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目次 【時事】ニュース羽入 RSS羽入 口コミ羽入 【参考】ブックマーク 関連項目 タグ 最終更新日時 【時事】 ニュース 羽入 町田粥が発達障害への理解を深めるエッセイ、フィーヤンで始動(コミックナタリー) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 延期3度、喜びひとしお(山形新聞) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 新種カクレトミヨ、お出まし! 天然記念物・東根で調査 - 朝日新聞デジタル 「新潟・金沢展」~ときめく新潟・かがやく金沢~を日本橋三越本店で開催! - PR TIMES 数々の『ひぐらし』の終着点であり、キャラクターの未来を感じさせるクライマックス――アニメ『ひぐらしのなく頃に 卒』川口敬一郎監督 インタビュー【後半】 - アニメイトタイムズ 「PUBG MOBILE」で「ひぐらしのなく頃に 卒」とのコラボ第2弾が開始 - 4Gamer.net TVアニメ『ひぐらしのなく頃に業/卒』のお疲れさま本が予約受付開始!表紙はキャラクターデザインの渡辺明夫さん描き下ろしイラスト!:時事ドットコム - 時事通信 狂気に満ちた表情にゾクゾク…!『ひぐらしのなく頃に 業』竜宮レナが特別彩色仕様で再びフィギュア化!凄惨な返り血など世界観を完全再現 - 電撃ホビーウェブ 夏アニメ『ひぐらしのなく頃に 卒』羽入役・堀江由衣さんインタビュー「仲間を信じることや自分を信じることの大切さが伝わってくる作品」【連載第9回】 - アニメイトタイムズ 堀江由衣さんお誕生日記念!一番好きなキャラは? 3位「フルーツバスケット」本田透、2位「魔法つかいプリキュア!」キュアマジカル…バラエティに富んだヒロインが集結!<21年版>(アニメ!アニメ!) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 夏アニメ『ひぐらしのなく頃に 卒』富竹ジロウ役・大川透さんインタビュー「鷹野さんが幸せになってくれるなら、富竹としては何よりです!」【連載第1回】 - アニメイトタイムズ 「ひぐらしのなく頃に」まさかの商品化!? 雛見沢症候群を引き起こす“あの注射器”型ボールペン登場 - アニメ!アニメ!Anime Anime 『ひぐらし卒』第12話、羽入復活がアツい!エウアとの関係は…。世界線も分岐している? 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夏の終わり2の続きです。 ――――― 頭が真っ白になった。また、失敗…? また沙都子に知られてしまっていた? 沙都子が家を、出る?なんで?どうして?答えは分かってる、けど分かりたくない。 「どうして、って聞いてもいい、のですか…」 「どうして? 梨花は私の親友ではありませんか…、だから、ですわ」 「…言ってることが、よく分からないのですよ…」 ――分からないわけない、私が沙都子を追い詰めたって事くらい分かっている。 「…ごめんなさい、梨花」 「ごめんなさい…?何がごめんなさいなのですか…? 何か沙都子謝らなくてはならないことをしてしまったのですか? にゃーにゃーなのですか…っ!? だったらボクが一緒に―」 ――雛見沢での事なら御三家である私が何とかすることが出来る、沙都子を助けられる。だからいなくならないで。 「ごめんなさい」 「だから! 何がごめんなさいなのかって聞いてんのよ!! 親友だから家を出るって、何で!? 私のこと嫌いになった!? 何か悪いことした!? ねえ! 沙都子!!!」 「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」 壊れたレコードのように何度も何度もごめんなさいと言う沙都子にいい加減恐怖を超えて怒りを覚えた。 「ちょっと! 何よ、沙都子! 言ったじゃない、私の事すきだって! あれは嘘だったの!? ねえってば!」 「嘘なんかじゃありませんわ…嘘なわけありませんもの」 「じゃあなんで!? 私の事一人にしたっていいってこと!! 私の事どうでもいいってことなの!?」 「そんなわけ、ある、…はずも…な…」 沙都子が何を言いたいのか分からない。何で沙都子がすすり泣くのか分からない。 「何泣いてんのよ! こっちが泣きたいくらいよ!!」 「ううっ…ごめんなさい…梨花ぁ…っく…うううううぅぅっ」 「出て行くならちゃんと理由を言いなさいよ! …北条沙都子ッッ!!!!!」 もういつもの口調なんてどうでもいいくらい取り乱してる。でも止まらない。沙都子がいなくなる生活なんて強いられるくらいならこうやって駄々こねて意地でも沙都子と離れないようにしてやる! 「だって!!! 梨花は嫌でしょう! 私の事なんて!!!」 「はっ!?」 「私が梨花に思っている好きは、梨花が思っているような好きじゃないんですのよ…」 ――…え? 何? 「沙都子、何言って…」 「梨花を親友としてではなく…一人の人間として、恋愛対象として…好き」 「………………え…?」 「こんな、こんな感情おかしいって分かってるんですのよ、伝えたらきっと梨花に嫌われてしまうって事も分かってるんですの。だから梨花には知られたくなかったんです…」 ――何?沙都子…あなたもしかして私の心が読める…わけじゃないわよね…? 「え、沙都子、ごめ…もう一度言って…くれない? …なのですよ」 少しでも自分を取り戻そうといつもの口調に戻してみるも、どう考えても変な文法。ああ頭が上手く働かない。 「だからだから! 私、北条沙都子は!他の誰でもない梨花が、今目の前にいる女の子の古手梨花が好きなんですのよ!!!」 「………………………………え…っと…」 「ほら! やっぱり梨花も気持ち悪いってお思いなんでしょう!? おかしいですわよね、同性を好きになるなんて。だから伝えたくなかったんですわ、梨花に嫌われたくなくて、梨花と離れるのが…、何よりも、こわく…」 ――沙都子が、私を…好き? え、私今夢見てる、わけじゃないわよね… 「今まで冷たく当たってしまってごめんなさい、梨花が他の方と一緒にいるのが嫌だっただけなんですの。子供っぽいですわよね…気持ち悪いですわよね、親友だと思っていたモノに恋愛感情を抱かれていただなんて…嫌ですわよね、私の事…だから私」 「………」 ――100年も思い続けて、諦めようとして諦めきれないその想い…伝わってるっていうの? 「何とか言ってくださいましな、梨花…それとももう私と話したくもありません、か…そうですわよね、ごめんなさ―」 「好き」 「…え?」 「私、沙都子の事好き」 「―――梨花?」 「好き…好き…、私、も……っ沙都子の事が……っ大好き…!!!」 ――…夢じゃないわよね?ちゃんと私起きてるわよね…!ここにいる沙都子は本物よね…?! 「り、梨花ぁ? 私を思っての慰めだったら結構ですわよ……!」 えぐえぐと泣きながら抱きついている私の言葉に反抗する。ああ…もうバカ、バカバカバカバカ!!!! 「どうして信じてくれないの…どうやったら沙都子は信じてくれるのよ!」 「ぇ、ど、どうやったらって…わ、私人を好きになったのが初めてで…あのっ」 「何よ! この期に及んでまた私の事弄ぶつもり!? 私だって人を好きになったのはあんたが初めてなの!」 「…ち、ちが…え? 私が初めて…なんですの?」 「そうよ! 私は貴方がいなければもうとっくに死んでいたわ! 毎日が退屈でつまらなくてどうしようもなかった!私が今の今まで生きてきたのは、他の誰でもない沙都子がいてくれたからなんじゃないのよ! どうして気づかないの!」 「…ふぇ!? …ぇっと、梨花は赤坂さんが好きなのではございませんこと…?」 「誰がそんな事言ったの? 私? 私はそんな事言ってない、あんな温泉刑事沙都子になんか全然及ばないわよ!」 もう沙都子の言葉一つ一つ半狂乱になりながら答えるしかなかった。 「だって、だって…梨花…だって…」 「ああもう! 沙都子のバカ! 大バカ!! こんなにこんなに…あああーもうっ!!!!」 「り、梨花?」 突拍子もない声で私の名を呼ぶこの愛しいアクマの頭を抑える。きょとんとした顔付き、ああもうなんでこんなに可愛いんだろう…! 「こうしたら、信じてくれる?」 「ぇ?梨―ンッ」 唇を強引に押し付けるだけの、ムードのカケラもないキスをする。ある世界ではこれを無理矢理沙都子にしたら突き飛ばされたのよね…それを思い出して、どうか突き飛ばさないで欲しいと切実に祈った。ホント切実に。シュークリーム5個分くらい。頼むわよ!羽入! * 恐る恐る唇を離すと、祈りが通じたのか沙都子は俯いていた。 「さ、沙都子…どう…?私が沙都子をすきだって事…伝わった?」 「…え、えぇっと…あのその、えっと…」 「それとも嫌だった?」 「そんな!嬉しい、ですわ…とても、嬉しくて信じられませんのよ梨花」 「…私だって同じよ、まさかここでループというかもうなんかよくわからないけどとりあえず勝ち取れるなんて思ってもいなかったから」 「り、梨花の言っている事がイマイチ分かりませんけど、本当はこれは夢だったんじゃないのかってちょっと今は心配ですわ」 「これが夢だったら永遠に目覚めたくないわね…」 沙都子が照れ笑いのような不思議な笑い方をする。つられて私も笑う。 「…えぇ同感ですわ。ですから確認したいのですが、よろしいのでございましょうか?」 「確認て、なに―」 私が訪ねるか早いか、私の両頬に沙都子の両手が添えられる。ああ、気持ちいいな沙都子の肌はどこも…。 「私、梨花に触れるのが怖くて今までこうすることが出来なかったんですの」 「怖かった? どうして? 別に噛み付きやしないわよ、そりゃちょっとは今気が立ってるけど」 「…だって、触れてしまったら私」 「な、ん……ぅ…」 さっきの唇を強引に押し付けるようなものではなく、ただ優しいだけのキス。 「…こういう事、したくなってしまって自分を止められそうになかったんですもの」 「沙都子…」 沙都子ってこんな子だったっけ…どうしよ、可愛すぎる…。 「病院で暴れてしまってごめんなさい、怪我はありませんでしたか?」 「う、うん…それは別に…」 「もう、あのときから既に私は戻れないところまでいたのでございますわ」 「…え」 「私、梨花のこと誰よりも…好きですわよ」 そう優しく微笑む沙都子は今までで見たことがないくらい美しくて、言葉すらも出なかった。改めて惚れ直してしまった目の前にいる少女が愛しくてもうどうにもならなかった。 「梨花、…あの」 沙都子の口が私の名前を呼ぶだけで身体が疼いた。 「沙都子、好き…」 「ん、梨花ぁ…私も…好き、ですわょ…んむ」 最初はちゅっちゅっと音がなるくらいの軽い口付け。次第にその口付けは濃度を増す。触れるだけだった手と手が絡みあいお互いの間にある距離を少しでもなくそうとお互いの頭、背中に腕をかき抱く。 「ぅ、ふ…んぅ…っ」 ―くちゅり、と澄んだ水音が鳴る。 お互いの口でお互いの口に隙間を作らないかのように唇を、下を、歯茎を、口内にある相手の存在を意味するものを貪った。息が荒くなってもその勢いは止まることを知らずまだ足りないと言わんばかりにお互いの唇を欲した。 不意に梨花の左手が沙都子の背中をなぞる。 「んぅっ!?」 ビクッと電撃が走ったかのように身体を強張らせる沙都子。 「どうしたの、沙都子」 濃厚すぎる口付けをぷはっという息と共に止める。 「ど、…どうした…というのは…?」 「身体が跳ねたから、何か痛いところでもあったのかと思って」 「いえ、そんなわけではありませんの…ただ―」 「ただ?」 「り、………梨花の…その、あの…手が」 「私の手が?」 「気持ちよくて…その、えっと…私嬉しくて」 この子はどうしてこんなにも可愛いんだろう…いつもは強がりな女の子だというのに、こんな恥ずかしがっている姿を見れるなんて。 「嬉しい?」 「ええ…こんなにも、梨花に触れて欲しかったんだと実感していただけの事なんですのよ…」 「沙都子…」 「…って言ってしまってなんだか恥ずかしいですわn…きゃっ!?」 強く強く沙都子を抱きしめる。 「ごめんなさい沙都子、今まで生きてきて私の想いを貴方に受け入れてもらえたのが初めてだから私どうしたらいいのか分からない」 「…梨花」 100年も繰り返した中で試してみたのはたった一度だけ。でもその一度の失敗が怖くてもうそれを試すのが怖かった。沙都子が私に冷たくなるなんて考えたくもなかったから、もうこの想いは永遠に私の中で閉じ込めてしまうしかないんだって諦めてた。それでも跡取りのために沙都子より好きになれない誰かと結婚して子供を身篭って血を引き継いでいかなくてはならないんだと諦めていた。 …でも、沙都子を信じていた。あの日、レナに言われていたように…。 「私、…沙都子がいなくなるのが怖かった…諦めないで、良かった…うぅっ」 「梨花? 泣いていますの?」 「な、泣いてなんか…って沙都子も泣いてるじゃないの」 「え? 本当ですわね…くすくす、これは梨花が泣いてるからですわ」 「どういう…?」 「梨花が笑ってくれるなら私も笑いますわ、ですが梨花が泣くなら私も泣きますわよ」 ――なんなのこの子の可愛さは。今までよく誰も手を出さなかったわね…! 「今のうちに謝っておく、ごめん」 「え、ちょ…梨―」 抱きしめながら沙都子を押し倒す。何が起こったか分からない沙都子の顔をじっと見つめる。 「…出来るだけ優しくするけど、私、止まらないかもしれない」 「…えぇ、肝に銘じておきますわ。今日という日を忘れないために―――」 ――――― 時は夕暮れ、夏の終わりに伴い部屋の灯りもつけず薄暗い部屋の中に想い合う二人が重なる影、そしてひぐらしの鳴く声だけが聞こえる―――。 「…ま、分かってはいたけどやっぱり…ね」 目の前の少女の裸を見て溜息と共にしみじみと呟く。 ――そりゃぁ確かに前からちょっとは沙都子の方が発育がいいなぁなんて思っていたけど…まさかここまでの差があるなんて誰が予想しただろう…いや出来るわけもない。(←反語) 「…ぁ、あんまり見ないで下さいましな…恥ずかしいですわ」 落胆というか羨望というか複雑な発育途上の乙女心が入り混じった視線を少し勘違いして捉えた沙都子はこんなに薄暗くても分かるくらいに、顔が朱に染まっていた。 そういや沙都子は自分の発育の良さに関してあまり快く思ってなかったみたいだった…きっと男子の目とかがあって恥ずかしいのかもしれない。…私みたいのも需要はあるけど、根強い人気はきっと沙都子みたいな子なんだろう…ってあれ何の話だ。 とにかく、沙都子が沙都子である限りどんなに私より優れた身体つきをしていても関係ないわけで…わ、私だってループの世界から抜け出したんだからこれから成長するはず!と願いたい。 「そんな事言ったって仕方ないじゃない。今まで見たくても見れなかったんだし」 「お風呂に一緒に入った時とか着替えてる時とか見てたじゃありませんかっ!」 「それとこれとは別。そんな事言ってると部屋の電気つけちゃうわよ」 「そっそれだけは…! ………うぅ~…梨花は意地悪なんですのね…」 「沙都子には特別なのですよ、にぱ~☆」 「一般的に好きな子には優しくするもんじゃないんですのっ!?」 「ボク達は一般から少し外れているのです、みー」 「…っ」 口にしてから、あ、と思ったけど、やっぱり同性同士がこういう関係になるって言うのは常識から逸脱していると思う。多分私か沙都子かどちらかが男と言う性別なら私も沙都子もあんなに頭を悩ますこともなかったと思うのだけど…。返す言葉が見つけられない沙都子はただ目を伏せて俯いてしまうだけ。こんな顔させたかったわけじゃないのに、失言。 「みー、でもボクは幸せなのです」 「梨花…」 「実る確率が男女に比べて大分低いのに、それでも実ったボクたちなのですよ? 少しズレていてもボクは満足なのです」 「………」 「ボクは沙都子がいてくれたならそれだけで幸せなのですよ」 やはり少し自分の気持ちに、そして今この状況に戸惑いがある様子でいたけれど、その言葉を聞いて何かを思ったのか覆い被さっている私の手を取り自分の頬に触れさせ伏せていた目が私を射る。潤んだ綺麗な緋色の瞳に吸い込まれそうになる。 「そうですわよね…、折角梨花に受け入れてもらえて嘆くなんて贅沢すぎますわね…」 「みー! 沙都子は欲張りなのです」 「全くですわねぇ…ごめんなさ―むっ!?」 ―突然のキス。あまりに勢いづきすぎて二人の歯がカチンとぶつかる。 どうにも私からのキスは強引なものが多いような気がするけど…気のせいよね?みー☆ 「…りっ梨花ぁ!?」 「謝ったら罰としてちゅーしてにゃーにゃーなのです」 「どうしてですの?」 「ボクは沙都子が笑っていてくれた方が幸せなのですよ」 「…っ、………………ゎ…わかりました、わ…」 我ながらなんともこっぱずかしい発言が出来るものだなぁと自分で自分を褒めてあげたい。 でも素直に口に出てきちゃったんだからこれはきっと私の本心なんだろうな、…こんなにクサイ台詞吐くとは思わなかったけど。今まで愛の言葉なんて囁かれた事のない沙都子の顔は100年一緒にいてもみた事がない顔。可愛い。 「そ、それでですね…えっと…これからどうするんですの?」 「へ?」 「あの…だからこれからどうするんですの?」 「これから? …いつまでも仲良く一緒に暮らして生きましょう…?」 「ち、違っ…! そういう事じゃなく…って、梨花!もしかしてわざと?わざとなんですのっ!?」 「え…えぇええええっと…ごめん、何?」 「だからその…何もないんでしたら…私、服を着たいんですけども……ぁの…」 沙都子の言いたい事が理解できた。そりゃそうよね、自分一人だけ裸にされてたら恥ずかしいわよね。っていうか…性の知識が豊富でなくても、好き合ってるもの同士が裸ですることくらいは分かるんだな…とちょっと感心…とちょっと嫉妬。 ――知恵の授業ではおしべとめしべからしか教えてもらってないからきっと誰かから教えてもらったんだろう…圭一?魅音?…考えたら段々ムカムカしてきた。まさか入江なんかじゃないわよね?だとしたらもう絶対沙都子連れて行ったりしないんだから! 「…り、梨花? 聞いてますの?」 「え!? あ、ごめん…ちょっと考え事してたわ」 「…もぅ、失礼な梨花ですこと………こ、こんなに恥ずかしい格好している想い人が目の前にいても物思いに耽るなんてっ」 「ごめんごめん…沙都子怒らないで」 「知らない知らない、知らないもん!」 手足をばたつかせる沙都子もかぁいい。いやちょっと前にも思ったけど今までよくこれで理性保てたわね私。尊敬する。悟史もこんな可愛い妹いて幸せよね、詩音も憎きライバルと思っていたようだけどこれだけ可愛ければどうでもよくなるもんよね。 「ごめんって…大体沙都子を目の前にして他の誰かの事考えてるわけないでしょ」 「だ!だって目が遠く見てましたわよ!」 「え…そうだった? それは気づかなかったわ。ごめん」 「別に気にしてませんけど! どうせ私にはそんな魅力ありませんものね」 「沙都子、今日は何でそんなに怒りやすいの~!?」 「だってだってだって!! …………………梨花が他の人の事考えてるの見るの嫌なんですもの…」 「…………」 「私、梨花を好きになるまでこんなに自分が嫉妬深いなんて思いもしませんでしたのよ、ホントですのよ? …聞いてますの梨花ぁ?」 ――聞いてます!聞いてますとも!なんだっていうのこの子の凶悪的なまでの可愛さというものは!もうそろそろこんな台詞もくどいって分かってる!でもこんなに可愛いなんて反則よ!私どうしよう!!これから先こんな葛藤と常に戦いながら日々沙都子と生活していかなくちゃならないのかしら…幸せなんだけどでもその内理性が崩壊しそうだわ……あぅ。 とりあえず据え膳食わぬは一生の恥とも言うし、両思いになった事だし頂いちゃってもいいかしら…いいわよね、沙都子裸だし。ではでは…いただきま―― 「も、もしかして梨花…私の事好きって言うのは冗談だったりしません…わよね……?」 ――は? 「そ…その私が好きだから仕方なく好き、って言ったわけじゃない…ですわよね?」 ――あ、こりゃヤバイ。ちょっとちょっとヤバイヤバイ警告出てきた警告。 「なんで…そう思うの…ですか?」 「いえ…ただあまり嬉しそうに見えない…というか…その」 「何? 何よ? 言いたい事あるならちゃんと言いなさいよ」 ――ほらほらほらほらちょっとヤバイ方向に進んできたわよ…!ちょっと、誰かー! 「…あまりそういう感情を梨花から感じないので…やっぱり私、迷惑だったかしら…と」 ――プチ って頭のどこかで音した。多分。いや絶対。 「そんなわけないでしょ! 今だって…今この瞬間だって! …一生懸命戦ってるんだから!!!」 「…は? 戦ってる?」 「そうよ! 100年しか生きてないけど千載一遇の大チャンス!こんな状況にまさか陥れるかと誰も思わなかった!だから今!私は!どうしたらいいのか分からない!それは何か、そうそれは沙都子への想いよ!沙都子が私に対しての想いを一つ一つ紡いで私に教えてくれる度に、今まで私は沙都子に対してよく何もしないで済んだわねって自分で自分を褒めてたわよ!沙都子が嫉妬深い!?何よそんなの私なんか嫉妬ばかりの毎日だったわよ!圭一に頭撫でられてにこにこしちゃって何よ!どうせ私は圭一や悟史みたいに手も大きくないし抱きしめても沙都子の全てを包んであげられるくらい背丈も大きくないわよ!私なんかにぱーとかみーとかしか可愛いって言ってもらえないし、どうせ胸だって沙都子より小さいわよ!だから何だっていうの!?こ れ だ け 沙都子を好きなのにそれを嘘だって!?沙都子をこんなに好きなのに疑うの?何でなのよっっっ!!!」 「………ぇと………り、梨花…………?」 「沙都子が私を好きになってくれるわけない、そんな事あるわけないってどれだけ自分に言い聞かせてきたと思ってるの!貴方がいない生活なんて考えられないから貴方に嫌われないように嫌われないように一生懸命だったわよ!沙都子が私を想うより先、貴方が生きてる年数よりもっともっと長い時間貴方を好きな私の気持ちが嘘だなんて、それこそありえないわよ!」 「…ぁ…あのぉ…」 「だから!それだけ長い期間欲求不満な人生送ってきたんだから少しはその幸せをかみ締めたっていいじゃないのよおお!!!」 もう何がなんだかわけ分からないけど沙都子への想いが嘘だと思われた事が悔しくて泣けてきた。今までこんなに一気に言葉を発した事あるかどうか分からないくらいに喋ったけど…自分でも何言ったかよくわからないや。ごめん沙都子。 「り、梨花? …だ、大丈夫ですの?」 「何よぉ…まだ疑うつもりなのぉ…うぅっ、信じてよ沙都子ぉ」 「えぇ、信じますわ…その梨花を泣かせるつもりはなかったんですのよ…」 「うううぅぅう…沙都子のばか…バカ…バカバカ」 「ええ、ええ…私はバカですわね…本当にごめんなさい」 「うううーーーっ」 「梨花」 「何よ沙都子…っく…うぅっ」 「もう…自分で言った事も忘れてしまったんですの?…仕方ない梨花ですこと」 「さ、沙都子が何言ってるの、か…っ分からないぃ~」 私の両頬に添える沙都子の手に力が篭る。引き寄せられる、唇に。涙していた私の両目を開いた時には沙都子の緋色の瞳に私がうつるくらい近くて。 ―――あ、思い出した。 と、同時にちゅ、鳥の鳴くようなと音を立てて口付けられる。 「…梨花、ごめんなさい」 「貴方を信じれなくて、ごめんなさい」 「泣かせてしまって、ごめんなさい」 「今まで我慢させて、ごめんなさい」 沙都子が一言謝るたびその都度、その都度私の唇に柔らかい感触が何度も何度も触れる。 最初は唇だけだった口付けも頬や涙が溜まっている瞳や、瞼、おでこ、指先、掌。出来るところ全てを沙都子の唇に慰められる。なんだかくすぐったくて顔が綻ぶ。 「…やっと笑ってくれましたわね」 「…ん、ちょっと落ち着いた…ありがとう」 「いえ…私の方こそなんだか失言してしまったみたいで申し訳なかったですわ」 「あ…ぁあ、気にしないで…なんだか勢いに任せて恥ずかしい事口走っちゃったわ」 「んーまぁ要所要所意味が分からないところもありましたけど、でも一応は理解したつもりなんですのよ」 「…う~ん…出来れば忘れて欲しいんだけど」 「忘れてしまっては梨花にどれだけ想われていたのかも忘れてしまう事になりますからそれは却下ですわね」 「…沙都子はイジワルね」 「おあいこではありませんか」 「そうね……」 でも、と思い出したように沙都子は紡ぐ。 さっきの梨花はまるで圭一さんのようでしたわね―――なんて。 ――――― 「―それで? 梨花は結局一体何に耽ってたんですの?」 「え? …あぁさっきの話?」 「他に何かありますのっ?」 「ふふふ…、言ってもいいけど聞いたらちゃんと答えてくれる?」 「え、んー…聞かれる内容にもよりますけど、善処しますわ」 「約束ね。―えぇっと…その、私とこれからするだろう…事について、なんだけど」 ―ボンという音と共に沙都子の顔が突然真っ赤に染まる。 「………っっっ」 「…それは誰から教えてもらったの…か気になっちゃって、誰から聞いたの?」 「えぇぇええっと…そ、それは答えなくちゃだめ、ですわよね…?」 「うん」 当然即答。当たり前。私の沙都子にいらん知識を…って別にいらん知識でもないけどなんか汚された感じがする。 「ですわよね……………。えと…た、鷹野さんとかレナさん…とか」 ――ナンデスッテー!? 「とか!? とかって…ま、まだ他にもいるの!?」 「え、ええ…あとはねーねー…、詩音さんや魅音さんにも…」 「なっ!? って大体私たちの身近な人たちばかりじゃないの!ていうか私そんな事聞いた事ない…!!」 「確か、梨花には教えなくてもいいとかって言ってましたわね」 「何でよ!!」 「…さぁ?そこまではさすがに分からないんですけど…」 「まぁいいわ…それで? どこまで聞いたの?」 「どこまで、って特に…言うほどのものでも」 「だ、だってほとんどの女性陣がHOW TOを教えてるじゃないの!」 「ええ…でも相手は男性との場合ですし、それは梨花に対しては当てはまらないのでございましょう?」 ――確かに男女の凹凸である凸の部分は私には当然沙都子にもついてないわけだし、沙都子の言いたいことも分からなくもないんだけど。 「全く当てはまらないかって言ったらそうでもないんじゃないかしら」 「そうなんですの?」 「ん…、ほら、圭一の家に前に遊びにいった時圭一のお父さんの本、ちらっと読んだことがあるのよね」 「え?確か圭一さんは見せてもらえないって言ってませんでしたっけ?」 「…ん、ま…そのほら…そこは、ね…こう…」 圭一と身体の関係がある世界で知った話だから沙都子に話しても分からないわよね…伊知郎が同人作家って言っても。ましてや百合作家なんて言っても穢れてない沙都子の事だし、お花を描かれるんですの?なんて言いかねない。 「―梨花?」 「ああ…また考え込んじゃったわね、ぅん、でもまあとにかくやろうと思えば何でも出来ると思うわ」 「世の中には知らない事がまだまだたくさんあるんですのね…」 「知らなくてもいい事もあるけどね…」 ――…とは言え純真無垢だった沙都子に吹き込んだ奴らめ…後で覚えておきなさいよ…!今度変なことしたらお供え物キムチにするんだから…っ!!! あーどっかであぅあぅ聞こえる、気がする。 「で、…梨花、あの私はどうしたらいいんですの?」 「どうしたら…って沙都子はどうしたいの?」 「…どう、って…………あの、り…」 「り? …り………???」 「……梨花を感じたい…ですわ…………」 「……………………」 ―くらっ、と眩暈が。一瞬でも輪姦なんて思った私がバカでした。 「…だ、だめでしたら…そのっ全然構わないのですけど…あぁあのっ…そんな、あの」 「…危なく襲い掛かりそうになってしまったじゃないの…、沙都子…貴方さっきから何回私の理性を打ち砕くつもりなのよ」 「べべっ別にそんなつもりじゃありませんのですけど…!」 「まあいいんだけどね、元々そのつもりだったし」 「そっ、そうなんですの!?」 「ええ…ずっとずっと我慢してたわけだし、ね…」 「それは申し訳ないことをしてしまいましたわね、ごめんなさ―――ぁ」 沙都子の言葉を皮切りに、今まで待ちに望んだ行為が始まった――― 夏の終わり4に続きます。
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祭りの始末 待ちかねた夕暮れを喜ぶかのように、ひぐらしが鳴いている。 一日の終わりを寂しがっているのか、それとも夜の帳を待ちかねているのか。どちらにせよ、彼らの声を聞くと、言い知れぬ寂寥感が込み上げてくる。 入江診療所の前に自転車を停めた富竹は、ふと思った。 入り口のガラス戸を開けて中に入ると、扇風機の風が身を包む。キンキンに冷えた都会の病院の冷房よりも、この優しい風の方が心地良い。 「もう、診察の時間は終わりですよ。」 受付に座っていた年配の女性が、渋い顔をしてこちらを覗く。しかし、富竹の顔を見て 「ああ、富竹さんですかあぃ。」 と、笑みを浮かべた。 医療スタッフ以外の受付や事務員、清掃員などはほとんどが地元の出身で、富竹の正体を知らない。 入江所長の学生時代の友人というのが、病院内での富竹の立場だった。 「綿流しが終わったんというに、今年はまだおるんですね。先生呼んでこようか?」 「いえ、こちらから出向きますよ。」 席を立とうとした女性を制して、富竹は所長室に向かった。 「ああ、富竹さん。」 所長室へ向かう途中、診察室へ入ろうとする入江とばったり出会った。 カルテだろうか、何冊もある書類の束を脇に抱えていた。 「お久しぶりです。」 富竹は挨拶をして、入江の後に付いて診察室に入っていった。 仕事の途中なのだろうか、机の上には書類が乱雑に散らばり、飲みかけの珈琲が置かれている。 「すいませんね。私も筆が遅いので・・・。」 「いえ、気にしないで下さい。僕も報告書は遅いクチですから。」 患者席の丸椅子に座り、富竹は入江の机にある書類に目をやった。 一週間前に発生したあの事件。 「東京」の内部抗争から端を発した、雛見沢村の壊滅作戦のことである。 結局は「番犬」部隊の投入と公安の秘密裏の介入により事無きを得たが、名目上でも責任者である入江京介に対し、各種の報告義務が課せられたのであった。 「情けないですね。ここのトップでありながら、あんな陰謀に気づかなかったとは。」 「それは私も同罪です。予算を司る立場でありながら、慣れ合いになっていて、直前まで不透明なカネの流れに気づかなかった。」 お飾りの頭と、一介の連絡員。 二人に出来る事は限られていたし、活動したとしても消されていたのかもしれない。現に富竹は消されそうになった。 それでも、二人の心には大きな罪悪感があった。 共に過ごした仲間の絶望に気付かず、心中の狂気を見逃し、凶行に走らせてしまったという罪悪感が。 「鷹野さんは、どうですか?」 富竹が、ポツリと言った。 「変わりません。食事や、ちょっとした会話はしますが、後はずっと窓の外を見ていますね。」 逮捕直前に富竹の胸で泣き明かした後、鷹野三四は入江診療所に運ばれた。 症候群の検査とトラップで負った傷の治療のため、今は隔離病棟で過ごしている。 「そうですか。」 富竹は顔をしかめた。あの後、自分は「東京」本部への報告と後始末のため、しばらく雛見沢を離れた。 そのため、事件後に鷹野の姿を見ていないのだが、その憔悴の様子は容易に想像できた。 「先生。」 「ええ、3階の角部屋ですよ。」 面会したいのですが。と言いかけた富竹の表情を察してか、入江は鷹野の病室の番号を告げた。 「多分、いえ、必ず鷹野さんも会いたがっている筈ですよ。」 「先生・・・。」 「医者の私が言うことではないのですが、人の心に一番効く薬というのは、やはり人の心そのものだと思うんですよ。」 入江は恥ずかしそうに、頭を掻いた。 「行ってあげて下さい。夕食も終わったころです。」 「ありがとうございます。」 言うが早いが、富竹は立ち上がり、機関車のように走り去っていった。 その背中を見送りつつ、入江は誰にともなく呟いた。 「・・・人に想われるということは、素敵ですね。」 鷹野三四は、病室の寝台の上に居た。 包帯は未だ巻かれているが、治療の甲斐あって痛みは殆どない。 「東京」による本格的な尋問は来週からというが、明日からでも答えることはできるだろう。 三四は穏やかな気持ちであった。今なら何を聞かれたとしても、淡々と正直に答えることが出来る。 「憑き物が落ちた」という表現があるが、今はまさにその心境であった。 父母との死別・地獄のような施設の日々・祖父との出会いと別れ・「東京」への参加・狂気ともいえる復讐劇・・・。 全てが心の中に等しくあり、まるで自分が観客であるかのように、今までの事実を冷静に見て取れた。 その中で、唯一冷静に見て取れない事実。思い出せば心の奥底に火種を灯し、鼓動を打たずにいられない事実があった。 「ジロウさん・・・。」 ほんの少し、頬に紅が灯る。 自分にとっては、野望のために付き合ってきた男の中の一人に過ぎなかった。 少年ならば背中に胸を押し付けるだけで、大人ならば体を委ねることで、大抵の男は篭絡できる。 富竹もその一人だった。好意を見せる一つ一つの仕草に一喜一憂し、どの男よりも単純な反応を示した。 扱いやすい私の手駒。富竹に対する三四の評価はその程度だった。 そして、最終的に駒は使われなくなる運命になる。終わってしまったチェス版に駒は残らない。 これまでも使った駒は捨ててきた。時には激しく罵られる時もあったし、殺されそうになったこともある。 しかし、富竹は違った。 騙し、殺害を企て、目を覆いたくなるような方法で捨て去った。 それでも、絶対絶命のその時に、この自分を救ったのだった。 わからない。彼がわからない。 こんな、酷い女をどうして。 その時、まるで機関車が走ってくるような音が聞こえてきた。 音はドアの前で停まる。向こうで息を整えるような声がした。 「鷹野さん、富竹です。」 三四は息を飲んだ。富竹が、そこにいる。 「ジ、ジロウさん?」 答えて、寝台から身を起こし、布団を胸元まで引き上げる。 (え、え、え?東京に帰っていたのではないの?!は、早過ぎない?) いけない、これでは中学生のようだ。そう思いながらも、三四は顔が赤くなるのを禁じえなかった。 「入るよ、いい?」 「え、え、はい。」 答えるのと同時に、扉が開かれる。そこには黒色のタンクトップに緑色のズボンといった富竹の姿があった。 富竹二尉ではない、自然な富竹ジロウとしての姿。見慣れているはずなのに、どこか頼もしく見えた。 「ごめん、お見舞いでも持ってくればよかったんだけど、慌しくて忘れていたよ。」 本当に忘れていたのだろう。それだけ彼の身の回りが慌しかったということだと、三四は理解した。 「気にしなくていいわ。来てくれただけで、嬉しいんだもの。」 その言葉に、富竹の顔が一気に赤くなる。本当に、嘘のつけない男だった。 「もう、来てくれないと思っていたから・・・。」 どんな理由があろうとも、彼を裏切ったのは自分だった。正直、二度と姿を見ることはできないとも思っていた。 しかし、富竹は優しい顔をして自分を見据え、備え付けのパイプ椅子に座って三四の傍らに座った。 「僕は、鷹野さんを嫌いになったことなんて、ないよ。」 「でも、私はあなたを裏切った。酷いことをした。殺そうともしたのよ。」 「・・・そうだね。僕は鷹野さんがひどいことをしたことについて、怒っているよ。」 富竹の顔は、引き締まったものに変わっていた。 いたたまれず、三四は視線を落とした。 覚悟はしていた。だが、それでも富竹の口から絶縁や罵倒の言葉を聞くことは耐えがたかった。 「御免、鷹野さん。」 ぱんっ。と、乾いた音が響いた。富竹の平手が三四の頬を打ったのである。 一瞬、三四は何が起きたか理解出来なかった。しかし、遅れて頬に走る痛みが、自分を現実に戻した。 「うう、ううあぁぁぁぁぁ・・・。」 平手といっても手加減はされてある。だが、痛い。トラップで受けた傷よりも、何よりも痛い。 自分に科せられる贖罪は生半可なものではないだろうとおもっていた。 しかし、この痛みはあまりに厳しい。心を許した人から受ける叱責が、こんなに心を穿つなんて。 「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんさない・・・。」 もう、届かないであろう贖罪の言葉、それを何度も繰り返した。溢れ出る涙と共に繰り返した。 その時、強い力で抱きしめられた。気が付くと、富竹の顔がすぐ側にあった。 「鷹野さんの罪は、関係のない人を巻き込んで殺そうとしたこと。それは、思うだけでとても罪深いことなんだよ。」 自分の妄想が甦る。雛見沢の住民を皆殺しにしての血の宴。 一瞬の陶酔に身を委ねたその後に、自分には何が残ったのだろうか。たとえ自分では「神」に至ったと思っても、自分以外の人間にしてみれば、狂った殺戮者でしかない。 そんな大量殺戮者の汚名が祖父と自分に着せられるのだ。祖父の名を汚すと言うことは、自分と祖父の研究を唾棄した、あの連中よりも罪深いではないか! 「もう一つの罪は、その事を一人で抱え込んだこと。閉鎖が決まった時、僕や、入江先生にその悲しみを打ち明けてくれれば、鷹野さんはここまで苦しまずに済んだのかもしれない。」 そうだった。富竹も、入江も仲間だった。 ずっと、一人で生きていた三四には、仲間という概念が欠けていた。だから、仲間に相談するという当然の選択肢が、最初からなかったのだ。 「そう、なのよね。そうだったのよね。みんなに打ち明けて入れば、ああぁ・・・。」 後悔の涙。遅かった。何もかも遅かったのだ。 自分の過ちに気付くことも、仲間というものへの接し方も、全て、全て終わってしまってから気が付いてしまったのだ。 「でも、鷹野さん。」 懺悔の渦中にいる三四に、富竹は告げた。 「僕は、誰が許さなくても、僕は許すよ。だって、鷹野さんは僕の大切な、仲間なんだから。」 三四は顔を上げて富竹の目を覗き込んだ。 力強く、決意に満ちたその瞳。 自分が、更に引き込まれていくのを感じた。 「ん・・・!」 唇と唇が、触れ合った。突然の口付け。 驚いた富竹が離れようとするが、三四の腕が、頭を押さえて離さない。 息が詰まるまで、それは続いた。終わると富竹が強く息を付く。 「ありがとう、ジロウさん。私、あなたが好きよ。」 それは、幾度の世界で告げた言葉。しかし、これまでと違って、言葉に挑発的な響きは無い。 「鷹野さん、僕も、僕も君のことが。」 言い終わる前に、再び唇が重ねられた。今度は優しく。 「嬉しい・・・。」 抱き合う二人。今度は富竹が唇を近づけた。軽い、子供のようなフレンチキス。 慎ましやかな、富竹の性格そのままで、三四はくすりと笑った。 「来て、私の全てを抱きとめてほしいの。」 「鷹野、さん・・・!」 富竹の体が三四を覆う。抱きしめたまま、寝台の上に倒れこんで、二人は唇を合わせ続けた。 寝巻きの合わせから富竹の手が伸び、豊かな三四の乳房を掴む。 「は、あっ。」 唇が今度は首筋に走り、胸へと降りた。寝巻きの前がはだけ、胸元が露になる。 「奇麗だ、とても・・・。」 唇を離して富竹が呟く。三四はされるがまま、富竹の愛撫を受けていた。 その時、三四の膝が、富竹のいきり立ったその部分に触れた。 「あ・・・。」 二人の声が重なり、沈黙が流れた。 自然と、視線がぶつかる。 「三、三四さん。これは・・・。」 富竹が恥ずかしそうに呟く。 その姿がどこか可愛げで、三四はくすくすと微笑んだ。 既に日は落ち、病室には街灯の薄明かり。 その中で、裸身の男女が体を重ねていた。 「三四さん、いいかい・・・?」 富竹は開かれたその部分に、自分の分身を重ねる。 既に潤ったその部分は、薄明かりに照らされて、妖しい色艶を輝かせていた。 「ジロウさん、三四って呼んでいいのよ。」 「う、うん、三四さん・・・。」 この遠慮が三四にとっては愛しい。こんな優しい人を一瞬でも殺そうとしたなんて、狂気に毒されていた自分の考えに、恐ろしさを感じた。 「いくよ・・・。」 徐々に富竹の分身が埋没していく。 「ん・・・。」 筋肉質の富竹のその部分は、やはり大きい。わずかな痛みを感じながら、三四は男性を受け入れる悦びを感じていた。 全ての部分が入り、富竹の吐息が漏れる。 「ジロウさん、動いて・・・。」 声と共に、富竹の腰が動く。ゆっくりと、この瞬間を1秒でも多く味わうかのように。 「三、三四さん・・・。」 「ん、あっ・・・。ジロウ、さん・・・。」 それは三四も同じだった。上体を起こして唇を重ねる。本来二つであったものが一つになるように、二人は体の触れ合いを求めた。 座位になって抱き合いながら交わる。お互いの唇を、首筋を、胸を、貪る様に、求める。 自然と律動も激しくなり、それと共に嬌声も艶を増した。 「三四さん、三四さん!三四さんっ!」 「はあぁっ!ジロウさん。凄い!わたし、わたし、ああぁあっ!」 「好きだ、三四さん。好きだ!」 「私も、ジロウさん、ジロウさんっ!」 このまま、いつまでも交わっていたい。二人の思いは同じだった。 しかし、絶頂はすぐそこに近づいていた。 「あ、三四さん・・・!も、もう!」 「うん、うん!私も、一緒にぃ・・・!」 寝台に倒れこみ、富竹は激しく腰を動かす。 同じく、三四も律動に合わせて腰を動かし、両足を愛しい人の腰に回して、しっかりと絡みついた。 三四を組み伏せた富竹の動きが一段と激しくなる。 「う、うぅっ!三四さん!」 甘い痺れと共に、富竹は全てを解き放った。 激しい勢いで濁流が三四の胎内に流れ込み、まるで吸い込まれているような錯覚を覚える。 「はぁ、あああぁぁ・・・。」 恍惚の表情を浮かべて、三四は富竹の全てを受け入れた。 自分の中に愛しい人の想いが流れてくることが、こんなにも温かいとは・・・。 この想いを伝える言葉が見つからなくて、三四は静かに富竹の唇を求めていた。 「僕が守るよ。君を。」 幾度目かの営みのあと、富竹が呟いた言葉。 眠りに付く直前に聞いたその台詞が、とても印象深かった。 富竹ジロウの奔走により、鷹野三四及び入江京介の罪が減じられ、現状維持の判断が下されるのは数週間後のことである。 終わり
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コミックマーケット70 2006年8月11日~13日 東京ビッグサイトにて開催 サークル名 CD名 上海アリス幻樂団 大空魔術 ~ Magical Astronomy 2SP+C K STAR FRUIT Alstroemeria Records BLUE NOTE STRINGS OF LIFE LAST MOMENT TO REMEMBER Angelic Quasar Check it up 妖! C.S.C→luv 東方 NEW WAVE OF NEW WAVE vol.3 C-CLAYS 水籠 ~MIZU KAGO~ Cherry Lunaburst 東方ヴィヴァーチェ Cis-Trance 踊る東方ドリフト -PRACTICE- CODE-49 東方電脳街 ColorfulCube 靈 -rei- ComicFishing 東方同人堂 盈月紀年~Plenilune Annals Crazy Voltage Drawing the Spell(プレビュー版) CTBR Become Happy!! CYTOKINE A SATELLITE IN THE 2nd OUTER SPACE Demetori Shout at The Devil DeZI R 音速殴-ONSOKU PUNCH-DX EDITION Eternal Music individual Golden City Factory 東方ミッドナイト MAXIMUMTUNEⅢ HappyBirthday meets Futon Go West Iemitsu./A IA-STYLE/Toho-J Key Music 東方見聞録 三ノ巻 L ARCHANGE トウホウノツメアワセ Levo Lution Earthlight Liverne 東方幻奏祀典 Banquet Vermillion Liverne Extra Tracks 01 MINAMOTRANCE Lunatic Phaser MINT s World ヽノ十 mistbell FreeStyle! -2006Summer Edition- NeuzKraft ありちゅでCHU! アヤタン☆ロック NT CONFESS 那由多の想いは旭日の上に──。 PHOENIX Project Reprocessing II R-NOTE Tautology S-style 紅 Scinicade TERASONIC ~翔風烈華 Silver Forest 東方円舞曲 Sonic Hispeed Omega GO EAST ~東方の地へ~ SOUND HOLIC 東方的幻奏小曲集 東方的幻想四撃蹴 Sound Iemitsu Invisible -Project Chord Minor- Studio H.E.X. 魔法図書目録 SYNC.ART S Secret Seven TAMUSIC 東方バイオリン1 東方子守唄 東方バイオリン2 東方まんがまつり 音盤文々。2 β版 Thinktank This Escape Trance Shift Earthlight UI-70 東方ふゅーじょんdemo+4 & 幻視の夜~GhostlyEyes~ Unit GrowSphere 終葬蝶 UtAGe 東方AAA! WAVEDRIVE 客人 MA-LORD(まろうど) Wind of being peaceful iDTC -TOUHOU RO- ZDN お客さん! 通路で挫折しないでください! イオシス 東方乙女囃子 大江戸宅急便 誘惑 月刊ミゾノクチ8月号 月刊ミゾノクチ9月号 がぁでんぷろっと Various festa 華絹花 夢幻少女☆歌倶楽部 きらきらひかり☆ ZUNZUNメドレーの野望 黒兎団 上海冷茶館HOT 絃奏水琴樂章 遠野幻想物語 ~ Rakonto de Sonorado Pejzaĝo 趣味工房にんじんわいん Healing Crimson 神像彫刻家 神像彫刻家 ~ Music Engraver ~ ねこもなか Delight はちみつくまさん 東方初球蹴 ひえろぐらふ チルノがいっぱいいっぱい 光収容の倉庫 掟に逆らったものは半殺す 鋲の人 翠 文鳥Online。 東方徒然雲 ~1 day of a NEET~ 来夢緑 永夜の月 来夢草紙
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← メギドラオン。 それは極大の火力に他ならない。 単純な破壊力だけに絞って言えばリンボ自身の本来の宝具よりも数段上を行く。 龍脈の龍を経由してその身に会得した異世界の魔法。 蘆屋道満程の術師であれば、それを最上の形で扱いこなすなど朝飯前の茶飯事だった。 更に禍津日神・九頭竜新皇蘆屋道満として完成された素体をもってすれば尚の事。 結果として歓喜のままに解き放たれた最上の炎は屍山血河舞台の総てを焼き尽くし。 後に残された者達は、当然のように敗残者らしい姿を晒す憂き目に遭った。 「これはこれは」 アビゲイル・ウィリアムズは右腕を黒焦げの炭に変えられ。 新免武蔵は髪房を焼き飛ばされた上、炎の中に生存圏を捻出する為に多刀の半分以上を溶かさねばならなかった。 そして伏黒甚爾の損傷が一番重篤だ。 彼は左腕を肩口から消し飛ばされ、それだけに留まらず左胴全体に大火傷を被っていた。 如何に彼が天与呪縛のモンスターであると言えども、これは紛うことなき致命傷だった。 「皆様お揃いで、随分と見窄らしい姿になりましたな」 らしくもなく息を乱した姿に溜飲が下がったのかリンボは満足げに彼の、そして彼らの有様を嘲笑する。 一番被害の軽い武蔵でさえ二天一流の強みを大きく削ぎ落とされた形。 アビゲイルと甚爾は四肢を三肢に削がれ、後者に至っては生命活動の続行さえ危うい容態にまで追い込まれている始末。 無様。 神に弓引いた者達の顛末としては実に"らしい"体たらくではないか。 そう嗤うリンボだけが唯一無傷だった。 三人が負わせた手傷もダメージも、メギドラオンの神炎が晴れる頃にはその全てが消え失せてしまっていた。 「…大丈夫、二人とも」 「私は、なんとか。でも…」 アビゲイルの眼が甚爾を見やる。 甚爾は答えなかった。 それが逆に、どんな返事よりも雄弁に彼の現状を物語っている。 “…こりゃ駄目だな。流石に年貢の納め時らしい” 冷静に自分の容態を分析して判断を下す。 此処まで数秒足らず。 自分の肉体の事は嫌という程よく分かっている。 何が出来るのかも、何が出来ないのかも。 以上をもって伏黒甚爾は自分の末路を悟った。 “不味い仕事を受けちまったな。タダ働きの果てがこれじゃ全く割に合わねぇ” ほぼ間違いなく自分は此処で死ぬ。 反転術式なんて便利な物が使える筈もない。 マスター経由での治癒も見込めず、体内は主要な臓器が半分程焼損している有様だ。 今こうして生き長らえている事が奇跡と言っても決して大袈裟ではなかった。 “従っても歯向かっても、結局汚れ仕事やるような奴は長生き出来ねぇってか。…返す言葉もねぇな” あの時。 伏黒甚爾は、アイドルの少女を射殺した後――芽生えた違和感に逆らわなかった。 大人しく尻尾を巻いて逃げ帰った。 それでも結局こうして屍同然の姿を晒すに至っているのはどういう訳か。 問うまでもない。 そういう訳なのだ。 散々暗躍して来たツケか、どうやら往生際という奴が回ってきたらしい。 何か途轍もない幸運に恵まれて生き長らえる事が出来たとしても隻腕の猿など何の使い物にもなりはすまい。 つまり此処で自分は、ごくあっさりと詰んだ訳だ。 仕事人らしくひっそりと…呆気なく。 似合いの末路だ。 甚爾は満身創痍の体の可動域を確かめながら自嘲げに笑う。 とはいえこれで最後なら、もう後先考える必要もない。 最後に死に花咲かせてアビゲイルにバトンを渡せばそれで終いだ。 “化物退治の英雄になるつもりなんざ端からねえんだ。ド派手な英雄譚なんざ、持ってる奴らに任せとけばいい” 例えば、得体の知れない神に魅入られているガキだとか。 例えば、差し向けられた呪いも力も全部真っ向斬り伏せちまう剣客だとか。 華々しい勝利や首級はそれが似合う奴らに任せるのが絶対的にベターだ。 能無しの猿がやるべき仕事はその手伝いと後押し。 奴らが気持ちよく本懐果たせるように裏方仕事で敵を削り、死ぬ前に野郎の吠え面が見られればラッキーと。 そうまで考えた所で、 『猿では儂は殺せぬ。誅せぬ。一芸、一能、道具を用いようと知恵を使おうと、人の真似を超えませぬ』 『黄金ほどの衝撃もない。 雷光ほどの輝きもない。 火焔ほどの鋭さもない。 絡繰ほどの巧拙もない。 鬼女ほどの暴力には、些か足りない』 ――違和感。 自らの意思と相反して隻腕に力が籠もった。 その右腕を見下ろす視線は忘我。 次に浮かんだのは苦笑だった。 「俺も懲りねえな」 "違和感に逆らい続けると、ろくなことがない"。 結局の所猿は猿なのだろう。 然り。 この身に正義だの信念だのそんな大層な観念は今も昔も一度だって宿っちゃいない。 只強いだけの空洞。 そしてその空白を埋める物は、もう未来永劫現れる事はない。 自分も他人も尊ぶことない。 そういう生き方を選んだのだから。 そんな青を棲まわせる余地なぞ、この体に一片だってあるものか。 それは今も変わらない。 きっとこれからも。 何があろうとも――。 「フォーリナー」 リンボの五指は今や指揮棒だった 振るその度に呼吸のような天変地異が発現する光景は悪夢じみている。 地震。火災。雷霆に怪異の跳梁、束ねた神威を放てばそれは必滅の審判と化す。 傷口が炭化して血すら流れない欠けた体で地面を蹴り、それらをどうにか掻い潜りながら。 すれ違う僅か一瞬、甚爾はアビゲイルへと耳打ちをした。 「――――――」 少女の眼が見開かれる。 だめよ、と口が動いた気がした。 それに耳は貸さない。 伝えるべき事は伝えたと、猿は戦端へ戻っていく。 “しかし流石に坊さんだな。人の陥穽探しは得意分野か” 捨てられるものは残らず捨てた。 何だって贅肉と断じて屑籠へ放り込んだ。 それをとっとと焼き捨ててしまわなかったのが"あの時"の失敗。 だから今回は歯車たれと。 依頼人のオーダーを完璧にこなして座へ帰る、そういう役割に殉ずるべきだと。 そう決めていた。 今だってそのつもりだ。 なのに猿は何処までも愚かしく。 そして、何処までも人間だった。 ――後先がなくなった。 未来が一つに定まった。 後任は用意出来ている。 何より今この場を仕損じれば、その時点で仕事は失敗に終わるのが確定している状況。 そんな数々の理由が…言い訳が。 英雄が生前の偉業をなぞるが如くに。 術師殺しの男に、その愚行をなぞらせる。 「…さて」 右腕は問題なく動く。 両足の火傷も軽微だ。 内臓の損傷は重度。 失血で脳の回りは悪い。 何より片腕の欠損がパフォーマンスを著しく低下させている。 仕事人として、術師殺しとして片手落ちも良い所だ。 以上をもって伏黒甚爾は結論付ける。 ――問題ない。 「やるか」 悪神と化したリンボを討たずして仕事の続行は有り得ない。 ならばその為に今此処で死力を尽くそう。 この違和感に逆らって。 この衝動に従って。 甚爾は地を蹴った。 無形の魔震を斬り伏せながら吶喊する。 嘲笑うリンボへ獰猛に笑い返して、男は愚かのままに突き進んだ。 呪霊の海が這い出でる。 禍津日神の呪力によって無から湧き出す百鬼夜行。 それを切り払いながら進む甚爾の奮戦は隻腕とは思えない程に冴え渡っていたが、しかしそれは大局に何の影響も及ぼしていなかった。 「健気なものよ。これしきの芸当、今の儂には無限に行えるというのに」 夜行は攻め手の一つに過ぎない。 甚爾を嘲笑うように九頭竜の顎が開き、九乗まで威力を跳ね上げた魔震を炸裂させた。 アビゲイルが鍵剣を振るって空間をねじ曲げる。 そうして出来上がった脆弱点を武蔵が押し広げ、力任せにぶち破った。 だが足りない。 無茶をしても尚砕き切れなかった震動の余波が彼女達の体を容赦なく蹂躙する。 武蔵が血を吐いた。 アビゲイルが片膝を突いた。 されど休んでいる暇などない。 甘えた事を宣っていれば、足元から間欠泉宛らに噴き出した呪炎の泉に呑まれていただろう。 「チェルノボーグ、イツパパロトル」 二神が列び立って天元の桜を迎撃する。 暗黒と吸精が、女武蔵の体を弾丸のように弾き飛ばした。 彼らは次の瞬間にアビゲイルの喚んだ触手に呑み込まれ即席の牢獄へ囚えられたが、それも所詮は僅かな時間稼ぎにしかならない。 空に瞬く赫い、何処までも赫い太陽。 先刻三人が見た最強の魔法を嫌でも想起させるそれが弾ければ、地上はまたしても熱波の地獄に置き換わった。 「メギド」 メギドラオンに比べれば遥かに威力は落ちる。 だがそんな事、何の救いにもなりはしない。 最上に比べれば威力が幾許か落ちる。 ――だから何だというのだ。 「では十度程、連続で落としてみましょうか」 今のリンボが繰り出せばどんな術でも致命の威力を纏う。 ましてや格が低いという事は、即ち連射に耐える性能であるという事でもあり。 稚気のように言い放たれたその言葉は、彼女達に対する死刑宣告となって降り注いだ。 「絵画を楽しむ趣味は御座いませんでしたが。なかなかに愉しい物ですなぁ、絵筆で何か描くというのも」 この体を筆に、この力を絵具に。 自由気ままに絵を描く。 世界という名の白紙を塗り潰す。 そうして描き上げるのだ、色とりどりの地獄絵を。 地獄の業火より逃れ出んとする不遜者があれば直ちに罰を下そう。 羅刹王を超え髑髏烏帽子を卒業し、現世と地獄を永久に弄ぶ禍津日神と化したこの蘆屋道満の眼が黒い内は斯様な不遜なぞ許さない。 「このようになァ」 「あ、ぎ…!」 鍵を掴み立ち上がろうとした巫女の右足が吹き飛んだ。 リンボの放った呪詛が鏃となって無慈悲に罪人を誅する。 「如何ですか、アビゲイル・ウィリアムズ。純真故に怒る事すら正しく出来ない哀れな貴女」 全身の至る所に火傷を負い、酷い部分は炭となって崩れ始めているその様相は悲惨の一言に尽きる。 そんな彼女の姿にはこの状況でも尚何処か退廃的な美しさが宿っており、それを嬉々と感傷しながらリンボは綴る。 「主の仇を討つ事は愚か、彼女へ引導を渡したのと同じ攻撃で為す術なく膝を突かされる気分は。 是非とも、えぇ是非とも、この九頭竜新皇蘆屋道満へお聞かせ願いたい。それはさぞや芳しい蜜酒となりてこの身を潤すでしょうから」 「…とても痛くて、辛いわ。泣いてしまいそうになるくらい」 向けられるのは只管に思慮等とは無縁の悪意。 生傷に指をねじ込んで穿り返すような嗜虐。 それに対し滔々と漏らすアビゲイルの声にリンボは笑みを深めたが。 そんな彼に対して巫女は、鍵を杖によろよろと立ち上がりながら言う。 「可哀想な御坊さま。貴方は、私に怒ってほしいのね」 「ほう、これはまた面妖な事を仰る。 確かに、ええ確かに銀の鍵の巫女たる貴方が髪を振り乱し目を剥いて怒り狂う姿を見たくないと言えばそれは嘘になりますが」 ギョロリとリンボの眼が動いた。 「言うに事欠いてこの拙僧を哀れと評するとは…いやはや、異界の感性というのは解らぬ。 こうも満ち足り、満ち溢れて止まらないこの霊基が貴女には見えぬのですかな? 今まさにこの蘆屋道満は過去最高の法悦のままに君臨し、御身らの奮戦さえ喰らって地平線の果てへ漕ぎ出さんとしているというのに!」 「ええ。貴方はきっと…とても可哀想なひと。酷い言葉と、棘のような悪意で着込んでいるけれど……」 今のリンボは奈落の太陽そのものだ。 底のない黒を湛え、脈打ち肥え太る破滅の熱源。 既にその性質は赤色矮星と成って久しい。 彼はあるがまま思うがままに全てを呑み干すだろう。 まさに至福の絶頂。 哀れまれる理由等何もない。 「本当は…とても寂しいのね。 分かるわ。その気持ちを、私は何処かで知っているから」 巫女はそんな彼の逆鱗を、その指先で優しく撫でた。 「どれだけ手を伸ばしても届かない誰かに会うために歩き続ける。 星に手を伸ばすみたいに途方もない事だと知りながら、それでも諦められない何か。 頭のなかに強く、そう太陽みたいに焼き付いて消えない憧憬(ヒカリ)……」 …朧気に揺蕩う記憶が一つ、アビゲイルにはあった。 それはきっと"この"アビゲイルに起こった出来事ではない。 魂の原型が同じだから、存在が分かれる際に偶々流れ込んでしまっただけの記憶と想い。 ある少女の面影を探して、きっと今も宇宙の果てを旅しているのだろうもう一人の自分の記憶。 「だからお空を見上げているのでしょう。あなたは」 「――黙れ」 そんなものを抱えているから、アビゲイルはこうして悪逆無道の法師へと指摘の杭を打ち込む事が出来た。 昂るばかりであったリンボの声色が冷たく染まる。 絶対零度の声色の底に煮え滾る怒りの溶岩が波打っている。 その証拠に次の瞬間轟いた魔震は、先刻彼女と武蔵が二人がかりで抉じ開けた物より更に倍は上の威力を持って着弾した。 「ン、ンンンン、ンンンンンン…!」 それはまさに極大の災厄。 自分で生み出した呪符も百鬼夜行も全て鏖殺しながら、リンボは刃向かう全てを押し潰した。 立っている者は誰も居ない。 猿が倒れ。 巫女が吹き飛び。 剣豪でさえ地に臥せった。 「…いけない、いけない。神たるこの儂とした事が餓鬼の戯言に揺さぶられるとは」 誰一人禍津日神を止められない。 天を目指して飛翔する禍津の星を止められない。 力は衰えるどころか際限なく膨れ上がり、無限大の絶望として悪僧の形に凝集されている。 彼こそが地獄、その体現者。 この偽りの地上に地獄の根を下ろし。 いずれは世界の枠さえ飛び越えてありとあらゆる平行世界を悪意と虐殺の海に変えるのだと目論む邪悪の権化。 そんな彼の指先が天へと伸びた。 昏き陽の輝く空には鳥の一匹飛んでいない。雲の一つも流れていない。 孤独の――蠱毒の――お天道様が口を開けた。 白い歯と真っ赤な舌を覗かせながら、神に挑んで敗れた愚か者達を嗤っている。 「とはいえ今ので多少溜飲は下がりました。拙僧も暇ではありませんので、そろそろ幕を下ろすとしましょう」 そうだ。 これは太陽などではない。 斯様な悪意の塊が天に瞬いて全てを笑覧する豊穣の火であるものか。 彼男の真名(な)は悪霊左府。 かつて藤原顕光と呼ばれ、失意の内に悪霊へ堕ちた権力者の成れの果て。 蘆屋道満の盟友にして、彼の霊基に宿る三つ目の柱に他ならない。 「因縁よさらば。目覚めよ、昏き陽の君」 其処に収束していく呪力の桁は最早次元が違った。 単純な熱量でさえ先のメギドラオンを二段は上回る。 放たれたが最期、全てを消し去るに十分すぎる凶念怨念の核爆弾だ。 全ては終わる。 もの皆等しく敗れ去る。 「この忌まわしい縁の悉く平らげて、三千世界の果てまで続く大地獄の炉心と変えてくれよう――」 太陽が瞬くその一瞬。 リンボの高らかな勝利宣言が響き渡る中。 「ぞ……?」 …しかし彼はそこで見た。 視界の中、倒れた三人の中で誰よりも早く。 灼け千切れた体を動かして立ち上がった女の姿を、見た。 その姿は見る影もない程ボロボロだった。 勇ましく啖呵を切ってのけた時の清冽さは何処にもない。 死に体と呼んでもそう的外れではないだろう。 二天一流を特殊たらしめる多刀も今や二振りが残るのみ。 足を止めて死を受け入れても誰も責めないような、血と火傷に塗れた姿格好のままで。 それでもと、女武蔵は立ち上がっていた。 「――」 その姿を見る蘆屋道満。 惨め、無様。 悪足掻き、往生際悪い事この上なし。 罵る言葉なぞ幾つでも思い付くだろう醜態を前にしかし彼は沈黙している。 得意の嘲笑を口にするのも忘れて。 道満は――リンボは己が霊基の裡から浮上する光の記憶を思い出していた。 “…莫迦な。そんな事がある筈がない” 既視感。 本願破れて失墜し。 常世総ての命を殺し尽くすとそう決めた己の前に立ち塞がった男が、居た。 青臭くすらある喝破は子供の駄々とそう変わらなかったが。 それを良しとする神が笑い。 愚かしい程真っ直ぐなその男に、英雄に――剣を与えた。 あの光景と目の前の女侍の姿が重なる。 有り得ぬと。 布石も理屈も存在すまいと。 理性ではそう解っているのに何故か一笑に伏す事が出来ず、リンボは抜き放たれたその刀身を見つめ呟いていた。 「――神剣」 都牟狩、天叢雲剣、草那芸剣。 神が竜より引きずり出した都牟羽之太刀。 霊格では到底それらに及ぶべくもない。 禍津日神は愚か羅刹王にさえ遠く届かないだろう、桜の太刀。 それが何故ああも神々しく目映く見えるのか。 あれを神剣だなどと、何故己は称してしまったのか。 「…そう。貴方がそう思うのならきっとそうなんでしょうね、蘆屋道満」 「……否。否否否否否否否! 有り得ぬ! そんな弱い神剣がこの世に存在するものか! 世迷言を抜かすな新免武蔵ィ!」 「残念吐いた唾は飲めないわ。他でもない貴方自身が"そう"認識したんですもの。 うん、ちょっと安心しました。私、まだちゃんと貴方の敵であれてるみたいね」 これは神剣等ではない。 宿す神秘はたかが知れており。 神域に届くどころか一介の宝具にさえ及ばないだろう一刀に過ぎない。 だがリンボは先刻確かにこれに神の輝きを見た。 かつて己を滅ぼした、あの雷霆の如き光を。 悪を滅ぼしその企みを挫く――忌まわしい正義の輝きを見た。 「…銘を与えるなら"真打柳桜"。繰り返す者を殺す神剣」 勝算としてはそれで十分。 リンボの示した動揺が武蔵の背中を後押しする。 他の誰でもない彼自身がこの剣に神(ヒカリ)を見たのなら。 それこそは、これが目前の大悪を討ち果たし得る神剣なのだという何よりの証明だ。 たとえ贋作の写しなれど。 贋物が本物に必ずしも劣る、そんな道理は存在しない。 「――おまえを殺す剣よ、キャスター・リンボ!」 「ほざけェェエエエエエエ新免武蔵! 光の時、是迄! 疑似神核並列接続、暗黒太陽・臨界……!」 桜の太刀、煌めいて。 満開の桜に似た桃光が舞う。 見据えるのは空で嗤う暗黒の太陽。 地上全てを呪い殺すのだと豪語する奈落の妄執。 これは呪いだ。 これらは呪いだ。 改めて確信する。 こいつらが存在する限り、あの子達は笑えない。 あの二人が共に並んで笑い合う未来は決して来ない。 …それは。 爆ぜる太陽の猛威も恐れる事なく剣を握る理由として十分すぎた。 「伊舎那、大天象ォォ――!!」 「――狂乱怒濤、悪霊左府ゥゥッ!!」 光と闇が衝突する。 成立する筈もない鬩ぎ合い。 それでも。 負けられぬのだと、武蔵は臨む。 その眼に。 あらゆるモノを斬る天眼に。 桜の花弁が、灯って―― ◆ ◆ ◆ 必中、そして必殺。 古手梨花のみを殺す、古手梨花を確実に殺す領域。 時の止まった世界を駆ける弾丸、それは沙都子の先人に当たる女が駆使した運命の形だった。 人の身に生まれながら神を目指した愚かな女。 自分自身でもそう知りながら、しかし只の一度として諦める事のなかった先代の魔女。 今となっては彼女さえ沙都子の駒の一体でしかなかったが。 それでも梨花に勝つ為ならばこれが最良の形だろうと沙都子は確信していた。 上位の視点から異なるカケラを観測する術も持たぬ身で、百年に渡り黒猫を囚え続けた女。 彼女が振るった"絶対の運命"は後継の魔女、今は神を名乗る沙都子の手にもよく馴染んでくれた。 …止まった世界の中を弾丸が駆け。 そして古手梨花は為す術もなく撃ち抜かれた。 胸元から血が飛沫き、肉体を貫通した弾丸は彼方へ飛んでいく。 「チェックメイトですわ、梨花」 夜桜の血による超人化。 それも即死までは防げない。 梨花が頭と心臓への被弾だけは避けていたのがその証拠だ。 そんな解りやすい弱みを見落とす沙都子ではなかった。 部活とは、勝負とは相手の弱みを如何に見つけどう付け込むか。 仮に自分でなくとも、部活メンバーであるなら誰しも同じ答えに辿り着いただろうと沙都子は確信している。 「最後の部活…とても楽しかった。今はこれで終わりですけど、すぐに蘇らせますから安心してくださいまし」 決着は着いた。 役目を終えた領域が崩壊する。 それに伴って止まった時間も動き出した。 世界に熱と音が戻る。 心臓を破壊された梨花の体がぐらりと揺らぎ、地面へ吸い込まれるように倒れていき… 「――なってないわね、沙都子」 完全に崩れ落ちる寸前で、踏み止まった。 ――え。 沙都子の眼が驚愕に見開かれる。 演技でも何でもない。 本心からの驚きに彼女は目を瞠っていた。 馬鹿な。有り得ない。そんな筈はない。 弾丸は確実に命中していた――心臓を破壊した確信があった。 それに何十年分という体感時間を鍛錬に費やして技術を極めた自分がこの間合いで動かない的相手に外す訳がない。 じゃあ何故。 どうして。 答えが出る前に思考は中断された。 梨花の拳が、沙都子の呆けた顔面を真正面から殴り飛ばしたからだ。 「が、ぁッ…?!」 鼻血を噴き出して転がる。 只殴られただけだというのに、先刻刀で斬られた時よりも酷く痛く感じられた。 垂れ落ちる血を拭いながら立ち上がる沙都子の鋭い視線が梨花の顔を見据える。 「どう、して。どうして生きているんですの…! 私は外してなんかない、確実に貴女の心臓を撃ち抜いた筈ですのに!」 「さぁね。私にも…答えなんて解らない。所詮借り物の力だもの。小難しい理屈や因果なんて知らないわ」 そう言い放つ梨花の瞳には或る変化が生じていた。 桜の紋様が浮かび、発光しているのだ。 梨花にはこの現象の理屈は解らなかった。 しかしそんな彼女の裡に響く声がある。 『それは"開花"。夜桜(わたし)の血が極限まで体を強化したその時に花開く力』 …夜桜の血を宿した者は超人と化す。 これはその更に極奥の極意。 流れる血をまさに花開かせる事で可能となる正真の異能だ。 『元々兆候はあったけれど…まさか実戦で使えるまでに至るなんて。梨花ちゃんはつくづく夜桜(わたし)と相性がいいのね』 開花の覚醒は夜桜の力を数倍増しに強化する。 古手梨花は夜桜と成ってまだ数時間という日の浅さだが、しかし初代も驚く程の速度でこれを発動させる事に成功した。 北条沙都子が彼女に対して用いた絶対の運命――領域展開はまさに確殺の一手だった。 認めるしかない。 あれは梨花にとって本当にどうする事も出来ない詰みだった。 梨花もそれをすぐに悟った。 失われた記憶の断片が自分に告げてくる底知れない絶望の感情。 この運命からは逃げられないと、古手梨花の全てがそう語り掛けてきた。 「私は、こんな所で終われないと強く強く思っただけ」 「…ッ。そんな事で……そんな事で、私の運命を破れるわけが!」 「あら。私の通ったカケラを全部見てきた癖にそんな簡単な事も解らないの? 良いわ、改めて教えてあげる。運命なんてものはね、金魚すくいの網よりも簡単に打ち破れるものなのよ」 だとしても。 まだだ、と。 今際の際に梨花は詰みを回避する唯一の手段を捻出する事に成功した。 それが開花。 夜桜の血との完全同調。 簡単にとは行かなかったが。 それでも確かに古手梨花は、北条沙都子が繰り出した絶対の魔法を打ち破ってみせた。 「勝ち誇った顔をしないでくださいまし。たかが一度私の鼻を明かしたくらいでッ!」 「言われるまでもないわ。こっちもようやく温まってきた所なんだから」 これにて戦いは仕切り直し。 沙都子が銃を向け、梨花は切っ先を向ける。 『だけど気を付けて。その体は、開花の負担に耐え切れていない』 そんな事だろうと思っていた。 奇跡とはそう簡単に起こるものではない。 奇跡の魔女となる可能性を秘めた少女も、人の身では依然その偉業には届かないまま。 中途半端な希望は脳内に響く初代の声によって否定される。 『貴女の開花は"奇跡"。肉体の死を跳ね返す、本家本元の夜桜にさえ勝り得る異能』 生存の可能性がゼロでない限り、小数点の果てにある奇跡を手繰り寄せて自身の死を無効化する。 それこそが梨花の開花。 沙都子は絶対の魔女として急速に完成しつつあるが、神の因子を得た今の彼女でもまだ真なる絶対(ラムダデルタ)には程遠い。 だから彼女が扱う絶対の魔法には穴があった。 人間にとっては"無い"のと同義と言っていいだろう限りなくゼロに近い穴。 真なる奇跡(ベルンカステル)と袂を分かった梨花のそれもまた、沙都子と同様に穴を抱えていたが。 絶対のなり損ないと奇跡のなり損ないとでは本来あるべき相性の構図が反転する。 絶対の中に生まれた小数点以下極小の「もしも」を梨花の奇跡は必ず手繰り寄せる事が出来るのだ。 故に梨花は生を繋いだ。 しかしこんな、夜桜の血縁にさえ例がない程の芸当をやってのけた代償もまた甚大だった。 『二度目の開花で貴方は完全に枯れ落ちる。だから事実上、次はないと思っていい』 一度きりの奇跡。 まさに首の皮一枚繋いだ形という訳だ。 仮に沙都子がもう一度あれを使って来る事があればその時点で今度こそ梨花の敗北は確定。 断崖絶壁の縁に立たされたのを感じながら――それでも梨花は恐れなかった。 「行くわよ、沙都子」 「…来なさい、梨花!」 地を蹴って刀を振るう。 弾丸が脇腹を吹き飛ばすが気になどしない。 恐れず突っ込んだのは結果的に正解であった。 “力が、使えない…!?” 当惑したのは沙都子だ。 先刻まであれだけ漲っていた力が、急に肉体の裡から出て来なくなった。 消えた訳ではない。 確かに体内に溜まっている感覚がある。 なのに出力する事だけがどうやっても出来ない。 もう一度時を止めて撃ち殺せば済むだけだというその想定が、不測の事態の前に崩壊する。 ――沙都子は術師ではない。 だから当然知る筈もなかった。 領域の展開は確かに絶技。 生きて逃れる事は不可能に近い。 だが反面弱点も有る。 領域を展開して暫くの間は、必中化させて出力した術式が焼き切れるのだ。 従って今、沙都子は時を止められない。 黒猫殺しの魔弾を放つ事が出来ない…! “もう一度あれを使われたら、その時こそ私の負け” “もう一度あれを使えれば、私の勝利は確定する” ――最後の部活。 その制限時間が決まった。 北条沙都子の術式が回復するまで。 それが、この大勝負と大喧嘩のリミット。 梨花はそれまでに沙都子を倒さねばならず。 沙都子は、その刻限まで逃げ切れば勝ちが決まる。 有利なのは言わずもがな沙都子の方だ。 しかし彼女は、梨花から逃げ回る事を選ばなかった。 間近に迫る刀を躱す。 降臨者化を果たした体は完成度で決して夜桜に劣らない。 だからこそ梨花の斬撃を紙一重まで引き付けて躱し、その上で間近から頭部に向け銃弾の乱射を見舞うような芸当さえ可能だった。 梨花はこれを桜の花を出現させて受け止めさせ対処するが、先のお返しとばかりに沙都子の拳が鼻っ柱をへし折った。 次いで腹を蹴り飛ばされ、もんどり打って転がった所をまた銃撃の雨霰に曝される。 「は、はッ…! どうですの梨花ぁ……! 貴方が私に勝てるわけ、ないでしょうが!!」 「げほ、げほ…ッ。はぁ、はぁ……良いじゃない、そっちの方がずっとあんたらしいわよ沙都子。 神様気取りなんて全然似合わない。あんたはそうやって感情を剥き出しにして、生意気に向かってくるくらいが丁度いいのよ……!」 「その減らず口も…いつまで利いてられるか見ものですわね!」 群がる異界の羽虫を斬り飛ばし。 殺到する触手は斬りながら逃げて対処する。 湧き上がらせた桜の木々が触手を逆に絡め取って苗床に変えた。 異界のモノ…沙都子を蝕む冒涜的存在を片っ端から捕まえて殺す食虫花。 古手梨花は徹底的に、神としての北条沙都子を否定していく。 「そう――こんなの全然似合ってない。らしくないのよ、あんたが黒幕とか悪役とか!」 「私をこうしたのは梨花でしょうが!」 「解ってるわよそんな事! だから、引きずり下ろして同じ目線でもう一回話をしようとしてるんじゃない…!」 鉛弾が右腕を撃ち抜いた。 刀を握る力が拔ける。 知った事かと左手で沙都子を殴った。 沙都子の指が引き金から外れる。 知った事かと、沙都子も右手で梨花を殴る。 そうなると最早武器の存在すら彼女達の中から消えていく。 能力も武器もかなぐり捨てて。 二人は只、思いの丈をぶつけ合いながら殴り合っていた。 「そんなまどろっこしい事してられませんわ…! 私が勝って貴方を思い通りにすればいいだけの話じゃありませんの! 雛見沢を、私達を……私を捨てて何処かへ行こうとする梨花の言う事なんて信用出来る訳がありませんわ!」 沙都子が殴れば。 「うるさいわね、馬鹿! 捨てるだの何だのいちいち言う事が重いのよあんたは…!」 梨花も負けじと殴り返す。 容赦のない拳は肉を抉り骨をも砕く。 だが双方ともに、人間などとうに超えているのだ。 少女達は可憐さを維持したまま無骨な殴り合いに興じていく。 「外の世界に行きたい。今まで知らなかった景色を見たい。そう願う事が悪いなんて話は絶対にない!」 「貴女がそんなだから私がこうして祟りを下さなければいけないのでしょうが…! あんな監獄みたいな学園で、背中が痒くなるような連中に囲まれてちやほやされて暮らす未来。 それが……そんなものが、梨花の理想だったんですの? ねえ、答えて――答えなさいよッ!」 「そんな、わけ…ないでしょ――!」 そうだ、そんな訳はない。 憧れがなかったとは言わない。そういう世界に。 何しろ百年の日々は自分にとってそれこそ監獄だった。 雛見沢の古手梨花以外の何者にもなれない。 オヤシロさまの巫女。 古手家の忘れ形見。 村人みんなに愛される村のマスコット。 自分は只、そんな世界から一歩踏み出してみたかっただけ。 自分の事なんか誰も知らない世界で自由に生きてみたかった、それだけ。 そしてその横に…一つ屋根の下で一緒に暮らして来た親友が居てくれたらとそう思ったのだ。 「雛見沢症候群も安定して、何処にでも行けるようになった。 そんなあんたと一緒に外へ出て、色んな物を見てみたいと思った。 だからあんたを誘ったのよ。お山の大将になるのが目的だったなら、あんたみたいなお転婆連れてく訳ないじゃないッ」 「だったら…! 私とずっと二人で居れば良かったじゃありませんの! 梨花が一緒に居てくれたのなら、梨花さえ一緒に居てくれたら……! 私だって大嫌いでしょうがない勉強も、いけ好かないお嬢様気取りの連中も…我慢出来たかもしれませんのに!」 一際強い拳が打ち込まれて梨花が蹌踉めき後退する。 荒い息が口をついて出る。 夜桜の血を宿し、仮に一昼夜走り続けても疲れないだろう体になったにも関わらず酷く呼吸が苦しかった。 見ればそれは沙都子も同じのようだ。 「ッ…。それは、……本当に後悔してるわよ。誓って嘘じゃない」 理由や因果を求める等無粋が過ぎる。 彼女達は今、かつてない程に本気なのだ。 だから息も乱れる。汗も掻く。拳が痛くなるくらい力も込める。 「すれ違いがあったとかそんなのは体のいい言い訳に過ぎないわ。 …私はあの時、周りの連中を振り切ってでもあんたに会うべきだった。 ふて腐れてむくれたあんたの手を引っ掴んで側に居てやるべきだった。 病気が治って狂気が消えても、……あんたの心に残った傷までなくなった訳じゃないって事、忘れてた」 北条沙都子には傷がある。 人間誰しも心の傷くらいある。それは確かにそうだ。 でも沙都子のそれは常人と比にならない数と深さであると、梨花は知っている。 両親との不和とそれが生んだ悲しい惨劇。 叔母夫婦からの虐待。 兄への依存とその顛末。 村人からの冷遇。 全て解決した問題ではある。 過ぎ去った過去ではある。 だとしても…心に残った傷痕まで消える訳ではない。 その傷が雛見沢症候群なんて関係なく不意に疼き出す事も、きっとあるだろう。 それをかつての自分は見落としていた。 蔑ろにしていた、見ていなかった。 …それが古手梨花の"業"。 「――なにを、今更」 梨花の告白を聞いた沙都子は思わずそう口にした。 湧いて出た感情は怒りとやるせなさ。 後者は見せる訳にはいかないと。 そう思ったから唇を噛み締めて拳を握る。 そのまま梨花の横っ面に叩き付け殴り飛ばした。 「誰が…! 信じるって言うんですの、そんな言葉……!」 梨花は拳を返してこない。 されるがままだ。 地面に倒れたその胸へ馬乗りになって沙都子は拳を振り下ろした。 「何度繰り返しても、何度閉じ込めても! 私がどんなに工夫して殺しても甚振っても追い詰めても…! それでも最後の世界まで雛見沢の外を目指し続けたわからず屋の梨花! 必死に説得してどうにか心をへし折っても、きっかけ一つあればそうやってまた外の方を向いてしまう! そんな貴女の言う事なんて……! 何一つ信用出来ないんですのよ、馬鹿ぁッ!」 何度も何度も。 何度も何度も振り下ろす。 鼻が砕けて歯がへし折れる。 顎が砕けて目玉が潰れ、顔を顔として識別するのが不可能になっても沙都子はそれを続けた。 「私は…! 外の世界なんて一生知らないままで良かった!」 何が悲しくて大好きな雛見沢を捨てなければならない。 そうまでして見る価値があるのか、あんな世界に。 「外なんて大嫌い、勉強も都会も全部だいっキライ! 何処もかしこも排気ガス臭くて五月蝿くて暑くて…雛見沢の方がずっといい! 何が良いんだかさっぱり解らない甲高いだけの歌声をバカみたいな音量で流してありがたがってる神経もさっぱり解らない!」 井の中の蛙と呼ぶならそれでいい。 あの井の中には全てがあったから。 北条沙都子が幸福に生きていける全てが揃っていた。 「…私は!」 梨花も同じだとばかり思っていた。 そして今も、自分と同じになるべきだと思っている。 「私は……あの家であなたと一緒に居られたなら、只それだけで良かったのに!」 …それが北条沙都子の"業"。 此処に二人は互いの業をさらけ出した。 梨花の手が。 ずっと無抵抗だった彼女の手が動いて、沙都子の拳を受け止める。 次の瞬間沙都子は顔面へ走る衝撃によって吹き飛ばされた。 顔を再生させながら梨花が立ち上がる。 沙都子も呼応するように立ち上がった。 仕切り直しだ――梨花は再び刀を、沙都子は再び銃を握って相手に向ける。 「…ねえ、沙都子」 「…何ですの、梨花」 忌まわしい花だ。 視界にちらつく花弁を見て沙都子は思う。 桜は嫌いだ。 門出の季節をありがたがる気にはなれない。 "卒業"なんて誰がするものか。 この業は、これは、私のものだ。 誰にも渡さない。 一生、世界が終わったって抱え続けてやる。 「私が勝った時の罰ゲーム。今の内に言っておくわね」 そんな沙都子に梨花はこんな事を言った。 沙都子はそれを鼻で笑う。 負ける気などさらさらないのだ、何だっていい。 どんな罰ゲームだって受けてやるとそう不遜に示す。 「ボクは…もう一度、沙都子とやり直したいです」 「――――」 そんな沙都子の思考が止まった。 魔女としての言葉ではなく。 敢えて猫を被り、自分のよく知る"古手梨花"として話す彼女の言葉。 「外の世界への憧れはやっぱり捨てられません。 沙都子の言う通り、ボクは何度だって雛見沢という井戸の外を目指してしまう。 そしてボクの隣に沙都子が居て、二人で同じ景色を見る事が出来たらいい。そんな夢を見てしまうのです」 「…何、を。言って――話、聞いてませんでしたの? 私は……!」 「解っています。だからこれは沙都子にとっては罰ゲームなのですよ」 それはあまりにも愚直な言葉だった。 馬鹿げている。 何を聞いていたのかと思わず反論しそうになったが、罰ゲームの一語でそれを潰された。 理に適っているのがまた腹立たしい。 相手が嫌がる事でなくては罰にならないのだから。 「沙都子が勉強したくなるように、定期テストは毎回ボクら二人の部活にしましょう。 負けたら当然罰ゲーム。それなら沙都子だってちょっとはやる気が出ると思います」 「…付き合ってられませんわそんなの。毎回カンニングでクリアしてやりますわよ、面倒臭い」 「みー。沙都子はやる気になれば出来るタイプだと思うので、そこは実際にやってみて引き出していくしかないですね。 ちなみにボクの見立てじゃ沙都子は二回目くらいから真面目に勉強してくるようになる気がしますです。 部活で負けた罰ゲームを適当にこなすなんて、ボクが許しても魅ぃの部活精神が染み付いた沙都子自身が許せない筈なのですよ。にぱー☆」 「む、ッ…。見透かしたような事を言うのはおやめなさいませッ」 そんな未来は来ないと解っていてもついつい反応してしまう。 威嚇する犬のように声を荒げた沙都子に、梨花は微笑みながら問い掛けた。 「沙都子は、どうしますか?」 「……」 「ボクが負けたらその時は言った通りどれだけだって沙都子に付き合います。 それでも外を目指してしまったら、沙都子が頑張って止めてください。 何なら決して外に出られない…そんなカケラを作って閉じ込めたって構わないのですよ。 ボクに勝って先に進んだ沙都子ならきっとそういう事も出来るようになるでしょうし」 梨花の言う通り、きっと遠くない未来にはそんな事も可能になるだろう。 沙都子にはそもそもからして魔女となる素養が秘められている。 其処にリンボの工作と龍脈の力が合わされば、最早そう成らない方が難しい。 カケラを自由自在に渡り歩きはたまた自ら作り出し。 思うがままに神として振る舞える存在として"降臨"する事になる筈だ。 そう成れれば当然、可能である。 古手梨花を永遠に閉じ込めて飼い殺す封鎖された世界。 ガスが流れ込む事のない猫箱を作り出す事なぞ…朝飯前に違いない。 「私、は…」 自分自身そのつもりで居たのに。 今になってそれが何だかとても下らない考えのように思えて来るのは何故だろう。 梨花のあまりに場違いで暢気な言葉に毒気を抜かれてしまったのだろうか。 魔女の力。 神の力。 絶対の運命。 永遠の牢獄。 魅力に溢れて聞こえた筈の何もかもがつまらない漫画の、頭に入ってこない小難しい設定のように感じられてしまう。 「私は…梨花と雛見沢でずっと暮らしていたい。それだけで十分ですわ」 そうして北条沙都子は原初の願いに立ち返った。 此処にはもうエウアもリンボも関係ない。 願いは一つだったのだ。 其処にごてごてと付け足された色んな恐ろしげな言葉や大層な概念は全て自らを大きく見せる為の贅肉に過ぎなかった。 「ちゃんと罰ゲームでしょう? 梨花にとっては。 あの息苦しい学園にも、人混み蠢く東京にも出られないで私と一緒にずっと暮らすなんて」 「…みー。ボクは猫さんなので、沙都子の眼を盗んでお外ににゃーにゃーしちゃうかもしれないのですよ?」 「その時は首根っこ引っ掴んででも捕まえて連れ帰ってやりますわ。逃げ癖のある猫だなんて、ペットとしては面倒なことこの上ありませんけど」 一瞬の静寂が流れる。 それから少女達はどちらともなく笑った。 「――くす」 「……あはっ」 「どうして笑うのですか、沙都子。くす、くすくす……!」 「ふふっ、ふふふふ! 梨花の方こそおかしいですわよ、あははは……!」 もっと早くにこうしていればよかった。 そう思ったのは、果たしてどちらの方だったろう。 或いはどちらもだろうか。 答えは出ないまま刀と銃が向かい合う。 彼女達の部活が…終わる時が来た。 「ごめんなさいね、梨花」 沙都子が口を開く。 その笑みは何処か寂しげだった。 部活はいつだって全力勝負。 手を抜く事だけは絶対に許されない。 それが絶対不変の掟だ。 だから沙都子はこの瞬間も、自分に出来る全力で勝ちに行く。 「終わりですわ」 少女達が想いを交わし合っていた時間。 互いの罰ゲームを提示し合い、久方振りに通じ合って笑い合った時間。 その間に沙都子の勝利条件は満たされていた。 領域展開の後遺症。 術式が戻るまでのインターバル。 それはもうとうの昔に―― 「…梨花……」 名前を呼ぶ。 梨花は答えない。 体が動く事もない。 時は、既に止まっていた。 引き金が引かれる。 弾丸が発射される。 二度目の開花は死を意味し。 そして開花以外にこの死を逃れる手段はない。 ――たぁん。 長い大喧嘩を締め括るには些か軽すぎる、寂しい破裂音が響いた。 ◆ ◆ ◆ 「――莫迦な」 目を見開いて溢したのは悪僧だった。 美しき獣と称されたその視線は天空へと向けられている。 嘲笑う太陽は既に笑っていない。 代わりに響いているのは、消え逝く悪霊の断末魔であった。 「莫迦な――莫迦な莫迦な莫迦な莫迦なァッ!」 剣豪抜刀と暗黒太陽。 一閃と臨界が衝突した。 起こった事はそれだけだ。 その結果、嗤う太陽は中心から真っ二つに両断された。 文字通りの一刀両断。 それはまるでいつか、この女武蔵という因縁が自身に追い付いてきた時の光景を再演しているかのようで… 「偽りの…紛い物の神剣如きが何故呪詛の秘奥たる我が太陽へ届く!」 溶け落ちる太陽はリンボにとっての悪夢へと反転した。 最大の熱を灯して放った一撃を文字通りに斬り伏せられた彼の顔に最早不敵な笑みはない。 この有り得ざる事態に動揺して瞠目し、冷や汗を垂らしていた。 太陽を落とす花という不可思議を成就させた武蔵はそんなリンボへ凛と言い放つ。 「黒陽斬りしかと成し遂げた。此処からが本当の勝負よ、蘆屋道満…!」 「黙れェ! おのれおのれおのれおのれ新免武蔵! 我が覇道に付き纏う虫螻めがッ!」 駆ける武蔵を包むように闇色の球体が出現した。 それは一層だけには留まらない。 十、二十…百を超えてもまだ重なり続ける。 呪詛を用いて造った即席の牢獄だ。 彼程の術師になれば帳を下ろす技術を応用して此処までの芸当が出来る。 しかし相手は新免武蔵。 そう長い時間の足止めは不可能と誰よりリンボ自身がそう知っている。 急がねば――そう歯を軋らせた彼の左腕が、不意に切断されて宙を舞った。 「…ッ! 死に損ないめが、邪魔をするなァ!」 「憎まれっ子世に憚るって諺、お前の時代にはなかったのか?」 隻腕の伏黒甚爾が釈魂刀を用いて切り落としたのだ。 普段なら容易に再生可能な手傷だが、今この状況ではそちらへ余力を割く事すら惜しい。 暗黒太陽…悪霊左府はリンボの霊基を構成する一柱である。 以前にもリンボは武蔵によってこれを両断されていたが、今回のは宝具による破壊だ。 受けた痛手の度合いは以前のそれとは比べ物にならない程大きい。 「いい面じゃねぇか。似合ってるぜ、そっちの方が道満(オマエ)らしいよ」 不意打ちが終われば次は腰に結び付けていた游雲へ持ち帰る。 咄嗟に魔震を発生させ、羽虫を振り払うように甚爾を消し飛ばそうとしたが――この距離ならば彼の方が速い。 リンボの顔面に游雲が命中しその左半面が肉塊と化す。 あまりの衝撃に叩き伏せられたリンボが見上げたのは嘲笑する猿の顔だった。 「古今東西何処探しても安倍晴明の当て馬だもんなオマエ。ようやられ役、気分はどうだい」 「貴、様…! 山猿如きが軽々と奴の名を口にするでないわッ」 立ち上る呪詛が怒りのままに甚爾を覆う。 しかし既にその時、猿は其処に居ない。 片腕を失って尚彼の速度に翳りなし。 天与の暴君は依然として健在であった。 無茶の反動に耐え切れず游雲が千切れ飛ぶが、それすら好都合。 ギャリッ、ギャリッ、と耳触りな金属音を響かせて。 甚爾は折れた游雲同士をぶつけ合い擦れ合わせ、その折れた断面を鋭利な先端に加工。 綾模様の軌道を描いて飛来した無数の呪詛光の一つが腹を撃ち抜いたが気にも留めない。 痛みと吐血を無視して前へ踏み出す。 その上で棍から二槍へと仕立て直した特級呪具による刺突を高速で数十と見舞った。 「づ、ォ、おおおおォ……!」 如何なリンボでもこの間合いでは分が悪い。 相手はフィジカルギフテッド。 純粋な身体能力であれば禍津日神と化したリンボさえ未だに置き去る禪院の鬼子。 呪符による防御の隙間を縫った刺突が幾つも彼の肉体に穴を穿ち鮮血を飛散させた。 「急々如律――がッ!?」 「黙って死んでろ」 こめかみを貫かれれば脳漿が散る。 猿が神を貫いて惨たらしく染め上げていく冒涜の極みのような光景が此処にある。 一撃一撃は致命傷ではなく自己回復――甚爾の常識に照らして言うならば"反転術式"――を高度な次元で扱いこなせるリンボにとっては幾らでも巻き返しの利く傷であるのは確かにそうだ。 だが塵も積もれば山となるし、何より重ねて言うが状況が悪い。 左府を破壊された損害とそれに対する動揺。 それが自然と伏黒甚爾という敵の脅威度を跳ね上げていた。 猿と蔑んだ男に弄ばれ、蹂躙されるその屈辱は筆舌に尽くし難い。 リンボの顔に浮いた血管から血が噴出するのを彼は確かに見た。 「■■■■■■■■■■――!」 声にならない声で悪の偽神が咆哮する。 物理的な破壊力を伴って炸裂したそれが今度こそ甚爾を跳ね飛ばした。 すぐさま再び攻勢へ移ろうとする彼の姿を忌々しげに見つめつつ、リンボは武蔵を閉ざした牢獄に意識を向ける。 “そろそろ限界か…! しかし、ええしかし――今奴に暴れ回られては困る!” 今この瞬間においてもリンボは目前の誰よりも強い。 指先一つで天変地異を奏で、気紛れ一つで視界の全てを焼き飛ばせる悪神だ。 にも関わらず彼をこうまで焦らせているのは、ひとえに先刻経験した予想外の痛恨だった。 重なる――あの敗北と。 輝く正義の化身に。 星見台の魔術師に。 彼らの許へ集った猪口才な絡繰に。 何処かで笑うあの宿敵に。 完膚なきまでに敗れ去った記憶が脳裏を過ぎって止まらない。 そんな事は有り得ないと。 理性ではそう理解しているのに気付けば武蔵の"神剣"を恐れているのだ。 “恐るべしは新免武蔵! 忌まわしきは天元の花! よもやこの儂にまたも冷や汗を流させようとは…! しかし得心行った。奴を討ち果たすには最早禍津日神でさえ役者が足りぬ! 拙僧が持てる全ての力、全ての手段をもってして排除しなければ――!” 猿の跳梁等どうでもいい。 さしたる問題ではない。 武蔵さえ消し飛ばせれば、あんな雑兵はいつでも潰せる。 かくなる上はとリンボは瞑目。 修験者の瞑想にも似たらしからぬ静謐を宿しながら意識を芯の深へと潜らせ始める。 「天竺は霊鷲山の法道仙人が伝えし、仙術の大秘奥…!」 それは単純な攻撃の為にあらず。 疑似思想鍵紋を励起させ特権領域に接続する仙術の領分。 安倍晴明を超える為に用立てた技術の一つ。 かの平安京ではついぞ開帳する事叶わなかった秘中の秘。 反動は極大、この強化された霊基で漸く耐えられるかどうかという程の次元だが最早惜しんではいられない。 「特権領域・強制接――」 全てを終わらせるに足る切り札。 嬉々と解放へ踏み切らんとしたリンボ。 しかしその哄笑は途中で途切れた。 肉食獣の双眼が見開かれる。 彼の肉体は、触手によって内側から突き破られていた。 それは宛ら寄生虫の羽化。 宿主を喰らい尽くして蛆の如く溢れ出す小繭蜂を思わす惨劇。 「ぞ、…ォ、あ?」 片足を失った巫女が笑っていた。 その手に握られた鍵は妖しく瞬いている。 「貴、様」 リンボは勝ちに行こうとしていた。 此処で全てを決めるつもりでいた。 後の覇道に多少の影響が出る事は承知の上で、絶大な反動を背負ってでも目前の宿敵を屠り去るのだと腹を括った。 そうして始まったのが擬似思想鍵紋の励起とそれによる特権領域への接続。 只一つ彼の計画に陥穽があったとすれば、励起と接続という二つの手順を踏まねばならなかった事。 それでも十分に正真の天仙へも匹敵し得る驚異的な速度だったが、"彼女"にとってその隙は願ってもない好機であった。 「――巫女! 貴様ァァァァァァァァ!」 「大丈夫よ。抱きしめてあげるわ、御坊さま」 接続のラインに自らの神性を割り込ませた。 無論これは演算中の精密機械に砂を掛けるも同然の行為。 特権領域とリンボの疑似思想鍵紋を繋ぐ線は途切れ。 逆にアビゲイルが接続されているかのまつろわぬ神、その触腕が彼の体内へ流れ込む結果となった。 臓物をぶち撒け。 洪水のように吐血しながら絶叫するリンボ。 その姿に巫女は微笑み鍵を掲げる。 全てを終わらせる為、絞首台の魔女が腕を広げた。 「さようなら」 リンボの断末魔は単なる雑音以上の役目を持てない。 命乞いか、それとも悪態か。 定かではないままに処刑の抱擁は下され。 外なる神の触手が…かつて彼が求めた窮極の力が――悪意と妄執に狂乱した一人の法師を圧殺した。 …その筈だった。 だが――しかし。 血と臓物に塗れたリンボが。 血肉で汚れたその美貌が白い牙を覗かせた。 「これ、は…?」 途端に神の触腕が動きを止める。 巫女の笑みが翳る。 其処に浮かんだのは確かな動揺だった。 「…油断を」 それが、この処刑劇が半ばで遮られた事を他のどんな理屈よりも雄弁に物語っており。 「しましたねェエエエエエエエエエエアビゲイル・ウィリアムズ! ――――急々如律令! 喰らえい地獄界曼荼羅ッ!」 →
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コミックマーケット75 2008年12月28日~30日 東京ビッグサイトにて開催 本家は参加をお休み サークル名 CD名 っ´Д`)っゼロ式の家 恋する乙女のどろわ~ず☆ミ (空)がたらくぽんほ あんちばれっと AIR WINDOW 幻覚之雪卿 ALiCE S EMOTiON Trois Rouge Alstroemeria Records Trois Noir AniPix innocent AQUARIA MUSICS 恐怖の幻想改革 AQUA STYLE 霊夢と魔理沙と冒険モノ。 東方奇闘劇団! Attrielectrock FIND A Cafe Chic Records #03 white-alarm Azure & Sands holy night s Dong Bamboo River 東方夢迷華 BLANKFIELD THE EDGE OF THE KNIFE C.H.S UltraCute!? C-CLAYS 神凪-KAN-NAGI- Cherry Lunaburst 万紙開穴 Cis-Trance 踊る東方ドリフト-’turbo- COHCOA Project 東方与楽園 ColorfulCube Accumulated Fragments Crazy Voltage Drawing the Spell III CrossGear Fairy Feel CROW SCLAW Brutal Games For Reminding Of Death CYTOKINE hatch the new Fl∞w Dark PHOENiX Arrow Revolution dBu music 廃弾奏結界 鬼譚奏鳴曲 Demon tale sonata Demetori 闡提宗祀 ~ Offering to The Sukhavati DDBY 東方幻想曲 Driving kitchen 東方冬将軍 EastNewSound Lyrical Crimson EcN TOHO SKA PARADISE ORCHESTRA Eight-Million FOLLOW THE NIGHT Elemental note 秋音風 -Autumn of Touhou- emroots reflection flap+frog sasanqua e.p. Fluid Stance LUNATIC EASTRONICA FOX RAVEL Pleach Any Deary Fragile Online 絶対弾幕革命前夜1-2-3 Garage Lover! RW 千紫万紅 Go A Round ARound Red Golden City Factory 東方ミッドナイトMAXIMUMTUNE Ⅴ HAPPY CLOVER Dawn Innocent Key 東方楼蘭 IRON ATTACK! THUNDER CONCERT k-waves LAB 幻想郷ポポルカント KARMART 雪降るオトと、蟲のウタ Key Music 東方見聞録 八ノ巻 Knights of Round Knights of Round 2 Kota-rocK 風の音塊 -ボス編- Kraster 東方晴輝翔 Last Sphere LAST SPHERE -ALIVE- laughing out loud unexpected C75 Like a rabbit カエルキャノコ 結界幻想禄・音 M2ind Manufactory soulline M-Style 氷宴 MOB SQUAD TOKYO 東方女犯坊 Neko&雅? 夢幻軌道? NEUTRAL 桜華結界 -Perfect Cherry Blossom- Heart to Heart HAPPY NEW YEAR 2009 OTAKU-ELITE Recordings Purple and Cherrypink Pizuya s Cell × MyonMyon Prunus Subhirtella Chaoscillation Game Pocket AD 東方 vs DS-10 ~ 十六小節の幻想郷ツアー? QLOCKS 空の燈と歌う電想弦樂 RegaSound Vivid Parasol RoarAddiction 幻想恍惚態 Silver Forest 悠久パラダイム SJV-SC 徳 -arete- Sonic Hispeed Omega THE BEST OF TOHO TEMPEST SoundChaos TEC BOX VOL.2 ~ 紅魔STYLE!! SOUND HOLIC 紅 -KURENAI- Sound∞Infinity Love affair Sounds of Liberation 梦現怪異譚 Sound Online Trois Bleu Stratosphere 純情横恋慕 Stygian Riverside A Tribute to the east Vol.2 SWING HOLIC VOL.03 SYNC.ART S ALTERNATIVE 200812 the blankets new world/live junkie UFO County 収穫祭 東方霜枯抄 東方霜焼抄 ⑨ 徒花 酩宴 賞翫 UI-70 If Undefined Field Type Ground -Trial version- Unnatural Death(Evergrace) Mirror Gate WAVEDRIVE ペチカ WILD CAT RECORD 東方死奏曲 - 先行版 - XL Project RE COLLECTIONS? RE ACTANCE Zephill CAUTION 荒御霊 SpellCore ACT4 -Aura 灰霊 ~Highly Layered いえろ~ぜぶら 東方輪衝歌 ~Moment of Impulse~ 第3回東方M‐1ぐらんぷり 姥桜咲く Under A Crying Moon 岡垣正志&フレンズ SCARLET FANTASIA 華絹花 とりぷるColors ~Wind Memories~ 神乃木製作所 東方神楽祭Vol.2 かも 東方雲外鏡 ~ Unveil her Character, Obvious. 君の美術館 dialogue ~Prim Girl~ クラゲノボーン 東方大炎上 サークルRW Garage Lover! 千紫万紅 さかばと 幻想、繋がる遥か彼方 戯音楽団 神 ~帰ってきたオンバシラ preview 参ヶ崎? 東方弦蒼曲? 時雨月横丁 乾坤萃奏樂 ~ancient melodies~ ししまいブラザーズ 緋鳥 少女全自動 けったいなけっかい 白いしましまうさぎ 東方和楽・通 瀬戸八十八夜 東方俺組曲 そぉい(笑) 東方汁っ!!~具だくさん~ 冷猫 東方バトルロック 鉄腕トカゲ探知機 ノスタルジック幻想状態 東部開拓地 アルガママ とろろ.net 東方ねば~ランド2 光収容の倉庫 君が見た地獄 へちょ屋 Star light ポチとてぬぐひ ポチ喰ひ Petit Winter(2008) まぃん☆しぃかぁ 東方初冬 まぐなむおーぱす 東方紅魔月譚 みかん箱 Memoryear 幽幻屋 Number One
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目次 【時事】ニュースコミックホットミルク comichotmilk RSSコミックホットミルク comichotmilk 口コミコミックホットミルク comichotmilk 【参考】ブックマーク 関連項目 タグ 最終更新日時 【時事】 ニュース コミックホットミルク SNOOPY coffeeの人気の味【ハニーコーヒー】と【ソイラテ】に数量限定パッケージが新登場しました。 - PR TIMES 全部まぜてレンチンするだけ! 疲れた身体にこの1杯。「甘酒ジンジャーホットミルク」/片手間でつくる 罪悪感のないオヤツ - ダ・ヴィンチニュース 「寝る前のホットミルクは逆効果」寝ても疲れが取れない人がやっているNG習慣 牛乳を飲むなら入浴の後がいい - PRESIDENT Online comichotmilk gnewプラグインエラー「comichotmilk」は見つからないか、接続エラーです。 RSS コミックホットミルク SNOOPY coffeeの人気の味【ハニーコーヒー】と【ソイラテ】に数量限定パッケージが新登場しました。 - PR TIMES 全部まぜてレンチンするだけ! 疲れた身体にこの1杯。「甘酒ジンジャーホットミルク」/片手間でつくる 罪悪感のないオヤツ - ダ・ヴィンチニュース 「寝る前のホットミルクは逆効果」寝ても疲れが取れない人がやっているNG習慣 牛乳を飲むなら入浴の後がいい - PRESIDENT Online comichotmilk #gnews plugin Error gnewsは1ページに3つまでしか使えません。別ページでご利用ください。 口コミ コミックホットミルク #bf comichotmilk #bf 【参考】 ブックマーク サイト名 関連度 備考 はてなキーワード ★★ 関連項目 項目名 関連度 備考 参考/コアマガジン ★★★ 出版社 タグ 未整理 最終更新日時 2012-07-20 冒頭へ
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圭一は園崎本家に来ていた 魅音の母親から電話がきたからだ。 相変わらずでかい屋敷だ。廊下を歩くだけで緊張する。独特の雰囲気に飲まれそうだった。 そして、魅音の母・茜が待っていた 「良く来たね 今日はちょっと用事があってねぇ」 相変わらず凛とした美しさに独特の雰囲気 そして力強い目をしていた。 思わずドキッとした。 そして部屋に案内され この前の圭一伝説の話題になった。 「圭一君あんたは、大物になるよ。村のみんな そして婆までも味方に付けて沙都子ちゃんを救い出した。 若い者には出来ない芸当だよ。あたしは心底惚れたよ あんたの男気に・・」 圭一は照れながら有り難うございますと言った。さっきから、雰囲気が違う。 茜の目がトロンとして、俺の事を見つめている。何だろ?心臓がバクバクしている。 人妻の独特の色気が圭一を動かさない。 体がぞくぞくする。 音もなく茜が圭一に近付く 指でいやらしく圭一の顔をなぞる。顔を近づけて 「圭一君・・あんたの男気もう一回見せてもらえるかい。うふふ」 圭一はぞくぞく身震いした。どうする?男ならこのままヤるか・・ いや、待てよ・・親父さんは本職だよな。バレたら確実に※される。 でも、お袋さんは誘っている。確実に美味しい どうすればいいんだぁ~ 迷っている圭一をよそに茜は圭一の股間に手を寄せた。 男とは悲しい生物だ 股間が激しく反応する。 「若いねぇビンビンじゃないか。こんなに硬くしておばさん嬉しいねぇ」 理性が崩壊寸前耐えられる状況ではない。最後の理性を振り絞り言った 「おばさん・・ダメです。親父さんにバレたら※されます。 何より魅音にバレたくないです。ですから、止めて下さい。」 「圭一君 魅音が好きなのかい?」 はいっと答えた。本気で好きだから・・ 「圭一君なら良いよ。寧ろ圭一君以外はあり得ないからねぇ。 しかし、あたしの誘いを断る気かい?心配しなくていい。今は楽しまないと」 その頃魅音は家に向かっていた。頭の中は圭一の事を考えていた。 「あぅ・・圭ちゃん この前は格好良かったな 圭ちゃん見ているとドキドキする。」 真っ赤になりながら恋人の顔を思い出していた そして自分の部屋に戻ろうとしたら、茜の部屋から声が漏れた (何だろう?誰か来ているのかな?) 障子を少し開けると驚くべき光景があった。 茜が圭一の股間をしゃぶっている。 (えっ・・何が起きているの?何でお母さんと圭ちゃんが・・? 分からないよ・・) しかし、離れようとしなかった。自分でも驚いた (体が熱い・・・下半身がじゅんってする。 私興奮している・・・ ) 圭一は茜の思うままにされていた。 「うふふ‥若い臭いがたまらないねぇ・・元気で硬くてうちの旦那より大きいじゃないか。」 うわぁ気持ちいい・・これが人妻のフェラなのか。何とも言えない快感が体中に走る! 体が仰け反ったとき見覚えのある顔があった。 (えっ・・みっ魅音?) 魅音と目があった。 「うふふ‥魅音 何見ているんだい?入っておいで。」 魅音は部屋に入ってきた 何がどうなってんだよ。俺は下半身丸出し・・・ 「圭一君のアソコは元気がいいねぇ美味しいよくすくす」 「お母さん何しているの?止めて!圭ちゃんは私のものなの。」 そう言って魅音までもが俺の股間にある逸物をしゃぶっている。 (何なんだこの秘密の世界みたいな光景は? やべっ気持ちよすぎ) 器用に茜は着物を脱いで魅音も制服を脱いだ。そこには有り得ない光景だった。 園崎家次期党首の魅音その母親が裸で俺の目の前で立っている (こんな美味しい状況を見過ごす手は無いな。) 「あたしも圭一君気に入ってね!雛見沢には若い人が居ても ここまで良い若者はいないよ 久々に体が火照って仕方がないよ。」 「お母さん。もーーーー知らないよ?」 俺は魅音を抱き寄せキスをした。茜は俺の股間を舐めている (親子してエロいなくっくっく ) 魅音の胸を弄る兎に角弄る 乳首は綺麗なピンク色 何より大きいのに形が崩れていない。十分な重さと柔らかさ揉むだけで気持ちいい そして敏感すぐ喘ぎ声になる。 「あっ・・・んっはぁん・・ひんっ・・そこっ・・ひゃんあん・・いやっはっ・・やん あん・・圭ちゃん気持ちいいよーーーー」 茜のフェラも激しくなる 俺は対抗するように左手で茜のアソコを愛撫する 既にびちょびちょだった (凄いなこの濡れ方)手を離すと指先から汁が垂れていた 右手で魅音のアソコに指を入れると同じように濡れていた。 グチュグチュって音しながら中をかき混ぜた! 茜は圭一を押し倒した 「魅音 先に頂くよ!はぁん・・・大きくて硬くて太い・・・」 うぉ何なんだこの中は魅音と違う!締め付けが凄い!締め付けながら上下運動する。 (やばいぞイきそうだ) 「どうだい?圭一君これが大人のSEXだよ。んっはぁん・・・中に出して良いからねぇ」 凄すぎだ・・・我慢出来なそうな魅音が俺の顔の上に股間を乗せた 股間を舐めてあげながら腰を振った すぐに、絶頂感が襲った 俺は折角だから茜の中に思い切り出したよ。 茜もいったらしい ビクンってなった。 「圭ちゃん・・・私も我慢できないよぉー あぅ・・・入れちゃうねはぁーーーーーーーー」 (おいおい連続ですか? 休む無しですか? 俺大丈夫か? この際やってやるそれが男ならとことんやってやる) 「魅音気持ち良いか?胸弱いもんな!くっくっくっ」 乳首を甘噛みしつつ舐め回して弄った 騎乗位の形から座位 そして正常位の形に持って行った 魅音は何回イったか分からないぐらい喘ぎ声を出してるし。 「んっあっはぁん・・・もっとかき混ぜて圭ちゃーーーん」 (魅音可愛すぎるぞ! 俺も限界だ うっ) 中に分身を放出した。 茜と魅音はあはあ言いながら満足顔だった 後ろの方で殺気を感じた ぶしっ あれっ目の前が真っ暗になっていく。俺どうしたんだ? 振り向いたら・・・レナが・・・鬼みたいな顔で笑っていた 何で? END