約 3,642,875 件
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/2226.html
「までえ゛え゛え゛え゛え゛!でいぶのあがぢゃんがえぜえ゛え゛え゛え゛」 鬼のような形相で跳ねるれいむ。れいむが追っているのは、目の前を走るピンク色をした四角い箱だ。 四つのタイヤが付いているそれは、作りは外の世界の乗り物の自動車に似ている。 ただしゆっくり達の利用するそれは"スィー"と呼ばれる物である。 重心をコントロールして上手くスィーを操りながら、人が走る程度の速さで移動するまりさ。そしてよく見ると、まりさの口の中でモゴモゴと何かが動いているのがわかる。いや、それは動いているどころか必死に助けを求めていた。 「おぎゃーしゃんだづげでえ゛え゛え゛え゛!!!」 「でいぶお゛う゛ぢがえ゛る゛る゛る゛る゛!!!」 口の中にいるにも関わらず、聞こえるのは相当大きな声を出しているのだろう。しかしその声も無駄に終わろうとしていた。 これが起伏の激しい森の中ならばまだ追いつけたかも知れない。しかしここは平地であった。 普通のゆっくりでは追いつくことは不可能であった。 れいむは死ぬ思いで走った。しかし体の限界は当に来ていた。地面に落ちている石に躓く有様だった。 「ゆべえ!」 地面に思いっきり躓くれいむ。それと同時に今まで耐えてきた疲れと痛みが襲ってくる。最早立って追いかけるのは不可能であった。 「おね゛がい゛でずがら゛あがぢゃん゛がえ゛じでえ゛え゛!!!」 「おぎぁぁぁぁあしゃぁぁぁん!!!!!」 「れーみゅぼう゛い゛や゛や゛や゛!!!」 もう出来ることと言えば、親子で呼び合うことぐらいであった。それすらも暗闇に消えていくまりさのせいで叶わなくなった。 「あ゛がじゃん・・・ひぃ・・あぎゃじゃん・・・」 自分の子供を救えなかった悔しさから、涙を流しながらそこに倒れるれいむ。涙で自らの皮膚がふやけようとも泣き続けていた。 月夜に照らされた飼いゆっくりの証であるバッジが悲しげに輝いていた。 昼間、ぱちゅりーとありすの親子は子供たちとゆっくりしていた。 子供たちは目の前で蝶に夢中になっていた。実にゆっくりとした子供たちである。 それは一瞬だった。 赤ちゃんありすとぱちゅりーが蝶を追って、傍の大樹に近づいた瞬間、そこに潜んでいたれいむのにバクリと食べられた。 それと同時にぱちゅりーとありすは枝で背中を刺された。誰が刺したかはわからない。ただの傷のせいで思うように動けない。 そして背中に気が移っていたのに気がついた時、すでに周りに誰もいなかった 優しい春の風が吹いているだけだった。 赤ちゃんゆうかは親から与えられた土地で畑作りに勤しんでいた。土を耕し、種を植え水をまく。それらをテキパキとこなしていた すると、どこからか「そろーり、そろーり」という声。 振り向くとそこには一匹のれいむが居た。 「・・・なにしにきたの?はたけをあらすならゆっくりしね!」 敵意をむき出しのゆうかに対して、れいむはのほほんとした顔で答えた。 「ゆっくりしていってね!!!。ゆうかのおはなさんがきれいだからみにきたんだよ。じゃまだったらごめんね!」 れいむの無邪気な笑顔。それを見たゆうかは、れいむを自分の横へ誘う。 「・・・ゆっくりみていっていいわよ。」 「ゆゆ!ゆうかありがと!ゆっくりみていくよ!」 嬉しそうに花を見ているれいむ。それを見てゆうかは嬉しい気持ちに包まれた。 「すきだらけなんだよねーわかるよー」 そこでゆうかの視界は真っ暗になった。結局最後まで後ろにいたみょんには気づかなかったのだ。 ふらんは産まれてまだ1週間しかたっていない。故にまだ外へ出してもらった事が一度もなかった。 姉であるれみりゃと毎日巣で遊んでいた。母親と父親はゆっくりとした親だったし、 おもちゃのあまあま達もいっぱいあった。しかし、幼い好奇心は抑えられなかった。 「うー。そとにでたいー。」 「うー♪おそとはきけんなんだどぉ~♪れみぃたちはこうまかんのおぜうさまだから、おうちにいるのがいいんだどぉ~♪」 不機嫌そうなふらんと明るいれみりゃ。いつものように専用の部屋で遊んでいた。周りはおもちゃと枯れ草で出来たベットである。 母親と父親は『だんすぱーてー』なるものに出かけていた。家で大人しくしているように大量のあまあまを置いて行ってくれた。 部屋の中でれみりゃを虐めて遊ぶふらん。 すると入口から誰かが入ってきた。 「ゆっくりするんだどぉ~」 れみりゃであった。大きさ的に大人のれみりゃであるが、勿論ふらん達の親ではない。 初めて見た家族以外の同種にふらんは警戒心を抱いたが 「ゆっくりしていくんだどぉ~♪」 姉のれみりゃは逆に興奮しているようだ。 れみりゃは姉妹に笑顔で挨拶をした後、プリプリとおしりを振りながら 「れみぃはいまがらこうまがんで、さくやと『ぷでぃん』をたべるんだどぉ~♪いっしょにたべる~?」 予想外の事を言ってきた。 「ぷでぃんたべるどぉ~♪ふらんもいくどぉ~♪」 あれだけ外は危険と言っておきながら、さっさと外に出てしまうれみりゃ。それほどまでにぷでぃんとさくやの二つは強力なのだ 一方ふらんも、これはチャンスだった。念願の外に出れるチャンス。 その前に先ほどの警戒心は消え去っていた。 「うー!おそとでるー!おねーさまはやくこいー!」 「ゆっくりしないでいくどぉ~♪えれがんとなおぜうさまは、じかんをまもるんだぉ~」 そう言いながられみりゃは、二人の姉妹と手を繋いで空を飛んだ。そうして巣を飛び去っていく。 ここはとあるドスまりさの群れ。崖の下にあり、穴に掘られたいくつかの巣と、崖にドスパークで掘られたドスの穴がある巣だった。 ドスの居る群れとしてはごく普通である。巣のゆっくり達は巣の外で楽しそうに遊んでいた。 その群れにどこからか大量のゆっくり達がやってきた。まりさやれいむ、みょんやぱちゅりー、果てはれみりゃやふらんまで 皆が赤ちゃんゆっくりを持ちながら、ドスの居る穴へ入っていた。 人間が楽に入れるほど広い洞窟の奥、そこにはドスと様々な赤ちゃんゆっくり達が居た。ドスはどうやらご飯を与えているらしく、 帽子から大量の食糧を取り出していた。 「ゆゆ~いっぱいたべるんだよまりさのあかちゃんたち~♪」 そういってご飯を一匹一匹に与えるドス。 「みょんはまだちっちゃいからね~♪まりさがたべやすくするよ~」 そういって生後間もないゆっくり達には、自分の口で一度モグモグと噛み砕き、食べやすくペースト状にしていた。 「あかちゃんはゆっくりたべていいんだよ~しあわせー?」 赤ちゃんゆっくりの食べている様子を嬉しそうに見ながら語りかけるドス。対して子供たちの方はと言うと 「む・・・ちゃ、むーちゃ、・・・ちあわせー」 「うまいんだどぉ・・・」 と、どうみても幸せそうではない赤ちゃんゆっくり達と、 「うめっ!うめぇ!これめっちゃうめぇ!」 「ドスのごはんはおいしんだよねーわかるよー」 と幸せそうに食べる子供ゆっくりに別れていた。 「ゆゆ~♪おかーさんはしあわせだよー♪」 嬉しそうにポヨンポヨンと飛び跳ねるドス。飛び跳ねるたびに揺れで子供たちは数ミリほど浮かぶほどだ。 そこへ、先ほどのゆっくりたちがやってきた。そして開閉一番に 「あかちゃんをつれてきたよ!はやくこどもたちにあわせてね!」 まりさが口に含んでいた赤ちゃんゆっくりをベッと吐きながら言った。その衝撃で口の中の赤ん坊は勢いよくドスのところへ飛んだ。 「ゆべぇ!」 「ゆびぃ!・・・いちゃいよ!まりちゃになにちゅるの!」 プンプンと怒りながら自分をさらったまりさに文句を言う赤ちゃんまりさ。 それに対して、まりさが何か言う前に、まりさの前に大きな壁が現れた。 「あかちゃんになにしてるのォ!あかちゃんはゆっくりさせるんだよ!!!」 そういってまりさを付き飛ばすドス。手は抜いてあるとはいえ、2mのドスの突撃は、バレーボール程度のまりさにはかなりの衝撃だった。 壁にドンッっと叩け付けられ餡子を吐くまりさ。それを蜂蜜を食べながら見ていたまりさの子供のぱちゅりーはプンプンと怒りながら 「むきゅん!あかちゃんにひどいことするおとーしゃんは、ゆっくりできてないわね!」 そう言いってドスの方へ行き、すりすりしようとするぱちゅりー。ドスもそれに気付いたのかすりすりし始めた。 しかし如何せん大きさが違いすぎる。ドスにとってはただのすりすりでも、ぱちゅりーには皮を削られそうな行為だった。 「すーりすーり♪」 「む・・・むぎゅ!むぎゅうぅ!」 それでも必死で耐えながらすりすりするぱちゅりー。それを見たまりさは泣きだした。 「どずどずりずりじじゃだべえ゛でじょう゛う゛う゛!!!ぱぢゅり゛ぃじんぢゃう゛う゛!!!」 親に必死の説得も、ぱちゅりーを苛つかせるだけだった。 「む!ドスはぱちゅりーたちにおいしいごはんをくれるのよ!おとーさんははちみつなんてとれないでしょ! それにドスはくまもおいかえせるのよ!たかーいたかーいもしてくれるし。ドスがぱちゅりーのおかーさんだったらよかったのに。」 この発言は流石に我慢の限界だった。わが子の一言はドスの手で死んだ愛する妻のぱちゅりーを全否定するものだったのだから。 「おがぁざん゛のごどわ゛る゛ぐい゛う゛な゛ん゛でざい゛でい゛だよぉお゛お゛お゛!!!!」 怒りの声をひたすらぱちゅりーに向けるまりさ。するとドスが 「ぱちゅりー。もとのおかーさんにそんなひどいこといっちゃだめだよ!ドスおこるよ!」 「む・・・ごめんなさいドス・・・・」 「わかったらおとーさんともスリスリしてあげてね。」 「・・・わかったわドス。おとーさんスリスリしてあげるわ。」 ずいぶん調子の良いこと言うものである。そもそもこうなったのはドスが原因だと言うのに。 ドスは昔から孤独だった。家族は生れて間もないころにれみりゃに襲われた。 そのあとは母親の妹の家で暮らしたが、ひとりで狩りに出かけられるようになった頃に、家族は人間に捕えられた。 食糧難で仕方なく畑を荒らしたせいらしい。 それからはつがいや親友や群れのみんな、その全てがドスを置いて死んでいった。 ドスはずっと孤独だった。ドスになった後もそれは続いた。 自分が育てた群は、ゆっくり達の無知で崩壊し、ある時は狩りに出かけた隙にゆゆこに襲われた そうしてずっとずっと孤独だったドス。しかしそんなドスだからの夢があった。 『自分の子供が欲しい』 ドスとなってしまった今では子を持つことはできない。ドスになってしまっては、子種となる特殊な餡子が無くなってしまうのだ。 しかしドスとなって群れを持ち、ゆっくりとした親子を眺めているうちに、その欲求は膨らんでいった。 あんな風に子供をあやしたい、子供とすりすりしたい、泥だらけの子供をペロペロと舐めて綺麗にしたい、子供たちとご飯を食べたい、子供と一緒にお歌を歌いたい、水で遊ばせたい、いっしょに寝たい、一緒に居たい、一緒に居たい 叶えられない夢は徐々に徐々に膨らみ、遂に弾けた。 手始めに、ドスは近くのゆっくりの一家を襲った。それには捕食種も含まれていた。例えふらんと言えどドスには敵わない。 そうして産まれたばかりの子供たちを奪い、親を適当に痛めつけた後こう言った。 「あかちゃんがぶじでいてほしいなら、ほかのあかちゃんをとってきてね!」 無論、ドスには赤ちゃんを傷つけるつもりなど欠片もない。こう言えば親が命令通りに動くのがわかっているのだ。 普通に育てたいなら奪った赤ちゃんで十分だろう。しかしそこに、ドス本来の性格が混じってしまったのだ。 『みんなをゆっくりさせたい』ゆっくり達のリーダーに相応しきその目標が、『たくさんの赤ちゃんをゆっくりさせたい』 に変ってしまったのだ。 それで始まったのがこの誘拐である。赤ちゃんゆっくりを誘拐させ、自分の子として愛情を込めて育てる。 連れてこられた赤ちゃんは最初はもちろん抵抗する。しかし哀しきゆっくりの性か。ドスの元で暮らすのはとてもゆっくりできると分かると 段々とドスに懐くのだ。そうして生まれた群がこの群れである。ドスの子供たちが暮らす群れ。ドスの夢の完成系であった。 ドスはぱちゅりーが父親の所に向かうのを見ると、親たちが連れてきた赤ちゃんたちの目の前にやってきた。 「ゆっくりしていってね!!!」 巣全てに響き渡る大声。子供たちも反射的に挨拶を返してしまう。 「ゆっきゅりちていっちぇね!!!」 しかし、すぐに自分たちが連れてこられたのを思い出すと、皆が騒ぎ始めた。 「おうちかるみょんんんん!!!!」 「ゆっくちできにゃい!!!!!」 「おかーしゃーん!ゆえーん!ゆえーん!」 「れーみゅのみゃみゃどこぉぉおお!!!」 「まりちゃたちをちゃっちゃっとおうちにかえちてね!!!」 特に、先ほどの親まりさに連れてこられた赤ちゃんれいむとまりさは、ドスに向かって体当たりをしていた。 しかしドスにはスキンシップをしているようにしか見えなかった。 「ゆ~♪ゆっくりしたおちびちゃんだね!ぼうしとりぼんについてるバッジもすてきだね!ゆっくりすりすりするよ!」 そういってすりすりをし始めるドス。しかし赤ちゃ達ににしてみれば、それは壁に擦りつけられているようなものだ。 「いぎゃい!なにぢゅるの゛の゛の゛の゛!!!れーみゅいじゃいぃいいい!!!」 「やばでえ゛え゛え゛!!!」 ズリズリと皮を引っ張られる痛みで泣きだす二匹。それを見たドスは、「ゆゆ!まだおちびちゃんにははやすぎたね!ごめんね!」 などと言いながら、二匹から離れる。 「いまからみんなのごはんをとってくるからね!おいしいごはんでゆっくりしようね!」 そういってご飯を取りにいくドス。 それと同時に連れてこられたふらん姉妹が動きだした。 「うー!あまあまたべるどぉー!それでおそといくー!」 「すぺしゃるなでぃなーだどぉ~♪さくやはどこだどぉ~♪」 そう言いながらゆっくり達を食べようと持ち上げた矢先、何かで頭を殴られた。 「う!!!」 「いじゃい!なにずるどぉ~!れみりゃはごうまかんのおじょーざまなんだどぉ~」 泣き目で抗議する二匹。後ろにいたドスの舌で殴られたようだ。 「しまいをたべちゃだめなんだよ!わるいこにはおしおきするよ!」 そういって何度も何度も舌で叩くドス。ドスにしていみれば躾のつもりなのだろう。 しかし二人にしてみれば虐待のようなものだった。 「ぎぼじわるいいいい!!!ごばんなざい!!!!れみぃもういやぁああああ!!!」 「うううう!!!!ふらんいやー!もういやー!」 「わかったらないいんだよ!みんなと、あまあまなはちみつをたべようね!」 ニッコリとドスは笑うと、食糧庫へ戻っていった。 子供たちが連れてこられてから三日がたった。半月が真上に来た頃、群れに二匹のゆっくりがやってきた。 れみりゃとふらんである。三日前に連れてこられた姉妹の親である。 「ゆゆ!れみりゃたちがきたよー!!!ゆっくりしないでドスのところににげるよー!」 蜘蛛の子を散らすように逃げるゆっくりたち。どこから手に入れたのかスィーでドスの穴のなかへ逃げていった。 「あがぢゃんがえずどぉー!!!れみりゃをさらっだあまあまはごろずんだどぉー!」 相当お怒りなれみりゃ達は、ドスの穴へ向かっていく。ゆっくりの巣を破壊しながら歩くそれは、さながら外の世界の娯楽であるという『怪獣映画』のそれである。 穴の手前まできた二匹。すると、穴の奥の暗闇から光が現れたのに気づいた。 いや、正確には気づいた時にはその光に貫かれていた。 「いぎゃいいいい!!!!れみりゃのあじがぁああああ!!!!」 「うぅうううう!!!!ふらんいじゃいのい゛や゛!」 洞窟の奥から放たれたのはドスパーク。それを放ったのはもちろんドスまりさだった。 二匹の前に現れたドスは、一瞥すると 「ドスのこどもたちをうばうなんてさいていだね!まりさはこどもたちをゆっくりさせたいんだよ!ゆっくりできないれみりゃたちはゆっくりしね!」 これほどふざけた話もそうはない。ドスの身勝手極まりない言葉を聞いたれみりゃは残った力でドスに噛みつこうとした。 「あまあまはじねぇええ!!!!」 ゆっくりにとっては鋭い牙がドスめがけて飛んでくる。ドスはそれをひょいっと体を半分ずらすだけで交わした。 そして勢いあまって倒れたれみりゃの後頭部目がけて飛び跳ねる 「みんなのでぃなーにするよ!ゆっくりくわれてね!!!」 ぶちゃ、と嫌な音と共にれみりゃは唯の肉まんになり下がった。その光景をみたふらんには最早戦意はなかった。 しかしそれで見逃す事はドスはしない。 数分後 「おちびちゃんたち~♪ゆうごはんだよー!!!ゆっくりたべていってね!!!」 「おかーさんかたべさせるからね。あーんしてね!」 「ちーちーするの?おかーさんがてつだってあげるね!・・・そうだ!おおきいこどもたちは、あしたかりにいこうね!おてほんをみせるよ!」 穴の奥からは嬉しそうなドスの声が聞こえた。実に楽しそうな声だ。他人から奪った幸せを謳歌しているのだから、当然とも言えるのだが。 【あとがき】 一話完結です・・・・嘘です ここで終ったらストレスがマッハすぎる。 もしかしたら俺はドスが好きなのかもしれない。 解決編 過去作 悲しき聖帝ゆっくり! お前は愛につかれている!!1 悲しき聖帝ゆっくり! お前は愛につかれている!!2 悲しき聖帝ゆっくり! お前は愛につかれている!!3 お兄さんとドスれいむ 鬼意屋敷殺人事件 どすの加工所 幻想樹の迷宮 幻想樹の迷宮Ⅱ 徹夜でゆっくりしようぜ! 徹夜でゆっくりしようぜ!2 地震 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/2180.html
午後11時半。俺は友人と交代し同僚と二人で監視を行っていた。 俺がベッドの準備をしている横で、同僚は今現在のゆっくり達の動きを観察し記録を取っていた。 れいむ親子は先ほどの子供とまりさの死がよほど堪えたのか、未だに泣きわめいている。 ところどころで俺たちに死ねだのなんだの言ってるようだ。確かに俺達が悪いのだが・・・というか教授が一番悪くね? ぱちゅりーとありすの夫婦はガンガンに押しつぶされて死んだ赤ぱちゅりーの帽子を大事そうに加えていた。 おそらく形見なのだろう・・・しかしあいつも中々ひどい事をする。俗に言う虐待お兄さんの素質があるのかも知れない。 れみりゃザウルスと親ふらんの夫婦は、今のところ誰も眠っていない。 しかしそれも時間の問題だろう。本来は夜の方が活発に動く種類だが、昼間にあれほど遊んで食べて、そのうえプールでゆっくりしたのだ。 尋常じゃない睡魔に襲われているのだろう。現に赤れみりゃなど、3分おきに親ふらんに殴られて辛うじて寝ていない状況だ。 胴なしれみりゃとまりさの方だが意外とこの状況を楽しんでいる。独り身のせいもあるのだろうか? 全体的に見ると、大人はまだ多少余裕があるようだ。これなら二日目までは持つだろう。 そんな事を考えながら、俺は防音素材を使ったケースにクッションを詰め終えた。一匹一匹専用のベッドを作ってやっているのだ。 全部自作である。れみりゃなど大きいのも居るため中々大変だった。中の状態を把握するために、正面だけは透明のアクリル板にしなければならないので あんまり防音の意味がない気がするのが不満な点である。。 そうして完成したベットを中央に並べた。同僚は暗視カメラをセットしている。 とりあえず俺はゆっくりたちをその中へ一体一体ずつ入れた。その時に口をテープで縛るのを忘れない。 ピッチリ入っているため、れみりゃ達は手を動かせない。取る心配もなかろう。 入れ終わった箱にはガチャリと鍵を閉める。これでゆっくり達が出ることは不可能である 「ゆゆ!なにちゅるの!れいみゅおかーしゃんとおねむするにょ!!」 「うー!うー!」 「れみりゃのえれがんとなあかちゃんにさわるな~~たーべちゃーうぞー♪」 「なんであかちゃんとはなればなれなの!いっしょにゆっくりするよ!」 「ここはせまくてうごけないんだせ。」 「ざぐやぁぁぁ!!!せまいどぉー!!!」 そんな事をおそらく言っているのだろう。ゴモゴモしか聞こえないが箱の中で喚いている。 「明日の朝までゆっくりしてね!!!」 そういって明かりを消し部屋から出る俺達。そして隣の部屋に行き、そこで複数のモニターから様子を見る。 「そういや○○さん、なんでこの部屋からにしなかったんすか?楽なのに。」 「キモかわいいって言うのか?あいつ意外とそういうの好きみたいなんだよな。本人は自覚してないけど。」 「の割には酷い殺し方さらっとしますよねあの人。まあ俺は趣味でやってますが。」 そんな中身の無い会話をしながらモニターを観察していた。 しかしこれはこれで中々面白い。今まではみんなで眠気と戦ったが、これから数時間は一人で戦わなければならない。 箱はゆっくりの大きさに合わせているので身動きが取れない。誰も喋らない。そしてベットは自然界ではありえないだろうフカフカなのだ。 ここからは純粋に我慢対決である。 胴なしれみりゃとまりさはベットの中でゆっくりしていた。寝ることはできないので、寝ない程度にではあるが。 体力的にいえばまだ余裕はあった。それに加えてまりさは日中、胴無しれみりゃとある作戦を考えた。 (まりささまはこんなあぶないばしょにはいないんだぜ・・・さっさとぬけだして、ありすあたりとすっきりーするんだぜ) 代り映えしない暗闇を見ながら、考えごとに熱中していた。自分たちは徹夜など余裕だと信じて。 末っ子の赤れみりゃは暇で暇で仕方なかった。身動き取れない箱の中にいれられ、見えるのは目の前の暗闇ぐらいなものである。 「うう・・・つまらないんだどぉ~!まんま~♪ぱぱ~♪ふらん~♪・・・・・」 無論読んだところで反応はない。そもそも言えてすらないので「んんん~」といったセリフにしかなってないが。 ただ寝てはいけないというのは分かっていた。自分もあまあまみたくなりたくない。 しかし眠気は容赦なく襲ってくる。瞼がひどく重い。頭もボーっとしている。先ほどはまだ姉妹や親と一緒だからなんとか我慢できた。 しかし一人で何も出来ない空間に置かれたのだ。 (うー・・・れみりゃはねないんだぉ・・・こうまかんのおぜうさ・・まは・・) 強く強く思っても襲ってくる睡魔。もはや抗う方法はないかと思われた矢先、ある事を思いついた。 れみりゃは頭を左右に大きく振り始めた。狭い箱の中なので揺さぶるたびに、「ドン!」と音が響く。同時に痛みが襲いかかってくる しかしそれが狙いだった。こうして痛みを感じていれば眠くならないだろうと踏んだのだ。 実際それなりには有効だった。一時的にならばの話だが。 それを数時間もやるとなると話は変わる。30分もしないうちに赤れみりゃの頭には大きなコブが出来ていた。少しでも触れれば 激しい痛みが襲ってくる。さらに、長時間首を振り続けたせいか酔い始めた。 (ぎぼぢわ゛る゛い゛い゛い゛どぉ~みゃんみゃ~だづげでーーうっ!うげろげろげろげろ) そうしてついに吐き出す赤れみりゃ。しかし口はテープで塞がれているため、結果的に口の中に大量の臭い肉まんが残ることになった。 (ぐざい゛い゛ーーー!!!ざぐや゛だづげでえ゛え゛え゛!!れみぃぐじゃい゛の゛い゛や゛ぁぁぁぁ!!!) なんとか吐き出そうとするが、テープは剥がれない。立ち込める臭いで更に吐き出すため状況は最悪である。 そうして5分ほど過ごしたか、赤れみりゃはある事に気づく。息ができないことに。 (いぎがぁぁぁ!!!ばんばー!!!ばぁば!!!!だづけででびぃゃぢんじゃ!!!!いぎがぁ!!!) 自らの吐瀉物で喉を詰まらせたれみりゃ。そうして地獄のような苦しみを味わいながらそのまま眠ってしまった。 姉妹ゆえなのかどうかはわからないが、長女の赤れみりゃも同じような状況に陥っていた。 ただしこちらは吐いた量が多すぎたために、テープが一部剥がれて漏れ出した。自慢のえれがんとな服は汚れて悪臭を放っているが 命は助かったといえよう。そしてこの匂いがはからずしも眠気を吹き飛ばした。 午前1時。モニターを見ていた俺はとある変化に気づいた。一匹の赤れみりゃが青白い顔になってピクリとも動かない。 「おいあれ・・・死んでね?」 「え、マジっすか?・・・なんでまた?」 隣でDSで遊んでいた同僚が振り返る。 「知るか、なんかもう一匹の方もゲロはいてやがるし・・・片付けるべきか。」 そう考えていたところ、眠りっているゆっくりを3匹ほど確認した。赤ふらんとぱちゅりーと赤れいむだ。 俺達は部屋を出ると静かにゆっくり達の部屋に入った。 小型の懐中電灯で箱を探すと一応カウントを取る。そうして三匹をモニターの部屋まで運んだ。 部屋に運んだ俺たちは記録用のカメラを回すと、さてどうするかと悩んだ。 教授はあれで結構な虐待お兄さんである。わざわざ大金を使ってこんな実験をする辺り。 しばらく考えた俺は、近くのシャワールームに箱を持ち込んだ。 そこの掃除用具入れにしまってあったホースを手に取り、箱の制作に使った大工道具で箱の上に穴を開けた。 これでホースから水を入れるっといった具合である。なんとなく口のテープは外した。死ぬ瞬間も喋れないのは哀れだろう。 三本あったのにはご都合主義的なものを感じるが。 とりあえずレッツ注水。 水を入れ始めてからすぐに、赤れいむが目を覚ました。 「ゆ!なんでおみずさんがはいってるの!おみずさんはゆっくりできないよ!」 水の怖さは理解しているらしい。暴れまわっているのだが動けない。 「おがーしゃんだづげでえ゛え゛え゛え゛え゛え゛!!!でいうゆっぐりじだいうぼぇえ!!!」 喋っていたせいか水を飲んだらしい。口から水疱をまき散らしながら息を引き取った。 皮がふやけて餡子が漏れていた。 次に気づいたのはぱちゅりーである。こちらは状況に気づたらしく 「おにーさん」と後ろに居て見えないはずの俺を呼んだ。驚きながらも俺は返事を返すと 「ありすには・・・ごめんなさいっていってくれる・・・むきゅん。」 そういって目を瞑ったまま動かないぱちゅりー。どうやら最初から死ぬ気だったらしい。 ぱちゅりーがゆっくりと溺死した後は、赤ふらんである。時間は多少かかったがやっと目が覚めたらしい。 周りに状況を見るや 「うー!だせー!!!ふらんをだせー!!まま!!ぱぱ!!たすけてー!」 俺は他に二匹の遺体を箱から出すと水を捨てる。餡子とカスタードの匂いがする。 「うー!おねぇーさまたすけてー!うが!がふぉ!ぁぁああ・・・」 午前3時、丑三つ時とも呼ばれる時間である。 親れいむは死人のような形相をしていた。愛するまりさと子供を失ったショックが大きすぎたのだ (なんでまりさが・・・まりさ。れいむのこどもたちもなんで・・・) 終わらない自問自答を繰り返すれいむ。もはや眠気などなかった。ただただ、まりさとの日々を思い出し続けていた (まりさまりさまりさまりさりさまりさまりさまりさまりさまりさまりさまりさまりさまりさまりさ) 頭の中に浮かぶのはまりさの笑顔だった。一緒に遊び、巣を作り、時には他のゆっくりたちとれみりゃに立ち向かったり そんな楽しかった日々が走馬灯のように流れる。最早涙も枯れ果てていた。 夜が明ける。全てを覆っていた漆黒はどこかへ消え去り、眩い太陽が現れた。 俺はゆっくり達の食事を準備すると、部屋に入り一匹一匹起こしていった。 「あかちゃんどこ。ふらんのあかちゃんどこ!」 「おかーしゃんでいぶがいないよおおおお!!!」 家族が減ったことに気づいたのか叫びまわる。そこへ赤れみりゃが近づいてきた。 「まんまぁ~ぱぱ~。れみぃぐるじかったどぉ~!」 酷く悪臭を放ちながら近寄ってくる赤れみりゃ。こちらの鼻が曲がりそうだ。 服も顔も最早元の面影が見えないぐらい汚れている。しかし幸せそうに親の元へ駆け寄る赤れみりゃ それをれみりゃザウルスの平手が防いだ。 「うー!いだいんだどぉ~みゃんみゃなにするんだ・・・」 「うー♪くさいこはれみりゃのあがちゃんじゃないどぉ~♪えれがんとなじゃないくさいこはしぬんだどぉ~♪」 「みゃんみゃー!!!どうじてぞんなご」「うるさい。ゆっくりしね」 体に噛みつくふらん。れみりゃザウルスは後ろの羽を毟っている。 「いだいいどぉおおおお!!!!ざぐやあぁあ!!!」 「さくやはれみりゃたちのじゅうしゃなんだどぉ~♪だれだかわからない、くさいこのじゃないど~♪」 「おいしい。でもくさい。」 「でびぃをだべな゛い゛でえ゛え゛!!!!!」 そうして肉の塊になった赤れみりゃ。親二人はそれを見て 「おいしいぷでぃんぐだどぉ~あかちゃんたちとたべるどぉ~」 「あかちゃんおきるんだどぉー。すーりすーり」 「うー!うー!」 れみりゃザウルスはその鈍い動きでひたすら赤ちゃんを探し回り、ふらんは胴なしれみりゃを子供と思ってすりすりしている。 たがたか一日の徹夜で精神が壊れるのか? 念のため他の種類を見てみる。 まりさと胴なしふらんも駄目だった。まりさは「ありすかわいいんだぜ・・・れいむ・・・にとり・・・」 などとうわごとを呟きながら歩きまわり、胴なしれみりゃはふらんを本当の親だと思って甘えていた。 残りのありすとれいむと子まりさはと言うと 「でいぶやべでえ゛え゛え゛!!!!!どがいばじゃな゛い゛わ゛わ゛わ゛わ゛!!!」 「おがーじゃんべろべろや゛べでえ゛え゛え゛え゛え゛!!!!ばりざすっきりじだぐないいいい!!!」 「まりさあぁああああああ!!!!ありずもがわいい!!!!ばりざぁぁあはでいぶとあがぢゃんうぼうねええええ!!!」 朝っぱらから3Pとはお盛んな。どうやら精神的にアウトらしい。どうやらゆっくりに徹夜はかなりの苦痛らしい。 やはりゆっくりはゆっくりできないと駄目な生き物なのだ 「で、これで結果は全部?」 私は実験の結果をまとめたレポートを出張から帰ってきた教授に見せた。 「ええ、そうです。結局最後まで生きてたのはれみりゃザウルスでしたね。以外にも」 「そうかい・・・いやにしても君。中々才能あるよ。初めての割に実に良い殺し方だったよ!」 「はあ・・・(なんでイキイキしてるんだ)」 「よし、このれみりゃザウルスは僕が預かろう。これだね」 「れみ☆りゃ☆うー☆!・・・すばらしだんすだぉ~あかちゃんたちにみせるんだどぉ~♪」 「いやあ僕はザウルスが好きでねえ。飛ばない分ぎゃ・・・しつけも楽だし。」 私にはそんな教授の話は半分も耳に入っていなかった。昨日は徹夜でレポートを仕上げたのだ。 今日はさっさと帰ってぐっすり寝よう。 【あとがき】 昔テレビでみた番組を元に書いてみた 二度寝は最高だと思う。 過去作 悲しき聖帝ゆっくり! お前は愛につかれている!!1 悲しき聖帝ゆっくり! お前は愛につかれている!!2 悲しき聖帝ゆっくり! お前は愛につかれている!!3 お兄さんとドスれいむ 鬼意屋敷殺人事件 どすの加工所 幻想樹の迷宮 幻想樹の迷宮Ⅱ 徹夜でゆっくりしようぜ! このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/2794.html
注意書き タイトルこそとある落語ですがその落語との関連はありません。 虐待無し。人間虐め。 作者当てシリーズってやつです、見事正解した名前あり作者さんの中から抽選で一人、このSSの作者とネチョるSSを書いてくれるという話はありません、あしからず。 やあ!僕は虐待おにいさん!使い古された感があるこの挨拶だけど、たまにはいいよね!! そんな自分の元に一人の青年が訪れる、彼とは昔から付き合いがあり、自分もゆっくりを虐待したいと言ってきたので簡単な虐待道具を見繕った事がある。 そんな彼がゆっくりのことで話があると言ってきたのだ、そしてゆっくりは見せないでくれとも言ってきた。 「やめでぇ!!おにいざん!!でいぶばなびもじでないよぼぉぉ!!がえじで!!おうじがえじでぇぇ!!」 「うっさい」 さっきまで潰れると潰れないのぎりぎりの力でトンカチで殴っていたれいむを透明な箱に入れて蹴り飛ばす。 「もうおぞらどびだぐないいいぃぃぃ!!」 そんなことを言いながられいむは隣の部屋へと吸い込まれていった。 「やあ!よく来たね!!ゆっくりしていってね!!」 そんな挨拶をしながら青年を迎え入れる、彼はもともと健康的な顔色をしているというわけではなかったのだが、今日は一層顔色が悪くなっているような気がした。 「すいません…それ、やめてくれませんか?」 「ん?どうした?あんなにゆっくりをいたぶるのが好きだって言ってたのに…」 「そのことを含めて相談に来たんです、とりあえずゆっくりは全部閉まってくれましたか?」 「ああ、さっき全部奥の部屋にしまったよ、とりあえずあがりたまえ、お茶と饅じ…煎餅でも出そう」 青年を居間に通す、ソファに座らせそこで待ってるように言った後、お茶を入れて持ってきた 「それで、何の相談だ?好きな人ができたとか言われても彼女いない歴=年齢な俺には恋愛相談には乗れんぞ?」 「そんなんだったらあなたには聞きません、実はこれを返しに来たんです」 そう言って彼が取りだしたのは自分が少し前に彼に上げた、透明な箱をはじめとするゆっくり虐待道具だった。 「おいおい、それは俺が君にあげたんだ、返してもらわなくても…」 「俺、ゆっくり虐待を止めようと思うんです」 「…なに?」 なんだって?ホワイ?なんで?どして? 「とりあえず、理由を聞かせてもらおうか?」 「はい、じゃあ…」 青年は一口、お茶を飲んでから話し始めた。 「あなたに教えてもらってから、ゆっくりを虐待したとき、俺はとても楽しかった、いろいろな鬱憤をゆっくり相手に発散できた、虐待という麻薬にトリップしていたといってもいいでしょう」 「その例えは俺達がみな麻薬常習犯みたいに聞こえるからやめてくれないか」 いきなり何を言っているんだ、こいつは? 「僕はゆっくりを捕まえて、いろいろな虐待をしてきました。殴る蹴る、箱に閉じ込める、足を焼くなどです」 まあ、当然だろう。その三つは虐待の初歩の初歩といってもいい、虐待が趣味の人間でこの三つをしたことがないというやつはほとんどいない。 「ただ、つい最近、あることに気付いたんです。自分はゆっくりの親子を使った虐待、親の前で子を殺すという虐待をしていなかったんです」 「うん、それで?」 「内容としては簡単なものでした、親の足を焼いてその目の前で子を一匹ずつ殺して行くというものでした、親は泣き叫ぶし、子は僕が口添えしたので親が自分たちを見捨てたと思って親を罵る、 必死な親と俺に殺されようとしているのに親を罵ることしか考えない子ゆっくりがとても滑稽なものに見えて何とも言えない気分になりました」 「無力な饅頭風情の生死を自分が握っている、その間隔がとても心地よいものだったろう?他の生物では味わえない、ゆっくり虐待ならではの特権だな」 「まあ、そうなんでしょうかね」 無力なのに自分たちの生存権と所有権をひたすら主張するだけの汚いまんじゅう、そんな生物に自分たちの無力さを思い知らせ、親子間に誤解を生ませてそのまま一家まとめて皆殺し… ああ、なんていいんだろう。と、俺がトリップしかけたところで青年が話を続けた。 「その虐待がしばらく僕のマイブームになっていました、ただ、先日あるれいむ一家を虐待しようとして…怖くなったんです」 「怖いって、何が?」 れいむ種?まりさ種ならドスになりかけのやつでいきなりスパーク撃たれて髪が焦げたという話は聞いたことがあるが…そんなことを考えていると青年は少しづつ話し始めた。 「さあ!!今日も張り切って虐待するぞ!!」 そんなことを言いながら外に出た僕は虐待お兄さん。 実際はそこまで虐待回数も多くはないからお兄さん見習いってところかな? 今僕がはまっているのはゆっくりの親子を使った虐待だ、まさに人生の春を謳歌しているというゆっくり一家を捕まえ家に持って帰ってから、親の足を焼く。 たいていゆっくりどもは「ばりざだじだにもばるいごとしでなびのびどぼじでぇぇぇえ!?!?」とか言ってくるけどお前みたいなのが道端を歩いているから悪いんだ。 学校でも会社でも虐められる立場だった俺でも今は何とか生活している、そんな俺にすぐ捕まってしまうような饅頭の癖に家庭持ちなんて生意気だし、そんなに非力な存在なら 人間に危害を加える前にさっさと一家心中した方が地球環境のためにもなると思うんだけどね。 「おかーちゃんにひどいことしりゃいでぇ!!」 「おかーちゃんをはにゃちぇ!!」 当然親の悲鳴を聞いた子ゆっくり達は抗議の声を上げてくるがそんなものは無視、弱者の懇願をはなから無視するのってある種の快感だよね。 「お、おがぁざんのごどはいいがらちびじゃんだげでもにげでえぇ…」 残念、子ゆっくりはジャンプしても越えられないような深さの桶に入れてるから土台無理なのよね。 「ゆっぐりでぎないおじざんはじね!じねぇ!!」 あーはいはい、いつか死にますよ、確実にお前らよりは後だけどな。 とりあえず親の足(?)の部分をなでまわしてこんがり焼けていることを確認する。 「どーだーゆっくり、ちゃんと歩けるか?」 とりあえず確認のために地面に置いて煽る。 「あるけなぐじだのはおばえだろおぉぉ!!じね!あやばれぇぇ!!」 生首が体中を震わせながら目を真っ赤にしながら泣きわめくさまはどう見て持ちも気悪い、気持ち悪いのがさらに俺のテンションを上げてくれる。 さて、喚くだけで動けない親を桶がよく見えるようにおいて、子を殺すことにする。 「おじびじゃん!!にげでえぇぇ!!」 「おかあちゃんどこにいりゅの~!?」 桶の中からは親はよく見えない。だが親の悲鳴から俺をゆっくりできない人間と認識したのか必死に逃げようとする。 まったくもって無様だ、こんな狭い桶の中で逃げ切れるわけないのに。 「はなちぇ!!はなちちぇ!!おかあちゃんたちゅけてぇ!!」 とりあえず最初に一匹掴み、親と子両方からよく見える位置までもって行く。 「れいむのおちびじゃんをはなじぇえええ!!」 「おねーちゃんになりちゅるのー!!」 「いもーちょをはなちぇ!!そしちぇあやまりぇえ!!」 「はい一匹目ドーン!」 「ゆぎゃ…!!」 俺の手の中で一匹目の赤ちゃんがはじけた。一瞬の静寂の後、親と子が同時に叫ぶ。 「でいぶのあがちゃんがあああああああ!!」 「いやじゃああ!!じりたちゅない!じにたちゅにゃいよ!!」 「どおじでごろじだの!でいぶだじばにもじでないのにいぃぃ!?」 「アッハハハハ!!馬鹿見てぇ、お前ら足焼かれて閉じ込められて俺に家族をつかまれてたのにまさか殺されないだろうとは思ってたの?馬鹿見てぇ!!」 そこらへんの虫だって人間に捕まれたら全力で逃げだそうって言うのに? 「ほら、泣きわめくのはそこまでにしとけよ、まだまだ殺して行くんだからそんなにないたら水分持たないぞ?」 ほれ二匹目。 「ゆべしっ…」 「ああああああああ!あがじゃんんん!!」 三匹目。 「おかーちゃんたちゅげ…」 「れーみゅのいもーちょがああぁ!!」 「おかーちゃんたちゅけちぇえ!!」 「ちにちゃくにゃいよぉぉ!!」 「れーむたちにゃにもしてにゃいのにどおちてこんなことするのおぉぉ!?」 「そりゃお前たちゆっくりが生きるにも値しない屑生物だから俺みたいな屑に殺されるぐらいしか存在価値がないんだよ、あとお母さんは助けに来ない、なぜなら君たちのことなんかどうでもいいから」 「うしょだああ!!おみゃえがおきゃあしゃんににゃにかしたんだあ!!」 む、それに気づくとはこいつら、結構利口な方なのか?まあいいや、次からは子と親を隔離してから足を焼こう。 「まあ、そうだね、でそれに気付いてどうなるって言うんだい?あ、そ~れ!!」 「おきゃあ…ゆぎゃあ!!」 眼窩から眼球と餡子が噴き出し絶命っと、次で最後の一匹だ。 「やべろおおぉぉぉ!ぞのごがらでおはなぜぇぇぇ!!」 「いやだ~!おかあしゃんたちゅけて~!!」 だから親は助けにこれないんだって、というかゆっくりに限った話でもなく戦争映画とかでは何で死ぬ前に母親のことを呼ぶんだろうね?戦場に親がきて助けてくれるわけでもないし、 映画は好きだし戦争映画も好きだけど人が死ぬ前にモルヒネを撃たれながら「ママ、ママ…」って呟くやつは大っきらいだ、そんなこと言ってもままはたちゅけてくれまちぇーんとか言いたくなるよね。 少し横にそれた。ごめん。 で、最後の一匹を手にしその手に力を込めたとき… 「やべろ!やべろ!やべろおぉぉ!!!」 べりっ!! あれ?べり…? 音がした方向を振り向いたとき目に映ったのは、焦げた足を突き破り、そこから餡子を漏らしながらも自分に向かって襲いかかってくる親ゆっくりのかをがあった。 ついさっきまで滑稽なものだとしか思っていなかったそれが、その時だけおにや悪魔の類に思えた。 「っ…いってえ!?」 とっさに顔をかばおうとして出した左腕を噛まれる、ゆっくりに噛みつかれたことなんて初めてだったけど、こいつらってこんなに噛む力があるのか!? →手につかんでいた子ゆっくりを一瞬で握りつぶし、まだ左腕に噛みついてる親ゆっくりを左手でぶんなぐる、親ゆっくりは絶命したが、自分の腕にはかなり大きいゆっくりの歯形が残っていた。 そこまで話し終えた後、青年はお茶を一杯飲んだ。 「それで君は、ゆっくりという存在が怖くなったと、ゆっくりを見るたびに最後の親れいむの顔を思い出してしまうと」 「はい、その通りです。あの顔を見た後、ゆっくりという生物が怖くなったんです、そして自分は昔いじめられた腹いせにその虐めてきた相手と同じこと、 もっとひどいことをしてたんじゃないだろうかって…だから自分はこれ以上ゆっくりを虐めることができないんです。だからこれを返そうと…」 「まあ、待て」 青年の言葉をさえぎり、袋から一つの饅頭を取り出す。 「この普通の饅頭を潰してみるんだ」 「え…?でももったいなくないですか?」 「いいから、やれ」 「じゃあ…そぉい!!」 テーブルの上に置いてあった饅頭は一瞬で周りに餡子をまき散らしながら潰れた。 「それで、いまの行為を酷いことだと感じたか?自分をいじめた相手と同じことをこの饅頭にしたと思ったか?」 「え…?いいえ、だってこれはただの饅頭でしょ?」 「そう、これはただの饅頭だ、ゆっくりもただの饅頭なんだ」 それを聞いた瞬間、青年の顔が明るくなる。 「そうか、ただの饅頭は虐待してもいいんだ!!」 「少し違うけどそういうことさ」 そう言って袋からもう一つの饅頭を取り出し、そこに般若の顔をしたゆっくりれいむの顔をペンで書く。 「これを見てみろ、この顔が怖いか?自分の行為が幸せな動物を殺してしまうんだと思うか?」 「いいえ、だってただの饅頭ですもんね!!」 「そう、ただの饅頭だ」 そう言って言葉を続ける。 「ゆっくり虐待はアブノーマルな趣味だ、これを趣味に持つことが公に知られて職を失った人だっているという。確かに生物を虐めるのが大好きだという人間がいれば社会では認知されにくいだろう… だが、ゆっくりは饅頭なんだ、生物じゃない。ただの饅頭親子、団子大家族をたたいたり焼いたり潰したりしても本来は咎められることではないし、気に病むことではないんだ。 まあ、アブノーマルな趣味といってもいろんな人がいる、ゆっくり虐待にも俺以外の考え方を持っている人もい多いだろう、だから俺はこれ以上君には何も言わないよ」 「わかりました、今日はありがとうございます、話を聞いてもらえて少し楽になりました」 「そうか、それでこの透明な箱はどうする?いらないなら私が引き取るが…」 青年が返すといって持ってきた箱を指さすと、青年は笑顔で答えた。 「やっぱり持ち帰ります、僕にはまだこれが必要みたいです」 あとがき 制裁以外の理由で虐待する人間を書こうとするとどうしても人間の屑みたいなやつになります 作者当てシリーズ このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/2962.html
※登場する人間達に名前があります。嫌な人は注意。 ※あまりいじめてません。 ※世界観・設定の描写がだるいので斜め読み推奨です。 要するに近代の田舎にゆっくりがいる設定です。 ゆっくりと小学校(前) U市郊外に位置するこの町は多くの山と川に囲まれ、自然を色濃く残している。 都市に近く、閑静な住宅街と綺麗な空気に恵まれた土地は人間にとっても、 数年前から現れだした生物風にいえば「ゆっくりできる」場所であった。 だが、町の開発が進んだ為か、環境問題の影響か 近頃では麓でも大型の鳥獣を見かけることは無くなった。 代わりに山に棲み付いたのが、「ゆっくり」と呼ばれる生物(ナマモノ)である。 「ゆ?」 「ゆっくりしていってね!」 何の前触れも無く全国に現れたこの「ゆっくり」の生態は不可解極まる。 「ゆっくりしていってね!」に代表されるように、ある程度の人語を操る。 出来の悪い生首のような体を持ち、不思議な力で跳ねて移動するが運動能力は低い。 そして、驚くべきことにその体は饅頭で出来ている。 「ゆっくり」が現れて以来、様々な議論が飛び交ってはいるが 殆ど皮と餡子で構成された生物がどうして生きているのか、 そもそもナマモノではなくイキモノとして扱うべきかという問題すら解決していない。 「「ゆっくちしていってね!!!」」 が、普通のの人にとってはそんな難しい話はどうでもよかった。 最初こそ大騒ぎになったがゆっくりが珍しい存在ではないと分かり、 それぞれがそれぞれの付き合い方を見つけていった。 畑を荒らされ踏み潰す者、一緒に遊んだりゆっくりする者、 食料として扱う者、ペットとして飼う者、人には言えない趣味に使う者、 ゆっくりと関わる人向けのビジネスに携わる者など、多種多様である。 「うん、ゆっくりしていってね。やっぱりかわいいなぁ。でもそこにいると・・・」 「えっへん! おねえさんはゆっくりできるひとd ゆっくりは主に自然が豊かな土地に棲む。 都市部はゆっくりにとってあまりにもゆっくりできない場所であった。 ゆっくり出来ない人や鉄の獣が飛び交い、潰されずにいるだけでも精一杯。 おいしい食べ物、きれいな水、ゆっくりできるおうち、どれも手に入らない。 全てが手にはいるゆっくりぷれいすを見つけたゆっくりは燃えるゴミと成り果てた。 自然豊かな土地に棲むというより都市で生き残れなかっただけかもしれない。 「ゆびゅっ!?」 そこに何も無かったかのように少女の目の前を車が通り過ぎて行った。 親れいむがいた所に残されているのは、親ゆっくり1匹分の餡子と皮。 ゆっくりが現れてからは珍しくない光景だ。 後に残されたのは子ゆっくり2匹と、登校中の少女が一人。 ソフトボール大の子れいむと子まりさは目の前の状況に頭が追いついていないようだ。 「「・・・ゆ?」」 「・・・」 いくら郊外とはいえ、道路の上に饅頭がおいてあればこうなる。 「ゆ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!! おかあさんがあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!」 「ゆうううう!!? どお゛ぢでえええええええええ゛え゛え゛え゛!!!!?」 「・・・・・・ごめんね、気づいてあげられなくて」 「ゆっぐ、ゆっぐ」 「ゆうぅうぅ・・・」 落ち着いたようなので、話を聞いてみることにした。 「どうして道路でゆっくりしてたの? 危ないよ?」 「どうろなんてしらないんだぜ! ・・・ゆっくりおやについてきただけなんだぜ・・・」 どうやらこの家族は車道についての知識がなかったらしい。 詳しく聞けば、以前は親まりさとたくさんの姉妹がいたが、 今日までに親れいむ1匹に子ゆっくり2匹の3人家族までに減ってしまったらしい。 あ、もう2匹か。 山でゆっくりできなかった家族が、ゆっくりを求めて降りてきたといった所か。 ゆっくりという生物は人間は元より、同サイズの野生動物と比べても脆弱であり、 子ゆっくり2匹がこの先生きのこるのは絶望的といえた。 「まりさ・・・。これからどうしよう?」 「ゆ・・・。ごはんのとりかたもわからないんだぜ・・・」 状況を察した少女が声を掛ける。彼女には当てがあった。 「ねね」 「「ゆ?」」 「良かったら私たちの学校に住まない? クラスで2匹、ゆっくりを飼う予定なの 君たちが来てくれれば、ちょうどいいんだけどな~」 「かうってなんなのぜ?」 「ゆっくりできる?」 少女が通う学校では命の尊さを学ぶため、学級毎に動物を飼うことが推奨されている。 彼女の学級では担任の愛子先生の強い希望で、近々ゆっくりを飼う事になっていた。 「うーん、毎日いっぱいご飯もらえて、みんなにかわいがってもらえると思うよー」 「「ゆゆ!!」」 途端に目を輝かせる子ゆっくり達。 明日からどうやってエサを確保すればいいのかも分からないゆっくりにとって、 これ以上ないほどゆっくり出来る条件に思えた。となれば乗らない手は無い。 「「ゆっくりつれていってね!!」」 「うん、任せて」 この子たちだけはゆっくりさせてあげよう。 そう思って少女は子ゆっくり達を力いっぱい抱きかかえた。 あの車のような理不尽な暴力から守ってあげる、と言わんばかりにきつく・・・。 「・・・!」 「・・・!」 「・・・・・・!!」 「・・・・・・!!」 「愛子先生なんていうかな~?」 「愛で子先生っ!おはようございますー!」 「おはよう。早いわね梨香さん。でも、メデコじゃなくてアイコ先生って呼びなさい」 「えー、でもその方が愛で派っぽくて先生らしいですよ~」 「・・・・・・出目金みたいでかわいくないじゃない(ボソ)」 「? なにかいいました?」 「なんでもないわ。ところで、さっきから抱えてるのって・・・」 「あ、はい! 実は・・・ってわあ!青くなってる!?」 慌ててホールドを解く少女。 「お゛ね゛え゛ざん゛の゛ゆ゛っぐり゛ごろじい゛い゛い゛ぃぃぃ!!!!」 「どぼじでごんなごどじだの゛お゛お゛お゛お゛!!?」 「ゆ゛っぐり゛あ゛や゛ま゛っでね゛ええ゛え゛え゛え゛!!!?」 「ご、ごめん、ごめんね? わざとじゃないの、ごめんなさいっ」 理不尽な暴力から開放されたゆっくりは梨香に罵詈雑言を浴びせ 少女・・・梨香はひたすら謝った。 「なるほど、それで拾ってきたのね」 「はい、ちょうど2匹ですし、他に家族もいないみたいで・・・」 「分かった。そういう事情なら野良ゆっくりを捕まえるより良いわよね」 「ありがとうございます!」 「じゃ、予定通りとりあえずはウサギ小屋に連れて行きましょう」 「あれ? 教室には連れて行かないんですか?」 「教室でおうち宣言されると困るからね。ウサギ小屋じゃ満足出来なくなるわ」 「なるほど。さすが元ブリーダーですね!」 これからのゆっくりライフに思いを馳せる2匹は、 頭上の会話などこれっぽっちも耳に入っていなかった。 「はい、ここが今日からあなたたちのおうちでーす」 「ゆー! ひろいね! ゆっくりできそう!」 「ゆゆ! わらさんがいっぱいあるよ!」 「まだ夜は寒いから寝るときはそれを使ってね。水のみ場はこっち」 「「ゆっくりりかいしたよ!!」」 「気に入ってくれたみたいね」 「ええ、よかったです」 「ゆっ? ごはんがないよ? ごはんがないとゆっくりできないよ!」 「おねえさん! まりさたちにごはんをもってくるんだぜ!!」 「後で係りになった子が持ってきてくれるから、その時にね」 「「ゆぐぐ・・・ゆっくりりかいしたよ!」」 「じゃあ、それまで3人で仲良くね!」 そう言って教師と生徒は去って行った。 「ゆゆ? さん? れいむたちはふたりだよ? おねえさんばかなの?」 「れいむ! おねえさんはいのちのおんじんなんだぜ! ばかなんていうなだぜ!」 「ゆゆっ! れいむがわるかったよ!」 「わかればいいんだぜ! れいむはゆっくりした子なんだぜ! すーりすーり♪」 「ゆゆー♪ おかあさんのぶんまでゆっくりしようねぇ! すりすりー♪」 すりすりする2匹の背後で、藁の山が、音を立てた。 「・・・そういうわけで、今日予定していたゆっくり取りは中止して、・・・」 子ゆっくりが最初に会った人間が梨香だったことは、幸運だった。 この町に限らず、山間の町村では愛で派の人間は少ない。 特に農家の人間には嫌われている。 現在でこそそれなりに対策されているが、 かつては田畑や「おうち宣言」の被害が数多くあった。 もしゆっくりが出会ったのがその被害者であったなら、最悪潰されていたかもしれない。 「梨香も物好きね~。わざわざゆっくりを拾ってくるなんて」 「久美ちゃんはゆっくり嫌いだっけ?」 「別に嫌いじゃないけど・・・。轢かれたのが猫とかじゃなくて良かったわ」 今月のゆっくり飼育係は、先生の話を聞いていなかった2名に決まった。 がさがさっ 「「ゆ!」」 「・・・」 白い体に赤い目を持った生き物が、こちらを見つめていた。 「ゆゆ? どこから入ってきたの!?」 「ここはれいむとまりさのおうちだよ!!」 「ゆっくりでていってね!」 「でていってね!!」 白い生き物-この小屋の先住民であるウサギは、だまってゆっくりを観察していた。 ひくひくひくひく 「きいてるの!! ゆっく・・・ゆぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛!?」 「どうしたのまりさ! ・・・ゆああああああ゛あ゛あ゛!?」 ウサギの鼻は結構高速で動く。 ゆっくりからしてみれば、とてもゆっくりしていない。 直視に耐えられる光景ではなかった。 ひくひくひくひくひくひく... 「ゆっくりしてね! ゆっくりしていってね!!」 「ゆっくりやめていってね!! もっとゆっくりうごいてね!!」 ヒクヒクヒクヒクヒクヒクヒクヒクヒク... 「「どぼじてゆ゛っぐりじでぐれない゛の゛お゛お゛お゛お゛!?」」 ウサギにゆっくりの言葉が通じるはずもない。 目を逸らせば良さそうなものだが、全く気づいていないようだった。 「ゆっくりー、どうしたの?」 「ゆっくりしてないなー」 心配そうにウサギ小屋を覗き込む少女と、どうでもいいと言わんばかりの態度の少女。 「お゛ね゛え゛ざん゛ん゛ん゛!! どういうごとな゛の゛おおおお!?」 「しろいのがいでゆっくりできないよお゛お゛お゛お゛!!!」 「ここからだして!! おうちかえる!!」 「あれ、言ってなかったっけ。ゆっくりを飼える大きい部屋がここしかないの」 ここから出ても生きていけないことを知っている少女達はゆっくりをなだめる。 「落ち着いて、ウサギさんは怖くないよ」 「ほら、エサ持ってきたよ」 「ゆ! やさいさんだ!!」 嘘泣きをしている子供よりも切り替えが早い。 「すごくゆっくりできるたべものだよー!!」 どうやら野菜の味を知っているらしい。 他の家族が全滅した理由と関係があるのだろうか。 「はい、どうぞ」 金網越しに、小屋の中へ細長く切った野菜を差し入れられる。 「ゆー! ゆっくりたべりゅぶっ!?」 「れいぶう゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛!?」 野菜の前で待機していたれいむを踏み台に、ウサギが野菜にかじりついた。 「あ、ウサギさんにたべられちゃった」 「どおしでごんなことする゛の゛おおおおお!?」 「いや、もともとウサギのえさだし。喧嘩すんなよ」 「ごめんね、でも大丈夫。いっぱいもってきたから」 「ゆぐぐ・・・。おねえさん! つぎはまりさたちにちょうだいね!!」 「ゆ゛・・・はやくおりてええぇえ゛ぇ!」 「うさぎさんはあっちいってね!!」 「まりさのごはんとらないでね!! とらねいでねえええ!?」 「ゆぎゃ!!」 「いつまでたべてるの゛お゛お゛お゛お゛お゛!!?」 それから、何度えさを差し入れても、全てウサギが食べてしまうのであった。 「えさ、なくなったね」 「うー、こんなはずじゃなかったんだけどな。ごめんね?」 「ゆっぐりでぎな゛い゛い゛い゛い゛い゛!!」 「たべさせてよ゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!」 「次から小屋の中で直接あげよっか」 「そうする・・・」 元ブリーダーの先生がいれば、もっとうまく面倒を見ることが出来る。 しかし、これは生徒達が命の尊さを学ぶ為に与えられた機会。 生徒達が試行錯誤し、自ら成長することこそが重要で 結果的に生き物が死んでしまったとしても、有意義な経験になる。 そのため、愛子先生を含めた職員達は、基本的に手を出さないことになっているのだ。 「じゃあ、また放課後に来るね」 「ゆ゛!? おいでがないでね゛え゛え゛え゛え゛!?」 「ほんとにうるさいなー。あんなののどこが好きなの?」 「まだごはんたべでないよお゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!?」 「んーとねー・・・」 「「ゆ゛っぐりざせでえ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!!!!」」 2匹の叫びを聞くものは同居人のウサギだけだった。 つづく このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/716.html
ゆっくりいぢり ゆっくりをからかう ゆっくりれいむがいたので、最近思いついたいたずらをしてみようと思う。 「ゆっくりしていってね!!!」 「ゆゆ!? おにーさんゆっくりできるひとなの!? ゆっくりしていってね!!!」 実にゆっくりらしい反応だ。こうでないと今回のいたずらは面白くない。 手に取りたるはタイヤキ、中身はクリームではなく餡子だ。 「ところでれいむ、コレがなんだか知ってるか?」 と、タイヤキを持ってれいむに見せてやる。 「しってるよ!!! とってもあまくてゆっくりできるものだよ!!!」 「じゃあ、コレの中身が何なのかも知ってるな?」 「しってるよ!!! あんこだよ!!!」 「ということはお前の仲間だな? お前は仲間も食べるのか?」 「こんなのれいむのなかまじゃないよ!!!」 「お前の中身は餡子だろう? 仲間じゃないか」 「ゆゆっ!!! じゃあ、タイヤキってれいむのなかまなの!?」 「ああそうだ。お前は仲間を食べてたんだよ。 タイヤキはしゃべれないから痛くてもやめてって言えなかったんだな。 しゃべれないのをいいことにいじめるなんて……おお、こわいこわい」 「ゆゆゆ……だいやぎざん、ごべんな゛ざい゛…… ゆっぐ……ゆっぐ……うわーん!!!」 さて、本格的に泣いたところでネタ晴らしだ。 「うっそぴょーん!!! タイヤキはタイヤキ職人さんが作るお菓子なの!!! はじめっから生き物じゃないんだよ!!!」 「ゆゆ!? おにーさん、れいむのことだましたね!!! ぷんぷん!!!」 「ほら、コレをやるから機嫌直せよ」 といってさっきまで持ってたタイヤキをれいむの目の前においてやる。 「ゆ!! いただきまーす!!! むーしゃ、むーしゃ、しあわせー!!!」 「ハハハ……こんなんで幸せって、ずいぶん安いもんなんだな」 「ゆゆ!!! れいむやすくないよ!!! ゆるしてほしかったらもっとたいやきちょうだいね!!!」 結局、俺はこの日れいむにタイヤキを5個も食べさせる羽目になったのであった。 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/362.html
うちの庭はゆっくり達によく荒らされる。 花壇(すでに雑草だらけ)や池、そして外敵が少ないせいなのだろう。いつの間にかゆっくりが来て荒らしていくのだ。 今は面倒なので荒らされたまま放置しているが、それでもゆっくり達は煩いし何かとうざい。 最初は潰して駆除していたが、飽きずに奴らは来る。ゆっくりの死体を放置していても「はふはふっ」と食う始末だ。きもい。 なのでこの際やつらで遊ぶことにした。 そのために今回使うのは『ギロチン』。そう、首をはねる処刑道具だ。 今回はそれをゆっくりに使うわけだ。 早速庭にいるゆっくり霊夢の家族を部屋に連れていくことにする。 一週間ほどから庭に住み着いているゆっくり霊夢の家族は子ゆっくりが多く、マジでうるさい。 普段は閉め切っている庭への入口を開けるとちょうどゆっくり家族は池の脇でゆっくりしているところだった。 俺は奴らに近づくと『⑨でもわかるゆっくり虐め by阿Q』に従って声をかける。 「ゆっくりしていってね!」と。 「「「「「「ゆっくりしていってね!!!」」」」」」 ああうるさい。特に子ゆっくりの声は甲高くて耳に障る。 「ゆっ、おじさんどうしたの? ここはれいむたちのおうちだよ!!」 「いまみずばでゆっくりちてるのー!」「おじさんゆっくりできるひとー?」 おじさんとはひどい。まだ10代(16進数)だぞ。しかし我慢だ。 「ああ、ゆっくり出来るよ。おにいさんはほら、隣のおうちに住んでいてね。挨拶にきたんだよ」 「そこのおうちはおじさんのおうちだったんだ!」 お、一応そこの分別はあるんだな。ただこの庭も俺の家なんだけどな。 「おじさん!」 バスケットボール大ほどの一番大きな母ゆっくりが話しかけてくる。他の子ゆっくり達は水遊びに戻っていた。 「ん、なんだい?」 「おじさんのおうちはきょうかられいむのおうちにするね!!」 前言撤回。やっぱこいつら分別ないわ。いや、そういう次元の問題じゃないわ。 「あ~、だめだよ。でもおにいさんのおうちに来てゆっくりさせてあげてもいいよ」 「ゆっ! じゃあゆっくりおうちに入れてね!!」 あいよ、と子ゆっくり共々我が家へ入れてあげる。 入ってすぐの部屋が今日のために用意したゆっくり虐待ルームだ。なのでゆっくりに使う道具以外は何も置いてない殺風景な部屋である。 「はい、ここがおにいさんのおうちだよ。ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしていくね!!」と母ゆっくり。 「ゆっくりちていくね!」「ゅ!なにもないよ!」「でもきのいたが冷たくて気持ちいいよ!!」 続く子ゆっくりは反応が様々だ。えぇと、全部で11匹か。母親ゆっくり含めて12匹と。 「おじさん、れいむたちのあたらしいおうちには食べ物がないの? ゆっくりもってきてね!」 「ちょっ」 もう新しいおうちとか言いやがった。ありえん(笑) …というかおじさんはいい加減やめて。 「わかったよ。でもその前にゆっくり楽しめるおもちゃで遊ぼうよ」 「あとでいいから食事もってきてね!」といい加減うざい母ゆっくりだが、子ゆっくりは楽しめるおもちゃという言葉に反応する。 「おもちゃ! ゆっくりだしてね!」「ゅーゅー♪」「おもちゃがさきにほしいよ!!」 そんな感じで子供が言うので母親も食事は後でよくなったようだ。 そしてようやくギロチン様の登場だ。 ゆっくり向けに作ったので高さは大体1m。刃はギロチンの高い所に留め具で固定されていて外すと刃は落ちるというわけだ。 さらに刃の背中側には一本の長い縄が付いていてそれを引っ張っていれば留め具がなくても落ちることはない。 ちなみに威力は実証済みだ。腕ぐらいに太い木の枝もバッサリだぜ。さすが冥界の刃だ。 ああ、もう早くこいつらを真っ二つにしたい。でももう少し我慢だ。 「ゆっ? なにそれ???」「たのしめるの??」「おじさんこれでゆっくりできるの??」 子ゆっくりは見たことのない道具に興味心身だ。 「まぁ待てこうやって使うんだよ」 俺はポケットから饅頭を出してギロチンへとセットする。 「ゅー!おまんじゅうたべたいよ!!」「ゆっくりわけてね!!」 なんて言いながらギロチンに突っ込んでくるゆっくりしない畜生どもを弾く。食べ物見るとこれだよ。 「ゆっくり見て行ってね!」 「「「「ゆっくりみていくね!!!」」」」 条件反射でゆっくり挨拶を返すゆっくり家族。扱いやすいなー。 「よーし、みてろよー」 留め具を外す。縄を手から放す。刃が落ちる。饅頭真っ二つ。 まさに一瞬だ。 ゆっくり達もびっくりしてるようだ。 「ゅー、こわいよー!」「おじさんこれじゃゆっくりできないよ!!」「ほかのおもちゃよういしてね!!「あとおかしもだしてね!!!」 さすがのゆっくりも危険なものだと判断出来たらしい。それはむしろ好都合だ。 俺は俺に向かって食事をもってきてねとうるさい母ゆっくりをギロチンの台にセットする。 「ゆゆっ! なにするの!!? ゆっくりやめてね!!!」 無視しながら母ゆっくりが逃げ出せないように固定する。あと、しゃべらせないために口に布をつめてやる。 「むぐーっ! んんぐぐぐぐーーーー!!!」 「ゅ! おじさんなにするの!!」「おかあさんをゆっくりはなしてね!!」「ゆっくりできないおじさんはしね!!!」 子ゆっくり達は勇敢にも体当たりしてくる。しかしダメージなどあるわけがない。 「おいおい、これからが楽しいんだぞ?」 「なにいってるのかわからないよ!! ぜんぜんたのしくないよ!!!」「はやくおかあさんをゆっくりたすけてね!!!」 11匹の子ゆっくりが抗議してる中、俺はギロチンの留め具を外した。 「アーッ!!」「おがあざああああん!!!」「やめでえぇぇぇえ!!!」「ゅーーー!!!」 しかし刃は落ちない。そりゃそうだ。刃に付けた縄を掴んでるので落ちることはない。 「ゅっ! おちてこないよ!!」「ゆっくりたすかったね!!」「おじさんのばーかばーか」「ゅー♪」 「お前ら馬鹿か? 馬鹿だろ? いや、馬鹿だ。俺がこの縄を放したらどうなるか覚えてないのか」 言うと勝ち誇っていた子ゆっくり達の顔が固まっていく。 「い”やぁぁぁぁぁ!!」「おじさんばなざないでぇぇ!!」 「じゃあこの縄をお前らが引っ張れよ。俺はもう放す」 俺はそう言うと縄を刃の上方、ギロチンの頂点に備え付けていた滑車に引っかけると子ゆっくり達に残りの縄を投げつけた。 長い縄なのでゆっくり全員で引っ張れるだろう。 すると子ゆっくり達は数秒考えた。 「みんなでおかあさんをゆっくりたすけるよ!!」「なわをみんなでひっぱるよ!!」「ゅー! ひっぱるょ!」 ゆーゆーと何やら気合い入れると、子ゆっくり11匹は縄を咥えて引っ張りだした。 それを確認すると俺は縄から手を離した。と同時にゆっくり達に襲いかかる重み。 「おもひよ!!」「へも、みんふぁでふぁんふぁればふぁいようふだひょ!!」 翻訳すると重いよ、でもみんなで頑張れば大丈夫だよ、か。いつまで保つやら。 だがしかし、子ゆっくり達の母を思う力は強いようだ。すでに始ってから3時間が経とうとしていた。 がんばってはいる。だが小さなゆっくりほど疲れが見てとれた。 「がんばるなぁ。そんなお前たちに感動したからお菓子用意したぞ」 床に色んな種類のお菓子をばらまいてやった。なんてやさしいんだ俺。 ゆっくり達は物欲しそうな瞳で床に散らばったお菓子を見る。 ちょっと縄から口を放して跳ねれば食べられる距離。そう、母を見捨てて家族を裏切ればの話だ。 子ゆっくり達は家族の絆と食欲の間で揺れ動く羽目になった。 (これからが楽しいところだな) ゆっくり達は食欲に弱いからな。食料が無いために共食いするなんてこともよくあること。 俺は隣の部屋へ移ると、扉にあけた覗き窓から様子を観察することにした。 お菓子を床に置いてから5分程だろうか。もっと短かったかも知れない。 一番のちびゆっくりが食欲に負けてお菓子へと飛び付いたのだ。 「ゅー!おいちいよ! ゆっくりできるー!!」 母や姉にも遠慮せずにバクバク食べるちびゆっくり。 子供なら仕方ない、そう言えるのは通常時のみ。今はゆっくり達にとっては緊急事態なのだ。 乱闘でも起こるかなと思ったがこのゆっくり家族は思いのほか絆が強いようだった。 一番の姉であろうゆっくりは言う。 「ゆっくりみんなのぶんもってきふぇね!!」「おかしみんなでたふぇたらげんきになっておかあさんたすけられるよ!!」 ちびゆっくりを責めず、今のゆっくり達にとって最良になりえる指示を出した。 だが、ちびゆっくりはその言葉を聞くと、 「ゅ! ぃゃだょ!!! これはぜんぶわたちがたべるの!!」 「だめだよ! おがあざんじんちゃうよ!!」 「おねえちゃんがたすけてね! わたちつかれたよ!!」 「つかれてるのはみんないっしょだよ!!」 しかしここで妹ゆっくり達が動き出した。 このままではちびゆっくりに全部のお菓子を食べられてしまう。 一人ぐらい縄を放しても大丈夫だろう。 食欲と集団心理が彼女たちを動かした。 一匹、そしてまた一匹と縄から口を放してお菓子に口をつける。 「はふっはふっ! うっめめっちゃうっめ!!!」 「な"んでみんないっぢゃうの"おぉぉぉぉ!!」 姉の悲鳴が響く。もはや縄を咥えて引っ張っているのは二匹だけだった。 姉妹の中でも大きい二匹だ。少しの間がんばった。つまり少しの間しかもうがんばれなかった。 ザンッ!!!! 「むぐっ!!?」 無常な風切り音と母ゆっくりの小さな断末魔が聞こえた。 見ると母ゆっくりは綺麗に真っ二つに斬られている。少し意識が残っているようだったが、餡子が床へ流れ出て死んだ。 さて、子ゆっくりはというと、 「なんで放したのぉぉぉ!!!」「おねえちゃんのせいだー!!」 「おねえちゃんとはもうゆっくりできないよ!!」「ゆっぐりじねぇぇぇ!!!」 ひどい話である。最後までがんばった姉ゆっくり達を、がんばらなかった妹ゆっくり達が責める。それもお菓子を頬張りながら。 姉ゆっくりはぷるぷると涙を浮かべながら震えていた。それは何かを我慢しているようだ。 「ゅー♪ がんばれなかったおねえちゃんはゆっくりちんでね!!」 一番最初に縄を放し、さらに家族の崩壊を招いたちびゆっくりの罵倒がトリガーとなった。 「うががあああああ!!!」「あががががが!!!」 突然ゆっくりとは思えない叫び声を上げて二匹の姉ゆっくりが暴走する。 二匹が向うのはまずちびゆっくり。 「ゅ!? うべぇっ!!??」 突進してきた姉ゆっくりに反応もできずに潰されてしまった。 もう一匹の姉ゆっくりは生きてるとも死んでるとも判別付かないソレに飛び乗るとそのまま何度も跳ねた。床に広がっていく餡子。 これでちびゆっくりは完全に死んだ。 「ゆ!? おねえちゃんたちやめてね!!」「ゆっくりさせてえぇぇぇぇ!!!」 「やあぁぁぁ!!!」「あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"」 鬼と化した姉ゆっくり達に恐怖し、バラバラに部屋を跳ねまわる。 鬼ごっこの始まりだな。ただし鬼は殺る気モードの二匹だ。 追うものと追われるものでは動きがまるで違う。 追われるものは恐怖からか上手く跳ねまわれず、終いには転ぶ。 そうして小さく力の弱いゆっくり達から鬼姉ゆっくりに挽き潰され、噛みつかれ、そして食われた。 「や”あ”あ”あ”!! お、おじさんどこいったの!? おじさんだずげでぇぇぇ!!!」 おにいさんと言え。そしたら考えたかも知れない。あ、だめだ。食われたw そして10分程度でリアル鬼ごっこは終了し、11匹いた子ゆっくり達も姉ゆっくり2匹を残すのみとなった。 体は餡子にまみれ、髪には白髪がまじり、目は恐怖ではなく狂気で見開いていた。 こえぇ、これは子供が見たら絶対泣くぜ。 あまりに怖いからこの二匹はこのままこの部屋に放置しよう。 「ぎゃぅぁあばば!!!」 「なんだなんだ?」 その夜、あの二匹を放置した部屋から悲痛な声が聞こえたので慌てて見に行った。 「こいつら…」 するとその二匹が争っていた。口元には餡子。見ると部屋にまき散らされた餡子が無くなっていた。 ギロチンの周り、母ゆっくりが在った場所にも、だ。 (こいつら食べやがった。あんなに助けようとしていた母ゆっくりまでww) そしていま、お互いを食べようと睨み合っているのだ。 これは食欲じゃないな。お互い食べられるかもと信用できないんだ。 勝負は意外とあっさり終わった。 一匹が体当たりすると、体当たりされたゆっくりは転がっていった。 転がったゆっくりは台に落ちている刃へ当るとそこで止まった。 「ぐぁ…ぅ」 体当たりされたゆっくりは相当な衝撃を受けたせいで朦朧としている。 体当たりしたゆっくりはギロチンの縄を咥えて引っ張った。 数時間前は助けるために引っ張っていた縄。しかし今度は殺すために縄を引っ張った。 動けないゆっくりは、刃が上方に昇ったせいでよっかかる物が無くなったのでギロチン台へと突っ伏す。 それを確認した縄を咥えたゆっくりは、縄を放し、姉妹を処刑した。 「うげげげげげげげげげげげげげげげげげげげげ!!」 鬼と化し、完全に狂ったそのゆっくりは一晩中笑い続けた。 結局俺はその狂ったゆっくりを野へ放してやった。 殺したら何だか呪われそうだし、家に置いていても笑い方が怖くて眠れないしな。 それからしばらく我が家の周りに種別問わずゆっくりの死体が増えることになる。 数ヶ月後にはゆっくり達の屍の上で鬼のような顔をしたゆっくりが息絶えていたらしいということを聞いた。 終
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/594.html
「ゆっくりしていってね!」 俺は家へ帰る途中に突然飛び出してきたゆっくりまりさを避けた結果、俺は自転車もろともお空へダイブした。 キラキラと太陽の光を受けて輝く自転車と川を見て世界全てがこんな風にキラキラしてたらきっと素敵だと俺は思った。 「わ~おそらをとんでる~♪」 こちらを見上げてそんなことをほざいてるゆっくりまりさに心中でやかましいわと悪態を突きつつ 俺は自転車から離脱して受身を取った、この間約2秒。 「ぐぅっ、は、速鷹号おおおおおお!!!」 俺は無傷だったものの我が愛機は突然増水した川に落ちてポロロッカしていった。 「ゆ~おにいさんよかったね!」 「な、何故にホワイ!?」 人の愛機が河童の川流れされたというのにこのド饅頭は何をほざいていらっしゃるのだろうかと俺は驚愕した。 「あんなゆっくりできないのりものにのってたらゆっくりできなくなるところだったよ! これからはゆっくりしていってね!」 俺はかなり豪快なスピードで堪忍袋の尾が切れた。 後悔させてやる。 お前は全てのこよなくスピードを愛する自転車乗り達を敵に回したのだ。 とりあえず俺はゆっくりまりさをマイハウスへと導いたのだった。 「ゆ♪まりさをおにいさんのおうちにつれてきてくれてありがとう! おれいにずーっといっしょにゆっくりしいってあげるね♪」 ゆっくりまりさは俺の家に入るや否や満開のスマイルでお礼を述べた。 この笑顔がこれから苦痛に歪むと思うとドキドキして愉快でたまらない。 「ああ、ゆっくりしていってくれ…できるものならな!」 そう言うと俺はゆっくりまりさの目の前でシババババっと高速で反復横とびを開始した。 「ゆ?!おにいさんゆっくりしていってね!ゆっくりしていってね!」 俺の余りに素早い挙動にゆっくりまりさは目を白黒させている。 ゆっくりすることを信条とする貴様にはゆっくりしているどころか 全開ギリギリのスピードで動き続ける俺の姿を見るのはさぞかし苦痛だろう。 「ゆぅ~!ゆっくりできないおにいさんとはいっしょにいられないよ! もうおうちかえる!」 そう言うとゆっくりまりさは俺に背を向けて外へ出ようとした。 「おっとそうはイカのコンコンチキ!」 俺はシュッパーンとゆっくりまりさの前に回り込むと今度はゆっくりまりさを中心に体はゆっくりまりさに向けながらぐるぐると回転を始めた。 「ゆぅぅぅぅぅうぅぅぅ~!?やべでよおおおおお!おうちかえしてええええええ!!」 さて、こんな感じで10分ほどまわっていたが自転車で鍛えた俺の足腰も流石にきつくなってきた。 限界をオーバーしてしまうのも時間の問題だろう。 「ゆ?ちょっとゆっくりしてきて…」 「記憶を失え!」 そう言って俺はゆっくりまりさの背後に回り後頭部に水平チョップをかますとゆっくりまりさは気絶した。 「ふぅ…」 俺は脚や疲れた箇所をアイシングしスポーツドリンクを一本のみストレッチを済ませた。 そろそろゆっくりまりさが起きそうになり、俺はまたその目の前で反復横とびをはじめた。 「ゆゅ~……ゆ!?どうしておにいさんがゆっくりしてないの!?」 ゆっくりまりさがぽやぽやとまぶたを上げて目を覚ました。 「くくく…やっとおきたか、俺の余りにもゆっくりしてなさに気絶してしまったお前は気付いて無いだろうが お前が寝てる間ずっとこうやってゆっくりしてないところを見せ続けてたんだぜ…?」 俺はにやりと笑いながら寝起きのゆっくりまりさに言い放った。 「ひぃ!?いやあああああああ!ゆっぐりでぎなよおおおお!おうぢがえる!おうぢがえるうううう!!!」 余りのゆっくりしていない事態にゆっくりまりさは悲鳴を上げた。 「ほう、もうおうちに帰るのかい?随分とゆっくりしてないじゃないか こりゃ俺のゆっくりしてなさがまりさに移ってきたようだな」 「!?まりさはゆっくりしてるよ!ゆっくりしていってね!」 ヒステリーを起こすゆっくりまりさにさらなる追い討ちをかけるとゆっくりまりさはガクガクと震えながらゆっくりを主張し始めた。 「その焦りっぷりがゆっくりしてないのさ!」 俺はさらに反復横とびのスピードを加速した。 「ゆ゛っぐり゛い゛い゛い゛い゛いいいいいいいい!?」 ゆっくりまりさは遂に耐え切れなくなり餡子を口からぶくぶくと吐いて果てた。 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/120.html
ゆっくりの貴重な出産シーン 今、まさに出産を迎えようとしている母ゆっくりがいた。 一見すると通常のゆっくりまりさに見えるが、異様なのは顔一つ分の下膨れと、並外れた巨躯。 帽子を除いた高さだけでも人間の腰の高さを越え、妖精の背丈ほどにもなろうかというほど。 育ちきったゆっくりの姿だった。 ゆっくりを育て上げたのは、外敵に食われず、人に殺されず、餌にも飢えなかった環境と幸運。鈍重な体で、真のゆっくりを体現している。 このゆっくり程の巨躯となると、出産の方法も通常の若い固体とは異なっていた。 通常の母体が伸ばした蔓の先にみかん大の子供がわらわらと実る産み方では、小さく破けやすい上に自然界に生まれ落ちる同時に無力な捕食対象となってしまう。 だが、この大きさのゆっくりにまでなると蔓を伸ばすことも無く、その母体の内部で子を成体に近い大きさにまで育んでから出産を行う。 決して多くは産めないし、時間も要する方法だが、生まれる子ゆっくりはほとんど成体に近い体躯と知能を持つため、赤子と比べると高い生存率を誇っていた。 さらに生存率を飛躍的に高めていたのは、母体を痛めて直接生み出すことによる母性の形成だった。この出産方法を経た母ゆっくりには、生まれた子を自分の子だと強く認識させる深い母性が宿る。 出産の手順は、まずは顎の付近の皮を裂いて黒い穴が生じることから始まる。その穴をこじ開けて、めりめりと外へ吸いだされていく子ゆっくり。皮膚と内部をかき回されるような激痛にぶるぶると震えながら、本能を超える愛で歯をくいしばって耐える。 その命を削るような痛みと、自分で命を生み出す恍惚、そこにいたるまで自分の中で育つ命の愛おしさ。自然と人の親子のような母性を持つ母ゆっくり。 「ゆうううう、ゆううううー」 今、巨躯を振るわせるこのゆっくりも同じだった。今生まれようとしている我が子に、狂おしいほどの愛しさを感じている。 荒い息を吐き出し、ぶるん、ぶるんと発作のようにその巨躯が波打つ。 「ゆっゆっ!」 母ゆっくりが短い、ひきつったような声を上げ始めた。 目にはぽろぽろと滝のような涙。 出産の時が近い。 (ゆーゆー) 母ゆっくりの体内で安らかな呼吸をくり返す一匹のゆっくり。 そのゆっくりが意識をもったのはいつ頃だろう。 視界が体内の暗闇で塞がれているが、心に不安はまるでない。 まだ光を体験していなかったことと、あらゆる怖いものから自分を隠してくれるような暗がりに、絶対の安らぎを感じていた。 そんな至高のゆっくりの海に、その子ゆっくりは漂う。 いつだって心を穏やかにさせてくれる暖かさに包まれている。 母ゆっくりと言葉を交わせない寂しさもまるで感じなかった。 なぜなら、子ゆっくりは自分のすぐ隣でその温もりを分け合う、もう一匹の姉妹の存在に気づいていた。 その存在が姉か妹か、はっきりするのはもうしばらく後。 今はその時を二匹、ゆっくりと肌を合わせて待っている。 (お外はどんなところなんだろうね) 知能はあるが、知識のない子ゆっくりたち。 体をよせあって、あれこれと外の世界を想像するが、まったく予想もつかず、ただ期待と不安だけが膨らんでいた。 どきどきして、期待で身震いする子ゆっくり。 すると、ぴったり肌を寄せ合う姉妹に震えが伝わる。 (こわくても、ゆっくりしていってね! (こわくないよ! ゆっくりできているよ!) 姉妹の心配を呼び込まないよう子ゆっくりは元気に応じた。 微笑ましい母ゆっくりの体内の光景。 だが、それもまもなく終わりを迎えようとしている。 変化は突然始まった。 「ゆ゛!? ゆゆゆゆ゛っゆ゛っゆ゛っ!」 母ゆっくりの濁った悲鳴。 (ゆゆゆゆ!?) 続く振動がゆっくりたちを激しく揺らす。 熱い。 母体が興奮して熱を発していた。 途端にぎゅうと、ゆっくりたちの体にくわえられる圧力 「ゆうううう、ゆうううううー、ゆううううううーっ!」 長く、荒い息遣いで繰り返される母ゆっくりの呼吸。 その吸い上げる息にあわせて、肌を寄せ合っていた姉妹ゆっくりが離れていく。 (ゆっくりひっぱられていくよ!) 子ゆっくりは遠ざかる姉妹ゆっくりの声に、自分が妹となることを確信していた。 姉ゆっくりが生み出されれば、次はすぐに自分の番。 少しだけの不安と、たくさんのワクワクに子ゆっくりの心は躍った。 そうだ、お外に出るときは勢いよく飛び出そう。お母さんとお姉ちゃんを「元気にゆっくりしているよ!」と安心させてあげよう。 そうして、お母さんやお姉ちゃんにすりすりとほっぺをあわせて、ゆっくり幸せを味わおう。 「ゆ……ゆ゛っぎゅりいいい!」 びりびりと雷のような母ゆっくりの絶叫。 ついに出産がはじまる。 歯を食いしばる凄まじい表情の母ゆっくり。 その顎には真っ黒な空洞が生まれていた。 「ゆぎいい、ゆぎいいいいい!」 絶叫がこぼれるたび、その穴が押し広げられていく。 やがて、中からのぞいたのは、子であり、もうすぐ姉となるゆっくりまりさの瞳。 眩しそうに外の世界を見ている。 少しづつ、みちみちと押し出される子ゆっくり。 口元までが露出して、不思議そうに外を見る様子が伺えた。 「ゆ?」 一足早く母体から盛り上がり、外気に触れたゆっくりまりさの唇から困惑の呟きがもれる。 子ゆっくりの眺める世界は不思議に満ちていた。 今、生み出されようとしているこの空間は円筒状。さらに中央が大きくすり鉢上にへこんでいる。部屋の奥行きは母ゆっくりを6匹並べた程度。外の世界というのは、思ったよりも狭いらしい。 しかし、ゆっくりを本当に混乱させたのは、その円状の壁ぞいをみっちり埋め尽くす他のゆっくりたちの存在。みんな、母ゆっくりと同じ巨体で、壁から伸びた縄のようなものを口に深く咥えているのもおそろいだった。 「ゆ゛っ!」 母ゆっくりの鈍い悲鳴とともに、さらに外に押し出される子ゆっくり。完全に外に放たれるまであと一息だ。 だが、子ゆっくりにとって残念なことに、ゆっくりできるスペースがあまり多くはなさそう。 その室内で平坦なのは、円となって壁沿いに丸く並ぶ母ゆっくりたちがいるところだけ。後は中央へ向けて、落ち込むだけの漏斗状のスロープとなっていた。ゆっくりの丸い体では、転がり落ちるしかない斜面。 転がる先、部屋の中央には黒い小さな穴と、一本のそそり立つ柱。天井をも貫いて、空へ向かって一直線に伸びている。 あそこはゆっくりできるところなのかなと目を凝らしても、子ゆっくりの目には鮮明に映らない。すり鉢状のスロープは深く落ち込んで、影をつくりだしていた。 あんなとこより、お母さんのそばでゆっくりしたいなと素朴な希望を持つ子ゆっくり。だが、横目で見れば母ゆっくり自体がいる平坦な床もほとんどスペースがなく、母ゆっくりたちですら体は3分の1ほどははみ出している。今すぐにもスロープへ転がっていきそうな状況。 それを防いでいたのは、壁の縄だけだった。ぎゅうぎゅうに縛りつけられて、母ゆっくりたちは例外なく壁にはりつけられている。 なんで、母たちがそんなことをしているのか、子ゆっくりにはさっぱりわからない。 子ゆっくりに疑問が生じたそのときだった。 「ゆ゛っ!!!」 一際強い母ゆっくりの声。同時に、ぽんっという軽快な音とともに子ゆっくりは宙に飛び出していた。 堪えに堪えてから生み出されるため、大抵の子ゆっくりたちは勢いよく飛び出す。とはいえ、成体に近い体は衝撃を受けても大丈夫。ぴょんぴょんとはね回って、母ゆっくりに無事を報告する。 子ゆっくりもまた、元気よく空中で一回転する。その裏返った視界の中で、初めて母ゆっくりの顔をちらとみた。 凄まじい痛みの後だというのに、この上もないあふれた笑顔。 出産直後の母体の表情。それは母性に満ち溢れた、ゆっくりにとって最も幸せな表情を見せるという。 自分を生んでくれたお母さんが、そんな笑顔で迎えてくれた。子ゆっくりの顔も綻ぶ。ゆっくりまりさが生まれて初めてつくる表情は、笑顔。 幸福な光景だった。母まりさが蕩けそうな笑顔を消し、血走った瞳を見開くまでは。 「い゛や゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ!」 裂けるほどに口を開き、歯茎をむき出しにしての母ゆっくりの絶叫。いや、咆哮。 ぺたん。 びくりと怯えたままの子ゆっくりの体がスロープに落ちた。 「ゆ?」 そして、スロープと呼ぶには急勾配すぎるその坂道を一気に転がりだす。 ころころと、勢いがついて止まらない。 すさまじい勢いで回転する視界に、子ゆっくりは声もでなかった。 未だ続く母ゆっくりの絶叫を聞きながら、転がるままに部屋の中央にある黒い穴へと。 だが、穴には先客がいた。 きっと、この先客も同じように生み落とされた子ゆっくりなのだろう。 自分と変わらない大きさのゆっくりれいむが一匹、穴にはまりこんでいた。 穴の広さはちょうどゆっくり成体一匹分。 張り込む隙間も無く、ぼゆんと仲間の体に弾かれたゆっくりまりさ。 「ゆぐっ!」 スロープに再び叩きつけられ、息を吐き出す。だが、深い傾斜はゆっくりすることを許さず、再び穴の方へころころと転がり出す。加速していく体。勢い余り、穴に埋まったゆっくり霊夢の頭の上を通り過ぎる。 その先には、そそり立つ柱。 「ぶべ!」 穴に接するその柱にぶつかり、ユーモラスな悲鳴を上げる子ゆっくり。じんわり涙が浮かぶ。 だが、その衝撃のも係わらず、柱は微塵も揺るがなかった。ゆっくり二体分の太さで雄雄しくそそり立っている。仰向けに転がるゆっくりの視線の先には、青空を背景にゆっくりと回る風車の羽。 だが、生まれ出されるなり激痛を味わった子ゆっくりには風車どころではない。 い゛だい゛よううと、母の姿を求めて坂の上を見上げる子ゆっくり。 だが、同時にその傾斜の深さを思い知る。 下手に登ろうとしても、丸い体は転がり落ちてこの穴か柱にぶつかっていくだけ。 他に母の元へ登っていく手段も、どこにもみつからなかった。 坂道を前に途方に暮れて、ゆっくりと困り果てる。 「ゆ……ゆ……」 だが、体の下でうごめくゆっくりれいむに気づくと、本能が疼いた。まず、ゆっくりのとるべき行動は一つ。 「ゆっくりしていってね!」 初めて会った別種に向けて、本能に焼きついているご挨拶。 だけど、返答はない。 ぷうと、頬を膨らますゆっくりまりさ。もう一度ゆっくりを呼びかけようとした時だった。 よりかかっていた木製の柱が静かに回りだした。 「ゆっ!」 慌てて飛びのくまりさ。 「ゆゆっ!?」 足元のゆっくりれいむは穴にはまりこんで動けない。 「い゛や゛ああああ! ゆ゛っぐり゛でぎなああい!!!」 床を震わす絶叫の後「ゆ゛ぎぎぎぎぎぎ」と、ゆっくりがまず口にできないような呻きが床下のれいむから響き、すぐに鳴り止んだ。 訝しんで、様子を探るまりさの耳に、ぴいぴいと空気がもれるような音が聞こえた。 どうしたのだろうと覗き込む暇もなく、ふたたび柱が無慈悲な正確さで回りだす。 「びゃっ! びゃびゃびびび!!!」 再びの悲鳴は、言葉が破壊された意味のわからない泣き叫び。 その耳障りな音も、またすぐに鳴り止んで静まり返る空間。 「ゆ、ゆっくり?」 まりさが恐る恐る穴をのぞくと、れいむがひっくりかえってそこに沈んでいた。 声をだせないはずだ。 顎から下がなくなっていたのだから。ひっくり返った上半分の顔。かろうじて残った目が、だらだらと涙を額に向けて流し、のぞき込むまりさを見つめていた。 怖気だつまりさをさらに戦慄させたのは、見てしまった凶器。 れいむが削れて低くなった穴の中、柱に鈍くひかるらせん状の刃がついていた。アレが回るたび、中のゆっくりを下に押し込みながら、少しずつ輪切りにしていく。 そのまりさの想像を裏付けるかのように、再び回りだす柱。 「ゆっくりいいいい!」 まりさは震える。 とうとうすりつぶされ、穴の下の排出口からぼとぼととこぼれていく、かつてゆっくりれいむであったもの。それを間近で見せつけられていた。 柱の回転が止むと、何事もなかったかのように再びぽっかり空いた穴。 体を全身全霊の力でひしゃげて斜面にへばりつくまりさを待って、大きく口を開いている。 じんわりとまりさの額に浮かぶ汁。頬を伝い下へおちていき、やがてそれはこの上も無く残酷な潤滑油となるのだろう。でも、脳髄を震え上がらせる恐怖が、それを止めてくれない。死が猶予されているだけの状況。 そのことを、知能の発達したまりさは悲しいほどよく理解していた。 「い゛や゛あ゛! ゆ゛っぐり゛ざぜでてええ!!」 泣き叫ぶも、そこにいるのは自分一匹。 誰が落ちる危険をおかして自分を助けにきてくれるだろう。 いや、一匹だけいた。自分を無条件に愛し、守ってくれる存在が。 「だずげで、お゛があ゛ざああああああああん!!!」 声もつぶれんばかりの絶叫。 涙でかすむ目を、坂の上にいるお母さんに向ける。 だが。 「ゆ゛ぎいい、ゆ゛ぎいいいいい!」 母親もまた絶叫していた。 全身の水分を搾り出すような涙を流しながら、震えている。 その顎の下には、めきょっと開き始めた黒い穴。 子ゆっくりは、母の体内で一緒に外の世界を楽しみにしていた妹のことを思い出していた。 「でな゛い゛でええええ! ゆ゛っぐり゛じででえええええ」 母は生まれる子の運命がわかっていたのだろう。 それどころか、これまで沢山見てきたのだろう。自分と、壁に縛られた他の母が産んだ子の成れの果てを。見渡せば、他の母ゆっくりたちもわが子を生み落とさないよう、歯茎をむきだしにして泣き叫んでいた。先のゆっくりれいむは、そのうち一匹の子なのだろう。母ゆっくりれいむが一匹、笑ったような表情で白目をむいたまま、へにゃりと悶絶している。 「ぎいい、ぎぎぎぎぎ!」 自らの母ゆっくりもまた、すさましい歯軋りの音をたてていた。 今味わっているのは、子供が生まれ出る命をも削る苦痛。本来は、早く終わることを願って泣き叫ぶ痛み。 それでも、わが子の死を避けるため、その苦痛を一秒でも長引かせようと、母の思いが踏ん張らせていた。 だが、妹となるゆっくりにそれは伝わらない。 一刻でも早く、家族に囲まれた楽しく、どこまでもゆっくりできる希望の世界へ飛び出したい妹ゆっくり。 母ゆっくりの顔はすでに紅潮しきって、紅饅頭に。めこめこと、妹の顔が外へ吐き出されていく。 うっとりとした眼差しで外の世界を見ている妹ゆっくりは、この外の世界が異様だと気づけない。 「ゆ゛っ!!!」 ついに響いた短い悲鳴。 合わせて、きゅーっぽんっと、軽快な音をたてて妹ゆっくりが飛び出した。 瞬間、母親の顔に浮かぶ至福の顔。苦しみから解放されたどうしようもない本能が母ゆっくりを震わせていた。 「ゆっくりーっ!」 だが、姉よりも勢いよく飛び出した妹ゆっくりの高らかな声に、母ゆっくりの表情が消える。すぐさま、白目をむいた狂乱の表情。 「だめ゛えええええええ!」 母ゆっくりの悲鳴もむなしく、見事な放物線を描いて部屋の中央へ。 「ぶべら!」 そして、柱にぶちあたって垂直に落下する。 ごろごろと、そのまま穴へ。 「にげでえええええ、そこから逃げでええええええ!」 姉ゆっくりの真後ろで繰り広げられようとしている悲劇を、母の絶叫で知る。だが、姉ゆっくりはへばりついているのもギリギリで、助けることはおろか、振りかえることすらできなかった。 「う゛あ゛ああ! い゛だい゛よおおおお!」 柱に打ち付けた痛みにのたうちながら、妹ゆっくりが穴に落ちこんでいく。 その体が穴に完全に入り込むまさにその一瞬手前で、先に柱が回りだした。 「ぎぎぎぎぎぎぎぎ!」 姉ゆっくりは真後ろからの悲鳴に震えていた。妹が、生れ落ちるなりあのゆっくりれいむと同じ運命を歩んだことを確信する。 「びやああああああ!!! いだい、い゛だい゛いい! おがあざあああん!!!!」 だが、妹ゆっくりの絶叫とともに、床が振動する。続いて、べちゃりという湿った音。 妹ゆっくりは穴に完全に落ち込む前に柱の刃を受けたことで、下にしていたほっぺたを引きちぎられただけで脱出に成功していたのだ。 ただ、切ったほっぺたの傷は深く、広い。頬からは今もぼとぼとと命の元、餡子がたれ流れていた。それは生まれたての、ほかほか。 瑞々しい湿った餡子だったが、その分流れの勢いが強い。 おまけに状況がわからず、妹ゆっくりは完全にパニックを起こしている。もう、妹はだめだろう。姉ゆっくりは悲しさがこみあげていた。 「おがああざああああん! だずげでええええ!!!」 泣き叫ぶものの、母ゆっくりは壁に縛り付けられている。 「だれがあああああああ!!! ま゛り゛ざのごども゛だぢをだずげでえええええ!!!」 我が子に対して、目をひん剥いて、泣き叫ぶことしかしてやれなかった。 誰もかなえられない母の叫び。 取り囲む他の母ゆっくりたちも目を閉じるもの、歯を食いしばるもの、虚ろな笑いを浮かべるものと、様々な反応があるが、無力さでは同じこと。 我が子の元までいけるのは、我が子同様に産み落とされた無力な子供たちだけだった。 風車の動きに連動して回転する柱に押しつぶされるまでの短い命には、何もできない。 「お゛があぢゃあああん!」 えぐえぐと泣き叫ぶ妹のように自分も泣き叫びたい姉ゆっくり。だが、水気のある餡子でへばりつく妹と違って、強張ってきた体は声をだす振動だけで剥がれてしまいそうな状況。 何も言えず震えている。 「ゆ? おねえちゃん?」 それでも、妹がようやく姉の存在に気づく。 ずりずりという音。 下のほうから、妹が餡子を撒き散らしながら、その粘着力ではいずりあがってくる。 一瞬、それならばこのまま上にのぼれるのではないかと淡い期待が姉の胸をよぎるが、餡子が粘着力があるのは今だけ。後は乾ききって滑り落ちやすいパウダーとなる。無駄な期待だった。 「おねえちゃん、だずげでええええ!」 妹の哀れを誘う声。だが、わずかに早く生まれたからといって頼りすぎではないかと、こたえる気もおきない姉だった。 「ゆっ!?」 が、突然後ろ髪を引く力を感じて姉は叫んでいた。 ぐらりと後ろへ体重が移り、持ちこたえたものの全身から脂汁がにじみ出る。 「はふけてー!」 妹ゆっくりが、後ろから噛み付いていた。 少しでも上にいこうと、ぐいぐいと姉を引き寄せようとするが、姉にとってそれは死だ。 「だめ゛え゛え゛え! ゆ゛っぐり゛離じでねええええええ!!!」 振り放そうと必死で懇願し、振り放そうとする。 だが、後ろについた方がこの場合は絶対的な強者となる。 姉が頭を振り乱そうとした瞬間、それと同じ方向に妹ゆっくりのひっぱる力が加わる。 「ゆっ!?」 姉ゆっくりは、自分の体が地面を離れたのを感じていた。 このまま、母の元へ体が飛べばいいのに。 そんな夢想を、冷たく硬い床の感触が打ち壊した。 あとはもう、ごろごろと丸い体型のまま、加速度的に下へ。何が起こったのかかわらず、呆然となる妹の横を通り抜け、遮るものなく穴へ。 「ゆ!」 逆さに、頭からおちこんで、ようやくとまる。 だが、すぐさま凄まじい無慈悲な圧力が頭を襲ってきた。 「ゆぎぎぎぎぎぎ!」 餡子まみれで切れ味をまったくなくした刃が、なまくらなまま、風車の強大な力だけでゆっくりの頭を切断しようとしているのだ。 限界までひしゃげるゆっくりまりさの頭。だが、皮の強さを用意に上回る力が加わる。 ぶぢりと、ゆっくりまりさの頭に重い音が響いて、ゆっくりまりさは気が狂いそうな激痛とともに、重要な記憶と思考を失った。 どろどろと知能が芽生えた餡子を垂れ流し、ぼんやりとした頭が残される。 あれ、どうしたのかな。 「ゆー……ゆー……」 その言葉を口しようとして、発音の仕方をわすれて謎の歌をもらす姉ゆっくり。 気持ちを言葉にする機能が、完全に損なわれた。 いくつもの衝動が姉ゆっくりの胸に宿る。 ひどくいたくて、かなしい。おかしい。どうして。ちょっとまえまで、あんなにたのしみしていたのに。 ええと、なにをたのしみにしてたっけ? となりで、あたたかいたいおんをくれた、あのこはだれ? あたたかくて、おおきなあのゆっくりは、だれ? 「ゆー……ゆー?」 思いは言葉にならず、たれ流れるばかり。 それはかなしいことなんだと姉ゆっくりが思ったとき、さらなる圧力が襲ってきて、姉ゆっくりは短すぎる生涯を終えた。 死の責任の一端を担ってしまった妹ゆっくり。 だが、もはや姉の死を理解することができない有様だった。 流れ出る餡子がとまらず、意識が次第にぼんやりと朧になってゆく。もはや、こちらも転落は時間の問題だった。 何か、上の方にすごく頼れて、安心してゆっくりできる何かがいた気がする。 首を必死に持ち上げると、大きなゆっくりが坂の向こう側、はるか高みにいた。 自分の何倍もある大きな柔らかい体が、のたうちまわるようにひしゃげていた。 「い゛や゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!」 悲鳴が響く。 だが、その視線はわが子ではなく、自分の周囲に向けられている。 身をよじらせて、イヤイヤをするような母ゆっくり。 「よ゛ら゛な゛い゛でええええええ!」 身震いしている母ゆっくりの周りをよく見れば、出産を終えたばかりの母ゆっくりの体にまとわりつく影。母ゆっくりの4分の1程度の大きさのゆっくりアリスが、見える数だけでも六匹はまとわりついていた。 「まっ、まりざっ! 大ぎぐでがわいい!!!」 ハアハアと、発情しきった目つきのゆっくりアリス。各々、母ゆっくりの傍で梳き放題に体を震わせ始める。 「はなれでよおおおお! にんっしんっ、じだぐないいいいい!」 壁に縛られながら、必死に少しだけ跳ね上がり、すさまじい振動とともに着地する。 「まっ、まりさっ!?」 まとわりついていた一匹がスロープへ転がり落ちていった。 「あ゛いが、い゛だいいいい! どがいは、なのにいいいいい!」 そのまま、穴に吸い込まれて的確に処理される。 妹ゆっくりは、改めて自分のなれの果ての姿を確認していた。 母ゆっくりはそのまま次のアリスも落とそうとするものの。 「まりざああ!!! 私のごども゛をうんでええええ!!!」 その空いた隙間にすぐさま別のアリスが入り込む。 すぐさま、すさまじい振動で母ゆっくり巨体をぶるぶると振るわせて動きを封じた。 「ゆゆゆゆっ!」 計七匹による、休みを置かない七色の輪姦に、たまらず声を上げ始める母ゆっくり。 その上気した顔は歯をくいしばり、必死にその時を耐えていたが、襲い掛かるアリスたちはついにその時を迎えていた。 「ま゛り゛ざあああ、もうずぐイグよおおお! まりざのあいをうげで、イグううううう!」 「ぐうううう! もう、産みだぐないのおおお、産みだぐないよおおおおおほほほおおおお!!!」 涙ながらの懇願も、興奮しきったアリスには通じない。 もうすでにアリスは最後の段階にいくことしか考えていないのだから。 「まりざっ、こんなにあいじでぐれで、うれじいいい! いぐうううう、うほほおおほほおおおお!!!」 「らっ、ら゛め゛えええええ! ごども、らめなのおおおお、んほほおおおおおおおおおおおおおおすっきりー!」 ゆっくりたちは同時に体を震わせ、果てた。 無事終了してしまった交尾。 死に掛けの妹ゆっくりの前で、恍惚の表情を浮かべてひっくりかえる。 母ゆっくりは白目をむいて、口からあぶくをふきあげてあいた。 「まりさあああ、こんてにゅーさせてあげるよおおお!」 その母ゆっくりの上に、なおも乗り上げてぺろぺろと全身を舐めるゆっくりアリスたち。もう次の交尾に移ろうとしている。 一方、子種を存分に届けてすっきりできたらしいゆっくりアリスが一匹。 「別にまりさだから産ませたいってわけじゃないわ、かんちがいしないでね!」 そんな台詞を残して、部屋の奥の小さな出入り口に向かっていく。 次の母ゆっくりが出産するまで、ありすたちはその向こうで待機しているのだった。 しかしまあ、そんなことはもう朽ち果てようとしている妹ゆっくりには興味のないことだった。 乾いてきた餡子が、さらさらと自分の体を下へ下へ押し流していく。 姉とゆっくりアリスが消えた穴まで、とどめるものは何も無い。 「ゆゆゆ……」 抵抗も無く、穴に収まる妹ゆっくり。 おかしいなと、妹ゆっくりは消えかかる意識で考えていた。 母ゆっくりにまとわりついたり、姉ゆっくりと野原をかけまわったり、疲れたら家族みんなでゆっくりと過ごす。 それだけできればゆっくりたちは幸せで、誰にでもいつでもできるはずのことなのに、なんで私たちは一度もそのゆっくりを味わえなかったのだろう。 柱が回る。 堪えがたい力が頭をしめあげる。 ぶりぶりと、切れたところから零れ落ちる餡子。 その無機質な圧力に妹ゆっくりは語りかける。 ゆっくりして…… ブチャリ。 意識を遮るくぐもった音とともに、ゆっくり姉妹の一生は終わっていた。 輪切りにされ、濾された餡子の行き先は真下に広がる大きな水がめ。 加工所の職員が定期的に集めれば、おいしい餡子のできあがり。 幻想郷の技術力で可能な限りに自動化された、ゆっくり生産工程の一つであった。 あとがき どうも、加工所の人です。 前回はみょんに関わるものを書くといっておきながら、創想話の方に夢中になって しばらく放置してしまい、申し訳ありません。 今回、手慣らしに出産型の繁殖の設定を使って気軽に一本書いてみました。 やはり、設定はおいしそうなものをつまみ食いするのが一番おいしいですね。 では、また。 by小山田
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/441.html
巷で話題のゆっくり。あれに関して、俺はいくつかの持論がある 一つ、「人間には人間の規則、ゆっくりにはゆっくりの規則がある」 二つ、「相手の規則を乱さない限り、それは尊重するべきである」 三つ、「相手の規則を乱した場合は、それは罰せられてしかるべきである」 四つ、「俺が関わる場合は、人間の規則を乱したゆっくりだけ」 五つ、「関わったゆっくりがどうなろうと、俺の知ったことではない」 だいたい、こんなものだ。 まあ、単純な話として、ゆっくりにはゆっくりの生活があるのだから無闇に関わるべきではない。というだけの話。 うざったいから、という理由だけで殺すのは俺の性に合わない。 しかし、人間の生活を乱し、家を荒らし、作物を勝手に盗んでいく、というところまでいくと駄目だ。 しかも、家や作物を「これは自分のものだ」などとぬかす身勝手な理屈、ゆっくりとしての規則を人間に押し付けてくる。 ならば、よろしい。相手が自分の規則を押し付けるのであれば、こちらもこちらの規則を押し付けよう。 それこそが、弱肉強食。自然界の摂理というものだろう。 そんな風に俺は考えて、この仕事をやっている おっと、自己紹介が遅れた。俺は「ゆっくり調教師」。ゆっくりに関する躾や調教を専門にしている者だ。 今日もまた、俺のところにゆっくり達が運ばれてくる。ゆっくり霊夢が二匹、ゆっくり魔理沙も二匹だ。今は薬で眠っているようだ。 今回は新たに開発した器具も用意してあるので、箱に閉じ込めるやり方とは違う方法も試せる。 箱での調教は楽なのだが、箱から出さないため、運動不足とストレスが極度に溜まるゆっくりがたまにいるのだ。 用意したものは新開発の代物なので、正式名称はまだない。とりあえず、俺は『首輪』と呼んでいる。 それは、大きな虎バサミのようなものあった。今は何かを掴もうとするように左右に開いているが。閉じれば輪となる。 ゆっくりにある程度の自由度を持たせつつ、かつ確実に拘束する器具として開発した。 今回は万力のように捕らえるだけだが、今後の発展型として、爆弾型・電気型なども考えてみている。 『首輪』は如何にして重さをなくし、かつ強力な力を発揮できるかが問題であったが、河童との共同作業によって完成した一品である。 とりあえず、四匹の経歴を渡されていた紙を見て確認。ほうほう、成程成程。 どうやらこいつらは相当悪知恵が働くらしく、作物荒らしの常習犯であるらしい。四匹はその指揮をしていたようだ。 長いこと農家を荒らしてきたが、この度有志によってめでたく捕まり、加工場送りとなった、と。 しかし、加工場でも同じ部屋にいた他のゆっくりを食い荒らしたり、食べ物を横取りしたりと横暴が目立つ。 餡子にするのは簡単だが、その前に人間の怖さを思い知らせて調教してみてくれないか、ということで俺の出番と相成ったわけか。 条件は整っている。ならば、調教開始といこう。 まず、外に通じる扉を開けておく。次にゆっくりたちを床に並べていく。 最後に、ゆっくりたちを横から挟める位置に『首輪』を置く。部屋にある柱に『首輪』から出ている縄を括り付けるのも忘れずに、と。 位置をしっかりと確認して……よし、起動! 手に持った機械を操作すると、がちぃぃんっ! と大きな音と共に『首輪』が閉まる。 首輪がゆっくりたちの身体に思い切り食い込んだ。 「ゆぶっ!?」「ゆっぐり!?」「いだいぃぃぃっ!?」「ゆ゛ゅぅぅぅぅ!!」 急激な痛みで悲鳴と共に目を覚ますゆっくり。痛みから逃れようと暴れるが、『首輪』は挟んだまま逃がさない。 鋏部分が皮に食い込み、中の餡子にまで触れているのだから、相当な激痛だろう。 ふむ、耐久性は大丈夫か。ゆっくりを潰さない程度に挟む力加減も出来ている、と。完璧だぞ、河童よ。 俺が感慨に浸っていると、ゆっくりたちはこちらに気がつき、泣きながら騒ぎ始めた。 「なにずるのぉぉっ!?」「いだいよぉ!」「どって! どっでぇねぇ!」「ゆっぐりざぜでぇぇぇ!!」 「まあ、落ち着け。少し話がある」 そう言って俺が話を始めようとすると、一匹のゆっくり魔理沙が扉が開いていることに気がついた。 「おぞと! おぞとにいぐぅぅっ!! 」 流石、ゆっくり魔理沙だ。目端が利くな。残ったゆっくりも扉に気づいて、魔理沙の後に続こうとした。 「おうぢ、がえるぅ!」「ゆっぶぐっ!?」「いだぎゅっ!?」 即座に二匹のゆっくりを上から潰すように押さえ込んだが、一匹のゆっくり霊夢はあえて逃がした。 そして、捕まえた二匹にだけ聞こえるように囁く。 「おい、お前ら。よく見ておけ」 外に出ようとするゆっくり魔理沙と、それを追うゆっくり霊夢。涙を流しながらも嬉しそうだ。 「おうぢにがえるよっ! ゆっぐりじんでいっでね! ゆっぐりじ、いいぃっぃぃっぃぃぃ!!??」 「ゆ゛う゛ぅ゛ぅぅ!? な゛んでぇぇぇ!? ま゛り゛ざんのながみがぁ、あ゛ぁあぁぁぁ!!??」 首輪の縄が限界まで伸びきった結果、二匹のゆっくりは餡子を撒き散らしながら、べちゃりという弾まない音と発して地面に落ちた。 いくらか遅れて『首輪』も地面に落ちる。 ゆっくりの前に進もうとする力と『首輪』の縄が戻ろうとする力が互いに引っ張り合って、身体が柔らかい方が千切れたというだけの話だ。 ある程度、自由度を持たせ、しかし行動範囲は完璧に制限する『首輪』。中々の効力だ。これならば実用化もいけるかもしれない。 これは外の世界に関する本を読んだ時、犬が逃げないように付ける『首輪』という物があることを知って作ってみたのだ。 残ったゆっくりたちを見ると、声も出さず、逃げようとした二匹『だったもの』を恐怖に固まった表情で見つめている。 「見たか? 逃げようとすると、首輪に引っ張られて、あんな風に死ぬ」 ゆっくりにも分かるよう、噛んで含めるように言葉を発する。 それがきっかけとなったのか、ゆっくり霊夢とゆっくり魔理沙は泣き叫び始めた。 「い゛や゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!? ゆ゛っぐり゛でぎな゛い゛い゛ぃぃ!!!」 「だずげでぇ゛ぇ゛!? お゛う゛ぢに゛がえ゛る゛ぅ゛ぅぅ゛ぅっ!!!」 「お前たちは悪いゆっくりだから、ここからは帰れない」 「れ゛いむはい゛い゛ゆっぐりだよぉ!?」「な゛んに゛もぢでないぃぃ!!」 ここからは特に重要だ。「いい」か「わるい」かは既に決定していることだ。それをゆっくりたちにも分からせねばならない。 「しかし、お前たちは今も逃げ出そうとし、人の野菜を盗み、加工場では仲間を食べた」 「じらな゛い、ぞんな゛のじらない゛ぃぃ!」「お゛ぼえでな゛いよぉぉぉっ!!」 「しらを切っても駄目だ。お前たちは悪いゆっくりなんだ。しかし、まだ大丈夫だ」 「ゆ゛っ!?」「ゆゆ゛っ!?」 大丈夫という言葉に希望が見えたのか、一途に俺の言葉を待つゆっくり。 「俺は悪いゆっくりを良いゆっくりにする人だ。俺の言うことを聞けば、良いゆっくりになれる」 「いいゆっぐり!」「なる゛、いいゆっぐりにな゛りだいっ!」 嘘はついていない。何が「悪く」て、何が「良い」のかを伝えていないだけだ。 「分かった。だが、もしも俺の言うことを聞かない時はあんな風になるからな」 そう言って、外に散らばったゆっくり霊夢とゆっくり魔理沙を指差す。 「いうごどぎぎまず! いうごどぎぎますがらぁ!!」」「あ゛んなぶうにな゛るのはい゛や゛ぁぁ!!」 第一段階成功。ゆっくりを調教するには、鞭と飴が必須だ。まず、鞭によって上下関係をはっきりさせる。 先に飴を与えては、間違いなく有頂天になるからだ。 しかし、鞭だけではストレスが溜まって死んでしまう。今は飴の時間だ。 「ふむ、そこまで言うのなら、良いゆっくりにしてやろう。とりあえず、ここで待っていろ」 「「ゆっぐりまっでるよ!!」」 涙を流しながら答えるゆっくりを部屋に残して、外に向かう。その際、千切れた二匹の『首輪』の縄を柱から外す。 縄があっては扉を閉められないからな。 外に出ると、二本の『首輪』を回収する。と、ゆっくり霊夢の方はまだ息があるようだった。 「ゆっ、ゆっ、ゆっ、ゆっ、ゆっ」 一目見て、先は長くないと分かる。おそらく死ぬ間際の痙攣みたいなものだろう。 特に構わず、皮ごと餡子も回収する。台所で餡子をこね回していると、 「ゆ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ、ゆ゛、ゆぐ!」 痙攣が激しくなって、そのまま動かなくなった。無視して、皮を除いて二匹分の餡子をまとめておいた。 今後のゆっくり用の食事としよう。 「待たせたな」 「ゆっ! ゆっぐりまっでたよっ!」「いいごにじでだよ!」 『首輪』の痛みか、恐怖のためか、まだ言葉が不明瞭だ。 「ちゃんと待ってたご褒美だ。食え」 二匹の目の前に餡子を盛った皿を置いてやる。ちなみに床には汚れてもいい敷物を敷いてある。 「なにこれ! すごくおいしいよ!」「うめぇ、めっちゃうめぇ!」 瞬く間に食べ散らかしていく。あの皿はゆっくり専用の皿とするかな。 食い終わった頃合を見計らって、立ち上がり声を張り上げる。 「さて、お前たちが良いゆっくりになるには、俺の言うことに絶対に従ってもらう!」 何が始まったのか、という顔で俺を見上げるゆっくり。規則は明確に決めないといけない。 「俺の言うことが出来たらご褒美をやる。その餡子とかだな」 「ゆっくりー♪」「ごほうび、ごほうび、うれしいなー♪」 ご褒美と餡子と聞いた途端に喜色満面のゆっくり。 「俺の言うことが出来なかったらお仕置きだ。ご飯抜きとかだな」 「ゆっくりー!?」「ごはんたべたいよぅ!」 「ついでに、発情してゆっくりするのも駄目だ」 「ゆっ!?」「いやだよ、ゆっくりしたいよ!」 ご飯が食べられない、ゆっくりしたいと騒ぎ出すゆっくり。黙らせるために最後の規則を口にする。 「もしも逃げ出そうとしたり、言うことを聞かなかったら、お前たちに後ろにくっついている『首輪』で死ぬことになるからな」 軽く『首輪』の縄を引っ張る。背中に直結しているので、嫌でもその存在と先ほどの惨劇が思い出されるようだ。 「ゆ゛うぅっぅう゛!? いうごとぎぎまずぅぅっ!!」「え゛ぐぅぅぅ! じぬ゛のはいやぁぁ!?」 第二段階成功。この後、何度か教え込んで『首輪』の危険性と柱に繋がっていて外れないことを覚えさせた。 とりあえず、首輪がある限り逃げられないことが分かれば十分である。 その日から、俺のゆっくり調教生活が始まった。 まずは単純な復唱から始める。俺の言葉を繰り返して言うという単純なものだが、鞭と飴という規則を覚えこませるのにちょうどいい。 この段階では複雑なことは覚えられないという経験則もある。 「ゆっくり」 「「ゆっくり!!」 「霊夢」 「「れいむ!」 「魔理沙」 「「まりさ!」」 「餡子」 「「あんこ!」」 「首輪」 「「くびわぁぁっ!?」」 少し乱れがあったが、順調にこなしていく。一通り復唱したら、食べ物をやることも忘れない。 こうすることで「言うことを聞く=食べ物をもらえる」という図式を植えつけるのだ。 知り合いから借りてきた飼い犬を見せる。犬は「お手」や「お座り」などの芸をゆっくりたちの前でやってみせた。 「すごい、すご~い!」「かっこいい~!」 「お前たちも犬みたいに言うことをちゃんと聞くんだぞ」 試しに「お手」は出した手に顔をすり寄せること、「お座り」は顔を伏せることとして、練習させてみたが一向に覚える気配がなかった。 「お手」「ゆっ? なにかくれるの?」 「お座り」「ゆぅ? な~に?」 「……昼食は抜きだな」「「ゆ゛ぅぅ~~!?」 何度も「あの犬みたいに出来るようになれ」と言葉をかける。勿論、俺だってそんな短期間でゆっくりが芸を覚えられるとは思わない。 ここでは「犬みたいに」という言葉に重要な意味を持たせ、「犬みたいに=言うことをきく」と条件付ける。 ちなみに俺は別に犬が嫌いなわけではない。 調教を開始し出した頃の、夜中には注意が必要だ。 「……ゆっ、……ゅゆ……!」「ゆ……っ……ゆぅ……!」 大して広くもない部屋に二匹のゆっくりを放置しておいたら、やることなど大体決まっている。 俺は音もなく、ゆっくりたちのいる部屋に近づき、耳をすませた。 「ハァハァ! ゆっ! ゆふん! ふぅ~! ゆん!」 「ゆんゆんっ。ゆっくりぃ~! 」 「ゆっゆっ! ゆっ、ゆ゙ーっ!」 「 ゆ゙うううう!!」 大層盛り上がっているようだ。しかし、初日に生殖行動はするなということを言っておいてある。 ゆっくりたちはそれを破ったわけだ。ならば、罰を与えねばいけない。 バタンっ! とあえて大きな音を立てて、扉を開ける。威圧するためと、どれだけ怒っているのかを教えるためだ。 「ゆ゙っ!? ゆ、ゆっくり!」「ゆ! し、していってね……」 突然、行為を中断させられたため、最初は入ってきた者を睨むゆっくりたちであったが、俺だと分かった瞬間、意気消沈する。 「……お前たち、言ったはずだよな? 発情はするな、と」 最初と同じように噛んで含めるように話す。俺の怒りを感じ取ったのか、慌てだす二匹。 「ま、まりさじゃないよ! れいむがゆっくりしようっていったんだよ!」「ゆっ!? ちがうよ! れいむじゃないもん!」 「黙れ」 醜く騒ぎ出そうとした二匹を一言で黙らせる。 「最初に言ったよな? 言うことを聞かない悪いゆっくりは首輪で……」 そこまで言ったところで、力を込めて『首輪』の縄を引っ張る。勿論、千切れない程度の力で、だが。 「ゆ゙ゔううぅ!? やめでぇ!?」「いだい、いだいよぉ!!」 「お前らがすることは何だ? そんなことも分からないのなら、このまま千切るぞ」 「ごべんなざいぃ! ごべんなざいぃぃぃ!!」「もうじまぜん! もうじまぜんがらぁぁっ!!」 ここで、即座に謝るのならまだ芽はある。まだ責任転嫁するのであれば、本当に千切っていただろう。 「生殖をする=悪いゆっくり」という図式がここで出来上がる。したくとも『首輪』の痛みを思い出せば、そうそう出来ないだろう。 この日を境に、ゆっくりたちが生殖をすることはなくなった。早めに調教出来て楽になったというところかな。 いくらか調教を進めていくと、『首輪』とゆっくりの皮膚が薄皮一枚分ほど一体化し、あまり痛くなくなったようだった。 勿論、引っ張れば痛いのだろうが、普段の生活や運動に支障は来たさなくなった。 もしかすると、『首輪』を己の一部分と捉えて、無意識的に痛覚などを麻痺させているのかもしれない。 ここらへんの興味は尽きないが、調教も進めねばならない。 たまに、『首輪』を引っ張っては、命令をきかせる。それを繰り返すことで身体の中の異物を意識させ続けるのだ。 「ゆ゙ぐゔぅぅぅ!!??」「や゙め゙でぇぇ!!??」 『首輪』を異物と認識させ、「異物がある=言うことをきく」という条件付けをさせる。 ゆっくりは忘れることはあっても、痛みに慣れる生き物ではない。常に鞭を意識させ続ければ、命令をきかせることも容易となる。 苦労の甲斐あってか、ゆっくりたちもかなり言うことを聞き、出来ることも増えてきた。 前は出来なかった「お手」や「お座り」も易々とこなす。 「れいむはいぬさんみたいにできるよっ!」「まりさもいぬさんみたいに、ちゃんとできるよ!」 二匹いるという環境も良かったのか、適度にお互いが張り合って刺激を与えあっている。 多くのことを覚えたり、出来たりした方のゆっくりには食べ物を多めに与える、という形を取っているので、よりそういう風になる。 ちなみに食べ物などのことで喧嘩をしようとしたら、即座に『首輪』を引っ張る。 何度も伝えるべき言葉は「わるいゆっくりは死ぬ」「犬みたいに言うことをきけ」「言うことをきいたら食べ物がもらえる」だ。 鞭と飴の対比は7対3ぐらいである。ゆっくりにはそのぐらいで十分だ。 たまには『首輪』の縄を持って散歩にも出かける。屋内にだけ居るのでは、ゆっくりのストレスが溜まっていくからだ。 近頃では俺から離れすぎないように注意しながらも、それなりにゆっくりできるようになっている。 当初は外に出ても『首輪』が怖くて、 「ごわいよぉ! がえろうよぉ!」「あるぎだぐないいぃぃ!」 と、俺の周りから一歩も動けなかったものである。 今では、『首輪」についてる縄の範囲を把握したのか、俺の足元から離れて飛び跳ねたりもしている。 無論、調子に乗ったりすれば『首輪』の警告を発して、ちゃんと戻らせる。 ここまで調教出来れば、もう十分だ。後は最後の仕上げにかかるとしよう。 続く このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/206.html
ゆっくりの出産は知られている限りで二種類ある。 交尾の結果、頭から蔦が生えてきて、そこから小さい赤ん坊ゆっくりが生まれてくるやり方が一つ。 母体が成長しきっていないと、交尾をし終わった後、母体が黒ずんで朽ちてしまう。 加えて、生まれてくる子供はとても小さく皮も柔らかいため、自然界の中では簡単に死んでしまうことがよくある。 しかし、出産に時間を要さず、一度に平均で2~6匹ほど生まれるので危険が分散出来る。 これがゆっくりたちにとって、最も一般的な出産方法である。 もう一つがこれはめったに見れないが、母体であるゆっくりが大きく成長して、直接成体のゆっくりが生まれてくるやり方がある。 母体の中に子供が育つだけの餡子とスペースを貯え、己の中で子供を育てる。 子供が成体寸前といったぐらいまで育つと、口の下付近が二つに割けてそこから生まれてくる。 母体自体がそこまで育ちきることは稀であり、時間もかかる上に多くの子供は生めない。 それでも、この方法だと生まれてくる子供はほとんど成体に近い体躯と知能を持つため、赤子と比べると高い生存率を誇るのである。 こちらの方法は自然界では滅多に見ることができず、人間に育てられている個体でもそこまで育てられることはあまりない。 「ゆううぅうぅ……ゆふうぅぅぅ」」 そして、ここにその珍しい出産をしようとしているゆっくりれいむがいた。 このゆっくりれいむで目に付く点は、まずその大きさだろう。妊娠しているため、通常のゆっくりと比べて何倍も大きい。 もう、出産状態に入っているのか、その下顎辺りが割け始めている。その体内ではゆっくりと子供が生命が育まれている。 このゆっくりれいむがここまで育ったのは、夫婦であるゆっくりまりさのおかげだろう。 ゆっくりれいむはこの方法で生みたいとあえて望んだ。自分たちの家の周りには食べ物も豊富であったし、天敵も少ない。 そして、何より自分もその出産方法で生まれたからであった。 母体がお腹を痛めて生むやり方では、家族の絆が強いと言われる。 己が身を削って生むからであろうか。それとも、我が身の中で新たな生命を育むからであろうか。 何にせよ、家族であったゆっくりまりさはそれを承諾した。ゆっくりまりさもその生み方に憧れていたのであった。 その日から、ゆっくりまりさは献身的に食べ物を運んだ。自分の食べる量を減らしてすらいる。 時には傷ついて帰ってくることもあった。また、お腹がすいて動けなくなることもあった。 ゆっくりれいむがあまり動けない以上、ゆっくりまりさは苦労の連続だった。 近頃は食べ物の在り処を見つけたのか、傷ついて帰ってくることもなくなっている。 昔は木の中に住んでいたが、そこでは出産するのに狭すぎた。 そのため、ゆっくりまりさが地面に穴を掘って、今の家を作ってくれてた。 今の家は、出産するために大きくなった身体でもとても広くてゆっくりできる。子供が生まれても大丈夫だろう。 たまに周囲で何かの声がするが、家の中にまでは入ってこないので安心である。 そんな生活が実った結果、今まさに新たな命が生まれようとしている。 「ゆっゆっ! ゆ~~! ゆふぅ!」 ゆっくりれいむは待っていた。もうじき子供が生まれるのだが、まだゆっくりまりさが帰ってこない。 ゆっくりまりさは子供を生んだ後のゆっくりれいむのために、食べ物を取りに行っていたのだ。 その心遣いは嬉しかったが、出産する時には一緒にいてほしい。そして、二人で自分たちの子供に言ってあげたいのだ。 ゆっくりしていってね! と。 だから、少し辛くともゆっくりれいむは待っていた。 「ああ、いたいた」 「ゆゆゆ!? おじさんだれ!」 突然、何者かの声が聞こえる。出産を控えたゆっくりれいむは、ゆっくりまりさ以外に今の自分へ近づいてほしくなかった。 ゆっくりまりさの発案で家の入り口は隠してある。それを見つけてきたということでゆっくりれいむはかなり警戒していた。 中に入ってきたのは籠のような物を背負った人間であった。 以前にもゆっくりれいむは人間に騙されて死にそうになった。それ以降、人間は嘘つきだ、と思って近づいたことはない。 その時もゆっくりまりさは一生懸命に看護してくれたものだった。 「そんなに警戒しなくてもいいよ。私は君たちの味方さ。ゆっくり出来る人間だよ」 「うそだよ! にんげんはうそつきだからね! いまからあかちゃんうむんだから、さっさとでてってね!」 男の言葉にもゆっくりれいむは警戒を緩めない。まいったな、と男は頭を掻いて唸る。 「実はね、君のお友達のゆっくりまりさにエ……食べ物をあげていたのは私なんだよ」 「ゆぅ? まりさに?」 会話の糸口をようやく見つけた男は、この機会を逃さないと言わんばかりに言葉を続ける。 「そうそう。自分の友達が子供を生もうとしてるから、食べ物をいっぱいあげなくちゃいけないって言ってね。 例えば……そう、昨日のご飯は黒くて甘いもの、餡子だろう?」 「ゆっ! すごいすごい! どうしてわかるの!」 「だから、私がゆっくりまりさに食べ物をあげてたからさ。どうだい、これで信じてくれるかな?」 ゆっくりれいむとしては不本意な部分はあったが、男に「私はゆっくりまりさと仲良しなんだよ」と言われると信じざるを得なかった。 なかよしのひとをおいだしてまりさにおこられたくない、という思いもあった。 「じゃ、はいっていいよ! ゆっくりしていってね!」 「ありがとう。じゃあ、ゆっくり入らせてもらうよ」 ゆっくりれいむの家に男が入る。出産の時でも大丈夫なように作られているから、人間でも屈めば入れるほどの空間はある。 男は背負っていた籠を地面に下ろし、見た感じとてもゆっくりしていた。 「それと、これをお食べ。餡子だよ」 「あんこ!? あんこちょうだい! はやくはやく!」 男が差し出した餡子を食べに行こうとするが、すぐにあまり動けないことに気がつく。 「ゆっ、ゆっ! おじさん、れいむはあかちゃんがいるからうごけないよ! ゆっくりあんこをちょうだいね!」 「はい、どーぞ」 「ハフッハフッ! あむっ、ふむっ! お~いし~い!」 男の手に乗せられた餡子を舌でベロベロと汚らしく舐め尽くす。男は全く意に介していないようだった。 そのまま、よしよし、とゆっくりれいむの頭を撫でる。ゆっくりれいむは撫でられて満更でもなさそうだった 「おじさん、いいひとだね! まりさがかえってくるまで、ゆっくりしてていいよ! ……ゆっ!?」 ゆっくりれいむ自身も男に少しは気を許して、改めて家の中にいていい、とした所でその身体がびくり、と震え始める。 震えは止まることなく続き、ゆっゆっ、と呼吸も荒くなり始める。出産の前兆であった。 「お、おじさん! まりさは! まりさはどこにいったかしらない!? たべものとりにいったまま、かえってきてないんだよ!」 慌てるゆっくりれいむ。このままではゆっくりまりさがいないのに子供が生まれてしまう。それは嫌だった。 しかし、男から帰ってきたのは予想外の言葉だった。 「ああ、あの子だったら君のために餡子を取りにいったよ。まだ帰ってこれないかな」 「ゆゆっ!? まりさぁ! あんこはいいから、はやくかえってきてぇ!!」 叫んでも聞こえるわけがなかったが、ゆっくりれいむは不安と寂しさがあった。それに餡子なら既に食べている。 身を震わせながら叫んでいるゆっくりれいむに、男はニコニコと笑いながら優しく教えた。 「だから、代わりに私が出産を見守ってて欲しいと頼まれたんだよ。れいむをおねがいってね」 「ありがとう! まりさもおじさんもやさしいね!」 嬉々としてお礼を言う。もし、妊娠していなかったら飛び跳ねている所だろう。 しかし、ゆっくりれいむの中で人間に対する不信感は根強かったため、口ではこう言っても、本当の所はあまり優しいとは思ってなかった。 はやくまりさがかえってこないかなぁ、とずっと思っている。 やがて、ゆっくりれいむの震えがさらに大きくなる。 今度こそ出産の始まりだろう。ある意味では我慢しきれなくなったとも言うが。 「ゆううぅぅぅぅ! ゆふうぅぅぅん!」 下顎の部分がさらに大きく裂け始め、黒い穴が覗く。ここから、子供たちが出てくるのだ。 しかし、その痛みは並大抵のものではない。身体の中をこねくり回されるような痛みに耐えながら親は子供を生む。 あまりの痛みに涙が溢れて止まらないが、それでも親の愛によってその全てを耐え切ろうとする。 「う゛ま゛れ゛る゛ぅ! れ゛いむ゛のあ゛がちゃんがう゛まれる゛よ゛!」 「頑張れ! 頑張るんだ! もうちょっとだぞ!」 歯を食いしばりながら、濁点混じりの苦しそうな声をあげるゆっくりれいむ。男は生命の神秘に興奮を隠せなないまま、応援している。 「ゆ゛っ!? ゆ゛ぐぅう゛うう゛うう゛!!」 めりめりと中から音がして、奥の方からゆっくりと出てくる親よりも小さいゆっくりれいむ。 その大きさからして、成体一歩手前ぐらいに成長している。 「ゆっ、ぐり゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛い゛ぃ゛ぃ゛っ!!!」 悲鳴のような声と同時に子供のゆっくりれいむがぽーん、と勢い良く飛び出た。 既に半ば成体であるため、ぶつかっても大丈夫なのだろう。 家の中で二度三度転がってから、元気な様子を見せる。そうして、生まれた子ゆっくりが最初に話す言葉は決まっている。 「ゆっくりしていってね!」 地面に落ちながら、母親に元気良く声をかける子ゆっくり。母れいむは母性に満ち溢れた笑顔で子れいむを見つめている。 自分は祝福されて生まれてきたことが分かるのか、子れいむもまた、とても良い笑顔で母れいむに応える。 「「ゆっくりしていってね!」」 感動的ですらある光景だ。自然界の偉大な営みそのものであろう。 親に擦り寄る子供。子どもの顔を舐めてあげる母。共に深い愛情で結ばれているようだった。 「ゆっ!? ゆ゛うう゛ううん!!」 そこで、母れいむが再び呻き始める。まだ体内に子供が残っているのだ。 男もそれを察して、子れいむに呼びかける。生まれる時にが近くに物があるとぶつかってしまう可能性があるため、危ないのだ。 一緒にゆっくりさせるのは皆が生まれてからでも遅くはない。 「こっちにおいで。食べ物をあげるよ」 「ゆっ! たべもの! ……おじさん、だぁれ?」 「おじさんはお母さんのお友達さ。ゆっくりできる人だよ」 「ゆうぅ! ゆっくりしていってね!」 相手を確認するよりも先に、食べ物のことを気にするのがゆっくりらしい。それは親でも子でも変わらない。 母れいむも一応だが、男に子供を任せておいた。しかしその目は、ほんとうならまりさのやくめなのに、語っているようでもある。 人間を信用しきれないような酷い目にあったのだろう、と男は判断して、それを咎める気はなかった。 先ほど、母れいむにあげたのと同じ餡子を子れいむにもあげる。初めて食べるものに興味津々だ 「おじさん、なにこれ?」 「これは、餡子といってね。甘くておいしいものだよ」 「ほんと! おかあさんにもゆっくりあげるよ! ゆっくりたべようね!」 「お母さんはもう食べたからいいってさ。ほら、お食べ」 「む~しゃ、む~しゃ……おいしーい! ゆっくりちょうだい、ゆっくりちょうだい!」 生まれたばかりであるため、「ゆっくり」と何度でも言ってみたいのだろう。 男は「慌てなくともいいよ」と諭しながら、少しずつ餡子をあげる。子れいむはご満悦である。 頭を撫でてあげると「ゆーっ♪」と鳴き、完全に懐いていた。 母れいむはそれを見て、ある危機感を持った。人間に懐きすぎると危険である、と本能の領域で感じていたのだ。 ゆっくりまりさがいないこともかりかりしている原因だった。 「ゆっ! れいむのあかちゃんになれなれしくしないでね! はなれてね!」 「ゆぅ~?」 子れいむは母親が何故怒っているのかもよく分からず、首を傾げるような動作をする。 男はそんな子れいむを抱きかかえて母れいむが見える位置に座り直す。 「そんな怒ってちゃ、ちゃんと子供が生まれないよ? ほら、ゆっくりしていってね!」 「「ゆっくりしていってね!」」 「君も妹が生まれる所を一緒に見ようね」 「ゆぅ! いもうと、いもうと! れいむにいもうとができるよ!」 抱きかかえられた子れいむはきらきらした目で母親の方をみている。 子供を生むのに苦しんでいるが、それも子れいむの目から見たらすごく頑張っているように見えるのだろう。 とりあえず判断は保留したのか、母れいむは子供を生むことに専念する。生半可な気持ちでやれるほど、子供を生むのは甘くない。 「ゆぅ、ゆぅ、ゆぅっ! ゆ゛う゛!」 母れいむが力を込めて踏ん張る度に、穴の奥から少しずつ新たな子ゆっくりが押し出されようとしている。 大変な苦痛を伴っているが、それも全ては子供のため、と思うと母れいむはなんとか耐えられる。 「おかあさん、ゆっくりがんばってね!」 子れいむが応援していると、男が新しく餡子を取り出し、子れいむの身体を布のようなもので拭き始めた。 「妹が出てきたら、おいしい餡子をあげようか。あと、綺麗になろうね」 「あんこ! いもうとにもあんこをあげてね! みんなでたべようね! おじさんにもわけてあげるよ!」 誰があげてるのかも弁えず、「きれいきれい~♪」と口ずさみながら、子れいむは催促している。 男はひたすらにニコニコしたまま、子れいむをいくらか持ち上げた。 「分けてくれなくても大丈夫だよ。私は甘党だから、甘いものならいっぱい食べられるからね」 「ゆっ?」 何を言ってるのか分からず、不思議そうな顔をした子ゆっくりの背中に男が思い切り噛み付いた。 子れいむの皮が破り、中の餡子を口の中に入れる。 「い゛!? い゛だいぃい゛ぃぃぃっ!?」 「ほほう、これは中々……やっぱり、生まれたての味は違うなぁ」 子れいむの悲鳴を意に介さず、もぐもぐ、と子れいむを味わって食う。 その皮は弾力に富みながらも噛み切れる程度に柔らかく、中の餡子はしっとりとしていてとても甘い 風味もまた素晴らしく、一般に売られているゆっくり製品とは一味違った領域に達している。 「なにじでるのおぉぉぉっ!!?? わ゛だじのあ゛がぢゃん゛んん゛んっ!!!」 出産に集中していても子れいうの悲鳴は聞こえたのか、尋常ではない叫び声をあげる母れいむ。 無理もない。お腹を痛めて生んだ大切な子供が目の前で食べられているのだ。反応しない方がどうかしている。 子れいむの方は初めて味わう痛みが強すぎて、痙攣したまま声も出せないようだ。 叫び声に怯むこともなく、男は子れいむを食べている。とてもおいしそうだ。 「なにって……食べるんだけど。おいしいよ、君の子供」 「や゛べでぇ! れ゛い゛む゛とま゛り゛ざの゛だいじなあがぢゃんたべないでぇぇっ!?」 「ゆっ、ゆっ、ゆっ、ゆ、ゅっ」 餡子の中に舌や歯が入るたびに大きく痙攣する子れいむ。その顔からは生気が失われていっている。 痙攣の間隔が段々と短く、その声は小さくなっていく。そろそろ餡子が三分の一ぐらいなくなってきて危険な状態だ。 「あがぢゃんゆっぐりざぜであげでぇぇぇっ!!」 「悪いけどそれは出来ないよ。これを食べるために、私も頑張ってきたんだから。君たちにわざわざ食べ物をあげたりもしたね。 色々なゆっくりを食べてきたけど、妊娠で生まれたゆっくりは食べたことがなかったんだよ」 と、男は朗らかとすらいえる笑顔で説明してみせる。おいしいものを食べられて、とても幸せそうだ。 もしもこれが料理であったなら、その嬉しそうな顔で料理人冥利に尽きることだろう。 だが、自らの子供を食された母れいむは歯茎を剥き出しにして、泣き喚いていた。 「がえじて! れ゛いむ゛のあがぢゃんがえじでぇ! じんぢゃうぅぅっ!」 「そんなに慌てると、子供がちゃんと生まれないよ? 気をつけないと」 男は的を外した心配をしながら、子れいむを半分以上食べてしまう。 子れいむは声こそ出さないものの、叫んでいるような顔つきで完全に動かなくなってしまった。 我が子が絶命してしまったことを悟ると、母れいむは痛ましい悲鳴をあげる。 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!??」 「ごちそうさまでした。ゆっくり次の子供を生んでね!」 男は絶叫した顔で死んでいる子れいむを脇に置く。当然、母れいむにも見える位置である。 頭の後ろから食べていたので、顔の部分は死んだ時のままでしっかり残っている。 見ようによっては、母れいむを恨んで死んでいったように見えなくもない。 「みないでぇぇっ!! そんなどごにおいどかないでぇぇっ!!」 叫ぶ母れいむ。あまりにも力んだせいか、めりめりと新たな子供が生まれようとしている。 男は母親の大きさから見てあと二匹ぐらいは生まれるかな、などと考えていた。 「ゆっ!? まっで! でてぎぢゃだめだよおおお! ゆっぐりじでいっでねええぇぇっ!!」 「生まれようとしているのを、無理に止めるのはいけないよ。ほ~ら、頑張って頑張って」 生まれるのを必死で食い止めようとするが、子供が出てこようとするのは止められない。 その行為は、いたずらに苦痛を長引かせているに過ぎなかった。 顎の穴から子まりさの顔が見え始める。外の様子は伝わっていないようだ。 子まりさの顔は未知の世界に対する期待で満ちている。今なら全てのものが輝いて見えているだろう。 いくら耐えてもやがて限界は来る。出産に伴う痛みで、母れいむの悲痛なる叫びが家の中に響いた。 「ゆぎぎぎぎ!! ゆっ! ゆ゛っ! ゆ゛ぐう゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛っ゛!!」 ぽーん、と二匹目の子供が生まれる。生まれた子まりさは、ころころと家の中を転がって全身で喜びを表現していた。 母れいむはこの状況にも関わらず、母性に満ち溢れた笑顔でその様子を見ている。 出産直後は痛みからの開放と子供は生まれたことで、ゆっくりにとって生涯最も幸せな表情を見せるという。 それは確かに事実だろう。しかし、その表情も男が子まりさに近づいていくのを見ると、長くは続かなかった。 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!?? にげでぇぇぇっ!!」 母れいむの言葉は子まりさには理解できない。いくら成体に近いといっても、子供であるがために知らないことは多いのだ。 そう、例えば人間の恐ろしさを。 続く このSSに感想を付ける