約 3,642,240 件
https://w.atwiki.jp/futabayukkuriss/pages/2383.html
ゆっくりってなんだ? 56KB 虐待-普通 理不尽 差別・格差 誤解・妬み 飾り 家族崩壊 野良ゆ 現代 どんな感想でも待ってます。よろしくお願いします。 突然だが私の身寄り話を聞いてほしい。 私は暴力的な家庭のもとに育った。 親はいつも機嫌が悪く、何かと理由をつけてはすぐに私を怒り、一日中押し入れに閉じ込める。 泣いて謝っても許してはくれなかった。暴力なんて日常茶飯事だった。褒められることなんてなかった。でもこれが普通だった。 そんな生活からか、親の前では良い子を演じ、人の顔色をうかがって生きているような子供時代を過ごしてきた。 そんな親もあっけなく火事で死んでしまい、苦労の連続だったが、なんとか私も成長することができ、今は古い借家に独り暮らしをしている。 大人になっても、人の顔色をうかがい、他人の評価を気にし続ける日々。 子供の頃からずっと変われない自分。変わらない毎日。 変われない、変わらないことだらけで私はもうそれが普通なのだと感じていた。 だけど自分を変えたかった。でも自分を変える事なんてできないとも思っていた。 そんなときにこいつらはあらわれた。 『ゆっくりってなんだ?』 いつも忙しく深夜に帰る私だが、その日は珍しく会社が早く終わったため、いつもより早い帰りとなった。 会社を出て地下鉄に乗り、最寄りの駅で降りて、家までの通り道である公園を通り過ぎる頃、ふとある声が聞こえてきた。 「はやくこっちにくるんだよ!こののろま!!!」 「ほんとうにゆっくりしてないね、このぐず!!」 「のりょみゃ!!はやくちろ!!!」 「ゆぅ…ごめんなさい…」 そこには『ゆっくり』と呼ばれるものがいた。 ゆっくりとは世間一般に害獣として知られており、好き好んで関わりあう人もいない(ゆっくり保護団体などあるらしいが) いろんな種類がおり、餡子、クリーム、カスタードなど中身によってまた性格なども違うらしい。 ここにいるのはまりさとれいむのつがい。それに子れいむと家族から罵られている子まりさだ。 ゆっくりの駆除化が進んでいるこの辺では珍しいものに出会ったな。 ああ…子まりさが家族からいじめられてる。 ん?あのまりさもしかして… 今日はいつもより時間に余裕があるため、暇つぶしがてら話しかけてみた。 『ゆっくりたちこんばんは。どうしてまりさをいじめてるのかな?』 「ゆゆっ!?にんげんさん!!ここはまりさたちのゆっくりぷれいすなんだぜ!!!はやくあまあまもってくるんだぜ!!!」 「こいつはおかざりさんがへんでぐずでめざわりなんだよ!!!だからせいっさいというなのしつけをしているんだよ!!! そんなことよりくそじじいははやくあまあまをもってきてね!!!たくさんでいいよ!!!」 ―ぐずのあんたがそこにいると目障りなんだよ!早く家からでていきな!!!― ―このぐず!!どけ!!ぶん殴るぞ!!もう殴ってるけどな!!!― ………また…か…。 「ゆぅ…」 帽子の形が変だからという理不尽な理由で家族から罵られる子まりさ。 状況的に子まりさはあの時の私に似ているな。表情も全然明るくない。まずゆっくりした顔でないのは間違いない。 思えば私もあの頃からずっとつらい毎日を過ごしているものだ。 きみには本当に同情する。心の底から。 ゆっくりといえば、私はこいつらのいう「ゆっくり」というものがなんなのかがわからない。 ただ動作が遅いこと?それなら出来る限りゆっくり移動する事がゆっくりできることになる。そんなゆっくり見たことない。 のんびりすること?なら子供はゆっくりできるという意味がわからない。 本当にどういう事なんだ?まあ、せっかく目の前にゆっくりがいるんだし聞いてみてもいいだろ。 『なあゆっくり?ゆっくりは人をゆっくりさせることに関しては右に出る者はいないって聞いたけど、 私は小さい頃からゆっくりしたことないから、ゆっくりがどういうことなのかよくわからないんだ。 もし私にゆっくりを理解させることができたら君達だけの奴隷になるし、あまあまもたくさんもってくるけどどうかな?』 「まりさたちははやくゆっくりしたいんだぜ!じじいをゆっくりさせているひまなんてないんだぜ!いいからさっさとあまあまもってこいいいぃぃい!!!」 「ばかなの?しぬの?げらげらげらげら!!!!」 「ちぬにょ?げらげらげら!!」 『そうか…やっぱりできないか…ゆっくりって名前だけでゆっくりできてないんだな。残念だ。あはは…』 「ゆぁあ!?そこまで言われたらゆっくりとしての名がすたるんだぜ!しかたないからゆっくりをおしえてやるんだぜ!!!」 「とってもゆっくりしてるれいむがじじいをゆっくりさせたらはやくあまあまもってくるんだよおおおおお!!!たくさんだからねえええ!!!」 「あみゃあみゃ!!!あみゃあみゃ!!!」 まんまとこっちの提案にのってっくれた。 別に無視して家に帰ってもよかったが、私はなぜかゆっくりのいう「ゆっくり」とやらを知りたくなったのだ。 変わらない毎日に何か刺激がほしかったのかもしれない。 「おちびちゃんをみればとてもゆっくりできるんだぜ!じじいにとくべつにみせてあげるねええ!!!」 「かわいくてごめんねえええええっ!!!」 『さっきから私はこの子をみてるけど何も感じないよ。ただの饅頭だね。これが君達のいうゆっくりなの?』 「れいみゅ、まんじゅうじゃないぃぃぃぃ!!!」 「!? ち、ちがうんだぜ!ちょっとした冗談なんだぜ!!!」 (なんなのこのにんげんさん。おちびちゃんをみてぜんぜんゆっくりしていないなんて…ゆぅう!!ぜったいゆっくりさせてやるんだぜ!!!) 「すーりすーりはゆっくりできるよ!!!すーりすーり!!!」 『そんな野良の汚い皮をすりつけられても汚れるだけだよ…むしろ不快かな。』 「ばりざはきだなぐだいいいいいいぃぃぃぃぃ!!!!!」 「れいむがおうたをうたうよ!ゆ~んゆんゆ~ん♪ゆっゆっゆ~♪」 『音程も何もあったものじゃない。とても耳障りな騒音だよ。これがゆっくりできることなの?』 「でいぶのうだはみんなゆっぐりでぎるっでいっでぐでるのにいいいいいぃい!!!」 「ゆー!いっちょにこーろこーろちゅるよ!!」 『こんな石だらけの土でころがったら怪我するよ?そんな事もわからないの?馬鹿なの?死ぬの?餡子脳なの?』 「でいぶばがじゃだいいいいいいい!!!」 「む、むーしゃむーしゃはゆっくりできるよっ!!!」 『人間はそんな変な虫なんて食べられないよ。もっとおいしいものいっぱい食べてる。それくらい知ってるだろ? 今日はお昼にチャーハン半ライス大盛り、赤飯、豆ご飯、あと白米2杯食べてきたよ。』 「ゆっぐりでぎないいいいい!!!!!!」 この後もこいつらは私をゆっくりさせようといろいろ頑張っていたが、結局私をゆっくりさせることが出来ずに疲れ果ててしまった。 「どぼじでゆっぐりじでぐれだいどおおおおおお!!!」 「ゆっぐりいいいいいいいいいぃぃぃいいぃいい!!!」 「ゆんやあああ!!!」 やっぱり予想通りか。期待してたゆっくりは分からずじまいだ。つまらない。 ん?そういえば子まりさは何もしてこなかったな。 『君は私をゆっくりさせてくれないのかい?』 「ゆぅ…まりさはゆっくりしてないから、おにいさんをゆっくりさせることはできないよ…」 ゆっくりが自分の事をゆっくりしていないって言うか… 「…まりさはぐずでのろまだから…だれもゆっくりさせることはできないよ…ごめんなさい…」 ―ぼくは馬鹿でのろまなぐずです…ごめんなさい…だからもう…ここからだしてください― ふと脳裏にまりさの謝る姿と子供時代の自分の姿が重なった。 なんで私は謝ってるんだったっけ?ああ…あの時もあの親達は意味もなく俺に怒ってきたからか。 ぐず扱いされて、殴られて、また押し入れに一日中閉じ込められて… 押し入れの中でいつか絶対仕返ししてやろうっていつも思ってたなあ… ……… 『…まりさは復讐がしたくないかい?』 「ゆぅ?ふく…しゅう?」 『そう。復讐。君は今、家族からいじめられてるよね。ゆっくりしてないんだろ? きっとこのままずっと変わらないよ。もしかしたら家族から殺されちゃうかもしれない。』 「ゆっ!?まりさ、しぬのはやだよ!」 『じゃあさ…みんなに復讐して先にやっつけちゃおうよ?』 子まりさは驚いた。このままだと自分が殺されてしまうかもしれない。 でも復讐なんて… 『いいの?ゆっくりできなくても?』 …ゆっくりできない? ……い…や…だ…いやだ!ゆっくりしたい…まりさだってゆっくりしたいよ! まりさは…まりさはあるちいさいときからずっとずうっと家族やまわりのみんなからいじめられてきたよ。 ぜんぜんゆっくりできなかったよ… 妹がおいしい芋虫さんむーしゃむーしゃしてるのにまりさだけ苦い雑草さんでふしあわせーだった。 おかあさんたちは妹だけでまりさにはすーりすーりやぺーろぺーろしてくれない。それどころか殺されそうになったこともあったよ。 まわりのみんなもまりさのおかざりさんをみてゆっくりできないぐずって笑う。 「このぐずっ!」「のろまっ!」「ここからでてけっ!」 なんでまりさだけこんな目にあってるんだ。まりさが何をしたっていうんだ。 まりさは何もしていないじゃないか。おかざりさんだってまりさが好きでこうなったんじゃないよ! ただ…ゆっくりしたいだけなのに… … …くそお…憎い… 憎い…憎い…まりさはまわりのみんなが憎いよ… 憎い…憎い…まりさはまりさをこんな目にあわす家族が憎いよ… 憎い…憎い…まりさは全てが憎いよ… どうせ殺されてしまうなら、先に自分の手でみんなゆっくりさせなくしてやる。 復讐してやる復讐してやる復讐してやる… みんな殺してやるっ…! ……。 「……たいよ…」 『ん?なんだい?まりさ?』 「ふくしゅうしたいよ!まりさをゆっくりさせないみんなにしかえししたいよ!」 『ははは…いいよ。その願い叶えてあげる。』 私は子まりさの家族を家におびき寄せることにした。 『君達は頑張ってくれたね。結局ゆっくりって何かは分からなかったけれど、お礼がしたいよ。今から私のうちであまあまでもごちそうするけどどうかな?』 「あまあま!?ゆっへっへ!やっとじょうげかんけいがわかったんだね!しょうがないからあまあまをもらってやるんだぜ!!!」 「はやくしてね!ぐずはきらいだよ!ほんとあのちびといっしょでゆっくりできないじじいだね!!」 「あみゃあみゃ!!あみゃあみゃ!!」 ……… …… … 「だせええええええええ!!!ここからはやくだせえええええ!!!!ここはまりさのゆっくりぷれいすだぞおおおおお!!!」 「どおしてそのぐずだけそとにいるんだああああ!!!!れいむをはやくだせええええええええええ!!!」 「ゆっくちできないじじいはゆっくちちねえええええ!!!」 例のごとく蓋のある大きな水槽のなかに閉じ込めておいた。うるさいな… 『どうやって仕返ししたいんだい?』 「こいつらはゆっくりいためつけてやるよ!!!」 『わかった。こっちにおいで。何の道具があるか説明するよ。その道具からまりさが何をしたいのか自分で考えるんだ。』 子まりさには家にどんなものがあるか、どんなことが出来るのかを一通り説明した。 人間の使うものなのでゆっくりには難しいかとも思ったが、まりさはすさまじい集中力で話を聞いているようだった。 話を熱心に聞くまりさの表情にどこかおそろしい笑顔が見えた。 『まずだれからにする?』 「いもうとのれいむからにするよ!!!」 「まずおかざりさんをめのまえでちぎって、おからだをはりさんでぷすんぷすんしてね!!せいっさいだよ!!!」 『わかった。』 「「なにいってるのおおおおぉぉぉぉおおおおおお!!!!!???」」 「ゆ!おそらをとんでるみた…はなしぇえええぇぇええ!!!!!」 子れいむを水槽から出し、汚らしいリボンを奪った。 「ゆゆっ!?れいみゅのきゅーてぃくるでかわいしゅぎるおりぼんしゃんかえちぇええええぇぇぇえ!!!」 うわっ。すごい形相。よっぽどこいつが大事らしいな。 ごめんね。お前のお姉ちゃんの命令なんだ。 「やめりょおおおおおおおおおおお!!!!ちぎりゅなああああぁぁぁああ!!!!」 子れいむ…いや、れいみゅのきゅーてぃくるなおりぼんとやらを少しずつゆっくりちぎってゆく。 「やめてえええ!!!」 すこしずつ 「だいじなおりぼん!!!」 大切なおりぼんを 「がえ"じでえ"ぇ"!!!」 ちぎっていく 「やべろおおおぉぉおおおおおおおおおおおおお!!!」 れいみゅはおりぼんを必死に取り返そうとおしりをふりながらたいあたりしてくる。全然痛くない。ただふりふりおしりにはいらいらさせられる。 そうこうしているうちにおりぼんは全てちぎられ、汚らしいごみの山になった。 「ゆんやああああぁあ!!!れいみゅのおりぼんしゃん!!ゆっくりなおってね!!ぺーろぺーろ………」 必死におりぼんをなめる子れいむ。しかし現実は非情である。 「れいみゅの…おりぼんしゃんが………ゆうううううううう!!!!」 (もうゆるちゃないよ!これだけはつかいちゃくなきゃったけど、ちーちーにゃがしてないてあやまっちぇね!) なんと!れいみゅはついに奥の手「ぷくう」をくりだそうとしている! 「ぷくう」とはゆっくり威嚇のひとつ。口いっぱいに空気を吸いこみ自分を大きく見せるもので、 これを繰り出された者はあまりの恐ろしさにちーちーをたれ流し、泣いて謝ってしまうという恐ろしい技なのだ! (ゆっふっふ!!!もうこれでおわりだよ!!!!おんこうなれいみゅをおこらせたくそじじいがわるいんじゃきゃらねっ!!!!) 「もうれいみゅおこったよっ!!!!ぷくぅするよ!ぷく…ゆ"っ!!?」 突然れいみゅのほほに激痛が走った。「ぷくう」でふくらんだほほをちょうどいい具合に針でさされたのだ 「い、いぢゃいぃいぃぃぃぃぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!」 激痛からか目から激流のような涙を流す子れいむ。なんと驚くべき事に、れいみゅ渾身の「ぷくう」もこの人間には通じなかったのだ。 『ぷくうだって。おお、こわいこわい。』 ぷくうされた人間はそんな事を言いながらも淡々と子れいむのほほを針でさす。 「ゆびぃいぃぃぃぃいいいいいぃぃ!」 醜くでた下っ腹をさす。 「ゆびっ!」 ふりふりふられていたおしりをさす。 「やめっ!!」 汚らしい飾りがあった髪の毛の部分をさす。 「やっ!」 さす。さす。うすよごれた饅頭全体をさしまくる。 「やめちぇええええええええええええええええええええぇええ!!!」 「「おぢびぢゃああああぁあぁあぁあん!!!!!」」 れいみゅはちーちーを流しながら泣き続ける。 なんでれいみゅのひっさつ「ぷくう」が効かないんだ。「ぷくう」だぞ!れいみゅは怖いんだぞ! れいみゅがそんな疑問の中、妹の姿を見ていた姉まりさは、 「ゆっ!おにいさん!つぎはおめめをとっちゃってね!あまぎりだよ!」 あまぎりか。少なくをも普通の姉の言う言葉じゃないよね。 「ゆぐっ…やめちぇねっ…ぐすっ…れいみゅのおめめさんとらないでね…ぐす…」 「おぢびじゃんにげてええええぇえぇぇええええ!!!!」 「おにいさんはやくやっちゃってね!!!!!」 「やめて…れいみゅの…や…ゆぴぃいいいいいいいいぃいぃいいいいいいい!!!」 針はちょうど右目のど真ん中に刺さっていた。右目からは先ほどとは比較にならないほどの涙がでてくる。 『こんな感じかな?おっ!意外に簡単にとれそう!』 (ぷち…ぷち…ぶちぶちぃ!!!) 「うぎゃああああぁあぁぁあああああああああああああぁああああ!!!」 何かが無理やり引き離される音と共にれいみゅの右目が出てきた。 目玉に触ってみるとこれがなかなか弾力がある。これはなんでできてるんだ?不思議だ。 ゆっくりの目玉はゆっくり通の中ではなかなか人気がある。ナタデココのような食感が魅力なんだそうだ。 私には野良ゆっくりを食べる趣味は無いので食べたりしないが、またどこかで機会があったら食べてみるとしよう。 「れいみゅの…れいみゅのおめめさんが…」 片方がまっくらで何も見えない。れいみゅのおめめをかえせ… 『針よりピンセットの方が取りやすそうだなあ。まりさ、ピンセットでもいいかい?』 「ゆん!いいよ!!さっさとめだまさんをとっちゃってね!!!」 私はピンセットを手に取りれいみゅの左目をまるごとつかむようにして取り出そうとした。 (ぶちぶちぶちぶちぶちぃいい!!!!) 「……っ…ゆあっ…あっ…かひぃい…ゆっ…」 声にならない痛み。 『やっぱりね。こっちの方がうまく出来たよ。言った通りだろ?まりさ。』 「ゆ!まりさがおにいさんにしじしたからだよ!まりさのおかげだよ!!」 先ほどよりも勢いのある音とともに目のないゆっくりがそこに完成した。 (なにもみえないよ…おそとさんがなにもみえないよ…れいみゅのあまあまはどこへいったの… どうしてかわいいれいむがこんな目に合わないをいけないんだ…れいむはかわいいんだぞ… ぐずのまりさはれいむをゆっくりさせないといけないんだぞ…絶対おかあさんにせいっさいしてもらうからな…) そんなれいむの思いも虚しく意識がだんだん遠のいていく。 「………ゆ"っ…ゆ"っ…ゆ"っ…」 子れいむがあまりの激痛に痙攣し始めた。素人目からでもこのれいむが長くないことがわかる。 ここで死んでおけばまだ楽だったかもしれない。 だがそこには姉の非情な一言があった。 「ゆっ!こんなところでまだしんでもらってはこまるよ!!!おにいさん!!!いもうとにあまあまなみずをかけてあげてね!!!」 さすがは同じゆっくり。ゆっくりのことはゆっくりが一番よく知ってる。おそらくそれで事態が解決するのだろう。 あまあまな水かあ…野菜ジュースとかでもいいのかな? とりあえず言われた通りあまあまなみずであろう野菜ジュースをかけてみた。 後で詳しい人に聞いたところ、オレンジジュースのような果物系がベストだったらしい。生意気。 「…っ……いじゃ…いよ…ぐらくでなにもみえないよ…こわい…よ…おきゃあさんどこ…れいみゅ…ここにいるよ… だすけて…おきゃ…しゃん…あの…あのぐずに…せいっさい…」 「おぢびぢゃああああああああん!!!おかあざんはごごにいるよおおおおおお!!!いまだすげるからねえええええええええ!!!!」 「まりざだぢをはやぐごごがらだぜええええええええええええええ!!!!おぢびじゃああああぁあぁあああん!!!!」 子れいむの意識がもどったみたいだな。それに表面の傷も治ってる。さすがゆっくり。 さっきから親ゆっくり達が水槽を体当たりしている。頑張れば割れるかもね。 「おにいさん!れいむをはりつけにしたら、まむまむにはりさんをさしてね!!!」 子れいむを適当な置物にはりつけにし、準備ができると、 「ゆ”ぎっっ……っ!?」 れいむのまむまむに一本の針がささった。もうこれでは子供はうめないだろう。 針が刺さったまむまむから少しずつゆっくりの生命の源である餡子が流れ落ちてくる。 (ぽたっ……ぽたっ……) 少しずつだが確実に、れいむから餡子が落ちている。 (ぽたっ……ぽたっ……) 確実に。少しずつ。 「ゆひゃあああ!!れいむからあんこさんがすこしずーつそとにおちてきてるよ!!!おめめがないからわからないだろうけど、いってき、いってきおちてるよ!!! れいむはいつゆっくりしちゃうんだろうねえええええええ!!!あんこさんのおちるおとよくきいててねええええぇえ!!!」 目の見えない状態で自分の餡子(人間でいう血液)が一滴一滴落ちていく音を聞くのはどんな気持ちだろうか? 自分はいつ死ぬんだろうか。あとどのくらい生きていられるのだろうか。それがわからない。 電気椅子で一瞬で死ぬとはわけが違う。 いつ死ぬかもわからない恐怖ははかりしれないだろう。助かる可能性がないとわかっている絶望ははかりしれないだろう。 死刑勧告をされた死刑囚のように恐怖と絶望は永遠と思える時間続く。 人間でさえショックで死んでしまうこの状況。痛みや恐怖に弱いゆっくりは例外ではないだろう。むしろ効果的な殺し方だ。 餡子さんがなくなってしまったらゆっくりできない。 (ぽたっ…) いやだ。死にたくない。死にたくない。死にたくない。 (ぽたっ…) まだ自分は全然ゆっくりしていない。 (ぽたっ…) もっといっぱいおいしいものむーしゃむーしゃしたいし、おかあさんたちともっとすーりすーりしたい。 (ぽたっ…) それに将来、かっこいい伴侶となるゆっくりをみつけておちびちゃんをうんでゆっくりぷれいすでしあわせーするんだ。 しかし、そんなれいむのしあわせーなゆん生が訪れることはないのだ。 なぜなら姉であるまりさに殺されてしまうから… 「だいぶあんこさんがしたにたまってるよ!!!もうれいむはゆっくりしちゃうんだろうねええええ!!! いもうとのくせにおねえちゃんにさからうからだよっ!!!げらげらげら!!!」 「れいみゅ…まだ…しにちゃくない…しにちゃくないいいいいいぃぃいいいぃぃぃい!!!」 「おねえちゃんにさからうからだめだよおお!!れいむはもうしんじゃうんだよおおおおぉぉおおお!!!!げらげらげらげら!!!」 「いやじゃあああぁああああ!!!!おねえぢゃんだすけでええええええええ!!! ごべんだざい!!れいみゅがわるがっだでずううう!!!だがらだずげでぐだしゃいいいいぃいいい!!!」 「いやだよおおお!!!まりさにいもうとはいないよ!!!げらげらげらげら!!!!!ゆっくりしんでねええええええぇぇええ!!!!」 こんなやりとりが10分ほど続いた。そして、れいむはまもなく、恐怖と絶望の中死んでいった。 れいむにとってこの10分は永遠とも思える時間だっただろう。 「…ちに…ちゃく…な…い…おがあ…ざ…ん…じにだぐ…な…い…ごわいよ………も…と…ゆっく…りしたか…た…」 「「お"ぢびぢゃ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"あ"ん"!!!!!」」 「しんだ!!!しんだよ!!! まりさをいじめたあのばかないもうとはしんだよ!!!げらげらげらげらげら!!!!」 ついにまりさは間接的とはいえ殺してしまったのだ。家族である子れいむを。妹である子れいむを… 「ごっぢにごいいいいいいいいごのぐずううううううう!!!!ばりざがおまえをごろじでやるうううううううううううう!!!!」 「だぜえええええええごごがらだぜえええええええええええ!!!!」 親たちの憎しみは実行してる私ではなく、指示をしている子まりさの方が大きいようだ。 プライドだけは高いゆっくり達。自分たちがぐずだと思っていた奴にこんな目に合わされているのがとても屈辱的なことなのだろう。 『次はどうする?』 「おにいさん!!!つぎはまりさおかあさんだよ!!!」 「ゆ"っ!?やめてね!!!そっちのれいむにしてね!!!」 「なにいってるのまりさあああああああああああああ!!!!」 『どうする?』 「ゆっ!まりさおかあさんするよ!!!」 「どぼじでえええええええぇええぇえ!!!!!!」 「ゆふん!れいむをみがわりにしようとするからだよ!!!ばかなまりさはそこでゆっくりしぬのがおにあいだよ!!!!」 さっき子供が死んだのになんてと自分本位なやつらだ。結局子供に殺されちゃうのに。 …… … 「とめてえええぇえぇえぇえぇえええええええぇええぇぇえぇ!!!」 「だめだよ!まりさがいいっていうまでとめないよ!!!」 親まりさが今、何をしているのかというと… 「まりさがいいっていうまで、るーむらんなーさんではしりつづけてもらうよ!!!」 『それだけか?』 「まりさはずっといいっていわないよ!!!もしはしれなくなったらせいっさいだよ!!! ぜったいゆっくりさせないよ!!!げらげらげらげら!!!!」 ということで、ルームランナーで子まりさが終わりを宣言するまで親まりさには走り続けてもらう。走り切れなかったら制裁ということなのだ。 かれこれもう30分は跳ねつづけている。 「ゆう…ゆううう…もう…とめてね…まりさ…もう…げんっかいだよっ…」 「ゆっ!せいっさいされてもいいんだね!!!!」 「いいからとめろおおおおおおおおおおおぉぉぉおおお!!!!」 「くちごたえしたからすぴーどさんをあげるよ!!!!」 「ゆぴいいいいいぃぃいいいいいいいい!!!!!なんでまりさが…こんな目に…」 「すぴーどさんをあげるよ!!!」 「ゆううううううううぅうぅぅぅぅぅぅ!!!!!???」 「ゆふふふふふふ!!!!まりさはいいきみだよ!!!さっさとはやくしんでね!!!!!!」 それから1時間…1時間30分…2時間と過ぎていったがとうとう親まりさに限界がきた。 「も…う…むり…ゆっ…く…り…ゆっくり…したい…も…ゆ"ぐぇ!!!」 ついに親まりさはとまってしまった。 「ついにとまったねえぇぇええ!!!!!せいっさいだよおおおぉおぉおおおおおおおおお!!!!!!!!」 「や…やめて…ね…ぜえ…まりさは…ぜえ…がんば…ゆへぇ…ったんだよ…」 「いいっていうまではしればゆるしたけどだめだよおおおおお!!!おにいさああああん!!!!せいっさいのじゅんびだよおおおおおおおお!!!」 … 「まずはこのたべものさんをむーしゃむーしゃしてね!!!」 「…っ!?…ゆっ?」 親まりさは意表をつかれた。子供があんな悲惨な目にあったのだ。自分はどれだけ悲惨な目にあわされるか想像もつかなかった。 なのにこのたべものさん(?)をむーしゃむーしゃするだけでいいの?まりさは許されたんだね!やっぱりまりさがゆっくりしてるからだね。かわいくてごめんねえ!!! 「ゆゆん!!それだけでいいんだね!!!そんなのかんたんだよ!!!ゆっくりたべるよっ!!!」 ゆっくりは基本なんでも食べる。この野良まりさは公園の苦い雑草や汚い虫、生ごみなどを食べてきた。 それはあまりゆっくりした食べ物達ではなかったが生き延びるためだ。仕方のない事である。 そこにいつもとは違う人間の食べ物だ。感想は決まっている。 「むーしゃむーしゃ………し…しあわすぇええええええええええええええええぇえええぇえ!!!!」 最初は得体のしれないものだと思って警戒していたがいつも食べているものに比べるとなんておいしいものだ!! まりさ大人なのに思わずうれしーしーを流してしまった。だがそれだけおいしいのだ。しあわせーなのだ。 「うめっ!!めっちゃうめっ!!!はふ!!ばりばり!!!はふっ!!!」 「ゆうううううう!!!れいむにもちょうだいねええ!!!それはれいむのたべものさんだよおおおお!!!!」 「いっぱいあるよ!!!ぜんぶたべてね!!!!」 親まりさは言われるまでもなく全部食べきった。 しかし食べたと同時にのどがとてもかわいてしまった。 無理もない。ルームランナーであれだけ走ったのだ。身体の中の水はもうほとんどのこっていないだろう。 「まりさのどがかわいたんだぜ!!!ごーくごーくしたいよ!!!!そこのぐず!!!はやくみずをよこしてね!!!!のろまはきらいだよ!!!」 自分は助かったと思い、いつも親れいむがしているように子まりさを命令する親まりさ。 「わかったよ!!!おにいさん!!!おみずさんをじゅんびしてあげてね!!!ゆぷぷ…」 「ふん!!わかればいいんだぜ!!!でもまりさのおちびちゃんをころしたげすゆっくりはあとでせいっさいするんだぜ!! おそいよっ!!!なにしてたの!!!はやくそのみずよこしてね!!!ごーくごーく…ごーくごーく…ごーくごーく…」 よほどのどが渇いていたんだろう。用意した水をすごい勢いで飲み干していく。 「ごーくごーく…ぷはあああああああああ!!!たくさん飲んだよ!!!しあわせえええええええええだよっ!!! げーっぷ!!!あとはげすゆっくりをせいっさいするだけなんだぜっ!!! …ゆっ?なんだかぽんぽんが…?ゆっ!おみずをたくさんのんだからぽんぽんがいっぱいなんだね!!! おちびちゃん!!!いまからおちびちゃんをころしたげすをころすからねえええええ!!!」 親まりさと子まりさの距離はそんなに遠くない。せいぜい3メートルといったところだ。 このままでは子まりさが怒り(笑)に震える親まりさに殺されるのも時間の問題だ。 「ごめんなさいいいい!!!ちょっとしたできごころだったんですうううう!!!もうしないからころさないでええええええええ!!! ゆぷぷ…」 なんと子まりさが必死になって謝り始めた。 「ゆっへっへ!!!いまになっていのちごいをしてもだめなのぜ!!!さあおちびちゃんのかたきをとるよおおおおおおお…お…お? ぽんぽんが…なん…だか…ぽんぽんがくるしいよおお…お…お…」 「ごめんなさいい!!!ゆるしてえええ!!!もう…ゆぷぷ…もうしま…ゆぷぷぷ…ぷ…ぷはははははははははははは!!!!!!!」 「ぽんぽんが…ぽんぽんがいたいんだぜええええええええええええぇえええ!!!!」 まりさのぽんぽんが痛い原因は先ほど食べていた食べ物にある。 まりさが食べたのは乾燥昆布。水にひたしてしばらく時間がたつと体積が何倍にも膨らんでいくという食物だ。 その膨大な量の乾燥昆布がまりさの体内で膨らみ、内部からまりさを圧迫しているため苦しんでいるというわけだ。 ゆっくりの80%以上が水分である。 ゆっくりが何もせず乾燥昆布を食べてしまうと、ゆっくり内部の大量の水分を昆布がすいこみ、全部食べきる前にお腹いっぱいを感じてしまう。 これでは親まりさを苦しませることができない。ただお腹をいっぱいにしてしまうだけだ。 そこで子まりさは考えた。 親まりさ体内の水分を出来るだけ無くし、昆布が膨らまないようにしようと。 そのために、ルームランナーで過剰な運動をさせて大量の水分を外に出させる。運動することによって苦しませられるし、お腹もすく。一石三鳥だ。 水分が体内に無いのだ。乾燥昆布を食べた所でまだ膨らむはずもない。お腹いっぱい昆布を食べてもらう。 その後にたっぷりの水を飲ませる。これは昆布が膨らむための水分を与えるためだ。 謝ったふりをしていたのも、すぐには膨らまない乾燥昆布への時間稼ぎ。 そう。すべては子まりさの計算の上だったのだ。 「まりさになにをぐわせだあああああああああああああ!!!!」 親まりさは自分に何が起こっているかわからなかったが、子まりさから与えられたあの食べ物が原因であることは予想がついていた。 「くるしいだろうねええ!!!!でもまりさもくるしかったんだよおおお!!!! みんなからいじめられてとってもくるしかった!!!なのにおかあさんはなにもしてくれなかったでしょおお!!!! だからばりさもなにもしない!!!じぶんでかってにくるしんでろおおおおおぉぉおぉ!!!!!! まりさとおなじくるしみをあじわってしねええええええええええ!!!」 「ぐううううううういじゃいいいいいいいいいいぃいいぃいぃ!!!ぽんぽんがいだいいいいいいいいい!!!」 先ほども説明したが乾燥昆布は時間とともにその体積を大きくする。つまり時間がたてばたつほど苦痛も大きくなるのだ。 「ゆぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷうううう!!!!みじめだねえええええ!!!! じぶんがむーしゃむーしゃしあわせーしたものでしぬなんてなんてみじめなんだろうねええええええええええ!!!!! まりさにはしあわせーなものなんてなかったよ!!!そこでゆっくりしんでねえええええええ!!!」 「ゆうううううううごろじでやるううううううううううううう!!!!」 親まりさのその言葉には今にも子まりさを呪い殺せそうな憎悪がこもっていた。 今すぐにでもあのげすを殺したい。おちびちゃんを殺したあのげすを。 だけどおからだが膨らんでるからかうまくうごかせない。 くそおおおおおおおおおおお。うごけええええええええええ。 「ごっぢにごいいいいいいい!!!!ごろじでやるううううううううう!!!!」 「こっちにこいだってえええ!!!!どうしてまりさがいかなくちゃいけないの?まりさはここからうごかないからこっちにおいでよ!!!げらげらげらげら!!!!」 そうしているうちに親まりさのからだはどんどん膨らんでいく。ゆっくりの皮は伸縮性があるため、中からの圧力によってどんどん伸びていく。 苦痛の色濃く、風船のようにふくらんでいく親まりさ。 それを見て笑う子まりさ。 どちらもゆっくりできてないことは確かだった。 「ゆはははははははははは!!!!!」 「ごっぢにごいい…いいいいいいっ…いっ…ひっ…ひっ…ゆっ…ゆ"、ゆげえええええ!!!!!」 ついに親まりさは餡子を吐き出してしまった。増えていく昆布の代わりに中身の餡子を吐き出し、体内の容積を減らしたのだろう。風船が爆発しないために。 「ゆげえええええ…ゆげ…ゆげえええええええええぇえぇぇぇぇぇ…」 「ゆゆっ!!あんこさんはいちゃったよ!!!おかあさんあんこさんはいちゃったよ!!! ゆげげげげげ!!!!もういもうととおなじゆっくりできなくなるうんめいなんだよおおおお!!!! げらげらげらげら!!!!ゆっくりしんでねえええええぇえぇぇぇ!!!」 「まりさあああああ!!!!あんこさんはいちゃだめええええええ!!!」 さっきまで死ねって罵倒していたくせに。まあ、一応つがいだもんな。 「いつゆっくりできなくなるのかな?まりさおかあさんはいつゆっくりできなくなるのかな?まだかな?まだかな?まだかな?まだかな?ゆぷぷぷぷぷぷぷ!!!!」 「ゆ…ぎぎぎ…ゆげええ…ゆ…ゆげえええええぇえぇ…」 大量の餡子を吐き続ける親まりさ。しかし昆布は膨らみ続ける。 「ゆぎ…ぎ…もう…げん…げんっかいだよ…っ…」 (まりさ…もうゆっくりできないよ…はやくゆっくりしたいよ… ゆっくりして…てんごくのおちびちゃんにあいたいよ…ぐそお…あんなげすに…あんなゆっくりしてないやつなんかに…) ゆっくりは身体の3分の2以上の餡子がなくなるを死ぬ。 親まりさの大きさはバスケットボール大。単純に考えても相当な量の餡子を含んでいる。 げんっかいは簡単にはこないのだ。簡単には死ねない。否…死なせてもらえないのだ。 ゆっくり、ゆっくりと時間をかけて殺されていくのだ…そうゆっくりと…自分の子供である子まりさに…ゆっくりと… 「ゆ…っ…は…やく…ゆっ…りしたいよ……」 「だめだよっ!!!ゆっくりくるしんでしんでねっ!!!」 「ゆっぐぐぐぐぐう…」 (どうしてまりさはこんな目にあわなくちゃいけないの。ゆげ…まりさはただゆっくりしてただけだよ。ゆげえ… ぜんぜんおちびちゃんをゆっくりさせなかったから…ゆげえぇ…そのしかえしなの?ゆげえ…だからまりさはこんな苦しい思いをしているの?わからないよ… でもれいむに…おこられちゃうからしょうがなかったんだよ。ゆえっ…それにまりさはそれをまち……ゆ"っ!?) まりさはどうしてこうなったのか考えた。一生懸命考えた。 しかし残念なことに、まりさがその結論を考え出す前に終わりがきてしまったのだ。そう、まりさの死という名の終わりが。 突然まりさの目が大きく見開いたと思うと、 「ぎぎぎぎ……ゆ…ゆげえええ…ゆげええええええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇえええええ!!!!!!」 一気に大量の餡子を吐き出して親まりさは死んだ。やっとゆっくりさせてもらえたのだ。おそらく昆布が中枢餡に達したのだろう。 「もっど…ゆっ……ぐ……」 「まりさあああああああぁぁぁぁぁぁあぁぁあ!!!!」 「いもうとにつづいてこいつもやっとしんだよ!!!まりさをむししつづけたあのばかなまりさおかあさんはしんだよ!!!げらげらげらげらげら!!!!」 最終的にまりさは元の三倍ちかくも体積が大きくなっていた。なおも体積はふえている。 顔にはこの世のものとは思えない顔で死んでいるゆっくりしていない元ゆっくりの姿が映し出されていた。 「まりさ…どうして…もうやだ!!!おうちかえるううううううううううううう!!!!!」 そんな親れいむの叫びむなしく子まりさは 「ゆっふふふぃひひひひひ!!!さいごはれいむおかあさんだよおおおおおおおおお!!!」 『わかったよ。』 「どぼじでええええええええええええええ!!!!」 …… … 最後のせいっさいをまりさと相談していると、 「ゆうう!!!れいむはここからでるよ!!!がらすさんはいじわるしないでここからだしてね!!!!」 必死の形相で水槽に体当たりするれいむ。今までの比ではない勢いだ。 そんなれいむの願い通じてか、ついに水槽は割れた。 (バリーン!!!) ガラスの割れる音が部屋に響き渡る。 「ゆゆっ!!!われたね!!!ゆっくりここからにげるよ!!!ばかなじじいたちはこんどほかのなかまといっしょにせいっさいするよ!!! ばかなじじいとげすゆっくりはゆっくりしんでね!!!そろーりそろーり…」 ゆっくりには自分の行動を口に出してしまう本能がある。それでなくても、逃げようとしていた事はわかるんだけどね。 「!!!? どぼじでどあさんがしまってるのおおおおおおおおおお!!」 自分が逃げようと必死になったら水槽がわれたわけか。子供が死んでも、自分のつがいが死んでもその必死さはなかったくせにな。 ―○○!俺を先に助けろ!!!足がタンスにはさまって動けねえんだ!!!早くしろ!火がせまってる!!― ―ここからだせ!!親にこんなことしていいと思っているのか!!この恩知らず!!!― あの時でもお前らは、ぼくを助けようって考えはなかっただろうな。自由の身であっても。 ―おいやめろ!!俺はお前の親なんだぞ!!!そんなものふりまわすんじゃ…― ―今さら親づらするなよ。お前には殴られた思い出しかないよ。― ―火が!!火が目の前に!!○○!早く助けろ!!早くここから出せ!!!○○!!!― ―ぼくが何を言ってもあけてくれなかったじゃないか。― ―おまえらなんて死んでしまえ― 結局、親だろうと自分の身が大事なのはあいつらと同じか…みんな自分の身が一番大事なんだよね。 『ふふふふふふ…』 「ゆ?なにかおかしいのおにいさん?」 『ん?別に笑ってないよまりさ。さあ、復讐を続けよう。』 「ゆっ!!わかったよ!…きめたよ!!さいごはまりさじしんがせいっさいするよ!!!」 「れ…れいむをいじめるのはやめてね…」 『ごめんね。君の子供のお願いだから。親なら我慢できるよね?』 「はなせえええぇえええぇええええぇえ!!!」 親れいむの身動きがとれないようピーラー(野菜などの皮をむく調理器具)で皮を餡子がもれないようむく。 まずは髪の毛からのある頭から。 「ゆぎゅいいぃいいいいいいいいいい!!!!!でいぶのえれがんとなくろがびがあああ!!!!」 皮と共に髪の毛までむける。頭が薄皮一枚だけの禿げ饅頭がいる。身体はまだ普通なだけに、このアンバランスな姿がまた滑稽で笑える。 「どぼじで…どぼじでごんなごどずるのおおおおおおおおおおおお!!!」 どうして?うーん… 『そうだな…あえていうなら…仲間を増やすためかな。』 「どういうことなのおおおおおぉぉおおぉぉ!!!」 そこから体中の皮を丁寧にむいていく 「ゆぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃあああああああああぎゃああああああ!!!!!!いじゃいいいいいいぃぃいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!」 「ゆひゅへへへへへへへへゃははははは!!!!!れいむおかあさんぜんぜんゆっくりしたすがたじゃないよ!!!! かみのけさんもおかざりさんもなんにもない!!!!ただのはげまんじゅうだよ!!!!! ゆひゃへへへへへへへ!!!!つるつるさんだよおおおおおぉぉおぉぉ!!!!つるつるさんだよおおおおぉぉお!!!」 「わらうだああああああああああ!!!!ごろ…ゆへっ!?……ごろじでやるううううううぅぅうう!!!ゆひぃっ!?」 滑稽な姿の親を笑う子まりさと、それに激怒する親れいむ。この二匹はこれでも親子なのだ。 「まりさをみためだけでいじめたげすおやはゆっくりできないすがたになってしね!!!!まりさはもっとくるしかったんだぞおおおおおおお!!!! ちょっとおかざりさんがへんだからっておまえらにいじめられて、どってもくるしかったんだああああああ!!!! おまえみたいなゆっくりはゆっくりできなくなってしねええええぇぇぇぇぇえ!!!」 身体の皮を全部むききり、頭だけでなく身体中が薄皮一枚だけの饅頭が完成した。 餡子がもれていないので死ぬことはないが、それでも空気に触れるだけで身体全体が激痛に犯されている。 「いじゃい…いじゃいよお!!!!どうじででいぶがごんなべに…」 「ゆふん!ここからはまりさがやるからおにいさんはてをださなくてもいいよ!!!!」 「…おばえごどぎが…おばえごどぎがでいぶにがでるどおぼっでいるのがああああああああ!!!」 親れいむの言っている事は、正しいと言えば正しい。 親れいむの大きさがバスケットボールに対し、子まりさの大きさはせいぜいハンドボールくらいだ。 戦ったら親れいむが勝つのは明白だろう。親れいむもそう思っていたに違いない。 しかし、これには条件がある。お互いに体調万全の状態であればだ。 そう。今はそれに当てはまらない。 「ゆぎぎぎ…おちびちゃんとまりさのかたきだよ!!!!!げすなこどもはいますぐしねええええええぇえぇえぇえ!!!」 「やってみるといいよ!!!!!げらげらげらげらげら!!!!おちびちゃんとまりさのかたきぃ!!げらげらげらげらげら!!!!」 「もうないてあやまってもゆるざないよおお!!!!げすゆっくりはせいっさいしでやるううう!!!いまいぐがらばっでろおおおおおお!!! ゆああああああああっ!?いだいいいいいぃぃいいいいぃぃぃいいい!!!」 空気が触れるだけでも激痛なのだ。ではその身体を動かすとどうなるか? 地面と自分との摩擦。はねたときの衝撃。全ての動作が痛みをなってかえってくる。まともに動くこともできないだろう。 「ゆひゃっはあああっはあああああ!!!うごかないの?ならこっちからいくよ!!!!!」 まりさ渾身の体当たり。 いつもならそれほど痛くもなく耐えきれる範囲の攻撃だろう。 だが今は状況が状況なのだ。 「ゆぎゃああああああぁあぁぁぁあぁ!!!!!いじゃいいいいいいいいい!!!!!もうやじゃあああああああ!!!!」 ちーちーが勢い良く噴出し、涙がとまらない。どうしてだ?なんであんなげすの体当たりがこんなにもいたい。れいむの方が強いのはずなのに。 おかしい!いたい!いたい!ゆっくりしたい! 「でいぶはしんぐるまざーなんだぞおおおお!!!!ゆっぐりざぜないどいげないんだあああああ!!!ぞれがわがらないげすはゆっくりじねええ!!!!」 「まだくちごたえするげんきがあるんだねええええええ!!!せいっさいするよおおおおおおおお!!!!」 それから子まりさの親へのせいっさいは続いた。 「このげすおや!!!まりさをゆっくりさせないげすおや!!!しね!!!!はやくしね!!!!」 「ゆべっ!!!やっ!!!やめろおおお!!!!でいぶ!!!まだっ!ゆっぐり…じだぐないいぃぃ!!!」 まりさは皮が破れて餡子がもれず、なおかつ痛みを最大限に与えられるよう、せいっさいの力加減をコントロールしていた。 「しねっ!!!しねっ!!!しねっ!!!」 「やべっ!やべろっ!!ゆっぐりざぜろおおお!!!おいじじい!!!でいぶをはやぐだずげろおおおおおおおおお!!!」 「まりさはずっとゆっくりできなかったんだ!!!!ほかのゆっくりとすこしちがうだけでみんないじめて!!! かぞくからもいじめられて!!!ずっとゆっくりできなかったんだぞ!!!!おまえはそれをしっているのか!!!」 「うるざいいいいいいぃぃいいいいい!!!!じねえええええええええ!!!!」 まりさのせいっさいは一時間にも及んだ。 「ゆはあ…ゆはあ…ゆはあ…お…おにいさん…ちょっときゅうけいするよ。げすおやにあまあまなおみずをすこしかけてあげてね。すこしでいいよ。 まりさは…あっちであまあまさんをたべてきゅうけいしてるよ。」 「ゆっぐりざぜろおおおおおお…」 言われた通り子れいむ同様親れいむにも野菜ジュースをかけてやった。しばらくすると会話できるくらいには回復していた。 「ぐぞおおおおお…あのげすううううううう…ゆっぐりじねえええええええ…」 子まりさは台所でプリンを食べている。 ……「ちちち…ちあわちぇーーーーーーーーーっ!!!」 んーまだ時間がかかりそうだな。 ……「へぶんじょうたいっ!!!!」 『ちょっと質問させてよれいむ。質問に答えたらあの子まりさを私がせいっさいしてあげるからさ。』 「!? ほんとうだね!!じじいははやくあいつをせいっさいしてね!!!れいむはしんぐるまざーなんだよ!!!」 『ゆっくりにとってゆっくりすることはゆん生の中で一番大事なことなんだろ?』 「そうだよ…じじいはそんなこともわからないの?ばかなの?」 『お前たちはここに来る前まではゆっくりしていたのか?』 「そうだよ…みんなですーりすーりして、おうたをうたって、むーしゃむーしゃして、 おしゃべりして、すーやすーやしてたよ。とてもゆっくりしたしあわせーなひびだったよ…なのにあのげすのせいで…」 『子供をいじめてまで生きることがお前らの言うゆっくりだったのか?』 「あいつはげすだからいいんだよ!」 『げすって…もとはといえばお前らが普通に接していればあいつもお前らを憎んだりしなかったよな。』 「そんなこと…そんなことないよ!!!あいつはげすなんだよ!!!おかざりもゆっくりしていなかったし!!!みんなもゆっくりしてないっていってたよ!!!」 『かわいい自分の子供なんだろ?他人とは違い血のつながった唯一の家族。どこか自分たちと違っても守るべき大事な家族なのは変わらないんじゃないか?』 「ゆっ…それは…」 『れいむ…ゆっくりってなんだ?』 その時ちょうどプリンを食べ終えたまりさが幸せそうな笑顔でこちらに走ってきた。 「おにいさん!!!せいっさい、さいかいだよおおおおおおおぉおおおおおお!!!!」 「ゆゆっ!!!!!!」 …… … 『そうだよな…血のつながった唯一の家族なんだよ。他人と違って…もう遅いけどさ。』 再び子まりさによるせいっさいが始まった。 「ゆへへへへへへへへひひひ!!!!せいっさいだよ!!!せいっっさいだよ!!!せいっっっさいだよおおおおおおおおおお!!!」 「ゆぐっ!!!ゆぎっ!!!!ゆっ!!!ぎっ!!!ゆへっ!!!!」 (『守るべき家族なんじゃなかったのか?』) かぞく?あのまりさが?かぞく? ゆっくりしてないのはかぞくじゃないよ。 …でもどうしてまりさをゆっくりしてないって思ったんだろう? 「せいっっ!!!」「ゆぎぎっ!!!」 おかざりさんが他の子と違っていたから?そのせいで他のみんなに馬鹿にされるのが嫌だったから? 「さい!!!」 「ゆゆゆうっ!?」 今思えばそんな理由だけで自分の子供をいじめていたのか? ゆっくりしていなかったのは子供じゃなくて自分だったんじゃないか? でもおかざりは大事…な…の…か……な…ゆう… … おかざりなんて…本当はどうでもよかったんじゃないか? まわりのみんなから馬鹿にされるのが嫌だからって…自分の…大切な子供なのに…守るべき家族…なのに… 「れいむ…ちょっとまりさにきびしくあたりすぎじゃないかぜ?」 「ゆ"っ!?なにいってるの!!!あいつはゆっくりできないんだよ!!!ぐずなんだよ!!!」 「でもまりさたちのたいせつな…「うるさいよっ!!!」ゆっ!?」 「こんどあいつとしゃべったらまりさもろともせいっさいするよ!!!」 「ゆう…わかったんだぜ…」 れいむがこんな事言わなきゃまりさはおちびちゃんをあの時通りずっと大切に育てたかな… 「まりさ、おかあさんのためにきれいなおはなさんとってきたよ!!!」 「いらないよ!!!そんなこともわからないのかこのぐず!!!おまえにかかわるとろくなめにあわないよ!!!!」 「おかあさんごめんなさい…」 謝らないでおちびちゃん…そのおはなさんとってもきれいだよ…おかあさんのためにありがとうね… 「ゆぴいいぃいいぃいい!!!!いちゃいいいいいぃぃいいいいいいいいい!!!!」 「どうしたのおちびちゃん!!!!!!」 「まりさ、れいむといっしょにあそんでたられいむがそこのいしさんにつまずいちゃったんだよ…だいじょうぶれいむ?」 「うるさいよおおおおおおお!!!」 「ゆぴぃいいいい!!!」 「どうせおまえがおちびちゃんをいじめてなかせたんだ!!!きょうからみっかかんごはんぬきだからね!!!」 「ゆぅ…ごめんなさい…」 …ゆ…ごめんね…おかあさんが…悪かったんだよ…おちびちゃんを信じてあげられなくてごめんね… 本当は気付いてたのかもしれない…自分が悪いって…でも認めたく…なかったんだよ…自分がゆっくりしてないなんて… でも…今…ちゃんと気づいたよ…おかあさんは悪いゆっくり…ゆっくりしてない…悪いゆっくりだよ… おちびちゃんにせいっさいされてもしかたない悪いゆっくりだよ…悪いのは… 「ごめんね…おちびちゃん…れいむのたいせつなこども…」 「ゆっ!?」 まりさは驚いた。 謝られた?おかあさんに?そんな事あるわけがない。あのいじわるなおかあさんがまりさにあやまるなんて…でも今… 「ごめんねおちびちゃん…ぜんぶれいむがわるかったよ…おちびちゃんはなんにもわるくないよ…」 ご…め…んね…だって… なんで…今になって謝るんだ。謝るくらいなら普段からなんで普通に接してくれなかったんだ。 まりさはつらかったんだぞ。いつもひとりぼっちでさみしかったんだぞ。 だれもまりさをたすけてくれなかったんだぞ… いまさらおやづらするな… いまさら…いまさら… 「…いまさらおやづらするなあああああぁあぁあぁあああああああああああああ!!!!!!!ゆっくりしねええええぇえぇぇえぇえぇぇええええええええ!!!!!!!」 その後も子まりさの親れいむへのせいっさいを続けられた。激しさを増しながら… 薄皮を気遣った力加減のコントロールなんて、もはや存在しない。つねに全力の体当たり。 しかし、れいむはそれに耐えた。耐え続けた。ひたすら子供への懺悔の言葉を口にして。 「ゆっ!!!!ゆっ!!!!ころす!!!!ごろず!!!!!ごろじでやるううううううう!!!!」 「ごめんねおちびちゃん…ゆ"っ!ごめんね…れいむが…ゆ"っ!わるかったよ…ゆ"っ!」 「ごろずごろずごろずごろずごろずごろずごろじでやるううううううぅぅぅぅぅ」 まりさの悪魔ののような叫びが響き渡った。もはやそれはゆっくりのものではない。 「じねじねじねじねじねじねじねじねじねじねえええええぇええええええ!!!!」 「ごめんね…おちびちゃん…ほんとうに…ごめんね…」 「ごろず!!」 「ごろずっ!!!!」 「ごろずうううううぅぅぅううううう!!!!」 「ゆ"う"う"う"う"う"う"ぅ"ぅ"ぅ"う"う"!!!!?」 ゆっくりには自分で死ぬ方法をして「おたべなさいっ!!」というものがある。 この言葉をゆっくりが発するとゆっくりは身体の真ん中からきれいに二分割され文字通り本当のお饅頭と化す。 これは他のゆっくりのために自らが食料となろうとするとき、自分がもうゆっくりできないと感じる二つの場合に使われる。 ではこのれいむはどうだろう? 実の子供にせいっさいという名の虐待をうけ、全身が薄い皮のみなので常に我慢しがたい激痛を感じ続ける。 自分の家族は同じ家族である子供にみんな殺された。 万が一ここから助かっても普通のゆっくりとしては生活できないというこの状況。もうゆっくりできないと感じるのが普通だろう。 ではなぜれいむは「おたべなさいっ!」をしないのであろうか? それは子まりさへの謝罪だけではない。 ゆっくりできない自分への罰。 ゆっくりできない自分に付き合わせてしまった家族への弔い。 そして一番は、子まりさの怒りをこの身全てで受けようとする母の愛情であった。 すぐにゆっくりするわけにはいかない。 ゆっくりにとっても家族というものは、本当はとてもとても大きい存在なのかもしれない。 …しかしそんなれいむのにも限界が来てしまう。気持ちではない。身体のほうだ。 「ぐっ…ゆげええええええぇええええええ!!!!」 あまりの長い時間の激痛に耐えられなくなりついに餡子を吐き出してしまう。 「ごろずごろずごろずうううううううううううううぅぅぅぅ!!!」 それに気付かずまりさはせいっさいを続ける。それほどまりさの母への恨みは深かったのかもしれない。 「せいっさいだあああぁああああああああぁあぁああ!!!」 「ゆべっ…ゆげええええぇえ…ゆっ…ゆげえええええええええええええ」 ついに子まりさのせいっさいのたびに餡子を吐いてしまうようになってしまった。このれいむが死ぬのも時間の問題である。 「しねっ!!!しねっ!!!しねっ!!!!」 『まりさ。』 「なんだおにいざんんんん!!!!いばばりさはいそがしいんだよおおおおおお!!!じゃまするとおにいざんもせいっざいするよおおおおおおお!!!!」 『…もう痙攣してる。死ぬのは時間の問題だと思うよ。時間をかけて殺すんならもうその辺にしておいて 苦痛の中死なせた方がいいんじゃないか?』 私はまりさに提案する。子まりさのためではない。最後にれいむと話しがしたかったのだ。この状況においてもお前はゆっくりできるのかと。 「ゆふう…ゆふう…ゆふう…まりさは…いまそれをかんがえていたんだよ…ゆふう…おにいさんはよけいな…くちごたえしないでね…ゆふう…」 「…ゆ"っ…ゆ"っ…ゆ"っ……」 (…せいっさいはおわったの?でももうおからだのかんかくがないよ…もう…ゆっくりできそうもないね… おちびちゃんはれいむのことをゆるしてくれたかな…どっちにしても…れいむはわるい…ゆっくりだよ… ごめんね…おちびちゃん…が…ゆっくり…できなかったの…はれ…いむのせいだよ…こんな…おかあ…さんをゆる…してね…) 「ゆふう…ゆふう…くるしんでしね…ゆふう…ゆふう…」 … このれいむはもう死にかけだな。というかまだ生きてるのかな? 会話するのは無理かなあ…。 実の子供にここまでされて…少し哀れにも見えてくるな。 「…お…おに…い…さん…れいむ…の…は…な…しを…」 え!?お前まだしゃべれるのか!?それにそんな死にかけの状態で何を話すって言うんだ!? 「…おにい…さん…れいむの…さいごの…は…なしをきい…てね…」 子供じゃなくて私に?そこまでして伝えたいことがあるのか? わかった。お前の最後の言葉この耳にしっかりと焼きつけよう。 『…なんだい?』 「おにいさん…おにいさんは…ゆっくりってなにって…れいむにきいた…ね…おしえて…あげるよ…」 れいむはとぎれとぎれながらも自身最後の言葉を呟くような声で私に語りかけた。私は一字一句聞き逃さないようれいむの言葉だけに集中した。 「ゆっくりっていうのは…じぶんの…じぶんのいきたいようにいきることなんだよ… おなかがすいたときにむーしゃむーしゃする…かわいいおちびちゃんといっしょにすごしたいからおちびちゃんをうむ… もうおねむだからみんなとすーやすーやする…みんなとあそびたいからこーろこーろする…おちびちゃんとうたいたいからおうたをうたう… ぺーろぺーろやすーりすーり…みんな…みんなゆっくりできることなんだよ…じぶんがしたいからするんだよ… おにいさんは…ゆっくりしてるの…?れいむ…おにいさんがゆっくりしているようにはみえないよ… おにいさん…れいむの…さいごの…おねがいだよ…おちびちゃんをゆっくり…させてあげてね… れいむ…は…こんな…こと…いえる…おや…じゃ…ないけど…ゆう……ゆっ…う…うぅ… ゆっくりさせて…あげられなかった…うっ…れいむたちのぶんまで…ゆぅ…うぅ…っ…ゆっ…ゆっくり…させてあげて…おね…がい… おちび…ちゃんは…ゆっくりでき…るんだよ…これできっと…おにい…さんも…ゆ…っく…りでき…よ… お…に…さん…ゆっく…り…し…て…いって…ね……!!!」 おちびちゃんは自分達無しで生きていけるのだろうか… しあわせーなゆん生を歩めるだろうか… それだけが心残りだな… おちびちゃん…何も教えてあげられなくてごめんね… いっしょにおうたとかうたってあげられなくてごめんね… すーりすーりも…ぺーろぺーろも… れいむ…いじわるばかりしちゃって… 悪いおかあさんでごめんね… ごめんね…ごめんねおちびちゃん… れいむの…たいせつな…おちびちゃん… ごめんね… れいむは先に天国にいくよ… 天国でおちびちゃんとまりさと一緒にずっと見守ってるよ… だから…心配しないで…安心して…ゆ…ぅう…っ…ゆっく…りし…てね… … 神様おねがいです…れいむは…もう…ゆっくりできなくてもいいです…ですから… もし… もし願いがかなうなら… もし生まれ変わっても…また…おちびちゃんのおかあさんになれたら… そのときは… れいむは静かに息をひきとった。 私が見ることのできなかった母の愛がそこにはあった。 子供の事だけを純粋に考える母の姿がそこにはあった。 自分を犠牲にしてまでも子供の幸せを考える母の顔がそこにはあった。 無情にも実の子供には伝わる事のない母の願いがそこにはあった。 『…そうか…』 『…ふふふふふ…そうか…ふふふ…あーっはっはっはっはっはっはっはっはっは!!! ゆっくりってそういうことね!!!ぼくがゆっくりの意味を知らなかったわけだ。確かにぼくはゆっくりしてない!!! 自分が生きたいように生きた事なんて無いもの!!!自分に正直に生きた事なんてないさ!!!いつも自分を偽って生きてきたよ! そうしないと生きていけなかったもの!!!今だってそうさ!!! 親の愛情だって知らない!知らないさ!!! そうか…くっくっくっくっ…。最後にゆっくりに教えられるなんてね!!!あーっはっはっはっはっはっはっは!!!』 ぼくは笑いが止まらなかった。 自分の生き方を全て否定された。普通は怒るだろう。自分の全てを否定されるのだから。 しかし笑いが込み上げてきてしかたなかった。 誰かに否定してほしかったのだろうか。自分のこれまでの生き方を。 誰かに教えてほしかったのだろうか。自分に生きたいように生きる事を。 誰かにしかってほしかったのだろうか。自分に嘘をついている事を。 誰かになってほしかったのだろうか。自分の本当の親に。尊敬できる本当の親に。 『…あっはっはっは…っは…は…あ……ただれいむ…最後のお願い…残念だけど……ゆっくりしてないやつにはさ…』 『他のやつをゆっくりさせることなんてできないんだよ。』 …… … 『まりさ。ついにれいむが死んだよ。お前の復讐は達成されたんだ。』 「……ゆ……ふ…ふ…」 「…ふ…ふふふ…ゆひゃははははははは…ついにまりさはふくしゅうしたよ!!!まりさを…まりさをゆっくりできなくしたおやといもうとをせいっさいしてやったよ!!! いままりさはすごくゆっくりしてるよ!!!ゆはははははははははははははは!!!!!!」 『おめでとうまりさ。』 「ありがとうおにいさん!!!おにいさんのおかげだよ!!! おにいさんのおかげでまりさはすごくゆっくりしてるよ!!!しあわせーだよ!!!へぶんじょうたいだよ!!!!!!」 『うん。おめでとう。ただ復讐を果たした君はこれからどうやって生きていくんだい?頼るべき相手もいなくなって独りで生きていくんだろう?』 「ゆっへっへっへ!!!できるよ!いまのまりさはなんでもできるんだよ!!!ひとりでいきることなんてかんたんだよ!!!! もしむりでもおにいさんとかだれかにたすけてもらえばいいよ!!!」 『へえ?本当にできるのかい?』 『この家族殺し。』 「ゆ"う"っっ!? まりさかぞくごろしなんかじゃないよ!!!まりさはまりさをゆっくりさせなくしたやつにせいっさいしたんだよ!!!!ふくしゅうだよ!!!」 『同じことじゃないか。君は家族を殺した。』 ―家族殺し!お前は親を助けられたのに助けなかった!!!この人殺し!!!― 「そんなことないよ!!!」 『家族を殺した奴には周りの目も厳しい。誰も助けてくれやしないよ。家族でさえ殺す奴だ。他人を殺す事なんて簡単だろってみんな思うもんな。』 ―あいつ、家族を殺したって噂だぜ。警察も誰かの妨害のせいで逃げ遅れた可能性があるって言ってたから本当だって。怖いよなあ。― 『そういえばあの親れいむ、最後にはお前に謝ってたじゃないか。ゆっくりさせなくてごめんねって。 なのにお前は親を殺した。謝っているのに殺した。これってゆっくりできないことだよね?お前も親や妹と同じだよ。』 ―俺達が悪かった!だから助けてくれ!!頼む!!今までの事はどうか…心を入れ替えるから― 「ちがう!!!まりさはちがう!!!あんなげすといっしょなんかじゃない!!!それにこれはおにいさんからいいだしたんだよ!おにいさんがこんなこといわなきゃ…」 ―違う!あんな無責任な親とは違う!本当は助けたかったんだ!!仕方のないことだったんだ!!!― 『君が頼まなきゃ私は何もせずに家に帰ったよ。なのに君はただその時の自分の感情だけで家族に復讐した。 復讐以外の道なんていくらでもあっただだろう。なのに君は復讐を選択した。』 「ちがう…まりさは…」 ―違う…仕方のないことだったんだよ…― ―本当に?― ―殺さなきゃ殺されてたかもしれない― ―それ以外の道はなかったの?― ―だって…嫌だったんだ…こいつらがここに存在している事が…またぼくを否定するんじゃないかって…― 『おめでとうまりさ。きみはこれからずっと家族殺しとして生きていく。それはきっとゆっくりできることなんだろうねえ?』 「ちがう!!!ちがう!!!!まりさはかぞくごろしなんかじゃない!!!まりさは…かぞくごろしなんかじゃ…」 『きみはぼくとおなじ…ゆっくりできない家族殺しなんだ』 「ゆぎぃいいいいいぃいいいぃいいいいいいいぃいいぃいいいいいいいいいいいいぃいいゃあああああぁああああああああああぁああああああ!!!!」 ……… …… … 本当の自分を否定されるのは嫌な事だよ。ぼくがここに存在してはいけない気がするからね。 否定されないために自分を、本当の自分自身を変えようとする人もそりゃいるよ。 でもそんな簡単に自分は変われない。変わらない。本当の自分の姿がそんな誰でも簡単に変えられるなら人生なんてつらくないよ。みんなにもわかるでしょう? だからぼくは理想の自分である私を作った。誰からも否定されない理想の自分。この現実で生きていくための理想の私。 でも理想の私は本当の自分じゃない。ぼくじゃないんだ。 ぼくだって自分の生きたいように生きたいよ。人間だもん。 でも変われない本当のぼくが生きていくにはこの現実は厳しい。この現実の荒波を越えていくにはぼくは弱すぎる。 ではぼくはどうしたかったのか?何が欲しかったのか? …仲間が… …仲間が欲しかったんだ。同じ苦しみを分かち合う仲間が。本当の仲間が。 一人でいると心細いよね。不安でしょうがないよ。でも二人なら大丈夫。なんとか頑張れるさ。 三人なら難しい問題にも立ち向かえる。 たくさんいたら…そう…何でもできる。 人間はそうやってこの世界を支配していったんだよ。 今も昔も変わらずにね。 … まりさ、正直言うときみがゆっくりできなくなった原因はぼくなんだ。きみの帽子、生まれたときは普通だっただろう? しばらく前かな…今日みたいな仕事が早く終わった日… 帰り道でたまたま幸せそうなきみたち家族の姿を見たんだよ。 「まりさ、きょうかけっこでいちばんになったよ!!!ゆっへん!!」 「ゆうううううう!!!おねえちゃんすごい!!!」 「さすがまりさのこどもなんだぜ!!!きょうはふんぱつして、いもむしさんでもたべるんだぜ!!!」 「「いもむしさん!!!やったあああああああ!!!!」」 「やっぱりれいむのおちびちゃんたちはゆっくりしてるよ!!!ふたりともてんしのようにかわいいよ!!!ゆうぅう!!!」 「「「「ゆはははははははははははははははははははははは!!!」」」」 ……… なんだよ…なんだよ…ぼくには幸せな家庭なんてなかったのに… 本当幸せそうな家族だなって思ったよ。 たかがゆっくりだろって思う人もいるかもしれないけどさ。 でもそのゆっくりでさえ幸せな家庭があるんだよ? ぼくにはなかったのに。 悔しかった。羨ましかった。妬ましかった。ゆっくりのくせにって。 ぼくにはそんな幸せな家族なんていなかったのにって。 そんなの幸せ、ぼくがぶっ壊してやるって思った。 飾りがきみたちの中で一番大事ってことは知ってた。 だから、その飾りをおかしくすれば、家族の仲が少しくらい壊れるんじゃないかなって思ったんだ。 誰でもよかったんだ。今回聞いた話の中心が子まりさだったからこいつでいいやって思っただけ。 話の中心が子れいむや親まりさとかだったらそっちにしてただろうね。 あの時きみに会うまでは忘れてたよ。帽子を見なければあの時の奴って事にも気付かなかっただろうしね。 ゆっくりなんて人間から見たらみんな同じ顔してるもの。 ぼくが願った通り、いやそれ以上かな? きみは家族から…他のみんなから虐げられていた。 いつやったのかって? ぼくは仕事が深夜終わる事が多いんだよ?だからきみたちの住んでいる場所さえ分かれば仕事帰りのついでって感じでさ。 きみたちは規則正しく寝てるから簡単な作業だったよ。きみたちはえらいよね。 まさかぼくのちょっとした悪意がこんなことになるなんて思ってもみなかったよ。 自分勝手だって思う?人間みんな自分勝手なんだよ。今に始まった事じゃない。 まりさはたまたま犠牲者のひとりになっただけだよ。 きみには本当に同情する。心の底から。 でもいいじゃないか。仲間ならぼくがいるよ。誰にも言えない秘密を共有した本当の仲間がさ。 ………… ……… …… … 『おつかれさまです。』 「ああ、おつかれ。」 (ガチャン) 「あいつってちょっと変わってるよな。」 「どうして?」 「この前さ… 『火を貸して頂けますか?』 「ああいいよ。」 『すみません。なぜか火を見ていると勇気がもらえるんです。私には出来るって思える勇気が。』 「?そうなのか?まあいいや。満足したら返してくれよ!」 『はい。ありがとうございます。』 ってなことがあってさ」 「へえー変な奴だな。放火魔だったりしてwそういえばお前知ってるか?あいつと関わると不幸な目に会う噂だぞ?」 「そんな噂が?」 「あいつ自身も親を火事で亡くしたり不幸続きらしいからそんな噂がたっちまうんだろうなあ…」 「でもあいつ人当たりのいい普通のやつだよな?」 「だよなあwあいつ別にいい奴だもんなwしょせんうわさうわさw」 …… (ガラガラガラ) 『ただいま。ふう~今日も疲れた。』 あの子まりさはまだ生きている。いや生かされているの間違いかもしれない。 まりさは私の家で壊れた人形のように同じ言葉を繰り返している。 「まりさはかぞくごろしじゃない…まりさはかぞくごろしじゃない…まり…」 あの時以来精神的に壊れてしまいもう普通のゆっくりのように生きることはできないだろう。 でもいいんだ、ぼくに仲間ができた。仲間の世話はぼくがするんだ。 だかられいむ、安心してよ。まりさはぼくが責任をもってお世話するからさ。 仲間はまりさだけじゃない。きっと他にもたくさんいるはずなんだ。 きみはぼくの仲間かな?もしよかったらどう?ぼくの仲間にならない? 仲間になってくれるとぼくも頑張れるんだけどな。 次の仲間はどうやったら会えるのかな。 (ガチャ) 『まりさ…』 『ゆっくりしていってね。』 なんて痛々しく意味不明で陳腐な作品。設定もありがちすぎですね。つめこみすぎ。 でも自分も1度でいいから他の皆さまと同じ様に何か作ってみたかったんです。 こんなのにお時間を取らせてしまってすみません。 これを最初で最後のSSにしようと思います。 ここまで少しでも読んでいただき本当にありがとうございました! 先生!明後日の課題もう少し待っていただきたいんですけ…だめですか… えっ!?明日まで!?もっど…ゆっぐりじだがっだ… 挿絵 byねゆあき トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る 天国でもいいよ 火桜冬風 -- 2018-11-10 20 23 14 最後には自分の罪を認めたんだから.........地獄に送ってね?(慈悲はない) 火桜冬風 -- 2018-11-10 20 22 23 親れいむ、親まりさ、末れいむは元から死ぬべきだよ!!!!! -- 2016-10-26 19 46 02 超面白かった -- 2016-09-29 16 57 37 「かわいそう」そう自分に言って、「ゆっくりしている」親を殺した。でも、自分が犯した過ちにきずくことができた親はいちばんゆっくりしている。でも、おやは天国できっとこう思ってる。「もっと早くきずきたかった」「今の自分には自分を含んだすべてのゆっくりがゆっくりしてなく見える」でも、そう思わせたのは、他でもない子まりさなんです。 -- 2015-10-23 23 43 22 挿絵が魔曲使いみたいって書いてる人がいるけど、立ち位置には堕天使の方に近いよね。 「太陽と月に背いて」が似合いそう。 -- 2014-01-28 15 36 09 挿し絵の右上の子まりさホントかわいい。 -- 2014-01-09 19 05 50 挿し絵の子まりさ可愛いな -- 2011-07-14 20 54 29 お話を読んでいて、何故か船幽霊とかの類を思い浮かべてました。 死んだ人間が生きた人間を妬み、殺すことで自分たちの仲間にしてしまうんですよね。 それが、今回はたまたまこのお兄さんとまりさであったということでしょうか。 -- 2010-12-23 03 04 51 挿絵怖いです。もはやまりさというよりどこぞの魔曲使いにしか見えませんw -- 2010-09-25 23 27 44 れいむは不幸だよ、こんなゆっくりしてないお飾りの子供がいるんだよ、悲劇のヒロインだよ ↓ れいむは不幸だよ、ゲスに皆殺されてシングルマザーになったよ、悲劇のヒロインだよ ↓ れいむは不幸だよ、守るべき物に今まで気づかなかったんだよ、悲劇のヒロインだよ なんかゆっくりだとこう思ってそう 謝罪も何もかも全部「悲劇のヒロイン」を演じてるだけみたいな -- 2010-09-20 05 57 21 報復感情は当事者間で完結させといて下さい。 -- 2010-07-16 00 30 29 最初で最後なんて言わないでね!おねがいだよ! -- 2010-07-08 19 06 23 ちゃんとした作りで普通におもしろかった -- 2010-07-08 15 55 00 面白かった -- 2010-06-19 12 49 46 人によって意見が分かれる作品でしょうね、僕は死ぬ間際になって謝罪や改心するという態度をみせた人間やれいむに対して因果応報だろうが、死ね。としか思えませんでしたね。長文すみません おもしろかったです。 -- 2010-06-17 04 15 41
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/3116.html
ゆっくり畑 リリーホワイトが嬉しそうに弾幕をばら撒きながら喜びの声を上げている季節。 昨日耕した畑に種を植えようと向かったのだが。 「「「「「「んほぉぉぉぉぉ!!!」」」」」」 博麗の巫女やら普通の魔法使いやらの顔―ゆっくりがいた。 暖かくなってきたからだろうか、互いにすりすり仲良さそうにと頬を擦りあっている。 (そういえばゆっくりは頭から茎を生やすよな・・・) それを思い出し、ちょっとした実験をやってみたくなった。 「れいむきもちいいよ!!!」 「まりさ!そろそろれいむもすっきりするよ!!!」 「「すっきりー!!!」」 人目もはばからずすっきりしていた一組の番がすっきりする。 頭からにょきにょきと茎が生えてきて― ブチッ 「いやぁぁぁぁぁ!!!」 「まりさとれいむのあかちゃんがぁぁぁぁ!!!」 ある程度の所で根元―れいむの頭のてっぺんごと茎を取り払う。 「なんでごどずるのぉぉぉ」 「いだいぃぃぃぃぃ」 泣き喚く声を無視し、そのまま畑に茎を植える。 よし、そのまま放っておくと萎んでしまう筈の茎は元々の青々さを保ったままだ。 そのままだと五月蝿いのでこの2匹には肥料になってもらおう。 畑の内の一列に、計5本の茎を差し替えた。 普通ならゆっくりする事無く実が付く茎が、青々としたまま立っている。 何と言うか、それは非常にゆっくりしていると思った。 さて、次の列に取り掛かろう。 「おほぉぉぉぉぉ!!!あと少し!!!」 「すっきりぃー!すっきりーー!!もうひとつおまけにすっきりーーー!!!」 気分良くすっきりした番から蔓がにょきにょきと生えてきた。 それも2匹ともである。 「あかちゃんができてきたね!」 「とてもゆっくりしたこになるといいね!!」 「でもたべものをたべないとみんなゆっくりできなくなるからもどろうね!」 和やかに話をする2匹。 ひょいと2匹を持ち上げる。 「「ゆゆー、おそらをとんでるみたいー」」 暢気に喜んでいる2匹を、畑に空けた穴へ、隣り合わせにして入れる。 「ゆ、じめんさんがめのまえにみえるよ!」 赤ちゃんが出来ているためにジャンプして越えられそうも無い2匹。 この後は当然土をスキマに入れて固定する。 「!!??」 「!?!?」 口の上まで土を入れた為に何を言っているかさっぱり分からない。 何、気にする事はない。 これも5本―もとい5匹づつ行う。うち1匹は番を肥料にし、うち1組は頭まですっぽりと土を被せた。 さて、最後の1列だ。 「ゆぅ・・・ゆぅ・・・かわいいあかちゃんだよ・・・」 「ZZZZZ・・・・・・」 頭に茎を生やし満足した一部の番は疲れてかどうかは知らないが眠っていた。 ばれないように片方を肥料にし、母体を持ち上げる。 その後に底を取り払い、中身がこぼれないように畑に置く。 「ゆ゛!?」 「おっとごめんね、うとうとしてて倒れちゃいそうだったから倒れないようにしてあげたんだよ」 「なーんだ、おにいさんありがとう!!!」 「それじゃゆっくり眠っててね、起こしちゃってごめんね」 「うん、ゆっくり眠るよ・・・ゆぅ、ゆぅ・・・」 これまた畑の1列に5匹分置く。 それぞれ埋める高さを調節し、茎は大体どのゆっくりからも同じ高さにでているようにした。 これでゆっくり畑の完成である。 さて、どの茎が一番早く収穫できるだろうか? さっと水をやってその日は終了とした。 1日目 茎だけのものは変わりが殆ど無い。 草花のような成長速度である。 そのまま埋めた所は通常と同じように育っている。 違うのは声を掛けてくれる親がいない、ということだろうか。 まだぽつんと丸いものがくっついているというような感じである。 母体の目はまだ周囲を見る事が出来るのだろうが、 足を切り落とした方は― 「ゆゆ、うごけないよ・・・だれかたすけてね・・・」 「どうしたんだい?」 「ここからうごけないよ!おうちかえりたい!」 悲しそうな声を上げる母体。 しかし実験のため、動かす訳には行かない。 第一足を切ったのだから下手に動かせば死んでしまうだろう。 実の方は・・・これもまた丸いものが付いてきた感じだろうか。 「あかちゃんが落っこちちゃうのは駄目だよね?おかーさんになるんだからゆっくり頑張ってね」 「ゆゆ・・・がんばるよ」 唯一会話ができるこのゆっくりを元気付けると、それぞれにまた水を撒く。 大体、通常1週間位で赤ゆっくりは地面に落ち生まれると言う。 畑で育てていくとどうなるのだろうか? 4日目 そのまま埋めたゆっくりと足を落としたゆっくりの茎にはそれぞれの親が分かるようなゆっくりの実が付いていた。 埋めた親ゆっくりの目は空ろで、何処を見ているのか分からない目をしていた。 「ゆー、ゆー」 何も知らない埋めゆっくりの赤ちゃんはただその場でゆらゆらと揺れていた。 「ゆ、なんだかまえよりらくになってきたよ!」 足を切り落としたゆっくりは前より元気だった。 ちょっと足元を掘り返してみると・・・根っこが生えている。 「地面さんが栄養をあげているんだよ」 「ゆゆ!じめんさんはすごいね!!」 もう動けなくても足切りゆっくりは完全に植物状態でいられるだろう。 一方茎だけの方は少しずつ成長してはいるものの、実をつけるまでには至らない。 ・・・もしかして赤ゆっくりの部分ができないと駄目だったのか? もう暫く観察してみよう。 7日目 茎だけのものは通常の植物並みの成長速度を保っている。 埋めゆっくりは黒ずんではいない為生きているのだろうが、反応も殆ど無い。 掘り返してみたが根が生える気配もなく、生ける屍状態であった。 一匹だけ落ちる前に食してみる。 「ゆ゛っ」 甘さ控えめの饅頭が出来ていた。 「ゆっきゅりおちるにぇ!」 埋めゆっくりから遂に赤ゆっくりが誕生した。 「ゆっきゅりちていってにぇ!!!」 「ゆゆ、おきゃーしゃんは?」 「きっとレーミュのためにごはんをとりにいってりゅんだにぇ!」 「ゆっきゅりまつよ!!!」 どうやらその場に留まり続ける事を選んだようだ。 「ゆぅ・・・ゆぅ・・・」 足きりゆっくりはまた寝ていた。 折角なのでこちらも味を見る事にする。 「ゆぎゅっ」 こちらは栄養がたっぷり行き届いた所為だろうか、かなり甘くなっていた。 さて、赤ゆっくりがそろそろ生まれる頃だ。 「起きろー、そろそろ赤ちゃんが生まれるぞー」 「ゆ!あかちゃんどこ?」 目をぱちくりさせて赤ゆっくりを探す足切りゆっくり。 「ゆっくしちていってにぇ!!!」 埋めゆっくりよりも立派な茎から赤ゆっくりが落ちる。 2、3、4…次々と落ちる。 「おきゃーしゃん!おにゃかしゅいたよ!!!」 「おなかすいたの?じめんさんからえいようをもらってね!!!」 「どうやりゅの?」 「じめんさんがげんきにしてくれるんだよ!!!」 「じめんしゃん!ごはんちょうだいにぇ!!!」 こちらもその場にそのまま留まる事になった。 他の喋れない足切りゆっくりからも赤ゆっくりが落ちる。 いずれもその場に留まるようだ。 果たしてこの赤ゆっくり達はどうなるのだろうか。 30日目 埋めゆっくりから生まれた赤ゆっくり達はなす術なく8日目には全滅した。 足切りゆっくりから生まれた赤ゆっくりはその殆どが死んでしまったが、何匹かは地面に根を下ろす事が出来た。 今では親と同じように頭から小さい茎を生やしている。 「ゆっきゅりそだちぇるにぇ!」 「どぼじでずっぎりじでないあがぢゃんがらぐぎがでるのぉぉぉぉ」 一部茎の生えた赤ゆっくりを少し離れた所に植え替える。 きっとこの赤ゆっくりは長く育つだろう。 茎だけ植えたものはしっかりと根付いており、すくすくと成長していた。 しかし赤ゆっくりが生まれてくる気配は無い。 育ち方からして秋に何かが起こるだろうと考え、そのまま育て続けた。 200日目 秋に活発になる神様姉妹の喧嘩がよく起こるような秋。 足切りゆっくりとその子供達はゆっくりしていた。 子供も成体サイズとなり、足の下はびっしりと根を張っていた。 すっきりする事もなく頭には実を付け始めている。 「ゆっくりできるね!」 「じめんさんのおかげでゆっくりできてるね!」 さて、茎だけの方は・・・と。 子ゆっくりサイズの実を付けていた。 しかし喋ることもなく、表情を買えることも無い。 中を割ってみると、そこには大量の小さいゆっくりの粒が入っていた。 一粒口に入れるが、これが中々硬い。 もしかしたら種なのかもしれない。 ゆっくりの中身は餡子だった。 餡子の種といったら― その日、いくつかのゆっくり種を持ち帰り、小豆を作る要領で煮ていく。 「うん、コレは小豆だ」 こうしてゆっくり小豆が完成する事となった。 このゆっくり小豆の茎や実、種を普通のゆっくりに食べさせた所。 「ゆっくりをころしたゆっくりできないゆっくりはゆっくりしね!!!」 と他のゆっくりに嫌われたようだ。 どうやらこれはゆっくりの特性を受け継いでいるようである。 色々使えそうだなと、頭の中でそろばんを弾いていた。 270日目 ゆっくり小豆の茎は枯れ落ちていた。 足切りゆっくりは地面に喋らない赤ゆっくりを落とし黒ずんでいた。 この赤ゆっくりは春に芽を出すのだろうか。 もし春に芽を出すのであればそれは喋るのだろうか、それともゆっくり小豆になるのだろうか。 来年の春が楽しみだ。 これからはゆっくり小豆を外側に埋め、中で野菜を育てて行こうと考えていた。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー あとがき 植物型に増えるゆっくりなのだから植物のように育ててみました。 中が餡子なので植物の方に傾けば小豆になりそうです。 外敵とかが出てきたり目の前で野菜を育てたらどうなるのでしょうか。 今まで書いたもの 博麗神社にて。 炎のゆっくり ゆっくりを育てたら。 ありす育ての名まりさ 長生きドスの群 メガゆっくり このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/2355.html
(嫉妬) 穏やかな日差しの降り注ぐ草原。真っ直ぐに続く道。仲良く並んで歩く二匹のゆっくり。 優しく髪を撫でる風が心地よい。れいむとまりさは「ゆっゆっゆ~♪」と上機嫌で歩いていた。 今日は朝早くから森を出て、人間の里まで「おはなみ」をしに出かけた。今はその帰り道。 良く手入れの行き届いた美しい庭園。家の主の趣味の良さが伺える。 庭に花が咲き誇る季節になると、主は庭を解放し里の皆にも楽しんでもらう事にしていた。 その際、来客には主が自ら作ったお菓子と紅茶が振舞われる。 れいむとまりさもその噂を聞きつけ、お相伴に与ろうと出かけたのだ。 「花より団子」の質であるゆっくりだが、この庭の花々には心を奪われた。 貰ったお菓子を食べる事も忘れ、うっとりとした表情で花を眺める。 「ゆ~。きれいだね、まりさ。」 「うん!とってもゆっくりしているよ!」 「またあしたもこようね!」 「うん!このおにわを、ふたりのでーとこーすにしようね!」 「あら、この庭を気に入ってくれたの?嬉しいわ。ゆっくりしていってね。」 この家の主人である女性がゆっくりに話しかける。黒い長髪の綺麗な女性。里一番の美人と評判の人だ。 人の容姿とはその人の内面を写す鏡なのだろうか。その美しい笑顔もさる事ながら、 誰でもわけ隔てなく接するその人柄、優しさで、彼女は里中の人間に愛されていた。 彼女を目当てにこの庭にやって来る男も多い。この庭の手入れを手伝っている庭師の男もその一人。 庭師の男は彼女の膝に乗せられて楽しそうに笑っているゆっくりを、木の蔭から憎々しげに眺めていた。 なんだあいつら。なんなんだ、あの饅頭共は。饅頭が俺と彼女の庭に入って来るだけでも忌々しいのに。 彼女と楽しそうに話し笑ってやがる。あの笑顔は俺のものなのに。俺の・・・俺の・・・俺の・・・ 庭師の男は彼女がこの庭を造り始めた頃からそれを手伝っていた。 二人で庭の図面を引いた。二人で地面をならした。二人で花を植えた。二人で庭の手入れをした。 二人で造った。二人の庭。二人の、二人だけの庭。 その庭を皆に解放し、里の人たちにも楽しんで貰いたい。彼女からその話を聞いた時、男は正直戸惑った。 だが彼女の嬉しそうに話す笑顔を見た男は、それに反対できなかった。 二人の庭に赤の他人が入って来る。彼女目当ての男達もやって来る。彼女の笑顔は彼らにも向けられる。 彼女の気持ちが自分だけに向かっていない事にも、認めたくはないが薄々気付いていた。 男は我慢した。自分以外の男達が彼女と話すのも我慢した。だが饅頭、お前らだけは駄目だ。 庭石に腰掛けた彼女の膝で昼寝をするれいむ。彼女の長く美しい髪にすりすりするまりさ。 許せない。許せない。許せない。許せない。許せない。 彼女がゆっくりの髪を梳かしている。気持ち良さそうに鼻歌を歌う二匹のゆっくり。 そのお礼なのか、今度は自分達が髪を梳かしてあげると言って彼女の髪を舐めるゆっくり。 触るな!彼女の美しい髪に、その汚い舌で触れるな! もう我慢の限界。今すぐにあのゆっくりを踏みつぶしたい。 しかし、彼女の目の前でそれをやる訳にはいかない。それにゆっくりにはもっと苦痛を味わって貰いたい。 そこで男は一計を案じた。 (ゆっくり理髪店) 「おはなみ」の帰り道。二匹は道の途中に立てられた看板に気づいた。 『ゆっくりりはつてん』 「ゆっくりりはつてん?」 「なんだろうね。」 二匹は首を傾げる。看板をよく見てみると、そこにはゆっくりの絵が描かれていた。 最初の絵。ボサボサ髪のゆっくり。目には生気が無く、とてもゆっくりしている様には見えない。 次の絵。優しそうな笑顔の人間がゆっくりの髪を整えている。 三枚目。綺麗な髪になったゆっくり。「さっぱりー」と叫ぶその姿はとてもゆっくりしている様に見える。 「ゆゆ!ゆっくりりはつてんっていうのは、れいむたちを『さっぱりー』させてくれるところなんだよ!」 「ゆー!まりさも『さっぱりー』したいよ!どこにいったら『さっぱりー』できるの?」 看板には『このさき ゆっくりりはつてん →』と書かれている。 「このやじるしのとおりにいけばいいんだね!」 「ゆ!いこうれいむ!まりさたちもおねえさんみたいなきれいなかみにしてもらおう!」 「うん!」 矢印の通りに進む二匹。しばらく歩くと前方に椅子に座って鋏の手入れをしている男を見つけた。 「ゆ。おじさん、こんにちわ。」 「ゆっくりしていってね!」 「ああ、こんにちは。ゆっくりしていってね。」 「れいむたちは『ゆっくりりはつてん』をさがしてるの。」 「おじさん、どこにあるかしらない?」 「ああ、『ゆっくり理髪店』ならここだよ。君達はお客さんかい?」 「うん!」 「おじさんがまりさたちをきれいにしてくれるの?」 「ああ、そうだよ。」 「ゆゆっ!じゃあさっそくれいむをきれいにしてね!」 「ずるいよ!まりさもきれいになりたいよ!」 「じゃあじゃんけんでじゅんばんをきめるよ!」 「ゆ!まけないからね!」 二匹のゆっくりは「じゃーん けーん ぽん!」と叫びながらぴょんぴょん飛び跳ねる。 人間の目から見たらどうやって勝敗をつけるのか解らないが、庭師はとりあえず黙って見ている事にした。 やがて勝敗が決まりれいむが先に散髪する事になった。 「じゃあ、れいむはこの椅子に座ってくれるかな?」 「うん!」 「動くと危ないから、動けない様にベルトを締めるよ。苦しいけど、ちょっとの間の辛抱だからね。」 「おじさん!れいむがおわったらつぎはまりさのばんだよ!はやくおわらせてね!」 「はいはい。じゃあ、始めるよ。」 ちょきちょきちょきちょき・・・ 「ゆゆっ!どう、まりさ?れいむはきれいになった?」 「ゆー!きれいになってるよ!はやくまりさも『さっぱりー』したいよ!」 ちょきちょきちょきちょき・・・ 「ゆー。おじさん、まだおわらないの?」 「はやくしてね!はやくしてね!」 ちょきちょきちょきちょき・・・ 「ゆ゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛!!!!!!!!」 「どうしたのまりさ?」 「おじさんが!おじさんがれいむのりぼんをきってるよおおおお!!!」 「ゆ゛ーーーーーーーーーーー!!!!」 ちょきちょきちょきちょき・・・ 「やめてね!おじさんやめてね!」 「やめてあげて!りぼんがなくなったらゆっくりできないよ!」 ちょきちょきちょきちょき・・・ 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!」 「れ゛い゛む゛の゛り゛ほ゛ん゛か゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!!」 ちょきちょきちょきちょき・・・ 「あ゛あ゛あ゛あ゛!!!れいむのきれいなかみがああああああ!!!」 「やめろおおおおお!!!!れいむをゆっくりできなくするおじさんはゆっくりしねーーーー!!!」 まりさの体当たりをものともせずに髪を切り続ける男。仕上げに剃刀を取り出すと 鋏では切れない短い髪を残らず綺麗に剃り上げる。 「ゆぎいいいいいいいいいいいいいい!!!!!!!」 「あああああ!!!れいむぅれいむううううううううう!!!!!」 「はい。完成。これで綺麗な饅頭になったね。」 男は鏡をれいむの前に持って来て、れいむに自分の姿を見せる。 「あああ・・・れいむの・・・れいむのかみがぁぁぁ・・・」 「ゆっくりしねええええええええ!!!!」 「待たせたね。次はまりさの番だよ。」 「ゆゆっ!はなせっ!はなせえええええええええ!!!!!!!」 ハゲ饅頭になった自分を見て放心状態のれいむを投げ捨て、今度はまりさを椅子に固定する。 ちょきちょきちょきちょき・・・ 「ゆああああああああ!!!やめてええええええ!!!おねがい!!!まりさのかみをきらないでえええ!!!」 ちょきちょきちょきちょき・・・ 「まりさの、まりさのきれいなかみがああああああ!!!!!」 ちょきちょきちょきちょき・・・ 「いやああああああああああああああ!!!!!」 ちょきちょきちょきちょき・・・じょき 「ゆ・・・まさか・・・」 じょきじょきじょきじょき・・・ 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!ほ゛う゛し゛き゛ら゛な゛い゛て゛え゛え゛え゛!!!!!」 じょきじょきじょきじょき・・・ 「ゆっぐりでぎなぐなっぢゃうよおおおおおおおおお!!!!!!!」 じょきん、ちょきちょきちょきちょき・・・ 「あああ・・・まりさのぼうし・・・どうしてこんなことするのぉ・・・」 ちょきちょきちょきちょき・・・ 「あぁ・・・」 「はい。終わったよ。良かったね綺麗な饅頭になったよ。鏡を見てごらん。」 「・・・・・・」 「なんだ、失神してしまったのか?ん、れいむもか。しょうがねえ饅頭共だ。」 男は髪が無くなった不気味な人面饅頭を抱え、ゆっくり達が住む森までやって来た。 「おい、起きろ。何時まで寝てんだ。」 「ゆ?」 「ゆゆ!いたいよ!なにするの!」 「そのまま放っておいても良かったんだがな。森まで連れて来てやったぞ。ありがたく思え。」 「ゆー。ねてるあいだにもりまでつれてきてくれたの?なんだかしらないけどありがとう。」 「ゆ。そういえばとてもこわいゆめをみたよ。こわいおじさんにまりさのかみがきられて・・・」 「は?何言ってんだ?夢じゃねーよ。お前らの髪は俺が全部切っちまったよ。 今じゃ立派なハゲ饅頭だ。ほら、お互いの顔を見てみろよ」 「ゆ゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛!!!!!!!!」 「ゆめじゃながっだのおおおおお!!!!!!!!」 「いいか、お前等二度とあの庭に近づくんじゃねえぞ。次はこんなもんじゃ済まさねえからな。 解ったら仲間の所へ行ってあいつ等にもそう伝えろ。」 そう言うと男はれいむとまりさをゆっくり達の方へ投げる。 「ゆぴっ!」 「ゆげっ!」 「みんなああああ!あのおじさんがれいむをこんなめにあわせたんだよ!かたきをうってよおおお!!!」 「ゆっぐ・・・ゆっぐ・・・ゆえええええええん!!!」 「どうしたの!どうしてだまってるの!れいむがいじめられたんだよ!なんとかいってよ!」 「ゆえええええええん!ゆえええええええん!」 「ゆっくりしね・・・」 「ゆ?」 「ゆっくりできないゆっくりはゆっくりしねえええええええええ!!!!!」 「どうじでえええええええ!!!!!」 end 作者名 ツェ 今まで書いたもの 「ゆっくりTVショッピング」 「消えたゆっくり」 「飛蝗」 「街」 「童謡」 「ある研究者の日記」 「短編集」 「嘘」 「こんな台詞を聞くと・・・」 「七匹のゆっくり」 「はじめてのひとりぐらし」 「狂気」 「ヤブ」 「ゆ狩りー1」 「ゆ狩りー2」 「母をたずねて三里」 「水夫と学者とゆっくりと」 「泣きゆっくり」 「ふゅーじょんしましょっ♪」 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/3805.html
○俺設定の塊 ○発想がしょうもないです ○虐待薄め、ほぼ皆無かもしれない。 それでよければゆっくりよんでいってね! ゆっくりに髪の毛があるなら旋毛も必然的に存在するに違いない。 本当かどうかは知らないが、人間で旋毛をずっとおさえつづけると腹を下すときいたことがある・・・。 リアル世界で友人と一度旋毛の押し合い我慢対決をしたんだが、気が狂いそうになった。 その苦痛をゆっくりにも与えてみようと思ったのだ。 幸い俺の家から少し歩いたところにゆっくりの群れが住み着いている公園がある。 緑がきれいな広い公園だ。草原地帯が多く、小川が流れていたりするのでバーベキューとかピクニックのおかげで休日は人だらけさ。 小川のせせらぎをききながら天然の草原、表現を変えると芝生だな、うん。寝転んだらとても気持ちいい。 ゆっくりが住み着くのも理解できないことはない・・・って長いよ! さァて、苦情がきちゃうからそろそろゆっくりを探しに奥のほうへ探索だァ!! 「きょうもいっぱいゆっくりするよ!」 「ゆーん!ゆっくち~♪」 「しゅごいゆっくちできりゅとこりょだにぇ!」 拳サイズのゆっくりがいるな・・・まりさとれいむの子供か。 れいむといったらやはりつがいはまりさなのだろうか。 まあいい、さっそく捕まえるよ! 「ゆっくりしていってね!」 「「「ゆっくりしていってね!!!!」」」 「ゆっ?おにーさんはゆっくりできる人?」 「ああ、ゆっくり、とてーもゆっくりできるよ、お近づきのしるしにほら、クッキー。」 「ゆーん!!とてもゆっくりできる人だね!」 「とくべちゅにまりしゃたちのゆっくちぷれいしゅでゆっくちしちぇもいいよ!」 「れいみゅにもちょーらいにぇ!」 「「「む~しゃ、む~しゃ、しあわせー!!!」」」 クック・・・本当に警戒心のない奴等だ。 まあ、害獣と指摘されてる程大量に生息しているからなぁ。 虐待お兄さんもさぞ嬉しかろう・・クヒッ!! 「もっといっぱいちょーだいね!」 「ああ、いいとも。それより先にお兄さんの質問に答えてもらってもいいかな?」 「ゆっ?」 「つがいのまりさは今どこにいるのかな?」 「ゆっくり狩りにでてるよ!!」 「おちょーしゃんはしゅごいかりがじょうずだよ!」 「ゆっくちそんけいしちぇにぇ!」 うーん・・・やはり家族の目の前でするからおもしろいんだよなぁ・・・ 仕方ない、こいつらも手なずけたから巣で待ってようかな。 「まりさが帰ってくるまで君たちの巣でゆっくりしてもいいかな?」 「巣じゃないよ!おうちだよ!ゆっくりていせいしてね!ぷんぷん!」 きめえ、まじできもい。半端ないよ、このやってやった感が叩き潰したくなるなマジで・・・ 「はは、ごめんごめん。おうちに案内してね!」 「ゆっくりりかいしたよ!でもクッキーが先だよ!」 「しょうだよ!」 「れいみゅたちのおうちにはいりたかったらかんぜいをはらっちぇにぇ!」 関税ってなんだよ。入場料か?いや、ややこしい。 ゆっくりよりかは頭がいいとはいえ、俺も頭が悪いほうだ。考え事は嫌い。考えるのをすぐやめるよ! 「はい、ゆっくりたべてね!」 「「「むーしゃ、むーしゃ、しあわせ~♪」」」 青年移動中 ・・・ withゆっくり 「ここがれいむたちのおうちだよ!すごいでしょ!ゆっへん!」 「わーすごいすごい。」 何がすごいんだか、ノーマルな洞穴じゃないか。 「ゆっ!!!れいむゆっくりしすぎなんだぜ!もうかりもおわってるんだぜ!」 「ゆーん!さすがまりさだね!すごいよ!」 「ゆ・・// すりすりするな・・・なんだぜ・・・//」 おい、お前ら俺の存在をわすれてイチャイチャしやがって。 しかし任務完了は目前。行動に移すのみ。 とりあえずれいむとまりさの髪をつかんで袋に入れる 「ゆっ!?いたいよ!ゆっくりおろしてね!!」 「ま、まりさのきれいな髪をつかむんじゃないんだぜええ!!」 あかちゃんが少ないな、2匹か。 まあいい、少ない理由なんて知ったこっちゃねえよ?ゆっくり俺の家まできてね!! 青年移動中...... 「ゆっくりただいまー!!!!」 と誰もいない家に向かって叫ぶ、ルンルン気分さ☆ とりあえず、今回の収穫を一立方メートルの大きい透明な箱にいれる。 盟友のスペシャルアイテムさ!!極限までストレスを与えた極上ゆっくり10匹と引き換えにつくってくれた。 いくら透明な箱が馬鹿売れしてるところでこの箱には敵うまい 「はやくここからだすんだぜ!!ここじゃゆっくりできないんだぜ!!!」 「そうだよ!はやくおうちにかえしてね!!ぷんぷん!」 「れいみゅおうちかえりゅー!」 「ゆっくちできにゃいよー!!!」 「ごめんごめん、クッキーを上げる約束をしてただろう?家にしかなかったんだよ。ほら。」 「ゆっ!!そんなのでゆるすとおもったら大間違いだよ!!むーしゃ、むーしゃ、しあわせ~♪」 「ゆーん!れいむのおなかさんがゆっくりできるよ!!」 「ちあわちぇ~♪」 「ゆゆーん!」 さすがは餡子脳といったところか、このまま作業にはいる。 作業といっても簡単さ。 成体サイズのゆっくりがちょうど1匹はいるようなサイズの透明な箱に成体ゆっくりをいれる あとは長さを調節できる棒。洗濯物を部屋干しするときに使うものを想像してくれるとわかりやすいだろう。 あれをちょうど箱の天井にぶつかって圧力がかかるぐらいに調節。つっかえ棒だね!! これで旋毛にクリーンヒットさ! おっと、そうだ。旋毛を探さないといけない。 動きを封じるために透明な箱にいれるべきだな。動き回られたらめんどくさい、労力はあまり使いたくないね。朝でこりごりさ 「ゆっ!?ゆっくりできないよ!!うごけないいいいいいいいい!!!」 まあ、当然の反応だな。 一番奥の右の角にセットしよう。旋毛は・・・・お!あった!!これかな。まあいいや、突き立ててみよう。 「ゆぎっ!!?」 あとは長さを調節して・・・っと。完成!!! 「ゆっ!?頭のてっぺんが重たいよ!!」 「れいむになにしたんだぜ!!ゆっくりしないではやくかいほうするんだぜ!!」 「大丈夫さ、これはマッサージといって頭のツボをおさえることでトップアイドル級のゆっくりになれるんだよ!」 「ゆっ・・・れいむがんばるよ!!まりさのためにがんばるよ!!」 「れ、れいむぅ・・・///」 なにデレデレしてたんだよ気持ち悪りぃな。ま、そんなの真っ赤なウソなんだけどね☆ 通じるなんてさすが餡子脳!!万歳といったところだな!! 「おとーしゃんおなかしゅいたー・・・」 「おとーしゃんのとってきちゃごはんをたべちゃいよ・・・」 ん?赤ゆっくりを放置したままだった 騒がれてもたらまんからゆっくり食べるよ!! 「赤ゆっくりたち、ご飯あげるからゆっくりお兄さんの手の上にのってね!」 「「ゆっくちりかいしちゃよ!」」 「「ゆゆ~お空をとんでるみちゃい!!」」 「ありがとうお兄さん!いっぱいあげてね!」 おお、感謝までされてる、救世主お兄さん!!といったところか! まあ、食べるんだけどな(笑) さすがに野生を踊り食いする気にはなれない。 俺もそこまで変態じゃない。 ゆっくり水で洗おう。 「ゆ~ん!ひやひやしてきもいいいにぇ!」 「そうだにぇ!」 今のうちにせいぜいほざくがいいさ 作業に入る。 まず鍋に水をいれる。 ゆっくりを菜箸に紐で固定して、その菜箸を鍋に架け橋とする。 ミョウバンの結晶を作った実験を思い出してくれたらうれしい。あんなかんじでつるす。 水につかったら溶けるから水につかない寸前でとめる。 これで目の前に水を晒され続ける恐怖におびえるがいい!! それだけじゃつまらない、もちろん加熱する。 水蒸気で蒸す + 恐怖 + 最終的には沸騰したお湯の中にいれてお汁粉 これでかつる!! 「ゆっくちはなちちぇにぇ!!」 「こわいよー!おうちかえりゅー!!」 5分後。薄めに水をいれてるので完全に沸騰した。ゆっくりはもう熱さで悶えてる 「「ゆ"っ!ゆ"っ!」」 ックゥwwwwwwこの苦悶に満ちた表情がたまらんwwwwwwwwwwクヒッwwwwwwww ッハ!!いかんいかん、変態になるところだった。俺の理性はルナティック。そんなちょっとやそっとのことでつぶれたりしない。安心してくれ! 落とすッ!!ついにこのときがきたぜェ!!ヒャッハァ!!! 「ゆっ"っ!!ゆ"わ"ッ!!!」 たまらん!!やばい!!!ヒャァァッ!!!一気にかきまぜる!!!!!!!! 食べる!パクッ!!!あつい!!!うまい!!!!!!!あまい!!!!!!!!!!!!!はふっはふっ!!!!!ぶひぃい!!!うめええええ!!!! ッハ! 2匹じゃ量がすくないな、うん。これからは植物型出産のやつらを選ぶか。 こいつらは胎生だっただろう。 甘さで満足できたからいいや。親のもとへ戻ろう 「ゆっくりしていってね!」 「「ゆっぐしでいってね!!」 ん?なんか濁って聞こえたぞ。まあ気のせいだろう。クヒッ!!! 「あかちゃんたちはどうしたの!!」 「満腹になって向こうでゆっくりすーやすーやしてるよゆっくり」 「ゆっくり安心したよ!!ありがとう! それよりれいむをどうにかしてあげてね!!たいへんたいへんだよ!」 おお、これはいい、もう効果が現れてる30分ぐらいか。 「ゆひぃ!!ゆひぃ!!あだまがおがじいよ!!いだいよ"おおお"おおおお!!」 「れいむううううううしっかりしてね!!!まりさがここにいるよ!!」 「ばりさああああ!!でいぶがんばるよおおおお!!!!」 っけ、勝手にやってろ。 それじゃあレッツ☆観察☆タイム ~~~~~~~1時間後~~~~~~~~~~~~~ 「ゆひぃ!!!ひゃばあ!!!げぽぁ!!!」エレエレエレエレ・・・ 「でいぶうううううううううううう!!!!!!じっがりじでえええええ!!!!!!」 餡子を吐き出し始めた感じだな、だが密接した壁に妨げられて外へは出ないようだ。 これは予想してなかった効果を発揮してくれた!! なんか意味のわからんことをいいはじめたし。 続けて観察する ~~~~~~~2時間後~~~~~~~~~~~~~ 「ゆぎっ!ゆ"っ!!!ぶべらっ!!!ぶびっぶびっ!!!」 「おにいざああああん!!でいぶをだずげであげでよお"お"お"お"お"お"お!!!!」 おかしくなってる。いい出来具合だ!キマってるぜれいむ!! アイドルはこうじゃないとな!!クヒッ!!!! 「まりさ、ここでやめてもいいのかい?れいむはやめたくないみたいだよ、あの顔をみて、すごく喜んでる。」 「おにいざんのばかあああああああああ!!!よろこんでないいいいいいいい!!」 「ちがうよまりさ、ゆっくりは最高にゆっくりできて喜んでるときはああいう風になるんだ。わかるな。」 「ゆ"う・・・ゆっぐりりがいじだよ!!!ゆぐっ・・!!」 理解したくなくても言い聞かせれば餡子脳がそういう命令を下してくれる! 餡子脳☆万歳☆にゃんっ♪きゃひっ! ~~~~~~~~3時間後~~~~~~~~~~~~~~~ 「でで!!でいぶの"!あだあだ!!あだぶへぇ!!くひっ!!ひゃひゃふばああ!!いひひっひッヒ!!」 これはもうだめだな・・・見てられないわ・・・・ごめん。中断。 「でいぶぎれいだよ!ゆっぐりじでるよ!がわいいよ!まぶじいよ!ずでぎだよ!」 まりさも壊れたか?それとも言い聞かせてるのかな。 赤ちゃんのことはもう頭にないんだろうな。 俺も飽きたからそろそろおうちかえすー! 「もうおうちかえっていいよ」 俺はそういってれいむのつっかえぼうをはずし、腕に抱えた。まりさも腕に抱え、さっきの公園へと足を運ぶ。 「で!でいぶぅう!!ぷかぷかじでるんだべえ!!ばふぇえ!!ばがるだ!ぶべっぶべ!!」 「でいぶがわいい!ずっぎりじようでね!ずっずっ!ずっぎりー!!でいぶぎれいだよ!がわいい!」 いかん、はやく運ばないと俺が変な目で見られる・・・クヒィッ!!!!クッ!!! わざわざ巣の近くまで足を運んで群れに帰してあげた。 まあ、あれじゃすぐにのけものにされるだろうけど(笑) 赤ちゃんの事も頭にないだろう、両方とも壊れていた。 それと旋毛じゃなくても1点を突き続ければできそうな気がしてきた。 でもまた試すのはめんどくさいなぁ。 ゆっくり死ねた赤ちゃんがせめてもの救いだったということか・・・・ ○あとがき的な何か 記念すべき2作目! 思いついてから3時間程度で書き上げてしまった・・・ 文章も改行もめちゃくちゃ、本当に書きなぐりです。すいません。 なんかこう、虐めてないなぁ・・・もっとダークな感じで虐待できるように日々精進します。 ゆっくりの言葉が異常に読みにくい・・・次回から漢字を使ってかこう。 語彙力と文章力がほしい・・・特訓だ!! これを読んでくださっているかもしれない皆様の優しさに泣いた ○今までに書いた何か ゆっくりいじめ系2279 ゆっくりをグレイズさせてみた byゆあパラダイス
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/830.html
まりさは、群で一番狩りが上手かった。れいむは群で一番お歌が上手だった。 2匹はお互い惹かれ合い、番となった。そして沢山の子供を作った。 17匹の子供達。大きくなった子供達は、親に似て狩りが上手くてお歌も上手だったので、 餌には困らず、ゆっくりする事に事欠かなかった。 しかし、親れいむが再度にんっしんして赤ゆっくりが26匹産まれるた事で、おうちが手狭になってしまった。 ある程度赤ゆっくりが育つのを待った後、一家はおうちを変える事にした。 「あっちのほうに、すごくゆっくりできそうなおうちがあったよ!」 「にんげんさんがすんでるけど、まりさたちかぞくがいっしょにいけば、らくしょうでたおせるよ!!」 意気込む子まりさ、子れいむ達の意見に乗り、親まりさと親れいむは人間さんの家を乗っ取る事を決めた。 元々、親まりさ達は冷静で保守的な考えを持っていたので、人間に挑むという事はしていなかったが、 子供達は親譲りの賢さと機敏さを、若さに任せて暴走させる事が多かった。 人間の畑から、野菜を奪う事を何度もしたし、気にいらない群のゆっくりから餌を強奪した事もあった。 また、強い人間と弱い人間を見分ける事が出来るようで、主に老人を狙い、『あまあまさん』をひったくったりしていた。 弱そうな人間さん相手なら、自分達が少数でも倒すことが出来る。 強そうな人間さんに会ったとしても、自分達一家が総出で立ち向かえば余裕で撃退できるだろう、 という自信を子ゆっくり達は持つに至った。 そして、その自信から、おうちを引っ越す先として、人間さんのおうちを奪う事を積極的に親に薦めたのだ。 「「「このおうちが、すごくゆっくりできそうなおうちだよ!!」」」 「ゆゆっ! ほんとうにすごくおおきくて、ゆっくりできそうだね!!」 「ほんとだね、はにー! ここをまりさたちのゆっくりぷれいすにしようね!」 「「「ゆっくちぃ~~♪」」」 子ゆっくり達が先導して着いた家は、親ゆっくりと赤ゆっくり達も大満足のゆっくりぷれいすだった。 大きい事もあるが、家の外見が一風変わっており、なんだか奇妙なセンスが素敵に見えたのだ。 一家が、家のドアの前まで着た所で、一家はドアに張り紙が張ってあるのに気づいた。 『このいえにはいったものは、けっして「ゆっくり」といってはいけない。』 親まりさは、その張り紙の文字を声に出して読んでみた。 親まりさと一部の子供達は、遺伝からか文字を読むことが出来る。 「どういうことなの!? だーりん!」 「わからないよ、はにー……。けど、ゆっくりっていわなければだいじょうぶだよ! みんな、きをつけようね!!」 「「「ゆっくりりかいしたよ!!!」」」 全員理解したようなのを確認し、一家は玄関から家に入った。 意外にも、あっさりドアが開いたので、親まりさは拍子抜けをした。 ドアが開かないようなら、窓ガラスを割るつもりで石を持ってきていたが、無駄な用意をしてしまったらしい。 中に入ってみると、確かに広くてゆっくりできそうだな。と親まりさは思った。 「やっぱり、すごくゆっくりできそうなおうちだったね、れいむ!」 「そうだね! このいえをみつけたまりさのおてがらだよ!!」 子まりさと子れいむの1匹ずつが、ぴょんぴょん跳ねながら喋り出した。 しかし、その直後子まりさの頭上から何かが飛び出し、子まりさは動きを止めた。 「ゆゆっ! どうしたのまりさ!!?」 子れいむが必死に呼びかけるが、子まりさは動かない。 「ゆっくり!! ゆっぐりしてよ!! ゆっくりしてよぉおおおお゛お゛お゛!!」 「「「おねーちゃん! ゆっくちちてにぇえええ!!」」」 子れいむと、数匹の赤ゆっくりが叫んだ。無理もなかった。 動きを止めた子まりさはどう見てもゆっくりして居ない。 そして、叫んだ子れいむと赤ゆっくりも、頭上から何かが抜け、動きを止めてしまう。 「ゆ゛あ゛あ゛あ゛あ!!! れいむのおちびちゃんたちがああ゛あ゛あ゛あ゛!!!」 「「まりざのいもうどがああ゛あ゛あ゛!!」」 「「「おねえちゃあ゛あ゛ーーん!!」」」 一家揃っての大絶叫であった。突如動かなくなり、ゆっくり出来なくなってしまった子ゆっくり達にゆんゆんと擦り寄る。 そんな中、親まりさと数匹の子ゆっくりが、もしかして……と玄関前の張り紙を思い出していた。 「うわ。こりゃまた大勢で着たな……。こんな大群は始めて見たよ。」 ゆっくり達の煩い声で、居間に降りてきた青年が呟いた。 「また着たよ……。」とうんざりしながら一家の前に歩み寄る。 「ゆぅう゛!? おにーさんはだれなの!!?」 「おいじじい!! おまえが、まりさのいもうとをこんなふうにしたのかだぜ!!?」 「ここは、れいむたちのゆっくりぷれいすだよ!! ばかなにんげんはでていってね!!」 「でていっちぇね!!!」 親れいむと子まりさが、青年に疑問をぶつけ、子れいむと赤ゆっくりがおうち宣言をかました。 巧みなコンビネーションであったが、次の瞬間には、子れいむが動かなくなっていた。 「ゆゆゆ゛ゆ゛!!? どぼじでええ゛え゛え゛え゛!!?」 「れいむのちびちゃんがあああ゛あ゛あ゛あ゛!!!」 またしても、大音声を発する一家。 「このまま騒がれても面倒だな。」とばかりに青年は頬をかき、 ゆっくり達に、この家でのルールを説明し始めた。 「いいかい? このおうちでは、ゆと、つ、く、りを続けて言っちゃ駄目なんだよ。 もし言っちゃったら、そこの子供達みたいに、ほら、こうして魂を取られちゃうわけ。」 青年は、手の上に綺麗なもやもやを数個乗せていた。 一家の大部分は理解できないようだったが、 親まりさはようやく合点がいったとばかりに青年に噛み付いた。 「そのてにもっている、たましいをかえしてね!! それはおにーさんのものじゃないよ!! まりさのこどもたちのだいじなものだよっ!!!」 「ん? 賢いのがいるな……?。仕方ない、ネタをバラしちゃうか。 確かに、この魂を元に戻すと、そこの子供達は生き返る。本当は秘密だったんだけどね。」 「さっさとかえぜええええ゛え゛!!!」 親まりさは青年に体当たりを仕掛けた。助走を付け、ゆっくりらしからぬ跳躍力を駆使した渾身の一発だった。 子ゆっくり達も、思わず「かった!」と声を漏らす。 しかし、青年の目の前に壁があったかのように、親まりさは跳ね返される。 ボスン、と親まりさは背中から無様に床に着地した。 何があった? とばかりに親まりさ達一家が揃って目を見開いた。 「ゆゆっ!!? どうして!?」 「このおうちでは、暴力は使えないの。まあ、賢い君に敬意を表して説明すると、 僕に、「ゆっく」、と「り」を続けて言わせれば君達の勝ち。僕は死んで子供達は生き返り、 そして……、君達はこの家を手に入れることが出来るよ。」 ゆっくりに対して、解り辛すぎる説明だったが、親まりさは理解したようで、「ゆゆーっ・・・」と呻いている。 一部の子ゆっくり達も何となくで解ったのか、難しい顔をした。 大半の赤ゆっくりは何がなんだかわからず、ただ、親まりさが負けた事にショックを受けてゆーゆー泣いていた。 「ぜんぜんわからないよ!! どうすればおちびちゃんたちがたすかるの!!?」 「じじいは、わかりやすいようにゆっくりせつめいしてね!!」 「「「ゆっくりじゃないとわからないよ!!」」」 「「「「「ゆっくりせつめいしちぇね!!」」」」」 「「「ゆっくちせつめいしちぇね!!」」」 親れいむが叫び、数匹の子ゆっくりが青年に解り易い説明を求めた。 赤ゆっくりの援護をも受けた大ブーイングコールだ。 先程の説明で理解できなかったゆっくりが多かった為に、騒ぎの大きさは並ではない。 わかるまでは、叫び続けるぞ、という気迫をもった声であった。 親ゆっくりは、子ゆっくり達に続いて「ゆっくりいいい!」と喚こうとしたが、 子ゆっくり達の声が出て来ることは無かった。 叫んでいた子れいむ4匹と子まりさ3匹、赤ゆっくり8匹は、ルール通りに動かなくなったからだ。 「ゆ゛っ!? ゆ゛ゆ゛!!? 」 ゆっくりと言ったら、ゆっくり出来なくなってしまう事に今の行動でようやく理解した。 親れいむの顔が蒼白になる。自分が今ゆっくり、と言わなかったのは偶然に過ぎない。 ガタガタと振動しながら親れいむは、くぐもった声を漏らした。 「少し大人しくなった所で、もう少し説明すると『ゆっくち』はセーフだね。 今、小さいのが生き残ったのは、そういった理由だよ。」 「ゆ゛あ゛あ゛あ゛あ゛……!!」 親れいむは後悔した。やはり人間さんの家にくるべきではなかった。 「だーりん……!! もうおうちにかえろぉよおお゛お゛お゛!! おうちでみんなのぶんまで……!!!」 思わずゆっくりしよう、と言いそうになって口をつぐんだ。 「だめだよ! おちびちゃんたちをとりもどさないとかえれないよ!! はにーはひとりでおうちにかえってね!!!!」 「どぼじでぞんなごどいうのおお゛お゛お゛お゛!!! ゆっぐりじようよおお゛お゛お゛!!」 親まりさとしては、「ここは自分が青年を倒すから、はにーは安心して先におうちで待っててね。」 という意味で発言したが、言葉が足りないせいで親れいむを激昂させてしまった。 「ちなみに、今のはゆっぐり、だからOK。」と青年が小さい声で言う。 親まりさは慌てて、親れいむをなだめようとするが、 親れいむは泣き叫び、暴れまわっているのでどうすることもできなかった。 おろおろする親まりさを何とか助けようと、子ゆっくり達が親れいむを取り囲み落ち着かせるために歌を歌いはじめる。 「「「ゆ~~♪ゆゆゆ~~♪ゆ~♪ゆ~ゆ~♪(リピート)」」」 「ゆ゛っ!?」 何度も歌った、ゆっくりの為の、ゆっくりした歌が親れいむを落ち着かせる。 「おかーさん、おちついてね。おとーさんはそういういみでいったんじゃないよ!」 「そうだよ! おとーさんは、おかーさんだけにはゆっくりしてほしかったんだよ!」 「だから、おちついて、みんなでおうたをうたおうね!!」 「「ゆ~~♪ゆゆ~~……」」 簡易的すぎる小芝居であったが、親れいむをゆっくりさせるには十分であったようで、早くも笑顔を見せていた。 「ゆーっ……なんだか、とってもおちつくよぉ……。ありがとう、おちびちゃんたち!!!」 冷静になった親れいむは夫に謝る事にした。 「ゆ、だーりん……ごめんね。」 「いいんだよ。はにー。せっかくだから、まりさたちもおうたをうたおうね!!」 すっかり落ち着きを取り戻した親れいむを中心として、一家は再び歌を歌い始めた。 さっきの台詞の中で1匹、タブーを発した為に、さりげなく動かなくなった子れいむが居たが、 輪の外で発言した為に気づかれなかったようだ。 「よく子供達が仮死してる中で歌えるもんだな……。歌劇じゃあるまいし……。」 一家に聞こえないよう青年がぼやいた。 そんな中、歌はヒートアップし、サビの部分に突入していた。 「「「ゆゆ~♪ゆ~ゆ~♪ゆ~♪♪」」」 「「「ゆ~♪ゆゆ~♪ゆっく(*1)) り(ち)していってね~~~♪♪」」」 「「「あああ゛あ゛あ゛!!!!???」」」 途中で気づいた親れいむと親まりさ、一部の子ゆっくりは事なきを得たが、 またしても数匹の子ゆっくりと赤ゆっくりが犠牲になってしまった。 ルールを理解した後での痛恨のミスであった。 「「ゆゆーぅっ……。」」 さすがに、ショックを受けたのか、一家は盛大に溜息をついた。 残ったのは親まりさ、親れいむ、子まりさ4匹、子れいむ3匹、赤ゆっくり11匹(まりさ5匹、れいむ6匹)だった。 さすがに、このくらいの数になると一杯いた家族が少なくなってしまった、と感じるのか、一家は黙って泣いていた。 「ちびちゃんたち……」 「いもうとたちが……」 「おねーちゃん……」 ゆっくりと言ってしまう事を恐れ、口数も少なくなる一家。 お通夜ムードに入ってしまっていた。 「まあ、暗くなるのは解るけどさ。まだ沢山居るんだし、もう帰ったら?」 「そーいうわけにはいかないよ……。」 「じゃあ、僕にあの言葉を言わせるんだね。」 「わかってるよ……。」 駄目だな、これは。と青年は思った。これは長期戦だと覚悟し、ご飯を食べ始めた。 ご飯と言っても、携帯食料とジュースだったが、それを見たゆっくり達が色めき出した。 「ゆ~~……おいししょうだよ……。」 「ごめんね、ちびちゃん……。まりさがしっかりしてないせいで……。」 「……。おかしいんだぜ!! ここはまりさたちのおうちなのに、なんでまりさたちはごはんがないんだぜ!!?」 「そうだね!! きっとじじいがとっちゃったんだね!! はやくれいむたちにごはんをもってきてね!!」 「ゆゆっ!!ちびちゃんたちはあたまがいいね! じじいはさっさとごはんをよういしてね!!」 「あまあまでもいいよ!! はやくしてね!!」 「「よこしぇ! じじい~~!!」」 勝手な言い分だったが、ようやくゆっくりらしい思考を取り戻してきた、とも取れる。 とりあえず元気を出して貰って、出て行くか早期に決着をつけるかしてくれないと困るな。と思った青年は 冷蔵庫からジュースを、戸棚からお菓子を取り出し、お皿に盛って出してあげた。 「さいしょからだせばいいのに、まったくきのきかないじじいだね!!」 「ほんとに、にんげんさんはばかだね!!!」 文句を言いつつも、一家はお菓子とジュースを囲み、食事を開始した。 「むーしゃ、むーしゃ……… し、しあわしぇえええ!!!!」 「むっちゃむっちゃ~………、ち、ちちちあわしぇええええええ!!!!!」 ゆっくり一家は、目を潤ませ、口元をだらしなく歪め、歓喜の声を発した。 これが、あまあまか! と驚く美味しさだった。普段、老人から強奪していたアメさん等、比較にならない。 毎日群の皆に羨ましがられたお野菜さんは、もはや眼中に入っても無視するだろう。 普段食べている虫さんやお花さんごときは、もはやゴミ以下の味でしかない。 まさに、味覚の革命であった。涙を浮かべながら美味しい、幸せ、と食べるゆっくり一家。 今まで生きて来た、一生分のゆっくりでも釣り合わないゆっくりっぷりを味わった。 「おいしかったね!!」 「「すごくゆっくりできたよ~~♪♪」」 「「「ゆっくりありがちょう! おにーしゃん!!」」」 「おじさんは、れいむたちのけらいにしてあげるよ! ありがたくおもってね!!」 「もっとゆっくりしたあまあまさんをもってくるんだぜ!!」 「ゆっくりしないではやくもってきてね!! ばかなの!? しぬの!!?」 美味しい物を持ってきてくれた青年に、赤ゆっくり達は感謝した。 そして、子れいむと子まりさ達は、青年をじじいからおじさんに昇格させ、自分達の家来にしてあげる事にした。 --5分後。 「ゆっぐ、ゆっぐ……!!」 「あー……。」 またしてもお葬式会場が再現されていた。 頭の中がゆっくりしてしまった事で、つい禁句を言ってしまい、 子まりさ2匹、子れいむ2匹、赤ゆっくりが3匹動かなくなってしまった。 青年としてもやや不本意な展開であったようで、どうしたものかと唸っている。 しかし、親まりさだけは落ち込むのではなく、考え事をしていたようで、 頭の上に変な電球マークが出たような「ぴこーん」という効果音を口から発した。 「おにーさん! このルールはまりさたちにふりだよ! るーるのへんこうをようきゅうするよ!!!」 「ゆ!? どうするの? だーりん?」 「せつめいするから、おにーさんは、いっかいこのるーるをやめてほしいよ!!」 「ん……まあ構わないけど。」 ルールが変更可能であるという事を説明してなかったが、まあいいか。と青年は思った。 ここで、「ルールは変更出来ないんだ」と言って、膠着状態を続けるのは、青年側にとっても得策では無い。 さっさと帰ってもらうか、とっとと全滅して貰わないと、無駄な時間を過ごす羽目になるからだ。 「ほい、ルールを解いたよ。『ゆっくり』説明してね。」 「はにーと、ちびちゃんたちもゆっくりきいてね。こんどは、ゆっくりっていわないとだめなるーるにするよ!!」 「ゆゆぅっ!!?」 「しゃべるたんびに、ゆっくりっていわないとだめなんだよ!! このるーるならぜったいまけないよ!!!」 「ゆゆ! さすがれいむのだーりんだね!!」 「おとーしゃん、しゅごーい♪♪」 「成る程な」青年は感心した。まさかゆっくりごときに、ルール変更を提案されるとは思っていなかった。 ゆっくりならつい言ってしまうであろう言葉だが、青年にとっては、馴染みのない言葉だ。 中々よく考えたじゃないかと、青年は思わず顔をニヤけさせた。 「それでいいけど、ちょっとルールが曖昧だから、細かく決めさせて貰うよ。 『ゆっくり』と言わなければならないのは、一呼吸の間にしよう。 それと、発言のどこに『ゆっくり』を付けても良い事。」 つまり、人間で言えば、息を吸って喋ってから吐ききるまでに『ゆっくり』と言えば良い。 文章で言えば、ひとつのカギカッコの中に『ゆっくり』という単語が含まれればいい訳だ。 「それでいいよ!! まりさたちはいつでもじゅんびおーけーだよ!! ゆっくりしていってね!!!」 「「「ゆっくりしていってね!!!」」」 ゆっくり一家に気力がみなぎり始めた。折れた心を立ち直らせるとは、大したゆっくり達だ。 青年はちょっと、興味が出て聞いてみた。 「やっぱり、自分の子供達を助け出したいかい? その気力は、家族の為のものって訳かな?」 「そうだよっ!! ぜったいにちびちゃんたちをたすけだすよ!!」 「ゆゆっ!!? ……そうだね!! がんばろうね、だーりん!」 「「「えいえいゆーー!!!」」」 実を言うと、親まりさは少し打算的な考えがあった。先ほどのあまあまさんである。 このおうちを手に入れれば、この先ずっとあまあまさんを食べれる事が出来る。 子供達も生き返るし、良い事尽くめではないか。 まりさは、そんな現金な欲望で心を立て直したのだった。 親れいむと子れいむは、仮死状態の家族の事をほぼ忘れていた。 ここには、美味しいあまあまさんがある。けどもう心は折れている。 ここはゆっくりできない。群にある本当のおうちに帰りたい。 親まりさが、必勝できる今のルールを考えなかったら、すぐにでも帰ろうと発言する所であった。 子まりさは、どうにかあまあまさんをもっと食べれないか考えていた。 今のままでは、食べている内にルールを忘れてしまい、気づかぬうちに、ゆっくり。と叫んでしまうだろう、と思っていた。 あまあまさんでゆっくりしたいけど、ゆっくり出来なくなるのは絶対に嫌だった。 だから、親まりさが新ルールを発表した途端、これでゆっくり出来る。と叫びそうになった。 赤ゆっくり達は、まだ高度な考えは出来ない。ゆっくりって言えばいいんだね。と考えるのみだ。 「よし、じゃあ7時ちょうどから始めよう。あの時計が、ボーン。って鳴ったときからスタートだよ?」 「「「ゆっくりわかったよ!!!」」」 ボーン……ボーン……ボーン…… 「「「「ゆっくりしていってね!!!」」」」 「「「ゆっくちしていっちぇね!!!」」」 振り子時計が7時を刻むと同時にゆっくり一家が叫んだ。第2ラウンド開始である。 さて、どんな手を見せてくるか。と青年は身構えた時には、赤ゆっくりが3匹動かなくなっていた。 残る5匹の赤ゆっくりに「ちびちゃんたちはもうゆっくりしゃべらないでね……。」と懇願する親まりさ。 盛り上がらないスタートを見せつつ、青年とゆっくり一家の戦いの火蓋は切られた。 「むーしゃむーしゃ! ゆっくりしあわせーーー!!!」 「「ゆっくりおいしいね!!!」」 「とってもゆっくりしてるね!」 ゆっくりと言っても良くなったので、思う存分ゆっくりとお菓子を食べている一家。 そんな一家を青年は冷やかな目つきで見ていた。 「どうせすぐに、ゆっくり。という単語を言うのを忘れるに決まっている。」そういう目だった。 開始後、「まずは、ゆっくりお菓子を食べさせてね!!」と叫んだ親まりさに、青年は失望していたのだ。 どんな手を打ってくるか少し興味があったのに、単にお菓子が食べたいだけか。と溜息が出るほどであった。 10分後。 お菓子をあらかた食べ終わると、親まりさはニヤリと笑いながら自信満々に叫んだ。 「おにーさん、まりさたちはゆっくりねむるよ!!!」 「!?……ゆっくり寝るの?」 親まりさの理解できない発言に、思わず青年は発言を誤りそうになった。 思う存分お菓子を食べたら寝るとは、どういう事か。子供達を取り返すという意思は何処へ行ったのか。 青年を混乱させるには、十分な威力であった。 親れいむや、子ゆっくり達も親まりさの意図が読めなかったらしく、首をかしげながら親まりさの後に続いていく。 部屋のすみっこに移動すると、「これもさくせんだよ。ゆっくりりかいしてね。」と親まりさは家族にそっと囁いた。 親まりさの作戦はシンプルなものだ。朝を迎えたとき、ゆっくりの第一声は「ゆっくりしていってね!」だ。 対して人間は、「おはよう。」これは、もはや条件付けされたような反応であるため、回避することは出来ない。 シンプルゆえに完璧な作戦。親まりさは、起きた時が決着の時だと細く笑みながら眠りについた。 人間である青年は、それほどにゆっくりとした作戦に付き合って居られるわけがなかった。 今から一家が起きるまでの時間、あー、とでも呟いたら死んでしまうのだ。冗談ではない、寝言でもアウトだ。 暴力が使えない空間である以上、このルールで相手に眠られるのは辛い。 「ゆっくりによる、ゆっくりとした持久戦……か。やられたな……。」 先程の、こちらを混乱させる発言やこの持久戦。 確かに効果的な作戦と言えるかも知れないな。と青年は本当に関心していた。 そして、青年はゆっくり一家が自滅するのを待つ事を諦め、 手早くゲームを終らせるべく行動を開始した。 ちょきん、ちょきんとリズミカルな音で、親まりさは目を覚ました。 「ゆっくりしていってね!!」 「ゆっくりのお客様、今日はどのようなヘアスタイルにします?」 「ゆっくり?」 何故か親まりさは、鏡の前に固定され、髪を切られている所であった。 「おにーさん! まだゆっくりあさじゃないよ! それに、いきなりびよういんさんごっこなんてだめだよ!!」 「まぁ、落ち着いてよ。君の奥さんのゆっくりれいむも、僕がきってあげたんだよ?」 「ゆっふ~~ん♪ ゆっくりしてるでしょ!! かわいくってごめんねー!!!」 見れば、親れいむは子供達に、綺麗になった髪を見せびらかしている。 子供達も、「ゆっくりしてるよぉー。」と羨ましそうである。 青年に、美容師的なスキルなどは一切無い。寝ぼけ眼の親れいむを引っ張り出し、 シャンプーして、1cmばかり髪を切っただけである。 だが、野良ゆっくりの清潔感など、家族でぺーろぺーろと舐め合うだけだ。 人間が作り出したシャンプーで髪に艶を与えるだけで、別人のようになるのは当然であった。 勿論、青年はそれを言わない。多少意識を覚醒させた所で、 「ゆっくり髪を切ってあげたよ。」と微笑んだだけだ。 「ゆゆ~ん♪ まりさもゆっくりしたかみさんにしてほしいよ!!」 「はいはい、ゆっくりお任せあれ。」 そういって、青年は、ちょきちょきと軽快に髪を切っていった。 最初は、切られる度に「ゆっゆ~、ゆっくり~」と歌っていた親まりさだったが、 パサリ……パサリ……。と嫌な音が続くようになると、 親まりさはなんだかゆっくり出来ないものを感じ、目を見開いていった。 「お、おにーさん? ゆっくりきりすぎないでね?」 「ゆっくり解ってるさ。」 そう言いながらも、青年はジョキジョキと親まりさの髪を刈り込んでいく。 ジョキン、ジョキン、ジョキン…… 数分後、鏡に見える部分が切られていくのを見て、親まりさは叫んだ。 「きりすぎでしょおおおお゛お゛お゛!!! ゆっくりできなくなっちゃうよおお゛お゛お゛お゛お゛!!!」 「ゆっくりぃいいい゛い゛い゛!!! だーりんのこうとうぶがかりあげになっちゃっでるよおお゛お゛お゛!!?」 「おとーさんのゆっくりしたかみがああ゛あ゛あ゛!!!」 親まりさの叫び声で、親れいむのゆっくりヘアーショーが中断されたようだ。 親れいむが、変わり果てた夫の姿を見て、泣き叫んだ。 世界一ゆっくりした夫婦に変身するはずだったのに、愛する夫の姿は、 親れいむの予想とはかけ離れたモノになりつつあった。 「「おとーーしゃーーんん゛ん゛!!」」 2匹の赤ゆっくりが、親まりさの髪がズタボロになっていく恐怖に耐えられず、泣き叫んでしまった。 脆いな、と思いながら青年は親まりさの髪を刈り込んで行く。坊主頭では面白くないので、 いかにも素人がやりました、というような、凸凹な短髪にするまで切り続ける。 もちろん暴力というルールに触れないように、ゆっくりと、だ。 徐々におかしな髪型になって行く自分自身の姿を見せ付けられた親まりさは、目を白黒させながら黙って泣いていた。 親れいむと子ゆっくり達は「ゆっくりしていってね! ゆっくりしていってよおおお゛お゛お゛!!」と泣いて跳ねるのみだ。 本来なら、体当たりしながら、「もうやべでええ゛え゛え゛!!」と言いたかったが、 暴力禁止と「ゆっくり」と言ってはいけないルールの為に、子供の癇癪のような行動となっている。 「ゆ゛っ……ゆ゛っ……ゆっくり……。」 「ああああ゛あ゛あ゛あ゛!!! だーりんのずでぎながみがああ゛あ゛!!!!……ゆ!!!!、、ゆっくりぃ……!! ……ゆっくり、ゆっくり……ゆっくりぃ……。ゆっくり…ゆっくりゆっくり……。」 切り終わった後、親まりさは、痙攣し、口から泡を吹きつつもルールを守り続けていた。 親れいむは危うくルールを外れそうになった所で、ギリギリ気づいたらしい。 そして、ルールを破らないように、小声でぶつぶつと「ゆっくりゆっくり」と唱える機械と化した。 子れいむは、素敵な髪をした親れいむに夢中の様子で、 「れいむもおかーさんみたいなゆっくりになりたいな、ゆふふふふ。」と甘い声をだしている。 現実を知らないのは、ある意味幸せな事かもしれなかった。 子まりさ2匹と赤ゆっくり達は親まりさの姿にガタガタと怯え、「ゆっくりこわいよおお゛お゛お゛!!」と泣いている。 徐々に、ゆっくりできない姿にされていく肉親を見る事は、一家にとって過大なストレスを与えていた。 「せっかくやる気を出したのに、……ゆっくりは脆すぎるな。」青年はがっかりした声を出した。 青年は、ハサミをしまい、髪の毛がついた手を洗う為にトイレ向かった。 その時、奇跡的ではあったが、振動で机から落ちた小さなお菓子が、1匹の子まりさの前に転がった。 --反射的に、子まりさはそのお菓子を口にする。 「むーしゃ……むーしゃ……!!! ……むーしゃ、むーしゃ!!!! ……!!! ……!! ゆっくり……、……ゆっくりこのままじゃ、だめだよ!! このままじゃおわれないよ!!!」 たった一つのあまあまさんが、一匹の子まりさの精神状態を最大限まで回復させる。 自分が、青年に勝って、沢山のあまあまさんを手に入れるんだ!! 子まりさは当初の目的を思い出した。 恐慌状態から立ち直った一匹の子まりさは、青年と対峙するべく部屋の中央へ身を躍らせた。 「おとーさんのかたきは、まりさがゆっくりとるよ!!」 「ん? まだ元気なゆっくりが残ってたのか?」 「さいごのしょうぶだよ!! まりさとゆっくりしょうぶしてね!!!」 手洗いから戻った青年に、子まりさは挑戦を叩きつける。 現在、残った一家は、痙攣している親まりさとさっきルールを破りそうになった親れいむ、 部屋の隅っこで泣いている子まりさと赤まりさ1匹、赤れいむ2匹。そして、ゆふふふと笑っている子れいむ1匹。 今、青年の目の前にいる子まりさだけが、唯一戦意を喪失していない事になる。 確かに最後の戦いとなるかもな。青年はこれで最後だとばかりに気を張りなおす。 「おにーさんのかけてるめがね、ぜんぜんゆっくりしてないよ!! それに、いまどきそんなかみがたをしたにんげんさんなんて、みたことないよ!!! おにーさんは、いなかものだね!! はずかしくないの!? それでかっこいいとおもってるの!!?」 子まりさは、ペラペラと喋り始めた。人間を挑発する事にかけては、自信があった。 これまで何度となく、人間を怒らせて自分に注意を引き寄せ、その間に妹達に野菜を盗ませたりしてきたのだ。 相手を怒らせれば、そのうち青年は「ゆっくり」以外の言葉を喋るだろう。 人間が「ゆっくり」という台詞を吐くのは不自然だ。頭に血を昇らせれば勝機はこちらにある。そう子まりさは確信していた。 舌戦がしたいのかな。と感じた青年は、空気を読んで口上での反撃を試みる。 「髪型については、君に言われたくないなぁ。君の親である、ゆっくりまりさの髪型は今どんなのだい?」 「ゆぅっ……!! けどそれはおにーさんがきっちゃったからだよ!! ゆっくりひとのせいにしないでね!!」 「まあ、そうだね。でも君の帽子については、僕は何もしてないのにゆっくり変な方向に折れ曲がっちゃっているよね。」 「ゆ゛っ!!? ゆっくり……。」 「家族の中で、君だけがゆっくりしてない変なお帽子だね?」 この子まりさの帽子は、生れ付きまっすぐピンと立っておらず、途中でクニョリと曲がっていた。 家族の中でも1匹だけ。 それは、子まりさにとって指摘されたくない身体的特徴というものであった。 おかーさんや妹達は「気にしなくていいんだよ。」と言ってくれていたので、それほど気には病んでいなかったが、 青年に指摘された事で、「やっぱり変だったんだ」という影が心に刺し、子まりさは動きを鈍らせた。 「か、かんけいないよっ!!! おぼうしがまがってても、だれにもゆっくりめいわくをかけてないよ!!」 子まりさは強がった。本当は「やっぱり変なの?」と聞きそうになったが、ここで引いたら駄目だと思った。 「それより、おにーさんはこんなへんなおうちでまりさたちをだましたりして、ゆっくりめいわくだとおもわないの!? ほかのにんげんさんがきたら、まりさたちみたいにしんじゃうんだよ!? おにーさんはしゃかいのくずなの!!?」 「別に騙しちゃいないさ。ちゃんと玄関に張り紙が張ってあるしね。この家に入ってきて『ゆっくり』なんて 言う奴の方がおかしいのさ。」 「まりさたちはおかしくないよっ!! ゆっくりできないおうちにすんでるおにーさんが、みんなのめいわくなんだよ!!」 「迷惑、って言うのなら、ゆっくりできない君の臭い身体の匂いの方が迷惑じゃないのかい?」 「ゆっくりくさくないよっ!!!」 「あらら……。気づいてないのか。試しに君のお母さんのゆっくりれいむと、君の帽子の匂い、比べてご覧よ。」 「くらべるのはいいけど、まりさはくさくないよ!! とってもゆっくりいいにおいだよ!!」 「はいはい、言葉ではなんとでも言えるけどね。いいからゆっくりれいむの匂いを嗅いできなよ。自分が臭いって解るから。」 「ゆぎぃいいいいい゛い゛!!!! またゆっくりくさいっていったああああ゛あ゛あ゛!!!」 違う。臭くない! まりさは臭くない!! 小さいころに、まりさはお日様の匂いだね。って褒められた事もある。 だから、この人間の言った事は嘘だ。匂いを確かめた後で、 「ほら、くさくないよ! うそをつくなんてほんとくずだね! いきててはずかしくないの!!」 って言ってやる! まりさは親れいむの側に寄り、匂いを嗅いだ。 「ゆゆ~ん♪ おかーさんはゆっくりいいにおいだよぉ~~♪♪ やっぱりにんげんさんはうそつきだね!!!」 「……で、ゆっくりした君のお帽子の匂いはどうだい?」 当然、ゆっくりした匂いだよ。と言わんばかりに自分の帽子を眼前に置き、 匂いを嗅ぐために身を寄せた瞬間、子まりさは息を詰まらせた。 「ゆ゛っ!!!?? ゆっくり……した匂いだよ……。」 親れいむの、自分の母親の匂いは、まるでお花のようだった。 いつまでもその匂いをかいで居たい様なそんなゆっくりした香りだ。 そして、おかーさんの子供である自分も同じゆっくりした香りがする。と当然のように思っていた子まりさは驚愕した。 まるで、腐ったご飯のような匂いだった。青年には、ゆっくりした匂いだと誤魔化したが、 自分自身を誤魔化す事は出来ず、何度も親れいむと自分の帽子の匂いを比べた。 (どぼじでぇっ!!? どぼじでごんなにゆっぐりじでないにおい゛なの゛っ!!?) 何故こんなにも自分が臭いのか理解できなくて、子まりさは混乱する。 「そんなに激しく行ったり来たり動いちゃって、全然ゆっくりしてないな。何度確認しても臭いものは臭いんだよ。 君の帽子は、ひん曲がって格好悪い上にくさい匂いを撒き散らす、ゆっくりしてないお帽子なんだ。 勿論、それを生まれた時からかぶっている君は、家族で一番ゆっくりしてないまりさだってこと。……解るかな?」 「ちがう゛っ!!! まりざば!! まりざはゆっくりじだゆっぐりだっ!!!」 悔しいけど、否定する為の言葉が出てこない。だから子まりさは、精一杯大きな声で叫ぶ事しか出来なかった。 「ほら、今もそんなゆっくり出来ない声なんか出しちゃって。後ろを見てみなよ。臭くて、格好悪くて、 ゆっくりしてない君には、誰も近づかないだろ? 本当は家族の皆も君の事が嫌いなのさ。」 子まりさが後ろを振り返って見ると、確かに皆離れた所で自分をゆっくりしてない目で見ていた。 全身の温度が下がるのを子まりさは感じた。そして、目を見開き、呆然と「うそだ……よ」と呟いてしまう。 「うそだよね? まりさはくさくないよね? おかーさん、おねがいだから……」 其処まで喋った所で、子まりさは動かなくなった。 生まれた時から洗う、という事をしてこない野生のゆっくりの匂いと、 香りつきの石鹸で洗ったばかりのゆっくりの匂い。両者は比べるべくもない。 子まりさに、家族が近寄らなかったのでは無い。近くに居なかっただけだ。 だが、自ら青年と戦うために、家族の元から離れた距離は、混乱していた子まりさにとってとんでもなく遠く感じたはずだ。 そして、戦意を失い、恐怖に支配されただけのゆっくり一家は、子まりさを見ていなかった。 焦点の合っていないその目を見れば、ゆっくりした目で見てくれない。と思ってしまっても仕方がない。 「ま、ゆっくりには、考え付かないだろうけどね。」 戦う気も無く、出て行く気配の無い一家を成年は家の外へ追い出す事にした。 これ以上関わるのも面倒だし、家の外の空気を吸えば、勝手にゆっくりの群にでも帰るだろう。というのが青年の本音だ。 家の外へ放り出された一家は、ゆっくりと群にある自分のおうちへ帰る事にした。 沢山の家族を失い、精神的にボロボロの一家は、行きの倍の時間を掛けて、ようやくおうちに帰る事ができた。 その日の夜は、生きている喜びを噛み締め、お互いにぺーろぺーろと慰めるように舐め合った。 今日は、ゆっくり眠ろう。そして、明日からはゆっくり暮らそう。そう思いながら眠りについた。 翌日。 「ゆげぇっ!! まじゅいいいい゛い゛い゛い゛!!」 「こんなの、ぜんぜんたべられないよおお゛お゛お゛!!」 青年の家で食べたお菓子は、一家の味覚を肥えさせ過ぎた。 一生懸命溜め込んでいた虫さんやお花さんは、もはや毒のようなものでしかなかった。 しかし、昨日の今日で、畑まで移動する気力は残って居ない。 明日はお野菜さんを取りに行くから我慢しようね。と空腹を我慢し眠った。 2日後。 一家は畑に侵入していた。 「ゆっくちまりしゃにたべられちぇね!!」 赤まりさが、お野菜の切れ端を齧った瞬間、駆けつけた農夫の蹴りを受け、餡子を吐き出しながら空に散った。 数の理を活かし、見張り役を立てられた頃とは違って、人間への注意を払えなかったのだ。 その代償が、家族である赤ゆっくり一匹の命。得られた報酬は、今までからすれば、塵にも満たない野菜の切れ端。 しかし、赤ゆっくりが犠牲になって手に入れたお野菜でさえ、一家の舌を満たすことはできなかった。 3日後。 人間さんがあまあまを捨てている。と噂で聞いて一家は別れてゴミ捨て場を徘徊した。 親れいむはゴミ捨て場でゴミ袋を漁っている所を業者に見つかり、 靴の裏で圧力を徐々に掛けられながら、ゆっくりと潰されて死んだ。 4日後。 公園でお歌を歌って、あまあまさんを貰ってくるよ。れいむ達は可愛いから楽勝だよ。 と息巻いた子れいむと赤れいむ2匹は、1時間のフルコーラスを披露した。 「おうたをきいたんだから、ゆっくりあまあまさんをよこしちぇね!!!」 「きくだけきいちぇ、おかねをはらわないなんて、じゅるいよ!!!」 「どぼじでれいむたちをむしずるのおおおおお゛お゛お゛!!!」 子れいむと赤れいむ達は、歌を歌ったにもかかわらず、無反応の人間に対して体当たりをかました。 何故何も寄越さないのか、と怒り叫んだ。 駅前で乞食をやっていた親まりさと子まりさが、子れいむ達を迎えに着た時には、 子れいむと、赤れいむ達の姿は原型を留めておらず、保健所の職員に袋詰めされている所であった。 5日後。 親まりさと子まりさは、もう一度、あの青年の家に挑戦しようと決めた。 畑に行ったり、ゴミを漁ったり、乞食をしたりしても良い事は一つもなかった。 やはり、あの極上のあまあまがある青年の家こそが、自分たちのゆっくりぷれいすなのだ。 青年を倒せば、おちびちゃん達も生き返るというのに。この数日間自分たちは何をしていたのか。 親まりさが、急にやる気を取り戻したのには、理由がある。青年を倒す方法を考え付いたのだ。 親まりさの考えた作戦は、こうだ。 やはり「ゆっくり」以外の台詞を言わせるには、「おはよう」しか無い。 青年が、朝起きるときに言うであろう、「おはよう」を確実に言わせるには、 朝に家に侵入し、奇襲を掛ければ良い。そうだ、奇襲だ。なんと素晴らしい作戦だろう。 子まりさもこの作戦を考えた親まりさをしきりに褒めた。2匹は、勝利を確信していた。 明朝6時。青年の家に辿り着いた親まりさと子まりさは、眠い目を御互いぺろぺろと舐める。 朝に青年の家に着く為に、眠いのを我慢して夜中に移動をして来た為に体力も限界であったが、 どうせ、一撃で勝負は決まる。と気合を凝縮させる。 「おにーさん! ゆっくりしていってね!!! まりさたちともういちどゆっくりしょうぶしてね!!」 「こんどはゆっくりまけないよ!! けど、しょうぶのまえにおかしをちょうだいね!!!」 親まりさと子まりさは、居間に入るなり、青年が起きてくるように大声を張った。 まりさ達は、玄関の張り紙を確認していなかった。 玄関の張り紙にはこう書かれている。 『このいえにはいったものは、けっして「ゆっくり」といってはいけない。』 前に書いたの まりさとの平日 ぱちゅりーとおにーさん お野菜が勝手に生えてくるゆっくりぷれいす ゆっくりと眼鏡 うちのありすのばあい イジメられたれいむ このSSに感想をつける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/853.html
※東方キャラ出現注意 ※性格の悪いゆっくり出現注意 よく晴れたコバルトブルーの空を鴉天狗の少女が忙しそうに飛んでいた。 「号外~号外だよ~幻想郷一早くて正確な『文々。新聞』だよ~」 名前は射命丸文。 彼女は『文々。新聞』という新聞の発行を行っている。 とは言ってもこの新聞の発行は不定期で多くても月五回ほどしかなく、ほとんど趣味のようなものである。 「お~い、文ちゃ~ん」 文を見つけた老人が縁側から手を振る。 それに気付き文はゆっくりと速度を落とし庭先に降りる。 「こんにちわ、田中のお爺さん。はい、『文々。新聞』です」 「いつもすまないねぇ。歳をとると出掛けるのも億劫でな。文ちゃんの持ってきてくれる新聞は数少ない楽しみの一つなんじゃよ」 「あやや、ありがとうございます」 老人の嬉しそうな顔に思わず営業スマイルも崩れ、素の笑みが浮かぶ。 どちらかというと『文々。新聞』は内容を叩かれる事が多い(主に記事にされた人間や妖怪から)。 しかし里の人間には人知を超えた熱く華麗な弾幕ファイト、そして稀に特集される美少女たちを目当てになかなかの人気を博している。 お世辞にも娯楽が盛んだとは言えない幻想郷においてこの老人のように文の発行する新聞を楽しみにする人間は珍しくないのだ。 「おおぅ、そうじゃ。これを持って行きなせぇ。あのわんちゃんと一緒に食べてくれ」 「あややや! これはおいしそうなおはぎですね。ありがとうございます」 「それでは今後とも『文々。新聞』をご贔屓に」 「おう、気ぃつけてなぁ~」 その様子を縁の下から見ていた一匹のゆっくりがいた。 * 所変わって同日の夕方、人間の里付近のゆっくり集落にて。 「ゆゆっ? しんぶんをつくるの?」 「そうだよ! しんぶんをつくってにんげんからたべものをもらうんだよ!」 文の新聞配達を老人宅で見ていたゆっくりまりさは集落に帰るとゆっくり会議でみんなにその出来事を伝えた。 この会議では冬篭りのための食料収集が芳しくない状況をどう打破するかを話し合っていた。 昨年までは人間の家から盗んできた食べ物で賄っていたが人間たちがゆっくり対策を始めたせいで容易には侵入できなくなった。 そして会議と言っても所詮は餡の集合体でしかないのでいつも碌な案が出ずにお開きになっていた。 そんな状況の中、まりさから得られた情報はこの集落のゆっくりたちが春まで生き延びるための最後の望みになった。 だが一匹のゆっくりがまりさに疑問をぶつける。 「でもしんぶんってなにをかけばいいの?」 「ゆっ!? う~ん……」 まりさは新聞というものを人間にあげれば食料を貰えるということを知っているだけで新聞自体がなんであるかは知らなかったのだ。 せっかく見えてきた希望がまた遠ざかろうとしている。 困り果てていたみんなのところへ集落一の知識者であるゆっくりぱちゅりーが現れた。 「むきゅ! ごめんなさい! ばんごはんをゆっくりたべていておそくなったわ!」 「ゆゆっ! ぱちゅりー! ちょうどいいところにきたよ! 」 「ねぇぱちゅりー! しんぶんってなにがかいてあるかしらない?」 「ちんぽー?」 打ってつけのゆっくりの登場にみんながぱちゅりーに質問する。 その辺にいる見せ掛けだけのぱちゅりー種とは違い、まともに知識を持つこのぱちゅりーは冷静に答えを導き出した。 「しんぶんはおこったできごとやいろいろなじょうほうをみんなにつたえるためのものよ! でもそれがどうしたの?」 「ゆゆっ! まりさたちでしんぶんをつくるんだよ!」 「そしてたべものをもらうんだよー! わかるよー!」 取らぬ狸のなんとやらと言う言葉がお似合いのように、ゆっくりたちはまだ見ぬ食べ物を思い浮かべ涎を垂らしている。 新聞を作るという話を聞いたぱちゅりーはみんなとは対照的に浮かない表情をしている。 「むきゅう……でもしんぶんはつくるのがむずかしいわ! そんなことよりじみちにたべものをあつめたほうが……」 「そんなこというならぱちゅりーはひとりでたべものをあつめてね!」 「れいむたちはしんぶんをつくってらくしてたべものをあつめるからね!」 「わけてあげないよー!」 「おお、みじめみじめ」 ぱちゅりーの意見はもう食べ物が手に入った気でいるゆっくりたちの耳には届かなかった。 こうしてぱちゅりーも渋々新聞作りをやらざるを得なくなったのだ。 翌日。 ゆっくりたちは食料集めもせず朝から新聞制作を開始した。 紙はその辺の民家から盗んでいた和紙、筆記具は同じく盗んできたクレヨンと鉛筆だ。 大量に作らないといけないためゆっくりは家族ごとや気の合う仲間に分かれて作業をする。 「ゆゆっ! みんなおえかきしちぇるよ!」 「れいみゅもかかしぇちぇね!」 作業を見た赤ちゃんゆっくりが勝手に新聞に絵を描きだす。 「ゆゆっ! これはあそびじゃ……」 「まってよれいむ! あかちゃんたちのえをみてごらん!」 「ゆゆ?……うわあ! すっごくかわいいね!」 「でしょ? きっとにんげんもこのえをみてゆっくりできるよ!」 「そうだね! れいむたちのあかちゃんはてんさいだね!」 また別の場所では、 「まりさたちでれみりゃをたおしたことをかくんだぜ!」 「ゆゆっ! しんぶんにかいてみんなにつよさをしらしめるんだぜ!」 自身の武勇伝を書くものや、 「とかいはのありすはしんぶんにすっきりすとをかくわ!」 「やっぱりいちばんはまりさね! あのふわふわのかみとすてきなぼうしをみるとおもわずすっきりしたくなっちゃうわ!」 どのゆっくりが一番すっきりできるかを書くものや、 「きのうはばんごはんにおさかなをたべたよー!」 「それをしんぶんにかくんだねー! わかるよー!」 昨日食べた晩御飯を書くものや、 「ちんぽー!」 「ちんぽー!」 ひたすら卑猥な言葉を書くものがいた。 そして丸一日かかって新聞を作り次の日の早朝、ゆっくり新聞の配達の日がきた。 * 「ゆっくりおきてね! ゆっくりしんぶんだよ!」 「ゆっくちちんぶんだよ!」 民家の前で家族揃って大声で叫ぶゆっくり。 程なくして住民が現れた。 「朝っぱらからうっせぇぞ! 饅頭共が何の用事だ!」 非常に機嫌の悪い男が出てきた。 早朝から不快な声で起こされ玄関に並ぶ気味悪い大小の饅頭家族が目に入ったのだ。 これで機嫌を悪くしないほうがどうかしてる。 しかしこのゆっくりの一家は全く空気が読めなかった。 「ゆゆっ! おじさん! まりさたちしんぶんをもってきたよ!」 「だからゆっくりたべものをちょうだいね!」 「ちょうらいね!」 まりさは頭の上に乗せた新聞と思われるものを男の前に差し出す。 子供たちはれいむに輪唱する形で食べ物を要求する。 「次大声出したらぶっ飛ばすぞ!」 男はゆっくりを無視しさっさと玄関を閉めてしまった。 「ゆゆぅ! どおしてうけとってくれないのおぉ!? れいむのあかちゃんもいっしょうけんめいかいたのにぃぃ!」 「きっとまりさたちのげいじゅつがわからなかったんだよ!」 「ゆゆっ! そうだね! おじさんはばかだからわからなかったんだね!」 「つぎのおうちでゆっくりたべものをもらおうね!」 今度はその隣の家の前に整列した。 「ゆっくりおきてね! ゆっくりしんぶんだよ!」 「ゆっくちちんぶんだよ!」 しばらくして中年の男が出てくる。 扉を半開きにしてゆっくりの様子を窺っているようだ。 「ゆっくりしんぶんだよ! ゆっくりよんでね!」 「よんだらたべものをちょうだいね! おかねでもいいよ!」 「おきゃねでもいいよ!」 まりさが玄関の男の前まで行き口で新聞を差し出す。 やっとこのゆっくりたちが何をしているのかを把握した男は無言でまりさを蹴り抜いた。 「ゆぶぅぅ!!」 「ま、まりざあああぁぁぁ!」 「おとおしゃぁぁん!」 まりさは木に強く叩きつけられ持ってた新聞は宙を舞った。 餡子を吐き出しながらビクビク痙攣している。 幸いにも命に別状は無いようだ。 「ゆぐぐうぅぅ! どぼぢでこんなごとずるのおおぉぉ!?」 「ゆっくちおとうしゃんにあやまっちぇね!」 「あやまれー!」 れいむと子供たちが男の入っていった家に抗議の声を上げる。 だがそれがいけなかった。 「うるせえっつたろうがこのクソ饅頭が!」 さっきの家の男である。 隣でも大声を出しているのを聞いてとんできたのだ。 男は手に持っている爆竹の束をゆっくりに投げつけた。 快音を立ててゆっくりの近くで爆竹が破裂する。 「あちゅいよ! ゆっくちやめちぇね!」 「ゆぎいいぃぃ!」 「いだい! ゆっくちできない!」 爆竹は殺傷力の低いものだったが貧弱なゆっくりには大ダメージだった。 「次はねぇぞ! いいな!」 男は爆竹でところどころ焦げたゆっくりを見ると再び家に帰っていった。 新聞は蹴られた時に遠くへ飛んだので幸いにも引火する事だけはなかった。 「ゆゆぅぅ……ここはゆっくりできないよ!」 「ほかのところでゆっくりしんぶんをくばろうね!」 「ゆゆっ! きっとこんどはたべものもらえるよ!」 まりさたちは体に負った火傷も気にせず、食べ物が貰えると信じてまた配達を始めた。 しかしその希望も空しくどこの家でも追い返されてしまった。 このままではいけないと作戦を練ったまりさたちは一旦子供たちだけで新聞を配達させる事にした。 「「「ゆっくちおきちぇね! ゆっくちちんぶんだよ!」」」 「あかちゃんたちだけならきっとうけとってくれるよ!」 「ゆゆっ! れいむのあかちゃんたちかわいいもんね! これならきっとせいこうするよ!」 子供だけならかわいさのあまり受け取ってくれるかもしれない。 自分たちなら絶対引っかかってしまうすばらしい作戦だ。 まりさとれいむは近くの木の陰に隠れて子供たちの様子を見ていた。 玄関では男と子供たちが会話しているようだ。 今まで会話すら出来なかったのだから大きな進歩だ。 やはり作戦に間違いは無かったのだと両親は思った。 「……これは何が書いてあるのかな?」 ゆっくりたちが書き殴った文字のような絵。 当然人間に読めるわけが無い。 新聞を配達し始めて初めて話を聞いてくれる人間の登場に子供たちが饒舌に説明しだす。 「これはにぇ、かっこいいおとおしゃん!」 「こっちはおかあしゃんでふたりはらぶらぶなんだよ!」 「それでにぇ、こっちはかわいいれいみゅたち!」 説明を聞いたが絵はさっぱり分からない。 果たしてこれを新聞と言ってもいいものなのか。 聞いた限りだとこれはただの絵だ。 興味本位で見てみたがどうみてもただの紙ゴミにしか見えない。 断ろうと思っていた男に驚くべき言葉が聞こえてきた。 「よんだらゆっくちたべものをちょうらいね!」 「おきゃねでもいいよ!」 「いちまんえんでもいいよ!」 どうやら新聞と引き換えに食べ物を貰おうという魂胆らしい。 しかも向こうの影でこっちの様子を窺っているゆっくりがいる。あれはこの子の両親だろう。 男はゆっくりが赤ちゃんをだしに食料を集めている事を把握した。 そしてその腐った根性に腹を立てた。 赤ちゃんを隠れる両親にも分かるように高々と摘み上げる。 「ゆゆっ!おしょらをとんでいるみたい♪」 「ああ、今飛ばしてやるよ」 そのままの体勢から赤ちゃんを傍にあった井戸に投げる。 両親が止めに行こう駆け出した時には既に遅く、赤ちゃんが発した着水音だけが響いてた。 「ま゛、まりざのあがぢゃんがあああぁぁ!!」 「れいむ゛のあがぢゃんがえじでええぇぇ!!」 「まりしゃのおねえちゃんがあああぁぁぁ!!」 「あの子みたいになりたくなかったら二度と来るなよ!」 男は音を立てて玄関の扉を閉めた。 まりさとれいむは急いで子供の落ちた井戸に駆け寄る。 井戸の縁に登って中を見ると蟻のように小さい子供が見えた。 「ぶぐぶぐ……しじゅんじゃうよ! ゆっくちたしゅけてね!」 子供は両親を信じて必死に助けを求めていた。 「おとおしゃんたしゅけてね!はやくたしゅけてね!」 しかし人間の作った井戸はゆっくりにとっては深く、降りたら最後だ。 「ごぼっどぼじてえぇぇ! なんでみんなみてるだけなおおぉぉごぼごぼ!」 普段なら助けてあげてと騒ぐゆっくりの姉妹もこの深さに黙り込んでしまった。 「もっどゆっぐぢ……しだがっだよ……」 子供の最後を見届け、れいむとまりさは悲しみに暮れながらその家を後にした。 そして悲しみに暮れたゆっくりは変貌した。 「れいむ! まりさいいことかんがえたよ!」 「どおしたのまりさ?」 「にんげんがしんぶんにきをひかれているうちにやっつければいいんだよ!」 「そうだね! れいむたちのしんぶんをりかいできないにんげんがわるいよね!」 「そーだ! そーだ!」 「まりしゃはちゅよいもんね!」 ただの強盗に成り下がっていた。 だがこのゆっくりたちは非常に運が悪かった。 普通の人間に当たっても結末は変わらないのによりによって一番当たってはいけない人間に当たってしまった。 「ゆっくりしんぶんだよ! ゆっくりよんでね!」 「よんじぇね!」 まりさたちは他の家よりも少し大きくて豪華な屋敷の前にいた。 どうせ狙うのならお金持ちの家がいいと判断した結果だ。 しばらくすると家の中から女の子がでてきた。 頭に飾った綺麗な花と黄緑と黄色と赤のカラフルな着物が印象的なかわいい女の子だ。 (「ゆゆっ! よわそうなにんげんだよ!」) (「これなららくしょうだね!」) まりさとれいむは目を合わせニヤリと笑う。 「まあ、こんな朝早くから何の御用かしら?」 女の子は他の人間とは違い早朝に押しかけたゆっくりに対してとても礼儀正しかった。 まりさは新聞を口で差し出す。 「ゆっくりしんぶんだよ!」 「へぇ! 新聞を書いたんですか? どれどれ……」 そして女の子が新聞を手に取った瞬間、 「ゆっくりしね!」 隣にいたれいむが女の子に襲いかかる……がその言葉がれいむの最後の言葉になってしまった。 襲い掛かったれいむに女の子の手が貫通していた。 れいむは口をぱくぱくさせるがそれはもはや声にならなかった。 想定外の事に残ったゆっくりも悲鳴を上げるだけだった。 「れいむがあああぁぁぁ!!」 「おかあしゃああん!!」 「へんじしてええぇ!!」 騒ぐゆっくりをよそに女の子はれいむから腕を引き抜くと瞬く間に子供たちを捕らえた。 今、彼女の広げられた左右の手の指と指の間には子供たちが全員、合計で八匹挟まれている。 その一連の動きは非常に洗練されていて、とても普通の少女が成せる動きとは思えなかった。 「ゆゆっ! ゆっくちはなしちぇね!」 「くるしいよぉぉ!」 「おとうおしゃぁぁん!」 「ふふっ、早起きは三文の得と言いますけれどもまさか本当に得になるとは……私も驚きです」 女の子は指に挟まれた赤ちゃんゆっくりを観察する。 「あら? よく見たらところどころ焦げてるわね……なかなかのセンスね」 火傷を見て何かを把握したかのように女の子は頷いていた。 まりさはあの手馴れた赤ちゃんゆっくりの捕獲を見て思った。勝てる相手ではないと。 こうなるとその後の行動は早かった。 「ゆゆっ! ずらかるんだぜ!」 「どぼじでみずでるのおおぉぉ!?」 「おとおしゃんだずげでええぇぇ!」 「うらぎりも゛のおおぉぉぉぉぉ!」 まりさは子供たちの助けを無視し逃走してしまった。 「あらら……ここに玄翁があれば始末できたのに残念……まいっか、今日はこの赤ちゃんで楽しみましょう♪」 「ゆゆぅぅぅ! たしゅけてぇぇぇ!」 「いやあぁぁぁ! だれかあぁぁぁ!」 女の子は「稗田」と書かれた表札の付いた屋敷の中へ戻った。 連れて行かれた赤ちゃんゆっくりがどうなったかは誰も知らない。 * その日の夕方。 朝出発してなかなか戻ってこないゆっくりたちに留守番していたぱちゅりーは不安になっていた。 秋の天気は崩れやすく黒い雲が空を覆い、強い風が周りの木をギリギリと軋ませている。 「むっきゅ~ん……みんなどうしたのかしら?」 そこへ瞳を涙でぬらしたありすが帰ってきた。 ただならぬ事態にぱちゅりーが動揺する。 「むきゅう! ありすどうしたの? なんでないてるの?」 「かわいいあかちゃんがみんないけにしずめられちゃったああぁぁ! ありすはとかいはのしんぶんをくばっていただけなのにいいぃぃ!」 ありすを宥めていると続々とぼろぼろになったゆっくりたちが帰ってきた。 それぞれ配達先でひどいことをされたというのが見てわかる。 ぱちゅりーは他のゆっくりたちにも話を聞いた。 そして冬篭りの食料を集めるどころか多くの仲間を失う結果となったことを知った。 子供たちを見捨てたまりさもようやく帰ってきた。 「……た、ただいまなんだぜ」 「まりさ! あなたのかぞくはどうしたの?」 「まりさはすきをついてにげたけどれいむとあかちゃんは……」 「それいじょういわなくてもいいわ! つらかったわね……」 「ううっ、ぱちゅりーはやさしいんだぜ……」 ぱちゅりーに頬を擦り付けられるまりさ。 家族を失った悲しさなどここに帰ってくるまでにどうでもよくなっていたがぱちゅりーの肌が心地よくて悲しんだ振りをしていた。 そしてれいむがいなくなった代わりにぱちゅりーと結婚しようとなどと考えていた。 ぱちゅりーの肌を堪能していたまりさだがその帰宅に気付いたゆっくりたちがぞろぞろと詰め寄ってきた。 「もとはといえばまりさがしんぶんをつくろうっていったのがいけなかったのよ!」 「そうだねー! まりさのせいだよー!」 「おかあさんをかえせ!」 「ちんぽー! ちんぽー!」 ゆっくりたちが怒りの表情でまりさを責める。 まりさ種に優しいありす種でさえ怒っている。 雲行きのよくない状況を見たぱちゅりーが間に割って入る。 「むきゅー! まりさもかぞくをうしなってかなしんでるのよ! せめるなんてひどいわよ!」 「そうだぜ! まりさはひがいしゃなんだぜ! やさしくしてほしいんだぜ!」 まりさもいつも通り自分は悪くないと言い張る。 そんな陳腐な言い訳も今のゆっくりには火に油を注ぐだけだった。 「ぜんぶまりさのせいよ! まりさのせいでありすのかわいいあかちゃんはしんだのよ!」 「ぱちゅりー! どくんだよー! まりさはここにいちゃいけないゆっくりなんだよー!」 「おかあさんのかたきいぃぃ!」 「ちんぽー!」 ぱちゅりーの必死の静止も聞かず大人から赤ちゃんまでみんなでまりさに襲い掛かる。 「やめるんだぜ! いだいんだぜ! はなずんだぜ!」 「ゆっぐりじね! ゆっぐりじね!」 「わかるよー! まりさのようなやつがいるからせんそうがおわらないんだよー!」 「くるしんでしね!」 「ちんぽー!」 運動神経が高いまりさ種だがこの人数差ではなす術もなかった。 自慢の帽子は破れ、頬も食い破られ餡子が漏れ出している。 それでもゆっくりたちはまりさを攻撃するのをやめない。 「だれかああぁ! けんかをとめてぇぇ! まりさがしんじゃうううぅぅ!」 ぱちゅりーの叫びが巣の中を木霊する。 願いが届いたのか一人の少女が巣の前に現れた。 「あやや、やっと見つけましたよ! 貴方たちが新聞を配ってたゆっくりですね? 取材を伺いに来ました射命丸文です。どうぞよろしく」 いつもの営業スマイルをゆっくりにも向ける文。 ゆっくりたちもまりさへの攻撃を止め視線を射命丸へと移す。 ぼろ布になったまりさにもその姿が目に映る。 あの時縁の下で見た光景が、みんなで楽しく新聞を作る光景がまりさの頭の中にフラッシュバックする。 「お……おまえさえいなければ……まりさは……」 まりさがずるずると這いながら文に近づく。 「あやや!? どうしたんですか? このゆっくりボロボロじゃないですか?」 「おまえさえ……いなければっ!」 自分の方を激しい憎悪を込めた瞳で睨むまりさに文は疑問符を浮かべる。 面識の無い他のゆっくりはまりさが何故文を睨んでいるのかがわからない。 「あの……私、何か粗相をしましたでしょうか?」 「まりさはわるくない! おまえのせいでこうなったんだ! ゆっくりしね!」 まりさは質問に答えず文の足首に噛み付いた。しかし相手が人間ならいざ知らず、人間を遥かに越える鴉天狗である。 渾身の力を込めた噛み付きも文の白く細い足に傷一つ負わせる事ができなかった。 「……椛」 「はい、先輩!」 文の合図に草むらに隠れていた椛が写真機のシャッターを切る。 「今の光景を写真に撮りました。今度の新聞にあなた方が非常に危険で排除するべき存在であることを写真付きで掲載させて頂きます。取材ご協力ありがとうございました」 まりさに噛み付かれながらも笑顔を崩すことなくゆっくりにお辞儀をする文。 その笑顔に見る見るうちにゆっくりたちの顔が青ざめていく。 「むきゅううぅぅぅ! それだけはやめてぇぇぇ!」 「やめてよー! ゆっくりできなくなるよー!」 「おねえさんおねがいいぃぃ!」 「私のモットーは『清く、正しく』ですのでありのままをみなさんに伝えるだけです。それでは」 文は飛び立とうとしてまだ足に噛み付いているまりさに気がついた。 「……そしてこれは正当防衛です」 腰に挿していた団扇を一振りすると目の前に巨大な竜巻が現れた。 竜巻はその場にいた全てのゆっくりを巻き込み、巣を削り壊し、草を刈り取り、木をなぎ倒し、岩を跳ね飛ばした。 「せんぱーい、少しやりすぎじゃないですか?」 先を飛ぶ文に山から伸びる一本の竜巻を見ながら椛が問う。 「新聞記者に危害を加えてきたんだから当然です……あ、田中のお爺さんからおはぎを貰ってるんで夕飯後に一緒に頂きましょう♪」 「……はーい♪」 椛はこの人だけは敵にまわさないでおこうと決心するのであった。 * まりさは水滴の滴りで意識を取り戻した。 正確には雨が降り出していた。 ボロボロになった体を起こし周りを見渡す。 そこにはまりさの家も草も木も岩もなく、小石と抉れた大地だけが広がっていた。 「ゆうううぅぅ!? みんなどこ? おうちは? ぱちゅりーは!?」 まりさは体を引きずりながら仲間を探す。 帽子を失い、頭に雨が降ってくるのも構わなかった。 しばらくして折れた木の前に髪飾りが集められている場所を見つけた。 そしてそこにぱちゅりーがいた。 「ゆゆぅ! ぱちゅりー! いきてたんだね!」 「……」 「みんなしんだかとおもったよ! でもよかったよぱちゅりーだけでもいきてて!」 「……」 「ねぇ、ぱちゅりー! いきなりだけどまりさとけっこんしてほしいんだぜ!」 「……」 「みんなしんじゃったけどまりさといっぱいすっきりしてあかちゃんつくってまたたのしくやっていこうだぜ!」 「……」 「ぱちゅりーきいてる?」 呼びかけても反応の無いのでまりさが覗き込もうとした瞬間ぱちゅりーは振り返った。 ぱちゅりーの口には尖った枝が咥えられていた。 とっさの出来事に避ける事ができず腹を貫かれる。 まりさは目の前の現実が信じられないといった顔でぱちゅりーを見た。 「ゆ゛ぐっ……どぼじで……」 「まりさの……まりさのせいでれいむもありすもちぇんもみょんも……みんなしんだのよ! なんでまりさだけいきてるのよ!」 枝が引き抜かれそしてもう一度まりさに刺さる。 「ゆ゛っ……ぱ、ぱちゅり……や゛めで……」 「きやすくなまえをよぶな!しねっ! ゆっくりしねっ! このやくびょうがみ! ごみくず!」 もう一度まりさに刺さる。 「ゆ゛っ……ゆ゛ぶっ……」 もう一度。 「ゆ゛っ……」 ぱちゅりーは自分の体が雨で溶けて動かなくなるまで何度もまりさを刺し続けた。 後日、『文々。新聞』にゆっくりが非常に危険な生物であると書かれ、人々がゆっくりを殲滅していくことになるのだがそれはまた別のお話。 ―ゆっくり新聞―おしまい <あとがき> かぶってしもた上にかなり遅れた/(^o^)\ナンテコッタイ 『文々。新聞』って幻想郷の人里の人間から見ればすごく面白いものだと思うんだけどどうなんだろ? 求聞史紀見てもカフェーで人気程度しか書いてなくてわかんね。 あとこんなかわいい子が配達してくれるなら文自身にもかなりファンが多いと思う。 そんなことを妄想しながら書いた。 (積み重なる黒歴史) ゆっくりフルフォース お兄さんの歪んだ愛 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/250.html
ここは、広大なゆっくり平原。 ゆっくり名所である川に沿って上流へ向かうと、おなじく名所である林に入る。 さらに上流へと足を進めると、そこはもう山だ。 天を突くほどに伸びた木々は、その身に枝葉を思う存分茂らせ、さまざまな木の実をつけている。 数多の木々が作り出す静寂とした空気。 山にある森は知るゆっくりぞ知る、ゆっくり名所であった。 だが、山はゆっくり名所でありつつもゆっくり難所でもある。 なぜか? それは動物の数が下流の平原よりもはるかに多いからだ。 よほどの経験を積んだゆっくりでもなければ、山の森で暮らそうなどという者はいない。 そんな森の中に、 「ゆっくりしていってね!」 という声が漂ってきた。 2匹のゆっくり魔理沙だ。この山の中を飛び跳ね、餌を探している。 この2匹はつがいで、2回目の出産を経て、ようやく産後の肥立ちから回復したのだ。 交尾してから久しぶりの夫婦水入らずの狩りだった。 2匹がやってきたのは、川原だ。 水源にはまだ遠いが、この上流の水はとても綺麗で、きらきらと輝いて見える。 この水を毎日飲んでいれば、それはすくすくと育つだろうと思わせるほどだ。 この川には、ゆっくりを捕食する生き物も集まるが、餌も豊富というリスクに見合うリターンが確実にある場所だった。 しかも、今2匹の目の前には、魚がぴちぴちと跳ねていた。 川の中ではない。地べたで、だ。 2匹のゆっくり魔理沙は天の恵みとばかりにそれに近づいていった。 「おさかなさん!ゆっくりしていってね!」 「ごちそうだね!」 そう言って、わずかに体の大きいほう、年長のゆっくり魔理沙がその魚を口に含んで飲み込んでしまった。 無論、食べようとしているわけではない。巣への運搬のために一端体内に保存しているのだ。 鵜飼いとは違うが、あれを想像してもらえるとわかりやすいだろう。 2匹でびちびちと活きの良い魚を一尾ずつ飲み込んで、 「ゆ!まりさたちのえーよーになってね!」 「あわてないで、ゆっくりしていってね!」 などとご満悦の表情だ。 「あとは、きのみとかとっていこう!」 「そうだね、おさかなさんがいるから、それでじゅうぶんだね!」 来たときよりも重めの体を全力で飛び跳ねさせる2匹。 2回の子作りで、群れも10匹と大きなものになった。 上の四匹の子供達はそろそろ本格的に狩りに連れて行っても良い頃合だろう。 家族で狩りという、夢膨らむ素敵な想像に、2匹は浮かれつつも巣への帰路へとついた。 日が傾き、空が橙色に染まりつつあるころ、森もその様相を刻一刻と変化させていった。 木々の陰はゆっくりと伸びていき、まるで生き物のように森を昏い色で飲み込んでいく。 夕闇が迫りつつあった。 10匹のゆっくり魔理沙たちは、狩りの成果を思う様堪能していた。 年老いた大木の洞のなかをねぐらにしているので、広さは十分にある。 地面に並べられたご馳走は、無数の木の実に、色鮮やかなツツジの花。 そしてメインはなんといってもお魚さんだ。 もう1尾は明日の食料として、奥のほうで笹の葉に包まれている。 「はふはふ、うめぇ!めっちゃうめぇ!おさかなさんおいちい!」 「ゆっくりあじわってね!」 「おちついてゆっくりしてね!」 子供達の旺盛な食欲を温かく見守るのは、2匹の親ゆっくり魔理沙だ。 その表情は母といって差し支えないものだ。 子供達もそんな母たちの見ている中、喧嘩ともいえないようなじゃれ合いをしながら、ご馳走を食べている。 赤らんだ顔に溌剌とした眼差し、張りのよい高い声、あふれる覇気を支える柔軟性に富んだ動き。 その全てが健康状態が良好であることを示している。 さらに、はちきれんばかりに発揮されている元気から、この子らがのびのびと成長していることも存分にうかがえる。 ゆっくりにとって理想の家族像がこれだと言われたら、信じてしまいそうな情景だった。 この家族であれば、どんな苦難が降りかかろうとも、身を挺して子供達を守るに違いない。 そう、親が子を、姉が妹を、何を措いても守るのだろう。 年少のゆっくりは、そんな年長のゆっくりの行動を指標とし、さらに年少のゆっくりに対して同じように接するだろう。 ゆっくりたちにも受け継がれる意志があるのだ。 これは秋に起こったこと。 日々を満腔の幸福で彩っていたゆっくり親子を襲った黒い絶望のお話。 橙色の空が、恐怖に蒼褪めたように暗くなり、とうとう墨を流し込んだようになったころ、ゆっくり親子は巣でゆっくりしていた。 最年少の子供たちはすでに夢の中へと潜りこみ、安らかな寝息を立てている。 4匹がそれぞれお互いの顔を見合わせるような、円陣を組んだような体勢。寝付くまで年少組だけでおしゃべりに興じていたのだ。 そのすぐ隣には、年少組より二回りほど大きな4匹が、これまた円陣を組んでおしゃべりをしている。 年長組だ。 2匹の親ゆっくり魔理沙が狩りに出かけている間、年少組の世話をするのが日々の仕事だった。 むろん、簡単な狩りの真似事ならお手の物で、妹たちが蝶々や飛蝗をねだると、それらを取ってやっていた。 そんな年長組だから、妹たちが寝付いたときから、ぽそぽそと声を潜めてお話をしていた。 けれど、迫る睡魔に抗する術も持たないのか、すでに目がとろんとしていてまぶたも落ちかかっている。 「あしたもゆっくりしようね」 「みんなでゆっくりするよ」 と今日へのお別れを口にしていた。 親ゆっくり魔理沙たちは、8匹の子供たちが、全て寝静まるのを確認してから眠りにつくことにしている。 だから、真夜中の来訪者に気づいたのも、当然のことながら2匹の親ゆっくり魔理沙だった。 巣が揺れる。 地震だろうか?いや、違う。 何かがぶつかっているような音がしている。 それだけではない、みしみしと巨木が軋む音がかすかに聞こえてきている。 「ゆっ?なに?」 「ゆっくりかんがえてもわからないよ!みてくるね!」 「ゆっくりきをつけて!」 勇敢にも大きいほうのゆっくり魔理沙は、入り口から外を確認にしにいった。 片親は8匹のそばに跳ねていく。 まだ眠りの門は破られていないのか、安らかな寝息は乱れていない。 ほっと安堵の表情を浮かべる親ゆっくり魔理沙。 子供らを背に、入り口へと向き直ると、愛するつがいの怒声が聞こえてきた。 「うるさいよ!こどもたちがおきちゃうでしょ!ゆっくりいなくなってね!!」 続く静寂。 迷惑な来訪者は去ったのだろうか? いや、揺れはおさまってはいない。それどころか大きくなっている気配すらある。 何かがあったに違いあるまい。 即座に子供達を起こし始めるゆっくり魔理沙。 寝ぼけ眼をしぱしぱさせて、 「ゆっくりねむたいよ」 と口々に言う子供達。 「ゆっくりできないよ!おきてね!」 「ゆっ!?」 「ゆ゛っ!」 親ゆっくり魔理沙の声色にただならぬものが含まれているのに気づいたのか、姉ゆっくり魔理沙たちはしゃきりと身を持ち直す。 「ゆっくりおきてね!えらいことになるよ!」 「ほらほら、ゆっくりして!」 1匹1匹がそれぞれ年少組をきちんと起こし始める。 ゆっくりとは思えないほどのしっかりとした行動。 親ゆっくりへと連綿と受け継がれた教育がしっかりと根付いていることがうかがえる。 それからいくらもしないうちに、年少組を含めた8匹の子ゆっくり魔理沙たちは完全に覚醒していた。 9匹でそろりそろりと入り口の穴へと向かう。 当然先頭は親ゆっくり魔理沙だ。 その後ろに姉と妹でペアになった、4組の姉妹ゆっくり魔理沙。 親ゆっくり魔理沙は、入り口の穴から体を出しているつがいの後ろ姿を見つけた。 「まりさ!どうしたの?」 問いかけるも返答がない。 訝しんだゆっくり魔理沙が、それに触れるとぐらりと倒れた。 生きた匂いを感じさせないその動きは、9匹に冷たいものを与えた。 倒れたゆっくり魔理沙の体表面からは暗い色の塊が見える。餡子だ。それには顔がなかった。 「ゆ゛っ!?なかみがみえでるよ゛っ!!おがおがないぃいいぃいっ!!ぶりゅっ!!!」 つがいのゆっくり魔理沙が、その体の前半分を削り取られたことを理解すると、絶叫する親ゆっくり魔理沙。 声を上げた瞬間、その体躯に太いものが突き刺さった。 毛むくじゃらのそれは、たやすく親ゆっくり魔理沙を絶命せしめ、そのまま壁に叩きつけた。 「あ゛、あ゛~~~っ!」 「おが~~~ざ~~んっ!!」 それは、甘い匂いのするほう、姉妹ゆっくり魔理沙たちの方へと動き出した。 がりがりという音。荒い息遣い。 これはきっとバケモノだ。がたがたと震え始める遺された8匹。 恐怖にまみれているが、入り口から入って来れないのが救いと思っているのか、逃げようとしていない。 いや、そもそも裏口などと言うものがないのだ。 この巣は天然自然の作り出した洞穴。 ゆっくり魔理沙たちに、地面を掘り進むほどの膂力はない。 そもそもなだらかな地面には噛み付けるような場所も見当たらない。 「ゆっくりでていってね!」 「ゆっくりできないよっ!!」 「どこかへいってね!」 口々に叫ぶ姉妹。それが功を奏したのか、もぞもぞと探るように動いていた毛むくじゃらのバケモノはゆっくりと外へ戻っていった。 そのままじっとしていると、そのバケモノは本当にどこかへ去っていったのか、巣の揺れも鎮まっていた。 自分達の、8つの荒い呼吸音が重く響く。 どれほど経ったのだろう?じっと動かずに入り口を凝視していた8匹がやっと動き出した。 ふたつの遺骸を巣の奥へと運ぶ。 生前、2匹は自分達が何かで死んだら、その体を食べて栄養にしてね!と子供達に言い聞かせていた。 子供達は嫌がりながらもそれを受け入れた。それが埋葬という概念のないゆっくりたちの鎮魂なのだった。 しかし、そんなことはずっと遠い、想像することも出来ないくらいゆっくりと訪れる遠い日のことだと思っていたのだ。 姉ゆっくり魔理沙たちは、涙をかたく堪えながら、ただの大福と化した物言わぬ塊を運ぶ。 それに対して妹ゆっくり魔理沙たちは誰憚ることなく泣いていた。泣けるうちに泣いておいたほうがいい。涙は悲しみを流してくれる。 姉たちは妹たちに、自分達の分まで泣いておくれと、願っていた。 次の日、恐怖の晩が去り、辛い現実を受け入れたのか、静まりかえった巣の中では8匹のゆっくり魔理沙たちが、親の亡骸をむさぼっていた。 味に対する言葉を何も吐かず、食べられる幸福を見知らぬ誰かたちに伝えようともしていない。 ただ、親の死肉を口にしている。 その食事は、おそらく彼らにとって荼毘に付すのと同じ意味を持つ行為なのだろう。 粛々と進む、ゆっくりにあるまじき食事行為。 8匹の姉妹に去来しているのは昨日までの両親の笑顔か。 やがて、亡骸を全て8匹が身に納めると、とたんに騒がしくなる。野生生物は悲しんでばかりいられない。これからを両親の分まで生き延びなければならないのだ。 幸い、親の遺産とも言うべきお魚さんが巣の奥にある。数日はそれだけで乗り切れるだろうが、程なく飢えることは想像に難くない。 早急に狩りを習得しなければいけなかった。 姉妹は皆で協力して狩りをすることに決めた。2匹の姉ゆっくり魔理沙と2匹の妹ゆっくり魔理沙を一組として、二手に分かれていった。 数時間後、巣に集合した8匹の収穫は、木の実が多かったがまずまずというところで、彼らに自信を与えた。 「ゆ!これならまりさたちだけでもくらしていけるね!」 「ゆっゆっ!よかったね!おかーさんたちのきょういくのたまものだね!」 一斉に喜んでいる8匹を襲う揺れ。 「ゆ……っ!!!」 とたんに顔を蒼白に染める。また来たのか?あれが!? みんなで入り口に向かうと、案の定毛むくじゃらのバケモノが暴れていた。 がりがりと地面を掻き毟っていて、それはまるで穴を掘っているようだ。いや、ようだ、ではない、それはまさに穴を掘っているのだ。 それに思い至ったのか身をすくめて震える姉妹たち。両親を昨晩に亡くしたばかりで、もう彼らの命は風前の灯。 勇敢にも震えを抑えてそれに飛び掛る1匹の妹ゆっくり魔理沙。 「もうやめてね!ゆっくりでてってね!ゆっくりできないの!ゆっくりさせてね!」 飛び跳ねて、涙ながらに訴え、それに体当たりをしている。小さいながらも家族を守ろうと必死なその様子は、他の家族たちに勇気を与えた。 一斉に飛び掛る姉妹ゆっくり魔理沙。だが悲しいかな、最初の犠牲者はその勇気を与えた妹ゆっくり魔理沙だった。 「ゆぅ~~、はなしてね!ゆっくりさせてねっ!」 それに捕えられ、引きずり出される。そして外に連れて行かれた。 「まって!いまたすけるよ!!」 「いもーとをはなせっ!」 追いかける姉妹。 「ゆ゛ぅう゛ぅう゛う゛ぅう゛ぅう゛ぅぅっ!!!」 断末魔とそれに続く咀嚼する音。 「う゛わ゛ぁあ゛ぁぁぁっ!!」 妹の仇!とばかりに外に飛び出す姉妹。この毛むくじゃらのバケモノをどうにかしないと、これからもゆっくりできなくなる!そんなのは嫌だ!! 体の奥にある勇気を奮い立たせて次々と外に向かっていく。 「ゆ゛っ!?」 まごうことなき家族の仇を前にしたゆっくり魔理沙たちは、そんな声をあげて硬直していた。 その毛むくじゃらのバケモノは、それの一部に過ぎなかったのだ。 その巨大な獣は現れた甘い匂いのするものをじっくりと見下ろしていた。その口元には餡子とわずかの皮が付着している。 妹が食べられたことを悟っても、ほかのゆっくり魔理沙たちは身動き一つ出来ない。 絶対者の視線に射抜かれて、竦んでいるのだ。 それは熊だった。それも「山の神」と謳われるほどの羆だった。 おおきい。おそらくは400㎏は下らないその巨躯は、ゆっくり魔理沙たちに死を悟らせるのに十分だった。 右腕を振り上げ、振り下ろす。 たったそれだけの行動で、7匹のゆっくり魔理沙たちは次々と吹っ飛び、屠られていった。 何故羆がゆっくりたちを?その理由は川で親ゆっくり魔理沙たちが見つけた魚が、この羆が獲った餌だったからだ。 熊は総じて執着心が強い。 一度自分の物だと定めたものを奪われたら、それを奪い返すために執拗に追いかけてくるのだ。 この家族の運命は、両親が魚を見つけたときに決まっていたのだった。 ここは広大なゆっくり平原。 ありとあらゆるゆっくりが、思う存分ゆっくりできる場所。 しかし山に暮らすゆっくりたちは、1年ともたない。 秋になると、冬眠を控えた熊の餌になるからだ。 万が一、運良く逃れたとしても、冬眠に失敗した「穴持たず」に、冬篭り真っ最中の巣を襲われ、根こそぎ食い尽くされてしまう。 山に入って、春を迎えられるゆっくりは存在しない。また、山から帰ってきたゆっくりもいない。 だから、平原にいるゆっくりたちの何割かは、毎年まだ見ぬ新天地を求めて山へ向かうのだ。 自分達の体から漂う甘く、美味しそうな匂いが、もっとも危険な獣を引き寄せることも知らずに。 終わり。 陸上最強生物の羆さんにお出まし願いました。 参考文献:三毛別羆事件の記事 熊こえ~ 著:Hey!胡乱 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/2674.html
感染拡大 直接の虐待描写は皆無 恐らく俺設定あり とある男が風邪をひき、町の医者に診てもらおうと道を歩いていた。 「・・・あー、今年もひいちまったなぁ・・・ゴホンゴホン・・・」 男は咳が止まらないようだった。 何度も咳をしていると、その時食べていた煎餅に痰が掛かってしまった。 「あー、汚ねぇなぁ、これはもう捨てるか・・・」 と捨てようと思っていた時にゆっくりの親子が目の前に現れた。 大きいのが1匹と小さいのが3匹、全てれいむ種だろうがそんなことはどうでもいい。 「「「ゆっくりしていってね!!!」」」 お馴染みの台詞を吐くが男は風邪で喋るのがめんどくさかったので、 「はいはい、ゆっくりゆっくりっと・・・」 と適当に流していた。 「ゆ?おじさんゆっくりできるひと?ゆっくりできるなられいむたちにごはんちょーだいね!」 「「ちょーらいにぇ!!」」 親子揃って初対面の相手に傍若無人なことを言う。 「生憎食える物は持ってないよ、帰った帰った。」 と男が追い払おうとすると、ゆっくりは男の持っていた煎餅に目をつけ 「ゆっ?おじさんおせんべいさんもってるよ!どうしてうそつくの?ばかなの?しぬの?」 と実に腹立たしいことを平然と抜かすが、男は相手にしたくなかったので、 「あー、これか?こんなもんでいいんならやるからさっさとかえってくれ。」 と痰を拭き取ってゆっくりに食わせてやった。 親と思われるれいむはそれに齧り付き子供もそれに倣った。 「「「むーしゃむーしゃむーしゃ、しあわせー!!」」」 男はゆっくりが煎餅にご執心の間にそそくさとその場を立ち去った。 「ちょっとからいけどゆっくりあまくておいしいよ!おじさん、もっとちょうだいね!!」 甘辛な砂糖醤油はゆっくりの口に合ったようで予想通りおかわりを要求してくるが男は既にその場にいなかった。 「ゆぅー?おじさんどこいったの?やくたたずなじじいはさっさとしんでね!!」 だが男はいない。早足なのでもうゆっくりの視界から離れていたのだ。 しばらく男を罵倒し続けたゆっくりもやがて無駄を悟ると森へ帰って行った。 巣に帰った親子はいつもどおりゆっくりとし、日が暮れると昼に狩った虫を食べて眠りに就いた。 次の日、親子はいつもどおり目覚めた。 「ゆぅーん、たいようさん、きょうもゆっくりしてるね!!」 「「「ゆっくりしていってね!!!」」」 家族で挨拶しあうと今日の朝食のためにゆっくり巣を出た。 狩りの途中、出会うゆっくり達に親愛の情を示すすりすりをし、やがて狩りを終え、ゆっくり朝食を終えた。 これは全ていつもどおりである。 昼になると森の開けた場所で他のゆっくり達と一緒にゆっくりし、日が沈むと互いに巣に帰りまた眠りに就いた。 また次の日、親のれいむが目覚め、 「ゆっくりしていってね!!」 と言い、子供達を起こしたが、子供たちの異変に気づいた。 「ゆぅー・・・おかーしゃん、れいみゅなんでゃかしゃむいよ・・・」 「ゆっくりできにゃいよ・・・ゆっくりすーりすーり♪してにぇ・・・」 皆元気がないのである。 「ゆ?おちびちゃんたち、どうしたの?ちゃんとゆっくりしないとだめだよ?」 だが親のれいむにはわけがわからず子供たちにゆっくりするように言う。 だが子供たちは相変わらず体を震わせてゆっくりできていない。 困り果てたれいむは朝食を早く済ますと、群れで一番の物知りであるぱちゅりーを訪ねることにした。 「むきゅーん・・・これはきっと“かぜ”だわ・・・!」 物知りのぱちゅりーは言う。 だがれいむには“かぜ”が何の事だか分らない。 「ゆ?ぱちゅりー、“かぜ”ってなぁに?それってゆっくりできないの?」 「“かぜ”っていうのはにんげんがよくひくびょうきよ、ひいたらしばらくはゆっくりできないけど、 なおったらいままでどおりゆっくりできるからあんしんしてもいいわよ、むきゅん!」 「ゆっくりあんしんしたよ!よかったね、おちびちゃん!!」 「ゆぅー・・・かぜしゃんゆっくりにゃおってにぇ・・・」 子供たちは少し安心したようだ。 「でもしばらくはあったかくしてはやくねたほうがゆっくりはやくなおるわよ」 とぱちゅりーが助言を言うので、れいむは子供たちの家に帰り寝かしつけてやった。 次の日、れいむが目覚めると子れいむ達はきのうよりも苦しそうだった。 しかもれいむ自身も疲れているのか少しだるい。 「ゆー・・・なんだかだるいよ・・・つかれてるのかな、ゆゆっ!?おちびちゃんたち、ゆっくりだいじょうぶ?」 「ゆふ、ゆふ・・・おかーしゃん、しぇきしゃんがとまりゃにゃいよ・・・」 「どぼじでゆ゛っぐりなおっでぐれないのお゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!???」 まだ一日しか経っていないのに、親れいむは子供がよくなっていないことを嘆いた。 仕方なく朝食を取るために1匹で狩りに出たが、何か様子がおかしいことに気づいた。 いつもならばもっと多くのゆっくり達が狩りをしていたり、ゆっくりしているはずなのに、今日は殆ど見かけないのだ。 何とか餌を見つけ巣に帰ってみると子供達はますます苦しそうだった。 「れいむのおちびちゃんたち!ゆっくりたべてはやくげんきになってね!!」 何とか餌を食べさせようとするが子供たちはすぐに吐き出してしまう。 ついに咳をする度に餡子を吐きはじめた。 「ゆふ、ゆふ、ゆびぇえええ・・・!」 「ゆ゛!?おちびちゃん!あんこはかないでね!ゆっぐりできなぐなるよ゛!!!」 だが子供たちの咳は止まらず餡子も止まらない。 その間にれいむ自身も咳が出始めたのだが、子供をすりすりしていたので気づいていなかった。 「ゆほん、ゆほん・・、おぢびぢゃん・・・ゆっぐりよぐなっでね゛・・・すーりすーり♪・・・」 「ゆふ、もっど・・・ゆふ、ゆっぐ・・ゆっぐぢちだがっだよ゛・・・」 遂に1匹が息絶えると親れいむは絶叫した。 「ゆほん・・・、おぢび、おぢびぢゃぁあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ん!!!」 1匹が息絶え、親れいむがすりすりをやめその子れいむに駆け寄ると他の子れいむ達も相次いで息絶えて逝った。 「ぐるじいよおおおお・・・」 「もっどゆっぐ・・・ゆぎゅい・・・!」 「どぼじで・・・ゆ゛ほん、どぼじでごお゛な゛るのお゛お゛お゛お゛お゛!!??」 そのうち親れいむも餡子を吐きはじめて衰弱していった。 「ゆ・・・もっどゆっぐりじだがっだよ゛・・・」 その頃この森の周辺に棲む他のゆっくり達の巣でも同じような光景が広がっていた。 どの巣でも体の小さいゆっくりから症状が出始め、やがて死に至るという具合である。 症状は程度の差こそあれ、恐らく全て風邪であろう。 男の風邪の原因である、ウイルスや細菌のこびり付いた煎餅を食べたゆっくり親子が感染源であり、 それが潜伏期間のうちに、他の個体にすりすりしたため、それが広がりまたそれが感染源となって広がっていく。 更に、人間では重篤状態に陥ることは稀な風邪だが、ゆっくりでは体の構造が単純かつ、脆弱であるため、 感染すると治る前に咳をした拍子に餡子を吐きだして死んでしまうのだ。 一部の体の大きい個体や感染を免れた個体を除いて、この流行によって全滅してしまったといっても過言ではないだろう。 fin ゆっくりが風邪をひいたらどうなるかというレスを見て書いてみました。 熱はないけど、咳が辛い・・・皆さんも風邪には気をつけて下さい。 過去作品 男と一家 きめぇ丸の恩返し 丙・丁 ゆっくりハザード 永遠亭の怪 楽園の崩壊 by同志ゆっくり小町 次があればこの名前で書きますんで その時はよろしくお願いします。 いずれはゆっくりこまちで書いてみたいっすねw このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/slowlove/pages/1089.html
どうも猫です。 かなり投稿期間が伸びてしまったけど、投稿してみました~。 注意 自分設定の塊 物理的に無理のある持論が展開されます。 エンジェルゆっくりの続編です。 今回はフルボッコにされてた友人視点のお話。 -------本編-------- ゆっくり専用の羽が販売されて2ヶ月が過ぎた・・・。 私はゆっくりの研究の一環で複数の野生のれいむにも同じものを付けたが問題が発生してしまった・・・。 そして私は現地の調査員の資料と一枚の写真を眺めていた。 ----以下資料----- 羽がない当時はれいむとまりさのつがいが定番である。 地面に穴を掘りそこを巣にしてまりさが餌を集め、れいむが子育てをする・・・それが当たり前の光景。 しかし現在では飛ぶことが出来るれいむたちは必然的に高い位置に巣を構えるようになった。 カラスの巣立った後の巣(もしくはゆっくり保護という名目で駆除されてしまったカラスの巣) をさらに発展させてゆっくりプレイスに作っていることが多い。 れいむは羽がついたことで知性が上がり、その餡を受け継いだれいむやその子供も同様に知識が高くなる。 そのためか異常なまでに知識が発達したれみりゃが複数確認できた。さらに驚いたのは、れみりゃのこうもりの羽のちょっと下に 天使の羽が生えて4本の翼になっていたことである。残念ながら詳しい生態は不明。 -------資料終わり-------- 私は4本の羽をもつれみりゃの写真を眺めながら生態を変えてしまったことを後悔していた。 どうやら昔から一緒に居たまりさよりもれみりゃを番に選ぶれいむが多かったらしい。 私はふと「まりさもはねを付けてみてはどうだろうか?」と思い浮かんだがすぐに否定した。 れみりゃの帽子などは外す必要がないため肉汁と特殊な物質で接合されている。 外れても数日以内につけると10分ちょっとで接合される。 しかしまりさは餌の採取や水上移動する際に帽子を外すことが多い。 つまり風で飛ばない程度の接合しか出来てない。 そんな状態で羽なんて付けたらあっという間に帽子が吹っ飛んでしまう。 思い込みを続けていれば外れはしないがゆっくりの集中力ではそれは不可能だろう。 私は居ても経ってもいられなり調査員の居る森へ出かけることにした。 「ちょっとゆっくりたちを調査してゆっくりまっててね!」私は飼っているまりさに語りかけた。 「ゆゆ!ゆっくりいってらっしゃい~」まりさは笑顔で私を見送ってくれた。 車で数時間のところにその森がある。 現地の調査員Aとの合流を済ませたが既に日が暮れていたため翌日の調査に同行する形となった。 --翌日-- 私はまずまりさが精神的なダメージを受けてないか心配したが・・・それは杞憂だった。 「ありす~すりすりしようね!」まりさがぼいんぼいんとありすに近づきすりすりしている。 「まりさ~くすぐったいわ」ありすもすりすりしかえして和む光景だった・・。 他のまりさを見てもぱちゅりーやありすなどをつがいに選んでいるようだ。 れいむとまりさのつがいは残念ながら発見できなかった・・・。どうやらこの群れではその定番ペアは居ないようだ。 とりあえず生態系にそんな変化はなかったようで安心していたら・・・。 「○○さん!こっちにれみりゃが!!」と叫ぶA。走って向かう私・・・そしてみたものは・・・。 「蝶々がそっちにいったどぉ~挟み込むんだどぉ~」指揮しているのは比較的大きな子れみりぁだどぉ~。 口癖移っちまったぜ・・・。 それしてもすごいコンビネーションだし、漢字使っているところからするとれみりぁと例のれいむのつがいか・・・。 遠くのほうではパタパタと親れいむと子れいむが羽を羽ばたいて狩りの様子を眺めているようだ。 私は蝶を狩りおえたこの親子にコンタクトを試みた。 「ゆっくりしていってね!」私は親子に言ってみた。私はさらに驚く光景が・・・。 「「「ゆ!にんげんさんこんにちは!」」」親子はみんな一斉にこちらに挨拶を返してきたが私は違和感の正体を一発で理解した。 「みんな頭いいんだね~おじさん感動しちゃうな~」僕は普通のゆっくりなら「そうでしょう!れいむたちはすごいんだよ!」 と返答してくると想像しながら語りかけたが・・・。 「それほどでもないよ。みんなが頑張った結果がこれだよ!!」という返答が返ってきた。 いや~私は脱帽でした。もう人間並の知識を得ている状態であることが確認できた。 それからいくつか聞いたところでレポートに書き上げるために家へ帰ることにした。 Aはもう少しここで詳しく生態を観察するとのこと。 家に帰るとまりさが「はやくごはんちょうだいね!!」と頬を膨らませている・・・。 「ゆっくりしすぎだよ!ごはんはやくちょうだいね!!」と言ってきた・・・大事なことだから二回言ったのか?。 とりあえずゆっくりフーズのゆっくりフードを与えて今回のレポートを書き上げて就寝。 --------数日後------ 私はまたあの森へ来ていた。もちろんあの天使れいむについてである。 Aから「この森にれいむとまりさの番が引っ越してきた」と報告を受けて今後、どんな影響を与えるか興味があった。 私が群れに到着したときには群れのリーダーのぱちゅりーとちょうど話しているところだった。 「むきゅ!じめんをはねるれいむだわ!めずらしいわね!」どうやら私の存在には気づいてない。木の陰から様子を伺うことにした。 「ゆゆ!なにいっているの?れいむはふつうだよ!!」どうやらこのれいむは何も知らないらしい。 「まぁいいわ!むれでゆっくりしていってね!!」ぱちゅりーが許したようだ。よかったなれいむ。 「ゆゆ!さっそくゆっくりおうちをさがすよ」文法的には誤りだが、ゆっくりということで大目に見よう。 こうして普通のれいむと天使れいむが混合する群れが誕生した。 ここで私は学会へ行くために森を後にした。 続く ------あとがき------- すごい時間かけて作った割にひどい仕上がりになってしまった・・・。 次回は天使れいむとれいむの奇妙な共同生活をお送りしたいと思います。 保護の名目で駆除されたカラスが可哀想だと思いました -- 名無しさん (2009-07-15 15 59 34) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/2149.html
【赤ゆっくり物語】 ゆっくり好きとして、また映画監督しても有名な陸奥五郎さん。 彼の撮る最新の映画、赤ゆっくり物語の製作に参加できたのは、僕にとって非常に光栄かつ嬉しい出来事だった。 現場は終始和やかなムードで、出演するゆっくり達もゆっくりしたゆっくりばかり。 きっと素晴らしい映画が完成する事だろう。 今日は親ゆっくりが落石事故で死に、赤ゆっくり達が旅立つシーンを撮るらしい。 物語のスタート地点とも言えるこのシーンは、見る客の心を掴むためにも外すわけにはいかない。 出演ゆっくり達も現場の空気を読んだのか、いつもよりゆっくりしている。 さぁ、撮影開始だ! 監督がシーンナンバーを読み、カメラが回る。 親ゆっくり達の頭上に容赦なく降り注ぐ落石。 もちろん、この石はただの発砲スチロールだ。 だが、親ゆっくり達の表情は絶望に溢れている。 赤ちゃん達の叫びも真に迫ってて最高だ。 さすが陸奥五郎さん。良いゆっくりを使ってるなぁ。 と、ここで陸奥五郎さんがカメラをストップ。 なんと、まだまだ緊迫感が足りないらしい。 この映画にかける情熱が、素晴らしい作品の数々を生み出したのだろう。 僕は感動で打ち震えた。 急いでセットが作り直され、撮影が再開だ! 陸奥五郎さんがシーンナンバーを読み、カメラが回る。 親ゆっくり達の頭上に容赦なく降り注ぐ落石。 もちろん、今度は本物の石だ。 親ゆっくり達の表情は絶望に溢れている。 「「ゆべべべべべべっ!!」」 「おがぁしゃんのきれいなおべべがぁぁあああ!!」 「だれきゃ、たちゅけてぇええええ!!」 「いしさん、もうふりゃないでね! ゆっきゅりとまっちぇね!」 赤ちゃん達の叫びも真に迫ってて最高だ。 さすが陸奥五郎さん。良いゆっくりを使ってるなぁ。 数分後、落石が止まり、残された赤ゆっくり達が、親ゆっくり達を埋めた石を呆然と見つめている。 もう親ゆっくり達は動かない。赤ゆっくり達は涙を堪えながら旅立っていった。 ああ、何て感動的なシーンなんだ。 陸奥五郎さんもこれには満足したらしく、うんうんと頷いている。 次の日。 今日の見せ場は、ダンボール箱に入って川を流される赤ゆっくり達の姿だ。 ゆっくりにとって川に流されるイコール死であるため、ゆっくりらしからぬ緊張した表情を浮かべている。 こいつは良い絵が撮れそうだ。 早速、撮影スタンバイ。 川上でダンボール箱に詰められる赤ゆっくり達。 ここからゆっくりと川下へ長さていく。 準備が終わった。さぁ、撮影開始だ! 陸奥五郎さんがシーンナンバーを読み、カメラが回る。 赤ゆっくり達の入ったダンボールが、川の中へと放たれる。 最初はゆっくりとした川の流れで、赤ゆっくり達もゆっゆっと大はしゃぎ。 なんとも心温まる光景である。 しかし、川下に近づくにつれ、徐々に川の流れが激しさを増していく。 「ゆゆっ! きょわいよぉお!」 「かわしゃん、ゆっきゅりながれちぇね!」 「いしょがにゃいで、ゆっきゅりしちぇね!」 ああ、何という運命のいたずら。 赤ゆっくり達の叫びを呑み込むかのように、川下には滝が待ち受けていた。 「ゆぎゃあぁああ!」 「ゆっぎゅりぃいい! ゆっぎゅりぃいいいい!!」 「みじゅしゃん、はいっちぇきょにゃいでぇえええええええ!!」 だが加速するダンボールは止まらない。 倍プッシュだ、限界ギリギリまで加速させてもらう。 真下の滝壺へ向かい発射される、赤ゆっくり達とダンボール。 「おしょらをちょんでりゅみちゃ~い♪」 そんな楽しげな声を残し、赤ゆっくり達はゴウゴウと音をたてる水飛沫の中へ沈んでいく。 ああ、赤ゆっくり達はどうなってしまうのだろう? こいつは、片時もスクリーンから目を離せないに違いない。 陸奥五郎さんも満足そうに頷いている。 「お疲れ様でしたー」 「おつかれっしたー」 おっと、どうやら今日の撮影はこれで終了らしい。 みんな機材を片付け始めた。 僕もサボるわけにはいかない。さぁ、お仕事お仕事。 次の日。 今日の撮影は難航した。 足を怪我した赤ゆっくりが、他の赤ゆっくりに励まされながら進むというシーンなのだが、これがなかなか上手く撮れないのだ。 前日の撮影で、出演する赤ゆっくりが一新されたせいもあるかも知れない。 業務用の餡子と特殊メイクでリアルに怪我を再現するのだが、赤ゆっくり達が餡子を食べてしまう。 「「む~ちゃ、む~ちゃ、ちあわちぇ~♪」」 このままでは時間内に撮影が終わらない。 現場にギスギスした空気が漂い始める。 昼食抜きで撮影してるせいかも知れない。 「陸奥五郎さん、そろそろ昼食にしましょうか?」 「う~ん、ちょっと待ってもらえるかな?」 陸奥五郎さんが赤ゆっくり達を連れ、車の裏へ行ったかと思うと、すぐに戻ってきた。 一匹の赤ゆっくりが、やけにリアルな特殊メイクを施され、餡子をポタポタ漏らしている。 「もうこれで大丈夫、カメラ準備してください」 撮影が再開された。 陸奥五郎さんがシーンナンバーを読み、カメラが回る。 誰もが、またダメだろうと考えていた。 しかし現実は違ったのだ。 この時の様子を何と言い表したら良いのだろう? まさに魔法だった。 「ゆべぇ! も、もう…ありゅけにゃいよぉ…」 「がんばっちぇね! しっきゃりしちぇね!」 「ゆっきゅりしにゃいでね!」 「ゆっきゅりしちゃら、ゆっきゅりできなくにゃるよ!」 あの赤ゆっくり達が、餡子を食べてばかりだった赤ゆっくり達が、これまでにない名演を見せ付けたのだ。 これが陸奥五郎さんの演技指導! 陸奥五郎さんが神になった瞬間だった。 その後、撮影は順調に進み、スケジュール通りに終了した。 次の日。 今日の見せ場は、野犬に襲われ一匹の赤ゆっくりが死んでしまうという哀しいシーンだ。 他の赤ゆっくりを逃がすため、自分が犠牲になる事を選ぶ一匹の赤ゆっくり。 その赤ゆっくりに役者犬が襲い掛かる所で、別のシーンに切り替わる。 もちろん実際に殺すわけではない。ああ、殺すつもりは無かったんだ… 「わんっ! わんっ!」 「いぬしゃん、むこうにいっちぇね!」 「きょわいから、ほえにゃいでね!」 「ゆゆっ! まりちゃがたべりゃれちぇるうちに、みんにゃにぎぇてね!」 「「と゛ほ゛し゛て゛そ゛んなこ゛と゛い゛う゛の゛おおぉおお゛!?」」 「ゆっきゅりしにゃいで、しゃっしゃといっちぇね!」 「まりしゃ…わかっちゃよ…みんないきゅよ!」 「ゆっ! まりしゃ、ありがちょね!」 「さぁ、いぬしゃん! まりしゃがあいちぇだよ!」 跳ね去る赤ゆっくり達。一匹だけ残された赤ゆっくり。 そこで役者犬の紐が解き放たれ、襲い掛かる瞬間でストップ──しなかった。 「ゆぎゃあああああぁああああ!!」 目の前の赤ゆっくりを丸ッと飲み込む役者犬。 一匹じゃ腹の足しにもなりゃしねぇとばかりに、次の赤ゆっくりへ向かい走る走る。 「ま゛り゛しゃがぁあぁああああ!!」 「い゛ぬ゛しゃん、ゆ゛っき゛ゅり゛し゛ちぇえええええええ!!」 何という事だろう。 涙に濡れる感動的な映画が、餡子の滴るスプラッタホラーになってしまった。 これじゃ子供が泣いてしまう。違う意味で。 「ちょ、誰か犬とめろ」 「食いすぎだろ、常識的に考えて」 「どんだけ、おあずけされてたんだよ」 現場は大混乱だ。 役者犬は殺戮の風を巻き起こし、赤ゆっくり達を食らい尽くすまで止まらなかった。 「ちょっと! なんでこうなるの!」 「すみません、役者犬が予算オーバーだったので、うちのポチを連れてきました。すみません」 「ポチにちゃんと餌やれよ! 可哀想だろ!」 あーあ、怒られてる。 スタッフは陸奥五郎さんに頭を下げ、ポチもすまなさそうに耳を垂れた。 とまぁ、こんな感じで撮影は進み、赤ゆっくり物語は完成した。 クランクアップの打ち上げは大いに盛り上がった。 何代目になるのか解らない赤ゆっくり達も、楽しそうにゆっきゅりちていっちぇね!と言っていたし、陸奥五郎さんも赤ゆっくりに得意の頬ずりをして大ハッスル。 思わず発情した赤ゆっくりが、人目もはばからず他の赤ゆっくりをにんっしんさせる無礼講だった。 ポチもわんわん吠えていた。 蔦をはやし黒ずんだ赤ゆっくりを見ながら、僕はこの映画のヒットを確信した。 おわり このSSに感想を付ける