約 6,940,695 件
https://w.atwiki.jp/night2ndandante/pages/48.html
かつてアリウスと呼ばれた聖人が残した聖遺物「アリウスの小箱」 謎多きこの聖遺物を巡り、一つの物語が平凡な地方都市で始まろうとしている・・・・・・ Scene1 狂気の少女 朝の日差しがさんさんと差し込む広い廊下を少女は歩いていた。 あどけなさが残る顔つきをしている少女の年のころは、おおよそ15くらいだろうか。肌は雪の様に白く、体は小柄で、線も細い。 常に半分ほどしか開いていない緑色の瞳からは、感情を読み取ることができない。 赤に近いピンク色の髪を腰の辺りまで伸ばしており、1枚の布を全身に巻きつけるインドの伝統的な民族衣装『サリー』に身を包んでいる。 サリーの上半身部分は彼女の髪と同様赤に近いピンク色をしていて、随所に金の煌びやかな刺繍が施されている。 それは大胆に露出した彼女の白くて細い腰周りをいっそう引き立たせた。 少女とすれ違う者は、何故かみな一様に目を伏せる。それはまるで関わることを恐れているかのようだった。 しかし、周囲の反応を気に留める様子も無く、少女は歩みを進めた。 廊下の両脇には白銀に輝く全身鎧が一定間隔で置かれている。 鎧は全て埃一つないほどに磨かれており、その仰々しさをより濃くしている。 真っ白い壁を背に悠然と立ち尽くす鎧たちを横目に、やがて少女は廊下の突き当たりにある大きな木製のドアの前に辿り着いた。 ドアの横には『アモス=グッドスピード』と書かれた金色の表札が取り付けられている。 細く、雪の様に白い手が扉を軽く2回叩く。 少しの間が空いて、中から「どうぞ」と柔和な印象を受ける声が返ってきた。 部屋の主の存在を確認すると、少女は真鍮製のドアノブに手をかけて、ゆっくりと回す。 扉を開けると、広い部屋の奥に1人の男性が立っていた。 その部屋はどうやら執務室のようだった。大きな窓を背にするような形で、部屋の奥に大きめの机と椅子が置かれている。 数々の調度品は高級感を漂わせており、ふと視線を上に飛ばすと、金色に輝くシャンデリアがその出番を今か今かと待ち構えていた。 机の上には無数の書類が散乱しており、それは先程までこの男性が書類と格闘していたことを如実に物語っている。 少女を出迎えた男性は腰に剣帯がついた白を基調とした騎士服に身を包んでいた。 黒の短髪で背は高く、がっしりとした体つきで精悍な顔立ちをしている。 銀のアンダーフレームメガネをくいっと上げ、先ほどと同じ柔和な声で少女に座るよう促した。 「お疲れ様ですアメリア君。そこにかけてください」 そう言ってこの部屋の主--アモスが指したのは、部屋の中央にある茶色でやや光沢がかっているソファだった。 「失礼するわぁ」 やや間延びした声でアメリアと呼ばれた少女は返事をすると ソファのふかふかの質感を確かめるようにゆっくりと腰を下ろし、左手首を煌びやかに彩る3つのブレスレットを弄り始める。 「今回、アメリア君には聖遺物の回収任務を請けていただきます」 黒く細長いテーブルを挟んで、アメリアの向かいに座ったアモスは静かに言った。 アメリアは半開きの目でアモスをちらりと見ると、抑揚の無い声で尋ねる。 「それはどんなものなのかしら」 「かつてアリウスと言う聖人が持っていたとされている聖遺物--その名も『アリウスの小箱』です。今回、それを回収するために君には日本の狭山市に飛んでもらいます」 「アリウスの小箱ねぇ……、何か素敵なおもちゃでも入っているのかしら、ふひひひ」 アメリアはアモスの言葉を聞くと口元を吊り上げて、小さく気味の悪い笑みを浮かべた。 肩を小刻みに震わせているアメリアを他所にアモスはさらに続ける。 「アリウスは500年以上前に生きていたとされている人物です。謎多き聖人アリウスがエミュレイター討伐に用いた武具、あるいは兵器とされています。『小箱』とありますが実際に箱の形をしているかはわかりません。これを探しに行った人間が、例外なく発狂して、うわ言のように『小さい箱』としか言わなくなったことから箱と呼ばれるようになったのです」 「小さい箱、小さい箱、小さい箱、小さい箱! チイサイハコチイサイハコチイサイハコ・・・・・・ク、ク、クケケケケ!」 アモスの話はアメリアの好奇心を刺激するには十分だったのか、アメリアは上を向いて目を見開くと手を叩きながら狂ったように笑い出した。 この見た目に反した半狂人じみた性格から、アメリアの属する『組織』内でもアメリアに近づこうとするものは居ない。 「では、私からもう一つ」 アメリアの気質を理解しているアモスは動じる様子もなく、目の前にいる半狂乱状態の少女を真っ直ぐに見つめると言った。 甲高い笑い声がピタリと止み、半開きの視線がアモスへと再び向けられる。 「君の同僚のネロ・トレヴァーが一か月前にアリウスの小箱回収任務に当たり、現地に向かいましたが一週間ほど前から連絡が取れません。もし彼を見つけたら保護してください」 「もう死んじゃっているかもしれないわねぇ。まあ覚えておくわ」 アメリアは先程と打って変わって声の調子を落とすと、さも興味なさ気に答えた。 どうやら彼女の興味関心は同僚の安否より怪しげな小箱に向けられているようだ。 「現地の方に協力を取り付けています。日本に着いたらまずは『アンダンテ』と言う喫茶店を尋ねてください。地図情報は貴女のO-Phoneに送りましょう」 彼女の心中を察してか、アモスは大きな青い瞳を閉じ、眉根を揉みながら小さくため息をつくとそう言った。 そしてアモスは更に言葉を続ける。 「現地まではこの『テンペスト』を使ってください。これは貴女を見込んでの任務ですが、あのネロが帰還出来ないほどの危険な任務です。くれぐれも、油断しないように」 念を押すようにそう言いながらおもむろに『箒』を取り出した。 それはごくごく普通の竹箒に見えるが、1点だけ一般的な箒との相違点を挙げるならば、それは柄の部分にフットプレートがついている事である。 アメリアはそれを満足そうな表情で受け取り、 「良い物持ってるじゃない。了解したわぁ・・・・・・」 と、言い残すと、嬉々とした表情で立ち上がり、その小さな胸を反らせる。 「失敗が続けば我々『銀十字騎士団』の信用問題にもなります。心して--」 アモスがそこまで言い終えたところで、執務室のドアは閉じられた。 一旦言葉を切ると、アモスは再び小さくため息をつき、書類が散乱している机へと戻り書類との格闘を再開するのであった。 Scene2 探偵の無聊な日々 「ん~・・・・・・掃除も済んだし、ちょっと休憩しようかなぁ。お菓子お菓子~」 時計を見ると、14時を回ったところだった。掃除機を定位置に戻すと、女性は長い栗色の髪を揺らしながら戸棚を物色し始める。 小柄な体に加え、やや垂れ下がった大きな青色の瞳は幼い印象を受けるが、白い半袖ブラウスとビジネス用の黒いスカートを着用している。 ブラウス越しでもはっきりと山なりの形が見て取れるバストはまるで「私は子どもじゃありません!」と、主張しているかのようだ。 室内はお世辞にも広いとは言えないが、整理整頓が行き届いており不思議と圧迫感は感じられない。 部屋の中央に置かれている応接用のソファとテーブルをはじめ、テレビや本棚などの家具・家電製品は埃一つついておらず、ぴかぴかに磨かれている。 彼女は鼻歌混じりにコーヒーを淹れると、戸棚に仕舞われていたクッキーを片手に、部屋の奥にある自分の仕事用デスクへと向かった。 やや大き目の仕事用デスクには白い生地にピンクの花柄のテーブルクロスが掛けられており、その上にノートパソコンと据え置きの電話が置かれているのみ。 座り慣れた赤い椅子に腰を下ろし、クッキーを1枚かじると、不意に普段は鳴る事の無い電話の着信音が響く。 電話のディスプレイには『森川恵美子』と表示されていた。受話器を取ると、聞き覚えのある快活な女性の声が電話口から聞こえてくる。 「もしもしー、伊緒ちゃん?」 「あ、恵美子さん~。どうしたのです?」 「んー、ちょっとねー。どう? 探偵業の方は儲かってる?」 森川の問いに少し上ずった声で伊緒は答える。 「あ、あんまりかな・・・・・・でもこんな時もあるよね!」 この部屋の主、霧咲伊緒は個人で探偵事務所を経営している。 しかし、探偵事務所には毎日閑古鳥が鳴いており、伊緒は事務所の掃除をして無聊を慰める毎日が続いていた。 家具や家電製品がぴかぴかに磨かれているのはそのためで、 仕事用デスクにはいつしかテーブルクロスが掛けられ、食事用テーブルへとその役割を変えてしまった。 壁に掛けられている『今月の予定』と書かれたカレンダータイプのホワイトボードには定休日しか書かれていない。 伊緒の言葉を聞くと恵美子は軽く苦笑して続ける。 「そっかー・・・・・・。伊緒ちゃんには悪いけど、丁度良かったかな」 「えっ?」 「『あっち関係の』仕事を回したいんだけど、いいかしら?」 「『あっち』・・・・・・? あ、ウィザードの事だよね。大丈夫だよ~」 伊緒は小首をかしげて一瞬きょとんとした表情になるが、すぐに承諾の返事をした。 探偵業での収入がほぼゼロに等しい伊緒は、恵美子からウィザードとしての仕事を斡旋してもらい生活していると言うわけだ。 「・・・・・・なんか変なこと考えなかった? まあいいや。詳しいことは直接話すから、お店に来て頂戴」 「うん? 分かったよ。じゃ。また後でね」 恵美子の訝しげな声の意味を伊緒は理解できず、伊緒は再び小首をかしげて電話を切った。 伊緒は机の引き出しから手帳とペンを取り出し、ポケットに仕舞うと水色のカーテンを閉める。 そして事務所のドアに『臨時休業』と書かれた札を下げると、恵美子の経営する喫茶アンダンテへと向かうべく事務所を後にした。 季節は7月の半ば。外に出た瞬間、直射日光と路面からの照り返しから来る強烈な光と熱気に伊緒は思わず顔をしかめた。 ここ狭山市は首都圏から少し外れた郊外に位置するものの、中心街に立ち並ぶビルや人の数は都市部のそれと比較しても何ら遜色はない。 事務所の前に広がる大通りを往来する大型車の黒い排気ガスや、額にうっすらと汗をためた人々の気だるそうな表情が体感温度を上昇させる。 恵美子は伊緒の探偵事務所の近くに『アンダンテ』と言う喫茶店を構えている。 アンダンテは、伊緒の探偵事務所から大通りを北に向かって数分の所にあり、すぐに辿り着いた。 木造平屋建ての店の前には、色とりどりの花や小さ目の樹木が鉢に植えられており、 ビルが立ち並ぶこの通りにおいて、そこだけ切り取られた空間の様に見える。 扉を開けると、客が来た事を知らせるベルが店に響くと同時に、冷房の効いたひんやりとした空気が伊緒の全身を包む。 こげ茶色を基調にしたシックな印象を受ける店内のカウンターに、エプロンと赤い眼鏡をした二十代半ばの女性が立っていた。 女性は伊緒に気付くと、エプロン下のノースリーブシャツから伸びた健康的な白い腕を上げ、えくぼを作ってはにかんだ。 「いらっしゃい。そこワックスかけたばかりだから--」 「恵美子さん、こんにち・・・・・・キャッ?」 カウンターに立っていた女性、恵美子が言い終わる前に、伊緒はワックスがかけられたばかりの床で滑って転倒してしまった。 派手に尻餅をついてしまった伊緒は、瞳に涙を溜めつつお尻をさすっている。 「いたた・・・・・・」 「ちょっと大丈夫? 相変わらずねぇ。伊緒ちゃんももう18なんだからしっかりしなきゃ駄目よ? ・・・・・・それに」 そこまで言うと恵美子は一度言葉を切り、腰に両手を当てて窘めるようにして続ける。 「その白いブラウス、ちょっと無防備過ぎるわよ。下着が透けて胸元からちょっとはみ出してるじゃない、ピンクのレース。悪い虫が寄ってきても知らないわよ?」 「えっ・・・・・・。み、見ないでください!」 そう言って伊緒は自分の胸元に目をやると、顔を真っ赤にしながら両手で胸を抱えるようにして叫んだ。 昼のピークを過ぎて、たまたま店内に他の客が居ないのが救いである。 「ま、次から気をつけることね。とにかく座りなさいな」 「うう・・・・・・」 顔を真っ赤にしたまま、伊緒は促されるままにカウンター席に座った。 カウンターの奥には食器が綺麗に仕舞われている。 グラスを取り出す音がして、伊緒の前にグラスに入ったリンゴジュースが置かれた。 「まあまあ、元気出しなさいよ。それで早速仕事の話なんだけどね、昨日、私の知り合いからちょっと面倒を見てくれってある人を紹介されたのよ探し物があってこの街に来るらしいんだけど、その人を手伝って貰えないかしら?」 「探し物?」 「あ、探し物って言っても、普通の物じゃないわよ。それを狙う魔王やエミュレイターも居るらしいわ」 恵美子の依頼内容を聞くと、伊緒は不安げな表情を浮かべて視線をグラスに落とした。 「え~っと・・・・・・そんな重大そうな仕事を私が引き受けても良いの?」 伊緒の様子を見て、恵美子は子どもを諭すように優しく言う。 「伊緒ちゃんなら大丈夫よ。ここの土地勘とか無いだろうから、しっかり助けてあげてね」 伊緒は小さく唸って何かを考える素振りを見せた後に、顔を上げて言う。 どこか不安そうな面持ちは残っているものの、その瞳は何かを決意したかのように力強いものだった。 「う~ん・・・・・・不安だなぁ。でも、頑張ってみるよ!」 「ありがと。ここに来るウィザードの子、明日の朝にはこっちに着くって言ってたから。そしたらまた事務所に電話するからね」 「うん、分かったよ。それと何かお菓子頼んで良いかな・・・・・・?」 伊緒はテーブルに置かれている写真付きのメニューを眺めておずおずと言った。 「はいはい、一個くらいならサービスするわよ」 すると、伊緒の表情が途端に明るくなり、瞳を爛々と輝かせてメニューの1つを指差した。 「わーい、ありがと~。じゃあ苺のショートケーキで!」 Scene3 風来坊の調査員 深いため息と同時に腰を下ろし、冷たいコーヒーが入った紙コップをテーブルに置くと、男は遥か下を行き交う車や人々に目をやった。 180センチはあろうかと言う長身で、暗い赤色の半袖Yシャツから覗く腕は程よく引き締まっている。 精悍で野生的な顔立ちをしつつ、それでいて表情にどこか飄々としたものを感じさせる不思議な雰囲気を纏っている。 オールバックの茶髪で、紺色のビジネスズボンから出ているYシャツは少々社会人として相応しくない格好だ。 ここは『日本コスモガード連盟-狭山市支部』ビルの展望休憩室。 『コスモガード』とは世界に点在する非営利団体で、世界中の天体をモニタリングして、異変が観測された場合警告を発する。 ・・・・・・と言うのが表向きの存在で、真の姿はその異変とエミュレイターとの関係を調査するためにウィザードを派遣している団体である。 なお、コスモガードに制服は存在せず、服装の自由が認められている。 ふと周りを見渡せば男と同様にビジネススーツを着崩しているものもいれば、私服で憩いのひと時を満喫しているものなど様々だ。 男が漫然と窓の外を眺めていると、不意に後ろから声をかけられる。 「ようアルフ、お疲れさん」 アルフと呼ばれたその長身の男が振り返ると、そこには上司の須藤が立っていた。 痩せ細った体に白衣と黒縁の眼鏡を身に付けている須藤は、アルフとは対照的に随分と頼りない印象を受ける。 「ん、相変わらずしけた面してるじゃないの」 アルフは抑揚を欠いた声でそう返すと、再び視線を窓の外に向ける。 しかし、須藤は柔弱そうな笑みを浮かべると構わずアルフの隣に腰を下ろす。 「言うなよ。お前さんだって大概じゃないか」 「俺は仕事上がりで疲れてるんだよ」 アルフはコスモガードにエミュレイター調査員として勤務している。異変あらば調査のために飛び回るのが常で、解決のために戦闘になることも多い。 そして仕事終わりには必ずこの展望休憩室でコーヒーを飲みながら外を眺めて、自分の労をねぎらうのが日課だ。 「・・・・・・で、折角ひと仕事終えたところで悪いんだが」 先ほどまで人の良さそうな笑みを浮かべていた須藤の口元が釣り上がり、途端に意地の悪い笑みになる。 そんな須藤にアルフは訝しげな表情で尋ねた。 「・・・・・・何だよ?」 「ここ一週間続いている通り魔事件、知ってるだろ?」 「まぁ、な」 ここ狭山市では1週間ほど前から謎の通り魔事件が発生している。 場所や時間を問わず、人通りの少ない場所で襲われることもあれば、繁華街みたいな場所で突然、死亡した状態で見つかるようなこともある。 被害者全員の体には多数の切り傷が確認されているが、奇怪なことに人通りの多い場所で発生しているにも関わらず、誰も犯人の姿を見ていないのだ。 そのため警察の捜査も全くといいほど進んでいない。 「エミュレイターが絡んでいるとしか考えられないんだよ」 「ま、そう考えるのが妥当だろう」 須藤が次に発する言葉の検討はつく。面倒な予感しかしない。アルフは視線をカップに落とすとコーヒーで口を湿らせた。 「そこで、だ。ちょいと巡回のウィザードの人数を増やそうと思ってよ。頼まれてくれないか?」 未だに意地の悪い笑みを浮かべている須藤に対してアルフは視線をカップから外さず、用意していた言葉--いや、単語をボソリと呟く。 「残業代」 「わーってるよ」 須藤は首をすくめるとやれやれ、と言ったふうに返した。 アルフは須藤の言葉を聞くと、ニッと笑いカップに残っていたコーヒーを飲み干すと、まるで舞台の役者のような口調で言う。 「仕方ない、世界の平和を守るためにこの俺が一肌脱ぐとするか」 「早速今日から頼む。お前は夜の9時から明け方4時ごろまでだ」 「早速夜勤を押し付けてきやがったな・・・・・・」 先ほどの芝居がかった様子から一転して、アルフは軽く舌打ちすると眉を顰めて言った。 「しっかりやってくれよ。俺は寝る」 立ち上がって踵を返した須藤に、今度はアルフが口元を吊り上げた意地の悪い笑みを浮かべて言う。 「気をつけろよ、自分だけ楽してると首が飛んじゃうかもしれないぜ?」 「俺は午前3時から10時までなの。物騒なこと言うなよ」 左手を腰に当てると、須藤は素っ頓狂な声で言った。その様子を見てアルフは乾いた笑いを浮かべるとまるで他人事の様に言う。 「ま、お互い残業だ・・・・・・平和のために頑張るとしますか」 「ああ、また後でな」 須藤は振り向かずにそう言うと、休憩所を後にした。 Scene4 諦めなかった少年 ガサゴソと戸棚を物色する音が、狭くて薄暗い地下室に響く。 壁に掛けられている小さなランプの心許ない灯りを頼りに、 逆立った金髪と丸く垂れ下がった青い瞳を持つ少年、トライは埃っぽい空気と少し黴くさい臭いが立ちこめる中 額に汗を浮かべて父親の手がかりを探していた。 トライはフリーランスのウィザードである。彼の師であり父親のボイジャーは数年前「宝探しにいく」と言い残して家を出たきり行方不明になっている。 2人が住む家の地下にはボイジャーの部屋がある。部屋の扉にはボイジャー以外には解除が困難な術式によるロックが施されていた。 しかし、今朝方に地下から地鳴りの様な音が発せられ、扉の前に行ってみるとここ数年間何人の侵入も拒んできたロックが消えていたのである。 父親であるボイジャーの手がかりがあるかもしれない。 そう意気込んで室内を物色し始めたはいいものの、戸棚や机だけでは飽き足らず 床にまで散乱する夥しい数の本、書類、箱、そして用途の推察が困難な様々な雑貨の数にトライは圧倒されていた。 次は戸棚の一番上の段を探してみよう。そう考えたトライは手近にあった木箱に乗って戸棚の最上段に目をやった。 そこには埃を被った雑貨や本に混じって沢山の手紙や便箋が無造作に置かれていた。 比較的新しい物から劣化が激しく茶色に変色して解読が困難なものまである。 一番上の便箋に手を伸ばしかけた時、バキッという乾いた音が響くと同時にトライの乗っていた木箱は壊れてしまった。 「う、うわあっ!」 少し間の抜けた声が発せられた次の瞬間、バランスを崩したトライは頭と腰を強打する形で後ろに倒れてしまう。 同時に棚の上から大量の便箋と数冊の本がバラバラと落下する。宙に大量に舞う埃に咳き込みながら、トライは上体を起こした。 呼吸を安定させると、トライは一番近くに落ちていた1つの封筒を手に取った。 「エミコ・モリカワ・・・・・・? 誰だろう」 その封筒は他のものより比較的新しいもののようだった。 中を開けてみるとやや丸みを帯びた文字でこう書かれていた。 『お久しぶりです。お元気ですか? ミスター・サンドレイク。 あなたに頼まれていた物の在り処が分かりました。私が住んでいる場所のすぐ近くで目撃情報がありました。 確認することもあるので、まずは私の店に来てください』 「つまり、父さんはこれに書いてあるある物を探しに行き行方不明になった・・・・・・ここに行けば何かわかるかもしれない」 トライはそう呟くと勢い良く立ち上がり、服についた埃をはらうのも忘れて足早に地下室を後にした。 Scene5 終わり、そして始まり 「ふう、これで明日提出の課題は終わったな」 そう言って直幸は座ったまま大きく伸びをした。 肩まで伸びた銀髪とやや線の細い体つきをしており、大きな茶色い瞳が特徴的な中世的な顔立ちをしている。 課題中は特に時間など気にしなかったが、ふと時計を見ると夜の9時を回った所だった。 現在の時間を把握した瞬間、空腹感が思い出したかのようにやってくる。 いつもより少し遅めの夕食を摂るべく、椅子から立ち上がろうとしたその時、直幸の携帯電話が鳴った。 「あ、もしもし光一?」 相手は同じ高校に通う友人の光一からだった。 電話口の光一は少し申し訳ない、と言った風に切り出した。 「もしもし? あー・・・実はさ、明日提出しなきゃいけない英語の宿題あったろ。あのプリント、学校に忘れてきたみたいでさ・・・・・・一緒に取りに行ってくれねえ?」 光一の課題に取り掛かる遅さに内心苦笑しながら、直幸は当然の疑問をぶつける。 「・・・・・・一応言ってみるけど、一人で行くって選択肢は無いの?」 「何言ってんだよ! 最近通り魔事件とか黒い刀の噂とか物騒じゃん! なあ、頼むよー・・・・・・」 すると、光一はまくし立てるように反論する。最後の方はほぼ縋るような声の調子だった。 光一の言う『黒い刀の噂』とは一週間ほど前から黒い刀が生き血を求めて夜な夜な一人でに街を徘徊しているというもので、 その黒い刀の噂が、7日ほど前から近隣で相次いでいる連続通り魔事件と関連があるのではないか--と、囁かれている。 直幸は、確かに通り魔は物騒だが自分が実際に被害に遭うなどとは考えたことも無かった上、 まして黒い刀が人間を襲うなどと言うオカルトチックな話など全く信じていなかった。 そのため、まるでこの世の終わりみたいな声で縋ってくる光一とは対象的に、やれやれと言ったふうに返す。 「はいはい。ちょっと待ってね、木刀かなんか用意するから」 「サンキュー!それじゃ、あそこ。駄菓子屋の前で待ち合わせな」 「おっけー。それじゃ」 先ほどとはうって変わって声に喜色を浮かべる光一に対して本日二度目となる内心での苦笑をすると、 直行は数ヶ月前に行なわれた剣道の昇段審査以降部屋のオブジェとなりつつあった木刀を竹刀袋に入れ、夏服に袖を通すと部屋を後にした。
https://w.atwiki.jp/nwxss/pages/102.html
それは必然だったのかもしれない。 それは運命だったのかもしれない。 悲しくて。 切なくて。 どうしょうもない絶望を伴って。 まるで悪夢のようだった。 見たくもない光景だった。 悲鳴のような金属音が、全身を震わせた。 脳に刻み込むような鈍い銀閃が、くっきりと目に見えて、 彼は。 彼は――柊 蓮司は悲痛な絶叫を上げた。 「ま、魔剣が折れたぁあああああああああ!!!!?」 手の中に握られて、ものの見事に折れた魔剣がそこにあったから。 【柊 蓮司の魔剣が折れたようです】 第0夜 魔剣を失った魔剣使いはただの使いである 思えば無茶だったのかもしれない。 数ヶ月前東京・秋葉原で起こったシャイマールの覚醒事件、そしてそれを無事解決し、 なんとか高校を卒業した柊 蓮司に待ち受けていたのは――もちろん平和なんかではなかった。 任務。 任務。 任務の嵐だった。 高校生時代を超える任務の山が、彼を待ち受けていた。 本来ならばもっと早く気が付くべきだったのかもしれない。今まで彼の餌として、 そして僅かな希望としてぶらさげていた学校生活の出席日数。 それが餌として役に立つのは希望がある限り、つまり卒業に不可欠な出席日数を超えない 限りである。 今まで無節操に拉致していたと思われていたアンゼロットだが、絶妙に任務の期間と 出席日数を計算していたのである。 そんな暇があるなら、もっと書類整理とかに時間を費やせよとロンギヌスの誰かが考えたが、 まあ口に出したら最後、キルキルキル! しか言えなくなるまで地下で訓練させられる 羽目になることが明白なので、誰も言わなかったという。 閑話休題。 つまるところ、柊 蓮司の学生という立場が微妙にアンゼロットによる任務の量に抑制 をかけていたとも言える。 そして、今高校を卒業し、不良高校生から高卒職無し少年として社会的立場が成り下がった 柊に、容赦する理由は消えたのだ。 故に、彼には任務が下される。 時には日本の奥地で眠っている埋蔵金を掘りに行かされ、又は南海の海で秘宝を狙う密 猟者と争奪戦を繰り広げ、或いは宇宙でHAHAHA! と笑う芳香剤の戦艦に乗って(乗せられて) 地球侵略を狙うタコ型火星人のUFOを叩き切り、そして最後には何故か任務の際に 6割以上の頻度で出会う某ぽんこつ魔王にからかわれたりなど…… とにかく忙しい日々を送っていた。 彼の両目の下にははっきりと見えるほどのくまが色濃く現われ、しかも家に帰る暇も ないのでアンゼロット宮殿の客室のベッドに服を変える暇もなく倒れ伏し、任務と任務の 僅かな休憩時間に価格にして数千円にも及ぶ栄養ドリンクを何本も飲むほどである。 たった数ヶ月で、柊 蓮司は疲労の極みとも言える状態にまでなっていた。 そして、その日。 いつものように、この数ヶ月連日のように繰り返されたお茶会にて。 「柊さん、今日も私の答えにハイかYESで答えてください♪」 「あー、おう……」 守護者アンゼロットの前で、決して手を付けるはずのない紅茶のカップを見ながら柊 蓮司は呻くような返事を返した。 かなりの疲労度であり、まるで死人のような状態である。 だがしかし。 「今日も素直で結構です。それではさっさと説明しますね」 楽しげに話すアンゼロットの目元……そこには見目麗しい美少女の顔には似つかわしく ない黒いくまがあった。 決してネットゲーのやりすぎなのではなく、深く刻まれた疲労の証拠が。 簡単な話である。 柊蓮司が死に掛けるぐらいに忙しく任務があるのは、それだけ世界の危機が多く出没 している証拠。 しかも、シャイマール覚醒時での迎撃戦で何十、何千ものウィザードが撃墜され、未だ に病院のベットの上で唸っているものも少なくない。 慢性的な人手不足のツケとさらに弱体化した世界結界によるエミュレイターの出現が、 さらに忙しさに拍車をかけ、普段は勤務時間が五時間にも満たない守護者の生活を仕事で 埋め尽くしていた。 他人が苦しい時は自分も苦しい。 まさしくそんな状況だった。 まったく何の救いにもならない話だが。 「それでですね。今任務を続行中の、ウィザードの加勢に向かって欲しいのです。報告に よると、相手は魔王級のエミュレイターらしいですが、雑魚魔王らしいので柊さんの実力 ならば必ずややり遂げると――」 「あー、了解了解……とりあえずさっさと送ってくれ」 アンゼロットの話を途中で切り、柊はひらひらと手を振る。 本来ならば一言の文句や反論を叫んで、そのまま問答無用で落下させられるのがお決まり のパターンなのだが、今の彼にはツッコミをいれるだけの気力すらも失われていた。 「……分かりました。それでは、柊さん頑張ってくださいね」 そう告げて、アンゼロットがどこからともかく垂れ下がってきた紐を掴む。 そして、クイッとそれが引かれて―― 「ぁー~~~~~~~~~~~~~」 カパッと開かれた床から、本当にやる気を無くすような絶叫を上げて柊は落ちていった。 こうテンションが下がるような声で。 「……」 その声を聞き、アンゼロットが僅かに額に汗を浮かばせる。 「そろそろ柊さんにも休暇を与えるべきでしょうか?」 その分の任務はロンギヌス・コイズミに割り当てましょうかと考えて、アンゼロットは静かに窓から映る蒼い地球を見つめていた。 疲れていた。 まるでやる気が無かった。 思えばそれが全ての原因であり、取り替えしの付かない失敗の元だった。 落下した先には目をパチクリさせて武具を構えたままの新人らしきウィザードたちが数人、 対峙していたのは丸っこい亀のような巨大なエミュレイター。 魔王級と呼ばれるだけあって、強い魔力を感じた。 けれど、それだけだ。 この程度の雑魚魔王なら何度も切り伏せている。 いつものように月衣から魔剣を抜き放ち、一秒でも早く終わらせる。 そんな思考で疲れて鈍った動きで地面を蹴り、生命力も伝達し切れない魔剣の刃を振り翳し、 切れが悪く手首を返して――魔剣を叩きつけた。 そう、それで。 それで――折れたのだ。 「へ?」 ボキンと嫌な感触がした。 クルクルと目の前でなにかが飛んでいた。 そう。 魔剣が。 こう、ぽっきりと。 ものの見事に。 折れました。 「ぁあああああああああああああああああああ!!!」 それが、柊 蓮司の新たなる事件(喜劇?)の始まりだったと誰が判っていたのだろう。 神殺しの魔剣。 幾多の魔王を滅ぼし、神を殺し、あらゆる魔を断ち切ってきた魔剣。 それを巡る新しい物語が始まる。 ……幾多の女性を巻き込んで。 ――次回 ??編/1夜【鍛冶師を探せ】に続く ← Prev Next →?
https://w.atwiki.jp/nwxss/pages/210.html
紅き世界。奇妙な天体現象は、徐々に広がりを見せている。 ゆっくりと広がる、異形の世界。 暗がりから、あるいは突然に現れる、異形の姿を持つ、恐るべき化け物たち。 今はまだ、実体化するには至っていない、裏界の侵略者。 彼らが実体化するには、そして、この街が裏界へと、魔王の手に落ちるまで、そう時間は残っていない。 かくて、この街は6年ぶりに滅びの危機を迎えていた。 * 「いよいよだね…」 いのりが緊張して言う。他のウィザードの増援を待っている時間は無い。 1ヶ月の間暮らしたこの街の運命は、いのりたちにかかっていると言っても過言では無かった。 「勝てるよね?せんせい」 「正直、分からない」 不安げに尋ねるいのりに、静は難しい顔をして言う。こんなときだからこそ、嘘はつけない。 「僕らはあの2人と、魔王と戦うんだ。あの2人だけでも厄介な相手だってのに、魔王まで相手にするんだ。 少なくとも、楽な仕事ってわけにはいかないだろうね」 そして、倉地の方を向き、自らの0-phoneを渡して言う。 「倉地先生、もし僕らが戻らなかったら、この電話でマユリさんに連絡をお願いします。 彼女なら、僕らよりも強いウィザード…世界だって救えるウィザードとも知り合いですから、何とかしてくれると思います」 「あら…静君、私は置いてきぼりなの?」 心外そうに言う倉地に、あくまで真面目な顔のまま、静は言う。 「残念ながら先生お1人では、おそらく戦うことはできないでしょう。それとも、ファンを使い潰して戦いますか?」 倉地の能力は第3世界のプリンセスと呼ばれるものに近い。その倉地が戦うと言う事は、自らの下僕を使って戦うこととなる。 「う…しょうがないわね」 指摘され、倉地が悔しそうに歯がみする。 元をただせばこの学校の生徒と教師だ。それを手駒として使って戦うと言う事は、彼女の美学に反する。 「私にも真冬でも蚊が見えたり、10m先からキャベツを斬れる能力でもあれば良かったんだけど、ね」 冗談めかして言ったあと、溜息をついて言う。 「分かったわ。とにかく、こっちでも出来ることをしとく」 「お願いします。今、多分それができるのは倉地先生くらいですから」 「そうね。できることをするしかないってところね。静君も気をつけて」 サフィーを呼びに静が去ったのを見た後、倉地が向きなおる。いのりの方に。 「いのりさん」 「な、なんですか?」 「これだけは忘れないでちょうだい」 真面目な顔をして、いのりの肩をつかむ。 「あなたは、私の大事な生徒よ。もちろんあなたにも事情があるのは知ってる。だから危ない真似はするなとは言わないわ。 だけど、これだけは言わせて。本当に危なくなったら…逃げて。そうなっても、きっと私が、何とかしてみせるから」 その眼には嘘は無い。深く静かな決意が込められていた。 「…ありがとうございます」 その瞳を見て、いのりは気づいた。 自分の中の不安と緊張が零れおちるように弱くなっている。 「だけど、多分できません」 ウィザードの使命感とか、そういうんじゃない、もっと単純な理由。 大切なものを守りたい。 いのりもまた、1ヶ月暮らしたこの街がだいすきなのだ。 「あたしってバカだから、多分いざって時に逃げるなんて思いつきませんよ」 「…自分で言うセリフじゃないわよ。それ」 しょ~がね~な~とばかりに倉地がため息をつく。 「…でもあなたらしいわ」 1ヶ月の間、教え子だった少女のことを、倉地は把握していた。 要いのりは、止まらない。まっすぐに正直に、自分を貫く強さを持った少女だと。 「分かったわ。だったら、戦って、勝ちなさい!他は認めないわ!」 女帝の傲慢さと確かな愛を持って少女に伝える。 少女の返事は決まっている。 「ハイ!もちろんです!」 他のセリフなんて今さら必要ないんだから。 * 一方その頃。 「コニー。久し振り。アンタもトナも元気にしてる?」 紅き月の下、サフィーは久しぶりに電話をかけていた。 「どうしたの…って別に何でも無いわよ。ただ久し振りにアンタの声が聞きたくなっただけ」 相手は300歳は年下の、たった1人の妹。 「そう…元気。ならいいわ。ま、アンタやトナがそうそうどうにかなるとも思えないけどね」 そう言えば最後に顔を合わせたのはもう1年は前の話だ。 「こっちはいつもどおりよ。てきと~に旅してるわ。美食を求めてのグルメ紀行。 …しょ~がないでしょ。本能には逆らえないもの。それに、アンタらの永遠の新婚旅行よりはマシだっての。 …一緒でも良かった?冗談。アンタらと一緒だったら暑苦しくて干からびちゃうわ」 笑いと軽口が混じった、他愛のない世間話がサフィーの心をほぐしていく。 「…え?真っ赤な月?」 妹が何気なく口にした言葉に、ちょっとだけ声が震える。 「そうね…アタシも見たけど。なんなのかしらね?あれ」 それを悟られぬよう、急いで言葉を紡ぐ。 本当のことは言わない。言ったら、余計な心配をかけるから。 「とにかく、アンタもトナも気をつけなさいね。世の中何かと物騒なんだから。それじゃ」 ボロが出る前に、電話を切る。 「…よかったのかい?」 電話を終えたのを確認し、静がサフィーに話しかける。 「なにが?」 「あんな会話で。大切な家族への電話だったんだろ?」 「いいのよ」 だが静の疑問を一刀両断して、サフィーは言う。 「ちょっとした確認ってだけなんだから」 「確認?」 「そ。アタシがいなくても大丈夫かって確認」 後ろを向いたまま。サフィーが答える。 「あの子はずっと2人で元気にやってける。もう、アタシが守る必要も無い。あの子のことはトナが守ってくれるわ。敵からも、寂しさからも」 新しい家族が出来てから、生き別れになるまで。 妹を、守り続けて100余年。 いつの間にか、サフィーにとって、妹は一番大切なものになっていた。ともすれば自分の命よりも。 「だから、アタシがやるべきことは、コニーやトナの大切な場所を守ること。そのために、アタシは戦ってる」 化け物として追われることが無くなり、平和に暮らしていけるようになった世界。 それを壊す奴は、絶対に許さない。それがたとえ魔王だとしても。 「…そっか。正直、意外だよ」 「意外?」 「うん。サフィーちゃんは、もっとドライなのかなって思ってた。長生きしてて、ずいぶんと苦労したみたいだったから」 サフィーの口にした戦う理由に、静はちょっとだけ嫉妬する。 世界を守ること。それがヴァンスタイン家の使命であると教えられ、自らもそれを信じて魔法の技を磨き続けた。 だからこそ、単純な理由で戦える若いウィザードが羨ましかった。 彼らは、使命だから戦ってる自分と比べて、眩しい。 「ふふっ」 そんな様子を見て、サフィーは笑った。 「何がおかしいのさ?」 笑い出したサフィーに静は憮然として尋ねる。 「あんたって、年の割に落ち着いてると思ったけど、案外子供だったのね」 「そんなこと無い。僕はもう、大人だよ」 「あら。ガキほどそう言うのよ」 「ガキって…サフィーちゃんだって見た目は子供じゃないか」 「あら…試してみる?」 ふわっと。 サフィーは浮きあがり、静と唇を重ねる。ごく自然に。 「ななななななな!?」 突然の出来事に、静は唇を抑えて後ろへ下がる。 それをサフィーはいつもの顔色のまま、面白そうに見ていた。 「ふふっ。随分と純情なのね?もしかして、初めてだった?」 「な、いや…だって…」 初めてだった。静=ヴァンスタイン17歳、こ~ゆ~のには今までまったく縁が無かった。 頭が、混乱する。顔が熱い。初めて味わった女の子の唇がアリアリと残っている。 「本当に、ウブなのね。可愛い」 その様子を、ネズミをいたぶる猫のように笑う。 「そうね…じゃ、特別よ」 ねこなで声を出して、甘く囁く。 「アタシがなってあげる。シズクの、恋人に」 「さささサフィーちゃん!?」 静が動揺しまくりでサフィーの名を呼ぶ。 その様子がおかしくて。 「…っぷ」 ついにサフィーは噴き出し。 「あはははははははははは!!!」 笑い出した。 「ど~せならもっと早くやっとけばよかったわ」 その様子を見て、からかわれたことに気づいた静が再び冷静さを取り戻す。 「たちの悪い冗談はやめてくれよ」 「ごめんなさい。アンタが可愛いのは顔だけじゃないってのが面白くてね」 そんなことを言いながら後ろを向いて、言う。笑いながら。 「さて。そろそろショーは終わりよ。そろそろ出てきなさい」 吸血鬼の感覚はごまかせない。サフィーはとっくに気づいていた。 「「え!?」」 気付かれてるとは思わず、2人は同時に声を上げた。静はその声に聞き覚えがあった。 「いのり君に…銀之介君まで!?」 すまなそうな顔をして出て来たのは、獣化した銀之介といのりの2人。 「えっといやそのね?何とな~くでていきづらいな~ってね」 「そ、そうそう。なんてゆ~か、このまませんせいとサフィーちゃんの危険な情事を見てるのもいいかなとか思ってないよ?」 最強に苦しい言い訳を聞きながら。 「悪夢だ…」 静がやれやれと頭を抱える。 そして。 「さて。準備も整ったところで行きますか」 サフィーが口に出す。軽い口調で。 「ちょっと魔王を倒しに、ね」 全員が真面目な顔で頷いた。 * 飯波高校の屋上に、炎の鳥が舞う。 「ファイアーワークス!ここに降りて!」 いのりの命令を聞いて、4人を乗せたファイアーワークスが屋上へと降り立つ。 「…うん。ここで間違いない。前に見たのと同じタイプだ」 静がそれを見つけ、険しい顔で言う。 それは、穴だった。 空間にぽっかりと空いた穴。その奥には大量のエミュレイターらしきものが蠢いているのが見える。 「裏界とこの世界を結ぶ穴…開き切ったら、恐らくはもう閉じられない」 静がごくりと唾を飲み込んで言う。その恐ろしさを肌で感じ取っていた。 「キシシシシ…おもしれえだろ?もうすぐこの街はばけもんで溢れ返るんだぜ?」 「その通り。我が主の支配は、今日、ここから始まる」 屋上に声が響き渡り、空間が歪んで、2人の男が現れる。 「それがなされたとき、私は更なる力を得る…そう、この世界の吸血鬼を駆逐するに足る力をな」 そのために蘇ってきた吸血鬼、ドクターアラキは言う。目の前の忌まわしき吸血鬼の少女に。 「まずは、お前からだ。忌々しい、赤毛の悪魔よ」 「ふん。それは1ヶ月前にも聞いたわ」 サフィーの脳裏に苦い記憶が蘇る。あのときは、逃げるしか無かった。圧倒的な力の前に。 だが、恐れない。今のサフィーはあのときとは違う。魔法があり、仲間がいる。 「でもね、それはこっちのセリフ。まずはアンタからブッ倒す。1ヶ月前に逃がしたこと、たっぷり後悔させてあげるわ」 余裕をたっぷりと塗りつけて。 サフィーはドクターアラキに宣告した。 「よお。久し振りだなあ。銀之介え。ちょっとみねえうちに、ずいぶん変わったんじゃねえか?」 オオカミは、獣化した銀之介を見て面白そうに、だが、油断せずに言う。 本能で悟った。今の銀之介は…前よりも厄介だと。 「叔父さん…」 銀之介が静かに口にする。悲しげに。 銀之介にも分かっていた。もう、目の前の男は悲しみでおかしくなった人間じゃない。 完全に殺し、壊すことを楽しむ、化け物になり果てたことを。 「ごめんね…」 だから、銀之介が口にするのは、詫びの言葉。 「僕は叔父さんを止めるよ…たとえそれが」 「ぶっ殺すことになっても、てかあ?やってみろよ。俺様をぶち殺せるもんならな!」 そして、吠えた。命がけの戦いに、面白そうに。そして、屋上の扉の方に向って言う。 「そ~ゆ~わけだ。こいつは俺たちと銀之介たちの…殺し合いだ。だからよお、大人しくそこで見てろ。嬢ちゃん」 そこには1人の少女がへたり込んでいた。そこに、いるはずのない、居てはいけない少女。 ぐるぐるメガネでおかっぱの少女。 「春美ちゃん!?なんでここに!?」 いのりが悲鳴じみた声を上げる。 「…さっき、人影を見かけたんです。女の子。この紅い月に何か関係があるのかな…って思って…」 呆然としたまま、呟くように春美が言う。 「その子を追って屋上に来たら、その変なのがあって…」 徐々に上ずり、混乱していく声。 「一体何が起こってるんですか!?なんでここに化け物がいるんですか!?それに…なんでいのりさんと静さんがここにいるんですか!? 」 口早に、様々な質問を繰り出す春美。その眼に宿るのは…まぎれも無い、恐怖。 「…おいで。ファイアーワークス」 それを見て、いのりは静かに呼び出した。自らの相棒を。 「ひぃ!?い、いのりさん!?それって…?」 異形の化け物を見て、春美が悲鳴を上げる。 「ごめん。今は…答えられないよ」 いのりの顔には苦渋の色が滲みでていた。 「嫌われても、しょうがないと思う」 ウィザードにはありがちな出来事。だが、やはりこたえる。友達が相手なら、特に。 「だけど…お願い。今すぐ、逃げて。ここはあたしらで、何とかするから」 そして、その言葉を口にすると同時に。 戦いが始まった。 ← Prev Next →
https://w.atwiki.jp/axddd5e/pages/21.html
秘術の学派 War Magic(2017.03.20のデータ) さまざまな秘術の大学は、戦争の為の魔法使いの育成に特化する。War Magicの伝統は力術と防御術の融合です。それは術者の呪文を強化する技術を教えながら、ウィザードが独自の防御を強化する方法を提供します。 この学派を受け継ぐ者は戦争魔導師(War Magics)として知られています。彼らは魔法を武器と防具の両方としてみています。戦争魔導師は戦闘で素早く攻撃し、呪文を使って状況を戦術的に支配します。彼らの呪文は激しい攻撃を行うか、守備の技が相手の反撃を封じます。 ウィザードレベル 秘術の学派の特徴 2レベル Arcane Deflection、Tactical Wit 6レベル Power Surge 10レベル Durable Magic 14レベル Deflecting Shroud Arcane Deflection 2レベルになると、あなたは自分の魔法を織り交ぜ怪我から体を守る方法を学びます。攻撃が命中したかセーヴに失敗した場合、あなたはリアクションでその攻撃に対してACに+2ボーナスを得るか、セーヴに+4のボーナスを得ることができます。この能力は使用すると次のターン終了時まで初級呪文以外の呪文を唱えられなくなります。 Tactical Wit 2レベルになると、あなたは戦術的に状況を迅速に判断するために、戦闘で素早く行動することができます。あなたはイニシアチブ・ロールにあなたの知力ボーナスに等しいボーナスを得ます。 Power Surge 6レベルになると、敵の集団に害を及ぼす呪文を強化することができるようになります。複数のクリーチャーにあなたの呪文の1つのダメージに対して、セーヴィング・スローを行うよう強制するとき、そのダメージ・ダイスを2つ多く振り呪文のダメージを上げることができます。この増加はあなたが呪文を唱えたターンのみ発生します。 この能力を使用すると、小休憩または大休憩を完了させるまで、この能力は再使用できません。 Durable Magic 10レベルになるとあなたの魔力の流れは危険から身を守るの事ができます。あなたは呪文の集中を維持している間、あなたのACとすべてのセーヴィング・スローに+2ボーナスを得ます。 Deflecting Shroud 14レベルになると、あなたのArcane Deflcationに致命的な魔力が吹き込まれます。あなたがArcane Deflcationの能力を使用すると、あなたの魔法の波が、あなたから10tf以内の選択した各クリーチャーに、ウィザードレベルの半分に等しい[力場]ダメージを与えます。 Lore Mastery(2017.02.13のデータ) Lore Masteryは基本的な魔法の仕組みを理解する秘術の学派です。それはすべての秘術の学派の中で最も学術的です。新しい知識を発見し、魔法の理論の証明(あるいは反証)するために、冒険生活を追求し、常に研究室、学院、図書館、専門家に働きかける。 学者と知られているこの学派の入門者は、魔法の用途において美しさと謎を見出す読書家です。幾つかの学者は、真の魔法を習得するために地方を見て、洗礼されていない一つの魔術の学校に焦点を当て学派に従う者に向かって傲慢な態度をとる。他の蛮族に対しては深い知識とユーモアで無知と欺瞞に対抗する寛大な教師となる。 ウィザードレベル 秘術の学派の特徴 2レベル Lore Master、Spell Secrets 6レベル Alchemical Casting 10レベル Prodigious Memory 14レベル Master of Magic Lore Master 2レベルになると、膨大な数の論題が知識の概念となる。〈魔法学〉〈歴史〉〈自然〉〈宗教〉技能判定を行うとき、その技能に習熟している場合、習熟ボーナスを倍にします。 さらにあなたの分析能力は、戦闘でのイニシアチブが物理的な敏捷性ではなく精神的な敏捷性によって推進され、非常に磨かれます。あなたはイニシアチブ・ロールを敏捷力判定の代わりに知力判定で行うことができる(選択可能)。 Spell Secrets 2レベルになるとあなたは大規模な研究によって明かされた秘術の秘密のシリーズの最初を習得します。あまたは呪文スロットを使用して唱えた呪文の[酸]、[冷気]、[火]、[力場]、[電撃]、[死霊]、[光輝]、[雷鳴]ダメージを与えるとき、そのダメージ・タイプをそのリストの他のダメージ・タイプに置き換えることができます(一度の詠唱で置き換える1つのダメージ・タイプだけを置き換えることができる)。あるエネルギー・タイプを他のエネルギー・タイプに置き換えるには、それを唱える式を変更する。また、あなたが呪文スロットを使用して呪文を唱えたとき、その呪文がセーヴィング・スローが必要な場合、そのセーヴ一つを別の能力値のものに変更することができます。このようにセーヴィング・スローを変更させると、小休憩か再休憩を完了させるまで、セーヴィング・スローを再度変更させることができません。 Alchemical Casting 6レベルになるとあなたは様々な方法で、呪文を強化するすべを学びます。あなたが呪文スロットを消費して呪文を唱えるとき、追加で呪文スロットを1つ消費することで、魔法の原材料を呪文に合成し呪文を増幅させ、その呪文の強化しすることができます。効果はあなたが消費した呪文スロットに依存します。呪文が1ターンを超えてダメージを与える場合、最初のターンのみ追加ダメージを与えます。 1レベルスロットを追加する場合は、呪文を生み出す力を増加させる可能性があります。あなたがそれを唱えたとき、呪文がダメージを与える場合、すべての対象に対するダメージを2d10の[力場]ダメージを増加させます。 2レベルスロットを追加する場合は、呪文の飛距離を増加させる可能性があります。呪文の射程が最低でも30ftある場合、その射程は1マイルになります。 3レベルスロットを追加する場合は、呪文の効力を増加させる可能性があります。呪文のセーヴDCは+2増加します。 Prodigious Memory 10レベルになるとあなたは呪文の準備をより熟知します。ボーナス・アクションで、あなたはあなたが準備した呪文1つを呪文書の別の呪文に置き換えることができます。この能力は小休憩か大休憩を完了させるまで再使用できません。 Master of Magic 14レベルになると、あんたは魔法の知識はほぼすべての呪文を複製することを可能とします。ボーナス・アクションとして、任意の呪文を任意のクラスの呪文リストから唱えるようにできます。呪文は呪文スロットを持つレベルでなければならず、呪文の準備を必要とせず、呪文スロットを消費することも含め通常の呪文を唱える手順に従わなければならない。 呪文がウィザード呪文でない場合、それを唱えるときにウィザード呪文として数えられます。あなたがそれを唱えたり、現在のターンが終了したとき、この能力で呪文を唱えられるようになった機能は消滅します。この能力は、大休憩を終了させるまで再使用できません。 テウルギー(2016.04.04追加のデータ) いくつかの神格は、彼らの領域として秘術の魔法を要求する。そのような力を受け入れている信仰の存在の考えが両立しないかもしれない一方、魔法は風、火、電撃、と他の全ての原始の力と同じくらいのコスモスの一部である。戦争の海の神格がいるちょうどそのとき、秘術の芸術は彼ら自身の後援者を出す。 そのような神格はクレリックを持っているが、魔法の多くの神は、魔術の研究を始めるために彼らの支持者に命じる。これらの宗教的なマジック・ユーザーはテウルギーの秘術の伝統に従い、一般的に知られている。そのような術者は他のウィザードと同じくらいひたむきな学者であるが、彼らは秘術の研究と宗教的な考えを混ぜ合わせる。 ウィザードレベル 秘術の学派の特徴 2レベル Divine Inspiration、Arcane Initiate、Channel Arcana Channel Arcana Divine Arcana 6レベル Arcane Acolyte 10レベル Arcane Priest 14レベル Arcane High Priest Divine Inspiration 君は2レベルでこの伝統を選択するとき、信仰の領域を的確な領域の君の選択した神格のリストから選ぶ。あるいは以下の領域は主題として適切な、テウルギストのコンセプトと簡単に互換性を持つ。 • 秘術 Arcana* • 知識 Knowledge • 光 Light * Sword Coast Adventurers’Guidより Arcane Initiate 君が2レベルでこの伝統を選択するときに開始し、ウィザード・レベルを得るときはいつでも、選択した領域のクレリックの領域呪文を君の呪文所に加え、ウィザードの呪文の1つと置き換えることができる。呪文は君の持つ呪文スロットのレベルでなければならない。領域呪文の全てを呪文書に加えているならば、きみかその代わりにクレリックの呪文リストから如何なる呪文でも加えることをその後選ぶことができる。呪文は君の持つ呪文スロットのレベルでなければならない。 他のウィザードは彼ら自身の呪文所にクレリックの呪文を君の呪文書からコピーすることはできない。 Channel Arcana 2レベルで、魔法の効果を活気づけるためにエネルギーを利用して、君の神格から直接秘術のエネルギーを向ける能力を得る。君が以下の2つの効果から開始する。秘術の信仰と、君の選択した領域の2レベルで得られる神性伝導。 君がChannel Arcanaを使用するとき、作成するための効果を君は選択する。君は再びChannel Arcanaを使用するために小休憩か大休憩を終了させなければならない。 いくつかのChannel Arcanaはの効果は、セーヴィングスローを必要とする。このような効果を使用するといは、セーヴDCは君のウィザードの呪文セーヴDCに等しい。6レベル以降、君は休憩と休憩の間に秘術伝導を2回まで使用できるようになり。18レベル以降、休憩と休憩の間に3回まで使用できるようになる。小休憩または大休憩を終えるたび、消費した使用回数はすべて回復する。 君の領域から神性伝導の更なる使用を得るとき、君はChannel Arcanaの能力を用いでそれらを再使用することができる。 Channel Arcana Divine Arcana ボーナスアクションとして、君の周りの魔法の流れを制御するために祈りを捧げる。君が発動する自身の呪文は攻撃ロールもしくはセーヴDCに適切なように+2のボーナスを得る。 Arcane Acolyte 6レベルで、君は選択した領域の1レベルの利益を得る。しかしながら、君は領域からいかなる武器や鎧の習熟を得ない。 Arcane Priest 10レベルで君は選択した領域の6レベルの利益を得る。 君の信念と君の魔法への理解は君の神の秘密を調べることができる。 Arcane High Priest 14レベルで君は選択した17レベルの利益を得る。君の研究者気質な性質と魔法への理解は、君の領域のクレリックよりすぐにこの能力を熟達することができる。 アーティフィサー(2015.02.02追加のデータ) アーティフィサーはエベロンという世界では重要な部分である。彼らは自然からの魔法の進化、予測不可能な力の一つとして大衆に利用可能としているものを示している。マジックアイテムはコーヴェアの五つ国の毎日の生活の一部となっている。君のパーティーによってアーティフィサーは全てのは冒険の遠征の一端を担う。 アーティフィサーは前の版のエベロンでは別のクラスで、神秘的に武器や防具を強化することに特化した近接戦闘を行うクラスであった。5版ではレベル2から選択することのできる。神秘的な発明をすることに焦点を当てたウィザードの新しい伝統としてアーティフィサーを扱う。 アーティフィサーの特徴 ウィザードレベル 秘術の学派の特徴 2レベル Infuse potions, infuse scrolls 6レベル Infuse weapons and armor 10レベル Superior artificer 14レベル Master artificer Infuse Potions 2レベル以降、君はマジックポーションを生成することができる。君は10分間君の魔法を普通の水が入ったガラス瓶に集中し、ポーションに変換するために呪文スロットを消費する。ポーションを生成するために呪文スロットを消費した後、ポーションを消費するか一週間経過するまでその呪文スロットは使用できず、1週間経過するとポーションの効果は失われる。一度に3つまでポーションを作成することができる。4つ目のポーションを作成すると、最も古い効果のあるポーションの効果が失われる。ポーションが消費された場合、その効果はすぐさま消える。 君が消費する呪文スロットは作成できるポーションの種類を決定する。ポーションに関するルールはDMGの第7章を参照してください。 呪文スロット 作成できるポーション 1レベル Climbin, growth, or healing 2レベル Mind reading or greater healing 3レベル nvisibility, superior healing, or water breathing 4レベル Resistance Infuse Scrolls 2レベルで、君は呪文書を作るために自分の魔法のエネルギーの蓄えを送ることができる。自分の消費した呪文スロットを回復する代わりにスクロールを作るために君の秘術回復の能力を使うことができる。 君が知っている呪文を1つ択肢その呪文のスクロールを作成するために、羊皮紙、羽ペン、インクと10分を費やし小休憩を終了させなければならない。君が秘術回復のために使用し取り戻すスロットのレベルの合計レベルからその呪文レベルを引く。君はスクロールを使用し、大休憩が終了するまでこの秘術回復の減少は適応される。 Infuse Weapons and Armor 6レベルになると、君は魔法的な武器や防具を作り出すことができる。君は一般的な武器や鎧、縦、20発の弾薬の束に10分間君の魔法を消費し、魔法の力を注入するために呪文スロットを消費する。魔法のアイテムは8時間または使用する(魔法の弾薬の場合)までその強化は保持される。君が一度に1つのアイテムに注入することができる。君が第2のアイテムに注入する場合、最初のものはすぐさま効果を失う。君がそのようなアイテムを生成するために呪文スロットを消費したならば、アイテムが非魔法的になるまで呪文スロットは消費したままである。 君が消費する呪文スロットは、君が作成できる武器、鎧、盾を決定する。 呪文スロット 作成できるアイテム 2レベル +1矢弾(20発) 3レベル +1武器、+1シールド 4レベル +1鎧 5レベル +2武器、+2矢弾(20発) 6レベル +2鎧 Master Artificer 14レベルになると、秘術魔法の習得によって、君は様々な魔法のアイテムを生成することができる。君はダンジョンマスターズガイドの第7章にある、魔法のアイテムの表Aと表Bから選択した一つのアイテムを作成することができる。そのアイテムを作るには1週間かかり、この能力を使用して違うアイテムを作るには1ヶ月休まなくてはならない。
https://w.atwiki.jp/anime_wiki/pages/18887.html
1991年2月OVA発売。 演出 篠原俊哉 監修 須田PIN 脚本 寺島優 絵コンテ 児玉兼嗣 モンスター・デザイン原案 末弥純 キャラ・デザイン 平山智、長岡康史 作画監督 長岡康史、山本泰一郎、福田紀之 動画チェッカー 大久保政雄 美術 宮前光春 色指定 清水千世子 撮影 高橋宏固 特殊効果 林好美 編集 鶴渕允寿 音響監督 小松亘弘 整音 大城久典 音響効果 横山正和 音楽 川村栄司 文芸担当 小野田博之 アニメーション制作 東京ムービー新社 ■関連タイトル VHS ウィザードリィ ウィザードリィのすべて―ファミコン版 末弥純画集 ウィザードリィ ウイザードリィモンスター事典 ウィ・ラヴ・ウィザードリィ ウィザードリィCDドラマ1 ~ハースニール異聞~ FC ウィザードリィ
https://w.atwiki.jp/shfiguarts/pages/423.html
仮面ライダーウィザード ランドドラゴン(Kamen Rider Wizard Land Dragon) 商品画像 情報 登場作品:仮面ライダーウィザード 定価:3,675円 受注開始:2013年02月25日(月) 16 00 受注締切:2013年06月09日(日) 23 00 発送開始:2013年08月24日(土) 商品全高:約150mm 仮面ライダーウィザード×S.H.Figuarts S.H.Figuarts 仮面ライダーウィザード スペシャルページ 付属品 手首:×10(右×5、左×5)、ドラゴタイマー専用右手首×5 武器:ドラゴンヘルクロー×2、ウィザーソードガン×2 その他:ドラゴタイマー キャラクター概要 コヨミがファントムのグレムリンから得た黄色の魔宝石から作られたランドドラゴンリングを用いたランドスタイルの強化形態。 変身音は「ダンデンドンズドゴーン!ダンデンドゴーン!」。基本カラーは黄色、頭部の形状は四角。 全身に纏っているウィザードローブの色が黒から黄色に逆転し、胸部にウィザードラゴンの頭部を模した装飾が施されている。 更に変身時は魔法陣を潜ると共に岩を纏ったウィザードラゴンの幻影が出現して一体化する。 ランドスタイルと同様に大地を操る能力を備えるが、ウィザードラゴンの力の一部を開放した事でスペックが格段に強化されており、戦闘能力も全スタイルを上回っている。 アンダーワールド以外でもウィザードラゴンの力を具現化し、更にスペシャルウィザードリングを使用する事でウィザードラゴンの爪(脚)・ドラゴヘルクローが両腕に具現化する。 また、同じ魔法石から作られたグラビティウィザードリングを使う事で重力を自在に操る事が可能。必殺技はドラゴヘルクローで敵を切り裂く。 商品解説 ウィザードシリーズ魂ウェブ商店限定第6弾。ランドドラゴンが魂ウェブ商店で限定発売決定。 良い点 ドラゴン共通で通常フォームと違いプロポーションが良くなっている。 ドラゴンタイマーの造型が小さいながらも非常に良くできている。 各部にクリアパーツを使用している。 悪い点 箱にはメッキを使用との記載があるがこの商品のみ頭部内部が銀塗装である。 不具合情報 関連商品 仮面ライダーウィザード フレイムスタイル 仮面ライダーウィザード ウォータースタイル 仮面ライダーウィザード ハリケーンスタイル 仮面ライダーウィザード ランドスタイル 仮面ライダーウィザード フレイムドラゴン 仮面ライダーウィザード ウォータードラゴン 仮面ライダーウィザード ハリケーンドラゴン 仮面ライダーウィザード インフィニティースタイル 仮面ライダーウィザード エフェクトセット01 魂STAGE(ルパッチ マジック タッチ ゴー♪Ver.) マシンウィンガー 仮面ライダービースト 仮面ライダービースト マントセット 仮面ライダービーストハイパー フェニックスファントム メデューサファントム 白い魔法使い コメント 頭でっかちがやっぱり気になるけど相変わらずよく動くし間接もしっかりしてるからよしだね。念願のオールドラゴン完成したけどドラゴタイマーもあるし飾り方に迷うな…分身かオールドラゴンか…(´・ω・`) -- 名無しさん (2013-08-26 18 02 06) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/silencekiss/
https //tadatika773.jimdosite.com/ A fire broke out backstage in a theatre. The clown came out to warn the public; they thought it was a joke and applauded. He repeated it; the acclaim was even greater. I think that s just how the world will come to an end Reasons for creating the world ⇒ ✕ How to create the world ⇒ ✕ Reason for destruction of the world ⇒ ✕ How to destroy the world ⇒ 〇 Gives intelligence to one life form. The only mistake kills everything. Overnight. Democracy Minimum number of minimum misfortune for maximum number of maximum happiness To save all lives, for eternal peace, You can kill one life. They destroy the world They pollute the world They upset harmony They kill all lives All lives are saved Eternal peace will come By killing one life By killing the life of one species Nothing wrong Nothing is wrong Truth Justice In less than 100 years, weapons that kill all humans in an instant will emerge. If excellent scientists gather, it can be done in a month. A murderer if you kill one person, A hero if you kill a million people, The one who killed all humans, What is he called? How is it treated? What kind of sin does he have? What kind of punishment will you give?
https://w.atwiki.jp/shfarts/pages/724.html
仮面ライダーウィザード ウォータードラゴン(Kamen Rider Wizard Water Dragon) 商品画像 情報 登場作品:仮面ライダーウィザード 定価:3,675円 受注開始:2013年02月25日(月) 16 00 受注締切:2013年05月07日(火) 23 00 発送開始:2013年07月26日(金) 商品全高:約150mm 仮面ライダーウィザード×S.H.Figuarts S.H.Figuarts 仮面ライダーウィザード スペシャルページ 付属品 手首:×10(右×5、左×5) 武器:ウィザーソードガン×2 その他:ドラゴテイル キャラクター概要 コヨミがファントムのアジトから持ち帰った青い魔宝石から作られたウォータードラゴンリングを用いたウォータースタイルの強化形態。 基本カラーは青、頭部の形状は「雫」をイメージしたひし形に近い形状。変身音は「ジャバジャババシャーンザブンザブーン」。 全身に纏っているウィザードローブの色が黒から青に逆転し、胸部にウィザードラゴンの頭部を模した装飾が施されている。 更に変身時は魔法陣を潜ると共に水を纏ったウィザードラゴンの幻影が出現して一体化する。 ウォータースタイルと同様に水を操る能力を備えるが、ウィザードラゴンの力の一部を開放した事でスペックが格段に強化されている他、戦闘能力も全スタイルを上回っている。 アンダーワールド以外でもウィザードラゴンの力を具現化し、更にスペシャルウィザードリングを使用する事でウィザードラゴンの尻尾・ドラゴテイルが臀部に具現化する。 また、同じ魔宝石から作られたブリザードウィザードリングを使う事で強烈な吹雪や凍結能力を使用できる。必殺技はブリザードウィザードリングで敵を凍らせ、ドラゴテイルで敵を粉砕する 商品解説 ウィザードシリーズ魂ウェブ商店限定第4弾。ウォータードラゴンが魂ウェブ商店で限定発売決定。フレイムドラゴンに付属した台座が付属しないほか、ウィザーソードガンがつや消しに戻っているなどの細かい相違点がある。 良い点 優秀な造型、可動、塗装。 オールドラゴンも可能でシッポの造型も良く結構動く。 悪い点 腰が細い。 ローブの柔軟性が低く胴体が分離しやすい。 不具合情報 股関節の緩い個体がある。 関連商品 仮面ライダーウィザード フレイムスタイル 仮面ライダーウィザード ウォータースタイル 仮面ライダーウィザード ハリケーンスタイル 仮面ライダーウィザード ランドスタイル 仮面ライダーウィザード フレイムドラゴン 仮面ライダーウィザード ハリケーンドラゴン 仮面ライダーウィザード ランドドラゴン 仮面ライダーウィザード インフィニティースタイル 仮面ライダーウィザード エフェクトセット01 魂STAGE(ルパッチ マジック タッチ ゴー♪Ver.) マシンウィンガー 仮面ライダービースト 仮面ライダービースト マントセット 仮面ライダービーストハイパー フェニックスファントム メデューサファントム 白い魔法使い コメント
https://w.atwiki.jp/nwxss/pages/22.html
風景が現実感を取り戻すと同時に、今さっきまで存在していた全ての破壊の痕跡まで がまるで魔法のように消え去っていた。 魔剣によって吹き飛ばされた屋上のフェンスも、校舎の壁面にも、駐輪場にも…どこ にもさっきの激闘の痕跡がないことを見て、こなたはおもむろに腕を組んで考え込み始 める。 その様子を見ながら、柊はとりあえず手早く事情を説明するかと腹を括る事にした。 「まぁ、手っ取り早く言うぞ。お前がさっき見た化け物は『侵魔(エミュレイター)』 って名前で呼ばれる…まぁわかり易く言うなら人喰いの怪物だ」 かなり乱暴な表現ではあるが丸っきり間違いという訳でもないよな。と胸中で言い訳 をしつつ、殊勝な態度で耳を傾けるこなたに向けて目線を合わせつつ話す柊。 いくら守護の霊力を受けているとはいえ、ウィザードでない一般人にあの手の事件は 刺激が強すぎるかなどと、内心で舌打ちしつつ更に説明を続ける。 とはいえ、世界の真実全てを話すわけにはいかない。かいつまんで説明した内容はと いえば、この学校の中にさっきのような化け物が潜伏している可能性があること。 そして、自分がその化け物を狩り…ここを護る為にやって来たこと。 「…とまぁ、言った所でしんじちゃもらえねぇだろうが…。俺の側の説明はざっとこ んなもんだ…って、おい?泉…?」 話を打ち切る前に、柊はこなたが延々黙考を続けるさまをみて少し不安に駆られた。 ウィザード以外の一般人(イノセント)がこういった超常の現象に触れると良くて精 神に悪影響・最悪存在そのものの抹消もありうるのだ。いくら何者かの庇護を受けてい るとはいえ、かなり軽率だったかと思った矢先。 「…くぁぁぁぁあああああ!そ~だったのかぁぁぁっ!」 やおら、こなたは心の底から悔しそうに頭を抱えた。何事かと怪訝な表情になる柊の 前で、まったく欠片も気にする様子もなく言葉を続けるこなた。 「最初見たときはデュエ○セイヴァーかと思ったらシャ○でっ!○ャナかなと思って 最後まで話を聞いてみたら夜○るだったとわぁぁぁ!!…やりますなぁ、お兄さん」 不意に島本和彦調の口調で口元をぬぐい、ニヤリと笑うこなた。 時間が止まったかのような沈黙が続き…木枯らしの様な一陣の風が吹いたと錯覚させ る時間が続いた後。 「ってぇぇえええ!だぁからさっきから何 の 話 をしてやがるんだお前わよぉぉ ぉぉぉぉぉ!!何の話だシ○ナだの○来るだの訳わっかんねぇ事ポンポンポンポン言い 倒しやがってぇっ!?」 「や、だってこーいう風に言うほうが判り易いし」 手をひらひらさせ、余裕の猫スマイルを浮かべるこなた。その様子には欠片一片の動 揺もありはしない。一瞬でも真剣に心配した自分が特大の大馬鹿に思えて脱力し、その ままがっくり片膝をつく柊。 そして、ごく自然にその肩に「ぽん」と、労わる様な表情のまま手を添えるこなた。 「…やー、やっぱ弄るのおもちろぃわ、お兄さん。ぐっじょぶ、パーカー」 「だぁからぁああああ!まぁだ言いやがるのかそのネタをよぉぉぉぉぉおおお!?」 漢、柊蓮司大絶叫。 しかしこなたはまったく動じていない。この娘は余程の馬鹿か余程の大物かのどっち かなんだなと当りをつけ(多分前者だと内心で確信を持ちつつ)とりあえず立ち上がる。 もうすっかり日が暮れかけているのだ。帰らないと叔母さん達に心配をかけてしまいか ねない。 「と、その前に…泉、さっき最後の化け物を始末する直前にお前…」 「待ってって声を掛けたこと?」 最後に確認したいことを切り出す前に、当のこなたが口を開いた。 「あぁ、あの時お前普通に命狙われてただろ?なのに自分を殺そうとしてた、しかも どう贔屓目に見ても怪物にしか見えないものを仕留める前に制止がかかったのが気にな ってな…なんか、あったのか?」 その言葉に続き…少しの間をおいてこなたは話し始めた。 「あの化け物…かがみんの姿、してたんだ。襲われる寸前まで」 一瞬の沈黙。 柊はこなたの言葉を聞くや否や、即座に懐に忍ばせていた0-Phoneを取り出した。 前の0-Phoneが壊れた日の夕方には何故か新品の0-Phoneが届いていて…この0-Phoneの メモリからは何故かアンゼロットへの直アドレスが「削除不能設定で」登録されてたの だが、まぁ細かい文句は言うまいと納得させ二秒でアンゼロットを呼び出す。 余計な事を伝えに来るときは即座に繋がりやがるアンゼロットとの回線だが、何故か この肝心なときに限ってえらくつながりが悪い。 軽く10コール近く呼び出し音が鳴った後、辛うじて音が拾えるかどうかの音波状況の 中、最悪の疫病神の声が聞こえだした。 「はいはいもしもーし♪あら柊さん、どうなさいました?」 「どうもこうもねぇ!!アンゼロットっ!前の『エンドレス・サマー事件』に関与し た侵魔の情報を送れ!あんま時間がねぇんだ!二秒でやれ二秒でっ!!」 「落ち着いてください柊さん、あぁ唾が飛びます静かに話してください」 「電話越しでどぉやって唾ぁ飛ばすんだこらぁっ!?冗談こいてる場合じゃないんだ っ!俺の従姉妹が事件に深くかかわってる可能性が出やがったんだよっ!!」 激しく電話越しにまくし立てる柊の必死な口調に、事情を察したアンゼロットの声色 が変わる。 「わかりました、少々データ量が大きくなるので0-Phoneに圧縮データを送信します けど、件の時間ループ現象の影響で回線に大きな負荷が掛かってます。 あまり余裕がない状況になりつつありそうですので、口頭でも簡単に概要を説明しま す。落ち着いてお聞きなさい」 「回線に負荷って…そんなヤバイ状況なのか!?」 通常、霊界を経由して通話可能な0-Phoneは異世界とでも異次元とでも会話可能であり その回線が負荷を受ける、および不通になるのはかなり特異な状況以外ありえない。 「ありていに言えば、その問題の侵魔『夢を喰らうもの』の時間巻き戻り現象を察知 した『世界結界』が、最悪さいたま一帯を『切り離し』隔離する方向に稼動しているよ うなのです。 現に増援のウィザードを送ってはみたのですが…ただの一回も『繰り返し現象を受け つつある』さいたま一帯にたどり着けないままに終わっています」 「前の事件のときは全世界が巻き込まれたらしいからな。『世界結界』も学習したっ てか。性質(たち)悪ぃ冗談だぜ、まったく」 「愚痴るのはあとで。『夢喰らうもの』は『契約を結んだ人間の心に巣食い、精神と 魂を同化させる』性質があります。 同化が完全に終わってる場合、物理的に駆除しただけでは契約者が昏睡に陥り、なお かつ相手に逃げられるという最悪の結果を招きかねません」 アンゼロットが淡々と、恐ろしい事実を電話越しに話す。スピーカー受信に切り替え ている為それを聞くことができたこなたが青い顔をするのがはっきりわかる。 「概ねは解った。んで、対策はっ!どうやりゃその侵魔をかがみから叩き出せる!?」 必死の表情で捲し立てる柊。何があっても日の当たる世界に生きている従姉妹を巻き 込みたくない一心で叫ぶその声に、アンゼロットは数瞬の沈黙の後に言葉を続けた。 「あれの完全な駆除・撃滅には『夢使い』の秘術・『夢語り』が必須になります。 『夢語り』を利用して被害者の夢、すなわち精神世界にダイブし、その内部にいるだろ う『夢喰らうもの』と、被害者のリンクを断ち切る必要があるのです」 「ってぇ!俺ぁそんなのつかえねぇぞっ!?増援のウィザードはどうしたっ!?」 「だから先ほども申し上げたではありませんか。増援は『事件のおこりつつある』 さいたま一帯にたどり着けもしないのです。 しかし…座してただ見るだけというわけにも参りませんね」 一瞬の沈黙の後、アンゼロットはいきなりこんな事を言い出した。 「柊さん。今いる場所からわたくしが10を数え終わるまで動かないでくださいね?」 思い切り嫌な予感がする。 だが現状を鑑みる魔剣使いの柊では状況を打開できず、こなたは守護霊の庇護があれ どもウィザードではない為これまた事件解決には役に立てない。 胸中で膨れ上がる嫌な予感をあえて黙殺し…アンゼロットがゆっくり数える10カウン トを耳にしつつそのまま待つ。 「…あ、流れ星」 などと、不意にこなたがそんな事を言い…柊の頭上当りを指差した。急激に膨れ上が る嫌な予感。 アンゼロットのカウントは続く…あと5…あと4…あと3 「あ~~~…な、なんかこっちにおちそーな気がするなぁ…あの流れ星」 などと言いながら、ちゃっかりグラウンドの水のみ場の影に隠れるこなた。嫌な予感 が柊の脳内でどんどん大きくなる…カウント3…2…1…。 「やぁあああああっぱりぃいいいい!こぉなるのかよぉぉぉおおおおお!?」 カウントゼロ。その瞬間、柊蓮司の後頭部に 遥か彼方から矢のように舞い落ちてきた、通学カバンよりやや大きいサイズの金属質 の光沢を放つ『何か』が まさに狙い済ましたかのような精度で 見事に激突した! 凄まじい轟音とともに黄昏空に跳ね上がる『それ』は一瞬の間をおいて校庭に落下し て、甲高い音を立てて二・三度バウンド。その後にやっと静止した。 「柊さんのところに先ほど届いた運搬用ケースはプラーナを吸収しやすい希少金属で ある、メテオライトで作った特注品です。これならば世界結界を貫通するかもと思った のですが、無事に荷物が着いたようで安心しました♪…あの、柊さん?」 あっけらかんとトンデモナイ事を言うアンゼロット。スピーカーからの声を聞いた後 に、校庭に転がっていたその0-Phoneを代わりに受け取ったこなたは、何食わぬ顔でこ うアンゼロットにいってのけた。 「柊 蓮司さんのクラスメイトの者ですが…おもしろい男を 亡くしました」 何故か遠い目をするこなた。その直後、むくりと復活してのけた柊がひったくるよう に0-Phoneを奪う。 「ってえ!勝手に殺すなっ!あと『も』と『ろ』が余計だっ!で、何なんだこの荷物 はっ!?」 などと言いながら、校庭に転がっていたケースを無造作に開封する。その中にはまる で深海の蒼を濃縮したような光沢をはなつ、拳大の大きさの宝玉が収められていた。 「秘宝・夢見の宝玉です。これにプラーナを注ぎ込みつつ、対象の枕元にて握り砕け ば、一度だけ『夢語り』と同じような魔法的効果を発揮します」 アンゼロットの説明を耳にしつつ宝玉をしっかり握る柊。徐々に、夜が迫りつつある 中、真摯な表情のこなた。 「宝玉の使い所その他はあなたの判断に一任します、がんばって下さいね、柊さん」 その一言を残し、アンゼロットからの通信は途絶えた…。そして、夜がやってくる。 決意の表情のまま、黙って宝玉を握り締める柊の傍らで、こなたはごく自然な動作で 自分の携帯電話を取り出し、二・三言葉を交わす。 「あ、おと~さん?…うん、今日かがみん所に泊まるから…ん、平気へいき」 思わずギョッとした。さっきあれだけ危険な目に逢っておきながら、こなたは全く懲 りていない様子で自宅に電話で連絡を入れている…しかもかがみの所に泊まる、という ことは即ち…。 「おまえまさか…ついて来るつもりなのかっ!泉っ!?」 「ん?当然そのつもりだけどっ♪」 さも当然のように言ってのけるこなた。携帯を折りたたみ、何食わぬ顔で鞄を拾い上 げて歩き始める。 一瞬の沈黙の後、柊は慌ててこなたの後を追って駆け出しつつ言葉を紡ぐ。 いくら霊的な庇護を受けている状況であれども、ただの一般人が侵魔の支配する精神 世界に足を踏み入れれば、恐らく間違いなくただ事ではすまないからだ。 「お前さっきの話を聞いてなかったのかよっ!?相手は普通じゃないんだぞ!ただ 殺されるだけなら御の字、最悪『存在しなかった』事にされるかも知れないほどにヤ バイ相手とドンパチするんだぞ!俺ぁ!」 「知ってるよ?わかってるわかってる」 手をひらひらさせつつ言葉を続けるこなた。そこには一片の気負いも何もない。 いかにも自然体そのものにしか見えない態度のまま、顔を合わせないようにしながら 足元を見据え、言葉を続ける。 手をひらひらさせつつ言葉を続けるこなた。そこには一片の気負いも何もない。 いかにも自然体そのものにしか見えない態度のまま、顔を合わせないようにしながら 足元を見据え、言葉を続ける。 「だって、その『普通じゃない』化け物に、かがみんが、酷い目に合わされるかも 知れないってことじゃん?それ」 思わず息を呑む柊。パッと見に偏見が混ざっていた。 こなたは真剣に、友達のことを考え、恐怖を遭えて踏み越えてでも修羅場に踏み込も うとしているのだ。 小刻みに震える身体を意志の力で押さえ込み、内心に吹き荒れているだろう恐怖を も乗り越えようとしているのだ…その顔からははっきりと、強い意志の輝きが見て取 れる。 「だったら、なおさらほっとけないっしょ。 かがみんはあたしの大事な友達。その友達が事件に巻き込まれてて、それを解決する 手段がそこにあって。 あたしはその事件がどんなものかを知ってる。ならほっとける…わけ、ないじゃん」 顔を合わせないのは恐怖と戦う様子を悟られないようにするため。それがわかった 時に、柊はこなたを止める事を止めた。 この覚悟は説得なんかで折れるものではない。 「…極力、こっちでもフォローはする。だが真剣(マジ)でやべぇ橋だぞ?泉」 「ん、わかってる。…あんがと、パーカー」 「…それは止めろって…ったく、ナリはちっちゃいのに大したやつだよ、お前は」 もう苦笑するしかできる事はない。 苦笑交じりのまま、柊はこなたの頭にぽんと手をのせ、そのままワシワシと髪を撫 でていた。 子ども扱いにムクレ、手足を振り回し「はなせー」などというこなたの姿を見なが ら柊は、この事件が無事に解決できることを心から願った。 そして、夜がやってくる。誰も知らない夢の中の世界での、決戦の時が。 ← Prev Next →
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/2645.html
「ナイトウィザード」より蠅の女王 ベール・ゼファー召喚 ナイトメイジ-01 ナイトメイジ-02 ナイトメイジ-03 ナイトメイジ-04 ナイトメイジ-05 ナイトメイジ-06 ナイトメイジ-07 ナイトメイジ-08 ナイトメイジ-09 ナイトメイジ-10 ナイトメイジ-11 ナイトメイジ-12 ナイトメイジ-13 ナイトメイジ-14 ナイトメイジ-15 ナイトメイジ-16 ナイトメイジ-17 ナイトメイジ-18 ナイトメイジ-19 ナイトメイジ-20 ナイトメイジ-21 ナイトメイジ-22 ナイトメイジ-23 ナイトメイジ-24 ナイトメイジ-25 ナイトメイジ-26 ナイトメイジ-27 ナイトメイジ-28 ナイトメイジ-29 ナイトメイジ-30 ナイトメイジ-31 ナイトメイジ-32 ナイトメイジ-33 ナイトメイジ-34 ナイトメイジ-35 ナイトウィザードは有限会社ファーイースト・アミューズメント・リサーチの著作物です