約 3,642,546 件
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/4002.html
作者名:天海 「ゆんゆゆーんゆーんゆ、ゆんゆんゆー♪」 とてもゆっくりできる歌(おとなりのまりさ 談)を歌いながら、野原を跳ね進んでいる不思議なお饅頭……その名は ゆっくりれいむ。 れいむは初めてのソロ冬籠りから見事生還し、群れのみんなから大人のゆっくりとして認められたばかりである。 前途ゆんゆんでバラ色のゆん生を歩むれいむは、春の陽気につられたこともあり、ゆんゆん気分で野原を闊歩しているのである。 このれいむ、別段力が強いわけでもなく、知識が豊富なわけでもない。しかし、何故か頭の回転は早かったのである。 餌を探しに行くにも、捕食種のいそうな場所は極力避け、必要な分だけを確保し無駄に食糧を食い付くすこともなかった。 巣を探すにしても、他のゆっくりの目が届かないような、それでいて積雪にも負けないであろう、頑丈な巣を見つけ出した。 人里に侵入するにしても、人間の仕掛けた罠を次々と見破り、畑の野菜を確保して戻っていった。 れいむは ゆっくりとしてはサバイバビリティが高いゆっくりだったのである。 れいむはこれから続いていくであろう、とてもゆっくりできる日々を夢見ながら、ゆっくりと野原を跳ねて行くのであった。 あてもなく散歩を続けていると、れいむの視界には不思議な光景が入ってきた。 ゆっくり達が畑の前にずらっと並んでいるのである。それはまるで畑のバリケードのように。 ゆっくり達が集まっている=何か良いことがありそうだと考えたれいむは、ゆんゆんと畑の方向へ進んでいった。 「ゆっくりしていってね」まずはれいむがご挨拶を済ませる。 「「「ゆ? ゆっくりしていってね。」」」 それまで目を閉じていたゆっくり達が反応し挨拶する。 「ゆゆ? はたけさんのまえでなにしてるの?」 れいむが訊ねると答えは一斉に返ってきた。 「「「ゆ……ゆっくりしてるんだよ。」」」 れいむは考える。 畑の前でずらっと並んで動かずにいるゆっくり達。これのどこがゆっくりしているのだろう。 これはゆっくりしているのではなく、どちらかといえば何もせずにそこにいるだけである。 このゆっくり達は嘘をついている。 何故嘘をつくのか。 ゆっくりが嘘をつく時、それは自らの利益を守るためであることが多い。 きっとこの畑には美味しいお野菜が生えてくるに違いない。 実際に大根の葉と思われる物が畑から生えてきているではないか。 れいむにはその考えに自信を持っていた。今まで自分が間違っていたことなど無いのだ。 だからソロ冬籠りも危なげなく成功したし、群れのみんなに認められるようにもなったのだ。 「ゆゆ! うそつかないでね! れいむにおやさいさんたべさせないきでしょ!?」 れいむは畑のゆっくり達を糾弾する。 畑に生えている野菜は極上の味だし、食べると元気になる。 畑のゆっくり達はそれを独占しようとしているのだ。 人間が独占しようとするのは仕方ないが、同じゆっくりに食べさせないとは何たる事か。 「「「ゆ!? ちがうよ、ゆっくりしてるだけだよ? あと、はたけさんにははいらないでね!」」」 不自然なほどに声をそろえてそう返すゆっくり達。 れいむは更に確信した。このゆっくり達は畑を見張っているのだ。 それからしばらく同じような問答を続けたが、帰ってくる言葉は同じような物ばかり。 曰く、畑にはいるな。曰く、野菜なんて生えてこない。 これに業を煮やしたれいむは畑のゆっくり達を論破してやろうと考えた。 それには畑に生えてる野菜を目の前に証拠品としてつきつけてやるのが一番である。 「ゆぅ~、じゃあかえるよ。ゆっくりしていってね!」 そう言ったれいむに、畑のゆっくり達は安堵した表情を浮かべる。 しかし次の瞬間、れいむは素早く畑の方に振りかえり、短い助走からジャンプして畑のゆっくり達を飛び越えた。 先ほどの言葉はフェイクだったのだ。 畑のゆっくり達は意表をつかれ、れいむの侵入を許してしまったのである。 「「「ゆげぇ!?」」」 悲鳴を上げる畑のゆっくり達。 しかしそれを尻目に、れいむは野菜に向かってダッシュした。 「「「やめてね! ゆっくりしてね!」」」 あきらめの悪い畑のゆっくり達に構うこともなく、 れいむは野菜の生えている場所にたどり着き、葉を引っ張った。 「「「ゆぎぎぃ!? やめてね! とらないでね!」」」 懇願する畑のゆっくり達。 しかしもうれいむは止まらない。 そして無情にも野菜は引き抜かれた。 「「「ゆぎゃああぁぁぁあああぁぁぁあああああ!!!」」」 瞬間、畑のゆっくり達全員から断末魔とも思えるような悲鳴が発せられた。 前後左右から響く大音量サラウンドに、れいむは思わず怯んでしまう。「ゆびぃ!? な、なに?」 しかしれいむはすぐに落ち付き、引きぬいた大根を……大……根…… 引き抜いた葉の先に白くて太くて美味しそうな大根などはついていなかった。 代わりに引き抜いたのは、丸い餡子の塊のような物であった。 そしてその瞬間、れいむは後方からの衝撃に襲われ気を失った。 れいむが目覚めると、そこは畑の前だった。 左右には畑のゆっくり達が並んでいる。 そして目の前には……1人の人間が座っていた。 「お、起きたか。ゆっくりしていってね!」 れいむに語りかける人間。 「「「「ゆっくりしていってね!」」」」 答えるれいむと畑のゆっくり達。 れいむには異変が起きていた。 ゆっくりしていってねの言葉と共に飛び跳ねようとしたのに、体が動かないのだ。 「「「「ゆ? なんだかうごけないよ!?」」」」 なぜ体が動かないのか。 その理由もわからぬまま、れいむはさらなる謎に包まれる。 なぜ畑のゆっくり達はれいむの真似をするのか。 「「「「ゆゆ? まねしないでね!?」」」」 その言葉をも真似され、困惑するれいむ。 「さて……と、畑を耕さないとな。」 そういって鍬を手に立ち上がる人間。その足が畑に踏み入った瞬間…… 体の内側からくるような痛みがれいむを襲い、思わず悲鳴をあげる。 「「「「ゆげぇ!?」」」」 再び、畑では一斉にゆっくり達の悲鳴があがった。 畑のゆっくり達は同じ言葉、同じ感覚、同じ意識、そして同じ餡子を共有していた。 ゆっくり達は背面下部が切り取られ、その餡子は畑に繋がっている。 土のように見えていたのは、糖度の低い餡子であり、大根の葉についていたのはその中枢餡にあたる物であった。 そうなるように人間に改造されてしまったのだ。 人間の進歩とともにゆっくり達にも頭の良い種がでてくるようになった。 トラバサミ等の罠はおろか、餌でつってとりもちに捕まえるゆっくりホイホイ、 餌に似せた毒だんごであるゆっくりコロリ等をも見破り、回避するようになっていた。 結局、ゆっくりの被害はいつまでも続いてきたのである。 しかし、その状況にも対応するのが人間の素晴らしさであり恐ろしさでもある。 今度はゆっくり達が完全に気を許すように、生きているゆっくりその物をトラップとして使用したのだ。 他のゆっくりがいる=ゆっくりにとって安全な場所と考えるのはゆっくりならずとも仕方のないことであり、 この畑型トラップを村の周りに敷くことで、ゆっくり達の侵入を未然に防ぐのである。 畑型トラップに繋がれたゆっくり達には本能でわかっていた。 もう畑から離れることはできないことを。 離れれば中枢餡を失って死んでしまうことを。 新入りであるれいむにも その知識が共有されており、体を動かすことを無意識のうちに拒否していたのである。 そんなゆっくり達の都合も構わず、いや知っているからこそ、人間は鍬で餡子畑を耕し始める。 薪を割るかのように力強く、漁網を引くように力強く。 「「「「ゆぎゃああああ!」」」」 「「「「はたけさんかきまぜないでえええええ」」」」 「「「「あんこいたんじゃううううう!!!」」」」 「「「「まりさだけはたすけてえええ」」」」 「「「「どぼぢでそんなこというのおおおお」」」」 「「「「なんででいぶがこんなめにあうのおおお!?」」」」 「「「「もっとゆっぐりじだがったあああぁぁぁ」」」」 畑型トラップで描かれる、阿鼻叫喚の図。 この後、オレンジジュースと偽り畑に水をやることで、ゆっくり達は死なない程度に回復する。 人間にとって、これはトラップの保持のために必要な作業なのだ。 無論、耕している本人は面白くてやってる風もあるのだが。 れいむは後悔した。 たしかにゆっくり達の言う通り、畑に入ってはいけなかった。 たしかにゆっくり達の言う通り、葉を引きぬいてはいけなかった。 れいむと仲間達はこれから続いていくだろう、とてもゆっくりできない日々を案じながらゆっくりと目を閉じていくのであった。
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/409.html
「奇形ゆっくり」 雪もだいぶ解けた頃。 草原には、越冬したゆっくりの姿が現れ始める時期だ。 森の中を歩き続ける僕。 僕は、ある条件を満たすゆっくりを探している。 探しているのは、単体のゆっくりではなく、子供を連れたゆっくり一家でもなく、発情したゆっくりありす でもなく、ゆっくりれみりゃなどの捕食種でもない。 僕が探しているのは、お互いを愛し合ったカップルのゆっくりだ。 それも、既に交尾を済ませて妊娠初期の…そう、そのタイミングが一番“いい”。 越冬後の初春になると、冬を生きて越すことができた安心感のためか、それとも家族計画を考えているのか、 多くのゆっくりが交尾を行う。 草原には結構な数のゆっくりが顔を出し始めているから、そろそろだと思うのだが… 「ゆっ!?おにーさん、ゆっくりしていってね!!」 「はいはい、ゆっくりゆっくり」 すれ違うゆっくりには適当に返事を返しておいて、巣のありそうなところを手当たり次第に探していると… 「ゆぅ!!ゆっくりそだっていってね!!」 「ゆっくりいいこになってね!!」 狭い入り口から中を覗くと、ゆっくりれいむとゆっくりまりさのカップルがお互い寄り添っていた。 れいむの頭には3本の蔓が生えている。妊娠初期なのだろう、つぼみは固く閉じていてまだ子ゆっくりの 原型すら出来ていなかった。 ふむ…こいつらは、丁度よさそうだな。よし、こいつらにしよう。 そう決めると僕はこいつらを連れて帰るべく、ゆっくりに声をかけた。 「やぁ、ゆっくりしていってね!!」 「ゆっ!?ゆっくりしていってね!!」 本能に刻まれた言葉を僕に返す2匹のゆっくり。 「お、れいむは妊娠してるのかな?」 「そうだよ!!もうすぐのれいむのあかちゃんがうまれるよ!!」 「まりさのかわいいあかちゃんがうまれるよ!!」 どうやら、ちゃんと望まれて生まれようとしている子供のようだ。 ひとまず安心した。そうでなくてはこれからの計画も、意味がなくなるからだ。 「よし、これから赤ちゃんが生まれる二人のために、すっごくゆっくり出来るところを用意してあげたよ」 「ゆゆっ!?ゆっくりできるところ!?」 「おにーさん!!ゆっくりあんないしてね!!」 これから親になるというのに、この馬鹿っぷりはいかがなものか。 毎度のことだが、こいつらが絶滅しない納得のいく説明がほしい。 「よし!!じゃあお兄さんについてきてね!!」 息が上がらない程度のペースで、家へと続く道を走る僕。 家まではそれほど遠くない。ジョギングのペースで走って10分ほどだ。 だから僕にとっては軽い運動でしかないのだが…どうやら、2匹のゆっくりにとっては違うようだ。 「おにーさん!!もっとゆっくりしていってね!!」 「おいてかないで!!もっとゆっくりあんないしてね!!」 普通のゆっくりなら決してついてこれないペースではないのだが、妊娠しているれいむは頭に生えた蔓が折 れないように注意しながら跳ねなければならない。 「れいむ!!ゆっくりいそいでね!!」 ペースの遅いれいむに付き添うまりさも、同様である。 「そんなにゆっくりしてると、ゆっくり出来るところがなくなっちゃうぞー!!」 「ゆゆーっ!!??いやだよ!!ゆっくりしたいよ!!」 「ゆっくりいくからまっててね!!れいむ!!もっとゆっくりはやくしてね!!」 どんなに急かしても、こいつらは一定のペース以上速くはならない。 これは…何か別の方法を考える必要があるな。 ちょっとばかり考えて、思いついたのは… 「おーい、まりさ!」 「ゆっ!?」 「まりさがれいむを後ろから押して手伝ってあげれば、早くゆっくりできるぞー!」 「ゆゆ!!おにーさん、あたまいいね!!まりさゆっくりてつだうよ!!」 さっきから2匹の様子を見てわかったのだが、れいむは蔓が折れないように注意してペースを落としている のに対し、まりさは単純にれいむに付き添っているだけ。蔓に注意を払っているわけではない。 つまり、まりさはれいむがゆっくりしている理由がわからないのだ。 ゆっくり出来るところがなくなる、という僕の言葉に焦りを感じるとともに、ペースを上げようとしない れいむに苛立ちを感じはじめるまりさ。 だから…後ろから押して手伝ってやれ、という指示にも簡単に従う。 「れいむ!!もっとゆっくりいそいでね!!」 「ゆぎゅううう!!まりさあああああああああやめてよねええええええ゛え゛え゛え゛!!!!!」 ぐいぐいと後ろから押していくまりさ。それでもペースを上げるわけにはいかず、必死に抵抗するれいむ。 だが、身重の体ではまりさを押し返すことは出来ない。 そのまままりさの力に押し負けて、ペースを上げることになってしまった。 「やだあああああああああ!!あがぢゃんできなぐなっぢゃううううううう!!!!」 「れいむ!!はやくゆっくりできるところでゆっくりしようね!!」 まりさはれいむの悲鳴を聞いてないのだろうか? これから生まれる赤ん坊すら気遣わないあたり、やっぱり頭の中が餡子なんだなぁ。 しばらくして、もう少しで家に着くというところに差し掛かると… 「まりざやめでよおおおおおお!!!…ゆぎゅ!?」 まりさに押されてハイペースで跳ねていたれいむが石につまづき、顔面から倒れ伏してしまった。 あ、これはヤバい、と思った。その角度と、そのスピードが。 ボキッ!! 3本の蔓のうち、一番細かった1本が折れてしまったのだ。 「ゆぎゃああああああああ!!!れいむのおおおおおお!!あがぢゃんがああああああああ!!!」 ゆっくりらしからぬ速さで起き上がって、折れた蔓のもとへ駆け寄るれいむ。 その後を、まりさがゆっくり追いかけた。 れいむは、滝のように涙を流しながら萎えた蔓を見下ろしている。 その後ろのまりさは、ばつの悪そうな顔をしていた。 最初は悲しみの震え…そして、その震えは怒りに変わった。 「ゆぐぐぐぐぐぐぐ!!!!まりざのせいだよ!!まりざがうしろからおしたからだよ!!」 「ゆぎゅ!?まりさはわるくないよ!!れいむがゆっくりしすぎたのがだめなんだよ!!」 へぇ、ゆっくりも夫婦喧嘩するんだぁ。 「あかちゃんがああああああ!!!れいむのあがぢゃんがあああああ゛あ゛あ゛あ゛!!!!」 「ゆっ…れ、れいむのせいだよ!れいむがころんだから――― 「はい、そこまで!」 このまま見ていても面白そうだったのだが、殺し合いに発展する気配を感じたので仲裁に入る。 「今のはどっちも悪くないよ。たまたま、その蔓が細すぎたんだ。たぶん折れなかったとしても赤ちゃんは できなかったよ」 「ゆっ!?そうなの!?」 「そうだよ。だから、残りの2本を大事にすれば良いのさ」 「ゆゆ!!わかったよ!!れいむのあかちゃんだいじにするね!!」 「まりさのあかちゃんゆっくりさせてあげるね!!」 あー、⑨でよかった。 2匹の仲直りは済んだので、すぐそこの自分の家に案内する。 玄関から入っていく2匹は、終始寄り添ったまま離れようとしなかった。 2匹を専用の部屋に案内し、準備を済ませると僕も2匹と同じ部屋に向かった。 僕が抱えているのは、最近幻想入りしたという毒入りギョーザと、2リットルペットボトルに入った廃油だ。 「おーい、ゆっくりしてるかい?」 「ゆっくりしてるよ!!おにーさんもゆっくりしていってね!!」 先に与えておいたお菓子を食べつくして、2匹は文字通りゆっくりしていた。 れいむが妊娠している以上、昔のように跳び回って遊ぶことは出来ない。 2匹にとっても、今までのように跳びはねるより、寄り添いあってゆっくりしてる方が満足できるのだろう。 ギョーザとペットボトルが視界に入るやいなや、跳ね寄ってくる2匹。 「ゆゆ!?それはなに!?」 「ゆっくりできるもの?ゆっくりできるならまりさにちょうだいね!!」 おお、食いついてきた。そうでなくちゃ困る。 「これはね、栄養価の高い食べ物だよ。もうすぐ赤ちゃんが生まれるれいむに食べてもらおうと思ってね。 これを食べれば、元気でいい子な赤ちゃんがたくさん生まれるよ!」 餡子脳にも理解できるように、説明は怠らない。 すると、期待通りれいむが食いついてきた。もう期待通り過ぎて怖いぐらいだ。 「ゆゆ!!れいむたべるよ!!さっさとそれをゆっくりちょうだいね!!」 「わかったわかった。まりさも食べるか?」 「まりさはいらないよ!!ゆっくりれいむにあげてね!!」 さっきのことを少しは反省しているのだろうか、それとも夫(?)としての自覚が芽生えてきたのか。 僕としてはれいむが食べてくれさえすればかまわないので、ギョーザを適当に床に置いて、大きい器に廃油 を移し替えた。 「むーしゃむーしゃ、しあわ…せ…?」 一口食べて、早速異変に気づいたらしいれいむ。 「おにーさん!!これすっごくまずいよ!!こんなのたべられないよ!! こんなものをたべさせるおにーさんとはゆっくりできないよ!!」 「わがまま言うなよ。元気な赤ちゃんが生まれなくてもいいのかい?」 「ゆぎゅ……がまんしてたべるよ…!」 赤ちゃんのため、って言っておけば大抵のことは我慢できそうだな、このれいむ。 眉間にしわを寄せて、いかにも不味そうな顔をしながら、ギョーザをちびちびとかじっている。 ダイオキシンとか、タリウムとか、メタミドホスとか、かなりヤバイ代物らしいんだが、体調には変化はな さそうだ。 実は、毒に対してはかなり耐性があるのだろうか? 「れいむ!!ゆっくりがんばってね!!あかちゃんのためにがんばってね!!」 毒入りギョーザを栄養食か何かと勘違いしている2匹。 まりさは、不味そうにギョーザを食べているれいむを応援している。 そのあと、いろいろヤバそうなものが浮いてる廃油にもれいむは口をつけた。 「ゆぎゅ、まずい……でもあかちゃんのためにがんばってのむよ!」 「ゆゆゆ!まりさもてつだってあげるね!!」 何を思ったのか、自らも廃油を飲みだすまりさ。 お前が飲んだら意味ねーだろ(笑) 目の前の不味い飲み物がなくなればいいとでも思っているのだろうか? さすが餡子脳。僕の予想の斜め上を常にキープしている。 そんなこんなで、3日間。 蔓には、少しずつ子ゆっくりの原型らしきものが現れ始める。 僕はすでにその異変に気づいていたのだが、2匹のゆっくりは気づかない。 出産自体初めてなのだろう、こういうものなんだ、と納得しているようだ。 そして。 いろいろヤバいものを体内に取り込んでいったれいむだったが、ついに…その時が来た。 出産のときである。 部屋の真ん中に陣取ったれいむ。 それを少し離れた所から、不安そうに見守るまりさ。 2匹の数週間の愛の結晶、そして僕の“3日間の努力”の結果が…今、目の前にその姿を現そうとしている。 小刻みに震えだしたれいむ。その時が近づいているのだろう。 最初は堪えていた声も、だんだん我慢できなくなってきたらしい。 「ゆ……ゆ…ゆゆゆゆ…!!」 プチッ! ぽとっ 一匹目のゆっくりの誕生である。 「ま、まりさのあがちゃんがうまれたよおおおおお!!!」 「れいむのっ、れいむのがわいいあがちゃんんんんんんんんんん!!!!」 遠くから見守ると決めていたまりさも我慢できなかったらしい。 赤ちゃんが生まれた嬉しさのあまり、すぐに生まれたての赤ん坊のもとへと跳ねてきた。 その時点で、2匹は初めて“異変”に気づいた。 「ゆ゛……ゆ゛ぐり゛……ぢででね゛……!!」 「なんなの!!このごおがしいよ!!!おがしいよおおおお!!??」 「ゆぎゃあああああああああああ!!??へんだよっ!!へんながおだよおおおおお!!!!」 このゆっくりには、口と呼べるものがなかった。 正確には、口のなり損ないのような…上唇と下唇がところどころ途切れながら癒着しているのだ。 だから、言葉を発しようとしても『ゆっくりちていってね!!』とはならない。 プチッ! ぽとっ 二匹目の誕生。れいむ種である。 今度こそまともな子供が生まれてほしい…そう願うれいむとまりさ。 しかし、そんな願いは無残にも打ち砕かれた。 「ゆっくりぃちていってにぇ……ありぇ?うごけないよ?!」 二匹目の赤ちゃんは、言葉は比較的しっかりとしていた。 しかし、この赤ちゃんには致命的な欠陥があった。 饅頭らしい弾力性が殆どなく、中身が液体のようにドロドロしているのである。 簡単に言えば…そう、やわらかすぎるのだ。 これでは、自由に弾力性を利用して跳ね回ることは出来ない …この赤ちゃんは、一生自力では動けないだろう。 「ゆっゆっ!!ゆっくりうごいてね!!ゆっくりはねてね!!」 異常に気づいたまりさが赤ん坊を手伝おうとするが、無駄なことだった。 「ゆっ…ゆっ…うぅ、うごけないよおおおおお!!うわああああああんん!!!」 「ゆぅ!!ゆっくりしていってねええええええ!!!」 自力で動けないことに絶望する赤ちゃんゆっくり。 そんな子供を目の前にして、どうしたら良いのか分からず泣き喚くまりさ。 それを遠くから見ているれいむの顔には、疲れの色が見え始めた。 プチッ!! ぽとっ 三匹目。 「ゆっくりちていってね!!…ゆゆっ!?くらいよ!?おかーさんどこおおおお!!??」 駆け寄ったまりさは絶望した。 その赤ちゃんゆっくりには…目がなかったのだ。 「おかーさんはここにいるよ!!ゆっくりしていってね!!」 「ゆっ!?みえないよおおおおお!!まっぎゅらだよおおおおおおおお!! おがーざあああああ゛あ゛ん゛ん゛ん゛!!!!ゆッぐりじゃぜでよおおおおお゛お゛お゛!!!」 大声で泣き叫ぶ赤ちゃんゆっくりを宥めようと、まりさが頬を摺り寄せるが… 「ゆぎゃ?!なに!?なにかぶつきゃったよ!?なんなの!?わがらないよおおおおお!! ごわいよおおおおおおおおお!!だじげでよおおおおおおおおおお!!??」 「こ、こわくないよ!!おかーさんだよ!!ゆっくりなかないでね!!!」 どんなに宥めようとしても、赤ちゃんゆっくりは泣き止まない。 そして、四匹目、五匹目…と順番に生まれていく。 生まれつき音の聞こえないもの。 硬すぎて跳ねることのできないもの。 「ぎょぎょぎょ」と気持ち悪い声を発しながら、芋虫のように這うもの。 目を覚ましても蔓から離れられず、終いには頭が破れてしまうもの。 十匹生まれれば十通りの奇形ゆっくりが生まれた。 赤ちゃんゆっくりにならずに、緑色の実のままの状態で落ちたものの方が幸運だろう。 その幸運すら、この一家にはなかった。 さっきまで、生まれてきた子ゆっくりと思う存分ゆっくりすることを思い描いていた親ゆっくり。 皆で草原をお散歩したり、水辺でゆっくりしたり、巣の中で固まって眠ったり… 畑のものを食べたらゆっくりできないよ、と教えてあげたり… いろんなことをしたかった。いろんなゆっくりをしたかった。 でも、それができない。この一家は、できないのだ。 そして、そんな一家を見てると僕は性的興奮に似た絶頂を覚えるのだ。 「さて、と…」 僕は次の準備に取り掛かる。 奇形赤ちゃんゆっくりに囲まれ、未だ泣き止まない親2匹に声をかける。 「やあ、赤ちゃんはかわいいかい?」 「ゆぐっ…へんだよおおおおおお…がわいぐないよおおおおおお……!!」 そりゃあな、僕だって見てて気持ち悪いもん。 でも、自分の赤ちゃんを“かわいくない”なんて言うなんて、困った親だなあ。 「そうかそうか、かわいくないか。じゃあ捨てちゃおう」 そう言って、目のない赤ちゃんゆっくりをピンセットでつまみあげる。 目の見えないゆっくりにとっては、その浮遊感は恐怖にしか繋がらないらしい。 「なに!?へんだよ゛!?ういでるよおおお!!??ごわいよおおおおお゛お゛お゛お゛!!!」 「おにーさんなにするの!?あかちゃんをゆっくりはなしてね!!」 まりさが僕に体当たりしてくるが、さすがゆっくり、全然効果がない。 むしろ、その弾力が気持ちいいくらいだ。 「だってかわいくないんだろう?だったら捨てちゃおうよ!」 「やめでよおおおおおお!!!がわいぐなぐでもまりざのあがぢゃんなのおおおお゛お゛お゛!!」 “かわいくない”ってところは否定しないのかよ(笑) 「かわいくないなら捨てちゃうよ!!ポイ!!」 鼻をかんだティッシュを捨てるように、赤ちゃんゆっくりをゴミ箱に放り込んだ。 ゆうううぅぅぅ、と悲鳴を上げながらゴミ箱の底に落ちていく、盲目ゆっくり。 底に溜めてある熱湯に突っ込んだそいつは… 「ゆぎゃあああああああ、あづいよおおおおおおおお!!!!みえないよおおおおおお゛!!!! ゆっぐりできないよおお゛お゛お゛お゛お゛!!!あがーぢゃんだじげでええええええ!!!!」 そんな悲鳴も、十数秒すると熱湯の中へ消えた。 「さーて、次はどいつにしようかな♪」 「もうやめでよおおおおおお!!!あがぢゃんずでないでええええええ!!!」 「えー、だってかわいくないんだろー?」 「おねがいじまずううううううううううう!!! れいむのあがぢゃんだずげでぐださいいいいいいいいいいい!!!」 子ゆっくりを片っ端から捨てるのも楽しいが、そこまで頼まれたらしょうがない。 僕は妥協案を提示することにした。 「…わかった。じゃあこうしよう!」 「ゆっ!?」 期待に目を輝かせる、親ゆっくり。 しかし、その期待はすぐに打ち砕かれる。 「れいむとまりさが赤ちゃんを一匹だけ選んでね!!その子だけは助けてあげるよ!」 「ゆううううぎゃああああああどおじでえええええええ!!??」 「どおじでそんなごといいうのおおおおおおおおおお!!??」 「選ばないと、全員捨てちゃうよ!!ゆっくりしないで選んでね!!」 「ゆぐっ!?」 選ばないと…子供が全員殺される。 それだけは避けようと、2匹は唯一の生き残りとする赤ちゃんを選ぶべく、辺りを見回す。 「おがーちゃん!!まりしゃをえらんでね!!」 「れいむしゅてられたくないよ!!ほかのこをすててね!!」 「ちにだぐないよおおおお!!おがーぢゃあああああん!!」 喋ることのできるものは、その言葉で親の気を引こうとする。 言葉を発せないものは、その目で親に訴えかける。 精神すらまともでないものは、何が起きているかも感知していない。 「早く選ばないと、全員捨てちゃうよ!!」 「ゆゆっ!!やめてね!!すぐえらぶからね!!」 そして、2匹の親ゆっくりが選んだのは…二匹目に生まれた、動けないゆっくり子れいむだった。 「どおじでええええええ!!??」 「なんでそのごなのおおおおお!!??」 「そのごはうごげないごだよ!?うごげるれいむをえらんでね゛!!」 選ばれなかった子ゆっくりは、たまったものではないだろう。 自由に動けるものは必死に母ゆっくりにすがろうとするが… 「ごめんね!!あのよでずっとゆっくりしてね…!!」 れいむは涙ながらに駆け寄った奇形子ゆっくりを跳ね飛ばした。 うまい具合に僕の足元に転がってきたので、そのままピンセットでつまみあげる。 「ゆぎゃあああああ!!!はなじでよおおおおお!!!」 「ごめんねー。でもお母さん達が、君たちの事かわいくないって言うからさー」 「ゆゆぅ!?れいむかわいいよおおおお!!!かわいいからすてないでねええ゛え゛え゛え゛!!」 そんな叫びも、ゴミ箱の中へ吸い込まれていった。 2匹の親ゆっくりは、自分達が選んだ一匹の子れいむを挟み込んで守っている。 悲しみと絶望に震えながら、唯一生き残るであろう子れいむを、しっかりと守っている。 「はーい、じゃあ君達はゴミ箱行きでーす!恨むならお母さんたちを恨んでくださいねー!」 「いぎゃああああああああああああああああ!!!!」 ぽいぽいとゴミ箱に放りながら、全体に聞こえるように呟く。 「あーあ、お母さんが、あんな毒入りギョーザと食べちゃったから」 「ゆっ!?」 「お母さんが、あんな汚いものを飲んだから、赤ちゃん皆かわいくなくなっちゃったよ!」 「なにをいっでるのおおおおおおおおおお!?」 「お母さんのせいで、皆気持ち悪くて汚い赤ちゃんになっちゃったよ!」 「おかしいよ!!ゆっくりせつめいしてね!!」 「ギョーザと飲み物にはね、危ないものが入ってたんだよ!!本当は食べちゃダメだったんだよ!」 そこまで説明して、やっと理解したらしい。 母体であるれいむは…自ら汚染物質を体内に取り込んだ。 それは子ゆっくりにも蓄積されていき、結果として奇形ゆっくりが生まれた。 やっと。やっと理解したのだ。 親ゆっくりも…そして、子ゆっくりも理解した。 自分がこんな酷い目にあっているのは、母親であるれいむのせいであるということに。 僕は心無い言葉を子ゆっくりに浴びせながら、次々とゴミ箱に放り込んでいく。 「おがーぢゃんのせいだあああああああああ!!!!だずげでええええええ!!!」 「はーい、お母さんがあの子を選んだので、皆あの世行きでーす!」 「おがーぢゃんなんがしんじゃえええええええええ!!!」 「その前に死ぬのはお前らでーす!!あの世でゆっくりしていってね!!」 「おがーだんだじげで!!みでないでだずげでよおおおおおおおお!!!!」 「お母さんはあの子を選んだので、君は助けてもらえません!!ゆっくり死んでね!!」 母ゆっくりを罵倒しながら、ゴミ箱の中へと消えていく子ゆっくりたち。 その言葉の暴力に、れいむとまりさは震えながら耐えている。 「ごめんね!!……あのよでゆっくりしてね…!!」 そして、選ばれた子ゆっくりを除くすべての奇形ゆっくりが…ゴミ箱の中でお汁粉に変わった。 一旦ゴミ箱を片付け、再び部屋に戻ってくる。 親子3匹がいるほうを見ると、どうやら最後の生き残りである子れいむが、両親を罵倒しているらしい。 「おがーぢゃんのせいでじぇんじぇんうごけないよ!!ゆっくりあやまってねええええ゛え゛え゛!!」 本当はすぐに飛び掛って噛り付きたいのだろうが、やわらかすぎて動けないので、それもできない。 その上、2匹の親ゆっくりの返答も酷いものだった。 「お、おかーさんは悪くないよ!!おかーさんはわるいものたべてないよ!!」 「そうだよ!!かわいくうまれてこなかったれいむがわるいんだよ!!」 「ゆぎゅううううう!!?どおじでぞんなごどいうのおおおお゛お゛お゛!!??」 生後10分で親子喧嘩か。すごいもんだな、ゆっくりって。 「はーい、そこまで!」 この前と同じように仲裁に入る。 「いいことを教えてあげるよ。二人の親のどっちかが死んで子れいむの食べ物になれば、子れいむは動ける ようになるよ!」 「ゆぎゅ!?ほ、ほんとうなの!!?」 それは親ゆっくり2匹にとって、衝撃であろう。 どちらかが犠牲にならなければ、目の前の子は一生動けないままゆっくりしなければならない。 親2匹は…どちらが犠牲になるか、選ぶことが出来るだろうか? 「どっちが食べ物になるか、ゆっくりしないで決めてね。ゆっくりしてると、手遅れになるよ!」 「ゆぎゅ!?それじゃれいむがあかちゃんのたべものになってね!!まりさはしにたくないよ!!」 急かされたせいか、焦ったまりさが思わず本音を漏らしてしまった。 となれば、二人の“ジョーカーの押し付け合い”はもう止まらない。 「どうして!?まりさがたべものになればいいよ!!れいむはあかちゃんうんだんだよ!?」 「れいむはあかちゃんうむだけで、ぜんぜんたべものとってこなかったよ!! やくたたずのれいむは、ゆっくりたべものになってね!!」 「おがーぢゃん!!げんがはやめでよおおおおおおおおお!!!!」 これが人間だったら恐ろしい会話だが、ゆっくりの場合だと笑えてくるから不思議だ。 さて…そろそろフィニッシュといこうかな。 「そうか、どっちも食べ物にならないなら…赤ちゃんが死ねばいいよね!!」 そう言って拳を振り上げ… 「やめでえええええええええええええええええ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!!!」 「あがぢゃんにげでねええええええええええええ゛え゛え゛え゛!!!」 親2匹の絶叫とともに… グシャッ! 最後の奇形ゆっくりは、ただの潰れた饅頭になった。 「どっちも食べ物になってくれないなら、赤ちゃんは死ぬしかないよね!! だって、動けないままゆっくり生きていけるわけないもんね!!」 2匹は震えている。 「どうしたの?助けたかったの?でも食べ物になるほうを決めなかったよね。 助けたかったのに早く決めなかった二人が悪いんだよ!!」 それを聞いた2匹の、震えが…止まった。 そして… 「がああああああああああああ!!!???れいむのぜいだああああああああ!!!」 「まりざのぜいでじょおおおおおおお!!?まりざがたべものにならないがらああああ!!!」 2匹は、鬼のような形相で責任の押し付け合いを始めた。 「れいむのぜい!!ぜんぶれいぶがわるいの!!!ばかなれいむはゆっくりしね!!」 「ゆぎゅうううううう!!まりざがあがぢゃんだずげながったのがわるいの!!ゆっくりしんでね!!」 「ごろじでやるっ!!おおばがれいむなんがゆっぐりじね!!」 「まぬけなあほまりざは、ゆっぐりあのよであがぢゃんにあやまってね!!」 僕は外に通じるドアを開けておき、2匹を放っておいて自室に戻ることにする。 2匹の騒ぐ音がうるさいので、音楽を大音量で流してくつろぐことにした。 翌日。 2匹がいたはずの部屋を覗いてみると… そこにはゆっくり一匹分の餡子が、部屋を中心として放射状にブチまけられていた。 原形をまったく留めておらず、毛髪や飾りも残っていないので、れいむとまりさのどちらなのかわからない。 僕としては…できれば、れいむのほうに生き残っていてほしい。 あいつがまた子供を作れば、また奇形が生まれるに違いないからだ。 できれば、そうあってほしいな。 だってその方が、ロマンティックだろう? (終) 続く? あとがき 虐待スレ10の 340前後を見て、勢いで書いた! まともに読み返してないので、誤字とかあるかも!! 後悔はしてな・・・・・・いや、半分ぐらい後悔してる! でも、自分が読みたいものが書けたからOK! ゆっくり読んでくれてありがとう!! 作:避妊ありすの人 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/2266.html
前 気がつくと帰宅していた。 日はすでに落ちている。薄い闇が段々と濃くなっていた。日暮れ前には帰るつもりだったのにこんな時間になってしまったのは、今の私が手ぶらであることが理由になっている。 目当てのものが手に入らなかったため、知らぬ間に深追いしてしまったのだろう。こんな体たらくはほとんど経験したことがない。いつもは簡単に捕まえられるのに。 しかも、手ぶらということは、出かける前に持っていったものも無駄に使ってしまったことを示している。何て失態。また作らないといけない。その手間を考えると気が重い。 いや、それ以上に、積もり積もったものは何も変わらず、相も変わらず覆い被さっているのが、とにかく重い。……重い。 扉を開ける手に疲労感がまとわりついている。そして、まず鼻が身構えるのがわかる。じめじめとした天気が続くこの頃だ。中では生々しい臭いが息づいているだろう。一度外出してしまうと、「慣れ」はリセットされてしまうのだ。 滅入る気持ちを奮い起こして、中へ入る。 明日。とにかく明日だ。今日を耐えきってしまえば、また明日出かけることができる。今度こそ捕まえられる。 早くあの子に晩ご飯を作って、身体を洗って、寝かしつけてしまおう。汚れたところをふいて、散らかったところを片付けて、私も早く寝てしまおう。機械的な作業を機械的にやってしまばいいだけだ。それで…… …………? 何だろう。妙な違和感が玄関にまで流れてくる。 あの子が何かしたのだろうか。昼寝から覚めて、一人で遊んで、ということまでは予想できる。部屋の鍵も閉めてある。粗相などはその範囲で収まるはずだ。 そうじゃない。もっと違う何かが起こっている。 そう言えば、さっき私は玄関の鍵を開けただろうか。既に鍵は開いていなかっただろうか。外の地面はパラついた小雨で湿っていたが、玄関には私が入ってくる前に足跡がついいていなかっただろうか。 違和感の正体がわかった。気配がするのだ。まさか、泥棒か。 取られるようなものはないが、だから安心、というわけでもない。 恐る恐る靴を脱ぎ、慎重に気配の発生源を探ろうと、まずは居間をのぞいた。 「うーうー!」 いきなり発見してしまった。 膨れた顔に短い手足。頭の白いキャップ。同色の寝間着のような服。 「う~♪ うぅ♪ う~♪」 レミリア種のゆっくり。しかも胴体付きだ。 なんて珍しい。今まで多くのゆっくりを見てきたが、手足があるのは初めて見た。 近づいていくと、そのゆっくりはこちらを見上げてくる。 「どこから入ってきたの?」 「うー、ざくやー、ぷでぃんもっできでー、ぶでぃんー」 あらあら。会うなり人間違いをして、その上おやつを要求するなんて。 頭を撫でながら、尋ねる。 「あなた、どこの家の子? 森から来たの?」 「うー、れびりゃのおうぢはここだどー」 鼻にかかったようなダミ声で、人様の家を所有宣言。 ああ、何て、かわいいんだろう。 「ぞでよりぷでぃん、ぷでぃ~ん!」 「欲しいの? プリン」 興奮を内に秘めて、荒くなる呼吸を抑えて、にこやかに問いかける。 「はやぐー! もっでごないと、たべじゃうどー」 「じゃあ、たくさん食べてね」 私は少し身体を離すと、思いっきりゆっくりの腹を蹴りこんだ。 ぐごぎょ、と無様な音を喉から漏らして、饅頭は吹っ飛び、壁にしたたか身体を打ち付けた。 「…………! …………!」 痛みで呼吸もままならず、叫び声さえあげられないようだ。何が起こったか理解もできないだろう。 「ぐっ、ぼッ、……! ごぶぇ?!」 ようやくひり出すような息を吐く。私はにこやかに問いかける。「大丈夫?」 「なっ……なにずん……だどぉ」 見たところ腹に外傷はない。意外に丈夫なようだ。嬉しい。 「あら、食べたいんじゃなかったの?」 「ぢがっ、うどぉ……、れびりゃがほじいのは」 再び足を腹に叩き込む。口から出るはずだった言葉が、衝撃で肺に戻される。 何度も蹴りこむ。後ろは壁だ。暴力は逃げることなく全て身体に突き刺さる。 ゆっくりは小さな手足で必死に身を守ろうとしている。その手足さえ、蹴れば柔らかな感触を跳ね返してくる。それがとても心地よい。 たくさんの蹴りを食らって、ゆっくりは痛みか恐怖かその両方かで震えている。頬を引っ張り、何か言うまで待つ。 「んー、どうしたのかな?」 「ぎゅ、んぐっ」 まだ返事はできないようだ。頬をつまんだまま揺すり、引っ張り上げる。結構重い。普通のゆっくりなら頬がちぎれてもおかしくない重さが掛かっているのに、そんなことはなく痛がる様子を見せるだけだ。本当に嬉しくなる。 頬を手放すと、再び床に転がる。そして、ずりずりとはいずるように、逃げようとする。 私は左の二の腕を踏んで阻止する。それでもゆっくりはジタバタと動くが、完全に縫い止められてそれ以上どこにもいけなくなってしまう。ああ、何て弱く、馬鹿な生き物なんだろう。 体付きがどれだけの強度を持ってるのか興味が湧いてきた。踏んだ足に体重を掛けてゆく。伝わってくる響きは、腕のきしみか、それともゆっくりの叫ぶ声が振動となっているのだろうか。 「うふふふふ」 ついに全体重が乗ってしまった。それでもちぎれることはない。ある程度の反動をつけて踏み直してみても、激痛にほとばしる声が高くなるばかりで裂け目一つできない。 「そろそろあなたの中身が見たくなってきたわ。ね、見せて。ね? ね!」 今度は足を上げて、思いっきり勢いをつけて踏みつけてみる。何度も何度も踏みつけてみる。騒音としか聞こえない濁音混じりの絶叫が相変わらず耳に心地よかったが、腕の損傷につながらないのも相変わらずだった。 私は次第に自分の思い通りにならないことに腹が立ってきた。一方でそれがまた嬉しさをかき立てる。苛立ちは最高のスパイスだからだ。 もう一度腹に一撃を見舞った後、私は台所から目当ての物を持ち出してきた。これなら。 「じゃ、改めまして」 ゆっくりを仰向けにして、今度は右腕をつかむ。私が振り上げた包丁に目を丸くしてるけど、何を意味してるのかわかっているのかしら。 私は笑ったまま、思いっきり力を込めて一撃を振り下ろした。 「ぎひう゛ぉギょをぉおごぉおおぉおおぉおおおッ!!」 声帯を無視したような叫びと共に、赤い汁が散った。 中身が何か辛い物でできているゆっくりがいると聞いたことがあるけれど、これがそうなのだろうか。綺麗な色。興奮するわ。 「もっと、もっと見せてね。ふふ、うふふ、あははははっはははっ!」 楽しさを爆発させ、感情に行動を任せる。何度となく、包丁を叩きつけるように切り込んでいく。だが、切り傷が数を増やすのみでなかなか切断できない。切断したいのに。切断したいのに! 早く切断しなさい! 「これでどうっ? これでッ! ほらっ! ほらッ!!」 一番深いくぼみができたところに、逆手で持った包丁の先端を何度も打ち込む。狙い通り、裂け目が大きくなってきた。いいわね、いいわ! 「すごいわね、ほら、取れちゃうわよ、取れちゃうわ、ほら、ほらっ、ねッ!」 そして、ブツンという手応えと共に、ついに腕は根本から切断された。突き抜けるような快感が私の身体の中心を走る。 「ああ、取れちゃった! あははは! 中身は……ふふ、やっぱり肉まんかな? 辛そうだけどね、アハハ、アハハハハハハ!」 中身はかなり詰まっているようで、切断面からこぼれ落ちるのは肉汁ばかりだ。見ていると、柔らかで身の締まった肉汁たっぷりのステーキを連想させる。もしかするととても美味しいのかもしれない。他のゆっくり同様、食べるつもりは全くないから捨てるだけだが。 「……?」 ふと、私は気づいた。ゆっくりの反応がない。 「うそ!」 慌てて確認すると、良かった、死んだ訳じゃないようだ。痛みと恐怖で気絶しているだけらしい。白目をむいて泡を吐いているから驚いてしまった。安堵のため息をつく。水でも掛ければ意識を取り戻すだろう。殺すまでしてしまってはいけない。それはいけない。 まだまだ私に付き合ってもらわないといけないのだから。 私はこれからの楽しみを前にして、身体が喜びで震えるのを感じた。 …………やり尽くした後。 私は居間全体に飛び散った肉汁を前に、包丁をまだ一応の形を為す残骸に突き立てた。 四肢の欠如した胴体は、腹が割り開かれて中身を見せている。赤いソーセージのようなものが出てきたことから、形は違えどやはり肉まんの一種であるようだ。包丁はその中身に埋もれるように収められている。 頭部は両の目がえぐられ、鼻はそがれて豚のようになっている。口は両側が耳まで裂かれて、ピエロのようだ。そんな状態になっても、素手で中身をかき混ぜてやるまで、生きて叫んでいた。 あんなに生命力があって、あれほど長い間楽しませてくれるなんて嬉しい誤算だ。この近くに手足付きのゆっくりが住み着いたということなら、こんなに喜ばしいことはない。何かの神様に感謝した方が良いのかしら。 ただ、砂糖水を掛けても回復しなかったのは残念だった。肉まんだから塩水の方がいいかと思って、掛けてみたら酷く痛がった。だから、もっと掛けてやった。塩そのものもすり込んでみた。それはそれで楽しかったから良しとしよう。 片付けは大変だ。特に肉汁の量が半端ではない。けれど、この気持ちに浸りながらの掃除なら楽しくやれそうだ。 それにしても、この肉汁、辛子か何かで赤いのかと思ったが、そうではないかもしれない。特有の刺激臭がしてこない。食べるわけではないから味はどうでもいいのだが、何か気になる。今になって、どこでかいだ臭いであるように思えてきたのだ。馴染みのある臭い。でも、食べたことはないように思う。何だろう。 考えを巡らし頭をひねると、ふと、部屋の扉が開いているのが目に止まった。 ゆっくりの繁殖方法は、今のところ二通りのものが大勢を占めている。裸子植物タイプと胎生タイプだ。 ほとんど見かけないが、他に確認されているものとして、被子植物タイプ、両生類型卵生タイプ、分裂タイプなどがある。 自分の場合はどれでもなかった。気がつくと、岩穴の中にいて、傍には固い殻が散乱していた。 ということは、鳥類型の卵生タイプなんだろうか。しかし、親は近くにいなかった。爬虫類型の卵生タイプかもしれない。あるいは昆虫型か。 ともかく、最初に起こった欲求は「自分が何者なのか知りたい」ということだった。 何しろ生きる指針を与えるべき親も同族も見あたらないし、そもそも自分が何かがわからなければ種としての振る舞い方も想像できない。「吾輩は猫である」とか言えたらまだ良かったのだが。 かくして、『黒いゆっくりの自分探しの旅』という全くもってモラトリアムな劇が幕を開けるわけだ。そのうち盗んだバイクで走り出すかもしれないな。 いや、自分がゆっくりだと見当がつくのは、もう少し後だ。 とりあえずは魔法の森と呼ばれる場所を、草や木の実やら虫やらを口に含みつつさまよっていた。その中で、ゆっくりを含めた妖怪やら人間やらに出会ったりして。まあいろいろだ。 それでもまだ自分が何かわからなかったわけだ。まあ今になってもそうなんだが。ただ一応の手がかりがつかめたのが、大図書館に滞在したときだったな。 とあるツテでね、来客というか珍獣扱いで招かれたというか持ち込まれた。そこの主たちの好奇心を満たすことと引き替えに、しばらくお世話になったわけだ。 生まれたてで言葉を解していたように、文字も読むことができた。何故かは知らないが、とにかく読めた。それで色々調べることができた。さまざまな妖怪、動植物、外の世界のこと……。館長や司書との会話も有益だったな。 かなり充実した時だった。時間も忘れるとはあのことを言うのだろう。疑問符が好奇心呼び、興味が謎を喚起する。知識の岐路は際限なく奥地まで……ああ、いやいや確かに寄り道はたびたびしたが、第一義は忘れてない。自分のルーツだ。うん? その割には無駄知識が多い? そうかな? で、俺の出生について立てた仮説なんだが――ああ、まだ推測なんだ――どうもゆっくりと他の妖怪との合いの子らしい。 まず俺の身体だが、見事なまでの一頭身だ。顔だけオバケだな。 ゆっくり以外にも首だけの妖怪は多々いるが、大首にしてはお歯黒を付けてないし、チョンチョンにしては耳が大きくない。その他分析してみても、十中八九ゆっくりの血を引いているという結論に行き着く。どういう種のゆっくりかはわからないがな。 もう一方の親は、バック・ベアードである可能性が強い。聞いたことがない妖怪だって? 光化学スモッグの化性で、真っ黒な球体に一つ目がついたデザインなんだが。ああ、そもそもスモッグを知らないか。 ともかく、そういう妖怪だ。空中に巨大なそれが浮かんでいて、わはははと大きな笑い声を上げるのは、まったく恐怖だろう。 能力は主に目から発せられ、相手の精神に作用を及ぼすようだ。軽い幻覚から死に至るものまで、能力の幅はそれなりにある。 自分が羽も無しに宙を飛んだり、片目が不自由であったりした理由が、これで一応説明できるわけだ。体色や表皮などの特徴も含めてな。 まあ、親の能力に比べると泣けてくるほど初歩的な力しかないが、その辺りは少しずつ開発していこう。群れのゆっくりたちと共に。俺の第一義のために。 おおゆっくり、俺はどうして黒ゆっくりなの、なんて嘆き続けるだけでは芸がないしな。 さて、話を戻そうか。 ある母親がいた。特に何の変哲もない家庭を築いていたんだが、強いて言うと子供が生まれつき障害を持っていたのが特徴と言えば特徴かな。知的障害だ。 どれくらいの障害かと言っても、軽度なのか重度なのか基準がよくわからないな。具体的には、発する言葉が「あー」とか「うー」とか意味不明のものだったり、よくかんしゃくを起こして辺りの物をヒッチャカメッチャカにしたりとか。ああ、あと漏らしてしまった大便を団子にして投げて遊んでたってこともあったらしい。そんな程度だ。 母親と父親は人一倍、いや十倍はその子に手間を掛けた。手間を愛情と言い換えられるなら、それはそれは愛にあふれた家庭だったろうな。けれど、父親の方はある日家を出てしまった。 何でだろうね。愛を注ぎすぎて尽きてしまったのか、それとも始めから愛なんてなかったのか。母親がかんしゃくを起こして父親に当たるのが頻繁になった……これは原因に入るかな? 仕方ないことだと思うのだがね。子供にストレスをぶつけるわけにはいかないし、ましてやご近所の皆さんに怒りをまき散らすにもいかない。たまった鬱憤を受け止めてくれるのは愛する夫しかいないというわけだ。 けれど、その父親がいなくなってしまった。さて、彼女はどうなるだろう。自分の子供は常にストレスを渡し続けてくる。バケツリレーに自分の次がいない。どんどんバケツは増えてくる。どんどん、どんどん。積み上げられたバケツが瓦解して、圧死するのは時間の問題。と、その時だ。 家の中にゆっくりが迷い込んできたんだな。 小さなゆっくりだ。まだようやくあちこち歩き回れる程度の。身体無し、頭だけのオーソドックスなレイム種だ。他人の住居内でありながら、「ゆ~、おばさんゆっくりちていってね!」などと鳴いていて、そこにいた。 母親はそれを傷つけるつもりはなかったんだ。ましてや虐待なんて考えもしなかった。ただつまみ出そうとしただけだ。無言ではあったが、別に敵意があったわけじゃない。で、片手でその饅頭をつまんだ。 ところが……どうしたわけか……うん、それが事故だったのか、無自覚の故意だったのかはわからないんだが……力を入れすぎてしまったようだな。 子ゆっくりの叫び声に、ハッと手元をみると、まだ薄く柔い皮に指の先が食い込んでいた。中身がわずかにもれて小豆色に滲んでいる。 「いちゃぁあああい! いちゃいよぉおぉっ!!」という叫びに母親は慌てた。慌てて両手で支えて、 ぷちっ、と。 真ん中から割り潰してしまったんだ。 子ゆっくりも、当の母親でさえも、何が起こったかわからなかったに違いない。しかし、厳然とした事実はそこにあった。潰えた命という現実がね。 そのとき彼女が感じていた感情は何だったと思う? 絶望? 悲哀? まあ、混乱していたのは確かだったろう。一言で表すのは乱暴すぎるかな。ただ、その時、唇の端は上がっていたそうだよ。口だけは間違いなく笑みの形を取っていたんだ。 だから、迷子になった子ゆっくりを探しに来た親ゆっくりが、その母親に誘われるままに家の中に入っていき、さて、どういう末路をたどったか……なんて、説明するまでもないだろう。 玄関扉から上がりかまちにまで散らばった餡子。雑巾でぬぐいながら掃除する彼女の心の中は、もう喜悦の一色で染まっていた。虐待と虐殺による疲労と興奮が心臓をリズミカルに刻み、全身に快楽の血流を巡らす。長い間忘却の彼方に追いやられていた感情が、その時確かに蘇っていた。 ややあって熱が冷めてからは、自己嫌悪の情が海の波のように返ってはきた。彼女の心に染み入って痛みを与えはした。 けれど、自分の子供が、手づかみで食事をして、顔中を食べ物とヨダレと鼻汁まみれにして、そしてその場で大も小も漏らして、アバアバと口を開けてにやけて……みたいな毎日が続くと、母親の内側では、あの刹那の開放感に対する渇きがどうしようもなく襲ってくるんだ。 幸い彼女は村の端、森の近くに住んでいた。子ゆっくりが迷い込んできたのもそのせいであったわけだが、自分の方から捕まえにいくのにも良い条件になっている。 ゆっくりは人に近しい妖怪だからな。もちろんどこにでもいるわけではないが、その森はゆっくりには住みやすい環境だったので、森の周辺をうろついていれば自然遭遇できるほどには多くのゆっくりがいた。それについても母親には幸運だったわけだ。 菓子を使って、主に子ゆっくりを優しい言葉でおびき寄せるのが彼女の常套手段だった。甘味と甘言だな。こういうのに引っかかるのを甘ちゃんというんだ。うん、まあ、中身が甘味なんでずいぶんと捕まえられたわけだけども。げに悲しきは餡子脳。 数え切れないほどのゆっくり。無数の饅頭。それらを蹴り飛ばし、踏みにじり、えぐり込み、焼き焦がし、すり下ろし、握りつぶし、虐めぬき、殺し尽くして。そのつど彼女はたとえようもない高揚を感じ、その後に訪れる虚無の感情にさいなまされた。それは必然の虚しさだ。それでも止めることはなかった。 おや、不可解か? だが、自分を慰める行為というのは得てしてそういうものかも知らんね? で、その母親の住んでいる近くの森にだ、俺たちの群れが移移住してきたなら、当然群れの誰かが被害に遭うのは時間の問題になるよな。まさか、移動してきた翌日にやられるとは思いもしなかったが。そう、夜が一番短いあの日のことだ。 母親はこれまでしてきたように、森の周辺から子ゆっくりの姿を認めると、袋の菓子を出して呼びかけた。ねえ、甘いお菓子があるんだけど、もし良かったらあげるわよ、みたいなことをね。そこにいた三匹の子ゆっくりはすぐに興味を示した。ここまでは狙い通りだ。 しかし、いつもなら大抵簡単に引っかかるはずの子ゆっくりたちが、今回に限って警戒して近づいてこなかった。一定の距離を保って、誘いに乗ってこなかった。それもそのはずで、人間に対しては十分注意して相対するように、入念に教育されていたんだな。いやはや、群れの長の指導力がどれだけ高いかをうかがわせるね。 けれど、そこは母親も歴戦の将。慌てず、騒がず、次の手を打った。 「じゃあ、ここに置いておくから、欲しかったら持っていってね」 上手いね。菓子は小麦粉と砂糖を混ぜ、小さな粒にして揚げたものだ。揚げ玉状のドーナツだな。だから、地面に置くということは、ばらまくわけだ、袋いっぱいのそれらを。 母親は子ゆっくりたちの前から姿を消した。では、子ゆっくりたちはどう行動する? 警戒すべき人間はいない。お菓子には興味がある。お菓子は境界付近とはいえ、森の中にある。 だから、どちらからともなくお菓子に駆け寄る。それでも警戒心は切らしてないから、辺りをうかがいつつ口に含む。森では絶対に口にできないような味が口内に広がる。がっつきたい衝動を抑えて、より安全な森の奥で食べようという考えを誰かが述べる。しかし、できない。大きな塊ならまだしも、砂利のような粒がたくさんあるわけだからね。持ち運べるのはほんのわずかだ。これが母親の意図さ。 菓子を味わうために、子ゆっくりがその場に釘付けになることを想定して、製菓したわけだ。 子ゆっくりが大人のゆっくりに相談するということに考えが行き着けば、それが模範解答だったんだが、美味さの初体験にそこまで頭が回らなかったようだな。いやはや、教育不十分もいいとこだ。親の顔が見てみたいね。 子ゆっくりは徐々に菓子に没頭し始める。そこに母親が駆け寄って一網打尽? いや、真っ正面からいったら流石に気づかれる。音が届かないほどに遠回りして、後ろから失礼するのさ。昼間の森にも危険性はあるが、夜のそれと比べれば、格段に安全だからね。それに何度か使っていた手だ。森に立ち入ることに危機感は持ってなかった。そして、それは正しい認識だった。確かに、これまでは。 時間を掛けすぎてしまったのがまずかった。これまでの事例では問題のない時の間だけれど、この群れにおいては独自のシステムがある。十分な時間だった。母親と俺がご対面するには十分な、ね。 それで。 俺は彼女が一番望んでいることを叶えてやった。 本当に虐待したいものを虐待させてやった。本当に殺したいものを殺させてやった。 めでたしめでたし。 さて、お前さんも明日は早いんだろう。そろそろ寝床に戻ったほうがいい。また頑張ってもらわなくてはならないことが山ほどあるしな。 どうした? うん? その後の展開? おいおい、話はもう終わったんだぞ。 シンデレラや桃太郎のその後を問いかけるのは邪道だと思うがな。色々想像して楽しむのがいいんじゃないか。 おとぎ話とは違うって? ふむ。 そうだな。 『それから母親は苦しみから解放され、新しい人生を歩むことになりました。村人は母親の苦悩を知り、今後の彼女を支えていくことを約束します。確かにそれはイバラの道であり、進むには苦痛を伴うでしょうが、その遙かな先には光り輝く未来が…… いや、もちろん冗談だ。 追い詰められるままに誰にも相談できなかった母親。 何も気づくことなく放置し続けていた村人。 彼らがどんなエピローグを演じるのか。演じられるというのか。 言わぬが花というものだろう。語っても陳腐だ。 To be or not to be. このままで良いのか、いけないのか、彼女は悩み続けてきた。悩みながらも殺し続けてきた。殺しながらも渇き続けてきた。 それならば、この話はこの言葉で締めくくるのがふさわしいだろう。 「満足は死である」 黒ゆっくり2 続く 別の作者が書いたと思われる続き このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/ykansatu/pages/49.html
遺伝 両親から子ゆに受け継がれる要素と、受け継がれない要素がある。 遺伝する要素 種族 おかざり 髪型 遺伝しない要素 ランク もみあげ・おさげの形状 妊娠形態 その他の初期ステータス 繁殖・家族 交尾と妊娠 ゆっくり同士が密着すると互いに身体を擦り寄せる「すーりすーり」が発生し、これがある程度継続すると確率ですっきりー(交尾)が開始される。すっきりーが完了すると性欲値の低い方がおちびをにんっしんし、つがい(夫婦)としての関係が結ばれる。 「すーりすーり」はゆっくりの精神状態がポジティブな状態でなければ発生しない。互いに「すーりすーり」してすっきりー(交尾)に持ち込むには、双方のゆっくりが共にポジティブな感情である必要がある。「かなしい…」等、どちらか一方の精神状態に異常がある場合、もう一方がいくら「すーりすーり」しようとしても、すっきりー(交尾)は起こらない。 すっきりーの発生率はゆっくりの性欲値と設定の「赤ゆが出来る確率」によって決まる。また、ゆっくりの頬が紅潮している状態だとより発生しやすくなる。性欲値は高い方のみ参照されるため、☆0の個体でも☆3の個体と接触すれば高確率で交尾する。 妊娠剤(ハート)はゆっくりを強制的に妊娠させるアイテム。ゆっくりの残り寿命(年齢)や大きさ・種族・何なら生死を問わず(断片化・破片化していなければロスト前の死体でも可)妊娠・出産させる事ができる。妊娠型式やランク等の決定は通常の妊娠と同じだが、番(つがい)のいないゆっくりに使用した場合、産まれる子供は遺伝的に母体のクローンとなる。 一度でもすっきりーを行っていれば妊娠剤(ハート)で出産を早めても、また妊娠剤で新たに妊娠させても、何なら母役ではなく父役のゆっくりを妊娠させても両親の遺伝情報を参照した子ゆが産まれる。 狭い場所に複数のゆっくりを閉じ込めると常にゆっくり同士が密着してすーりすーりが多発するため、短期間で大量のおちびを作らせることが可能。 出産すると寿命値が大きく減少する。長生きさせたい場合はおちびの作らせすぎに注意。 家族関係 親子はお互いに「おかーちゃん/おとーちゃん」「おちびちゃん」と呼ぶ。姉妹は互いを「おねーちゃん」「いもうと」と呼び、つがいは種族名で呼び合う。(さくや、みょん、ちぇんの3種は未実装なのか呼ばれない) 親子・姉妹を問わず、近親相姦した場合は両者とも関係がつがいに更新され種族名で呼び合うようになる。 家族として認識されるのは一親等までであり、二親等以上関係が離れているゆっくり(祖父母や孫など)は家族にカウントされない 家族関係は永続的に保持される。近親相姦で関係を変える事はできるが、関係を消失させは無い。このため、一度結ばれたつがいを離婚させたり、親子や姉妹を赤の他ゆんに改変したりはできない。(バグで関係が消える事は稀にある) 虐待の連動性について 家族のメンバーが虐待を受けると近くにいる家族全員が泣き始める。また子ゆを特定のアイテムやアクションで攻撃すると母役のゆっくりはぷくー化し、虐待された子ゆの元に駆け寄る。父役に妊娠剤を投与して産ませた子ゆでも母役が怒る) 善良種・ゲス種 観察日記と同様にC·B·A·Sのランク分けが存在し、性格毎に行動や言動が変わってくる。 ランクは遺伝要素の対象外であり、子ゆのランクは親ゆとは無関係に決定される。 ランクによる行動パターンの違い Cランク ランク値が最底辺に近いと外見が涎を垂らした肥満個体になり、Bランクに近づくと通常の外見になる。ゲス種限定のセリフを喋り、逆に善良種限定のセリフは喋らない。頻繁に屁をこき、愛でられるとうれしーしーを飛ばす。プレイヤーからの攻撃や目覚まし時計など、ぷくー化のフラグが他のランクよりも多く設定されている。また、おかざり無しのゆっくりに接触すると攻撃を行う。うんうんを催すとその場でうんうん体操を開始する。手動操作のBボタンでもうんうんを出す。 Bランク 善良種限定のセリフを喋るようになり、逆にゲス種限定のセリフは発さなくなる。ただしランク値がC間近だと「行動パターンはBランクだがセリフパターンはCランク」という状態になる。このランクでもまだおかざり無しには攻撃を行う。近くにトイレシートが存在する場合、そこに移動してうんうんを行う。手動操作のBボタンでは全速前進状態になる。 Aランク セリフや行動が完全に善良化し、おかざり無しを攻撃しなくなる。 Sランク 基本はAランクと同じ。ランク値が上限に近づくと銀ピカに光る。更に好き値が☆3に達しているとより売値の高い金ピカになる。 観察日記でのBランクは全てCと同様のゲス種だったが、にっきでのBは善良とゲスが混在するようになっている。 ランクには細かな内部数値が存在し、その内部数値の変動に応じてゆっくりの状態も涎ありC→ 涎なしC→ ゲスB→ 善良B→ A→ S→ 銀ピカSという風に細かく変動していく。 涎は最底辺のCランク以外に後述する非ゆっくり症/足りないゆにも見られる特徴だが、よく見ると最底辺のC個体は涎が垂れているだけでなく、輪郭の幅が広く肥え太っている。 しつけや愛でを連打することでランクを上昇させられる。逆にゆっくりを「叩く」で攻撃し続けるとランクが低下する。 稀にエリア移動時にゆっくりのステータスが書き換わってしまうバグがあり、このバグでランクが変動することもある。 繁殖行動は前作ほど積極的には行わなくなった他、A・Sであってもうんうんを出すようになった。 捕食行動も基本的には観察日記と同様だが、ドーナツトラップ等の関係で若干複雑化している。 「ゲス化」について ランクとは無関係な仕様として、一旦虐待された後に泣き止んだゆっくりはゲス化し、ゲス個体やぷくー時のセリフを平常時に喋るようになる。(行動パターンは変化しない) ロードを挟むと解除されるが、再び条件を満たせば何度でも再発する。しつけやおかざりの着脱などでもゲス化するため、好きな飼いゆをゲス化させたくなければ注意しよう。 非ゆっくり症(足りないゆ) 非ゆっくり症とはゆっくりが精神崩壊した状態のこと。 足りないゆとは生まれつき、或いは人間からの処置によって思考能力や言語能力に欠陥が発生しているゆっくりのこと。 今作ではビンタやしつけなどで精神値が減少し0以下になると、段階を踏んで非ゆっくり症または足りないゆに該当する状態へと移行していく。 また、物理攻撃によるダメージとオレンジジュース等の回復を短いスパンで繰り返したり、同時に行ったりすると(オレンジジュースを飲ませながら殴る・布団に擦り付けながら殴る・プレスコンベアでダメージを受けつつ、苦痛で漏らしたうんうんに触れて回復等)、死すら許されず絶対に苦痛から逃れられないと悟ったゆっくりが絶望して急速に精神値が減少し、ごく短時間で非ゆっくり症状態へと移行する。 ※炎上やゆ下痢等のダメージは対象外。 初期症状 精神値が0を下回った直後の状態。まだ非ゆ症になりかけの段階。 メッセージ欄に「??????????????…」と表記される。 表情が泣き顔で固定される。 「やだやだやだぁ」などの専用ボイスしか発さなくなる。 売値が2分の1に低下する。 発症後 なりかけの状態から更に精神値を減らし続けると完全に発症する。 髪型が短髪に固定される・ランクに関わらず涎を垂らすようになる・目が上を向いてアヘ顔になるなど外見の変化が表れる。(なりかけと違って表情は変化するようになる) 売値が4分の1に低下する。 ボイスが「わーい、おはなさんだぁ!」「おうちにかーえろっと」などに置き換わる。 精神値がある程度回復すると涎が引っ込み、更に回復することでなりかけ状態を経由して正常な状態へと持ち直す。精神値を回復するには愛で続けるか、風船に括り付けて滞空させておくといい。 ボイスのパターンが限定されるため何に対しても無反応になっているようにも見えるが、ゲス・善良による行動パターンの違いや喜怒哀楽の表情変化、親子関係などは通常通りに機能している。 ランクに関わらずトイレを使わなくなる。また虐待を受けた際にうんうんを漏らすのは健常なゆっくりと変わらないが、ノーモーションで出すのではなくうんうん体操を行うようになる(なりかけの時点で確認) (なりかけではなく完全な)非ゆっくり症のゆっくりを妊娠させると、その子ゆにも遺伝する。遺伝によって生まれた子ゆも精神値を回復させると正気になる。 おかざり 各種ごとに種族固有のおかざりを持っている他、条件を満たしているとランダムで特殊なおかざりを装備した個体が出現する。 観察日記と同様、交配やすり替えなどによって他種のおかざりを持つ個体も作れる。 今作ではこたつに加えて巻貝も登場するため、「こたつむり」だけでなく「まりさつむり」等も再現可能。(勿論他のゆっくりにも付けられる) 特殊おかざりの一覧はおかざりと時季を参照の事。 おかざりはゆっくりを持ち上げた際に表示されるおかざりのマークをタッチして外す事が出来る他、しつけやダメージ等でも簡単に外れる。 おかざりが無くなるとメッセージ欄が「かなしい…」になり、ボイスでも「かえして!かえしてよ!」と言うようになる。近くに直前まで付けていたおかざりが有る場合はそのおかざりに向かい、無い場合は自分の所有物であるかに拘わらずとにかく「おかざり」が付近にないか探す。 おかざりを失った個体が同時に複数いる場合、落ちているおかざりに殺到して早い者勝ちで装備する為、他種のおかざりを装備してしまう事もある。 売却などでおかざりが消滅している場合は暫くすると機嫌が直る。 また、取り上げたおかざりを刀で斬った場合、切断された破片はおかざりと認識されなくなり消滅と同じ扱いになる。 無関係なおかざりを新たに与えると、ゆっくりとおかざりの結び付きが更新される。ただし存命の別個体から取り上げたおかざりだとすぐには更新されない。付け替え後にロードを挟むか、別個体の方でもおかざりの更新を済ませておく必要がある。 C〜Bランクの個体がおかざりの無い個体に接触するとぷくー化し、攻撃を行うようになる。(攻撃されたおかざり無しも反撃を行う) オプションパーツ ランダムで装備される、ゆっくりの種類別固有のパーツ。(詳細はゆっくり一覧を参照) ※ちぇん・れみりゃ・ふらんの3種には設定されていない模様。 しつけやビンタ、被ダメージ等による外的要因で容易に外れて地面に落ち、時間経過で消滅する。外れたパーツはおかざりと異なりゆっくり自身が拾い上げて再装備はできず、プレイヤーが拾ったり装備させたりする事もできない。 パーツの大きさは基本的に体格に比例して大きくなるが、可動部(おさげ・もみあげ)に装備するまりさ種とれいむ種は、可動部の大きさによっても変化する。その為、体格に見合わない巨大なパーツを持つ者や、逆に極端に矮小なものも存在する。れいむ種・まりさ種限定だが、引き抜かれたりハゲ饅頭になる等して可動部が破壊されている場合でも内部データ上は装備される事がある。この場合特に何も表示されていないが、パーツが外れる条件を満たすと本来装備される場所に当たる何もない空間からパーツが出現し、地面に落ちる。 ゆっくりの感情変化が原因で外れる事はない。 引火(炎上)しても焼け落ちる事はなく、手を出さなければ死亡するまで装備し続け、破片化と同時に消滅する。 ※赤ミサイルや暗黒面の力で炎上させた場合、命中と同時にダメージが入るので必ず外れてしまう。装備したままになるのはあくまでも「引火」して炎上した場合のみ。 破片化しない状態で死亡した場合、死体がロストするまで装備したままになり、昇天させた場合は装備したまま昇天していく。 髪型 Ver0.4aより追加された要素。 成ゆ(成体ゆっくり)は各種毎に固有の髪型を持つが、稀に他種の髪型を持つ個体が生成される事がある。(ショップでは高確率で出現する) 髪型は遺伝するため、異なる種族を交配する事で人為的に生み出す事も可能。 髪には部位耐久値が存在し、減少に応じて通常→短髪→ハゲへと髪型が変化していく。(ハゲは細かい設定の「スキンヘッド」の項目をOFFにすると発生せず、頭頂部の1房だけは絶対に剃れなくなりモヒカンのような外見になる)オレンジジュースを飲ませる事で再生させられるが、髪型が変わってしまう場合がある。 おさげやもみあげ、又はそれに準ずる可動部も頭髪とは独立した固有の耐久値を持ち、ゼロになると効果音とともに千切れて地面に落ちる。その後は時間経過で徐々に小さくなり、やがて消滅する。落ちたパーツは体から離れても蠢いており、持ち主のゆっくりを近くに置くと、固有のセリフはないものの必死ですり寄り頬ずりする等執着を示す。おさげやもみあげ等の可動部は引っ張って引き抜く事ができる(詳細は「操作方法」ページの「叩く」項目を参照)。 赤ゆ・子ゆは一律で短髪として描写されるが、これは外見だけで内部的には既に本来の髪型が決まっており、成体サイズまで成長してからロードを挟むと本来の髪型が見た目に反映される。逆にキックなどで成ゆのサイズを子ゆまで縮小させてからロードすると外見のみ短髪化する。再び成長させると元に戻る。 非ゆっくり症/足りないゆも発症時に短髪化するが、こちらは内部的にも髪型が変化しており、また正気に戻るまではオレンジジュースによる再生もできない。 これらとは別に、れいむ種とまりさ種のもみあげ・おさげには複数種類のバリエーションが存在する。こちらは破壊後にオレンジジュースで再生させても形状変化は起きない。 胎生妊娠形・植物妊娠形 今作で追加された要素。 観察日記では胎生妊娠形(胎内に赤ゆを宿すタイプ)のみしか居なかったが、今作では頭部に茎を生やして赤ゆを宿すタイプが登場するようになった。 両者では次のような違いがある。 髪色・瞳の色詳細はゆっくり一覧を参照。 妊娠形態の違い見た目の変化・植物型〜額から茎が生え、先端に実ゆが実る。徐々に成長し、出産時期を迎えると切り離されて誕生する。実ゆは基本的に眠っているが、虐待やしつけなどの外的刺激には反応し、泣いたり失禁したりもする。※バグ等の例外を除けば基本的に極小サイズなので難しいが、実ゆに直接干渉可能。実ゆをいじめると母体ゆっくりは泣いたり怒ったりする。(上記「繁殖・家族」項目の「虐待の連動性について」記述に準じた反応をする)殴るコマンド・炎上などによる被ダメで実ゆが持つ内部データの体力が尽きると死亡し落果、流産となる。(流産した瞬間、母体の茎は消滅する)・胎生型〜母体となったゆっくりの身体が一回り大きくなり、下顎の下が膨らむ。赤ゆは体外に露出していない為、植物型と違って出産するまで外部からの干渉はできない。出産時期を迎えると母体ゆっくりは陣痛で泣きながら可動部をバタつかせ、暫くすると赤ゆが体外に産み落とされる。出産後の母体は妊娠前の体型に戻る。 植物形であっても赤ゆは1ゆんずつしか産まない。時々2ゆん以上実るが、出産時期を迎えると1ゆんだけ産まれ残りはロストする。 妊娠中のゆっくりを売却すると赤ゆ(実ゆ/胎ゆ)はロストする。植物形の場合は動かなくなった実ゆが地面に落ちる。 愛でた時の反応妊娠中に愛でるようとすると植物形且つ善良種は通常時と同様に売値が上がるが、胎生形は1ずつしか上がらない。 植物妊娠で露出しているゆっくりを愛でる事も出来るが、出産した時点で売値や性格等はリセットされるため無意味。 なお、両方の妊娠方法をとるタイプや、卵生妊娠形は現行版時点では登場しない。 稀にバグで赤ゆの状態がおかしくなる場合がある。無限うんうんとおにぎり化は複数のゆっくりを密集させて放置すると発生しやすく、それ以外のバグはあんよ焼きを行った個体を妊娠剤(ハート)で妊娠させると発生しやすい。 共通のバグ 赤ゆが巨大な状態で産まれ、その場から動かず無限にうんうん体操を行う。 赤ゆの体型がおにぎりのような三角形に歪む。上記の巨大化バグと併発しやすい。 出産時期を迎えても一向に産まれず、親ゆが「うまれる、うまれるー!」と言い続ける。 植物形の場合 実ゆが巨大化する。出産間近に直る(最小サイズに修正される)場合と巨大化したまま産まれる場合がある。 実ゆが茎に実らず、巨大化した状態で空中から降ってくる。既に産まれているかのように動き回り、実際の出産時期を迎えるまでは殺しても別個体として復活する。 胎生形の場合 胎ゆが親の身体の外に転げ落ちる。出産時期を迎えるまでは殺しても復活する。 ※産まれる前にバグで母体から離れた胎ゆ・実ゆはアイテム扱いでステータスは表示されないが、内部データは存在するようで、喜怒哀楽やランクの上下の他、攻撃や炎上等によってダメージを受けたり、しつけやビンタ等による精神値の低下で足りないゆになったりもする。(ランク等のステータスは誕生時にリセットされる)ただしアイテム扱いの為食物が摂取できず、オレンジジュースやラムネ含む飲食物による体力回復や、風船装着による精神値回復は不可能(布団による体力回復や愛でによる精神値回復は可能)。アイコンによるおかざりの着脱もできないが、頭部に上手く投げつけると装備できる。また、一度失った頭髪や可動部の再生は不可能。誕生前に死亡や売却で母体がロストしている場合、ロードを挟むとアイテム同様に消滅してしまうので、この状態を維持して飼う事はできない。 サイズ 今作では大きさの目安がテキストとして表示される事はなくなったが、観察日記と同様に大きさのランクはある程度存在する模様。 今作でもゆっくりに餌を与え続ける事で大きくなる。特にケーキはある程度の大きさまでなら急速に成長させる事ができる。 ただしゆっくりの食事速度は体格に比例して早くなるため、ある程度大きくなった個体はケーキすら一瞬で平らげてしまうようになる。(=成長効率が落ちる) 大きさの上限が前作から大幅に緩和され、根気と愛が有れば超ドスサイズのゆっくりに成長させる事も出来るようになった。 ただし、観察日記と同様に大きく育てすぎると持ち運びが難しくなる点には注意。また飛行種は天井がないと行方不明になる。(サイズの大きさ=歩幅の大きさであるため、飛行種はサイズが大きくなるほど飛行時の高度も速度も上がってしまう) さらに変に持つとゆっくりの中身が見えてしまう(少し怖い) 強制妊娠のアイテムがある関係上か、今作では赤ゆでも妊娠できる。 うんうん ゆっくりは時間経過で便意を催し、うんうん(大便)を排泄する。 Cランクと非ゆっくり症/足りないゆはその場で排出し、健常なBランク以上は最寄りのトイレシート(巨大な葉っぱ)まで移動してから排出する。 家ステージの自宅内のトイレ(灰色のシート)のみ、画面上の位置と実際の判定がズレているためゆっくりがトイレの外にわざわざ移動してから出してしまう。家ステージ神社エリアの境内にも同様のトイレシートが設置されているが、ゆっくりは屋外の葉っぱのシートに反応するため使ってくれない。 周りにトイレが無い、または壁などで仕切られていてトイレまで辿り着けない場合、暫くするとうんうんを漏らしてしまう。あにゃるからうんうんが出っぱなしになるが、これでゆっくりが泣き出したりする事はない。(トイレが全く無い天国ステージなどでよく見られる) うんうんを排出する時には反動でロケットのように若干の推力が発生する。身体の大きさに比例してうんうんのサイズも大きくなるが、サイズが増す程推力も増す。ゆ下痢等、連続して長時間排出が続く場合、身体の大きな個体は推力で空中高く舞い上がり、なかなか落ちて来ない場合もある。 うんうん体操 うんうんを気張っている最中のゆっくりは仰向けの姿勢になり、もみあげ(おさげ)をバタつかせて食いしばる。一旦動きが落ち着いた後、再びバタついて暫く経過するとうんうんが飛び出る。 眠気状態ではモーションが鈍化し、ぷくー状態では加速する。 排出後のうんうんの扱いについてはアイテムの項を参照 体力・精神値・寿命など ゆっくりの生存等に関わる重要なパラメータの1つ。何れも不可視である。→v0.5から可視化された。 この作品では体力以外は数値で表すのではなく、星の数で表している。☆の数の上限はすべて3つまで。 体力 体力は文字通りゆっくりの体力を示す。大半の虐待アイテムや他ゆっくり・動物からの攻撃、水接触等で減少し、オレンジジュースや睡眠等で回復する。(ver0.5以降は寒さでは死ななくなった) HPが少なくなるとゆっくりが青く変色して殆ど動かなくなる他、メッセージ欄の色が緑(健全)から→黄→橙→赤→黒(永遠にゆっくり、下記参照)へと変換していく。 体力 60 移動速度低下、設定次第で外見が変形 40 青く変色する、更に移動速度低下、「たのしいね!」などのポジティブな精神状態にならなくなる 10 ほとんど動かない、ボイスを発さなくなる 0 永遠にゆっくり -10 死体が破壊され破片化する 死亡後について 体力が0〜-9の段階ではまだ死体が残る。ここから下記のいずれかの状態に移行する。 消滅 死亡してから暫く放置するとゆっくりの死体が次第に小さくなり、最小サイズ以下になると消滅する。生前のサイズ=消滅までの制限時間であり、産まれたての赤ゆ等であれば即消滅する。消滅後は地獄ステージに転送される。サイズ縮小がある程度反映されるらしく、生前よりも小さい姿で出現する。バグの「おにぎり」化が発生している場合、内部データは最小サイズなので、ロード毎に変動する表示サイズにかかわらず死亡すると即消滅する。 死体破壊(破片化) 体力が-10以下になると発生。死体が破壊され、「ゆっくりの破片」に変換される。破壊後は地獄ステージに転送される。ゆっくりの破片は完全にアイテム扱いであり、元となったゆっくりと同じ存在としては扱われない。 昇天 死体を持ち上げて暫く待つと発生。死体が地形などを貫通して上昇し始め、空に消えていく。昇天後は天国ステージに転送される。昇天中の死体を攻撃して破壊しても天国行きは止められない。 蘇生 死亡状態のゆっくりにオレンジジュースを与えると生き返る。蘇生直後は咳しか発さず、挙動も超スローモーションになりその場から移動もできなくなるが、愛で続けると動き回るようになる。もみあげ等の仕草や顔の表情などは死亡直前のものが貼り付き、外部刺激からかなり遅れて再生されるセリフも含めて実際の精神状態と乖離した挙動をするが、ロードを挟むと正常化する。※死体を手に取ってしまうとすぐに昇天が始まってしまうので、オレンジジュースを与える際にはジュースを手に持った状態で死体に接触させると良い。焦げた食べ物で中毒死させると食事中の判定が残るためか、オレンジジュースを飲ませられず蘇生できなくなる。中毒死したゆっくりを蘇生させたい場合は、死体がロストする前にロードを挟む(マップに入り直す)と食事中の判定がリセットされる。この状態で死体をオレンジジュースに接触させると通常通り蘇生が可能になる。※海・森等、ロードを挟むとゆっくりが一新されてしまうエリアでは不可能。 部位の破壊 ゆっくり本体とは別に可動部や頭髪にも体力が存在しており、これらの体力が0になると該当部位が消失する。 詳しくは上記の「髪型」の項目を参照。 精神値 ※以下の精神値は、「精神」と表記され、数値ではなく☆の数で表示されている。最大値は☆☆☆。 精神値は各個体のゆっくり度合を示し、しつけやビンタによって精神値が減り、愛でる事で精神値が増える。 精神値が減ると、台詞(ボイス・字幕共に)が専用のものに変わる(上述の非ゆっくり症/足りないゆ参照)。 また、ライトセイバーはHPと精神値の両方を大幅に下げる効果がある。 寿命 ※以下の寿命は「寿命」と表記され、数値ではなく☆の数で表示されている。最大値は☆☆☆。 寿命は文字通りゆっくりの生きられる時間を示し、時間経過や食べ物の投与や出産などで減り、睡眠などである程度回復する。 特に、焦げた食べ物を与えてゆ下痢を発生させると大幅に減少する。 とは言え、滅多に起こり得ない事だが、食べ物をゆっくりに与えなかった場合はHPが減ってしまうため、愛で目的でゆっくりを育成する場合は基本的には食べ物を常に与える必要がある。 現行のバージョンでは空腹でHPは減らない。 寿命値が0を下回るとHPが徐々に減少する他、出産の度にダメージを受けるようになる(0になった直後はまだHPの減少は始まらない)。また売値が急激に下がり、メッセージ欄が「とてもしあわせあしたもいっしょにゆっくり」になる等の変化がみられる。HPが0になると永遠にゆっくりする。 この状態になるとラムネやオレンジ、その他通常の食べ物では体力や寿命を回復できなくなる。ケーキと布団のみ有効。 メッセージ欄は旧バージョン限定。現行のバージョンでは寿命が迫ると「かなしい…」となり、被虐待時のボイスを発して泣きながら逃げ惑うようになる。 寿命が0になったばかりでHP減少が始まっていないゆっくりに、ラムネを与えると即死するバグがある(100%発生する訳ではない)。オレンジジュースに接触させると蘇生可能。エリアによって発生の有無がある可能性がある(検証中) 空腹 「空腹」は「満腹度」のことであり、☆が一つ以下だと固有のボイスで空腹を訴え、☆がゼロになると動きがスローモーションになる。ステータスのメッセージ欄は、☆の数と残り体力によって変化する。・体力100〜41「ごはんちょうだい!(☆1)」「おなかぺこぺこ(☆0)」・体力40〜21「たべものをください…」・体力20〜1「ごはん…」 ☆が一つ以下だとゆっくりが少し細っぽくなる。 水泳 「水泳」は「水接触ダメージへの耐性」である。数値を上げるには、ゲーム内時間で数日ほど水槽など水のある場所に入れると、待っていれば自然に数値が上がる。しかし☆2未満ではダメージが入るので、適度に回復する必要がある。 ☆0~1だと体力にダメージが入る。(☆0つだとダメージは多くなる?(要検証)) ☆2だと水に浸かるだけなら平気になり、体力ダメージを受けなくなる。 ☆3の状態だと☆2の要素に加え、遊泳中はおかざりを反転して船にする「水上ゆっくり」となる。前作とは違いおぼうし型でないおかざり(れいむ種のおりぼん等)でも可能。 ☆1以下のゆっくりを掴んで水中に引きずり込むと溺れてダメージを受けるが、基本的に普通に手に取った状態では水泳値に関係なくHPは減らない。※時折減る事もある(バグ?)が、減り始めるのは水中に沈んで10秒後から。 あんよ焼きを行った場合、一部の例外を除き水泳値や特殊おかざり等に関係なく溺れるようになる。(☆0と同じ挙動になる)あんよ焼き後であっても、「巻貝」・「アサリ」の貝殻系特殊おかざりのみ有効。 飛行種(れみりゃ・ふらん・ちるの)にアイテム「王冠」を装備させると飛行しなくなるので、水泳訓練中に使うと効率的。(通常の飛行種を水に入れると飛んで逃げてしまう) 水泳値は、水に浸かる時間とゆっくりの表面積に占める水接触部分の割合が大きい程上がりやすい傾向にある。※手に持ったり、掃除機や風船で保持したり、水耐性の特殊おかざり装備の場合は上昇しないので注意。常に身体の半分程度が浸かり、潜水もできる赤ゆ〜子ゆの段階が一番効率的に上げられる。成体〜ドスサイズになってしまうとジャンプ力や浮力が大きい為、底面がわずかに水に触れる程度で身体がほとんど沈まず、ダメージだけは普通に受ける悪循環に陥ってなかなか上がらない。大きくなってしまってから上げたい場合、「海の家」の水槽が最適。成体サイズならば、小型水槽の中に入れて蓋を閉めると、強制的に頭を押さえつけて常時身体を半分程度水中に沈められる為、水泳値が上がりやすくなる。もちろん普通にダメージは受けるので、タイミングを見ながら回復するのを忘れずに。また、ドスサイズであれば、壁の埋め込み水槽へ押し込んでしまうと頭を押さえ込み、口元まで水に浸かったまま動きを封じる事ができる(身体の一部が天井や壁にめり込むが効果は変わらない)。手で持つと移動や押し込みが困難なので、掃除機をうまく使うと良い。オレンジジュースを手に持って近づけると水槽越しでも飲んでくれるので、状況を見ながら回復してあげよう。 好き プレーヤーに対するゆっくりごとの好感度。最大値は☆3つ。 愛でコマンドでつっつく、エサを与える、持ち上げるなどの行為で僅かずつ上昇し、虐待行為で減少する。特にミサイルによる爆発は大幅に好感度を減少させる模様。 好感度によって売値と持ち上げた時のセリフが変化。 今のところ金ピカにする条件以外では使われていません とのこと。 ソース= https //www.youtube.com/watch?v=mESOpLxZKIg における作者様のコメント。 性欲 少ないほど子供を作りにくいが、高い個体に接触されると関係ない とのこと。これも最大値は☆3つ。 ソース= https //www.youtube.com/watch?v=mESOpLxZKIg における作者様のコメント。 詳しくは上記の「繁殖・家族」の項目を参照。 ※PC版における「好き」「性欲」パラメータはv0.5a10より可視化されている。 環境ダメージ・環境ダメージ耐性 ゆっくりのHPを減らす攻撃のうち、水接触・寒さに関してはかなり特殊で、特殊なお飾りを着けたり、永遠にゆっくりしない程度に適度にゆっくりにこれらのダメージを負わせる事で、それぞれ対応した環境ダメージに対する耐性を得る事が出来る。 なお、水接触は文字通り、水槽や池・海等の水の中にゆっくりを入れる事で、寒さは12月~2月の間に屋外に放置したり、食べ物のアイスを大量に摂取させたりする事で、それぞれ発生する。 飢餓に関してもダメージ耐性の対象となっており、元々発生しずらいのも相まってゆっくりを餓死で永遠にゆっくりしにくい要因となっている。 現行のバージョンでは寒さや飢餓で体力が減少する事は全く無い模様。 行動変化と状態異常 紅潮 おもちゃで遊ぶ、他のゆっくりとすーりすーりを行う、プレイヤーから愛でられるなどの要因で発動。ゆっくりの頬がピンクに染まり、他のゆっくりと接触した際に通常よりもおちびを作りやすくなる。他の精神状態とは独立しており、怒ったり泣いたりしている間もこの状態は維持される。 キメポーズ 機嫌が良い時にランダムで発動(機嫌が良い状態で愛でると高確率で発動)。全種族共通で2種類あるが、どれが発動するかはランダムで決定されるのでプレイヤーが選択はできない。見た目の愛くるしさと相まって愛で派はメロメロに骨抜きにされるが、虐待派にとってはビキィ値が一瞬で限界突破する非常にあざとく媚びた動作であり、ゆっくりにとっては生死を左右しかねない諸刃の剣となっている。 ・ウインク〜可動部を持ち上げ、可愛く笑顔でウインクし、ペロッと舌を出しながら小首(?)をかしげる。いわゆる「てへぺろ」。左右の2パターンあるが、これもランダムで決定される。 ・もるもるダンス〜斜め左右に小さく数回のーびのーびした後小首をかしげながらもるもる(※尻振りの事)し、さらに後ろ向きになりこちらへあにゃる丸出しの尻を見せつけ連続もるもるしながら、時折ドヤ顔でチラリと振り返りプレイヤーの様子を伺う。 残り体力51以上で条件を満たしていれば、被ダメで醜く変形していても発動する(設定で変形をオンにしている場合)。身体が「く」の字に二つ折りになり後頭部と尻が癒着していてもるもるはできず、顔面もひしゃげて苦悶の表情が貼り付いたままではあるが、本ゆんは全力で自ゆんの可愛さをアピールしているつもりであり、非常にシュールなビジュアルとなる。※残り体力が50を切るとポジティブな感情にならなくなる為発動しなくなる。 全速前進 機嫌が良い時にランダムで、または善良種を手動操作してBボタンを押すと発動。サッカーボールや石ころを追い掛ける際も発動する。ゆっくりが「ぜんそくぜんしーん!」「わーい、まてまてまてー」などのボイスを発しながらダッシュ移動するようになる。 ぷくー(おこったよ!) 複数の要因で発動する。ゆっくりが激怒し、他のゆっくりを攻撃したりプレイヤーに敵対的な言動を取ったりする。 泣き(かなしい…/えーん!) 複数の要因で発動する。ゆっくりが泣きながら逃げ惑うようになる。ゆっくりが受けている苦痛に応じて涙目→泣き→大泣き→号泣と段階的に状態が激しくなる。号泣している状態で更に苦しめ続けるとビンタで黙らせるまで泣き止まなくなり、そこから更に虐待を続行すると下記の恐慌状態に移行する。※「涙目」に関しては、大好きなプレイヤーに愛でられたゆっくりが感極まってうれし泣きしている場合もある。この場合は笑顔で目尻に涙を浮かべているが、それ以上状態が激しくなる事はない。 恐慌 同じゆっくりを集中して虐待しすぎると発生する。プレイヤーの事を怖がり、近づくだけで号泣しながら後退るようになる。 ゲス化 プレイヤーに危害を加えられた後に時間経過や愛でなどで泣き止むと発生。ランクとは無関係に通常時のボイスにゲス種やぷくー時のものが混ざるようになる。詳しくは上記の「善良種・ゲス種」の項目を参照。 衰弱(ゆっくりしたい…/えーんえーん…) 体力40以下で発動。身体が青く変色し、移動速度が低下。常に泣いてばかりになる。それまでぷくー状態だった場合は強制解除され、手動操作のCボタンで無理矢理ぷくー化させてもまともに戦えなくなる。 炎上 暗黒面の力や赤ミサイルなどで発動。ゆっくりの身体が赤く熱りながら火を纏い、その場で暴れながら泣き叫ぶ。継続的に体力ダメージと頭髪への部位ダメージを受け、おかざりが数秒ほどで焼失する。他のゆっくりやアイテムなどに引火する。もみあげ等の耐久値に影響はしないので可動部が焼け落ちる事はなく、炎上でハゲ饅頭になる事はない。 この状態で「しつけ」や「殴る」を実行すると燃えながら走り回り始めるが、ビンタをすると再び立ち止まる。※精神値がゼロになり、足りないゆと化した個体にはビンタが効かず、立ち止まらせる事はできない。虐待を受けると燃えながら残像レベルの超高速うんうん体操を行い、その後はひたすら走り回り続ける。 アイテムに引火した場合、ゆっくりに近づけたり投げつけると泣きながら後ずさる。アイテム中央部が炎を纏う為、アイテム外周部に接触した程度ではゆっくりに引火する事はないが、おかざりを始めとした一部の装備アイテムや食べ物の場合は接触したゆっくりが装備してしまったり食べ始めると引火するので注意。(※通常は逃げ腰になるが、時折意地汚く触りに行く個体もいる。)食べ物の場合、食べきる前に焦げ食材へ変化してしまうと、そこからゆ下痢も発生してしまいダメージがさらに加速する。また、炎上中のアイテムを投げつけた場合、ぶつかった角度によっては炎がゆっくりに触れて引火する事がある。水中での扱い炎上したゆっくりやおかざりは、水面に接触する・水中に沈める・如雨露の水をかける等、水接触で消火できる。また、水中での再着火はできない。アイテムや食べ物は水中でも燃え続け、水接触では消火できず、食べ物の場合は調理済み→焦げ食材へと変化していく。消火するには如雨露の水をかける必要があり、水中でも再着火可能である。炎に対するゆっくりの反応は水中でも変わらないが、アイテムからゆっくりへの引火は起こらない。接触したゆっくりが稀に炎を纏う事があるが、すぐに消えてダメージも受けない。 高温(あつい…) ラーメンやフライパン、夏場におくるみやこたつを着せっぱなしにするなどで発動。ゆっくりの身体が真っ赤に熱る。継続的にダメージを受けるが炎上状態よりも弱め。暫く継続するとゆっくりが熱で縮み上がり、サイズが縮小する。炎上中は高温も併発するが、アイスを与えると高温状態のみ解除され、ラーメンを与えると高温状態に戻す事ができる。※炎上は解除できないので継続ダメージは受け続ける。フライパン加熱中の場合、アイスを与えても強制的に高温状態へ戻されるので、熱による縮み上がりを防止する事はできない。 低温(さむい…) 冬場の野外や冷蔵庫の中に放る、ちるの種に攻撃されるなどで発動。ゆっくりの体が黒ずみ、寒がって泣きながらあちこちをダッシュ移動で走り回る。もみあげ等のバタつきやうんうん体操等の動きも倍速になり、ゆっくりらしからぬ忙しなさで行動する。尚、ダメージなどは無い。冬季の屋外で燃やされる等の理由で「炎上」と重なった場合、炎を纏う以外のグラフィックとセリフのみこちらの描写が優先される(燃えながらダメージを受けつつ黒ずみ、寒がりながら泣き出す)。フライパン加熱等で「高温」と重なった場合は高温の描写が優先される。 眠気(ねむい…) ゆっくりの精神状態が通常の場合、布団やラムネを使用、またはランダムで発動。眠気で動作が緩慢になり、ボイスの頻度も減少する。時間経過等で更に眠気が溜まると睡眠状態になり、目を瞑ってその場から動かなくなる。(寿命回復の効果あり)「かなしい」等、ストレス下の精神状態の場合には発動しない。 残り体力51以上であれば、変形する程ダメージを受けていても発動する。設定で変形をオンにしている場合、通常は右目がほぼ腫れ塞がり、左目が細く開いた状態だが、眠気状態の間は両目が開いて半目の状態になる。睡眠状態に移行すると、通常の変形状態の表情に戻り、その場に転がったまま動かなくなる。※通常の睡眠時とは異なり歪んだ表情が貼り付き目は薄く開いたままで、時折ゆっくりと口を動かしたりする。確実に見るには手に取る等して食べ物やうんうんへの接触を絶ち、ラムネや布団も使わずに長時間観察し続ける必要がある為、通常のプレイでは目にしにくい。 汚れ うんうんと接触する、おくるみの中にうんうんを漏らすなどで発動。最初からこの状態でゆっくりが生成されることも。ゆっくりの身体がうんうんに塗れて茶色く汚れ、売値が下がる。高温や低温など他の状態と重複するとそちらの描写が優先されるが、汚れが取れているわけではない。 溶解 降雨中に屋根の無い場所に出ると発動。ゆっくりが雨に怯えて泣き、時間経過で少しずつ身体が縦に潰れていく。(ダメージは受けない。そのまま溶け消えてしまうような事も無い)また、降雨(降雪)中は時折突風が吹き、屋外のゆっくりは溶解しながらあちこち吹き散らされる。水辺のあるマップでは水中への転落に注意。尚、降雨(降雪)は海ステージなどの水中でも有効で、通常おかざりのゆっくりを水中へ引きずり込むと陸上と同じように溶解を起こす。 老衰 寿命値が0になると発動。体力と寿命がケーキと布団以外では回復しなくなり、徐々に減少するようになる。出産を行うと更にダメージを受ける。寿命値が1以上になると解除される。この状態では体力が減ってもゆっくりの身体が変形しない。 あんよ焼き(足焼き、底面焦げ) ゆっくりをフライパンの上に乗せて暫く待つと発動。初めは暴れて逃げようとするが、火が通ると小刻みに痙攣するようになる。目安は45ダメージ。(残り体力55) ゆっくりのあんよが黒焦げになり、飛行や水泳を含む一切の移動能力を失う。風船やすぃーなど道具による移動は可能。「たのしいね!」などのポジティブな精神状態にならなくなり、常に泣き続ける。また、永続的にサイズが上昇しなくなる。加熱中は必ず「高温」状態とセットになる為、火が通るまでの間に熱で縮み上がり一定のサイズまで縮小する。従って、ドスサイズのままあんよ焼きをするのは不可能。設定でラブモードに切り替えると稀に治る場合がある。ただし治るのは、ラブモード切り替え後に入ったマップにいるもの限定。入らなかったマップのものは治らないので、切り替えをうまく使って特定マップのゆっくりのみ狙って治す事もできる。 森・海から廃墟へ、虐待で涎付きCランクの非ゆっくり症(完全に発症)までランクと精神値を落としきったゆっくりを直接持ち込むと、非常に高確率であんよ焼きされてしまうバグがある。あんよ焼きと並行してゆっくりのステータスが書き換わってしまう他、お飾りが他種のものに変わっていたり、装備していなかったおくるみを着ている事もある。※エリア間移動時のステータス書き換わりバグにより、ごく稀に未虐待でも発生する事がある。この場合、海・森→廃墟間での移動以外でも起こる。 こーろこーろ ※現バージョンでは廃止 ランダムに発生。暫くの間、ゆっくりが側転し続ける。 巨大化 バグ。赤ゆっくりが通常よりも巨大な状態で産まれる。母体のゆっくりが小さすぎると発症しやすい。 おにぎり(汚にぎり/奇形) バグ。ゆっくりの体型がおにぎりのような三角形型に歪み、その場から動かずうんうん体操をし続ける(時折出すうんうんの大きさはサイズ下限のものなので目視は難しい)。またロードする度に大きさが変わるようになる。サイズの内部数値が下限以下の状態で涎付きのCランク個体が産まれるとこうなる。涎付きCランクをキック等でサイズ下限まで縮めてからロードを挟むと人為的に生み出せる。愛でやしつけ等でランクが上がると外見のみ通常に戻るが、行動パターンは変化せず、殴って涎付きCまでランクを下げると外見もおにぎり型に戻る。バースデーケーキを摂取するなどして成長し、内部データがサイズ下限を脱すると解除されて通常のゆっくりに戻るが、条件を満たせば何度でも再発する。このバグが発生したゆっくりはおくるみの着脱ができなくなり、おくるみ扱いのドーナツトラップ装着もできなくなる。 うんうん体操中のゆっくりは眠りに落ちる事がない為、無限ループが発生するこのバグ発生中はラムネや布団の使用や時間経過で眠気が溜まっても眠らせる事ができなくなる。 クイックセール以外での売却ができなくなり、売却箱やゴミ箱に入れて蓋を閉じても無反応でゆっくりが中に残る。(通常の個体と同時に入れると通常個体のみ売却される)季節・天候の影響を受けない「おうち」として中で飼う事も可能。 ミサイル(赤・白)を命中させても爆発したり刺さったりしなくなり、当たった瞬間即座に複数のうんうんをまき散らすようになる。 戦闘 ゆっくりが別のゆっくりを攻撃すると両個体は敵対し、戦闘が開始される。 攻撃が発生する条件は「C〜Bのゆっくりがおかざりの無いゆっくりに接触する」「プレイヤーが手動操作の攻撃ボタン(旧Cボタン)でゆっくりをぷくー状態にさせ、その上で他のゆっくりに接触させる」のいずれか。ドーナツトラップによる共食いなどでは発生しない。 ※おかざりのない者同士でも上記の条件を満たせば互いに攻撃し合う。 ゆっくりは体当たりで敵対者に攻撃する。体当たりの与ダメージ量はゆっくり同士の体格差によって変動する(大きいほど有利) 体当たりは体力ダメージだけでなく部位ダメージも発生するため、おさげがもげたり髪が抜けたりする場合がある。部位破壊されたゆっくりは確定で精神状態が「えーん!」に移行し、戦意喪失して逃げ惑う。(追い掛けてくる対戦相手から一方的に攻撃される) 体力が40以下まで低下すると攻撃頻度の減少 移動速度の低下が発生し、まともに戦えなくなる。 戦闘中に突然うんうん体操が始まる事がある。 戦闘はお互いが接触しないまま時間の経過で落ち着くか、片方が死亡すると終了する。稀に死体を攻撃し続けて残骸化させる場合も。 手動操作でぷくー化させてもそれでゲス化する事は無いが、ぷくー化させたゆっくりで別のゆっくりを攻撃するとやられた側のゆっくりはゲス化する場合がある。 通常種vs捕食種の戦いでは基本的に捕食種が有利だが、体格差がありすぎる(通常種側が大きすぎる)と与ダメージの差で捕食種が敗北する場合もある。 動物との戦闘 ランクや種族に関係なく、ゆっくりが動物と接触すると戦闘が開始される。動物は攻撃力が低いため、基本的にゆっくりが殺されることは無い。 ただし動物による攻撃はプレイヤーがゆっくりに危害を加えた判定になるため、戦闘終了後はゲス化する。 コメント(編集できない場合やメモなどに) コメントログ 名前 魚系統のゆっくりちゃん達はレミフラ姉妹、⑨は確か飛ばないはずです、まぁレミフラ姉妹しか検証してませんが、、、 - ムウマ (2024-09-05 21 32 51) 再度、不自然に文章が削られている部分を見つけたので書き直しました - れみどん (2024-08-31 23 15 44) 寒さ耐性と空腹耐性って今のバージョンだと上げられない感じ?水耐性は上がったけど他はいつまで経っても上がらなかったので - 名無しさん (2024-01-13 22 21 57) 不自然に文章が削られてる部分を見つけたので書き直しておきました - れみどん (2023-11-13 13 19 08) 魚類(さかなのヒレがついているゆっくり)のゆっくりは、羽がついているゆっくりでも飛ばないですか? - 名無しさん (2023-06-20 18 10 30) ↓この状態でゆっくりぶん回すと簡単に起こせる() - 名無しさん (2023-05-27 10 21 14) 恐慌は手に持ってから掴んで(右手でアイアンクロー(?)してる状態) - 名無しさん (2023-05-27 10 20 41) 一部読みづらい・文体のおかしい文章があったので勝手ながら推敲させていただきました - 名無しさん (2023-05-04 17 40 56) Cのみょんから8万ぐらいの子ゆうまれてびびった - すぃーさん (2023-04-08 20 36 52) ↓↓屋外や水槽など、移動可能な範囲にトイレシートがない場所では - 名無しさん (2023-02-23 21 42 51)
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/4475.html
二作目です 前作の設定を引き継いだシリーズ物とさせていただきます 虐待・・・してるかな? 人間はでてきません 幻想郷の中という設定です すっきりどころか原爆レベルのむかつきが残る恐れが・・・嫌な方はUターン ある日、風が少々強い日に・・・・ひとつのゆっくりの群れがまた一つ消えた。 不思議なことに、死体は一切なく、争った形跡すらなかった。 このような怪奇な事件が起こった経緯を説明するには一週間前に遡らなくてはならない 物語は、この群れに一匹の美アリスが迷い込んできたことから始まる。 美のゆっくり まりさはこの群れで育った、至って純真なゆっくりだった。 母親からはゆっくりがいかに素晴らしい生き物かを教えてもらい、 教わった次の日からさっそく虫さんにゆっくりの食糧になるという偉大な仕事を授けた。 まだ親離れしてない子ゆっくりであったが、群れのゆっくりからはとても将来有望なゆっくり とみなされていた。 そんなまりさが鼻歌を歌いながら散歩していると、一匹のアリスを見つけた。 アリスは気絶して道の真ん中で倒れていた。 まりさはアリスに駆け寄った。 「アリス!!大丈夫!?」 まりさはありすの体を揺さぶった。 揺すぶるとありすから声が聞こえ、ありすは意識を取り戻した。 まりさはありすの顔をみて驚いた。いままで見てきたゆっくりの中でもっとも美しかったからだ。 顔だけでなく、ありすからはとても良い匂いがしていた。 「うう~~ん、あら?都会派のありすったらこんなところで倒れちゃったわ」 ありすは少し体がふらつくのか、ふらつきながら喋った。 「ありすを介抱してくれたのはまりさ?」 「そ、そうだよ!!おなかがグーグー言っちゃってから倒れちゃったの?」 ありすは顔を赤らめながら恥ずかしそうに 「実はそうなのよ・・・都会派としたことが恥ずかしいわ!!」 か、かわいい!!まりさはそう思った。 まりさは、このありすに一目ぼれした。このありすともっと仲良くなりたい!! 「そ、それじゃあまりさのお家においでよ!!ご飯を御馳走するよ!!」 「ゆ~~ん、でも悪いわ・・」 「大丈夫だよ!!まりさのお家はご飯がたくさんあるからありすが食べても大丈夫だよ!!」 まりさの強烈ともいえるアピールに、ついにありすは折れたのか 「ゆ~~ん、そこまで言うなら御厄介になるわね!!」 ありすはまりさの招待に答えることにした。 まりさは喜びのあまり飛び跳ねた。 かくして、まりさはありすをお家に連れて行った。 群れにつくなり、群れのゆっくり達はアリスに群がり始めた。 いままで見た事もない程きれいな美ゆっくりだったからだ。 群がってくるのは未婚のゆっくりだけではなかった。 すでに所帯をもっているゆっくりもありすから匂う良い匂いに引き寄せられていった。 ありすがまりさのお家に着く頃には、お家の前にはゆっくりが群がっていた。 「む~しゃむ~しゃ・・幸せぇぇぇぇ!!!」 ありすはまりさのお家に案内してもらい、それからまりさの両親にご飯をもらっていた。 最初、ご飯をもらう事にまた抵抗をしていたが、我慢できなくなったのか おいしそうにむしゃむしゃ食べていた。 「ゆふ~~、ゆっくり御馳走様!!ご飯を分けてもらってありがとう!!」 「困った時はお互い様だよ!!ありすは旅ゆっくりなの?」 群れのゆっくり達はアリスの行動一つ一つに注目していた。 動く仕草、しゃべり方の一つ一つが群れゆっくりの心をがっちりと掴んでいたのだ。 「そうよ!!あてもなく彷徨って真実の都会派の愛を広めているの!!」 この言葉に群れゆっくり達はざわめき始めた。 まりさが本当の愛を教えてあげられるのだぜだの、れいむは普遍的な愛をあげられるだの ゆっくり達はしゃべり、アリスの気を引こうと頑張っている。 だが、アリスを見つけたまりさはアリスをできるものなら自分のお嫁さんにしたいと 考えていた。 「みんなうるさいよ!!ありすの声がよく聞こえないよ!!」 アリスを自分のお嫁さんにすべく周りのゆっくりを黙らせ始めた。 子ゆっくりなのに血気盛んというかなんというか・・・・。 「よかったらしばらくまりさのお家でゆっくりしていってよ!! いいでしょお母さん!!」 「いいわよ!!困った時はお互い様ですもの!!」 アリスは少し戸惑ったような顔をしたが、すぐに顔を笑顔にして 「じゃあ、しばらくご厄介になるわね!!」 まりさは喜びのあまり飛び跳ねた。 群れのゆっくり達も大喜びだった。残念そうな顔をいていたゆっくりもいたが。 妻がいるゆっくりは後に妻から説教されまくたそうな・・・。 それからの三日間はまりさにとって幸せだった。 何をするにもアリスと一緒に過ごしたからだ。 ご飯やお昼寝、遊ぶ時も一緒だった。とても幸せだった。 ただ群れの中を歩くと、いつの間にか群れゆっくりがありすにくっついてきたり ありすが昼ごろどこかにいっているという事以外本当に幸せだった。 まりさはそろそろいいかと思い、ありすに告白することにした。 晩、まりさはありすを群れの広場に招いた。 まりさは今までのゆん生の中で一番緊張していた。 「まりさ?ありすに何か用?」 ありすは待ち切れずにまりさに話しかけた。 まりさは緊張のあまり一瞬何もしゃべれなくなったが、勇気を振り絞って 頭を下げながら 「あ・・ありす!!まりさとずっと、ずぅぅぅぅぅっとゆっくりしようよ!!」 言った!!言えたよ!!あとはありすの返事を聞くだけだよ!! まりさはおそるおそる顔を上げた。 ありすはいつもと同じ笑顔で 「ごめんね!!ありすはずっとここでゆっくりしている訳にはいかないの ありすは都会派の真実の愛をつたえなきゃいけないの!! だからごめんね!!」 振られた・・・まりさはありすに振られたのだ。 いつもとなんら変わらない美しくていい匂いなのに・・・あまりにも辛い宣告を受けた。 まりさは涙を流しながら自分の家へ駆け出し、お布団さんで朝になるまで泣いていた。 翌日、そんなまりさの心中を察したのか、ありすは隣のちぇん一家の所で 御厄介になることになった。 親れいむが止めるのも制止して。 だが、これがまりさにとって幸運・・いや不幸だったかもしれない。 後に発覚することなのだが、朝まで泣いたことによって体内に侵入していた 毒素を洗い流すことができたのだ。 ありすが家を出て二日後・・・・ まりさが失意のあまりにふらふらあるいていると ありすは群れの広場にいた。なんでも真実の愛を伝えるための演説なんだそうな 「ゆ!!みんな都会派なありすのお話を聞いてね!!」 『ゆっくり聞くよ!!』 そこには群れの大人だけでなく、子供や赤ゆっくりがありすを中心にずらりと並んでいた。 群れの9割強といったところか・・・それだけのゆっくりがこんな真昼間に集まって ありすの演説を聞いていた。 ほとんどがありすといい関係になりたいと思って近寄ってきたゆっくりだった。 まりさはアリスの顔を見ると振られたショックが甦るからか、そそくさとその場を立ち去った。 「ありすはね!!あっちこっちを旅してきたから言えるわ、ここは本当のゆっくりプレイスじゃ ないわ!!ありすは本当のゆっくりプレイスをここに来る前に見つけたわ!! けど、一人でゆっくりするのは都会派がやることじゃないわ!! だから、アリスはお友達をいっぱいつれて一緒にゆっくりするのが都会派の愛と考えたわ!! だから・・・・・・・・」 まりさにはありすのしゃべっている内容が右から左へ抜けて行った。 まりさはありすの声をこれ以上聞いたら発狂するかもしれないとおもったのか 駆け足でお家に帰った。 それから二日後、ありすが来てから一週間 その晩、まりさは昨日のありすの演説でありすの魅力的な声のせいで 振られたことをふつふつと思いだし、泣きに泣き、朝になってようやく眠りに着き 太陽が真上に位置する時間帯になってようやく起きて気がついた だれもいなくなっていた・・・・。 群れのみんなだけじゃない、まりさのお友達、まりさを振ったありす、さらにはまりさのお母さんと妹達 みんながまりさを除いていなくなっていた。 「みんなぁぁぁぁぁ!!!かくれんぼならまりさもまぜてよぉぉぉぉ!!!!」 だが、そんな声に反応する声は一つもなかった。 みんながいなくなったことに泣いて下を向くと、まりさはあるものを見つけた。 「ゆ!!みんなの足跡だよ!!」 足もとに大量のゆっくりの足跡があった。 まりさは、この先にみんながいるのではないかと思い、足跡をたどることにした。 足跡を辿ること数時間 辺りは闇に包まれようとしていた。 まりさは途中で休憩したり、道端に生えている草を食べながら後を追っていた。 何度も何度もこけたり、何度も何度も泣いたが、みんながいないことの方がゆっくりできない と考え、必至に後を追った。 そして、まりさは群れのみんなが大きなお家に入っていく所を目撃した。 みんな無事のようだったが、ぶつぶつとなにか言っているようだった。 みんなを見つけたよ!!でも、様子がおかしかったよ・・・・ なにかいるかもしれないから慎重に行動するよ!! そう考え、まりさも別にあった小さな入口から大きなお家に入った。 その大きなお家の門には表札があった。汚い字で『しせつ』とかかれたところには 線が引かれ横に『ビッツ』とまだきれいな字が書かれていた。 まりさは中に入り辺りを見渡してみた。 建物の二階にあたる部屋には見張りと思わしきゆっくりがちらほら立っていた。 どのゆっくりも目がなにかおかしく、なにかぶつぶつ言っていた。 まりさはすぐにここがただのお家でない事に気づいた。 なにかおかしいよこのおうち!!いっぱいゆっくりがいるけど みんなようすがおかしいよ!! こんなところみんなとはやくでたいよ!! まりさは恐怖を覚えながらも、一歩ずつ、見つからないように移動した。 いつもの倍はゆっくり移動したこともあってか見つからずに監視の目をすり抜けることに成功した。 そして、目の前にある薄暗い部屋を調べるために足を踏み入れた。 だが、これが最大の失敗だった。 「ゆ!!ばりざぁぁぁぁぁ!!!!ばやぐだじでぇぇぇぇ!!!」 「ばりざおねえじゃぁぁぁぁん!!たずげでぇぇぇぇぇ!!!」 「ぢ~~んぽぉぉぉぉぉぉ!!」 その部屋の壁には、ゆっくりが閉じ込められていた。 閉じ込められたゆっくりたちはまりさの姿を見るや否や、助けを求める声を上げた。 まりさはびっくりし、閉じ込められたゆっくり達を見るが群れのみんなは一匹もいなかった。 「おでがいじまず!!ばやぐだずげでぇぇぇぇ!!」 この大声がまずかった。 「ゆ!!侵入者だよ!!みんな!!ゆっくりつかまえるよ!!」 見つかった!!まずいと思ったまりさは部屋からでて、近くに転がっていた箱の中に隠れた。 しばらくすると、2匹のゆっくりが来た。 「ゆ~~~!!どこ行ったの!!ゆっくりでてきてね!!」 「いますぐ出てきたら一瞬でころしてやるんだぜ!!」 まりさはじっとこらえて、ゆっくり達が立ち去るのを待った 「ゆ!!ゆっくりしていってね」 声に反応しそうになりながらもこらえた。 「ゆ!!ここだぜ!!」 はったりにも引っかからないようにこらえた そしてしばらくすると、とてもおおきな声が聞こえてきた 『ゆ!!二階の全ゆっくりに告げるよ!!侵入者駆逐と試験のため、二分後にゆーれむをだすよ!! 死にたくなかったらはやく二階から離れてね!!』 ドスのものと思われる大きくて低い声に,群れのゆっくりたちは大慌てで階段に向かった。 まりさはゆっくり達が立ち去ったのを確認すると、箱の中から這い出てきた。 ゆーれむ?なにそれ?でも、なんかゆっくりできそうにないよ!! ここからはやく離れよう!! そう思い、階段に向かおうとしたが 「ゆぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!!ちがう、ちがうよぉぉぉぉぉぉ!!!ゆぷぅぅぅぅ!!・・・」 「ばりざは侵入者さんじゃなぁぁぁぁぁぁ・・・・・」 さっきのゆっくりたちの声だ。 まりさは驚き、その場で立ち止まってしまった。 なにいまの?なにか来るの?こわいよぉぉぉぉ!!! まりさはおそるおそる階段の下を覗き込んで見た。 そこには・・・ 「な、なにあれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!」 まりさは思わず叫んでしまった。 それは無理のないことだ。 そこには、人型にくっつけられた5匹のゆっくりがさっきのゆっくり達を捕食していた。 足と手にあたる部分には赤れいむと赤まりさが1匹ずつくっつけられており、 胴体の部分には親と思わしきまりさが呪詛を呟きながらゆっくりを捕食していた。 足にあたる赤ゆっくりの体は上半身が完全に親に埋没しており、 親まりさはそれを巧みに使って二足歩行をしていた。器用なものだ。 皮で補強がされているのか、足の赤ゆっくりはつぶれることなく親と思わしきまりさの体重を 支えていた。 腕にあたる赤ゆっくりは足の部分が完全に親とくっついており、 口を使って捕食しているゆっくりを加えて持ち上げていた。 「で・・・でい・・・・ぶ・・・だずげ・・・で・・・・」 親まりさは捕食しながらここにはいない妻と思わしきれいむに助けを求めていた。 「おとうしゃん・・・・うえ・・に・・ゆきゅ・・り・・」 右手の赤れいむがしゃべる。 それが聞こえているのか、親まりさは二階に上がっていった。 ゆっくりと飛びはね、ついに二階にたどり着いた。 まりさはこの異形の化け物にただ恐怖した。 このゆっくり・・・なに!! ゆっくりを・・・食べてるよ・・・・ 怖いよ・・・怖いよお母さん!! まりさは対峙する前から恐怖で押しつぶされていた。 そんな時、ふとありすの顔がよぎった。 ありす・・・まりさを振っちゃったありす・・・・。 まりさは・・・・ありすに振られたのに・・・・ひどい振られ方をしたのに・・・ 今は・・・そんなありすを助けたい!! ありすには・・・幸せになってほしいよ!! ここで死ねないよ!!みんなを助けてみんなでゆっくりするよ!! まりさはくじけそうな心を奮い立たせ、異形のゆっくりと戦う覚悟を決めた。 「いっぱ・・・い・・ゆっきゅ・・り・・を・・たべりゅ・・と いたい・・いた・・い・・から・・きゃいほ・・うちゃれる・・・から たべりゃれて・・・ね・・」 右手のれいむの一言が戦いの開始のゴングとなった。 まりさは渾身の力をこめて、体当たりをした。 「ゆっくりくらってねぇぇぇぇぇぇ!!!」 だが、 「ゆぅぅぅぅぅ!!!」 跳ね返って逆に吹き飛ばされた。 この異形のゆっくりはゆっくりの皮10匹分を移植され、その分厚い皮が誇る 体は半端な攻撃を跳ね返してしまうのである。 そのため、ゆっくりの攻撃ごときでは跳ね返って吹き飛ばされるのであった。 余談だが、面での攻撃に強いだけで点での攻撃には弱く、木刀でも簡単に貫通してしまうのあった。 そんなことはしらないまりさは困惑していた。 自分の攻撃がきかないのである、無理もない。 「ゆ・・きゅ・・り・・・ちね」 困惑しているその刹那、異形ゆっくりの攻撃がきた。 その攻撃とは、右手にあたるゆっくりれいむにまりさを捕まえさせ、引きよせ 捕食するといったものだった。 これは先ほどの群れゆっくりにも使った戦法だった。 だが、これは相手が恐怖して委縮している最中に使うべき技であった。 本体ともいえる親まりさが実にゆっくりとした動きで右手を振りまわすためか かわすのは非常に簡単だったのだ。 まりさは攻撃が来る事を見抜き、後ろに素早く下がった。 異形ゆっくりの右手が空を切った。 まりさは出来た隙をついてさらに体当たりをした。 だが、半端な攻撃なのか、異形ゆっくりは苦痛に顔をゆがませるどころか 怯みもしなかった。 体当たりをしつづけるまりさに異形ゆっくりの右手が再び襲う。 だが、捕まったら最後とばかりにまりさは必死に避ける。 そんな戦いが20分続いた。 ただ右手を振りまわしている異形ゆっくりと、全身で動いているまりさとでは やはり体力の消費量に大きな差が出てきた。 まりさは必死に動き続けたこともあってか肩で息をしていたが、 異形ゆっくりはなんともないような顔でたっていた。 攻撃を避け、再び体当たりをかんこうするまりさ 「こ、こんどこそぉぉぉぉ・・・ゆ?」 まりさはこけた。体力の消費が圧倒的に多かったまりさはあんよがふとすべり・・こけたのだ。 うつ伏せになる形で横たわるまりさ。その隙を逃さず、異形ゆっくりを攻撃を仕掛けた。 「し・・・ね・・・」 まりさは右手のれいむに捕まった。 れいむのちからはゆっくりとは思えないほど強かった。おそらく口に何か仕込まれているのだろう。 胴体部の親まりさはこっち側に引き寄せ、左手のまりさで完全に動きを封じ、 捕食する気でいた。 まりさは焦っていた。このままじゃたべられちゃうぅぅぅぅ!!!と まりさは無我夢中で右手のれいむに噛みついた。 「ゆぴぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!!!」 右手のれいむが悲鳴をあげ、口を開けてしまった。 その隙にまりさは逃げ、距離をあけた。 あぶないところだったよ!!でも、おかげで弱点が分かったよ!! まりさは右手目掛けて駆け出し、噛みついた。 「ゆぴぃぃぃ!!」 「お、ちび・・・ちゃん?・・・」 胴体部の親まりさは右手のれいむの悲鳴に気づいた。 右手が攻撃されている事に気づいた親まりさは左手のまりさを振るった 「おち・・び・・ちゃん・・を・・・いじめる・・・な・・」 だが、右手のれいむと違って聴覚以外の機能が失われている左手のまりさは 親の言うことは理解できたが、どこに姉を虐めているわるいまりさがいるか分からなかった。 噛みついて相手の動きを封じようにも、どこにいるかわからず、口が空を切っていた。 「おとうしゃぁぁぁぁぁぁ・・・・・・・・あ・・あ・・・・」 まりさの力一杯の噛みつきが右手のれいむを完全に噛み殺した。 右のれいむがあのばけものの司令塔だよ!!あれをつぶしたらあのゆっくりは目を完全に失うよ!! まりさはそう考えていた。 結論からいえば正解だった。 この親子は別の実験にしようされ、その後「もっとゆっくりさせてあげるね!!」 という理由でこのようにくっつけられ、キノコなどの薬物の影響で完全にモンスターとなったのだ。 そのため、各個体はそれぞれ重度の障害があり、それが禍いしてか 目の役割ができたのは右手のれいむだけだった。 その目をつぶされたらどうなるのか・・・答えは簡単だ。 「おち・・・ちゃ・・ん・・・・ころ・・・すよ・・・ぜった・・・ころ・・・よ」 異形の本体部ともいえる親まりさは暴走し始めた。 今までの噛みつきから小さく飛び跳ねながらの跳躍で体当たりをしながら移動し始めた。 目を潰されたこともあってか、明後日の方向へ飛び跳ねている異形まりさ その隙を逃すまりさではなかった 「ゆっくり死ねぇぇぇぇ!!」 まりさは異形まりさの右手だったところに噛みついた。 「ゆぎゃぁぁぁぁぁぁ!!!」 赤れいむがくっついていたところ・・・そこは親まりさと赤れいむを密接にくっつけるために そこだけ皮がなかった。 まりさはそこめがけて噛みつき、親まりさの中に入って行った。 まだ子ゆっくりだからこそできた命がけの方法だった。 「がぁぁぁぁぁぁぁ・・・でい・・・ぶ・・おち・・・び・・ぢゃ・・・」 まりさが親まりさの餡子をぐちゃぐちゃにし、核を破壊したことで まりさはようやくあの世で待つれいむの元へ旅立った。 体についていた赤ゆっくり達も、核が親まりさに移植されていたのか、息絶えていた。 まりさは異形のゆっくりを撃退したことに安堵した。 だが、体力を限界近くまで使い、その場でへたり込んでしまった。 だれも来ないみたいだからここで一服だよ・・・ まりさは周りの安全を確認し、休憩に入った。 だが、そんなまりさを影で見るゆっくりがいた。 あの美アリスだった。 「ま・・・まりさ?」 まりさが声のする方へ体を向けると、そこにはありすがいた。 「ありす?・・・ありすぅぅぅぅぅぅ!!!」 まりさは疲れているのがまるで嘘であるかのように駆けだした。 ありすが無事だった!!本当によかった!! 「だいじょうぶ?なにか酷いことされてない?みんなは無事?」 「ええ、みんな大丈夫よ!!ありすだけ抜け出してこれから都会派な助けを呼びに行く所だったのよ!!」 よかった。みんな無事だ!! まりさは安心して顔で 「まりさはみんなを助けたいよ!!だからありす!!みんなはどこに捕まっているか 教えてね!!」 「もちろんよ!!こっちよ、ついてきてね!!」 まりさはありすの後ろについていくことになった。 だが、まりさはありすがなんとも邪悪な顔で笑っている事に浮かれるあまり気がつかなかった。 移動すること10分 ありすは警備のゆっくりがいない道を通ってきたかのように見張りがいない道を通って 大きな部屋にたどり着いた。 中はがらんとしており、奥に小さな小部屋の入口のような物があった。 「あの奥の部屋にみんな捕まっているわ!!早く助けてあげてね!!」 「ゆゆ!!分かったよ、みんな、今助けるよ!!」 まりさは駆け出した。 はやくみんなを助けだしてこんな所とおさらばだ!! だが、部屋に入るなり、まりさは横からの奇襲を受けることになった 「ち~~んっぽ!!」 ゆっくりみょんだった。 ゆっくりみょんがメスを加えて待ち構えていたのだ。 みょんはまりさを視界に収めるやいなや、メスを振い、足を刺した 「ゆぴぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!」 まりさは突然の痛みに悲鳴を上げた 「やれやれだみょん・・手間ををかけさせるなだみょん!!」 みょんは痛みに転がるまりさを上から見た。 まりさは待ち伏せをくらった事を悟り、必至に形勢を立て直そうとしたが、 「ちんぽぉぉ!!」 みょんによって身動きが取れないようにされた。 まりさは完全に気が動転していた。 ゆう~~、待ち伏せをくらったよ・・・このままじゃまりさやられちゃうよぉぉ・・・ ゆ!!このままじゃありすも危ないよ!!早く逃げるように言わないと ありすはさっきの所から一歩も動いていなかった いくらまりさを振ったありすでも死んでほしくなかったのだ。 「ありずぅぅぅぅ!!ばやぐにげでぇぇぇぇぇぇ!!」 だが、ありすは逃げようとするどころか、こっちへゆっくりと向かってきた まりさはさらに焦った 「ごっぢにぎじゃだべぇぇぇぇぇ!!!!」 だが、ありすは歩みを止めることなかった。 そしてみょんの前でとまった。 もう駄目だよ!!ありすが殺される!! まりさは最悪の未来を予想した。だが、最悪の未来は最悪な形で裏切られた。 「ゆひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!!!」 ありすは狂ったかのように笑いだした。 「ありす・・その下品な笑いは癪に障るんだみょん」 「あら、ごめんなさい!!都会派としたことがうっかりしちゃったわ でもね、こんなチビがまんまと騙されて・・ゆひゃひゃひゃひゃ!!」 まりさはありすの行動に理解をしかねた。 ありすはいったい何を言っているのだ? 「ありす?いったい何の事?ゆっくり説明してね!!」 まりさは痛みをこらえてありすに話しかけた。 するとありすは 「ぷっ・・・ゆひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!!!」 さらに笑いだした。 「ゆひゃひゃひゃひゃ・・ありすを笑い殺すつもりなの? 呼吸困難・・・で・・ゆひゃひゃ・・死にそ・・・ゆひゃひゃ・・うよ」 「いっその事早くしんでほしいみょん・・・」 みょんはぼそっと愚痴をこぼした。だが、ありすには聞こえなかったらしく ありすは呼吸を整えて 「ゆーはーゆーは・・・しょうがないから教えてあげるわね・・・ まりさは・・ありすに騙されちゃったの!!」 「騙した・・・・まりさを!!」 まりさは困惑した 「そうよ!!本当ならあの馬鹿な群れゆっくりと同じようにありすのフェロモンで 虜にして木偶にするつもりだったんだけど、なんで解けちゃうかな~~? やっぱりパチュリーの薬なんてでたらめだったんだわ、都会派でも怒るわよ!! でもまあいいわ、おかげで都会派なショーがたのしめたわ!!」 「何を言ってるの!!まりさに何をしようとしたの!!」 まりさは怒った。 「教えてあげるわね!!まりさはありすの美貌とパチュリーからもらったありすの フェロモンの匂いを嗅いだ真の都会派にしてもっとも美しい美のゆっくり、 ありすにメロメロになっていたのよ!! 群れのゆっくり共には効いていたのに、なんでこんなビチクソだけきかなかったのかなぁ~? まあいいわ、陰険な事は陰険なパチュリーや頭がいかれたれいむにまかせるわ!! ありすはこの美貌でばかなゆっくり達をこの天国とやらに招待するだけだから ゆひゃひゃひゃひゃ!!」 まりさはこのありすの正体に気づいた。 このありすは、みんなをたぶらかしてこんなゆっくりできない所へ連れてきて みんなをゆっくりさせないつもりなんだね!! なにが美のゆっくりだよ!!とんだゲスじゃないか!! まりさがありすを睨めつけていると、後ろからゆっくりれいむが現れた 「ありす!!このおちびちゃん?」 「そうよ。じゃあれいむ、このおちびちゃんをゆっくり調べてとてもゆっくりできる体とやらに させてあげてね!!」 「もちろんだよ!!おちびちゃんはとてもゆっくりできるようになるから安心してね 心配しなくてもいいよ!!ここ最近あまり失敗してないから あ、そうだ!!みょんも見て行くといいよ。とてもゆっくりしたいからこの最高の ゆっくりプレイスに来たんでしょ!!」 「・・・みょんは悪趣味な方法でゆっくりしたくないからゆっくり失礼するよ」 「ゆ!!分かったよ!!じゃあ行こうねおちびちゃん!!」 そういうと後ろかられいくの側近と思わしきゆっくりが数匹出てきた。 ゆっくり達はまりさを小部屋の中にあった台の上に置いた。 まりさは小部屋から出ようとするありすに恨みの言葉をぶつけた 「ごのビチグゾがぁぁぁぁぁぁ!!!おばえなんが汚物をあびでじねぇぇぇぇぇぇ!! 汚物をぶちまけられでじぬばでぐるじめぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」 ありすは罵声を自分への称賛のように受取って部屋を出た。 その晩、その部屋からはゆっくりまりさの悲鳴が止まなかった・・・・。 エピローグ ドスはありすから成果の程を聞いていた。 足りなくなった実験体の材料の足しにするためありすに頼んだが、予想以上の結果を残してくれた。 ドスは満面の笑みで 「ゆっくり御苦労さまだよ!!これだけいっぱいゆっくりがいたら準備や研究もはかどるよ!!」 「ええ、それはもちろんよ!!それが都会派なのよ」 ありすは続けた 「ところでドス、分かっていると思うけどありすが協力するための報酬も忘れないでね!! わすれるなんて都会派じゃないわ!!」 「分かっているよ!!永遠の命と永遠の美貌だね!!ゆっくり正しい世界になったら ゆっくりに出来ないことはなくなるからね!! ゆっくりできなくなったゆっくりを蘇らせたり、ゆっくりに永遠の命や若さを得るなんて 朝飯前だよ!!本来なら、世界はゆっくりに仕えるべき存在なんだから!!」 ありすはよしよしといった顔でうなずいた 「ところであの陰険なれいむが作ったあのゆーれむかしら?あれてんで弱かったんだけど 本当につかえるの?」 「れいむも言っていたんだけど、あれはプロトタイプで本来なら健全な親ゆっくりと 子供のゆっくり5匹を使うものなんだけど、別の実験で使ってボロボロ親子を使ったから あれだけ弱かったんだね!!それでも、部下のゆっくりを食い殺したから十分に使えるよ!! 数は大丈夫だよ!!ありすが連れてきてくれたゆっくり達でゆーれむをたくさん作るから」 ふ~ん、とありすは考えた。 もう聞きたいことは聞き終えたのでありすは立ち去ろうとした。 「あ、ありす!!そのお香とても効果があったでしょ!! あとでパチュリーにもお礼をいっておいてね!!」 「ゆ~~ん、まあ全く役に立たなかった訳ではなかったから後で礼くらいは言っておいてやるわ!! ところで肝心のパチュリーは?」 「パチュリーなら新しいお薬の実験に出かけたよ!! ありす・・・・正しい世界に戻して、みんなでゆっくりしようね!!」 ありすはなにも言うことなくその場を立ち去った。 いままで薄汚い所にいたのだ・・・はやくカスタード風呂に入って美しくならないと ありすは自然と自分の部屋へ駆け出していた。 あとがき 地雷どころか原爆だよ・・・・これ・・・ まあいいか。 あ、ところで名前ですがこれから『ゆっくりAVENGER』と名乗ろうと考えています。 またこのシリーズですが、最後の最後にすっきりするような作品にする予定です。 バッシングの嵐になるかもしれませんが、ご付き合いください。 なお、あまりにイライラして眠れないという方はご自由にご自分の作品とクロスして やりたい放題してもらっても構いません 作品一覧 死のゆっくり このSSに感想をつける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/2894.html
その7より 虐待部屋を出た男と、抱えられたれいむ。 「ゆっくりどこにいくの?」 「隣の部屋さ」 「ゆっ?」 隣の部屋? 一体、隣の部屋に何があるのだろう? 男は隣の部屋の扉の前に行くと、徐に扉を開けて、中に入った。 一緒に隣の部屋に入ったれいむは、その部屋を見て、呆気に取られた。 「ゆゆゆゆゆっ!?」 そこはれいむが虐待以外の時間を過ごしていた、あの二畳半の部屋であった。 床にはブルーシートが敷かれ、部屋の隅にはドッグフードと水の張った桶が置いてある。 そして、部屋の中心には、さっきまでれいむが包まって毛布が無造作に投げ捨てられている。 「れいむ。この部屋は誰の部屋だ?」 男がれいむに問いかける。 「ゆっ……ゆっ……」 れいむには答えられなかった。 間違いなく自分がいた部屋である。しかし、部屋なわけがなかった。 れいむの隣にある虐待部屋、そこにはありすが住んでいたはずなのである。 「れいむ、不思議だろう? なんでありすがいるはずの部屋が、虐待部屋になっているんだと思う? 一体、ありすはどこで生活していたんだろうな?」 「ゆっ……」 「まあ、答える前に次に行くか」 男はそう言うと、れいむの部屋を出て、もう一つの隣部屋に入っていった。 れいむは、その部屋にも見覚えがあった。 「ゆゆっ!! ここは!!」 「覚えているか、感心感心。その通り、この部屋はお前たちが初日に箱の中で眠っていた部屋だ」 2か月半もたってはいるが、れいむは未だこの部屋を覚えていた。 何しろこの部屋は、れいむが初めて過ごした人間の家の部屋であり、恐怖を感じた未知の空間だったからだ。 忘れたくても忘れられなかった。 しかし、やはりおかしい。 ここは本当なら、まりさが住んでいたはずである。 それなのに、机や椅子が置いてあり、棚の中には本が置かれている。 それと引き換え、ドッグフードや水の桶は置いていなかった。 まりさは以前、部屋には何もないと言っていた。 それなのにこの空間といったら、物で溢れているではないか!! 「な、なんで……!?」 ポツリと言葉が出ているれいむ。 もう訳が分からなかった。 まりさとありすはゲスでレイパーだった? でも、れいむの知っているまりさは、ゲスではなかった? 親友のありすは、とても優しかった? れいむの隣の部屋には、まりさとありすが住んでいた? 隣の部屋は、虐待部屋? 隣は、最初にれいむが来た部屋? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? 一体どうなっている? 男は放心しているれいむを抱えて、再び虐待部屋に戻ってきた。 れいむを床に置いて、こっちを見ろと、命令してくる。 虚ろな表情で、男を見るれいむ。 男は、ポケットに手を突っ込むと、ゴソゴソと何かを取り出してきた。 男は取り出してきたそれを、れいむの目の前に掲げた。 「ちょうちょさん?」 れいむは、初めそれが蝶々のように見えた。 しかし、目を凝らして見てみると、無機質なそれは、決して蝶々でないことが理解できた。 蝶々のような何かを見せて、いったいどうするつもりなのだろう? れいむが考えを余所に、男は真っ赤な蝶々を自分の口元に持ってくる。 そして、口を開いた。 『ゆゆっ!! まりさのおよめさんのれいむ!! なんでそんなかおしてるの?』 「!!!」 れいむは、目を見開いた。 突然、どこからか、まりさの声が聞こえてきた。 その声色は、あの優しかったまりさの声その物であった。 れいむは部屋の中を見渡した。 透明な箱の中には、ボコボコにされたゲスまりさが、弱弱しく蹲っている。 こいつが話した訳ではないだろう。 なら、いったいどこから聞こえてきたというのだ? れいむが、忙しなく体を動かしていると、再びまりさの声が聞こえてきた。 『れいむ!! まりさはここだよ!! ゆっくりりかいしてね!!』 声の聞こえる方に目を向ける。 そこにあるのは、真っ赤な蝶々に口を当てた男の姿だった。 まさか、この男が言ったのだろうか? いや、そんなはずはない!! 今のは、明らかに男の声では無かった。 れいむの愛するまりさの声だった。 だったのだが…… 『ゆゆっ!! ゆっくりまりさのことが、わかったみたいだね!! うれしいよ、れいむ!!』 確実だった。 声は男の口元からしっかり聞こえてくる。 れいむは、益々理解が出来ない。 男はその後、蝶々を口元から離すと、手の中で蝶々に何かを施した。 そして、再び口元に持ってくる。 『ありすとれいむは、いつまでもしんゆうよ!!』 「!!!」 次に男の口から飛び出してきたのは、れいむの親友のありすの声。 もう何が何だか分からない。 れいむの餡子脳は、明らかに処理能力の限界を超えていた。 「わからないよ……」 ゆっくりちぇんの様な事を呟くれいむ。 目は虚ろで、焦点が全くあっていない。 男はれいむの態度を見て、ニンマリ微笑むと、口元から蝶々を離し、れいむに顔を近づけた。 「れいむ、一体何が分からないんだ?」 「……」 「まりさとありすが、ゲスのレイパーだった事か? それとも、隣の部屋が、虐待部屋だった事か? もしくは、俺の口から、まりさとありすの声が聞こえたことか?」 「……」 「まあ全部だろうな。今から順に説明していやるよ」 「……」 「まず、お前が初めてここに来た時、出会ったまりさとありすはこの二匹だ」 男はそう言って、透明な箱をバンバン叩く。 その度に、二匹は恐怖に歪んだ表情を見せてくれる。 「さっきのこいつ等の態度と映像で気づいているだろうが、こいつ等はゲスでレイパーだ。あの日、お前が見た二匹は、全部こいつ等の演技だったんだよ。 俺はこいつ等と契約してな。報酬を与える代わりに、俺のやることに付き合えって言ったんだよ。まりさの報酬は、美ゆっくり100匹。ありすは美ゆっくりに整形してやることだ。 ま、契約といっても、守る気なんてサラサラ無かったがね。こいつ等を釣るために口から言った出まかせだ。 ちなみに、整形ってのは、言ってみれば無理やり人工的に綺麗にするような事だ。お前が見たまりさ、美ゆっくりだっただろ? あれは、俺がしてやったんだ。 まあ、俺がしたというより、金を出して専門家にしてもらったというほうが正確なのだがね。元々は十把一絡げのどこにでもいる汚いゲスまりさだったんだぜ。 全く技術の進歩ってのはすごいよな。それとも、体の構造が単純だから、そんなことも出来るのかねえ?」 「……」 「まあ、そんな訳で、こいつ等は手伝ってくれることになったんだ。田舎者のれいむを思いっきり馬鹿にしてやるって言ったら、二匹ともノリノリだったな。 心底ゲスな奴らだね。まあ、俺も他人のことは言えないんだが、ハハハ」 「……」 「で、映像で見た通り、その日こいつ等は虐待をされなかった。虐待されていたのは、お前一匹だけだったんだ。でもお前は全員虐待されたと思っただろ? なぜだ?」 「……」 「なぜなら隣の部屋にいたまりさとありすも、同じく虐待を受けたってお前に言ったもんな。だから、お前は自分だけでなく、二匹も虐待されていると思い込んだ」 「……」 「もう気づいているんじゃないか、れいむ? あの声の正体に?」 「……」 「言ってほしいか、本当の声の主を?」 「……」 「それでは言ってやろう。あの壁越しに聞こえたまりさとありすの声の正体、それはなんと……」 「俺でした〜〜〜!!!!」 「…………」 「あり? 反応が薄いな。もっと愕然とした表情を見せてくれるかと思ったんだが……まあ、良いや、続けよう。お前が壁越しに話していた二匹は、俺がこいつを使ってしていたことだ」 男はそう言って、真っ赤な蝶々をれいむの目の前に掲げてくる。 「これはな、以前香霖堂という店で手に入れた物だ。このようにダイヤルを合わせると、好きな声を出すことが出来るんだ。 『まりさのおよめさんのれいむ!! そんなかなしそうなかおをしないでね!!』 『しんゆうのれいむ!! ありすがすりすりしてあげるわ!! ゆっくりなかないでね!!』とまあ、こんな風にな」 「……」 「何でも外の世界から流れてきた本を参考に、かっぱが制作した物らしい。それを香霖堂の店主が、ツケの代わりに貰ったそうだ。 高かったんだぜ。それ以上に非売品でな。店主もこれは商品じゃないと、中々売ってくれなったんだ。しかし、俺の努力の甲斐あってな。ようやく売ってくれたんだ。 一週間毎日のように通い詰めたもんだから、向こうもいい加減嫌気がさしたんだろうな。悪いことしたよ」 「……」 「で、これを使って、二匹のふりをしていたという訳だ。両方の違う壁から声が聞こえてきただろ。それには、このスピーカーを使ったんだ」 男はポケットに手を突っ込むと、丸い物を二つ取り出し、れいむの前に置いてやった。 『ああ、ああ、聞こえますか? 聞こえますか?』 『とかいはのありすよ!! ゆっくりへんじしてね!!』 男が出した丸い物体から、声が飛び出してくる。 最初のセリフは右側の丸から、後のセリフは左側の丸から聞こえたものだ。 「これをありすのいた部屋というか、この虐待部屋の壁に貼り付けていたんだ。で、もう一つの方は、本当はまりさがいるはずだった部屋に貼り付けた。 まりさの声を出す時はこっちのスピーカーから、ありすの声を出す時は、もう一つのスピーカーから声を出していたという訳だ。 だから、お前には両壁から、声が聞こえてきたという訳だ。だいたい分かってきたろ」 「……」 「つまりだ。お前が二か月半もの間、毎日のように話をしてきた相手は、なんとこの俺だったというわけだ」 「……」 「虐待部屋とお前の部屋を往復する時、木箱にお前を詰めただろ。それはな、これを知られないためだったんだよ。隣が虐待部屋だって気付かれたら、計画がすべておジャンだからな。 最初からお前だけが、虐待されていたんだよ。架空のまりさとありすは、どこにもいなかったという訳だ」 「………………」 れいむはようやく理解できた。何もかも理解出来てしまった。 れいむは、ひたすら男の掌の中で踊っていたということが。 「ここに来てまりさに出会い、一目で惚れたよな。横から見ても、アリアリと分かったよ。でどうだ、今の気分は? 実際のまりさはゲスで、美しさも作られた物だと知ってしまった気分は? そんなゲスまりさと婚約した気分は? 悔しいかい? 悲しいかい? どうなんだい?」 「……」 「それからありすもね、本当の姿はレイパーだったんだよ。あ、ちなみにこいつの親がレイパーだってのは本当の話だぞ。 ただ、嘘だったのは、こいつがレイパーを憎んでいるって話な。こいつ自身、生粋のレイパーだから。むしろ、親以上だろって言いたくなるほどのな。 どうだい。そんなありすと親友になれて? 君たち、確か親友だよね? これからも親友でいようって約束したよね? レイパーと親友になった気持ちは? 教えてくれよ!!」 男はニヤケ顔を止めず、れいむに言ってくる。 何を馬鹿な事を言っている。 自分が大好きだったのは、あの勇敢で凛々しいまりさだ!! 自分の親友は、優しく本当の都会派であったありすだ!! 決して、この透明な箱の中で醜い姿を曝している二匹ではありはしない!! 「れいむがおよめさんになったのは、このげすまりさじゃないよ!!!! れいむのしんゆうは、こんなれいぱーありすじゃないよ!!!!」 れいむは今までも鬱憤を晴らすかのように、盛大に叫んだ。 しかし、男は一向にニヤケ面を改めようとしない。 寧ろ、男にとっては、その言葉を待っていた節すらあった。 「そうか、こいつ等は婚約者でも親友でもないか。それなら、お前の本当の婚約者と親友は、一体どこにいるんだ?」 「ゆっ!?」 「ああ、そうか。お前の本当の婚約者は俺か!! 本当の親友は俺なんだな!!」 「ち、ちがうよ!! ゆっくりごかいしないでね!!」 「誤解も何もそう言うことだろ? お前が2か月半も一緒に生活してきたまりさとありすは、全部俺の演技だったんだから」 「ぢがうよおおおおぉぉぉ――――――――!!!」 「本当にいろいろな事を話したよな。一緒に俺の悪口を言ったり、作戦会議をしたり、ここから出られたらどうするか話し合ったり」 「やめでええええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ――――――――――――!!!!」 「途中、お前の居場所が無くなってきただろ。あれはな、俺がそうなるように仕向けたんだよ。まりさとありすを演じて、お前が一匹除け者にされるようにな。お前の焦りっぷりったら、止められなかったぜ」 「いうなああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ――――――――――――――!!!!!」 「そう言えば、ありすというか、ありすを演じた俺の告白はどうだったよ? 迫真の演技だっただろ? あれでお前はまりさに告白する決意を固めたんだもんな」 「やめでええええええええええええええええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ―――――――――――――――!!!!」 「しかもその後自分から虐待まで受けるとは。プププ、そんなにまりさと対等になりたかったのかい? その為に、怖い怖い虐待を進んで受けたのかい? 俺が相手だとも知らずに、プププ。おお、愚か愚か」 「やめろおおおおおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ――――――――――――――!!!!!!」 「ありすを出し抜いた気分はどうだい? 優越感に浸れただろ? でも、今思えばとても恥ずかしいよね? 何しろ、俺に告白して、俺に優越感を感じているんだから」 「ゆぎゃああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ―――――――――――――――!!!!!!」 「そもそもさ、おかしいと思わないのかねえ。自分から進んで虐待を受けたがる奴なんて、いるはずがないじゃん。 家族の為ならまだしも、他ゆっくりの為に自分から進んで痛い目に会うって、いったいどんなマゾよ。 それにさ、ありすにしても変だろ。 お前のしたことって完全に裏切りじゃん。それなのに許すばかりか、いつまでも親友でいようねなんて、いったいどこの聖人君子よ。 真に都会派のありすなんて者がいたら、一遍お目にかかってみたいわ。まあ、そんなもん、いないだろうけどな」 「……もう、やめでよ」 「れいむ、お前は最高のゆっくりだったよ。お前を選んで本当に良かった。 森の中で伸び伸びと暮らし、呑気で疑うということを知らない無垢なゆっくりが、少しずつ負の感情に染まっていき、狡猾で計算高くなっていく様をしっかりと見させてもらったよ。 俺としては、お前の性格の変化によっていくつかの結末を考えていたんだが、その中でも最高に近いエンディングを見せてもらったよ。本当にお前は名タレントだった。 俺の掌の中で遊ばれているとも知らず、自分の作戦が順調に進んでいると思っている姿を見たら、途中で何度本当のことを言い出してしまいそうになったことか。 いやはや、危なかったよ。しかし、我慢したおかげで、こんなに素晴らしい喜劇を制作することが出来た。ありがとう、れいむ!!」 「……やめてよ」 「ただ、一つ失敗したのは、あのゲスとレイパーをボコボコにしてしまったことだな。本当なら、万全な姿でお前に会って欲しかったんだが。 その方が、お前にとってこみ上げるものがあるだろ。何しろ、虐待をされてるのは、正真正銘お前だけなんだから。 同じ虐待をされる仲間がいるからこそ、今まで耐えられてきたのに、実は自分だけが虐待されていると分かったら。 良ゆっくりであるお前だけが虐待されて、ゲスとレイパーはそれを見て笑ってるんだから。どうだ、想像しただけで、来るものがあるだろ?」 「……」 「しかし、こいつ等はあまりにもゲス過ぎた。俺の神経を逆なでしすぎたんだな。映像を見ればわかるだろ。じじいとか言ってくんだぞ、こいつ。 いやはや、すっかり我慢できずに、こんな姿にしちまったよ。ゲスの虐待なんて、やりすぎてもう飽き飽きなんだがね。はあ、惜しいことをした……」 「……」 「れいむ、また口が止まったぞ。会話はキャッチボールだ。お前も何か言えよ」 「……」 「おい、何か言えって」 「……ゆっくりここからだしてね」 「はあ?」 「……ゆっくり、このおうちからだしてくれるっていってたよ……ゆっくりまもってね……」 れいむはもうすべてどうでもよかった。 男の話は、しっかり理解した。自分がピエロだったことは、十分理解出来た。 もうどうでもいい。 まりさがゲスだったことも、ありすがレイパーだったことも、男がずっと自分を騙していたことも、どうでもよかった。 ただただ今はこの家を出たい。 外の空気を思いっきり吸い込みたい。 すべてを忘れたい。 れいむは、何度も「ここからだしてね」と繰り返した。 「……タレントなら、最後までしっかりと責任を持ってほしいものだがな。まあいいだろう。お前の消沈ぶりを見せられれば十分だ。家から出してやるよ」 男は虐待部屋の扉を開けると、「ついてこい」と、れいむに顎をしゃくる。 れいむは、虚ろな目をしながら、ただただ男の後に続いて行った。 男は玄関前にやってくると、ドアノブにてを掛けた。 しかし、そこでピタリと手を止めてしまう。 「れいむ、本当に帰るんだな?」 「……ゆっくりはやく、ここからだしてね」 男は「確認したぞ」と言いながら、玄関のドアを開けた。 これで帰れる。 これでこの辛い暮らしともオサラバ出来る。 森に帰ったら、すべてを忘れよう。なかったことにしよう。 そうだ、お母さんの所に帰ろう!! きっとこの悪夢は、お母さんの言葉を聞かなかった自分に天罰が下ったのだ。 これからは、お母さんの傍で、ずっとゆっくりしよう。 友達といっぱい遊ぼう。 無限の可能性を秘めた玄関のドアが開けられた。 れいむは、勢いよくそこに飛び込んでいく……が、 「ゆっ……ゆゆ………ゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆっ!!!!!」 れいむの目に真っ先に飛び込んできたのは、白だった。 見る物触る物すべて白一色に染まっていた。 それは、ゆっくりを決してゆっくりさせてくれない大自然の猛威。 一面の銀世界に、れいむは言葉を紡げなかった。 「ああ、一つ言い忘れてた。実は昨日、この冬一番の寒波が来てな。雪が積もりに積もったんだわ」 「ゆっ……」 2か月半。 れいむが男に虐待されている間に、季節はすっかり移り変わり、本格的な冬が到来した。 れいむは気付きもしなかった。 そもそも、れいむのいた部屋には窓がないし、その日を生き抜くのに精いっぱいで、そんなことに頭を回している余裕もありはしなかった。 男が巧みな話術で、それを思い出さないように仕向けていたこともある。 また、ゆっくりの巣と違い、人間の家は防寒に優れており、毛布も与えられていたため、気温の変化も気付きにくかったのだ。 「こりゃあ、雪かきが大変だな。全く嫌になるよ。森の方もさぞかしすごいことになってるだろうな。一面雪が積もって、巣の場所なんて分からないだろうね。 それに、餌はあるのかなあ? 動物も昆虫も冬眠してるだろうし、草も花も木の実だってもうあるわけないよねえ」 「ゆ……ゆ………」 「たいへんだな、れいむ。これからこんなところで生きていかなきゃならないなんて。でも、俺は応援しているよ。 ゆっくりお家を作って、ゆっくり餌を集めて、ゆっくり冬眠していってね!!」 何を馬鹿な事を言っているのだ!! こんなところで暮らせるはずがないだろう。 男の言葉通り、森は雪で埋まり、どこに巣があるかも分からない状態だろう。 今から巣を作るなんて言語道断だし、餌なんてあるはずがない。 その以前に、こんな雪の中を歩いて森に帰れるはずがない。 道中、空腹で死ぬか、寒さで凍え死ぬかが落ちだろう。 れいむは男の顔を覗き込んだ。 男はそんなれいむを見て、ニヤニヤとうすら笑いを浮かべている。 知っていたのだ。 れいむがここから出られないことを。 ここから出ても、待っているのは死だけであると。 れいむが助かる方法はただ一つ。男に助けてもらう以外、方法がないのだと。 悔しかった。 ようやく抜け出せると思っていたのに、結局最後の最後まで、男の手の上で踊っていただけの自分が。 あれほどの仕打ちをしてきた男に助けてもらえなければ、生きていくことも出来ない脆弱な自分が。 れいむは悔しかった。 それでも、れいむは死にたくなかった。 死ぬことが怖かった。 「……おにいさん。ゆっくりれりむをおうちにいれてね」 「なんだ、森に帰りたいんだろう? 遠慮するな、れいむ」 「……ゆっぐりおねがいじまず。れいむをおうぢにいれでぐだざい」 「ふーむ……ま、良いだろう。何しろ俺のお嫁さんだしな。どうだ、前に言ったろ。“まりさ”の家は、人間の家と同じくらいデカイって。 ははは、当り前だよな、俺は人間だもん。大きなお家で暮らせて嬉しいだろ。これからも精々可愛がってやるよ。なあ、れいむ」 「……ありがとう……おにいさん」 おまけ 男は里の道を歩いていた。 生活用品の買い出しと、香霖堂への贈り物を買うためである。 今回の虐待は、香霖堂の店主があれを譲ってくれなければ完成しなかった。 半ば無理やり譲ってもらったような品だ。あの店主は人が出来ているので受け取ってくれないかもしれないが、贈り物でもしないとこちらの気が済まない。 あれだけ壮大な虐待が出来たのも、すべて店主のおかげだ。受け取ってくれなければ、無理にでも置いてくるつもりだった。 男は、幼馴染がやっている和菓子屋に入っていく。 「いらっしゃい……って、なんだお前!! その格好は!!」 馴染みの店員が、男の恰好を見て唖然とする。 「ん、なんかおかしいところでもあるのか?」 「お、おかしいって、お前、寒くないのか?」 男が来ていた服。 白いシャツに、青いジャケット。水色の短パンに、極めつけは赤い蝶ネクタイ。 七五三で男の子が着るような恰好である。 格好のみならず、脛毛がとても痛々しい。 「ああ、寒い」 「寒いって……分かってて、何でそんな恰好してんだよ!? 変態か? 変態なのか? だいたいその眼鏡はなんだ、視力2.0!!」 「誰が変態だ!! 最近、ちょっとしたことにハマってたんだが、この格好のほうがやる気が出てくんだよ。 変態じゃねえよ!! 仮に変態だとしても、変態という名の探偵だ!! ちなみに眼鏡は伊達な」 「探偵って……ああ、もういいわ。お前が変人なのは、昔からだもんな」 「なんだと、この野郎!!」 「まあ、それはさて置き、いいところに来たよ。近々、お前の家に行こうと思ってたんだよ」 「用事でもあったのか?」 「この前みんなで集まってな。今度の春に合わせて、演劇でもしようと決まったんだ」 「へえ」 「でだ、お前も当然参加するだろ?」 「ああ、させてもらうよ」 男は里の劇団員の一人である。 劇団といっても本業でしているわけではなく、趣味の合う者が集まって作られたサークルである。 「ところで、どんな演目をするんだ?」 「まだ決まってないよ」 「ならゆっくりの役を取り入れたらどうだ?」 「ゆっくり? ゆっくりって、饅頭のゆっくりのことか?」 「ああ。自慢じゃないが、俺はゆっくりを演じさせたら、幻想郷一という自信があるぜ」 「……本当に自慢じゃないな」 店員は呆れているようだ。 男はとりあえず、店主への贈り物を選び包んでもらう。 「ところで練習場所はいつものところだな?」 「ああ、そうだ」 「いつから始めるんだ?」 「遅くとも来週には取りかかりたいな」 「分かった。予定をあけとくよ」 男は用事も終わったので、店を後にしようとした。 「おい」 「まだ何か用事があるのか?」 「どうでもいいが、そんな恰好で練習場所にくるなよ。みんな引いちまうぞ」 「うっせえ、俺の勝手だろ」 「バーロー」 〜fin〜 久しぶりだね、兄弟(・∀・)ノ 何が書きたかったかというと、最後のセリフを書きたかっただけである 今まで書いたもの ゆっくりいじめ系435 とかいは(笑)ありす ゆっくりいじめ系452 表札 ゆっくりいじめ系478 ゆっくりいじり(視姦) ゆっくりいじめ系551 チェンジリング前 ゆっくりいじめ系552 チェンジリング中 ゆっくりいじめ系614 チェンジリング後① ゆっくりいじめ系615 チェンジリング後② ゆっくりいじめ系657 いい夢みれただろ?前編 ゆっくりいじめ系658 いい夢みれただろ?後編 ゆっくりいじめ系712 ゆっくりですれ違った男女の悲しい愛の物語 ゆっくりいじめ系744 風船Ⅰ ゆっくりいじめ系848 風船Ⅱ ゆっくりいじめ系849 風船Ⅲ ゆっくりいじめ系936 カルガモとゆっくり 前編 ゆっくりいじめ系937 カルガモとゆっくり 後編 ゆっくりいじめ系938 カルガモとゆっくり おまけ ゆっくりいじめ系960 ゆっくりにドラえもんの道具を与えてみた
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/5401.html
20××年5月25日 ある山の奥ゆっくり達の群れがあった そこでは、人間でゆうところの7歳から8歳位の知能を もったゆっくりがいた。 そのゆっくりはおちびの頃から高知能だったこともあり いつしか群れの長になっていた。 長から話しがあるんだぜ 集まるんだぜー 魔理沙の声で群れのゆっくり達がぞろぞろと集まってきた。
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/669.html
ある森に、ゆっくりの親子がいました。 その親子は三人(?)家族で、親ゆっくりと子ゆっくりのれいむとまりさでゆっくり暮らしていました。 ある日子ゆっくりは親ゆっくりの言いつけで森の奥へ野いちごを取ってくることになりました。 「きょうはもりのおくのほうでのいちごをとってきてね!!!」 「わかったよおかーさん!!!」 「ゆっくりとってくるよ!!!」 れいむとまりさは仲良く出かけて行きました。 しかしあまり奥に進みすぎたために道に迷ってしまいました。 「みちがわからないよ!!!」 「どうすればいいのおぉぉ!!!」 とうとうれいむとまりさは疲れてその場で眠ってしまいました。 れいむとまりさは夢を見ました。 みんな仲良くできて人間達とも友達になれて幸せに暮らしている夢を。 次の朝、森の中を彷徨っているうちに美味しそうなお菓子の家を見つけました。 二人は昨日から何も食べていないのでお腹がぺこぺこ。 「ゆゆ!!おいしそう!!!」 「ゆっくりたべるよ!!!」 れいむとまりさは何の躊躇いもなくお菓子の家に被りつきます。 しかし、そのお菓子の家はゆっくり虐待妖怪の鬼意山の罠だったのです。 「ちょっと、ここで何してるのかな?」 「ゆ!ここはれいむたちのおうちだよ!!!」 「ゆっくりできないひとはでていってね!!!」 やはり野生のゆっくりは図々しい。 一般人だったらここで叩き潰すところですが、さすがの虐待鬼意山は違いました。 「まぁまぁ、でもそんな小さなおうちじゃあすぐなくなっちゃうし、れみりゃ種も寄ってくるかも…」 「ゆ!?ゆっくりできないよ!!!」 「だから僕の(ry 「ゆ(ry テンプレなので省略します。 おバカなれいむとまりさはゆうゆうと鬼意山の家へとついてきました。 まず鬼意山はまりさを透明な箱(一箱1260円特価)に入れます。 「ゆゆ!?ゆっくりできないよ!!!」 「まぁまぁ、今からご飯あげるからね」 鬼意山は台所から野菜屑を取り出し、まりさに与えました。 「むーしゃ、むーしゃ、しあわせ~!!!」 「おにいさん!れいむもごはんほしいよ!!」 「まぁまぁ、れいむは僕の仕事を手伝ったらおいしいごはんあげるからね」 「ゆ、ゆっくりてつだうよ!!!」 れいむは割と聞き分けが良いようです。 鬼意山は最近外から来た本で読んだパンをれいむに手伝わせようというのです。 しかしそこは虐待鬼意山、ただの手伝いで終わるわけがありません。 巨大な窯の前にれいむを立たせ(?)、様子を見てもらいます。 そして膨らんだら教えるように言いました。 「ゆぅ!ゆっくりあついよおにいさん!!ゆっくりできないよ!!!」 「我慢してくれ、終わったらおいしいごはんあげるから」 「ゆ、ゆっくりがんばるよ!!!」 健気な子です。 この後殺すのが惜しくなるくらいですが、そんな感情が鬼意山にあるでしょうか?いや、ないね! しばらく経つと、ゆっくりが叫び始めます。 「おにいさん!ふくらんできたよ!!!ゆっくりふくらんできたよ!!!」 「ん…?すまないな、僕にはよく見えないんだ、どのくらい膨らんだのかもっと詳しく教えてくれないか?」 「ゆ!めはだいじにしなきゃだめだよ!!!」 れいむは空気を取り入れる空間からパンの様子を観察します。 鬼意山が後ろから近づいてきてるなんて知る由も無く。 「おにーさん!さっきよりもさんぶn…ゆゆ!?」 れいむは下に落下しているのを感じました。 窯の中は灼熱の空間。人間だって耐えられません。饅頭なんて一瞬で炭饅頭と化すでしょう。 「おにいさああああん!!!ゆっくりいそいでれいむをたすけてねぇ!!!あついよおおお!!!」 「あれ、れいむはどこに行ったのかな?」 「ゆぶぅうううううう!!!!!!」 れいむは炭になりました。 きっとパンを作るために頑張ってくれることでしょう。 鬼意山はパンを焼き上げました。 香ばしく、餡子が少し混じった匂いがあたりに漂っています。 鬼意山は中に入れる具を探しますが、台所には大したものがありません。 味噌でも塗って食うかとも思いましたが、まだまりさがいたことを思い出しました。 早速まりさのいる部屋に戻り、パンをまりさにお披露目しました。 透明な箱に入ったまりさは退屈そうでしたが、パンを見ると表情が変わりました。 「ゆゆ!おにいさん!おいしそうだね!!まりさにもちょーだいね!!」 「でもねまりさ、まだ中に具が入っていないから…」 「ゆゆ?」 疑問に思うまりさをよそに、鬼意山は拳を振り下ろしました。 「るオオオオオ!!」 ドグオオォン きゃあぁあぁあッ!ゆ…ゆっくりをッ! メメタァ 「ゆぎゅうぅぅぅううッ!!!??」 と…透明な箱はなんともないッ! ゆ…ゆっくりを潰すのはそれほどでもないが…… それにもまして不思議なのは透明な箱も一緒に殴ったというのに透明な箱が無事なことッ! 「これが『仙道』だ!」 もうまりさは瀕死の状態です。 まりさは息も絶え絶えになりながら言いました。 「どうじでごんなごどずるのおおおおぉおぉぉおお!!!!?」 鬼意山は言いました。 「簡単な答えだ…ここは虐待スレ」 なおこの後作ったパンに餡子を入れて食べると美味しいということで幻想郷にアンパンが広まったという噂もありますが、それは別の話。 めでたしめでたし byGIOGIO お、俺は…一体何を書いているんだァ―――!!! このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/3643.html
『真冬のゆっくり対策 2』 「そこ掘ってください」 「堀作るだけでも違うかね?」 「この幅でしたら小型のゆっくりは飛び越えられないでしょう。ただまりさ種は帽子で渡るかもしれません」 「これ以上の幅だとこっちが落ちるときがあるかもしれないな」 「無いよりマシですよ。他に柵とか壁も作りますから」 「加工所から職員がやってきましたよ。ビニールハウスとかいうものを持ってきたそうです」 「なんですかね。新しい箱でしょうか?今行きます」 「さ~てどこにいるのかなあ?」 虐待お兄ちゃんは山の奥へ入っていく。途中ゆっくりの死骸や巣を壊され泣きながら修復作業をしているゆっくりを見かけた。 他の人達もまずは地面に巣を作るタイプから潰しているようだ。 「ゆんしょ!…ゆうううう!!!さぶいいいい!!!」 「まりさあ…ゆっくりしないでね!おちびちゃんたちがさむがってるよ」 「でいぶもてつだってよお…ゆ!!おにいさん!!まりさのおうちをなおすのてつだってほしいんだぜえ!!」 「れいむに手伝ってもらえよ」 「だめだよ!れいむはおちびちゃんのめんどうをみるんだよ!!」 「仕方ねえな。ほれ、まりさじっとしてろ」 「ゆうう…ゆっくりしないでね…」 「よっと…」 彼はシャベルを振り上げた。 「それ!」 「ゆぎゃああああああ!!!!!!!」 「ばりざあああ!!!!どぼじでぞんなごどずるのおおおお!!!!」 彼はシャベルでまりさの中身を穿り出した。 「ゆぎゃがががぎゃぎゃあがやああああ!!!!!」」 「やべでえええ!!!ばりざのながみがあああ!!!!」 「れいむ、奥に入ってな」 「ばりざああ!!!!ばりざああ!!!」 奥に行かないれいむをほっといてまりさだった皮を巣に入れ餡子で穴をふさいだ。 「じゃあ俺は行くよ」 「おにいいざあん!!!!まっでええ!!!!」 「ゆ?なんだかあまあまさんのにおいがするよ!」 「あみゃあみゃしゃあ~んまりしゃにたべりゃりぇてね!」 「なにじでるのおおおお!!!!それはまりさだよおおお!!!たべじゃだめだよおおおお!!!!!」 「さて…どういった所を巣にしているのかな」 ゆっくりが一番住み易い巣は洞窟である。入り口が水平であるため雨水が浸入しにくく天井が壊れにくいからだ。 といっても洞窟がたくさんあるわけではない。大抵は斜面に穴を掘って巣を作っている。 「丁度これくらいの角度がいいよなあ」 山道沿いの斜面を見て彼は言う。急斜面だと巣に帰るのが大変になってしまう。そのため緩やかな斜面に巣を作るのだ。 「しかし雪で真っ白だな。これじゃ分からん…なんだこれ?」 丸くて小さな穴が斜面に向かっている。 「まさかゆっくりの足跡?」 注意深く見てないと見落とすところであった。足跡は斜面の途中で途絶えていた。 「どれどれ…あ、あった。」 彼は雪を掻き分け石や藁が詰まっている穴を見つけた。入り口だろう。 巣の中- 「ゆううう…さむかったよ!」 「まりさ、なんでおそとにでたの?おそとはあぶないっていったでしょ!」 「おかあさんまりさをしからないであげて」 「まりしゃおねえしゃん!ゆっくちちてね!」 「ゆっゆっゆ…いもうとたちにぷれぜんとがあるんだぜ!」 子まりさは帽子の中から雪を取り出した。 「まっちろしゃんだ!まっちろしゃん!!」 「ゆきさんをとりにいってたの?」 「そうなんだぜ!いもうとたちがまっしろさんにさわりたいっていうからもってきたんだぜ!」 「なんてとかいはなまりさなの!ゆうかんだわあ」 「まっちろしゃんちゅべちゃい!!」 「おねえしゃんありがちょー」 「さむいいい!!!!おかあさんすりすりい」 「す~りす~り。ゆっくりしていってね!」 「ごはんのじかんなんだねー。みんなきてねー」 この巣には数組の家族が住んでいるようだ。 「ゆ!いりぐちからへんなおとがするんだぜ!」 「ゆっくりできないね!みんなゆっくりしないでおくにはいってね!」 「しょくどうにいこうね!ごはんたべながらかくれようね」 食堂は巣の奥にあった。最悪天敵に入り口を壊されても食糧のある部屋まで逃げれば天敵も諦めるだろうし食糧を取られずに済む。 「ああ…巣だわ。しかし奥が深くて見えないや…。ゆっくりしていってね!!!」 「「ゆ…ゆっくりしていってね!」」 微かに返事が返ってきた。相当奥に隠れているようだ。 「どうしよっかなあ…わざわざシャベルで巣ごと壊すのも面倒だなあ」 彼は悩んでいた。 「ゆううう…きょわいよお…」 「だいじょうぶだよ!しょくどうまでにげればとどかいないよ!」 「このおうちはれみりゃもはいってこれなかったんだよ!だからしんぱいしないでね」 このままであればゆっくりの知恵が勝っていただろう。しかし世の中そう甘くは無かった。 「よう兄ちゃん、そんなところで突っ立ってどうした?」 「どうも。いやゆっくりの巣を見つけたんですが奥に逃げられましてね」 「ああ、わざわざ巣をぶっ壊すのも面倒なんだろ」 「はい」 「じゃあこれ使いな」 男は2つの丸いものを取り出した。 「何ですかこれ?」 「煙幕だよ。でもただの煙幕じゃないぞ。唐辛子とタマネギエキスが入った特製だ」 「うわあ…効果ありそうですね」 「奥が深いなら2つ入れれば届くさ。俺はこの先で駆除するからこれで失礼するよ」 「ありがとうございます」 男は去っていった。彼もゆっくり駆除を手伝いに来た人なのだろう。 「じゃあ早速入れますか」 虐待お兄ちゃんはライターで煙幕に火をつけ巣の中に入れた。そしてすぐ穴を雪で塞いだ。 「ゆゆ!いりぐちがくらくなったよ!」 「やったね!あきらめてかえってくれたよ!!」 「きょれでごはんをゆっきゅりたべりゃれるね!!」 ゆっくり達はご飯を食べ始めた。 「「「むーしゃむーしゃ…しあわせえ♪」」」 「「ちあわちぇえ♪」」 いつも通りの平和な食事だ。貯蓄された食糧は充分にある。春まで余裕で暮らせるだろう。 「ま…まりさ!はるになったらいっぱいこどもうんでゆっくりしようね!」 「れいむ!こんなところではずかしいんだぜ…」 数分後 「ゆげえええええ!!!!!」 「きゃりゃいよおおお!!!!ゆべえええええ!!!」 「おめめがじみるよお!!!!!ゆぎいいいい!!!!」 「げほっ!げほっ!!!!ゆぎゃあああ!!!!!ゆぎぇえええええ!!!!」 天国から一気に地獄になった。小さいゆっくりから餡子を吐き出し巣の中はパニックだ。 「まりさのおちびちゃんがあああ!!!!ゆぎぇえええ!!!」 「でいぶう!!!じっがりじd…ぎゃあああ!!!おべべが!!おべべがああ!!!!」 「ゆっぐりできなよおおお!!!!わがらないよおおおお!!!!!!」 「ごんなのどがいはじゃないわあ!!!ぎゅうううぎゃあ!!!!」 「むぎゅ…ぎっどごれはどぐよ!!ぎゅううう!!!」 「ばじゅりいいい!!!じっがりじでええ!!!!げほっ!ぎいいい!!!」 「だれが…どぐをそどにすでで……むぶうううう…」 数匹のゆっくりが入り口に向かった。途中で餡子を吐き出し息絶えるゆっくりもでた。 「ごのばるいのが…ぎいい!!!…いげないんだね…ゆぎゅううう!!」 ちなみにゆっくりは手足がないため物を運ぶ時は大抵口の中に入れるか口に咥える。 「む!!!…ゆぎゃああびゃああああああ!!!!!!」 煙幕を口の中に入れたまりさは煙幕を吐きながら餡子も外に出してしまった。 「むうう!!!!むううう!!!!」 こちらのまりさは息を止め体で煙幕を押していた。 「もしかして全滅したのかな」 虐待お兄ちゃんが煙幕を入れてから十数分が経った。 「お、何か出てくるぞ」 雪が盛り上がりまりさが顔を出した。 「むううううう…ゆふうっゆふううううう…ゆうううううう…」 「わざわざ返してくれなくてもいいのに」 「どぼじでえ…ごんなごどじだのおお…あがじゃんも…おぢびじゃんも…でいぶも…じんじゃっだよお…」 「さあてね。なあ、煙幕は2つ入れたんだぞ。あと1つはどうした?」 「ぞ…ぞんなあ…なんでごうなるのおお……」 「ほれ、行った逝った」 「やべでえええ…おざないでええ…」 まりさは巣の中に戻されてしまった。 「これも持ってけ」 「ぜっがくだじだのにい…」 外に落ちた煙幕を巣の中に入れなおした。失意のあまりまりさも死んでしまった。 「これでここは駆除できたかな……うわっ!!これはキツイ。俺でも死ねるわ」 彼は穴の中を覗き煙幕を嗅いでしまった。 「げほっ!げほっ!これならもう死んでるわ。げほっ!」 咳き込みながら山道を登っていった。 「ふう…落ち着いた…。アレ結構キツイな。俺も量産してみるかな」 ふと道から外れたところを見ると大きな黒い帽子が動いていた。 「え、ドスまりさ?」 彼はその帽子を追った。 「う~ん…あ、違う人間だ」 帽子はとある女性が被っていた。 「こんにちは」 「あら、手伝いに来てる人かしら?こんにちは」 「その帽子は?」 「これ?ちょっと前に小さめのドスから取ったものよ。ちょっとぶかぶかね」 「なんでそんなものを?」 「私の記憶が正しければこの近くに洞窟があるのよ。警戒されずに中に入るためね」 「昔この辺りに暮らしてたんですか?」 「ええ。今日数年ぶりにここに戻ってきたわ」 「そうですか。洞窟は大きめなんですか?」 「そろそろ着くわ…。あ、あれよあれ」 少し先に洞窟があった。かなり大きい。 「これは…かなり広そうですね」 「あなたも中に入る?とりあえずれいむのリボンもあるわ。手に結び付けとけば大丈夫よ」 「そういう話よく聞きますね。本当に見分けがつかないんですかねえ」 「まあ付けてみてみればわかるわよ」 彼らは洞窟の中へ入っていった。 「ほお…これは…すごい」 「こんなに大きかったかしら?百匹はいるわね」 洞窟の中は予想以上に広かった。壁には多数の穴が掘ってあり中からゆっくりの声がする。 「ゆゆ!すっごいおおきなれいむとまりさだね!ゆっくりしていってね!!」 「こんなおおきなれいむみたことないよ!」 「もしかしてどすなの?」 「どすだよね!れいむたちをゆっくりさせてくれるためにここにきたんだね!」 「ね、気付いてないでしょ」 「本当なんですね…これが餡子脳か。で、一体ここをどうするつもりなんですか?」 「まあ見ててくださいな。…ねえれいむ、この巣の中をドスに案内してくれないかしら?」 「いいよ!みんなー!!どすがきたよ!!このむれにもどすがきてくれたんだよー!!!!」 壁から出るわ出るわその数数百匹。リーダーであろう大きいありすがやってきた。 「なんてとかいはなどすなのかしら!!よこにいるれいむもおおきくてりっぱだわあ」 「貴方がここのリーダーね。この巣を案内してくれないかしら?」 「いいわ!みんな!ドスとれいむに挨拶してね」 「「「「「ゆっくりしていってね!!」」」」」 「「「「「ゆっきゅりしちぇいっちぇね!!」」」」」 「ゆっくりしていってね!」 「はは…ゆっくりしていってね…」 壁に掘ってある穴は百ヶ所はあるだろう。寝床だけでなく赤ゆっくりを育てるスペースや出産するスペースまである。 「冬篭り中なのににんっしんしているゆっくりがいるね。食糧は大丈夫なの?」 「ゆっへっへ。だいじょうぶなのだぜ!!」 「しょくどうにあんないするわ!!みてびっくりしないでね!」 食堂とされる大き目の穴は大人が屈めば入れるくらいの大きさだった。中にはたくさんの野菜や果物、虫の死骸や草花などがぎっしり詰まっていた。 「この野菜は?」 「はたけさんからもってきたんだぜ!にんげんはずるいんだぜ!!おやさいさんをひとりじめするなんてずるいんだぜ!」 「この果物は?」 「にんげんのおうちからもってきたわ!いなかものがたべるよりとかいはなわたしたちがたべるべきよ!」 「(これは…)」 「(ええ。こいつらね。荒らしているのは。一思いに殺してあげようかと思ったけど苦しませて駆除した方がいいわね)」 「(…………言うねこの子)」 「どす!まりさたちはすごいんだぜ!!これならあかちゃんだってそだてられるんだぜ!」 「ふうん…ねえまりさ、野菜はどうやって大きくなるか分かってる?」 「しってるんだぜ!おやさいさんはかってにはえてくるんだぜ!」 「へえ…そうなの。ちょっとドスはれいむと話したいことがあるから外に出るわね」 「おそとはさむいよ!ゆっくりしないでかえってきてね!」 「ええ…。……ちょっと来て」 「あいよ」 「さて、どうやって苦しめますかね?案とかありますか?」 「ここがまだマシな方だったら洞窟に油撒いて火攻めにしようと思ったんだけどね」 「油どこにあるんですか?」 「さっき出会った所に置いてあるわ。赤ポリタンクよ」 「準備いいですね」 「火攻めだったら一瞬で終わるんだけど…。そうね、貴方は何か考えてる?」 「何か持ってきてますか?俺が持ってきてるモノだと……」 「それはいいわね。私が持ってきてるのは………」 果たしてどのようにして苦しめるのであろうか?彼らの話し合いは続く。 つづく by 虐待おにいちゃん
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/1332.html
あんまり熱いので川辺で涼しんでいたら、やたら甲高いカエルの声が聞こえてきた。 「ケローっ! ケローっ!」 なんだか泣いているらしい、生えた草を踏みつぶしながらこっちに向かっていく。 よく見ると、その後ろから水色のゆっくりが追いかけていた。 「アタイったらゆっくりね!」 どう見てもゆっくりだね。 どうやらゆっくりカエルはあのゆっくりに追いかけられているらしい。 ゆっくりカエルはぴょんぴょん跳ねて逃げ回るが、水色のゆっくりは上下に動かず、そのまま平行に動いて追いかけてる。どうやって移動してるんだ、こいつ? 「アタイったらゆっくりね!」 「ケローっ!」 突然、水色のゆっくりが一回り大きく膨らむと。 口から冷気を吐いて逃げてたカエルを凍らせてしまった。 ……おぉっ、そんなこと出来るのか。 「やっぱりアタイったらゆっくりね!」 「……あ、あ~う~……」 体が冷凍されてカエルの動きが止まっている。水色のゆっくりはそのままカエルに近づいていって……。 あ、食べた。 「あぁあああぁぁあぁあぁあっ!」 「ガジガジ」 「やめっ……たずっ……」 カエルシャーベットはあっという間に水色のお腹に収まっていった。水色の大きさは大体30センチぐらい、カエルも同じぐらいだったんだが……スゲェ喰うな。 「アタイゆっくりだよっ! ゆっくりしてるよ!」 食べ終わると高らかに周りに宣言し始める水色ゆっくり。周りには誰もいないのに誰に言ってるんだ。 水色の体は宙に浮き、その辺を行ったり来たりしている。 こいつ、飛べるのか。 飛べるゆっくりなんて肉まんかあんまんぐらいかと思ったが、他にもいるんだな。 ……。 暴れ回っている水色を見て思う。 こいつがいたら、部屋も涼しくなるんじゃね? ……。 取りあえず話しかけてみた。 「ゆっくりしていってねっ!」 「ゆっ? アタイゆっくりだよっ!」 ……それが挨拶なのか? 「ああ、見てたよ。見事にゆっくりしていたな」 「そうだよ! アタイったらゆっくりだからねっ!」 おまえの言ってることはよくわからん。 「なるほど。でもやっぱりゆっくりなら、よりゆっくり出来る場所に行きたいものじゃないか?」 「ゆっ? アタイゆっくりしてるよ?」 「ここもゆっくり出来るけど、俺はもっとゆっくり出来る所を知っているんだ。興味ないか?」 俺の言葉に、水色は眉間に皺を寄せて考えている。よくわかってないらしい。 ……ゆっくりは馬鹿だ馬鹿だと思っていたが。 こいつは、輪をかけて馬鹿だな。 あまりに話が通じないので、掴んで持っていくことにした。 「ゆっ! アタイに何するのっ!」 「冷てっ!」 水色に触った瞬間、手に走る冷たさ。手がくっつくかと思った。こいつ氷で出来ているのか? 急に触れて機嫌を損ねたらしい。冷気を出した時のように顔が膨らんでいた。 「おじさんはゆっくりじゃないね! どっか行ってね!」 いつ俺がゆっくりだって言ったんだよっ! ……ちょっと腹立ってきたぞ。 「お前だって、ゆっくりじゃねぇよ」 その言葉は心外だったらしい。凄い形相でこちらを睨みつけてきた。 「アタイはゆっくりだよっ! ゆっくりしているよ!」 「どこがだよ! 全身氷のゆっくりなんて聞いたことねぇよ! あんこ吐けあんこっ!」 「ムッキーっ! ゆっくりったらゆっくりだよ!」 「だったら付いてきて証明してくれよ。お前がゆっくりだって」 「いいよ! ゆっくりしにいくよ!」 売り言葉に買い言葉。 気づいたら、水色が家へ来る流れになっていた。 俺にとっては願ったり叶ったり……なのか? なんだか間違えた気が……。 家に連れてきて3時間もすれば、自分がどれだけ間違えていたかがよくわかった。 畳の上を歩いたら畳が凍りつく、冷気を吐かせて涼しくしようと思ったら「アタイやすうりはしないよっ!」と言われる始末。それじゃ西瓜でも冷やすかと水色の上に置いたら凍りつき、後々「なにするのさっ!」と怒られる始末。 そして何よりも。 「アタイったらゆっくりねっ! アタイったらゆっくりねっ!」 意味もなく騒いでいるのが最高に鬱陶しかった。 こんなに使えないなんて……。 俺は頭を抱える。正直とっとと放り出したいところだが、体が冷たすぎて触れない。それじゃ勝手に帰るのを待とうと思ったら、どうも家が気に入ったらしく、まるで帰る気配がない。 他のゆっくりなら食べれば済む話だが、正直、30センチの氷を食べるなんて考えたくもなかった。 まさか力ずくで相手に出来ないゆっくりがこんなに扱いづらいなんて……どうしたものか。 ……ん? 「アタイったらゆっくりねっ!」 相変わらず叫ぶゆっくりは放っておいて、俺は思考を走らせ始めた。 そういえば……。 立ち上がり、押し入れを漁り始める。ここに確か……お、あった。 俺は鉄のかたまりを持ち上げると、水色の目の前に置いた。 「ゆっ?」 鉄のかたまりを指さして、水色に言う。 「ここに平べったくて乗れそうな所があるだろう」 「アタイゆっくりだよっ!」 ……まぁ理解したってことだろう。 「お前ここに乗れるか? 無理かなぁ、狭いかなぁ?」 「ゆっ! アタイゆっくりだもん! のれるよっ!」 案の定、挑発に乗って移動する水色。普通のゆっくりなら苦戦しそうだが、空を飛べる水色はあっさりと上に乗ってみせた。 「ほらねっ! アタイったらゆっくりでしょっ!」 「はいはい、そうだね」 乗るのはすげぇ速かったけどな。 俺は鉄のかたまりの頭についているレバーを回していく。 ほどなくして、水色が上から押さえつけられた。 「ゆっ!」 さてと。 用意しておいた器を下に置く。 「何するのおじさん、アタイゆっくりだよっ!」 はいはい。 横のレバーを回し、かき氷を作り始めた。 「あ、ああ゛あ゛あ゛ぁあ゛あ゛ぁっ!」 水色が回転し、器に削られた氷が乗せられていく。 「あ゛がががががっ!」 シャリシャリと音が鳴りながら、あっという間にかき氷が出来上がった。 「あっ……あっ……」 おおっ、普通に食えそうだな。えーと……。 出来上がったかき氷を手に俺はふと気づく。 そういえばシロップがなかった……。 俺はかき氷を一端置くと、そのまま外へと出る。 どうせその辺に……お、いたっ! 「みんなゆっくりしてねっ!」 「ゆっ!」 「うん、ゆっくりするよっ!」 そこにいたのは、ちょうど手のひらサイズの子供達3匹を遊ばせようとしていたゆっくりれいむの家族だった。 取り合えず親れいむを蹴り飛ばす。 「ゆ゛ぐっ!?」 変な叫び声を上げて飛んでいく親れいむ。こいつらってよく歪むから、あまり遠くまで飛ばないんだよなぁ。 「お、おかあさんっ!?」 「なにするのおじ──」 有無を言わせず、その場にいた子供れいむをかっさらっていく。 「うわあ゛あ゛ぁあ゛ぁぁっ!」 「なにずるのっ! ゆっぐりざぜでっ!」 「おがあざーんっ!」 子供の声に活性化されたのか、いきなり親れいむが起き上がってくた。元気だなこいつ。 「れいむのあがじゃんがえじでぇえぇぇぇっ!」 シュートッ! 「めぎゃっ!?」 ゴーーーールッ! 綺麗な放物線を描いて、親れいむが飛んでいく。……我ながら綺麗に飛んだな、体歪んでるのにぜんぜん減速してねぇや。 あ、誰かの家に飛び込んだ。 「いやぁあ゛ぁぁあ゛ぁあ゛ぁぁぁあ゛あ゛っ!」 「おがあ゛ざあぁぁあぁあぁぁんっ!」 邪魔者を排除して、俺は家へと戻ってきた。 「あっ! どこ行ってたの! アタイをむしするなんておじさんゆっくり──」 煩いのでレバーを回す。 「あぎゃぎゃぎゃぎゃっ!!」 水色を黙らせて、俺はかき氷を確認する。よかった、まだ溶けてないな。 「おじさん! 早くれいむたちをかえしてね!」 「おじさんとはゆっくりできないよっ!」 「ゆっくりしねっ!」 手に抱えていた子供れいむたちを、そのまま手のひらで丸めていく。 「うぎゃぁあ゛ぁぁあ゛っ!」 「うぷぷぷぴゅっぷぴゅぴゅぴゅぴゅぴゅっ!」 「やめでうぶあおじあぶげまぜうぎゃっ!!」 しっかり混ざったあんこを、そのままかき氷の上に乗せた。 氷宇治あずきの出来上がりと……。 一口食べてみる。 ……うーん。 普通の氷宇治あずきより喰いづらいが、そのまま氷を食べるよりマシか……なにより甘いしなっ! 「ここか」 「ここだよ! ここに入っていったよ!」 「これで嘘やったらタダじゃすまさへんど」 あん? 玄関の方で声がした瞬間、大きな音を立てて扉が開かれた。 「ゆっくりっ!」 なんだ、さっきの親れいむじゃないか。……あれ? 「ちょっと失礼しますよ」 親れいむの後ろには男が付いてきていた。何だ? 「なんか用ですか?」 「いや、さっきこのゆっくりが窓から飛び込んで来てな。ふざけるなと怒鳴ったら、吹き飛ばしたのは兄ちゃんやって言うんで話聞きにきたんや」 ガラ悪っ! つーかこのゆっくり、あれだけけっ飛ばしたのになんで生きてるんだよ……。 「そう言われても、俺今日ここから出てないですし……」 「なにいってるのさ、さっき──」 レバーを回す。 「あぎゃがぎゃがっ! も、もうやめでよ゛っ!」 余計なことを言うからだ。 「それにゆっくりをけっ飛ばすなんて誰だってやるでしょ、俺だっていう証拠がないじゃないですか」 「まぁそうなんやけどな……」 俺の言葉に面倒くさそうに頭を掻く男。どうも泣きつかせて儲けようという考えだったらしいが、引く様子がないので迷っている。 そもそもガラス代も、この親れいむを加工所に連れていけばちょっとは金になるし、大きな騒ぎにしたくないのが本音だろう。 「ゆっ! そんなことないよっ! れいむを蹴ったのはおじさんだよっ!」 ……煩いのがまだいたか。 「だから証拠がないだろう。何かあるのかよ」 「れいむの子供どこにやったのっ! あの子たちがいる筈だよ!」 「この部屋のどこに子ゆっくりがいるんだ?」 周りを見渡す男と親れいむ。もちろん子ゆっくりなんて影も形も見あたらない。あるのはかき氷に乗ったあんこだけだ。 「ゆっ! そ、そんなはずないよ! どこにいるのぉっ!」 呼び掛ければ返事をしてくれると、親れいむが叫び始める。 その間に、男と目があった。 「……」 手に持っていたかき氷を見せる。 「……」 男は頷くと、そのまま親れいむを片手で鷲づかみにした。どうやら伝わったらしい。 「ゆっ!? な、なにするのお兄さん!!」 「どうやら嘘だったみたいだな……」 その言葉に、親れいむは饅頭肌を青くして震えた。 ……どうやって色変えてるんだ、この不思議生物。 「ち、ちがうよ、れいむうそなんて」 「それじゃ約束通り、加工所いこか」 「いや゛ぁぁぁあ゛ぁぁあ゛あ゛ぁぁっ! かごうじょばい゛や゛だぁぁぁあ゛あ゛ぁっ!!」 暴れ回るが、ゆっくりが人の力に逆らえるわけがない。 食い込む親指の感覚に震えながら親れいむは連れて行かれる。 ……。 出て行く瞬間、俺は親れいむが見えるようにかき氷を食べ始めた。 「あ゛あ゛っ!!」 扉が閉められる。 親れいむの暴れている声が聞こえていくが、もう俺には関係ない。 ……やれやれ。 ため息をついてその場に座る。予想してなかった騒ぎに疲れがたまった。 ……。 俺は最後の光景を思い出し、思わず顔がにやけてしまう。 あの絶望で満ちた顔に、俺は溜飲が下がる思いだった。 さて。 業務用かき氷機の方を見る。 「おじさんゆっくりじゃないねっ! 早く外してねっ!」 さっきは喋らなかったので、ちょっとは学習したかと思いきや、時間が経つとまた水色は喚き始めた。 ……やっぱり、馬鹿だから数分で忘れたんだな。 それだけ忘れられたら、人だと幸せに生きられるんだろうが、水色が忘れても鬱陶しいだけだ。 しかし、どうするか。 全部削って食べるのは流石に辛い。 いっそ、削ってそのまま流しに捨てるか。 水色を処分する方法を考えながら、取りあえず腹が減ったので俺は洗い場の方へ向かう。 「ちょっとむししないでよっ! アタイはむしたべるんだからねっ!」 ……。 一瞬、無視なんて知っていたのかと思ったが、やっぱり馬鹿は馬鹿だった。 何かないかと食材を探し始める。 えーと、何か食えるものが……。 ……あ。 「だからむししないでっ! アタイたべちゃうよっ!」 ……うん、面白そうだな。 俺はその場から離れると、今度はかき氷機に近づいていった。 「ゆっ?」 「わかったわかった助けてやるよ」 頭についたレバーをゆるめ、水色を動けるようにする。 途端、水色は俊敏な動きで逃げ出していた。 「ゆっ! ようやくアタイがゆっくりだってわかったみたいね!」 だから、その速さのどこがゆっくりなのかと。 「でもおじさんはゆっくりじゃないねっ! アタイそろそろかえるよっ!」 「ああ、帰るのか?」 「ええ! ゆっくりじゃないおじさんはとっととれいとうはそんされてね!」 破損してどうする。 「残念だな。せっかくエサを用意してたんだが……」 言った瞬間、水色がこっちを見ていた。凄い食いつきだな……。 「エサっ? アタイしたにはうるさいよっ!」 「ああ、ゆっくりには美味しいって絶賛されているものがあってね。それなら満足できると思ったんだ」 ゆっくりに絶賛と聞いて興味が惹かれたらしい、さっきまでとは打って変わって瞳が輝いている。 「いいよっ! ゆっくりたべてあげるねっ!」 「そうかい、それじゃちょっと待ってな」 俺はまた洗い場へ引き返す。 水色に与える食材を手に取り、そのまま引き返してきた。 「それじゃ今から目の前に置くから、ちゃんと凍らせろよ」 「もちろんだよ! アタイに任せておいて!」 顔を張って自信満々に言う。 俺は手を開き、素早く食材を置いた。 水色の顔が膨らみ、瞬間冷凍しようと冷気を吐く。 しかし、食材が凍ることはなかった。 「ゆっ?」 「なんだ、凍らないみたいだな」 食材は水色よりも小さいながら同じゆっくりだ。しかしゆっくりカエルを食べていた水色には特に疑問はないらしい。特に気にせず、どうして凍らなかったのかを考えている。ああ、馬鹿でよかった。 「まぁいいじゃないか。そのまま食べてみたらどうだ?」 「もちろんアタイそのつもりだよっ! おじさんはだまってて!」 はいはい。 言われた通り黙っておくと、水色は躊躇せず大きく口を開けて、そのゆっくりを飲み込んだ。 「もぐもぐ」 「……」 「もぐもぐ……っ!?」 突然、口を開いたまま水色が痙攣し始めた。 「どうした? 美味しくないかっ?」 「ちがうよっ! アタイゆっくりだよっ!」 なんか慣れたな。 「お、おじさんっ!」 「なんだ?」 「あ、熱いよっ! すっごくあつじっ!?」 水色が最後までいい終わらないうちに、食べたゆっくりは水色の頭を通って中からはい出てきた。 「もこーっ!」 それは、ゆっくりもこうだった。 やっぱり、中で燃えると溶けるもんなんだな。 「あ、あああああああああっ!」 水色の痙攣は止まらない。もこうはそのまま水色の頭に乗って燃え続けている。 「もっこもこにしてやるよっ!」 「とける、アタイとけちゃうっ!」 もう頭の上部分は完全に溶けて、俺の家の床を水浸しにしていた。あとで掃除しないとな……。 「おじさんっ! 水っ! 水ちょうだいっ!」 「水ならそこの壺に入ってるぞ」 言い終わった途端、壺に向かって飛んでいく。 しばらくして、水色の大きな声が聞こえてきた。 「なかからっぽだよぉおおぉおおおぉおおぉっ!」 そりゃな。もったいないじゃないか、水が。 俺は両手でしっかり抱え、そのまま壺に向かっていく。 中を覗き込むと、もう半分近く溶けきった水色がそこにいた。 「お……おじさ……アタイ……」 「何だかさっきよりゆっくりしてるなっ!」 「……ち、ちが……」 「そんなお前にプレゼントだ。受け取ってくれっ!」 水色の上へ抱えていたものを落としていく。 抱えていたのは大量のゆっくりもこうだった。 「あ……」 「もこたんいんしたおっ!」 全員が一斉に炎を纏う。 「……あた……」 あっという間に、水色は溶けきって水に変わっていた。放っておけば蒸発し、跡形もなくなくなるだろう。 俺は安心と落胆でため息をついた。 やれやれ、もうちょっと使えると思ったんだがなぁ……。 もこうは一定時間炎を纏う。出せる時間に制限があるものの、物を燃やす時はかなり便利だ。 俺は使えるゆっくりはちゃんと使っていくが、使えないゆっくりほど邪魔なものはない。 いいゆっくりは、使えるゆっくりだけだ。 さて……。 改めて飯を食おうと、洗い場へ近づいていく。 「もこーっ」 そこに残っていたゆっくりもこうが、元気な声を上げていた。 End ゆっくりちるのをゆっくりもこたんで溶かしたかった。 すっきりー。 by 762 このSSに感想を付ける