約 3,642,487 件
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/2891.html
(*)お兄さんがゲスです。 「おにいさんおかえりなさい!れいむのゆっくりぷれいすへようこそ!」 男がくたくたになって家に帰り着き、後ろ手で扉を閉めると男の前にゆっくりれいむがすりすりと靴箱から出てきた。 男に喋る饅頭を飼う趣味はない、つまりれいむはこの男の住居に無断で入り込み、おうち宣言をしたことになる。 しかし男はなぜれいむがここにいるのか不思議がるでも追い出すでもなく、目の前のれいむにゆっくりと近づくと、やさしく頭をなでた。 「ゆっゆー!もっとなでてね!」 れいむはバスケットボールサイズの健康な成ゆっくりのようだ、髪の毛の色つやは申し分ないし 目も透き通っている、男はれいむの脇に腰掛けると、身ごもっているのかを聞いた。 「そうだよ!れいむのなかにはかわいいあかちゃんがいるよ!」 胎生型にんっしんをしているようだ、男はなんとなくれいむに気づかれぬよう 廊下の奥のパソコンのおいてある部屋を盗み見た、れいむ以外のゆっくりが居る形跡はない、旦那役が居ないのだ。 饅頭の機嫌を取っても空しいだけだ、男は旦那の所在を聞いた。 れいむの夫であるゆっくりまりさはゆっくりの中でも賢かった、しかしれいむがにんっしんしたすぐ後 人間のおこぼれに預かろうと焼却炉の中の生ゴミをあさっていたところ、炉の扉が閉められかえらぬゆっくりとなったのだ まりさが最後に思った事、それは「何故、人間に迷惑を掛けていない自分が焼かれなければならないのか」という事だった 所詮ゆっくりの浅知恵などその程度の物なのだろう。 まりさは自身の体が炎に包まれ、永遠にゆっくりできなくなってなお、焼却炉が一体何のための装置なのかを理解する事はなかった。 そんなことはれいむはもちろん、男も知るよしがない。 「かりにいったらかえってこなくなっちゃったよ・・・。」 あらかた予想される社交辞令を述べて男はパソコンのある部屋へ入っていった 後に残されたれいむの頭の上にはエクスクラメーションマークが浮かぶ。 何故だ、こんなかわいそうでかわいいゆっくりには おにいさんはおいしい食べ物をたくさんくれてしかるべきだというのに、れいむはてんてんとお兄さんの部屋へと跳ねていった。 「おにいさん!れいむはおなかがすいたよ!はやくごはんもってきてね!」 男はふすまの隙間からこちらを見上げるれいむを一瞥すると 机の上にもう半年ほど転がっていたサラダせんべいを3枚れいむの前に置く。 といっても、これは一枚づつラップされているので、このままではゆっくりは食べる事ができない 体つきれみりゃがポテトチップスをパーティー開けした事があると、ゆっくりを飼っている同僚が言っていたのを思い出すと 男はれいむの前のサラダせんべいをそのままにしてみることにした。 「ゆゆ〜、お兄さんはとってもゆっくりできるね!ほんとうはもっとはやくもってくるべきだったけど、れいむはかんだいだからゆるしてあげるね!」 饅頭が何と喋ろうとどうという事はない、どうせ猫や犬が喋れるようになったとしたら、年がら年中こんなことを喋っているはずだ その点で男は動物を飼っている人間が何を考えているのかよく解らないと、常々思っているのだ。 とはいえボウフラではないこの男には、もちろん純粋な青少年期があった その当時野良犬を拾い飼っていた男は「お手」や「お座り」を「原爆」「ぽん酢」と言った具合に言い換えてその犬に教えていたが。 それでもなお犬がこちらの意のままの動きをするのを見て 犬が人間の言葉を介して意志を理解する動物の優良児がごとき扱いを受けているのに無性に腹がたったものだ。 ―思えばあの頃から、俺は頭の使いどころをかなり間違えていたのかもしれないな。 男はため息をつくとテキスト編集をやめてれいむに向き直った。 れいむは文句一つ言うことなく一生懸命にパックと格闘している、ゆっくりにしては謙虚な性格だ もっとも腹が減ったので文句を言う事すら忘れているだけなのかもしれないが、にんっしんしたゆっくりは普段以上に燃費が悪いのだ。 男はれいむがまだ手をつけていないパックを開いてやると、れいむに咥えさせて、風呂ガマに火を入れた。 「おにいさん、れいむはもうねむいよ。」 ならそうすればいいじゃないか、言うまでもなく男はれいむを見おろした。 「こんなところじゃねむれないよ!ゆっくりべっどをよういしてね!」 男はため息をついてからロフトベッドに登り、れいむの脇に枕を投げつけた。 「このおふとんさんはあんまりゆっくりしてないよ!でもれいむがまんするよ!」 男は、胸くそが悪くなってしまう前に風呂に入った。 翌朝のこと。 「う゛、うまでる゛うぅぅぅぅぅ!」 男は不快な音で目を覚ました、れいむが産気づいたのだ。 案外速かったな。 男は、初めてれいむを見たときから予定していた行動に移った、会社にはメールで休む旨伝えてある。 男は、もちろんゆっくりを愛護する人間ではない。 しかし彼の今までの行動は、多少の不足はあってもれいむを少なくともそれなりにゆっくりさせている。 彼にとってはこれも、長い長い虐待の一環に過ぎないのだ。 男はれいむの裏に回って、ここのところよく使うようになった引き出しの、一番上の段を開いた。 「おにいざ゛ん、なにじでるの?でいぶぐるじいんだよ?はやぐずーりずーりじでね!」 野生のゆっくりは出産の際夫役のゆっくりが奥さんにすーりすーりして苦痛を和らげてやる 頭の回らないれいむでもそのことは遺伝子が覚えているのだろう、しかしこの期に及んで男にとってそんなものは加虐心をかき立てられる音楽に過ぎない これから幕を開けようとしてる甘美な時間、その訪れを告げるファンファーレのなのだ。 引き出しの一番上、今まで男の理性によって抑圧されてきた悪意たちが、次々と牙を剥く ピンセット、包丁、アルコールランプ、そして手動の泡立て器。 どれもこれも一見すればただの便利な文明の利器、しかし男の悪意がそれらに憑依したとなればそれは別の話だ。 「ゆ゛っ!」 男は、れいむの前に仁王立ちになった。 男が身を固めたのは白衣、そう、十匹のゆっくりが居ればその十匹全部が怨嗟の念を込めて「かこうじょ」と呼ぶ施設の職員たちの装備だ。 「おにいざん!ぞんながっごうでなにじでるの!?」 「よくもまあこんな危機感のない生き物がこの世の中を生きてゆけるもんだよな、本当に頭にくる生き物だ。」 「なにいっでるの?ばが」 「人間ってのはな、相手に合わせるって事ができる生き物なんだよ、それを仲間が何匹も何匹も何匹も殺されたってのに 一向に学習しねーでおうち宣言、飯持ってこい、ゴキブリでももっと慎ましやかに生きてるってんだよ、穀潰しが。」 れいむの顔がみるみる青ざめる、そうだ、これは罠だったのだ、安心してこんなところに飛び込んだ自分が馬鹿だった。 れいむは、何百回目かの「生まれて初めての後悔」をした。 「聞いてんのかよ、舐めやがって。」 「やべでえええええ!あがぢゃんう゛まれでぎじゃだめだよ、ごのじじいはゆっぐりでぎだいよ!」 「俺がゆっくりできなきゃどうすんだよ。」 「ゆ゛っぐりじないでにげるよ!くそじじいはぞのままじ、ゆ゛!なにずるの!?」 男はれいむを持ち上げると、手元のアルコールランプに火を点け 石綿あみを乗せた三脚の上にれいむを移した、すでに網は手では触れない温度になっている。 「おにいざん、おろじで!」 男は表情を変えることなく次の作業に移る、包丁を持つとれいむの後ろに回りこみ、後頭部にその切っ先を差し込む。 「ああああああああああああ!やべでぇええ!」 「黙れ屑が、お前がどれほど生きる価値もない生物か、今から教えてやるんだ。」 「れいぶが何かわるいごどじだならあだまりまず、おでがいだがらあがぢゃんだげは!あがぢゃん」 体に手をつけられた事で、それが体内の子供をねらった物だと思ったのだろう、しかし損な生ぬるい男ではない。 「黙れってのが解んねえのか?言ったことを理解できてねえようだな、おまえらが生きてるってだけでこちとらものすげえストレスなんだよ。」 「うぎいいい!」 れいむの頭に直径5センチほどの穴が開いた、男はそこから、先ほど取り出した泡立て器の先端を差し入れる。 「あががががあ、いだあぁ!いぎぎゃああぁ!」 妊娠のために大量のあんこをため込んだ体はれいむの意に反して非常に打たれ強い 普通のゆっくりならばショック死してしまうようなこの刺激にも、母としての体が抵抗しているのだ。 「やべでぐだざいぃぃいい、あがぢゃんだげ・・・あがぢゃんだげげげげげ」 中枢餡に達したようだ、男は口角だけをあげて笑うと、れいむのつむじの部分にピンセットの尻の部分を突き立てる、ゆっくりの出産を促すツボである。 「あがああ!だべぇえ、あがぢゃんっででぐるなあああ!」 そんなれいむの叫びも空しくれいむの産道はみるみる広がり、何も知らない赤ん坊が無垢な笑顔を浮かべながら、待望のおんもへ飛び出した、一人っ子である。 親二人子一人、幸せを甘受するにはこれ以上に似合った器はない、が、残念ながらゆっくりにそんな資格はない。 「ゆっきゅりしていっちぇね!」 「あああ・・・あがぢゃん・・・でいぶがおかあざんだよゆっぐりぢでいっでねぇ!」 愛する伴侶との待望の子供、足の焼ける痛みも頭に刺さった異物も忘れ、れいむは笑顔を浮かべた。 悪い景色ではない、あまねく生き物の母と子の交流は見ていて心が和むものだ、男はため息をついた、当然ゆっくりだって例外ではない。 しかし、ゆっくりはその普段の素行が問題なのだ、人間同士でも自分の憎む相手の幸せを破壊してやりたいという感情が沸くようなシチュエーションなど このすさんだ世の中には掃いて捨てるほど存在するが、罪に問われるためそれを実行するようなことはそうそうない。 しかし、ゆっくりをどうしようとそのような事はない、男の行動は得てしてまっとうな行動に過ぎないのだ。 「りぇいむのおきゃーしゃん、しゅーりしゅーりちようにぇ!」 「だめだよ!はやぐごごがらにげで!ごごはあっづぐでゆっぐりでぎないよ!」 「お母さんは今にんっしんの痛みで疲れているからね、そっとしておいてあげてね。」 男は口添えした。 「このじじいのいうごどなんてきかないで、さっさとにげてね!」 多少傷が回復してきたのか、濁点が少なくなってきたようだ、親れいむの言葉にうろたえる子れいむ。 そういえばお母さんは何か変だ、変な台の上に置かれている、焦げ臭いにおいもする それでも母れいむ以外を目にしたことのない子れいむに取って、それが最愛のゆっくりである事には変わりなかった。 親が足を焼かれ、おろおろとするばかりの子れいむ 「どうしてこんなことするの?」と泣き叫んでくれるのを期待していた男にとって、目の前の押し問答は退屈なものでしかなかった。 男は、ここから一気にたたみかけることに決めた。 「おいれいむ、生きて帰りたいか?」 「じねぇええ」 「おい!」 れいむの頬を叩く、子供が騒ぎ始めたがうっとうしいので気にしない。 「おうぢがえるう゛ううう!はなぜえええ!」 「わかった、そうしようか、その代わり条件がある。」 男は三脚からアルコールランプを外した、直接足を焼けばもう二度と歩き回ることはできないが こうして石綿あみを使えば、地面をすりすりとはいずって歩く程度の事はできる。 最後の最後まで望みを捨てさせないこと、それが男がゆっくりを虐待する上での信条なのだ。 「じょうけんってなに!はやくしてね!れいむはあかちゃんといっしょにかえるよ!」 「生きて帰るなら、お前のあんこを少し頂く。」 「そのぐらいだったらぜんぜんかまわないよ、ちょっとのあんこのためにしぬとおもったの?やっぱりじじいはばかだね!」 さっきまで痛みにのたうち回っていたというのにもう性根の悪い笑みを浮かべている。 これ以上なく馬鹿で救いようのない饅頭だ。 男はほくそ笑んだ、自分の頭に刺さっている物が何のための物なのか、類推解釈することすらできないらしい。 「よし、なら約束通り、後であんこを貰うぞ?」 「いいからさっさとしてね!あかちゃん!おくちのなかにはいってね、こんなゆっくりできないところからひなんするよ!」 ぺろりと舌を出して子れいむを招き入れるれいむ 怖くなったのか子れいむは「ゆーん!」と癪に障る鳴き声を上げながら母親の口の中に入ってゆく。 予想外の行動だったが、男の悪魔的な思考はここでさらなる虐待法を思いつくに至った。 「さあ!さっさとあんこをとってね!いたくしたらころすよ!」 「ああ、わかった、赤ちゃんにさよならを言っておけ。」 「ゆっ?何言ってるの?」 そして、男は実にゆっくりと泡立て器のハンドルに手を掛けた。 中枢神経が破壊されると、生物はてんかんに似た症状を発言する、意識障害、不随意運動などがそれだ、つまりけいれんである。 ゆっくりはその発現が顕著で、強い衝撃を与えられると白目を剥いて痙攣するというのはあまりに有名だ 今回男は、そんな衝撃の中でも、最強の物を、今からこのれいむに与えようとしているのだ。 「あかちゃん!おかあさんのおくちからはやくでてね!はぎぃ!きゅっ!きゅゆゆゆ、ゆいいいい!」 突如、れいむが歯を食いしばって、耳をつんざくような金切り声をあげた。 男はゆっくりとハンドルを回していた手を休め、泡立て器を引き抜いた。 母れいむの脳に当たる部分はまだ多少機能しているのか、こちらを向いて何かを訴えるように飛び跳ねている しかしすでに平衡感覚がすでに狂っているのか、飛び跳ねる方向はめちゃくちゃで、食いしばったまま開かない口の中の子供が助けを求めるくぐもった声が聞こえてくる。 「いぢゃいよぉおおお!おかーしゃん!おくちをあけちぇ!りぇいむのおめめ!みえないよぉ!!」 「いぎいっ!ぎぎっ!きゅきいぃい!」 表情を司る神経もズタズタになってしまったのだろう、普段のれいむの表情からはおおよそ予想もつかない 物理的になんらかの転換が起ように変貌してしまったれいむの表情に、男は鼻でため息をつきながら言い放った、相手にそれが聞こえているという保証はない。 それは既に男の自慰行為の範疇の出来事であった。 「俺はよく混ざったあんこが大好きでね。あばよ屑共、世の中そう甘いことばっかりじゃねえんだ、せいぜい甘くなってくれよ。」 「ゆゆゆゆゆゆゆゆ、ゆいっ!ゆききききっ!きゅいいいい!いいいいいい゛!!!」 男は再び、思いきり泡立て器のハンドルを回し始める。 「いーっ!いいーーっ!いぎいいい!ぎいいいいい!!」 れいむの伴侶であるまりさを焼き殺したのは、誰でもないこの男だった 二、三日前からゴミ捨て場の焼却炉の周りをうろついているまりさに目をつけていたのだった。 ゆっくりは普通単独では狩りをしない、まりさに男が訪ねたところ 家には身重の妻が居るという、そう、事は最初から男の手のひらの上で回っていたのだ。 男は、二度と開くことのない母親の口の中で泣き声をあげ続ける赤ん坊の声に耳を澄ましながら まりさの幸せそうな表情を思い出していた、母親の口の中で、器用に目の部分だけを母に噛みちぎられ泣き続ける「しあわせ」を眺めながら。 男の家の扉、犬用の出入り口のようなゆっくりサイズの扉の上に、かわいいゆっくりの挿絵の入った、こんな表札がかかっている。 「ゆっくりみぼうじんきゅうさいじょ ゆっくりしていってね!」 こんにちは、初めて書いてみました。 かわいいからこそ、殺したくなる、ぶちこわしたくなるんです。 By お前の母親
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/2836.html
※これはドキュメント番組のような感じです ※人間は殆ど関わりません ※描写薄いです ゆっくりプライド ゆっくりは生活環境によりその住む形態も大きく違うと言う。 一般的に広く知られているのは家庭を作り、子を育てながら冬を越すというものである。 他にも蜂のように働く階級が決められており、それに沿った行動をするという群もあるという。 そこで、他の地域のゆっくりを見てみることとする。 「ゆゆ、もうすぐあかちゃんうまれるよ!」 ここにいるのはすっかり大人になりにんっしんっしたれいむ。 子供が出来たため、群から離れたと見える。 その体は下に大きく膨らんでおり、いまにも子供がでてきそうである。 「あがぢゃん!ゆっぐりうばれでぎでね!!!」 大体にんっしんっしてから10日から20日位だろう、そろそろ子供が生まれるようだ。 すぽ、すぽん、すっぽーん 「「「ゆっきゅりちていってにぇ!」」」 体の下のほうがみちみちと開き、3匹の子供が生まれた。 生まれたのはれいむが2匹とまりさが1匹。 舌っ足らずだが元気よく挨拶をしている。 「ゆっくりしていってね!」 生まれた子供に優しく挨拶をするれいむ。 ここまでは良く見る光景である。 「それじゃおかーさんはごはんをとりにいってくるからゆっくりここでまっててね!」 「「「ゆっくちわかったよ!」」」 子供が生まれてすぐだと言うのに、このれいむは狩りをするというのである。 それもそのはず、周囲は多くの小形動物が多くおり、またゆっくりの天敵と言う天敵もないのだから。 そのため安心して食事を集められ、それをすぐに消費しても問題ないのだ。 「ゆっゆっゆ〜ゆっくち〜」 「ゆっくしちようね!」 「ゆっきゅりだにぇ!」 のんびりと過ごす子供達。 親が食事をくれて、夜は皆でぐっすり寝て。 子供達は思い思いにゆっくりしたり、じゃれあいながらすくすく育ち、親と同じ位の速さで移動できるようになった。 「それじゃ、そろそろゆっくりむれへもどるよ!」 「むれ?」 「みんなのおとーさんやおともだちがいっぱいいるところだよ!」 「おとーさん!あってみたい!」 「それじゃみんなでいこうね!」 「ゆっくりいくよ!」 こうしてこの親子は自分達の群に戻る。 「ゆっくりいくよ!」とか言いつつも全力疾走で戻っていくのだ。 子供が置いてきぼりになるかと思ったが、この親子は頑張って1匹も欠ける事無く群へと戻ったようだ。 「ゆっくりしていってね!!!」 「「「「ゆっくりしていってね!!!」」」」 お決まりの挨拶をする親子。 「まりさがむれのりーだーだよ!まりさはむれでいちばんつよいんだよ!」 「ごはんはみんながあつめておとうさんのところにもってくるんだよ!」 ここでは雄役のゆっくり1匹に対し多くの雌役ゆっくりが囲うという生活体系がある。 言い換えるならハーレムとでも言おうか。 このまりさが群の中に居る他のゆっくりをにんっしんっさせていると言う訳だ。 「「「「ゆっくりしていってね!!」」」」 「「「ゆっくりしていってね!れいむたちのおとーさんもまりさなんだよ!!!」」」 この群にはとても沢山のゆっくりが集まっていた。 しかしそれでも取れる餌が多く、また他のゆっくりがすっきりしないためにそこまで爆発的な繁殖はしないようだ。 「ゆっくりしていってね!」 と、ここに来客のようだ。 やってきたのはありす種。 「「「「「ゆっくりしていってね!」」」」」 群のゆっくりがそれぞれ挨拶をする。 「ありすはこのむれのまりさとしょうぶしにきたのよ!」 「このまりさにいどむの?おお、むぼうむぼう」 ゆっくり同士の勝負が始まった。 とはいえその戦い方はいたってシンプル。 「ゆっくりたおれてね!ゆべっ」 「ゆっくりまけないよ!ゆびっ」 体当たりをお互い繰り返し、先に力尽きた方が負けである。 べちべちと体当たりの音が当たりに響き渡る。 周囲のゆっくり達は勝負の行方をただただ見守るばかり。 「これでとどめね!」 「ゆゆ…ゆっくりこうさんするよ……」 数十分にも及ぶ体当たり勝負の行方はありすの勝利で幕を閉じた。 「これでこのむれはありすのものね!!まけたよわいまりさはゆっくりしないでこのむれからでていってね!」 「ゆっくりわかったよ……」 群のトップは戦いを挑まれたら受けねばならず、それに負けたほうは群れを諦めなければならない。 元群のトップはすごすごと群から退散していった。 「さて、それじゃはじめないとね」 不敵な笑みを浮かべるありす。 1匹1匹の元へ挨拶をしている。 「きょうからありすがここのりーだーだからね!ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしていってね!」 ありすの声に、群に戻ったばかりの子れいむが答える。 「あなたはあのまりさのこどもね」 「そーだよ!」 「げんきなおへんじありがと!ゆっくりつぶれてね!」 「ゆ?」 ありすが勢いよく跳躍する。 ぐちゃ。 子れいむはありすの下敷きになり、その短い生を終えた。 「ありすのこどもじゃないこはゆっくりでてきてね!」 この群では、群のリーダー以外の子供のゆっくりは全て潰されるのだ。 今回のようにリーダーが変わった場合は、子ゆっくり全てが殺されるという大虐殺が行われる。 「ゆわぁぁぁぁん!おがぁざぁぁぁぁぁん!!!!」 「どぼじでばりざをづぶずのぉぉぉぉ」 「ゆっぐじでぎないぃぃぃぃぃ」 次々と潰され、その度にありすに暴言を吐く子ゆっくり達。 「まりさがたおされたからしかたないよ、ゆっくりりかいしてね…」 「ちびちゃんのぶんまでゆっくりするからね…」 一方で悲しそうな目を向ける母親ゆっくり。 群の法則故致し方ないのだ。 そしてこのアリスは全ての子ゆっくりを完膚なきまで潰した後に、他のゆっくりに種付けを行う事になる。 そうする事で群を維持していく事になるのだからだ。 「ゆゆぅ…」 戦いに敗れたまりさは他の群を探す為に一人寂しく放浪する事になる。 元々雌役が狩りを行うこの場所において、雄役が生き残るには一刻も早く群を見つけてリーダーになるしかないのだ。 雄役は強くてなんぼなのだ、狩りが出来る出来ないはここでは関係ない。 そしてあまり虫を食べる事無く、お腹を空かせたまま遠くまで来てしまったようである。 「おなかへったよ…」 疲労困憊の上空腹となったまりさ。 「ゆぅ…あそこにおいしそうなものがはえてるよ…」 ふらふらと目に見える美味しそうなものに向かっている。 そこには何やら立て札があり、規則正しく作物ができていた。 そう、このまりさは人間の住処までやってきたのだ。 そして本能の赴くまま野菜に噛り付く。 「うめっ!めっちゃうめっ!」 その美味しさに一気に活力がみなぎってくるのをまりさは感じているのだろう。 一心不乱に野菜を貪っている。 元気になったらどこかの群を奪ってここを群の根城にしよう、なんて考えさえこのまりさには沸いてきているのかもしれない。 と― 「やれやれ…」 この畑の持ち主である男が現れる。 ゆっくりは普段はこの辺りまで来る事はないものの、時折こういったことがあるらしい。 男はまりさを摘み上げる。 「ゆ!しょくじをじゃましないでね!ゆっくりごはんをたべてるんだよ!」 「…これだから『害獣の王』とか呼ばれるんだよなぁ」 自らの要求を通そうとするまりさを、男は地面に思いっきり叩きつける。 べちゃ、という音と元々持っていたであろう訳の分からないプライドと共にまりさは物言わぬ塊と化した。 この地域ではゆっくりに『害獣の王』という不名誉な二つ名があるようだ。 場所や環境により、ゆっくりの生活方法は様々のようだ。 違う環境のゆっくりを取り替えて群に放り込んで見るのも面白いかもしれない。 生活に馴染むのか、それとも争いが起こりのけものにされるのか、はたまた群の仕組みを変えるだけの事が起こってしまうのか… 何にせよ、これだけいじるのに向いた存在もそうそう居ないだろう。 ※この番組では、様々な生活体系をもったゆっくりの情報を募集しております。 採用された方には― 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 「だってよ」 「ふーん」 TVを見ながら会話をする2人の男性は酒のつまみに子ゆっくりを口に入れていた。 「全く持って不可思議な奴らだ」 「ま、話のタネ位にはなるかもな」 男達は今日も仕事帰りの疲れをゆっくりと癒すのだった。 あとがき 名前を今まで決めてませんでしたが、ムラッけ木槌と名乗る事にします。 ここでいうプライドはライオンの群(プライド)の見立てとまりさのズタズタに引き裂かれたプライドの事です。 周辺に天敵が居ないっていう設定はよく見ますがそこをライオンのそれに置き換えてみて… そしたらゆっくりできない逃れの同属殺しがあったものです。 ライオンに関わらず同属殺しの麗は多いですしね、ハムスターとか。 今まで書いたもの 博麗神社にて。 炎のゆっくり ゆっくりを育てたら。 ありす育ての名まりさ 長生きドスの群 メガゆっくり ゆっくり畑 益ゆっくりと害ゆっくり ゲスの行き着く先 つかれたまりさ 噂・ゲスの宿命 ゆっくりすること 決断 くっつくよ!!! ゆっくり勝負
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/4333.html
現代もの ゲス、レイパー、ドス バッジ設定あり 俺設定 虐待分薄め? 「ゆっくりの失踪事件、ですか?」 渡された資料に目を通しながら、俺は編集長に言った。 都内にある、とある出版社の編集部。俺はここでゆっくりの総合雑誌である『月刊ゆっく り』の作成に携わっている。 ゆっくりの生態から飼い方、取引価格の相場に法改正の動き、愛でに虐待と何でもござれ の雑誌だ。愛でと虐待のページがそれぞれを好む読者への配慮として閉じられているため、 全体の半分が袋とじという妙な外見となっている。 五十代も半ばを過ぎた上司は、かけた眼鏡を押し上げてから俺の言葉に頷いた。 「ペットの盗難事件じゃ……ないようですね」 最初に考えたのはそれだ。 希少種や有名なブリーダーのしつけを受けたゆっくりは高値で取引される。それを狙った 犯行がかつて流行ったが、労力の割りに合わなかったのか、すぐに下火になった。 現在起こっているゆっくりの盗難は極端な虐待派か、極端な愛で派のどちらかというのが 実際のところだ。 今回もそんなところだろうと思ったが、資料によると被害を受けているのは―― 「失踪しているのは野良が大半だ。飼いゆっくりのケースもあるが、報告は少ない。 加工所の野良対策部からの情報が23件、飼い主からの情報が5件だ」 「……これ記事にする価値、あるんですか?」 俺はそう言わずにはいられなかった。ゆっくりが、特に野良がいなくなることなど珍しく も何ともない。 現代日本に突如として現れた謎の動く饅頭、ゆっくり。奴らは生物として、種として、異 常と言えるほどに弱い。 他の動物に食料にされ、池や川に落ち、車に轢かれ、辛味を食して中身を吐き、人間に潰 される。 今回もどうせ人目につかないところで死んだのだろう。 しかし編集長は、そんな俺の考えを見通したかのように言った。 「ただ死んだのならば無いだろう。だが死んだのではなく『いなくなった』のだ。 仲間であるゆっくりの目の前で、忽然と消えたらしい。 飼いゆっくりの方は、飼い主が直接目にしたケースが無いから何とも言えないが……」 言うなれば、ゆっくりの神隠しか。俺はこの件に興味を持った。 どこから来たのか解らず、言葉を話し、中身は餡子。そんな不思議ナマモノに、新たな不 思議が加わるかもしれない。 子供のような好奇心に感情を揺らされ、俺は笑みを浮かべていた。 「分かりました、締め切りはいつですか?」 「雲をつかむ様な話だからな、そもそも記事にならないかもしれん。 取りあえず二週間後としておくが、形にならなくても報告はしてくれ」 他の仕事も有るが、終わる目処は付いている。差し当たっての問題は無いだろう。 俺は編集長に頭を下げ、自分のデスクに戻った。 タバコを咥え、火をつけようとすると隣のデスクの同僚から「禁煙です」と言われた。 そんなことは分かってるよ、癖だちくしょうめ。ちょっと前から喫煙所以外では吸えなく なった。世間での流行りらしい。 俺はタバコを箱に戻すと、混沌としたデスクの上を整理し始めた。 結局その日は、資料を読むのと、事件に遭った飼い主に取材のアポを取るので終わってし まった。 ――ゆっくり失踪事件―― 「八雲出版『月刊ゆっくり』のものですが」 2日後、静かな住宅街にある一軒の家の前で、俺はインターホンに向かっていた。 取材に応じてくれた飼い主の一人の家だ。かなり大きな庭付き一戸建てである。裕福な家 庭なのだろう。 ここの夫人はゆっくりれいむを一匹飼っていたが、一月ほど前に失踪したらしい。 機械越しに二、三言葉を交わした後で、飼い主である夫人の案内でリビングに通された。 金をかけている。家の中に入っての第一印象はそれだった。家具はどれも気品漂うものだ。 茶を淹れると言って席を離れようとした夫人に、飼っていたゆっくりの写真は無いか、と 尋ねた。 「それでしたらアルバムが有りますので、持って参ります」 「いえ、一枚だけで結構ですので、なるべく新しいものをお願いします」 あら残念、とばかりに夫人は肩を竦め、リビングから出て行った。 危ないところだった。電話での態度からすると、夫人はれいむを溺愛していたようだった。 アルバムを見ながらの解説付きゆっくり自慢なんてのは堪らない。 「これが、私の飼っていたれいむです」 戻ってきた夫人から差し出された写真には、しつけ度最低を表す銅色のバッジをリボンに 付けた、バスケットボール程のでっぷりと肥え太ったゆっくりれいむが写っていた。 下膨れの身体に、にやけた口元。垂れた目尻に、つり上がった目元。そして撮影者を見下 すような視線。 栄養状態が良かったからか肌のツヤ、髪質は申し分ないものの、間違いないだろう。素人 の金持ちがゆっくりを飼うと、甘やかしてしまって大概はこうなる。こいつはゲスれいむ ――『でいぶ』と呼ばれる存在だ。 出された紅茶を一口飲んでから、俺は本題を切り出した。 「それで、失踪していたゆっくりの話ですが……」 それからが大変だった。よくもここまで舌が回るものだと感心するほど、夫人は飼ってい たれいむについて語り始めた。 自分がどれほどゆっくりを可愛がっていたか。 どれほど可愛かったか。 失踪したことでどれほど自分が悲しんだか。 それらを延々と語った。 「食事は毎日最高級のゆっくりフードを三回、おやつには有名なパティシェ監修のケーキ を与えていましたわ。 それでもグルメなんでしょうね。より美味しい食べ物をねだって来て、その時の眼差し が愛らしくて……」 こちとらコンビニ弁当が主食だというのに、いい身分だ。挙句にそれにさえも満足できな いとか、甘やかすにもほどがある。 「れいむに食べさせるために、評判のお菓子屋を回るのが趣味になってしまいました。 でも可愛いれいむのためですもの、苦労も喜びのうちですわ」 飼い主は嬉々としてやっているし。親バカならぬ飼い主バカだ。仕事柄この手の人間には よく会うが、何度目でもうんざりする。 「部屋はすぐに庭に出れる日当たりの良い二十畳ほどの部屋を与えてあげましたし、庭の 外にも出たいと言うので塀にれいむ用の出入り口を作ってあげました。 とってもきれい好きで、少しでも部屋が汚れるとちゃんと掃除の必要があると伝えて来 ますのよ」 俺の部屋なんてボロアパートの6畳1R……やめよう、これ以上は自分が惨めになる。 それときれい好きなら自分で掃除ぐらいしろと。 「自尊心も強くて、おもちゃで遊んであげようとすると、それは自分のものだと主張して、 小さな身体で必死にじゃれついてきて、本当に可愛らしかったものです。 他にも……」 じゃれてるんじゃなくて、攻撃していたんだろう。れいむが飼い主と自分の立場を理解し ていたとも思えないし。あ、遠い目してる。これは止まらないな。 だが聞きたいのは失踪の瞬間の状況だ。これ以上このマシンガントークに付き合ってはい られない。夫人に目をやると、涙を流して悲しみに嘆いている。俺は気づかれないよう溜 め息をついて、気合を入れるように紅茶を飲み干した。既に冷めてしまっている。 それから何とか夫人を宥め、失踪当時の状況を尋ねたものの、大した情報は得られなかっ た。 その日れいむは昼食を食べるといつものように(午後の日課らしい)家の外に出かけてい ったが、夕食の時間になっても帰らない。飼いゆっくりの証であるバッジには発信機が付 いているため、それを頼りに探したが見つかったのはバッジだけだった。近所の公園に落 ちていたバッジは無理やり外された様子も無く、周囲には何の痕跡も無かった。 そこで夫人は公園に住んでいる野良のゆっくりに尋ねてみたという。 野良ゆっくりたちは、確かにバッジを付けたれいむが来ていたこと。 そのれいむは「自分をゆっくりさせろ」と繰り返し、非常にゆっくりできなかったこと。 現れてしばらくしてから、れいむは突然消えたこと。 以上のようなことを久しぶりの「あまあま」に舌鼓を打っていた野良たちは、食事の邪魔 をされたことに気分を害しながらも餡子まみれの口で答えたらしい。 その野良を命の危険があるところまで叩きながら聞いたというので、間違いは無いだろう。 最初は野良が食べている「あまあま」が、自分の飼いれいむだと思ったらしい(結局ただ の饅頭だったとか。ゆっくり好きの人間が与えたのだろう)。 愛で一辺倒の飼い主かと思ったが、飼いれいむを食われたと勘違いして怒り心頭だったと はいえ、中々ワイルドなことをするものだ。 自身もゆっくりを飼っているのに野良にはそんなことができるのか、とそれとなく言って みたが 「ウチのれいむと薄汚い野良ふぜいを一緒にしないで下さい!」 と烈火のごとく怒られてしまった。藪蛇だったか。 収穫はそれだけだった。結局何も分かっていないに等しい。 その後も何日かけて被害に有った飼い主のうち、アポの取れた人に話を聞いたが、有力な 情報は無かった。 共通点といえば、飼い主は揃って飼いゆっくりを甘やかしていたことぐらいだ。 そして必然的に、その全てが筋金入りのゲスゆっくりだった。ゆっくりに筋も金も無いが。 ある飼い主を訪問したときは、そんなゆっくりのホームビデオを延々と見せられて辟易し たものだ。 食事、部屋、飼い主の対応。ありとあらゆる環境に対して文句を言い、飼い主を罵倒する。 無能だ。この奴隷が。じじい。ばばあ。 貧弱な語彙であらん限りのい悪態をつく。 こんなゲスをよく可愛がれますね、とリニア長野ルートばりの限りなく迂遠な言い方で尋 ねてみたが 「いやあ、この素直じゃないところが可愛くてね。ツンデレっていうやつ? 内心では感謝しているのに口を開けば憎まれ口が出てくるのが良いんだよ」 と根本から理解していないようだった。ダメだこいつ、もうどうにもならない。 「仕方ない……野良をあたるか」 最後に尋ねた飼い主の家を出た後、タバコに火を点けながら俺は呟いた。 報告件数こそ多いものの、野良よりも飼いゆっくりへの調査を優先させてきた。 飼いゆっくりならば話を聞く相手が人間だから、まともな情報が期待できると踏んだのだ が、あてが外れた。 ゆっくりが直接の情報源となると信頼性に欠けるが、連中は失踪の瞬間を目の当たりにし ているのだ。 ペット自慢ばかりで肝心の目撃証言の出ない飼い主を相手にするよりは幾分マシだろう。 取材を始めた時とは正反対の思いを持って、一番近い現場に足を向けた。 「「ゆっくりしていってね!!」」 「はいはいゆっくり」 俺の目の前には赤リボン饅頭と黒帽子大福。ゆっくりれいむとまりさの番だ。 お決まりの挨拶に、本日5本目となるタバコの煙を吐きながら適当に返した。 ここは団地の中にある公園。ちょっとした林があるため、野生動物が数多く棲む中々良い 場所だ。 目の前の饅頭が大量に住み着いてなければ、だが。 「おじさんはゆっくりできるひと? れいむといっしょにゆっくりしていってね!」 都会に住む野良には珍しく、中々純粋な個体のようだ。 俺は仕事柄相手にする機会が多いが、基本的にゆっくりは好きではない。 生意気だったり、媚びたりする態度が気に入らないし、仕事も当初は政治部を希望してい たのだ。 だがこのれいむを見ていると、少しは考えを改めてもいいかもな、と思う。 「にんげんさんはあまあまをもってきてね! そうしたらまりさがいっしょにゆっくりし てあげるよ!」 前言撤回。やはりゆっくりは嫌いだ。 「ちょっと聞きたいんだが、この辺りで最近突然いなくなったゆっくりっているか?」 ゆっくりでも取材の相手だ。一応の礼儀として、まずは平和的に尋ねる。周囲の目もある し、それで情報が得られれば、それに越したことは無い。 だが短い目で見れば、ゆっくりは暴力で従えた方が良い。どうせこの十数分、一度きりの 関係である。信頼させて情報を引き出すなど非効率的だ。 「じょうほうりょうとしてあまあまをもってきたらおしえてやらないこともないよ!」 人が優しく聞いているのに、いきなり見返りの要求か。やはり饅頭相手に礼など意味のな いものだ。この仕事を始めてからそう思うのは何度目か。それでも一度目は礼儀なんても のを考える俺は、律儀なのか馬鹿なのか。多分、後者だろう。 「はやくしてね! さっさとしてね……ゆぐぐ!?」 「質問に答えろ」 たわ言を抜かしたまりさを踏みつけ、俺は再度尋ねた。相手が無礼を望むならこちらも相 応のやり方をするまでだ。 足もとにれいむが体当たりを仕掛けてきたが、持ち上げて八つ当たり気味に地面に叩きつ けた。 ぴくぴくと痙攣しているし口から餡子が漏れているが、死にはしないだろう。あと30分 ぐらいは。 足もとのまりさがれいむ、れいむと騒がしくなったので踏む力を強めた。 「騒ぐな叫ぶな喚くな。れいむのようになりたくなかったら、聞かれた事に答えろ」 「わがりまじだぁぁぁ! なんでもごだえまずぅぅう!」 だから静かにしろって言ってるだろうが。二度とここを訪れる事は無いだろが、周囲の人 間に白い目で見られるのはやるせない。 一部興奮するような目で見ているもの、同調するような視線を送ってくる者もいるが。 違う。あくまで取材の手段だ。俺に虐待趣味は無い。 「この辺りで、最近突然いなくなったゆっくりはいるか? 事故で死んだとか何処かに行って帰って来なくなったとかじゃなく、他のゆっくりが見 ている前で消えたやつだ」 靴の裏でぐりぐりとまりさをえぐる様にして聞くと、恐怖に導かれてぽつぽつと喋り始め た。 「い、いなくなったのはありすだよ! とってもびじんで、とってもゆっくりしてたよ! みんながありすのことがだいすきで、ごはんやたからものをあげていたよ!」 美ゆっくりなのを利用して、他の野良に貢がせていたのか。中々ゲスなようだ。 「まりさもいつかありすとすっきりして、ゆっくりした赤ちゃんがほしかったよ! ありすはいつも「ゆっくりさせてね」っていっていたから、まりさとの赤ちゃんがいれ ばゆっくりできたはずだよ!」 お前れいむと番じゃなかったのか。浮気か、ありすが失踪したかられいむに乗り換えたの か。どちらにしろ碌な個体じゃないな。 「でもある日いきなりいなくなっちゃったんだよ!」 ありすのおうちにあったごはんやたからものは、みんなでわけたよ! あまあまおいし かったよ! のうこうなかすたーどだったよ!」 野良のくせに甘いものなんて蓄えていたのか。 それもどうせ貢がせたものだろう。 「これだけおしえてあげたんだから、まりさをはなしてね! さっさとはなしてね! お わびにあまあまちょうだいね!」 これ以上はこいつから聞ける情報は無いだろう。そう判断した俺は、目玉にタバコを押し 付けて火を消し、悲鳴をあげるまりさを踏み潰した。 しまったな。殺すつもりまではなかったのだが、ついイラっとしてやってしまった。 周囲には数匹のゆっくりが怯えた表情でこちらを見ている。自分達を害する存在を目の当 たりにして逃げるなり隠れるなりしないのは愚かとしか言いようが無い。 だが、更に情報が欲しい俺には好都合だ。とりあえず友好を示そうと、俺は微笑みながら ゆっくり達に向かって歩いていった。 その後近くに住む他のゆっくりを何匹か尋問してみたが、似たようなことしか聞けなかっ た。 ありすが消える瞬間を見たやつもいたが、まるで役に立たなかった。 目の前で突然消えた、ということを拙い語彙で言うだけだったのだ。 それにしても無礼な饅頭たちだった。人の笑顔を見て、引きつった表情で逃げ出すのだか ら。その結果、公園に餡子の山が出来てしまった。 残ったゆっくりは甘いものが食べられるのだから、感謝してほしいものだ。 そんな事を考えながら、俺は次の現場に向かった。 そうして10余りを回ったところで一旦職場に戻った俺は、頭を抱えていた。 進展は無い。幾つかあった目撃証言も、消えるようにいなくなったという意味のものばか りだ。ゆっくりの言語能力では詳しい説明など無理だったのだ。 俺はデスクで取材のメモを読み返しながら、何か発見はないか、と考えていた。 一匹目。飼い。ゲスれいむ。目撃者は野良。失踪当時、その野良は饅頭を食していた。 二匹目。飼い。れみりゃ。目撃者野良さくや。「じゅーしーなでぃなー」を野良れみりゃ と食していた。 三匹目。飼い。ゲスまりさ。目撃者無し。現場に残ったバッジに餡子が付着していた。 「……ん?」 ふと思い立って、更に読み進める。 四匹目。野良。ありす。貢がせ。目撃者野良れいむ。巣にカスタードの蓄え。 五匹目。野良。ゲスまりさ。目撃者無し。巣に甘味。 六匹目。野良。ゲスまりさ。目撃者野良まりさ。周辺のゲスの憧れ。 「何だこれは……どういうことだ」 七匹目。野良。ドスまりさ。群れを奴隷のように扱う。目撃者群れの多数。巣に大量の甘 味。 八匹目。野良。レイパーありす。目撃者被害者の野良まりさ。 九匹目…………。 …………。 異常だった。失踪したゆっくりのほぼ全てがゲス。それはまだいい。 問題なのは、その現場のほとんどには甘味が関係していること。飼いゆっくりならまだし も、目撃者となった野良にとって甘味は縁遠いものだ。 野良ゆっくりが甘味を手に入れる手段は少ない。最もありえるのは人間から貰うことだが、 事件のほぼ全ての場合で、関係したゆっくりが、しかも愛想の良くない都会の野良が甘味 を受け取っていたなどという偶然があるだろうか。 次に考えられるのは同族食いだが、これはゆっくりの間で禁忌とされている。可能性とし ては低い。 嫌われもののゆっくりが制裁されて食われたということは考えられるが、周囲のゆっくり に好まれていた貢がせありすやゲスの憧れ的存在だったまりさ、他のゆっくりに襲われて も撃退可能なドスなどの場合には可能性は薄くなる。 何か有るのかも知れない。俺は席を立った。 次の現場ではれいむが失踪していたが、やはりゲスで、失踪後発見した甘味を周囲の仲間 で食べたという。それはいなくなったれいむだったんじゃないか、と直接の目撃者のゆっ くりを含め、身体に聞いたが否定された。 その後さらに幾つかの現場で同じ事をしたが、結果は変わらなかった。 それに、最初に訪問した飼い主は、自分の目で、目撃した野良がゆっくりではない只の饅 頭を食していたことを確かめている。 やはり同族食いではないと考えるべきだろう。 俺はもう一度メモに目を通した。 れいむの場合は饅頭。おそらく中身は餡子だろう。 れみりゃは「じゅーしーなでぃなー」。おそらく調理された肉。 まりさは餡子。 ありすはカスタード。 現場に残っていた、目撃者である野良が食べていたものは、どれも『失踪したゆっくりの 中身』だ。ほぼ間違いなく、失踪ゆっくりは目撃ゆっくりに食われてしまったのだろう。 しかし目撃ゆっくりは同族を食べていない。いや、『食べたと思っていない』。彼らが食 べたのは『ただの饅頭』、もしくはその中身だ。 目撃ゆっくりは失踪ゆっくりを食べた。 しかし同族食いを認識していない。 目撃ゆっくりが食べたのは失踪ゆっくりの中身もしくは饅頭。 失踪ゆっくりは消えるようにいなくなった。 つまり―― 「ゆっくりがただの饅頭になった……?」 ゆっくりは飾りで互いを識別する。親子でもなければ、目の前で飾りが外されても、それ が誰だか分からなくなってしまう。 もっとも識別が出来ないだけで、「ゆっくりできないゆっくり」とは認識できるのだが。 もしも別のゆっくりが飾りのない、目も口も髪も無い「ただの饅頭」に突如変化してしま ったら、その瞬間を実際に見ていたとしても、ゆっくりが消えて饅頭が残ったように見え ないだろうか……? 「馬鹿馬鹿しい」 とは思いつつも、俺はその考えを捨てきれないでいた。普通ならありえない。だが相手は 普通の存在ではない。ゆっくりだ。もともとが動く不思議饅頭なのだから、普通の饅頭に なってしまうことだってあるかもしれない。 だが何故ゲスゆっくりばかりなのか? 俺は加工所の研究部へと電話をかけた。ゆっくりに関することなら、やはりあそこが一番 だ。 何と言ったらいいものか悩んだが、ストレートに 「ゲスゆっくりが普通の饅頭に変化する事例について知らないか」 と聞いてみた。これだけ聞いたら、正気を疑われるかもしれない。相手も戸惑っていたが、 思い当たる節があったのか、一人の研究者を紹介してくれた。 三日後、俺は都内のある大学の研究室を訪ねていた。部屋の入り口でノックをし、いらえ を聞いてからドアを開ける。 「いらっしゃい。待っていましたよ」 迎えてくれたのは、見たところウチの編集長よりも若い男だった。それで教授だというの だから大したものだ。互いに名刺を出して挨拶をする。 勧められた革張りの応接用ソファに腰かけ、ぐるりと部屋の中を見渡す。 普通の部屋だ。正直、拍子抜けした。 ゆっくりの研究者と言うから、その研究室たるや、ありとあらゆるゆっくりグッズで埋め 尽くされ、壁一面が水槽に改造されていて、各種のゆっくりが飼育されている。そんな光 景を想像していた。 それがどうだ。ドアノブに子ゆっくりのカバーなんて掛かっていないし、ゴミ箱はホーム センターで売っているプラスチック製のものだ。掛け時計は振り子にゆっくりが使われて いないし、観葉植物に刺してある栄養剤も普通。本棚は流石にゆっくり関係の本で埋め尽 くされているが、ゆっくりの入った水槽なんてものも無い。 出された茶菓子は饅頭だったが、まさかこれが……? 「ゆっくりではありませんよ」 はっとして顔を上げた。目の前にはまだ若い教授がにこにこと笑って座っている。 「ここに初めて来た人は、みんな同じことをする。部屋にあるものが、ゆっくり製じゃな いかって部屋を見渡すんです。だがそんなものは見当たらない。そこでお茶菓子には饅頭 を置いておく。するとお客さんはこう思うんです。ひょっとしたらこれがゆっくりじゃな いか、ってね」 どうやらこの教授の悪戯に、ものの見事に引っかかってしまったようだ。俺は苦笑するし かなかった。 「そりゃあ実験室では大量のゆっくりを保管していますがね、ここには赤ゆっくり一匹い ませんよ。自分の研究対象を無碍に扱うことはしませんし、虐待趣味は僕にはありません。 大体、誰よりもゆっくりの不可解さを知っている僕に言わせれば、あれを食べるなんて 蛮勇もいいところだ」 二人で一しきり笑いあったところで本題を切り出すと、教授は表情を引き締めて一つのビ デオを取り出し口を開いた。 「ゆっくりが単なる饅頭に変化する事例についての話、ということでしたね。一般の雑誌 の方からそう言われたので、些か驚きました。口で説明する前に、実際に実験の様子を見 てもらった方が早いでしょう。これは先日学会で発表したばかりのもので、研究誌以外の 記者さんに見せるのは初めてなんですよ」 そう言って再生されたビデオは一匹のまりさを飼育した実験経過を収めたものだったが、 その内容は凄まじいの一言に尽きた。 与える食事は最高級、部屋は広く快適で、飼育員はまりさの望みは何でも聞き、奴隷とし てまりさに扱われ、そして自身もそう振舞っていた。 数日前にれみりゃを甘やかして育てていた飼い主を訪れた際に、れみりゃのホームビデオ を見せられたのを思い出した。その飼い主はお嬢様に仕える下僕と言った態度でれみりゃ を飼っていたが、このビデオのまりさに対する飼育員の態度はそれを遥かに超えている。 ブラウン管を叩き割りたい衝動を抑えきれなくなった頃、『それ』は起こった。その時画 面の中ではまりさと飼育員が会話をしていた。 「どれいはさっさとごはんをもってくるんだぜ! まりさをさっさとゆっくりさせるんだ ぜ!」 「分かりました、まりさ様。まりさ様がゆっくりすると私もゆっくり出来ますので」 この「まりさがゆっくりすると自分もゆっくり出来る」というのが、ビデオの中で飼育員 が事あるごとに言っていた言葉だった。それに対してまりさは「かんだいなたいど」で笑 いながら許可してやる、というのが毎度のパターンだった。 「どれいのくせにゆっくりするなんてなまいきだぜ!」 だが今回は違った。飼育員はまりさをゆっくりさせようとしているにも関わらず、まりさ はそれに異を唱えたのだ。 「しかしまりさ様、まりさ様をゆっくりさせるのが私の役目です」 「うるさいんだぜ! まりさがゆっくりするのはとうぜんなんだぜ! なんでそれでどれいをゆっくりさせてやらなきゃいけないんだぜ! どれいのゆっくりなんかどうでもいいんだぜ! まりささえゆっくりできればいいんだぜ! わかったらどれいはゆっくりせずに、まりさをゆっくりさせるんだぜ! このよでただひとりゆっくりできる、えらいまりささまをゆっくりさせ…………」 まりさが意味のある言葉を喋れたのはそこまでだった。いや、言葉に限らず、何か意図の ある行動を一切取れなくなった。電源の落ちたロボットのように、全ての活動が止まって しまったのだ。 「ゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆ ゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆ ゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆ ゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆ ゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆ」 数秒後、突如としてまりさが痙攣し始めた。目の光は消え、口は半開きになり、「ゆ」の一文字だけを壊れたテープレコーダーのように繰り返している。 精神崩壊でも起こしたのか、と俺は思ったが、事態はそんな単純なものではなかった。 まりさの壊れた声が続く中、まりさの帽子が無くなってしまった。輪郭がぼやけたかと思 ったら、空気に溶けるようにして消えてしまったのだ。 それだけでも自分の目を疑う光景だったが、まりさの変化はまだ終わらない。 帽子に続くように髪の毛が消え、目玉と口が周囲の皮に包まれるように消えた。 「開始から12日と5時間37分。実験成功」 飼育員の声がしたかと思うと、カメラがまりさにズームアップする。飼育員はまりさを回 転させて全方向を見せ、最後にまりさをナイフで切り、切断面をカメラに向けた。 そこには皮に包まれた黒い餡子だけが有った。もうまりさには帽子は無い。髪の毛も目も 口も無い。小麦粉の皮で餡子を包んだだけの存在、ただの饅頭になった。 「いかがでしたか?」 教授がビデオを止め、穏やかな声で尋ねてくる。俺は先ほどまで見ていたものに呆然とし、 どういうことか、と返すので精一杯だった。自分の喉から出たのを疑問に感じるほどに震 えた声だった。 俺とは対照的に平静な教授は、少し考えてから更に問いを重ねた。 「あなたは、ゆっくりは何故ゆっくりなのだと思いますか?」 質問の意図が分からない。俺は口を閉ざしているしかなかった。何しろビデオの内容だけ で、思考回路は糸口が見えないほど絡まってしまった。復旧には時間がかかる。 「聞き方が悪かったですね。ゆっくりをゆっくりたらしめている本質は何だと思います か? 刃物ならよく切れること。馬なら早く長い距離を走れること。人間なら二本の足で 歩くことと発達した知能でしょう。ではゆっくりでは?」 教授の落ち着いた声を聞いているうちに、ようやく少し冷静さを取り戻してきた。俺は考 え、口を開いた。 「……飾りを着けていること?」 「それは特徴的なことですね。ですがゆうか種のように飾りを持たない種もいますし、人 間も飾りを着けることはあります」 「饅頭であること」 「確かに大部分のゆっくりは饅頭ですが、ただの饅頭を見て、これはゆっくりだ、とは思 いません。本質とは言えないでしょう」 「人の言葉を喋ること」 「中々良いところを突いてきましたね。ですがそれは人間が喋ることが前提ですから、ゆ っくり自身には関係の無いことです」 そうして思いつくままに答えてみたが、どれも正解ではないようだった。俺は諦めて、投 げやり気味に言った。 「…………分かりませんね、降参です。そもそもゆっくりなんていう人間と饅頭を混ぜた ようなものに、本質なんてものあるのですか? 何を言っても人間か饅頭、どちらかの本 質になりそうな気がしますが。ゆっくりはゆっくりっていう生き物だからゆっくりなんで しょう」 教授は俺の言葉を聞いて、にこりと笑った。 「正解です」 「はい?」 「今あなたが言った通りですよ。『ゆっくりはゆっくりという生き物だからゆっくり』。 ナゾナゾのようですが、これに尽きます。その名にあるように、ゆっくりと言う言葉がゆ っくりの全てです。正確には『他者をゆっくりさせる』というのがゆっくりの本質と言え るでしょう」 俺はなるほど、と頷いた。ゆっくりは他者に出会うと、挨拶として「ゆっくりしていって ね」と言う。ゆっくりさせてね、ではなく、ゆっくりしてね、でもない。他者をもてなす ための言葉である「ゆっくりしていってね」。それはどんな種のゆっくりでも、赤ゆっく りでもゲスでも変わらない。 「れみりゃ種は相手が人間でも、自分に仕えることを要求します。それは本人の言うとこ ろの『えれがんとなおぜうさま』に仕えることが、相手にとってゆっくりできることだと 考えているからです。ゲスもそうです。自分をゆっくりさせることで相手がゆっくりでき ると信じているのです」 全ては相手をゆっくりさせるため。それこそがゆっくりの存在意義。かつて『ゆっくりは 棚に仕舞われたまま忘れられた饅頭が変化したものだ』と言われたことがあった。人をも てなすために作られた饅頭が存在を忘れられ、その無念の思いからゆっくりになるのだと いう。何を馬鹿な、とその時は一笑に付したが、今ではそんな話を信じてもいい気持ちに なる。 「ゆっくりが初めてこの世に現れた時、現在のように脆弱でもありませんでした。感情の 起伏は乏しく、表情の変化も皆無でした。 しかし人はそのようなゆっくりを望まなかった。異物であるゆっくりを排除する理由を 正当化するために、または保護欲を満たすために脆弱なゆっくりを求めた。嗜虐心をくす ぐるような、あるいは与えた愛情に反応するような変化のある感情と表情を求めた。その 結果、ゆっくりは人の望む存在へと進化しました。全ては人をゆっくりさせるために。 ゆっくりは自身の性質がどんなに変化しても、他者のゆっくりを望むものなのです。 しかしビデオのまりさは違います。他者ではなく、自分がゆっくりすることだけを考え てしまった。そしてそれを当然のことと考えてしまった。そうなってしまったゆっくりは、 最早ゆっくりであることの本質を失ってしまった。だからゆっくりではなくなってしまっ たのです」 そう述べた教授は、どこか寂しい目をしていた。 単なる実験材料に向ける、無機質な目ではない。この人はこの人なりに、ゆっくりに思い 入れがあるのだろう。 記事が出来たら雑誌を一冊届けると約束をして、研究室を辞した。 帰りがけに教授は実験論文のコピーを渡してくれたが、ひどく難解な内容だった。日本語 で書かれているのが救いだが、読むのに四苦八苦だった。取材やデスクで記事を書いてい た時間よりも、これを読むのに費やしたほうが長かった。おかげで出来上がりは締め切り ギリギリになってしまった。 そんな苦労に関わらず、出来た記事はオカルト色の強いものになってしまった。論文は学 術的な格調高い文章だったが、大衆読者を意識して書くと、どうしてもそうなってしまう のだ。 もっとも、ゆっくりの存在自体がオカルトとも言えるので、問題は無かった。「そんなも んだ」で全てがすむ。それがゆっくりというものだ。深く考えないほうが、あの不可思議 な存在を楽しめる。 都内にある、とある出版社。俺は今日もここでゆっくりについての記事を書く。配属され た当初は早く別の部門に行きたいと考えていたが、最近では好奇心を刺激してくれる良い 職場だと思えるようになった。 タバコが吸えないのが難点だが。 相も変わらず散らかったデスクで、いつもと変わらず原稿に向かう。今書いている記事は 虐待派と愛で派の討論企画についてだが、見事なまでに平行線の論議で、まとめるのが大 変そうだ。どちらも自分の主張こそ正しいと言っているが、きっとゆっくりはどちらの扱 いをされても満足なのだろう。 ゆっくりは他者をゆっくりさせることが望み。虐待派はゆっくりを虐待することでゆっく りできるし、愛で派は愛でることでゆっくりできる。究極的には根本は同じ。どちらも自 分がゆっくりすることを考えている。 人間なのだからそれで良いと俺は思う。自分の人生を、自分のために生きられないなんて 真っ平だ。比べて、そう生きた結果饅頭になるだなんて、ゆっくりはなんて不自由な生き 物なのだろう。 そんなことを考えてると、向かいのデスクの同僚が壁に貼られた「禁煙」の紙を指で叩い て示してきた。どうやら無意識のうちにタバコを咥えていたらしい。 俺は箱にタバコを戻すと、軽く溜め息をついて仕事を再開した。 このSSに感想をつける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/4010.html
*警告* ゆっくりは何も悪いことをしていませんが、ゆっくりできません。 80字改行です。その辺案配していただけると読みやすいです。 ↓以下本文 「ゆっくちちていっちぇね!」 「ゆっくりちゅるよ!」 四匹のピンポン玉サイズの赤ゆっくりが白々とした蛍光灯の明かりに、目をキラキラ輝 かせ、互いに頬ずりしあっている。どれも茎から離れたばかり、まだゆっくりしていって ねも言えていない。自然であれば親ゆっくりが茎を与えなければならない時期だが、この 赤ゆっくりたちにその必要はない。一生陽の光の下を跳ね回ることもなければ、自ら餌を 求めることはなく、子孫を残すこともなしに短いゆん生を終えるのだから。 「ゆゅっ、おそらをとんでゆみちゃい!」 滅菌手袋をした手が一匹の赤れいむを取り上げ、そっと握った。きゃいきゃいとはしゃ ぐ一口まんじゅうが、小皿の上の白い塊にあてがわれる。 「ゆぶっ、ゆっ、ゆ゙っ、ぐるぢ、おが、ぢゃ、だぢゅげ……!」 「おねえちゃんをはなちてね!」 後ろから指を握り込まれると、次第に中身が前半分に押し集められていく苦痛に、一匹目 の赤れいむは濁った悲鳴をあげる。黒目がちの小さな目をぎゅっと瞑り、口を必死につぼ ませ、頬を膨らませる。たとえ全身全霊で耐えようとも、赤ゆっくりの抵抗は人間の力の 前には無意味だった。 「やめちぇね! ゆっきゅりできなくなっちゃうよ!」 「ゆ゙っ、ゆ゙ぼっ! ゆ゙べぇ゙っ!」 全ての指が折り込まれると、赤れいむは小皿に広げられたお餅に、中身のあんこを残さ ず吐き出した。ここからは時間が勝負、赤れいむだった残骸をオレンジジュースを張った バットに沈めると、お餅であんこを手早く包んで形を整えていく。ナイフの先で口の形に 切れ込みを作った大福をバットに置く。次に、引き上げた皮に、バタナイフであんこが詰 め込まれた。これはゆっくりから取り出した物ではなく、小豆から作った小倉餡である。 あんこで一杯になり、再びゆっくりの形を取り戻したぺらぺらの皮も、先ほどの大福の隣 りに並べられた。バットには赤ゆっくりの口の高さまでオレンジジュースが張られており、 半開きの口から流れ込んでる。 「こっちこないでね!」 「おねえちゃんのうしろにかくれちぇね!」 次に小さな頬をいっぱいにぷくー、と膨らませて威嚇する赤まりさが取り上げられ、ま な板に押しつけられた。顔を上に寝かされ、帽子がはらりと落ちる。 「まりちゃのおぼゔわ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!」 赤まりさは転げ落ちた帽子を目で追うが、しっかりまな板に押さえつけられ、じたじた ともがくことしかできない。人工の灯りを照り返す銀色の包丁が、赤まりさのおまんじゅ うの肌に滑り込むと、すっぱり真っ二つに断ち割った。包丁がまな板に触れてとん、と乾 いた音を立てると、半身が恐怖に顔を歪ませたまま、ころん、と転がった。そのまま右半 身は照り返しも艶やかなあんこも露わな断面を下に、オレンジジュースに沈められる。 残った左半身のあんこは全て穿り出され、かわりにれいむの皮に詰め込まれた物と同じ小 倉餡が、すりきり一杯詰められた。ゆ゙っゆ゙っと痙攣している右半身のジュースを垂らす 断面と、中身を詰め替えられた左半身の断面を慎重に合わせ、水溶き小麦粉で軽く補強。 泣き別れの半身と再結合を果たしたものの、白目を剥き、歯をむき出しにして硬直してい る赤まりさも赤れいむと大福の隣りに沈められた。すてきなお帽子をちょこんと乗せるの も忘れずに。 「おかあしゃあああん!」 「もうやだ! おうちかえる!」 残る二匹の赤まりさと赤れいむは、目の前で繰り広げられる恐怖の惨劇にゆんゆん泣き 叫ぶ。当然救いの手などなく、代わりに無慈悲な手が二匹を取り上げる。もみあげを、お りぼんを、三つ編みをぴるぴる暴れさせて必死に悲鳴をあげるが、滅菌手袋に包まれた指 の確固たる意志から逃れることは出来ない。 「ゆ゙ぎぎぎぎぎぃ゙……!」 「なかみだしちゃだめ゙え゙! が、がばん゙、ぢでえ゙げええええ!」 頬をぱんぱんに膨らませ、目玉が弾けないように目をぎゅっとつむって無慈悲な圧搾に 耐え続ける二匹。しかし、耐えたところで何の意味もなく、耐えられなくなるまで搾られ 続ける事など、生まれたての赤ゆっくりに理解できようはずもなかった。 「ゆ゙ぼぉ゙おお゙」 「ゆ゙、ゆ゙げぇ゙え゙え゙」 無力な抵抗は甲斐無く、清潔なガラスボウルに、二匹を形成していた全てのあんこが押 し出された。中身を失った皮はオレンジジュースを張ったバットに沈められ、その間に二 匹のあんこはゴムベラで混ぜ合わされていく。あんこが全ての区別なく混ざり合うと、そ れらは等量にわけられ、口から詰め戻された。 やがて、バットから微かな声が主を呼んだ。 「ゆ、ゆっくち、ちていって……ね……」 ジュースで満たされていたバットから取り出され、まな板に四匹の赤ゆっくりと一個の 大福が並ぶ。赤れいむのあんこを詰めた大福が、口らしき切れ込みを僅かに震わせ、途切 れ途切れに声をあげる。 「……おめめ、みえないよ……ゆっくち……できな……」 主は僅かに眉を持ち上げた。ゆっくりはあんこを別の食材に詰め替えても、ゆっくりす ることができるとは。まな板の上で大福餅が、ぶるぶる震えて身じろぎしようとしている ものの、跳ねる力がないのか、あるいはお餅ではあんよたりえないのか、一歩も動くこと は叶わなかった。そして、赤れいむだった皮にあんこを詰めた物は、口に溜まっていたオ レンジジュースをたらたらこぼし、虚ろな目でゆ゙っゆ゙っ、と痙攣するばかり。主は小さ く頷くと、手元のボードにペンを走らせる。 「ここはゆっくちできないよ!」 「いたかったよ! こわかったよ!」 まな板の上でぽいんぽいん跳ねて不満を全身で表現しているのは、中身を混ぜ合わせた 赤まりさと赤れいむ。いずれも目立った外傷はないので、元気そのもの。 「ゆゆっ? あまあまくれるの? れりさにちょうだいね!」 「ゆっ! まいむもたべるのぜ!」 先ほど詰めた小倉餡がまな板に置かれると、二匹はオレンジの足跡を点々と残してあん この小山に飛び込みんで貪り始めた。 「むーちゃ! むーちゃ! しあわせー!」 「うっめ! これめっちゃうっめ!」 極上の甘さに涙を流してあんこを頬張りながら、赤まりさがれいむ種のような歓喜の声 をあげ、赤れいむがまりさ種のように食い散らかす。しかし、あんこにありつくことがで きたのはその二匹だけ。赤れいむの中身を収めた大福と、中身を詰め替えた皮は身動きも できず、縦割りで半身のあんこを詰め替えられたまりさはあんよが半分しか動かないのか、 前進できずに円運動を繰り返していた。 「ゆ゙っ! ゆ゙ぎっ! まっすぐいけないのぜ! れいむ! どいてほしいのぜ!」 ぐるっと旋回するうちに、赤まりさはれいむ皮に体当たりしてしまう。ぼいん、と弾き 戻される赤まりさ。れいむ皮はその衝撃で、口から小倉餡を噴き出した。 「でいぶうううう!? ばっ、ばりざはにげるのぜ!」 ゆっくりは構造上、機敏な方向転換は難しい。ましてや、半身の自由に動かせない赤ま りさには、それ以上。片目も効かず、口も片側しか動かない。まっすぐ進むこともできな い赤まりさは恐慌状態で、赤れいむだった皮に体当たりを繰り返し、中身の小倉餡を押し 出させるばかり。あんこと皮は不可分のようで、皮だけ、あるいはあんこだけではゆっく りできない。れいむ皮はゆ゙っゆ゙っ、と断末魔の声をあげ、抵抗することなく中身を吐き 出し、見る間に平べったくなっていく。 「ぷんぷん! れいむをいじめないでね!」 「まりさ! やめるのぜ!」 存分にあんこを貪った二匹は、頬を膨らませてまりさを威嚇する。 「でいぶ! ばでぃざ! おめめとあんよがおかしいのぜ! ゆっくりたすけてほしいのぜ!」 「なにいってるの? まりむはれりさなのぜ! ゆっくりりかいしてね!」 「れいむをいじめるまりさは、れいさのいもうとじゃないのぜ!」 混ざり合ったあんこで、二匹は名前も口調も、自我さえも確かな物ではなくなっていた。 二匹の赤ゆっくりはまりさを押しのけるが、既にれいむ皮は動かなくなっていた。いかに ゆっくりの中身があんこでも、中身を全て詰め替えては短時間でゆっくりできなくなるよ うだった。 「ば、ばりざのせいじゃないのぜ! ゆ゙わ゙あ゙あ゙あ゙?! やめるのぜ! たすけのぜ!?」 体当たりで転がった赤まりさは、起きあがろうと自由にならない身体で転がる。そして、 勢いよくれいむ大福に埋まってしまう。異形の物体に悲鳴をあげ、跳ね起きて逃れように も、髪の毛がお餅に絡み付いて、もう身動きもとれない。 「うわああああ?!」 「ばけものぜ!?」 ゆがーん、と固まる二匹。半狂乱で暴れるまりさに、れいむ大福のお餅の身体は滅茶苦 茶に歪み、大事な中身は跳ねるたびに溢れていく。途切れ途切れの悲鳴は、怯える二匹に も、暴れるまりさにも届かない。 「も゙っ……ちょ……ゆ゙っ……ぐぢ……」 「ゆ゙……ぜ……ぜ……」 れいむ大福が中身を全て吐き出して永遠にゆっくりした頃には、あんころもちに絡まっ たまりさもまた、恐怖のあまり白目を剥いて動かなくなっていた。 「ゆっ! まいむのおかーしゃんがいないよ?」 「れりさのおかーさんもいないのぜ!」 主は二匹を一撫ですると、傍らの透明な箱に戻した。中には自動給餌機のチューブを繋 がれた成体まりさとれいむのつがいが、絶望に涙を流し、怒りに打ち震えていた。その眼 前に、二匹の赤ゆっくりが下ろされる。 「おかーしゃん! ゆっくりちていってね!」 「ゆっくちちていってね!」 対面を果たし、嬉しそうに声をあげる二匹のれいむだかまりさだかわからない赤ゆっく り。親まりさとれいむは、ゆっくりできない赤ちゃんに、悲しそうなゆっくりしていって ね、を返すことしかできなかった。生まれたばかりで中身を混ぜ合わされた二匹は、れい むとまりさの中間のゆっくりとして、二度とゆっくりすることはないのだ。 「次は10%刻みで中身詰め替えてみたいから、明日までに10匹、まりさでもれいむでも、 どっちでもいいから作っておいてね」 書いた物リスト 紅魔館×ゆっくり系12 突発ゆっくり茶会 ゆっくりいじめ系464 森に魚を求める ゆっくりいじめ系540 ゆっくり水雷戦 ゆっくりいじめ系1097 アストロン ゆっくりいじめ系1014 どすのせいたい ゆっくりいじめ系1907 品評会 ゆっくりいじめ系2137 朝の光景 ゆっくりいじめ系2200 街はゆっくりできない ゆっくりいじめ系2372 ゆっくりを拾ってきた ゆっくりいじめ系2388 ゆっくりとおねえさんのささやかな楽園 その他 ゆっくりの手引き ゆっくりいじめ小ネタ259 緩慢しんぼ ゆっくりいじめ小ネタ364 ぱちゅりーにごほんをよんであげよう
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/2771.html
ゆっくりと豆 30匹ほどのゆっくり家族が暮らす、大きめの巣の中。 日の昇る少し前に目覚めた母ゆっくりまりさは、彼女のはじめての娘であった 姉ゆっくりまりさの異変に気が付いた。発情したゆっくりありすが、必死に抵抗 する姉ゆっくりまりさに覆い被さっていた。ゆっくりありすにしては小柄なこと、 そのため声量が小さく、襲われている本人以外誰も気がつかなかったのだろう。 寝静まった夜中だと言うことも災いした。 『まり゛ざあああああ! しゅぎ! だいじゅぎだよぼおおおお!』 と発情するゆっくりありすを、体の大きい家族で踏みつけにすることで、大惨 事は免れることができた。ゆっくりありすが一匹だけであったこと、襲われた時 間が深夜でなかったことが幸いした。いくら小柄なゆっくりありさでも、大群に 襲われれば対処の出来ようはずはなく、また深夜であれば、寝静まった者が気付 くことも少ないからだ。 姉ゆっくりまりさは襲われていた時こそ衰弱してはいたが、日の昇る頃には小 さな枝を二振り授かり、襲われたことも忘れやがて生まれる子供たちの笑顔に思 いを馳せるくらいには回復していた。 母ゆっくりまりさからすれば、不幸な出来事とは言うものの初孫を授かること が嬉しくないわけがなく、かいがいしく娘の世話を焼いてやることにした。 付いた実はそれぞれ、5つと4つで、まりさ種が8、ありす種が1であった。 奇妙なことに、枝ぶりからすると、少しばかり生まれる子が少なく、本来子が宿 る場所には、小さく黒いつぼみがいくつか結ばれていた。 母ゆっくりは、娘に覆い被さった運命がもたらした悲しい出来事の結実である と考え、娘の頬を優しくなぜるのであった。家族の皆が見守る中、生まれてくる ゆっくり達は、未来の幸せを疑うことすらなかった。 ・ ・ ・ 私はゆっくり研究者の一人だ。 ゆっくりまりさと共に食事をとり、ゆっくりれいむと昼寝をし、ゆっくりに囲 まれて研究を行うのが日課だ。 ゆっくりありすに襲われた家族があると他のゆ っくりから聞き、生き残りを保護しにやってきたのだが。 日が沈んだばかりのこの時間帯であったためか、巣穴ではゆっくりな大家族の 幸せそうな生活か営まれていた。それどころか、子ゆっくりありすが家族と同居 しているではないか。興味を引かれた私は、そのゆっくり家族を観察させてもら うことにした。 私はその家族に向けて、ゆっくりしていってね、と優しく挨拶をする。突然の 挨拶に驚いた家族達は、私が優しそうな笑みを浮かべていること、美味しそうな お土産を持っていることを理解したのか、口々にゆっくりしていくことを勧めて 来た。彼女達の住処は小柄な私が入り口から入れるくらいに大きく、洞窟と言っ ても大げさでないほどであった。このような巨大な巣穴を作り上げたゆっくりま りさ達に感動を覚え、ゆっくりさせて貰えるお礼と共にその内心を告げると、親 ゆっくりまりさはとても嬉しそうに、ずっとゆっくりすることを進めてくれた。 その日ゆっくり達から聞いた話をまとめるた私は、少しばかり危機感を抱いた。 子ゆっくりまりさ大のゆっくりありすが、一匹だけ訪れたこと。さらに、ゆっ くりまりさがゆっくりありす種を宿した事。先日、工場近くで化学薬品の流出事 故が発生したばかりだ。近辺のゆっくり達に悪影響を及ぼし、一部のゆっくりに 突然変異を起こすきっかけとなったことは、一般には伏せられている。もしかし たら、その異変ゆっくりありす種がここを訪れたのかもしれない。 お土産をゆっくり達にくばりながら、異変がないかを探る。ゆっくり達の顔を 見回すと、……簡単に見つけられた。 だれもが、額やら頬やら側頭部やらに、黒い点をつけている。よくよく観察し てみるに、それはどうやら小さい穴のようであった。小さい子ゆっくりまりさは 数個、親ゆっくりまりさに至っては28個もの穴が開いていた。症状を聞くと、 毎朝起きると、体中に鈍痛を覚えるが、時間が経つにつれ気にならなくなるらし い。それが毎朝続いているためか、体力も乏しくなってきているようだ。 多分ではあるが、夜中のうちに誰かに穴をあけられ、しだいに回復しているだ けなのであろうと推測できた。 明日は朝早く訪れることに決めた。 ・ ・ ・ 早朝。 巣穴の外から観察していた私は、奇妙なことに気が付いた。ゆっくりの頭から、 小さい枝がいくつも生えているのだ。生殖したのではないだろう、すべてのゆっ くりがその枝を生やしていたのだ。懐中電灯を照らしてもまだ暗いため、よく見 えなかったのだが、枝には小さな豆粒ほどの実が成っているようだった。 これが、変異の影響であろうか。 枝の数をいくつかメモしているうちに、母ゆっくりまりさのそれが28個、つ まり昼間見つけた穴と同数であることに気が付いた。 これはもしや……。 思考しているうち、いくつかの子ゆっくりまりさが小刻みに揺れた。 ゆ゛っ、ゆ゛っ、と声を上げた彼女達の枝は、すぐに枯れはじめた。急いで巣 穴に入り、枝の落ちた子ゆっくりまりさを抱えると、いくつか新しい穴が開いて いるようだ。ピンセットで傷をつけぬよう注意しながら、穴を探る。穴から引き 出された物は――とても小さいゆっくりありすであった。 豆粒ほどの彼女は、抜き出された時こそくーくー寝息を立てていたものの、す ぐに起きて暴れ始めた。ピンセットでは捕まえていることは出来ず、『とかいは のありすは暖かくゆっくりするんだから!』といいながら、子ゆっくりまりさの 皮下に、勢い良く潜り込んだ。 このゆっくりありす――豆ありすとでも言うのか――はどうやら寄生体で、宿 主の体内にもぐりこんで食い荒らし、さらに一日で受精させる新種のようであった。 これはいそいで発表せねばならないと踵を返したとき、足に激痛が走り、倒れ こむ。調べてみると、豆が打ち込まれたような、小さな穴。 まさか……。嫌な汗が体中から吹き出てくる。人間にも、寄生するのだろうか? 一つの枝から5,6個の子が生まれるようで、巣穴はすでに豆ありすに埋め尽 くされていた。腕、足、胸、喉と、饅頭でもないのに容易く皮膚を食い破られ、 激痛に悶える。汚染の影響なのか新種の能力なのかわからないが、手足が痺れ、 筋肉が言うことを聞かない。 巣穴はすでに阿鼻叫喚の渦に巻き込まれていた。 母ゆっくりまりさは、体中を蝕まれ、ゆ゛っ、ゆ゛ぐっと呟くも、動きが取れ ないようだ。生まれたての子ゆっくりまりさは寄生に耐えられず絶命していた。 絶命しては受精できないからだろうか、その子ゆっくりまりさの皮を食い破って 外に出た豆ありすは、新たな獲物――ゆっくりと逃げる美味しい饅頭か、動けな い大きな肉の塊のどちらか――を見つけて、嬉しそうに近づく。 どぼじでゆっぐりぃぃぃ゛と泣き喚く親ゆっくりまりさ。 ゆ゛ぐりじだがっだゆ゛ううう、と食い破られる子ゆっくりまりさ。 そういえば、と視線を彷徨わせる。子ゆっくりありすはどうしたのだろうか。 その疑問はすぐに氷解した。 傷一つない彼女は、他のゆっくりに寄生すればすぐ殺してしまうこと、また自 分が殺されてしまうことを理解していたのだろう。とかいはをえんじょいするに は大きな肉塊が必要なことを呟きながら、嬉しそうに私に近づいてくる。獲物で ある私の顔をがっちりと掴み、『いただきます』と呟いた彼女は、そのまま私の 右目に向かって ・ ・ ・ 私の動きを制限する神経毒は、どうやら痛みも打ち消してくれるようであった。 鈍痛と緩やかな眠気の中で、かろうじて動かせる左手で、土をかき集め、出口 を塞いだ。例え子ゆっくりまりさであったとしても簡単に掘り起こせる程度の薄 い蓋であるが、豆ありすであればどうだろうか。 雨でくずれないよう、外から掘るものがいないよう、奇跡を願いながら、次第 に小さくなってゆくゆっくりまりさ達の断末魔を聞きながら。 私はゆっくりと目を閉じた。 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/1448.html
「ほら!れいむ見てよ!きょうはどんぐりみつけたんだよ!!!」 「ゆゆ!れいむだってばったさんとってきたもんねー!!!」 お互いの収穫を見せ合っているのはゆっくりれいむとゆっくりまりさだ。 そろそろ本格的に冬入りしようかという時季、この人里はなれた山のふもとのゆっくり村に住む 100匹近いゆっくりたちは毎日ほとんどの時間をえさの確保に使っている。 「ゆっくりかえってきたよ!!!」 巣へ帰ってきたまりさは口に入れていたどんぐりをはき出し、子供たちに見せた。 「おかーしゃんしゅごーい!!!」 「さすがだね!!ゆっくりできるよ!!!」 子供たちは大喜びだ。それを見た親まりさはすごいでしょ、とばかりに体を膨らませて 凄さをアピールする。 このようなことがここ毎日行われていたが、いつもと違うのはここからだ。 「お゛があ゛ざあ゛あ゛あ゛あ゛ん゛!!!」 すさまじい形相をして息を荒立たせ、ゆっくりらしからぬスピードで子まりさが巣へ戻ってきた。 「どうしたの?ゆっくりしていってね!!!?」 親まりさが落ちつかせるも、子まりさはまだ正気に戻っていない。 「はぁはぁ・・・じらないゆっくっ・・・じらないゆっぐりがぎでるよ゛お゛お゛!!!」 ふと外を見ると広場のほうに人だかりならぬゆっくりだかりができていた。 「ゆゆっ!!なんだかおかしいよ!!こどもたちはここでゆっくりしててね!!!」 親まりさはただならぬ雰囲気を感じ、急いで広場のほうへ駆け出していった。 「みんなゆっくりきいてね!!!」 まりさが広場に着くとゆっくりだかりの真ん中あたりから聞きなれない声が聞こえた。 「わたしはかなこ!あの山からきたんだよ!!」 輪の中心を見てみると青くうねった髪と背中の大きなしめ縄が特徴的なゆっくりがいた。 ゆっくりかなこの指すほうを見てまわりのゆっくりたちがざわつき始める。 かなこが来たところはあの恐ろしい妖怪の山のようなのだ。 「ゆゆ!?かなこはあのお山からなにをしにきたの!?ゆっくりせつめいしてね!!!」 回りのゆっくりたちがうろたえる中、村のリーダーれいむが落ち着いて質問を投げかけた。 リーダーれいむの核心を突いた質問にかなこはゆっくりと口を開く。 「みんな!今からかなこがいうことをゆっくりしんじてね!!」 村中の視線がかなこに集まる。 「かなこにごはんを分けてくれたら2倍にしてかえしてあげるよ!!ゆっくりしんじてね!!!」 普通の人間であれば何を支離滅裂なことを言っているのだろうという疑念が湧き上がるのだが、 餡子脳は違っていた。 「これで冬のたくわえがふえるよ!!」 「いつもより2ばいゆっくりできるよ!!」 「ゆっくりしないでたべものもってくるよ!!」 ほとんどのゆっくりがかなこの言葉に大興奮している。そして、皆が食べ物を取りに巣へ帰ろうとしたその時、 リーダーれいむとその他年長ゆっくりたちがそれを止めた。 「みんな、ゆっくりかんがえてね!」 「見たことないゆっくりはしんようできないよ!!」 「みんなからごはんをだましとってゆっくりさせないつもりだよ!!!」 すると巣へ帰ろうとしていたゆっくりたちの動きが止まる。そしてゆっくり考えた結果、皆が一旦もとの場所へ 戻った。ゆっくりというのは何かの発言にとても流されやすい。 「よくもありすたちをだまそうとしたね!ぷくーっ!」 「むきゅん!そんなつごうのいいはなしなんてないよ!」 「ごはんはゆっくりじぶんでとってね!」 「はやくかえってね!!」 体を膨らませて威嚇するもの、飛び跳ねて怒りを露にするもの、罵声を浴びせるものなど様々な表現でよそ者である ゆっくりかなこを排除しようとする。 「だましてなんかいないよ!!ゆっくりしんじてね!!!」 村のゆっくりたちにじりじりと詰め寄られたかなこは信じてもらおうと必死に呼びかける。 「もうここでゆっくりしないでね!!!」 ついに痺れをきらせたゆっくりありすがかなこに体当たりを仕掛けた。 「ゆ゛っ!ゆっくりやめてね!」 1匹が動けばあとは簡単。それに続きほかのゆっくりたちも一斉に体当たりを始める。 「ゆっくりしね!」 「いまならゆるしてあげるよ!」 「はやくお山にかえってね!」 約10匹のゆっくりに囲まれたかなこは完全に身動きが取れなくなってしまった。 「い゛だい゛!!どお゛じでごんなg・・・ぐべぇえ゛え゛!!」 ありすがかなこの上になり飛び跳ね始めた。着地するたびに回りのゆっくりから大きな歓声が湧く。 ありすが最後の一撃を食らわせようとしていたとき、ついに救世主が現れたのだ。 「みんなゆっくりやめてね!!まりさはゆっくりしんじるよ!!!」 口に食べ物を含んだ1匹のゆっくりまりさが現れた。このまりさはこの村に長く住み着き、村の中でも 信頼されているゆっくりのうちの1匹だ。まりさは口から今日収穫したばかりのどんぐりを出し、続けてこう言い放った。 「かなこもおなじゆっくりなんだよ!!ゆっくりさせてあげてね!!!」 この力強い言葉に、先ほどまで暴れていた若いゆっくりたちは急いでかなこから距離を置いた。 まりさは傷だらけのかなこに近づき、頬をなめてあげた。 「ありがとうまりさ。もうだいじょうぶだよ!」 かなこの傷も癒えたところで、まりさは先ほどのどんぐりを10個ほどかなこの側に置いた。 「とりあえずはこれだけだよ!ゆっくりもってかえってね!!!」 そう言ってまりさはゆっくりと微笑んだ。このゆっくりまりさはなんと良いゆっくりなのであろう。 彼女こそがゆっくりのあるべき姿だとかなこは感じた。 「もーっ!まりさはなんでわからないの!?」 しかし、少々頭の切れるゆっくりにはそれは愚行にしか移らなかった。 「ゆゆ!れいむにはかんけいないよ!これはまりさのごはんなんだからね!!」 「じゃあふゆのあいだゆっくりできなくなってもしらないからね!みんなもたくわえをわけちゃだめだよ!!」 リーダーれいむは頭から蒸気が出るくらいに怒って自分の巣へ帰っていった。それに続くように他のゆっくりたちも 次々と帰っていった。 ついに広場に残っているのは2匹だけになった。2匹は明日また会う約束をし、それぞれの帰路へとついた。 次の日、まりさは嬉々として森の中を飛び跳ねていた。実はさっきかなこと会ってきたのだ。 まりさが頭の上に乗せているのは2本のサツマイモ。昨日の約束は果たされたのだ。 「ゆ~んゆ~ん♪ゆっくりかえってきたよ!!」 巣に帰ってきたまりさは頭上のサツマイモをごろんと転がし子供たちが見える位置に置く。 「おかあさんこれなに?」 「みたことないよ!!」 はじめて見るその赤紫の物体に子供たちは興味津々だ。 「これはね、おいもだよ!おかあさんもね、1かいしか食べたことないんだよ!すごくおいしいよ!」 まりさが興奮気味に話す。このあたりではイモ類は滅多に見つからないようだ。 子供たちは初めての食べ物に少しだけドキドキしながらかじりついた。 むーしゃむーしゃ・・・ 「うめぇ!これめちゃうめぇ!!!」 「あまくておいしいよ!!」 「これはゆっくりできるあじだよ!!!」 子供たちはとても幸せそうにゆっくりとサツマイモを丸々1つ平らげてしまった。 「「「しあわせー!!!」」」 まりさ一家が盛り上がっていると入り口のほうから声がした。 「ゆっくりしていってね!!」 お決まりのあいさつをして巣に入ってきたのはリーダーれいむであった。昨日のことが心配で様子を見に来たのだった。 れいむが足を進めていくと、あるものが目に飛び込んできた。 「ゆゆゆゆゆっ!!おいもがあるよ!!どこでみつけたの???ゆっくりこたえてね!! れいむにもおいもたべさせてね!!!」 サツマイモを見つけたれいむはよだれを垂らし、やはり興奮気味にまりさを問いただした。 「これはまりさたちのおいもだよ!!!きのうのかなこからもらったんだよ!!!」 まりさはサツマイモの前に立ち、れいむを退けるようにぷくーっと体を膨らませた。 「ゆ゛べえ゛!!きのうのことはほんとうだったんだね!?」 れいむは驚きを隠せなかった。れいむはこうしてはいられないと、まりさの家でゆっくりせずに急いで帰っていった。 知らないゆっくりが持ってきたサツマイモの話は、その日のうちにたちまち村中に広がっていった。 次の日、かなこはまたゆっくり村に現れた。しかし、前回とは違って皆が食べ物を持って集まってきている。 「「「「ゆっくりしていってね!!!!」」」」 かなこは歓迎されたのだ。もっとも、皆はサツマイモが目当てなわけだが。 「みんな!ゆっくりしんじてくれてありがとう!!!」 かなこはうれしそうに飛び跳ねた。それを見た周りのゆっくりたちは、順序良く持ち寄った食べ物をかなこへ 収めに行く。木の実や昆虫、植物などこれまで苦労して蓄えてきたが、その量の2倍でサツマイモが返って 来ると思うと、皆うれしくてたまらなかった。 かなこの持って来た袋の中にみんなの蓄えを入れていってるのだが、村の頭脳、1匹のぱちゅりーがあることに気づく。 「むっきゅ~ん!!みんなまだおうちにごはんおいてきてるでしょ!!よくかんがえてね!!あずければあずけるほど かえってくるんだよ!!!いつもより2ばいゆっくりできるんだよ!!かくさないでぜんぶもってきてね!!!」 ぱちゅりーの説得には皆がうなずいた。さすがの餡子脳もこの理屈はよく理解できるようだ。 出し惜しみをしていたゆっくりはすぐに自分の巣へと取りに帰った。 「こどもたちもてつだってね!!またおいもがたべれるよ!!!」 「おいも!?じゃあゆっくりはこぶよ!」 まりさも家族総出でかなこの元へ食料を運んだ。 かなこが来たのは朝だったが、全員が食料を納め終わる頃にはもう夕方になっていた。 「みんなありがとう!ゆっくりかえるね!!!」 自分の何倍もの大きさに膨れ上がった袋を引きずりながらかなこは山のほうへと向かった。 袋には村の全食料が入っている。 「ゆっくりきをつけてね!!」 「またきてね!!!」 「おいもをよろしくね!!!」 村全員でかなこを送り出し、かなこが見えなくなるのを確認してから皆がそれぞれの巣へ戻っていった。 「あしたはおいものぱーてぃーだよ!」 「おいもはすごくゆっくりできるよ!」 「たのちみー!」 その夜、各家庭で同じような会話が繰り広げられた。みんなわくわくが止まらない。 ゆっくりたちはかつてないゆっくりライフを想像しながら眠りについた。 次の日、朝早くからゆっくりたちは広場に集まっていた。いつものように森へ食料を確保しにいくゆっくりは 1匹もいなかった。皆が妖怪の山のほうに注目し、今か今かと待ちわびている。 頬をすり合わせたり、跳び跳ね回ったり、歌を歌いながらゆっくりたちは時間を潰した。 「ゆ~ん!きょうはおそいね!」 「きょうはゆっくりしてるんだよ!」 「おいもがたくさんだからね!ゆっくりきてるはずだよ!」 昼の一番暖かい時間になってもかなこは現れない。しかし、ゆっくりたちは気長にゆっくりと待ち続けた。 冬の陽気の気持ちよさに昼寝をしだすものもたくさんいた。 夕方、風が吹き気温が下がり始めたときには皆目を覚ましていた。そして違和感に気づく。 「おかあさーん!おなかすいたよぉ!」 「そういえばあさからなにもたべてないよ!」 そう、昨日全ての食料を預けてしまったため正確には昨日の晩から何も食べていない。 おいもに気を取られてまったく気づいていなかった。 「かなこーー!!ゆっくりしすぎだよーーー!!!」 「ゆっくりしないでねーー!!はやくきてねーーー!!!」 「おいもーーーー!!!」 空腹に気づいたゆっくりたちは一斉に山へ向かって叫び始めた。 しかし、帰ってくるのは返事は山彦となった自分達の声だけであった。 「どーじでー!?もうおうぢがえる!!」 「またあしたくるね!!」 日が完全に落ち、ついに諦めたゆっくりたちは自分達の巣へと帰っていった。 まだ希望は捨てていない。明日になればきっとおいもを担いだかなこが現れると。 次の日、またゆっくりたちは広場に集まっていた。ただ、昨日と違うのは少々元気がないところだ。 口数は少なく、極力動かないようにしている。ただ聞こえるのは葉のついていない木が揺れる音だけであった。 昼ごろになるとさすがにいてもたっあてもいられなくなるゆっくりも出だした。 「さすがにおそいよ!ゆっくりしんじられなくなったよ!」 「がまんできないよ!もりにいってくるね!」 空腹に耐えかねたゆっくりたちは次々に森へと向かった。 「れいむはゆっくりしんじるよ!」 「まりさもだよ!」 その一方で空腹はぐっと堪えてかなこの帰りを待つゆっくりもいた。 日が沈みかける頃、森へ行ったゆっくりたちが元気なさそうに体を引きずりながら帰ってきた。 そこから察するに、森には全く食料はなかったのだろう。 「どう゛じでえ゛!どうじでむしさんいないの゛!」 「ゆっぐりさせてよお゛お゛お゛!!!」 ゆっくりたちに不安が広がった。みんなが焦りを感じ、そわそわし始めた。 「ぱちゅりーのせいだよ!ぱちゅりーがごはんをかくすなっていったんだよ!」 「むきゅー!ぱちゅりーわるくないもん!」 ついにゆっくりどうしの喧嘩が始まった。先に手を出したのはれいむのほうだ。ぱちゅりーに渾身の体当たりをする。 「む゛ぎゅゆ゛!!ゆっくりやめてね!」 体の弱いぱちゅりーはすぐにれいむを落ち着かせようとした。しかし、れいむは止まらない。 それを見ていた他のゆっくりたちも集まってきた。 「そうだよ!ぱちゅりーがわるいよ!」 「ぱちゅりーがしんじるからだよ!」 「ゆっくりしね!!」 空腹で体力の余ってないゆっくりも容赦なくぱちゅりーは体当たりを仕掛ける。 「む゛ぎゅん゛!や゛べでえ゛え゛え゛え゛!!!」 弱いぱちゅりーの抵抗などないようなものだ。あっという間に袋叩きにされる。 頬は傷つき、帽子と髪はボロボロ、口からは餡をたくさんこぼしている。 しかしぱちゅりーは最後の力を振り絞りこう言い放った。 「まりざだよ゛!!はじめにじんじたのは!!ぱぁぢゅでぃーわるぐないもん!!」 囲んでいたゆっくりたちの動きがピタッと止まる。そして初めておいもをもらったまりさのほうをギロっと睨んだ。 「ゆゆ!まりさはわるくないよ!みんながかってにしんじたんだよ!!」 まりさは首を横に振り、自分が悪くないことを必死にアピールした。確かにまりさは全く悪くないのだが 他のゆっくりたちの気が治まらない。今度はまりさへ攻撃を始めた。 「ゆ゛ぶぇ!!い゛だい゛よ゛お゛お゛お゛!!」 まりさはぱちゅりーと同じように囲まれ、体当たりを受け続けた。 「どうじでごんなごとずるの゛ぉ゛!?」 死には至らなかったものの、口や頬からは餡子がたくさん漏れ出していた。 「もういいもん!みんなでゆっくりおやまをめざすよ!!」 「そうだよ!!みんなでごはんをとりかえすよ!!」 暴れていたゆっくりたちは憂さ晴らしを済ませると、今度は妖怪の山を目指すと言い始めた。 「ゆっくりかんがえてね!あそこはきけn・・・!」 リーダーれいむが止めに入ろうとしたとき、ついにその時が来てしまった。 「ゆきだよ!ゆっくりつめたいよ!!」 雪が降ってきたのだ。この村では毎年雪が降った日からは外に出ずに巣の中でゆっくりすると決めている。 「たいへんだよ!!みんなおうちへかえってね!!おそとじゃゆっくりできなくなるよ!!!」 ゆっくりできない、と言う言葉に反応したゆっくりたちは蜘蛛の子を散らすように巣のほうへ飛び跳ねていった。 「おかあさんしっかりしていってね!」 「がんばってはこぶよ!!」 怪我を負ったまりさとぱちゅりーも家族に助けられながらゆっくりとそれぞれの巣へともどった。 「おかあさんゆっくりしていってね!!ゆっくりしていってね!!」 巣へと戻ったまりさを子まりさたちが元気付ける。傷ついた頬を必死で舐めまわした。 もうここには食べるものはない。怪我をした親まりさの回復はあまり見込めない。 それでも懸命に子供たちは手当をした。 「みんなありがとう。おかあさんがしんだらおかあさんをたべてね。こどもたちだけでもゆっくりしていってね! きょうはもうおやすみだよ。」 それだけ言い残し、親まりさはゆっくりと目を閉じた。 雪の日から1週間たったが、かなこが現れる気配はなかった。その間根気よく広場を確認しに行ったゆっくりもいたが、 大半は息絶えてしまった。共食いをするものや飾りを食べて空腹を凌ぐものもいたが、結局そう長くも続かなかった。 「もっとゆっ・・・くり・・・したかっ・・・た・・・」 「ゆっくりしんじたけっかがこれだよ・・・」 ゆっくりたちはこのような言葉をのこして最終的に村全員萎びて死んでしまった。 「みんなー!ゆっくりかえってきたよ!!」 「かみさまおそかったね!!」 「さすがにゆっくりしすぎだよ!!」 一方かなこがあれから丸1日をかけて妖怪の山にあるゆっくり村に戻ってきた。もちろん背中には大きな袋。 「みんながしんじたけっかがこれだよ!!!」 かなこが袋を広げて中身を皆に見せた。中には木の実や昆虫などたくさんの食物が入っていた。 「さすがかみさまだね!」 「しあわせ~!」 「ゆっくりできるよ!」 皆思い思いにかなこをほめる。何の苦労もせずに冬の蓄えが増えたのだ。 「これがかみさまの『しんとく』だよ!これからもゆっくりしんじてね!!!」 The End /*-----------------------------------------------------------------------------*/ これ別にお兄さんにやらせてもよくね?って思うかもしれないけどゆっくりしか出てこないのを 書いてみたかった。けどやっぱり難しいというかしっくりこない。初めてかなこ使ったし。 駄作ですが気が向いたら感想でもください。 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/4419.html
※ぺにぺに、まむまむ、そして一部オリジナル設定。 ※とあるゆ虐作品とのクロス描写がありますが特に意味はありません、遊び心です。 ※初SSなのでおかしい所がたくさんありそう…。 俺はゆっくりありすが嫌いだ。 「とかいは」などと宣いながら知性のかけらも感じないし、ひとたび発情すれば目を剥き出し血走らせ 口からは浅ましくよだれを垂れ流し、凶悪なレイパーと化す。そして何より「すっきりー」したときのその醜悪さ。 筆舌に尽くしがたい嫌悪感を覚える。 ゆっくりありすを虐待する理由はそんなところだ。 ところで聞いた話によると、世の中には虐待に人生を捧げたかのようにあらゆる場所でゆっくりを捜し回り 虐待する人がいるらしいのだが、あいにく俺はあんなやつらに貴重な時間の多くを割きたいとは思わない。 俺が虐待に要する労力は必要最低限がベストだ。 最も効率のいいゆっくりの捕獲方法…それはずばり、トラップである。 追い掛け回したり待ち伏せしたりしなくともいいというのは、この地球上で一番知能が発達していると 言われている動物らしい、エレガントな手法ではないか。 あんな下等な動物…では無かったな、饅頭にはおおよそ及びもつかないであろう。 ちなみに飼いながら繁殖させるという方法もあるが却下だ。 いくら虐待のためとはいえ、あんなものを常に手元に置いておく気概は毛ほども無い。 さて、一口にトラップとは言っても、俺がターゲットにしているありす種のみを誘うトラップでなくてはならない。 別段他のゆっくりがトラップにかかってもいいと思われるかもしれないが、わざわざ逃がすのは癪だし だからといって虐待してみてもありすを虐待した時以上のときめきを得る事は無いので、俺にとってはただの駄饅頭なのだ。 虐待もエコロジーにいかないと。 前置きが長くなってしまったがトラップの説明に入るとしよう。 ありすのみをおびき出す仕組みについてだが、これには博士号を取得したというある天才少女の発明品を使用すればよい。 その名も「ありすフェロモン液濃縮還元1000%」である。 なんでもゆっくりは、発情した際に種族毎に異なる特殊なフェロモンを発し 同種が発したフェロモンに触れるとつられて発情してしまうらしい。 そのフェロモンを抽出し、更に濃度を高めたものがこの品。加工所等で販売されているが、割りとお手頃価格なのが嬉しい点だ。 これをポイントに散布し発情させ、エサ(まりさが妥当…というかまりさ一択だろう)をあてがえば 誘蛾灯ならぬ誘ありす灯が完成する。 ちなみにエサであるまりさは、口をホッチキスで止めてから仰向けに縛り付け、まむまむを無防備にさらした状態。 更にフェロモン液も全身に塗りたくってある。 これで発情したありすはフェロモンの発せられているトラップポイントへ誘われて行き カモにネギ状態のまりさへと本能のままに飛び付くという寸法だ。 しかしそこでトラップが発動! 実はまりさを縛り付けているポイントにはちょうど地面に対して回転扉が仕込まれている。 からくり忍者屋敷なんかにあるようなやつだ。 つまりまりさは回転扉に縛り付けられている事になるのだが、そこにありすがのしかかると 回転を防止しているストッパーは二匹の体重を支えきれない。 回転扉はあっという間に半回転し、重力に抗う術の無いありすは一瞬でまりさから振り落とされるが、扉はその勢いのまま もう半回転し、まりさは再び地上に出現する。 ありすが乗っていない状態ならばストッパーが機能し、扉がそれ以上回転することは無い。 こうやってありすが振り落とされると、その先にあるのは地面から二メートル程掘り下げられた穴蔵。 広さは大きめの成体ゆっくりが20匹入る程度だろうか。 愚かしくも罠にかかったありすどもは、この穴の中へと次々落ちてくるわけだ。 しかし穴から逃げられては本末転倒なので、同族を踏み台にして思い切り跳ねたとしても 落ちてきた扉には届かないような高さになっている。 以上が俺の考案したありすトラップの全容だ。 大がかりな罠なので準備にはかなりの時間を要するが、一度作ってしまえばフェロモン液とまりさを用意するだけで 何度も使える。先行投資に出し惜しみはしない。 ただし設置する場所はよく吟味しておく。あまりにひらけた場所では他のゆっくりに見つかってしまうからだ。 普通のゆっくりならば、頑丈に縛り付けているベルトを外したり出来ないのであまり問題無いのだが それが捕食種となると話は別だ。エサを食べられてしまってはトラップが機能しない。 とはいえ、紅魔館から距離があれば遭遇する確立はうんと下がるし、上空から丸見えにでもなっていなければ 見つけられる事も少ない。野生動物も餡子が漏れだしたりしていない限り、そうそう手は出さない。 …とまぁ大体その辺りに気を付ければいい。外的要因さえ排除できていれば、あとはゆっくり待つのみだ。 かくして今、俺はトラップを設置した場所へと向かっていた。 昨日フェロモン液とまりさを仕込んだのでありすが罠にかかっているはずなのだ。 その場所は家を出て10分程歩いたところにある知人の土地なのだが、設置の条件に適していたため無償で貸してもらっている。 持つべきは理解のある友人だとしみじみ思いながら歩いていると、程なく目的地へと到着した。 ぷるぷると小刻みに震えているまりさを遠目で確認し、歩み寄る。 顔面蒼白になっているところを見るに、ありすが罠にかかっているのは間違いなさそうだ。 俺は高鳴る心臓をなんとか落ち着かせながら、まりさを縛り付けている回転扉の枠ごとしっかりと掴んで持ち上げた。 穴蔵の蓋代わりにもなっていたそれを取り去ると、50センチ四方に開いた口がぽっかりと姿を現し、むせ返るような 生暖かい空気がそこから流れ出てくる。 そしてその空気が俺の頬を掠めた瞬間、おぞけが走った。 ありすどもは閉じ込められている間も発情し続けていたため、絶えず分泌していた体液の成分が穴蔵に充満していたのだ。 中を覗くと、うぞうぞ蠢いている。気持ち悪い…心底気持ち悪い。 そう心の中でごちた。 ありすが居るのを確認し、小屋へと向かう。トラップを設置する際の片手間に建てた道具小屋だ。 穴蔵の中央から10メートル程離れたところにあるが、木々に挟まれて少しだけ見付けづらくなっている。 背伸びをすれば屋根に手が届く程度のこぢんまりとした小屋の中から、必要な道具を一通り抱え出して手近なところに並べた。 これで準備完了だ。 まず並べてある道具の中から、大きめの虫取り網を選び取り穴の中へ差し入れる。 ほのかに明るい穴蔵の中から難なく一匹を掬い取る事が出来た。 網を穴から出しながら、中にいるありすの数を数えてみると…網におさまっているありすを含め、11匹いるようだ。 まずまずの収穫に顔がほころぶ。 だが網を外に出すと同時にありすが叫んだ。 「なんなのごれはあああああああああ!ばやぐごごがらだじでありずをずっぎりざぜなざいよおおおおおおお!」 そして俺の顔は引きつった。 「ばりざああああああ!ばりざはどごおおおおおおお!?いっじょにずっぎりじまじょおおおおおお!」 …ああ、これがあの麗しい人形使いを模しているなど、何かの間違いなのだろうな。 俺はありすの髪を掴み上げて網から取り出してやった。 「ぎがあああぉぉぉおおああ!でをばなじなざいよごのいながものおおおおお!」 そう言われてほいほい手を放すかよ。 髪の毛を掴んだまま目の前にぶら下げると、その顔面に向かっておもむろにパンチを放った。 「おぶびゅしゅういいいいい!?」 聞くに耐えない悲鳴が、めり込んだままの拳の中から漏れ出した。そのまま休まず、連続でパンチを繰り出す。 「おぶっ!? おぶびゅっ! やっ…びぐしゅ! やべで…べぐぎゅ!」 数回繰り返したところ、カスタードを少量吐いたので打つのをやめる。 「ゆびゅううう…ゆびゅううう…」 息も絶え絶えな様子だが、まさかこの程度で終わらせるわけがない。 未だ掴んだままの髪に、絶対放さぬようにと更に力を加え、ジャイアントスイングよろしくぶん回し始める。 「ゆうううぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅううううう!?」 ゆっくりをぶん回すのに自らも回る必要はない、ひたすら腕だけで振り回す。 その様を例えるなら、高速回転している観覧車だ。 しばらくすると、絶えず上げていたはずの悲鳴が突如として途切れた。 「ゆげえええぇぇぇぇおろおろおろおろおろおろおろおろおろおろ…」 遠心力により中身を維持できなくなったのだろうか、口からカスタードを撒き散らしていた。 それでも構わず振り回す。腕がだるくなってきてもひたすら振り回し続ける。 …それから程なくして、ゆっくりありすだったモノはただの皮だけになった。 俺は振り回すのをやめて、掴んでいた皮を手放す。乱暴に扱ったため抜けた髪が数本、風に舞った。 べちゃりと地面に落ちた皮を、更に靴の裏でまんべんなくすり潰し、土と同化させてやる。 …まずは一匹。 すかさず次の獲物を穴蔵から取り出したが、こいつも出た瞬間から喚き出す。 俺はさっきのヤツと同じように髪を掴み上げてやった。 ほとんど同じような悲鳴を上げるこの饅頭には、回転扉に縛り付けたまま放置していたまりさを見せてやる。 「ばりざああああああっ!ぞんなどごろにいだのねええええええ!」 「ゆぎゃあああああ!?ありずううううううう!?」 それを目にした途端活気付くこの汚饅頭は、髪を掴んでいるにも関わらず前後左右に激しく揺れ動く。 一方縛り付けられたままのまりさも必死に体をくねらせているのだが、どちらともまともに動く事は出来ない状態だ。 どんなに動こうとも、ありすがこれ以上まりさに近付く事は無いのだから見ていて滑稽だ。 俺はそんな二匹の動向の一切を無視して、手からぶら下げているありすを今度は地面に押さえ付ける。 「ぶぎゅううぅぅ」 そしてその顔に似合った声を出しながら潰されていく不思議饅頭の背面へと、容赦なく手刀を突き入れた。 「いっ!!!!!?ぎがああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!」 本日一番の悲鳴を上げたこのありす。だが俺は更にその体内でグーとパーを交互に繰り返す。 「ぎいっ! ぎいっ! ぎいっ! ぎいっ! ぎいっ! ぎいっ! ぎいっ! ぎいっ!」 体内でありえないほど撹拌するカスタード。 「ぎっ! ぎっ! ぎっ! ぎっ! ぎっ! ぎっ! ぎっ! ぎっ!」 何度も何度もしつこく繰り返す。 「ぎっ… ぎっ… ぎっ… ぎっ… ぎっ… ぎっ… ぎっ… ぎっ…」 そして最奥へとその手を侵入させていき、ついに反対側の顔がある方の皮まで到達した。 もはやありすは痙攣しながら声ともつかない声を上げるだけの有様だ。 だが俺はどうなっていようと気にも留めず、とある部位を手探りで探し当て、景気良く押し込んでみる。 ぽんっ! 愉快な音とともにありすの目が景気良く飛び出したので、俺は腹を抱えて笑ってしまった。 早くも二匹目。 次のありすも同じ様にまりさと対面させてやった。今度は道具を使ってみるとしよう。 犯る気満々になっているありすを仰向けに押さえつけると、剥き出しになっている目にあるものを当てる。 台所でおなじみの皮むき器、ピーラーだ。俺は刃の部分を目に当てたまま、躊躇う事無く力の限り擦り付けた。 「いぴゃあああああああああああああああいいいいいいいいい!!!?」 ぞりっと音がして、目玉が薄皮一枚分削げ落ちる。 「あっ!?あああああああおおおおおおおおあああああああ!!!!?」 もうこれ以上は出ないと思っていた目玉が更に飛び出てきたので、遠慮なく目玉の皮をむき続ける事にした。 飛び出た部分が無くなり、皮と目玉がきれいに均さたありすは、ただ白目を剥いた様な風貌になった。 と言うか事実、瞳の部分は削り取られて無くなっていたのだが。 その後は全身の皮が無くなるまでひたすらに剥き続けてみたが、それ以上に面白い反応は示してくれなかったので 一思いに蹴り潰してやった。 三匹目。 新たに穴蔵から出してやったこのありすは、地面に押さえつけながらも少しずつまりさに這いよらせてやる。 まりさに近付く度に少しずつ大きくなっていくありすのぺにぺに。もう一息という距離まで近付いた地点で ありすのぺにぺには最高潮に怒張する。 が、その瞬間手に取った草刈り鎌でぺにぺにを断ち切ってあげた。 「うぎょおおおおおおおおおううううううううう!!!!あでぃずのべにべにぐぁあああああああああ!!!!!」 絶望的な悲鳴とともにこの世の終わりのような顔をするありす。まぁぺにぺにを切られるという事はレイパーとしての アイデンティティーの消失になるだろうから当然と言えば当然の反応だ。 だから俺は、ぺにぺにのあった部位に草刈り鎌を打ち込んでやった。 飛び跳ねて喜んでくれたので、打ち込まれたままの鎌の柄をこねくり回し、内部を鎌の刃で滅多切りにしてあげた。 所々内側から鎌の刃が飛び出してきて、黒ひげ危機一髪の逆バージョンのようだった。 四匹目。 次は取り出してすぐに底部をハンドバーナーで焼き、動きを封じる。 しばらく泣き喚いていたが、まむまむをご開帳させたまりさを眼前に据えると一瞬でぺにぺにを屹立させた。 現金な饅頭だ。そのぺにぺにがすぐに悲惨な運命をたどる事になるというのに。 俺は紙やすりを手にありすのぺにぺにを扱き始めた。 「ゆぐっ!?なにずるのよ!!いだいでしょおおお!!?どがいははぞんなどうぐなんかつかわないのよおおお!!?」 「まあまあそう言わずに」 俺は少しずつ扱く力を強めていく。 「いぎぃ!?やめなざいっでいっでるのがぎごえないの!!?ばかなの!!?じぬの!!?じねぇ!!! どがいばなあでぃずのべにべにがぎずものになっだらどうずるづもりよおおおおおおおおおお!!!!?」 俺は更に力を強めた。 「いぎゃああああああ!!!やべでええええええ!!!あでぃずのべにべにずりぎれりゅうううううううう!!!!?」 もっと目の粗い紙やすりに代えて今度は全力で扱いた。 「あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!!!!!」 ありすのぺにぺにの表皮は完全にズル剥け、使い物にならないだろう。 あまりに可哀想だったので、ぺにぺにの内部を通るように後ろから鉄筋を突き刺してあげた。 ぺにぺにの先端からは鉄筋が顔を覗かせている。せっかくなので体中のいたるところに鉄筋を突き立ててあげると ピクリとも動かなくなった。 五匹目だ。 今度のヤツはまりさと接触させてやった。すぐさまあらん限りの力でぺにぺにを打ち付けている。 「んほおおっ!!いぐっ!!いぐよまりざっ!!もういっじゃうよんほおおおおおおんはあああああああ!!!!!!」 「いやだあああああああああああずっぎりじだぐないいいいいいいいいいいいい!!!!」 ありすがイク直前、俺はありすのぺにぺにに巻きつけてあったピアノ線の両端部を勢いよく引っ張った。 「いぐっ!!いぐばりざんほおおおおお…っづあ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙いいいいいい!!!!!!?」 ありすのぺにぺには弾け飛んだ。…誰がすっきりなんてさせてやるかよ。 天国から一気に地獄に叩き落されたありすはそこら中を転げ回るが、俺に踏み潰される事でようやくその動きを止めた。 「べにべにがぁ…ありずのべにべにがぁ…!」 お前はぺにぺにさえあればそれでいいのかと思う程の執着っぷりに辟易しながらも、次の道具を取り出して準備する。 「ぺにぺによりもいい物をやろう」 「…ゆ?」 相手の反応を待たずして、準備した物を袋ごと強引にぺにぺにの傷跡へとねじ込んだ。 「ぎゅおっ!!?」 袋の中に詰められているのは数十本の…いや、百数十本はあるか? 「爆竹だよ」 火をつけたマッチを袋の中に放り込むと、すぐさまけたたましい爆音が連続して鳴り響いた。 耳がキーンと鳴っている。さすがに居るのが近過ぎたか…。 そして爆心地に残っていたのは、爆散して飛び散ったカスタードと皮と髪飾りのカチューシャだった。 これで六匹目。 そしてこの後も、俺は思い付く限りひたすら虐待と虐殺を繰り返していった…。 全ての事が終わった時には、すでに日が沈み暗くなりかけていた。 あまりに濃厚な時間をすごしてしまったようだ…何事も程々にしなければ。 さて、後片付けは明日にでも回して今日は気分よく眠ることとしよう。 いい夢が見られそうだ、そう思いながら俺は帰路についた。 ~終わり~ ※あとがき ただひたすらにありすだけを虐めたかった。 最初は全匹の虐待を書ききろうと思っていたけどダラダラなりそうだったのである程度ピックアップして終了。 もうちょっとセリフ多いほうがよかったかなぁ。 このSSに感想をつける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/1775.html
博麗神社にお参りに行った帰り、林道を歩いていると妙な祠を発見した。 太い木の枝や葉っぱを組み合わせて作った小屋に、ゆっくりれいむが一匹収まっている。 そしてその前には、格子状の蓋のついた木箱。 ゆっくりに複雑な工作など出来るわけないから、人間の作り損じでも拾ってきたのだろうか。 手前には枝を組んで作られた小さな鳥居?があり、ゆっくりがくぐれる程度の大きさだ。 祠に収まっているれいむと目が合うと、得意げな笑みを浮かべながら話しかけてきた。 「おにいさん!!とってもありがたいゆっくりじんじゃだよ!! ゆっくりしていってね!!おさいせんをゆっくりちょうだいね!!」 こんなことを言い出す。神社の巫女さんを模したゆっくりであることは解っていたが、 本物の真似事まで始めるとは。しかしゆっくりを崇めてもありがたいどころか、運気を吸われそうな気がするぞ。 でもまあ、ゆっくりがこんなことをしているのは何だか珍しかったので、 少しぐらいお賽銭をやっても良いだろう。人間に奪われそうな気もするが。 狭い鳥居をくぐろうとすると体がぶつかり、固定の甘かった鳥居はあっさり崩れてしまった。 れいむは「なにするの!!」と言って少し悲しそうな顔をしたが、それほど怒った様子も無いので気にしないでおいた。 そしてお賽銭箱に面白半分に木箱に小銭を入れてやる。さっき本物の博麗神社に投じた額の1/10ほどだが。 「ゆゆ~!!おにいさんありがとう!!おねがいごとをしてね!!」 うるさい巫女だな……いや、神主なのか? よく解らない。でもお参りは静かにさせてほしい。 作法に則り、手を叩いて願い事を念じる。それが済んで立ち去ろうとすると、 れいむは膨れっ面でこっちをにらんでいた。 「おにいさん!!おねがいごとをゆっくりいってね!!だまってちゃわからないよ!!」 え~……そういうもんなの? というか、お前が願い事を知ったところでどうする。 まあもう少し付き合ってやるか。 「今度資格試験を受けるんだよね。それで仕事がもらえるかどうか決まる大事なやつでさ。 もちろん勉強も頑張ってるけど、一応ゲンかつぎに神頼みもしとこうかな~ってことで。 勉強がうまくいって、試験に合格できますよーに!」 もう一度手を合わせて祈る格好をする。ゆっくりに祈るのも何かムカつくけど、まあごっこ遊びだし。 「ゆっ!ゆっくりききとどけたよ!!おにいさんはきっとごうかくできるよ!!」 お前が聞き届けるのかよ。こいつは神主兼巫女兼神様なのか? しかしたとえゆっくり相手と言えど、励ましの言葉をもらえるのは悪いものではない。 俺は少しだけ機嫌を良くすると、れいむに手を振って帰路についた。 その夜。寝る前に机に向かって勉強をしていると、窓をドンドンと叩くものがあった。 何だろうと思って開けてみると、そこには一匹のゆっくりぱちゅりーが。 「むきゅ~!!おにいさんがべんきょうのことでこまっていそうなけはいがしたから、おしえにきてあげたわ」 ……何だこいつ。あ、もしかしてゆっくり神社の差し金か? 学問成就を願った俺のところにゆっくりの中では頭の良いぱちゅりーを派遣し、勉強を手伝わせる。 それによって願いを叶えさせ、ご利益の評判を高めてお賽銭をもっと集める……と。 「お前、ゆっくり神社から来たのか?」 「むきゅ!?な、なんのことかしら?ぱちゅりーはそんなれいむ、ぜんぜんしらないわね!」 れいむなんて一言も言ってないのに……まあこれで間違い無さそうだ。 しかし人を助けて対価を貰おうというのは、ゆっくりにしてはなんとも殊勝な考えだ。 「むきゅ!とってもかしこいぱちゅりーがばかなおにいさんをかしこくしてあげるわ!ゆっくりなんでもきいてね!」 しかしもうちょっと口の悪くない奴を派遣出来なかったものか…… ぱちゅりーは文房具に混じって、机の上に鎮座している。気が散って邪魔だ。 ぱちゅりーの頭が実のところそんなに良くないことは知っているので、追い返しても良い。 しかし受験勉強でストレスの溜まっていた俺は、ちょっとだけ悪戯をしてみた。 「ふーん、じゃあここの問題がちょっと解らないんだけど。答え教えてくれないかな?」 「むきゅ!ぱちゅにおまかせよ!」 俺は使っていた問題集の中で一番簡単な問題をぱちゅりーに見せてみた。 五秒後 「むっきゅー!!むじゅむじゅーー!!」 何か変な声を出し始めた。それでも問題集にかじりつくように向き合うぱちゅりー。 しかし人間様の問題をゆっくりに解けというのは難儀な話だ。 「むっきゅーー!!むじゅむじゅーーー!!」 ぱちゅりーはそのまま溶けていった。知恵熱でも起こしたんだろうか。 机の一角に広がったぱちゅりー液を指ですくって舐める。甘い。 これは勉強で疲れた頭を癒すには良いかも知れない。少しは役に立ったな。 ◇ 後日、試験に無事合格した俺は、息抜きに林道を散歩していた。 博麗神社に学問成就のお礼をしにいったのだが、ゆっくりの方にもついでに寄ってやることにする。 ゆっくり神社にさしかかると、おばあさんがお賽銭を入れていた。遠くから様子を見てみる。 「おばあさん!!おねがいごとをいってね!!」 「そうねぇ……うちの畑が今年も豊作で、おいしい野菜が沢山売れますように」 「ゆっくりききとどけたよ!!おばあさんはおいしいおやさいをいっぱいとれるよ!!」 「あらあら、嬉しいねぇ」 おばあさんは朗らかに微笑みながら、れいむに手を振ってゆっくり神社を後にする。 ゆっくりは子供っぽいところがあるから、ああいうのは年寄りに受けが良いのかもな。 おばあさんの姿が見えなくなると、れいむの仲間らしきゆっくりが数匹周りから飛び出て来た。 「みんなおばあさんのおねがいきいた?」 「はたけをてつだうんだねー!!わかるよー!!」 「きっとちからしごとだからまりさがてきにんね!」 「ゆっ!ゆっくりまかせるんだぜ!!」 「ちーんぽ!!」 この件を一任されたまりさは、おばあさんの帰っていった方角に向けて走っていった。 ああやって参拝者の住居を特定してるんだな。 その仕事ぶりを見るため、俺はまりさに二重尾行を仕掛ける。 やがて林を抜け、まりさはおばあさんの家に着いた。おじいさんと二人暮らしをしているらしい。 二人とも家の中にいるのを確認すると、まりさはさっそく畑に侵入する。青々と茂った根菜はもう収穫寸前らしい。 しばらくゆーゆー言いながら物色するまりさ。農作業のやり方なんて知ってるのだろうか。 そう思ってみていると、突然大根を掘り返して食べ始めた。 「むーしゃ、むーしゃ、しあわせー!!」 何してんだ、あいつは……初めからこれが目的だったのか? いや、おそらく神社のれいむの目的は、こらしめられるリスクを負わずに人間の食べ物を手に入れること。 お賽銭を使って経済に参加することで、人間に疎外されない社会性を獲得しようとしたのだ。 まあ、現実的に可能かどうかは別として。 しかしアホのまりさには、そんな(ゆっくり的に)遠大な計画は理解出来ないし、面倒臭い。 それより目の前に広がるごちそうの山を目の前にして、今すぐしあわせになることを選んだのだろう。 「ゆっゆっ!これめっちゃうめ!さいしょからこうすればてっとりばやいんだぜ!!れいむはばかだぜ!!」 バカがどちらかは一目瞭然だが。 俺は畑の被害が大きくならない内に現場に踏み込み、まりさを取り押さえた。 「ゆっ!?おにいさんなんなんだぜ!?ゆっくりはなすんだぜ!!」 「人の野菜を食う悪いゆっくりを見過ごすわけにはいかないな」 「ゆべえぇっ!しらないんだぜ!ここはまりさがみつけたからおやさいはまりさのなんだぜ!!」 ぎゅうぎゅうと両手で地面に押さえつける。 跳ねようとするまりさの力が伝わって来るが、人間の腕力からすれば大したものではない。 餡子を口からぶりぶりと吐き出し、悲鳴を上げながらしなびていく。 あんまりまりさがうるさかったからか、住居からおじいさんが出てきた。 「コラーッ、わしの畑で何の騒ぎだ!?」 「あ、すいません。害獣が畑を荒らしていたものですから、咄嗟に……」 「ああ、ゆっくりか。すまんね兄ちゃん、うちも畑の周りに柵を作らないといかんのぉ。 そのゆっくりはうちが引き取るから置いていってくれ。良い肥料になるんじゃよ」 ほう、それは知らなかった。最近の農家はゆっくりを肥料にしているのか。 潰れて動けなくなったまりさをおじいさんに引渡し、俺は林道へと引き返す。 まりさの餡子によって畑の土壌は更に充実し、立派な野菜が収穫されることだろう。 ◇ 引き返した俺は、再びゆっくり神社へと赴く。 れいむが「ゆっくりしていってね!!」と言うので、「はいはいゆっくりゆっくり」と返す。 「ゆっ!!このあいだのおにいさん!!」 「やあ。おかげさまで試験にも合格出来たよ」 「よかったね!おともだちにもゆっくりじんじゃをしょうかいしていいよ!! ところでおにいさん、とってもかしこいぱちゅりーをみかけなかった?」 「ん? いや、見てないな。見てたとしても、見ただけじゃ賢いかどうかなんて解らないよ」 「ゆー、そうなの・・・」 まさかぱちゅりーは家で死にましたとも言えまい。余計な誤解と揉め事が起きそうだ。 しかしれいむもこっそりと仲間を派遣している手前、大っぴらに「お前の家に行ったはず」などとは聞けないらしい。 ご利益要員が欠けたのは痛いだろうが、またどっかから補充すれば良いだろう。ゆっくりなんて幾らでも沸いて出る。 「おにいさんきょうもおさいせんちょうだいね!!」 「いや、今日は良いよ。特に願い事も無いし」 「そんなことないでしょ!!なにかあるはずだよ!!おさいせんいれてね!!」 「醜い神社だなぁ……ん?」 傷付いた顔の子供がとぼとぼと歩いてきた。俺は道を開けてやる。 れいむが子供に「ゆっくりじんじゃだよ!!ゆっくりしていってね!!」と声をかける。 子供は賽銭箱に小銭を投げ入れ、手を叩いて願い事を言った。 「村のいじめっこがぶっ倒れますよーに!!」 どうやら虐められて怪我をしてるらしい。身体も大きくないし喧嘩では勝てないんだろう。 賽銭入れて祈るなら博麗神社の方が……と思ったが、確かに博麗神社までの道のりは少し険しくて子供の足では辛い。 とはいえゆっくりにも縋る気持ちなのだろうか。 「ゆっくりききとどけたよ!!あくはせいぎにやっつけられるうんめいなんだよ!!」 「うん……ありがとう……」 れいむの言葉を気休めと受け取って力なく笑うと、少年はトボトボと村に帰っていった。 助けてやりたい気もするが、子供の喧嘩に大人が出て行くってのもね。 周囲の茂みがガサガサと揺れた。仲間ゆっくり登場かと思ったが、出てこない。俺がいるからか。 「おにいさん!!ようがないならさっさとどっかいってね!!」 れいむが体を膨らませて怒鳴ってくる。俺ははいはいと答えてれいむの視界から消え、近くの茂みに隠れて様子を見る。 俺の姿が見えなくなったのを確認すると、何匹かのゆっくりが茂みから出てきた。 「こんかいはわるものたいじだよ!!」 「わかるよー!みょんとちぇんがいくんだねー!」 「ちーんぽ!ちーんぽ!」 「ふたりにかかればにんげんなんていちころね!!」 「ゆっくりいってらっしゃい!!」 子供の帰っていった方に走っていくみょんとちぇん。 俺も気付かれないようにその後ろをこっそりついていく。暇な奴だな、俺も。 結構歩いて村に辿り着く。こそこそと住人の様子を見て回っているゆっくり二匹。 やがて、いかにもいじめっ子ですといった風貌の、体格の大きな子供を見つける。 「あいつなんだねー!わかるよー!」 「ちーんぽ!」 「ちぇんがうしろからきしゅうするから、みょんがとどめだよ!」 「でかまら!」 気合の掛け声だろうか。 打ち合わせをするやいなや、ボサっと道を歩いていたいじめっ子の後頭部に向けてちぇんが苛烈な体当たり。 「いだっ」と呻いたいじめっ子は軽い脳震盪でも起こしたのか、その場に手をついてしまう。 そしてみょんが追撃。背中の上でぼふぼふ跳ね始める。 「ちーんぽ!ちーんぽ!」 「痛いっ、痛い! な、何なんだお前ら!?」 「ゆっくりしぬんだねー!わかるよー!!」 ゆっくり達の猛攻は続く……が、最初の一撃以外はあんまり効いてるとは思えない。 肩甲骨の間あたりで飛び跳ね攻撃を繰り返していたちぇんが、しっぽを掴まれて地面に叩きつけられる。 「ゆべっ!!なにずるのー!!ゆっくりやめてよー!!」 「はぁ? お前らが先に喧嘩売ってきたんだろうが。何やったってセイトーボーエイだぜ」 「ち、ちーんぽ!?」 みょんを払いのけ、立ち上がる少年。その瞳には苛立ちと、面白いおもちゃを手に入れたという好奇の光が輝いている。 ちぇんはしっぽを掴まれたまま、「ぎにゃあああああああ!!」と叫びながら振り回されている。 目からあふれ出る涙が周囲に飛散する。隠れているこっちにも飛んで来たので、顔についたのを指で取って舐める。甘い。 その勢いでびたーんびたーんと地面に叩きつけられるちぇん。その度に餡子を吐き出し、地面に放射状の餡痕が残る。 少年は鞭のようにちぇんを振ると、近くでおろおろしていたみょんを横に薙ぎ払った。 「ぺにずっ!?」 「ぎゃはははは! 弱っちいゆっくりごときがおれさまに勝とうなんて、百年早いんだよ!」 「やめでねー!!たずげでねー!!わからないよーー!!!」 吹っ飛ばされたみょんが、俺の隠れている近くの茂みに突っ込む。ギクッとしたが、何とかばれなかったようだ。 ちぇんは餡子を吐き出して少し軽くなり、速度を増して引き続きひゅんひゅんと振り回されている。 「やめてねええええーーー!!わからないよぉぉぉぉーーー!!!」 「あははは、これ面白いな。そうだ、お前うちの飼い猫の遊び相手にしてやろうか。 何か見た目も猫っぽいことだし、あいつもきっと喜ぶぞ。楽しみだな!」 「ゆぅぅぅうーーー!ちぇんおうちかえりたいよーーー!!!」 言葉とは裏腹に残酷そうに笑う少年の顔を見て、飼い猫もきっと彼に似て大きくて乱暴なんだろうなと思った。 その時、茂みに埋まっていたみょんが颯爽と飛び出す。その口には折れた枝がくわえられている。 ちぇんを振り回して遊ぶ少年の足元に、あっという間に駆けていき……そのまま枝の尖った折れ口で、少年の足を突き刺した。 「ちぃーーーーんぽ!!」 「い゛っ……痛っでえぇぇぇぇぇーー!!」 「みょーん!たすけてくれたんだね!!わかるよーー!!」 「ちんぽちんぽちーんぽ!」 足の痛みに、思わずちぇんを離してしまう少年。地面に落ちたちぇんは、嬉しそうにみょんの元に擦り寄る。 少年の足を見てみると、結構傷が深いみたいで血がどくどく溢れ出ている。あれは跡が残りそうだな。 ……っていうか、ちょっと洒落にならなくなってないか? 見てていいんだろうか? 血まみれの枝をくわえてなおも戦闘態勢のみょんを、泣きそうな顔で見ている少年。 やがて足を引きずりつつも、全速力で泣きながら逃げていく。 「いでぇ、いでぇよぉぉぉぉーーー!! お父ちゃーーーん!!」 「やったねーー!!ちぇんたちがかったんだよ!!わかるよーーー!!」 「ちーんぽ!!」 手負いの二匹はぴょんぴょん跳ねて勝ち鬨を上げている。 確かにあの怪我では、いじめっ子もしばらくは他の子供達に乱暴など出来ないだろう。 だがしばらくもしない内に、先ほどのいじめっ子など比べるべくもない屈強な男が現れる。 「てめえらか、うちの坊主に怪我させたゆっくりは!!」 「ちんぽ?」 「またわるものとうじょうなんだねー!わかるよー!でもちぇんとみょんならまけないんだよーー!!」 いじめっ子を撃退して自信をつけたのか、勢いよく突進していく二匹。 しかし大人の男に勝てるはずもなく、木の枝を突き刺す前に順々に蹴り飛ばされてしまう。 「ぢんっ!?」 「ゆびゅっ!なんでえええーーー!わからないよぉーーー!!」 「饅頭ふぜいが、人間様を傷付けやがって……あの世で後悔しやがれ!!」 男は少年のように甚振ることなどなく、躊躇せず二匹のゆっくりを確実に踏み潰していく。 始末を終えた男は、村の広場に大人たちを集め、何やら話し合いをしていた。 「ゆっくりが人間を襲っただって? 信じられないなあ」 「しかし現に、うちの坊主が木の枝で足を刺されてるんだ。あれじゃ当分は田んぼにも入れねえ」 「うーん、確かに子供や年寄りなら怪我をさせられることもあるかもな」 「どうする? 人間に勝てると思い込んだゆっくりが人を襲い始めたら……」 「そんな危険な饅頭がいたんじゃ、弱い者はおちおち村を出歩けもしない!」 「仕方ない、このあたりのゆっくり一斉駆除しよう。決行は明日の午後、子供や老人には外出を控えさせよう」 さあ、大事になってまいりました。まあ当然の成り行きですけどね。 ゆっくり神社のおかげで大量のゆっくりが死ぬことになってしまった。 まあ神社自体はこの村から離れた所にあるから、そこまで駆除の手が及ぶことはないだろうが。 しかし酷い話だ。俺は家に帰った。 ◇ 数日後。ゆっくり神社は人員の欠損と補充を繰り返しながら、 俺のような珍しいもの好きの人間相手にそこそこ繁盛してるみたいだった。 何度か様子を伺ってみたが、神社の運営を担当するれいむに、周囲の仲間がごはんを運んでくるらしい。 その見返りに、お賽銭が溜まった暁にはれいむがおいしいお菓子を振る舞うという筋書きだろう。 そしてついに、充分なお賽銭が溜まったとれいむが判断したらしい。 れいむは達成感に満ちた笑顔で、お堂から出てきて賽銭箱にすりすりしている。 「おかしをかいにいくよ!!ゆっくりはこをあけるよ!!」 ゆっゆっと言いながら、箱の周りを何週かするれいむ。何をやっているのか。 「どうやっであげるのおぉぉぉおおおぉぉぉぉ!?」 考えてなかったんかい。神社の巫女さんがやってるんだから何とかなるだろうぐらいの気持ちだったんだろうな。 引っ繰り返そうと体当たりをするが、元々が高さがなく横に広い形状であった上、 皮肉にも小銭が溜まって重量を増した箱はそう簡単に倒れない。 ゆぐゆぐと泣いているれいむ。開けてやろうかしらと思い始めた頃、性悪そうな一人の青年が参拝にやってきた。 れいむを無視して賽銭箱に小銭を投げ入れると、ぱんぱんと手を叩く。 「もっといっぱい虐待できますよーに!!」 「ゆ!?おにいざん!このはこをあげでね!!!」 巫女としての務めも忘れ、泣き声で参拝客に懇願するれいむ。 青年はにっこりとれいむに微笑みかける。 「いいよ、お安い御用さ。でもタダでは引き受けられないなあ」 「ゆ゛!?」 「お願い事をする時は何が必要なんだっけ?」 「ゆ・・・おさいせん・・・でもおさいせんはそのなかだよ」 「じゃあ僕が箱を開けたら、僕にお賽銭をくれるのかい?」 「いいよ゛!!はやぐゆっぐりあげでねぇ!!!」 箱を開けることしか考えていないれいむ。青年は手に力を込め、固く閉められていた箱の蓋を外す。 れいむは感激の涙を流す。 「ゆぅ~~!!おにいさんありがとう!!」 「じゃあ約束どおり、お賽銭はもらっていくね」 「ゆ?」 持参した袋に箱の中身の小銭をじゃらじゃら流し込んでいく青年。 感激の表情のまま、呆然と眺めているれいむ。 「じゃあね!」 「ゆ゛う゛ぅぅぅぅぅ!!おにいざんなにずるの゛おおぉぉぉぉぉ!!! れいぶのあづめだおざいぜんがああぁぁぁぁぁ!!」 「大丈夫、これはちゃんと里の自然保護基金に寄付しておくよ。 買い物しようなんてらしくないこと考えず、森の中でゆっくりしていってね!」 疾風のように去っていく青年を、れいむは追いかけることも出来ない。 俺が捕まえるべき? いや、別にれいむの肩持つ気無いし。 それにあの青年は、本当に森のためにお金を使うことだろう。私利私欲のためではなく、 ただゆっくりを絶望に突き落とすことだけを目的に行動する人種のようだから。 まあ自然保護活動にとっちゃ、微々たるものだろうけどね。あんなはした金。 「ゆぐっ・・・ゆぐっ・・・なんでぇ・・・れいぶのおさいせん・・・」 ゆっくり神社の境内でれいむが泣いていると、周囲から仲間のゆっくりが怒った表情で飛び出して来た。 れいむだけのお賽銭じゃないんだよね。 「ちょっと!どういうことなのれいむ!!」 「はこをあけるためにおさいせんをあげちゃうなんてばかなの?しぬの?」 「ゆ゛っ!?ちがうよ、れいむは・・・」 「ちがわないんだねー!わかるよー!」 「にんげんのたべものをいっぱいくれるってやくそくはうそだったんだね!!」 「いままでまりさたちをだましてごはんをはこばせてたんだぜ!!ゆるせないんだぜ!!」 「にんげんのおねがいにつきあわされてゆっくりできなかったわ!」 「れいむはぜんぜんゆっくりできないゆっくりだね!!」 「このうすぎたないばかゆっくり!!いきてるかちないよ!!」 「「「「「「ゆっくりしね!!!」」」」」 「ゆ゛ぎゃあ゛あ゛あああああぁぁぁぁぁああぁぁぁ!!」 何匹ものゆっくりから袋叩きに遭うれいむ。 参拝客に気に入ってもらうために綺麗にしていた髪や肌もボロボロになっていく。 暴行に参加していないゆっくりは、れいむの収まっていた手作り小屋に体当たりして破壊し、 屋根に使われていた葉っぱや草をむーしゃむーしゃとやっている。 やめでぇぇぇというれいむの声も、罵声と悲鳴の中に掻き消える。 十数分に渡る暴行が続いた後、完全に神社を破壊しつくしたゆっくり達は、それぞれ周囲に散っていった。 残ったのはゆっくり神社本堂のわずかな建材(食べられない部分)と空っぽの賽銭箱、 ボロ雑巾のようになった虫の息のれいむだけだった。 リボンも解けていてかわいそうだったので、俺は出て行って結んでやった。めんどくさいから固結びだけど。 「ゆ・・・・おにいさん・・・・・・」 「やあれいむ。お賽銭いるかい?」 「いらないよ・・・・・もうおかねはいやだよ・・・・・」 「あ、そう」 清貧ってやつかな。本物の方の巫女にも見せてやりたいぜ。 俺はれいむの前に立って、手をパンパンと叩く。 「早いとこ給料上がりますよーに!」 そして一礼すると、ゆっくり神社跡に背を向け、家に帰る。 饅頭には神も仏もいないよね。 おしまい このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/194.html
「ゆっくりサドンデス」 家に帰り、鍵を開けようとすると…何故か、鍵は開いたままだった。おかしい。朝、家を出ると きは確かに鍵をかけたのに。何より、蝶番に挟んでおいたシャープペンの芯が折れて、落ちている のだ。嫌な予感がする… 「なんだこれは?」 中に入ってみると、そこには無数の足跡のようなものがあった。しかし、普通の足跡とは違う。 少なくとも、人間の足跡ではない。形は…綺麗な円形だ。僕はこの足跡の主がどんな生き物か知っ ている。この数からすると…30匹ぐらいか。かなり多いな。 足跡はリビングまで続いている。ああ、おそらく僕の嫌な予感は的中するだろう。リビングに至 る廊下を歩き、ドアを恐る恐る開くと… 「これっ…はっ…!?」 言葉が喉に詰まった。大型液晶テレビ、高級ソファー、イタリア直輸入のガラス細工…他、部屋 中全体が荒らされていた。テーブルの上に用意しておいた夕食も、食べかすだけしか残っていない。 そして… 「「「ゆっくりしていってね!!」」」 総勢30匹のゆっくりたちが、神経を逆撫でする台詞で僕を出迎えた。僕はこぶしを強く握り締め る。いったい何がどうなってるって言うんだ!?こいつらはどうやって家の中に!? そんな中、一匹のゆっくりれいむがゆっくり3匹分だけ前に出た。 「おかえりなさい!!ゆっくりしていってね!!」 「……!!」 全国模試一位の応用力がある僕は、すぐに理解した。 このゆっくりれいむは、僕が愛玩動物…兼虐待動物として3日前から飼っているやつだ。多少虐待 しても30分もすればケロリと忘れてしまうから、ストレス発散の対象として重宝している。 家を出るときは、あらかじめ用意した夕食にガラスケースを被せて辞書を2冊ほど載せておいた。 だから、ゆっくり1匹ごときの力では夕食に口をつけることなどできる訳がないのだ。毎日そうする ことで、食べ物が見えるところにあるのに食べられないという苦しみを味わわせ続けてきた。 そして今日。ゆっくりれいむは部屋を跳ね回って遊んでいるうちに、玄関の扉を開けたのだろう。 外に出たゆっくりは仲間を呼び寄せ帰って来た。30匹もいれば辞書2冊の重さなど問題にならない。 僕の夕食を食べつくした後は、30匹が思い思いに跳ね回ってゆっくりしたのだろう… 「くそっ、やられた!!」 床を思いっきり殴りつける。その大きな音に、30匹のゆっくり達はびっくりして跳ね上がる。 「おにいさん、どうしたの!?」 「びっくりしたよ!!ゆっくりできなかったよ!!」 「びっくりさせないでね!!ゆっくりさせてね!!」 ゆっくりめ…こんな屈辱は生まれて初めてだ!! 「おにいさん!!れいむのなかまだよ!!かわいいでしょ!!」 「かわいいでしょ!!かわいくてごめんね!!」 「それよりおなかがすいたよ!!ゆっくりごはんをもってきてね!!」 一匹でもウザったい害獣を30倍に増やしておいて、「かわいいでしょ」などとほざくゆっくりたち。 暴れまわったゆっくりたちは、空腹を訴え始めた。そして、この流れだと… 「れいむはここでずっとゆっくりするよ!!」 「ここはまりさたちのおうちだよ!!れいむもゆっくりしていってね!!」 「おにいさんはゆっくりできるひと?できないならでていってね!!」 ゆっくりたちの生態は知っている。都合のよい住処を見つけたら、まず食事を要求し…最終的に は“自分の家”宣言をするのだ。今すぐにでもバラバラにブチまけてやりたいが、それでは僕の 溜飲が下がらない。もっと……もっと苦しめて……!! 「おにいさん!!れいむの連れてきたともだちかわいいでしょ!!ゆっくり感謝してね!!」 「………」 3日間飼っていたゆっくりれいむが、僕の目の前で胸を張る。平手でぶっ飛ばしそうになったが、 歯を食いしばって何とか耐えた。 「れいむのともだちいっぱいいるから、おにいさんもさみしくないよ!!ゆっくりうれしいでしょ!!」 「…あぁ、うれしいさ」 僕のストレス発散の道具を、30倍に増やしてくれたんだからな… 「さて、ゆっくりしているところ悪いけど、別の場所に移動しようか」 「そこはゆっくりできるところ?」 「あぁ、こんなところよりずっと綺麗で、たくさんゆっくり出来るところだよ」 「やったあ!!みんなでゆっくりしていこうね!!」 「ゆっくりー!!たくさんゆっくりするよ!!」 「計画通り…」 僕の声が聞こえなかったのか、聞こえても気にならなかったのか、ゆっくりたちは反応しない。 そんなゆっくりたちは、列を成して空室に入っていく。 部屋の真ん中にゆっくりたちを集めて、周りを柵で囲む。見たところ、このゆっくりたちはまだ小さい らしいから、この程度の高さでも飛び越えることはできないだろう。 「どうしてとじこめるの!!ゆっくりできないよ!!」 「これから食べ物を持ってくるよ。それまではその中でゆっくり待っててくれ」 「わかった!!ゆっくりまってるよ!!」 多少窮屈でも、食べ物のためなら我慢する。そんなゆっくりの生態も、僕はよく知っている。だが、 僕が用意するのは食べ物ではない。食べ物の代わりに僕は五寸釘と金槌を持ってきた。 食べ物を持ってくるものと思っていたゆっくりたちは、僕が手にしているものを見て不平不満を口にする。 「おにいさん!!たべものはどうしたの?」 「おなかすいたよ!!ゆっくりできないよ!!」 「あー、もう少し待っててくれ」 「もうまてないよ!!はやくゆっくりもってきてね!!」 「おなかすいた!!おなかすいてゆっくりできないよ!!」 言っても分からぬ馬鹿ばかり… まあ、そんな馬鹿とももうすぐさよならだ。そして、僕はゆっくりを“かわいがりはじめた”。 「あーお腹すいたなー。お、ちょうどいいところにゆっくりがいるじゃないか」 「ゆっ!?ゆゆっ!!?」 「ゆっくりは甘くておいしいんだよなー。じゃあ今日の夕飯はゆっくりだ!」 僕の言葉を聞いて、うろたえ始める30匹のゆっくり。もう空腹などどこかへ飛んでいってしまったようだ。 「れいむはおいしくないよ!!ゆっくりたべないでね!!」 「まりさもおいしくないよ!!たべるなられいむをたべていってね!!」 「ゆーっ!!もうやだ!!おうちかえる!!おにいさんとはゆっくりできないよ!!」 「おにいさんあっちいって!!れいむをたべようとするおにいさんはでてって!!」 柵を越えて逃げようとするが、そんなことは無理だ。こいつらの体格でこの柵を乗り越えることはできない。 「お前達、食べられたくないか?」 「うん!!ゆっくりたべないでね!!」 「お兄さんはお腹が空いてるんだ…でもお前達が食べられたくないなら、しょうがないな」 「ゆっ!?」 期待に目を輝かせるゆっくりたち。このまま開放されるとでも思っているのだろうか。だが、そんなことは しない。全員食べるよりも酷い…地獄絵図をお前達に見せてやる。 「お前達、食べられたくなかったら他のゆっくりを食べろ。最後に残った一匹は食べないでやる」 「ゆっ………?」 足りない頭で何を言われたのか必死に考えている、という顔だ。中身が餡子じゃ無理もないか。 「へちゃむくれの饅頭にも分かるように言ってやる。生き残りたかったら、他のゆっくりを食い尽くせ!!」 「ゆ゛ーーーーーーっ!!!」 それがスタートの合図となった。一匹のゆっくりまりさが他のゆっくりに襲い掛かる。他のゆっくりに比べて ゆっくりまりさは生きるためなら手段を選ばない、一言で言うと悪い性格のゆっくりだ。 「いだいーーー!!!だべないでええええ!!!」 「うっ…うまっ…これうまっ!」 隣のゆっくりれいむをむしゃむしゃと食べるまりさ。それを見て他のゆっくり達も共食いを始めた。 「びゃああえがあああ!!どおじでえ゛え゛え゛え゛!!」 「ゆっぐりできな゛い゛よ゛お゛お゛お!!」 ここまでは普通の虐待。ゆっくり虐待においてセオリーとされている方法だ。 そして…今、最初のゆっくりまりさが一匹目を食い終えたところだ。 「ふむ、あいつが今のところ優勢だな」 僕は次の計画に移ることにする。 「すうっ……ゆっくりしていってね!!!!!」 「ゆっ!!??」 可能な限りの大声で、お決まりのフレーズで呼びかける。それに反応したゆっくりたちは皆、びっくりして 食い合いを止めてしまう。何が起こったのか数秒遅れで把握すると、僕の方を向き… 「「「ゆっくりしていってね!!」」」 今まで醜い争いを繰り広げていたことも忘れ、僕に笑顔で応じる。こればかりは本能だから逆らいようが ないのだろう。つくづく馬鹿なやつらだ。馬鹿すぎてかわいそうになってくる。だが、これでゆっくりたちの 動きは止まった。やるなら今だ。 僕は柵に入って、先ほどのゆっくりまりさを見つけると、そこから動かないように手で固定する。 「ゆ!?ゆっくりだしてくれるの!?」 おそらく、一番がんばった自分は特別だから、特別に出してもらえると思ったのだろう。 餡子でものを考えるから、すべてを前向きにしか捉えられないらしい。確かに、特別であることにかわりはない。 …お前の考えてる“特別”とは、まったく逆だけどな。 「そおおぉいっ!!」 「うゆぎゅう゛う゛う゛う゛う゛!!」 ゆっくりまりさの頭上から、真っ直ぐ五寸釘を打ち下ろしてやった。ガンガンと打ち込んでいくたびに、 まりさはビクビクと痙攣したように震える。今、30匹のゆっくりたちの中で一番優勢だったゆっくりが、床に しっかりと固定されてしまったのだ。 「どおじでえええ!!ゆっぐりざぜでぐれ゛な゛い゛の゛お゛お゛お゛!!!」 痛みに暴れ狂うが、床に打ち込まれた五寸釘にど真ん中を貫かれているのだ…逃げられるわけがない。 そして、僕は他のゆっくりたちに呼びかける。 「おい、お前達、どうしたんだ?」 「ゆ゛ゆ゛っ!!?」 「早く食っちまわないと、お前達を食べるよ?」 「ゆ゛ゆ゛ーーーーーっ!!!」 捕食対象となるのは…当然、五寸釘に貫かれて動けないゆっくりまりさ。低脳なゆっくりたちも、 最小の労力で生き延びるにはどうしたいいか…それくらいはわかっているらしい。すべてのゆっくりが 一匹のゆっくりまりさに群がり、食い漁る。 「ぎゅあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!はずしでえ゛え゛え゛え゛!!」 「まりさはゆっくりしんでね!!うまっ…これうまっ!!」 「まりざがああ!!まりざがだべるのお゛お゛bっぼばあ゛お゛!!!」 五寸釘に打ち抜かれさえしなければ、お前の勝ちだったのにな。あぁかわいそうかわいそう。 そのうちゆっくりまりさが食べつくされると、先ほどと同じように争いが始まった。一匹が他のゆっくりを 圧倒しているのを見ると、また先ほどのゆっくりまりさと同じように五寸釘で打ちつけ、 他のゆっくりたちをけしかける。 「うめ…これめっちゃうっm!みぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」 「その下品な言葉遣いは止めろ。食べるときは『サイン、コサイン、タンジェント』だ」 ぐりぐりと五寸釘をねじ込みながら、他のゆっくりたちをにらみつけて“教育”する。 僕だったら恥ずかしくてこんなこと言えないけどな。それ以降、他のゆっくりたちは口汚い言葉を吐かなくなり、 『サイン、コサイン、タンジェント』と優雅な言葉遣いをするようになった。恐怖を与えれば、ゆっくりたちは 一発でモノを覚える。 でも、食事のスピードで抜きん出るゆっくり…そいつらに五寸釘を叩き込む僕の手は緩まない。 「どおじでごんなごとずるの゛お゛お゛お゛お゛!!!」 と抗議の声が、まわりのゆっくりたちからも上がる。 「お前達が食われないように、強いゆっくりを懲らしめてやったんだ。やさしいだろう?」 同じことをしばらく繰り返す。そのうち、馬鹿なゆっくりたちも理解し始めた。 他のやつらを食べなければ、自分が食べられる。しかし、あまりに相手を圧倒してしまうと自分が五寸釘で 貫かれる。僕の“弱きを助け、強きを挫く”作戦に、ゆっくりたちはどうしたらいいのか分からなくなっていた。 「ゆっ…えぐっ……ゆっぐりざぜでよ゛お゛お゛!!」 食わなければ食われる。食いすぎても痛い目にあう。混乱のあまり泣き出すゆっくりもいた。そんなゆっくりも 僕は五寸釘でゴスンと打ち付ける。 「ゆぎゅう゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛ばあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」 「あんまりゆっくりしてるとおしおきだ。言っただろう?僕は“お腹が空いてる”って」 「どおじでえええ!!どおじだらい゛い゛の゛お゛お゛お゛お゛!!??」 ゆっくりしすぎても、食べ過ぎても…五寸釘の餌食になる。でも、食べなければ生き残れない。 そんな挟みうちの状況は、ゆっくりたちの精神を確実に蝕んでいた。そうだ、これが見たかったんだ!! 皆が僕の作ったルールに従い、そして苦しむ。ただ潰すだけじゃない。精神的に苦しめなければ意味がない! 数十分後、生き残りは2匹のゆっくり―――まりさとれいむだけになっていた。そのうちれいむの方は 偶然にも僕が今まで飼っていた、あのゆっくりれいむだ。 2匹だけになると、本当にどうしたらいいのかわからなくなるのだろう。 ゆっくりした方が打ち抜かれるのか、食べたほうが打ち抜かれるのか。そんなことを空っぽの頭で考えるから、 2匹は混乱してしまってその場をうろうろし始めた。 「よし、もういいだろう」 「ゆっ!?ゆっくりだしてくれる?」 「ゆっくりたすけてくれるの!?」 僕は2匹のゆっくりを持ち上げて、柵から出る。もうあのまま放っておいても面白くなさそうなので、 別の方法をとることにする。 一本の紐を用意し、両端を2匹のゆっくりにくくりつけて、ぴんと真っ直ぐ伸ばして床に置く。 ちょうど、綱引きと同じ状態だ。そして紐の真ん中に僕は顔を近づける。 「僕は目の前に来たほうのゆっくりを食べることにしよう。 食べられたくなかったら、その紐を思い切り引っ張るんだ」 僕が大きく口を開けると、その意味を理解した2匹は正反対の方向に逃げ出す。しかし、紐に引っ張られて 離れることができない。2匹の力が拮抗しているから、ぴくりとも動かないのだ。 「ゆっ…ゆっ…まりさはゆっぐりしてね!!」 「ゆっ…ゆっ…れいむがゆっくりじてね!!」 自分が逃げ延びるために、ぴょんぴょん跳ねながら相手にゆっくりすることを要求する2匹。 横に逃げることも思いつかない馬鹿だから、きっと力尽きるまで紐を引っ張り続けるのだろうな。 僕はちょっと手を加えることにした。 「そーれ、お前のほうが美味しそうだな」 僅かに優勢だったまりさの方をひっぱる。それに伴って、れいむは同じ距離だけ離れていった。 「いやあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!まりざばおいじぐな゛い゛よ゛お゛お゛お゛!!」 「ゆっ…ゆっ…おにいさんありがとう!!ゆっくりしていってね!!」 ダメだこいつ…早く何とかしないと… 僕に助けられたと思ったれいむは、僕に感謝の言葉を告げる。3日間やさしくしてくれたおにいさんが 今回も自分の味方をしてくれたと思っているのだろう。本当に自分に都合のいい考えしか浮かばないやつだ。 そんなことをしているうちに、今度はれいむが優勢になり、まりさが僕の口に近づいてくる。すると… 「うーん、やっぱりれいむの方が美味しそうだな」 「ゆゆっーーー!!い゛や゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!」 れいむを自分のほうに引っ張り、まりさを遠ざけてやる。自分の努力が一瞬で水の泡になったれいむは、 絶望した表情を見せるがそれでも諦めずに跳ね続ける。 「おにいさん!!れいむをたべてゆっくりしていってね!!」 「い゛や゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!だべないでよ゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!」 数分の戦いの末、れいむが僕の口まであと数センチというところまで迫ってきた。 「おー、美味しそうな饅頭だな。いただきまーす」 「なんでええええええ!!!れいむおいじぐないよばお゛お゛あ゛お゛お゛!!!」 「おにいさん!!まりさといっしょにゆっくりしようね!!」 もう勝ちを確信したゆっくりまりさ。息も絶え絶えになり、愕然とした表情のゆっくりれいむ。そして… 僕は振り上げた拳を… 「ゆぎゅうううううあああああああお゛あ゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!!!」 優勢だったゆっくりまりさに振り下ろした。ふてぶてしい表情が一瞬で歪む。 一気に押しつぶされたまりさは、体中至る所から饅頭をぶちまけながら…絶命した。 「おにいさん!!たすけてくれてありがとう!!ゆっくりしていってね!!」 残った最後の一匹。ゆっくりれいむが飛び跳ねながら僕に近づいてくる。僕の計画も、残り僅かだ。 生意気にも寄り添ってきたれいむを、僕はデコピンで弾き飛ばす。 「ゆゆっ!?なにするの!!ゆっくりあやまってね!!」 「…おい」 「ゆっ…!」 ドスの聞いた僕の声に、れいむは震え上がる。 「これ、食べろ」 指差したのは、ゆっくりまりさの残骸だ。それをみたれいむは、ガクガク震えながら… 「むりだよ!!そんなのたべられないよ!!」 「どうしてだ?お腹すいてるんだろう?」 「たべられないよ!!それはまりさだもん!!たべないよ!!」 こいつ…ついさっきまで30匹の共食い競争をしてたのを忘れたのか? その口についてる餡子は、いったい何だって言うんだ? 「いいから食べろ。10秒以内に食べないと……お前も食べちゃうよ♪」 「ゆゆーーーっ!!!??」 「数えるぞー。10…9…」 「ゆっ!!たべる!!たべるよ!!だかられいむをたべないでね!!」 10秒以内と言っても、ゆっくりの頭じゃ分かるまい。しかし、早く食べないと自分が食べられることは わかったらしい。 「むしゃ…むしゃ…さいんっ…こさ…いんっ」 餡子の脳みそで、さっきのルールを覚えてたのか。思わず笑いそうになった。 あー、腹筋に来る笑いだね、これは。でも残念、そんなれいむとももうお別れだ。 「7…6…5…」 「たんっ…じぇんとぅ…さいっ…ん…こさいんっ…たん…」 「……4321ゼロー!!はい時間切れー♪」 「ゆゆゆっーーーー!!?ぎゃああらお゛い゛お゛い゛あ゛え゛お゛り゛な゛お゛ろ゛い゛がじょれ!!!!」 3日間一緒にいた仲だからな、最後は一思いにぶちまけてやった。僕って優しいな。 こうして悪いゆっくりを虐待し続ければ、いつしか馬鹿なゆっくりたちも気づくだろう。 “悪いゆっくりだけが酷い目にあっている”と。ゆっくりたちに僕の存在を知らしめるんだ。そして… 「僕は新世界の神となる!」 …なーんちゃって。
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/5401.html
20××年5月25日 ある山の奥ゆっくり達の群れがあった そこでは、人間でゆうところの7歳から8歳位の知能を もったゆっくりがいた。 そのゆっくりはおちびの頃から高知能だったこともあり いつしか群れの長になっていた。 長から話しがあるんだぜ 集まるんだぜー 魔理沙の声で群れのゆっくり達がぞろぞろと集まってきた。