約 306,622 件
https://w.atwiki.jp/soukokunoarterial/pages/228.html
風波 まどか(EU-1) ◆ステータス 種族 コスト 支配力 人間/無機 6 2 レア スロット HP 攻撃力 EU 2 16 18 LV2 LV3 LV4 LV5 LV6 LV7 HP17 スロット3 HP18 HP19 - - ◆カード能力 能力1 徹底的に押収 攻撃:敵の山札を上から3枚捨札に置く 能力2 瞬椀連打 行動:【このカードの攻撃力を-1する】敵前衛配下を1枚選び、1ダメージ与える ◆考察 《徹底的に押収》はEXシナリオで猛威を振るう。 EXシナリオでは山札からカードを引けなくなると敗北するので、このカードで敵の山札を無くす事でも勝利できる。 本来は敵の山札を無くすには数ターンにわたりこのカードを維持して殴らなければならなく、この攻撃力で殴り続けていれば山札を無くす前にLPを削りきってしまう事も多い。 しかしEXシナリオは毎ターンHPが全回復するのでHPの高いこのカードの維持が容易く、敵のLPも高い。 その為、LP削るよりもこのカードで山札を無くす方が容易な場合が多い 敵の山札が多少減っても最も重要な場に影響が無い為、EXシナリオ以外では基本的に意味の無い効果である。敵の山札が0になればカードを引けなくなるので優位に立てるが、上記の理由でそれも難しい。この能力が活きるケースはかなりの長期戦になる場合と、このカードを複数採用するなどしてデッキデスを徹底した場合のみである。 敵の山札を捨札に置くことが出来る能力はこのカードと鴉鳥の《黒の闇界》だけ 《徹底的に押収》を使用後に美來の奥義を使用することで、非常に効率良くカードを複製出来る。→オススメデッキ・山札押収EX 《瞬椀連打》も非常に便利。 まどかコスト5の《剛腕連打》をより強化したもので、行動済みにならず細かくHPを削る事が可能。 敵配下のHPが低ければ《瞬椀連打》で倒す事で残りの攻撃力で他の敵に攻撃出来る。 その他《霊族耐性》を持つ敵をどうしても倒したい時や、攻撃出来ない敵、ちょっとした削りや後衛からのサポートと多岐に渡って活躍できる。 調子に乗って使っているとみるみる攻撃力が減ってしまう。便利だがよく考えて使おう。 何度も対象に取るおかげでまどかの多く持つ《どさくさ紛れ》と非常に相性が良い。《瞬椀連打》で2倍のダメージを与えられるようになる。 またコスト6の中ではステータスも高い。 コスト6でのHPと攻撃力の基本値の合計はメヒーシャ、ギレゼル、鳴海に続く4位。 総じて、高い戦闘力と便利な能力を併せ持った使い勝手の良いカードと言える。 ◆入手方法 イベント等まどかED 錬成風波 まどか(UC-4)×2、緑光燐石×1 ◆バトルボイス 登場 (未編集) 攻撃 (未編集) 敵を撃破 おねーさん、伊達じゃないから 能力発動 シャッターチャーンス! 退却 (未編集) 関連リンク 風波 まどか
https://w.atwiki.jp/ptikstorys/pages/66.html
■初めに読んでね このwikiについて 創作小説【繋ぐ繋がる異世界ファンタジー】ごちゃエピ!用のwiki。 本編に登場するキャラクターや場所、スキルなどのデータベースと世界の仕組みについて説明するページ。 注意 このwikiはネタバレを含みます。 キャラクタープロフィールやデータベースには、本編を読んでくれた方向けに作られています。 まだ本編を読んでいないよという方はメニューの「本編はこちら」からサイトに飛んでね。 小説「ごちゃエピ!」について このwikiにまとめている作品は文字だけの普通の小説ではありません。 キャラクターの画像をアイコンとして設定することで簡単に物語が作れる「チャット小説」です。 チャット小説は地の文よりもキャラクター同士の掛け合いが目的で書かれるものであり、 文字だけの普通の小説と同じ観点で読むものではありません。 セリフや地の文もありますが、キャラクターの表情もきちんと見て下さい。
https://w.atwiki.jp/1919victorique/pages/64.html
鹿目まどか(弓)=レベッカ(12章~) 美樹さやか(剣)=リン(16章~) 暁ほむら(時間)=ニニアン(21章~) 佐倉杏子(槍)=ファリナ(25章~) 巴マミ(銃)=ルイーズ(26章~) リン編ハード 青の一人旅。リンLv19 青に天使の衣、エナジーリング ヘクトル編ノーマル 序盤は支援付きのヘクトル、オズインらを壁にしつつまどか一人旅。 まどかに秘伝の書。 まどからしい糞成長。 青加入で楽になる。 ほむほむ加入で足が速くなる。 杏子にアフアの雫 28章 1回目はジャファル即死で詰むが、2回目は杏子がウルスラ様を撃破しクリア。外伝はスルーで 30章 ほむほむ、エリウッドLv1に倒される。 31章 ボディリング→マミさん、竜の盾→青 31章外伝 銀の剣、キルソード、銀の槍、キラーランス、手槍、銀の弓、キラーボウ、長弓各5ずつ、あとはせいすいと特効薬いっぱい 32章 20ターン制圧 32章外伝 マミさんの必殺でキシュナ撃沈 終章 1回目 まどか、パビスの守りと共にウルスラ様に葬られる。 そのまま続行も杏子がケネスに必殺出され死亡、ジ・エンドにゃん 2回目 まどか、ウルスラ相手に必殺が出なければ死亡の場面で無事必殺の活躍。 杏子は個室前でニルス・青を守りつつロイド・ライナスを相手にする。 パビスの守り+ニニスの守護で耐えて兄弟撃破。 ネルガルはマミさん相手にエレキシュガル連発、止めは杏子。 おはD戦 青のソール・カティで削って杏子で終止符を打つ。 チームまどかの評価はボロボロ
https://w.atwiki.jp/preciousmemories/pages/1944.html
《鹿目 まどか(001)》 キャラクターカード 使用コスト4/発生コスト1/赤/AP40/DP40 【魔法少女】 このカードが登場した場合、手札にある任意の枚数のカードと、自分のポイント置き場にある同じ枚数のカードを置き換えることができる。 [アプローチ/自分] [0]手札からイベントカード2枚を捨て札にする。その場合、このカードを妨害しているキャラ1枚を手札に戻す。 (私にはこんなにも大切な友達がいてくれたんだって……。) 魔法少女まどか☆マギカで登場した赤色・【魔法少女】を持つ鹿目 まどか。 登場した時に手札とポイントを任意の枚数置き換える効果、妨害された時に手札のイベントカード2枚を捨てることで、妨害している相手キャラをバウンスする使用型テキスト効果を持つ。 1つ目の効果は手札とポイントを置き換える効果。 《黒猫(033)》と異なり1度だけだが、枚数とカードの種類に制限はない。 ポイント置き場の表向きのカードを置き換える場合は手札から表向きに置き、裏向きのカードを置き換える場合は手札から裏向きに置く。 ポイント置き場に置かれたキーカードを回収し、手札で腐っているカードを置けば無駄がない。 手札が大量にあれば、全てのポイントを置き換えることも可能。 任意効果なので、無理に発動する必要もなく使いやすい。 2つ目の効果は妨害してきたキャラをバウンスする効果。 イベントカード2枚を捨てなければならず、その発動条件はかなり重い。 基本的にAPが高い相手キャラから妨害され、こちらが退場しそうな時に使えば退場を回避できる。 バウンスなので、なるべく高コストのキャラに対して使いたい。 またルール上、相手が妨害した時点でポイントは入らなくなるので、バウンスさせてもポイントは与えられない。 カードイラストはキービジュアル。フレーバーは最終話「わたしの、最高の友達」でのまどかのセリフ。 FAQ Q.裏向きのポイントを置き換える場合、手札からポイント置き場で送られるカードは裏向きで置かれますか? A.はい、裏向きで置かれます。 関連項目 《黒猫(033)》 《涼月 奏(023)》 《ティロ・フィナーレ》 収録 魔法少女まどか☆マギカ 01-001 パラレル 編集
https://w.atwiki.jp/ws_wiki/pages/10715.html
MM/W35-P02 カード名:一緒の時間 ほむら&まどか カテゴリ:キャラクター 色:緑 レベル:2 コスト:1 トリガー:1 パワー:9000 ソウル:1 特徴:《魔法》?・《メガネ》? 【永】 このカードはサイドアタックできない。 ほむら「こうしてまどかと過ごせる時間を、 ずっとずっと待ってた気がする」 レアリティ:PR 「劇場版 魔法少女まどか☆マギカ[新編]叛逆の物語」BP発売記念大会 参加賞
https://w.atwiki.jp/ma1ss/pages/62.html
85. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 14 10 26.08 ID rIMTVzB90 【レス抽出】 対象スレ:まどか「安価で1レスSS書いてみよう選手権!!」 キーワード:マミ 抽出レス数:10 マミ「ほら、10回も出てるわ!やっぱり気のせいだったのよ!」 まどか「その内8回は前回の受賞作品紹介で、このスレの作品中だと一回しか出てませんね」 マミ「」 まどか「し、死んでる……」 さやか「えーっと、次のお題は 90ってことで!」 90. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 14 13 19.36 ID ZWMN+j1f0 ゼルダ 91. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 14 16 30.29 ID rIMTVzB90 杏子「よう」 さやか「あ、杏子」 杏子「マミとほむらが死んだって聞いたから臨時で来てやったぞ」 杏子「次のお題は『ゼルダ』だな、制限時間は今から20分。せいぜい頑張りな」 さやか「あ、ゼルダって知ってる!緑色の服着たキャラだよね?」 まどか「……チッ」 杏子「……ゆとりが」 さやか「あれ?」 92. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 14 17 15.43 ID YSVrBESS0 杏子「このゲームなんでAボタン押してもジャンプできないんだ?」 93. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 14 19 05.61 ID 8k3Dp2c/O 杏子「ゼルダのガノンヨーグルト、食うかい?」 94. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 14 19 10.41 ID ZWMN+j1f0 ほむら「ムジュラのリンクもこんな心境だったのかしら…」 95. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 14 20 04.30 ID Y7CtpKej0 ほむら「三角形のモノを手に入れると頭上に掲げたくなるわよね」 96. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 14 21 03.48 ID W6PDkYGg0 マミ「この4つの剣って解けない仕掛けがあるわ」 97. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 14 22 56.76 ID e5CYBTWjO 主人公の名前をつけてください まどか「『リンク』っと。」 ほむら「基本ね。」 ほむら「『まどか』っと。」 さやか「ゲームでまで…。」 さやか「『ひやま』っと。」 マミ「それ中の人…」 マミ「『燐紅』っと。」 杏子「漢字使えねーぞ。」 杏子「『でもどり』っと。」 まどか「ちょっと待て。」 99. 榊鳥 ◆SSkkOxOZ3M 2011/06/18(土) 14 25 26.70 ID AHcSzmDL0 まどか「ゼルダごっこしよう」 さやか「フハハハハ!!大魔王さやかちゃん登場!!」 まどか「きゃー!」 ほむら「まどか!」ザン ほむら「時間停止!」カチリ ←夢幻の砂時計 ほむら「爆弾!」ドーン ←バクダン ほむら「銃!」バンバン ←豆鉄砲 ほむら「翼!」バサァ! ←はねマント ほむら「弓!」ドン ←妖精の弓矢 ほむら「まどか!私に矢を撃って!」 まどか「え!?う、うん!」パシュ ←光の弓 ほむら「盾で反射して大魔王美樹さやかに当てる!」 ←風のタクト さやか「ぎゃああああ!?」 さやか「……さすがにこじつけが過ぎると思う」ガク ほむら「だって、ごっこだし?」 100. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 14 33 50.55 ID s8QKMZAD0 マミ「トライフォース…かっこいい…!」 マミ「私も手の甲につけよう!」 〜〜〜〜〜〜〜 マミ「どう?かっこいいでしょ?」 ほむ「…その色画用紙はなに?」ホム マミ「もう…これはトライフォース(勇気)よ!」 マミ「どお?欲しい?欲しい?」ニヤニヤ ほむら「手の甲にはSGが付いてるからいいわ」 マミ「ずるい!そっちのがかっこいい!」 101. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 14 36 06.28 ID YSVrBESS0 ほむら「爆弾、時を操る道具、ピンクのヒロイン」 まどか「……」 ほむら「これじゃあまるで……」 まどか「そっか、それでほむらちゃんはゲームに感情移入しすぎて、気持ちが高ぶっちゃったんだね」 ほむら「ええ。そのぐらい私は貴女を失いたくなくて……」 まどか「……で、突然仁美ちゃんにつかみかかった言い訳はそれで終わり?」 ほむら「私は貴女をNTRなんかで失いたく」 まどか「それで終わり?」 ほむら「……」 まどか「……」 ほむら「すみませんでしたああああ!!」 まどか「いいから本人に謝ってきて」 まどか(ほむらちゃんのばかー!わたしのリンクはほむらちゃんだけだもん!) 102. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 14 37 48.90 ID rIMTVzB90 杏子「ここまでだよ。じゃ、投票開始。14 50までだからな」 まどか(流れ的にそろそろ誰か死んだほうがいいのかな?)チラッ さやか「なんか嫌な予感がする」 103. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 14 38 00.74 ID DrH0GOQ8O 緑「お話したいことがありますの」 さやか「な・・・なに?」 緑「わたし・・・上条恭介さんのこと、前からお慕いしておりましたの・・・」 さやか「そ、そっかあ!いやあ、恭介の奴もすみにおけないねえ!」 緑「・・・さやかさん」 チンクル「いえ、妖精さん」 チンクル「本当の気持ちと向き合えますか?」 まどか「チンクル☆チンクル☆」 ほむら「クルリン」 ま・ほ「パッ☆」 104. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 14 38 51.49 ID e5CYBTWjO 100 マミさん… 105. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 14 38 54.01 ID W6PDkYGg0 100 安定のマミさん 106. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 14 39 16.32 ID DrH0GOQ8O ごめん 107. 榊鳥 ◆SSkkOxOZ3M 2011/06/18(土) 14 39 45.60 ID AHcSzmDL0 92 つ ロックちょうのはね 108. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 14 41 17.38 ID ZWMN+j1f0 101 に一票 109. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 14 45 05.42 ID ZWMN+j1f0 106 気にするな 110. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 14 46 11.49 ID Y7CtpKej0 96 で 皆が皆、同じ物を同じ時期に遊ぶとは限らないんだよね 111. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 14 48 19.05 ID nb0Fr3XeO 100 に一票 112. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/18(土) 14 53 11.29 ID rIMTVzB90 【お題:ゼルダ】 100 3票 「マミさん…」 「安定のマミさん」 92 1票 「つ ロックちょうのはね」 96 1票 「皆が皆、同じ物を同じ時期に遊ぶとは限らないんだよね」 101 1票 杏子「マミ……」 マミ「やっぱり私、こういう扱いなのね……」 杏子「うわっ、なんだ生きてたのか!」 まどか「てぃひひ、私の神様的パワーでさやかちゃんの命を与えたんだよ!」 さやか「」 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/homuhomu_tabetai/pages/292.html
作者:OzGuL0DX0 815 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 投稿日:2011/07/08(金) 14 42 12.06 ID OzGuL0DX0 まどか「浅漬け作るよ!」 ほむほむs「ホムウ?」 まどまど「マド?」 まどか「まず浅漬けの元にまどまどの汁を入れて」ギュウウ まどまど「マドオオオオオオオオオオオオ!!」ゾウキンシボリイタイタイ ほむほむs「ホムウー!!ホムウー!!」マドカガシンジャウ まどか「もう出ないみたいだね……」ポイ まどまど「マド・・・マド・・・」ホムラチャンタチ・・・ガク ほむほむs「ホム・・・?ホムウウウウウウウウウウウウウウウ!!」ポロポロ まどか「汁にほむほむ達を入れて」ビニールポイ ほむほむs「ホム!・・・ホムウン///」クネクネ まどか「しっかり揉むよ!」ギュッギュッチャプチャプ ほむほむ1「ホミャアアアアアアアアアアアアアアア!!」ツブサレル ほむほむ2「ホッ・・・ホッ・・・」イキグルシイショッパイ ほむほむ3「ホム・・・ホムウ・・・///」デモナンカキモチイイ まどか「出来た!」 ほむほむs「ホム・・・」グッタリ まどか「お皿に盛って……いただきまーす♪」 ほむほむ1「ホム?」 ガブ ほむほむ1「ホビャアアアアアア!!!!!!!!」 まどか「うーん、サッパリしてて美味しい!夏はこれだね!」モグモグ ほむほむ2「ホムウウ・・・」ガタガタ ほむほむ3「ホムアアアア・・・」グスッグスッ まどか「後でパパとママにも作ってあげよう」ノコリハシデツカミ ほむほむs「ホム・・・」 ホビャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!! ジャンル:ほむほむ ほ食 まどか まどまど 感想 すべてのコメントを見る
https://w.atwiki.jp/kitakoutarou/pages/29.html
夜が明けて朝が始まる。ごく普通の女子中学生――美樹さやかは、 いつものように起きて、いつのものように支度をし、親友二人と待ち合わせて登校する。 既にその一人である志筑仁美は待ち合わせ場所に来ていた。もう一人が来るまで、彼女と適当に雑談で暇を潰す。 話す内容と言えば、学校の勉強、行事。テレビや雑誌の話題、家族のこと、週末に遊びに行く計画等、極々ありふれたもの。 今日も昨日と同じ、そして明日も多少の違いはあれど、いつも通りの一日が過ぎていくのだろう。 そう、だから友人の一人である鹿目まどかが少し遅刻してきたことくらい、些細な誤差に過ぎないと思っていた。 彼女のトレードマークのリボンが、昨日までのものと異なっていたことも。 ただ、そんな些細な変化も、退屈な日常では重要なエッセンスになる。さやかは、そんなまどかをからかいつつ歩を進めた。 「変な夢……見たんだよね」 話題をリボンからそらす為か、まどかが今朝の遅刻の原因を語り出す。厳密には、それが直接の原因ではないらしいのだが。 「夢? どんな夢?」 「んっと……笑わない?」 もじもじしながら、顔を赤らめるまどか。 可愛らしい小さな身体と顔。おまけに無造作にこんな仕草をするのだから、女のさやかから見ても堪らない。 「笑わない笑わない」 「……やっぱり内緒」 まどかは言い掛けてそっぽ向いてしまう。 しまった、やはりニヤニヤが顔に出ていたのか。と、さやかは心の内で反省する。 だからと言って、気になるものは気になるのだ。 「えー、何それ」 「隠されると余計に気になりますわ」 「だって笑われちゃうもん。私だっておかしいと思うくらいなんだから」 ここまで言い渋るとは珍しい。よほど恥ずかしい夢なのかと考え、 「はは~ん、さては気になる男子の夢でも見たんだな~」 ピンときた。と言っても、年頃の女子中学生が見る語りたくない夢となれば、 色恋沙汰しか考えられないという、さやかの単純な推理だったのだが。 「ええ!? 違うよ! そんなんじゃなくって……」 「そうかそうか。まどかにもついに気になる男子ができたのかぁ……」 「まぁ……これはお赤飯ですわね」 「だから違うってば!」 案の定、まどかは真っ赤になってかぶりを振る。どうやら嘘ではないらしい。 でも、まどかの反応があまりにも可愛いので、もう少しからかいたくなる。 「それじゃリボンを変えたのも何か心境の変化ですの?」 仁美も乗ってきたようだ。まぁ、彼女の場合は天然なのだろうが。 まどかはというと、やっぱり必死で否定している。 あまり弄り過ぎても可哀想なので、さやかはさり気なく助け舟を出した。 「色気づいちゃって、このこの。そうだよね、やっぱり仁美みたいにもてたいよねー」 「私……ですか?」 「またラブレター貰ったんでしょ? もてる女は辛いね~」 「仁美ちゃん綺麗だもんね。誰かに決めたりしたの?」 まどかも誤魔化しついでに恋愛談議に興じている。 矛先が向いた仁美は、やや困り顔で頬を赤らめている。 まどかとは違うタイプだが、こんな姿も絵になるのが彼女だ。 「私は、その……お稽古事もありますし……なかなか殿方とお付き合いする間も……」 「へー、もったいない」 と、さやかが油断していた時である。 「そういうさやかさんはどうなんですの?」 不意打ちだった。 人に振っておきながら、まさか自分に振られると思っていなかったのだ。 「え……あ、あたしは、ほら、別に……」 しどろもどろになるさやか。心当たりがあるからこそ、思わず照れてしまう。 脳裏に浮かぶのは一人の少年。上条恭介――今は市内の病院に入院している、幼馴染の少年だった。 「その慌て様、怪しいですわ……。どなたなんですの? さやかさんの乙女心を射止めた殿方は!」 仁美が逆襲とばかりに食い付いてくる。さやかは、それをかわすので精いっぱいだった。 にしても、だ。 その絡みようが、やけに迫真に感じられるのは気のせいだろうか? 「私、悲しいです……。さやかさんだけが一足先に大人の階段を上るなんて……」 泣き崩れる振りをする仁美。 まるで、冗談のヴェールの向こうに、何か重大な真実を覆い隠しているかのような……。 疑問に思いこそすれ、さやかが、その真意に気付くことはなかった。 「だから上ってないって! ちょっと、まどかも何とか言ってよ――って、まどか?」 助けを求めようと彼女を見やると、まどかの視線はまったく別の方向に向いていた。 歩くうちに、いつの間にか三人は公園を横切る十字路に差し掛かっている。 通勤通学の時間帯だが、交差する道から歩いて来ている人間は一人だけ。 まどかの視線は、その人物に向けられていた。 真っ白な、脛の辺りまで丈のあるロングコートを翻し歩く男性。開いたコートの内側は上下共に黒。 かなり目立つ服装だ。 歳は二十代半ばといったところか。髪は茶、顔立ちは整っており、美男子の枠に入るのだろうが、 その精悍に過ぎる顔つきは戦士のよう。アイドルのように軽い印象を抱くことを許さない。 纏っている雰囲気からして常人とは違う男は、やや早足の堂々とした歩き方で三人に近付く。 目は前だけに向きながらも一分の隙もなく、どこか遠くにある目標だけを見据えているふうにも見えた。 何故だろう、目が離せない。彼の眼に、強い意志の光を放つ瞳に吸い寄せられる。 まどかとさやかは歩幅を落とし、彼とぶつからないよう道を譲った。 徐々に接近する距離。 その時、三人の目と目が合う。初めて彼が、まどかとさやかを視認した瞬間だった。 それも束の間、すれ違った彼は再び前だけを向いて歩きだした。 「どうかしましたか? まどかさん、さやかさん?」 唯一気付かなかった仁美は首を傾げているが、まどかとさやかは彼が通り過ぎてからも、 背中を目で追っていた。 「不思議な人……」 「て言うか、変な人……」 彼はその後、道の端に寄って指輪にブツブツ話し掛けている。 そもそも、こんな暖かい季節にロングコートなんて着ていることからしておかしいのだ。 まどかは、その後も暫く彼を眺めており、釣られてさやかも見てしまう。 このままでは埒が明かないので、 「ああいう人が、まどかのタイプなんだ」 ぽつりと言うと、まどかはハッとなって、ようやくさやかを向いた。 真っ赤になって手をパタパタ振っているのが、また面白い。 それはまどかを動かす為の冗談が半分、自分の気持ちを誤魔化すのが半分。 彼が気になるのはさやかも同じ。だが一目惚れなんてロマンティックなものでは断じてない。 言葉では形容しづらいが、言うなれば匂い。日常ではまず出会えないスリル。 彼の纏う非日常の空気がさやかの視線を捕らえた。 住んでいる世界が違う。そこにいるのにいない、存在する時間や世界がズレているような感覚。 おそらくだが、まどかも同じ印象を抱いたのだろう。 不安と期待が入り混じった、漠然とだが何かが始まりそうな予感。 さやかはただ、胸の内に湧いた奇妙な感覚に翻弄されていた。 ――運命ってのは確かにあると思う。 もし、まどかが遅刻していなければ、彼とすれ違うこともなかった。 こんな……本当に小さなきっかけで、僅かな変化で未来は大きく変わる。 もし、彼に出会っていなければ、あたしの人生はまったく違うものになっていた。 些細な出来事の積み重ねで将来は形作られているんだと、つくづく思う。 なるほど。これが、いわゆるバタフライ効果という奴か。 全ての物事には発端がある。 ただし、あたしの場合、始まりを何処に定めるかが難しい。 あたしを取り巻く日常、という意味ならば、この時点ではまだ薄皮一枚で繋がっていると言えるだろう。 けど、この街の平穏はとっくに終わっていたんだ。ただ、あたし達が気付かなかっただけで。 いや、正確には知ってはいた。連続する怪死、変死、自殺に失踪――それらは隣の県だったり隣町だったりしたけど、 市内でも数人、犠牲者は出始めていた。 でも、どこか自分からは遠い場所で起こったものという認識が拭いきれなかった。 それらの事件を調べると、遠くから少しづつ、でも確実に、この街に近付いていたのに。この街を蝕んでいたのに。 あたしは、そんなことにも気付かず、のん気に笑っていたんだ。この日、この時までは。 だから、あたしは始まりをこの時に置こうと思う。敢えて、あたしの日常が消え去る夜ではなく、彼との出会いの朝に。 きっと逃れられない運命って奴は、遠からず訪れる、あたしという人間の終焉に向けて、この時から加速を始めていたんだ。 他愛のない話題、温い日常。けれど全部が大切で、掛け替えのない時間だった。 でも、それを自覚したのはずっと後。もう手を伸ばしても届かないという事実を突き付けられた後だった。 失って初めて大事だと気付く――なんてありがちで、聞き古した言葉。 ほんと、バカみたいな話……。 季節外れのロングコートを着込んだ男は、朝の街を歩いていた。 初めて訪れる街に戸惑う様子もなく、その歩みは堂々たるもの。 朝露に濡れる公園を抜け、女子中学生の三人組とすれ違った直後。 夜明けから数時間、これまで一度も休まず動き続けた健脚が初めて止まった。 『おい鋼牙、今すれ違った学生なんだが……』 男――冴島鋼牙は、相棒の呼び掛けに立ち止まる。 渋く掠れた、やや癖のある壮年男性の美声。が、肉声ではない。 機械を通したかのように、くぐもった声だ。 しかし鋼牙は一人である。周囲には誰の姿もない。 声は、鋼牙の左手中指に嵌められた髑髏の指輪からだった。 「どうした、ザルバ」 《魔導輪・ザルバ》。それが、この指輪に付けられた名前である。 人知れず使命に臨む鋼牙をサポートする唯一無二の相棒、それがザルバだった。 『あのお嬢ちゃんたち、何かおかしい……。 力を感じる。ホラーとは似て非なる力……あれも魔力と言っていいのかどうか……』 銀色の髑髏、ザルバは発声に合わせてカタカタ顎を慣らした。 ザルバにしては珍しく歯切れの悪い答えに、鋼牙も眉をひそめる。 「誰だ? 全員か?」 『いいや、あの小さな赤いリボンの娘だ。とんでもないレベルの力を秘めてる。 それに比べると大分落ちるが、隣の青みがかった髪の女もだな』 「確かなのか?」 鋼牙は普段、彼の探知能力に全幅の信頼を置いている。 故に疑いの言葉を口にすることなど滅多にないのだが。 『わからん。俺様も初めての感覚だ。だが、おそらくは……魔法少女……とやらじゃないのか?』 「魔法少女、か……」 言いにくそうにザルバは言葉を濁した。鋼牙自身、未だに慣れない単語ではある。 話には聞いていたが、よもやそんなアニメのような存在がいるとは、俄かに信じ難かった。 そんな鋼牙の心境を察したのか、ザルバが的確なフォローを入れる。 『おいおい。俺やお前も十分、ファンタジーだぜ。ただの人間からすればな』 「それもそうだがな」 信じ難くはあるが、かと言って、その存在を疑ってもいない。 何故なら、彼女ら魔法少女が敵対していると聞く怪物、《魔女》と鋼牙は戦った経験がある。 夜の街を歩く仕事の特性上、場所によっては出くわすこともあったのだ。 それは鋼牙の敵、魔獣《ホラー》とはまた別種の魔物だった。 だが鋼牙は、こうしてここにいる。数体の魔女を屠り、今も生きている。 となれば無論、只人ではない。 《魔戒騎士》。 闇の世界に生き、魔獣ホラーを狩る剣士。魔法少女以上に、宵闇に深く身を沈めている。 もっとも鋼牙の場合、魔法少女なる存在がいると聞いただけで、直接会ったことはない。 しかし、ホラーとも異なる怪物を目の当たりにしては信じざるを得なかった。 『で? どうするんだ?』 「どうもしない。俺は俺の使命を果たすまでだ」 『言うと思ったぜ。じゃ報告だ。この街にもホラーは既に潜んでいる。複数……はっきりとはわからないが、かなりの数だ』 魔獣、ホラー。 魔女よりも凶暴で醜悪な、魔界より来たる獣。人の肉も魂までも喰らう悪食。 人の天敵。 万物に存在する闇、即ち《陰我》に寄生――人の欲望や怒り、憎しみ、果ては愛情にまで付け込む。 時には想いの込められた物も憑依の対象になる。 「既に人に憑依しているホラーが複数、という意味か?」 『さぁな。俺は気配を感知するだけだ。何せ、街に入る前から不穏な気配はぷんぷんしていやがる。 どうやら、この街は格別に陰我が濃い。おまけにホラー以外のものまで混じって、ろくに鼻が利かないと来た。 皮肉なもんだぜ、見た目はこんなにも綺麗好きなのにな』 ザルバの言う通り、この見滝原の街はどこも整備され、真っ白で小奇麗な街並みを誇っている。 だが、中身は他の街と大差ない。暮らしているのは同じ人間。 嫉妬、不安、誰もが心の内に闇を抱えている。故に、どんな街もホラーの餌場であり隠れ家となり得る。 「素体ホラーが何体も現れていれば、とっくに番犬所が察知しているはずだ。奴らに、いつまでも隠れて人を喰らうだけの知恵はない」 『どうかな。気配を断って隠れる場所なら、いくらでもある。結界がそこかしこにあるようだしな。 これほどうってつけの街はそうそうない。しかしなんでまた、この街はこんなにも混沌としている?」 ザルバの疑問に鋼牙は答えを持たない。 魔女とホラーの共通点の一つに結界がある。魔女は必ず、ホラーは時折、結界を張る。 こうなると捜索は容易ではない。ザルバの力に頼るにしても、近付いて目視しなければ判然としない場合も多い。 となれば、結局は足が頼み。 幸い、時刻は朝。魔女もホラーも活発に動けない。訪れたばかりの街を散策する時間は十分にある。 『一つ、確実に言えるのは――鋼牙、敵はホラーだけじゃないぜ? もう一度聞く、どうするんだ?』 「まずは街を見て回る。エレメントがあれば浄化していく。その過程で得られる手掛かりもあるだろう」 『あの二人は放っておいていいのか?』 「制服は覚えた。曖昧なものなら、まずは様子を見る。この街にも魔法少女はいるだろう。探すなら、そっちが先だ」 『フフフ……ま、どうせお前のことだ。このまま知らない振りで立ち去るとは、俺様も思ってなかったがな』 最初から答えのわかり切った質問だった。こう答えることもザルバなら百も承知だろう。 これは確認ではなく彼なりの鼓舞であり、彼の好きな軽口だった。 『しかし残念だったな、鋼牙。ようやく指令を終えて帰れるところだったってのに。 使徒ホラー殲滅の次は、偶然に立ち寄った奇怪な街の謎解きとホラー退治か。難儀なもんだ』 面倒臭そうにザルバがぼやく。 鋼牙はここ数ヶ月、番犬所からの指令を受けて日本中を飛び回っていた。 つい先日その指令を完遂し、我が家に戻る途中、ふと立ち寄ったのがこの街。 番犬所とは、鋼牙のようなホラーを狩る魔戒騎士を束ねる協会であり、その指令は絶対。 指令に逆らえば厳しい罰が待っている。 だが、誰に言われなくとも、元より人を喰らう存在を許す気はない。それがホラーであろうと、なかろうと。 「それと、魔女も見つければ狩っていく」 自身の信念の下、鋼牙は街に留まる決意を固めた。 「やれやれ……仕事でもないってのに。また厄介事に首を突っ込む気か? 鋼牙」 呆れ声のザルバに、鋼牙は答えなかった。必要がなかったからだ。言葉にしなくても、相棒は誰より知っている。 冴島鋼牙とは、そんな頑固で不器用な生き方しかできない男。 誓いと己が正義を決して曲げず、愚直に貫く男だ。 守りし者となれ。そして強くなれ。 片時も忘れず、胸に秘めている父の言葉。 人に仇なす敵を打ち倒し、人を守るという約束。 人には守る価値がある。たとえそれが強欲故にホラーに取り憑かれるような人間であっても。 この世に喰わせてもいい命など、一欠片たりともありはしない。 だからザルバも軽口で応じる。それが、彼らなりの絆のあり方だった。 「いや、違うな。厄介事がお前を呼んでるのさ。 来るなら来てみろ、ってな。これは無敵の黄金騎士様の宿命か?』 「同じことだろう」 『違いない』 鋼牙はザルバの応答に初めて苦笑すると、数秒程度の、しかも立ったままの休憩から歩きだした。 己が無敵だなどと豪語するつもりは毛頭ない。だが自負はある。誰にも負けないという自負が。 それだけの修業を積み、修羅場を潜ってきた。驕りと誇りは別物だ。 打ちのめされる度に二度と揺るがぬよう成長した心。 二十年以上の歳月を費やし、実戦の中で研鑚した技。 ある日を除けば、一日たりとも休まず鍛え抜いた体。 それらは決して裏切ることはない。確固たる自信と経験として鋼牙に宿っている。 鋼牙には強くあらねばならない理由があった。敗北が許されない理由があった。 魔戒騎士の系譜は長く、黄金騎士だけでも幾十に亘る先達が、過去すべての騎士を含めれば数百人にも上る。 ホラーとの戦いの中で斃れていった者。後継者を育て天寿を全うした者。不幸にも魔道に堕ちた同胞に命を奪われた者。 最期は様々だが、鋼牙は彼らの名を穢さぬよう、英霊の魂に報いるよう、最強でなければならなかった。 騎士の頂点に立つ称号を得た者として。 だからこそ鋼牙は戦う。強いからこそ、強者は矢面に立って人を守らねばならない。 闇より来る魔獣から人々を守護する最後の盾であり、最初の剣であれ。 それこそが魔戒騎士の矜持であり、責任であり、宿命。 冴島鋼牙。 亡き父から、黄金の剣と黄金の意志を受け継いだ男。 そして厳しい修行の末、黄金の鎧の召喚を許された男。 鋼牙に与えられた、もう一つの名。 光の世界に背を向け、戦いを日常とし、平穏を捨てた対価に得たもの。 それは闇に光を、絶望に希望をもたらす魔戒騎士中、最高位の称号。 即ち、最強の証。 その名は――。 BACK 牙狼―GARO―魔法少女篇 1 Next 牙狼―GARO―魔法少女篇 3 目次に戻る
https://w.atwiki.jp/o-arai/
このページはVS.システムを取り扱っています。
https://w.atwiki.jp/kitakoutarou/pages/102.html
やがて直立の姿勢に戻るガロ。精神を集中させて鎧を送還する。 鋼牙から黄金の鎧が上に抜けると同時に掻き消えた。 装着を解除した鋼牙は、ふっと短く息を吐く。 『今回は中々の綱渡りだったな』 「いつものことだ」 軽口を叩くザルバをあしらう。 ザルバに答えた通り、この程度の危機、いつもとは行かないまでもよくあること。 いつ何時、どんな形で死ぬかわからない。 その為、戦っている時はいつだって全力だ。 結果として楽勝だったとしても、常に死と隣り合わせという意味では日々が綱渡り。 特に今回は鎧に大きく助けられた。 魔戒剣も黄金の鎧も、ソウルメタルという金属で造られている。 ソウルメタル。 持つ者の心の在りようで重量を変える特殊金属。 主である鋼牙には羽根の如き軽さであり、防御力と機動力を同時に得られる魔法のような材質だ。 その分、扱えない人間には途轍もない超重量となるのだが。 身体の具合は問題ない。 肋骨が痛むが、折れてはいない。一晩休めば痛みも治まるだろう。 ホラーの浄化という目的は果たした。だが、まだやるべきことが残っている。 鋼牙はコートを翻し、フロアの隅に倒れている少女に駆け寄った。 鋼牙が動くと、ほむらもハッとなって駆け出し、訳も分からずまどかが続く。 更に白い小動物も、まどかの足下を掠めて抜き去った。 「マミさん!!」 まどかの上擦った、悲痛な叫びが響く。 無理もない。彼女の視線の先にあるものは、倒れた巴マミと床に広がる血溜まりだった。 状況を理解していた鋼牙とほむらは取り乱さず、いち早く駆け寄って抱き起こした。 「おい! しっかりしろ!」 『まずいぜ、彼女はもう……』 「っ……」 「そんなぁ……」 手遅れだ。 ザルバが皆まで言わずとも、続く言葉は誰もが理解している。 鋼牙は眉間にしわを寄せて渋面を表し、ほむらは唇を噛む。まどかは膝をついて泣き崩れてしまった。 マミの症状は、それほど深刻だった。 顔面は蒼白。呼吸は微弱。脱力した身体を揺さ振り呼び掛けても、目蓋を微かに震わせるだけ。 槍で貫かれたままの太股は今も出血が続いており、心なしか出血は増しているようにも見えた。 どの道、彼女が既に致死量に近い血液を体外に出しているのは確かだろう。 魔戒法師なら術者によっては治癒の術も使えようが、戦闘に特化した騎士である鋼牙には扱えない。 修行の過程で人体の仕組みは熟知している。多少の医学知識も習得しているので、一般的な応急処置ならできるのだが。 逆に言えば、その程度しかできない。 なまじ知識があるからこそ、わかってしまう。人の世界の摂理では彼女は助けられない。 応急処置と言っても、現状では止血が精々。 ここが設備の整った病院で、今すぐ手術に入ったとしても助かるかどうか。 「マミさんは私たちを逃がそうとして、こんな……お願いです! マミさんを助けて……!」 涙ながらに胸に縋りつくまどかに、鋼牙は答えられなかった。 ほむらと共に、沈痛な面持ちでまどかの慟哭を受け止めるしかできない。 こんな時、つくづく自分の力足らずを痛感する。 無敵の黄金騎士。 牙狼の称号。 どんな称号も栄誉も無意味だ。どれだけ力を付けようと、命は零れ落ちていく。この手をすり抜けていく。 目の前で命が奪われることは防げても、消えゆく命を救うことはできない。 もう、手の打ちようがない。 まどかが悲嘆に、二人が途方に暮れているところに、 『方法はあるよ』 と、キュゥべえが声を上げた。 この状況で何を言うつもりか。ほむらは瞬時に察しが付いた。 「まどか。君が僕と契約して魔法少女になってくれれば、マミの命は救えるよ。それだけじゃない。 どんな運命も、不条理だって覆せる。どんな不幸も撥ね除けられるんだ』 「こんな時にまで……!」 『こんな時だからこそさ。まどか、決めるのは君だよ。 僕にできるのは、その方法を提示し、君が望むなら実行するまでだ』 またしても、キュゥべえは的確なタイミングで誘惑を仕掛けてくる。 どうする。撃つべきか? だが、ここで撃ったとして鋼牙を敵に回すかもしれない。 結果的にまどかの気持ちがキュゥべえに傾くかもしれない。 確かなことは、そんな小競り合いをしている間にマミは確実に死ぬ。 ――私は巴マミの命よりも、まどかを優先する。これは変わらない。 でも、切り捨てずに済むのなら助けたい。死なせたくないと思う。 私も、彼のように……―― 『でも、あまり時間はないよ。マミの命はもう消えかけている。救えるのは君だけだ。 もっとも、君なら死者の蘇生も容易いだろうけどね』 「私は……」 まどかは暫し逡巡していたが、時間の猶予がないというのが効いたのか、躊躇いがちに頷く―― 「うん……。わかっ――」 「待って! まだ彼女は生きている。彼女は治療の魔法が使えたはず。呼び掛ければ、まだ間に合うかもしれないわ」 直前で、ほむらは制止した。 完全な思いつき。マミの意識はとうに混濁している。成功確率も、そもそも可能かどうかも度外視の提案。 それでも賭けるしかない。 まどかとマミ。双方を生かす為に。 しかし、ほむらの提案をキュゥべえはきっぱりと否定する。 『無理だね。彼女のソウルジェムを見てみなよ』 「――ぁっ……!」 ほむらは髪飾りのソウルジェムを取り上げてみる。 黄色かったはずのジェムは九割以上が黒く染まっており、小指の先程度の面積が弱々しく光っていた。 魔力の消費過多。或いは、心的要因か。どちらもだが、おそらくは後者が強い。 魔法を使えば使うほど、ソウルジェムは黒く濁る。こんな状態では、とても治癒魔法は使わせられない。 そんなことをしてジェムが黒く染まりきっては、すべてが台無しだ。 『グリーフシードがあれば可能かもしれないけどね。君はグリーフシードを持っているのかい?』 「私は……今はグリーフシードの持ち合わせがないわ……」 グリーフシードがあればソウルジェムが浄化でき、魔力が回復する。 魔法少女には必須のアイテムなのだが、ほむらは持っていなかった。 やはり、もうどうにもならないのだろうか。 昏い心持ちで、ほむらは瀕死のマミを見下ろした。 ふと、ほむらは妙に思った。 マミとホラーの戦闘がどれほど激しかったのか、正確には知らないが、フロアの惨状を見れば大凡の察しはつく。 マミが槍を受けた際の傷の様子も鮮明に覚えている。あの時点で、既に彼女は多量の出血をしていたはずなのに。 少ないのだ。 彼女の衣服に付いた血や、床にできた血溜まりを見ても、絶対に出血量が少ない。 傷を押して、これだけの激しい戦闘を繰り広げたにも関わらず。 大腿動脈が貫かれた状態で、痛覚を緩和した身体を酷使して、この程度で済むだろうか。 あの時のマミの心理状態を予想するに、治療に専念するとは思えない。 治療していないことは、最初の太股と肩の傷以外に目立った怪我がないことからも明らか。 もっとも、戦闘の詳細が不明では断言はできないし、いくらでもイレギュラーは起こり得るのだが。 もう一度、今度は手中のソウルジェムに目を落とす。 ジェムが発する光は弱い。けれど、闇に染まるまいと懸命に抗っている。 私はまだ生きていると、伝える為に明滅している。まるで心臓の鼓動のよう。 そうか、と唐突に理解した。 ――魔力はすべて戦闘に回していたようだけど、出血を抑え、最低限の生命維持に必要な魔力は無意識に使っていたのね……。 命を捨てて戦っていた彼女が抑え込んでいた僅かな未練……なのだろうか。 最後まで、一秒でも長く戦う為のものかもしれない。実際、それもあるだろう。 けど、私にはこうも思えた。 彼女は生きたいのだ、と。格好つけて使命に殉じるよりも、生きてまだまだやりたいことがある。 何を好き好んで、こんな場所で死にたいものか。 上辺を取り繕って。 自分の心まで誤魔化して。 そうやって綺麗に生きようとする巴マミ。 本人も気付かなかった本当の望みを、ジェムは正直に語っている。 彼女のソウルジェムは、まだ死を受け入れていない。 ……そうだ、私はきっと信じたくないのだと思う。 魔法少女の未来が、戦いの果ての死か、死よりも恐ろしい末路の二択しか用意されてないなんて。 もっと、人並みの幸せがあってもいいはずだと信じたいのかも。 ……なんて。 馬鹿馬鹿しい。私らしくもない―― もう救えないのだ。まどかを契約させられない以上、マミには死んでもらうしかない。 結局は"今回も"切り捨てる他ないのだ。 自嘲しつつ、ほむらが残酷な命の取捨選択をしようとした瞬間。 置いてけぼりにされていた鋼牙が横から口を挿み、 「グリーフシードとやらはこれのことか?」 差し出したのは、禍々しい気配を放つ黒い宝石。 グリーフシード。直訳すると、悲しみ、嘆きの種。 ほむらはよろめきそうになった。 なんて間の悪い男だ。どうやら彼とは、とことん相性が悪いらしい。 これで何度目だろう。諦めそうになった時に限って、彼は決まって横から希望を示してくる。 ほむらの胸に、沸々と苛立ちの感情が湧き起こる。 と同時に、一抹の希望と期待が芽生えるのも感じていた。 「貸して!」 ほむらは鋼牙の手からグリーフシードをもぎ取ると、すぐさまマミのソウルジェムと重ねる。 するとソウルジェムから黒い穢れが浮き、グリーフシードに吸着され、ソウルジェムが元の輝きを取り戻した。 「これがあれば助かるのか?」 マミの頭上で額を突き合わせた姿勢で、鋼牙が尋ねる。 元々は魔女を狩った際に落ちていた物を、ザルバが残留思念と魔力を感じると言うので拾っておいた。 話の内容は理解できなかったが、名前とグリーフシードから受ける印象、 それと魔女、魔法少女に関連した物ということで差し出したのだが正解だったようだ。 「……理論上は」 『理論上は、だと? どういう意味だ?』 「彼女が死んだと自覚しなければ、まだ望みはあるわ。肉体は損傷しても、ギリギリまで持たせられる。 後は彼女に生きたいという強い意志があれば……」 鋼牙とザルバに見向きもせず、マミを睨んだまま答える。 さて、ここからどうするか。 それが思案の為所だった。あまり時間はないが、慎重にならざるを得ない。 『マミは自分で覚悟を決めて死を選択したんだろう? 目的が果たされた今、 苦痛に喘ぎ、足掻いてでも生きようとする意志があるのかな』 自信あり気に問うてくるキュゥべえ。 こいつは最悪のタイミングで巧妙に契約を迫ってくるが、そのくせ人間を何もわかっていない。 今なら自信を持って言える。 「あるわ。絶対にある」 隠しているだけ。 押し込めているだけ。 ソウルジェムが黒く染まっていなかったのは、彼女が一片の希望を抱いている証拠。 自分がまどかを連れて逃げた後、何があったかは想像に難くない。 マミは死を覚悟して残った。二人を逃がす為に。ならば、死=絶望にはならない。 マミは敗北し、美樹さやかが残った。マミが生きているということは、ホラーはさやかを嬲り、マミの絶望を煽ろうとした。 ――そうまでされて、どうして彼女のソウルジェムは抗っていられるのか。 決まっている。 彼に、闇を切り裂く黄金の騎士に希望を見出したから。 私にはわかる。何故なら、遺憾ながら私も同じだからだ。 こんなもの、想像の域を出ない。人の心なんて、そう簡単に読めるものではないから。 でも、本当は彼女も思っているはず。 こんな暗黒の世界で、人生に満足したと思い込んで、自分を慰めながら孤独に死ぬなんて御免だと―― 自分でも不思議だった。 どういう訳か、今回は知らず知らずマミに同情的になっている。 これまで、こんなにも彼女に固執したことがあっただろうか。 これまで何度もマミの死を見てきたが、自分から能動的に手を伸ばせば救えた例はなかった気がする。 思い返せば、マミには恩もあったし、好意もあった。けれど、激動の中で傷つけられることもあった。 次第に優先順位を決めるようになり、視野を狭めていく内に忘れていった。 今、マミを救えるのは自分しかいない。そして、マミを救うことと、まどかを守るという大前提は相反しない。 むしろ必要なこと。だから、自分はマミを救ってもいいのだ。 そう考えると、ふっと胸の痞えが取れた気がした。 幾分か気持ちが軽くなり、最初にマミに抱いていた憧れを思い出す。 屈折した自己犠牲の精神で、本心では無理をしているとしても。 キュゥべえを友達と信じ、彼の言葉を鵜呑みにして、踊らされているだけだとしても。 見ず知らずの人間を守る為に命を捨てられる。その行為、崇高な志は敬意を表するに値する。 自分には絶対にできないことだ。 『まどか。君はいいのかい? こんな不確かな方法に賭けても』 ほむらを揺さ振って無意味だと判断したのか、キュゥべえはまどかに向いた。 突然話を振られ、会話についていけないまどかは困惑するばかり。 仕方がないので、再び釘を刺す。 「まどかなら死者の蘇生も容易いと言ったのはあなたよ。なら失敗してからでも遅くない。黙って見てなさい」 今度こそキュゥべえが黙ったのを確認し、まどかにも。 『言った通りよ。余計な手出しは考えないで、あなたは巴マミを信じていればいい。 祈る以外に、できることなんてないのだから。 それと、ここからは見ない方がいいわ」 私を信じろ、とは口が裂けても言えない。そんな資格はない。 横で、まどかが悲しそうに目を伏せる。胸にチクリと刺すような痛みを覚えた。 でも、今は振り向かない。見るべきはマミ。 深呼吸。 おもむろに右手を振り上げ――。 パシィィン! と、乾いた音が響く。ほむらがマミの頬を張った。 一拍置いて、マミの耳元で呼び掛ける。 「聞いて。これから太股に刺さった槍を抜くわ。ソウルジェムは浄化した。 死にたくなかったら、治癒魔法を使って止血しなさい」 「え……あ……」 閉じられたマミの目蓋がピクリと動いた。弱々しく、曖昧な様子でマミが返す。 良かった。意識は朦朧としているが、失われてはいない。それで十分。 ごくりと唾を飲んで、いよいよマミの右太股を貫く槍の穂に手を掛けた。 「ふっ……!」 ぐっと力を込めて引き抜こうとした瞬間。 「っああああああああああ――!!」 マミの口から絶叫が迸った。 背を限界まで反らせてブリッジを作り、ビクンビクン!! と、陸に上げられた魚みたく跳ね回る。 目はカッと大きく見開かれるが、焦点はどこにも合わされていない。 痛覚が緩和、ないし無効化されていないのだろう。 一瞬どうすべきか迷うが、今さら止められない。始めてしまった以上はやるしかない。 これで意識が覚醒するなら、いっそ好都合。 なのだが、 「くっ……」 ――思ったよりきつい……! それにさっきから、ぬるぬる手が滑る……! 私が緊張している? いいえ、違う。 これは汗じゃなく―― 血だ。 槍を根元まで濡らしているマミの深紅の血が、ほむらの手を真赤に染めている。 裏股(もも)まで貫通している槍の持ち手は短く、十分な力が込められない。 マミが暴れるせいも相まって、時間だけが空しく過ぎていく。 ――落ち着いて……でも、急がないと彼女が…… わかっていても、気ばかり急いてしまう。 歯を食い縛っているのに漏れてくるマミの悲鳴。 覚醒しているにも関わらず喘いでいるのは、緩和できる許容量を超えている為か。 多少は緩和されているのだろうが、今のマミはとても魔法に集中できる状態にない。 こちらの冷静さまで削り取られそうだ。 緊張しているのも確かだった。一刻を争う無力な命を手の内に握っている。 改めて、その重みを意識する。 血塗れの手を衣装で拭い、もう一度ほむらが穂を握り締めた時だった。 その小さな手に、大きくがっしりとした手が重なった。 黒い袖口と白い袖口が触れ合い、共に朱に染まっていく。 ほむらが驚いて見上げると、揺れる視線が鋭い視線に捕らえられる。 鋼牙が無言で頷くと同時に、重なる手が強く、固く握られた。 力を逃がさないように。 決して外れないように。 ほむらも瞬時に意図を理解する。そこに一切の言葉は要らなかった。 鋼牙はまどかを一瞥して、 「足を押さえろ!」 「は、はい!」 と、まどかが急いでマミの足に飛び付く。 戸惑いながらも、役割を与えられたことに意気込んでいるようで迷いは見られない。 もがくマミの右足を必死で押さえている。 額を汗が伝うのを感じる。 熱い。 自分の熱と、鋼牙の手の熱と、マミの血の熱が混じり合って。 握った槍が焼け付くように熱い。灼熱のマグマかと錯覚するほどに。 ほむらからも鋼牙に視線を送り、今度こそと頷き返す。 そして。 二人で握った槍を、渾身の力で、かつ慎重に。 引き抜く。 「ぅああああああああああっっっっ!!」 どこにこんな力が残っていたのか、残るすべての体力を振り絞るような叫喚。 麻酔もなく、緩和されているとはいえ痛みは相当なものだろう。 その痛みは想像するしかできない。 かと思っていたのだ、が。 片膝をついていたほむらの左足首が突如、がしっと鷲掴みに握られる。いや、潰される。 ギリギリと締め付ける力。万力のようなとは、まさにこれ。 足首から先が痺れ、血流が止まるのを感じる。 「あっ……ぐっ……!」 ほむらの口から苦悶の呻きが漏れる。痛みこそ鈍いが、骨をも砕くのではないかと思えた。 その凄まじい握力に振り向くが、襲撃者の正体は確かめるまでもなく察しが付いていた。 ホラーのような想定外の敵が、前触れもなくいきなり現れるなんて、そうそうありはしない。 往々にして、そこにいるべき者が可能なことをしているだけ。 ほむらの足首に手が届き、それだけの力を持つのは彼女一人だった。 「はぁっ……くっ、ぐぅぅぅぅぅぅぅ!!」 歯を食い縛り、固く身を閉じ、かぶりを振るマミ。彼女の右手が足首を掴んでいた。 害意はない。無我夢中で掴む物を探して、たまたま探り当てた物を掴んだ。 それだけのこと。 魔法少女の全力で足首を握り潰される激痛がほむらを苛む。 だが振り解きはしない。そんな暇はない。 それに、これはマミの痛みなのだ。この身に刻まれる痛みを通して、 彼女の想いが、必死が、少しでも伝わるような。 そんな気がした。気がしただけだが。 「大丈夫か?」 鋼牙の問いに顔を上げると、マミの左手は彼のコートの裾も引っ張っていた。 こちらは足首で、向こうはコートの裾なんて不公平。 などと思わないでもなかったが、まあいい。口を開けば不満より痛苦の声が飛び出そうだ。 ほむらは視線で答えると、注意を戻した。 「抜くわよ……!」 メリメリと肉を掻き分けながら、次第に貫通していた槍が持ち上がり――。 「はぁぁぅっ!?」 ついに抜ける。 マミは上擦った声を上げて大きく跳ねた後、糸が切れたように弛緩した。 ほむらの頬には飛散した血が赤い点を残すが、気にしてはいられない。 まず、真赤に染まった手握られた槍を観察する。 間近で見ると刃は分厚く、結構な太さだ。これが骨を砕き、動脈を貫いた。 こんな代物が刺さった状態で激しく動けるのは魔法少女だからこそ。 そのせいで命を危険に晒している訳だが、最後の一線で踏み止まっていられるのもまた、 魔法少女である証左。 では刺さっていた場所はどうか。ほむらは傷口に目を移す。 未だ滾々と溢れ出る血。栓がなくなった分、勢いは増している。 「うっ……」 と声がしたと思うと、まどかが口を押さえて顔を背けた。目尻には涙の粒を浮かべている。 だから見るなと言ったのに。 と呆れるが、かくいうほむらも、慣れているとはいえ知人の痛々しい姿には若干の抵抗があった。 抜く際にまどかも見ただろう。割れた肉の間から覗く白い骨、黄色い脂肪、ピンク色の筋肉、 その他諸々がグチャグチャに掻き回され、何もかも深紅に塗り潰され、ぬらぬらと光っている様を。 生々しい光景に、まどかが顔を背けるのも頷けた。 まどかは顔をマミから逸らしたまま、おずおずとほむらを見る。 「マミさん……大丈夫なの?」 まどかの問いに、ほむらは答えない。答えを持っていなかったし、答える価値のある質問でもない。 すべては彼女次第。 しかしマミの右手は今も足首を締め付けており、彼女が意識を保ち、痛みに耐えているのは確か。 そうこうする内、次第に変化が見られた。 「何だ、これは……」 驚きの声を発したのは鋼牙。 当然の反応だ。ほむらが清潔なハンカチで傷口の血を拭うと、出血は止まっていた。血管が塞がっていたのだ。 神経が繋がり、砕けた骨の欠片が折れた骨に同化し、大腿骨が両端から伸びて継ぎ目もなく再生する。 その間も、マミは断続的な激痛に喘ぎ続けているようだった。 「はぁ……はぁ……うぅっ! っあぁっ! はぁ……」 魔法の使用は多分に感覚に因るものであり、理屈で説明するのは難しい。 ましてほむらは治癒魔法なんて使えないのだから、感覚を理解するなんて無理な話だ。 考えられるとすれば、痛覚の緩和と同時には使えない、使う余裕がない。意図的に魔力を節約している。 もしくは治癒――というよりも、最早、修理に近い行為に際し、 神経や毛細血管の一本一本にまで感覚を張り巡らせる必要があるという可能性。 だとすれば、痛みを消してしまっては精密な肉体操作ができないのかもしれない。 勝手な推測に過ぎないが。 苦しむマミを傍で見ながら、ほむらは考えていた。 ――巴マミは生きている。 涙、涎、鼻水。顔面を様々な液体で汚しながら。 苦痛にのたうち回りながらも、彼女は懸命に生きようとしている。 そうまでして治癒を続けるのは、彼女自身も生きたいと願う意志があるからだろう。 ……その先に何が待ち受けているかも知らず。 唐突に不安に駆られる。後悔と言ってもいい。 本当に……これでよかったの? 安らかで潔い死。 苦痛に満ちた不様な生。 どちらが彼女にとって幸せだったのだろうか。 いっそ、ここで死んでいた方がましと思えるほどの苛酷な現実が待ち受けているかもしれない。 いや、きっとそうなるだろう。私は、それを知っている。 仮初だとしても満足して死ねるのなら、それはそれで幸せだったのかもしれない。 それを私が苦痛を与えて、無理やり引っ張り戻してしまった。 果たして私のやったことは、正しかったのだろうか。 私の行為こそ自己満足であり、偽善に過ぎないのではないか。 ……らしくないことをしてしまった―― * 暫くして太股の割れ目が閉じ、最後にはスゥと皮膚が張って、少女の艶めかしく白い肌が戻った。 元通り、傷跡すら残っていなかった。 奇跡の生還。 普通ならば諸手を挙げて喜ぶべき場面。 しかし、だ。見せつけられたのは、本物の奇跡と呼べる現象。 瞠目する鋼牙の前で、目を開いたマミが身を起こす。 「う……ん。ふぅ……終わったわね……」 立ち上がると同時にふらつくマミを、まどかが支える。 「マミさん! まだ休んでいた方が……」 『無理をしない方がいいよ、マミ。今の君は血が絶対的に不足している。常人なら、とっくに生命維持に支障をきたしてる量だ』 続くキュゥべえの言葉で驚愕は更に加速する。 瀕死――どう考えても手遅れだった人間が、一命を取り留めた上に、数分で傷を完治させ、立って歩いた。 そもそも、とっくにショック死していてもおかしくない出血量だったのだが。 ――彼女は……本当に人間なのか? 日頃から異常の中に身を置く鋼牙をしても、度肝を抜かれる光景だった。 魔法。 便利な言葉だが、果たして、その一言で片づけていいものだろうか。 魔法少女――どうやら彼女たちには大きな秘密があるようだ。 そう睨んでいるのは相棒である魔導輪も同じだったようで、 『どう思う、鋼牙』 「さあな。今のところ確証はない。お前は?」 『大体は……たぶんお前と同じだろうぜ。ま、詳しくは、あの白いのと黒い女が知っているみたいだ。しかし――』 不意にザルバが言葉を切った。 闇の中を何者かが這い寄ってくる気配。ズリ、ズリ、と床を擦る音が追い付いてくる。 鋼牙はほむら共々、瞬時に身構えるが、 「さっき凄い悲鳴が……マミさん……まどかぁ……」 すぐに警戒を解いた。 不安げな、今にも泣き出しそうな声。ずっと置き去りにされていた美樹さやかだった。 全員がマミの救命に必死で、それどころではなかったのだが、さやかはそれを知らない。 マミは姿を見せず、白い剣士も走って行ってしまった。暗闇と静寂が戻り、また独りぼっち。 何秒かして、まどかとマミらしき悲鳴が聞こえた。 近くにいるはずなのに、誰も見てくれない。探してくれない。 ずっとこのまま忘れられるのかと思うと、取り残されるのが堪らなく怖かった。 今度こそ、何が起こっているのか確かめずにいられない。 たとえ恐ろしいことだとしても、見て見ぬ振りはできない。その為に傷付いた身体で這ってきたのだった。 「さやかちゃん!」 「まどか!」 姿が見えるや否や、まどかが真っ先に走り寄って、さやかの表情もパァッと和らぐ。 お互いに生き残ったことを喜び、両目から涙を溢れさせ、いざ感動の抱擁――とはいかなかった。 手を伸ばす直前、さやかの脳裏に忘れかけていた疑念が蘇り、 まどかとほむらが手を繋いで逃げる光景がフラッシュバックする。 何もかも思いだした。 あの時、突きつけられた絶望。 ――もしかして、まどかはあたしを見捨てて逃げたんじゃ……。 あり得ないと信じたい、本心では信じているのに、理性がそれを許さない。 まどかは裏切った。親友だと思っていたのに。 途端に、彼女の笑顔も温かい手も、すべてが偽りに思えて。 パシッと――まどかの手を振り払っていた。 「あっ……」 と、言ったのはどっちだったろう。気付いた時にはもう遅かった。 血の気が引き、青褪めていくのを自覚する。 これは違う。 そう喉まで出かかったが、振り払ってしまった以上は言い訳もできず、 「……~~っ!」 さやかは苦虫を噛み潰したような顔で押し黙るしかなかった。 手を叩かれたまどかは一瞬さやかと同じ表情を浮かべたが、 「あ……ごめん。さやかちゃん……怪我してるもんね。ごめんね……」 ぎこちない作り笑顔で言ったきり俯いてしまった。 見ていたほむらもマミも言葉を発することができず、重苦しい沈黙が支配する。 ほむらは原因が自分にあると勘付いたが、ここで釈明すれば、 自分がまどかに執着する理由も話さなければならない。なるべくなら避けたかった。 マミも詳しい事情を知らず、口を挿めないでいた。 ほむらがまどかだけを逃がしたからだろうと察してはいたが、 だからと言って何を言える訳でもない。 部外者であり、飛び入りの鋼牙は尚更である。 わかっているのは、まどかとさやかの間で、何らかの確執があったことだけ。 少し離れた位置から少女たちを眺めていると、左手のザルバがカタカタ顎を鳴らした。 『陰我とは、これ即ち因果。だが、こっちは流石のお前も手に負えるものじゃないか』 「因果……か」 少女たちの視線を観察すると、ザルバの言葉の意味が実感できる。 さやかの視線は気まずそうにまどかに向き、まどかは切なげにさやかを見ている。 マミがほむらを見る目には、警戒と困惑、二種の感情が込められているように思う。 ほむらの鋭い眼光は、いつの間にか鋼牙を見据えていた。 『やれやれ……人間同士を結ぶ因果ってのは面倒だな。 切っても切れず、迂闊に切っていいもんでもない。そうだろう?』 視線は複雑な感情を秘めて絡み合っている。 だが、鋼牙にはその視線の意味が、彼女らを結んでいる因果の糸が見えてこない。 この心境をどう説明したらいいものか。 そこへいくと、ザルバの言葉は実に的確だった。 「ああ……まったくだ」 そして最も面倒なのは、その因果の絡まりに既に自分も編み込まれていること。 一日の疲労がどっと押し寄せてきて、鋼牙は軽く溜息を吐いた。 ホラーとの戦いよりも、その後の出来事が神経を擦り減らしている。 しかし不可解である。 ホラーと魔女が同じ場所にいた。 互いの使い魔が一緒になって襲ってきた。 この場に、魔法少女と魔戒騎士が居合わせた。 本当に偶然に過ぎないのだろうか。 鋼牙には何者かの作為があるように思えてならなかった。 何者かはわからない。そんな何者かが存在するのか否かも。 因果という言葉の意味を改めて思い知らされる。 今日のすべての出来事に原因があり、この結果が導かれたのだとしたら――。 嫌な予感がする。この街そのものが底なしの泥沼であるかのような、得体の知れない不快感。 とにかく、ホラーを浄化して終わりとは行かないことは確かなようだ。 「とりあえず……美樹さんは怪我をしているのでしょう? 私が治療するわ」 物思いに耽っていると、マミが最初に沈黙を破った。 助けもなしに歩けるようになっているが、さやかの前まで来て崩れそうになり、近くにいたまどかに支えられる。 「無理しないで、マミさん……」 『そうだよ、マミ。さっきも言ったけど、君は最低限身体を動かすのに必要な血液さえ足りていない。 魔力で無理に補っている状態だ。傷は塞がっても魔力は消費され続けているから、他に回す余裕なんてないよ』 「でも……」 「あ、あたしは大丈夫ですから……痛っ!」 あくまで食い下がるマミに、手を振って答えるさやか。 立ち上がろうとして右足に力を込めるが叶わず、痛みにうずくまる。 「さやかちゃん!」 まどかが叫ぶ。 助けたかったが、肩を貸しているマミを放っては行けない。それに、拒絶されたばかりで行っていいのか、 また拒絶されるのではないかと思うと足が動かなかった。 関わってしまったからには見過ごせない、か。 ほむらが動こうとするより早く、鋼牙はさやかの身体を軽々抱き上げる。 「きゃっ――」 突然抱き上げられたさやかは身を固くするが、それが鋼牙だとわかると大人しくなった。 名前も知らない男性。それでも、彼が信用に足る人物だという点は一切疑う余地がない。 故に気恥かしさを感じながらも、素直に従っている。 彼は黄金の騎士。命の恩人であり、真っ暗闇の中で唯一の光、希望そのものだから。 「俺が運ぶ。まずは、ここから出るのが先決だ。話はそれから聞かせてもらおう」 そう言って、鋼牙は三人の少女たちを促す。 この瞬間、魔戒騎士と魔法少女が交錯した。 * その頃。 空に満月が輝く下、夜の街を練り歩く少女が一人。 服装はパーカーにショートパンツ。赤い髪をポニーテールに束ね、口にキャンディを咥えた少女だ。 「見滝原……か」 懐かしさは感じなかった。愛着があったとすれば、それは友であり、帰るべき家であり、家族だ。 しかし、この街にはどれもない。かつてはあったが、今はない。 この街には自分の居場所はない。ならば自力で獲得するのみ。たとえ、誰かから奪い取ることになっても。 それが少女の生き方だった。 「さて、あの黒いのはどこにいるんだか……」 ぼやきながら当座の目的を果たすべく街を歩くのだが、一向に成果はない。 手に赤いソウルジェムを握り、廃ビルに廃工場等、 魔女のいそうな場所をしらみ潰しに当たるのだが、捜しているのは魔女ではない。 残る一人の魔法少女。 佐倉杏子は一人の剣士を捜して街を訪れていた。 そして彼女の捜し求める剣士――涼邑零は、彼女の足下にいた。 そこは滅多に誰も寄り付かない、まして夜となれば踏み入る者は絶無の、地下を流れる下水道。 夜の地下水路は真に暗黒の世界だ。光と闇の割合は10対0。 しかし零の周辺に限っては、その比率は逆転していた。 地下水路には電灯もなく、月の光も街の灯りも差さないというのに。 白い光が降り注ぎ、零は銀色の光を放つ。 例えばその身から。 交差する双剣から。 誰に照らされる必要もない。さながら自ら光り輝く恒星の如く。 今の彼は、厳密には涼邑零ではない。 其の名はゼロ。 銀牙騎士・絶狼。 反りを持つ双つの牙を操る狼。冴島鋼牙と同じく、銀色に輝く鎧を纏う魔戒の騎士。 尖端が釣針のように鉤状の返しがついた双剣が、闇に閃いた瞬間。 魔女は十字に切り裂かれ、断末魔が地下に木霊した。 鎧の召喚を解いた零は、黒い衣装もあってすぐに闇に同化する。 視界は再び暗闇で塗り潰されたが、仕事柄、闇の中で活動する零には然して苦ではない。 悠々と帰路に就く零は、手の中で黒い宝石を遊ばせる。 そこへ語り掛ける女の声。しかし、姿は見えない。 『また手に入れたのね、その宝石』 「ああ。マミちゃんって言ったか……今度、彼女に会った時にでも土産にあげるさ」 『手土産の一つでもないと、彼女は話を聞いてくれそうにないから?』 「ま、それもあるけどな」 手首に付けた魔導具・シルヴァに答える零。 黒い宝石、グリーフシードは魔法少女に必要なアイテムらしい。 どう必要かまでは知らないが、それも含めて調べるのがいいだろう。 その為にも、この街で出会った魔法少女――巴マミ、彼女とはまた会いたい。 いや、会わなければならないだろう。 強さと弱さが危ういバランスで同居している。 それが今日、彼女に感じた第一印象。 まるで昔の誰かを見ているようで、因縁めいたものを感じずにいられなかった。 だが、知らぬ内に因縁を結んだ魔法少女がもう一人、すぐ側まで来ているとは考えもしなかったのだが。 * 街を訪れた二人の男と少女たちは出会い、互いの戦いに巻き込まれていく。 冴島鋼牙。 涼邑零。 共に、闇に潜み人を喰らう魔獣、ホラーを狩る使命を持つ魔戒騎士である。 彼らが邪悪な気配に誘われたのは当然の帰結と言えるだろう。 しかし邪悪な気配はホラーだけのものではなく、魔女と呼ばれる怪物とも融け合い、混じり合い、既に形を成すまでに至っていた。 やがて街を覆う、どす黒く淀んだ闇は、二人の騎士をも呑み込み渦巻いていく。 だが案ずることはない。彼らの鎧と剣は、闇の中でこそ燦然と輝くものなのだから。 魔戒騎士とホラーに関する諸々の伝承と闘いの詩を記した古文書、《魔戒詩篇》の一節に、このような記述がある。 光あるところに、漆黒の闇ありき。 古の時代より、人類は闇を恐れた。 しかし、暗黒を断ち切る騎士の剣によって、人類は希望の光を得たのだ――と。 故に私は、この伝説の語り部として断言しよう。 黄金騎士・牙狼と、銀牙騎士・絶狼。 黄金の狼と双剣の銀狼。 夜の街を駆け抜ける二頭の狼。その軌跡は眩い剣閃となり、少女たちを絡め取る闇を切り裂く。 鎧を纏う二人の騎士。その甲冑は絢爛にして勇壮、下卑た偽りのメッキなどでは断じてない。 一点の曇りもなく、見る者を圧倒し、同時に魅了する真実の輝き。 その輝きが、気高き狼の咆哮が、闇の中を彷徨う魂を導く道標になるのだと。 出会いは偶然か、はたまた運命か。それとも奇跡だったのか。それは今もってわからない。 しかし、これだけは言える。黄金と白銀の騎士はまさしく、私たちにとっての希望の光だったのだと。 私は今も信じている。 * 次回予告(まどか☆マギカver) * マミ「あなたの口から聞かせてほしい。あなたの言うことなら、私……信じるから」 キュゥべえ「わかったよ、マミ。君に本当のことを話そう」 第2話 キュゥべえ「君にその勇気があるのなら」 * 次回予告(牙狼ver) * 魔戒騎士と魔法少女。二つを分ける決定的な違いがわかるか? 答えは戦いの中にのみ存在する 次回! 『牙城』 闇の世界へ、ようこそ―― BACK 牙狼―GARO―魔法少女篇 10 Next 牙狼―GARO―魔法少女篇 12 目次に戻る