約 3,642,916 件
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/3272.html
「ん〜、どうしたもんかね」 突然だが俺は困っていた。 今朝友人に呼び出されて彼の家に行くと赤ゆっくりが入ったケージを渡された。 何事かと問い詰めてみると友人の飼いゆっくりが出産したらしい。 しかし彼の家はすでに親であるぱちゅりーとれいむの他れみりゃなども飼っており、その上仕事も忙しくなってきたためこれ以上は飼えないというのだ。 まったくあれほど去勢しておけと言ったのに。 そこで里親を探そうということになったのがなかなか見つからない。 そこでゆっくりにもそこそこ詳しく、これから飼おうと思っており、なおかつ今は飼っていないというこのために用意されたかのような状況の俺に白羽の矢が立ったというわけだ。 とはいえさすがにそう何匹も飼えないと主張するとせめて二匹だけでもと拝み倒された。 結局赤ぱちゅりーと赤れいむを一匹ずつ、二匹で手を打つこととなった。 そして今に至り俺は二つのケージを持って帰路についていた。 「おきゃーしゃん!れいみゅをここきゃらだしちぇね!せみゃいよ!」 「静かにしろ、それと俺のことはお母さんじゃなくてせめてお兄さんと呼べ。」 二匹はそれぞれのケージの中で騒がしく騒いでいる。 さっきから何度も注意しているのにこの有様だ。 「むきゅ?みゃみゃはおにーしゃんにゃの?」 「えーと、まあいいやそれで。」 こいつらは俺のことを母親だと認識しているらしい。 いきなりケージを手渡されたときにそう刷り込まれたようだ。 あの野郎はめやがって、どうやっても俺に飼わせるつもりだったんじゃねえか。 そんな感じで俺が友人に対して心の中で愚痴っていると突然目の前にゆっくりの集団がやってきた。 小奇麗さから見て元飼いゆっくりの集団だろう。 「おにいさん!ゆっくりしていってね!」 「「「「「「「「「ゆっくりしていってね!」」」」」」」」」 無視して通り過ぎる俺。 「おにいさん!むししないでね!それとそのこたちをまりさたちにかえしてね!」 「「「「「「「「かえしてね!」」」」」」」」」 素通りしてもよかったのだが聞き捨てならない言葉を聞いた。 かえしてとはどういう意味だろうか。 元の家の親元に「帰せ」というならわかる。 が、まりさに「かえせ」とはどういうことなのだろうか? 「え〜と、どういう意味かな?こいつらは俺の友達の飼いゆっくりの子なんだが…。」 「ゆっくりのこはゆっくりがそだてるよ!」 「にんげんさんのいえにいるよりまりさたちとそだったほうがゆっくりできるよ!」 「かいゆっくりたちがひどいめにあっているのはしっているよ!だかられいむたちはたちあがったんだよ!」 つまりこいつらはこれから飼いゆっくりとして育てられる運命にあるこの赤ゆっくり達を自分たちの下で野良として育てようというのだ。 虐待派の人間に飼われているゆっくりがどんな目にあうかは俺自身よく知っている。 そんな危険がある人間の下で育てさせるよりも自分たちが育てようとそういうことのようだ。 そういえば最近捨てゆっくり達が不幸な飼いゆっくり達の救済活動を行っているなんて話を聞いたことがある。 ガセネタだと思っていたのだがこいつらがそうだろう。 礼儀もただの野良に比べれば正しいし、こっちの話もちゃんと聞くし間違いない。 何せ不遜な態度だったらとっくに保健所か加工所送りだろうからな。 なるほど、一理ある。 仮に人間よりもはるかに高等な生物がいたとしてそいつらにペットとして命の選択権を握られ飼われるか。 あるいは人間として人間達と生きていくか。 どちらも一長一短だが確かにゆっくりはゆっくりと一緒に育ち住んだほうが幸せかも知れない。 「ん〜でもこいつらはあいつにもらった物なんだよなあ…。好きにしていいとは言われたが。」 「ちびちゃんたち!まりさたちといっしょのほうがゆっくりできるよ!」 「ゆ!?おきゃーしゃんよりゆっきゅりさちぇてきゅれるの?」 「そうだよ!ほらぱちゅりーもおにいさんにおわかれいおうね!」 「むきゅー、でもみゃみゃ…じゃにゃくておにーしゃんもいっしょのほうがいいわ。」 「ありすがそのおにいさんよりゆっくりさせてあげるわ!」 俺を無視して勝手に話が進んでいく。 だがどうすればいいのだろうか? こいつらも今のうちになら野生に帰ることも可能だろう。 ひょっとしたらその方がこいつらのためになるのかもしれない。 「しょれでもれいみゅはおきゃーしゃんといっしょがいいよ!」 「むきゅ!ぱちゅりーもよ!」 おお、ちょっとぐっときた、いまだにお母さんなのは気になるが。 「ゆぐぐ…、そうだ!それならたまにおにいさんにあいにこればいいよ!」 「れいむがつれていってあげるよ!」 「ゆ!それじゃあみだいじょうぶだにぇ!」 「むきゅ〜。」 ガクっと肩が落ちる。 こいつら…。 赤ゆっくりならこんなもんだろうが飼うとしたら相当躾が必要だな。 そのとき俺の脳内にあるひらめきが走った。 「お前たち、子育てに相当自身がありそうだが自信を持って自分たちが育てた子供がゆっくりしているといえるのか?」 「ゆ!もちろんだよ!」 「まりさのこどもはとってもゆっくりしてるよ!」 「ありすのそだてたこはれいぎただしいってにんげんさんにほめられたのよ!」 「れいむのこどもはとってもげんきだよ!」 「ふむ、それじゃあ人間がどんなゆっくりと一緒ならゆっくりできるか知ってるか?」 「もちろんだよ!やさしくてげんきなこだよ!」 「いいつけをよくまもるこね!」 「うそをいわないこだよ!」 さすがは元飼いゆっくり、少しは博識で狡猾じゃないか、なかなか好感が持てる。 そこで俺はある提案をする。 「それじゃあ勝負しないか?この子達を一匹ずつ育ててよりゆっくりした子を育てたほうがこの子達を育てるんだ。」 「ゆ?」 「期日は半月後…って言ってもわかんねえな。まん丸なお月様が出た次の日までだ。それまでにこの子達をよりゆっくりした子に育てられた方の勝ちだ。飼ったほうが相手のゆっくりを育てる。それでどうだ?」 「ゆ!のったよ!まりさのかちにきまってるけどね!」 「さいこうにとかいはなこどもにそだてるのよ!」 「おにいさんをびっくさせてあげようね!」 「「「「「「「「「「えい!えい!ゆーーーーー!」」」」」」」」」」 さて話は決まった。 俺は少し考えてぱちゅりーの方をゆっくり達に渡しれいむの方をつれて帰る。 「ぱちゅりー!きょうからまりさがままだよ!ゆっくりしていってね!」 「むきゅー…ゆっくりしちぇいっちぇね。」 赤ぱちゅりーはまだこちらの様子を窺っている。 すぐにまた会えると言うと少し寂しそうにしながらもゆっくり達に付いていった。 「おきゃーしゃん!ゆっきゅりしちぇいっちぇね!あのまりしゃしゃんたちよりゆっきゅりさせちぇね!」 「ああ、ゆっくりさせてあげるよ。」 元気な赤れいむに不敵な笑みで俺は答えた。 「ゆ!ぱちゅりー!ごはんだよ〜!」 「むきゅ〜♪」 さてゆっくり達に住処までつれてこられたぱちゅりーは早速ご飯の時間だ。 メニューは芋虫や草などの一般的な野生のゆっくりが食べるものだ。 「むーちゃ、むーちゃ、ちあわちぇー!」 「ゆ!だめだよ!むーしゃむーしゃはゆっくりできないよ!」 本能から食事への幸せを口にしたぱちゅりーはご飯係りのまりさに叱責される。 「むーしゃむーしゃっていうのはゆっくりできないゆっくりなんだよ!ゆっくりしたこになりたかったらりかいしてね!」 「む、むきゅ…。」 まりさは元飼いゆっくりなので食事中にむやみに喋るのはよくないことだと教えられている。 しかしこれではせっかく美味しい物を食べているのにこれではおいしさ半減だ。 また何度もむーちゃむーちゃと言ってしまいその度に赤ぱちゅりーは叱責された。 「さあ、れいむ。ごはんだぞー。」 「ゆ!ごはんごはん!」 一方青年の家。 青年の家のメニューは歓迎の意味もこめて豪勢にも甘いシュークリームだ。 「むーちゃ、むーちゃ!ちあわちぇえええええ!!!」 「はっはっは、そうかそうか、よかったな!」 青年はご飯にがつつく赤れいむの邪魔を一切することなくその幸せそうな姿を見ていた。 「さあぱちゅりー!べんきょうのじかんよ!」 「む、むきゅ…。」 勉強係のありすが食後眠りかけていた赤ぱちゅりーをたたき起こす。 普通ならば生まれたての赤ゆっくりには勉強を教えることはないのだが何しろ期日はわずか半月だ。 一時たりとも無駄にできない。 「さあ、ぱちゅりー!ありすがとかいはなれいぎさほうをおしえてあげるわ!むちなぱちゅりーもすぐにとかいはになれるわよ!」 「むきゅ…ありしゅおねーしゃん…ぱちゅりーはねみゅいわ…。」 「なにをいってるの!とかいはになるためにはちゃんとべんきょうしなければならないのよ!むちなぱちゅりーはねむっているひまなんてないわ!」 その後夜が更けるまでありすによる勉強は続いた。 一方そのころお青年の家では。 「ゆぴー。ゆぴー。」 赤れいむがいびきを立てながら眠っていた。 そうして半月が経過し、ついにお互いの子供のお披露目の日となる。 初めこそ勉強を嫌がっていた赤ぱちゅりーもぱちゅりー種特有の知識欲でやがて自分から先生を叩き起こすほどにまで成長した。 青年との勝負に向けて先生達が集中的に鍛えた甲斐もあり子ゆっくりになったころには成体と変わらぬほどの知識を身につけていた。 「むきゅ、ま…おにいさん、ひさしぶり!ゆっくりしていってね!」 「ああ、ゆっくりしていってね!」 「さあおにいさん!まりさたちのじまんのぱちゅりーだよ!おにいさんのれいむをみせてね!」 促され青年は持ってきたケージかられいむを出す 「ああ、ほらでろ、れいむ。」 「おかあさん!こんなせまいところにいれないでね!れいむおこるよ!」 もはやどちらがよりゆっくりしたゆっくりなのかは一目瞭然だろう。 「俺の負けだな、まりさ。今日かられいむは君たちの仲間だ。ほられいむ。」 「ぷんぷん!おかあさんはぜんぜんゆっくりさせてくれなかったよ!まりさおねーさん!きょうからよろしくね!」 「れいむ、よろしく!ゆっくりしていってね!」 れいむを連れて帰ろうとするまりさ。 そこへ青年が懇願する。 「待ってくれまりさ!ぱちゅりーに最後のお別れに歓迎がしたいんだ。一週間、いや三日でいい、お月様が少し欠けるまでぱちゅりーをうちで預からせてくれないか?」 「むきゅ…、ぱちゅりーもおにいさんにおわかれがしたいわ。」 まりさは考える。 ぱちゅりーにとって青年は母親だった。 まりさが何度言って聞かせてもぱちゅりーは頑なにそのことだけは譲らなかった。 たとえ一度顔を合わせただけの相手でも刷り込みによって親と認識している以上子ぱちゅりーにとって「おにいさん」はお母さんなのだ。 別れのとき何時でも会いに来れるとは言ったが実際にはめったに会えない、あるいはもう二度と会えないことをまりさは知っている。 「わかったよ!おつきさまがはんぶんになるまでぱちゅりーはあずけるよ!」 結局まりさは青年の願いを聞き入れれいむとともに群れに帰っていった。 「ほら、ぱちゅりーいっぱい食えよ。」 「むきゅ、…お、おいしいわ!!!」 青年の家に来たぱちゅりーは早速ご飯の時間だった。 たくさんの今まで食べたこともないようなおいしいご飯に舌鼓を打つ。 与えられているのは普通のゆっくり向けのペットフードだがそこそこのものを選んでいるため野生のゆっくりのご飯よりは遥かに味が上回る。 「ごめんな、まさか負けるとは思わなかったから、粗末なものしかなくて。せめてたくさん食べてくれ」 「む、むきゅ!?」 これが粗末な食事? それでは今まで自分が食べてきたあれはいったい何なのか。 そんなことを考えながらも目の前のご馳走に口は止まらない。 そのぱちゅりーを見て青年口を開く。 「おいしくないかい?れいむはおいしかったら必ずしあわせー!って言うのだけれど。」 「むきゅ、むーしゃ、むーしゃはゆっくりできないのよ。ありすせんせいからおそわったの。」 なるほどと呟く青年の口元に微笑が浮かんでいるのをぱちゅりーは気づかなかった。 一方まりさの群れ。 今日はれいむの歓迎会だ。 大人たちががんばって大量のご馳走を用意した。 「さ、れいむ!いっぱいたべてね!」 しかし促されたれいむは一切反応しない。 「ゆ?どうしたのれいむ?」 「なにこれ?こんなごみよりはやくあまあまなごはんをよういしてね!しゅーくりーむでいいよ!」 事実そこにあるのは虫や生ごみなのだ。 しかしそれは野生のゆっくりにとってはご馳走である。 このれいむは青年によって甘やかされて育った。 最初の一週間ほどは贅沢な生活に満足していた。 しかしご飯も毎日同じものですぐに飽きたて美味しくなくなったし青年もまるで遊んでくれない。 こんな家よりもまりさおねえさんの家のほうがゆっくりできる。 子れいむの頭ではこうなっていた。 「なにいってるの!?これがごはんだよ!ほら。」 ぱくぱくとご飯を平らげていくまりさ。 「…みててきぶんがわるくなったよ。ねむりたいからべっどをよういしてね!」 「ゆ…。」 そんなれいむの反応にめげず根気強く寝床へ連れて行く。 「こんなところじゃねむれないよ!ちゃんとふかふかなべっどをよういしてね!」 「むしさんのこえがうるさくてねむれないよ!ゆっくりしないではやくなんとかしてね!」 「れいむたいくつだよ!おもちゃもってきてね!おもちゃもないの?ばかなの?しぬの?」 そんな台詞をこれから毎日聞かされるとも知らずに。 計画通り! さっきぱちゅりーに聞いたところ、 「おにいさんのいえのほうがゆっくりできるからこっちにすみたいわ。」 と言ってくれた。 こうして俺はたいした苦労もせず躾の行き届いたゆっくりを手に入れることが出来た。 あのれいむはメシの時間以外は殆ど無視していただけなので実に楽だった。 監禁…もとい住まわせていた部屋は防音が行き届いていたので安眠妨害も無い。 適当にエサをやっていただけなので俺の家がゆっくりできなかったのは事実だろう、野性よりはましだろうがな。 ぱちゅりーはもともとの頭がよかったのかかなり素直で人間好みの飼いゆっくりにそだっていた。 なぜか物事を説明する時だけ無知だの何だの言いやがるがこれは後で躾ればいい、身の程を思い知らせてな。 所詮ゆっくりの知識だ、生涯かけて身につける知識の量など人間の三日分にも及びはしない。 さてそのぱちゅりーは何をしているかなっと…、チラシ読んでる? 「ぱちゅりー、何してんだ?」 「むきゅ、じゃましないでおにいさん。ごほんでおべんきょうちゅうよ。」 ご、ご本? ご本といったか? やべえ笑いが漏れちまう、これはカメラに収めざるを得ない。 俺は隣の部屋へビデオカメラを取りに走った。 翌日ぱちゅりーが文字と本物の本を教えられて赤っ恥をかくのは別のお話。 また、数日後子れいむを中心とした野良の子ゆっくりの集団が人里へ降りてきて加工所送りになるのもまた別のお話である。 最近ようやく一度書いた文章をアップロード前に見直すことを覚えました。 過去書いたもの 奇跡のゆっくりプレイス 醜い男 生きるための選択 体つきゆっくり愛好家 ありすの戦い 黒歴史 ぱちゅりーの教育 byデストラクション小杉
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/214.html
家に帰ると手のひらサイズのゆっくりれいむが転がり込んでいた。 「ゆっくりしていってね!!」 さて窓からお帰り願うか。つかんでサッシに持っていく。 「ゆ?!ゆっくりはなしてね!」 「はいはい、外に放してやるから」 「そとはあめだよ!れいむあめはいや!」 なるほどそのものまんじゅうだもんな、死活問題だな。でもなー。 「といわれても、役に立たない奴を置いておくほどうちも裕福じゃねーからなー」 「ゆうふく?ゆうふくってなに?」 「お金があること・・・というか、ゆっくりできることだな」 「おじさんゆっくりできないの?れいむがゆっくりさせてあげるよ!だからいれて!」 やかましいで、ゆっくりなんかできっこないと思うんだけどなぁ。 「だーから、お前みたいなゆっくりが家にいても邪魔なだけだって」 「ゆっ!れいむやくにたつよ!れいむがんばるもん!!なんでもやるよ!」 ・・・殊勝なことをいうゆっくりもいるもんだ。やっぱ必死なのかねぇ。 「へぇ。何でもやるっていったな?何でもやるんだな?文句言わないな?」 「ゆ!がんばるよ!」 「わかったわかった、中には入れてやる。梅雨の間だけな」 「わーい!おじさんゆっくりできるひとだね!!」 ま、こんくらいのサイズならそんなに邪魔でもないだろうし、ちょっとした暇つぶしにはなるだろ。 ・・・めんどくさくなったら、おやつにしちゃえばいいし。 ゆーゆーふ抜けた顔で、うれしそうにゆっくりれいむは上がりこんできた。 しかしまぁ実際接してみて分かるが、こいつ本当に何の役にも立たないなぁ。 そう思いつつ、ゆっくりをデコピンの要領で、机の上ではじく。 勢いよく転がるゆっくりは、立てていたえんぴつにジャストミート。ちょっと痛そうだ。 「ゆーっ!おじさんいたいよ!」 不機嫌なゆっくり。まぁそりゃそうだろうけど。 「だってお前何の役にも立たないんだもん。おはじきぐらいにしかなんねーよ」 「れいむやくにたつもん!」 「じゃぁ何できるか言ってくれよ」 「・・・ゆー・・・ゆー・・・えーっと・・・ゆっくりできるよ!」 「食うか」 「いやぁああああ!ゆっくりやめてね!!」 「冗談だよ、まだ食おうとか思わないよ、まだな」 「おじさんこわい・・・」 「でも新鮮なうちがいいかもなー?」 「ゆーっ?!」 「ヘヘヘ。ま、ふざけたことはすんじゃねーぞ」 結局思いつかなかったので、当面箸置きにすることにした。これくらいしか思いつかん。 ゆっくりは自分のエサと俺のメシを比較してスネたり、 いちいち箸を乗っけられるのに文句を言っていたが・・・ほとんどタダみたいなもんだろ?我慢しろって。 1週間後。 当初は超ミニサイズだったゆっくりも成長し、野球ボールよりちょっと大きい程度になった。 やっぱりなーとは思ったんだが、幼体だったのか。 しょっちゅう食うぞ食うぞと軽めに脅したせいか、 ゆっくりがとんでもない悪戯をすることはなかったが、騒がしさと食費についてはグレードアップだ。 何で気付かなかったかなー、めんどくさー。 と思いつつ、ゆっくりを壁に投げつける。ぽいん。 跳ね返って戻ってくるゆっくり。また投げる。跳ね返る。戻る。 意外と丈夫で弾力性があるのね、ゆっくりって。 時々「ゆ゛っ」とちょっと痛そうな声を漏らしてるけど、まぁいいや。 「ゆっくり、痛い?」 「いたいよ!ゆっくりやめてよね!!」 「ゆっくりやめるかー。じゃああと10回かけてゆっくりやめるかー」 「おじさんのばかー!」 ぽいんぽいんぽいん。 ラスト1回を投げた後、跳ね返ったゆっくりが、新体操の選手のごとく直立で着地を決めた。 「ゆ!」フフン、と得意げな顔のゆっくり。褒めて欲しいのか?・・・ちょっと生意気。 軽く上から押しつけてやる。 「ゆっ!!ゆっくりほめてよね!」 「やーなこった。てか押しつぶすと面白い顔だなお前」 「ゆー!!」 面白ついでに横につぶれたゆっくりをキーボードのリストレスト代わりにした。 なかなか面白い感触だけど、いまいちかなー。 「ゆっくりー、シリコンっぽい感触にならね?」 「わかんない!!ゆっくりうでをどけてね!」 相変わらず役立たずだなー。 数週間後。 ゆっくりはサッカーボールサイズになった。 しつけというか脅しのおかげで暴れまわることはないのでいいのだが、 野生のこんなのが跳ね回ったらさぞかし迷惑なことだろう。 そう思うとこいつは、割とできたゆっくりなのかね? 考えながらゆっくりリフティングに勤しむ。 ボンボン壁に投げつけていたせいで衝撃耐性をもったらしく、 蹴られているのに「ゆ♪ゆ♪」と楽しそうな声を上げてリズム取りに貢献すらしている。 ・・・とはいえ、目や口に足がジャストミートして大いに痛がっていたが、 かまわず蹴られているうちに、体に回転をかけて避けることを覚えたらしい。こういうことだけは器用なんだなー。 とか余計なことを考えていると、ボール・・・もといゆっくりが思わぬ方向に出た。 やばい、ベランダの外まで行っちまう! ゆっくりが呆然とした顔から悲鳴を上げそうになるその前、思うより先に腕がゆっくりに伸びていた。 あっぶね。ナイスキャッチ。 「・・・ふー」 大家の仕事を増やすところだった。 「お、おじさんありがとう!ゆっくりたすけてくれたね!」 ・・・予想外。ゆっくりからこんなセリフは出るとは。てか、ゆっくり助けてたら間にあわなかったっての。 「うっせー。大家のおっさんに迷惑かけるとうっせーんだよ」 「ゆっくりありがとう!!」 はいはい。よくわかんねーや。 器用になったゆっくりは多少弾力がかえられるようになったので、 これまた横に潰して枕やザブトン代わりにした。 ケツに敷かれているのは 「おじさんおもい!ゆっくりおりてね!!」と頻繁に文句を言うくらいなので結構辛いようだが、 枕にする分にはあまり文句をいわない。 「ゅー、ゅー」と寝息が横に聞こえるのが気になって枕としては使いにくいのだが、 ゆっくりはむしろ枕になりたいんだと。ゆっくりの好みはよくわからん。 数年後。 ころころまるまると成長したゆっくりは俺の腰の辺りまでの高さになった。 もうさすがに投げるとか蹴るとかは出来ない。 サンドバッグにしてもいいが・・・大分酷使して鍛えたもんだから、ふてぶてしさだけが増しそうだ。 そんなことでもてあまして構わずにいると、ゆっくりがへんなことを言った。 「おじさん、れいむであそばないの?」 ・・・なんか卑猥なフレーズな気もするが、そういう意味はないだろう。 「だってもうお前でかいし、持て余すって言うかなー」 するとゆっくりは真剣な顔で言った。 「れいむやくにたたない?もういらないの?!」 ・・・んー。まぁ、いらないといえばいらないけど。 「まぁ、いらないといえばいらないけど・・・」 ゆっくりの顔が曇る。 「かといって、外に放してもアレだし、もう食う食わないのサイズでもないし。いいよ、別に居ても」 「ほんと!?れいむいていい?」 「はいはい」 「ほんとにほんと!」 「ほんとほんと うっさいと燃やすぞ」 「うるさくしないよ!ゆっくりしようね!いっしょにゆっくりしようね!!」 「うるさい」 ・・・やれやれ。 結構いいサイズになってきたので、座椅子がわりにしてみた。 文句も言わなくなる従順ぶりだが、放屁すると白眼を向いたすごい顔になった。やっぱこれはキツイか。 しばらくして。 ゆっくりは寿命が迫っているようだった。…まぁ少々無理をさせたフシも無きにしも非ずなんだけど。 死期を悟ったらしいゆっくりは、デカイ図体に似合うように、 慌てるでもなく静か且つおだやかに最後の時を過ごしていた。 さすがにもうイス代わりとかするのも忍びないので部屋の隅っこに鎮座させていると、ゆっくりが声をかけてきた。 「ねえおじさん」 「なんだよ」 「れいむはもうすぐゆっくりするよ」 「今までもゆっくりしてんだろお前は」 「もうすぐずっとゆっくりするよ」 ・・・死ぬってことか。そうか。 「そっか。ゆっくりするか」 「おじさん、いやじゃない?」 「別に」 「・・・れいむはちょっとだけいやよ」 「そうかい。死ぬのは怖いか」 「しぬのもちょっとこわいけど、おじさんといっしょじゃないのがこわいよ」 「・・・そうかね。あんだけ苛めまわしといてこんなこというとは真性のマゾだな」 「まぞってよくわからないけど、けっこうおじさんとくらすのはゆっくりできたよ」 「ふーん」 餡子ペースト脳の考えてることはよく分からんが、悪い気はしねーかな。 「おじさん」 「なんだよ」 「おじさんありがとう」 ・・・ 「・・・どういたしまして」 「おじさんひとつおねがいをきいてね」 「なんだよ」 「れいむがゆっくりしたら、れいむをちょっとたべてね」 「・・・はぁ?」 「れいむはおまんじゅうだから、たべられるんだよ」 「いや知ってるけど、なぁ。なんかなぁ」 「れいむをたべたら、れいむはおじさんのおなかにはいるよ。そしたらまたいっしょになるよ」 「・・・うーん」 なんかゆっくりに乗っ取られそうなイメージも浮かんだけど、まぁそういう話は聞かないし。 「分かった、でも一口だけな。お前みたいなデカいの全部食ってたら、1年はかかるぜ」 「ふふふ。そうだねおじさん。ありがとう」 そっかぁ、もうお別れか。・・・一応言っとくか。 「おいゆっくり」 「なあにおじさん」 「・・・ありがとな」 「・・・うん」 ゆっくりは今までで一番穏やか且つムカついて最高な笑顔を見せた。 ほどなくして、ゆっくりはずっとゆっくりするようになった。 かなり微妙な心持ではあるが、約束どおりゆっくりをひとかけら頂くことにした。 ・・・んー。あいつには悪いが、あんまりおいしくはないな。 ゆっくりの餡子は恐怖や絶望でより甘くなるそうだが、 終始ゆっくりしまくったゆっくりの餡子は、まぁだらしのない甘さ。 経年劣化+しょっちゅういじくられたせいで表面も微妙にぱさぱさ。 まったく、誰がこんな風にしたんだ? いざとなったらおやつにしちゃえばいいとは言ったもんだが、いろんな意味で食えたもんじゃねぇや。 最後まで役にたたないというかなんというか。それもあいつらしいかねぇ。 全部食うわけにもいかないので、無粋だが残りの死骸は加工場に引き渡して、 ゆっくりは部屋からいなくなった。やかましい奴が居なくなって、静かな生活が戻ったわけだ。 ・・・ちょっと部屋が広くなったな。最終的にはちょっとした家具並みの図体だったもんなー。 ミニサイズだから大丈夫とか、どこのアホがいったんだか。 「なぁゆっくり?」 返事がない。 「・・・あ、いないんだっけ。・・・そっか」 そりゃそうだな。アホか俺は。まぁアホだな。 ゆっくりに見られたら、あの腑抜けた面でうるさく笑われそうだ。 ゆっくりなんか、役立たずなくせにうるさいことだけは一級品だもんな。 せいぜいあの世で待ってろゆっくり。 向こうでたっぷりいじめてやるから、今のうちに体鍛えとけよ。 おわり
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/1859.html
一匹のゆっくりを捕まえてきた。3 前 http //thewaterducts.sakura.ne.jp/cgi-bin/up/src/fuku2830.txt 荒筋 …成体れいむが切り株に拘束され 眼球を取り除かれた …顎を切り裂かれ露出した子宮を れいむの懇願も空しく摘出されようとする 『ほい、誕生』 特に何の抵抗もなく、体外へと出すことが出来た 『ほい、死亡』 ぶんなげた 「でいぶのあ゛がぢゃんがぁぁぁぁあああああああああ!!!!ゆぎゃぁぁぁああああああ!!ぁぁぁあぁぁぁぁぁあぁぁぁぁ!ぢねぇぇぇぇえええええ!おまえは ゆっぐじ じないで じねぇぇぇぇぇぇぇええ!」 激昂するれいむの眼孔 釘を打ち抜かれている底面 切り裂かれた顎 その傷口から体液が噴出し水芸の用になっている おもしろい おっと、このままだと死んでしまう 『ごめん ウソ』 投げた振りして隠していた子宮を れいむに見せてあげた 「じねぇえええじねぇぇぇぇええええ・・・・・・ゆ?」 子宮にハサミを入れて剥いてあげる 中からピンポン玉サイズの顔が出てきた 眼はつぶっているが 赤ゆっくりよりも小さいこの物体 ちゃんとリボンも目口を作れられおり、まるでれいむのミニチュアのようだ 「あかちゃんんんんんん!!!!れいむのあかちゃん!ゆっくりしてねぇぇぇぇぇぇええええ?!」 『つか薬あんまり効かないな、母は偉大ってやつかな?』 「おねーさん!れいむはどうなってもいいから! あかちゃんだけは ゆっくりさせてぇぇぇえ!!!おねがいしまずぅぅぅぅ」 『んーーーー、赤ちゃんだけ助けたとして、一人で生きていけないから 死ぬと思うよ?つかこれまだ胎児だし』 「ゆがぁ!!!あかちゃんを そだててくださいぃぃぃいいい!れいむのあかちゃんを ゆっぐじざぜでぇぇぇえぇぇぇぇぇぇぇぇぇ」 と、聞いたところで手を傾けて子宮の皮と赤ちゃん もとい胎児をコロンと地面に落としてみた 地面は先ほどれいむが失禁したことにより、醜臭漂う水溜まりになっている そのせいで胎児は衝撃で潰れることなく着水することができた れいむは一生懸命眼を下に向けて 赤ちゃんを探している 『ほれ、ここ ここにいるよ れいむの可愛い赤ちゃんの候補が』 「ゆ!?ゆぎぃ・・ぎぃぃぃいい・・・ゆぐぁ!」 残った眼球を逆方向に白眼になるくらい下げ 自由の利かない体を出来る限り傾けて探している 『がんばれ がんばれ』 体中の傷口から体液を飛び散らせて、鬼の形相になっているれいむ すると胎れいむの周りに茶色塊が落下した どこ・・・から・・? それはれいむが ちーちーをした部位、排泄口から垂れて来た物だ 『れいむ・・・必死になるのは良いけど、りきみ過ぎると・・・・』 「ゆぎぎ!おねーさん!ぎ!じゃましないでね!ぎ!ぎ!れいむは!ぎ!ぎ!あかちゃんを さがしているんだよ!!!」 『あれだよ、貴女の・・・いわゆる・・・・・・・・・・・・うんうんが漏れて・・赤ちゃんに降り注いでいるんだけど///』 「ゆ?」 胎れいむは、ちーちーに浸りつつ降り注ぐうんうんに囲まれていた そしてうんうんは溶けて流れ込み 100%親ゆっくり製の超自然ベットを作り上げた 『そろそろ気付くべきだと、思うんだけどさ・・・・・・臭わない?』 「ゆぅ~・・・・・・・・・・・・・ゆ!? くさい! くさいよ! とってもくさいよ!? なにこれ!ゆっくりできないぃいい!」 『餡子脳とやらを誘導するのはめんどくさいなぁ・・・って あっ 思いついた』 再度れいむの口をテープで塞ぐと次の目標を胎れいむに変えた 『さてと』 オレンジ色をした新しい注射を取り出すと胎れいむに少し注射した あまり多く注入すると溶けてしまうので ほんのちょっぴりだ 『起っきろー』 あってないような威力のデコピンを 16連射で胎れいむに叩き込むと 生命の神秘 まだ胎児でしかない れいむの眼が開いたのだ 「ゆぅ・・ゆ・・・・・ゆっきゅち しちぇいっちぇ りぇ!」 もう定番フレーズも発音できていないような 世界一可愛く小さいれいむが誕生した すばらしい 生命ってすばらしい 「ゆぅ・・もっちょ ゆっくち しちゃ きゃっちゃ よぉ・・・」 お前生まれる前から自我あるのかよって話だがまぁいいや そっぽ向いている極赤れいむをこちらに向きなおさせて 挨拶を投げてみる 『ゆっくりしていってね!』 「ゆっきゅち しちぇ いっちぇ りぇ!」 『なにいってるわかんねーよ』 「ゆ?」 『なんでもない』 「おねーしゃん れいみゅの おきゃーしゃんは どきょに いるりょ?」 『ああ、お母さんなら、君の隣にいるよ』 極赤れいむが辺りを見回すが、ちーちーでぬかるんだ地面に積もり重なった 親れいむのうんうんがそびえ立っているだけだ 極赤れいむにとっては、山の様に見えるだろう 『あー、お母さんはね 赤ちゃんの餌を取るために泥だらけになっちゃったんだ ほらそこの』 「ゆ?これ おきゃーしゃんなの?」 一際高く積もったうんうんの山を眺めて 極赤れいむは首をかしげた 『そうだよ、だからおかーさんが綺麗綺麗になるように すりすりして 汚れを落としてあげようね!』 「わきゃっちゃよ! おきゃーしゃんと しゅりしゅりするよ!」 と言うや否や こんもりとしたうんうんの塊に 極赤れいむは しゅりしゅりとやらを始めた うーん感動的な献身シーンだなぁ 『だよねぇ、れいむ♪』 「!!!!!!」 極赤れいむの視覚には入らない 遥か上に拘束された親れいむに囁いた 『なんとか言いなさいよ』 「!!!!!!」 『ほら』 「!!!!!!」 『赤ちゃん くさいくさーーーーーい うんうんに 体こすり付けてるよ?』 「!!!!!!」 『生まれた時から 「くちゃいよ!」 なんて言わなかったし ちょっと変な子かもねぇ~』 「!!!!!!」 『だって れいむの赤ちゃんは……』 「!!!!!!」 『お母さんの うんうんから生まれたんだものvvvvvvvvvvvvvv』 「!!!!!!」 『ちーちーの産湯につかり、うんうんのベットで寝て、うんうんの塊にすりすりして喜んでるのvvvvvvvvvv』 「!!!!!!」 『だから何とか言えって言ってるだろうが糞畜生が!』 れいむの口を塞いでいたテープを勢いよく剥がし 若干皮膚ごと剥かれた口の中に手を突っ込んだ 馬鹿みたいにデカイ舌を握りつかみ 『ほら、いいなよ しゃべりなよ 言いたい事があるでしょう?』 舌を捕まれた事により、れいむはえづきながら涙を流している 『あんたの子供は 糞の中でいい気になって寝ているよ!』 『糞から生まれた子供だから 糞の中が安心なんだね!』 『言い返せよ!聞いてやるよ!』 「くひっ・・ゆげぇ・・ゆっ・・・」 突き込まれた手は喉まで達して、舌はもう握りつぶされんと変形している 『早く!何か!言って!ごらん!』 掴んだ舌を捻りこむと、奥から茶色のゲルが噴出してきた れいむの吐いた体液は泡だって頬を伝う 『何も言えないだろう?!』 『私も何も言えなかったんだよ!』 『あの糞デカイ糞ゆっくりに圧し掛かられて!』 『お腹の赤子は潰されて!』 『やめろとも言えず!』 『首だけ生かされてな!』 『てめぇらが 家も旦那も赤子も 全部潰したんだよ!』 『だから 潰してやるよ』 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/3686.html
ここはゆっくりが集まる森。 れいむ、まりさ、ぱちゅりー、ありす。 色んなゆっくりが平和に、仲良く暮らしていた。 ただ、ひとつの家族を除いて……。 「さっさとごはんをとりにいくんだぜ!!!」 親まりさがれいむに怒鳴りつける。 「でも、まいにちれいむばかりがかりにいってつかれるんだよ!たまにはやすませてね!!!」 れいむが抗議するのは当然である。 普通の家族は親が休んで子供を狩りに行かせるなんてことはないからだ。 「もっとおやをだいじにしないとだめでしょおおおおおおおお!!!」 そう言ってれいむを外に追い出す。 「ゆぅ…。まいにちかりにいくのはつかれるけど、みんなのためだよ…。」 「ゆ!れいむごはんをあつめてるの!とかいはなありすおねーさんにすこしわけてね!!」 「むきゅ!ちしきじんのぱちゅりーおねーさんにもすこしわけるのよ!!」 出てきたのはありすお姉さんとぱちゅりーお姉さん。 「もうすこしでかえるからそれまでまっててね!」 「けちはいなかものがすることよ!さっさとわけなさい!」 「むきゅ!れいむのくせにわがままいっちゃだめでしょ!」 お姉さん達に逆らえないれいむは、しぶしぶ集めていた食べ物を地面に置いた。 「それがとかいはのたいおうよ!ごほうびにぜんぶもらっていってあげるわ!!」 「どぼじでぞんなごどずるのおおおおおおおおおおおおお!?でいぶがいっじょうげんめいあづめだんだよおおおおおおおおお!!!!!?」 「またあつめればいいじゃない!これだからちしきじんじゃないこはいやなのよね!!!」 集めた食料を全て奪われて泣き叫ぶれいむ。 だが、そんなことは知らない顔をしてお姉さん達はどこかへ行った。 「ゆっ…これじゃまたおとうさんとおかあさんにおこられるよ…」 「どうしたんだぜ!そんなかなしいかおはれいむらしくないぜ!」 でてきたのはれいむの唯一の友達のまりさ。 「ちょっとごはんをおとしただけだよ!」 「それはこまったんだぜ!まりさもいっしょにごはんをあつめてやるんだぜ!」 お昼過ぎ。ようやく食料を集め終えてれいむは家に帰った。 「ゆっくりあつめてきたよ!おくれてごめんね!」 「おそすぎるんだぜ!もうとっくにみんなむ~しゃむ~しゃしたんだぜ!」 「そうだよ!わたしのかわいいおちびちゃんたちがあつめてくれたんだよ!」 親まりさと親れいむから事実を聞かされた。 ありすお姉さんとぱちゅりーお姉さんは、 れいむから奪った食料をさも自分が取ってきたかのように持ってきていたのだ。 「ゆゆ!そのごはんはさっきれいむがとってきたものだよ!」 「なにいってるの!れいむはずっとあそんでたんでしょ!おちびちゃんたちから聞いたよ!」 「うそをつくれいむはごはんをおいてそとにでるんだぜ!!!」 外に叩き出されるれいむ。 「ゆぅ…これじゃゆっくりできないよ…」 夜空の下で震えるれいむ。ご飯もろくに食べていないので余計に寂しさを感じる。 「ゆゆ?どうちたの?おしゃんぽちてりゅの?」 そこに子ありすが現れる。 「ゆぅ、そうだよ…。ありすはこんなところでなにをしているの?おかあさんは?」 「おかあさんはようじがあるからって!ありしゅはみゃみゃがきゃえってくりゅにょをみゃっていりゅんだよ!」 「それはおりこうさんだね!れいむおねえさんといっしょにあそんでゆっくりまとうね!」 「ゆっきゅりりきゃいしちゃよ!」 まるで妹が出来たかのように思い、少し幸せなれいむだった。 それと同時に、なぜこんな時間に子供を連れて、しかも一人にしているのかも疑問だったが、 餡子脳なのでそれほど気にはしなかった。 「おちびちゃんはなにをしてあそびたいのかな?」 「しゅっきりあしょびがちたいよ!」 「ゆぅ?それはどうやるの?」 「おねえしゃんはうちろをむいちぇにぇ!」 聞いたことのない遊びに少し戸惑いながらも言われたとおりに後ろを向く。 「おきゃあしゃんがね、こうすりゅとなかよくなりぇりゅって!!」 「やべでえええええええええええええええええええええ!!!!!!!!!!」 予想通り(と言っても、れいむは予想していなかったが)子ありすにレイプされるれいむ。 まだ子供とはいえ、精力は他のゆっくりの5倍はあり、子ありすのそれは処ゆっくりのれいむにはきつすぎるものであった。 「きょわれりゅほ~ぢょあい~ちてみょ~、しゃんぶんのいち~もちゅた~わりゃにゃい~♪」 「あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!!」 どこから覚えてきたのか、懐かしい曲を歌う子ありす。 「おちびちゃん!ちゃんとままのとかいはのあいをみてくれなきゃだめでしょ!!」 子ありすの親のありすがやって来た。 「あら、さすがままのこね。おしえなくてもりっぱにとかいはなあいができてるわ!!」 「みゃみゃ!おねーしゃんとあしょんでちゃよ!たのちきゃっちゃよ!」 「それはよかったわね。さぁ、はやくおうちにかえりましょ」 子ありすを頭に乗せて帰って行く親ありす。 自分より年下の子に抵抗出来なく犯されてしまったれいむ。 次の日の朝。 「ゆぐぅ…。ゆっくりかえったよ…」 「ゆゆ!いままでなにしてたんだぜ!れいむがにんっしんしてこどもがうまれそうなんだよ!」 「ゆぎぎぎぎ…もうすぐでうまれるよ…はやくあーんしてあかちゃんをうけとめるじゅんびをしてね…!」 「きこえたんだぜ!?はやくくちをあけるんだぜ!」 親に命令されて、赤ちゃんのクッションにするために口を大きく開くれいむ。 「もうずぐでうばれぶよおおおおおおおお!!!!」 ぶりぶりぶりぶりぶりぶりぶりぶり れいむの口は、親れいむから出た黒い物体で満たされた。 親れいむから出たのは、赤ちゃんではなくうんうんだった。 「あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!!!!でいぶど、でいぶのあがぢゃんがあああああああああああ!!!」 親れいむのうんうんを全身で浴び、しかも口にまで入って酷く慌てるれいむ。 「しずかにするんだぜ!ゆっくりできないくそやろうはゆっくりしっかくなんだぜ!!!」 親まりさの頭突きを喰らい、壁に激突するれいむ。 その拍子にれいむの赤ちゃんが全て潰される。 「ゆわあああああああああ!!!でいぶのずでぎなあがぢゃんがあああああああ!!!!!!!」 「そんなことしらないんだぜ!かってにつくってくるれいむがわるいんだぜ!!あやまるんだぜ!!!」 「ゆふぅ…うまれるきがしたけどそんなことなかったみたいだよ!それときたないれいむはどっかいってね!!!」 その時、外かられいむにとって見慣れたゆっくりがやってきた。 「あそびにきたんだ…………。れいむ、いったいどうしたんだぜ!」 れいむの唯一の友達であるまりさだった。 「ばりざぁ…。だじげで…でいぶを…でいぶは…」 「れいむになにをしたんだぜ!こんなゆっくりできないかぞくはおいてどこかへいこうね!!!」 「むきゅ!それはけんめいなはんだんじゃないわよ!」 「んほぉ…ともだちをおもうまりさをみてたらすこしこうふんしてきたわぁ…」 ありすお姉さんとぱちゅりーお姉さんがまりさの前に立ちはだかる。 「れいむをみすてたほうがけんめいなはんだんよ!」 ぱちゅりーお姉さんの言葉を聞き、ありすを見て体を震わせるまりさ。 このままれいむの味方をしてしまったらありすにレイプされてしまう。 ならばどうすれば自分は助かるのか、まりさの本能は分かっていた。 分かっていたが、れいむはまりさにとっても唯一の友達だった。 そんなに簡単に切れる仲ではない。究極の選択を目の前にしてまりさは悩んでいた。 「いいことをおしえてあげるわぁ、あなたのだいすきなれいむは、きのういなかものとこどもをつくっていたのよぉ」 「あたまについてるのをみればちしきじんじゃなくてもわかるわね!!」 事実を聞かされたまりさは、今まで信頼していた友達に裏切られたと感じていた。 お互い一人しかいない友達同士。それはゆっくりにとっては恋人同然だ。 「れいむはくずだぜ!こんなにきれいなおねえさんのわるぐちばっかいってたぜ!きのうだってむりやりまりさにごはんをあつめさせたんだぜ!!!」 「どぼじでぞんなごどいうのおおおおおおおおおおおおおお!!!どぼだぢでじょおおおおおおおおおおお!!!!!」 「こんなにきたないれいむはともだちじゃないんだぜ!かんちがいしてはずかしいね!くさいからしんでね!!!」 「ヴぁりずぁ…」 「もうおうちかえるぜ!」 そうまりさが言い残して帰ろうとしたが、お姉さん達はそうはさせなかった。 「せっかくここまできたんだからとかいはなおねえさんとすっきりしましょお~」 「やくそくがちがうぜ!まりさはおうちかえるんだぜ!!!」 「むきゅ!だれもれいむをみすてたらたすけるなんていってないわよ!」 「うぞづぎいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!」 れいむの目の前で唯一の友達だったまりさがありすお姉さんによって犯されている。 何度もれいむに助けを求めていたが、れいむはぱちゅりーお姉さんに掴まれて、助けることはできなかった。 しばらくして、ありすが満足した。 ありすの下にあるのは今にも死に絶えそうなまりさの姿。 「でいぶぅ…だ…じ…げ…」 「もうこのくずはいらないね!そとになげすてるぜ!」 そう親まりさは言い、まりさを掴んで外へ思いっきり投げつけた。 空中に舞うまりさとれいむは、ずっとお互いを見つめ合っていた。 そして、空中に舞っていたまりさは、木に激突してただの餡子になった。 嘘のような一時だった。 妹だと思っていた存在にレイプされてにんっしんして、うんうんを全身に浴び、唯一の友達に見捨てられた直後にその友達が犯され、目の前で殺された。 正に生き地獄だった。 れいむは、ただ呆然と宙を見つめていることしかできなかった。 そこに、聞き慣れない声がした。 「ゆっくりお菓子があるよ!食べたい人は集まってきてね!」 それは人間のお兄さんだった。 「ゆ!おかしだって!みんなでもらいにいくんだぜ!!!」 「きっととかいはなおかしがたくさんあるのよ!」 「むきゅ!だがしじゃなくておかしだからね!きっとこうきゅうよ!」 「ゆぅ…れいむはにんっしんしてるからうごけないよ…」 「あんしんするんだぜ!まりさがれいむの分までもらってくるよ!」 家族は、少し興奮気味にはしゃぐ。 「ちっ…集まったのは三匹だけか。ここらへんはゆっくりが少ないのかな」 「いいからあまあまをさっさとよこすんだぜ!」 「さいしんのりゅうこうのさいせんたんのとかいはなこうきゅうおかしをちょうだいね!」 「むきゅ!はやくよこすのがけんめいなはんだんよ!」 「まぁ、いいか。れみりゃの腹が膨れれば。」 「れみりゃ!!!そんなこと聞いてないよ!おうちかえるうううううううううううう!!!」 「とかいはなおかしはどぼじだのおおおおおおおおおお!!!!!?」 「このちしきじんなぱちゅりーさまをだまじだのねええええええええええ!!!」 「元気があっていいなぁ。れみりゃも満足するだろうな」 「「「いやあ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!!!!!!!!」」」 叫ぶ三匹の足をナイフで切り付け、袋に入れてお兄さんは帰って行った。 「おなかがすいたよ!れいむはごはんをとりにいってきてね!!!」 親れいむがれいむに命令するが、れいむは何も言わない。 「きこえてないの!はやくごはんをとりにいってきてね!!!!」 うるさく叫ぶ親れいむに、れいむは近付く。 「やべでええええええええええええええ!!!!!」 「うっめ!うっめ!めっちゃうっめ!めがうっめ!まいうー!」 れいむが親れいむを食べる。 憎しみと空腹に任せ親れいむの全てを喰らい尽くす。 「しあわせー!」 親れいむの中にいた赤れいむごと食べ終えたれいむは、体を洗うために川へと向かった。 そこに、一人の老人がいた。 「おじいさんゆっくりしていってね!!!」 「あぁ、ゆっくりれいむか。ゆっくりしていってね」 「おじいさんこんなところで何してるの!?」 「いや、特に何も。ただの散歩じゃよ。ところで何で餡子塗れなんだい?」 「おかあさんにうんうんかけられたんだよ!れいむのあかちゃんをゆっくりできなくされたんだよ!おともだちを…」 「あぁ、それ以上言わなくて良いよ。どうだい、これから家に来ないかい?実はわしも一人で寂しいんじゃよ」 「いく!ゆっくりさせてね!!!」 「それじゃ、行こうか」 おわり 「むきゅ!いいおはなしだったわね!さいごにいいこがゆっくりできるのよ!」 飼い主のお兄さんの本棚から取り出した本を閉じて、子供の方へ振り向く親ぱちゅりー。 だが、子ぱちゅりー達にはその本は刺激が強すぎたのか、子ぱちゅりー達は泡を吹いて絶命していた。 「むきょああああああああ!!!おあっぢゅでぃーのずでぎなごどもだぢがあああああああああ!!!!」 親ぱちゅりーも、絶命するのは時間の問題だろう。 本当に終わり
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/4469.html
※今までに書いたもの 神をも恐れぬ 冬虫夏草 神徳はゆっくりのために 真社会性ゆっくり ありすを洗浄してみた。 ゆっくり石切 ありすとまりさの仲直り 赤ゆっくりとらっぴんぐ ゆねくどーと ゆっくり花粉症 ※今現在進行中のもの ゆっくりをのぞむということ1~ ※注意事項 まず、上掲の作成物リストを見てください。 見渡す限り地雷原ですね。 なので、必然的にこのSSも地雷です。 では、地雷原に踏み込んで謙虚ゲージを溜めたい人のみこの先へどうぞ。 _______________________________________________ ある夏、ある日の昼下がり。 どこかの民家の縁側に、大小二匹のゆっくりがいた。 すりすり身を寄せ合う紅白饅頭、ゆっくりれいむの大人と赤子。 「ゆゆーん。ゆっきゅりー! おかーしゃん、ゆっきゅり!」 きょろきょろ、ちょこちょこ。落ち着かない。だってこんなに楽しいんだ。 小さなれいむがぴょこんと跳ねて、ぱあっと花咲く笑顔を大きなれいむへと向けた。 「おそと、ゆっきゅりできるねー!」 生まれて十日ほどの赤ちゃんれいむには、まだ見るもの全てが目新しい。 小さな小さな赤ゆっくりには、お庭の景色は広大無辺。 目にする限りの景色に飽きもせず、麗かなおひさまの光を一杯に浴びてお日様にも負けないほどの笑顔を 明るくにぎやかに輝かせている。 「……そうだね。『おそと』は、ゆっくりできるね」 だけれどそんな五月晴れの赤ちゃんの側には、一足早い梅雨曇り。 低気圧の雨雲が、どんより大人のれいむの周りに漂っていた。 「ゆぅ……? おかーしゃん、どうしたの? ゆっきゅり、してね?」 何も見えていないようでいて、子供は存外目ざといものだ。 ゆっくりしていない様子の『おかーしゃん』を案じ、くるりと振り向きことさら頬を擦り付ける。 成体れいむは暫く無言のまま、赤ちゃんれいむの頬擦りに応じる事も無くて。 「……ゆぐっ。おきゃーしゃん?」 「ゆふぅ……そうだね、おちびちゃん。ゆっくりしようね」 やがて赤ちゃんが泣きそうになってから、ようやく深く重く吐息を吐いて。 視線はお外―――赤ちゃんれいむが世界の全てと見るお庭の彼方、板塀の向こうにあるお空へに 固定し、やや億劫そうに頬擦りを返した。 億劫そうに、おざなりに。 心の篭らないその行為は、傷付いた赤ちゃんの心にさらに塩を塗りこめるようなもので。 「……ゆっ、ゆぐっ。おかーしゃん。れいみゅのこと……きらいにゃの?」 「ゆっ! なにいいだすの、おちびちゃん!」 いよいよ双眸に一杯の涙を溜め込む赤ちゃんの姿に、大人のれいむは心底慌てた表情を浮かべた。 それはもう、盛大に。不自然なほどの大慌て。 こんな理由で泣かせると、後でとっても困るから。 とってもゆっくりできないことに、自分と自分の家族だけがなってしまうから。 「おかーさんがおちびちゃんのこと、きらいなわけないでしょ! な、なにいってるの!」 「おかーさんはね、ちょっと疲れてるんだよ」 悲しいかな、語彙の決して多くない餡子脳では気の利いた言葉の一つも思い浮かばない。 それでも必死に弁解の言葉を並べ立てる内に、背中からそんな助け舟が出された。 ……先ほどまでは、この場に二匹しかいなかったはずなのに。 「ゆゆんっ♪」 「ゆひぃっ!?」 見なくたって、ゆっくりわかる。赤ちゃんれいむは一転して満面の笑み、成体れいむは真っ青な表情。 赤ちゃんにとっての世界で一番ゆっくりできるそのお声、 成体れいむにとっての世界で一番ゆっくりできないそのお声、 いつの間にか戸口に立っていたその声の主の名を、二匹は異口同音に、だが正反対の感情を込めて呼ばわった。 「「おとーさん……ゆっくりしていってね!」」 ある夏、ある日の昼下がり。 どこかの民家の縁側に、大小二匹のゆっくりがいた。 すりすり身を寄せ合う紅白饅頭、ゆっくりれいむの大人と赤子。 傍目にはとてもゆっくりと寄り添う仲睦まじい二匹の様子を、部屋の中から眺める中学生ぐらいの男の子。 れいむたちから「おとうさん」、と呼ばれた存在だ。赤ちゃんにとっては、少年と成体れいむが両親ということになる。 無論のこと、人間とゆっくりが子を成すことなどないのだから、その関係は飼い主とペットという真実の関係を覆い隠すだけの かりそめのものでしかないのだが。 少年の視線は優しく、暖かい。赤ちゃんれいむを見るときに限れば。 少年の視線は冷たく、酷薄だ。成体れいむをみるときに限れば。 失敗したかな、と少年は思う。 赤ちゃんれいむだけにするべきだった。日向ぼっこのために縁側に出すのは。 ゆっくりはお日様の下でゆっくりすることをとても好む習性がある。 それを知識として知っているから、少年はペットショップで買ってきた頃より少し大きくなった赤ちゃんを 生まれて初めてのお外――縁側に出してあげた。 きっと、普段は狭い巣箱の中、世界が広がっても少年の部屋の中が精一杯だった赤ちゃんは、 初めて接する外の世界に大きな喜びを感じるんじゃないかと思っていた。 「やっぱりれいむに任せずに、僕がついててあげたらよかったなぁ……」 少年は小さく一人ごちる。 その声が聞こえたのか、おなかに寄りかかって眠る赤ちゃんをゆっくり舐めてあげていた成体れいむがびくりと震えた。 あの時、友達から電話が掛かってこなければ、自分が赤ちゃんをゆっくりさせてあげていたのだろう。 赤ちゃんと一緒の時間を過ごせたなら、赤ちゃんが目の当たりにする『初めての世界』への感動を共有するのは自分だったはずだ。 少年は赤ちゃんれいむを飼い主として、親代わりの存在として深く愛している。 だからこそ、そのことがひどく惜しく思われた。 だが、今、懸念しているのはそのことばかりというわけではない。 「れいむ。『おそと』はいいねぇ?」 声音だけが、穏やかだった。 少年が成体れいむに向ける瞳は、常と変わらず冷ややかなもの。 背を向け、決して彼へと振り向かず、だが震えまでは隠せぬ様子で、裏返った声の応えが少年へと返る。 「れ……れいむは、おちびちゃんがゆっくりそだつまでおそとにはでないよ!」 「ゆぅ? おかーしゃん?」 母と呼ぶものの明らかな異状に、赤ちゃんれいむが眉根を曇らせその身体を見上げていた。 その姿が微笑ましく、同時に少年の癇に障った。 「そっか。やっぱりおとーさんのれいむはゆっくりえらいなぁ」 その為に連れて来たモノだったけど、だからといって感情が許すものでもなかった。 わざとらしく、朗らかに、少年は成体れいむの『覚悟』を称える。 久方ぶりに『おそと』に触れた成体れいむがよからぬことを考えぬように。 自分同様、赤ちゃんれいむに無条件の信頼を寄せられる彼女が、そのことを嵩に着て思い上がらぬように。 「おちびちゃん、おかーさんはおちびちゃんが一人で外に出ることができるぐらい立派になるまで、 おうちでおちびちゃんを守ってくれるんだよ」 さらりと一言、成体れいむの心に太い釘を深々と打ち込む。 「ねぇ、れいむ。じゃないと大切なおちびちゃんが危ないものねぇ」 「……ゆっくり、りかいしてるよ。れいむはたいせつなおちびちゃんのためだけにがんばるよ」 少年は背を向けたままの成体れいむが息を呑み、目を見開く気配を確かに感じた。 伝わるのは、憤怒と恐怖。胸中に広がる想いを見て取られたことへの動揺。 赤ちゃんれいむは両親の字面ばかりが優しい言葉に目をぱちくりと瞬かせると、 「ゆぅ……おかーしゃん? だいしゅき、だよ?」 とことさらぐいっと強く身体を母へと押し当てた。 訳のわからない不安に突き動かされるように、すりすりと頬を母にすり寄せる赤ちゃんは知る由もないだろう。 おとーさんとおかーさん、二人がいう「大切なおちびちゃん」が彼女のことではないことなど。 一月もして赤ゆっくりから子ゆっくりと呼ばれるほどに彼女が育てば、母との「死別」の運命が待ち構えていることなど。 少年はそんな二匹の姿を眺め、今度こそ心からの笑みを浮かべる。 それでいい。これでいい。 成体れいむはもうしばらくはと、お外―――家の外に逃げ出すことなど願うまい。 自分に与えられたたった一つの役割、あの子を立派な子ゆっくりにまで育てるという仕事に一層真剣になるだろう。 それが、成体れいむのおちびちゃんを守る唯一の手立て。 成体が再びゆっくりを手に入れるたった一つの道筋なのだから。 成体れいむは野良だった。 つい一週間前まで、つがいのまりさと五匹の子供たちを抱える野良だった。 恐らく元は飼いゆっくりだったのだろう、人と付き合う術を備え、人の社会の理を知り、 人との距離感をきっちり推し量って公園に暮らす彼女の一家は周辺の住民に好ましく受け入れられていた。 だから、少年は友人と謀り、ある夜彼女を連れ去った。 何のために? そう、新たに少年たちが実ゆっくりの状況からの飼いゆっくりを買うにあたって、難しいその幼児期の養育を任せるためにだ。 昔、少年の家で飼っていたブンチョウの卵を、ジュウシマツに抱かせたことがあった。 それをふと少年が思い出し、同じようにゆっくりを飼うことを考えていた友達へと持ちかけたのだ。 出来た野良と人間の間でも評判のゆっくりならば、きっと赤ちゃんを巧く育てられるはず。 ましてや、それがゆっくりの中でも母性豊かで育児に聡いとされるれいむ種ならばなおのこと。 少年たちはことをその程度に捉えて、ためらうことなく実力行使に及んだ。 あとあと、おうちを壊された状態で突然行方知れずになった一家の話題が公園常連の幼い子供たちやその親を悲しませたが、 少年たちにしてみればたかだか野良のことなど気に留めるようなこととも思わなかった。 成体れいむは信じている。 少年たちが彼女に与えた、たった一つの約束を。 四匹の赤ちゃんを、順番に子ゆっくりまで育てたならば。そのあときっと、つがいと子供のもとに戻してやると。 四人の少年と取り交わしたその約束だけを頼りに、愛らしい、だが決して自分の子ではない赤ちゃんの育児に取り組んでいる。 少年たちは守るつもりでいる。 少年たちが彼女に与えた、たった一つの約束を。 四匹の赤ちゃんを、順番に子ゆっくりまで育てたならば。そのあと成体れいむを川に流し、つがいと子供のもとに送ってやると。 仮初の出産と死別を繰り返し、本当の死別となる四度目の後には冥府での本当の家族との再会をセッティングしてやるのだ。 殺す必要があるのか。仲間の少年の一人がひるんだ様子を見せたとき、こともなげに少年は頷いたものだ。 当然だろう、ゆっくりは人の言葉を解するのだから。 家まで追いかけてこられても困るし、連れ去られた旨を公園の常連の住民たちに訴えられても困る。 必要な個体だけを確保し、他を処分するのはおかしなことでもなんでもない。 家族はとうに川に投げ込まれて死んでいたことを、いずれ同じ川へと投げ込む前に教えてやればどんな顔をするか。 少年は、二匹が交わす偽りの愛情表現を眺めつつ、悪意に満ちた笑みを口元に浮かべた。 自分でそう仕向けたにも拘らず、飼い主たる自分よりも赤ちゃんと親しく接する成体れいむへの純然たる嫉妬という名の悪意。 「再会が楽しみだよね、れいむ」 その積もる嫉妬を晴らす日は、長くてせいぜい四ヵ月の後。 本当に、その日が楽しみだ。 少年は最後にじっとりとした一瞥を二匹に投げて、どこか悲しげなおうたが聞こえる縁側を後にした。 このSSに感想をつける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/999.html
前 ――ゆっくり研究家○○さんの講演の準備が終了いたしました。 ――場内は大変込み合っておりますので、お早めに席にお戻り下さい。 四度目の館内アナウンスが流れ出すが、既に席はほぼ埋まっている。 先ほどの食欲実験のゆっくりの興奮をまだ忘れられない人々が、様々に話をしているからだ。 次の成果は、恐らく性欲実験。 今度は、どんなゆっくりの末路を見る事が出来るのか……会場内は、異様な興奮でざわざわと騒がしくなっている。 そんな中、研究家が姿を現す。会場内は、完全に興奮のるつぼと化した。 ――大変お待たせいたしました。これより、ゆっくり研究家○○さんの講演を再開させていただきます。 騒がしかった会場内が、アナウンスと同時に静まり返る。 講演会第三部。ゆっくりの性欲抑制実験の発表会は、声一つない静けさの中で始まった。 『ゆっくり魔理沙が極限までゆっくりできる話 その3:性欲編』 「これまで、睡眠を全く取らせないゆっくりと、食事を全くしないゆっくりの二例について、映像を使って説明させていただきました」 「次は、性欲の抑制をしたゆっくりを見ていただきます……これは、最も苦労した実験です」 本当に苦労したという感情がにじみ出ている声で、研究家は語る。 その言葉に反応して、静かだった会場内にひそひそ声が広がっていった。 ――食と睡眠という大きな欲求の抑制に成功したのだから、性欲くらい大した事はないだろう。言いすぎではないだろうか。 聴衆の考えは、おおむねその様なものである。 だが、その反応は分かっていたとでも言わんばかりに軽く頷いてから、研究家は説明を始めた。 「皆さんの考える事は良く分かります。ですが、ゆっくりは普通の生物ではないのです」 「ゆっくりの弱さを考えてみて下さい。人間が軽く殴っただけでも死ぬ弱さで、更に捕食種がいてもあれほどに数がいるのは、何故でしょうか?」 何故大量にゆっくりがいるのか……疑問にすら思っていなかった質問に、ざわめく聴衆。 だが、困惑する聴衆を気にせず、研究家は説明を続けた。 「皆さんは『いわし』という生物をご存知でしょうか」 「恐らくは知らない方が多いでしょう。私も実物は見た事がありません。海に住む魚だという話を、外の世界から来た友人に聞いただけです」 「ですが、彼は非常に興味深い話をしてくれました」 「『いわし』は、多数集まる事で生存確率を上げようとする本能があり、その数は数万にも及ぶという話です」 「これほどの数がいれば、数匹が何かの理由で殺されたとしても、群れそのものには影響を及ぼしません」 「……ゆっくりに話を戻します。ゆっくりは親子兄弟を合わせてかなりの数がいます。数百を超える個体が所属している群れを見たという情報もあるほどです」 「また、最も数の多いゆっくりれいむ・まりさは、大体はペアで発見されます。一匹でいるゆっくりは、逆に珍しいと言えるでしょう」 「この事実から推測しますが、ゆっくりの数が多い理由は『いわし』と同じ事ではないでしょうか?」 「つまり、多数の群れで生活する事で、少しでも種族としての生存確率を上げるためという説です」 「これは私の推測であり、本当は違うのかもしれません。ですが補足に値する事実があります。ゆっくりが一年中発情期だという事です」 「春夏秋冬……冬は交尾しているゆっくりをあまり見ませんが、その理由は食物の消費を出来る限り減らして生き残るためでしょう」 「ゆっくりの性欲は極めて強く、いつでもどこでも交尾をします。今回は、真冬に交尾をするゆっくりについて見ていただきたいと思います」 研究家の合図で、映像が流れ始めた。 冬のある日、二匹のゆっくりまりさが寒さに震えていた。 ほほが青白く染まり、がちがちと鳴らす歯がうるさい。 「ささささ……さむいね!」 「ぶるぶるぶるぶるふるえちゃうよ!」 血が通っているワケでもないのになぜか紫色になった唇を動かし、何とか暖を取ろうと可能な限りくっ付いていく二匹。 震える事で体を動かし、少しでも温かさを得ようとする行動は人間もゆっくりも同じらしい。 くっついたままのまりさ達は、かなりの速度で震え続けた。 「ゆゆゆゆ……ゆっくりぽかぽかになってきたよ!」 「もっとぽかぽかになったらゆっくりできるね!」 しばらくすると、ほほがリンゴの様に赤くなり、血色の良い唇に戻った。 ――これでゆっくりできるよ。 ほっとした二匹は今だに周囲を包む寒さも忘れ、のんびりとくっ付き合ってゆっくりしだした。 「まりさはすごくゆっくりしてるね!」 「まりさもすごくゆっくりしてるよ!」 「「ゆっゆっゆ~♪」」 端から聞いている人にとって自画自賛をしている様に思えてしまうこの発言は、二匹ともがゆっくりまりさのためである。 発音から何から全てを含めた同種族間の違いは、恐らくゆっくりにしか分からないものなのだろう。 二匹は穏やかな表情で体を揺すり、頬をすり寄せ続けた。 「「ゆ~……ゆっ!」」 穏やかな表情でくっ付いている二匹だったが、不意にぶるぶると小刻みに震え始める。と同時に、とろんとした目つきになった。 交尾の開始である。 「「ゆっゆっゆっ……」」 ぬちゃぬちゃと、粘性の物をこすり合わせる音。 良く見ると、まりさ達のもちもちとしたほほの間に、透明の液体が糸を引いている事が分かる。 「ゆゆゆゆ……ゆっゆっゆっ……」 「ゆぅ……ゆゆゆぅ……」 ゆっくりまりさ達の動きが更に早くなり、ぬちゃぬちゃという音も更に激しくなっていく。 それに連動するかの様に、ほほだけが赤かった二匹の顔全体が真っ赤に染まっていった。 「「ゆっゆっ……んほぉぉぉぉ!!!」」 ビクンと一跳ねして、同時に動きを止めるゆっくりまりさ達。 ボトボトと音を立てて、粘液が地面を黒く濡らしていった。 「「すっきりー!!!」」 ゆっくりまりさ達の交尾は終ったらしい。 二匹は、顔を赤くしたまま余韻に浸っている。 「すごくゆっくりできたよ。ゆっくりしたあかちゃんがうまれるといいね」 「うん、がんばってゆっくりあかちゃんうむよ。まりさににてもいいし、まりさににてもいいね」 顔を見合わせ、微笑み合う二匹。 全く見分けが付かないが、どうやら画面向かって左側のゆっくりまりさが母役で、右が父役らしい。 「ゆっくりしないで、はやくうまれてほしいね」 「そうだね、でもゆっくりうまれないと、ゆっくりしたこにそだたないかもしれないよ?」 和やかに冗談を言い合う二匹の表情には、憂いの色は全くない。 寒さに包まれた中、飢餓に耐えながら子供を生み育てる事がどれだけ辛いのか、このゆっくりにはその程度の事を考える頭もないのだろう。 春まではまだ一ヶ月以上ある、冬の日。 もうすぐ親になるゆっくりまりさ達の表情は、本当にゆっくりしたものだった。 映像は、穏やかに顔を見合わせて笑うゆっくりまりさ達の様子で止まった。 幻想郷のどこでも見られるゆっくりの交尾を延々と見せられていた聴衆は、かなり不満そうにしている。 確かに冬に交尾をしているゆっくりは珍しいかもしれないが、交尾そのものはどこでも見られるのだから、その考えも当然なのかもしれない。 「まずはゆっくりの交尾について見ていただきました。どこにでもある光景ですが、この光景について一つお聞きしたい事があります」 「『ゆっくりはいつから交尾をしているのか』それについて、どなたか分かる方はおられませんか?」 ざわざわと会場内に声が響き渡る。 頬をすり寄せた時点で……いや、粘液が出た辺りから……様々な意見が出るが、確信を持てるほどのものにはならない。 そんな様子をしばらく眺めていた研究家は、一つ咳払いをしてから話し始めた。 「これについては、私にも分かりません。恐らくは、他の研究者達も完全には把握できていないでしょう」 「苦労の理由の二つ目がこれです。いつから交尾をしているのか分からなければ、やめさせる事は難しいという事です」 「いつ頃から親愛の情が性欲に変わっているかを知るためには、頬をすり寄せている時から交尾に変わる瞬間を理解しなければならないですからね」 「そのため、この性欲実験については、これまでの抑制ではない三つの方法を考えました」 「一つは、性欲の抑制ではなく、性欲そのものを潰すというやり方」 「二つ目は、不感症とでも言うのでしょうか、交尾では快感を得ないゆっくりをつがいにさせるやり方」 「三つ目は、羅切(らせつ、日本の仏僧が行う去勢の事)に処した上何度も交尾をさせて自分はもう『すっきり』できないのだと理解させるやり方です」 エグい事をさらりと言う研究家に、男性の一部は顔を青くし、その中の更に一部は赤くしている。 研究家は無表情のまま、淡々と説明を続けた。 「羅切の方が楽に出来るのですが、ゆっくりの生殖器がどこにあるのか不明だったために出来ませんでした」 「また、不感症のゆっくりを見つけられなかったため、これについても出来ませんでした」 「羅切や不感症は今後の課題としまして、ここから先は性欲を潰したゆっくりについて、映像で説明させていただきます」 研究家の合図と共に、映像が流れ出す。 それは、一匹のゆっくりまりさが黒い箱の前に固定されているものだった。 ゆっくりまりさは、怒っていた。 もしこんな状況に追いやった者が目の前にいたら、口を極めて罵り、倍に膨らんで攻撃を仕掛けるだろう。 だが、今は不満そうに眠ったゆっくり達の入った透明な箱を眺めている。 眠っているゆっくり達と話せないからではない。固定する縄が、下手に動くと饅頭の皮が破れるほど硬く縛られているためである。 ゆっくりにも生命の危険は分かる。 このまま膨らめば、もしくは下手に口を開けば、自分は中身が飛び出した饅頭だったものになると理解する程度の頭はある。 そのため、膨らむ事もできず、文句も言えず、目の前のゆっくり達を起こす事も助けを求める事もできず、まりさはただ大人しくしていた。 不意に、箱の中のゆっくり達が起き上がった。 「っ……っ!!!」 眠そうにまりさの方を眺めているのを見て、まりさはもごもごと口を動かした。恐らくは「ゆっくりたすけてね!」などと言っているのだろう。 だが、ゆっくり達はまりさが見えない様にきょろきょろと辺りを眺めだした。 「ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしていってね!」 目の前にいるゆっくりまりさを無視して、同じ箱に入ったゆっくり同士が挨拶をする。 まりさは、自分が苦しんでいるのに助けようともしない仲間に怒りを抱いたらしくぷくっと膨らもうとするが、縄が食い込むので途中で息を吐き出した。 「「ふたりでゆっくりしようね!」」 恨めしそうに自分達を眺めているまりさに気付いていないかの様に、ゆっくり達は箱の中で仲良く頬をすり寄せあった。 「ゆゆっ……ゆ……んんっ……ゆー!」 「ゆふぅ……ゆゆゆ、ゆっ……」 「……っ?」 突然、箱からぬちゃぬちゃと湿った音が聞こえ出した。 箱のゆっくりは、目の前にいるまりさを無視して、ついに交尾を始めてしまったのである。 固定されているまりさは痛みも怒りも忘れ、呆然と目の前の痴態を眺めている。縛られていなかったなら、ぽかんと口を開けている事だろう。 「「ゆっゆっゆっ……ゆゆゆ! ゆーーーー!!!」」 「……っ!」 箱の中で何が起こっているのかようやく気付いたらしく、もごもごとくぐもった声をあげるまりさ。 何と言っているのかは分からないが、相当に恥かしく思っているらしい。必死で目をそらそうとしている。 だが、その顔は真っ赤に火照っており、目が潤んでいる。別のゆっくりの交尾を見て、自分も昂ぶってしまっているのだろう。 交尾中のゆっくり達は、間近で見られている事を知ってか知らずか、もしくはそんな事などどうでも良いのか、どんどん動きを激しくしていった。 「「ゆっ……ゆっゆっゆっ、ほおおおおおぉぉぉ!!!」」 「っ……ゆ、ふぅ……」 ビクビクと震えるゆっくり達の顔から、音を立ててよだれ・涙・汗の様なアンコ汁が大量に流れ出し、地面がたちまちに黒に染まっていく。 それを見ているまりさは、長時間お預けを喰らった犬の様に口の端からよだれを一筋垂れ流しながら、じっとその様子を見つめていた。 先ほどまでの怒りなど忘れてしまったらしく、まりさは快楽を求めて強引に動こうとするが、当然動けない。 「ゆ……すっきぃ……たぃ……」 すっきりしたい。もはや、ゆっくりまりさの頭にはそれしかない。 まりさは、命の元でもあるアンコで縄が黒く染まっていくのも気にせず、動こうともがき続けた。 「ゆゆゆゆゆゆ! んほぉぉぉぉぉすっぎ!?」 突然、柔らかい物がぶちゃっと潰れる音が響くと同時に、辺りがシンと静まり返った。 先ほどまでの熱気が一瞬にして薄れ、消えていく。 白目をむき、だらしない顔をしたゆっくり達は『すっきり』する事なくいきなり潰れてしまったのである。 「んむむむ!」 だが、まりさは何が起こっているのか分らないまま、箱に寄ろうと必死に動き続けた。 ――すっきりしたい! まりさもすっきりさせてよ! つぎはまりさのばんだよ! 縄から逃れようともがく理由が、異常なこの状況を確認するためではなく、情欲に火照った体を冷ますためだという事は、欲に弱いゆっくりを象徴する様で浅ましい。 そんなまりさの目の前で、潰れたゆっくりがウィーンという機械音を立てて逆回しに膨らみ、そのまま眠り始めた。 「ゆぅ……ゆー……ゆゆっ」 「ゆ……ゆー……ゆぅ」 ほどなく起き上がったゆっくりは、隣に先ほどまで交尾をしていたゆっくりがいる事にも気付いていない様に、きょろきょろと辺りを眺め始めた。 「「ゆっくりしていってね!」」 挨拶をし、幸せそうに頬をすり寄せるその姿は、先ほどと全く変わらないものである。 「「ゆっゆっゆっ……ゆゆゆ! ゆーーーー!!!」」 そのままビクビクと震えながら、顔を真っ赤にするゆっくり達。交尾を再開したらしい。 「……?」 目の前のゆっくり達の、時間が戻った様に同じ事をしている異常性にようやく気付いたらしく、まりさは不思議そうな顔をした。 にちゃにちゃと粘性の音が聞こえても、もう情欲に目を輝かせたり、顔全体が火照る事はない。 ただ、なぜか先ほど潰れたはずのゆっくりが同じ行動を繰り返す目の前の状況を眺めているだけだ。 「んほぉぉぉぉぉすっぎ!?」 「……ゅっ!?」 結末も全く同じで、ぶちゃっという音と共にゆっくり達は叩き潰される。 そして、また機械音が流れ、また蘇るゆっくり達。 繰り返されるそれを見て、まりさは僅かに気味悪さを感じ始めていた。 「んほぉぉぉぉぉすっぎ!?」 「ほぉぉぉぉぉすっぎ!?」 「ゆっ……たすっ……っ!!!」 100回以上も絶頂に至らないまま何度も何度も潰れては蘇り、また交尾を始める饅頭達に、ゆっくりまりさは恐怖を感じていた。 ガチガチと歯を鳴らし、涙が止め処なく溢れている。 縄からは更にアンコが漏れ出し、黒く染まってきていた。 快楽を求めて動こうとしているためではなく、この場から逃げ出そうと必死にもがいているためである。 ――たすけて、ゆっくりさせてよ。このこたちはいやだよ、ゆっくりできないよ。たすけて……。 達する直前で潰れては蘇るゆっくり達が、まりさの目には不死の悪霊か何かの様に見えているのだろう。 ゆっくりまりさは、自分の身からこぼれるアンコも無視して、ただ逃げようと身をよじり続ける。 「ゆっ……! ……やっ! ……ゅ!? ゆゅ……ぁ!!!」 その間も、何度も何度も繰り返される交尾と死にとうとう神経が切れてしまったらしく、まりさは恐怖に歪んだ凄まじい形相で気絶した。 映像は、凄惨な虐待の末にアンコまみれになって殺されたと錯覚してしまう有様のゆっくりまりさが映った所で止まった。 「まずは映像による仕込みを見て頂きました。現状でも、このゆっくりは恐怖心から交尾を行おうとはしません」 「ですが、彼らは記憶力が異常に低いため、すぐに交尾出来る様になります。数日……長くても一週間程度持てば良い方でしょう」 「そのため、この後は定着作業に移りますが、これは更に二段階に分かれます。詳しい内容については映像にてご覧下さい」 「なお、これが先ほどと同じゆっくりである目印として、帽子の先端部分に塗料を塗ってあります」 研究家による簡単な説明の後、映像が再開される。 今度は縛られていないゆっくりまりさが、帽子の先を赤く塗られている事にも気付かずに眠っている様子が映し出された。 「……ゆー?」 帽子の先端を赤く塗られたゆっくりまりさは、目が覚めてすぐきょろきょろと辺りを見回した。 どこも縛られてはいないし、口もキチンと動かせる。先ほど縄でちぎれたはずの頬も元通りに治っている。 「ゆめだったんだね! うっかりー!」 何度潰れても蘇っては交尾をする異常なゆっくりなんていない。縄でぐるぐる巻きに縛られてもいない。 自分はずっと悪夢を見続けてただけなんだ。 そう思い、安心した様にほっと息をつきながら辺りを見回す赤まりさの目に、あるはずのないものが飛び込んできた。 アンコまみれの縄と、黒い四角い箱。 夢の中では透明の箱だったから大丈夫……と思いながら恐る恐る箱を覗くと、そこにはあのゆっくり達がすやすやと眠っていた。 悪夢が現実に現れる。 「あ、あ、あ……」 がくがくと震える赤まりさ。白目をむき、口の端からは黒い泡が吹き出している。 すっきりする前に潰れてはまたすっきりしようとしていたゆっくり達。 縛られて、逃げる事も交尾をやめさせる事も、潰させる事を防ぐ事も出来ずにただ見ている事しか出来なかった自分。 「ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしていってね!」 不意に、バケモノ達が起き上がり、挨拶をする。この後は交尾をして、すっきりする事なく叩き潰されるのだろう。 「ごわいよぉぉぉ!!!」 挨拶に応じる事もなく、赤まりさは全速力でその場から逃げ出した。 トラウマにでもなったのか、顔は涙と良く分らない液体でぐしょぐしょになっている。 「ゆぎゅぅぅぅ!!! いやぁぁぁ!!!」 「ゆっくりしていってね! ゆっくりおちついてね!」 半狂乱になって跳ね回る赤まりさにかけられる鳴き声。 そのまま頬をすり寄せてくる。柔らかく心地良いその感触で、ようやく赤まりさは落ち着きを取り戻した。 「ゆっ……ゆっくりしていってね! ……だれ? まりさ?」 「まりさだよ! ゆっくりおちついてね! ゆっくりしてね!」 涙目のまま相手を眺めると、相手も同じゆっくりまりさだった。 ただし帽子はキレイに整えられているし、寒天の目は純度の高い宝石の様に美しく、もちもちとしたほっぺは見るだけでもすっきりしてしまいそうだ。 ――どんなゆっくりよりゆっくりしてて、すごくかわいいぜ。 この部屋に元々いたまりさは、素直にそう思いながら話しかけた。 「ゆっくりできたよ。ところでまっ、まりさは、なんでここにいるの?」 「まりさもつれてきてもらったの! ここは、すごくゆっくりできるおきにいりのゆっくりプレイスだよ!」 噛んでしまいつつも、問いかける赤まりさ。その顔は帽子の先端の様に赤く、緊張と恥かしさが同居している様な表情をしている。 だが、美しいまりさは赤まりさの奇妙な表情を気にもせず、無邪気に答えた。 にこにこと笑うその顔は、悪意というものがすっぽりと抜け落ちた様にさえ見える。 赤まりさは、その優しい目を見ている内に何でも話したくなった。 「ゆぅ……ここはゆっくりできないよ、だって……」 欲求に逆らわず、赤まりさは美しいまりさにこれまでの全てをぶちまけた。 「……ゆっ、そんなことがあったの」 「そうだよ! だからゆっくりしないでここをでよう! ここはゆっくりプレイスじゃないよ!」 語り終えた赤まりさは、何か考え込んでいる美しいまりさを急かす様にぐいぐいと引っ張った。 当然ながら、一緒に逃げ出すためである。 だが、美しいまりさはその美しさに似合った優雅な仕草で赤まりさを振り払った。 訳が分からずに呆然とする赤まりさだったが、すぐに気を取り直したのか、口元を引きつらせてへこへこと奇妙な屈伸運動の様な動きをする。 人間の目から見ると叩き潰したくなる有様だが、どうやら優しい笑顔を浮かべて謝っているつもりなのだろう。 「つよくひっぱっちゃったんだね! ごめんね! つぎはゆっくりひっぱるから、いっしょににげようね!」 「ちがうの、まりさはここからでたくないの。まりさのゆっくりプレイスからでたくないよ……」 だからここでお別れね、とうつむいた美しいまりさの帽子の奥の目は涙で潤んでおり、ぽたぽたと音を立てて水滴が床に落ちていく。 濡れていく床を見て申し訳ない気分になりつつ赤まりさだが、ここは『バケモノ』のいるゆっくりできない場所なのだ。 あきらめるワケにはいかない、このまりさもゆっくりして欲しいと考え、赤まりさは言葉を尽くした。 だが、もう美しいまりさはここにいると決めたらしく、赤まりさが何を言ってもうつむいて頭を振り続けた。 「ゆぅ~……じゃあ、まりさもここにいるよ! ひとりよりふたりのほうがゆっくりできるよ!」 「ゆゆっ、いいの!? まりさはここからでたいんでしょ?」 「きがかわったよ! ふたりでゆっくりしようね!」 目を丸くした美しいまりさに、赤まりさは優しくほほをすり寄せた。 赤まりさのいきなりの積極的な行動に驚きつつも、美しいまりさは目を閉じて受け入れる。 その横顔を眺める赤まりさの目には、帽子の塗料の様に赤い、決意の炎が燃え盛っていた。 「もし、ふたりでゆっくりできなくなっても……」 「ゆぅ? まりさ、なにかいった?」 「なんでもないよ! それより、きょうはゆっくりプレイスをみつけたきねんにまりさがごはんをさがしてくるよ! まりさはゆっくりしていてね!」 赤まりさはそう告げてから、いつもの緩みきった笑顔とは違う真剣な眼差しで美しいまりさを見つめた。 「……ゆぅ?」 きょとんとした美しいまりさの姿をアンコの奥に刻み込む様に硬く目を閉じてから、赤まりさは更に弾みを付けて飛び跳ねていく。 その後頭部は、守るべき者を見つけた自信と誇りに満ち溢れていた。 続 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/166.html
ゆっくりという種族が幻想郷に突如蔓延して、どのくらい経っただろうか。 畑を荒らす害獣として駆除されたり、加工所というところでお菓子にされたりするくらいには、既に浸透していると思う。 中には俺のように、ペットして飼うものも少なからず存在していた。 「今帰ったぞ~」 「ゆっ!」 仕事が終わり、帰宅して扉を空けると、部屋の真ん中に鎮座していた生首が声を上げて駆け寄ってきた。 赤いリボンが特徴的な、ゆっくり種の中でも一番数が多いとされるゆっくり霊夢だ。 博麗の巫女によく似た顔で(と言うと、霊夢さんは怒るかもしれないが)、性格は基本的に温和で純粋無垢。 それ故にトラブルを起こすことも多々あるのだが……まぁ、その話はもうちょっと後で。 「ゆっくりしていってね!」 仕事で疲れてる俺に対する労いの言葉――ではなく、単にこいつらの口癖なのだが、兎にも角にも癒される。 可愛いなぁ、くそ。 俺の友人たちはよくこいつを買って食べているが、正直薄目に見れば人の顔そのものであるこいつらによく噛み付けるものだ。 しかも食う時に痛々しい叫び声上げるんだぜ? 悲痛すぎて言葉が出ない。 友人曰く、「お前もその内分かるようになる」らしいんだが……そういう日が来ないことを願う。 「待ってな、今晩飯作るから」 「ゆっくり待ってるね!」 ぴょんぴょん飛び跳ねて晩飯を心待ちにしていることをアピールするゆっくり霊夢。 うぅん、ぷりちー。 気持ち悪がる人もいるが、俺にとっては可愛いペットだ。 晩飯を食べ終わると、読書タイムとなる。 最近友人になったパチュリーさんから借りた本を読みながら、まったりとした時間を過ごす。 ゆっくり霊夢は何をするでもなくぼーっと、たまにぴょんぴょん部屋を飛び跳ねて、「ゆっくりしてるね!」と言っていた。 ゆっくりの声には癒し効果でもあるのか、意識を阻害されることなく読書に集中出来る。 やがて切りのいいところで本を片付け、ゆっくり霊夢と遊ぶことにした。 「ほら、取って来い!」 「ゆ! ゆ!」 フリスビーを家の壁に穴を開けない程度に軽く投げ、ゆっくり霊夢に取って来させる。 ゆっくり種はその口癖と名前から勘違いされがちだが、飛び跳ねたり、野原を駆け回ったりと意外とアクティブな存在だ。 だから運動不足にならないよう、こうして遊んであげる必要がある。 俺が仕事に行ってる間に外に出してもいいんだが、もし野生のゆっくりアリスやゆっくりれみりゃと遭遇したときのことを考えると……駄目だ、放し飼いは認められない。 「取ってきたよ!」 口にフリスビーを加えたゆっくり霊夢が戻ってくる。 「おう、偉い偉い」 ゆっくり霊夢の頭を撫でてやると、ゆっくり霊夢は嬉しそうな顔をした。 その顔を見ていると、こっちの頬まで緩んでくる。 ……それと同時に、ある感覚が心の内より現れた。 「っ……」 「?」 不思議そうにこっちを見つめるゆっくり霊夢になんでもない、と首を振り、もう一度フリスビーを投げる。 せっせと追いかけるゆっくり霊夢を見つめながら、湧き上がる感情に戸惑いを覚える。 ――ゆっくり霊夢をいじめたい。 別に虐待をしたいわけではない。可愛いペットにそんな真似をしたくはない。 しかし、こう、なんというか……ううん、説明出来ない。 「ゆっくり取ってきたよ!」 再び戻って来るゆっくり霊夢。 俺は心のもやもやを打ち払うようにゆっくり霊夢の頭を撫で、そして振動させた。 「ゆっ!?」 小刻みにバイブレーション。 最初は驚いて逃げようとしたゆっくり霊夢の顔が、少しずつ赤らんでくる。 「ゆゆゆ、ゆー!! ゆー!!!」 甲高い声。時間の経過と共に、ゆっくり霊夢はどんどん発情していく。 荒んだ心を癒してくれる礼として、こうしてゆっくり霊夢に快感を与えてあげることは毎日の日課だった。 「……」 だが、今日の俺はなんとなく、手を止めてしまった。 中途半端なところで快感をストップされたゆっくり霊夢は慌てたように俺の手に擦り寄って、 「ゆ、ゆっくりして! もっとゆっくりしていって!」 潤んだ瞳で俺を見上げるゆっくり霊夢。 その視線を浴びて、 「……!」 何故か身体がゾクゾクする。 もっと見たい。 もっとこの目で見つめられたい。 「ゆー!!! ゆー!!! ゆー!!!」 だが、それと同時に可哀想だという感情も浮かび上がってくる。 俺は手をもう一度律動させ、ゆっくり霊夢を絶頂へと導いてやった。 未知の感覚に戸惑いながら、一週間が経過した。 臨時教師として慧音さんの手伝いをした俺は彼女と彼女の友人である妹紅さんと一緒にまったりとお茶を飲みながら歓談し、上機嫌だった。 「おーう、今帰ったぞー!」 扉を開ける。 ――瞬間、先程までの高揚した気分が嘘のように蒸発した。 俺はゆっくり霊夢に、家の中はどこをうろついてもいいから絶対に机の上には乗るなと言い聞かせてあった。 机の上には俺の大事なものがたくさん置いてある。 ゆっくり霊夢はそのことを理解したかどうかは知らないが、厳しく言っておいたので飼い始めてから三ヶ月、ずっと机の上に乗ることはなかった。 だが。 帰宅した俺を待ち受けていたのは机の上に鎮座してゆっくりと眠っているゆっくり霊夢の姿だった。 「……」 俺は机に近寄って、その惨状を目撃した。 綺麗に整頓されていた机の上は見事に荒らされ、物体のほとんどが破壊されていた。 アリスさんがくれた人形も、 妖夢ちゃんが作ってくれた剣神像も、 てゐから珍しく受け取った四葉のクローバーも、 幽香さんから頂戴した花も、 にとりさんと協力して発明したトランシーバーの試作機も、 みんなみんな、見るも無残に破壊され尽くされていた。 「……」 俺はどろどろとした心のまま、ゆっくり霊夢を起こした。 「ゆ……?」 とろんとした目を開け、俺が目の前に立っているのを認識するや否や、 「ゆっくりお帰りなさい!」 いつもの挨拶。 だが、俺の心はいつものように癒されはしない。 「なぁ、ゆっくり霊夢」 「どうしたの?」 「お前、なんで、机の上に乗ってるんだ……?」 「……ゆ!?」 俺の怒りのオーラを感じ取り、ようやく約束を思い出したのか、ゆっくり霊夢は慌てたように頭を下げた。 「ご、ご、ごめんなさいだよ!」 「謝るのは後でいい、理由を説明しろ」 「あのね、蝶々がね……」 ゆっくり霊夢が言うことには昼頃、窓の隙間から現れた蝶々を捕まえようと四苦八苦し、ようやく机の上で捕まえて食べ、そのまま眠ってしまったらしい。 あまりにも夢中で、俺との約束など「うっかり」忘れてしまっていたようだった。 うっかり。 それだけの理由で、俺の大切なものは破壊され、二度と元には戻らない。 俺はゆっくり霊夢を叩こうと腕を振り上げ、 「ゆーっ!!!」 目を閉じ、ぶるぶると震える姿を見て、静かに下ろした。 とんでもないことをしたとはいえ、三ヶ月間ずっと一緒に暮らしてきたペットだ。 暴力を振るうことは、俺には出来ない。 溜息をつき、ゆっくり霊夢を持ち上げ、そっと床に降ろした。 「ゆ……?」 「晩御飯にしようか」 ぱぁ、とゆっくり霊夢の顔が明るくなった。 「ゆっくり用意してね!」 先程の殊勝さが嘘のように、ぴょんぴょん飛び跳ねて喜びを露にする。 「ふぅ……」 甘いな。 まったく甘い。 俺は、許してやるなんて一言も言ってない。 その日から、俺は帰りにある場所へ寄るようになった。 必然的に帰りは遅くなり、ゆっくり霊夢と遊ぶ時間はなくなる。 更に意識して朝飯と晩飯の量を減らしたので、ゆっくり霊夢は少しずつ文句を言うようになった。 「早く帰ってきてね!」 「たくさん遊んでね!」 「もっと食べたい!」 だが、俺はその声を悉く無視した。 少し胸は痛んだが、それでもこいつにはやったことの重大さを分からせてやらねばならない。 でないと、俺の怒りが収まらない。 俺のただならぬ様子を見かねた鈴仙さんから貰った精神鎮静剤を飲みながら、俺は準備が整うのを待った。 そして――三日後。 全ての準備は整ったのだった。 ゆっくり霊夢はまどろみの中にいた。 最近は自分の主人があまりゆっくりしてくれなくなり、寂しい思いをしていた。 だが昨日の夜、寝る前に彼は言ってくれたのだ。 「ここのところ、遊んでやれなくてすまなかったな」 「一週間の休暇を取ってきたから、ずっとゆっくり過ごそう」 「ご飯も今まで少なかったけど、豪華にするぞ」 「さ、今日は一緒の布団で寝ようか」 感激したゆっくり霊夢は、わくわくした気持ちのまま眠りに付いた。 一週間も、優しい主人とゆっくり出来る! だから、早く起きないと。 ゆっくり霊夢は寝返りを打とうとして――打てない。 「……?」 身体が動かない。 自分は今だ夢の中にいるのだろうか? なんだか息苦しい…… ゆっくり霊夢は静かに目を開いた。 「……!?」 そして映った光景に飛び上が――ることが出来ず、身体を震わせた。 自分の身体は、四角い箱の中に閉じ込められていた。 『んん゛っん゛ん゛ん゛ん゛……んん゛!?』 ゆっくりしていってね! 種族反射的にそう言おうとして、言えなかった。 自分の口に猿轡が噛まされており、更にその上からガムテープを貼られている。 周りは暗い。しかし自分の視点の場所だけ小さく四角い穴が開けられており、そこから外の様子が映し出されている。 そこには―― 「すぅ……すぅ……」 「ゆ……ゆっく……」 布団で眠っている、見慣れた主人と、ゆっくり霊夢の姿があった。 『ゆ!? ゆゆゆ!!?」』 混乱して喚くゆっくり霊夢、突然の事態に理解が追いつかない。 何故自分はこんなところにいる? 主人と一緒に眠っているゆっくり霊夢は何者だ? 「うぅん……」 と、その時。 主人が眠りから目を覚まし、起き上がった。 目をこすり、横で一緒に眠っていたゆっくり霊夢を見て―― ――惚れ惚れするような太陽の笑顔で、 「ほら、起きろゆっくり霊夢、いい朝だぞ」 『ちがうよ! そいつは偽者だよ!!!』 叫びたい。 しかし、その声は届かない。 やがて偽者のゆっくり霊夢が目を開き、開口一番、 「ゆっくりしていってね!」 「おう、ゆっくり朝飯にするか。昨日の約束通り豪華にいくぞ」 「ゆっくり作ってね!」 『待って! 気付いて!!!』 ゆっくり霊夢は泣きながら、自分と偽者が入れ替わっていることに気付いてくれと願う。 だが無情にも、主人はふんふんと鼻息を歌いながら台所に向かっていった。 『あ゛あ゛っあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!!!』 絶望が心を支配する。 だが、気付いていないのはゆっくり霊夢のほうだった。 これはまだ、始まりにすぎないのだと。 (見ているか、ゆっくり霊夢?) 俺は料理を作りながら、心の中でほくそ笑んだ。 一緒にいたのが偽者だということくらい、先刻承知している。 何故なら二人のゆっくり霊夢を入れ替えたのも、本物のゆっくり霊夢を閉じ込めたのも、全部俺だからだ。 (それがお前への制裁だ。ゆっくり楽しんでくれ) ぞくぞくするような背徳感を感じながら、意識して本物のゆっくり霊夢が閉じ込められている箱を見ないように努める。 ゆっくり霊夢は現在、透明の四角い箱に入れられ、更にその四方と天井をダンボールの壁で一枚一枚覆っている。 そんな面倒なことしなくてもそのままダンボールを被せればいいじゃないか、と思う奴もいるかもしれないが、まぁこれにはちゃんとした理由がある。 その理由は後ほど語るとして、偽者のほうを説明しておこう。 こっちのゆっくり霊夢は三日前、ゆっくり加工所に行って手に入れたゆっくりだ。 所員に事情を説明し、余っている預かり部屋を利用して仲良くなった。 こいつには一週間、俺の家で一緒に暮らせると伝えてある。 何か変なことを言い出さないかだけ少し心配だったが、流石ゆっくり、あまり深くは考えない性質のようだ。 俺は今から、この偽者ゆっくり霊夢を最大限にもてなす。 そしてその様子を、本物のゆっくり霊夢に見せ付けるのだ。 本来なら自分が得られたはずの待遇が、突然現れた自分の偽者に奪われる。 しかもその様子をまざまざと見せ付けられ、自分は食べることも、遊ぶことも許されない。 お仕置きとして、これ以上のものはそうそうないだろう。 さぁ、ゆっくり霊夢。 お前がどれだけのことをしでかしたのか、分かってくれよ? 『う゛わ゛あ゛あああああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛』 ゆっくり霊夢は絶望の淵にいた。 どれだけ暴れても、どれだけ祈っても、自分の置かれている状況はこれっぽっちも変化しない。 朝食は豪華な豚カツだった。自分は何も食べていない。 昼飯までの間、二人はゆっくり過ごしていた。自分はきつい箱の中で息苦しかった。 昼飯は二人でどこかに出かけていた。孤独感が自分を押し潰すようだった。 夕食まで、二人はずっと遊んでいた。自分はただ身体が痒いのを我慢しているだけだった。 夕食は今まで食べてきた中で一番美味しかったお寿司だった。でも、やはり自分は食べられなかった。 そして、 「ゆー……ゆゆゆゆゆ……」 偽者のゆっくり霊夢は現在、主人の手によって振動を与えられていた。 「どうだ? ゆっくりしてるか?」 「ゆ……ゆっくりぃ……してるよぉ……♪」 『ゆっくりしてない!!! れいむは全然ゆっくりしてないよぉ!!!』 ゆっくり霊夢は快感を与えられている偽者の姿を滝の涙を流して見ていた。 滂沱のごとく流れ出る溢れ出る涙。何故、自分がこんな仕打ちを受けないといけないのか? ゆっくり霊夢の頭の中に、既に約束を破ったことは残っていない。 「んほおおおおおおおおおお!」 偽者ゆっくり霊夢が絶頂を迎えた嬌声を聞きながら、本物ゆっくり霊夢はこれがいつまで続くのだろうと考えていた。 それから太陽が昇り、また沈み、そして再び昇った三日目の朝。 空腹で朦朧とした意識を抱えながら、ゆっくり霊夢をうっすらと目を開いた。 映る光景は変わらず、静かに眠る主人と、そして主人の腕を枕に眠る偽者。 ようやく暴れたり叫んだりして体力を消費することが愚かだと気付いたゆっくり霊夢は、呆とした意識のまま、事態が変わることを待っていた。 がさ……がさ…… (……?) ふと気付く。壁の右側から何か音がする。 一体何だろうか? 確かめようにも、壁があって何も見えない。 やがて偽者ゆっくり霊夢が起き出し、ぴょんぴょん飛び跳ねて主人を起こす。 「ゆっくり起きてね!」 「む……もう朝か……」 ふわぁ、と欠伸をする主人。まだ眠り足りないようだった。 「ゆっくりご飯作ってね!」 「おう……だけどその前に」 「ゆ?」 「待ってる間暇だろ? いい遊び道具があるんだ」 そう言って。 主人はゆっくりと、自分の方向へ近寄ってきた。 『!!!』 これは千載一遇のチャンスかもしれない。 ゆっくり霊夢はありったけの力で出来る限り身体を震わせ、自分がここにいることをアピールする。 『れいむはここだよ! ゆっくり探してね!』 やがて映るのは主人の足のドアップ。そして、頭上から声。 「えーと、これだこれだ」 得心したような声。 同時に、ゆっくり霊夢の右側の闇が、突如として払われた。 『……!?』 どうやら、右側の壁が取っ払られたらしい。 もしかしたら脱出の糸口になるかもと、ゆっくり霊夢は明るくなった右側を、 見た。 「――――――ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛!!?」 声にならない悲鳴。 閉じ込められたときよりも大きい、今までで一番の驚愕。 「ほら、蛙さんの人形だぞ」「ゆっくり楽しむね!」という主人たちの声も聞こえない。 何故なら。 そこにいたのは。 『うー♪』 『だずけ゛て゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛!!!』 自分と同じく箱詰めにされ、自分と同じゆっくり霊夢を食べている途中の、ゆっくりれみりゃの姿だった。 (気付いたかな……) 俺は朝食の準備に取り掛かりながら、昨夜のことを思い出していた。 ゆっくり霊夢の起床・睡眠時間は、永淋さんに頼んで作ってもらった気体状睡眠薬で周到に設定してある。 それをゆっくり霊夢の死角から呼吸用に空けておいた穴に流し込んで、眠気を調節するのだ。 だからゆっくり霊夢が起きる前に俺は起床し、加工所で買ったゆっくりれみりゃを入れた透明の箱を隣にセット。 同じく加工所で購入したゆっくり霊夢を中に入れ、準備は万端というわけだ。 箱の大きさはゆっくり霊夢に使った二倍、ちゃんと食べられるスペースはある。 ちなみに都合上ゆっくりれみりゃの口は防げないので、こちらの箱は少し値段の張る防音処理だ。 更にその上に右側――いや、ゆっくりれみりゃから見れば左側か、そこだけ空けた箱を被せてある。 偽者のゆっくり霊夢がゆっくりれみりゃに気付いて怯えたりしたら計画が台無しだからな。 そして全てを終えた俺は先程まで眠っていたフリをしていたわけだ。 自分の天敵がすぐ傍にいる恐怖。更にそいつは自分と同じ顔のゆっくりを目の前で食べているのだ。それも、毎日。 それがどれだけの恐怖か、俺には分からない。 俺の都合上、ゆっくりれみりゃは一日一匹のゆっくり霊夢しか食べられないので、かりかりして目の前のゆっくり霊夢をどうにかして食べようと躍起になるだろう。 それが更に、ゆっくり霊夢を襲う辛苦となる。 ゆっくり霊夢はどうするだろうか。 怯えてぶるぶる震えるだろうか。 我を忘れて泣き叫ぶだろうか。 それを想像するだけで、俺は――たまらない高揚感を得る。 あれから何日経過しただろうか。 ゆっくり霊夢には、もう時間の感覚が存在していなかった。 毎日毎日、自分が過ごすはずだった幸福の日々を目の前で見せ付けられる苦痛。 自分を食べようと、いらいらした様子で飛び回っているゆっくりれみりゃの恐怖。 それが何も口にしていない空腹と身動きが取れないことの不快感とごちゃ混ぜになり、混沌と化していた。 『ゆっくり……したい……』 考えることはもはやそれだけ。 些事を考える余裕など、今のゆっくり霊夢にあるはずもなかった。 「美味しかったなぁ、ゆっくり霊夢!」 「ゆっくり美味しかったね!」 ゆっくり霊夢が食べたことのない、ブ厚いステーキを食べ終わって、主人と偽者ゆっくり霊夢は満足した様子だった。 ステーキ。幾度となく食べたいと主人に言い、その度にあしらわれて食べる機会のなかったステーキ。 本来なら自分が食べていたはずの、ステーキ。 ゆっくり霊夢の中に偽者への憎悪が込み上げ、だがすぐに虚脱感に襲われ萎んでしまう。 もう、何をする気にもなれなかった。 右側には未だにゆっくりれみりゃが自分を食べようと、ぱたぱた飛び回っている。 壁がある限り襲ってこないとは分かっていても、本能的な恐怖は拭い去れない。 もう、ゆっくり霊夢の精神はボロボロだった。 「さて、遊ぶか」 「ゆっくり遊んでいってね!」 「そうだ、今日は面白い玩具があるぞ」 「本当!?」 「おう。ちょっと目隠しするぞ、楽しみにしておけ」 「ゆっくりわくわくするね!」 食事の片付けが終わった主人は、偽者ゆっくり霊夢に目を布で縛っていた。 そして、本物ゆっくり霊夢の方向に歩み寄る。 『……!』 主人が自分の方に近付くのは、どれだけ久しいことか。 ゆっくり霊夢の中に、淡い希望が芽生えた。 もう身体を震わせる体力は残っていない。 ただ、主人が自分を見つけてくれることを祈るだけだ。 「えーと、何処だったかな……」 しかし、主人は期待も空しく、ゆっくり霊夢の死角へと移動してしまった。 希望が潰える。しかし、落胆する体力すらない。 自分の左側からがそごそという音。 結構時間がかかっている。 「お、あったぞ!」 ようやく主人が喜びの声を上げた。 と、同時。 いつかのときと同じく、ゆっくり霊夢の左側の壁が取っ払わらわれた。 反射的に、視線がそちらへ泳ぐ。 そして。 また、いた。 『れ、れれ゛い゛むぅぅぅぅ゛ぅ゛ぅ゛う゛ううぅ゛ぅ゛!!!』 『ゆ゛! ゆ、ゆゆゆゆ゛っく゛り゛し゛て゛ぇぇ゛ぇ゛ぇ゛!!!』 発情し、顔は真っ赤にして目を血走らせたゆっくりアリスと。 そのアリスに襲われ、世にも恐ろしい顔で絶叫を上げる同種のゆっくり霊夢の姿があった。 『…………!!!』 世にも恐ろしい光景に、悲鳴を上げることも出来ず、咄嗟に目を逸らすゆっくり霊夢。 だが逸らした先には、 『うー!!!』 空腹で般若の表情をしたゆっくりれみりゃが、自分を食べようと壁をかりかり引っ掻いている。 『……!! …………!!!』 まさに前門の虎、後門の狼。 ゆっくり霊夢はただ、この状況をなんとかしてくれと願いしかない。 やがてゆっくりアリスが交尾を終えると、ゆっくり霊夢は黒く朽ち果てるのと同時に蔦を伸ばし、子供を生む。 ゆっくりれみりゃの箱より更に四倍は大きい箱の中で、小さな赤ちゃんゆっくり霊夢がぽんぽんと生まれた。 『ゆっくりしていってね!』 『ゆっくりしていってね!』 『れ、れいむ……れ゛い゛む゛ぅぅぅ゛ぅ゛ぅ゛!!!』 だが、その瞬間。 発情が収まらないゆっくりアリスが、なんと赤ちゃんゆっくり霊夢に襲い掛かった。 『ゆ゛!? ゆ゛ゆ゛っ!?』 赤ちゃんゆっくり霊夢は突然の出来事に暴れるが、成人したゆっくりアリスに力で適うはずもなく。 他の赤ちゃんゆっくり霊夢たちは、怯えて隅に固まる。 そして交尾は終わるが、赤ちゃんゆっくりは黒ずんだだけで、子供を生むことはなかった。 ゆっくりアリスはその様子はじっと見つめた後、 ぎらり、とその視線を他の赤ちゃんゆっくりたちに移した。 その顔は、未だ発情したまま留まっており。 始まる、地獄絵図。 ゆっくり霊夢が覚えているのは、ここまでだった。 ついにゆっくり霊夢は意識を失い、失神してしまった。 冷たい、空気。 ゆっくり霊夢が目を開くと、そこは今まで暮らしていた部屋の中だった。 「……ゆっく!?」 吃驚して声を上げる。 声が、出る。 ゆっくり霊夢はもう猿轡をしておらず、狭い箱の中にも閉じ込められていなかった。 何が起こっているのか。 周囲を見渡すが、左右にゆっくりれみりゃやゆっくりアリスの姿は見当たらない。 あるのは、激しい空腹感だけ。 「ゆ、ゆっくりー!!!」 とにかく、理由は分からないが助かったことだけは分かり、ゆっくり霊夢は歓喜の声を上げた。 と、そこに、 「おう、起きたか?」 台所で朝食の支度をしていた主人が、ゆっくり霊夢の方を振り向いた。 「ゆっ……」 その顔を見た瞬間、今までの監禁生活で押さえ込んでいた様々な感情が溢れ出し。 ゆっくり霊夢は号泣しながら、主人の足元に飛びついた。 「う゛わ゛あ゛あああ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁぁ゛ん゛!!!」 「おいおい、どうしたんだよ?」 主人は優しくゆっくり霊夢の身体を抱きかかえ、その涙を拭ってやる。 「ゆ、ゆ゛っく゛りて゛きる″! ゆっくりできるよぉぉぉ!!!」 「あぁん、お前何言ってるんだ……?」 わけが分からん、といった具合に主人は首を捻った。 だがその顔が笑いを堪えていることに、果たしてゆっくり霊夢は気付いているのだろうか? 「まぁいいや、朝食にするぞ」 「ゆ! 朝ごはん!?」 とにかくお腹が空いていた。寿司、ステーキ、自分が食べられなかった数々の豪華な食事を思い出し、思わず涎がこぼれそうになる。 激しい期待を込めて、調理中の料理を覗き込むゆっくり霊夢。 「……ゆ?」 だが、そこにあったのは、人参、椎茸などの普通の野菜ばかり。 しかもその量はかなり少なく、この空腹を満足させられる代物だとは到底思えなかった。 「も、もっといっぱい欲しいよ!」 「あー、悪い。今まで一週間贅沢したツケでな。今日から一ヶ月くらいこれで我慢してくれ」 「ゆっくり!?」 嘘だ、とばかりにゆっくり霊夢は絶叫を上げた。 「やだ! 食べたい!! れいむもステーキとかゆっくり食べたい!!!」 「お前、あんだけ食べてまだ足りないのか? 少しは限度ってもんがあるだろ」 「食べてない! れいむは食べてないよ!!」 「嘘をつくなよ!」 主人の厳しい叱責。びくりとゆっくり霊夢の身体が震える。 主人にとって、あの偽者が本物だったのだ。 あまりの理不尽に、ゆっくり霊夢は涙を流して訴える。 「違うの! 今までのれいむは偽者だったんだよ!! だかられいむは食べてないの!!!」 「いい加減にしろ!」 主人はがっしりとゆっくり霊夢の頬を掴み、言い聞かせるように耳元に囁いた。 「これ以上文句を言うなら、『ゆっくり出来ないようにする』ぞ」 「――!!!」 ゆっくり、できないように、する。 その一言は、ゆっくり霊夢のトラウマを蘇らせた。 「う゛わ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!!」 絶叫。涙の奔流が止め処なく溢れ出る。 「ごめ゛ん“な゛ざいぃ゛、ごめ゛ん゛な゛さ゛い゛ぃ゛ぃぃ!!! わがまま言わないからゆ゛る゛し゛て゛ぇ゛ぇぇぇ!!!」 「ごめ゛ん“な゛ざいぃ゛、ごめ゛ん゛な゛さ゛い゛ぃ゛ぃぃ!!! わがまま言わないからゆ゛る゛し゛て゛ぇ゛ぇぇぇ!!!」 その言葉を聞いた瞬間、俺は今までの人生で味わったことのない幸福感に包まれていた。 涙と鼻水で顔をぐしゃぐしゃにしながら、謝罪の言葉を口にするゆっくり霊夢。 その哀れな表情が……この上なく、俺の快感となる。 「じゃあ、文句は言わないな?」 「うん……」 「よーし、いい子だ。早苗さんから貰った野菜だぞ、ゆっくり味わって食べろよ?」 「ゆっくり食べるよ……」 消沈した様子のゆっくり霊夢。 それを見て、愛しさが込み上げてきた。 「ああもぅ、可愛いなぁお前は!」 ゆっくり霊夢を抱きしめて頬ずりする。 やっぱりこいつは最高のペットだ! 酷いことしたと思うって? でもそれって俺の愛なんだ! 愛ならしょうがないよね!! 選択肢 投票 しあわせー! (27) それなりー (3) つぎにきたいするよ! (2) 名前 コメント すべてのコメントを見る
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/736.html
※舞台は何故かゆっくりが当然のように存在している外界です。 ※オリ設定満載です。 数年前に突如現れ、急速に社会に浸透していった(ような気のする)ゆっくりと呼ばれる謎の生物。 人間の生首が膨張したような容姿のそいつらは饅頭のクセに生きていたり、どこから来たのは全く不明だったりとあまりに謎が多すぎるゆっくり達。 が、目新しいものや珍しいものを好む人々はその「ゆっくりしていってね!」とか「ゆーっ!」などと珍妙な鳴き声をあげる未知の存在をあっさりと受け入れた。 そして俺はそんな不思議に満ちた生命体の研究や飼育用の商品の開発に携わっている“ゆっくりカンパニー”のしがない一社員だ。 今日はある町の住民の知らせを受けて町の近くの山に分け入って、野生のゆっくりの駆除に向かった。 もっとも、厳密に言うと駆除というよりも間引きに近いのかもしれないが。 装備は標準的な登山グッズとゆっくりに取り付ける発信機兼集音マイクが5つ。 加えてゆっくりを眠らせるための睡眠薬入りの飴玉が50個ほど。それとちょいと大きめの饅頭がゴミ袋の中に入れられている。 「先ぱぁい、なんでこんなクソ暑い中、野生のゆっくり探しなんて・・・「仕事だからだ!」 「あと、男が「ぱぁい」とか使うな、気持ち悪い!それが許されるのは可愛らしい女の子と我らが紫社長だけだ」 不勉強な後輩の研修も兼ねて、男2人でゆっくりが住んでいると言われる山を登っていく。 もっとも、ゆっくり学はまだ始まったばかりの学問で認知度は低いし、ゆっくりカンパニーの社員の8割は美人社長目当てなので野生種の保護の必要性が理解できなくても仕方ない。 だから不勉強を咎めるつもりはないが、近隣住民から集めた目撃情報をもとにゆっくり達の出没箇所をマークした地図と睨めっこしながら俺はため息をついた。 咎めるつもりはなくてもいちいち説明するのを煩わしいと思ってしまうのはどうしようもない。 「はあ、仕方ない・・・ゆっくりはな一定数以上になると何故か突然増長するんだよ。で、人間の町に下りて来る」 「で、ゆっくりによる被害がでるんですね?」 「そうだ、ゆっくりの死体が転がって町が汚れる。だからこういう知らせを受けたときにはゆっくりを保護するんだよ」 「保護?ゆっくりンピースにでも預けるんですか?」 「馬鹿言え。餡子が新鮮な赤ゆっくりは持ち帰る。にんっしんゆっくりも研究用に持ち帰る。特殊な個体は持ち帰る。他の連中は必要なら速殺す」 「速殺す?」 「・・・お前、ちょっとは自分で勉強しろよな。・・・・・・っと、ゆっくり発見」 その言葉を合図に、俺と後輩は身を低くして草むらの中に隠れた。 俺達の前を通り過ぎるゆっくりの一団の数は4匹。内訳はまりさ、れいむ、ありす、ぱちゅりーとなっている。 全員が比較的多量の食料を咥えており、またみんな満面の笑みを浮かべていた。 「ねえ、まりさ!むれもだいぶおおきくなったね!」 「むきゅ!これもまりさのかりすまのおかげよ!」 「ゆ!あたりまえだぜ!」 「でも、そろそろあのおうちじゃせまくなってきたわよ!もっととかいはなおうちをみつけないと!」 赤ん坊はピンポン玉、子どもは野球のボール、成体はバレーボールサイズが一般的だ。この4匹は全員バレーボールサイズ、つまり成体である。 その一団が目の前を通り過ぎていったのを確認すると、木陰に隠れながら追跡を開始した。 「追うぞ」 「りょーかい。しかしあの饅頭鈍くさいっすねぇ・・・」 「まあ、時速900mだからな・・・」 大抵の生き物の歩行は一歩目のエネルギーの何割かを二歩目に利用するが、ゆっくりの場合一部の種を除いてそれを一切しない。 そのせいで恐ろしく無駄と負担が多いのだ。余談だが、這って移動する場合は時速200mというカタツムリ級の鈍足だ。いや、体の大きさを考えるとそれ以下か。 が、そんなことを愚痴っても仕方がないので、それ以上は何も言わずに淡々と4匹を追いかけていった。 その4匹を追いかけていった先にはゆっくりの集落があった。 さっきの4匹を除くと、目に付く限りでは赤ん坊が9匹、子どもが10匹、成体が11匹の計30匹。 そして、成体のうち4匹が植物型のにんっしんをしていた。 植物型出産はにんっしんから僅か3日で出産を向かえ、生まれる子どもの数は1回につき大体10匹前後。 あれら全てが生まれればこの群れの人口は50匹を軽く超える。そうなれば変な自信をつけて人里に下りてくる可能性が十分にあった。 「先輩、あいつら集まって何してるんですかね?」 「聞いてりゃ分かる。少し静かにしてろ」 出来の悪い後輩を睨みながらも、俺はゆっくり達の言葉に耳を傾ける。 群れの中心にいるのはさっきの4匹。その中でもリーダーはまりさのようだ。 「むきゅ、みんなゆっくりはなしをきいてね!」 4匹を取り囲んで、がやがやと騒がしくしていた群れのメンバーがぱちゅりーの鶴の一声で静まり返った。 そして、その静寂の中、まりさが(ゆっくりにしては)重々しく口を開く。 「みんな!いまにんっしんしているこがうまれたらここではたべものをあつめきれなくなっちゃうよ!」 いまいちことの深刻さを理解できていない赤ゆっくりは「ゆぅ?」と首をかしげているが、他のゆっくりたちは固唾を呑んでまりさを見つめる。 「だから、あかちゃんたちがうまれたらにんげんのまちをゆっくりぷれいすにするよ!」 「「「みんなふあんかもしれないけど、これだけのなかまがいればだいじょうぶだよ!」」」 「「「「「「「にんげんのまちならもっとゆっくりできるね!!!」」」」」」 恐るべき集団心理。もしくは無知の幸福とでも言うべきか? まりさの宣言を聞いたゆっくりたちはにわかに活気付き、口々に人間の町を手に入れた後のことを話し始めた。 「あんな事言ってますよ?」 「仕方ないさ。野生のゆっくりには人間もいちいち干渉しないし、不味いから他の生き物に食われることも少ない」 「ああ、要するに怖いもの知らずなんですね」 まりさたちの言葉に苦笑する俺と後輩。しかし、この群れが人里に出ようと考える規模になっているならさっさと用事を済ませなければならない。 俺は段取りを考えてから、リュックに入れておいた睡眠薬入りの飴玉を取り出し、後輩にも目配せで自分に続くように促した。 「そういうことだ。それよりも・・・さっさと済ませるぞ」 「りょーかい」 指示と同時に、円陣を組んでいる群れの中に50個の飴玉を景気良くいっぺんに放り投げた。 「ゆ!なにこれ!?」 「いだい!いだいよ!」 「ゆっきゅりーーー!!」 「いったいなんなんだぜ!?」 「むきゅうーーー!!」 突然の飴の雨に群れは瞬く間に混乱に陥った。 ゆっくりの脆い体にとって飴は相当の硬さを誇るもの。 それらが50個もいっせいに降り注げば当たって怪我するものだっているし、考えなしに飛び跳ねて踏んで転ぶものもいるだろう。 が、群れの中に1匹だけ飴を知っているものが居たらしい。 「ゆゆっ!これはあめだわ!あまくておいしいとかいはなものよ!」 その一言で場の混乱が恐怖から食欲によるものにすり替わった。 「あまいのはぜんぶまりさのものだぜ!」 「ゆー!ゆー!」 「でいぶもあばいのほぢいよおおお!!」 「むきゅー!あまいものはかしこいぱちゅりーのものよ!」 全員の頭数より飴のほうが多いにもかかわらず群れは言い争いを始めてしまった。 さっきまでの結束力は一体なんだったんだか。 「ゆ!ゆっくりしていってね!!!!」 「「「「「「「「「「ゆっくりしていってね!!!!!」」」」」」」」」」」 そんな混乱のさなかに響き渡ったのはリーダーまりさの怒声。 本能に刷り込まれたその言葉は一瞬ながらも間違いなく全員の興奮と熱狂を鎮めた。 「みんな!いまはけんかしてるばあいじゃないでしょ!」 「「「そうだよ!まりさのいうとおりだよ!」」」 まりさと、それに続く参謀格のゆっくり達の叱責。 実は混乱の火付け役になったのは参謀格のありすだったりするのだが、そんな事は誰も気にしていない。 「みんな、あめはひとりひとつずつだよ!わかったね!」 有無を言わさぬリーダーまりさの剣幕によって、ゆっくりたちは完全に冷静さを取り戻した。 ・・・しかし、誰も飴が降ってきたことに疑問を持たないのはさすが餡子脳と言ったところ。 「む~しゃむ~しゃ、しあわ・・・ゆぅ・・・ゆぅ・・・」 「早っ!?」 「突っ込むな。起きたらどうするんだよ?」 睡眠薬入りの飴を食べたゆっくりたちはあっという間に眠りについた。 しかも、まりさが音頭をとっていっせいに食べたためものの見事に全員が一斉に。 「で、先輩。結局何を回収するんですか?」 「ゆっくりの頭の茎とにんっしんゆっくり。それと・・・リーダーまりさもだ。それが済んだら参謀3匹と適当な大人に発信機をつける」 「りょーかい」 後輩はポケットからナイフを取り出すと、茎を生やしている1匹のれいむに近づき、少しだけ茎の根元の皮を抉った。 茎にはようやく種族の区別がつくようになってきた赤ちゃんが12匹ほど成っている。どうやらパートナーはぱちゅりーだったらしい。 まだ成体になり立てと思しき若い母は幸せそうに「あかちゃ~ん」などと寝言で呟いている。 その言葉にしかめっ面をしながらも後輩は茎をきれいに引き抜くと、ゴミ袋の中の饅頭にそれを突っ込んだ。 「あんまり気分の良い仕事じゃないっすね・・・」 「仕方ないさ。本当はもっと頭数を減らしたいところなんだが、それをしないのが俺たちが出来る最大限の譲歩だろ?」 そう言いながら、俺はゆっくり達も気付いていない初期段階にんっしんのゆっくりを3匹ほどゴミ袋の中に放り込んだ。 「ん~、先輩って案外ドライなんですね」 「仕事だからな」 後輩の無駄話に付き合いながらもリーダーまりさを回収する。って、こいつも何気ににんっしんしてるじゃないか。 「ふ~ん・・・でも、先輩ゆっくり飼ってませんでしたっけ?」 「こいつらは俺のペットじゃないし、そもそもそれとこれとは話が別だろ?」 それから、参謀格の3匹と、比較的大きな成体の頭の飾りに発信機を装着した。 「よし、作業完了。ちょっと様子を見てからずらかるぞ」 「・・・ずらかるって、なんか悪党みたいっすよ?」 律儀に突っ込んできた後輩にローキックを入れつつ、ゴミ袋に放り込んだゆっくりの口に散乱していた飴を放り込んでから再びさっきの木陰に隠れた。 「ゆ!みんな、おはよう!ゆっくりしていってね!」 一番最初に目を覚ましたのは参謀格のれいむ。 「「「「「「「ゆっくりしていってね!!!!」」」」」」」 その言葉に反応して他のゆっくり達もいっせいに目を覚ました。 「「ゆゆっ!まりさがいないよ!」」 「「「ゆっきゅち~・・・!」」」 「ゆぅうううう~・・・おか~しゃん、どこ~?!」 「おねーちゃん!あかちゃんたちが!?」 「ゆ?ゆゆゆっ!?でいぶのあがぢゃんがあああああああああ!!」 目を覚ましたゆっくり達を待ち受けていたのはリーダーや仲間と可愛い赤ちゃん達の失踪だった。 そして、その場にいる全員が好き勝手に各々の大事なものを探し始める。 全くの無秩序。ぱちゅりーが必死に「むきゅ!みんな、まずはだれがいないかかくにんよ!」と真っ当なことを言っているが、誰の耳にも届いていない。 しかも、他の参謀格2匹さえも他のゆっくりに混ざって必死にまりさを探している始末だ。 「まりさああああ!どごなのおおおお!」 「おがーぢゃあああああああああん!」 「「「「ゆっきゅち~!」」」」 「まりざのあがっぢゃんがあああああああああああ!!」 群れが混乱しきっている様子を見届けると、俺たちは足早にその場を後にした。 上司に報告を済ませた俺はさっさと自分の担当する実験に取り掛かる。 今回の実験は植物型と胎生型の出産に関するもので、ゆっくりにとって有害なものを検証するために行われるそうだ。 実験方法は至って簡単。茎を挿した饅頭に無駄に強力な農薬を大量に混入したり、栄養が届きにくいように茎を傷つけたり、水分や糖分を異様に多くしたりする。 もしくは母体に定期的に肉体的または精神的苦痛を与えてストレスを加えたり、毒も同然のものを食べさせたり、栄養を過剰摂取させたりする。 今回の実験に使用するゆっくりは先ほど回収した茎4本とにんっしんゆっくり4匹だ。それぞれにA~Dのアルファベットをつける。 茎Aは非常に整った環境で、非常にバランスの良い栄養配分の饅頭に挿した。 そして、この茎からは当然のように非常に健康的な赤ちゃんが生まれた。 れいむ種6匹とぱちゅりー種5匹。不運にもぱちゅりー種が1匹だけ死産してしまったが、それ以外はみんな非常に元気な、ゆっくり風に言うならばゆっくりした赤ちゃんだ。 俺がその赤ちゃんの入っているケージの蓋を開いて様子を伺うと、その気配に気付いた1匹のれいむが満面の笑みを浮かべた。 「ゆっきゅりちちぇっちぇね!」 「「「「「「「「「「ゆっきゅりちちぇっちぇね!」」」」」」」」」」 「ああ、ゆっくりしていくよ」 そんな赤ん坊達のケージの中にゆっくりカンパニー製ベビー用ゆっくりフードを入れてから蓋を閉じた。 「11匹か。それだけいりゃ次の実験の経費が節約できるな」 俺の傍らで、同僚がそんなことを呟くのが聞こえたが、無視して、中の赤ん坊達の様子を伺う。 「ゆ~・・・」 「ゆゆゆ~」 「ゆぅ!」 体の弱いぱちゅりーはみんな大人しくしていた。 ひとりお昼寝をするものもいれば、仲間同士で話しをするものもいた。 「「ゆっきゅちー!」」 「ゆっ!ゆっ!」 一方のれいむ達は元気に跳ね回りあるものは仲間とじゃれあい、あるものは仲良く歌を歌っている。 仲間と一緒にいることが当然になる前に別のケージに移すのが実験用ゆっくりの扱いのセオリーだ。 しかし、孤独にどう向き合うかを研究するのなら、こいつらはもう少しだけみんなで一緒に居させても良いんじゃないだろうか? 茎Bは一部を抉ってから包帯で固定して再生しないようにした状態で饅頭に挿した。 この茎からは意外なことに面白い結果が出た。 健康な個体は3匹で、その内訳はまりさ2匹にありすが1匹。未熟児が4匹は双方が2匹ずつ。そして個体識別不可能なものが2匹。 ここまでは予想通りの結果だった。全員の栄養が不足するのか、栄養が一部の個体に偏るのか・・・予想されていた結果通りのものだったといえる。 未熟児は殆ど喋らないし動かない。個体識別不能なものはすぐに死んだ。しかし、面白いのは健康な個体の行動だ。 ケージの蓋を開けて餌をばら撒いてやると、未熟児として産まれたもののために餌を噛み千切って口移しで与えてやっていた。 「ゆ、ゆっきゅちー!」 「ゅぅ・・・ゅぅ・・・」 未熟児サイズのゆっくりは非常に小さくビー玉ほどの大きさしかないため、ベビー用のゆっくりフードでさえ食べられないのだ。 しかし、生まれたてのゆっくりに自分より弱い個体を助けるなんて概念があるとは思わなかった。 とは言え、餌を与える側も所詮は赤ん坊。しかも、未熟児よりも頭数が少ないのだ。 やがてまりさ種の1匹が未熟児のために餌を千切ってあげるのを放棄し、もう1匹のまりさもそれに追従した。 「ゆ!ゆぅぅ~・・・」 「「ゅぅ・・・」」 「「ゅ・・・ゅゅ・・・」」 それでもしばらくはありす種が1匹で世話を続けていたが、やがて弱っている個体を切り捨て、最後にはありすも未熟児の世話を放棄した。 茎Cは大量の農薬を混入した饅頭に挿した。 子供が産まれたその日、ケージの中は魔境と化していた。そこに居たのは9匹の異形。 あるれいむは足が半透明のゲル上になってしまっていた。これでは歩くこともままならない。 あるまりさは目が顔の中心に1つしかなかった。そして、その目は何も映さなかった。 あるまりさは口がなかった。成長を見守るためにチューブをつないで生きながらえさせたが、野生ならばすでに死んでいただろう。 あるまりさは「ゆっくり」と言うことができなかった。口を開けば「qs、dんぢmgy、、wddg」と聞き取ることの出来ない訳の分からない音声を発するだけだった。 あるれいむは目が顔の横についていた。正面から見ればのっぺらぼうのその子は正面を視野に納めることが出来ないのでまっすぐ歩くことが出来なかった。 あるれいむは背中にも顔がついていた。だからと言って何があるわけでもないが実に不気味だった。 あるまりさは体が柔らか過ぎて大福としての形を保てなかった。まるで子供のころに作ったスライムのようだ。 あるれいむは体が異様に硬かった。そのせいで歩くことはおろか体を上下させることもままならず、口も殆ど動かなかった。 あるれいむは口が異常に大きかった。そして口以外のものがなかった。口だけの饅頭が狂ったように「ゆっくり」を連呼していた。 目の見えるものは他の姉妹の姿に怯えていた。でも、自分も似たようなものだと言うことには気付こうとしない。 「ゆ!ゆっきゅちー!ゆー!」 「ゆっきゅり!ゆっきゅり!ゆっきゅり!ゆっきゅり!」 顔2つの赤れいむが狂ったように口だけのれいむに体当たりをしている。 きっと、その化け物を追い払おうとしているのだろう。でも、傍目にはどっちも化け物だった。 どれもまともに育つ可能性があるとは思えないが、奇形の生存可能性を検証するのも研究になるだろうか、と思った。 茎Dは塩分を過剰に投入した饅頭に挿した。 産まれた子どもの大半は形はまともだった。そして、死産したのは4匹だけ。 10匹中6匹が何とか誕生したというこの結果には俺以外の研究員も驚きを隠せなかった。 もっとも、まともだったのは形だけだが。 まずゆっくりの形をした6つの饅頭は言語中枢が完全に狂ってしまっていたいた。 口を開けば聞こえてくるのは薄気味悪いノイズ。 「「「、。jsbん。、fdghrdmじdsんmdms」」」 「xcんm、。zx、smyんfjwめ、」 「「えgkdtcjrcldtr、いcvf」」 そして、1匹たりともゆっくりらしい心を持ったものが居なかった。 あるありすは生まれたてであるにも関わらず日長一日壁に体をこすり付けて自慰行為にふけっていた。 あるぱちゅりーは眠ることをせず、食事の時さえもずっと言葉にならない何かを発し続けていた。 あるありすはいつも何かに怯えてがたがたと震えていた。そして、近づいた姉妹を片っ端から攻撃していた。 あるぱちゅりーは何かにつけて姉妹を食べようと後ろから襲い掛かっては追い払われて、「むきゅ!」と悲鳴を上げていた。 あるありすは突然泣いたり、怒ったように頬を膨らましたり、酷く情緒不安定だった。 あるありすは自分のことをぱちゅりーだと信じ込んでいた。こんな狂った家族の中では誰も間違いを指摘してくれなかった。 俺は今度は糖分や水分だとどういう結果が得られのかも検証する必要があるな、と酷く覚めた目でその様子を眺めていた。 母体Aは広い部屋の中で普通の餌を食べながら生活してもらった。 産まれた3匹の子どもはどれもちゃんと子供サイズ近くまで大きくなっていて、みんな非常に元気だった。 「ゆっくりしていってね!」 「「「ゆっくりちていってね!」」」 俺がケージを覗くと、母れいむは満面の笑みを浮かべて話しかけてきた。 「ねえ!みてよ、おにーさん!れいむのあかちゃんだよ!とってもゆっくりしたこだよ!」 「ああ、そうだな。ゆっくりしていってね!」 「「「ゆっくりちていってね!」」」 あの日、回収したゆっくり達は「野犬に襲われているのを助けた。見つけたときには君だけだった」と言ったらそれを簡単に信じて、俺になついた。 「よし、それじゃあ、赤ちゃんたちにお兄さんから美味しいお菓子をあげよう!」 「ゆ!ほんとうに!」 「ああ、本当だよ。でも、ここじゃ食べられないから、ちょっとケージから出てもらうよ」 「「「ゆ~!ゆっくちたべるよ!」」」 そういって俺が赤ちゃんを連れて行くのを、母れいむはニコニコと微笑みながら見守っていた。 そして、このれいむが赤ちゃんと会うことは二度となかった。 母体Bは口の部分だけ開いている透明な箱の中で普通の餌を食べながら生活してもらった。 この母ぱちゅりーの子どもは1匹しか生まれなかったが2匹生まれたとも言える状態だった。 いわゆるシャム双生児のようなものだろうか。その赤ちゃんは体と口の横幅が異様に大きく、目が3つあった。 そして、髪の毛は真ん中の目を境に右側がまりさ種のもので左側がぱちゅりー種のものになっていた。 「「ゆっくりしていってね!」」 2つの種の声が同時に聞こえてくる。声帯も少しおかしなことになっているのだろう。 それは、箱によって圧迫され、赤ちゃんがそれ以上大きくなる余地が残されていなかったために起きたものだった。 「やあ、ぱちゅりー。赤ちゃんはどうしたんだい?」 出産時には箱から出さねばならないので、当然俺は出産に立ち会っている。 「むきゅ、おにーさん!ぱちぇのあかちゃんはまだぽんぽんのなかよ!」 そして、中にこれ以上赤ちゃんが居ないこともしっかり確認している。 しかし、ぱちゅりーは中にまだ赤ちゃんが居ると思っている。 それは体も心も弱いぱちゅりーにとって独りっきりになってしまった上に普通の赤ちゃんを産めなかった絶望から身を守るための手段だった。 そう、この奇形の赤ん坊は母親に見捨てられてしまったのだ。 ケージを閉じたところで、後輩が「そいつ、最近箱から出せって言いませんね?」と尋ねてきた。 「箱から出たら気味の悪い赤ちゃんに触られるかもしれないからだろ?」 とりあえず、苦笑交じりにそう返しておいた。 母体Cは遠隔発火のライターを内蔵し、定期的に痛い目にあってもらった。 唐突の訪れる痛みにいつも怯え続けて眠ることもままならなかった元リーダーまりさも子どもは、全員異様に小さかった。 「「「ゆっきゅりちちぇっちぇね!」」」 「ゆっくりしていってね!」 茎から生まれるタイプと大差ない大きさながら元気いっぱいに鳴く赤ちゃんたちに疲れきった表情で微笑むまりさ。 とは言え、全員これと言った異常もなく出産できたことを考えるとゆっくりはストレスに強いと見てよさそうだ。 多分、餡子脳だからだろう。 「ゆ~!」 「ゆっ!ゆっ!」 「ゆ~ゆ~ゆ~♪」 ケージの蓋を開けて、子どもたちが遊んでいる姿を眺めているまりさに話しかける。 「やあ、まりさ」 「ゆ!おにーさん!」 「とってもゆっくりした子だね!」 俺のその言葉を聞くと、まりさは少しだけ踏ん反りかえって、嬉しそうに笑う。 「まりさ、がんばったよ!」 「そうか。お疲れ様」 「おにーさん、ありがとう!」 その言葉に少し良心が痛んだが、すぐに思考を仕事優先に切り替える。 「まりさの子どもに美味しいお菓子をあげたいんだけど、ここじゃ食べられないんだ。だから少しだけ連れて行って良いかな?」 「ゆ!おにーさんならいいよ!でも、すぐにつれてかえってきてね!」 「分かってるよ。さ、おちびちゃんたち?おにーさんと一緒にゆっくりお菓子を食べに行こうか」 母親同様に俺のことを信頼しきっている赤ん坊たちは、何の疑いもなく手の上に乗ってきた。 「悪いけどまりさの分はないから、ここでゆっくり待っててくれ?」 「ゆゆっ!わかったよ!ゆっくりまってるよ!」 そうして、この元リーダーまりさは永遠にゆっくりと赤ちゃんの帰還を待ち続けた。 母体Dは廃油や産廃同然のものを餌にして生活してもらった。 しかし、茎Cと全く変わらない結果にうんざりさせられるだけだった。 予想通りの上に、頭数が少なく新鮮味もないこの結果を記録する気にもなれなかった。 ---あとがき--- スレに書き込めねえよ、ちくせう。 奇形を産ませておいてつまらない結果にうんざりってのは虐待お兄さん以上にアレだと思う。 普段は基本的に優しくても仕事のときは一片の慈悲もなし。まさに、冷徹お兄さんですよ。 そんなこんなで、現代ゆっくりシリーズの3作目です。 野良ゆっくりとその末路の一部を書いたつもりですが・・・あー、文章力が欲しいorz byゆっくりボールマン このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/1351.html
博麗神社の裏で子鬼が寝ていた。 小さな百鬼夜行 伊吹萃香だ。 昨夜も宴会で朝まで飲んでいたようですでに日は真上に昇っている。 「ん~?」 まだまだ寝ていたいのだが騒がしい声に目を覚ます萃香。 見ると目の前には最近幻想郷で大量発生しているゆっくりがたくさんいた。 ゆっくり霊夢に、魔理沙、ちぇぇぇんにみょんの四種類だ。 宴会のために天界から持ち出した桃の余りをそいつらは食していた。 籠に入れておいたのだがこいつらが籠を倒したようで、桃はそこらに散乱してる。 見る限り無傷なものは一つもない。 「あーっ!後で霊夢と一緒に食べようと思ってたのに!」 思わず叫んでしまう。 その声にゆっくりたちが反応する。 「ゆっ、おねえさんゆっくり寝てたね!」「ゆっくりしていってね!!」 「このくだものおいしーよ!!」「おねえさんもゆっくりたべる??」 「ちーんぽっ!」「まだあるよー、わかるよー」 30匹はいるだろうか。それだけの数のゆっくりが一度に話しかけてくるのでうるさいし聞き取れない。 「うるさいねぇ。ま、好きに食べていいよ。どうせすぐに取ってこれるし」 天界には山ほどの桃の木があるのだ。それはもう飽きるほどに。 寝てる間に食べられたのはちょっと癪だけど、わざわざ怒ることもない。 しかしすぐに取ってこれると言う言葉にゆっくりたちは目敏く反応する。 「ゆっくり取ってきてね!!」「むきゅ、ゆっくりまってるね!」 「ゆっくりはやくもってきてね!!」「やさしいおねえさんはゆっくりできるね!」 やはりうるさかった。相手をするのも面倒なので「あー、はいはい」とあしらうとその場を立ち去ろうとした。 その時いつも持ってる瓢箪、酒が無限に湧く瓢箪が手元に無いことに気がついた。 「あれ? どこかにやったかな」 見回すが見つからない。 くるりと回って後ろも見る。あった。 ただし瓢箪の周りにもたくさんのゆっくりが群がっていて 「次はれいむの番だよ!!」「ちがうよ!まりさの番だよ!!」 瓢箪の口から湧く酒を奪い合っていた。中にはすっかり出来上がったものもいて、地面にぺにょーんとだらけたゆっくりもいた。 「そんなとこにあったのか。ほら、返してもらうよ」 萃香は特に気にする様子もないし、特に怒りもしないで瓢箪をゆっくりの群れから取り上げる。 「ゆっ!! つぎはまりさの番だよ! 取らないでね!!」 「ゆっくり返してね!!」「それはゆっくりたちがみつけたものだよ!!」 生意気な事を言ってるけど萃香は無視した。こいつらと問答しても聞かないだろうから。 しかしゆっくり達は続ける。 「ゆっくりできないならそれを置いてでてってね!!」 「ちちちーんぽっ!」「むきゅむきゅむっきゅ~ん!!」 「どろぼうはでてってね!!」 萃香を罵倒しながら体当たりしてくる。ゆっくり達は酔っていて普段よりぷにぷにボディなので衝撃はほぼ0だ。 ここまでされると流石の萃香もいらついた。 なんでただの饅頭如きにこの鬼である私が攻撃を受けてやらないといけないのか。 「いい加減やめなさい。お前たち達が私に敵うわけないよ」 萃香は妖気を発しながら威圧するように話しかける。普通はこれで大抵の妖怪や妖精は震えて逃げ出す。 しかしゆっくりは萃香の想像より遥かに下回る鈍感さをもっていた。 「みんなでかかれば倒せるよ!!」 「ゆっくりしんでね!!」「ゆっくりたおれてね!!」 体当たりしてくるゆっくりが増えてきた。ここら一帯に集まっていたゆっくりが萃香を取り囲んで攻撃する。 反撃しない萃香をみて体当たりが効いてるとでも思っているのだろうか。 舐められたものだ。 そう言えば霊夢も神社の食料を求めて集まるこいつらの相手にはうんざりのようだった。 そしてここは神社の裏、霊夢のためにも灸を据えてやることにした。 「身の程を教えてあげた方がいいようだねぇ。この鬼の力、特別に見せてあげるよ」 萃香はスペルカードを発動する。 萃符「戸隠山投げ」 萃香の能力で周囲の石や岩を萃(あつ)めて敵へぶん投げる豪快な技だ。 ただし今回萃めるのはゆっくり達だ。 3mほど宙を浮かんだ萃香の右手に妖力が集中する。そしてその右手に向って辺りの空気が吸い込まれていく。 「ゆゆーっ!?」「すいこまれるよー、わからないよー」 「ゆっくりできないよ!やめてね!!」「むぎゅぅぅ」 事態を把握できないゆっくり達が萃香の右手の先に為すすべなく萃められていく。 全部で50近くいたそれはものの数秒で直径2mぐらいの饅頭の塊になった。 恐らく中央付近のゆっくりはすでに潰れて餡子と皮だけの存在になっているだろう。 「そらっ、技はまだこれからだよ!」 萃香は腕をぐるぐる回す。これからゆっくり達の塊を投げるための勢いづけだ。 「ゆ”ーー!!」「ゆ”っぐりでぎない”~!!」 「まわずのゆ”っぐりじでぇぇ!!」 塊の外側にいるゆっくりはまだ話せるようで悲鳴を上げる。 「ゆっくりしたい? ならゆっくりさせてあげるよ」 この時萃香は自分が楽しんでいることを感じた。 こいつらの悲鳴を聞いてると何とも言えない気持ちになるのだ。 このまま地面に勢いよく叩きつけたらどんな反応を示すだろう。 それを早く見たくなった萃香はいつもより本気でゆっくり達の塊を地面に向けて投げ付けた。 ゆっくり達が投げられたことを認識するよりも前にゆっくりの塊が地面に激突する。 「ゆ”べっ!!」「ぅ”あ”!!」 途端に弾ける大量の餡子。そして断末魔。 ゆっくり達の塊のうち、4/5は一瞬にして餡子と化した。 なんとか形を保っているのは地面に激突したのと逆側にいた残り1/5のゆっくりだった。 それでも激突した衝撃が伝わって驚愕の表情のまま絶命しているものがほとんどだった。 「ちょっとやりすぎたみたいだねぇ」 そう言う萃香だったがその顔は綻んでいた。 「ゆっ、ゆ”」「あ”あ”あ”」 苦しそうな声を出すゆっくり達。だがその数はたったの四匹。ゆっくり霊夢一匹とゆっくり魔理沙の二匹、ゆっくり橙が一匹だ。 しかし焦点が合わないもの、皮が破れて餡子が他の死んだゆっくりたちの餡子の湖に流れ出ているもの、 舌が取れてしゃべれないもの、嘔吐しているものと無傷のものなど一匹もいない。 萃香はそのうち二匹を天界へ持っていくことにした。他の二匹はおそらくこのまま死ぬだろうからほうっておく。 天界の一角に萃香は現在住んでいた。天人の娘と闘って得た場所だ。 一面に花が咲き誇り、天敵となるものもいない。楽園と呼ぶにふさわしい場所だったが萃香にとっては少し退屈だった。 そこで今回生き残った二匹のゆっくり、れいむとまりさを飼って退屈を紛らわせる道具にしようと考えていた。 死にかけのゆっくりに桃をしぼって与えると少し元気を取り戻したようだ。 目立った外傷もないようだし後は放っておけば治るだろう。 「さて、今度こそ神社に遊びに行くかねぇ」 萃香はいくつかの桃をゆっくり達の周りに置くと、桃をもって再び神社へと遊びに行った。 翌朝 萃香は天界へ再び戻ってきた。 ゆっくり達は治ったかなと思いながら見に行くと、それはもう元気に跳ねまわっていた。 ゆっくり達は萃香を見ると元気に挨拶する。 「「ゆっくりしていってね!!」 萃香は少し驚いた。自分に何の恐れも抱いてないとは。 まあゆっくりは記憶容量が小さいのだ。きっと昨日のは忘れたのだろう。 「おねえさんれいむたちのおうちに何の用?」 「いっしょにゆっくり出来る??」 さらに萃香の場所を自分の場所だと主張する。 困ったものだ。これはお仕置きしないといけないな。 萃香に芽生えたSな感情がふつふつと湧き上がる。 「何か勘違いしてるみたいだねぇ。ここはお前たちのおうちじゃないよ」 「ちがうよ!! れいむとまりさのおうちだよ!!」 「ゆっくりできない人はゆっくりでていってね!!」 「そうかい。口で言って分からないなら体で覚えてもらうしかないねぇ」 昨日と同じようにゆっくり達を自らの腕へと萃める。 「ゆっ!?」 この吸い込まれる感覚は味わったことがある。なんだっけ? 確か昨日こんなことがあったような。 「!! や、やめてね!!」 「あ”あ”あ”!! ゆっぐりざせでぇ!!」 ゆっくり達は思い出す。この吸い込まれる感覚。その後起きた惨劇。 「さて、この後はどうなると思う」 萃香は今にでも投げるぞと示すように腕をくるくる回す。 「やめてえぇぇ!! まわざないでぇ!!」 「ごめんなざいぃぃ!!!」 命乞いの声に何かが満たされるのを感じた萃香はさらに続ける。 「何がごめんなさいなのか言ってごらん?」 「わだじだちがわるがったよ”おぉぉぉ!!」「ゆるじでぇぇぇ!!」 「じゃあここは誰のおうちだい?」 「れ”いむだちのおうぢぃぃ!!」 「まだ分からないのか。じゃあ投げるよ!!」 「「お”、お”ねえざんのおうぢでずうぅぅ!!」」 「分かったなら降ろしてあげる」 ぽとりと地面にゆっくりを落とす。目が回ったのかフラフラしている。 さてここで終えるのも勿体ない。もっとゆっくり達が自分を恐れる声を聞きたかった。 攻撃をすると簡単に潰れるからできない。楽しめないから。 どうしたものかと考えた結果、瓢箪から出る酒を使うことにした。 「ほら、元気が出る飲み物をあげるよ。口を開けな」 「ゆっ!飲み物! 欲しいよ!!」 「ゆっくり飲ませてね!!」 目が回ってフラフラしていたのはどこへやら。一瞬で元気になりぴょんぴょん跳ねておねだりを始める。 「じゃあ口を開けて並びな」 二匹は言葉に従って並ぶと、口を大きく開けてこっちを見上げてくる。 「ゆっくりはやく飲ませてね!!」 「はいはい、すぐ飲ませるよ」 昨日のは甘い桃の酒。 しかし今回は酒豪の萃香も満足できるほどの強い酒だ。こいつらには刺激が強いだろう。 瓢箪からゆっくりの口へと酒が流し込まれる。次の瞬間ゆっくりの顔が固まる。 急いでもう一方のゆっくりにも飲ませる。 「ゆ”ばばばびぃ!!」「がふっがふっ」 今までにない反応だ。これは楽しい。 ゆっくり達は口の中の燃えるような感覚に転げまわった。 「大袈裟だねぇ。でもおいしいだろ?」 「お”いじっ、ぐない”ぃ!!」 「がら”っ、い”の、い”や”、だよ”おぉ!!」 涙を流しながら萃香を睨めつける。 「ゆっぐりあやまってね!!」「ひどいおねえさんとはゆっくりできないよ!!」 「なに、これからゆっくり出来るよ。体がポカポカしてきたろ?」 「ゆ?」 言われてみると確かに体がポカポカしてきていた。それになんだかゆっくりした気分になってくる。 そう言えば昨日も甘い味のする水を飲んだときも同じようにゆっくりした気分になった。 もちろんこれはお酒を飲んだからなのだが、ゆっくり達には不思議だった。 「おねえさん、ゆっくりできるよ!!」「ぽかぽかー!!」 「それはよかった。ならもっと飲むかい?」 笑顔でゆっくり達に酒を勧める萃香だったが、その眼は観察をする眼だった。 ゆっくり達は隠された悪意に気付かない。今はとにかく不思議な水をもっと飲みたかった。 「ゆっくりのませてね!!!」「でもからくないのにしてね!!!」 「ふふっ、いいよ。辛くない酒だね」 今度は瓢箪から甘いお酒を出す。しかしアルコール度数は高い。 萃香はゆっくり達を限界まで酔わせてみようとしていた。 「「ごーく、ごーく、しあわせー!!」」 それから十分近くゆっくり達にお酒を飲ませ続けていた。 明らかに体積より多く飲ませているが、まだ飲んでいた。 「さて、そろそろいいかな」 ゆっくりの様子を見て萃香は二匹に酒を与えるのを止める。 「ゆ~? もっろのませれよぉ」 「まだのめるよ! もっとのませてね!!」 ゆっくり魔理沙はべろべろに酔っ払って舌が回らないうえ、見るからにふらふらで右へふらふら左へふらふら揺れていた。 それに対してゆっくり霊夢は比較的まともだ。 しかしこれはお酒の強さとは関係がない。 萃香はゆっくり魔理沙に与える酒だけ強いお酒、ゆっくり霊夢には1%程度のお酒とも言えない程度のお酒を飲ませ続けていたのだ。 「な~にひてんのぉ!! まりふぁはもっろのめるぉ!!」 「その前にいいことしてあげるよ」 萃香はゆっくり魔理沙を後ろから両手で抱えるとゆっくりと揺さぶる。 以前、人形遣いがゆっくりにやっていたことの真似ごとだ。 ゆっくり達はこうやって揺さぶってやると発情するらしい。普段なら。 しかし泥酔状態の今ならどうか。 萃香自身は酒で潰れないので体感的には分からない。 だが前に神社で宴会をしたときに見たからどうなるか大体知っている。 珍しく酔っ払った霊夢を悪ふざけで揺さぶったら…いや、言うまい。 あの後しばらく霊夢は口を利いてくれなかった。 ともかくだ。酔っぱらった状態で頭を揺さぶるとひどいことになる。 ゆっくり魔理沙も揺さぶられて、性と酔いの二重の快感に酔いしれていた。 しかし少しずつ、いや急激にそれは込み上げてくる。 口をだらしなく開けていたゆっくり魔理沙が「うぐっ」と言ううめき声とともに口を必死に閉じる。 絶えず襲ってくる吐き気。 「んぐっ、むぐっ」 頬を中心にゆっくり魔理沙が膨らんでくる。吐いてしまうのを必死で耐える。 とても苦しいのだろう。涙が滝のように流れている。 「ゆっくりできるでしょ。ほらほら、もっと揺さぶってあげるよ」 「んむぐぅぅぅ!!」 ゆっくり魔理沙は「ゆっくりできないよ! すぐにやめてね!!」と言いたいがそれはできない。 口を開けたら途端に中身を吐き出してしまうだろうから。 しかしいくら吐き気を我慢しても萃香は揺さぶる手を止めない。 我慢の限界ももうすぐそこだ。 その時ゆっくり霊夢はと言うと呑気に 「まりさばかりゆっくりさせてもらってずるいよ!! れいむもゆっくりさせてね!!」 ゆっくり魔理沙が苦しんでいるというのに酔ったゆっくり霊夢はそれに気付かない。 ゆっくり霊夢は早くゆっくり魔理沙と代わって欲しくて萃香の周りをぐるぐると飛び回る。 萃香はゆっくり魔理沙に耳打ちする。もちろんゆっくり霊夢に聞こえぬように。 「お前のお友達はひどいね。苦しんでるお前を助けようともしない」 「んぐ~~!!」 お前が苦しめてるんだ。と萃香に避難の目を向けるゆっくり魔理沙だったが、 確かにゆっくり霊夢は自分を助けようとしない。それどころかぴょんぴょん跳ねてゆっくりしている。 ゆっくり魔理沙は絶望してしまった。そして絶望が諦めを誘発した。 「ぅごぇえぇぇぇぇぇぇ!!! お”べええええええ!!!」」 逆流する餡子に耐えきれず、ゆっくり魔理沙は餡子を吐いてしまう。 それは半端な勢いじゃない。明らかに生きるのに必要な分の餡子まで出してしまうほどだ。 美しい天界の花畑を汚らしい餡子がびちゃびちゃと汚していく。 汚したのはそれだけではない。 萃香の周りを跳ねまわっていた霊夢にもそれはかかってしまう。 「あ”あ”あ”! なにこれぇぇ!!?」 「ははは! 友達の餡子だよ。ほら、すごい勢いだよ?」 ゆっくり魔理沙から吐き出される餡子をさらもゆっくり霊夢へと浴びせる。 「や”、や”めで~~! ま”り”ざがしんじゃうよおお!!」 「そうだねぇ。このままだと死ぬかもねぇ」 そう言って未だ吐き続けるゆっくり魔理沙を地面へと置く。 「ほら、餡子を戻してやらないと死ぬよ?」 「がほっ、げぼっ、じに、だぐな”い、おげっ」 吐きながらも死にたくないと訴える友達をゆっくり霊夢は放っておけるわけがない。 ゆっくり霊夢は餡子まみれになりながらも、吐き出された餡子を自らの口に含んでゆっくり魔理沙に 口移ししようとする。 しかし、口移ししたそばからそれ以上の量の餡子が吐き出されるのだから意味がない。 「まりざぁ、あんこを飲んでよぉぉ!! しんだらゆっくりできない”よぉ!!」 だがゆっくり魔理沙は答えない。答えられない。 すでに瞳に光はなく、口から出るのは餡子だけだ。 「まりさぁぁぁ!! あんこをのんでぇぇぇぇぇ!!」 ゆっくり霊夢はバカの一つ覚えのように餡子をゆっくり魔理沙の口へと運び続けていた。 何度かそれを続けるとようやくゆっくり魔理沙が餡子を飲み込んだ。 「ゆっ!」 ゆっくり霊夢はこれでまりさが回復すると希望を持てたのだろう。 「もっとのんでね!! あんこいっぱい戻したらまた一緒にゆっくりしようね!!」 次々と餡子をゆっくり魔理沙の口へと運び続ける。その動きはさっきよりずっと生き生きしていた。 萃香はその様子をずっと見続ける。その顔には満足が浮かんでいた。 (これは確かに面白いねぇ。あの人形遣いや氷の妖精なんかが熱心になる理由がよく分かる) ゆっくり魔理沙はとっくに死んでいた。餡子を体に詰めなおしたところで生き返りっこない。 萃香はそれも分からずに回復するかもと、希望にすがるゆっくり霊夢をニヤニヤ眺めていた。 ゆっくり霊夢が二度とまりさが動かないと理解したのは、半日も経ってからだった。 ゆっくり霊夢はぴくりとも動かなかった。 まりさが死んだことを理解したくないのに死んだことを理解してしまったゆっくり霊夢は、何も考えたくないと現実から逃避してしまっていた。 「あーあ、こんなになっちゃったらもうつまらないや」 反応がないと虐めがいがない。萃香はゆっくり霊夢を掴むと神社へ遊びに行くことにした。 (このゆっくりは霊夢と一緒に食べるとしよう) そして帰りにゆっくり達を調達しよう。 次は何してみようか、何をさせたら面白ういだろう。 この先のことを考えると楽しくて仕方がない萃香であった。 終
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/141.html
長い間手入れを怠っていたため、畑はすっかり雑草で覆われていた。 倉庫から背負い式の散布機を取り出し、除草剤を散布する。 ひとしきり散布を終えたところへ、草の中から小さな影が飛び出した。 「ゆっゆっゆっ!!なんだかむずむずするよ!」 影の正体は、紅白のゆっくりだった。 農薬によって泡を吹いて朽ちている個体はよく見かけたが、生きているものは珍しかった。 爆発的な繁殖力を持つゆっくりは田畑を群れで襲撃することが多い。 時には花壇さえ食い散らかしていくのだから、害虫より余程たちが悪い。 「おじさんたすけて!むずむずするよ!」 「これじゃゆっくりできないよ!」 散々、人の畑に入り浸っておきながらゆっくりしたいとは図々しい奴だ。 良い機会なので直々に懲らしめることにする。 「どれ、おじさんが診てあげよう。口を開けてごらん」 そう言いながら、散布機のエンジンをかけ直す。 「あ~~ん、ゆぐっ!?ぐぃ!?ぐぃぃぃ!!」 大きな口を開けたゆっくりの中に、むずむずの原因をたっぷり吹き付けてやる。 じたばたと暴れるゆっくりを押さえ付け、最後の一滴まで注ぎ込んでやった。 「さあ、おくすりを飲ませてあげたからもう大丈夫だよ」 「ゆ゛っ……ゆ゛っ……?」 弱い除草剤では農薬ほどの毒性がないのは分かっているが むずむずするらしいので何か面白い効き目はあるに違いない。 「ゆっ!?あたまがもっとむずむずするよ!?」 ゆっくりに変化が現れ始めた。 じたばたと飛び跳ねる毎に、はらり、はらりと「頭髪」が抜け落ちていく。 「なにかおちてきたよ!」 自分の髪が抜けていることにも気付かないのか、ゆっくりは地面に落ちた髪を見て不思議そうな顔をする。 しばらくして、ついに赤い髪飾りが黒い尾を引いてぼとりと落ちた。 もはやゆっくりの頭部は色白の表皮が光沢を放つのみとなっていた。 「すっきりー!さっぱりー!」 「そうかい、それはよかったよ。気を付けてお帰り」 「おじさんいいひと!ゆっくりかえるよ!」 すっかり元気になったゆっくりは仲間の所へ帰って行った。 予想外に奇妙で興味深い結果が得られて満足したため、食後の農薬は勘弁してやった。 …… … 禿ゆっくりが森の木々の間を飛び跳ねながら進む。 妙に軽くなった体を嬉しく思いつつ、いつもの調子で大きな声で叫ぶ。 「ゆっくりかえったよ!」 するとどこに隠れていたのだろうか、たちまち10体の紅白や白黒のゆっくり達が現れ、声の主を探し始める。 「まりさー!こっちにいるよ!!」 しかし禿ゆっくりがいくら叫んでも、他のゆっくり達は戸惑うばかりだった。 「おーい!みあたらないよ!」 「れいむー!どこにいるの!」 禿ゆっくりには事態が飲み込めるはずもなかった。 「ゆっ!?れ、れいむだよ?!ここだよ!ゆっくりしようよ!」 「なんだこれ!へんなまんじゅう!」 「ほんとだ!おいしそう!」 髪を失ったゆっくりは――同属の目から見ても饅頭でしかなかった。 「ゆ、ゆっ!?ひどいよ!どうして!」 たちまち他のゆっくりの目の色が変わる。 「おーなかすいた♪」 「おーなかへった♪」 「たーべちゃーうぞー♪」 禿ゆっくりを包囲するように10体のゆっくり達が詰め寄って来た。 「ゆっ!?みんなやめてね!たべものじゃないよ!?」 どんなに叫んでも禿ゆっくりの声は届かなかった。 白黒のゆっくりが木の上からジャンプし、禿ゆっくりの真上に落ちる。 ブチュリ。 「ゆ゛っぐり゛い゛い゛い゛ーー!!?」 「ゆっくり しね!!」 下敷きになった禿ゆっくりから勢いよく飛び出した餡子が地面にぶち撒けられる。 「みんなでたべようね!」 「あまあま♪」「うまうま♪」 薄れていく意識の中で、禿ゆっくりはかつて仲間と一緒に食べたまんじゅうの味を思い出した。 しかし、まんじゅうの形だけはどうしても思い出すことが出来なかった。 選択肢 投票 しあわせー! (24) それなりー (18) つぎにきたいするよ! (156) 名前 コメント すべてのコメントを見る あっ......(察し) -- (名無しさん) 2021-10-01 22 06 28 (^o^) | | -- (*1) 2019-10-27 08 16 11