約 3,642,118 件
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/3005.html
このSSはぺにまむ表現を含みます 一部東方キャラが出演します OKな方は戻らないでどうぞ ここ最近、私は山によく出掛ける 山に住む河童から私が商いをしている店に注文があったからだ 河童の方々は上客であるため直接出向き商品を納品することにしている そんなことが何回か続き山の妖怪達からも顔を覚えられるようになった 天狗に出くわしても会釈を交わす程度にはなり、山道では特に危険もなくなり 安心して商売に精を出していた 数ヶ月経ったある日山にもゆっくりが出るようになった 最初に私がよく出会ったのはゆっくりれいむだった 「ゆっくりしていってね!」 と、特有の挨拶をしてくるナマモノ饅頭 私は別に族に言う虐待お兄さんでもない かといって愛でお兄さんでもないので特に何もしない 気まぐれに何かくれてやることがあったがあったがそれとてお菓子ではなく 精々食べかけの私の食事だ 野生のゆっくりに人間の食事を与えると野生の食事が取れなくなると聞いたので なるべく野菜のカスを与えていた それから1ヶ月が立った 河童からの注文を受け私は商品を受け渡しに山へと赴いた 「ゆっくりしていってね!」 ちょうど山道を登り始めて5分ほどしたころに一匹のゆっくりと出会った 金色の髪、そして頭のカチューシャ ゆっくりありすだ 「とかいはなありすになにかたべものをもってきてね!」 食べ物を要求するゆっくりは数多い が、丁度この日は何も持っていなかったためゆっくりありすを素通りした その後も 「とかいはのありすをむしするなんて〜〜!!」 「じいい〜〜!」 とか叫んでいたようだが聞こえないふりをした そうこうしてるうちに受け渡しの場所に到着し、河童に商品を渡す そして、その代金を受け取り世間話をする 河童というのは人間を盟友と思っているらしくとても友好的であった 今では私も友人のように話をしている やれ、天狗の新聞大会がどうとか、神社ができただの、本当に他愛もない話だった 当然ゆっくりも話題に上る 「最近はゆっくりの中でもありす種が多くなってきた」 と、河童は餡子の饅頭が好きだったのになぁとぼやき始めた 「ゆっくりって全部餡子じゃないのか?」 「いやぁ、ゆっくりは種類によって中身が変わるんだ」 河童は丁寧にも私に説明してくれた。なんと、ゆっくりを使って 「「「ゆっくりしていってね!」」」 差し出されたのはれいむ、まりさ、ありす、ぱちゅりー、みょん、ちぇん 河童はまずれいむを持ち上げる 「知っての通りゆっくりれいむだ。こいつはな…」 そう言うと河童は器用にもゆっくりれいむを縦に引き裂いた 河童は人間よりも力があるためれいむは自分が死んだことに気付かぬままに死んでしまった 「でいぶぅぅぅぅう!!!」 「むぎゅうううう!!!」 「ぢーんぼ!」 「わがらないよー!」 河童が作ったケージに閉じこめられたゆっくりが口々に目の前で引き裂かれた れいむを見て悲鳴を上げる 私は精神衛生上よくないのでは?と訪ねてみた すると、ゆっくりは恐怖や絶望を味わうと甘くなるなどと言う 一体どんな構造をしているのだ 「ほら、こしあんだ」 ちぎったれいむの半身を差し出し河童はそれに口を付ける お茶まで用意されているということはどうやらそういうことらしい 試しにと私もそのれいむを食べてみた 「これは…!」 「な?美味いだろ?」 甘さ控えめ、あっさりとした餡子 皮ともベストマッチしたこの饅頭 こんなものは里でも食べたことはない 「で、まりさはつぶあんなんだ」 河童はさらにゆっくりまりさを縦に引き裂いていく しかし、今度は先ほどと違いとてもスロー、つまりゆっくりしている 「やべでええ!!ばりざがふたつになっぢゃうううう!!!」 「おいおい、ゆっくりしたいんじゃないのか?」 「ゆっくりじだいでずうううう!!!」 「いいぜ、あの世でゆっくりしな」 「いやああああ!」 まりさに深い絶望を与えて河童はまりさを引き裂いた そしてこのまりさはとても甘く、また別の美味しさを持っていた どうやら絶望を与えると甘みを増すというのは本当のようだ その後もぱちゅりーから生クリーム、ありすからはカスタードクリーム みょんからホワイトチョコクリームと数種類の甘味を味わった そしてケージの中では最後の一匹となったちぇんが失禁しガタガタと震えている 「わがらないよー!」 「もしかしてこいつはチョコ?」 「察しが良いな、その通りだ」 河童はケージからちぇんを取り出すと頭をなで始めた 「が、こいつは俺のペットなのだ」 ちぇんをあやしながら河童は自慢気な顔をする そう言われるとこのゆっくりならペットにしてもいい気がしてくるから不思議だ 河童はちぇんに「れいむ達は悪いゆっくりだからこうなった」と説明した ちぇんも渋々納得したようで「悪いことはしないよー」と言ってどこかに行ってしまった 遊びに行ったのだろうか 「おっと、山に出られないようにしておかないとな…そうじゃないとありすに…」 「ありすに?」 思わずインコのように聞き返した 野生の動物に飼っているペットが襲われる話はあるが ゆっくり同士でもあるのだろうか? 「あぁ、あんたは知らなかったのか」 ゆっくりに性別はなく、雌雄同体に近いらしい そのため交尾となれば雄役と雌役に分かれる しかし、そのため強制的に交尾を迫り好き勝手に繁殖するありすがいるというのだ れいぱーありすと呼ばれるありすは相手を雌役とし自分の生殖器を使い、ゆっくりをレイプする レイプされた方の個体には頭から茎が生えて子どもが実る 母体となったゆっくりは子どもを作る過程で体内の餡子を茎に持っていかれるため 十分に成長しないと死に至ってしまう 最近になってありす種が激増した原因はそのれいぱーと呼ばれる個体のせいらしい 特にまりさ種を好んで襲うらしい 「俺のちぇんまでそんなのに襲われたら困るからな。ちょっと見てくる」 河童は説明を終えるとちぇんを追いかけていった 私も店に戻るためにその場を後にした 帰り道、ゆっくりを見かけたがどれもありすだった もう一度言うが私は虐待派でも愛で派ではない そのため、特に気にもとめずに店へと戻った 一週間後、里ではれいぱーありすの話題で持ちきりとなった 遂に妖怪の山ではれいぱーありす以外を見かけることが少なくなった 天狗の新聞にはゆっくりは他の場所へ逃げたか隠れ住んでいると書いてあったがどうなのであろうか これが話題になったのは里の飼いゆっくりが襲われるようになったからだ 寺子屋の慧音さんの元へと相談に行く人もでるようになり騒然となった そうして里ではゆっくり駆除についての案を募集していた 人海戦術を行おうにも山は広大である 薬剤の散布は木々に影響を及ぼすために却下され、お手上げ状態となり 誰か良い案は無いか、ということになってしまった 私の店の常連客も時々何か案はないかと話していた 飼いゆっくりを殺されて怒り心頭の様子 私にまで案はないかとたずねてくるのだから 「そうですね…」 意外なことに私にはアイディアが閃いた しかし、この方法は私1人では実行できず、恐らく竹林に住む者の力を借りることになるだろう 慧音さんに話と意外なことに既に向こう側から協力の要請が来ていたらしい どうやら研究に必要だとか こうして、永遠亭の強力を得て私の案が実行されることになった 妖怪の山ではれいぱーありすの横行によってありす種が山のゆっくりの半分以上を占めるようになった そんな中一匹のありすがいた このありすもれいぱーである 流れるような美しい髪、艶やかな肌、お気に入りのカチューシャを付けた自分は山一番の美ゆっくりだと思いこんでいる そして当然目に映るもの全てがれいぱーフィルターを通される れいむが美味しそうなものを集めていればそれは自分のためだと思いこみ また、まりさがいればそれは自分を誘っているものだと思いこむ できた子どもはレイプしたゆっくりが1人で育てるのが当たり前で美しい自分の遺伝子を持ったゆっくりを一匹でも多く増やすのが 自分の使命だと考えている 西にぱちゅりーがいると聞けば行ってにんっしんっさせ、東にちぇんがいると聞けばにんっしんっさせる。 そんな毎日が続いていた その日、ありすはいつものように目を覚ました しかし、そこは木の下に作られた巣であり、自分の都会派な巣ではない が、ありすはレイプしたゆっくりの家を乗っ取ることが多かったので特に気にしなかった 「きょうもぷりちーなありすのこどもふやしにいくわ!」 ありすは日課であるゆっくり探しを行う れいぱー種に怯える他のゆっくりは隠れて生活している または徒党を組んだりドスに守られているため1人ではとても近づけない 現在、この山の群はありす種を問答無用で殺すことによって辛うじて存続を図っている そこでありすは考えた まりさが自分の気を引くために送ってきた(そう思いこんでいるだけで実際はレイプする際に奪った)帽子を被る これにより他のゆっくりはありすのことをまりさだと認識してしまう 髪飾りによる識別を逆手に取った手段だった これにちょっと演技を加えるだけでゆっくり達はダマされてありすを巣に呼び込んでしまう そうして今日もまた犠牲ゆっくりが 「ゆゆ?まりさはひとりなの?ひとりだとありすがくるからまりさのいえにおいでよ!」 「ありがとう!まりさはとってもゆっくりできるゆっくりだね!」 まりさはこのありすを1人はぐれたまりさだと思いこんだ 仲間を救うために自らの巣に招き入れるのだ 例えれいぱーが来ようとも徒党を組めば対抗できるためである (ゆゆ、まりさはつんでれすぎてありすはこまっちゃうわ!) ありすは木の下に上手く枯木と落ち葉で隠された巣まで案内された それは人間の目から見ても中々上手く偽装されている巣であり野生のゆっくりが見つけるのは到底困難なほどだ (ありすのためにこんなおうちをよういしてるなんて…まりさったらとかいはね!) 「はやくはいってね!ありすにみつかっちゃうよ!」 「ゆっくりいそいではいるね♪」 ありすが巣にはいるとまりさは急いで巣の偽装を開始する 元々地形的にも優位性があるためさほど時間はかからない そして偽装を終えたまりさが戻ってきたとき、ありすは反抗に及んだ 丁度このまりさは1人だったのだ 運悪く他の仲間は狩りに出掛けていた 普段ならゆっくり4匹が共同生活を送っているため一匹だけなら何の問題もないのだがまりさ一匹ではれいぱーありすを押しのけることもできない 「まりさ!すりすりしすぎだよ!まりさたちにはすっきりしてるよゆうはないんだよ!!」 「す〜りす〜り♪」 まりさから見れば敬愛の証のすりすりもありすにしてみればただの前戯 まりさをその気にさせているのである 「ゆゆゆ!だめなんだよ!あかちゃんができてもありすが!!」 「まりさあああ!!!」 まりさがその気になったと思ったありすはここで帽子を脱ぐ 「ゆ!?ありずぅぅぅぅう!!!?」 帽子の下から現れたカチューシャを見てまりさは驚いた 急にまりさがありすになったのだ 帽子を脱いだだけだがまりさがそれに気付く間もなくありすは襲いかかる 「まりさもあかちゃんがほしいのねええええ!!」 「やべでええええ!!!まりざにはでいぶがあああ!!!」 このまりさには将来を誓ったれいむがいた そのれいむは狩りと歌が上手な美ゆっくりでありすの危険が去ったら結婚しようと約束していた だが、ありすの攻めによりまりさは強制的に発情させられてしまい、体中から粘液を分泌している ありすからも粘液が分泌され互いの粘液が混ざり出す 「まりさのまむまむきちきちできもちいいわああああ!!!!!」 「いやあああああああああああああ!!!!!」 まりさがどんなに力を掛けても覆い被さるありすは離れない その醜悪なぺにぺにでまりさを犯している 「むほおぉぉぉぉぉ!!!!!」 「だべええええええ”!!!!」 「「すっきりー!」」 ぺにぺにから精子餡を出し切るとありすはようやく勃起したぺにぺにを引き抜く 対するまりさは大粒の涙を流しながらピクピクと震えている 「でいぶぅぅぅ…ばりざよごれぢゃっだよぉぉ…」 「せかいいちうつくしいとかいはなありすのこどもがうめてまりさはしあわせね!」 まりさの頭から茎が生えて子供が出来ていく 幸いまりさが黒ずんで死ぬことはなかった そうして一匹目の子どもが出来た 「ゆっくち〜」 まりさ種であり、まだ赤ゆっくりになりきっていないため上手く言葉が話せない そして二匹目が実る またまりさ種である 「かわいいありすのこどもね♪つぎはありすができてね!」 ありすはまりさの茎に実る子どもを見つめる そうして三匹目 「きたわ!ありすのこどもね!」 「ゆ〜…」 だが、実ったのはなんとれいむ種だ 「ゆ?どうしてありすじゃなくてれいむなの?」 ありすははてなまーくを浮かべながらまだ実ったばかりのれいむを見定める まりさとありすの子どもなのだかられいむが出来るはずはない 「まりさったらうわきしてたのね!でもいいわ、とかいははこころがひろいのよ」 勝手なことを口走りありすは4匹目を待つ 残るはあと2つ 4匹目と5匹目が同時に実った だが、二匹ともれいむ種だった 「どぼじでありすができないのぉぉぉぉぉぉ!!!!」 まりさからは5匹の子どもが産まれ内訳はまりさ2匹にれいむ3匹である 自分と同じありすが産まれなかったことに激怒したありすはまりさに体当たりする しかしまりさはそんなことなど気にとめずに自分に実った子ども達を見やる 「ゆゆ…まりさと…れいむだよおぉぉぉぉ!!」 まりさは不幸のどん底から一転幸せの絶頂を迎えていた れいぱーありすの子どもではなくれいむの子どもが出来たのだ 難しいことは分からなくてもありすの子どもが出来なかった上にれいむ種の子どもを授かったことで幸せ一杯だ 「ふん!まりさみたいないなかものにはれいむがおにあいだわ!」 ありすは帽子を拾いまりさに罵倒を浴びせながら巣を後にした ありすは不機嫌だった まりさは浮気をしていて自分ではなくれいむの子どもを実らせた すっきり出来たもののその一点だけがどうしようもなく不快だった 「つぎはもっととかいはなゆっくりにするわ!」 ぽよんぽよんとありすが山道を登っていると目の前には一匹のちぇんが 「まりさだねーわかるよー」 「ゆっくりしていってね!」 と、礼儀正しく普通のゆっくりの振りをする だが、ちぇんが気をそらした瞬間襲いかかる 「むほぉぉぉぉ!!ねこみみのちぇんもかわいいわああああ!!」 もはや帽子を取るどころではなく、一刻も早く自分の子どもを作るが優先された結果だ 「わがらないよー!まりざあああ!!!!」 ありすのギンギンにたぎるぺにぺにがちぇんを犯していきあっと言う間に絶頂に達する 「「すっきりー!」」 ありすは激しく体を動かしたために帽子が落ちていた れいぱーと気付いたちぇんだったが既に茎が生えているため動く動けない 「ゆっくりはやくかわいいありすのこどもをうんでね!」 「わからないよー…」 そうしてちぇんも子どもを実らせる だが、産まれてきたのはちぇんとれいむだった 「まだでいぶぅぅぅぅぅ!!!」 「わきゃるよおお!!とってもゆっくりしたちぇんとれいむだよおおお!!」 ちぇんはうれし涙を、ありすは悔しさや憎しみの篭もった涙を流す 「でいぶうううう!!!ありずのじゃばをずるのねえええええ!!!」 ありすはちぇんには目もくれずに叫びながら走り出した その後もありすは見かけたゆっくりを全て犯していた だが、産まれる子どもは全て犯した相手とれいむ ありすは一匹も生まれない 「どぼじでえええ!どぼじでありずがうばれないのおぉぉぉぉ!!!!」 発狂したありすは暴れ狂いながら走り続け、ついには大きな石に頭をぶつけて気絶してしまった 同じ頃、他のありすにも同様の症状が現れていた 「なんでありすじゃなくてみょんがうばでどぅのぉぉぉぉ!!!!」 「ばりざじがうばでないいいいいい!!!!!」 「ちぇんん!!!!なんでちぇんとぱちゅりーなのおおおおお!!!」 「ぱちゅりーとでいぶじがあがががああああ!!!」 「ぱちゅりーがばりざをねどっだのでえええええ!!!!!」 全くありすが産まれない 産まれるのは相手と自分ではないゆっくり ありす達は次々に発狂していった そしてそれを遠くから眺める女性が二人 一人は上白沢慧音、もう一人は 「上手くいったみたいね」 八意永琳である 彼女はありす達の様子に非常に満足しているようだ 「私から話を持ちかけておいてなんだが、少々むごいな…」 慧音は発狂するありす達をどこか憐れみを含んだ目で見つめる 「しかし、これも自業自得だ…おまえたちも反省するといい」 「そんなのする暇ないわ。これからありすは大幅に減るんだから」 永琳が指をぱちんとならすとどこからかてゐが現れてありすを袋に詰め込んでいく 袋が一杯になると他の兎たちがそれを永遠亭まで運ぶ 「けど、これを考えたの里の人間でしょう?なかなか見所のある人間じゃない」 今回の案は永琳ではなくある男がもたらしたものだ それは、ゆっくりが繁殖を行う際にありすが産まれないようにすること 具体的には繁殖時には体内の餡子を精子餡に変換してぺにぺにから射精する そこでその変換の過程でありすのカスタードから別のゆっくりの生クリームやらチョコに変わるように体をいじったのだ 山に睡眠薬を撒きありすが眠ったところを鈴仙に捕まえさせ処置を行う そうして全て元いた場所に戻されもともと無頓着なありすは何も考えずにれいぷを行う 結果、自分の子どもは一匹も生まれない 「何か小説で読んだ話だといっていたが…人間だったら殺されてもおかしくないぞ」 「あら、それはnice boat.な意味で?」 「………」 慧音の元に提案した男は小説の話をヒントに思いついたと言っていた 一件温厚そうに見える男があの様なことを思いつくとは恐ろしいと感じていた 「さて、それじゃまた次のありすを捕まえるわよ」 計画は妖怪の山を12区画に区切って行われる つまり、これと同じ事をあと11回 大々的な作業のためカラスや河童も協力をしているほど人手がいる この様な方法をわざわざ取るのは里の人間はありす以外からは実害を被って折らず まだ慣用的であったからだ それともナマモノとは言え全滅させることに引け目を感じたのか、ありす以外は残ってもよい、と決議された その様な背景もありわざわざ手間の掛かる方法を取ってある だがしかし、半分は永琳の趣味なのだが 「……妹紅、私はいつになったら帰れるのかな」 妹紅は今回の件には関与していない あくまでも里のことなので寺子屋の留守を任せてある 結局、全区画の作業を終えるまでに1週間かかり、慧音は作業の手伝いでその間寺子屋へは帰れなかった そして、妖怪の山からありすが姿を消したのはちょうど冬が訪れたときの話である by お題の人 あれ?前半書く必要あったけ? あと、規制キターorz
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/3146.html
しばらくして男が部屋に戻ってきた。 「どぼじでええええええええぇぇぇぇぇぇ!!!どぼじでごんなごどずるのおおおおおおおお!!!!」 男の姿を見てまりさがまた叫びだした。 男はまりさの呼びかけに答えずに箱の中に何かを投げ入れた。 「まりざあああああああ!!!まだありずどすっきりじまじょおおおおお!!!!!!」 それは昨日の発情ありすだった。汚いのも臭いのも全然変わってない。 「どぼぢ・・・で・・・・・・・・・ゆううええええええ!?ありずぅうううううう!!!?」 叫んでいたまりさはありすの姿を確認し、慄いた(おののいた)。 昨日のおぞましい記憶が脳裏に甦り、まりさは昨日よりは広くなった箱の中で逃げ出そうとする。 「おい、せっかくまりさとの間に赤ちゃんのいない所にありすを置いてやったのに まりさが逃げまわったら赤ちゃん踏み潰してしまうぞ。」 「ゆぐっ!!!?」 男の忠告にまりさの体が固まった。と、同時に猛烈な勢いで突進してきたありすに圧し掛かられ組み敷かれてしまった。 「まりざあああああ、まりざああああああ、まだすでぎなよるをずごじまじょおおおおおお!!!!!!」 「いやああああああ!!!!!!すっきりじだくないいいいい!!!!ぎぼじゅわるいいいいい!!!!!!!」 「今は朝だろ。」 男の空気の読めてないツッコミ以外昨日と同じだった。 「お゛に゛い゛い゛ざん゛ん゛ん゛!!!!な゛ん゛で゛あ゛り゛ず づ れ゛で ぐ る゛の゛お゛お゛!!!!」 「いやぁ、ついうっかり赤ちゃんのお目目潰しちゃったからさ、 まりさの赤ちゃん“台無し”にしちゃったお詫びに、また元気な赤ちゃん作ってもらおうと思ったんだ。 何、俺とまりさの仲だ。お礼は い・ら・な・い・よ。」 「だい゛な゛じな゛ん゛がじゃ゛な゛い゛よ゛お゛お゛!!!!おべべびえなぐでもまりざのがわいいあがぢゃんだよおおお!!!」 まりさの抗議の声が男に届くことなく、まりさは昨日と同じように犯されていった。 全身のありとあらゆるところをありすの肌と舌で責められ、唇はもちろん口内も蹂躙された。 そしてすっきりした。まりさの頭からまたも蔓がニョキッと生えた。 「ぶふふうううううぅぅぅぅ・・・・・・なかなかとかいてきなまりさだったわぁぁぁぁ。またこんどすっきりしてあげるわねぇ~。」 「ゆぐっ・・・・・・うべぇ・・・・・・もうやだぁ・・・ありずど・・・ずっぎりじだぐないよおおおぉぉぉ・・・・・・」 満足していたありすとは対照的にまりさは泣いて震えていた。 「ありす、ちょっと待て。」 男がまりさから離れて自分に近寄ってきたありすを口で制した。 「ゆぅ?な、なぁに・・・おにいさん?もう、きょうのすっきりはおわりでしょ?」 「今日は特別にもう一度やっていいぞ。」 「ゆ?ゆうぅ?ほんとおぉぉぉ?もういちどすっきりしていいのおおお?」 男の許しがない限り相手を殺さないように一日一回まで言われてるすっきりをもう一度許可されたことにありすは喜ぶ。 「ああ。ただし今度はお前のぺにぺにを使うんだ。もちろんまりさはまむまむをな。」 「ゆうう~?ぺにぺにで・・・・・・?」 だが男の出した条件に顔をしかめる。それもそのはず。 ほとんどの発情ありすはぺにぺにでのすっきりをあまり好まない。 性感帯として使える面積の多いすりすり型のすっきりに比べ、動物型のすっきりは相手と触れ合う部分が少ないために 快楽の速効性に欠け、すっきりまで時間がかかるからだ。 それに加えて動物型の場合、相手がちょっと動いて逃げようとするだけで ぺにぺにがまむまむから抜けてしまうので相手の同意がなければ難しい。 だから俗にレイパーと言われる発情ありすの大半は、動物型よりすりすり型のすっきりを好む。 自分から動物型のすっきりを選ぶのはたくさんの無理やりすっきりを経験した玄人レイパーありすくらいである。 「ゆふぅ~、しがだないわねぇ~、とがいはのありずはせづなでぎなすっきりでもいいけど じっくりおどなのすっきりもたんのうじであげるわ~。」 もっとも動物型じゃなければすっきりが許可されないのであれば、たとえ動物型でもすっきり出来る方を選ぶのは言うまでもないが。 ムクムクとありすの腹から小さな突起物、ぺにぺにが生えてきた。 「ゆううううううう!!!!!もういやあああああ!!!!!ありずとずっぎりしたぐないいいい!!!!」 男が泣き叫ぶまりさを両手で掴んで押さえつける。 「ありす、動物型じゃお前一匹では難しいだろう。手伝ってやる。前からと後ろからとどっちがいい?」 「ゆうぅ・・・ぞうねぇぇぇええ~、やぜいてきとがいはのありずは、わいるどにばっくからがいいわ~。」 「OK。」 男はまりさを回転させてありすに背を向けさせると、前に押し倒した。そしてまりさを上下反転の「への字」状態に逸らす。 すると底面に近い腹の部分、ありすが今ぺにぺにを生やしてるあたりに注意して見なければ気付かないほどの小さな閉じた穴を発見する。 まむまむと呼ばれる動物型すっきり用の器官である。ぺにぺにじゃない時はまむまむとして体内に収まっている。 「ほい、準備OK。」 男がそう言った。 まりさのまむまむを目にして、ありすの興奮が絶頂まで達する。 「まりざのまむまむ、どっでもぎれいででかわいいわああああ!!!!ありずのぶとくでがだいのうげどめでええええええ!!!!」 聞くに堪えない台詞を発しながら、ありすはぴょんとまりさの真後ろに向かって跳躍する。 そしてその勢いのまま着地するより前に空中でいきり立ったぺにぺにをまりさのまむまむへと差し込んだ。 「ナ~イスショット♪」 男がありすの何の役にも立たない妙技を誉めた。 ありすはぺにぺにが抜けないように、上手く体をくねらせて着地する。 「ゆ゛ぎ ぐ が あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!!!」 絶叫をあげたのはまりさだった。 動物型すっきりといえど、最初はすりすり型みたいに肌をこすり合わせる前戯から行う。 まむまむは基本閉じているために相手から分泌される体液では外側しか濡らすことは出来ない。 自分自身でまむまむの中に体液を分泌しないとまむまむの中は濡れないのだ。 そうやって自分の体液でまむまむの中を十分に濡らすことによって、まむまむは相手のぺにぺにをスムーズに受け入れる準備を整える。 しかし、それは受け側のゆっくりが相手のゆっくりを愛している場合である。 ありすを全く愛していないまりさが、まむまむの中に自らの体液を分泌することは無かった。 まったく準備の整っていないまりさのまむまむは、ありすのぺにぺにを入れられたことにより激しく接触部分をこすられ、 まりさは体の内側から鋭い痛みに襲われる。 「ゆぎいいいいいいいいい!!!!!いだいいいいいい!!!!!ぬいでえええええええええ!!!!!!!!」 「ゆほおおおおおおおおおおお!!!!まりざのながどっでもずでぎよおおおお!!!ずっごいじめづげでぐるうううう!!!!」 まりさは体の内側からの激痛に悲鳴をあげ、ありすはそんなまりさの悲鳴を喘ぎ声と受け取りヒートアップする。 体に襲い掛かる危険信号にまりさのまむまむは異物を排除しようと締め付けるがそれがまりさに更なる地獄をもたらす。 まりさのまむまむの内部が、ぺにぺにとより激しくこすれ合うようになって、まりさの苦痛は更に増していった。 「あげっ・・・・・・!!!!ぐぎぃいいい!!!ひぎゃああああ・・・・・・!!!!!おぐぅえええええ・・・!!!!!」 視点も定まらないまま、まりさは獣のような悲鳴を上げてまむまむを犯され続けた。 (挿絵08) 「んふぅおおおおおおおおおおお!!!すっきりいいいいいいいいい!!!!!!!」 「ぐぎいいいいいいいいいいいい・・・・・・すっきりー・・・・・・・・・」 ありすのすっきりと共にぺにぺにからカスタードが放出され、それをまむまむで受け取ったまりさも絶頂に達した。 ここらへんはすりすり型のすっきりと変わらなかった。 結局ありすはそれから男の許可の元、動物型すっきりで三回絶頂に達した。 なんだかんだいいながらも動物型すりすりも結構気に入ったようだ。 最後は男にまりさを仰向けにしてもらって、まりさの顔を見下ろしながら行為を楽しむ余裕が出来たくらいである。 (挿絵09) まりさは体の中に小さな異物が形成される感覚を覚えた。にんっしんである。しかしこれは今までのにんっしんとはちょっと違う。 頭に生えた蔓から一日で産まれた植物型にんっしんと違い、今度の赤ちゃんはまりさの腹の中から数日した後に生まれてくる。 更に植物型で生まれたプチトマトサイズの赤ちゃんよりも一回り大きいミカン程度のサイズで生まれてくるの。 生まれる数も一度に何匹も生まれる植物型に比べて、一回の動物型すっきりで生まれるのは1、2匹くらいである。 これがすりすり型すっきりの植物型にんっしん(出産)に対するゆっくりのもう一つの繁殖方法、 動物型すっきりの胎生型にんっしん(出産)である。 ありすが動物型で三度すっきりしたので最低でも三匹は生まれてくることになる。 男はまりさの頭に最初に生まれた赤ちゃんの蔓がくっついたままだったのを見て引きちぎって持ってった。 まりさにはそれを見て何かする元気は無かった。 その日の夕方、生まれてから半日近く何も食べていなかった赤ちゃん達に初めての食事が与えられた。 その餌は普段発情ありすに与えていた生ゴミだった。 とてもお腹を減らしてた赤ちゃん達は本能的にそれが食べ物の匂いだと気付くと 目の見えない体でずりずりと生ゴミの元まで這いずって行って箱の中に投げ捨てられた生ゴミを貪り喰った。 生まれて初めての食事に赤ちゃんみんなで「むーちゃむちゃ、ちあわちぇ~♪」と喜んだ。 まりさはそれを見て悲鳴をあげた。 「あ・・・あがぢゃんんんん!!? な゛に゛だ べ で ん゛の゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!!!!!」 元々人間と同じ食事をしてて、クズ野菜でさえもためらうゆっくりが、自分の子供のそんな姿を見れば当然の反応だろう。 男はそれを見て笑っていた。このために赤ちゃんの生まれ落ちた後の蔓を食べさせる前に処分したのだ。 赤ちゃんの舌を肥えさせなかったおかげで目の前の光景があるのだ。 男は生ゴミを貪る光を失った赤ちゃんゆっくりと、それを見て食べるのをやめるように泣きながら説得するまりさを満足するまで眺めた。 新しく植物型の子供と胎生型の子供を身篭ったまりさが、生ゴミを拒否して衰弱死しては面白くないので 男はまりさに無理やりクズ野菜を口に詰め込んで食べさせると部屋を出て行った。 男は部屋を出ると独り言を漏らした。 「ふうううう、やっぱり子供を愛してるゆっくりとその赤ちゃんを甚振るのは最高だなぁ。気持ち良過ぎるぜ~。 ・・・・・・と、子供を愛してるゆっくりといえば、その逆のあいつらどうなったかな。」 そういって別の部屋に入っていった。そこは別のゆっくりの家族を虐待している部屋だった。 部屋の中にいるのは親れいむと子ありす、子れいむ。 子ありすと子れいむは成体ゆっくり四匹分ほどの透明な箱の中にいた。 箱の中で食べ切れなかったお菓子を残して、悠々と姉妹と遊ぶなり食休みを取るなりしていた。 同じ箱の隅にはぽっかりと円形の穴が開いていて、同じ大きさの円形の透明な筒に通じていた。 成体ゆっくりよりちょっと大きいくらいのサイズである。 穴の出口は金網で閉じられていて、脱出することは出来ない。 そこに閉じ込められているゆっくりが一匹、成体のれいむであった。この子ありすと子れいむの親である。 「おねがいいいい、れいむのあがぢゃんだぢいいいい、おがあざんんにもごはんぢょうだいいいいいい、おながずいでるのよおおおお・・・」 情けない声で穴の外の子供達に食料を分けてくれるように頼んでいる。 しかしそんな哀れな母親への子供達の反応は冷ややかだった。 「ゆっ!おきゃーさんに、あげりゅおきゃちは、なにもにゃいよ。そきょでゆっきゅり、がちちてね!」 「おきゃーしゃんは、ありしゅたちに、なにもくれなかっちゃくちぇに、じゅうじゅうしいよ!」 「ゆっきゅちちね!こにょ、ぶちゃ!!」 子ゆっくり達の誰も母親に助けを差し伸べようとはしなかった。なぜならそれは自分達がされたことだからである。 この親れいむ、元はつがいの成体まりさと、そのまりさと自分の間に生まれた子供達と一緒にここに連れてこられた。 山で自分達の巣にいたところを男に捕獲されたのだ。 男が巣を覗いた時、親れいむが子供達に歌を歌ったり、親まりさが自分の髪の毛や帽子で他の子供達を遊ばせていた。 姉妹同士ですりすりしている個体もいたし、親とすりすりしている固体もいた。 地面には食べ残しと思われる山菜や虫など食いちぎられた欠片が落ちていた。 食後の幸せなひと時といったところだろうか。 「ゆゆゆ~ゆゆ~♪ゆ~ゆ~ゆ~♪」 「ゆっ♪ゆっ♪」「きゃっ♪きゃっ♪」 「しゅりしゅり~♪おねーちゃんとしゅりしゅり~♪」 実に幸せそうだった。 (挿絵10) 男はこのゆっくり一家を自宅に連れ帰ると、家族を箱に閉じ込め、そこに発情ありすを放り込んだ。 あっという間につがいのまりさ、子供達共々すっきりさせられ、れいむ自身もありすとの子を宿してしまう。 まりさと子供達は、にんっしんの蔓に栄養を吸い取られ、黒ずんでこの世を去った。 男がありすにれいむ以外は好きに犯していいと許可したために、ありすが本能のまま、まりさと子供達ですっきりしまくったからである。 (挿絵11) れいむは生まれたありすとの子供達を自分の子供とは認めなかった。 厳しい自然を生き抜いて、やっと手に入れた愛する家族、幸せだった日々は一瞬でこの世から無くなってしまった。 代わりにれいむの前に現れたのが汚くて臭いありすとの間に生まれた赤ゆっくり達。 欲望に身をまかせることしか頭に無い醜悪なありす。自分の大切な家族を犯し殺したゆっくり。 そんなありすと自分の間に生まれた子供。望まれず生まれた呪われた子。れいむにとっては愛せる存在ではなかった。 発情ありすと同種の赤ありすはもちろんのこと、その赤ありす達に「いもうと」「おねえちゃん」と呼ばれる赤れいむ達も例外ではなかった。 れいむは自分とありすとの間に生まれた子供達を徹底的に迫害した。 男から与えられる餌は一切分けてやらずに自分だけで食べ、必死に懐いてくる赤ちゃん達を死なない程度の体当たりで弾き飛ばした。 弾き飛ばされて痛みで泣いている赤ちゃんを見て、「クズ」だの「ゴミ」だの「いきてるかちがない」だの罵った。 それでも赤ちゃん達は本能的に親への愛情を訴えた。しかしれいむがそんな子供達に情けをかけることは一切無かった。 (挿絵12) 赤ちゃん達は餓死寸前になると男から直接餌を食べさせてもらった。そしてまた餓死寸前になるまで母と一緒の生活に戻される。 そんな環境の中で一週間すごした。 その後全員れいむから隔離され、しばらくの間、男から食事をもらってすごした。 そして次に親子が再開したのが先ほどのシチュエーションである。 母と隔離されてる間に赤ゆっくりから子ゆっくりにまで成長した子供達は男からたくさんのお菓子をもらい、 れいむは子供達から食料を分けてもらうことでしか食事をする術はない。 「ゆっ!おまえたち、そのおかしをれいむによこしてね!!ゆっくりしないではやくしてね!!! さもないとそのおかしたべるのはゆるさないからね!!!」 最初は隔離前と同じ威勢の良さで、子供達に食料を分けるように命令した。 おどおど自分に媚びへつらっていた子供達なら、自分の命令を聞くと確信していたのであろう。 しかし、子供達にれいむの命令が届くことはなかった。 親から隔離されて男から餌をもらうことにより、親への依存心を無くした子ども達。 依存心を無くしたことにより、依存心のために持っていた実の親への愛情も無くなった。 残っているのは生まれてからずっと自分達を迫害し続けてきた親への憎しみのみである。 れいむは何度も言うことを聞かない子供達に声を荒げ命令したが、 恐れる必要も媚びる必要もない今、子供達は一切耳を貸さなかった。 そして今に至る。極度の空腹状態で一日一日と死に近づいていたれいむはプライドを捨て、憎いありすの子供達に「お願い」をしていた。 だが、それについても、すぐに態度を改めたわけではない。 子供達に懸命にお願いするようになったのは昨日の夜からだったが、その前に二日間、お願いも命令もしなかった期間がある。 終始ブツブツと言っていた。おそらく自身の命とプライドをずっと天秤にかけ、葛藤していたのだろう。 そして今、安っぽいプライドを捨て、最愛のつがいと最愛の子ども達を奪ったありすとの間に生まれた子供達に、懸命に命乞いをしているのだった。 最初の強気な態度はどこへやら、立場が逆転し、自分のやったことのツケを払うことになったれいむ。 男はそんなれいむが余りに面白くて笑い、なじった。それに対するれいむの反応が更に滑稽だった。 そのうちれいむが精神的ショックのあまりに餡子を吐いて気絶したので男はその部屋を出て行った。 (挿絵13) 男にはありすに犯されたゆっくりが、生まれる子供達をどう扱おうと、それに相応しい虐待のプランがあったのだ。 だからこそ、あのまりさが子供達を愛してくれたのは素直に嬉しかった。 既に見てるのと同じパターン、同じ虐待では面白くないから。 もっとも、あのまりさの言動から、あいつは自分の子供達を見捨てないと半分確信してたのだが。 おかげで今日はそれなりに満足のいく虐待が出来た。 その日の夜、男は気分良くぐっすりと寝た。目を閉じるとその日の虐待の光景が思い出された。 九割がまりさ親子の方の光景だった。 中編 4につづく
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/3145.html
そしてその夜。家中の明かりが消され月光が差し込むのみの時間。 この部屋も窓からさす月明かり以外に光の無い世界を作り出していた。 月がうっすらと照らす部屋の中でまりさは眠らずにじっとしていた。まりさは眠れずにいた。 夕飯はもう済ませた。クズ野菜なんて元々たいした味はしないものだが、今日の夕飯は何の味すらもしなかった。 足元では先ほどから一匹の赤まりさが必死にさえずっていた。 「ゆっきゅちちてってね!ゆっきゅちちていってね!!おきゃーしゃん、ゆっきゅちちていっちぇね!!!!」 先ほど生まれ落ちた赤ちゃんゆっくりの赤まりさである。他の姉妹はまだ生まれていない。 赤まりさはゆっくり特有のあいさつを無視する母親に対してなんども同じ台詞を言っていた。 そんな赤ちゃんをまりさは見ないようにしていた。 ありすに無理やりすっきりさせられ、生まれた子など見ていたくはない。 そう自分に言い聞かせ、まりさは赤ゆっくりから目を逸らす。 だが本当は赤まりさが視界に入るたびに感じる正反対の感情が嫌だったので、まりさは赤ゆっくりから目を逸らし続けた。 「赤ちゃんはね、生まれてくる親を選べないの。 だから親は赤ちゃんを幸せにするためにたくさんの愛情を注がなくてはならないの。 自分から生まれたから不幸になっちゃったら赤ちゃんが可哀想だからね。 まりさもそう思うでしょ?」 「ゆっ!あかちゃんがゆっくりできないとかぞくはゆっくりできないよ。 だからあかちゃんゆっくりさせるためにたくさんごはんとってくるんだよ。 まりさがんばるよっ!あかちゃん、ゆっくりさせるためにたくさんごはんとるよ。」 ふと一緒に暮らしてた女性と以前話した会話を思い出す。 あの時、親が狩りを満足に出来ないと赤ちゃんがゆっくり出来ないから、がんばってごはんを取りにいくもんだと思ってた。 しかし、もっと別の意味が込められてたのではないか。まりさはそう思った。 だが考えれば考えるほど自分にとって不都合な答えが出そうな気がしてまりさは考えるのをやめた。 赤まりさを意図的に見ないようにしてたまりさ。 しかし狭い箱に閉じ込められた状況では碌に見る物の無くなったまりさは赤まりさを見てみようと思った。 別に見たいわけじゃない。他に見るものがないから仕方なく見るのだ。 誰でもない自分にそう言い訳をし、まりさは赤まりさを初めてじっくりと見た。 叫び疲れもはや何も言わない赤まりさ。目からはポロポロと涙を流し泣いている。 まりさはそんな赤まりさを見て心を痛めた。 自分から生まれたばっかりに辛い思いをしてるその子を。 もし愛する夫婦の間から生まれたのだったら幸せになったであろう、その子の境遇に。 そう思っているうちに第三者目線で自分自身を扱っていることにまりさは可笑しくなった。 自分がその子を愛してやればすむことである。 しかし、ありすに無理やりすっきりさせられて生まれた子を愛するわけにはいかない。 まりさは込み上げる感情と頭の中で繰り返される女性との会話の思い出を無理やり押さえつけながら赤まりさを見ていた。 それから数十分間、まりさは赤まりさを見つめていた。その間に他の姉妹達も全て生まれ落ちていた。 まりさ種の赤ちゃん5匹とありす種の赤ちゃん4匹の計9匹が、 一生懸命親であるまりさに例の挨拶をしていたが、相手にしてもらえず今では叫び疲れて泣いていた。 赤まりさから視線を移す必要も無かったのでまりさは他の姉妹は一瞥しただけだった。 まりさはふとあることに気付いた。赤まりさの髪である。一部の髪の先っぽがくるっとカール状にくせ毛になっていた。 女性と暮らしていたころに鏡で自分の姿を見ていた時に、どうにかならないものかと思っていた部分である。 更に帽子が他のまりさ種の姉妹と比べて少し折れているのを発見した。それも以前、鏡で見た自分の帽子の特徴と一致する。 それだけでは無かった。自分にしかわからない自分との共通点が次々に見つかったのである。 他の姉妹達でも同様だった。一番最初に生まれた赤まりさと同じでは無かったが自分と似ている箇所をいくつも発見した。 驚いたことに、それはありす種の赤ちゃんでも同じことだった。 髪飾りや髪型など種特有の違いは別にして、自分と同じ微妙な身体的特徴が赤ありすにも見つかったのである。 もちろん赤まりさ達に比べたら少ないものではあったが。 目の前にいる自分の頭の蔓から生まれ落ちた赤ちゃん達は本当に自分の子供なんだな。 当たり前のことだがまりさは改めてそう実感した。 果たして望んだ子じゃないからと言って、この子達を見捨てていいのだろうか。まりさは次第にそう思いはじめた。 自分との共通点を見つけたのもそうだが、もしこの子達を見捨てたら、あの女性は二度とまりさに笑いかけてくれないのではないか。 そんな予感がしたからである。やがて次第に眠くなってきたのでまりさは考えながら寝た。 朝が来た。まりさは結局答えが見つからないままだった。 「ゆっきゅちちていっちぇね!ゆっきゅちちていってね!」 起きた子供達は再びまりさにゆっくりの挨拶をする。返事をもらえないまま。泣きながら。 「おはようさ~ん。まりさちゃ~ん、元気な赤ちゃん生まれたぁ~?」 男が部屋に入ってくる。 「ゆっ・・・・・・」 初日に自分を針で滅多刺しにし、前日は自分をありすに無理やりすっきりさせた張本人。 自分がこんな思いで悩んでるのも全てこの男のせい。まりさはとっさに身構えた。 だが男は何もしてこなかった。話しかけてきただけである。 手には何も持っておらず、今のところ何かしてくる気配はなかった。 「おお~。いっぱい生まれたねぇ~。これじゃこの箱じゃちょっと狭いね。引っ越そうか。」 「ゆっ!?」 男はそう言うとまりさの箱を部屋の隅にやった。 そして部屋の中心部に外から運んできた大きめの箱を置いた。 壁が透明なのは今の箱と変わらず、広さが今の四倍ほどあるだろうか。 天井部は狭い箱が透明な板だったのに対し、こっちは正方形の骨組に網状のネットを組み合わせたものになっている。 ネットの隙間の大きさは子ゆっくり程で、どう見ても成体のまりさには通り抜けられそうに無い。 男は天井を外すとひょいひょいとまりさ達を移動させた。 赤ゆっくりは突然掴まれて驚いたようだが、何か言う前に素早く別の箱へと移動させられた。 まりさはこれが本当に場所を変えるだけの行為だと理解したので抵抗はしなかった。 すぐにまりさの家族のお引っ越しが完了した。 箱を移ってからすぐに赤ゆっくり達はまりさにゆっくりの挨拶を再開した。 しかし、まりさは先ほどと同じ表情で黙ったままだった。 「ん?どうしたの?赤ちゃん生まれたのに全然嬉しそうじゃないね。」 「・・・・・・ま、まりさはちょっとかんがえごとをしててそれどころじゃないんだよ。」 まりさがそう答える。本当は「お兄さんには関係ないでしょ」と冷たく言いたかったが 怒らせるのが怖かったために男を刺激しないような適当な言葉でお茶を濁した。 「あっそ。ねぇ、それはそうとさっきから赤ちゃん達必死できみに例の挨拶、 ゆっくりしていってねって言ってるけどお返事してやんなくていいわけ?」 「・・・・・・・・・どうして・・・まりさがへんじしなくちゃいけないの・・・?」 「だってまりさちゃんのかっわいい赤ちゃんじゃないの~?」 この言葉にまりさはムカッとした。 こいつは昨日自分が何をしたか覚えてないのだろうか。 よくもまあ、こんな何も知らない人のような無神経な一言が言えたものだ。 男に対する反抗心でまりさは男の考えと正反対の答え返さずにはいられなかった。 こんな無神経な奴が、自分について考えてることが正しくあっていいはずがない。 「・・・あんな・・・きたないありすにむりやりすっきりさせられて・・・・・・・・・そんなわけないでしょ・・・・・・。」 すぐ近くにいる赤ちゃんには意味が分かり辛い言い回しで男の言葉を否定した。 「ふ~ん。そ。じゃまりさはこの赤ちゃん達いらないってことなのかな。」 「・・・・・・・・・・・・・・」 まりさは答えなかった。 「ああ、わかった。悪かったねまりさ。まりさの気持ちボク全然考えてなかったよ。」 「・・・・・・・・・・・・・・」 「じゃ、この赤ちゃん達はいらないってことでボクが始末しといてあげるよ。」 そう言って男は箱の中のまりさの子供達をヒョイヒョイとつまみあげていった。 「ゆっ!?おきゃーしゃん、きょわいよ!たちゅけてっ!!」 男の手の中に全て収まった赤ゆっくり達がまりさに助けを求める。 まりさは男の突然の行動に抗議の声を上げる。 「ゆううううう!?、なにじでるのおおおお!!!!?」 「なにって・・・いらない子でしょ?だから処分しておいてあげるよ。」 「ぞごまでずるごどないでじょおおお!!!!!」 「いらない子なんだからどうでもいいだろ。変なまりさだな。」 「ゆぐううううううう!!!!!」 男の行動は予想外だった。まさか男への反抗心で言った言葉がこのような事態を引き起こすとは。 しかし今はそんな自分の浅薄さを後悔している場合ではない。 殺すとはっきりは言ってなかったが「始末」「処分」と言えば殺されるのは目に見えてる。 まりさのなかでありすとの間に生まれた子をどう位置づけるかはまだ答えが出ていなかったが、 いくらなんでも殺すというのはやりすぎ以外のなにものでもなかった。 赤ちゃんの命を救うためにまりさは叫んだ。 「う・・・うぞでずうう!!!!まりさはあがぢゃんをあいじでまずうう!!!まりざのだいじなだいじなあがぢゃんでづうう!!!!」 「はいはい、うそうそ。まりさは赤ちゃんなんてどうでもいいんだよな~。」 両手に赤ゆっくり達を抱え、今にも部屋から出ようとしてた男はまりさに背を向けたまま言った。 「どぼじでぞんなごどいうのおおおおお!!!!!」 まりさが叫ぶ。 「普通・・・愛してる子なら挨拶された時にちゃんと返すものだがな~。」 男の台詞にまりさはハッとなった。そして大声で叫んだ。 「まりざのあがぢゃん!!!ゆっくりしていってね!!!!!!」 「「「「「「「ゆっ!?・・・ゆっ、ゆっきゅちちていっちぇね!!!!!!」」」」」」」 赤ゆっくり達が初めて聞いた母の挨拶に喜びの涙を流しながら返事した。 まりさに背を向けていた男が振り向く。振り向いた男のまりさ達を見おろすその目は冷ややかだった。 その冷たい目線にまりさはビクッとした。 「「「「「「「ゆっきゅちちていっちぇね!ゆっきゅちしていっちぇね!!」」」」」」」 男の手の上では赤ゆっくり達が笑顔で何度も例の言葉を繰り返してた。 「駄目だな。なんだ?その小さい声。全然気持ちこもってねえよ。やっぱ愛してるってのは嘘か?」 「ゆううう!!!!ぞんなごどないでづううううう!!!!!!」 「そんなこと言ってる暇があったらもう一度言え。俺を納得させるまで言ってみろ。」 「ゆ・・・!ゆっくりしていってね!!!」 「「「「「「「ゆっきゅちしていっちぇね!!!!」」」」」」」 「イマイチ。」 「ゆうう!!!!ゆっくりしていっでねっ!!!!!!」 「「「「「「「ゆっきゅちしていっちぇね!!!!」」」」」」」 「没。」 「ゆぐうう!!!ゆっぐりじでいっでねっ!!!!!!」 「「「「「「「ゆっきゅちしていっちぇね!!!!」」」」」」」 「やる気あんの?」 「ゆぶううう!!!!ゆっぐりぢでいっでねええええ!!!!!!」 「「「「「「「ゆっきゅちしていっちぇね!!!!」」」」」」」 まりさは何度でもゆっくりの挨拶を叫んだ。子供達もそれに応えた。 その度に駄目だしされ、何度もやり直した。 何度も同じ行為を繰り返すうちにまりさは、少しずつ子供達への愛しさが沸いてくるのを感じていた。 いや、正確には子供達への愛情を包み隠していた「何か」が少しずつひび割れて剥がれ落ちていくのを感じていた。 「どうした、まりさあぁ!!!!お前の子供達への愛情はその程度のもんかっ!!! その程度がお前の愛なのかよっ!!!!お前はお母さんだろうがぁっ!!!! お前の愛を魂の底から示してみろおおっ!!!!!!!」 「ゆ・・・ゆ・・・ゆ っ く り し て い っ て ね ! ! ! ! ! ! 」 まりさが最初の挨拶の倍近い音量で叫んだ。 「「「「「「「ゆっきゅちしていっちぇね!!!!」」」」」」」 それに応じるかのように最初より少し音量の増した声で赤ゆっくり達の挨拶が返ってきた。 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」 男がまりさの箱の前に来て座り込んで、赤ゆっくりを包み込んだ両手をまりさの目の前に持ってくる。 「おきゃーしゃん、ゆっきゅちぃ♪」 「ゆっくちぃ♪ゆっくちぃ♪」 「きゃっ♪きゃっ♪」 赤ゆっくり達が母親を間近にしてはしゃぐ。 「見ろ。かわいいだろ?こいつら。みんなお前を慕ってるんだぜ。」 「・・・うん・・・かわいいね・・・・・・・・・」 まりさは素直にそう答えた。 既にまりさの中にはありすに無理やりすっきりさせられて生まされた子供達だというわだかまりはなかった。 男がまりさに向かって話し始めた。 「確かにありすに無理やりすっきりさせられて子供を生まされるってのは屈辱かも知れない。 でもなぁ、子供に罪はないんだぜ。何も知らずに生まれて来た子に親が受けた屈辱の罪を背負わせるなんて・・・ 余りにも理不尽でかわいそうだと思わないか?」 「・・・うん」 「もし自分がそんな子供として生まれてたらどうする?子供は自分を産む母親選べないからね。 自分にとって身に覚えのないことで母さんから愛されなかったら嫌だろう?」 「・・・・・・ゆ・・・」 まりさは自分を育ててくれた母のことを思い出していた。母だったお母さんまりさ。 母はたった一匹で自分達を育ててくれた。母のつがいのはずのもう片方のお母さんは家族を庇ってれみりゃに喰われて命を落としたと聞かされた。 母は自分の手一つでまりさ達姉妹を育ててくれた。厳しい親だった記憶がある。 他の家族の親のように子にベタベタと擦り寄ってくることもなければ、微笑みかけてくれることも余りなかった。 でも自分達を飢えさせたりすることなかったし、狩りの仕方も教えてくれた。その他色んな知識も。 特に「すっきり」については姉妹の片方の種がありすであったこともあってか、発情ありすの危険性、下劣っぷりについては耳にタコが出来るほど教えてくれた。 もし自分がありすによる無理やりすっきりによって生まれた子で、母から見捨てられていたかと思うと、とても怖かった。 間違いなくここまで生きていないだろう。 自分がもっとも尊敬するゆっくりであるお母さんまりさ。 ・・・・・・そういえば・・・もう自分は、そのお母さんまりさと同じ「おかあさん」・・・になったんだよね。 「赤ちゃんの味方はお母さんしかいないんだよ。この子達を愛せるのお前だけだよ、まりさ。」 そう言って男は両手の中の赤ゆっくり達をまりさの箱の中にそっと置いた。 男の手から解放された赤ゆっくり達がまりさに駆け寄っていく。 「おきゃーしゃん、ゆっきゅりー♪」 「ゆっきゅちー、おきゃーしゃーん♪」 「ゆっ♪ゆっ♪」 「おきゃーしゃん、しゅりしゅりちてぇ♪」 自分の目の前で無邪気にはしゃぐ自分の子供達。 可愛かった。本当に可愛かった。そして愛しかった。 まりさは目に涙を溜めながら自分が今まで押し殺していた感情を解き放った。 「まりさのかわいいあかちゃん、ゆっくりしていってね!!!!!」 「「「「「「「ゆっきゅちちていっちぇね♪」」」」」」」 まりさの目から涙がポロポロとこぼれた。愛しい子供達との幸せな時間が始まった。 「おきゃーしゃん、しゅりしゅりしよー♪」 一匹の赤まりさがそう言って、まりさに頬擦りしてきた。 「うん♪おかあさんとすりすりしようねっ♪」 まりさもそれに応じて赤ちゃんと肌を擦り合わせた。 生まれたばかりですべすべの柔らかい肌がとっても気持ち良かった。 まるでほっぺたがとろけ落ちているかのように気持ちよかった。 溶けた頬が赤ちゃんとくっついてしまってたらどうしようかと思うほどだった。 「じゅりゅいー、ありしゅもおきゃーしゃんとしゅりしゅりしゅるよー♪」 「まりちゃもしゅりしゅりー♪」 他の姉妹達も揃って、まりさに頬擦りしてくる。 「ゆっ!ありちゅはおきゃーしゃんにぺろぺろするもんにぇ♪」 一匹の赤ありすがまりさの頬をペロッと舐める。 「ゆゆっ♪あかちゃん、くすぐったいよ。そんなあかちゃんにお返しだよっ♪」 まりさが自分の頬を舐めた赤ありすの頬をその大きな舌でベロッと舐める。 「きゃっ♪こりょこりょちゅるよ~♪」 赤ありすは嬉しそうにころころ転がっていった。その姿がとても可愛らしくってまた涙が溢れた。 まりさの胸の中に長い間忘れていた幸福感が溢れる。 ああ、赤ちゃんはこんなに可愛くってゆっくり出来るのに、自分はなんて小さなことにこだわってたんだろう。 ごめんね、赤ちゃん達。そしてこれからお母さんとずっとゆっくりしようね。 まりさは心の中で、これから可愛くて愛しい赤ちゃんとずっとゆっくりすることを誓った。 かつて自分を育ててくれたお母さんまりさのように。 やがて赤ちゃん達は全員まりさと頬擦りするようになった。 「しゅりしゅり~♪しゅりしゅり~♪」 「おきゃーしゃんとしゅりしゅりー♪」 「おきゃーしゃん、だいしゅきー♪しゅりしゅり~♪」 一緒に生まれた姉妹と遊ぶものはいない。 ずっと相手してもらえなかった反動で今は姉妹と遊ぶことより最愛の母と頬擦りすることが最優先なのだ。 「おかあさんはにげないから、ちびちゃんたちは、あわてずゆっくりすりすりしてね♪」 まりさは体の九箇所で感じられるとろけるような感覚と幸せに目を細めて浸っていた。 目からはどんどん涙が溢れてきて視界がぼやけた。今まで生きてきた中で一番幸せなひと時だった。 (挿絵06) そんな時だった。ぼやけた視界の隅にひょいっと人間の手らしき物が入ってきたかと思うと、 まりさの肌から赤ちゃん一匹分の感触が消えてしまった。 その心当たりとして、自分に赤ちゃん達の可愛さと愛しさを教えてくれた男の手しかなかった。 男もかわいい赤ちゃんたちにすりすりしたいんだね。 まりさは今の幸せも、自分に本当に大切なことを教えてくれた男のおかげだから、すりすりくらいならしてもいいと思った。 まりさは男のことを全く疑わなかった。まりさの頭の中は幸せでいっぱいだった。 やがて、男が再び箱の中に手を入れた。視界の隅で赤ちゃんらしきものをまりさから離れた場所に置いたような気がする。 もういいのだろうか。もっとすりすりしててもまりさは構わないのに。まりさはそう思った。 「おぎゃーじゃん・・・・・・びえないよ・・・・・・ぐりゃいよ・・・・・・」 そう思ってると、男の手が別の赤ちゃんを一匹つまんでいってしまった。肌からまたも赤ちゃん一匹分の感触が消える。 さっき別の赤ちゃんとすりすりしたばかりなのにせっかちで欲張りなお兄さんだ。でもそれだけまりさの赤ちゃんが可愛いということなんだね。 それにさっき返してもらった赤ちゃんがまた自分とすりすりしてくれるんだから、自分とすりすりする赤ちゃんの数はさっきと同じになる。 そう考えれば男が別の赤ちゃんを持っていったこともたいした問題ではなかった。 変な雑音が聞こえ始めたが気がするが、自分と赤ちゃん達の幸せで満たされたこの空間で、 小さな雑音の一つや二つ気にはならなかった。 それから数十秒が経過した。 「しゅりしゅり~♪」 「おきゃ~しゃん、だいちゅき~♪」 「ゆべぇっ・・・いぢゃいよ・・・びえないよ・・・・・・」 「ありしゅとしゅりしゅり~♪」 「おぎゃ・・・ざん・・・・・・どごいづの・・・まりざをだずげでよォ・・・・・・」 「きゃっ♪きゃっ♪おきゃーしゃーん♪」 「おべべ・・・びえないよ・・・・・・いだいよぉ・・・ぐらいよお・・・・・・・・・」 ぼーっと、まりさは幸せを堪能していた。 変な雑音は次第に増えていったが、今の幸せの前には些細なことだ。 今でも肌を溶かすような気持ちいい感触があっちこっちで感じられるのだ。まりさはそう考えていた。 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ゆぅ?」 まりさはふと違和感を覚えた。赤ちゃんが自分にすりすりしてる感触がさきほどと比べて明らかに少ないのだ。 男はあれからも赤ちゃんを持ってったが、すぐに返してくれていた。 なら何故箱に戻された赤ちゃん達は自分のそばに戻ってこないのだろうか。 確かにこの箱は以前の箱と比べれば広かったし、離れたところに置かれたとはいえ、所詮箱の中だ。 赤ちゃんでも十分に戻ってこれるはず。なのに戻ってこない。何かがおかしい。 そう思っているうちにまりさの体から最後の赤ちゃんの感触が消えていた。 「ゆっ!!!?ゆううううっ!!!!!!!?」 ようやく事態がおかしいことに気付いたまりさは、急いで状況を確認すべく半分閉じていた目を開き周囲を見渡した。 狭い箱の中、まりさは離れたところに置いてある小さな物体を目を奪われた。 それは小さく弱弱しい音を発していた。先ほどから聞こえる雑音はそれが発したものであろう。 だが、何よりまりさが気になったのは、ある一点を除いてそれらが自分の赤ちゃん達とそっくりなことだった。 形は違うものの金色で統一された髪の色、ちっちゃくてころころした丸い体、ちんまりして可愛らしい唇、 まりさ種の帽子とありす種のカチューシャ。さきほどまで自分のそばにいた赤ちゃん達にとてもよく似ている。 ただ一点、目にあたるはずの部分に本来あるはずの眼球が無く、黒い餡子と黄色いカスタードを覗ける穴が開いてることを除けば。 まりさには正確に自分の赤ちゃんを見分ける自信があった。 昨日じっくり見ていくつもの自分との共通点を発見したのだ。 さらに個体識別のための帽子とカチューシャがあれば、まりさでなくとも見間違いようがない。 そのような点が一致する赤ちゃんそっくりの物体が目を無くしているということが示す結論は一つのみだった。 まりさは絶叫した。 「ば で ぃ゛じ ゃ゛の゛あ゛が ぢ ゃ゛ん゛ん゛ん゛! ! ! ! ! ! ! ど ぼ゛じ で ぇ゛お゛ぉ゛べ べ ぇ゛な゛い゛の゛お゛お゛お゛お゛! ! ! ? ? ?」 (挿絵07) 先ほどまで幸福の真っ只中にいたまりさは、突然の惨事に頭がついていくはずもなく、顔を醜く歪めて泣き叫んだ。 ありえない現実がまりさの全身にちくちくと針で刺されるような錯覚をもたらす。 「ぴぎゃあああ!!!」 自分の頭で甲高い叫び声が聞こえた。 まりさは急いで声の聞こえた方を見上げた。 そこで見たものは更に信じられない光景だった。 さっき自分に赤ちゃんの愛しさを教えてくれたはずの男がピンセットを使い、赤ちゃんありすの目をくり抜いていたのだ。 「おぎいいいいいいざんんん!!!!!!まりじゃのあがじゃんになにじでるのおおおおおお!!!!!!!!!」 「え?何って。見ればわかるでしょ。赤ちゃんの目ン玉えぐりとってんだよ。」 「どぼぢでええええええええええええええええええ!!!!!!!?????」 「えっとね・・・まりさが赤ちゃんと幸せそうにしてるの見ててさ・・・ もし・・・・・・赤ちゃんの目ン玉全部とっちゃったらどうなるのかなぁ~って思って・・・。駄目?」 「だ べ に゛ぎ ば っ゛で づ で じ ょ゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛! ! ! ! ! お゛ぶ ぇ ぶ ぇ な゛ぐ な゛っ だ ら゛ゆ゛っ ぐ り゛で ぎ な゛い゛い゛い゛ぃ゛!!!!!!」 「あっそ。ま、いいや。そんじゃ残りの目ン玉もえぐるね。これで生まれた子、全員お目目見えない赤ちゃんだよ。」 「や゛ぶ ぇ゛ぶ え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!!!!!」 まりさが大声で泣き叫ぶも男の手は止まらない。止めようにも男が天井を塞いでしまったので外に出ることすら出来ない。 「ありすちゃん、これからキミの片方のお目目えぐって一生何も見えなくしてあげるよ。 とっても痛いよ~。すっごく痛いよ~。ゆっくり出来ないよ~。お母さんに助け呼ばなくていいのかな~?」 男はピンセットを赤ありすの目の前に持ってきてそう言った。 身の危険を感じてピンセットを警戒し凝視していた赤ありすは、それを聞いて初めてピンセットから目を逸らし母であるまりさを見た。 その目は恐怖に怯え、涙がポロポロと溢れ、助けを求めていた。 「おきゃーじゃんんん、ぎょわいよおおおお!!!!だじゅげでええええぇぇええぇえぇぇ!!!!」 生まれたてのか細い声で必死に泣き叫ぶ。 「あ゛り゛ずう゛う゛う゛う゛う゛う゛!!!!あがぢゃ゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛!!!!!!」 だがまりさには、そんなありすを前に同じように泣き叫ぶことしか出来ない。 「ゆびぃぃぃいいい!!!いぢゃいいぃぃ!!ありじゅのおべべぎゃああああああああ!!!!!!」 そして赤ありすの残った目も抉り取られてしまった。 「ほい、終了~。」 男はそう言って天井をちょっとずらし、両目を失ったばかりの赤ありすを箱の中に戻した。 「ゆびぃ・・・びえないよおおお・・・・・・いだいよおおおお・・・・・・」 「おがあざん・・・どごおおお・・・・・・」 「ぐらいいいよおおお・・・・・・なんであざなのによるなのおおお・・・・・・・・」 「おべべ・・・おべべ・・・・・・まりじゃのおべべ・・・・・・だれぎゃ・・・ざがじでぇ・・・・びえないい・・・」 「ぐらいぃ・・・ごわいい・・・ごんなの・・・じぇんじぇんどがいばじゃないいい・・・・・・」 箱の中では光を失った赤ちゃん達が泣いていた。 まりさはその光景を眺めながら何も言えず呆然と固まっていた。 だが数秒ほどすると我を取り戻し、男にむかって叫んだ。 「どぼじでごんなごどずるのおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!! あがぢゃんのおべべなぐなっぢゃら、ゆっぐりでぎないでじょおおおおおおお!!!!!!!」 目からは滝のように涙が溢れている。 「どぼじでええええ!!!!!どぼじでえええええ!!!!!! あがぢゃんのおべべがえじでえええええ!!!!!!がえじでええええええ!!!!!!」 何度も何度もまりさは男に向かって叫んだ。男はそんなまりさに対して何も応えなかった。 うっとりとした表情でまりさを見ていただけだった。 「・・・・・・はぁぁぁ~、気持ちいいぃなぁ~・・・・・」 やがてそう言うと部屋から出て行ってしまった。 愛しい赤ちゃんとの幸せな時間は、まりさが最初に赤ちゃんと頬擦りし始めた時から僅か三分で崩壊した。 中編 3につづく
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/317.html
ゆっくり踊り食いこれは最近流行っているらしい、 一部の虐待派でだが 俺もやってみたくなった、だってすぐ近くでずっとゆっくりが溶かされるのと悲鳴が聞こえるからだ では 30分後···「さあお家についたよ」「ゆ?ここがお兄さんの家?」「そうだよ」「広いねー魔理沙」「そうなんだぜ霊夢との愛の家にふさわしいんだぜ!」ここは俺の家なんだがな まあいい愛の家になった方が子供が生まれやすいからひょい「ゆーお空をとんでるみたい!」ポイッ「ゆべっ」「お兄さん!いきなり何するの!」「わるいわるい まあそこでゆっくりしてね!」霊夢と魔理沙が入ったのは2匹でぎりぎりの大きさの箱だそばには遊び道具がたくさんある「「ゆっくり理解したよ!!」」「早速ゆっくりするよ!!」まあ遊ぶのはお前らではないんだが「「ゆべっ!」」「お兄さん!とうめいな壁さんがあって出れないよ!さっさとどかしてね!!」「そうだぜ!早くゆっくりさせるのぜ!」「ん?だからその箱の中でゆっくりしていってねと行ったんだよ?」「ゆ?そんなはずないでしょぉぉぉぉ!?ならあれは誰のためにあるのぜぇぇぇぇぇ!!!」「ああ、あれはだな おーい」「うー♪うー♪うー♪」「ゆ?ゆっくりれみりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」「なんでいるのぉぉぉぉぉぉ!?」「そりゃあもともと家にいるやつだからなぁ」「うー?あまあまさんだどー♪」「ちょっと待てい」「中の物は食べちゃだめだ」「うー?なんでだどー?」「それはだなヒソヒソだからあそこでおそんでてくれ」「わかったどー♪」耳打ちにしたのは聞かれないためだ「うー♪ うー♪」「お兄さん!霊夢達を守ってくれてありがとう!守るために箱の中に入れたんだね!!」「うん そうだよ」まあ半分本当で半分嘘だ「ああそうだすっきりもしていいよ」「ゆ?本当?なら早速」すりすりすりすり「「すっきりー♪」」『にょきにょきにょき』早速生えてきた「生えてきたよー♪」「ゆっくりした子になってね♪」 数日後····「「「「「「ゆっきゅりしちぇいっちぇにぇ!!」」」」」」ついに生まれたか計六匹だ ひょいひょいひょいひょいひょいひょいっと「ゆ?お兄さん赤ちゃんたちを返してね!!!」ブチッ「ゆ?何するのぉぉぉ!?」「大丈夫後でちゃんと返してあげるから」「で··でもやっぱり」「大丈夫やり方も知ってるから」「なら大丈夫だね!!」いや一気に変わったな「じゃあこれ 疲れてるだろ?」「あまあまさんありがとうね」ガツガツ「魔理沙も少しほしいのぜ!」「はい少し」「ありがとうだぜ霊夢ガツガツうっめこれめちゃうんめ!」2匹はおやつに夢中だ「さて行こうれみりゃ」2匹はおやつに夢中で気づかない そのうちに地下室だポイッポイッポイッ「さてと、始めるかれみりゃ2匹な」「わかってるんだどー♪」ちゅー♪ちゅー♪「ゆびゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」ちゅー♪ちゅー♪「ゆぎゃぁぁぁぁぁぁ!!」さて俺もパクパクっと♪「ゆ?ゆっくりぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!」「ゆ?真っ暗だよ?」「きょきょどこ?」2時間後···「ゆ?あんよしゃんぎゃいちゃいよ」「ゆぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!あんよしゃぁぁぁぁぁん!!」どうやら溶かされ始めてるらしい「ゆぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!??」ポスっポスっポスっおっきたなどうやらこの振動がいいらしい本当に病みつきになりそうだ「ゆびゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!おみぇみぇしゃんぎゃぁぁぁぁぁぁ!!」どうやら目にしみたらしい数時間後···ガクガク残った2匹が震えているまあ無理もない さてとバチッ!!バチッ!!「ん?んんんんんんん!?」「んんん!んんんんー!!」あと一つ眠るようにしてじわじわ殺す薬だ「ごっくん んんん!?んんんんー」「さて行くか」ひょい「親のところに連れて行って上げるぞ」「んん?んんんんー♪」「んん♪んん♪んー♪」「おーい霊夢ー」「ゆ!お兄さん!赤ちゃんは?」「ほらコイツラだ」「んん?んんんんー♪んんーんん」「この子は霊夢に似てゆっくりしてるね♪」「こっちは魔理沙に似てるんだぜ」「でもなんでこの子達はんんしか喋らないの?」「それはたまたまだよ」「そうなんだねーなっとくー」「じゃああとはゆっくりお休み」「お休みー」その夜「んんん んっんん ん··ん···んっん」それが赤ゆっくり最後の言葉になった 翌朝それは霊夢と魔理沙にとっては最高の朝になるはずだった「ゆ?おちびちゃんは?」だって始めて世界一(自称)かわいい我が子と思う存分触れ合える日だったんだもの「ゆ!?おちびちゃん!?」でもその我が子はもうただのもの言わぬまんじゅうとなっていた「おちびちゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!」「んー?騒がしいなー何だ?」「おちびちゃんたちが動かなくなっちゃったんだよ!!」「どれどれあーこれは死んでるな」「ゆ?なんでおちびちゃんがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」「育て方が悪かったんじゃなーい?殺したの俺だけど」「ゆ?なんでぇぇぇぇぇ!?」「おーいれみりゃー」「うー♪うー♪あまあまさんだどー♪」「れみりゃぁぁぁぁぁ!?」「安心しろだぜ霊夢この中にれみりゃは入って来られないんだぜ」「あーそうそういい忘れてたけど上が空いてるかられみりゃは入って来られるよ」「ゆぅぅぅぅぅぅぅ!?なんでぇぇぇぇぇ!?お兄さんは守ってくれるんでしょぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」「守るつもりなんてなかったよ?そもそもその箱の意味はお前らが逃げ出さないようにしてお前らをれみりゃに食わせるためだし」「ゆぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!なんでぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」あとには2匹ぶんのゆっくりのデスマスクと飾りが残ってた さて次はどこのどいつにしようかな
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/904.html
「ゆっくり~~♪ していってね~~~♪」 「「「ゆっくり~~♪ していってね~~~~♪」」」 「きょうもにこにこひゃっくてんだよ!!!」 ここに一つのゆっくり霊夢一家がいる。 親である霊夢と子供が十数匹の標準的な家族である。 その親霊夢を先頭に、向かっているのは人間の里。 「ゆっゆ♪ ゆゆゆ♪」 ご機嫌な様子で歩いていくお母さん霊夢。 何がそんなにうれしいのか、その答えは今しばらくすればわかるのであろう。 「ゆっゆ♪ ちゅいたよ♪」 「それじゃあ!! ゆっきゅりしようにぇ!!」 「「「「ゆっきゅりしゅるよぉ~~~~~!!!!」」」」 あるモノは廊下を走り回り、またあるモノは畳の上でごろごろと転がる。 ゆっくりにしてみれば、ゆっくり遊んでいるのであろうが、ここは人間の家である。 人間の家はゆっくり出来るものが沢山ある。 それは『この一家ならずも知っていること。 そして、この一家はゆっくりするためにここに入り込んだのだ。 そして、珍しいことに一家は、何一つ家の備品に触れてはいない。 ただ転がって遊んでいるだけなのである。 「お前ら!! ここで何をしてるんだ!!!」 仕事から帰ってきた男は、無人のはずの我が家から聞こえてきた声に驚いた。 しかし、すぐにその声の正体が分かると、怒りに身を任せて家の中に入り込んでいった。 「ゆゆ!! おにーーさんおかえりなさい!!」 「「「おっかえりなっしゃ~~~~~い♪」」」 男の緊迫した声とは対照的に、一家はのほほんとした口調で男を出迎えた。 「おい!! ここが誰の家だか分かってるのか!!」 「ここはおにーさんのいえだよ!!」 「……分かってるのか?」 自分の予想が外れた男は、呆気にとられ一度怒りを忘れたようだ。 「ゆっゆ!! れいむはあたまのいいゆっくりだから、きちんとわかってるよ!!」 「れーみゅたち、おにーさんのおうちのものさわってないよ!!」 「たべものもたべてにゃいよ!!」 「ちかきゅのきゃわで、かりゃだをありゃってきたから、きれいだよ!!」 「ゆっゆ♪ れいむたちはなにもわるいことしてないよ!!! だから、おこらないでね♪ おにーーさん!!」 「ほー……。そうか、それは偉いなぁ~~」 感心したように、うんうんと首を振りながら一家に語りかける。 「ゆっゆ♪ えらいでしょ♪ ごほーーびにすこしたべものちょ~~だい♪」 「んなわけあるかーーーーーー!!!!!」 ごぶ。 と鈍い音と共にお母さん霊夢に鉄拳が振り下ろされる。 「と゛う゛し゛て゛ーーー!!! れいむたちなにもわるいごとしてないよぉーー!!!」 「「「おがーーしゃーーん!!!」」」 口から餡子を吐き出しながらも、男に向かって非難ともとれるような言葉を投げかける。 「おかーしゃんだいじょーぶ?」 「あたみゃいたいいたいにょ?」 「れーみゅが、いちゃいのいちゃいのとんできぇーー!! してあげりゅりょ!!」 重症を負った母親のもとへ集まった子供達が、文字通り男の事を忘れ必死に手当てをしようとする。 「こらこら。無視はよくないぞ♪」 「ゆゆ!! ゆっくりはなしちぇね!!」 「ゆ!! いもーとをはなしてね!!」 一転、母親もろとも男のほうへ振り向き、声を上げて男とその手にもたれた赤ちゃんに呼びかける。 「はい!! ここで問題です!!」 小さい子を黙らせるように、大きな声で言い放った男は、手にしたゆっくりを握りながら、さらに説明を続けた。 「今から、お兄さんが君達に質問をします。その質問の中で、『悪いこと・うそ』があったらこの赤ちゃんは朝食に嬉しい、おいしいおいしい餡ペーストになってしまいます!!!」 「ゆ!! ゆ~~~~♪」 何だ、そんなことか、とでも言いたげな一家。 何しろ、自分達は頭の良い、良いゆっくりなのだ。 きっと、馬鹿なゆっくり達はここで間違ったことを言って殺されてしまったのだろう。 これをきちんと答えれば、この人間もきちんと分かってくれる。 もしかしたら、お家で飼ってくれるかもしれない。 一度みた、あの金ぴかに輝くバッジを自分達も付けて歩けるかもしれない。 「ゆっゆ♪」 「ゆきゅ~~~♪」 周りを見ると、子供達も母親と同じ事を考えているようで、なんとも緊張感のない表情をしている。 「ゆっくりきっちりりかいしたよ!! おにーさんはやくもんだいをだしてね!!」 「「「「だちちぇねーーー!!!」」」」 すでに勝った気でいる一家、その一家に男はゆっくりと問題を発表した。 「第一問!! 勝手に人のおうちに入るのは良いことかな?」 「「「こたえは、のーだよ!!」」」 「正解!! では第二問!! 君達は何で人のおうちに勝手に入ってきたのかな?」 「「「ゆっゆ♪ れいむたちはわるいことしてないよ♪」」」 「ダウト!!」 「んじゃらっぺいぽんち!!!」 ニコニコしている一家に、握った右手を近づけて一気に握り潰す。 くぐもった悲鳴が聞こえた後、どろっとした餡子が流れ落ちていく。 「ゆ!! れいむのあ゛か゛ぢゃ゛ん゛がーー!! どーーじでこんなごとするのーー!!」 「あかちゃんが、いたいいたいになっちゃったー!!」 「ゆぐぅーーー!!!!!!」 騒然となる一家。 そんなことはお構いなしに、男は二匹目の赤ちゃんを掴み、問題を再開する。 「第三問!! 君達は勝手に人間の家に入った?」 「ゆー……。あがじゃんがーー!! いだいいだいになっじゃったー!!」 「ゆっぐり、かわいいあかちゃんが……」 「……西村因みに、答えなくてもおいしー朝食餡ペーストになります」 「「「ゆっぐりかってにはいったよ!!!!」」」 「正解!! では第四問!! 勝手に家に入るのは悪いゆっくり、間違いないね!!」 「「「ゆっくりまちがいないよ!!」」」 「正解!! ではでは、最終問題!!!」 「ゆ……」 緊張していた一家からため息が漏れる。 後一問、それだけで自分達は解放される。 もう人間の里に近づくのはよそう。 良い事をしたのに、こんな目に合わせる人間とはゆっくりできない。 森に帰ったら、ゆっくりと暮らそう。 「じゃじゃん!!」 その前に、この問題をさっさと片付けよう。 「悪いゆっくりは一匹残らず駆除する!!!」 「ゆ?」 「「「ゆゆゆ!!!」」」 一家の表情が曇る。 確かに、悪いゆっくりはそうしても良い。 でも、確かさっき自分達は、かってに家に入るゆっくりは悪いゆっくりだ、と言った気がする。 つまり、自分達は悪いゆっくりになる。 だったら、自分達も駆除させる。 「どうしたの? この子、朝食に出してもいいの? 食物繊維たっぷりのおいしー餡ペーストになるよ」 「ゆぐぐ……」 「「「ゆーーーー……」」」 残された一家は答えられなかった。 答えたら、自分達は多分死ぬ。 おそらく、ちょーしょくにあんぺーすととして出されるのだろう。 しかし、黙っているか、うそを言えば、死ぬのは今男に握られている赤ちゃんゆっくりだけだ。 そうだ!! うそを言えば良いんだ。 悪いのは、人間に捕まったあの赤ちゃんだけだ。 よし、うそを言おう。 「……」 「「「ゆ!!」」」 無言の母親の視線でも、こういう場合の考えは一緒なのだろう。 全員が全員、こくりと頷き男のほうに向き直る。 「だ「しょうだよ!! わりゅいゆっきゅりはいっぴきのこりゃずくじょすりゅんだよ!!」 ゆゆ!!」 だめだよ!! と言おうとした一家より、一瞬誰かが答えた。 答えた主を探そうとする一家だが、全員首を横に振り、関係ないという意思を表示する。 となると、残された選択肢は一つ。 「おかーーしゃんがいちゅもいっちぇたもにょ!! わるいゆっきゅりはみんなしんでいいって!!!」 「「「「と゛う゛し゛て゛ぞんなごというのーーー!!!!!」」」」 全員が、男の、その手のひらに乗せられている赤ちゃんに向かって声を荒げる。 「ゆ? じゃって、おかーしゃんたちなかなきゃこたえないかりゃ、れいむいたいいたいしたくなきゃったもん!!」 プクーと頬を膨らませて、一家を見下ろしながら答える赤ちゃん霊夢。 「そうそう。えらいな~~♪ ちゃんと分かってるじゃないか」 「ゆっゆ♪」 そうして、その霊夢の頭をなでながら優しく語りかえる男。 この位置からでは赤ちゃんには見えないが、一家には男の顔が見えた。 まさに、一家にどのような処罰を与えようか考えている顔であった。 ~~~~~ ここは加工場の一室。 毎日限定生産される家族饅頭セットの備蓄室である。 「ゆっくり……」 この一室の新たな主は一つの霊夢一家。 普通なら、暴れまわるこの一家だが、一匹を除きその様な気は起きないらしい。 「ゆっきゅりだちてにぇ!!」 必死に騒いでいるのは赤ちゃん霊夢だった。 あっちの壁に体当たりしたかと思えば、こちらの扉に体当たり。 「……」 大きな個体が生気を失ったように佇むなか、赤ちゃんが行うその行為は、まさに奇妙なものだ。 「ゆ!! れーみゅたちはわりゅいことしちぇないよ!!」 「…………」 「おかーーしゃん!! れーみゅたちわりゅいことしちぇないんだかりゃ、はやくここきゃらでて、おうちかえりょーね!!!」 「……ゆっくり……そうだね……」 「ゆっきゅりだちてにぇ!! れーみゅたいはいいゆっきゅりだよ!! おかーーしゃん、いちゃいいちゃいだかりゃ、はやくかえらしぇちぇね!!!」 「「「…………」」」 いよいよ出荷されるその日、その赤ちゃん霊夢は最後の最後で自身の罪を知り、どの家族よりも絶望して逝ったという。 まるでアクセントのように、一部に強力な甘さの餡子を残して。 ~おまけ~ 「うーー!! れ☆み☆りゃ☆はこうまかんのおぜーーさまなんだぞーーー!!!」 そう叫ぶゆっくりれみりゃがいるのは間違いなく紅魔館の玄関であった。 庭に住んでいるものがまた勝手に入ってきたのだろう。 「う~~!!!! う~~~!!!」 調度品を見て、奇声をあげるその姿は、お嬢様らしからぬモノであるが。 「う~~~!! れみりゃはおなかがすいたーーー!! さくやーー!! さくやぁ~~~?」 一転、笑顔になったれみりゃが声を張り上げ食事を要求するが、ゆっくりに食べ物を与える輩はここにはいない。 「うーーー。うーー!! うう!!」 スカートの裾をぎゅ♪ っと掴んで涙を浮かべていたれみりゃだったが、何を思ったかスッと近くの部屋から怪獣の気ぐるみを持って戻ってきた。 「うっう~~♪」 お気に入りの気ぐるみを貸してあげるから、早く出て来い!! と言うことらしいが、あいにく酔っ払いでもしない限りそんな趣味の悪いものなんて着たくない。 痺れを切らしたれみりゃは、テコテコと自分の足で食べ物を探し始める。 「うぎゃ!! うーー!! うーーー!!」 途中何も無い所で転び、目に涙を浮かべ口を結び、まさに今にも泣き出しそうな事もあった。 「うーーー……、おなかへっだーーー……」 が、泣くのを堪えて再びよろよろと館内の捜索に戻った。 それから、幾分の時間が過ぎ、ある大きな入り口の前を通りかかった時、れみりゃはそこから大勢の声と、食べ物の匂いを感じる事が出来た。 「うーー!! ごはんたべりゅーーー!! おかしもってきてぇーーー!!」 既に疲れきったれみりゃは、近くにいた女性に声をかけると、うんちょ♪ と台の上に飛び、木製のベッドに横になり目を瞑った。 「う~~~……う~~~~……」 直ぐにうとうとし始める、幸せそうに口元から涎を垂らして。 「……あら、今日の夕ご飯はれみりゃだったかしら?」 「う~~……!! うあーー!! うあーーーー!!!」 疑問系で、しかもいまいち確証が無いにも拘らずテキパキとれみりゃを捌いていく。 「やめでーーー!! れみりゃなのーー!! れみりゃーーー!! はやくやめるのーーー!!!」 「……そーらのかなたに♪ みーちるひーぃかり♪」 れみりゃの言葉は一切聞かずに、鼻歌を歌いながら調理を進めていく。 「うぎゃーー!! れみりゃのあしがーー!! さぐやーー!! だすげでーー!!」 「まじかる♪・さく「んじゃーーー!! ああーーーーー!!! うあーーーー!!!」」 ……。 「今日は少しおかずが多いんじゃないかしら?」 「そうですか? でも食べ切れますよね?」 「それは、そうだけれども……」 「なら問題ないですね」 「はぁ……」 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/5048.html
俺設定 いじめ分はあんまりないです すっきり描写あり ***************************************************************** ゆっくり絶滅作戦 ***************************************************************** 「「ゆっくりしていってね!!!」」 「ゆゆ? にんげんさんはゆっくりできるにんげんさん?」 「ゆっくりできるならあまあまをちょうだいね、 ゆっくりできないならゆっくりしんでね!」 瞬間、床に餡子の花が咲き、俺の手が黒く染まった。 ***** ゆっくり。 数年前から出没するようになった人語を話す饅頭型の生命体。 発見当初はああ不思議生物かーへーで済まされたものの、 いざ数が増えてみれば、畑が食い荒らされていたり、人家に住み着いたり、 道行く人に食い物を要求したり・・・・・・などとうざいことこの上ない。 挨拶というか開口一番に「ゆっくりしていってね!!!」と言う割には、 全然こちらをゆっくりさせるどころか、ひたすら面倒を強いる。 このことについて暇な日にてとことん問い詰めた所、 「ゆっくりをみれたにんげんさんはとってもゆっくりできるんだよ!」 「それにゆっくりしていってね、までいわれてとてもしあわせものなんだよ!」 「だからにんげんさんはゆっくできるおかえしをしなくちゃいけないんだよ!」 と吐いてくれた。即食った。おいしかった。 つまり奴らは人間に会った時、 (ターゲット発見、ゆっくりサセテ対価ヲ要求シマス) 「ゆっくりしていってね!!!」 (契約・・・・・・完了、カウント開始) (1秒・・・目ノ前ノ人間ハ死ヌマデゆっくりノ奴隷、同時ニ食物供給義務発生) (2秒・・・コノ人間ノ子孫モゆっくりノ奴隷、食物ノ質ヲランクアップ) (3秒・・・コノ人間ノ血族モゆっくりノ奴隷、住居授与義務発生) (4秒・・・全テノ人間ガゆっくりノ奴隷確定) (5秒・・・世界ガゆっくりノモノ確定) (6秒・・・・・・) などと俺推測で何とも恐ろしいことが行われていたのだ! 「だからゆっくりを絶滅させよう! な!!」 と友人に話したところ、 「うるさいもう寝ろ」 「だから・・・」 「寝言は寝て言うものだろ、だからとっとと寝てくれ頼む」 とのきついお言葉と共にうざったいという目で俺を見る友人。 「これは世界の危機だ! 決して寝言などでは・・・・・・」 「そうか、起きているから戯言と言いたいのか」 軽くあしらおうとしているのは俺の目にも明確。 「だいたいお前がゆっくりが~って話をするのはこれでもう10回目だぞ」 「ゆゆ?俺そんなに話してないよ!」 「ゆっくりのマネをしてとぼけても無駄だぞ」 ゆっくりの話し方は意外と使える。 例えば文末に「だからあまあまちょうだいね!」と付けると、 どんないい説法ももれなく台無しにしてくれる。 「今お前はゆっくりを食っているがな、いつか食われる日が来るぞ!!」 「お前のゆっくり終末論を聞いてるとさ~ 頭がおかしくなってつい変なもの作っちまったんだよ」 「お前はゆっくりの口の中で『どぼじでぞんなごどずるのおおお』ってさけ・・・ん?」 「今なんて言った、友人よ」 「つい『変なもの作っちまった』」 「ずばりそれはゆっくり絶滅に・・・・・・」 「ああ、貢献するだろうな」 それだけあしらっておいてこんなドッキリとは・・・・・・。 友人は間違いなくツンデレというやつである。 「んほおおおおぉぉぉぉ!!!」 「喜ぶのはいいが近寄らんでくれ、頼む」 ****** 友人宅には地下室がある。 そこ何かしらの研究に使っているという。 借家住まいにとっては憧れの存在。 地下 実験 のキーワードでこれまでどれだけのロマンを生み出してきたか。 だが・・・・・・。 「ここいつ来ても暑いな」 「言うな」 風通し0。とにかく暑い。 「昔の人の想像した冷気を出す機械を導入しようぜ」 「普通にクーラーと言えよ」 と邪険にしながら何かを持ってきた友人。 「よし、これがお前がレベル上げしている間に完成させた作品」 「そこ痛いとこだから言わないで」 目の前に出されたのはゆっくりれいむの入っている水槽。 何の変哲もないれいむのようだが・・・・・・。 「ゆ~ゆゆゆ~♪ゆっくり~♪」 「作品というか作詞か?」 「そうかしばかれたいか」 「いや、おうた歌っているからてっきり」 「お楽しみはこれからだぞ」 と友人は水槽のなかにゆっくりまりさを投入した。 「ゆっくりしていってね!!!」 「ゆっくりしていってね!!!」 いたって普通のゆっくりの挨拶である。 そのまま体を寄せ合ってす~りす~り。 ひょろひょろとした舌でお互いにぺ~ろぺ~ろ。 「これは潰していいゆっくり?」 「いいから黙って見てろ」 こんなところでゆっくりの団欒風景を見せられるとは思わなかった。 すりすり、ぺろぺろ、ゆゆ~、すべてが俺のストレッサーを加速させる。 そしてとうとう俺の手の制御が外れそうになったその時! 「むしゃ!!」 「ゆぎゃああああああああぁぁぁぁぁぁ!!!」 れいむがまりさのほほの辺りに噛み付いた。 そのままれいむは「むーしゃむーしゃしあわせ~♪」に移行する。 噛み付かれたまりさは「ゆ?ゆ?」と状況をよく理解できていない様子。 「どぼじでぞんなごどずるのお゛お゛お゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛!!」 「まりさのあまあまさんはとってもゆっくりできるよ~♪」 「まりざあまあまざんじゃない゛い゛い゛ぃ゛゛ぃ゛ぃ゛!!」 「あまあまさんはゆっくりできるんだよ!!むーしゃむーしゃ」 「やべでえ゛よお゛お゛お゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛!!! ばりざをだべだいでえ゛え゛え゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛!!!」 「しあわせ~♪」 先ほどまでの団欒がうってかわって食う食われるの関係へと変化した。 幸福のシーソーが大きく傾いていく。 「ばりざばれいぶどおなじゆっぐりでじょお゛お゛お゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛!!!」 「そうだよ!れいむとまりさはゆっくりだよ!!」 「だがらぞんなごどじ」 「でもれいむはまりさのあまあまのほうがすきだよ!!!」 「ゆっぐりでぎない゛い゛い゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛!!!」 無慈悲なるれいむの牙、というか飴細工の歯は、 まりさの目を皮をあんよを飾りをすべてを砕く。 そして辞世の句を読まないまままりさはこの世を去った。 「たべおわったら?」 「ゆっくりごちそうさまでした!!!」 満腹で今にも眠りそうなれいむからは、 何回も同じ殺しをやってきたようなオーラが漂っている。 「友人よ・・・これは・・・」 「ああ、れいむにちょっとしたことを教えてやったのさ」 「それはつまり―――」 「同族の味だ」 友人の話によると、普通のゆっくりはゆっくりの中身があまあまである、 ということを知らずに生きている。 それはゆっくりの「ゆっくりしたい」という欲求のおかげだ。 なぜなら仲間の中身があまあま分かれば、友人同士隣人同士食い合ってしまう、 というなんともゆっくりできない環境が誕生してしまう。 なので「ゆっくりしたい」欲求はあえてゆっくりの中身はあまあまという情報を消し去っているのだ。 そこに目を付けた友人はあえてその禁忌を犯させた、とのことだ。 「あくまで俺の想像だがこれで間違いないとは思う。 もし違ってたらゆっくりなんてものはこの世界からひっそりと消えているはず」 「そうであって欲しかったな、友人よ」 いたって単純な方法で、俺にでもできそうなことだ。 これで明日やることは決まった。 山に赴いてゆっくり捕獲、そのままバトルロワイヤル。 そこで生き残ったゆっくりは同族の味を覚えて、 解放した後もゆっくりを食い荒らすだろう。 負けたりはしないのか?あえてそれは考慮しない。 なぜならバトルで生き残ったゆっくりは相当強いゆっくりだからだ!! 「だから俺明日山に行ってゆっくり捕まえてくるわ」 「お前のやりたいことはだいたいわかるが、たぶん骨折り損に終わるぞ」 「なぜそう分かる」 「どんなゆっくりも家族は食わないだろう? それはなぜか? 愛があるからだ。 毎日安定した食料を得たらゆっくりはつがいを作って勝手に増える。 ゆっくり食いゆっくりを作ったところで、それはゆっくりを絶滅させたことにはならない」 「でもこの前家に侵入してきたゆっくりをボコって『家族食えば助けるよ』って言ったら普通に食ってたぞ。そういや途中で目つき変わってたなー」 「ただし武力介入を除く、だ」 「えー」 途中で愛とかどうとかポエマーになりかけてたところを笑ってやろうかと思ったが、 本気でしばかれるとレベル上げに支障が出るのでその心は胸にそっとしまっておいた。 ***** 「しかし友人よ、今回君にしてはえらく手を抜いてないかね」 「まあ・・・手抜きだろうな」 「このままだと人間がゆっくりに虐待される日も違いぞ!」 「そんなことを言うと思って第二弾を用意してみた」 再び水槽を持ってきた友人。 今度は中にゆっくりありすが入っている。 「おにいさん!はやくとかいはなまりさをつれてきてね!!」 「ありす×まりさ、読めたぞ友人よ」 「まあだいたいお察しのようだな。ほれ」 水槽の中にまりさを放り込む。 「ゆっくりしていってね!!!」 「ゆっくりしていってね!!!」 と挨拶が終わるや否や、まりさに体を擦り付け始めるありす。 「ゆゆ~ん♪まりさのほっぺきもちいいわ!! す~りす~り」 「ありすもまんざらでもないのぜ!! す~りす~り」 す~りす~り。確実に怒りゲージをためていく。 お、今ゲージが1本満タンになったぞ。 「ところで友人よ」 「何だ?」 「まりさって『~だぜ』口調とそうでないやつがいるけどなんでなんだぜ?」 「知るか」 と他愛もないことを話していると、 す~りす~りからヌッチャヌッチャと気色の悪い音に変化していた。 ネトネトとした汁が徐々にお互いの体に広がっていく。 それを擦り込むようにより強く、より激しくすりすりを・・・・・・。 「これはゆっくりの子作りでは・・・・・・」 「正式には『すっきり』と言うらしい。俺が考えたんじゃないぞ」 「そんなのに興味があったなんて・・・・・・引くわー」 「勘違いもほどほどにしろよ、な」 ヌッチャヌッチャはさらに加速している。 ゆっくり共はもはやゆっくりとは言いがたい速度でのすりすり。 「いいよおおおおぉぉぉ!!まりさきもちいいわあああぁぁぁ!!!」 「ありすぅ!ありすもきもちいいんだぜえええぇぇぇ!!!」 激しく震えるゆっくり、そしてその先に待つのは、 「ありすいっちゃううううぅぅぅ!!!おかしくなっちゃうううぅぅぅ!!!」 「まりささまもいっちゃうんだぜえええええぇぇぇ!!!」 「「んほおおおおおおおおぉおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!」」 「「すっきりいいいいいいいいいいぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!!」」 すっきり、具体的に何がすっきりしたのかはあまり口に出したくはない。 「つまり爆発した性よ」 「だから言おうとするなって友人」 「とってもゆっくりできたわ、まりさ!」 「さいこうだったんだぜ!ありす!!」 あの激しい動きがゆっくりできた? と疑問符を浮かべずにはいられないが、 とにかくゆっくりがゆっくりしているんだから幸せなんだろう、たぶん。 しかしどこか違和感がある。 「ん? 待てよ。こいつらニョキニョキーって赤ちゃん生まれるんじゃないのか?」 「ようやく気づいたな、そこが今回のポイントだ」 「もういっかいすっきりしましょう! まりさ!!」 「すっきりするんだぜ!!」 と話している間にも再びヌッチャヌッチャと音を立てるありすとまりさ。 それをBGMにしながら友人は話してくれた。 ゆっくりが好きな言葉は思いつくところが3つある。 ゆっくり、あまあま、そしてすっきり。そのいずれもゆっくりに強く結び付くからだ。 今回はそのすっきりについて着目した。 本来ゆっくりはゆっくりできるすっきり大好き生物なのだが、 すっきりしてしまうとあかちゃんが産まれてしまうので、いろいろと面倒だ(中にはできたらできただけ産んでしまう個体もいるそうだ。あかちゃんは『ゆっくり』できるから)。 しかしすっきりの代償であるあかちゃんが産まれなかったら? ゆっくりは恐らくすっきりをし続けるだろう。 なぜならすっきりはゆっくりできるからだ。 ちなみにゆっくりは生きるためにゆっくりしているのではなく、 ゆっくりするために生きている。なので何よりゆっくりを最優先する。 生きることはゆっくりする手段に過ぎないのだ。 だから目の前にゆっくりできるすっきりがあればそれをし続ける、 それこそ朽ち果てるまで。 「なのでゆっくりの生殖機能をマヒさせました」 「これは教育とかどうとかレベルじゃないな」 「そのまさかで今回は鷹の爪を少々」 「甘味の敵は辛味だからな・・・って料理かよ!」 「ちなみに作り方は・・・」 「「んほおおおおぉぉぉぉおおおおおぉぉぉぉ!!!」」 「「すっきりいいいいいいいいぃぃぃぃぃ!!!!」」 「以上」 「いや、友人よ余裕で聞こえなかった」 大切な機会を失ったようなので、腹いせに三回戦に突入しかかっている 淫乱饅頭を口に入れた。餡子の甘ったるい味に変なソースかかってる!! 「じゃあこれを野に放てば・・・」 「せいぜい1匹しか仕留められないな。早い話―ー」 「役に立たない、と」 「全員に改造を施したとして・・・」 「まあ、亡骸を食うのが妥当で死にはしないだろ」 「でもこれだったらゆっくりは一応絶滅するな!」 「その自信はどこから沸いて来る」 「なぜなら『ゆっくり』が『すっきり』という名前になるからだ!!」 バチコーン!! ああ、これで明日のレベル上げは難しくなりましたね。 「ところでさ、友人。何でそんなにゆっくりについて詳しいのさ」 「それは・・・・・・本にあった」 「本書いた人って何でそんなにゆっくりについて詳しいのさ」 「それは・・・・・・そういえば」 「俺が思うにさ、著者って実はゆっくりじゃないかと」 「ふーん。で、その心は?」 「にんげんさんにゆっくりのことをしってもらえればゆっくりできるよ!! とか」 「でその結果がこれか」 「そうだとすればずいぶんと気の毒なお話だこりゃ」 ***** その後 俺はゆっくりが世界を滅ぼすとかもうどうでもよくなっていた。 もしこんなでたらめなものに世界が滅ぼされるのならば、 それこそ世界自体がとんでもなくでたらめなものだからだ、と思えるようになったから。 実はそれ以外にも世界って結構でたらめだよね。 例えば、俺に彼女がいないとか・・・・・・。 「というわけで俺に彼女ができないのは世界のせい。間違いなくガイアの陰謀」 「流石に整形費用を調達するのは自分でやってくれ」 間違っているのは世界じゃない。俺の顔だ!!! そう叫んでみた帰り道、通りすがりのおばさんがバナナをくれた。 とりあえず家に帰ってから泣いた。 終 ***** おまけ 「お前ゆっくり飽きちゃったのか、せっかく面白いもの作ったのに」 「饅頭が世界を支配しようだのおごがましいと思わないかね友人!!」 「だが面白いものは?」 「見るぜ」 と、用意されたのは水槽とあのまりさを食っていたれいむと、 まりさを(いろんな意味で)食っていたありす。 「問題、この2匹はどんな行動をするでしょうか! 見事正解したら手術費出してやる」 「あまり俺を馬鹿にしないでもらいたい、れいむがありすをむしゃむしゃしあわせーだ」 「ファイナルアンサー?」 「ファイナルファイナル」 「では正解は、こちら」 「ゆっくりしていってね!!!」 「ゆっくりしていってね!!!」 「れいむ!ありすとすっきりしましょう!!」 「いいよ!!すっきりはゆっくりできるよ!!」 とわずか5秒ほどですっきり行為の開始。 ヌッチャヌッチャと音を立てながら例の汁が垂れ始める。 そして、 「「んほおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉ!!!」」 「「すっきりいいいいぃぃぃぃ!!!」」 とこれまた開始30秒ほどでフィニッシュ。 とここでれいむがおかしな行動を取り始めた。 「ぺーろぺーろ!」 とありすの全身にこびりついたすっきりの際に分泌された汁を舐め取っている。 それもまりさを食べていた表情で。 「れいむ、すっきりさんをぺろぺろしてどうするの? とかいはじゃないわ!!」 「すっきりさんはあまあまでゆっくりできるよ!! ありすもぺろぺろしてね!!」 「ぺーろぺーろ! ゆゆ? とってもとかいはなあまあまさんね!!!」 「あまあまさんをぺろぺろしたらまたすっきりしようね!!」 「すっきりしたら、あまあまさんをぺろぺろしようね!!」 「「ゆっくりしていってね!!」」 ヌッチャヌッチャ 「というわけで正解は、『すっきり汁で無限すっきり』でしたー」 「んなもん分かるか!」 「でもさ、なんだかんだいってゆっくりがゆっくりできていいじゃない」 「ならば俺がそのゆっくりをぶち殺す!」 ブニュ トカイハー 「むーしゃ♪むーしゃ♪ うげげ・・・。やっぱりすっきり汁ってまずくね?」 「俺は結構好きだぞ?」 「友人・・・。お前すっきりゆっくり好きなのか・・・」 「そういえばあのときのまりさ、楽しみに置いといたのに、 何でかいなくなったんだよな。あの後食おうと思ってたのだが」 「彼女は神隠しに遭いました」 「しらばっくれなくてもいいぞ、お前の胃の中に隠されてたんだろ?」 「ギクッ」 「全部お見通しなんだよ!!」 バチコーン!! バチコーン!! バチコーン!! バチコーン!! バチコーン!! 終 ***************************************************************** 久しぶりに書くと結構いじめかたを忘れたりする。 今まで書いた作品 初めての制裁 僕のうさばらし ゆっくりは死んだ 見せあいっこ ゆっくりの伝道師 妄想お兄さん 赤ちゃんのゆっくり返し お家宣言アラカルト このSSに感想をつける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/394.html
「ゆっくり」という生き物なのか食い物なのかよくわからん存在をご存知だろうか? 大抵の生き物は食い物にもなるだろう、とかそういう生易しい問題じゃないんだ。 姿かたちを端的に説明すると人間の頭部だけ独立して動いているような感じだ。しかも、何故か幻想郷の有名人の顔にそっくりだったりする。 こいつらは中身が饅頭なのに何故か喋ったり、飛び跳ねたりとフリーダムに生きているんだ。 そいつらが最近幻想郷で大量発生したことは有名な話で、畑を荒らしたり、人様の家に勝手に上がりこむことから一時は害獣扱いされて、無条件に駆逐の対象にされていたんだが、 こういう気色の悪い生き物を可愛がる虫愛づる姫君よろしくの物好きがいたり、こいつらが意外に美味であることが明らかになったり、ストレス解消に便利だったりといろんな用途が発見されたことで最近では益獣扱いされている。 こいつらの生態については前もって説明しようとすると冗長になるから、必要なときに必要なことだけを話していく事にするとして・・・とりあえず、自己紹介をさせてもらう。 俺は幻想郷で1,2を争うといっても過言ではないゆっくり愛好家だ。名前なんて気にする必要はない。 俺がどのくらいゆっくり好きかというと・・・ちょっと長くなるがのろけ話に付き合うつもりで聞いて行ってくれ。 まず西に虐待で潰されたゆっくり霊夢がいれば死体を回収しに行く。 ちなみにゆっくり霊夢ってのは黒髪と赤いリボンが目立つ博麗神社の巫女さんそっくりのゆっくりのことで、非常に頭数の多い種でもある。 え、虐待をやめさせないのか? そんな事するはずがない。そんな事したらストレス解消って存在意義を失って、また害獣として駆逐されてしまうじゃないか。 だから、ゆっくり愛好家の俺はゆっくりの幸せのために虐待を黙認しているんだよ。まあ、皆ゆっくりが好きだから大抵の場合、ちょっと愛のムチが過ぎただけなんだけどな。 たまに運悪く死にきれなかったゆっくりがいたら可哀そうだからきっちりと楽にしてやることも忘れないぞ? 東に餓えたゆっくり魔理沙がいればさっき回収した肉片を食べさせてあげる。 ゆっくり魔理沙は黒い三角帽子を被ったゆっくりで、数が多い上にふてぶてしくて腹黒くて、人里では一番嫌われている種だったりする。 共食いさせるなんて残酷だ? そんな事はないんだな、これが。こいつらは知能が低いから共食いであることに気付かない。 それに仲間の血となり肉と・・・じゃなかった。餡子となり皮となれるなら死んだゆっくりだって本望ってもんだろ? そういうわけで、ゆっくり愛好家の俺はゆっくりの幸福のためにゆっくりにゆっくりの死体を食べさせるんだ。死体じゃなくて残飯って言ったほうが適切かもしれないけどな。 北に交尾中のゆっくりアリスがいれば引っぺがして俺が代わりに最後まで犯ってあげる。 ゆっくりアリスってのはとにかく年中盛り付いている淫乱ゆっくりで、ゆっくりを増やすためだけにいるような存在だ。ちなみに何故かゆっくり魔理沙を好んで襲う。 何、わけが分からない? そういや言ってなかったっけ?ゆっくりは交尾の後の出産で命を落とすことが多いんだ。でも、産みの苦しみを味わいながら死ぬなんて可哀そうだろう? でも、俺が代わりにイかしてあげれば、すっきり出来るし、何より死ぬこともない。 たまに俺のイチモツで餡子をかき回されるのが気持ちよ過ぎたのか、そのまま逝ってしまう奴もいるけど、快感に包まれて死ねるんなら本望に違いない。 南に生まれたてのゆっくりぱちゅりーがいればすぐさま保護してしかるべき場所に預けてあげる。 自然の中で生まれたものは自然の中で生かすのが一番じゃないか? いやいや、こいつらは饅頭みたいなものだし、食欲をそそる匂いを発するくせに他の動物に対抗する武器を全く持っていないんだ。 つまり野生のままだとひたすらハンティングされる側ってことだ。それはあまりにも可哀そうだろ? 特にこのゆっくりぱちゅりーは体が弱くて、野生だとわずかな運動やストレスで死に至ることもあるから他の種以上にしっかり保護してやらなくちゃならない。 だから、加工所や稗田様のところに預けて保護してもらうのさ。そうすれば野性よりもずっと長く、安全に生きられるだろ? まあ、稗田様のところに預けたゆっくりの様子を見たことはないが、あの方のことだからきっと俺に負けず劣らずの可愛がりっぷりに違いない。 と、これだけ話せば俺がどれだけゆっくりのことが好きか分かってもらえたと思う。 でも、俺ののろけ話は108まであるんだ。つまり、まだまだ始まったばかりだ。 ・・・・・・とは言え、さすがに見ず知らずの相手に108もののろけ話を聞かせるわけにもいかないから、一つだけ取っておきの奴を聞いていってほしい。 のろけ話であると同時に自慢話でもあるんだが、実は最近オリジナルのゆっくり飼育グッズで特許を取ったんだよ。 幻想郷に特許なんて概念があるのか?なんて細かいことは気にしないでくれ。 その特許商品ってのはハムスターボールっていうハムスターを屋内で散歩させるための道具から着想を得たもので、ゆっくりボールって名前のプラスチックの球なんだ。 使い方は簡単、出産間近のゆっくりのそばでこのボールを用意して待機、子ゆっくりが生まれた瞬間にそのボールの中に閉じ込めるんだ。 ちなみにボールのサイズは生まれたてのゆっくりの平均的なサイズに合わせてある。勿論空気穴もストローが通るくらいのを14箇所ほど空けてある。 あ、そうそう・・・ゆっくりの産まれ方には果実みたいに親から生えた茎になるタイプと卵生タイプ、妊娠タイプの三種類があるが、どのタイプで産まれるにしても捕獲できるようになったら出来るだけすぐにボールに入れるのが望ましい。 次に、できるだけ素早く他の家族ゆっくりを原形をとどめない程度に破壊する。 一見可哀そうに見えるが、これもゆっくりのためなんだ。 ボールに閉じ込められたゆっくりが他のゆっくりを見てしまったら、自分だけ何かおかしいことに気付いてしまうだろ? そうなったらアイデンティティが崩壊して心が壊れてしまうかもしれない。そうならないために他の家族ゆっくりを破壊するんだ。 勿論、潰したゆっくりは子ゆっくりに食べさせよう。 こうして子供を無事出産して役目を全うした親ゆっくりは子供の血肉、じゃなくて餡皮となって子ゆっくりとともに生きていくんだ。なんて美しい!! ああ、そうそう・・・最後になったけど、このボールにはどんな効能があるのか説明させてもらうぞ。 こいつには10以上ものゆっくりに幸せを提供するための素敵な効能がついているんだ。 1つ目。子ゆっくりを大きくさせない機能がある。 人間でもそうだけどさ、大人になるってことは社会の荒波にもまれて汚れていくことだと思うんだよ。 でもさ、こんなに可愛いゆっくり達がそんな風に汚れてしまうなんて可哀そうだろ? で、ゆっくりが大人になるためには身体的な成長と、中身つまり餡子の増量が不可欠なはず。 ということは、身体の成長を抑えれば容積も抑えられ、おのずと大人になることが出来なくなるはずじゃないか? このゆっくりボールの当初の目的はこの成長阻害・・・いや、ずっと子供のままゆっくりさせてあげることにあると言っても過言ではない。 勿論、効果は抜群だった。こいつにいれたゆっくりは皆、純真無垢な子供のままだったよ。 2つ目。野生種はしない(と思われる)排泄を促す。 こいつは俺もびっくりしたことなんだが、野生種は食ったものがどうなるのか全く解明されていない。しかし、排泄をしないならどう考えても生涯に食する量と増加する体積が一致しない。 こんな常識的にありえない状態が健康なわけがないと思わないか?でも、ボールに入れたゆっくりは空気穴を使って餡子に似たウンコを排泄する。 つまり、野生種の永遠の悩みである死ぬまで続く便秘か解消されるってわけだ。 え、成長が阻害されたせいで膨張した中身が飛び出しただけじゃないかって? はははははは、そんなわけないじゃないか。ゆっくり愛好家の俺が言うんだから間違いない! 3つ目。ゆっくりが狭い場所に挟まらないようにする。 これは何気に重要なんだ。狭い場所に挟まって皮が剥けて中身があふれ出したとか、狭い場所に落下して皮がずる剥けになったり、挟まって動けなくなったところを外敵に襲われたってのは幼いゆっくりの死亡原因としてはかなりの上位に食い込む。 でも、こいつを装着していればプラスチックが皮を守ってくれるし、そもそも挟まって動けなくなるような場所に嵌り込むようなことがなくなる。 まあ、最初から挟まってるようなものだから当然といえば当然かもしれないけどな。 4つ目。むやみに飛び回らなくなる。 飼っているゆっくりが飛び跳ねて大事なものを壊してしまったなんて話はよく聞くが、こいつの中に入っていれば飛び跳ねるなんてことはまず出来ない。 せいぜい転がって移動することくらいだが、完全に押さえつけられている状態だから自分の意思で自由に転がすことは出来ない。 つまり、自分の意思では飛び跳ねるどころか、転がり回ることすら満足に出来ないってわけさ。 これならゆっくりが勝手に家のものを壊すなんてことはなくなるだろ? 5つ目。他人のものを勝手に食べなくなる。 というか、食べようがなくなるだけなんだけどな。まず動けないわけだし。 ストローサイズの空気穴から与えられた食べ物しか食べられないんだから、他人の畑の作物を荒らすなんてことは当然なくなるよな? すると、畑を荒らされてぶち切れた農家のおっさんに潰されるなんて悲劇は起きなくなる。 6つ目。大きな声で「ゆっくりしていってね!」などと叫ばなくなる。 「ゆっくりしていってね!」というのはゆっくり達が頻繁に口にする言葉なんだが、こいつが朝一番の鶏の鳴き声にも負けないくらいやかましいんだ。 でも、このボールに入った状態であれば全身を完全に押さえつけられているわけだから、当然口だって満足に動かせない。 その上、プラスチックケースで声が大分遮断されるから、外部に漏れるのは「うっうりいえいっええ」とか言うわけの分からん呻き声だけ。 これなら近所迷惑になることもないし、下手に泣き声を上げて仲間を呼び寄せてしまうような事態も回避できる。 それにゆっくり魔理沙の場合、生意気なことを言わなくなるから可愛さ3割増しと良いこと尽くめだ。 7つ目。他人に勝手に殺されなくなる。 野生種がプラスチックケースに入っていることなんてありえないんだから当然だよな? 8つ目。坂から転げ落ちても大丈夫。 ゆっくりってのは鈍くさいから、何かにつけて坂から転げ落ちるんだよ。 現に、このボールに入れたゆっくりも散歩させてやっている時に幾度となく転げ落ちたもんだ。 跳ねるなり、踏ん張るなりすればいいのに。 そんな鈍くさいこいつらだが、プラスチックボールがあれば転がったときに皮が剥けることもないし、硬いものにぶつかったときに中身をぶちまけることもなくなる。 9つ目。捕食者に襲われても安心。 さっきも言ったようにこいつらはとにかく鈍くさいからさ、外敵に襲われても逃げるってことをしないんだよ。 実際、俺がこのボールに入れて飼っていたゆっくりは外敵に襲われそうになっても全く逃げようとしなかった。 跳ねるなり、転がるなり、狭い穴に逃げ込むなりすりゃいいのにな。 でも、このボールの中にいればゆっくりゃやゆフランに襲われた程度なら命を落とさずに済む。 あ、ゆっくりゃとゆフランってのはゆっくりを捕食するゆっくりのことだ。 10つ目。遊び道具として最適。 この中にいる限りゆっくり達は普段以上にゆっくりしているから、少し悪戯をしても文句一つ言わない。 それどころか、大抵のゆっくりは歓喜の涙を流しながら「おえあうっうりえいあいお~」とか「あええ~」とかものすごく楽しそうな声で鳴きまくるくらいだ。 それに、このプラスチックボールはなかなか頑丈でな、大人の力で蹴っても至近距離で壁にぶつかりでもしない限りなかなか壊れない。 おかげで、普段ゆっくりとは出来ないようなサッカーみたいな激しい遊びだって問題なく出来るんだ。凄いだろ? 11つ目。ゆっくりアリスにレイプされない。あるいはしない。 これもゆっくりの命を守る上では必要不可欠な要素だ。何せゆっくりアリスによるレイプはゆっくり魔理沙の死因のTOP3に入るからな。 だけど、このボールの中にいれば前戯がちゃんと出来ないし、種付けだって極めて困難だ。だからアリスに犯し殺されることがなくなるんだよ。 でも、このボールの凄いところはそれだけじゃない。ゆっくりアリスもゆっくり魔理沙とずっと一緒にいられるから大喜びするんだ。 最初に実験したゆっくりアリスはずっと一緒にいられるのがよほど嬉しかったのか、3日間くらいボールに体をこすりつけ続けていたな。 それから「何で子供が生まsqんくせgkうぇdgyrdhんcmbwmrdんcs」と狂喜しながら逝ったよ。 嬉しすぎて死ぬゆっくりなんてあの時初めて見たよ・・・。あの時ほどゆっくりボールを作ってよかったと思った日はないね。 12つ目。機能拡張キットや工夫次第で遊びが更に広がる。 簡単なところだと紐をつけてハンマー投げができるな。プラスチックケースの破損が心配ならガムテープをしっかり巻きつけておけば良い。 他にはボールをムチでたたいて回転させ続ける朝鮮式の独楽として使用することも出来る。 ・・・いや、無限大の応用こそゆっくりボールの肝だから、あまりあれこれ話しすぎると面白みがなくなってしまうな。 これ以外の応用は自分で探してみてくれると嬉しい。 ゆっくり好きの、ゆっくり好きによる、ゆっくり好きのための至高のアイテムゆっくりボールは外界価格で980円。みんな、気が向いたら買ってくれ!! ‐‐‐‐‐‐‐‐あとがき‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐ ホスト規制が悲しくて、書けもしないSS?を書いてみた。 が、あまりに誤字多かったのでちょいと訂正して再うp。 今後はきちんと推敲しようと思いました。 ゆっくりが可愛くて仕方がない俺にはゆっくり虐待なんて全く理解できないよ・・・! 俺の想像力じゃ、よりベターにゆっくりボールを用いたゆっくりの可愛がり方が思いつかないんだ。 何か面白い遊びはないものか? このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/2203.html
ゆっくりゆうぎ ある日、俺はゆっくりを放し飼いにしている庭で奇妙なゆっくりを見つけた。 「ゆっくりちからくらべしようね!そぉーれゆっくり!ゆっくり!」 そのゆっくりは額に角が生えていた。他のゆっくりを追いかけまわしている。 「ゆゆ!もっとゆっくりしてね!それじゃゆっくりできないよ!」 「なにいってるの!ちからくらべ!ちからくらべしよう!」 逃げ回るれいむに素早い動きで追いつき、激しくすーりすーりしようとする。 すりすりというよりはずりずりという感じだ。 「ゆぶっ!もっと……ゆっくり……」 「れいむはよわいね!ほらもっとゆっくりがんばってね!!」 「もうやめでええええ!!!」 「それそれ!ゆっくりゆっくりゆっくりぃぃぃ!!!」 何この新種。 「ゆぎゅぎゅぎゅぎゅぅぅぅぅ!!!」 「はーい、そこまでー」 俺は阿鼻叫喚のるつぼと化した庭へと踏み入った。 新種は今まで絡んでいたれいむを放り出しこちらを振り向く。 「ゆっ!ほねのありそうなにんげんがきたよ!ゆうぎとちからくらべしようね!」 新種は俺の足元へ跳ねてくると、足に対して攻撃してきた。 「ゆっくりゆっくりゆっくりぃぃぃ!!!」 「………」 やはり所詮はゆっくり。口で言うほどの力はないのだった。 「ていっ」 足を軽く振っただけで「ゆべふっ!!」と吹き飛ぶ新種。 「なかなかやるね!おもしろくなってきたよ!ゆっくりぃぃぃ!!!」 再度飛び掛ってくる。 「なんつうか……暑苦しい奴だな……」 * * * * 「ゆうぎのなまえはゆうぎだよ!ゆっくりちからくらべするよ!」 さっきからずっとこれだ…庭のゆっくり達はおびえて物陰に隠れてしまっている。 「おにいさん!そいつをゆっくりおいだしてね!」 「ゆっくりできないよ!」 「ゆっくりひとのはなしをきいてね!!」 それはお前らもだけどな。 「まあまあ、そんな事いわずに仲良くしてあげなさいよ」 俺は飛び掛ってきたゆうぎを手で掴むと、物陰で口を尖らせるゆっくりどもの方へ投げる。 「しょうぶ!しょうぶ!ゆっくりゆっくりゆっくりぃぃぃ!!」 「ゆあああんん!!!」 半刻ほども暴れた後、ようやくゆうぎは沈静化した。 「ゆゆゆゆゆ……」 「どぼちてゆっくりざぜてくれないのぉぉぉ……」 あたりは死屍累々たる有様だ。 「いいしょうぶして、すっきりー!!」 そりゃあお前はそうだろうがね。 「まずは、ゆうぎの鼻っ柱を折ってやることが第一と考えました」 誰に説明してるんだ?俺… ともかく、ゆっくりれみりゃを檻から出し、ゆうぎと対面させてみた。 「うー☆めずらしいゆっくりだどぅ~♪たっべちゃうどぅ~♪」 ぎゃお~☆と威嚇するれみりゃ。しかし、相手の反応はいつもと違うのだった。 「ゆゆ!あいてにとってふそくはないよ!わくわくしてきたよ!! ゆっくりぃぃぃぃ!!!!」 天敵であるはずの、自分より何倍も大きい体付きのれみりゃへ突進するゆうぎ。 「あう~?おちびちゃんのぶんざいでぐれいとなおぜうさまにたてつくなんておろかだっどぅぅ~☆ おもいしらせて……うぁ?」 あ、角が刺さった。 「う゛あ゛~!!いだいどぅ~!!」 「そぉれゆっくり!ゆっくり!ゆっくりゆっくりゆっくりぃぃぃ!!」 れみりゃはじたばたと逃げ惑う。 「い゛だい゛の゛やぁだどぅぅーー!!」 実際の痛みはそれほどでもないのだろうが、想定外の反攻に恐慌を起こし、 まるでふらんにいじめられている時のように縮こまってしまうれみりゃ。逆にゆうぎの方は気迫充分だ。 「おっきいくせにだらしないよ!もっとゆっくりちからくらべしようね!!」 「や゛へ゛て゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛~!!」 勝負はあっけなく決した。 「う゛う゛う゛…」 「ゆうぎのかちだね!!」 「つ゛の゛つ゛の゛こ゛あ゛い゛どぅ゛……」 通常種に続いてれみりゃまでも心的外傷を負ってしまったらしい。 知り合いにはゆふらん持ちもいるが、この調子ではうっかり勝ちかねない。対面させるのはやめておこう。 「うーむ、与えられた特権的地位に安住するだけではいかんということさなぁ…」 憐れを誘うれみりゃの姿を見て、俺は無意味にそう思ったのだった。 それからどうなったのかというと。 「しょうぶ!しょうぶ!」 ゆうぎはそのまま家に定着した。 「やめてね!!ゆっくりできないよ!!」 大抵は一方的に勝負を持ちかけては周囲のゆっくりを困らせているが、 俺が相手をしてやって程よく勝負欲を発散したあとでなら、他のゆっくりとゆっくりすることもある。 俺は今まで隔離していたれみりゃも庭に放つことにした。 ゆうぎは俺に次ぐ実力者としてれみりゃを認識しているため、好んで勝負をもちかける。 そのため他のゆっくりの被害軽減に役立つのだ。 「ゆゆっ!れみりゃだ!!れみりゃしょうぶだよ!!」 「おぜうさまはいないいないだどぅぅぅ~!!」 頭をかかえて丸まり、いないふりをするれみりゃだがそんなことをしても無駄だ。 「ゆっくり!ゆっくり!」 なすすべもなくゆうぎの猛攻にさらされるれみりゃ。 「あ゛う゛ぅ゛~!!!」 「れ゛い゛む゛!!ま゛り゛さ゛ぁ゛!!た゛す゛け゛て゛ほ゛し゛い゛ん゛だどぅ゛ぅ゛ぅ゛!!!」 通常種とれみりゃの間には、反ゆうぎ同盟とでも呼ぶべき協調体制が生まれていた。 「れいむのかわりにゆっくりあいてしてあげてね!!」 「まりさよりつよくておおきいれみりゃならだいじょうぶなのぜ!! めいしょうぶをきたいしてるのぜ!!」 この程度のものだが。っていうかまりさ煽ってんじゃねえ。 「そうだどぅ!とんでにげるっどぅ~!!れみりゃあたまいいどぅ~♪」 おお、よく気づいたぞれみりゃ。かれこれ三日も前から気づくのに期待してたんだが。 「ゆゆっ!!にげるとはひきょうだよ!!ゆっくりおりてきてね!!」 しかし心配はいらない。れみりゃを放すにあたり、敷地を覆うように網を張ってある。 いつまでも逃げ続けることはかなわないのだ。 いくらもしないうちに滞空能力の限界を迎えるれみりゃ。 「う゛ぁぁ~!う゛ぁぁ~!つかれたどぅぅぅぅ~!!」 「はやくおりてきてしょうぶしようね!!ゆっくりまってるよ!!」 泣き叫びながら懸命に翼を動かすれみりゃ。ヒャァ!たまんねぇ!これが見たくて三日も仕事休んだ甲斐があったぜ! 「や゛だどぅ!や゛た゛どぅ゛ぅ゛ぅ゛!!!!」 だんだん高度が落ちてくる…あ、落ちた。すかさず突進するゆうぎ。 「もうやだどぅぅぅぅーーー!!!たずげでじゃぐやぁぁ~!!!!!」 「ゆっくりぃぃぃぃぃ!!!!!」 ゆうぎの勝ち鬨が、庭に響いたのだった。 おしまい。 □ ■ □ ■ このお兄さんは虐待にも飽きてしまった”観察”お兄さんです。 あまり自分では手を下さず、勝手に面白行動を取るゆっくりを眺めて楽しむ的な。 俺も庭にゆっくり飼って隠棲したいよ… 読了ありがとうございました。 今までに書いたSSです。よかったらどうぞ 豚小屋とぷっでぃーん 豚小屋とぷっでぃーん2 エターナル冷やし饅頭 れみりゃ拘束虐待 無尽庭園 ゆっくりできない夜 ゆっくりぴこぴこ 何かがいる 踊り師とれみりゃ 小ネタ-瓶ゆっくり このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/1945.html
ゆっくりと共同生活 ソファにもたれてテレビを見る俺の周りで、ゆっくり一家がくつろいでいる。 「ゆゆぅ……ゆぅ……」 鼻息を漏らして寝ている、拳ぐらいの子まりさもいれば、 「ゆー……ゆっくち! ゆっくち!」 「ゆんゆん! ゆきゅっ♪」 にらめっこをして、にこにこ笑っている、ピンポン玉ぐらいの赤れいむもいる。 そしてあぐらをかいた俺の膝の上には、母れいむと母まりさが居座る。 「ゆぅ……すーりすーり! ……ゆぅ」 呼吸に合わせておだやかにふくらみ、ときどき頬ずりしている。 その様子は、幸せそのもの。 「れいむ、とってもゆっくりしてるね……」 「ゆー、まりさもだね……」 「赤ちゃんたちも、ゆっくりしてるね……」 「ゆっくち!」 ゆーゆーという相槌が上がる。あふれんばかりの団欒っぷり、ラブラブっぷりだ。 二匹の母親は、ほっぺたをもちっと押し合いながら、俺を見上げる。 「おにーさん、ありがとうね……」 「こんなにゆっくりできるお兄さんのおうちにいられて、れいむしあわせだよ!」 「「ゆっくりしていってね!」」 「そうだね」 俺は左右のゆっくりを交互に撫でる。 饅頭たちがぽよぽよと嬉しそうに揺れる。 「ちょっと降りてな。飲み物、持ってくるから」 「ゆうっ!」 二匹は、ぼよんと跳ねて、だぷっとカーペットに降りる。 バスケットボールぐらいある成ゆっくりだから、かなりの存在感だ。 「おかーしゃんだ!」 「まりさとゆっくちちてね!」 「だめだよ、れーむとゆっくちちゅるの! ゆっくち!」 集まってきた子供たちが、ゆっくちゆっくち、と声を上げる。 「ゆー、みんなでゆっくりするよ! おちびちゃんたち!」 「ゆーん!」 「おかーしゃん、ありがちょう!」 「ゆっくちちゅるー!」 母れいむもご満悦だ。すりすり、すりすりと頬をこすり付けあう。 ゆっくりにとって、「ゆっくり」は命のことば。 ゆっくりするのが大好きだし、それを言うだけでも幸せになれるのだ。 これからの人生で、ずうっと使うことば「ゆっくり」。 だから、なんでもないときでも、どんどん口にしてしまう。 ゆっくりを飼っていると、一日に千回ぐらいゆっくりを聞くことになる。 もちろん飼い主の俺も、その言葉が大好きだ。 そうでなければ、ゆっくりなんか飼ってられない。 「おかーしゃん!」「まりちゃも、まりちゃもー!」 机の陰や棚の下からも、ぞろぞろ、ころころと赤ちゃんたちが出てきた。 母れいむだけではすりすりが追いつかず、母まりさも出動する。 「みんな、まりさもゆっくりしてあげるんだぜ!」 「わーい!」「まりさおかーしゃん、だいちゅき!」「すーりすーり♪」 盛大なゆっくり大会になった。 そこらじゅうが小さな丸いころころで一杯。まるでスーパーのトマト棚だ。 それもそのはず、うちには30匹以上の子ゆっくりたちがいるのだ。 これだけ多いと、親たちも数を把握していない。 俺は立ち上がりながら、三匹ほどの赤れいむと赤まりさを摘み上げた。 広げた手のひらに乗せて、なるべく周りが見えるように運んでやる。 「ゆゆっ? ゆっくりのぼっていくよ!」 「おちょら、おちょら!」 「すーいすーい!」 喜ぶ赤ちゃんたちを連れて、にぎやかなゆっくり大会から離れ、キッチンに入る。 引き戸を閉めて、流しへ向かった。 手鍋をコンロに置き、ころころんと三匹を入れる。 「ゆっくちころがるよ!」「まぁるいおへやだよ!」 「はーい、おちょこだよー」 キャッキャと喜ぶ赤ちゃんたちの真ん中に、お猪口をひとつ、逆さまにして置いた。 「おちょこ、おちょこ!」「れいむたちみたいだね!」 形が気に入ったのか、赤ちゃんたちはさらに喜ぶ。 俺はカチンとコンロの火をつけて、食器棚へ向かった。 「ゆっ? ぽかぽかだよ!」 「あっちゃかくなってきたよ!」 グラスを選び、冷蔵庫から氷を取り出して、入れる。 スコッチの蓋を開けて、注ぐ。 トクトクと溜まる琥珀色の液体を、適当なところで止めて、蛍光灯にかざした。 いい色だ。そんなに高い酒じゃないが。 「ゆっ、ゆっ、あちゅい、あちゅいよ!」 「ゆっくちできない、ゆっくちできないよ!」 「つまみはー、っと」 水割りにしてから、菓子箱を漁った。いいものがない。 食べかけのスナック菓子があったが、開けたらしけっていた。 「あぢゅいい! あぢゅいよぉぉ!」 「たしゅけて、おにーしゃん! かぢだよぉぉぉ!」 「ちんぢゃう、まりちゃ、ちんぢゃうう!」 ぴょむ、ぴょむ、と小さな音の聞こえる鍋の横を通って、冷蔵庫の前に戻った。 その上のかごを下ろして調べると、チキンラーメンが見つかった。 ちょっと塩分とカロリーが高すぎだが、まあ仕方ない。 俺はチキラーを割って、皿に盛った。 饅頭側の焼ける香ばしい匂いが漂い始めている。 「どいて、どいでねっ!」 「れいむの! れいむのゆっくりぷれいちゅだよ!」 「ゆーっ、まりちゃのだよ! どかないとまりちゃがちんぢゃうよ!」 ぽにょん、ころん、びちょっ、ぷにょっ、びぢょん ぢゅうぅぅぅぅぅっ……。 「ゆぎゃぁぁぁぁ!」 「おかあぢゃぁぁぁん!」 最後はもちろん、ゆっくりたち用の飲み物だ。 俺はれいむやまりさたちの喜ぶ顔が見たくて、二日に一度はオレンジジュースをやる。 もちろん無果汁の激安品だが、これほどゆっくりを可愛がっている飼い主はそういまい。 「ゆ゛っ、ゆ゛っ、ゆ゛っ、ゆぢっ、ぢゅっ」 「もっちょ、ゆっくちちたかっ……ばぢゅっ」 ゆっくりは便利だ。セリフで焼け具合がわかる。 広い皿にオレンジジュースを満たして準備を終えると、ちょうど赤れいむたちの断末魔が聞こえてきた。 俺は火を止め、手鍋を覗いた。 赤れいむと赤まりさが一匹ずつ、焼きあがっていた。 全身ほどよく焦げ目がつき、ほこほこと湯気を立てている。 開いたままカリカリに焦げた口の中からは、沸騰した餡子がミチミチと漏れていた。 お猪口の上という、一箇所だけの安全地帯を巡って、壮絶に体当たりしあったのだろう。 そのゆっくりプレイスには、生き残ったまりさが一匹。 五分前まですりすりしあっていた姉妹たちの、凄絶な死にざまに、恐怖の顔で固まっている。 最愛の姉妹たちとの醜悪な争いは、無垢な心に、一生残る傷をつけたことだろう。 もっともその一生とは、あと一分もないのだが。 「ゆっ?」 わなわな震えていたまりさが、ふと俺の顔に気づいた。 その顔がくしゃくしゃと崩れ、愛くるしい泣き顔になる。 「ゆっ……ぇぇぇん! ゆえぇぇぇぇん! ゆえぇぇぇぇん!」 「おうおう、まりさ」 俺は手を伸ばしてまりさを救ってやる。ぴょんと飛び乗った赤まりさが、手のひらにすりすりする。 「れいむもまりさも、ちんぢゃったよお! バチバチってはねて、ちんぢゃったよお!」 「よしよし、こわかったな……」 「おにーしゃん、おしょかったよぉぉぉ! もっとはやくたちゅけてよぉぉ!」 生き残ったまりさの、涙に濡れた頬。 そのプニプニした感触を、指でつついて楽しみながら、俺は声をかける。 「ごめんな……俺、おまえたちのことが大好きなんだわ」 「ゆぇぇぇぇん! ゆぇぇぇぇぇん! ……ゆっ?」 まりさが不意に、ぴたりと泣き止む。 その目が、口が、恐怖に見開かれる。 つぶらな二つの目に映るのは、大きく開かれた俺の口腔。 白く硬い歯並び。 はむっ。 <なにちゅるのっ? ゆっくちやめちぇね!> 閉じた口の中で、もたもたと小さな球が跳ね回る。耳骨に叫びが伝わってくる。 <ちゅぶれりゅ! まりちゃ、ちゅぶれりゅよ! だちてね! ゆっくちだちてね!> ぱくっ、と口を開けてやった。「ゆっ!」と赤まりさが飛び出してくる。 すかさず俺はそれを手のひらで受け止める。 ぺちゃん、と着地したまりさが、振り向いてほっぺたをふくらませた。 「ぷくぅううう! おにーしゃん、ゆっくちあやまってね!」 「はっはっは、ごめんごめん」 「まりちゃ、こわかっちゃよ! おにーしゃんのばか! ばか!」 「そっか、こわかった?」 「ちゅっごくこわかったよ! おかーしゃんにちかってもらうからね!」 「ほんとごめんな。もうしないからな」 指先でころころとくすぐってやると、黒帽子のちいちゃな金髪まりさは、 「ゆふっ、わかればいーよ♪」 と微笑んだ。 「ありがとな」 俺はそう言うと、そのまりさをもう一度口に入れて、前歯でプチンと五分の一ほど齧り取った。 そして、凄まじい悲鳴を上げて舌の上でピクンピクンと跳ね回る感触を楽しんだ。 焼けまりさと焼けれいむをつまみ、口に入れてもぐもぐと咀嚼しながら、酒とつまみとオレンジジュースのトレイを手に取った。 それから、引き戸を足で開けてリビングへ戻った。 遊んでいた親ゆっくりたちが振り向く。 「ゆっくりよういしてくれた?」 「まりさたちも、のどがかわいたんだぜ!」 その声が聞こえたのかどうか、口の中の生まりさが、ビクンと強く跳ねた。 俺はそれをよく噛んでこね回し、とても甘い餡を味わった。 ごくんと飲み込む。 「おう、お待たせ。いつも通り五匹ずつね」 そう言って、床にトレイを置いた。 「みんな、ゆっくりのもうね!」 「「「ゆ~~~!」」」 母れいむの指示通り、赤ゆっくりと子ゆっくりたちが広い皿の周りについて、行儀よくぺーろぺーろと舐めだした。 甘いジュースに喜んで、ぱあっと感動の顔になる。 「「「「ちあわちぇー♪」」」」 涙を流し、ぷるぷる震える。母れいむが俺にすりすりする。 「こんなにおいしいじゅーすをのめて、れいむたちほんとにしあわせだよ!」 俺はいやいやいやと手を振って聞き返す。 「俺の幸せはおまえたちのゆっくりだよ。どう、子供たちはみんなゆっくりできてる?」 子供たちを振り向いたれいむが、力強くうなずく。 「ゆっくり! ゆっくりしているよ!」 「いっぱいいるけど、みんな大丈夫?」 「だいじょうぶだよ! このおうちは、こどもがいっぱいふえてもゆっくりできる、ふしぎなゆっくりプレイスだよ!」 「そうかあ、よかったなあ」 俺はにっこり笑って、腰を下ろす。 「これからも、どんどんすっきりして子供産んでいいからな」 「ゆっ、ありがとう!」 「ありがとうだぜ!」 「「「ありがちょうね!」」」 子供たちもいっせいに声を上げる。 俺は水割りを口にして、残っていた甘味を飲み込んだ。 fin. ============================================================================= 何かこう自然体のホラーを書きたかった。 YT このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/2575.html
「ゆっくり破壊爆弾」(後編) 前 「ゆぐぐぐ……わがままいうとゆっくりできなくするよ!!!」 怒りに我を忘れ、野菜クズを全て口に含んだ母れいむは子供たちを追いかけ始める。 最初、口移ししてもらえると思い込んで、母れいむのほうへ跳ねていった子供たちだったが…… パンッ!!! 一匹の赤ちゃんまりさの犠牲で、全てを思い出した。 自分たちは、母親に近づいてはいけない。近づいたら死んでしまうのだ、と。 そして、何のために母親が自分たちに近づいてくるのか、その理由も理解した。 「ゆぎゃあああぁぁあぁ!!!おかーしゃんこっぢごないでえええぇぇぇぇぇ!!!」 「いやだぁぁあぁぁぁぁぁ!!!ゆっぐぢでぎなぐなるうううっぅぅぅ!!!」 「わがままいうこはおかーさんのこどもじゃないよ!!ゆっくりりかいしてね!!」 逃げ惑う子供たちを、母れいむは鬼の形相で追い掛け回す。 振り返ってはいけない。立ち止まってはいけない。この追いかけっこで追いつかれることは、死を意味するのだから。 だが、赤ちゃんと母親では体力の差は歴然。蓄積した疲労で、赤ちゃん達はすぐに動けなくなってしまう。 「もうわぎゃままいわないがらあぁぁあぁぁ!!!」「ごはんのごぢまぜんがらああぁぁぁぁ!!!」 「ゆっ!!さいしょからそうすればよかったんだよ!!!ゆっくりはんせいしてね!!!」 藁にも縋る思いで、命乞いをする赤ちゃん達。 母れいむは床にご飯をばら撒いて、子供たちから離れていく。 残された赤ちゃん達はずりずりと這いずり、曇った表情のままゴミクズの山に噛り付いた。 「むーちゃむーちゃ……ふしあわせー」「ゆっぐ……ゆっぐぢしたいよぉ…」 「ゆっ!わがままなのがいけないんだよ!ばくはつしたくなかったら、ゆっくりいうことをきいて……ね…?」 そこまで言いかけて、母れいむはやっと正気を取り戻す。 母れいむの衝動を支えていた怒りはどこかに消え失せ、1匹の赤ちゃんの残骸だけが散乱している。 視線を移せば、そこには苦々しい表情で野菜クズを食べる赤ちゃんの姿。 母れいむは、自分がしてしまったことをはっきりと理解した。 「ゆあっ!?ゆがあああぁぁっぁあ!!!れいぶのあがぢゃんがあああああぁぁぁぁぁあぁ!!!」 叫んだところで無意味だ。 1匹の赤ちゃんが死んだという結果は、どう足掻いても覆らない。 「ゆうううぅぅぅぅ!!!!あがぢゃんのぶんもゆっぐじずるがらねええぇぇぇ!!!!」 赤ちゃんの残骸に混じっていた帽子に頬を寄せて、誓う母れいむ。 頑張って赤ちゃん達とゆっくりして、まりさと会える日を待ち続けよう。 そして、皆でこのゆっくり出来ない場所から出て、外でゆっくりするんだ。 そう決意した矢先の、出来事だった。 「れいむ。赤ちゃんが1匹になったら、まりさに会わせてやるよ」 「……ゆっ!?」 それは、悪魔のささやき。 「残り9匹のうち8匹赤ちゃんが死んで、残り1匹になったらまりさに会わせてやる。 分かるか?『赤ちゃんを8匹殺せ。そしたらまりさに会わせる』って言ってるんだ」 「ゆゆっ!?そんなことできないよ!!ゆっくりまりさにあわせてね!!」 母れいむの発言に気を悪くした男は、母れいむの顔面を踏みつけた。 「ゆぎゅっ!?」と気味の悪い悲鳴を上げる母れいむに、男は唾を吐きかける。 「僕は提案してるんじゃない。命令してるんだ。赤ちゃんを8匹殺せ。1匹は残しておけ。 それができたら、まりさに会わせてやる。元の巣にも帰してやる。今さっき1匹殺したじゃないか。出来ないわけないだろう」 母れいむは、無言でいやいやと首を振った。 自分のパートナーに会うために、子供を殺すだなんて……正気の沙汰じゃない。 今、決めたばかりなのだ。もう誰も失わない。皆でゆっくりして、皆でまりさに会って、皆でここを出るんだ。 「焦る必要はない。期限は決めないから、ゆっくり殺せばいい。ただ……ゆっくりしすぎると間に合わないぞ」 間に合わない。子供たちの命を奪うのを躊躇っていると、まりさが助からないということ。 ゆぎぎと唸る母れいむ。男はクククと笑いながら、部屋から出て行った。 「ゆぅっ…」「おきゃーさんこっちこにゃいでね!」 ふと母れいむが顔を上げると、生き残った9匹の赤ちゃんは震えて声を上げる。 先ほどの男の話を、赤ちゃん達も聞いていたのだ。 母れいむがぴくっと身体を動かすたびに、9匹の悲鳴が部屋中に響き渡る。 先ほどの母れいむの暴挙を考えれば、当然の反応である。 「いやあぁあぁぁぁぁぁ!!!」「ごっぢごないでねえええぇぇぇ!!!」「おがーざんはむごうでゆっぐぢしでにぇ!!!」 「ゆっ……そ、そんなこといわないでね!!!みんなでゆっくりしようね!!」 赤ちゃんが自分の命を守るために叫ぶ言葉が、母れいむの心をがりがりと引っ掻く。 しかし、そんなことはお構いなしの赤ちゃん達は、母れいむへの罵声を止めようとはしなかった。 「おがーさんどゆっぐぢしたら、れいみゅたちしんじゃうよ!!」 「おがーじゃんのせいでゆっぐぢでぎないよ!!ゆっくりはんせいしてにぇ!!」 「どぼぢでぞんなごどいうのおおおおおお!!??おがーさんわるぐないのにいいいぃぃ!!!」 母れいむに降りかかる言葉の槍は、男が次の餌を持ってくるまで止まなかった。 そして母れいむは、子供たちを恐怖のどん底に突き落としておきながら、自分に罪はないと言い張るだけ。 ただひたすら必死に、「お母さんは悪くない。れいむは悪くない」と自分に言い聞かせ続けた。 3日間、母れいむは悩み続けた。 子供たちとこのままゆっくり出来ない日々を過ごすか、まりさを救うために子供を犠牲にするか。 だが頭を痛めて産んだ子供を、自ら殺すなどできるはずがなかった。 「この前だって綺麗あっさり殺したじゃないか。それとまったく同じことをすればいいんだ」 毎回毎回、餌を持ってくる毎に男はささやく。 母れいむの心の隙につけ込もうと。最悪の結末を導くために。 周りの赤ちゃん達にも聞こえるように、人間の姿をした悪魔はささやく。 「ここにずっといたって、全然ゆっくりできないよなぁ?」 「こんな性格の悪い赤ちゃんと、これからずっとゆっくりするのか?」 「みんなお前のこと嫌ってるぞ。そんな子供とゆっくりできるのかい?」 「昨日出来て、今日出来ないなんて事はないだろう?……やっちゃえよ」 「もしかしたら、明日にはまりさ死んじゃうかも…」 母れいむの餡子脳に染み込む、男の言葉。 聞いているうちに、納得してしまいそうになる自分に気づいて、ぶるぶると首を振る。 それが、母れいむに許される唯一の抵抗だった。 そして、男が去っていくと食事の時間だ。 「むーしゃむーしゃ!ぺっ!!……おちびちゃんたち!ゆっくりたべてね!」 母れいむが餌の山から離れると、赤ちゃん達が食事を開始する。 ゆっくり出来ない現実を呪いながら。その全責任を母親に押し付けながら。 「おかーしゃんのせいでゆっくちできないよ!!」 「ゆっくちあやまってにぇ!!」「まりしゃにもあやまっちぇね!!!」 口移しで食事をすることが出来ない、そして母親とすりすり出来ないストレスは、赤ちゃん達の性格を捻じ曲げていく。 一方、何も食べていない母れいむも、空腹によるイライラは限界に達しつつあった。 「うるさいよ!!わがままいわないでゆっくりたべてね!!!」 「ゆあああぁぁぁぁん!!おかーしゃんこわいよおおぉぉぉ!!!」「ゆっくちできないいいぃぃ!!!」 3日の時間を経て、母れいむの心は傾き始めていた。 残り9匹となった自分の子供と、最愛のパートナーであるまりさを、れいむは天秤にかける。 どちらも大切な家族。ずっと一緒にゆっくりしたい。皆でゆっくりしたい。 そんな風に思ったこともあった。 でも、今は違う。 「おかーしゃんのばかぁ!!!」「どうちてゆっくちしゃせてくれないの!?」 「まりしゃはおかーしゃんのかわいいこどもたよ!!!」「れいみゅがかわいくないの!?」 ただでさえ空腹でストレスが溜まっているのに、周りの子供たちは暇さえあれば自分を罵ってくる。 自分はゆっくりしてただけ。自分は何も悪くない。悪いことをしていない。 悪いのはあのお兄さんだ。お兄さんが罠で自分を陥れたんだ。だかられいむは悪くない。 それなのに、どうしてここまで言われなくちゃいけないの? 赤ちゃんなんか、いなければ良かったのに。れいむは、まりさだけいれば十分なのに。 まりさ、会いたいよ、まりさ。はやくでてきてよ。あいたいよ、あいたいよ。 あいタイよ。ハやクでてキテヨ。マリサまりサマリさアイタイヨまリサアいたいヨデテきてヨ。 れいむの心は、黒く濁りつつあった。 そして、3日目の夜。一家に変化が訪れた。 「ほら、今日の餌だぞ」 いつものように、食料を持ってくる男。 その量は決して十分といえるものではない。 赤ちゃん達に食べさせたら、れいむの分が無くなってしまうのだ。 全ての食料を赤ちゃん達に譲っていた母れいむ。その空腹は限界に達しつつあった。 『おなか…すいたよぉ……』 れいむの視界がぼやける。遠くで見守っている赤ちゃん達の姿が……消えていく。 もはや、正常な思考が出来る状態ではなかった。 「おかーしゃん!?なにしてりゅの!?」 「さっさとごはんをよういしてにぇ!!のろまなおかーしゃんはきらいだよ!!」 『いっかいぐらい……いいよね…』 赤ちゃん達の罵声も、耳に入らない。れいむにとって、それらは雑音であって声ではない。 れいむの不安定な思考は、全て自分の都合のいい方向へ転がっていく。 『あかちゃんたちも……がまんしてくれるよね……』 『れいむの…あかちゃんだもんね……きっとゆるしてくれるよね…』 そして、我慢できなくなった母れいむは、ついに餌を独占し始めた。 「ゆううううっぅぅぅぅぅ♪むーしゃむーしゃ!!しあわせ~♪」 3日ぶりの食事に、涙を流して喜ぶ母れいむ。 がつがつと目の前の野菜の山を食べ崩していく。 そこに、子供を思いやる母の表情はない。全ては自分が中心。自分がゆっくり出来ればそれでいい、という顔だ。 当然赤ちゃん達は黙っていない。自分たちが当たり前に食べられると思っていた食べ物が、突然母親に奪われたのだから。 「おかーしゃん!!!ごはんをひとりぢめしないでにぇ!!」 「そうだよ!!!おきゃーさんはまりしゃたちにごはんをちょうだいね!!」 「うるさいよ!!むーしゃむーしゃ!!まんぷく~♪」 「どうしてぜんぶたべぢゃうのおおおおぉぉぉ!?」 赤ちゃん達の抗議を全て聞き流し、餌を食べつくす母れいむ。 その一部始終を見ていた赤ちゃん達は、一斉に叫び始めた。 「おまえなんておかーしゃんじゃないよ!!ゆっくちしね!!!」 「おかーさんのせいで、いままでぜんぜんゆっくちできなかったよ!!!」 「もっとゆっくちできりゅおかーさんがよかったのにね!!!」 「ゆっくりしねぇ!!」「ゆっくちしね!!ゆっくちしねぇ!!」 赤ちゃん達にとって、ゆっくりさせてくれない母親に価値はない。 それはもはや母親ではなく、ゆっくりを妨げる敵でしかないのだ。 「ゆっ…ゆゆゆっ!?ご、ごめんね!!おかーさんおなかがすいてたんだよ!!ゆっくりゆるしてね!!」 空腹が解消されて正気に戻ったれいむは、自分のしたことを悔いて必死に謝罪する。 しかし、謝ったところで食べ物が戻ってくるわけではない。 赤ちゃん達の罵声は、さらにエスカレートしていった。 「ばかっ!!おかーしゃんのばかぁ!!!しね!!しね!!」 「れいみゅたちがゆっくちできないよ!!」「まりしゃもだよ!!」 「もっとゆっくちできりゅおかーさんがほしいよ!!!」「おまえなんかいらないよ!!!」 「おまえはしねぇ!!はんせいしてゆっくちしねぇ!!」 「「「「しーね!!しーね!!しーね!!しーね!!」」」」 「ゆああぁぁぁあ……そんなこといわないでねぇ…!!」 ぶちぶちっ。 母れいむの心の中で、“支え”が切れていく。 「「「「しーね!!しーね!!しーね!!しーね!!」」」」 「やめでやめでやめでやめでぇ!!!しねっていわないでねえええええぇ!!!」 死ねと一回言うたびに、母れいむの心の中に黒いものが広がっていく。 「「「「しーね!!しーね!!しーね!!しーね!!」」」」 「「「「しーね!!しーね!!しーね!!しーね!!」」」」 「やめでぇぇぇぇ……ゆっくりやめてねえぇぇえっぇえぇ……!!!」 母れいむが涙を流し、大声でかき消そうとしても……赤ちゃん達の死ね死ねコールは止まない。 際限のない言葉の暴力。思いやりすら母親から教わっていない赤ちゃん達は、手加減というものを知らなかった。 そして。 母れいむの黒い心を抑えていた最後の一本が、切れた。 「ゆがあああぁぁぁぁぁあぁぁあぁ!!!もうおこったよおおおおおぉぉぉぉ!!!」 パンパンパン!!! 赤ちゃんの集団に飛び込む母れいむ。その瞬間、3匹の赤ちゃんが破裂した。 そのうちの1匹は、運悪く身体の3分の一だけが残ってしまったが… 「ぶぎぇっ!?…え゛っえ゛っえ゛っえ゛っ!!」 断面から大量の餡子を漏らし、既に瀕死の状態。放っておいても死んでしまうだろう。 母れいむはバラバラに散っていく6匹の子供たちを見て、くすっと微笑んだ。 踏み潰すより容易い。簡単に殺せると知ったから。 「いやあぁぁあぁぁあぁ!!ごっぢごないでねえぇぇぇぇえ!!!」 「ゆふふふふ!!!ゆっくりできないあかちゃんはゆっくりしねぇ!!!」 「ぶぴっ!?」「ゆぎっ!?」「んゆっ!?」「ぴっぃ!」 母れいむの一跳ねで、今度は4匹の赤ちゃんが弾けた。 散乱する帽子とリボンの残骸をかき分けて、残り2匹の赤ちゃんを追いかける。 「どぼぢでごんなごどぢゅるの!!??」 「れいみゅはおかーしゃんのかわいいこどもなのにいいいぃぃぃぃ!!!」 「ゆふふふふ!!!あかちゃんたちがしねば、まりさにあえる!!まりさにゆっくりあえるよおおおおおお!!!」 残った2匹はしぶとく逃げ続けるが、母れいむも根気強く追い続ける。 ゆひっゆひっと息を荒げながら、赤ちゃんれいむと赤ちゃんまりさの背中を追う。 しかし、その目に映っているのは愛しいまりさの姿。 まりさに会うために、まりさを助けるために、母れいむは子供の命を犠牲にしようとしている。 うまく逃げ延びていた赤ちゃん達だったが、れいむの方が足を滑らせて転んでしまった。 そんな大きな隙を逃す母れいむではない。 「ゆあああぁぁぁぁぁぁ!!!おがーぢゃんごっぢごないでねええぇぇぇぇぇ!!!」 「ゆふふふふ!!!ゆっくりできないれいむはしんでねぇ!!!」 パンッ!!! 皮と餡子が弾けとび、母れいむの顔に降りかかる。 ボロボロになった赤ちゃんれいむの小さなリボンが、母れいむの目の前を遮ったその時… 『ゆ~♪とてもゆっくりしたあかちゃんだね!!』 『ゆっくりうまれてきてね!!ゆっくりでいいからね!!』 『ゆっゆっゆ~♪ゆゆゆんゆ~♪』 『まりさはとってもおうたがじょうずだね!!』 「ゆっ!?」 ……母れいむは、やっと理性を取り戻した。 茎に実った12匹の赤ちゃんを見上げるまりさ。そんなまりさを見つめる自分。 れいむの頭上の赤ちゃんに向かって歌を聞かせるまりさ。そんなまりさに見とれている自分。 かつての平和な日々を、母れいむは思い出したのだ。 その時、母れいむは自分がやったことを正確に認識した。 ぼろぼろと、大粒の涙を流しながら喚き始める。 「ゆっ!!ゆぶああああぁぁぁぁぁぁあぁぁ!!れいぶのあがぢゃんがああぁぁ!!あがぢゃんがあああぁぁぁぁ!!!」 まりさと共に誕生する日を待ち望んだ、12匹の赤ちゃん。 無事に生まれたら、皆で沢山ゆっくりしようね。大きくなったら、皆で狩りに行こうね。 帽子のある子は、まりさお母さんが川の渡り方を教えてあげるよ。 そんな風に希望と未来は広がり続け、怖いものなど何もなかった懐かしい日々。 赤ちゃんたちは無事に成長して、皆巣立っていくに違いない。信じて疑わなかった日々。 輝かしい過去の記憶と目の前の惨状が、どうしても繋がらない。まるでどちらかが嘘か夢だったかのように。 でも、現実だ。 11匹の赤ちゃん達は、皆死んでしまった。皆殺してしまった。 受け入れがたいことだが、これが現実である。 「う゛ぅぅぅぅ……ゆっぐりぃいぃぃぃ……ゆっくりいいぃぃぃ……」 この3日間、とてもつらいことばかりだった。赤ちゃんが沢山死んでしまった。 耐え難い空腹に正気を失い、あるいは怒りに我を失い、自ら沢山の赤ちゃんを殺してしまった。 放置されたままの、持ち主のいないリボンと帽子。それを見ると、さらに涙が溢れてくる。 けれど、全ての苦しみを自分は耐え抜いた。命令を達成した。 やっとまりさと会う事が出来るんだ。そう思うと、悲しみの涙の代わりにうれし涙が流れ出す。 全部まりさに話して、そして慰めてもらおう。『ゆっくりがまんしたんだね』ってすりすりもらおう! 「約束だ。まりさと会わせてやろう」 一部始終を見ていた男が、透明な箱に入ったまりさを連れてきた。 箱の中のまりさは、無言でれいむを見下ろしている。その表情はれいむの記憶どおり、とてもゆっくりした笑顔だった。 「さあ、感動のご対面だ」 透明な箱からまりさを取り出し、れいむの正面に丁寧に置く。 れいむは、部屋の隅で震えている子供のことも忘れ、まりさの顔に見とれていた。 そして…… 「ゆっぐ!!まりさああぁぁぁ!!ゆっくりあいたかったよぉ!!!」 れいむは勢い良くまりさに飛び掛る。それを受け止めたまりさは――― ボヨン!! 変な音がしたかと思うと、コロコロ転がって壁にぶつかり、跳ね返ってれいむのもとに戻ってきた。 「ゆっ?」と首を傾げるれいむに対し、男は誇らしげに説明する。 「どうだ。皮も髪も帽子も全部元通り、すごいだろう。………………中身は風船だけど」 「……ゆゆ?」 男の説明が頭の中に入らない。 れいむは、今度はすりすりするべくまりさの方へ這っていく。 ゆらっと揺れたまりさの体は、そのまま慣性に従って転がり、れいむから離れつつあった。 「まりさ!!ゆっくりすりすりしようね!!」 まりさは無言。まったく笑顔を歪めず、視線を正面に向けている。 れいむは構わず、頬を擦りつける。10秒ほど経過して、やっと違和感を感じたれいむは声を荒げた。 「ゆっ!!まりさもうごいてね!!いっしょにすりすりしてね!!!」 しかし、まりさはやはり無言。口を動かすことなく、沈黙を続ける。 ころりと転がってれいむから離れ、逆さまの背中をれいむに見せ付けるだけ。 ぽろっと帽子が脱げても騒ぎ立てることなく、そのまま逆さまになった状態で止まった。 追い討ちをかけるように、男はにこにこしながらもう一度説明する。 「帽子は簡単に治ったけど、やっぱり皮を直すのが難しくてな。そして中身は……………手遅れだったので風船に変えておいた。 どうだ!どこから見ても正真正銘のゆっくりまりさだ!……中身以外は」 「ゆっ?…ておくれ?……ゆわわわわわ……!!」 “手遅れだった” その言葉が、全てを物語っていた。 思い描いていた未来が、音をたてて崩れ去る。 まりさは、死んだ。 身を挺してれいむを守ってくれたまりさが。 まりさは、死んだ。 一緒に歌を歌って、子供たちをゆっくりさせてくれたまりさが。 まりさは、死んだ。 身重で動けない自分に代わって、沢山のご飯を取ってきてくれたまりさが。 そんなまりさが、死んでしまった。 何故か。 れいむがゆっくりしていたからだ。 れいむがゆっくりしていたせいで、まりさはれいむのあずかり知らぬところで死んでいた。 「昨日のうちに8匹殺してたら間に合ったんだけどなぁ。ま、こういうこともあるさ。元気出せよ」 「ゆがっ…ゆがっ……ばりざあああああああああぁあぁぁぁぁぁぁぁあぁ!!!!!」 信じたくなかった。自分の払った犠牲に対して、返ってきたのはまりさの皮を被った風船だなんて。 自分は……ちっぽけな風船のために、正気を失い、多くの子供を死に追いやったのか。 受け入れられるものではなかった。このまま消えてしまいたい。死んでしまいたい。本気でそう思った。 「ゆわあああぁぁぁぁぁん!!!ゆわああぁぁぁぁぁあぁん!!!ばりざああああぁぁぁあぁあぁぁぁ!!!」 「お……おかーしゃん?」 泣き叫んでいるれいむに、何を思ったか赤ちゃんまりさが恐る恐る近づいていく。 すりすりと、内に秘めた恐怖に必死に抗いながら、少しずつ這いずっていく。 そして、自分の命を脅かした相手に、こんな言葉をかけたのだ。 「お、おかーしゃん!!ゆっくちなかないでね!!ま、ままままりしゃがいるからね!!!」 「ゆっ……!?」 母れいむは、はっとした。 涙をぶるぶると振り払って、足元の赤ちゃんまりさを見下ろす。 そこにあったのは、恐れをなしながらも母に微笑みかける赤ちゃんまりさの姿。 「まりしゃといっちょにゆっくりしようね!!!ゆっくりしていってね!!!」 「おちびちゃん……?」 母親を思いやる心が、赤ちゃんまりさには残っていたのだ。それはきっと、餡子に刻まれていた本能的な優しさ。 どんなに殺されかけても、どんなにゆっくりさせてくれなくても、この世にたった一人しかいない母親。 赤ちゃんまりさにとっては、母親とはれいむ一人だけだ。 「まりしゃはおかーしゃんのかわいいこどもだよ!!たくさんいっちょにゆっくちしようにぇ!!」 「ゆっ…ゆううううぅぅぅぅ……!!」 その言葉を聞いた瞬間、れいむの目に先ほどとは違う涙が浮かぶ。 赤ちゃんまりさの心に残っていた母を思う気持ちが、れいむに伝わったのだ。 「ゆっぐ…ゆっぐあぁ……おちびちゃん……ごめんねぇぇぇぇえ!!!」 れいむは決心した。もう二度と、こんな過ちは繰り返さないと。 これからは、この赤ちゃんまりさに思う存分愛情を注いで、ゆっくりできる子に育てよう。 ゆっくり出来なくなったまりさの分も、死んでしまった赤ちゃんの分も、精一杯ゆっくりさせてあげよう。 男は、ポケットからリモコンを取り出すとスイッチを押した。 赤ちゃんまりさの身体の中から、ピッと音がする。そして、穏やかな顔で2匹に微笑みかけた。 「今、赤ちゃんの爆弾を解除した。もうすりすりしても爆発しないぞ」 「ゆっ!?ゆっくりできりゅの!?」 「すりすりしていいの!?」 2匹の問いかけに、男は再度頷く。 それを見た2匹は、涙を流しながら満面の笑みを浮かべた。 「ゆっ!!しゅりしゅりぃ!!!しゅりしゅりするよおおぉぉ!!!」 「おちびちゃあぁあぁん!!!たくさんすりすりしようねぇ!!!」 全速力でれいむに駆け寄る赤ちゃんまりさ。それを待ち受けるれいむ。 この3日間の出来事を、2匹は忘れない。忘れることは出来ない。 けれど、れいむは生きると決めた。愛したまりさは死んでしまったが、自分には赤ちゃんまりさがいる。 失ったものは戻らない。だったら、今あるものを大切にしよう。 「まりさ……おほしさまになっても、れいむをみててね」 自分が愛したまりさ。自分を愛したまりさ。 れいむは、そんなまりさを絶対に忘れない。 そして…… 「おかーしゃあああぁぁぁぁん!!!!ゆっくr――― パンッ!!! ビシャッ!! れいむの顔に、焦げた餡子が降りかかる。 そして、頭にはボロボロの帽子がパサッと落ちてきた。 「ゆっ?お、おちびちゃん…?」 「あ。スイッチ間違えた。悪い悪い。まぁ、こういうこともあるよな、アハハハハ」 男はわざとらしく、もう一度リモコンのスイッチを押しなおす。 それで結果が変わるわけではない。 「ゆっ…ゆあっ!?…おぢびぢゃん!?…おぢびぢゃんへんじしでええぇええぇぇぇぇぇ!!!!」 れいむが愛を注ぐと誓った赤ちゃんまりさは、誓ってからたった数秒でこの世を去った。 失ったまりさの代わりに一生愛すると決めた赤ちゃんまりさは、餡子屑を残して綺麗さっぱり消えた。 れいむの唯一の生きがいが、この世から消えたのだ。 「ゆっぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あぁぁあ゛あ゛あ゛ぁぁあ゛っぁあ゛ぁぁぁぁぁえrがお゛え゛り゛ごい゛!!!!!」 壊れたスピーカーのように、大音量で叫びながら跳ね回るれいむ。 その破滅的な破壊衝動の矛先は、男に向けられた。 「ゆっぐじいいぃぃぃぃぃぃ!!!!じねえ゛えええ゛えぇぇぇえええええ゛え゛!!!!!!」 ゆっくりとは思えない跳躍力で跳びはねる。そのまま男の喉を噛み切ろうと、大きく口を開けた。 しかし、所詮はただのゆっくり。れいむの口が男の血を啜ることはなかった。 ビタンッ!!! その攻撃はあっさり避けられ、勢い余ってコンクリートの床に叩きつけられたれいむ。 ゆ゛っゆ゛っとびくびく痙攣しながらも、最後の力を振り絞って立ち上がる。 しかし、振り返った視線の先に用意されたある物を見て、その動きすら止まってしまった。 「震えるほど寒いのか。じゃあ部屋の中を温めてやろう」 にこやかな表情で、“それ”を積み上げる男。 れいむは男を止めようと思った。悪い予感がしたからだ。 しかし、床に叩きつけられた激痛のせいで身体が言うことをきかない。 その間に、男は手馴れた手つきでマッチに火をともす。 「ゆ゛っ!?……だめ゛……やべでね……ゆっぐじでぎなぐなるよ……」 「何を言ってるんだ、れいむ。暖まればゆっくりできるに決まってるじゃないか」 その言葉と同時に、男は“ある物”にマッチの火を放る。直後、ぼわっと音をたてて瞬時に炎が燃え広がった。 ばちばちばち。微小な燃えカスが上昇気流に乗って、天井へと昇っていく。 「ゆ゛っ!?……ゆぶっ!?……どぼぢで?……どうぢでぞんなごどおおおぉぉぉぉ!?」 男が火を放ったもの、それは―――― 「あがぢゃんだぢのぼうじとりぼんっ!!!もやじぢゃだべええええええぇぇぇぇぇええええ!!!!!!」 赤ちゃんまりさと、赤ちゃんれいむ。合計12匹分の帽子とリボン。それを積み重ねた山だった。 その襤褸切れの山が今、炎を上げて燃えているのだ。 男はそれをにやにやしながら見つめ、れいむはそれを愕然とした表情で見つめる。 「あ゛っ……あ゛あ゛ぁぁぁっ!……あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!」 赤ちゃん達のリボンと帽子が炎に包まれて崩れていき、ぱさぱさとした黒いカスになるのを、ただ黙って見ている。 終いには、それらは全て原形を留めぬ炭となり……れいむが触れただけで崩れる、ただのゴミと成り果てた。 「ゆ゛っ!!……あがぢゃんの……ぼう゛じど……りぼんがあ゛あ゛ぁぁぁぁ……!!!!」 れいむが頑張って産んだ、12匹の赤ちゃん。 まりさに会わせてあげたかったけど、それはできなかった。 たくさんゆっくりさせてあげたかったけど、ほんの少ししかゆっくりさせてあげられなかった。 そんな赤ちゃん達の、唯一の形見。 赤ちゃん達が“いた”ことの、確かな証。 それすらも、男は消し去ってしまった。 存在も、その証も、何一つ残さず、無に帰した。 目の前の無慈悲な人間は、れいむから全てを奪ってしまった。 ゆっくりとしての幸せを、男は全て潰したのだ。 「ゆ゛っ!?あ゛っ!?ッがあああ゛あああ゛あ゛あぁぁぁぁあ゛っぁあ゛ぁぁぁぁおあ゛お゛えおごあえ゛お゛ッ!!!!」 それから。 れいむの叫びは1分ほど続いた。 声にならぬ叫びが、永遠とも思えるぐらい長く続いた。 そして、最後にれいむ自身の口に吸い込まれて消えた。 口を限界まで開き、目を大きく開いて血走らせたまま、れいむは動かなくなった。 先ほどまでの震えも、呼吸による微動もなくなった。 瞬きもせず、真っ白になった目で正面を見ている。 涙と唾液は全て蒸発し、眼球や舌はぱさぱさの状態。 れいむは、饅頭になっていた。 れいむは、ゆっくりではなくなっていた。 ……死んだのだ。次々と降りかかる不幸に耐え切れず、心が死んだのだ。 男は笑った。 下等生物のクセに心が死ぬなんて、ちゃんちゃらおかしい。 食用の饅頭が、家族だとか、愛だとか、思いやりだとか、そういう概念を振りかざすのが滑稽でならない。 腹を抱えて、一生分笑ったのではないかというぐらい、笑った。 笑って、笑って、笑い続けて、笑い続けて、やっと笑うのを止めた。 「……あぁ面白かった。でも、れいむにひとつだけアドバイス」 男は、塵取りと箒で部屋の中のゴミと燃えカスを集め、ゴミ袋の中に捨てる。 動かなくなったれいむは――― 「お星様になったまりさと会話するなら、れいむもお星様にならなきゃな」 ―――かさばらないように金槌でぐちゃぐちゃに潰した後、ゴミ袋に放り込まれた。 (終) あとがき ゆっくりが愛し合ったり、親交を深めたりしてるのを見ると、何だかムズムズして全部ぶち壊したくなる。 子のために母が犠牲になる話とか読んでても、イイハナシダナー、グシャッ、って何もかもバラバラにしたくなる。 それにしても、ゆっくりらしさって、難しい。 作:避妊ありすの人 このSSに感想を付ける