約 5,066,500 件
https://w.atwiki.jp/orz1414/pages/227.html
「で、だ。俺に何か用か?」 俺は自分を呼び出した少女に言う。 「ええ。実は頼み事があるのよ」 俺の言葉に彼女は答えを返すをする。 「へぇ……。アリス、君が頼み事とは珍しいね」 「ええ……。実はチェスで勝負して欲しいの」 「はい?」 彼女の答えが予想外なので俺は、つい声に出してしまった。 「……確かに相手はできるが、何で俺なんだ?」 俺は疑問に思い聞いてみた。 すると―― 「最近始めたんだけど、相手をしてくれる知り合いが少ないからよ」 ――と、答えてくれた。 「つまりは暇つぶしの相手、と言うわけか」 「まあ、そうなるわね」 どうやら俺はこの少女の暇つぶしに使われるらしい。 「最初に言っておくが、一戦だけだぞ」 この手の勝負は負けた方が「もう一回」とねだってくる事が多いので、最初に釘を刺しておく。 「ええ、それで良いわよ」 すると彼女はそう言ってくれた。 とりあえず勝負が始まった。 「じゃあ、俺はここからいくか」 そう言って、俺はe2のポーンをe4に動かした。 「じゃあ私はここ」 すると彼女はe7のポーンをe5に置く。 「ここだ」 次に俺はg1のナイトをf3に置く。 「なら、私はここで」 彼女はb8のナイトをc6に置いた。 「じゃあ……こうだ」 俺は先の事を考え、f1のビショップをc4に置く。 「じゃあ私はここに」 そして彼女はd7のポーンをd6に置いた 「ふむ……」 ここで少し俺は考える。 このまま思うように進めば俺は勝てるからだ。 しかしこのまま進むかどうか…… まあ良いか。上手くいかなかったら、また考えればいい。 そう思い俺は4手目を打った。 「では、ここで」 俺はb1のナイトをc3へ動かす。 「……じゃあ私はここ」 すると彼女はc8のビショップをg4に置いた。 「う~ん」 予想道理に事が運んだ。 彼女はチェスを始めたばかりなので、まだこの状況に気付いていないようだ。 「じゃあ、ここで」 そう思いながら俺はf3のナイトをe5に動かした。 「……○○私を嘗めているの?」 と聞いてくる。 当たり前だ。今の一手で俺のクイーンは今や丸裸になったから。 俺的には作戦だから良いのだが…… 「いえ、そんな事はありませんよ、アリスさん」 とはいえ、彼女は手加減されていると思い、少々ご立腹気味だ。 とりあえず俺は、はぐらかす様に言った。 「まあ良いわ。後悔させてあげるから」 彼女はそう言って、g4のビショップ動かしd1に置く。 そして俺のクイーンを取った。 予想道理に事が進む。 一々表情がにやけ無いようにするのが大変だ。 そう思いながら、俺は次の手を打つ。 「ふふ、つぎはここだ」 そう言い俺はc4のビショップをキングの斜め前、つまりf7に置いた。 「チェック」 そして告げた。 「な!?」 彼女は驚き俺を見る。 「そんな手で来るなんて……」 彼女はそう言い次の手を探す。 と、言っても、キングを動かさないと負けてしまうので次の手は容易に読める。 多分キングを前進させるだろう。 「……ここで」 彼女はそう言い予想道理、キングをe8からe7に前進させた。 「チェックメイトだ」 俺はニヤリと笑いながら、最後の一手を打つ。 内容はc3のナイトをd5に置くと言う物だ。 「あ!?」 彼女は自分が負けていた事に驚いたようだ。 いつの間にかキングは動けなくなっていたからだ。 「うそ……。全然気付かなかった」 まぁ、始めたばかりなら気付かなくて当然ではある。 と言うか気付く方がおかしい。 俺も始めたばかりの頃はこんな事ばかりだったから。 「まぁ、気にしない方がいいぞ。最初は誰でもこんなもんだから」 だが、一応慰める。 これで彼女がチェスを止めては勝負した意味がないから。 こういうゲームはやれる人が多い方が楽しいから。 まあ、他にも理由はあるけど、それは内緒だ。 「……もう一戦よ」 彼女はぽつりと告げた。 「最初に言ったけど、一日一回しかしないぞ」 しかし俺は最初に言っておいた事を告げる。 少し内容は変わっているが、まぁ気にしない。 「う、……。なら明日もう一戦よ」 すると、少し予想外の言葉が返ってくる。 「……」 とりあえず俺は黙り込む。 「ねぇ……ダメ?」 すると今度は不安そうに聞いてくる。 「ま、いいか」 そんな言い方で言われれば断れ無いと思いながら俺は言った。 「じゃあ、明日またきてね」 俺が答えると、彼女はすぐに元気になってそう言った。 ……何か騙された気がする。 でも、ま、いいか。 これで彼女の家に通う理由が出来たから。 そう思いながら俺は自宅に帰るのだった。 ※ チェスの板は8×8マス 列はa~Hで行は1~8 6スレ目 481 ─────────────────────────────────────────────────────────── 朝の陽射しに目が覚める。 窓を覗けば、いつもの森に粉砂糖。 キラキラと朝日をうけて輝いている。 ホワイト・クリスマスイブ。 うっすらと積もった雪は、すぐに融けてしまうだろうけど、 今日という日に、ぴったりだとアリスは思った。 クリスマス。 先日、香霖堂の店主が言っていたことが思い出される。 「クリスマスはね。外の世界では恋人同士の聖なる夜なんだよ。 イブに恋人同士でデートして、プレゼントを交換して、キスをして、その先まで行って 2人でクリスマスを迎えるんだ」 恋人たちの聖なる夜。 何と甘美な響きだろう。 その、イブが今日なのだ。 彼は、来てくれるだろうか。 いつもシャイな彼だけど、 手を繋いで、自分を抱き寄せて、優しいキスを交わしてくれるだろうか。 なお、その先を事細かに説明しようとした店主には、ストロードールカミカゼをお見舞いしておいた。 ベッドから起きると、シャワーを浴び、お風呂に入る。 いつもは軽くだけど、今日はハーブ入りの石けんで念入りに全身を。 「その先まで」 霖之助の声がこだまする。 そこまで行く気はないけれど、少しは進展したい。 何しろ、恋人同士だというのに、手を繋いだこさえがほとんどないのだから。 風呂から上がり、鏡台の前まで行くと、 バスタオルを脱ぎ捨て、一糸纏わぬ姿になる。 デートの約束はしてないけれど、 いつもの服装の自分じゃ、きっと落胆するだろう。 彼が来た時に、思わず見惚れさせるように、可愛い服を着るのだ。 準備は万端。 最近大きなものに買い換えたクローゼットを開き、人形たちにも手伝ってもらって、 下着から一つ一つ並べ、選び始める。 ショーツは、コケティッシュなオレンジか、大人っぽく黒か。 清楚な白いブラウスか、ピンクの可愛い系でアクセントをつけるか。 ひだのついたロングのプリーツスカートは、黒で行こうか。それとも青か。 コートは茶色、黒、ピンクの3種が揃っている。 リボンは、この服の選択肢だと、赤か緑がいいかもしれない。 彼の好みを想像しながら、一つ一つ選んでいく。 「可愛い」って言うかな? 「綺麗」って言うかな? 気が付かない、ってことはないと思うけど。 服を着終わったら、次はおめかし。 ピンクのリップを唇に薄く塗って。 つぶらな瞳を意識して、睫毛を軽くカール。 香水は、ハーブの匂いと調和する、爽やかなクールミントで。 髪を梳かして、リボンをつければ出来上がり。 うん、自分でもよくできた。 服はちょっと大胆になっちゃったけど、彼に暖めてもらえばいいよね。 一通り、準備が終わると、お腹の虫がくぅ、と鳴いた。 時計を見れば、午後一時。 彼は、まだ来ない。 「ちょっとだけ、お昼食べちゃおうかな」 軽く、ブランチとなってしまった食事を用意する。 もう、よそ行きへ着替えてしまった服を汚すわけにはいかないから、 バターもつけずにパンのみを。 これなら、万一服に落ちても払えばすむ。 「人間だもの、寝坊することくらいあるわよね」 虚空への独り言はそのまま消え、 イブに一人で食べる食事は、いつもに増して味気なかった。 昼食も終わると、手持ち無沙汰になり。 寝室に戻って、ベッドへと腰掛ける。 朝、眩しかった陽射しは影を潜め、 どんよりとした雲が、空を厚く覆っていた。 「はぁ……」 思わず、溜息。 そして、服が乱れるのも構わず半身をベッドに倒そうとすると、 「あ……」 右手に触れたのは、今朝も抱いていた彼の人形。 一針一針、彼に秘密で縫い上げた自分の最高傑作。 その人形を取り上げると、自分の目の前に掲げ、 「もう、早く来なさいよね」 ポン、と。 軽く、デコピン。 ――しまった。 いくら人形とはいえ、愛する彼に手を挙げるなんて。 「ご、ごめんなさい!」 慌てて、その人形のおでこを優しくさする。 少し経って。 「はあ、私、何やってんだろう……」 手に取っていた人形を枕元に置くと、そのままベッドに横から倒れ込む。 悪い想像ばかりが膨らむ。 何者かに襲われているんじゃないだろうか。 実は、私のことなんてどうでもいいんじゃないか。 そう言えば、最近彼は魔理沙と仲が良かった。 話も弾んでいたし、息も合っていたことを思い出す。 今ごろ、もしかして魔理沙を誘ってイブのデートを楽しんでいるのかも知れない。 あ、耐え切れない。 魔理沙とデートしてたら、私……。 どうしよう。 両目からの涙が止まらない。 「ばか……。女の子泣かさないでよね……」 自分の上に掲げた、彼の人形に語りかける。 何も答えてはくれないけど。 机の上のプレゼントに視線を移す。 クリスマスらしく、赤い紙に緑のリボンで可愛くラッピングしてある。 中には、長くて黄色いマフラー。 少女漫画で読んだ、二人で一つの長いマフラーをやってみたくて。 早目から編み上げた、普通の2倍のマフラー。 長さは2倍。愛は無限。 そんなプレゼントも、今は心なしか寂しそうだ。 いたたまれなくて、反対側を向くと、 涙が一つ、純白のシーツに零れた。 「ねえ、早く来てよ……」 祈りながらドアへと顔を向けると。 魔界から持ってきた大好きな少女漫画が目に入った。 漫画の中のデートが思い起こされる。 2人で手を繋いで映画を見て。 彼と手を組んで公園を散策。 しゃれたお店でペアのマグカップを買い、 ちょっと高級なレストランでディナーを食べて。 噴水の前で、指輪を貰ってキスをして。 永遠の愛を誓うのだ。 でも、今のアリスには。 そんな幸せなカップルの漫画も、拷問のようだった。 絵を思い起こすと、 顔がすべて、魔理沙と愛しい彼になってしまうのだ。 手を繋いでいるのも。 ペアのカップを買っているのも。 ディナーを食べているのも。 永遠の愛を誓っているのも。 すべて、魔理沙と彼。 「ぐすっ……、魔理沙、彼まで盗っていかないでよ……」 「神様のいじわる……。せめて、想像くらいまで幸せにしてくれたっていいのに……」 止まらない涙を枕に押し付けて。 アリスは、静かにむせび泣くのだった。 チリン チリン 呼び鈴の音が聞こえる。 いつの間にか、寝てしまったようだ。 宵闇が部屋に入り込み、辺りは真っ暗になっている。 魔法の明かりをつけて、 そっと、玄関の方を覗き見た。 彼だ。 アリスの顔に朱がさす。 慌てて、お化粧を直し、身だしなみを整える。 彼が来てくれれば、笑顔の準備はばっちり。 さあ、勝負だ。 彼を見蕩れさせて。 こんな可愛い女の子を1日放っておいたことを、後悔させてやるのだから。 いつの間にか、空からは白い粉雪が舞い降りてきていた。 6スレ目 554 ─────────────────────────────────────────────────────────── 「ッ……!」 飛び起きたそこは、見慣れた我が家だった。 嫌な汗が噴き出る。汗でパジャマが張り付く。気持ち悪い……。 きっと、今の私は傍から見ればひどい顔をしているのだろう。 鏡を見なくてもわかってしまった。そのくらい、気分が悪い。 とてももう一度寝る気にはなれず、私はそのまま起きることにした。 「……水」 喉がカラカラだった。 あれだけ汗をかいていたのだ、当たり前だろう。 私は外の井戸へ向かい、コップ一杯の水を汲むと、一気に飲み干した。 冷たい。 早朝の冷たい風と、喉を通り抜ける水により、次第に私の頭はいつもの働きを取り戻してきていた。 それとともに、つい先ほど見た夢も明確に思い出されていた。 「どうして……」 本当に、疑問だ。 「どうして、今更、あんな夢を見たのかしら……」 よりによって、初夢。 去年の大晦日、光り輝く来年に心ときめかせていたことすら吹き飛んでしまった。 「最悪の年明けね……」 言葉に出し、違和感を感じた。 "最悪"? 本当に? むしろ、私にとって、あの夢は……。 「……そう。そうね。私は……、私としたことが。目標を見失っていただなんてね」 どうして私が、この道を選んだのか。 それが全てではないだろうけれど、恐らくは、半分を占めるであろう理由。 これは、私……アリス・マーガトロイドが、まだ人間だったころの物語。 魔法使いになると決意するまでの物語。 そして、今の私を形作っている物語。 「ありがとう……、○○」 その言葉は、夜空に溶けて消えた。 それは、空飛ぶ不思議な巫女や、白黒魔法使い達が来た少し後のお話。 「いってきまーす!」 「アリスちゃん、行ってらっしゃい。車には気をつけるのよ?」 「わかってるよ、お母さん」 いつもの挨拶を交わし、私は外へと飛び出した。 毎度ながら思うけれど……、空を飛ぶんだから車はないよ、お母さん。 もう何度も通り、見慣れた道を抜けて、目的の建物の元へ。 別に、建物自体に目的があるわけじゃないけど。 「こんにちは、○○。ごきげんいかが?」 「ん。……今日は、調子いいみたい」 「それはよかった、うん」 そう、私はこの男の子に会うためにこの場所に来ていた。 彼の名前は○○。 彼との出会いは丁度1ヶ月前。 私は、お気に入りの人形を失くし、それを探し回っていた。 いくら探しても見つからず、半分泣きそうになっていた時。 「手伝おうか?」 そう、声を掛けてきてくれた。 結局、彼と二人で探しても人形は見つからなかった。 でも、私は不思議ともう悲しんでいなかった。 一緒に探してくれた彼のおかげだろうか。 このことがきっかけとなって、私は彼の元に毎日遊びに行くことになった。 彼は、病弱であるらしく、一日のほとんどを自分のベッドの上で過ごす生活をしていた。 私は、晴れの日は窓を開けて歌を歌ったり、絵を描いたりし、雨の日は、童話を読んだりして彼と過ごした。 思えば、私は彼に一目惚れしてしまっていたのかもしれない。 ○○のする話、○○の歌う歌、○○の書く絵……。 全てが私には輝いて見えた。 その中でも、最も輝いて見えたもの。 それは、○○の作る人形だった。 ○○の作った人形は、まるでマエストロが作った物の様に、繊細で、かつ大胆で……。 私は彼の人形の虜になってしまっていた。 彼は、そんな私に2体の人形をプレゼントしてくれた。 ひとつは、赤いドレスを纏った可愛らしい人形。 もうひとつは、青と白のドレスを纏った、どこか影を帯びた綺麗な人形。 彼は、その2体をそれぞれ『上海』『蓬莱』と呼んでいた。 この2体は彼の最高傑作であるらしかった。 一目見ただけで、他の人形とは違う何かを見て取れたからだ。 流石に、これを受け取るわけにはいかないと、私は初め断った。 しかし、彼の「どうしても君に受け取って欲しい」との言葉に、素直に受け取ることにした。 嬉しい。 彼は、こんなにも私に良くしてくれる。 ああ、でも足りない。 もっと、もっと彼が欲しい。 ○○が、○○の全てが欲しい。 もっと、もっと……。 できることなら、いつまでも彼のそばにいたい。 そして、変わらない笑顔を私に向けて欲しい。 いつまでも。いつまでも……。 そんな、ある日のこと。 私がいつものように彼の部屋を訪れると、いつもと変わらぬ笑顔が出迎えて……くれなかった。 彼の部屋はすっかり片付き、所狭しと置かれていた人形はひとつもなかった。 そこにあるのは、ベッドのみ。 主の姿はそこには、ない。 ただ事ではないと感じた私は、部屋に降り立ち、ベッドに向かった。 そこには、一通の手紙が置かれていた。 急いで封を切り、中を読む。 そこには、たどたどしい文字で綴られた彼の思いがあった。 『親愛なる アリスへ この手紙を読んでいるってことは、僕はもうこの世にはいないんだと思う。 ……うん、いつかは、こんな日が来るってわかってたんだけど。 でも、どうしても言い出せなかったんだ。 ごめんね。 これを読んだ君は、今どんな顔をしてるんだろう。 泣いてくれているのかな? それとも、こうなるまで隠していたことを怒っているのかな? 僕にはもう、それを知る方法もないんだね……。 あの日、アリスと初めて会ったとき。 実は僕は、君に一目惚れしちゃっていたんだ。 だから、次の日君が来た時、驚いたけど、すごく嬉しかったんだよ。 毎日僕のところに来てくれる、その事を考えるだけで僕は幸せな気分になれたんだ。 そんな、僕を幸せにしてくれる君だから、僕はあの人形をプレゼントしたかったんだ。 気に入ってくれたかな? 気に入ってくれたら、嬉しいな。 でも、ひとつだけ、心残りだったことは。 アリスに、直接「好きだ」って言えなかった事かな。 もっと、僕に時間があれば。 この体が、他の人と同じように、健康だったら。 この時ほど、この体を恨めしいと思ったことはないよ。 もっと、アリスのそばにいたかったな。 もっと、その笑顔を見ていたかったな。 でも、もうそれも叶わないんだね……。 最後に。 こんな、僕と。 仲良くしてくれて……本当に、ありがとう。 ○○』 手紙を読み終えた時から、いや、読んでいる最中から、私は涙を止めることができなかった。 彼もまた、私を好いてくれていた。 でも、もはや、もうその彼は……いない。 私の手元に残されたのは、彼がくれた人形が2体。 それだけだ。 目の前が真っ暗になるような感じ。 もう、私は何も考えることができなかった。 それからのことは、あまり覚えていない。 気づいたら、私は普段着のまま自分の部屋のベッドで寝ていた。 ゆっくりと起き、周りを見回すと、2体の人形が目に付いた。 緩慢な動作でその人形達に近づき、手に取る。 『上海』と『蓬莱』。 暫く眺めていると、『蓬莱』は今の私の姿に良く似ているように見えた。 彼に何もできなかった私。 無力な私。 黒い感情が、私の心の底から湧いてくる。 私は『蓬莱』を床に叩きつけ、何度も、何度も足で踏みつけた。 ――私は、私は……、私は! ボロボロになったそれの首に縄を巻きつけ、天井から吊るす。 首吊り。 いっそ、私が死ねば、彼に会えるだろうか。 ……でも、彼はそんなことを望んではいないだろう。 急速に醒めていくどす黒い感情。 それとともに、自分がしてしまった事の重大さに気づいた。 なんてことを。なんてことをしてしまったのだろうか。 よりによって、彼の、心が篭もった人形を。 急いで縄を外し、抱きしめる。 「ごめんね、蓬莱……、ごめんね、ごめんね……」 汚れを払い、解れてしまったところを繕う。 私はこういうことに不慣れだったので、少し不恰好になってしまった。 だが、『蓬莱』は元の形を取り戻した。 私は『蓬莱』を元の棚に戻すと、静かに部屋の外へ出た。 「ちょ、ちょっとちょっと! アリスちゃん! こんな時間にどこに行くの?」 お母さんが騒いでいるけど、気にせず進む。 「アリスちゃん!」 お母さんの制止を振り切って、私は夜の空へと舞い上がって行った。 目指すは、彼の部屋。 なんだか、私はもう一度そこに行かなければならない気がしていた。 彼の部屋に着く。 主を失ったベッドと、がらんとした室内が私を出迎えてくれた。 私は何かに吸い寄せられるように、そのベッドの下に潜り込んだ。 そこにあったのは、一冊の本。 そして、彼が使用していたであろう、ソーイングセット。 本は、人形についての本だった。 私はそれらを大切に抱きかかえ、家路に着いた。 それからというもの、私は来る日も来る日も人形を作り続けた。 私の部屋は、かつての彼の部屋のように、人形であふれる様になった。 お母さんは、初めこそ不思議に思っていたようだけれど、今では私を手伝ってくれるようになった。 そして、私は風の噂であることを聞いた。 ここではない地上……便宜上人間界と呼ばせてもらうけれど。 人間界では、人形に亡くなった人の魂を呼び戻す魔法があるということ。 それを使えば……その魔法さえあれば、私は彼ともう一度過ごせる? もう一度、彼と……。 「ダメよアリスちゃん! 向こうは危険がいっぱいなのよ?」 案の定、お母さんに人間界に行きたい旨を話したら、反対された。 「この間も外から来た人にひどい目に遭わされたばかりでしょ?」 確かにそうだ。 空飛ぶ巫女や白黒魔法使いが外の世界にはいる。 でも……、それでも、私は……。 「ね? アリスちゃん、せめてもっと大きくなってから……」 「じゃあ、お母さん。お母さんの力で、私を成長させて」 「え? あ、アリスちゃん?」 自分でもどうかしてると思った。 でも、でも私は外に行きたい。 「お願い。どうしても行きたいの、お母さん」 「アリスちゃん……」 もう一度、彼に会いたい。 会って、話をしたい。 もう一度。 「……わかったわ、アリスちゃん」 「! お母さん……」 「アリスちゃんには負けたわ……。そこでじっとしててね?」 そう言うと、お母さんは呪文を唱え始めた。 体が、熱い。色々な所が痛い。 お母さんが呪文を唱え終えると、私はもうすっかり成長した姿になっていた。 「アリスちゃん……。気をつけて、行ってらっしゃい」 「お母さん……」 「車には、気をつけるのよ?」 「……うん!」 いつもの挨拶で送り出され、私は力強く飛び立った。 そして。 色々な事を地上で経験し、今私はここにいる。 どうしてこんな大切なことを忘れていたのだろうか。 今の生活に、満足してしまっていた……? それでは、地上に出てきた意味がないではないか。 私のバカ。 まだ、死者を蘇らせる魔法は習得できていない。 習得どころか、資料すら怪しいところだ。 最近は、紅魔館の魔女が図書館を利用させてくれるから楽ではあるが。 とにかく。 彼と、また笑いあえる日々。 初夢で見たような、日常。 それを現実のものにする。 もう私は見失わない、この目標を。 そうして、私は彼にこう言うのだ。 「おかえり、○○」と――。 避難所 78 ─────────────────────────────────────────────────────────── アリスから丁寧にラッピングされたチョコを貰った。 「ほらっ、これアナタにあげるわよ。 べ、べつにアナタにあげるためだけに作ったわけじゃないのよ! ただ私が食べたかっただけで、材料が余ったからついでにアナタの分も作っただけで…… つ、ついでなんだからそこのところ勘違いしないでよね! な、なにニヤニヤしてるのよ!! べ、別にアナタのために作ったわけ……じゃ… もう……バカぁッ!!」 6スレ目 753 ─────────────────────────────────────────────────────────── 「はいこれ」 「……チョコ?」 「どうせあんたの事だから誰からも貰ってないんでしょう」 「アリス」 「な、なによ」 「今日は4月1日だぞ」 「た、太陰暦での日付の話よ!」 6スレ目 806 ─────────────────────────────────────────────────────────── アリスに「好き」って言ったら 『わ、私はあなたのことなんて何とも…… むしろ、あなたがいると邪魔になって人形も作れないし、大嫌いよ!』 って物凄い辛辣な言葉を貰った。 切なかったから師匠特製の『嘘しかつけなくなる薬』を飲ませてやった。 「大好き」と言ったが最後、一日中からかい倒してやるぜ! 「俺、アリスのこと好きだ。お前は?」 『え……? だ、大嫌いだってば! それに、あなたなんかに好かれたって、嬉しくないわ!』 あれ? 師匠、これ効いてませんよ! 6スレ目 979 ─────────────────────────────────────────────────────────── 久し振りに来る魔女の邸宅は贔屓目に見てもやっぱり不気味である。 こうしてここに来られたのは今日の野良仕事が午前だけになったおかげで、リーダーの英断に感謝もしきりだ。 最近の日差しは吸血鬼でなくても気化させられそうだし、いやマジで。 扉を開いてずんずん進む。 入り口が開いた時点で面会謝絶のセンは消えるので、出迎えがなくとも(゚ε゚)キニシナイ! ……あーっと、暑さでちょっとお脳が茹だってるかも。 妙なテンションのまま彼女の自室の前まで来てみれば、ドアノブの上で蓬莱人形がくつろいでいた。 中に入ってはいけないという意味だ。 こんな具合に、俺が来たときは勝手に出入りしてもいい範囲を人形たちが教えてくれる。 部屋には入れないということなので、扉をノックして名前を呼んだ。 「今、大事な作業中なの。気が散るから黙ってて」 少しの間を挟んで返ってきたのは何とも手厳しいお言葉。 しかしこれはいつもの事なので、それ以上の問答はせずに台所へと足を進めた。 勝手知ったる他人の家、というヤツだ。 「遅いじゃない」 料理を仕上げて一息ついてみれば当然のような顔をして食卓テーブルについているアリス。 これもまあ珍しい事じゃないが、いつもと比べて表情が険しい。 作業がはかどってないんだろうか、尋ねてみる。 「ちょっとしたスランプなの。それが何か可笑しい?」 成る程、だいぶキてるね。 別におかしくはないけれど、中断してる時くらいは気を休めたほうがいいと思う。 「……ごめん。ちょっと感じ悪かったかも」 まあ誰でも腹が減ってるとイライラするものですよ、と。 少し落ち着いてもらったところで上手くいったほうのオムライスをアリスの前に置く。 出来栄えを眺めるアリスが笑ったのを確認してから、こちらもテーブル向かいの席に座る。 「今日はキノコのソースじゃないのね。安心したわ」 森のキノコを使ったデミグラスソースは非情に評判が悪い。 幻想郷でケチャップを扱っているのはせいぜい紅魔館ぐらいのもので、手に入れるのが面倒なのに。 子供が好き嫌いするなよという俺の思考に対する皮肉か、人形たちがワインの瓶とグラスを運んでくる。 「貴方も飲むでしょ?」 本当はあんまり好きじゃないけれど、アリスのおすすめということで初めの一杯ぐらいは戴くことにしている。 なみなみと赤い液体に満たされた自分のグラスをそっと持ち上げ、 「乾杯」 はい、乾杯。 ……もっと甘いほうが好きなんだよなぁ、俺。 「じゃあ、こっちも戴くわね……って、何でいきなり笑うわけ?」 そういえば、初めはナイフとフォークで食べてたんだよな。 意地でもスプーンを使おうとせずにオムライスと悪戦苦闘していた姿を思い出して、思わず吹き出してしまった。 お互いの近況報告を話題の種にしての食事が終わると、アリスは小さな欠伸をしてみせる。 例によってまた二、三日休憩取らずにも作業に没頭していたパターンかもしれない。 「魔法使いってそういうものよ」 威張られても困るが、そりゃ苛つきもするわな。 効率、余裕といった単語を強調しつつやんわりと仮眠を勧めてみる。 「……そうしようかな」 説得成功。 俺がベッドの上に座ると、腿にクッションを置いてアリスがそこに頭を乗せる。 いつ見ても首が痛くなりそうな姿勢である。 「平気よ。それじゃ、一時間経ったら起こして頂戴ね」 部屋が静かになると、すぐに寝息が聞こえてくる。 俺もいつも通りに座った体勢のままで読みかけの本を開く。 すー、すー、すー、規則的に響く小さな寝息。 「ん……」 しばらくして、僅かに寝返りを打つのがサイン。 頭をクッションの上に乗せなおしてやると、もぞもぞと体勢を変えて腰に手を回してくる。 クリーム色の髪を手で梳いてやると、少し口元が綻んだ。 本当は魔法使いに食事や睡眠が必ずしも必要じゃないと知っていたりする。 でもそれをバラしてしまうと、この甘え下手は真っ赤な顔で怒って次の日からまた試行錯誤するんだろう。 どこまでも人間くさい魔法使いだから、俺はこうして好きになったんだと思う。 ……こっちも少し眠くなってきた。 おやすみ、アリス。 目を覚ましてみればベッドはもぬけの殻で、時計はとっくに日没を示していた。 「起こしてって頼んだのに自分まで寝てるんだもの。呆れたわ」 アリスはリビングでさも美味しそうに口元のティーカップを傾けていた。 参ったな、もう夜か。 一人じゃ夜の森は抜けられないし、アリスに送ってもらわなきゃいけないな。 「嫌よ。時間が勿体無いもの」 うわぁいミもフタも無いお言葉。 「今夜はうちに泊まって、朝になったら帰ればいいだけの話でしょう?」 あーそゆこと、要はもう少しここにいろと。 でも俺なんかがいて作業の邪魔になったりしないだろうか。 「ご心配なく。誰かさんがぐっすり眠ってる間に粗方片付けておきました」 そんなあっさり片付いたの? や、まあ満面の笑みを浮かべるくらいだから嘘はついてないんだろうけど、うぅむ。 「納得した? それじゃ、さっそく夕食の支度でもしてもらおうかしら」 あ? ちょっと前に食ったばっかりなのにまた食うの? 「頭脳労働で消費されるエネルギーだってバカにならないのよ、そ、そんな事も知らないの? だいたい魔法使いは食事でも魔力を補充できるから――」 俺の反応が気に障ったらしいアリスが白い肌を紅潮させ、何やら魔法使いについての解説を始める。 ~~云々かんぬんかくかくしかじかアメンボ赤いな紅魔館~~ アホには全く理解できない内容の上、早口で語られるうちに頭痛がしてきたのでこの辺で平謝りしておく。 「だいたい休みの必要性を説いたのは貴方なんだから、ちょっとくらい付き合いなさいよ」 こんな時のアリスはいつも不機嫌そうな顔になる。 ああまったく、たまには素直にお願いできないのかねこのひねくれ者は。 「……なによ」 ――まあいくらでも付き合うけどさ。アリスの事好きだし。 うん。 今更このぐらいの発言で真っ赤になるほど照れないで欲しいんだよね。 や、なんか俺も恥ずかしくなってきたからちょっと、黙るのやめてくださいアリスさん。 うpろだ170 ─────────────────────────────────────────────────────────── ○○は溜息を吐きながらゆっくりと起き上がる。 筋肉痛で体中が痛いが、まだ働き初めて二日目だ、休むわけにもいくまい。 香霖堂に住んでいた○○が、霊夢によって神社に連れてこられて一週間が経った。 毎朝霊夢に起こされ、彼女が作った朝食を食べる。 昼は霊夢が掃除をしていれば手伝い、寝ていれば彼もそれに習う。 夜も彼女が作った夕食を食べ、後は寝るだけ。流石に部屋は別々だが。 あとは偶に開かれる宴会に参加したり、遊びに来る萃香の相手をしたりする平凡な日常。 それでもまあ、香霖堂に住んでいた頃には考えられないほどの、規則正しい生活だ。 気になる事は最近アリスの姿を見ない事くらいか。 神社に住む時にアリスが霊夢に突っ掛かっていたが、ひょっとしてそれが原因だろうか。 なんて事を考えながら、○○は溜息を吐く。貴重な友達が減るのは、やはり辛い。 顔を見せに行きたいが、一人では彼女の家まで辿りつけない上に、そもそも場所を知らない。 ここで霖之助が浮かばないのは○○が男だからだろうか。やはり同性より異性だ。 「おはようございます!」 「おお、おはようさん。さあ、今日も頑張っていこうか」 そう、彼は男だ。だから意地もあり、霊夢に食わせてもらうのはヒモの様なので勘弁願いたい。 だからこうして人里まで降りて、大工の見習いとして働いている。 体力のない○○からすると、欲を言えば頭脳労働が良いのだが贅沢は言ってられない。 何せ彼単独では行動範囲が極端に狭く、できる事だってほんの僅かしかない。今雇われているのも、霊夢のコネみたいなものだ。 彼女は妖怪退治をしているせいか人里でも評判は良く、食べ物を分けて貰ってくる事が多い。 博麗神社のに住んでいるといると○○が話したら、驚かれたもののその後は暖かく迎えられたものだ。 活動的で人の役に立つせいか、人里でも霊夢は結構な人気者らしい。 普段だらけている霊夢の姿をしか知らない○○にとっては、何とも奇妙なものだが。 そうして仕事が始まる。 まだ見習いの○○に任せられるのは単純な肉体労働だが、運動不足の体には辛い。 元々現代人である彼は体力がないし、香霖堂の生活がそれを助長している。 慣れるまでは大いに苦労する事になるだろう。 そして昼の休憩。疲労で体がダルいし、作業の後では腹も減る。 本来なら弁当を食べている時間なのだが、○○は一人ひもじさに耐えている。 仕事場の人には霊夢のところに戻って昼飯を食べてくると伝えて冷やかされたが、実際はそんなわけにはいかない。 ヒモっぽい生活が嫌で仕事を始めたというのに、霊夢に昼飯をねだったり、ましてや弁当など頼める筈がない。 何時か余裕ができたら何か買って自分で作ろう。そう決心しながら、○○は空腹に耐える。 今の仕事は辛いが、香霖堂でお茶を飲む日々よりかは充実しているだろう。 霊夢に連れていかれてそのまま神社に残ったのも、仕事をしないといけないと思っていたところが大きい。 まあ、霖之助に「これからもタダ飯食わせてください」と頭を下げて戻るわけにもいかないが。 「あれ、アリスじゃないか。久しぶりだな、元気だったか?」 そこへ通りかかったのは、最近姿を見ないと気にしていたアリス。何の偶然なのだろうか。 もっとも、今はタイミングが悪いと言わざるを得ない。 ○○は仕事で疲れていてダルいし、空腹で話すのも億劫だ。 が、久しぶりに会った友人だ。とりあえず精一杯と見栄と意地を総動員して外面を取り繕う。 「魔理沙から聞いたんだけど、仕事始めたってホント?」 「ああ。霊夢の世話になりっぱなしってのも情けない話だし、家賃と食費くらいは入れようかと思ってね」 手を後ろで組んでいるアリスに対し、○○は苦笑しながら返す。 そう言えばアリスの収入源は○○も知らない。いや、幻想郷の知り合いは本当に働いているのかも怪しい。 霖之助の商売はほとんど道楽だし、魔理沙だって働いているとは言い難い。 まあ、彼女らには生きていくだけの貯えや能力があるのだろう。 ○○の様に何の力もない者は、汗水垂らして働くしかないのだが。 「で、何でこんなところにいるわけ?」 「その辺は察してくれるとありがたいんだが、」 「そう。で、お昼まだよね?」 「その辺も察してくれると実に助かるよ」 ○○としても、まさか自分のちっぽけなプライドのために飢えてます。などと言えるわけがない。 適当にはぐらかそうとするも、返ってきたのは小さな溜息。 悟られてるかなと、○○は内心で溜息を吐く。 まあ、こんな昼時に飯も食べずに俯いていたら、何かあったか直ぐに分かるだろう。 「仕方ないわね。はい、これ食べなさい」 「……アリス?」 後ろで組んでいた手が突き出され、○○の前にピンクの包みが現れる。 あの仕草はこれを隠すための物だったのだろう。 「一応友達だし、分けてあげるわよ」 「あー、何かこう、照れるな。ありがとう、いただいておくよ」 ピンクの包みの中からは、大き目のおにぎりが顔を見せる。 アリスにおにぎりは似合わないよななどと考えつつも、○○は礼を言って頭を下げた。 そしておにぎりを受け取り、○○は遠慮なくそれを頬張る。 これでは霊夢に甘えているのとあまり変わらない気がするが、好意は素直に受け取っておくべきだろう。 何せアリスは洋食派で、○○は和食派だ。 そうなるとこのおにぎりの意味合いは○○にも想像できるわけで。 「アリス」 「何よ」 「ありがとな」 「……別に、何度も礼を言ったところでこれ以上は何もでないわよ」 「それは残念だ」 ○○はわざとらしく肩を竦めてみせ、次のおにぎりへと手を伸ばす。 不恰好で丸とも三角とも取れない微妙な形だが、まあ味の方に問題はない。 アリスも○○の隣に腰を下ろし、不安げに○○の様子を伺っている。 隣といっても、人一人分の距離があるが、そこがアリスが近づける精一杯の距離だ。 流石に霊夢の様に、ごく自然に○○の隣に座る事はできない。 「なあ、もう一つ貰っていいか?」 「私はお腹は空いてないし、別に全部食べてもらっても構わないわ」 「そっか、それじゃあお言葉に甘えて」 少しだけ苛立ちながら、アリスはそわそわとしながら○○の言葉を待っている。 礼の言葉も欲しいが、本当に欲しいのはそんな言葉じゃない。 ○○はそんなアリスの気を知らずにか、のんびりとおにぎりを頬張っていた。 「ん、ごちそうさん。結構美味しかったよ」 「……どうしたしまして」 美味しい。結構が余計だが、望んでいた言葉を聴けてアリスも満足だ。 結局○○が全てのおにぎりを平らげてしまったが、元々アリスもそのつもりでいたので問題はない。 「まあ、今回の礼は給料が入ったらするよ」 「期待せずに待ってるわ」 ○○は横になり、雲を見つめる。 休憩時間はまだあるし、しばらくはここでのんびりしていてもいいだろう。 そうして二人の間に沈黙が訪れる。何時もの事なので、気まずいわけでもない。 まあ、二人の距離はこんなものだろう。 近過ぎず、遠過ぎず、互いが心地よいを距離を探した結果なのだから。 「なあ」 「ん、なに?」 「いや、なんでもない」 だが何時までもその距離を心地よく感じるわけでもない。 どうにか距離を埋めたいと、二人は少なからず思ってる。 まあ、焦る必要はないのだから、また手探りで探っていけばいいのだろう。 今日も今日とて幻想郷は平和だ。 うpろだ205 ─────────────────────────────────────────────────────────── 拝啓魔界のアホ毛様、夜中に寝ていたら突然貴方の娘が泣きながら家にやってきました 「どうしたんだ?アリスこんな夜中に恋人とはいえ男の家に来るなんて」 俺は動揺を極力顔に出さないようにしアリスを刺激しないよう聞いた 「○○が・・・・」 「俺が?」 「○○が死ぬ夢を見たの・・・」 「そいつはまた演技でもない夢を見たな」 だからアリスは不安になって俺の所に来たのだろう 俺がもし同じ立場だったら不安になるだろうからあながち笑い飛ばせる事ではない 「まあ俺はこうして生きてるんだから泣き止めよ、な?」 「・・・でも」 「でも?」 「でも○○はいつかは私を置いて逝ってしまうじゃない!」 そうだ俺とアリスとでは種族としての寿命が違いすぎる 片や不老の魔法使いのアリス、片や老いて後60年もしたら死んでしまう人間の俺 アリスにとっては直ぐに訪れる避けられない別れ 「そうだな、だからこそ今このときを大切にしよう」 「嫌!私は嫌!○○と分かれたくない!○○とずっと一緒に居たい!!」 「アリス・・・・・・分かった、じゃあ俺に『捨食の魔法』を教えてくれないか?」 「○○?」 「吸血鬼とか蓬莱の薬とか色々あるけど、どうせなるならアリスと同じが良いしさ」 「で、でもいいの?人間じゃなくなるのよ」 「自分で言っておいてそれはないだろう?いいんだよアリスと一緒に生きられるなら」 ただ人間をやめる勇気がなかっただけで俺も口ではどんな事を言っても 心の中で本当は人間をやめアリスと一緒に生きる事を望んでいたのだろう でもこれで決心がついた、たとえ何があろうともアリスと一緒に生きていく事を 7スレ目 678 ─────────────────────────────────────────────────────────── 「な、なに?」 ○○にいきなり腕をつかまれた、強く、乱暴に 「アリス・・・そこは分量が違う、そっちを入れたんだからそれの分量は半分にしなきゃだめだろ」 「え、あ、ああうん、ごめんなさい」 魔法薬の調合中にいかがわしげふんげふん不謹慎な事を考えてしまった 修行が足りないなぁ 「これで良いのか?設置型遠隔操作型弾幕装置は」 「ええ、これで罠を作れるわね、戦術も広がるわ」 「俺は人形を弾にするのは好きじゃないな」 「どうしてかしら?」 「我が祖国に昔在ったと言われる神風特攻や爆弾三銃士のようではないか」 「なにそれ?」 「深く知る必要は無い、どうしても知りたいならばスキマ妖怪にでも聞けばいいさ」 コイツは私の知らないことを色々と知っている 「ふうん、何でも知ってるのね」 「何でもは知らない、知っていることだけ知っている」 いつものお決まりの台詞、彼から見れば私は無能で無智な子供でしかないのだろう 「さて、一通り終わったろ?」 「あ、あの・・・お茶を、のんで、いかない?」 「うーん、じゃあちょっとゆっくりしていくかな」 アリスに誘われては断れないな、茶菓子は・・・ふむふむ、クッキーですか おお、美味い、美味いなこれ 「ど、どう?美味しい?」 「あ、ああこれ凄く美味いぞ・・・なんだどうした」 「な、なんでもない!」 何だコイツ、いつにも増して、変な・・・ 「もしかしてこれお前が焼いたのか?」 「ななな何でそれをっ!?・・・あ」 「まじかよ、凄いなお前、これならいい嫁さんになれるぜ」 ああ、解りやすいぐらい赤くなっちゃって、可愛らしいったら 「よよよ嫁だなんて!そんな、その、まだそんな」 あー・・・見てる分には面白いけどな、あやしいひかりかちょうおんぱか、アリスは混乱した! 「まぁ相手がいないうちは結婚どころか(ばきゅーん)とか(どぎゅーん)だって、無理だろうけどな」 「ななななな(ぼんっ、ぷしゅー」 あーあオーヴァーヒートしちまった アリスはうぶだなぁ、愛らしい 「はっはっは、アリスはまだ子供だな」 「っ!私は子供じゃ無い!馬鹿にしないでよ」 そうやってすぐに向きになるところが子供なんだって 大人は少なくとも自分の感情をある程度コントロールできるし 「(ばきゅーん)とか(ずぎゅーん)、口にしただけで赤くなっちまう奴が偉そうに、大人ってのはな!物腰は柔らか感情は出さずに、スタイリッシュに振舞う奴のことだっ!」 「わけわかんない!(ばきゅーん)とか(ずぎゅーん)ぐらい私だって!」 「・・・したことあんのかよ?」 「あっ、いやその・・・で、出来る!それぐらい簡単よっ!」 悪い癖、なのかね?この意地っ張りというか、なんというか 「そうか・・・でもなアリス、そういうのは惚れた男の為に取っとけ、本当にコイツになら一生預けて良いと思える位いかした男の為にな」 まぁそんなに莫迦な子じゃ無いからなぁ、むしろ頭はいい、だが硬いんだよなぁ 「○、○○は・・・そういう人はいないの?」 「んーいないんだよなぁ、俺もてないし、知り合いも少ないし」 「・・・私じゃ・・・私じゃだめ?」 うわぁ、コリャやべぇぜ、こんな事言われて、けど俺はコイツの事は好きだけど なんていうか、餓鬼が近所のお姉さんやお兄さんに惚れるようなもんだと、俺は思ってしまう その好意を受け取っていいものか、悩む はたしてそれで良いのか、アリスの一時の感情ではないのか、何か思い違いではないかとか 受け取ることで苦しませたくは無い、俺もコイツと離れたりするのは怖いしいつまでもこんな関係でいければいいなんて思ってしまう ようは失敗が怖いわけだ、アリスに子供だと言ったが、大人になれば失敗が怖くなる あの頃は失敗する為に生きてるんじゃないかって思うぐらい後先考えず行動できた でも今は、深く深く考えてしまう、それがイイコトなのかワルイコトなのか、俺にはわからない 「ねぇ○○・・・私は」 俺は臆病者だ、そして、莫迦だ アリスを強引に、抱き寄せる 「・・・俺でいいんだな?」 「それはコッチの台詞、私で・・・いいの?」 「もちろん、お前じゃなきゃ嫌だ」 「私も、○○じゃなきゃ絶対に嫌だ」 アリスが、少し上を向いて、目を閉じた この状況で俺がすべき事は 壊してしまわぬように、優しく、口付けを 「んっ、んちゅぷぁ、あんっ、んーぷぁっ」 「ぷはっ・・・下向くのも辛いな」 「私だってずっと上向いてなきゃいけないんだから」 「ねぇ○○・・・その・・・(ばきゅーん)とか(ずぎゅーん)とか・・・しなくていいの?」 「あー・・・先の楽しみに取って置こう、うん」 「なにそれ、可笑しいの」 まだ、アリスを壊しそうで怖いと思う 彼女を傷つけそうで、怖い 「○○?」 「なぁアリス・・・もう一回キスしようか」 色々と成長しなきゃいけないのは俺も同じらしい この腕に収まりきれてしまう小さな体の、愛しい女の子を、守っていけるように はぁ・・・課題は多いな うpろだ350 ─────────────────────────────────────────────────────────── 『アリスお前……林檎の皮むき上手かったんだな』 「一応人形作れるくらい手先の器用さには自信あるんだけど……」 彼女は俺が寝てるベッド傍の椅子に座り、しゃりしゃりと器用に林檎の皮をむいている。 『ウサギの形作るのとかもできそうだな』 「できるわよ」 『ハート型とか』 「手間だけど……できるんじゃない?」 『上海の似顔絵型』 「できてもどうせ『勿体無くて食べられない』とか言うでしょ貴方」 『よく分かったな』 「分かるわよ。……はい、どうぞ」 『お、さんきゅ』 アリスといつもの様なとりとめの無い会話をしていたが、その間に彼女は林檎の皮むきも済ませていた。 風邪ひいてここまで手厚く看病されるなんて、ここに来る前じゃ考えられなかったな。 食べやすい様に切り分けられた林檎を幾つか口に入れ、現金な事に少し調子が出てきた気がしてきた俺は アリスに "あの" 時の事を聞いてみる事にした。 『なあ、アリス』 「なに?」 『今日は、泣かないのか?』 「!? ななな何のこと、事かしら??」 ぎょっと目を丸くして、頬をひくひくと引きつらせるアリス。ああ、お前最高のリアクション王だよ。女王か。 『いやさ、お前、俺が床にぶっ倒れてる時に俺ん家来て、そんでそのまま介抱してくれたじゃん あの時さ、しんどくて身体は動かせなかったんだけど……意識はあったんだよなー実は』 「な、だ、だってあの時何度も貴方の事呼んだのに、貴方全然応えなかったじゃない!」 『いやそのまあ、だな、あんなボロボロ泣かれると思わなくて、あそこで応えたら気まずいかなって』 「そ、そこまで空気呼んだんならその話は胸のうちにしまっときなさいよ!」 『いやいやあの時の貴女もう本当に可愛くて、この感動を誰かに伝えたくて』 「こんな時までからかうこと無いでしょ!本当に心配したんだからっ!」 『うんまあ半分は本気でからかったんだが、感動したってのは本当。伝えたかったってのも本当だな』 「え……?」 『普段落ち着いてるお前があんなに取り乱すくらい、お前に想われてるんだな、ってさ。 心配かけてごめん。でもすげー嬉しかった。恥ずいからもう言わないぞ』 おーおー耳まで真っ赤だ。俺もだけど。こういう時のアリスはホント可愛いなあ。 皆さん見てください、これが俺の嫁です。えっへん。 「も、もういいから、そろそろ眠ったほうが良いわ。早く治してよね」 『へいへい、おやすみー』 **** **** **** **** **** **** **** **** **** **** **** **** **** **** **** **** **** **** **** **** 「……とまあこの様に、季節を鑑みない春めいたやりとりを繰り広げているワケですが、解説の霧雨さん?」 「解説するぜ」 「アリスさんも魔法使いなんだから、人間の風邪に効果のある魔法とかあるんじゃないでしょうかね?」 「ブン屋よ、覚えときな」 「はい」 「時には魔法を使わないことが、魔法を生み出す事に繋がる事もあるんだぜ」 「意味は分かったんですが、その『今私ちょっと良いコト言ったぜ』的なオーラはしまって下さい」 「惚れてもいいぜ」 「惚れません!」 **** **** **** **** **** **** **** **** **** **** **** **** **** **** **** **** **** **** **** **** うpろだ384 ─────────────────────────────────────────────────────────── -人形遣いと機械人形遣い- ティウン ティウン ティウン ティウン……!! 「く……くそっ…!!」 周囲には、役目を果たさなくなった金属の破片や機械部品が散乱していた。 そして、俺の目の前には人形をしもべとする少女がいる。 「ふふふ……無様ね」 人形遣いの少女は、俺に嘲笑のこもった言葉を投げかけて―――― 「これで、私の勝ちね ―――― 罰ゲーム決定よ!」 ――――俺を指差し勝ち誇った。 「だーくそ! なんで勝てねぇんだチクショウ……!」 「あなたの機械人形が弱すぎるのよ」 「く……っ!」 ……俺が何故アリスと決闘をやっているのかって? アリスが、半人半霊の剣士と、俺と同じく外の世界から来た白玉楼の軍師との試合に触発されて―――― 「ね、ねえ……あなた機械人形を作るのが得意なんでしょう? だったら、私と勝負しない?」 「え?」 「どっちが最高の人形遣いかはっきりさせておきたいのよ……拒否は認めないわ」 「フ、挑まれた勝負は逃げるわけにはいかないな……いいだろう!」 「あ、そうそう……妖夢と●●の決闘のように、勝者は敗者の命令を一つ聞くこと――――いいわね?」 「は?」 という経緯により、アリスと俺も 負けたほうが言うことを何でもひとつ聞く罰ゲーム付きの決闘を始めたわけだ。 そして、それからアリスとの決闘は通算100敗目…… 俺は彼女に一回も勝ったことがない。 「はぁ……妖夢と●●のようにはいかないわねぇ……」 「は?」 「な、なんでもないわよっ!!」 プイと後ろを向くアリス。 そして、彼女は俺に顔を見せないまま―――― 「ま、いいわ……それで、今度の罰ゲームは……」 「おう、煮るなり焼くなり好きにせいや」 「そ、そうね……私と……その……」 「?」 「デ……デー…」 「大丈夫か? なんか、耳はおろか首筋まで赤いぞ?」 「~~~~~!!!! デ、デ、『デヴィリーライトレイ』――――ッッ!!」 大量の人形がレーザーを地上に照射して 「―――― え?」 そしてその地点から爆発が生じる。 「ギャアアアアアアア!!」 俺はまた、吹き飛ばされた。 「で……≪ 私とデヴィリーライトレイ ≫ ってなんだよ? つーかそれ喰らうの5回目だぞ」 「う…うるさいわね! 今日の罰ゲームは今ので終わり! 次の勝負は10日後にここでやるわよ!! 遅れないでよね!! 」 と言い捨ててアリスは走り去ってしまった。 「……な、なんだったんだ?」 ・ ・ ・ ちなみにアリスは家に帰るなり バスン! ボスン!! バスン!!! クッションを両手でつかんで床にたたきつけながら―――― 「あーもう、私のバカバカバカぁぁ!! どうして、『私とデートして』の一言が言えないのよぉぉ……!!」 ……激しく後悔していた。 ・ ・ ・ 一方―――― 家に戻った俺は、今日戦ったときに収集したアリスの戦闘データを解析していた。 自作の発電機によって電気を供給し、パソコンのキーボードをパチパチ打ちながら、ニヤニヤ笑っている。 端から見たら恐ろしく不気味であろう。 「くくく……いつまでも負けっぱなしだと思うなよ、アリス」 アリスとの100回もの戦闘で、データ収集はこれで完了。 例のやつの思考プログラムと戦術プログラムも完成した。 後はボディの作成だけだ…… 「次は、お前を完璧に負かしてやるぜ……!」 俺の得意とするのは機械人形作成――――所謂、ロボット作りだ。 実際、元の世界ではさまざまなロボット大会に出て何回も優勝したこともある。 だが……アリスと渡り合うには、科学の力だけで作られた機械人形ではどうにもならない。 基本的にロボットはそこまで力が強いわけでもなく、強い衝撃を受けるだけで壊れてしまうし、それほど動きが速いわけでもない。 その戦闘力は、アリスの人形の足元にも及ばないだろう。 しかし、この幻想郷には魔法がある。 そして、その魔法の理論体系も粗方理解し、実践できるようになった。 材料も香霖堂で使えそうなのを買ってきたし…… あとは魔法と科学を融合させ 最高傑作と呼べる自動機械人形を造るのみ―――― 3日後―――― 「うーん、やっぱミサイルは外せないよなぁ……」 6日後―――― 「合体変形機能は漢の夢だよな……でも、さすがにまだムリだよなぁ……」 9日後―――― 「時間ねぇー!! つーか、間に合わねぇよコレ!」 10日後―――― そして、俺は勝負の舞台に立つ。 「……待たせたな、アリス」 結局、作成は間に合わなかった。 残る作業は充電だけで、終わり次第こっちに来るようにプログラムしておいたが…… それでもあと何十分かはかかる。 とにかくアレが来るまでは時間を稼がなくてはどうにもならない。 ……別に仮病使って休んでもいいのだが、休むとアリスが 「なんで休むのよ! 楽しみにしてたのに!!」 ――――と、烈火のごとく怒るんだ。 「それじゃ101回目の勝負……いくわよ!!」 「ちょっ、ま……そんな早す――――」 数分後―――― 「ッぐぁ!!」 必死で時間稼ぎをするものの、防戦すらままならない。 アレを作ることに気を取られて 手持ちの機械人形はろくにメンテもしてなかったため 自慢の機械人形はロクに動かないまま、次々とアリスの人形に撃破されてしまう。 「……呆れた、いつもよりも輪をかけてお話にならないわね……」 「ぬうう……」 「そろそろトドメ、行くわよ……」 その時 ゴォォォォォォォ…… 空から轟音が聞こえてきた。 「な、なに? この音……?」 「来たか――――」 「え?」 「予想より早かったが、それでもギリギリセーフってとこか……待ってたぞ ――――」 ゴオオオオオオ―――― 空からの轟音が大きくなって―――― 「――――“フルメタルアリス”!!」 ―――― ガシャコン……ッ! ○○と、アリスの間に、鋼鉄の少女が降り立った。 「( ^ ▽^)ノ マスター、オハヨウ~♪ 」 そのまま、可愛らしく俺に挨拶をする。 空を飛んでアリスの目の前に立った○○の切り札は―――― 「な……私?」 ――――アリスと、大きさまでもがそっくりに作られた機械人形だった。 「( ^ ▽^)ノ コンニチハ、オリジナルー♪ 」 アリスそっくりな機械人形は左手を上げて、アリスにも挨拶をした。 「なななななな…何なのよソレ――――!?」 何なのよ、この私そっくりな機械人形は!? なんで私にそっくりなの!? 顔もそっくり……いや、ちょっとだけ機械チックだけれど 服も堅そうな金属でできてるし って、そうじゃなくて―――― 「な、なんで、わたしそkk――――」 「これがオレの可愛い“フルメタルアリス”だ!! ワハハハハハハハ!!」 アリスの動揺と言葉を遮って、○○は勝ち誇る。この上なく勝ち誇る。 右腕を天にかざし、高らかに勝ち誇る。 ああ……楽しい。 切り札を見せるこの瞬間のドキドキといったらもう! マジ、テンションあがるわコレ! 「 (////⊿//) カ、“可愛イ”ッテー…」 「…………」 「 (//// _ //) アリガトウ…♪」 その女の子らしい もじもじ した仕草と、素直な心に少しドキッとさせられる。 「素直で可愛い……そんなお前を俺は気に入っているぞ! メカアリス!」 「( //// ▽//) ♪~」 当然、アリスはイチャイチャしている○○とメカアリスの姿が面白くない。 「 ち ょ っ と 、 い い か し ら …… ○ ○ っ !!」 「 ア … ア リ ス 、コ ワ イ ー ……」 獰猛な殺気を露にするアリスと、その姿に怯える人形たち。 しかし―――― 「フハハハハハハァァ――――! すごいぞッ! かっこいいぞォォォッ!!」 「いや聴きなさいよ人の話!!」 「さあ……ここからが俺とメカアリスの踏み出すロード! それが勝利への未来となるのだァァ!」 「いやだから、人の話を――――」 アリスは頭を抱えた。 (ああもう、そうだった……こいつ切り札を出す時には、なぜかハイテンションになって こんなになるんだった……) 今の○○の姿を一言で言うなら……誇大妄想狂だろうか? 「さあ、メカアリスよ! 我が永遠の宿敵 ―――― アリスを倒すのだァァ!!」 「( ^ o^)ゞ リョウカイー!」 メカアリスがアリスの眼前に立ちふさがる。 「 o( - _-)=O=O オリジナル……覚悟ー!」 「ああもう、本当に気に入らないっ! 粉々にしてあげるわ!!」 不機嫌そうにアリスは吐き捨てて、人形を自分の周囲に展開させる。 「〟〝 〟〝\( ^ ー^)ノ 〟〝 〟〝 ファンネルー!」 「!?」 鋼鉄のスカートの中から何体もの小型の機械人形が現れる。 それは、アリスの人形たちと酷似していた。 違いは、機械であるかそうでないかだけ―――― 「これがメカアリスの『ドールファンネル』だ!! ワハハハハハハ!!」 ○○のバカ笑いと同時に、小型の機械人形がめちゃくちゃな軌道を描きながらアリスに襲いかかる。 「……っ! 戦操『ドールズウォー』!!」 アリスは周囲に展開させた人形で、向かってくる機械人形をすべて迎撃し地に叩き落す。 そのまま、人形たちに弾幕を張らせてメカアリスに攻撃しようとしたが―――― 「(((((( \( ^ _ ゜)/ )))))) バリアー!!」 ガキィィィンン!! 「な――――!?」 人形たちの弾幕が全てメカアリスが展開した見えない防壁に阻まれた。 さすがのアリスも驚きの声を隠せない。 アリスノ ツンデレ 「これがメカアリスの『 A T フィールド』だァァ!! ワハハハハハハァー!! 俺以外のすべてに“ツン”とした無敵防壁を張り、俺にだけは“デレ”っとしt」 「―――― ああもう、うるさいわよっ!!」 耳障りなバカ笑いと解説に毒づく。 「……ッ!? こ、これは――――」 アリスはメカアリスのスカートの中から五寸釘型のミサイルが発射されていることに気づく。 ミサイルはそのまま弾頭をアリスの方向に向け、停止したままだ。 その時点になって、アリスはメカアリスの作戦に気づいた。 だが、気付くのがあまりにも遅すぎた。 五寸釘の形をしたミサイルに周囲を完全に囲まれてしまっている。 戦闘中に、アリスに気づかれないように鋼鉄のスカートの中からミサイルを発射し……配置していたのだ。 ……アリスを取り囲むように。 「これがメカアリスの『ごっすんミサイル360度全方位収束一斉掃射』だァァァァ――――!! ワハハハハハハァァァ――――――ッ!!」 そして、何発ものごっすんミサイルが―――― 「しまっ――――」 ―――― アリスの360度全方位から、襲いかかった 「きゃああああああっ!!」 辛うじて、人形で防御するが 膨大な数のミサイルはとうてい防御しきれるものではなく―――― 爆風に吹き飛ばされ、アリスはそのまま気を失ってしまった。 完全に動けなくなったアリスを確認し、○○とメカアリスは勝ち誇る。 「フハハハハハハァァァァ――――――ッ! 粉砕! 玉砕ィ! 大喝采ィィ!!」 「o( ^-^)o ヤッタァー!」 溢れ出る喜びのままに、勝ち誇る。 「よくやった! さすがは、我が自慢の娘だ!! フハハハハハハハッ!! ワ ハ ハ ハ ハ ハ ハ ハ ハ ハ ハ ハ ハ ! ! ! ! ――――って、いや笑ってる場合じゃなくて、大丈夫かアリス?」 戦闘終わったし、いい加減テンション上げすぎるのも疲れてきた。 バカ笑いしてるのも飽きたし、何より笑ってる場合じゃない。 一応メカアリスの武装は、死なない程度に殺傷力を落としたモノを使ってはいるが それでも、全方位からミサイルを浴びて無事で済むとも思えない。 「う…うう……」 アリスを抱き起こし、その身体をざっと見回す。 目立った外傷もない。 「ぅぅ……いたた……え?」 「大丈夫か?」 「―――― ○○?」 次第に、アリスの目の焦点が合ってきて―――― 「――――ッ!?」 アリスは状況を確認し、なぜか一瞬で頬が真っ赤に染まる。 「きゃあああああああっ! ドコ触ってるのよっ!!」 パァァァンッ!! 派手な音とともに俺の頬が張られ、さらに突き飛ばされて尻餅をついてしまった。 「……無事みたいだな」 OK、これだけ強力な平手打ちできるなら問題ない。 まあ、アリスの目が覚めたところで早速勝ち誇らせてもらうか! 「今回は、俺の勝ちだな、アリス!」 「くっ……なんなのよ、その私そっくりな機械人形は! し、しかも言うに事欠いて、私そっくりな姿で、ス……スカートの中からミサイルや人形を射出するなんてっ!! なんてことするのよ、スケベ!!」 「何を言うかバカ者ぉぉ! 乙女のスカートの中には、愛と勇気と、未来への希望が詰まっているのだッ!! 故にメカアリスの全武装はすべてスカートの中から射出するようにしt」 「バ……ババババババカぁぁ―――――!!」 「痛ぇ!」 スカート談議に花を咲かせ痴話喧嘩を始める二人。 そこにメカアリスが―――― 「(ノシ /// ▽//)ノシ マスタ~♪」 ○○に抱きついてきた。 「うおっと! どーしたよ、メカアリス?」 「(ノ /// ▽//)ノ マスター、大好キー……」 ところで↓の場面を想像してみてくれ。 いつもツンケンしているアリスと同じ顔が「(ノシ /// ▽//)ノシ ○○ー、大好き♪」 と頬を赤く染めて抱きついて、甘えてくる姿。 こいつをどう思う? 「よしよし、可愛いな、メカアリスは~♪」 「――――っ」 それを見ていたアリスは、一瞬だけ泣きそうな顔になって―――― 「……お、覚えてなさいよっ!!」 ベタなセリフを残し、走り去っていった。 ・ ・ ・ 「うう――――」 バタン! 家に帰るなり鍵も閉めずに、近くにあったクッションを引っ掴んでその場にへたり込んだ。 涙を流しながら、クッションを両手に持ったまま床に何度も叩きつける。 それでも気は晴れない。 バスン! ボスン!! バスン!!! 「○○のバカ! バカっ! バカぁっ! 」 くやしい! くやしい!! くやしいっ!!! 「あんな……あんな機械人形なんかに――――」 ○○に、負けたことなんて もうどうでもいい。 あの男は、いつかは私を超えてさらなる高みへと進んでいく男だということを信じていたから。 涙を流すほどに、屈辱的で悲しかったのは あの男は、私がいながら―――― 「よりによって……あんな機械人形なんかを選ぶなんて――――!!」 ――――よりにもよって私そっくりの偽物をつくって、そっちを選んだ。 「どうして……?」 あの時、イチャイチャしていた2人を見て感じたのは胸が引き裂かれそうな嫉妬と悲しみ。 「どうして、私じゃなくて……私の偽物なんかで満足するのよぉ…… しかも、私の性格とは180度違う……素直で天真爛漫で女の子らしくて人懐っこい性格で……」 本物の私は、意地っ張りで素直じゃないけれど、あなたのコトがこんなにも大好きなのに…… あなたは、やっぱりああいう女の子のほうが――――? 「 ア リ ス … ゲ ン キ ダ シ テ ー ……」 「上海………」 「 ア リ ス ー ……」 「蓬莱………」 「 ア リ ス 、 フ ァ イ ト ヨ ー !!」 「うう……」 人形に元気づけられ、改めて自分と○○の関係を考え直してみる。 あの私の偽物は生み出されたばっかりで、まだ○○との付き合いも浅い。 だけど、私には2年前から、あいつと過ごしてきたというアドバンテージがある。 ……しかし 「考えてみれば……あの男、今あの偽物とイチャイチャやっているのよね……」 「 ア リ ス ー ……?」 そして、これからはあの男と偽物が一緒にいる時間はどんどん増えていくのだろう。 時間が経てば経つほど状況はどんどん不利になる…… 「――――っ!!」 こんなことしてる場合じゃないわ―――― 「 ア リ ス ー 、ド ウ シ タ ノ ー !?」 クローゼットを全開にし、大きなバッグを取り出す。 そして、クローゼットの中にある服や、洗面器具などの生活必需品を手当たり次第、大きなバッグの中に詰めていく。 「あいつの家に押しかけるの!! ○○は誰にも渡さないんだから!!」 10分後―――― 「……おう、いらっしゃい! どーしたよ、アリス?」 「え、えーと……そ、そうそう! あなた罰ゲーム忘れてるでしょ?」 「あ、そーいえば……いや、つーかその荷物は?」 「あ……あなたのことだから、しばらく長く続く罰ゲームを命令されると思ったのよ」 「罰ゲームの期間って1日だけじゃなかったか?」 「う、うるさいわね!! あなたにお情けをあげるの! 私に初めて勝ったあなたに、お情けで数日の間 罰ゲームに付き合ってあげようと思っただけよ!! い、言うこと聞いてあげようじゃない! 食事を作るとか……なんでも御座れよっ!」 「ん~、そりゃ嬉しいが……実は食事は――――」 その時、家の奥から機械人形の声が響く。 「 (ノシ ^▽)ノシ マスター、食事ノ準備デキター」 「……つーわけだ。すまねぇ、もう作っちまってたんだよ……よければ、喰って行くか?」 「な、なに言ってるの!? あんな機械人形の作ったものなんて――――」 きゅう~…… 「あ………」 可愛らしい音を立てて、アリスのお腹が鳴った。 「…………」 「…………(//// ⊿//)」 「…………」 「…………ッッッ!」 「ぼ、暴力反対……」 「バカぁぁ―――――――――――――ッ!!!」 「――――――!?!?!?」 悲鳴を上げることすらも許されずに、俺はアリスの鉄拳によって吹き飛ばされた。 俺は、彼女が意外に武闘派だという一面を薄れゆく意識の中で………ゲハッ ・ ・ ・ 結局、私は機械人形の作った食事を食べることにした。 それにしても、あんなところでお腹が鳴るなんて…… ああもう、恥ずかしい……顔から火が出そう 未だに自分の頬が赤く染まっていることがわかる。 「い、いただきます……」 「( ^ ▽^)ノ 召シアガレー、オリジナルー♪」 そして、機械人形の作ったカレーライスを一口食べる。 そのとたん、抱いていた羞恥心が消し飛ぶ。 文字通り言葉を無くした。 「う、嘘っ…美味しい……!」 信じられないくらいに美味しいのだ。 「だろ? さっき、メカアリスに紅魔館のコックや、白玉楼の板前の調理スキルデータをインストールしたんだ。 ……他にも、スキルデータをインストールしていけば、さらにメカアリスは完璧になっていくぜ」 正直、これ以上にうまく作ることなんて……できそうにない。 ああ……こんなことなら、もっとお料理の勉強しておけばよかった…… ……勉強しても、調理スキルのデータを注入するだけでレベルアップできる様な反則機械人形には全く勝てる気がしないけれど。 そんなこんなで食事も終わる。 「まあ、あれだ……罰ゲームについては考えておくよ。 あと、よくわからんが 今日は泊まっていくんだろ? 先に風呂入りな」 「ううん……私が押し掛けてきたんだから先に入って。」 「そっか……じゃあ、風呂入ってくるから適当にくつろいでてくれ」 「うん……」 浴場に入る○○を視線だけで見送り。 私は、ため息をつく。 完膚なきなまでに、あの機械人形に対して敗北感を味わっていた。 悔しいけれど、勝てない。 「……何か、ないかしら」 あの機械人形にはできなくて、私にはできること。 「……あるわけない…か」 大体、データ注入するだけで強くなれる相手にどう勝てばいいのだろう。 重い気持ちを抱いたまま、何気なくソファの上を見ると…… 「ん?」 書きかけのノートのようなものがあった。 「なに……これ?」 ノートを手に取り、開いてみる。 これ、メカアリスの作成日誌? 少し興味も駆られてパラパラと流し呼む。 その中に、一つだけ目を引く文章があった。 ≪―――― 耐水防護に課題が残る ――――≫ つまり、あの機械人形は水に弱いって言うことで…… ―――― こ れ よ こ れ し か な い わ ! ! 自分の勝利を確信し、アリスは思わず叫んでいた。 ・ ・ ・ 「ふー、いい湯だねぇ……」 俺は風呂につかりながら、本日の歴史的大勝利を噛み締めていた。 そして、アリスの言った「罰ゲーム」を思い出す。 正直、ついさっきアリスに言われるまで忘れていたものの どんな罰ゲームで、これまで受けた屈辱の溜飲を下げようか今から楽しみだ。 「罰ゲームかぁ……『今ここでアリスに背中を流してもらう』なんてのも良かったかなぁ……ハハ」 あのアリスが羞恥に頬を染めながら、俺の背中を流すシチュエーションはきっと殺人的な享楽だろう。 「そ、そう……じゃあ、失礼するわよ」 「おう、入れ入れー……は?」 振り返るとそこには、バスタオルを胸に巻きつけ、そのほかは何一つ纏わないアリスが立っていた。 バスタオルの端から見える膨らみかけの柔らかそうな胸。 やや内股気味なすらっとした滑らかな脚。 紅く染まる頬に、羞恥に潤んだ瞳。 裸の俺に視線をまっすぐ向けられず、俺と余所を交互にチラチラ見ている仕草が殺人的に可愛い。 「そ、そんなにジロジロと見ないで…!! 恥ずかしいじゃない……」 なんだ、これは……夢か? 「わ、私は今日負けたから、あなたの背中流してあげるの!! か、勘違いしないでよね! あくまで、罰ゲームだからやってるのよ!!」 「いや、罰ゲームって普通俺が決めるんじゃ――――いやなんでもありません」 アリスに進言しようとしたが、妙な気炎を上げる彼女に水を差すと また殴られそうだったので黙っていることにした。 何より、これはこれでイイ。 「ほ、ほら…背中向けて」 「あ、ああ……」 アリスが俺の背中を石鹸をたっぷりつけたタオルで洗い始める。 力があまり込められておらず、どことなく洗い方がたどたどしくて……少しくすぐったい。 この慣れていないっぽさ っていったらもう……! 「ど、どう…? こんなこと、偽物にはできないでしょう……?」 「ま、まあ……あいつは防水加工してないからな…… ……てか、どうしたんだ、アリス? やけにメカアリスに対抗意識燃やして――――」 言いながら、背後を振りむこうとしたら、アリスに両手で頭をつかまれた。 「う、後ろを見ないで」 そして、泣きそうな声で彼女は続ける。 「は、恥ずかしいんだからぁ……!」 「わ、悪い……」 アリスの声は羞恥により僅かに裏返っているし 背中をタオルで擦る手は震えていた。 本当に緊張しているようだ。 ……ち、ちくしょう なんなんだ、何がどうなってるんだ。 今日のアリス……可愛すぎる。 「…………」 「…………」 正直、互いが互いを意識してしまって それでも、アリスはたどたどしい手つきで 汚れが洗い流した。 「あなたの背中、大きいわね……」 「え? あの…アリス?」 両手が俺の肩にかけられ、彼女の頭が軽く俺の背中に当てられる。 「……それにすごく温かい……」 ヤバい。 コレはグッと来た。 つーかこれはヤバい。 俺は彼女を襲ってしまいそうでヤバいし。 彼女は俺の背中になんかウットリしてヤバいし。 誰か……誰か、俺と彼女を止めてくれ! 「( ^ ▽^)ノ マスター!」 ガラガラガラガラガラ!! 「∑( ○ _ ○)ノ ……!」 風呂場の扉を開いてメカアリスが入ってきた。 瞬時に、メカアリスは硬直し赤面 一方、乙女アリスは 「……ッ、あなた……!」 殺人アリスへと変身する ……殺意の対象は人ではないけれど。 「(ノシ //// Д///)ノシ ァゥゥ…オリジナル、大胆スギルヨォ…」 「あ……あなた……」 「ε=( //// Д///)≡З プシュー……(エラー中)……」 「……?」 「(あまりの事態に)エラー中みたいだな、少し待ってあげてくれ」 そして、10秒ほど経つ 「( ^ ▽^)ノ ……(エラー修復完了)……復活ー♪」 「あなた、なにしに入ってきたのよ……!」 「( ° -^)b ア、ソウダッター……マスター マスター」 「どーした?」 いきなり入ってきたとはいえ、別にメカアリスは一緒に風呂に入りにきたわけではない。 大方、食事の後にセットした自動改造プログラムが終わったことを報告しに来ただけなのだろう。 「( ^ ▽ )ノ 防水改造 終オワッタヨー」 ・ ・ ・ ……え? 頭をガツンと殴られたような衝撃がアリスを襲った。 防水改造が終わったって言うことは、水が大丈夫になったと言うことで…… ただ一つあったはずのアドバンテージすらも完膚なきなまでに打ち崩された。 どうやっても、なにをやっても……私はこの機械人形には勝てない。 「…………」 ねぇ……○○ じゃあ……私は……もうイラナイの? この子に、防水改造をして一緒にお風呂に入るつもりだったの? あなたは……私のこと、なんとも思ってないの? 「ごめん、私…もう帰るわ……」 これ以上いたら、泣いてしまう。 ・ ・ ・ 「アリス?」 「……っ」 「ちょ、おい! アリス!?」 そのままアリスは風呂から走り去って行ってしまった。 俺も、急ぎ風呂から上がるが……そこには、アリスはいない。 彼女が持ってきた大きな鞄も無くなっている。 「……あいつ、泣いてた………」 急ぎ、濡れた身体のまま、服を身につけ、靴を履く。 「( ・_・) ……マスター、ドコ 行クノー…?」 「すまねぇメカアリス、留守番を頼む! ちょっとアリスを探してくる!!」 「( σ _σ) ………」 「くそ…見つかりゃしない……」 突然出て行ってしまったアリスを探し、俺はひたすら走り回っていた。 アリスの家、魔理沙の家、博麗神社、紅魔館の図書館、香霖堂…… 彼女の行きそうなところは、すべて探しまわったがどこにも彼女はいない。 探し始めたときはまだ頭上で輝いていた太陽も、すでに沈み切り、周囲には妖魔が徘徊する気配が漂っていた。 「やべぇな……さすがに戻らねぇとマズイか?」 メカアリスについて来てもらったほうが良かったかもしれない、と考えたその時…… ゴォォォォオオオオオオ―――― 周囲に轟音が響き 「ε=⊂( ^ o^)⊃ マスタ~」 続いて、能天気そうな声が聞こえた。 ガシャコンッ!! メカアリスが俺の目の前に着陸する。 プシュー…! 着地と同時にメカアリスは機体内の排気と熱を放出。 俺は彼女に歩み寄る。 帰りが遅い俺を心配して迎えに来てくれたのだろうか? 「( ・ _・)ノシ マスター、マスター」 「どーした? メカアリス?」 「( ・ _・)ノ□ コレガ、ポストニー」 メカアリスから一通の手紙を手渡された。 簡素な無地の封筒には、アリス=マーガトロイドと記されている。 急いで封を開け、中の手紙を見ると……これまた無地の便箋が そして、その便箋にはたった2行の文章が奇麗な文体で書き記されていた。 ≪ ―――― 10日後の正午に、私の家の前にて待つわ……最後の決着をつけるわよ ―――― ―――― アリス=マーガトロイド ―――― ≫ 「アリスからの『決闘状』…?」 でも、最後ってどういうことだ……? 「( ・ _・)ノシ マスター、マスター」 「ん?」 「( ・ o・)ノ 今日ハ、モウ戻ッタ方ガイイト思ウ―」 メカアリスに言われて、周囲を見回してみる。 確かに……これ以上探索するとこっちが危ない。 いくらメカアリスがいるとはいえ、アリスと戦ったときに以降、彼女には武器の補充をしてない。 下手をすれば、メカアリスともどもやられる可能性がある。 「そうだな……明日、また探すか」 「( ^ _^)ノ ウン!」 そして、暗い森の中を一緒に歩いて帰る。 「……にしても、決闘状に届けにきたってことは 行き違いになっちまってたのか? 」 「( σ _σ) ……」 「アリスのやつ……どーしちまったんだろうな……」 「( σ _σ) 私ジャ ダメナノカナー……」 「何か言ったか? メカアリス」 「( ° ▽ °; ナ、ナンデモナイー」 ・ ・ ・ そして……10日後の正午―――― アリスの家の前に、俺とメカアリスはいた。 「……お待たせ、○○」 「……? どうしたんだ? やけに顔色悪いぞ?」 「……ちょっとね、でも大丈夫よ」 「ったく……あれから、ここ10日間必死で探したってのに全く見つかんないし ……何やってたんだよ、お前?」 「……別に、私が何をしようとあなたには関係ないでしょう?」 ……? なんだろう……今日のアリス、妙に冷たい。 「だいたい、最後の決着ってなんだよ? 俺はまだ、お前に一回しか勝ってないってのに」 「言葉どおりよ。今日で決闘は終わり……もう、あなたの代わりがいるから、あなたとの勝負もおしまい」 「……なんだって?」 「見るがいいわ……ここ10日間で作り上げた 私の最高傑作……」 アリスが片手を高く掲げ―――― 「出てきなさい ――――!!」 ――――その呼び声とともに森の木陰から、影が飛びだす。 「――――!?」 「( °_ °) ……!?」 現われたのは白馬人形に跨った一体の人形。 背丈は俺と同じくらいだろうか? 腰には、一振りの剣を携えているおり、背にはマントが その人形の姿を見て、メカアリスと俺は息を飲む。 「呼ンダカ、マスター?」 その人形は白馬人形からひらりと舞い降りアリスのすぐ横に立つ。 「は……?」 「∑( ○ o ○) ……!」 それは…… 「初メマシテ。オリジナルと、メカマスター」 俺とそっくりな顔をした人形だった。 ・ ・ ・ 「紹介するわ……これが○○人形。 私の、新しいパートナーよ」 完全自律人形とまではいかなかったけれど それでも、その自律性は他の人形とは比べ物にならない。 「あなたなんかより、何倍も 強くて 優しいの」 「………」 「( ○ o ○) ………」 ○○とメカアリスは言葉も出せないようだ。 ふふん……あまりの事態に言葉もないようね、○○。 ○○人形さえいれば、もうあなたなんて―――― 「白馬の王子様を待つお姫様に、憧れていたのかッッ!?」 盛大にコケる。 この反応は、文字通り想像の斜め上だった。 いや、驚く所はそこじゃないでしょ!! 「…う、うるさいわねっ! いいでしょそんなことっ!!」 しかも、何気に……そ、その核心突いてくるし! 確かに白馬の王子様にちょっとは……ほんのちょっとだけ憧れたりもしてるし その王子様が、○○だったらとか…… ああああ、もう、私何考えてるんだろう! せっかく、○○人形を作って○○のこと吹っ切ったつもりなのに…… 「\( ^ ▽^)ノ ナカマー!」 「ヨロシク頼ムナ、メカマスター」 しかも、○○人形と機械人形は 「って、そこ! 何、敵と交流を深めてるのよ!!」 「フフ……怒ラナイ 怒ラナイ。イイジャナイカ 挨拶クライ」 穏やかな物腰で、やんわりと私に 「あっ……」 私を抱き寄せる 「○○人形……」 「愛シテイルヨ、マスター」 安心させてくれる。 どうしようもないくらい鈍感な○○よりも…… まるで○○のように。 ……ああもう! どうして最後まで○○のことが頭から離れないのよ私ってば! 「今日は私は動かない……人形だけの勝負よ……」 「だそうだ……メカアリス、いいか?」 「\( ^ ▽^)ノ ウン!」 メカアリスはドールファンネルを展開させ 「〟〝 〟〝\( ^ ー )ノ〟〝 〟〝 負ケナイヨー!」 ○○人形は腰に携えていた剣を鞘からスラリと抜き構える。 「ソレハ、コチラの台詞ダ」 メカアリス VS ○○人形 ―――― ―――― o( ° ー )=○|==≫ ☆〟〝 〟〝 ○(*σ 。σ)o ―――― ―――― 戦闘開始!! うpろだ386・389・393・413 ─────────────────────────────────────────────────────────── 一行告白 アリス、君の寿命と比べたら短いけれど。俺の命を、君の人生にささげさせてくれないか!? 一行返答 要らない。帰れ 7スレ目 759 ─────────────────────────────────────────────────────────── お前は孤独じゃない。だって俺がいる。 7スレ目 828 ───────────────────────────────────────────────────────────
https://w.atwiki.jp/propoichathre/pages/702.html
アリス1 1スレ目 6 アリス、キミの言葉は僕には届いてるよ ─────────────────────────────────────────────────────────── /_,..-─ーナ─i-.,_ ヾ ヽ, _,.-|f ゙''''N/-i_ i ∧`' ...._ ヾ ヽ _/--' 〉/イ゙'フ=_ミ _V iヽ| ∧ヽ、 i | ____ _ / .κ' アー´─ j='''' if゙ミキ三゙ヽ ヽ /'゙ ̄iヽi γ ''' Y'゙´ .) | // / ' ・ ゙ヽ  ̄ヾ→、 ヽ 〈 | | / ゙ 、 . ヾ /-- .,_| | レf r二'- ._ `'- |i ト ゙i ー-j / _r─',─ミi, ゙ー'゙v゙ /''ー-.,゙'ー-↓ル| |゙ `ヽヽ `^゙y レ ゙' ∨ __,... -─''T_ i´ ヽ__ Y ̄三=-ハ'-- .,'_'- .,,_」.=,─- .`冫 i / ' ゙i_,...--<´ r '´ ヽu_ '''''゙ ヽ{゙ロ'人 f t r,iノ/| _,>-=>-゙─< _,.-ー'/ | ヽ、 ヽ, r゙ = ゙'ー'=-_,.._ノy゙='ーミ=_iフノ'゙´|/゙´i、 i _| `i _フイ レ . ゙、 ヽ r' ''-゙-.,_ ノ=x'ー'|r─-ト了ヽ., ,.-─-三-.,___ i-j彡び / . /I | _/ r `'<´ミ 彡/´ ..ヽ彡'゙.i i '' ゙  ̄,. ヽ.,i ゙iろ / /./ i レハ 'ー-.,___,.ノ ヲ,,彡ハ /'゙'゙´ rー`-.,_ \ |゙ヽj.,_ _,..-ー'´ | /゙|〈 .ア ' .,_ `ヽ、 i゙ | /_,... -ー从 . `'=.-、 ゙' ヽ' i .. ヾ二/ γ´ i i ゙'-.,_ `゙''-二_,.. -─''゙゙了'ヽ、 . `'ヾ、 '' `i iヾ ...`i / ヾ i . . ゙ ..、 `゙'ー .,_ i 〃ヽ、 . ヽゝ,_ ゙' ノ ノ ̄ ̄ ̄`゙'ー-., / ''''''''゙ヾト_ ..... .. ノ `ヲ'-、 `゙ー'゙´ヽ、 . .ヽ、 `ヾ.,, / Y゙ー- .,____`' ..... / '' ヾ, ,`ー---ー'゙ ̄´/゙ /`゙ー-.,__,.ノ ヽ ヾ_ ノ / i___,......-─--二__ ../ `゙'======'゙´ / 〈゙'t-., ゙ラ / / `゙ー .. / λ `'`'ー__....レ r'´ 人───---.,_ / / ト i゙ ノ ヽ--..,_ `゙'ー-、 そうだ! どうせ聞こえるなら、聞かせてやるさ! アリス! 好きだァー! アリィース! 愛してい(略) 1スレ目 15 ─────────────────────────────────────────────────────────── 1スレ目 34 「ハーレムビートは夜明けまで、だぜ?アリス…」 ─────────────────────────────────────────────────────────── 1スレ目 63 昼下がりの博麗神社。陽だまりが暖かい縁側でアリスと魔理沙がいるのは別に不思議なことではない。 二人がお茶をすすっているのもいつものことである。 が、不意に口を開いた魔理沙の一言だけは尋常ではなかった。 「で、とどのつまり、お前はアイツのこと好きなんだろ?」 吹いた。某最年長野球選手も真っ青にお茶が見事な霧となって飛んでいった。 さり気なく虹になって綺麗である。 「ちょ……アンタ、なんで私があんな奴のことを!!」 もう既に顔が真っ赤なのは気のせいではないだろう。 「ん? 違うのか?」 「えっ? ……それは、アイツは人間だし、馬鹿だし、不気味な動きでかするし……」 だんだんとその声はフェードアウトしてか細くなってゆく。 「でも、嫌いとかそういうのじゃなくて…………ただ一緒にいられたらいいな、って」 最後の一言は、魔理沙にも聞き取れるかどうかは怪しいほどだった。 魔理沙はその一言を聞くと、してやったりの笑みを浮かべ、 「お~い○○(任意の名前で)~。アリスはああ言ってるが、お前はどうなんだ?」 立て付けの悪い障子が音も無く開き、その後ろから、たった今話題の渦中にいる男が姿を現した。 彼もまたそのまま発火しそうな勢いで顔を紅潮させている。 「お……俺もアリスのことが……好きだ、ぞ」 その一言だけ絞り出すように告白すると、そのまま倒れてしまった。 ─────────────────────────────────────────────────────────── 1スレ目 333 「…結局、お前は俺を呼び出して何するつもりなんだ?」 深夜の魔法の森――こんな時間帯に出かけるなんてバカは俺くらいなもんだろう。 だが大事な人から呼び出されて、俺は結局ここに来ていた。 目の前に居る呼び出した少女、アリス=マーガトロイドは俺の問いに答えず ただ、俺をじっと見ていた。 「あなたは私の事を、どう思っているの?」 唐突な質問だった。どう思っているかと聞かれれば、返す言葉が難しい。 「いきなり、唐突な質問だなアリス。何でそんな事を聞くんだ?」 とりあえず彼女から事情を聞かないと始まらない。 「…あなたの周りって、いつも…人がいるでしょ?霊夢とか魔理沙…レミリアとか…」 「あぁ…まぁ、居るけどさ」 俺が外の世界の人間だから、って理由で集まってるに過ぎないんだが。 それに霊夢が俺に近づいて、それから芋蔓方式でどんどんと繋がっているだけだし。 「だから気になったの。あなたが、誰を好きなのか」 目を逸らしながら、訊ねるアリスはどこか様子がおかしく まるで大事なものを取られた子供のような雰囲気をもっていた。 「何でそんな事が気になるか分からないけどな…。俺が好きなのは――」 「…好きなのは?」 「お前だよ」 そうでもないと、こんな所に深夜に来たいとも思わないし、それに 「俺にとっては大事な人だ。もちろん霊夢も魔理沙も…俺の友達は全員好きだぞ?」 「…友達、ね」 「あぁ、お前に対してだけは、友達としての『好き』じゃなくて…異性として『好き』なんだけどな」 「ほん…と?」 嘘なんて吐けない。この騙されやすい純粋な少女に対しては。 「さて、用事は終わりか?終わりなら俺は帰るけどさ」 質問にはちゃんと答えたし、もう俺の出番は終わりだ。 「ま、待って!」 背を向けた途端、大事な少女から声がかかる。 半ば予想していた事だが、振り向くと顔を林檎のように真っ赤にしたアリスが 恥ずかしそうに俺の方を向いていた。 「え…えっと、私も…あ、あなた…が…好きです!」 その様子があまりにも愛しくて…俺は振り向いてその可憐な少女を 抱き寄せた。 「俺もだよ。アリス」 種族とか、姿形とか、そんな物は関係ないはずだ。 ただ愛せるかどうか。 「誰か言ってたな。愛の前には種族の違いなど瑣末なことよ、だったか?」 「私が魔法使いでも愛してくれる?」 「…違うよ。俺は魔法使いであるお前を愛したんだ」 月の光が照らす中で二つの影が一つになった。 それは――一つの愛が叶った証。 やばいな、友人に甘い物を書くって言ったが…自分でこれじゃ甘いか分からない。 そして 45の引用があるのはこっそりと内緒だ。 誰か…ツンデレの極意を教えてください… 私にツンデレは書けません… 備考:> 45の引用 45 名前: 名前が無い程度の能力 投稿日: 2005/08/03(水) 12 13 36 [ f0WH9NNU ] 愛の前には種族の違いなど瑣末なことよ ─────────────────────────────────────────────────────────── 1スレ目 359 なりふり構わない俺の妄想を聞いてくれ! アリス! 俺のこd(幻想郷へ ─────────────────────────────────────────────────────────── 1スレ目 740 「ぶえーっくしょいっ!!」 森の小道に、思わず放ったクシャミが豪快にこだました。泡を食った鳥たちが慌てて飛び立つ音がバサバサと続く。 「……もう、手で押さえるくらいの事はしなさいよね」 「いや、悪い。いきなりだったもんで」 隣を歩く金髪の少女が、鼻を啜る俺に呆れて、苦笑いを浮かべる。 彼女はこの魔法の森に住む魔法使い、アリス・マーガトロイド。 俺がこの幻想郷に来てから初めて出逢った人物で、恩人でもある。 右も左も分からないまま、とりあえず森の外れに打ち捨てられた廃屋に居を構えた俺に、 アリスは、この森の地理や周辺の里への道程、あとは幻想郷での生活における心構えなどを教えてくれた。 最初に出逢ったのが彼女でなければ、今頃俺は、永遠亭で素敵な薬の実験台にされたり、 紅魔の湖の氷精に、ストローで尻から空気を吹き込まれたりしていた事だろう。ありがとう神様。 で、さすがに恩の受けっ放しというのはみっともないので、鉱石の採掘や家の周辺の掃除など、 女の子には少々重荷であろう肉体労働などを積極的に手伝う事にした。 半年ほどそんな生活をしていく内に、アリスは、幻想郷で俺の最も親しい友人になっていた。 ちなみに今は、彼女の家の周りの落ち葉掃除を手伝った後、手頃な所まで送ってもらっている道中だ。 「それにしても、随分と冷えるようになってきたな」 「もう秋も終わりだしね。あと一月もしたら雪も降り出すかもね」 「ふむ」 この深い木々に彩られた魔法の森に、真っ白な雪がしんしんと散る風景を、思い描いてみる。 「そっか……きっと綺麗なんだろうな」 「ふふ、まあ、あんまり長く積もったりしない内は、それなりに綺麗でありがたいものなんだけどね」 アリスの顔に苦笑いが浮かぶ。まあ、雪にまつわる難ってのは、外の世界でもよくある話だ。 「それはそうと、貴方、あのあばら家で冬は大丈夫なの?」 「ん?……あー……どうなんだろうなあ」 現在の愛しの我が家は、廃屋になっていたのが不思議なくらいにしっかりとした造りをしてはいるが、 思い返すと、窓の立て付けがぐらついていたり、防寒性という点について考えると、かなり不安になる。 「それに貴方、確かあまり衣服を持ってなかったわよね?そんな薄着しか無いんじゃ、冬は越せないわよ」 「お前は俺のお母さんか……」 色々と世話を焼いてくれるのは本当にありがたいのだが、時々度が過ぎる気がする。 他の子と話しているところを見ていると、そんな風には見えず、むしろドライな印象を受けたものだが。 「それくらい貴方が危なっかしいの。風邪引いた、なんて馬鹿やって、これ以上手をかけないでよね。 大体貴方はいつも……」 これはいかん、このままスーパー説教タイムに突入しそうな流れだ。 まったく、こんな可愛いらしい小娘にガキんちょ扱いされるとは。少しゾクゾクしたのは内緒だ。 それにしても、そんなに俺は生活能力が欠如しているように見えるのか……? 少し悲しくなったが、確かに言われたとおり、被服類の備えに不安があるのも事実だ。 今まで散々面倒を見てくれた人の言葉だし、しっかりと肝に命じておこう。 今度、里に出た時に見繕っておいた方がいいか。お金に関しては、今までアリスに分けてもらった鉱石で十分賄えるだろう。 ……などと、来たる冬に皮算用を立てながら歩いているのが、話を右から左へ流しているように見えたらしく、 アリスは俺の服の裾を引っ張って、不機嫌そうに頬を膨らませた。 「もう、ちゃんと聞いてる?」 「ん? ああ、ちゃんと聞いてるよ。心配して言ってくれてるんだから、無下になんてできないよ」 「う……ち、違うわよ……野垂れ死にでもされたら、後味が悪いってだけで、そんな、心配なんて……」 俺の珍しく真面目な返答に不意を打たれたらしく、アリスがもごもごと声を詰まらせる。少し頬が赤くなっていた。 「あーもう、可愛いなあアリスは!!」 「な……」 しまった!! 思わず声に出してしまったではないか。 アリスの顔がみるみるトマトのごとく真っ赤に染まり、か細い肩がブルブル震えている。 「なななな何言ってるのよっ!!!」 どがんっっっ! 思いっ切り尻を蹴り上げられた。稲妻のような衝撃が、尻から背骨を伝って脳天を抜けた。 「痛てええっっ!!! もっと!……じゃなかった、何しやがる!!」 「あ、貴方が変な事言うからじゃないの、このド級馬鹿っ!!」 ど、ド級馬鹿だと? …………返す言葉も無かった。 「……う、うぅぅ……生まれてごめんなさい……」 「いや、その、泣くほど謝られても困るのだけど……ほ、ほら、これ」 男泣き(偽)にむせぶ俺に、アリスが慌ててハンカチを差し出してくれる。 「……ああ、ありがとう」 複雑で凝ったフリルが目を引く、彼女らしく可愛らしいハンカチを、ありがたく受け取った。 そして大きく息を吸って、腹に力を込めて…… ちー―――――ん!! 「鼻をかむな馬鹿ぁっ!! ああっ、私のお気に入り……」 「ん、ありがとう。洗って返すよ」 「当たり前よ!」 そんなアホなやり取りを交わしつつ、帰りの家路をのろのろと進む。 季節の移ろい以外に、目立った変わり映えの無い景色。 大きな刺激も無いけど、気を病むような事も無い、温くのどかな生活。 それは、幻想郷に来る以前に、俺が求めて止まなかったものだった。 今、確かに俺は幸せなのだろう。 そんならしくない感傷に浸りつつ、アリスのありがたいお小言を聞きながら、 「ん、ここまででいいや。ありがとう」 「そう? それじゃ、風邪ひかないようにね。今日はどうもありがとう」 その日の別れを済ませた。 ――――次の日、アリスは、日頃自分には縁の無い人里を訪れていた。 二、三件めぼしい店を回ると、寄り道も無く里を後にし、家路を急ぐ。 買い物の成果と、色づいた期待に、思わず口元が綻ぶ。いいきっかけだ、と思った。 さて、少し気の長い作業になる。早く戻ろう。 抱えた紙袋の中で、十を超える毛糸の玉が、ころころと転がっていた。 ――――はてさて、それから二週間―――― 「ふいーっ、買った買った」 麗しの我が家に帰るなり、息をついて買ってきた荷物をドサッ、と床に落とす。 この二週間で、厚手の衣服や毛布、カーテン等をしっかりと揃えた。まあ凍死しない程度の量は揃っただろう。 それにしても、少し急ぎ足で準備してよかった。 冬の入り口でこんなに寒いのだから、あと一月もすれば、相当厳しい気候になるのだろう。 今度、できる範囲で家の立て付けも直しておこう。 一息ついて、買って来た服を整理しようと広げていると、入り口から上品なノックの音が聞こえた。 「はーい、はいはい」 まあ、出るまでも無く、来客の想像はつくのだけど。 ちなみに、ウチへの来客の割合は、アリス8、その他2、といった割合だ。 一度、魔理沙に無理矢理連れ出されてキノコ狩りを手伝った事があったが、 あの時、毒見として食わされたキノコの味と、その日のそれ以降の自分の行動が、どうやっても思い出せない。 二度と行くもんか畜生! キノコ怖い。 さて、今はそんなカビ臭く暗い過去よりお客さんだ。 急いでドアを開くと、思ったとおりの顔がそこにあった。 「こんにちは。お久しぶり」 「ああ、アリス。いらっしゃい、入るだろ?」 ドアを大きく引いて、アリスを通すスペースを作った。 「う、うん……」 おずおずとアリスが入り口をくぐってくる。 見ると、いつものグリモワールと別に、何やら結構な大きさの紙袋を大事そうに抱えていた。 ……おかしい。今日の彼女からは、何故か地に足がついていない感じを受ける。 「……どうした? トイレならあっちだぞ」 「違うわよっ!!」 ばがんっっっ! 思いっ切りグリモワの角で殴られた。ブレイジングスターもかくや、という程の星々が、目の前をキラキラと煌めく。 「ぐっ、ぐぉおおおぉぉぉ……!」 「はぁ……まったく、緊張して来たのが馬鹿みたい」 転がり回って悶絶する俺を見下ろしながら、よく分からないため息を吐いて、アリスは一人ですたすたと俺の部屋に入ってしまった。 「な、何なんだよ、一体……」 痛む頭をさすりながら、後を追って部屋のドアをくぐった。 「お邪魔します、と」 「ああ、適当に空いてる所に座ってくれ」 「うん。それにしても、また随分と買い込んだものねえ」 部屋の中央のスペースに腰を落として、周りの状態を見るなり、アリスが呆れた声を上げた。 「ああ、この前言われたとおり、冬の準備がまるで出来てなかったからさ。あれからあちこち回って、色々と揃えたんだ」 さあ俺を称えろ、と言わんばかりにふんぞり返るが、何故かアリスは浮かない顔をしていた。 「ん、どうした? そこに飾ってある、1500年前のバイキング衣装(ttp //www5b.biglobe.ne.jp/~moonover /2goukan/north-s/viking6.JPG)が欲しいのか?」 香霖堂で見つけた逸品だ。 自分で買っておいて何だが、何故あの時の俺は、こんな物を欲しがったのだろうか…… 「死んでもいらないわよ! お願いだから、それを着た状態で私の前に現れないでちょうだいね」 つれない台詞ではあるが、ここで話をこねくり回して「じゃあ今着て」なんて言われても、それはそれで困るので黙っておく事にする。 「そうじゃなくて、その……その、ね」 何だか歯切れが悪い。言いにくい事なのだろうか。 「マフラーは……もう用意しちゃった?」 「はい? いや、まだだけど」 かさばる物から先に揃えていこうと考えていたので、マフラーや手袋などの小物はまだ何も手をつけていない。 それを聞いたアリスの顔が、ほっとしたように綻ぶ。よく分からん。何なんだ一体? 「よかった……あ、あのね、これ…………」 恥じらうように顔を伏せて、持っていた紙袋を俺の胸板に押し付けてくる。 くしゃっ、と潰れる紙袋ごしに伝わる、このしっとり柔らかな感触は、まさか…… 「えっと……開けるよ?」 一言断りを入れて、紙袋の口を開いて中を覗くと…… 「おお、マフラー! おお、マフラー! おお、マフラー!」 いかん、喜びのあまり、三回も言ってしまった。しかも、だ。これは、多分、 「うん……私が、編んだの」 「っ…………」 踊り出したいくらいの喜びを、必死に抑えた。女の子から手作りのプレゼントだなんて、生まれて初めての経験だ。 「……ありがとう、嬉しいよ」 ぎゅっと袋を抱いて、胸に湧く限りの感謝を込めて、礼を言った。 「ええ、どういたしまして。……ねえ、今着けてみてくれる?」 アリスが、照れくさそうな笑顔を浮かべて、催促してくる。 「ああ」 心躍らせながら、いつかの雑談で覚えてくれていたのであろう、俺好みの深い灰色のマフラーを袋から取り出してみて……あれれ? 「なあ、アリス」 「何?」 「長すぎやしないか?これ」 両手で広げてみても、遥かにだぶついている。 「いいのよ、それで。とりあえず、着けてみて」 ううむ、これが幻想郷の標準的なファッションなのだろうか。 ひとまず疑問をさて置いて、たっぷりと首周りを二周させてみる。 ……うん、あったかい。 編み手がしっかり手を尽くしてくれたのがわかる、優しく沁みる暖かさだった。 ……いや、ね、それはありがたいんだけどさ。 「やっぱり、長すぎる……」 かなり緩めに巻いてみたつもりだったが、それでも俺の身の丈以上の長さが余っていた。 「だから、それでいいのよ。……これはね、こうやって使うの」 そう言うとアリスは、だぶついた方を手に取り、自分の首元に巻…… おいおい、ちょっと待った。 「アリス」 俺の声に、アリスの動きが止まる。 「何?」 「あのさ、自分が何しようとしてるか、分かってる?」 アリスは一瞬視線を下に落としたが、すぐに顔を上げ、頬に赤みの差した真剣そのものの表情で、こう言った。 「うん、分かってる。……全部、分かってる。 だから…………嫌なら、言って」 「えっ」 アリスの言葉の意味を理解した瞬間、脳を走る甘い痺れとともに、頭の中ですべての歯車が噛み合った。 ――初めて会って以来、過剰とも言えるくらい世話を焼いてくれたのも。 ――他の子たちと接する時と、俺と接する時で、様子がまるで違っていたのも。 あぁ、そういう事だったのか…… 「……ははっ……」 自分の鈍さに、思わず苦笑が漏れた。 半年も顔を合わせていながら、アリスの気持ちにも、自分の気持ちにも、まるで気がついていなかった。 「馬鹿だな、アリスは……嫌なわけ、無いだろ」 できるだけ優しく言葉を紡いで、アリスの小さな頭をそっと撫でてやる。 「あ……」 彼女は呆けた様子で、俺の顔と、頭を撫でる手に交互に視線を動かした。 「教えて欲しいな。このマフラー、どうやって使うのか」 「…………うん…………これはね……」 頬を熱く染め、蕩けたような表情で、アリスは俺がしたのと同じように、マフラーを自分の首に二回巻いた。 アリスが紡いだ毛糸の架け橋が、二人の体を暖かく繋ぎ合わせる。 何とも言いがたい、不思議なぬくもりが体からあふれてきた。 「こうやって使うの」 まなじりに涙を浮かべて、幸せそうに笑いながら、アリスが俺の胸元に飛び込んできた。 「おっと」 大切な人の体をしっかり受け止め、両手を回して少しきついくらいに抱きしめた。 体から頭のてっぺんまで、マフラーよりも確かで強いぬくもりで満たされる。 ……絶対に、放すもんか。 たった今自覚したばかりの自分の中の熱さを、思いの限り両腕にこめた。 外の世界にいた頃、街中で今の俺たちと同じようなマフラーをしているカップルを見て、ドン引きした事があった。 叶う事なら、今すぐ彼らの所に赴いて、土下座してでも謝りたい。 だって、今、俺は…………こんなにも幸せだ。 どれくらいの間、そうして抱き合っていただろうか。 アリスが、俺の胸元から顔を上げて、呟いた。 「あのね、私、初めて会ったあの日から……ずっと貴方が好きだった。 一度も会った事の無い……それも人間相手にそんな風になるなんて、自分でも信じられなかったんだけど」 「そうだったのか……俺は、どうだろう……さっき、気づいた」 「何それ。ひどい話ね」 別に機嫌を損ねるでもなく、アリスがくすりと笑った。 釣られて俺の顔からも笑みがこぼれる。 もう、冬の心配なんて、必要なかった。 春の陽だまりのようなあたたかな幸せが、すぐ傍にあるのだから…… ─────────────────────────────────────────────────────────── 純愛の恋人形(1スレ目 777) 彼女は言った。 『妖怪と人間が相容れる事はありえない』と。 ある人間は言った。 『やってみなけりゃ、分からない』 『純愛の恋人形』 俺と言う人間が、この広い幻想郷に来てから既に二月が経過していた。 はじめは住む場所や、文化の違いで色々と戸惑っていたものだが、 人間というものは慣れるもので、今ではすっかりと、ここの生活が板についてきてしまった。 無論、俺と言う人間がたった一人で生活できるとは思わないで欲しい。 この幻想郷で初めて会った二人の人間と妖怪が、俺に色々してくれたお陰で 俺は生活するのにもあまり困らなくなっていた。 「よっ、元気にしてるか?」 「ほら来てやったわよ」 噂をすれば影が差す。 俺の住む、適当な木で作ったプレハブの家に二人の人間と妖怪が入ってきた。 どちらも金髪だが、一人は少年のように明るく人懐っこい少女。 もう一人は七色の服を着た、気の強そうな少女だった。 どちらが妖怪か、と聞かれてパッと分かる人も多くない。 それもそうだろう。 どちらも妖怪のような性格をしているのだから。 「おい、何か失礼な事を考えなかったか?」 「や、何でも無いよ」 人間である霧雨魔理沙は、こういうときの勘は鋭い。 そう言う状況の鋭さをもっと別の所に活かすべきだと思う。 そんな俺達の様子を、もう一人の少女――アリス=マーガトロイドは じっと見ていた。 初めて彼女達に会ったのは、弾幕ごっこの最中だった。 右も左も分からない俺は適当に森の中を進むと、 ちょうど、彼女達の放った弾の直線上に居て、物の見事に直撃を食らったのである。 とりあえず、適度に理由や状況を話して、プレハブ程度の俺の家を作り上げた。 ちなみに建築には主にアリスに手伝ってもらった。厳密にはアリスの人形に、だが。 「て言うか、何の用だ?」 「何の用とはご挨拶だな。せっかく私が掃除をしに来てやったのに」 多分、魔理沙の場合は掃除じゃなくて、めぼしい物を漁りに来た。 という方が正しい気がする。 「アリスも?」 「わ、私は…別に、魔理沙の付き添いよ」 「そんな事言って、私がこいつに会いに行くって言ったら、すごい剣幕で『私も行く!』 とか言ったくせに」 「ホントか?」 「そ、そんな訳無いでしょ!」 にやにやして笑う魔理沙に対してアリス顔を真っ赤にして言った。 本当に怒っているのか、図星をつかれているからかどちらかは俺にも分からなかった。 「いや、まぁいいけどさ。とりあえず上がってくれ」 「邪魔するぜー」 「お邪魔するわ」 二人を家に上げて、茶の準備をする。彼女達はお茶にうるさい。 最低限に美味しい物を淹れなければ、口をつけることすらしないだろう。 お茶の淹れ方を教わったのもアリスからだ。 一番初めに、適当に淹れた紅茶を差し出すと 『この紅茶、あまり美味しくないわ』 と、素晴らしく辛辣な感想を貰い、美味しいお茶の淹れ方の基礎の基礎から 叩き込まれた。 スパルタ過ぎて、かなり辛かったのも事実だが。 「はい、どうぞ。お嬢様方」 温度も教わったとおり…のはずだ。 香りも俺の出来る最大限まで、お茶の香りを残すようにした。 「お、いただくぜ」 「…少しはマシになったみたいね」 まず、口をつけた師の感想は、相変わらず辛辣だった。 それでも誉めてくれているという事は分かる。 「ところで、お前ってさ。明後日に用事あるか?」 魔理沙は急に俺の予定を訊ねてきた。 もともと用事なんて無いに等しい。 むしろ、この幻想郷に着いてからは、暇だったり忙しかったりと どっちになるか、いまいちよく分からない。 最近では暇な事が多いくらいだけど。 「…別に何も無いなぁ」 「よし。それならさ、私とちょっと図書館まで行かないか?」 図書館。 紅魔館という屋敷にあるらしい、図書館。 「紅魔館まで、俺にどうやって行けって言うんだ?」 「ま、何とかなるだろ」 こういうアバウトな所は魔理沙らしいというか何と言うか…。 「ま、最終手段としては、キノコ狩りに変えればいいか」 アレは食糧難になった時に、すごくいい。 まず、ご飯に困る事が無いし。キノコご飯、焼きキノコ、お吸い物。 キノコのフルコースが完成する。 …一度キノコ狩りをした時は、某配管工兄弟も、ビックリのキノコの量だった。 「それじゃ、な。アリス、行こうぜ」 「はいはい、ご馳走様。これからは、もうちょっと温度に気をつけることね。 お茶の基本は自分で探求する事。忘れないように」 「あいよ」 手をひらひらさせて、彼女に挨拶を返した。 的確すぎるアドバイスだ。これからも精進しよう。 「なぁ、アリス」 箒で前方を飛ぶ魔理沙に、急に振り向かれ、私は 空中で静止した。 彼女の様子はどことなく、いつもと違っている。 上手く言えないけど、何かを隠しているとか、そう言う感じを受ける。 「何よ?」 「お前ってさ。『あいつ』の事、どう思ってる?」 あいつ――彼女が言う『あいつ』といえば二月ほど前にここに辿り着いた 外来からの人間の事だろう。 最近では着々と活気付いている。 まるで急にお祭りの準備を始めるかのように、だ。 いや、それよりも 「どう思ってるって…?」 「決まってる。あいつのことが好きなのか、嫌いなのか、だ」 いきなり心の中に爆弾を放り込まれた気分だった。 彼の事を考えて、心が早鐘を打ち、頭がボーっとしてくる。 心なしか顔も熱い。 「…はぁ、その顔でもう分かったぜ」 同じように、彼女の顔も赤い。 これは、どうやら魔理沙もそういう事らしい。 「私は、明後日の帰る前に、『あいつ』に告白する。いいな、確かに伝えたぜ」 魔理沙は赤い顔をしながら、少年ような笑みを浮かべて 箒を急加速させた。 「ちょっと!待ちなさいよ!」 「待たないぜ!」 急加速する箒の後ろに辛うじて付いてくことが出来るが、 魔理沙の箒のスピードは本当に早い。 「―――ぁっ!」 後ろから、何とか大声を上げる事で、魔理沙は止まる。 「…ったく、何だ。言えるじゃないか。自分の気持ちを」 「…あ」 自分が何と言ったから反芻する事、数秒。私は自分が言った事に赤面した。 「明後日、勝負だぜ」 そう言って彼女は笑いながら、デコピンをした。 ホンのちょっとだけ痛かった。 あれから二日経った。 別段、彼女と会うことには意識なんてものはない。 これが、もうちょっと色気があるイベントならまだしもキノコ狩りなんてイベント もう、何度も行っているイベントである。 色気よりも食い気、まさに花より団子だ。 「よっ、待ったか?」 箒に乗った魔理沙が到着した。 いつもよりも早い時間だ。 「ううん、今来たところ☆」 「……」 「……」 「……」 「…すまん、自分で言って気持ち悪かった」 と言うか、こういう時に限って、ネタにしかならない自分が怨めしかった。 それはともかく紅魔館の図書館は諦めてキノコ狩りとなった。 この幻想郷に生えているキノコは俺達の場所と同じ様なキノコもあれば、 これは別次元だろ、と言いたくなるようなキノコもある。 具体的に言えば、二次元キノコ、平べったい。 噛んでる感触もないし、あんまり美味くなかった。 どこかの蛇ほど雑食ではないし、さすがに、毒キノコを食って平気でいられるとは思えない。 「お、こいつはスーパーキノコだな」 彼女の足元には大きさが俺の腕以上もある、でかいキノコがあった。 「スーパーキノコ?」 「あぁ、この辺じゃブロックにしか生えない珍しいキノコだぜ」 ブロックにしか生えないキノコはもうキノコとは言わない。 それはむしろアイテムだ。 「…で、それはウマいのか?」 「栄養は満点だし、煮ても焼いても美味しく食える。最高のキノコだぜ?」 それは今日の夕食にちょうどいいかもしれない。 俺は迷わず引き抜いた。 …つぶらな目があるような気がしたが気のせいにした。 すっかりと暮れてきた。 既に夕暮れとなって、景色が紅く染まっていく。 日が早くに沈み、秋どころか冬すら思い浮かばせる。 息は白くなっている。これだけで十分、気温が低く、冬が近いことを嫌でも 思い知らされる。 「さて、帰ろうか魔理沙」 それまで夢中にキノコを狩っていた魔理沙の体が硬直した。 「あ、あぁ」 妙に彼女の顔が赤かった。 はじめは寒いせいか夕焼けのせいか、程度にしか考えてなかったけど、それもどうやら 違うようだ。 もっと別の…そう、どうやら何かを言いよどんでいるようだった。 「…なぁ、ちょっといいか?」 「用事?何かあるの?」 「そんなに時間はとらせないぜ。ただ、イエス、ノーで答えてくれれば良いんだ」 彼女にしては珍しく、回りくどい言い方だった。 どうやら本当に言うべきか迷っているようだ。 「私は…お前の事が好きなんだ。出来れば…返事をもらえないか?」 唐突だった。頭が真っ白になった。 俺は魔理沙を今まで友人程度にしか考えてなかった。 でも彼女は、俺の事を好きだと言った。 夢か…幻か…それともここにいる魔理沙がニセモノか? そんな下らない考えまで浮かんできてしまう。 だが目の前の現実は変わりそうもない。 目の前の魔理沙は俺を好きだと言い、俺はその告白をどうするのか? ――ふと、アリスの顔が浮かんできた。 何故かは分からない。 しかし、どうしてこんな状況になってアリスの顔が浮かぶんだろう? 「悪い…」 「そっか」 魔理沙もある程度予想しているらしく、別段がっかりしている様子もなく、 はぁ、と軽く溜め息を吐いた。 「…アリスの顔が浮かんできたんだ。目の前にお前がいるんだけどな…」 はっきりと、事実を伝える。彼女にはきっと分かっているのだろう。 俺が、多分アリスが好きだと言うことを。 「じゃあ、振られた女から最後の忠告でもさせてもらうぜ」 その妙に明るく振舞いながらおどけた表情から 一転、真剣な表情に変わり、やはり真剣な表情で言った。 「妖怪と人間が相容れる事はありえない」 そんな事はわかっている。 だが―― 「やってみなけりゃ、分からない」 いつも魔理沙が、俺に対して言っていた事だ。 失敗を恐れて、何もしないよりも、例え1パーセントでも可能性があるのならば そっちに賭けた方が、まだ勇気がある。 「…だろ?」 「あぁ、行って来い」 バシン、と活気の良い音が俺の背中から響き、 魔理沙は箒で飛び立った。 「ははっ、予想はしてたんだけどな…ちょっとは堪えたぜ」 彼女が何事か呟いたのは、聞こえる事はなかった。 真夜中になり、月光だけが照らしている。 白い息が濃く見える。 俺は走っていた。自分の家だ。 ちょっとくらい俺にも気配と言うか、"気"を感じる力は身に着いているらしく 彼女の魔力を感じ取っていた。 それが指し示す方向は…俺の家だ。 「アリス…?」 ドアを開けて、彼女の姿を探す。 明かりなんてあるわけが無い。暗がりで目が慣れるのを待つ。 薄暗い中で、ほとんど手探りで、彼女の姿を探した。 この家の中に居るのは分かる。俺の感じた気もこの中なのだから。 「…居るのか?」 暗がりの中でようやく目が慣れ始めた頃、数少なく作った家具の、机の上に 一つの人形があるのに気付いた。 どうやら、これは俺を模しているらしく、俺の特徴が良く表れていた。 『部屋で待ってる』 俺の人形が、手紙を持っていた。 辛うじてそれだけ読み取ると、部屋の前に着いた。 不思議と心臓が高鳴っていた。 彼女の人形に手伝ってもらった、たった一つの部屋。 言うなれば、彼女が作った贈り物だ。 「よ」 「…うん」 部屋の中に入ると、俺のベッド…とも言えない寝床の上、質素な寝具の 毛布に包まって、彼女は居た。 「…魔理沙は?」 「いない、帰ったよ。…アリスは、帰らなくていいのか?」 「…魔理沙に、何か言われた?」 どうやら、事の始終は知っているらしい。 事前に言ったか何かだろうか? 「好きだって、言われた」 「…そう」 暗がりの中、彼女の声もどことなく低い。 彼女に好きだって言われたのも事実だ。 でも―― 「断ったけどね」 「…え?」 これには彼女の方が驚いたようだ。 目を丸くして、俺の方を信じられない物を見るかのように見ている。 「俺が好きなのは、お前だからな」 言ってやった。 彼女は相変わらず暗い口調で言う。 「妖怪と人間は相容れる事はありえない」 「やってみなけりゃ、分からない」 この問答も、合言葉みたいなものだ。 彼女への想いは、いつの間にか大きくなっていたようだ。 「私は…あなたが好きじゃないかもしれないのよ?」 「だったらさ、どうしてあんなに丁寧な人形を作るんだ?」 先ほどの俺を模した人形を思い出す。 あれだけ作るのには、手間をかけなければならない事は、素人の俺でもわかる。 間違いない。アレは時間がかかって作られた物だ。 「…ほんの気まぐれじゃないの?」 「…気まぐれなら、お前はどうして泣いているんだ?」 この闇の中でも、彼女の目から涙が流れているのがわかる。 どうして彼女が泣くんだろう? 「…わた…私…あなたが……好きだった、の…」 「…あぁ」 「でも、でも…あなたを…ま、魔理沙に…と、取られると思った…の…」 涙声になる彼女の声は、あまりにも儚かった。 俺はもう覚悟を決めている。 妖怪と一緒になるという覚悟だ。 俺は彼女が泣き止むまで、しばらく彼女の近くに居た。 どのくらいの時間が流れたであろう。 彼女はようやく泣き止んだ。 「ねぇ」 「ん、何だ?」 「…こっち、来て」 毛布に包まりながら、顔を紅くして、彼女は俺をベッドに座らせた。 ふわっと花のような香りが広がった。 いつの間にか俺は毛布に包まれていた。 彼女の肌の温度を感じる。そのことに疑問を抱いた。 「…おい、服はどうしたアリス?」 「……」 何も答えないアリス。顔はトマトのように紅くはっきり見える。 「……」 「…寝るか」 ちょうどいい具合に眠気が訪れた。 このままだとちょうど添い寝の形になる。 「……うん、あ、こっち見ないでよ」 最後に釘を刺すとアリスは目を閉じた。 ちょっと残念だったが、彼女の肌を感じながら、俺は眠った。 翌日、霧雨魔理沙はいつもの通りに彼の家を訪れていた。 とりあえず、彼の部屋に起こしに行くと、普通は居る筈の無い人物が 彼のベッドで寝ていた。 居る筈の無い人物は、下着姿で毛布を取っていたから 風邪を引くこともなかったものの、彼は面積の少ない毛布で辛うじて眠って いた。 どうやら、昨晩は何も無かったようだ。 「…起こすのも悪いか」 ベッドで寝ている二人は、幸せそうな寝顔で、夢の世界に居るようだった。 後書き―― ==チラシの裏== ごめん、なんか展開が同じっぽい ==ここまでチラシの裏== はい、と言う訳でリクエストを承りました 603氏。 この530(仮名)若い頃からリクエストの都合上、時間がかかった事があっても SSそのものを放棄したことはない!このままガンガン書くッ! 最後に言いましょう。 書くって心の中で思ったならッ!その時、スデに行動は終わっているんだッ! 兄貴に言われました。 この台詞を胸に、伝えきれない心の中の愛を、みんなに伝えようと思っています。 ありがとう。 ───────────────────────────────────────────────────────────
https://w.atwiki.jp/orz1414/pages/132.html
■アリス1 アリス、キミの言葉は僕には届いてるよ 1スレ目 6 ─────────────────────────────────────────────────────────── /_,..-─ーナ─i-.,_ ヾ ヽ, _,.-|f ゙ N/-i_ i ∧` ...._ ヾ ヽ _/-- 〉/イ゙ フ=_ミ _V iヽ| ∧ヽ、 i | ____ _ / .κ アー´─ j= if゙ミキ三゙ヽ ヽ / ゙ ̄iヽi γ Y ゙´ .) | // / ・ ゙ヽ  ̄ヾ→、 ヽ 〈 | | / ゙ 、 . ヾ /-- .,_| | レf r二 - ._ ` - |i ト ゙i ー-j / _r─ ,─ミi, ゙ー ゙v゙ / ー-.,゙ ー-↓ル| |゙ `ヽヽ `^゙y レ ゙ ∨ __,... -─ T_ i´ ヽ__ Y ̄三=-ハ -- ., _ - .,,_」.=,─- .`冫 i / ゙i _,...--<´ r ´ ヽu_ ゙ ヽ{゙ロ 人 f t r,iノ/| _,>-=>-゙─< _,.-ー / | ヽ、 ヽ, r゙ = ゙ ー =-_,.._ノy゙= ーミ=_iフノ ゙´|/゙´i、 i _| `i _フイ レ . ゙、 ヽ r -゙-.,_ ノ=x ー |r─-ト了ヽ., ,.-─-三-.,___ i-j彡び / . /I | _/ r ` <´ミ 彡/´ ..ヽ彡 ゙.i i ゙  ̄,. ヽ.,i ゙iろ / / ./ i レハ ー-.,___,.ノ ヲ,,彡ハ / ゙ ゙´ rー`-.,_ \ |゙ヽj.,_ _,..-ー ´ | /゙|〈 .ア .,_ `ヽ、 i゙ | /_,... -ー从 . ` =.-、 ゙ ヽ i .. ヾ二/ γ´ i i ゙ -.,_ `゙ -二_,.. -─ ゙゙了 ヽ、 . ` ヾ、 `i iヾ ...`i / ヾ i . . ゙ ..、 `゙ ー .,_ i 〃ヽ、 . ヽゝ,_ ゙ ノ ノ ̄ ̄ ̄`゙ ー-., / ゙ヾト_ ..... .. ノ `ヲ -、 `゙ー ゙´ヽ、 . .ヽ、 `ヾ.,, / Y゙ー- .,____` .... . / ヾ, ,`ー---ー ゙ ̄´/゙ /`゙ー-.,__,.ノ ヽ ヾ_ ノ / i___,......-─--二__ .. / `゙ ====== ゙´ / 〈゙ t-., ゙ラ / / `゙ー .. / λ ` ` ー__....レ r ´ 人───---.,_ / / ト i゙ ノ ヽ--..,_ `゙ ー-、 そうだ! どうせ聞こえるなら、聞かせてやるさ! アリス! 好きだァー! アリィース! 愛してい(略) 1スレ目 15 備考:キングゲイナー。 ─────────────────────────────────────────────────────────── 「ハーレムビートは夜明けまで、だぜ?アリス…」 1スレ目 34 ─────────────────────────────────────────────────────────── 昼下がりの博麗神社。陽だまりが暖かい縁側でアリスと魔理沙がいるのは別に不思議なことではない。 二人がお茶をすすっているのもいつものことである。 が、不意に口を開いた魔理沙の一言だけは尋常ではなかった。 「で、とどのつまり、お前はアイツのこと好きなんだろ?」 吹いた。某最年長野球選手も真っ青にお茶が見事な霧となって飛んでいった。 さり気なく虹になって綺麗である。 「ちょ……アンタ、なんで私があんな奴のことを!!」 もう既に顔が真っ赤なのは気のせいではないだろう。 「ん? 違うのか?」 「えっ? ……それは、アイツは人間だし、馬鹿だし、不気味な動きでかするし……」 だんだんとその声はフェードアウトしてか細くなってゆく。 「でも、嫌いとかそういうのじゃなくて…………ただ一緒にいられたらいいな、って」 最後の一言は、魔理沙にも聞き取れるかどうかは怪しいほどだった。 魔理沙はその一言を聞くと、してやったりの笑みを浮かべ、 「お~い○○(任意の名前で)~。アリスはああ言ってるが、お前はどうなんだ?」 立て付けの悪い障子が音も無く開き、その後ろから、たった今話題の渦中にいる男が姿を現した。 彼もまたそのまま発火しそうな勢いで顔を紅潮させている。 「お……俺もアリスのことが……好きだ、ぞ」 その一言だけ絞り出すように告白すると、そのまま倒れてしまった。 1スレ目 63 ─────────────────────────────────────────────────────────── 「…結局、お前は俺を呼び出して何するつもりなんだ?」 深夜の魔法の森――こんな時間帯に出かけるなんてバカは俺くらいなもんだろう。 だが大事な人から呼び出されて、俺は結局ここに来ていた。 目の前に居る呼び出した少女、アリス=マーガトロイドは俺の問いに答えず ただ、俺をじっと見ていた。 「あなたは私の事を、どう思っているの?」 唐突な質問だった。どう思っているかと聞かれれば、返す言葉が難しい。 「いきなり、唐突な質問だなアリス。何でそんな事を聞くんだ?」 とりあえず彼女から事情を聞かないと始まらない。 「…あなたの周りって、いつも…人がいるでしょ?霊夢とか魔理沙…レミリアとか…」 「あぁ…まぁ、居るけどさ」 俺が外の世界の人間だから、って理由で集まってるに過ぎないんだが。 それに霊夢が俺に近づいて、それから芋蔓方式でどんどんと繋がっているだけだし。 「だから気になったの。あなたが、誰を好きなのか」 目を逸らしながら、訊ねるアリスはどこか様子がおかしく まるで大事なものを取られた子供のような雰囲気をもっていた。 「何でそんな事が気になるか分からないけどな…。俺が好きなのは――」 「…好きなのは?」 「お前だよ」 そうでもないと、こんな所に深夜に来たいとも思わないし、それに 「俺にとっては大事な人だ。もちろん霊夢も魔理沙も…俺の友達は全員好きだぞ?」 「…友達、ね」 「あぁ、お前に対してだけは、友達としての『好き』じゃなくて…異性として『好き』なんだけどな」 「ほん…と?」 嘘なんて吐けない。この騙されやすい純粋な少女に対しては。 「さて、用事は終わりか?終わりなら俺は帰るけどさ」 質問にはちゃんと答えたし、もう俺の出番は終わりだ。 「ま、待って!」 背を向けた途端、大事な少女から声がかかる。 半ば予想していた事だが、振り向くと顔を林檎のように真っ赤にしたアリスが 恥ずかしそうに俺の方を向いていた。 「え…えっと、私も…あ、あなた…が…好きです!」 その様子があまりにも愛しくて…俺は振り向いてその可憐な少女を 抱き寄せた。 「俺もだよ。アリス」 種族とか、姿形とか、そんな物は関係ないはずだ。 ただ愛せるかどうか。 「誰か言ってたな。愛の前には種族の違いなど瑣末なことよ、だったか?」 「私が魔法使いでも愛してくれる?」 「…違うよ。俺は魔法使いであるお前を愛したんだ」 月の光が照らす中で二つの影が一つになった。 それは――一つの愛が叶った証。 やばいな、友人に甘い物を書くって言ったが…自分でこれじゃ甘いか分からない。 そして 45の引用があるのはこっそりと内緒だ。 誰か…ツンデレの極意を教えてください… 私にツンデレは書けません… 1スレ目 333 備考:> 45の引用 45 名前: 名前が無い程度の能力 投稿日: 2005/08/03(水) 12 13 36 [ f0WH9NNU ] 愛の前には種族の違いなど瑣末なことよ ─────────────────────────────────────────────────────────── なりふり構わない俺の妄想を聞いてくれ! アリス! 俺のこd(幻想郷へ 1スレ目 359 ─────────────────────────────────────────────────────────── 「ぶえーっくしょいっ!!」 森の小道に、思わず放ったクシャミが豪快にこだました。泡を食った鳥たちが慌てて飛び立つ音がバサバサと続く。 「……もう、手で押さえるくらいの事はしなさいよね」 「いや、悪い。いきなりだったもんで」 隣を歩く金髪の少女が、鼻を啜る俺に呆れて、苦笑いを浮かべる。 彼女はこの魔法の森に住む魔法使い、アリス・マーガトロイド。 俺がこの幻想郷に来てから初めて出逢った人物で、恩人でもある。 右も左も分からないまま、とりあえず森の外れに打ち捨てられた廃屋に居を構えた俺に、 アリスは、この森の地理や周辺の里への道程、あとは幻想郷での生活における心構えなどを教えてくれた。 最初に出逢ったのが彼女でなければ、今頃俺は、永遠亭で素敵な薬の実験台にされたり、 紅魔の湖の氷精に、ストローで尻から空気を吹き込まれたりしていた事だろう。ありがとう神様。 で、さすがに恩の受けっ放しというのはみっともないので、鉱石の採掘や家の周辺の掃除など、 女の子には少々重荷であろう肉体労働などを積極的に手伝う事にした。 半年ほどそんな生活をしていく内に、アリスは、幻想郷で俺の最も親しい友人になっていた。 ちなみに今は、彼女の家の周りの落ち葉掃除を手伝った後、手頃な所まで送ってもらっている道中だ。 「それにしても、随分と冷えるようになってきたな」 「もう秋も終わりだしね。あと一月もしたら雪も降り出すかもね」 「ふむ」 この深い木々に彩られた魔法の森に、真っ白な雪がしんしんと散る風景を、思い描いてみる。 「そっか……きっと綺麗なんだろうな」 「ふふ、まあ、あんまり長く積もったりしない内は、それなりに綺麗でありがたいものなんだけどね」 アリスの顔に苦笑いが浮かぶ。まあ、雪にまつわる難ってのは、外の世界でもよくある話だ。 「それはそうと、貴方、あのあばら家で冬は大丈夫なの?」 「ん?……あー……どうなんだろうなあ」 現在の愛しの我が家は、廃屋になっていたのが不思議なくらいにしっかりとした造りをしてはいるが、 思い返すと、窓の立て付けがぐらついていたり、防寒性という点について考えると、かなり不安になる。 「それに貴方、確かあまり衣服を持ってなかったわよね?そんな薄着しか無いんじゃ、冬は越せないわよ」 「お前は俺のお母さんか……」 色々と世話を焼いてくれるのは本当にありがたいのだが、時々度が過ぎる気がする。 他の子と話しているところを見ていると、そんな風には見えず、むしろドライな印象を受けたものだが。 「それくらい貴方が危なっかしいの。風邪引いた、なんて馬鹿やって、これ以上手をかけないでよね。 大体貴方はいつも……」 これはいかん、このままスーパー説教タイムに突入しそうな流れだ。 まったく、こんな可愛いらしい小娘にガキんちょ扱いされるとは。少しゾクゾクしたのは内緒だ。 それにしても、そんなに俺は生活能力が欠如しているように見えるのか……? 少し悲しくなったが、確かに言われたとおり、被服類の備えに不安があるのも事実だ。 今まで散々面倒を見てくれた人の言葉だし、しっかりと肝に命じておこう。 今度、里に出た時に見繕っておいた方がいいか。お金に関しては、今までアリスに分けてもらった鉱石で十分賄えるだろう。 ……などと、来たる冬に皮算用を立てながら歩いているのが、話を右から左へ流しているように見えたらしく、 アリスは俺の服の裾を引っ張って、不機嫌そうに頬を膨らませた。 「もう、ちゃんと聞いてる?」 「ん? ああ、ちゃんと聞いてるよ。心配して言ってくれてるんだから、無下になんてできないよ」 「う……ち、違うわよ……野垂れ死にでもされたら、後味が悪いってだけで、そんな、心配なんて……」 俺の珍しく真面目な返答に不意を打たれたらしく、アリスがもごもごと声を詰まらせる。少し頬が赤くなっていた。 「あーもう、可愛いなあアリスは!!」 「な……」 しまった!! 思わず声に出してしまったではないか。 アリスの顔がみるみるトマトのごとく真っ赤に染まり、か細い肩がブルブル震えている。 「なななな何言ってるのよっ!!!」 どがんっっっ! 思いっ切り尻を蹴り上げられた。稲妻のような衝撃が、尻から背骨を伝って脳天を抜けた。 「痛てええっっ!!! もっと!……じゃなかった、何しやがる!!」 「あ、貴方が変な事言うからじゃないの、このド級馬鹿っ!!」 ど、ド級馬鹿だと? …………返す言葉も無かった。 「……う、うぅぅ……生まれてごめんなさい……」 「いや、その、泣くほど謝られても困るのだけど……ほ、ほら、これ」 男泣き(偽)にむせぶ俺に、アリスが慌ててハンカチを差し出してくれる。 「……ああ、ありがとう」 複雑で凝ったフリルが目を引く、彼女らしく可愛らしいハンカチを、ありがたく受け取った。 そして大きく息を吸って、腹に力を込めて…… ちー―――――ん!! 「鼻をかむな馬鹿ぁっ!! ああっ、私のお気に入り……」 「ん、ありがとう。洗って返すよ」 「当たり前よ!」 そんなアホなやり取りを交わしつつ、帰りの家路をのろのろと進む。 季節の移ろい以外に、目立った変わり映えの無い景色。 大きな刺激も無いけど、気を病むような事も無い、温くのどかな生活。 それは、幻想郷に来る以前に、俺が求めて止まなかったものだった。 今、確かに俺は幸せなのだろう。 そんならしくない感傷に浸りつつ、アリスのありがたいお小言を聞きながら、 「ん、ここまででいいや。ありがとう」 「そう? それじゃ、風邪ひかないようにね。今日はどうもありがとう」 その日の別れを済ませた。 ――――次の日、アリスは、日頃自分には縁の無い人里を訪れていた。 二、三件めぼしい店を回ると、寄り道も無く里を後にし、家路を急ぐ。 買い物の成果と、色づいた期待に、思わず口元が綻ぶ。いいきっかけだ、と思った。 さて、少し気の長い作業になる。早く戻ろう。 抱えた紙袋の中で、十を超える毛糸の玉が、ころころと転がっていた。 ――――はてさて、それから二週間―――― 「ふいーっ、買った買った」 麗しの我が家に帰るなり、息をついて買ってきた荷物をドサッ、と床に落とす。 この二週間で、厚手の衣服や毛布、カーテン等をしっかりと揃えた。まあ凍死しない程度の量は揃っただろう。 それにしても、少し急ぎ足で準備してよかった。 冬の入り口でこんなに寒いのだから、あと一月もすれば、相当厳しい気候になるのだろう。 今度、できる範囲で家の立て付けも直しておこう。 一息ついて、買って来た服を整理しようと広げていると、入り口から上品なノックの音が聞こえた。 「はーい、はいはい」 まあ、出るまでも無く、来客の想像はつくのだけど。 ちなみに、ウチへの来客の割合は、アリス8、その他2、といった割合だ。 一度、魔理沙に無理矢理連れ出されてキノコ狩りを手伝った事があったが、 あの時、毒見として食わされたキノコの味と、その日のそれ以降の自分の行動が、どうやっても思い出せない。 二度と行くもんか畜生! キノコ怖い。 さて、今はそんなカビ臭く暗い過去よりお客さんだ。 急いでドアを開くと、思ったとおりの顔がそこにあった。 「こんにちは。お久しぶり」 「ああ、アリス。いらっしゃい、入るだろ?」 ドアを大きく引いて、アリスを通すスペースを作った。 「う、うん……」 おずおずとアリスが入り口をくぐってくる。 見ると、いつものグリモワールと別に、何やら結構な大きさの紙袋を大事そうに抱えていた。 ……おかしい。今日の彼女からは、何故か地に足がついていない感じを受ける。 「……どうした? トイレならあっちだぞ」 「違うわよっ!!」 ばがんっっっ! 思いっ切りグリモワの角で殴られた。ブレイジングスターもかくや、という程の星々が、目の前をキラキラと煌めく。 「ぐっ、ぐぉおおおぉぉぉ……!」 「はぁ……まったく、緊張して来たのが馬鹿みたい」 転がり回って悶絶する俺を見下ろしながら、よく分からないため息を吐いて、アリスは一人ですたすたと俺の部屋に入ってしまった。 「な、何なんだよ、一体……」 痛む頭をさすりながら、後を追って部屋のドアをくぐった。 「お邪魔します、と」 「ああ、適当に空いてる所に座ってくれ」 「うん。それにしても、また随分と買い込んだものねえ」 部屋の中央のスペースに腰を落として、周りの状態を見るなり、アリスが呆れた声を上げた。 「ああ、この前言われたとおり、冬の準備がまるで出来てなかったからさ。あれからあちこち回って、色々と揃えたんだ」 さあ俺を称えろ、と言わんばかりにふんぞり返るが、何故かアリスは浮かない顔をしていた。 「ん、どうした? そこに飾ってある、1500年前のバイキング衣装(ttp //www5b.biglobe.ne.jp/~moonover/2goukan/north-s/viking6.JPG)が欲しいのか?」 香霖堂で見つけた逸品だ。 自分で買っておいて何だが、何故あの時の俺は、こんな物を欲しがったのだろうか…… 「死んでもいらないわよ! お願いだから、それを着た状態で私の前に現れないでちょうだいね」 つれない台詞ではあるが、ここで話をこねくり回して「じゃあ今着て」なんて言われても、それはそれで困るので黙っておく事にする。 「そうじゃなくて、その……その、ね」 何だか歯切れが悪い。言いにくい事なのだろうか。 「マフラーは……もう用意しちゃった?」 「はい? いや、まだだけど」 かさばる物から先に揃えていこうと考えていたので、マフラーや手袋などの小物はまだ何も手をつけていない。 それを聞いたアリスの顔が、ほっとしたように綻ぶ。よく分からん。何なんだ一体? 「よかった……あ、あのね、これ…………」 恥じらうように顔を伏せて、持っていた紙袋を俺の胸板に押し付けてくる。 くしゃっ、と潰れる紙袋ごしに伝わる、このしっとり柔らかな感触は、まさか…… 「えっと……開けるよ?」 一言断りを入れて、紙袋の口を開いて中を覗くと…… 「おお、マフラー! おお、マフラー! おお、マフラー!」 いかん、喜びのあまり、三回も言ってしまった。しかも、だ。これは、多分、 「うん……私が、編んだの」 「っ…………」 踊り出したいくらいの喜びを、必死に抑えた。女の子から手作りのプレゼントだなんて、生まれて初めての経験だ。 「……ありがとう、嬉しいよ」 ぎゅっと袋を抱いて、胸に湧く限りの感謝を込めて、礼を言った。 「ええ、どういたしまして。……ねえ、今着けてみてくれる?」 アリスが、照れくさそうな笑顔を浮かべて、催促してくる。 「ああ」 心躍らせながら、いつかの雑談で覚えてくれていたのであろう、俺好みの深い灰色のマフラーを袋から取り出してみて……あれれ? 「なあ、アリス」 「何?」 「長すぎやしないか?これ」 両手で広げてみても、遥かにだぶついている。 「いいのよ、それで。とりあえず、着けてみて」 ううむ、これが幻想郷の標準的なファッションなのだろうか。 ひとまず疑問をさて置いて、たっぷりと首周りを二周させてみる。 ……うん、あったかい。 編み手がしっかり手を尽くしてくれたのがわかる、優しく沁みる暖かさだった。 ……いや、ね、それはありがたいんだけどさ。 「やっぱり、長すぎる……」 かなり緩めに巻いてみたつもりだったが、それでも俺の身の丈以上の長さが余っていた。 「だから、それでいいのよ。……これはね、こうやって使うの」 そう言うとアリスは、だぶついた方を手に取り、自分の首元に巻…… おいおい、ちょっと待った。 「アリス」 俺の声に、アリスの動きが止まる。 「何?」 「あのさ、自分が何しようとしてるか、分かってる?」 アリスは一瞬視線を下に落としたが、すぐに顔を上げ、頬に赤みの差した真剣そのものの表情で、こう言った。 「うん、分かってる。……全部、分かってる。 だから…………嫌なら、言って」 「えっ」 アリスの言葉の意味を理解した瞬間、脳を走る甘い痺れとともに、頭の中ですべての歯車が噛み合った。 ――初めて会って以来、過剰とも言えるくらい世話を焼いてくれたのも。 ――他の子たちと接する時と、俺と接する時で、様子がまるで違っていたのも。 あぁ、そういう事だったのか…… 「……ははっ……」 自分の鈍さに、思わず苦笑が漏れた。 半年も顔を合わせていながら、アリスの気持ちにも、自分の気持ちにも、まるで気がついていなかった。 「馬鹿だな、アリスは……嫌なわけ、無いだろ」 できるだけ優しく言葉を紡いで、アリスの小さな頭をそっと撫でてやる。 「あ……」 彼女は呆けた様子で、俺の顔と、頭を撫でる手に交互に視線を動かした。 「教えて欲しいな。このマフラー、どうやって使うのか」 「…………うん…………これはね……」 頬を熱く染め、蕩けたような表情で、アリスは俺がしたのと同じように、マフラーを自分の首に二回巻いた。 アリスが紡いだ毛糸の架け橋が、二人の体を暖かく繋ぎ合わせる。 何とも言いがたい、不思議なぬくもりが体からあふれてきた。 「こうやって使うの」 まなじりに涙を浮かべて、幸せそうに笑いながら、アリスが俺の胸元に飛び込んできた。 「おっと」 大切な人の体をしっかり受け止め、両手を回して少しきついくらいに抱きしめた。 体から頭のてっぺんまで、マフラーよりも確かで強いぬくもりで満たされる。 ……絶対に、放すもんか。 たった今自覚したばかりの自分の中の熱さを、思いの限り両腕にこめた。 外の世界にいた頃、街中で今の俺たちと同じようなマフラーをしているカップルを見て、ドン引きした事があった。 叶う事なら、今すぐ彼らの所に赴いて、土下座してでも謝りたい。 だって、今、俺は…………こんなにも幸せだ。 どれくらいの間、そうして抱き合っていただろうか。 アリスが、俺の胸元から顔を上げて、呟いた。 「あのね、私、初めて会ったあの日から……ずっと貴方が好きだった。 一度も会った事の無い……それも人間相手にそんな風になるなんて、自分でも信じられなかったんだけど」 「そうだったのか……俺は、どうだろう……さっき、気づいた」 「何それ。ひどい話ね」 別に機嫌を損ねるでもなく、アリスがくすりと笑った。 釣られて俺の顔からも笑みがこぼれる。 もう、冬の心配なんて、必要なかった。 春の陽だまりのようなあたたかな幸せが、すぐ傍にあるのだから…… 1スレ目 740 ─────────────────────────────────────────────────────────── 彼女は言った。 『妖怪と人間が相容れる事はありえない』と。 ある人間は言った。 『やってみなけりゃ、分からない』 『純愛の恋人形』 俺と言う人間が、この広い幻想郷に来てから既に二月が経過していた。 はじめは住む場所や、文化の違いで色々と戸惑っていたものだが、 人間というものは慣れるもので、今ではすっかりと、ここの生活が板についてきてしまった。 無論、俺と言う人間がたった一人で生活できるとは思わないで欲しい。 この幻想郷で初めて会った二人の人間と妖怪が、俺に色々してくれたお陰で 俺は生活するのにもあまり困らなくなっていた。 「よっ、元気にしてるか?」 「ほら来てやったわよ」 噂をすれば影が差す。 俺の住む、適当な木で作ったプレハブの家に二人の人間と妖怪が入ってきた。 どちらも金髪だが、一人は少年のように明るく人懐っこい少女。 もう一人は七色の服を着た、気の強そうな少女だった。 どちらが妖怪か、と聞かれてパッと分かる人も多くない。 それもそうだろう。 どちらも妖怪のような性格をしているのだから。 「おい、何か失礼な事を考えなかったか?」 「や、何でも無いよ」 人間である霧雨魔理沙は、こういうときの勘は鋭い。 そう言う状況の鋭さをもっと別の所に活かすべきだと思う。 そんな俺達の様子を、もう一人の少女――アリス=マーガトロイドは じっと見ていた。 初めて彼女達に会ったのは、弾幕ごっこの最中だった。 右も左も分からない俺は適当に森の中を進むと、 ちょうど、彼女達の放った弾の直線上に居て、物の見事に直撃を食らったのである。 とりあえず、適度に理由や状況を話して、プレハブ程度の俺の家を作り上げた。 ちなみに建築には主にアリスに手伝ってもらった。厳密にはアリスの人形に、だが。 「て言うか、何の用だ?」 「何の用とはご挨拶だな。せっかく私が掃除をしに来てやったのに」 多分、魔理沙の場合は掃除じゃなくて、めぼしい物を漁りに来た。 という方が正しい気がする。 「アリスも?」 「わ、私は…別に、魔理沙の付き添いよ」 「そんな事言って、私がこいつに会いに行くって言ったら、すごい剣幕で『私も行く!』 とか言ったくせに」 「ホントか?」 「そ、そんな訳無いでしょ!」 にやにやして笑う魔理沙に対してアリス顔を真っ赤にして言った。 本当に怒っているのか、図星をつかれているからかどちらかは俺にも分からなかった。 「いや、まぁいいけどさ。とりあえず上がってくれ」 「邪魔するぜー」 「お邪魔するわ」 二人を家に上げて、茶の準備をする。彼女達はお茶にうるさい。 最低限に美味しい物を淹れなければ、口をつけることすらしないだろう。 お茶の淹れ方を教わったのもアリスからだ。 一番初めに、適当に淹れた紅茶を差し出すと 『この紅茶、あまり美味しくないわ』 と、素晴らしく辛辣な感想を貰い、美味しいお茶の淹れ方の基礎の基礎から 叩き込まれた。 スパルタ過ぎて、かなり辛かったのも事実だが。 「はい、どうぞ。お嬢様方」 温度も教わったとおり…のはずだ。 香りも俺の出来る最大限まで、お茶の香りを残すようにした。 「お、いただくぜ」 「…少しはマシになったみたいね」 まず、口をつけた師の感想は、相変わらず辛辣だった。 それでも誉めてくれているという事は分かる。 「ところで、お前ってさ。明後日に用事あるか?」 魔理沙は急に俺の予定を訊ねてきた。 もともと用事なんて無いに等しい。 むしろ、この幻想郷に着いてからは、暇だったり忙しかったりと どっちになるか、いまいちよく分からない。 最近では暇な事が多いくらいだけど。 「…別に何も無いなぁ」 「よし。それならさ、私とちょっと図書館まで行かないか?」 図書館。 紅魔館という屋敷にあるらしい、図書館。 「紅魔館まで、俺にどうやって行けって言うんだ?」 「ま、何とかなるだろ」 こういうアバウトな所は魔理沙らしいというか何と言うか…。 「ま、最終手段としては、キノコ狩りに変えればいいか」 アレは食糧難になった時に、すごくいい。 まず、ご飯に困る事が無いし。キノコご飯、焼きキノコ、お吸い物。 キノコのフルコースが完成する。 …一度キノコ狩りをした時は、某配管工兄弟も、ビックリのキノコの量だった。 「それじゃ、な。アリス、行こうぜ」 「はいはい、ご馳走様。これからは、もうちょっと温度に気をつけることね。 お茶の基本は自分で探求する事。忘れないように」 「あいよ」 手をひらひらさせて、彼女に挨拶を返した。 的確すぎるアドバイスだ。これからも精進しよう。 「なぁ、アリス」 箒で前方を飛ぶ魔理沙に、急に振り向かれ、私は 空中で静止した。 彼女の様子はどことなく、いつもと違っている。 上手く言えないけど、何かを隠しているとか、そう言う感じを受ける。 「何よ?」 「お前ってさ。『あいつ』の事、どう思ってる?」 あいつ――彼女が言う『あいつ』といえば二月ほど前にここに辿り着いた 外来からの人間の事だろう。 最近では着々と活気付いている。 まるで急にお祭りの準備を始めるかのように、だ。 いや、それよりも 「どう思ってるって…?」 「決まってる。あいつのことが好きなのか、嫌いなのか、だ」 いきなり心の中に爆弾を放り込まれた気分だった。 彼の事を考えて、心が早鐘を打ち、頭がボーっとしてくる。 心なしか顔も熱い。 「…はぁ、その顔でもう分かったぜ」 同じように、彼女の顔も赤い。 これは、どうやら魔理沙もそういう事らしい。 「私は、明後日の帰る前に、『あいつ』に告白する。いいな、確かに伝えたぜ」 魔理沙は赤い顔をしながら、少年ような笑みを浮かべて 箒を急加速させた。 「ちょっと!待ちなさいよ!」 「待たないぜ!」 急加速する箒の後ろに辛うじて付いてくことが出来るが、 魔理沙の箒のスピードは本当に早い。 「―――ぁっ!」 後ろから、何とか大声を上げる事で、魔理沙は止まる。 「…ったく、何だ。言えるじゃないか。自分の気持ちを」 「…あ」 自分が何と言ったから反芻する事、数秒。私は自分が言った事に赤面した。 「明後日、勝負だぜ」 そう言って彼女は笑いながら、デコピンをした。 ホンのちょっとだけ痛かった。 あれから二日経った。 別段、彼女と会うことには意識なんてものはない。 これが、もうちょっと色気があるイベントならまだしもキノコ狩りなんてイベント もう、何度も行っているイベントである。 色気よりも食い気、まさに花より団子だ。 「よっ、待ったか?」 箒に乗った魔理沙が到着した。 いつもよりも早い時間だ。 「ううん、今来たところ☆」 「……」 「……」 「……」 「…すまん、自分で言って気持ち悪かった」 と言うか、こういう時に限って、ネタにしかならない自分が怨めしかった。 それはともかく紅魔館の図書館は諦めてキノコ狩りとなった。 この幻想郷に生えているキノコは俺達の場所と同じ様なキノコもあれば、 これは別次元だろ、と言いたくなるようなキノコもある。 具体的に言えば、二次元キノコ、平べったい。 噛んでる感触もないし、あんまり美味くなかった。 どこかの蛇ほど雑食ではないし、さすがに、毒キノコを食って平気でいられるとは思えない。 「お、こいつはスーパーキノコだな」 彼女の足元には大きさが俺の腕以上もある、でかいキノコがあった。 「スーパーキノコ?」 「あぁ、この辺じゃブロックにしか生えない珍しいキノコだぜ」 ブロックにしか生えないキノコはもうキノコとは言わない。 それはむしろアイテムだ。 「…で、それはウマいのか?」 「栄養は満点だし、煮ても焼いても美味しく食える。最高のキノコだぜ?」 それは今日の夕食にちょうどいいかもしれない。 俺は迷わず引き抜いた。 …つぶらな目があるような気がしたが気のせいにした。 すっかりと暮れてきた。 既に夕暮れとなって、景色が紅く染まっていく。 日が早くに沈み、秋どころか冬すら思い浮かばせる。 息は白くなっている。これだけで十分、気温が低く、冬が近いことを嫌でも 思い知らされる。 「さて、帰ろうか魔理沙」 それまで夢中にキノコを狩っていた魔理沙の体が硬直した。 「あ、あぁ」 妙に彼女の顔が赤かった。 はじめは寒いせいか夕焼けのせいか、程度にしか考えてなかったけど、それもどうやら 違うようだ。 もっと別の…そう、どうやら何かを言いよどんでいるようだった。 「…なぁ、ちょっといいか?」 「用事?何かあるの?」 「そんなに時間はとらせないぜ。ただ、イエス、ノーで答えてくれれば良いんだ」 彼女にしては珍しく、回りくどい言い方だった。 どうやら本当に言うべきか迷っているようだ。 「私は…お前の事が好きなんだ。出来れば…返事をもらえないか?」 唐突だった。頭が真っ白になった。 俺は魔理沙を今まで友人程度にしか考えてなかった。 でも彼女は、俺の事を好きだと言った。 夢か…幻か…それともここにいる魔理沙がニセモノか? そんな下らない考えまで浮かんできてしまう。 だが目の前の現実は変わりそうもない。 目の前の魔理沙は俺を好きだと言い、俺はその告白をどうするのか? ――ふと、アリスの顔が浮かんできた。 何故かは分からない。 しかし、どうしてこんな状況になってアリスの顔が浮かぶんだろう? 「悪い…」 「そっか」 魔理沙もある程度予想しているらしく、別段がっかりしている様子もなく、 はぁ、と軽く溜め息を吐いた。 「…アリスの顔が浮かんできたんだ。目の前にお前がいるんだけどな…」 はっきりと、事実を伝える。彼女にはきっと分かっているのだろう。 俺が、多分アリスが好きだと言うことを。 「じゃあ、振られた女から最後の忠告でもさせてもらうぜ」 その妙に明るく振舞いながらおどけた表情から 一転、真剣な表情に変わり、やはり真剣な表情で言った。 「妖怪と人間が相容れる事はありえない」 そんな事はわかっている。 だが―― 「やってみなけりゃ、分からない」 いつも魔理沙が、俺に対して言っていた事だ。 失敗を恐れて、何もしないよりも、例え1パーセントでも可能性があるのならば そっちに賭けた方が、まだ勇気がある。 「…だろ?」 「あぁ、行って来い」 バシン、と活気の良い音が俺の背中から響き、 魔理沙は箒で飛び立った。 「ははっ、予想はしてたんだけどな…ちょっとは堪えたぜ」 彼女が何事か呟いたのは、聞こえる事はなかった。 真夜中になり、月光だけが照らしている。 白い息が濃く見える。 俺は走っていた。自分の家だ。 ちょっとくらい俺にも気配と言うか、"気"を感じる力は身に着いているらしく 彼女の魔力を感じ取っていた。 それが指し示す方向は…俺の家だ。 「アリス…?」 ドアを開けて、彼女の姿を探す。 明かりなんてあるわけが無い。暗がりで目が慣れるのを待つ。 薄暗い中で、ほとんど手探りで、彼女の姿を探した。 この家の中に居るのは分かる。俺の感じた気もこの中なのだから。 「…居るのか?」 暗がりの中でようやく目が慣れ始めた頃、数少なく作った家具の、机の上に 一つの人形があるのに気付いた。 どうやら、これは俺を模しているらしく、俺の特徴が良く表れていた。 『部屋で待ってる』 俺の人形が、手紙を持っていた。 辛うじてそれだけ読み取ると、部屋の前に着いた。 不思議と心臓が高鳴っていた。 彼女の人形に手伝ってもらった、たった一つの部屋。 言うなれば、彼女が作った贈り物だ。 「よ」 「…うん」 部屋の中に入ると、俺のベッド…とも言えない寝床の上、質素な寝具の 毛布に包まって、彼女は居た。 「…魔理沙は?」 「いない、帰ったよ。…アリスは、帰らなくていいのか?」 「…魔理沙に、何か言われた?」 どうやら、事の始終は知っているらしい。 事前に言ったか何かだろうか? 「好きだって、言われた」 「…そう」 暗がりの中、彼女の声もどことなく低い。 彼女に好きだって言われたのも事実だ。 でも―― 「断ったけどね」 「…え?」 これには彼女の方が驚いたようだ。 目を丸くして、俺の方を信じられない物を見るかのように見ている。 「俺が好きなのは、お前だからな」 言ってやった。 彼女は相変わらず暗い口調で言う。 「妖怪と人間は相容れる事はありえない」 「やってみなけりゃ、分からない」 この問答も、合言葉みたいなものだ。 彼女への想いは、いつの間にか大きくなっていたようだ。 「私は…あなたが好きじゃないかもしれないのよ?」 「だったらさ、どうしてあんなに丁寧な人形を作るんだ?」 先ほどの俺を模した人形を思い出す。 あれだけ作るのには、手間をかけなければならない事は、素人の俺でもわかる。 間違いない。アレは時間がかかって作られた物だ。 「…ほんの気まぐれじゃないの?」 「…気まぐれなら、お前はどうして泣いているんだ?」 この闇の中でも、彼女の目から涙が流れているのがわかる。 どうして彼女が泣くんだろう? 「…わた…私…あなたが……好きだった、の…」 「…あぁ」 「でも、でも…あなたを…ま、魔理沙に…と、取られると思った…の…」 涙声になる彼女の声は、あまりにも儚かった。 俺はもう覚悟を決めている。 妖怪と一緒になるという覚悟だ。 俺は彼女が泣き止むまで、しばらく彼女の近くに居た。 どのくらいの時間が流れたであろう。 彼女はようやく泣き止んだ。 「ねぇ」 「ん、何だ?」 「…こっち、来て」 毛布に包まりながら、顔を紅くして、彼女は俺をベッドに座らせた。 ふわっと花のような香りが広がった。 いつの間にか俺は毛布に包まれていた。 彼女の肌の温度を感じる。そのことに疑問を抱いた。 「…おい、服はどうしたアリス?」 「……」 何も答えないアリス。顔はトマトのように紅くはっきり見える。 「……」 「…寝るか」 ちょうどいい具合に眠気が訪れた。 このままだとちょうど添い寝の形になる。 「……うん、あ、こっち見ないでよ」 最後に釘を刺すとアリスは目を閉じた。 ちょっと残念だったが、彼女の肌を感じながら、俺は眠った。 翌日、霧雨魔理沙はいつもの通りに彼の家を訪れていた。 とりあえず、彼の部屋に起こしに行くと、普通は居る筈の無い人物が 彼のベッドで寝ていた。 居る筈の無い人物は、下着姿で毛布を取っていたから 風邪を引くこともなかったものの、彼は面積の少ない毛布で辛うじて眠って いた。 どうやら、昨晩は何も無かったようだ。 「…起こすのも悪いか」 ベッドで寝ている二人は、幸せそうな寝顔で、夢の世界に居るようだった。 後書き―― ==チラシの裏== ごめん、なんか展開が同じっぽい ==ここまでチラシの裏== はい、と言う訳でリクエストを承りました 603氏。 この530(仮名)若い頃からリクエストの都合上、時間がかかった事があっても SSそのものを放棄したことはない!このままガンガン書くッ! 最後に言いましょう。 書くって心の中で思ったならッ!その時、スデに行動は終わっているんだッ! 兄貴に言われました。 この台詞を胸に、伝えきれない心の中の愛を、みんなに伝えようと思っています。 ありがとう。 1スレ目 777 ─────────────────────────────────────────────────────────── コンコンと、軽くドアをノックする音 それを聞いた瞬間、俺は嬉しくなり心が舞い上がる あの日──彼女に想いを告げた日から十日は経っただろうか 「…ありがとう…嬉しい」 顔を紅潮させ、もじもじとしながら俺の返事に答えてくれた時の彼女の様子を、忘れることなど出来はしない ドアを開けると、会いたかった彼女─アリス・マーガトロイドはそこにいた。大きな紙包みを重そうに抱えている 「こんにちは」微笑みがなんとも可愛らしい 「おはようアリス。って雪かよ」 「さっきから降ってたわよ。どうせ今の今まで寝てたんでしょ」 暖かそうなコートを着てはいるが、その息は限りなく白い 「ご明察。寒いせいか豪快に寝れたぜ」 「…普段通りね」 「普段通りだ」 暖炉に火を入れ、お茶の準備をする。こんな日は紅茶が一番だ 紅茶と煎餅を用意し、リビングに戻る 「ん? どうしたんだ。もう暖かいだろ?」 椅子に座って待ってはいるが、コートを着たままのアリス 「う、うん…」アリスは恥ずかしそうに答える 寒いなら構わないが、人の家で上着着用は失礼というものだ 「まさか裸なんじゃないだろうな」 「ば、莫迦っ…そんなわけないでしょ」茶化しただけで顔が真っ赤になる。なんとも楽しい アリスは顔を赤らめながらコートに手をかける 「〆%&!!☆●бνqあwせdrftgyふじこ」思わず声にならない声を上げる ──そこにいたのはアリスでは無い(アリスだけど)1人のメイドさん 思わず見つめてしまう。 「な、何よ…変な声を出して…」俯きながら口篭もるアリス しばらく沈黙が続く 「…どうしたんだ? 急に」 「古道具屋さんに行った時ね…外界から流れてきたという本があって…何気なく読んだの」 ──それって何てエロ本? 「男の人は、メイドの服装に弱いんだ、って。あなたも外界から来たんだから、そうなのかな…と」 「こんな服売ってないし…紅魔館のメイド達ぐらいしか着てるのいないし…作ってたの。 やっぱり変だったかしら…他の服が良かったのかな」 もしかすると、アリスの持ってきた紙包みはあんな服やこんな服では無かろうか 何の本を読んだか知らないが、セーラー服とか平気で入ってそうだ。でも可愛いだろうな 「いや、似合ってるよ。可愛い」お世辞でも何でも無く、本心からそう言った 「…嘘でも嬉しいわ」アリスはくすりと笑う 「だが、一つだけ訂正させてもらう」 「え?」 「俺が好きなのは、メイド服じゃなく…アリスだってことだ」 楽しい一日になった。 結局アリスはメイド服のままで食事を作ってくれたり、掃除をしてくれたりと 最初の恥らいはどこへやら。本物のメイド顔負けの行動だった 「そろそろ寝るかな」 「…待って」 俺が隣の部屋に行こうとすると、アリスは俺の手を引っ張った 「ここはあなたの家なんだから、あなたがこの部屋に寝ればいいでしょ」 「隣はベッド無いし狭いし不便だろ」 「……莫迦」 アリスは俺の顔をじっと見つめてくる その大きな瞳に、吸い寄せられそうな気がした アリスの横に座ると、アリスは誘うように目を閉じる 細い身体を抱き寄せ、優しく唇を重ねる ──もう抗えない 俺は、人形遣いに操られる意志の無い人形でしかないのか 目が覚めた時、すぐ横にはアリスがいた 「おはよう」顔を赤らめながら、やさしく語りかけてくる 「今日も寒いな」 「そうね…でも」 「でも?」 アリスは何も言わずに、体を寄せてきた。 肌が直接触れ合う暖かさ。唇の暖かさ。心の暖かさ。 幻想郷にやってきての初めての冬 彼女といる限り、寒さなど感じるはずも無い 1スレ目 831 ─────────────────────────────────────────────────────────── カランカラン―― アリスと二人で香霖堂の軒先をくぐると、いつもと変わらない、暇そうに読書を嗜む香霖の姿があった。 「こんにちは、霖之助さん」 「よっ。相変わらず繁盛してるねえ」 「ああ、いらっしゃい、二人とも。相変わらず仲が良さそうで何よりだ」 嫌味の無い軽口を叩き合うと、香霖は読みかけの本に栞を挟んで、アリスの方に顔を上げた。 「アリス。頼まれていたお香なら、あちらの棚の方に置いてある。 他にも何種か入っているから、見てくるといい」 「どうもありがとう。そうさせて貰うわね」 香霖が指した棚の方に歩き出したアリスの後を、上海人形と蓬莱人形がふわふわとついて行く。 当面何の用事も無い俺は、ぶらぶらと辺りの商品を物色してみる事にした。 外の世界から流れ着いた拾い物を取り扱っていると言うだけあって、陳列されている品々にはまるで統一感が無く、 また、比較的最近まであちら側に居た俺にとって、見覚えのある物も少なくなかった。 「そう言えば、この間買ってくれた物はどうだった?」 アリスの姿が棚の奥に消えたところで、香霖がこちらの方に向きを直して訊いてきた。 「どっちの事?」 「両方だ。参考までに、感想を聞かせて欲しい」 最近この店で行った、二度の買い物を思い返す。 「そうだな。……まず、三日前の香水は、すごく喜んでくれた」 外の世界に居た頃はまず手に取る事の無かった、洒落た小瓶に詰められたラベンダーの香水。 あちらにおいてはありふれた量産品ではあったが、この幻想郷ではあれだけ精緻な作りの香水は見受けられないだろう。 プレゼントした時のアリスの喜びようは、しばらく忘れられそうに無い。 「泣くほど喜んでくれるとは、思わなかったな……」 「喜ばしい話じゃないか。それだけ君から贈られた、という事が嬉しかったんだろう」 「言ってくれるね」 もちろん悪い気はしなかった。 贈った品物はいつか磨耗して無くなってしまうが、それにまつわる思い出は、当事者である俺たちが見失わない限り、無くなる事は決して無い。 こうして砂粒のような幸せを少しずつ積み上げながら、絆というのは強くなっていくものなのだろう。 「それはそうと、僕としては、秋のアレの方が気になっていたのだが……」 香霖の催促に、苦い思い出が甦る。 「そうだな。……あの秋のバイキング衣装は、すごく怒られた」 外の世界に居た頃はまず手に取る事の無かった、海の漢たちの香りにあふれた白夜の戦士の衣装。 あちらにおいては教科書でしか見られない希少品ではあったが、この幻想郷でもあれだけ豪放な作りの衣装は見受けられないだろう。 アレを着て、夜中に枕元に立った時のアリスの悲鳴は、しばらく忘れられそうに無い。 「泣くほど嫌がられるとは、思わなかったな……」 「痛ましい話じゃないか。それだけ君がアレを着た、という事が受け入れ難かったんだろう」 「言ってくれるね」 もちろん気分を害した。 着た衣装はアリスに燃やされて無くなってしまったが、それにまつわる悪夢は、当事者である俺たちが払拭しない限り、無くなる事は決して無い。 こうして泥水のような不幸を少しずつ啜りながら、絆というのは脆くなっていくものなのだろう。 カランカラン―― 香霖とのメランコリーなアホ会話のちょうど切れ目に、来客を伝える鐘の音が割って入った。 見慣れた紅白が、ここが我が家と言わんばかりの気楽さで軒先をくぐって来る。 「ふう、今日は先客万来だな。全員代金を払ってくれる優良な客なら万々歳なんだが」 香霖が苦笑を漏らす。ちなみに俺とアリスは、いつも代金はしっかり払っている。 「こんにちは。――あら、珍しい顔ね。アリスも一緒?」 「ああ、こんにちは、霊夢。アリスは奥の方で現在物色中」 聞かれたので答えたが、別に霊夢はアリスに用がある訳でもなく、「ふーん」と一言返すと、目当ての品の物色にかかった。 これは彼女の気質なので、いちいち気にするようなものでもない。やれやれといった表情の香霖と、苦笑を交わした。 「ん、何これ? えっと……『ぽっきー』?」 霊夢の物珍しそうな声にそちらを向いてみると、彼女の手に、見覚えのある小さな紙の箱が握られていた。 「ああ、それは外の世界のチョコレート菓子だ。しかしまあ、そんな物まで流れてくるものなのか……」 「この前、段ボールの箱に詰められて転がっていたんだ。よければ少し摘まむかい?」 「おいおい」 幻想郷に流れてくるものの節操の無さと、躊躇無く売り物を献上する香霖と合わせて二重に驚いた。 しかしまあ、せっかくタダでくれると言うものを拒む理由も無い。外の駄菓子というのも久しぶりだ。 買い物を終えたアリスも交えて、何となくお茶の時間となった。 「それにしても、どれもこれも同じような形で面白みが無いわね。外の世界の食べ物ってのは、みんなこうなの?」 みんなでポリポリとポッキーを摘まみながら駄弁っていると、ふとアリスがそんな事を言い出した。 「いや、人の手がかかった料理とかなら、幻想郷と大した違いは無いよ。 ただ、この手の嗜好品は機械で量産されるから、同じ形にしかならないんだ」 そう説明したが、『機械で量産する』という絵図がピンと来ないらしく、皆一様に首をかしげていた。 まあ、機械による大量生産ってのは、この幻想郷から最も遠い景観だろうし無理も無いか。 「でも、何でわざわざこんな棒切れにしちゃうのかしらね。もっと大きな塊にすれば手っ取り早いでしょうに」 霊夢の言う事もまあ分からなくもないが、これだけの量のチョコとクッキーを塊一つに、というのも風情に欠けると思う。 何気なく隣を見ると、アリスがポッキーの先っぽを唇に引っ掛けて、ブラブラと遊ばせていた。 こらこらはしたない、と諌めようとして……頭上で、俺にしか見えない電球が閃く。 これはハッキリ言って、チャンス!! ――俺には、恋人が出来たら是非やってみたいと、憧れていた夢があった。 「いやいや霊夢。この菓子がこんな形をしているのには、ちゃんと訳があるんだ」 チッチッ、と人差し指を振る俺に、一同揃って訝しげな視線を送ってきた。 「どう見てもただの菓子にしか見えないのだが……そんな大層な由来があるのかい?」 香霖が興味津々な様子だ。彼は、外の話題にはいつも食いつきが良い。 「ああ。これはただのお茶請けにして良いような菓子じゃない。由緒ある、正しい食べ方があるんだ」 「ほう、そんなものがあるのか……」 「よし、せっかくだから特別授業だ。外の世界の叡智の果てが一つ、とくと御覧に入れようか。 ……なあアリス、その咥えたポッキー、真っすぐこっちに向けてくれないか」 「ふぁい?ほう?」 何も知らないアリスが、無防備に唇を突き出す。……満願成就はすぐそこに! 彼女の肩を掴んで、ぐいっと抱き寄せ、その唇から伸びたクッキーの部分に齧りつく。 「!?」 俺の意図を察したらしいアリスの体が一瞬強張った隙に、カリカリとビーバー並の神速でポッキーを齧り取り、 ――――ぶちゅうううううぅぅぅ。 辿り着いた唇に、思いっ切り吸いついた。 「~~~~~っっ!!」 アリスが俺の背中をドンドンと叩き、人形たちが頭をポカポカ叩くが、お構いなしに唇を吸い、舌を差し込んで口内を丹念にねぶり上げる。 「~~っ、~~~っ、……っ……」 次第にアリスの表情がとろんと脱力してきた。 ……いかん、我ながらやり過ぎた。軽く唇を合わせるだけで終わるつもりだったのだけど。 「おおおお~~~~~……」 霊夢が歓声を上げ、香霖の眼鏡が怪しい光を放つ。 ――パシャパシャ! いつの間にか窓の外に張り付いていた風神少女が、もの凄い勢いでカメラのシャッターを切っていた。 「ぷはっ……」 「はぁっ……」 息が続かなくなったところで、やっと唇を離した。 なお二人の唇をつなぐ糸を指で掬い取り、すっかり放心してしまった様子のアリスの口元を、ハンカチで拭ってやる。 「……と、こんなところだ」 「うわあぁ……す、凄いのね、外の世界のチョコの食べ方って……」 霊夢が目を爛々と輝かせ、香霖がトイレに駆け込んだ。 「ああ、凄いだろう。――――ちなみに、全部嘘だ」 達成感のあまりにうっかり口を滑らせた瞬間、 ずぼっ!ずぼぼっ! 上海人形と蓬莱人形が俺の鼻の穴にポッキーを3本ずつ突き込み、 べきべきべきべきべきべきっっ。 幽鬼の如き表情を浮かべたアリスが、その上から鼻を捻じり上げた。 「ふがががが痛い痛い痛ぁい!!! 破片が、破片が!!」 粉々になったクッキーが、鼻の粘膜に刺さりまくる。何これすんげえ痛い!!! 「……人前であんな恥ずかしい真似やらかしておいて……挙句、嘘ですって?」 アリスが、俺の鼻を掴んだまま、ゆらりとおぼつかない足取りで立ち上がった。めっちゃ怖い。 般若の由来が、怒った女性の顔だという事を、唐突に思い出した。 ――パシャパシャ! 「撮るな!!」 ガッシャアアアアアアアンッ!!! 「ひゃあっ」 ブン投げられた湯呑みがミサイルのような勢いで窓を枠ごと粉砕し、文が泡を食って逃げていくのが見えた。 「こ、怖えぇぇ……お~い、霊夢、助けて~~!」 離れて見ていた霊夢に助けを求める。 叫んだ拍子に、鼻からクッキーの粉が炸裂弾のごとく噴き出した。 「ぶっ!……酷い絵面ね……あー、アリス? 気持ちは分からないでもないけど、その辺にしときなさい。 このままじゃ、十分後にはこの店自体がガラクタになっちゃうわよ」 「ぐ……仕方ないわね……」 た、助かった……ありがとう霊夢!! 今度、素敵な賽銭箱に金を入れておこう、と思った。 思っただけで、実行するかはまた別の問題である。 ちなみに、香霖は結局戻って来なかった。 ………… 帰りの道中、拗ねてしまったアリスに、延々と頭を下げ続ける羽目になった。 「なあ、アリス~、機嫌直してくれよ……」 「……知らない。人前であんな事してくるような破廉恥漢を許してあげるような義理は無いわよ」 取り付く島も無い。そっぽを向いたアリスの頭上で、上海人形が「あっかんべー」をしてきた。 「あのさ、全部が全部嘘だった訳じゃ無いんだよ。 ……恥ずかしいから言いたくなかったんだけどさ。俺、恋人ができたらやってみたいって、ずっと憧れてたんだよ」 恥ずかしながら、本当の話だ。思わぬところで条件が揃ったので、つい調子に乗りすぎてしまった。 自分の頭の軽さに、少々の自己嫌悪を覚える。 「…………そう。仕方の無い人ね」 アリスが足を止めて、大きく息を吐いた。 そして、ごそごそと蓬莱人形がぶら下げた買い物かごに手を突っ込み、 「許してあげる。その代わり……やり直し」 そう言って、取り出したポッキーを一本掲げて見せた。 「あんな無理矢理な不意打ちじゃなくて、ちゃんとした方法でやり直し。それで許してあげるわ」 「……いいの?」 「……うん」 アリスは少し恥ずかしそうに頷くと、咥えたポッキーをこちらに掲げ、そっと瞳を閉じた。 ……まったく、ありがたい恋人を持ったものだ。 大好きな彼女の柔らかな髪を手で軽く梳き、腰にもう片方の手を回して抱き寄せる。 そして、差し出されたクッキー生地をそっと唇で挟む。 ゆっくりと、ゆっくりと、二人の唇が近づき…… ――――ちゅっ。 触れ合うだけの、軽いキス。 二人同時に目を開けて、どちらからとも無く、くすりと笑いが漏れた。 「……どうかな」 「ふふ、結構ドキドキするかも。たまにはこういうのもいいわね」 そう言って、アリスが俺の胸元に頭をぽすっ、と乗せた。何とも可愛らしい照れ隠しだ。 大切な彼女のあたたかな体をしっかりと抱きしめ、頭を柔らかく撫でつける。 ――パシャパシャ! 「だから、撮るな!!」 「ひっっ」 人形たちから放たれた鮮やかなレーザーが、いつからか上空を漂っていた出歯亀天狗をこんがりウェルダンに焼き上げた。 後日、文々。新聞が空前の発行部数を記録し、 紅魔館の鼻血メイドが大人買いをし、 ヴワルの引き篭もり魔女が珍しく外出し、 満月の夜には息を荒げた半人半獣が訪れ、 しばらく香霖堂はかつて無い賑わいを見せたと言う…… 1スレ目 835 ─────────────────────────────────────────────────────────── 初めて彼女に逢ったのは彼女の家の近く。外界から来たばかりで森で迷い、疲れきって動けない時だった。 彼女曰く、「捨てて置いても良かったけど、上海と蓬莱がどうしてもと言うから助けたの。 もう半月位誰とも会話してなかったからちょうど良かったから」らしい。 それ以降、人形を使う魔法使いアリス。彼女の人形を作る助手兼魔法実験の手伝い(たまに的)買い出し係、 上海と蓬莱の遊び相手と移動手段等をしている。 因みに、最初の頃は魔理沙と霊夢に「どうやって作った人形だ?」とか 「本当は脅されてるんでしょ?」とか言われた。 そして今日、自分はアリスに自製の服を一着プレゼントをした。 コンコン… 自分の部屋にノックが響く。 「どうぞ」 自分は今まで無い位の緊張で返事を返すと、開いたドアから上海と蓬莱が飛び込んで来た。 「やあ二人とも、アリスはあの服は喜んでくれたかな?」 二人に話かけると二人はまた部屋を出て行ってしまう。 (気に入ってくれなかったのか?) そう不安が過った瞬間、アリスの声が聞こえた。 「ちょ、ちょっと、押さないで蓬莱。上海は引っ張らないで。」 そして少しの沈黙の後、プレゼントした純白のドレス身を包んだアリスが姿を見せる。 「…どう言うつもり?」 「着ての通り」 「どう言う意味?」 「そのウェディングドレスをアリスにプレゼントした意味?それはそのまま」 「…これ、手製よね…」 「…そう、気に入らなかった?」 「…き、気に入るわけないじゃない!デザインはともかく、他は話にならない!裁断も縫製もヘタクソ! もう一度、一から立体裁断を勉強しなおしたら!?才能の欠片も感じられない! なんで人形の服は結構上手く作れるのに人間サイズはダメなのよ!まったく、生地は凄く良いのにもったいない!」 あまりの怒りっぷりとダメ出しに思わずうなだれる、ハッキリ言って死にたい位だ。 「……」 「…ま、まぁ腕はともかく貴方の気持ちは解ったわ…その気持ち、ありがたく受け取るわ…これからも宜しくね…」 「…へ?」 彼女の突然の言葉を理解出来なくて思わず声が出る。すると彼女は俯いていても解る位、真っ赤な顔で応えた。 「このプロポーズを受けるって事よっ!」 そう言ってアリスは自分に飛び込んで来る。そして自分はアリスをしっかり受け止める。 「ありがとう。アリス」 「こちらこそ。それじゃあ式までには貴方と引き合わせてくれたあの二人にもドレスを作らないとね」 そう言うアリスの視線の先には二人の人形が嬉しそうにしている。 「そうだね、けど今すぐとはいかないよ」 「なんでよ?」 三人は自分の顔を不思議そうに見る。 「それは…今からアリスにキスをするから」 「ちょっ、ちょっと待って!上海と蓬莱が…んっ…」 そう言って自分は慌てるアリスに長い長いキスをした。 こう…ツンデレってのは俺には書けんな…orz 2スレ目 96 ─────────────────────────────────────────────────────────── アリス=マーガトロイドはキッチンで準備に忙殺されながらも、底知れぬ幸せを感じていた 菓子の焼ける甘い香り。コトコトと煮立つスープ。 「見てなさい、ぎゃふん(死語)と言わせてあげるから」 軽快に動く包丁は、何よりの充実感か 「…どう思ってくれるかしら」後々のことを考えると思わず顔が緩む しばしの間妄想にふけているところを、上海に頬をぺちぺちと叩かれ我に帰る 「もう、何よ! いいところだったのに!」 上海の差す方を見たその時…何かが焦げる素敵な匂い 「あぁぁぁ失敗しちゃった…」 「シャンハイ…」 アリス=マーガトロイドはキッチンで更なる忙殺に追われながらも、底知れぬ幸せを感じていた * 「ここも結構暑いんだな…七月だし当然か」 とある日の夕刻、カレンダーを眺めながら何気につぶやく 今日の欄には、大きく赤インクで○が記されている 「今日って何の日なんだろうな」 アリスの家に招かれたのは嬉しい限りだが、半月も前にわざわざ今日を指定してきたのは腑に落ちない 何か特別な日なのは間違いなさそうだ 「そろそろ行くか。日が沈む前には着くようにしないとな」 ゆっくり来てくれとは言われたものの、弾幕力を持たない俺に日没後の外出は自殺行為に等しい ドアをノックすると、上海人形がお出迎えに出る 「シャンハーイ」 「やあ上海、今日も可愛いね」 精巧な作りの人形はどこか不気味さを醸し出すものだが、この上海に関しては可愛らしさしか感じない 人形師としてのアリスの技術の高さを窺い知ることができる 「…ハーイ」 上海はちょっと照れたような動作で入れ、と俺に合図する。可愛いなぁもう 「あら、いらっしゃい。…待ちわびたわ」 廊下を小走りに登場は主のアリス。可愛い顔を紅潮させている、ああ可愛いなぁもう!! 俺は小さな人形のことなど忘れてアリスの顔に魅入ってしまう。俺の彼女は超アリスゥゥゥゥゥゥゥ! 廊下にまで漂ういい匂いを嗅ぎつけた途端、俺の腹は正直に何か食わせろと歌い叫ぶ ハラヘッタ なにかくれ やさしい声よりイモが欲しい 「…腹に変な動物飼ってるんじゃないわよ」 「ご馳走が待ってると言ったのはアリスだぞ。そのために昨日から何も食ってないんだ」 「もう莫迦なんだから…まぁいいわ。ちょっと早いけどお食事タイムね、さぁ行きましょ」 「おお!? そう来なくっちゃな」 後に残されたのは、主人にも忘れ去られた小さな人形だけである 「シャンハーイ…」 ─少女食事中... ぬおおオオオオーッ、サンタ・マリーアッ! 豊潤であってなめらか。まったりしていてコクがあってそれでいて しつこくなく…夜雀が舌の上でシャッキリポンと踊るわッ 「…」 食べることも忘れて呆けるアリス(上海含む)を尻目に、食べっぷりは土●しげるの如く解説は雁●哲の如く 俺は口を動かしつづける やがてアリスの分まで食い尽くし、皿を置く 「ふー。ご馳走様」 「…どういたしまして」ちょっとため息交じりに返答 「美味しいよアリス。こんな美味いのは冗談抜きで初めてだ」 「本当? 良かった…朝から準備した甲斐あったかな」 * 騒がしい(俺一人が)食事も終わり、二人でソファーに隣り合って座る 「なぁ、今日って特別な日かなにかか?」 先ほどから気になっていたことを、ついに口にした 「うん…それなんだけど」 アリスはソファの隅に置いてあった包みを、俺のほうに差し出す 「これ…受け取ってくれるかしら。…今には不釣合いだけど」 包みを開け手を入れると、柔らかく暖かい感触──セーター・マフラー・帽子・靴下等の毛糸グッズ一式 「…メリー・クリスマス」 え…どういうことなんだ。真夏なのに…。俺の頭の中は?で一杯だ 「…あなたと初めて会った日が、クリスマスってこと覚えてる?」 思いがけない問いに、記憶を巡らすも、どうにも覚えてない 「ん…あの時は訳分からず必死だったからなぁ…まだ迷い込んで数日ぐらいだったし」 「今日で丁度半年なの。だから、去年は渡せなかったものを、って」 それは、半年前の忘れ物 「アリス…」 思いもかけず、涙が零れた 「ずっと一緒に…いてくれないか」 幻想郷という名の、不思議の国の人形姫は小さく、はっきりと頷く アリス=マーガトロイドは心地のいいまどろみの中で、底知れぬ幸せを感じていた 2スレ目 331 ─────────────────────────────────────────────────────────── 「ゔーっ……きちー」 昨日からずっとこんな調子だ。風邪はあまりひかない方なんだがなぁ…… 原因は大体分かってる。多分、クリスマスの宴会だろう。途中から記憶無いし。 記憶が無い間の事を文に聞いて見たところ、顔真っ赤にされた挙句ガン逃げされた事から 脱ぎ系の何かをやったんだろうと思う。酒は飲んでも飲まれるな。 こんな状態じゃ永琳とこにも行けんし、動けるようになるまでは何とか乗り切るしか無いな。 元の世界なら携帯でSOSとか出せたんだがな… …頭がボーッとしてるとホントどうでもいい事ばっかり考えるなぁ とりあえず水でも飲んでおくか、と布団から這って出るが、立ち上がれずに床に倒れこんだ。 あー… やべー… 意識が―― 死ぬならお前の胸のなかで死にたかったぜ、 アリ ス―――― * * * 目覚めると、医者特有の薬品のような臭いがした。 「目が覚めた?」 「あー…あれ? なんで?」 枕元には永琳がいた。はい、と体温計を渡される。 「貴方の恋人さんが半泣きで運んできたのよ。愛されてるわねぇ」 「そっか、アリスが…」 「貴方の家に行ったら派手に倒れてたらしいじゃないの。まぁ、宴会であれだけやればねぇ…」 脱いだのか、やっぱり俺脱いだのか。 永琳なら教えてくれるかも、と宴会の夜のことを聞こうとしたところで、アリスが部屋に入ってきた。 「おー、アリス悪いな世話かけたみたいdおわっ!」 …無言で駆け寄ってきて抱きつかれた。どうやら俺が思ってる以上に心配をかけたみたいだ。 俺の服をぎゅっと握り締めて抱きつく彼女がたまらなく愛おしかった。 俺はアリスを優しく抱き返し…たかったが、隣で永琳が=ャ=ャ=ャ=ャしてるので、頭を撫でてやるだけに留めた。 が、やっぱりアリスが可愛かったので思いっきり抱きしめてやった。 笑いたきゃ笑えよ、ちくしょうめ。 ================================================== ちょっと妄想はみ出してみた*ノノ) リアルで風邪ひいてるので、いつも以上に文章変かも知れない 笑いたきゃ笑えよ、ちくしょうめ……ッ or―z ================================================== 334 ─────────────────────────────────────────────────────────── 病的なほどに白い廊下を歩き、目当ての部屋の前で止まる。 ドアをノックし、開けると。 「あら、久しぶり」 ベッドの上にいる少女の声。 「やあ、本当に久しぶりだね、アリス」 金髪の少女、アリスの声に答え、近くの椅子を引きずってくる。 「それじゃあ、どこから話そうかしら」 席に座ったのを合図に、彼女は話し始める。 このアリスという少女に目をつけたのは大体一週間くらい前か。 彼女は森の中で発見され、すぐに身柄が保護された。 だが、彼女を知る人間はいない。そして…… 「……でね。魔理沙ってば『アリスがやったことに』なんて言うのよ。ひどいと思わない?」 「ふうん、かなりひどいなそれは」 今日もまた彼女の言葉を聞く。たとえそれが現実のものじゃなくても。 彼女の話は、なんともまあ信じがたいのもだった。 『幻想郷』という閉鎖空間にもともと住んでいて、そこでは空を飛ぶ巫女やら魔法使いやらが暮らしていること。 その幻想郷の中の大きな森の中で暮らしていて、近くに住んでいる人間の魔法使いとは仲が悪いこと。 そして、彼女自身は人間ではなく、魔女という種族だということ。 まさしく空想、おとぎ話のような世界だ。 だからというか、彼女の現在いる場所は仕方がないようなものだ。 白い壁、床、天井。壁には前の住人のだろうか、所々に赤茶けたシミが残っている。 ……そう、いわゆる「精神病院」。 彼女自身はそれを知らないらしく、嬉々として自分の空想を語っている。 「……ねえ。聞いてる?」 「あ、すまんすまん。ついボーっとして……」 「もう、霊夢みたいねあなたって」 霊夢……ああ、話の中の巫女か。思考の隅でそんなことを思い、すぐにアリスに意識を戻す。 「本当にすまんが、さっきまでの話を聞いてなかったんで、もう一回聞かせてくれるか?」 「ふふ、ぜんぜん人の話を聞いてないところは魔理沙に似てるわね。じゃあ、もう一回話すわ」 そして、彼女の長い話がまた始まる。 アリスは他の患者とは少々違っている。 あまり騒ぎもしない、暴れたりもしない。 ……いや、これは自分の先入観かもしれない。実際おとなしい患者だっている。 だがそれは結局薬で沈静されているか『カギ』……キーワードや特定の人物、物体を見たり聞いたりしないからだろう。 それにしても彼女は静か過ぎる。そこが自分を惹きつけた原因かもしれない。 「どうですか?アリスの容態は」 「ああ、どうってことないさ。今日も空想をしゃべっていたよ」 親しんだ看護士との会話。たいてい時間があまるとこうやって話している。 「で、実際どうなんだろうか?彼女の言ってることは」 「筋は通っていますし、矛盾もない。とはいえ現実には魔法とかはありませんしね」 外に出れれば作家としてやれるんじゃないですか、と苦笑を漏らした。 「そういえば、彼女の身体検査はしたのか?」 「ええ……それがですね、血液検査をしようとしても断られますし、無理矢理しようとすれば暴れます」 「え、暴れた?」 あのアリスが、ねえ。 「はい。『血は魔女にとって個人情報と同じ』とか何とか言って取らせてくれないんです」 ふむ、個人情報か。ふと思考にふける。 そういえばどこかで『魔女は契約の際に血を使うことが多い』とかあったような。 帰って調べる必要がありそうだ。 「個人情報、か……」 少しの間はこの言葉が頭の中を占めるだろう。 あのあと、家に帰ってからネット検索で調べるとかなりの量が引っかかった。 「とはいえ、これじゃなあ……」 大半が小説などの物語っぽいページだったが。 「確証にはならない、か」 デスクチェアに寄りかかる。……ふと、彼女の話が思い浮かんだ。 「あれは確か……」 その時は少なくとも冗談で検索したつもりだった。 (検索:スペルカード 「おいおい……」 だから、検索にかかったのは驚いた。それならば、と思い出せる限りの言葉を検索する。 (検索:上海人形 (検索:博麗霊夢 (検索:霧雨魔理沙 「…………」 言葉も出ない。それが自分の今の状況だろう。 彼女のおとぎ話が本当にあった。だがそれはすべてゲームの話。 ……それは、偶然かもしれない。もしくは、このゲームを現実と思っているのか。 確か、彼女の名前は…… (検索:アリス ……何やってるんだ馬鹿馬鹿しい。そう都合よく…… (検索:アリス マーガトロイド …………出た。出やがった。 その検索結果はほとんど彼女の話と重なっていた。 ……いや、だからといって実際にそうであるわけが。 そう考えていた矢先に携帯電話が鳴る。発信元は……アリスのいる病院。 病院へと向かう道の途中、電話での会話を思い出していた。 それは見知った看護士からで、内容は一言。 『病院にとんでもないやつが入ってきた』。 状況は、と聞くと見ればわかるとのこと。そういうわけで車で飛ばしたわけだが…… 「……なんだこれ」 着いてみれば、白い壁に大穴。そしてその中から出てこようとしているのは…… 「まったく、心配したぜ。特に上海達はな」 「とかいいながら何よこの大惨事は!?」 アリスと見知らぬ相手。白黒のモノトーンの衣装で、いかにも『私は魔女』的な格好をしていた。 そういえば、彼女の話の中でそういう格好をしている相手がいた。 「アリス?それと……霧雨、魔理沙さんかい?」 「んあ?……おいアリス、あれって誰だ?」 間違いない。この特徴的な口調。あの子が魔理沙なんだろう。 「ああ、彼はよく私の話を聞いてくれる人よ。あなたのことも話したから覚えてたのね」 アリスの言葉に、頭を抱える魔理沙。 「あのなぁ。もしかしてこっちにいる間向こうの事をしゃべってたのか!?」 「だって他にすることないじゃない。それにこっちに来たときに全部しゃべらされたし」 「……せめて嘘とかつけよ」 なんともまあ自然な会話なのだろう。 なんとなく魔理沙の言いたいこともわかる。 「紫に聞いたんだが、おまえの入ってたところは本来フランとかが入るような場所なんだと。 こっち側の人間からしてみれば幻想郷なんてないに等しい存在なんだから」 フラン……?まあ、言葉からしてその子も精神異常者なんだろう。 「なんですって……?」 「とにかく。さっさと帰るぜ」 アリスの手を引き、魔理沙が歩いていく。 「あ、ちょっと……待ってくれ」 「あ?」 声をかけると魔理沙が振り向いてくれた。 ……って、どうする?何でもないとも言えないし、ただ声をかけただけなんだが…… 「悪いが、俺も連れていってくれないか?」 待った。何を口走ったんだ俺は。 「何でだ?」 「さあ、よくわからない。でも、彼女の話を聞いて、さらに実際にその現場を見たら行きたくなってしまうだろ? それに、ここまで来てここに残ってたらそれこそ俺もここに入っちまう」 ……何とか辻褄は合わせた、か? 「あなたがマスタースパークなんて撃つから……」 魔理沙の隣でアリスが呆れていた。 聞いたことがある。魔理沙という少女の技の中でとんでもなく高威力の魔法があると。 まさかこの目で――正確にはその跡だが――見ることができるとは。 「あー、それでだな。そういえばこんなのをやったからにはマッポさんの世話になりそうだな、と」 「マッポ?」 「警察の怖い人達だ。悪いことをした原因の人を捕まえるのが仕事」 「私は悪いことなんかやってないぜ。ただアリスを迎えに来ただけだ」 『十分悪いことやってる』 アリスと声がハモる。……本当にここに入れられるのは魔理沙のほうかもしれない。 「とにかく逃げるぞ。捕まったら終わりだ」 そう言って車のほうへ走ろうとすると。 「わかったぜ。こうなったのも縁とか何とかということで、一緒に来い。どうせ向こうまでは襲ってこないだろうし」 ……警察を何だと思ってるんだろうか。いや、説明不足なのはわかるが。 まあ、そう言ってくれるならありがたいと彼女らについて行く。 「それで、あんた……あー、なんて名前だ?」 「ああ、言ってなかったな。俺は__だ。」 ……どうせ名前を言っても消されてしまうが。 「で、__。何でアリスの話をずっと聞いてたんだ?」 「ん?何でって……」 何故と言われても……特に理由はないな。 「んー、強いて言うなら単に彼女が気に入ったから、かな」 俺の答えを聞いてアリスが固まる。 「ほう、アリスに惚れたと」 「いや、そっちじゃなくて」 それは行きすぎだろと魔理沙に言うと今度は肩を落とした。 「単純に彼女の話が面白かっただけさ。それに……」 「それに?」 「まさかゲームの世界の人物がこっちに来るだなんて、なあ」 と、二人を見る。 フィクションの世界ではよくあることだが、まさか本当に起こるとは…… 「はは。まあ、よくある事だぜ?紫なんかたまにこっち来ては人をさらうから」 紫……聞いたことあるな。 「えっと、ゆかりって人は確か……」 「幻想郷のスキマ妖怪。胡散臭いし足が臭い」 「誰の足が臭いのかしら?」 別の声が聞こえ、そちらを見れば、 「どわっ!?」 生首!? 「失礼ね、誰がT○MAKよ」 「いや、誰もそんなこと言ってないぜ」 生首から体が生え、一人の少女になった。 「ご苦労様。本当は藍に行かせたかったんだけど手が開いてなくてね」 と、少女がこちらのほうに向き一言。 「で、こちらの人は?」 「ああ、__だ。こっちの世界の人間だぜ。__、こいつがさっき言ってた八雲紫だ」 魔理沙の紹介で、この子が紫だとわかったが…… 「だけど、確かアリスから聞いた話だと若い女性だって……」 俺の言葉を聞いて、魔理沙は吹き出し、アリスは『まあ、そうよね』と肩をすくめる。 「おいおい、アリスから聞かなかったのか?紫は境界を操る妖怪だって。 今の姿も自分の年齢の境界をいじくってて、実際はとs」 魔理沙がひとつの単語を言い終える前に、頭だけ消えてしまった。 「今も元も若いままですわ」 何気に迫力のある台詞を放つ。……やっぱり、向こうにも禁句はあるんだな。 「紫、彼もこちら側に送ってくれないかしら?」 首から上がない状態で暴れる不気味な魔理沙を無視して話を進めるアリス。 「彼はここにいる間私の話を聞いてくれたんだけど、魔理沙が騒ぎ起こしたせいでここにいられなくなったみたいで……」 ……別に「自分はやってない」と言い切れば何とかなるけど。 「やっぱり魔理沙に頼んだのは失敗だったわね」 そう言うと、首なし魔理沙が少し持ちあがる。……さっきより暴れてるが。 「じゃあ、三名様ご案内ね」 紫が手に持っている扇です、と空間をなぞるとそこから裂け目が生まれた。 「幻想郷はすべてを受け入れる……」 そして、俺に微笑んだ。 「それはそれは、残酷なことですわ」 ====== ====== 彼はこの後、幻想郷のいろんな人妖にあってそのたびに驚きます。 それはまたどこかで。(訳:書くのマンドクセから書かない * チルノの裏 * なんというか、もうちょっとうまく書きたかったな…… ネタを消化し切れてない感じ。 * ここまで * 466 ─────────────────────────────────────────────────────────── はぐれ人形使い純情派 乙女文学編 「かんぱーい」 「シャンハーイ」 「……」 今日は俺が此処、幻想郷に迷い込んでめでたく(?)一周年の記念日だ。 わざわざ俺を拾ってくれた目の前の少女、アリスには感謝してもしきれない。 電気が使えないとか、トイレがアレだとか、色々不便な事もあるが、なんだかんだいって俺は今の生活に満足している。 向こうではどうあっても体験できない出来事。毎日が新鮮だ。ただ妖怪に食われそうになるのは勘弁。 そんな一年を送ってきた俺に、現在気になる事があるとすれば、最近そのアリスの元気が無い、という事だろうか。 ときおり寂しげな、それでいてどこかキツイ、という微妙な視線を感じることがある。そう、まるで観察されているような…… 「ねえ……」 「ん。どうした? 味が薄かったか?」 「違うわよ……」 そんな中、ふとアリスが手を止め、いつになく真剣な表情でこちらを向く。 と同時に、空気が心なしか重くなっていく。どうやら味付けの事ではないらしい。 とりあえず、最近の元気の無さに関係してるのは間違いないだろう。 「……どうして、どうして私なんかと一緒にいるの? 生活するなら博麗神社だってあるし、貴方には帰るべき場所があるでしょう?」 「…………」 搾り出すような声。ヒク、と俺の頬が引きつったのが自覚できる。 話が重くなりそう、と予想はしてたが、よりによっていきなりそれかよ。しかもこんな日に。 いや。むしろこんな日、だからか。それで言いにくい事を酒の力を借りて。ってか? ともあれ…… 「お前さ。なんでせっかくの飯と酒が不味くなるような話題を、わざわざピンポイントで振るかねぇ。なあ、上海?」 「シャンハーイ……」 「…………」 悲しそうに答える上海と、俯いたまま何も答えないアリス。 折角のいいムードがぶち壊しだっつーの。 いい感じに酔ってきたって時に。 ……因みに、俺は帰りたい、とはあまり思っていない。両親や友人には申し訳ないが。 来てすぐの頃は、そういう事も考えてはいたものの、一年も経ってすっかり幻想郷に染まったらしい。 まあ、その“帰るつもりが無い”というのに、少なからず目の前の金髪の少女が関係しているのは、俺にとって否定できない事実だろう。 「はあっ……。酔いも醒めたわ……ほれ」 溜息をつきながら、足元に置いてあった紙袋を突き出す。 飯の後に渡すつもりだったが、なんかそんな空気じゃなくなったし。 「? なに、これ」 「いいから開けてみ?」 がさがさ、と袋を開ける音が室内に響く。 中身に興味があるのか、クルクルとアリスの周りを飛ぶ上海。喜んでくれるといいんだが。勿論アリスが。 「……ひょっとして、これ、私?」 「ひょっとしなくてもお前だよ」 「シャンハーイ♪」 そう、俺が渡した物はお手製のアリス人形。 彼女の目を盗みながら、数ヶ月もの時間を掛けて作り上げた苦心作。 確かに、彼女の作ったそれに比べるとどうしても見劣りするものの、愛だけは同様……いや、それ以上に篭っているはず! 「どうだ? 自分では結構上手くできて……てオイ!」 ――ポロポロポロポロ。 零れ落ちる涙、涙、涙、涙。 アリスは彼女を模した人形を見つめたまま、溢れる雫を拭おうともしない。 「ど、どうした!? まさか泣くほどショックだったのか?」 なんてこった。人形使い相手に人形を作るのは間違いだったのか…… それとも男からのプレゼントが自分の人形――しかも手作り――とか怖い、とか思われたのか!? もしそうなら、蓬莱の隣で首を吊りかねない。いや、作るのは結構恥ずかしかったけど。 「ちっ、違うわよ! その……嬉しかったの。私、こっちに来てから、家族以外にプレゼントなんてもらった事なかったから」 「……そっか。そりゃよかった」 真っ赤な目と顔で必死に否定しながら、暖かい笑みを浮かべるアリス。 その笑顔を見れただけでも、苦労して作った甲斐があるというものだ。 「じゃあ、はい、私からも……」 そんな感慨にふけっていたら、今度は彼女がなにか寄こしてきた。 とりあえず開封してみよう。 で、中から出てきたのは…… 「……俺、か?」 「……うん」 アリス本人から人形を習ったから判る、戦慄するほど細部まで手の込んだ人形。作り手の想いが篭ってるのがよく判る。 最近の彼女からの視線も、つまりはそういう事なのだろう。 俺の自惚れじゃなければ、この人形の力の入りようは…… 「えっと、アリス。その、この人形はそういう風に受け取っていいのか?」 「……(コクン)」 耳まで真っ赤にしながら頷くアリス。 なんていうか、凄く、凄く嬉しい。 自分の顔も凄い事になっているだろう事が容易に判る。 表情の無い人形達が、俺達を見て嬉しそうに笑ってるような気がした。 「……ねえ、さっきの私の質問だけど」 食事が終わって一段落した所に、アリスが不安げな表情で聞いてきた。 確かに、まだ彼女の問いに答えは出してない。 互いの気持ちも確認したし、あえて言うまでもないと思ったんだが。 「俺はどこにも行くつもりなんてない。あんまり騒がしいのは好きじゃないし。 まあアリスが出て行けっていうなら別だけどな。 そうでも言われない限り、好きな相手を置いて一人帰ったりはできない……ってうをい!?」 ――ぎゅっ。 気づいた時には、既に背中に腕が回されていた。 そして胸に押し付けられる柔らかい感触といい香り。それは間違いなくアリス本人なわけで。 「ア、アリス!?」 「お願い……もう少しだけ……このままで……」 「……泣いてる、のか?」 「…………」 無言。こういう場合の沈黙は肯定と取っていいのだろうか。 ……聞く所によると、彼女は俺が来るまでの結構な時間、この森でたった独りきりで生活していたらしい。 それがどんなものなのか、現代で生きてきた俺には想像も付かないけど、今のアリスを見るにあまり気持ちのいいものじゃないのだろう。 ……うん。決めた。俺はまだ全然頼りないけど、今俺の胸を濡らしている、この孤独で可愛い少女の拠り所になれるくらいには、強くなろう。 そしていつかは彼女の隣にいられる存在になろう。 そんな思いを込めて、愛しい彼女を強く抱きしめる。 図らずも、先の人形が婚約指輪みたいな形になったが、それはそれでいいと思う。 「っ!?」 「上海、ちょっと向こう向いててくれ」 「シャンハーイ♪」 「~~~!?(声にならない声)」 俺が何をするのか察してくれたのか、すぐに上海は反対側を向いてくれた。 アリスはといえば、俺の腕の中でそりゃあもう見てられないくらいに、その整った顔を赤くしている。 そんな可愛い仕草に俺は、慌てはするものの、腕を振りほどく気配の無い彼女に…… ……それ以来、アリスの家の玄関には、一対の人形が寄り添うように飾ってある。 あとがき アリスが可愛くて仕方ありません。精神攻撃でしょうか。 490
https://w.atwiki.jp/ccrn_mhsh/pages/50.html
“無垢で可憐な忘却の妹” *基本情報 名前:アリス 愛称:アリィ 刻鸞での真名:皇光和之姫尊(すめらぎのありわのひめのみこと) 職業:皇珠黯の娘、皇王朝三代目女王 年齢:見た目8~9歳ぐらい 性別:女 身長体重:135cm/30kg 誕生日:2月14日 趣味:お外で遊ぶこと 特技:かけっこ 好き:お姉様、家族、かわいいもの、ロリータファッション、うさぎ、ぬいぐるみ 嫌い:かわいくないもの、苦い食べ物、怖い人 *外見 黒い長髪。前髪は内向きにくせがあり、サイドに小さい外はねのクセっ毛。 こちらから見て左が金色、右が碧眼のオッドアイで若干猫目。生まれつきであるが、特に視力に問題はない。 こちらから見て左の方に白いバラと紫色のリボンの髪飾りをしている。 服は自前のゴスロリ、フリルがいっぱい。 右手首には十字架のブレスレットを付けている。 リボンとフリルのついた白いハイソックスに黒いローファー。 たまに黒が基調の白いレースの入った日傘を持っていることがある。 皇珠黯の第二子。次女。 明るく活発で好奇心旺盛。大人しく聡明な姉のロベルタとは正反対の妹。 勉強をするよりも外で遊びたい育ち盛り。 一人称はアリィ、両親をそれぞれ呼び捨てにしており、言葉使いも少々生意気。終始うるさい印象。 よく悟ったりもする、現実的で大人な一面も。 姉のロベルタが大好き、生粋のシスコン。お姉様といつも呼んでいる。 あらゆる面で尊敬しており、いつも姉の後ろをくっついて歩いたり、真似をしたり、一緒の布団で寝たり、キスしたりする。 ゴスロリや可愛いものが大好きで、いつも好んでゴスロリを着ている。お部屋もピンク一面にぬいぐるみの山。片付いていない。 行動に少々乱暴なところがあり、赤ちゃんの時に猫の尻尾を掴んで振り回したり叩いたり、現在でも虫を一振りで殺すなど、女の子とは思えない父親の血を継いだ娘である。 勉強もできお淑やかな姉に比べ引け目を感じることがある。 また、貴顕の刻使いと呼ばれているが、その一切は不明である。 *大人になると ※あくまでパロディ 大人になるとお淑やかで高貴なお嬢様に。 一人称も私(もしくはアリス)、ですます口調で大人っぽくお嬢様っぽく。両親もお父様お母様呼び。 相変わらずのゴスロリ好き。ウサギも好き。 立ち振る舞いも丁寧になり、まさに王族にふさわしいお姫様。 ちなみに髪の長さは変わらず、胸は巨乳に。 一体子供から大人になるまでに何があったのか。 「アリィだよ!アリスの略で、アリィなんだ!」 「お勉強やだー!!アリィお外行くー!!行くのー!!!」 「お姉様、一緒にお本を読みましょう。あのね、アリィお姉様に読んでほしいの」
https://w.atwiki.jp/kokomase/pages/30.html
【ア行】 アイ・サザンクロス アキラ・ブルーベイ アクシア アシュレイ・クランベリー アリーゼ アリス アリス・ウォルナット アロエ 井狩(イカリ)もくず 伊藤(イトウ) まとこ オセロ 【カ行】 川縁(カワベリ)こだま クルス 【サ行】 逆十字 苺(サカジュウジ イチゴ) サンモシャイン スカラ・スクオラ 鈴木(スズキ)・ウラディミール 【タ行】 伊達(ダテ)つむじ 九十九 美冬(ツクモ ミフユ) トリィ 【ハ行】 フール フェーン フォルマ ベギラマ ホディ・マハータヤ 【マ行】 マヒル・サザンクロス マリン・ラズベリー モア 【ラ行】 ラディ・ヘルメン リン レア・ラズベリー
https://w.atwiki.jp/disneytmtm/pages/79.html
アリス 初期スコア 70スキル発動ツム数 約15ツムスコアのあがり幅 5入手方法 プレミアムBOX 画面中央に大きなアリスが出現するよ! スコア 10コ分 スコア 15コ分 画面中央に巨大アリスを出現させる
https://w.atwiki.jp/d-soromon/pages/203.html
┏━━━━━━━━━━━━━━━┳━━━━━━━━┳━━━━━━━━━━━━━━┓ 【名前】:アリス 【レベル】:180 【アライメント】:■■/■┣━━━━━━━┳━━━━━━━╋━━━━━━━┳┻━━━━━━┳━━━━━━━╋━━━━━━━┓ 【筋】:140 【耐】:160 【敏】:160 【魔】:180 【運】:100 【宝】:200┣━━━━━━━┻━━━━━━━┻━━━━━━━┻━━━━━━━┻━━━━━━━┻━━━━━━━┫ , =----ミ { / ̄ > Y⌒ヽ___ / .`ー=====彡' ̄ 'ミ、ヽ--、ヽ // , \} .} / / .// / ./ , .∨ / /. / / ./ / i / / ./ _/_./ /i! i! i i! {i /i__./i!/「ミヽ i| i | i .从i i! Y⌒Ⅵ ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; 乂___从‐= .//乂 | { iゝ i} ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; イ//i | ∨ ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; //iノ | \_ /i | \ ' .| |\ ` ' .イ i | i /Yi イ i | / / .\ T手 | / i/i i i \  ̄ ̄八 |i i ミ=、 | / , -'"i i i i i i i i i \ /乂\}i i i i i i }ミ、ヽ / /i i i i ヽ.i i i i i i i i i i i\{/Ⅵ\冫i i i i 乂i Ⅵ\┣━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┫ 【スキル】 ○破滅の死徒 (種別:一般 タイミング:常時) このキャラクターは常に【筋】【耐】【敏】【魔】に「+100」の補正を加える。 さらに、このキャラクターがメインに参戦する場合、枠を取らずに参戦することが出来る。 また、このキャラクターのスキルや宝具は相手のスキル、宝具によって「コピー」、「簒奪」、「無効化」、「破壊」されない。 その場にいるだけで災厄と破壊を撒き散らす『破滅を呼ぶ死徒』。 ○固有結界「アリス・イン・ナイトメア」:EX (種別:特殊 タイミング:セットアップ 消費魔力:なし) 敵陣に存在するレベル80以下のキャラクターを即死させる。 また、レベル80を上回るキャラクターの全ステータスを「-50」する。 「私はなに?私は誰?もう何にもわからない。 お父さんもお母さんもお爺ちゃんも優しい人達もお茶目なカエルさんも大好きな彼もみんな消えてしまった。 私はただ壊すだけの化け物。その方が考え続けることよりもずっと楽だから――――― だから、お願い。誰か私を■■■―――――」 ○ラスボス補正:EX (種別:特殊 タイミング:常時) このキャラクターの貯蔵魔力を常時「∞」とする。 さらに、【必ず最低勝率「50%」が保障される。】 ブラフマーが聖杯戦争のラスボスであるアリスに与えたラスボス補正。 (某創造神)「ほら、せっかくのラスボスなんだから強い方がいいじゃない?」┣━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┫ 【宝具】 ○起源覚醒(破壊) ランク:EX 種別:破壊宝具 タイミング:戦闘開始前 消費魔力:なし 戦闘開始前に使用を宣言。 自陣営の勝率に「戦闘に参加している自身のサーヴァントの数×10000%」の補正を加える。 この効果は戦場全域に適応される。 また、戦闘時、自陣に存在する【アリスと契約しているサーヴァント】の全ステータスを「+500」する。 破壊の起源は強力な力なのだが、彼女は無差別に力を振るうために 対象を指定して己の起源を行使することができない。 「ねえ、あなたはどれだけ壊せば動かなくなるの? 私はただ全てを壊すだけよ。もう私にはそれしかないから―――――」┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ + ブラフマーの強化前 ┏━━━━━━━━━━━━━━━┳━━━━━━━━┳━━━━━━━━━━━━━━┓ 【名前】:アリス 【レベル】:80 【アライメント】:中立/中庸┣━━━━━━━┳━━━━━━━╋━━━━━━━┳┻━━━━━━┳━━━━━━━╋━━━━━━━┓ 【筋】:40 【耐】:60 【敏】:60 【魔】:80 【運】:0 【宝】:-┣━━━━━━━┻━━━━━━━┻━━━━━━━┻━━━━━━━┻━━━━━━━┻━━━━━━━┫ , =----ミ { / ̄ > Y⌒ヽ___ / .`ー=====彡' ̄ 'ミ、ヽ--、ヽ // , \} .} / / .// / ./ , .∨ / /. / / ./ / i / / ./ _/_./ /i! i! i i! {i /i__./i!/「ミヽ i| i | i .从i i! Y⌒Ⅵ ̄ィzzzx--' 乂___从‐= .//乂 | { iゝ i} `Yir'斧ヽ .xzzミイ//i | ∨ 双ツ イr'斧ア//iノ | \_ `=′/i | \ ' .| |\ ` ' .イ i | i /Yi イ i | / / .\ T手 | / i/i i i \  ̄ ̄八 |i i ミ=、 | / , -'"i i i i i i i i i \ /乂\}i i i i i i }ミ、ヽ / /i i i i ヽ.i i i i i i i i i i i\{/Ⅵ\冫i i i i 乂i Ⅵ\┣━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┫ 【スキル】 ○死徒 (種別:一般 タイミング:常時) このキャラクターは常に【筋】【耐】【敏】【魔】に「+20」の補正を加える。 また、このキャラクターのスキルは相手のスキル、宝具によって「コピー」、「簒奪」、「無効化」、「破壊」されない。 ○起源覚醒(破壊):E (種別:特殊 タイミング:常時) 自陣営の勝率に「200%」の補正を加える。 破壊の起源は強力な力なのだが、彼女は無差別に力を振るうために対象を指定して己の起源を行使することができない。 ○固有結界「アリス・イン・ナイトメア」:EX (種別:特殊 タイミング:セットアップ 消費魔力:なし) 敵陣に存在するレベル80以下のキャラクターの全ステータスを「0」にする。 また、レベル80を上回るキャラクターの全ステータスを「-10」する。 ただし、この効果は神性を持つキャラクターには無効化される。┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
https://w.atwiki.jp/fateonsen/pages/91.html
キャラシート【としあきの聖杯戦争TRPG】 【クラス】アルターエゴ 【真名】アリス 【容姿】リボンを付けた金髪の少女。 【その他】混沌・狂 地属性 女性 王 神性 竜種 魔性 獣性 【英雄点】40点(ステ10点・スキル30点):令呪3画消費 【HP】10/10 【筋力】D:2 【耐久】D:2 【敏捷】D:2 【魔力】D:2 【幸運】D:2 【スキル1】精神汚染(狂化) EX 10点:作成時、令呪一画消費する。物理攻撃と魔術攻撃と物理防御と魔術防御時、補正値5を得る。 【スキル2】気配遮断 D 10点:先手判定時、補正値5を得る。交戦フェイズ中に全ての判定ごとに一回まで振り直しを行える。 【スキル3】小さな金の鍵(陣地作成) B+ 10点:移動フェイズに陣地を作成する。陣地内では魔術攻撃と全ての防御時、補正値5を得る。 また、遠距離攻撃フェイズで受けるダメージを無効にする。 【宝具】『不思議の国のアリス』(アリス・イン・ワンダーランド) 1/1 【ランク・種別】固有結界 EX 【効果】自身の陣地内にいる場合のみ、交戦フェイズ開始時に使用する。 この交戦フェイズの間、自身の最大HPと現在HPを15増やし、以下の二つの効果を得る。 ・陣地破壊効果が適応されたとき、それを一度だけ無効化する。 ・自身のHPが0になったとき、一度だけHPを(耐久)D6回復して復活する。 【詳細】 世界的知名度を誇る物語の主人公、またはそのモデルとなった少女。夢想世界の小さな旅人。 本来の作品及び現実におけるアリスは普通の少女であり、英霊として召喚されるような存在ではない。 この存在(アリス)は『不思議の国』『鏡の国』という二つの旅路――それが妄想か真実かは不明――の記憶を持つ。 それらは心象風景として「アリス」を定義付け、軸となることで異端の幻霊として確立されている。 泥 【元ネタ】『不思議の国のアリス』『鏡の国のアリス』 【CLASS】アルターエゴ 【マスター】??? 【真名】アリス 【性別】女性 【身長・体重】135cm・29kg 【属性】混沌・狂 【ステータス】筋力D 耐久D 敏捷D 魔力D 幸運D 宝具EX 【クラス別スキル】 単独行動:A+ マスターからの魔力供給が無くてもしばらくは自立できる能力。 宝具の使用などで膨大な魔力を必要とする場合でない限り、単独で戦闘できる。 気配遮断:D サーヴァントとしての気配を絶つ。 隠密行動に適しているが、自らが攻撃態勢に移ると気配遮断は解ける。 道具作成:EX 魔力を帯びた器具を作成できる。 宝具に由来するスキルであり、自らの記憶、或いは「世界」にあるモノを取り出すため正確性に難がある。 【固有スキル】 精神汚染:EX 精神が錯乱しているため、他の精神干渉系魔術を完全にシャットアウトする。 自身の内に在る「世界」というフィルターを通して外界と接触する彼女は、基本的に会話が成立しない。 小さな金の鍵:B 狂気世界の旅路において、文字通り鍵となるアイテム。 固有結界の方向性を混沌の属性へと定め、その門を開くために用いられる。 ???:- 狂気世界の旅路において、鍵となるアイテム。 固有結界の方向性を秩序の属性へと定め、その門を開くために用いられる。 「小さな金の鍵」を取得しているため、現在は失われている。 【宝具】 『不思議の国のアリス(アリス・イン・ワンダーランド)』 ランク:EX 種別:固有結界 レンジ:不明 最大捕捉:不明 少女アリスの心象世界のうちの一つ、混沌世界の記憶を現実へと顕現・侵蝕させる。 結界内ではあらゆる理論が無意味となり、既存の常識は一切通用しなくなる。 ただ混沌の支配する空間内では、その場から動くたびに幸運判定を要求され、失敗すれば広い結界内で迷ってしまう。 スキル「小さな金の鍵」を持っている際のみ、この固有結界を宝具として召喚される。 【Weapon】 『殺人殺しの剣(ヴォーパルソード)』 ランク:B アルターエゴの身の丈ほどもある、巨大な黒い大剣。 竜の首を切り落とした逸話から、竜属性の対象に対して特攻ダメージを与える。 また、自他問わず人を殺した経験のある対象に対してもダメージは大きくなる(つまり、英霊であればほぼ全員が当てはまる)。 【解説】 物語 英霊 人間関係(物語) 人間関係(英霊) FT 亜種聖杯戦争で自身を召喚したマスター。 精神汚染を持っている彼女と何故か意思疎通ができる。
https://w.atwiki.jp/leisurely/pages/283.html
【名前】 アリス 【読み方】 ありす 【分類】 人物 / 魔物(魔獣、オオカミ、インフェルノウルフ) 【呼ばれ方】 名前のまま 【備考】 特になし ページの登録タグ: アリス インフェルノウルフ オオカミ クロイチ 人物 大樹の村 女性 母親 魔物 魔獣 【詳細】 クロイチのパートナーとして大樹の村にやって来たメス。 クロイチにベタ惚れ。クロイチ自慢のパートナー。 村の古参の一頭、クロの群れの引き締め役。 つまり色々なところから怖がられている。 18年目春の分担は、子供たちの護衛。アリスの近くには子供たちがいる。 なろう版の647話の欄外には以下のように説明されている アリス インフェルノウルフの古参の一頭。ルーよりも早く村長のもとに来ている。 ルーよりも古参である。
https://w.atwiki.jp/anime_wiki/pages/16951.html
1991年12月?OVA発売。 監督 青木悠三 ディレクター 棚橋一徳 原作 モンキー・パンチ 脚本 吉田十徳 絵コンテ 垂永士 キャラクターデザイン・作画監督 柳野龍男 アニメーター 柳野美代子 アシスタントディレクター 金子勝典 美術 水野尾純一 編集 井上編集室 音響監督 山田悦司 音響効果 音塾 録音制作 水野事務所 アニメーション制作 ■関連タイトル VHS モンキーパンチの世界 アリス