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「おい、起きな」 ガン!とルイズのベッドを蹴り飛ばす。しかしルイズは起きない。 ガン!もう一度、更に強く蹴り飛ばす。しかしルイズは目覚めない。 ドガン!更にもう一度、勢いをつけて蹴り飛ばす。しかしルイズは気付かない。 ベッドを蹴り飛ばしていた男の眼がスッと感情をなくす。 「クソガキ・・・このオレがわざわざ早起きまでして仕事をしてやってる ってェのによォォ~~」 ギアッチョの糸より細い堪忍袋の緒は音も立てずに切れた。 「ホワイト・アルバム」 ギアッチョがその言葉を口にした途端、ルイズの部屋は北極の海にでも 投げ込まれたかのように急激に冷え始めた。 ビシィッ! 窓が凍る。 ビシィィッ!壁が凍る。 ビシビシィッ!!絨毯が凍り、 ビキキキキッ!!シーツが凍り始めたところで、 「さ、さささ寒ッ!!?」 ルイズはようやく眼を覚ました。 「ようやくお目覚めかァ?お嬢様」 「なななななッ!何してんのよあんたはァーーーッ!!危うく二度と起きられ なくなるところだったじゃないッ!!」 「別にいいじゃあねーか そうなりゃ二度と早起きしなくて済むんだぜ それによォ これでおめーは『起きなきゃ殺される』って事が理解出来た わけだ 明日からはちゃんと目覚められるんじゃあねえか?ええおい」 ギアッチョの詭弁にもなっていない発言にルイズがブチキレかけた時―― バガンッ! ドアを開けたとは思えないような音を立ててキュルケが部屋に入ってきた。 「何やってるのよあなた達ッ!私の部屋まで凍り始めたわよッ!!」 「このお嬢様がいくら起こしても起きねェもんでよォォ~~ 手っ取り早く 起こす方法を取ったってェわけだ もう解除はしてある 安心しな」 勢いで飛び込んできたもののギアッチョは正直怖い。キュルケは怒りの 矛先をルイズに向けることにした。 「ああそう・・・それにしてもルイズあなた何歳よ?それとも睡眠に何か こだわりでもあるワケ?生死を賭けた状況になるまで起きないなんて そうそう出来ることじゃあないわよねぇ」 「うっ、うるさい!昨日は色々疲れてたのよ!」 昨日の礼を言うどころか罵倒で返してしまった。これだから私は、と ルイズは内心自分が情けなくなる。 「やれやれ、それじゃあ私は部屋に帰るわ。明日はこんなことになる 前に起きてよね」 そう言い残してキュルケは去って行った。 「ギアッチョ!あんたのせいよ!」ルイズはギアッチョをキッと睨む。 「あんたは今日から雑用だからね!まずは私の服を着替えさせてそれから ――、って!どこ行くのよッ!!」 ルイズが気付いた時にはギアッチョは既にどこかへ行ってしまった後だった。 「あのダサ眼鏡・・・どうやら使い魔としての自覚が足りないようね・・・! 私の従者としての立場を教育してやる必要があるわッ!!」 喉元過ぎればなんとやら。ギアッチョの呼び方があなたからあんたに戻って いることといい、どうやらルイズは昨日の恐怖をすっかり忘れ去って いるようだった。 あの後、結局ギアッチョは部屋に戻ってこなかった。ルイズの怒りは 収まらないようで、「せいぜい勝手に歩き回って朝食を食いっぱぐれれば いいんだわ!」と怒りもあらわに一人食堂に向かった。 食堂に入り、適当な場所を探していたルイズだが―― ドグシャアァ!! というおよそ食事をする場所では耳するはずのない音を聴いて振り返り。 そして奴を発見した。 ルイズ言うところのダサ眼鏡は―貴族専用の椅子にどっかりと鎮座し、 テーブルを殴りつけながらワケの分からないことを叫んでいた。 「テーブルマナーってよォォォ~~ イギリス式とフランス式で作法が 違うんだよォォォ~~~ スープの飲み方とかフォークの置き方とか よォーーーッ それって納得いくかァ~~?オイ? オレはぜーんぜん 納得いかねえ・・・ どういう事だッ!どういう事だよッ!クソッ!オレを ナメてんのかッ!一つに統一しろッ!ボケがッ!」 何度も殴られたテーブルは形が歪み始めたが、そんなことおかまいなしに ギアッチョは暴れ続けている。一方ルイズは、口の端を引きつらせたまま 完全に固まっていた。 数秒して我に返ったルイズが採った行動は、とにかくこの場から逃げる ことだった。「あいつが私の使い魔だってことがバレたら・・・!」と思うと ルイズの心臓は凍りつきそうだった。が、1秒後彼女の心臓は脆くも ブチ割れることになる。 「ああ~?ルイズじゃあねーか 遅ェぞご主人様よォォ~~!」 その瞬間食堂にある数十対の目が全てルイズに集まり―彼女は本気で 泣きたくなった。 「何やってんのよあんたはァーーーーーーッ!!!」 ルイズは激怒した。必ず、この横暴無比の使い魔を躾けねばならぬと決意 した。ルイズには裏社会の事がわからぬ。ルイズは、貴族のメイジである。 杖を振り、失敗を重ねて生きてきた。けれども無礼に対しては、人一倍に 敏感であった。 「見なさいよこれッ!テーブルがバキバキにヘコんじゃってるじゃないのよ! ああっ!?しかも貴族用の料理を平らげてる・・・食前の唱和すら始まって ないのに!!」 「ああ?何か悪かったかァ?こっちのルールはまだよく知らないもんでよォォ」 「このバカッ!周りを見なさいよ!誰一人食事をしてないのに待たなきゃ いけないってことがわからないの!?いやそれ以前にあんたの世界じゃ テーブルは殴り壊していいってルールでもあったわけ!?ええ!?」 物凄い剣幕である。しかも涙目。これにはギアッチョもちょっとだけ悪い事を した気分になった。 「そりゃあ悪かったな。ま・・・次からは気をつけるとするぜ」 しかしその余裕の態度が更にルイズの怒りを燃え上がらせる。 「・・・あんた 今から私の部屋を掃除してきなさい!それが終わったら 教室の掃除よ!授業が始まるまでにね!」 「ああ?」 「ご主人様には敬語を使いなさい!私が上!あんたは下よッ!!私の 事はルイズお嬢様と呼びなさい!そして常に私の後ろに控えていることッ! 良いわね!!」 そこまで言うと一瞬ギアッチョの眼が温度をなくしたように見えたが、ルイズ は負けじと睨み返した。 「・・・やれやれ 仕方ねえ・・・ 掃除をさせていただくぜェェ ルイズお嬢様 よォォー」 どうみても敬意はこもってなかったが、 「わ、解ればいいのよ!行きなさい!」 ルイズはとりあえず妥協することにした。なんだかんだでやっぱりギアッチョの 眼は怖かったようである。 前へ 戻る 次へ
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前ページ次ページゼロの使い魔人 …天を貫くかの様に高く掲げられた杖が、鋭く振り下ろされた。 果たして、この挙動を何十回繰り返しただろうか? ただ一心に呪を紡ぎ、 己が裡に在るだろう《力》を注ぎ、解き放つ。 だが……。それに応えるのは、只の土煙と爆音。そしてそれにも増して不快で自身を辱める、 男女入り交じった嘲弄の雨だった。 この日を迎えるにあたって、彼女は心身共に入念な準備を施し、不退転の決意を胸に臨んだ。 ――が、度重なる失敗と外野からの呵責無い悪罵、野次がもたらす、焦りと無力感は体力に集中力をも蝕み、 それらが相俟って、『もう後が無い』という事実を彼女に自覚させる。 揺らぐ身体と心に鞭打ち、天地全てに届けといわんばかりの声で、彼女は呪を構築し詠み上げた。 そして……。遂に「それ」が彼女の眼前に顕れた。 それ迄の爆発では無い。七色に煌く、姿見の様な物体が朧に浮かび、表面が波打つや、大きく渦を巻いた。 (や、やった…! 私にも出来…、いけない!) 反射的に浮かぶ歓喜を抑え、彼女は意識を前方の《門》へと傾注する。 もし、この機を逃してしまえば、今の自分が再度この《門》を開ける保証なぞ、一分も無いのだ。 手にした杖を握り直し、残された体力と気力の全てを託す。 「――さあ、来なさい! 我と命運を分かち合いし、半身よ…!!」 凛とした声が響き渡った瞬間。 叫びに応えるかの様に、《門》が一際強い輝きを発した瞬間。 砲弾の如き速度と勢いで、黒い塊が光の中から飛び出した。 「きゃ……!」 突然の事に、正面に立っていた少女は避けきれず弾かれ、その場に尻餅を付く。 彼女を撥ねても影の勢いは衰えず、更に数メイルを転がって近くの草むらに突っ込み、 それを薙ぎ倒した所で、やっと止まった。 ……したたかに打った腰の痛みも今は気にならない。 少女は立ち上がるや、自身の『成果』を確かめようと、蹲る影へと駆け寄る。 ――黒髪と黄色がかった肌。顔の半分は眼鏡に似ているが、ごつごつとした仮面じみた物体に覆れている。 見慣れぬ色形の衣服。その上にやたらポケットが付いた短衣を着込み、足下は頑丈そうなブーツ。 両手には細緻な彫物が施された、騎士が着用するような黄金色をした小手を填めていて、 又、すぐ近くには彼の荷物とおぼしき、濃緑色の袋と銃に似た細長い金属の塊が転がっていた。 ――角も無ければ羽も無く、腕が四本だったり、尻尾も見当たらない。 そして何よりも――杖を携えて無ければ、外套(マント)を纏ってもいない。 ――つまりは、平民。他の者達が得た様な、幻獣はおろか小動物ですらない、どうでもいい存在。 「…ミス・ヴァリエール。使い魔召喚の儀で、平民など呼んでどうするおつもり?」 「なんだい、成功したようでやっぱり失敗してらぁ!」 「さすがは“ゼロ”のルイズ! どこまでも俺たちの予想を裏切らないぜ!」 「しかも、出てきたのは平民だぜ平民! ま、あいつらしいちゃあ、あいつらしいけどね」 周囲を取り囲む人垣が、どっと笑い声を上げた。その中に気遣いや遠慮といった物は、一つとして無い。 否応無く恥辱と怒りを呼び起こされた少女の白皙の肌は、赫っと紅く染まる。 「ミスタ・コルベール!」 背後に控える中年の男性…この儀式を監督する、担当教師へと少女は向き直る。 「なんだね。ミス・ヴァリエール?」 「あの! もう一度、召喚をさせて下さい!」 「それは駄目だ。ミス・ヴァリエール」 訴え掛ける声は、すげなく拒絶される。 「これは決まりだからだよ。二年生に進級する際、君達は『使い魔』を召喚する。今、やっているとおりだ。 この儀により現れた『使い魔』で、今後の属性を固定し、それにより専門課程へと進むんだ。 一度呼び出した『使い魔』は変更する事は出来ない。何故なら、春の使い魔召喚は神聖な儀式だからだ。 好むと好まざるに関わらず、彼を使い魔とするしかない」 ――生存本能に衝き動かされたか、混濁しきった彼の意識は急速に形を整えていく。 それに伴い、神経、筋、腱、骨格、血流、氣脈…。バラけて、停滞していた機能が、 『緋勇龍麻』という人間を動かすべく、有機的に纏まり連携を取り始めた。 (か、は……) 僅かに息をつく。何処からか聞こえて来るのは、あの凄まじい断末魔じみた破壊音に変わって、 ヒトの声…しかも複数のだ…である。 若い女性らしいのと年配の男性…、それ以外にも、少なくない数の人間がいるのがわかる。 その時点で、今居るのはあの崩壊しつつあった遺跡では無く、何処か地上に出ている事は明らかだ。 (く…。地下で、あの鏡みたいなモノへと飛び込んでから、此処で寝転がっている迄に一体、何が、あったと…?) 一方で、全身の自己診断は既に終わっていた。 ――僥倖というべきか。全く未知の異変に巻き込まれたというのに、拙い怪我や異常等は感じられ無い。 逃げる時から稼働っ放しだったN.V.Gの電源を落として頭の上にずらすと、二日酔い にも似た頭痛に眉をしかめつつ、投げだされたままの四肢に力を送り、上体を起こす。 「――いは認められない。彼は…、ただの平民かも知れないが、呼び出された以上、君の『使い魔』 にならなければならない。古今東西、人を使い魔とした例は無いが、春の使い魔召喚の儀式 のルールはあらゆるルールに優先する。彼には君の使い魔となって貰わなくてはな」 「そんな……」 半分方禿げ上がった中年男性の前で、桃色がかった金髪の少女がうなだれるのが見えた。 「…そこの二人組。聞きたい事が有る。一体、此処は何処だ? お前達は、何者なんだ…?」 彼の当然ともいえる問い掛けは無視されたのか、手前にいた少女がこちらへと歩み寄って来る。 「…聞こえていないのか? お前達は誰だ? 何故こんな場所に、俺が居るというんだ?」 敵意や武器は無いようだが、警戒すべき何かを感じ、自然、彼の手は腰に下げた物へと伸びる。 「あーっ、もう! うるさいだけじゃなく、失礼な平民ね! いい? 言うのは一度だけよ。 ここは、ハルケギニア大陸のトリステイン王国。そして、伝統あるトリステイン魔法学院よ。 …後、これが一番大事な事だけど。私はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ヴァリエール。 あんたの主人となるべきメイジよ。覚えておきなさい!」 「な、に……?」 (トリステイン王国? 地名だけなら、ヨーロッパか何処かにありそうだが、仮にそうだとしても、 日本から此処迄の瞬間転移を行った上、着いた先はハルケギニア大陸!? しかも『魔法』学院だと!? 馬鹿な…!!) 経験上、大抵の異変、トンデモには耐性を備えていた龍麻だが、全く予想だにしない事態と地名や語句に 思考を掻き乱される、が…。それに気を取られたのが、彼の人生で二番目の不幸であった。 「……ラ・ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔と成せ」 気付けば、息がかかる程の距離にルイズと名乗った少女の顔がある。 「!?」 そのまま彼の唇に押し当てられる、柔らかく温かな触感。 「っ…!? いきなり何をするかっ!」 触れたのは一瞬。反射的に身を放した龍麻は、袖で口元を拭う。 「何って、『契約』に決まってるじゃない。…感謝しなさいよね。貴族にこんな事されるなんて、 普通は一生ないんだから」 「契約だと!? 何を勝手なこ…っっ!?」 言い終える前に、左手に感じた違和感に唇を噛む。 火傷…むしろ高圧電流に触れた様な熱と痺れが、左手を起点に全身を這い回る。 「ヴァリエールとか言ったな! 何が原因で、こうなった…っ!!」 「すぐ終わるわよ。あんたの身体に『使い魔のルーン』が刻まれているだけだもの」 言い返すよりも先に、『黄龍甲』の止め具を外すと、左手の状態を確かめる。 ――鈍色に光る、文字とも記号ともつかぬ代物。勿論、龍麻が持つトレジャーハンターとしての 知識の中にも、類似する物は全く存在しない。 (これは……!?) ふと、横から向けられた視線に気付く龍麻。 見れば、あの中年の男がまじまじと左手に刻まれたソレを注視している。 「ふむ…。珍しいルーンだな。少し調べてみるとしよう」 一人ごちると、龍麻達から背を向け、向こうに居並ぶ教え子達に声を掛ける。 「――これにて、儀式を終了する。さあ皆、教室に戻るぞ。遅れないように」 その身体が音も無く浮かび上がり、滑る様に宙を舞った所で驚愕の余り目を見開く。 「何っ!?」 これ迄、異能を宿す奇人、魔人、変人、化人、人外らを相手取り、無数の命の削り合いを演じて来た龍麻だが、こればかりは無い。 しかも後ろにいる、ルイズと名乗った少女の同窓と思しき、男女含めた集団も又、 当然の様に飛び上がり、一団となって動きだしたのだ。 その光景を片や呆然と、もう一方は憮然とした表情で見やる。 そして…。教師であるコルベールと、同級生一同が立ち去った後の草原に、龍麻とルイズだけが取り残された。 「――人が空を飛ぶのはいい。だが、それが『魔法』なんて代物によって成り立つ等と、 デタラメも此処に極まれりだな…!」 「なによ。メイジが飛ばなくてどうすんのよ」 「その発想自体がおかしいんだ。少なくとも、俺にとってはな…!」 目一杯主張する龍麻だが、ルイズは鼻にも掛けずに答える。 「あんたの考えなんてどうでもいいし、関係ないわ。ここは、魔法とそれを扱うメイジが全てに先立つ世界よ。 …そうだ。まだ、あんたの名前を聞いていなかったわね」 「…緋勇龍麻。ロゼッタ協会に籍を置く、トレジャーハンターだ」 仮の身分ではあるがな、と胸中で付け加えつつ、名乗る龍麻。 「そ。名前がわかった所はいいとして、取りあえず付いてきなさい。 今からあんたに申し渡しておくべき事が有るからね」 「…奇遇だな。俺からもアンタに対し、言いたい事と確かめたい事が山積しているからな」 近くに転がっていた、自分のバックパックと愛用のドイツ製突撃銃を拾い上げた龍麻は、負けじと言い返す。 互いに対する、敵意じみた警戒心と観察の視線を交わしつつ、黒髪の青年と桃色がかった 金髪の少女は取りあえずの目的地である、草原の先に有る白壁に囲まれた城塞を思わせる建物へと歩いて行った。 ――頭上をかすめ飛ぶ異郷人(メイジ)… 紅く輝く黄昏の陽… 異界を成り立たせる常識と法則… その日、召喚主は“従え!”と言った……。 前ページ次ページゼロの使い魔人
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『エースコンバット・ゼロ ザ・ベルカン・ウォー』(ACE COMBAT ZERO THE BELKAN WAR) より『片羽の妖精』ことラリー・フォルクを召喚 注、先人の二人様の文章を勝手に流用させて頂いています。問題がある場合は早急に削除します。 エースコンバット・ゼロの使い魔 一話
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ゼロの英雄奪還日記
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タイトルリスト ゼロの使い魔? 特徴 初期タイトルらしく、各色の特徴がそれぞれ満遍なく盛り込まれている。 集中が豊富で、その多くはめくれる枚数が少なくレストが必要で成功率は高くないが、成功時の見返りが大きい。 回収や回復などには恵まれている方だが、その一方で試行錯誤が伺えるカードが多く また初期タイトル故に全体的にパワーが低い傾向にあるため、盤面では常に苦戦を強いられる。 …というのは過去の話。 エクストラにより全体的な強化、特に課題とされていたパワーが大幅に強化された。 それどころか現環境においてトップクラスのパワーラインを持ち、他にも数多く優秀なカードが追加されたため昔とはもはや別タイトルと言っても過言ではない。 勿論豊富な集中や優秀な回収等は健在であり、ブースターでは効果を存分に発揮できなかった一部のカードも有用になった。 トップデッキ 【赤黄_両ルイズ早出し】 相思相愛 ルイズ、貴族の務め ルイズの各種LV3ルイズをLV2から展開する安定型。 元々強いと言われていた回収力に加え弱点とされていたパワーラインが大幅に強化され、特にLV2以降に強力な盤面を築くことが出来る。 回収に関しては多くのデッキに投入される人質救出作戦+無意識の力 ルイズの組み合わせが強力で、成功すれば2コストで2~3枚回収+疑似リフという大幅なアドバンテージを取ることが出来る パワーに関しては上記の通りLV2からLV3カードで前列を埋めるのが容易なことに加え、助太刀やカウンターと併用して使える気丈なサイトや集中の成功で実質2/0カウンターとなるディスペル発動!等が強力。 要注意カード 相思相愛 ルイズ この構築の最大の持ち味であるLV3ルイズその1。 CIP回復とCXシナジーを持ち、こちらはアンコールステップに1コスト1ディスカードのチェンジにより早出しできる。 チェンジ元である無意識の力 ルイズは擬似リフレッシュを搭載し、疑似リフのタイミングで《虚無》か《使い魔》を回収できる。 この際チェンジ先である相思相愛 ルイズを回収することにより確実にチェンジを行うことが可能で、控え室に相思相愛が無くとも手札に相思相愛が無くともチェンジが可能と有用である。 何より疑似リフ自体が集中が豊富なゼロ魔と相性が良いため、他構築でもセットでかなりの採用率を誇る。 CXシナジーはCX扉の1000バンプと合わせて自ターンにノンコスト4000バンプと、思い出から特徴《虚無》に1500パンプをかける途切れぬ想い サイトをリアニメイトする効果。 デッキのスペースの関係で後者の能力は採用せずに純粋に4000パンプで相手LV2~3アタッカーを踏みに行く為と、単純に扉として採用されることが多い。 貴族の務めルイズ このデッキのもう一つのLV3ルイズであり、前者に対してこちらは黄のカードである。 経験条件を満たすことにより恒常的にLV2で展開できる、このデッキにおける実質的なLV2アタッカー。 現状相手側がレベル置き場に介入できるカードが無いため妨害を受けることが無い。 経験達成に必要なカードも1/1バニラと2/1LV応援と採用に困らず、色も赤と黄で別れているため色事故の心配もない。 そして回収、サーチ両方豊富なゼロ魔ではクロックフェイズで経験要員をクロックに投げるのも比較的容易。 気丈なサイト 通称コロンビア。詳しくはカードイラスト参照。 他の特徴《魔法》のカードがフロントアタックされた時にこのカードを控え室に送ることで1500パンプできる自動効果を持つ。 リバースしていても効果を発動でき、 自身のサイズも5000とアタッカーとしても運用できる。 助太刀の計算を狂わせ、前列後列問わず盤面にプレッシャーを与えることが出来る器用なカード。 長女エレオノール 0/0青で「ルイズ」に相手ターン中1000パンプをかけることが出来るカード。 アタッカーがほぼルイズで統一されているLV2以降は勿論、聖国のルイズなど1LVまででもルイズ持ちの前列が多く、序盤から終盤まで腐ることのない優秀な一枚。 さらに上記の気丈なサイトと合わせて展開することにより、 自ターン中の突破が困難な盤面を構築されてしまう。 ディスペル発動! 3500パンプのカウンターイベント。 集中を兼ねていて成功するとによりこのカードがストックになる為、実質0コストカウンターにもなりうる。 失敗した場合も山札削りになり、トップ盛りをする相手にはメタカードにもなる。 また、上記のカード3種とレベル応援を組み合わせることにより、各種LV3ルイズが一般的な最大火力の屋根下をも返り討ちにすることができる。 ルイズ10000+コロンビア1500+エレオノール1000+ディスペル3500+レベル応援1500=17500 屋根下10000+起動効果2000+木山1500*2(3000)+CX2000=17000 理想のお部屋ルイズ 0/0 2000でストックが2枚以下なら0コスト以下を相討ちにする効果を持つ。 このカードの注目すべき点は参照するのがレベルではなくコストため、1/0相手にも相討ちが取れる。 その為相手に先上がりさせてもシステムカードなどで潰せず、簡単には盤面を握らせない厄介な一枚。 コメント欄 名前 コメント すべてのコメントを見る
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前ページ次ページゼロの使い魔ももえサイズ ももえが言っていた悪魔は数ヶ月前からトリステイン中に繁殖していた。 トリステイン中の貴族を恐怖に陥れた盗賊である『土くれ』のフーケもその悪魔にとり憑かれた一人である。 当初は貴族の宝物を奪うだけのただのコソ泥だった彼女が、たまたま日蝕がおこったその日に突然覚醒した。 「ああぁああああああああああああ!!!!!!!」 くぎみーがセッ○スと言うその日まで 「ゼロの使い魔死神友情フレイムデルフリンガーシルフィード香水下級生ももえサイズ」 数日後、謹慎が解けて授業に出ることを許されたルイズは2年生になって初めて授業を受けた。 一言で言えば『悲惨』だった。どこがどう悲惨だったのかはルイズ自身思い出したくなかった。 「ねえねえさっきの爆発ってどうやってやったの?」 「うっさいわね! だから知らないって言ってるでしょうが!」 ももえは下級生であったケティの制服を着ていた。そして香水の効果からか誰もルイズの元によって来る人が居なかった。 「臭いからだ。」 「だから臭くないってば!」 そんなやりとりをしているとキュルケがルイズに声をかけてきた。 「ねえ、突然だけど私と勝負してみない?」 「あ、ごめん 私、パス」 ルイズは鞄を持ってさっさと教室から出ようとした。 「ちょ、ちょっと待ちなさいよ! あんた、このライバルである私に喧嘩を売られてなんとも思わないの?」 「えー………どうせももえを賭けて戦ったりするのよね? それなら私の負けでいいわよ。いつ寝首をかかれるか分からないこの不安で仕方ない状況から解放されるなら」 頑なに勝負を受けようとしないルイズ。それを見かねたタバサがルイズに再度お願いをした。 「お願い。もしキュルケがルイズに負けたらあの使い魔を上手いこと使って追い出してあげる」 「本当っ!?」 ルイズの目の色が変わった。 「決闘のやり方は審判員である私がコイントスをしてコインが地面に落ちたときに始めるの。 そしてそのコインが落ちるまでは振り返ることなくただ後ろを向いて歩き続ける。 コインが落ちる前に振り向いたりしたらその時点で相手の勝ちが決定になる。―――これでいいの?」 発案者であるタバサはももえの上から左親指を立てていた。シルフィードの能力を使ったももえは空を飛びながらコインを落とした。 「今よっ!!!!」 渾身の一撃をかまそうと杖を向けたルイズであったが………そこにキュルケはいなかった。 そして、横を向いてみると居た。 そこにはキュルケが大きなゴーレムに捕まっている姿が映っていた。 「お取り込み中のところ悪かったねぇ………」 30メイルぐらいはあると思われるゴーレムの肩に乗っている女は悪びれる様子も無くそう言い放った。 「早くキュルケを返しなさい! まだ用事は済んでないのよ!」 「そうはいかないねえ。この娘は大事な人質なんだから、手放すわけには行かないよ。」 そしてキュルケは女と一緒にゴーレムの中に取り込まれ、ゴーレムから大きな咆哮があがった。 「うおおおおおおおおお!!!!!」 「あ、ロボットだ。」 上空で、そのゴーレムと似たようなものを見たことがあるももえがのん気にそう呟いた。 ???ものしり館??? ロボットアニメ ロボットが活躍するアニメーションを指す 代表作は「To Heart」「魔法少女リリカルなのはStrikers」など 女と同化したゴーレムは勢いのまま宝物庫の壁を殴った。しかし、壁にひびがわずかに入っただけでどうにもなりそうにない。 「うおおおおおおおおお」 それでもゴーレムは諦めることなく壁を殴り続ける。 その様子にルイズはしばし呆然としていたが、気を取り戻して本来キュルケにぶつけるはずだったファイアーボールで攻撃をする。 「きゃあっ!」 ルイズは思わずガッツポーズをした。自分の攻撃が確実にゴーレムにダメージを与えている。嬉しさの余韻に浸るまもなく次の攻撃を加えようとした時 「危ないぞ ミス・ヴァリエール!」 ルイズは思わず声のした方向に顔を向けた。それを見た瞬間あまりの驚きに顎が外れるのではないかと思った。 「きょ、虚無の塔に………手足がついてる。しかも飛んでる………」 虚無の塔はゴーレムに真空飛び膝蹴りを食らわせた。ゴーレムは後ろに吹き飛ばされた。 「タケノヤスクナズチじゃ!」 「何それっ!?」 中から学院長であるオールド・オスマンの声がした。 「タケノヤスクナズチ」と言っているものはこの、虚無の塔に気持ち悪い手足が生えて半ズボンをしている代物の事なのだろうか? ルイズは眩暈がしてきた。 「望むところっ!」 ゴーレムはすぐに立ち上がり、助走をつけて右手を上げる。 「はあああああああっ!タケノヤミカヅチから繰り出されるパンチを食らええええええええっ!!!!!」 「小癪なっ!」 対するタケノヤスクナズチも左手を上げ拳と拳がぶつかりあう。 両者は片方の手でも拳を作って殴りかかるが双方の拳によって防がれた。そして取っ組み合ったまま時間はいたずらに過ぎていき、 「………もう少し広い場所で戦わんか?」 「同感だ……。」 そんなやり取りを残して、二機は上空めがけて飛び立っていった。 「………」 「………」 「………ねえ、タバサ。この使い魔なんとかしなさいよ。」 「任せて」 タバサはそう言うと自分の頭の上にある空間を指差した。 「ここを斬って」 ざしゅっ 「ねえ、タバサ。今のはどういうことなの?」 説明を求めたルイズにタバサはこう答えた。 「今のはただの幻像。つまり裏設定」 「裏設定?」 『ももえのカマで斬られた物の存在はももえが肩代わり』 すると黙り込んでいたももえが急に口を開いた。 「あっ、ルイズ達を連れて田舎に帰らなきゃ。」 そう言ってももえはカマを持って歩き出した。 「ちょ、ちょっとどこ行くのよ!」 「いや、田舎に帰って病気になってるママの見舞いに行かないと。」 「………今から?」 「うん、今から」 こうしてタバサの裏設定を肩代わりしたももえとただの青髪少女になったタバサとルイズとで里帰りに向かうことになったのである。 ※ おわり これまでのご愛読 ご支援 ありがとうございました ※ 次回より始まる「ゼロの使い魔死神友情タバサの裏設定フレイムデルフリンガーシルフィード香水下級生ももえサイズ」に乞うご期待!!! 前ページ次ページゼロの使い魔ももえサイズ
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ガシャン!とデルフリンガーを地面に投げ捨てる。そうしておいてギアッチョは キュルケとルイズを交互に睨んだ。 「勝てる相手かどうかも考えずによォォ~~・・・ただ条件反射で突っ込んで、挙句 仲間の命まで危険にさらす・・・今てめーがやったのはそれだキュルケ」 ギアッチョはキュルケの顔を覗き込んで続ける。 「そんなのは『義務』でも『覚悟』でもねぇ・・・ただの無謀だ てめーは根拠もなく まぁなんとかなるだろうと考えたな え? 最も忌むべきもの・・・無知と驕りから 来る過信だ」 一切の容赦無く、ギアッチョは冷厳として事実を述べる。曲がりなりにも貴族である キュルケは何とか言い返したかったが、彼がいなければ親友は死んでいた―― 自分が殺していたと思うと、己には何を言う資格もないと理解した。 「ルイズ、てめーもだ」 キュルケが悄然としてうつむいているのを意外そうに見ていたルイズは、ハッと 我に返って姿勢を正す。 「こいつが走り出した時、おめーは爆発でフッ飛ばしてでもキュルケを止めるべき だった 二人一緒なら勝てると思ったか?それとも倒せる自信があったってワケか?」 どうなんだ、と凄むギアッチョに、ルイズもまた言葉を返せなかった。いざとなれば ギアッチョが助けてくれる。彼女は無意識のうちにそう考えていてしまっていた。だが 現実はどうだ。タバサがいなければ、ギアッチョが辿り着く前に自分達は死んでいた だろう。周囲の状況も、自分の実力も鑑みず、安易に自分の使い魔に頼って しまっていた。ルイズは自分がとても情けなくなったが――それと同時に、彼女の 心にはとてつもない不安の波が押し寄せた。 ギアッチョは自分に幻滅した・・・? ふと浮かんだその言葉は、一瞬でルイズの心に波紋となって爆発的に広がった。 ――そんなのいやだ・・・! ギアッチョ。私の唯一成功した魔法の結果。私の唯一の使い魔。私の唯一の味方。 私の唯一の、私の――・・・! ルイズの頭をさまざまな言葉が駆け巡る。 幻滅、失望、諦観、厭離、侮蔑、嘲笑、忌避、放逐・・・。 ――いやだ嫌だ、そんなの嫌・・・!! ギアッチョに見放される恐怖で心が埋め尽くされてしまったルイズには、彼が何故 怒っているのか、何が言いたいのか・・・その真意を汲み取ることなど出来なかった。 「てめーに出来ることをしろ」と言うギアッチョの言葉も、ルイズの耳に届くことは なかった。そしてそれが故に――ルイズは重大な錯誤をすることになる。 説教を終えてデルフリンガーを拾い上げるギアッチョに、キュルケがおずおずと 声をかける。 「・・・あの ギアッチョ」 「ああ?」 まだ何かあるのかといった顔をキュルケに向けるギアッチョに、 「――ごめんなさい」 キュルケがストレートな謝罪を発した。ギアッチョは怪訝な顔でキュルケを眺める。 「あなたのこと誤解してたわ・・・本当にごめんなさい」 ギアッチョは自分の親友を助けた。それも、一歩遅ければ当のタバサとシルフィード 共々潰される危険を冒してまで。今までの行動がどうあろうが、その事実だけで キュルケが彼を信じるには十分にすぎた。 ギアッチョはトンと肩にデルフリンガーを担ぐ。 「疑われたり監視されたり命を狙われたり・・・そんな事は日常茶飯事だ 気にしちゃ いねー」 ギアッチョはそう言うとキュルケ達に背を向けた。 「しかしよォォ こんな役割はプロシュートかリゾットにやらせるもんだ オレのキャラ じゃあねー・・・もう同じことを言わせるんじゃあねーぞ」 ひょっとして、意外と面倒見は悪くないのかしら。そう思ったキュルケは、 「・・・分かったわ」 そう答えて少し相好を崩した。 翌朝。オールド・オスマンは学院中の教師を一室に集めた。集まった教師達は、 口々に誰が悪いだの自分は悪くないだのと責任を押し付けあっている。 目撃者としてタバサと共にコルベールに呼ばれたキュルケは、そんな状況に 嘆息しつつ同じく召致されたルイズに眼を遣る。心なしか気分が沈んでいるように 見えるが大丈夫だろうか。「昨日の説教がそんなに効いたのかしら」などと考えて いると、騒ぎ続ける教師達を制止してオスマンが話を始めた。 宝物庫が破られたのは教師全体の責任であること、奪われたのは破壊の杖で あること、犯人は目撃者達によるとトライアングルクラスの土のメイジ、恐らくは 土くれのフーケであること、そしてオールド・オスマンの秘書であるミス・ロングビルが 徹夜の調査でフーケが隠れていると思しき場所を発見したこと。 以上のことを述べてから、学院長は教師達を見渡してフーケ討伐の志願者を募った。 ところが、手を上げる者はなかなか現れない。もしも失敗すれば、自分の名は地に 落ちる。或いは殺されてしまう可能性すらあるのだ。教師達がしりごみするのも、 分からなくはない。 不甲斐ない教師共の代わりに思わず杖を掲げそうになったキュルケだが、 ギアッチョに「出来ることをしろ」と言われたことを思い出して気持ちを抑えた。 誰も手を挙げないからと言っても、自分はただの生徒なのである。放っておけば 志願しなくとも教師の誰かは行かされる。トライアングルが数人がかりなら、 いくら土くれのフーケと言えども逃げ切れはしないだろう。わざわざ自分から 死地に赴くような真似をする必要はない。そう思っていると―― スッと杖を掲げた者がいた。杖の持ち主を確認して、キュルケは眼を見張る。 得体の知れない平民を使い魔に持つ少女、ルイズ・ド・ラ・ヴァリエールだった。 ギアッチョの信頼を取り戻すべく彼女が取った方法、それは土くれのフーケを 倒し、自分も役に立つのだと証明することだった。 「ちょっ・・・!あなた何やってるのよ!」 キュルケは慌てて止めに入る。 「うるさいわねキュルケ 見なさいよ、誰も手を挙げないじゃない!」 ルイズの言葉に教師陣はうぐっと息を詰まらせるが、彼女が言いたいのは そんなことではない。キュルケはちらりとルイズの後方に控える男、ギアッチョを 見た。ギアッチョは冷徹な眼でルイズの後頭部を見ているが、特に何も言う気配は ない。「ちょっといいのそれで!?」とキュルケはギアッチョを小声で問い詰める。 「あなたが言ったんじゃない!出来ることをしろって!」 しかしギアッチョは何も答えず、ただルイズを見つめている。 ダメだ、このままではルイズが一人で――正確には二人でだが――行かされて しまう。キュルケは迷った末に、覚悟を決めた。 「あぁあもう!微熱のキュルケ、志願させていただきますわ!」 出来ることをしろと言うのなら――出来る限りでルイズを守ってやらなくては。 そんなキュルケを、ルイズは不審そうに見つめている。 ――どこまで鈍感なのよこのバカはッ! キュルケは出来ることなら怒鳴りつけてやりたい気分だった。 そんな二人を横目で見て、タバサは観念したように杖を掲げる。思い思いの 感情で彼女を見る二人に、タバサは一言、 「心配」 と呟いた。その言葉にルイズとキュルケが感動していると、教師達から次第に 批判の声が上がり始めた。曰く、「子供が何を言っているんだ!」「生徒を危険に さらすわけにはいかないでしょう!」などなど。しかしオールド・オスマンがそれでは 誰か志願する者はいるのかと問うと、彼らは途端に静まり返る。 「やれやれ・・・ よいか、彼女らはただの生徒ではあるが、敵の姿を見ているのだ その上、ミス・タバサは若年にして既に『シュヴァリエ』の称号を持つ騎士であると 聞くぞ」 周囲にざわっと驚きの声が起こる。キュルケやルイズも驚いた顔でタバサを見て いた。老練のメイジはそのまま言葉を継ぐ。 「ミス・ツェルプストーはゲルマニアの高名な軍人家系の出で、彼女自身なかなかの 使い手であると聞く」 そして、と言いながらオスマンはルイズを見る。 「そして・・・あー・・・」 学院長はわずか言いよどんだが、すぐに威厳を取り戻した。 「ミス・ヴァリエールはかのヴァリエール公爵家の息女であり、将来有望なメイジで あると聞いている そして彼女の後ろに控えておる使い魔は、平民の身で ありながらあのグラモン元帥の息子を打ち負かしたそうではないか」 彼女らを派遣することに文句のある者は前に出よ、と言って締めるオスマンに、 意見を唱えるものなど一人も居りはしなかった。 ガラッ! ――いや、一人だけいた。その男は扉を開けて入ってくると、あっけに取られて いる教師達への挨拶と立ち聞きの謝罪もそこそこに、本題を言い放つ。 「この僕、ギーシュ・ド・グラモンを討伐隊に加えてはいただけないでしょうか!」 豊かな金髪とセンスの悪い服の持ち主、ギーシュであった。 「ちょっ・・・いきなり入ってきて何言ってんのよあんたは!」 最初にツッこんだのはルイズである。それにキュルケが続く。 「あなた病み上がりでしょう?何考えてるか知らないけどやめておきなさいよ」 しかしオールド・オスマンは彼女らを片手で制して言う。 「理由を聞こう、ミスタ・ギーシュよ」 「はい! 僕は先の決闘で、ミス・ヴァリエールの使い魔・・・このギアッチョに 敗北しました」 ギーシュは語りだす。周りの人間達は――ルイズやキュルケでさえ、ギーシュの 奇行に困惑していたが、ギーシュは全く意に介さず先を続ける。 「彼は決闘の前、僕に『覚悟』はあるのかと尋ねました それに対して僕は そんなものは必要ないと嘯き―― 結果は皆さん御存知の通り、完膚なきまでに 敗れ去りました」 そう言って彼はギアッチョに眼を向ける。その眼に迷いはなかった。ただし、彼の 膝は相変わらずガクガクと震えてはいたが。 「僕はその時から、『覚悟』という言葉に取り憑かれているんです 彼の言う『覚悟』 とは一体何なのか 彼と僕を・・・いえ、我々殆どのメイジを隔てている何か強大な 壁・・・僕はそれが『覚悟』なのだと思ってます そして、ならばその正体は一体 何なのか? 僕はそれが知りたい 理由はそれだけです・・・オールド・オスマン」 部屋中を沈黙が支配した。殆どの者はギーシュの言ったことの意味を量りかねて いるようだったが、オールド・オスマンはそれを理解したようだった。 「・・・なるほど それでは直接本人に聞こうではないか どうだねギアッチョ君 彼・・・ギーシュ・ド・グラモンの同行を許可するかね?」 決断を任されたギアッチョは、ふぅっと一つ溜息をついてから、魔物じみた双眸で ギーシュの眼を覗き込む。ギーシュはそのあまりの気迫に今すぐ謝って逃げ出し たくなったが、全身の力を集中させて――冷や汗をダラダラ流しながらも、 何とかギアッチョの視線を受けきった。 「・・・やれやれ 勝手にするんだな・・・ただしよォォーー てめーのケツはてめーで 拭け 間違っても仲間がいるからなんとかなるなんて思うんじゃあねーぞ」 「・・・あ、ああ!約束しよう!」 交渉は成功した。喜ぶギーシュを見てやれやれと言わんばかりに首を振る ギアッチョだったが、直ぐにオスマンに向き直ると、 「爺さんよォォ~~ ついでに聞いておくが」 一つ確認しておくことにした。「貴様、オールド・オスマンになんということを!」等と 言う声が聞こえるが全く気にしない。 「そのフーケとやらよォォーー・・・殺してもいいんだろうなァァ」 殺す。あまりにも淡々と吐き出されたその単語に、教師達はまたも固まった。 そして誰にも気付かれなかったが、ミス・ロングビルもその耳を疑っていた。 オスマンはピクリと眉を上げたが、直ぐにいつもの好々爺然とした顔に戻る。 「それは遠慮してもらいたいのう 処理が色々と面倒じゃからの」 その返答に、ギアッチョは面倒臭そうな顔をしたものの特に文句は言わなかった。
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ゼロの使い魔 ~双月の騎士~ (全12話終了) 01 女王陛下のゼロ 02 風と水の誓い 03 聖職者の剣 04 ヴァリエールの三姉妹 05 間諜の刻印 06 女王の休日 07 地底の秘密文書 08 魔法学院の危機 09 炎の贖罪 10 雪嶺の敵 11 銀の降臨祭 12 さよならの結婚式