約 3,642,637 件
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/2320.html
SSやイラストなどからネタをパクっています ここのゆっくりは、すっきりするゆっくりです 俺設定をひたすら綴ってみました タイトル「ゆっくり2匹目」 ゆっくりに心惹かれ、いつかまりさを飼ってみたいと思っていた。 どうせ飼うなら、高級品種をと思っていた。 ゆっくりハウスも段ボール製の安物ではなく、木製の高級品を与えたい。 ゆっくりフードもカロリー控えめ栄養価の高い高級品を与えたい。 ゆっくり用おもちゃも、量産品ではなく職人による手作りのものを与えたい。 収入とにらめっこしながら、具体的な構想を練ってみる。 ハウスやおもちゃはともかく、ゆっくりフードのような消耗品には妥協が必要だろう。 高級品種は野良のように際限なく餌をねだるような下品なことをしないから、ちょっと安めのものでもきっと大丈夫。 初期投資分さえ用意できれば、まりさとの日々は妄想でなくなる。 青年は必死に貯金をした。 毎日特売のカップラーメンをすすり、必死に働いた。 もちろん定時でばっちり帰宅。 残業は一切しない。 そうしなければ、まりさが我が家に来たとき、寂しい思いをさせてしまうではないか。 残業なんかしたら、まりさがきっと心配する。 生活全てをゆっくり中心にする準備を着々と整えていった。 ついに資金が確保できた。 早速、ゆっくりショップに出かける。 入り口付近のケースに放り込まれている躾の行き届いていない下品なゴミ共に用はない。 目指すは店の奥、高級品種のコーナーだ。 一匹50円からの安もの共とは桁違いの高級品種達は、豪華な人工芝がしかれたケース内で実にゆっくりとしている。 青年は目的である高級まりさを確認した。 『子まりさ 250,000円』 値段表の金額を見ても、青年の決意は揺るがなかった。 高級ゆっくりハウス :80,000円 職人による手作りおもちゃセット :15,000円 青年は妥協しなかった。 高額お買い物してくれたので、高級ゆっくりハウスはその日のうちに配達してくれると店長さんが言ってくれた。 そのまりさは完璧だった。 朝は青年より早く目覚め、「ゆっくりしていってね!」 朝食も食べこぼしなどせず、「むーしゃ、むーしゃ、しあわせ~♪」 飼い主によっては、この「むーしゃ、むーしゃ」を嫌う人もいる。 そんな飼い主の場合は、静かにごはんを食べることも出来る。 まさに高級ゆっくりたる所以だ。 仕事に行くときには玄関まで見送りに来て「ゆっくりいってらっしゃい!」 帰宅したら「ゆっくりおかえりなさい!おしごとおつかれさま!」 うるさくご飯の催促をすることも、遊びを強要することもしない。 飼い主にほとんど面倒をかけない、できておるゆっくりであった。 青年は幸せだった。 まりさは、餌が安物だったせいもあり、すぐに成体サイズまで成長した。 可愛い子まりさ状態をキープするには、高級フードによるカロリー制限などが必要なのだ。 しかし、青年は成体まりさになっても愛を失わなかった。 まりさに癒され続けた青年は、だんだん仕事中にまりさを一人きりにしていることを申し訳なく思うようになっていった。 これは青年の間違いで、高級品種になると孤独をストレスに感じるようなことはない。 しかし、ゆっくりを飼えない時代にSSなどを読みまくったのがいけなかった。 青年が好きなジャンルが「家族愛もの」だったことも、まずかった。 さらにゆっくりペット業界が多頭飼いを誘発するような、ゆっくり家族の仲睦まじい姿の広告をバンバン打ったために、洗脳されていた。 ゆっくりは、家族で暮らすのが、一番のしあわせ~♪ 青年はゆっくり好きになった時からずっと業界に踊らされていたのかも知れない。 まりさはあまりにできておるゆっくりだった。 そのため、青年が当初予想したより維持費がかからなかった。 「もう一匹くらいなら…」 もちろん、高級品種を買うような予算はない。 だが、青年には安物でもちゃんと飼える自信があった。 子まりさから成体まりさまで育て上げたという自負があったからだ。 躾が行き届いたゆっくりだったからこそ、それが可能だったという真実を、青年は完璧に見落としていた。 青年はゆっくりショップで50円れいむを買った。 野良でもいいかとも考えたが、実際に野良ゆっくりを見てやめた。 病気を持ってそうなくらい汚く愛想が悪かったからだ。 家に帰るとまりさがお出迎えしてくれた。 50円れいむは高級品種であるまりさに一目惚れした 「ゆう~ん、とってもゆっくりした まりさだよ!すっきりしたいよ!」 れいむがこの発言をした時点で潰すべきだった。 だが不幸なことに、青年は食事の用意でその台詞が聞こえないところにいた。 まりさにおうちまで案内されて、れいむは吃驚した。 なんという、なんというゆっくりしたおうちッ!!! 「きょうからここを れいむのゆっくりプレイスにするよ!!!」 あろう事か、おうち宣言をした。 悪いことに高級まりさはおうち宣言などの、自己の権利を主張する本能をごっそり削られている。 飼い主に完全隷属するようにカスタマイズされているのだ。 だかられいむのおうち宣言を理解できなかった。 その行動をたしなめるという発想すら出来なかった。 青年は最初、れいむの傍若無人な態度に業を煮やしていた。 だが、自分はまりさをこんなに立派に育てたではないか。 いずれこのれいむも、まりさのような素敵なゆっくりに躾けてやろう。 じつはその自信には根拠が欠片もないことに、青年は気付けなかった。 いままでのゆっくりライフは、まりさのおかげだったというのに…。 高級ゆっくりは、それと気付かれないように、常に飼い主を観察している。 今飼い主は疲れているか、怒っているか、機嫌が悪いのか良いのか…などなど。 そして飼い主が喜ぶ行動を常に取るように、本能に刻まれている。 それが全て悪い方向へと向かっていった。 れいむと仲良くすると、青年が喜ぶ。 だかられいむと「仲良く」していた。 れいむは激しく勘違いをした。 「こんなにせっきょくてきにすりすりしてくるなんて、れいむと すっきりしたいのねぇええ!」 所詮50円の餡子脳。 悲劇は青年が仕事に行っている間に起こった。 家に帰り着いたのに、まりさのお出迎えがなかった。 不審に思い、真っ先にゆっくりハウスを見に行った。 ゆっくりハウスの前では、大量の蔓を生やして黒ずみかけているまりさがいた。 そして、ゆっくりハウスの中ではれいむが仰向けになって眠っていた。 まりさはれいむが体験したことがないほど高級だった。 肌のすべすべ感も、ちゅっちゅの感触も、まむまむの具合は筆舌に尽くしがたいほど最高ッ!!! 何度も何度もすっきりーしたら、急にまりさの具合が悪くなった。 れいむは疲れたため、まりさなど気にせずゆっくりハウスに戻って眠った。 まりさの死の責任は、全て青年にある。 まりさが高度に躾けられた個体であること、そのおかげで飼育が楽だったことに思い至らなかった。 自分の飼育スキルが高くないことに気付かなかった。 そして、ゆっくりを飼うことに無知でありすぎた。 青年には、住人のいなくなったゆっくりハウスとまりさのおぼうし、そして透明な箱に入れられた50円れいむだけが残った。 あとがき 読んでいただいた方、ありがとうございました。 SSを読んでると、ほとんどの作品で2匹目を飼って後悔して虐待に走っています。 最初に高級品を買って慣れてしまうと、次からグレード下げてもうまくやれるさ、と勘違いすることは良くあると思います。 だから、ゆっくりも初めて飼うときは気合いを入れて高級ゆっくりを飼うのではないかと。 そして次飼うときは、安い奴でもうまく飼えるさと、勘違いするのではないかと。 相変わらずうまくまとめきれませんでしたが、楽しんでいただければ幸いです。 これまで書いた作品 ゆっくり爆弾 ゆっくりの光 ゆっくり訪問 ゆっくりの名前
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/2100.html
「かわいそうなれみりゃをかいほうしてあげよう!!!!」 ここは一つのゆっくり達の群れである。 ドスはいないが、その分ゆっくり達の知能も高く、むやみやたらに人間のものを盗むような輩はいない。 問題が起こったときには、ゆっくり裁判と言う、言ったもん勝ちの裁判を行い有罪か否かを決める。 そして、本日行われた裁判。 議題は、ゆっくり霊夢の一家がお散歩の途中で見つけたお屋敷でのことだった。 「うっう~~~♪ れ☆み☆りゃ☆だどぉ~~~~♪」 「ゆ!! れみりゃだよ!!! みんなかくれてね!!!」 屋敷の中でれみりゃを確認した一家は、即座に身を屈めて姿を隠した。 トレードマークのリボンが草原で存在感を誇示しているが、特に問題ではないのだろう。 「うっう~~~♪ れみりゃおさんぽにいくどぉ~~~~!!!」 「おぜうさま~~~♪ ぷっでぃんをおもちしましたよ~~~♪」 「う~~~~~~!!!!! ぷっでぃ~~ん!! おっぎぃ~~~~どぉ~~~~~~~!!!」 「おいしいですか? れみりゃさま?」 「うっう~~♪ べりーでないすだどぉ♪」 外に出ようとしたれみりゃは、興味をなくしたようで、プリンをぱくつきながら屋敷の中へと戻ってゆく。 それは、紅魔館ではよく見る光景であった。 その後ろには、獲物を見つめるような目をした小悪魔とスカーレット姉妹が隠れていたりするのだが、今回は割愛させていただく。 「ゆゆゆ!!! あのれみりゃはにんげんにつかまってるんだよ!!」 「ほんとだね!! おさんぽにもいけないなんて、ゆっくりできないね!!!」 しかし、飼うという概念を知らないゆっくりにとって見れば、この光景は正に人間がゆっくりを閉じ込めていることに他ならず、いくら捕食種といえども見過ごせないことであったのだろう。 「ゆっくりりかいしたよ!! いまからはんけつをいいわたすよ!!」 そして舞台は裁判に戻る。 家族から話を聞いたパチュリーは、他の事は一切聞かずに、息を大きく吸い込んで判決を言い渡した。 「そのゆっくりをかいほうして、このむれにむかえてあげるよ!!」 「ゆゆ!! だめだよ!! れみりゃはゆっくりできないよ!!」 「そうだよ!! みんなたべられちゃうよ!!」 一気に騒然となる観衆を尻目に、パチュリーは咳払いで間をおき、ゆっくりと話し出した。 「あんしんしてね!! ぱちゅりーのいうことをよくきいてね!!」 パチュリーが説明した内容は、助けてもらったのだからきっと自分達には返しきれないほどの恩が出来る。 そうしたら、れみりゃにボディーガートになってもらおうというものであった。 「それはいいかんがえだね!!」 「れみりゃがいれば、こわいものなしだね!!」 パチュリーの説明を聞き、この考えに同調したゆっくり達。 その頭の中には、空を縦横無尽に飛びまわるれみりゃが、敵をどんどんやっつけていく様子が思い浮かんでいた。 そのしたで、沢山の食べ物をこれでもかと食べている自分達の姿も幻視していた。 「むきゅ!! それじゃあ、これから、どうやってたすけるか、みんなでかんがえるわよ!!」 既に裁判はどこへやら、いかにしてれみりゃを助けるかという会議が行われていった。 既に大半のゆっくりがすやすや寝息を立て、巣に戻った子供達が空腹に負けて食料庫を荒らしまわる中、パチュリーとその他数匹のゆっくり達によって、その会議は深夜まで続けられた。 翌日。 練りに練られた作戦を実行するべく、ゆっくり達は行動を開始した。 「まずは、れいむたちがなかにはいるよ!!」 事実上の実行部隊となった一団が、眠っている門番の横をすり抜け、中に入っていく。 「れいむたちは、みぎにいったっていってたよ!!」 はじめて見る大きな建築物に、若干浮き足立ったメンバーに活を入れるべく強めの口調で話す魔理沙。 一団は、その言葉に従って門を抜けて右手へと進む。 「あれ? ゆっくりですか?」 しかし、そこにれみりゃの姿はなく、いるのは赤い髪が特徴的な小悪魔であった。 「ゆゆゆ!! ま、まりさたちはれみりゃのおともだちなんだぜ!!」 「わかってねー!! きょうもあそびにきたんどよー!!」 とっさに出たのは常套句の嘘であった。 箱入り娘同様に飼われているれみりゃに友達などいるわけはなく、屋敷のものからすれば明らかな嘘である事は見て取れた。 「あらあら。そうだったんですか。今なら、反対側で遊んでいると思いますよ」 しかし、小悪魔はあえて追求せずに親切にれみりゃがいる場所をゆっくりに教えていた。 満面の笑顔で説明する小悪魔を見て、ゆっくり達は親切なお姉さんと思った事であろう。 「ゆゆ!! おねーさんありがとーね!!」 「ゆっくりさせてもらうよ!!」 口々にお礼を言ってその場を後にするゆっくり達。 既にコソコソ進入した事を忘れて、かって知ったる我が家のように、堂々と庭を進んでゆく。 「うまくだませたぜ!!」 反対側へ回る途中、魔理沙が何気なく呟いた一言。 自分の機転で危機を回避できたことで、まりさはこの作戦が上手くいくことを確信していた。 「うっ!! う~~~~♪ れ☆み☆りゃ☆う~~♪」 言われた通り反対側へ着てみると、一匹のれみりゃがさも真剣と言うかのようにダンスを踊っている最中であった。 「ゆゆ!! れみりゃがいたぜ!!」 「わかるよー!! さくせんかいしだよ!!」 その合図に、物陰に隠れていたもう一つのゆっくりのグループが姿を現した。 そのグループのゆっくりは、どれもまだ小さく、成体ゆっくりと呼べるものは何一つなかった。 「ゆゆ!! おねーちゃんたちばっかりあそんでじゅるいよ!!」 「れいむたちもゆっきゅりあそびたいよ!!」 それは、昨日いち早く自分たちの巣にもどり、さっさと食糧庫を空にしたこゆっくり達。 表面上は、何のお咎めもなかったゆっくり達である。 「ゆんゆん!! おねーーちゃんたちは、しゃっさとなくなったごはんをあちゅめてね!!」 そして、お説教に耳をまったく貸さなかったゆっくりであった。 「だいじょうぶだよ!! このなかにはいれば、すっごくゆっくりあそべるよ!!」 「とってもゆっくりできるたべものがたくさんあるよ!!」 「ここからはいれるから、ゆっくりしていってね!!」 言うまでもなく、それは全くのウソ。 が、ゆっくりの、しかも子供にその真偽を判断できるわけもなく、とたんに目を大きくした子供たちはわれ先に紅魔館の中へと入って行った。 「う~~!! そこはれみりゃせんよ~~のつ~~ろだどぉ~~!!」 いつもは、れみりゃが出入りする通路から。 れみりゃの声に耳も貸さずに。 「うーー!! れみりゃをむしするなだどぉーー!!」 無視されたと思ったれみりゃは、両手を大きく上げて未だ庭にいる魔理沙たちに向き直る。 しかし、勢いあまって足をひねり、そのまま顔面から地面にぶつかってしまう。 「う~~!! う~~~~!!!」 余りの痛みに涙目になって泣き出してしまい、威嚇どころではなくなってしまった。 これ幸いと、魔理沙が代表して話しかける。 「ゆっゆ!! れみりゃ!! ここからにげるんだぜ!!」 「そんだよ!! こんなところにいたらゆっくりできないよ!!」 「う? 」 しかし、ここで満足な生活が出来ているれみりゃには、何が言いたいのか分からなかった。 従者である咲夜が、キチンとわがままを聞いていくれている。 たまに友人が消えることはあっても、それが自分でないのだから気にはならない。 「う~~? れみりゃはこ~まかんでゆっぐりしてるんだどぉ~~♪」 両手を大きく掲げ、今の生活の充実感を表現する。 しかし、今のゆっくり達には、それさえも演技にしか写らない。 「ゆゆ!! だいじょうぶだよ!! いまは」だれもいないからね!!」 「そうだよ!! さっさとにげるんだぜ!! まりさたちのむれにくるんだぜ!!」 「わかるよーー!! おいしーたべものがたっくさんあるよ!!」 「う? ぷっでぃ~んよりぃも~~?」 食べ物の話題が出た瞬間。 それまで、しかめっ面をしていたれみりゃの表情が劇的に変化した。 「もっちろんだぜ!! はやくくるんだぜ!!」 「う~~♪ はやくつれていくんだどぉ~~♪」 何不自由なく暮らしていたとしても、飽きる事は避けられない。 おいしい食べ物に釣られた格好ではあるが、れみりゃはゆっくり達の目論見通りに屋敷からの脱出を果たす事になる。 その時、紅魔館の中では、例の子ゆっくり達が元気百パーセントで遊びまわっていた。 「ゆゆっゆ!! ひっろ~~いよ♪」 「ゆっくりできるよ~~~!!」 「れいむたちの、ゆっくりぷれいすにしようね!!」 屋敷内を駆け巡り、大声で騒ぎ、勝手に自分達の所有物とする。 やっている事は殆どれみりゃと変わりないが、そんな事は関係ない人物がここには住んでいる。 「ちょっと……」 「ゆゆ? んびゃ!!」 「ゆ? まりさ……ぎゃ!!!!」 声の下方向を振り向くと、既にそこにはナイフが突き刺さった饅頭が二つ。 お供え宜しく、垂直にナイフが突き刺さっていた。 「こんなところで何してるのかしら? 一介の饅頭風情が」 その表情は、明らかに怒りのオーラを出しているが、そんな事に気が付くゆっくりではない。 「ゆゆ! おねーーさん! ひどいことしないでね!!」 「どうしてこんなことするの?! ゆっくりあやまってね!!」 「おなかすいたよ!! はやくたべものもってきてね!!」 口から出るのはどれも身勝手な事ばかり。 聞くに堪えない自己主張に構っていられない、とばかりにナイフを握り締め、踏み潰し、饅頭たちの殲滅にかかる。 「ゆっくちにげるよ!!!」 「かくれるよ!!」 「ゆゆ!! かぁっくれんぼだね!!」 広い屋敷内。 時間を止める能力を持っていても、既に隠れているモノを見つけるのは容易い事ではない。 結果として、彼女が考えるよりも、十二分に余計な時間がかかってしまう事となった。 その間に、ゆっくりはれみりゃを連れ、自分達の群へと無事到着する事が出来た。 そこには、群中のゆっくりが集まって、今か今かと帰りを待っていた。 「むきゅ♪ このむれにようこそ♪ かんげーするわ♪」 「うっう~~♪ かん、げ~されるんだど~~♪」 リーダーであるパチュリーの挨拶、そして歓迎ムードの群のゆっくり達を見て、ご機嫌になるれみりゃ。 そして、紅魔館のお嬢様としての自信の表れだろうか。 お礼とばかりに、たどたどしいダンスを踊る。 それを見て、お世辞抜きでそのダンスに賞賛の声を送るゆっくり達という、非情にシュールな光景が夕刻続いていた。 「それじゃあ。さっそくえんかいにしようね!!」 それを終わらせたのは、一匹のゆっくり霊夢の声。 目の前のご馳走の山。 お預け状態に、とうとう我慢の限界が来たようであった。 それは、他のゆっくりも同じだったようで、その言葉を合図に、我先に食べ物にかぶりついていく。 「うっう~~♪ れみりゃもたべるどぉ~~♪」 当然、食べ物に釣られてきたれみりゃも、おいしいモノを食べるべく、他のゆっくり同様に積み上げられた食べ物へと向かっていく。 しかし、いざ手にしようとしたところで、その両手を突き出しそのまま山を突き崩してしまう。 雪崩のように崩れる食べ物の山に、食べる事に夢中だったゆっくり達が食べる事を止め、一斉に れみりゃに視線を向ける。 「う~~♪ こんなのぽい♪ ぽい♪ だどぉ~~♪」 それをどう勘違いしたのか、れみりゃの行動はヒートアップしていき、そのまま散らばった食べ物をドンドンと音を立てて踏み潰してゆく。 「ゆぎゅう!! いだい!! いじゃいーー!!」 稀に、踏み潰した中に雪崩に巻き込まれた赤ちゃんゆっくりもいたが、ノリノリのれみりゃが気付く訳もなく、結局全てが潰されるまでれみりゃオンステージは続いていった。 「うっう~~♪ はやくすい~~つをもってくるんだどぉ~~♪」 全て潰し終えたことに満足したれみりゃは、運動したことも手伝って、空腹を訴えてきた。 が、野生のゆっくり達に用意できるものではない事は明らかで、ゆっくり達もどうして良いのか分からないと言った表情をしている。 「ゆゆ……。にんげんさんのたべものはじゅんびできないよ!!」 「そうだよ!! ……つぶれちゃったけど、このかきさんも、おとなのにがみでおいし~よ!!」 「うっう~~♪ そんなのしらないんだどぉ~~♪ はやくぷっでぃ~んをもってくるんだどぉ~~♪」 先ほどと同様に、再び平行線を辿る会話であったが、今回それを終わらせたのはれみりゃの方であった。 「うあーーー!! ぷでぃ~~んがたべたいどーー!! さぐやーー!!!」 何時までたってもプリンが出てこない事に痺れを切らし、潰れた果物や虫の汁などで服が汚れる事も構わず、腰を下ろし手足をバタつかせて泣き出した。 「うあーー!! さぐやーー!! ゆっくりしてないで、すぐにでてくるんだどぉーー!!!」 その様子に、呆気に取られたのはゆっくり達のほうであった。 今まで見てきたれみりゃとは比べ物にならないほど幼く、そして弱弱しく見えたからである。 下手をすれば、自分達の赤ちゃんよりも幼いかもしれない。 口には出さずとも、ゆっくり達の中で誰もがそう思った事であろう。 「ゆっくりわがままいわないでね!!」 一匹の霊夢。 先ほど食欲に負けた霊夢であるが。 お説教といわんばかりにれみりゃに体当たりを仕掛けた。 威力は殆どなく、赤ちゃんゆっくりを叱る程度の力しか込めていない。 それは、余り強くすると、怒らせてしまうのではないかと言う恐怖心からのものでもあった。 「うっぎゃーー!! さぐやーー!! さぐやーーー!!! れみりゃのぽっべいだいーー!!」 しかし現実は奇妙なもので、れみりゃは怒るどころか、さらに声を大きくして泣き叫ぶだけであった。 しかも、ぶつかったところは赤くなり、必死に手をあて痛みを訴えるれみりゃ。 それを見ていたゆっくり達は、ある一つの結論に至った。 「ゆ? このれみりゃは、とってもよわっちいよ!!」 「ほんとだね!! こんなやつじゃ、まもってもらえないよ!!」 「こんなのをたすけるために、かわいいかわいいこどもたちがぎせいになったんだね!!」 「れみりゃはゆっくりしんでね!!」 当然といえば当然。 しかし、聊か強引なところもあるのだが、ここに来てこのれみりゃが普通のれみりゃとは比べ物にならないほど貧弱であると結論付けたゆっくり達。 それと同時に、今までの苦労が怒りへと変わり、期待をかけていたれみりゃへ、その代わりにぶつけられる事となる。 「うあーー!! ……? うぐぁ!! あががー!! たすげでーーー!!!」 ゆっくりによるたこ殴り。 普通ならば絶対に反撃されるこの様な方法は行わないが、れみりゃは反撃できない。 種としても攻撃の本能すら忘れたのか、ただただ泣き叫び、助けを呼ぶ事しか出来なかった。 「さぐやぁ……。あとでおしおきだどぉーーー……」 餌となり、格好の食料源となり、既にボロボロになったれみりゃは、薄れ行く意識の中最後まで咲夜を呼び続けた。 「まったく。こんなに屋敷を汚して。お嬢様の機嫌が損なわれるわ」 当の咲夜本人は、漸くゆっくりを全て駆除した事を確認すると、今までほったらかしにしていたれみりゃの事を気にし始めた。 「れみりゃさま? どこですか?」 何時ものように直ぐに出てこないれみりゃを不思議に思いながら、主であるレミリアに出す為の紅茶を淹れ部屋まで運んでゆく。 「咲夜さん。れみりゃさまなら、ゆっくり達に連れられて東南の方向にある森の、三本の栗の木がある群に行かれたようですが」 道中、ばったりとであった小悪魔がれみりゃの居所を伝えた。 「ありがとう子悪魔。悪いけど、この紅茶をお嬢様のところに持って行っておいてくれないかしら?」 伝えられた咲夜は、いてもたってもいられずに、お盆を小悪魔に押し付け近場の窓から外に飛び出して行ってしまった。 「がってん任されました!! どうぞ行ってらっしゃいませ」 その後姿に返事をし、暫く眺めていた子悪魔は、その足をレミリアの寝室へと向ける。 「……。これだから人間を嵌めるのは止められないですね」 その呟きを聞き取れたものは、誰もいなかった。 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/314.html
森に入りすこし大きな木を探して歩いていると木の根元の穴からゆっくりれいむの親子が出てくるのを見つけた。 いつものようにゆっくりに向かって叫ぶ。 「ゆっくりしていってね!」 「「「「ゆっくりしていってね!!!!」」」 外に出ていた4匹のゆっくりが反応してこちらを向く。大きさから親二匹と子供二匹というところか。 最近のゆっくりは人間を警戒するので近かった子供二匹をすばやく掴み、背負った籠に投げ込む。 すぐに何が起こったか理解できずにいる親ゆっくりを捕まえ先ほどのように籠に投げ込む。 「なにするの!ここじゃゆっくりできないよ!」 「おとーさんおかーさんおもいよ!」 「ゆっくりどいてね!」 「せまいよー」 背中でうるさいれいむどもは放っておき穴の中を探ることにする。 籠を地面に置くと、中のれいむたちは外に出ようと飛び跳ねる。 しかし籠の中は狭く、れいむたちは顔を離せずにいた。そんな状態では満足に飛ぶことも出来ないので外に出ることは不可能だった。 籠から出れないのを確認した俺は穴の中を見る。中は暗くよくは見えなかったが何かが動いたような気がした。 もう一度ゆっくりを捕まえるための言葉を叫ぶ。 「ゆっくりしていってね!」 「「「・・・ゆっくぃちていってね!」」」 「お菓子があるんだけど出てきてくれないかい?」 「ゆっ!おかち!おかちほちぃ!」 「ゆっくぃいくよ!」 「ゆーゆー!」 れいむ種は馬鹿なのですぐに顔を出す。まりさ種やぱちゅりー種はすぐに出てこないから難しい。アリス種はまりさがいるといえばすぐに出てくる。 そんなことを思いながら、出てきた三匹の赤ちゃんれいむを掴み籠に投げ込む。 「おかちどこー?」 「ゆっ!みんなだいじょうぶだったんだね!」 「おかしはないけどゆっくりしようね!」 「ゆっくぃするよ!」 家族の対面を眺めた後籠を担いで家に戻る。 玄関を開けて扉を閉めて外に逃げれなくすると、籠のれいむたちを外に放り出す。 「ゆぐぅ!」 「もっとゆっくりだしてね!」 「だいじょうぶ?れいむのかわいいこどもたちがけがするでしょ!」 「おなかすいたよ!おじさんなにかたべさせてね!」 「きたないおうちだね!れいむたちのおうちのほうがきれいだよ!」 「おかち!おかち!」 外に出たとたんに騒ぎ出すれいむたち。このままでは埒が明かないので一番近くにいたれいむを蹴り飛ばす。 「い゙だあ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!」 「な゙に゙ずる゙の゙お゙お゙お゙お゙お゙!!」 「「おとーさんをいじめるなー!」」 どうやら父役のれいむだったようだ。母役のれいむと成長している子れいむが文句を言う。赤ちゃんゆっくりは母ゆっくりのそばで震えていた。 俺は気にせず父ゆっくりを踏みつける。餡子をすこし出す父れいむ。 「ゆ゙ゆ゙ぅ・・・」 「静かにしろ」 「そのあs・・・いだぁあああ!」 「静かにしろ!」 喚く親子を黙らせる。子ゆっくりも何か言おうとしていたが、蹴られた母れいむを見て静かになった。 「よし、今から俺の言うことを聞けば生かしてやる。聞かないのならここで餡子をぶちまけろ。」 「言うことを聞けばお前達には何もしない。しかし、言ったことを守らなければすぐに潰す。」 俺の言ったことに対しれいむたちは考えるような仕草をみせた。 親れいむは目線で相談している。子供達は親れいむの決定をただ待っていた。 やがて決まったのか、親れいむがこちらを向く。 「おじさんのいうことをきくよ!」 「だからゆっくりさせてね!」 「こどもたちをころさないでね!」 「いうこときくからやくそくはまもってね!」 「あぁ、もちろんだ。約束を破らない限り約束を守ろう。」 子供達が大事だったのか俺に従うゆっくりれいむ。 俺は家の屋根を支える柱の一つにれいむたちを連れて行く。 「ここにお前達が上れる梯子がある。ここを上って小屋組に乗れ。その小屋がお前達のこれからの住処だ。」 「ゆゆっ?」 「上に大きい木が横になっているだろう。その上で住めと言ったんだ。屋根からは出れないように板を張っているから安心しろ。」 そう言ってゆっくりを一匹ずつ登らせていく。最後に俺も梯子のぼりゆっくりたちが全員木に乗れたことを確認する。 小屋組用の木はゆっくりが何とか一匹通れる大きさしかない。れいむたちは一列に並んだ状態になっていた。 それを確認した俺は梯子を降りて梯子を外す。これでれいむたちは無事に下に降りれない。 「その上でいる限り俺はお前達に何もしない。ただし、木を齧ったりしたら問答無用で潰すからな。 後、木から落ちて地面に着いたら俺は落ちた奴を潰す。数は覚えたから俺がいない間に落ちても探し出して潰す。餡子一粒でも落としたら潰す。 餌は3回俺が下から投げてやるから上手くとれ。それで落ちても容赦なく潰すからな。出来るだけ落ちないように投げてやるからそこは安心してろ。」 寝床は屋根に使ってる藁をとって勝手に作れ。ただし、お前達が動かした物を落としたら飯抜きだ。わかったな!」 言い終わるとゆっくりたちが理解できたかを確認する。れいむ種は馬鹿なので何回か言うつもりだったがどうやら理解したらしい。 用は地面に落ちなければいいというだけなのだかられいむでも何とか覚えれたか。そんな風に思いながら、今日は寝ることにした。 翌朝、目が覚めると天井のゆっくりたちを確認する。どうやらまだ一匹も落ちていないようだった。 しかし、赤ちゃん以外のれいむたちは疲れているように見える。 「どうした?ゆっくり寝れなかったのか?」 「こんなところじゃねれないよ!もっとひろいところがいいよ!」 「赤ちゃんは寝れたみたいだな。」 「おかーちゃんがくちのなかでねしゃせてくれたの!」 「まぁそのうちなれるさ。」 赤ちゃんが元気な理由を確認してから朝食を作る。 天井のゆっくりたちはそれを隣の部屋の天井から覗き込んできた。よだれが落ちないように口を閉じてるが体ごと落ちてきそうだった。 そんな様子を笑いながら見ていると、押入れの中から音がしだした。どうやら一緒に暮らしている一匹が起きたのだろう。 ふすまが開くと紫の髪と黒い帽子を被ったそいつらは俺に向かって一言。 「「ゆっくりしていってね!」」 「おう、おはよう」」 「「おにーさんおは『ゆっくりしていってね!』ゆっ!?」」 どこからか聞こえてきた声に驚く二匹。きょろきょろするが該当するものが見つからなかったのか、二匹で仲良くこっちに跳ねてきた。 天井の上にいるれいむたちは木が邪魔で見えなかったようだ。 上にれいむの家族がいることに気づかなかった二匹は俺の作った朝食をれいむたちがいない部屋の机に並べてくれた。 この二匹はゆっくりまりさとゆっくりぱちゅりーで、去年森で傷つき倒れていたのを拾ってからの付き合いだ。 元気になってからは積極的に俺の手伝いをしてくれるので家においている。どうやら恩返しのつもりらしい。 今ではまりさとぱちゅりーに押入れの一つを巣として提供し、一緒に暮らしていた。 俺としても話し相手とゆっくりの行動を観察という暇つぶしが二つも出来て結構満足していた。 そんな二匹と朝食を食べる。ゆっくりの下には新聞を敷いているがほとんど汚さないままゆっくりと食べている。 二匹が仲良く食べてるのを見た俺は隣部屋の天井を見る。そこではゆっくりれいむたちが俺達の朝食を眺めていた。すこし騒がしかったがこちらの部屋までは聞こえてこない。 親子が横一列に並んで俺達を見ている姿は面白く、俺は笑いをこらえるのが大変だった。 「ゆっくりたべたよ!ごちそうさま!」 「よし、それじゃあ今日は俺が一人で片づけするからお前達は外で遊んできていいぞ。」 「むきゅ!でもおにーさんにわるいよ!」 「まぁたまにはいいじゃないか。二人で遊んでおいで。あ、それと向こうの部屋には入らないでね。入ると俺がゆっくりできなくなるんだ。」 「わかったよ!べつのへやでゆっくりするね!いこう、ぱちゅりー!」 「むきゅう!」 俺の申し出に最初は戸惑っていた二匹だったが、向こうの部屋に入るなという言葉で、俺が何か大事な仕事があると勘違いしたのだろう。 二匹は縁側の方に飛び跳ねていって、そこでゆっくりしだした。 俺は残ったご飯でおにぎりを7個作り、れいむたちのいる部屋に入る。 「おい、ご飯を持ってきたぞ。」 「おそいよ!はやくもってきてね!」 「まりさとぱちゅりーだけずるいよ!」 「ごはんーごはんー」 口々に文句と朝食を催促するれいむたちに先ほどのおにぎりを投げてやる。 「ちゃんととれよ。」 そういってゆっくりと放り投げてやる。まず最初に親と子ゆっくりがそれぞれきゃっちし食べ始める。 それをうらやましげに見つめる赤ちゃんゆっくり。 「おかーさん、れいみゅのもとってー」 「おとーさん、わたしもー」 「はやくたべたい!」 「わかったよ!おじさんあかちゃんたちのはれいむがとるからこっちになげてね!」 赤ちゃんゆっくりに急かされて、おにぎりを食べた母れいむがおにぎりを捕まえようと口をあける。 母れいむに一番近い赤ちゃんは母にべったりとくっついて一番に貰う気のようだった。 俺はまとめて3つ投げてやった。 「ゆっ!?」 驚く母ゆっくり。しかし、3つともまとまっていたので少し動くだけで3つとも取れた。 「ごはんとれたよ!ゆっくりまってね!」 べちゃ。 「あれ!?れいむのあかちゃんがひとりいないよ!」 見回してもあかちゃんが一匹いないことを不思議がる母れいむ。周りのゆっくりたちを見ると全員青い顔で下を見ていた。 まさか・・・ 「い゙や゜あ゙あ゙あ゙あ゙れ゙い゙む゙の゙あ゙がぢゃん゙ん゙ん゙ん゙ん゙!!!」 母親もやっと気づいた。おにぎりを三つ取ったときに動いたせいで赤ちゃんを突き落としてしまったのだ。 赤れいむは何が起こったのか分からない顔で畳に激突した。餡子が飛び散る。 これは手を出すまでも無かったので畳の餡子とれいむだった皮を回収。 いまだ声が出せないれいむ達を置いてまりさとぱちゅりーのところに向かった。 「おやつのじかんだぞー。」 「ゆっ!おやつおやつ!」 「むきゅきゅーん!」 三人で仲良く死んだれいむを食べる。地面に着いた方をゆっくりに食べさせ上のまだ綺麗な方を俺が食べた。 しばらくそこでゆっくりと戯れてかられいむ達を見に行った。 先ほどのことは都合よく忘れたのだろう。れいむたちは落ちないように木にくっついていた。 「どうした?そこは飛び跳ねたりしても安全だぞ。何もしないからゆっくりしていいぞ。」 「ここじゃこわくてとびはねられないよ!」 「もっとゆっくりできるばしょがいいよ!」 「や゙め゙でえええ!みをのりださないでえええ!」 ゆっくり一匹が乗れるぐらいの木の上では満足に飛び跳ねれないのだろう。そろそろと這うように木の上を動いている。 位置を変えるときはどちらかがその上を通らないとダメで、できるだけ潰れるれいむをそろそろとれいむが這って動くのは面白い動きだった。 親ゆっくりは先ほどのことをまだ覚えていたのか、子供達が落ちないように動作一つ一つに気をつけていた。 特に赤れいむには顕著で、自分から離れようとする赤ちゃんをすぐしかりつけて近くに置く始末だった。 これじゃゆっくり出来ないのも無理は無い。そう思いながら畑仕事に向かった。 畑仕事もまりさとぱちゅりーは手伝ってくれる。まりさは畑に生えた雑草を抜き、ぱちゅりーは生えている野菜に何か異常が無いか調べる。 俺は野菜に水をやり、ぱちゅりーの調べた野菜に薬を撒く。雑草はまりさとぱちゅりーが食べてくれるので、捨てる必要はなかった まりさとぱちゅりーが雑草や野菜につく虫を食べている間に俺も昼食を取る。 昼飯ようにおにぎりをれいむたちの分と一緒に作ってやる。俺の分にはおかずを入れ、れいむたちには何も入れない。 おにぎりをもって畑に向かう前に朝のように投げてやる。今度は赤ちゃんは母れいむに近づかなかった。 餓死されては掃除が面倒なので、それなりの量のおにぎりなので重く、親ゆっくりは平気だったが子ゆっくりは受け取ると同時に落ちそうになった。 周りの子ゆっくりと親ゆっくりが齧りついて何とか落ちなかったが、大きいおにぎりを口に含んで喋れない子れいむの顔は喉を詰まらせたみたいで、目が吹っ飛ぶんじゃないかと言うような顔だった。 声が出せなかったが齧られて相当痛かったのだろう。 そんな様子を見て満足した俺はまた畑仕事に戻った。 畑仕事が終わり戻ってくると、なにやら騒がしい。俺はまりさとぱちゅりーに先に庭で遊んでおいでと言って中に入る。 案の定、子れいむが一匹落ちたらしく必死に柱を登ろうと柱に向かってジャンプしていた。 子れいむは赤れいむよりは頑丈だったようで大きなあざはあったが餡子は出ていなかった。 それを上かられいむたちが応援している。扉が開いて俺が入ってきたことに気づいた天井のれいむたちは落ちたれいむを助けようと叫ぶ。 「おじさんがきたよ!ゆっくりにげてね!」 「ゆっくりかくれてね!」 「ゆーゆー!」 「ゆっくりかくれるよ!」 そんなことを言いながら、子れいむはなべの中に飛び込んだ。 俺は先ほどから見ていたのですぐになべに入ったれいむに近づく。 「ゆゆっ!そこにれいむはいないよ!おじさんばかだね!」 「そうだよ!れいむはかしこいからもうにげちゃったよ!」 「おじさんばかだね!」 「ゆっゆっ!」 どうやら必死に俺の注意を逸らそうとしているようだったが、逆効果だ。 俺はなべのなかで震えているれいむをとりだす。 「ゆっくりやめt「おらぁ!」ゆべっ・・・」 何か言おうとするれいむを無視して両手で押さえつける。れいむは喋れなくなったがまだあんこは出ない。 台所に行きれいむをまな板に載せ包丁を入れる。 「あがっがgっがgggg」 「なかなかかたいな。」 皮を何とか切り開くとおいしそうな餡子が見えた。切り口を引いて餡子を取りやすくする。 まだ意識はあるようで「ゆ゙っゆ゙っ・・・」と震えるれいむを皿に押し付け喋れなくし庭に持っていく。 働いた後の甘味はとてもおいしいのだ。 途中れいむたちのいる部屋を通ると俺が何を持っているのか気づいた親れいむは泣きながら良く分からない言葉を叫ぶ。 子供達は発狂したような親れいむからできるだけ離れようと必死だった。落とされないためだ。 庭に着いた俺はまりさとぱちゅりーを呼び、一緒にれいむ餡子を食べることにした。 天井で満足に跳ねたり寝ることも出来なかったれいむはずっとストレスを溜めていたためとてもおいしかった。 加工場ほどの味ではなかったが、手軽に出来るため、我が家のおやつとして定着していた。 ちなみにまりさとぱちゅりーは同属の餡子を食べてることには気づいていない。 いや、気づいているのかもしれないがあまり気にしていないようだった。 森で住んでいたときに何かあったのだろうが今はどうでもいい、俺はおいしそうに餡子をたべるまりさたちを見ながられいむの頭の中に手を突っ込んだ。 存分にゆっくりし、夜食をまりさとぱちゅりーとともに取る。れいむたちにはおにぎりをいつものように投げてやる。 残飯でも良かったが、そんなものを食べた餡子を食べたくなかったのでおにぎりをやることにしている。 今回も落ちずにご飯を食べれたれいむ達を見てまりさやぱちゅりーの部屋に戻る。 まりさとぱちゅりーが押入れに入ったのを確認した俺はれいむ達をまた見に行く。 子れいむと親れいむたちは眠そうにしているが、寝ると落ちるので必死に寝るのをこらえていた。 母れいむは赤ちゃん達が落ちないように口の中に入れて起きている。中で赤ちゃんがすやすや寝ているのをどう思っているのだろう。今までの経験から一週間ほどでフラフラと全部落ちてくるだろう。それまでにまた補充しないとな。 「おやすみ。ゆっくりしていってね!」 次の日に森でまたれいむ一家を捕まえた。れいむ種が一番数が多いので良く見つかる。 籠に入れて戻ってきた俺は籠から出したれいむに天井での生活を教えこませて天井に梯子をかけた。 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/slowlove/pages/248.html
日曜日の朝、俺は昼過ぎになってようやく目を覚ました。 昨日の飲み会が遅くまでかかり朝ようやく眠ることができたからだ。 今から飯を作るのも億劫なので、カップラーメンでも食べようかと台所に行くとそれは居た。 「ゆっくりしていってね!!!」 カップラーメンの上に生首のような、顔のある饅頭のような物体が乗っかっていた。 突然の出現と気味の悪さに一瞬固まった後、すぐさま部屋へと戻る。 そして今の状況を整理した。 俺は朝起きた、そしたら謎の物体が台所にいる。 あの物体はなんなんだ?無害か危険なのかその判断もつかない。とりあえず触れないに越したことはなさそうだ。 そうこう考えているうちに台所から声がかかる。 「3分たったよ!!!ゆっくり食べてね!!!」 台所を覗くと、謎の物体はカップラーメンから下りて横でふんぞり返っていた。 本人曰くカップラーメンの食べれる準備が出来たということなのだろうが安全かどうか実に怪しい。 だが、あのカップラーメンは明らかに俺が買っておいたものである。 このままずっとこの調子というわけにもいかないので、意を決してあの物体に話しかけてみることにする。 「お前は何者だ?なんで俺の家にいるんだ?」 「私はゆっくりれいむだよ!!!お兄さんをゆっくりさせにきたよ!!!ゆっくりしていってね!!!」 「何で俺をゆっくりさせに来たんだ?」 「お兄さんが普段ゆっくり出来てないからゆっくりさせにきたよ!!!それより麺が伸びちゃうよ、ゆっくりはやく食べてね!!!」 ゆっくりはやくって何だよ…、いや、それより気になることがある。 「お前どうやってそのカップラーメンを準備したんだ?手足ないだろ。」 「お兄さんをゆっくりさせるためなら何でもできるよ!!!」 結局明確な回答は得られなかったが、とりあえず危険はなさそうなので近づいてみる。 近くで見ると本当に丸い。生首のような気持ち悪さはあるが柔らかそうな感じが俺に触りたいという欲求を生む。 ぷにぷに。お、かなり気持ちいい。ぷにぷにぷに。 「ゆっ、れいむをつついてる暇があったら、ラーメン食べてね!!!麺がゆっくり伸びちゃうよ!!!」 「これはちゃんと食べれるのか?」 「バカにしないでね!れいむがゆっくり準備したから大丈夫だよ!!!」 まぁ、とりあえずこれの言うことを聞いて箸とカップ麺を持って部屋に向かう。 何故かこのゆっくりれいむという奴もついてきた。 ふたをあけて見るが、どうやらスープの素もかやくもちゃんと入っている、いつも俺が作っているものと一緒だ。 だがやはり恐怖心は拭えず恐る恐る食べてみる、すると… 「 …… 麺がのびのびだ…。」 「ゆっくりした結果がこれだよ!!!」 ラーメンも食べ終わったところでこのゆっくりれいむについて聞いてみた。 「お前は一体どこから来たんだ? というかお前は一体何者なんだ?」 「ゆっくりはゆっくりできない人のところに現れる素敵な饅頭だよ!!!」 ああ、やっぱり饅頭だったのか。 「で、その素敵な饅頭とやらはどうやって俺をゆっくりさせてくれるんだい?」 「れいむと一緒にいればゆっくりできるよ!!!」 ………、よく分からないがとりあえず特別どうこうするつもりはないらしい。 正直こんなのに居座られても迷惑なのでさっさと追い出すことにしよう。 ゆっくりれいむをつかんで玄関まで持っていく。 「わぁい、お空を飛んでるみたい!!!」 何か暢気なことを言っているが気にせず俺はドアを開けゆっくりれいむをほっぽりだした。 「ゆべっ!!!」 「生憎俺はゆっくりできてるんで他の人でもゆっくりさせてくれ。じゃあな。」 そういって扉を閉めて部屋へと戻る。全く一体なんだったんだろうな、あれ。 しかし部屋へ戻った俺を待っていたのは予想外の光景であった。 「ゆっくりしていってね!!!」 追い出したはずの饅頭が俺の机の上にいた。 「お兄さん、全然ゆっくり出来てないね。れいむがゆっくりさせてあげるね!!!」 「どうやってここに入ってきたんだ!!!???」 「ゆっくり移動しただけだよ、それよりお兄さんもう少しゆっくりしてね!!!」 やばい、やばいぞ俺。変なのにとりつかれちまったみたいだ。 どうする?どうする?そうだとりあえず外へ出よう。こいつのいない所で落ち着いてゆっくり考えよう。 そういって必要最低限のものを持ち俺は外へ飛び出した。 外でもあの非常識な饅頭が現れやしないかと思ったが、それは杞憂に終わり外でしばらくゆっくり過ごすことができた。 あの饅頭のことは明日霊媒師になんなりみてもらうことにするとして俺は家に戻った。 できれば饅頭がいなくなっていることを願ったが残念ながらその期待は裏切られた。 「お兄さんおかえり!ゆっくりしていってね!!!」 お前がいるからゆっくりできないんだよと思いつつ、家にあがる。 するとゆっくりれいむのとなりには皿とギョウザが置いてあった。 「当店自慢の一口餃子です。ゆっくり食べてね!!!」 「餃子?餃子なんてどうやって作ったんだ?そもそも食材がないだろ?」 「れいむにかかれば食材なんて関係ないよ!!!」 「食えるか、そんな怪しいもん!」 「ゆ、お兄さんゆっくり出来てないね。いらないなられいむが食べちゃうよ?」 「勝手にしてくれ。」 「むーしゃむーしゃ、しあわせー♪」 全く何なんだ、こいつは。 「いい加減出てってくれないか。何で俺なんかにとりつくんだよ。」 「お兄さんまだ全然ゆっくりしてないよ!ゆっくりするまでれいむが一緒に居てあげるよ!!!」 「結構だ!」 我慢の限界に来た俺はゆっくりれいむを窓から投げ捨てる。ここは2階だ。これでいなくなってくれれば。 そう思って後ろを振り返るが…… 何も居なかった。 「やれやれ…」 少し落ち着いたのでベッドに腰をかける。それにしても何やら頭が重いな。 あいつのせいで色々考えてたからか?そう思いふと鏡を見ると いやがった…。俺の頭の上に……。 むんずと捕まえてゆっくりを壁に向かって投げつけた。 いい音をしてぶつかったがゆっくりれいむはこちらを向いて 「おお、こわいこわい。」 とほくそ笑んでいるだけであった。 もはや打つ手なしの俺はそのままベッドに横たわった。 疲れたな、もうただゆっくりしたい。そんな気持ちになった。 「ゆっくりしていってね!!!」 ああ、もうゆっくりするよ。それが一番だ。 ただぼんやりと俺が横たわっている一方、ゆっくりれいむは忙しなく動いていた。 俺の菓子を食べやがったと思ったら俺の所に持ってきたり 汚い家の床のごみを集めてたり、台所に消えていったと思ったら1時間後に戻ってきたり こっちがゆっくりしろよといいたくなるぐらいに動き回っていた。 そしておもむろにゆっくりれいむが俺の服をひっぱり出してきた。 「イェ~イ、ゆっくりしてる~?」 「久しぶりに話しかけてきたと思ったらそれかよ。」 「それはとにかくお兄さん、お風呂が沸いたよ。ゆっくり入ってってね!!!」 「風呂!?」 驚いて俺が風呂場に行くと確かに風呂が沸いていた。 ふと見ると汚かった台所もきれいになっている。 「これ全部お前がやったのか?」 「ゆっくりできるように頑張ったよ!!!」 一体どうやったのかと聞こうと思ったが、元々非常識物体なのを思い出してやめた。 今はゆっくりと風呂に入ることとしよう。 風呂からあがるとゆっくりれいむはゆっくりしていた。 ゆっくりゆっくり言っているがそういえばゆっくりれいむがゆっくりしているのは今日初めてなように思える。 「なんだか随分ゆっくりしているな。」 「お兄さんがゆっくりしてるから、れいむがやれることがなくなっただけだよ!!!」 ああ、そういうことか。人をゆっくりさせて初めてゆっくりできるのか。 そう思うと何か微笑ましくなってしまった。 「おい、ゆっくりれいむ。ビール飲むか。キンキンに冷えたのがあるぞ?」 「ゆっくり飲むよ!!!」 ゆっくりれいむを長座した膝にのせ、右手に自分のビールを左手にゆっくりれいむのビールを持って ゆっくりとビールを飲んだ。こんなにのんびり飲むビールはいつ以来だろうか? 「ゆ~、ゆっくり酔ってきたよ!!!」 「ハハハ。お前は酒に弱いのか。」 「ゆっくり酔っただけだよ!ここから先は強いよ!!!」 そういってプクーっと膨れるゆっくりれいむ。膨らむ感触も心地よい。 「そういやつまみがないな。ちょっと取ってくるよ。」 「ゆ、それなられいむをお食べなさい!!!」 「お前食えるのか? っていうか食われてお前は大丈夫なのか?」 「食べられてダメな饅頭なんていないよ!ゆっくり食べてね!!!」 「そうか、じゃあ頂きます。」 そう言ってゆっくりれいむを掴むとあっさりとかけらが取れてしまった。 さっきはあれだけ叩きつけてもびくともしなかったのに…。 そしてゆっくりの一片をいただく。 … … 甘い 今まで食べたことのないような甘さが口に広がった。ほっぺたも脳も蕩けるような、そんな味だった。 「うっめ、めっちゃうっめ。これ。」 がらにもない言葉でリアクションをとってしまう。それほどの美味さだった。 まさに天に昇る味、夢の中にでもいるような感覚が俺を襲った。 … … … ふと目覚めると俺はベッドの上で寝ていた。 布団もちゃんとかぶっている。 あれは夢だったのか? 机の上を見るとデジタル時計が月曜の朝を表示している。どうやら夢ではないようだ。 ビールの缶は二つあるし、床も台所もピカピカだ。 たがどれだけ辺りを見回してもあのゆっくりれいむの姿は見当たらなかった。 するとビールの缶の下にメモのような紙が置いてあった。 「ゆっくりしていってね!!!」 ゆっくりできない人の元にやってくる… か。 「もう少しお前がゆっくりしていってくれれば良かったのに」 そう笑って俺は仕事へ向かう支度を始めた。 今日からは少しゆっくりと過ごしていこうと思う。 ゆっくりできない人のところへ現れるゆっくり饅頭 今日はあなたのところへやってくるかもしれない……。 うわああ可愛い! うちにも来ないかなー -- 名無しさん (2010-03-18 15 36 40) プリーズ カム トゥー マイハウスッ!!! -- 名無しさん (2012-05-04 23 56 26) あー、ゆっくりできないなー(棒読み) -- 名無しさん (2012-07-31 21 30 37) なんかカワイイ・・・・・ -- ゆっくり好きのただのオタク (2012-10-23 21 24 42) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/2163.html
一昔前に”アントクアリウム”という蟻の飼育セットが流行ったことがあった。 透明なアクリル製のケースに糖質含んだジェル状の地面が餌と水分を兼ねて 巣作りや日常を観察することができるものだ。 そして研究、開発したのが この”ゆっくりクアリウム” 水族館の水槽並みに大きい4平方メートルの面積と大掛かりであるが やはり成体ゆっくりには狭い そこで、 ”ゆっくりの成長を制限する剤”が地面の役割をするジェルに含まれており 成体でソフトボールサイズ 子ゆっくりで野球ボールサイズ 赤ゆっくりはプチトマトのまま正常に生まれる また、ポリマー的な性質をもつこのジェルは 体積以上の栄養分を蓄積させているため ソフトボールサイズの成体なら10匹程度の赤ゆっくりを植物型妊娠しても絶命しない計算だ。 そして、ジェルはアントクアリウムと違い グミの様な弾力性があるため、透明なおうちを作る建材としても活用できる。 それでは、さっそく ゆっくりクアリウムのテストといこう。 成功すれば水族館や動物園、メルヘンちっくな遊園地に、このゆっくりクアリウムは実用される。 『赤れいむと赤まりさ』 「「ゆっくちちていっちぇね!」」 加工場産の未刷り込みの赤ゆっくり、れいむ種とまりさ種だ。 個体差の少ない養殖物はモルモットとしてテスト実験に適している。 例え今回の実験が失敗したとしても次回には改良を行い、同一種で検証する事ができるのだ。 最終的には野生種(野良)を飼育し生態を白日の下にする事を目指している。 「ゆっ、おかーしゃんはどこ?」 「ゆゆん」 ゆっくりしていってね!と返してくれる親がいないため 一抹の不安をおぼえる赤ゆっくり この反応は従来の箱庭飼育となんら変わりがない。 「ゆっくちさびちいよ・・・」 「みゃみゃはどこにいっちゃの・・・ゆゆーん」 2匹はすりすりと互いのほほを擦り付け合い始めた。 「ゆーん、すりすりきもちいいね」 「れいみゅのほっぺはあっちゃかくておかーしゃんみたい」 1匹では孤独から体調を崩し、実験経過を観察するために支障をきたす恐れがある やはり、2匹にしたのは正解のようだ。 「ゆっくちおにゃかちゅいたよ」 「まりちゃもだよ、ゆっ!じめんさんからあまいにおいがするよ」 クアリウムの地面は糖質を含んだジェルで出来ている。 アントクアリウム同様にこのジェルが餌と水分を兼ねる。 「むーちゃむーちゃ」 「ぺーろぺーろ」 地面を舐め始める2匹。 「ゆっ!とってもゆっちできりゅよ!」 「ぺーろぺーろ、ちあわちぇー!」 舌先でジェルを舐めては口に運び、だんだんと地面に口をつけて吸い付くように食べる。 2匹は小一時間ほど、食事を続け 赤ちゃんが食べる量にしては明らかに過食。 地面にはトマトが1個すっぽり入るくらいの小穴が出来た。 アントクアトリウムの真骨頂は、蟻がジェルを食べたり地面に穴を空けることで巣穴を作り 透明なジェルが巣穴での生態を白日の下に晒してくれるところにある。 この、ゆっくりクアトリウムもまったく同じ目的を狙ってのもであったが、ここで問題が起きた。 「いっぱいたべたら、うんうんしちゃくなっちゃよ!」 まりさが「ゆふー」と恍惚の表情を浮かべながら、ピコピコとお尻を振り その場で古い餡子を排出しようとしている。 「ゆっ、うんうんはきちゃないから、そのあなにしてね!」 そう言う、れいむも食べ過ぎたせいか便意を催し まりさの次に穴へうんうんをするつもりだ。 「うんうんでりゅよ、ちゅっきりー!」 「れいむもでりゅよ、ちゅっきりー!」 これはいけない、蟻ならば小穴を徐々に掘り進み巣穴を作るはずが 食べた分だけ穴に古い餡子を排出しては、その穴が元通りに塞がってしまう。 そして、その場所のジェルは嫌って食べなくなるだろうから別の場所を掘り、またそこに餡子を埋める これでは数日のうちに地表は餡子だらけになってしまうだろう。 「うんうんしちゃら、ねみゅきゅなってきたよ」 「おかーしゃんがかえってきゅるまでゆっくちねようね・・・ZZZ」 しめた、都合よくお昼寝をしてくれた2匹の赤ゆっくり。 その間にクアリウムの数箇所の地面にあらかじめ穴を作っておこう。 そうする事で自分たちでトイレ用の穴と巣穴用の穴に分類をしてくれるはずだ。 ちなみに、アントクアリウムでも蟻自身がなかなか地面を掘らないときは 人間が割り箸などで地面に穴を空ける。 完全に1から巣穴を作るというのは蟻にとってもまず経験にない事だし 野生のゆっくりでも木の根や洞窟、そういったあらかじめ窪みのある場所を選んで巣穴にするのだ。 ”ゆっくりが巣穴やトイレ場所を作らない場合は寝てる間に掘ってあげましょう” 商品化したらマニュアルにそう注意書きを加えておこう。 「ゆっくりしていってね!」 「ゆっ、おかーしゃん?ゆっくちちていっちぇね!」 「ゆゆ・・ゆっくちちていっちぇね!」 クアリウムに付属の親ゆっくりボイス機能はリモコン操作で幾つかのパターンの音声を出すことが出来る。 「おかーしゃん、どこにゃの!」 「おかーしゃんとゆっくちちたいよ!」 「「ゆべっ!」」 ぴょんぴょんと跳ねて、ケースの端っこにぶつかる2匹。 こちらからは2匹の姿は丸見えだが、向こう側からはただの壁にしか見えない。 一応ストレスがたまらないように森の風景の絵を描いてあるが、そのせいで壁だとは認識できずに ぶつかってしまったようだ。 親がいないという不安と、壁に顔をぶつけた痛みで2匹は「ゆあーん」と泣き出した。 「もう、おうちかえゆー!」 「おうちでおかーしゃんと、ゆっくちちゅるよ!」 2匹はクアリウムの壁沿いに、あっちへいったりこっちへいったりとうろちょろしている。 ここが実際に森の中なら、柔らかい皮を傷つけ蟻にたかられて、その日のうちにその生涯を閉じたことだろう。 不意に、まりさがフッと地面に沈む 「ゆっ!」 眠ってる間に掘っておいた竪穴だ。 自然界にそんなものがあれば、それは落とし穴だが柔らかいジェルはまりさの体を優しく受け止める。 「ゆゆ!ここはまりちゃのおうちだよ!」 すっぽりと身を隠せるその穴をまりさはゆっくり出来る場所と認識しおうち宣言をした。 「ゆっ、まりしゃだいじょうぶ?」 まりさが地面に沈むのを見たれいむは遅れて穴の中に飛び込んだ。 「むぎゅ」 上から潰されるまりさ。 竪穴は横幅も多少あり、2匹でもなんとかゆっくり出来そうなスペースがあった。しかし・・・。 「ゆっ!ここはゆっくりできそうだよ、れいみゅのおうちにするよ!」 この言葉にまりさは餡子の奥底からムズムズと不快感を感じ取り 跳び上がるとれいむに体当たりをしかけた。 「ここは、まりちゃのおうちなんだぜ!」 ぽよん!ぽよん! 「ゆぇえーん、いちゃいよぉぉぉお おかぁちゃぁあーん」 どちらもプチトマト程のサイズしかないため怪我をすることはないが れいむは、その穴を飛び出して地表に跳んで逃げた。 なるほど、赤ゆっくりといえどお家に対する執着心は強く お互いがお家宣言を行うと家族間であっても争うことになるのか その様子を映像に収め”穴の中で目覚めさせる事と”とマニュアルに追記するためのメモをとる。 結局、れいむはまりさの巣穴から離れた場所の穴に入り そこを自分のおうちとした。 餌は地面がすべてそうなので、これで争いが起きることはないだろう。 念のためオプション商品であるスライド板をクアリウムの中心部分に備え付ける つまり、赤れいむと赤まりさがお互い出会わないでいいように壁を取り付けたのだ。 ある程度期間を空けてから、出会わせれば都合の悪いことは忘れてしまうゆっくりは 喧嘩をしたことを忘れて再びゆっくりできる。そういったコンセプトによるものだ。 「ゆっゆっ!かべをむーしゃむーしゃすると おうちがおおきくなるんだぜ!」 まりさが巣穴作りを始めてくれた。 これがクアリウムの本来の目的であるためホッと胸をなでおろす。 巣穴のジェルを口に加えて外に吐き出す これを繰り返すことで立派な巣になると同時に、巣穴の外側にもそのジェルを使い たとえばゴミを埋める事等も出来るのだ。 しかし、ここで普通の生物ならありえないような行動をするのがゆっくり。 「うんうんでりゅよ!」 なんと、このまりさ 巣穴を拡張するために壁のジェルを外に運搬するのではなく 巣穴のジェルを食べて、巣の外へうんうんをしている。 すぐにやめさせたい所だが、今後改善をしていくために失敗点を明らかにするのは必要なことなので しばらくはそのまま観察することにした。 一方、れいむのほうはまりさ程、懸命に巣穴作りに励んではいないが 普通に巣穴の壁から削り取ったジェルを巣穴の外まで運んで捨てている。 「ゆっこらせ!ゆっこらせ!」 きっと2匹が同居していれば、まりさもわざわざ食べてからうんうんにして外に捨てなくても 良い事に気づいてくれただろう。 いっそ、赤ゆっくりの飼育には必ず親ゆっくりを付けてくださいと追記しようかと考えていたら 再び思いもよらないことが起きた。 「まりちゃのおうちおおきくするよ!とんねるほるよ! むーしゃむーしゃむしゃ!」 まりさの巣穴が、れいむの巣穴に開通したのだ。 スライド板は地表部分の移動を妨げるが、地中は自由に行き来できる。 「ゆっ、ここはれいむのおうちだよ! まりしゃはかってにはいってこないでね!」 「ゆゆっ!ここはまりちゃのおうちだよ!れいみゅこそかってにはいってこないでね!」 これはいけない、また喧嘩が始まってしまうぞ。 ひとまず親ゆっくりボイスで気を反らそうとリモコンのスイッチを押す。 すると、クアリウムに小刻みな振動が始まった。 ブィィィーン 「ゆっ?ゆっ?」 「ゆゆゆ?」 ブィィィーン しまった、ボイス機能のとなりにある振動ボタンを押してしまった。 ゆっくりの発情を促して繁殖させるための機能だ。 これだけ大きな機材となると、わざわざ網で1匹づつすくって交尾させるより効率が良いというアイデアで 設置した機能だ。 ともかく、このまま発情してしまうと赤ゆっくりは妊娠に必要な餡子が足りず黒ずんで死亡してしまう。 すぐに止めなければ。 ポチっとな。 ブィィィブブブブブゥイィィィーン 「「ゆ”ゆ”ゆ”ゆ”ゆ”」」 なお、振動は強力になり2匹を刺激する。 あれ?もう一回押せば止まるわけじゃないのか。 そして、とうとう発情した赤れいむが赤まりさにのしかかった。 「ゆ”ゆ”ゆ”れいみゅなんだかきもちよくなってきちゃっちゃよ!」 「ゆ”ゆ”やめちぇね!はなちてね!」 2匹は体中からネバネバとた粘液を放出しており、その顔は紅潮している。 ようやくリモコンで停止ボタンを押したものの、若い二匹はもうどうにも止まらなかった。 「「ずっぎりぃぃぃぃい!」」 まりさの帽子の隙間から細い茎が伸びて赤ゆっくと同じ大きさの実を2つ程つける。 この場合はまりさが黒ずんで枯れるんだろうなと諦めていたら、そうはならなかった。 「ゆゆゆ・・・あたまがむずむずしゅりゅよ」 「ゆっ!まりしゃのあたまにれいみゅのあかちゃんがついてるよ!」 ジェルを大量に食べてうんうんを外で放出する前にれいむの巣穴に開通したため うんうん分の餡子が妊娠の方にまわったのだ。 このジェルにはゆっくりを成長させない成分が含まれているが、最小サイズの赤ゆっくりには変化がない。 だから、赤まりさは自分と同サイズの実を2つもつけて重みで動きづらそうだ。 「まりちゃのあちゃまがおもいよ!ゆっくりとっちぇねー!」 「ゆっ!だめだよ、れいみゅのあかちゃんがうまれりゅまでゆっくりしててね! たべものはれいみゅがとってくるよ!」 赤ゆっくりから、ゆっくり一家の繁殖が出来ればそれはそれでこの商品の利点となる このまま繁殖をさせてみよう。 野良をクアリウムに投下したり アリス種をいれて、どこまで繁殖に耐えられるかとか ゆっくり一家をまるごとスライドでさえぎってお隣にこさせて そのうち「こんにちわ」と出会わせる ゆっくり料理専門店にイケスの様にクアリウムを設置して 透明ジェルで巣穴でのゆっくりした一家の生活をお客さんにご存分に堪能してもらってから 「へい、赤れいむのからあげ一丁!」 なんて具合にヒョイと取り出したり 「ゆっくり一家のおうち蒸しはいりましたー!」 なんて、親ゆっくりの口に赤ゆっくりを詰め込んでそのまま蒸すなんてのも良いかもしれない。 金魚鉢サイズのミニクアリウムに赤ゆっくりを入れて販売すれば 虐待お兄さんにも愛でお兄さんにも売れそうだ。 なにしろ、餌も水もすべて地面部分のジェルで事足りる。 そうなれば水族館や遊園地に並べるよりもよっぽど研究資金がもらえそうだ。 つづく。 過去の作品 ゆっくり繁殖させるよ! 赤ちゃんを育てさせる 水上まりさのゆでだこ風味 ゆっくり贅沢三昧・前編 ゆっくり贅沢三昧・後編 まりさの皮を被ったアリス 肥料用まりさの一生 ゆっくっきんぐ ドナーツ編 可愛そうな赤ちゃんにゆっくり恵んでね ゆっくりしなかった魔理沙と愛のないアリス 作者:まりさ大好きあき
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/1879.html
「ゆっくり想像妊娠」(後編) 前 まりさは……日に日にやつれていった。 表皮の張りは失われ、目は乾き、帽子はボロボロ。 けれども、そんなことに気を留める余裕すら、まりさにはなかった。 「も、もうゆっくりできないよ……れいむがごはんをとりにいってね…」 「どぼぢでそ゛ん゛な゛ごどい゛う゛の゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!??れいむとあかちゃんがだいじじゃないのおおおおおおお!!??」 「ゆゆゆゆ……ゆっくりごはんをたべるy――― 「まりさのぶんもゆっくりれいむがたべるよ!!あかちゃんのためだよ!!」 「ゆゆゆ!??まりさのごはんがああああぁぁぁぁあぁああ!!!!」 「ぜんぜんたりないよ!!まりさはあかちゃんのためにごはんをとってきてね!!それがまりさのしごとだよ!!」 「あかちゃん……まだゆっくりしてるの?ゆっくりしないでうまれてね……」 「そんなこといわないでねぇ!!!れいむとあかちゃんはもっとゆっくりするべきだよ!!」 「ゆぅ……いくらなんでもゆっくりしすぎだよぉ……」 「ゆっくりしたほうがいいにきまってるでしょ!!まりさはぜんぜんゆっくりできてないね!!」 「まりさはゆっくりしないでごはんをとってきてね!!あかちゃんのためだよ!!」 「ゆ……もうやだ!!まりさもゆっくりしたいよ!!」 「ゆゆっ!?まりさのせいであかちゃんがうまれてこないんだよ!?ゆっくりりかいしてるの!?」 「ゆぎゃっ!!やめてね!!ゆっくりごはんをとってくるよ!!だからいたいのはやめてね!!」 日の出から日没まで、ひたすら草原を駆け回って食料を集める毎日。 つかの間の休息をとろうと食料に口をつければ、“赤ちゃんのため”と言ってれいむに奪われてしまう。 反抗しようとしても、同じ成体とは思えないぐらいの体格差を覆すことは出来ず、容易くれいむに弾き飛ばされてしまった。 そして、ある日。 「ゆっ!!まりさはゆっくりしすぎだよ!!あかちゃんがゆっくりできないでしょ!!」 満足な量の食料を取ってこなかったまりさを、れいむは容赦なく巣の外へ弾き飛ばす。 まりさは餡子を繰り返し吐き出しながら、よろよろと体勢を整える。 「ゆっぐ……ゆっぐじやめでね……まりさが…ゆっくりできなくなっちゃうよ……」 「れいむはあかちゃんをゆっくりさせてあげたいよ!!まりさもそうでしょ!?あかちゃんがだいじでしょ!?」 巣の半分以上のスペースを占めるまでに成長したれいむは、さも当然のようにまりさに問いかける。 自分は赤ちゃんが大事だ。じゃあ、まりさも赤ちゃんを大事に思っているに違いない。実に天晴れな思考である。 「ゆっぐ……いいかげんにしてね……」 巣の外で、まりさはか細い声で反論する。 「あかちゃんなんて……さいしょからいなかったんだよ……れいむはうそをついてたんだよぉ!!」 「どぼぢでぞんなごどいうのおおおおおお!!??あかちゃんはいるんだよおおおおおおおお!!?? あやまってね!!おなかのなかのあかちゃんに!!ゆっぐりあやまっでね゛ええ゛え゛え゛え゛!!!」 ぶるんぶるんとお腹を動かすことで、赤ちゃんの存在を泣きながらアピールするれいむ。 だが、そんな挙動ひとつひとつもまりさにとっては無意味だった。 「そんなの……れいむがゆっくりおなかをうごかしてるだけだよ…ぜんぶうそなんだよ!!まりさにゆっくりあやまれっ!!!!」 「ひどいいいいぃぃいいぃぃ!!!すっぎりでぎないまりさのくせにぃ!!!あかちゃんにゆっくりあやまってねぇ!!!」 “すっきりできない、まりさのくせに” れいむにとっては、頭に浮かんだ言葉をそのまま口にしただけだった。 その言葉を聞いた瞬間、まりさは即座にれいむに背を向けた。 心の深いところに大きな傷を負ったまりさは、乾いた笑みを顔に張り付かせている。 「ゆっ!?はなしがおわってないよ!!れいむとあかちゃんにあやまってね!!」 れいむの怒声を黙殺して、まりさはゆっくりと地面を這って離れていく。 無言の決別。もはやれいむに対しての愛情も、赤ちゃん達への愛情も持ち合わせていなかった。 「ゆん!!ゆっくりはんせいしたんだね!!まりさはたくさんごはんをもってきてね!!」 その様子を見ていたれいむは、まりさが反省したのだと思い込んで、満足して巣の奥へと戻っていった。 巣に貯蔵してあった食べ物をむしゃむしゃ食いながら、れいむはいつ生まれるかも分からない赤ちゃんに語りかける。 そんなことをしながら、まりさの帰りを今か今かと待ち続けるのだ。 「むーしゃむーしゃ♪あかちゃんはゆっくりおおきくなってね!!おかーさんはがんばってごはんたべるからね!!」 結論から言うと、まりさは帰ってこなかった。 昼になっても、夜になっても、次の日の朝になっても、まりさは帰ってこなかった。 まりさが帰ってこなかったということは、つまり……“食べ物が来なかった”ということだ。 「ゆっ!!あかちゃんたちをまたせるなんて!!おやとしてのじかくがたりないよ!!ぷんぷん!!」 れいむの予定では、まりさが休まず昼も夜も食べ物を持ってくる筈だった。 だから巣に残っていた食料など、全て綺麗に食べつくしてしまったのだ。 「ゆぅ!!おなかがすいたよ!!あかちゃんたちもおなかをすかせてるよ!!」 昼になっても、夜になっても、次の日の朝になっても、まりさは帰ってこない。 「まりさはゆっくりしすぎだよ!!かえってきたらおしおきだね!!」 昼になっても、夜になっても、次の日の朝になっても、やはりまりさは帰ってこない。 「おなかがすいたよ!!……どうしてごはんをもってごないのお゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!??」 いくらぶくぶく太った身体をしていても、空腹はやってくる。 我慢の限界に達したれいむは、巣の外に出て自らご飯を探すことにした。 ついでにまりさも見つけて、ボコボコにしてやるつもりだった。 だが、一ヶ月以上巣の中でゆっくりしていたれいむは、今になって初めて重大な事実を知った。 「ゆっぐ!!ゆっくりでるよ!!……ゆゆ!?ゆっくりでられな゛い゛よ゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!??」 巣の中で殆ど動かず、することと言えば食う事と寝る事だけという生活を続けていたれいむ。 おかげで、巣の外へと続く細い穴を通り抜けられないぐらい、れいむの身体は肥大化していたのだ。 ぐいぐいとお腹から外に出ようと、全体重をかけて前進しようとする。 だが、お腹の中に赤ちゃんがいることを思い出して、れいむは力を弱めた。 「ゆ゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛!!!おながすいだよ゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!!」 空腹を解消できないと知って、れいむは絶望の叫びを上げる。 この巨体では、どう頑張っても巣の外に出ることは出来ない。やせ細るのをゆっくりと待つしかないのだ。 食料を断たれてから、一週間が経った。 一度肥大化した身体が小さくなる気配は無く、空腹感だけが日に日に増していく。 「ゆっぐ……おなかすいたよぉ……あかちゃんがしんじゃうよおおおぉ……」 かつてのまりさのように、力ない声を出すれいむ。 そんなれいむが閉じ込められている巣の入り口に、一週間ぶりにまりさが戻ってきた。 「ゆっ!!れいむ!!ゆっくりしてる?」 「ま、まりざあああああぁあぁぁぁぁ!!??」 巣の中から見たまりさの姿は、とてもゆっくりしていた。 髪の毛はもとの艶を取り戻しており、皮の張りも、目の潤いも、かつて元気だったまりさそのものだった。 「ゆっくりしすぎだよおおおおおおお!!!あかちゃんがかわいそうでしょおおおおおおおおお!!??」 れいむの叫びは巣の全体に響き渡り、巣の外まで届いた。 自分がこんなに苦しんでいるのに、どうしてお前はそんなにゆっくりしてるんだ!! 抑えきれない怒りで、れいむの心は破裂しそうだった。 「ゆっくりはいってきてね!!まりさにはゆっくりおしおきするよ!!」 頬をぶくっと膨らませて、怒りを露わにする。まりさを徹底的に痛めつけて、二度と逃げる気にならないようにしてやるつもりだった。 しかし、それを見てもまりさはまったく脅えることなく、にやにやと巣の中のれいむを見つめている。 痛いことをされると分かっていて、自分から巣に入っていくほどまりさはバカではない。 「ゆ~!!つかれたからおそとでゆっくりするよ!!」 まりさは、帽子の中からたくさんの食料を取り出し、れいむに見せ付けるようにして貪り食う。 うっめぇ!!まじぱねぇ!!と、下品極まりない声を上げながら食べかすを飛び散らした。 その様子を見たれいむは、下唇を強く噛んで悔しがる。 「ゆぎいいいいいいっぃぃ!!!まりさばかりずるいよ!!れいむにもたべものをもってきてね!!あかちゃんのためだよ!!」 「ゆっ?あかちゃん?そんなのいないよ!!ゆっくりりかいしてね!!でぶれいむ!!!」 「でぶじゃな゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛!!!これはあかちゃんな゛の゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!!」 全身の余分な餡子を震わせながら、涙を流して否定するれいむ。 デブといわれたことより、赤ちゃんの存在を否定されたのが悲しかった。 「ぱちゅりーにゆっくりきいてきたよ!!れいむにあかちゃんなんていないんだよ!!」 「ゆゆっ!?そのぱちゅりーはうそをついているよ!!!れいむをゆっくりしんじてねぇ!!!」 何が何でも、自分のお腹の中には赤ちゃんがいる、そのことを受け入れて欲しかった。信じて欲しかった。 けれど、まりさは哀れむような笑みを浮かべて、れいむの言うことを一欠片も信用しようとしない。 「ゆ?うそをついてるのはれいむだよ?ゆっくりりかいしてね!!!」 帽子から出した食料を全て食べ切ったまりさは、口の中に残っていた野菜の芯をぺっと吐き出した。 「ゆっぐ!!ゆっぐりぃ……あがぢゃんがだいじじゃないのおおおおおお!!?あがぢゃんがゆっぐじでぎないよおおおお!!??」 「まだゆっくりりかいしてないんだね!!あかちゃんなんて――― と言いかけて、背後に何者かの気配を感じたまりさは、ゆっくりと後ろを振り向いた。 「がおー!!!」 「ゆっ!!???」 そこに立っていたのは、ピンク色の古臭い服を着た胴付きゆっくり―――ゆっくりれみりゃだった。 「うー!!たーべちゃーうぞー!!!」 「うがああああぁっぁあぁぁあ!!!れみりゃだあああぁぁああぁぁ!!!!」 食物連鎖の上位に位置するれみりゃを見て、まりさの本能が危険だと告げていた。 とにかく逃げなければならない。何よりも逃げる事が最優先だ。考える前に、身体が動いていた。 そう、考える前に、身体が動いてしまった。考えないで、身体を動かしてしまった。 だから、普通に考えればタブーだと分かることを、まりさはしてしまったのだ。 「ゆううううぅぅうぅぅぅ!!!れいむううううぅぅううぅぅ!!!ゆっぐりだずげでねぇえぇぇぇぇぇええええ!!!」 まりさは一番近くにあった巣穴……れいむが閉じ込められている巣穴に、迷わず飛び込んだ。 その穴は、れみりゃが入れないほど小さいものではない。そして、当然ながらゆっくりの巣穴の出入り口は一つ。 つまり、まりさは本能に身を任せてしまったばかりに、自ら袋小路に逃げ込んでしまったのだ。 「うー?にげてもむだだぞー!!!たーべちゃーうぞー!!!」 「うわああああぁぁぁあっぁあ!!!まりざはおいぢぐないよおおおおおぉぉぉぉぉ!!??」 れみりゃが伸ばす手から間一髪で逃れて、巣穴の奥へと逃げ込もうとするまりさ。 しかし、その退路を……空気を吸い込んでぷくぅっと膨れたれいむが塞いでしまった。 「ゆっ!?なにをするの!?ゆっくりたすけてね!!」 「あかちゃんにひどいことをいうまりさはゆっくりしね!!」 ぐいぐいとまりさが全体重をかけて奥へ進もうとしても、れいむの巨体を押し退けることはできない。 まさに、壁だった。れいむのお腹は、何者の侵入も許さない防壁だった。 「どぼぢでぞんなごどい゛う゛の゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!??まりさのぴんちなんだよ゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!??」 れいむが苦しむ様を見て笑っていたときの面影は、もうなかった。 ただひたすら涙を流して、まりさは“壁”を退けるよう要求する。それでもれいむは、お腹を退かそうとはしなかった。 「もうおまえはれいむのまりさじゃないよ!!!れみりゃにたべられてあのよではんせいしてね!!!」 「いやだぁあああぁあっぁあぁ!!!だべられだぐないいいいぃぃいいぃぃ!!!!」 れいむの腹にすりすりと頬を擦りつける形で、なるべくれみりゃの手から逃れようとするまりさ。 ゆっくり同士の友情を確認する手段である“すりすり”だが、今のすりすりには何の気持ちよさも無かった。 ただ、逃げたいだけ。助かりたいだけ。そこには友情も愛情も無い。あるのは生への渇望だけだった。 「おねがいだよおおおぉ!!!あがぢゃんのごとわるぐいわないがらああぁあぁ!!!だがらだじゅげでねえええぇえ!!!」 「もうておくれだよ!!!ゆっくりたべられてしね!!!」 ぼよん!! お腹に力を込めて、れいむは腹部に張り付いているまりさを弾き飛ばした。 ぼてっぼてっと地面をバウンドするまりさ。ボールのように弾むまりさを、追いついてきたれみりゃが受け止めた。 「うー!!まんじゅうがころがってきたぞー!!たーべちゃーうぞー♪」 「ゆっくりやめてね!!まりざはおいぢぐないよ!?たべるならあっぢのれいむを――― 両手でまりさを掴みあげたれみりゃは、大きな口を開けてがぶっとまりさに噛り付いた。 「うげっ!?あぼっ!!?あろろろろろ!!?いびあいびあいばいいばいばいいいば!!??」 一気に身体の半分以上を失ったまりさは、正常な悲鳴すらあげる事が出来なかった。 片目を失い、口を半分失い、帽子を半分失い、餡子を半分失った。 大きな断面から餡子が漏れる暇も与えず、れみりゃは残り半分もぱくりと一気に口に放り込む。 「うー♪おいしかったぞー♪ぷっでぃーんよりおいしいぞー♪」 「おばおおあおおああおぁああぁぁあっぁあぁぁぁぁぁぁ――――― 意味を成さないまりさの悲鳴が、れみりゃの身体の中に吸い込まれていった。 「ゆっ!!ばかなまりさはあのよでゆっくりはんせいしてね!!」 まりさの最期を見届けたれいむは、満足した様子で巣の奥へと戻っていく。 素晴らしき饅頭思考。れいむは、まりさを襲った危機が自分に降りかかるとは……これっぽっちも考えていなかった。 「うー?あっちにでっかいまんじゅうがあるぞー?あれもたべるんだぞー!!」 「ゆっ!?どうしてこっちに゛ぐる゛の゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!??」 デブれいむでは通り抜けられない穴も、成体れみりゃなら通り抜けられる。 巣の奥へと逃げ込んだれいむを追い、れみりゃも巣の奥へと入り込んでしまった。 「うー!!すごくでかいんだぞー!!これならおなかいっぱいたべられるんだぞ~♪」 「どぼぢでええぇぇえぇぇぇ!!??まりざをたべだの゛に゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛!!!」 「あんなちいさいまんじゅうじゃ、ぜんぜんたりないんだぞ~♪う~♪」 一ヶ月近く巣の中に引き篭もっていたれいむが、まともに動けるわけが無く…… れいむは呆気なくれみりゃに捕まってしまった。れみりゃ相手では、巨体を生かして押し勝つことも難しいのだ。 「う~♪でっかいまんじゅうたべちゃうぞ~♪」 「うわぁあぁぁぁぁぁぁやめでねええぇぇぇええぇ!!!そごにはあがぢゃんがいるのおおおおおおぉぉぉぉ!!!」 れいむの腹を鷲づかみにしたれみりゃに向かって、れいむは涙を流して懇願する。 だが、その言葉はれみりゃの好奇心を刺激するだけで、何の役にも立たなかった。 「う~♪それならおなかからたべるんだぞ~♪あかちゃんおいしそうだぞ~♪」 「やめでねえええぇえぇぇ!!!!れいぶのあがぢゃんがあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!」 ずりずりと後ずさって、少しでもお腹の中の赤ちゃんをれみりゃから守ろうとする。 大粒の涙を流しながら助けを請うも、れみりゃの手を止めるには至らなかった。 れいむのお腹のど真ん中に両手を突っ込み、れみりゃは力を込めてその穴を両側に広げた。 びりびりと皮が破れて、その隙間からじんわりと餡子が漏れていく。 「いっぎゃあかかかあかかかああ!!!?いびびびあいあいあおいあおいおあ!!??」 生まれて初めての激痛だった。身体はれいむの制御下を離れ、痛みに反応して無秩序に微動する。 腹の中の餡子を抉られる痛みと、赤ちゃん達を蹂躙される悲しみに、れいむは涙を止める事が出来なかった。 れみりゃはニコニコ顔でれいむのお腹の中を覗き込み、お目当てのものを手探りで見つけようとする。 だが、どんなに探しても赤ちゃんらしきものは見つからない。 繰り返し餡子を穿り返しても、出てくるのは餡子だけ。 れみりゃが楽しみにしていた赤ちゃんゆっくりは、どこにも入っていなかった。 「う~!?あかちゃんなんていないんだぞー!!??うそつきはこうだぞ~!!??」 騙されたことに腹を立てたれみりゃは、大きく口を開けてれいむの目に噛り付いた。 ―――え?あかちゃんが……いない…って……うそ…だよね……? そんな思考が出来たのも、一瞬だけだった。れいむの餡子脳は、すぐにれみりゃの攻撃によって痛みに染まる。 れみりゃの怒りを買ったれいむは、それはそれは惨たらしい食われ方で、身体を失っていった。 赤ちゃんなど一匹もいないお腹はズタズタに引き裂かれ、目は勢い良く噛み千切られ、 「これはまじゅいからぽいするの!!」 と、リボンと髪の毛は乱暴に取り去られた。 身体の至る所を貪り食われ、命が絶えつつあっても……れいむは赤ちゃんの存在を信じて疑わなかった。 「あがぢゃんはぁ……れいぶのあぎゃだんは……いるんだよおおおぉぉ……」 「う~?またうそをついてるぞ~?うそつきはどろぼうのはじまりだぞ~!!」 がぶがぶと美味しそうに、れみりゃはれいむの身体を噛み砕いて呑み込んでいく。 餡子を失い、痛みすら感知できず、正常な思考すら困難になっても、れいむはただ赤ちゃんのことだけを考え続けた。 れいむは、たくさんの赤ちゃんとゆっくりしたかっただけなのに…… どうしてれいむと赤ちゃんがこんな目に遭うの!?どうして!?もっとゆっくりさせてよ!! ごめんね…れいむの赤ちゃん……ゆっくりさせてあげられなくて、ごめんねぇ!!! 「あが…ぢゃん……ごべん……ね…」 「う~♪あまあま~♪」 最後の一口が、れみりゃの口の中に放り込まれた。 「う~♪おいしかったぞ~!!まんぷくなんだぞ~♪♪れみ☆りゃ☆う~♪」 デブれいむを食べつくしたれみりゃは、よくわからない呪いのポーズをとって満足げな笑顔を浮かべる。 お腹がいっぱいになったので、今日はごーまがん(という名の巣穴)に帰って眠ろう……と、巣穴から出ようとしたのだが。 「う!?でれないんだぞー!?おかしいんだぞぉー!!??」 巣穴から出られなかったデブれいむを、残さず食ったれみりゃ。 デブれいむ一匹分の餡子が収まったれみりゃのお腹は、小さな巣穴に見事に引っかかってしまったのだ。 「うああああああぁぁぁぁぁ!!!ざぐやああぁぁぁぁぁ!!!れびりゃをだじゅげでええええええ!!!!」 誰かを呼んでいるようだが、こうも発音が不明瞭では誰も聞き取れないだろう。 巣から脱出する手段が思いつかないれみりゃは、ゆっくりと待つことになった。 「ざあああああぐううううううやああああぁぁぁぁあぁぁ!!!!!」 飢え死にするか、ゆっくりふらんに食われるか。二つに一つ。 れみりゃは、とてもゆっくりできない最期を、待つことになった。 (終) あとがき ゆっくり虐待52(実質:ゆっくり虐待スレ53)の582,589あたりから強烈な電波を受信して。 良い子は、想像妊娠なんかしちゃダメですよ! 結末はいろいろ考えたけど、腹切り開いて「中に誰もいませんよ」をやりたかったので、れみりゃにご登場願いました。 れいむ餓死エンドは、話が相当長くなりそうだったので止めました。 作:避妊ありすの人 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/3326.html
※俺設定全開です ※虐待の直接表現はあまりないです タイトル「ゆっくり訪問」 アパートに下宿している大学生である青年は、夜食の準備をしていた。 準備といっても、カップラーメンに入れるお湯を沸かすために、電気ポットに水を入れていただけだが。 磁石式コンセントをポットに接続したところで、ドアをノックする音が聞こえた。 「はいはーい」 気のない返事をしながら、宅配便でも来たのかと、不用意にドアを開ける。 誰もいない。 舌打ちしてドアを閉めようとしたところ、足下から声が聞こえてきた。 「むきゅ、ゆっくりしていってね!」 「ゆっくちちていっちぇね!」 声の方に目をやると、そこにはゆっくりの成体ぱちゅりーと赤ありすがいた。 「なんだよゆっくりか…」 一時期、ペットとして飼育するのが流行った不思議生物ゆっくり。 当初は人語を解するので、犬猫なんかより躾けやすいだろうと考えられていた。 しかし、少しでも甘やかすとまるで自分が主人だと言わんばかりにつけあがる。 おまけに人語で罵詈雑言を浴びせてくるので、飼い主のストレスがマッハとなり、捨てられるゆっくりが後を絶たず、社会問題化した。 喋れないからこそ犬猫は可愛いのだと再認識させられ、ゆっくりブームはあっさり収束した。 青年の眼前にいるゆっくりも、おそらく捨てられたペットなのだろう。 そんな考えを巡らせていると、ぱちゅりーが話しかけてきた。 「むきゅ、おにいさんは ゆっくりできてる?」 いきなり質問されたため、青年は反射的に応えてしまった 「できてねーよ、今からレポートだよ」 ぱちゅりーは「予想通りッ!」といった表情を浮かべて言った 「そうよね、ゆっくりできていないわよね!」 「できちぇないね!」 わざわざ赤ありすが復唱する。 青年は、これからレポートという現実から無意識のうちに逃避したい願望に捕らわれ、このゆっくり遊技につき合ってしまっていた。 「そんなおにいさんに ろうほうよ!」 「りょうぽうにょ!」 「この ゆっくりする ほうほうが かかれた ごほんをよめば、ゆっくりできるわ!」 「ゆっくちできりゅよ!」 「いまなら ごはんと こうかんしてあげるわ!」 「あみゃあみゃ ちょーらいね!」 今度は青年が「予想通り」といった表情を浮かべる番だった 「なんだよ、やっぱり集りか」 片手でシッシと追い払う動作をしながら言った 「ゆっくりに餌やるのは条例違反なんだよ。なつかれても迷惑だしな。帰れ帰れ」 「むきゅ!なにいってるのよ!これは きちょうな ごほんなのよ!」 ぱちゅりーはもみあげに器用に挟んだ小さなチラシのようなものを盛んに振り回す 「とくべつに ごはんと こうかんしてあげるって いってるのよ!」 「あみゃあみゃ、ちょーらいね!」 「いらねー、つってんだろーが、ボケが」 青年は騒ぎ立てるぱちゅりーと赤ありすを蹴飛ばした。 クリームやカスタードをまき散らされては叶わないので、思いっきり手加減して。 コロコロと転がって、フェンスに激突する2匹のゆっくり。 「もう来るんじゃねーぞ」 青年はダメージに震えながら立ち上がる(?)2匹を一瞥すると、ドアノブに手を掛ける。 体が弱いとされるぱちゅりーとは思えない回復力で立ち直ると、青年に向かって叫んだ 「まっでぐだざいぃぃ〜!ぱちゅは ごのごを ぞだでなぐちゃ いげないんでずぅ〜!」 「みゃみゃ〜!」 今度は泣き落としかよ。 呆れる青年だが、先ほど同様レポートからの逃避行動を取ってしまう。 腕組みして足でドアの開放状態をキープしつつ、ぱちゅりーの話を聞いてみることにした。 「ぱちゅと ありすは すっきりして あかちゃん うんだけど、ありすは しんじゃったの!」 ぱちゅりーは目から洪水のように涙を流しながら青年に訴える 「ぱちゅは かりが へただから、あかちゃんに ごはんを ちゃんとたべさせられないの! だから、ゆっくりできる ごほんと ごはんを にんげんさんに こうかんしてもらってるの! だって、ぱちゅには そうめいな ずのうしか ないから!」 「みゃみゃ〜!」 赤ありすがぱちゅりーに泣きながら頬ずりしている。 シングルマザーか… 青年はちょっと情に絆され、ささっと周囲を見渡した。 誰もいない。 丁度、さっき友人とファミレスに行った際にガメてきたスティックシュガーがあった。 この程度の袋なら、ゆっくりでも噛みきれるであろう。 青年はそれを泣き喚くぱちゅりーの帽子に差し込みながら言った 「ほら、コレやるから、さっさと巣に帰れ」 「むきゅ!むきゅ〜ん、おにいさん ありがとう!」 「ありがちょー!」 「この ゆっくりできる ごほんと こうかんね!」 もみあげに挟んであったチラシのようなものを、器用に口にくわえ直し青年に差し出した。 青年は流れで思わずそのチラシのようなものを受け取る。 さて、そこに書かれているという、ゆっくりできる方法とは… 『美白乳天使ホワイトエンジェル 95分10000円 チェンジ可…』 「…これは『ゆっくりできる方法』じゃなくて『すっきりできる方法』じゃあ、ボケェッッ!!!」 青年は今度はインサイドキックでゆっくり親子を、潰さないよう配慮しつつ、アパートの出口方向に蹴飛ばした。 「「ゆべぇっ!!!」」 道路に着地し、そのままコロコロ側道まで転がってゆく。 「ゆぅっ!ぱちゅ!おちびちゃん!」 アパートの出口あたりから、転がるぱちゅりーと赤ありすを追いかけるようにありすが飛び出した。 「むきゅ〜うぅぅん…」 「ゅぎゅうぅぅ…」 目を回しているぱちゅりーと赤ありすを舐めるありす 「ぺーろぺーろ、いたいのいたいの、とんでけー!」 どうやら先程ぱちゅりーが話していた、死んだはずのありすのようだ。 興醒めした青年は、ドアを閉め鍵をかけたのであった。 青年は友人に先程の出来事を報告するため、電話をかけた。 同じくレポート作成作業中のはずだから、怒鳴られるかと思ったが、電話せずにはいられなかった。 はたして、電話に出た友人からは、意外な声が発せられた。 「おう、今 俺ンとこにゆっくりがきたぞ!」 青年の友人もアパート暮らしだ。 友人がレポートに取りかかろうとノートPCに電源を入れたタイミングで、玄関をノックする音が聞こえた。 「はいはーい」 宅急便かな、何か頼んだかな?と不用意にドアを開けてしまった。 「こんにちわ、おにいさん!れいむだよ!」 でかい声が足下から響いてきた 「おにいさん、れいむに ごはんを ちょーだいね!」 バスケットボールサイズのゆっくりれいむは畳み込む 「れいむが『しあわせー♪』すると、おひかりさんが でるんだよ!」 ぽよんぽよんと跳ねながら、ヒートアップしてゆく 「おひかりさんを にんげんさんが あびると ゆっくりできるんだよ!」 れいむはそこで一区切りして俯いた。 そして、はち切れんばかりの笑顔を友人に向けながら言った 「だから おにいさん!れいむに ごはんを ちょーだいね!!!」 「うるせぇ、ボケが」 冷淡に言い放つと、れいむの顔面につま先をめり込ませた 「わけわかんねー事、叫んでンじゃねーよ」 フェンスまで吹き飛んだれいむは「ゆぎゅっ!!!」と呻き、蹲って震えている。 閉まるドアに、ゆっくりとは思えないスピードで入り込むと、友人に叫んだ 「まってね おにいさん!れいむの おひかりさんを あびたくないの!?」 友人は足で見事なストッピングを決め、そのままれいむを踏みつけながら言った 「…なんじゃい、その『おひかりさん』つーのは?」 とりあえず、青年と同じくレポートからの逃避行動として、れいむの話につき合うことにした。 「ゆゆっ!ばかな おにいさんに もういちど せつめいしてあげるね!」 友人の足にれいむが跳ねようとしている力が伝わってくる。 ウネウネして気持ち悪い。 「れいむが おいしいごはんをたべて 『しあわせー♪』すると、れいむから おひかりさんが でるんだよ!」 足から伝達するウネウネのテンポが上がってきた 「たいようさんのような おひかりさんは とてもゆっくりできるよ! おにいさんの あんこさんも きれいになるんだよ!」 友人はれいむの話を整理してみた。 1.れいむが餌を食べると体が光る 2.れいむから放たれた光を浴びると、人間はゆっくりできる 3.れいむから放たれた光を浴びると、餡子(血液?)が綺麗になる 「…訳が分からん」 そもそも、ゆっくりが餌を食べて「むーしゃ、むーしゃ、しあわせー♪」した時に光ったのを見たことがない。 もしかして、新種のゆっくりか!? 餌をやることは条例違反だが、周囲に誰もいないし、学生として学術的好奇心を満たさずにはいられない。 友人は先程青年と一緒に行ったファミレスからガメてきたスティックシュガーを与えることにした。 「オラ饅頭、あまあまやるぞ」 「ゆっ!あまあま!ゆっくりしないで はやくちょうだいね!」 足をどけてやると、上を向いて大きく口を開ける。 玄関のすぐ横がキッチン、手の届くところに調味料入れがあり、そこにスティックシュガーを入れていたので、すぐに取り出せた。 大きな口を開けて待機しているれいむの口の中に砂糖を流し込む。 れいむは涙を流しながら 「あまあま、あまあま、しあわせー♪」 とびきりの笑顔になったが、「おひかりさん」とやらは友人には確認できなかった。 「おい、れいむ。『おひかりさん』はどうした?」 「ゆゆっ?いま おひかりさんが でたでしょ?わからないの?ばかなの?しぬの?」 れいむが嘘をついているのでなければ、「おひかりさん」は出たのだろう。 ただしそれは、人間には見えない。 そして、健康になったりゆっくりしたりしていない現実があった。 「意味ねー」 友人はアパートの出口に向かって、れいむを蹴り出した。 あとにはれいむの絶叫と、友人が閉めたドアの音だけが残った。 「とゆー訳だ」 「条例違反じゃねーか」 友人の話に、青年はつっこんだ。 しかし、友人は反論する 「ちげーよ、盛り砂糖しようとしたらゆっくりが勝手に食べたんだよ。俺は被害者だよ」 「しかし、お前んとこのアパートと結構離れてんのに、似たような事件がおこるとはな…」 「多分、どこででも発生してると思うぜ」 二人で今回あった事件について考察してみた。 ゆっくりは、採餌やペット化など、成功体験が個体群間においてものすごい速度で伝播する。 メカニズムは不明だが、会話によるもの、繁殖時の餡子記憶伝達によるものが考えられる。 今回のドアをノックする方法も、石を銜えて頭突き(?)するという行動は従来見られなかったものだが、青年と友人のケースで共通していることから、伝播したものだと推測できる。 「つまり、どこかのゆっくりがピンクチラシを渡したら餌を貰えたのを、誰かが見たか他ゆっくりに話したか」 「ピンクチラシをポストに投函すると逮捕されちゃうから、もしかしたら、業者がゆっくりにやらせてんのかもな」 友人は人間の関与を疑っている 「ゆっくりに『このチラシを人間にあげれば、ご飯貰えるよ』とか言って」 「ゆっくりが『人間さんに言われたんですぅ』ってゲロして、チラシから業者たどればバレバレじゃん」 「そんなもん、チラシは盗まれましたって言やすむだろ。それに奴らが人間に餌をたかるのは日常茶飯事」 「おひかりさん、はなんなんだろうな」 「プリクラの撮影風景でも見たんじゃない?大体みんな笑顔になるから、それ見て『人間は光を浴びるとゆっくりする』と思いこんだか…」 「血液はなんだよ」 「アレだろ」 「アレか…」 次の日、大学に行ってみると、他の学生のアパートや自宅でも似たような出来事があったらしい。 実際にゆっくりが訪問してきた日付は各々でかなり違うのだが、人間の記憶などいい加減なもので、話題になったときが事件のあったときと錯覚する。 なので、市民はゆっくりが一斉に家庭訪問したかのような印象を受けた。 ゆっくりが餌をたかること自体は珍しくない。 問題なのは、その方法であった。 石を銜えて頭突きでノックするものだから、ドアに傷が付く。 アパートなどでは、全てのドアに大体高さ30センチくらいの所に傷やへこみができていた所もあった。 また、都市に住むゆっくりは車と住居の区別ができず、「人間さんが出てくるから、ここ(車)もおうちだね」 という勘違いをして、車のドアに傷・へこみをつけた。 アパートやマンションの管理組合や管理会社、車のオーナーなど市民、そして自治体を巻き込んで大論争がおこった。 管理組合や市民は自治体がゆっくり害の危険性を見過ごしていたと損害賠償を請求し、自治体は自然災害と突っぱねる。 それまで大して話題にならなかった、野良ゆっくりの「おうち宣言」や「物乞い」、繁殖しすぎて道路に飛び出しスリップ事故の原因になる事例までがクローズアップされ始めた。 怒りの矛先は、ゆっくりショップや愛好家にまで向かう。 ショップや愛好家が飼えなくなったゆっくりを捨てているのではないかという風評まで流れた。 犬や猫と違って、明らかに損害をもたらすゆっくりを排斥するという運びとなるのに、時間はかからなかった。 都市からゆっくりの姿が消えた。 あとがき 読んでいただいた方、ありがとうございます。 家のポストにチラシが放り込まれているのを見て思いつきました。 あれって、ゴミになるからいやなんですよね。 これまで書いた作品 ゆっくり爆弾 ゆっくりの光
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/567.html
森の中に入ると、そこには沢山のゆっくり達が蠢いていた。 「ゆっくり~~♪」 「ゆうゆう~♪」 その数およそ50、アリスやパチュリーも混ざっている。 「ゆ? おにーさんどうしたの?」 「ゆっくりできるの?」 近寄ってきたのは、ゆっくり霊夢・魔理沙・パチュリー・アリスの四匹だった。 「そうだよ。君達は?」 「れいむたちはこの群れのリーダーだよ!!」 「とかいはのありすがきちんとしてるからだよ!!」 「むっきゅ~!!!」 そうか。リーダーが居るのか、予定を少し変更しなきゃな。 「そうか、偉いなー!! 実はねおにーさんは料理人なんだけど、口の肥えているゆっくり達に味見をしてもらいたくて、食べ物を持ってきたんだ」 背中のリュックから沢山のお菓子を取り出す。 最初は四匹に食べさせてみる。 「ゆゆ!!! おいしーよ!!!」 「うっめ!! これめっちゃうっめ!!!」 「うん!! てぃーたいむにはさいこうね!!!」 「むっきゅーーー!!! ごはんごはん!!!」 気に入ってくれたようだ、作戦を進めよう。 「美味しかったかい。それなら、ぜひとも他のゆっくり達の意見も聞いてみたいんだけど……」 「いいよ!! みんなにたべさせるね!!!」 どうやら、群れと言う体系を取ってはいるが、根は純粋な野生ゆっくりの集まりのようだ。 四匹が号令をかけると、他のゆっくりが集まってくる。 「おいしーの?」 「わかるよーー!!!!」 「ちーんぽ!!」 数を調節して残さずに与える。 食う事には長けているゆっくりだ。 直ぐに全員が食べ終えた。 「ゆ!!! うぐぐ!!」 そして全員が苦しみ出す。 「わがらないよーーー!!!!!」 「ちーーーー……」 残ったのはあの四匹だけ。 「ゆゆ!!! みんなどうしたの!!!!」 「おきてね!!! まりさたちのめいれいだよ!!!」 「しえすたにはまだはやいよ!!!」 「むっきゅーーー!!!!」 なにが起きたのか分からないようだ、これが人になれているゆっくりだったら真っ先に疑ってくるものだが。 「もしかしたら、皆寿命だったのかも?」 「ゆ!! そんなことないよ!! まだみんなゆっくりできるよ!!!」 「でも、群れのリーダーのお前達は、曲がりなりにも体が強くできているんだよ。他のゆっくりはそれよりも早く死んじゃうんだよ」 「「「「ゆーーー!!! もっどみんなどゆっぐりしだかっだーー!!!!」」」」 我ながら変てこな説明だが、どうやら信じたらしい。 ここまで来ればあと少し。 「それじゃあ、キチンとゆっくりできるようにお葬式をしないとね」 「ゆ~? お葬式って?」 「死んだ後も、魂がゆっくりできるようにするための儀式さ。これをすれば死んだゆっくり達もゆっくりできるんだよ」 「そうなんだ!! おにーさんれいむたちおそうしきするよ!!!」 「まりさもやるーー!!!」 「どうすればいいの? れくちゃーしてね!!」 「むっきゅーーー!!!」 「いいよ、でもこれは君達がやらないと効果が無いんだ。分かった?」 「「「「ゆっくりりかいしたよ」」」」 そうして、俺は、ゆっくり達に指示を出していった。 最初に、死体を一箇所に集めさせる。 「ゆっゆ!!」 幸い、近くに大きな穴があったので、そこに落とさせた。 次に、四匹に灯油の入った容器を持たせ穴の上からかけさせる。 「ゆゆ? これなーに?」 「良く燃えるようにするのさ、火になってお空に飛ばすんだ」 「ゆゆ!! わかったよ!! みんなにゆっくりかけるね!!!」 最後に、ゆっくり達に蝋燭を咥えさせる。 「良いかい。ゆっくりできますようにってお願いしてから、その蝋燭を下に投げるんだ」 口の使えない四匹は、顔を上下に動かして答える。 そして一瞬の静寂の後。 「「「「……!! ゆっくりしてね!!!!!」」」」 四匹が一斉に蝋燭を投げ捨てた。 同時に、高く高く伸びる炎。 「ゆっくりしてねーーー!!!」 「みんなげんきでねーーー!!!!」 「みんなはありすのおともだちだよーーー!!!」 「むっきゅーーー!!!」 思い思いの言葉を叫び、その炎を見続ける四匹。 作戦は成功、時間もソロソロだ。 「……ゆゆゆ!! あづい!!! あづいーーーーー!!!!!!」 「どうして!!! まりさがもえてるよーーーー!!!!」 「わからないよーーーー!!!!」 「ちーんぽーーーー!!!!」 「「「「!!!!!!!」」」」 突然、炎の中から声が上がる。 ビックリした四匹が凝視すると、中では激しく蠢くゆっくり達。 そう、未だ生きていたのだ。 先程混入した毒は、致死量に達しなければ仮死状態から蘇生する。 数十のゆっくり家族に実験して、致死量を完全に把握した甲斐があった。 そして、穴の下はまさに地獄絵図だ。 「どーしでーーー!! しんだんじゃないのーーー!!!」 四匹も騒然となる、何せ今まで死んでいたのだから。 「ああああーーーー!!!!」 「ぎゃーーーー!!!」 「ぷっでぃ~~~ん!!!!」 「わがらなーーーい!!!」 「ちーーー!!!」 下では、本当にゆっくり達が死んでいく。 「たずけでーーー!!!」 「れーだー!!!」 四匹に助けを求めるように、必死に炎を纏いながら登ってくるゆっくり達。 「あ゛あ゛あ゛!!!」 「ゆゆゆ!!!!」 そのどれもが、途中で力尽きて火柱の薪となる。 上の四匹は、唯呆然と見ている事しかできない。 「……」 「……」 やがて声が聞こえなくなった。 全員がしっかりとやけ饅頭になったのだろう。 うん、満足。 早速帰って新しいメニューを考えよう。 「お前達が皆を殺したんだよ」 「……!! ゆーーーちがうよーーー!!!」 「れーむたじはやっでないーーー!!!」 「たがいはのありずはそんなごとしないよーーーー!!!!」 「むぎゅーーーー!!!!!」 そう言い残して、俺は麓へと降りていった。 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/4336.html
ゆっくり脳内補完 秋も深まり様々な色に紅葉した葉がひらひらと舞っている。 山の生き物たちはもうすぐそこに迫った冬に備えて、残り少ない食料をかき集め冬篭りの準備に精を出していた。 木の皮を口にくわえて剥がし、溝に潜っている丸々太った芋虫をズルッ!と引きずり出して「ゆっくりぃ!」と叫ぶまりさ それを見てにっこりと微笑みながら「ゆっくり!ゆっくり!」と落ち葉の絨毯の上を跳ねるれいむ この二匹も他の生き物たちと同じく、来る冬に備えて最後の食料集めに勤しんでいた。 二匹とも頬をパンパンに膨らましている。別に怒っているわけでは無く、手足の無い顔面だけの生き物であるゆっくりは こうして口の中に食料を蓄え、巣に持ち帰るのである。 「ゆっ!虫さんもお花さんも草さんもいっぱい集まったね!これだけあれば冬を越せそうだよ!」 「ゆっくり!」 「ちょっとゆっくりしすぎちゃったね!おちびちゃん達がきっとおなかをすかせてるよ!」 「ゆゆっ!ゆっくりぃ!」 「あせりはきんもつだよ!他のゆっくりやどうぶつさんの邪魔にならないようにゆっくりかえろうね!」 「ゆっくり!ゆっくり!」 ぽいんぽいん!と落ち葉を踏みしめながら家路に着くまりさとれいむ 長い冬を過ごす事になる二人のゆっくりプレイスは群れの隅にある大木の根元に穴を掘ったものであった。 「ゆゆ~ん♪ただいま!おちびちゃんたち!ゆっくりごはんにしようね!」 「ここはお兄さんのゆっくりプレイスだよ!小汚いまりさ達はさっさと出て行ってね!」 「ゆっく・・・ゆゆっ!?」 木の根元に掘られた巣穴の前にはサガットステージの仏像のポーズでゆっくりしているお兄さんが居た。 クッチャクッチャと音を立てて食べ物を食い散らかしている。 「ゆっ!ゆゆっ!?」 まりさは口をポカーンと空け、溜め込んだ芋虫をポロポロとこぼした。れいむの口からはちょうちょさんが飛び立って行った。 「な、なにいってるの?ここはまりさたちのゆっくりプレイスだよ!ばかなの?しぬの?ぷくぅ!」 とりあえず膨らんで自分の屈強さをアピールしつつ威嚇するまりさ 「ばかなにんげんさん、ゆっくりきいてね!!巣の中にはまりさたちが集めた虫さんやお花さんがあったでしょ? ここがまりさたちの巣といううごかない しょうこだよ! ゆっくり りかい したらとっとと出て行ってね!」 まりさは勝ち誇った顔をしながらニヤニヤと笑みを浮かべている。 お兄さんはそんなまりさの説明にも全く表情を変えずゆっくりと上体を起こした。 「なに言ってるの?虫や花は勝手に巣に生えてくるものでしょう?いい加減な嘘でおにいさんを騙さないでね!ペッ!」 そういうとお兄さんは口をモゴモゴさせて何か汚いものを吐き出した。べちゃり!と音を立て黒い塊が地面にこびりつく 「ゆ゛っ!?ゆゆゆゆゆゆ!?」 このお兄さんは何を言っているのだろう?虫さんや花さんが勝手に生えてくるわけが無いではないか まりさとれいむで毎日一生懸命に集めたから今ここに蓄えられているのであって 勝手に生えてくるというその理屈はおかしい。ばかなの?しぬの?もう冬なのに頭の中は春まっさかりなの? 「まりさは野菜は勝手に生えてくるって言ってたじゃない?なら虫や花も勝手に生えてくるに決まってるでしょ?ペッ!」 また黒い汚いものを吐き出すおにいさん、まりさはわけの分からない事ばかり言うお兄さんに苛立ちを覚え ぷるぷるとその身を揺らしながら青筋を立てている。 「おやさいさんは勝手に生えてくるけど虫さんや花さんは生えてこないんだよ! そんなことも知らないの?ゆゆゆっ!あとその「ペッ!」やめてね! これ以上ゆっくりプレイスを汚したらただじゃおかないよ!ゆっくりやすりすりをできなくするよ!ぷんぷん!」 怒りを露にするまりさをよそに、れいむはまりさとお兄さんを交互に見つめては 「ゆっくり!」「ゆっくりぃ!」とぽいんぽいんその場で跳ねながら 二人ともゆっくりしよう!ゆっくりしていってよ!と訴えかけているが、 はたから見れば、薄ら笑いを浮かべながらその場で跳躍を繰り返すド饅頭にしか見えない。 「ゆっ!そうだ!巣のなかにはまりさたちのかわいいおちびちゃんたちが居たでしょ? ここがまりさたちのゆっくりプレイスというゆるぎない しょうこ だよ!ゆふん!」 お兄さんは鼻をほじりながら 「きゃわいいおちびちゃん?・・・そんなのは居なかったよ?お兄さんのゆっくりプレイスに後から勝手に入ってきて 「きょきょは まりちゃたちのおうちだよ!じじぃは ちゃっちゃと でていってね!ぴゅんぴゅん!」とか ワケの分からない事を言ってかわいいお兄さんにつっかかってきた小汚いクソゆっくりなら居たけどね。」 「ゆがあああ!?くそゆっくりとかいわないでね!それがまりさ達のかわいいおちびちゃんだよおぉぉ!? なんで かってにはいってきた とかいうの!?あきらかにさきにいたでしょおおお!?・・・ゆっ?」 お兄さんが吐き出した黒くて汚い物体・・・よく見るとそれには見覚えがあった。 黒く歪んで汚れているが、この赤いリボンの様な形状、そしてこの三角帽子の一部のフリル・・・・これはまさしく、おちb・・! 「どうじでおちびちゃんの おかざり がおにいさんのお口からででくるのおおおお!?」 口から勢いよく唾液を飛ばしながら叫び取り乱すまりさ、その時である。 「ゅ・・・ぐ・・ぃ」 お兄さんの口から「ヌロォ」っと赤れいむが顔だけ除かせた。 歯と白目をむいて時々痙攣し、苦悶の表情を浮かべている。 「おちびちゃぁぁん!?どうしてそんなところにい゛る゛の゛おおおお!?」 「ゆくっ!?ゆくくり!ゆっくりぃぃぃぃ!」 鏡で映したような同じ表情で驚く親まりさと親れいむ 一方、ガクガクと震えていた赤れいむは親が目の前に居ることに気がつくと若干落ち着きを取り戻した。 「お゛っお゛があしゃぁぁん!はやくきゃわいいれいみゅをたしゅけてねっ!そしてきょのじじぃをきょろちちぇ・・・ゆぴっ!?」 再び苦悶の表情に戻る赤れいむ、お兄さんが赤れいむを前歯で固定しつつ舌で後頭部に穴を開け、それが皮の中の餡子に到達したのだ。 お兄さんはそのまま少しずつ赤れいむの体内に空気を注入していく、ぷくぅぅ!と膨れだす赤れいむ 「ゆ゛ぴ゛っ!?げぇっ!は、はやく・・・はやくたちゅけ・・・・ばや゛ぐじろおおおおお!!ばきゃぁぁぁあああ!!」 容量の少ない赤れいむの餡子脳にも一刻の猶予も無い状態という事が理解できたようで かわいさアピールもおろそかに親を急かす赤れいむ。実は口をずっと開いていれば空気は抜けていくのだが、それには気がついていない。 一方、親れいむは赤ゆっくりとは思えないほどの「ぷくぅ」を披露する赤れいむに 驚きと誇らしさ混ざったような、何とも言えない微笑みを浮かべ「ゆっくりぃ」と呟いた。 ダメだ、この親れいむ。 「おちびじゃあん!?ゆっくりしないで「ぷくぅ」をやべでね!ゆっくりできなくなっちゃうよ!!」 微笑む親れいむをよそに、ぽすんぽすんと地団駄を踏み、オロオロしながら赤れいむに叫びかけるまりさ とうとう親ゆっくり位の大きさまで膨らんだ赤れいむ、もはや親に呼びかけることもでないほどにパンパンに膨れ上がっている。 「も゛っ!・・・も゛っ・・・!ゅ・・・く・・・ちゅちちゃ・・・・・・ぷひゅるるうるるるるるぅ!」 ゆっくりが死に直面した時、本能的に発する「もっとゆっくりしたかった」 それを言い終わる直前に空気を抜かれ急速に元の赤ゆっくりサイズに戻る。 すると先ほどの形相が嘘のようにゆっくりとした笑顔を浮かべ 「ゆぅゆぅ!なんだきゃ ちゅっきり ちたよ!ゆっきゅりー♪」 と、早くもゆっくりし始めた。よく分からないがゆっくりしている赤れいむを見て取り合えず安心する親ゆっくり 「ゆっ!ゆんゆん!おきゃあちゃんたちゅは ゆっきゅりちにゃいで ちょっちょちょ れいむをたちゅけてね!ぴゅんぴゅ・・・っゅぴぃ!?」 「ぷんぷん!」と言い放とうとして「ぴゅんぴゅ・・・っゅぴぃ!?」と叫んだ赤れいむ、様子がおかしい。 しぼみすぎである。そう、今度は急激にお兄さんによって中身を吸い出されているのだ。 やがて空気だけでなく餡子までも吸い出されはじめる。またしてもグルンと白目をむき舌をだらんと垂らし痙攣する赤れいむ。 「ゆっ・・・ゆぺっ!やべちぇにぇ!きゃわいい れいみゅの中身をすわにゃいでにぇ・・・もっちょ・・・ゆっ・・・」 餡子の残量が致死量に達し気が遠くなる赤れいむ、早々に「もっとゆっくりしたかった」を発言しだす諦めの良さだが 今回もまた言い終える前に餡子を体内に戻される。 「ぴゅっ!ぴゅみぃ!なんだからくになっちぇき・・・・ちゃば!?もっちょ・・・ゆ゛!!!・・・・ばべ!?・・・ゆ゛びひ!!」 餡子を戻されるや否やまた限界まで空気を送られ、破裂する寸前になると致死量に達する直前まで空気と餡子を抜かれた。 息を置かずに繰り返される強制「ぷくぅ!」と「ぷひゅるるる」の連続、やがて膨らもうが萎もうが赤れいむは反応しなくなり ゆ゛っ!ゆ゛っ!ゆ゛っ!と今日何度目であろうか、白目を剥いて痙攣するだけになった。 お兄さんは赤ゆっくりをふくらませた状態で口にガムテープを貼ると、 口の中でさくらんぼの枝を結べるその器用な舌で皮を結び、後頭部の穴を塞ぐと、 親ゆっくりの前に赤れいむを「グッパオン!」と吐き出した。 絶望的な状況のわりには「ぽいんぽいん」とシュールな擬音を発しながら赤れいむ風船は親ゆっくりの前に転がって行った 外に出ようとする空気のせいで赤れいむの眼球は飛び出す寸前まで押し出されている。 「おちびちゃあああああん!いますぐゆっくりさせてあげるがらね゛ええええ!」 「ゆっくり!ゆっくりぃ!!!」 涙と汗と涎と何なのか分からない液体を垂れ流しながら赤れいむに近づく親れいむ 「ゆっくりしていっ・・・ゆゆっ!?」 赤れいむの元へたどり着く直前、お兄さんにむんずと頭を掴まれ持ち上げられる親れいむ 「ふっふり!ふっふり!」 イヤイヤと首を振る親れいむ、体が縦に伸びきって上手に喋る事ができない。 お兄さんは伸びきった親れいむの口の中にポケットから取り出した飴玉を何粒か放り込み そのまま口をガムテープでふさいだ。 「ゆっくり転がっていってね」 そういうと親れいむを遠くへ投げ捨てた。ぷりんぷりんと体をくねらせながら地面に着地する親れいむ。 「ゆっ!ゆっ!ゆっ!ゆっ!ゆっ!」 緩い傾斜になっている山道をぽいんぽいんと軽快に弾みながら強制的に下山していく親れいむ 転がりきった先で飴玉に気がつき、そこで存分にゆっくりしてくるだろう。さよなられいむ。 時間はたっぷりある。全てはここから 「ゆ゛ぁぁぁあ!?れ゛い゛むぅぅぅ!ゆっくりのぼってきてねぇぇぇぇぇ!」 徐々に遠ざかっていく親れいむとパンパンになっちまった風船赤れいむのどちらを先に助ければいいのかわからず 親れいむと赤れいむの居る方向を行ったり来たりしては時折「ゆっくり!」と叫ぶまりさ、 そうこうしているうちに親れいむの姿は見えなくなり、やっと踏ん切りがついたのか「ゆゆっ!」っと赤れいむの元に向かうまりさ、 しかし赤れいむの元にたどり着いた瞬間、お兄さんが足でそれを制する。 「落ち着け、不器用なお前が今赤ゆっくりに触ったら間違いなく赤れいむを破裂させるぞ」 この状況を作り出したお兄さんがそんなことを言う。 何だと言うのだ?この人間さんは?急に巣に転がり込んできてお家宣言をし、家族をひどい目にあわせる。 何処にいるかわからないが、他のおちびちゃん達もボロボロになった飾りを見れば無事ではないだろう。 まりさは沸々と怒りがこみ上げてくるのを感じていた。温厚なゆっくりでも時として獣のように荒ぶるよ! クワッ!と形相を浮かべお兄さんを睨み付ける。 「だれのぜいだど おも゛っでるのおおお!なんでごんなごどず「なんでこんな事になったかわかるか!まりさ!!」」 「ゆ゛ゆ゛っ!?」 被害者はまりさ達である。このお兄さんが何故こんなことをいうのか全く理解ができない。 ・・・・否、心当たりはあった。 ゆっくり特有のいい思い出はいつまでも覚え、悪い記憶は三歩歩いたら忘れる都合のいい餡子脳が 先程からのお兄さんの振る舞いによってムズムズと刺激されている。 ・・・・前にもこんな事があったような・・・・? いやいや、被害者はお兄さんに一方的にゆっくりプレイスを占拠されているまりさ達である。 「ばかなじじいはゆっくりしないできいてね!まりさとれいむはうまれてからずっと一緒にこのゆっくりプレイスでゆっくりしていたんだよ! こんなことをされる おぼえ はないよ!りかい したらゆっくりと しゃざい をして あまあま をおいて とおく でゆっくりしんでね!」 人間はまりさの言葉を聞くとスッと立ち上がった。 「なんで森の中でずっと過ごしていたまりさが野菜の事を知っているんだ?さっき野菜は勝手に生えてくるって言ってたよな?」 「ゆっ!ゆゆゆ!?」 「何がずっと「森でれいむとゆっくりしてた」だ。お前はつい一週間前までありすと一緒に居たじゃないか」 「ゆ゛っ!ゆゆゆゆゆゆゆゆ!?」 ありす!その単語にまりさの餡子脳が更に刺激される。 そうだった。まりさはれいむと産まれた時からの幼馴染では無かった。 つい一週間前に知り合ったばかりだった。しかし3以上は”いっぱい”とカウントされるゆっくりにとって 四日はむかーしむかしである。という事は一週間などという時間は産まれた頃からとカウントされてもおかしくない。 お兄さんの口から出た「ありす」と「おやさい」その言葉が遠い昔であるまりさの一週間前を思い出させた。 一週間前、森のゆっくりプレイス - まりさとありすは群れのゆっくりたちの歓声を浴びながら山を降りて人間の里へ向かった。 別に理由は無い、食べ物に困ったわけでも人間に力を借りなければ到底解決できる問題に直面したわけでもないが、 ここから見える人間の里は山と違い裕福で何やらとてもゆっくりできそうな気がした。 群れの中には「人間さんには手を出しちゃいけない」だの「人間さんとの約束を破るまりさはしね!」だの 意味のわからない事をいうゆっくりが極々少数居た。どいつもこいつもまりさとありすのゆロンティア精神に嫉妬した 心無い嫌われゆっくりの発言である。おぉ、ぶざまぶざま。 里に降りた二匹の目に映るものはどれもこれも珍しく興味を引いた。 中でも人間たちがお野菜と呼んでいる勝手に生えてくる草は山にはなくとてもゆっくりできそうだった。 しかし、お野菜が生えている場所は醜悪な人間たちに占拠されており、 二匹の為の余分なプレイスは一つも見当たらない。 まりさが鋭い眼光で人間を威嚇している為、襲い掛かってはこないが、付け入る隙を伺っているのか、 作業の手を止め、こちらをじっと見つめたり、ニヤニヤと薄汚い笑いを浮かべたりしている。 いざとなれば、狩りも巣作りも群れで一番上手な最強のまりさならば 人間の一人や二人はわけなく倒せるだろうが、こちらにはありすが居る。そうそう手を出すわけにはいかない。 しかしその時、ぽっかりと入り口の開いた人の気配の無いゆっくりプレイスが二人の目についた。 これは人間の番が死んだか、ゆっくり他のプレイスを求めたかで捨てられた巣であろう。 巣の周りには先ほども見たゆっくりできそうな野菜と呼ばれている草が沢山生えている。 「ゆゆっ!こんなゆっくりしたゆっくりプレイスをすてた にんげんさんはばかだね!」 「きっとこのお野菜がとってもゆっくりできることをしらなかったんだね!おぉ、あわれあわれ」 無人のゆっくりプレイスに入り込むとおもむろに野菜に噛り付くまりさとありす。 「むーしゃ♪むーしゃ♪しあわっ!なにこれッ!うめぇッ!めっちゃうめぇッ!?」 「はむッ!はふはふッ!はふッ!!ちょ!なんぞこれッ!へぶんじょうたいッ!」 今まで味わった事無い野菜の美味に酔いしれる二匹、しかもとても一回で食べつくせる量ではない。 残りは新たな巣の中に持ち帰って、ゆっくり食べることにした。二匹は何個か野菜をくわえ巣に入る。 巣の中には二匹が今までに見たことが無い、清潔で高級感に満ちたゆっくりできそうな品々が並んでいる。 木でできた地面、少々高いところにあるがゆっくりできそうなテーブル 葉っぱよりフワフワした寝床、小さい池まである。これなら外敵に注意しながら山の池まで行かなくていいだろう。 「ここならゆっくりしたおちびちゃんが産めそうね」 「丈夫でゆっくりしたおちびちゃんを産んでね!ありす!」 思わず顔が綻ぶ二匹。これからはじまる希望に満ちた新生活を語り合い、 二人でゆっくりしていると、突然ぽいんぽいんと跳ねながられいむがあらわれた。 「ゆっ!ここはゆっくりできそうだね!まりさとありすはゆっくりしないででていってね!」 突然まりさ達のゆっくりプレイスにずかずかと入ってきたれいむが勝手なことを言い始めた。 「なにいってるの?ここはまりさのゆっくりプレイスだよ!れいむこそいたいめにあいたくなかったらさっさとでていってね!」 「ゆゆっ!!イヤだよ!ゆっくりしたいよ!・・・こ、ここはれいむの・・・ゆっくりプレイスにするよ!」 ぷくぅ!と膨らみ無謀にもまりさのゆっくりプレイスでお家宣言をするれいむ。 その表情からは「勢いとは言えとんでもない事を言ってしまった」と後悔の色を隠せないようだった。 そんな明らかに不利な状況を打開しようと、チラチラとまりさに色目を使ってきている。よく見れば中々の美れいむである。 しもぶくれした にくかんてきな ゆっくりボディに思わず目を奪われてしまう。 すると次の瞬間れいむがもう我慢できないと言った表情で 「れいむとすりすりすっきりしていってね!」 と、あにゃるを突き出して何を思ったのか自らおねだりしてきたのだ。 あまり感心できない淫らなれいむであったが、戒めの為にまりさは5回程嫌々すっきりをした。 心の優しいありすなど、そんな気を使う必要も無いのに12ラウンドまで相手をしてやっている。 その時である。 「んほぉぉぉぉぉ!れいむぅぅぅぅ!まだまだおばっだらっ!?」 ありすの今までに聞いたことの無い奇妙な「おばっだらッ!?」が聞こえたと思った直後、ありすが姿を消した。 「ゆゆゆゆっ!?ありす?ありすはどこへいったの?」 「バカめ!まんまと罠にひっかかったな!さしもの強そうなまりさも不意打ちには遅れを取らざるを得まい!」 その声の主は人間であった。目をギラつかせ辺りを物色している。 まさかまりさ達のゆっくりプレイスに攻め込んできたれいむの仲間に人間が居るとは思わなかった。 ありすは人間の放った蹴りによって一瞬にして顔の左部分が弾け飛び、残りの右半分が壁にへばり付いていた。 淫乱れいむを囮にした人間の奇襲・・・これは罠だったのだ。 「ばっ!ばりざぁぁぁ!わ゛だじどうなっだの゛ぉぉぉおおおお・・・・」 愛するありすがべっとりと壁に張り付きぽたぽたと中身を垂れ流しながら力なくまりさを呼んでいる。 歴然とした戦力の差、まりさは人間がこれほどまでに強いとは思っておらず、驚きを隠せなかった。 「まりさ、ありすはもうだめだからまりさだけでもゆっくりしないでにげてね!」 「まりさはありすをたすけたいよ!でもそこまでいうならまりさはゆっくりにげるね!」 そう叫ぶとまりさはぽいんぽいんと凄まじい速度でゆっくりプレイスを後にした。 「おいまて!・・・くそぉ!そのゆっくりした「ぺにぺに」でれいむを虜にしやがてぇぇぇ許さないぞぉぉうわーん!」 なにやら人間の叫び声が聞こえる。追いついてこない所を見るとどうやら素早さではこっちの方が上のようだ。 腕力では若干人間に劣ったもののやはり群れで一番のまりさの自慢の脚力には人間もお手上げらしい。 れみりゃに見つからないように「そろーりそろーり!」と叫びながら注意深く進んで最短ルートを通ったものの、 自分の群れに戻ったころにはすでに真夜中になっていた。 群れを出るときに自分のゆっくりプレイスは快く他のゆっくりにあげてしまった為に、 今日は野宿するしかないと、一夜を過ごす仮ゆっくりプレイスを探していると 木の根元から体がはみ出して全く体を隠せていない群のれいむが「ゆぅゆぅゆぴぴ」と寝息を立てていた。 まりさがれいむの傍に行くと起こすまでも無く勝手に目覚め 「すてきなまりさはれいむのゆっくりプレイスでやすんでいってね!」 と、強引にゆっくりされられてしまった。そして何だかんだとまりさを引止め、気がつくと、赤ゆっくりを授かってしまい現在に至る。 (後編へ)
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/4902.html
※この作品独自の設定があります ※細かいことは気にしないでください ※うでまりささんとは一切関係ありません ある森の奥深くに、今まで人目に触れたことのないゆっくりの集落があった。 その群れはドスや希少種のような有力者こそいなかったが、他に類を見ない特長によって発展し続けてきた。 その群れの特徴。それはその群れの構成員の大半が「手」を使うことが出来るという点だ。 「みんな、ゆっくりよういした?」 「「「「「ゆっくりよういしたよ!」」」」」 「それじゃあ、ゆっくりかりにいくよ!」 「「「「「ゆーゆーおー!」」」」」 そんな掛け声とともに意気揚々と群れの巣の密集地から飛び出したのはまりさをリーダーにした6匹の成体ゆっくり。 彼女たちのうち5匹の手には尖った石やこれまた尖った刺突用の木の枝数本など、思い思いの武器が握られている。 もっとも、人間や胴付き、一部の特殊な種のように本当に手が生えているわけではない。 「おちびちゃんたち!みんなといっしょにおはなさんのかんむりをつくるよ!」 「「「ゆっくちがんばるよ!」」」 「ぱちぇとれいむがやりかたをおしえてあげるから、ゆっくりみてなさい!」 と、子ども達に指示を出しながらもぱちゅりーは揉み上げを巧みに操って花の冠を作り上げていった。 そう、この群れのゆっくり達は皆、自分の髪の毛の一部を手のように扱うことが出来るのだ。 おかげで植物でものを結えるという技術を習得しており、簡単な道具を作る技術を持ち合わせていた。 「まりさはかわさんをわたってくささんをさがしてくるよ!」 「むきゅ〜、ぱちぇたちはかわさんをわたれないからきをつけてね!」 「ゆっへん、えださんがあるからだいじょうぶだよ!」 元より揉み上げを操る個体のいたれいむ種はもちろん、ぱちゅりーやまりさも髪の毛を手として使うことが出来る。 まりさに限っては手が一本しかないことになるが、その分他の個体よりもずっと力強く発達したため、彼女らの劣等を示すものではない。 何より、たった一本の手でも水上に漕ぎ出すことのあるまりさ種にとっては水上移動の面で画期的な進歩をもたらした。 「ちぇんはきにのぼってくだものさんをおとすよー」 「ちーんっぽ!まらまらっ!」 「みょんははんれいでくだものさんをうけとめるんだねー、わかるよー」 もともと尾のあるちぇんもまた器用さでは敵わないながらも自分達の得意分野である身のこなしを武器に群れで十分な地位を確立している。 みょん種は手こそないものの、「はんれい」と呼ばれる浮遊する何かを自在に操ることで様々な作業をこなすため、群れには欠かせない存在だ。 手と、道具という新しい概念は巣穴の強度や巣のカモフラージュを大幅に向上させ、ゆっくり達の暮らしを、文化を大きく変えた。 「おちびちゃんたち、おともだちとす〜りす〜りしようね!」 「「ゆっくちりかいちたよ!す〜りす〜り・・・」」 「ゆーっ!とってもゆっくりしたす〜りす〜りだよ!」 親の指示に従って初めてあった仲間とす〜りす〜りをするのは子れいむと子まりさ。 しかし、彼女たちのすりすりはほかの群れのものとは大きく異なっていた。 本来なら頬同士をこすり付け合うのだが、彼女たちは自分の手で相手の頬を撫でている。 「ゆゆっ、ありすがおとりになるわ!」 「ゆっくりりかいしたよ!ありすはおててがないからゆっくりきをつけてね!」 「みんなもいつもどおりにやるよ!ゆっくりじゅんびしてね!」 「「「「ゆー、ゆー、おー!」」」」 先ほど狩りに出かけたあの集団は威勢良く叫んだ。 作戦は至ってシンプルで、ありすが囮になって動物をおびき寄せ、残りの5匹が相手に攻撃を仕掛ける。 今回のターゲットはネズミ、ゆっくりにとっては手がなければまず勝てない最大級のターゲットだ。 「ねずみさん、ゆっくりでてきなさい!」 「ちぅ・・・」 「いなかもののねずみさん!ありすをつかまえてごらんなさい!」 そう言って、口に含んだ石をネズミ目がけて飛ばす。 その一撃は見事に命中するが、ネズミにとって大したダメージではないようだ。 が、幸いにも挑発としては十分だったらしくぽよんぽよんと跳ねて逃げるありすを猛烈なスピードで追いかけ始めた。 「ゆゆっ、ねずみさんなんかに、つかまら・・・ゆひぃ!?」 「ちぅ・・・ちぅ・・・」 「ゆぐっ!や、やべでっ、やべなざいよぉ!?あでぃずのあ゛んよおおおお!?」 そして、あっという間にありすに追いついたネズミは彼女の下に潜り込むと力任せにひっくり返して底部を齧る。 幸いにもまだカスタードは漏れ出していないが、かなり広範囲にわたって底部に傷をつけられた。 もし生き延びることが出来ても、しばらくの間ありすは狩りに行くことが出来ないだろう。 「いまだよ!ゆっくりいくよ!」 「「「「ゆうううううう!!」」」」 「ちぅ!?」 ありすがいっそう大きな悲鳴を上げた直後、物陰に潜んでいた5匹が一斉にネズミ目がけて殺到。 手にした尖った枝を全力でネズミに突き立て、怯んだ所でリーダーまりさの石による殴打が頭部に直撃した。 それでもネズミはまだ意識を手放さないが、これだけの傷を追ってはたとえ相手がゆっくりでも逃げることは叶わない。 そうこうしている内に、力尽きたネズミはまりさ達に捕獲された。 「さあ、みんな!ゆっくりかえるよ!」 「れいむはねずみさんをはこぶよ!」 「まりさもねずみさんをはこぶよ!」 「じゃあ、のこったみんなはありすをはこんでね!」 リーダーの号令の下、4匹はネズミとありすを引きずって群れの巣穴の密集地へと戻った。 一応、3匹がかりで運ばれるありすだったが、ゆっくりの力で彼女を持ち上げての輸送など出来るはずもない。 したがって、彼女は仰向けになった格好でずるずると引きずられて巣への帰ることになった。 巣についた頃には髪が砂で汚れ、酷く痛んでしまっていたことは言うまでもないだろう。 同刻、群れのお医者さんのぱちゅりーのおうちにて・・・ 「ちーんっぽ!!」 「わがだだいよぉー!?」 「むきゅ、ふたりともおちつきなさい!」 先ほど果実を収穫していたみょんとちぇんが医療担当のぱちぇの治療を受けていた。 正確に言えば、みょんに連れられてぱちぇの下にやって来た底部に傷を追ったちぇんが治療を受けていた。 本来、落下したちぇんを受け止めるのもみょんの仕事なのだが、果物をキャッチした直後のことだったため、それが出来なかったらしい。 「このはっぱさんをすりつぶしてぬりぬりすればすぐによくな・・・」 「ぱちゅりーせんせー!あ、あ・・・ありしゅのいもーとがああああ!?」 「ゆひぃっ!?い、いぢゃいぃぃぃぃ!?ありぢゅのときゃいはにゃ、あ゛んよぉ・・・!?」 妹と思しき赤ゆっくりサイズのありすを引きずった子ありすがぱちゅりーのおうちに飛び込んで来た。 子ありすは顔面蒼白で、何とかこらえているのだろうが目にいっぱいの涙をためている。 妹ありすは底部からカスタードを漏らし、涙をこらえることもせずゆんゆんと泣き叫んでいる。 「むきゅ、ひきずってきちゃだめでしょ?」 「ご、ご・・・ごべんなざいいいい!?」 「おこってないからそんなにこわがらないでね!」 と、ぱちゅりーはありすに微笑みかけるとみょんにすり潰した葉をちぇんの傷口に塗るように指示した。 同時に、その薬はとても苦いから口内を切っていてもそこには塗らないように言い含めて。 みょんが元気良く返事したのを聞いたぱちゅりーは急いで妹ありすの治療のための薬の準備を始める。 「あ、ありしゅもてつだうわ!」 「だめよ、おくすりさんはみんなにがにがなのよ」 「ゆぐっ・・・!?」 子ありすの申し出を断ったぱちゅりーはさっきとは異なる葉をせっせとすり潰している。 その間、子ありすは妹ありすの底部を一生懸命舐めていた。 もっとも、カスタードが漏出するほどの怪我には効果のないのだが。 「ぱぱ、ぱちゅりー!れいむのおぢびぢゃんがああああああ!?」 「むきゅ、おちつきなさい!れいむはおとなでしょ?」 「ゆひぃ・・・ゆぐっ・・・おかーぢゃ、ゆぐぅ・・・」 焦るれいむを一喝すると同時に、ぱちゅりーは考えた。 困ったことに人手が足りない、と。 が、即座に策を見出した彼女はれいむに指示を出す。 「れいむ、ありすのあんよにくすりをぬりぬりしてあげてね!」 「ゆぅ、どうして?」 「てがたりないからよ!ぬりぬりなられいむもできるでしょ?」 「ゆっくりりかいしたよ!」 他のゆっくりでも出来ることは他のゆっくりに任せ、自分の出来ることに専念する。 ぱちゅりーの判断は非常に正しいと言えるだろう。 そして数分後、無事治療を終えたゆっくり達は安堵のため息を漏らした。 「むきゅぅ・・・れいむはたべれないくささんをたべちゃっただけよ。もうたべちゃだめよ?」 「ゆっくちりかいちたよ!」 「ところで、ありすはどうしてあんよをけがしたの?」 「おそとであそんでたら、いししゃんをふんだのよ!」 ぱちゅりーが職務の一環で姉の子ありすに妹ありすの怪我の原因を尋ねると、姉ありすは笑顔でそう答える。 瞬間、ぱちゅりーとれいむとみょんとちぇん、つまりその場にいた成体全員が口を開いて絶句した。 それから、静かに、だが有無を言わせぬ口調でぱちゅりーは姉ありすに説教を始める。 「どうしてそんなちいさなこをおそとにつれていったの?」 「そうだよ!ちいさなこはおそとにでたらあんよをけがするよ!」 「けがさんはゆっくりできないよー」「ちーんぽ!」 そう、赤ゆっくりはある程度大きくなるまで巣の中で過ごさねばなければならない。 また、彼女達が退屈して外に出て行かないようにするのは姉や近所のまだ狩りにいけない子ゆっくりの仕事だ。 それなのに赤ゆっくりを外に連れ出したというのは、ある意味で群れに対する背信である。 「ゆぐっ・・・だって、だってぇ」 「だってじゃないでしょ!おねーちゃんでしょ?」 「でも・・・いもーちょが、おう゛だとおぢゃべりだけぢゃ・・・ゆっぐぢでぎだいっで・・・!?」 彼女の涙ながらの言葉を聞いて、れいむとみょんとちぇんは首?を傾げた。 一方、ぱちゅりーは事情を把握できたらしく、ゆっくりにしては神妙な面持ちを浮かべている。 「もしかして、ありすのおかーさんはまりさかしら?」 「ゆっぐ・・・ぢょーだよ。どこが、いっぢゃだけど・・・」 「おかーさんのありすに“すりすりはとかいはじゃない”っていわれてるのね?」 今のやり取りを簡単にまとめると以下の通り。 ありすの両親はまりさ種とありす種で、まりさの方は子ども達を捨てて、あるいはありす種だけを捨てて出て行ってしまった。 おそらく、そのまりさはありすとつがいになることを望んでいなかったのだろう。 「しょーだよ・・・!おででぢゃないずりずりは・・・ずっぎりーとおんなぢだがら、はぢだないって・・・」 「かぞくとならほっぺですりすりしてもぜんぜんおかしくないよ!」 「でぼ、でぼぉ・・・ま゛ま゛がぁ・・・ゆえええええええええん!」 そして、まりさがありす達を捨てて出て行った理由。それは・・・ 彼女達には手が、あるいは手の代わりになるものがないから、ただそれだけだった。 今更ではあるが、この群れについていくつか話をさせてもらう。 この群れのゆっくりは冒頭で述べたように大半が手に相当する極めて器用な器官を有しており、それによって高い生活水準を獲得している。 道具を使うことで小型の哺乳類を狩ることが出来たり、葉っぱをすり潰して効果を大きくしたりというのが例だと言えよう。 とはいえ、その他の要素において手を持たないゆっくりと彼女達の差異はあまりない。 食料は大半の群れがそうであるようにおおむね自給自足で、他のゆっくりの所有物が欲しければ物々交換するしかない。 奪い取ることも可能ではあるが、そんなことをすれば当然群れから弾き出されてしまう。 そうなってしまうと、外敵の脅威が大幅に増す上に皆でゆっくりすることが出来なくなるので精神的にもダメージが大きい。 それに、単独では狩れない手ごわい獲物には当然手が出せなくなるし、かつての仲間に狩りの邪魔をされることだってあり得る。 何にせよ、一利のために百害を甘受するような馬鹿は滅多にいない。 他には手があるために赤ゆっくりの世話がしやすく、彼女達の世話を子ゆっくり達が行う点も特徴的だ。 ゆっくりの巣にある危険物などせいぜい狩りの道具くらいで、それも両親が巣を空けている時はたいてい持ち出されている。 また、手があるからといって特別行動範囲が広がるわけでも俊敏になる訳でもないので手のある赤ゆっくりの世話の手間は従来の世話と同じ。 よって両親が留守のときは姉や近所の子ゆっくりが巣に上がって、赤ゆっくり達の世話をする慣例が生まれたのだ。 赤ゆっくりの育児に関連することでもあるが、ゆっくり同士の遊びのレパートリーが増えた点も見逃せない。 仲間同士で手を叩き合ったり、高い高いをしたり、綱引きのような遊びをしたり、チャンバラごっこをしたり・・・ 口の代わりに手を使っているだけのものもあるにはあるが、間違いなく口や頬だけでは出来ない遊びがたくさん増えた。 その一方で失われた遊びもいくつか存在する。 例えば頬ずりをお互いを舐めあうといった類の遊びが手を用いた類似の遊戯に取って代わられた。 結果、スキンシップを図る機会が減り、それに伴ってそれらの行為は親密なもの同士での特別な愛情表現になった。 同時に、それらの行為を外で行うことは非常にはしたない行為になってしまった。 人間でいうならば、往来の真ん中で女性の胸を揉むようなものだろうか。 もっとも、これらの変化が認められるのは手やその代替を持つ種のみであり、それ以外の種は他の群れとまったく変わらないのだが。 変化してしまった者達の目には、変化する前の習慣は珍妙な、あるいは異常な、あるいは淫猥なものとしてしか映らない。 また、手がない種が群れのために出来る貢献は能力差によって、あるいは頬や口で手の代替とすることへの多種の持つ嫌悪感によって少なくなってゆく。 そして、比較的数の多い通常種の中で手の代わりになるものを持たないのはありす種だけだった。 とかいはを自称する彼女達が、皮肉にもただ一種、進化と発展に取り残されてしまった。 再びお医者さんぱちゅりーの巣にて・・・ 「ぱちゅりー!あ、ありすのあんよさんが!?」 「むきゅ、またなの!?」 「ゆぅ・・・ゆゆっ!ままーっ!?」 担ぎ込まれてきたのは先ほどネズミ狩りの際に囮になって負傷した成体ありす。 どうやら先ほど治療を受けたありす姉妹の母親だったらしい。 姉ありすは妹のそばを離れて、葉っぱの上に寝かされているありすの傍へ跳ねていった。 「ままー!ゆ、ゆっくりだいじょうぶ!?」 「ありすはだいじょうぶよ!ありすはとかいはなのよ!」 「むきゅ〜・・・でも、このけがじゃしばらくはかりにいけないわ」 人間ならば眉間にしわを寄せていそうな表情で呟くぱちゅりー。 その傍らではリーダーまりさのつがいだったらしいれいむが、彼女に「どこのありす?」と尋ねている。 まりさは小声で「むれのはずれのおうちのありすだよ」とだけ答えると再びアリスの様子を伺った。 「おちびぢゃん・・・まま、とってもとかいはなねずみさんをつかまえたわ」 「でぼ、でもぉ!?そんなげがぢだらゆっぐぢでぎないよぉ!?」 「そんなこどいっぢゃだめよ!とかいはにしでたら、だーりんがかえってきてくれるのよ!?」 彼女を気遣って泣きじゃくる姉ありすに向かって、母ありすはヒステリックに叫んだ。 だーりんのまりさに帰ってきてもらうためには、手がなくてもとかいはのゆっくりを得られることを証明しなければいけない。 いつかだーりんが帰ってくればきっとゆっくり出来る、と。 「ねえ、まりさ・・・どうしてありすをかりにつれていったの?」 「ゆぅ・・・まりさはおててがないとあぶないよ、っていったよ。でも・・・」 「むきゅ、みんなゆっくりだまってなさい!ちりょうのじゃまよ!」 ぱちゅりーは不毛な都会派語りを繰り広げるありすと、不愉快な内緒話をするれいむ・まりさを一喝。 その一声で巣の中はしんと静まり返り、ぱちゅりーが葉っぱをすり潰す音だけが響き渡る。 やがてその音も消え、今度はありすの底部に薬を塗る、音とも呼べない静かな音だけが場を支配する。 「・・・まりさはもうおうちにかえるよ!ぱちゅりー、ありすをよろしくね」 「ゆゆっ、れいむもかえるよ!まりさー、ゆっくりまってね!」 「ちぇんたちもおうちにかえるよー」「ちーんっぽ」 そうこうしている内に、間が持たなくなった4匹はそそくさとぱちゅりーの巣を後にした。 巣の中にいるのは3匹のありすとぱちゅりーだけ。 「むきゅ〜、ちりょうはおわったわ。でも・・・これじゃごはんさんがあつめられないわ」 「ゆゆっ、だいじょうぶよ!ありすはとかいはなんだから!」 「ままーっ!もう、とかいははいいよ・・・さんにんでゆっくちしようよ!」 それでも母ありすは必死にすがりつく娘の言葉を突っぱね、あまつさえ「そんなこはありすのこどもじゃないよ」とまで口にする。 彼女にとって、まりさが居るということは、とかいはであるということはそれだけ大事なことなのだろう。 いたたまれなくなったぱちゅりーはゆっくりと外に出てると夕日に照らされて朱に染まる空を眺め、ため息をついた。 この群れでは他の種族がありすとつがう事は基本的にあり得ない。 というか、ありす種は群れの巣の密集地から離れた場所に住んでいるため出会う機会そのものが稀。 極端な場合には本来本能で知っているはずの種の名称からありす種だけ抜け落ちていることさえあった。 もし、つがうことがあるとすれば・・・群れを追放されたゆっくりが群れへの未練からありす種達の巣に厄介になった時くらいだろう。 ぱちゅりーにはそんなゆっくりに、一利のために百害のリスクを背負う馬鹿なゆっくりに心当たりがあった。 「まりさ・・・あなた、ぜんぜんはんせいしてないのね・・・」 つづく −−−あとがき。いや、なかがき?−−− 「はんれい」が無理やりすぎるとか、「シャンハイ・ホーライは?」なんて突っ込んではいけない 当初は手がないことを理由にありすがひたすら差別される話だったのに、 いつの間にかお医者のぱちぇが主役になってやがる・・・・・・だと? このSSにいったい何があったというのだ!? そして、続く予定がなかったのに続くってどういうことなの!? わからないよー byゆっくりボールマン このSSに感想をつける