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前話【バードスイマー】 ついにやってきた大ゲート祭! ゲートをくぐればどの異世界の国にも行ける特別な一ヶ月! …六月が過ぎると最初にくぐったゲートに戻されるんだけどね ここ神戸のポートアイランド、異世界交流解放特区に設立された海と山の十津那学園は異種族亜人の多く通う特別な学園。 里帰りしたり行った事のない国へ行こうとする異世界出身者も多いけど、異世界に興味を持つ人間も多いんだ。 六月前から休学届けを出す生徒でごった返すのが毎年の恒例行事みたいになってるんだよね。 「…君達が一ヶ月も学業から遠ざかって大丈夫とでも?」 「大丈夫に決まってるじゃないすか!」 「…中間試験の結果を忘れてはいないだろうな?」 「が、学期末まで頑張ります」 「…」 「先生、七月の補修と補テストを受け、それをパスするというのはどうでしょうか?」 「坊ちゃんが試練を受けると言うのなら俺も!」 「分かった。 とりあえず休学届の件は少し待ってもらおう」 (うわー“あの”四人組も異世界に行くんだ) 既に勝利モードの人亜混ざる四人組と入れ違いで職員室に入ってきたのはとても小さな翼で羽毛がちょっと目立つ近人間見の鳥人。 「ふむ。川瀬はオルニトに行くのか。 親戚の方にでも会いにいくのか?」 「いえ、“なんとなく”鳥人として空の国ってのを見ておきたいんですよー」 かつて大陸狭しと支配を広げ、栄華を誇りそして衰退した鳥人の国、オルニト。 異世界旅行のパンフレットで見かける売りは、浮遊群島とそこからの絶景。 「オルニトか…治安は良くも悪くもないが、誰かと一緒に行かないのか?」 「水泳部の皆はラ・ムールの、えぇと砂漠のオアシスの町?パンフで異世界のラスベガスとか紹介されてるとこに行くらしいんですよー。オアシスで泳ぐ気なんかなぁ」 「ディセト・カリマ…か。 部員の皆に伝えておいてくれ、あそこのオアシスは遊泳禁止だと。鱗人にしょっぴかれるとな」 「えー?オアシスなのに遊泳禁止とかあり得ないっしょ?」 「きつく言っておくように」 所々龍鱗備える猫の手がポンと印を突く。 【川瀬翠の休学を認める】 「こっこがオルニトかー!」 ちくわを咥えた川瀬が素っ気のない石積みの枠から飛び出すと、これ見よがしに着地してみせた。 頭上斜め前方上空に巨大な岩の塊、浮遊する島が浮かぶ山頂がオルニトのゲート所在地である。 「ごっつい太い鎖! これ登ってあの島に行くんかなー」 「それは、時間がかかりすぎる。 鳥籠に、運んでもらうのがいい」 いつからそこにいたのか全く気にも触れなかった川瀬の隣。 透き通る羽とは対照的な夜の様な目と浮かぶ紅い瞳。ハーピー。 耳通りの良い微風の様な囁きの後、前方の粗末な小屋を鉤爪で指し示した。 「鳥人タクシーとかあるんだ。 ありがと…う?あれ?いない」 小屋を見た一瞬。ハーピーはまるでそこに何も無かったように消えていた。 「よっし。とりあえず島いこ島!」 「美味しいよー串だよー」 「串だよー美味しいよー」 小屋の他は何もないと思っていた矢先に飛び込む呼び掛け。 高山の山頂にはまるで似つかわしくない高架下にある様な屋台がそこに。 大葉で作られた暖簾には“絶品!オルニト串!”と色んな文字で書かれていた。 日本語もその中にある。 周囲まばらにいた観光客も、元気なそっくりな二人のハーピーの呼び声に誘われ屋台を覗いていた。 「お客さんだよー焼くよー」 「焼いたよーお客さんー」 「お?ジャージとか珍しいもの着てるね。 見たとこ鳥人さんだけど日本から里帰りか何かかい」 翼で火を起こしては駆け抜ける風精霊が器用に串をくるりと反転。 ぱたぱたと肉野菜見たことも無い“何か”を刺した串が香ばしい風を生み出す。 両脇に焼いては呼び掛けるハーピーを置いて、中央に陣取り接客と焼き、包装を器用にこなす日本人。 「故郷とかじゃないんですけど、旅行みたいなもんですよー。 あ、その“団子足虫串”下さいー」 川瀬が注文したのは、どう見ても初見では遠慮するであろうわさわさと足が生える丸い虫を野菜が交互に挟む串(醤油ダレ)だ。 「鳥人さんにはほんと虫串が人気だねぇ。はいよ!」 「えへへー。ありがとー」 川瀬が串をぱくり一口したその時 ─── とても美味!ではなく 「「 ソ ラ 」」 「っ!」 それまで串を楽しそうに焼き、歌うように呼び掛けをしていたハーピーの頭巾がはらりと落ちる。 二人して天を仰ぎ瞳は深海を思わせる黒い青に染まる。 二人が同時に同じ言葉、いや言葉“であろう”モノが綴る詩を唄う。 「お客さん方!何処でもいいからここから離れて下さい! “嵐”がきます!!」 男が即座に“閉店”の札を、まだ火の残る炭火焜炉に叩き置いた。 周囲の皆々がざわめき出す。 それもそのはず、空は快晴で積乱雲の一つも見当たらない。 「「 サ ラ ソ 」」 ズ ン ッ 突如空気は比重を増し頭を肩を押さえ落とす。 快晴だった空に雲の紐が幾重にも折り重なる。 渦を描く白と灰。 そしてその中央にゆっくりと開く ─── 「“風神嵐(ハピカトル・メル)”だーーっっ!!」 「…」 「…」 「う…ん?」 「焼くの?」 「焼くよ?」 「あれ?」 首を傾げるハーピー二人が屋台から転がり出て頭を抑えていた男をつんつんつつく。 周囲の人々もはっと我に返る。 空はまた快晴に戻っていた。 雲一つない。 「なんだこりゃー!?」 男が屋台の前にぽっかり開いた穴。人一人分がすっぽり収まる深い深い底の見えない穴を覗き込んで叫んだ。 「はいー?!」 轟々と耳と擦れ違う空気の抵抗音が無理矢理に川瀬を正気に戻した。 何故か川瀬は飛んでいる。飛び上がり続けている。 物凄い速さで。 足元には何もなく、何度も何度も雲を突き破りその上、その上へと。 「何何何何!」 いきなり巨大な雲に突入した川瀬は、その白で埋め尽くされた世界の中でとてつもなく巨大な光を見る、飛び越える。 ヴォァアアァァゴゥォォアァアアーーーーーッッ 爆音、激震、耳を劈く野獣の咆哮。 一瞬で白の世界が飛び散り霧散。 雲の晴れ行く最中、川瀬が上空へと通り過ぎたのは岩、壁、脈動する鱗、熱気、蒸気、雄雄しい灰色の角。 「ド…ラゴンっ!?」 超速度で数分を要して頭部を過ぎると巨大の範疇を越えた首の揺らぎ、運動が螺旋の荒風を巻き起こす。 川瀬はそれに巻き込まれ、天地も混濁のまま吹き飛ばされた。 「は、へ?」 重力。それは落下する我が身により認識を強める。 それまで上昇を続けていた川瀬の体が糸を切った様に下降を始めたのだ。 今度は何の力によるものでもない、慈悲も無い。 「ちょっ!ちょちょちょちょちょちょーーっっ!?」 思わず向いた眼下には山と森が待ち構えている。 そんなに時間をかけずに激突するであろう、何処かに。 思わず手足をバタつかせるが漫画やアニメの様に停止するわけもなく、ましてや川瀬の翼は空を飛べるものでもなく。 「ちょっと待つっしょ! お助けーーーーーっっ!!」 『助けて欲しいの? 助けたら“アリガトウ”ってしてくれる?』 胸から飛び出したのは光る“蒼”。 ミズハミシマの合宿からずっと身に着けていた“呼び水の珠”の首飾りだった。 次回【スカイパーティー】 所々に独自設定が入っています(ゲート立地など) 大ゲ祭でオルニトにやってきた川瀬にいきなりハプニング! ダイブ to ブルーからの地面にキッスかどうなるか!? 次回に続く! 嵐で一人だけ飛ばされた?巨大な竜の背中が山とか森なんかな -- (名無しさん) 2014-07-02 23 47 01 お、水の精霊さんが助けてくれるのかな。アリガトウ欲しがる精霊さんの喋り方可愛い -- (名無しさん) 2014-07-03 22 23 48 はっぴーセンサーの役割してる双子ハーピーのしぐさがkawii。審査みたいなことしているけど一ヶ月間の休みって夏休みと同じくらいだよね -- (名無しさん) 2014-07-03 22 57 49 異世界に行ったら地球の保険は適用外なんだろうなと実感した。風神嵐の影響が気になる -- (名無しさん) 2014-07-11 23 45 55 異世界と隣り合う地球の学生的日常がよく分かります。やはり鳥人とハーピーはオルニトに引き寄せられるものなのでしょうか。到着すぐに摩訶不思議に巻き込まれた川瀬の運命はどうなるのでしょうか -- (名無しさん) 2017-11-12 16 13 03 名前 コメント すべてのコメントを見る
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前置き ゆっくりのセリフに読みやすくなる程度に度漢字を使用しております 大きさ補足[赤ゆ=ビックリボール 通常種=ソフトボール ドス=バスケットボール 小型種=野球ボール 巨大種=バランスボール] 作:メトロイドマホロイド 「長ぁ、今度はれいむのちびちゃんが帰ってきてないよ!」 「みょ!? あれほど遊ぶときは大人が近くで見張ってろって、言ったのに何してるみょん!」 長みょんがまとめる群れでは、ここ最近子供の失踪が頻発していた この群れの総数は300を超える大所帯である、そのため過去に何度か迷子の捜索もしたことがあった だから最初は長みょんも、この連続失踪の最初のうちは子供の迷子だと思っていた しかし毎日と言ってもいいほどのペースで子供がいなくなる 最初の失踪から1ヶ月、知能の高いぱちゅりーでなくてもおかしいことに気づくゆっくりは多くなっていた 「れいむのちびちゃんどこ行ったのー!!」 森にゆっくりの大声が響く 100匹近いゆっくりが、子供が居なくなるたびに詮索をしているのに、今まで一度も子供が発見されたことはなかった 「ゆぅ、どうせ見つからないんだしもう寝ようよぉ」 「まりさも眠たいよぉ・・・」 数匹のゆっくりが早く帰って寝たいとつぶやく、探索を行うようになって1ヶ月、ほぼ毎日の徹夜である そのせいで日中に行う狩りの時間帯を睡眠に回しているため、満足に食事もできてないゆっくりは多い それにゆっくりにとって夜とは危険が多い時間帯でもあるのだ 「れみりゃだぁああああ!!!!」 「やべでぇ! だべないでー!」 「うっーうっー、ご飯がいっぱいだどー」 「ふっー! ゆっくりはふらんに食べらとけぇ!!!」 群れに突然悲鳴があがる れみりゃと胴付きふらんが狩りを開始したのだ 「みょ、みょん!? やばいみょん! れみりゃとふらんの狩りの時間になってたみょん!」 れみりゃとふらんは夜行性だが、活動開始時間は日が落ちて数時間後と遅い 夜行性といえど、ゆっくりであるが故にゆっくりした時間が必要なのだ 長みょんもその事を把握していた しかし、毎日の子供の失踪と、それを防げない自分の不甲斐なさが焦りを生み、このことを失念させていた 「みんな家に戻るみょん!」 「ゆっくりしてないで逃げるよ!」 「ばでぃざぁああああ、だずげでぇ!!!!」 「いぎゃああああ!!!! でいぶをだべないべぇえええ!!!」 すぐに家に帰れと指示をだすが時すでに遅し、3匹のれいむが捕まってしまった みょんは通常種最強と呼ばれる戦闘能力を持つ、しかし長と呼ばれる実力を持っていたとしても捕食種に勝てるものではない しかも、ふらんは胴付きである、空を飛ぶうえに手足があるという戦闘能力は、みょんと言えど簡単に返り討ちにあってしまう 「ゆぎぃ!!!!!」 「ゆがががががががががががが」 れみりゃが噛み付いたれいむが断末魔をあげる 中身の餡子を吸い出すれみりゃの食事方法は、ゆっくりをすぐさま死へと誘った それに対し、ふらんはの食事方法は丸かじり 自分が食べられる感覚に声を荒げながら、ふらんの右手に捕まったれいむは息を引き取った 「やべでね、でいぶはおいじぐないがらたべ、ゆべぇ!?」 食べないで、そう懇願するれいむの口に空いた右手を入れ、ふらんは中の餡子をこねくり回していた 「ゆばばばばばあば、しゃべ・・・ひゃべで・・・」 れいむは涙を滝のように流しながら止めてと懇願する しかしその願いは届くはずもなく、れいむは死を迎えた 「ゆべっ」 「ふー、ハニーたべるんだぞー」 「うっーうっー、ダーリンの手料理美味しいどー」 料理、と言ってもゆっくりの中身の餡子をこねくり回し柔らかくしただけだ 捕食種はゆっくりを美味しくする方法を知っている事もあり、その事かられみりゃとふらんは少し変わった習性がある それはゆっくりを苦しめて味を向上させるという習性だ その方法は多種多様で、今回のように直接痛みを与えることや、家に監禁して家族を目の前で食べるなど、精神的に苦痛を与える場合もある そしてこの事をこの2種の間では手料理と呼ばれる 「れみりゃは先に帰って子供達にふらんの手料理をあげておくんだぞ」 「うー、わかったどー」 二人でディナーを楽しんだ後、れみりゃはふらんが作った手料理を咥えて巣に戻っていった 「ふらんはもうひと仕事するぞー」 「ゆ"!?」 狩りを再開しようとするふらんの目に、5匹のまりさとありすが目に入った この残っていたゆっくりは、食べられたれいむの家族である せめて遺品だけでも回収しようと、木陰から見守っていたのだ ここならふらんから見えない、そう思って隠れていたが、通常種と夜行性のふらんの夜目は見える範囲が違った ふらんから見ればこの5匹は頭も尻も隠していない状態である 「ふらんにゆっくりたべられろぉ!!!!」 「「「「「なんでばれたのぉ!? こっちにこないでぇ!?!!」」」」」 結局、1匹のまりさと2匹のありすが捕まり、ふらんの家に連れて行かれた 次の日の夜 今日も子供のありすが、日が落ちたというのに帰ってこなかった 探索に向かおうと、長みょんは群れの大人を集めたが、子を失った親以外は探索に行かないと言い張った 「れいむの子供がいなくなってないのに、何で他の子を探さないと行けないの」 「まりさは狩りで疲れてるんだよ。だから早く寝ないといけないんだよ」 「夜遅くまで起きてると肌が荒れてしまうわ。そんなの都会派には許されないってわかるでしょ?」 群れのゆっくりには限界がきていた ほぼ毎日の徹夜、日中にゆっくりできない事、捕食種への恐怖、そして昨晩の胴付きふらんの来襲 長みょんは群れのゆっくりを説得したが、子を失った親ゆっくり以外はけっきょく探索に行こうとしなかった そして今晩も消えた子供は見つからなかった ここは長みょんの群れから少し離れた崖の下にある洞窟 そこに2匹のゆっくりが暮らしていた 「今日のご飯は、ぱちゅりーの大好物の餡子のクリーム添えよ」 「むきゅ〜ん、ぱちゅりーの好みを把握しているなんて、さすがとかいはね!」 「あたりまえじゃないの、だって優秀なぱちゅりーの夫なのよ」 「そんなこと言われると照れちゃうわ、むきゅー」 ありすとぱちゅりーは、外からは見つけることが困難なこの洞窟に居を構えた 「「むーしゃむーしゃ、しあわせー」」 「さすがありすの愛妻料理ね、人間が作ってた料理に匹敵するほどだわ!」 ぱちゅりーの言葉、それは二匹が人間に飼われていた飼いゆっくりであったためだ ありすは生れ落ちたときからの飼いゆっくりだった 美味しい食事、温かい毛布、ゆっくりできる遊具、とかいはなゆっくりハウス 愛でと呼ばれる飼い主に飼われていた、ありすは幸せだった 文句があるとしたら "人間の躾" 程度 でも、その躾を守れば褒めてくれた、美味しいお菓子をくれた しかし成長したありすに思春期が訪れた 「ありすも家族がほしいわ・・・」 生まれて家の外に出してもらったこともなく、家のなかでゆっくりする日々 テレビとよばれる物の中にだけでしか、自分以外のゆっくりを見たこともなかった ありすは、ドラマに出てくるゆっくりの家族が羨ましかった そのドラマは人間の家族とゆっくりの家族を描いた大河ドラマ 『おきゃーしゃんの、しゅーりしゅーりとってみょきみょちいいよ!』 『おとーさんおかーさん喧嘩しないでー!』 『・・・ゆ? 高楽さんの家のれいむが、まりさの本当のおかーさん?』 『おかーさんは本当のおかーさんじゃないかもしれないけど、まりさのおかーさんだよ!』 どんな苦難も家族の絆で乗り越える姿にありすは憧れた それは物語の主人公になりたいという思いではなく、家族が欲しいという願いからだった 飼い主がぱちゅりーを連れてきたのはそんな時だった 「今日から一緒に住むことになったぱちゅりーだ」 「むきゅ〜、ゆっくりしていってね」 「ゆっくりしていってね!」 ありすの結婚相手がほしいと、飼い主が知り合いから結婚相手を貰い受けたそうだ ぱちゅりーは博識だった、しかしそれを鼻にかけることもなく、とても礼儀正しかった 気が合った二人はすぐに仲良くなり、夫婦となるまでさほど時間がかからなかった 数週間後、二匹には子供ができていた ありすが3匹にぱちゅりーが1匹 赤ん坊が、ちびと呼ばれるぐらいに成長してきた時、またもや突然1匹のゆっくりがつれてこられた 「ゆっきゅりしちぇいってね!」 「「ゆっきゅりしちぇいってね!」」 それは赤ん坊のれいむだった 初めての友達に子供達はすぐ仲良くなり本当の兄弟のようにすごした 赤れいむが連れてこられて来た理由は 「道端で倒れてたから、子供達の遊び相手につれて来た」 「れみりゃにおしょわれちゃんだよ!」 れみりゃに襲われたが、親が赤れいむを逃がしたらしい それを飼い主が拾ってきたというわけだ 「ゆっくり理解したわ!」 ありすとぱちゅりーもそれを理解し、赤れいむを家族として向かいいれた そしてそれは赤れいむが着てから1ヶ月ほどたった日であった 飼い主が帰ってきた目に飛び込んできた物、それはバラバラになったお気に入りの茶碗だった 壊した犯人はあの赤れいむだった 「ゆびぃいいいい!? いちゃいよぉおお!!!」 赤れいむは壊した言い訳を言う暇もなく、お仕置きを受けていた 台に赤れいむを固定し、定規を弾き、足を何度も叩くお仕置き 足はゆっくりにとって生活の全てだ、それは移動だけではない ご飯を食べる時に前かがみになるには足を使う、自分からすりすりするにも、この足では上下運動ができない 足、それを失ったゆっくりは口と目を動かすこととしかできなくなるのだ 「やめちぇぇえええ!!!! はんちぇいしましちゃからぁぁぁあああ!!」 「じゃあ何でお茶碗を触ったか聞こうか?」 「き、綺麗だったから、れいむはがまんできにゃかったんだよ! 宝物にしちゃかったんだよ!」 「人間の物にあたったらいけないって言ってたよね? もしあたったらお仕置きするって言ってたよね?」 「ゆ、ゆぅ・・・」 「また何か壊したらもっと痛いお仕置きするからね、わかった?」 「わかっちゃよ・・・」 お仕置きが終わって赤れいむは部屋に戻される、飼い主はありす達に連帯責任として3日間ご飯抜きを言いつけた 「ゆゆ!ありちゅ、しょんにゃにがみゃんできにゃいよ!」 子供達は抗議をした、しかし決定したことは変えないと言い返される 「あー、でも子供のぱちゅりーは3日食事抜くと死んじゃうかもしれないから栄養剤を食べさせてあげるよ」 それから3日後、なるべく動かないで体力を温存していた、それでも3日という食事抜きは長い 栄養剤を食べた子ぱちゅりー以外は全員げっそりしていた 「今日はご飯貰えるからね、ちびちゃん達はゆっくりお利口にしててね」 「「ゆっきゅりりきゃいしたよ!」」 久々に食事が貰えると聞いて子供たちは元気が戻ったのか、全員遊具ではしゃぎはじめた 「ゆっくりした子達でよかったねぱちゅりー」 「そうね・・・」 ぱちゅりーはぐったりしている、元々体の弱い種族だ、栄養が行き届いてる飼いゆっくりと言え、3日の食事抜きの負担は大きい 「元気を出してぱちゅりー、子供達もきっと言いつけを守らないことは悪い事だって理解してくれてるわ」 子供達も今回のことで言うことを聞かないとお仕置きがあることを理解しただろう これでもっと良い子になってくれる しかしありすとぱちゅりーの思いは最悪な形で壊れることになった 「みゃみゃーたしゅけてー!」 「ここきゃらだしちぇぇ!!」 「お兄さん子供達を出してあげて!」 「子供たちは悪ふざけをしただけなのよ、ゆっくり理解してね」 子供達が箱の中に閉じ込められている理由 それは10分前の出来事が原因だった 「3日間食事抜いたからな、ちょっと豪華にしてあげるか」 お仕置きとはいえ3日もご飯抜きにしたのだ 飼い主もこれに懲りただろうと、ちょっとだけ豪華なゆっくりフードとオレンジジュースを用意して部屋に入った 「お前達ゆっくり反省できたかな? 反省できた子には美味しい・・・」 「ばかな飼い主はゆっきゅりしにぇ!」 「え?」 パコン、そんな音と共に飼い主の足に何かがぶつかった それはスィーカー 上に乗り、前のボタンを踏めば前に、後ろのボタンを踏めば後ろに進む メジャーなゆっくり玩具の1つである その上にはありすの子供達と赤れいむが乗っていた 「おにーしゃんいたかった? れいみゅも、おしおきいたきゃったんだよ!」 「そうだよ! ありしゅの、とみょだちを、いじめりゅばかにゃ飼い主はゆっきゅりりきゃいしてね!」 「むきゅん! ばかな、かいにゅしは、いちゃくてうごけにゃいらしいわ! ぱちゅりーたちの勝利ね!!」 「「ゆっゆおー!」」 動かない飼い主を見て勝利を確信した子供たちは勝どきを上げている この作戦の発案者は言うまでもない、子ぱちゅりーだ 子供たちはお仕置きという物を理解していなかった、だから飼い主が友達をいじめたと勘違いしたのだ だから報復しよう、子ぱちゅりーは姉妹と赤れいむにそう言った 言葉を覚え始めた子ぱちゅりーは、覚えた難しい言葉が使い、ありすとれいむに報復を提案した 難しい言葉を使う子ぱちゅりーの言葉、子供たちはそれを凄いと褒め誰も疑わなかった その報復の方法はスィーカーで突撃すること 子ありすが生まれたての時に、スィーカーに誤って轢かれ、大怪我をした事を子ぱちゅりーは憶えていたのだ しかしそれは外皮の弱い赤ゆっくりの場合の話だ 「ちびちゃん達なにしてるのぉ!!!」 ありすは慌ててちび達をスィーカーから下ろし飼い主に謝らせようとする 「あやみゃるひつようにゃんてないよ! これはほうふきゅなんだよ!」 子供達は悪びれている様子がまったくなかった 自分は人間に勝ったんだ、自分は人間より強いのだ、自分より弱い相手に謝罪なんてする必要がない そんな状態の子供達はありすの言葉をまったく聞こうとしてなかった 「お兄さんゆっくり聞いてね! 子供達はちょっとおふざけがすぎただけなのよ・・・お兄さん?」 そこでありすは飼い主の異変に気づいた じっとありす達を見る目の異様な冷たさ それは、ありす達に完全に興味を失くし落胆した目だった そして何も言わずお兄さんは、子供達を掴みあげると箱の中、電子レンジの中に放り込んだ その後、電子レンジの前にありすとぱちゅりーをお兄さんは連れてきた 自分の子供の死に様を見せるために 「お願いします、子供たちを許してあげてください!」 「死ね」 冷たい言葉 優しい飼い主からはじめて聞く単語 どおしてそんな事を言うの? そんな問答をする暇もなく子供達の悲鳴が聞こえてきた 「ゆびぃいいいいいいいい!!?!??」 「が"が"が"が"が"が"が"が"」 「いじゃいよぉおおおおお!!!!」 電子レンジの中をみると、子供達が絶叫をあげながら苦しんでいた 助けようと電子レンジに体当たりをするがびくともしない 針で突付かれても、火で焼かれてもいないのになんで? その時、ありすはお兄さんに見せられた虐待テレビのことを思いだしていた それには、針を刺されるゆっくり、火で炙られ足を焼かれたゆっくり、飾りを壊されたゆっくり ゆっくりできない光景がそこにはあった 悪いことをしたらこれと同じ事をする、それがお仕置きだ、そう教えられた それが今まで良い子にしていた、お仕置きされたことの無いありすの知るお仕置きでもあった しかし目の前のこの箱は一体なんなんだ 子供たちは中に居るだけ なのに苦しんでいる ありすの理解の範疇を超えていた 「ゆ”っ!?」 ポンッ ポップコーンが弾けた様な音と共に、子ぱちゅりーの目が破裂する 「む、むきゅー!?」 「ばじゅでぃいいいいいいい!!!!!」 子ぱちゅりーの目が弾けたのを皮切りに、他の子達にも変化が現れた 「ゆべぇ・・・・」 長女のありすの体中からは、ドロリと餡子を吐き出し 「ゆびぃっ」 次女のありすは上半身が溶け、醜く歪み 「ゆびぃ!?」 三女のありすは子ぱちゅりーと同様に、量目がが破裂し 「ゆ”っ!?」 子れいむは、バラバラに四散した 「むびゅ・・・・」 「あ、あでぃしゅ!ばじゅでぃい!」 ぱちゅりーはその光景に耐えれきれずに気絶 ありすは、この世の物を見ているとは思えない形相で、レンジの中の子の有様を見ながら気絶した 「ゆ、ゆ!? ありす!?ぱちゅりー!?れいむ!?」 気がついたありすが、子供とその親友の名を呼ぶ きっとあれは夢だったんだ、そうに違いない しかしそれは、夢でなくは現実であった 「い”ぎゃあ”あ”あ”あ”あ”!!??」 起きたありすの目の前にあったモノ それは物になった子供たちの姿だった 「ごべんで・・・ごべんべ・・・・」 謝りながら子にぺろぺろを施す こんなことをしても子供は生き返らない、その事をわかっていてもやらずにはいられなかった 数分後、ありすは落ち着きまわりを見渡す 近くにぱちゅりーがすごい形相でまだ気絶したいた それ以外は見たことの無い場所、でもその場所を何と言うかありすは知っていた ここが森という場所だということ、そして理解した、自分達が捨てられた事を 中編へ続く Q.おかしいことに気づくまで1ヶ月っておそくね? A.自分以外にあんまり興味のない餡子脳だとこれぐらいかなと 前の作品 「ゲスG誕生!」 「猟奇的に伺が。」 「ゆっくり実験所」 「ゆっくりの加工所?」 「きめぇ丸から愛を込めて」未完 「十虐十殺」
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一匹のれいむは今日、一つの覚悟を決めた。 『おにいさんにじぶんをたべてもらう』と。 れみりゃに襲われ、家族が犠牲になって助けられたれいむだが、群れの皆からすれば家族を見捨てて助かった薄情なれいむだ。だから誰も受け入れてはくれなかった。 薄情者、家族を見捨てて逃げ出したゲス、親友のまりさにまでれいむはそう言われた… 受け入れてもらう事を諦め、群れを離れてゆっくりできる場所を探そうとして飛び出したれいむは、直後に発情期のありすの集団に襲われた。 必死に逃げ、人間の住む里の目の前で転んでしまいありすからのレイプが始まる。 滑る相手の気持ち悪い体から逃げようにも、何匹に圧し掛かれては身動きすらとれない。 小さい自分の体は朽ちてしまうだろう… きっと家族を捨てて一人で逃げたからこうなってしまったのだ… そんな風にれいむが考えていると、突然圧し掛かっていたありすの重みがなくなった。 起き上がって辺りを見回す。すると、一人の人間がありすを踏み潰していた。 あぁ、自分は助かった訳ではないんだ… 親から聞かされていた人間の怖さを恐ろしさを思い出したれいむは逃げることを諦めて眠る事にした。 寝てる間ならば何も感じる事無く死ねると考えたのだ。 だが、れいむが目を覚ますとそこは天国ではなく人間の家だった。 男はれいむを虐待するわけではなく、純粋にありすのレイプから救出してくれたのだ。 ありすの重みで破けてしまった皮はしっかり治療され、美味しいご飯を男は差し出した。 居る場所がないのなら「ここに住めば良い」と言われ、男に飼われたれいむ。 一緒に遊び、男が仕事から帰ってくるのを素直に待ち、れいむは幸せな日々を過した。 体もソフトボールサイズから大きく立派なゆっくりになった。 ここまで大きくなれたのは男がいたからである。 だから、ゆっくりのできる最大の恩返し、自分の体を食べてもらう。れいむはそれを望んだのだ。 朝起きてその事を伝えると、寂しそうな顔をしながら男は「わかった」と言ってくれた。 そして、今、れいむは男の帰りを心から待っていた。 食べられたら自分が死ぬと分かっていても、れいむは1分1秒でも早く食べてもらいたかったのだ。 だが、いつも帰ってくる時間を過ぎても男は帰ってこなかった。 れいむは不安になった。「おにいさんはじぶんをたべてくれないのでは」と。 時計と玄関を何度も往復し、それでも男は帰ってこない… れいむの不安はどんどん高まる。しかし、とうとう男は帰ってきた。 急いで玄関に向かい、男に文句をれいむは言った。 「おにいさんおそいよ!! かえってこないかとおもってれいむはふあんだったんだよ!!」 「悪い悪い、すぐ食べてやるからな」 笑いながら言う男にれいむは安心した。あぁ、ちゃんと食べてもらえるんだと。 だが、男が家に入ってくるとその後ろから別の人が家の中に入ってきた。数は5人 「お邪魔しま~す」 「久々だな~お前の家に来るのも」 「前きたときはゆっくりなんかいなかったのにな」 「変なもん飼う奴だ」 「それに相変わらず綺麗な家だな、まめな奴だぜ」 「うっせぇ、すぐ準備するから座って待ってろや」 「わかったよ」 「楽しみにしてますんで」 「美味い事を祈ってるぜ~」 「不味かったら承知しないからな」 「茶も入れてくれよな」 ぞろぞろ奥へ入っていく5人の男。これから食べてもらうはずなのに、何でお兄さんは人を呼んだのか? れいむは不思議に思った。 「さ、すぐ食べてやるからな~」 男に「どっこいしょ」と言われて抱えられ、テーブルの上に置かれたれいむは男に聞いた。 「おにいさん、あのひとたちはだれなの?」 「ん? あいつらはお前食うのを手伝ってもらうのに呼んだんだよ。いい奴ばっかだから大丈夫さ」 その言葉にれいむは固まった。慌てて男に聞き返す。 「て、てつだってもらうってなんで!? れいむはおにいさんだけにたべてもらいたいんだよ!!」 「でもなぁ、お前でかいから俺一人で食うのは無理だよ」 男の言ってる事は正しい。 まん丸と大きくなったれいむの大きさは男の膝まであるし、当然幅も大きい。だから中身の量も増える。 確かに一人の人間が食べきれる量ではないだろう。 「それでもおにいさんだけにれいむはたべてもらいたいんだよ!!」 「無茶言うなって。じゃ、切るからな」 「やべでよおおおおおおおおおおおお!! おにいざんがだべでぐれなきゃいみないよおおおおおおおお!!」 「だから食べるって言ってんだろ。それにお前の中身餡子なんだから半分は砂糖だろ?一人で食ったら病気になっちまうよ」 「いやだよ!! おにいざんひどりでだべでぐれなきゃやだよ!! おねがいだがらだべでよ!!」 「だから無理だって。じゃ、切るぜ~」 上から包丁をれいむの端に添えて、徐々に力を込めていく男。 「おにいざあああああああああああああああああああああんんんんんん!!」 「静かにしろよ、夜遅いんだから」 皮を切られ、中の餡子も切られていく。それでもれいむは動かない。 お兄さんには食べて欲しい、でも他の人間には食べられたくない。でも、そうしなきゃお兄さんは食べてくれない。 自分の問いが頭の中をぐるぐる回る。その間にも包丁はれいむの体に切り込まれていく。 中の餡子が切られていくことで、次第にれいむは目が霞んでいく。 死の間際に、れいむが一言だけ呟いた。 「おにいさんだけにたべてほしいよ…」と。 終 好きな人に食べて欲しいって言われても、でかくなりすぎたら一人じゃ食えないよね。 だったらどうする?→皆で食べればいいんじゃないかな?→でもそれはゆっくり的にはどうなんだろ? 好きな人に食べて欲しいのにそれ以外の人間に食われたら嫌なんじゃないかな…そう思って書きました。 最後に、こんな駄文を最後まで読んでいただきありがとうございます!! 書いた作品 ゆっくりいじめ系352 虐められるゆっくり ゆっくりいじめ系382 ある馬鹿なゆっくりの話 ゆっくりいじめ系394 きめぇ丸 ゆっくりいじめ系421 めーりんとこうりん ゆっくりいじめ系488 ゆっくり飼ってます ゆっくりいじめ系497 携帯でチマチマ書いてみた 幽香×ゆっくり系9 ある馬鹿なゆっくりの話2 ゆっくりいじめ小ネタ125 虫眼鏡 ゆっくりいじめ小ネタ128 ゆっくりが大好きだ!! ゆっくりいじめ小ネタ140 ガラス このSSに感想を付ける
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ここに文字を入力注意書き: 某4コママンガを参考にしています。詳細は文末に示します。 秋も深まり、山々はすっかり紅葉で覆われ、少し肌寒い風が吹き抜けていく。 そんな日々、市場で買い物を終え自宅へ向かう途中のこと、 獣道を歩く僕の前に一匹のゆっくりれいむが立ちはだかった。 高さ40cm余り、横幅は60cmにもなるかなり成長した個体のようだ。 この獣道、普段は殆ど人が通らない場所で、言ってみれば秘密の近道ってとこかな。 「ゆゆ!おにいさん?こっからさきはれいむのおうちだよ! とおるにはゆっくりつうこうりょうをはらっていってね!!!」 「通行料?具体的には何が欲しいのかな?」 「ゆ、ゆーん… れ、れいむにおいしいおはなさんをおいていってね!!!」 「なんだ…花か。ほれよ。」 「ゆゆゆ?むーしゃ、むーしゃ、しあわせー♪」 相手するのも面倒だったので、僕は買い物袋の中からハーブをれいむに差し出すと、 足早に先へ進もうとした。なぜか右足が重い。 「そ、そこからさきにはゆっくりすすまないでね!!! こ、これだけじゃつうこうりょうがたりないよ!ゆっくりはらっていってね!!!」 なんと右足にれいむがしがみついて来たのだ。 ゆっくりにしては珍しい行動だったので再び問いかける。 「今度は何が欲しいと言うのかね?」 「ゆ!? ゆーん… ゆっくりあまあまのおさとうをちょうだいね!!!」 「なんだ…砂糖か。ほれよ。」 「ゆぐっ…! むーしゃ、むーしゃ、しあわせー♪」 「じゃあ僕は先に進むからね。」 僕は買い物袋から角砂糖とカリン糖を十数個差し出し、この場を後にしようとした。 再び右足に荷重がかかる。 「そ、そこからさきにはゆっくりすすまないでね!!! ま、まだつうこうりょうがたりないよ!!!ゆっくりはらっていってね!!!」 いくらゆっくりとは言え欲張りな行動である。 「今度は一体何が欲しいと言うのかな?」 「ゆゆ!? ゆーんゆーん… れいむにゆっくりはちみつさんをちょうだいね!!! もしはちみつさんがないのならゆっくりひきかえしてね!!!」 「蜂蜜か…。ほれよ。」 「ゆゆゆ!?どおじておにいさんはちみつさんなんかもってるの!!!」 「れいむがくれっていったんだろ?」 「ゆぐっ…! むーじゃ、むーじゃ、じあわぜー!」 「今度こそ僕は先に進むからね。」 再び重くなる左足。何か他に理由があると言うのか…? 「ぞ、ぞごがらざぎにはゆっぐじずずまないでね!!! ま゙、まだまだづうごおりょおがたりないよ!!!ゆっぐじはらっでいっでね!!!」 「欲張りなれいむだね。今度は何が欲しいのかい?」 「ゆがっ・・!?ゆう・・・ゆーん・・・ れ、れいむにゆっくりあまあまなくりーむをちょうだいね!!! もしもっていないのならゆっくりひきかえしてね!!!」 「クリームか…。ほれよ。」 僕は買い物袋の中からコンデンスミルクを取り出すと、れいむの口に注ぎ込んでやった。 甘ければいい。細かいことはわからないだろう。 「ゆがっ!?どぼじでおに゙いざんぐぢーむなんがも゙っでるの!!!」 「れいむがちょうだいっていったんだろ?」 「ゆががっ…! むーじゃ、むーじゃ、じあ゙わ゙ぜーー!!!」 とは言いつつも両目からぼろぼろと大粒の涙をこぼしている。 気にせず先に進もうとすると 「だ、だべなんだがらね!!!ごのざぎにはゆっぐじずずまないでね!!! ゆっぐじひぎがえじでいっでね!!!」 またしても右足にしがみつくれいむ。食べ物が目的じゃないとすると、 この先には相当大事なものでもあるというのか? 「こっち行かないとお兄さんは帰れないんだけどなぁ?」 「ざ、ざぎにずずむならゆっぐじでいぶにづうごおりょおをはらっでいっでね!!!」 「でいぶのお遊びに付き合ってる暇なんか無いんだけどなぁ…。ゆっくりどいていってね!!!」 「ゆがっ!? でいぶにゆっぐじおでんじじゅーずをぢょおだいね!!! ないならゆっぐじひぎがえじでいっでね!!!」 「お兄さんのおうちにはオレンジジュースがたくさんあるよ? 通してくれたらでいぶに分けてあげてもいいけど?」 「や、やっぱりだべだよ!!!ゆっぐじひぎがえじでね!!!ゆっぐじひぎがえじでね!!! ごごがらはでいぶのおうぢだよ!!!ゆっぐじごっぢごな゙いでね!!!」 もう「でいぶ」に構うのも飽きたので、無視して歩みを進める。 すると前方の草むらの中、木の根元の穴から伸びるオレンジ色の塊が姿を現した。 ゆっくりの卵である。 握り拳よりやや小さいゼリー状の塊が蛇のように連なり、見えているだけでも数百は下らない。 恐らくは巣の中で卵を産みつけていたが収まりきらず、外まではみ出したってところだ。 一つ一つの形状は縦に長く昆虫の卵のようでもあり、長く長く連なる様子は蛙のそれを彷彿とさせる。 よく見ると内部に非常に小さいながらもゆっくりらしき姿が見て取れた。 「ははぁー…こういう訳だったのかぁ。」 「やべでね!ゆっぐじやべでね!!!でいぶのかわいいごどもにでをだざないでね!!!」 「ふーん…」 それだけ言うと僕は、卵の群れの一角に塩を振りかけ始めた。 浸透圧により見る見るうちに卵がしぼんでゆく。 「やべでえええええ!!!でいぶのおぢびぢゃんになにずるのおおおおおお!!! ゆっぐじやべでいっでね!!!ゆっぐじやべでえええええええ!!!」 れいむは卵の前に立ちはだかり、塩をこれ以上子供たちに浴びせまいと大きく口を広げた。 「ゆっぎゃあああ!!!でいぶのおめめがっ!いだいよ゙おおおおおおおおお!!! でいぶのおぐぢがぁああああああああ!!!ゆっぐじやべでえええええ!!!」 目や口などの粘膜に塩がかかるたび、れいむは悲痛な叫びを上げた。 体が大きめなだけあってその叫びも一段と大きい。余計に敵を呼び寄せてもおかしくはない。 「ほーら、今度はこっちだ。おいしいお塩をあげるからねー♪」 オレンジ色のゼリーは塩と触れると直ちに縮み始め、こげ茶色の塊へと変貌していく。 「やべで、やべでよおおおおおお!!! でいぶのおぢびちゃんはおじおなんでいだないぼおおおおおお!!!」 れいむは満身創痍ながら卵の前で塩を受けとめようと必死にかけずり回る。 「でいぶのおぐぢが、おぐぢがゆっぐじでぎないよ゙おおぉぉおおおおおお!!! おにいざんはゆっぐじやべでね、ゆっぐじやべでいっでね!!!」 両目から滝のように涙を流しているが、それでも諦めようとはしなかった。 ふと視界に蜂蜜色の物体が飛び込んだ。 近寄ってみると息を荒げるゆっくりありすであった。面白いことを思いついたぞ…! 「ゆふー、ゆふー、れいむのこえがきこえるわ!!!どこなのお? ありずがずっぎりざぜであげるよおおおおおおおお!!!」 「やぁやぁとかいはのありすちゃん。」 「ゆゆ?とかいはのありすはいまいそがしーのよぉ?おにいさんはてみじかによーをすませなさいよ?」 「そのれいむのとこにつれてってあげようとおもってさ。」 「ゆほっ!?べ、べつにありすはれいむのことなんてどおでもいいのよ? でもおにいさんがつれてってくれるっていうならのってあげてもいいわよ?」 ありすは顔を赤らめ涎を垂らしながら答える。その顔、本心がわかりやすく見て取れる。 僕ももちろんそのつもりだ。 ありすを抱きかかえ足早にれいむの元へと向かう。 「ゆっほおおおおおお!?れいむのかわいいたまごがたくさんあるわ!!! みてるだけですっきりしちゃうわあああああ!!!すっきりー♪」 ありすから放たれた乳白色の粘液に卵の一角が覆われていく。 「やべでええええ!!!すきなひとじゃないとあかちゃんのもとかけちゃだべえええええ!!!」 「ありすのためにこんなにたくさんよういしてくれたのね!!! れいむってつんでれねえええええ!!!」 「だべえええええ!!!れいむのだいすきなまりさじゃないとだべええええ!!! ゆっぐじやべでいっでね!ゆっぐじやべでええええええ!!!」 「そのまりさってのは、こいつの事かな?」 「ゆがっ!?ま゙、ま゙、ま゙り゙ざぁあああああぁああああ!!!」 数十分前のことだ。市場を後にし藪森へ歩みを進めようとした頃―― 「こっからはまりさのてりとりーなんだぜ!!!おにいさんはゆっくりあっちへいけだぜ!!!」 「ここをとおらないとお兄さんおうちに帰れないんだけどなあ?」 目の前にこれまた60cmもあろうかという大きなゆっくりまりさが立ちはだかった。 無視して先へ進もうとすると… どかっ! 尻に鈍い痛みが走る。まりさの体当たりだ。 重さも相当なため思わずよろけてしまう。 「まりさのたいあたりなのぜ!これにこりたらゆっくりむこうへいけなのぜ!!!」 まりさは僕の前に回り込んで自慢げに語りだす。 「ほぉおお? 向こうへ行かなかったらどうするのかなぁ?」 「ゆがっ!?と、とにかくこっからはすすませないだぜええええええ!」 まりさが再び体当たりを仕掛けてくる。 一歩横によけてみる。ゆっくりにしては速いがかすりもしない。 案の定まりさの勢いは止まらず向こう側の木に突進し、盛大に全身を打ち付ける。 「ゆがっ…!ゆ・・・ゆぐぅ・・・」 「おーい?いきてるかー?」 まりさは白目を向き天を仰いでいる。もっとも枝葉に覆われ空を拝むことはできないのだが。 「あーあ、見事に伸びちまったなぁ。しゃーない、持って帰ってやるとするか。」 僕は背負っていた篭にまりさを放り込み、その場を後にした。 「ゆ…ゆーん・・・ ゆゆっ!?ここはどこなのぜ?」 「ま、まりさ!?きがついたのね!!! みてみて!!!れいむね、いっぱいおちびちゃんうんだんだよおおおお!!!」 「れ、れいむううううう!!!よくがんばっただぜえええ!!!」 「でもこのありすとそのおにいさんがゆっくりできないんだよ!!!」 「ゆゆゆ!?ゆっくりできないおにいさんとありすはゆるさないのぜええええ!!!」 まりさは近くにいたありすに体当たりを仕掛ける。 発情ありすとはいえ体格差は歴然であり、放物線を描き地面に叩きつけられる。 「ああああっ!? まりさってとんだえすえむぷれいなんだからぁああああ!?」 程なくして気を失った。 「さっきはよくも、よくもおおおおおお!!! でいぶまでいじべで、ま゙り゙ざぼおゆるざな゙いのぜええええ!ゆっぐじじねええええぇぇええええ!!!」 再びまりさが僕に突進を仕掛ける。僕は手近にあった太い枝を拾い上げると、 一歩左に下がり野球の打者の要領で勢いよく振りぬいた。 「ゆべっ!? ゆびぶべぼばびぶべぼゆびゃぁああぁああああああああああぁぁぁぁ!!?」 真っ二つに裂かれたまりさは壮大な断末魔を上げると、物言わぬ餡子の塊と化した。 「ど、ど…、どぼじでごんな゙ごどずる゙の゙おおぉぉおおおおお!!?」 「いや…、どぼじでって言われてもなぁ…。れいむ達から仕掛けてきたんだろ?僕はそれに応じただけさ。」 「でいぶのおぢびぢゃんがえじでええええええ!!!ばでぃざをがえじでよおおおおおおぉおおおお!!!」 「卵ならまだ全滅しちゃいないだろーよ。」 「すきなひどにあがぢゃんのもどかげでもらわないとうま゙でないよ゙おおおぉおおぉおお!!! ゆっぐじがえじで、ばでぃざをがえじで、でいぶのあがぢゃん、がえじでよぉおおおおぉおおおおお!!!」 「んなこと言われてもなぁ…。」 「ど、どぼじで…、どぼじでな゙の゙ぉぉおおおおぉおおお!!! ばでぃざ・・・、あがぢゃん・・・、がえじで、がえじで… がえじでぇぇええええぇぇ・・・」 その大きな饅頭は、大粒の涙をぼろぼろとこぼし、悲痛と怒りの余り泣き叫んでいた。 溢れる涙は「彼女」の足元に水溜りを作り始めていた。 僕はただ家に帰りたかったがためにやっただけ。 道を邪魔をした挙句そんな剣幕で問い詰められても困るのだ。 絶望に打ちひしがれる「でいぶ」を目の前にして、僕はどうしていいかわからなかった。 「んほっ!?なみだによだれにぐっちょぐちょのれいむもかあいいのよぉおおおおお!!!」 「ゆがっ!?ゆっぐじごっぢにこないでね!ゆっぐじやべでね!!!」 途方に暮れているうちにありすが気を取り戻した。すぐさまれいむに一直線。何という見上げた根性・・・。 塩攻めにされ、愛するまりさを失ったショックを受け、泣き疲れたれいむにもはや策は残されていなかった。 ありすの為すがままになるしかない。 「んっほおおぉおおおぉおおお!ぐっちょぐちょのれいむぎもぢいよおおおおおお!!! あらてのろおしょんなのねえええええええ!!!すっきりー♪」 「やべでぇええええぇええ!ずっぎじー!」 「めをそむけなくていいのよおおおおおおお!!!れいむったらつんでれね!!! すっきりー♪」 「ゆっぐじやべで、ゆっぐじやべでね!!!ずっぎじー!」 「れいむのろおしょん、れいむのろおしょんあまじょっぱくておいしいいいいいいいいいい!!! もっとちょおだい、もっとちょおだいねええええええええええ!!!」 「でいぶおいじぐないぼおおおおおお!!!」 「ひていしなくていいのよ?れいむったらつんでれなんだからああああ!!!すっきりー♪」 「やだぼおおお、やだぼおおおおおおおお!!!すっぎじー!」 「もっと、もっとありすにあいをちょおだいねええええええ!!!」 「ゆっぐじやべでね!ゆっぐじ・・・ゆ・・・ゆっぐ・・・」 この状況を打破してくれたありすには感謝しなければならないのかも知れない。 そんな僕の内を余所に、ありすの勢いは止まることを知らなかった。 「れいむ?ねちゃったのぉおお?とかいはのありすのてくがきもちよすぎたのねええええ! うぶなれいむもかぁいいよぉおおおおおおお!!!」 れいむは気絶か、腹上死でもしたのか、とにかく動かなくなった。 いずれにせよその額からは緑色の突起が数多く現れ始めており、運命は決まったも同然である。 「あら…?たまごがたくさんあるじゃなあああい! ありすのためによおいしておいてくれたのねええええ!!!すっきりー♪ みてるだけですっきりしちゃったわ!!!すっきりー♪ れいむっておませさんなんだからああああああああ!!!すっきりー♪ ゆっほおおおおぉおおおおおおおお……」 この後どうなるかは想像に容易い。 夥しい数の卵を貪るうちにありすは干からび、万が一孵化できたとしても誰が育てると言うのだろうか。 冬が近いこの季節、子供たちだけで生き抜くには絶望的である。 オレンジ色の卵達が徐々に乳白色に染まっていくのを見届けていた僕は、 追われる様にして我が家への道を急いだ---- 終われ その後...塩がかからずにありすの精子餡を受けたたまごたちは、「ゆっくりしていってね!」という声で生まれてきたが、そこには朽ち果てたありすとれいむがいたこの子達がこの後どうなるかは一目瞭然だろう。加工所にみつかり研究され尽くされるか、餓死するか、死ぬのも生ぬるい地獄を虐待鬼威山に見せられるかだろう愛でおにいさんに見つかろうとも、 親のいないゆん生を歩むには難しいだろう ほんとに終わり Ref. 1) 東方アクロバティカより ttp //flat-racing.sakura.ne.jp/oretoumi/hp/touhou44.jpg あとがき 昆虫型と名付けたのは、蛙のように外側が粘膜で覆われていないためです。 交尾してなくても卵生むの? 充分に成長し時期が来たら大量の卵を産みます。 それでいて本体は交尾するとにんっしんしてしまうという破天荒な設定です。 by まりさつむりの人 他に書いたもの ゆっくりいじめ系800-802 まりさつむりの記憶 ゆっくりいじめ系854 ゆっくりバイブレーション1 アリス×ゆっくり系16 アリスのゆっくり水爆弾 白玉楼×ゆっくり系5 みょんとの出会い ゆっくりいじめ系932 愛しのありす ゆっくりいじめ系1024 嘘つき少女の悲劇 このSSに感想を付ける
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そういえば、ドレアム作るのにわたぼう必要なんだっけ…?久しぶりにやるからもうあれなんだぜ。 ゆっくりまりさの体力テスト中にゆっくりみまを偶然捕獲したのが昨日のこと。 次の日、購読している文々。新聞(3年間購読。特典は盗撮写真)にチラシ…のようなものが挟まっていた。 どうやら、昨日会った少年が言ってたゆっくり協会からのようだ。 なになに・・・? 『○○さんへ。 当協会はあなたのブリーダー参加を快く受け入れます。 つきましては、お飼いになっているゆっくりを当協会へお連れになって正式な手続きをお受けください。 期日は今週末までです。 ゆっくりブリーダー協会 初代会長 △■』 ふむ・・・。どうやってゆっくりを育成し始めたのを知ったのかはあずかり知らぬところであるが、天狗の連中が協力しているのだろう。 少なからず、ゆっくりを飼っているという、噂も聞くしな。 朝食を済ませ、まりさとみまにれいむだったもの(すでに原形をとどめていないのではあるが)を与え、協会へ行くことにした。 まりさとみまを作物収穫籠に放り込んで愛車(改造自転車。取り付けたターボ機能は河童製。)に乗りこみ、朝の清々しい空気を味わう。 協会へ行く前に、畑にかけた罠を確認しに行く。愚かなゆっくり達は簡易に引っかかってくれたようでところどころに配置したころりはすべてなくなっていた。 協会についた俺だが、流石にゆっくりブリーダーの支援が目的なだけにあってそこらじゅうゆっくりのうz…やかましい鳴き声が響き渡っている。 チラシでは受付に行けば手続きを受けられるようだ。受付は…あそこか。 「すいません。こちらが受付でよろしいでしょうか?」 「はい、ここが受付で(´・ω・)ス」 「えーと、ブリーダーとして正式に手続きしに来たんですが…。」 「かしこまりました。それでは、このプレートを持ってブリーダー支援課までおいで下さい。」 と、ゆっくりれいむのうざい顔が刻まれたプレートを渡される。 「支援課はそちらの右を曲がって、すぐです。」 案内されたように支援課へ行く。まりさとみまは自分たちと同じ仲間がいるのが嬉しいのか、籠の中ではしゃいでいる。 支援課。そう書かれたプレートには右にゆっくりれいむ。左にゆっくりまりさ。 支援課の字の下に「ゆっくりしていってね!!!」とテンプレ通りの叫び声が刻まれていた。 ドアをノックする。すると中から、「はいどうぞ。」と返事がした。 ドアを開けると、そこにはリクルートスーツを身にまとった妖怪の大賢者と誉れ高い八雲紫と、その式八雲藍がいた。 「あら、あなたが新しいブリーダー志願者ね。」 え?なんでこの人が?これは何の間違いなんだ? 「ふふふ…。まぁ、驚くのも無理ないわね。コホン。まず、あなたに言うことが一つ二つあるわ。」 突然のことに狼狽する俺を見て、少しだけ微笑みこう告げる。 「一つ、当支援課からはブリーダーに図鑑・育成記録帖。そして、サービスとしてブリーダーの家にゆっくり空間を提供するわ。」 「は、はぁ…。」 「二つ、これはもっとも重要――と言うよりはこれを正式なブリーダーとして認可されないわ。藍。」 「はっ。」と応答する藍。が懐から一枚の紙片を取り出し、主である紫に渡す。 「あなたは、本日から5ヶ月後。当協会が開催するゆっくり闘技大会―ランクF―で優勝してもらうわ。」 「はぁ…。それで、優勝できなければどうなるんですか?」 「その場合は3か月毎に大会が行われるからその時にリベンジしなさい。優勝した時はまたここを訪れるように。」 「そうですか…。ちなみに、試合前に相手の情報とかがわかったりとかは。」 「試合は公平さを保つためお互いの情報が伝わらないようにしているわ。じゃ、これで説明は終わりよ。」 と、そういって紫は俺に先ほど式から渡された紙片を俺に渡し―――――スキマへ放り込んだ。 「うわっ?」「ゆっ!?」「なにがおこったんだい!?」スキマへ飲み込まれた俺と籠の中のゆっくりは、受付の前に落とされた。 受付の人が言うには、この程度のことは日常茶飯事なのだそうだ。 ただ、過去に何回か飼いゆっくりをスキマ過程でつぶしてしまったブリーダーもいるらしく、再び支援課へ向かって行ったそうなのだがその日には戻ってこなかったどころか、 一ヶ月後妖怪の山から流れてくる川でぐずぐずになったゆっくりとともに発見されたそうだ。 その時、うわ言で「少女臭が・・・ねばねばした少女臭が・・・」とぶつぶつ言っていたようだが命に別条はなかったとのこと。 スキマ…!なんて恐ろしい…! その日の夜。 「ゆ~ゆ~♪」「はぁ、はぁ、まりさ…」 家につくと、家と離れの倉庫の間にゆっくり飼育場と看板の刺さった土地が新しく出来ていた。 まりさとみまはさっそくつろいでいるようである。 「…スキマ…本気で恐ろしいぜ…。」 あの、隙間妖怪だけには決して逆らっても歯向かってもいけない。そう改めて感じた。 「ゆ~♪ゆ~♪ししょーもいるし、ゆっくりできるばしょも増えたしうれしいよ!」 「あしたもゆっくりするよ!まりさ!」 残念だが、君たちは明日から地獄の特訓メニューだ。 次の日、まりさとみまにとって文字通り地獄の日々が始まった。 まず、まりさ。基礎体力が他のゆっくりよりも低いために大規模な底上げを強要された。 具体的に、走り込みやウェイトトレーニングを主にした特訓である。 特訓中に少しでもゆっくりすると、 「ゆっくりしているんじゃねぇ!そら!今日のノルマ達成まであと飼育所50周だ!」 「も゛う゛や゛だぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!ゆ゛っ゛ぐり゛じだい゛よ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛!!」 「そらそら!少しでも力を抜くとお前の尻(あるのかどうかは不明だが)に針(剣山)が刺さるぞ!」 「ゆ゛~!ゆ゛ゅ゛~!!」 ブス 「い゛だい゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛!??」 「怠けるな!腹筋500回!背筋500回!3セット!朝昼晩続けてこそ強靭な筋肉は身につく!」 「ゆ゛ぶっ゛!ゆ゛げっ゛!」 特訓中に餡子を吐くことがしばしばであるが、少量でありかつ俺が砂糖水をこまめに与えているためか大事に至ることはなかった。 つぎにみま。昨日の出会い頭ですでに分かるのだが、こいつは克己心がかなり高い。 故に、命令を素直に聞き分けるように、恐怖をトッピングに調教を施す。。 301「でも、魅魔様の搾乳ならちょっと見たいかも」 「い゛や゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!よ゛っでごな゛い゛でぇ゛ぇ゛ぇ゛!ざぐに゛ゅ゛う゛ざれだぐな゛い゛い゛い゛い゛!」 飼育所の片隅に「誰にでも扱える!ゆかりんの簡易式神!~何回でも使えるわよ(はぁと)~」が置かれてあったので活用させていただいた。 四方からみまに向かってにじり寄る変態、もとい、式神。 それに囲まれているみまは、顔を涙と鼻水とよくわからない液体まみれにして、 「お゛に゛ーざん゛!ゆ゛っぐり゛ざぜでぇ゛ぇ゛ぇ゛!」 「ゆっくりさせてもいいけど、お願いするならちゃんと言わないと助けないよ!」 「お゛ね゛がい゛じま゛ず!な゛ん゛でも゛い゛う゛ごどをぎぎま゛ず!だがら゛だずげでぐだざい゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛!」 チッチッチッ。と指を振り、 「助けてほしいかぁ?本当に?本当に?「はや゛ぐぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛!」俺がお前のようなゆっくりをこのような形で助けるのは本来ない事なんだぜ?それを理解しているか?」 「わがっだ!わがりまじだがらぁぁぁぁ!」 「…だが、それだけでは助けてはやれないな!「どぉじでぇぇえぇぇ!?」人‘飼い主 に助けを求める時には大切なことが必要だろ?『お願いします。‘プリーズ 』が!?」 「ゅゆ゛ゆ゛ぅぅ゛ぅ゛ぅ゛う゛う゛!?お゛ねがい゛じま゛ず!!お゛ねがい゛でずがら゛!ごのぐざっだま゛んじゅ゛う゛を゛だずげでぐだざい゛!」 パチン!指を鳴らして、変態と言う名の式神を紙切れに戻す。 「ゆっ!?この!この!よくもこのみまさまを泣かせたな!」 物言わぬ紙切れになった変態を踏みつけるみま。 パチン!再び指をならし、紙切れは変態として再活動する。 「い゛や゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!ごな゛い゛でぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛!」 これを数回繰り返して、みまの克己心を徐々に崩していく。 大会まであと4か月。ゆっくりたちの明日はまだはじまったばかりだ。 「も゛う゛や゛だ!ゆ゛っぐり゛じだい゛!」 「ナマケルナー!後100周ランニング!その次は腹筋背筋のフルコースだ!」 「い゛や゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!」 301「でも、魅魔様の搾乳ならちょっと見たいかも(ハァハァ」 …その前に、理性が崩壊するのが先かもしれませんがね…。 あとがき ゆっくりモンスターズ2話です。 ゆっくり虐待分はほかのSSと比べればやや少ないと感じるでしょうけど(汗 ゆっくりみまの弱点はこんな感じで。まさか、このネタをこういうところで使うとは考えていなかったりして( 前スレのコメントから。 177 :名無したんはエロカワイイ :sage :2008/07/08(火) 01 37 04 (p)ID BfMe794g0(2) 174 ステータスとか書くと有形無形いろんな形で貴殿自身を拘束していくぞ その辺は適当にやっていくんだ 前回、ステータスは体力テストの結果として晒しただけです。 新しく捕獲したゆっくりは有無を言わさず体力テストが待ってます。 あと、元ネタがあれなのである程度ステータスに沿った展開にしようかとメモな感覚で留めようかと。 184 :名無したんはエロカワイイ :sage :2008/07/08(火) 01 51 14 (p)ID x0UMcack0(3) 174 やっぱりゆっくリーグとか四天王とかいるんだろうか ポケモンの人じゃないですorz でも、システム的にポ○○ンと○○ゴンク○○トモ○○ター○は少し似ていますよね。 あと、◎◎スターファー●も。育成して戦わせるタイプのゲームは文章として書くとどうにも混ざりやすい。 次回は、新しい生贄がまりさとみまの前に!そして、4ヶ月後に行われる大会!荒れる会場!ヒートアップする観客! 神社の巫女は今日も飢えているぞ! このSSに感想を付ける
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Side Kagami 「うーん…」 何だろ。 頭が痛い。身体が重い。寒気がする。 夕べ勉強してたときに暖房の温度低く設定しすぎたか? でも、学校行かなきゃ。 よいしょ、と身体を起こして、ベッドから降りて…あれ?目の前がくらくらする… ばたん。 痛い。 のは体調的な意味ではなく、物理的な意味だ。 要するに。 着替えようと起きたつもりが、盛大に「落ちて」しまったんだ。 「お姉ちゃん!?」 きっと隣の部屋まで聞こえるくらいの音だったんだろう。慌てた声が聞こえてきた。 そりゃ部屋の扉開けたら、姉が床に突っ伏しているのが目に入ったらうろたえるわよね… って私人事みたいだな。これ。 「38度7分…これじゃ学校行くのは無理だよ」 情けないことにつかさに半ば無理やりベッドに寝かされて、さっきまで口に咥えさせられ ていた電子体温計の数値を告げられ。 こうして、私は風邪で休むことになった。 テスト前だってのに情けないなぁ。 それに…あいつに会えないのは、寂しいし。 面と向かって口に出してなんて絶対に言わないけど。 言えば何を言われるかわかったものじゃないけど。 「お姉ちゃん?聞いてる?」 つかさの声に、はっと我に返る。 うだうだ考えてる間に、傍らでは小さな土鍋が湯気を上げてる。 「おかゆ作っておいたから、食べられるときに食べといてね。薬も置いといたから」 ああ。 こういう時のつかさは本当に頼りになる。 普段は天然でぽやぽやだけど。いざという時にはきちんとやる子なんだ。 つかさはいいお母さんになれるよね、なんてぼんやりと考えてた。 「今日なるべく早く帰るね」 「気にしなくていいわよ。こんなの今日一日寝てれば治るって。それに姉さんもお母さん もいるんだから」 「ん…でも心配だもん」 「いいからあんたはさっさと学校行きなさい。遅刻するわよ」 「はう!ご、ごめんねお姉ちゃん!ゆっくり寝ててねー!」 ばたばたと慌てて出て行くつかさを見送って。 それじゃ、つかさ謹製のおかゆをいただいて、薬を飲んで寝るとしましょうか――― Side Konata いつもの昼休み。だけど、何かが足りない。と思っていたら、 「かがみが休み?」 「うん…38度も熱出しちゃって。今日一日寝てれば治る、って言ってたけど」 「この季節は特に気を使わないとすぐ風邪をひいてしまいますからね」 「お姉ちゃん受験が近いからって夜中でも頑張っていたから…」 「うーん。かがみもバカじゃなかったってことだね」 「こ、こなちゃん…」 「冗談冗談だよつかさー」 そう。 かがみは私なんかと違って頭いいんだから、そんなの知ってる。 大体私だって風邪ひくんだから、「バカは風邪引かない」なんて間違ってるよね。うん。 いつかみゆきさんが「夏風邪はバカがひく」って言ってたけど。今は冬だし。 しかし、かがみが風邪かぁ…これはある意味チャンスかもしれない! そう思った瞬間。 脊髄反射で身体が動いていた。 「ねえつかさ」 「何?こなちゃん」 「帰りにさ、かがみのお見舞い行っていいかな?」 「うん!きっとお姉ちゃん喜んでくれるよ!」 やった。 二つ返事でOKしてくれたよ。まぁつかさは断らないだろうと思ってたけどさ。 それにしても、やけに勢いよかったな。 隣じゃみゆきさんがいつものにこにこ顔で見てるし。 「みゆきさんも一緒にどうかな?」 「え?あ、あの…ご一緒したいのは山々なのですが…今日は家の用事で早く帰らなきゃな らないので…申し訳ありません」 「そっかー…じゃあしょうがないよね」 残念。 でも、ちょっとだけお家の人に感謝。なんて不謹慎かな私。 みゆきさんをのけ者にするつもりなんて毛頭ないけど、やっぱり私が一番、かがみに会い たいんだ。 突っ込み分がいないと私のネタも切れないし、それにこの機会に病床のかがみに萌えてい たいしね。 え?いつかもやっただろ?昔の話は忘れたな。 本当の本音は、やっぱりかがみが心配だからだよ… なーんて。口に出して言うなんて私のキャラじゃないよね。うん。 何はともあれ。 決行は放課後。かがみんのためにエネルギー充填しておかないとね。 「泉ー?ええ度胸やなぁ?」 …充填しようとして寝てしまって頭にでっかいたんこぶ作っちゃったのはご愛嬌だよ。 Kagami Side 「ん…」 よく寝たなぁ。まだ身体はだるいけど。 枕元の時計に目をやると、もうとっくの昔に学校終わってる時間か。 つかさのおかゆ食べて、薬飲んで寝たのが大体9時くらいだから…6.7時間は寝てたのか私。 そういえばつかさ遅いわね。早く帰る、って言ってたのに… 「んー…相変わらずかわいい寝顔ですなぁかがみん♪」 「!!」 いきなりこんな声が飛び込んできた。 「ちょ、あんた…」 「おはよ…きゃんっ!」 ごっつん! ………不意に聞こえた声に反応して。 思わず回りも何も確かめずにそれはもう勢いよく起き上がった結果。 一瞬、私の目の前に火花が散ったのが見えた…星が見える、って言うけどあれ本当のこと だったんだなぁ。 「…あいたたたた…見舞いに来て間もないのにもう情熱的なキッスでお別れ、ってアレで すかかがみ様…」 「どこの死神だ私は!」 「わかってくれるかがみんに萌え」 「…いろんな意味でだるいから突っ込まなくていいか?」 はぁ。 まったくこいつは…。病人を何だと思ってるんだか。 でも。 あんな勢いよく起き上がってしまったのは。 こなたが来てくれた、って事実に舞い上がってしまったからなんだよね…本当のところは。 「で?何しに来たのよ」 「うわ辛辣なお言葉。さっき言ったじゃん。お見舞いに来たって」 「あんたの見舞いは人の寝顔眺めてニヤニヤすることなのかよ。いつかもやったよな?」 「昔の事は忘れ…うにゃあああああああ痛い痛いかがみさまー!」 くだらない事を言おうとしてたので、とりあえず拳でぐりぐりしてやったら、涙目になっ たので、かわいそうだからこのくらいにしておいた。 …ってか可愛い。 「あうう…意外と元気そうじゃんか」 「さっきまでぐっすり寝てたからね。おかげで少しは持ち直してきたわよ。それよりつか さはどうしたのよ?」 「ん?夕飯の買い物だって。『こなちゃんがついてくれてるなら安心だよ~』って言って くれたよ?」 「そっくりそのまま声まで真似しなくていい。ってかマジで似てるからやめい」 「んーかがみんはツンデレだなぁ」 「ツンデレ言うな」 大体私のどこがツンデレだって言うのよ。 そりゃこなたが来てくれたのは嬉しかったし、でも嬉しいはずなのに素直に口にできない なんて…ってあれ? そもそもツンデレって何だっけ? あー…長年こなたと付き合ってきてそんな事にも頭が巡らないなんてやっぱり調子悪いわ … 「んーかわいい寝顔みせてもらったし、かがみんのツンデレも見られたし、満足満足」 「あんたね…」 そもそもお見舞いってそういうもんじゃないだろうが。 と、言おうとしたのに。 「でも、かがみに会いたかったのは本当だよ」 なんて。 何でもないようにサラリと、こんな嬉しいことを言ってくれるなんて。 反則だ。 「な…いっつも会ってるんだから今日一日くらい我慢できなかったの?」 なんて、自分でもわかるくらい真っ赤な顔で言っても。 私も正直こなたに会いたかったんだから説得力なんて全くない。 「おお…これぞツンデレ…」 「悪かったわね」 言うと思った。…ってかやっとさっきの意味がわかったわ。 こんな反応するからだ。きっと。 「そんじゃ私はこのくらいで帰るよ…と、その前に」 「何よ?」 帰る、と言いながら何でまたベッドに乗っかるんですかこなたさん。 だんだん顔が近くなってるし… ちゅ。 …間近に迫ったこなたの顔。 その距離がゼロになったのを感じて。 やっと、こなたにキスされた、と自覚した。 「…な…な…あんた…」 何の心の準備もしてないのに。 いきなりの事に頭が混乱する。 「最後は情熱的なキッスでお別れ♪幾千にも、幾万にもごきげんよう~かがみん」 こいつはこいつで。 例の猫口でしてやったり、な顔で。 キスを済ませるとひょい、とベッドから降りてネタをかましてさっさと部屋を出て行って しまった。 …あいつ…明日覚えてなさいよ… 後日談。 「全く…こなたの奴、見舞いに来ておいて何してんだか」 「それは泉さんなりの思いやりかもしれませんよ」 「うん…それは前に聞いたけどね。ってか今日こなたは?」 「こなちゃんも今日は風邪でお休みだって。お姉ちゃんのが移ったのかな?」 「まさか。アイツがそんな玉かっての」 そうか、こなたが風邪か…ふっふっふっふっふ… 復讐するは我にあり。放課後アイツの家に押しかけてやろう。 「お姉ちゃん口ではああ言うけど」 「実はとても泉さんが心配なのですね」 「こなちゃんも昨日はこんな感じだったよね」 「お互い相思相愛でいいことですよね」 なんてのほほんと何か聞き捨てならない台詞が聞こえた気がするけど、そんなの今の私に は聞こえない。 さて、どうやってリベンジしてやろうかしら。 一方泉家。 「ふふ…かがみの風邪ならうつされても本望…でも、キスで本当に風邪移るんだねぇ…」 コメントフォーム 名前 コメント GJ!!(≧∀≦)b -- 名無しさん (2023-05-30 17 05 43) 神 -- 名無しさん (2021-01-05 02 41 58) 好きな人から風邪うつされると、風邪でしんどくてもテンション高くなるよね -- 名無しさん (2011-02-17 03 24 05) ラブラブでいいなあ… -- 名無しさん (2010-12-04 18 35 59)
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※最初で最後のゆっくり虐待に挑戦中です。 ※どくそ長いです。(十回超の予定) ※うんうん、まむまむ描写あり。 ※標的は全員ゲスです。 ※最初の数回は読者様のストレスをマッハにすることに腐心しています。虐待は次回から。 ※虐待レベルはベリーハードを目指します。 ※今回は人間が悲惨な目に会う描写があり、気分を深く害される恐れがあります。 一応、今回だけ読み飛ばしてもいいように書いていく予定です。 ※以上をご了承頂ける方のみどうぞ。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――― 『永遠のゆっくり』4 ずっと俺には疑問だった。 突如として現実世界に現れた不可解な存在、ゆっくり。 こいつらは一体なんなんだ。 中身に詰まっているのは餡子のみ。 他のどの生態系にも類を見ない不可思議な機構で動いている。 小麦粉と甘味でほとんどが構成されたその肉体はひどくもろく、衝撃や苦痛でたやすく餡子を漏らして死ぬ。 なにより不可解なのはその知能だ。 言語を話す、という時点で他の動物とは比較にならないほど知能は高い。 ところがその行動は単細胞生物のそれで、 思考力や学習能力にひどく乏しく、目先のゆっくりしか目に入らず、 野生動物なら最低限あってしかるべきはずの危機管理能力が決定的に欠けている。 おそろしく弱いくせに自信に満ち溢れ、無謀なことばかり繰り返す。 こんな生物は、生態系としては下の下で、 とっくの昔に絶滅していておかしくないはずなのだが、 並はずれた性欲に支えられた繁殖力、ただそれだけを武器に、 ゴキブリ以上のしぶとさで地球にしがみついている。 俺にはわからなかった。 大学で少々生物学をかじった身として、 ゆっくりの生物としての整合性が理解できなかったのだ。 性欲以外のほぼすべての特徴が、生物としてマイナス要素しかない。 なぜ、そんな生き物が生まれてきたのだろうか。 生物に意味などあるはずはない。 しかしどの生物も、進化の過程を経て、 思わず感心してしまうほどの適合力を見せて、自らの生活圏とぴったりと結合している。 しかし、ゆっくりは見たところ、どの生活圏にも結合していない。 森に繁殖すれば、たちまちそこの食物を食べつくしてしまう。 町に住めば、人間どもに追われ、迫害されている。 こいつらはなんのために生きているのだろう。 どんなゆっくりプレイスも、例外なく破綻する。 生まれては死に、繁殖しては滅び、流れるようにあちらこちらをさまよう。 こいつらが生物としてぴったりとはまり、安定していられるのはどういう環境なのだろうか。 「何か月かね?」 「は、はい……三ヶ月ちょっとらしいです」 長浜氏はソファに身を沈めたまま、険しい表情をしていた。 「ゆぅ~ん、おじいちゃんどうしたの?なんだかこわいよ?」 「なんでもないよ。あっちへ行っていなさい」 「ゆっくりりかいしたよ!」 絨毯の上を跳ねながら、開け放したドアを出ていくゆっくりれいむ。 長浜氏の邸宅。 広い居間でテーブルをはさんで向かい合い、俺は恐縮しきっていた。 俺の隣には由美。 向かい合ったソファの正面には由美の祖父長浜氏が座り、 その隣に由美の両親が座っていた。 俺の返答を聞いたあと、長浜氏は黙ってこちらを見つめていた。 俺はうつむいて冷や汗をたらしながら、つけ慣れないネクタイの位置を直した。 由美の妊娠を知らされたときには、すでに受胎してから二か月半ばを経過していた。 毎日俺の部屋に通っていたはずの由美が、ある時を境に数日間来なくなった。 心配になった俺は電話で連絡した。 すると、由美は震える声で、産婦人科に行ってきたことを告げてきた。 妊娠を知らされ、俺の喉がひりついた。 ゆっくりの世話に追われてこのところすっかりご無沙汰だったが、 ゆっくりをここに迎える直前、すでにご懐妊なさっていたらしい。 どうする。 俺はしばらく悩み、時間をかけて由美と相談し、結論を出した。 「こういう事柄に関しては、君には忍耐力がなかったようだね」 やっとのことで、長浜氏が仏頂面で言った。 俺は恐縮して頭を下げるしかない。 「大切な孫娘なんだよ。たったひとりの……つい先日、成人式を挙げたばかりだ」 「は。はい」 「君はまだ働いていない学生の身分だろう」 「……はい」 「とんだことをしてくれたよね」 「は」 「嫁入り前の、人の娘に……娘というのは君、宝だよ」 「……」 「おじいちゃん」 「黙っていなさい!」 由美が口を挟もうとしたが、長浜氏がぴしゃりと遮った。 これほど険を含んだ長浜氏は初めてだった。 あの礼儀正しい老紳士が、静かに怒っている。 耐えがたい、重苦しい沈黙。 「どうするのかね」 やがて、ぽつりと長浜氏が聞いてきた。 震える手で膝を握りながら、俺は声を絞り出した。 「……由美さんを、僕にください」 「……今、なんと言ったのかね?」 「僕に由美さんをください!必ず幸せに、幸せにしてみせます!!」 俺は叫びながら顔をあげた。 長浜氏は、顔中をくしゃくしゃにして笑っていた。 「いやいやいやいや、さあさあどうぞどうぞ」 「いや、あの、僕は車なんで」 「いやいやいいじゃないか。帰りは送らせるよ、まあどうぞ」 俺の手に持ったグラスに、高そうな酒がどぼどぼと注がれる。 「いやあうん、懐かしいな。私もそうだったんだよ。 圭一くん、私も君といっしょでね、深窓の令嬢を結婚前に孕ませてしまった。 相手方のオヤジさんにはぶん殴られたよ」 「そうでしたか」 長浜氏は浮かれまくっている。 由美の両親はそれほど浮かれる気にはなれないようだったが、ともかく笑顔を作っていた。 「もしも君が逃げ出すようだったら、ただではおかなかったよ、うん。 しかし、これで全て丸く収まりそうだ。君なら大丈夫だろう、うん、ね。 困ったことがあるならいつでも言ってきたまえよ、我々は家族になるんだからね」 「ありがとうございます!」 「本当に、頼んだからね。由美、いい人を見つけたね」 「うん!」 涙を浮かべ、由美が頷いた。 「ゆっくりしていってね!!ゆっくりしていってね!!」 「ゆっくり!!ゆっくり!!」 場の雰囲気を察知し、長浜氏の飼っているゆっくり共が嬉しげに絨毯の上で飛び跳ねている。 この時ばかりはゆっくりが可愛く見えた。 しかし多いな。大小さまざま、何十匹いるんだ。 「由美から聞いているよ」 「え?」 「例の、ゆっくりの事だよ。君の家で飼っている」 「あ、はい……」 声のトーンがわずかに沈んだ。思い出すことさえ不快だ。 「ものすごく大変らしいね。床のうんうんを舐めたんだって?」 「あ、いや、まあ……」 そんなことまで耳に届いていたとは。 あの姿だけは見られたくなかったなあ。 「君は今、ゆっくりが好きかね?」 「…………」 「嫌いだろうね。無理もないよ」 「はい……」 長浜氏の声は穏やかだった。 彼は由美に向きなおって言った。 「なあ、由美。もういいだろ。解放してあげなさい」 「……うん。圭一、今まで本当にごめんね」 「圭一君。そもそもは私までがぐるになって君に頼んだことだったが、 これまで本当に、よく由美に付き合ってくれたね。心から感謝しているんだよ。ありがとう」 ストレートに「試していた」と言ってくるわけじゃないが、 やはりあの計画で、俺が試されていたのは確かのようだ。 夫として由美と向き合っていく忍耐力を、俺は証明したのだ。 「ともかく、君たちは近いうちに夫婦になるのだろ?」 「はい、そのつもりです。準備は大変だと思いますけど……」 「もちろん手伝うよ。それでだ、そういう準備もあるし、 もうゆっくりに一日中かかずらっているわけにはいくまい」 「は……そうですね」 「あのゆっくりはこちらで引き取ろう。 もちろん最低限の躾は必要だろうが、責任をもってできるかぎりゆっくりさせるよ」 「あの、私が面倒見るから!」 「どうするつもりだい、由美。これまで通り自由奔放にゆっくりさせるのかい?」 「できれば、そうしたいんだけど」 長浜氏はしかしかぶりを振った。 「もうよしなさい。結果は出ているだろう」 「結果……」 「圭一君。君たちはゆっくり達の言うことをすべて聞いてきた。 すべてゆっくり達の思うままにさせた。そうだね?」 「はい」 「では改めて聞くが、あのゆっくり達は、 他のゆっくりに比べてゆっくりできていたと思うかね?」 俺は少し考え、答えた。 「いいえ」 「子供を殺したんだって?」 「えっ」 自分のことを言われてるのかと思い、一瞬どきりとした。 「れいむとありすがいがみ合い、互いに子供を殺し合ったそうじゃないか」 「あ、はい」 「そして結局、増えすぎた子供たちは間引かれていった」 「……はい」 「まりさ達は他のゆっくりを虐げた。 甘味を与えるたびに、その甘味を家族で奪い合った。 互いに憎み合い、相手の隙を窺い、強者の存在に怯え、強者は反発に苛立つ。 いつ子供たちが殺されるか虐められるかわからず、戦々恐々とする生活。 由美。そんなゆっくり達が、ゆっくりしていると思うのかい?」 由美は眼を伏せた。 「ゆっくりしていなかっただろう?」 「……うん」 「今回のことはいい経験だったな、由美。 ゆっくりという生物は、自分にとって一番いい選択をする判断力が足りていないんだ。 ただ目先の欲求だけで行動し、結局はそのつけが回ってきて面倒事を増やし、苦しむことになる。 ………もしかしたらそれは人間も同じことかもしれないね。程度は大きく違うが」 俺は頷いた。 まあ、ゆっくりと一緒にされたくはないが。 「お前の計画は、ここで終わりにしよう。 今回のことを糧に、改めてゆっくりが本当にゆっくりできる為にはどうすればいいか考え直してみればいい。 あのゆっくり達はこちらで引き取るよ。 もちろん一旦味をしめさせた責任はあるから、できるかぎりは贅沢をさせてやる。 他のゆっくりに悪影響が出るだろうから、個室で飼おう」 「うん。わかった」 由美は頷いた。 「でも、あたしも面倒見てもいいよね」 「うん。好きにしなさい」 好々爺の笑みで、長浜氏は頷いた。 すべて終わった。 運転手のハイヤーに乗せられて長浜氏の邸宅をあとにした今、俺はようやく肩の荷が下りた。 いや、これから結婚や求職もろもろで本当に忙しくなるのだが、 そんなものはあのゆっくり共の相手をすることに比べれば些細なことに思えた。 本当に大変だった。 しかしそれは報われた。 長浜氏は俺を認めてくれ、俺は由美と結婚できることになった。 こうして結果が出てみれば、自分でも驚いたことに、 あのゆっくり達に感謝の念さえ湧きあがってきた。 なにはともあれ、やつらは俺にチャンスをくれたのだ。 「今まで本当にごめんね。大変だったよね」 隣に座る由美が改めて詫びてきた。 「うん。大変だった。すごく」 強がってみせる余裕もなく、俺は正直に苦笑した。 「あんなゲスゆっくりが、本当に可愛いのか?」 俺はここで初めてゲスという言葉を使ったが、由美は否定しなかった。 「うん。おかしいよね」 「どこが可愛いの、あんなの」 「それは、ええと、ゆっくりと人間と同一視してるから可愛くないんだと思う」 「え?」 いつになく真面目な顔をして、由美は言った。 「礼儀とか思いやりとかは、人間のルールだよね。 そういうのがない人は、私も嫌い。 でも、ゆっくりは、人間とは違うルールで生きてる。 ふつうの人間にとっては不愉快かもしれないけど、私は人間とは別物だと思ってるから、腹が立たない。 私ってゆっくりオタクだから、人間の手垢がついてない純粋な子ほど可愛いと思っちゃうんだね」 「そんなもんか」 共感はできなかったが、素直に受け止めることができた。 「でも、今回の失敗でまたわからなくなっちゃった。 ゆっくりのルールって一体なんだろうね。 人間のルールを押しつけたほうが幸せになれるのかな? ゆっくりって、ゆっくりするために生きてるんじゃないの? どうしてなかなか、自分たちでゆっくりできないのかなあ……」 毎日ものすごい数が生まれ、そのほとんどが死んでいくゆっくり。 わざわざ人里に下りてきて、家や畑を荒らしては潰されるゆっくり。 ゲスやレイパーや共食い、同族で殺し合うゆっくり。 ゆっくりとは、一体なんのために生きているのだろうか。 「ゆっ、おそいよ!!ごみくず!!」 由美と一緒に家に戻れば、甲高い挨拶が飛んでくる。 「ぐずぐずしないであまあまをもってきてね!!」 「そのめはなんなの?ばかなの?たちばわかってるの?ばぁーか!!」 「まま、かちくがもどってきたわよ」 「あらそう、どこをほっつきあるいてたのかしら。 そろそろしつけなおしたほうがいいかもしれないわね」 「ゆっくりしないでしね!!げらげらげら!!」 「とっととうんうんをなめるんだぜ!!たっぷりためといてやったんだぜ!!」 子ゆっくり共は成体サイズになり、滑舌もまともになっていた。 改めて眺めると、よくもこんな連中と付き合ってきたものだと思う。 しかし終りが見えた今は、そんな声も耐えて受け流すことができた。 ゆっくり共の罵声を無視し、鞄を放り出して横になる。 無視できることがこんなに有難いとは。 「ゆっ!?ごみくず!!なにゆっくりしてるのぉ!?さっさとおきてせいざしてね!!」 「あまあま!!あまあま!!きいてるのかだぜ!?ゆっくりするんじゃないのぜぇ!!」 「くちをあけるんだぜ!!うんうんをじかにたべさせてやるんだぜ!!」 無視無視。 よじ登ろうとしてきたゆっくり共を適当にあしらって追いやる。 潰してやりたいところだが、こいつらは長浜氏の家に飼われるのだからそうもいかない。 「ぎいでるのがああああああああゆっぐりごろじいいいいいいいいい!!!?」 その言葉にはさすがにどきりとした。 一緒に来ている由美のほうを見る。 しかし由美はそれには触れず、かがみ込んでゆっくり達に言った。 「れいむちゃん、まりさちゃん、ありすちゃん。みんな聞いて。 明日、みんなでお引越ししましょうね」 「ゆっ!?」 「ここではもうゆっくりできないの。 もっとゆっくりできるゆっくりプレイスに連れていってあげる」 ゆっくり共は一瞬きょとんとしてから顔を見合わせ、その後げらげらと笑い合った。 「げらげらげらげら!!ばかがなにかいってるのぜぇ!?」 「ゆっくりプレイスはここなんだぜ!!まりささまがきめたんだぜ!!」 「いいのよ、おねえさん。かちくがむりにあたまをつかわなくてもいいの。 かんがえることはとかいはなありすたちにまかせておきなさいね」 「むのう!!のろま!!ばぁーか!!ろどん!!」 予想できていた反応に、由美は困ったように笑った。 「ね、これからは人間さんの話を聞いて。 今度のゆっくりプレイスでは、人間さんがみんなをゆっくりさせてくれるわ。 でも、人間さんの言うことを聞かなくちゃだめよ」 ぼひゅっ、という音が響く。 ゆっくり共が吹き出したらしい。冗談じゃないという驚き、ちゃんちゃらおかしいという嘲笑の両方だろう。 「ばかなの?しぬの?あたまつかってる? そんなところでゆっくりできるわけないでしょぉぉ!!」 「いーい?にんげんさんはごみくずでのろまな、かとうなせいぶつなの。 ゆっくりがみちびいてあげなきゃいけないの。いうことをきくのはにんげんさんのほう。 わかるかしら?もういちどいってあげましょうか?」 「かわいがってやっていればつけあがるなだぜ!! にんげんのいうことをきくぐらいならゆっくりするんだぜぇ!!」 最後の発言は意味がおかしい。 「勝手よね、私たち。今更しつけようなんて」 「そうだな」 由美に頷いてやる。 虐められているうちは、叩き潰してやりたいと渇望していたものだが、 このゆっくり共もある意味では被害者、もとい被害ゆっくりなのだ。 そう思うとなんだかどうでもよくなった。 ただし、あくまで「ある意味で」という前置きつきでの穿った見方だ。 ガラスを割って侵入してきたこのゲス、追い払ったところで別の人間に潰されるか、 群れの中で孤立して自滅するかだろう。 まあifの仮定なんかしたって無意味だが、こいつらが不幸だなどとは言わせない。 最低限のルールは課されることになるが、これから行くところだって、 死ぬまで存分にゆっくりできる夢のようなゆっくりプレイスだ。 とにかく、明日の昼には迎えが来て、 こいつらは長浜氏の邸宅に移されることになる。 その旨を伝えると、ゆっくり共は俄然騒ぎ出した。 「なにいってるのぉおお!?ばかなのぉぉぉぉ!!!」 「まりささまはここにすむんだぜぇぇぇ!!しねぇ!!!しぬんだぜぇぇぇ!!!」 「このかちくはもうだめね! そこのおすにほかのつがいをさがさせましょう」 「おい、なにゆっくりしてるんだぜぇ!! このばかをなんとかするんだぜ!!あのことをいわれてもいいんだぜぇ!!?」 「あのことって?」 由美が聞いてきた。 「全部話すよ。それより、もう出よう。 もう一晩だってこいつらといたくないよ」 俺は由美を近くのファミレスへと誘った。 「おいぃ!!にげるなだぜぇ!!ごみくず!!もどれぇぇ!!」 「ゆっくりごろし!!ゆっくりごろし!!あかちゃんごろしいいいい!!」 結局、俺は子殺しに加担した全てを、ショックを与えないように細部は省いて話した。 俺がゆっくり愛好派ではないことはもともと承知の上だし、 計画が失敗に終わったという結論が出た今、取り繕うこともなかった。 由美は悲しんだが、結局は許してくれたようだ。 「全部、私のせいよね」 「よせよ。みんな悪かったんだ、俺もお前もおじいさんも、もちろんゆっくりも。 後悔したって始まらない。みんなでやり直そうぜ」 「そうね」 あのゲスどもに関しては、俺はもう関わらないけど。 その日は、由美を送り返したあと近くのビジネスホテルに泊まった。 問題は山積みだが、それでもあのゲスのいない生活を考えるだけで心は浮き立った。 翌日から、俺はそれまでの鬱憤を晴らすかのように勉学に打ち込んだ。 もともと勉強好きな俺は、遅れを取り戻すべく、大学でも自宅でも猛烈に並び、 一時落ちていた成績を再び大学トップクラスにまで戻した。 同時に、就職活動も行った。 有名大学で優秀な成績を収める俺にとって、そう難しいことではなかった。 だが、結局は長浜氏の強い勧めで、長浜グループ関連の建築会社に内定が決まった。 コネを使うことになってしまったが、実力的にも不足はない。 在学中に結婚までしてしまった。 長浜氏の願いで、俺が婿養子として迎えられることになった。 由美は一人っ子だし、家柄を考えれば無理もないか。 順風満帆だった。 我ながらなんというシンデレラボーイ。 あの地獄に堪えた報酬は、十分見合ったものだった。 だが、そんな地位や収入などよりも、 俺は何より、由美との結婚生活が楽しみだった。 愛する妻、子供、ピクニックやキャッチボール。 陳腐だが愛にあふれた家庭生活を想像するだけで、俺はすでに幸福の絶頂にいた。 俺は長浜氏の邸宅に一時的に住んでいた。 就職するまでは、という長浜氏の強い勧めだった。 あの人はなんだかんだで、いろいろと強引に勧めてくる。 一人ではしゃいでいる祖父に比べ、 由美の両親のほうは少々ぎこちなかったが、おいおい打ち解けていけるだろう。 「おにいさん、ゆっくりしていってね!!」 「ごはんのじかんになったらあまあまをおねがいね!!」 長浜氏の邸宅には、ゆっくりが大量にいた。 れいむ種、まりさ種、ありす種、ぱちゅりー種、ちぇん種やみょん種などレアなものも。 正直うざったかったが、あのゲスどもに比べれば天地の差。 これだけしつけが行き届いていれば問題なく付き合っていけそうだ。 問題のゲス共は、ひどいものだった。 ここに連れてこられてすぐに個室に移されたが、 しつけをしようとしても全く言うことを聞かない。 人間は自分たちの奴隷だ、黙って言うことを聞け、あまあまをもってこいの一点張りで、 そればかりか嬉々として嫌がらせをしてくる。 少々強く言うと、ものすごい剣幕で火がついたように暴れまわった。 長浜氏の知人である有名ゆっくりブリーダーに見てもらったが、これはダメだろうとのことだった。 「ここまでつけ上がったゆっくりは、多分もう無理だと思います。 人間をなめているばかりか、明確な悪意を向けてきている。 しつけるにしても、ものすごく強烈なやり方でないと。 もしかしたら死んでしまうかもしれませんよ」 さすがにそこまですることもない、という長浜氏や由美の意見で、 結局このゆっくり共は、郊外に外出する時以外は個室から出さずに寿命まで勝手にやらせることにした。 といっても、こいつらは外出することはあまりないが。 「しかし、よくもまあここまでつけ上がらせましたね。びっくりしました。 ここまでの個体は初めて見たかもしれません。 逆にゆっくりブリーダー向きかもしれませんよ、あなた」 俺はそう言われたが、勘弁してくださいと首を振った。 そんなゲスどもを、由美は相変わらず面倒を見ている。 長浜邸では、家族だけでなく使用人も大勢のゆっくり共の面倒を見ているが、 あのゲスは使用人でさえ関わりたがらず、結果としてほとんど由美が面倒を見ることになった。 結局相変わらず甘やかしているようだ。 「おねえさんはゆっくりしないでおうたをうたってね!!」 「きたないうたなんだぜ!!ゆっくりできないからとっととやめるんだぜぇ!!」 「げらげらげらげら!!」 しかし、ついに別れのときがやってきた。 俺が就職し、なかなか広いアパートに住むことも決まった。 子供が生まれたら、最初は自分たちの家に迎えたい。 そういう俺の希望で、出産の前に引越しの手続きを済ませることになった。 一応、出産前後は由美の母がアパートに通っていろいろ手伝ってくれる。 由美のお腹の子は五か月になっていた。 お腹の膨らみもはっきりとわかる。 俺の宝だ。 引っ越し前日の夜になって、 由美はあのゲス共に別れの挨拶をしてくると言った。 俺は挨拶などする気も起らず、寝室で由美を見送った。 俺はずっと疑問だった。 身体能力や耐久性はあまりに弱いゆっくり。 しかし、その自意識は身の丈をはるかに超え、 危険な場所やより強大な敵に、自分から飛びこんでいく。 その構造は一体なんなのだろう。 生物として、全く理にかなっていない。 何度考えても、生物学的にまったく説明がつかなかった。 ゆっくりとは一体なんなのか? 由美はいつまでも帰ってこなかった。 十二時時を過ぎて深夜になっても、由美は二人の寝室に戻ってこなかった。 由美がゲス共に会いに行ってからすでに三時間。 いくらなんでも別れを惜しみすぎではないのか。 俺は立ち上がり、ゲス共の部屋に向かった。 「由美。俺だ。いるのか?」 ドアをノックしたが、返答はなかった。 しかし気配はあった。 中でわめき声が聞こえている。ゆっくり共が騒いでいるのだ。 いつもの事だった。 しかし、その声に俺はどこかいつもと違う空気を感じた。 なんだ? 俺はドアを開けた。 「ゆっ!!ゆっ!!ゆっ!!ゆっ!!ゆっ!!」 「んほぉおおおおおおおおすっきりいいーーーーーーーーーっ!!!」 「ゆっくりするなだぜぇ!!さっさとおきるんだぜぇ!!!」 由美と娘はそこにいた。 「ゆっ!!ごみくずがやってきたんだぜ!!」 「ゆゆっ!?いまごろきてもおそいよ!!げらげらげらげら!!」 「んっほぉぉぉぉおおお!!!きもちいいわああああああ!!!」 俺は膝をついた。 言葉が出なかった。 脳が思考を放棄し、体が震えて動かなかった。 「ゆっ!!ゆっ!!ゆっ!!ゆっ!!」 執拗に飛び跳ね、踏みつけていたれいむは、 俺を認めると、そこに乗ったままで罵ってきた。 「くそじじいのあかちゃんはしんだよ!! れいむだっておちびちゃんをころされたんだからね!! ゆっくりりかいしてくるしんでね!!ざまぁ!!」 まりさ共が、由美の体に体当たりを繰り返している。 「まりささまのゆっくりベッドでゆっくりするんじゃないんだぜぇ!! くそどれいにそのふかふかはもったいないのぜ!!おきるんだぜえぇ!!」 由美は動かなかった。 頭をまりさ用の天蓋つきベッドに突っ込んだまま、ぴくりともしなかった。 天蓋は一部の骨組が折れ、由美の頭の下に敷かれている。 「あかちゃんのおはだすべすべよぉぉぉぉぉ!! なんかいでもいけるわあああああんほおおおぉぉぉすっきりいいいいいーーーーっ!!!」 ありす共が粘液にまみれながら絶叫している。 親子五匹のありす共が、それにまとわりついて蠢いていた。 地獄。 無間地獄。 こいつらは。 俺は泣きながら這いずっていった。 震える喉からやっとのことで絞り出したのは、次の問いかけだった。 「どうして」 それは、このゲス共に向けた質問ではなかった。 俺は何に向かって問いかけたのだろうか。 「ゆっ!!ごみくずはばかすぎてあきれるんだぜぇ!! ごみくずのたくらみなんてまりささまはすべておみとおしなんだぜ!? おきのどくなんだぜぇ!!げらげらげらげら!!ふっきんほうかい!!」 まりさが笑っている。 「ゆふぅ~……とかいはなせれぶのありすには、 いなかもののかんがえることなんておみとおしよ」 「ままはおみとおしよ!あてがはずれたわね!!んほっ、んほほぉぉ!!」 「どうしてわかったかおしえてあげましょうか? ありすがまえにすんであげていたゆっくりぷれいすのにんげんは、 はじめはありすにぞっこんで、かいがいしくありすにほうししていたわ。 ありすがいえば、すっきりようのゆっくりをつぎつぎともってきた。 にんげんがあれこれやってくれというから、 やさしいありすはおのぞみのぷれいをみせてあげもしたわ」 このありすの飼い主が、あの技術を教えたのか。 「でも、そのにんげんは、あれほどかわいがってもらったおんもわすれて、 このありすをうらぎった。 にんっしんっしたのよ。 にんっしんっしてこどもがうまれたたとたんに、 そのにんげんはありすをゆっくりぷれいすからほうりだした。 じぶんのこどもにかまけて、 ほんらいのしごと、ありすのどれいのせきむからにげだしたのよ!」 「んほっ、まったくにんげんはいなかもののかとうどうぶつよね! ちゃんとみてないとすぐににげだすんだから!!」 「このおねえさんがにんっしんっしたときから、 ありすにはこうなることはわかっていたわ。 あなたたちにんげんは、こどもができると、まわりがみえなくなる……」 「だからまりささまがまびいてやったんだぜ!!」 まりさが引き継いだ。 「こどもをみてしこうていしするまえに、 まりささまがまよいのたねをつみとってやったんだぜ! ごみくずどもはいままでどおり、つよくてかっこいいまりささまにしんすいして、 まりささまだけにつかえていればいいんだぜ!!」 「あらりょうじだったけど、れいせいになってよくかんがえなさい。 おちついてかんがえればこれがただしいとわかるはずよ。 いなかもののかとうせいぶつでもね!!」 「れいむはおまえにこどもをころされたんだよ!! こどもをころされるくるしみがわかった!?もっとくるしんでね!!げらげら!!」 ゆっくり共は、悪意の塊のような表情を浮かべてせせら笑っていた。 それはひどく醜く、どれほど憎んでも足りなかった。 「こどもはありすにおかされてしんだよ!! くやしい?くやしい?ねぇねぇ、いまどんなきぶん?どんなきぶん?ゆっゆっゆ~♪」 震えて泣きながら、俺はゆっくりと疑問が氷解していくのを感じていた。 「ざまぁ!!ざっまぁぁぁぁ!!くやちぃくやちぃ~~~~~♪」 ああ。 「げらげらげら!!そしてこのかお!!ないてるときがいちばんばかみたいなんだぜぇ!!」 そうか。 「ごみくずはむせびなき~♪れいむたちはいいきぶん~♪ゆっゆ~~ゆゆゆ~♪」 お前たちは。 「このおねえさんひっどいかおよねぇ、みっともないったらありゃしない! とかいはにこーでぃねーとしてあげるわ!んほおおぉぉすっきりいいーーーーーー!!!」 苦しむために生まれてきたんだな。 由美は死んではいなかった。 しかし、病院で医師に宣せられたことは死と同義だった。 頚椎骨折。 あの部屋で倒れたとき、首の部分がちょうどまりさの天蓋つきベッドを下敷きにして、 その骨組をなしていた木材にぶつかり、頚椎を折っていた。 脊髄を損傷して由美は全身不随となり、意識も失ったまま戻らなかった。 病院のベッドで点滴を受け、なにも映さない目で天井を見つめるだけの生活になった。 子供は女の子だった。 発見したときにはすでに手遅れになっており、 その亡骸は、長浜家の墓に埋葬された。 俺が決めてあった名前が、その墓には彫られた。 長浜氏と俺の意向を受け、 その事件は日本中に大々的に報道された。 その主犯であるあのゲス共は事情聴取を受け、 警察やテレビの取材班に喜々として自分の所業を語り、 その様子は日本中に放映された。 「まずまりささまがあしにまりさしゃいにんぐあたっくをくらわしたんだぜ!!」 「そしたらおねえさんがぶざまにたおれたんだぜ!!おとうさんはつよいんだぜ!!」 「たおれたところにれいむがおなかのうえでぴょんぴょんしたんだよ!! ごみくずのあかちゃんはすぐにでてきたよ!!にんげんさんはもろいね!ぷげら!!」 「あかちゃんのおはだはとってもすべすべもちもちしていてとかいはだったわ。 またもってくるならすっきりしてあげてもいいのよ?」 「おなかすいたあああ!!れいむおうちかえるうううう!!」 それは飼いゆっくりによって人間が殺された日本史上初の事件だった。 日本中がその事実に震撼し、愛護派の多くが認識を改め、虐待派がさらなる気炎をあげた。 その日から、日本中で捨てゆっくりの数が増大し、 同時にむごたらしく殺されたゆっくりの死骸が町に散乱し、市民はその処理に追われた。 だが、殺されるゆっくりに同情する者はいなかった。 日本の法律では、ゆっくりを罰する法は制定されていない。 人を殺し、全身不随に追いやったそのゆっくり共を憎み、処刑を望む声は高かったが、 俺はそのゲス共を手元にとどめた。 長浜氏は憔悴しきってうなだれていた。 俺はあの居間でテーブルをはさんで向かい合い、黙っていた。 居間にゆっくりの姿はない。 長浜氏の邸宅から、ゆっくりの姿は一掃されていた。 すべて加工所に送られていた。 もはやゆっくりの姿を見るのも嫌なのだろう。 先日は、道端で出会った野良ゆっくりにあまあまを要求され、 長浜氏らしからぬ激昂を見せて踵で一息に踏みつぶしていた。 いまではゆっくり愛護会の会長も退いている。 重苦しい沈黙が流れたが、 やがて長浜氏が言った。 「すべて私のせいだ」 孫と同じ事を言う老人が悲しかった。 「ただ一度だけ、一度だけ叱りつけてやればよかった。 強くたしなめれば、あの素直な孫は言うことを聞いてくれ、あんなことはやめたろう。 私がそれをせず甘やかしたために、たった一人の孫娘とひ孫を、君の妻と娘を死なせてしまった」 「お祖父さん」 「私を恨んでくれ」 震える老人はひどく小さく見えた。 「それは僕の言う事です……あなたの孫娘を守れなかったこと、深くお詫びします。 このことは、一生をかけて償うつもりです」 「圭一君」 俺は長浜氏に向かって、毅然として言い放った。 「僕は誰も恨んでいません。 僕の恨みは、あのゲスゆっくり共に全て向けられています」 「君の注文どおり、やつらは元の個室でのうのうと贅沢三昧の日々を送っておるよ」 「そのようですね。ありがとうございます」 「どうするつもりかね?」 「どう、とは」 「やつらをどうするのかね」 「質問で返すことをお許しください。 お祖父さんはどのようにしたいとお思いですか?」 「殺してやりたい!」 テーブルに拳を叩きつけて長浜氏は叫んだ。 「この手で引き裂いてやりたい、踏みつぶしてやりたい!! やつらは、やつらは……私は今まで………今ごろになって………」 すべては遅すぎた。 長浜氏は自分を責めていた。 あの日から眠れた日がどれだけあったろうか。 「僕に任せてくださいませんか」 「……どうするのかね」 「一息に殺したところで、この恨みは晴れるものではないでしょう」 俺はノートを取り出し、長浜氏の前に置いて言った。 「僕は人をやめます。どうぞ軽蔑してください」 俺の顔を見てから、長浜氏はゆっくりとページをめくった。 彼は眼を見開いた。 ノート一冊分にびっしりと書き込まれたそれは、俺の計画書だった。 「これは……」 「あの日から書き続けていました。まだ未完成ですが」 眉をひそめてそのノートを食い入るように見つめていた長浜氏は、 自分の頬を掴みながら呻いて言った。 「……わたしはかまわない。 しかし君は……それでいいのか」 「はい」 「君にはまだまだ先の人生が残っている。 こんなことに……こんなことで……人間を捨てることはない」 「僕はこれから先の人生を、あのゆっくり共に捧げるつもりです」 「私がやる。これは私がやろう。しかし君は」 「これから先、同じ犠牲者を生まないためです。 そしてこれは、ゆっくり達のためでもあります」 「こんなことが?」 俺は頷いた。 狂人と思われようとかまわなかった。 「ゆっくりは苦しむために生まれてきたんですから」 「……それは」 「あの生物がどういう生き物なのか、ようやくわかったんです。 あいつらは弱い。痛みに弱く、耐久性もなく、ひどく簡単に苦しみ、壊れる。 そのくせ悪意や闘争心が強く、強い外敵に向かって無謀な喧嘩を売り、執拗に挑発する。 どこにも根付くことができないくせに、どこにでも入り込む。 そんなゆっくり共が生物として安定している状態は何か、ずっと考えていました。 そしてそれは、苦しんでいる状態でした」 「それは、君……いくらなんでも」 「そう考えれば、すべてにつじつまがあいました。 やつらの行動はすべて、苦しむというただそのことに向けられている。 生まれては死に続け、憎まれ虐げられつづけるゆっくり共は、 そのことですでに生物としての目的を達しているんですよ」 「………」 「僕は残りの一生を、やつらのために捧げます。 今こそ僕は、苦しむために生まれてきたやつらの奴隷になりましょう。 人間のために、ゆっくりのために、お互いの種の安定を目指そうと思います」 「圭一君」 力なくうなだれ、長浜氏は言った。 「君は変わったな」 「変わりました」 俺は答えた。 計画は実行されることになった。 計画には長浜氏が全面的に尽力してくれることになり、 さらに二か月間が準備期間にあてられた。 都心からそう遠くない、しかし奥まった山奥の廃墟が選ばれ、 目的のために改築された。 その間、ゲスどもはあの個室で贅を尽くしていた。 長浜氏や俺の指示に従い、使用人たちは毎日やつらの面倒を見ていた。 実行の日。 今、俺は改築された建物の中で、 大きなテーブルの前に立っている。 テーブルの上には、睡眠薬を食事にまぜられた十三匹のゆっくりが眠っている。 「ゆぴぃ……ゆぴぃ……ゆぴぃ……ゆぴぃ……」 あの日、俺の部屋に侵入してきたまりさとれいむ。 まりさが外から連れ込んできたありす。 それぞれが50cmのバランスボール大だった。 そしてその子供、子れいむが三匹、子まりさが三匹、子ありすが四匹。 十匹とも30cm大のバスケットボール大。 テーブルを囲むのは、計画の実行に関わる人々。 長浜邸の使用人やゆっくりの研究者たち。 計画のリーダーは俺だ。 俺の計画を、これからこの手で実地に行うことになる。 こいつらのために、持てるすべてを捧げよう。 涎を垂らしながら泥のように眠りこむゆっくり共に向かって、 俺は静かに声をかけてやった。 「ゆっくりしていってね」 続く 選択肢 投票 しあわせー! 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打つ理由が無くなったの +... こいしが麻雀上達する方法募集中なの 2009年度末~べんきょいの旅 自己紹介 【おなまえ】 こいし ひらがなみっつでこいしなの 古明池←これ読めないの 【麻雀歴】=天鳳歴 2008年10月08日 さぁ、かかってなんたらと言われて巻き込まれたのが初体験なの 【天鳳段位】 ―永世新人位― 【主な生息地】 赤あり東風とテストプレイなの 他の卓には気分と匂いで行くの 【好きな役】 一気通貫、三暗刻、飜牌、断幺九、同順 【スタイル】 ミッド流全ツ&チキン式 ポンチーしたいだけかもよ?なの 【登場時間】 らんだむ 【ふたこと】 ただの天鳳コテなの NRKRNI 妖怪ポスト 444-4444 地底都 地霊殿 地底支店私書箱8号 古明池こいし ⇒suzusemaya恋live.jp 戦績コーナーなの 東麻で約100戦なの 牌理と安全牌探すのが苦手なの といつ3つ以上あるとわけ和菓子なの +... 黒歴史の黒歴史なの も な か も!ルールも役も知らずに13回勝てたの な!ルールと役を知ってから500戦なの、この頃スジ壁をやっと理解したの か!そして1000戦打ったなの 天国終わってメッキが剥がれたなの 無意識の打牌 その1 +... なはは、画像大きすぎなの 直感でツモ切りが広いと思ったけど無意識の選択は0.8秒で8sだったなの 三色がどっか飛んでいったの カンチャンチー決まると気持ちいいわよね 画像の貼り方については私のページで 表示→編集履歴を押して私のページのレイアウトでも見てみてちょうだい -- やわらかアリス (2009-09-30 22 53 35) 最近4鳴きくいタンやる機会がなくてがしょぼんなの やってみるのー持つべきものはおともだちーなの -- 古明池こいし (2009-10-01 22 31 42) こいし師匠かわいいのーーごろごろごろ -- べに (2009-10-01 22 37 34) もふもふ・・・くしゃくしゃ‥ブチィ -- 古明池こいし (2009-10-02 06 12 35) 私は私である人の丸ぱくりだから、こいしさんは丸パクリならぬ孫パクリね -- やわらかアリス (2009-10-09 23 29 51) ほっ‥許されたの -- 古明池こいし (2009-10-10 22 55 39) 絶対に許さないよ -- 40代紳士 (2009-10-31 22 13 04) 許さないなんて許さないの! あれ? -- 古明池こいし (2009-11-04 18 48 15) 遅れましたがメッセ登録ありがとうです!今は訳あってメッセがあまりできませんがいつかお話しましょうねー -- 遊烏 (2009-11-08 16 16 30) こちらこそどうもなのー シェイクボタンが無いから心のシェイクを10連打お見舞いしたなの -- 古明池こいし (2009-11-09 18 32 24) 海苔のおやつはかなりあぶらっこいのよね お茶もいいけどそれよりもお酒のおつまみって感じするわ -- やわらかアリス (2009-11-15 11 47 15) はさみ焼きはさっぱりヘルシーでふぁっの心配もいらないなの ちょっと高いけど気が向いたらどうぞなの なんか更新された部分がただごとじゃないのだわ… お、お大事に -- べに (2009-11-18 22 10 10) お陰様でで何とかなったの がぶもぐなの -- 古明池こいし (2009-11-21 06 19 08) 名前 コメント 決闘の申し込みや点棒の取り立てに来る気なら不意打ちやガサはやめて↑のコメント欄か妖怪ポストに連絡入れて欲しいの 電撃作戦や夜逃げの準備は時間が掛かるなの (注)このうぃきはアリスさんと輝夜さんのところの丸パクりで出来ているの 謝罪も賠償も絶対にしないなの!! おやつなの 海苔と金ごまのはさみ焼き 1袋税込 128 円 味付け海苔の間に金ごまがサンドされているだけでブルジョア気分なの 魔法の葉っぱ 税込 4200 円 インフルも吹っ飛ぶ魔法の劇薬なの 熱々のを作ってオレンジジャムでも入れてフーフーしながら飲むとポカポカなの リレンザ解熱薬リレンザ解熱薬リレンザはちみつはちみつ氷砂糖リレンザジャガイモのお味噌汁リレンザうさぎさんリンゴはちみつましょまろ 魔法の葉っぱ軽いやつ 最近はヘビーなの飲む気がしなくてこっちなの チーズケーキ プリンもおいしいなの おほしさま +... 「ふたご座流星群を眺めよう」キャンペーンのお知らせ 12月14日(月)頃は、ふたご座流星群が最も活発に活動する時期(極大)です。 この前後数日は、ふたご座流星群の流星(流れ星)をたくさん観察するチャンスです。 そこで国立天文台では、多くのみなさんにこのふたご座流星群の観察をしてもらおうと 「ふたご座流星群を眺めよう」キャンペーンを実施します。 期間は、12月11日(金)夜から12月14日(月)夜(~15日(火)朝)です。 キャンペーンは、この期間にみなさんに流れ星を観察していただき、観察時間や その間に何個の流れ星を見ることができたか等を報告してもらうというものです。 また携帯用のページでは、初心者向けの報告ページも合わせて用意しますので、お気軽にご参加ください。 キャンペーンページのアドレス(URL)は以下の通りです。 パソコン用:http //naojcamp.nao.ac.jp/phenomena/20091211/ 携帯用:http //naojcamp.nao.ac.jp/i/phenomena/20091211/ このページでは、流れ星の観察方法やお勧めの観察日時などを詳しく解説していますので ふたご座流星群の観察をするときの参考にしてください。 またみなさんからご報告いただいたデータから、ふたご座流星群の流星がどのくらい流れていたのか などを10分おきに集計し、随時キャンペーンページに掲載いたします。こちらもお楽しみください。 みなさまのご参加をお待ちしています。 国立天文台 天文情報センター 広報室 超手抜きのメルマガ丸々コピペしてやったの 絶対に謝らないの 時期や環境的にも眺めるならこの流星群っていうのがふたご座流星群なの ちょろーんと夜空を眺めるといい事があるかもしれないの 観測したくなってきたなの‥
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「盲導ゆっくり」(前編) 「ゆ!!まりさはこっちだよ!!ゆっくりついてきてね!!」 「あぁ、そっちだね。わかったよ」 目を瞑ったままのお兄さんが、黒い帽子をかぶった金髪のゆっくり―――ゆっくりまりさについていく。 その足取りはスムーズではあるが、どこか普通とは違う。そんな違和感を感じさせるものだった。 草原に近い道を抜け、小さな門をくぐり、庭の中央を抜けて、まりさとお兄さんは立ち止まる。 「おうちについたよ!!ゆっくりかぎをあけてね!!」 「ちょっと待ってくれな」 まりさが家の玄関にたどり着いたことを告げると、お兄さんは既に手の中に握っていた鍵で解錠し、扉を開いた。 その後も、まりさの先導に従って家の中にあがりこむ。 ここまでくればもうまりさの案内は必要ない。かれこれ10年も暮らしている家だから。 「おつかれさま!!ゆっくりしていってね!!」 「ゆっくりするよ。あ、ちょっと待ってな。お前に食べ物をもってくるからね」 「ゆ!!おにーさんありがとう!!ゆっくりまってるね!!」 まりさに繋がった紐を手放すと、お兄さんはゆっくりと台所へ向かう。 お兄さんの目線と同じ高さにある戸棚の扉を開けると、手探りで何かを探し始めた。 目当てのものを探り当てると、それをもってまりさのいる部屋へと戻り、手馴れた動作で袋を破ってその中身をまりさに与えた。 「ほら、お食べ」 「ゆっ!!くっきーだね!!ゆっくりいただきます!!」 はふはふと、獣のようにクッキーを貪り食うまりさ。 とてもゆっくりした、とても幸せそうな表情だが――― 「むーしゃむーしゃ♪しあわせー♪」 ―――その表情は、お兄さんには見えていない。 お兄さんは、いつも真っ暗な世界の中にいた。 朝目覚めてから、夜眠るまで。一日中、何をする時も、彼は暗黒の世界の中にいた。 目の前に誰がいて、誰がいなくて、何があって、何がないのか。彼は視覚以外の情報でそれを探るしかない。 いつからこうなったのかは、良く覚えている。 その日までは、普通に全てが見えていたのだから。 しかし、ある日突然……彼は、光の届かない世界で生活することになった。 そんな彼の補助をするのが、盲導ゆっくりであるゆっくりまりさだ。 盲導ゆっくりは、盲導犬と同じように視覚障害者を安全に快適に誘導するものである。 利点や欠点はいろいろあるのだが、一番の利点は言葉が通じること。 犬以上に意思疎通が容易であり、訓練次第では盲導犬以上のレベルの高い補助が期待できる。 その分訓練には時間を要するのだが、それは今後の研究で改善されるだろう。 「ゆーん♪ゆっくりおいしいよ!!」 「美味しいか。それはよかった」 お兄さんはクッキーを頬張るまりさの帽子を脱がし、頭を撫でてやる。 まりさは嫌がる素振りは見せず、お兄さんに撫でられながらクッキーを食べ続けた。 「おにいさん!!まりさはおにーさんのおかげでとてもゆっくりできるよ!! これからもゆっくりしていってね!!まりさがゆっくりさせてあげるからね!!」 「あぁ、ありがとう。ゆっくりさせてもらうよ」 盲導ゆっくりと付き合っていくコツは、とにかくゆっくりさせてやることだ。 家に帰ったら食べ物を与え、ゆっくりさせる。夜には風呂に入れてやり、清潔にしてやることも必要だ。 面倒に思えることだが、こうした毎日の積み重ねによって更に忠実な盲導ゆっくりとなる。 盲導ゆっくりは、自分をゆっくりさせてくれる人を全力でゆっくりさせようとするのだ。 そんなお兄さんとまりさの微笑ましいやり取りを、2匹のゆっくりが丘の上から眺めている。 盲導ゆっくりとは別のゆっくりまりさと、ゆっくりぱちゅりーだ。 窓ガラス越しに見る家の中の様子は、とても見づらい。 だが、家の中のまりさがとてもゆっくりしていることだけはわかったようで、まりさは地団太を踏みながら叫んだ。 美味しい食べ物を与えられ、頭を撫でられ、快適な室内でゆっくりしているのが羨ましいのだろう。 「ゆっ!!あいつだけずるいよ!!まりさもゆっくりしたいのに!!にんげんのたべものがたべたいよ!!」 まりさは、人間の食べ物が普段食べている雑草とは比べ物にならないくらい美味しいということを知っていた。 一度だけ道端に落ちていた煎餅を食べた事があり、そのときの衝撃は今でも餡子脳に焼きついたままだ。 「むきゅ!!でもにんげんのいえにはいるのはきけんよ!!ゆっくりできないわ!!」 ぱちゅりーの忠告はもっともなものだ。 事実、まりさの仲間も人間の家を襲撃した事があったが、一家根絶やしにされ二度と帰ってこなかった。 だからまりさは慎重になる。策なしに飛び込むのは、人間に殺されるために行くようなものだから。 「でもいいほうほうがあるわ!!むきゅん!!」 「ゆっ!?ほんとう!?ゆっくりおしえてね!!」 胸を張るぱちゅりーに、まりさは詰め寄る。 ぱちゅりーはにやっと微笑みながら、自慢げに説明を続けた。 「むこうのまりさといっしょにいるニンゲンは、じつはめがみえないのよ!!まちがいないわ!!」 「ゆっ!!そうなの!?」 ぱちゅりーは、先ほどまでのお兄さんとまりさの様子から、お兄さんの視力が殆どないことを察知していたのだ。 それに気づいていなかったまりさは、意外な事実に驚きの声を上げる。 「だからむこうのまりさといれかわっても、ニンゲンはきづかないわ!!」 「ゆっ!!すごいよ!!さすがぱちゅりーだね!!」 「むきゅきゅん!!むきゅん!!」 まりさは、これ以上ない名案だと思った。 あの人間の目が見えないのであれば、向こうのまりさと入れ替わっても気づくわけがない。 見たところ、向こうのまりさは弱そうだ。ひとりで外に出てきたときにやっつけて、そのまりさになりすませば…… 人間にまったく気づかれることなく入れ替わり、毎日思う存分ゆっくりする事が出来る。 今、幸せそうにゆっくりしている“あの”まりさが、自分になるのだ! 「ゆっへっへ!!それならゆっくりできるね!!あいつだけゆっくりするなんてずるいもんね!!」 まりさは、その家へと跳びはねていく。早速、例のまりさを待ち伏せするのだろう。 そんなまりさを、ぱちゅりーは無言で見送った。 植木の陰に隠れて、まりさは盲導まりさが家から出てくるのを待っている。 葉と葉の隙間からじっと玄関の扉を凝視し始めてから、かれこれ30分が経過した。 「ゆっ!!はやくでてきてね!!ゆっくりしすぎだよ!!ぷんぷん!!」 すぐに姿を現すだろうと思い込んでいたまりさにとって、この待ち時間は苦痛でしかなかった。 その苦痛の原因を、家から出てこない盲導まりさに押し付ける自己中心的な思考は、ゆっくりの典型である。 「もうおこったよ!!さっさとでてきてね!!」 お兄さんの家に怒鳴り込もうと、草の陰から飛び出した……その時。 玄関の扉の下。そこのゆっくり用出入り口から、盲導まりさが出てきた。 「ゆっくりいってきます!!」 どうやらお兄さんに買い物を頼まれたらしく、単独での外出のようだ。 頭に紐がつながれておらず、その代わりに飼いゆっくり最高ランクであるゴールドバッジと、盲導ゆっくりであることを示すプレートが帽子に固定してある。 プレートが斜めにくっついているのは、お兄さんの目が見えていない証拠だろうか。 盲導まりさはゆっゆっ♪と歌いながら、里の市場へと向かい始めた。 が、そんなビッグチャンスをまりさが逃すわけがない。 「ゆっ!!ゆっくりとまってね!!」 「ゆゆ?ゆっくりしていってね!!まりさはゆっくりできるひと?」 突然の呼びかけに、盲導まりさは立ち止まってゆっくり流の挨拶をする。 まりさは挨拶を返すことなく、大きな口を開けて盲導まりさに飛び掛った。 「おまえはいままでゆっくりしすぎたよ!!こんどはまりさがゆっくりするばんだよ!!」 「ゆゆっ!?なにをするの!?ゆっくりやめてね!!」 まりさは、盲導まりさの帽子をすばやく取り去ると、それを咥えたまま丘の上へと駆けていく。 「ゆっ!!まりさのぼうしをかえしてね!!ぼうしがないとゆっくりできないよ!!」 いくら訓練を受けた盲導ゆっくりとはいえ、帽子を失うことは怖い。その恐怖は克服できないのだ。 必死の形相で、盲導まりさは帽子を奪ったまりさを追いかける。 「ゆっへっへ!!まりさにおいつくわけないでしょ!!ばかなの!?」 「ゆっくりまってね!!まりさのぼうしをかえしてね!!ゆっくりとまってよおおおおお!!!」 下品に笑いながら丘を登るまりさ。それを追う盲導まりさの目には、大粒の涙が浮かんでいる。 両者とも体格がほぼ同じなので、一度開いた差を縮めるのは困難だ。 それでも盲導まりさは必死に追い縋り、少しずつ2匹の距離は狭まってきている。 盲導まりさの目に、一層力がこもった。 「ゆっ!!ゆっくりおこったよ!!まりさはぼうしをはなしてゆっくりしんでね!!」 あと一歩というところまで迫ったとき、盲導まりさは大きく飛び上がった。渾身の力を振り絞った体当たりである。 しかし、その体当たりはあっさり回避されてしまい、ぶるんと身体を震わせながら何もないところに着地した。 その隙を、このまりさは見逃さなかった。 「ゆっくりしつこいよ!!ゆっくりしね!!」 丘の上から、丘の下へと。盲導まりさを突き飛ばす。 上から下へ。ファンタジーの塊であるゆっくりも、物理の原則には逆らえない。 重力に引っ張られるまま、盲導まりさは坂をごろごろ下り始めた。 「ゆびあああああああああ!!!どまっでええぇええぇぇええええ!!!」 「ゆひゃひゃ!!ゆっくりしんでね!!まりさがゆっくりするからね!!」 ゆっくりは総じて転がりやすい体型なので、一度勢いがついたら止まらない。 盲導まりさが丘のふもとまで転がっていく様を、まりさはゲラゲラ笑いながら眺めている。 そして…… 「いびゃっ!?」 運が悪いことに、盲導まりさは大木に正面衝突し……餡子を吐き出して、動かなくなった。 「ゆっへっへ!!まりさをゆっくりさせないのがいけないんだよ!!あのよでゆっくりこうかいしてね!!」 丘の上から本物が死ぬ様を見ていたまりさは、器用に舌を使って本物から奪った帽子を被った。 まりさは、玄関の前にやってきた。 扉の下にあるゆっくり専用の出入り口から、勢い良く家の中に飛び込む。 「ゆっくりかえってきたよ!!」 「あぁ、おかえり。かなり早かったね」 お兄さんは、奥の部屋のベッドに腰掛けていた。 まりさは彼の顔を見上げるが、お兄さんは目を閉じたまま開こうとしない。 どうやら、ぱちゅりーが言っていた事は本当らしい。これなら、自分は存分にゆっくり出来る。 そう確信したまりさに、お兄さんは問いかけた。 「さぁ、買ってきたものを出してくれるかな?」 「ゆ!?かってきたもの?なにそれ!!ゆっくりできるの!?」 浅はかな発言だった。ここは無理やりにでも、お兄さんの会話に合わせるべきだった。 それを思いつかないあたり、まりさの餡子脳はある意味とてもゆっくりしていた。 「ん?何言ってるんだ?さっき買い物を頼んだだろう?帰ってきたってことは、もう買い物を済ませたんじゃないのか?」 「ゆっ!?ゆゆゆ?………ゆっくりわすれちゃったよ!!」 このまりさ、別にお兄さんの話に合わせたわけではない。本当に忘れたと思っているのだ。 買い物を頼んだ?頼まれた覚えはない。でもお兄さんは頼んだといっている。 あれ?そうだっけ……そういえば頼まれような気もする―――という具合である。 本当は買い物など一度も頼まれてないのに、まりさの頭の中では頼まれた買い物を忘れてしまったということになっているのだ。 「おいおい、君らしくないなぁ。いつもならしっかり買い物してきてくれるのに」 「ゆゆゆ…ゆっくりごめんね!!それよりまりさをゆっくりさせてね!!」 「……え?」 お兄さんは、まりさの言葉を聞いて固まってしまった。 何かまずい事を言ってしまったのだろうか?と、まりさはちょっとだけ不安になった。 だが、偽者だと気づかれてしまったのではないか、という考えはそこにはない。 だって、この人間は目が見えないのだから。一生偽者だと気づかないまま、自分をゆっくりさせてくれる存在なのだから。 その思い込みが、まりさの思考を停止させていた。 「ゆゆ?どうしたの?ゆっくりさせてね!!まりさはゆっくりしたいよ!!」 「……しょうがないな。で、お前は何がしたいんだい?」 呆れたような声で、お兄さんはまりさに問いかける。 まりさはぱあっと嬉しそうな顔をして、明るい声で答えた。 「おかしがたべたいよ!!おかしをよういしてね!!」 「そうかそうか、でもお兄さんは何も見えないからお菓子を用意できないんだ。自分で取りに行ってくれるかな?」 「ゆっ!?し、しょうがないね!!ゆっくりじぶんでとりにいくよ!!」 お兄さんに指差された方向―――台所へ、まりさは跳ねていく。 台所が、人間の食料が保管されている場所だということは知っているが、自分の目的のものがどこにあるかはわからなかった。 来た道を引き返して、不機嫌そうにお兄さんを見上げるまりさ。 「おかしはどこなの?ゆっくりわからないよ!!」 「え?わからない?おいおい……今日の昼に教えたばかりだろう?」 「ゆ?ゆゆゆゆゆ……?」 どうやら、本物の盲導ゆっくりはお菓子の場所を教わっていたらしい。 「うーん、ここまでダメになるなんて……別の盲導ゆっくりに変えてもらおうかな」 「ゆ!?ゆっくりやめてね!!おかしのばしょをおもいだしたよ!!だからまりさをおいださないでね!?」 さすがの低脳饅頭も、お兄さんの言葉に込められた不穏な雰囲気は読み取れたようだ。 せっかくゆっくりできる環境を手に入れたのに、追い出されてしまっては全てが水の泡になってしまう。 まりさは咄嗟に取り繕って、再び台所へと向かった。 お兄さんにはああ言ったが、結局のところまりさはお菓子の場所が分からない。 自分の視界に入る小さな扉などは全て開き、中に潜り込んで漁り放題漁ったが…… 見つかるのは缶詰やインスタント食品など、お菓子でないばかりか自力で封を開けることもできないものばかり。 結果として、まりさは頭上の戸棚に収まったお菓子を見つけることは出来なかった。 そこに戸棚があることすら、気づかなかった。 「まりさ?どうだ?お菓子は美味しいかい?」 「ゆ!?ゆ…ゆゆゆゆ、ゆっくりおいしいよ!!しあわせー♪」 「あぁ、それはよかった。あとで出かけるから、そのときまでゆっくりしてなさい」 隣の部屋からのお兄さんの呼びかけに、まりさは慌てて答えを返す。 もし、ここでお菓子が見つからなかったことを言えば、ここを追い出されてしまうかもしれない。 それだけは避けたかったまりさは、お菓子を見つけたフリをすることにした。 「ゆっくりするね!!………ゆぅん…」 そのあと、しらみつぶしに台所の中を探して回るが、結局お菓子は見つからなかった。 お兄さんに連れられて―――ではなく、お兄さんを連れて里の市場へと向かうまりさ。 まりさの頭には盲導ゆっくり用の紐が固定されており、その紐の端はお兄さんの左手が握っている。 最初、頭に巻きついた紐が窮屈で嫌がったまりさだったが、 「別のゆっくりに変えてもらおうかな……」 の一言であっさり受け入れることにした。 里の市場に到着する頃には、まりさは自らの頭を締め付ける紐の存在をすっかり忘れてしまっていた。 「えーと、まずは……八百屋だな。まりさ、いつもの八百屋に連れていってくれるかな?」 「ゆ?やおや?それってゆっくりできるの?」 「ん?忘れたのか?またかよ……今日はどうしちゃったんだ?」 本物の盲導ゆっくりなら、八百屋の場所を覚えているはず。 だが、当然ながらこのまりさは覚えていない。八百屋なんて言葉自体、初めて耳にしたものだ。 「ふぅ、しょうがないな。どこでもいいから、お野菜が売られてるお店に連れてってくれ」 「ゆっ!おやさいがあるところにいくんだね!!ゆっくりりかいしたよ!!」 まりさは視界を上のほうに保ったまま、大通りをぴょんぴょん跳ねて進み始めた。 紐を握った手を引かれて、お兄さんもそのあとをついていく。 「ゆっ!ゆっ!おやさい!おやさい!」 まりさは気づいていなかった。自分が野菜がどんなものなのかを知らない、という事に。 今まで人間の畑など襲った事がないまりさは、野生に存在する質素な雑草は知っていても、人間が作った野菜は見た事がないのだ。 当然ながら、八百屋は見つからない。あっても気づかない。3メートル離れたところにある八百屋の前を、躊躇いなく素通りする。 それどころか、まりさは市場の外へ……まったく見当違いの方向へ向かっていた。 「ゆっ!!ゆっくりみつからないよ!!」 「そんなはずはないさ。お野菜を売ってる店なんて、沢山あるよ」 そう、一般人向けに開かれた市場なのだから、野菜を売ってる店が目に入らないほうがおかしいのだ。 でも見つからない。まりさは、見つけられない。八百屋が分からない。野菜が分からない。 そしてとうとう人里から抜けてしまい、周りには建物も人も何もない……大きな木々に取り囲まれた場所まで来てしまった。 「ゆああぁぁぁぁぁああぁん!!!どおじでえぇええっぇえぇぇ!!!おやさいがみづがならいいいいいぃぃぃいぃ!!!」 「………はぁ」 お兄さんは大きなため息をつくと、まりさの頭に繋がった紐をくいっと引っ張った。 「もういい。帰ろう」 「ゆっ?おうちでゆっくりするの!?」 まりさの泣き顔が、一瞬で笑顔に変わった。 変なところを連れまわされたが、やっとおうちでゆっくりできる―――大方そんな風に考えているのだろう。 「そうだね。まりさも今日は調子が悪いみたいだし」 「ゆっ!?ゆ、ゆゆっゆゆ、ゆっくりごめんね!!まりさちょうしがわるいんだよ!!あしたはゆっくりできるから――― 「いいからいいから。気にしないで、今日はもう帰って休もう」 まりさは自分が捨てられてしまうのではないかと思い、大慌てで弁解するがお兄さんはそれを制した。 ここまでの道中ずっとしかめっ面だったお兄さんは、やさしい言葉と共にまりさに微笑みかける。 それを見て、まりさは確信した。 このバカな人間は、ずっと自分をゆっくりさせてくれる。 目が見えない。それだけじゃない。この人間はバカだ! これだけ失敗を重ねても、自分が偽者だということに気づかない。 ゆっくりでも気づくのに、この人間は気づかない。バカなの?死ぬの? (ゆっへっへ!!このにんげんはばかだね!!まりさはとてもゆっくりできるよ!!) まりさは、これから未来永劫自分をゆっくりさせてくれるであろうお兄さんを連れて、来た道を戻っていった。 (続く) 作:避妊ありすの人
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コメントフォーム 名前 コメント ご拝読ありがとうございます。 告白シーンですか! 確かにあまごいですっ飛ばした部分ですし、それを差し引いても 面白い題材だと思います。正直言えば萌える。 とはいえ、あまごい自体は「ひるとよる」までであらかた書き尽くした 感もございますので、またティンと来たときにでも機会を改めて お目にかけられたら、と考えております。 つたない作品にお目を留めていただき、誠にありがとうございました。 -- 尼野録@作者のような物体 (2008-08-10 14 31 30) あまごいこなたシリーズ大好きです。 個人的には告白シーンを読んでみたいと思う今日このごろ… GJと連呼させていただきます -- 名無しさん (2008-08-04 12 38 57) ごきげんよう、コメントありがとうございます。 >26日の名無しさま ご拝読ありがとうございます。 書いた当時はアニメ版の序盤だけの知識で書いてたので、かなたさんの 死期とか色々矛盾点があってお恥ずかしいのですが、お気に召して いただけたなら作者としても嬉しいです。 >27日の名無しさま ええ、時系列はそれでおっけーですよ。 アニメ版の時系列に重ねていたので、所々に去年の時事ネタも埋まってます。 余談ながらこの後の話も漠然と構想してはいたのですが、レッスンで 綺麗にまとまっているので、無理に書かなくてもいいのかなあ、とも 思う今日この頃です。 お二方とも、改めてご拝読ありがとうございました。ではでは。 -- 尼野録@書いた張本人 (2008-02-27 15 43 28) 時系列は公開した順番通りに あまごい→オレンジ→ブルーデイ→レッスン でおk? -- 名無しさん (2008-02-27 00 25 14) 「あまごいこなた」、読みました。 こなかがと見せかけて、かなたさんを出してくるとは・・・ いい話でした。 -- 名無しさん (2008-02-26 23 19 50) ごきげんよう、そしてお返事がえっらく遅れて申し訳ありません。せっかく全部お読みいただいてるのに、すみませんです(汗で。生理の描写ですが、実はうちの母の昔の様子も参考にしてました。天原先生のお薬は、母が飲んでいた実在の煎じ薬だったりします。というか、女性の方の目から見ておかしくなってないかと心配だったりもしてました(自爆さてさて。おかげさまで次回作も脱稿できました。またお気が向きましたら、ご笑覧いただければ幸いです。ではでは。 -- 尼野録@レス遅れ失礼 (2007-06-15 20 29 20) ごきげんよーです尼野さんの作品を、全部みました。こなた×かがみ好きな自分にはたまらん&かなり面白かったです。ブルーデイで女性だったとおもたのですが男性だったんですねorz失礼しましたー!私自身女なので、ここまで生理をよくしっているということは女性なのかとつい…次回作、楽しみにしてますよ〜! -- 510 (2007-06-08 10 11 59) ごきげんよう、ご愛読ありがとうございます。神っつーよりまだまだ紙でお恥ずかしいですが、そうおっしゃっていただけるなら当方も励みになります。で。「ブルーデイ」書いてから、「もしかして間違われるかなあ」と思ってましたが。俺はれっきとした男性でございます(自爆女の子の日の描写は、実はまるっきりwebで調べて書いてました。まーなんと申しますか……すみません(汗では改めて、コメントありがとうございました! -- 尼野録@俺惨状 (2007-06-06 15 16 07) 作者さんは女性かな?なんだか文体がすごく優しい。尼野さんの作品は神! -- 510 (2007-06-06 13 17 58)