約 3,642,971 件
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/870.html
ある日突如現れた生きる饅頭、ゆっくり。 そのふてぶてしい顔と、妙に耳に残るフレーズ「ゆっくりしていってね!!!」は瞬く間に人々を虜にした。 巷にはゆっくり関連グッズがあふれ、ペットショップにはゆっくりが何十匹も入荷された。 とある市では、人気取りのためか知らないが、ゆっくり霊夢に住民票が与えられたとか。 2008年の流行語大賞は「ゆっくりしていってね!!!」だった。 さらに今年の漢字は「首」。 世は正にゆっくり一色。 そして2009年春先。 俺は近所の公園にボランティアをしに来ていた。 「じゃあ、始めましょうか」 「ゆっくり達のタメですからねえ。つらいですけどがんばりましょう」 「あの可愛い子達を不幸な目にあわせたくないざます」 そこには、数十人の人間が集まっていた。 俺以外の全員が、ゆっくり愛護のグループに属している。 このグループは野良ゆっくりの保護、エサ管理やら個体数調査などをしている。 ちなみに俺は虐待派だ。 バレないようにこっそり参加表明をしてる。 「ゆー!ゆっくりしていってね!」 「ゆっきゅり!!」 「すごくゆっくりしてるよ!!」 俺たちの声に気がついたのか、何十匹ものゆっくりが公園の茂みから姿を現した。 どれも泥にまみれて薄汚い。 髪の毛はゴミや葉がからみつき、近づくと少し臭い。 どう見ても野良ゆっくりだ。 「お、可愛いのがきたぞー!」 「みんな、今日もいっしょにゆっくりしようね!」 この公園は野良ゆっくりにエサを与えている場所だった。 ボランティアの人間は、ゆっくりできる人間と認識されているのですぐに寄って来た。 「ゆゆー!きょうもおばさんといっしょにゆっくりできるんだね!」 「れいむうれしいよ!ゆっくりしていってね!!!」 「まりしゃもいっちょにゆっきゅり!」 ピョンピョコと、ゆっくり達は各自、お気に入りのボランティアの人に跳ね寄っていく。 俺はエサやりには参加していなかったので、1匹も寄ってこなかった。 「この子たちをお願いするね」 そう言って、このグループのリーダーのが俺に、10匹のゆっくり達を渡そうとしてきた。 リーダーの周りには30匹近くのゆっくりがいる。 「ゆゅー?このひとはゆっくりできるひと?」 「まりしゃ、おじちゃんとゆっきゅりちたいよ!」 「ありすはとかいはなおじさんとゆっくりしたいわ」 見たことのない俺に、そいつらは戸惑っているようだった。 リーダーも少し困っている。 「んー、このお兄さんもゆっくりできる人なんだけどなあ・・・」 「ゆゆ、じゃあまりさがおにいさんとゆっくりしてあげるよ!ゆっくりしていってね!!」 「まりさがそういうなら、れいむもゆっくりしてあげるね!!」 ぴょんっと俺のほうに2匹が寄る。 「ああ、じゃあその子達を頼むよ」 「はい」 寄って来た2匹を、俺は優しく持ち上げる。 右手にれいむ、左手にまりさ。 「ゆゆ!おそらをとんでるみたいだよまりさ!」 「すごくゆっくりしてるね、れいむ!」 なんだかすりすりをしたがっているようだったので、2匹を近づけてみた。 「ゆゆーん!すりすりぃ~」 「ゆふぅー!れいむのほっぺすりすりだよぉ~」 顔を真っ赤にしながら、2匹は頬をこすった。 どうやらこの2匹、恋仲のようだ。 成体ゆっくりまであと少しといったところ。 これはいいタイミングであった。 「よーし、じゃあゆっくりプレイスにいくぞ」 俺の胸の前ですりすりしあう2匹は、元気に返事をしてくれた。 「はーい、ああ今は順番待ちしなくていいよ。ちょうどいいトコに来たね」 公園の一角に設置されたテント。 周りから見えないよう、周囲を囲まれている。 「ゆ!ゆっくりさせてくれるおねーさん!ゆっくりしていってね!!」 「ゆゆ!ゆっくりしていってね!!」 白衣を着た女性を見た2匹は、嬉しそうに飛び跳ねて地面に降りた。 この女性はゆっくり医なので、お世話になったことがあるのかもしれない。 俺は2匹をつまみ、近くに置いてあった大きなカゴに2匹を入れた。 「ゆ?」 かなり広いので、窮屈感はない。 そして俺はれいむだけを手に取った。 「ゆゆ?まりさもいっしょにゆっくりしてね?」 「はい、これ」 そう言って女性が渡してきたのは、お好み焼きをひっくり返すヘラのようなもの。 違う点があるとすれば温度だろう。 金属的な色はどこへやら、真っ赤になって水をたらせば一瞬で水蒸気に変えてしまうほどに赤い。 赤いというより、黄色い・・・白い。 それが近づくだけで、気温が上昇する。 「ゆゆ。とってもあついよ。おにいさん、それはゆっくりできないからとおくにすててね!」 「本当、こりゃ熱いわ」 俺はクルリとれいむを回転させ、右頬をさらしだすようにヘッドロックをかけた。 「ゆゆ!?」 「れいむちゃんゴメンね!ゆっくり我慢してね」 すかさず女性は俺に高温ヘラを手渡す。 「れいむになにをするの!?ゆっくりやめてね!!」 その様子を見ていたまりさが、不安げな声を上げた。 俺はまりさに見せつけるようにゆっくりと、ヘラをれいむの右頬に押しつけた。 「ゆ゙っぎゅぅぅゔぁああ゙あっぁあ゙あ゙ぁああ゙っ!!!!!?!?!?」 鼓膜を突き破るほど大きなれいむの悲鳴。 ジリジリと焼かれるれいむのやわらかい頬。 「あ゙ぁぁっああ゙ぁああっ!!!?い゙だいい゙ぃぃぃぃぃいいいいっ!!!!あぢゅいいぃぃ!?!?!?」 「れい゙ぶぶぶうぅぅっぅうっ!!!!れ゙い゙ぶうぅぅぅぅぅうっ!!!!!」 カゴの中、何もできない最愛のパートナーが泣き叫んでいる。 俺はぐりぐりとヘラを押しこんだ。 テントに頬の焦げるにおいが立ち込める。甘い、におい。 「きぃっぃっぃぃぃい゙っ!!!!!あ゙っああ゙あっありざあぁあ゙ああ゙っ!!!だぢゅげでっぇえ゙ぇぇっいだいい゙い゙いぃぃぃ!!!!い゙だいのぉぉぉおっ!!!!」 「げい゙ぶぅぅぅぅぅっ!!!!や゙め゙であげでえぇえええ!!!れいむがあ゙あぁっ!!!れ゙いむがいだがっでる゙のおぉぉおっ!!!」 びくんびくんと痙攣を始めるれいむ。 ヘッドロックをかけている手に、ねっとりとした気持ち悪い汁が垂れてくる。 ネトネトとした粘着性のある液体。実に不快だ。 「ゆっぎゅるぃぃぃいっ!!!ゆっぐりやめでねえ!!!ゆっぐりやべでえええええ!!!ゆっぐりやべでええぇええっえええぇええ!!!!!」 「れいむぅぅ!!げいむぅぅっ!!!!!べいぶぅぅうぅぅっ!!!!!」 汚かった髪が抜け落ちる。 ばさりばさりと、不思議なほど綺麗に抜け落ちる。 「ゆぅぅぅああああああっ!!?!?れ゙いむ゙のぎれいながみがぁああああっ!?!!」 その声を上げたのはまりさだった。 既にれいむは意識の外。思考だけはゆっくりプレイスに旅立っていた。 そのまま、2分ほどれいむの右頬を焼いた。 ぐったりとしたれいむを、俺はいったん地面に置いた。 脇がネチョネチョとして気持ち悪い。 「どぼじでぇええっ!!?ま、まりざのれいむをぉぉぉっ!!?」 狂ったように声をあげるまりさ。 女性はすでにテントにいない。 れいむの声に耐えられなかったのだ。 愛護派の人間には辛いのだろう。 俺はヘラが冷めてしまわないよう、急いで次の作業に入ることにした。 次はれいむの左頬を焼く作業だ。 「ほい、れいむ終了っと」 れいむは気絶していたので、思いのほか簡単に作業は済んだ。 左右の頬は、見るも無残に真っ黒に焦げていた。 ボロボロと大粒の涙をこぼしていたまりさを俺は手に取る。 なんとか逃げようと体をゆすったが、人間相手では何の意味も無い。 「どぼじでぇっ!!!まりざだぢなにもわるいごどじでないのにいぃぃ!!!!」 話など、聞くだけ無駄だ。 俺はさっそくヘラを押し付けた。 「ゆぎぎいぃっぃぃぃぃっ!!!いだいぃぃい!!!!いだいょおおっぉおぉ!!!ゆっぐりできないよぉぉお!!!!だずげでえぇええっ!!!」 れいむ同様、不気味な汁を撒き散らしながらまりさは暴れる。 「きぃぃぃっ!!!!!!れいむぅぅう!!!れいむだずげでえぇええっ!!いだいよぉぉお!!!!ゆっぐりざぜでええええ!!!!」 すでに気絶しているれいむに助けを求めるとはなんとも笑える。 情けないゆっくりだ。 そして、まりさも焼き終えた。 両頬がコゲだらけだ。 「ゆぅう・・・・ま、まりざのぉお・・・」 まりさは最後まで気を失うことはなかった。 それゆえに、地獄の苦しみを受けることになったのだが。 「ご、ごれじゃもう・・・ごれじゃ・・・ゆぅうううう・・・!」 泣き崩れるまりさ。 その後も、まりさの独り言は続いた。 なんでも昨日、このまりさはれいむにプロポーズのようなものをしたらしい。 ゆっくりしていってね!と勇気を出して告げたのだという。 普段のセリフと何が違うのかサッパリわからんが、コイツらにはそういう微妙なニュアンスでわかるのだろう。 れいむはそれを承諾してくれたらしい。 今日、ボランティアの人たちに、そのことを報告するつもりだったらしい。 幼馴染で、ずっと友達だったれいむ。 きっとみんな喜んでくれる、そう思い描いていたのだ。 そしてすっきりをして、可愛くてゆっくりした赤ちゃんを作ろうと。 だが、それはもうかなう事はなくなった。 2匹は頬が完全にコゲてしまった。 頬をこすりあわせることが交尾であるゆっくりにとって、これは去勢を意味する。 もうすっきりをすることも、赤ちゃんを作ることもできない。 これが今回の活動内容だ。 野良ゆっくりが増えすぎないよう、個体数を管理するボランティア。 赤ゆっくりや、子ゆっくりのうちに去勢手術を行うとショック死する可能性が高い。 よって、これは成体一歩手前になったあたりで行われる。 恋心芽生え始める青春時代のゆっくりにとっては地獄もいいところであった。 だが、そのおかげでこの地域では野良ゆっくりへの苦情が他の地域に比べて段違いに少なかった。 「これで、仕上げだ」 俺は用意された小麦粉をといた汁を、れいむのコゲまみれの頬にたらし、さらに上から小麦粉をたっぷりと降りかけた。 これで表面上は、普通の頬に見える。 内部は丸こげなことに代わりは無いが、コゲだらけが出歩いていると景観がよろしくないのだ。 抵抗を続けるまりさを一度殴り、汁と粉を振りかけた。 今日の仕事も楽しかった。 俺は2匹を休憩テントに送り、別の固体を受け取りに広場へ向かった。 まりさは休憩テントで目を覚ました。 男に殴られ、気を失っていたのだ。 「ゆゅ・・・」 夢ではない。 愛するれいむともども頬を焼き付けられてしまったのだ。 「まりさ・・・」 れいむも目を覚ましていた。 目には一筋の涙が。 ハゲ饅頭となったれいむであったが、まりさは気にせず跳ね寄った。 「れいむ・・・まりさは、れいむとゆっくりするよ・・・!」 それは、変わらぬ愛を誓う言葉。 れいむは大粒の涙をこぼして、大きくうなずいた。 「ゆゆ・・・まりさ!ゆっぐり・・・ゆっぐりじようねっ・・・!」 そして、れいむはまりさに頬を寄せた。 愛情を確かめるために。 そこにいる最愛のパートナーの存在を確かめるために。 「ゆっくり・・・すりすりしようね・・・!」 かつての柔らかい感触は、もうそこになかった。 おわり。 作:ユユー このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/4391.html
「滑車に吊るして落としてグサッ」 いろいろあって、部屋にゆっくり一家がいます。 「じゃあ、まりさが殺されるのと、この赤ちゃんを食べるのと、どっちがいい?」 「ゆっ!?おとーしゃん!ゆっくりしようね!いっしょにゆっくりしようね!」 「まりさがあかちゃんをたべるわけがないでしょ!おにーさんはバカだね!」 「じゃあまりさは死ぬの?ねえ死ぬの?」 「まりさはしなないよ!もうよるだからおうちにかえるよ!」 (いや、部屋は暗いけど、まだ昼ですよ・・・。ちなみに平日です。) 「帰るのか。ばいばーい(^^)ノ~~」 まりさはドアへと跳ねていったが、もちろん閉まっている。 それに気づいたまりさは、ぴょこぴょこと跳ねながら言った。 「かえるんだよ!はやくあけてね! あ、それから しゃざい と ばいしょう をようきゅうするよ!」 お前中身キムチだろwww ということでスカッと割ってみたが、普通の餡子だった。 考えてみたらキムチゆっくりなんているのかな?今度書いてみよう。 一瞬の出来事に凍る家族たち。そこでまりさの餡子を丸めて投げつけてみた。 「あまあましゃーん!ゆっくりたべるよー!」 おお、元気になった。やっぱり家族は笑顔でなくちゃ。ちなみに親れいむは、 まりさをスカッとやったあたりからフリーズしてる。 とっとと食べておかわりを求めに来た赤ちゃんが親まりさを見て騒ぎ出したのを皮切りに、 つかの間の団らんが音を立てて崩れる。 「おとーしゃんんんんんんん!」「ままーこわいよー」「ゆっぐりじでよぉおお!!」 騒がしいのを無視して一匹の赤ちゃんれいむを紐で吊るす。天井には滑車があり、 そこに紐をかけて、他端は手で持つ。下には害獣対策用の針つきマットが敷いてある。 ゆっくりなら落ちて刺さっても、即死はしないで泣きながら死ぬ。 「わーい!おそらとんでるよー!」 紐を引っ張ると赤ちゃんは喜びだした。吊るされてぶらぶらしてるだけなのに。 「おにーさん!まりしゃにもやってね!まりしゃもおそらとびたいよー」 「はいはい。後でみんなにもやってあげるから。絶対に。」 フリーズしていた親れいむを起こす。親まりさを見て再び卒倒するといけないので、 とりあえずまりさはトイレに流しておいた。 「ゆっ?まりさ?あれ?……おにーさん、まりさはどこ?」 (忘れてやがる。まぁ好都合だけど。) 「え、あぁ、先に帰ったよ。それよりこれこれ、これ見てよ。」 そう言って、紐に吊るした赤ちゃんの事、手を離したらどうなるかなどを説明した。 ちなみに理解させるまでに赤ちゃんが2匹、串刺しになった。 「そんなことより、れいむさん、お口をあけてください。」 「あぁーん」 泣いてる親れいむに紐の反対側を噛ませる。3匹目の赤ちゃんの命綱だ。 「わかってると思うけどもし口を開けたら、この赤ちゃんが死んじゃうからね。」 親れいむは、「しまった!」とでも言わんばかりに目を剥いた。 吊るされた赤ちゃんれいむも体を揺らしながら騒ぐ。 「あかーさん、はなさないでね!」 「ん・・・うぅぅんんんん!」 親れいむは喋れない。さあ、虐待開始。 「え?何て言ってるの? あ、わかった! ゆっくりしていってね! でしょ?」 この言葉に赤ちゃんたちの本能も応える。隠れてる赤ちゃんも、吊るされてる赤ちゃんも。 「「「ゆっくりしていってね!」」」 「赤ちゃんたち元気がいいねぇ。じゃあもっと大きな声で。ゆっくりしていってね!!」 「「「ゆ っ く り し て い っ て ね !」」」 そしてとうとう親れいむは耐え切れなくなり、ゆっくりコールを返してしまった。 「ゆっくりしていっ・・・・あがぢゃぁあああああんん!!!!」 「ゆぎゃぁぁああ!……………ゆぐっ…ゆぐっ…ゆぐっ…」 親れいむは青ざめた顔で助けに行きたそうにしながらも、近づけない。そうしている間に、 部屋の角へ逃げていた他の赤ちゃんれいむを結わく。 「おにーしゃん、やめてね!まりしゃはままといっしょにかえるよ!」 「その前にちょっと飛んでいけよ、な?姉妹と同じようにね」 そういって下を見せたら餡を垂らして気絶してしまった。 「おかあさん、お口をあけてください。」 今度は頑として開けようとしなかった。 ちなみに3匹の串刺し赤ちゃんはまだピクピク動いている。 赤ちゃんと紐を交互に見ながらも口をへの字に曲げているので、 鼻の下に餡子を塗ってみる。鼻なんて描かれてないけど。 親れいむの目がゆっくりと鼻(だから描かれてないけど)のあたりに動く。 そして餡子を舐めようと口を開けた瞬間、丸めて結わいて玉にした紐を押し込む。 さて、俺のターン。 親れいむの顔に紙を丸めて作ったメガホンを押し当てて叫ぶ。 「ゆ っ く り し て い っ て ね !!!!」 「ゆ っ く り し て い っ て ね !!!!」 「ゆ っ く り し て い っ て ね !!!!」 「ゆ っ く り し て い っ て ね !!!!」 「ゆ っ く り し て い っ て ね !!!!」 しかしれいむは涙を浮かべてこっちを見ているだけだ。 まあ、同じ手に引っかかられてもつまらないのだけど。 ということで、はさみの先をライターであぶってみる。 野生のゆっくりはそもそも、火や、危険な熱さなどを知らないだろう。 自然にはそんなものないし。 十分にあぶった所で、熱いはさみを頬に押し当てる。 ゆっくりの頬はいろいろな意味で敏感だ。 「!!!!!!!!!!!!!!!!!」 うなるだけで口を開けることはなかった。まあそうこなくちゃ。 はさみを離すと、頬がこげていた。はさみの形に黒く焦げて、パリパリしている。 反対側もはさみの形に焦がしてみたが、目をカッと見開いて唸るだけであまり反応がない。 ということで爪楊枝を刺してみようか。 これもやはり頬に。プスッと音を立てて刺さった瞬間、ものすごい勢いでれいむが飛び跳ねた。 「ゆぎゃぁあああぁあああ!!!」 口も開けちゃってるし。 そうして落ちた赤ちゃんは、吊るされた段階で気絶していたので、まあ不幸中の幸いか。 こっちとしては全くつまらないけど。例によって針を体に貫通させて餡子を漏らしている。 ラスト1匹、ゆっくり済ませよう。あれ、最後の1匹はどこへ行った? 「赤ちゃん、出ておいで! ゆ っ く り し て い っ て ね !」 しかし親れいむが妨害する。 「このにんげんは、ゆっくりできないひとだよ!あかちゃんはゆっくりかくれてね!」 (いや、ドアは閉まってるから外へは逃げられませんけどね。というか邪魔すんな。) 「よし、じゃあ、もう帰っていいよ。それとお土産に、このあまあまさんをどうぞ。」 すると棚の下から赤ちゃんれいむが、ゆっくり出てきた。 「ほん…ちょに…?」 「いいえ、嘘です。」 (なんか子どもでも引っかからないような嘘で釣るのって恥ずかしいな。) 赤れいむを吊るす。問題はどうやって咥えさせるかだけど。 無理に口を開かせるのはちょっと怖い。大きな亀とかと違って、 指を食いちぎられるような事は無いだろうけど、痛いには痛いだろう。 ということでこれまた低レベルな作戦に出る。 紐の端の玉に、落ちた赤ちゃんの餡子をたっぷりと塗り、親れいむの目の前にぶら下げる。 またも食いついてくれた。食べる事とゆっくりする事しか頭に無いんだよね、ゆっくりって。 「れいむのあまあまさーん!」 「れいむさん、それ、紐がついてますよ。口開けたら赤ちゃん落ちちゃいますよ。」 親れいむはそのとき初めて紐に気づいて、目で紐を辿っていき、 赤れいむと目を合わせた。どっちも泣いている。 「おきゃあしゃんたしゅけてー!!」 赤れいむは顔をグチャグチャにして泣きながらもぶらぶら暴れていて、 親れいむは謝るかのような、それでいて少し笑っているような顔をしている。 なんかもう幕を下ろしてもてもよさそうな雰囲気になってるけど、そうは問屋が卸さない。 この日のために用意したA4のコピー用紙を2枚重ねて持つ。何をされるか分からないれいむは、ものすごく怯えている。 紙を目の下辺りに近づけて・・・・・ さらー(紙を顔にさらーってやる効果音) (おっと、切れてなーい。二発目) さらーーー 今度は切れた。浅いけど長く切れた。 口を開けられない親れいむはビクッとして、顔をプルプルとさせ、涙を浮かべて耐える。 さらー × 50 頬を切りつくし、唇やおでこにもやった。 涙で顔がふやけているが、それでも口を開けようとしない。 仕方なく、自分でもあまりやりたくない手段に出ることにした。 さらーーーー 目にやった。見てるだけでも痛い。でもそれ以上に気持ちいい。 片手で目を強引に開き、片手でさらーっとやる。そして紙の角で目を突っつく。 切れた部分はよく見えないけど、白目の部分から液状の餡子がにじみ出てきた。 「ゆびゃぁぁああああああぁぁああ!!!!!!!!!!!おめめさんやべてぇえええええ!」 もちろん、その直後に赤ちゃんれいむは落ちたが、そんなこと、 親れいむにとっても俺にとってもどうでもよくなってしまった。 親れいむは痛みで頭が真っ白になってしまったし、俺は飽きてしまった。 今、その親れいむは、記念に天井から吊るしてある。主に灰皿として。 また侵入してこないかなぁ。 # 改行適当でごめんね。あと、俺はホントは、引き裂くような虐待が好き。 このSSに感想をつける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/3114.html
一応現代設定です。 激しい虐待描写はありません。 『ゆっくりだまし』 突然だが、僕には昔からとある悪癖がある。それは「猫だまし」。 相手の顔の前で両手をパーンと叩き合わせて怯ませるのが主旨のあれだ。 僕は人と話したりしていると、ついついその相手に猫だましをやってしまうのだ。 別に驚く顔が見たいとかそういう訳でもなく、ふと理由も無しに誰彼構わず標的にしてしまう。 勿論、見知らぬ人とか目上の人にはやらない。小さい頃は学校の先生にやって怒られたけど。 でも知り合って間もない友人なんかにはやってしまうので、みんな嫌がって僕から離れていく。当然だが。 そんなこんなで、友達は少ないし家族も冷たい。猫だまし一つで社会不適合者まっしぐらだ。 こんな癖は直さないといけないと常々思ってはいるが、人の顔を見るとどうもムズムズして仕方がない。 一度にまとめてやってしまえば、その後しばらくは我慢出来るのだが。 「つまりさ、せめて思うさま猫だましさせてくれる人が傍にいればなぁ」 「ゆっくりにでもやってろ!」 数少ない友人が僕に良いアドバイスをくれた。 多分嫌味で言ったんだろうけど、僕にとって優れた助言であることは確かだ。 ゆっくりなら人の顔に……まあ見えなくもない。若干デフォルメされてはいるが……。 ということで僕はゆっくりショップに赴き、一匹の安物ゆっくりれいむを購入したのだった。代金500円也。 購入時、れいむは箱に詰められながら「これでゆっくりできるよ!!」と大喜びだった。どんな暮らしをしてたんだろう。 「ゆっくりしていってね!!」 アパートの部屋に帰って箱から出してやるなり、舌足らずにそう叫ぶれいむ。 サイズはソフトボールより一回り大きい程度か。道に転がっていたら踏みつけてしまいそうだ。 近くで向き合ってみると相当不気味だが、慣れるとカワイイらしい。 「していってね、ってなあ。それは自分の家に来たお客さんに言うことだろ」 「ゆ・・・?ここはれいむのおうちだよ!!」 「違うよ、ここは僕の家……いや、これからはお前の家でもあるのか」 「そうだよ!ゆっくりしていってね!!」 「はいはい、れいむもゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしていってね!・・・ゆゆ゛! ごごはれいむのおうぢなの!!なんでおにいざんがゆっぐりじでいっでねっていうの゛!!」 想像以上にめんどくせー奴だな……。 まあ良いや。店員さんによると「結構、適当に飼ってても大丈夫ッスよ」とのこと。 でもペットショップの店員さんって、他のデリケートな小動物なんかの飼育にも詳しいんだよな。 そんな人が言う「適当」の基準がいまいち解らない。 まあゆっくりだったら死にそうになったら自分から言うだろう。適当に扱わせてもらおう。 「れいむおなかすいてきたよ!」 「じゃあ何か持ってこようか」 「ゆっ!ゆっくりごはんもってきてね!!」 自分の家だと言っておきながら、何だこの「精々もてなしてもらおう」って態度は…… ん? 「おなかすいてきたよ」は独り言か。そういえば僕も「腹減った~」って言うもんな。 しまった、じゃあ無視すべきだったんだ。僕を独り言に応じて動く奴隷だと認識してしまうぞ。 とは言え、今は期待の視線を送るれいむを放っておくわけにもいくまい。 パン!! 「ゆ゛ゆ゛!!??」 あ、つい猫だまししちゃった。人の顔っぽいものを見てるとねー。銅像とかにもやっちゃうし。 れいむは驚きに目を見開いて固まっている。その顔は意外とカワイイ。これなら愛せるかもしれない。 「おにいさんなにするの!!びっくりさせないでね!!ぷんぷん!!」 今度は頬を膨らませて怒っている。これはあんまりかわいくないな。 僕は生ゴミ入れから綺麗に剥いたリンゴの皮を二枚拾い上げると、お皿に盛ってれいむの前に出した。 ついでに量とバランスを考えて、トマトのヘタとかジャガイモの芽も出してあげたよ。 ジャガイモの芽は毒があるので大丈夫かなと思ったが、その辺は適当にしといた。 「ゆゆっ!ごちそうだね!ゆっくりたべるよ!」 この生ゴミがご馳走か……ペットショップでは何食わされてたんだろう? きっと好き嫌いしないゆっくりに育てる為のお店側の配慮に満ちた滋養食だったんだろうな。 れいむはお皿に顔を突っ込む。つまり全身を突っ込む。犬食いってレベルじゃねーぞ! 渦状のリンゴの皮をツルツルと蕎麦を啜るように口に入れていき、他のゴミも口に含むと、 「むーしゃ、むーしゃ、しあわせー♪」 と歌いながら食べ終え、目を潤ませつつ満面の笑みを浮かべた。実に簡単な食事だ。 リンゴの皮はもう一枚ある。それをツルツルと口に収めると、「むーしゃ、むーしゃ」と言い出す。 バーン!! 「しあゆ゛ぐっ!!!!」 歌の途中でびっくりさせられ、息が詰まったようになるれいむ。相当フラストレーション溜まったろうな。 相当気に障ったのか、ぷるぷると震えて目に涙を浮かべている。 うーん、良いリアクションするなあ。人間相手にはそこまで反応に期待してなかったけど、これはやる気出るわ。 ところでジャガイモの毒は大丈夫だったみたいだ。生野菜を食べるゆっくりもいるというし、効かない毒もあるのかも知れない。 さて、ごはんを食べたら次は何だろうか。まだまだ元気そうだし、遊びの時間かな。 遊びと言っても、一体何をして遊ぶのだろうか。どうすると楽しいのだろうか。つーかこいつらに人生の楽しみなんかあるのか? 疑問は尽きないが、とりあえず何かを与えてみよう。 人間の子供は、人の形をした人形で遊ぶ。そんな単純な思いつきから、ゆっくりのように丸いスーパーボールを与えてみた。 目の前にコロコロと転がしてみる。 「ゆ?ゆっくりまってね!」 れいむはぴょんぴょん跳ねて追いかける。顔がぐにゃりとしなる様子はなかなか怖い。 ま、何事も慣れだよ。慣れ。 やがて勢いを失ったボールに追いついたれいむは、ボールを口に含んだ。 「むーしゃ、むー・・・な゛にごれ゛!!」 まだごはんの時間だと思ってたらしい。 新しい食べ物と勘違いしたようだ。ちゃんと言うべきだったな。 「ごはんの時間はもうおしまいだよ。それはれいむのために持ってきたおもちゃだよ」 「ぷんぷん!もっとはやくいってね!!」 シパーン!! 「ぷひゅっ!?」 怒った顔に少しムカついたので、猫だまししてみた。驚きで唇が緩み、頬に溜められていた空気がプシュっと抜ける。 そのマヌケな顔に、僕もぷっと吹き出してしまった。 そのまま手を合わせてゴメンネと言い、猫だましがさも謝る為の動作だったみたいな感じにしとく。 「じゃあ、しばらくそれで遊んでいてね」 もう一度怒る隙を与えず、僕はその場から離れる。れいむは目を白黒させていた。 何かスーパーボールが喉に詰まったみたいになっていたが、ゆっくりに喉なんか無いしその内吐き出すだろう。 「ゆっゆっ!たまさん、ゆっくりしてね!ころころー♪」 本を片手に、隣の部屋かられいむを見守る。言いつけ通りにスーパーボールで遊んでいる。 口から慌てて吐き出したボールが壁にポーンと跳ね返るのを見て、遊び方を思いついたみたいだ。 上に覆いかぶさってコロコロと転がしたり、体のしなりを利用してボールを弾き飛ばし、壁に跳ね返させたり。 なかなか楽しそうに笑っている。ゆっくりの生活ってイメージ湧かなかったけど、皆こんな感じなのかなあ。 壁に跳ね返ったボールが僕のいる部屋に転がってくる。それを追いかけて来たれいむが、ふとこちらを見上げた。 僕が読書しながらつまんでいた麦チョコに気付いたらしい。目ざとい奴め。 「ゆっ!おかし!!おにいさん、れいむにもゆっくりちょうだいね!!」 「しょうがないなあ」 お菓子が美味しいという知識はどこから仕入れたのだろうか。 まあこいつら自身がお菓子なんだから、同じお菓子には多少詳しくても不思議は無い……よね。 小皿に麦チョコを盛り分け、れいむの方に持っていってやる。 「ゆっゆっ♪はやくちょうだいね!!」 「ゆっくりなのか早くなのかどっちだよ……やれやれ」 そしてれいむの目の前に皿を降ろす。 と同時にシュパーン!! 「ゆひっ!!」 猫だましである。お菓子によだれを垂らしていた顔が、急激に緊張に引き攣る。面白っ! れいむは怒っているのか、申し訳程度に目が吊りあがっている。頬を膨らませるのも忘れて口汚く怒鳴り始めた。 「なにずるの!!びっぐりざぜないでっていっでるでしょ!!ばかなの!?じぬの!?」 「あれ? お菓子いらないの?」 「ゆ!?ゆっくりたべるよ!!」 目の前に置かれた麦チョコの山に気付くれいむ。 お菓子に釘付けで、もう僕の事なんか眼中に無いみたいだ。一口頬張り、「しあわしぇー!」と叫ぶ。 もう怒っていたことは忘れたらしい。さすがに適当な性格をしている。 夜になり、晩御飯の時間が訪れる。 小さい身体にお菓子を詰め込んだので、れいむはもうお腹いっぱいだろうと思ったが別にそんなことなかった。 あれからずっと遊んでいたから、全部エネルギーとして消費しきったのかも知れない。 れいむをテーブルの上に乗せてやり、米やおかずを平たい皿に盛る。ご飯は向き合って食べないとね。 れいむは「ごはん」と聞いた時から嬉しそうに跳ね回っており、今もご馳走を目の前にウズウズと体を揺すっている。 「それじゃ、いただきまーす」 「ゆっ?いただきまーすってなあに?」 「ご飯を食べる時には挨拶するんだよ。ご飯を作った人と、材料になった生き物に対してね」 「ゆゆっ!ゆっくりりかいしたよ!ごはんさん、れいむにゆっくりたべられてね!!」 「アホウが。命令ばっかりしてないで少しは恭しくしなさい」 「ゆ゛ぎゅうううううぅぅぅ」 しゃもじでれいむの頭を押さえつける。あ、ちょっと口から餡子漏れて来た。きったね。カエルの胃袋みたい。 再三に渡って言い聞かせた末、れいむは「いただきます」をちゃんと言うことが出来た。 躾はこうやってやればいいんだね。少しゆっくりの扱い方が解って来た気がする。 ちなみに会食中は猫だましはしない事にしている。何故って? 自分がやられた時の事を想像してごらんなさい。 今日はオムライスを作ってみた。れいむの分は僕のものの半分程度のボリュームで、大皿の中央にこじんまりと盛ってある。 昼の食事で、どうもゆっくりには食べ物を散らかす癖があるらしいことが解った。それを考慮しての対策である。 れいむは皿に飛び乗り、ぷるんと震える半熟焼き玉子の一部分を啜るように食べた。 「むーしゃ、むーしゃ・・・・し、ししししししあわしぇ~~~~!!!」 「お、おお……そんなに美味しいか?」 「しゅっごくおいちいよ!!すごくゆっくりしたごはんだよぉ~~~~!!!」 滂沱の感涙である。れいむが乗り上げたお皿の上に水溜りが出来ていく。ゆっくりの体液だから砂糖水か何かだろうか。 若干オーバーリアクションの気があるが、自分の作った料理でこれ程喜んで貰えるのは一人暮らし冥利に尽きるじゃないか。 生ゴミで喜ぶゆっくりの味覚がナンボのもんかは知らんけど、今は素直に図に乗っておこう。 「はふっはふ、むーしゃ、むーしゃ!!ししし、しあわむーしゃ!!」 「おいおい、ゆっくり食べなよ」 「む、むーしゃゆっぐり、じじしあわむーしゃ~~~~!!」 「つーかもう黙って食え!!」 「むちゃ、しあわ、ゆっ!?もうなくなっちゃったよ!!」 慌てて食った余り、皿に盛られていた分はすぐに無くなってしまった。 量の見積もりが甘かったか……とか思っていたら、当然のように僕の方のお皿に飛び込んで来た。 スプーンで咄嗟に叩き落す。 「ゆべっ!!ちょ、ちょうだいね!!ごはんゆっくりちょうだいね!!」 「やめなさい。人の分を取るのは」 「ゆっ、ゆぐ、ゆぐりごはんちょうだいね!!かわいいれいぶにだべざぜでね!!」 もう目がヤバイよこいつ……スプーンの腹でぐいぐいと押し返すが、ゆっくりらしからぬ力で抵抗して来る。 力を込めれば押し返せなくもないが、加減を間違えるとスプーンでれいむの身体を押し抜いてしまいそうだ。 それは危ないので、適当なところでスプーンを離して解放してやる。 バチューン!! 「ゆびっ!!!?」 そしてほとんど間を置かずに猫だましをお見舞いしてやった。食事のマナーを破った者にはやっても良い自分ルールなのだ。 全力でこちらに飛びかかろうとしていたれいむの足(?)の力は驚きに仰け反り、 れいむのお皿ごとテーブルから下に落下する。ちなみにれいむのお皿はプラスチックなんで落ちても割れない。 「ゆ゛ぎゃああああああぁぁぁぁぁ!!」 何かすごい悲鳴したな。それほど大きな音はしなかったんだけど。 テーブルの下を覗き込んでみると、れいむに覆いかぶさったらしい大皿がぐらぐらと揺れていた。 その下から涙目のれいむが這い出てくる。皿に溜まっていた自分の涙と、残留ケチャップを頭から被っている。 「ゆぐっ、ゆっぐ・・・れいむの・・・れいむのおりぼんがぁぁぁ・・・」 自分の頭は見えないはずだが、リボンが汚れてるのは何となく解るのだろうか。 髪飾りはゆっくりにとって大事らしいので、そういうことに敏感な奴がいてもおかしくはないのだろう。 僕はそんなれいむを一先ず無視して、ゆっくりとオムライスを食べ終えた。なかなか上出来だった。 さて、夕食を終えたら風呂に入る時間だ。汚れていたれいむも洗ってやるか。 「おーいれいむー、こっちおいでー。お風呂入るよー」 「ゆっ?おふろ?きれいきれいするよ!!」 リボンを汚してからしばらくゆっくり出来ていなかったれいむだが、お風呂と聞くとパッと笑顔になった。 ゆっくりの語彙力やら知識やらってどこから来てるのか良く解らないな。何が通じて何が通じないのか、見極めていかねば。 ともかくお風呂という概念は知っているようで、喜び勇んでこちらにピョコピョコ跳ねて来る。僕の目の前まで来たところで、 ヒュッ 「ゆっ」 寸止め猫だましである。れいむはびくりと体を強張らせ、来るべき衝撃に備えていたようだ。 そうして動きを止めたれいむをひょいと手に載せ、僕は風呂場へと向かった。 いきなり驚かせようとしたかと思えば優しくしてくる僕に、態度を決めかねたれいむは居心地悪そうに「ゆっ、ゆっ」と言っていた。 自分で言うのも何だけど、僕は猫だましに関しては完全に支離滅裂だからね。気が狂っとる。 服を脱ぎ、浴室へと入る。浴槽の蓋を開けると、室内は湯気に覆われた。 まずはれいむから洗ってやるか。 「ゆっくりあらってね!!きれいきれいしてね!!」 「はいはい、じゃあまずリボンを取ろうね」 「ゆ゛っ!!や、やべでね!!でいむのおりぼんどらないで!!」 リボンをつまんで解こうとしたら、全力でいやいやをされた。 髪飾りは大事だとは聞いていたが、これほど嫌がるとは……別に奪って燃やそうというわけじゃないのに。 「でもリボンを取らないと綺麗にできないよ」 「いやだよ!!おりぼんはとっちゃだめなんだよ!!」 「ね、ちょっとの間外すだけだから」 「ゆ゛ぅぅぅぅ!!い゛やあぁぁぁぁぁ!!おりぼんどらないでねええぇぇぇ!!」 「じゃあおリボン汚いままで良いのね!」 「やああぁぁぁだああぁぁぁぁぁぁ!!ゆっぐりでぎないの゛ぉぉぉぉぉ!!」 「れいむのバカ! もう知らない!!」 「ゆ゛びぇぇぇぇぇぇん!!おにーじゃんのばがあぁぁぁぁぁぁぁ!!」 一通りトトロごっこを満喫した後、リボンを黙ってひょいと取り上げる。ついでにもみ上げの筒も。 ずっとリボンの汚れからストレスを受け続けるよりは、今少しだけ我慢して貰った方がれいむの為だ。 れいむは遊びじゃなくて本気で嫌がっていたらしく、僕の裸の尻に何度も体当たりしてきてくすぐったかった。 鬱陶しいので、湯桶に入れて湯船に浮かべておいた。お湯に落ちるのを恐れてれいむは動けない。 「ここでゆっくりしててね。リボン洗っといてあげるから」 「や、やべで!!おみずさんこわいよ!!それになんだかここはあづいよ!! おりぼんきれいきれいしなくていいからかえしてね!!ここからだじでね!!」 無視である。 その間にリボンに石鹸をつけてゴシゴシ洗ってあげた。レースがちょっとほつれたけど問題無いだろう。 数分後、湯桶の中を見てみるとれいむが茹っていた。うわー、って感じ。 お湯の温度44度だからなあ。桶の中でも熱いか。 確か小さいゆっくりって、加熱し過ぎると身体が固まって死ぬんだっけ? 意外と今、生死の境目なのかも知れない。ちょっと適当にし過ぎたか。 「ゆ・・・ゆっぐぢ・・・・おりぼん・・・・」 なんとまだリボンに執着していた。本当に大事なんだなあ、無くても死にゃしないだろうに。 このままにしておくと死なないにしても辛そうなので、リボンを付けるのは後回し。 洗面器に冷水を溜め、熱くなったれいむの身体を浸してやる。 「ひんやりー!!ぷんぷん、れいむをあついあついにしないでよね!!」 完全復活である。適当な生き物で助かった、とほっと一息。 そのまま冷水の中で転がすようにして、れいむのモチモチした柔らかな身体を洗ってやる。 「ゆっゆっ♪ひんやりすっきりー!」 れいむはくすぐったそうに目を細めている。段々かわいく思えて来たかも知れない。 洗面器かられいむを上げて、湯船の縁に置く。そして後ろを向かせてリボンを結んでやった。 「えーと、ここをこうして……よし、これで良いな」 「ゆゆっ!!おりぼんもれいむもきれいになったよ!!とってもゆっくりできるよぉ~~~!!」 「うんうん。やっぱりリボン洗って良かっただろ?」 「ゆん!!おりぼんがないとゆっくりできないけど、きれいきれいしたらすごくゆっくりだよ!!」 正面を向かせて筒を填めながら、どんな感じか見てみる。 うん……少し曲がってるかな。まあ少しだし、問題無いよね。初めてリボン結んだにしては上出来だし。 れいむは涙を流してゆっくりしている。ちょっとした事でも感動の涙を流すな。感動表現の天井が尽きるぞ。 体も綺麗になり、リボンも戻って来た。抱えていた不安が全て解消され、れいむの顔は安心に緩みきっていた。 パヂーン!! 「ゆあ゛っ」 その素晴らしいゆっくりぶりに、僕は猫だましの拍手を送った。だってゆっくりのこんな顔見たらねえ。 で、つるん、ぼちゃんである。ぶくぶくとあぶくを立てて、れいむは湯船に沈んでいった。 「いやー、良い風呂だった」 「ゆぐ・・・ぜんぜんゆっぐぢでぎながっだよ・・・もうおふろい゛やだよ・・・」 「まあまあ、そう言わないで。きれいきれい出来たでしょ」 まあ色々あってれいむを無事救出し、僕は湯船でゆっくりしたのであった。 熱湯に沈んだのがよっぽど堪えたのか、れいむはずっと辛そうな顔をしている。 少し心配になったが、ゆっくりの回復力なら明日の朝にはまた元気になっているだろう。 「ゆぅ、ゆぅ・・・れいみゅもうねりゅよ・・・」 疲労と眠気で口がうまく回っていない。重たそうな瞼がうっすら開閉している。 布団代わりにと箪笥からハンドタオルを取り出し、畳んで床に敷いてやる。 そこにれいむを載せ、更にその上からハンカチを掛けてやる。これでゆっくり眠れるだろう。 「ゆふ・・・あっちゃかいよ・・・」 「おやすみ、れいむ……」 「おやしゅみなしゃぃ・・・ゆふぅ・・・」 屈み込んで覗き込む、とても安らかなれいむの顔。誰だって眠い時にふわふわの布団に入れば、こんな表情にもなるだろう。 見ているだけでこちらまでゆっくりしてしまう、とろけるような柔らかな笑顔だ。 うっすらと開いている小さな瞼が、段々と閉じられていく。僕も眠くなってきたよ、れいむ…… バッシィーーン!! 「かひっ!!!?」 おやすみの猫だまし。つきかけていた寝息はキャンセルされ、その呼吸音を聞いただけで心臓に悪そうなことが伝わって来る。 とろとろと閉じられていた瞼はバチンと見開かれ、まだ明かりのついた部屋いっぱいを映している。 布団に入っている時に地震が起きたのを感じると急激に目が覚めちゃうけど、今のれいむはあんな感じに近いのかな。 ゆっくりにしてみれば目の前で爆音が響いてるんだから、近くに爆弾落とされたようなものだろうか。 「おやおや? あんな重そうにしてた瞼を一気に開けちゃうなんて、れいむは重量挙げ世界一だね」 「ゆっ・・・ゆぐっ・・・ゆえっ・・・」 見る見る内にれいむの目の縁に涙が溜まっていく。口は意思とは無関係にへの字に引き攣っているようで、喋りづらそうだ。 「どっ、どぼじで・・・どぼじでれいみゅをびっくりさせるのぉ・・・ゆっぐちさしぇてよぉぉ・・・」 「ゆっくりさせてるでしょ? 美味しいご飯もオモチャもあげたし、お風呂で身体を綺麗にしてあげたよ」 「でも・・・でもばちんってやられりゅよ・・・ほ、ほかのこちょはゆっぐちできちぇるのに・・・ ばちんってやられたらゆぐ、ゆっくちでぎないよ・・・」 「もう、こんなにゆっくりさせてあげてるのにまだゆっくり出来ないなんて。れいむは贅沢過ぎるよ」 嗚咽交じりに話すれいむに向かって、ヒュッ、と猫だましを寸止め。 びくりとれいむの身体が震えた。数秒置きにやってみても、その都度律儀に身体を強張らせる。寸止め遊びも楽しいなあ。 「やめっ、やめでねぇ・・・れいみゅ、れいみゅはおねむなんだよ・・・ゆっぐりねたいのぉ・・・・」 「うん、そうだね。今日は色々あって疲れたろ、ゆっくりおやすみ」 そう言って僕は立ち上がり、自分の布団へと向かう……最中に、何度かチラッとれいむに振り返ってみる。 もうそれだけでびくっ、びくっとれいむは全身を強張らせている。瞼も重いのにおちおち閉じられない。 少し離れた所に敷いておいた布団に入った後も、僕は時々頭を起こしてれいむの方を見る。 そうして視線を送るだけで瞼が押し開けられ、身体が小さく伸び上がる。 「ゆひっ・・・お、おにーしゃんもはやくすやすやしてね・・・れいみゅをねかしぇてねぇぇ・・・」 れいむはぽろぽろと涙をこぼして敷き布団代わりのタオルを濡らし、その柔らかだった表情は不安によって歪められている。 僕がれいむの方を見ていない間も、僕のことが気になって全然ゆっくり出来ていないみたいだ。かわいいやつめ。 そのまま二時間ぐらい互いに眠れない時間を過ごしたが、いつの間にかれいむは泣き疲れて眠っていた。 僕も初めてペットの世話をした疲れからか、自然と瞼が下りていった。 これで思う存分猫だましが出来る、しかもリアクションも強くて意外にやりがいがある。良い買い物をした。 そんな風に思いながら、僕は眠りに落ちていった。 翌朝。僕が目覚まし無しで目覚めると、横ではれいむがまだすやすやと眠っていた。 今日は朝から大学に行かなきゃならない。これから家族で朝ご飯にするんだから、れいむには起きてもらわないと。 「おーい、れいむさーん。朝ですよー。起きてくださーい」 「ゆぅ・・・・ゆふ・・・・・すやすや・・・・ゆぅん・・・・・」 優しく起こしてみるも、気持ち良さそうに寝息を立てている。「すやすや」って言ってるもん。はっきり。 でも朝は起きなくっちゃあならない。それが我が家のルールである。うっかり昼夜逆転とかしてみろ、酷いことになるぞ! 「れいむー、起きてねー!」 「すーや、すーや・・・・ゆん・・・・・ゆぅ・・・・」 強めに呼びかけても、まだ起きる気配は無い。 パァーン! 「ゆがひっ!!!??」 飛び起きた! ハンカチの掛け布団を払って飛び起きた。目覚ましには猫だましが一番、と。 幸せだった夢の風景でも探しているのか、辺りをきょろきょろと見回しているれいむ。 しかしそこにいるのは僕だけだ。僕の姿を認めると、れいむの表情は一気に暗くなった。失敬な。 「おはよう、れいむ。これから朝ご飯を食べるよ」 「ゆっ、ごはん・・・」 おや? 食い意地が張っているれいむなら、ごはんと聞けば飛びついて来そうなものだけど。 低血圧なのかも知れない。低餡圧かな? 何にせよ、朝ご飯はしっかり食べた方が良い。 僕から逃れようと身をよじるれいむを捕まえて、テーブルの上に載せてやる。 今日の朝ご飯はフレンチトースト。砂糖もたっぷりかかっていて、甘いもの好きのゆっくりにはたまらない一品だろう。 しかしれいむには、昨日のような飛びかかるような勢いは無い。「いただきます・・・」と呟き、 ちびちびとトーストを食んでいく。次第に「むーしゃ、むーしゃ」と幸せそうな顔になるものの、「しあわせー♪」とはやらない。 朝食を終え、持ち物の確認をしている間にれいむにはおもちゃを与えた。 しかし横目に見る限り、昨日のように溌剌と遊ぶれいむの姿は見られない。 何か怖いものに近付くように、おもちゃに身体の端を触れさせては離れる、というような行動を繰り返している。 いざ出かける段となったが、まだ少し時間に余裕がある。 僕はれいむと少し話をしてみることにした。 「れいむ、朝から元気無いけどどうしたの?」 「ゆぐっ・・・」 僕がれいむに目線を近づけようとしゃがみ込んだだけで、れいむは親にぶたれる子供のように身を屈める。 昨夜の状態がまだ続いているみたいだな。ゆっくりは忘れっぽいと聞いていたのだが。 問い質してみると、れいむは涙ながらに語り始めた。よく泣く奴だ。 「だっで・・・だっで、ゆっくりしてるとばちん、ってやれれ、やられりゅんだもん・・・・ ごはんやおかしをたべると、ばちんってやられるもん・・・おもちゃをもりゃ、もりゃうとばちんされるもん・・・ ばちんってさりぇ、さりぇたら、すごくゆっぐち、でぎなくなるんだもん・・・ゆっぐ・・・ゆえええぇぇぇぇ・・・・」 うーん、何を言ってるのか解らないぞ。でもお饅頭の言うことだし、ちょっとこっちで考えてみよう。 もしかしたら、昨日の猫だましに関する記憶が全部まずい具合に繋がっちゃってるんだろうか? お菓子をあげる時に猫だましもしたし、ご飯の時に猫だましして全身ケチャップまみれになったしな。 「ゆっくりする→猫だまし」と「猫だまし→ゆっくりできなくなる」がなぜか結び付いて、 「ゆっくりする→猫だまし→ゆっくりできなくなる」、即ち「ゆっくりするとゆっくりできなくなる」になったのか。 実際、風呂や寝る前には時はその公式通りになったので、多分それで確信へと至ったのだろう。 また湯船に落ちたトラウマが蘇るため、単純に驚かされること自体も耐えられなくなっているようだ。 「でもなあ、お前はゆっくりだろう? ゆっくりがゆっくりしてないでどうするんだ」 「なにいっでるの・・・おにいざんがばちんするからでしょおぉぉ・・・・・」 「そうか……じゃあ解った。もう猫だましはやめるよ」 「ゆ・・・?ほんとう?」 「ああ、俺もペットのゆっくりにはゆっくりしてて欲しいしね」 「ゆゆ・・・ありがちょう・・・」 バチン!!! 「ゆっひっ!!ゆがああぁあぁぁぁぁあぁぁ!!おにいざんいった!!もうばちんしないっでいっだぁぁぁぁぁ!!」 「え~、だってれいむが凄く安心した顔してたからつい……でもびっくりしてるれいむはカワイイよ」 「れいむびっくりじだぐないよぉぉぉぉぉぉ!!!どぼじでごんなごどずるのおぉぉぉぉぉ!!」 「んなこと言われてもさあ、僕は猫だましをする為に君を買ったんだよ」 「ゆ゛・・・・な、なに・・・・・?」 「猫だましするなって言うなら、れいむを飼う意味が無いわけだよ。捨てるか潰すかしちゃうよ」 「ゆ゛ゆ゛!!やべでね!!やべでね!!れいむをごろざないでね!!でいぶじにだぐないぃぃぃぃ!!」 バチン!! 「ゆびゃびゅっ!!!??」 「そんなことしないよ。せっかく猫だましが楽しくなって来たのに……今まで何となくやって来たけど、楽しいのなんて初めてなんだよ。 多分もうれいむに猫だましをしないと満足出来ないんだよ。それにれいむにご飯や寝床を上げるのも多分僕だけ。 これって素敵な共生関係だと思わない?」 「ゆぎぃ・・・ぞんなのゆっぐりできないよ・・・れいむもうびっくりしたくないよ・・・」 「びっくりするのが君の生存意義なんだって。まあ『ゆっくり』と『びっくり』で一字しか違わないし、その内慣れるでしょ。 慣れたらまた新しいゆっくりに替えると思うけど」 「ゆ゛ぐ・・・おにいざん・・・・」 バチン!! 「がひゅっ!!??」 「あ、そろそろ出かける時間だ。急がないと」 「ゆゆっ!!れ、れいむおるすばんしてるよ!!ぜったいににげないからね!!まどはあけておいていいよ!!」 「いや、学校で不意に猫だまししたくなった時に困る。もう友達とか教授相手にやるわけにはいかないからね。 君は携帯猫だまし機として持ち歩くことにしよう。ずっと一緒にゆっくりしようね!」 「やべでね!!れいむおうぢにいるの!!おにいざんとあそびにいぎだぐない!!やだよおぉぉぉぉぉ・・・」 大事なパートナーであるれいむを、購入時に入れていた小さくて丈夫な箱に収め、通学用カバンに放り込む。 れいむさえいれば、長年の性癖ともおさらば。新たな猫だましライフ……いや、ゆっくりだましライフが今始まるんだ。 朝の陽光は、僕らを祝福するように明るかった。僕は新生活への一歩を今、踏み出した。 FIN このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/495.html
昨今の幻想郷では、ゆっくりが餡子の材料、ペット、ストレス解消など様々な利用方法をされている。 そして大工の場でもゆっくりが使われていた。 家を建てる際に草木を撤去し、凸凹とした土地を平らに均す必要がある。 その時にゆっくりを使うわけだ。 まず平らにしたい土地を柵で囲っい、れみりゃ除けに網をかけてその中にゆっくりを何匹か放り込む。 逃げられないようにするためと、無必要な部分まで整地されないようにするためである。 ちなみに中にいれるのはゆっくり霊夢、それも母ゆっくりだけだ。 まりさ種を入れると何かと理由をつけてさぼったり、それが原因でゆっくり同士喧嘩しだすのでNG。 ありす種を入れると他種のゆっくりが犯されて殺されるのでNG。 ちぇん種は仕事に対して集中できないうえ目を離すと遊びだすのでNG。 みょん種などは話が通じるか分かり辛いのでNG。 そんなわけで割と素直で真面目なれいむ種が使用されるわけである。 今日もまた新たなれいむ家族が箱に詰められて現場へと連れてこられた。 箱の中からはゆっくり家族達の声が聞こえる。 「ゆっくり出してね!」 「おかーしゃん、ゆっくりできないよ!」「くらいよ!」「せまいよ!」「こわいよー!」 「うるさいなぁ。ほら着いたぞ」 大工の一人が箱を開けて中を確認する。 母ゆっくり一匹。子ゆっくり二匹に赤ちゃんゆっくり二匹。 その中から母ゆっくりだけを取り出して柵の中へと置いた。 「ゆ! ひろいよ!」 柵の中は今まで閉じ込められていた箱に比べればずっと広い。 母ゆっくりは清々しい表情をする。 「わたちたちもゆっくりだちてね!」「だしてだして!!」 子供たちの声を聞いて子供たちを思い出したのか、母ゆっくりは大工へ向かって抗議する。 「れいむのこどもたちもゆっくり出してあげてね!!」 「だめだ。お前が仕事を終わるまでこいつらは預かっておく」 「ゆ"!? なんでそんなこというの!? ゆっくりだしてね!!」 「聞けよ。仕事が終わったら放してやるって言ってんだろ」 「おじさん、なにいってるの? なかなの?? はやくこどもをだしてね!!!」 「あー、めんどうな奴らだな」 こんなやり取りを今までに何度もしてきたので大工はうんざりだという顔をする。 「仕事の説明はあそこにいる他のやつらに聞け。仕事が全部終わったら子供に会わせてやる」 同じ柵の中、向こう側で寝ているゆっくりの群れを指で示してそれだけ言うと大工は背を向けて去って行った。 「ゆっくりまってね!! こどもたちをかえしてね!!」 しかし大工は聞かず、そのまま自分の小屋へと帰った。 今晩の食事はちょうど手に入った4つの饅頭だ。 そうして残された母ゆっくりはしばらくの間、すでにいない大工や子供たちに話しかけたり、 柵に向かって体当たりしていたがどれも適わなかった。 その音に目を覚ました他の母ゆっくり達四匹が集まってきた。 「「「「ゆっくりしていってね!!」」」」 「ゆ? ゆっくりしていってね!」 他の母ゆっくり達の挨拶に母ゆっくりも挨拶を返す。 「れいむもこどもたちをもってかれたの?」 「ゆ! そうだよ! ゆっくりしないでたすけなきゃ!!」 母ゆっくりは再び柵に向かって体当たりしようとする。 「ゆっくりもんだいないよ!」 「しごとがんばればかえしてもらえるよ!!」 と、他の母ゆっくり達は言う。 「それが本当かどうかわからないよ!!」 「だいじょうぶだよ! さいしょにいたゆっくりはこどもたちかえしてもらってたよ!!」 「ゅ! しあわせそうにおそとへいってたよ!!」 それは他のゆっくりに、がんばれば子供を返してもらえると示すための大工によるヤラセのようなものだ。 ちなみにその子供を返してもらったゆっくりは他の現場へと連れていかれたが、残るゆっくり達は知る由もない。 ただ、仕事を頑張れば子供と一緒にゆっくり出来ると信じていた。 「じゃあだいじょうぶだね! しごとってなにをするの!?」 他の母ゆっくり達の言葉に安心した母ゆっくりはようやく仕事する気になったようだ。 「ゆっくりせつめいするね!!」 「しごとはここのじめんをぺったんこにするだけだよ!! たべものはここにあるくさだよ!!」 「でもくさをいっぱいたべないでね! これいがいはないからね!!」 「ゆっくりわかったよ! みんなでゆっくりがんばろうね!!」 さすがは母ゆっくり、今の説明で理解できたようだ。 母ゆっくりの群れなので食事の量の管理も問題ないだろう。 それから母ゆっくり5匹のお仕事が始まった。 昼間は小石を柵の隅へと退かしたり、口や大きな体を使って地面を平らにしていく。 また、食事と整地も兼ねて草を食べていく。 疲れたらそれぞれ自由に休んでいた。 暗くなるとゆっくりタイムだ。 といってもこの辺りは明かりになる物もないのでみんなで擦り寄って眠るだけだが。 子供たちのことが心配ではあったが、仕事が終わればまた家族でゆっくり出来る。 それに共にがんばった他のゆっくり達の家族とも一緒に遊ぼう。 最初ここに連れてこられた時は不安でしょうがなかったが、甘い未来を想像するとゆっくり出来た。 それから一週間経ったころ、大工は様子を見にきた。 最初は凸凹で草木もたくさん生えていたこの土地はしっかり整地されていた。 草一本生えず平らになっていた。 「いい感じだな。よくやったなお前たち」 「ゆっくりがんばったよ!!」 「ゆうしゅうでごめんねー」 「ゆー♪ゆー♪」 自分たちのがんばった仕事を褒められてゆっくり達は嬉しそうだ。 仕事の最後の方は食べるものも少なくなって辛かったが、労いの言葉にゆっくり達の言葉は満たされた。 「がんばったのだからご褒美をあげないとな」 「ゆ! おぼえてるよ!! はやくこどもにあわせてね!!」 「あとおなかへったからごはんもってきてね!!」 「こどもたちはゆっくりしてる? ゆっくりあいたいよ!!」 「ごほうびごほうび!! こどもとたべものちょーだいね!!!」 「こどもたちといっぱいたべたいよ!!」 ご褒美と聞くと5匹の母ゆっくり達は口を揃えて望みを言う。 「じゃあ、そこまで連れていくからこの箱に入れ」 大工はそう言うと、持ってきた5つの木箱をゆっくり達のいる地面へ置く。 「はこ? はこはいやだよ!」 「せまいからゆっくりできないよ!!」 「お前たち疲れてるじゃないか。だから箱に入れて運んでやるんだよ」 「じゃあもっと広いはこにしてよね!!」 「まっててあげるからゆっくりよういしてね!!!」 「嫌だよ阿呆饅頭。とにかく箱に入らないなら食事無しで子供にも会わせないからな」 図々しいゆっくり達もさすがに食事と子供を盾にされると贅沢言わなくなり、自分から箱へと収まった。 「ゆっくりはこんでいってね!!!」 リヤカーにゆっくりの入った木箱を5つ積むと、大工はリヤカーを引いていく。 何も見えずにただ揺らされるゆっくり達は不平不満を垂らす。 「ゆっくりできないよ! いつつくの!?」 「おそとがみたいよ!」 「ゆれがはげしいよ! ゆっくりはこんでね!!」 しかし大工にとってそれは雑音にすぎない。 無視してリヤカーを引いていく。 そして数時間後、ゆっくり達入った木箱の蓋が外されて地面へと降ろされる。 「ゆっくりできるよ!」 「ひろいよ! くさがいっぱいあるよ!!」 「ゆ? こどもたちは? どこにいるの!?」 「ゆっくりしないで会わせてね!!」 「今度はここで仕事だ。前と同じだからがんばれよ」 「ゆ”! どういうこと!! やくそくがちがうよ!!」 「ゆっくり達のしごとはもうおわったんだよ!!」 「仕事はあそこだけなんて言ってないだろう?」 「い、いやだよ!! もうしごとしないよ!!」 「そうだよ!! はやくしょくじとこどもをもってきてね!!」 「そしたらしごとすることかんがえてもいいよ!!」 「食事ならそこにいっぱい生えてるじゃないか」 大工の指差した先には確かに草木が茂っていた。前の土地よりも多いかも知れない。 「あまいのがいいよ!」 「おかしもってきてね!」 「あとこどももね!!」 「こどもは仕事が全部終わったらって約束だろ? じゃあ後はがんばれよ」 ゆっくりとの無駄な問答に付き合ってられないと大工は去って行った。 「ゆ"う"ぅ"ぅ"ぅ"ぅ"ぅ"ぅ"ぅ"!! まっでえぇぇぇぇぇ!!!」 「せめて! ひとめだけでもみせてね!!」 「ゆっくりまたないとおしごとしないからね!!!」 最後のゆっくりの言葉に反応して大工は振り返る。 「一か月後に仕事ができなかったら子供は食べるからな? しっかり仕事しとけよ?」 今度こそ大工は去っていった。 後に残されたのは柵に囲まれた広大な土地と5匹のゆっくり達だけだった。 今度の仕事場は大豪邸でも建てるのか前に比べてずっと広い。 5匹のゆっくり達は誰も何も言わず呆然と佇んでいた。 一ヶ月後に見事に仕事をやり遂げた5匹のゆっくり達はご褒美をもらえた。 苦しむことの無いよう鉈で一刀両断。これがご褒美だ。 きっと子供たちに会えるはずだ。仕事を始めた日には死んでいた子供に。 きっとあの世でね。 終 by ゆっくりしたい人 主にゆっくりれいむ家族を虐めたいだけ。虐待というか人質とって強制労働というべきか。 ある種グッドエンドっぽいけどあの世で子供に会えるか決めるのはえーき様。 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/4699.html
※虐め成分は少ないです。 ※超俺設定満載でお送りします。 ※ゆっくりが賢かったり強かったりします。 ※主人公のゆっくりの台詞を他と区別する為に、各“「」”の前に、 “@=ゆっくり・R=れいむ・A=ありす・⑨=ちるの”等の記号を付けています。 ※音を無理矢理文字表記しています。 読み難いかもしれません。 ※海より深く、山より高く、空より広い心でもってお読み下さい。 【ゆっくりぷれいすを探して… ~放浪者達~】 「ありがとうございます! おかげで無事収穫を迎えられそうです!」 「それは良かったですね。 美味しい野菜が出来るよう祈ってますよ」 依頼人は感謝の言葉を述べて帰っていった。 俺は報酬の金額を帳簿に記録し、大切に金庫にしまった。 ?「ゆっ! こんかいのしごともだいせいこうだったね!」 その言葉の主は人間ではない。 俺の相棒の“ゆっくり”だ。 「ああ、お前の働きのおかげで野良ゆっくりの群れを潰す事が出来た。 あの依頼人の畑はきっと大豊作になるな」 ?「とくせいの“ひりょう”をたっぷりとまいたしね!」 俺は、相棒に今回の仕事の首尾を聞く。 「途中で正体がばれたりしなかったか?」 ?「だいじょうぶ、この“かざり”のおかげでうまくまぎれこめたよ!」 「その飾り、奪っておいて正解だったな」 ?「ゆん! みんな、すっかり“わたし”を“れいむ”だとしんじきっていたよ!」 そう言い終わると、相棒はゆっくりと飾りを取り払う。 すると、相棒の言葉遣いも態度も雰囲気も、全てがガラッと変わった。 ?「でも、髪の毛がちょっと邪魔だったかしら?」 「まぁ、普段が“ハゲ饅頭”だからな」 ?「ちょっと! それは禁句だっていつも言ってるでしょ!!」 跳ねながら抗議する相棒、その姿は顔の付いた饅頭としか言い様が無い。 そう、俺の相棒はかなり変わったゆっくりなのだ。 ……………。 ………。 @「お兄さん、わたしを雇わない?」 そう言って、一匹のゆっくり…、 後の相棒が俺の店を訪ねて来た時、俺は夢でも見ているのかと思った。 「何だ…? ハゲ饅頭…!?」 @「ハゲ饅頭じゃないわ! ゆっくりよ! ゆっくり謝罪を要求するわ!!」 俺の目の前で飾りどころか髪の毛すらない饅頭が怒って跳ねている。 自称ゆっくりだが、饅頭との境目は顔だけと言っても良かった。 「あのな、俺は忙しいんだ。 自称ゆっくりに構っていられるほど暇じゃないんだよ」 @「知ってるわよ。 お兄さん、悪いゆっくりを退治しているんでしょ? そのお仕事を、わたしに手伝わせて欲しいんのよ」 「おいおい、ちょっと待てよ…」 突然の出来事に頭が混乱しているが、このゆっくりは俺の仕事に詳しい様だ。 こいつの言う通り、俺の仕事は害ゆっくりの駆除だ。 だが、こいつは害ゆっくりとは言え同属の駆除を手伝わせろと言っている。 餡子脳が残念なのかとも思ったが、先程からの受け答えはしっかりしている。 態度も堂々としたもので、尋常では無い雰囲気を纏っている。 「なぁ、お前自分の言っている事の意味が分かってるか?」 @「勿論よ! わたしは悪いゆっくりが許せないのよ!」 こいつは本気だ…! そう思わせる何かがあった。 「何か事情があるみたいだな? 詳しく話してみろ。 話次第だが、場合によって考えてやる」 @「ゆっくり聞いて、ゆっくり考えて、ゆっくり決めて!」 自称ゆっくりは、何故悪ゆっくりを憎むのかを話し出した。 @「お兄さん、わたしの姿を見てどう思う?」 「どう見てもハゲ饅頭だ、ゆっくりの髪を剃ったらこんな感じになるのかな?」 @「ゆぐぐ…! あんまりハゲ饅頭って言わないでね! 非常にデリカシーに欠ける言葉よ!」 「何でそんな姿になったんだ? 悪いゆっくりに毟られたのか?」 @「実はわたしは、産まれた時から髪も飾りさえも無かったんの…」 「ふーん?」 つまり、“奇形”ってやつか? 思わず口を突いて出そうになったが、さっき注意されたばかりなので何とか堪える。 @「お兄さんも知っていると思うけど、ゆっくりは飾りの無い仔を虐めるのよ。 わたしは髪さえ無いから、とても辛い生活を送っているのよ…」 「よく今まで、生きてこられたな?」 @「小さい頃は殆ど他の仔がいない場所にいたから、 虐められる事は少なくて、大事には至らなかったの」 「それで、今はどうしてるんだ? 誰にも見つからない様に常に隠れて生活しているのか?」 @「ううん。 いつまでも隠れ通す事なんて出来ないわ。 だから、わたしは自分から皆の前に出て行ったわ」 「普通に考えれば、そこで殺されて終わりなんだが?」 @「ええ、普通ならね…。 でも、わたしは普通じゃなかった…。 飾りも髪の毛も無いわたしには、生き残る為の力が備わっていたの」 そう言うと、こいつは口の中から何かを取り出した。 「何だそれ? れいむ種のリボンか?」 @「ええ、その通りよ。 これは、わたしを虐めていたれいむのリボン…」 「奪ったのか?」 @「わたしが過去に犯した忘れることの出来ない罪の証よ…。 ある日、隠れ住んでいた巣が見つかって、れいむが殴り込んで来たの。 揉み合いの争いになって、わたしは生き残る為に必死に戦ったわ。 気が付いた時には相手は冷たくなっていた…。 私は重い罪を犯したの…」 「……………」 @「どんなゆっくりにも家族はいるわ…。 例え襲われたにしても、わたしがれいむの命を奪ったのは事実…。 わたしはそのれいむの家族に謝りに行く事にした。 でも…」 そこまで言うと、こいつは悲しみを堪える様に涙ぐんだ目をぎゅっと閉じた。 @「でも、わたしは謝りに行けなかった! 怖かったのよ!!」 「……………」 @「わたしだって死にたくない! でも、罪は罪! 償わなくちゃいけない! だから、わたしは最期の夢を叶えてから、れいむの家族に会いに行こうと決めたの」 「それは…?」 @「一度でいいから、飾りを付けてみたかったの…。 争っている時に外れた飾りだから、ゆっくり出来ない臭い(所謂死臭)はしなかったわ。 でも、それを持って家族に会いに行けば、私の説明を信じてもらえる。 そのリボンを“巻いた”わたしは、確実に殺される筈だったわ…」 (髪の毛が無いので、“結べない”から“巻いた”のか…) そんな事を考えたが、空気が読めていない感じがするので言うのは止めた。 @「夜になっていたから、次の日の朝にれいむの家族の所に向かう事にしたの。 れいむのリボンを巻いたまま一晩を過ごしたわ…。 翌朝、目覚めたわたしは頭に妙な違和感を感じたけど、リボンの所為だと思ったわ。 でも、違ったの…」 「何が違ったんだ?」 @「いつもの様に他の仔の目を避けてれいむの家族に会いに行ったわ。 でも、その途中運悪く他の仔と出合ってしまったの。 わたしは咄嗟に逃げようとしたんだけど、向こうの反応がいつもと違ったの。 普通のゆっくりに会った時の様に、“ゆっくりしていってね!”と挨拶されたわ。 わたしは驚いたわ。 挨拶されるなんて今まで一度も無かった。 虐められる事無く、相手がそのまま立ち去ってしまったんですもの」 「………?」 @「理由は分からないけど、助かった事に感謝して、家族の巣に急いだわ。 わたしは死を覚悟して、巣の中に入っていった。 でも、私に掛けられた声は、やっぱり“ゆっくりしていってね!”だった。 わたしはゆっくり説明したわ、わたしがれいむを殺してしまったという事を…。 でも、返ってきた言葉は予想外のものだったの」 「どんな言葉だったんだ?」 @「“よるになってもおうちにかえってこなかったうえに、 やっとかえってきたとおもったら、じぶんはころされたなんていってるよ? なにかゆっくりできないものでもたべたの?”って…。 まるで、わたしがれいむであるかの様ににこやかに話しかけてくるの! 気味が悪くなったわたしは、つい逃げ出してしまったわ…。 走って、走って、もう足が痛くて動けなくなる位走ったわ…。 気が付いたら、わたしは池の近くにいたの。 そこで初めて真実に気が付いたわ…」 「………!」 @「水面に映っていたのは、飾りも髪の毛も無い醜い“ゆっくり”じゃなかった! 黒い髪に紅白のリボンを巻いた“れいむ”だったの!」 「な、何だって!?」 @「驚いて振向いても、誰もいない…。 それは紛れも無いわたし自身の姿だったの…」 「い、一体どういうことなんだ…?」 @「詳しい事は私にもまだ分からない…。 でも、その後色々試して分かった事があるの。 わたしは、ゆっくりの飾りを身に着けると、そのゆっくりに姿が変わる…! そして、その飾りの持ち主に成り済ます事も出来る…!」 「………!?」 そこまで話すと、こいつはゆっくりと一息吐いた。 俺も突拍子も無い話の連続に大分混乱していたので、大きく深呼吸をする。 「俄かには信じ難い話だな…。 何か証拠はあるのか?」 @「今から、お兄さんの目の前でれいむに変わって見せるわ。 それなら信じてもらえる?」 「そんなに直ぐに変われるのか?」 @「ええ、最初は時間が掛かったけど、今では簡単に変わる事が出来るわ」 「じゃあ、やって見せてくれ」 @「分かったわ」 そう言うと、こいつはリボンを舌で体の中心に固定した。 そして、まっすぐ前に伸ばして右にゆっくり動かし、体の左側に素早く移動させた。 その後、リボンを頭に乗せたかと思うと…! @「しゅいしゅいしゅいしゅいしゅい、しゃきーん!」 「うおおっ!!?」 こいつの体が次々と形を変えいく! 徐々に頭部から黒い髪の毛が生えてきて、地面にまで届くほど伸びた! 最後に小さな稲妻の様な光が走り、紅白の飾りが顔の横と頭の後ろに現れた! それはあっと言う間の出来事だった! 俺の目の前で、一瞬で“ゆっくり”は“れいむ”に変身したのだ! R「ゆっ! れいむはれいむだよ! ゆっくりしていってね!」 「そっ、そんな馬鹿な…っ!!?」 俺はというと、驚きの余り開いた口が塞がらない。 思わずこんな顔のまま表情が固まってしまう。 → (゚Д゚;) R「ゆっふん! れいむのあまりのびぼうにことばがでないみたいだね!?」 「は、話し方や性格…、態度まで変わるのか…!」 R「そうだよ! これがこのおりぼんさんのもちぬしのれいむなんだよ! ゆっくりりかいしてね! あまあまさんちょうだいね!」 どうやら、“れいむ”は余り褒められた奴ではなかったらしい…。 呆然としている俺の前で、“れいむ”はリボンを外した。 飾りは消え、髪の毛も縮んでいき、やがて元の“ゆっくり”の姿に戻った。 @「どう? これで信じてもらえたかしら?」 「あっ、ああ…。 全く理解は出来んが、信用せざるを得ないな…」 @「私はこの力で今まで生き延びてきた。 今まで寂しかった分を取り返す為に、色んな仔達と出合って話をしたわ。 でも、良い事ばかりじゃなかった…。 皆良い子ばかりじゃなかった! 自らのゆっくりを優先する余り、他のゆっくりを平気で侵害する奴がいる…! 許せない…! ゆっくり出来ないのは私だけで十分なのよ!!」 「お前、そこまで…!」 俺は、このゆっくりの話に完全に心を打たれていた! 姿こそ不気味で、常識では計り知れない奇妙な能力を持っているが、 その心はとても熱い思いを持っていた! 青臭いまでの正義感…、それはかつて俺がこの仕事を始めた時に持っていた…、 今ではすっかり失ってしまった思いと同じであった。 その消えた筈の思いが…、熱い炎が再び俺の中で燻り始めていた! 「お前の気持ちは良く分かった。 お前に俺の仕事の手伝いをさせてやる。 いや…、俺の相棒になってくれ!!」 @「お兄さん…!」 こうして俺達は、最高のパートナーになったのだ! ………。 ……………。 俺は相棒との出合いを思い出し、再び熱い思いが蘇るのを感じた…。 @「お兄さん、何ぼーっとしているの?」 「あっ、ああ…、ちょっと昔の事を思い出していたんだ…」 @「ふーん? まぁ、良いわ。 わたしはお腹が空いたから、ゆっくり食事にしない?」 「そうだな、折角報酬も入ったんだから、ちょっと贅沢に外食にするか」 @「あら、それは良いわね」 そう言うと、相棒は赤いカチューシャを取り出した。 @「だったら、わたしもおめかししないとね!」 鏡の前に立ち、舌でカチューシャを見せ付ける様に前に突き出し、素早く左側に伸ばす。 そこから、舌を右下に引いて体の中央で止める。 そして、カチューシャを頭に乗せた瞬間…! @「しゅわぃいいい…、ぴしゅう、ぴしーん!」 鏡に映った相棒の姿が左右反転したかと思うと、 相棒は金髪に赤いカチューシャを身に着けたゆっくりありすに変わっていた。 A「ごうかなでぃなーは、とかいはのありすにこそふさわしいのよ! おにいさん、ありすをみせまでえすこーとしなさい!」 「やれやれ…」 確かにハゲ饅頭の姿で出歩く訳にも行かないだろうが、 果たしておでんの屋台の料理に、“とかいは”は存在するのだろうか…? A「でねぇ~? ぶちょ~がせくはらするから、おくさんにうったえてやったのよ~! そひたらおくさんかんかんにおこって~、りこんだ、いしゃりょうだのおおげんか! つぎのひのぶちょうのかおったら、みてられなかったわ~!」 隣ではんぺんを齧りながら、俺は肩身の狭い思いをしていた。 相棒は止せば良いのに酒飲んで酔っ払ってやがる…。 始末の悪い事に絡み上戸で、隣のおっさん相手に滅茶苦茶言っている。 何でゆっくりのお前が、都会のOLみたいな事言ってんだよ! 「うっひゃっひゃっひゃっひゃwwwww! それは見てみたかったなぁ~www! でも、何となくぶちょ~のきもひも分かるぜぇ~www? こんな美人があひてじゃ~、つひ手も出るってもんらぁ~www」 A「ゆほほほほっ! おだてたってなんにもでなひわよ~!」 隣のおっさんも相当酔っているらしい…。 こいつは笑い上戸かよ…。 語尾の“www”が限りなくウザイ…! あんまりしつこいと芝刈るぞ! 酩酊の余り、ゆっくりありすが人間に見えている様だ…。 「うんうん、わかる、わかるよ~(泣)!」 その上、店のゆっくりちぇんまで同情して騒ぎ出した。 誰だ酒を飲ませた奴は!? 泣き上戸なのか知らんが、(泣)とか久しぶりだぜ! しかも、店の親父は止めもしない。 お前、それでもちぇんの飼い主か!? 店の名前は“ゆっくりしていってね!”でも、もうちっともゆっくり出来ねぇよ! A「おやじぃ~、もっとさけもってきなさぁ~ひ!」 「今夜は飲みあかすぞ~wwwwwwwww!」 気が付いた時には空いた酒瓶が山の様になっていた。 俺幾ら持って来たっけ…? 慌てて財布の中身を確認するのであった…。 A「ゆぃ~、ひっく! もうのめなひわぁ~」 「そりゃあ、あれだけ飲めば当然だ!」 完全に泥酔していて跳ねる事さえ儘ならない相棒。 仕方なく、抱きかかえる様にして自宅兼店舗に運ぶ。 A「おすなよ~!? ぜったひおすなよ~!!? むにゃむにゃ…」 「まったく、一体どんな夢見てるんだ…?」 ……………。 ………。 相棒は今回の仕事の夢を見ていた。 群のれいむを一匹誘拐し、その飾りで変身した相棒。 誰にもばれる事無く、群に紛れ込む事に成功した。 この群は最近長が交代したのだが、その新長がとんでもない奴だった。 今までの長は人間に関わらない様に注意し、接触を厳しく禁じていたのだが、 新長は若い頃から度々村に接近し、畑に侵入しては野菜を荒らす常習犯だった。 狡猾な事に、一度荒してから次に荒らすまでかなりの期間を開けていた為、 警戒が薄れた頃に再度畑を荒らされる事になる。 その上、目欲しい物を予め調べておき、他の物には手を出さずに直ぐに立ち去る為、 犯行の途中を目撃する事が難しかったのだ。 その腕前に憧れてかは分からないが、次第に群の若い世代を中心に人気を集めていき、 ついには新長の座を手にするにまで至った。 さて、新長の座に着いたは良いが、そんな素行の悪いゆっくりであった為、 今までの長の教えが気に入らなくて仕方が無かった。 本人(本ゆん?)の考えからすれば、人間は野菜をゆっくりに提供する為に存在する、 便利な奴隷位にしか思っていない。 いや、野菜は勝手に生えてくるものであり、人間だけがそれを独占している、 人間は悪い奴だから奪って当然だとでも思っているのかもしれない。 そんな訳で、群のゆっくり達にこんな事を言ったのだ。 「みんな、よくきいてね! ずるいにんげんたちがおやさいさんをひとりじめしているのはゆるせないよ! おやさいさんはまりさたちにたべてもらうためにはえてくるんだよ! だから、おやさいさんをたべてあげるために、にんげんたちのはたけにいって、 おやさいさんをとりかえしてこないといけないよ!」 「ゆゆっ!? まえのおさはそんなこといわなかったよ!?」 「まえのおさはこっそりにんげんたちとあってやくそくしていたんだよ! にんげんたちのはたけにだれもはいらないようにするかわりに、 ときどきおさだけがおやさいさんをわけてもらうっていうやくそくをね! まえからあやしいとおもっていたから、まりさはこっそりあとをつけたんだよ! そしたら、そんなことをはなしていたんだよ!」 「ゆっ! まえのおさはひどいやつだったんだね! じぶんだけおやさいさんをたべるなんてずるいよ!」 「だからまりさはときどきにんげんからおやさいをとりかえしてきたんだよ! みんなのおやさいさんをにんげんからまもったんだよ!」 「おさ、ありがとう! おさのくれたおやさいさん、とっておいしかったよ!」 「ここで、おさはあたらしいおきてをつくるよ! これからはじゆうににんげんたちのはたけにいっていいよ! あそこはもともとまりさたちのゆっくりぷれいすだったんだよ! それをかってににんげんさんたちがうばってしまったんだよ! まりさたちのおやさいさんをとりもどさないといけないよ!」 「で、でも! にんげんはこわいよ!?」 「だいじょうぶ! このまりさがじきじきにおしえるよ! まぬけなにんげんたちはとられたことにきがつかないよ!」 「さすがおさ! たよりにしてるよー!」 「ゆっくりおやさいさんをとりもどすよーっ!!」 「みんなのゆっくりのために、まりさたちはたたかわないといけないよー!!」 「ゆぉおおおおお! おーさっ、おーさっ、おーさっ、おーさっ!!」 その新しい掟が出来てすぐ、付近の村の畑で甚大な被害が発生した。 長の交代による影響で暫く畑への侵入は無かったので、 少し油断していたところを一気に攻め込まれたのだ。 今までは新長とその仲間という極少数による被害で済んでいたが、 今度は群全体という比べ物にならない数での侵害である。 畑にある物全てを根こそぎ奪われてしまい、 被害にあった畑は踏み均されて硬くなり、再び耕す事さえ困難になってしまう。 その上恐ろしい事に、新長の指導により的確な侵入が行われ、 大群であるにも拘らず未然に防ぐ事が出来なかった。 このままでは畑に止まらず、いつ家屋が被害を受けるか分からない。 もし、そうなれば村は全滅の危機に瀕してしまう…! そんな訳で、最近ゆっくり駆除屋として注目を浴びだした俺達に依頼が届いた。 依頼を受けた俺は、まず群の一匹を捕獲。 “友好的”な“話し合い”の結果、“平和的”に群の情報を聞き出す事に成功した。 その情報から、新長と対立するグループがある事が分かった。 そこで、俺はそのグループを利用する事にした。 相棒に、群から誘拐したゆっくり(れいむ種)に化けてもらい、 対立グループのリーダーであるれいむと接触してもらう。 「しんおさのなかまのれいむが、れいむにいったいなんのようなの?」 R「しーっ、こえがおおきいよ」 「こんなところによびだして…。 しんおさのめいれいなの?」 R「しんおさはかんけいないよ。 れいむのどくだんのこうどうだよ」 「だとしたら、ますますりかいできないわ。 いったいなにをたくらんでいるの?」 R「じつは…、れいむはれいむのなかまになりたいんだよ」 「………? りゆうをはなしてくれない?」 R「しんおさにはもうついていけなくなったんだよ! たにかにゆうのうかもしれないけど、よわいものをないがしろにしているよ! としおいたりびょうきのゆっくりをすこしもたすけないよ! ちいさなこどもたちは、まいにちつらそうにしているよ! このままだと、みんなゆっくりできなくなるよ!」 「たしかに、そうだね…。 いまのおさはわかくてげんきのあるゆっくりしかみていないよ…」 R「だかられいむは、れいむにあたらしいおさをやってほしんだよ! れいむのおかあさんもいもうとも、れいむにとってもかんしゃしているんだよ!」 「れいむ…」 俺の筋書き通りにリーダーを説得し、次の長として群を治める様に仕向ける。 下手に現長を消すと、指導者を失った群が暴走する恐れがあるからだ。 次に、相棒は現長と接触し、次の標的となる畑を誘導する。 その畑に予め罠を仕掛けておき、侵入したところで一網打尽にするのだ。 今までは何処がいつ狙われるのか全く予測できなかったので対応できなかったが、 次にどの畑が狙われるのかが分かっているならば問題無い。 「れいむ、はなしがあるっていってたけど、いったいなに?」 R「おさ、まずはこのおやさいさんをたべてほしいよ!」 「おいしそうなおやさいさんだね! む~しゃ、む~しゃ、しあわせー!」 R「ねっ? とってもおいしいでしょ?」 「ほんとうだね! どこでてにいれたの?」 R「にんげんのむらのあるはたけからとってきたんだよ! れいむひとりだったからすこししかもってかえれなかったけど、 まだまだたくさんあったから、むれのみんなでとりにいこうよ!」 「それはいいかんがえだね! きめたよ! つぎのもくひょうはそのはたけにけっていだよ!」 こうして、群の次の標的の誘導に成功した。 後は罠とも知らずにやって来るのを待つばかりである。 「奴等、やってきますかね?」 @「大丈夫よ! おじさんの美味しい野菜に釣られて、確実にやって来るわ!」 「ああ! この野菜、何ていう名前か知らんが“結構イケルな”! スタミナがついて、疲労回復に効きそうだ!」 @「唯一つ残念なのが、お兄さんの部屋のゴミ箱の中の紙屑の臭いがする事ね」 「失礼な事言うな! あれは“青臭い臭い”じゃない、“迸る若さの香り”だ!」 @「どちらにせよ、臭いのよ!」 「あのー…? こう言っては何ですが、ゆっくりに食べられるより、 あなた方に食べられている量の方が多い気がするんですが…」 俺達は、モリモリ食べてドンドン元気になった! この野菜は食べると何だか気分までハイになってくるみたいだ!! テンション上がってきたぜぇええええ!!! @「来たわ! 長のまりさが先頭よ!」 「ヒャッハー! 戦闘準備だぁ!!」 罠とも知らずゆっくり達がやって来た。 なるほど、今まで誰にも侵入する姿を見られなかった訳だ。 少数単位で集まって、物陰に潜みながら、周囲の様子を伺っている。 地面を跳ねずに姿勢を低くしてゆっくりと這っており、 遮蔽物が無く目立つ所では、素早く移動して次の陰に隠れる。 しかも体に草や葉っぱを貼り付けて茂みに潜む為、日中でも気付き難いだろう。 何より、皆が一言も声を上げず、目で合図を送っている。 @「思ったよりやるわね…」 「長の奴、技術も凄いが、指導力もかなりのものだな」 @「でもまぁ、もう少し利口ならよかったんだけど」 「奴の驚く顔が楽しみだぜ」 群が畑に辿り着いた。 まりさは一言も話さず、目と口と舌…、体を使って、群に指示を出す。 群のゆっくり達は指示を受けて頷くと、それぞれの持ち場に移った。 一班は出入り口の確保、一班は周囲の警戒、一班は野菜の回収…、 全てのゆっくりが予め決められた仕事に従事する。 こんなに警戒されていては、まともに近づく事も出来ない。 落とし穴等も考えたが、地面を棒で突く等して発見された事もあったそうだ。 どうやら、周囲の状況に応じて、逐一まりさが指示をする事で対応しているらしい。 ゆっくりとは思えない大した統制だが、大きな弱点が存在していた。 「こういう場合、司令塔が潰れると脆いんだよな…」 R「おさ、ちょっとこっちにきて!」 「ゆっ! れいむ、しずかにしないとだめだよ! にんげんにきづかれちゃうよ!?」 R「ゆっくりごめんなさい! でも、これをみてほしいんだよ!」 「ゆゆっ、これは!? おやさいさんがいっぱいのってるよ」 R「ねっ? すごいでしょ! これをもってかえればとってもゆっくりできるよ!」 「ゆ~ん…。 でも、おおきくてうごかせそうにないよ…」 R「みんなでひっぱればいいんだよ! みんなでちからをあわせればうごかすことができるよ!」 「ゆゆっ! それはめいあんだよ! れいむはすごくあたまがいいんだね!」 R「ゆんっ! とうぜんだよ! あんこがちがうんだよ、あんこが!」 (相棒の奴、ちょっと調子に乗ってるな…?) 「みんなー! ちからをあわせてひっぱるよー!」 「ゆーえす! ゆーえす!」 野菜を満載した台車を引っ張る為に、見張り役まで集めるまりさ。 目の前のお宝に意識が集中しすぎて、 気が付けば大声を張り上げて指示を飛ばしている。 さっきまでの慎重さなど欠片も無く、咄嗟の判断など不可能だろう。 「みんなー、ちょっとさかになってるよー! ちからをこめておさえてねー!!」 R「きをつけないと、おやさいさんがつぶれちゃうよー!」 畑から何とか台車を引きずり出し、少し坂になった道に出る。 坂道なので放っておいても自然に台車は下へと動いていくが、 それでは台車が崖に当たってしまうので、 全員で下側から押さえながらゆっくりと坂道を降っていく。 かなり重たい台車なので、全員が必死になって押さえている。 俺達は全てのゆっくりに逃げ場が無くなるこの瞬間を待っていた。 「今だ、相棒っ!」 「ゆっ! みつかった!?」 R「りょうかいだよ、おにいさん!」 「れいむ!? なにいってるの!?」 相棒が台車の車輪の留め金を外す。 今まで台車を押さえていたと言うよりは、台車に押されていたゆっくり達。 重力に従い、徐々に加速していく台車。 速度の上昇に伴い、次第に底部が削られていくゆっくり達。 遂に耐え切れなくなり、長と後何匹かが押さえるのを止めて離れてしまう。 すると…。 “ギシッ、ギッ、ガタンッ、ガガガガガガッ!!!” 支えを失った台車は、ゆっくりの群を轢き潰しながら崖へと進んでゆく。 「ゆわぁあああ!? ゆっくりこっちにこな…、ゆげっ!」 「ど、どいてね! れいむはにげるよっ! ぢゅびっ!!」 「ゆぎゃああああ! がらだがげずれるぅうううう!!」 群がる饅頭を踏み潰し、餡子の轍を作りながら進む台車。 最後の一匹は、台車の降下速度で押さえ付けられてしまい、動く事も出来ない様だ。 「ゆぎぃいいい! うごけないよぉおおおお!?」 そして台車は最高速度で崖に激突した。 「ぐぎゃ!!!」 真っ黒な飛沫が飛び散った。 予め緩衝材として布団を置いておいたので台車は壊れなかったが、 布団の方は餡子塗れでドロドロになっている。 R「あれじゃあ、つかいものにはならないね!」 台車が完全に停止してから、それまで呆然としていたまりさが動き出した。 「ゆっ!? れ、れいむ! なんでこんなことしたのっ!?」 R「ゆ? それはね…」 「頼まれたからやったのさ!」 「な、なんでれいむとにんげんがいっしょにいるのぉおおおっ!!?」 俺と相棒はまりさの前に立ち塞がっている。 「じゃまなにんげんとうらぎりもののれいむはせいさいだよ! みんなゆっくりしないでやっつけてね!」 「ゆっくりしないでしねぇえええええ!!!」 生き残ったゆっくり達が、まりさの指示で飛び掛ってくる! 俺が相手してやっても良いが、結果は分かり過ぎている。 ここはゆっくり同士、相棒に任せる事にしよう。 「頼んだぞ、相棒!」 R「まかせてね、おにいさん!」 相棒は既に紅白のリボンを外している。 俺は青いリボンを取り出すと、相棒に投げてやった。 相棒はそれを舌で受け取ると、すっと右側に構える。 そのまま、体の中央に向けて触れるか触れないかギリギリの所へと舌を翳す。 そして青いリボンを頭の上に乗せると…! R「ぴろりー、ぴろりーろり! ぴろりー、ぴろりーろり! ぴぽっ! しゅるるる…、がしゃん! ぱぁ~ん、がしゃん、がしゃん!」 相棒の黒髪と紅白の飾りが消え、青い髪と生えてきた。 最後に青い菱形の塊が顔の上を走ったかと思うと6枚の細長い羽に展開した。 ⑨「あたい、さんじょうっ!」 舌で“ビシッ!”と自分を指す相棒。 全く持って根拠の無い自信に満ち溢れた姿である! 「れ、れいむがちるのになったぁ!!?」 ⑨「いっとくけどあたいは、さいしょっからワライマックスよっ!!」 相棒の変化を見て驚くゆっくり達。 一瞬怯んだが、直ぐにまた攻撃を再開した。 「へんなちるのはゆっくりしねぇえええ!」 ⑨「いくわよっ! あたいのひっさつわざ…!」 そう言うと、相棒の羽が体から離れてゆく! ⑨「ぱーと⑨!」 羽が広がったところでクルッと一回転する相棒。 次の瞬間、周囲のゆっくりは上下二つに分かたれた。 「むれのゆっくりたちが!!?」 ⑨「きまったわ…!」 離れた所で見ていたまりさを残して、群のゆっくりは全滅した。 ⑨「おにいさん、かざりをとってほしいなっ!」 飾りを取ってやると、相棒はハゲ饅頭の姿に戻った。 「お、おまえはいったいなにものなのっ!!?」 @「覚えておきなさい、通りがかりの…」 「ハゲ饅頭だ」 @「違うって言ってるでしょおおおおおっ!!?」 「こ、こんなゆっくりできないやつが、まりさのじゃまぉおおおおおっ!!?」 @「違うわよっ!? 通りがかりのゆっくりだからねっ!!?」 「はげまんじゅうはゆっくりしねぇえええええっ!!!」 怒りに我を忘れたかの様にまりさが突っ込んでくる! 不意を突かれて相棒は避ける事が出来ない! @「ゆっ!?」 「ゆわぁあっ!!?」 その時、相棒とまりさの間の空間に歪が生じ、飛び掛ってきたまりさを弾き飛ばした。 「(何か良く分からんが)今だ、相棒!」 @「ゆん!」 相棒が歪みに向かって飛び込むと、相棒の姿も歪みだす! そして真っ直ぐにまりさへと向かって加速していった! @「ゆぁーっ!!」 相棒の凄まじい体当たりを受けてまりさは宙に吹き飛ぶ! 「もっと…、ゆっくり…、ゆぼぉ!!」 地面に落ちたまりさは、断末魔を残して爆散した! @「ゆふぅ…。 今のは何だったの…?」 「俺にも分からねぇよ…」 相棒には、まだまだ俺も相棒自身も知らない謎が隠されている様だ…。 「道が餡子でグチャグチャだな…。 どうしたものか…」 @「そうねぇ…? 畑にでも撒いてみる?」 俺達は掃除という名の後始末に追われる事になった…。 ………。 ……………。 @「ゆぅ~ん…。 もう餡子は見たくない…」 「おい、起きるんだ、相棒!」 @「ゆぅ~ん? お兄さんが揺れてる~?」 「お前も揺れてるんだよ! いいから早く起きろ!」 @「何よぉ~? 気持ち良く寝てたのにぃ…」 「そんな暢気な事言ってる場合じゃない! 地震だ! かなり激しい! 早く逃げないと潰れ饅頭になっちまうぞ!!」 @「ゆぇえええっ!!?」 俺達は慌てて着の身着のまま家の外に飛び出す。 間一髪で家が崩れる前に脱出する事が出来た。 「あ、危なかったぁ~!」 @「ゆぅ、ゆぅ…! 何よ! この家、こんなに脆かったの!?」 「そりゃまあな…。 格安で買い取ったわけだし…」 @「どうするのよ!? 家財道具その他、全部瓦礫の下敷きよ!?」 「金庫と通帳、印鑑なら持ち出したが?」 @「れいむのリボンは!? あのリボンは失くす訳には…!!」 「あのリボンは頑丈な箱に入れておいたから潰れてはいないだろう…。 ただ、この中から探し出すとなると…」 @「ゆわぁあああああっ!!」 「よ、よせっ! 怪我するぞっ!?」 @「構わないわっ! 絶対に見つけだすんだからっ!!」 「落ち着けって! 朝になったら、業者に頼んで瓦礫を片付けてもらうから! 保険金も手に入るから、見つかるまで別の家で過ごそう!」 @「ゆぅううううう…、れいむぅうううううっ!!!」 相棒の悲痛な泣き声が夜の闇に吸い込まれていった…。 泣きたいのは俺も一緒なんだけどなぁ…。 今夜は何処で眠れば良いのだろうか…? 【おまけ】 「なぁ相棒、お前って結局どんな種族のゆっくりな訳?」 @「ゆぅーん…。 わたしにも分からないのよね…」 「え~? じゃあ、両親はどうなんだ?」 @「実は両親の顔も分からないの…。 覚えていないんじゃなくて、見た事が無いんだと思う…。 小さい頃は殆ど一人ぼっちだったし…」 「そうか…。 悪かったな変な事聞いて…」 @「気にしないで。 わたしも私自身の事を知りたいと思っているし…」 「小さい頃から苦労の連続だったんだろうな…」 @「ええ、わたしは自分がゆっくりできる場所を探して彷徨い続けたわ…。 でも、どこもわたしのゆっくりプレイスじゃなかった…」 「……………。 今は…、今はどうなんだ…?」 @「今は…、とってもゆっくり出来ているわ」 「まだ…、探しているのか…?」 @「さぁ…? どうでしょうね…?」 【後書き】 こんな滅茶苦茶なお話を最後まで読んでいただきありがとうございました! どこに投稿するべきか非常に悩みましたが、これで良いのでしょうか? 書いている内にどこかで聞いた事のある話になってしまいましたが、 初期のコンセプトは自由に別の種族に変わるハゲ饅頭だったんです…。 もしかすると続きを書くかもしれませんが、 その時はまた最後までお付き合い頂ければ幸いです。 それでは、皆様の健康と幸運を願って…。 このSSに感想をつける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/4144.html
※最初で最後のゆっくり虐待に挑戦中です。 ※どくそ長いです。(十回超の予定) ※うんうん、まむまむ描写あり。 ※標的は全員ゲスです。 ※虐待レベルはベリーハードを目指します。 ※以上をご了承頂ける方のみどうぞ。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――― 『永遠のゆっくり』5 カートの上に四匹のまりさ共を乗せ、俺はある一室に入った。 この部屋は、通常の人間の居住空間になっており、 家具や調度が一通り揃っていた。 実際に、俺はここで寝泊まりをすることになる。 八畳ほどのこの部屋には、 冷蔵庫や布団をはじめ、必要な生活用品が揃っている。 特殊なのは、壁のうちある一面が全面鏡張りになっていることだった。 そして、部屋の一角には頑丈なケージがあり、 およそ2m余り四方を区切っている。 この部屋に、まりさ種の四匹を放した。 カートの籠から持ち上げ、部屋の真ん中に投げだしてやる。 「ゆぎゅっ!」 顔面から板張りの床に叩きつけられ、呻く親まりさ。 俺を見上げて悪態をつく。 「ゆゆっ!!なにやってるんだぜごみくず!! このまりささまをいたいめにあわせて、ぶじですむとおもってるのかだぜ?!」 無視して、今度はバスケットボール大の子まりさを出す。 こちらはケージの中に放り込む。 「ゆぎゃ!」 「なにしやがるんだぜ!?」 「あやまったってゆるしてやらないんだぜ!どげざするんだぜ!!」 少しの間喚いていたが、 やがて部屋全体を見渡し、様子を見てとると、 親まりさが予想通りの言葉を吐いた。 「ゆゆっ!!ここはまりささまのゆっくりぷれいすにするんだぜ!! おい、ごみくず!!しごとをめぐんでやるんだぜ? はやくあまあまをよういするんだぜ!!」 「はやくするんだぜごみくず!!」 「ここでもどれいにしてかいごろししてやるんだぜ!! まずはかんしゃのどげざをするんだぜ!!」 「あまあま!!あまあま!! もってきたらしーしーをのませてやるんだぜ!!」 相変わらずの罵詈雑言を聞き届けると俺は息をついた。 早速始めることにする。 まず、ケージの中の三匹の子まりさ。 その後に親まりさの順で、おれは手早く帽子を取り上げた。 「ゆっ!!?なんのつもりなんだぜ?!」 「まりささまのおぼうしがああああ!!」 「ごみくずううううう!!かえせええええええ!!」 「ごみくずはじぶんのたちばがわかってないんだぜええ?! しつけなおしてやるからぼうしをかえすんだぜえ!!」 「返してほしければ、俺から奪い返してみろ」 「ゆっ?」 俺の前にいる親まりさが、小馬鹿にした笑みを浮かべた。 「じぶんがなにをいっているのかわかってるんだぜ? まりささまにけんかをうっているんだぜ!? もしかしてまりささまにかてるとおもっちゃったんだぜ? ばかはすくいようがないんだぜ!!ゲラゲラゲラゲラ!!」 子まりさともどもひとしきり嘲笑した後、 真顔に戻ってまりさは侮蔑の視線を送ってきた。 「ぼうしをかえすんだぜ、ごみくず。 こうかいしないうちにかえしたほうがいいんだぜ。 いまならはんごろしでゆるしてやらないこともないのぜ?」 俺は手に握った帽子をぐしゃぐしゃに握り潰し、ズボンの裾に突っ込んだ。 まりさの目が怒りに燃え上がる。 「ごみくず…… くそのやくにもたたないおまえを、 まりささまはきょうまでがまんしてかってきてやったんだぜ? それはまりささまのなさけだったんだぜ。 そのまりささまにたいして、おまえはそんなたいどをとるんだぜ?」 「おとうさん!!そいつをころすんだぜ!!」 「こわれたどれいはようずみなんだぜ!! たっぷりいじめころしてやるんだぜ!!」 「はじめておとうさんのけんかがみられるんだぜ!!わくわくだぜ!!」 子まりさ共が口々に叫ぶ中、親まりさは宣告した。 「もうあやまってもゆるさないんだぜ。 いくらないても、あやまっても、まりささまはゆるさない。 じっくりとなぶりごろしてやるんだぜ。 ごみくずはたっぷりこうかいしながらしぬんだぜ!!」 親まりさが跳び、俺の足に体当たりをしてきた。 直径50cmの饅頭の体当たりは、さすがにそれなりの質量がある。 不意打ちで喰らえば、尻餅をついてしまいそうだ。 しかし正面から向かってくる今、まるでダメージにはならない。 親まりさは何度も何度も体当たりを繰り返してきた。 俺はそれを見下ろしながら黙っていた。 十分ほどそうしていた後、 ぜえぜえと息をつきながら、親まりさはこちらの顔色を伺っていた。 なぜ倒れないのか不思議そうな顔だ。 「痛くない」 俺がそう言うと、愕然として口を半開きにした。 子まりさ共が、おかしいとばかりに口々に叫ぶ。 「おとうさん!おあそびはもうおわりにするんだぜ!!」 「そろそろとどめをさしてやるんだぜ!!」 「ゆ、と、とどめなんだぜ!!」 親まりさは数歩下がってから、 助走をつけて全力で体当たりをしてきた。 俺は少しばかり腰を落として構えただけで、小揺るぎもしなかった。 ぜひ、ぜひ、息をつくまりさの前に屈み込み、その顔を覗き込む。 「な、なんでなんだぜ……?」 その左頬を、右腕で力を込めて殴りつける。 これだけ成長した饅頭なら、 そう慎重に手加減しなくても、そうそう死ぬことはないだろう。 「ぐびゅえっ!!」 あえなく悲鳴を上げる親まりさ。 俺は親まりさの頭を左手で押さえつけ、同じ場所を殴り続けた。 「ゆがびゅっ!!ぼびゅっ!!ばっ!!ゆびぃっ!!ぼぉ!!」 何十発殴っただろうか。 親まりさの顔面の左側は、今や全体が内出血ならぬ内出餡で黒ずんで腫れあがり、 左目は開かなくなっていた。 手を休めて眺めていると、ごほごほと咳き込み、 口から少量の餡子とともになにかをばらばらと吐き出した。 歯だ。 腫れあがってでこぼこになった左頬を、そっと触れる。 「ゆぎぃ!!」 それだけで悲鳴が上がった。 左頬をつまみ、つねり上げてやると、涙を流して呻いた。 「やべで!!やべで!!づねらだいでええええ!!」 「ゆっくりぷれいすにするって言ったな?」 「いだい!!いだい!!いだいいいいいい」 また左頬を殴りつける。 「ゆびいいい!!」 「俺の話を聞くんだ。いいな?」 状況が掴めていない様子で、不思議そうに親まりさの右目が俺を見上げる。 また右手を振り上げてやると、親まりさは泣き喚いた。 「ぎぎばず!!ぎぎばずうう!!なぐらだいでえええええ!!!」 「ここをゆっくりぷれいすにするって言ったな?」 「ばいいい!!いいばじだあああ!!」 「いいだろう。ここは俺の部屋だが、俺から奪ってみろ。 俺を倒せば、この部屋はお前らのものだ。お前らの帽子も奪い返せる」 半ば子まりさの方を向きながら、俺は説明した。 「この部屋に住めば、毎日山ほどのあまあまが運ばれてくる。 沢山の人間達や美ゆっくり達がお前たちの世話をするし、すっきりもし放題だ。 楽しい玩具だってふかふかのクッションだっていくらでも、前の部屋なんかより沢山ある。 お前らはここで存分にゆっくりできるんだ」 その言葉を聞き、それまで呆然と成り行きを見守っていた子まりさ共は、 声を奮って親まりさを叱咤激励した。 「おとうさん、たちあがるんだぜ!!なにしてるんだぜ!?」 「まりさたちはゆっくりしたいんだぜ!!」 「おぼうし!!ゆっくりぷれいす!!はやくするんだぜ!!」 「ゆ……ゆ……」 哀れっぽい視線を、子まりさ達、そして俺に向ける親まりさ。 がたがたと震えている。 「さあ、準備運動はここまでだ。 お互い本気で戦おうじゃないか」 そう言って俺が立ちあがると、親まりさの顔が一瞬歪み、次に命乞いをした。 「も、もうやべで……」 「なに、やめるのか?」 「まりささまは……もうたたかえないんだぜ……」 「やめるって言ってるぞ」 子まりさ共のほうを向いてそう教えてやると、 ケージの中で三匹の子まりさ共は飛び跳ねて激昂した。 「なにいってるんだぜ!! まりさたちがゆっくりできなくなってもいいんだぜえ!?」 「おぼうし!!おぼうし!! おぼうしがないとゆっくりできないいいい!!」 「はやくたたかええええ!!なにふざけてるんだぜえええ!!? おとうさんはつよいっていつもいってたんだぜええええ!!」 「ゆあぁ……ゆあぁ……」 呻く親まりさ。 この饅頭は、以前まではあの家の主に君臨し、 普段から子供に対しても威張り散らしていた。 面倒を見もせずに親れいむ達に任せ、それどころか旨いものを横取りしてもいた。 その親まりさを子まりさ達が慕っていたのは、ひとえに強さへの羨望と尊敬によるものだったのだ。 帽子を奪われ、ゆっくりぷれいすを前にした今、 その親まりさが戦わないとすれば、 子まりさが今まで親まりさの横暴に耐えてきた意味がなくなる。 ここで子まりさ達が親まりさの降参を許すはずがなかった。 親まりさにも、それはよくわかったようだ。 「ごべん……ごべんだざい…… まりさ……だだがえだい……」 「ばやぐじろおおおお!!ぐぞまりざあああああ!!」 叫ぶ子まりさ達に、俺は確認した。 「始めていいんだな?」 「はやくはじめるんだぜ!!さっさとやられるんだぜ!!」 「ゆ、やべぶぎゃぁ!!」 懇願しようとする親まりさの口内を、つま先で蹴り抜く。 これだけの大きさの饅頭はそうそう蹴り飛ばせるものじゃないが、 それでも親まりさは少しばかり浮き、後方に着地して倒れ込んだ。 「ゆばぁ……あがぁ……」 涙を流しながらえずく親まりさの口から、また歯がこぼれる。 前歯が殆どいかれたようだ。 「やべで……やべびぇっ!!」 腫れあがった左側面にローキックを叩きつける。 「びぎぃいい!!びぎぃいいい!!!」 飛び跳ねてもんどりうつ親まりさ。 ここにきて親まりさはようやく立ち上がった。 しかし、こいつが選んだのは闘うことではなく逃げることだった。 「にげるなああああ!!なにしてるううううう!!」 「さっさとたたかえええええ!!」 「まりさたちがゆっくりできなくてもいいのかああああ!!? それでもちちおやなんだぜえええええ!!?」 「ぶひゅう……!ぶひゅう……!!」 部屋の隅に背中を押しつけ、泣きながら荒い息をつく親まりさ。 俺はあえて追わず、子まりさ共に向かってルールを説明した。 「勝負が終わる条件はふたつ。 親まりさが死んだときと、子まりさ達が負けを認めたときだ。 あいつが死ぬか、おまえ達が負けを宣言すれば、勝負は終わりだ」 おかしなルールだが、これはもとから勝負ではない。 「負けた時点で、お前たちは俺の奴隷になる。 そうなったらゆっくりさせない。ずっとゆっくりさせない。 これから先、お前らが死ぬまで、 あまあまももう食べられない。すっきりもできない。 遊ぶ時間なんかないし、眠ることも許さない。 永遠に痛めつけ続けてやる。 ここで負ければ、お前たちは、 ずっと、ずっと、永久に、ゆっくりできない」 まりさ共の顔色がみるみるうちに青ざめていった。 ゆっくりすることが全てに優先し、 ゆっくりするために生きているゆっくりにとって、 それは死刑宣告よりもずっと恐ろしい成り行きだろう。 「だだがえええええ!!だだがえええええええ!!」 「ぐぞまりざあああああああ!!!わがっでるのがああああ!!!」 「ゆびゅうううう!!ゆびゅううううう!!」 涙を流し続ける目を見開き、親まりさは鳴き声を発していた。 闘うしかない。 それはわかっていたが、体がついていかなかった。 がたがた震えつづける体を引き摺り、親まりさは少しずつ前に出てきた。 俺の目の前にやっとのことで辿り着くと、 親まりさは息をついてから、緩慢な動きで体当たりをしてきた。 ぼでんと足に当たった後、親まりさは悶絶した。 「びぃいいい!!いだい!いだいよううう!!」 歯が折れ、腫れあがった顔面では、 体当たりをすると自分が痛い目を見ることになる。 ゆっくりの唯一といっていい攻撃手段が、ここにきて用をなさなくなった。 この一発で、親まりさは早くも音をあげた。 「だべでずうう……だべでずうう……だだがえまぜん…… ばりざをだすげでぐだざい……だずげでぐだざい……」 「負けか?」 「まげまじだあ……ばりざのまげでずうう……」 「お前には聞いてない。お前の子供たちに聞いてる」 親まりさの顔が絶望に歪む。 「負けか?」 「まげじゃないいいいい!!!がづ!!がでええええ!!」 「だだがえええええええ!!!ばがあああああ!!ぐぞまりざあああ」 「がでええええ!!ぼうじがえぜええええええ!!! ゆっぐりでぎないのいやだあああああああ!!」 「じねえええええ!!!がでなぎゃじねえええええ!!! まりざだぢをゆっぐりざぜないぢぢおやはじねえええええ!!!!」 「むりだよおおお……いだいよううううう……」 ぼろぼろぼろと涙を流し、子供たちを見つめる親まりさの頭を、 俺はしたたかに踏みつけた。 「あぎゅううっ!!」 踵で踏みつける。踏みつける。何度も何度も踏みつける。 「あぎゅ!!ぐゆう!!びゅう!!びゅ!!ぎゅぶぃいい!!」 踏みつけるたびに上顎と下顎を叩きあわせる音が響く。 次に右足を頭に押し付け、体重をかけて押しつぶす。 「ゆぎぎぎぎぎぎぎぎぎぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!」 押しつぶしながら、ゆっくりと足を左右にこじってやる。 ぺきぺきと、口の中で歯が折れる感触が伝わってきた。 「ゆうぐううううううううううう!!!」 失禁した。 よく見ると脱糞もしている。押しつぶしたせいもありそうだ。 足をどけて開放し、また横に蹴り飛ばす。 「さあ、頑張って帽子を奪い返そうか」 俺が近づいていくと、親まりさは必死に起き上がり、 ずりずりと這いながら逃げていった。 再び部屋の角にすがりつく親まりさの上に、 俺は覆いかぶさるように立ちはだかった。 「ゆぐ……ゆぐ……ゆぐじでぐだざいぃ………」 「命乞いなら子供に言うんだな」 そう言ってやり、今度は右頬を蹴りつける。 壁に両手をついて体を支えながら、俺は蹴り続けた。 「ばっ!!ゆびぃ!!びぃ!!ぎゅう!!ゆぶじびぇっ!!」 何十発と蹴っていくうちに、右側もぱんぱんに腫れあがった。 もう親まりさの顔面に腫れていないところはなくなった。 黒い風船のようにいびつに膨れ上がり、一回り大きくなったように見える。 両目は開かず、歯もほぼ全部抜け落ちた状態だ。 「あいいいいいぃぃぃぃ……あいいいいいぃぃぃぃ…………」 小休止をして眺める。 親まりさは、今や壊れたおもちゃのように音をたてるだけだ。 「負けか?」 「ば……ばりざは……ぼう……」 「じねえええええ!!じねぇええええええ!!」 子まりさ共の叫びは、もはや「闘え」でも「勝て」でもなかった。 「おで……おでがい………ばりざ……ばりざの…おぢびぢゃん……」 見えない目で、声を頼りに親まりさは子供のところへ這いずっていった。 ひどく遅い歩みを、休憩がてら邪魔せずに見守ってやる。 親まりさにとっても必死だろう、今やすがれるものは子供だけだった。 ケージの格子に頬を押し当て、親まりさは懇願した。 「ゆぶじで……ゆぶじで……」 「もどれええええ!!ぐぞまりざああああ!!」 「だだがえまじぇえん……いだい…いだいんでずううう…… まえもみえだい……がらだがいだぐで……はねられだい……」 「まげるなあああ!!だだがえ!!だだがえええ!! まりざざまはづよいんだろおおおおおお!!?」 「おぢびぢゃん……おぢびぢゃん……」 「負けたら永遠にゆっくりできない。 思いつく限りの方法でいじめ抜いてやる。 それでもいいなら、お父さんを助けてやるんだな」 俺が念を押してやると、 子まりさ共は恐慌をきたし、ケージにしがみつく親まりさに体当たりを始めた。 「いげえええええ!!ぐぞまりざあああああ!!」 「ゆぎゅうぅ!!」 腫れあがった顔には、ケージの格子ごしでも痛みは大きいようだ。 それでも親まりさは離れようとせず、子まりさに懇願を続けた。 「おぢびぢゃん……おぢびぢゃん…ゆぶっ…… ばりざの……びぃ!……がわいいおぢび……ぶっ……ぢゃん…… おどうざんを……おどうざんをだず……げで……… いいごだがら……あびゅう!………………おでがい……おでがい……」 負けを認めたとき、子まりさ共の末路は決まっている。 それがわかっていながら、この親は自分の命を懇願していた。 口では猫なで声を出していても、このまりさは全く子供を愛していない。 餡子脳でもそれぐらいはわかるようで、 子まりさは懇願されるほどに憎悪をむき出しにして罵った。 「ぐぞまりざあああ!!ぎだないがおをみぜるなあああ!!」 「だまれ!!だまれ!!だまれ!!だまれえええええ!! おまえだげはゆっぐりずるなぁあああああああ!!!」 「じねええええ!!おまえがじねええええ!! だだがっでがっでじねええええええええ!!!」 体当たりでは飽き足らず、 格子の隙間からはみ出る親まりさの皮膚に噛みつき始めた。 「あいいいぃ!!」 弾かれるようにケージから離れる親まりさ。 「話し合いは終わりだな」 「ゆぶ!ま!まっで!!まっでぐだざい!! ごどもだちはごんらんじでるだげなんでず!! いま!いまばなじあいをぉ……ゆぎいいぃ!!」 親まりさのお下げを引っ掴み、引きよせる。 泣き喚き謝り懇願する親まりさを、俺は殴り続けた。 皮が裂かれて中の餡子が出ないように打ち方には留意し、 ひたすら打撲傷のみを与え続ける。 こめかみを殴りつけた。 体中を張り手で叩き続けた。 口をこじ開けて下顎を踏みつけた。 逆さにして頭を床に叩きつけ、底面を何度も踏みつけた。 持ち上げて、顔面と言わず顔と言わず背中と言わず壁に叩きつけた。 全身が赤黒いいびつな饅頭と化し、親まりさは床に転がっていた。 もはや、髪がなければどこが顔なのかよくわからない。 それでも、荒い息と断続的なうめき声、 そして流れ続ける涙が、意識を保っていることを示していた。 もともと、ゆっくりは人間と違い、気絶も発狂もしない。 人間なら苦痛から精神を守るためにそういう現象が起こることもあるが、 ゆっくりの精神にそんな高度な活動は不可能だった。 「あび……………ゆび……………」 呻く親まりさ。 ここまでしても、俺の心は全く晴れなかった。 それどころか、こいつらに対する憎悪と、そして虚しさがつのるばかりだ。 こんな脆弱で醜い生き物が、俺の家族を殺し、俺の人生を壊した。そしてそうさせたのは俺だ。 「お前らの負けだ」 俺は宣告した。 「ゆゆっ!?」 「なにをいってるんだぜごみくず!!くずまりさはまだいきてるのぜ!!」 「あれ、いきてるのぜ?」 「いきてるんだぜ!!まだうめいてるんだぜ!!」 「もういい。負けだ。俺が決めた」 文句を言う子まりさ共に、俺は繰り返した。 「やくそくをまもるんだぜ!!ごみくず!!」 「おぼうしかえせええええええ!!」 「今度はお前らの番だ」 俺の言葉に、子まりさ共がびくりと身を震わせる。 親まりさの戦いを見て、自分たちでは勝てないことぐらいはわかるようだ。 俺は子まりさ全員をケージから出して言った。 「三匹一緒にかかってこい」 「ゆ!?」 「さんにんならかてるのぜ!!」 「ごみくずはつくづくばかなんだぜ!! ひとりにかったからってちょうしにのってるんだぜ!? さんにんならまけるわけがないんだぜ!! なぶりごろしにしてやるんだぜえええ!!」 詳細は省く。 今、俺の前には、ぐずぐずの風船になって転がる親まりさと、 全身の半分を赤黒く腫れあがらせた子まりさ三匹が転がっている。 やや面倒になったので、子まりさのほうは親ほどには傷めつけていない。 それでも全員、言葉にならない呻きを漏らして涙を流している。 「今日からお前たちは俺の奴隷だ。いいな?」 俺は言い渡した。 答えがなかったので、一匹ずつ蹴りつける。 「あじゅ!!」 「ゆびゃっ!!」 「だいぃいいい!!」 「ゆがぁあ!!」 「返事をしろ。いいな?」 「「「「いいいいいいでずううううう!!」」」」 「立て」 のろのろと立ち上がる子まりさ達。 親まりさは全身の痛みに苦悶しながら、だいぶ遅れてどうにか立ち上がった。 「背中を向けろ」 子まりさ達がすぐに背中を向ける。 親まりさはずるずると床の上で回転したが、あらぬ方向を向いて止まった。 両瞼が腫れあがり、目がふさがっているので自分の向きがわからないようだ。 「あいぃいいい!!」 髪を掴んで持ち上げ、強引に背中を向けさせる。 俺は太い注射器を取り出すと、 背中を向けて並んだまりさの一匹を選び、 背中に注射器を突き立てた。 「ぐいいいいい!!いだいごどじだいでええええええ!!!」 悲鳴をあげる子まりさの内部に、注射器内の液体を注ぎ込む。 オレンジジュースだ。 どれだけ消耗していても、これを与えればゆっくりは回復する。 三匹の子まりさ、そして親まりさに、同じように処置を施す。 親まりさには表面のキズがいくつかあったので、 小麦粉の溶液をちょいちょいと塗り込む。 放っといてもいいが、なにかのはずみで傷から餡子が漏れないとも限らない。 これで、しばらくおけば普通に動き回れるようにはなるはずだ。 その前に、最初の子まりさに命じる。 「こっちに来い」 怯えながら、子まりさはこちらに這いずってきた。 その頭を押さえつけ、したたかに殴りつける。 「ぎびゃああっ!!」 「お前、さっき俺に「痛いことしないで」と命令したな」 「べいれいじゃありばぜええんん!!おでがいでずうううう!!」 「同じだ。いいか、饅頭共、お前らは俺の奴隷だ 奴隷に、俺に対して要求する権利はない。わかったな?」 言いながら、俺は同じ箇所を何度も何度も殴りつける。 「あぎいいいいわがりばじだあああああ!!!」 さんざん殴り、子まりさの右頬はぱんぱんに腫れあがった。 再び、背中からオレンジジュースを流し込む。 二度手間だが、上下関係ははっきりさせておく必要がある。 他のまりさ共も、がくがくと震えながらこちらを見ていた。 しばらく待った後、俺は頃合いを見て壁のスイッチを押した。 とたんに、鏡張りになっていた一面の壁が、隣の部屋の光景を移した。 この壁はマジックミラーで、鏡の状態と透明な状態を、 ボタン操作で切り替えることができるようになっていた。 今は向こうからも見えるようになっている。 部屋の向こう側は、本当のゆっくりプレイスだった。 部屋の間取りはこちら側と同じく八畳程度だったが、 壁には草花や青空や動物たちがデフォルメした可愛らしい画調で描かれ、 ふかふかのクッションやソファがあちこちに山ほど積まれている。 ブランコや滑り台や砂場、遊び場や玩具もふんだんにあった。 部屋の隅には餌場があり、いつでも砂糖水が飲め、 定期的にお菓子が補充されるようになっている。 そこには大小さまざま、およそ十数匹のゆっくり共がくつろいでいた。 ソファに寝転び、滑り台で遊び、家族で歌を歌う。 この部屋には常時二人ほどの人間が世話係を勤めており、 好き勝手に垂れ流される排泄物をはしから処理したり、 求められれば遊び相手になったりしていた。 「ゆぅうううううう…………!!」 おおむね体力を回復させたまりさ共は、 眼前に広がるゆっくりプレイスに目を輝かせた。 「ゆぅうううう!!すごいのぜ!!とっっっってもゆっくりできるのぜ!!」 「あれはまりささまのゆっくりぷれいすにするんだぜ!! あいつらはおいだしてやるんだぜ!!」 自分たちの状況を完全に忘れて騒ぎ立て、壁に体当たりする子まりさ共。 壁が破れないとみるや、俺の方を向く。 「おい、ごみくず!まりささまをあっ……」 俺の顔を見たとたんに、状況を思い出したようだ。 子まりさは失言に気づき、口を閉ざして震えだした。 親まりさは失言こそしなかったものの、期待に目を輝かせていた。 その目が、すがるように俺を見上げている。 「俺は言ったはずだ。ずっとゆっくりさせないと」 そう言ってやりながら、俺は失言した子まりさを踏みつける。 「びゅぇええっ!!」 何度も踏みつけてやりながら、俺は説明する。 「あのゆっくり共はお前らとは関係ない。 あいつらはあそこでゆっくりするが、お前らはここでずっと苦しんでもらう。 わかったな」 「ゆひぃぃいいい………」 慈悲を求めるように目を潤ませるまりさ共。 「わかったな!」 「わがりばじだあああ!!」 踏みつけていた子まりさを蹴り飛ばし、親まりさに叩きつけると、 ようやく返事が返ってきた。 ゆっくりプレイス側のゆっくりが、不安げにこちらを見つめていたが、 隣にいる世話係の人間が説明してやると安心したようだ。 どこか侮蔑を顔に浮かべ、にやつきながら眺め始めた。 踏みつけた子まりさにオレンジジュースを軽く注入してから、 親まりさ共に言ってやる。 「さて、その前に、飯の時間にしようか」 「ゆゆっ!?」 まりさ共の目が輝く。 オレンジジュースを注射器で注入されてはいても、 口からではないので味は楽しめないし、満腹感もない。 人間でも、栄養剤をいくら注入されても腹は膨れないのと同じことだ。 すでに丸一日、こいつらには何も食わせていない。 さんざん甘やかされてきたこいつらにとって、空腹は耐えがたいだろう。 口には出さずとも、軽く飛び跳ねて催促するまりさ共。 通信機で連絡をつけると、ほどなくして食事は運ばれてきた。 食事が、隣のゆっくりプレイスに運ばれる。 そこに運ばれてきたのは、信じられぬようなごちそうだった。 大皿に盛られたケーキ、プリン、フルーツ。 数多のトッピングがちりばめられたあまあまだ。 かつてこのゲス共が食べていたものとは比べものにならない高級品である。 「ゆっ!!ゆっくりできるごはんだよ!!」 「あまあま~、あまあま~!!」 「あわてなくてもたくさんあるからね!!なかよくゆっくりたべようね!!」 隣のゆっくり共の声が聞こえてくる。 マジックミラーで遮ってはいても、 スピーカーによって、こちらによく声が通るようにしてある。 「あまあま……あまあまたべたいぃ……」 「おなかすいたぁぁ……」 涎を垂れ流しながら、マジックミラーにへばりつくまりさ共。 向こうのゆっくり共は一心不乱に食べている。 「うっめ!めっちゃうっめまじうっめ!うっめ!ぱねぇ!!」 「むーちゃ、むーちゃ……しあわせえぇぇぇ!!」 「ちちちちちちあわちぇええええ!!」 「すっっごくゆっくりしてるよぉぉ……」 「ゆっくりしたいよぉぉぉ………」 「おにいさん……まりさにも、まりさにもあまあま……」 「お前らの飯はない」 俺の言葉に愕然とするまりさ共。 「ゆゆっ!ご、ごはんのじかんだよ?」 「向こうのゆっくり共のことだ。お前らに関係ない」 「おねがいします!ごはん!ごはんくださいぃぃぃ!!」 要求してきた子まりさの顔面を爪先で蹴る。 「びぃゆううう!!」 「さっき言ったはずだ。 お前らは俺に負け、奴隷になった。 もう飯はやらない。ましてあまあまは一生食べられない」 「ぞんな………ぞんな………」 「ゆっぐり、でぎだい………」 「何度でも言う。お前らはもう一生ゆっくりできない」 絶望と悲しみに大口を開けて震えるまりさ共。 子まりさが一匹失禁した。 「ちちちちあわちぇー♪」 「む~ちゃ!む~ちゃ!ゆっきゅりできりゅよぉぉぉ!」 ゆっくりプレイスの赤ゆっくりの歌が響く中、 まりさ共は絶望の淵にいた。 しかし、まだまだこいつらには余裕がある。 今後しっかりと、さらなる絶望を堪能してもらわなければならない。 とりあえず、少しずつ段階を踏んでいく。 この部屋にまりさ共と共に寝泊まりしながら、 最初のうちは手を下さず、餌を与えずに放置した。 ゆっくりという生物(と呼ぶべきなのかどうか)は、 非常に脆い反面、おそろしく頑丈な面もある。 どれだけ傷をつけられようと、 体内の中心部にある中枢餡が破壊されるか、 もしくは中の餡子があらかた漏れ出さないかぎり死なない。 餓死や病死という死因もあるが、 適当に室内で世話していれば、よほどのことがないかぎり病気にはならない。 餌は、一月ほど与えなくても大丈夫らしいが、 食欲はおそろしく旺盛なので、 一日抜いただけでも天地がひっくり返ったように暴れる。 まずは食からだ。 三日目にして、すでにまりさ達はこの世の終わりのような表情で、 だらしなく床に寝そべっていた。 初め、三匹の子まりさは親まりさを罵っていた。 「おまえのせいだ!!おまえがまけたせいでゆっくりできないんだ!!」 「さんざんいばってたくせにぜんぜんよわかったんだぜ!! くそまりさのうそつき!!ぺてん!!さぎ!!」 「やかましいんだぜええ!! おまえらだってまけたんだぜ!!ごみくず!!」 傷があらかた回復した親まりさは、子まりさに叫び散らしていた。 もはや威厳も何もないが、力だけはあり、 子まりさ共に襲いかかられても勝てる。 もはや暴力だけで、親まりさは子まりさ共を恫喝していた。 何度となく掴み合いの喧嘩、というか殺し合いを始めたが、 その度に俺が蹴りをくれたので、ほどなく罵り合うだけに留まった。 そして今、疲れきって体力もなく、 四匹とも力なく床に横たわるだけである。 一日中、獣じみた呻きを発するか、ぶつぶつと文句を言うばかりで、 暴れたり罵ったりする気力はないようだ。 最初の頃は俺に食事を懇願していたが、 その都度顔中が腫れあがるほど殴られたため、 いまではびくびくして俺に近づかないようにしている。 それでも、一日に五度の隣の食事が始まると、 全員でマジックミラーにへばりついた。 幸福にのたうちながら舌鼓をうつゆっくり共の姿を、 涙と涎を垂れ流しながら恨めしそうに眺めていた。 このゲスまりさ共は、かつて俺の部屋でずっと主として君臨していた。 他のゆっくり共を目下に従え、ふんぞり返って威張っていた。 そのプライドが、これまでまりさ共の口を閉じていたが、 ついに親まりさの心が折れた。 「おねがいです!まりさたちにもわけてください!!」 プライドをかなぐり捨て、向こうのゆっくり共に物乞いを始めたのだった。 それを皮切りに、子まりさ共も喚き始める。 「おねがいしますうう!!」 「おなかがすいてしにそうなんですううう!!」 「すこしだけでいいですから!!あまあまくださいいいい!!」 隣のゆっくり共がこちらを振り向いた。 その後、ゆっくり同士でひそひそと何事か囁いていたが、 やがてこちらを向いて言った。 「ひとごろしまりさにあげるあまあまはないよ!!」 「ゆっくりくるしんでね!!」 「そんなあああああ!!おねがいしますうううう!!」 「ば~きゃ!ば~きゃ!」 「よだれでべちょべちょ!みっともないね!!」 「おちびちゃんたちはあんなふうにならないよね!!」 「うん!あんなばかにはぜったいならないよ!!」 その時は、食事が残らず食べ尽くされるのをじっと見守るしかなかった。 その日、次の食事がやってきた時も、まりさ共は懇願した。 懇願するまりさ共を、始めのうちは罵っていた隣のゆっくり共だったが、 やがて、それまで部屋の中心で食べていた食事を、 まりさ共の鼻先にまで押しやってきた。 「あああああありがどうございまずううううう!!!」 「あまあま!!あまあまありがどうございまずううううう!!!」 分けてもらえると思い、嬉し涙を流して叫ぶまりさ共。 しかしそこまでだった。 まりさ共の目の前に積み上げられた食事を、ゆっくり共が食べ始めた。 マジックミラーに遮られて手を出すこともできず、 すぐ目の前で、まりさ共は食事を見せつけられることになった。 「む~ちゃ♪む~ちゃ♪しあわせぇ~♪」 「このくっきーあまあまだよぅ~♪ゆっくりぃぃぃぃ~~」 「たべないの?とぉ~~~ってもゆっくりできるよぉ~? む~ちゃむ~ちゃ……しししししあわせぇぇ~~~~!!」 まりさ達の方を向きながら、ことさら美味そうに食べてみせるゆっくり共。 涙を流し、まりさ共はぎりぎりと歯噛みしていた。 ゆっくりという生物は、弱い者を苛めるのが大好きである。 どんなに性格がよさそうに見えるゆっくりでも、 自分より弱い者や無抵抗の者を見ると、たちまち嗜虐心を燃え上がらせる。 その陰湿さは、俺自身が体験してきてよく知っている。 「ゆぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎいいいいいいい!!!」 怒りと悔しさと空腹に歯ぎしりするまりさ共。 「ゆぎぎぎぎ~~~♪」 「おなきゃすいちゃ~♪あみゃあみゃくだしゃ~い♪」 マジックミラーごしに、赤ゆっくり共がまりさ共の顔真似をしてみせ、 大人ゆっくり共がそれを見て笑う。 親たちが喜ぶのを見て、赤ゆっくり共はあの手この手でまりさ共をからかう。 地獄だった。 その地獄が、食事のたびに繰り広げられた。 続く
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/1062.html
抜けるような秋晴れの朝だった。 人里の外れにある、広めの平地。遮蔽物の少ない野原。 そこに突如湧きあがるゆっくりの大群。それらの目はおそろしく真剣で。 「「「うらー!!!」」」 まさしく兵士のそれであった。 ススメススメ、目指すは豊の大地。恵みに満ちた新しい領土。 荒れ果て(ゆっくり達が食い荒らしたから)、恵みに乏しく(ゆっくり達が(ry、冷たい風が吹き荒れる(ゆっくり達が木の根っこまで食い荒らしたから) 死んだ大地(下手人、ゆっくり達)を捨てて、豊穣の大地はもう目の前だ。 「ゆっくりすすめ!」 団体を指揮するのは1体のゆっくりまりさ。それの指揮に従ってゆっくり達は新天地を目指す。 あともう少しというところまで来た。ゆっくりれいむは傍らのゆっくりまりさにウキウキと話しかける。 「もうちょっとでゆっくりできるね!」 しかし、すぐ隣にいるはずのまりさからの返事はない。あれ、と思って振り返ると、まりさが尻餅(?)をついているのが見えた。 バカだなあ、と呆れつつまりさの所まで戻るが、どうも様子がおかしい。 ゆっくりまりさの表情が動かない。デフォルトの半笑いの状態でひっくり返っている。 よく見ると顔の中心にポツリと穴が開いている。そして、顔の反対側には大穴があいており、そこからはアンコがジクジクと漏れていた。 これは……弾がまりさを殺した! 「てきしゅー!」 途端に群れ全体に緊張が走る。ピョコピョコ気楽に跳ねていたゆっくり達は姿勢を低くし(ほぼ球体のゆっくりではあるが)、 匍匐前進に切り替える(ほぼ(ry。 耳を澄ませば、自分のすぐ横を風切り音を立てて弾が飛んでいるのがわかる。なんてこった、誘い込まれたか。 時折運の悪いゆっくりが弾に当たってアンコを飛び散らせながら絶命するが、群れ全体としては目標にわずかずつではあるが近づきつつあった。 そんな中、数体で固まって動いていたゆっくりの集団が宙に舞った。地雷を踏んだか。 まず1体のゆっくりれいむが悲鳴を上げる間もなく絶命する。 じめんにたたき付けられた残りのゆっくり達の中にも無事なゆっくりはいない。 「め゛があ゛い゛た゛い゛よ゛ーぉぉぉぉっぉお゛」 爆発で目を潰されたゆっくりがパニックを起こし、傍らのゆっくりを突き飛ばす。 直後にその目が潰れたゆっくりは蜂の巣にされた。 「ぎゃ」 まず1発。ゆっくりの動きが止まる。 「や゛め゛て゛え゛え」 2発、3発。弾が来た方向の反対側に逃げようとする。 潰れた目からアンコをこぼしながら、地面を必死に這う。 「あ……ああん」 4発目で力尽き、後は饅頭の解体作業に移行した。 時折うめき声を上げるが、1発当たるごとに原型は失われ、10発あたる頃には肉の壁にも使えない代物が出来上がった。 一方、突き飛ばされたゆっくりは体の左半分が失われており、既に意識はない。 転がっていった先で別のゆっくりと睨めっこ。デスマスクVSゆっくりれいむ。 「ひゃああああああああああ!!!」 恐慌に陥ったれいむが逃げ出す。 だが、指揮官のゆっくりまりさが行く手を遮る。 「ゆー!ゆー! どいてよ!」 「ゆっくりしね!!!」 どんという音とともに逃げようとしたゆっくりれいむが粉々になる。 ゆっくりまりさ必殺の尻アタックである。れいむの破片が、行進中の(先発隊が匍匐前進に切り替えているのに)ゆっくり達に飛び散る。 ピタリと動きを止めるゆっくり達。指揮官まりさは当然不平を漏らす。 「はいぼくしゅぎしゃはしゅくせいだー! はやくすすめ! ゆっくりしね!」 お前意味分かってるんか? だが、動きを止めたゆっくり達は声に応じない。 全てうつむいたまま何やらぶつぶつとつぶやいている。 「「なんで…」」 「ゆ?」 「「な゛ん゛で゛こ゛ん゛な゛こ゛と゛す゛る゛のおおおお゛おおおおおおおお!!!!」」 一生懸命新しいすみかを手に入れようと、ゆっくり頑張っていたのに、なんで仲間を殺すんだ。 なんで、なんでなんで。壊れた機械みたいに繰り返すゆっくり達が、指揮官まりさにかじりつく。 「いたいよー! やめギョ」 顎が食いちぎられた。さらに1体のゆっくりれいむが指揮官まりさにのしかかる。 ブルブルと痙攣を始めるれいむ。交尾の始まりだ。 なんでと叫ぶのは、今度は指揮官まりさの番だ。なんだってこんな時に。 「りゃめ゛てどおおお! なんでこんなごどずるのほおおおお!!!」 うまくしゃべれない口で必死に叫ぶ指揮官まりさ。だが、交尾は止まらない。 「らめえええ! こしがとまらないおおおおお!!!」 れいむは既に、まりさを襲った理由など頭にないようだ。発情した赤くてトロンとした表情のまま、ピストン運動を続ける。 共食いに遭いながら強姦される指揮官まりさは白目をむき、口から泡を吹きながられいむの動きに合わせて揺れる。 「あ、あああ、あああん!! いっちゃビシャッ! 交尾が最高潮に達し、れいむが果てるその瞬間、れいむの後頭部に弾が命中する。 弾は脳天をかすめるように当たり、ゆっくりれいむの時間は絶頂の瞬間で停止する。 悶絶する指揮官まりさの上で硬直する、恍惚の表情のれいむの死体。 時を同じくして、落ち着きを取り戻した他のゆっくり達が指揮官まりさから伸び始めた茎に気づく。 「あかちゃん?」 「あかちゃんだ! ゆっくりできるよ!!!」 見る間に大きくなる、茎の赤ちゃんゆっくり。それらが目を開く。 「ゆ?」 「おめめをひらいたよ! こんにちは! あかちゃん!」 ちなみに2体の死体はそのままである。 ついさっきまでの惨状の名残を囲んで、喜びに沸くゆっくり達。 「ままー?」 「ままたちだよ! はやくゆっくりしようね!!!」 砲撃、着弾。 その頃、最前線の集団は敵が掘った塹壕にたどり着いていた。 命拾いした、とばかりに塹壕に飛び込んでいく。飛び込んだ勢いで潰れるゆっくり、少数発生。 ふーふーと呼吸を整えるのは1対のゆっくりまりさとゆっくりアリス。 「けがはない? まりさ」 「だいじょうぶだよ! げんきだよ!」 よかったー、とアリス。そんなアリスにまりさが少々照れた様子で声を掛ける。 「このたたかいがおわったら、アリスとかぞくをつくりたいんだ!」 「ほんとう!? ……べ、べつにうれしくなんかないんだからね!!!」 直後に砲弾が直撃。山なりに飛んできたものがアリスを粉々にする。 巻き上げられた土と一緒にまりさに降る、アリスの残骸。 一瞬呆然としたまりさが、憤然と塹壕を飛び出す。 「よくもアリスを!!!」 だが、塹壕を出かかった所で塹壕に引き戻される。 まりさを引き戻したのは、アリスと仲が良かったゆっくり上海と蓬莱。 「ゆー! なにするの!」 「ホライホーライ!」「シャンハーイ!」 まりさを怒鳴りつける2体の様子を、まりさはこう解釈する。 「おちつかないとあぶないもんね! ありがとう!」 だが、上海と蓬莱が振り上げたのは、ギラリと鋭く光るカミソリ。 ……の、刃を持つ安全カミソリ。 「ホーラーイ! (よくもアリスにいらない死亡フラグを立てたな!)」 「シャーンハーイ! (生かしておくべきか、この泥棒猫!)」 上海と蓬莱がまりさをカミソリで殴り始める。 2体は小柄な種であるため、殴られても大して痛くはないのだが、時々カミソリの刃がまりさの皮を削いでいく。 「なんでこんなことするの! ゆっくりできないよ!!」 それでもさほどダメージはないので、まりさは冷静さを失わないでいられた。 冷静に抗議を続けたことがそのまりさの命を奪う。さっさと体格に任せて上海と蓬莱を黙らせれば良かったのだ。 よく開くまりさの口に安全カミソリの頭が突っ込まれる。 「ふぐ!?」 そして掲げられるまりさ。魔女を断罪する十字架のように、カミソリは天高く持ち上げられる。 まりさは磔にされた罪人であると同時に、動かない的であった。 敵陣まで大分近づいていたため、弾の命中率は大分高い。 容赦なくまりさを殺していく弾。 口がふさがっているまりさは「なんで」と目で問いかけるだけ。涙と涎で上海と蓬莱を濡らしながら絶命した。 「シャンハーイ」 満足げにため息を吐いた2体のゆっくりは、何気なく、まったく不用心に塹壕を飛び出す。 当然、10秒と持たずにバラバラになる。だが2体は穏やかな表情で逝った。あの世で大好きなアリスとゆっくりできる、とでもいいたげに。 だが残されたゆっくり達はそんなこと知ったことではない。3体も無駄に死んだ、このままでは自分達もゆっくりできなくなる。 ではどうしよう。本人達が気づかない間にだいぶ混乱していたゆっくり達は、各々勝手にゆっくりし始める。 眠り始める個体。眠ってる個体に交尾を試みる個体。その個体を食べ始める個体。無意味に飛び跳ねて蜂の巣になる個体。 塹壕に時折飛び込んでくる砲弾で吹き飛ぶ仲間達には目もくれない。 硬直する戦況を打開すべく、最後方にゆっくりパチュリー達とそれらが作った武器がお目見えする。 でかいパチンコである。玉入れの方ではない、スリングショットの方だ。 装填された弾はゆっくりみょん。頭に槍のつもりだろうか、木の枝をくくりつけている。 これなら敵陣に直接攻撃が可能である。 「おおおおおちつこうよ、やめてー」 やめてくれと懇願するみょん。だがパチェの耳には届かない。彼女(?)の灰色の白あんがはじき出す答えはただ一つ。 ゆっくりみょんは半分霊体だから軽い。遠くまで届きそうだ。 みょーんと発射される第一波。だが、ゴムの引きが甘く、発射されたみょんは眼前のパチェに突き刺さる。 「むきゅーん」 「ちちちっちんっぽー!」 スコンと気の抜ける音を立てて枝がパチェに突き刺さり、急所に当たった訳でもないのに昇天するパチェ。 やっちまったと震えるみょん。そのみょんを他のゆっくり達がもう一度パチンコに装填する。 同じ失敗を何度か繰り返した後、ようやく最前線にみょんが飛来する。 そう、最前線に。最前線の塹壕の中に。 塹壕の中でゆっくり子育てを始めていたゆっくりは串刺しになり、弾に使われたみょんはえらいことになったと泣き出す。 「むきゅむきゅーん、こうりょくしゃかくにん、つづけー! ゲッホゴッホ!」 興奮のしすぎで発作を起こしたパチェが吐血ならぬ吐餡をして気絶する。 次から次へと塹壕に飛来するみょん。終いには衝撃で塹壕の壁が崩れ始める。 「ゆー!? ゆー!?」 「わからないよね! ゆっくりしたいよね!」 「おか゛あ゛ああさ゛ああ゛んん゛……」 生き埋めになるゆっくり達。 どうも様子がおかしいと後方が気づいたのは、みょんを全部発射した後だった。 戦局打開の第ニ策目は戦車の投入である。 ゆっくりさくやに緑色をした怪獣の着ぐるみのような装甲【ぱーふぇくとめいど】を装備させたゆっくり戦車。 主砲には0.1口径20mmナイフ砲【さつじんどーる】、さらに対ゆっくり散弾砲【えたーなるみーく】を採用した、 ゆっくりさくや-III式戦車、通称『さくやさん』である。 ノソノソと登場したさくやさんは敵弾をものともせず前進を開始する。当然、下敷きになった味方もものともしない。 自分の下で断末魔の悲鳴は聞こえるが、さくやさんは急には止まれない。 ぶちまけられた餡子が邪魔だが、さくやさんはこの程度では止まらない。 「おーるはいる、おぜうさまー!」 「「「おーるはいる、おぜうさまー!!!」」」 さらに航空戦力も投入される。 ゆっくりれみりゃの大群が、高々度からの爆撃を開始する。爆撃範囲は味方最後方から中盤にかけて。 「はやくやめグシャ 「むギュー 爆撃成功、爆撃成功。岩石投下による被害は甚大。味方勢力のさらなる減少を確認……あれ? そもそもの作戦内容を思い出せないれみりゃは、頭から?マークを生やしたまま敵陣上空に到達する。 途端に、対空散弾による迎撃が開始される。翼にダメージを負い、1体また1体と撃墜され、地面と激突するれみりゃ。 だが、運の良いれみりゃ、いち早く逃げ始めたれみりゃが他のゆっくりの上に軟着陸する。下で悲鳴が聞こえたが、気にしない。 餡子で滑って転んだれみりゃが泣き始める。 「びええええ! さ゛く゛やああぁぁぁぁぁあ゛あ゛あ゛!!!」 「おぜうさま! おぜうさま!」 泣き声を聞きつけたさくやさんがノソノソと駆けつける。だが言ったはずだ、さくやさんは急には止まれない。 ぶちっ。 足の先から順に、さくやさんに挽き潰されていくれみりゃ。 「ぎゃああああああ!!! いだいよー! やめてさ゛くやあ゛あ゛あああ゛あああ!!!」 飛び散る肉餡。れみりゃは必死にさくやさんから逃げようとするが、下敷きになった胴体が邪魔で全然動けない。 手がむなしく地面を引っ掻く。 「ああ、おぜうさま! ああ、おぜうさま!」 ノソノソとミンチが出来上がっていく。胴体が潰され切る頃にはれみりゃには悲鳴を上げる余力もなく、 ただ、ぜーはーと荒い息をするしか無かった。そして、頭部も下敷きになる。 「さ……ぐ……や……ぁぁぁ」 ゴリ。 「お゛ぜう゛さ゛ま゛あ゛あああ゛ああ!!! なぜか「止まらなかった」さくやさんが慟哭を上げる。上げて、上げて、上げながら【えたーなるみーく】の散弾をばらまきj始める。 混迷極める戦局を打開する最終手段として、空挺戦車ちぇん式、通称『ちぇんしゃ』の投入が決定した。 輸送はゆっくりフラン4体で1体のちぇんしゃを運ぶ形式になる。 勿論、落下傘などない。 「わかるよねー? むちゃだよねー!?」 「「「「ゆっくりおちろ!!!」」」」 ちぇんしゃの残骸と巻き込まれたゆっくりの死体だけが量産されていく。 えらいめにあった、なんてこった。 その日ののうかりんは間違いなく厄日だった。 いつもどおり畑にきた。収穫間際の作物が野良ゆっくりに荒らされないように柵の点検をしようと思っていた。 そんなのうかりんが目にしたのは、雲霞のごとき野良ゆっくりの大群。 追い払おうと足下の土を掴んで思いっきり投げつけたが、まるで怯まない。 ちなみに、のうかりんは名称の元となった風見幽香に比類する膂力を持っていることを併記しておく。 怯まないどころか、畑の脇にある用水路の中にまで入り込まれた。 驚いて飛び出すかと思って石を投げ込んでみたが、あまり効果はなかった。 それどころか、なんか道具のようなものを持ち出したりもし始めた。 厄日って騒ぎではない。天災だ、これは。 「ああ、ゆっくりれみりゃまできたず! どうすっか!」 とりあえず土を投げてみる。おお、落とせる、落とせる。 しかしなんて数だ。休耕中の畑がゆっくりの残骸で一杯になっているではないか。 ……肥料になるかな。 上空から惨劇の様子を眺める人影2つ。 「……何がしたかったんですか? パチュリー様」 「ゆっくりの大量錬成法の実施検討と、……ゆっくりの統制可能性の検討」 「失敗、ですよね?」 「……大量錬成法の実施検討は成功。……ゆっくりがある程度道具を使えることも分かった」 「はあ、そうなんですか。ところで、その大量錬成法の名前ってあるんですか?」 「……ゆ、……。……ゆっくりコンフリクト」
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/2817.html
ゆ っ く り 昔 話 桃 太 郎 むかしある村に普通のお兄さんがいた。 村での地位も持っている畑の広さも人並みほどなので、それなりに働けばそれなりに食っていける程度の よくいる村人の一人。 そのような立場の人間であった。 彼の村ではゆっくりの虐待がどうたらこうたらとゆっくりに興味のある人間も多く、加工所も近くの村にあるらしいのだが 彼はそのような無骨な趣味は持ち合わせてはいなかった。ただちょっと宗教くさい一面が普通の人間だ。 「人間は自然から命をもらって生きている。だからこそ自然の結晶である生き物を無闇に殺すべきではない。」 というのが彼の信条であるらしいのだが それはただ彼の畑が比較的村の中央近くというゆっくりに攻められにくい位置にあり 村の中での〝ゆっくり害防止キャンペーン〟のようなものでの柵が非常に効果があっただけで 彼自身の畑が襲われたのが少なかっただけであるのは言うまでもない。 たまにちらほらと誰かがゆっくりに畑を襲われたとの話を聞くが、虐待派の玩具となるのが関の山なので さほど気にしていなかった。 誰にでもある利己的な面が少し強いのかもしれない。 そんな人間であった。 これはそんなお兄さんが川に釣りに行った時の話である。 その日は天候も良く毎日の日課である畑仕事が早めにきりがついたので 彼の趣味である釣りにでかけることにしたのだ。 彼の畑の収穫高では一人暮らしの彼にとってまずまずの食生活を送らすことができるのだが たまには魚も食いたい。 そう思った時によく行く言わば実利を兼ね備えた趣味であるのだ。 釣りをするのもいつものことなので特に感慨深いこともない。 そう思いながら釣り糸を垂らしぼーっとしていると何やら上流の方から奇妙な物がどんぶらこ どんぶらこと流れてくるのが見えた。 「ゆっ! そ、そこのおにいさんれいむをたすけてほしいよ!!」 ゆっくり霊夢である。 巷では「でいぶ」と呼ばれているらしいが、さほどゆっくりに興味もない自分にとってはどちらでもよい。 とりあえず自分の意思で流されているわけではなさそうなので自分の持っている釣り竿でこちらの方へうまく板のような物をひっかけてやる。 「たすかったよ!ゆっくりしていってね!! もう少しでおなかの赤ちゃんにびぇ」 たしかによく見ると下あごのところが他のゆっくりより膨れあがっているような気もする。 しかし自分にとってゆっくりがどうなっていようが興味はない。 いつも私が食料をとっている川で流れてきたので、これはつまりたまには甘い物でも食えとの神からの啓示であろう ゆっくりは食えると隣人が言っていたはずだ。 そう思いゆっくりの頬をつかみ家まで引っ張っていった。 途中ゆっくりが「ゆっくりできなぃぃぃいいいい」と泣いていたのだが 所詮この世は弱肉強食である。 たいていの人間は妖怪より弱く妖怪に食われ たいていの動植物は人間に食われる。 ゆっくりもその中の1つであるのだ。 しかも中身が餡子だの生物を馬鹿にしているところがもう食われるために存在するのではないかと疑ってしまう。 そんなわけで家についたのだが正直私はゆっくりの食い方を知らない。 聞く話によるとただの饅頭らしいから普通に食えばいいのだろうか? そう思い涙でふやけかけてかけているゆっくりを軽く水洗いし 包丁を持つと急にゆっくりが叫び始めた。 「ゆ!赤ちゃんがでてきそうだよ!! やめてね!! もっとゆっくりしてね!!」 命の危険を感じて出産が早まったのだろうか 顎のあたりに穴が開いてもう1匹ゆっくりがでてきそうだ そういえばゆっくりは出産をするとどうなるのだろう 以前カチューシャをつけたゆっくりが他のゆっくりと交尾して母体の方が黒ずんでいたような気がした。 もしかしたらゆっくりは出産したら死ぬのかもしれない あのような食欲のわかないような物を食う気にはならない そう思い手に持った包丁で母体を唐竹割りで二つに切り裂いたのと赤ん坊が生まれたのは同時であった。 「…ゆ? ゆっくちしちぇいってね!」 いつまでも母からの「ゆっくりしていってね!!」がないのに気づくとかまって欲しさ故か自分から言い始めた。 今赤ゆっくりが見える光景は後ろには餡子の塊のようなものが2つ 正面には包丁を持った私がある。 子にせめて恐怖を味あわせたくないという一心で死ぬ間際にもかかわらず一言も叫び声をあげなかったのであろう 隣人たちから聞いていたゆっくりへの評価とは程遠い高潔な魂を持ったものがそこにはたしかに存在した。 これは私にこのゆっくりを育てろという神託なのであろう と一種の感動をおぼえていると 「ゆっくりしないでれいみゅにごはんをもっちぇきてね!! にょろまはきらいだよ!!」 …嫌いになってきたかもしれない * * * 数ヶ月後れいむはすっかり成体になっていた。 やはり餌の質が良いかもしれない 魚の残飯に野菜の皮 そして毎日れいむに与えている雑草とりと害虫とりの仕事による 安定した食料の供給が成長を促進したのだ。 宗教じみた考えを持つ家系であるのだが 例え神の使いであろうと働かぬものは食うべからずの原則は変わらない 適度な食事と運動を与えてるので下手な野生よりかは強くなっているはずだと思う しかし最近ある問題が現れた 年貢の時期となり、食料をれいむに分け与えることが難しくなってきたのだ 今の年貢の取り立ての仕方は一定の税率が決まっている方法である 出来高に合わせる方法とは違い収穫が豊作であろうと凶作であろうと関係ない一定の税率であるのだ そして今年は凶作の年である つまり食っていくには口減らしにれいむを野に放つか、食糧自体をどこからか持ってこなければならないのだ しかし私はできることならば野に放ちたくはない いや、もしかしたら神の使いだからこそどうにかしてくれるかもしれない そのような考えが頭の中を駆け巡ったていると… 「ゆ? おにーさん深刻そうな顔をしてどうしたの?」 「いや、食料が足りなくてな… 冬を越せないかもしれないんだ」 「どぼぢでそんなこというのぉおおおお!! ごはんをあつめるのはおにーさんのしごとでしょぉおおお!!」 「人間の世界には年貢というのがあってだな 冬を越せそうな程度に食料を得ることができても上の者に渡さねばならんのだ」 「そしてこの村の上にあたるのが隣の村で、隣の村の」 「つまり隣の村からごはんをとってこればいいんだね!」 そういうとれいむはゆっくりにしてはゆっくりしないで外へ駈け出していった 何にも持ってないけど大丈夫か…? と思いもしたが本当にれいむが神の使いならば食料を手に入れてくれるし 偽物であるのなら口減らしにもなる。 そう思い戸を閉じた。 * * * こうしてれいむは隣に村へ行くことになった 途中自分がなにも持っていないことに気づいたこともあったが 普段おにいさんの手伝いで雑草なども食べていたので食料には困ることもなかった しかし… 「かわいいれいむをみつけたぜ! まりさとゆっくりしていかないかだぜ!」 「ゆ! れいむは今からとなりの村にいかないといけないからゆっくりしないよ!」 「じゃあれいむがまりさにごはんをくれるんだったらついていってあげるぜ!!」 「ごめんね! まりさはゆっくり雑草でもたべててね!」 「どぼじでぞんなごとをいうのぉぉおおおお」 という他のゆっくりに会ってもこのようなやり取りばかりでいっこうに仲間は増えることはなかった。 単に自分のエサの取り分を減らしたくなかっただけかもしれないが しかし案外一匹で行くのは良い選択であったのかもしれない。 仮に仲間が多かったとしてもれいむのいた小さな村でさえゆっくりの対策がしっかりできていたのだ。 加工所のあるような大きな村である隣りの村ができていないわけがない。 ゆっくりの攻撃力では千匹いたとしても人が守る村を落とすことは不可能であるのだが 多ければ畑を荒らしにきたのだと思われ交渉以前に加工所送りになっていたのかもしれないのだ。 隣の町へは人間の足では半日ほどの距離であるのだがゆっくりの足では3日ほどかかるらしい。 だがれいむは歩き続けた。 何も持たないれいむが歩き続けることができたのもお兄さんが舌を肥やさないよう 毎日のように雑草を食べてさせていたことにより悪食の食生活でも耐えれるようになったことと れいむにはゆっくりには珍しく野心のような物があったからである。 お兄さんのある程度の教育により野生のゆっくりでは安定した食生活などは求められぬこと。 そして栄養のある食生活をしているゆっくりは美ゆっくりとなり、美ゆっくりとしあわせー!になれることを知っていた。 つまりはこのようなところ。 食料を貰い受けることは己がのし上がるためになくてはならぬもの 食料を貰い美ゆっくりを貰い 飼いゆっくりとなっておうちとする お兄さんの庇護をしゃぶり尽くした上で そいつを踏み台にして… 天下の美れいむとなる! 野心である 野心がモルヒネのように疲れを麻痺させているのだ * * * そんなわけで3日がたった。 隣の村では様々な村から集まってきた年貢を上の方へと届けるために 鬼のような体格をした人がれいむにとって見たこともないようなごはんを 俵や樽などに詰めたり運んだりしていた 野菜、魚、貝などれいむがゴミのようなところしか食べさせてもらえなかったのが 山ほどあるのです。特に加工所も近いことがあってあんこのあまあまの匂いには れいむもつい飛び出しそうになりました。 しかし多勢に無勢。 れいむは勝つことは叶わぬと悟り夜に倉庫の管理をしている人の家を訪れることにした。 夜… 「今日はよく働いた。これさえ終わればもう年を越すだけだ。」 と言って笑っている男がいた。 少し大きな村といっても農村なのです。 娯楽の少ないところにとって祭りごとは唯一の楽しみであり特に正月といえば 1年の間無事に生きることができたと喜び、来年も無事に生きることができるようにと願うためのものであったが 理屈無しで男は正月の神聖な雰囲気が好きであったのだ。 すると入口をたたく音がしました。 「ゆっくりあけてね! れいむがきてあげたよ!!」 ゆっくりであった。 普通なら無視をするのだが、ふと気まぐれで男は扉を開けてやりました この村には元々ゆっくり害が多くゆっくりが多いなら加工所を作ればいいじゃないかということで 加工所ができ、加工所を恐れてゆっくりはあまり人前に姿を見せなくなった。 それなのにわざわざ家を訪ねるゆっくりに興味を持ったのだ。 「ゆ! おにーさんは〝ねんぐ〟というものでごはんをいっぱい持っていると聞いたよ!」 「れいむ〝たち〟はこのままじゃ冬をこせないんだよ! ゆっくりちょうだいね!!」 やはりゲスであったと拳を握り潰そうと思うと男の脳裏にふと数日前の事件が脳裏に浮かんだ。 数日前… ある畑で採れた野菜を食べた一家が急に倒れた。 不幸にも発見が遅れてしまい体の小さかった子供は亡くなってしまった 原因を調べてみると毒によることがわかった。 しかし毒を盛られるようなことはない人物ではなく周りの人のアリバイもあるので当初調査は困難をきわめた。 調査の結果としては野菜を育てるための水 農業用水として使われている井戸に大量の鈴蘭が沈んであったのだ。 鈴蘭の毒は花瓶に入れてある水を飲んだだけでも死に至ってしまう。 それが大量に毒で汚染されている水で食用の野菜を育ててしまったのだ ゆっくりの加工所に捕獲された仲間の復讐という賢いのか賢くないのかわからない群れが放り込んだことが判明し その後ゆっくりメディスンを中心にいくつかの群れが捕獲され、その月の利益が10%ほど上がったらしいのだが 人が一人ゆっくりに殺されたのだ 安全のためその家にあった野菜は全て回収され、そして処理するため一時的にその男の倉庫に預けられた。 つまりその野菜が今家にあるのだ。 そして男は「こいつ自分の群れに持っていくといったよな…。人間にも死人がでる毒の強さだからホウ酸団子の代わりになるんじゃね?」 と思うとニッと笑った。 * * * 「ゆ!さすがれいむだよ! れいむにおそれをなしてこんなにわたしてきたよ!」 そこには荷台いっぱいの野菜とそれに紐でつながれたスィーがあった。 れいむの訪れた家のおにいさんは鬼井という名前であった。 こうしてれいむは鬼井さんから宝物を取り返し?家に帰ることになったのだ。 れいむがついでに貰ったスィーはなかなか高性能の物であるらしく 後ろに大量の荷物があるのに人間の走る程度の速度がでた。 この速度であるのなら夜が明ける前には家につくだろう。 通常ゆっくり種は夜に捕食種がでるという理由で外にでないが それはゆっくり種が鈍足なことが原因なのである。 人間の走った時と同等の速度であれば捕食種でも追いつけることはないのだ。 こうして太陽が昇る同時刻にれいむはお兄さんの家についた。 「ゆっくりかえったよ! 」 「うおっ 朝からうるさいと思ったられいむか この4日間何処に行っていたんだ?」 「ゆっくりしていたよ! それよりおにいさんれいむのうしろにあるのをみてね!」 「まさか…本当に神の使いだったのか? これだけあれば冬もしのげる よしっ今日の朝飯はれいむの好きな野菜を食わせてやるぞ!」 「ゆっくり食べようね!」 おしまい。 あとがき----------------------------------- どうも、初投稿なので色々とちゃちな文章が多く設定もあれなところがありますが 読んでくださりありがとうございます。 昔話をモチーフとした作品をあと何作か書いてみようと思いますので 名前の方は〝昔話〟とでもしておきます。 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/4455.html
※いじめの対象はありすメイン他おまけ程度です ※肉体的虐待より精神的虐待を目指しました ※俺設定を含みます ※その他あれこれとあるかもしれません 幻想郷のとある人里、その近くにある里山にゆっくり達の声が響いた。 「ゆっ!にんげんさんがいるよ!」 「ゆぅ~。れいむのおかあさんはにんげんさんはゆっくりできないっていってたよ」 「むきゅ!れいむのいうとおりだわ。ぱちゅりーもおかあさんからそうきいたもの」 「れいむ、ぱちゅりー、おちついて!かんたんにとりみだすなんてとかいはじゃないわ!」 まりさが発見した人間にれいむとぱちゅりーが怯え、ありすがそれを宥めている。 四匹は成体に成り立てのまだ若いゆっくりだが、親の躾が良かったのか人間の恐ろしさを十分に理解していた。 普段は里山のこの辺りにゆっくりが出没することはない。人里に比較的近く、人間が山菜などの山の恵みを採りに来る ここはこの山の奥の方に住むゆっくり達にとってはゆっくり出来ない場所だからだ。 ゆっくりは成体になると育った巣と親元を離れて一人暮らしを始める巣立ちを行う。 この四匹は徐々に近づいてくる巣立ちの日に備えて、 仲良し四匹組で自分の巣を作る新天地の下見をしているうちに張り切って進みすぎていたのだった。 「ん?ここいらへんでゆっくりを見るなんて珍しいな」 人間の男の方もゆっくりに気付いたようだ。 「ゆ、ゆっくりしていってね!」 まりさが意を決して人間に声を掛ける。本当なら一目散に逃げ出したかった。 しかし、もしゆっくりより遥かに強いという人間が襲いかかってきたら、まず犠牲になるのは運動の苦手なぱちゅりーだろう。 友達を見捨てるようなことは出来ない。いや、仮に出来たとしても絶対にやっちゃいけない。 「ああ、ゆっくりしていってね」 返ってきたのは四匹にとっては予想外の返事だった。 緊張状態にあった四匹の体が男の一言で弛緩する。特に、いざという時は自分が男に立ち向かってその隙にみんなを逃がそうと、 内心で死をも覚悟していたまりさは安堵のため息を吐いた。 「ゆ、ゆふぅぅ~」 そんな風になにやら固まったり弛緩したりしている四匹を不思議そうに見ながら、男が質問する。 「お前達、何でこんなところにいるんだ?」 「れいむたちは、もうすぐすだちをするんだよ!」 「むきゅ!むれでしごとをするいちにんまえのゆっくりになるの!」 「だから、いちにんまえにふさわしい、とかいはなおうちをさがしてここまできたのよ!」 挨拶を返してくれたことで、この人間は言われていた程ゆっくりできない訳ではないらしいと判断した三匹が次々に質問に答える。 「へー、そりゃおめでとう。でもこの辺は人間のテリトリーだから巣を作るには危ないぞ。 それにここからだと群れが遠いから、仕事とやらもちゃんとできなくなっちゃうぞ」 男のその言葉に、まりさが慌てて反応する。 「ゆゆ!しごとができないのはだめだよ!いちにんまえになれなくなっちゃうよ! いちにんまえになれないとけっこんもすっきりーもできないよ! まりさは、けっこんしてあかちゃんをつくって、おかあさんみたいなりっぱなゆっくりになりたいよ!」 どうやらこの四匹がいる群れでは、成体となって巣立ちをし、群れのために仕事をすることでようやく一人前と認められるようだ。 そして、一人前としての義務を果たすことでようやく結婚や出産の権利が認められるらしい。 義務と権利の相関。ゆっくりの群れにしては随分立派なことだと思いながら更に男は尋ねた。 「仕事ってのはどんなことをするんだ?」 「まりさはかりをして、ゆっくりできるごはんさんをあつめるよ!」 「れいむはほぼさんになるよ!おかあさんのいないこどもたちのめんどうをみて、ゆっくりさせてあげるんだよ!」 「ぱちゅりーはじむのしごとをするの。ごはんのりょうやおうちやこづくりのもんだいをかいけつするのよ」 「ありすは、とかいはなこーでぃねーたーになるわ!おうちやひろばをかざって、とかいはなえんしゅつをするの!」 なるほど、男は納得して頷いた。どうやら四匹ともそれぞれの特長を生かした仕事に就くようだ。 食料集めは絶対必須の仕事だ。食べなければ何もできない。 保母さんも分かる。もろい生き物であるゆっくりの子育ての過程ではどうしても親を失った子が多く出るだろう。 その世話をして一匹でも多く一人前にすることは群れの繁栄に繋がる。 事務も群れのためになる仕事だろう。食料を集めたら集めただけ食べてしまって、ちょっとした怪我や雨ですぐ飢えるといった事態を避けるため備蓄の指示をだす。 また、家造りや子作りは特に越冬時に問題になりやすいため、事前に入念な準備と指導が必要だろう。 いや、しかし、コーディネーターというのは何だろうか?家や広場を飾ると言っていたがそんなことが必要なことなのだろうか? 生活に余裕を持てる強い生き物、例えば人間や妖怪が余暇を利用してそういった楽しみを追求するのは分かる。 しかし、ゆっくりは弱い生き物だ。そう、無い知恵を振り絞り、必死に頑張って働いても他の生物にあっさりとその命を踏みにじられるほどに弱い。 そんな生き物に必要なのはまずは生きるために働くことではないだろうか? 男はその疑問を四匹にぶつけてみた。 「まりさとれいむとぱちゅりーの仕事は分かった。でもありすのコーディネーターは本当に必要な仕事のか?」 「ゆ?」 「ゆぅ~?」 「むきゅきゅ?」 「どぼじでぞんなごどいうのぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!どっでも゛どがいはなじごどでしょおぉぉぉぉぉぉ!!!」 ありすを除く三匹の疑問の声とありすの絶叫が里山に木霊した。男はありすを無視して平然としたまま続ける。 「だって、そうじゃないか。なあ、まりさ。ありすは飾り付けをするよりご飯集めをした方が いっぱいご飯が集められて良いと思わないか?」 「ゆ?ゆぅ~、でも……」 「飾り付けは生きるために絶対必要って訳じゃないんだろ?なら、ありすには狩りに参加してもらって 美味しいものをいっぱい集めてもらう方が食べるものがたくさんになってゆっくりできるじゃないか?」 「ま、まりさにはわからないよ……」 「れいむはどうだ?ありすは飾り付けをするより、たくさんのこどもを育てて一人前にする方が群れに貢献できると思わないか?」 「ゆゆっ!」 「ぱちゅりーは?運動が苦手なぱちゅりーはありすが手伝ってくれれば、より効率的に働けるんじゃないか?」 「むきゅう……」 男が三人に声を掛けるのを聞きながら、ありすは焦っていた。まさか自分の仕事をこんなところで人間に完全否定されるなんて思ってもいなかった。 今の今まで都会派な自信に満ち溢れていた心が急速に萎えていく。もしも、群れで自分の仕事が認められなければ、仲良し組で自分だけ子供のままということになる。 嫌だ。絶対に嫌だ。 子供の頃からずっと一緒で仲良しだったみんなが一人前になるのを尻目に一人だけ子供のままでいる。 やがては結婚し、子供を作り、立派な親になるみんなに置いていかれて一人だけ結婚もすっきりもできないままでいる。 そんなの全然都会派じゃない。田舎者だ。とびきりの田舎者だ。 「ぞんなのい゛や゛だあ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!ゆ゛っぐり゛でぎな゛い゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛!!!」 「ありす、おちついてね!ゆっくりしてね!」 「むきゅ!とりみだしちゃだめよ、ありす!そんなのとかいはじゃないわ!」 「どがいはじゃないのはい゛や゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!!」 れいむとぱちゅりーが何とかありすを落ち着けようとしている。その様子を横目にまりさは男に食って掛かった。 「おにいさんやめてね!ありすをいじめないでね!」 「別に虐めてるつもりはないんだけどなあ。ただ本当のことを言っただけであって」 男には反省の色は全く無い。いや、男はそもそも間違ったことを言ったとも思っていない。 普段ゆっくりと触れ合う機会の殆どない男には、ありすの都会派へのこだわりとそれを自分が踏みにじったことなど分かるはずがなかった。 「なにがぼんどうのごどだあ!ゆ゛っぐり゛でぎないじじい゛はゆ゛っぐり゛ぜずにじねぇ!!」 先ほどの男の言葉を聞き咎めたありすがとうとう暴発した。 れいむ、ぱちゅりー、まりさを置き去りにして男の足に向かって体当たりを繰り返す。 「おいおい、なんて事するんだ。せっかく群れのためになるよう忠告してやったのに。まったくありすは悪いゆっくりだな」 男のその言葉に、まりさは自身のあんこが急激に冷えていくのを感じた。代わりに忘れていた人間への恐れが急激に浮上してくる。 ありすの気持ちは分かるが人間を怒らせるのだけはまずい。 ふと横を見る。するとれいむとぱちゅりーは既に恐怖にぶるぶると震えていた。とても動けそうな状態ではない。 自分がやらなければならない。ありすを落ち着かせ、人間さんに謝って、みんなを連れて一刻も早くここを立ち去らなければならない。 「お、おにいさん!ゆっくりごめんなさい!ありすもわるぎがあるわけじゃないんです!」 「ジジイ呼ばわりした挙げ句に体当たりまでしといて悪気はないって言われてもなあ」 「ゆ、ゆぅ……。ありす、そんなことしちゃだめだよ!ゆっくりできなくなるよ!」 男とまりさの会話の間も体当たりを続けていたありすをまりさが制止する。 「ゆっくりまっててね、まりさ!もうちょっとでこのじじいをたおせるわ!」 しかし、ありすは従わなかった。いや、むしろ攻撃が効いていると確信して勢いを強めている。 あまりの怒りに人間への恐怖も親の教えもあんこの遙か彼方へ飛んで行ってしまったようだ。 「にんげんざんをだおぜるわけないでしょおおおお!!おねがいだがらやべてよおおお!!」 「う~ん、もういいや。最初は礼儀正しいゆっくり達かと思ったけどやっぱり害獣なんだな。 放っとくと里に迷惑を掛けるかもしれないしお仕置きしとくか!」 男の口から死刑宣告にも等しい言葉が発せられた。 恐怖のあまり硬直していたれいむとぱちゅりーがその言葉に弾かれたように動き出した。二匹揃ってゆっくり式の土下座を繰り返す。 「おねがいだがらびゅるじでぐだざいぃぃぃ!あやばりばずがらあ゛ぁ゛ぁ゛!」 「むきゅう!むきゅきゅう、むきゅう!」 懸命に命乞いをする二匹、ぱちゅりーに至っては余りの必死さに言語を失っている程だ。 しかし男はそんなゆっくり達の懇願を全く意に介さない。 「い~や、ダメだ。お前達はクズだ。害獣だ。一匹残らずお仕置きする」 そう言うと、男はゆっくりからすると信じがたい程の速さでいまだに体当たりを続けるありすとそれを止めようとするまりさから それぞれカチューシャと帽子を奪い、それでも土下座を繰り返すれいむとぱちゅりーからも飾りを取り上げた。 そのままの勢いで宣言する。 「お前達はまだ悪いことをしたわけじゃないから命だけは助けてやる。だが、ゆっくりにとって一番大事だという飾りは破壊させてもらう」 そして間髪入れずに全ての飾りを力尽くで引きちぎり、たたき割った。 「「「「ゆぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!」」」」 四匹の悲鳴が里山に響き渡る。飾りのないゆっくりは仲間はおろか親姉妹からさえ排斥される。 これでもう四匹がゆっきりできる可能性は一切無くなったと言っても過言ではない。 「じゃあな!ゆっくりども!これに懲りたら少しは良いゆっくりになれよ!」 そして男は、悲鳴を上げた体勢のまま茫然自失の四匹を置いて意気揚々と里山を下っていった。 その顔には自分が悪いことをしたという罪悪感など微塵も感じられない。 逆に、里を害獣から守ったという達成感とその害獣にさえ更生の道を与えてやったという満足感に輝いていた。 おまけ どうしてこんなことになったんだろう。 男が去ってから数十分、ようやく思考を取り戻したまりさは自問自答した 大切な大切なお帽子さんを失ってしまった。 もうすぐ一人前になれるはずだったのに。お母さんや妹たちから祝福されて巣立ち、立派に仕事をこなし、 そしてやがてはれいむにプロポーズするはずだったのに。 全ては失われてしまった。 お母さんも妹たちも群れでの立場もれいむとの幸福な生活も生まれてくるはずだった子供達も、全て。 ほんのついさっきまで輝くような未来があったはずなのに。 今や残された未来は、飾りのない、ゆっくりできない日陰者ゆっくりとしてのくすんだ未来だけ。 どうしてこんなことになったんだろう。 「……ありすのせいだよ」 まりさと同じように沈痛な面持ちで何事かを考え込んでいたれいむがぽつりと言った。 そうか、ありすのせいだったのか。 「ありすがおかあさんたちのことばをわすれて、にんげんさんにさからったからこうなったんだよ……」 風の音に紛れてしまいそうなくらい小さな声だったその言葉は、しかし、今の四匹にはどんな音よりも大きく聞こえた。 そうだ、自分は必死で止めようとしたのにありすは……。 「むきゅ。それにありすはむれのためにならないしごとをしようとしてたわ。さいしょからゆっくりできないゆっくりだったのよ」 ぱちゅりーが更に付け加えた。 そうだよ、今考えればお兄さんが言ってたことが正しいじゃないか。 「ま、まって!ありすはそんなつもりじゃ「ばりずのぜいだよおおおおおおおおおおお!!!」 反論しようとしたありすの言葉を遮ってれいむが叫んだ。あんこの奥底から絞り出したような怨嗟に満ちた叫びだった。 「むきゅう。ありすにはしつぼうしたわ」 ぱちゅりーもありすを見限ろうとしている。 ありすは二匹の責めに耐えられなくなりまりさを見た。大好きなまりさ。とっても都会派で、格好良くて可愛いまりさ。 一人前になって、自分に自信が持てたその時には、ずっといっしょにゆっくりしようとプロポーズするつもりだったまりさ。 まりさならきっとありすを助けてくれる。 「……ま、まりさ」 まりさは何も言わなかった。ただその目だけが、怒り・憎しみ・絶望といった様々な負の感情が混じり合い爛々と輝いている。 まりさは何も言わなかった。何も言わないまま、ありすに渾身の体当たりを仕掛けた。 「ゆげぇっ!」 ありすは予想外の展開にまともな抵抗も出来ずにふっとんだ。全身に痛みが走る。 そして制裁はそれで終わらなかった。まりさと、感情を爆発させたれいむがありすに突っ込んでいく。 「……」 「ゆっくりしね!ゆっくりしね!」 「ごみくずありすはしにさない!しんでぱちゅりーたちにおわびしなさい」 無言で襲いかかるまりさの攻撃と怨嗟の言葉と共に襲いかかるれいむの攻撃。ぱちゅりーの罵声。 ありすは身も心も既に虫の息だ 「も、もっとゆっく――ゆべぇっ」 とうとうありすはお決まりのセリフすら言えずに息絶えた。 三匹はそれでも決して攻撃を止めようとしない。 攻撃を止めれば現実と向き合わなければならなくなる。これから死ぬまで全くゆっくり出来ないであろうという現実と。 それが何より恐ろしかった。先にあっさりと死んだありすはまだ幸せなのかもしれない。 これから先、この三匹に決して幸福は訪れない。 このSSに感想をつける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/4335.html
「そこの人間のお兄さん!今日からここはドスまりさとその仲間達のゆっくりプレイスだよ!」 いきなり現れたドスまりさとその仲間たち(まあ、やたらでかいし鈍いしで気づいてたが)がいきなり㌧でもないことを要求してきた 「は?ここは俺のゆっくりする場所なんだが、君たちは俺からゆっくりできる場所を奪い取る気か?」 「ゆっ!?ここはお兄さんのゆっくりする場所なの!?ゆっくりする場所はひつようだよね!ドスまりさは賢いから他を探すことにするよ!」 おお、なんと物分かりの良いドスまりさであろうか、これは素晴らしい群れかもしれない 「ぢょっどおおおおおおおおおお!ドスばりさなにいっでんのおおおおおおおおおお!?」 「あんだなんがいぞうやっで諦めるきなのおおおおおおおおおおおおおおおおおお!?」 なんだ?汚い口調で叫ぶのがいるな…ああ、にんっしんっしてるれいむ種か 「ゆっ!?でもここはお兄さんのゆっくりする場所なんだってさ、ゆっくりする場所じゃ仕方ないよ!」 おお、このドスまりさは仲間に甘くないドスまりさなのか、まあ仲間の教育はできてないみたいだが 「ゆっ!だめだぜ!はやく俺のれいむの為にゆっくりプレイスを見つけるんだぜ!それがドスまりさの役目なんだぜ!」 おやおや、これはこれは、何と質の悪いまりさ種なのやら、リーダーに逆らっている 「ゆうう…」 ドスまりさが困惑しているな、これは来るか? 「ドスまりさ!早くその人間を追い払ってここをゆっくりプレイスにするんだぜ!俺のれいむがかわいそうなんだぜ!」 コイツ…自分の嫁のために働くことすらしないでリーダーに頼り切っているのか…?いやいや、まだ悪く考えるのは早計だ… 「ああ、そのれいむは子供が生まれそうなのか、じゃあ子供を産むまでゆっくりしていっていいよ!」 「「「「「「「「「「ゆっくりしていってね!」」」」」」」」」」 条件反射とは面白いものだ、この挨拶に飽きが来ないという、挨拶だけで虐めてる奴の気分が分かりかけるかもしらんね 「人間さんがこう言ってるし、れいむが赤ちゃん産むまでここにいさせてもらうことにするよ!人間さんありがとうね!ゆっくりさせてもらうよ!」 「(ほほう、子供が生まれるまで、か、これは賢いドスまりさだ)ゆっくりしていってね!」 「「「「「「「「「「ゆっくりしていってね!」」」」」」」」」」 「ってちょっどおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!なによぞれええええええええええええええ!!!!!!!」 「あかじゃんがうばれだらででがなぎゃいげないのおおおおおおおおお!?あがぢゃんががばいぞうだどおおおおおおおおお!!!」 「ゆっ!?大丈夫だよ!赤ちゃんが産まれたら、みんなで守りながらまた旅をするよ!このドスまりさと仲間達に任せてね!」 「「「「「「「「「「ゆっくり任せてね!」」」」」」」」」」 「なにいっでんのよおおおおおおおおおおおおおお!?赤ちゃんがうばれだられいむうごけないのよおおおおおおおおおお産後のひだちがぐるのよおおおおおおおおおお!」 「れいむはゆっぐりじだいのよおおおおおおおおおおもうあるきだぐないのよおおおおおおおおおおおおおおおおおお」 「ゆゆう…でもどうしよう…」 ドスまりさが困っているので、俺が案を出してやった、さてこれでどう動くか 「じゃあ、ここをお前らのゆっくりプレイスにしてやってもいいぞ?ただし、俺はこれからもここに来る、だからあまり汚くするな、この二つを守れるのなら、ここをお前達のゆっくりプレイスにしてもいいぞ」 「ゆっ!?お兄さんとってもゆっくりしてるよ!すごくゆっくりしたすばらしい考えだよ!」 このドスまりさはまともなのだな 「ぢょっどおおおおおおなにいっでんのよおおおおおおおおおお人間がいたらゆっくりできないでじょおおおおおおおムガヅグのよおおおおおおおおおお」 「ゆっ!そうだぜ!人間なんかくずだぜ!人間なんかがまりさ達のゆっくりプレイスに入ることは許されないんだぜ!」 「ぞうよおおおおおおおおお人間はゆっくりしないででてけええええええええええ!!!!!!!!!!!!!!!!」 このれいむと、その夫のまりさは、あまりにもゲスすぎるな、なので俺はドスまりさの傍にいる、疲れた顔をしているぱちゅりーに話しかけてみた 「おい、そこにいるぱちゅりー種、お前に一つ聴きたいことがある」 「ぱちゅ?何か用でちゅか?人間のお兄さん」 「お前らは、なぜこうも各地を転々としているのだ?何か理由があるのだろう?」 「ぱちゅ…このれいむとまりさがだだをこねまくるから、ゆっくりプレイスが見つからないのよ…それに、我がままで、ゆっくりやすっきりさせられた赤ゆや仲間もいっぱい…でもドスは優柔不断なところがあって、ゆっくりできない刑に処せないのよ」 「そうか…大変だな、おい、答えてくれたお礼に飴さんやるよ、お前の子供達にもわけてやりな」 「ぱちゅ!?お兄さんありがとうなの!」 「「「ありがとうなの!」」」 このぱちゅりー一家はこのドスまりさの群れの一員として恥ずかしくない器量を持っているようだ、この子どもたちも、歩き疲れのせいか足に所々傷があるがまったく泣かないしちゃんとお礼を言う、大したものだ 「ゆ!?ぱちゅりー!仲間の悪口はいけないよ!そんなことするとゆっくりできなくなっちゃうよ!」 「ぱちゅ!?す、すいまちぇんでちた」 「「「すいまちぇんでちた…」」」 ほう、少しばかりは集団生活の心得を持っているようだが、しかし甘いな、罰するべきはあのれいむとまりさだというのに 「ぢょっとおおおなにじぶんだぢばっがりあめさんもらっでるのよおおおおおおわたしによごじなざいよおおおおおお身重なのよおおおおおおおお」 そういうと子供ぱちゅりーから飴玉を奪い取って口に入れた 「あ~まあ~ま、ちちちちあわせ~!」 何という奴だ、赤ん坊にタックルをかまし飴を奪い取った、つーか動けるじゃないか これには流石のドスまりさも唖然としているようだ、しかし周りを見てみるとほらやっぱりやった、という顔で埋め尽くされている、成程、もはや群れの中でも鼻つまみなんだな しかしドスまりさの博愛っぷりに、表だって批判できないということか 「ぱちゅ…いたいよ~ゲホッ」 餡子を吐き出しやがった 「ぱちゅ!?ぱちゅの赤ちゃん大丈夫!?ぺ~ろぺ~ろしてあげるね!」 「ああ、ちょうどオレンジジュースあるから、かけてやるよ」 俺はそういうと怪我をしている赤ぱちゅにオレンジジュースをかけてやった 「ゲホッゲホッ…ふー、ふー、ゲホッ…ふー、ふー、ふー…」 どうやら落ち着いたようだ 「ぢょっどおおおおおおお!?れいむにもそのあまあまよこじなざいよおおおおおお赤ちゃんいるのよにんっしんっしてるのよおおおおおおおおおおおおおおお」 何を言ってんだこいつは…餡子が腐ってるのか? 「もう…もうがみゃんできない!このくそれいむ!あんたのせいでゆっくりプレイスは見つからないわ!赤ちゃんは怪我するわ!どうちてくれるのよ!」 「はぁ?かわいくないぱちゅりーの子供なんでどうでもいいよ?それにれいむは身重なんだよ?ゆっくりしなきゃいけないんだよ?だからみんなでかわいいれいむをゆっくりさせてね!」 なんて奴だ、こいつはゲスれいむだ 「みんな!ちょっとまって!群れの問題はドスまりさが裁くよ!」 「ゆっくりとぱちゅりーにゆっくりできない罰をあたえてやってね!」 このれいむは… 「ぱちゅ!?ぱちゅ~~~~」 その点ぱちゅりーは耐えている、群れの長の言うことに従っているのだろう 「おかーしゃんばちゅをうけりゅの?なんで?なんでなの?」 「やだよーおかーしゃんわるくないよ~あーん」 「おかーしゃん、わたちのちぇいなの?」 「はっ!まぬけなぱちゅりーはいい気味なんだぜ!ゆっくり罰を受ければいいぜ!」 このれいむとまりさは、ただのゲスだな 「おい、ドスまりさ」 「ゆ?なんなのお兄さん、今ドスまりさは裁判中だからあとにしてね!」 「いや、その裁判のことなんだよ」 「ゆ?お兄さんが裁判に何の用?」 「いや、ここから見聴きするに、これは完璧にあのまりさとれいむが悪い」 「じょっどおおおおおあんだなにいってるのおおおおおお!?がわいいれいむをおとしいれるきなのねええええええええええ」 「ゆゆ!?俺の可愛いれいむになんてこと言うんだぜ!?そんな人間はゆっくりしね!」 「ゆゆゆ…おまえら!裁判中に騒ぐんじゃないぞ!」 はたから見てればおかしな話だ、周りの群れの仲間はまりさとれいむに冷めた目を送っているというのに、こいつらはそれに気が付いてないのか? ゲスになると周りが見えなくなるのか? 「ドスまりさ、ここをお前達のゆっくりプレイスとして分け与えてやろう、がただし、俺の条件を飲むならな」 「ゆ!?どんな条件を飲めばここを分けてくれるの!?」 「そのまりさとれいむを、罰しろ、極刑に処せ、そいつらは群れの為にならん、殺すか、排除したほうが群れの為だ」 「じょっどおおおなにいってんの!?かわいいれいむとそのかわいい赤ちゃんをころすき?そんな人間はゆっくりしね!」 「ゆっ!そうだぜ!おまえはゆっくりしぬんだぜ!」 こいつら…なんて屑どもだ 「ゆゆゆ…れいむとまりさをころす…群れの仲間をころす…」 迷っているな、ゆっくりプレイスは欲しいが、仲間を極刑に処するという覚悟が決まらないんだろうな 「ドスまりさ、多数決で決めるといい」 「ゆ?だめだよ!それはリーダーシップにおとるよ!」 「そうか?周りを見てみるといい。お前ら、皆の意見はどうなんだ?」 ドスまりさが周りをみると、皆口を揃えて「「「「「「「「「「殺せ!クソれいむとまりさを殺せ!」」」」」」」」」」流石のドスまりさもちょっとビビったようだ 「じょっどおおおごろぜっでなんなのよおおおおおおかわいいれいむがなんでころされなきゃならないのよおおおおおお」 「ゆ!?!?!?!?!?何でおれが殺されなきゃならないんだぜ!?りかいにくるしむぜ!?」 ま、ゲスはわかり得ないだろうな、所詮はゲスだ 「ゆ…わかったよ、ここは群れの皆の意見を尊重するよ…」 ドスまりさが決断を下した 「まりさとれいむは極刑に処すよ!そしてここをゆっくりぷれいすとして分け与えてもらうよ!まりさとれいむは残念だけどゆっくりしないでね!」 「じょっどおおおおおおがわいいれいむにどぼぢでこんなことするのおおおおおおお!」 「ゆゆゆ!?!?!?!?何でおれ様がきょっけいなんだぜ!?いみがわからないんだぜ!?」 「「「「「「「「「「やったー!わーいわーい!ドスまりささいこー!」」」」」」」」」」 なんて喜び方だ、今までこのゲス夫婦がしてきたことを見てみたくなるほどだ 「ゆゆ…でも極刑ってなんなの?」 このドスまりさは極刑を知らないようだ 「じゃあ俺が教えてやろう、極刑と言うのはだな」 「先ず足を焼ききって動けなくし、そして薄暗い洞窟の中にぶち込む、そして生まれた子供のおめめを親の前でもぎ取りその恐ろしい様を親に見せつける、そして赤ゆのご飯は死ぬまで皆のうんうんや生ゴミを食わせろ、親の目の前でな」 「そして、親も子供も発情ありすの性処理便器として使い、にんっしんっさせろ、そして産まれる前に親の前に水をたっぷり入れたお盆をセットし、生まれた瞬間入水自殺の様をありありと見せつけろ、泣きわめいても許してやるな」 「そしてお次は熱い炭が焚かれた所への出産ダイブだ、黒焦げになる赤ゆはそそるものだ、そして次は捕食種に食わせろ、茎を途中でもぎ取り、砂糖水で育て足りないゆっくりをつくりその様を親ゆっくりに見せつけるのもいいな、ありとあらゆる手で赤ゆを虐めろ、殺しぬけ、奇刑を作り続け処分しつづけろ、親ゆっくりは赤ゆ虐めがもっとも辛いからな 「後は、そうだな…出てこれない穴を掘ってそこに子供を捨てて、便所のお掃除屋さんもいいものだな、それと、赤ゆを使えば捕食種とも一緒に住めるようになるぞ?素晴らしいだろう?」 「後は…そうだ、一番大事なことを忘れていた、定期的に赤ゆの死体に親ゆっくりの飾りを漬け込むのを忘れるなよ、フフフ…ああそうだ、赤ゆをひと月に50匹ほど欲しいな、あの親ゆっくりに創らせて、俺にわけてくれ」 「ゆゆゆ…なんか極刑ってとってもゆっくりできないんだね…こわいよ…」 「しかし、群れを預かる長には必要なことだ、今までの甘さがあんなモンスターを作りだしたんだ、そうだろ?」 「ゆゆぅ…そのとおりだよ…ドスまりさはしっかり極刑を執行するよ!皆も一緒に極刑をゆっくり執行しようね!」 「「「「「「「「「「ゆっくり極刑しようね!」」」」」」」」」」 「いいいいいいやだあああああああああああああぞんなこと俺はざれだぐないいいいいいいいいいいいい!」 「びゃああああああああれいむここじゃゆっぐりできないいいいいいいにげるよおおおおおおおお」 「ほら、捕まえないと逃げるぞ」 「ゆゆッ!皆!罪人を逃がさないでね!ゆっくりしないで捕まえてね!」 「俺は逃げるぜ!れいむ!ゆっくりと囮になってね!」 「じょっどおおおおおおどごいぐのおおおおれいむをおいでがないでええええええええにんっしんっしてるから逃げられないのよおおおおおおおおお」 「逃がさないよ!れみりゃ!ゆっくりしないでまりさを捕まえてね!」 「う~う~!」 「ぎゃああああああああああれみりゃあああああああやべでえええええ噛まないでええええええつれてかないでえええええええ」 「さて、ゆっくりと極刑を執行するよ!」 「「ぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああやべでええええええええええええええええどぼぢでこんなことずるのおおおおおおおおおおおおおおおおうぎゃあああああああああああああああああああああああああ!」」 ~それから~ 俺は、たまにあの場所へ行ってゆっくりする、前と変わったことといえば、あのゆっくり達が居るということかな、ドスまりさの元で素晴らしい群れを作っている 俺もあの群れと一緒に遊んだり、一緒にゆっくりしたりしている、あのぱちゅりーに孫ができたようだ、父親はれみりゃらしい あれから、あまり極刑を乱用しないようにしっかりと罪の重さを叩きこんでやった、だからか、あれから極刑は外から来た問題児にしか適用されていない あのゆっくり達はとてもゆっくりして暮らしているようだ、俺はというもの、毎月赤ゆを上納してもらって、それを加工場に高値で売って生活している 外から来た奴にも適用されるため、毎月の上納量は数百匹となった、恐怖で味付けされていてそして若いので味も質も抜群で、加工場から感謝されるくらいだ ハハハ、楽して金儲けする方法を考えている時に、運良くあの群れと出会って本当に良かった、ゆっくりプレイスがあるあの丘一体も俺が買った、荒らされることは無いまあ、一種のゆっくり養殖場ってところかな ゆっくりからは感謝され、俺の銅像が建てられた、そして金儲けもさせてもらってる、ククク…笑いが止まらんよ あのれいむとまりさは、まだ極刑広場で極刑を執行中らしい、まだ殺さないとは、よほど恨みが深いのだろうな、本当に何をしたんだか 今日もまたゆっくりと遊んできがてら、極刑広場を見物だな、はたから見れば一種の見世物だな 赤ゆが産まれたら、一番最初に俺に赤ゆに触ってほしいらしい、どんだけ感謝されてるんだ、俺は…ハハハ 今日は特別にオレンジジュースを持って行ってやろう、アイスクリームも持って行ってやろう、あいつらの喜ぶ顔が楽しみだ このSSに感想をつける