約 770,065 件
https://w.atwiki.jp/mongolhugjim/pages/130.html
石毛直道編/有賀秀子ほか著(1997)『モンゴルの白いご馳走』、チクマ秀版社 石毛直道監修/小長谷有紀編著(2004)『くらべてみよう!日本と世界のくらしと遊び』、講談社 石毛直道編著(2008)『世界の発酵乳 発酵乳の文化・生理機能 モンゴル・キルギスそして健康な未来へ』、はる書房 石山彰監修/久保田陽子文(2001)『アジアの民族衣装』、小峰書店 「アイヌ・沖縄・近くの国の衣服-日本、朝鮮半島、モンゴル」所収 今西錦司(1995)『遊牧論そのほか』、平凡社 梅棹忠夫(1976)『狩猟と遊牧の世界』、講談社 梅棹忠夫(1990)『梅棹忠夫著作集2 モンゴル研究』、中央公論社 越智猛夫(1997)『乳酒の研究』、八坂書房 風戸真理(2009)『現代モンゴル遊牧民の民族誌 ポスト社会主義を生きる』、世界思想社 銀城康子文/高松良己絵(2009)『モンゴルのごはん(絵本世界の食事 ; 11)』、農山漁村文化協会 鯉渕信一(1992)『騎馬民族の心』、日本放送協会出版 小長谷由紀(1991)『モンゴルの春』、河出書房新社 小長谷由紀(1992)『モンゴル万華鏡―草原の生活文化』、角川書店 小長谷由紀(1992)『モンゴル風物誌』、東京書籍 小長谷由紀(1996)『モンゴル草原の生活世界』、角川書店 小長谷有紀(2002)『北アジアにおける人と動物のあいだ』、東方書店 小長谷有紀(2005)『モンゴル(世界の食文化 / 石毛直道監修 ; 3)』、農山漁村文化協会 後藤冨男(1968)『内陸アジア遊牧社会の研究』、吉川弘文館 後藤冨男(1970)『騎馬遊牧民』、近藤出版社 曹建南[ほか]著/鈴木清史、山本誠編(1999)『装いの人類学』、人文書院 「モンゴルのフェルト作り-「母」から「娘」へ」所収 ソロングト・バ・ジグムド著/ジュルンガ、竹中良二共訳(1991)『モンゴル医学史』、農山漁村文化協会 長沢孝司、尾崎孝宏編著(2008)『モンゴル遊牧社会と馬文化』、日本経済評論社 野沢延行(1991)『モンゴルの馬と遊牧民』、原書房 獣医さんのモンゴル滞在の記録だが、卓越した観察力により驚きの充実度。家畜や家畜周辺の道具への観察は梅棹忠夫並。野生生物のモンゴル語名と和名(あるいは学名)の対照などは本当に“使える”。 徳力格爾(2005)『モンゴル医薬学の世界』、出帆新社 トーボー・フェーガー/磯野義人訳(1985/1989)『天幕―遊牧民と狩猟民のすまい』、エス・ピー・エス出版 松股孝(2004)『モンゴルとなかつ モンゴルの医療と日本の医療』、大道学館出版部 三秋尚(1995)『モンゴル 遊牧の四季―ゴビ地方遊牧民の生活誌』、鉱脈社 モンゴルのブックリスト
https://w.atwiki.jp/siranai/pages/374.html
【スレ29】中学から寄宿舎生活をしていた人 このページのタグ:学校・学生時代 733 :おさかなくわえた名無しさん:2007/10/26(金) 12 53 11 ID Cn8EVeoo 寄宿舎で思い出しけど、私は中学から寄宿舎生活してた。 当時は結構生徒数も多かったけど、今は中学で寮つきというのは珍しいんではないかな〜 と思って投下。 当時の生活はというと、 基本的には自由時間なし(30分おきにスケジュールが決まっている) 学校の敷地外に行くのは禁止。 日曜だけ3時間ほど外出できる(但し制服着用) 個室なし(ベッドだけずらっと並んでいる場所に寝て、夜中に舎監の見回りがある) という感じ。 厨房だから意味が分からんイジメもあった・・・様な気がする。 因みに、1年の頃は洗濯板で洗濯してたんだけど、年代物すぎて 既に凸凹が無かったw 736 :おさかなくわえた名無しさん:2007/10/26(金) 14 21 17 ID iu0Go+J0 733 すげぇな。どこの幼年学校だよ。
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/1429.html
前回のfuku1364.txt『ゆっくりハンターの生活』の続きです。 こっちだけでも読めないこともないですが、出来たら前作を見てからご覧になってください。 ゆっくりハンターの生活2 朝よりも多少雲が出てきた昼下がりの午後。 阿求ちゃんとの楽しい昼食を終えた私は、ハンターとしての仕事を再開する。 「ハンターさん、午後はどうするのですか?私は狩りに行きたいです!」 阿求ちゃんが、メイスを高々と構えてそう意気込む。 朝は比較的穏やかな作業だったから、彼女には刺激が足りなかったのかもしれない。 私は、仕事用の手提げカバンを持って彼女に笑いかける。 「ええ、今日の午後は狩りに行くわ。一緒に依頼主のところまで行きましょうね」 「了解です。私のモルゲンで叩き潰して見せます」 「……ずっと気になっていたんだけど、モルゲンってそのメイスのことかな?」 柄の先端に歪な突起を生やした鉄の塊がついているだけという、か細い少女には似合わない無骨なメイス。 鈍い光を輝かせているそれはいかにも禍々しく、今まで殺されたゆっくりたちの怨念がこめられているようだった。 彼女はそのメイスを誇らしげに構えて、うっとりした目でそれを見ている。 「ええ!数々のゆっくりのあんこを吸ってきた、私の自慢のメイスです。 モルゲンステルン(トゲ付きメイス)タイプのものだったので、モルゲンと名づけました」 「阿求ちゃん、張り切るのはいいけど室内でそれ振り回さないでね」 「すみません。でも私の内から出るパッションが止まりません」 無闇に逸る阿求ちゃんをなんとかなだめて、私達は依頼主のところへ向かった。 そこまで行く途中の道で、私の隣を歩きながら持っているメイスをぶんぶんと振り回す少女はひどく危なっかしい。 怪我させないよにしっかりと見ておく必要があるだろう。 「えーっと、……ここかしらね」 私は手に持った依頼書を見て、目的地が目の前にある家で正しいか確認する。 前に何度か依頼が来たので間違いないと思うが、念のためだ。 「おじゃまします。依頼を受けたゆっくりハンターの者ですが、誰かいませんか?」 呼び鈴を鳴らし、入り口でそう言ってから待っていると、すぐに中から男が出てきた。 小太りのおじさんで、顔が油でてかてかと光っていた。 男はしかめっ面のままこちらを見て、そして黙って部屋の奥に目を遣る。 中に入れという合図だ。 私は一度彼にお辞儀をしてから中に入り、阿求ちゃんも私に続いた。 私達は、男によって客間の一角に案内され、用意された席に座った。 案内された部屋は、なにやら賞状やらトロフィーやらが目のつきやすいところに並べてある。 ゆっくり関連のグッズもそこかしこに置かれており、私の口からは素直にかわいいなぁと言う言葉が漏れた。 一方、阿求ちゃんは手をプルプル震わせてそのゆっくりたちを見ていた。 男は終始無言で、こちらと目をあわせようとすらしない。 阿求ちゃんはそんな男の様子を訝しんでいたが、私にとってはもう慣れたものだ。 懐から依頼書を取り出し、仕事の話を始める。 「では、依頼内容の確認をしますね。 私が依頼された仕事は、昼の間にこの畑を荒らしに来るゆっくりたちから作物を防衛すること。 その際に注意することは、絶対にゆっくりたちを殺さない。 ゆっくりに怪我を与えてしまうとしても、必ず最小限にとどめること。 成功報酬は依頼書に明記されている通り、ということで。 以上でよろしいですか?」 阿求ちゃんが私の言葉に驚いたような顔をこちらを見た。 狩りに来た、といっているのにこれだから仕方ないか。 事情を先に説明しとけばよかったな、といまさらながら悔やむ。 まあいまさら悔やんでも後の祭りだ。男が黙ってうなずくのを見て、私は阿求ちゃんをつれて席を立った。 「待て」 部屋の扉に手をかけたとき、男が始めて声を上げた。 やっとか、と私がほっとして男の方に向き直る。 「なんでしょうか?」 「いいか。絶対にゆっくりちゃんたちを虐めたり、殺したりするんじゃないぞ。 彼女達を透明の箱に入れて、無闇に苦しめるるのもいかんからな。 もし私の周りでそんなことをすれば、お前にも彼女らと同じ苦しみを味わわせてやるから覚悟しておけよ」 「ええ、彼女達は、かわいいですからね」 男は私の答えにふん、と鼻を鳴らし、そして特大ゆっくり人形を抱きかかえながらまた目をそらした。 「わかったならそれでいい。私はこの子と戯れているからさっさと出ていけ」 私はそれ以上男に話しかけることは無く、阿求ちゃんを連れて男の家から出た。 阿求ちゃんはずっと怒りを抑えていたらしく、表に出るなり真っ赤な顔をしてブンブンとメイスを振り回した。 「もう!どういうことですかハンターさん!ゆっくりたちを殺すななんて、私がモルゲンを持ってきた意味ないじゃないですか! それになんですかあのジジイの態度は!そんなにゆっくりが好きなら畑ごとゆっくりに上げればいいじゃないですか!」 「落ち着いて、阿求ちゃん。これには深くないけど事情があるの。それにゆっくりを狩ることに変わりは無いから」 私の言葉に、ようやく彼女の動きが止まる。 「え?今回は追い払うだけじゃないんですか?それに殺害はNGだとあのジジイが………」 「そんな対処の仕方をしても、ゆっくりに効果は無いのは阿求ちゃんも知ってるんじゃないかな? 翌日には忘れてまた来るだろうし。それに、殺害がNGなのはあの人の近場だけよ。 追い払った後追跡して、森の中で殺しても何も言われないわ。むしろ先方もそれを望んでるわ」 「……じゃあなんであのジジイはあんなことを言ったんですか?素直に退治してくれ、と言えばいいじゃないですか」 阿求ちゃんは納得行かないような顔で私にそういった。 正直私もそう思うが、人には事情があるんだから仕方ない。 「実はねぇ……あの人、ゆっくりんピースの会員なのよ。それも結構上の方の」 「はぁ!?あの基地外集団のですか?じゃあなんでゆっくりを殺せなんていうんですか? あいつらはゆっくりを保護する団体でしょう?」 「ええ、普通の会員さんだったらブリーダーさんに頼むところでしょうけどねぇ。 でもあの人、ゆっくりにお金かけすぎてそんな余裕ないのよ。ブリーダーさんって結構お金かかるから。 かといってそれなりに上のほうの人だから、自分で殺すのも加工所にうっぱらうのも周りの目が許さないし。 ましてやゆっくりに畑を明け渡したりなんかしたら、破産しちゃうわ」 「はぁ……だからお姉さんのところに話がまわってきたと」 「ええ。ハンターは割と安めで仕事を引き受けるものだから、こういう人たちの依頼は良く来るの。 こちらとしても、そういう人種の人たちはほかの人より多くお金出してくれるから万々歳よ」 彼女は私の言葉に心底呆れた様子で、深いため息を吐いていた。 子どもにとっては、こういう大人の複雑な理由は理解できないのだろう。 まあ、私も彼らのことを理解できることなんて一生無いだろうけど。 仕事だからと折り合いを付けているだけだ。 「だったらゆっくりんピース抜ければいいと思うのは私だけでしょうか……」 「私もそう思うけどねぇ。でも、今抜けたらこれまでゆっくりたちに使ってきたお金は無駄だった、と認めるようなものだから出来ないんでしょうけど。 まったく、もっと単純に自分の思うまま生きればいいのにねぇ」 阿求ちゃんはうんうん、と頷きメイスの先で家の壁を小突く。 大きな音は出ないものの、家の壁の塗装が少し削れた。 「ゆっくりを見つけたら何も考えず叩き潰すくらいでいいと思うんですよ私は。 それなのにゆっくりがかわいそうだの保護しようだのとぐちぐちと……やっぱりゆっくりんピースは害悪ですね!」 「こらこら、人の思想に口を出しちゃあ駄目よ?向こうは向こうで考えた末の結果なんだから。 そういうのは心の中だけで考えて、口には出さないものよ?あと壁突くのやめなさい」 阿求ちゃんはまだ納得いっていないようだったが、素直に私の言葉に従ってくれた。 妹がいたらこんな風なのかもしれない、と密かに思った。 「それじゃあ、畑に行こうね。いつゆっくりたちが来るともわからないし」 「そうですね。こんなやつのことは忘れてさっさとゆっくりで遊びましょう!」 彼女はそういうと、私の手を引っ張って畑の方に歩いていく。 彼女はもう待ちきれないと言った様子で、顔は興奮しているせいか少し赤い。 私は転ばないように気をつけながら、そのまま彼女についていった。 「ここが畑ですか……なんとも無防備ですね」 男の家の裏側に回ると、一面に畑が広がっている。 それなりに耕地面積は広く、作物もよく育っているのが見て取れたが、 外側の蔓ごと抜かれていたり、ほんの少しだけかじられた野菜が捨ててあったりとひどく荒らされていた。 ゆっくり対策に作られたのだろうか、木製の柵が畑の周囲に立てられていたが、ところどころ壊されておりもう柵としては機能していなさそうだ。 ゆっくりのことを少しでも調べた農家ならあんなもの役に立たないことぐらいはわかるだろうに。 もしかしたら、ゆっくりんピースには間違った知識が蔓延しているのかもしれない。 「無駄に広いから、ここを守るのは大変ですね……。ハンターさん、どうするんですか? 柵を張りなおしたりしとかないと、危ないのでは」 「そんなめんどくさいことしなくても大丈夫よぉ。一緒に座ってゆっくり待ちましょう?」 「……え?何もしなくていいんですか?」 「別にいいわよ。どうせ今からやったってたいした柵なんか作れないし。 あ、あの雲なんかむくむくしててかわいいわよ?ゆっくりみたいで」 私は地面の上に腰をおろし、柵にもたれながら空に浮かんでいる雲を指差してそういった。 阿求ちゃんはまだなにか言いたそうだったが、私の様子を見てあきらめたのか結局は隣に座って一緒に空を眺めていた。 そこにはやわらかそうな雲が数個浮かんでいて、あそこで寝たら気持ちよさそうだ。 いかにもゆっくりたちが好みそうな場所で、もしかしたらあそこにはゆっくりたちが住んでいるのかもしれない。 そんなことを彼女に言うと、彼女は笑ってそれを否定した。 彼女が言うことには、 崖の上でゆっくりをロープに括り付けたまま降ろしたところ、そのゆっくりはショック死してしまった、という実験結果があるらしい。 だからゆっくりたちは高いところは苦手だと思われ、よってあんな高いところにある雲でゆっくりすることは無理とのこと。 「へぇ~、ゆっくりたちが高いところ苦手だなんて知らなかったなぁ。 阿求ちゃん物知りだね」 「いや、物知りだなんてそんな。ゆっくりに関してはまだ未知な部分が多くて、私にも知らないことなんてたくさんあります」 彼女は俯いて、照れたかのように頬を掻いた。 子どもなのに謙遜までするなんて、将来は大物になるかもじれない。 「……ゆっくりと言えば、ハンターさんはゆっくりが好きなんですよね?」 彼女は再び顔をあげ、思い出したようにそういった。 「うん、そうよ。あのゆっくりの笑顔を見ていると、なんだか心がホンワカしてくるのよねぇ」 「じゃあなんでまたハンターなんかに?農家になれないのわかりましたが、だからってそれじゃなくてもいいじゃないですか。 ブリーダーとか、保護委員になるとか、他にもいろいろあるでしょう」 「それも考えたんだけどねぇ。でも私、殴ってしつけるのはちょっと苦手だし。 一時期頑張ってやってみたこともあったんだけど、私がゆっくりに餌をやったら何故か死んじゃうのよ」 「ああ、あの殺人野菜のことですか……うう、思い出したら気持ち悪くなってしまいました」 「おいしいのにねぇ。だから基本的に保護系は無理だったわ。保護した片っ端から死ぬんだもの。 でもどうしても私はゆっくりにかかわる仕事をしたかったから、ハンターの職に就くことを決めたの」 「……なるほど、納得しました。お姉さんも大変なんですね……あ!」 ちょうど話に区切りがついた時、向こうから小さくて丸い塊が飛び跳ねながらこっちに向かってくるのが見えた。 言わずもがな、ゆっくりだ。 見たところ全部まりさ種のようである。 「まりさたちのゆっくりごはんをとろうね!あそこのおやさいはとってもおいしいよ!」 「ゆゆ!?にんげんたちがいるよ!だいじょうぶなの?」 「だいじょうぶだよ!ここのいえのにんげんはまりさのかわいさにめろめろだから、なにもしてこないよ!」 以前来たときに相当甘やかされたのだろう、随分な言い草である。 こうなっては言葉で止めるのはもう無理だ。なにを言ってもここはまりさのものだからさっさと出てけと言われるだけ。 それを知っていたのだろう、阿求ちゃんがメイスを構えて攻撃体制をとる。 「かかって来なさい!みんなまとめて叩き潰してあげますよ!」 メイス片手に突撃しようとする阿求ちゃんの襟を、私は慌てて掴んだ。 「ぐぇ!な、なにするんですか!?」 「駄目だよ阿求ちゃん。そんなので攻撃したらゆっくりたち死んじゃうよ」 「じゃあどうするんですか!ああもうどんどん迫ってきてます!」 私はふてぶてしくにやりと笑うと、手提げかばんの中から銀色に光る"それ"を取り出した。 太陽の光を反射してまぶしく輝くそれは―― 「じゃじゃーん!銀のナイフー!」 それは刃渡り十五センチほどの狩猟用ナイフで、私が狩りのときに良く愛用するものだった。 狩りのとき以外にも、料理のときに使ったり、収穫のときに使ったりと、私にとっては生活の必需品となっている。 「ってそんなの見ればわかりますよ!ナイフなんて使ったらやっぱりゆっくりは死んじゃないですか!」 「モノは使いようよぉ?ちょっと見てなさい」 私は突撃してくるゆっくりに向かって、思い切りナイフを投げた。 そのナイフはほぼ直線に近い軌道を描き、ゆっくりにの顔に直撃――せずに、ゆっくりのかぶる帽子を射抜いた。 「ゆゆ!?まりさのぼうしが!」 ナイフは帽子に刺さっても勢いをとどめることは無く、そのまま帽子ごと地面に突き刺さる。 慌てて帽子を取られたゆっくりが拾おうとするも、ゆっくりではナイフを抜くなんて器用なことは出来ない。 泣きながら帽子の周りを飛び跳ねるだけだ。 「す、すごい…。こんな方法があったんですね!」 「まあ、リボンとかだと結構大変なんだけどねぇ。今回はまりさ種ばっかりだから楽に済みそうだわー。 エイ、タァ、ドウリャー、トゥー、ワーワー」 私は投げる毎に気合の言葉を発しながら、突撃してくるゆっくりたちの帽子をひとつ残らず地面に縫い付けていく。 前方の惨状を見て逃げようとするゆっくりにも、きっちりナイフを投げておく。逃げられたら厄介だ。 十五匹ほどの帽子を縫い付け、防衛戦は終了した。 「うーん、あんまりいなかったわねぇ」 「結構いるように見えますが…これで少ない方なんですか?」 「これだけ畑が広いと、コミュニティ全体で来ることもあるからねぇ。 違う畑では百匹近くのゆっくりが襲ってきたこともあったっけ。今回みたいに制限は無かったけど、さすがに危なかったわぁ」 あの時は仕事中に周りの農家たちも応援に来て、さながら闘技場のようになっていたっけなぁ。 あんこまみれになった畑の周りを、みんなで仲良く掃除したのはいい思い出だ。 今回は規模が規模だし、ここの住人自体もあまり評判がよろしくないので観客は阿求ちゃんしかいないけれど、 見られることを意識するといつも以上に頑張ろうという意欲がわくものだ。 「で、どうするんですか?あれ」 「そうねぇ。まりさたちにはちょっと聞きたい事があるから、阿求ちゃんはそこでちょっと待っててくれないかしら」 阿求ちゃんが目の前の自分の帽子の前で泣き叫んでいるゆっくりたちに指を向ける。 私は彼女をそこに残し、リーダー格と思われる、一番大きいサイズのゆっくりまりさに近寄った。 「ちょっといいかな?」 呼びかけられたゆっくりまりさが、涙やらよだれやらでぐちょぐちょとなった顔をこちらに向けた。 「お゛ね゛え゛さ゛ぁ゛ぁぁぁん!!ま゛り゛さ゛のぼうし゛と゛って゛ぇ゛ぇぇぇ!!」 「いいよ。はい、これでいいかな?」 私はそのまりさが言うように、地面からナイフを引き抜いて帽子を取ってあげた。 そして私の胸の前でそれを抱えるようにして持つ。 「おねえさんありがとう!それはまりさのぼうしだから、さっさとかえしてね!」 先ほどまでの泣き顔はどこへやら、まりさはいつものふてぶてしい顔をして私から帽子をとろうと飛び跳ねている。 たぶんさっきのは嘘泣きだったのだろう。 泣けばここの住人は馬鹿だから助けてくれる、なんて計略があったに違いない。 確かにそれは有効である。昨日までならば。 あのゆっくりんピースのおじさんの金と共に、このゆっくりたちの命運も尽きてしまった。 「じゃあ、私の質問にちょっと答えてくるかな?」 私はなるだけやさしい口調でそういった。 本当はもっと厳しく言った方がいいのだろうけど、やはりいきなりそんなことをするのも気がひける。 ゆっくりまりさは私が下手に出ている様子にこいつも自分に優しい人間だと思ったのだろう、 体を一回り大きくして見下すようにこちらを見ている。 「そんなことよりまりさのぼうしさっさとかえしてね!のろまはきらいだよ!」 案の定付け上がってしまった。 仕方がない、気は進まないけどこちらも少しだけ強硬姿勢を見せなければいけないか。 私は帽子をしっかりと抱え、ゆっくりまりさに取られないように注意しつつ、ナイフでほんの少しだけ帽子に切れ目を入れた。 自分の帽子がさらに傷を付けられていく様子を見て、ゆっくりまりさは慌てふためく。 「おねえさんへんなことはよしてね!まりさのだいじなぼうしにきずつけちゃだめだよ!」 「ごめんね?私も仕事だから。本当はこんなことしなくないのだけれど」 「だったらさっさとかえしてね!」 「じゃあ私の質問に答えてくれる?」 言外に答えなかったら帽子を引き裂くぞ、と言う脅しのニュアンスを含みつつ、私はゆっくりまりさに迫る。 ゆっくりまりさは下に見ていた人間に思わぬしっぺ返しをくらって心底悔しそうだったが、 自分の大事な帽子には変えられないのか、観念したかのように動きを止める。 「わかったよ!こたえるからさっさとしつもんしてね!」 「ふふっ。じゃあ聞かせてもらおうかしら。 あなた、ほかに仲間はいる?ここの畑を他のゆっくりに知らせたかしら?」 私が問うたのは相手の戦力の規模。 このゆっくりたちを処分するならばここから離れねばならない。その間、この畑は無防備になってしまう。 もしまだいるならばこのゆっくりたちは、このままここに縫い止めておかねばならない。 まったく、捕獲用の箱くらい使わしてくれてもよかろうに。 だが、私のそんな心配を知ってかしらずか、ゆっくりまりさの答えは私にとって理想的なものだった。 「なかまはいないよ!ここにいるみんなでぜんぶだよ!それにほかのゆっくりにもいってないよ! ここはまいさたちだけのゆっくりぷれいすだからね!」 「ありがとう。でも嘘はついちゃだめよ?そうしたら私にとってもあなたにとっても悲しいことになるわ」 「うそなんかついてないよ!まりさはしょうじきものだからしんらいしてくれていいよ!」 一応念を入れて探りを入れてみるも、ゆっくりまりさに嘘をついている様子は見受けられない。 まりさ種特有の強欲さから考えても、その話は信憑性に足るものだと思われた。 私の目標は、このゆっくりまりさだけとなった。 「おねえさん、おしえたんだからさっさとぼうしかえしてね!」 「ああ、ごめんなさい。今返すわ。でもその前に、私からもあなた達に教えたいことがあるの。 あなた達がゆっくりできるかどうかに関わる、とても大事なことなんだけど。聞いてくれる?」 「まりさはゆっくりしたいんだぜ!おねえさん、ゆっくりしないではやくおしえてね!」 ゆっくりできない、と言う言葉に本能的に恐怖を覚えたのだろうか、ゆっくりまりさが帽子のことも忘れて私の情報をせがんでいる。 私はまりさを安心させるように微笑むと、畑の方にいる阿求ちゃんを指差した。 「ねぇ、あの女の子って誰だかわかる?」 「ゆ?あんなひょろいやつなんてしらないよ!」 ゆっくりたちから見れば、彼女はそんな風に映るらしい。 私としては、線が細く、そのすらっとした体のラインはうらやましいものであるのだが。 私はこんな職業柄、どうしても少し筋肉質な体になってしまうからだ。 今度、どうやってあんな主そうなメイスを振り回すパワーを持ちながらそんな体型を維持できるのか、じっくりと聞いてみたいものである。 ……いけない、思考が脱線した。今は仕事に集中しないと。 「あの子はね、実はあなた達を捕まえに来た加工所の人なの」 「ゆゆ!?おねえさんそれほんとう!?」 「ええ、もちろんよ。彼女の持っているものが見えるでしょう?あれは、あなた達を捕まえるための道具なの」 実際は、あれは捕まえるものではなく殺すためのもの。それでも、ゆっくりたちにとって脅威であるものには変わりないのだが。 ゆっくりまりさはとりあえずあれの危険性についてはわかったのか、私に隠れながら、おびえた表情で向こうを見る。 「でも、心配しなくても大丈夫よ?あの子はあなた達が近づかない限り、何もしないから。 だから、今日はおとなしく森に帰ったほうがいいんじゃないかしら?」 「で、でもそうしたらまりさたちごはんたべられないよ!」 「それは仕方がないわ。たべものより命の方が大事でしょう? どうしても行きたいっていうんなら止めはしないけど、私はあの子からあなた達を守れるほど強くないわ」 阿求ちゃんのいる畑を見やって、ゆっくりまりさは考え込んでしまった。 お野菜は食べたいが、そこに立ちはだかるのはこわいもの構えて仁王立ちする人間。 この人数でかかればいくらかはあれを抜けられるかもしれない。だが、確実に私達の大半はゆっくりできなくなる。でも私じゃないかもしれない。 運がよくて私だけはおいしい野菜を食べながらゆっくりできるかもしれない。 どうしよう、怖いけど、お野菜は食べたい。あれはとてもおいしい。 おいしいものを食べたいと言う欲求と、死への恐怖と、もしかしたらという希望。 ゆっくりまりさの中で葛藤が渦巻いた。 ゆっくりまりさは考えに考え抜いた末、私に向かってこういった。 「おねえさん!まりさたちきょうはかえるよ!あしたあそこでゆっくりすればいいからね!」 勝ったのは死への恐怖。やはりあのメイスと、何より彼女が怖かったのだろう。 結構離れた私の場所でも、阿求ちゃんのゆっくりへの殺気がありありと感じられる。 ゆっくりまりさもそれを感じ取ったのだろう。 そうでもなければ、本能に従順なゆっくりが簡単に食への欲求を止められるものか。 私は彼女の殺気の波動から守るようにゆっくりまりさの前に屈みこんで、持っていた帽子をかぶせてやる。 「そう。命を大事にしてくれて嬉しいわ。早くみんなを連れてここから逃げてね」 「うん!おねえさんありがとう!みんなにおしえてくるね!」 ゆっくりまりさは勇んで他のゆっくり達に近づいていき――そして泣きそうな顔でまた私のところに戻ってきた。 「おねえさん!ほかのまりさたちのぼうしもとってあげてねぇぇぇぇ!!」 そういえば、まだ刺さったまんまなんだっけ。 私は地面に縫いとめられている帽子を回収し、それぞれのゆっくりまりさに被せてやる。 ゆっくりまりさたちは泣きながら私に礼をし、後ろでさっきを撒き散らす阿求ちゃんをみて恐れおののいて、そして帰っていった。 私はゆっくりたちがこちらを気にしなくなるほど離れてから、後ろにいる阿求ちゃんを呼び寄せる。 「すごいですね。どうやってあのゆっくりたちを説得したんですか? 合い辛そう簡単に畑を諦めるようなやつらじゃないのに」 「ふふっ。阿求ちゃんのおかげよぉ。 じゃあ他のゆっくりたちもいないようだから、後を付けていきましょうか。 待望の狩りの時間よ」 彼女は自分のおかげとはどういうことかと首をひねっていたようだが、 ゆっくりが狩れる聞いて俄然やる気を出したようだ。 「ほんとですか!ついにあいつらをつぶすときが来たのですね!」 「まあ、人目のつかないところまで尾行してからだけどねぇ。 ここで見失ってしまったらことだから、静かに、そして慎重に行きましょう?」 私は興奮する阿求ちゃんの唇に人差し指を押し当て、にこりと笑った。 彼女は了解です、とおでこに手をやって敬礼のポーズを取る。 まあ、ゆっくりたちは鈍感だからばれることは万が一程度しかないだろうが、念には念をだ。 そうして私達はゆっくりまりさたちの尾行を開始し、十数分後、彼女達の巣と思われる森の一角についた。 そこにはそのゆっくりまりさのほかにも、彼女の子ども達と思われる子ゆっくりもいた。 「おおー、いっぱいいますねー。もう我慢しなくてもいいんですよね?」 阿求ちゃんがメイスを構えて、満面の笑みで私の許可を請う。 私もナイフを構え、頷いた。 「いいわよ。ただ、向こうにいるリーダー格のゆっくりまりさは私に預からせてね?」 「わかりました!では行ってきます!」 彼女は弾丸のごとく疾走し、一直線にゆっくりに突撃する。 いきなりの奇襲に驚いたゆっくりは、すばやく反応することが出来ない。 「はぁーーーーっ!滅殺!」 「ゆべっ!?」 「びいっ!」 「ゆぐぅぅぅ!?」 「い゛ぃ゛ぃぃぃ!!」 彼女がメイスを振り回し、その暴風雨のような一撃に巻き込まれたゆっくりたちが内蔵物を撒き散らす。 ほんと、どこにあんな力があるのだろう。そう疑問に思いつつ、私は逃げようとするゆっくりを私がナイフを投げて縫いとめる。 今度は、帽子じゃなく本体を直接狙う。 「いだいよぉぉぉぉ!!」 「ゆぅぅぅ!!にげたいのにうごけないぃぃぃぃ!」 ナイフが刺さったごときでは致命傷には至らないが、それでもゆっくりたちの動きを止めることはできる。 動きさえ止めてしまえば、もう逃げられる心配は無い。後は阿求ちゃんに任せておけば大丈夫だろう。 私はそれを放置して、阿求ちゃんのメイスに当たらないように気を付けつつ、 目の前の惨状に呆然としているリーダー格のまりさに近寄った。 向こうも私を認識したようで、怒ったような顔で私に抗議の声を上げる。 「おねえさん、これどういうこと!!まりさたちをだましたの!!」 「ごめんね?これも仕事なの。あなた達には後で話があるから、とりあえずそこで待っててね?」 私はそのゆっくりまりさと、取り巻きにいた数匹のまりさをナイフで刺して動けないようにしておく。 ゆっくりまりさたちは体中を走る激痛に悲鳴を上げているが、私はそれを無視して阿求ちゃんのほうに向かう。 彼女のほうはあらかた片付いたようで、そこらじゅうにあんこが飛び散っている。 彼女も服をあんこだらけにしながら、恍惚の表情を浮かべてそこに佇んでいた。 「あらあら、もう終わっちゃったの?手伝おうと思ったのに」 「ああ、ハンターさん。本当はもう少しゆっくりいたぶろうかとも思ったんですが、一日中我慢していたせいで制御が利かなくて…」 「早いに越したことはないから私としては別にいいけどねぇ。って、あら?まだあそこに残っているわよ?」 そこには、あんこに埋もれていた一匹の子まりさがいた。 阿求ちゃんがまき散らかしたあんこが体中に飛んできて、運よくそれが擬態として働いたのだろう。 「ゆゆ!もうだれものこってなんかいないよ!ぜんめつしちゃったんだからゆっくりかえってね!」 自分を見つけられて焦ったのか、ゆっくりまりさが声を張り上げてそういった。 そんなことしても逆効果なのだが、ゆっくりだから仕方がない。 阿求ちゃんが頬を吊り上げながら、声のしたほうに近づいていく。 「そうですか、やっと全滅しましたか」 「そうだよ!もうだれもいないからゆっくりさっさとかえってね!」 「でもちょっと疲れましたから、ここで一休みしましょうか」 彼女は近くにあった木の根元に座り込み、隠れている子まりさの上に先端がのしかかるように、自分の持っているメイスを置いた。 「ゆぐっ!?お、おもいよ!とげがささっていたいよ!おねえさんはやくこれをどけてね!」 「おかしいですね~、全滅したはずなのにどこかからゆっくりの声が聞こえます。 幽霊でしょうかねぇ?おお、こわいこわい」 彼女はわざと子まりさと視線が合わないようにしつつ、そううそぶいた。 メイスを乗っけられた子まりさは必死に抗議の声を上げる。 「ゆゆ!ぜんめつなんかしてないよ!まりさがここにいるよ!だからさっさとこれをどけてね!」 「ええ?全滅なのではなかったのですか?でもどこにいるのでしょう。皆目見当もつきません」 彼女は周囲を探すように歩き回り、時折メイスの力を軽く踏んで子まりさの負荷を増加させる。 「いだいぃぃぃ!ふまないでね!これいじょうされたらまりさつぶれちゃうよ!」 「あらごめんなさい。でもあなたがどこにいるのか探さないと・・・ここかしら?」 そういってさっきより強くメイスの柄を踏む。 「ひぎっ!それいじょうはやめでねぇぇぇ!!あんこがでちゃうよぉぉぉぉ!!」 「あは、あはははっ!やっぱり見つからないですねぇ。ここですか?それともここ?ここかもしれませんねぇ」 彼女は興奮で顔を赤く染めながら、何度も、何度もメイスを踏む。 踏まれるたびに子まりさはビクン、ビクンと痙攣し、中のあんこをひねり出して行く。 「ああ、やっぱりたまらない!もっと、もっと聞かせてください!」 「ゆべっ!や、やべっ!!こべっ!もぶっ!だべっ!」 彼女は狂ったように笑いながら、汗が滴り落ちて妖しく光る足を上下に動かす。 子まりさはポンプのように、踏まれるたびに口から悲鳴を上げる。 そしてその声はだんだんと弱くなり、そして中のあんこがすべて飛び出ると同時にその声も聞こえなくなった。 「もう終わりですか?子どもは耐久力がないのが難点ですねー。 悲鳴は成体よりも良いのですけど」 「あらあら、あれだけ愉しんでたのに辛口ねぇ。 でもとりあえずこちらは終わったようだから、ちょっと来てくれるかしら?」 私は彼女を連れて、先ほど動けなくしておいたまりさ達の元へ向かう。 やはりまだ動けないようで、目の前の惨状に震えながらもそこから逃げられないでいた。 「お、おねえさん!まりさをたすけてね!まりさしにたくないよ! ほかのまりさたちはしなせてもいいから、まりさだけはにがしてね!」 リーダー格のまりさが私を見るなり他のやつらを見捨てて命乞いをする。 他のゆっくりまりさが慌てて自分も、自分もと命乞いを始める。 「自分だけ助かろうとは見下げた根性ですね。ハンターさん、殺しちゃっていいですか?」 「だめよぉ。この子達はみんな逃がしてあげるんだから」 私のその言葉に阿求ちゃん絶句し、ゆっくりたちは歓喜の声を上げる。 「おねえさんありがとう!まりさをゆっくりにがしてね!」 「ああ、でも私も仕事だから、ただで逃がすわけにも行かないのよ。 あなた達もう顔が割れてるから、万が一あのおじさんにあなた達のことを見つけられたら困ることになるわ」 「……ゆっくりなんて見分けつかない気がしますけど」 「あら、ゆっくりんピース舐めちゃだめよ?彼らはゆっくりたちの顔のわずかな違いでその個体を識別できるんだから」 ゆっくりたちは確かに似ているが、個々で微妙に違ってたりする。 目つき、口元、眉毛の凛々しさなど、ゆっくりんピースやブリーダーはそれを見て区別することができる。 「じゃあどうするんですか?やっぱり殺すしかないじゃないですか」 「そんなこともないのよ?ちょっと見ててね…えいっ」 私はナイフを使って、ゆっくりまりさの右目の部分だけを綺麗に刈り取る。 「ゆ、ゆぎゃぁぁぁぁぁ!!まりさのめがぁぁぁぁぁぁ!!」 「ごめんね?痛いだろうけど暴れちゃ駄目よ?すぐ済むから我慢してね」 私は隣のまりさも同様に同じ部分を刈り取り、それを最初に切ったゆっくりまりさの目にくっつける。 同様に先に刈り取った右目も、今切ったゆっくりまりさの目に引っ付けて、傷口をふさぐ。 これで、二匹のゆっくりまりさの右目は交換された。 「どう?これならばれなくなるでしょう?」 「はぁ、パーツの交換ですか…良く考えますねこんなの」 「ありがとう、ほめ言葉として受け取っておくわ。 まあさすがにこれだけじゃばれちゃうから、もっと色々やるんだけど」 私は再びナイフをゆっくりたちに向ける。 ゆっくりまりさたちはこれから来る痛みから逃げようとするが、体に刺さるナイフがそれを許さない。 私はそんなゆっくりたちを安心させるために、優しく微笑んであげた。 「ちょっと痛いだけだから、我慢してね?これが終わったらみんな逃がしてあげるから」 ゆっくりまりさたちは悲鳴を上げているが、私は無視してナイフで顔のパーツを切り取っていく。 その悲鳴に罪悪感が心の中でもたげたが、ゆっくりたちを生かすためなのだから、と私はそれを押さえ込んで作業を続けた。 ゆっくりたちの麻酔なしの整形手術は、一時間後にようやく終わった。 「はーい、終わったよー。みんな、良く頑張ったね」 私は痛みに耐えかねて気絶しているゆっくりたちを起こし、ナイフを抜いて野に放ってやる。 ゆっくりまりさたちはまだ痛みが抜け切っていないようだったが、それでも体に鞭打って私の元から離れていった。 そのときに私になにか言おうとしていたが、交換したばかりだったせいか口が動かなかったようで、結局そのまま何も言わず去っていった。 お礼なんて、別にいいのに。 ゆっくりまりさたちを見送りながら、阿求ちゃんが私に質問をした。 「ハンターさん、なんであんなめんどくさい事をしたんですか?やっぱり殺したくないからですか?」 「もちろんそれもあるわ。でも、あの子達明日になったら私達のことなんてすっかり忘れて、いつか群れをなしてまたあのおじさんの畑襲うと思わない?」 「まあ、ゆっくりの習性上そうなってもおかしくは……って、まさか」 「大事な収入源は、できるだけ手放したくないものよねぇ」 私達はその後依頼人の男のところにいき、ゆっくりたちを追い払ったとだけ報告してお金を受け取った。 彼は自分の畑を襲うゆっくりたちが死んだのだと喜びを隠せずにいたが、 阿求ちゃんはそんな彼を哀れむように見ていた。 男は阿求ちゃんの様子に気づくこともなく、上機嫌のまま私達を見送るために玄関まで来ていた。 私は大事な顧客である彼にしっかりとお辞儀をして、そしてこう言った。 「また、何かあったらよろしくお願いしますね」 終わり 外伝へ? 読んでくださった人に感謝の念をこめて。 本当に、本当にありがとうございました。 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/pokecharaneta/pages/5185.html
据次タカシの憂鬱 登場人物据次 タカシ コメント あどべんちゃらによる日本の4コマ漫画作品。『まんがタイムきららフォワード』(芳文社)にてVol.4から連載中。ストーリー漫画中心の同誌において数少ない4コマ漫画である。 登場人物 据次 タカシ コモルーorクルマユ:引きこもり同然の生活を続けたので 持ち物:メガネ系 技:かえんほうしゃ(吐血)/あばれる(すぐに酔っ払う) コメント 名前 コメント すべてのコメントを見る
https://w.atwiki.jp/khseinen/pages/82.html
#blognavi 最近はガソリンの値上げがよく言われているけど、豆腐とかパンも値上げになってしまった。 大昔に学校で習った授業によると、毎日の食卓に並ぶ料理の材料で日本国産のものは非常に少ないそうだ。お米とか自給率が高いものもあるけれど、全体で平均すると約40%しかない。個人的に大好きな豆腐に至っては約10%しか国産のものがないそうだ。 輸入したほうが安い食料とか、日本の気候では栽培できないから仕方なく輸入しているものもあるそうだけど、ここまで自給率が低いといざ異常気象にでもなって輸入ができなくなったらどうしよう?などと、少し心配になる。 1ヶ月くらい前の新聞に、「世界中で食料が足らなくなっているので、外国へ食糧を輸出せずに自国の消費を優先するようになるだろう」といった趣旨の記事が載っていたと思う。「輸入に頼れなくなった場合は、今の食生活をお米、イモ類中心にすれば、いざ輸入がストップしてもとりあえずは大丈夫だ」と記事は続いていた。お米、イモ類中心といわれてもピンとこなかったが、戦前の食卓と記事に書かれていて、納得した。 いざ異常気象にでもなれば、40%しか食料を自給できない日本はどうなるんだろう?と、深く考えるいい機会をこの記事は与えてくれたと思う。 食糧自給率について考えて、自分達にできることは少ないかもしれない。が、少しでも食糧自給率を上げてみたいので、買い物の際には少しでも国産のものを手に取るようにしてみようと思った。 (風太郎) 青年タイムズ135号(平成20年6月1日発行)掲載 カテゴリ [コラム] - trackback- 2008年06月02日 18 19 49 #blognavi
https://w.atwiki.jp/bokuchu777/pages/103.html
ジリリリリリリリリリリリリリリr ええいうるさい。これだから朝は煩わしい。 人の安眠時間を少しでも妨げようと騒ぎ立てる目覚まし時計に寝惚けた頭で拳を振り下ろす。 奴らは起きろ起きろと責め立ててくるくせに、仕事を終えたらすぐに眠ってしまうのだ。 だったら最初からずっと眠っていろと言いたいね。 どうせお前が仕事しても俺は起きないんだから。 ジリリリリリリr……ゲホ、無駄にしぶとい…… ジリリリリリリリリリイィ! あれ? 今俺止めましたよね? 思いっきり壊す勢いで止めましたよね? 何だ、最近の目覚まし時計はそんなに頑丈なのか。 それに安眠妨害のための努力を欠かさないらしい。何度ボタンを殴っても止まりやしない。 仕方なく、本当に仕方なく、電池を抜いてから掴んで壁に叩きつける。 これで壊れたとしても止まらないお前が悪いんだ。決して俺のせいじゃないからな? 「うわ、あぶな! 当たるとこだった……こんのぉ、スーッ!」 「ていうか何をしているんだそこの目覚まし少女」 「ぅっ!? ゲホ、ひ、人が息を吸い込んだ時に急に話しかけない でよね! 咽たじゃない!」 「咽たじゃない! じゃねーよ。何をしてんだっつの、美羽」 「何って、兄貴を起こしてやったんじゃない。いつまでも惰眠を 貪ってる兄貴のために、妹が喉痛めて起こしてやったのよ?」 「ありがとな。ありがとついでに出てってくれないか?」 「アタシを追い出してどうするつもり?」 「二度寝る」 「却下。いい加減起きろっつのバカ兄貴!!」 「ギャフ!?」 めーでーめーでおーとーをねがいます。 あさになってこうふんめされていたたいさのむすこがただいまふみつぶされました。ひがいはじんだいです。 たいさはこえもだせずうつむいております。 めーでー。めー……でー…… 「あ、コラ、言ってるそばから寝ようとするなぁ……て、あれ? あ、兄貴?」 新しい家族を迎えた三日目は、こうして散々な出来で始まった。 「おはようヒロト殿。どうやら顔色が優れないようだが……何か あったのか?」 「何かも……何も……ナニもない、いやナニがなければ……」 レンは頭上に?マークを浮かべて怪訝な顔を見せている。 が、どうせ説明したところでわかるまい。 これは人類の半数程度の人種にしか理解できない、深刻な問題だからだ。 おい、そこの含み笑いしている妹よ。何処の誰がこんな事態を引き起こしたのかを思い出せ。あと可及的速やかに俺に殴られろ。 そしてそこの妹その2。恥ずかしそうに顔を赤らめるその表情ナイス。でも心配そうな目で息子を見るのはやめなさい。兄さん情けなさで死にたくなるから。 「そうだ、ヒロトさん。今日少し付き合ってもらえませんか?」 「ほぇ? いいけど、どこに?」 「この街を知るために少し遠出をしようと思いまして。レンも、よろしいかしら?」 「はっ、畏まりました」 そこでピンときた。 なるほど、そりゃ凄い遠出だ。なんてったって別世界へ行くんだもんな。 昨日の会話で、一度ユリア達の世界も見てみよう、という話になったのだ。 状況が掴めなければ、明確な目標は立てられない。 そんなわけで、今日は一日かけて別世界体験ツアーの予定だ。 その為に働いて壊されかけた目覚まし時計は無かった方向で。 いいじゃないか、俺だって壊されかけたんだ、体も人生も…… 「いってらっしゃーい。兄貴に気をつけてー」 「お兄ちゃん、時々ケモノさんになるから……」 「お前らねぇ」 「はい。では行って参ります、ミウさん、ミユさん」 「ミウ、ミユ。忠告ありがとう。姫に何かあったら某が許さない のでご安心を」 「って二人とも素でスルーだし!?」 あんまりにもほどがある声援に送られる形で家を出た。 「で、ユリア達の世界ってのはどうすれば行けるんだ?」 「私達とヒロトさんの世界は、時空を越えた所にあります。 つまり、通常ではどんなに頑張っても行くことはできません」 「だが、こちらの世界には時空を越える術がある。だからそれを 利用するということだな」 「ふーん……よくわからんが、本当にここでいいのか?」 目の前にはどこにでもあるように見える、普通の側溝。そう、学園への通学路がある。 なるほど、魔法学園は確かに別世界といえなくも無い。普通の人間がここを通ろうとしてもただドブにはまるだけ。魔法学園の生徒でなければこのゲートは開かない。といっても、まさか学園が別世界にあるだなんて露にも思わなかったが。 「今、このゲートは学園へとリンクが張られています。 そのシステムを利用して、出口を私達の世界に繋げるんです」 「よくわからんが、つまりいつも通りでいいってことか?」 「ええ、遠慮なく」 説明はよくわからなかったが、つまり要約すると、いつも通り登園すればいいらしい。 お手軽なもんだなー、と片足を沈めていった。 途端に起こるいつもと同じ浮遊感。何事も無ければ、目の前に学園が広がることとなる。 「姫。そろそろでございます」 「そうね。レン、リンクポータルを」 「ここに」 懐から何か光る玉のようなものを取り出す。何だあれ? リンクなんちゃらと言っていたな。まさかあの回転切りが得意なアイツと関係があるんだろうか? 何て思ったのもつかの間。体を覆っていた浮遊感が、急に落下感に一変した! 「おぉぉぉおおちる落ちるオチルー!? ユリア、なんだこれ!?」 「安心してください、無事、私達の世界と繋がりました」 「情けない声を出すな。このまま落ちていけば、いずれ着く」 そんなこと言われても、いつ潰れるかもわからない中を落ちていくのは耐え難いものがある。少し気持ちが悪い。初めて学園に行く日も、そういえばこんな気持ち悪さを味わったな…… 「慣れればどうってことはありませんよ。それより、見えてきました」 前を見れば、遠くから光が向かってくるところだった。多分、あれが出口だろう。 光はどんどん大きくなっていって、やがて俺達を包み込むほどの大きさに。そして――― 気づけば、ここに立っていた。 違う、と本能的に悟る。ここは、俺達が居た世界とは根本的に違う。 何が違う、と断定することは出来ない。なるほど、景色が違う。空気が違う。でも、そんなことじゃない。 この身を苛む『拒絶感』。それが、この違和感の正体だった。 「さて、ようやく着きましたね。気分はどうですか?」 「あんまりよくないはな。ずっと落ちてた思えば、今度はこんな 感覚だし」 「えっ? ああ、そうでしたね。ヒロトさんは、この世界に固着 してないから……」 「固着?」 「あ、いえ。今は関係ないことです。立ち話も何ですし、私の家 に行きませんか?」 「家? 家なんて、この辺どこもないじゃないか」 「何を言っている。アレが見えないのか?」 指差した方角には、ずいぶん立派な城しかなかった。 「す……っげぇ」 開いた口が塞がらないとは正にこのことか。城に着いた途端、中から数十ものメイドが出てきて歓迎され、この客間に通された。 が、ここを客間だなんて呼んでいいのか? 昔教科書で見たルイ14世の部屋が、確かこんな感じだった気がする。ユリアが姫様だとは聞いていたが、まさかこんなに立派な王家の人だったとは…… 「結城様。お食事の用意が出来ました」 「え、ああハイ。ありがとうございます」 「まずは、こちらの物にお召し変えください」 「って、えぇ!? こ、これに着替えるんすか!?」 「今お召しのその服は少々汚れてございます」 「いや、しかしですねぇ」 「おや、着方がわからない? そうでございましたら私共の手で お着せ替え致しますが」 「い、いえ、大丈夫っす、着替えられますから!」 「畏まりました。では服をお召し変えになられましたら、お声を かけてください」 「あ、ちょっ……っ」 言い終わる前にメイドさんは扉を閉めてしまい。残されたのは俺とこの服だけ。 無論、着替え方がわからないわけでもない。でもなぁ、白のタキシードってどうなのよ? ご丁寧に蝶ネクタイまでありやがる。 気恥ずかしさを辛うじて堪えながら、タキシードに袖を通した。 「まぁ、よくお似合いですよヒロトさん!」 「そ、そうか? なんか、恥ずかしさで死にそうなんだけど」 「恥ずかしがることなんて無いですよ。良く似合ってます」 ユリアにまでそう言われると、さほど悪い気はしない。いや、恥ずかしいのは変わりないが。 「ところで、さ。何、これ」 「何、とは?」 「いや、この光景なんだけど……」 「? 普通の食卓ですが」 いいや、違うね。少なくとも俺の家ではこんなのはみたことがない。 目の前に広がるのは旨そうな料理の山、山、山。そして数百に届くのではないかというメイドの群れ。それが一同に一つの長いテーブルを囲っているのだ。その光景たるや、まさに圧巻。 「あら、ヒロトさんの家でも一家が一同に食を共にしていたじゃ ありませんか」 「ありゃ規模が違うだろうが! 一般家庭にこんな人数は集まら ないっての」 それに、人数がいるからとはいえ、この料理の量は異常だ。 山盛りなんてもんじゃない。鬼盛り、いやそれ以上だ。 某中人の近所にはキ○ガイ盛りという、ありえないほどの量を出すパスタ屋があるが、少なくともその倍ほどの量があるだろう。 ちなみに、そこの店は本当にその大盛りのことをキチ○イ盛りとメニューに載せている。 ……何言ってんだろう、俺? 「では、戴きましょう。皆さん、各自それぞれ祈りを」 全員が全員、思い思いの形で祈り始める。俺はとりあえず手を合わせ、戴きますと呟いてておいた。 さて、じゃあ食べようか、って何ぃ!? 吹き荒れる風、来たるは大嵐。大乱となりて騒乱引き起こさん。 なんて呪文めいた何かが頭をよぎるような、そんな光景がそこには繰り広げられていた。 わかりやすく言えば、結城家拡大版ってとこだろうか。道理でユリアの箸捌きがあんだけ向上するわけだ。こりゃ、俺も心してかからないと飯にありつけない可能性すらある。 箸を大きく振りかぶって、目の前の料理目掛けて 「って、ありゃ? なんだ、ユリア全然取ってないじゃんか」 「え、ええ……」 「何だ、食欲ないのか?」 俺の家でのあの食べっぷりから考えるにユリアも中々の健啖家だと思ったんだが。 「いえ、そうではないんですが、その」 「ふーん。まぁいっか。とりゃ!」 いくつもの皿の中から料理を掠め取っていく。一品一品の量は少なくても、これだけ料理が並べば充分な量になる。 そしたら、今度は食べることに専念。いっただっきまーす! ングング。ン、グ、ン……グ……? 「……なぁ、ユリア。もしかして……」 「……ハイ。全部、この調子でして……」 「……呼べ」 「は?」 「料理長を呼べぇ!! 俺が直々に指導してやる、こんなもん料理 じゃねぇ!!」 うがぁ! と叫び、暴れようとする俺を必死に食い止めようとするユリア。だが、許せん。いや、許しちゃいけない。 煮詰めすぎて肉の旨味を全て捨てきった物や、芯の残った米を炒めた物。例え見た目がよくても、これでは全て台無しだ。 そんな物を料理と呼ぶことを、俺の中の料理の血は許さない。決して許すわけには! 「も、物凄く熱血してらっしゃる!? お、落ち着いてください!!」 「りょうりちょぉぉぉおおおおおをおおおおおおおお!!」 気がついたら、あれだけあった料理は消え去っていましたとさ。 ……よくあれが食えたな、メイドさん達。 「元々、食に興味がない者達ばかりですから。食られる物なら、 特にこだわりもなく何でも良いらしくて」 「てことは、俺の家であんだけよく食ってたのは……」 「……実は、あれだけ美味な食事は初めてでした……」 不憫さに、少し涙が出た。 食った気がしない腹を押さえて、城下町をぶらつく。 食後ユリアから受けた説明を頭の中で整理しがてら、この世界を少し見て回ろうと思ったのだ。 この世界は、中心にある『核』と呼ばれる物で支えられているらしい。が、数年前からその核が汚染され始めた。おかげで核は今崩壊の危機にある。核が崩壊してしまうと支えられている世界そのものが消滅してしまうのだそうだ。 それと俺の世界と何が関係するのか。そこに、対世界という概念が関わってくるらしい。 この世界と俺達の世界は対となる世界なのだという。所謂一つのパラレルワールドのようなものだろうか。 この世界には、もう1人の俺がいる。無論、もう1人の美羽や美優も。それは、本人でありながら本人でない、本人と対となる別人。これが対存在と呼ばれるものだ。この対存在は例えどんな物であろうとも存在するらしい。 つまり、この世界の核にも対存在があるということだ。 俺達の世界のどこかにある核。ユリアは『ユグドラシル』とかって言ってたな。こちらの世界の核が崩壊してしまったら、そのユグドラシルってのも崩壊してしまうわけだ。 なんとも複雑な話で頭が痛くなる。 城下町は中々活気に満ちていた。 見た目はまるで中世時代のそれだ。が、全く機械技術がないというわけでもないらしい。ガスコンロのようなものやスピーカーらしきもの。そういう物がちらほら目に入ってくる。もちろん、形はこちらの世界の物とは形も何も違ってはいるが。 機械技術が発達した中世世代みたいなものだろうか? そこで生活する人達の顔は、誰も彼も輝いて見えた。 王家の庇護下にあるから、という理由だけではないだろう。皆、人生を楽しんでいるように感じられる。子供も、大人も。そして老人でさえその顔に笑みが耐えない。 いい世界だと思う。この世界を守るために俺が呼ばれたなら、全力を尽くそうと自然に思えた。 心の底から、そう思えた。
https://w.atwiki.jp/th_empire/pages/23.html
町の中心 コスト 400 HP12000 視界20 駐留最大数40 射0-15 攻9 対斥候0.3 対騎兵0.8 人口+15 生産可能ユニット 作業妖精,ヒロインユニット,防衛妖精 初期ホットキー J 建物紹介 町の中心は最も重要な建築物であり、いくつかの機能が備わっています。 作業妖精を生産する 召喚系のアイテムを使用したさいの召喚場所となる 時代を進化させる 作業妖精・兵を駐留させることで防衛する=作業妖精の保護的機能 コマンド紹介 ①作業妖精の生産を行います。 ②ヒロインユニットの生産を行います。 ③時代を進化させます。(画像ではNormalの時代へ) ④駐留している妖精をすべて駐留解除します。(外に出します) ⑤内政ユニットが生産されてからどこに行くかを指定します。 ⑥軍事ユニットが生産されてからどこに行くかを指定します。 ⑦建物を修理します。(建物が最後に攻撃されてから一定の時間経過が必要。また木材を消費する) ⑧この建物を破壊します。 アップグレード紹介 物見 コスト 木50信仰50 視界+4、最大射程+3
https://w.atwiki.jp/403_forbidden/pages/29.html
(2005年12月12日) カラオケ?
https://w.atwiki.jp/aniwotawiki/pages/19926.html
登録日:2011/02/11 Fri 23 41 15 更新日:2024/02/22 Thu 13 34 42 所要時間:約 3 分で読めます ▽タグ一覧 ≒ツンデレ 「だから?」 エゴイスト ジコチュー ネタ項目 ハゲは何も関係ない 世界はオレ・ワタシで廻ってる 他のポケモンも使えよ! ←ピカ中心的 口癖は 生返事 空返事 自分勝手 自己中 自己中心的 ジコチュー(自己中心的)っつーのはぁアレだよアレアレ自分のアレでしか考えないヤツのこと。 えっ?これじゃ、わかりにくい?シラネーよテメーで考えろょ使えねぇなぁ 【概要】 自己中心的(以下 自己中)とは、自分を中心に考える人物の事。 二次元世界には結構存在するが、ただ二次元の場合は、 24時間365日心底うざったくて、主人公の邪魔ばかりする奴 愛すべきバカでいざとなったら漢になる奴 他人の事を考えず、自分の都合やエゴだけで他人を苦しめ、悪事を働く悪党や外道 など様々で、そのキャラ幅はかなり広い。 一般的に様々な判断を下す場合、相手の気持ちを汲む事は当たり前に行われている。 しかし、自己中はそれが出来ない。 所謂「利己的」と混同されがちであり、実際に重なる部分もあるが、正確には違うもの。 利己的な人間はそもそも(それが結果として自分の大きな利益になる場合を除き)他人のために何かをしようなどとは考えないが、自己中なだけであればそういった善意は案外と人並みに持ち合わせているものである。 ただ、そこで「相手の気持ちを汲む」事をしない、できないため、良かれと思ってやったことが相手の迷惑にしかなっていないことも多い。 そこまでは自己中かどうかに関わらずよくあると言えばよくある事であるが、自己中はそこで自分の行いを省みられない。 何故なら「自分なら嬉しい事だから、自分が良かれと思ってやってる事なんだから、それは正しい事であり相手も嬉しいに違いない」というのが善意ある自己中の絶対的な前提であり、その自分にとって当然の前提を相手が共有していないという事が理解できない。 罪悪感や親切心、貢献精神の有無が問題なのではなく、それを含めて「大抵のことを自分の感性や価値基準中心でしか考えられない」から自己中心的という呼称なのである。 明確な原因は不明だが、一説に「脳の一部機能が欠落しているのではないか」と云われ、議論の的になっている。 以下自己中によくある話。 相手には「〇〇禁止/するな」といっておいて自分では〇〇をする。その時の常套句は「あぁいいのいいの俺はいいの」 下にはとても厳しく、上には胡麻を擂る 「オレ、〇〇なんて気にしないから」といっておいて、人がやるとやたらうるさい、が、自分の時は「器が小さいな」と言う 悪事がバレた際に「皆だって普通にやってる」という 「〇〇しないやつなんて△△だ」と自分の物差しのみでしか判断できない 「なんでオレに彼女が出来ないんだ」と自分の性格を知らない 以下にチェック項目を書くので貴方も一度やってみては如何かな。 上司や年上にはおべっかをいうが、部下や年下にはきつく当たる 腹が減ったら友人宅でも冷蔵庫を弄る 幹事でもないのに宴会を仕切る 夕食を作ってもらった後で「足りないな」と違う料理を作る 自分の気に入らないことがあると、その人に役に立たねぇなと言う 自分の考えを否定・拒否されたと判断すると、相手の話も聞かずに怒り出す 他人が自分の行為を迷惑に感じていると、「ウザい、好きにやらせろ」と考える よく「こんなに良くしてやってるのに、感謝の言葉の一つもねぇのか」と思っている 勉強や学力、良い学校に入ることが意味が無い・嫌いだと思っている。 「〇〇するなんて普通だよ」とよく言う 「もっとわかりやすく話せ」とよく考える 「何か面白いことが起きないか」と常々考えている よく頭ごなしに叱る 多く当てはまってしまった貴方はもしかしたら…… 【主な自己中心的性格のキャラクター】 ドラコ・マルフォイ(ハリー・ポッターシリーズ) 『黙れマルフォイ』でおなじみ、自己中ヘタレのオールバック。 骨川スネ夫(ドラえもん) 元祖金持ち系自己中。 ハリー・ポッター(ハリー・ポッターシリーズ) 但し、もしも実の父親に育てられていたらの話。 伊藤誠 漫画版のCrossdaysではヘタレというより自己中的な発言が多い、ついでにうざい。 アレハンドロ・コーナー 世界を私色に染め上げようとした黄金大使。 ジコチューの皆さん(ドキドキ!プリキュア) 名は体を表す。 キン肉マン スーパー・フェニックス(キン肉マン) 勝つためならば手段を選ばない。 追記・修正は俺が読み易いようにしてくれよ △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] 上条当麻 が自己中心的って思考が偏り過ぎ…、つうか大体上条は巻き込まれ系だろ -- 名無しさん (2013-07-27 23 01 44) チェック項目、後半のほうは意味合いが全く違うものがいくつもあるな。 -- 名無しさん (2013-07-28 02 53 33) 俺は俺で満ちているから俺以外のものは要らない -- 名無しさん (2013-07-28 20 28 31) 俺は天の道をゆき総てを司る男 -- 名無しさん (2013-08-21 17 27 04) パッと思い付いたのは範馬勇次郎だが彼は自己中なのか?物凄いエゴイストなのは分かるが。 -- 名無しさん (2014-07-05 17 58 56) 夕食を作ってもらった後~これは作ってもらった物食べた後なら別に良いんじゃね?しかも相手の手を煩わせず自分で作ってるし -- 名無しさん (2014-07-05 18 08 41) クラスに一人くらいは居るよね.... -- 名無しさん (2014-07-05 18 09 49) スネ夫もそうだけどジャイアンの方が自己中の印象強いな いざという時は漢になるが -- 名無しさん (2014-07-05 18 58 41) 俺妹の桐乃とあやせとか -- 名無しさん (2014-07-05 19 21 05) 自分の人生で自分を中心に置いて物事を考える事ができない人間はどこかおかしい、だが中心の自分を客観視できず他人の事を配慮できない人間はただのクズだ。 -- 名無しさん (2014-07-05 21 46 59) 自己中心主義と利己主義の違いは何なんだろう?どちらも自分が中心というのは同じなんだろうけど。 -- 名無しさん (2014-10-07 23 04 42) ハリーはなんだかんだ言って普通に育ったと思うが ジェームズ一応改心したわけだしリリーもいるし -- 名無しさん (2014-10-07 23 30 04) 範馬勇次郎・・・ていうか刃牙の殆どのキャラは自己中心的だな。 -- 名無しさん (2014-10-07 23 36 30) でも、人間の本質は自己中。 -- 名無しさん (2014-10-08 00 12 15) 人間は他者にはなれないからな 他者の思いやりも自分の想像力の範囲でしかない -- 名無しさん (2014-10-22 21 24 37) 人間の本質は自己中なんじゃなくて自分と他人しかいないから必然的に自分中心にならざるを得ないだけで自己中かどうかはまた別の問題。 -- 名無しさん (2016-05-11 02 26 26) ハリー実際も結構自己中だよ -- 名無しさん (2016-11-09 08 50 56) 自己中な子供が実親の再婚相手に教育されて改善というパターンはよくあるよね。 -- 名無しさん (2017-03-02 11 22 42) 違反コメントを削除しました -- 名無しさん (2017-03-06 22 02 23) スネ夫は自己中になるのか?公式でエゴイストって設定もないし偏見だろ。 -- 名無しさん (2017-08-24 00 03 13) 自分より他人が先に来る事は絶対にないからな。あの人を幸せにしたいも、社会の役に立ちたいも、あいつ◯したいも、結局は自己の欲求から来るものだし。 -- 名無しさん (2017-11-10 16 36 45) とりあえずでキャラを増やすのは良くないと思うけど、無惨&配下は入れていいかも? -- 名無しさん (2021-02-01 21 17 40) 範馬勇次郎は実際にアイツを中心に世界がまわってるから自己中で当然というかなんというか・・・ -- 名無しさん (2021-02-01 21 54 16) ↑1 劇中でも第四部で本部が刃牙にハッキリと言及していたしな…少なくともこの世を去って久しい過去の人間が倒すべき人間ではないという意味合いを含ませながら。 -- 名無しさん (2023-10-03 12 48 49) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau9/pages/343.html
前回のfuku1364.txt『ゆっくりハンターの生活』の続きです。 こっちだけでも読めないこともないですが、出来たら前作を見てからご覧になってください。 ゆっくりハンターの生活2 朝よりも多少雲が出てきた昼下がりの午後。 阿求ちゃんとの楽しい昼食を終えた私は、ハンターとしての仕事を再開する。 「ハンターさん、午後はどうするのですか?私は狩りに行きたいです!」 阿求ちゃんが、メイスを高々と構えてそう意気込む。 朝は比較的穏やかな作業だったから、彼女には刺激が足りなかったのかもしれない。 私は、仕事用の手提げカバンを持って彼女に笑いかける。 「ええ、今日の午後は狩りに行くわ。一緒に依頼主のところまで行きましょうね」 「了解です。私のモルゲンで叩き潰して見せます」 「……ずっと気になっていたんだけど、モルゲンってそのメイスのことかな?」 柄の先端に歪な突起を生やした鉄の塊がついているだけという、か細い少女には似合わない無骨なメイス。 鈍い光を輝かせているそれはいかにも禍々しく、今まで殺されたゆっくりたちの怨念がこめられているようだった。 彼女はそのメイスを誇らしげに構えて、うっとりした目でそれを見ている。 「ええ!数々のゆっくりのあんこを吸ってきた、私の自慢のメイスです。 モルゲンステルン(トゲ付きメイス)タイプのものだったので、モルゲンと名づけました」 「阿求ちゃん、張り切るのはいいけど室内でそれ振り回さないでね」 「すみません。でも私の内から出るパッションが止まりません」 無闇に逸る阿求ちゃんをなんとかなだめて、私達は依頼主のところへ向かった。 そこまで行く途中の道で、私の隣を歩きながら持っているメイスをぶんぶんと振り回す少女はひどく危なっかしい。 怪我させないよにしっかりと見ておく必要があるだろう。 「えーっと、……ここかしらね」 私は手に持った依頼書を見て、目的地が目の前にある家で正しいか確認する。 前に何度か依頼が来たので間違いないと思うが、念のためだ。 「おじゃまします。依頼を受けたゆっくりハンターの者ですが、誰かいませんか?」 呼び鈴を鳴らし、入り口でそう言ってから待っていると、すぐに中から男が出てきた。 小太りのおじさんで、顔が油でてかてかと光っていた。 男はしかめっ面のままこちらを見て、そして黙って部屋の奥に目を遣る。 中に入れという合図だ。 私は一度彼にお辞儀をしてから中に入り、阿求ちゃんも私に続いた。 私達は、男によって客間の一角に案内され、用意された席に座った。 案内された部屋は、なにやら賞状やらトロフィーやらが目のつきやすいところに並べてある。 ゆっくり関連のグッズもそこかしこに置かれており、私の口からは素直にかわいいなぁと言う言葉が漏れた。 一方、阿求ちゃんは手をプルプル震わせてそのゆっくりたちを見ていた。 男は終始無言で、こちらと目をあわせようとすらしない。 阿求ちゃんはそんな男の様子を訝しんでいたが、私にとってはもう慣れたものだ。 懐から依頼書を取り出し、仕事の話を始める。 「では、依頼内容の確認をしますね。 私が依頼された仕事は、昼の間にこの畑を荒らしに来るゆっくりたちから作物を防衛すること。 その際に注意することは、絶対にゆっくりたちを殺さない。 ゆっくりに怪我を与えてしまうとしても、必ず最小限にとどめること。 成功報酬は依頼書に明記されている通り、ということで。 以上でよろしいですか?」 阿求ちゃんが私の言葉に驚いたような顔をこちらを見た。 狩りに来た、といっているのにこれだから仕方ないか。 事情を先に説明しとけばよかったな、といまさらながら悔やむ。 まあいまさら悔やんでも後の祭りだ。男が黙ってうなずくのを見て、私は阿求ちゃんをつれて席を立った。 「待て」 部屋の扉に手をかけたとき、男が始めて声を上げた。 やっとか、と私がほっとして男の方に向き直る。 「なんでしょうか?」 「いいか。絶対にゆっくりちゃんたちを虐めたり、殺したりするんじゃないぞ。 彼女達を透明の箱に入れて、無闇に苦しめるるのもいかんからな。 もし私の周りでそんなことをすれば、お前にも彼女らと同じ苦しみを味わわせてやるから覚悟しておけよ」 「ええ、彼女達は、かわいいですからね」 男は私の答えにふん、と鼻を鳴らし、そして特大ゆっくり人形を抱きかかえながらまた目をそらした。 「わかったならそれでいい。私はこの子と戯れているからさっさと出ていけ」 私はそれ以上男に話しかけることは無く、阿求ちゃんを連れて男の家から出た。 阿求ちゃんはずっと怒りを抑えていたらしく、表に出るなり真っ赤な顔をしてブンブンとメイスを振り回した。 「もう!どういうことですかハンターさん!ゆっくりたちを殺すななんて、私がモルゲンを持ってきた意味ないじゃないですか! それになんですかあのジジイの態度は!そんなにゆっくりが好きなら畑ごとゆっくりに上げればいいじゃないですか!」 「落ち着いて、阿求ちゃん。これには深くないけど事情があるの。それにゆっくりを狩ることに変わりは無いから」 私の言葉に、ようやく彼女の動きが止まる。 「え?今回は追い払うだけじゃないんですか?それに殺害はNGだとあのジジイが………」 「そんな対処の仕方をしても、ゆっくりに効果は無いのは阿求ちゃんも知ってるんじゃないかな? 翌日には忘れてまた来るだろうし。それに、殺害がNGなのはあの人の近場だけよ。 追い払った後追跡して、森の中で殺しても何も言われないわ。むしろ先方もそれを望んでるわ」 「……じゃあなんであのジジイはあんなことを言ったんですか?素直に退治してくれ、と言えばいいじゃないですか」 阿求ちゃんは納得行かないような顔で私にそういった。 正直私もそう思うが、人には事情があるんだから仕方ない。 「実はねぇ……あの人、ゆっくりんピースの会員なのよ。それも結構上の方の」 「はぁ!?あの基地外集団のですか?じゃあなんでゆっくりを殺せなんていうんですか? あいつらはゆっくりを保護する団体でしょう?」 「ええ、普通の会員さんだったらブリーダーさんに頼むところでしょうけどねぇ。 でもあの人、ゆっくりにお金かけすぎてそんな余裕ないのよ。ブリーダーさんって結構お金かかるから。 かといってそれなりに上のほうの人だから、自分で殺すのも加工所にうっぱらうのも周りの目が許さないし。 ましてやゆっくりに畑を明け渡したりなんかしたら、破産しちゃうわ」 「はぁ……だからお姉さんのところに話がまわってきたと」 「ええ。ハンターは割と安めで仕事を引き受けるものだから、こういう人たちの依頼は良く来るの。 こちらとしても、そういう人種の人たちはほかの人より多くお金出してくれるから万々歳よ」 彼女は私の言葉に心底呆れた様子で、深いため息を吐いていた。 子どもにとっては、こういう大人の複雑な理由は理解できないのだろう。 まあ、私も彼らのことを理解できることなんて一生無いだろうけど。 仕事だからと折り合いを付けているだけだ。 「だったらゆっくりんピース抜ければいいと思うのは私だけでしょうか……」 「私もそう思うけどねぇ。でも、今抜けたらこれまでゆっくりたちに使ってきたお金は無駄だった、と認めるようなものだから出来ないんでしょうけど。 まったく、もっと単純に自分の思うまま生きればいいのにねぇ」 阿求ちゃんはうんうん、と頷きメイスの先で家の壁を小突く。 大きな音は出ないものの、家の壁の塗装が少し削れた。 「ゆっくりを見つけたら何も考えず叩き潰すくらいでいいと思うんですよ私は。 それなのにゆっくりがかわいそうだの保護しようだのとぐちぐちと……やっぱりゆっくりんピースは害悪ですね!」 「こらこら、人の思想に口を出しちゃあ駄目よ?向こうは向こうで考えた末の結果なんだから。 そういうのは心の中だけで考えて、口には出さないものよ?あと壁突くのやめなさい」 阿求ちゃんはまだ納得いっていないようだったが、素直に私の言葉に従ってくれた。 妹がいたらこんな風なのかもしれない、と密かに思った。 「それじゃあ、畑に行こうね。いつゆっくりたちが来るともわからないし」 「そうですね。こんなやつのことは忘れてさっさとゆっくりで遊びましょう!」 彼女はそういうと、私の手を引っ張って畑の方に歩いていく。 彼女はもう待ちきれないと言った様子で、顔は興奮しているせいか少し赤い。 私は転ばないように気をつけながら、そのまま彼女についていった。 「ここが畑ですか……なんとも無防備ですね」 男の家の裏側に回ると、一面に畑が広がっている。 それなりに耕地面積は広く、作物もよく育っているのが見て取れたが、 外側の蔓ごと抜かれていたり、ほんの少しだけかじられた野菜が捨ててあったりとひどく荒らされていた。 ゆっくり対策に作られたのだろうか、木製の柵が畑の周囲に立てられていたが、ところどころ壊されておりもう柵としては機能していなさそうだ。 ゆっくりのことを少しでも調べた農家ならあんなもの役に立たないことぐらいはわかるだろうに。 もしかしたら、ゆっくりんピースには間違った知識が蔓延しているのかもしれない。 「無駄に広いから、ここを守るのは大変ですね……。ハンターさん、どうするんですか? 柵を張りなおしたりしとかないと、危ないのでは」 「そんなめんどくさいことしなくても大丈夫よぉ。一緒に座ってゆっくり待ちましょう?」 「……え?何もしなくていいんですか?」 「別にいいわよ。どうせ今からやったってたいした柵なんか作れないし。 あ、あの雲なんかむくむくしててかわいいわよ?ゆっくりみたいで」 私は地面の上に腰をおろし、柵にもたれながら空に浮かんでいる雲を指差してそういった。 阿求ちゃんはまだなにか言いたそうだったが、私の様子を見てあきらめたのか結局は隣に座って一緒に空を眺めていた。 そこにはやわらかそうな雲が数個浮かんでいて、あそこで寝たら気持ちよさそうだ。 いかにもゆっくりたちが好みそうな場所で、もしかしたらあそこにはゆっくりたちが住んでいるのかもしれない。 そんなことを彼女に言うと、彼女は笑ってそれを否定した。 彼女が言うことには、 崖の上でゆっくりをロープに括り付けたまま降ろしたところ、そのゆっくりはショック死してしまった、という実験結果があるらしい。 だからゆっくりたちは高いところは苦手だと思われ、よってあんな高いところにある雲でゆっくりすることは無理とのこと。 「へぇ~、ゆっくりたちが高いところ苦手だなんて知らなかったなぁ。 阿求ちゃん物知りだね」 「いや、物知りだなんてそんな。ゆっくりに関してはまだ未知な部分が多くて、私にも知らないことなんてたくさんあります」 彼女は俯いて、照れたかのように頬を掻いた。 子どもなのに謙遜までするなんて、将来は大物になるかもじれない。 「……ゆっくりと言えば、ハンターさんはゆっくりが好きなんですよね?」 彼女は再び顔をあげ、思い出したようにそういった。 「うん、そうよ。あのゆっくりの笑顔を見ていると、なんだか心がホンワカしてくるのよねぇ」 「じゃあなんでまたハンターなんかに?農家になれないのわかりましたが、だからってそれじゃなくてもいいじゃないですか。 ブリーダーとか、保護委員になるとか、他にもいろいろあるでしょう」 「それも考えたんだけどねぇ。でも私、殴ってしつけるのはちょっと苦手だし。 一時期頑張ってやってみたこともあったんだけど、私がゆっくりに餌をやったら何故か死んじゃうのよ」 「ああ、あの殺人野菜のことですか……うう、思い出したら気持ち悪くなってしまいました」 「おいしいのにねぇ。だから基本的に保護系は無理だったわ。保護した片っ端から死ぬんだもの。 でもどうしても私はゆっくりにかかわる仕事をしたかったから、ハンターの職に就くことを決めたの」 「……なるほど、納得しました。お姉さんも大変なんですね……あ!」 ちょうど話に区切りがついた時、向こうから小さくて丸い塊が飛び跳ねながらこっちに向かってくるのが見えた。 言わずもがな、ゆっくりだ。 見たところ全部まりさ種のようである。 「まりさたちのゆっくりごはんをとろうね!あそこのおやさいはとってもおいしいよ!」 「ゆゆ!?にんげんたちがいるよ!だいじょうぶなの?」 「だいじょうぶだよ!ここのいえのにんげんはまりさのかわいさにめろめろだから、なにもしてこないよ!」 以前来たときに相当甘やかされたのだろう、随分な言い草である。 こうなっては言葉で止めるのはもう無理だ。なにを言ってもここはまりさのものだからさっさと出てけと言われるだけ。 それを知っていたのだろう、阿求ちゃんがメイスを構えて攻撃体制をとる。 「かかって来なさい!みんなまとめて叩き潰してあげますよ!」 メイス片手に突撃しようとする阿求ちゃんの襟を、私は慌てて掴んだ。 「ぐぇ!な、なにするんですか!?」 「駄目だよ阿求ちゃん。そんなので攻撃したらゆっくりたち死んじゃうよ」 「じゃあどうするんですか!ああもうどんどん迫ってきてます!」 私はふてぶてしくにやりと笑うと、手提げかばんの中から銀色に光る"それ"を取り出した。 太陽の光を反射してまぶしく輝くそれは―― 「じゃじゃーん!銀のナイフー!」 それは刃渡り十五センチほどの狩猟用ナイフで、私が狩りのときに良く愛用するものだった。 狩りのとき以外にも、料理のときに使ったり、収穫のときに使ったりと、私にとっては生活の必需品となっている。 「ってそんなの見ればわかりますよ!ナイフなんて使ったらやっぱりゆっくりは死んじゃないですか!」 「モノは使いようよぉ?ちょっと見てなさい」 私は突撃してくるゆっくりに向かって、思い切りナイフを投げた。 そのナイフはほぼ直線に近い軌道を描き、ゆっくりにの顔に直撃――せずに、ゆっくりのかぶる帽子を射抜いた。 「ゆゆ!?まりさのぼうしが!」 ナイフは帽子に刺さっても勢いをとどめることは無く、そのまま帽子ごと地面に突き刺さる。 慌てて帽子を取られたゆっくりが拾おうとするも、ゆっくりではナイフを抜くなんて器用なことは出来ない。 泣きながら帽子の周りを飛び跳ねるだけだ。 「す、すごい…。こんな方法があったんですね!」 「まあ、リボンとかだと結構大変なんだけどねぇ。今回はまりさ種ばっかりだから楽に済みそうだわー。 エイ、タァ、ドウリャー、トゥー、ワーワー」 私は投げる毎に気合の言葉を発しながら、突撃してくるゆっくりたちの帽子をひとつ残らず地面に縫い付けていく。 前方の惨状を見て逃げようとするゆっくりにも、きっちりナイフを投げておく。逃げられたら厄介だ。 十五匹ほどの帽子を縫い付け、防衛戦は終了した。 「うーん、あんまりいなかったわねぇ」 「結構いるように見えますが…これで少ない方なんですか?」 「これだけ畑が広いと、コミュニティ全体で来ることもあるからねぇ。 違う畑では百匹近くのゆっくりが襲ってきたこともあったっけ。今回みたいに制限は無かったけど、さすがに危なかったわぁ」 あの時は仕事中に周りの農家たちも応援に来て、さながら闘技場のようになっていたっけなぁ。 あんこまみれになった畑の周りを、みんなで仲良く掃除したのはいい思い出だ。 今回は規模が規模だし、ここの住人自体もあまり評判がよろしくないので観客は阿求ちゃんしかいないけれど、 見られることを意識するといつも以上に頑張ろうという意欲がわくものだ。 「で、どうするんですか?あれ」 「そうねぇ。まりさたちにはちょっと聞きたい事があるから、阿求ちゃんはそこでちょっと待っててくれないかしら」 阿求ちゃんが目の前の自分の帽子の前で泣き叫んでいるゆっくりたちに指を向ける。 私は彼女をそこに残し、リーダー格と思われる、一番大きいサイズのゆっくりまりさに近寄った。 「ちょっといいかな?」 呼びかけられたゆっくりまりさが、涙やらよだれやらでぐちょぐちょとなった顔をこちらに向けた。 「お゛ね゛え゛さ゛ぁ゛ぁぁぁん!!ま゛り゛さ゛のぼうし゛と゛って゛ぇ゛ぇぇぇ!!」 「いいよ。はい、これでいいかな?」 私はそのまりさが言うように、地面からナイフを引き抜いて帽子を取ってあげた。 そして私の胸の前でそれを抱えるようにして持つ。 「おねえさんありがとう!それはまりさのぼうしだから、さっさとかえしてね!」 先ほどまでの泣き顔はどこへやら、まりさはいつものふてぶてしい顔をして私から帽子をとろうと飛び跳ねている。 たぶんさっきのは嘘泣きだったのだろう。 泣けばここの住人は馬鹿だから助けてくれる、なんて計略があったに違いない。 確かにそれは有効である。昨日までならば。 あのゆっくりんピースのおじさんの金と共に、このゆっくりたちの命運も尽きてしまった。 「じゃあ、私の質問にちょっと答えてくるかな?」 私はなるだけやさしい口調でそういった。 本当はもっと厳しく言った方がいいのだろうけど、やはりいきなりそんなことをするのも気がひける。 ゆっくりまりさは私が下手に出ている様子にこいつも自分に優しい人間だと思ったのだろう、 体を一回り大きくして見下すようにこちらを見ている。 「そんなことよりまりさのぼうしさっさとかえしてね!のろまはきらいだよ!」 案の定付け上がってしまった。 仕方がない、気は進まないけどこちらも少しだけ強硬姿勢を見せなければいけないか。 私は帽子をしっかりと抱え、ゆっくりまりさに取られないように注意しつつ、ナイフでほんの少しだけ帽子に切れ目を入れた。 自分の帽子がさらに傷を付けられていく様子を見て、ゆっくりまりさは慌てふためく。 「おねえさんへんなことはよしてね!まりさのだいじなぼうしにきずつけちゃだめだよ!」 「ごめんね?私も仕事だから。本当はこんなことしなくないのだけれど」 「だったらさっさとかえしてね!」 「じゃあ私の質問に答えてくれる?」 言外に答えなかったら帽子を引き裂くぞ、と言う脅しのニュアンスを含みつつ、私はゆっくりまりさに迫る。 ゆっくりまりさは下に見ていた人間に思わぬしっぺ返しをくらって心底悔しそうだったが、 自分の大事な帽子には変えられないのか、観念したかのように動きを止める。 「わかったよ!こたえるからさっさとしつもんしてね!」 「ふふっ。じゃあ聞かせてもらおうかしら。 あなた、ほかに仲間はいる?ここの畑を他のゆっくりに知らせたかしら?」 私が問うたのは相手の戦力の規模。 このゆっくりたちを処分するならばここから離れねばならない。その間、この畑は無防備になってしまう。 もしまだいるならばこのゆっくりたちは、このままここに縫い止めておかねばならない。 まったく、捕獲用の箱くらい使わしてくれてもよかろうに。 だが、私のそんな心配を知ってかしらずか、ゆっくりまりさの答えは私にとって理想的なものだった。 「なかまはいないよ!ここにいるみんなでぜんぶだよ!それにほかのゆっくりにもいってないよ! ここはまいさたちだけのゆっくりぷれいすだからね!」 「ありがとう。でも嘘はついちゃだめよ?そうしたら私にとってもあなたにとっても悲しいことになるわ」 「うそなんかついてないよ!まりさはしょうじきものだからしんらいしてくれていいよ!」 一応念を入れて探りを入れてみるも、ゆっくりまりさに嘘をついている様子は見受けられない。 まりさ種特有の強欲さから考えても、その話は信憑性に足るものだと思われた。 私の目標は、このゆっくりまりさだけとなった。 「おねえさん、おしえたんだからさっさとぼうしかえしてね!」 「ああ、ごめんなさい。今返すわ。でもその前に、私からもあなた達に教えたいことがあるの。 あなた達がゆっくりできるかどうかに関わる、とても大事なことなんだけど。聞いてくれる?」 「まりさはゆっくりしたいんだぜ!おねえさん、ゆっくりしないではやくおしえてね!」 ゆっくりできない、と言う言葉に本能的に恐怖を覚えたのだろうか、ゆっくりまりさが帽子のことも忘れて私の情報をせがんでいる。 私はまりさを安心させるように微笑むと、畑の方にいる阿求ちゃんを指差した。 「ねぇ、あの女の子って誰だかわかる?」 「ゆ?あんなひょろいやつなんてしらないよ!」 ゆっくりたちから見れば、彼女はそんな風に映るらしい。 私としては、線が細く、そのすらっとした体のラインはうらやましいものであるのだが。 私はこんな職業柄、どうしても少し筋肉質な体になってしまうからだ。 今度、どうやってあんな主そうなメイスを振り回すパワーを持ちながらそんな体型を維持できるのか、じっくりと聞いてみたいものである。 ……いけない、思考が脱線した。今は仕事に集中しないと。 「あの子はね、実はあなた達を捕まえに来た加工所の人なの」 「ゆゆ!?おねえさんそれほんとう!?」 「ええ、もちろんよ。彼女の持っているものが見えるでしょう?あれは、あなた達を捕まえるための道具なの」 実際は、あれは捕まえるものではなく殺すためのもの。それでも、ゆっくりたちにとって脅威であるものには変わりないのだが。 ゆっくりまりさはとりあえずあれの危険性についてはわかったのか、私に隠れながら、おびえた表情で向こうを見る。 「でも、心配しなくても大丈夫よ?あの子はあなた達が近づかない限り、何もしないから。 だから、今日はおとなしく森に帰ったほうがいいんじゃないかしら?」 「で、でもそうしたらまりさたちごはんたべられないよ!」 「それは仕方がないわ。たべものより命の方が大事でしょう? どうしても行きたいっていうんなら止めはしないけど、私はあの子からあなた達を守れるほど強くないわ」 阿求ちゃんのいる畑を見やって、ゆっくりまりさは考え込んでしまった。 お野菜は食べたいが、そこに立ちはだかるのはこわいもの構えて仁王立ちする人間。 この人数でかかればいくらかはあれを抜けられるかもしれない。だが、確実に私達の大半はゆっくりできなくなる。でも私じゃないかもしれない。 運がよくて私だけはおいしい野菜を食べながらゆっくりできるかもしれない。 どうしよう、怖いけど、お野菜は食べたい。あれはとてもおいしい。 おいしいものを食べたいと言う欲求と、死への恐怖と、もしかしたらという希望。 ゆっくりまりさの中で葛藤が渦巻いた。 ゆっくりまりさは考えに考え抜いた末、私に向かってこういった。 「おねえさん!まりさたちきょうはかえるよ!あしたあそこでゆっくりすればいいからね!」 勝ったのは死への恐怖。やはりあのメイスと、何より彼女が怖かったのだろう。 結構離れた私の場所でも、阿求ちゃんのゆっくりへの殺気がありありと感じられる。 ゆっくりまりさもそれを感じ取ったのだろう。 そうでもなければ、本能に従順なゆっくりが簡単に食への欲求を止められるものか。 私は彼女の殺気の波動から守るようにゆっくりまりさの前に屈みこんで、持っていた帽子をかぶせてやる。 「そう。命を大事にしてくれて嬉しいわ。早くみんなを連れてここから逃げてね」 「うん!おねえさんありがとう!みんなにおしえてくるね!」 ゆっくりまりさは勇んで他のゆっくり達に近づいていき――そして泣きそうな顔でまた私のところに戻ってきた。 「おねえさん!ほかのまりさたちのぼうしもとってあげてねぇぇぇぇ!!」 そういえば、まだ刺さったまんまなんだっけ。 私は地面に縫いとめられている帽子を回収し、それぞれのゆっくりまりさに被せてやる。 ゆっくりまりさたちは泣きながら私に礼をし、後ろでさっきを撒き散らす阿求ちゃんをみて恐れおののいて、そして帰っていった。 私はゆっくりたちがこちらを気にしなくなるほど離れてから、後ろにいる阿求ちゃんを呼び寄せる。 「すごいですね。どうやってあのゆっくりたちを説得したんですか? 合い辛そう簡単に畑を諦めるようなやつらじゃないのに」 「ふふっ。阿求ちゃんのおかげよぉ。 じゃあ他のゆっくりたちもいないようだから、後を付けていきましょうか。 待望の狩りの時間よ」 彼女は自分のおかげとはどういうことかと首をひねっていたようだが、 ゆっくりが狩れる聞いて俄然やる気を出したようだ。 「ほんとですか!ついにあいつらをつぶすときが来たのですね!」 「まあ、人目のつかないところまで尾行してからだけどねぇ。 ここで見失ってしまったらことだから、静かに、そして慎重に行きましょう?」 私は興奮する阿求ちゃんの唇に人差し指を押し当て、にこりと笑った。 彼女は了解です、とおでこに手をやって敬礼のポーズを取る。 まあ、ゆっくりたちは鈍感だからばれることは万が一程度しかないだろうが、念には念をだ。 そうして私達はゆっくりまりさたちの尾行を開始し、十数分後、彼女達の巣と思われる森の一角についた。 そこにはそのゆっくりまりさのほかにも、彼女の子ども達と思われる子ゆっくりもいた。 「おおー、いっぱいいますねー。もう我慢しなくてもいいんですよね?」 阿求ちゃんがメイスを構えて、満面の笑みで私の許可を請う。 私もナイフを構え、頷いた。 「いいわよ。ただ、向こうにいるリーダー格のゆっくりまりさは私に預からせてね?」 「わかりました!では行ってきます!」 彼女は弾丸のごとく疾走し、一直線にゆっくりに突撃する。 いきなりの奇襲に驚いたゆっくりは、すばやく反応することが出来ない。 「はぁーーーーっ!滅殺!」 「ゆべっ!?」 「びいっ!」 「ゆぐぅぅぅ!?」 「い゛ぃ゛ぃぃぃ!!」 彼女がメイスを振り回し、その暴風雨のような一撃に巻き込まれたゆっくりたちが内蔵物を撒き散らす。 ほんと、どこにあんな力があるのだろう。そう疑問に思いつつ、私は逃げようとするゆっくりを私がナイフを投げて縫いとめる。 今度は、帽子じゃなく本体を直接狙う。 「いだいよぉぉぉぉ!!」 「ゆぅぅぅ!!にげたいのにうごけないぃぃぃぃ!」 ナイフが刺さったごときでは致命傷には至らないが、それでもゆっくりたちの動きを止めることはできる。 動きさえ止めてしまえば、もう逃げられる心配は無い。後は阿求ちゃんに任せておけば大丈夫だろう。 私はそれを放置して、阿求ちゃんのメイスに当たらないように気を付けつつ、 目の前の惨状に呆然としているリーダー格のまりさに近寄った。 向こうも私を認識したようで、怒ったような顔で私に抗議の声を上げる。 「おねえさん、これどういうこと!!まりさたちをだましたの!!」 「ごめんね?これも仕事なの。あなた達には後で話があるから、とりあえずそこで待っててね?」 私はそのゆっくりまりさと、取り巻きにいた数匹のまりさをナイフで刺して動けないようにしておく。 ゆっくりまりさたちは体中を走る激痛に悲鳴を上げているが、私はそれを無視して阿求ちゃんのほうに向かう。 彼女のほうはあらかた片付いたようで、そこらじゅうにあんこが飛び散っている。 彼女も服をあんこだらけにしながら、恍惚の表情を浮かべてそこに佇んでいた。 「あらあら、もう終わっちゃったの?手伝おうと思ったのに」 「ああ、ハンターさん。本当はもう少しゆっくりいたぶろうかとも思ったんですが、一日中我慢していたせいで制御が利かなくて…」 「早いに越したことはないから私としては別にいいけどねぇ。って、あら?まだあそこに残っているわよ?」 そこには、あんこに埋もれていた一匹の子まりさがいた。 阿求ちゃんがまき散らかしたあんこが体中に飛んできて、運よくそれが擬態として働いたのだろう。 「ゆゆ!もうだれものこってなんかいないよ!ぜんめつしちゃったんだからゆっくりかえってね!」 自分を見つけられて焦ったのか、ゆっくりまりさが声を張り上げてそういった。 そんなことしても逆効果なのだが、ゆっくりだから仕方がない。 阿求ちゃんが頬を吊り上げながら、声のしたほうに近づいていく。 「そうですか、やっと全滅しましたか」 「そうだよ!もうだれもいないからゆっくりさっさとかえってね!」 「でもちょっと疲れましたから、ここで一休みしましょうか」 彼女は近くにあった木の根元に座り込み、隠れている子まりさの上に先端がのしかかるように、自分の持っているメイスを置いた。 「ゆぐっ!?お、おもいよ!とげがささっていたいよ!おねえさんはやくこれをどけてね!」 「おかしいですね~、全滅したはずなのにどこかからゆっくりの声が聞こえます。 幽霊でしょうかねぇ?おお、こわいこわい」 彼女はわざと子まりさと視線が合わないようにしつつ、そううそぶいた。 メイスを乗っけられた子まりさは必死に抗議の声を上げる。 「ゆゆ!ぜんめつなんかしてないよ!まりさがここにいるよ!だからさっさとこれをどけてね!」 「ええ?全滅なのではなかったのですか?でもどこにいるのでしょう。皆目見当もつきません」 彼女は周囲を探すように歩き回り、時折メイスの力を軽く踏んで子まりさの負荷を増加させる。 「いだいぃぃぃ!ふまないでね!これいじょうされたらまりさつぶれちゃうよ!」 「あらごめんなさい。でもあなたがどこにいるのか探さないと・・・ここかしら?」 そういってさっきより強くメイスの柄を踏む。 「ひぎっ!それいじょうはやめでねぇぇぇ!!あんこがでちゃうよぉぉぉぉ!!」 「あは、あはははっ!やっぱり見つからないですねぇ。ここですか?それともここ?ここかもしれませんねぇ」 彼女は興奮で顔を赤く染めながら、何度も、何度もメイスを踏む。 踏まれるたびに子まりさはビクン、ビクンと痙攣し、中のあんこをひねり出して行く。 「ああ、やっぱりたまらない!もっと、もっと聞かせてください!」 「ゆべっ!や、やべっ!!こべっ!もぶっ!だべっ!」 彼女は狂ったように笑いながら、汗が滴り落ちて妖しく光る足を上下に動かす。 子まりさはポンプのように、踏まれるたびに口から悲鳴を上げる。 そしてその声はだんだんと弱くなり、そして中のあんこがすべて飛び出ると同時にその声も聞こえなくなった。 「もう終わりですか?子どもは耐久力がないのが難点ですねー。 悲鳴は成体よりも良いのですけど」 「あらあら、あれだけ愉しんでたのに辛口ねぇ。 でもとりあえずこちらは終わったようだから、ちょっと来てくれるかしら?」 私は彼女を連れて、先ほど動けなくしておいたまりさ達の元へ向かう。 やはりまだ動けないようで、目の前の惨状に震えながらもそこから逃げられないでいた。 「お、おねえさん!まりさをたすけてね!まりさしにたくないよ! ほかのまりさたちはしなせてもいいから、まりさだけはにがしてね!」 リーダー格のまりさが私を見るなり他のやつらを見捨てて命乞いをする。 他のゆっくりまりさが慌てて自分も、自分もと命乞いを始める。 「自分だけ助かろうとは見下げた根性ですね。ハンターさん、殺しちゃっていいですか?」 「だめよぉ。この子達はみんな逃がしてあげるんだから」 私のその言葉に阿求ちゃん絶句し、ゆっくりたちは歓喜の声を上げる。 「おねえさんありがとう!まりさをゆっくりにがしてね!」 「ああ、でも私も仕事だから、ただで逃がすわけにも行かないのよ。 あなた達もう顔が割れてるから、万が一あのおじさんにあなた達のことを見つけられたら困ることになるわ」 「……ゆっくりなんて見分けつかない気がしますけど」 「あら、ゆっくりんピース舐めちゃだめよ?彼らはゆっくりたちの顔のわずかな違いでその個体を識別できるんだから」 ゆっくりたちは確かに似ているが、個々で微妙に違ってたりする。 目つき、口元、眉毛の凛々しさなど、ゆっくりんピースやブリーダーはそれを見て区別することができる。 「じゃあどうするんですか?やっぱり殺すしかないじゃないですか」 「そんなこともないのよ?ちょっと見ててね…えいっ」 私はナイフを使って、ゆっくりまりさの右目の部分だけを綺麗に刈り取る。 「ゆ、ゆぎゃぁぁぁぁぁ!!まりさのめがぁぁぁぁぁぁ!!」 「ごめんね?痛いだろうけど暴れちゃ駄目よ?すぐ済むから我慢してね」 私は隣のまりさも同様に同じ部分を刈り取り、それを最初に切ったゆっくりまりさの目にくっつける。 同様に先に刈り取った右目も、今切ったゆっくりまりさの目に引っ付けて、傷口をふさぐ。 これで、二匹のゆっくりまりさの右目は交換された。 「どう?これならばれなくなるでしょう?」 「はぁ、パーツの交換ですか…良く考えますねこんなの」 「ありがとう、ほめ言葉として受け取っておくわ。 まあさすがにこれだけじゃばれちゃうから、もっと色々やるんだけど」 私は再びナイフをゆっくりたちに向ける。 ゆっくりまりさたちはこれから来る痛みから逃げようとするが、体に刺さるナイフがそれを許さない。 私はそんなゆっくりたちを安心させるために、優しく微笑んであげた。 「ちょっと痛いだけだから、我慢してね?これが終わったらみんな逃がしてあげるから」 ゆっくりまりさたちは悲鳴を上げているが、私は無視してナイフで顔のパーツを切り取っていく。 その悲鳴に罪悪感が心の中でもたげたが、ゆっくりたちを生かすためなのだから、と私はそれを押さえ込んで作業を続けた。 ゆっくりたちの麻酔なしの整形手術は、一時間後にようやく終わった。 「はーい、終わったよー。みんな、良く頑張ったね」 私は痛みに耐えかねて気絶しているゆっくりたちを起こし、ナイフを抜いて野に放ってやる。 ゆっくりまりさたちはまだ痛みが抜け切っていないようだったが、それでも体に鞭打って私の元から離れていった。 そのときに私になにか言おうとしていたが、交換したばかりだったせいか口が動かなかったようで、結局そのまま何も言わず去っていった。 お礼なんて、別にいいのに。 ゆっくりまりさたちを見送りながら、阿求ちゃんが私に質問をした。 「ハンターさん、なんであんなめんどくさい事をしたんですか?やっぱり殺したくないからですか?」 「もちろんそれもあるわ。でも、あの子達明日になったら私達のことなんてすっかり忘れて、いつか群れをなしてまたあのおじさんの畑襲うと思わない?」 「まあ、ゆっくりの習性上そうなってもおかしくは……って、まさか」 「大事な収入源は、できるだけ手放したくないものよねぇ」 私達はその後依頼人の男のところにいき、ゆっくりたちを追い払ったとだけ報告してお金を受け取った。 彼は自分の畑を襲うゆっくりたちが死んだのだと喜びを隠せずにいたが、 阿求ちゃんはそんな彼を哀れむように見ていた。 男は阿求ちゃんの様子に気づくこともなく、上機嫌のまま私達を見送るために玄関まで来ていた。 私は大事な顧客である彼にしっかりとお辞儀をして、そしてこう言った。 「また、何かあったらよろしくお願いしますね」 終わり 外伝へ 読んでくださった人に感謝の念をこめて。 本当に、本当にありがとうございました。 このSSに感想を付ける