約 3,642,201 件
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/2609.html
2008年、秋、東京。 俺はカメラ片手に駅の改札を通った。 ターゲットはゆっくり霊夢。 俺は都会に住むゆっくり達のみすぼらしい姿を、ドキュメンタリー風に編集してyoutubeにアップロードしている。 それに関連したブログは日本語、英語の二ヶ国語で配信。 全ては、アフィうめぇと言える日のために。 先日アップロードしたドキュメンタリーは、ゆっくり魔理沙が主役だった。 繁華街に生きる、食事時には見たくない動画だ。 感想は世界中から届いたが、次の企画のタネになりそうな気になるメールがいくつかあった。 それは「れいまー」と呼ばれる、ゆっくり霊夢愛好家からの要望だ。 "私の愛するゆっくり霊夢が、日本でどのように生活しているのかとても気になります" といった内容のメールが、少なくとも300通ほど届いた。 なぜ断定できないのかというと、俺は日本語と英語しか読めないからだ。 感想メールは、フランス語、ドイツ語、ロシア語、中文、ハングルなど、それこそ世界中から届いた。 だから読めなかったメールの中にも、「れいまー」のご意見があったかもしれない。 一度、ネット上の自動翻訳にかけた時に「ゆっくり霊夢」という単語が何回か出てきたこともあった。 ゆっくりアリス愛好家「ありさー」や、ゆっくりパチュリー愛好家「ぱちゅりあ」などのメールもあったが、れいまーが一番多かった。 なので、今回のターゲットはゆっくり霊夢なのだ。 秋と言っても、まだ9月始め。 夏は最後の抵抗とばかりに、気温を上げてくるだろう。 早朝に出てきたのは、早めに取材を始めて終わりにしたかったのもある。 貴重な土曜日なのだ。 「さて・・・っと」 ゆっくり霊夢を探すといっても、単体ではつまらないと思う。 個人的に、ゆっくり霊夢の魅力はそのアホさと、母性にあると思っているからだ。 前にテレビCMで流れていた、とある政党の広告が記憶に新しい。 「家族とゆっくりできる日本を作る!」 というフレーズだった。 とりあえず流行りモノを利用しとけという、いかにも政治家らしいCMである。 そのCMの主人公は、ゆっくり霊夢であった。 周囲は薄暗く、広い部屋から物語は始まる。 プチトマトほどのゆっくり霊夢は、親もなく、孤独におびえていた。 ぷるぷると小刻みに震え、悲しげに泣く赤れいむ。 すると、そこにその党の党首が現れる。 大きな掌に赤れいむが乗り、満面の笑みを浮かべるのだ。 それから成体になるまでの時間は、アルバムをめくるかのようなエフェクトで進む。 お風呂で笑う赤れいむ、野菜に目を輝かせる赤れいむ、ケガをして大泣きする子れいむ、ベッドで党首に寄り添って寝る子れいむ。 1匹のゆっくり魔理沙と出会い、恋をして、プロポーズをされる。 そうすると、アルバムが閉じるエフェクトが入るのだ。 最初、赤れいむが孤独におびえていた部屋。 そこには成長し、親れいむとなったれいむと、伴侶の親まりさ、そして小さな赤ちゃんゆっくりが8匹もいる。 「おじさんのおかげでゆっくりできたよ!これからもゆっくりしていってね!」 それに笑顔で党首は応え、視聴者に向かってキャッチフレーズを言うのだ。 そのCMはそれなりにインパクトがあったようで、ペットショップでれいむ種が飛ぶように売れたらしい。 一時の流行でペットを買うあたり、実に情けない国民性である。 そもそも、れいむ種に限らず大抵のゆっくりは母性が強い。 なんとなくイメージがついているだけで、母性の強さは個性によるものが大きく、種の平均を見てもたいして変わらないと専門家がよく言っている。 しかし、ゆっくり大国の日本がそんなイメージに染まっているせいか、諸外国でも「れいむ種=母」といったイメージが強い。 ブログを見てくれている外国人も、きっとそういうものを期待しているのだろう。 あえて、母性のカケラも持たずシビアに都会を生きるれいむを撮影してもよいのだが、今回は家族を持つれいむ種を追うことにする。 「ん、いきなりか」 駅を出て少し歩くと、乱雑に投げ出された自転車の山の中に、1匹のゆっくり霊夢がたたずんでいた。 「ゆっくりしていってね!!!」 俺が注目していることに気がついたのか、そのれいむは俺に向かってお得意の挨拶をしてくれた。 都会に住むゆっくりは、大抵愛想がいい。 「ああ、ゆっくりしていってね」 自転車をかき分け、俺はれいむに近づいた。 大きさはバスケットボールよりも少し大きい。 かなりの大型だ。 「ん?」 そして、綺麗だった。 髪の毛は油汚れやホコリがついていることもなく、サラサラとしている。 リボンの赤がまぶしい。 「お前、ペットか?」 「ゆゆ!そうだよ!おにいさんをゆっくりまってるの!」 ペットだというのに、リボンにペット証が付いていなかった。 人目につくとは言え、ペット証も付けずに放置するなど考えられないことだ。 つまり考えられることは一つ。 「いつから待っているんだ?」 「ゆー!きのうからだよ!おにいさんがいってたよ!ここでゆっくりしてねって!」 要するに、捨てられたのだ。 捨て犬、捨て猫のように、捨てゆっくりは今や大きな社会問題の一つになっている。 残念ながら、飼い主の住所氏名を言えるようなゆっくりはまずいない。 なのでペット証を外せば、簡単に捨てられてしまうものなのだ。 「おにいさんが、れいむにおともだちをつれてきてくれたんだよ!はやくかえっていっしょにゆっくりしたいね!」 ゆんゆんと歌い始めるれいむ。 まだ捨てられたことに気が付いていないのだ。 「お友達か。なんて友達?」 「ゆゆっ!まりさだよ!すごくゆっくりしたあかちゃんだよ!れいむのあかちゃんじゃないけど、いっしょにゆっくりしたいよ!」 俺はカメラを構えていた。 これは使えるかもしれないからだ。 「そーか。可愛いまりさなのか。よかったなー」 「ゆゆん!とってもうれしいよー!」 満面の笑み。 れいむは知らない。 最近、まりさ種が注目を浴びていることに。 最近始まった、大手飲料メーカーがやっているCMは、ゆっくり魔理沙が主人公だ。 そのCMがウケた結果、まりさ種がブームになっている。 元飼い主はきっと、あの政党のCMを見てこのれいむを飼い始めたのではないだろうか。 れいむの大きさとCMの時期から考えて、そんな感じがする。 そして次のブームが来たので、古いれいむは捨てて新しいゆっくりに手を出したと。 「まあ、お前はでっかいからなー」 「ゆ?」 ぽむぽむとれいむの頭をなでる。 そう、無駄に大きい。 はっきり言って部屋の邪魔になるレベルだ。 求めるエサの量も多いだろう。 しかも大きいからといって、メリットもない。ごく潰しの粗大ゴミだ。 まりさ種ブームがこなくても、いずれ捨てられたのではないだろうか。 「ま、頑張って待ってな。俺はもう行くよ」 「ゆっくりがんばってね!」 何をするのかも分からない癖に、応援をしてくれる。 こんなに良いゆっくりを捨てるなんて。 世界のれいまーの方々はさぞ嘆き悲しむだろう。 せっかくなので、しばらくしたらまたここに来よう。 その時はきっと、いつまでも帰ってこない飼い主をボロカスになりながら待つれいむがいるはずだ。 コラムの題材に丁度いい。 そんなことを考えながら、俺は家族持ちのゆっくりを探しに行った。 翌日。 俺はまた昨日と同じ駅で降りた。 昨日は一日探したというのに、家族持ちのゆっくりは1匹も見つからなかった。 独り身の成体ゆっくりは腐るほどいたというのに。 やはり、エサの少ないこの地区では家庭を持つのは厳しいのかもしれない。 俺は前に撮影をした繁華街に行こうと考えていた。 わざわざこの駅で降りたのは、昨日見つけた、捨てゆっくり霊夢の様子を見るためだ。 「ゆぅ・・・・おに・・・ざ・・・」 昨日と同じ場所。 そこにいたれいむに、昨日の面影はなかった。 「随分とまあ・・・」 カメラを構える。 「昨日のれいむかな?」 小型マイクを手に乗せ、れいむの方に向ける。 それをエサだと勘違いしたのか、れいむが一瞬だけ目を光らせた。 「これは食べられないよ」 しゅん、と小さくなる。 そして泣き始めた。 「ゆぉっ・・・ゆゆゆうううう・・・!おにいざんもどっでぎでよぉおお!!!」 電車の音と、鳥の声だけが響く早朝の空に、れいむの嘆きが混ざる。 そして、その嘆きに応えたのは俺ではなかった。 「おきゃーしゃん!なかないで!」 「ゆっくちしようね!」 「ゆー!」 そう、れいむは一晩で親となっていた。 何度頬を重ねたのかは分からない。 だが、俺の目の前には50匹をゆうに超える赤ちゃんゆっくりが所狭しと犇めいていた。 「こりゃ凄い」 ぞわぞわと動く様は、ヘタな害虫よりも気持ち悪い。 親れいむに「すーりすり♪」と言いながらまとわりつくプチトマトの集団。 ヒルか何かに浸食されているようだ。 「れいむ、これどうしたんだ?」 頭は撫でない。 昨日に比べると、だいぶ薄汚くなっている上に、赤ゆっくりを実らせていた茎が生えっぱなしだったからだ。 茎は6本。 交尾が成功した回数だけは分かった。 「ゆっ!ゆっ・・・!」 ぽろぽろと涙をこぼしながら、親れいむはゆっくりと話し始めた。 昨日、俺が立ち去った後もれいむはここで元飼い主を待っていたらしい。 だが、いつまでたっても飼い主はやってこない。 諦めず、それでも待っていると1匹のゆっくり魔理沙がやってきた。 動く汚物のようなまりさだったという。 飼いゆっくりとして生きてきたれいむには、直視できるものではなかった。 「ゆ!すごくきれいなれいむだね!」 そう言いながら、まりさはれいむに寄って来た。 れいむは逃げ出したかったが、逃げた間に元飼い主が来るかもと思い、逃げられなかった。 「すごくおっきくてゆっくりしてるね!きれいなりぼんだね!まりさとゆっくりしていってね!」 そのまま頬を押し付けられ、初めての交尾を経験したのだという。 一度の交尾でまりさは満足してどこかへ行ってしまった。 残ったのは頬に残る不快感と、頭に生えた茎。 飼いゆっくりは、野良ゆっくりから見れば絶世の美ゆっくりだ。 栄養状態もよく、大型であったれいむは魅力的な存在だった。 その後も、近くを通ったゆっくりに次々と頬を押し付けられ、交尾に疲れて眠ってしまったのだ。 「なるほど。お前は可愛かったからな」 過去形。 なぜなら今はあまり可愛くない。 「おちびちゃんたちもかわいいよ・・・」 ぴょんぴょん跳ねる赤ゆっくり、まりさ種を親れいむは舌でぺろりと舐める。 嬉しそうに赤まりさは跳ねる速度を上げた。 「どぼじで・・・れいむはなにもわるいごどじでないのにぃい・・・む゙りや゙りずっぎりずるなんでひどいよぉお・・・」 赤ちゃんの誕生は嫌ではないようだが、無理やりのすっきりがお気に召さないようだ。 「しかし、どんだけ種類いるんだコレ」 見れば、れいむ種とまりさ種がほとんどであったが、ありす種やぱちゅりー種までいる。 栄養たっぷりの親れいむだからこそできた出産だろう。 「家庭を持つゆっくり霊夢」という条件は満たせないが、「子を持つゆっくり霊夢」というシチュエーション。 良い題材かもしれない。 「捨てられた飼いゆっくりの末路」というテーマでうまいこと編集しよう。 俺は素早く、親れいむのリボンに小型マイクを仕込んだ。 「ゆ?」 違和感を覚えたのか、親れいむが声を出す。 何か言われる前に、俺が先制する。 「ま、そのうちお前の飼い主も帰ってくるだろうよ。ガンバレ」 「ゆっ・・・ゆっくりりかいしてるよ・・・ゆぅ・・・」 小さく丸くなった親れいむをおいて、俺はその場を離れた。 幸い、近くには隠れて撮影するのに好都合なモノがいくつかある。 俺はとりあえず高架橋の柱に身を潜めた。 『・・・ゆゅ・・・おにいさぁん・・・・れいむ、ゆっくりできてないよぉ・・・・』 耳につけたイヤホンから、親れいむの独り言が聞こえてくる。 『ゆゅー!』 『おきゃーしゃん、おなかちゅいたー!』 同時に、赤ゆっくりの甲高い声もマイクに届く。 『ゆ・・・!ごめんね!おにいさんがかえってきたら、すぐゆっくりできるからね!』 どうやらあの親れいむは、茎を落として食べさせることを知らないようだ。 粗悪品を売る、激安ペットショップ出身かもしれない。 困惑する親れいむの顔にズームイン。 頭にエサがあるというのに、無知とは罪なものだ。 メガネを額に上げたことを忘れて、メガネメガネと彷徨う人のよう。 『ゆー!もうがまんできにゃいよ!』 『ごはん!ごはーん!』 『れーみゅ、あまあまたべちゃい!』 『まりしゃも!』 『ありちゅもあまあま~!』 『むきゅ・・・・・ぱ・・・も・・・』 少し離れているが、赤ゆっくり達の声はマイク越しでなくとも聞こえる。 「住宅街だったら即死だな」 もっとも、あんな危機意識のないゆっくり達は即死でなくともいずれ死ぬ。 死までの時間が少し長引くだけだ。 『あかちゃんたち、おねがいだからがまんしてね!おにいさんがきっとゆっくりさせてくれるよ!』 『はやくゆっくちちたい!』 『おかーしゃんはゆっくちさせてくれないの!?』 『もうがみゃんできないいい!!』 『ゆっ!?おにいしゃん!ありちゅにごはんちょうだいね!』 1匹の赤ありすが、道行く男性に声をかけた。 スーツ姿の男性だ。時間的に、休日出勤をするサラリーマンだと思う。お仕事お疲れです。 『きいてりゅのぉ!?』 男性は赤ありすとゆっくり約50匹をちらりと見ると、すぐに視線を正面に戻して歩いて行った。 一言も、赤ありすに言葉をかけることなく。 『ゆぎゅ!いなかもにょ!ありちゅにごはん!』 野良ゆっくりの相手などする人間は、ほとんどいない。 マナー違反であるし、下手に甘やかせば余計に酷い思いをすることが多いことを知っているのだ。 「ああ、出勤時間か」 時計を見れば、今は出勤するサラリーマンが増えてくる時間帯だ。 柱に隠れてカメラを構える俺は、さぞかし怪しい姿に映るだろう。 最悪、盗撮魔と通報されてしょっぴかれてしまうかもしれない。 「んー」 数秒考え、俺はカバンを近くのフェンスに引っかけた。 続いて、カバンにカメラを入れる。 「角度は・・・っと」 カバンには穴が空いているので、そこにレンズを突き通す感じでセッティング。 ちゃんと録画されていることを確認し、俺はフェンスに寄りかかるように座った。 パッとみた感じ「フェンスに寄りかかって音楽を聴いている男性」に見えないこともない。 ただ、カバンとカメラを調べられたら一発で盗撮の烙印を押されてしまうので注意だ。 『ゆゆ!おねえさん!れいむのおにいさんをしってたらゆっくりおしえてね!』 そうこうしている内に、駅に向かうサラリーマンやらOLが増えてきたようだ。 親れいむは道行く人に、必死で元飼い主のことを尋ねている。 健気だ。 『ゆっくりしてね!おねがいだかられいむにおしえてね!』 1人のOLに目をつけた親れいむが、ぴょんぴょんと跳ね寄って行く。 『ちょっ・・・ちょ、こっち来ないでよっ!』 カメラの角度が気になったが、多分撮れているだろう。 親れいむは必死でOLを追いかけていた。 まるで、そのOLが飼い主であるかのように。 そしてそれに赤ゆっくり達も続く。 多分何も分からず、とりあえず親に置いて行かれないようにしているだけだろう。 50匹近い赤ゆっくりの集まりは、丸い影のようにも見える。 それがぞわぞわと動いているのだ。 『うっわ、きっもぉ!何でこんなに湧いてんの!?』 片足を上げ、露骨に嫌な顔をするOLと、それを哀れそうに見つめるサラリーマン達。 『ゆ!れいむのかわいいあかちゃんだよ!ゆっくりあやまってね!』 『ゆー!ゆっくち!』 『おねーしゃんはゆっくちできりゅひとぉ?』 『いっちょにゆっくちちようね!』 『ありちゅがしゅりしゅりしてあげるね!』 親れいむに追いついたため、マイクに赤ゆっくりの声が届いた。 『・・・うっざ。も、いいわ』 言うが早いか、OLは全力疾走で駅の方へと駆け抜けていった。 『邪魔だ、どけ』 次に飛び込んできたのは、低い声。 近くにいた、頭をハゲ散らかした男性が言ったようだ。 『むー!じゃまじゃないよ!ゆっくりおこるよ!ぷんぷん!!』 『ぴゅんぴゅん!』 『ぷんっ!』 親れいむはその事実を否定するが、はたから見ても邪魔そうだった。 本格的に人が多くなってきたこともあるし、親れいむはじめ赤ゆっくりは道のド真ん中でぷんぷんしているのだ。 ここは駅に行くのにちょうど良い道であるし、さぞかし邪魔だろう。 そんな、混雑した道。 1匹の赤まりさが、親れいむを中心とした塊からはぐれていた。 無数に動く足のなか、その姿を発見できたのは奇跡といっていいだろう。 『おちびちゃん!こっちにおいで!そっちはゆっくりできな』 言い終える前に、赤まりさは潰れされた。 悲鳴も聞こえない。 潰れた音も聞こえない。 聞こえるのは、人の込み合う時に出るごみごみとしたノイズだけ。 しかし親れいむの眼には、赤まりさが潰された様子が鮮明に写っていたようだ。 『れ゙い゙ぶのあがぢゃ゙ん゙ががあぁあ゙ああ゙っ!!!!』 イヤホンから飛んできた爆音に、俺は一瞬目を瞑った。 一気にどよめく人の波。 親れいむの叫びは、ものすごい音量であった。 『あがぢゃんだちぃぃぃ゙い゙!はや゙ぐにげでぇええっ!!ごごはゆ゙っぐりできな゙いよぉぉ!!』 『ゆっ!?』 『ゆっきゅりできにゃい!?』 『こわいいぃい!!』 ゆっくりできないという事実に、赤ゆっくり達は恐怖した。 道の中央で一か所に集まっていた赤ゆっくりは、四方八方へと蜘蛛の子を散らすように逃げていく。 「うえっ!!ふんじまった!」 「げえ!きったねえ!」 「こっちくんなっ!」 残念ながら、親れいむの叫びで波は止まらなかった。 どよめきながらも、駅へと進む人々。 プチトマトほどの赤ゆっくりは次々と潰されていく。 『や゙べでえぇえっ!!れいむ゙のあがぢゃんふまないでぇええええっ!!!』 そんな切なる願いに返ってきたのは、踏んだことに対する嫌悪感に満ちた声。 『ゆぼおぉおっ!?』 すると、誰かに蹴られたのか、親れいむが人の中から飛び出してきた。 一瞬、俺と目が合うが、すぐに視線をさっきまでいた場所に戻す。 『あがぢゃんっ!あ゙がぢゃん゙ん゙゙ん゙んん゙っ!れいむの゙ぉおっ!!れいぶのあがぢゃんっ!がえじでぇ!!ゆっぐりがえじでねっ!!』 親れいむは戦場へと戻って行った。 2時間後。 親れいむは道の隅で目が覚めた。 メタボリックな人に踏みつけられ、ずっと気を失っていたのだ。 「ゆ゙・・・!?あ、あがっ、あがぢゃんっ!?」 もう歩く人はまばらだった。 だからよく見える。道にこびりついたいくつもの円が。 「ゆがっ・・・ゆぎ・・・あがっ、れいぶのっ・・・!?」 一番近くにあった黒い円に、親れいむはソロソロと近づいた。 俺は背後からカメラを構えている。 「おちびぢゃん・・・まりざのおちびちゃん・・・」 黒い円の中心に、ぐちゃぐちゃになった帽子らしきものがある。 赤まりさの変わり果てた姿だ。 実に汚い。 「ごっぢは・・・れ、れいぶど、れいぶどおなじおぢびぢゃん・・・ゆぅっ!」 次に近寄った円の中心には、黒と赤で見事なコントラストを奏でるリボンが置かれていた。 「あ、ありずのっ・・!おちびぢゃん・・・ゆぐうぅう!!」 薄い黄色の円は、赤ありすの潰れた跡だ。 皮とカチューシャが比較的分かりやすく残っていた。 朝からこんな不快な光景を目の当たりにしたサラリーマンが哀れでならない。 「どぼじでぇっ!?どぼじでごんなごどずるのぉおおっ!!?おにいざんどこにいるのぉお!?れいぶゆっぐりできないよぉぉお!!」 顔面をコンクリートに近づけながら、親れいむは嘆き悲しむ。 すると、フェンスの隙間から1匹の赤ゆっくりが近寄って来たではないか。 「おかーしゃ!れいみゅだよ!ごわがっだよぉおお!!」 ゆゆーと泣きながら、赤れいむは親れいむの頬へと飛び込んだ。 この赤れいむが唯一の生き残りのようだ。 「ゆっ!おちびちゃん!よがっだよおぉお!!いっじょにゆっぐりじようねっ!!みんなのぶんもゆっぐりじようねぇえええ!!」 「ゆっきゅりちたいよおぉお!!おかーしゃんとゆっきゅりちちゃいよぉお!!」 すぐに激しいすりすりが始まった。 大量に子を失った悲しさを埋めるように、2匹は体をこすり合わせる。 交尾とは違う、親れいむが赤れいむを包み込むように動くすりすり。 赤れいむの表情は涙であふれていたが、明るい顔をしていた。 「お、こりゃまずい」 ふと顔を上げると、数人の男性の姿が目についた。 全員が作業服を着てこちらに向かってきている。 俺は、親れいむに近づいた。 その顔は赤れいむと同じく涙でいっぱいであったが、優しい笑顔をしていた。 「マイク、返してもらうよ」 一言つぶやき、リボンからマイクを回収する。 「失礼します、こちらのゆっくりは」 立ち去ろうとする俺に、作業服を着た男性が声をかけてきた。 彼らは保健所の人間だ。 朝のラッシュの騒動で、誰かが連絡したに違いない。 こんなに仕事が早いなんて、公務員もバカにしたものではないと思う。 いつか、保健所の取材でもしてみたい。 「ああ、野良のゆっくりでしょうね。俺のじゃないですよ」 さよなら、ゆっくり霊夢。 最期に親子の絆を確認できてよかったね。 俺は餡子を踏まないように気をつけながら、駅へと向かった。 ふと壁を見ると、餡子がこびり付いている。 赤ゆっくりを踏んだ誰かが、靴をすりつけて汚れを落としたのかもしれない。 「やべでぇええええっ!!!れいぶのあがぢゃんがえじでぇええっ!!!」 背後から変な声が聞こえたが、俺は振り返らなかった。 おわり このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/1668.html
ゆっくり伝 その男の姿は、奇妙に森に溶け込んでいた。 着ているものや肌の色を木々に紛れるようにしている、というわけではない。 身に纏う空気といおうか、そのようなものが森と調和しているようであった。 風雨に打たれて育った樫のような、荒々しくもどこか落ち着いた雰囲気の男であった。 そのような男であったから、この生物も無警戒に近寄っていったのかもしれなかった。 体高30cm。 自慢げな表情を浮かべている。 髪形や身に付けているものは何処となく博霊の巫女に似ている。 ゆっくり霊夢であった。 「ゆっくりしていってね!」 男の前にその不思議な生物はたたずんでいた。 豊かな山林である。 人に出会うことは少ないが、動物ならば珍しくもない。 時として妖怪が出るらしいと、そう噂されているのを聞いたこともある。 しかし今現れたこれは、動物とも妖怪とも言い切れない、なにやら不思議な雰囲気を漂わせていた。 男が、ぎろりとゆっくりを見た。 ――なんだ、こいつは。 そう言いたげであった。 「おにいさん、ゆっくりしていってね!」 ゆっくりがもう一度言った。 その表情は天真爛漫であった。 自分に危害を加えるものがあるなどとは考えたことがないかのようであった。 むずりと、男が左手でゆっくりを掴んだ。 軽々と顔の高さにまで持ち上げる。 「ゆゆっ!たかい!たかいよ!ゆっくりおろしてね!」 ゆっくりが少し慌てたような声を上げた。 その純真そうな瞳を見ていると、男の肉の裡に、凶暴なものが膨れ上がってきた。 きりきりと、男の唇が獰猛な形に吊り上がる。 たまらなかった。 ゆっくりというものには、妙に嗜虐心をそそるところがある。 外見は可愛らしく、人間に危害を加えるようなこともない。 それでいて、何故か虐めずにはいられないのであった。 「口を、大きく開けてくれないか――」 男がかすれた声を吐き出した。 「あーーん」 ゆっくりが、言われた通りに大きく口を開いた。 その瞬間であった。 「じゃっ」 男が鋭い呼気を吐いた。 男のごつい右手がゆっくりの口に深々と埋まっていた。 ゆっくりの口の中に、無造作に右手を突き入れたのである。 「ゆあっ!?」 ゆっくりが驚愕の叫び声を上げた。 口の中でうごめいていた男の右手が、ゆっくりの舌を掴んだ。 びくりと、ゆっくりの肉体が震えた。 「これから、俺がどうすると思う」 刃物をなで上げるように、男が囁いた。 「ゆぁ!ゆっ、ゆあぁぁあぁぁ!」 ゆっくりが叫び声で答えた。 目が恐怖に見開かれている。 男は、楽しくてたまらないといった表情を浮かべた。 「このよく動く舌をひきちぎってやるよ」 ゆっくりの顔が一気に青ざめた。 「ゆゆっ!?やえへ、ゆっふりやえへえ!!」 男の唇が喜悦の表情を浮かべた。 両腕に力がこもる。 「ふんっ」 ぶちり、 と、いう嫌な音が小さく響いた。 舌のちぎれる音であった。 男が、右手でゆっくりの舌を、根元から引き抜いたのである。 「ゆ~~~~~~っ!」 一拍おいて、ゆっくりの口から悲鳴が上がった。 耐え難い苦痛に、小さな身体が激しくのたうつ。 男が、右手を引き抜いた。 ちぎられた舌と、舌のかつてあった場所から、餡子が吹き出していた。 男が右手を開くと、分厚い舌がぼとりと地面に落ちた。 まだ痙攣しているそれに向かって、無造作に踵を打ち下ろした。 柔らかいものを踏み潰した感触と共に、靴の下から餡子が勢いよく迸り出た。 ぞくり、と男の背筋を震えが疾り抜けた。 嗜虐者の悦びであった。 拷問官の悦びであった。 ゆっくりの悲鳴は、途切れることなく続いていた。 苦痛の涙を湛えた瞳が、男に向けられた。 救いを求めているような瞳であった。 ぞくり、と先程よりも一層太い震えが男を貫いた。 黒い感情が、肉体を押し破って吹き出しそうになる。 男は震えをこらえて、左手の親指をゆっくりの下顎に、右手の親指を上顎にかけた。 何をされるか悟ったのか、ゆっくりが男の手の中で抵抗するように動いた。 男の唇がめくれ上がり、噛み締めた歯が覗いた。 「むんっ」 男が指に力を込めた。 ゆっくりも口に力を込めたが、男の力に適うわけもない。 大きな口が、たちまち限界まで上下に開かれた。 「ああぁぁぁぁぁ!」 ゆっくりが狂ったように声を上げる。 何とかして男の手から逃れようと、必死に身を捩ろうとする。 構わずに男は力を強めた。 鍛え抜かれた腕に、太い筋肉が浮かび上がった。 みちっ。 みちっ。 音がした。 ゆっくりの頬が、力任せに引き裂かれていく音だ。 無惨に開いた頬から、凄まじい悲鳴が漏れ出してくる。 男は笑みを浮かべた。 鬼の笑みであった。 ことさらゆっくりと、頬の裂ける感触を楽しむように、口を押し開いた。 「あいぃぃぃぃぃぃ!」 ゆっくりは獣のような声を上げていた。 やがて口が頭の半周程度まで裂けてしまうと、あれだけ大きかった悲鳴が小さくなってきた。 ゆっくりの瞳は既に虚ろになっている。 男の表情から、喜びの色が退いていった。 「おうっ」 男が両の親指にありったけの力を込めた。 ぶつり、と不気味な音がした。 ゆっくりが上下に真っ二つになっていた。 大きな瞳が、怨むようにこちらを見据えている。 ふと、男はその頭を齧ってみた。 思わず眉をしかめた。 たまらぬ甘さであった。 決して不味いわけではないが、とても全て食べようという気にはならない。 巨大な饅頭――どうやらこれはそのようなものらしかった。 男は二つの欠片を宙に放り投げた。 それを追うように、ふわりと男の右脚が浮き上がった。 「けえっ」 欠片が空中で重なった瞬間、回し蹴り気味の軌道を描いた脛が、そこに吸い込まれていった。 スピード、タイミング、パワー、どれをとっても申し分のない、会心の一撃であった。 小気味よい音と感触を残して、ゆっくりだったものは木々の間へと消えていった。 男は自分に言い聞かせるように呟いた。 「すっきり――」 いつの間にか、男の口元には再び笑みが浮かんでいた。 沈丁花の香る、春の夕暮れであった。 あとがき 遂にゆっくりの話を書いてしまった。 もしこの作品を読んで、中々やるじゃねえか、と思っていただけたとしたら、 これはもう獏文体好きの冥利に尽きるというものである。 あと一本か二本か、それはわからないが、とにかくネタが尽きるまではこいつを書いてゆくつもりである。 どうか、しばらくお付き合いのほどを。 平成二十年九月二十二日 小田原にて ゆっくり枕獏 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/1821.html
※現代社会に当然のようにゆっくりがいます。 ※オリ設定満載です。 ※ぬる虐めです。ボリュームも少なめです。 数年前に突如現れ、急速に社会に浸透していった(ような気がする)ゆっくりと呼ばれる新たなる生命体。 人間の生首が膨張したような容姿のそいつらは饅頭のクセに生きていたり、どこから来たのは全く不明だったりとあまりに謎が多すぎる。 が、目新しいものや珍しいものを好む人々はその「ゆっくりしていってね!」とか「ゆーっ!」などと珍妙な鳴き声をあげる未知の存在をあっさりと受け入れた。 そして、私はよくわからない成り行きでそのゆっくりを9匹も飼う羽目になってしまった普通の女子大生だ。 「あ~・・・お酒が飲みてぇ・・・」 私の家にゆっくりがやって来てはや2ヶ月。ここ最近全くお酒を飲んでいない。 それまでは毎日リットル単位で酒盛りしていたのだが、連中の食費を捻出するために真っ先に嗜好品のための出費を切ってしまった。 そんな訳で、齢20にしてアル中同然の私の我慢はもはや限界。 しかし、たとえゆっくりと言えど2ヶ月も付き合っていれば愛着は湧く。 今更捨てるわけにもいかず、かといって「1杯だけ」と言ってお酒に手を付ければ転がりやすい坂式にまた飲みたくなるのは目に見えていた。 「あ~・・・ゆっくり酒飲みてぇ・・・」 再び呟くが、流石にこればっかりはどうにかなるものでもない。 ため息をつきつつ、しばらくボーっと空を眺めていたが、10分ほどして飲みたい衝動が落ち着いてきたところでのっそりと立ち上がる。 そして、「さて、今日も頑張るか」と誰に言うでもなく口にしたそのとき・・・ 「ゆっくりしていってね!」 「んあ?」 これでもかというくらい聞きなれたその挨拶に反応した私はすぐさま視線を地面に落とし、きょろきょろと足元を見回した。 そこにいたのは見たこともない大きな2本の角の生えた下膨れのどこか既に出来上がった感のある顔饅頭。 見たことはないが聞いたことはある。確かこいつはゆっくりすいかだ。 「なんだ、ゆっくりか」 「おねーさん、ゆっくりしていってね!」 「はいはい、ゆっくりしていってね・・・ん?」 少しでも目の高さをあわせるためにしゃがみこんだ私に満面の笑みと二度目の挨拶を向ける。 すると、私を“ゆっくりできるもの”と認識したすいかはふらふらと酔っ払いの千鳥足を髣髴とさせる足取りで私の傍へ寄ってきた。 「・・・あんた、酒臭いね?」 「あたりまえだよ!すいかゆっくりできるおさけをもってるもん!」 「・・・・・・ほうほう」 そうかそうか、お酒を持っているのか。 しかし、相手はゆっくりだ。お酒を製造する技術があるとは思えず、また保管する技術もあるとは思えない。 となると、こいつの言う「持っている」の意味するところは一つしかない。 「・・・いただきます」 「ゆっ?!いだい、いだいよっ!ゆっぐぢやべでね!!」 「む~しゃ、む~しゃ・・・なるほど酒饅頭か」 すいかに向かって手を合わせてから、彼女の他のゆっくりより弾力のある頬を少しちぎって食べると口内にご無沙汰だったような気がしなくもない風味が広がってゆく。 「ん~・・・でも、これはお酒とは言いがたいなぁ・・・」 「おね゛ーざん、なにずるの!?すいがおごっだよ!!」 なまじ酒の味がするだけに酒を飲みたい衝動が緩和されるどころか一層フラストレーションが溜まる。 一方、すいかは私のそんな身勝手な不満に気づく様子も無く、“ぷっくううううぅぅっぅぅぅううぅぅぅぅ~”と頬を膨らませて膨張していた。 さっきまでは角を除けば普通のゆっくりよりやや小柄なくらいだったのに、今やすいかの頭頂部は私の腰の高さにまで達している。 「みっぢんぐばわーしたすいかはこわいんだよ!はやくあやまってね!」 「ん、ああ・・・ごめんごめん」 鬱陶しいのでさっさと謝るとすいかはいっぱい溜めた空気を吐き出し、すぐに元の大きさに戻った。 なるほど、すいか種は他のゆっくりの頬のような伸縮性が全身に備わっているらしい。 元の大きさに戻ったすいかはお約束のゆっくりを浮かべ、何故かプルプルと震え始める。 「ゆゆっ!おこったら、おさけがのみたくなってきたよ!」 「・・・そうかそうか」 その言葉を聞いた瞬簡にもし、万が一にも「酒よこせ」と抜かしたら踏み潰そうか・・・などと考える。 しかし、すいかが取った行動は私の想像とは異なるものだった。 「ゆっ・・・ゆっ・・・ゆ~っ!」 元気良く叫んだ瞬間、ポロッと右側の角が取れ、ころころと地面を転がる。 そして、すいかは取れた角を咥えると、細い先端部を噛み砕いた。 「ご~くご~く・・・うめぇ~♪」 よくも飲みながら喋れるものだ、などと思いつつもある確信を得た私はすいかの左側の角を引っこ抜く。 それから、実はかりんとうで出来ている角の先端部を噛んで潰し、その中の空洞を覗き込んでみた。 「ゆぎゅ!おねーさん、なにずるの!?」 「おおっ!お酒が入ってる・・・」 15cm以上はあろうかと言うすいかの角のなかをいっぱいに満たす液体。 しかも、なかなか美味しそうな匂いがする。 もはや飲め飲めモードに突入した私は、すいかの文句を聞き流しつつ、一気に酒を飲み干した。 「ご~くご~く・・・うめぇ~!」 「ゆううううううう!すいかのおさけだよ!かってにのまないでね!?」 傍らで空気を吸って膨張したすいかが何か言っているが、何かアレなスイッチの入ってしまった私の耳には届かない。 爛々と目を輝かせながらすいかの頭を見てみると、信じられない事に、なおかつありがたい事にもう右の角が再生していた。 というわけで、引っこ抜きそして飲む。 量はしっかり回復していたものの、さっきのより味は悪い。 なるほど、ある程度寝かせておかないと味が良くならないのか。 「やめでえええええええええええ!?」 しかし、それでも十分飲める程度の味だ。気にするほどのものでもない。 再びすいかの頭を見てみると今度は左の角がきっちり再生していた。 本当にありがたい。これで久しぶりに心行くまでゆっくりとお酒が楽しめる。 「ひゃあ、我慢できねぇ!酒盛りだぁ!!」 「これぢゃゆっぐぢできないよおおおおおおお!!」 人目もはばからずに叫んだ私は相変わらず膨らんで威嚇しつつも泣きじゃくるすいかの左の角を引っこ抜いた。 ‐‐‐あとがき‐‐‐ この後、我に返ったお姉さんはお詫びも兼ねてすいかを家に招待することになる。 彼女の家を気に入ったすいかも住み着いて、家計が更に逼迫することに。 それでも、彼女にとって水さえあれば酒を作れるすいかは最高のゆっくりだったという。 byゆっくりボールマン このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/2944.html
注意書きは作者の義務でありそれを怠る作者は失せろという考えの読者様はそのままUターンするのをオススメします 酷い内容だがなにひとつ注意なんかしてやらんからな! 編注:以下数十行の改行 あるところに、二匹のゆっくりがいました。 「ゆっくりしていってね!」 彼女の名はゆっくりれいむ。 幻想郷の原っぱに住む素敵なお饅頭。朝起きては飯を食い昼寝をして飯を食いおやつを食べて飯を食う生活を送っています。 「ゆっくりしていってね!」 彼女の名はゆっくりまりさ。 幻想郷の原っぱに住む普通のお饅頭。昼間狩りをする以外はれいむと同じ生活をしています。 二匹は頬をすり合わせて声を上げます。 「「ふたりそろってゆっくりしていってね!」」 一体誰に話しかけているのでしょうか。 彼女らはつがいです。 幼い頃から共に育ち、強い強い絆で結ばれたそれは素晴らしい夫婦です。 と、そこへ巨大な黒い影が。 「ひゃー。我慢できねー虐待だー」 そう、虐待お兄さんです。 彼はゆっくりを捕まえては口にブツを突っ込み目にブツを突っ込み挙句に後頭部にブツを突っ込む異常性癖者です。性的倒錯にもほどがあります。 え? ちゃんと服を着ている? きっとそれはボディペインティングか、そうでなくては小麦粉かなにかです。騙されてはいけません。彼は変態なのです。 「ゆっくりしていってね!」 「いっしょにゆっくりしようね!」 しかしそんな事は知らないれいむとまりさはにっこりと笑いながら虐待お兄さんに近寄っていきます。虐待お兄さんはただでさえ気色悪い顔を一層歪めてまずはれいむに飛びつきました。 「んほぉぉぉぉぉぉぉぉ! れいむタンかわいいよぉぉぉぉぉぉぉ!!」 気持ち悪い事山の如しです。 「ゆっ?! すりすりがつよすぎるよ!」 「やめてあげてね! れいむつらそうだよ!」 その異様さにれいむとまりさもようやく危機感を覚えたのか、あるいはただきもちわるいだけなのか。いずれにせよ、虐待お兄さんから必死に離れようともがき始める。 しかしそれを許す虐待お兄さんではありません。だってまだ虐待してないのですから。 「うるせー。まりさは後で虐待してやるからこれでも食ってな」 彼はそう言ってまりさの口を巨大な五寸釘……巨大だったらそれはもう五寸釘とは言わないのではないかという無粋な突っ込みはお控えください……で刺し貫いた。 「ゆぐー?!」 「ま、まりさー! やめてあげて! あんなんじゃゆっくりできないよ!」 「ひゃっはー。何て可愛らしいんだ我慢できねぇ虐待だー」 虐待お兄さんは叫びながられいむの眼窩に指を突っ込みます。 「ゆひゃー?! おめめがみえないよー?! どうしてまっくらなのー?!」 困惑するれいむ。お兄さんはそれを眺めながら舌なめずりです。 「で、でいぶぅぅぅ!! でいぶの……でいぶのきらきらおべべがぁぁぁぁ!!」 口を貫かれてるのに器用に泣き叫ぶまりさ。お兄さんはその姿に食指を動かされたのか目無しのれいむを地面に置いてまりさを手に取りました。 「やべでよぉぉぉぉぉぉ!! ばりざいだいのはやなのぉぉぉぉぉ!!」 「お兄さんも我慢するのは嫌なんだよー。ゆっくり理解してねー」 お兄さんはそう言うとがたがた震えるまりさの下顎に指をかけ、ゆっくりゆっくりと指を下ろし始めます。 「やめへ! おふちがひはひひょ! ゆっふひひゃへへね! ……ひゃへへっへいっへるほひぃぃぃぃ?! ひょほひへひゃへへふへはいほぉぉぉぉ?!」 「何言ってるんだかわからないよー」 これは嘘。お兄さんは脅威の読唇術でゆっくりの思考など読みきっている。 やがて、ぶちぃという音がしてまりさの下顎は本体とバイバイしてしまいました。 最早叫び声も上げられないまりさが涙を流します。 「まりさー?! どうしたのー?! ゆっくりへんじしてねー?!」 目の見えないれいむには急にまりさが喋らなくなった事しかわかりません。必死にまりさを呼びますが、まりさにはもう答える事ができないのです。 お兄さんはまりさを地面に置くと頭に少量のオレンジジュースを掛けて、いいました。 「ゆっくり虐待してあげるからせいぜい泣き喚いてね!」 「カーット!」 そこで私は叫びした。 すると、高笑いを上げていた虐待お兄さんが大きく溜息をついて近くの椅子に腰掛けました。 「おつかれです」 「新入りもなかなか腕があがってきたのぜ」 「ははは、あんまり嬉しくないっすけどありがとうございますまりささんれいむさん」 目のないれいむと下顎のないまりさが虐待お兄さんに声を掛け、虐待お兄さんは二人に頭を下げます。 そう、これは虐待映画撮影だったのです。どこに需要があるのかわからない? 私だってそんなの知るか。 「さて、今日の撮影も終わりだしそろそろ帰るのぜ」 「あ、まりささんにれいむさんも身体治して行かなくていいんすか?」 「大丈夫です。私達は厨ゆっくりなのでこう……」 キリッ! と、二人の表情が引き締まる。 「気合を入れれば怪我は吹っ飛ぶのぜ」 「厨ゆっくりなのでってのが腑に落ちませんが流石っすね」 「まぁ、傷を癒してるわけじゃなくて怪我をふっ飛ばしてるだけなんでひょっとしたらどこかのゆっくりが受け取ってズタズタになってるかもしれませんがね」 「嫌だなぁそれ。うちのゆっくりだったらどうしよう」 「虐待お兄さんはリアルでは愛で兄なのぜ?」 「えぇ。ちぇん可愛いよちぇん」 「虐待パートは大根なのにほお擦りだけやたら気合の入るわけですね」 \アハハハハ!/ カメラマンそっちのけの空気のまま、穏やかに時は過ぎていった。 その頃、何処かの森で。 「れいむー!」 「まりさー!」 「「ふたりでゆっくりしようn」」 パーン れいむの目とまりさの下顎が砕け散っていた。 あとがき ナニコレ 冒頭の注意を無視してここまで読んだ読者様へ ↓ 編注:以下数十行の改行 別に何もないけど?
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/1580.html
ある昼下がり 幻想郷の深い森の奥にある、木々の開けた小さな草原 その草原にゆっくり霊夢とゆっくり魔理沙が二匹で寄り添っている ゆっくり霊夢の下腹部は大きく膨れあがっており、出産間近であることが伺える 「ゆ~♪ ゆ~♪」 ゆっくりと体を左右に揺らしながらゆっくり霊夢は歌を歌う 「ゆ~ゆ~♪」 「すごいおじょうず!れいむはおうたのてんさいだね!」 隣の魔理沙はその歌に大喜びである 「おうたがじょうずなれいむは、きっといいおかあさんになるね!」 魔理沙のほめ言葉に思わず照れながら微笑むゆっくり霊夢 なんとも仲睦まじいやりとりである そのまま夕暮れまでゆっくりすると、やがて二匹は巣へと戻っていった 「ゆ゙ぎぎ…!!」 その晩のこと、ゆっくり霊夢の陣痛がはじまった 「い、いたいよ…!ゆっくりできないよ…!!」 涙で顔を皺くちゃにして痛みを訴える霊夢 「ゆっ! れ、れいむ!ゆっくりしていってねっ!」 その声にゆっくり魔理沙はおろおろとする しかしゆっくり魔理沙には声をかけてあげることしかできない ゆっくり霊夢が陣痛を訴えてしばらくすると… プシッ 巣に小さな水音が響いた するとゆっくり霊夢の底部にある小さな穴、いわゆる産道からぬらぬらした透明な粘液が水溜り状に広がっていく 破水である 出産が開始されるのだ ゆっくり霊夢は体を後ろに傾けて壁にもたれかかると、荒い呼吸で出産を開始した 「ゆぎっ! ゆぎっ!」 顔を真っ赤にしながら必死にいきむゆっくり霊夢、その顔は汗で湿っており額中にびっしりと血管が浮き出ている その姿からは痛みの凄惨さが見て取れる 「いぎぎ…!ま、まりさぁ…!!」 「れいむ!がんばってね!げんきなあかちゃんをうんでね!」 ゆっくり魔理沙はゆっくり霊夢の傍で懸命に声援をかけつづける しばらくするとゆっくり霊夢の産道周辺がヒクヒクと痙攣しはじめる その痙攣にあわせて、普段は目に見えないゆっくりの膣孔が見えるようになる 膣孔からは、ゆっくり霊夢の呼吸にあわせて粘液が漏れ出している ゆっくり霊夢の膣孔が菊紋を描くのを確認すると、ゆっくり魔理沙はその小さな穴を舐めはじめる 舌で刺激することによって、出産を促すのである 溢れる粘液を舐め取るように、中の粘液を吸いだすように、ゆっくり魔理沙はゆっくり霊夢の底部に舌を這わす 「ひぃ゙~ッ!!ひぃ゙~ッ!!」 「がんばってね!がんばってね!」 痛みのあまり泣きながらいきむゆっくり霊夢 ゆっくり魔理沙はゆっくり霊夢の為に懸命に底部を舐め続けた やがてゆっくり霊夢の下腹部の膨らみは産道のほうに偏りはじめる 胎児が移動しているのだ それにつれ産道周辺がこんもりと膨らみはじめる 「んぃ゙ぎッ!!んぃ゙ぎッ!!」 髪を振り乱しながらさらに強くいきむゆっくり霊夢 するとぴったりと閉じていた産道がミチミチと音を立てて開いていく 「ん゙お゙お゙っ!!」 開いた産道の奥にはゆっくりの赤ちゃんの顔が見える 「れいむ!もうすこしだよぉぉ!!あかぢゃんもはやぐでてきでねぇぇっ!!」 応援しているゆっくり魔理沙の顔ももう涙でぐしゃぐしゃである 「あ゙がちゃッ…!!あ゙がちゃッ…!!」 満身創痍のゆっくり霊夢 ゆっくり霊夢は白目寸前の目つきで口を大きく開け、荒く呼吸しながらうわ言のように赤ちゃんの名を叫ぶ …と、すぐゆっくり霊夢の動きが止まった 凄まじい形相のまま固まったと思うと、プルプルと体を震わせはじめる すると ズポッ と赤ちゃんが飛び出してきた 地面にぶつかってコロコロと転がると、 「ゆっきゅりしていっちぇねぇ!」 力強い声でそう言った 「……れ゙」 「れ゙、れ゙いむ゙ゔゔ!あがぢゃんゔまれたよおおっ!!よぐがんばっだねええっ!!」 「ゆ゙っぐりじでいっでね゙ぇぇぇっ!!」 「びぇぇぇぇぇっ!!」 これ以上の無い歓喜である 二匹は号泣しながら新たな命の誕生を喜んだ 生まれたのはゆっくり霊夢の赤ちゃん まだ母親の体液で体がぬらぬらと光っているが、その姿はとても可愛らしく健康的である 好奇心旺盛に巣の周りをキョロキョロと見渡し、両親の姿を見つけると 「みゃみゃ、ぴゃぴゃ、ゆっくちちようね!」 と言って満面の笑みを浮かべてその場でピョンと飛び跳ねた ゆっくり霊夢とゆっくり魔理沙は赤ちゃんに寄り添ってほお擦りをする 赤ちゃんはそれをくすぐったそうにしながらも受け入れた だいすきなお父さんとお母さん、おいしいご飯に静かな森での幸せな生活… その目はきらきらと輝き、将来の希望に満ち溢れていた ──バキバキッ 「ゆ?」 「なんのおと?」 その時突然巣の中に大きな音が響いた ゆっくり一家は喜びの抱擁を中断し、部屋の周りを見回す すると… ──バキッ! ひときわ大きな音を立てたと思うと入り口の扉を突き破って何かが巣の中に飛び込んできた 人間の腕である ゆっくりの巣を見つけた人間が、ゆっくりを捕獲しようと巣の中に手を伸ばしてきたのだ 「ゆ゙!?ゆ゙ゔゔ!!?」 「な゙に゙ごれ゙ぇえッ!!?」 巣の中に突きこまれた腕はゆっくりを求めて巣の中を激しく動く 勿論突然の侵入者に動揺したゆっくり一家は、それが何なのか理解することができない 「み゙ゃみ゙ゃぁああああっ!!」 生まれたての赤ちゃん霊夢は突然の衝撃とあまりの恐怖に泣き叫びながら盛大に失禁する 幸い穴が深かったため寸手のところで人間の手がゆっくり一家に届くことは無かった それでも一杯に差し込まれた腕はゆっくりを探してバタバタと激しく動く ゆっくり一家は壁際に固まって、その腕から必死に遠ざかる ゆっくり霊夢もゆっくり魔理沙も何が起こっているのか理解できない ただ、我等の巣が何かに強襲されているということだけは理解できた 「ごわ゙い゙よ゙お゙お゙お゙っ!!!」 「あ、あかちゃんはかくれてねっ!」 「れいむもあかちゃんもまりさがまもるよ!」 ゆっくり魔理沙は家族を庇う様に前に出て、辺りの餌やら石やらをその腕に吹きつけはじめた 「びゃああッ!!ごわいよお!!ごわいよおおっ!!」 ゆっくり赤ちゃんは恐怖した ひたすら恐怖し続けた まともな思考など働く余地が無いほど震え上がり叫んだ 危機から身を守らねば 隠れるところを探さねば そうして赤ちゃん霊夢は隠れる場所を求め 先ほどまで自分が居た母親霊夢の産道にもぐりこんだ 「ゆ゙ゆ゙っ!?あかちゃん!なにしてるのっ!?」 今まで自分がずっと居た場所、一番信頼できる安全な場所 赤ちゃん霊夢が選んだのは母親の胎内だった 「ゆぐぐ!くるしいよ…!」 出産の影響もあり、ゆっくり霊夢の膣孔の皮は伸びきっていた為そこにもぐりこむのは難しく無かった それから間も無く、ゆっくり魔理沙の善戦あってか腕の主は捕獲を諦めて巣から去っていった しかし問題はそれで済まなかった 恐怖のあまり、赤ちゃん霊夢はゆっくり霊夢の産道にもぐりこんで出てこないのである 苦しむ母霊夢などお構いなしに、赤ちゃん霊夢は恐怖でガチガチと歯を鳴らしながら奥へ、さらに奥へと進んでいく 「ん゙ぃ゙ぃ゙!ん゙ぃ゙ぃ゙!」 「あかちゃん!もうだいじょうぶだからはやくでてきてね!」 ギリギリと歯軋りをしながら苦しさと痛みに耐えるゆっくり霊夢 ゆっくり魔理沙も必死に呼びかける 再び体積が増えた苦しさに、必死にひり出そうとしても赤ちゃん霊夢は抵抗して出てこない 再び赤ちゃんを包んだ膣孔は再度ぴったりとその口を閉じてしまっており その穴からはただただぬらぬらと透明な粘液を垂らすばかりである 「赤ちゃんでてきてぇーっ!!」 ゆっくり魔理沙はゆっくり霊夢の膣孔に口をつけて必死に吸い出そうとする 巣にはただただ淫猥に粘液の水溜りが広がっていくばかりであった 戻るゆっくり ~END~ 自分で書き込みした話をSSにしてみた 満足している。 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/388.html
「ゆっくり避妊ありす」 市場で買い物を済ませ、荷物を持って家へと続く道をひた走る。 というのも、家には飼っているゆっくりれいむとゆっくりまりさが待っているのだ。 最初は「ここはれいむのおうちだよ」などと神経を逆撫でする言動にずいぶん苛立ったものだが、飴と鞭で うまくしつけてやれば、何とか飼えないこともない。 程度を加減して苛めれば、いい感じにストレス発散になるから、なかなか有益な生物だ。 家までもう少し、というところで僕はあるものを見つけた。 「ゆ!!ゆっくりしていってね!!」 僕を目にするや否や、本能に従ってお決まりの台詞を吐く。 そいつは、いわゆる“ゆっくりありす”だった。 金髪にヘアバンドが目印で、どちらかというと珍しい部類のゆっくりだ。 そいつはダンボールの中に入れられていて、うまくはまっていて自力では出ることができないらしい。 そして、そのダンボールには『拾ってください』と筆文字で書いてある。 どうやらこいつ、誰かに飼われていたが捨てられたらしいな。 「おにいさん!!ありすをゆっくりたすけてね!!そしたらとくべつにゆっくりしてあげてもいいよ!!」 この癇に障る喋り方も、きっと捨てられた原因のひとつだろう。 確かに、普通の人間の感覚ならこの言動はイラっとくる。人によっては殺意すら覚えるだろう。 だが、僕は違う。僕にとってゆっくりに対する殺意など存在しない。そこにあるのは、ただゆっくりを虐待 して得られる恍惚感だ。 「あぁわかった、助けてあげるよ」 「ゆ!!ありがとうね!!とかいはのありすが、とくべつにゆっくりしてあげるよ!!」 都会派気取りの台詞を聞き流し、僕は家に向かうのは止めて別の道へと進む。 こいつを飼ってやることに、異存はない。しかし、このまま連れて帰ることはできない。 なぜなら、ゆっくりありすは発情すると他のことには目もくれず、他のゆっくりと交尾を始めるからだ。 交尾って言い方は生易しいな。いわゆるレイプである。 レイプされたゆっくりは、成長が不十分であれば当然蔓を生やした後朽ち果ててしまう。 僕のかわいいれいむやまりさが、こんなクズゆっくりに殺されてたまるか。 ということで、僕は永遠亭の女医にゆっくりありすの不妊治療…ではなく避妊治療をお願いすることにした のだ。 治療はたったの5分で済んだ。 ありすの両頬に親指をねじ込んで、ぐいぐいこね回すだけ。 皮を突き破り、餡子に至った指の振動に、ありすは悲鳴を上げていた。 「ゆぎゃあああああああ!!!いだい、いだいよおおおぼぼぼぼぼぼぼ!!!」 その後、傷に何か特別な薬を塗ると、傷はたちまち塞がってしまい、 「ゆううううう、すっきりー!」 と、まるで交尾の直後のように清々しい表情を見せたゆっくりありす。 僕は受付のウサギに治療費を支払うと、ありすを抱えて今度こそ帰路についた。 「ゆ!!おにいさんのおうちで、ゆっくりしてあげるね!!ゆっくりかんしゃしてね!!」 「はいはい、ゆっくりゆっくり(笑)」 適当に相槌を打つ。ゆっくりを飼うコツ、それはゆっくりの発言を真に受けず、ゆっくり受け流すことだ。 そうすることで、無駄なストレスを溜めずにゆっくりたちと長きに渡って付き合い、虐待することができる。 最近それができないやつが多くて困るよ。カルシウム足りないんじゃないのか?って思う。 いつもより45分遅れて、自宅に到着した。 玄関の扉を開けると、その音を聞いてかれいむとまりさがピョンピョン跳ねてくる。 「ゆゆっ!!おかえりなさい!!ゆっくりまってたよ!!」 「おなかすいたよ!!ゆっくりごはんもってきてね!!」 「はいはい、ゆっくりゆっくり(笑)」 餌をねだって僕を見上げる二匹……視界に入るのは、僕が抱えているもう一匹のゆっくりだ。 「ゆゆっ!?そのこはだあれ?ゆっくりできるこ?」 「ゆっくりできないなら、まりさたちのおうちからでていってね!!」 顔が見えていないから、こいつが誰なのかわかっていないらしい。 僕はありすの顔が二匹に見えるように、向きを変えてやった。 その瞬間、二匹の顔色が変わる。 「ゆぎゅ!?ありす!?」 「ゆっくりでてってね!!ありすとはゆっくりできないよ!!」 ある程度成長してから捕まえた二匹だから、ゆっくりありすの危険性はよく知っているらしい。 同じゆっくりであるにも関わらず『ゆっくりできない』と拒否し始めた。 「大丈夫大丈夫、こいつとすっきりしても、死なないから」 「ゆ!?」 ありすと交尾をしたら、よほど成長したゆっくりでないかぎり朽ち果てて死んでしまう。 それが他種のゆっくりの常識だ。 だが、このありすは避妊治療を施したから、交尾をしても赤ちゃんはうまれないし、朽ちることもない。 僕はそう説明をしたのだが、ゆっくりありすがどれだけ危険か今までの人生(ゆっくり生)で学んできた二 匹は、なかなかそれを信じようとしない。 「だめだよ、ありすとはゆっくりできないよ!!ありすとゆっくりするとしんじゃうんだよ!!」 「そんなことないよ!!とかいはのありすが、とくべつにゆっくりさせてあげるね!!」 僕の腕から飛び降りたありすは、さっそくゆっくりれいむに引っ付く。 頬を摺り寄せるのは、交尾の始まりの合図だ。 振動を与えられて、頬を赤らめるれいむだが、生存本能のほうがまだ勝っているらしくありすを拒絶する。 「ゆ゛!!ゆっくりはなれてね!!ゆっくりどっかいってね!!」 「れいむうううううっぅぅぅぅ!!そんなおこったところもかわいいいい゛い゛い゛い゛!!!!」 一度スイッチの入ったありすは、どのゆっくりにも止められない。 れいむに圧し掛かって、交尾時特有の粘液を纏い、さらにはばら撒き始める。 おいおい、ここを掃除するの誰だと思ってるんだよ… 本来ならここでありすをブチまけている所だが、避妊の成果を見たいので放っておく。 「ゆゆっゆゆゆゆゆっゆゆゆゆ、やめでよお゛お゛お゛お゛お゛お゛!! れいむっ!!れいむじんじゃうよお゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!!」 「おじしゃん!!れいむをたすけてあげt、ぐぎゃああああおあおあおあおあおあおあお!!!???」 「おじさんじゃなくて、おにいさんだ、と言ったら何度分かるんだ、この低脳饅頭が(笑)」 まりさをぐいぐい踏みつけるのもほどほどにして、ありすとれいむの交尾を観察する。 しばらくすると… 「ゆううぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ、すっきりー♪」 「あ…がぅ…ゆぎゅ……」 満足げなありすとは対照的に、満身創痍のれいむ。 通常なら、れいむはこの後朽ち果てると同時に新たな生命を生み出すはずなのだが… 肝心の蔓が生えてこない。ありすの方も、不思議がっている。そして… 「ぎゅ……ゆ…ゆ?…………すっきりー♪」 あろうことか、れいむの方まですっきりしてしまった。 子供はできない、朽ち果てることもない…どうやら、永遠亭の女医の避妊治療は成功らしい。 が、今度はありすの方が不満そうだ。今までとは勝手が違うから…ではなく、生まれてきた子供も犯すつも りだったらしい。 改めて考えると、とんでもない性欲魔人だな。 とにかく、これでれいむやまりさが死んでしまう心配はないから、安心して3匹まとめて飼えるな。 あれから2週間。虐待しつつ生かしつつ、僕のゆっくりライフに変化はない。 変化があるとすれば、それは3匹のゆっくりにとってだろう。 最初、交尾しても朽ち果てないことに、れいむとまりさは喜んでいた。 一方ありすは、交尾しても相手が赤ちゃんを生み出さないことを不思議がっていた。 「ゆ?どうしてありすのあかちゃんができないの!?」 そのせいか、ありすが一方的に交尾を始めることが多くなっていった。 やはり赤ちゃんができてこその交尾なのだろう。 「まままままりさあああああ!!いっしょにあぎゃちゃんづぐろうねええええええ!!!!」 「いぎゃがががががががやめでええええええええ、すっきりー♪」 それでも、相手がすっきりするだけで、赤ちゃんはできない。 自分もすっきりしているからいいのだが、なんとなく満足できないゆっくりありす。 3日もすると、その異変はありすの精神をゆっくり蝕み始める。 「どおじてええええええ!!??どおじてありずのあがちゃんできないのおおお!!??」 交尾の最中も、ありすの声は快感を伴っておらず、どちらかというと必死に子孫を残そうと頑張っているよ うに見えた。 でも、どんなに頑張っても交尾相手がすっきりするだけ、自分がすっきりするだけ。 どんなに交尾を重ねようとも、相手の頭から蔓が生えることはない。赤ちゃんができることはない。 「どおじでえええええ!!!あがぢゃんづぐりだいよおおおおお!!!!!」 数十回の交尾の末、疲れ果てたありすは部屋の隅っこでひとり喚き始めた。 すっきりはできても、本能として『子孫を残す』という点での充実が得られないからだろう。 しかし『すっきりー♪』と交尾の余韻に浸るれいむとまりさは、そんなのお構いなしである。 9日目。ありすにとっての交尾の目的は“すっきりすること”から“あかちゃんをつくること”に完全に置 き換わっていた。 「ゆぎゅぎゅぎゅぎゅぎゅぎゅあがじゃんんんんんありずのあがぢゃんんんん!!!!」 「ゆふふふふふうふんほおおおおおおおおおおおおおお!!!すっきりー♪」 それでも、相手はすっきりするだけ。そのうち、ありすは自分がまったくすっきりできていないことに気づ いた。 赤ちゃんができない。自分もすっきりできない。そんな交尾に何の意味があるのか。 そこまで考えて、人間並みの知能があれば交尾をすることを止めるのだが、そこはやはりゆっくり。 交尾を止めることをせず、自分が満足するまで交尾を重ねることになる。 「あががががががあがぢゃんんんん!!!!ありずのあがぢゃんんんんんんっがおおおおおおあああ!!」 「ゆううううううううすっきりー♪んああああっほほほほほほほほすっきりー♪」 「いぎゃああああああああどおじでええええあがぢゃんできないのほおおお!! どぼじでずっぎっりできないのぼぼぼぼおおおおおおお!!!!!!?????」 交尾を終えるたびに、満足げに去っていくれいむとまりさ。 れいむとまりさは、自分の愛を正面から受け止めてくれている。ありすはそう思っている。 でも、ありすは全然満足できない。赤ちゃんができない。すっきりできない。 どうして?どうして赤ちゃんができないの?ちゃんとすっきりできるようにしてるのに。 どうして?どうしてすっきりできないの?今まではちゃんとすっきりできたのに。 どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして? どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして? 交尾のたびにすっきりよりも遥かに苦痛が上回る。 交尾のたびに流す涙で、頬の皮はすでにくしゃくしゃだ。 交尾のたびに、満足して去っていくれいむたち。 自分はいったいなんなのだろう。 れいむとまりさをすっきりさせたくて、こんなことをしてるんじゃないのに。 相手のことはどうでもよくて、自分さえすっきりできて、相手から赤ちゃんが生まれればそれでいいのに。 どうして“それ”ができないの?今まで簡単にできた“それ”がどうしてできないの? どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして? どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして? そんな疑問と、すっきりできないお預け感が、ありすの精神をえぐり続ける。 14日目。ありすに劇的な変化が訪れる。 「ゆぎゃ嗚呼ああ☆あべおっろ♪あおおああ$おおあありいり!!???」 「んほほほほおおおおおおおお!!!すっきりー♪」 声にならない叫びを上げて、れいむたちをレイプするありす。 いつもどおり、すっきりー♪な結果に至るだろうと思っているれいむたちは、その身をありすに任せる。 実際、れいむたちはすっきりするだけで、朽ちることはまったくない。 永遠亭の女医の避妊治療は、恐ろしいまでに完璧だった。 やはりダメだ。すっきりできないし、赤ちゃんもできない。 気が狂いそうになりながら…いや、既に狂ってしまったありすは、立て続けにれいむたちを犯し続ける。 この頃になると、もう一匹ずつ犯すのが面倒になって、3Pというマニアックなプレイが主なものとなってい た。 やはりダメだ。 「どおじでええええええええええええ!!!???」 どんなにあがいても、赤ちゃんができない。 「どおじでありずのあがぢゃんができないのおおおおおおおおおおおおお!!??」 どんなにあがいても、すっきりできない。 「ずっぎりできないのいやあああなのおおおおあああにいいいいいい!!??」 すっきりしようとすればするほど、すっきりできない悶々とした気持ちだけが蓄積していく。 ありすは、限界に達しようとしていた。そして… ブチッ! ありすの中から、何かが切れる音が聞こえた。 「ん頬青ああおあえrbなえt@あ@tbな@てんb@おあえtgじゃ!!!」 ありすが、壊れた。 中身のカスタードクリームを吐き出すことはしないが、涙・涎・粘液等など、ゆっくりが体の構造上出すこ とのできる、ありとあらゆる体液をブチまけながら、出鱈目に辺りを飛び跳ねている。 おいおい、ここを掃除するの誰だと思ってるんだよ… 本来ならここでありすをブチまけている所だが、もっと観察したいので放っておく。 「ゆ!?ありす!!ゆっくりいていってね!!」 「んびゃえおt8913ろじゃtbt-あ0あぽあ11111」 さすがに心配になったれいむたちの呼びかけにも、ありすは反応を示さない。 これは…完全に逝ったな。そう思ってありすを取り上げようとするが、その前にれいむたちがそれを阻んだ。 「おにいさん!!ゆっくりまってね!!!!」 「これからまりさたちが、ありすといっしょにすっきりするからね!!」 あぁ、そういうことね。 れいむたちにとって、ありすは“すっきりする”ための道具と化していたのだ。 どんなに交尾を重ねても朽ちない、赤ちゃんができない。 そうとなれば、あとはすっきりするための交尾を重ねるだけ。 人間で言えば“セフレ”のようなものだ。 でも、れいむたちはありすが今までまったくすっきりできなかったことに、気づいていないのだろうか? 「んんんほほほほほほおおおおおおおお、すっきりー♪」 「あががががががんぎょおおおおおおおおおおおお、すっきりー♪」 早々にフィニッシュする二匹。そして、次のありすの絶叫に、僕は自分の耳を疑った。 「和えが得荻は@絵t@q034うtq90う4t09q@0ぴっ………すっきりー♪」 今…何といった?すっきりって言ったのか? 確かに言った。ここ2週間すっきりできなかったありすが、“すっきりー♪”と言ったのだ。 次の瞬間、さらに驚くべき現象を僕は目にすることになる。 ありすの頭から、蔓が数本生えてきたのだ。 次々と実がなっていき、それは小さな小さなゆっくりの姿へと変わっていく。 そうか、やっと理解できた。れいむやまりさが赤ちゃんを作る代わりに、ありすが赤ちゃんを作ったのだ。 すっきりできない原因を排除したことで、やっとすっきりすることができたありす。 その満足そうな表情ときたら、今にも天に昇っていきそうなものだった。 だがおかしい、永遠亭の女医の避妊治療は完璧のはず。 これで赤ちゃんが生まれては、避妊治療の意味がない。 そう思った僕だったが、次のありすの行動を見て安心する。 意識を取り戻したありすは、再び発狂して辺りを飛び跳ね始める。 その衝撃で蔓はすべて切断され、赤ちゃんゆっくりは成長過程で切り離されてしまったのだ。 まだ緑色の、未熟児……これでは、「ゆっくりちていってにぇ!」などとかわいい声を発することもできな いだろう。 一方のありすは、と言うと… 「亜rht34hpつぷはいうhrぎうあg費4おあrぎおあrぎいありおおいあろいj!!!!」 一度キレてしまった“モノ”は元に戻らないらしい。 ありすは二度と“とかいは”の知性を取り戻すことはなく… 「ゆぎゅ……ゆっ………ゆっ……ふっ……」 時折、視界に入ったり音が聞こえたときだけ、ぴくっと反応するだけの…物言わぬゆっくりとなった。 れいむとまりさは、ありすのことなどすっかり忘れて別の部屋で遊んでいる。 毎日死なない程度に虐待してやり恐怖を植えつけてあるから、物を壊すことはないだろう。 「ゆ………ゆ………」 そこらへんの雑草を口に突っ込むと、反射的に咀嚼を始めるありす。 2週間前の、都会派気取りのありすの面影は……どこにもない。 …でも。 2週間まったくすっきりできなかったありすにとって、これこそが最高のすっきりなのかもしれない… あとがき 虐待スレ9の551あたりを読んで、勢いで書いてみたよ!! 酒の勢いって怖いね!! これを入れて5作ぐらい書いたけど、全部酒の勢いで書いたよ!! それじゃみんな、すっきりしていってね!! 作:避妊ありすの人
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/506.html
ゆっくり水攻め 水が出ない。 幻想卿の外から来たというポンプを買って一週間。 勝手に水を汲んで水を運んでくれる便利なものを買って、とても満足していたがまさかこれほど早く壊れるとは。 決して安い買い物ではなかったそれをどうにかできないかとポンプのある場所にやってきた。 ポンプ置き場に着くと奇妙なことにポンプのスイッチが入ってなかった。 妖怪には見えないようにお札を貼っていたし、押さないようにと注意書きもあった。子供はここまで遊びに来ないはず・・・ そんなことを考えながら他に壊れていそうなところはないかと確認していくと、機械の裏側ですやすやと寝息をたてているゆっくりを見つけた。 こいつがスイッチを押したのだろうか? 起こさないことにはこの疑問は晴れないのでゆっくりにデコピンをかます。 「ゆぐっ!」 まだ子供なのかとても軽く、デコピン一発で機械にぶつかり、「ぶべっ!」とずるずる落ちてきた。 回復する前に両手で捕まえ、ここで何しているのか聞く。 「ゆっくりあそんでたよ!」 ここでどうやって遊んでたんだい? 「ここでとぶとね、ぴかぴかするんだよ!」 とポンプの電源スイッチの上で飛び跳ねていた。ぴかぴかとは電源が入ったことを伝えるランプのことだ。 納得がいった自分は片手でゆっくりを抑えながらデコピンをする。 ここはおじさんのものなんだ。勝手に遊んじゃだめだよ。これは消えると困るんだ。わかったかな?かな? 一文ごとに一発デコピンをかます。食らうごとに痛い痛いと叫ぶ子ゆっくり。 耐え切れなくなったのか。 「ゆっくりはなしてね!これじゃゆっくりできないよ!」 「もうやだ!おうちかえる!」 と、泣き始めた。 とりあえずポンプが故障したわけでは無さそうだが動くか確認がしたい。 さっきこいつは巣があると言っていたのでそこで試そうと、巣を教えてくれれば助けてあげるよと聞いてみる。 野生のゆっくりは警戒心が強いが子ゆっくりなら大丈夫だろう。 すぐに、 「ゆ!ゆっくりおしえるからたすけてね!」 と、笑顔になって案内してくれるのを笑いながらゆっくりにおしえてもらい、巣を見つける。 その巣は木の根元にある穴で草や枯葉で巧妙に隠していたので教えて貰わないと分からなかったかもしれない。 畑や人の家に上がりこむゆっくりは大抵昔飼われていたり、加工場から逃げた奴である。 本当の野生のゆっくりは人にめったに近づかず、このように巣を作って過ごす。 「おしえたからゆっくりはなしてね!」 「いえでゆっくりするからどっかいってね!」 いまだ腕に掴まれたゆっくりが急かすので約束どおりはなしてやる。 れいむはぴょんぴょんと飛び跳ね巣に近づいていく。巣に近づくと先ほどの声に気づいたのか中からもう一匹のれいむが顔を出す。 「「ゆっくりしていってね!!」」 仲良く頬をすり合わせ中に入っていく。どうやら自分のことはもう忘れたらしい。野生で知能があるといっても所詮はゆっくりである。 ゆっくりどもが中に完全に入ったのを確認した後穴に近づき聞き耳を立てる。 「ゆっくりしすぎだよ!おかあさんしんぱいしたんだからね!」 「みんなしんぱいしたんだよ!」「おねーちゃんゆっくりしすぎー!」 「ゆっ!ゆっ!」 どうやら母れいむ一匹と子ゆっくりが3匹、赤ちゃんゆっくりが一匹と普通のゆっくりれいむ一家のようだ。 帰ってこない子ゆっくりを心配していたのか聞き耳を立てるまでもなかった。 子ゆっくりは包み隠さず正直に話した。 「ゆゆ!ゆっくりしすぎてないよ!にんげんにつかまってゆっくりできなかったんだよ!」 「に、にんげん!」 子ゆっくりの発言に母ゆっくりの態度が変わる。 「ゆっくりにげれたんだね!こわかったね!」 「もうあんしんだからね!すはみつからないよ!」 母ゆっくりはにんげんの怖さを知っているのだろう。巣にいれば気づかれず安全と子ゆっくりに言い聞かせる。 しかし、子ゆっくりが言った次の言葉に自分がいままで人間の怖さを教えてなかったのを悔やんだ。 「すをおしえたらたすけてくれるっていったからいったらたすけてもらったよ!こわかったー!」 「「ナ、ナンダッtt-!」」「ゆー!」 この声は子れいむと赤ちゃんゆっくりだろう、人間を見たことない子供達は未知のものに興味をもったらしい。 しかし、怖さを知っている母ゆっくりはさぞかし子供の発言に驚いたのだろう、 「どお゜じでぞん゜な゜ごどずる゜の゜ー!」 と、外に丸聞こえな叫び声を上げた。 「ゆぐっ!」 この声からするに子れいむを突き飛ばしたのだろう。ゆっくりのすすり泣く声が聞こえる。 と、巣から這い出てくる気配がするので巣目の前に移動する。 母ゆっくりが人間が来てないか確認しにきたのだろう。もぞもぞと巣の入り口のものが取り除かれていく。 自分はわくわくしながらゆっくりが顔を出すのを待った。 「ゆ、ゆ、ゆっくりー!!」 まさか巣の目の前に人間がいるとは思ってなかったらしく、驚き叫ぶ母ゆっくり。決して怖い顔だったからではない。 そこで捕まえてもよかったが、今回は見逃してやる。 「そこでゆっくりしててね!」 急いで巣の中に戻る母ゆっくり。ここにいるとゆっくり出来ないのではないかという疑問を抱きながらまた聞き耳を立てる。 「おかーさんどうしたの!」 「そとににんげんがいたの?」 「おがーさんごめ゜ん゙な゜ざい゜~!」 「ゆゆー!」 母ゆっくりの叫び声を子供達は怯えながら戻ってきた母を心配しているのだろう。殴られたゆっくりと赤ちゃんゆっくりはどう思ってるか知らないが。 「そとはあぶないからいっちゃだめだよ!」 「にんげんがいるんでしょ?みたいみたい!」 「だめだよ!にんげんはとってもこわいんだよ!たべられちゃうよ!」 「ゆゆゆゆ!たべられちゃうのい゜や゜だー!」 「おねーちゃんどうしておしえたの゛ー!」 「ご、ごめ゙ん゙な゙ざい゙ー!」 「ゆー!ゆー!」 「だいじょうぶだよ!ここはあんぜんだからね!しずかにしてたらどこかにいくよ!」 よく聞こえる声だ。もっと聞いていたかったがあまり時間をかけるのも面倒なのでゆっくりと遊ぶための準備をしていく。 まずゆっくり共の巣の入り口に土で壁を作る。これからすることから逃げれないようしっかりと固めておく。 準備が終わるとポンプの場所に向かう。ゆっくりは水が苦手にもかかわらず、飲み水のために水場の近くに巣を作るのでホースが届かなくなることはなかった。 そしてポンプの電源を入れる。後はホースのスイッチを押せば水がすぐに出るだろう。 ポンプ掃除用に置いてあった桶にも水を汲み持っていくことにする。 途中で逃げないように声を出してゆっくりが逃げないようにするのも忘れない。声をかけるたび 「こわいよー!」 「ゆっくりどっかいってね!」という子ゆっくりの声と 「だいじょうぶだからね!だからしずかにしてね!」 という声が聞こえた。母ゆっくりの声が少し聞き取り難かったが、それでもいることは確認できた。 必要な分の水を準備し終わり、最後の締めをしようと巣に近づくと、母ゆっくりの声が聞き取り難い理由が分かった。 穴を掘っているのだ。 どうやら別の出口を作りそこから逃げ出そうというのだろう。畑で捕まえたゆっくりはただ震えていただけだったし、子ゆっくりが馬鹿だったので油断していた。 もう少しくるのが遅かったら逃げられていただろう、冷や汗をかきながら少し計画を変更、すぐさま新しい出口になるだろうポイントを探す。 母ゆっくりの姿が見えないので難しいと思っていたが、少し藪を掻き分けたらすぐに見つかった。 ある場所に生えている植物が倒れかけている。どうやら植物の根を食べているのだろう。 しばらくすると「ゆっ!」という声とともに小さな穴が開いた。すぐに穴が広がってゆっくりが通れるほどになるだろう。 自分は急いでホースと桶ををその穴の近くに移動させる。 先ほどのポイントに戻るともう母ゆっくりは穴から出ていた。子ゆっくりたちを外に出せばもう安全だと思ってるのか顔が笑顔だ。 「ここからでればたすかるからね!でてゆっくりしようね!」 「あのにんげんがばかでたすかったね!」 「れいむをだますわるいやつだったね!」 「あのままいりぐちでゆっくりしてるといいよ!」 「ゆっゆっゆー!」 完全に人間から逃げおおせたと思っている。そんなに大きい声をあげたら気づかれるとは思わないのだろうか。 とにかく気づかれないのは好都合なのでそろりそろり母ゆっくりの後ろに水を張った桶を持って回り込む。 母ゆっくりは子供達が出れるように蔦を口に咥えて穴を覗き込んでいて自分が後ろにいることに気づかない。 蔦を口に含み穴を覗き込んだ母ゆっくりの後ろで水を汲んだ桶を持って立つと言う他人が見たら奇妙に思う格好で待っていると 「まずはあかちゃんからだよ!」 「おねーちゃんたちはあとからでるからね!」 「さきにゆっくりしててね!」 「ゆっ!」 姉妹愛かまず赤ちゃんゆっくりが出てくるらしい。母ゆっくりが蔦を引っ張ると少しずつ赤ちゃんゆっくりのかわいらしい顔が見えてくる。 久しぶりの日差しに目が慣れていないのか目をパチパチさせながら、 「「ゆ~♪」」 と母子が言ったのと、自分が桶の水を流し込んだのは同時だった。 「ゆ゙ー!!」 「あ゙あ゙あ゙あ゙ー!!!」 赤ちゃんゆっくりが桶から勢いよく流れた水に流され穴に戻されていく。 すぐ下で次に蔦が降りてくるのを待っていた子ゆっくりたちも赤ちゃんゆっくりとともに流れてきた水に驚き急いで穴を戻っていく。 「「「い゙や゛ー!み゙ずごわ゙い゙ー!!」」」 心地よい悲鳴を上げながら水から逃げ切ったのだろう息を切らした音が聞こえる。 赤ちゃんゆっくりは直撃を受け、皮をぶよんぶよんにして地面にへばりついている。まだ餡子が流れず、息があるのか、 「ゆ゜っ!・・・ゆ゙っ!・・・」 とピクピク震えていた。 もう少しどうなったのか確認しようとすると足に軽い衝撃。どうやら母ゆっくりが体当たりしてきたようだ 「どお゙じでごん゙な゙ごどずる゙の゙ー!!」 おお怒りゲージMAXなのか顔が紅白饅頭の赤い方みたいだ。うるさいので穴をのぞけるように調整して踏みつける。 「ゆぎゅっ!」とか言うが気にしない。餡子が出ない程度に踏みつける。 時間をくったので穴の中では水でふやけた赤ちゃんゆっくりを子ゆっくりたちがゆっくりと乾いた地面へ運んでいるところだった。 「ゆっくりげんきだしてね!」 「すぐにかわくからじっとしててね!」 「ゆっ・・・」 「それまでおねえちゃんがまもってあげるね!」 ポンプのスイッチを押す。 「や゙、や゙め゙でー!!」 「「「ゆ?」」」 子ゆっくりが母ゆっくりの叫び声に気づき振り向く。 そこにはポンプから流れ出る水がゆっくりと迫ってきてるではないか。 「「「い゙や゛ー!!!」」」 「ゆぐゅ!」 先ほどまでの姉妹愛はどこへやら、赤ちゃんゆっくりを放り出し逃げ出す子ゆっくりたち。 赤ちゃんゆっくりは這いずることも出来ず、流れてくる水をみながら、初めて言葉を話した。 「ゆっくりしたけっかがこれだよ!」 子ゆっくりたちは巣の入り口を目指す。後ろからは水が迫ってるから逃げるには入り口しかない。 人間がいるかも、と言う考えは今の子ゆっくりたちには考えられなかった。先ほどの赤ちゃんゆっくりの悲鳴で子ゆっくりたちはパニックになっていた。 「おねーちゃんがさきだよ!」 「おねーちゃんはゆっくりしてね!れいむがさきにいくよ!」 「げん゙がじな゙い゙で~!!」 我先にと争いながら逃げるゆっくり二匹とそれをなだめる一匹は何とか巣の入り口に着いた。ここからなら出られるだろう。 急いで入り口を隠していたものを取り除こうとすると気づく、これまで隠していた枯葉や枝ではなく土が壁となって入り口を塞いでいることに。 三匹は絶望に苛まれながらも母ゆっくりがしていたように少しずつ穴を掘っていく。 しかし、母ゆっくりのように上手くいかず、水が迫る恐怖心から三匹が別々に穴を掘っていた。 もし三匹が協力して穴を掘ってたら助かったかもしれない。しかし子ゆっくりたちはそのようなことを考える余裕はなかった。 「れいむがほったあなにつちをもってこないでね!」 「そっちこそこっちにつちをとばさないでね!」 「ゆっくりいそいでね!けんかしないでね!」 喧嘩を止めようと声を出しているゆっくりも体は自分用の穴を掘るのに必死だ。 死にたくない。死にたくない。死にたくない。 三匹にはそれしか考えられず、懸命に自分用の穴を掘り続けた。 しかし、もう水はそこまで来ている。もう間に合わないのではないか。 一番小さな子ゆっくりはこの状態に耐えられなくなった。 「あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙だずげでー!」 叫びながら飛び跳ねる。掘った穴が崩れるが気にしない。 「い゙や゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!!」 どうやら一番小さい子ゆっくりのせいで真ん中のゆっくりが掘っていた穴も崩れたらしい。真ん中のゆっくりが悲鳴を上げる。 残ったのは一番大きい子ゆっくりが掘っていた穴だけ。 一番大きいゆっくりが後ろの悲鳴に振り向くと二匹が体当たりしてくるのは同時だった。 「「だずげでお゙ね゙え゙ーぢゃん゙!」」 「あ゙な゙がぼれ゙な゙い゙い゙い゙い゙!」 さっきまで喧嘩していたのに図々しく姉に頼ろうとするゆっくり。しかしそのせいで姉ゆっくりは穴が掘れず、最後の希望も潰えてしまった。 追いついた水に三匹仲良く流される。 「「「い゙や゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!!」」」 三匹の悲鳴はそれが最後だった。後は少しばかりぼこぼこと空気の音がしたが、それも終わると後は静寂が残った。 ふと、踏みつけていたゆっくりの反応がないので足元を見ると、先ほどの事実に耐えられなかったのか紅白饅頭のように白くなっていた。 持ちあげると口を開け白目をむいたままだったので軽く打つ。 しかしまったく反応がないのでとりあえず木に吊るしてその場を離れる。夜になればれみりゃにでも食べられているだろう。 埋めた入り口まで戻り、逃げてないことを確認し、この場を離れる。 ポンプの故障ではなかったことに安堵し、畑までポンプを戻す。 次からこのようなことがないように罠を仕掛けたほうがいいかなと思った。 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/156.html
ゆっくり魔理沙はご満悦だった。 今までお友達のゆっくり霊夢たちと思う存分ゆっくりしていたからだ。 日があるうちはぽかぽかとしたお日様の下で草原を走り回り、蝶々を追いかけばったと一緒に飛び跳ねる。 お腹が空いたら蝶々やばったを食べたり花の蜜を吸ったりした。 夜はゆっくり霊夢たちの巣で、夜通しゆっくりとおしゃべりに興じたり、星を眺めて眠ったりした。 この数日間は、ゆっくり魔理沙にとって本当に幸せな日々だった。 もっとゆっくりできるといいなと思いながら、ゆっくり魔理沙は自分の巣に戻ることにした。 お友達のゆっくり霊夢たちは、もっとゆっくりしてほしそうだったが、たまには別のゆっくりをしたくなるのだ。 「ゆっくりしていってね!」 おおよそ四日ぶりに巣に戻るゆっくり魔理沙。 その巣は落雷で死んだ木の洞だ。 ゆっくり魔理沙一匹には広すぎるが、自分が気に入ったものを並べたりできるから、そこはまさに楽園だった。 巣の周りには緑鮮やかな木々が立ち並んでおり、草も豊富で色とりどりの花々が思い思いに咲き誇っている。 そばには川も流れていて、そこで暮らしている限りゆっくり出来ないことなどないと思える。 大勢でゆっくりするのもいいが、一人でゆっくりするのもまたいい。 ゆっくり魔理沙は久しぶりにするそれに、期待で目をぎらぎらさせながら飛び跳ねていた。 鼻息も荒く、興奮で頬ははちきれんばかりにふくらみ、いつも以上に赤らんでいる。 焼け焦げが目立つ折れた木が見えてきた。 そこには四匹のゆっくり魔理沙たちがいた。群れのようだ。みな微笑みながらゆっくりしている。じつに楽しそうだ。 同種のゆっくり同士には、基本的に縄張りの意識はない。 だから帰ってきたゆっくり魔理沙は元気よくその群れに飛び込み一声あげた。いつもどおりの鳴き声だ。 「ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしていってね!」 次々と聞こえるそれはやまびこのようだった。 帰ってきたゆっくり魔理沙は手近なところにいた中くらいの、と言っても帰ってきたゆっくり魔理沙と同じくらいのゆっくり魔理沙にほお擦りをした。 「ゆぅ~」 「ゆゆゆ」 気持ちよさそうな声をあげて親愛の情を返す中ゆっくり魔理沙。 その様子を微笑ましそうに見ている群れの長だろう大ゆっくり魔理沙。これは帰ってきたゆっくり魔理沙よりも一回り大きい。 明らかに繁殖経験ゆっくりだ。きっと群れの仲間はこれの子供たちなのだろう。 しばらく五匹でゆっくりしていたが、小さな声が聞こえてきた。 「おかーさーん、ゆっくりしようね!」 「しよーしよー!」 「ゆーゆー!」 大きな木の洞から小さなゆっくり魔理沙が三匹でてきた。中ゆっくり魔理沙よりも一回り小さいそれらは、今まで眠っていたのか大きなあくびをしている。 「ゆゆっ!?」 帰ってきたゆっくり魔理沙は戸惑いの声をあげた。 今、小ゆっくり魔理沙たちが出てきた見覚えのある洞は、自分の巣ではないか? そんな疑問を抱いたゆっくり魔理沙をよそに、小ゆっくり魔理沙たちは大ゆっくり魔理沙に頬をこすられて気持ちよさそうにしている。 「ゆゆゆゆっ!?」 いぶかしげな顔をしながら、ゆっくりと巣に近づいて、中の様子を探るゆっくり魔理沙。 「ゆ゛っ!?」 中は酷い有様だった。ゆっくり魔理沙が集めた宝物の鳥の頭蓋骨は粉々に砕かれていてもはや白い残骸だ。 布団代わりに敷き詰めた草は半分以上がむさぼられていたし、後で食べようととっておいた桃はどこにもなく、代わりに食べかけのカボチャがでんと置かれていた。 なかでも一番嫌だったのが、巣の中から自分の臭いがまったくしないのに、それとは違うゆっくりの臭いがしていることだった。 急にゆっくり魔理沙の頭に餡子が上る。 その視線の先には飛び跳ねている小ゆっくり魔理沙の姿があった。 「ゆぅううーーーっ!」 跳躍し、小ゆっくり魔理沙の一匹に体当たりする。 「ゆぎゃっ!!」 吹っ飛ばされ転がる小ゆっくり魔理沙。 続いて他の小ゆっくり魔理沙を弾き飛ばそうとするが、それは出来なかった。中ゆっくり魔理沙が思い切り体当たりしてきたのだ。 「なにするのー!」 「ゆぐっ!」 家族を攻撃されて、こちらも頭に餡子が上った中ゆっくり魔理沙。威嚇なのか「ぷんぷん!」といいながら帽子のリボンをひときわ大きく広げている。 他の中ゆっくり魔理沙も無言でにじりよってくる。 弾かれた小ゆっくり魔理沙は、ほかの小ゆっくり魔理沙たちと一緒に、大ゆっくり魔理沙にすりよって慰められていた。 体勢を立て直したゆっくり魔理沙は、その場で勢いよく飛び跳ねて声高に訴える。 「ゆっゆっ!わるいのはそいつらだよっ!」 「わるくないよっ!まりさたちはいいものだよっ!!」 すぐさま言い返す中ゆっくり魔理沙。リボンはまだ大きい。 言い合いは続く。他の中ゆっくり魔理沙もそれに混じる。 「ゆぅ~、ここはまりさのおうちなのっ!ゆっくりしないでね!」 「なにいってるの?ここはまりさたちのおうちだよ!!!」 「ちーがーうーの~!まりさのおうちなの~~!いいからさっさとでてってね!!」 「いやだよ!ここはまりさたちがゆっくりするおうちだよ!!」 「ちがうもん!ちがうもん!!はやくでてけっ!」 地団太を踏むように小刻みに跳ね続け、顔を真っ赤に染めてゆっくりしないで叫ぶゆっくり魔理沙。 中ゆっくり魔理沙たちは、そんな様子を餡子が腐ったようなものを見る目でみつめている。 「ここはまりさたちがみつけたんだよ!」 「まりさたちのおうちだもん!ゆっくりしないでさっさとどっかいってね!!」 「はやくきえてね!まりさたちはゆっくりするから!」 「「「ばーかばーか!うそつきー!どっかいけ!!かえれー!!!」」」 ゆっくり魔理沙は三匹に立て続けに言われてとうとう怒ったのか思い切り飛び掛った。 「いいからさっさとでてくのーーー!」 体当たりされて転がる中ゆっくり魔理沙。それを見て勝ち誇るように鼻で笑うゆっくり魔理沙。 「なにするのーッ!!!」 「ゆ゛ッ」 同時に重い音とともに潰されるゆっくり魔理沙。大ゆっくり魔理沙が飛び乗ったのだ。 すぐさま中ゆっくり魔理沙のもとへと跳ねよる大ゆっくり魔理沙。だが中ゆっくり魔理沙は大丈夫だと言うように跳ねている。 そのままゆっくり魔理沙へと向かう。 「ゆ~~」 体を起こすと、ゆっくり魔理沙は中ゆっくり魔理沙に囲まれていた。いや中ゆっくり魔理沙だけではない、六匹の群れが全員でゆっくり魔理沙を取り囲んでいるのだ。 ゆっくり見渡したところ、逃げられるような余裕はなかった。とたんにきょろきょろと慌てるゆっくり魔理沙。 「ゆっゆっゆっ?」 なぜ囲まれているのかゆっくり魔理沙には理解できない。自分はただ、自分の巣でゆっくりしたかっただけなのだ。 「ゆー!」 べよん。 小ゆっくり魔理沙が体当たりする。少し痛かったが、すぐにしかえそうとするゆっくり魔理沙。 しかし逆側からも体当たりされる。 「ゆぅっ!!」 そちらを向く。 すると背中に衝撃が。 「ゆぐっ!?」 ほどなくゆっくりリンチが始まった。 大ゆっくり魔理沙がのっかり攻撃し思い切り飛び跳ねる。 まわりで中ゆっくり魔理沙は三方向から勢いよく体当たりをする。 その隙間からは小ゆっくり魔理沙が噛み付いているのが見える。 みんな思い思いの方法で、ゆっくり魔理沙に暴行を加えている。 ゆっくり魔理沙は最初こそ反抗的だったが、ものの数秒もしないうちに号泣し、命乞いの声をあげていた。 しかし群れの攻撃はやむどころか弱まる気配すらない。ぼこぼこぼこぼこといい音がしている。 それに混じる悲鳴や泣き声。なにかが飛び出る音。 「ゆっゆ゛っゆっゆ゛っゆっゆ゛っ!!!」 「いや゛っ!いや゛っ!よじでっ!びゅっ!」 「ぐるぢいよ!だぢでっ!やべでぇっ!!だぢでよおおお!!!」 「どお゛じでごん゛な゛ごどずる゛の゛ぉ゛お゛ぉ゛!?」 「い゛や゛ぁあ゛ぁぁぁ゛ぁ゛ぁあ゛ぁ゛ぁぁぁ」 「も゛う゛や゛め゛て゛ね゛っ゛!」 「い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛」 「ゆ゛っぐり゛じだい゛よ゛ぅ」 「ゆ゛……っぐり゛……ざぜ……でぇ……ぜっぜっ」 「……ッ!……ぅっ!!…………っ」 ぴくぴくと動くゆっくり魔理沙のようなもの。 それは涙と鼻水、よだれや泥で汚れきっており、餡子まみれで帽子もこれ以上ないほどによれて、ところどころに噛み跡が見える。 もはや虫の息でゆっくりとしているゆっくり魔理沙。 「ゆっ!」 仕上げとばかりに大ゆっくり魔理沙はそれに思い切り体当たりをする。 餡子を撒き散らしながら声もなく転げていくそれを追いかける三匹の中ゆっくり魔理沙たち。 それは近くの川岸でゆっくりと止まった。 その様子に明らかに不満顔で膨れていく三匹。顔を見合わせると、何かを決めたように頷く。 「「「ゆぅ~う~うぅ~っ!!!」」」 声を合わせて、三匹は汚れたゆっくり魔理沙を川に投げ入れてやった。 「「「ゆっくりしんでね!」」」 汚れたゆっくり魔理沙が川をゆっくりと流れていく様子を、げらげらげらげらという笑い声が見送っていた。 ぶくぶくと泡をだしながらゆっくりと薄れていく意識の中でゆっくり魔理沙は思った。 こんなことならゆっくり霊夢たちの巣でもっとゆっくりしてればよかった……と。 おわり。 著:Hey!胡乱
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/459.html
「奇形ゆっくり2」 ※奇形はあまりメインじゃないです。 ここのところ晴れの日が続き、草原の雪は完全に融けきっていた。 本格的な春の訪れに心を躍らすのは、何も人間だけではない。 今までまばらだったゆっくりの数も、最近になって増え始めた。 待ち望んでいた春を味わおうと、巣から一斉に出てきたのだろう。 「ゆっくりしていってね!!」 僕の耳に入るのは、“ゆっくり”と呼ばれる饅頭生物の本能に刻まれた、定番の台詞である。 「あたたかいね!!みんなでゆっくりしようね!!」 「わかるよー!!ゆっくりするよー!!」 「せっかくだから、とくべつにゆっくりしてあげてもいいよ!!」 「私は別に強さをアッピルなどしてはいない私を強いと感じてしまっているやつは以下略」 「ダリナンダ!オデノジャバヲズルノバ!」 たまにゆっくりっぽくない声も聞こえるが、この草原には僕を除けばゆっくりしかいない。 それにしても、ゆっくりって…こんなにたくさんの種類があるんだな。 ポ○ケモン図鑑みたいに、ゆっくり図鑑とか作ってみたら面白いかもしれない。 「おにーさんもゆっくりしていってね!!」 「はいはい、ゆっくりゆっくり(笑)」 と、出会うゆっくりはみな僕に話しかけてくるので、適当に返しておく。 そんなことをしばらく続けながら草原を歩き回り、10分ぐらい経っただろうか… 突然、周りのゆっくりがざわめき始めた。 「ゆ!!あのことはゆっくりできないよ!!ゆっくりどっかいってね!!」 「こっちにこないでね!!きたないのがうつるからこないでね!!」 「そんなきもちわるいれいむとはゆっくりできないよ!!」 よく聞いていると、どうやらゆっくりたちにとって“ゆっくりできない”ゆっくりがいるらしい。 それはれいむ種で、『きたない』とか『きもちわるい』とか、そういう言葉で罵倒されていた。 僕はそいつがどこにいるのか探してみたのだが… 「…ゆぅ!……ゆぅ!!」 こちらに向かって弾んでくる、一匹のゆっくり。おそらくこいつだ。 周りのゆっくりが離れていくので、必然的にそいつが一匹ぽつんと取り残されることになるから見つけやす かった。 …見たところ、そいつは普通のゆっくりれいむである。 大きさからすると成体でリボンもちゃんとついているから、そういった点では至って普通だった。 ただ、他のゆっくりから攻撃を受けたのか、破れた皮が塞がった後が多数残っている。 しかし、普通ではない点は…他にあったのである。 「ゆ!いまだしてあげるからまっててね!」 ぺっ、とれいむが吐き出したのは、2匹の子ゆっくり。子れいむと子まりさだった。 子ゆっくりと言えば、『ゆっくりちていってね!』などと声を上げながら跳ね回るのが普通なのだが、この 二匹の子ゆっくりは…口から吐き出された衝撃でぼよんぼよん震えたと思ったら、それ以上何の動きも示さ なかった。 「ゆ!ゆ!ゆっくりうごいてね!!ゆっくりはねてね!!」 母れいむが心配そうな顔をして、後ろからぐいぐいと子ゆっくりを押している。 それでも、子ゆっくりたちはコロコロ転がるだけで…自力で跳ねようとはしなかった。 「ゆぎゅ!!やっぱりだめだよ!うごけないよ!」 「うううぅぅぅぅ…!どうして!?どうしてまりさはうごけないの!? みんなといっしょにゆっくりしたいよ!!!」 そう、こいつらは自力ではまったく動くことができないのだ。 どうやら…この2匹の子ゆっくりは、“奇形ゆっくり”らしい。 人間でも同じことが起こる様に、ゆっくりの場合も妊娠中に有害な物質を多量に摂取することで、奇形児が 生まれる確率が上がるらしい。 そんな話を、加工所の図書室で読んだことがある。 「ゆゆゆ…!!どうして!!どうしてうごかないのおおおおお!?」 母れいむもどうしていいのか分からず、喚き散らすだけだ。 この後何が起こるのか気になって、木の陰に隠れて様子を見ることにする。 「ゆゅゅ……………!!」 母れいむは、視線を下に向けて何か考えているらしい。 餡子脳で何を考えられるというのだろうか? そして、パッとひらめいた様な顔をすると… 「ゆぎゅう!!!こんなのれいむのこどもじゃないよ!!ゆっくりしね!!」 不安は消し飛び、いつものゆっくりらしい笑顔で2匹の子供を押しつぶし始めた。 「ゆぎゃあああああああああ!!おがーぢゃんやめでよおおおおおおおお!!!」 「まりざをごろざないでえええええええ!!ゆっぐりざぜでええええええ!!!」 なんて酷い親だ。こいつ…自分の子供を殺そうとしてるぞ…! 「こんなぶきみなこどもとはゆっくりできないよ!!ゆっくりあのよにいってね!!」 「れいむもゆっぐりずるがらああああああ!!おがーじゃんといっじょにゆっぐりいいいいぃぃぃ!!!」 「いっじょにゆっぐりじようよおおおおおおおおお!!??」 母れいむは自分の子供を下敷きにしたまま、何度も何度も跳ね続けた。 落下してくる母れいむに踏み潰され、何度も何度も口から餡子を吐き出す子ゆっくりたち。 逃げたくても、生まれつき動けないためどんなに頑張っても逃げることは出来ない。 自力で出来ることなど何一つない子ゆっくり達にとって、母がすべてなのだというのに… 生れ落ちたとき、動けずに泣き喚いている自分を励ましてくれた母ゆっくり。 自分では何も出来ないから、取ってきた餌を口移しで食べさせてくれる母ゆっくり。 そんな。そんな母ゆっくりによって。殺されようとしている。 今、唯一のよりどころであった母親によって、殺されようとしているのだ。 「いだいよおおおおおお!!ゆっぐりじだいよおおおおおおおおー!!!」 「もうやめでえええええ!!じにだぐないよおおおおおおおお!!!?ぶぎゅえ!!??」 皮の裂け目からも、餡子が漏れ出した。 どすんどすん、テンポよく餡子を吹き出す子ゆっくり2匹。 そして…2匹の悲鳴が聞こえなくなると、母れいむは跳びはねるのを止めた。 「これでやっとみんなとゆっくりできるよ!!」 迫害の原因となっていた子供を殺すことによって、自分だけでもゆっくりしようってか。 ゆっくりのこととはいえ、なんだか腹が立ってきたぞ。 「みんなー!!いっしょにゆっくりしようね!!」 「ちょっと待った!」 去っていった他のゆっくりのところへ行こうとする“元”母れいむ。 僕が目の前に立ちはだかると、先ほどの陰気くさい顔はどこへやら。 満面の笑みで、例の台詞。 「おにーさんも、ゆっくりしていってね!!」 「はいはいっと。それよりもれいむ、あれはなんだい?」 そう言って、僕は子ゆっくりだったモノを指差す。 途端、不機嫌そうな顔に早変わり。不満を口にし始めた。 「しらないよ!!あんなかわいくないばっちぃのしらないよ!!」 「でも見てたんだよね、お兄さん。君が自分の子供を潰してたの」 「ゆ!?だってばっちぃあかちゃんがいるとゆっくりできないんだもん!! でも、あかちゃんがしねばれいむはゆっくりできるよ!!おにーさんもゆっくりしていってね!!」 などとへらへら笑いながら言うものだから、僕の怒りが有頂天になった。 「へぇ~そうかそうか。自分がゆっくりするために、赤ちゃんを殺しちゃうんだぁ」 「そうだよ!!あのこたちのせいで、いままでぜんぜんゆっくりできなかったよ!!」 ぷんぷん、と怒ってみせるれいむ。 僕はハンドボール大のそいつを掴みあげると、皮が破れない程度に強く締め付け始めた。 「ゆぎゃあああああああああああああ!!!はなぢでええええええええええええええ!!」 顔がひょうたんみたいに歪んでいる。 ちょっと和んだが、まだまだ僕の怒りはおさまることを知らない。 少しばかり締め付けを緩めてやると… 「ゆ゛っ!おにーさんとはゆっくりできないよ!!れいむをゆっくりはなしてね゛っぎゅあああああ!?」 「え?なんか言った?」 聞こえないフリをして、再び締め上げる。 「や゛っめ゛っ…!!…ゆっぐりでぎなび…ゆッぐりざぜでよおおおおおおおおお!!!!」 「そういった赤ちゃんに、お前はなんて答えたの?」 「ゆ゛っ!!??」 信じられないほど小さい記憶容量を誇る餡子脳。 それでも、数分前の出来事…数分前の自分の発言ぐらいは、覚えているはずである。 「ねぇ?なんて答えたの?『ゆっくりさせて!』って叫ぶ赤ちゃんに、お前はなんて言ったの?」 「ゆぐっ!!!」 一瞬強く締め付けると、れいむは痛みに声を漏らした。 瀕死の赤ちゃんに、嬉々としてぶつけた言葉。忘れるわけがないよな? 嬉しかったんだよなぁ?忌々しい奇形ゆっくりとさよならできたことが。 だったら忘れるわけないよな。ゆっくりの餡子脳は、楽しいことはしっかり覚えてるんだから。 「ねぇ?『しにたくない!』って叫んでた赤ちゃんに、お前はなんて言ったっけ?」 「ゆ…“ゆっくりしね”…?」 「うんうん!!他には!?」 と言いながら、締め上げる力を強くしていく。 “言わなければ死ぬ”という脅迫めいたものを感じたれいむは、素直に記憶をたどる。 「早く教えてよー!『いっしょにゆっくりしよう!』って言った赤ちゃんに、お前さまは何とおっしゃった のですか?」 「ゆ…“ゆっくりあのよにいってね”…うわあああああ゛あ゛あ゛あ゛!!」 「そうでーす!正解でーす!だからそっくりそのままお返ししまーす!!」 徐々に締め上げる力を加えていく。 まだ、皮が破れて餡子が漏れるには至らない。 「やめでえええええ゛え゛え゛え゛!!じにだくないよおおおお゛お゛お゛お゛!!!」 「えー!?こんな不気味なゆっくりとはゆっくり出来ないよ!!ゆっくりしね!!」 「ぶぎみじゃないいいいいいい!!!れいむはがわいいのおおおおおおおおおおおお゛お゛お゛!!!」 命の危険が迫ってるのに、まずそこを否定するのか。餡子脳の神秘を垣間見たよ。 「こんなの可愛いゆっくりじゃないよ!!ゆっくりあの世に逝ってね!!」 「いやだああああああ゛あ゛あ゛!!!だじげでえええええ゛え゛え゛え゛!!!」 「え?死にたくないの?しょうがないなあ。じゃあ、何でも言うこと聞くなら助けてあげる」 「ぎぐ!!ぎぎまず!!だがらだずげで!!ごろざないでえええ゛え゛え゛え゛!!」 「ほいっと!!」 締め付ける力を一気に緩めると、れいむはぶるんと震えてそのまま地面に落ちた。 涙を流しながら僕のほうを見て頭(体)を下げて謝っている。 「ごめ゛んなざい!!もういいま゛ぜんがらゆずじでぐだじゃい゛!!」 「はいはい、許す許す(笑)…ただしさっきも言ったとおり、言うことを聞いたら、だけど」 恐る恐る、僕の表情を窺うれいむ。 僕がれいむに要求したのは… 「そのリボンかわいいね。僕がそれを貰うよ」 その瞬間、れいむは最高に笑える表情をしてくれた。 (終) ゆっくりいじめ系206 奇形ゆっくり3~ゆっくりバッジ~ あとがき 『奇形ゆっくり』の続きってことにしてくれてもいいし、別物ってことでもいいです。 最初奇形ゆっくりに対する迫害を書こうとしてたら、いつの間にかIKEMENのお兄さんが言葉攻めしてた!! 不思議だね!! 前作より短くまとまったね!!よかったね!! 最後に、いつの日か聞かれそうな質問に前もって答えておきます。 Q.どうしてゆっくりっぽい変な口調で言葉攻めをするのですか? A.趣味。 作:避妊ありすの人 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/373.html
森から山から大量のゆっくり達をトラックに積める。 「おじさん!!どこにいくの!?」 「ここはくらいよ!!あくるくしてよ!!」 「まりさたちをゆっくりだしてね!!!」 トラックからはゆっくりたちの声が耐えない。 本当、近所迷惑この上無い。 俺はゆっくりを無視しトラックを走らせた。 「お、来たか」 暫くしてゆっくりを乗せたトラックは馬鹿でかい、しかし人通りは無いホテルに到着した。 「随分と早かったじゃないか。3時間も前だぞ?」 その男は随分と驚いていたようだ。 「ええ、準備の時間等を考えるとこのくらいが良いかと・・・悪いことをしたでしょうか・・・」 「いやむしろ好都合だよ。礼としてとっておきたまえ」 俺は封筒を渡される。中には随分と入っているようだ。 「あの・・・申し訳ありませんが、これはお返しします」 「何?」 「その代わり、私もこのイベント、ご一緒してもいいでしょうか?」 男はくすりと笑い、 「構わんよ。しかしその服装ではなんだ、ちゃんとした服を用意してあげるから来なさい、ゆっくり達は部下に運ばせよう」 「あ・・・ありがとうございます!」 俺はトラックから自分の荷物を下ろすと男についていった。 「遅くなりました、着慣れない服だったので・・・」 「ん、大丈夫だ、まだ開催まで時間はある。ゆっくりしていくといい」 見ると舞台の準備は既に終わっているようだ。周りの席にはいかにも富豪な御方がワイン片手に悠々としている。 「しかし・・・いいんですか。俺みたいなのが特等席だなんて・・・」 男はふふっと笑い、 「いや、君みたいなのだからこそ、だ。君はこの方々とはきっと話が合わないだろう、私なりの配慮だ」 「はぁ・・・ありがとうございます」 男なりの配慮。 確かに富豪の人と俺の生活はかけ離れているだろうし、会話の内容もかみ合わないに決まってる。 俺は素直に男の配慮が嬉しかった。 「よし、ではそろそろ始めようか・・・」 そう言うと男は立ち上がり、マイクを手に取る。 「えー皆様、本日は貴重な時間を割いて本会場へ御来場いただき、誠にありがとうございます。」 周りの人々は軽く会釈する。どうやらこの男、相当上の立場の人間のようだ。その後も暫く男の挨拶は続く。 「では、これよりゆっくり競馬を始めます」 その宣言を合図に俺の下の階、1階ホールの上に設けられた大きい台の上にゆっくりが投下されていく。 「ゆゆ!!?やっとあかるくなったよ!!!」 「ゆ!!!?おじさん、おばさんたちだぁれ?ゆっくりできる?」 「ここひろーい!!ここをれいむたちのおうちにしようよ!!」 「そうするー!ここならゆっくりできるね!!」 一気に会場が騒がしくなる。俺は顔をしかめるが、他の人は平然としている。前々から行っているためもう平気なのだろうか。 「えー、まずは聞けゆっくり達。お前達には今から少しお遊びをしてもらう。」 男がそう言うとゆっくり達は更にさわがしくなる。 「ゆ!?いまからあそぶの?」 「ゆっくりあそぼうね!!」 男は騒々しいゆっくりたちの声を軽く流して説明に入った。 「いいかよく聞けゆっくり達よ。今からお前達に向こうの台まで渡ってもらう。奥のゴールまで辿り着けば美味しいお菓子をやろう」 ゆっくり達の前には板があった。板といってもそれなりの強度はあるようだが。 「ゆゆぅ!!?おかし!まりさおかしたべたい!」 「れいむたちもたべたい!おじさんゆっくりたべさせてね!」 「ゅー♪」 ゆっくり達はお菓子という単語を聞いた途端全員が満面の笑みでこちらを見てきた。 目の前にある恐怖を知りもせずに。 「ほう、元気なゆっくり達だな。この板は1匹ずつしか渡れないくらいしか幅が無い。慎重にいくことだな。」 「「おかしおかしー♪」」 中の二匹は威勢よく橋を渡っていく。 「ゆ!?ずるいよ!おかしをひとりじめしようとしてもだめだからね!!」 それに伴い4,5匹も橋を渡る。 更にそれに伴って全てのゆっくりが橋をわたりそうだが、その前に事は起こった。 「ゅ”っ!!?」 先頭のゆっくりまりさが板から転落する。 「ゆぅっ!!?まりさ・・・!?」 その板から下までは20m。人間が落ちても打ち所が悪ければ重傷を負う可能性もある高さだ。 当然、饅頭であるゆっくりが落ちた先に待っている運命は――― ベチョッ 「まりざぁああぁああ!!!」 潰れるしかない。人間のように「打ち所が良ければ助かる」なんてことはない。ゆっくりは全てが急所なのだ。 そして潰れたまりさを見て他のゆっくりも泣き喚く。 「まりざあぁぁああ”あ”あ”!!!しんぢゃいやあぁあああ!!」 「なんでおぢだのぉおおぉおおぉぉぉ!!!!」 しかしその中の一匹が違う言葉で泣き喚いた。 「あんな”ふう”になりだぐない!!ここからもどるよ!!!!」 板に乗ってしまっていたゆっくりだった。一度渡った板からさっきまでいた所に戻ると言い出したのだ。 「ゆゆっ!!そうだね!おちなきゃいいんだもんね!!!!」 他の板を渡ったゆっくりも賛同して引き返そうとする。 しかし、ゆっくりは人間のように二本足があるわけではない。 ゆっくりの方向転換は最低でも自分の体のもう一つ分くらいのスペースが横に無いと成し得ない。 それを考えずに方向転換しようとしたゆっくりは、 「ゅっ!!!」 落下。 1匹を残して板を渡った他のゆっくりは、全て落下してしまった。 「どおじでもどれn」 「どおじでおぢd」 悲鳴は途中でかき消される。全て言う前に落ちて潰れてしまった。 「うひゃー、すごいですねこれ。やっぱりゆっくりって馬鹿ですね」 俺はこれほど愉快なことは無かった。 前々からゆっくりは気に入らない所があったし。 「なぁに、こんなのは序の口。これから更に面白くなるさ。」 板に残ったのは1匹だけ。その1匹は地に着いたまま方向転換するのではなく、一回飛んで半回転するという技を成し得た。 「ゆ!!これでゆっくりもどれるね!!」 なかなか頭がいいのかもしれん。このゆっくり。 そしてそのゆっくりはゆっくりと元いた場所へと戻った。 「おじさん!!!そんなところでみてないでさっさとたすけてね!」」 「そーだそーだ!おうちかえる!!」 「はやくおかしちょうだいね!!!」 台に残ったゆっくりたちはさまざまな文句を浴びせてくる。 しかし男は笑っている。嘲笑という笑いを。 「おいおい・・・、何故渡らない?後ろの恐怖に気が付かないのか・・・?」 「ゆっ・・・?」 「おい、カーテンを開けろ」 男がそう言うと係員の黒服がゆっくりたちの後ろにあるカーテンを開く。 そこには柵で遮られたゆっくりゃの大群が涎を垂らして待っていた。 「うー♪たーべちゃーうぞー♪」 「うびゃあぁあぁあああぁぁあ!!!おがああぁああざぁあああん!!!」 「その柵が開くのは今から25分後!あちら側に辿り着けばお前らをゆっくりゃから隔離してやる。渡り着いた者はお菓子を食べられる。渡らない者はゆっくりゃに食べられる。」 そして最後に男は力強く言い放つ。 「放たれよっ・・・・・・・・・!勇ましいゆっくりたちの道・・・・・・・・・!Brave men roadへ・・・・!」 男の一言はほとんど届かなかった。 ほとんどのゆっくりは泣き喚いていて話を聞くどころではなかった。 一部「ざわ・・・ざわ・・・」などと意味の分からない言葉を放つゆっくりもいたが。 「いやぁあああ!!わたりたくない!!でもたべられだぐないぃいいいぃいい!!!!」 「それは無理だ。お前らに残された運命は渡って食べるか、渡って落ちるか、渡らず食べられるか、この3択しかない。」 「ならわだるぅ!!だべられだぐなぃいいぃい!!」 「いや"あ”ぁ”ぁ”あ”あ”!!!!!!」 ほとんどのゆっくりは泣く泣く板を渡っていく。 勿論そこからこぼれて落ちてしまったりバランスを崩して落ちてしまうゆっくりが少しずつ出てきた。 俺達側の人間はそれを肴にしワインを飲んでいた。 しかし、台の上に4匹ゆっくりが残っていた。 「おじさん」 その中の一匹が男に冷静な口調で話しかけてきた。 「・・・なんだ」 「このおあそび・・・そこのいたをのぼれとはいってないよね」 その発言に他の3匹も頷く。 何を言い出すんだ、このゆっくりたちは。 「・・・ああ。向こうの台まで辿り着きさえすればOKだ。問題ない」 ああっ・・・!!! なるほど、確かにそうだ・・・!!! さっきの説明でも男は『そこにある板を渡れ』とは言っていない・・・っ!!! そのゆっくりに負けた感じがして俺は猛烈に腹が立った。 しかし、周りに向こうまでたどり着けるような足場は無いように思えた。 しかし、その4匹はとんでもない足場を渡っていった・・・!!! ざわ・・・ざわざわ・・・ざわぁ・・・ざわ・・・ざわ・・・ 次回、『襲撃』・・・・・・・・・っ!!! _____________________________________________________ あとがき なんかもう色々とごめん お詫びのワンシーン 「おじさんたちとはゆっくりできないよ!ゆっくりしね!!!」 「おお、こわいこわい。しかし人間様に逆らうゆっくりには仕置きが必要だ・・・」 「ゆっ!!?なにするの!?ゆっくりはなしてね!」 「ふふふ・・・ゆっくりよ、これを見るがいい」 「これなぁに!!?とってもあつそうだよ!!さっさとれいむをはなしてね!!!」 「はなしてやるとも、そぉい」 「ゆ”っ!!?あついあつい!!ごごぢがうよ”ぉおぉおぉお!!!」 「さぁそこに顔をつけろ!!!そしてごめんなさいと10回言え!!!そうすれば助けてやる!!」 「ぎゅうぅううぅううぅぅぅうう!!!・・・!!!???--っ!!っー!!!!」 「まぁつけたらつけたで顔が焼け付いちゃって何も言えなくなるけどね」 さーせん このSSに感想を付ける