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1-1 困惑の急接近 進め(あう♪) 進め(あう♪) われら雛見沢~ぁ ちっちゃい者倶楽部!! 入道雲の空の下、村にセミの合唱と共に、ちいさき者たちの掛け声が流れていた。 「ぜんたぁ~い、気をつけろ。なのです」 込み入った所を抜け、畑の広がる見通しのいい場所に着くと、先頭を行く梨花がくるりと振り返って緩い警戒を呼び掛けてきた。すると皆の歌声がぴたりと止み、それから富田と沙都子の表情が引き締まったものになっていく。 「そしてよーい、ドン☆ なのですー」 「ほほ……! そう来ると思いましたわ!」 そして不意に駆け出す梨花とほぼ同時に、しんがりの沙都子が飛び出し……。 「……えっ? 北じょ、わわっ!」 追い越し様の彼女に、一つ前にいた富田は手をぎゅっと掴まれて――「富田さんは羽入さんの手を。羽入さんは岡村さんの手をお掴みになって!」――「う……うんっ! 羽入っ!」――「あう! がっちりきゃっちなのです。岡村ーぁ、おーてーて~、つーないでぇ~♪」――「はい、羽入ちゃん」 「そして私は…………それっ!」――「みぃ……っ?!」 仲間たちが手に手を繋ぎ合っている最中、沙都子はウエストポーチから取り出したなわとびを梨花に向けて放った。するとグリップが分銅として働き見事、梨花の左腕を捕らえた。 「みぃ。このままじゃボク、沙都子に調教されちゃうのです~☆」 「おーっほっほっほっ! でしたらお望み通り、私が梨花を立派な競走馬に調教してさし上げますわー!」 たぶん沙都子と梨花の「調教」の意味は似て非なるものなのだろうなと、くねくねと悶えながら走る梨花を見ながら富田は思った。 そんな調子で練り歩くちいさな一団に、通りすがりの村人があいさつをして寄越す。その都度、天敵であるレナの情報を聞き、もしくは向こうから教えてきてくれたりした。 話が済むと、村人の股下を這って潜り抜け、そしてレナの居ないと思われる方へと向かう。 雛見沢ちっちゃい者倶楽部と竜宮レナ。 この二つは相容れない関係であり、それは正確に、かつ簡潔に「獲物と捕食者」と言い表せた。とはいえ、捕まったりしても実際はレナといっしょに遊んだり、家でお菓子をご馳走されたりと、実にほのぼのとした関係なのだが。それでも部員もとい子供たちは遊びの天才ゆえに、レナの魔手から真剣に潜り抜けていた。 入部資格は小柄であること。飛び入りも可。 あの部活メンバーの活動とは別物で、雛見沢ちっちゃい者倶楽部(以降『雛クラ』と略)の活動内容は、村のあちこちにある「潜れそうなもの」を、部長を先頭に潜って行くというもの。 普段は月一回。夏休み等、長期の休みには部長の呼び掛けで倶楽部活動が行われる。 部活メンバーに罰ゲームがある様に、雛クラにも似たものがある。それは可愛らしい倶楽部名らしからぬ厳しいものだった。 部長の潜れたものが潜れない場合は退部。 これは創立者にして初代部長である魅音が作ったもので、それは部長といえども適応された。 去年の七月。創立第一日目にして早々と、部長の座がうっかり魅音からちゃっかり梨花へと受け継がれて一年あまり。 現在の部員構成は、現部長の北条沙都子を始め、副部長に富田大樹。古手梨花に岡村傑、そして古手羽入を新たに加えた計五人。 これまでの日々に各人、劇的なできごとがあったり、その身の上に波風とまではいかないまでもさざなみが生じたりもした。 夏休みも二週間が過ぎ、親密な関係になった組は当然、濃密な時間を。まだそうではない、擦れ違う者たちにも兆しが芽生え、想いの波紋を伝えんと、その手を伸ばしたのだった。 「……羽入。ボクと並び順を交換こするのです」 緊張状態に飽きてきた梨花が悪い癖を出し始めた。 「あぅ……。梨花の前は嫌なのです。レナが来たら絶対、突き飛ばす気なのです」 前部長の態度に、現部長は大きな目を細め寛容に微笑んでいた。ならば自分は副部長として一応の義務を果たそうと、富田は眼鏡に手を添え、遠くを見据えた。 「ほほ……。真面目さんがいますわ」 「…………? もしかして、僕のこと?」 沙都子は頷いて、前の三人を見る。 梨花・岡村・羽入の並び順は梨花が下がったことで、ぐだぐだに横へと広がる感が見えていた。 女性陣は頭にそれぞれ、つばの大きな麦わら帽子とサンバイザー。野球少年たちは言わずもがなの野球帽を。手には仲良く、赤に青の水着入れが握られていた。 沙都子から掴まれた手と手はそのまま、富田と沙都子を繋ぎ、ふたりを歩ませていた。 「……前はあのひとたちに任せて……私たちは後ろに気をつけていればよろしいんですのよ」 そう言って沙都子は手を引いて、歩調を緩めだした。 「……骨はちゃんと、拾って上げますのですよ」 「あぅ……梨花がひどいのです……。岡村~ぁ、僕を助けてなのです~」 羽入は綿菓子を思わせる甘く、やわらかな声を上げて岡村の腕にしがみついた。後ろからでもわかるくらい、親友の腕に押し付けられて歪み、大きく形を変える羽入の脇乳に、自然と目が釘付けになっていた。 「……岡村。ボクを敵に回したら……くすくす。どうしてあげようかしら」 岡村の首に、白蛇を思わせる手がしゅるりと巻かれ「がおー」と、そのぽにょぽにょした首筋を甘噛みする。 「り……っ、梨花ちゃんも羽入ちゃんも、仲良くしなくちゃダメだよ……っ」 岡村はどちらの少女に花を持たせるべきか、いつもの様に二人の間で困っていた。 「…………岡村さんが、羨ましいですのね……」 「え……っ?!」 沙都子に突然話しかけられて、富田は顔を引き攣らせた。 「……ずっと、見てましたわよね……」 「っ……?! ごっ……ゴメンッ!」 有無を言わずに謝る。しかし沙都子は聞く耳を持たず、その先を言い放った。 「大きくてやわらかい、羽入さんの胸を」 「ぅ……ぁ……。ごめん…………」 軽蔑のまなざしと妙な言い回しに、富田は縮こまって呻いた。 「今日から僕も、雛クラに入ることになりましたのです。みんなについて行ける様にがんばりたいと思いますのです。あう!」 沙都子の誕生日の翌日。 未だ興奮の覚め遣らぬ雛クラ部員に梨花のきまぐれ招集が掛かり、半ドンの昼下がりの境内にて、羽入の入部式が行われていた。 「……そのたれぱいじゃあ、魅音の二の舞になるのが落ちなのです」 「あううーっ! たっ、垂れてなんかいないのですっ!!」 梨花の毒を含んだ嫌味に、羽入がたぷたぷんっと猛抗議をする。 「ほんと?! 羽入ちゃんっ!」 「あうう――っ?! 岡村の目は節穴なのですか~ぁ――っ!!」 岡村の間の悪い食い付きに、羽入がぶるんったぷんっと猛抗議をする。 「ほらほら富田! 羽入ちゃんのおっぱい、ぶるんぶるんっだよ!」 「そ……そんなの、見ればわかるよ……っ!」 「……いやらしいひとたちですこと……っ!」 「ちょっ?! 北条ーっ?! ごっ……誤解だよ! おっ、岡村も何とか言えよーっ!」 腰の引けた富田も一緒くたにして、沙都子が胸を隠して嘆息する。 「違うよ~沙っちゃん。 僕と富田が言ってるのはねー。羽入ちゃんも、雛クラに入ってくれて良かったねってことなんだよ。ねっ、富田!!」 「うをわっ?! ちょっ、おま……っ! 羽入もやっ……止めれぇ~」 「あうあう♪ あうう♪ あうう♪ あう☆ あう☆」 岡村と、いつの間にか機嫌の直った羽入は富田を巻き込んで、くるくるとはしゃぎだした。 「おほほ。雛クラもいよいよ賑やかに…………えっ、ちょっと?! わ、私もですのぉォォおーッ?!」 哀れ、なかよしトリオを楽しげに眺めていた沙都子も巻き込まれる。 「くすくす。いつもより余計に回って、実に楽しそうなのです」 賽銭箱の前に座り、梨花はひとり、笑壷に入っていた。 「みーみみみみみ。けいちゅ~、けいちゅ~。そしてこれから言うボクの言葉に傾聴してほしいのです」 ひとしきりふざけあった挙句、疲れてへたり込み、てんでんばらばらに倒れている一同。 梨花はその愛しい仲間たちにぱんぱんと手を叩きながら歩み寄る。そのうちの、尻を上げて突っ伏している羽入の尻を引っ叩き、ついでに汚れを掃ってやる。 「これからは沙都子。貴女に雛クラを、引っ張って行って欲しいのです」 そしてもう片方の手を沙都子に差し出して、梨花は滑らかに宣言した。 「でかぱい沙都子が潜れるものなら、岡村とうし女もモーまんたいなのです」 梨花の言う通り、沙都子を先頭とした二人は水を得た魚の如く、とまではいかないまでも選定され、だいぶ楽になった障害物を次々と潜って行った。それでもレナには敵わず、羽入とセットでちょくちょくお持ち帰りされていた。 そんな和やかな時間を、しかし富田は少しだけ心配していた。 羽入が入部してきてから、雛クラの雰囲気が緩んできた。 たかが遊び、されど遊びの雛クラにも真剣に取り組んできた沙都子。 彼女は部長でありながら障害物の選定は梨花、もしくは副部長の自分に任せる様になる。 歯応えが無さ過ぎるからだと沙都子は言って、梨花に申し訳なさげに顔を伏せた。 そんな真面目な性挌ゆえ、沙都子は少し口うるさくなりがちなところがある。それは相手を思ってのことなのだが、はたして羽入が嫌がりはしないかと、富田は子供なりに気を揉んだ。 富田は二人の仲が険悪にならない様にと動いたりしてみた。だが沙都子と羽入はそんな気配は露とも見せず、むしろ梨花が嫉妬するほどの友情を示した。 これからの季節にと、沙都子は自分の麦わら帽子を羽入に贈り、また彼女の服を探しに二人で興宮に行ったり、裏山を案内してあげたり。 今日もその麦わら帽子と、沙都子と買ったという大きめのボーダーのTシャツを羽入は着てきた。他にもその他諸々、二人は仲を深め合っている様子だった。 そんな取り越し苦労も楽しい日々の下地となってきたある日。富田はその日々に自ら水を差してしまう。 若気の至り、というには彼には酷であり無常だと言えた。それでも――しかし――結果として――沙都子は富田と距離を置く様になる。 そうしたのは北条なのに……。なのに何だってまだ僕に、構ってくるんだよ…………ッ! 「あはっ。良かった……。ちゃんと冷えてますわよ」 沙都子が小川で冷やしておいたバナナを、水を切って手渡してきた。その眩しい笑顔に、思わず素直にバナナを受け取ってしまう。 「……僕のことはもういいから、北条は遊んできなよ」 富田はバナナに爪を立て、沙都子を三人の所へと進めた。 雛クラには退屈で危険な、とくに潜るものもない、だだっ広い通りを抜け、五人は休憩がてら、沿道の脇を流れる小川で水遊びをしていくことに。富田はそこで、川底の尖った石か何かで足の裏を切ってしまう。 富田はひとり、土手に歩きかけると沙都子がその肩を支えにくる。ケガの手当てをしてあげますわと、こちらの遠慮を押さえ込んで手際良く、富田の足に包帯が巻かれた。 沙都子はその後も富田のとなりで水の流れに爪先を遊ばせながら、水遊びに興じる三人を見つめていた。 「……今は、いいですわ…………。 それより今度は私が、富田さんの代わりに見張りを務めますわね」 たまには部長らしいことをしませんとねとはにかんで、かざす手でサンバイザーをちょこっと上げて、きょろきょろと見張り番を買って出た。 「……だったら座ってるより立って、見張ってた方がいいよ」 「ぁ……。そう、ですわね…………」 明らかに落胆の色を滲ませ、その夏空を思わせる顔容が曇ると、足の傷が痛んだ。 どういう訳だか、沙都子は自分に好意を寄せてきている様に思える。そう思う度に富田は自嘲で歪め、沙都子の気を無下にしてきた。 夏休みが始まり数日ぶりに会った沙都子はぼうと赤ら顔で。夏だから――少しだけ赤面気味なところ、そこがまた可愛らしく――とにかく、妙にそわそわしていた彼女が気になって理由を聞いてみるも何も話そうとしない。その内にふたりは口論となり…………。 それ以前にも、自分は沙都子の弱みに付け込んで似た様な、嫌がることをたくさんしてきた。 ゆらりと沙都子が立ち上がり、背を向けて離れて往く。 「っ……。ほうっ……っ」 見ない様にしていたのに、その背中を無意識に――眼――想いが追ってしまい、女々しい声までが喉から出掛かった。 「ほら! あなたたちも早く……って、富田! アンタなに暢気に座ってるのよっ!」 声のする方を見ると梨花と、早く早くと軽トラックの影から岡村と羽入も自分たちを呼んでいるのが見えた。 「……富田さん。立てまして……?」 そう言いながら立ち上がろうとする富田に近寄りまた、沙都子が手を差し伸べてくる。 「……僕はもういいから北条も…………さっさと隠れなよっ!」 「あっ……!」 その手を払い除け、富田は痛めた足を庇って歩いて行く。すると首を後ろから捕まれた。 「いっ?! いたっ! ……ほっ…………北条?! なな……何するんだよ!」 「……あなたは下に、行ってくださいましッ!」 それに手首まで、かなり強い力で捻られ、富田は問答無用で車体の下に押し込まれた。 「あぅ……。何だか、沙都子が恐いのです」 爪先で土を蹴散らかして、岡村の隣にしゃがみ込んだ沙都子に羽入が怯える。 「……沙っちゃん。富田がその……またヘンなコトをしちゃったのかな……?」 それに対して沙都子はとくに、何も答えなかった。なおも何か言おうとする岡村を、富田は金的を入れて黙らせる。苦悶の滲んだ非難とあうあうという声は無視。自業自得だぎゃッ?! 「……あんたはさっきからナニ沙都子を邪険にし・て・い・る・の・よッ!!」 「いだっ?! ちょっ……痛゛い゛! 痛゛だだっ!!」 野球帽を吹き飛ばし、眼鏡が壊されかねない膝の連打が、富田の顔面に打ち込まれだす。ついでにこれは岡村の分と、梨花は細い足首で富田の首を掴み、車体と垂直になる様、乱暴に促してくる。 「や……やめろってば! 何で…………お前だって北条のことあまり好く…………?」 「っ……。…………ふん」――「…………とにかく、古手には……関係ないだろ」 富田は半ばやけくそで叫び、しかし既に言葉をすり替えた。 場を考えてという理由もあったが、途中で梨花が表情を、くちびるを噛んで目を逸らしたから。だからそれ以上――それにその横顔がなぜかひどく切なく映り――梨花を、哀しませたくはなかった。でも……。 自分の、沙都子に対する態度を鑑みれば文句の一つ。それこそまたあの膝の一つでも、出してきそうなものなのに……。 まさかそんなにも梨花は、沙都子と羽入の仲を……。沙都子のことが嫌いになるほど、ふたりの仲を羨んでいるのだろうか。 もしそうだとしたら、さっきの機転はファインプレイだったかもしれなかった。 「富田さん、早く……。体の向きを、変えてくださいまし……」 「……あっ。う、うん」 頭をこっち側に……足は出ない様にと言われ、富田は大人しく従う。 状況がそうさせているのか、声の感じからいって、今の沙都子から不機嫌な気配は見られない。 なんだかんだ言ってもやはり好きになった手前、沙都子に嫌われるのは避けたいのが本音だ。なのに慣れない意地を張って、沙都子と梨花の怒りを買った報いがこれなのだろうか。 沙都子の言う通りにした――から――のに――、梨花の白い足が目の前にきてしまった。しかも約二名の刺す様な視線も感じる。この状況は幸といっていいものか、それとも不幸――はてはフラグ――なのか……。 「…………大根足、なんて思ってたら……」 「――っ?!」 ひとりは無言で見下ろしていたが、もう一人の方は違った。 ……何だか今日は女の子に驚かされてばかりな気がする。隣にいる親友なら「それは富田が悪いんだよ~」とでも宣ってくれそうだ。それはさておいて。 富田は目の前に突き出された膝をまじまじと見る。この足の、どこをどう見たらそう表現できるのだろうか。 白魚の指といい緑の黒髪といい、それらの持ち主に相応しい、綺麗でほっそりとした脚だった。それなのに何だってこんな、車の下になんて潜り込もうとするのか……。仲間たちの様に、車の……。そこで富田は野暮な考えを止めた。 梨花もやっぱり自分たちと同じだと。 オヤシロさまの生まれ変わりだと、大人たちからは大切にされているがひとたび……否。遊びや部活でも、それも最近になってからは猫を被らなくなっていた。むしろそのギャップを楽しんでいる様な…………やっぱり梨花は自分たちよりも少し、大人びた少女らしい。 ならばこちらも楽しむべく、脅しで突き出された膝を退かしつつ、舐める様に見入る。どうやら擦り傷の類は見られなかった。なぜだか少しほっとする。 さきほどの、膝の連打の際に見えた純白の下着。あわよくばと――魔が差して――つい、スカートの中をのごぎゃっ?! 「……富田ももっと足を引っ込めやがれなのです。沙都子」 「ええ…………。わかりましたわ……」 にぱー★ と嗤いながら再び富田の顔面に膝を入れた梨花は奥へと、羽入に引っ張られていく。手はしっかりとスカートを押さえていたりと、このへんのたしなみは持ち合わせているらしい。もっとも、岡村がそこを凝視しているところを見るに、あかんべをしている手の方はスカートがめくれ上がっているのだが。 それを横目に、自分も這って行こうとすると頭を掴まれぐいと、かなりの力で引っ張られた。どことなくその手からは怒りの様なものが感じられた。 今日の自分は女難の相があり、梨花に絡まれる原因の何割かは沙都子のせい、という免罪符の表情で正面に顔を向けると鼻先に、今にもくっつきそうなほどに、沙都子の股間が付き付けられていた。そしてそのまま…………え? ……う、うわっ?! むぎゅ……。 なんと沙都子は、富田の頭に尻でのしかかってきた。 じゃり……がり、がりり……。ぎり、ギ……ジャリ…………。 そして、のしかかる尻がわずかに……沙都子の息遣いで揺れると眼鏡がにじられて、レンズの悲鳴がツルを伝わってきた。 なぜ沙都子がこんなことをしてくるのか……。それは自分を嫌っているからにほかない。でも、これじゃあむしろ……くっ! く、ぁ…………あッ……! 髪の上をすりすり……。不意にうなじをむにゅり……。 後頭部の上を揺れ動く尻に、脳ではなく直接触れている首の、その下の延髄から悦びの信号が出て、その刺激を受けた海パンの中のモノはすでに力強くいきり勃っていた。 しゃべることができないので何とかこちらの意思を伝えようと手を動かすも、うつ伏せでは肩がうまく動いてくれない。それでも無理矢理に動かすと、もがく手がぺちぺちと、となりの人肌を叩きだして、吸い付く肌触りに手が離れたがらない始末。 「ひゃんっ?!」 だからまたかな……と、覚悟を決めていた富田の脇腹にもれなく肘鉄が打ち込まれる顛末。その衝撃で体が跳ねると上から可愛らしい声が。しかしそれもすぐに、憮然とした声音に打って変わる。 「はぁ…………。 富田さんって……梨花とも随分、仲が…………よろしいんですのね……?」 ひとつ溜め息をつき、沙都子は腰を上げくすりと……獲物を捕らえた猫の眼って、見たことありまして……? と、目ではそう問い掛けてきている様に富田には感じた。 「沙っちゃん、しぃー。今そこに、竜宮さんが来てるから、しぃー」 「レナはおしゃべりしてても、僕たちには敏感だから気を付けないとなのです」 「ぁ……。ごめんなさいまし……」 口に人差し指を立てた二人に注意され、俯いた沙都子と目が合う。 「北条……。何でこんなこと、するんだよ」 仰向けになるよう促されていた富田は、眼鏡と息を整えながら沙都子に問い質した。 「…………富田さんはもう……こういうことをしたくは、ありませんの……?」 「こっこっ?! ……こういうこと……って」 耳が、膝の内側でぴったりと塞がれて……視界の端で腰がくねってユラメイて……野球帽が脱がされる。 「……やっぱりシたい、ですわよね……」 「っ……アッ!!」 唐突に、根元から先端へと、富田の硬く反り返っているモノの腹が撫でられた。 「ぁ……っ? 北条……何を……?」 その指先が顔へ……眼鏡を取り上げて沙都子は、自分のシャツの胸元に引っ掛ける。 「……まったく。梨花にまでちょっかいをお出しになるなんて……」 深い胸の谷間で眼鏡が揺れ、微笑む口元からは八重歯が零れていた。 「…………もうお前に……」――そんなことを言われる筋合いなんてないだろ……。 そう続けようとした台詞は沙都子の笑顔に解かれ……そして、微笑みを浮かべてしまう。なのに彼女の微笑は妖しさを深めて、サンバイザーを目深に被り直してそれから……。 「……富田さんのスケベ…………ん……」 「んン……っ?! ウッ、ンンぅーッッ?!」 沙都子は再び、今度は富田の顔面目掛けて腰を下ろしてきた。その拍子にそこの匂いを思い切り吸い込み、だから意識がどこかへ跳びかけた。 洗い立ての洗濯物と、その家庭の匂い。それと、沙都子の香り。 凸と違い、凹である股間からは無粋な臭いなどはせず、その何ともいえない香りに心臓がどくどくと暴れだす。 その手の漫画に、ヒロインの股間に顔を埋め、そこの匂いを嗅いで悦ぶ男の気持ちがこのとき心の底から理解でき、共感できた。しかし…………。 降って沸いた悦びにより、小さくなりはしたが消えてはくれない沙都子への“疑”。 あの日。 心配するあまり、逃げる沙都子を捕まえて押し倒してしまい富田は沙都子にスケベ呼ばわりされた。 二週間前。 罰ゲームをしに、圭一の家から逃げる様に飛び出してきた沙都子。 「うンっ! あふぅ! ふっ……ふう……うふふ……」 苦しくも嬉しげに息を弾ませ、人の顔の上で腰をくねらせて、富田の鼻に股間を擦り付けている。そんな体勢だから顔の上半分は尻からはみ出し、おかげで視界が利いていた。 富田の胸に繊手が置かれ、まさに目と鼻の先で踊るヒップ。 軽トラックの荷台にぶつからぬ様、前屈みから思い切り反らされた背中。 短いながらも汗が、後ろ髪をうなじに張り付かせ、耳にまで散った紅葉。 昔は、いたずらをされると泣いて嫌がっていた沙都子。 今は、慕う男にいなくなった兄を重ねて、笑顔の絶えなくなった沙都子。 それなのに何故、こんなことを……。 そんなこと、決まってるだろ……っ?! 北条はもう…………くっ……そぉおおおおッ!! 「ひあっ……!!」 肉圧の下、富田は強引に大口を開けて、埋れ出た下前歯で股間に噛み付く。するとこりゅっとした歯ごたえに、上から高い声がした。 今のって……もしかしてくっ、クリトリスに……っ?! 「あぷっ!」 驚く富田の視界が再び尻で占められ、その谷間と鼻とがぴったりと隙間なく密着。鼻が尻に押し潰される。 「……そんなところに噛り付くなんて…………はぁ。富田さんも、デリカシーが、ぁー……うふふふ。なって、ませんわねぇ……。だから罰を……喰らいなさいましね」 それから口を磨り潰さんと、大胆な腰遣いでこにゅこにゅと、下半身でのフレンチキスが富田を戒め、罰し始めた。 顔面全体余すところ無く、尻が激しくいざり、にじられる。しばらくして、熱っぽい声が聞こえだし、沙都子は靴底を後頭部の下に入れ、足全体で包み込むとぎゅううう……と、頭を絞め付けてくる。 肩は膝で固められ、十指は繊手に絡め獲られ、形ばかりの抵抗が除々に圧殺されていった。 鼻腔といわず咽喉、気管、肺臓と、色香によって呼吸器が侵され、沙都子で胸がいっぱいになっていく。 確かに息苦しい。だがそれでも、自慰では感じたことのないほどの快楽に浸かって、「苦」は「楽」となり「快」へと変わっていく。 頭はとうに霞み、沙都子への疑問に憤りもここにきて、どうでもよくなってきていた。 「あう……。沙都子の腰遣いがすごくいやらしいのです…………」 「はっ、羽入ちゃん……っ。背中におっぱいが当たってる……っ! それに今は、竜宮さんを見張ってなくっちゃ……」 「…………それは梨花がやってくれていますですから……。だから、岡村の甘い精を僕に…………」 「うわっ! お、おちんちんまでいじられたらで……でちゃうよぅ…………」 どうやら自分たちの姿に、羽入が中てられたらしい。手玉に取られた岡村が嬉しい悲鳴を洩らし始めた。 親友の呟きに、二人の痴態を想像してその上、想いを寄せる少女の尻を顔面に押し付けられるという状況に、虚ろだった意識は次第と固まっていき、それはある形……本能を形作った! 「んん……ッ?! あは、はぁ……。やっとその気に……え、あんっ?! とっ……富田さ、ンあーっ!!」 沙都子の腰を浮かせる為、不意に自分から顔を動かして、その生まれた隙を突く。武器でもあり弱点とも言えるそこに富田が吸い付くと、沙都子が驚いて大きな声で鳴いた。それでも富田は怯まない。 「あっ……あッ! くぅ……ンンッ!! はぁあ! ふあっ……あンッ!!」 吸盤を――胸を吸う様を――イメージし、思い切り香気を吸う。 沙都子の反応の変わり様に味を占め富田は、股間の香りを夢中になって胸いっぱいに取り込む。 「やぁ……。そんなところの臭いをか……あ、アーッ! かっ……か、嗅がないで……」 今更ナニ言ってるんだよ……。 沙都子はなおも何度か訴えてきたが、富田はそのたびに嗤ってやった。 強さの内にある優しさと弱さ。 その弱さに付け込んでもっと、沙都子を泣かせたい。いや、鳴かせたい……。 泣かせた回数ならあの人には負けない。それにこれから自分も、北条の鳴き声を聴きながら、北条と前みたいに……いや。前原さんと北条がしている以上の事を……北条が鳴いて叫ぶくらいのコトをしてやる……っ!! 「ンあーッ! そ……そんな、おっぱいまで……あっ! いっア……っは……ああぁーッ!!」今やふたりの攻守は完全に逆転していた。 富田は弱まった手を掴み返し、手と手を重ねたてのひらで、沙都子の双房を掴む。 前と、それと窄まりへの攻撃に加え、少女という器をはみ出し気味な胸を力を込めてぐにゅぐにゅと弄ぶ。そして肉の頂でつんつん、こにゅこにゅと自己主張してくる乳首を思い切り、ふたりの指でぐ……ぐっ、ぐにゅう……といざり、爪を喰い込ませる。 「んんッ……くぅぅ…………。う、うっ…………くっ、ぁっ……」 恥ずかしいのだろう、洩れ出る声を塞ごうと、何度か手を引かれた。そのたびに肉芽に噛み付いて腰砕けにし、大きく息を吸い込んで……。 「……あふうッ、ふぁ……あ、ああ……あはぁあアアア――ッッ!!」 熱い息を尻の穴に吹き込んで喝を入れた。 「は…………あ……ぁぁ……。はー……あ、ふぁ……」 そうして大人しくなった沙都子を、富田は本格的に味わいだす。 「あう……。富田がすごくてくにしゃんぽいのです…………」 「あう……ぅ! はっ、にゅうちゃ……んんっ!! む、胸までされたらもっ……もう、本当にっ!!」 「…………ちょっとあなたたち。少し、静かにしなさい。ハメ外し過ぎるとマジで、レナに見つかるわよ……?」 梨花の注意に一同が静まる。 確かに。このまたと無い機会をもっと楽しむ為にも、静かにシないと……。 「ふう…………はあ……ぁ。とみ……たさん、何を……? ぇぁ……っ、ふむううぅーッッ!!」富田は、ふたりの手の内の片方を胸から上へと引き剥がし、吐息を感じるところに突き入れた。 「んっ……?! んんうぅッ?! ふぅンむっ……! ん、あー……! いっはっ……やあッ、んむッーゥゥ~ッッ!!」 ふたりの指で口の中を掻き回しだすとすぐに沙都子が激しく呻きだした。そのぐちゅぐちゅという音――悲痛な声――がイマラチオを連想させ、ペニスがどくどくどくっと、痛みを伴わせるほどの武者震いを起こす。そして巣の中の雛の如く、富田の一物は海パンの中からもっともっとと、手の動きを急かした。 胸にあったふたりで一対はシャツの内側に滑り込んで、手の動きでいっしょに揉む様に指示。戸惑う仕草を指をつねり、自らの胸をスク水越しにぐにっぐにゅっとめり込ませて屈服させる。それで素直になった沙都子の股間に、幾度目かのフレンチキスの愛撫を施した。 「……くウッンンッ?! アッ…………あアーッッ! あ……あはっ。い……イイ、ですわぁ……」 あわよくば、とでも思ったのだろう。 富田はそれで、沙都子がどんな声を出してくれるのか、無意識に指を引き、沙都子の口に隙間を作る。すると「イイ」と返ってきたではないか……! でも……。 それは決して「富田大樹は北条沙都子が好き」への答えなどではない。それでも最後に、想いを寄せていた少女の、女の声を自分が引き出した。今はもう、富田にはそれで満足だった。ただそれは、富田の真心だけのこと。無念のすべてを包み、癒すには至らなかった。 本能は無念の欠片を劣情へと変えて、真心に忍び寄る……。 魔獣の如く涎を滴せるそれの胴体が、獣欲になりかけの無念によってより太く猛り、首を伸ばし、開放の出口を求め荒ぶりだす……。 沙都子との魅惑の顔面騎上位という状態が続いた為、富田は酸欠を起こし掛けていた。だから体も頭も楽な方、楽な方へと行きたがってきた。 すなわち、このまま沙都子を貫き、串刺しにする。 今は周りにニンゲンが居るが、この熱が冷めない内に……。それとは別に頭の真ん前で、天使と悪魔の格好をした梨花と羽入が手を繋ぎ、なにやらこちらに囁きかけていた……。 『くすくす……。我慢なんて体に毒よ。さっさと押し倒して、ヤるコトやっちゃいなさいよ。まったく、じれったいわねぇ……』――『あうあう~♪ みんなで沙都子を輪姦しっこなのです~♪ あうー♪♪』 (チョっ……フタリとモ。僕の、沙都子ヘノマ心ヲ聴いテなカッタのカよ! ソレと羽入っ! 僕の沙都子をソンなメで見るナーッ!) 『「僕の沙都子」って……それも二回。キモ。それと沙都子は基本的に私のだから。まったく、図々しいわねぇ……』――『あうあう~♪ みんなで沙都子を輪姦しっこなのです~♪ あうー♪♪』 (そっ、そレハ…………言バノ文ってやつダよ……! それと、イっ回目の「僕の、沙都子」にはちゃんと句点がハイってるだろ。だーかーらー羽入! 沙都子に輪姦しっこユーな!!) 『男のくせに言い訳ばかりして……。何が「僕は鉄壁」よ。鉄壁なのはあそこだけじゃない。まったく、このふにゃチン……!』――『あうあう~♪ みんなで沙都子を輪姦し』――『いいかげん黙れ、この淫魔……!』 羽入のボケに、梨花がツッコミの掌底を入れて、脳内コントにオチが付く。でもこれじゃあ、悪魔の梨花が勝っちゃったってことは……。あと「僕は鉄壁」ってナニ? ついさっきまで悪鬼じみた欲に駆られていたというのに、二人の身勝手な言い分に…………あっ……っ! はたして、富田がソレ等と自分とが同じだったと気付いたのが先か、伸びていた羽入が起き上がったのが先か。 彼女は立ち上がると、富田の頭上のずっと高いところを指し示した。 頭の中の映像はここから現実に切り替わる。 「はっはっ……ッ! ン……ン…………くンっ?! ンっはぁ…………ンっ、ンンッ!」 「……いたっ!!」 軽く達したのか、荷台に額を当て、沙都子が控えめに嬌声をあげた。 「僕の声が……届いてしまったのですか…………?」 肩で息をしている沙都子から目を外し、羽入を見上げる。その表情は目に見えて翳っていた。声色もどこか、普段が普段なのでその差異は大きく目立つ。 「……あれって……。うあ……っ」 口を開くと、未だ荒い息遣いの沙都子の尻に撫でられ、思わず声が上擦る。 「……沙都子は特に、やさしくしてあげないと……あむ、なのですよ。う、んむ……ちゅぴ……」 言っていることはまっとうだが、岡村から搾ったモノを啜りながら言われても……。滅多に見せない憂い顔が台無しだ。それよりも富田は再度、羽入に訊ねるべく口を開きかけた。 「…………おふたりとも、おしゃべりはダメ、でしてよ……」 しかし沙都子のヒッププレスに邪魔をされてしまう。 「これからは富田も、前みたいに『沙都子』って、呼んであげるといいのです。あうあう! ……あう。それはともかく。 狂気、じゃなくて、僕電波での梨花は魔女らしく『ベクトルアロ→』でツッコむのがお約束なのに……。でも、鬼神の僕には効かないのです~」 どきりとすることを言われた。 突然の羽入の言葉にはぐらかされて、言葉を失ってしまった。それでも、やるべきことはやらないと。 羽入とのおしゃべり――内に芽生えた沙都子への不安――想い――少しだけなつかしく、苦い記憶――は、今は置いておく。 富田は、沙都子の芳香を胸いっぱいに吸い込んでぷぅーっと噴き込む。 攻めるでもなくいじわるでもなく、対話への息吹。対して沙都子は小さく声を漏らし、そして背中が美しい弧を描いた。さらに夏空の天辺からの日差しがサンバイザーで弾けて七色にきらめいた。 ……あ、あれっ?! 指が……抜けない? 下からの行為に、沙都子はおもむろに尻をずらし、富田の口を自由にした。そして富田も沙都子の口から完全に指を引き抜こうとしたのだが……。 富田が沙都子の口に指を入れてしばらくが経つと、沙都子はふたりの指を噛んだりしてきた。痛くはあったが富田には甘噛みに感じられ、むしろ心地良いくらいだった。 「…………どう、でふの……? 富田さんもき……気持ひ、イイ……?」 「……くっ、ううゥ!!」 羽入のあの、精液に濡れた顔が目蓋をちらつき、沙都子のこの、明らかに発情した声が耳をくすぐる。そして極み付きの、視界零の顔面騎上位。 扱かれずとも――指先ひとつ、ひと撫でで――いや、何もしなくても――もれなく、親友の後を追えることだろう。 「ほらぁ……気持ひイイって言いまへんほぉ……まぁーた、おくちほ塞ひじゃい、まふあよぉ……? ほらぁ……あはは……。あはははっ!」 ぷちゅっ……くにゅ、くちゅう……っ。こりゅこにゅちゅっ! こちゅっ……こにゅちゅぷ……。 「ぷあっ……うぷっ! さ……さとっ、ぷゅぱあっ!」 柔の断罪ともいうべき猛攻が下され、富田は地上に居ながらに溺れ掛けた。……やっぱり怒ってるよな……。指、噛りついたまんま、ぜんぜん離してくれないし……。 それも一つの謝り方かと、沙都子のなすがままを受け入れても良かったのだが……指が、痛い。もう甘噛みとはいえないくらい、痛い。それにこの痛みは沙都子も感じているはず……。 間隙を突けば、何とかしゃべることはできる。だからちゃんと謝って、この虎鋏じみたトラップを解く。それから精意…………じゃなくって。せ……せい、意……。誠、意……そ、それ! 誠意を見せないと……! 今や上も下もぐちゃぐちゃのぬちゃぬちゃ。 そんなオツムとムスコでは、少し前だったなら誠意も沙都子も何もかもを白く、塗り潰しかねなかった。だけど今は大丈夫、だと思う。さっきの羽入のおかげかもしれない。 富田は口の中から引き抜くのではなく、沙都子の指を庇おうと動いた。しかし噛む力が緩むときを見計らうも、ふたりして同時に仕掛けたらしく、絡み合った指と指は再びひとつに組み合わさってしまう。 「ごめん北条。その……僕が悪かったから本当にごめん。だから、指を噛むのは止めよう……? お前だって、痛いだろ?」 いつも通り、沙都子を苗字で呼んでしまったことを、富田は密かに悔やんだ。それはそうと、沙都子は態度を変えずに、さらに腰の動きを加速させだした。 「あぁ……くっ! あ、あともう少しでもっと……ンンっ! ……ですから富田さんも……い、いっしょに……っ! ンッ……ふぁ……ああッ!」 ふたりの指は沙都子の口の端、葉巻の様に咥えられもう、動かせそうにない。 抜けた口調は戻り、口の中で悩ましく踊っていた舌と指とがさらにさらに熱く戯れだす。 沙都子をこんな風にしたのが圭一だとしても……。それでも今は…………今だけは僕が……ッ!! 「沙都……子ぉお――おオオッ!!」 「……えっ?! きゃんっ!!」 富田は沙都子の首を両足で掴み、そうっと上体を引き寄せた。 沙都子の行為によって次第に富田の体が車体下からずれ出てきて、沙都子もそのまま出るに任せていたらしい。それを富田は、岡村と羽入の位置が自分から幾らか離れていることから気付いた。 「ぁ……。富田さんの……硬くて、それにすごく熱い……ですわ……はぁ……ん。ウっ……ンンッ!! ふあ……はあっ。ぁ…………あふぅ…………」 驚いたのは始めだけだった。沙都子は富田の意図を察し、自然とシックスナインの体位になる。 富田は潰れテントにほおずりと、夏よりも熱い吐息を服越しの股間で感じた。直接喰らいたい悔しさをじゅちゅ……ぢゅちゅうーぅと、滲み出てくる蜜を吸うことで晴らした。 「あう……ふたりとも、もう赤くはないのに…………すごいのです。 そのままふたりとも仲良く、なのですよ♪」 「はあっ……! 羽入ちゃ、あんっ! そっ……こお尻いっ! アっ……あっ、またっ! ……ああーっ。いっ……イクイクう~ゥあ――ッッ!」 「……アンタたちねぇ…………え……?」 また梨花のぼやきが始まる……そのタイミングに、鉄の嘶きが割って入ってきた。 「……うっ、嘘……でイ゛あ゛っ?! ア゛……ッがっがあ゛……っ!!」 雛クラ部員が隠れ蓑にしていた軽トラック。 そのエンジンが三度咳き込み嘯くと、サイドブレーキが落とされ、誰かの悲鳴が削られ、べきりという音がした。 「りっ、梨花ああぁーっ!!」 「羽入ちゃんは離れて……!」 そんな緊迫した仲間たちのすぐ傍で、富田と沙都子はお互いの首に足を絡めて抱き合い、絶頂に体を震わせていた。 リトル・エクステンド 1-2に続く - -
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【登録タグ SAI お絵かき講座 ひぐらしのなく頃に ライナーガオー 動画 描いてみた】 【【描いてみた】神無月のひぐらし-リテイク-【ひぐらし+神無月の巫女】】 作者名:ライナーガオー コメント 名前 コメント
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大きな雨粒か激しい音で車の天井を叩き、激しい風が容赦なく車を揺らす。 何も見えない闇が不安を掻き立てる。いつ果てる事もなく続く嵐。圭一と レナは小さな車の中で震えていた。 そもそものきっかけはいつものようにレナの宝探しに付き合ったことから 始まった。 「今日は一日中、宝探しするのー」 満面な笑みでレナは言った。お弁当、おやつ、お茶。それに鉈や斧、準備は 万端だった。圭一もやれやれと思いながらも付き合った。 午前中は晴れていた。お昼はレナの手作り弁当を堪能した。 「うーん、あまりいいものがないなー」 しかしながら、肝心の宝探しは不調だった。午前中はめぼしいものが一つも 見つからない。あっちへうろうろ。こっちへうろうろ。だけど、お気に入りの ものは見つからない。午前中は一つも見つからなかった。午後もだ。 「なあ、そろそろ帰ろうぜ」 「もう少しー」 そろそろ暗くなってきた。星が見えない。午前中は晴れていたが午後から 雲が多く出てきた。空を見上げても、星は見えず、かわりに黒い雲が見える。 かなり濃い。空気もなんだか湿ってる。 圭一はため息を吐く。レナはかなり遠くまで出かけてしまった。近くの粗大 ゴミに体を傾ける。結構疲れた。 ぽつり。 ひたいに冷たいものを感じた。 雨だ。空を見上げると、ポツリポツリと振ってくる。 だが、程なく雨は強くなってる。 「おーい、レナ」 圭一がレナと合流した頃には雨はかなり強い勢いになっていた。 風も吹き荒れ始めてきた。 「くそっ、このままじゃあ、きついぜ」 もう夜だ。道はかなり暗く、雨も風も激しい。無理を押しても帰れるだろうか。 「圭一くん、こっち」 レナは圭一の手を引っぱる。この雨では帰るのは困難だ。だから、案内する。 「──ここは」 レナが案内したのは廃車だった。何とかもぐりこむ。 「えへへ。ここはレナの隠れ家なの」 タイヤの無いワゴン車。助手席から何とかもぐりこむ。すでに全身びしょぬれだ。 「ふー、やれやれ、何とか一息つけたな」 外を見ると青白い稲光が見えた。 「にしてもすごいなー」 圭一は改めて、レナの秘密基地を見る。外から見れば、ただのさび付いた廃車だが 中はきれいに整えられている。ブランケット、懐中電灯、文庫本、電気スタンドなど が常備されており、下はシーツも引いて過ごしやすく工夫されている。 「えへへ、ちょっと、一人になりたいときのために作ったの」 小さく舌を出して、レナは笑う。少し前、色々と辛いことがありレナは悩んだ。 その時に作ったのだ。悩み事はみんなの力を借りて解決した。それ以来、あまり ここにはこなくなった。でも、定期的に手入れはしている。この辺りはレナの 性格がにじみ出ているだろう。 「ふーん」 圭一は興味深そうにまた、周りを見る。男の子としてこういう秘密基地は憧れる。 小さい頃は勉強勉強だったため、作って遊んだ事が無い。 くしゅん。 レナがくしゃみをした。 「おい、大丈夫か?」 慌てて、圭一はレナの方を見る。 「うん、大丈夫。ちょっと、体が冷えたのかな」 考えてみれば二人とも雨でびしょぬれだ。服はべったり濡れてと体に張り付いている。 確かにこのままでいたら風邪を引きそうだ。しかし、さすがにレナの秘密基地にも 着替えは用意してない。ブランケットが二枚ほどあるだけだ。 へっくしょん! 圭一も大きなくしゃみをした。同時に震えが来る。 「さみー」 さすがに暖房はない。中の温度は外と変わらない。風が無いだけましという 程度。 「……圭一くん、服──脱ごうよ」 レナがとんでもない事を言ってきた。うつむき、上目遣いに圭一を見る。 ブランケットを引き寄せて胸の辺りで掻き抱く。圭一は「えっ?」と、驚く。 「濡れた服のままだと──風邪引いちゃうよ。だから……」 そういって、レナは顔を伏せる。はらりと髪が舞う。かすかに見えるうなじが 赤い。ブランケットを纏い、服を脱ぐ。しろい肩が見えた。慌てて、圭一は目をそらす。 「そっ、そうだな。そうするか」 顔の奥が熱い。ふわふわとする。服を脱ぐ。すでにシャツまでべっとりだ。 上半身は裸になる。下もぐっしょりと濡れた長ズボンを脱ぐ。ブランケットを きつく体に巻く。見るとレナも同じだった。互いに下着1枚の姿になっている。 かっと熱くなる。体の奥が。 「──ごめんね、レナの所為で」 少しの間、沈黙が続いた。破ったのはレナだ。 「レナが早く宝探しをやめていれば、こんな事にならなかったのにね。 ごめんね、圭一くん」 ブランケットを纏い、顔だけを向けてくる。眼が潤んでいる。 「いっ、いや、そんなこと無いぞ。むしろ、途中でこんな大雨に打たれたかも しれないしな。ははっ」 いつもの口調が鈍くなる。早鐘のように心臓が鳴る。どうしてだ? 言うまでも無い。視線の先に写るのは濡れたレナの服。意識したくなくても 意識してしまう。沸いては消える妄想。顔を振る。 くしゅん。 レナがまた、くしゃみをした。ブランケットから素足が見えた。白い。 「寒くない、圭一くん」 鼻をすすってレナが聞いてくる。 「いや、大丈夫だぞ」 ほんとは少し寒い。薄いブランケットでは外気を抑えられない。ましてや 濡れた体では余計に。けど、男だから。 くしゅん。 レナはまた、くしゃみをした。 「おっ、おい、大丈夫か。なんだったら──」 このブランケットを使うかと言おうとして沈黙する。 晒すのか? 自分の裸を。いや、そうではない。 「ううん、いいよ、圭一くんが風邪引いちゃうよ。それより──」 また、遠くでカミナリが光る。レナの顔が見えた。静かに小さな口を開く。 「二人で暖まろうよ。ほら、何かで聞いたことあるの。冬山で遭難したときは お互いの体温で温めあうって」 息を呑む。レナの提案は確かに聞いたことある。効率もいいだろう。理性と しては理解できる。けど、感情としては── 「いや、だめだ、それは!」 圭一は慌てて言うが。 「どうして? レナ、もう寒いもん」 にじり寄ってくる。レナはブランケットを纏いつつ四つん這いで圭一に近づく。 逃げ場は無い。吐息が感じた。体温が感じた。レナが感じた……。 気がつくと圭一とレナは二つのブランケットを重ねて包まっていた。 圭一の胸にレナがいる。互いに抱き合っている。暖かい。そして柔らかい。 女の子のにおいがする。レナも感じている。圭一の体臭。自覚してしまう。 男の子だという事を。都会育ちで普段はだらしないところも見せたりはする。 だけど、意外な胸板に、その肩幅に、掻き抱かれる手の強さに、男を意識して しまう。その小さな肩を掻き抱く。丁寧に。はじめは力を入れすぎだ。「痛いよ、 圭一くん」だから、そっと抱く。何も言葉は交わさない。ただ、互いの体温を感じるだけ。 熱くなる。ひたすら。手に汗がにじむ。今、圭一はレナの素肌に触れている。 暖かくて柔らかくて何もいえない。 外の風は激しくなる。雨もさらに酷くなる。車は揺れる。雷の音も光も聞こえる。 だけど、気にならない。互いに外の事は目に入らない。二人きりの世界。ただ。 お互いを思う。 「暖かいね」 沈黙に耐えられなくなった。レナはポツリと呟いた。 「……ああ」 圭一はかすかに頷いた。 「でも、まだ、少し寒いかも」 また、レナは呟く。互いの鼓動が聞こえる。 「──知ってる? もっと、暖かくなる方法があるんだよ。互いに熱くなるの」 潤んだ瞳でレナは圭一を見つめてる。圭一はごくりとツバを飲み込む。否、 飲み込もうとした。けれど、口の中は乾いている。手が少し震える。レナは 待っている。圭一は答えなければならない。 ゆっくりとレナを見つめる。肩を掴む。少し震えてる。そうだ。怖いのだ。 覚悟を決めていても怖い。圭一も怖い。レナも怖い。理解できる。一線を越える。 この意味をどう取るか。明日からの自分たちはどうなるか。分からない。 だから、怖い。 だけど、進む。圭一はレナを求める。レナも圭一を求める。互いに二人は欲し 求め合う。きっかけは些細な事だ。けれど意識している。二人の心に互いの存在が 大きく占めている。 圭一の頭はゆっくりと下がる。レナは待ち受ける。二つの影は一つになる。 初めてのレナとのキスは唇同士が触れ合うものだった。感じたのは柔らかさ。 感じたのは吐息の熱さ。感じたのは互いの匂い。゜胸がどきどきする。 「──キス……しちゃったね」 少しだけ顔を離れさせてレナは言う。 「──そうだな」 圭一も一言だけ呟く。 「もう一回……キスしよ」 小さな声でささやくようにレナはねだる。圭一は何もいわずにキスをした。 「熱い──」 レナは息を漏らす。初めてのキスが甘く柔らかなものなら、今度のキスは熱く 激しいものだ。ただ、むさぼりあう。 ひちゃり。 音がした。誰からとも泣く二人は舌を絡めあう。熱く蠢く舌は互いの口の中を 舐めあう。くちゅり。レナの唇から唾液が洩れた。圭一の口から唾液が洩れてレナの 口の中へと移動する。何度もむさぼりすする。何度も感じる。頭の奥が激しく熱い。 なんも感じない。雨の音も風の泣き声も。ここが車の中ということさえ忘れる。 夜だということさえ忘れる。感じるのは互いのこと。考えられるのは互いのことだけ。 唇は離れる。二人の口元からこぼれる唾液は繋がり橋を作る。白いひと筋の橋は長く 続き途切れる。 「胸がどきどきして熱いの。圭一くんは?」 頬を赤く染めてレナは聞いた。 「俺もどきどきしてるよ」 ゆっくりと息を吐く。けれど、落ち着かない。 胸の熱さは収まらない。もう一度キスをした。さらに圭一の手はゆっくりと レナの胸に触れる。 「……あっ」 かすかにレナは声を上げる。だけど拒まない。圭一の手はレナの下着の上から 胸に触れる。柔らかな感触を感じた。何にもたとえようのない柔らかさ。トクン トクンと生命の鼓動も感じる。 はじめはゆっくりと後からだんだん早く揉む。レナは熱いと息を漏らし懇願する。 「ね、──圭一くん、もっと優しくして」 レナは戸惑う。胸の奥から生まれたものに。もっと味わいたい。だけど怖い。 だから優しくゆっくりと触ってもらいたい。本当は激しくして欲しいのに。 「わるいっ」 圭一の手の動きは遅くなる。軽く円を描く。大きくはない。小ぶりだがしっかりと 自己主張している胸。いつまでも触っていたい。 「んぅっ」 レナはかすかに漏らす。 「痛いのか」 圭一が慌てて聞く。 「……痛くないよ。むしろ──」 気持ちいい。という言葉は飲み込む。とても恥ずかしくていえない。 圭一の手がレナの胸から離れる。 「……あっ」 かすかにさびしげにレナは呟いた。 「なんか、苦しそうだからさ」 苦笑いする圭一にレナは手を伸ばす。圭一の熱い部分。もうすでに硬く そり立つ男の印に。 「えっ、おっ、おい、レナ……」 圭一は戸惑う。レナの行動に。圭一は戸惑う。柔らかくて細いレナの指の 蠢きに。己の手淫では消して得られぬ快楽が生み出される。自分の手では触って 欲しいところ。強弱がうまくコントロールできる。だけど、レナの指はそれがない。 痒い所に手が届かぬもどかしさ。予期せぬ快感が呼び起こされる。 圭一は顔をゆがめる。激しすぎる快楽は腰を引かせる。 「圭一くん、もっと触って。もっと、レナにも触って」 耳元でレナがささやく。ついでに圭一の首筋と耳たぶに下を這わせた。 圭一の体はビクンと揺れた。 手がレナの胸に向かう。もどかしげにブラを剥ぎ取ろうとする。レナは片手を 後ろに回してホックを外す。はらりと落ちる。夜気にさらされる。初めて異性の 目にさらされる。すでに乳首は固くそそり立つ。圭一は息を呑んで見つめる。 「きれいだな」 それだけ言うと屈んで圭一はレナの乳首を口に含んだ。 「あんっ」 胸の奥の何かははっきりとした快楽を伝える。唇だけではさみ、舌で舐めて 吸い付く。レナもまた、己の自慰行為では得られない快楽に翻弄される。飴の ように舐めてむさぼる。頭を振って、肩を震わせて耐える。甲高く泣く。ただ、 酔いしれて耐える。快楽の並にレナは溶けていく。 それでもレナの手は圭一を求める。布の上からさする怒張を直接さすろうとする。 下着に手をかける。脱がす。驚くほど熱く固いものが手に触れる。 「……熱い」 「──ああ」 二人はゆっくりと服を脱ぐ。残った下着は全部外す。生まれたまんまの姿になる。 「圭一くん」 「レナ」 互いの裸身を見つめあい、もう一度キスを交わす。もはや考えられるのは互いの ことだけ。圭一がレナの胸を掴めば、レナも圭一の胸の乳首を指で引っかく。 圭一がレナの首筋をキスすれば、レナも圭一の首筋を舐める。互いに互いの体を 確かめるかのようにとろけあう。 レナの乳首を舐めていた圭一はだんだんと頭が下に向かう。胸の谷間やわき腹、 腹やへそにも手や舌が這う。そのたびに声を漏らし、体をビクンと震わせた。 そして、ついにレナの秘所へと向かう。 「……圭一くん」 不安げにレナは圭一を見る。眼で圭一は問いかける。こくんとレナはうなずく。 そのまま圭一は顔をうずめた。 「あっ、あぁ、あぁっー」 ひときわ甲高くレナは泣いた。圭一の舌は若草の奥にあるレナの秘裂を這う。 すでに熱く蜜はとろとろに洩れている。舌と指を這わせる。なんともいえない 匂いがした。指がふやけるほどの熱さを感じた。小さな若芽にキスをした。 それだけでレナは今まで以上に体を震わせ、うねった。 「圭一くん」 愛しげにレナは圭一を見る。 「……レナも」 レナはゆっくりと圭一から離れて、改めてその胸にキスをする。チロチロと舌は 圭一の体を這い、うめき声を漏らす。ついにはそそり立つ怒張に口をつける。 「うっ」 それは初めての感覚だ。レナの口が圭一に吸い付く。想像できないほど。なんとも 形容しがたいほど。ただ、翻弄される圧倒的な快感が襲う。はじめは唇で吸い付く だけだった。竿の脇をキスして吸う。それだけで翻弄される。玉袋に手が這う。 背筋から快楽が走る。あまりの快楽に腰が引ける。舌も這う。竿に袋に。激しく うねる。圭一は翻弄される。息を漏らし、耐える。ついにレナは先端部を口に含んだ。 その熱さと柔らかさに圭一は息を吐いた。すぼりずぼりとはしたない音がした。 舌で先端の穴を突付かれたときには震えた。耐えられない。だから、 「なあ、レナ。俺も──」 ゆっくりと懇願する。レナはこくりとうなずいて、自分の体を圭一に重ねた。 レナの目の前には圭一の怒張が。圭一の目の前にはレナの蜜壷が。互いにさらし あった。互いに舌を這わせ、指を使った。いつ果てぬ饗宴の声を奏であう。 いつまで続いたか分からない。けど、もうたまらない。二人は再び向き合う。 「──いいのか?」 圭一の問いにレナはかすかに頷く。 「……来て、圭一くん」 二人の体は重なる。ゆっくりと。一つになろうとする。絆も。心も。体も。愛も。 一つとなって結ばれようとしていた。 「……あれ」 なろうとしていたのだが。 「……あれれ」 なろうとしてるのに。 「あれれれっ」 ならなかったのであった。 「──圭一くん。ここだよ」 クスリとレナは笑って圭一を導く。自ら手で握って、 自分のところへと誘導する。 「……じゃあ、あらためて」 少し恥ずかしそうに圭一は息を吐く。レナも緊張がとれた声で笑い、 うなずく。 ゆっくりと圭一は進む。レナは「うっ」と、呻く。とろけるような享楽の 中で突き刺す痛みを感じる。 「いっ、痛い」 思わず洩れる。圭一の動きが止まる。だから肩を掴む。 「そのまま進んで。……レナを──圭一くんのものにして」 なみだ目で訴える。痛い。だけど、このまま終わるのはもっといやだ。 だから、望む。証を。 「──わかった」 そのまま突き進む。レナは涙を漏らす。苦痛のうめきをもたらす。圭一の背中に しがみつく。爪を立てて引っかく。だけど、耐える。痛みの果てに喜びを感じるから。 涙を流しながら呟く。 「圭一くん圭一くん圭一くん……」 一突きごとに呟く、叫ぶ。二人の体は溶け合う。レナは圭一の中に。 圭一はレナの中に。ただ突き進む。ただ思う。互いの事を。いつしか 全てが白く染まり消え去った。 圭一はレナの中で解き放った。 二人は再びブランケットに包みあう。何もいわない。何もいえない。 心の奥に満足感と罪悪感が交じり合う。手が握り合う。今でも二人は一つに 繋がっている。 「なあ、レナ──」 圭一が声をかけた。その続きを言う前に、 「謝らないでね」 レナは圭一を見つめて言った。 「レナは望んでこうなったの。圭一くんが欲しくてたまらなくて。私、 圭一くんとこうなって幸せだよ。だから──謝らないで欲しいな」 レナの言葉に圭一は息を吐いて、 「そうだな。そうかもな」 と、呟く。いつだろう。決してやった事のないはずの記憶。学校の屋根での誓い。 自分の部屋でのレナの血まみれの笑顔。沸いては消えるかすかな残照。 でも、二人は一つになった。握り締めあう手が実感する。レナの体の中で実感する。 圭一の証。 二人は空を見る。星の瞬きが見えた。いつしか嵐は過ぎ去り満天の星空となった。 ゴミ捨て場で二人は一つになった。もう一度、キスを交わした。 終わり。
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北条悟史は困惑していた。 どこかへと逃避するかのように、ぼんやりと頭上を仰ぎ見る。自宅の見慣れた天井の木目が視界を占領し、吊るされた蛍光灯のチリチリした明かりが目に染みる。霞がかったように思考が働かない。 彼が一年余の眠りから目覚め、自身の努力とリハビリ、監督の懸命な治療と研究が功を奏し、晴れて診療所を退院したのはつい最近のこと。 退院する前日、監督や仲間たちと一緒に、この自宅の大掃除をしたのを思い出す。病み上がりでまだまだ体力の乏しい自分は、大した役に立てなかったのが口惜しかった。 と言っても、長い間使われていなかった割には目立った汚れも埃も無く、大がかりな作業ではなかったのだけれど。 仲間たちに聞いた話によると、沙都子が家事に勉学に罠作りに(……?)と、するべき事は少なくない中、貴重な休日を使って頻繁に掃除と手入れをしていたらしい。 ……彼女はとてもしっかり者になった。本当に。 妹と同様に定期的な注射と検診は欠かせないものの、悟史は自分でも驚くほどに穏やかな気持ちで、ずっとずっと望んでいた平凡な日常を過ごしている。 ――否、過ごしていた。つい数分前まで。 「あうあう……悟史、どうしたのですか? よくないのですか?」 「……く、ああぁっ!」 少女の声と『感覚』に、悟史は苦悶の声と共に現実に引き戻される。 悟史の目の前にいる少女の名は古手羽入。つい最近転校してきたという、沙都子の友人である古手梨花の親戚だ。 兄と共に自宅に戻った沙都子に会うために、梨花と羽入は頻繁に遊びに来る。そのまま泊まっていくのも珍しくない。 今日、いや、もう昨日か――も、親友たちと他愛の無いやり取りをして、あの頃からは想像もつかないような眩しい笑顔を浮かべる妹の姿を、悟史は微笑ましく見守っていたものだった。 ――ああ、そういえばまだ昨日なんだなあ。何だか十年くらい前のことみたいに感じるんだけど。 悟史はほとほと困り果てて、白いパジャマをまとった少女に目をやる。その姿は妹と同年代の少女にしか見えない。淡い藤色の緩く波のかかった髪、左側に鋭い傷跡の入った艶やかな漆黒の二本の角。ん? ……角? え、角?? 悟史は一瞬疑問と怪訝を表情に浮かべ、そんなものは些事だ、どうでもいいとそれを何処かに追いやる。 そう。些事だ。 別に彼が人並み外れて細かい事を気にしない性格なのではない。他の何物も霞んでしまうような――そう、平凡な日常とは程遠い状況に、現在進行形で苛まれているからだった。今の悟史なら、例えば庭に隕石が墜落しても、些事だと認識するかもしれない。彼は頭痛さえ感じながら、この現実と向かい合う。 あり得ないよな、どう考えても。 ……妹の同級生に自分の肉棒を両手で握られて、その口に先端を咥えられているなんて。 きゅうっと閉じた唇が膨らんだ先端を吸い上げて、小さな生暖かい舌がそれを突くように舐め続ける。悟史は歯を食い縛って、身体の震えと先端から溢れそうなそれを抑える。 「あぅあぅ。悟史は我慢強すぎなのです……これはどうですか?」 羽入は先ほどまで唇で吸いついていた先端を指で弄りながら、舌先を尖らせてその根元に当て、くすぐるような軽さで裏筋に沿って這い上がらせる。 「……うあっ!?」 ピリッと電気が走るような快感に、思わず身を引いた悟史の背後で、ごづっと重い音がした。続けて背中に鈍い痛みを感じる。そこで初めて彼はすぐ背後にある壁の存在に気がついた。 精神的にも肉体的にも、あらゆる意味で逃げ場がない。 だが、彼の強靭な理性と常識と精神が、このまま流されてはいけないと激しく訴えていた。 「ええと、羽入……ちゃん……っ!?」 布団を包んだシーツを引き裂かんばかりに、ぐっと握りしめて、悟史は意を決して口を開く。 「駄目だよ……っ、こういう、ことは……! 簡単に、しちゃ、だめ……っあぁ!」 再び羽入は唇を締めて、そそり立った悟史のものをぎゅっと吸い上げた。 そうして悟史の言葉を遮った彼女は、ちらりと悟史の方を見上げた視線で「何がですか?」と問いかける。 「む、むぅ……だ、って……ぼ、僕と君は……知り合った、ばかりで……」 羽入が唇を離した。唾液と先走りの混ざった粘着質な液体が、桜色の唇と先端の間に光る糸の橋をかけた。 「あう。人と人との絆を作るのは時間の長さも重要ですが、それだけじゃないのですよ?」 含蓄があるようなないような答えを返し、羽入は再び、今度は舌を強く押しつけて裏筋を舐め上げる。空いた手で袋になった部分を転がす。至福の苦しみが浮かんだ悟史の額から一筋、汗が流れ落ちた。 「それに僕は……ずっと、ずうっと前から、悟史のことを知っているのです」 ――彼女が何を言っているのか、わからない…… そして古手梨花も困惑していた。 隣で寝ていたはずの、身体は少女実年齢は熟女な相方――梨花も人様のことは言えない――が、いつの間にかいないと気が付いて起き出してみれば何ということ。その相方は、彼女の百年の親友――あるいはそれ以上の存在ともいえる少女の兄の部屋に忍び込んで、あろうことか貞操を奪っている。 襖の隙間、零れる光の向こうで繰り広げられる想像を絶する淫行に、百年の魔女も愕然とするしかない。 「は、羽入、あああいつ……なっ、何やってんのよ……!?」 喉から絞り出したような、掠れた声で梨花は相手に届かない問いを零す。 裸足の爪先に、襖から伸びる細い光の筋が触れていることに気が付いて、梨花は咄嗟に、びくりと足を引っ込める。 触れた場所から全身に如何わしい空気が染み込んでくるような、或いは光が彼らに自分の存在を教えるような気がして。 ……そんなこと、あるわけがない。 梨花は頭を振る。 クールになれ古手梨花。クールになるんだってちょっと待てこのセリフ死亡フラグじゃないか今のなし! なしなし! 梨花は激しく頭を振る。 振り乱された長い黒髪は、もはやぐしゃぐしゃだ。 て言うか取り乱す必要もない。見なかったことにすればいいのだ。そうだ、それが一番いいじゃないか。無理して止めに入っても、明日から二人と顔を合わせづらくなるだけ。ワインの飲みすぎで悪い夢でも見たのだ。 よし、そうだ。それでいこう。 長年培った経験の賜物かどうかは知らないが、梨花は良い意味でクールといって差し支えないと思われる結論を出す。 そうと決まれば話は早い、沙都子の部屋に戻って布団を被って全て忘れて眠ってしまおう。 梨花はそっと踵を廻らす。だが彼女を百年余弄び続けた『運命』というものが、そんなに親切なわけがなかった。 「ふぁ……梨花ぁ、羽入さん……こんな夜中に、どこに行ったんですの? あぁ、梨花。こんなところに……」 寝ぼけた声に振り向けば、果たしてそこには、襖の隙間から漏れる明かりに、夜闇に慣れた目を細めた沙都子の姿。 二の句が継げないでいる梨花の前で、彼女の視線は当然の如く、眩しさの源たる兄の部屋へ。 「まあ! にーにーったら、病み上がりのくせに夜更かしなんて! 何を考えているんでございますの?!」 眦を吊り上げて魔の襖に手をかける沙都子を、慌てて引き止める梨花。 「あぁっ! だめだめだめ、ダメよ沙都子ぉっ!」 思わず発してしまった彼女の声は、二つの効果をもたらした。 ひとつ、部屋の中にいる二人に、彼女たちの存在を知らしめ。 ふたつ。沙都子の好奇心は、よりいっそう部屋の内部へと向けられて。 結果、全員の思考が真っ白に飛ぶほど、常識を逸脱した状況が訪れる。 沙都子の手によってがらりと襖が開け放たれて、梨花と沙都子は、ズボンと下着を下ろして壁に追い詰められた悟史と、彼の足に跨り、彼の立派に成長した倅を口と手で弄ぶ羽入とご対面。 ……宇宙空間が辺りを満たす。そんな錯覚。 「ああああんたはいったい何やってんのよおおおおぉぉぉッ!!」 ――羽入さんが……羽入さんが、にーにーの、その、にーにーの……あのその、お、おち(ピー)を? 永遠じみた一瞬の間を置き、今度こそ絶叫する梨花と完全に石化する沙都子。ちびっこ二人の反応は実に好対照だった。 「……あぅ。見てわかりませんですか?」 「わかってても訊きたいのよッ! ってかだからこそ訊きたいのかしら!?」 頭からアホ毛を大量に生やして硬直する北条兄妹。その傍らで、半ばやけくそで喚く梨花。あうあうといつものように気弱そうにしているようで、どこか余裕な羽入神。 「いつからオヤシロ様は縁結びの神様☆から色情魔★にランクダウンしたのかしらねぇ! 人を食う鬼だって言われるのめちゃくちゃ嫌がってたのはどこの誰よあんた、立派に喰ってるじゃないのよ、ええ!?」 一体どこでそんなはしたない言葉を覚えてくるのか。完全に頭に血を登らせて猛烈な早口で捲し立てる梨花に、羽入は申し訳なさそうな顔で口を開く。 「梨花……」 「何よッ!?」 「悟史と沙都子が見ていますのです……」 はっ。 我に返った梨花の視線の先には、眼を点にして古手コンビを見守る北条兄妹。 梨花は乱れた黒髪を手際よく手櫛で整え、コホンとひとつ咳払い。にぱー★と愛らしく、微妙に誤魔化しきれない黒さを含みつつ微笑む。 「は、羽入。おいたはメッなのです。い……いけない迷子な子猫さんが困って、にゃーにゃーなのですよ? みー」 今更。梨花ちゃま今更、取り繕う。 「…………無理しなくてもいいですわ、梨花」 親友の豹変に、沙都子の驚きは少なかった。不思議そうな顔をする梨花に、彼女はジト目で呆れたように溜め息をつく。 「当たり前でしてよ。何年一緒にいると思っているんですの」 そう口にした直後、何年ってほどではないですわね?と自分の言葉に自分で首をかしげる。 ――いいえ。何年も、何十年も、一緒なのよ。 梨花は零れかけた言葉を呑みこみ、気を取り直して羽入の方を顧みる。 「羽入も。いい加減ソレ離しなさいよ、この好色神」 新たな二つ名で相方を呼ぶ。彼女はこの期に及んで、まだ悟史の分身を触り続けているようだ。 続けている、と断言しないのは、頬を赤らめた悟史がシーツで己の下半身を羽入の両腕ごと覆い隠しているからである。シーツが中で行われている様子を隠してもぞもぞと動くさまが、ひどく淫猥だった。 二人の幼女の視線が、いくら見えないとはいえ――上記の通り、ある意味、だからこそ――その部分に一点集中しているのをひしひしと感じ、悟史は持てる限りの理性を総動員させて、羽入の指の動きがもたらす快楽に抗う。 「や、やめるんだっ、羽入ちゃん……! こういうことは、その、本当にっ、大切な人と……しないと……」 顔が上気してしまうのは、もうどうしようもない。ただ可能な限り、荒くなる息を殺し、喘ぎそうになる声を呑みこみ、快感に歪みかける表情を引き締める。妹とその親友に、こんな状況で快楽を感じる人間だと思われたくなかった。 「僕は悟史のことが好きですよ? 大切に思っていますのです」 だが羽入は予想の斜め上を行く返答で、いっぱいいっぱいの悟史を更に困らせる。 「さっきも言ったのです。ずっとずっと、見ていましたのですから」 梨花の方を見やる羽入の目が告げる。知っているでしょう?と。 梨花は万感を込めて瞼を伏せるけれど、悟史はそんな事を知る由もない。何がどうしてこうなっているのか把握できないまま、絶え間なく続く羽入の攻めにひたすら耐える。 「にーにー……苦しいんですの? 羽入さん、にーにーを苦しめるのはやめて下さいまし!」 いくら純真な沙都子といえど、羽入と悟史が今している行為が何なのか全く理解できないわけではない。それでもそんな兄の必死な様子を見かねて、気丈に口を出す。 「あう、違うのですよ、沙都子。悟史は……とっても気持ちいいのです」 対して羽入は、場違いなほど満面の笑顔を浮かべて恥ずかしい事実を口にした。 「羽入ちゃ……や、やめ……」 「ななっ、何をおっしゃいますの羽入さん! ふ、不潔ですわぁー!?」 よく似た面影を持つ表情を羞恥で朱に染めながら、悟史と沙都子は口々に抗議する。 「でも僕は悟史に悦んでもらえて、とても嬉しいのですよ?」 羽入の声と表情があまりに明るくて、兄妹たちも梨花も反論の言葉を忘れてしまう。 「辛い、悲しい、嫌な事、色んなものを忘れられるくらい、気持ちよくなるのです。気持ちよくて、あったかくなるのです」 ――何も恥ずかしくも、汚らわしくもないのですよ。 微笑んだ羽入は、とても少女とは思えないほど艶然としていて、幼い響きを持つ声もまた、有無を言わさぬ柔らかい重みをもって思考の奥まで潜り込む。 そうなのかも、しれない。そんな考えが三人の頭をよぎって、徐々に染み込んでいく。 不意に、悟史の下半身と羽入の手元を覆い隠したシーツが激しく揺れる。羽入の手が、大きく上下に動いているのだ。 「っく……! う、あ……羽入、ちゃ……!」 制止を懇願する悟史の途切れ途切れの声。 羽入の熱っぽく潤んだ眼。 焦点のぼやけ始めた兄の面差し、同級生の――女の、顔。 それら全てが、思考を溶かす霧のようなものを醸し出し、辺りを支配していくような気がする。 沙都子は二人の姿を交互に見つめて息を呑む。身体のどこかで何かがチリチリと音を立てている。火で炙られているように、心のどこかが赤く焼け始める。兄の様子は依然として苦しそうなのだけど、気持ち良さそうに、見えなくも、ない。 こくん、と沙都子の細い喉が小さく鳴った。 「もう、わかったから! そういうことは誰にも見つからない場所でやって頂戴よ! あんた、私はまだしも、沙都子を幾つだと思ってるのよ!?」 大切な親友が何かに目覚めるのを阻止するかのようなタイミングで、今まで場の雰囲気に呑まれていた梨花が我に返る。 「忘れるのよ……じゃない。忘れるのですよ、沙都子。何も見なかったことにして、寝ちゃいましょうなのです!」 あぅあぅと言い淀む羽入を尻目に梨花は沙都子の手を取るが、彼女の小さな腕は彫像のようにびくともしない。 「……沙都子?」 不安そうな梨花の声と視線を感じながら、沙都子もまた戸惑っている。 梨花の言う通り、今すぐこの異常な光景に背を向けて、兄の部屋を立ち去ってしまいたい。そうした方が兄にとってもいいのだろう。でも、いや、しかし…… 「ごめんなさいなのです。僕のにんしきがあまかったのです」 迷い続ける沙都子の傍らで、梨花に叱責された羽入が肩をすくめる。 「やっぱり、いくら悟史のためとはいえ、こういうことは、僕以外の誰にも出来ないことなのでしょうし……」 「そっ……それは聞き捨てなりませんわ!」 悟史のため。誰にも出来ない。という沙都子の琴線に触れる言葉が、燻っていた彼女の心に火をつけた。 羽入は純粋に謝罪したつもりだったのだろうが、逆効果。 「こら沙都子落ち着くのよ、あなたはこんなこと、知らなくていいのです! 羽入も余計なこと言わない!」 慌てるあまり白黒入り混じった梨花の発言もまた逆効果だった。子供扱いされる事を嫌う沙都子はますます意地になる。 「馬鹿にしないで下さいましっ。に、にーにーのために私が出来ないことなんて、何もありませんのでございますわぁ!」 他人に出来て自分に出来ない事などあるものか、と顔を真っ赤にしながら高々と宣言し、兄に向かって突進する沙都子。 今までずっと、自分の分の苦しみを背負ってきた兄。自分が弱くて堪え性が無かったばかりに負担を強いてしまった兄。 ようやく帰ってきてくれた愛する兄のためになることならば、自分は何だって出来る。その一念が彼女を突き動かす。 「――ってそういう問題じゃないからあぁ!?」 悟史の真っ当な指摘は妹に届かなかった。 沙都子は勢いよくシーツをめくり上げ、羽入の手から、兄の、その……いわゆるオットセイ☆を奪い取る。 幼い掌の中にあるソレの、生々しい体温の熱、どくどくと脈打つ感触、浮かび上がる血管の淀んだ青色、そして初めて目の当たりにする造形。 …………これは……これが、にーにーの…… 真っ白に硬直する沙都子の脳天に、ずどん、とキノコ雲が立ち上る。その不吉な形状はブロッコリーを彷彿とした。いや、カリフラワーかもしれないが。全くもって本当にどうでもいい。 「沙都子、いけない。こんなことは、駄目なんだよ……! 早く離れるんだ、いい子だから」 ……ああまた兄が心配そうにしている、と沙都子は頭を振って硬直と混乱を振り払い、怖気づいた自分を叱咤する。 落ち着くんだ、うろたえている場合ではない。兄のためならば何でも出来るとさっき考えたばかりではないか。 「……だって、にーにーは、その……悦んでいて、気持ちいいのでございましょう? 私にだって、お手伝いはできましてよ。馬鹿で忍耐を知らずに、にーにーに迷惑をかけてばかりだった、昔の私とは違うんですの!」 「さ、沙都子が、気にすることはないんだってばっ……!」 他にも色々と――それはもう色々と言いたいことはあったが、悟史の口から咄嗟に出たのはその一言だった。 「僕は……迷惑とか、負担とか……そんなこと、全然、思ってないから……!」 「嘘ですわっ」 一刀の下に切り捨てられて、悟史はぐっと言葉を詰まらせる。ずきりと心臓を掴まれたような痛みが走る。 断言した沙都子に気圧された――わけでは、なかった。本心の中に見え隠れする、偽りに。 「たとえ本当に、にーにーがそう思って下さっていたとしても……この私自身が納得しないんですの」 確か、羽入さんは、こんな風に…… 悟史の葛藤を知ってか知らずか。沙都子はぎこちない手つきで、握りしめた手を上下に動かし始める。 どくんと別の生き物のように跳ね、熱く膨れた頭の部分に掌が触れ、その根元のくびれた場所でずるりと何かが滑る。先端から滲み出る液体が指に絡む。その度に少女の手が戸惑いに震えるが、彼女は屹立したそれを離そうとはしない。 固く立ち上がって敏感になったものを、小さく柔らかな指と掌が撫でるように這いずり回る。おっかなびっくり、といった動きが、くすぐるような、もどかしい、じれったい、微量の電流が走るみたいな快感を生み出す。 「私、大人になるんですもの……絶対、にーにーを満足させてみせますわ……!」 だからどこで満足なんて語彙を仕入れてくるのか。この少女たちを小一時間問い詰めるべきなのだろうか。悟史はむず痒さに似た快楽から逃避するように、愚にもつかぬことを考える。 そうして逃避する兄の態度が気に入らない沙都子は、攻めを強めようとするが、当然、性の経験などありはしない彼女には、快楽を引き出そうとする以前に何をどう弄り、どう動かすのか皆目見当もつかない。馴染みのない肉棒の熱や体液の感触に対する恐れと焦りも手伝って、手の動きが余計にぎこちなくなっていく。 「ふ、ふわああぁ……」 沙都子の瞳に涙が浮かぶ。躍起になって分身を弄り続けながら、ぐすぐすと泣き声を零し始める妹を慰めるべく、悟史は思わず現状を忘れ、半ば脊椎反射の如く彼女の頭に手を伸ばす。 が、するりと猫を思わせる動作で沙都子の隣に滑り込む梨花の身体に遮られ、悟史は手を止める。 「……みぃ。沙都子、ボクも協力しますのです」 この異常な状況もどうかと思ってはいたが、梨花もまた、沙都子の涙を見るのは何より嫌だった。 彼女は気だるげな短い溜め息をつくと、自らの艶やかな黒髪を一房手にして、あろうことか、じっと耐え忍ぶように小さく脈打ちながら震える悟史のものに巻きつける。 兄妹は呼吸も忘れてその様子に目を奪われた。 「わかるですか? 沙都子。いつも触っているボクの髪なのです。少しは怖くなくなるはずです」 沙都子の手が、更に小さな梨花の手に掴まれて、改めて黒髪に包まれた悟史の分身へと導かれる。 お風呂上りにバスタオルで互いの髪を拭き合ったり、朝の身支度の際に櫛で整えたりと、共に生活する中で幾度となく触れた親友の髪。微かな風にもさらさらと流れるように揺れる真っ直ぐで綺麗な髪の毛を見て、沙都子はふわふわと癖のある自らのそれと比べては羨ましく思ったものだった。 その、梨花の、梨花の美しい黒髪が…… 沙都子は茫然とした、どこか恍惚とした表情で、それを握る手にそっと力を込める。 生まれて初めて経験する兄の熱と、憧れつつも馴染んだ親友の毛髪の滑らかさが混じり合った、背徳的な手触りだった。 梨花は、ゾクゾクとした高揚が己の背筋を駆けあがっていくのを感じていた。毛髪に神経が走っているわけでもないのに、自分の身体に沙都子と悟史の体温が伝わってきていると錯覚してしまう。 梨花のサラサラした髪と、同じく梨花とそして沙都子の柔らかな幼い掌が重なり合って、屹立した悟史のものを扱く。 「り、梨花ちゃ……君まで、何を……!」 悟史はもはや抵抗する気力体力どころか、制止を呼びかける言葉さえ満足に出てこない。 二人の手が動く度に、自身の表面に絹糸のような毛髪が擦り込まれ、傘状の先端を擦り、皮の隙間に潜り込んでと、特に敏感な部分を的確に責め立てられて、骨まで砕けるような快感が与えられ、その代償に全身の力を奪い取られ――そして、下腹部に溜まった劣情が刺激される。 「や……やめっ……!」 悟史は固く目を瞑り、煩悩を追い出さんとばかりに激しく頭を左右に振る。あるいは後頭部を壁に擦りつけた。 全てを投げ打ってでも守り抜こうとした幼い妹と、妹をずっと癒してくれたその親友の少女に、ソレをぶちまけるなんて ことは間違ってもあってはならない。 あってはならないと、思っているのに……! こんなのはおかしい、絶対に駄目だ、沙都子は大切な妹で、梨花は妹の友でクラスメイト、二人とも年端も行かぬ少女で――悟史は擦り切れて崩れ落ちそうな理性を限界まで奮い立たせ、膨れ上がって溢れそうな劣情に様々な言葉で蓋をする。 「平気ですのよ? にーにー。にーにーに関わることで、わたくしが嫌いなものなんて、ありませんの」 「……仕方ないわね。付き合ってあげるわ」 二人の言は悟史の耳に届かない。 悟史の意志さえも押しのけるように、先端から溢れて滴り落ちる先走り液が、懸命に擦り上げる沙都子の小さな指や、巻きつけられた梨花の黒髪を容赦なく汚していく。 女性の命とも称される髪が、男性の象徴そのものたる存在を包み、その分泌物に塗れている。 悟史だから――沙都子を守るために百年休まずに戦い続けた悟史だから、梨花の許しを得られるのだ。もしこれが……彼女の大切な少女の手が触れていて、彼女の自慢の髪を汚しているのが他の男のモノだったなら、祭具殿から鎌を持ち出して、根元から切り落としてやりたい衝動に駆られていただろう。梨花にはその自信があった。 沙都子の柔らかな掌が髪の束ごと竿を揉みこむ。梨花の指先が先走りを含んで固まった髪の毛を先端に擦りつける。 じゅくじゅくと淫猥で粘着質な音が室内に響いていた。 「うあ、あ、あぁ……!」 激しい快感と苦悶に追い詰められて、悟史の口から悲痛な声が漏れる。少女の掌が、指が、髪が、悟史の男性に絡みついて握り締めて擦り上げて、理性と倫理と忍耐をボロボロに溶かしていく。 駄目だこんなの、おかしい、ああどうして、駄目だって、駄目だって言ってるのに―― 「――ッ……!!」 我慢に我慢を重ねた果てに、声にならない叫びをあげて、悟史は決壊する。 二人の手の中で彼の分身がビクンと大きく脈打つ。大きく後方に反った背中と後頭部が、衝撃と共にまともに壁とぶつかるが、痛みを認識する余裕はなかった。 それでも悟史は僅かに残った気力と理性を掻き集め、蓋が弾け飛ぶように先端から飛び出した白濁から沙都子と梨花を守るために、己の先端へと手を伸ばす。 最初に感じたのは熱さだった。遅れて、ゼリー状に固まった塊のぬるっとした不快な粘りが掌に飛び散る。 それでも、彼の手指をすり抜けた飛沫が、二人の無垢な頬を汚してしまう。 「あ……何てこと……!」 悟史は慌てて彼女らの顔を汚すものを拭きとろうと手を伸ばそうとするが、今現在最も白濁に汚れている自分の手でそれを実行したら惨事が広がるだけだ。そもそもまだ放出が終わっていないため動くことが出来ない。 「あぅあぅ。とっても気持ちよかったという証拠なのです。二人とも、よく頑張ったのですよ」 羽入が沙都子の頬についた白濁を指で掬い取り、赤い舌で舐めとって微笑んだ。無邪気とも妖艶ともいえる顔だった。 「ふわぁ……熱いの……にーにーの、凄いですの……あぁ、梨花ぁ、羽入さ……私、やり遂げましたの、ね……」 支離滅裂なうわ言を零しながら、精液の熱さと匂い、達成感と未知の感覚に溺れる沙都子の意識が闇に沈む。 糸が切れた人形のようにくたくたと脱力する沙都子の体を、梨花がしっかりと抱きとめた。 「沙都子は梨花に任せて大丈夫なのです。あう……悟史はまだ、物足りなさそうなのですね」 愉しそうな羽入の言葉に、カッと悟史の頭に血流が昇っていく。 彼女の言うとおり。不本意の内に発射され、目の前にいる二人にかかってはいけないと、これ以上ないほどの快楽に抗い、抑えていた欲望の塊がまだ下腹部に残っているような感覚はしていた。 「言ったはずですよ。恥ずかしがることなどないのです。僕が……今すぐ、楽にしてあげるのです」 何も言うことができずに俯く悟史に対する羽入は、あくまで優しい。 ズボンを脱いで、パジャマの上着だけになった彼女は、いつの間にか再び悟史の上に跨っている。 硬さを残した悟史の分身と羽入の入り口が触れ合い、くちゅっと粘性のある音を立てた。 ――まさか。 この期に及んで止めようとする悟史が口を開く前に、その手を振り切って、羽入は慣れた動作で竿を掴み、それにあてがうようにして腰を落とす。 華奢な指先が肉棒を擦り、充分に潤った柔らかく熱い羽入のそこが、悟史の先端をぬぷりと包み込む。 それを受けて高度を増すモノを、彼女は一気に咥えこんだ。 ずぷずぷと音を立てながら、先端から亀頭、肉棒の半ばから根元と、熱く滑った胎内が悟史を包み込んでいく。 やがて全てを呑み込んだ羽入が、ふぅと小さく息を整えて、ゆらゆらと緩慢な動作で体を揺らし始めた。 「う……あ……あぁああぁっ!?」 羽入の落ち着きとは正反対に、悟史はきつく目を瞑って喉から悲鳴じみた喘ぎを絞り出す。 彼女の様子は、ゆっくりしているように、見えるだけ。その実、彼女の内部は悟史のものをみっちりと強く締め付けながら、ざわざわとうねり蠢いて激しく擦り上げてくる。 見た目の静かさと内部の激しさのギャップ、何より想像を絶する感触に、羽入の中に収められている肉の塊が更に硬く膨らんでいき、それと共に羽入の心身もまた昂ぶっていく。 「あぅ……ああうっ、悟史……いい、いいのですよ……っ、一緒に……一緒にっ、行きましょう、なのです……」 両手を床について、彼女は前後左右に腰を動かし始める。膣壁自体の蠢きに根元から揺らされる刺激が加わり、悟史の分身も精神もドロドロに溶かされて、それでいて、どくどくと痛いほど大きく脈を打つ。 「う……うわ、あぁあ……!」 悟史の腰に跨っている状態から素早く膝立つ上下運動を何度も繰り返し、波打つ襞で熱く屹立した悟史のものを扱く。 妹とさして変わらない年齢に見える少女の尋常ならざる腰と膣の動きに、悟史の精神は急速に何処かへ向かって引き上げられていく。精神が、思考が、魂までもが、真っ白く溶けるのを通り越して引き裂かれて千切れるのではないかという錯覚さえ起きる。その錯覚を認識できたかどうかすら怪しい。 「あうあう、あぅ……そう、そうなのです、悟史、あぅ、あぁあっ……もっと、もっと大きく、もっと硬くして、なの、ですぅっ……!」 ぐちゅっ! ずちゅっ、ぐじゅ……羽入が動く度に、結合部からおびただしい量の蜜と先走りが混じった液体が溢れ、部屋中に響き渡るほどの派手な水音が立っていた。 焼けつくような柔らかな襞が敏感になった自身を握り締めてきて、溶けて混ざり合ってしまいそうな蜜がぬるぬると絡みつき、全てを絞り取られそうな妖しい蠢きが絶えず悟史を責め立てる。 気持ちいいのか恐ろしいのか泣きたいのか、もう自分を支配する感覚が何なのかすらわからない。 「あぅあぅ……いいのですよ、悟史……このまま、いっぱいいっぱい、出していいのです……」 何がどういいんだそんなわけがないと、反応する余裕も正常な思考も、もはや彼には残っていなかった。 「あ、あ……もう、っ……出る……!」 びくん、と目の前の少女の中に咥えこまれた分身が大きく震えるのを感じた。先端から迸る欲望の流れが、ぎゅうぅっと一際強く締めつけてきた羽入の胎内に、文字通り絞り取られる。 「あぁぁうっ! は、あ……でて、出ているのです……僕の、僕の中に……熱いのが、いっぱいっ……あぁあっ! すごい……すごいのです、あぁ、僕の中に……!」 膣壁がひくひくと心臓の鼓動に合わせるように収縮を繰り返し、脈打つ肉棒にまた刺激を与える。 一息つくことも、余韻に浸ることもせず、羽入は再び取り憑かれたように猛然と腰を動かし始めた。 「あ……そんな、っ……もう……うあぁっ!」 「あ。あぅ、あぁ……あは、ああぁ……僕、僕は……あの人以外の、を……中に……あの人じゃない人と、している、のです、ね……あぅ、ぁ……」 羽入は夢中で悟史を貪っている。 快楽を貪る姿は、まるで本能のままに行動する獣みたいだ。 「あぁっ……あの人がっ、あの人が、悪いのです……あぅ、あうぅ……言ったのに……」 ぽろぽろ、ぽろぽろと、激しい水音に紛れて消え入りそうな声が零れ出す。 ぐじゅぐじゅと蜜と先走り液、更に先ほど膣内に流し込まれた精液が、泡立つほどにかき混ぜられて、羽入の秘部から太腿へと伝い、悟史の体に落ちていく。 情欲に濡れた眼差しが、遠く虚空を覗き込んでいた。 「また……会えるって、必ず、会いに、あぅ、来てくれるって……僕を、あぅあ、あ……見つけて、くれるって、あぁ、い、言った、のに……」 踊るように跳ねる羽入の体。白い肌に光る汗が飛び散って、淡い藤色の髪が流れ、傷の付いた漆黒の角が艶めく。 貪っている。本能を、情欲を、快楽を……人のぬくもりを。 獣みたいに。とても、とてもきれいな、獣みたいに―― 「ぼ、僕を、こんな……こんなに、待たせて……っ、あっ、ああぁ、あぅっ……僕を、こんなに……寂しくさせて……! あぅ……あ、ああぁっ!」 ――寂しい。 その一念で、娘の面影を持つ少女のために繰り返した、昭和58年の初夏。 似通った日々、同じような時間を、何度も通り過ぎても結局は救えなかった人がいて、幾度同じことがあっても、一度も逃げ出したりはしなかった人がいた。 少しでも、それを癒し労うことが出来るなら、そうしたい。 仲間たちの中でも、生涯を共にしたいと誓い合った人がいる彼女は、人の温かさとその心地よさを誰よりも知っていた。 そうでなければ、縁結びの神様になんてなれはしない。 でも、それを教えてくれた人は、もう傍にいなくて。 その温かさ、心地よさを知っていればいるほど、求めれば求めるほどに、手を伸ばしても届かない現実に愕然とする。上れば上るほどに、落ちる時の高さと痛みは増すのだ。 長い百年を耐え抜いた人に温かさを与えようとしながら、羽入は自らが失った温もりを思い出して押し潰される。 あの頃を知る者は、彼女以外に誰一人として存在しない。彼女のささやかな幸せを刻んだ日々は、今ではあまりにも遠すぎて、秘密にすらなれない古ぼけた記憶。 身体に残る温かさも心に残る思い出も、掌に掬った砂が指の隙間から零れ落ちていくように、時が進むにつれて無情にも流されて、その喪失と恐怖は身を切り刻み心を引き裂いてゆく。 どんな事があっても、家族と呼べる人のために戦い続ける強さは、いったいどこで手にいれられるのだろう。 ……触れることで分けてもらえるなら、そうしたい。 百年の絶望を抜け出しても尚、羽入の千年の孤独はまだ続いていく。 己の決断と責任を忘れたわけじゃない。彼女はわかっている。でも、それでも願ってしまう。 待っているから。諦めないから。もう一度会いに来て、連れて行って、独りにしないで。 ――僕を…… 悟史は羽入の、無音の声を聞いたような気がした。 そして、こんなことが前にもあったような気もして、彼は彼女をそっと抱き寄せる。 羽入の事情は知らない――知るわけもないけれど、もしも、誰かに届けたい思いや受け取りたい願いがあるなら。 あるなら、 ……大丈夫。 きっと大丈夫だから。 自分でも自分の言っている意味がよくわからないまま、悟史は彼女に囁いた。 悟史の上に跨った羽入が大きく体を震わせる。 「ああっ、あぁ……僕は……僕、は……あ、ああ、あああぁぁぁ――!」 羽入は悲鳴をあげて背中を反らし、遙か彼方へと意識を飛ばす。 絶頂を迎えた声は、慟哭に似ていた。 そのまま気絶してしまい、ぐったりと倒れ込んでくる羽入の柔らかな体を、悟史は連続した射精に体力を削り取られ、肩で息をしながらも優しく抱きとめる。 歴戦の妖婦のように自分を激しく責め立てていた女とは思えない程、小さくて軽い体だった。 タオルで体を拭き、着ているものを整えてあげて、勿論自分の服装も整えて、足元に敷いてある自分の布団に沙都子と並べて寝かせてあげる。 先ほどまでの乱れぶりがまるで嘘のような安らかな面差しだ。隣の沙都子もまた無垢な寝顔を見せていた。 ……むぅ。そういえば僕はどこで寝よう。 急激に冷え込んだ空気に、悟史はくしゃみを一つ。 「……ありがとうなのですよ。悟史」 「え?」 不意に口を開いた梨花の意外なセリフに、悟史は驚いて彼女の方を顧みる。 「羽入に付き合ってくれて。ありがとうなのです」 梨花は、布団に横たわって静かな寝息を立てる親友と相棒を、限りなく温かな眼差しで見守っていた。何事にも淡白な彼女にしては珍しい表情だと悟史は思う。 「でも、悟史はお人好しなのです。度が過ぎるとおバカさんなのです。みー」 茶化した口調だけど、微塵も笑っていない梨花の表情を見て、おかしいよね、と前置きして、悟史は今言っておいた方がいいように思えた、とある事を話し始めた。 去年の綿流しの祭りの数日後から、一年間眠り続けていた自分。 意識は全く無かったし、夢を見ていた記憶も無いはずなのに、本当は、もっともっと長い間眠り続けていて、その間に沢山の人たちの沢山の声や言葉を聞いた。それが誰だったのかもどんな内容だったのかもわからないけれど、沙都子や仲間たちを始めとする、近しい人々だった……そんな気がする。 妹や仲間たち、故郷を大切に思う気持ちは紛れもなく本心で、偽りはない。でも、全く恨んだことがないかと問われれば、答えは否だ。間違いなく。 けれど、その眠り続けた長い時間に通り過ぎていった、様々な声や言葉があまりに悲しく痛々しくて、一生懸命で。 だから次第に……「もう大丈夫」と、聞こえる声に答えを返すようになっていった。 もういい。もうそんなに、苦しまなくてもいいから。 少なくとも自分は、もう気にしないから、と。 そうして彼は戻ってきた。このひぐらしの鳴き止んだ季節の雛見沢に。 「やっぱり、貴方はお人好しよ」 悟史の話を一通り聞いた後、ふいっと梨花は顔をそむける。 むぅ……と黙りこくる悟史。 「……でもボクは、あなたが嫌いではないのです」 小さな小さな、梨花の呟き。 つくづく他人に甘い男だ。そんな話を聞いたら、またひとつ愚かな魔女の心が軽くなってしまうではないか。 悟史に義務付けられたのは、末期発症の果てに入江診療所の地下に沈む運命。 百年以上にも渡る時の繰り返しの中で、悪戯に沢山の人を見捨てたと思っていた。 それでも貴方は……その眠りを、無駄じゃなかったのだと言ってくれるのね。 見あげた梨花の視線の先には窓があって、少しだけ滲んだ月が、静かに闇夜の中に浮かんでいた。 もう運命を賽に例える魔女ではないけれど、でも、願ってる。 悟史が心安らげる誰かと巡り合えるように。 ひょっとしたら、もう巡り合っているかもしれないその人と心穏やかに生きていけるように。 そう、彼の行く先にどうか6の目を。 「――って……強引にちょっといい話っぽく纏めてお終いと思ったら大間違いよ! このエロリ神ーッッ!」 「あ、やめるのです梨花、あ、あ、辛いのはイヤイヤなのです梨花ぁぁあああうあうあ゛ーーー!?」 (了)
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「勘だ――――」 たった三文字の言葉なのに、私の心は大きく揺れ動いていた。 少し前まで組んでいたはずの腕も、いつの間にか離れていて、前原圭一は私の目をえぐるような視線で対峙している。 親族でさえ私と姉こと魅音の区別を明確にすることはできない。 幼い頃から『入れ替わることを茶飯事に行っていた私たち』なのだから、癖だとか仕草さえ同一なはずなのだ。 確かに私は二年弱の牢獄ばり学園生活――実体験からの比喩だから笑えてくる――を送ったし、魅音と言えば鬼婆のもとで、次期頭首としての教育を受けたのだろうから、空白の時間が生まれているのも事実だ。 だからと言って、雛見沢に戻ってきてからの一年間で、入れ替わりがバレたことは一度もないのに加え、この圭一と言う男はまだココにきて一ヶ月と言っていなかったか。 ある意味強固な自信とさえなっていた姉との入れ替わりが、『勘』なんて言う不明確な理由で看破されたことに、私はただうろたえるしかない。 ぎりっ、と歯ぎしりの音が頭に響く。 扉一枚の向こうには、この男に病みつきとなっている姉が居るのだ。今の前原圭一が存在する以上、姉は前原圭一のことだけを考えるようになるだろう。 口先八丁で、妙に仲間を強調し、部活の罰ゲーム常連のこの男に、姉は一層のめり込むだろう。 それを私は許してはいけない。 魅音と詩音が限りなく近い存在だからこそ、ミオンとシオンに狂いがあってはいけないのだ。 今回の場合正しいのは明らかに私。悟史くんはずっと雛見沢に住んでいるのに対し、都会から来た余所者に魅音が恋心を抱くのは困る。 周囲の人……、それは園崎家を含めてだが、私まで彼に恋愛の感情を抱いていると勘違いされかねない。 絶対に崩れていけない牙城を守るためなら、私は前原圭一を排除することさえ躊躇わない。絶対に。何が起きようとも。 圭一は不思議そうな表情を浮かべて、黙りこくった私を見つめていた。 くそ、これもだ。 この悟史くんと共通するような仕草の一つ一つが、私の感情を逆撫でにする。 何も知らないくせにすべてを知っているような行動。 知ったかぶりなら否定できるからまだしも、本当に知らないのだからタチが悪い。やり場のない怒りとはこのことだ。 とりあえず私は、姉に前原圭一が魅音と詩音の区別をつけることが出来る、なんて最高級の好材料を提供するわけにはいかない。 元々このぬいぐるみを買ってほしい、なんてのは話の流れで生まれたものだ。 スルーしたって圭一に問題が生じるわけではないだろう。 「へぇ……、圭ちゃんがそんなシックスセンスを持ってるなんて知りませんでした。私もおちおち圭ちゃんの前で、悪いことは出来ませんねぇ」 ぬいぐるみが並ぶショーウィンドウから離れつつ歩き出す。 圭一にとって『魅音と詩音の区別』は、それほど大きな事項であることに気づいていない。 会話に引き入れつつ無かったことにするのが得策だと判断した。 「おい、詩音。お前まさか魅音になりすまして、とんでもないことしてないだろうなぁ」 圭一は苦笑するような口調で私に返答する。きっとダム戦争時代の凶行がバレているのだ。 あの時は確かに姉を頻繁に使わせてもらった。 今でもそんなことをされては、圭一もおちおちと…………。 あれ……、私は今どう言う思考をしようとしたのだろう。 落ち着いて……冷静に……クールになって、いつもの詩音になって考える。 圭ちゃんは、詩音と魅音が違っては何か困ることがあるのか? 圭ちゃんが、詩音と魅音で対応の仕方が違うのか? こんなにも似ていて、同じと言ってもおかしくないほどの双子なのに、前原圭一はシオンとミオンを別個にする必要がある? 疑心暗鬼の渦がうごめいているのがわかる。 頭の中で前原圭一と園崎魅音が浮かび、消え、浮かび、消える。 腹立たしかったのは浮かぶのも消えるのも、常に二人は一緒だったことだった。 六月二十二日。教室には空いた席が四つ存在していた。 都会に居た頃とは比べものにならない濃密な時間。 俺にとって都会で過ごした十数年よりも、はるかにこの一ヶ月が重要な役割を占めるに違いない。 そしてその時間を作ってくれた大切な部活仲間(メンバー)。 その一人たりともこの教室には居なかった。 クラスの中心となっていたあいつらが居なくて、綿流しから数日経っていない、と言う事情。 この二つで充分、もう彼女らに会えないことが分かってしまう。 クラス中の子供たちが時々すすり泣くのも、当然これが原因であろう。 だが――――、俺にはまだかすかな希望を信じて、決して泣くことはしない。 まだ俗に言う『鬼隠し』など認めてたまるものか。 鬼に隠されたのなら、その鬼から何が何でも連れ戻してきてやる。 またあの『日常』を取り返すのだ。 スリルなどいらない。 変調も厭だ。 事件にも拒否権を行使する。 この『オヤシロ様』と言う盾を使った、すべてにケリをつけてやる。 終業のベルが鳴った。いつもなら隣にレナと魅音が居て、校門の所で沙都子と梨花ちゃんに別れを告げる。 他愛もないことで会話が盛り上がり、水車小屋で魅音と別れる。 週一ぐらいでレナの宝探しに付き合い、どちらにしろ夜となる前に帰宅する。 もう教室を離れたときから『日常』と乖離している。剥がれたモノはまたくっつけるんだ。 隣に誰も居ないまま俺は園崎家の正門に来た。 『日常』に帰られる方法があると言うなら、唯一ここに居る筈の鬼が知っているだろう。 しかし鬼に隠された……か。 魅音の字を指で手の平に書いてみる。 確か魅音のばあさんは『お魎』と言うらしいから、園崎には鬼がつきやすいのだろうか。 だけど詩音には鬼の字が入っていないし……。 帰ってきたら魅音に聞いてみよう。帰ってきた後のことを考えるのは希望になるってもんだ。 覚悟を決めた俺は呼び鈴を押す。俺の耳にも響くような大きな音が、門の奥から聞こえてくる。 砂利を踏みしめる静かな音が大きくなってきた。 一歩一歩踏みしめるかのように、ゆっくりと音が近づく。 そして音が止み、代わりに蝶番を外す音。 息を大きく吸って、門が開く様子を俺は直視した。 「前原圭一さんですね……」 想像していたのとは違う、落ち着いた声が耳に届いた。 門から現れたのも、俺の記憶にはない園崎家の人。 でも母親と言う割には、魅音や詩音との類似が見当たらないし、お魎とか言うばあさんにしては、若すぎる。 加え、俺みたいな若造に敬語を使うあたりも、失礼になるが園崎家にあり得ないように思えた。 「こちらへどうぞ」 俺の返答も聞かず、その女性は俺に付いてくるよう促す。 広い敷地内を歩く間、魅音はばあさんと二人暮らしをしていることを思い出し、使用人がいるとも言っていた。 思い出して改めて見ると、確かにあの落ち着いた様や、丁重な振る舞いにも納得がいく。 「そうなると、魅音は俺が来ることを……」 その思考に到達した所で、使用人の女性はある部屋の前で止まり、正座で正対しながら静かにふすまを開けた。 開けて本人は入らず、俺に一礼をし、俺の横を通り過ぎ戻っていく。 ここに魅音が居ることは、いかに鈍感と呼ばれる俺でも理解できる。 もう深呼吸する必要はない。覚悟は既に決め、腹もくくっている。 開かれているふすまを更に開けて、俺は部屋へと入った。 想像通り、緑色の髪を後ろでくくった魅音がそこに居た。 部屋にあるのは布団だけ。その布団の中で魅音は静かに眠っていた。 眠っている魅音に近づき、膝をついて魅音を眺める。 本当に静かだ。正直いびきのひとつでもするもんだと思っていたが、明らかにこの魅音は園崎家次期頭首の顔。 その顔に俺は指をそえる。こめかみからゆっくりと頬へ移動させ、細い顎のカーブを描き、唇で指を止める。 瞬間――――、ぴしっと俺の頭を電流が駆け巡った。 根拠がない。理由がない。原因も見当たらない。 それでも――――、俺は確信した。 静かに瞼を開ける…………『園崎詩音』を俺は見つめる。 「悟史くん…………?」 悲しい韻と共に、静かな崩壊が始まったのを俺は直感したのだった。 「あぁ、そうだよ、詩音」 魅音であるように振る舞う詩音。悟史のように振る舞う俺。 お互いに擬態している二人の目線が一致する。 俺はレナや梨花ちゃんから聞いた悟史の記憶を掘り起こし、詩音の頭をそっとなでてやる。 詩音の口から息が漏れて、耳たぶまで顔が紅潮した。恥ずかしいからなのか開いたはずの目も閉じられている。 構うこともなく、だがあくまでも優しく詩音の頭をなで回す。 さすがに恥ずかしさの限界に達したらしく、俺の腕を掴んで引きはがそうとする。 引き……はがそう……と…………? 万力にかけられたように腕に痛みが走った。両の腕でがっちりと掴まれた俺の腕を、詩音は離そうとしない。 圧迫して押しつぶすかの如く、詩音の手から痛みがダイレクトに伝わる。 必死に俺の方から脱出を試みる。それでも同年代の女の子に、俺は完全に力で主導権を握られていた。 予感がした時には、もう遅かった。 詩音の目は 完全に イカれていた。 「オマエ ハ サトシクン ジャ ナイ」 断定をこめた――――違う、断罪をこめた音声が脳を揺るがした。 揺れ動いた脳がピンボールにでもなったのか、急に視界が暗闇に染まる。 だが、その暗闇も一瞬のこと。すぐに意識が、痛みによって引き戻された。 バキッと派手な音を立てて、手首の方向が明らかに異常な方向を向いている。 「あああああああっっ!」 躊躇もなく俺の手首は破壊され、万力から解放されたのを感じ、俺は畳を転げ回った。 右の手が全く動かない。 いつもなら動くはずの『自分自身』が動かないと言うのは、なんとももどかしい感覚だ。 どうあがいても収まらない痛み。転げ回っていた目線の先に、白い靴下が映る。 鬼……。名前など所詮は人の決めること。園崎に流れる血には、やはり鬼が存在するのだろう。 瞳は絶対零度まで下がってるかのように、俺と言う存在を視線で否定する。 その目が――――、俺のすべてを否定する。 「圭ちゃんかぁ――――、うくくくくく、どうしたんですか、こんな要塞みたいな所に来て」 詩音が俺の横っ腹に蹴りを入れる。ためらいもない攻撃は体に大きく響く。 「寝て、いる、わた、しに、なに、しようと、したん、だ」 同じ場所を何度も何度も蹴り上げる。逃げようにも後ろは壁だ。 右手が使えないため、片手でカバーするにはあまりにも蹴られる場所が多すぎる。 ただただ攻撃を喰らい続けるだけの、あまりに試合にならない格闘技戦だ。 「やめ……ろ……詩音……、お……おねっ……お願いだ」 蹴られるたびに俺の懇願も遮られる。何度も何度も同じ言葉を俺は繰り返す。 何度も何度も何度も何度も何度も何度も俺は謝罪し、許しを乞う。 「寝取る……って言うんでしたっけ。 無理矢理寝ている子をレイプするのって。 不法侵入に、嘘ついて、強姦ですか。――――最低だよ、圭ちゃん」 違う、俺は違う。 ここに本当は魅音が居るはずで、その魅音を問いただして、レナの居場所を吐かせるつもりだったんだ。 なのに――――、なんでこんなことに…………。 詩音が俺に攻撃するのをやめて、俺と顔を近づけるようにしゃがみこむ。 強引に胸ぐらを掴まれて、鼻先が触れ合う距離まで顔を近づけられる。 度重なる蹴りの応酬で、俺の息が途切れ途切れになるまで疲弊していた。 「ほら、お望みのものですよ」 混乱の渦を巻く頭に、また新しい渦が追加された。 何が何だか分からないうちに、俺の顎を指でつねるように詩音は固定した。 そして隙間が数センチしかなかった俺の唇と詩音の唇を乱暴にくっつける。 「――――――――っ!」 唐突すぎる詩音の行動に、俺の思考は一気にフリーズした。 歯と歯がぶつかり合い、詩音の舌が俺の口腔を咀嚼しようと侵入してくる。 この状況の打破が最重要とした俺は、どうにか動く右腕の肘で、詩音を突き飛ばした。 俺の右腕は動かないもの、と詩音は思っていたのか、肘撃ちが綺麗にヒットする。 それによって俺と詩音には、一メートル弱のスペースがまた生まれた。 逃げることも考えたはずだが、俺の冷静じゃない頭は詩音との会話を優先させた。 「詩音――――、お前」 「気安く呼ぶな、畜生は黙ってろ」 刹那の間しか、詩音は俺に許さなかった。 たった一メートル弱。その隙間とすら言い換えても良い、距離を詩音は全力で突進してきた。 壁に俺の首を狙って打ち付け、そして肘鉄を加えた俺の右手首を、今度は横方向に捻りあげた。 「うぐああああぁぁぁっ!」 首を抑えられているのだから、酸素は少しでも大事に使うべきなのだろう。 だからと言ってこれ以上ない痛みだと思っていた痛みに、更に以上があったのだから叫ぶしかない。 「ねぇ、もしさぁ、もしもだよ? ある子にはだーい好きな男の子が居て、 だーい好きな男の子が、ある子にとってだーい嫌いな女の子に犯されていたら、 しかもその最中を録音でもされて聞かされたら、その子はどう思うのかなぁ」 何が何だか…………分からない…………。 「蹂躙されて咀嚼されて破壊されて、その子は…………み、お、ん、は、どう思うのかなぁ」 詩音の声はひどく嬉しそうだ。とても快楽に満ちている恍惚とした表情。 それでいて、まだこれから楽しみがあるかのような口元で、俺の首を締め上げる。 締め上げる首から上に酸素が届かない俺は、再び視界がフェードバックする。 詩音は俺をこのまま絞め殺す気はなかったらしい。 反応のない俺を見るや、俺を解放した。 手首の痛みもさることながら、息を長時間吸えなかったことから頭痛も激しい。 当然気管をふさがれるほどの圧迫を受けた首も、鈍痛が激しかった。 「ねぇ……、ど、う、思うんだろうね」 どう思う、って何をだ……? 録音……、犯されて……、魅音……。 魅音は……、俺のことが好きだった…………? 「あくまでも、も、し、も、の、話だよ、圭ちゃん。くけけけけけけけけ」 哄笑の表現がぴったりな詩音の笑い声。もう鬼としての詩音の姿すらそこになかった。 今度は後頭部を掴まれて、唇を触れさせられる。 触れ合った瞬間から、詩音の舌が俺の口内へ入ってきた。 淫靡な音が部屋中に響くのが分かる。 がっちりとホールドされている俺の顔は、ただ目をつぶり、目の前の光景が過ぎるのを待つしかなかった。 どれほどの時間が経ったか分からない。 俺の舌をぐるりとなめ回してから、詩音は俺から顔を離した。 荒い息づかいの俺とは違い、詩音の顔はひどく冷静だ。 口からこぼれた糸を指でぬぐい、俺のワイシャツへと手をかける。 一気に引きちぎられると思ったが、開いていた第一と第二ボタンの下、第三ボタンからゆっくり外していく。 その目の前で行われていることに、「犯す」と言われていながら、俺は鼓動が高鳴ってしまった。 まるで恋人との行為でするような作業に、俺は黙りこくって見つめてしまう。 「私、分かったんです」 第四ボタンに手をかけた所で、詩音は口を開いた。 この数分の間聞くことのできなかった、ひどく落ち着いた声。 「飴と鞭ってありますけど、鞭よりも飴の方が残酷なんじゃないかって」 言い終わって俺のワイシャツが脱がされる。 脇腹には蹴りのダメージを物語る、青みがかった赤色へと染色されていた。 「古手の巫女様はどう拷問しても命乞いしなかった。 ゴミ山に通い詰める変態は爪を剥がしても歯をもいでも、笑っていた。 どちらも最後まで見せたはずなのに、悟史くんの疫病神でさえ私に啖呵を切りやがった」 詩音の言ったことが何も分からない。 詩音のやったことが何も分からない。 「あの気弱な沙都子でもそうなんだ。 仮にも鬼婆のもとで鍛錬された魅音に、鞭だけじゃ絶望を与えられない」 悟史くんを失った私の痛みは教えられない。人間は飴を奪われた方が絶望する。 そう続けた所で、詩音はしゃべるのをやめた。 舌を出しながらゆっくりと俺の腹へと接近して、腫れ上がった部位を舐め回す。 傷口である場所を触られたことによる痛みと、女性に地肌を舐められると言う情報の交錯。 頭の中でそれは快感に置き換えられて、俺の拳……、左の拳にだけ力が入る。 舐めるだけでなく、口づけするように横腹へ吸い付く詩音の唇。 吸い付く度に響く音が、一層俺の思考を遮断する。 『録音』と、確かに詩音は言った。そして魅音に聞かせる……? 詩音の企んでいることを俺はようやく理解した。 そしてその謀略を俺は阻止するチャンスがある。 詩音の話ではレナと沙都子、そして梨花ちゃんは殺されてしまったのだろう。 その事実をさらりと宣言されたことで、俺は完璧に打ちひしがれた。 絶望の底に突き落とされたとさえ思えた。 だが――――、まだ救える仲間が居る。魅音はまだ詩音に殺されちゃいないんだ。 ならば俺はまだ落ちるわけにはいかない。 わらにすがってでも、魅音を救い出してみせる。 詩音からの仕打ちに覚悟を決めた俺は、口を一文字に結んで全身に力を入れた。 目をつぶって、少しでも眼前で行われている快楽に屈しないように集中する。 「うああぁっ?」 そう思ったのも束の間。舐められる部分が胸へと移ったことにより、無様に声を出してしまった。 反応しないことが俺に出来る抵抗――――――――――――っ! 左手で自分の口をふさぎ、少しでもあるかもしれない録音機に音を拾われないよう努力する。 その様を見たからか、詩音は執拗に俺の胸、そして敏感に反応せざるを得ない場所に接吻した。 固くなった乳首を舌で転がされ、もう片方の乳首も指で弄ばれる。 俺は経験がない以上、次に何をされるかもよく分からない。 快感がこれほど、覚悟を挫けさせようとするものだとは思わなかった。 だが声を漏らそうものなら、魅音を救うことなどできない。 少なくともこの手段での魅音による拷問は避けられるはずだ。 絶対に詩音の思惑通りに運ばせてたまるものか……。 「体が敏感な割には我慢しますねぇ、圭ちゃん」 冷酷な断罪の声とは違う、甘ったるい誘惑する声で詩音は耳元で囁いた。 その声にも俺は何も反応しない。意識しないことだけを考えて詩音の言葉攻めに耐える。 ふふ、と笑った声が聞こえてすぐ、一際大きい音がした。まるで脳に直接響いたような音。 耳の中に舌が侵入したのに気づくのは、少しだけ時間がかかった。 口と手で塞いでるのにも関わらず、息が漏れてしまう。 体勢がいつの間にか、後ろから抱きしめられている形に変わっていた。 逃げることを考えたが、詩音の足が俺の腹の前で交差されて、ロックしている感覚がある。 執拗に左耳を舐め、噛み、囁き、俺は溶けるような感覚さえ覚えた。 恐らくそこに油断があったんだと思う。 誘発された油断につけ込むように詩音は、俺の股間を布越しから掴んだ。 既にキスをされた時から反り立っていた俺の一物は、ずっと求めていた刺激に大きな快感を脳に伝える。 「っつぁ!」 遂に大きく声を漏らした俺を、詩音は休むことなく攻め続ける。 股間を手で刺激し続けるのに加えての、舌や指による愛撫。 たった数分で俺の覚悟は屈してしまい、詩音の手の上で文字通り遊ばれる格好になった。 いけないとは思いつつも、今まで実感したことがない快感に、声が漏れる。 ズボンのジッパーを下ろされても、何も抗わなかった。 快感が欲しい。これ以上の気持ちよさを味わいたい。 欲求に支配された雄に、成り下がった瞬間であったと思う。 それを理性が理解しつつも、脳が下す命令は性への欲求だった。 外気に触れて、俺の剛直はびくびくと痙攣する。 最初は自慰のように手でしごかれていたのが、また舌による攻撃へと移っていき、指も亀頭を中心に弄び始めた。 俺の体で一番敏感な部分を、ダイレクトに詩音は攻め続けた。 絶頂に達するかと思い始めると、詩音は俺から離れてじっと視姦だけを行う。 幸運か不運か、落ち着き始めた頃にまた詩音は、俺のモノへと手をかけて、快感を供給する。 その延々と続く刺激の繰り返しに、俺の頭は欲求のみで満たされて、耐えることを完全に忘れてしまった。 だらしなく漏れる声と唾液。少しでも欲求を満たそうと自ら腰を振り、詩音の愛撫や口淫に身を委ねた。 「フィナーレですよ、圭、ちゃん」 俺が目を開けると、詩音の下半身には既に衣服はなかった。 都会に居た頃見たビデオでは、モザイクがかかっていた部分。 そこはきらきら光っていて、陰毛の奥には桃色の陰部が俺の視線を釘付けにする。 ただでさえ敏感になっているのに、あのナカへ入れたら、どうなるんだろう。 雄としての思考が広がり、いっぱいになっていた唾液を俺は飲み込む。 詩音は俺のモノを抑えて、ゆっくりと自らの腰を下ろしていく。 先端が毛先に当たったもどかしさを感じた瞬間、一気に俺は詩音のナカへと入っていった。 「――――――――あああああぁぁぁっ」 フェラチオとは違う種類の快感。何よりも熱が俺の頭を更にかき乱す。 熱い熱い熱い――――――――! 陰茎に沿って広がるような詩音の膣。 腰を振る度に起こる、自慰の数倍の快感。 確か騎乗位とか言った名前の体位で、俺は詩音の快感に酔う。 少しでもこの時間を味わいたい――――――――! さっきとは違う、理性からかけ離れた理由で俺は必死に快感から耐えた。 次第と快感に慣れて、俺は詩音を瞳に映す。 どれほど淫らな姿に詩音はなっているのだろう。 そんな下劣な好奇心で、俺は目を開ける。 そこに居たのは、俺が求めた雌としての園崎詩音ではなく、鬼の姿になっていたソノザキシオンだった。 「さっさと、イっちゃいましょう? 圭ちゃん」 詩音の右手に握られていた包丁が、俺の首の付け根に突き刺さる。 骨のすぐ側を通った包丁は、きっと畳まで達して貫通したんだと思う。 致命傷となったその包丁で、俺はすべてのものから解放された。 耐えていたことからも解放されて、防波堤を失った精液は、詩音の膣の中で爆ぜた。 痛さも熱さも引いていった俺の頭。 死が目前に迫っていることを感じながら、詩音の最後の哄笑を俺は聞いていた。 「最っ高だよ、圭ちゃん! コレ見せたら魅音はどうなるかなぁ! 楽しみだなぁ! これで魅音も狂って崩れて壊れちゃうよねぇ! くきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃ――――――――…………」
https://w.atwiki.jp/higurasi/pages/4.html
ニュース @wikiのwikiモードでは #news(興味のある単語) と入力することで、あるキーワードに関連するニュース一覧を表示することができます 詳しくはこちらをご覧ください。 =>http //atwiki.jp/guide/17_174_ja.html たとえば、#news(wiki)と入力すると以下のように表示されます。 ウィキペディアを作ったiMacが箱付きで競売に登場。予想落札価格は約96万円!(ギズモード・ジャパン) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース メトロイド ドレッド攻略Wiki - Gamerch(ゲーマチ) ツムツム攻略Wiki|ゲームエイト - Game8[ゲームエイト] 【グランサガ】リセマラ当たりランキング - グランサガ攻略wiki - Gamerch(ゲーマチ) アイプラ攻略Wiki|アイドリープライド - AppMedia(アップメディア) Among Us攻略Wiki【アマングアス・アモングアス】 - Gamerch(ゲーマチ) マニュアル作成に便利な「画像編集」機能を提供開始! - ナレッジ共有・社内wikiツール「NotePM」:時事ドットコム - 時事通信 マニュアル作成に便利な「画像編集」機能を提供開始! - ナレッジ共有・社内wikiツール「NotePM」 - PR TIMES 【Apex Legends】ヴァルキリーの能力と評価【エーペックス】 - Gamerch(ゲーマチ) モンハンライズ攻略Wiki|MHRise - AppMedia(アップメディア) ポケモンBDSP(ダイパリメイク)攻略wiki - AppMedia(アップメディア) SlackからWikiへ!シームレスな文章作成・共有が可能な「GROWIBot」リリース - アットプレス(プレスリリース) 【ウマ娘】チャンピオンズミーティングの攻略まとめ - Gamerch(ゲーマチ) 【ウマ娘】ナリタブライアンの育成論|URAシナリオ - Gamerch(ゲーマチ) 【ウマ娘】ヒシアケボノの育成論|URAシナリオ - Gamerch(ゲーマチ) 【ウマ娘】カレンチャンの育成論|URAシナリオ - Gamerch(ゲーマチ) 【ウマ娘】フジキセキの育成論|URAシナリオ - Gamerch(ゲーマチ) ドラゴンクエストけしケシ攻略Wiki - Gamerch(ゲーマチ) 【スタオケ】カード一覧【金色のコルダスターライトオーケストラ】 - Gamerch(ゲーマチ) 【スマブラSP】ソラのコンボと評価【スマブラスペシャル】 - Gamerch(ゲーマチ) 【ブレフロレゾナ】リセマラ当たりランキング【ブレイブフロンティアレゾナ】 - ブレフロR攻略Wiki - Gamerch(ゲーマチ) 【ポケモンユナイト】サーナイトの評価と性能詳細【UNITE】 - Gamerch(ゲーマチ) 仲村トオル、共演者は事前に“Wiki調べ”(オリコン) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 【ENDER LILIES】攻略チャートと全体マップ【エンダーリリィズ】 - Gamerch(ゲーマチ) 【ウマ娘】あんしん笹針師の選択肢はどれを選ぶべき? 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魅音は、なぜか楽しそうだった。俺はというと、視界がぼやけて、息が荒くなっている。 もう、抵抗の力も残されていない。が、魅音がひざまずき、俺は手で自分の体を起こすことを許された。 「ちょっと、圭ちゃん座って。拭いてあげるから。カッターシャツ、持ち上げててね」 俺は、小さい子供がするように、シャツをたくしあげた。 「圭ちゃんかぁいいね、レナだったらお持ち帰りしてるよ」 こちらから魅音は見えないが、感覚からして、俺のさっき放出したものを拭いているようだった。 そのうち、また気持ちよくなってくる。 「あっ……あっ……あぅ……」 途切れ途切れの息で、ヘンな声が出てしまう。 「はは、圭ちゃん出しすぎ……まだ残ってたんだね……よし、準備完了。圭ちゃん、寝て、もう一回」 もはや俺は、魅音の言われるままになっていた。シャツをたくしあげたまま、俺は寝転がった。 「圭ちゃん……いくよ?」 「な、何?」 魅音が、魅音が……少しずつ、下がってきた。一体これから、何が起こるというのだろう? 「あぅ……つっ……」 「みぉっ……あぁああ!!」 先ほどとは比べ物にならない快感が、俺の頭まで突き抜ける。 「あっぁああ、あっ……ああ……あ、あ……、あああ……あうっ……」 快感が先に来て、他の感覚が少しずつ後に追いついてくる。 狭い空間に、急に包み込まれるような感触。 さっき手でされたより、きつい刺激が、俺のものを締め上げた。そして、また爆発。 二度、三度…… 「ふぅっ……ん、はん……」 「ふふ、圭ちゃん女の子みたい……私、圭ちゃん犯してるみたいだね、ふふ……動くよ? 圭ちゃん?」 俺は、どうやら魅音の中に射精してしまったらしい。 それなのに、未だに勃起したままの俺のものを、魅音は放さない。しかも、動くらしい。動くって……何?…… 「あふっ……いつっ……やっぱ、無理、だよ、こんなの……いたぃ……ん……」 魅音は、俺のものを解放した。つるんと抜ける感覚がし、自分の分身が跳ねる感触。 あきれたことに、俺はまた、射精してしまったらしい。 「け、圭ちゃん、壊れちゃった? 出しすぎだよ、もぅ……あ、だ、ダメだわ、無理」 魅音がその場にへたり込む。 「ああ、圭ちゃん、返事してよ?」 「ん、うん……なんだ?」 「へへ、圭ちゃんのちんちん、びんびんのまんまだよ」 「ちんちん言うな、ちんちんって!」 そんな魅音の言葉にも、反応してしまった。 「あは、跳ねてる」 「いや、たぶん……こんなこと、したことなかったから……」 「こんなことって?」 「お、俺……その、ォナニーとか、その、やり方、知らないんだよ」 ごにょごにょと、俺は言った。オナニーや自慰という単語は知っている。でも、どうやってやるのかは知らない。 「ま、マジで?」 「その、こすりつけたりしたことはあるけど、どうするのかって……」 「そりゃ、出るわ……へへ、ちょっと待っててね」 ごそごそと、魅音が何か動いているのが見えた。 「圭ちゃん、私の胸、その……時々見てたよね? 気付いてるんだよ、私」 「うっ、やっぱりわかるか……」 「そんなのあたりまえじゃん……私、気にしてるし。こういうの……」 「だって、その、ぉっきいし……」 「ふふ、普段ならもっと大きい声でいうのにね……その、こういうのでも……気持ちよくなるらしいよ?」 今までとは違う、柔らかい感覚が、俺のものを包み込んだ。 「はぅっ……」 にちゃにちゃと音がする。さっきと違って、拭いていないからだ。 「ふふ、圭ちゃんの、えっちな音がするよ? ほら、聞こえる?」 「み、みぉ、おやじみたい……」 「失礼だなぁ、やめるよ?」 「ごめん……」 「そうそう、正直が一番」 魅音は、包むだけじゃなく、今度は上下に動かしてみた。 「む、難しいな、これ……」 つるつる滑って、俺のものがちゃんと固定できないらしい。それでも十分気持ちよかった。 「よっ、ほっ……」 まるで、俺のものをオモチャにでもするように、魅音はつつきまわした。 「ちょ、魅音、また……でるっ……」 「出させないよ」 魅音は、自分の髪の毛を結んでいるゴムを、俺のものの根元に括りつけた。 「ちょ、そんなことしたら、ちぎれちまう……」 「大丈夫大丈夫。その代わり、出ないけど」 魅音の動きが、突如として激しくなる。 「あぅ、出るっ……アムロぐらい出る……いっきまーす……」 「ナニわけのわからんこと言ってるの、出ないって」 本当に、出ない。確かに射精したい感じがあるが、なぜか止まっている。ああ、さっきのゴムか…… 「みお、はずして……くれ……」 「だーめ、出ちゃうでしょ?」 「つ、つらいんだよ……なぁ?」 「ふふ、徹底的にいじめてあげる」 魅音は胸でいじくるのをやめた。びくびくと跳ねる自分のものが、どれだけ反り返っているのか、見ないでもわかる。 「びきびきだよ、圭ちゃんの……はむっ」 また、電撃が走る。足が何度も何度も、まっすぐになって、机をがたがたとゆらした。 「ダメだね、手もしばっとかないと」 魅音は、近くにあった、誰かが忘れた袋の紐をぬきとり、俺の手を後ろ手に縛った。 やたら手馴れた動きだ。 「あ、危ないって、魅音……」 「ふふ、このまま放置しようかな?」 「やめてくれ、魅音……」 「やめてください、でしょ?」 「やめて……ください……」 「うん、やめてあげる。その代わり、圭ちゃんの気が狂っちゃうぐらいゴーモンしてあげるけどね」 今度は魅音がなにをしているのか見えた。俺のちんちんを、口に含んでいる。 そして、もごもごと口の中で動かしている。それを見た俺は、二重で快感が走ってきた。 「だ、出させて、魅音……千切れる……」 「だめだよ、節操のないおちんちんは、おしおきしないと」 魅音が一度口を動かすたび、俺の足はぴんと張った。 「出させて……ください 「あーめ。あとりゅっぷんらえて」 「ふぇ、そ、そんなぁ……」 あと、十分……本当に気が狂ってしまう。 「魅音っ!」 「ふぇ、へ、へいちゃん!」 俺は、魅音を体重に任せて倒した。 もちろん、口のなかに俺のものが入ったままだ。 「うぇ、へ、へいちゃん、ろいて!」 「あ、あぅあああ、あああ!」俺は、狂ったように腰を振った。自分でも壊れていたと思う。魅音の口を犯すように、ただただ振り続けた。 魅音の歯で、ゴムが外れたのか、俺はいつの間にか射精していた。やがて、俺の腰の動きも収まってくる。 「あぅ……おぇっ……ひどいよ、圭ちゃん……無理やり……するなんて」 「あ、ああ……あ……あ、あ、あっ……ああっ……」 俺は、魅音の口の中から出しても、まだ射精していた。 気がつくと、俺は服を着て、手を解かれた状態だった。 「圭ちゃん、そろそろ起きて?」 あたりは真っ暗。魅音がそこに要るのかさえ、疑わしい。 「ん……魅音……」 俺は、魅音を抱きしめた。 「ちょ、圭ちゃん……ダメだって、もう……」 「魅音、魅音……」 俺は、うわごとのように、魅音を抱きしめ立ったまま魅音に向かって腰を振る。もちろん、ズボンははいたままだ。 「圭ちゃん……ごめん、やりすぎて馬鹿になっちゃったんだね……」 「魅音……はっ、俺は何を?」 「ナニしてた。あははは」 魅音は、それだけ言うと、どさりとその場にへたりこんだ。 「魅音」 「圭ちゃん」 お互いの名前を呼び合う。 「おんぶ」 「はい?」 「立てない。おんぶ」 魅音は、座ったまま手を前に突き出す。俺に乗る気満々だ。 「仕方ねぇな……ほら!」 俺は、おんぶの準備動作に入った。魅音が後ろから俺に抱き付いてくるのを感じた。 「ねぇ、圭ちゃん?」 「なんだ?」 「これから……毎日しよーね?」 「は、はぁ!?」 「毎日六回はしよう。オナニー禁止。他の女の子見るのも禁止。圭ちゃんのちんちんは私のものー」 「だから、ちんちん言うなって! 女の子見るなって、生活できねぇじゃねえか!」 魅音は、俺を後ろからゆする。 「だってー、圭ちゃん絶対浮気するもん」 「しねえよ」 「なんでー? 証拠は?」 「ほらよ」 俺は、突然うしろに振り向いて、魅音の顔を手で寄せた。そして、ほっぺにキスをする。 「ふえっ!」 「俺が魅音を好きだから。不十分か? それで?」 「う、うん、不十分だね」 「そうか……じゃあ、どうすんだ?」 「ケッコンして」 「ぶっ!」 俺は、一瞬前のめりに倒れそうになる。が、魅音がうまく体重移動をして、それをさせなかった。 完全に俺を乗りこなしている。 「するときはやさしくして」 「おいおい……」 「寝る時は、電話でお休みって言って」 「それぐらなら、やってやるよ」 「さよならって、言わないで。絶対」 「ああ」 「それから……それから……」 「ちょっと待てよ、その前に、俺から一つ。魅音、笑ってくれ。泣くな」 魅音は、ずっと泣いていた。俺の背中で、ずっと、ずっと。 「だって……だって……私、レナ、裏切ったんだもん…… 同じ高校生になるまで、絶対待とうって……私から……言ったんだよ?」 「ひでぇな」 「ちょっと、圭ちゃん、フォローしてよ」 「ダメだね。それは出来ない。魅音は悪い子だ」 「圭ちゃぁん」 また、魅音が俺をゆする。 「でも、言うこと聞いてくれたら、きっといい子だ。保障する。」 「ん……わかった」 魅音は、やっと俺の願い通りの笑顔を見せてくれた。 俺は、雛見沢の馬鹿みたいに綺麗な星空の下、ふらふらになった腰を支えつつ、魅音の家へと歩いていった。 俺の願いは魅音の笑顔 ―完―
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「んっ、ちゅぽっ…」 和服を着た妙齢の女性が、僕のペニスを口に含んでいる。 ほっぺたの内側の柔らかな感触。 舌先によるピンポイントな刺激。 喉の奥まで使った、濃厚なストローク。 そっと添えられた右手が、絶妙なタイミングで睾丸を揉みあげる。 「お、おばさん…」 あまりの気持ちよさに、僕は今にも射精してしまいそうだった。 理性が歯止めをかけるが、おそらくおばさんは僕が射精をするまでやめないだろう。 「おばさん、やめて…」 臭くてねばねばする、自分でもさわりたくない白濁液で、おばさんを汚したくはない。 だがおばさんは、そんな僕を上目遣いで見て、妖艶にほほ笑んだ。 「いいんだよ、おばさんに若くてどろっとしたあれをぶっかけちゃっても…」 そんな表情だ。実際は僕の隠茎を咥えているのでしゃべれないのだが。 ストロークが激しくなる。口の中の僕が限界を伝える。もう我慢できない。 「おばさん、出ちゃう!出ちゃいます!」 叫びながら、僕はおばさんの口の中に、汚らしい白濁液をどくどくとぶちまけた。 おばさんは口の中に出された僕の精液を、ごくごくと音を立てておいしそうに飲み込んでいく。 排せつ物にも似た液体を、絶世の美女に飲んでもらっているんだ。 背徳感で、背筋がゾクゾクする。 「…はぁ!いいねぇ、若い子のドロッとしたのは…」 おばさん…園崎茜は、口の端に糸を垂らしながら笑い、僕の鈴口にキスをした。 残っていた僕の精液がピュッと飛び出て、おばさんの顔をどろどろに汚してしまう。 「す、すいません!」 「くっさいねぇ…まぁそれがいいんだけどさ。」 おばさんはそう言って、顔に付着した精液を指ですくいとっていった。 白魚の腹のような指が、僕の汚らしい白濁を集める。 そして集めた臭くてねばねばするものを、おばさんはおいしそうに舐めはじめた。 詩音が同じことをしていても、この色っぽさ、艶っぽさは出ない。 僕はもう目を奪われっぱなしだった。 もう一度飲んでもらいたい… おばさんの頭を鷲掴みにして口に突っ込ませて、イカ臭い液体を喉の奥に直接流し込んでやりたい… そういう衝動をなんとか抑えて、僕はおばさんの色っぽい動作を見つめていた。 「ん、美味しい…」 頬や目の下に残っているぬめぬめとした液体が、おばさんをさらに艶っぽくさせる。 ああ…もう一度、もう一度だけでいいから、おばさんに精液を飲んでもらいたい… 失礼だとか、汚らしいだとか、そんな感情はどうでもいい。 おばさんを僕の手でめちゃめちゃにしたい。 あんなことをされたあとだ。醜い欲望はどんどん膨らんでいき、抑えるのもやっとといったところだ。 僕の逸物は萎えることを知らない。むしろ前より雄々しく、硬くなっているような気がする。 そんな僕の前で、おばさんはするすると服を脱ぎはじめた。 黒い下着につつまれた大振りの胸と、きれあがった小股の間にある花園… 背中の怖い鬼の刺青が、おばさんをさらにエロティックに見せてくれる。 「坊や…私もすっかりしたくなっちゃったよぉ…」 おばさんは頬を朱に染めて、物欲しそうに僕を見つめる。 「おばさんをめちゃめちゃに…好きにしていいよ」 最後の堤防、理性が弾けとんだ。 乱暴にブラジャーをむしり取ると、たわわな胸が揺れながらその姿をあらわした。 形は整っており、広い乳輪が色っぽさを添える。 そんな魅力的な両胸を、力任せにとにかく揉みしだいた。 「あっ…はん…」 手に吸い付くような柔らかさ。マシュマロやプリンのような素敵な感触の胸。 このまま顔をうずめて、柔らかさを満喫する。乳首を口に含み、思いっきり吸ってみる。 「あぁっ…いいよぉ…」 もう片方の余った乳首の先をつまみ、捻りあげる。そして指先でマッサージするように刺激する。 「いっ!いいよ!」 おばさんがよがる。もっとよがらせたくて、僕は舌先で乳首を舐め回した。 「ひゃっ!ひぃっ!」 先端をべろっと舐める度に、おばさんは嬌声をあげた。 もう片方の乳首の先端に、指をうずめていく。 「いっ!いぁ!」 よくわからない声を出しながら、おばさんは体を反らした。 ひとしきり胸を満喫したあとは、いよいよ本番。 「はぁ…ごめんね、おばさんもうおっぱいはでないんだよ」 おばさんは見当違いな謝罪をして、仰向けになって腰を少しあげる。 呼吸の度に揺れる乳房を見ると、またもみしだきたくなる。 だが、今はメインディッシュ。おばさんの黒いショーツを、慎重に脱がして行く… 脱がしたショーツの匂いを嗅ぐ。むっとした雌の匂いが、鼻いっぱいにひろがった。 「そんなもん嗅がないでおくれよ…」 おばさんが恥ずかしそうに言うまで、僕はおばさんの匂いをかぎつづけた。 「ほら、見なよ…」 生い茂った陰毛の中に入った裂け目から、とろとろとした液体がわき出ている。 不思議と、汚いとは感じなかった。むしろ舐め回してしまいたいほどだ。 「…おばさんねぇ、坊やのちんぽしゃぶっているときからずっとこんなんだったんだよ…」 おばさんはそういって、淫裂を指でそっとひらいた。 サーモンピンクの襞、ぷっくりと膨れたクリトリス。びっしょりと濡れていて、むわっとする雌のきつい匂いが鼻を突く。 中はひくひくと痙攣しており、おばさんが女として、雌として欲情しているということがよくわかった。 割れ目に鼻を近付けて深呼吸をすると、おばさんはとてもはずかしそうにした。 「おばさん…」 「いいよ、挿れても…」 おばさんは股を開いた。 淫裂に、脈打つ僕の逸物をあてがって、 一気に挿入した。 「あはぁぁぁぁん!」 奥まで貫いた瞬間、おばさんは悲鳴をあげた。 「あっ!いい!もっと突いてぇ!」 だらしなく股を広げ、気持ちよさそうな表情を浮かべ、僕にだきついてきた。 気持ちいいのは僕も同じだった。挿れた瞬間、柔らかな肉襞が逸物を絶妙な具合に締め付けてくれる。 入れてから5秒も立っていないのに射精してしまいそうだった。 「動きますよ…」 「早く、早く!」 おばさんは急かしながら、自分でも僅かに腰を前後させる。 「いきます!」 ずっ、と茎を引き抜く。おばさんは小さな嬌声をもらし、襞が名残惜しそうに痙攣する。 今度は勢いをつけて挿入し、子宮口の入口を突く。おばさんは悲鳴のような嬌声をあげて震え、襞が一気にしまる。 これを段々と早くしていく。おばさんは嬌声をあげっぱなしの状態になり、肉襞はどんどんしまっていった。 「ひっ、ひぃっ!ひぃよぉっ!」 腰が止まらない。パンパンと肉のぶつかりあう音がする。 もう射精してしまいそう。腟内に出したい。 だが、先ほどまで精液を飲ませたがっていた僕にも、さすがにそれはためらわれた。 「お、おばさん!出ちゃうっ!」 「いいよ、腟内(なか)にぃ…!来てぇ!」 おばさんは足で僕の腰をがっちりと掴んだ。 「ちょっと、おばさん!」 「いいんだよ、出しても」 おばさんは物欲しそうな目で僕の瞳を覗きこんだ。 「はぁぁん!」 射精感に抗えず、僕は無様に、おばさんの腟にドロッとした精液をぶちまけた。 「…いっぱい出たねぇ」 ひとしきりの射精を終えたあと、おばさんはやっと足を離してくれた。 恥ずかしいことだが、腟内射精のあまりの気持ちよさに震えがとまらなかった。 「これでデキちゃったらどうしようねぇ…」 おばさんは楽しそうにお腹を撫でる。 「こ、こわいこと言わないでくださいよ!」 「でもやっぱり、若くてドロッとして生臭くて美味しい精子なんだから。 やっぱり中にもらっときたいじゃないかい」 そういうとおばさんは、僕の唇に無理やり自分の唇を重ね合わせた。 それから何度か体を重ね合わせたので、僕らの体力は限界に近付いていた。 腟内射精を強制されたことを除けば、僕は天国に舞い上がるかのような心地だった。 そして今は、素っ裸の僕の膝の上に、これまた素っ裸のおばさんの頭が乗っかっている。 「私ねぇ、魅音や詩音を叱る時は、今でもたまにお尻を叩くんだよ。」 「へぇ…」 叩かれている2人を想像してみる。…不謹慎だがドキドキしてきた。 「おばさん、今日は坊やに散々迷惑かけたろう?」 「そんな、僕の方が…汚いものを飲ませたり失礼なことしたり…」 「それはいいんだよ、私も楽しかったしねぇ」 おばさんは嬉しそうに言うが、何が嬉しいのかはよくわからない。 「でもねぇ…私ばっかり気持ちよくて坊やは振り回されっぱなしだったろう?」 「いえ、そんなことは…」 「だから…悟史君、私を叱ってくれないかい?」 おばさんはそういって、お尻を突き出した。 おばさんのお尻は大振りだ。考えて見れば、2人も娘がいるのだ。 すでに出産を体験したその腰は、若い人には絶対に出せない魅力を醸し出している。 その尻が今、僕の膝の上にある。 「いいかい?手加減はしないで、思いっきり叩くんだよ。 あと、私をきっちり叱ってちょうだいね」 おばさんは、どことなく楽しそうに言った。 平手を安産型のお尻にあてがい、深呼吸をする。年上を叱るなんて、人生初めての経験だ。 「いきます…」 「うん…」 息を飲む。背中の刺青の鬼が、こちらをぎょろりとにらんだ。 「この外道が!」 平手で叩かれたおばさんのお尻がパシィッ、といい音を立てた。 「ひっ!」 「余所様の家の子に迷惑かけて!どう体面立てる気なんですか!」 もう一度叩く。おばさんは「ごめんなさい、ごめんなさい!」と叫んでいる。 「こんなこと詩音や魅音に知られたらどうするんです!」 「ごめんなさい、許して…」 おばさんはそういいながら腰をくねらせる。 もっと叩いてほしいのだろう、僕は何度もおばさんのお尻を叩き続けた。 おばさんのお尻が真っ赤に晴れ上がるまで、僕は叩き続けた。 おばさんは叩かれながら、昔のことを思い出していたのだろうか。 時折、寂しそうな、懐かしそうな表情を見せた。 「もう許して…坊やぁ…」 「もうしないって誓いますか?」 「はい、もう悟史君に迷惑はかけませんからぁ!」 涙目になって懇願する。演技なのか、素なのかは分からない。少なくとも僕は演技だが… 「じゃあこれで最後だ!」 あらん限りの力を込めて、僕はおばさんのお尻を思いっきり叩いた。 「いぁぁぁぁ!」 おばさんは痛そうに悲鳴をあげた。直後、僕の膝あたりに温い感覚。 「お、おばさん…」 「…あはは…6歳くらいの頃に戻っちゃったみたいだねぇ…」 おばさんは顔を真っ赤にして言った。 おばさんは、叩かれたショックからなのか、おしっこをもらしてしまったようだ。 「あ…止まらない…」 勢いよく噴出するそれを、僕はしげしげと眺めていた。 「…あんまり見ないで。」 おばさんは本当に恥ずかしそうに、恨めしさとごまかし笑いと涙が混ざった奇妙な表情で僕を睨み付けていた。 「ごめんね、最後といい今日のことといい…詩音と遊ぶって約束もふいにさせちゃってさ」 ちゃんと後始末を終え、服を着付けたあと。 おばさんは僕に土下座をした。 「ちゃんと今度お詫び入れに行くからさ。」 「…はい、わかりました。でもびっくりしました、最初にいきなり部屋に連れ込まれて…」 「あっははは…ごめんね、もう溜まっちゃってて…」 茜さんがどうしてこんなことをしたのかはわからない。 だが僕は、詩音の報復を除いて、とても素敵で満足な一日を過ごせたんだなぁ、となんとなく思った。 詩音にケーキでも買っていってあげよう。そう思いながら、僕は帰路についた。 その後 「もう!悟史君昨日はどこにいたんですか!?」 「ごめんね、詩音…」 「まぁいいです。今日こそデートするんですから!」 「わかった、どこでもつきあうよ」 終 とんでもなく眠いときにノリで書き始めたらこんな時間になっていた。 今は反省している。
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「ペアン」 「頭骨結合終了」 「3号糸ふたまる、それと鉗子用意」 「血圧低下」 「昇圧剤10mm投与」 「バイタル正常に戻りました」 「頭皮の縫合終了」 「バイタル、脳波共に異常なし」 「術式完了」 「みなさん、お疲れ様でした」 「まだよ。さ、サンプルをこちらにちょうだい」 「休まないのですか?」 「ふふふ。格好の研究素材を目の前にして休んでなんていられないわよ」 「・・・・・・そうですか」 「あ、事後処理はおまかせするわよ」 「わかりました」 秘密理行われた非合法で非人道的な手術が終わった それはおよそ似つかわしくない田舎の診療所で行われた 雛見沢症候群 ある種の寄生虫が引き起こす一連の症状の総称であり、その実体は謎に包まれている そして、今行われた手術は、その全容を明らかとするために必要な事だった そう、それは理解している 医学の発展のために、犠牲はつきものだ だが、手術室からICUに移され、目の前で寝台に横たわるのは10に満たない少女だ 彼女は雛見沢症候群のキーとなる存在で、村に伝わるオヤシロ様信仰でも重要な位置にいる 古手梨花。それが彼女の名である 彼女が危険を承知で身を差出してくれたのは、親友のためである 北条沙都子。雛見沢症候群末期症状。L5と呼ばれる状態にありながら生存している稀有な被検体 と言っても、亡くなるのはもはや時間の問題だった そこに、思いがけない提案があった それも梨花当人から提案されたものだった 鷹野三四。名目上、わたしの部下であるが実質的には上司である わたしは危険性から反対したのだが、彼女が賛成したのならば是非も無かった こうなれば全力を尽すまでと思い、主治医として手術を行った 雛見沢症候群の分野では、鷹野さんが第一人者であるが「手術」となれば私の方が上だったからだ そして、その手術も無事に終わった 難手術ではあったが、もともと成功率は高かったため当然の結果ではあった とはいえ、久々に味逢う達成感は心地よかった ―――それから二日。ICUから一般病室に梨花を移す 「みー。たいくつなのですよー」 「まあまあ古手さん。今日一日のしんぼうです。今夜一晩様子を見て、問題なければ明日にはお家に帰れますから」 「入江も大変なのです。目の下にクマさんがいっぱいいるのですよ?」 「え?ははは・・・、人手不足ですから。それに、古手さんの身に万が一の事があったら大変なことになりますからね」 「――それでで入江。沙都子の方はどうなの?」 和やかだった雰囲気がガラっと変わる そう、時々彼女は普段からは想像もつかないほど大人びて見える時がある 「――まだ分かりません。鷹野さんの研究成果待ちとなります」 「そう」 子供とも大人ともつかない瞳に陰が差す。まずい、心配させたか? 「い、いえ、大丈夫ですよ。鷹野さんは優秀ですから、きっと治す方法を見つけてくれるはずです」 「みー。入江は何もしないのですか?」 「え、私ですか? ははは、私はちょっと小器用なだけで、鷹野さんの足元にも及びませんよ」 「そんなことないのですよ? 入江もやればできるのですよ?」 「ははは。ありがとうございます」 期待してくれるのはいいが、所詮わたしはお飾りだ。入江診療所の入江所長と言うのも肩書きだけだ 配属当初は、己の待遇に気づかず単純にはりきっていたが、、 何年も経った今、力関係がハッキリし、自分がただのお飾りであると自覚してからはそんな気にはなれない 「―しない――と――やっぱり無理――か・・・・・・」 「え、古手さん? 今何か言いましたか」 「みー、なんでもないのですよ」 「そうですか? それでは私はこれで。何かあったらすぐにコールしてくださいね」 「わかってるのですよ」 病室を後にして、仮眠室にむかう。本当なら自室に戻りたい所だが、万が一の急変に備えるために仮眠室で眠ることにする 常用している睡眠薬を取り出す。医者の不養生もいい所だが、効率よく眠るためにはしかたない それにそんなに強い薬でもないから問題はない 深夜 物音に気づき目を覚ました コールではない 時計を見ると22時を回っている この時間帯は、当直の看護婦と入院患者を除いて誰も居ないはずだが? ゴソゴソと起き上がり、ドアをそっと開け、廊下に出る 廊下の奥、事務室の方から気配を感じる 足音を忍ばせドアに近寄り、少し開いた窓から覗いて見る 薄明かりの中、良く見えないが看護婦のようだ それともう一人、スーツ姿の男 窓越しに男女の激しい息使いが聞こえてくる どうやら情事にふけっているようだ 不謹慎なと思いながらも、目が離せない 恥ずかしい話だが、わたしはこういう事に慣れていない 研究畑に生きて、忙しい現場で立ち回る日々をすごしてきたため経験がまるで無いのだ ここ雛見沢では、暇とまでは言えないが、かなり時間はあった。だが、相手となるような人が居なかった 看護婦は居るが、年上だったり、若いことしかとりえの無いような人ばかりで、食指をそそることは無い 鷹野さんは美人だが、あの猟奇趣味にはついていけない。何よりも上司であり下手な事をして、機嫌を損ねるわけにはいかない ここの職場は別に恋愛禁止とかそういう規定はない。なら見なかったことにすれば良いが、気分的に面白くない 邪魔までするつもりは無いが、誰と誰なのか確認くらいしておこうと身を乗り出し覗き込んで見る あれは――鷹野さんと―――トミー? 富竹ジロウ 彼はわたしと気が合う、数少ない友人だ 私は医療。彼は訓練。内容は違えど、仕事に従士して色恋沙汰とは無縁な生活を送ってきた そのせいだろうか? 文系と体育会系の水と油でありながらも親友とも呼べるほどに仲良くなったのは ありていに言うなら、童貞仲間であり、奇妙だが確かな友情があった。あったと信じていた だが目の前の彼はなんだ? 彼が東京から雛見沢に通う理由付けのために、カメラマンを名乗ってるのは知っている そして、理由がそれだけでは弱いので、鷹野さんと付きあうことでカモフラージュしてることも知ってる そう、カモフラージュ「美人看護婦に片思いしてる旅のカメラマン」そういう「設定」のはずだ 壁に両手を手を付け、こちらに腰を突き出した鷹野さん その鷹野さんに覆い被さるようにして腰を振るトミー 馬鹿な――。こんなことはありえない。 だって、トミーはわたしの仲間だ。そう仲間じゃないか。なのに何故? 抜け駆け 嫌な単語が頭をよぎる。違う違う違う。彼はそんな奴じゃない。 目の前の光景を否定するのか? ありえない。そう、ありえない。 焦燥し狼狽する。だが、視線だけは外れない、外せない、 そんなわたしの葛藤を無視して、二人は情事を続ける 「あんっあっあっ―――。んっ、ああっー!」 鷹野さんの口から、普段聞く事の無い嬌声が漏れる 「いいわジロウさん!。さ、もっと! そう、そこよ! あんっ!!」 「鷹野さん。行くよ!」 「あん。ダメよ、三四って呼んで」 「ああ。そうだったね。三四さん、行くよー!!」 激しく腰がふるトミー。それにあわせて痙攣するように身を震わせる鷹野さん SEXとはこんなに激しいものなのか? 医者としての知識はある。それにビデオも見たことがある だが、目の前の光景はそれらを凌駕する 二人の情事も絶頂を迎える。同時にわたしも絶頂を迎える。 しばし放心。ふと手を見る。白く生暖かい液体が付着している いつのまにか、わたしも自慰行為を行ってたらしい 廊下に座り込んだわたしの背中越しに、二人の楽しげな会話が聞こえる ワタシハナニヲヤッテルノダロウ? 惨めさと羨ましさが入り混じった複雑な感情に揉まれ考えが纏まらない 鷹野さん――トミ――。いつから? 何故ここで? なぜトミー? わたしは? 避妊は? 後始末は? カメラは? 「じゃ、ジロウさんまたね」 「研究の続きかい?」 「そうよ。良い気分転換になったわ」 「気分転換だけなのかい?」 「うふふ。ジロウさんも言うようになったわね――クスクス」 「あははー。―――僕も一応付き合うよ」 「あら、研究成果がそんなに気になるの?」 「それもあるけど、せっかく来たんだ、もう少しいっしょにいたいと思ってね――ダメかい?」 「クスクス、甘えん坊ね。いいわよ、じゃいっしょに行きましょう」 考えは纏まらず困惑したままだが、状況は変化する 部屋から二人が出ようとしている。このままでは見つかってしまう とっさに、角を曲がりつき当たりの病室に入り隠れる 病室のドア越しに二人が遠ざかるのが分かる 二人の気配が無くなったのを確認して胸を撫で下ろし、側にある椅子に座る トミーが裏切った 興奮も多少治まり、少し冷静になると抜け駆けされたことへの怒りが起きたが、追いていかれた孤独感も大きく、 失望と羨望が入り混じる。 そして、やり場の無い苛立ちが頂点に達し、思わずバンと机を叩く 「うっ・・・ん」 誰かの吐息が聞こえ、ビクッっと身を震わせ、全身の血が引くのを感じた ここは病室。誰かいたのか? 慌てて立ち上がりベットを見ると、そこには黒髪の少女が横たわっていた 「梨・・・花・・・さん?、いえ、これは――そのぉ・・・」 まずいところをと思い、慌てて弁解しようとするが、少女に変化は無い どうやらぐっすりと寝ているようだ 再び胸を撫で下ろす ふと自分の姿を見ると、手にはまだ粘り気が残り、ズボンも半脱ぎ状態だ こんな姿を見られたら何もかもが終わるところだった 備え付けのタオルで手をふき、ズボンを履きなおす そして、起こさないように病室を出ようとしたとき、梨花が寝返りをうった 驚きながらも、苦笑し、掛け布団を直そうとベットに近づく 「やれやれ、風邪引きますよ―――っと!?」 動揺してたためか、躓きベットに倒れかかる。梨花ちゃんをつぶさないようにとっさに手をつく 危ない所だったが、どうやら起こさないですんだようだ 溜息をつき、身体を起こそうとしたとき、ふと、甘い少女特有の香りに気づく 同時に本来、今は目にしないはずのモノが目に入る それは幼いながらも女性特有の器官。鷹野と違い毛は生えてないものの男性には存在しないものだ 彼女には念のため手術着を着せたままだった。そのため、寝返りの拍子か帯が解けて、半裸を曝していたのだ 慌てて態勢をもどし、帯を手に取り、服を着せようとする とっ、ぷにっと肌に手の甲が触れ手が止まる 何を考えてる京介入江? 先ほどの光景が脳裏にフラッシュバックする。少女とはいっても女性の裸体だ カーテン越しの降り注ぐ、月明かりに浮かぶ白い肌はなんとも言えない魅力を放っていた 友人に先を越されたくやしさ。未だに経験の無い自分への焦り この時のわたしはどうかしていた もしかするとL3くらい発症していたのかもしれない ゴクッと唾を飲み込む 帯から手を離し、ベットから立ち上がると、ドアに近寄り内側から鍵をかける 白衣のポケットを探り、小さな錠剤を一つ取り出す 大人にとっては弱い薬だが、子供には十分な効き目がある 水差しを手に取り、咳き込まないように注意しながら、そっとノドに水と共に流しこむ 手を取り、じっと様子を見る 寝息に変化は無く、脈拍に異常も無い しばらく間を置き、腕を軽くつねって見る 僅かな反応はあったが、起きる様子は無い そっとお腹に触れて見る 診察の時や手術の時に幾度と無く見て、幾度と無く触れたことがある だが、それらとはまた違った感覚がある それは恐らく、今彼女を、患者としてではなく、女として見ているからだろう そのまま手を上半身へとスライドさせる ふくらみの無い胸の上に動かした手に心臓の鼓動が重なる 手を乗せたまま顔を近づけ、思わずかわいらしい乳首を舐める 酸味を含んだ塩味だったが、何故か甘く感じた しばし、その新鮮な感覚を堪能した後、手をお腹へと戻し、さらに下半身へと動かす 秘所を通り抜け、足まで手を動かすと、柔らかなふとももを掴み、股を開かせる このままでは見え難いので、自分もベットの上にあがる 幸いな事に、ベット自体大きいので動き回る余裕は十分にあった 知識としてはあったが、実物を見るのは初めてだった いや、正確には初めてではない、医者として診た事は何度かある だが、動機が早まり、自分の下半身に血が集まるのを感たのはこれが初めてだった 落ち着け KOOLなれ! 入江京介!! さっきと同じく、しばらく手で弄ったあと、顔を近づける 良い匂いとは言いがたい香りのはずだが、何故か鼻を背ける気になれない はっきりとしたスジに沿って、下を這わせる 汗とは違う、形容しがたい味がする これが愛液だろうか? 「んっ」 梨花ちゃんの口から吐息が漏れる 起きたかと一瞬身構えたが、それは杞憂に終わる そのまま無心で舐め続ける。幼い身体がそれに反応して身をよじらせ、声を漏らす 感じているのか? いや、年齢的にその可能性は低い 快感ではなく、くすぐったさを感じているだけだろう ふと、鷹野さんの嬌声を思い出す わたしは経験は無い 女性を感じさせるような技術はない ましてや少女に快感を味あわせるような技術などあろうはずもない だが、目の前の無垢な少女の嬌声を聞いてみたいという欲望は治まらない どうすればいい? 男としての経験は無い。だが、医者としての経験ならある そうだ、医者としての知識に何か無いか? その時、ひらめきがあった そうだ、一つあった。研修医の時の一回しか経験が無く、あまり良い思い出とは言えないが、試して見る価値はある 女性特有の器官から、男女共有の器官へと手をずらす かわいらしい穴に指を入れようとして、ふと思い立ち、指を口に咥え唾で湿らせる そして、再び挿入を試みる 「んんっ・・・」 多少の抵抗があったが、すんなりと第一関節まで入る 指を動かし触診を始める 肛門の近くには前立腺があり、そこを刺激すると快楽を感じる これは男女共有の反応であり、直腸検査を行うときは、前立腺を刺激しないように行うのが基本である だが、今は違う、普段とは逆に、前立腺を刺激するように行うのだ 「んんっ・・あっ・・・」 触診を続け、異物がないことを確認し、前立腺の位置を確かめる あとは、刺激を加えるだけだ 「ひゃん! あっ、んんっ! やっ!」 予想以上に効果があった。刺激し始めた直後からこの反応だ 幼いながらも、女を感じさせる声に興奮が止まらない もっと声を聞きたいと、指の動きを激しくし、刺激を強める 「あ!、ああっ! やあぁっっー! ひゃんんんっ!!」 ひときわ大きな声に愕き、手を止める 刺激し過ぎたか? 目が覚めたかも? 一瞬蒼ざめるが、それも杞憂に終わる 火照った寝顔に安堵した時、腕に伝わる生暖かい液体と、それが放つ異臭に気づく 「おやおや おもらしですか」 思わず言葉に出る 医者をやってると汚物に触れる機会は多く、他人の汚物を被っても平気ではある だが、だからと言って不快感がない訳ではない、嫌なものは嫌なのだ しかし、これは違うようだ。普段なら平然と後始末を始めるだけだが、今は違う 理性ではなく本能が反応する 「・・・・・・・・・」 鼻をつく不快なはずの匂い。だが、今はそれが異常な興奮を引き起こす 鼻息が荒れ、中から圧迫され、窮屈になったズボンを脱ぎ下半身を露出する いきり立った愚息を、スジのままで花開いてない秘所にすり付ける 先端でなでまわすように、スジに沿って上下させる 火照ったまま寝息を漏らす少女の顔が、月明かりに映し出される それは、いつものかわいらしさとは違い、少女にはありえない艶やかさを感じさせるものだった 興奮がさらに高まる。高まった興奮は、こすりつけるだけではおさまりがつかない 入れたい それが本音であった だが、僅かに残った理性がそれを拒否する 彼女は巫女であり、巫女には処女性が大事だと聞いた事がある わたしにそれを散らせる資格など無い それに、今更だが、超えてはいけない一線がある 本能と理性の間で葛藤し、身もだえする 入れたい、ダメダ、デモ入れたい 「くっ くーっあっああっあああああ!!」 ダメダダメダダメダ、モウガマンデキナイ 手で愚息を押さえ、狙いを定める 最後に残った理性で位置をずらしもう一つの穴へと目標を変える 「ひぎぃ!」 梨花から嬌声とは違う口篭持った悲鳴が漏れる だが、それに構わず腰を振りつづける 幼いからだがリズミカルに揺れ、呻き声からだんだんと嬌声に変わっていく 「んっ、あっ!、んんっ!! あっ うんっ やっ!」 「はぁはぁはぁ!んっ!!」 そして、わたしは絶頂を迎えた 堪えがたいほどの自己嫌悪の中、黙々と後始末を始める 最初の触診で少し広がっていたのが幸いしたらしく、あれだけ激しくしたのに裂けてはいないようだ 欲望のはけ口となった穴をから、欲望の塊を掻きだす 沿え付けのタオルで全身の汗をふき取り、服を着せる 手術着とベットのシーツが塗れていたが、これはどうしょうもない 梨花には悪いが、オネショしたこととして誤魔化すしかない 年齢時には少しおかしいが、理由はどうとでもつけられる 「私は何をやってるんでしょうね――ハハハ・・・・・・」 後始末を全て終わらせて、梨花が何事も無かったように寝ているのを確認して、病室をあとにする 仮眠室に戻り椅子に座って一息つくと、止めどなく涙が溢れた 「みー。沙都子には絶対内緒なのですよ!」 「クスクス、はいはい」 「まあまあ、大変な手術の後ですから、緊張が解けてうっかりしたんでしょう」 朝、診療所を開く前の病室。朝御飯の前に一騒ぎ起きていた 予想していたことであり、予定どおりに対処する 「でもねぇ? この年で・・・クスクス」 「みー、鷹野が苛めるのです・・・・・・」 「鷹野さん。そのへんにしてあげてください。大人げないですよ」 「あらあら? 私は悪者なの? クスクス じゃ悪者は退散するわね」 「みー、沙都子に言っちゃダメなのですよ」 「大丈夫よ言いたくても・・・ねえ?」 「!? 鷹野さん!!」 「あら? ごめんなさいね。じゃ」 失言に気づいた鷹野さんは咎められる前に、シーツを持ったまま、病室を逃げ出すように後にする そして、シーツを変え、パジャマに着替えた梨花と二人っきりになる 「みー・・・」 「大丈夫ですよ、鷹野さんには私から口止めしておきますから」 「おねがいしますです。入江なら信用できるのです」 何気ない言葉が胸に刺さる 彼女はわたしを無条件に信頼してくれてる だが、そんな彼女をわたしは――劣情に駆られて・・・・・・ 「・・・・・・・・・」 「入江。どうかしたのですか?」 「え? ははは。まだ、疲れが残ってるようです。それより身体の調子はどうですか?」 「大丈夫なのですよ。にぱー」 笑顔がまぶしい。だめだ、見て入られない こんないい子を、わたしは・・・・・・・・ 自己嫌悪で押しつぶされそうだ 「それは良かったです。もう少しで検査の準備ができます。 朝食を済ましたら診察室にきてください。 そこで問題が無ければ、今日からお家に帰れますよ」 「みい。それより沙都子が心配なのですよ」 「ああ、そのことでしたら、鷹野さんの研究結果が出しだい治療に入ります」 女の子同士の友情か・・・・・・。わたしのとは比べ物にならないほど純粋なものだろうな 「入江は何もしないのですか?」 「え? あははは 何もしない訳ではありませんが、この件は鷹野さんの専門分野ですから」 「入江は優秀なのですよ?」 「ありがとうございます。でも、それは買い被りです。私なんて所詮は・・・・・・」 そう、ただの卑怯者。言い訳ばかりして保身を計る人間クズだ あんなことをしたばかりだと言うのに、当人の前で笑っていられるぐらい外道だ そんなわたしに何が出来るというのだ? 「入江」 自己嫌悪の闇に落ち、自暴自棄となった心に、凛とした声が響く 「沙都子を助けられるのはあなただけ。 鷹野はダメ。彼女は研究だけで沙都子は救ってくれない。 いいえ。むしろ沙都子を研究のために*してしまう」 「梨花・・・さん?」 口調だけじゃない、態度が違う。いや、雰囲気からして違う これは誰だ? 「今から1ヵ月後。沙都子は5度目の発作を起こします その時までに、入江。 あなたがC120を完成させないと手遅れになる」 「一体何を言って・・・」 「だから入江。自殺しないで」 唐突な言葉だった 心を見透かされたような気がした 名目だけの所長であるわたしは、自分がここにいる意味を見失っていた そんな矢先、トミーにさき越されたあせりと苛立ちから、許されざる蛮行を行った そう、わたしはすでに生きる気力を失っていたのだ 「な、何を突然言い出すんです?」 「入江。昨日のことは知ってるのですよ?」 馬鹿な!。突然ことに狼狽し、椅子から落ちる とっさに何事も無かったように振舞おうとするが、上手く行かない 「ななbなs、なんのはなしです?」 「入江。あなたには感謝してるのです。 あなたは沙都子を救ってくれる。 あなただけが沙都子を救える。 たしかにあなたは道を誤った。 でも、まだ戻れる 戻れるのですよ?」 「はは、いつ気づいていたんですか? 戻れるって? 古手さん。本当に知ってるのですか? わたしがあなたに何をしたのか? はは、なら、戻れるはず無い 天才と呼ばれた外科医、入江京介はもういない ここにいるのは、ただのクズです 生きる価値も無ければ、存在する価値も無い!!!」 終わった。何もかも終わった 終わってくれた その時はそうとしか思えなかった だから、次の言葉が信じられなかった 「入江。僕はあなたの罪を許すのです」 「え?」 許す? わたしを? 数え切れない罪を犯し、さらに超えてはならない一線も超えたこのクズを? 「入江。私はあなたの努力を知っています そしてどれだけ苦悩してきたかも 「・・・・・・」 「あなたは沢山の罪を犯しました そしてさらに、その罪から逃げるつもりですか?」 「じゃどうすれば良いのですか! わたしの犯した罪はけして許されるものじゃないでしょう!!!」 「でも、僕は許すと言ってるのですよ?」 許されるのか? わたしが? あんなことやこんなことをしたのに? 「しかし、わたしは・・・・・・」 「あーいちいち、煩いわね。 私は許すと言ってるの!! でも、あなたがこれまでに*してきた人たちのことは知らない 彼らが許すかどうかは知らないわ でも、じゃあ、その罪を償うにはどうすればいいと思う? 命を奪ったのなら、それ以上の命を助けることで償えばいいのよ!!」 さらに口調が変わる。大人びた口調から荒っぽい口調にだが、不思議と違和感が無い 独善的で断定的だが、心に響く。そうだ、たしかにわたしは多くの人を犠牲にしてきた そのわたしがここで命を断ったところで、何になる? 犠牲を無駄にしないためにも、生きて償うべきではないのか? 「私が・・・助ける?」 「そうよ。あなたなら出来る。あなたなら沙都子を助けられる。 これは決まったことよ」 心に微かに火が灯る。忘れかけていた医学への情熱を思い出す 「あなたにあんなことをしたわたしを、まだ信じてくれるのですか?」 「いったでしょ? 私は許すって でも、次はないわよ?」 「わかってます。本来なら一度目の過ちで許されないことですから・・・・・・二度はありません しかし、いつから意識があったんです? それに、決まってることとは一体?」 心は決まった。梨花がチャンスを与えてくれた いや、それだけではない忘れてたことを思い出させてくれた 「オヤシロサマは何でも知ってるのですよ? にぱー!」 「はははは、古手さんにかないませんね~」 久しぶりに自然に笑った気がする いつからだろう? 作り笑いしかできなくなったのは? 「いいでしょう。この京介入江。期待に答えましょう!」 「頑張るのですよ。ファイト!おー!なのです」 「ええ、見ててください」 いつもの無邪気な笑顔に送られて、病室を出る 部屋を出たその足で、地下の鷹野さんの研究棟に向う 考えて見ればわたしは、無駄なプライドをずっと引きずっていた それだけが支えとばかりに固執して、理想と違う現実を認められず、いつしか回りを見なくなった だが、今は違う。落ちる所まで落ちた以上もはや恐れる物は無い 土下座してでも研究に加えてもらい、全力を尽すまでだ!! こんなわたしを認めてくれる人がいる 信じてくれる子がいる 過ちを正し、道を示してくれた そして、大きな過ちを許してくれた わたしに生きる意味があるなら、それは彼女のためだ これからも苦労はあるだろう 再び絶望することもあるだろう だが、わたしも信じよう 彼女がわたしを信じてくれたように 未来に希望がある事を・・・・・・ エピローグ 「あぅあぅ。入江はとんだ変態なのです」 「そうね、あと2年もすればメイドメイド言い出すわね」 「違うのです!そうじゃないのです!」 「分かってるわよ、後で沙都子に手を出さないように釘刺しとかないと」 「あぅあう」 「何?」 「えー。それで、入江をホントに許すのですか?」 「ええ。こんな貧相な身体一つで沙都子が助かるなら、安いものよ」 「でもでも、女の子の大切なものを奪われそうになったのですよ?」 「いいの。私は空気読めない乙女チックな誰かさんと違って、結婚までは~とか甘い幻想を持ってないから」 「あぅあぅ」 「それに最後までやってないんでしょ?」 「あぅあぅ、それはそうなのですが、最後までやったのとたいして変わらない気がするのですよ」 「いいのよ。どうせ寝てて覚えてないし、いちいち細かい事を気にしてたら、100年の魔女なんてやってられないわよ」 「あぅあぅあぅ・・・・・・」 「それに、ああ言っておかないと、生真面目な入江は思い詰めて自殺しちゃうでしょ?」 「それはそうなのですけど・・・・・・ボクは納得いかないのです!」 「あんたが納得して無くても、私はしてるの」 「あぅあぅ」 「ボクは梨花の教育を間違ったんでしょうか?」 終わり