてあげるわぁぁぁ!!」 二匹のありすは言葉とは逆に激しく打ち付けるように波打っている。 ただ、まりさの言葉だともう何度もありすと無理矢理すっきりさせられているようだが、 肌荒れもなく餡子がへっている様子もない。避妊処理をしただけなら売値が高すぎる。 「ああ、分かりましたよ。さっきのチューブをまむまむに繋げて餡子を外に捨てるんですね。 それならにんっしんしないしありすは中身出しすぎて死んでしまう。と」 「半分ほど正解です。そろそろ終わりますよ。」 「んほおおおおお!!!すっきりー。」 「んほおおおおお!!!すっきりー。」 「んぎっもぢい゛い゛い゛ぃぃぃい!!すっきりー。」 「まりさのまむまむはそこなしにふかくてわいるどだったけど、それじゃあとかいはにはなれないわね!」 「いなかくさいまりさはありすのこどもをそだてるしよーにんにしてあげるわ。」 「ちゃんとすっきりしたかったよ・・・・」 (ぎゃあぎゃあぎゃあぎゃあ) まりさ自体は普通の固体だったようでぐったりとしてしまった。 「気付きませんねー、仕方ない。 口の周りべとべとに汚れたありすの何処がとかいはなんだかー」 「ゆ?そうだね。あのありすはおくちのまわりにきいろいのがべたべたでいなかくさいね!」 「ゆ?そうだね。あのありすはおくちのまわりにきいろいのがべたべたでいなかくさいね!」 顔をカスタードまみれにしたありすはまりさを挟んで反対側のありすをお互い田舎者認定した。 言ってから何かおかしいと気が付いたようで、こちらから見えないようにまりさの影に駆け込む。 (もーぞもーぞ) (ぺーろぺーろ) (しあわせー☆) でてきた二匹のありすは糸を引く唾液でもうべっとべとだ。隠れる前とあまり変わってない。 「おにーさんはばかだね。こんなにかわいいありすのおかおがよごれているわけないじゃない。」 「きっとおめめがよごれてるんだわ!きったなーい♪」 酷い言われ様だが、店主は気にした風も無く聞き流している。 逆に横で見ているこちらの寿命がストレスでマッハなのがしんどくなってきた。 「まだまだすっきりしたりないわ!れでぇにふさわしいかわいいまりさをよういしてね!」 「にんっしんしたまりさはもういらないから、おにーさんはもっとかわいいまりさをつれてきてね!」 「あらら、今日のありすはだいぶ足りてないようですね。困ったもんだ。 おまえたち、まりさがどうしたって?」 「なにいってるの。まりさはありすのあいのちからでゆっくりにんっしんしたのよ!」 「これいじょうすっきりー!したらおなかのこがゆっくりできないでしょ!そんなこともわからないの?」 「まりさがどうしたって?」 「だから!にんっしんしてまりさのおなかがおおきく・・・・なってないわね。ねぇ、なんで?」 ありすはこちらを見てわからないよーとでも言いたそうな表情だ。 しかし、見ているうちに口というか、顔のパーツが上に移動しているような気がする。 「ほら、わかりますかね。 にんっしんしてるのはまりさじゃなくてありすの方なんですよ。」 「なんでありすがにんっしんしてるのぉぉぉ!!!」 「ありすがぼてばらじゃすっきりできないでしょぉぉお!!なんでぇぇぇ」 襲った側のありすに気づかれること無く立場を逆転させる虐待のようだ。 「ほう…ありすに精子餡をかけて逆ににんっしんさせたんですね!」 「それも半分正解です。ゆっくりの餡子に精子餡という区別は無いみたいなんですよ。」 「まりさ!とかいはれでぃになかだしするなんてさいていのれいぱーね!」 「ゆるさないわ!せきにんをとってゆっくりおかしをもってきてね!」 「というと?」 店主はひょいとまりさを持ち上げ、ありすの体当たりが届かないテーブルへ置く。 「すっきりした後に体の粘膜が取れる前にゆっくりの中身を体内に取り込むとにんっしんするんですよ。 だから、さっき口の周りのカスタードを食べさせたわけです。 例えば、以前すっきりさせた直後にまりさの古いうんうんを食べさせたらまりさをにんっしんしまして! そのときの感動と言ったらもう開いた口がふさがりませんでしたとも!!」 この店主、テンション上がってきてキモチワルイ。 「うわー、それはまた適当な。でも、すりすりだけでもにんっしんできるんじゃないですか?」 「皮が厚くなった成体はすりすりだけだとすっきりに至るほどきもちよくはないようですね。 それにこのまりさは動けませんからね。突っ込むしかないですよ。」 それもそうだ。野良ありすがすりすりだけで満足するのも考えにくい話だし。 (´-`).。o(口に出されたらアウトってことね。欠陥商品だね、わかるよー。) 「「ちょっときいてるの!」」 「ありすおうこくのくいーんありすにゆっくりごはんをもってきなさい!」 「ありすのおしろにすまわせてやってるんだから、おにーさんにゆっくりするけんりはないのよ!!」 「で、れいぱーのありすは母体経験なんてないから皆これと同じ事を言いますよ。にんっしんした時にどうす ればいいかも分からないで、死ぬまで自分からは動かない!子ができたから自分は世界の頂点になったとい う失笑ものの勘違いだ!!!そんな馬鹿な話があるわけないだろう?このほいほいにかかったありすは全て 自分に罪が跳ね返って自らその重みで潰れるのみ!!!…はっ!?これは失礼。」 よかった。帰って来たようだ。 「えー、あー…まあそんなわけです。ありすが自分で自分を虐待するこの商品、いかがです?」 「すっきりするまでこいつらしあわせー☆なのがいただけませんね。いらんです」 「「ゆぐっ!?」」 店主は言葉も無くありすを店の外に蹴り飛ばした。半泣きでぷるぷるしてるおっちゃんきもい。 「とりあえず透明な箱二つください。加工所ブランドの成体ジャストフィットの奴で。」 会計を済ませ馬車の幌を出る。本当に動こうともせず転がってる二匹のありすを箱につめて帰ることにした。 補足 にんっしん=餡子・分泌液に含まれる子種うぃるすに感染として 動物型にんっしん→分泌液が相手の免疫力を低下させ、餡子注入された側が感染した結果 植物型にんっしん→すりすりしすぎて傷ついた皮から感染 ということで進行しています。 店主もアマチュアなので、今回の商品がうっかり植物型のにんっしんするケースを想定できていません。 そこらへんに居る趣味の虐待お兄さんの自作虐待道具を販売する店がきっとあるに違いない。 そんな想いで書いた。仕事帰りの満員電車の中で。 羊の羽 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/1213.html
「強制ゆっくり」 「君達は、こんなところで何をしているのかな?」 帰り道、畑の端っこで野菜を貪り食っているゆっくりを見下ろして問う。 むーしゃむーしゃ♪と美味しそうに食べていた野菜を放ると、17匹のゆっくりは一斉に僕を見上げた。 「ゆ!?ゆっくりしてるんだよ!!」 「おにーさんはゆっくりできるひと?できないならどっかいってね!!」 「ここはまりさたちのゆっくりプレイスだよ!!」 成体のまりさとありす。それに、15匹の子ゆっくり。 周りには、野菜の食べかすと思われるものが無造作にばら撒かれている。 「そうかそうか、でもここは野菜を作ってるおじさんの畑だから、勝手に食べたらダメだよ」 別に、自分の畑ではないのだが…一応人としてそこらへんは注意しておこうと思った。 もちろん、無駄だということは分かっている。 「なにいってるの?やさいはかってにできるんだよ!!おにーさんばかなの!?」 「ここはさいしょにありすたちがみつけたんだから!!とかいはのゆっくりプレイスだよ!!ゆっくりりかいしてね!」 僕に対して反論するのは親であるまりさとありすだけで、他の子ゆっくりたちはまったく意に介さずゆっくりしている。 実際ゆっくりに『ばかなの!?』とか言われて、僕の怒りが有頂天にならないわけがないのだが… これから起こるであろう惨劇を思えば、その怒りも絶妙なスパイスとなる。 「仮にそうだとしても、畑のおじさんはそうは思ってない。 君達が正しいとしても、おじさんは怒って君達を殺したり食べたりすると思うよ」 「ゆ!!ばかなおじさんだね!!まりさたちにかなうわけがないのに!!」 「とかいはのありすにかてるわけないのにね!!これだからイナカもののおじさんはイヤなのよ!!」 「まりしゃたちもゆっくちやっちゅけるよ!!」「ありしゅもやっちゅけるよ!!」 無駄に好戦的なゆっくり一家である。今まで人間に負けた…酷い目にあわされた経験がないのだろうか。 まぁ、僕もゆっくりに負けた経験はないので、これから僕とゆっくり…どちらかが新しい経験をするのだろうな。 おそらく新しい経験をするのは、このゆっくり一家の方になると思うが。 「そんなおじさんと戦うのも疲れるだろ?お兄さんと別の場所でゆっくりしない?」 「ゆ?ここよりゆっくりできる?」「そこはとかいはのこーでねーとなの?」 「もちろん、とてもゆっくりできるよ。と言うより…そこでは“ゆっくり”以外できないんだ」 穏やかな笑顔で、奥に潜んだ悪意を包み隠す。そんなことしなくても、ゆっくり一家は気づかないと思うが。 「ゆ?よくわかんないよ!!でも、ゆっくりできるならところならつれていってね!!」 「はやくあんないしてね!!のろまなイナカものはきらいだよ!!」 「つれちぇって!!つれちぇって!!」「ありしゅもいきたい!!」 あっさり釣れたので、僕はゆっくりと自分の家へ案内した。 僕の家の前。 すでに、ゆっくり一家は僕の家へ飛び込もうとスタンバイしている。 念のため、僕はもう一度“ルール”を説明することにした。 「これからゆっくりする君達に言っておきたいことがある」 「ゆ?そんなのどーでもいいからね!!はやくゆっくりさせてね!!」 「今から言うことを守らないとゆっくりできなくなる…それでもいいのかな?」 「ゆ…ゆっくりきくよ!ゆっくりせつめいしてね!!」 “ゆっくりできなくなる”とか適当に言っておけば、大抵のゆっくりはおとなしくこちらの話を聞く。 僕はゆっくりと説明を始めた。 「この中に入ったら、君達はずっとゆっくりし続けることになる。ゆっくり以外のことは全て禁止だ。 もしゆっくり以外のことをしたら、お兄さんが二度とゆっくり出来なくさせてあげるからね」 もし今の言葉に危機感を感じたとしたら、そいつはかなり賢いゆっくりだ。 大抵のゆっくりは… 「まりさたちはいつもゆっくりしてるからだいじょうぶだよ!!」 「とかいはのありすたちが、ゆっくりしないなんてありえないよ!!」 「ゆっくちするよ!!」「ゆっくりしゅるよ!!」「じぇんじぇんだいじょうぶだよ!!」 こんな風に、自分の“ゆっくりスキル”に揺ぎ無い自信を持っている。 自分はゆっくり以外のことを絶対にしない、と思っている。 だからこそ僕も、じゃあこちらも全力でゆっくりさせてあげよう、という気になるのだ。 「そうか、そうだよね。君達はゆっくりできるゆっくりだから、全然問題ないよね!」 「そうだよ!!まりさたちはゆっくりできるものだよ!!だからはやくゆっくりさせてね!!」 僕が家の扉を開けると、17匹のゆっくり一家は我先に中へ入っていった。 ゆっくりを案内した部屋は、何の変哲もないただの六畳間である。 普通と違う点と言ったら…床に新聞紙を隙間なく貼り付けてあることくらいだろうだ。 これは、事が終わった後に片付けやすいように、との配慮である。 「ゆー!!ここならひろくてゆっくりできるね!!」 「とかいはのこーでねーととしてはまだまだだけど、しかたないからここでゆっくりしてあげるね!!」 「おにーさん!!ゆっくりごはんをもってきてね!!そしたらゆっくりさせてあげるよ!!」 「ここをまりさたちのおうちにするよ!!おにーさんおしえてくれてありがとう!!」 おお、さっそく“自分の家”宣言ですか。人間様を完全にナメているな。 「どういたしまして。それじゃ始めようか。 お兄さんが合図をしたら、絶対に“ゆっくり”以外のことを“したり”“言ったり”するのはダメだよ」 「おにーさんあたまわるいね!!まりさたちがゆっくりしないわけないでしょ!!」 「イナカものはものわかりがわるくてこまるね!!とかいはのありすたちをみならってね!!」 子ゆっくりたちがすでにゆっくりし始めているその傍で、まりさとありすは大きく跳ねながら僕を怒鳴りつける。 うん、かなり頭にきた。でもこんな風に威張る事が出来るのも今日が最後なのだから、思う存分やらせておこうと思った。 僕はゆっくり一家に笑顔を振りまきながら、大きく手を振り上げた。 「よし、じゃあ始めるぞ。よーいスタート!!」 「ゆっくりぃ~!!」 ゆっくり一家17匹の、ゆっくり耐久レースが始まった。 「じゃあおにーしゃん!!さっそくごはんもっちぇきてね!!ゆっくりごはんたべたいよ!!」 「はいアウト!!」 最初の脱落者は、子まりさだった。予想はしていたが、早すぎる。 僕はその子まりさを持ち上げると、頭をがっしり掴んで少しずつ力をこめていく。 「おにーさん!!あかちゃんをはなしてあげてね!!」「それじゃゆっくりできないよ!!」 「は?お前らバカなの?“ゆっくり”以外のことを言うな、って言ったのにさぁ… どうして“ごはんもってきて”って言葉が出てくるの?お兄さんの説明聞いてた?」 「ゆがあぎゃああぁぁぁぁぁあ!!!いだいいだいいだいいだい!!どうじでごんぎゃごどずるぼおおおお!!?」 「どうして?…“ゆっくり”以外の言葉を喋ったでしょ?そんな子は、ここでゆっくりする資格はないよ!ゆっくり死ね!!」 「びぎゅあああああああぁぁっぁおえごえg!!??」 一気に力をこめると、子まりさはあっさりと粉砕され…帽子だけがそこに残った。 指の隙間から、餡子がぼたぼたと新聞紙の上に零れ落ちる。甘い匂いとかすかな湯気が、一家の恐怖を煽った。 「ゆぎゃあぁぁぁぁぁあゆっぐぢでぎないいいいぃぃぃ!!!おうぢがえるううううぅぅぅ!!!」 「ひどいごどずるおにーざんはここでゆっぐりじててね゛!!まりしゃはおうぢにがえるよ゛!!!」 「はい君達もアウト!!」 玄関から逃げ出そうとした子ありすと子まりさを、華麗な手さばきで捕まえる。 「君達バカだね!“ゆっくり”以外のことをするなって言ったのに、どうして逃げようとするの?」 「ゆぎゃあああぁぁぁ!!ご、ごめんなざい!!わざどじゃないでしゅう!!」 「ゆっきゅりさせてね!!もうにげないからゆっくりしゃしぇbんろ!!??」 問答無用だ。僕は両手に掴んだ子ゆっくりを左右から思いっきり正面衝突させる。 顔面と顔面からぶつかった子ゆっくり2匹は、盛大に餡子をばら撒きながら即死した。 「さて、君達はもうわかったよね!!ゆっくりしない子は、こうなっちゃうんだどぉ~♪うっう~うあうあ~♪」 新聞紙の上に散らばった餡子とカスタードクリームを指差しながら、僕はれみりゃダンスを披露した。 「ゆ…ゆっくりぃ~!!」「ゆ、ゆっ…ゆっぐりぃ……!!」 お、すごい、本当に“ゆっくり”しか言わなくなった。 「そうそう、ここは“ゆっくり”するための部屋だからね!!ゆっくりしない子は邪魔だからゆっくりできなくするよ!!」 生き残っているのは、親であるまりさとありす。 そして、子まりさ5匹の子ありす7匹の合計14匹だ。 通常、ゆっくりというのは長時間ゆっくりさせないと死んでしまうらしい。 では…強制的にゆっくりさせるとどうなるのだろう? いくらゆっくりと言ったって、年がら年中24時間ゆっくりしているわけではないだろう。 そこを、人間の手で強制的に長期間ゆっくりさせる…結果どうなるのか、僕は自分の目で見てみたい。 「は~いおまたせー♪美味しい美味しいご飯だよ!!」 「ゆ…ゆっくりぃ~!!」「ゆっくりゆっくりぃ~!!」 原則的に“ゆっくり”以外の行為は禁じているが、食事と睡眠はゆっくりするために必要なものとして例外とした。 そんなわけで、僕は一家のための食事を用意して部屋の中に入る。 嬉しそうな顔をして、14匹のゆっくり一家が集まってきた。家族を3匹も失ったというのに、切り替えの早い奴らだ。 美味しいご飯と言っても、庭の雑草を抜いて洗っただけのものだが。 「ゆっくりぃ~♪」「ゆっくりゆっきゅりー!!」 そんないい加減なものでも、ゆっくり一家は美味しそうに食べている。野生の一家だから、何でも食うのだろう。 雑草があまりにも美味しかったのか、一匹の子ありすがこんなことを口走った。 「ゆっきゅりぃゆっきゅりぃ~♪しあわせ~♪」 …周りのゆっくりたちが、一斉に静まり返った。 「はいアウト!」 「ゆ?ゆゆぅ!!ゆっくりゆっくりぃ!!!」 首を振って否定してくるが、ちゃんと見てるんだぞ、お兄さんは。 「お前は今、“しあわせ~♪”と言ったな。ゆっくりしない子は…ゆっくり出来なくするって言ったよね…」 「ゆぎゅ!!ゆるぢでね!!ありしゅこんどからちゃんとゆっくりするからね!!」 子ありすの訴えに耳を傾けることなく、僕は輪ゴムを取り出して子ありすの頭に二重に巻いていく。 強い力で頭を締め付けられた子ありすは、今までにない悲鳴を上げた。 「びっぎゃああああぇrlがlrlが!!あだまいだいいだいいだいいいrlがじぇrgじあp!!!!」 「ゆぅ~ゆっくりゆっくりぃ!!」「ゆっぐりぃ……!!」 うん、いい悲鳴だ。 周りのゆっくりたちも何か言いたそうにしているが、ゆっくりとしか言わないので無視する。 僕は輪ゴムを三重、四重、とどんどんきつく巻いていく。 そして…だいたい同じ動作を十回繰り返した頃… 「いぎゃぎゃぎゃあだだだぢあいあいいああいああいおえrgじゃえびゅえっ!!??」 おでこから上が綺麗にちぎれて、ぽろっと落ちてしまった。泡を吹きながらびくびくと痙攣している子ありす。 それを見守るゆっくり一家は、もう何も言わずに涙を流しながら見ているだけだ。 当然である。何か粗相をすれば、今度は自分が同じ目にあうのだから… 「あばばばばば…ぴぎゃっ!!」「ゆううううううぅぅぅ!!!ゆっぐりい゛い゛い゛ぃぃぃぃぃ!!!」 手に持ってるのも気持ち悪いので、子ありすを床に叩きつける。 新聞紙の上には、カスタードが放射状に飛び散った。 「うーん、君達は偉いね!ここは“ゆっくり”するための部屋だ、ってのがよく分かってる!」 「ゆぅ…ゆっぐりぃ…!!」「ゆっぎゅりいいぃぃ…!」 “ゆっくり”以外の言葉を発することの出来ない一家は、その目で僕に訴えかけてくる。 きっと僕のことを思い切り罵りたいに違いない。僕に体当たりしたいに違いない。 でもそれはできない。それをした瞬間、“ゆっくり”以外の行為をしたとして…先立った子供たちと同じ運命を辿ることになる。 こいつらはそれが分かっているから、どんなに僕が憎くてもその感情を発散させることは出来ずにいるのだ。 「せっかくだから、ありすたちをゆっくりさせてあげるよ!!」 そう言って、僕は子ありすを一匹持ち上げた。さっきまでの僕の行動を思い出してか、ぶるぶる震えている。 「そんなに怖がらなくていいよ。ゆっくりさせてあげるからね!」 「ゆぅ?…ゆっきゅり♪」 何故か分からないが、子ありすの恐怖は吹き飛んだらしい。 僕は右手で子ありすに小刻みな振動を与える。 「ゆゆゆゆゆゆ…ゆっくりぃ…ゆっくりぃ~!」 すると…まだ赤ちゃんであるにも拘らず、子ありすはしっかり発情した。 「ゆゆゆゆゆゆゆゆ!!!ゆっくりぃーーーーー!!!!」 涙とか涎とかいろいろ撒き散らしながら、一番近くの子まりさに圧し掛かる。 子まりさの方はすっかり豹変してしまった子ありすを恐れて逃げようとするが、発情子ありすに力で敵うわけがない。 あっさりねじ伏せられて、強制的に振動させられる。 「ゆぶぶ!!ゆっぐり!!ゆっぐりぃ!!!ごどもうびだぐないいいぃぃぃぃ!!!」 「ゆゆゆゆゆゆゆゆ!!!まいしゃかわいい゛!!いやがるどころもずでぎいいいぃぃぃ!!!! ありしゅのがわいいごどもをうんでえぇぇぇえぇぇぇぇぇぇぇえ゛え゛え゛ぇぇ!!!!!」 子供のクセに、なかなかのテクニシャンだ。早くも2匹は絶頂に達しつつある。 「んほおおおぉぉぉお゛お゛お゛ぉぉぉぉ!!!!イ゛ッグう゛う゛う゛う゛う゛ぅぅぅぅうぅぅ!!!! ありしゅのあいを!!!うげどめでええぇぇぇぇぇえ゛ぇぇぇぇぇえ゛え゛ぇぇ!!!!」 「おっと危ない!はいアウト!!」 「う゛う゛ぅぅぅぅ…ゆ?おにーしゃんどーして!!!ありしゅをすっきりさせてね!!!」 性的絶頂の手前でお預けを食らった子ありすは、真剣な顔で僕に抗議する。 まだ興奮が収まっていないのか、その小さな身体は小刻みに震えている。 「どうして?今理由を聞いた?お前バカなの?“ゆっくり”以外するなって言ったのに、どうしてすっきりしようとするの? もうお兄さんの説明忘れちゃったの?バカなの?アホなの?死ぬの?」 「ゆ…ゆっぐりぃ!!ゆっぎりゆっぎゅりぃ!!!!」 今になってルールを思い出したのか、必死に今までの愚行を無かった事にしようとしている。 それでなんとかなると本気で思ってるところが、僕にはまったく理解できない。 「…そんなにすっきりしたいなら、すっきりさせてやってもいい。でも、その瞬間お兄さんはルールを破った君を殺す」 「ゆぶっ!!ゆゆ…ゆっぐり!!ゆっぐりぃ!!」 「だってそうでしょ?ルールを破るのはゆっくり出来ない子だもん。そんな子はここにいなくていい。殺しちゃえばいいよね! …それでもいいのなら、すっきりさせてやる。すっきりした瞬間、死ぬ。それでもいいのなら」 お預けを食らった子ありすにとって、すっきりすることと生きることは同等の価値を持っている。 すっきりして死ぬか、すっきりしないで生き続けるか… 「ゆ゛!ゆっぐり!!」 子ありすは、気丈にも頭を横に振った。 「そうかそうか、すっきりしないのか!!ありすは偉いな~!」 と言いながら、僕は再度子ありすに小刻みな振動を与えて発情を促す。 すっきりしたい!でもすっきりしたら殺される。だからすっきりしたくない!!なのにすっきりしたい! 性的興奮が収まればそんな苦しみもなくなるのだろうが…僕が繰り返し発情を促しているので、それも叶わない。 子ありすは、“すっきり”と命のどちらをとるか… 「おにーじゃんやめでええぇぇぇ!!!ずっぎりじだぐないいいぃぃぃ!!!」 「そうだろう?すっきりしたくないんだろう?お兄さんはそんなありすを褒めてあげてるんだよ!偉い偉い!!」 と頭を撫でるフリをして、もっと振動を加える。子ありすの目の色がだんだんヤバくなってきた。 粘液を周囲にばら撒きながら、子ありすは必死に快感に耐えている。 変わり果てた子ありすの様子を見て、他のゆっくりはもう言葉を発する余裕もないようだ。 「いびゃあぁぁぁぁああぁぁぁああ!!!イ゛ギだぐないいいぃぃぃぃぃ!!!じにだぐない゛い゛い゛ぃぃぃ!!!」 「死にたくない?なら話は簡単。すっきりしなければいいだけでしょ?何も難しいことはないよね!!」 と言いつつ、もっともっと振動を加える。もともとこいつを生かしておくつもりはない。 だって、最初の段階でこいつはもうルールを破っているのだから… 「いびゃああぁぁあぁぁあイッグウ゛ウ゛ゥゥゥゥゥウ゛ウ゛ゥゥ!!!アッバッバアァァァアァァアァァ!!!!」 「あれ?すっきりするの?死んじゃうけど…いいの?」 「うぎゃああぁぁぁあっぁあlrlgぁllrぁぁぁあ!!!……ずっぎり゛ー!!!」 その言葉を発する子ありすの顔は、まったくすっきりしていなかった。 すっきりの先に待っているのは、死だから… 「ありすはすっきりするためなら死をも恐れない!!勇敢なゆっくりだね~(笑)お兄さん感動したよ!!」 「いやあぁぁぁあぁぁぁぁごろざないえいjがぶぎっ!?!?!」 いろいろ後始末のことも考えて、床の上に普通に叩き付けた。 拡散したカスタードが残された一家の顔に飛び散る。 「ゆううううううううう、ゆっくりぃ……」 「ゆ……ゆっきゅりぃ…」「ゆっくり……ゆっくりぃ…」 一家はもうすっかり元気を失い、ゆっくりする以外何も出来なくなっていた… それから。 僕は一家をゆっくりさせ続けた。 ご飯を味わえば何を言うか分からない。眠れば寝言で何を言うか分からない。 恐怖に駆られた一家は、本当に“ゆっくり”だけをするようになった。 ご飯はただ貪り食うだけ。熟睡する事ができないので、常に寝不足。 交尾をしたくなっても、すっきりすれば殺される。ゆっくりすること以外の欲求をすべて封じられた形だ。 だから…ただ、その場に留まり、無意味に壁を見つめているだけ。 ゆっくりしていなければならない。ゆっくりしないと殺される。 何故なら、ここは“ゆっくり”するための部屋だから。 ゆっくりしない子は、二度とゆっくりできなくなる。そういう部屋だから。 だから、ゆっくりしつづける。 ゆっくり以外は、何もしない。何も出来ない。 ただ、ゆっくりする。何もないところで、ゆっくりする。 ゆっくりすることを考え、『ゆっくり』と言い、『ゆっくり』という声を聞き、ゆっくりとしたものを見て、ゆっくりし続ける。 それがゆっくりの本来の姿。ゆっくりしないゆっくりはただの饅頭だ。そんなゆっくりに存在価値はない。 そう教え続けて一ヵ月後、一家はたった3匹になっていた。 残ったのは親まりさと親ありす、そして子ありすであった。 「外に出たいの?いいよ!これからは外で自由にゆっくりしてね!!」 僕の仕事はもう9割は終えた。あとは、野外でこの一家がどういう行動に出るか…だ。 「いやあぁぁぁぁあぁぁありすはゆっぐりじだぐないいいぃぃぃぃすっぎりもいやあぁぁぁぁぁぁああぁぁ!!!!」 「ごっぢにごないでね!!まりさはゆっくりしたくないよ゛!!」 「ありしゅゆっくりしないからね!!みんなはむこうでゆっくりすればいいよ!!」 ぶるぶる震えながら、野生のゆっくりたちを追い払う一家。 「あんなのとはゆっくりできないよ!」「あいつらゆっくりしねばいいのにね!!」 などと勝手なことを言い残して去っていく野性のゆっくり。 「ここはまりさたちのゆっくりしないプレイスだよ!!いそいでいってね!!」 「あなたはゆっくりできるひと?だったらでていってね!!ゆっくりしないならここにいてもいいよ!!」 「いそいでいこうね!!ゆっくりしたらぜったいにだめだよ!!」 もはやゆっくりしたものを目にすると安心できない。ゆっくりしたものを聞くと不安感に苛まれる。 この一家は、病的なまでに“ゆっくり”を嫌い、恐れている。 これが、僕の努力の成果。 一ヶ月間強制的にゆっくりさせられたゆっくり一家は、もう二度とゆっくりしようとしないだろう。 「ゆっくりしたくない!!」 ゆっくりに有るまじき発言。 僕はそれを聞いて、性的絶頂に近い何かを感じた。 (終) あとがき あまり深く考えてないです。ただありすをすっきりできなくさせてやりたかったから… 作:避妊ありすの人 このSSに感想を付ける