約 2,144,236 件
https://w.atwiki.jp/terachaosrowa/pages/5681.html
地下。 小町はベジータとの交戦をしていた。 小町が戦っているうちに、彼女の指示で負傷したなのは組は都庁方面へ退避させられた。 というより繰り広げられる戦いは光と光がぶつかり合うような激しすぎる攻防であり、全員手傷を負っている上に首輪も外れていないなのは組では足でまといになると思い、小町が逃がしたのである。 ベジータはそれだけの強敵であり、誰かを守りながら戦う余裕など無いのである。 「クソッ! 攻撃が届かない気持ちの悪い能力を使いやがって! 大人しく俺とクラウザーさんのためにSATUGAIされやがれ!」 小町は先の戦いでセルベリアに使ったように距離を操る程度の能力を使って、ベジータの拳や蹴り、エネルギー弾を自分やなのは組に届かないようにしたのだ。 いくらスピードを出して攻めても、距離を操る彼女の前で止まるか逸れてしまう。 いくら強力な技でも当たれなければどうということはないのである。 だが…… (クソッ! やっぱりここでも火力不足が目立ってやがる! あたいの銭や斬撃が当たっても全く効いてねえ!) 小町側にしてみれば、ベジータの異常に高い防御力の方が驚異であった。 セルベリアのヴァルキュリアとしての防御力も異常だったが、ベジータの場合はそれを遥かに上回っており、弾幕も斬撃もダメージゼロである。 これでは当たっても意味がない。 セルベリアの方は首輪の制限によりヴァルキュリアの力を使えば使うほど急速に疲弊していったが、ベジータの場合は首輪が外れているので戦闘による疲労はほとんどない。 (しかもこいつ、防御力だけじゃなくて、パワーとスピードもセルベリア……いや、レストすら上回ってる! 一瞬でも隙を見せたらこっちが殺されちまう!) 都庁の戦力の要であるレストは確かに理不尽級の強者だが、ちょっと本気を出せば惑星など簡単に消せるスーパーサイヤ人には流石に届かない。 更にこれ以上強くなれないレストと違い、サイヤ人は戦いがある限り際限なく成長し続けるのだ。 これまでロワを通じて幾多もの戦いを生き延びた小町にはベジータの実力が今まで戦ってきた参加者の全部を上回っていることを肌で理解していた。 それでもこれまでのベジータは金髪恐怖症が足枷となって実力を発揮できなかった。 が、クラウザーさんの歌によって狂ったことにより恐怖症を克服。 枷から解放されて実力を100%発揮できるようになってしまった。 もはやダオスやレスト、悪魔将軍すら彼の中では怖くないのだ。 そんな相手を前にして小町が臆すことなく戦えたのは幻想郷において場合によっては死人も出る弾幕ごっこで動体視力と回避能力を鍛えられていることと、影薄組や同盟軍などの仲間の存在と、いくつもの死線を突破していったために胆力がついたおかげだろう。 もし序盤のように殺し合いでサボることだけしか考えていなかったら、ベジータを前に足がすくんで戦うことはおろか逃げることもできずに塵にされていただろうと小町は考える。 そして弾幕の飛ばしあいと刀の斬撃と拳による打撃の渦の中。 一瞬でも集中力と能力を切らせば一気に攻め入られ、殺されるかもしれないギリギリの戦いの中で小町は、ベジータを倒せるか追い払えるだけの実力を持つ仲間の救援を待った。 ……しかし救援は間に合わず、代わりにピシッと音を立てて不運がやってきた。 「神鎗が!?」 これまでロワで小町の相棒として戦ってきた斬魄刀が、ベジータの鉄壁の防御力の前に耐久性に限界が来てしまい、その刀身に大きなヒビが入ったのである。 更にセルベリア戦の倍は能力を使っている小町の疲労も重なり、一瞬の動揺が付け入られる隙を与えてしまった。 その機を見逃さなかったベジータが、ニヤリと笑い、能力を張り損ねた小町に対して鉄拳を放つ。 「ッ!?」 ベジータの攻撃に対して、小町は咄嗟にディパックから小舟を出して盾代わりに防御する。 舟は大破したが小町への攻撃の直撃だけは防がせた。 「うわああああああ!!」 しかし余波までは防げず、キイーーーンというジェットのような音を立てて、彼女を大きく後ろに吹っ飛ばしたのである。 なのは組は小町の指示通りに都庁への退避をしていた。 しかし全員負傷がひどく、どうしても速度が出ないのである。 なのはに関してはベジータの攻撃による負傷で頭にダメージを受けたのか、ユーノの手の中でずっと意識混濁状態だった。 「ユー…ノ君……どこ?」 「なのは、しっかりするんだ! 僕はここにいる!」 「チッ、まずいな。この様子だと頭を打ったみてえだな」 「なのはが死んでしまったら、僕は…ボクハ……!」 「落ち着けユーノ! なのはは死に直結する怪我は負ってねえよ!」 医学生であるレオリオによりなのはの容態を知るが、それでもユーノは落ち着かずに焦燥していた。 これまでユーノをリーダーとして見てきたなのは組一行に取っては、こんなに困惑したユーノを見たのは初めてだった。 今のユーノは恋人を殺されかけていつもの冷静さを失っているのだ。 とにかくユーノは小町がベジータを引き付けている内になのはを都庁同盟軍の仲間に治療させるために都庁を目指す。 (レオリオは医大生だが短い時間で仲間を治療するスキルは持っていない) だが彼らの希望は潰えるが如く、後方から凄い勢いで吹き飛ばされてくる小町の姿があった。 「小町さん!?」 「危ねえ!」 あの勢いでそのまま壁面に激突すれば小町の肉体は粉々になってしまう。 直感で気づいた桑原が彼女を受け止めるべく飛び出し、彼女の体をキャッチする。 「うおおおおおッ!?」 「がはッ!!」 「桑原!!」 しかし勢いそのものはほとんど殺せず、小町を受け止めた桑原の体が小町ごと壁面に激突する。 桑原が緩衝材となったおかげで小町は粉々の肉塊になって死ぬ惨事は防がれたが、体中から血を流して気を失い、彼女のメインウェポンであった斬魄刀は折れてバラバラになってしまった。 彼女のクッションになった桑原はそのタフネスさ故に死ぬことはなかったが、こちらも小町同様に体中から血を流して気を失ってしまった。 頼れる仲間が一辺に二人も戦えなくなったこと……特にベジータのパワーに唯一対抗できていた小町が戦闘不能に陥ったことに残されたユーノ、ハス太、レオリオ、エリカは戦慄する。 そしてスーパーサイヤ人という名の絶望が彼らに追いついた。 「手こずらせやがって、俺様の手で直々にSATUGAIしてくれるわ!」 「そんな……」 「畜生、こんなところで!」 「まだ諦めてはなりません! 何か打つ手があるハズ……」 敵の攻撃をほぼ確実に外させる能力を持つ小町と、敵の防御力を無視する霊剣を持つ桑原は気絶した。 エリカは手元にポケモンがおらず、護身術程度ではサイヤ人には敵うまい。 ハス太とレオリオの実力でもベジータに敵わないのは先に立証済み。 せめてハス太が限定解除状態になればワンチャンスあったかもしれないが、首輪が外れていない現状ではそれもできない。 そんななのは組をまとめて花火にするべく、ベジータは気を練り始めた。 必殺技のファイナルフラッシュで一気にトドメを指すつもりなのだ。 それを感じ取ったなのは組は内心では生存を諦め自分たちの最期を確信した…… 気絶している者たちと、ユーノを除いて。 ただ一人、ユーノだけがベジータに平然と向かっていく。 「ユーノさん?」 「ユーノ?」 「ユーノ……さん?」 気を失っていたなのはをゆっくりと地面に下ろし、レオリオたちの呼びかけにも応じずにベジータに向かっていくユーノ。 その心の中では、様々な感情が渦巻いていた。 ――ドクン 一つはなのはを失うかもしれないという恐怖 ――ドクンドクンドクン 一つはなのはに怪我をさせてしまった自分の無力さへの怒り 一つはなのはを確実に守るための力への渇望 ――ドクンドクンドクンドクンドクンドクン 一つはなのはを傷つけた怨敵への殺意 一つはなのはを悲しめたあらゆる者への憎悪 仲間たちにこれまで見せたことのない瘴気のような禍々しい魔力を噴出するユーノ。 そんなユーノに気絶から覚めかけていたなのはが彼の背中を見てうわ言のように呟く。 「ユーノ君……?」 ――ド ク ン ッ 最後に感じた思いはなのはへの愛。 ユーノの中で様々な思いがかき混ぜられた時、ユーノは混沌への扉を開いてしまった。 「ウオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!!!!!!」 「なんだ!? こいつの気が膨れ上がって……」 ユーノはまるで野獣のように叫んだ。 周辺をビリビリと揺らす咆哮に、レオリオもハス太も、精神力の強いエリカでさえ思わず立ちすくんでしまい、ベジータをも驚かせた。 そして咆哮と同時に彼の体に変化が現れる。 瘴気じみた魔力を吹き出しながら金色の毛皮を全身を覆い、加えて胴が細長くなり長い尻尾が生えてきた。 シルエットだけは彼がよく変身するフェレットの姿に似ている。 しかし、全体的なサイズは大柄な桑原やレオリオの何倍もあり、牙も爪も一目で危険とわかるくらい鋭く、目は赤い複眼の恐ろしい姿だった。 ユーノは一瞬でフェレットによく似た怪物になってしまった…… テラカオス化進行による変身である。 突然、怪物に変身にこの場にいた誰もが混乱している。 「フリーザのような変身能力か! さっきの40倍か50倍は気が大きくなってやがる! だがスーパーサイヤ人にしてサイヤ人の王子である俺の足元にも及ばねえがな!」 ベジータはユーノが変身と同時に力を大幅に増したことに一時は驚くも、力の差は未だにベジータが大幅に上回っており、勝てると見込んで再びなのは組にファイナルフラッシュを放とうとしていた。 ユーノの実力の元の50倍程度では圧倒的戦闘力を誇るベジータを殺すのはまだまだ足りないのだ。 「俺のレ○プを喰らいやがれ! ファイナルフラァーーーーーッシュッ!!!」 巨大な閃光が地下の壁面や床を削りながらなのは組に襲いかかる。 このロワで上位の実力者だった神樹をも倒した一撃が、なのは組と小町に襲いかかる! しかし、その一撃に対しユーノはなのはたちの前に躍り出て、巨大な防御結界を張った。 ユーノは防御面に関してはスペシャリストだ。 だがそんな彼の結界による防壁もいとも容易く破られたことは先ほど証明されている。 その50倍硬い結界を張ってもやはり破られるだろう…… ただしそれは、単純に防御力を上げただけの場合である。 結界とファイナルフラッシュが衝突した瞬間、目のくらむような眩い閃光がなのは組を襲う。 されど閃光はなのは組や小町を蒸発させることはなく、結界から先へ進むことはないまま霧散した。 「ダニィ!?」 驚くベジータだが、これで終わりではなかった。 今度は怪物化したユーノの口に光が集まり出した。 テラカオス化進行によって得たユーノの能力……それは! (こいつ…空気中に漂っている俺の放ったファイナルフラッシュの気の残滓を吸ってやがる! それだけじゃなく、倍近くも奴の気の力が強まっているだと!?) ――結界で弾いた攻撃のエネルギーを吸収し、それを倍以上にして敵に返す。 敵の攻撃が強ければ強いほど強力になるカウンター魔法……それが、テラカオスに近づいたユーノの固有能力であった! 「グラアアアアアアアアッ!!!」 攻撃を凌いだユーノ君が反撃に出る。 口からシュートバレットによく似た光弾がベジータに向けて吐き出されようとしていた。 「あれを喰らうのは流石にまずい!避けねば……ハッ!?」 さしものスーパーサイヤ人ベジータも自分の必殺技の倍以上ある攻撃は避けねばまずいと判断する。 ところが、彼が攻撃を避けようとした瞬間、ユーノによってチェーンバインドで手足を縛られ、身動きを取れなくしていた。 このチェーンバインドも50倍以上の強度があり、常人はおろかチート級の参加者では脱出不能であるが。理不尽級に位置するベジータなら2~3秒あれば破壊して脱出できるだろう。 ……もっとも、2~3秒あれば今のユーノには十分であったが。 そしてとうとう吐き出された光弾。 ベジータの放ったファイナルフラッシュの倍以上の閃光であり、もうなのは組の面子は目を開いていられなかった。 その光弾の威力も速度も、なのはのスターライトブレイカーが花火に見えるレベルであろう。 ベジータは光弾が直撃する前にバインドを力技で破壊して脱出を試みるも、バインドの破壊と同時に閃光に包まれた。 「サイヤ人の……王子であるこの俺が……」 閃光が収まった後にはベジータの姿はなく、ユーノの攻撃でできた瓦礫と燃えかす、地下の空洞があるのみであった。 なのは組は、ユーノの手によってベジータに勝利し生存を掴んだのである。 「やりましたね、ユーノさん!」 「こいつめ、こんな隠し玉あるんなら最初から使えよ」 敵を倒したユーノをハス太とレオリオは賞賛し、彼に近づきながら褒め讃えた。 ハス太とレオリオはユーノが強力な変身能力を持っていてそれを今まで奥の手として隠し持っていたとばかり思い込んでいた。 そうでなくとも最凶の敵であったベジータを倒したことで緊張の糸が切れたのかもしてない。 「なのはさん、桑原さん、小町さん! しっかり!」 「う……うん……エリカ……さん」 エリカは気を失っている三人の介抱に向かう。 ユーノも気になるが今は倒れている味方を優先しての判断であった。 ちょうどその時に意識が混濁状態であったなのはも正気に戻りつつあった。 なのはが目覚めるのがあと10秒早かったら、この後に起こる惨劇は防げただろう。 もしくは『参加者を怪物に変える謎の瘴気』の情報を知る小町が気を失ってなかったら、エリカが三人ではなくユーノの方にもっと疑いの目を向けていたら。 情報は知らずとも鋭い勘を持つ桑原が倒れていなければ未来は変わっただろう。 だが運命は残酷だった。 なのはは覚醒した瞬間と同時に目を見開いた。 重傷を負った仲間たち。 跡形もなく消えた強敵。 巨大フェレット型の怪物と化したユーノ。 その光景全部が、千年タクウがなのはに見せた未来そのまんまであったのだ! 「ダメ!ユーノくんから離れてーーーッ!!」 なのははユーノの傍にいる二人組に声を絞り出すように警告を発した。 それは暗黒の未来を変えるための、彼女の最後の足掻きであった。 「え?」 ……しかし、全ては遅かった。 なのはの言葉に何事かと思った二人はなのはに振り返るが、それこそが致命的な隙になってしまった。 よそ見をした瞬間に、テラカオス化進行によって敵と味方の区別がつかなくなったユーノは、二人のうち一人に牙を向き、首根っこにガブリと噛み付いた。 そして一瞬のうちに鋭い牙によって体と頭を切断させた。 ここまでで0.1秒にも満たない時間であった。 体が外れてしまった頭が地面に落ちてコロコロと私の足元まで転がってきた。 ……その首の持ち主は―― 「いやあああああああああああああああああああああ!!!ハス太くーーーーーん!!」 「ハス太……!?」 「ハス太さん!」 ハス太の首に映る表情には、一瞬で味方に殺されたがために何が起きたのか理解していない呆気に取られた表情をしていた。 邪神級の力を持つ少年のあまりに呆気ない最期と、ユーノの突然の暴走にレオリオとエリカは怒りと悲しみを覚えるよりもただただ驚愕していた。 一方、この未来を知っていて皆に話さなかったなのはの表情は、とうとう惨劇の未来を変えられなかったことにより絶望に歪んでいる。 そして怪物ユーノの視線がギロリとなのはに向いた。 「グウウ……」 「ひッ!?」 おどろおどろしい怪物の複眼に、相手が恋人であるユーノであることも忘れてなのはは腰を抜かしてしまう。 そして怪物はハス太の首のない骸をその辺に放り投げ、なのはに向けて一直線に駆けた。 「ゆ、ユーノ! やめろ! ぐあ」 「ユーノさん! うッ」 ユーノの次の狙いがなのはだと気づいたレオリオとエリカが止めに入ろうとするも、傷ついた二人では止めることも叶わず、ユーノの突進によって突き飛ばされて床に転がった。 そうしてユーノはなのはの下にたどり着いてしまった。 「あ、あああ……」 「ナノハ……」 恋人の変貌に怯えるなのはを前にしたユーノはなのはに向けて牙を向けて食い殺す。 「マモル……」 「え……? わ!」 などということはなく、口でなのは首の襟をくわえ込んだと思いきや、そのまま他の獲物に目もくれずに駆け出し、ベジータが神樹及び都庁を破壊する際に開けた穴の壁面を爪を使ってスイスイとよじ登って地上へと出て行った。 残されたのは静寂とレオリオとエリカと、まだ気絶から醒めない桑原と小町、ユーノに連れていかれる際になのはが置いていったディパックにハス太の惨死体だけだった。 「畜生! いったい全体、何が起きてんだよ」 状況の読めないレオリオが吠える。 そして冷静さを取り戻そうとしていたエリカがようやく、主催がばら撒いたと思われる瘴気のことを思い出し、口にする。 「まさかユーノさんも瘴気に当てられて……!」 「瘴気!? 神樹の言ってた奴か! それとユーノが怪物になるのと関係あるのか!」 「ごめんなさい、私が仲間に気を配りきれなかったばっかりに……!」 自分たちよりも情報を知っているエリカを問いただそうとするレオリオの視線と、情報を持っていながら兆候を目撃していなかったからとはいえ仲間が瘴気に感染発症する可能性を考慮していなかった自分にエリカは強い自責の念を覚える。 だが立ち止まってばかりもいられなかった。 こんな時こそめげるのではなく、動き続けなければいけないのだ。 「今は都庁に戻りましょう」 「ユーノを追わなくて良いのか!? 今のあいつじゃなのはの身の安全も危険だぞ!」 「わかっています。私だってそうしたいです。 ですが、私たち全員がボロボロであり気絶した桑原さん小町さんを抱えてじゃ追いかけるのも止めるのもまず不可能……ここは治療も兼ねて都庁に戻るしか――」 「いいや、おまえらはもう生きて都庁に帰れねえぜ?」 「「!?」」 突如、聞き覚えのある声が聞こえたと思った瞬間……レオリオの上半身が背後から飛んできたエネルギー弾によって消し飛び、下半身だけを残してこの世を去った。 「なッ――」 「レオリオさん!」 「下半身だけあれば良いってな、まずは一匹SATUGAIしたぜ」 レオリオの命が消し飛んだあと、嘆きたい気持ちも抑えてレオリオを殺した下手人を視界に捉えると、そこはあらゆる意味でいてはならない男がいた。 「ベジータ!! あなたは死んだハズじゃ……」 「一度の戦闘で惑星破壊規模の戦闘を行うサイヤ人を舐めるな。 今までに都市が一瞬で蒸発するような攻撃くらい何度も食らっている。 本気の必殺技だったら東京など軽く消し飛ぶが、そんなことをすれば狂信者の本拠であるビックサイトも吹っ飛んじまうからな。 そうならないように今まで威力をかなり落として撃っていたんだよ。 あのガキには驚かせられたが、俺を殺すには手加減しまくったファイナルフラッシュの倍と+α程度の威力じゃ足りなかったな」 「そんな……」 ベジータは死んでいなかったのだ。 跡形もなく消し飛んだように見えて、実は少々遠くへ飛ばされただけ。 多少の手傷と出血は負わされたものの、スーパーサイヤ人を殺すには程遠い。 「どうやらあのガキは俺が見ていない間にどこかへ行ったようだな。 能力的に俺を殺せそうな奴はいなくなってちょうどいい。 次の一撃でおまえと都庁ごと吹き飛ばしてやる」 「くッ……」 ベジータの腕に再び、気の力が宿る。 今度はエリカごと都庁ごと消し飛ばすつもりなのだ。 都庁にはまだ無傷の戦力にダオスやフォレスト・セルも残っているが、バーダックよりも遥かに格上なスーパーサイヤ人を倒せる保証はない。 さらに地下にいるベジータの攻撃を察知できているかまでは不明であり、フォレスト・セル辺りは生き残れても魔物と対主催の希望である世界樹や他のメンバーはアタルやレオリオのように消滅させられる危険がある。 対してエリカは手持ちポケモンを失い、ベジータの攻撃を阻止できるだけの戦力は持っていない。 今度こそ最悪の状況、万事休す。 エリカも今度の今度こそ終わりを確信する。 「『距離を操る程度の……能力』&死価『プライス・オブ・ライフ』!!」 エリカが諦めかけたその時、一人の女傑は目覚め、立ち上がり。 ベジータに向けて不意打ちによる能力の付加によって回避絶対不可能の無数の銭弾幕を放つ。 「うおおおおお!?」 今までは届かなかった弾幕は全てベジータがユーノによって付けられた傷口に吸い込まれていき、食い込ませる。 いかなスーパーサイヤ人でも体の内部までは鍛えられないという判断だろうか? 硬すぎる肌と筋肉を避けた体内攻撃により、小町による攻撃で初めてベジータにダメージが入り込む。 「こいつ傷口に攻撃を! だがこの程度でスーパーサイヤ人が死ぬと思うな!!」 確かにダメージは入ったが、ダメージそのものは微々たるもの。 殺すには威力が足りなすぎる。 「いいや、アンタはここで死ぬんだよ。死神の剣でね」 「!?」 しかし相対する小町は冷徹な視線をベジータに向けていた。 実力差は蟻と象並の差があり、自分にボロボロにされた相手のものでありながら、恐れを抱かずに相手を殺そうとする視線。 ベジータはその視線に、金髪キャラに睨まれる以上の恐怖を一瞬でも感じ、ゾクリと脊椎を震わせた。 「――死(ころ)せ 『神鎗』」 そして死神によって刑が執行された。 次の瞬間、ベジータの全身に耐え難い激痛が走り、口や鼻や目などのという穴という穴から血を噴き出した。 「がはあああああああ!!」 「ベジータが!?」 ユーノの攻撃ですら倒せなかったベジータが、悶え苦しんでいた。 その彼の苦しみ方はポケモンバトルで、特に状態異常を得意とする植物系ポケモンを扱うエリカには見覚えがあった。 「これは毒! それもかなりの猛毒!」 「そうさね。神鎗には奥の手として内部に死に至る強力な毒が仕組まれている。 刀の一部を相手の体に植え込み、解合すれば発動するって仕組みさ」 「き、貴様、さっきの銭の中に刀の一部を……!」 「ああ、銭はただのカモフラージュ。傷口を通してアンタの体内に神鎗の破片を入れさせてもらったよ」 ユーノが開けた傷口。小町はそれを利用してベジータの体内に銭弾幕に混ぜた砕けた神鎗の破片を侵入させた。 これまではベジータの高すぎる防御力によって体内に侵入させる前に阻まれるが、ユーノが手傷を負わせたことで、破片の体内侵入が可能になったのだ。 「直接攻撃が効かないなら毒ならどうだと思って咄嗟にやったことで、毒が効かない相手ならあたいらは詰んでいたが…… どうやらサイヤ人は高い戦闘力と引き換えに毒への耐性がないみたいだね」 「お、おのれぇ~、ごふッ!」 かつて戦った仲でもあるレストには状態異常に無敵の耐性を持つ故に神鎗の猛毒を使っても効果はなかっただろう。 同様に強敵のセルベリアは抗菌作用を持つラグナイトに守られているので効果は薄かろう。 しかし毒や病気に耐性を持っていないサイヤ人のベジータにはまさにクリティカルヒットだったのである。 小町の必中を可能にさせる能力、神鎗の猛毒、ユーノがつけた傷、その三つの内のどれか一つでも欠けてたらこうはならなかった。 「クッソたれ~! 死ぬ前におまえらだけでも道連れにしてやる!」 毒による死を確信したベジータは、最後の抵抗として小町とエリカだけでも殺そうとする。 毒のせいで気が上手く練れないのでギャリック砲以上の強力な技は使えない。 そのため、無数のエネルギー弾を放つ弾幕攻撃、通称グミ撃ちで二人を殺そうとする。 しかし小町はエリカを抱えた後、冷静にベジータの弾幕を躱していく。 「こちとら幻想郷の弾幕ごっこで鍛えてんだい! 満身創痍のアンタの弾幕じゃ、止まって見えるんだよ!」 「クソッ! 大人しくくたばりやが「くたばるのはテメーの方だ! ベジータァーーーッ!!」 さらにベジータは毒と攻撃を躱される苛立ちにより気の察知能力が弱まり、それによって気絶から醒めた桑原の側面からの奇襲を許してしまう。 「ぐああああああ!!」 なんでも両断できる桑原の次元刀によってベジータの両腕と両足が切断された。 今まではベジータに掠らせることもできなかったが、今度は当てられる状況下だったために次元刀が効果を発揮し、スーパーサイヤ人の高い防御力を無視して切り裂いたのである。 「ハス太、レオリオ、すまねえ……だが一矢報いたぜ……う」 桑原が目覚めた時にハス太とレオリオの死体が目に飛び込んだために二人がベジータに殺されたと思い(ハス太は違うが)怒りのままに桑原はベジータに斬りかかった。 その直後に疲労とダメージにより再び気を失って地面に倒れ伏すが、彼の一閃によってベジータは戦う手段も逃げる手段も失ってしまった。 「がふッ……俺の…何が間違っていたんだ……教えて、くれ……」 とうとうベジータにも死の瞬間がきた。 なぜ愛する妻が死なねばいけないのか、なぜ自分より格下の相手に負けて虫けらのように毒にもがき苦しんで死なねばいけないのか、なぜクラウザーさんの歌を聞く願いは届かないのか疑問を投げかける。 だが答えは返ってこない。 毒をも癒すフェイスフラッシュの持ち主で、疑問を答えてくれる冷静で的確な判断力を持った仲間はつい先ほど自分が裏切って殺してしまったのだから。 せめて金髪にビビらず、人に流されず、妻の死にもめげず、クラウザーさんの歌に逃げない強い心を持っていたら運命は変わったかもしれないが、もはや後の祭りである。 「ブル…マ……」 最期に愛する妻の名を言い残し、サイヤ人の王子にしてZ戦士、誇り高き超人血盟軍の一員……弱き心のせいでその誇りも絆も全て捨ててしまった狂信者は逝った。 【ベジータ@ドラゴンボール 死亡】 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 「勝てたか……だけど」 小町たちはスーパーサイヤ人に勝利した。 だが小町が周囲を見るととても喜べる状況ではないのがわかる。 エリカと桑原は重傷、ハス太とレオリオは死亡、ユーノは怪物と化しなのはをさらってどこかへ消えた。 自分もアタルによって回復した分が帳消しになるほどの手傷と消耗を負ったのだ。 ここにいない日之影やアルルーナも負傷し、神樹は再び死地に立たされている。 狂信者軍団と貴虎・マーラによる襲撃でただでも大打撃を受けたのに、ベジータ一人のせいでさらに打撃を被ることになってしまった。 仲間を誰ひとりとして失わないつもりで戦っているが、現実はこの有様である。 「すまないね、神鎗。今までありがとな……」 これまで小町のメインウェポンだった神鎗もベジータに折られたばかりに柄しか残っておらず、斬魄刀を直す技術のない小町では修復もできなかった。 ある意味相棒であるとも言えた神鎗の喪失に小町は憂いの感情を覚える。 そんな彼女たちにカマキリに似たFOEが現れた。 地震でダンジョンの構造が変わってなかなか地上の世界樹に戻れずダンジョンを彷徨っていたアイスシザーズである。 仲間の出現に小町は喜ぶが、どうやら仲間は彼一匹しかいないようであり、状況を読めてなさそうな雰囲気からしてあかりたちがよこした救援ではなさそうだ。 『死神! 大丈夫か!』 「アイスシザーズか!」 『騒ぎを聞いて駆けつけてみれば、この惨状は一体……そこにいる和服の女ととうもろこしみたいな頭をした男は誰だ?』 「大丈夫、この二人は仲間だ。 地下にずっといたアンタは知らないだろうがレストとダオスもエリカのことは知っている」 『そうか……』 「それよりアイスシザーズ、すぐにでも地上の世界樹に戻ってエリカと桑原の治療を行いたいんだ。その大きな背中を貸しておくれ」 『人間は好きではないが、同盟の者ならいちおう信用しよう。 死神、敵がまたこないとも限らない。早く人間たちを背中に乗せるんだ』 とにかく重傷を負ったエリカと桑原を安全地帯である世界樹に運ぶ必要があった。 エリカの話によると自分が気絶している内に怪物化したユーノと拐われたなのはの行方も気がかりだが、アイスシザーズ込みでもユーノを止められる気がしないのでそちらは断念する。それよりもとにかくダオスや他の仲間にこの事を報告すべきだろう。 小町はアイスシザーズの背中に気絶した桑原を背負わせ、そのあとに続いてエリカも乗った。 それだけでなく…… 「小町さん、それは……」 「仲間をこんなところに置いていくのは寂しいだろ?」 頭と首が別れたハス太と下半身しかないレオリオの亡骸を小町は抱えていた。 死んだ彼らも弔ってやるつもりなのだ。 「アイスシザーズ、死んでる奴は背中に乗せちゃダメか? ダメならあたいが連れて行くが」 『……死者を弔いたい気持ちは俺にもわかる。良いだろう、乗せていけ』 「いいってさ、エリカ」 「本当にありがとうございます、小町さん、アイスシザーズさん……」 小町とアイスシザーズの厚意にエリカの目は涙で潤んだ。 そして二人の亡骸と、ついでになのはが置いていったディパックを回収すると、小町たちは地上の世界樹に向けて出発した。 そこには両手足をもがれたベジータの死体だけがポツンと残った。 【二日目・12時00分/東京・都庁近辺】 【小野塚小町@東方Project】 【状態】ダメージ(中)、疲労(中)、首輪解除 【装備】斬魄刀『神鎗』@BLEACH(破損して柄のみ) 【道具】基本支給品一式 【思考】基本:もう仲間を誰も失わない為にカオスロワを終わらせる 0:ひとまず桑原とエリカを連れて都庁へ 1:殺し合い打破のためにも都庁には協力する 2:もう二度と仲間を置いて行こうとしない 3:幽香及びバーダックの名が放送で呼ばれたことに疑問 4:変なの(セルベリア)に因縁つけられちまったね 5:超人達からの情報を鵜呑みにはしないが、一応ダオス達に伝える 6:世界に二度目の大災害が起こるだって? 7:神鎗に変わる強力な武器が欲しい ※飛竜たちと情報交換して、主催達が九州ロボにいることを知りました。 ※ダオスとの情報交換で、カオスロワちゃんねるの信憑性に疑問を持っています(フェイ・イェンにもたらされた情報より、少なくとも都庁の悪評は天魔王軍による仕業だと理解しました) 【エリカ@ポケットモンスター】 【状態】右腕潰傷、ダメージ(大)、深い悲しみ、歪みし豊穣の神樹及びアルルーナのトレーナー 【装備】なし 【道具】基本支給品一式、モンスターボール×2(神樹とアルルーナ) 【思考】基本:大災害による世界滅亡を防ぐ 0:ユーノさんが怪物化したなんて…… 1:世界樹に集まっている人にも世界滅亡の未来を伝える 2:ポケモンと一緒に生き残る 3:珍しい植物タイプはゲットしておく 4:世界樹の軍勢を手助けする 5:死なないで神樹……! 6:ハス太くん、レオリオさん、モジャンボ、キノガッサ……ごめんなさい 【桑原和真@幽遊白書】 【状態】気絶中、ダメージ(大)、疲労(大)、深い悲しみ 【装備】なし 【道具】支給品一式、大量の食糧 【思考】基本:大災害による世界滅亡を防ぐ 0:(気絶中) 1:ハス太、レオリオ、すまねえ…… ※ユーノの変貌を把握していません 【アイスシザース@新・世界樹の迷宮 ミレニアムの少女】 【状態】ダメージ(小)、疲労(小) 【装備】無し 【道具】ちりとり、支給品一式、タイムふろしき@ドラえもん、ガソリンの入った一斗缶、医療道具一式、ノートパソコン、ハス太とレオリオの死体 【思考】 基本:都庁を住処にしたモンスター達と協力して生き残る 0:小町たちを守るべく護衛しながら都庁へ撤退 1:雷竜様(雷鳴と共に現る者)の意思を引き継ぎ、都庁の世界樹は死んでも守る 2:魔物を奴隷にする人間は嫌いだが、同盟の人間なら一応は信頼する 3:デスマンティス達の裏切りに未だにショックを受けてるが、戦いに私情は挟まないようにする 4:雷竜様だけでなく多くの仲間までやられるとは…… ※貴虎の持ち物であったノートパソコンにはヘルヘイムの情報が載っています 【ハス太@這いよれ!ニャル子さん 死亡】 【レオリオ・パラディナイト@HUNTER×HUNTER 死亡】 【日之影空洞@めだかボックス】 【状態】ダメージ(大)、首輪解除、神樹に挟まれて身動き取れず 【装備】己の拳 【道具】支給品一式 【思考】基本:主催者を倒す 0:こまっちゃんとエリカは無事か? 1:仲間を守る 2:混沌の騎士が遺した謎を解く 3:大災害による世界の滅亡を阻止する 4:↑の全部やらなくちゃあならないのが先代生徒会長の辛いとこだな。 5:大災害と怪物作り(テラカオス)……何か因果を感じるんだが 【東横桃子@咲-Saki-】 【状態】気絶、首輪解除、深い悲しみと怒り、混乱 【装備】猟銃@現実、斬鉄剣@ルパン三世、野球のユニフォーム 【道具】支給品一式、スマホ、謎の物質考察メモ、筆記用具 【思考】基本:仲間と共にカオスロワを終わらせる 0:気絶中 1:加治木先輩を殺した拳王連合は絶対に許さない 2:時間があればスマホを使ってネットで情報を探る 3:DMCファンだけど信者の暴動にはドン引き 4:世界が滅びるなんてそんな…… 5:超人はもう殺す 【黒子テツヤ@黒子のバスケ】 【状態】健康、首輪解除、冷静 【装備】ウィンチェスターM1912 【道具】死出の羽衣@幽々白書 【思考】基本:仲間と共にカオスロワを終わらせる 0:都庁から応援を呼ぶ 1:友人たちと生き残るためにも、都庁に協力する 2:空気中に漂う物質への対処法を考える(世界樹が有力?) 3:狂信者には絶対に負けません 4:世界の滅亡ですか……流石に驚きました 【赤座あかり@ゆるゆり】 【状態】健康、首輪解除、深い悲しみ 【装備】エンシェントソード@Minecraft 【道具】マムルの肉@風来のシレン 【思考】基本:仲間と一緒にカオスロワを終わらせて主人公らしく大活躍! 0:都庁から応援を呼ぶ 1:混沌の騎士、亡くなった友人達の分も頑張る 2:まどかと同じく、人間と魔物の共存に賛成 3:オオナズチ以外の都庁のモンスターの背中に乗りたい 4:みんなの力で世界の滅亡を阻止する! 【歪みし豊穣の神樹@世界樹の迷宮4】 【状態】ひんし、幹が半分に折れている、エリカのポケモン 【装備】なし 【道具】支給品一式 【思考】基本:大災害による世界滅亡を防ぐ 0 (意識混濁) 【アルルーナ@新・世界樹の迷宮】 【状態】ダメージ(中)、深い悲しみ、エリカのポケモン、神樹に挟まれて身動き取れず 【装備】なし 【道具】支給品一式、不明品 【思考】基本:雷竜達の遺志を継ぎ、世界樹を守る 0 お姉さまはご無事なの!? 1 お姉さまと世界の滅亡を阻止する 2 拳王連合及びその協力者は皆殺し、絶対皆殺し ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ショッピングセンター、渋谷109。 かつて二人のテラカオス候補者もとい食人鬼の男女が一時滞在していた施設である。 そこには今、テラカオス候補者の男と、彼の怪物化を防げなかった一人の女がいた。 ユーノ・スクライアと高町なのはである。 「ぐ、ぐ、グアアアアアアアア!!!」 「ユーノくん!?」 なのはを拐いつつ地下から渋谷109内まで逃げ込んだユーノだったが、そこで大きな雄叫びをあげたかと思いきや、見る見るうちに小さくなり、怪物フェレットの姿から元の人間の姿に戻った。 丸裸にハス太を殺した時に浴びたのであろう返り血で体は汚れていた。 表情もまた、自身の体の変貌や暴走していたとはいえ仲間を自分の手で殺めてしまったことに、未だに信じられない表情をしていた。 そんな彼になのはは涙を流しながら抱きついた。 とにもかくにもユーノに謝らなくてはいけない……そんな罪の意識がなのはを支配していた。 「なの、は……僕はいったい……僕の体はどうなってしまったんだ!?」 「ユーノくん、ごめんなさい……みらい、変えられなかった……」 混沌の力に翻弄されていたとはいえ、怪物となり仲間を殺めてしまったユーノ。 一つの未来は信じず、そしてもう一つの未来は恐れたばかりに最悪の未来に進んでしまったなのは。 二人は意図せず罪人になってしまった…… 【二日目・12時00分/東京・渋谷109】 【高町なのは@魔法少女リリカルなのは】 【状態】ダメージ(大)、疲労(中)、19歳の身体、混乱、深い悲しみ 【装備】レイジングハート@魔法少女リリカルなのは、千年タウク@遊戯王 【道具】なし 【思考】基本:大災害による世界滅亡を防ぐ 0:ごめんなさいユーノくん…… 1:死んでしまったヴィヴィオたちのためにもこの殺し合いを終わらせる 2:ユーノ君がいれば何も怖くない……と思っているけど…… ※千年タウクの効果によって、高町ヴィヴィオの存在と日本に世界を襲った大災害が起こる未来を知っています ※タイムふろしきを使ったので、19歳の肉体に成長しました。 ※未来の自分が使っていた技の一部が使用可能です ※レオリオの死をまだ把握してません 【ユーノ・スクライア@魔法少女リリカルなのは】 【状態】ダメージ(小)、疲労(小)、全裸(血まみれ)、19歳の身体、混乱、テラカオス化進行度(大) 【装備】なし 【道具】基本支給品一式 【思考】基本:大災害による世界滅亡を防ぐ 0:僕の体に一体何が!? 1:なのはを絶対に護るためにも、もっと力が欲しい 2:大災害の情報を集める 3:野田総理の死の原因を探りたい 4:なのはを悲しませた主催者たちは絶対に許さない 5:僕の手でハス太を殺したというのかよ……! ※タイムふろしきを使ったので、19歳の肉体に成長しました ※PSP版の技が使えます ※怪物化(テラカオス化進行)に気づきました ※首相官邸にて、いくらか主催陣営の情報を手に入れた可能性があります ※後ろの初めてを奪われる未来が存在するようです ※テラカオス化進行によって巨大フェレットに変身する能力を得ました あらゆる攻撃を防いでエネルギーを吸収し、威力を数倍にして返す魔力の塊を発射できます ただし現状では変身すると暴走状態に陥り、敵味方に関係なく襲い掛かります ※レオリオの死をまだ把握してません
https://w.atwiki.jp/i_am_a_yandere/pages/633.html
171 :しまっちゃうメイドさん [sage] :2007/03/04(日) 01 35 36 ID ebyXowoD 「お前たちも自覚があると思うが、もうセンターまで500日も残されていない。部活に精を出し、三年の夏に引退…そっから勉強をやるという奴のほうが多いと思うが、 はっきり云ってそれは少し厳しいぞ。受験の波は既にお前らに迫っている。乗り遅れたら終わりと思え!特に受験なんか、まだまだ先だと思っている奴は!後になって、絶 対後悔するぞ」 そう云って、否命のクラスの担任は朝のHRを打ち切った。五月の半ばに入ったと云うのに、未だにゴールデンウィーク気分の覚めない輩に渇をいれたのである。 「ねぇ、沙紀さん…」 先ほどの担任の話を聞いてゴールデンウィーク気分が一気に覚めた否命が、何処か心配げな声で同じクラスである沙紀に耳打ちした。 「やっぱり、今から勉強しないとまずいのかな?私、成績悪いから推薦も貰えないし、受験勉強だって全然やってこなかったし…」 「お嬢様なら、大丈夫ですよ」 沙紀は胸を張って、自信満々に答えた。 「無理をせずに自分のペースで頑張って、才能を信じて、秘められた力を信じて、奇跡を信じて、楽観的に考えながら前に進む限り成果は無くても、希望だけは見えてきますよ」 「うん、私頑張る!」 「そうです、お嬢様!その意気です!」 「浪人する奴の常套句じゃん、それって」 隣で話を聞いていた否命の親友である、竹宮源之助は苦笑交じりに呟いた。源之助はその男のように厳つい名前で誤解を受けやすいが、れきっとした女である。 「浪人もいいじゃないですか、源之助さん。きっと毎日が日曜日ですよ」 「沙紀さん…それってむしろ、曜日の感覚が無くなるんじゃ…」 「とにかく、私は浪人なんてごめんね」 そう言って、源之助は溜息をつく。 「私も浪人はちょっと…」 「だけど、否命は成績も悪いし、受験勉強も苦手なんでしょ?」 「じっ、自分のペースで頑張って、楽観的に前に進んでいけば、きっ、きっと希望は見えるもん!」 「だから、それだと浪人するって」 「はぅぅ…」 「あらあら…そういえばお嬢様はAO入試なるものをご存知ですか?」 「AO入試?」 聞きなれない単語に否命は眼を丸くした。 172 :しまっちゃうメイドさん [sage] :2007/03/04(日) 01 36 38 ID ebyXowoD 「否命は知らないの、AO?」 「うん…」 「自己推薦方式って言って、自分で自分を推薦するの。論文と面接で入学の是非を判断するんだけど、論文は先生が書いてくれるから、実際は面接だけね」 「面接って、どういう事を聞かれるのかな?」 「自分が頑張ったこと。とりあえず、部活の事については聞かれるんじゃないの?」 「私、部活入ってない…源之助ちゃんも知ってるでしょ?」 「では、君は熱心に勉学に励んだのかね?」 源之助は腕を組み、不遜な態度で無駄にプレッシャーをかける面接官になりきって否命に迫った。 「私、成績も悪い…」 否命はビビリながらも、それに対応する。 「では、君は一体、高校生活で一体何を頑張ってきたのかね?ボランティア活動や研究活動や習い事でもしていたのかい?」 「してません…」 「本当に君は高校で何を頑張ってきたんだい?」 「え…その、とっ、とにかく頑張ってきました」 (言えない…、私が毎日頑張っていることは…誰にも) 否命は心の中で呟いた。 「とにかく頑張ってきた…か?普通に考えれば、成績も悪い、部活にも入ってない、校外活動もやってないとくれば、高校生活で頑張った事がないと思われても仕方が無いと思わないかい?」 「はぅぅ…」 「お嬢様、そういう時はこう言うんですよ。僕を普通の目で見ないで下さい!」 「では、私は君のことをどういう目で見たらいいのかね?」 そう問われれば否命は、 「その、あの…やっぱり、普通の目で」 と、答えるしか無かった。 「じゃあ、君は高校生活で頑張ったことが無い…ということでいいのかな?」 「沙紀さぁん…」 助けて…と、否命は沙紀に潤んだ瞳で訴えかけた。 「お嬢様、そんな顔をなさらないで下さい。大丈夫ですよ、こういう時は、「貴方に僕の何が分かるっていうんですか!!?」と言えばいいのです」 「面接の意味ないじゃん!」 そこで思わず源之助は沙紀につっこんだ。 173 :しまっちゃうメイドさん [sage] :2007/03/04(日) 01 37 51 ID ebyXowoD 「はぁー、否命、本当にあんたどうするの?このままだと…」 「むっ、無理をせずに自分のペースで頑張って…」 「だーかーら、それだと浪人よ」 「はぅぅ…」 そんな否命と源之助のやりとりを、沙紀は何処か遠い瞳で見つめていた。 高二は既に自分の将来を選択する時期だ。その選択の一環としてある大学受験は、人生のゴールではないけど、やはり人生の関門の一つだろう。 その来たるべき関門をどう乗り越えるかを、否命と源之助は悩んでいる。それが、沙紀に時間の流れというものもひしひしと感じさせた。 この楽しい時間…、沙紀が大好きな日常はいつまでも続くはずは無い。沙紀だって、それぐらい分かっている。そして、次にまたもっと楽しい時間が待っている事も沙紀は分かっていた。 それでも、この日常が終わるのは寂しかった。 ただ、無性に寂しかった。 沙紀は理解していた。もう、日常が終わりかけている事を。この楽しい一時は終わっていく日常の中の、文字通り「一時」でしかないことを、沙紀は実感として理解していた。 「この偏安いつまで続く…」 言葉にしてみると、それは沙紀の胸によく響いた。
https://w.atwiki.jp/childreninfukushima/pages/159.html
(情報掲載日:2011-06-19) 被災者の皆様には心からお見舞い申し上げます。 そしてボランティアの活動をしている方にはとても感謝しております。 ペンションワインズのある南会津は地震による被害がありませんでした。 原発の被害もここ南会津はないようです。 お野菜も出荷停止になってしまった地域、水道水も乳児には使えないという地域も出てきてしまいました。南会津はそのような被害もなく、お水も安全です。東京方面にお住まいで、地震や津波の被害もなかったのに水道水の問題でお困まりの方も多くいらっしゃることでしょう。 そこで、ペンションワインズでも何かできる事はないか・・・と考え、 大震災被災者宿泊プランを提供することになりました。 原発の問題で非難しなければならない方や非難地域ではないけれど非難したい方、お水の事などでお困りの方など、どうぞペンションワインズで温かいお食事、安全なお水や空気、お風呂をいかがですか。 一般宿泊のお客様と同様のお食事は準備できませんができる限りの暖かいおいしい料理をお出し致します。どうぞペンションワインズをご利用ください。 当プランは食事なしとなっております。別途食事代がかかります。 ペンション周辺には徒歩で行けるお店はありません。車で5~10分でコンビニはありますが、品物は売り切れの可能性もあります。 予約金は不要です。食事や寝具の不要の小さいお子様は無料です。もちろん無料でお湯は差し上げます。 プラン内容 素泊まり1泊3000円/人 食事 別途お食事代はメニューによりかわります。 朝食+夕食代=¥1500円位、昼食代¥500円(メニューにより変動あり) 小学生以下のお客様は食事代は割引になります。詳しくはお問い合わせください。 幼児以下のお客様は無料 その他 お子様で寝具をご希望の場合は¥700円になります。 ペンション ワインズ 福島県南会津郡 南会津町高杖原518 0241-78-3075 ご予約はこちらから(じゃらん) http //www.jalan.net/uw/uwp3200/uww3201init.do?yadNo=352340 planCd=01145285 roomTypeCd=0158860 pointIconDisplayFlg=1 keyword=%E8%A2%AB%E7%81%BD%E8%80%85 encodedKeyword=%2594%25ED%258D%25D0%258E%25D2 stayYear=2011 stayMonth=06 stayDay=20 dateUndecided=1 minPrice=0 maxPrice=999999 rootCd=7701 この情報に付けられたタグ リフレッシュ疎開 宿泊プラン 小さなお子さん可 東北地方 食事なし
https://w.atwiki.jp/qkwiki/pages/51.html
問題文の「「赤い城」って意味の、」の 「城って意味の」の部分が「しまっていこー」に聞こえるため 関連動画
https://w.atwiki.jp/i_am_a_yandere/pages/652.html
343 :しまっちゃうメイドさん ◆HrLD.UhKwA [sage] :2007/03/12(月) 00 02 18 ID jXgGt8Oy 否命はその少女の笑顔に、鼓動の高鳴りを覚えていた。その少女の笑顔は深山に咲いた一輪の華の如き幽玄の美を持って、否命の心臓にまで迫る。 しかし少女の顔は圧倒的美を誇りながらも、瞳がその美を何処か歪なものに変えていた。まるで悠久の自然が作り上げた光景を、愚かな神が手を加えてしまったが故に、その無為の輝きを壊してしまったかのような…一言で言えば「不自然さ」があった。 「聞こえなかったの?財布よ」 その声に否命は現実に引き戻され、慌てて自分が手に持っているものを確認する。 「財布って……これのことだよね?」 少女は頷いた。 「そう、それよ。返して頂戴」 「返すって……あの男の人達に返すんだよね?」 「面白い子ね…」 言って、少女はスッと否命と顔が触れ合いそうな位置まで足を進めた。 「なッ、何?」 戸惑う否命に、少女は更に自分の顔を近づけるとニィーっと笑った。否命もつられて、口元がニィーっと歪む。 次の瞬間、少女は否命の額を指で弾いた。 「~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!」 声にならぬ悲鳴をあげ、否命は地面に蹲った。 少女のした行為は所謂デコピンというやつであった。それは単純に指で額を弾くという、暴行とは言えぬ、ある種の「戯れ」であるが、否命はそれによって額が爆発したような痛みに襲われていた。 344 :しまっちゃうメイドさん ◆HrLD.UhKwA [sage] :2007/03/12(月) 00 03 31 ID jXgGt8Oy 「いい、良く聞きなさい!それは私が身体を張って、汗水流して、神経をすり減らして手に入れたもの。いうならば、私の努力の報酬なのよ!だから、私のもの…分かる?」 分かる筈ない。否命は地面に蹲ったまま、首を横に振った。 「さぁ、私に財布を…」 「駄目・・・だよ。それは、あの男の人のだから…、ちゃんと…返さないと」 「もう、返して済む問題じゃないんだよ、お嬢さん方」 その声に二人が振り向いた先には例の男二人組みと、その二人組みの仲間と思われる、これまた堅気の風体とは思えない一人の男が立っていた。 少女は咄嗟に逃げようとしたが、いつのまにかもう二人別の男が少女の前に回りこんでいた。 「チッ!」 計5人の男に囲まれ、少女は思わず舌打ちをする。しかし、それでいながら少女の顔はあくまで涼しげなままであった。 「さっ、俺の金を返して貰おうか。お嬢さん」 先ほどの事件がよほど金を盗まれた男にとって屈辱だったらしい。少女を追い詰めた男は嬉しくて、嬉しくてたまらない様である。 「もう、返して済む問題じゃないのでしょう?貴方の頭には、実は真っ赤なトサカが生えているようね」 「相変わらずの減らず口で…」 「貴方も相変わらずの臭い口で…」 少女の態度に男は苦笑を漏らす。余裕の笑みであった。 「で、そっちのお嬢さんは?」 「そう、私の「仲間」よ」 「ほぅ…」 「貴方たちは、運がいいわね。丁度今、「仲間」割れを起こしていたところよ」 「それは、それは」 そう言って、男は否命のほうに顔を向ける。 「成るほど。そいつが俺から盗んだ財布を、あんたが預かるっていう寸法だったんだな」 否命はしばらく、自分が何を言われているのか分からなかった。この状況に頭が追いついていないのだ。否命はこの男が自分に向けてくるプレッシャーに、ただ怯えていた。 「どうなんだ!えっ、そこの餓鬼とグルなんだろ!?」 「えっ?」 「その餓鬼と二人して、俺を嵌めやがったな!」 345 :しまっちゃうメイドさん ◆HrLD.UhKwA [sage] :2007/03/12(月) 00 05 05 ID MpTr3WJD そう言われてようやく否命は自分がこの男達に、少女と共謀したと思われていることを理解した。 「………、ちっ、違ッ、違いまっ、わッ、わッ、私は…そッ、その…あのの…」 緊張からか、否命の口調は滑稽な程たどたどしい。ここで動揺したり、焦ったりしたら、この男達に怪しまれるのではないか…そんな思いが逆に否命の口を不自由にしていた。 「私は…ポポポ、ポケッ、ケトに、その…さっ、財布を、いいい、入れられただけで…」 「哀しいわ。所詮、悪党同士の結びつきなんてこんなものだったのね」 否命とは違い、少女は声も顔も平常そのものであった。 少女はたとえ、否命のようなひ弱な女の子であっても、利用できるものは全て利用するつもりらしい。 しかし、その少女に目を付けられた否命は…。 「小便ちびりそうな顔しているぜ、嬢さん」 「漏らしちまいな。嬢ちゃんのなら、呑んでやるぜ」 口々に勝手な事をいいながら、前方の男は懐からナイフを取り出した。それは刃を折りたためば掌に収まるほどの大きさであった。不必要に殺さずに、相手を傷つけることを目的 としたものである。 少女は咄嗟に後方を振り向く。たとえ相手が三人でも、ナイフを持っていないのならば、逃げ道は後方にしようという魂胆である。 だが、後方の二人も懐から同様にナイフを取り出した。前方の三人と同じく、ナイフそのものは小さい。 「使うよ…、お嬢さん方」 最後に、少女に金を盗まれた男は懐から大きな登山ナイフを取り出した。 「最後通告だ。俺達にさんざんいたぶられた末に財布を渡すのと、財布を渡した後にいたぶられるのと、どっちがいい」 否命は力の限り首を横に振った。 哺乳類は刃物の光沢を見ると、本能的に恐怖する。それは本能的な故に例外のない事実である。しかし、少女の顔には未だに怯えの色はなかった。 恐らく、胆力で恐怖を顔に出さないようにしているのだろう…と男達は、少女の胆力に意外にも感心してしまった。 「なかなか、立派な面構えしてるな。だが、虚勢を張るだけで…」 「警察…」 少女がボソッと呟く。 「あっ?」 「集団で囲み、脅迫し、挙句に刃物…、もう警察は呼べないわね」 「ほぅ…」 前方の三人の内の一人が小さなナイフをちらつかせながら、少女に掴みかかる。 「触らないで頂戴」 っと、少女はその男の手をバシッと払いのけた。 346 :しまっちゃうメイドさん ◆HrLD.UhKwA [sage] :2007/03/12(月) 00 20 09 ID bHNY5Ni5 「この餓鬼ッ!!」 叫ぶと同時に、男は少女の腹部を殴る。恐らく男は殴りなれているのだろう…男の拳はものの見事に少女の鳩尾に入っていた。 「~~~~~~~~~!」 少女は腹部を押さえ、息を吸おうと口を死に掛けの金魚の如くパクパクと動かす。だが、激痛のあまり少女は息を吸えず、苦悶の表情を浮かべながら倒れるほうに男に近づいていった。遠目でも分かるほど、足元がふらついている。 「もう一発だ」 再び、少女の鳩尾に男の拳が抉りこまれた。少女の瞳の焦点が合わなくなっていく。少女は自分を殴った男に何かを求めるように、男の裾を掴んだ。 「さっきまでの威勢はどうしたのかな?」 と、男の口から嗜虐の笑みがこぼれた。同時に、周りで事の成り行きを見守っていた男達が一斉にその少女の無様な姿を見て笑い声を上げる。 っと、次の瞬間であった。 少女を殴った男の顔にベチャッと、何かが張り付いた。男はその物体に視界を遮られて、慌ててその物体を両手で払い落とそうとする。だが、ナイフを持った右手の手首は少女に捕まれ止まってしまった。 男の力ならば、少女の手を振り払うことは十分可能である。だが、視界を塞がれた男にとって自分の右手が動かない事態は、実際以上の脅威を持って男に迫った。咄嗟の事態で、男は軽く混乱しているのだ。 「こいつ…ゲロ吐きやがった」 誰かが呆然と呟いた。 その言葉が合図であったように、男の鼻孔に甘酸っぱいゲロ独特の匂いが広がる。そして、ようやく男は自分が顔にゲロを吐きかけられた事を理解した。 「こいつッ!!」 怒りに駆られ、男は全霊で持って少女を殴ろうとする。しかし、男は少女に右手首を掴まれているせいか、視界がゲロによって遮られているせいか、勢い余って体勢を崩しそのまま地面に倒れてしまった。 ぺきん! という、枯れ枝を折るような音がした。 その音に、周りの全ての人間が呼吸を止める。男の顔はゲロにまみれても尚分かるほど、苦悶に顔を歪ませていた。 男の手首から先が消えていた。 切れたのではない。 男の右手は綺麗なアーチを描くように内側に折れ曲がっていた。掌が腕の腹にピッタリと張り付いている。何処か、冗談じみた奇妙な光景であった。 347 :しまっちゃうメイドさん ◆HrLD.UhKwA [sage] :2007/03/12(月) 00 21 47 ID bHNY5Ni5 「ゴッ・・・・・・・・・アアアアアアアアアアアアァァァァァ~~~~!!」 男は倒れたまま、地面を転がる。 視界の遮られていた男には分からなかったが、男が少女を殴ろうとした時、少女は男の足 を払っていたのである。そして男が倒れるのと合わせるように、握っていた男の右手首を 内側に折り曲げたのだ。結果、男の手首は自分の体重分の衝撃を受け、ありえないぐらいに曲がってしまっていた。 確信犯であった。 少女は倒れた男の手からナイフを捥ぎ取ると、それを持って財布を盗すまれた男のほうへ近づいていく。 「おぃおぃ、俺達とやろうっていうのかい?」 男達は心臓が飛び出るほど驚いたものの、戦闘意欲を失うような人種ではなかった。既に、 咄嗟の事態に頭が追いついているらしく、ナイフを片手に少女を威嚇する。 しかし、少女はそれでも顔色一つ変えることなく無言で財布を盗まれた男に迫った。 「そんなチッポケなもので、これとやりあうってか?」 男は自分の大きな登山ナイフを振り回しながら、少女の持っている小さいナイフを笑う。 「………」 少女は既に財布を盗まれた男の眼前まで来ていた。その少女の首筋に財布を盗まれた男は、 登山ナイフをあてる。ツゥーっと、少女の首筋から赤い血が細く流れた。少女はそこで動きを止める。 「餓鬼、もう歩いて帰れな…」 次の瞬間、なんの躊躇いもなく、少女は財布を盗まれた男の顔をナイフで切りつけた。 周りが水を打ったように静かになる。それから、一拍おいて男の顔から血が噴出した。 「これで、トサカの生えている貴方の汚い顔も大分マシになったわ」 いつも変わらない調子で、いつもと変わらない顔で少女は言った。 348 :しまっちゃうメイドさん ◆HrLD.UhKwA [sage] :2007/03/12(月) 00 22 58 ID bHNY5Ni5 「やってくれたな!もはや生きて帰さんぞ!!」 それでも、この男は戦意を失うことも、取り乱すことも無く、少女に登山ナイフを振るおうとする。 だが、財布を盗まれた男が少女にナ登山イフを振るうよりも早く、少女は男の登山ナイフを持っている右手の甲をナイフで突き刺していた。 「~~~ッ!」 思わず、財布を盗まれた男は登山ナイフを取り落としてしまう。その登山ナイフを少女は驚くほどの素早さで拾い上げた。 「お前ッ、アアアアアアアアアアア!!」 男の顔が驚愕で見開かれる。少女は、まるでマウンドに立つピッチャーの如くその大きな登山ナイフを大きく振りかぶっていた。 脳天から顎まで一直線。まさか…と思う財布を盗まれた男の脳裏に、自分の頭が西瓜の如 く真っ二つになっている光景と、直前の何の躊躇いもなく自分の顔を切りつけた少女の顔が浮かんだ。 「ヒィッ…」 流石の男も限界であった。恥も外聞も無く、財布を盗まれた男は両手で頭をガードした。 少女の登山ナイフが半円を描いて男に迫る。 「―――――――――!!!!」 少女の登山ナイフは男の両手ギリギリのところで止まっていた。 目を閉じていた男は、自分が無事なのを確認すると安堵のあまり地面にヘナヘナと座り込 んだ。その男の股間を少女は蹴飛した。「ウッ」と短い呻き声を発して財布を盗んだ男はとうとう気絶する。 あまりの事に、少女の回りで声を発するものは誰もいなかった。 349 :しまっちゃうメイドさん ◆HrLD.UhKwA [sage] :2007/03/12(月) 00 24 04 ID bHNY5Ni5 「クリーニング代……」 静寂を破るように少女が呟く。 「聞こえなかったの?クリーニング代よ」 「えっ?」 前方の三人組の残った一人に少女は声を掛けた。男はあまりの事に目を白黒させている。 「貴方達が汚したのよ。クリーニング代出してくれるわよね?」 そういって、少女は自分のシャツを摘んでみせる。 「あっ…ああ、はい」 男は少女の上着が返り血で紅くなっているのを見ると、これまた分厚い財布から一万円札を一枚取り出し少女に渡した。 「………」 少女は無言で男の手から財布をかっぱらうと、その中に入っていた札束を無造作に掴 み取る。その札束をポケットにしまうと、少女は半ば放心している男に薄くなった財布を投げて返した。 「それと、上着も貸して頂戴。このままじゃ、家に帰れないわ」 後ろで呆然としていた二人組みと、前方の残った一人が無言で目を交わす。そして、後方の男の一人が自分の上着を脱いで少女に渡した。 否命はもはや気が動転して歩くこともままなかなかったが、それでもフラフラと帰路を急ぐ。しばらくは何も考えられそうになかった。 「ありがとう。じゃあ私はこれで失礼するわ。あと、救急車ぐらい呼んであげなさい」 そういって、少女は否命の後を追った。 少女はまだ、否命に財布を渡したままであった。
https://w.atwiki.jp/sinsougou/pages/1761.html
―――機動六課・食堂――― 「えへへ・・・・・・」 ここ数日のことを思い返すとついにやけてしまう。 想いを寄せているシンといられる時間が非常に増えたためだ。 尤も、ヴィヴィオもいるため恋人を通り越して家族に見られているが。 「・・・なのは、随分ご機嫌だね?」 先ほどからパスタをフォークで突付いているるだけでにやけてばかりいる親友の姿は今まで見たことがない。 「だって聞いてよフェイトちゃん、ヴィヴィオと一緒にシン君と出かけたときに~・・・・・・」 より一層に幸せオーラを撒き散らせながら喋りだしたことによって昼食はそのまま食べることは叶わなかった・・・ 「う~ん・・・・・・」 「ギン姉ぇ、ご飯まずくなるよ」 姉に対してなんて口を叩くのだろうと思うのはスバルの隣にいるティアナ。 だが気持ちもわかる。 ここ数日ギンガはこのような状態なのだ。 「あ、ごめんね」 「しっかりしなよ。 何があったか知らないけど、手伝えることがあるなら何でもするよ!」 「確かに、見てられませんからね」 「・・・・・・うん、ありがとう」 これによりギンガは得難い協力者を得るのだが、 まさかあのようなことになるとは夢にも思わなかったのです・・・・・・ 「え~つまり、ギン姉はシン君のことが好きと?」 「べ、別に好きとかじゃなくて、えっと、えっとぉ・・・・・・」 「すみません、そんなに顔赤くして言っても説得力無いですよ」 「あう・・・・・・」 食堂から変わって現在はスバルとティアの部屋。 しかし予想以上にデリケートな内容だったため、場所を移さざるをえなかった。 「それにしても、まさかシグナム副隊長までシンのことを好きとはね……」 正面から堂々と恋敵宣言をするのは確かにらしいと言えばらしいが、 (ねえティア、シグナム副隊長以外にシン君のこと好きなのって……) (間違いなくなのはさんね。) いつぞやの妙な宣戦布告のことを考えるとそれしかないだろう。 (もしかして、なのはさんとシグナム副隊長から頼みごとが多かったのもその関係じゃないの?) (ティ、ティアさすがにそれは無いと思う…よ?) 「二人ともどうしたの?」 「い、いえ別に。」 「とにかくギン姉!このままだとシン君が取られちゃうんだよ!!」 ハッキリ言って分が悪すぎる勝負だ。 あの美貌と才能なら一人の男を狙い撃つのは造作もないはずだ、と勘違いをしている二人は焦る。 こちらも負けてはいないが、最悪二人が協力したら勝率はやはり低いと言わざるを得ない。 「そ、それは……」 「それ以前にギンガさん、男の人と二人きり、つまり『デート』の経験は?」 「でででデートなんて!?」 未経験と。 「……仕方ないか」 そう言うとスバルは本棚から分厚い本を一つ取り出す。 「ギン姉、試にこれ読んでみて」 「……漫画本?」 表紙に目を向ければ人気作品とうわさに聞く少女マンガだ。 「その様子じゃいきなり専門誌や実践じゃ無理でしょ? だから参考程度でも読んでみて」 漫画と言えど侮るなかれ。 この作品は読者に恋愛指導といった作風で描かれている。 そのためかそっち方面でも評価が得られている。 「まあ物は試しだからさ。 それに少しは気分転換しないとシン君に心配されちゃうよ」 「……そうね。」 もしこんな顔をシン君に見られたら、お姉さんなのに心配られちゃう。 と思いながら漫画を手に取った――― 「す、すごい!!こんなことまでするの!?」 食堂でため息を吐いていたころと打って変わって今や大興奮で読むギンガ。 少女漫画は不思議なことに『青年向け』、つまり『えっちぃ』描写が多い。 どうやらこの漫画も例に漏れずそういった描写がされているらしい。 普通はこんなにまで興奮はしないはずだが、漫画のキャラを自分とシンに置き換えているのかもしれない。 もしも映像で見ていたら手で顔を覆いながらも指の間からガン見してただろうなと思っていたティアナだが、 ここでスバルの異変に気付いた。 先ほどから部屋の入り口をジッと見ているのだ。 それもただ見ているのではなく無表情で、瞳の光まで失っていると感じてしまうほどに。 だからつい、見なければよかったかもしれない光景に、スバルと同じく固まってしまった。 沈黙してしまった二人とは対照的に一人でキャーキャーと興奮するギンガはなんとも滑稽に映る。 「……あの、ギンガお姉さま。ちょっとよろしいでしょうか?」 かろうじて、本当にかろうじてだが何とかスバルは言葉を発することができた。 そのことにこの場に居合わせたティアナは心に涙を流しながら称賛を送らざるをえなかった。 「もう何よスバル。今すごくいいとk……」 ああ、こちらを見てしまったとそのまま幸せな夢を見させてあげたかったと思うと同時に 『終わった』とスバルとティアナは悟った。 ここで少しだけこの部屋について説明しよう。 六課は本来、特に寝泊りするための部屋は一部例外を除き鍵か中から開けてもらうしか方法はない。 だが昨日からドアの調子が悪く、近づけば自動ドアのように勝手に開いてしまう。 そう、扉の前に偶然借りていた本を返しに来た――― 「…………」 呆然と固まっているシン・アスカのように――― 十秒か、一分か、十分か、大した時間が流れていないはずなのに長く感じてしまう沈黙が続いていた。 ギンガは興奮していた表情はそのままに、赤く上気していた顔は一変、青白く染まっている。 ここでスバルかティアがフォローをすればよかったのだろうか? しかし誰も動くことができない。 十二分美少女と言える人が漫画のえっちぃ漫画で大興奮しているところを想い人に目撃されたとき、 誰が動くことができるのだろうか? 「……失礼しました」 努めて、努めて何もなかったように無表情に、無感動な声で、シン・アスカは部屋から離れていった…… 「い、い、い…………」 『いやあああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーー・・・・・・・・・・・・』 変わってしまった日常 リリカル版 6 ギンガ・ナカジマの受難 「うるさいなぁ・・・・・・」 木々の一つに枝の上で足を伸ばし、幹に身を任せている声の主がいた。 シン、なのは、ヴィヴィオの三人を後ろから見ていた少女だ。 日照りのよい今日、多くの猫達と共に眠っていたようだが、 先ほどの誰かの悲鳴によって彼女だけが起きてしまったらしい。 六課からそう遠く離れていないとはいえ、普通ならまず聞こえないはずなのに。 「まったく、いつまでこの世界で待っていればいいのかな・・・・・・」 残念なことに、自分には世界を渡る能力は無い。 ゆえに可能な限り無駄な行動は避け、帰る手掛り手がかりである『彼』の近くにいなければならない。 たとえどれほど可能性が低くとも、唯一自分の知る人物と限りなく近い人だからこそだ。 「早く迎えに来てください・・・・・・」 緑の帽子を深く被りなおし、いつか迎えに来るであろう『主の主』を思いながら再び眠りにつく。 ずれた帽子から猫の耳を覗かせながら・・・・・・
https://w.atwiki.jp/sinsougou/pages/1469.html
彼が幻想郷に来た時、巨大な兵器同様に自身も重傷を負っていた。 当然彼は永遠亭で引き取り、回復するまで兵器もこちらで預かることになり、 看護をするうち彼の肉体が常人の物とは明らかに違うことに気付いた。 それもそうだ。明らかに武器を搭載した機体のパイロットが民間人のはずがない。 ―――兵隊――― その考えに至った時、私はかつての罪を呼び起こした… 変わってしまった日常 6 刹那の中の、永遠の誓い ―――戦争になる――― 「自分さえよければそれでいい」とよくある考えの通り、自由気ままに生きて来た私には戦争が起きる可能性があると聞いた時、怖くてしょうがなかった。 次第に訓練の密度が上がっていき、戦争は時間の問題となった時私は最悪の決断をした。 家族を、仲間を、故郷を見捨てて逃げたのだ 「…またあの夢か」 既に過去を割り切ったものと思っていたが、どうやら自分はまだ罪の意識に囚われ続けたままのようだ。 無理もないのかもしれない。 一月もの時間があれば、嫌でも相手を理解することができる。 「シンはさ、兵隊だったんだよね?」 「そうだけど、何でそんな事を聞くんだ?」 「…怖かったり、逃げ出したいって思わなかった?」 「そうだな、思わなかったことなんて殆どなかったな」 過去を思い出しているのだろう、とても悲しい顔をするも、 「でもだからって逃げ出すわけにはいかなかった。 俺は力を手に入れて、それを使って生きている以上はそうしたくなかったからな」 「どうしてなの?」 何故シンはそこまでして戦ったのか聞かずにはいられなかった。 自分には到底不可能なことを何故。 「『戦争をなくす』、それを実現するために…」 信じられなかった。 そんな夢のようなことを実現するために戦いに身を置いたのだ。 だがシンの表情は誇りを持つ、とても十代の少年の物には見えないほど大人びていた。 そして、きっとその夢を実現するに等しいことを成し遂げたのだろう。 この時からだった 私がシンに一種の憧れに近い感情が生まれ、時と共に恋へと変わったのだ。 私とは真逆に、シンは最後まで自分の信念と共に戦い抜いたんだ。 だからこそ弱さに負けた自分には到底相応しくないと理解してしまった。 それでも縋るように彼への想いは大きくなる。 何て愚かしい話だ。 「私、どうすればいいのかな…」 「教えてあげましょうか?鈴仙」 「ひ、姫様!?」 後ろから現れた主、輝夜がゆっくりと近づいてくる。 「まるで寂しすぎて死んじゃいそうな顔しているのね」 「そ、れは・・・」 弱い自分なんかがシンに相応しく、と続けようとするも人差し指を口に当てられる。 「もう、いつまでも泣き言を言っては駄目よ。」 「で、ですが・・・」 「いい鈴仙?確かに貴方は大きな過ちを犯したわ。でも全てを償うことができなくても、今あなたは生きてる。 なら生きて生きて幸せになりなさい。それは誰にでもある権利でもあり責任よ」 「権利と、責任…」 「ふふ、それにずっといじけてて誰かにシンを取られてもいいの?」 「だ、駄目です!」 シンの隣に自分ではない誰かがいる――― それを思った瞬間、今までの葛藤を無視していた。 「・・・ほら、答えなんて出てるでしょ。 今の叫んだ言葉が本当の気持ちなんだから」 「あ…」 「それに、永遠亭ではあなたが一番活動してるのだから、ね」 ウインクをされ、鈴仙は考える。 本心は確かに出た。後は自分がどうするべきか――― 「わかりました。ですがもう少しだけ考えさせて下さい。 私自身が納得できるまで」 「ええ。貴方自身が答えを得られるまで、よく考えなさい」 「はい、失礼します」 そういえば、この場所は姫のお気に入りの場所だったなと思い至り、その場を去ろうとする―――が、 「鈴仙」 不意に呼び止められ振り向く 「決めることができないなら、私がシンを取るわよ」 その言葉に心臓が鷲掴みにされたような衝撃が走る。 冗談かと思ったが、輝夜の声は本気だった。 「…肝に、銘じます」 「ええ…」 鈴仙は永遠亭までの道を歩み、輝夜から逃げるように走った。 自分と違い、進むべき道に躊躇いの無い輝夜との差の大きさが、ただただ悔しかった。 一人残された輝夜は鈴仙同様、満月を見る上げる。 だが大きな違いがある。 とても嬉しく、誇らしげな表情だ。 ――― 永琳、私の運命はすごく嫌なものみたい。 不老不死になったことは後悔なんてしてない。 失ってしまった物はたくさんあるけど、得ることのできた大切なことも沢山ある。 でも、あの年齢で自身の信念を貫き通せる少年と出会えた奇跡も、不老不死のおかげというのは複雑ね。 今まで出会った人間と違い、私と何度会っても心を囚われることもなく、私を特別な存在としてではなく、ただ一人の「輝夜」個人として接してくれた。 そしてどんな困難なことにも立ち向かう愚直なまでに真直ぐな心の持ち主。 だからこそ愛おしく切ない。 いつか来る別れがとても辛くなる… でも私は目をそむけない。 今まで多くの命を失い、奪ってきたことの責任の為にも、絶対に私は歩く(生きる)ことを躊躇わない。 彼の傍で刹那の時間を過ごしていきたい。 そして別れが来た時、泣いて、決して忘れない。 「好きよ、シン」 永遠に…
https://w.atwiki.jp/anirowakojinn/pages/1406.html
4話:奈落に咲いてしまった紅い華 私こと伊藤文子(いとう・あやこ)は、閑静な住宅街の道路の上にいた。 遠くに学校と思しきものが見える。この殺し合いの開催式が行われた場所。 確か主催者は言っていた。この殺し合いが始まったら、 学校のあるエリアは禁止エリアになるって。 「……」 意を決して私は数歩進む。 すると首輪から警告音が等間隔で発せられ始めた。 「!!」 すぐに引き返すと、警告音は止んだ。 きっとあのままなり続けていたら首輪が爆発するんだろうけど、 どうやら禁止エリアに入ってすぐボンッって訳じゃないみたい。 ……学校を禁止エリアにしたって事は、あそこを主催達は本部にしてるのかな。 「ふぅ、寒い…」 早朝の冷たい空気は、肌の露出が多いバニーガールの格好には堪える。 おっぱいの上の部分とお尻と太腿の辺りが冷たい。 忠朝君は喜んでくれるけどね。忠朝君、今どうしてるかな、生きてるかな……。 そんな事を考えながら住宅街を歩いていると。 「そこの、ちょっと良いか?」 「え?」 細い曲がり角から現れた人に声を掛けられた。 支給品である、レイ・ブランチャード(参加者の一人らしい)の自動拳銃を構え警戒しつつ、 その声を掛けた人の方を向く。 それは赤い長髪を持ち、赤い着物を着た美人の女性だった。 「突然ですまないが…尋ねても良いか?」 「え? あ? うん…」 「カーキ色の制服を着た狐獣人の少女と、緑っぽい服を着た黒髪の人相の良くない男を 見ていないか?」 「いや、見てないけど…あなたの、知り合い?」 「…見ていないか…なら良いんだ……」 「……??」 赤髪の女性は、腰に差していた刀を抜いた。 いや、ちょっと待って。何で抜くの? それって、つまり――――。 「…済まないが、死んでくれ」 ビュンッ!! 「ひいっ!?」 赤髪の女性が私に向かって刀を真一文字に払ってきた。 「そ、そんな! やめて!」 「無駄に動かなければ、それ程苦しまずに逝けるぞ」 「嫌だ! まだ逝きたくない! 忠朝君のお○○ぽに突かれてイくのは良いけど!」 「何を言ってるんだお前は」 ヒュッ! 「痛っ!?」 お腹の所を斬られた! 痛い…血が出てるよ…でも、浅いみたい…。 このままじゃ殺される…やるしか無い。 私は拳銃を赤髪の女性に向けて、引き金を引いた。 ダンッ! ダンッ! ダンッ! 三発発砲したけれど、いずれもかわされてしまった。 「うっ…うううう! 死にたくない! 死にたくないよ!」 もう勝ち目が感じられなかった。私は女性に背を向けて一目散に逃げた。 てっきり追跡されると思ったけど、一瞬だけ振り向いた時、女性は私の事を追う様子は無かった。 ◆ 私――朱雀麗雅(すざく・れいか)に背を向けて逃げていく、 金髪のバニーガールの女性――いや、少女だろうか。 腹の部分に刀を振るった時、手ごたえはあったが、あれだと傷は浅いな。 …これで後戻りは出来ない。私はこの殺し合いに、大切な者のためとは言え乗ってしまった。 美琴、そして勝憲。どちらも私は失いたくない。 首には爆弾内蔵の首輪がはめられ、脱出は限り無く不可能に近いだろう。 私に出来る事はあいつら二人が生き残れる可能性を上げる事だ。 私の支給品の一つであるこの刀――説明書によれば、 この殺し合いの参加者の一人、勤武尚晶が愛用している刀らしい。 勤武尚晶は名前だけなら知っている。掻い摘んで言えば「人斬り」だ。 この刀も多くの人間の血を吸ってきたのだろう。 「……美琴、勝憲……」 もう迷わない。私は、二人を生き残らせるために、修羅となろう…。 ◆ どれくらい走っただろう、私はとある民家の庭先で休んでいた。 お腹の斬り傷は痛むけど大した事は無い、ああでも、傷跡残っちゃうかな…。 それにしても、まさか本当にこんな殺し合いに乗る人がいるなんて。 しかも銃撃をあんなあっさりかわすなんて…。 「忠朝君…アキナ…私、どうしよう」 仲良くし、身体を交えた事もある竜人の少年と、後輩のバニーガールの名前を呟く。 「…ちょっとだけ、ここにいよう」 走って疲れたせいもあるけど、いきなり殺され掛けて心が動揺している。 二人を捜さなければという思いはあった。でも、今は休んで心を落ち着かせたい。 民家には鍵が掛かってて入れないから、芝生の上に身を横たえた。 「……ぐすっ、う……」 でも、段々と涙が出てきてしまった。止めたくても、止められなかった。 【一日目/早朝/D-6住宅街北部】 【伊藤文子】 [状態]腹部に浅い斬り傷、恐怖、嗚咽 [装備]レイ・ブランチャードの拳銃(11/14) [持物]基本支給品一式、レイ・ブランチャードの拳銃マガジン(3) [思考・行動] 基本:死にたくない。本庄忠朝、神山アキナの捜索。 1:最悪の場合、殺し合いに…。 [備考] ※朱雀麗雅(名前は知らない)の外見を記憶しました。 ※首輪は禁止エリアに侵入してもすぐには爆発しないと気付きました。 【一日目/早朝/D-6住宅街南部】 【朱雀麗雅】 [状態]良好、決意 [装備]勤武尚晶の刀 [持物]基本支給品一式、??? [思考・行動] 基本:四宮勝憲、葛葉美琴を生き残らせるため殺し合いに乗る。二人には会いたくない。 1:獲物を捜す。 [備考] ※伊藤文子(名前は知らない)の外見を記憶しました。 ※D-6南部周辺に銃声が響きました。 ≪支給品紹介≫ 【レイ・ブランチャードの拳銃】 伊藤文子にマガジン3個とセットで支給。 ガンナーであるレイ・ブランチャードが市販の拳銃をベースに改造した大型自動拳銃。 外見的にはコルトガバメントに酷似。弾薬も.45ACP弾に酷似している。 【勤武尚晶の刀】 朱雀麗雅に支給。 人斬り・勤武尚晶の愛用する黒い鞘の打刀。 特に何の変哲も無い刀だが大勢の人間の血を吸っている。 ≪キャラ紹介≫ 【名前】伊藤文子(いとう・あやこ) 【性別】女 【年齢】19 【職業】カジノのバニーガール 【身体的特徴】金髪ロングヘア、豊乳でスタイル抜群、赤いバニー衣装を着ている 【性格】明るいが本当は怖がり 【趣味】ネイルアート、百合小説読書 【特技】身体が柔らかい 【経歴】両親と二歳下の妹のいるごく普通の家庭で育つ。幼少時毛虫に刺され大炎症を起こし 病院に担ぎ込まれた事がある。以来毛虫が大嫌いになった(当然か) 【好きなもの・こと】コロッケ 【苦手なもの・こと】毛虫、名前を読み間違えられる事 【特殊技能の有無】一般人 【備考】名前をよく「ふみこ」と読み間違えられるのがちょっと悩み。 本庄忠朝は近所に住む竜人の少年で仲が良く肉体関係も持っている。 神山アキナは後輩のバニーガール。 【名前】朱雀麗雅(すざく・れいか) 【性別】女 【年齢】25 【職業】剣道道場主 【身体的特徴】赤髪の美人、赤い着物に編上靴を着用 【性格】謹厳実直で正義感が強い 【趣味】竹刀の素振り、書道 【特技】剣術、柔術に優れる 【経歴】代々剣術道場を営む家で生まれ、 幼少時から父親に剣術や柔術、礼儀作法を厳しく教えられる。 【好きなもの・こと】和食、鍛錬、父親 【苦手なもの・こと】洋食、だらしない人 【特殊技能の有無】居合抜き 【備考】道場の生徒からは鬼の師範代として恐れられているが実を言うと男に奥手。 近所に住む友人に高校生の葛葉美琴、幼馴染の雑貨店店主四宮勝憲がいる 愉しまなきゃ損 時系列順 落ち着く場所ありますか? 愉しまなきゃ損 投下順 落ち着く場所ありますか? ゲーム開始 伊藤文子 私の殲滅華 ゲーム開始 朱雀麗雅 心の奥までは偽れない
https://w.atwiki.jp/liveinfukushima/pages/14.html
ゼオライト ひまわり 光合成細菌 情報まとめ中 放射性物質除去関連のニュース 小山高専が廃炉ロボコン最優秀賞 福島第1原子炉建屋の除染が課題 - 河北新報オンライン 放射性廃棄物を宙づりのまま…クレーン故障 復旧見通せず 東電福島第一原発 - 東京新聞 韓国側専門家たち「福島放射能影響評価は短期間に集中しており、事故への備えもない」(ハンギョレ新聞) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 経産省前テントひろば日誌(12/2)/座り込み後は事務所で温か鍋、師走も近いですね - レイバーネット日本 【遮水壁温度上昇】原因究明と対策急げ(12月3日) | 福島民報 - 福島民報 更田委員長が福島第一原発視察 処理水放出の検討状況確認|NHK 福島県のニュース - nhk.or.jp 放射性物質除去剤に転用!漂着「軽石」の意外な使い道とは? (2021年12月1日) - エキサイトニュース 仮置き場搬出、21年度内完了へ 帰還困難区域内23カ所除き(福島民友新聞) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 被爆体験者が長崎県に申し入れ「国に救済を強く働きかけて」【長崎市】 - www.fnn.jp 【11月27日付社説】風評対策の充実/切れ目のない発信が重要だ - 福島民友 福島第1原発処理水 東電、放出用トンネル新設に向け海底調査へ - 毎日新聞 - 毎日新聞 漂着の軽石 吸着材に使う“ゼオライト”化に成功 神奈川県など - NHK NEWS WEB 海や人体にどう影響? 福島第一原発の「処理水」放出で東電が影響予測 - 東京新聞 2021/12/07 院内ヒアリング集会 放射能汚染水「海洋放出」は許されない!(参院議員会館) - レイバーネット日本 東京電力福島第一原子力発電所のALPS処理水の現状に関する在京外交団等向けテレビ会議説明会の開催 - Ministry of Foreign Affairs of Japan 福島第一原発の処理水、放出の影響「極めて軽微」 東電が評価 - 朝日新聞デジタル なぜ、決定までに10年を要したのか? 福島第1原発の処理水の海洋放出 - Nippon.com 原発処理水どう考える?福島のNPOが「対話集会」 [核といのちを考える] - 朝日新聞デジタル 追跡:福島第1廃炉 高線量汚泥、新たな難題 容器劣化、移し替え進まず - 毎日新聞 福島第1廃炉作業 高線量汚泥の容器に「寿命」という大問題 - 毎日新聞 - 毎日新聞 岸田首相、閣僚たちに原発処理水の海洋放出を徹底するよう指示=韓国報道(WoW!Korea) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 論説 原発処理水の海洋放出 信頼の回復が先決だ - 山陰中央新報 福島第一原発から海に流すのは「処理水」?「汚染水」? #ファクトチェック(福島中央テレビ) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 福島原発で原発水浄化装置にまた異常…追加破損の可能性あり=韓国報道(WoW!Korea) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 福島第一原発、ずさん管理相次ぐ 東電の危機意識に被災者は不信感 - 東京新聞 原発処理水の海洋放出 - 佐賀新聞 残るセシウム、止まったままのシイタケ原木出荷 森林どう再生 - 毎日新聞 - 毎日新聞 “1時間で死亡”福島原発の建屋上部で致命的レベルの放射線を確認=韓国報道(WoW!Korea) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 福島第1、地下水の放射性物質の濃度を下げる装置が停止 警報ならず - 毎日新聞 - 毎日新聞 小泉進次郎氏が除去土壌の理解を図る集会を開催「次世代の人たちと一緒に」 - ニッカンスポーツ 小泉進次郎環境相が福島の「除去土壌」対話フォーラム出席 安全性を「率先して示していく」 - スポーツ報知 東京電力福島第一原発におけるALPS処理水の取扱いに係るIAEAとの協力に関する在京外交団等向けテレビ会議説明会の開催 - Ministry of Foreign Affairs of Japan 【困難区域の建設土】早期処分の道筋示せ(9月3日)(福島民報) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 日本、福島原発汚染水を1キロ離れた沖合に放出の計画(ハンギョレ新聞) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 【新刊紹介】福島第一原発の処理水問題を考える:小島正美編著『みんなで考えるトリチウム水問題』 - Nippon.com 東京電力、ALPSによる処理水で海洋生物の飼育試験実施へ - SankeiBiz 女川原発・非常用装置の計画外作動 原因は作業の確認不足 - 河北新報オンライン 女川原発2号機、非常用設備が計画外作動 外部への放射能影響なし - 河北新報オンライン 福島の除去土壌で鉢植え 官邸エントランスに設置 - 時事通信ニュース 福島第1原発、廃炉に待ち受ける廃棄物との超長期戦 - 日本経済新聞 福島第一原発の放射性廃棄物 高まる漏えいリスク 保管設備の劣化進む - 東京新聞 中国原発 「安全基準内でガス放出」 仏原子炉メーカー - AFPBB News 福島第1原発、高線量汚泥の容器31本が寿命超え 8月から交換へ - 毎日新聞 - 毎日新聞 福島第1の処理水放出 規制委で議論開始 東電、濃度測定の手順提示 - 産経ニュース 小泉氏、汚染土を福島県外で処分 都民らと対話 - 日本経済新聞 トリチウムと水の理科・社会 【中】 - 論座 汚染水対策土のう、10年たって足かせ 26t「厄介な存在」に - 毎日新聞 - 毎日新聞 【検証・廃炉】汚染水対策、道半ば 実態伴わぬ「コントロール」 - 福島民友 福島原発処理水の海洋放出を考える〈前編〉安全性やサーフィンへの影響は? - THE SURF NEWS「サーフニュース」 原子力安全(ALPS処理水の取扱い) - Ministry of Foreign Affairs of Japan なるほドリ・ワイド:今さら聞けない原発処理水のトリチウムって?環境や人体の影響は - 毎日新聞 - 毎日新聞 東電が福島第一原発の「処理水」定義見直し 政府の海洋放出方針決定で - 東京新聞 除染したはずが…福島のため池、大雨で線量上昇 なぜ? - 朝日新聞デジタル 東京電力福島第一原子力発電所事故から10年。あらためて放射能汚染について考える『フクシマ 土壌汚染の10年――放射性セシウムはどこへ行ったのか』が発売 - PR TIMES 基礎からわかる「トリチウム排出問題」(勝川俊雄) - 個人 - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 豚の骨で放射性物質回収の新技術を開発 廃炉作業に活用も期待 - NHK NEWS WEB 「復興が水の泡になる事態避けて」 福島知事、処理水巡り国に要望 - 河北新報オンライン 原発処理水の海洋放出「人権にリスク」 国連特別報告者 - 朝日新聞デジタル 海に流したトリチウム、福島第一原発「処理水」の5倍以上 茨城・東海再処理施設 - 東京新聞 海洋放出する「処理水」で魚の飼育も 東電が福島第一原発での方針表明 - 東京新聞 「ゆるキャラ」トリチウムに批判殺到 復興庁、公開停止 - 河北新報オンライン 処理水放出しても福島第一のタンク増設? 朝日新聞試算 - 朝日新聞デジタル 福島第一処理水海洋放出決定 「廃炉のため」根拠あいまい - 中日新聞 トリチウムなど含む処理水 薄めて海洋放出の方針決定 政府 - NHK NEWS WEB 政府、福島第1原発処理水の海洋放出を決定-2年後開始めど - ブルームバーグ 福島第1原発の処理水は長期保管を | | 山本拓 - 毎日新聞 除去困難、通常運転時も排出 放射性物質トリチウム - 時事通信ニュース <社説>福島原発処理水問題 海洋放出しない選択を - 琉球新報 震災から10年「原発事故」が抱える未解決問題 - 東洋経済オンライン 放射性廃棄物という難題 - NHK NEWS WEB 原発事故10年「終わりなき除染」 手つかずの森林や河川、新たな汚染源に(猪瀬聖) - 個人 - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 1000基超えるタンク、凍土壁、膨大な人と金を投じた汚染水対策 福島第一原発は今:東京新聞 TOKYO Web - 東京新聞 汚染水浄化の救世主に? 放射性ストロンチウム、豚骨ガラに吸着 原子力機構と東大が開発 - 東京新聞 【検証・除染】仮置き場確保の壁 子どものため表土除去したが - 福島民友 ラーメン好き研究員が…豚骨が放射性物質を20倍吸着 - テレビ朝日 東電が多核種除去設備を8年近く“試験”運転 「仮設」という指摘も(木野龍逸) - 個人 - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 社説[跡地から放射性物質]国は調査進め除去せよ - 沖縄タイムス 東電福島原発の汚染処理水「薄めて流せば安全」本当か | 経済プレミア・トピックス | 川口雅浩 - 毎日新聞 「私たち」の問題として処理水の海洋放出を考える 福島第1原発事故から9年半、やまない風評 - Nippon.com 海洋放出を政府が決定へ 福島第一原発の汚染処理水 - 東京新聞 スイス、新しい除染技術を開発 福島の汚染水処理に期待 - swissinfo.ch ALPS処理水の処分 (METI - 経済産業省 汚染水処理で発生する廃棄物「スラリー」とは?なぜ発生する?どのように保管されている? - 経済産業省 【風評の深層・トリチウムとは】眼前に「処理水」...77万ベクレル - 福島民友 安全・安心を第一に取り組む、福島の“汚染水”対策⑥処分による放射線の影響をどう評価する? - 経済産業省 福島第一原発の汚染水浄化能力はどの程度か? - シノドス 今なお続く福島の「除染」 “ドローン×AI”で除去物管理の自動化に挑む企業 - ITmedia 焦点:福島汚染水、基準値超の放射性物質 海洋放出に反対強まる公算 - ロイター (Reuters Japan) 汚染水、浄化後も基準2万倍の放射性物質 福島第一原発 - 朝日新聞社 質問なるほドリ:トリチウム、特性は? 除去難しい放射性物質 自然界でも生成=回答・岩間理紀 - 毎日新聞 トリチウム水と政府は呼ぶけど実際には他の放射性物質が1年で65回も基準超過(木野龍逸) - 個人 - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 個人 現場で進む、汚染水との戦い~漏らさない・近づけない・取り除く~ - 経済産業省 放射性物質を加熱で除去 原発事故で放出の微粒子 - 産経ニュース ヒマワリが放射性物質を吸収する? 地球をクリーンにしてくれる生物7つ - ログミー 放射性物質、もみ殻炭に高い吸着性。セシウムとストロンチウムの除染に有効|ニュースイッチ by 日刊工業新聞社 - ニュースイッチ Newswitch 「放射性物質の除去装置」ALPS(アルプス)の最前線で見た 東芝vs日立 【映像あり】 - ハフィントンポスト 福島第1原発 「アルプス(放射性物質除去設備)」全停止/汚染水“切り札”トラブル頻発 - しんぶん赤旗 除染処理水の放射性物質を凝集 アラララジトルに期待集まる - 環境ビジネスオンライン 汚染された水道水からヨウ素131やセシウムなどの放射性物質を除去することに成功 - GIGAZINE 放射性物質による汚染を除去する「除染」の具体的な方法まとめ - GIGAZINE 放射性物質除去関連のブログサーチ #blogsearch
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/1274.html
○第一章 「キョーンくん! おはよ!」 翌日通学路で早速長門と出くわした。なんだお前、朝から俺の調子を狂わそうというのか。 「えー何それ? 今日はたまたま寝坊しただけだよ」 「寝坊してこの時間か。そういえばいつも何時に登校してるんだ?」 俺がそういうと長門は顎に人差し指をあて呻吟し、 「んーと、始業一時間前かな?」 いくらなんでも早すぎんだろ。 「だって、ハルヒちゃんの観測しないといけないじゃない? それがわたしのお仕事だもの。 万一ハルヒちゃんが学校に早く来た時のために、わたしはいつもそうしてたの」 なるほどな。一年経って明かされる真実があったものである。道理で一度も長門と出くわさないわけだ。 ん? となると…… 「今日はいいのか? 観測するんだろ」 「だって寝坊しちゃったんだもん、しょうがないじゃない」 いいのかそれで! しょうがないで済むならハルヒの超変態パワーもまったく阻止する必要がない。 「この性格になってから、本当に危機的な状況以外は看過してもいいんじゃないかって思ったの。統合思念体のインターフェースはわたしだけじゃないしねっ!」 春本番のようなほわわんとした笑顔が俺の鼻腔にありもしない花粉を運んでくるようである。 そんなこんなで学校に着いてしまった。 いや着くことに何の問題もないのだが、何故俺は残念そうな物言いをしているんだろう。 「ようキョン!」 すぐに谷口に背中を叩かれた。 「ん、谷口か」 「見たぜ」 即座に嫌な予感が俺の神経回路を時速300kmで走り抜けた。 まだ起きてからそんなに経っていない。今までに見られてしまう出来事などそういくつもない。 「長門有希と実は付き合ってたんだなお前」 そこまで話が飛ぶのか! 飛躍しすぎだろ! いくらお前がウルトラSランクのアホでも、こうも快活に事実と違うことを言われると絶句するより他にない。 「……。お前、本気でそんなこと言ってるのか?」 俺は谷口の肩に手を置き、時間をかけて釈明しようとすると、 「おうよ! だって長門有希は誰とも喋りたがらないんだぜ? 急にお前とペラペラ喋ってるなんておかしいだろうが」 おかしいのは貴様の頭だ! と言えるわけもなく、俺は別の言い訳をした。 「なぁ谷口、いつでもいい。6組に言って、長門を見てくればいい。あの態度が俺に対するものだけじゃないってことに、お前も気が付くだろうぜ」 すると谷口はにかっと笑い、 「長門有希の態度なら今まで散々目にしてきてるぜ。今さら見に行くまでもねぇ。それに、今日は終業式だろ。 そのあとHRやって、無事に一学年終了じゃねぇかよ」 いや全然無事にじゃないぞ。俺は昨日から何かこう気持ち悪い感じがしてしょうがないのだ。別にあの長門が悪いってわけじゃないのだが、それに伴う俺の日常の雰囲気の変化というか、慣れないんだ要するに。 「何わけ分かんないこと言ってんだ。長門とお幸せにな!」 冷やかしを放って谷口は自分の席へ向かった。まぁいい。あいつにもいずれ分かることだ。6組の連中は今頃、というか昨日にはもう長門の変化に気付いているはずなのだ。 ……どんな反応をしたのかが非常に気がかりである。 クラスメイトの性格が一夜にして変わっていたら、誰でも疑問を抱くだろう。 つつがなく終業式とHRは終了し、年度修めの通知表に心をそら寒くしつつ、俺は部室に向かった。 「なぁハルヒ」 「何?」 ハルヒと並んで部室に向かうのがこのところの日課であった。そりゃクラスが同じなんだから、どちらかが掃除当番でもない限り同じ場所に同時刻に向かうことになる。 「長門が昨日変だったとか思わなかったか?」 そう訊くと、ハルヒは一瞬表情をなくし、それからまた笑って、 「最初だけね。でも、有希にも変わりたいって思うことがあったのかもしれないわ。あの子はちょっとすることが極端なとこあるから」 それをいったらお前はどうなるんだ。長門が極端ならお前の奇行に当てはめるべき語句は辞書に存在しないだろう。しかしそれで納得してしまえるのが何ともハルヒである。こいつの勘の鋭さはいつも発揮されるわけじゃないのだろうか。 「それとね」 ハルヒは俺に挑戦的な目を向けて言った。 「言っておくけど、有希がどう変わっても、あんたあの子を泣かせるようなことするんじゃないわよ」 しねぇよ。それだけは誓っても…… 「……」 「どうしたのよ? 有希を傷つけたら罰則を10個同時に課すからね!」 ハルヒはさっさと部室の方へ歩いていってドアを開けた。俺はその場に立ち尽くしていた。 よぎったのは年末のあの長門の表情だ。薄く微笑み、俺の袖を弱くつかんだ、幻の長門。 「くそ……」 あの長門がもしもあのまま存在していたら、俺はあいつに何もしてやれなかったことになる。 そればかりか、俺はわけの分からない発言をして、そのままあいつの前から消えてしまったのだ。 これは、傷つけたうちに入るのか……? ハルヒより一分ほど遅れて部室に入る。 「あ、キョンくん! 元気?」 くすくす笑って長門有希第三人格は挨拶した。胸が傷む気がしたのは気のせいじゃないはずだ。この長門もいつか消えるのか? それともこのままか? だったら一昨日までの長門が消えたことになるのか? 俺は混乱していた。 「どうしたの? 何か心配事? それならSOS団にお任せだね!」 ぱたぱたと駆けて長門はお茶の用意を始めた。……ん? 朝比奈さんのほうを見る。 「あ、あたしと長門さんで日替わりでお茶をいれることにしたんですよー」 朝比奈さんはにこりと笑ってそう言った。メイド衣装なのは相変わらず。 俺はしぶしぶと椅子に座る。どうしてだろう。俺だけがこの変化についていけていない。これまで異常事態に遭遇した数ならここにいる四人に負けていないはずだ。それに対する順応力も去年の春に比べて格段に上がっている。なのになぜだろう。何か違うんだ。それとも、こんな事を思っているのは俺一人だけか? 部室を春風が通り抜けた。もう冬は終わりだ。 今まで色々あった。ありすぎた。全てはこの部屋から始まったんだな。 一年がこれで終わると思ったら、最後の最後で長門が変わっちまった。それでいいのか? 「浮かない顔をしていますね。一年生の終わりが名残惜しいのですか?」 古泉が微笑をたたえて言った。今思ったのだが、長門が変わったおかげで、この部室で普段笑わないのは俺くらいになってしまった。……これから俺もこいつみたいに微笑み君にならないといけないのだろうか。 「そんなことはねーよ。一年生をもう一度やるなんてのもごめんだ。十分すぎる」 「えぇ、その通り。涼宮さんもそう思っているでしょう」 古泉は首を傾け右側に流し目を送った。 ハルヒは長門となにやら話し込んでいる。二人とも節目節目で共に笑い、さらにハルヒは朝比奈さんに手招きをして女子ユニット全員で談笑を続ける。普通の仲良し三人組だ。 なぁ古泉、これがお前の言っていた平穏な日々なのか? 口には出さなかったが俺は思う。古泉はいつかハルヒが力を失うだろうと言っていた。ひょっとしたら長門が宇宙人属性を失って、いつかは朝比奈さんが未来に帰るとも。その時には古泉、お前の超能力も無くなっているのだろう。 だが、それはもう少し先のことだと思っていたし、今その時が来てしまったら、俺は受け入れる自信がない。 あの十二月以降、俺はこの団がかけがえのないものであるという認識を強めていたし、誰かがSOS団に危害を加えるようであれば、何としてもこの日々を守ってやりたいとも思う。 しかしこの状況はそうではないのだ。それに、終わりを告げられたわけでもない。 俺が何かを怖れているとしたら、それは目に見えない形で進行する変化だ。 変わらないことを望んでしまうから、変わったときにどうしてもうろたえてしまうのだ。 この長門の変化も、そのひとつだ。 これから春休みだが、俺はいつも通り振舞えるだろうか。この長門に、どんな態度で接してやればいい? こいつが望んで変わったのなら、俺はそれを否定などしない。別に世界を変えたわけじゃない。 だが、あの長門がいなくなってしまったように思うのは、消しようのない事実だ。 ハルヒや朝比奈さん、古泉はどうしてこんなにすんなりと受け入れることができるんだ。 春風がたえまなく吹き抜ける昼下がりの部室で、俺は一人で思い悩んでいた。 俺以外の団員は、全員が笑っていた。 「それじゃ帰りましょう! 次にこの部室に来るのは新学期だから、忘れ物とかしないようにね!」 ハルヒが宣言した。俺はすぐさま訊き返した。 「春休み中は部室使わないのか?」 「うん。あ、明日は市内探索するからね! 皆朝九時にいつものところに集合」 春休み中遊び倒すつもりだろうか。 第二章