約 3,642,641 件
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/1971.html
前 静けさを取り戻した広場で、一つの陰が動き出す。 動き出した影は別の影へと歩みだす。 そして影は互いに寄り添うように、一つになる。 そのまましばらく時が経過し── 一つの影は再び分かれ、歩みだした影は広場から消え去っていく。 影が歩みだした時、既に雨は止んでいた。 後編 あの日の出来事から数日が経過した。 森はいつもと変わらぬ朝を迎える。 「ゆっくりしていってね!!」 「「「「「ゆっくりしていってね!!」」」」」 れいむ親子も例外ではなく、朝から元気よくいつもの挨拶をしていた。 「おかーさん、おなかすいたー」 「「「「おなかすいたー!!」」」」 「ゆっ、まっててね。すぐにあさごはんにするよ!!」 ゆっくりは起きてすぐ朝ごはんを食べる。いつもと変わらない習慣だ。 親れいむがご飯を子供達に与えようと食べ物の保管庫へと足を運ぶ。 そして子供達の前に食べ物を置いていった。 「さあみんな、ごはんをたべるよ!!」 「「「「「ゆゆーっ!!」」」」」 れいむ一家団欒の食事が始まる。 ゆっくりという名に相応しくなく、その食事はものの数十秒で終わってしまった。 「ゆっ、みんなゆっくりできた?」 食べ終えた子供達にゆっくり出来たかどうか確認する親れいむ。 しかし── 「おかーさん、ぜんぜんたりないよ!!」 「れいむたちをがしさせるき!?」 「もっとれいむたちにごはんをもってきてね!!」 「ゆゆっ!?」 子供達からの講義に、親れいむは慌てふためいた。 今まで食事の量は親ぱちゅりーが管理していたために、食事の量は適切に保たれていた。 、しかし親ぱちゅりーが居なくなってからは親れいむが管理することなったが、ちゃんと管理せず無計画に食べたいだけ食べる生活が続いた。 子供たちはそれを普段の量と勘違いしてしまったようだ。 本来ならばここで親ぱちゅりーが子供達を止めるのだが、その親ぱちゅりーも今はいない。 親れいむはそんな子供達の抗議を聞き、保管庫へと足を向ける。だがそこには少ししか食べ物が残ってなかった。 (ゆぅ……あとでいっぱいあつめればだいじょうぶだよね!!) 楽観的思考で残りの食べ物を持ってきた。 「ゆっ、しょうがないね。みんなでわけてたべてね!!」 「おかーさんありがとう!」「おかーさんやさしーね」「ぱちゅりーおかーさんとちがってゆっくりできるね」 「あんなのれいむたちをゆっくりさせなくておやじゃなかったよね」「ゆっくりー!!」 子供達の喜ぶ声に、親れいむは満足そうだった。 食事も終わって、親れいむは狩りに出かけた。 子供達も狩りにいくように誘ったが、 「もっとゆっくりしたいよ!!」「おかーさんがたくさんとってくればいいよ!!」 等と言い出したため、結局子供たちはお留守番となった。 お昼過ぎになって、親れいむは帰ってきた。 さっそく取ってきた食べ物を分け与えるが、子供たちはまたもや不平不満を言い始めた。 「こんなにすくないと、ゆっくりできないよ!!」 「おかーさんもっとれいむたちにごはんをちょうだいね!!」 親れいむは困り果てた。もう保管庫に食べ物はまったく無いのだ。 申し訳なさそうに子供達にこれ以上食べ物は無いと言うことを伝えた。 だが子供たちは納得しなかった。 「なんでだべものがないのおぉぉぉぉ!!」「おがーざんがだぐざんどっでごないがらだあぁぁぁぁ!!」 「ゆっ!! はやくたべものをたくさんとってきてね!!」「れいむたちはここでまってるよ!!」「ゆっくりー!!」 「ゆゆっ!?」 結局親れいむはまた狩りに出かける事になった。 付いていく子供は当然おらず、再び全員がお留守番という名目で遊んでいた。 そうして親れいむの帰りを待っていたその時、一匹のゆっくりが巣に近づいてくるのに、子れいむの一匹は気づいた。 「ゆっ、ぱちゅりーがきたよ!!」 「「「「ゆゆっ!?」」」」 自分達の妹であるぱちゅりーだ。れいむ達はそう確信する。死んだと思っていたぱちゅりーがまさか生きていたなんて── れいむたちは身構えた。 「ゆっ、ゆっくりできないぱちゅりーはゆっくりでていってね!!」 「「「「でていってね!!」」」」 「まって、ぱちゅりーはれいむたちのためにたべものをもってきたんだよ」 「「「「「ゆゆっ!?」」」」」 たべものという言葉にれいむ達は反応した。 どうやら間違いに気づいてお詫びの品として食べ物を持ってきたらしい。れいむ達はそう判断した。 「いいこころがけだね!! とくべつにゆるしてあげるからさっさとたべものをちょうだいね!!」 「「「「ちょうだいね!!」」」」 「こっちだよ、みんないちれつにならんでついてきてね!!」 ぱちゅりーと呼ばれたゆっくりの言いつけに従い、子れいむたちはぞろぞろと列を作って移動する。 誘導した先には食べ物が積み重ねられていた。 「はやいものがちだよ、ゆっくりたべていってね!!」 「「「「「ゆゆーーーーーっ!!!!!」」」」」 その言葉が引き金となり、子れいむたちは我先にと山に群がっていく。 当然一列に並んでいたため、先頭と最後尾では距離が違う。 必然的に最後尾のゆっくりは遅れてしまうが、そのゆっくりに声をかける。 「れいむ、れいむ」 「ゆっ!! じゃまをしないでね!! さっさとどいてね!!」 「れいむはとくべつだから、むこうにかくしてあるたべものをみんなあげるよ」 「ゆゆっ!?」 「こっちだよ、ついてきてね」 そう言って一匹のれいむを別の場所へと案内した。 先に食べ物に突撃したれいむ達は、この出来事にまったく気づかなかった。 「ほら、あそこだよ」 「ゆー!!」 れいむは歓喜した。先程と同じくらいの量の食べ物がそこには積まれていた。 もう我慢できないとばかりに食べ物へと突っ込んだ。 「むーしゃむーしゃ、しあわせ~」 お決まりのセリフを言い、心底ゆっくりするれいむ。 夢中になって食べ物を食べ続ける。そんな様子を見てぱちゅりーと呼ばれたゆっくりはれいむの後ろに近づき── 枝を思いっきり突き刺した。 「ゆぶえぇぇぇえぇぇぇぇぇ!!!」 「……」 「いだいぃぃいだいよおおおおおおお!!」 「……うるさい」 「ゆ゛ぎゃぁぁあああぁぁぁぁ!!!!!」 目の前のクズが悲鳴を上げる。実に不愉快だ。 黙らせるために枝を左右に動かす。さらに声が大きくなった。 こんな行為の何処が楽しいのだ? 何処が面白いのだ? どうして笑うことが出来るんだ? 理解できない。したくもない。 「どぼじでごんなごどずるのぉぉぉ!!!」 「……うるさい」 「やべっ、やべでえぇぇぇぇ!!!」 「……うるさいよ」 「おがっ、おねがいじまずぅぅぅぅぅ!!!」 「……」 「だずげでぐだざいぃぃぃぃぃ!!!」 「だまれえぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」 「ゆ゛へ゛は゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!!!!」 怒りに耐え切れず、枝を力任せに薙ぎ払う。 ああもう耳障りだ、鬱陶しい。憎たらしい。 何故謝る? 何故許しを乞う? 何故助かろうとする? そうした者達を嘲笑いながら止めをさす奴らにどうしてそんな資格があるというのだ!! 「ゆ゛っ……もっど……ゆっ……」 「……」 初めて同じゆっくり、しかも元家族に近かった者を殺しても、特に何も感じなかった。 目の前に横たわるのは、りぼんの付いた餡子の塊としか思えなかった。 無造作にりぼんを餡子から離すと、残りの四匹のれいむのいる場所へと向かった。 戻ってくると、そこには四匹のれいむが奇妙な行動を起こしていた。 「げらげらげらげら」 一匹のれいむは笑いながらあちこちを飛び跳ねている。 「……」 一匹のれいむは泡を吹いて仰向けに倒れている。 「すーやすーや」 一匹のれいむは笑い声が五月蝿いにも関わらずぐっすりと眠っている。 「ゆ゛っ………………ゆ゛っ………………」 一匹のれいむはじっとしているが時折痙攣するような動きを見せる。 その光景をみて、思わず呆れてしまう。 (ぱちゅりーおかあさんがくちをすっぱくしておしえてくれたのに……) れいむ達の奇妙な行動の原因は、毒キノコだった。 一応親ぱちゅりーから教えてもらったはずであるが、見事に忘れていたらしい。 (むくわれないね) そう思うと、持っている枝でれいむ達を淡々と殺し始めた。 「ゆっくりかえったよ!!」 二度目の狩りを終えて親れいむは帰宅した。 しかし親れいむは様子がおかしいことに気づく。愛しいわが子からの返事がまったく聞こえないのだ。 「ゆゆ? かくれてないででてきてね!!」 懸命に住処を捜索するが、誰も見つからない。 気のせいだと自分に言い聞かせ、同じ場所を隅々まで探し回っていたが、ついには感情を爆発させてしまった。、 「どうじでごどもだぢがいないのぉぉぉぉ!!」 しばらく泣き叫び続けていた親れいむであったが、泣き止むと空腹感に襲われた。 昼からずっと跳ね回り泣き続けていればお腹が空くのも無理は無いだろう。 むーしゃむーしゃと自分で取ってきた餌を食べてゆっくりし始めた。 「ゆっ、そうだ!! こどもたちをさがすよ!!」 自分の欲望が解消されて、親れいむは今一番しなければいけない事を思い出す。 思い立ったら即行動だと言わんばかりに飛び跳ねる。 そして自分の家の入り口から出た時、見慣れた帽子が目に飛び込んできた。 「れいむおかあさん、ただいま」 「ゆっ!? ぱちゅりー!?」 間違いない、あの帽子は自分の生んだ子ぱちゅりーだ。 でもぱちゅりーはゆっくりできなかったからお仕置きして外に追い出したはずだ。 どうしてもどってくるの? れいむには理解できなかった。 「あのね、ぱちゅりーがわるかったんだよ、はんせいしたんだよ。だかられいむおかあさんにあやまりにきたの」 「ゆゆっ!?」 どうやらぱちゅりーは謝りに来たらしい。伴侶であったあのゆっくりできないぱちゅりーと違ってとてもゆっくりした子ではないか。 きっと無理矢理あのゆっくりできないぱちゅりーが嘘を言って連れてったのだろう。れいむはそう解釈した。 「わかればいいんだよ!! ぱちゅりーはいいこだね!!」 「ありがとうおかあさん! それでね、ぱちゅりーからなかなおりのぷれぜんとがあるんだよ」 「ゆっ!?」 「でも……おかあさんをびっくりさせたいから、ちょっとうしろをむいててね」 「ゆっくりりかいしたよ!!」 親れいむは後ろを振り向いた。そして感動していた。 れいむによく似ていて、なんていい子なんだろう。外見がぱちゅりーに似てなければもっと良かったのに。 それにしてもプレゼントとは一体なんだろう。お花かな?キノコかな?珍しい果物かな? 今か今かと親れいむがワクワクしながら待っていると── 背中から鋭い痛みが走った。 「ゆぎゃあああああああああああ!!!!」 親れいむは痛みに驚いて跳ね回り、後ろを振り返った。 そこには我が子と思っていたゆっくりが、枝を咥えていた。 親れいむはすぐに自分の背中を刺したのが、我が子であることに気づいた。 「どうじでごんなごどずるのおぉぉぉ!!!」 「──どうして? どうしてわからないの? ばかなの?」 「ゆぎいぃぃぃぃぃ!! ゆっくりできないぱちゅりーはゆっくりしね!!」 親れいむは怒りで頭に血が上っており、全力で目の前の敵に飛び掛る。 成体の体当たりだけあってスピードもそれなりに早く危険な一撃だ。 だがぱちゅりーの帽子を被ったゆっくりは、ぱちゅりー種らしからぬ運動神経でこれを横に避ける。、 「ゆっぎいぃぃぃ!!! よげるなぁぁぁああああ!!!」 親れいむは次こそは当てると意気込んで、体当たり攻撃を仕掛ける。 しかし再び避けられて当たらない。また同じことの繰り返しであった。。 一方的な攻防がただ続くだけだが、このままいけば体格差や種族差からして、親れいむよりも先に子ぱちゅりーの方が体力が尽きることは間違いなかった。 「ゆっ……ゆっ……」 しかし徐々に親れいむに疲労の色が見える。 目に見えて体当たりするスピードや跳ねる高さが落ちていくのが判る。 疲れてしまい、目線を敵から地面に向けたところで親れいむは気づいた。 「ゆ゛っ!! なにごれぇ!!」 地面には点々と、黒い物が散らばっていた。 恐怖で思わず体を後ろに引こうとしたとき、背中に激痛が走る。 親れいむは思い出した。自分は背中に傷がある。その状態で激しく動き回ったらどうなるか── 「いまごろきづいたの?」 「ゆぎゃあぁあぁぁぁあ!!!」 親れいむが全てを悟ったときにはもう遅かった。 枝を突き出して突進してくるゆっくりを避ける体力は残っておらず、そのまま攻撃を受けて悲鳴を上げる。 その一撃で遂にれいむは動く体力は全て奪われてしまった。 「ゆびーっ、ゆびーっ」 「れいむおかあさん、ぷれぜんとはまだあるんだよ、ここでゆっくりしていってね」 これ以上何をされるのだろうか、親れいむは恐怖を感じていた。 ゆっくりできない奴は何処かに消えたらしく、今が逃げるチャンスだった。 だが、もう這いずる気力も湧き上がらず、結局ぷれぜんとを待ち続ける事になった。 そして、恐怖のゆっくりが帰ってきた。 「ぱちゅりーかられいむおかあさんにぷれぜんとだよ!!」 そう言って差し出されたそれは、親れいむを絶望へと突き落とす。 「い゛や゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛! ! ! ! !」 それは五つの餡子のついたリボンだった。差し出されたどのリボンにもれいむには見覚えがある。 いなくなったと思っていた愛する子供達のリボンだ。そしてリボンから出る匂いが意味することは一つ。 全てを理解した瞬間、親れいむは泣きながら叫んでいた。 それを見てリボンを持ってきた者は不快そうに呟く。 「そんなになけるんだね……かぞくなんてごみだとかんがえているくずだとばかりおもってたよ」 「でも……だったら……」 「どうじでばぢゅりぃだぢをごろぜるんだあぁぁあぁああぁああああ!!!!!!!!!」 後に残るは六つのリボンと一つの黒い物体だけだった。 次 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/624.html
「あー、あちぃ……」 ここ最近、やけに強い雨が降り続いているせいで窓を開けられず、部屋の熱気がなかなか抜けない エアコンなんて便利なものを買う余裕がない俺は、一人暮らしをするときに持ってきた扇風機を使って空気を回している。 カバーが外れやすくなっているのが少々怖いが、かなりの強風を出せるので重宝している。 何気なく窓を見ると、普段なら見えるはずの家々がまったく見えない。こりゃまだまだ続きそうだ。 コンコン 「……ん?」 玄関を叩くような音が聞こえた。こんなときに来客か? コンコン 気のせいじゃない。どうやら誰か来たようだ。 のぞき窓を見てみるが誰もいない。こんなときにいたずらするような物好きがいるのだろうか。 玄関を開けてみた。 「ゆっ!おにーさん、まりさたちをたすけてほしいよ!」 足元には、成体サイズのゆっくりまりさが二匹居た。 「おにーさんありがとう!これでしばらくゆっくりできるよ!」 「あめがあがるまでゆっくりさせてね!」 話を聞くに、このまりさたちはゆっくりにしては珍しい同種のつがいであるらしい。 片方のまりさは妊娠している。しかも胎生のほうだ。本人達の感覚によれば、三匹ほどいるらしい。胎生にしては多いほうか。 家族が増えるということで最近川原に巣を移したまではよかったが、そこにきてこの豪雨が始まった。 巣は半日で使い物にならなくなり、なんとか雨風をしのいできたが今日は場所が見つからなくなってしまった。 「あんまり広い部屋じゃなくて悪いな。今はこのくらいしか出来ないんだ」 せめて少しでも快適なように、扇風機を横倒しにして二匹に風をあてている。 「だいじょうぶだよ!そとにいるよりはゆっくりできるもん!」 「ちゃんとおぎょうぎよくするよ!」 野生のわりにはやけに丁寧なゆっくりだと思っていたら、どっちも元々ペットだったらしい。 他のゆっくりがこれくらい賢ければ潰される数も減るだろうに……なんてことを考えていると、腹の虫がさわぎだした。 時計を見るともうすぐ昼時。昼飯を作るとしよう。 「じゃあ俺は飯でも作ってくるから、ゆっくりしててくれ」 「「ゆっくりしていってね!」」 部屋のふすまを閉めると、ポケットからミュージックプレイヤーとイヤホンを取り出す。 今日の作業用BGMを選びながら、昼食のメニューにとりかかった。 「やさしそうなおにいさんだったね!」 「そうだね!」 一方、こちらは残されたまりさたち。妊娠しているほうを母まりさ、していないほうを父まりさと呼ぼう。 まりさたちは、数日ぶりのゆっくりとした時間を味わっていた。 この雨のせいで、眠るときくらいしかゆっくりできていなかったまりさたち。 本音をいうと少しだけ窮屈だけれど、外とは比べ物にならないくらいのゆっくりぷれいすだった。 雨がやんだら巣を探そう。あかちゃんが生まれる前にいっぱいご飯を準備しよう。 二匹の頭は、これからのゆっくりの仕方についてでいっぱいだ。 ちょうどその時。 「――ゆ゛う゛っ!?あがちゃんがででぐる゛う゛う゛うっっっ!!?」 「ゆ!まりさ、ゆっくりがんばってね!」 気が緩んだせいだろうか、母まりさが突然出産を始めてしまった。 時期としてはもうそろそろという頃合だったが、あまりに突然すぎた。 まだなにも準備をしていないというのに! 「おにーさん!おにーさん!!たいへんだよ、まりさのあかちゃんがうまれちゃうよ!」 おそらく食事をつくっているであろうおにいさんを呼ぶまりさ。だが、いくら呼んでもおにいさんは来ない。 聞こえてくるのは何かを焼いたり切ったりする音だけだ。雨も激しいから、声が届いてないのかもしれない。 ならば、とふすまをあけようとするが、まったくびくともしない。 「おねがい゛い゛い゛い゛あ゛い゛い゛でえ゛え゛え゛え゛」 必死に動かそうとする父まりさ。が、ふすまのスライドする位置には雑誌のタワーのひとつが倒壊していた。 ゆっくり程度の力では、無理矢理開けることはできない。 「ゆううううううううううう!」 振り向くと、母まりさが苦しそうに転がって、あちこちに体をぶつけている。 「おちついてね!ぶつかったらあぶないよ!」 そんなことを言われても、こうして悶えでもしないと痛みに耐えられない母まりさ。 ぶつからないよう、父まりさが母まりさと部屋の荷物の間に入る。あちこち体が痛いが、気にしていられなかった。 もし、このとき。 まりさのどちらかが気付いていればよかったのかもしれない。 ぶつかった衝撃で、扇風機のカバーが転がっていったことに。 しばらくして、ようやく母まりさがおとなしくなった。 「がんばってね!ゆっくりうんでいってね!」 「 あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」 苦しそうな母親の顔の下に、同じ顔をした赤ちゃんが ぽん、と。一匹の赤ちゃんまりさが飛び出してきた。 「ゆっくりちていってにゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛うううううううううぅぅぅぅぅ!!」 生まれた喜びは、ほんの一瞬だった。 母まりさが止まったところは、よりにもよって扇風機の前だった。 しかも、先ほど暴れたときにカバーが外れてしまっている。 そんなところで子供を生めばどうなるか、ほぼ予想がつくだろう。 そう。この赤ちゃんまりさは、自分から扇風機に突っ込んでいく形になってしまったのだ。 「「ゆ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」」 扇風機から飛ばされた赤ちゃんをみた二匹。 体はくまなくズタズタにされ、帽子も原型をとどめていない。 「ゆっ……ゆっ…………」と小さくうめき声をあげていたが、すぐに声は途絶えた。 「ゆううううううううう……まりざだぢの……あがぢゃん…………」 悲しみにくれるまりさ達。だが、そんな時間は与えられていなかった。 「ゆ゛うううう!!あがぢゃんがででくるよおおおお!!」 まだ母まりさのなかには赤ちゃんがいる。最初の子を無駄にしないためにも、残りの子たちを精一杯可愛がってあげよう。 そう考えた父まりさは、懸命に対策を考えた。 母まりさを見る。母まりさはもう痛みで動く余裕はまったくない。お兄さんもまだ当分戻ってこないだろう。 頼れるのは、自分だけだ。 「んーしょ!んーしょ!」 考えた結果、父まりさは扇風機のカバーをもどすことにしたようだ。 部屋の隅に転がっていたカバーを引きずっていく。 だが、カバー自体がゆっくりにとってはかなり重い。加えて、片付いていない部屋の足場は最悪に近い。 「ゆっくりいそいでね!はやくついてきてね!」 もうすでに二匹目の赤ちゃんの顔が見え出している。父まりさは、とっさに判断を変えた。 「まりさ……なにしてるの……?」 少し痛みに慣れたらしい母まりさが話しかけてきた。目の前には、扇風機をバックに立ちはだかる父まりさ。 「まりさがくっしょんになるよ!あんしんしてね!!」 どうやら、出てきた赤ちゃんを受け止めて守ろうという魂胆らしい。 「でる゛っ……でぢゃうよ゛お゛お゛お゛お゛お゛!」 二回目のぽんっという音と共に、赤ちゃんまりさが飛び出した。 「ゆっ!?」 父まりさには少し誤算があった。口で受け止めてあげるつもりだったが、実際に赤ちゃんがぶつかったのはおでこのあたり。 赤ちゃんは真横に吹っ飛んでしまった。 「ゆぅっ!いちゃいよう!」 「ごめんねあかちゃん!ゆっくりしていってね!!」 「ゆっくりちていっちぇにぇ!」 生まれて最初にみたのは、お母さんとお父さんだった。 にっこりと笑いかけて「ゆっくりこっちへおいで!」と呼んでいる。 ぴょんと飛び跳ねようとした瞬間。 「ゆ?」 なんだか、突然回りが暗くなったような気がした。 上を見上げる。 雑誌の表紙に描かれたキャラクターたちが、赤ちゃんにゆっくりせまってきた。 「ゆ?」 赤ちゃんがなにやら上を見上げた。 なんだろう、と両親もつられて見上げてみる。 分厚い本が、赤ちゃんの頭に直撃する。口から噴水のように餡子が噴出した。 追い討ちをかけるように二冊、三冊と赤ちゃんに向かって落ちてくる雑誌。 赤ちゃんまりさがぶつかったのは、先ほどお兄さんがスペース作りのためにどかした雑誌群だった。通称「ジャ○プタワー」。 それも慌てて積み上げていたせいで構造は乱雑。いつ崩れてもおかしくない状態だった。 そこに赤ちゃんまりさが突っ込んだ結果がこれだよ。 「「ゆ゛がああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っっっ!!!??」」 慌てて駆け寄る父まりさ。必死に本の山を切り崩していく。 掘って行くうちに、赤ちゃんまりさの帽子が見えてきた。 「あ……ああああ…………」 が、無事なのは帽子だけだった。 その下にいた赤ちゃんまりさは、もうただの皮でしかない。 「ごめん……ごめんねあかちゃん…………ちゃんとうけとめてあげれたら……」 心からの謝罪を告げると、振り向いてまた扇風機の前に立つ父まりさ。 「ちゃんとうけとめてあげるよ!ぜったいにうけとめるよ!!」 続く三匹目。少しずつ顔が見えてきた。 両親に緊張がはしる。 そして。 「ゆっくりちていってにぇ!」 最後の赤ちゃんが飛び出してきた。 幸いにもコースはさっきの赤ちゃんと全く同じだ。 「ゆっくりきゃっちするよ!!」 口に僅かな衝撃が走る。 衝撃で後ろに飛ばされるがなんとか着地。口の中では赤ちゃんが「おとーしゃーん?」ともぞもぞ動いている。 よかった。こんどはせいこうしたんだね。 ふひゅう、と父まりさから溜め息がもれた。 かぞくはへっちゃったけど、そのぶんいっぱいゆっくりさせてあげるね。 そんな感傷に浸っていると、後ろがなにやらガリガリとうるさい。 振り返る。 黒い帽子が、扇風機に巻き込まれていた。 「ゆううううううううっ!?」 キャッチした瞬間、まりさはほんの僅かだったが衝撃で後ろに飛ばされた。 その時、ちょうど帽子だけがまきこまれてしまったのだ。 「ま゛り゛さ゛のぼう゛じがあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」 ゆっくりにとって飾りは命と等しい。父まりさは迷いなしに扇風機に飛び掛った。 「ぼうじがえぜえ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!!」 ……よりにもよって、赤ちゃんゆっくりをくわえたまま。 「おーい。飯ができ……た…………ぞ……?」 飯を運んでふすまを開けた俺が見たのは、やけにちらかっている部屋と、そこかしこにとびちっている餡子。 そして、自我喪失といった状態のまりさが一匹。 「おい、どうした!なにがあったんだ!?」 「ゆ……うぅ……う゛わあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あん!」 まりさはじゅっと泣き続け、やっと話せるころには雨がやんで、久しぶりに太陽が顔を出したころだった。 澄んだ空気と夕日が心地よかったが、俺とまりさの空気は未だに重かった。 残った餡子を出来る限り集めて、庭の花壇に埋めてやる。 ボロボロになった片割れまりさの帽子に赤ちゃん達の帽子を重ねて、墓がわりにしてやった。 まりさはしばらく墓を眺めていたが、振り向くとゆっくり歩き出した。 「行くのか?」 「あめがやんだから……ゆっくりでていくよ。おにいさん、ありがとう……」 ぴょんぴょん跳ねて、まりさが遠ざかっていく。 「いつでも来いよ!ゆっくり待ってるからな!」 聞こえないかと思ったがちゃんと届いたらしい。 「ゆっくりしていってね!」 精一杯の笑顔で振り向いたまりさを。 自動車が一瞬で轢いていった。 「いいやつは早死にする、か…………」 案外嘘ではないのかもしれないな、なんて思いながら俺は五つの帽子を見つめていた。 「せいぜい、あの世でゆっくりしていってくれ」 ―――――――――――――― あとがき ゆっくりって結構喋らせにくいんだなぁという気がします。 特に悲鳴とか。 少しの間でも楽しんでもらえたら幸いです。 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/3155.html
ゆっくり護身術 byアサシンの人 ●舞台はケーブルテレビとかありますが一応幻想郷の人里です ●飼いゆっくりがでます ●虐待味は薄いかも 「んほおおおおおおおぉぉぉぉぉ!!!れいむのまむまむきもちいいわあああああ!!」 「やべでええええええすっきりしたらゆっくりでぎないいいいいいいいいいいいい!!!」 仕事から帰った俺が見たものは、自分の飼いゆっくりであるれいむが 見知らぬありすにレイプされている状況だった。 すっきりされて死なれては困るのでありすを思いっきり蹴り飛ばし、 満身創痍のれいむに急いでゆっくり回復薬もといオレンジジュースをかけてやる。 荒かったれいむの息も落ち着いたところで蹴っ飛ばしたありすを見ようと目をやると 頬を真っ赤にしたありすが飛び掛ってきたので 急いで虐待家御用達の透明な箱にぶち込みふたを閉める。 「こんなのとかいはじゃないわああああああ!!」とかなんとか言ってるがスルー。 俺には虐待趣味はないが一応何かに使えるかもと思って箱を常備していたのだ。 れいむに話を聞くと留守番中にゆっくり用通用口にノックがあったので いつも遊んでいるお隣さんのまりさかと思いあけたところ 発情したレイパーありす‐今この箱に入っている糞饅頭‐に襲われたそうだ。 ノックとは中々知恵を回してきたようだ。 今度通用口の扉にのぞき穴でもつけるかな。 いや、それもあまり意味がないかもしれない。 こう見えても俺は中々おっちょこちょいなところがあり、 出かける際に窓の鍵を閉め忘れることが多々あるのだ。 先月も閉め忘れた窓からゲスまりさ一家が入り込みおうち宣言されたこともある。 そのときは幸いにも宣言した直後に俺が帰ってきたため大事には至らなかったものの れいむ一人を置いていくのにいささか不安を感じるようになった。 仕事場に連れて行くわけには行かないので仕方なく留守番させているが、このままでは不安である。 とりあえずこのありすをどうするかな〜と思いつつ新聞に目をやると、 「連続追いはぎ事件犯 襲った女性の護身術でお縄に」という見出しが目に入った。 内容はというとだ。 最近この人里で人気のないところで刃物で脅して通行人から金を巻き上げる追いはぎが多発しており 同一犯ということはわかっていても中々捕まえることは出来ず自警団も手を焼いていたところ、 ある日追いはぎ犯が通行人の女性を襲ったものの その女性は日ごろから学んでいた護身術を使い犯人を締め上げ、 女性の叫び声に駆けつけた自警団によって追いはぎ犯はお縄になった、というものだった。 これで夜道も安心して出歩けるようになるなと考えていたところ、 このとき俺に電流走る。 もし俺が漫画の人物やゆっくりだったら頭の上に電球でも光っている感じである。 ゆっくりに護身術、それこそ育ちきっていない子ゆっくりや貧弱なぱちゅりーでも使えるくらい手軽で、 それでいてレイパーを撃退とまでは行かないが動きを封じるくらい実用性の高いものを、 飼いゆっくりに覚えさせたら留守番やお出かけも安心して任せられるってもんだ。 早速ゆっくり用護身術を考えるために仕事の帰り等に 本屋でゆっくりの‐主に身体構造や運動能力について書かれている‐雑誌の立ち読みを始めた。 ゆっくりはその頭部だけの構造ゆえ人間の護身術なんて無理なのはハナからわかっているが 一応参考のためにそれ関係の資料にも目を通しておく。 護身術は基本的に相手の動きを封じたり相手から離脱することを目的としているため ゆっくりがゆっくりの動きを封じる方法やゆっくりが押さえつける体制などを 虐待趣味のある仕事仲間に聞いたりした。 とりあえずそれらしいものを考え付いたのでうちのれいむで実践してみることにした。 とはいっても本物のレイパーをけしかけるわけにもいかないので どうしようかと頭を悩ませていたところ透明な箱に入ったありすが目に入る。 すっかり忘れてたが頬はこけているもののまだ生きているらしい。 とりあえずありすを取り出してみる。 「い・・・・いながものの・・・じ・・・じじいはあり・・・ずにごはん・・・ちょうだい・・・」とか言ってきた。 とりあえず流しの角にある生ゴミ用のザルの中身をくれてやる。 「まずい・・・」だの「こんなのとかいはじゃないわー・・・」だの言ってたが よほど飢えていたのだろう。あっという間に完食した。 食べ終えたありすはすっかり捕獲した時のような健康な見た目になった。 とりあえず面倒が起こる前に箱に戻し一考する。 ありすを性器そのままに去勢すれば安全な実験が出来ると思ったので即実行。 ゆっくり医学に通じる旧友に頼みありすに特殊去勢をしてもらった。持つべきものは友である。 ありすがいない間にれいむに護身術の内容を説明する。 実践のためにありすに襲われるのを少し拒んだが ありすは去勢されていることといざとなったら俺が助けることを説明すると 「ゆう・・・ゆっくりりかいしたよ」と OKを出してくれた。 いい子に育てた甲斐があったもんだ。 今回考えた方法はというと 押さえつけられた際ゆっくりは 襲われる側→⊂S⊃←襲う側 のような体制になり、この図の場合襲われる側は左に逃げようとするため 襲う側は斜め右下に力を加え逃げられないようにするため 相手の予想していた方向とは逆の方向・・・この図では右に逃げようとすればどうか、 というものである。 実践味を出すため前置き無しでいきなり襲わせることにする。 そして俺は振動して発情させたありすを離す。 「れいぶううううううううううううすっきりしましょおおおおおおおお!!」 「いやああああああああああ!!」 あっという間にのしかかられ動きを封じられ泣き喚くれいむだが、 護身術を思い出しここでありすの方向に力を入れる。 するとありすが「ひぎっ!」と言って少しの間離れたが、すぐにまたれいむは押さえつけられてしまった。 どうやら失敗のようだ。ありすを蹴っ飛ばし箱に戻す。 れいむにご褒美のお菓子を与え泣き止ませた後考える。 どうやらありす側に力を入れた際にれいむのまむまむに入れられた ありすのぺにぺにが折れ曲がり、その痛みで 一旦離れ、気を取り直し再度行為を開始したようだ。 よく考えれば一瞬離れたそのときに相手の動きを封じることが出来れば完成であるが その動きを封じることが難しい。 仕方ないので気晴らしにテレビをつけ、ケーブルテレビの膨大なチャンネルを回していると ゆっくり虐待チャンネルで「ゆっくりがゆっくりを喰らう」という特集番組があっていた。 極度の飢えに晒された家族が食い殺しあうという映像に 専門家の解説がついているという番組だったが ここでまた俺の電球が光った。 少しの間離れた隙にぺにぺにを食いちぎればいい。 いくら貧弱なぱちゅりーでも物を食うことは出来るから大丈夫だ。 思いついたら即実行と言いたいが体力的な理由から明日にまわすことにした。 おやすみれいむ。 翌日。 仕事は休みなので朝にれいむに護身術を説明し昼間にありすを離した。 「れいぶううううううううううううすっきりしましょおおおおおおおお!!」 「いやああああああああああ!!」 デジャブを感じる会話だなと思いながらことの成り行きを静かに見守る。 押さえつけられたれいむがありすの方向に力を入れると またありすが「ひぎっ!」と言ってれいむから離れた。 その瞬間素早く振り向きありすのぺにぺにを噛み千切るれいむ。 「ゆぎゃあああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!」 という大きな悲鳴を上げたあとありすは白目をむいて失神した。 「ぺっ!きたないぺにぺにだよ!」 と某王子のようなことを言いながられいむは口の中のぺにぺにをぺっとはき捨てた。 護身術完成の瞬間である。 長い間の苦労がようやく実を結んだことに俺は感動した。 この護身術は「レイパーハント」と名づけよう。 これで安心してれいむをおいて仕事にいける。 この休日は御褒美にれいむと一日中遊んであげた。 ありす?今じゃ立派な生ごみ処理機です。 それから二週間くらいたったある日、 俺が仕事から帰ってくると割れた窓ガラスに少し荒らされた部屋 底部に大穴を開けひっくり返って気絶している見知らぬまりさと 部屋の隅で震え上がっている赤まりさ それからその赤ゆっくりをにらみつけるれいむの姿が目に入った。 いろんなものを片付けた後にれいむに話を聞くと・・・ 陽気な昼下がり。れいむは日当たりのいい部屋の中心でゆっくりしていたところ 窓ガラスが割れ、そこから野良と思われる成体まりさと赤まりさが入ってきた。 「ここはなかなかのおうちなんだぜ!ここをまりさのゆっくりぷれいすにするんだぜ!」 「おちょーちゃんしゅごい!ここはゆっきゅりできちょうだにぇ!」 とおうち宣言をされたので 「ここはれいむとおにいさんのおうちだよ!しらないまりさはでていってね!」 と反論したところ 「じゃまなゆっくりはゆっくりしぬんだぜ!」 といいながら突進してきたという。 慌ててかわそうと半歩動いたところ、偶然にもれいむの足(?)にまりさが躓き ひっくり返ったので、すかさずれいむはまりさの底部を食いちぎったらしい。 「ばりざのすてきなあんよがあああああ!!!」 といいながら白目向いて動かなくなった。 まりさは食いちぎられたショックで気絶したようだ。 初めは「でちぇいっちぇね!」と威勢を張っていた赤ゆっくりも 自分の父親が食いちぎられる様を見たので 腰を抜かしたのか、がたがたと震えて動けなくなった。 ということらしい。 よくよく考えてみればゆっくりの突進は直線移動なので 素早く横に動けばかわせるし、やろうと思えば足を引っ掛けることも出来る。 今回は偶然れいむの足にまりさが躓いたが これを意図的にやれば護身術になるのではないか? そう考えた俺はれいむに護身術を教えた後 そこらの路上でなぜか威張っている野良まりさを挑発させ、れいむに向かわせた。 「まりささまをぶじょくするれいむはじねええええ!」 とっしんしてくるまりさ。 「ゆっと!」 「ゆベし!」 出したれいむの足に躓き転ぶまりさ。 れいむがまりさの底部を食いちぎる。 「ゆぎゃあああああああああああ!!」 泡吹いて気絶するまりさ。 OK、護身術「ゆっくり返し」の誕生だ。 こうしてできたいくつかのゆっくり用の護身術をゆっくりについて書かれた雑誌 「ゆーろぽーと」に投稿したところ大きな反響があり あっという間に護身術は飼いゆっくりの間に浸透した。 しばらくすると俺の家のポストに 「護身術のおかげでレイパーからうちのぱちゅりーがすっきりさせられることなく助かりました」 「運動に自身のなかったうちのちぇんが護身術で進入したゆっくりを倒して自信をつけました」 等の感謝の手紙が送られるようになり、 ゆっくりについてのTV番組でゲストとして呼ばれるほど俺とれいむは有名になった。 そして人里に野良ゆっくりが入りこみ飼いゆっくりを襲っては返り討ちにされるのが日常化したある日 今日も俺はれいむといっしょにお出かけをする。 すると突然野良のまりさが近づいてきて 「ゆゆ!びじんなれいむなんだぜ!ままままりささまとすっきりするんだぜ!」 れいむに飛びかかる野良まりさ。 後の穴あき饅頭である。 お わ り 後書き 書き始めたら完成するまで休まないアサシンの人です。 アサシンゆっくりは需要がなさそうなので書きません。 かいてほしいといわれると書きますが。 今回は進入してきたり襲い掛かるゆっくりを撃退できないかと思い書いてみました。 ちょっとれいむが強すぎたかもしれません。 護身術設定を他のSSで使っていただいてもかまいません。 ちなみに最後の穴あき饅頭はまりさです。 わかりにくくてすみません。 今まで書いた作品 「ゆっくり兵」 「アサシンゆっくり〜お兄さん遊び編〜」 「ゆっくり焼き串」 byアサシンの人
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/4480.html
数年前の特撮を元ネタにした話です。 登場人物で虐待お兄さんをバカにしている訳ではありません。 避難所で突き動かされるものを感じて書いてしまいました。 直接的な虐待描写は大してありません。 初投稿につきお目汚しにならない様願っています。 ゆっくりイマジン ここは人里離れた森の奥。ここにはゆっくりなる饅頭生物が棲みついていた。 時は秋。ゆっくりが冬に備えて食糧を集めに奔走する季節でもある。 大き目の洞窟の中に、わずかな食糧を前に苦悩するれいむ種が一匹。 「ゆっ、ゆっ…どうしよう、ごはんがぜんぜんあつまらないよ…」 このれいむもそのゆっくりの一匹だった。 しかし成果は芳しくなく、とても冬が乗り切れる程の備蓄ができる目処は立っていない様だ。 このれいむ、もはや成体と呼べるサイズでありつがいや子供がいてもおかしくない段階だが、 理由あって一匹で暮らしていた。 最も、この状態では家族がいたとしてら確実に冬篭り中に一家全滅であろうが。 「どうしよう…このままじゃふゆがきちゃうよ…」 普通のゆっくりであったら「ふゆがきてもなんとかなるよ!」などと根拠のない自信でここまで危惧を抱くものはいない。 そう思うのは知能の高い個体であるが、このれいむは冬篭りに対して漠然とした恐怖心を持っている様だった。 「ゆう…」 そんな溜息をつき、悲嘆に暮れる彼女の背後に、奇妙な光球が飛来する。 れいむ自身にも気付かぬまま、光球はれいむの体内に吸い込まれる様に消えていく。 その瞬間、れいむの足元(底部)から砂の粒の様なものが突然噴き出した。 『お前の望みを言え…!』 「ゆゆっっ!!??」 れいむの目の前に、突如として砂の粒で構成された人の様なものが姿を現した。 上半身のみを地面から突き出し、奇妙な事に下半身はその頭の上に空間を飛び越えた様に姿を現している。 『お前の望みを言え。どんな望みも叶えてやろう。お前の払う代償はたったひとつ…』 「ゆっゆあああぁぁああぁあ!!!!」 れいむは怯えて後ずさりした。その奇妙な光景もさる事ながら、 その目の前の存在がとても恐ろしい姿だったからである。 人間の姿をしているが、髪型はモヒカン狩りで見るからに悪党そのものの人相。 半裸同然の姿で素肌に鋲や棘のついたプロテクターを身に纏い、腕には手斧まで持っている。 某世紀末漫画に登場する様な、偏見で絵に描いた恐ろしい人間の姿だった。 よほど頭の悪いゆっくりでもなければ、怯えないはずが無い。 『どうした、望みを言えと言っている。どんな願いでも叶えてやるぞ』 「ゆっ!?のぞみ!??」 ゆっくりは目の前にある自分の利益に非常に目敏い。 どんな状況下にあっても図々しい要求をしてくるゆっくりがいるのはそのためである。 目の前の怪異の発した甘い言葉に反応するのは当然の成り行きだった。 「れ、れいむはあまあまがほしいよ!!いっぱいのあまあま!! ふゆのあいだ、かぞくがまいにちむーしゃむーしゃしてもたりるくらいだよ!!」 『あまあま?…つまりお前は甘い物が欲しいのか?』 「あまあまはあまあまだよ!!いっぱいもってきてね!!!」 『ふむ…いいだろう。契約成立だな』 途端に砂の塊だった目の前の存在は人間に変化した様に色を帯び、形を形成した。 彼らは望みを聞き入れ、契約を成立させる事で実体を得るのである。 『冬が越せるほどの沢山のあまあまだったな。待っていろ、すぐに集めてきてやろう』 「ゆっくりりかいしたらはやくしてね!!!」 れいむの図々しい言葉に反応する事なく、それは洞窟を飛び出していった。 そして間を置いて、れいむは我に返り冷静になった。 思わず勢いに任せてあれこれと言ってしまったが大丈夫だろうか。 あんな恐そうな人間?が本当に言う事を聞いてくれるのだろうか? そもそもそんな虫のいい話などあるものか? ゆっくりらしからぬ様々な不安がれいむの頭を駆け巡った。 しかし考えても仕方がないという結論にやがて達し、一休みすると再び狩りに向かった。 場所は移り変わって、先程の世紀末漫画悪党に似た存在が森の中を歩いていた。 彼らは「イマジン」と呼ばれる存在であった。 イマジンとは未来からとある目的の為に現代にやって来た未来人の精神体である。 彼らは実体を持たないため、現代の人間に憑依し、人間が記憶に持つ物語等からイメージを利用して実体を作り出す。 彼らがイマジンと呼ばれる所以である。 恐らく今の姿はゆっくり達に伝えられる恐い人間のイメージを利用した結果形成されたものだろう。 虐待お兄さんに失礼としか言い様の無い姿であるが、ゆっくりにとって恐ろしい人間とはこの位極端なイメージなのだろう。 イマジンは憑依した存在と契約を交わす事でそのイメージ体を実体化させる。 そうして得た体で契約を遂行するために行動を始めるのだ。ある目的の為に。 『大量のあまあまか…ならばする事は決まっているな』 イマジンは人里に向かう事なく、さらに森の奥を探索していく。 そこで見つけたゆっくりの家族の巣穴を眺めた。 日は暮れ、冷たい風が吹いてくる。日が落ちれば捕食種の活動する時間帯となる。 ゆっくりが野外で活動する時間はもう終わりである。 いつぞやのれいむ種も口にいくらかの食糧をくわえて自らの巣に戻ってきた。 「やっぱり、ぜんぜんたべものがあつまらないよ…」 口から地面に置いたのはカサカサになった乾いた草の束、小さな虫の死骸と粗末なものだった。 味も量も論外である。このようなペースではまず冬篭りは不可能であろう。 『遅かったな。待っていたぞ』 「ゆっ!?」 溜息をつくれいむの前にいたのはあのイマジンだった。イマジンは手にしたバケツを乱暴にひっくり返した。 重量感のある黒い塊がドサリと転がり、それと同時に甘い匂いがれいむの鼻を刺激する。 「ゆ…ゆうぅぅーーー!!!あまあまだよおぉぉーーーー!!!」 脇目も振らず、れいむはあまあまの塊にかじりつく。 「うっめ!!めっちゃうめ!!し…しあわせぇぇぇーーーー!!!」 れいむ種がしない様な下品な言葉遣いであまあまに貪りつく。 噛むごとに甘さが口全体に広がっていく。れいむにとって久しく忘れていた食事の幸福である。 その食い散らかしながら食いつく様はまるで地獄で死肉に貪りつく餓鬼の様だった。 「あまあま!!あまあま!!とてもゆっくりしてるよおおーーーーー!!!!」 涙を流しながらあまあまを食らい尽くしていく。その光景にゆっくりなどという言葉は微塵も感じられない。 そんな浅ましい光景を、イマジンは口の端を緩めながら眺めていた。 『沢山の家族が冬を越せるほどのあまあまだったな。まだまだこんなものではない。待っていろ』 「そうだよ!!もっともってきてね!!!」 口や地面を食い散らかしで汚しながられいむは図々しく要求する。 普通の人間だったら憤慨する事間違い無しのその言葉にもイマジンは鼻で笑うと、外へと飛び出していった。 「むーしゃむーしゃ、しあわせー…」 満腹感からかれいむはそのまま寝ついたようだ。何やら寝言を呟いている。 「れいむのあかちゃん…みんなでむーしゃむーしゃしてゆっくりしようねえ…」 どんな夢を見ているかは粗方見当はつく。朝の日差しでれいむは目を覚ました。 「ゆっくりおきたよ!ゆっくりあさごはんにしようね!!」 『安心しろ。既に用意してある』 れいむがふとあまあまの方向を見やると、昨日かなりの量を食べたはずなのに減るどころかさらに増えている。 恐らくはイマジンが集めてきたのだろう。山盛りのかなりの量だ。 これなられいむ一匹であれば問題なく冬篭りできる量であろう。 「ゆっ!!ゆめじゃなかったよ!!ゆっくりいっぱいたべるよ!!」 れいむは目を輝かせると昨日の様に浅ましくあまあまへと食らいつく。 『さて…もう少しか。また集めに行く。楽しみに待っているんだな』 「そうだよ、まだまだたりないよ!!たくさんのれいむのあかちゃんがたべるぶんがたりないよ!! りかいしたらめしつかいはさっさとあつめてきてね!!ぐずはきらいだよ!!!」 れいむの中でいつの間にかイマジンは召使いということになっていた。 ゆっくりは際限なく付け上がる生き物である。 親でない存在が無闇に欲求を満たしてやると、大体はこういうケースになる。 人間に飼われている等の知能が高いゆっくり、性格のいいゆっくりでもなければこのパターンが大方の場合である。 自分の言う事を聞く存在=自分より格下の存在と認識するのがゆっくりの習性であると思われる。 その為他者の施しや好意の意味を正しく受け止めず、分不相応に欲望を肥大化させる。 性根の腐ったゆっくりは親でさえこれに近い態度を取るという。 ゆっくりが嫌われる理由のひとつである。 イマジンはそんな胸糞の悪くなる言葉にも特に反応する事もなく、再び外へと飛び出していった。 それを見届けると、れいむはでっぷりと膨らんだ腹部を仰向けに寝転んだ。 れいむは幸福に包まれていた。 自分が本当に食べたかったのはこういう食べ物なのだ。 今まで不味い草や虫を食べて我慢してきたがそれももう終わりだ。 あの召使いがあまあまをいくらでも集めてくる。冬篭りの心配なんてもういらない。 家族だっていくらだって増やせる。おいしい食事とかわいい赤ん坊に囲まれて、 一生ゆっくりして過ごそう。 れいむの頭の中には薔薇色の未来しか存在していなかった。 食欲が満たされたゆっくりが考える事は相場が決まっている。 れいむは子供を作るために、つがいを探しに外へと飛び出していった。 「ゆ~ゆ~、まりさ~、いまいくからね~♪」 れいむには相手に目星があった。 少し離れた場所に住んでいるまりさ種である。 以前腹をすかせたれいむに、まりさは木の実を分けてくれたのである。 とても優しくて一緒にゆっくりしたいゆっくりだ、れいむはそう考えていた。 生憎ながら、その木の実をおいしく食べられなかったのが災いしたのか、 そのまりさはれいむの事をあまり気に入ってくれなかったようだが。 そう、このれいむが繁殖可能な成体であるにも関わらず一人身であったのはそれが原因だった。 良い言い方をすればグルメ、極端な言い方をすればれいむは味覚障害を抱えていた。 他のゆっくりがおいしいと食べるものをおいしく感じられないのである。 ゆっくりにとって食事の幸福感は大きなウェイトを占めている。 それで幸福を得られないというのはゆっくりの世界で言うならかなり「ゆっくりできていない」事になる。 また、ゆっくりは他者がゆっくりする事に幸福感を感じる、という習性もある。 自分の分けた食べ物でゆっくりできない、というのは自分を「ゆっくりさせてくれない」事でもある。 ゆっくりという言葉の真意はともかく、ゆっくりはこの「ゆっくり」という状態を最大限に重視する。 そのためこのれいむは仲間から敬遠されるのも不自然な事ではなかった。 その事でれいむ自身も悩んでいたが、満足できる食事ができ、 それを家族に分け与える事ができる今の自分が嫌われるはずが無い。 そういった算段を持ってれいむは憧れのまりさの下へと向かっていった。 その瞬間である。まりさの素穴の前で、イマジンがたたずんでいるのを発見した。 「(ゆっ!!こんなところでなにをゆっくりしてるんだろう!! かわいいれいむをゆっくりさせるのがどれいのやくめなのになまいきだよ!!)」 れいむにとってイマジンは召使いどころか奴隷まで格下げされていた。 最初から無かったのか、感謝の念など微塵も持ち合わせていない。 前述したが、知能の低いゆっくりは利益をもたらしてくれる存在を召使い・奴隷として認識する。 どこまでも呆れるばかりの業の深い生き物である。 イマジンはまりさの巣穴へと入っていった。 れいむはそのイマジンに文句を言うために後を追った。 「ゆぎゃああああぁぁぁああ!!!!!」 「やめてね!!!まりさのいもうとになにするのぉ!!!???!?」 巣穴からけたたましい悲鳴が響き渡る。 イマジンの手に握られていたのは、潰れた子ゆっくりだった。 イマジンは子ゆっくりの体から餡子をほじくり出すと、バケツの中に詰め込む。 抜け殻になった皮は無造作に放り投げて捨てた。 それを震えながら見ているのは例のれいむの想いゆっくりであるまりさと、 年の離れた妹達が数匹である。身を寄せ合って、涙を流しながら震えている。 「まりしゃのいもうちょがぁ!!!!」 「おねえちゃん!!?たすけてねえ!??!?」 怯えて逃げ回る子ゆっくりをイマジンは手斧で真っ二つにする。 「ゆ”ゆ”っっ!!!」 その子ゆっくりの死骸を掴み上げると、同様に餡子をほじくり捨てる。 「やめて!!やめてねぇ!!どぼじでこんなごどずるのぉーーー!!!!!」 「おね”え”ぢゃん!?」 妹達を守ろうと、泣きながらイマジンに体当たりを仕掛けるも全く効果はなく、 次々と妹達が殺されていく。残っているのは自分一匹になった。 『俺の契約者の望みだ。あまあまが欲しいんだとさ。恨むなら俺の契約者を恨みな』 「ゆぅぅーーー!!!まりさのいもうとたちをかえしてねええ!!!!」 まりさ種にしてはやけに妹想いである。最も、自分自身もすぐに殺されてしまうのだが。 イマジンは姉まりさを掴み上げる。 「はなして!!はなしてね!!!」 その瞬間だった。イマジンの契約者であるれいむが突如として駆けつけた。 「ゆあああぁあーーー!!!れいむのまりさになにするきなのおぉ!?!?!??!!?」 『何って、あまあま集めに決まってるだろうが。こいつらを殺して割ればあまあまが出て来るんだぞ』 「まりさたちはあまあまじゃないよおーーーー!!!!」 『何を言ってる?お前は知ってるはずだろう。お前達ゆっくりの中身はあまあまで出来ているとな』 「そうだけどちがうよ!!!たべちゃいけないんだよ!!!!!」 『クク…今更何を言ってる?今朝からあんなにうまそうに食ってただろう?』 「ゆゆっ!!!それじゃあれいむがたべていたあまあまは…あまあまは…!!!」 『当然、ここらのゆっくりを殺して中身を集めたものだ』 「ゆ…ああああーーーー!!!!ゆげぇ!!ゆげぇええぇえ!!!」 突然顔を青くして口から餡子を吐き出すれいむ。美味しく食べていたのが同族だった。 言わば共食いをしてきたのである。 「ゆっ!!それじゃあれいむが…このゆっくりできないにんげんをつかって…!! まりさのいもうとたちをころさせてたべてたのぉ!!!?!?」 「ちがうよ!!!このにんげんがかってに…!!!」 『オイオイ、あまあまがほしいって言ってたのはお前だろう』 イマジンはまりさを逆さにひっくり返すと、底部へと指を突っ込む。 「ゆっ!!!」 『今食わせてやる。恐怖で味が高まった最高の奴をな』 「ゆぎゃああああぁぁーーーーーー!!!!!!!」 イマジンはみかんの皮を剥く様に、まりさの皮をはがしていく。 ひと剥きごとに絶叫が巣穴へと響き渡る。 れいむは嗚咽を抑えながらそれを震えながら見ていた。 悲鳴が止むと同時に、ペラペラになったまりさの皮が地面へと音も無く落ちる。 その表情は苦悶と悲痛に染まっていた。 『さあ、たんと食え』 「ゆ、ゆぐぅぅぅーーーー!!!!!」 イマジンはれいむの口を無理やこじ開けると、こねくり回したまりさの餡子を口へと詰め込む。 れいむの口の中に特上の甘みが口の中に広がる。 「じ、ぢあわち”ぇー!!!」 悲しみの涙を流しながらも、本能的にその単語を呟いてしまう。 その時れいむへと変化が起こった。 『ムッ!?』 れいむの体が縦にパックリと開いた。その断面からは光を放っている。 『ついに過去への扉が開いたか!契約…完了!!』 イマジンは吸い込まれる様にれいむの体の中へと飛び込んでいった。 その途端にれいむの体は元に戻る。 後に残されたのは、悲しみで震えるれいむと見るも無残な残骸になったまりさ姉妹だけであった。 イマジンが契約の代償に求めるもの、それは契約者の過去の時間である。 イマジンは過去を改変するために過去へと飛ぼうとする。 その為に契約として契約者の願いをかなえようとするのである。 しかしイマジンの願いの叶え方は軒並み短絡的かつ暴力的で、むしろ曲解と言っていい。 契約者が願いとして大金を求めたケースでは、 イマジンは銀行などの金融施設を狙って強盗を繰り返し大金を集めてきた。 また、あるサッカークラブの少年がレギュラーの座を願った時、 イマジンは現レギュラーの選手を襲い負傷させ、レギュラーの枠を無理矢理作った。 はたまた言葉尻を捕まえただけのとんでもないこじつけも多数あった。 空を飛びたいと願う人間をビルの頂上から吊るし下ろしたり、 歌唱力で勝ちたいと思っていた相手をただの暴力で叩きのめしたりと いくつもあり過ぎて例を挙げるときりが無い。 ハッキリ言えばイマジンの願いの叶え方にろくなものなどないのである。 イマジンは人間の大切な過去を奪い、それを破壊しようとする悪魔である。 タダで悪魔を利用できるはずも無い。 悪魔を利用するには高い代償を払わなければならないのだ。 しかしイマジンが選ぶ契約者は大半が過去に強い後悔や負い目を持つものである。 そこに落とし穴がある。 イマジンはそうしたトラウマを利用してえげつない方法で願いを叶えようとし、 契約者に強い過去の記憶を呼び覚ませる。 それが彼らの求める過去への扉となるのである。 れいむの過去とは一体なんだったのだろうか。 年月にして一年より数ヶ月前。 薄暗く扉を閉ざされた洞窟の中。 寒気が空間全体を包むゆっくりの巣。 そこには生気をまるで感じない子ゆっくり達が苦悶の表情で散らばっていた。 そこにいるのは、過去のれいむである。 もう一匹いたのは負傷し餡子を流出させたまりさ種である。 彼女の姉妹なのだろう。 素の隅々に姉妹と思われる子ゆっくりの飾りや帽子が散らばっている。 大きなものはこの姉妹の両親の成れの果てのものなのだろう。 「(おにゃか…しゅいた…)」 れいむの声もかすれて発音できない。餓死寸前なのは一目瞭然だった。 もう一匹のまりさも同様、餓死寸前。体の負傷もあり身動き一歩できない様だ。 どうして、こんなことになったのだろう。 このれいむの一家は冬篭り前に子供を作ってしまった。 典型的な冬篭りの失敗例である。野生でこれを行うと、一家全滅がほぼ決まった様なものだ。 母のれいむは「あかちゃんがいるとゆっくりできる」という極めて浅はかな理由で子供を求めた。 父に当たるまりさも一時の快楽と根拠の無い楽観でそれに乗ってしまった。 後は言うまでも無い事である。 燃費の悪い生まれたての赤ん坊により食糧の備蓄はあっという間に枯渇していく。 母れいむは子供に求められるままにエサを与える。そして食糧が底をつく一歩手前でようやく危機に気付く。 節約を強制しても何もかもが遅かった。そもそも冬篭りを始める前から既に未来は見えていたのだ。 それからは一家、地獄の日々だった。 初めは親を口汚く罵っていた子ゆっくり達も、次第にその元気すらなくなり餓えに耐えながら寝るだけの毎日。 わずかな食糧を巡っての醜い骨肉の争い。 子まりさの一匹が親の目を盗んで食糧を食べ尽くしてしまったのが悲劇の引き金だった。 怒りに燃える父まりさは子まりさを粛清。潰して殺してしまうのだった。 それに激怒したのは子煩悩の母れいむ。この事件をきっかけに夫婦で殺し合いを始めてしまい、 結果、共倒れとなった。 当時子ゆっくりであったれいむにとってはどれだけ恐ろしい光景であった事だろうか。 大好きな両親が姉妹を殺し、目の前で殺し合いを始め、憎しみながら死んでいった。 皮肉な事にその両親の死骸で子ゆっくり達は命を食いつなぐ訳であるが、悲劇がこれで終わるはずも無い。 親の死骸が尽きれば、次は姉妹の番である。 子まりさが二匹同時にれいむの姉妹に襲い掛かった。 苦痛と苦悶の悲鳴をバックミュージックに、餓鬼と化した姉妹が同じ餡子を分けた姉妹を生きながら喰らっていく。 そうして日が経つごとに一匹。また一匹と。 目の前で姉妹が喰い殺されていった。れいむは巣の隅で自分の番が訪れる恐怖に震えながら過ごした。 次は自分の番と思われたその日、お互いで姉妹を食い合っていた子まりさ達が仲間割れを始めた。 その理由はどちらがこの前喰い殺した姉妹を多く食べたか、という内容だった。 最後の獲物を前にして、上前を跳ねられてはたまらない。 そういった理由で邪魔者を始末すべき、と考えたのだろう。 殺し合いの結果は片方の勝利に終わったが、動けない程の相当な重傷を負う事となった。 結局の所共倒れといっていいだろう。 れいむは恐怖の中、いつも思っていた。 どうしてこんなにゆっくりできないのだろう。 どうして家族で憎しみ合い、殺し合い、喰い合わなくてはいけないのだろう。 ごはんがあれば。皆が分け合っても足りる位のごはんがあれば。 いくら食べても余る程のごはんがあれば… このトラウマが現代のれいむがイマジンに食糧を願った動機だったのだろう。 全身を蝕む強烈な飢餓感。今、食べなくては死ぬ。 死にたくない、その本能がれいむの弱りきった体を突き動かす。 その行く先は弱りきった姉妹まりさ。 今まで目の前の姉妹が呆れるほど繰り返してきた行為を、れいむは行おうとしている。 相手は動けない。やろうと思えば簡単な事だった。 「ゆっくり…たべるよ…!」 「やめ”…ぢぇ…」 今まで自分がされてきた命乞いを、目の前の姉妹にそのまま行う。 れいむの口が弱りきったまりさの体を食いちぎる。 「むーぢゃむーぢゃ、…ぢ、ぢあ”わち”ぇー!!!」 両親の死骸に手をつけてから以来の口にするもの。 恐怖と苦痛で甘く熟成された姉妹の極上の餡子。 あれだけ嫌悪していた行為をいともたやすく行えてしまった浅ましさ。 食糧がある時は仲良く皆でゆっくりしていた愛する家族。 それを喰い殺した罪悪感と極限の飢餓のさなか最高の食事をできた幸福感。 その両方がない交ぜになった涙をれいむは流した。 この過去がれいむが味覚障害に陥る事になった原因であった。 「ゆっ!?」 突然れいむの体から砂の粒がどこからともなく溢れ出す。 その砂の粒はあの虐待お兄さんイマジンの姿を形作り姿を現す。 『ついに過去へと飛んだぞ!!』 イマジンは元契約者であったれいむを突き飛ばし、狭い巣から外へと飛び出していった。 直後に冬篭りでカモフラージュされたゆっくりの巣を発見すると、手斧で破壊し侵入する。 「ゆっ!?」 『ゆっくりは皆殺しだ!!!』 「ゆぎゃあぁあああぁあ!!!!」 瞬く間に手斧で冬篭り中のゆっくり達を抹殺していく。 そう、このイマジンにとってこれこそ本当の目的。 ゆっくりの大量虐殺による歴史の改変である。 『ゆっくりどもは消毒だ~~~!!!!!』 「あじゅぃぃぃいいい!!!」 「れーみゅのいもうちょがー!!!」 『ここにもいたか!!一匹たりとも逃がさんぞ、覚悟しろ!!!』 「でいぶのあがぢゃんがぁあぁああ!!!」 「どぼぢでごんなごどずるのお!!!!」 冬の山にゆっくりの断末魔が無数にこだまする。 この山のゆっくりは恐らく全滅だろう。 今からどれほどかわからない未来の話。 自然はゆっくりによって大きな被害を受けていた。 ゆっくりは知っての通り恐ろしい繁殖力であっという間に増え、 虫や草を食い荒らす。 ゆっくり自体は非常に貧弱であり、他の動物にとっては歯牙にもかからない存在である。 しかし生態系のバランスという意味では大きな脅威だ。 生産者である植物や虫を食い荒らす事で食物連鎖を正常に機能させなくしてしまう。 ゆっくり自体も捕食されるが、何分ゆっくりは饅頭生物。 草食・肉食動物が本来得るべき栄養素をまかなう事はできない。 また、人間と同じ言葉を話す生き物が自然に存在している事も大きな問題だった。 神経質な野生動物にとって大きなストレスの元になる。 ゆっくりは貧弱だ。しかし自然にとっては恐ろしい破壊者になりうるのだ。 こうしてゆっくりの存在により未来の自然は大きく脅かされていた。 大規模な駆除も幾度か行われたものの、あまりにも増えすぎたゆっくりの駆逐は困難を極め、 荒れ果てた自然環境は驚くほどに数が多かった。 そんな時代、ある自然を愛する人間がいた。 彼はゆっくりの被害に心を痛めていた。 彼が導き出した解決策。それは自らをイマジンとして過去へと飛び、 少しでも多くゆっくりを駆除する事であった。 ゆっくりは1年そこらでも爆発的に繁殖する種。 ならば過去においてゆっくりの先祖達を駆除する事が、 現代の時間にとってどれだけ影響を及ぼすかは計り知れない。 彼は未来の自然の為に自らを捨てて過去にやって来たのである。 時の番人が彼の行為をいつか咎めるかも知れない。 しかし、それでも彼はゆっくりを駆除し続けるであろう。愛する未来の自然を守るため。 『この山はもう十分だ、次の群れに行くぞ!!』 彼の活動はまだまだ始まったばかりである。 …そして現代。イマジンが時を遡って来る2007年の現代。 ゆっくりの群れが突然煙の様に姿を消すという現象が起こる様になる。 それはあの虐待お兄さんイマジンがゆっくりの親・先祖達を虐殺していった結果なのだろう。 …れいむは自分以外誰もいなくなった山の中でポツリと佇んでいる。 それもそのはず、イマジンは過去において皆親や自分自身を殺している。 過去に存在しない生き物は現代にも存在しない。 親や先祖が死んでいれば生まれるはずの命も存在しない。 誰も残らないのも当然の成り行きだった。 あのイマジンの気まぐれか何かなのか、過去のれいむは殺されず放置された。 あれだけあったあまあまも霞の様に消えてしまった。 詰まる所それらはゆっくりの中身である。 イマジンの過去での所業により存在しなくなったそれが消えるのは必然。 文字通り彼女には何も残らなかった。 たった一匹、孤独に過ごし、何もおいしいと思えない自分の舌と、 過去に姉妹を喰い殺し、群れの仲間もむさぼり喰ったトラウマとともに生きるのだ。 一生、彼女にゆっくりが訪れる事はないだろう。 何故、自分はあの怪物に願いをしてしまったのだろう…? 有頂天から奈落に。れいむの心には後悔しか存在しなかった。 (完) 人間を見れば身勝手な要求しかしてこないゆっくりにイライラがクライマックスになった。 こいつら、イマジンみたいに曲解して願いをかなえてやりたいもんだ、と思ったら 特オタ丸出しのパロディになってしまった。 それだけなのに…恐ろしく時間がかかってしまった…。 おまけ 虐待お兄さんイマジン 2007年の現在にやってきた未来人のエネルギー体が、 ゆっくりれいむの伝え聞く『ゆっくり虐待SS』から虐待お兄さんをイメージしてこの世に現出した姿。 れいむの「あまあまが欲しい」という願いを叶えるため、手近なゆっくりを襲い餡子を集めていた。 過去でゆっくりを駆除し、ゆっくりによって害を受けた未来の自然環境を改変するために過去へと飛んだ。 腕には手斧、モヒカン刈りの某世紀末漫画そのものの悪役の外見をしているのは ゆっくりにとって恐ろしい人間というのはこの位極端なイメージなのだろう。 ただの悪ノリで虐待お兄さんを馬鹿にしている訳ではない。年の為。 鍛えられた肉体に物を言わせた力や、手にした手斧でゆっくりを両断する他、 背中に搭載した火炎放射器で狭い巣穴に隠れたゆっくりも逃がさない。 このSSに感想をつける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/2374.html
タグ希望は環境 現代にゆっくりがいます。 ゆっくりは幻想郷から落ちてきました。 おおかたどこかの誰かさんがスキマでも使ったとお思いください。 それでも幸せなゆっくりがいます。 ゆっくりと現代 近年突如現れた饅頭に知能が付与されたようなびっくり生物(なまもの)ゆっくり。 モノの数年でかなりの数に増えた彼らは、少しずつ都市部へと流れ込み始めた。 町に行けばおいしいものがあるに違いない、と妙にポジティブな希望を抱いて。 しかし、彼らに待ち受けていたものはそんな幻実ではなくありふれた現実だった。 「ゆっゆっゆっ……」 ここに跳ねているのはゆっくりれいむ。れいむは実にゆっくりできていなかった。 この『町』というところは前にいた山よりゆっくりできないものが多いのだ。 「これじゃぜんぜんゆっくりできないよ!」 そうごちりながられいむは跳ねる。 昨日も黒い四つのわっかが現れて道の真ん中で寝てた親友だったまりさが潰された。 「いたたた……」 跳ねるのを止める。ここの道は霊夢達には固すぎる。 長時間跳ね続けると皮が腫れてしまうからこうして足を定期的に休まなければ跳ねることもままならない。 「でもすーりすーりすると……」 ここにきて間もないころにれいむは子供達のにこれと同じような道ですり潰されたようむを見た。 この道で張って進む事はできない。れいむはそう思っていた。 「ゆぅ、おなかがすいたよ………」 ここ数日何も食べていない。ここは草が極端に生えていなかった。 最初はお花を食べていた。だけどお花は妙に苦かった。 それでも空腹よりはましだと思って食べていたのだが、 「花を荒らす奴は誰だ」 と人間が夜に見回りするようになったから食べられなくなってしまった 「ゆうかよりこわいよ……」。 山にいたころに長から人は怖いものと教えられてきたから人には近寄らないようにしてきた。 だから人の多い昼間は隠れている。夜がれいむ達の生活時間だ。 「ここにはれみりゃがいなくてよかったよ……」 れいむは少しだけホッとする。だがホッとしたところで空腹感は変わらない。 れいむは再び跳ねてご飯を探しに行く。 「ごみさんでもいいからなにかたべたいよ……」 ごみ集積所にたどり着く。夜にゴミを捨てる不届き者はまだまだ健在らしくゴミ袋はたくさんあった。 「ゆゆゆ、やったね!」 れいむはすなおに喜び、ごみ集積所へと跳ねていく。だがその喜びはぬか喜びに終わった。 「フーーー!!」 「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!」 先客の猫がいたのだ。猫にとってもこういった生ゴミは貴重な栄養源。 よくわからんポッと出の丸っこい新参者にとられるわけには行かないのだ。 「ゆぅぅぅぅぅぅ………」 このれいむは勝ち目のない戦いはしないことにしていた。 このいかにも強そうな猫に戦いを挑んで食べられてしまったら元も子もない。 トボトボとその場を立ち去っていく。 空腹感は増すばかり。 「ゆぅぅぅぅぅ……こ、こうなったらにんげんさんのおうちに」 人の家に侵入する。これも山にいたとき人里にいったというまりさから聞いたものだ。 そのときに簡単な構造を教えてもらった。 まりさいわく 「にんげんさんはおうちにたくさんたべものをたくわえてるんだぜ!だからすこしぐらいもらってもいいんだぜ!」 とのこと。このまりさはしばらく後に見かけなくなったのだが多分人間に捕まったのだろう。 そう考えると怖くなってきたが 「す、すこしぐらいならばれないよね」 悪さをするのは気が引けるが自分ももう少しゆっくりしたいのだからいいよね、と自己正当化を行いめぼしい家を探すことにした。 夜道にていんていんとマンガみたいな足音が響く。 そして人の家の前に着いた。 しかしおかしい。まりさの言ってたような戸があるわけでなし、屋根へ上るための梯子もない。というか家が妙に四角い。 昔自分が遠目に見たにんげんさんの家屋はもっと平べったくなかっただろうか。 「ゆぅぅぅ・・・・・・」 どうしようか、と困っていたときれいむは一つの突破口を見つけた。 ガラス窓だ。そうだ、まりさは確かこうも言っていた。 「とうめいないたでおおってるところはいしをぶつければすぐにわれるぜ」と。 れいむはそのまりさの言葉に賭けた。 庭に手ごろな石がないかを探す。 あった。 口に入るかを確かめる。 入る。 石を口に咥えて方向を確かめ、れいむは石を噴き出した。 カィン 「ゆ? ゆぅぅぅぅぅぅぅぅ!?」 石は当たった。確かに当たった。しかし、音はしてもガラスは割れなかった。 技術の発展はガラスでもある程度の衝撃は防げるようになったのである。 今のへろへろのれいむの射出した石では20発撃ってやっと割れるかどうかだろう。 「ま、まりざのうぞづぎぃぃぃ………」 今は亡き無謀と勇気を履き違えたゆっくりに恨み言をこぼしもうだめだ、とへこたれるれいむ。 ふと足元の草に気づく。 「ゆっ!くささんだよ!たべれるよ!!」 そうだ、草はあまりおいしくはないが食べられるではないか。 家に入ることばかり考えていて足元にある食べ物に気づかなかったわけである。 灯台下暗しとは正にこのこと。 それはともかくれいむはくさに噛り付く。 食べる、食べる、食べる!! 「む~しゃ、む~しゃ、しあわせ~!」 寝静まっている人やゆっくりもいるだろうからか控えめの声でれいむは久しぶりの食事の喜びを表した。 数時間後、れいむは自分の巣に戻っていた。 あれから数件ほど別の家の庭に入っては草を毟り巣に運んでいたのだ。 人の家に入らずともお庭に草があったのは助かった。これでしばらくは暮らしていける。 「やっと、ここでゆっくりできそうなきがしてきたよ……」 とれいむが思った矢先、むんずと何かに掴まれる。 「ゆ?」 目線を開けるとそこには にこにことわらった 古臭いドレスを着た ふとましい体つきゆっくり。 「れ み り ゃ だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」 「う~♪」 ハッピーエンドが好きな一部の人には実に最悪な話なのだが れいむがれみりゃがこの町にいないというのは たまたま今まで出会わなかったというだけだ。 実際のところは数日ほど前に一匹の胴付きれみりゃが町に来ていた。 そして、れいむと同じようにご飯を探し回っていた。 だが、ここはれみりゃの住んでた森のテリトリーより広く。生きているゆっくりは森より少ない。 潰された死体はみかけるが生きたゆっくりはそうそう見つからない。 つぶれたゆっくりはおいしくない。 それだけの理由でれみりゃは生きたゆっくりを探した。貴族は食わねど高楊枝と言ったところか。 そして今日、おなかをすかせてふらふらのれみりゃはついにおいしそうな獲物を見つけたのである。 たまたまそれがさっきまで大変だったれいむなだけで別に誰でも良かった、といっておく。 「うぅ~、いただきまぁす」 「ゆべぇ!?」 頬に齧り付く。齧りとった箇所から餡子が漏れ出てくる。 「あまあまぁぁぁぁ」 甘い。今までつぶれたゆっくりを我慢してきた甲斐があったものだ。 「ひゅ、ひゅうっぐりひゃべふぇべ!?」 頬に開いた穴で満足に発声はできない。 「れみりゃはおなかすいてるんだどぉぉぉ おとなしくたべられるんだどぉぉぉ」 「ひゅヴぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!?」 齧る。齧る。啜る。毟。啜る。喰らう。 今までの空腹を癒すかのように一心不乱にバレーボールサイズのれいむを食べ続けるれみりゃ。 このサイズを食べつくしたなら数日はもつだろう。その間に次の獲物を探そう、とれみりゃは考えていた。 なに大丈夫だ、自分ならきっと見つけられるとも思っている辺りはほんと楽観主義だが。 一方食われ、餡を削られどんどん薄れ行く意識の中 (もっとゆっくりしたかった……) と思いながられいむの意識は消えていった。 明け方近くにれみりゃはれいむを食べ終えた。 「うぅ~♪ おなかいっぱ……うぅ!?」 日が昇り始めていた。 今まで森に住んでいたこのれみりゃが日傘を持っているわけがないのでこれは致命的だった。 食欲に我を忘れ、時間を考慮していなかった結果がこれだよ! 「うぁぁぁぁ、うぁぁぁぁぁぁ!!」 たちまちれみりゃの体は火傷の症状を表し始めた。このままではれみりゃは灰になって死んでしまう。 「う?」 食べていたれいむの巣だったポリバケツに気づき、慌ててれみりゃはそれを被った。 これでもう太陽に当たらない。 「うぅ~♪」 しかし、慌ててもぐりこんだせいで変に嵌ってしまいバケツから出ることができなくなってしまった。 歩けるには歩けるのだがちょこちょことしか歩けず、視界が見えないのでどっちに進めば良いのかもわからない。 「うぁぁぁぁぁぁぁぁうぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!だれがだじゅげでぇぇぇぇぇ!!ざぐやー!ざぐやー!!」 誰も来るわけがない。ここは人一倍人を恐れていたれいむが見つけた場所だ。 そんなところに人がくるわけなど当然なかった。 このれみりゃは奇特な人間が来なければ死ぬまでバケツの中にいるしかなかった。 これはほんの一部の例である。 ゆっくり達がこの世界の都市に適応するまではもう少しの時間がかかるだろう。 後書き アスファルトの床には首だけのゆっくりにはさぞかし響くだろうなぁ、と思って書き始めたらなんか違う方向に………。 しかも、先越されたぁぁぁぁぁぁ! 現代都市にゆっくりを住ませようとしたらかなりきつい感じがしました。 あいつらはいるとしたら田舎に住ませてやるべきです。それでも畑荒らしたら潰されますし、冬眠寸前の熊に食われたりと大変な気がしますが。 公園に落ちたドスとかはなんかうまくやってけそうなイメージがあります。 ドスが少食、という設定ならですが。 以前書いたもの fuku3328.txt ドスに纏わる二、三の話.txt fuku3313.txt 小ネタ.txt fuku3290.txt 中立な話.txt このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/320.html
ゆっくり以上にウザい何かがいます。良いゆっくり注意。 いつもみたいに家でゴロゴロしてると親父が話しかけてきた。 「なあ、息子よ」 「なんだい親父」 「お前はもう二十八になるな」 「そうだけどそれがどうしたんだい」 「嫁どころか子供がいてもおかしくない年だよな」 「まあ、そうだな」 「で、いつまで働かずにそうやってるつもりなんだ」 なんだ、また説教か。 昼間から仕事もせずにふらふらしている。 それでいながら飯だけは一人前に食う。 そんな奴の事を世間は穀潰しとか無駄飯喰らいと呼ぶ。 まあ、俺のことなんだけどね。 で、いつもだったら「俺には夢があるんだ」とか、逆切れするとか色々対処方法はあるんだけど思わず言っちゃったんだよね。 魔が刺したって言うのかな。 「ずっとおうちでゆっくりしていくよ!!!」 ってね。 まあ、なんと言うか色々ダメだよね。 予想通り、親父マジ切れ。 華麗な空中十六連コンボで俺をボコボコにして家から叩き出した後に一言。 「この穀潰しがぁ!!!お前なんざに食わせる飯は金輪際ねえよ!!!そのままゆっくりにでもなっちまえ!!!」 という訳で、俺はゆっくりになることにした。 『ゆっくりになった男』 俺はゆっくりについて結構詳しい。 何でかって。 平日の昼間からゴロゴロしてるのは結構退屈なのだ。 だったら働けよって。 あ~聞こえない、聞こえない。 まあ、それで暇つぶしにそこいらをフラフラするわけよ。 でも平日の昼間ってのはみんな働いてるから遊び相手もいないし、娯楽になるような場所も開いていないわけ。 で、やる事と言ったらゆっくりをいじる事ぐらいなんだな。 言っとくけど寂しくなんか無いんだからね。 そんな訳でゆっくりの見つけ方や生態について詳しくなってしまったんだ。 突然だがゆっくりポイントと言うのをご存知だろうか。 ゆっくりが家に入ってきた後にほざくあれである。 実はゆっくりポイントは実在する。 そこは外敵に襲われる事もいじめられる事も無く、餌も豊富で環境も素晴らしい。 そんな場所は実在する。 まあ、永久に存在する場所ではないんだけどね。 上手く言えないが統計とか確率とかそういった話である。 幻想郷の一万ヶ所でゆっくりが暮らしてるとする。 大体ほとんどの場所でゆっくりは何らかの原因で死滅する。 しかしその内の一ヶ所では外敵に襲われる事も無くゆっくりできるのである。 それはなぜか。 ただ運が良かっただけである。 たまたま餌が豊富で、外敵に出会うことが無かっただけなのだ。 その幸運な場所、それがゆっくりポイントである。 ゆっくりはどうしようもないくらい愚鈍だが数だけはたくさんいる。 それだけたくさんいると運がいい奴も出てくるわけだ。 まあ、幸運も永久に続かないわけだが。 俺が見つけるからね。 そう、ゆっくりポイントの存在時間は外敵に見つけられるまで。 長々と話してきたが何が言いたいかというと。 俺は他の人が見つけることが難しい運の良いゆっくりを見つけるのが得意だってだけなんだが。 ………はい、マジでスマン。 ちょっとインテリぶりたかっただけなんです。 ホントごめんなさい。 そんなわけの分からないモノローグを入れているとゆっくりポイントに到着した。 たくさんのゆっくりがゆっくりしてる。 「ゆっくりしていってね!!!」 「ちょうちょさんまって!!!」 「おはなさんおいしいね!!!」 「ゆっくりしていってね!!!」 うむ。 実に運が良い。 俺の目的だった複数の大家族が協力して子育てしてる集団だ。 おうちも俺が暮らせるぐらいに大きい洞窟を利用している。 さて行動開始。 「ゆっくりしていってね!!!」 群れの外れにいた小ぶりのゆっくりれいむ。 大きめの子供サイズ。 それをむんずと捕まえる。 「おにいさんだあれ!!?ゆっくりできるひと!!?」 外敵に襲われた事が無いゆっくりポイントのゆっくりは性善説の信者だ。 警戒感が全く無い。 スルリとゆっくりれいむのリボンを奪う。 「おにいざん!!!なに゛ずるのお゛!!!かえじでー!!!」 泣きながら体当たりするゆっくりを見ながら俺はリボンを自分の髪に結んだ。 まあ必死だわな、こいつらのアイデンティティだもん。 奪われるとこうなっちゃうもんな。 俺は叫ぶ。 「みんなー変な子がれいむのおリボン取ろうとするよー!!!」 そうするとワラワラとゆっくりが集まってくる。 「ゆっ!!?ほんとだ!!!へんなこがいるよ!!!」 「へんなこだね!!!」 「へんなこだ!!!」 「どうじでぞんなごどい゛うのお゛ぉぉぉ!!!」 そう、こいつらが糾弾してるのは群れの一員であったゆっくりである。 どうも飾りで仲間を見分けてるらしい。 始めて知った時は笑いが止まらなかったぜ。 いくらなんでも無理があるだろう。 「この子がれいむのおリボン取ろうとするんだよ!!!お母さんたちゆっくり助けてね!!!」 俺の言葉に反応して大人のゆっくりたちがリボン無しを追い出しにかかる。 「りぼんのないこはどこかにいってね!!!」 「みんながゆっくりできなくなるからね!!!」 「れいむのこどものりぼんをとろうとしないでね!!!」 「おがあぢゃあん!!!どうじでぇ!!?やめでぇ!!!」 複数の大人にタコ殴りにされてリボン無しは群れから出て行った。 リボン無しの両親だろうか、大人のゆっくりが俺に笑いかける。 「おかあさんたちがおいはらったからもうだいじょうぶだよ!!!」 「あんしんしてね!!!」 ホント、こいつらの頭の中はどうなってるんだろう。 大きさとか形の違いとかの誤差はどうなってるんだろう。 これが大きさの概念を捨てるという事でしょうか、司令官。 それはともかく、俺のゆっくりとしての生活は始まったのだった。 日が翳り始めると子供たちは先に帰って大人たちが夕食を持って帰るのを待つ。 ゆっくりポイントは人間だけじゃなく危険な獣や妖怪にも見つかってないので人間にとっても安全である。 さらにおうちに使われてる洞窟はヒカリゴケも生えているし、ヒンヤリと涼しく俺にとっても快適だった。 うん、ニュー俺のお家、ナイス。 さて、労働の時間だ。 子供たちを囲むように石を積み始める。 「ゆっ!!?なにちてるのおねえちゃん!!?」 「まりさもゆっくりてつだうよ!!!」 子ゆっくりたちが興味を持ったのか近寄ってくる。 「お家を頑丈にしてるんだよ!!!みんなはそこでゆっくりしていってね!!!」 「おうちがりっぱになるんだ!!!すごいね!!!」 「わたしたちはここでゆっくりしてるね!!!れいむもつかれたらやすんでね!!!」 だからお前ら疑問を持てよ。 そんな感じで親ゆっくりたちが帰ってくる頃には子ゆっくりたちを囲むように微妙な石垣が完成してた。 「ゆっ!!!すごくかんじょうだよ!!!」 「たいあたりしてもびくともしないよ!!!」 「じゃんぷしてもとびこえられないね!!!」 「これならわるいやつもはいってこれないね!!!れいむありがとー!!!」 「ありがとー!!!」 ゆっくりたちの感謝の声が響き渡る。 けど。 どうみても牢獄です、本当にありがとうございました。 大人ゆっくりの体当たりで壊れない、ジャンプ力で飛び越えられない石垣。 しかし、人間が跨ぐには支障のない大きさである。 ゆっくり虐めの中で俺が身につけたどうでもいい技術の一つである。 むっふん、俺って匠。 「みんな!!!ゆっくりしてた!!!」 「いいこでまってたね!!!」 「ごはんだよー!!!」 親たちが帰ってきた。 「おかあさんだ!!!おかえりなさい!!!」 「ごはんだよ!!!きょうはどんなごはんかな!!?」 「あれ!!?おかあさんどこ!!?おかあさんのところにいけないよ!!!」 「ゆゆゆっ!!?おねえちゃんのつくったのがじゃまだよ!!!」 やっと現状を理解できたのか。 俺一人石垣を跨いで外に出る。 「ゆっ!!?みんなどうしたの!!?」 「れいむの作ったおうちでゆっくりしてるよ!!!」 俺の答えに親ゆっくりたちが石垣の周りに集まる。 「すごいよ!!!すごくがんじょうだよ!!!」 「すごくたかくてこえられないよ!!!」 「れいむがつくったの!!?えらいね!!!がんばったね!!!」 お褒めいただき光栄です、お母様。 「でもおかあさん!!!でぐちがなくてでられないよ!!!」 「でられないよー!!!」 「ごはんがたべられないよー!!!」 親もやっと気付いたようだ。 「ゆっ!!?ほんとだ!!!はいれないよ!!!」 「これじゃごはんをあげられないよ!!!」 そんなゆっくりたちに俺は声をかける。 「れいむが運んであげるよ!!!ほらね!!!」 そう言いながら俺は赤ゆっくりをつまんで外に出した。 「ゆー!!!おねえちゃんちゅごいよー!!!」 「ゆっ!!!れいむのこどもがすごくおおきくなったね!!!」 「あんなにおおきなこどもをもってるれいむたちがうらやましいよ!!!」 だからお前ら、ちょっと疑問を持たんかい。 そんな事より俺の飯だ。 「早くご飯を出してね!!!」 「ゆっ!!!ゆっくりだすよ!!!」 俺に急かされて親ゆっくりたちは食べ物を出した。 俺が食べれそうな物は……。 山葡萄と林檎が二つぐらいか。 あとは虫や花やらだ。 「きょうはおいしいくだものがいっぱいとれたよ!!!みんなおいしくたべてね!!!」 胸を張る親ゆっくりたち。 それじゃお言葉に甘えまして。 「いただきまーす!!!」 むしゃり。 これは中々美味い。 ぺろりと俺はたいらげる。 「だめだよ!!!それはみんなのくだものだよ!!!」 「わけあってたべなきゃ!!!」 何か言ってるが気にしない。 「それじゃみんなにもご飯をあげなきゃね」 虫や花をかき集めて石垣の中に放り込んだ。 ついでに赤ゆっくりも戻す。 「わーい!!!ごはんだ!!!」 「ゆっくりいっぱいたべるね!!!」 「あかちゃんにはおねえさんがたべさせてあげるね!!!」 微笑ましい食事が始まった。 みんなで適量を分け合い、年長者が年少の面倒を見ている。 そんな中、一体のゆっくりが気付いた。 「ゆっ!!?くだものがないよ!!!くだものはどうしたの!!?」 他の子ゆっくりたちも疑問に思ったらしく口々に叫ぶ。 それに対して俺はにこやかに笑いながらこう言ってやった。 「果物はれいむがみんな食べちゃったよ!!!とても美味しかったよ!!!」 「ゆーっ!!!ひどいよ!!!れいむひとりじめするなんて!!!」 「ずるいよ!!!れいむなんかだいきらい!!!」 「おねえちゃんなんてだいきらい!!!」 「だいきらい!!!いなくなっちゃえ!!!」 ぷくーと膨れて大嫌いの大合唱だ。 「みんなそんなこといったらだめだよ!!!だいきらいなんていったらかなしいよ!!!」 「れいむがいなくなっちゃったらおかあさんたちかなしいよ!!!みんなもいなくなったらかなしいでしょ!!?」 「だからそんなこといっちゃだめだよ!!!」 おお、道徳的だ。 「おかあちゃ-ん!!!れいむーごめんなさい!!!」 「おねえぢゃーん!!!いなぐなっぢゃやだー!!!ごめんなざいー!!!」 怒られた子供たちが口々に謝る。 「れいむの事を馬鹿にするから怒られたんだよ。はっは~ん!!!」 お兄さん、あんまりにも愉快だから思わず踊ったりしちゃうぞ。 そんなアホな事をしてると矛先が俺にも向いてきた。 「れいむもゆっくりはんせいしてね!!!ひとりじめなんてわるいこだよ!!!」 「みんなにあやまってね!!!ぷんぷん!!!」 うおっ、ぷんぷんて口に出してるよ、こいつ。 「ぷんぷんだってさ。おお、怖い、怖い」 「ゆーっ!!!おかあさんたちはおこってるんだよ!!!」 「怒ってるんだってさ。おお、怖い、怖い」 「ゆゆゆゆゆっ!!!ほんとにおこるよっ!!!」 「ホントに怒るんだってさ。おお、怖い、怖い」 どんどんボルテージが上がっていく。 真っ赤にプクーと膨らんでまるで餅みたいだ。 これは楽しい。 止められねえ。 「ゆーっ!!!ゆーっ!!!もう!!!わるいこにはおしおきだよ!!!」 ぴょん、ぽふ。 母親ゆっくりが俺に体当たりしてきた。 「お仕置きだってさ。おお、怖い、怖い」 ゆっくりの本気の体当たりだって人間には無害なのだ。 それが子供を叱る用の手加減体当たりなら風に吹かれたほうが、まだ影響は大きい。 俺は逆に母親ゆっくりを捕まえて持ち上げる。 「ゆっ!!?おかあさんをゆっくりはなしてね!!!」 「おかあさんをはなしてあげてね!!!」 「れいむ!!!それはわるいこのすることだよ!!!」 だからだなお前ら少しは疑問を………もういいや。 「子供に暴力を振るうお母さんにはお仕置きだよ!!!」 地面にゆっくりを叩きつける。 「ゆべしっ!!!どうじでごんなごどずるの~!!!」 手加減したので死なないし行動に支障は無いだろうが、子供に暴力を振るわれたショックで泣き出してしまった。 おお、愉快、愉快。 「れいむ!!!おかあさんにいますぐあやまってね!!!」 「そんなわるいことはゆっくりできないよ!!!」 他の親ゆっくりたちが何か言っているが壁を蹴りつけて黙らせる。 バシンッ!!! 「お母さんたちが屑だから全然ゆっくり出来なかったよ!!!れいむはもう寝るよっ!!!」 そのまま俺はごろりと横になる。 俺の行動に恐怖したのかおうちの中は静かだった。 ただ母親ゆっくりのすすり泣く声だけが聞こえていた。 ああ、今夜はゆっくり眠れそうだ。 明日もゆっくりしよう。 おやすみなさい。 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/515.html
※1部虐待されないゆっくりを含みます ※1部俺設定を使っています ある草原で遊んでいるゆっくりの家族がいる。 チビゆっくりがわらわらと10匹。 少し大きめの子ゆっくり(お姉さんゆっくり)が5匹。 そしてこの家族には両親がそろっていた。 片親はゆっくりまりさ。 もう片方は、珍しいことにゆっくりアリスだ。 「ゆーゆー!」 「ゆっくりちていってね!」 「はーい、あかちゃん。ごはんあげるー」 お姉さんゆっくりはもう自分でエサが取れるので、自慢ついでに赤ちゃん達にエサを分け与えている。 もうそろそろ赤とんぼが飛び始めていて、お姉さん達はそれを何匹取れるか競争しているようだ。 そんな子供達を、寄り沿いながら暖かい眼差しで見守る二親。 「とかいはのこどもたちもおおきくなったわね。」 「もうすぐすだちができるこもいるぜ」 2匹とも十分親としての貫禄があり、そこには幸せそのものの風景があった。 ふと、子ゆっくりの1匹が向こうから来るゆっくりに気付く。 「ゆっくりしていってね!」 「ゆ?あなたはゆっくりできるひと?」 「ゆっ。ゆっくりできるよ!なかまにいれてね!」 「ゆー。いっちょにあそぼー」 やってきたのはゆっくりまりさ(成体)だった。 こちらには「だぜ」口調はついていないようだ。 そのまま子供達と意気投合し、遊び始める。 「ゆ?それなーに?」 後から来たまりさの帽子には何か模様がついたバッジがつけられていた。 「これ?にんげんのいるばしょでひろったの!」 「ゆ!すごいねー!」 「ゆうかんだねー!」 特別なものがあると仲間を作りやすい。 そのまま完全に打ち解けたゆっくりまりさは、日暮れまでずっと子供達と遊び回っていた。 そろそろ日も落ちかけ、捕食種が出そうな時間になると、親は子供達を集めて帰る仕度をする。 「ゆー!みんなあつまってね!」 「おうちにかえってごはんにするよ!」 子供たちがわらわらと集まってくる中、ゆっくりアリスがバッジのゆっくりまりさに声をかける。 「よかったら、とかいはのありすがでなーにしょうたいしてあげるわよ」 「ほんとう!? じゃあ、おれいにたべもののいっぱいあるところをしょうかいするね!」 「ほんとか? ふゆのたくわえがふえるぜ!」 「おねーたんはゆっくりできるひとだねー!」 夜、草原の近くの森の巨木の洞にて。 「・・・で、すんでたとこがつぶれちゃったの?」 「そうだよ!あのちかくはもうすむところがないから、こっちでさがしてたんだよ!」 「じゃあ、ふゆのあいだだけうちにいてもいいぜ!」 「ゆ?」 「まりさのおしえてくれたえさばのおかげで、たくわえもふえたしね!」 「ゆー!」「おねーちゃんもいっしょー!」 こうして、この1家に新しい仲間が加わった。 親をなくした子供やはぐれゆっくり等がほかのコミューンに育ててもらうのは特に珍しいことでもない。 両親ともにいる家族に成体が、というのは少し珍しいが、労働力としては申し分ない上に子供たちの相手役にもなってくれるので誰も不満は無かった。 加えて、バッジのまりさの情報提供でこの1家は1匹増えようがどうでもいいほどの蓄えを手に入れたのである。 夜などたまにふらっといなくなったりもするが、すぐに戻ってくるので誰も気に留めなかった。 親まりさは専ら食料を獲りに、親アリスは専ら家事全般を、バッジのまりさは状況に応じてどちらかの手伝いを。 このコンビネーションで、この1家は普通の家族よりかなり楽な生活ができていた。 木の葉も全て落ち、早い動物はもう冬眠を始める季節のある夜。 この1家は、食後の団欒をゆっくりと楽しんでいた。 と、何かが入り口を破って進入してきた。 「ゆっくりー!きょうはここでやすみましょう!」 「とかいはのありすはもうすこしごーかなところがいいのだけどね」 ゆっくりアリスである。 しかも5匹で群れを成している。 「ゆ!ここはまりさたちのおうちだよ!」 「ゆっくりでていってね!」 「ここでゆっくりしないでね!」 あわてて追い返そうとする先住民達。 しかし、 「とかいはのありすをでなーにしょうたいするのはとうぜんでしょ!」 「とかいはのありすはぷれぜんとももってきたのよ!」 「ありがたくうけとりなさい!」 そんなことを言ってわずかばかりの木の実をばら撒き、自分たちは貯めてあった冬用の蓄えをガツガツと平らげていく。 「ゆー!やめてね!」 「それはふゆのごはんだよ!かってにたべないでね!」 ところが、 「とかいはのありすはもっといっぱいごはんのあるところをしってるわよ!」 「こんなのよりもっといっぱいあるのよ!」 「とくべつにおしえてあげるわ!」 得意げに話すアリスたちに興味をそそられるゆっくりたち。 「ゆ?もっといっぱいあるの?」 「じゃあふゆはもっといっぱいたべられるね!」 「いつもよりらくになるぜ!」 しかし、賢い親アリスは黙っていない。 こいつらをここで入れてしまっては、子供たちまで発情したアリスの餌食となり、みんな干からびて死んでしまうだろう。 「ゆ!そんなとこあるわけないよ!みんなだまされちゃだめだよ!」 「ありすはだましてなんかないよ!いってみればわかるよ!」 「いかなくていいからゆっくりでていってね!」 こいつは篭絡できないと踏んだのだろう。 リーダー格の一回り大きいゆっくりアリスが 「ゆっくりできないいなかもののありすはでていってね!」 そしてほかのゆっくりアリスたちも便乗し、 「ゆっくりできないやつはゆっくりしね!」 侵入者達は、親アリスに体当たりを仕掛け始めた。 「ゆっ!? ゆっくりやめてね!ゆっくりでていってね!」 「とかいはのありすのいうことをきかないやつはゆっくりしね!」 親まりさはと言えば、 「ゆっ! ゆっくりやめるんだぜ!」 「あいつはごはんのあるところにいきたくないっていったんだよ!」 「ぜんぜんとかいはじゃないよ!」 「ゆっくりできてないわるいゆっくりだよ!」 「ゆ? ゆー・・・」 親アリスは袋叩きにされながらも、まりさが助けてくれる事を信じていた。 まりさならこんなやつらきっと蹴散らしてくれる・・・! きっと全員追い出してくれる! しかし、なかなか助けに来ないのでふと見ると、なんと愛するまりさはアリスにのしかかられて喘いでいた。 「まっ、まっ、まりざああぁあ!!ぎもぢいいでしょおおおぉぉお!?」 「ゆ゛ううぅうぅっ!!ぎもぢい゛い゛ぜえ゛え゛え゛ぇぇえ゛ぇえ゛!!!!」 「ま・・・まりさー!!」 自分の見たものが信じられず、思わず名を呼ぶアリス。 しかし、 「あんなやつよりとかいはのわたしのほうがきもぢいいでしょおおおぉぉぉ!?!」 「ゆ゛ぅぅう゛う゛う゛う!!ぎもぢいいぜええぇぇぇえ!!あのありすはあんまりすっきりできなかったんだぜえええぇぇえ!!」 「あんなやづよりわだしのほうがゆっぐりでぎるよおおおぉぉぉ!?」 「ゆー!・・・ゆっくりできないやつはでていくんだぜえええぇぇ!」 これが、最愛のパートナーの自分に対する返答だった。 アリスの中で踏ん張っていた何かが弾け飛び、同時に体の踏ん張りも消えたアリスは一気に外へ放り出された。 「ゆぐぅっ!?」 地面に叩きつけられ、土を引っかぶってしまう。 私の何がいけなかったんだろう・・・ 家族のために極力交尾は我慢して、今まで子供達と一緒にうまくやってこれていたのに・・・ まりさも欲求不満だったのだろうか・・・ しかし自分の欲望のままに交尾ばかりしていたら遠からず家庭が崩壊していた・・・ 自分はあの家族でずっとゆっくりしていたかっただけなのに・・・ 暖かい我が家の中では、すでに自分のことなど忘れたかのように和気藹々とした雰囲気が漂い始めている。 と、考えが全くまとまらずただ呆然としているアリスの下へ、バッジのまりさが駆け寄ってくる。 「ゆー!みんないまはおかしくなってるよ!ちょっとかくれてたほうがいいよ!」 そういって、ピクリともしないアリスを半ば引きずるようにしてどこかへ運んでいく。 「ゆー!しばらくここにいるといいよ!」 辿り着いたのは、そう離れていない岩間の洞。 入り口が狭いため風が入らず、地面には乾燥したコケが生え、天井の隙間から水が滴り水飲み場を作っている。 さらに、いつの間に用意したのか食料も大量に運び込んであった。 「ゅー・・・ゆう?」 コケに水を含ませ体を拭いてくれる感覚にふっと我に帰るアリス。 清拭が終わると、ゆっくりと自分に体をこすり付けてくるまりさ。 性的なものではなく、まるであやすようなその動きに、アリスの感情が今やっと爆発した。 「ああ゛あ゛あ゛ぁぁああっぁあ゛あ゛!!あ゛り゛ずの゛お゛お゛おっぉぉぉおお!!!」 1瞬で全てを奪われた悲しみと悔しさに号泣するアリスを、バッジのまりさはただ優しく撫で擦っていた。 「ゅー・・・ゅぅ・・・」 しばらくして、泣き疲れたアリスをコケの密集した部分に乗せ、バッジのまりさは 「じゃあいくね!」 と宣言する。 「ゅー・・・みんなをたすけてね・・・」 すでにアリスは夢うつつで、その言葉もただポロリと口からこぼれただけだった。 だから、その言葉に対する返事も夢と現実どちらで聞いたのかは分からない。 ただいつもよりはっきりと、 「無理だよ」 と・・・ 家に帰り着くと、すでに嬌宴は始まっていた。 親まりさに1匹、姉まりさ達に3匹、チビたちを潰して回ってるのが1匹・・・ 「ゆ゛う゛ぅう゛う゛ぅぅぅう゛っ!!や゛め゛でえ゛え゛え゛え゛ぇぇえ゛え゛ぇ!」 「まっ、まっ、まりざああああぁあ!!がわいいよおおおぉぉおぉお!!」 姉まりさたちは必死に抵抗しているが、さすがに発情したゆっくりアリスの、しかも成体を振りほどくことはできない。 親まりさはといえば、 「ゆふううううぅぅう!!んほおおおおぉっぉぉお!!」 「まりざああああぁぁああ!!んほおおおおぉお!!」 周りのことなど目にも入らずお楽しみ中である。 どうやらゆっくりアリスに負けず劣らず性欲の強いタイプだったらしい。 子供が目の前で犯され潰されているというのにおかまいなしだ。 普通、こんな場面に出くわしたゆっくりは恐怖で固まるか全力で逃げだす。 しかし、バッジのまりさは感情の籠もらない目でその光景をただ見つめていた。 そして、偶々近くで寄り添いながら震えていたチビゆっくり3匹をペロッと口の中へ放り込んだ。 そこへ、さっきチビゆっくりを潰しては食べていたアリスが、 「まっ、まりざああああぁああ!!」 突っ込んできた。 それをひょいとかわし、耳元で囁く。 「ありすはとくべつだから、とくべつなばしょであかちゃんつくらない?」 「とくべつ!?しょうがないわね、いってあげてもいいわ!」 なんと見栄が優先し、おとなしくついてきた。 背が高めの草が多い藪。 「まっ、まっ、まりざ!ここでするの!?とかいはのありすはこんなところじゃおきにめさないんだけど!でも、どうし・・・」 「ありす!!ちょっとうしろをむいて?」 「ゆ?」 いきなりの大声に、反射的に振り向くアリス。 「ふっ!」 その隙に、素早くアリスのカチューシャ(のようなもの)を剥ぎ取る。 「ゆ?なに?まりさなにしたの?」 「ゆー。ごみがついてたんだよ!とかいはのありすにはにあわないからとってあげたんだよ!」 「ゆっ!そうね!とかいはのありすにはにあわないわね!ありがとうまりさ!」 「いいよ!ところでありす!」 「ゆ?なーに?」 「よっ!」 体当たりで、アリスを後ろの草むらへ押し出す。 「ゆゆ?ゆ・・・ゆーーーーーーーー!!!!」 暗かったため、草むらに隠れて急な坂があることにアリスは気付いていなかった。 ころころと転がり落ちていくアリスには目もくれずに、バッジのまりさはまず親アリスを匿っている岩間の洞へと向かった。 「ゅー・・・ゅー・・・」 親アリスは熟睡している。ちょっとやそっとのことじゃまず起きないだろう 「んっ・・・ぺっ!」 「ゆぶっ!」 「ゆくっ!?」 「ゆぐん!」 口の中から転がり出るチビゆっくり3匹。 少しふやけてしまっているが、大丈夫、元気だ。 「聞きなさい。ここは安全だし、食べ物もいっぱいあるから何の心配もない。お母さんとしばらくここで隠れてなさい。」 「ゅ!わかったよ!」 「おかあたんをゆっくりさせてあげるよ!」 「おそとにはぜったいでないよ!!」 なかなか物分りがいい。 ゆっくりアリスはしつけが厳しいので、比較的賢い子が育つというが・・・これもその成果だろうか。 これなら大丈夫だろう。 岩間を出るといったん藪まで戻り、さっきアリスから剥ぎ取ったカチューシャを咥え、元の家へと向かった。 案の定さっきと何も変わってはいなかった。 1匹連れ出しても何も変わらない状況にも眉一つ動かさず、家の奥へと向かう。 カチューシャを咥えたままなのだが、誰一人として反応しない。 まりさが帰ってきたことさえ、いや、1度出て行ったことにさえ気付いているかどうか・・・ 姉まりさたちはまだ助けを求めていたが、特に誰を助けるでもなくチビゆっくりの死骸を淡々と片付け、奥の部屋で一人眠りについた。 翌朝。 全員まだぐっすりと眠っている中、姉まりさの2匹が蔓に覆われて死んでいた。 ゆっくりにしてはかなり早く起きて来たバッジのまりさは、何も言わずその2つを奥の部屋に引きずっていき、木の板をかぶせて隠した。 広間に戻ると、そろそろ全員起き始めていた。 親まりさはといえば、 「あかちゃんたちがいないんだぜ!?どこにいったんだぜ!?」 行為中の出来事は全く目に入っていなかったのだろうか、必死でチビゆっくりたちを探している。 姉まりさの数の減少には気付いていないらしい。 姉まりさたちは、 「ゆぅ・・・ゆー・・・・」 まだ昨日の疲れが抜けきっていないようだ。 「あかちゃんならまだつくれるよ!ま、まりざ!しよ!しよ!」 アリスたちは状況に全くお構いなしに迫っている。 バッジのまりさはそれらを横目で見ながら、入り口から外の様子をずっと伺っていた。 と、 「ひどいよまりさ!まりさのせいでゆうべはちっともゆっくりできなかったよ!ゆっくりあやまってね!!」 昨夜転がり落ちていったアリスが戻ってきた。 髪も体もぼろぼろだが、大きな怪我はしていないらしい。 「なにぼんやりしてるの!?さっさと・・・」 「みんな~!!へんなやつがいるよ~!!」 それを聞いてぞろぞろと出てくるゆっくり達。 「あ、ほんとだ。」 「なにもつけてないよ!へんなの!」 「なんだろうね?あいつ」 「な、なにいってるの?ありすはありすだよ!へんなのはみんなのほうだよ!!」 「ゆっくりしてないやつはゆっくりしね!!」 「ゆっくりできないやつはゆっくりしね!!」 早速始まるリンチ。 この速攻性はゆっくりアリスだからこそだろうか。 寄ってたかって体当たりされ踏み潰されるアリス。 「ゆ゛っ、や゛め゛っ、ぶえっ、ぐぎゃっ、ごふぇっ、ぐぎゅっ!!」 抵抗する間もなく、ひたすら痛めつけられていく。 そして、ぴくぴくと痙攣するしかなくなった時点で 「い゛ぎゃあ゛あ゛あ゛ぁぁぁあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」 ベリッ!「ハフ、うっめ!めっちゃうっめ!!」 ビリリッ!「むーしゃ、むーしゃ、しあわせー♪」 共食い・・・いや、本人達は共食いだとは認識していないのだろうか? しばらく様子を見てから、ピラニアを彷彿とさせるその光景の中に近づいていくバッジのまりさ。 自分が原因で喰われ続けている哀れな犠牲者に近づき、容赦なく一口破り取る。 「・・・・・・」 すでに命は無いのだろう。 何の反応もしない。 バッジのまりさはちぎり取った皮の一部と少量のクリームを、食べるでもなく口からぶら下げたまま奥の部屋へと向かう。 そこには、今さっき仲間達に無残に食い殺されたゆっくりが昨日までつけていたカチューシャが転がっていた。 ゆっくりアリスは、今度はどの子に自分の赤ちゃんを授けてあげようかとゆっくりまりさたちを物色していた。 そして、ふと奥から出てきたまりさに目が行く。 よく見れば帽子にバッジがついていて、とっても都会派でおしゃれな感じがする。 そういえば顔も一段とかわいい! 今日はこのまりさに自分の愛をあげよう! そう思いながらそのまりさに近づいていく。 まりさがこっちに気付いた! まりさ、私を受け入れて! そんな思いを胸に、そのまりさに飛び掛るアリス。 と、まりさが口に咥えていたものをひょい、っと自分にかぶせた。 何? プレゼント? こんなことしなくても私はまりさを・・・・・・!? そこで気付く。 自分の頭から漂ってくる匂いに。 これは・・・この"匂い"は・・・・・・!!!!! 「あ゛あ゛あ゛ぁぁあ゛あ゛あ゛ぁあ゛あ゛!!な゛に゛ごれ゛え゛え゛え゛え゛っぇえ゛え゛ぇぇ!!」 「ゆ・・・?」 「ゆゅっ!!」 「ゆっくりしね!!」「ゆっくりしねぇっ!!!」 大した前口上もなしに開始される虐殺。 「ちがっ・・・ぢがううっぶうぅえ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁぁあ!!やべでえ゛え゛え゛え゛ぇえ゛え゛ぇ」 最初から食い殺す勢いな上に、今度はまりさ1家も参加しているために終わりまでが早かった。 びりっ! ばりぃっ!! ブチュッ! グチュル・・・ 「ぎいいいぃっぃい゛い゛い゛っ!? ぐゅうっ!! ぐゅ・・ぎゅぷ・・・くゅぷ・・・」 濡れ衣を着せられたアリスは、今の今まで仲間達だったものに八つ裂きにされて悶え死んだ。 尚、死体から外れたカチューシャのうち1つに饅頭の皮のようなものが絡み付いていたが、誰も気にするものはいなかった。 昼、バッジのまりさは親まりさを連れて出かけていた。 親まりさはめんどくさがったのだが、 「きょうはありすたちとゆっくりしてるぜ!どっかいくならひとりでいくといいぜ!」 「おきゃくさまがふえたから、たべものがすくなくなってきてるよ!このままじゃゆっくりできなくなるよ!」 と、無理やり連れ出した。 ゆっくりアリス3匹も行こうと言っていたのだが、 「おきゃくさまはゆっくりしててね!こどもたちとあそんでてね!」 と言ったら上機嫌で引き下がった。 「こっちにおいしいものがいっぱいあるよ!」 と引っ張ってきたのは、とある巨大な蜂の巣。 先が地面にまで届いており、蜂蜜や花粉ケーキなどが採り放題なのだ。 「ゆっ!ゆっ!おいしそうなんだぜ!」 早速飛びつき、そこらの花粉ケーキをむさぼり始める。 「ハフ、うっめ!めっちゃうっめ!」 自分が何をしに来たかもう忘れたのか・・・ 蜂の巣に夢中な親まりさを放って親アリスのいる岩間の洞へと向かう。 「ゆっ! ちょうしはどう?」 「ゆー、ゆっくりしていってね・・・」 体はほぼ回復しているようだが、まだ精神的なダメージが残っているのだろう。 恒例の挨拶にも元気がないし、食料もあまり減っていない。 「ゆー!おかあたんあんまりたべないよ!」 「ゆっくりできなくなっちゃうよ!」 「ゆく~・・・」 3チビは母親を励ますように体をこすり付けている。 「ゆー!いっぱいたべないとげんきでないよ!ゆっくりできないよ!」 そういいつつ部屋を観察する。 下のコケはあまり乱れていない。 ほとんど動いてすらいないのか・・・ 水場食料場共にほとんど散らかっていない。 掃除をしているのではなく、ほんの少しずつしか食べないために散らからないのだろう。 しかし寝床から水場、餌場への道は引きずったようにけずれている。 跳ねる元気もなく、這いずって移動しているのか・・・ 子供を持ってきておいてよかった・・・一人で置いておいたら発狂していたかもしれない・・・ 「ゆー・・・ほかのこどもたちはどうしたの?」 この状態で教えたらまずい気もしたが、まりさはいつ教えてもあまり変わらないと結論付けた。 「ゆー・・・"全員"死んじゃったよ・・・」 「・・そう・・・・・ッ!」 意外な事に泣き喚きはしなかった。 しかし感情は止める事ができないようで、大粒の涙をぼろぼろこぼしている。 「ゆー・・・でもだいじょうぶだよ!もうちょっとであのありすたちはみんなきえるよ!」 「ゆー・・・?」 「おうちもとりかえせるよ!でもこっちのほうがいいならずっとすんでてもいいよ!」 「ゆ~、こっちのほうがいいよ!」 「あっちはどうせもうこわれちゃってるよ!」 「おとうさんはしねばいいよ!」 チビたちは随分ここを気に入ってくれたようだ。 1匹かなりシビアなことを言ったやつがいたが・・・ 「ゆっ!じゃあいくね!みんなはもうすこしそこでゆっくりしててね!」 「ゆ・・・まりさは? まりさはどうしたの?」 たぶん一番聞きたかったことをやっと切り出す親アリス。 「ゆ、いきてるよ!いきててほしい?」 「うん・・・はなしあってなかなおりしたいよ・・・」 ・・・あんなのがまだ恋しいか・・・ 「分かったよ。」 まぁあとはゆっくりアリス3匹のみ。 何とかなるだろう。 親まりさはまだそこらを食い散らかしていた。 「ゆー・・・まりさ!ここになにしにきたかおぼえてる?」 「ゆっ!これをたべにきたんだぜ!」 私はこれと同類なのか・・・ 「ゆっ!そろそろゆうぐれだよ!はやくかえろ!」 「わかったぜ!うちでもたべられるようにこれはもっていくんだぜ!」 「そうだね!みんなまってるからね!」 ゆっくりアリスだけがね。 予想では、姉まりさたちは全滅していてアリスたちが発情して待っているはずだった。 しかし、 「ゆ゛っ!!ゆ゛う゛う゛う゛う゛ぅぅう゛う゛う゛ぅ!!」 姉まりさたちも全滅していたが、同時にアリスたちも全滅していたのである。 そして広間の中央には 「お帰りなさい。おそかったわね?」 なんとゆっくりゆかりんが鎮座していた。 「ゆぅぅぅううぅっ!!ありすになにをしたんだぜ!?ありすをかえすんだぜ!!」 子供はどうでもいいのか。 こちらはとりあえず・・・ 「おそかったわねだって。おお、こわいこわい」 相手の出方を見よう。 「子供達はアリスに交尾を強要されて体が持たずに死んだわ。」 「うそなんだぜ!ありすはそんなことしないんだぜ!」 全く自分のことしか見ていない。 「うそじゃないわ。みんな助けを求めながら死んでいったの。」 「そんなわけないんだぜ!。それじゃ、ありすはどうしたんだぜ!?みんなつぶれてるんだぜ!!おまえがやったんだぜ!!」 状況を全く理解しない。 「ああ、そっちは・・・その子がやったのよ」 いつの間にか、背後に体つきゆっくりフランが忍び寄っていた。 「なっ・・・!?」 「ふ、ふ、フラン!!」 ゆっくりゆかりんはほかの種、場合によっては捕食種とも共存しているらしいが、これが・・・ さすがにこちらも逃げやすい位置に移動する。 しかし、ゆっくりフランが手に持っているのは・・・ 「まっ、まりざああぁぁあ!!だずげでえええぇぇええ!!」 侵入者の方のゆっくりアリスのリーダー格だ。 「あ、ありすをはなすんだぜ!」 「じゃああなたが犠牲になる?」 「ゆ゛っ!?」 「あなたが食べられればアリスは助かるわよ」 「ゆ・・・」 こんなのが・・・ 「ゆ!そうなんだぜ!こっちのまりさのほうがおいしいんだぜ!こっちをたべるといんだぜ!」 「おお、こわいこわい」 こんなものが・・・ 「あら、でもフランはあなたの方が気に入ってるみたいよ?」 「ゆ!?ゆー・・・ありす!ごめんなんだぜ!ゆっくりしんでくれなんだぜ!」 こんなものが私と同種なのか・・・ 「ま、まりざああぁぁあ!!な゛ん゛でぞん゛な゛ごどい゛う゛の゛お゛お゛おぉぉおお!?」 「しょうがないんだぜ!まだこどもたちをまもらないといけないんだぜ!」 どの口でそんなことが言えるんだ・・・ こんな・・・ 「残念ね。じゃあ潰しちゃって。」 ブンッ! 「ゆ・・ゆゆ!? ゆぶぎゃっ!!」 バチィッ!! なぜか奥に投げ込まれ、壁に激突してぺしゃんこになるアリス。 「ゆ・・・ありすはあげたんだからとっととでていくんだぜ!」 「おお、こわいこわい」 なぜ・・・ 「あら?アリスを潰したらあなたを見逃すなんて言っていないのだけど。」 「ゆ!?たしかにいったんだぜ!どっちかがたすかるっていったんだぜ!!」 「おお、こわいこわい」 なぜ私はこんなものに・・・ 「じゃ、じゃあこいつをたべるといいんだぜ!こいつならたべてもいいんだぜ!」 どんどんと私をフランの方に押していく。 ああ・・・もう・・・ 「鬱陶しいっ!!!!」 思い切り体当たりして壁にぶつける。 「ゆぎゅっ!」 止まったところで上から何度も踏みつける。 「ゆっ! ぐえっ! やめっ! ぶぎゃっ!」 納まらない。 こんなものでは全く納まらない! 「ゆ゛ぅ゛っ!」 私は・・・ 「ぐゆぅ!」 私は同類なのか・・・ 「ぎゅぇ!」 こんな・・・ 「ぎゅぱっ!」 こんなこんなこんなこんなこんなこんな・・・ こんな醜いゴミクズと!! 「ゆぶえ゛え゛ぇ゛ぇえ゛え゛っ!!な゛ん゛でえ゛え゛え゛っぇぇえ゛え゛!!」 「黙れええええええええええええぇええ!!」 感情のままに頬を咥え、奥に向かって投げ飛ばす。 なぜこんなにも醜いのか! 「ほっべがあああぁぁあ!!まりざのほっべがああぁぁぁ!!」 「やぁかましいいいいいいぃぃぃっ!!」 反動をつけて押し潰す。 なぜこんなにも醜悪なのか! 「ゆ゛う゛う゛う゛う゛う゛ぅう゛ぅう゛う゛う゛ぅっ!!」 なぜ私は・・・こんな低劣な存在なのか!! 「その辺でやめておきなさいな。」 フワッと体が持ち上がる。 「離せえええぇぇぇ!!」 もがいてもびくともしない。 ゆっくりフランはここまで強力じゃないはずだが・・・ 「落ち着きなさい。事情は知っているわ。」 「・・・!?」 「私達は少し前からあなたをマークしていたの。」 「なん・・・?」 「後で説明するわ。とりあえずその子には趣向を凝らした刑を受けてもらいましょう。」 楽しそうに説明しながらゆっくりフランに合図を送る。 と、ゆっくりフランが何か網目状のものを持ってきた。 あれは・・・竹か? フランはそれを入り口の内側につっかえるようにはめる。 「それは檻の入り口よ。それは外側からは簡単に開けるけど、内側からはゆっくりの力じゃ絶対に開けられないようになっているわ。」 まりさはまだぴくぴくと痙攣しているが、意識はあるようだ。 「残念だけど、この森のゆっくりは全滅しているから自分だけが頼りね。」 「・・・? 全滅・・・?」 「近くにゆっくりアリスの大群がいたものだから、この子に掃除させようと思ったのだけど・・・」 「ゅー・・・ゅぅ・・・」 「適当にって言ったら、この辺一帯のゆっくりを全部潰しちゃったのよ」 「ゆ!じゃ、じゃぁおとなりのれいむは!?ごきんじょのぱちゅりーは!?」 「この近くのゆっくり?なら、そこのちょっと開けたところにまとめて"積んである"わ。」 「ゆ・・・ゆ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っぁぁあ゛あ゛ぁあ゛あ゛!!」 いや・・・まだ残っている。 「もし、お前が捨てたアリスがお前を許してくれたら助かるだろう。 ここまできてくれれば、だけど」 「ゆ゛ー!いやだぜ!いますぐたすけてくれなんだぜ!」 「・・・ならそこで腐れ果てて死ね!!!!」 最後まで神経を逆撫でしてくるやつだった。 「さてと・・・次はあなたのことなんだけど」 「・・・何か?」 「あなたは自然に生まれたゆっくりなのにありえないほどの知能を持っているわ。」 「・・・・・・」 「しかもその知能を使い分ける賢さも持っている。」 「・・・・・・」 「でもあなたは所詮ゆっくりでしかないわ」 「・・・・・ッ!私は・・・ッ!」 「だから、私達と一緒に来なさい」 「・・・?」 「私達は、そこに見えてる山の山腹にあるゆっくり研究所の実験体なの。」 「実験体・・・?」 「研究所ではいろいろな検査をされると思うけど、自分のことや他のゆっくりのことも今よりずっと効率よく調べられるわ。」 「・・・・・・」 「自分のことを知りたいのでしょう?」 「・・・やめておく」 別にこのゆっくりゆかりんの話が嘘だと思ったわけではないが、 「もうちょっと自分で調べてみたい」 自分のことは極力自分だけでやりたかった。 対してゆかりんは、 「・・・そう、残念。」 意外にあっさり引き下がった。 「でも、さっきも言ったけどこの森のゆっくりは全滅しちゃってるから、近場ではあの山しかないわね。」 ・・・この森のゆっくりが全滅したのはわざとなんじゃないだろうか。 「あの山に来ることがあったらうちに寄ってきなさいな。一風変わったゆっくりがいっぱいいて参考になると思うわよ」 間違っても加工所なんかに行かないように。 じゃあね。 そう言ってゆかりんはフランに抱えられて飛んで行った。 耳を澄ませてみる。 ゆっくりの声が全く聞こえないところを見ると、(この森全体は分からないが)ここら一帯のゆっくりが全滅しているというのは本当らしい。 「・・・ふぅ」 どうやらあのゆかりんの言う通り、あの山へ行かなければならないようだ。 しかし研究所とやらに行くかどうかは決めていない。 途中何があるか分からないし、山についてから考えてもいいだろう。 その前に親アリスのところに寄っていくか・・・ 竹で編まれたネットにゆっくりまりさが飛び掛ってははじかれている音を聞きながら出発する。 全ては後回し。 ゆっくりゆっくり考えていこう。 私は、どう足掻いてもゆっくりでしかないのだから。 「・・・あのゆっくり、来る?」 「来るわよ。策も罠もまんべんなく張ってあるもの。自然に引き寄せられて来るわ」 「・・・・・・」 「そうでなきゃ、この私があんな簡単に引くわけないでしょう?」 「・・・・・・・・・」 終わり ***************************************************************************************************************************************** 野生のゆっくり同士でやり合わせるつもりだったのに何故か最後研究所ネタが出てきました。なんでだろう・・・ "賢いゆっくりであるがゆえの苦悩"を書こうとしたんですが、おまけ程度で終わってしまいました fuku718あたりを読むと後半読みやすいかもしれません。(読まなくても全く問題はありません。) fuku787の方をとても尊敬していて、途中あれを意識して書きました。 批評は大歓迎です。参考になります。 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/1963.html
※CAUTION!! このSSは『ゆっくりいじめ系958 猫と踏み切りとゆっくりと』と同じ登場人物、同じ世界観です。 『永琳×ゆっくり系3 ゆっくり実験室』の設定を使用しております。 れいむ種とまりさ種は粒餡設定です。 透明な箱が現世入りしちゃってます。 独自のゆっくりに対する解釈が含まれております。 ~ゆっくり苺大福~ 午前7時ちょっと前、学生の朝は早い。今日の講習は正午にも関わらず俺は外の五月蠅い騒音に早く起きてしまった。 理由はだいたい分かってる。俺はその原因のある場所、ベランダの窓を開け騒音の元を見下ろした。 「おにいさんここから出してね!こどもたちをたすけてね!!」 「やはくたすけてね!れいむをここからだしてね!!」 「はやくたすけるんだぜ!でないとひどいめにあうんだぜ!!」 「まりさをたすけてね!ゆっくりしていってね!!」 俺が昨夜仕掛けたゆっくり用のトラップに家族と思われる『超奇怪迷惑下等饅頭ゆっくり』の集団が仲良く檻の中で騒ぎ立てていた。 中にいるのはゆっくりの中でもスタンダードなれいむ種とまりさ種で、親と思われるバスケットボール大のものが1匹づつ、 野球ボール大の子供が10匹づつの計12匹の大家族である。 恐らく後先考えずに性行為を行った結果だろう。 「なにぐずぐずしてるんだぜ!!やはくまりさをここからだせー!!」 その家族の中でも一番騒がしいのは親のまりさ種である。恐らく語尾の口調と態度からこのまりさは下種(げす)だ。 下種とはゆっくり種の中で必ず五分五分の確率で存在するゆっくりの中でひときわ性格の悪い種である。 増長に増長しきったその精神は身の程を知らず、 無謀を勇気と取り違え行動,性格,態度全てが乱暴で自分がゆっくりの中で・・・いや、この世界で一番の存在だと思んでいる。 人里に降りてきて家内を荒らしたり他のゆっくりに乱暴を働くのは大半がこの下種だ。 そしてゆっくりする以外意志の弱いゆっくりは、通常種もその下種に扇動されて下種と同等の行為を行う。 兎に角なんでも利用して誰よりもゆっくりすることを考えるこの下種であるまりさなら、 自分が「すっきり」する為にこの後先考えずにれいむを犯して大家族を創り上げることも簡単に想像できるし、 今捕まっているのは差詰め、大家族なのですぐに餌が減り現在の住処の近くでは食料が取れなくなったので、 人間の集落である住宅地に行って人間から食料を奪おうとし、家族を連れて来てる事からあわよくば人間の住処を乗っ取る魂胆だったのだろう。 「だせぇー!!このじじい!!しね!!」 おっと説明してる場合じゃないな。 これ以上は近所迷惑にもなりかねないので俺は急いで檻をベランダに入れると既にスタンバイしておいた。 飼うにも捕らえておくにも便利なこの防音対衝の透明な箱にゆっくり達を放り込んだ。 これなら騒ごうが暴れようがゆっくり達はどうすることも出来ない。 箱の中ではゆっくり共は叫んではいるがなにも聞こえない。どうぜワンパターンな罵詈雑言だろう。 さて、コイツ等は捕まえたはいいが正直あのトラップは自家製だったのでその効果を試したかっただけでゆっくりの事は何も考えちゃいない。 まぁあの箱の中にいる以上絶対に出られないし後で考えてまずは朝食だな。 メニューは無難にトーストとジャムで済ませようと冷蔵庫の扉を開けからジャムそうとした時、ふとあるモノが目に映った。 苺だ。これは実家の親が果汁園を営んでいる為、収穫頃に何箱か送って来てくれるのだ。 今年の売り上げはゆっくり共が畑を荒らした所為で収入が減ってしまってるらしいのに無理しなくてもいいんだが・・・。 そんな時、俺はふとある事を思いついた。 この苺を使い今後ろで箱に体当たりしてるゆっくり家族を二度とゆっくりさせてやらなくしようと思ったのだ。 時間はまだあるので今日行おう。 朝食を済ませてからまずは下準備、まずは親ゆっくり二匹分以上入りそうな洗面器と果物ナイフ,そんでもってスプーン材料が揃ったら後は耳栓をし苺を持ってゆっくり達の入った箱を開ける。 「たすけてくれるんだね!!じゃあしんでね!!」 「ゆっくりしね!!ゆっくりしね!!」 「だしたらじじいはとっととまりさのいえからでてってのたれじんでね」 「はやくおかしをもってきてしんでね!!」 なんともうるさい。つかこれはひどい。中には完全に自分の家だと言うヤツもいるし。 部屋中に響き渡る金切り罵声は耳栓をしていなきゃ確実に鼓膜が破れていた。 「うるさい騒ぐな。静かにしたらコイツを喰わせてやる」 つーか此処アパートなのでこれ以上はほんと騒音被害確実なので俺はゆっくりの目の前に苺を見せると、 ゆっくり達は沈黙し一斉に苺に視線を集中させた。 だがそれは一瞬だった。 「ばかなじじいははやくそれをよこしてね!!そしてしんでね!!」 「じじいはやくそれをわたすんだぜ!!そしたらはんごろしでゆるしてあげるんだぜ!!」 「あげるんだぜ!!」 「はやくちょーだいね!!はやくちょうーだいね!!すぐにしんでね!!」 あー駄目だったか。コイツ等完全に親まりさの扇動で下種になり果てたみたいだ。 恐らく箱の中で親まりさはなんの根拠もなく俺を倒して家を乗っ取る算段を家族達に言っていたのだろう。 でなきゃ家族達の態度もこんなに豹変する筈もない。 「あー分かった分かった。すぐにくれてやるよ」 「ゆ!!ありがとうねじいい!!じゃあしんでね!!」 「分かったらはやくしんでこのいえとたべものをよこすんだぜ!!」 『しんでね!!ちょーだいね!!』 「ただし・・・」 ここからはこの下種一家の言うことは基本無視だ。 俺はおもむろに親二匹を掴み箱から出す。 二匹とも体当たりしようと暴れるがゆっくり自体インドア派の人間の握力でも一度掴まれたら逃げらないくらい惰弱だ。 さて、ここからが本番である。 「親は駄目だ」 「「ゆべばっ!」」 そう言うやいなや俺は二匹を下へと投げつけ、二匹同時に顔面へと床に激突する。 「なにす…ぶゆっ!」 更に何か言う前に素早く二匹を踏みつける。この時、力みすぎて体内の餡子が漏れないようにするのがポイントだ。 だがこれだけで終わりじゃない。れいむの上に膝を立て固定し、まりさを起こすとその顔面をブン殴る。 「・・・げぶっ・・・な"に"っ・・・ぐばっ・・・」 何を言っているが無視、ここでも餡子が漏れないようにする。 さらに此処でポイントなのは膝の下でれいむや箱の中の子供にこの殴られているまりさを見せつける所だ。 「ごべんな"・・もうゆるひうぇ・・・」 完全に痛めつけられ、全体を焼き餅のように膨らんだ顔で何か言っているが残念ながら今俺は耳栓をしているのだ。 れいむの潜った懇願やまりさの低音量の詫びなど隣で五月蠅く騒ぐ子ゆっくりに全てかき消されてしまっている。 次に膝下のれいむにも同じ事をし結果、二匹の腫れ饅頭が俺の目の前でぐったりとしていた。 だがこれで終わりなんかじゃない。 俺は素早くまりさの目と瞼の間に指を入れその寒天質の目玉を抉り取った。 「ゆがあああああああぁぁぁぁぁぁぁっ!!?」 先ほどの罵声よりも大音量の絶叫でよく鳴き、れいむも子ゆっくりも同時におおきな悲鳴を上げた。 次に洗面器を取り出し、まりさの後頭部あたりを掴み持ち上げちょうど洗面器の上にまりさを浮かす。 そして掴んでいる左手の近くから右手でまりさを軽く掴みそして下へと移動していく。 そう、分かったヤツは分かってはいるだろう。 まりさの餡子を搾り取っているのだ。 「が・・がががggggggggggggggggggggggggg・・・」 口と両の眼のあった穴から餡子を絞り出されもう言葉にならない断末魔を上げるまりさ。 れいむと子ゆっくりの悲鳴も更に大きくなる。 「もうやだぁ・・・おうちかえるぅ・・・」 するとれいむがまりさを殺され初めて此処はゆっくり出来ない場所と認識しベランダ窓から外へ出ようとする。 死ぬ直前まで殴られたれいむに跳ねる体力は残っておらずぬるぬると這って行くが、 跳ねる時でさえ歩くより遅いのに這うとなるとその速さはもはやナメクジ以下だ。 しかし、此処はあえてほったからして俺はじっくりまりさから餡子を絞り出していく。 外はもう少しだ。れいむの眼からは希望に溢れた涙がこぼれる。 だが所詮は餡子脳だ。 「どぼじでぇぇぇぇ・・・でらえれなぁぁぁ・・・」 希望は一瞬で砕けた。 ベランダはおまえらを箱に入れた時から閉めてるし鍵だってかけてるんだよ。 「それじゃ、次はおまえな」 餡子を絞り切り物言わぬ革袋となったまりさを置きベランダの窓ガラスに引っ付くれいむを掴み上げまりさと同じ作業をする。 聞こえるのは悲鳴だけで命乞いはまたたたく間に騒音に消えていった。 「よし、程よく良い味だな」 洗面器の中のゆっくり二匹分の餡子を一つまみし舐めと口中にとろけるような甘さが広がった。 ゆっくりは不思議な生き物と言われているモノの一つでは、 ゆっくりの体のほぼ全体を閉めている餡子は文字通りゆっくりしていると餡に糖分が染み渡りとてもじゃないくらい不味く、 逆に恐怖や苦痛,絶望などを与えゆっくりできなくさせると餡は非常に美味しくなるのというものだ。 特に持ち上げてから落とすのがゆっくりに多大な絶望を味あわせ更に餡を美味しくするやり方らしい。 あのゆっくりの一家に苺を見せたりれいむをすぐに捕まえなかったのは一時的に希望や快楽を見せつけそしてすぐに絶望させる為である。 さらに下種は「自分が強い」と本気で思いこんでいる為、 殴りつけてボコボコにするといった下種の高いだけのプライドをズタズタにするやり方が更に効果的と言うわけなのだ。 「やめてね!れいむはどうしてもいいからまりさだけはたすけてね!」 「まりさはまずいよ!れいむのほうがおいしいよ!」 「どぼぢでぞんなごどいうのぉぁぉぉぉぉぉぉ!!」 蛙の子は蛙。下種饅頭の子は下種饅頭。箱の中では子まりさがまりさ種特有の裏切りが始まっていた。 まぁそんなことはどうでもいい。俺は子ゆっくりの目の前に再び苺を見せた。 「親が死んだ以上この苺をおまえ達に食べさせてやる」 「ちょうだいね!!おかーさんをころしたじじいはれいむにそれをよこしてしんでね!!」 「まりさによこしてね!!じじいはしんでね!!」 「ゆうくりしないでいちごちょうだい!!しねっ!!」 ホントゆっくりと言う生き物は簡単に掌を返してくれる。だが親を目の前で殺されたのかもう言動すら支離滅裂だ。 俺は一匹の子まりさを手に取ると子まりさは苺くれるのかと喜んでおり、 残りの子ゆっくりはこいつにだけ喰わせると思ったのか俺に罵声を浴びせてくる。 安心しろ、ちゃんと全員に喰わせてやる。 喰わせ方は俺のやり方だが。 「おじさんまりさのぼうしかえしてね!!でなきゃしんでね!」 俺はおもむろに子まりさからゆっくり共通で命に等しい飾りを取り上げる。 やはり苺をくれるのかおじさんにランクアップしてる。 「後で返すよ」 「いまかえしてね!!でなきゃとっとくるしんでしんでね!!」 ゆっくりは人語を放すが自分に都合の良いことしか人の言葉は解さない。いや、解そうとしない。 それはゆっくり同士でも同じでそれ故に簡単に自滅してしまう。 とりあえず俺は邪魔な帽子を取り除き、果物ナイフを取り出すと子まりさの後頭部を切り開いた。 「なにするの!!ぼうしもいちごもかえしてちょうだいね!!とっととしん「はい五月蠅いよー」」 子まりさを無視し今度は切り口にスプーンを入れ中の餡子を子まりさの皮を傷つけないようにほじくり出しそれを先ほどの洗面器に入れる。 親とは違ってほぼ一瞬だったので断末魔も言うことなく事切れる。 「ま"り"ざばま"ずい"よ"ぉぉぉぉぉ!!」 「れ"い"む"う"ばい"でづじゃぁぁぁぁぁ!!」 「れ"い"む"ばお"い"じぐな"ばぁぁぁぁぁぁぁ!!」 「じん"でぃばべぇぇぇぇぇ!!」 その光景を見ていた残りの子ゆっくり共はもう完全にパニックだ。 餡子脳が追いつかないのかもはや言動も壊れてしまっている。 だがやめるつもりはない。子ゆっくり全員に苺を食べさせると約束した以上同じ作業を全員分やらなくては。 ゆっくり一家全員美味たる餡子の一塊になるとこっからが本番だ。 洗面器を持って台所に行きまず棚から調理器具をだす。 下が網目状になったこし器,すりこ木,ボウル複数,後は鍋にその他調味料。 れいむ種とまりさ種はつぶ餡だ。だが今回使う餡子はこし餡でないといけない。 なので次はこの元ゆっくり一家のつぶ餡をこし餡にする作業に入る。 が、此処は長いので省略。 次に用意する材料は苺と水で溶いた小麦粉、 出来たてほやほやのこし餡に溶けない程度に水洗いした子ゆっくりの皮,そしてゆっくり一家の飾り。 まず餡を子ゆっくりの数である10個の均等の大きさにした塊にする。 その中に苺を一個づつ入れ、型くずれしないように手で丸める。 次に出来た苺入り餡を子ゆっくりの後頭部の切り口から詰めるように入れる。 子ゆっくりの皮はもちもちなので体の2倍くらい伸ばしてもちぎれることはない。 最後に切り口に水で溶いた小麦後を塗りしばらく放置する。 20分くらい経過した。 するとどうだろう。子ゆっくりの眼に生気が戻り後頭部の傷も治癒し傷口があっという間になくなった。 これもゆっくりは不思議な生き物と言われているモノの一だ。 ゆっくりは餡子が漏れないくらいの皮に餡子を詰め直すと簡単に蘇ってしまう。 なので餡子を入れ替えて人格を変えたり白餡を詰めて人間並みの知能を得た善良なゆっくりに改造することも出来てしまう。 だがこれも最初からわかってやったこと。 ここからが大詰めで一番面白い作業だ。 「おはよう、ゆっくり共。苺はおいしかったか?」 「ゆ!いちごはまだたべてないよ!!だかたもっとちょうだいね!!」 「もっとたべさせてね!!あまいのもっとちょうだね!!」 「れいむにたべさせないとひどいめにあうんだぜ!!」 目覚めの第一声だこれじゃもう末期だな。 まだ食べてないと行ってるが言動からしてもう苺は腹の中(腹ないけど)にあるのは認識してるが味わっていなので食べてないと言い張る。 「ゆっくりしね!!ゆっくりしね!!」 中には俺に殺意を向け体当たりしようとしてるのか体を揺さぶっているモノまでいるが、 親ゆっくりを十頭分に分けた餡子も詰めてる為皮はパンパンでロクに動くことが出来ない。 せいぜい起き上がりこぼしのように揺れるだけだ。 「まぁいい、それよりもまず飾りを返そう」 俺はそう言うと手元からさっき取った飾りをだす。たが出したのは明らかに親まりさの大きな帽子だ。・・・だが。 『それはまりさのぼうしだよ!!はやくかえせだぜ!!』 十匹の子ゆっくりが同時に親ゆっくりの帽子を自分の物だと言い張った。 次に、親れいむの長いリボンを取り出す。 『それはれいむのおりぼんだよ!!はやくかえしてね!!』 今度は全員が自分の物だと言い張った。 どうやら大成功したらしい。ここからが本番だ。 「じゃあ・・・」 そして、仕上げとして一家の飾り全部を子ゆっくりのまわりにぶちまけた。 「・・・このかざりは誰のだ?君達の飾りはそれぞれ一つずつの筈なんだが・・・」 子ゆっくり達は一斉に辺りを見回す。そして目を丸くする。 今コイツ等はこう考えているはずだ。 これは全部見覚えがある。これは自分の帽子だ。でもなんで沢山ある? 飾りは一つだけの筈なのになんで全部自分の物? なんで他の子も全部自分の物?そういえばなんで自分が目の前にいるの? なんで自分がこんなに沢山いるの?なんで自分はれいむ(まりさ)になってるの? あれ・・・ 『れいむ(まりさ)はだぁぁぁぁぁれれれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!』 一斉に上げる悲鳴の大合唱。 今この時をもってゆっくり一家『全員』はゆっくり出来なくなった。 もう気付いている人もいるかもしれない。 子ゆっくりは餡子を詰め直した事により生き返った。 だがこし餡を作る過程で一家の餡子は程よく混ざり合い。 今一匹の子ゆっくりには十匹の兄弟と二匹の親計12匹の人格が混ざっているのだ。 一分ほど続いた合唱は全員同時に多重人格のストレスにより餡子を吐いて気絶してした所で止まった。 ゆっくりは動物以上にストレスに耐性がなくすぐに気絶や自殺よしたり、気を紛らわす為に同族を殺したり食べてしまったりする。 だがストレスでも餡の味は美味しくなりこれは最後のスパイスといった所だ。 更にはゆっくりの食べ物の消化は非常に早くこのままでは苺が餡子に消化され折角味付けた餡子もゆっくりが苺の味を覚えた事により不味くなってしまう。 だが気絶したり眠っている間は消化の時間が下がり、中の苺は食べる頃には程よく溶けて非常に上手くなる。 正にゆっくりの研究者の卵である俺が考えた『ゆっくり苺大福』の完成である。 最後は子ゆっくりが吐いた餡子をスプーンですくい口から詰め直すと十匹全部をタッパに入れる。 時計を見ると丁度良い時間だったのでタッパをリュックの中に入れ学校へと向かった。 外へ出る時、隣のおばさんにゆっくりの叫びがうるさいと怒られた。 だが昼ご飯にサークル仲間と分けて喰ったゆっくり苺大福は美味かった。 でもまさか同じようにゆっくり苺大福を作ってくるヤツがもう1人いたとは・・・しかも俺より餡子美味いし。 ~Fin~ こんにちは、此処ではsageの人と呼びます。 ただ単にゆっくりで料理したかっただけです。 自分どんだけサディストなんだよ・・・ このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/2177.html
2008年、秋、東京。 俺はカメラ片手に駅の改札を通った。 ターゲットはゆっくり霊夢。 俺は都会に住むゆっくり達のみすぼらしい姿を、ドキュメンタリー風に編集してyoutubeにアップロードしている。 それに関連したブログは日本語、英語の二ヶ国語で配信。 全ては、アフィうめぇと言える日のために。 先日アップロードしたドキュメンタリーは、ゆっくり魔理沙が主役だった。 繁華街に生きる、食事時には見たくない動画だ。 感想は世界中から届いたが、次の企画のタネになりそうな気になるメールがいくつかあった。 それは「れいまー」と呼ばれる、ゆっくり霊夢愛好家からの要望だ。 "私の愛するゆっくり霊夢が、日本でどのように生活しているのかとても気になります" といった内容のメールが、少なくとも300通ほど届いた。 なぜ断定できないのかというと、俺は日本語と英語しか読めないからだ。 感想メールは、フランス語、ドイツ語、ロシア語、中文、ハングルなど、それこそ世界中から届いた。 だから読めなかったメールの中にも、「れいまー」のご意見があったかもしれない。 一度、ネット上の自動翻訳にかけた時に「ゆっくり霊夢」という単語が何回か出てきたこともあった。 ゆっくりアリス愛好家「ありさー」や、ゆっくりパチュリー愛好家「ぱちゅりあ」などのメールもあったが、れいまーが一番多かった。 なので、今回のターゲットはゆっくり霊夢なのだ。 秋と言っても、まだ9月始め。 夏は最後の抵抗とばかりに、気温を上げてくるだろう。 早朝に出てきたのは、早めに取材を始めて終わりにしたかったのもある。 貴重な土曜日なのだ。 「さて・・・っと」 ゆっくり霊夢を探すといっても、単体ではつまらないと思う。 個人的に、ゆっくり霊夢の魅力はそのアホさと、母性にあると思っているからだ。 前にテレビCMで流れていた、とある政党の広告が記憶に新しい。 「家族とゆっくりできる日本を作る!」 というフレーズだった。 とりあえず流行りモノを利用しとけという、いかにも政治家らしいCMである。 そのCMの主人公は、ゆっくり霊夢であった。 周囲は薄暗く、広い部屋から物語は始まる。 プチトマトほどのゆっくり霊夢は、親もなく、孤独におびえていた。 ぷるぷると小刻みに震え、悲しげに泣く赤れいむ。 すると、そこにその党の党首が現れる。 大きな掌に赤れいむが乗り、満面の笑みを浮かべるのだ。 それから成体になるまでの時間は、アルバムをめくるかのようなエフェクトで進む。 お風呂で笑う赤れいむ、野菜に目を輝かせる赤れいむ、ケガをして大泣きする子れいむ、ベッドで党首に寄り添って寝る子れいむ。 1匹のゆっくり魔理沙と出会い、恋をして、プロポーズをされる。 そうすると、アルバムが閉じるエフェクトが入るのだ。 最初、赤れいむが孤独におびえていた部屋。 そこには成長し、親れいむとなったれいむと、伴侶の親まりさ、そして小さな赤ちゃんゆっくりが8匹もいる。 「おじさんのおかげでゆっくりできたよ!これからもゆっくりしていってね!」 それに笑顔で党首は応え、視聴者に向かってキャッチフレーズを言うのだ。 そのCMはそれなりにインパクトがあったようで、ペットショップでれいむ種が飛ぶように売れたらしい。 一時の流行でペットを買うあたり、実に情けない国民性である。 そもそも、れいむ種に限らず大抵のゆっくりは母性が強い。 なんとなくイメージがついているだけで、母性の強さは個性によるものが大きく、種の平均を見てもたいして変わらないと専門家がよく言っている。 しかし、ゆっくり大国の日本がそんなイメージに染まっているせいか、諸外国でも「れいむ種=母」といったイメージが強い。 ブログを見てくれている外国人も、きっとそういうものを期待しているのだろう。 あえて、母性のカケラも持たずシビアに都会を生きるれいむを撮影してもよいのだが、今回は家族を持つれいむ種を追うことにする。 「ん、いきなりか」 駅を出て少し歩くと、乱雑に投げ出された自転車の山の中に、1匹のゆっくり霊夢がたたずんでいた。 「ゆっくりしていってね!!!」 俺が注目していることに気がついたのか、そのれいむは俺に向かってお得意の挨拶をしてくれた。 都会に住むゆっくりは、大抵愛想がいい。 「ああ、ゆっくりしていってね」 自転車をかき分け、俺はれいむに近づいた。 大きさはバスケットボールよりも少し大きい。 かなりの大型だ。 「ん?」 そして、綺麗だった。 髪の毛は油汚れやホコリがついていることもなく、サラサラとしている。 リボンの赤がまぶしい。 「お前、ペットか?」 「ゆゆ!そうだよ!おにいさんをゆっくりまってるの!」 ペットだというのに、リボンにペット証が付いていなかった。 人目につくとは言え、ペット証も付けずに放置するなど考えられないことだ。 つまり考えられることは一つ。 「いつから待っているんだ?」 「ゆー!きのうからだよ!おにいさんがいってたよ!ここでゆっくりしてねって!」 要するに、捨てられたのだ。 捨て犬、捨て猫のように、捨てゆっくりは今や大きな社会問題の一つになっている。 残念ながら、飼い主の住所氏名を言えるようなゆっくりはまずいない。 なのでペット証を外せば、簡単に捨てられてしまうものなのだ。 「おにいさんが、れいむにおともだちをつれてきてくれたんだよ!はやくかえっていっしょにゆっくりしたいね!」 ゆんゆんと歌い始めるれいむ。 まだ捨てられたことに気が付いていないのだ。 「お友達か。なんて友達?」 「ゆゆっ!まりさだよ!すごくゆっくりしたあかちゃんだよ!れいむのあかちゃんじゃないけど、いっしょにゆっくりしたいよ!」 俺はカメラを構えていた。 これは使えるかもしれないからだ。 「そーか。可愛いまりさなのか。よかったなー」 「ゆゆん!とってもうれしいよー!」 満面の笑み。 れいむは知らない。 最近、まりさ種が注目を浴びていることに。 最近始まった、大手飲料メーカーがやっているCMは、ゆっくり魔理沙が主人公だ。 そのCMがウケた結果、まりさ種がブームになっている。 元飼い主はきっと、あの政党のCMを見てこのれいむを飼い始めたのではないだろうか。 れいむの大きさとCMの時期から考えて、そんな感じがする。 そして次のブームが来たので、古いれいむは捨てて新しいゆっくりに手を出したと。 「まあ、お前はでっかいからなー」 「ゆ?」 ぽむぽむとれいむの頭をなでる。 そう、無駄に大きい。 はっきり言って部屋の邪魔になるレベルだ。 求めるエサの量も多いだろう。 しかも大きいからといって、メリットもない。ごく潰しの粗大ゴミだ。 まりさ種ブームがこなくても、いずれ捨てられたのではないだろうか。 「ま、頑張って待ってな。俺はもう行くよ」 「ゆっくりがんばってね!」 何をするのかも分からない癖に、応援をしてくれる。 こんなに良いゆっくりを捨てるなんて。 世界のれいまーの方々はさぞ嘆き悲しむだろう。 せっかくなので、しばらくしたらまたここに来よう。 その時はきっと、いつまでも帰ってこない飼い主をボロカスになりながら待つれいむがいるはずだ。 コラムの題材に丁度いい。 そんなことを考えながら、俺は家族持ちのゆっくりを探しに行った。 翌日。 俺はまた昨日と同じ駅で降りた。 昨日は一日探したというのに、家族持ちのゆっくりは1匹も見つからなかった。 独り身の成体ゆっくりは腐るほどいたというのに。 やはり、エサの少ないこの地区では家庭を持つのは厳しいのかもしれない。 俺は前に撮影をした繁華街に行こうと考えていた。 わざわざこの駅で降りたのは、昨日見つけた、捨てゆっくり霊夢の様子を見るためだ。 「ゆぅ・・・・おに・・・ざ・・・」 昨日と同じ場所。 そこにいたれいむに、昨日の面影はなかった。 「随分とまあ・・・」 カメラを構える。 「昨日のれいむかな?」 小型マイクを手に乗せ、れいむの方に向ける。 それをエサだと勘違いしたのか、れいむが一瞬だけ目を光らせた。 「これは食べられないよ」 しゅん、と小さくなる。 そして泣き始めた。 「ゆぉっ・・・ゆゆゆうううう・・・!おにいざんもどっでぎでよぉおお!!!」 電車の音と、鳥の声だけが響く早朝の空に、れいむの嘆きが混ざる。 そして、その嘆きに応えたのは俺ではなかった。 「おきゃーしゃん!なかないで!」 「ゆっくちしようね!」 「ゆー!」 そう、れいむは一晩で親となっていた。 何度頬を重ねたのかは分からない。 だが、俺の目の前には50匹をゆうに超える赤ちゃんゆっくりが所狭しと犇めいていた。 「こりゃ凄い」 ぞわぞわと動く様は、ヘタな害虫よりも気持ち悪い。 親れいむに「すーりすり♪」と言いながらまとわりつくプチトマトの集団。 ヒルか何かに浸食されているようだ。 「れいむ、これどうしたんだ?」 頭は撫でない。 昨日に比べると、だいぶ薄汚くなっている上に、赤ゆっくりを実らせていた茎が生えっぱなしだったからだ。 茎は6本。 交尾が成功した回数だけは分かった。 「ゆっ!ゆっ・・・!」 ぽろぽろと涙をこぼしながら、親れいむはゆっくりと話し始めた。 昨日、俺が立ち去った後もれいむはここで元飼い主を待っていたらしい。 だが、いつまでたっても飼い主はやってこない。 諦めず、それでも待っていると1匹のゆっくり魔理沙がやってきた。 動く汚物のようなまりさだったという。 飼いゆっくりとして生きてきたれいむには、直視できるものではなかった。 「ゆ!すごくきれいなれいむだね!」 そう言いながら、まりさはれいむに寄って来た。 れいむは逃げ出したかったが、逃げた間に元飼い主が来るかもと思い、逃げられなかった。 「すごくおっきくてゆっくりしてるね!きれいなりぼんだね!まりさとゆっくりしていってね!」 そのまま頬を押し付けられ、初めての交尾を経験したのだという。 一度の交尾でまりさは満足してどこかへ行ってしまった。 残ったのは頬に残る不快感と、頭に生えた茎。 飼いゆっくりは、野良ゆっくりから見れば絶世の美ゆっくりだ。 栄養状態もよく、大型であったれいむは魅力的な存在だった。 その後も、近くを通ったゆっくりに次々と頬を押し付けられ、交尾に疲れて眠ってしまったのだ。 「なるほど。お前は可愛かったからな」 過去形。 なぜなら今はあまり可愛くない。 「おちびちゃんたちもかわいいよ・・・」 ぴょんぴょん跳ねる赤ゆっくり、まりさ種を親れいむは舌でぺろりと舐める。 嬉しそうに赤まりさは跳ねる速度を上げた。 「どぼじで・・・れいむはなにもわるいごどじでないのにぃい・・・む゙りや゙りずっぎりずるなんでひどいよぉお・・・」 赤ちゃんの誕生は嫌ではないようだが、無理やりのすっきりがお気に召さないようだ。 「しかし、どんだけ種類いるんだコレ」 見れば、れいむ種とまりさ種がほとんどであったが、ありす種やぱちゅりー種までいる。 栄養たっぷりの親れいむだからこそできた出産だろう。 「家庭を持つゆっくり霊夢」という条件は満たせないが、「子を持つゆっくり霊夢」というシチュエーション。 良い題材かもしれない。 「捨てられた飼いゆっくりの末路」というテーマでうまいこと編集しよう。 俺は素早く、親れいむのリボンに小型マイクを仕込んだ。 「ゆ?」 違和感を覚えたのか、親れいむが声を出す。 何か言われる前に、俺が先制する。 「ま、そのうちお前の飼い主も帰ってくるだろうよ。ガンバレ」 「ゆっ・・・ゆっくりりかいしてるよ・・・ゆぅ・・・」 小さく丸くなった親れいむをおいて、俺はその場を離れた。 幸い、近くには隠れて撮影するのに好都合なモノがいくつかある。 俺はとりあえず高架橋の柱に身を潜めた。 『・・・ゆゅ・・・おにいさぁん・・・・れいむ、ゆっくりできてないよぉ・・・・』 耳につけたイヤホンから、親れいむの独り言が聞こえてくる。 『ゆゅー!』 『おきゃーしゃん、おなかちゅいたー!』 同時に、赤ゆっくりの甲高い声もマイクに届く。 『ゆ・・・!ごめんね!おにいさんがかえってきたら、すぐゆっくりできるからね!』 どうやらあの親れいむは、茎を落として食べさせることを知らないようだ。 粗悪品を売る、激安ペットショップ出身かもしれない。 困惑する親れいむの顔にズームイン。 頭にエサがあるというのに、無知とは罪なものだ。 メガネを額に上げたことを忘れて、メガネメガネと彷徨う人のよう。 『ゆー!もうがまんできにゃいよ!』 『ごはん!ごはーん!』 『れーみゅ、あまあまたべちゃい!』 『まりしゃも!』 『ありちゅもあまあま~!』 『むきゅ・・・・・ぱ・・・も・・・』 少し離れているが、赤ゆっくり達の声はマイク越しでなくとも聞こえる。 「住宅街だったら即死だな」 もっとも、あんな危機意識のないゆっくり達は即死でなくともいずれ死ぬ。 死までの時間が少し長引くだけだ。 『あかちゃんたち、おねがいだからがまんしてね!おにいさんがきっとゆっくりさせてくれるよ!』 『はやくゆっくちちたい!』 『おかーしゃんはゆっくちさせてくれないの!?』 『もうがみゃんできないいい!!』 『ゆっ!?おにいしゃん!ありちゅにごはんちょうだいね!』 1匹の赤ありすが、道行く男性に声をかけた。 スーツ姿の男性だ。時間的に、休日出勤をするサラリーマンだと思う。お仕事お疲れです。 『きいてりゅのぉ!?』 男性は赤ありすとゆっくり約50匹をちらりと見ると、すぐに視線を正面に戻して歩いて行った。 一言も、赤ありすに言葉をかけることなく。 『ゆぎゅ!いなかもにょ!ありちゅにごはん!』 野良ゆっくりの相手などする人間は、ほとんどいない。 マナー違反であるし、下手に甘やかせば余計に酷い思いをすることが多いことを知っているのだ。 「ああ、出勤時間か」 時計を見れば、今は出勤するサラリーマンが増えてくる時間帯だ。 柱に隠れてカメラを構える俺は、さぞかし怪しい姿に映るだろう。 最悪、盗撮魔と通報されてしょっぴかれてしまうかもしれない。 「んー」 数秒考え、俺はカバンを近くのフェンスに引っかけた。 続いて、カバンにカメラを入れる。 「角度は・・・っと」 カバンには穴が空いているので、そこにレンズを突き通す感じでセッティング。 ちゃんと録画されていることを確認し、俺はフェンスに寄りかかるように座った。 パッとみた感じ「フェンスに寄りかかって音楽を聴いている男性」に見えないこともない。 ただ、カバンとカメラを調べられたら一発で盗撮の烙印を押されてしまうので注意だ。 『ゆゆ!おねえさん!れいむのおにいさんをしってたらゆっくりおしえてね!』 そうこうしている内に、駅に向かうサラリーマンやらOLが増えてきたようだ。 親れいむは道行く人に、必死で元飼い主のことを尋ねている。 健気だ。 『ゆっくりしてね!おねがいだかられいむにおしえてね!』 1人のOLに目をつけた親れいむが、ぴょんぴょんと跳ね寄って行く。 『ちょっ・・・ちょ、こっち来ないでよっ!』 カメラの角度が気になったが、多分撮れているだろう。 親れいむは必死でOLを追いかけていた。 まるで、そのOLが飼い主であるかのように。 そしてそれに赤ゆっくり達も続く。 多分何も分からず、とりあえず親に置いて行かれないようにしているだけだろう。 50匹近い赤ゆっくりの集まりは、丸い影のようにも見える。 それがぞわぞわと動いているのだ。 『うっわ、きっもぉ!何でこんなに湧いてんの!?』 片足を上げ、露骨に嫌な顔をするOLと、それを哀れそうに見つめるサラリーマン達。 『ゆ!れいむのかわいいあかちゃんだよ!ゆっくりあやまってね!』 『ゆー!ゆっくち!』 『おねーしゃんはゆっくちできりゅひとぉ?』 『いっちょにゆっくちちようね!』 『ありちゅがしゅりしゅりしてあげるね!』 親れいむに追いついたため、マイクに赤ゆっくりの声が届いた。 『・・・うっざ。も、いいわ』 言うが早いか、OLは全力疾走で駅の方へと駆け抜けていった。 『邪魔だ、どけ』 次に飛び込んできたのは、低い声。 近くにいた、頭をハゲ散らかした男性が言ったようだ。 『むー!じゃまじゃないよ!ゆっくりおこるよ!ぷんぷん!!』 『ぴゅんぴゅん!』 『ぷんっ!』 親れいむはその事実を否定するが、はたから見ても邪魔そうだった。 本格的に人が多くなってきたこともあるし、親れいむはじめ赤ゆっくりは道のド真ん中でぷんぷんしているのだ。 ここは駅に行くのにちょうど良い道であるし、さぞかし邪魔だろう。 そんな、混雑した道。 1匹の赤まりさが、親れいむを中心とした塊からはぐれていた。 無数に動く足のなか、その姿を発見できたのは奇跡といっていいだろう。 『おちびちゃん!こっちにおいで!そっちはゆっくりできな』 言い終える前に、赤まりさは潰れされた。 悲鳴も聞こえない。 潰れた音も聞こえない。 聞こえるのは、人の込み合う時に出るごみごみとしたノイズだけ。 しかし親れいむの眼には、赤まりさが潰された様子が鮮明に写っていたようだ。 『れ゙い゙ぶのあがぢゃ゙ん゙ががあぁあ゙ああ゙っ!!!!』 イヤホンから飛んできた爆音に、俺は一瞬目を瞑った。 一気にどよめく人の波。 親れいむの叫びは、ものすごい音量であった。 『あがぢゃんだちぃぃぃ゙い゙!はや゙ぐにげでぇええっ!!ごごはゆ゙っぐりできな゙いよぉぉ!!』 『ゆっ!?』 『ゆっきゅりできにゃい!?』 『こわいいぃい!!』 ゆっくりできないという事実に、赤ゆっくり達は恐怖した。 道の中央で一か所に集まっていた赤ゆっくりは、四方八方へと蜘蛛の子を散らすように逃げていく。 「うえっ!!ふんじまった!」 「げえ!きったねえ!」 「こっちくんなっ!」 残念ながら、親れいむの叫びで波は止まらなかった。 どよめきながらも、駅へと進む人々。 プチトマトほどの赤ゆっくりは次々と潰されていく。 『や゙べでえぇえっ!!れいむ゙のあがぢゃんふまないでぇええええっ!!!』 そんな切なる願いに返ってきたのは、踏んだことに対する嫌悪感に満ちた声。 『ゆぼおぉおっ!?』 すると、誰かに蹴られたのか、親れいむが人の中から飛び出してきた。 一瞬、俺と目が合うが、すぐに視線をさっきまでいた場所に戻す。 『あがぢゃんっ!あ゙がぢゃん゙ん゙゙ん゙んん゙っ!れいむの゙ぉおっ!!れいぶのあがぢゃんっ!がえじでぇ!!ゆっぐりがえじでねっ!!』 親れいむは戦場へと戻って行った。 2時間後。 親れいむは道の隅で目が覚めた。 メタボリックな人に踏みつけられ、ずっと気を失っていたのだ。 「ゆ゙・・・!?あ、あがっ、あがぢゃんっ!?」 もう歩く人はまばらだった。 だからよく見える。道にこびりついたいくつもの円が。 「ゆがっ・・・ゆぎ・・・あがっ、れいぶのっ・・・!?」 一番近くにあった黒い円に、親れいむはソロソロと近づいた。 俺は背後からカメラを構えている。 「おちびぢゃん・・・まりざのおちびちゃん・・・」 黒い円の中心に、ぐちゃぐちゃになった帽子らしきものがある。 赤まりさの変わり果てた姿だ。 実に汚い。 「ごっぢは・・・れ、れいぶど、れいぶどおなじおぢびぢゃん・・・ゆぅっ!」 次に近寄った円の中心には、黒と赤で見事なコントラストを奏でるリボンが置かれていた。 「あ、ありずのっ・・!おちびぢゃん・・・ゆぐうぅう!!」 薄い黄色の円は、赤ありすの潰れた跡だ。 皮とカチューシャが比較的分かりやすく残っていた。 朝からこんな不快な光景を目の当たりにしたサラリーマンが哀れでならない。 「どぼじでぇっ!?どぼじでごんなごどずるのぉおおっ!!?おにいざんどこにいるのぉお!?れいぶゆっぐりできないよぉぉお!!」 顔面をコンクリートに近づけながら、親れいむは嘆き悲しむ。 すると、フェンスの隙間から1匹の赤ゆっくりが近寄って来たではないか。 「おかーしゃ!れいみゅだよ!ごわがっだよぉおお!!」 ゆゆーと泣きながら、赤れいむは親れいむの頬へと飛び込んだ。 この赤れいむが唯一の生き残りのようだ。 「ゆっ!おちびちゃん!よがっだよおぉお!!いっじょにゆっぐりじようねっ!!みんなのぶんもゆっぐりじようねぇえええ!!」 「ゆっきゅりちたいよおぉお!!おかーしゃんとゆっきゅりちちゃいよぉお!!」 すぐに激しいすりすりが始まった。 大量に子を失った悲しさを埋めるように、2匹は体をこすり合わせる。 交尾とは違う、親れいむが赤れいむを包み込むように動くすりすり。 赤れいむの表情は涙であふれていたが、明るい顔をしていた。 「お、こりゃまずい」 ふと顔を上げると、数人の男性の姿が目についた。 全員が作業服を着てこちらに向かってきている。 俺は、親れいむに近づいた。 その顔は赤れいむと同じく涙でいっぱいであったが、優しい笑顔をしていた。 「マイク、返してもらうよ」 一言つぶやき、リボンからマイクを回収する。 「失礼します、こちらのゆっくりは」 立ち去ろうとする俺に、作業服を着た男性が声をかけてきた。 彼らは保健所の人間だ。 朝のラッシュの騒動で、誰かが連絡したに違いない。 こんなに仕事が早いなんて、公務員もバカにしたものではないと思う。 いつか、保健所の取材でもしてみたい。 「ああ、野良のゆっくりでしょうね。俺のじゃないですよ」 さよなら、ゆっくり霊夢。 最期に親子の絆を確認できてよかったね。 俺は餡子を踏まないように気をつけながら、駅へと向かった。 ふと壁を見ると、餡子がこびり付いている。 赤ゆっくりを踏んだ誰かが、靴をすりつけて汚れを落としたのかもしれない。 「やべでぇええええっ!!!れいぶのあがぢゃんがえじでぇええっ!!!」 背後から変な声が聞こえたが、俺は振り返らなかった。 おわり このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/181.html
「ゆっくりメダル」 [参考:ゆっくり虐待スレ3 341] ゲームセンターによくある、メダルをタイミングよく投入すると迫り出す板によって端のメダルが 押し出されて落ちるやつ。ありますよね。 あれをゆっくり達でやってみようと思います。 メダルと違って、ゆっくりを投入するタイミングはあまり問題になりません。 適当なタイミングで投入すると、投入されたゆっくりは板の上を埋め尽くすゆっくりたちの上に転 がり落ちる。そして、板が移動して隙間ができたところで、自ら転がってその隙間に落ちていきます。 つまり、メダルだとタイミングよく投入しないと隙間にメダルを落とせないのに、ゆっくりの場合 は勝手に移動してくれるわけですね。 「ゆっくりー!れいむもここでゆっくりするよ!!」 さて、もともとスペースにゆとりがなかったところに、一匹ゆっくりが増えたわけですから… 次に板が迫り出したとき、最低一匹のゆっくりが落ちることになります。 「落ちたくないよ!!ゆっくりできないよ!!」 「れいむは落ちないよ!!まりさが落ちればいいよ!!」 「ゆっくり落ちていってね!!」 端のゆっくりたちが押し合います。どうやら落ちたくないようです。 当然のことです。落ちてしまったら、もう“ゆっくりできない”のですから。 落ちた先で待ち受けるのは、ふたが開いた透明な箱。 大きさは、ちょうどゆっくり一匹分… みんな、そこに落ちたらどうなるか知っているのです。 周囲は電流が流れる鉄板で囲まれているので、逃げ場はありません。 板が迫り出して、どんどんスペースが狭くなっていきます。 それに従って、ゆっくりたちの争いも激化します。 「ゆっくりしたいよ!ここでゆっくりざぜでえ゛え゛!!!」 「ここでゆっくりするのはまりさだよ!!れいむはゆっくり落ちていってね!!」 そんな醜い争いの中、ゆっくりれいむとゆっくりまりさの2匹が落とされました。 急な斜面を、2匹は必死に登ろうとします。 お互いを蹴落としながら、生まれながらの粘着力で何とか上に戻ろうと… でもぎりぎり登れない角度に設計されているので、結局2匹は箱の中に落ちていきます。 箱の大きさは、さっきも説明したとおり一匹分です。 しかし、2匹は無理やり箱に押し込められ、ふたが閉じられてしまいました。 「ぐるじい゛い゛い゛い゛い゛!!ごごがらだじでえ゛え゛え゛!!」 「ゆっぐりざぜでえ゛え゛え゛え゛え゛!!!」 箱の中でも居場所をめぐって押し合う2匹。この期に及んでまだゆっくりしたいようです。 通常の半分に圧縮されたゆっくり2匹は、ベルトコンベアで運ばれていきます。 そしてほかのゆっくりたちによく見える位置に移動すると… 「びゃあ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛!!やめ゛でえ゛え゛え゛え゛え゛!!!」 「どおじてぞんなごどずるの゛お゛お゛お゛!!??」 「しんじゃう!!しんじゃうよぼお゛あ゛お゛お゛お゛!!!」 箱の容積はどんどん小さくなり、中のゆっくりが押しつぶされていきます。 「れいむがゆっくりできないよ!!ゆっくりたすけてあげてね!!」 「ま゛り゛さ゛あ゛あ゛あ゛!!ゆ゛っくり゛してよお゛お゛お゛お゛!!!」 「お゛にいさん!!ゆ゛っくり゛してない゛でたすけてあげてえ゛え゛え゛!!」 見ているゆっくりたちがわめきます。 さっきまで醜い争いを繰り広げていたゆっくりたち。 あの2匹が落ちた原因が自分達であることも忘れて、2匹を助けるよう懇願します。 箱の圧力が高くなっていくと、ゆっくりの皮が破れて中の餡子が丸見えになってしまいます。 行き場の無くなった餡子は、下の穴から漏れ出していき… 「あ………ばっ……ゆ゛っ……っぐり…!」 「ゆ゛っ……ゆ゛ゆ゛っ……ゆ゛ーーーーあぼろっれべげばへおばおあえrkごえ!!!」 目から口から裂け目から、至るとこから餡子を出して、苦しみと絶望の中でゆっくりは息絶えます。 それを見ていたほかのゆっくりたちも、次は自分がこうなるかもしれないという恐怖の中、 ゆっくりできる場所を求めて争い続けるのです。 あ、ちなみに2匹のゆっくりを落としたので、2匹の別のゆっくりが排出口から戻ってきます。 この2匹には、ガラスの向こうにいるたくさんのゆっくりがどんな目にあっているのか、わかっていないようです。 「ゆっくりしていってね!!みんなもゆっくりしていってね!!」 「みんな楽しそう!!れいむもあそこでゆっくりさせてね!!」 プレイに飽きたら、持ち帰って虐待するもよし、食すもよし、加工場に売るもよし。 楽しみ方は無限大!! 「ゆっくりメダル」でたくさんゆっくりしていってね!!