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一般情報 あずにゃん2号 声 - 日笠陽子 純が飼っている子猫。1期13話でで登場。1日家を空けなければならなくなった純から梓に預けられた。 大人しくのんびりした普通の猫。名前は梓が勝手に命名したため、正式な名前ではない。 検索結果一覧 取得中です。
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律「あ、斉藤さん!」 純「鈴木です」 律「梓知らない?」 純「梓なら軽音部に行きましたけど……」 律「その梓じゃなくて……その……」 純「?」 律「まぁいいや!ごめんな!伊藤さん!」 … 純「鈴木なのに……」 憂(……いた!) 憂「梓ちゃん?ちょっと用があるんだけど……」 梓?「!」 憂「いいかな?」 梓?「……な、なんでもないです」 憂(この先は階段一つしかないし、走れば捕まえられる!) 律「見つけたぁ!」 梓?「!」 憂「律さんナイスタイミングです!はさみ撃ちにします!」 律「おう!憂ちゃん手伝ってくれるのか!」 梓?「……」オロオロ 律「確保ー!」 梓?「……」 律「あれ?」 憂「観念したんじゃないですか?」 律「ようし、そのまま連行だ!」 … 律「捕まえてきたぞー!」 憂「来ましたー」 梓?「……」 唯「ふごい、もうつかまえへきはんあー」モグモグ 律「超くつろいでる……!」 澪「御苦労さま」 紬「じゃあ早速偽物さんの意見を聞きましょうか」 梓「……」 梓?「……あずにゃん2号……部員」 律「?」 梓?「……私は日本人形じゃないです」 梓「……昨日の……会話?」 紬「も、もしかして……」 澪「」キュー 律「ああ!澪が気絶した!」 唯「もしかして、あずにゃん2号?」 梓?「……」コクッ 律「そ、そんな……」 梓「ドッペルゲンガーじゃなくて良かった……」ホッ 憂「良かったね、梓ちゃん」 紬「でもにわかには信じられないわ、動いて回る機能があるなんて聞いてないし、言葉も覚えないはず……」 梓2「……ぴしゃーん!」 梓「!」ビクゥ 律「……雷?まさかそれで?」 梓2「!」コクコク 紬「雷でロボットが意思を持つとか、おとぎ話みたいねー♪」 律「どっちかってとSFだろ」 唯「でも制服は?昨日はメイド服だったよね」 梓2「……」 rァ 律「あ、あそこに制服とかあったのか」 憂「よく見てみると二―ソックスだけで靴も履いてない……」 唯「でもこれで正式な部員としてあずにゃん2号を入れられるね!」 律「でもロボットだろー……」 唯「あずにゃん2号も音楽やりたいよねー」 梓2「……うん」コクコク 唯「言葉も覚えさせなきゃ!」 憂「お姉ちゃん、新しい妹ができたみたいにはしゃいでるねー」 梓「……憂は悔しくない?」 憂「なんで?お姉ちゃん面白そうだし、私は嬉しいよ?」 梓「そっか……」 律「みーお、起きろ!」 澪「う、うーん……」 唯「あずにゃん2号は見事に人間になりました!」ジャーン 澪「……はい?」 律「雷で意思を持ったんだとさ」 澪「」ブクブク 紬「ああ!澪ちゃんがまた!」 唯「ほら覚えて、ひ・ら・さ・わ・ゆ・い!」 梓2「ひ・ら・さ・わ・ゆ・い……」 唯「すごーい!もう覚えた!」 律「私は田井中律!美人の超人気者ドラマーだぜ!」 梓2「……」 律「うおーーーー!なんで私のは覚えないんだ!」 澪「ムギの予言通り今日は人形遊びで終わりそうだな」 紬「そうね」 憂「じゃあ私はこれで」 梓「またね、憂」 唯「じゃあ約束通り今日はあずにゃん2号はウチに来てもらいます!」 律「あ、ずりーぞ!私んちで私を称賛する言葉を教え続けるんだ!」 唯「私は昨日から予約してたもん!」 律「昨日とは事情が変わったからなしだ!」 紬「まぁまぁ、明日はりっちゃんの家に連れていけばいいじゃない」 唯「だってさー」 律「ちぇー」 梓「……」 唯先輩は嬉しそうに、私に似た人形と帰宅した 私は心の中には何故だかもやもやした感覚が残った ……まさか人形に嫉妬? いやいや、ないない、だいたい唯先輩にベタベタされるのが別に嬉しいわけでもないし…… それに……そんなレベルの感覚じゃない気がする もっと、危険な何か…… 唯「おはよーみんなー!」 律「おう、唯……と梓2号?」 梓2「……」フルフル 梓2「私の名前は……あずにゃん2号です」 唯「ふんす!」 澪「覚えさせたのか……」 紬「すごいわ!他に何を教えたの?」 唯「例えばねー、私の好きな食べ物は?」 梓2「アイス」 律「……なんかショボくね?」 唯「そ、そんなことないよー!」 律「じゃあ唯、責任もってあずにゃん2号部室に連れてけよー」 唯「わかったー」 唯「ほらあずにゃん2号、私達は部室に行くよ」 梓2「……」コクッ 律「いいなー、唯の奴」 澪「律が興味持つとは思わなかったな」 律「私もあんな従順で可愛い妹が欲しい……」 澪「……」 … 唯「私達はこれから授業だから昨日みたいに勝手に歩き回っちゃダメだよー」 梓2「……」 唯「寂しかったらトンちゃんもいるよ」 梓2「……」 トンちゃん「……」プクプク 唯「じゃあまたねー」 梓2「さようなら」 唯「もー、すぐ戻ってくるから―」 梓2「……」 放課後 唯「じゃあ私が教えた言葉を発表します!」 律「どうせ大したもんじゃないんだろ」 唯「あずにゃん2号!私は?」 梓2「好き」 律「なんだと!私は私は?」 梓2「……ニガテ」 律「唯いいいいいい!」グググ 唯「わ、私じゃない……よ」ギブギブ 唯「はぁ~……きっと昨日の料理だよ」 澪「料理?」 唯「昨日私の嫌いなものとか多かったから」 梓「あの憂が……珍しいですね」 唯「ちょうどニガテ克服メニューだったんだよ」 律「でもニガテって言われた……」 澪「なんか、自分のを聞きにくくなっちゃったな……」 紬「わ、私のことは好き!?」 梓「勇者だ……!」 梓2「好き」 紬「わー!ありがとー!」 唯「じゃあ澪ちゃんとあずにゃんは?」 澪「ちょ!唯!」 梓2「……」 梓「……」 梓2「きらい」 澪「がーん!」 律「ぶはははは、きらいだってさ!」 澪「律だってニガテって言われたじゃないか!」 梓「わ、私だってきらいだもん!」 唯律澪紬「……え?」 梓「人形のくせに動きまわって、私に罪を着せて……気持ち悪い!」 梓2「……気持ち悪い……不気味」 唯「ほ、ほら、あずにゃんはツンデレだから……」 梓「私は本気ですよ!」 澪「別にそこまで怒らなくても……」 梓「私、帰ります!」 ばたーん! 紬「……帰っちゃった」 律「……唯のせいだぞー」ポンポン 唯「ご、ごめんなさい……」 梓2「ごめんなさい」 紬「あ、あらー、ちゃんと謝れるのねー!」 律「……おばちゃんかよ」 澪「……」 私はそのまま家に帰った 暫くは携帯が鳴っていたが、無視していたら鳴らなくなった 何があずにゃん2号だ!あいつは私じゃない! 私の声までマネして……気持ち悪い! その上私が嫌いだって? ……頭の中ではそんな思考が永遠にループしていた お風呂に入ってしばらくすると、少し落ち着いてきた 携帯を見てみる 梓「うわぁ、着信30件……あとメール1件」 梓「メールだけでも見てみよう」 唯『今日はごめんね、あとあずにゃん2号は今日はりっちゃんの家に行ってるよ』 梓「なんでその名前を出すかなぁ……」 私は携帯を机に投げ出し、ベッドに横になった …… 律「昨日の唯のような間違いは起こさないように、性格も直しておいたぞ!」 澪「あんまりひどいことしてないよな?」 律「信用ないなー」 唯「あずにゃん2号、寂しくなかった?」 梓2「はい!」 紬「元気になってるわ!」 律「しかも敬語だぞ!なんたって後輩だからな」 澪「妹じゃなかったのか?」 律「ほ、ほら、一応みんなの共有財産だし?」 梓2「律先輩はお姉ちゃんじゃありませんから!」 律「ちくしょおおおおお!」 梓「……」 梓2「なんですか?」 梓「なんであんたが人間みたいに喋ってるのよ」 梓2「え?」 梓「あんた人形なんでしょ!人形だったらカタコトの日本語でコンニチハって言ってればいいのに!」 梓2「ご、ごめんなさい……」ペコリ 澪「あ、梓……抑えて!」 梓「……っ!」 梓2「昨日はごめんなさい、私言葉の意味も分からないで失礼なことを言ってしまって……」 梓「……」 澪「ホラ、謝ってるしさ、仲直りしよう」 梓「……今回は特別よ?」 梓2「ありがとうございます!」 律「一晩かけて教え込んだからなー」ヒソヒソ 唯「りっちゃんすごいね」ヒソヒソ 紬「さすが部長ね、その手のゲームでひたすら言葉を教えてそう!」ヒソヒソ 律「褒めるな褒めるなー」ヒソヒソ 唯「あとあずにゃん2号、ギター覚えたんだよ」 梓「!」 唯「はい、ギー太貸してあげる」 梓2「ありがとうございます」 ギュイィィィィィン♪ ジャカジャカジャーン♪ 唯「どう?」 梓「癖が唯先輩と同じ……あとで再教育ですね」 唯「がーん……」 梓「でもなんで楽器を?」 澪「どうしてもやってみたいって言うから」 梓2「あの……私が入部した初日に聞かせて頂いた演奏が素敵で……私も混ざりたいなって……」 梓「どんな教育したらこんな喋れるんですか?」 律「まぁ、いろいろDVDとか見せてな、もう覚えた言葉の意味を解釈して話せるようになったみたいだぞ」 梓「……」 3
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……トラブルがないのはいいことだけど、何かが引っかかる アレがギターをすぐに覚えてしまったこと 昨日まではカタコトだったのに、もう会話が正しく出来るほど進化していること ……私に姿が似ていること いや、変なこと考えるな私! せっかく仲直りしたんだから…… 今日はアレは澪先輩の家に泊まるらしい 羨ましいやらなんやら…… 澪先輩のことを嫌いって言ってたのは、澪先輩がアレのことを気持ち悪がったり気絶したりしてたかららしい 澪先輩もすっかり慣れちゃって、家に来るって聞いてニッコリ笑ってた べ、別に嫉妬してるわけじゃないし! 梓「おはよー」 憂「おはよう梓ちゃん」 純「あー梓、今日澪先輩と学校来てたよね」 梓「え?」 純「羨ましいなー、やっぱり軽音部入ろーかなー」 梓「それは……」 憂「そうだよー、純ちゃんも入りなよー」 憂「梓ちゃん、このことは黙っておこ」ヒソヒソ 梓「う、うん」ヒソヒソ 梓「でもそうか、堂々と登校してるからアレが一般人に目撃されても仕方ないのか……」 「中野さん、さっきはありがとうね」 梓「え?」 「落し物届けてくれたお礼にアメあげるね」 梓「いや、私は……」 「じゃーねー!」 梓「……いい奴なんだよね、アレ」 放課後 梓「はい、アメと四葉のクローバーと……なんか変なキーホルダー」 梓2「え?私に……ですか?」 律「ようやく二人も仲良くなったみたいだな!」 梓「違います、この子の善行の報酬を私が貰っちゃったんです」 澪「やっぱりそうなっちゃったか」 唯「澪ちゃん、知ってたの?」 澪「あずにゃん2号にも人の役に立ってもらいたくて、一緒に人助けしてたんだ」 紬「素敵♪」 梓2「あの……アメは頂けません、私食べることができないので……」 梓「そっか、じゃあせめて他のは貰ってよ、それ着けてれば私と区別しやすいし」 梓2「はい!」 梓「あと、あんまり目立たせないでくださいよ、純にも目撃されてるんですから」 澪「ダメだった?」 梓「そうですね……できれば避けてほしいです」 梓2「私も気を付けます」 梓「あ、別に気にしないでもいいんだよ」 さわ子「みんなー、ひさしぶ……」 律「おー、さわちゃん、紹介しよう、新しい部員の」 梓2「あずにゃん2号です、よろしくお願いします」ペコリ 澪「あれがうちの顧問の山中さわ子先生」 さわ子「何この子?」 紬「日本人形が雷で意思を持っちゃったらしいです」 さわ子「へ、へぇー……」 唯「あれ?さわちゃんだったら着替えさせ放題ね!とか言って喜ぶと思ってたのに……」 さわ子「どういう妄想よ、今自分の目を疑ってるのに耳まで疑わなくちゃいけなくて大変なのよ……」 律「大人って柔軟性がないなー」 さわ子「誰が年増ですって!」グリグリ 律「いてててて、言ってないって!」 梓「先生はどう思います?コレ」 さわ子「そうねぇ……」 梓2「……」オロオロ さわ子「しっぽとか似合う!」 梓「……やっぱりいつもの先生だ」 今日はアレは良いことをしていた 根はいい奴なのだ、気になってるのは私だけだろう でもいつまでアレはこのままでいるんだろうか ずっと他人から逃げて隠れて過ごすわけにもいかないだろうし だからといって堂々と転校生として登校とか漫画でもない限りありえない 今日はムギ先輩の家に連れていかれた 明日は私の家? それだけはありえない、家族に何て説明するの? 先輩方はちゃんとそこまで考えてるんだろうか 唯「ムギちゃんちはどうだったー?」 梓2「前もいましたから、別にこれと言って感想は無いです……」 澪「確かに、ただの人形だった時の記憶もあるんだよな」 律「いいなームギんち、結局行ってないよなー」 紬「そうだったわね、今度みんなで来る?」 唯「さんせー!」 梓「そうですね、私も行ってみたいです」 梓「そういえば……」 紬「なぁに、梓ちゃん」 梓「この子の今後って考えてます?」 唯律澪紬「……」 梓「突然意思を持っちゃって、いつ元に戻るかも分かりませんし」 梓「もしかしたら一生このままかもしれないですし……」 梓2「……」 唯「私が責任を持って育てます!」 律「ここは部長である私が!」 紬「元の持ち主である私が責任を取るわ」 澪「……じゃ、じゃあ私も」 梓「はぁ……そういうことじゃなくて、いつまでも一緒にいるわけにもいかないでしょう?」 梓「人間じゃないから放っておくわけにもいけませんし、大勢の目に触れるのもそれはそれでまずいし……」 澪「確かに、どうしたらいいかな?」 梓2「わ、私は人形ですから……別に倉庫でじっとしてるだけでもいいんです!慣れてますし……」 律「そんなこと言うなよ!ムギ、なんとかならないのか!」 紬「もう専用の別荘を作るしか……」 律「うわ、なんて贅沢な解決法!」 唯「あずにゃん、なんだかんだで一番あずにゃん2号のこと考えてくれてたんだね」 梓「ええ、それはもう……」 梓(自分と瓜二つな動く人形のことを考えないほうがおかしいですよ……) 今日はあの子はさわ子先生の家に行くことになった 先生の車に乗せられて行く様は、心の中でついドナドナを歌ってしまいたくなるものだった 変なベクトルのロックを吸収しないか心配だ 心配だ、と言ってもあの子の心配をしているわけじゃない 瓜二つだから何か事件でも起こされると私が困るのだ ピロリロピロリロ! 澪「速弾き!?」 ギャイイイイイイン! 律「歯ギター!?」 さわ子「練習させちゃった♪」 梓2「お粗末さまでした」 梓「う、上手い……」 さわ子「ギターはしばらく私のヤツ貸してあげるわね」 梓2「ありがとうございます!」 唯「すごいね!私ぐらい上手くなっちゃったかも!」 梓「いえ、どう考えても唯先輩より上手いです」 唯「がーん…」 梓2「そ、そんなことないですよ……」 律「もう唯もお役御免かもなー」ヘヘヘ 唯「ひどいよりっちゃーん!」 澪「ちょっとあずにゃん2号も合わせて弾いてみるか?」 紬「いいわね♪」 唯「じゃあ私のパートをやりたまえ!」 梓2「すみません、先輩のパートを……」 唯「後輩の成長を見守るのも先輩の仕事だからね!」フンス 梓「唯先輩が見栄を張り続けている……」 律「じゃあ行くか―、1、2、3、4!」 あの子の成長は凄まじかった 1日でたくさん成長する というか一瞬で物を覚える まぁ機械なんだから仕方ないか 今日は私の家に行くことになりそうだったがもちろんお断りした せめて親がいない日だったら問題は無かったんだけど…… 結局今日はあの子は部室で過ごすことになった 今日は天気が悪い 今にも落ちてきそうな空だ 今日のさそり座の運勢は12位、最悪だ 占いなんて当たらないだろうと思っても、カラスの鳴き声がそれを許してはくれなかった 梓「傘持ってったほうがいいね、これは」 私はお気に入りの傘を一応持っていくことにした 純「あ、梓、昨日はありがとうね!」 梓「昨日?」 純「昨日の夜偶然会った梓に助けてもらったじゃん!」 梓「あ、ああ、アレね……」 梓(何で目立った行動してんのよ!) 「梓ちゃん、いる?」 梓「いるけど……」 憂「またあずにゃん2号?」 梓「うん……もう人目につかないようにしてって言ったのに……」 憂「昨日部室に残ってたんでしょ?きっと寂しかっただけだよ」 梓「だけならいいんだけど……」 憂「……」 窓を見ると、水滴が数粒張り付いていた … 梓「こんにちはー、すみません遅くなって」ガチャ 唯「あ、あずにゃん2号、どこ行ってたの?」 梓「はい?」 律「じっとしてろって言ったじゃんか」 澪「心配したんだぞ」 紬「みんなでこれから探そうと思ってたのよ」 梓「わ、私は……」 梓2「そうだよ、迷惑掛かるのは私なんだから!」 梓「ちょっと!私はあずにゃん2号じゃないって!」 唯「え?でもこっちのあずにゃんは四葉のクローバーついてないし……」 梓「私にもついてませんよ!」 澪「一人で練習してたけど演奏は今まで通りだったぞ?」 梓「いつも一瞬で覚えるじゃないですか!癖までマネして!」 律「いつものあずにゃん2号と口調違うしなぁ……」 梓「私の立場を乗っ取ろうとしてるんです!」 梓2「もう演技はやめて!」 梓「演技!?どっちがよ!」 梓2「なんであなたは私のマネして私になろうとするの!?」 梓「その言葉、そっくり返させてもらうわ!」 唯「喧嘩はダメだよぉ……」 梓「こっちはそんなこと言ってる暇じゃないんです!」 梓2「すみません唯先輩、私が譲歩すればすぐに済みますよね」 唯「そんな!あずにゃんはニセモノじゃないよ!」 梓「唯先輩!」 梓「そ、そうです!私はかばんを持ってますし、ギターも……」 梓「あれ?そういえばむったんを持ってきた覚えが……」 梓2「かばんがなくなったと思ったらあなたが盗ってたんだ、わざわざそこまでして……」 梓2「ちなみに私はギターを持ってきてますよ?」 律「うーん、これはどっちなんだ?」 澪「もう訳がわからない……」 梓「あーもう!なんでわかってくれないんですか!」 梓「……唯先輩、私に抱きついてください」 唯「ほえ?」 梓「早く!」 唯「う、うん……」ギュー 梓「どうです?」 唯「いつも通りだよ?」 梓「じゃああっちに抱きついてみてください!」 梓2「わ、私は……」 唯「?」 梓2「だ、抱きつかないでください!私は抱きつかれるのが嫌いです!」 唯「がーん……」 梓「あれは抱きつかれるとぼろが出るからです!構わずギューっとやっちゃってください!」 唯「わ、わかったよー」ギュー 梓2「……っ!」 唯「……なんか変、抱き心地が違う気がする」 律「じゃあやっぱり!?」 梓「どう?観念した?」 梓2「こ……これは……」 澪「どうしてそんなことしたんだ?」 梓2「ち、違うんです!心を入れ替えられたんです!」 唯律澪紬梓「!?」 梓「まだくだらない抵抗を……そんなことあるわけ……」 梓2「人形に意思が生まれたのに今更だよ!とにかく心は本物のあずにゃんです!」 唯「う……んー……」 梓「異議あり!私は自分のことをあずにゃんとは言わない!」 梓2「!」 紬「決定的ね」 ザァーーーー…… 梓2「……そうです、私があずにゃん2号です」 梓「……」 4
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憂「ねぇねぇ」 梓「ん?」 憂「あずにゃん♪」 梓「なっ…!?」 憂「私も一回言ってみたかったんだぁ、ふふ」 梓「も、もぉ…憂までやめてよね…」 憂「可愛いあだ名だよねー。梓ちゃんのイメージにもすっごくあってるし」 梓「…そ、そうかな///」 梓「でもね。外歩いてるときにそう呼ばれると結構恥ずかしいんだよ?」 梓「前に外で呼ばれた時になんか、通りかかった人に『あずにゃんにゃんwww』ってボソリと笑われちゃったし…」 梓「…あー、思い出しただけで恥ずかしいっ」 憂「あははは」 憂「そういえばあずにゃんって呼ぶの、お姉ちゃんだけだよね」 梓「唯先輩だからこそ言えるあだ名だしね」 憂「そうなの?」 梓「だって考えてもみてよ」 梓「律先輩がそんなこと言っても気持ち悪いでしょ」 憂「そうかなぁ」 梓「そうだよ。ムギ先輩は…うーん……」 梓「…やっぱり違う」 憂「そう?」 梓「うん」 梓「やっぱり唯先輩にしかこんなあだ名を自然に呼べる人はいないと思う」 憂(なんだかんだ言って気にいってるんだなぁ…ふふ) 憂「あれ、そういえば澪さんの場合はどうなの?」 梓「あはは、考えるまでもないでしょ」 梓「あのまじめな澪先輩がこんなふざけたあだ名で私を呼ぶイメージなんて絶対浮かばないし」 憂「そう? でも澪さん可愛いものとか好きそうだし、案外そう呼びたがってたりして」 梓「まさかぁ」 澪(あずにゃん、あずにゃん、あずにゃん…) 澪「よし、イメージトレーニングもバッチリだぞ! 律っ」 律「お前ってほんといいキャラしてるよな」 唯「私も澪ちゃんを見習って今日の部活はまじめにギター弾こうかな」 紬「そうね。早くみんなで綺麗に演奏あわせたいものね」 澪「か、感心! 感心! 偉いぞ二人とも!」 律「はははは」 澪「な、何だよっ、その乾いた笑いは」 律「いやぁ、はははは」 澪「うっ……それより、律」 澪「例の件…任せたからね」 律「それは任しときなさい!」 澪(よーし、頑張るぞー!) 放課後! 唯「よいしょ…っと」 唯「準備OKだよ~」 紬「頑張りましょうねー」 梓「ううっ、ついにやる気になっていただけましたか…! 口がすっぱくなるほど練習、練習と言ってきた甲斐がありますよっ」 唯「あ! あずにゃん聞いて、聞いて! 澪ちゃんってば昨日ベースがイマイチだったこと気にして寝るのを惜しんでまで特訓してきたらしいよ!」 澪「うぐっ!」 梓「さ、さすがは澪先輩っ!! ほんとに尊敬しちゃうなぁ…素敵です! 澪先輩!」 律「…っく……くくく…ぷっ…ぐwww」 澪(尊敬の眼差しが…痛い…) 紬「澪ちゃんの頑張りに負けないぐらい今日は私も張り切っちゃおうかしら!」 唯「あ、私も負けないぞー!」 梓「精一杯頑張りましょうね!」 律(一気に火が着いちゃったな…こんな状況じゃ゛あずにゃん呼び作戦゛が切り出しにくいぞ…) 澪「律っ…」ヒソヒソ 澪「私は…いつでもいけるからな!」ヒソヒソ 律「お、おお。ま、任せといてよ」 律(こっちもワケ分からん火がメラメラと…) 唯「いつでもいいよー!」 律「よし、それじゃあ…1、2,3、4!」 ジャカジャカジャンジャン、ジャカジャンジャカジャン 唯「君を見てるとーいつもハートどきどき~」 紬(……?) 梓(ベースの音が聞こえない…?) 梓(澪先輩?)チラ 澪「……」フラ…フラ… 澪「エンッ!!!」 バタリ 唯・律・紬・梓「!?」 唯「み、澪ちゃんっ!?」 紬「大変だわっ!!」 梓「澪先輩! 澪先輩! しっかり!!」 律「す、すぐに保健室に運ぶぞ!!」 梓「澪せんぱーい」 澪「ん? ああ…」 澪「なんだ、あずにゃん?」 梓「えへへ…ちょっと澪先輩にあずにゃんって呼んでもらいたくて」 澪「ふふ、あずにゃんはほんとに可愛い後輩だなぁ」ナデナデ 梓「えへへ♪ にゃあ、にゃあ~♪」スリスリ ?「ずるいよ!」 澪「?」 唯「あずにゃんばっかりずるいよ!」 澪「唯。どうしたの?」 唯「…ち、ちがうよ澪ちゃん! 唯じゃなくてっ」 澪「ははは、わかってるよ。ゆいにゃん」 唯「わはぁ~…にゃんっ♪」スリスリ 澪「ゆいにゃんも甘えん坊だなぁ」 紬「澪ちゃん…」 律「澪ぉ…」 澪「わかってるって! 二人も…むぎにゃんもりつにゃんもこっちにおいでー!」 律・紬「にゃあ~ん♪」スリスリ 澪「まったく…みんなしてほんとに仕方がないんだから」 澪「ふふふ、でもこんなのも案外悪くないかも」 澪「はぁ、にゃんにゃんにゃん……ふふっ」 律「ったく、心配かけさせやがって」 澪「んー…むにゃむにゃ……ふふ」 紬「ふふ、ただの睡眠不足でよかったわねぇ」 梓「そこまで熱心に練習していただなんて…澪先輩のこと本当に尊敬しちゃいます」 澪「…ふふっ、あはは…くすぐったいってばぁ…ふふふ…」 唯「楽しい夢でも見てるのかなぁ」 紬「なんだか幸せそうねぇ」 唯「どんな夢なのかなぁ? 起きて覚えてたら教えてもらおうよ~」 紬「ふふ、そうね♪」 律「なんかムカつくから顔に落書きしちゃうか」 梓「それ、私が許しませんよ」 律「ぶー、ぶー」 澪「………ん…」 澪「…あれ? …保健室……?」 唯「おはよぉ、澪ちゃん」 紬「気分はどう?」 澪「え…?」 律「お前練習中にぶっ倒れちゃったんだよ。夜更かしが響いたみたいだな」 澪(そ、その程度のことで倒れたの!?) 澪「うう…みっともないよぉ」 梓「でも何ともなくてほんとに良かったです。すごく心配しちゃいましたよ」 澪「そっか…ごめんな。あずにゃん」 梓「いえいえ、気にしないでください」 梓「……」 梓「……ん?」 澪「え?」 律「……」ポカーン 紬「…み、澪ちゃん?」 唯「え、どうかしたの?」 澪「え? え?」 律「澪、お前いま…」 紬「梓ちゃんのことを」 唯「え、あずにゃん?」 律「そう、あずにゃんを……じゃなくて、梓を」 澪「…は?」 梓「き、きっと寝ぼけてたから間違ってそう言っちゃっただけですよ!」 紬「そ、そうよね。あー、びっくりした。てっきり頭がおかしくなっちゃったのかと…」 澪「あ、あの…ちょっと意味が…」 律(この様子だとマジで寝ぼけて言ったっぽいぞ) 律「よかったな、澪」グッ 澪「ちょ、ちょっと…せ、説明してよっ」 唯「そうだよ! 仲間はずれはよくないよっ」 梓「すみません。さっきのは私たちの勘違いでした」 澪・唯「??」 澪「……」 澪「……ほ」 澪「…ほんと?」 律「ん」 律「しっかり言ってました」 澪「……な、なんだよそれぇ…」 律「良かったな。夢叶ったじゃん」 澪「なっ、納得できるかぁぁっ!!」 律「経緯はどうあれ言うことはできたんだからそれでいいだろ!」 澪「や、やだ! やだやだやだー!」 律「ええいっ、駄々をこねるな!」 澪「やだーっ!」 澪「やだもんっ」 律「面倒くさいなぁ…」 澪「ちゃんとしたシチュエーションがある中で言いたかったの!」 澪「それが…寝ぼけてとか……ううっ」 律「面倒くせぇ…」 澪「お願いだよ律! 手伝って!」 律「むー…」 律「…これっきりだからな?」 澪「さすがりつにゃん!!」 律「 」 律「 」ゾワァ… 澪「…あ…あ…///」 律「お、おい…」 澪「ああああああ!!!」 澪「もう今、頭の中であずにゃんとかにゃんとかって言葉でぎっしりなんだよっ///」 澪「このまま梓にあずにゃんって言えなきゃ、私おかしくなっちゃう!!」 律「な、なんだそれ…」 律(……りつにゃん…) 律(……) 律(……///) 次の日! 梓「……」 憂「どうしたの? ぼーっとして」 梓「…あのね」 梓「昨日、澪先輩からあずにゃんって呼ばれたの」 憂「え? と、突然だね。何かあったの?」 梓「ううん! 何も!」 梓「たぶん言う直前まで寝てたから寝ぼけて言っちゃっただけだとは思うんだけど…」 憂「そうなんだー。で、言われてどうだったの? 昨日はそんなこと想像もつかないって言ってたぐらいだもんね」 梓「あ、えっと………」 梓「…ちょ、ちょっぴり…嬉しかった…かも…///」ボソ 憂「ん? ごめん、ちょっと聞こえなかったからもう一回言って?」クスッ 梓「や、やだっ///」 憂「えー、なんで?」クスクスッ 梓「な、なんでもっ!」 …… 律「…という作戦を考えてみた」 澪「…おぉ」 律「後はその場の勢いに任せるだけだ!」 律「いけるぞ! 澪!」 澪「おぉ…おぉ…!」 澪(今度こそ、今度こそは!) 唯「なんの作戦?」 紬「なんだか楽しそうねぇ」 澪・律「!」 律「澪」ヒソヒソ 澪「え?」 律「この際、二人にも話して協力してもらった方がいいんじゃないか?」 澪「え!?」 澪「そ、そんな…恥ずかしいよっ」 律「こんなこと真剣にやろうとしてるお前の方が恥ずかしいから安心しろって」 澪「なっ!!」 律「二人ともちょっといい?」 唯・紬「?」 澪「わー! わーっ!」 澪「…///」 紬「ふふふ」 紬「澪ちゃんってば、ほんとに可愛いわね」 唯「そうだねぇ♪」 澪「ううっ…」 律「というわけだから、協力してやってよ」 紬「お安い!」 唯「ごようですっ!」 律「ほーら、言ってよかったろ」 澪「うー…」 唯「よし、澪ちゃん! 特訓だ! さんはいっ」 澪「あずにゃんあずにゃんあずにゃんあずにゃんあずにゃんあずにゃん…」ブツブツ 律(怖っ!) ガチャリ 梓「ふぅ……って、あれ! 皆さん早いですね!」 唯「あずにゃん! 待ってたよ!」 紬「さぁ、さぁ、早くこっちにいらっしゃい♪」 梓「え、ど、どうしたんですか?」 律「梓くん!」バンッ 梓「ひっ!?」 律「遅刻は…遅刻はいかんよぉぉ!」 唯「たしかに遅刻は許せないね!」 紬「あら! でもまだ澪ちゃんが来てないわ!」 律「おおっ! なんということだ! これは許せんぞ! 唯隊員!」 唯「そのとおりですね! りっちゃん隊長!」 梓(…な、なにこれ…) 3
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1 2 3 4 唯「あずにゃんVSメカあずにゃん!」 2011/01/23 http //raicho.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1295772583/ 戻る 名前 コメント すべてのコメントを見る 何気にすごく怖い話だな。 -- (名無しさん) 2016-11-28 23 31 31 しゃべり方が似てるだけあって梓2が可愛そう… いい作品だけど、つらいな。 -- (名無しさん) 2016-01-20 23 11 14 悲しくも恐ろしい… -- (名無しさん) 2014-10-10 20 27 21 俺もドアのくだりで笑ったって書こうとしたけど↓これ俺だった -- (名無しさん) 2014-02-18 17 16 08 ドアのくだりで笑った -- (名無しさん) 2013-01-18 15 35 59 メカあずにゃんが何となく可哀そう。 でも最後やばいんじゃない… -- (名無しさん) 2012-08-30 23 52 26 量産化…… -- (辛苦@..) 2012-08-12 12 46 24 メカが不憫だ… -- (名無しさん) 2012-06-17 01 13 24 タイトル見たとき駄作かと思ったけど、面白かったわwwww -- (名無しさん) 2011-09-05 21 19 06 ウルトラセブンの「第四惑星の悪夢」を彷彿とさせる作品でした。原作も結構怖かったなぁ・・・・・・。 -- (ゴジラ) 2011-06-14 19 48 05
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唯「あずにゃん、新しいクラスはどう?」 梓「どう、って何がですか」 唯「ハブられたりしてない?」 梓「どうしてそういう発想に至ったんですか」 唯「なんとなく」 梓「ないですよ」 唯「え~?『あずにゃんって付き合い悪いよね~』とか言われてない?」 梓「そもそもあずにゃんと呼ぶ人がいません」 唯「そっかぁ。あずにゃんってあだ名、定着してないんだぁ。もっと広めなきゃねぇ」 梓「やめてください」 唯「どうしてぇ」 梓「私をあずにゃんと呼んでいいのは唯先輩だけだからです」 唯「えっ?」 梓「嘘です。何ときめいてるんですか」 唯「やだなぁ。そんなのわかってるよ」 梓「そうですよね」 唯「憂と純ちゃんはどう?」 梓「憂はみんなから頼られてます。純はようやくみんなに名前を覚えてもらえたみたいです」 唯「そうなんだ」 梓「はい」 唯「一年間憂のことをよろしくね」 梓「任せてください」 唯「学校が見えてきたね」 梓「はい」 唯「ごめんね、あずにゃん」 梓「はい?」 唯「新入部員のこと」 梓「今さらですね」 唯「来年はあずにゃん一人ぼっちだよ」 梓「舐めないでください」 唯「え?」 梓「私は唯先輩とは違うんです。一人でも部員集めくらい簡単にやれます」 唯「そ、そうなんだ」 梓「そうなんです。 律先輩以上の部長になりますし、ムギ先輩が入れるよりおいしいお茶で新入部員をもてなしますし、 澪先輩以上の巨乳になります」 唯「そ、そうなんだ」 梓「すみません。最後のはツッコんでもらいたかったです」 唯「ごめん」 梓「いいです。先行きます」 唯「あ、待ってよ、あずにゃぁ~ん」 夏 唯「あずにゃんや」 梓「はぁ」 唯「どうしたの溜息なんかついて」 梓「もう夏も終わりだなぁって」 唯「今年の夏はつまらなかった?」 梓「いえ、楽しかったからこそ名残惜しくて」 唯「私は今年ほど疲れた夏はないよ」 梓「受験生なんですからしょうがないですよ」 唯「もっとあずにゃんと一緒にいたかったよ」 梓「口説き文句のレパートリー増やしたらどうです?」 唯「本音だよ~」 梓「もういいですから。それよりこれ、お土産です」 唯「どうしたのこれ?」 梓「家族で旅行に行ったとき買ったんです。よかったらどうぞ」 唯「どうして沢庵?」 梓「唯先輩が好きなんじゃないかと思いまして」 唯「うん、好きだけど。うん、ありがとう」 梓「喜んでもらえてよかった」 唯「でもよかった」 梓「何がです?」 唯「思ったより寂しがってないみたいだから。憂と純ちゃんに感謝しなくちゃ」 梓「そうですね」 唯「私もプール行きたかったなぁ」 梓「来年まで我慢してください」 唯「来年はあずにゃんが受験生だよ」 梓「私も行くこと前提ですか」 唯「憂や純ちゃんも一緒にね」 梓「再来年まで我慢してください」 唯「どうせだからこれから二人で行かない?」 梓「ギターの練習しようって言い出したの唯先輩ですよ」 唯「今エネルギー不足で」 梓「沢庵食べたらどうです」 唯「ご飯ちょうだい」 梓「アイス持ってきますね」 唯「ごちそうさまでした」 梓「さぁ練習しますよ」 唯「うん、いいよ」 梓「やけに物わかりいいですね」 唯「だって考えてみたらあずにゃんに練習、練習言われる夏も今年で最後だからね」 梓「最後?」 唯「だって来年私はだいがk」 梓「最後?」 唯「どうしたの?」 梓「そう思いたいなら勝手にそう思っていてください」 秋 唯「あずにゃんや」 梓「そこ、私まだ習ってないからわからないです」 唯「勉強のことじゃないよ」 梓「じゃあ何ですか」 唯「今どこ行きたい?」 梓「は?」 唯「いや~、大学生になったら車の免許取って好きなところに遊びに行きたいなぁって」 梓「そこの訳は『彼女は綺麗な飾り棚の中にモエ・エ・シャンドンを忍ばせている』です」 唯「ごめんごめん」 梓「まずは受からなきゃ免許どころじゃないでしょ」 唯「でも未来に思いを馳せながら勉強した方がはかどると思うんだぁ」 梓「そんな余裕ないでしょ」 唯「浪人したら一緒に勉強してくれる?」 梓「お断りです」 唯「ひどいね」 梓「ようやく進路決定したんですからそろそろ本腰入れてください」 唯「あぁ~。こんな紙きれで私の何がわかるんだぁ」 梓「世知辛いですね」 唯「せめてムギちゃんのお茶とお菓子があればもう少しはかどるのに」 梓「課外授業でしたっけ。澪先輩と律先輩も」 唯「うん」 梓「なんで唯先輩は受けてないんですか」 唯「だって私には難しすぎるんだもん」 梓「3人と同じ大学に行くんですよね?」 唯「ねぇ、あずにゃん」 梓「フィンランドに行きたいですね」 唯「車じゃ行けないよぉ」 梓「そうなんですか。じゃあ私ギターの練習しますね」 唯「わかったよ。ちゃんと勉強します」 梓「その意気です。わからないことがあったら聞いてください」 唯「はーい。……ふーんふんふんふーんふんふーんふんふんふーんふん」 梓「今日の練習はこれまでです」 唯「え、もう終わり?」 梓「はい。でも部室に残って宿題を片付けようと思います」 唯「そっかぁ」 梓「はい」 唯「わからない所があったら聞いてね」 梓「はい」 唯「……私もう帰るよ」 梓「まだ早いですよ」 唯「うん、だからあずにゃんはここに残るといいよ。私、家の方が集中できるから」 梓「帰るんですか」 唯「うん」 梓「じゃあしょうがないですね。私も帰ります」 唯「あずにゃん、ギター弾けないって辛くない?」 梓「唯先輩もそうでしょう」 唯「残りなさい。そのうちさわちゃんが来ると思うからギター教えてもらいなよ」 梓「ケーキがないから来ませんよ」 唯「いいから残りなさい」 梓「わかりましたよ。今日はお疲れ様でした」 唯「うん、おつかれ。じゃあねあずにゃん。また明日」 梓「……待ってください」 唯「何?」 梓「おみやげ、持って帰ってください」 唯「また旅行に行ったの?」 梓「違いますよ。はい、これ」 唯「なに、これ?」 梓「誕生日、おめでとうございます」 冬 唯「あずにゃんや」 梓「ふぅ」 唯「どうしたの」 梓「ホッとしてるんです」 唯「私たちがみんな合格したこと?」 梓「唯先輩以外は心配なかったんですけどね」 唯「りっちゃんだって危なかったよ」 梓「唯先輩よりはましでしょう」 唯「今日はどうしたの?わざわざうちに来て」 梓「とくに用事はありませんよ。ただ顔を見たかっただけです」 唯「口説き文句を増やそうよ、あずにゃん」 梓「本音ですから」 唯「大学合格した後もまともな生活送ってるから心配しなくていいよ」 梓「憂がいますからそんな心配はしません」 唯「やっとギー太にさわれてうれしいよ」 梓「よかったですね」 唯「でもみんなと一緒に演奏したいなぁ」 梓「じゃあ学校に来てくださいよ」 唯「それは……ちょっと」 梓「澪先輩達はちょくちょく顔出してくれるのにどうして唯先輩は来ないんですか」 唯「うん」 梓「はっきり答えてください」 唯「う~ん。恩返し、かな」 梓「誰へのです」 唯「憂への」 梓「はぁ」 唯「憂は私が部活してる間いつも家事をやってくれてたから、少しでも今までのお返しができたらなぁって。 ほんの1,2カ月の間だけどね」 梓「つまり憂が学校に行ってる間に掃除とか洗濯とか料理とかをしてたってことですか」 唯「まぁね。あんまりうまくいってないけど」 梓「よくわかりました」 唯「ごめんね、あずにゃん。これからは少しでも部室に行けるように時間を作るから」 梓「いいですよ。唯先輩のことちょっと見直しましたから」 唯「えへへ、ありがとう」 梓「ホントのこと全部話してくれればもっと好きになるんですけどね」 唯「へ?」 梓「まだ隠してることあるんじゃないですか、唯先輩?」 唯「ないよ」 梓「あります」 唯「断定したね」 梓「ええ」 唯「ないよ」 梓「あります」 唯「もう」 梓「家事をやり始めた理由、恩返しだけじゃないんじゃないですか」 唯「恩返しだけです」 梓「違います」 唯「……一人暮らし始めるんだ」 梓「どこでですか」 唯「あんまり驚かないんだね」 梓「予想はしてましたから」 唯「N女子大の近く。ここからじゃ気軽に行き来できる場所じゃないかな」 梓「憂は何て言ってるんですか」 唯「最初は反対してきたんだけど私がどうしてもしたいって言ったら認めてくれたよ」 梓「きっと憂は一年後唯先輩の所に行きますね」 唯「二人で住むにはちょっと狭い部屋かな」 梓「もう部屋を決めてるんですか」 唯「うん。正式な契約はまだだけどね」 梓「唯先輩の口から契約なんて言葉が出るとは」 唯「あずにゃぁん。私ももう大学生だよ」 梓「まだ高校生です」 唯「そりゃそうだけど」 梓「気軽に会いに行けない距離ですか」 唯「あずにゃん。寂しいの?」 梓「笑わせないでください」 唯「ぐへぇ」 梓「私だって4月からのことで頭がいっぱいなんですよ。このまま軽音部を廃部にするつもりはないですから」 唯「頼りになりますなぁ、部長」 梓「卒業式を迎えるまでは律先輩が部長です」 唯「そうだね」 梓「唯先輩。もう遅いので帰りますけど、最後に二つだけ質問させてください」 唯「いいよ~」 梓「唯先輩、軽音部は楽しかったですか」 唯「もちろん」 梓「もうひとつの質問です」 唯「うむうむ」 梓「唯先輩。唯先輩が住む部屋の隣の部屋って空いてますか?」 春 唯「あずにゃんや」 梓「どうぞ上がってください」 唯「お邪魔しま~す」 梓「散らかってますけど」 唯「謙遜しなくていいよ。来たばっかりなのに散らかってるわけないでしょ」 梓「そうですね。私じゃどう頑張っても唯先輩みたいに散らかすことはできません」 唯「相変わらずだね。でも憂が来てくれたから今は私の部屋の方が綺麗だもんね~」 梓「虚しい自慢ですね」 唯「あずにゃんももう大学生かぁ」 梓「そうですね。この一年はあっという間でした」 唯「ご苦労様でした。あずにゃん部長」 梓「唯先輩達が度々見に来てくれたおかげです。ありがとうございました」 唯「おやおや珍しく素直だねぇ」 梓「私だって礼儀くらいわきまえてますよ」 唯「そうかいそうかい。でもお礼を言うのは私だけじゃなくてりっちゃん達にもね」 梓「えぇ。後日会いに行くつもりです」 唯「ダメだよ。今日じゃなきゃ」 梓「連絡もしてないのに訪ねるのは迷惑ですよ」 唯「連絡なんて必要ないよ。これから会うんだから」 梓「え?」 唯「隣の部屋でみんな待ってるよ」 梓「みんな?」 唯「澪ちゃん、りっちゃん、ムギちゃん、憂、純ちゃん。今夜は3人の歓迎会だよ」 梓「聞いてないですよ」 唯「教えてないもんね」 梓「唯先輩はろくなこと考えませんね」 唯「えへへ~。それほどでも~」 梓「褒めてません」 唯「変わってないねぇ、あずにゃんは」 梓「唯先輩もです」 唯「私は一歩大人に近づきましたから」 梓「まさか」 唯「免許取りました!」 梓「それだけ?」 唯「お酒飲みました!」 梓「それだけ?」 唯「あとは……特にないや」 梓「ですよね」 唯「なに?」 梓「何でもないです」 唯「さて、そろそろ時間だ。行こっか、あずにゃん」 梓「もうですか」 唯「みんなに会いたくないの?」 梓「唯先輩は余韻ってものがわからないんですか」 唯「余韻?何の?」 梓「もういいです」 唯「じゃ、行こう」 梓「はい」 唯「あ、その前に」 梓「なんですk」 唯「ぎゅ」 梓「なんなんですか」 唯「これがないと一日が始まらないよ~」 梓「この一年どうやって生活してたんですか」 唯「胸にぽっかり穴が開いていた、っていうのかな」 梓「唯先輩らしくない表現ですね」 唯「やっと始まるんだなぁ」 梓「ええ」 唯「あずにゃんや」 梓「はい」 唯「行こっ!」 梓「はい!」 END 戻る
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唯「あ~ずにゃ~ん」 梓「ちょっ、ベタベタとくっつかないでくださいよっ」 律「そのわりには嫌そうな顔してないよなぁ、梓」 紬「ふふ、梓ちゃんは素直じゃないものね」 梓「な、何なんですか! それ!」 唯「ほーれ、すりすりー」スリスリ 梓「…ほえ~……」 律「うお、唯の頬擦りの威力は強力だな…なぁ、澪」 澪「……」 澪(あずにゃん、かぁ…) 律「澪?」 澪「…へ!? あ、どうした?」 律「ん、いや…てか、さっきから何ぼーっとしてんの」 澪「え、そんなつもりなかったんだけど…」 律「ふーん?」 唯「あずにゃーん」 梓「ほえ~…って、いつまで頬擦りしてる気ですか!」バッ 唯「あーん、いけずぅ」 澪(…やっぱり、あずにゃんってあだ名可愛い…) 澪(わ、私もあずにゃんって梓に言ってみたいなぁ)ソワソワ 澪(でも私がそんなこと言ったら…) 律「えwww澪、今何て?www」 唯「澪ちゃんもっぺん言ってみ、もっぺん! ワンモア!」 紬「あらぁ、顔が真っ赤よ~? ふふふっ」 梓「澪先輩まで…幻滅しました」 幻滅しました…幻滅しました…しました…ました…した… 澪(あわわわ…む、無理だ! 無理!) 澪(それになんか…口に出すのが恥ずかしいし…にゃんって…にゃんってなんだよ///) 澪「っ…///」 紬(澪ちゃん、なんで顔真っ赤になってるのかしら?) 梓「十分休憩とりましたし、そろそろ練習しましょうよ」 唯・律「……」ブー 梓「そんな顔してもダメですよ」 律「けちっ、鬼っ」 唯「あずにゃんは空気が読める子! ねっ!」 梓「ダメって言ったらダメ!」 梓「澪先輩とムギ先輩からも何か言ってあげてくださいよ…」 紬「私はどっちでもいいんだけどなぁ」 梓「…み、澪せんぱぁい」 澪(あずにゃん…あずにゃん…) 梓「…先輩?」 澪「…あ、ああ! そ、そうだぞ、みんな! あずにゃ…げふんっ、げふん!!」 澪「ああああ梓の言うとおりだ!! れ、練習をしようっ!!」 律「?」 ジャジャ、ジャジャ、ジャーン 唯「むー…」 律「…うむむ」 梓「ほら、やっぱり練習して正解だったでしょう?」 紬「ひ、久しぶりにあわせたから。…ちょ、ちょっぴりアレだったかな…」 澪「そうだぞ。まったく情けない」 梓「…あの、澪先輩」 澪「え?」 梓「澪先輩のベースも…なんだか音が前に出すぎている感じがしました。じ、自己主張が大きいのは悪くはないですけど、ほどほどに…」 澪「 」 律「澪も人のこと言えないじゃーん」ニヤニヤ 澪「ううっ…」 澪(べ、べつに私は練習量が足りなかったとかじゃなくて…練習中、梓にどうやってあずにゃんって呼びかけようかなーって考えていたから集中できなくて上手く演奏できなかっただけであって…えっと…えっと…) 澪「……はぁ」 唯「…ん~!」 唯「ンまいっ!! やっぱり練習の後のアイスの美味しさは格別だねぇ~」 律「言えてる。もう体の節々まで糖分が染み渡るというか」 紬「と、糖分…」 梓「毎日練習すればこの美味しさがいくらでも味わえますよ?」 律「おっと!」 唯「私たちをエサで釣ろうとしても無駄だよ!」 梓「ちっ」 律「生意気な後輩だ! こうしてくれるわぁ~!!」ギュウウ… 梓「にゃ!? し、しまってますっ」 澪(ああいうところ見てると、律と唯の性格って得だよなぁ…) 澪(私も明るいキャラを目指してみようかな) 澪「…よ、よし!」 梓「ううっ…」グッタリ 律「先輩に逆らうからそういう目にあうのだ!」 唯「おぉ、おそろしや…おそろしや…」 紬「ふふっ、本当に仲がいいわねぇ」 唯「えへへ~」 梓「ムギ先輩も私と同じ立場になったらそう言ってられなくなりますよ…」 紬「そうかしら?」 澪(こ、ここだ!) 澪「ここっ、こんなに可愛い後輩だしなっ!!かわいがいたくもなるよっ!!」 澪「え、えへへ~っ!!」ギュゥゥ…ギリギリ… 梓「うぐっ!?」 唯・律・紬「!?」 澪(や、やったぁ! いい感じに入り込めた!)ギリギリギリ… 梓「ぐっ…ぐえ…ぐっ…ぐるじっ…ぐ、ぐるっ…あ゛…」 澪(よし! このまま勢いに任せて) 澪「ああああずにゃ―――」 グイッ 律「み、澪! ストップ! 梓が!!」 澪「!」 梓「 」ピクッ…ピクッ 唯「み、澪ちゃんっ、ぎゅーするときは力一杯しちゃダメだよ! やさーしく、やさーしくしなきゃ!」 紬「大丈夫? 梓ちゃん」 梓「うーん…ううっ…」 澪「あ…あ…そ、その…その…ち、ちがうんだ…これは…」 澪(うわああああ…ここここっ、こんなつもりじゃなかったのにいいいいい) 澪「ごめんね梓…本当に、本当に」 梓「き、気にしないでください。ほ、ほら、もう何ともありませんし!」 澪「うう…」 紬「澪ちゃん、いきなりどうしたのかしら」ヒソヒソ 律「唐突だったよなぁ…」ヒソヒソ 唯「澪ちゃんもそういうお年頃ってことだよ」ヒソヒソ 律「どんなだよ…」ヒソヒソ 澪「…私そろそろ帰る」 唯「えー、もう帰っちゃうの?」 梓「み、澪先輩」 澪「ちょっと…疲れてるみたいだから、家に帰って休ませてもらうよ」 律「んー、じゃあ早いけど今日はお開きということにしますか」 澪「わ、私に気を遣わなくても」 律「いいから、いいから。ね?」 澪「うん…」 紬「それじゃあ」 唯「ばいば~い」 梓「それでは」 律「うん、また明日~!」 澪「……」 律「澪ー、表情暗いぞー」 澪「…そう?」 律「…はぁ」 律「今度はどうしたの? 悩み事ならこの律先生にどーんと任せちゃいなよ!」 澪「律ぅ…」 澪「絶対…ぜーったいに笑わないでよ?」 律「笑わないって」 澪「…じ、じつは」 澪「……」 律「……ん……ぷっ…くくくっ」 律「あははははははwwwww」 律「うひゃひゃひゃwwwおっ、お腹いたいっ! ひゃひゃひゃwww」 澪「り、律の嘘つきぃ!! 笑わないっていったじゃない!!」 律「だ、だってwwwいや、えっ、あははははwwww」 律「あきらかにそれっ、真剣に、はー…はー…、悩むことじゃっ」 律「wwwwww」 澪「り、律に相談した私がバカだった!! …もう帰るっ!!」 律「ま、まてって…っく、ぷぷぷwww」グイッ 澪「ばかっ、ばかっ、もう知らないもんっ!!」ブンブンッ 律「わ、笑わない! もう笑わないから! ちゃんと協力してあげるから!」 澪「……」 澪「…本当?」 澪宅! 澪「……」 澪「あ」 澪「あず…にゃん///」 澪「っ…///」 澪「や、やっぱり恥ずかしい!」 澪「だいたい唯はなんでこんな恥ずかしいあだ名をばんばんと…」 澪(…恥ずかしいけど…や、やっぱり可愛い…) 澪「あずにゃ…ん」 澪「くぅぅ…」 律「いいか、澪」 律「あだ名言う程度のことで恥ずかしがっててどうする!」 澪「…で、でも」 律「だからテンパってあんなことになっちゃったりするんだって」 澪「あう…」 律「そこで澪に課題を出そうと思う」 澪「か、課題?」 律「゛あずにゃん゛と気兼ねなく言えるようになるまで、あずにゃんって言う練習をしてこい」 律「そうだな…鏡に向かって練習してみるといいんじゃないかなぁ。鏡に映る自分を梓と思ってさ」 澪「えー…」 律「はい、文句は受け付けません。とりあえずやるだけやってみろよ!」 律「あずにゃんって呼ぶ機会は私がなんとか作ってやるからさ」 澪「…う、うん。恥ずかしいけど…頑張るよ」 澪「あず…あず…あずにゃんっ」 澪「ふぅ…だいぶ自然な感じになってきたな」 澪「あ、そうだ」 澪「こうやって…髪を…ツインテールに…っと」 澪(これでより梓を意識しやすく……!) 澪「あ…あんまり似合ってない……」 澪「すっごく無理しちゃった感が…ううっ」 澪「…わ、私はめげないぞっ。よし!」 次の日! 律「お、お前…その隈どうしたんだよっ」 澪「え…えへへ……寝るのを惜しんでずーっと練習してたんだよ」 律(こいつ…) 律「澪」 澪「…へ、へ?」 律「やりすぎ」ポン 律「でもそれだけ練習したんだったらもう大丈夫だよな」 澪「ああ…!」 律「よし、私を梓だと思って言ってみろ!」 澪「お安い御用だっ」 澪「あずにゃんっ!!」 律「!?」ビクッ 澪「あずにゃんっ! あずにゃんっ! あずにゃんっ!」 澪「あずにゃんっっ!!!」 律「…あ…あ……」 澪「ふふん! どうだ律!」ドヤ 律「い、いいんじゃないかな…」 律(い、いや、言えてるけど…何か、何かが違うぞ、澪…) 律「おいーっす」 唯「あ、りっちゃんと澪ちゃん。おはよー」 紬「あら、澪ちゃん…目元に」 澪「ああ、わかってる。これは私の努力の証だよ」 紬「遅くまで勉強してたの?」 唯「あ、もしかしてベースの練習じゃない? ほら、昨日調子悪かったし」 紬「ああ! そういうこと!」 唯「澪ちゃん努力家だねー!」 紬「さすがは澪ちゃん! 感心しちゃうわぁ」 澪「……あ、あははは…いやぁ…まいったな」 律(すっげぇいたたまれない顔してる…) 2
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あずにゃんスイッチ 紬「唯ちゃん、今から時間ある?」 唯「ん? 大丈夫だけど」 紬「実はね、唯ちゃんに誕生日プレゼントがあるの」 唯「えっ、ムギちゃんからは貰ったけど……」 紬「これはみんなに秘密で渡したかったから。はい、どうぞ」 唯「この小さい機械は何?」 紬「それはね、梓ちゃんを操れるスイッチよ」 唯「あずにゃんを操れるスイッチ!?」 紬「それを押すと、梓ちゃんは唯ちゃんの何でも言うことを聞いてくれるわ」 唯「ほ、本当に何でも言うことを聞いてくれるの?」 紬「えぇ。一種の催眠効果があって相手の言うことを聞いてしまうの」 唯「へぇ~」 紬「唯ちゃんなら喜ぶと思って」 唯「何だかおもしろそう! ありがとう、ムギちゃん!」 紬「いいえ」 唯「あずにゃんを操れるスイッチか……」 唯「でも、何でも言うこと聞いてくれるのかな」 唯「明日、試してみようっと」 次の日 唯「部室に来てみたけど、みんな遅いなぁ」 梓「あ、唯先輩」 唯「あずにゃん!」 唯(来たっ! よし、スイッチを……) 梓「みなさんまだですかね……」 唯「あずにゃん」 梓「何ですか?」 唯「肩を揉んでくれないかなぁ」ポチ 梓「……わかりました」 唯「えっ、うそ……」 梓「ここでいいですか?」モミモミ 唯「う、うん。気持ちいいよ……」 唯(あずにゃんのちっちゃな手が私のこと揉んでくれている……!) 唯(いつもだったらこんなこと絶対してくれないのに……) 梓「……はっ! 私、何で……」 唯「あずにゃん、ありがとう。気持ちよかったよ」 梓「そ、そうですか」 唯(どうやら嘘じゃないみたいだけど……) 唯(それじゃあ、こんなお願いはどうだ!) 唯「あずにゃん」 梓「何ですか?」 唯「ご奉仕するにゃん! って言って!」ポチ 梓「……仕方ないですね」 梓「ご奉仕するにゃん!」 唯「か、かわいいよおおぉ!」 梓「って、私ったら何を……!」 唯「今のすっごくかわいかったよ!」 梓「も、もう! 変なこと言わないで下さいよ!」 唯(このスイッチ、本当にあずにゃんを操れるんだ……!) 唯(なら……、あんなお願いやこんなお願いを聞いてくれたり……!) 唯(なにをお願いしちゃおうかなぁ……。うふふ……) 紬「あ、唯ちゃんと梓ちゃん」 律「おーっす」 澪「遅くなった」 梓「それじゃあ早速……」 律「ティータイムだ!」 梓「何でですか!」 唯「えぇ~? お茶したいよぉ」 梓「もう、そう言っていつも練習しないんですから……」 唯(そうだ。このスイッチで……) 唯「私はお茶がしたいなぁ」ポチ 梓「……仕方ないですね」 唯「やったあぁ!」 紬「じゃあ、お茶淹れるわね」 唯(すごい! すごいよこのスイッチ!) 帰り道 唯(ふう、練習中もあずにゃんに何をお願いするかで頭がいっぱいだったよ) 唯(さて、早速……) 唯「ねぇ、あずにゃん」 梓「何ですか?」 唯「今から家に来ない?」ポチ 梓「……いいですよ」 唯(本当に何でも言うことを聞いてくれるんだ……) 梓「どうしたんですか? 唯先輩」 唯「えっ? な、何でもないよ。さぁ、行こう」 唯(さて、自分の部屋まで来たけど……) 梓「何しましょうか?」 唯「ふぇっ? あ、あぁ……。そうだね……」 唯(何をお願いしようかなぁ……) 唯(あ、ネコ耳とか付けてほしいなぁ……。でも、今持っていないし……) 唯(普段頼んでも断られる事とかじゃないともったいないよね……) 梓「唯先輩?」 唯「……あずにゃん」 梓「はい」 唯「えっとね……、あのね……」 梓「?」 唯(何でも言うことを聞いてくれる……。何でも……) 唯(……) 唯「キス……、しよう?」 梓「……うぇっ!?」 唯「……」 梓「え、えっと……、ですね……」 唯「……あずにゃんが嫌なら、やめる」 梓「……」 梓「んっ……」 唯「いいの?」 梓「……」 唯「……その先まで、しちゃうよ?」 梓「っ……」 唯(あずにゃん、震えている……) 梓「い、いです……、よ」 唯「……あずにゃん」 梓「んっ……、ちゅ……」 唯「れろ……、はむっ……」 梓「ゆい、せんぱい……」 唯「っはぁ……。大丈夫だよ、あずにゃん」 梓「えっ……?」 唯「無理しなくていいよ」 唯「受け入れてくれて、ありがとう。今はキスだけで満足だよ」 梓「……ごめんなさい」 唯「いいよ。だから、覚悟ができたらあずにゃんを全部ちょうだい?」 梓「はい……」 次の日 紬「唯ちゃん、話って何?」 唯「ムギちゃん、悪いんだけど……。はい」 紬「梓ちゃんを操れるスイッチじゃない。どうしたの?」 唯「私には、いらないや」 唯「やっぱりあずにゃんのこと大切にしたいから……。こんなことだめだってわかったから……」 紬「……そう。じゃあ、これは処分しておくわね」 唯「うん。お願い」 紬「さて、梓ちゃん。結果的にこうなっちゃったけど、よかったの?」 梓「いいんです。唯先輩はあの時スイッチを使わないでくれました」 梓「唯先輩に求められたら、全部あげる覚悟でした。でも、やっぱりどこか怖くて……」 梓「スイッチで操られているふりをしていれば、素直になれると思って……」 梓「でも、それは間違っていました」 梓「唯先輩は私のことをちゃんと考えてくれて、待つ方を選んでくれました」 梓「だから、今度はちゃんと向き合って答えを出したいと思います」 紬「そうね、ふたりで答えを見つけたほうがいいわ」 梓「ムギ先輩、付き合ってくれてありがとうございました」 紬「いえいえ。ふたりで頑張ってね!」 梓「はい!」 END 唯ちゃん優しいなあ… -- (畠沢進也) size(80%){2012-09-16 00 45 46} あれ?スイッチはどっち派なんだ? -- (あずにゃんラブ) 2013-01-08 00 52 45 時にドラえもん……いやムギえもんの道具は要らないこともあるよね(^^) -- (名無し) 2013-05-13 10 10 35 名前 感想/コメント: すべてのコメントを見る
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ガチャリ 澪「ごめん、まったー? 先生に呼ばれて遅れちゃったよーあはははー」 唯「隊長! 澪ちゃんが来ました!」 律「うむっ、澪ー! さっさとこっちに来い!」 澪「な、なんだなんだー? いったいなんなんだー?」 梓(み、澪先輩…なんで棒読みなんだろ…?) 律「遅刻は許されない行為だ! 澪! そこでお前に罰を与えることにする!」 澪「ひ、ひえー」 梓(…ひえー?) 紬「しかし、りっちゃん隊長! 澪ちゃんが遅れたことにはきちんとした理由があるそうです!」 澪「し、しかたがなかったんだー」 律「…いかなる理由であろうと遅刻は許されない。しかぁしっ! 今回は軽い罰で許してやろう!」 澪「…あ、ありがたきしあわせー」 梓「…あの、これって新しい遊びか何かですか…?」 律「では罰を下す!」 唯・紬「ざわ…ざわ…」 梓(無視!?) 律「今日一日、梓と名前のつくものをあずにゃんと呼ばなければいけない刑に決定だ!」 梓「え」 紬「ああ、なんと恐ろしい…」 唯「遅刻した澪ちゃんがいけないんだよっ、さぁ! 澪ちゃん!」 澪「…く、くっ」 澪「罰なら仕方がないな! …仕方がないなぁ!」ニコニコ 梓(なんで嬉しそうなのこの人!?) 梓「あ、あの…澪せんp」 澪「ああああっ、あああずにゃんっっっ!!!」 梓「ひっ!?」 澪(…い、言えた!) 澪「あずにゃん!」 梓「み、澪先輩っ!?」 律・唯・紬(すごく生き生きした顔だ!) 澪「ふふふ」ニコニコ 唯「澪ちゃんご機嫌だね~」 紬「輝いてるわぁ」 梓「……」 律(逆に梓は萎れてる…) 澪「な、なぁ! あずにゃんっ」 梓「……あの」 梓「澪先輩、なんかのりのりですね」 澪「え? あ、ああ。うんっ、あずにゃん」 梓「…私ですね。澪先輩からそう呼ばれるの、嫌いじゃありませんよ」 澪「え、ほんとに!? あずにゃん!」 梓「嫌いじゃありませんけど…」 梓「気安く呼んでほしくないかな…って」 律・唯・紬「 」 澪「 」 梓「それじゃあ、私はここで」 律「あ、ああ。またな」 唯「じゃあね~」 紬「また明日~」 澪「……」 唯「澪ちゃん元気出してー…」ユサユサ 澪「ん」 紬「こ、これ! クッキーあるんだけど、澪ちゃんおウチで食べて? ねっ」 澪「ん」 律「ご、ごめんな澪! 私がもっとしっかりした作戦を考えていれば…」 澪「ん」 澪「帰る」 唯・紬・律「あ…」 澪宅! 澪「調子に乗りすぎた…」 澪「……」 ――気安く呼んでほしくないかな…って―― 澪「ああああ…」 澪「…きっと私のようなゴミ虫があずにゃんなんて可愛いあだ名を呼んじゃいけなかったんだな……」 澪(なんだか今になって言ったことに対しての恥ずかしさと後悔が…) 澪「き、消えてなくなりたい…!! あああああああっっっ!!」バタバタ 澪母「うるさいっ!! 今何時だと思ってるの!?」ガチャリッ 澪「ご、ごめんなさいママっ!!」 次の日! 澪「…はぁ」 唯「澪ちゃん暗いね…」 紬「困ったわね…」 律「やっぱり昨日のはちょっと無理やりすぎたよなぁ、もっと自然な感じに…」 唯「あ、ていうかそもそも」 律・紬「え?」 唯「あずにゃんて言うだけになんでそんなに回りくどいことしてるの?」 唯「普通に言えばいいじゃん」 澪「うぐっ…!!」ドスッ 紬「ゆ、唯ちゃんっ」 律「ま、まぁ、そうなんだけど、澪が普通に言えないからでだなぁ…」 唯「んー?」 澪「…はぁ」 …… 梓「…うーん」 憂「また何かあったの?」 梓「…あのね、また澪先輩からあずにゃんって呼ばれたの」 憂「へー。また寝ぼけてとか?」 梓「たぶん違う」 梓「すっごい笑顔であずにゃん、あずにゃん、あずにゃん…」 憂「笑顔…」 梓「なんか私の中の澪先輩のイメージが少し壊された気がする」 憂「そ、そんなことないって。きっと澪さんも少しふざけてみたかっただけだよ」 梓「やっぱりそうなのかなぁ…」 律「あれでも澪の奴、家であずにゃん言う練習してたんだぜ?」ヒソヒソ 紬「そ、そこまで真剣だったのね」 唯「おおぅ!」 澪「…はぁ」 澪「……」テクテク 梓「……」テクテク…ピタ 澪・梓「あ」 澪「や、やぁ…」 梓「え、ええ…こんにちはです。澪先輩…」 澪・梓「……」 澪・梓「……」 澪・梓「は、ははは…」 澪・梓「……」 澪・梓「……」 澪・梓(なんか話せよ…) 澪「あの…梓」 梓「! え、あ、はいっ」 澪「き、昨日はごめんね」 澪「私…ちょっとどうにかしてた」 梓「そ、そんなことないですよ!」 梓「私も昨日は言いすぎました…」 梓「ごめんなさいっ」 澪「梓…」 梓(…さすがにもう…あずにゃんはない…かぁ) 梓「でも昨日のは一体何だったんですか? 先輩たちグルで何か企んでいました?」 澪「え! あ、まぁ…そんなとこかなっ」 澪(私があずにゃんって呼びたかっただけのためのものだったなんて死んでも言えないぞ…) 梓「そうですか…」 梓「でもただの悪戯なら納得です。澪先輩まで唯先輩と同じように私のことを呼ぶんですもん。驚いちゃいましたよ」 澪「あ、あははは…」 梓「ふふっ」 梓「……」 澪「…ん、梓?」 梓「ちょ…ちょっとだけ、わがまま聞いてもらっても…いいですか…///」 澪「?」 梓「…あ、あの」 澪「うん?」 梓「もう一度だけ…」 梓「……///」 梓「…ず…って…」ボソ 澪「え? ごめん、梓。聞き取れなかった」 梓「…///」 梓「あずにゃんと呼んでいただけませんでしょうかっ」 澪「……」 澪「…へ?」 梓「ちゃ、ちゃんと…悪戯なんかじゃなくて…」 梓「自然な感じで…」 澪「……」ポカーン 梓「…や、やっぱりだめですよねっ。すいません! 変なこと言ってしまって!」 澪「…いや」 梓「え?」 澪「…言わせてくれ」 澪「あずにゃん」 梓「み、澪先輩…」 澪「…あずにゃん」 梓「…///」 梓「…はいっ」 …… 律「…で」 澪「ふふふっ」ニヤニヤ 律「結局呼ぶことできたってわけか」 唯「おめでとー澪ちゃん!」 紬「お赤飯炊きましょうか」 澪「いや、それはいいよ」 律「にしても梓から言ってくれって頼んできたとはなぁ」 唯「あずにゃんも澪ちゃんにちゃんと呼ばれてみたかったんだね♪」 紬(澪あずの予感ね)キリッ 澪「いやぁ…照れるなぁ///」 唯「でもあずにゃんって言う練習した甲斐があったね。澪ちゃん」 澪「!? お、お前…何でそのことを…!」 唯「え、りっちゃんから聞いたんだよ?」 律「ばか!? おまっ、内緒だって言ったろ!」 澪「律ぅぅっ!!」 律「にゃああああんっっ」 紬「夜更かしてまで練習して倒れちゃったものねぇ。可愛いわぁ」 唯「そーだねぇ…」 ?「……そういうことだったんですか」 「!?」 澪「あ、梓!」 梓「あの時のは、ベースの練習を熱心にやってきた結果…倒れたんじゃなくて」 梓「゛あずにゃん゛の練習で夜更かしして…倒れたんですか」 澪「いっ、いや! ちちち違うんだ!!」 唯・紬・律「あわわわ…」 梓「言い訳無用ですっ!! 幻滅しました!」 梓「うわああ~んっ!!!」タタタタ… 澪「ま、待ってくれ! あずにゃんっ」タタタタ… 梓「もう呼ばないでくださいっ! 最低ですっ、あんまりですっ!」 澪「誤解だ! あずにゃああぁぁ~~ん!!」 お わ り 戻る
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「はぁ…」 最近、こうやって溜め息をつくことが多くなった気がする。 違う。紛れもなく多くなった。 そのせいか、この頃はまともに寝ていない。 自分の感情に違和感を感じたのが少し前。違和感の正体に気付いたのが、つい最近。 自覚をしてしまえば、答えはあっけないほどに簡単で、 けれど、それをあっさりと認めてしまえるほど私は器用な人間じゃない。 「どしたの、あずにゃん。なんか悩み事?」 「いえ、今日はちょっと寝不足で…」 先輩方に気付かれないよう溜め息をついたつもりだったけど、目の前には私をこんな風にした原因がいて、 しかも、顔が近いんですけど… 突然のことで身構える余裕のなかった私は自分が思っている以上に挙動不審なのだろう。 「だったら、私が膝枕をしてあげるよ~」 「け、結構です!」 「もう、あずにゃんったら恥ずかしがり屋さんなんだから」 一瞬でも諦めてくれたと思ったのが間違いだった。 「ひゃうっ!」 膝枕を諦めたかと思えば、今度は急に私に抱きついてきた。 助けを求めようと回りを見ても、皆さんこれをいつもと同じ唯先輩のスキンシップと捉えたようだ。 澪先輩はこちらに向けた視線を再び雑誌へと移し、ムギ先輩はただニコニコと笑っているだけ。 律先輩にいたっては「なんだかんだ行って、今日は素直なんだな、梓」と無責任なことを言っている。 …全然、素直なんかじゃないですよ。 素直になりたい自分と天邪鬼な自分とを天秤にかけてしまえば勝のは後者で、 素直になれない無器用な私はこうやって先輩を怒鳴る振りをして心の均衡を図るしかないのだ。 「ふふ、なんなら私の胸で寝てもいーんだよ」 唯先輩はずるい。 辛うじて平静さを保っていたのに、甘い声でそんな言葉を囁かれたら、おかしくなっちゃうじゃないですか。 振り払おうにも耳の奥で焼き付いてしまったそれは私の中で何度もリフレインする。 あぁ、きっと今夜も眠れない。 容易に想像できる情けない自分の姿に、また溜め息がこぼれた。 どうして、あんな人を好きになってしまったんだろう。 人に変なあだ名はつけるし、特に練習熱心というわけでもない。 そのくせスキンシップと称しては抱きついてくる。おまけに人の反応を見て遊んでいる節すらある。 その姿に入学するまで憧れを抱いていた私の幻想は一瞬のうちに砕かれた。 それこそ、毎日あんなにライブの録音を聞いていた自分が馬鹿みたいに思えるほどに。 「やっぱりムギちゃんの持ってくるケーキは最高だね!」 「唯ちゃんはとっても美味しそうに食べてくれるから、私も嬉しいわ」 上機嫌でケーキを頬張る唯先輩はまるで子供だ。 そんな唯先輩に気を良くしたのか、ムギ先輩は自分のケーキを小さく切り分け、フォークに突き刺すとそれを唯先輩の前に差し出した。 やめて、そんなことしないで… 「よかったら、これもどうぞ」 「ほんとに!ムギちゃん太っ腹だね!」 いくら私が祈っても願いが通じることはなくて、唯先輩は幸せそうな顔でケーキを口にする。 「唯ばっかりずるいぞ!てりゃー!」 「あー!りっちゃんずるーい!」 「何やってんだか…」 すると律先輩が唯先輩のケーキにフォークを突き刺し自分の口へと運ぶ。 すかさず唯先輩が抗議の声を上げ、二人のじゃれ合いが始まった。 澪先輩も仕方がないといった具合いに二人を見つめている。 何ひとつ変わらない部活の光景。 なのに、どうして私はこんなにも苦しいんだろう。 何か鋭利なものが胸を突き刺すような、そんな感触。 ズキズキと鈍い痛みがゆっくりと私の中を廻っていく。 楽しげな先輩方を見て泣きたくなるなんて、ちっともまともじゃない。 母親が子供にしてあげるように、ケーキを食べさせてあげるムギ先輩に嫉妬して 仲の良い姉妹みたいにじゃれ合う律先輩に嫉妬して そんな二人にからかわれて困っている澪先輩に嫉妬して 今だけじゃない。私は唯先輩と関わる全てのものに嫉妬している。 気を紛らわそうとケーキを口にしても広がるのはチョコレートの苦味だけ。 ムギ先輩が持って来たのだから、これもすごく美味しい…はず。 なぜか今日はそれが喉元を通らず、フォークを持った手が進まない。 「あれ?あずにゃん、食べないの?」 全然フォークが進まない私に唯先輩が目を輝かせて尋ねる。 あれだけ食べたのにまだ食べ足りないらしい。 「ええ、今日はちょっと食欲が湧かなくて…」 「えー!あずにゃん、具合いでも悪いの?」 一転して心配そうな唯先輩。 心なしか顔色が青くなっているように見える。 「大丈夫ですよ。全然、気にしないでください」 「でも梓、調子悪いみたいだし、あまり無理しないほうがいいんじゃないか?」 「そんなこと、ないですけど…」 心配をかけまいと何でもないよう振る舞ってみても、澪先輩が私の嘘を簡単に見抜いてしまう。 それに続くかのように、次々と優しい言葉をかけてくれる先輩方。 「とりあえず今日は帰って休め。これは部長命令だからな!」 「そうだよ。あずにゃんの体が一番大事なんだから」 「元気になったら梓ちゃんの大好きなたい焼きを持ってくるわね」 「梓、もし悩み事があるなら、いつでも相談に乗るからな?」 律先輩も、ムギ先輩も、澪先輩も、それに唯先輩も私をこんなに心配してくれる。 それなのに私は唯先輩が他の先輩と楽しそうにしているのが嫌で… 優しい先輩方に醜く嫉妬しているなんて、なんて嫌な後輩なんだろう。 最低だ、私… 「あ、あずにゃん、どうしたの?急に具合い悪くなっちゃった?」 急におろおろと慌てる唯先輩。けれど、その姿はどこか歪んでいて… もしかして、私、泣いているの? 一番それに気付いてしまえば、もう我慢するこてなんて出来なくて、私は堰を切らしたかのようにただ泣きじゃくる。 唯先輩は私の体を優しく抱きしめ、子供をあやすように何度も頭を撫でてくれた。 あれから唯先輩の胸で散々泣いた私は、気が付くとベッドの中で眠っていたようだ。 ここ数日、眠れない日が続いていたため肉体的も精神的も限界だったのかもしれない。 目を開けば真っ先に映る真っ白な天井。そして私の髪に触れる柔らかな掌の感触。 「あ、あずにゃん起きたんだね?」 「…ここは?」 「保健室だよ。泣きやんだら急に倒れちゃうんだもん、心配したよ?」 でも、大したことがなくてよかったと微笑む唯先輩。 辺りを見回しても他の先輩はいない。 「ご迷惑をお掛してすみませんでした」 「全然、気にしなくていいよ。あっ、でも…」 私の頭を撫でながら、唯先輩が優しい口調で言う。 「今日みたいに何か悩み事があるなら相談してほしいな。あ、でも私じゃ頼りない…かな?」 照れ臭いのか、自分の頬を指でかく唯先輩。 思うように言葉が出てこない。代わりに私は首を横に振る。 そうだ。こんなにも簡単なことだったじゃない。 すぐコードは忘れるし、練習よりもティータイムやゴロゴロすることを優先するし、でも、それだけじゃないんだ。 誰よりも真っ直ぐで、優しい、そんな人だったから、私は唯先輩のことを好きになったんだ。 「…あずにゃん?」 「………が……き、です…」 聞こえないといった表情の唯先輩。 先輩の体に抱きつく形で私はもう一度同じ言葉を口にする。 「私、唯先輩のことが、好きです…」 ずっと伝えることはないと思っていたのに、声に出して言ってしまった。 だけど不思議と後悔はなかった。 唯先輩は何も言わない。 私は先輩が耳を傾けてくれると信じて、ゆっくりと自分の素直な気持ちを言葉にしていく。 「嫉妬…していたんです。先輩方に。唯先輩が他の人と楽しそうにしているのが辛くて…」 「……………」 「学校でも、家でも、そんなことばかり考えてしまって…ずっと…眠れなくて…」 そこまで話して言葉が詰まる。 目頭が熱くなる。だけど泣いちゃ駄目。最後まで自分の気持ちを伝えなきゃ… 「好きになってごめんなさい…でも、自分じゃどうしようも出来なくて…」 ギュッと目を瞑って、唯先輩の返事を待った。 やがて、ゆっくりと体を離す先輩に私は身を固くする。 「顔上げてこっち向いて、あずにゃん」 「唯、せんぱ…」 顔を上げると同時に、ちゅっと軽く湿った音と共に柔らかな感触が唇に伝わる。 涙でぼやけた視界の先には真っ直ぐな瞳で私を見つめる唯先輩。 「いっぱい辛い思いをさせてごめんね。私も、あずにゃんのことが好きだよ」 耳元で甘く囁きながら抱きしめられる。 密着した体から伝わる先輩の鼓動。鼻孔をかすめる先輩の匂い。 それだけで私の体温は上がり、熱くなった頭が少しずつ理性を溶かしていく。 唯先輩の手が私の腰へと回り、それに応えるように私も先輩の首に手を回す。 そして、互いの気持ちを確かめるかのように何度も口付けを交した。 一方、蚊帳の外 律「心配して様子を見に来たら、こんな展開かよ…」 澪「ひゃっ…あ、あんなこと…」 紬「……………」 律「んー。ムギどうした?さっきから何も言わないけど…って、立ったまま気絶してる!?」 澪「た、大変だ!保健室に連れて行かなきゃ!」 律「澪、落ち着け!保健室は目の前だ!」 澪「そうだった…でも、二人があんなんじゃ入っていけないよ…」 律「ムギ起きろ!うわっ、ムギから大量の鼻血が!?」 澪「血怖い。血怖い。血怖い。血怖い。血怖い…」 律「澪しっかりしろー!あいつらー後でたっぷり文句言ってやるからな!」 紬「ゆいあず…すごく、美味しいです…」 こ、これは・・・!! ドバドバ -- (4ℓの噴水(赤)) 2010-08-30 11 18 41 立ったまま気絶すんなw すごく、美味しいです -- (名無しさん) 2014-08-27 22 53 46 名前 感想/コメント: すべてのコメントを見る