約 1,193,542 件
https://w.atwiki.jp/futabayukkuriss/pages/1731.html
遭ゆっくり 9KB 虐待-普通 制裁 自業自得 差別・格差 飾り ツガイ 群れ 野良ゆ 赤子・子供 希少種 自然界 都会 現代 虐待人間 うんしー ぺにまむ 感想・批評・ツッコミを頂けると幸いです 遭ゆっくり 遭難 災難に出あうこと。特に山や海等において、自力での帰還が不可能になった状態。 「遭難した…」 男は倒木に腰掛、鬱蒼と生い茂る木々を見上げながら呟いた。 男が後悔と共にその呟きを口に出すことになったのは、軽い気持ちが原因だった。 軽い気持ちで連休に日帰り予定で、山に登った。 軽い気持ちで山頂に続く一本道の登山道を離れ、森に入った。 軽い気持ちで来た為に、地図も磁石も持っていない。今いる場所がどこか分からず、麓もどちらか分からない。 軽い気持ちでの行動の結果は、道に迷って戻れないという深刻な状態を生み出した。 山の中で夜を明かした男は、闇雲に歩を進めていた。 遭難した時には無闇に歩き回らず、体力の消耗を避け、救助を待つべきという知識は男も持っていたが、男には救助が間に合うとは思えなかった。 男が山に来たのは、日々の煩わしさから己を遠ざける為だった。故に携帯電話も持ってきていない。 周囲が男の異常に気付くのは、休みが明けた後だろう。水はまだ残っているが、食料はすでに食べ尽くしていた。 もともと小腹がすいた時の為に持ってきていたものだ。まともな食事は登山道沿いにある店でとる予定だった。 「た、す、け、て、く、れえぇーーーっ!!!」 男はすきっ腹に響く大声で、何度目かも分からぬ助けの求めを叫んだ。 返事は聞こえてこない。 すでに水も尽きた。男は何かの役に、と思い、小便を水筒に溜めてはいたが、飲む踏ん切りはついていない。 疲労も溜まり、体力気力も萎え始めていた。 そんな時、男の目に光が差し込んだ。森が途切れている。 何か見えるかもしれない。変わり映えのしない日々に変化を求める囚人のように、男はそこに飛び込んだ。 広場に出た。野球場とまではいかないが、テニス位なら楽に出来そうな大きさの広場だ。 地面はむき出しではなく、丈の短い草が生えている。向こうには土を堀り返した、畑のようなものが見える。 畑、畑だ。畑を作るような動物はいない。人の手が入ったものがあるのなら、人がいるかもしれない、と男は考えた。 しかし、期待に満ちる男の前に現れたのは、ゆっくりだった。その姿は男が普段、町で見かけるゆっくりとは違っていた。 畑に生えている花を見つめている、緑の髪に飾りを持たないゆっくり。 木の根元で昼寝をしている、赤い髪に飾りを持たないゆっくり。 跳ね回る、目玉のついた帽子をかぶったゆっくりと、それを追いかける、青い髪に尖った氷のような羽を持ったゆっくり。 笑いながらその光景を見ている、金色の髪に赤いリボンを着けたゆっくり。 「じゃお!」 そして、男に声をかけてきた、赤い髪に緑の帽子をかぶったゆっくり。 疲労と期待の反動で足の力が抜けた男は、その場に座り込んだ。 「じゃお?」 目の前のゆっくり-ゆっくりめーりんがどうかしたのか?と言わんばかりに男の顔を覗き込む。 男は力無くめーりんの頭を撫でる。口からは溜息が漏れた。 「どうしたの?」 花を見ていたゆっくり-ゆっくりゆうかがいつの間にか、こちらにやって来ていた。他のゆっくりも男の周りに集まってきている。 男は一縷の望みをかけて、ゆうかにこの近くに人がいないかを問うた。 「そーなんかー」 男の説明の後、ゆっくり達は互いに知らないか聞き合った。 「にんげんさんにあったのはあなたがはじめてよ。ここにひとはいないわ」 だが、男の期待した返事は返ってこなかった。がっくりした男の腹の虫が鳴く。 「おなかがすいているの?」 「ああ、情けないことにな」 「ゆうかたちがたべるようなものは、たべられないわよね?」 ゆうかが今手元にある食べ物を挙げていく。木の実、花、虫、草、木の皮…、料理すれば人でも食べられないことは無いだろうが、生のままで食べられる筈も無い。 「無理だ。腹を壊すのが関の山だな」 どうしたものか、と皆一様に黙り込む。 そんな中、男を励まそうと体を擦り付けていためーりんが、男の目の前に行き、男を見上げる。 「じゃおーん!」 男に向けてにっこりと微笑んだ後、大きくはっきりと声を上げた。 すると、めーりんは体の真ん中から左右に割れていき、真っ二つに分かれた。帽子だけは二つにならず地面に落ちた。 「これは…?」 男がその光景を見て、疑問の声を上げる。 「おたべなさい、よ。ゆうかたちはたべてほしいあいてにこうするの」 「俺に食べろと。なんで?」 「めーりんはやさしいゆっくりだから」 ゆうかの説明を聞き、男はしばしの間、呆然としていたが、やがて、ありがとうと礼を言うと、二つに割れためーりんを頬張った。 男の目から涙がこぼれた。 男は食べ終えた後、残った帽子を手に取る。 「これ、貰ってもいいかい?」 「めーりんはにんげんさんのためにえいえんにゆっくりしたのよ。もっていてあげて」 ゆうかから山と山との境目にある背の高い木の横から、何度も煙が上がるのを見たと聞いた男は、高い木を目印にして進み、登山道に戻ることが出来た。 無事に下山できた男が自分のアパートに戻ると、ドアの前でゆっくりがたむろしていた。 成ゆっくりが2匹、子ゆっくりが4匹、体は薄汚れ、バッチは無い。典型的な野良ゆっくりだ。 「いつまでたってもかえってこないんだぜ!」 ゆっくりまりさが番のれいむと子供達に何か話している。 「何してるんだ?」 死にそうだった時にゆっくりに助けられたのだ。困っているなら助けてやろう、と考えた男はゆっくりに声をかけた。 「ここをまりさたちのゆっくりぷれいすにするのぜ!」 まりさは男の問いに反射的に答えを返した。 山で遭難したかと思えば、町でこんなゆっくりに出会うとは、災難だな。これもまた遭難か、と男は思った。 「ゆゆ!ぐずのめーりんがいるのぜ!」「ゆ!ぐずはゆっくりできないよ!どっかいってね!」「「どっかいっちぇね!」」 ゆっくりは飾りで個体を識別する。飾りを身に着ければ人間でもゆっくりと認識される。 形見の帽子をかぶっていた男は、まりさ達にめーりんと認識されたのだ。 自分を助けてくれためーりんを馬鹿にされた、と感じた男は目の前のゆっくり達に怒りを覚えた。 美という字は羊と大を合成した文字だ。 羊は生贄、犠牲を表し、美は大いなる犠牲を表すことになる。大いなる犠牲、すなわち自己犠牲であり、めーりんの行いはまさに美しいものと言える。 めーりんの美しさに比べたならば、こいつらのなんと醜悪なことか。男はそんなことを考えながら、喚き散らす親を壁に向かって蹴り飛ばした後、ちびまりさを持ち上げた。 「ゆわーい!おしょらをとんでるみちゃい!」 暢気な声を上げているちびまりさ。 「かわいいれいむのおちびちゃんをかえしてね!」「なにするんだぜ!このぐず!」「「ぐじゅ!」」 「返して欲しけりゃ、俺が良いと言うまでむこうを向いて跳ねていろ。いやなら全員蹴り潰す」 男の威圧に負け、ゆっくり達は嫌々ながら、むこうを向いて跳ね始めた。 それを確認した男は、ちびまりさの帽子を奪う。 ちびまりさは声を上げようとするが、男はその前に上唇と下唇を指で挟んで押し潰し、捻る。口は閉じられた。 ちびまりさは目としーしーの穴から砂糖水を流し、痛みに身を振り回す。男を見つめるちびまりさの目は、許しを乞うように震えていた。 男は上瞼と下瞼を唇と同じように、指で挟んで押し潰し、捻る。目も閉じられた。 しーしーの穴も、まむまむも、あにゃるも同じように指で挟んで押し潰し、捻る。穴はすべて閉じられた。 垂れ流していた砂糖水は流れなくなり、震えていた目も見えなくなる。 続けて、男はちびまりさの髪を引きちぎり、あんよも捻り潰して動けないようにした。 見えず、喋れず、何も出来ない饅頭が完成した。 ただ、体はいまだに震えている。死には程遠く、生きることもあきらめていないようだ。 「お前は今から、あいつらに食べられる。死ぬまでゆっくりしていけよ」 そう、ちびまりさに囁いた後、男は跳ねていたゆっくり達に声をかけ、こちらを向かせた。 「疲れただろう、あまあまをやろう」 「「ゆ!あまあま!」」「「あみゃあみゃ!」」 ゆっくりの目には、饅頭にしか見えないちびまりさが地面に置かれる。 「あまあまはまりさのおくちにはいるんだぜ!」「あまあまさんはゆっくりれいむにたべられてね!」「「たべられちぇね!」」 ちびまりさはこの状態でも、ものを聞くことが出来る。親兄弟に食べられようとしていることが分かるようだ。 やめちぇえぇーっ!まりしゃをたべないぢぇえぇーっ!ちびまりさの餡子の中で響く絶叫も、他のゆっくり達には聞こえない。 「うっめ!めっちゃうめ!」「むーしゃむーしゃ!しあわせーっ!」「「しあわしぇーっ!」」 ちびまりさの願いむなしく、ちびまりさは親と姉妹の腹に収まった。 男はちびれいむを持ち上げ、同じように繰り返し、子ゆっくりを全部、親ゆっくりに食わせた。 「おちびちゃんをゆっくりしないでかえしてね!」「そうだぜ!かえすんだぜ!」 あまあまをすべて食べ終えた後、れいむとまりさは男に子供を返すよう詰め寄った。 「もう返したぞ」 「いないよ!どこにいるの!」「どこにいるんだぜ!」 「そこにいるじゃないか」 「どこ!」「じじいはばかなのぜ!いないことがわからないんだぜ!」 「そこだよ、お前らの腹の中だ」 男は子ゆっくりから奪った飾りを、親ゆっくりの目の前にばら撒いた。 呆然としたまりさの顔面をこそぎ落とすように、男の足が踏み下ろされる。 「ゆぎゃあああぁぁぁーーーっ!!!」 一瞬で顔が無くなったまりさは、絶叫を上げながら地面を転げまわる。 男は道に向かってまりさを蹴り飛ばした。 まりさの皮は破れ、口からは先程食べた餡子を吐き出している。程なく永遠にゆっくりするだろう。 番の悲鳴に我に返り、逃げ出そうとしていたれいむは、男に髪を掴まれ宙に浮いた。 これかられいむは、子ゆっくりと同じようにありとあらゆる穴と、あんよを指で押し潰され、捻り塞がれることになる。 まず、右まぶた。 「ゆぴぃ!」 次に、左まぶた。 「ゆぎゃあ!」 砂糖水を垂れ流すしーしー穴。 「やめてね!もどしてね!」 もう使われることの無いまむまむ。 「れいむのまむまむがあぁーっ!」 中身を吐き出したあにゃる。 「ゆぎぃ!」 何とか逃れようとグネグネと動くあんよ。 「れいむのびきゃくがあぁーっ!」 最後に喧しい口を塞がれる。 「お前らが馬鹿にしためーりんはな、立派な奴だったんだ。お前らみたいなのが馬鹿にして言い奴じゃないんだ」 なにいってるの!めーりんはぐずでしょ!じゃおしかしゃべれないんだよ!ゆっくりしてないんだよ!れいむたちはとってもゆっくりしてたのに! めーりんはゆっくりしてないのに!ゆっくりしてるゆっくりをいじめちゃいけないんだよ!ゆっくりさせなきゃいけないんだよ! 喋ることの出来ないれいむは、餡子の中でいかに自分がめーりんより上か、自分が大切にされるべきか、そして助けられるべきか延々と繰り返している。 だが、男にはそんなものは聞こえない。聞こえたとしても関係ない。男はれいむを蹴り飛ばした番に向かって投げた。 まりさにぶつかったれいむに死ぬ気配はない。あんよが動かないので、転がったまま震えている。 自分が食べた子供と同じように、餡子の中で助けを求めているのだろう。男はそのまま死ぬまで放って置くことにした。 溜飲を下げた男は、後で片付けないとな、と思った後、思考を切り替えた。 遭難した中であのゆっくり達に出会えたのは、本当に良かった。今みたいな連中ならあそこで死ぬところだった。 やっぱり、恩はゆっくりにじゃなくて、あのゆっくり達に返さないとな。 今度は遭難しないように入念に準備をして行こう。ゆっくり達への礼も迷惑にならず、且つ喜ばれるものを調べて持っていこう。 と、男はこれからすることを考えながら、家に入っていった。 書いたもの ・ふたば系ゆっくりいじめ 732 門番ゆっくり ・ふたば系ゆっくりいじめ 741 ゆっくりマンション ・ふたば系ゆっくりいじめ 751 門番ゆっくり めーりんの場合 ・ふたば系ゆっくりいじめ 782 ゆっくりのいるお庭 トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る めーりん大好きかコンチクショー! 俺も大好きだコンチクショー!! ※原初の誓いか。最近見なくなったな、こういう本当の意味でゆっくりしたおたべなさい。 -- 2018-02-16 02 31 42 めーりんかっけー -- 2017-01-16 00 34 47 めーりんは優しいんだねー。わかるよー -- 2014-06-03 21 23 54 初対面なのに自分の命を差し出せるとか優しすぎるだろ。 -- 2012-10-06 00 55 29 ゆっくりできたのぜ! -- 2012-07-11 19 25 51 こんなめーりんなら嫁にする! -- 2011-09-28 00 15 58 真の意味でのおたべなさいを見た・・・これこそが原初の誓い -- 2011-08-27 01 03 29 めーりんは優しいゆっくり -- 2010-12-06 04 03 26 じゃお~ん -- 2010-11-28 06 30 55 めーりん最高だっ! ゆっくりできたよー -- 2010-11-11 11 50 49 うっうー! -- 2010-09-07 15 09 25 じゃおじゃお! -- 2010-08-27 21 52 41 むらむらしてるね! -- 2010-08-03 14 25 23 ゆっかりしているわ! -- 2010-06-30 01 54 49 むっきゅりしてるわ! -- 2010-06-29 23 14 30 ゆっくりできたよ! -- 2010-06-16 17 56 21 ゆっくりできるね -- 2010-04-18 21 36 04
https://w.atwiki.jp/isekaikouryu/pages/1947.html
“道”とはあらゆるが交わり分かれる場 道を進むということは交流、発見、別れと育成に大きく作用すると 多くの国の教育機関は登下校は“歩く”ことを推奨している ── 春 大延国、多種多様な獣人の子供が賑やかに家路につく町の道。 学舎への登校初日ということもあってその賑やかさもひと回り大きい。 そんな中でとぼとぼと小さな栗鼠人が道の端を歩いている。 山で営んでいた薬膳屋が大きくなったことで町にも店を出すのに合わせて引っ越してきた家族の子である。 そのため、それまでの友達と離れての入学となったのだ。 新しい日々を送る場所で一人ぼっちで周りは自分より大きな人ばかりで話す切っ掛けも出来ずじまい。 慣れない文房具と教書を持っていることも重なり、足取りは見て分かるように危うい。 「あっ」 鞄に提げた小袋から硝子玉が転がり落ちる。 それはお気に入りの遊び道具で、友達が出来たら一緒に遊ぼうと思って持っていたのだが… 転転転 行き交う人の足元を軽やかに転がる硝子玉。それを追う栗鼠人の小走り。 手に取る寸でのところを再び転がるそれはやがて薄暗い路地、建物の狭間の前で止まる。 もう少しと焦って駆け寄ったため足がもつれてこけてしまいそうになる。 「あぶないぞっ」 顔と地面の前に尻尾を差し出し衝突を防いだのは山猫人の子供。同じく入学式帰りの様子。 「にもつをもったまま走ったらダメって今日先生に言われたろっ」 同じ教室の一番前と一番後ろの席で一度も話したこともない同士だったのだが。 転… 転… 尻尾に起こされる先で、風もないのに再び硝子玉が転がりだした。 はっと栗鼠人は持った荷物をその場に放って駆け出す。 「おい!これどうするんだよっ」 山猫人はすぐさま荷物を拾い集めて路地に入った尻尾を追う。 引 引 引 路地裏の闇へと吸い込まれる様に転がり消えていく硝子玉。 気が付けば闇。 あったはずの壁も無く、入ってきたはずの通りの光も見えず。 「ぼくのたからもの…」 「ちょっとまてよ。なんかおかしくないか?」 腕 腕 腕 二人が気付くと同じくし、足元から黒い腕が伸び絡み付いてきた。 「「うわわっ!」」 光っ! 突如上から落ちてきた光躍字が眩く弾けると、絡み付いていた腕がもがき剥がれる。 集暗束闇 集集集 闇の中でもその動きが見て取れたさらに黒い塊が、どんどん膨れて大きくなる。 「なんだおまえっ!」 震える栗鼠人の前に震える足で立つ山猫人だが、次に黒い塊が奈落の底かと思う大きな穴、口を開くとすくんで動けなくなってしまった。 「待つのです! 跳!弾!」 二人の前に少女が降り立つと同時に塊の下で躍字が弾ける。 衝撃で跳ね上がった塊に、これでもかと大きく反り返った太い躍字が体当たり。 思わず塊がもんぞりうって間合いを空けた。 「逃げ出したはぐれ躍字ですね! 兄上達が探している!話しているのをこっそり聞いていたのです!」 「「だれ?!」」 「ここはおねえさんに任せるのです! 光明の剣が斬りさく…さく…あれ?おかしいのです」 特殊な墨を含ませた筆で空に文字を描くも、光は弱まりしなびた沢庵の様にへなへなと地に落ちる。 すかさず塊が獣の如くしなりをつけて勢い凄まじく遠間から三人に飛び掛かる。 「「「わーっ!」」」 「にゃー」 真白の雲の様な煙の様な…ふわふわした巨大な犬の様なもの闇を開いて現れると、ぱくり一口ぺろりと飲み込んだ。 「テンコウ! …どうです!思い知ったかです!」 「にゃー」 みるみる内に暗闇が解け、そこは何処にでもある路地裏へと戻っていく。 「子供が人気のない場所へほいほい入ってはいけないのですよ。気を付けるのです」 「なんだよっ、おなじこどもなのにえらそうにっ」 「た、たすけてくれてありがとう」 おずおずと白い塊を見上げながらお礼を言うと、それに反応したのかくるり宙を舞った後にぱっと消える雲。 「子供は素直が一番なのです。 そっちの素直じゃない方!」 「なっなんだよ!」 「友達を守ろうとしたのは立派なのです。これからも二人仲良くするのですよ」 そう狐人の少女が言うと、少し照れたように鼻頭をかく山猫人。 「あっ、ありがとうよっ!」 うんうんと腕を組んで頷くが、はっと何かに気づいて壁を蹴って屋根の上へと飛び上がった。 「寄り道せずに帰るのですよー」 すぐに見えなくなった尻尾だが、二人はしばらく手を振って送った。 「早く部屋に戻ってジジイが来るまで大延児遊々刊を楽しむのです」 胸に雑誌を抱えた狐人は、嬉しそうに屋根の上を飛んで行く。 「どうですかな?何とかなったでしょう」 見 散 ぱっと鏡が霧散する。 「気が気ではありませんでしたが…」 清閑な狐人の若者が、ほっと安堵の息の後、“無認躍書家暴躍破棄事”と書かれた竹書を閉じる。 「勉学も重要でしょうが、人としての成長も大切なのです。 妹だ妹だと思っていると、気が付かぬ内に並ばれてしまいますぞ?」 老獪な笑みに対し、複雑な微笑で返す。 「まぁしかし、部屋を勝手に抜け出したのには目を瞑りませんが」 「大師殿、お手柔らかにお願いします」 野良躍字とか好き勝手に暴れると確かにやばそう -- (名無しさん) 2014-04-06 20 57 13 子供らしくて和むー。セイランの器の大きさが垣間見えた気がする -- (名無しさん) 2014-04-08 01 13 11 色んなことができる便利な躍字もちゃんと扱わないと危険なんだな -- (とっしー) 2014-04-13 16 49 50 独りでに動く躍字って妖怪みたいだね -- (名無しさん) 2015-04-13 23 31 28 名前 コメント すべてのコメントを見る
https://w.atwiki.jp/konatazisatu/pages/89.html
こなたのボランティア 季節は春。 とある喫茶店にて、こなたとかがみの二人が居た。 「…え?」 コーヒーを飲みながら、こなたは聞き返す。 「だから…」 かがみは少し照れ臭そうに言う。 「…妊娠、したの」 「そっか…おめでとう!かがみん」 「あ、ありがとう…こなた」 高校を卒業して早4年。 かがみは、京都の大学で付き合い始めた男の人と、1年前に結婚していたのだ。 かがみの主人は、現在大手企業を勤めているらしく、世間一般的に言う大金持ちだった。 結婚式でかがみは両親宛の手紙を読んでいる時、久しく泣き顔を見た。 正直こなたも、もらい泣きしそうになっていた。 でも、かがみも相手もすごく幸せそうだった。 その夜の親友達皆での二次会はとても楽しかった。 すごいなあ、かがみんはもう生涯の相手を見つけたんだな… それに比べて、今の私は大学にも行かなくなってしまった。 つくづく自分が情けなくて仕方がない。 そして、今日久々にかがみと会って改めて現実を痛感した。 大学になったら少しは変われるかなと思っていたが、 ろくに何もしないでネトゲ生活が変わるはずもない。 更生しようと決心したことは多々あった。 だが、実行に移すことができず、 ネットという誘惑に負けてしまうのだ。 毎日のように自分の部屋にとじこもり、 パソコンをつけては鬱に対する気休めのためにネトゲをする。 もう、やる事がそれしかない。 中毒だな…完全に。 実は、こなたは大学でも友達が全く出来ず、 こなたの周りの空気が読めないという性格からも、 あまり学生と馴染めない空気が続いていた。 よく、高校生の時こんな私とあの3人は親友になってくれたと思う。 そして、1年生も終わりという時、 とうとうこなたは家に閉じ篭もるようになり、初めて留年を体験した。 こなたはそんな大学生活にうんざりして、ついに退学してしまったのだ。 また高校生の楽しかった日々に戻りたい。 しかし、大学を中退したことは、かがみ、みゆき、つかさには言っていない。 あの3人に心配をかける訳にはいかない。 あの3人だけが、私の親友と呼べる存在だから。 そして昨日かがみは大学を卒業して、京都から糟日部へ帰って来たという。 相手の実家も、偶然ながら糟日部にあるらしい。 そして、昨日こなたの携帯に明日は会えるかなと、メールをしてきたのだ。 でも、何で今居るのが私だけなんだろう… それを尋ねると、たまたま二人共都合が悪く、 どうやら明日の午後には会えるということらしい。 皆、忙しいんだな… 暇と退屈を持て余しているのは、私だけだったのだ。 それにしても、外の空気は久しぶりだな… かがみと喋っていると、高校生だった頃の事を思い出す。 文化祭のこと、皆で海に行ったこと。 話をすればするほど、そうそうこんなことがあったねと、 走馬灯のように脳裏を駆け巡る思い出に、二人して笑い合える会話が続いていた。 それは楽しかったのだが、内心は会話を重ねる度に鬱になりつつあった。 もう高校生には戻れないのだ、と。 そして、新たな事実。 かがみが妊娠したのだ。 どんな子供かな… きっと、いい子だろうね。 かがみんの子供なんだから、いい子で当然だよね。 こなたは、もう人生を諦めかけていた。 お父さんは、そんなこなたを精一杯慰めてくれてるが、 こなたは耳を貸そうとしない。 私は、ダメ人間だ… 「こなた、最近元気?」 「え、あ…うん。まあ」 「何かあったの?」 「ううん。大丈夫だよかがみん♪」 「そう…何かあるんなら、相談しなさいよ?」 こなたは、無理に笑顔を作った。 最近無表情な生活がずっと続いているせいか、笑顔というものさえ忘れかけていた。 かがみと話していると、時間が短く感じる。 ネトゲの時もだけどね。 かがみは、高校生の時より凄く大人になった。 それは当然なのだが、かがみは化粧をしていて、劇的に美人になっていたのだ。 それに比べて私は化粧の仕方を知らないので、 ファンデーションをあてただけで出てきてしまった。 こんな顔だけど許してね、かがみん… かがみと話している間に時は流れ、もう昼を過ぎていた。 「あ、こなた。そろそろ帰るね」 「え、もう帰っちゃうの?」 「うん。私を待ってる人がいるから…」 「そっか。うん。じゃあね、かがみん」 「バイバイ、また明日ね」 かがみはそうして店を出て行った。 こなたも、その後すぐに店を出た。 家に帰ると、また憂鬱な日々が始まるのだ。 自分の部屋に入り、パソコンをつける。 そうして、一日は終わった。 ちなみに食事は、お父さんが作ってくれている。 お父さんは、私の部屋の前に出来た料理を置き、ドアをノックする。 しかし、お父さんは部屋には入らない。 それが食事の合図だ。 私は人のために何か役に立ちたいと思っていた。 しかし、私はいつも助けてもらってばかりで、何も出来ない自分が情けなかった。 次の日の午後、こなたはつかさ、みゆき、かがみが待っている、 つかさとみゆきの住むアパートへ向かった。 つかさは、現在みゆきと同居しているのだ。 こなたは、久々に会う親友に少し緊張感を覚えた。 出来れば嘘はつきたくない。 でも、皆に心配をかける訳にはいかない。 私の現状をばらさないためにも、演技をしよう。 そして、ドアを開けた。 「やっほー、つかさ、かがみん、みゆきさん。久しぶりだねぇ♪」 「わあ、こなちゃんだ!久しぶり!」 つかさはいつものように可愛らしい笑顔を見せてくれた。 「久しぶりですね、泉さん」 みゆきさんは、高校生の頃から大人な感じだったけど、更に綺麗で美人になっていた。 「おっす!こなた」 かがみんは、私よりも先に到着していたようだ。 しばらく4人は、会話を楽しんでいた。 高校生の頃の思い出が、ひしひしと現実になっているのだ。 今、この部屋は高校生時代にタイムスリップしているのだ。 しかし、つかさの一言によって、現実へと引き戻されることになった。 「みんなは今、何してるの?」 「私は、結婚生活を楽しんでるわ。昨日も二人でカレーライスを食べたしね」 「へぇ、お姉ちゃんたら、羨ましいなぁ。でも、料理はできないけど」 「うるさい!」 「かがみさんも別に下手ではありませんよ?」 「そ、そうよ!別に全部作ってもらってた訳じゃないわよ!」 「へぇ~そうなんだぁ」 「う、うるさい!!」 すると、かがみは顔を赤らめて、言った。 「…実はね、私…妊娠してるの」 「えええ!?本当?お姉ちゃん!おめでとう!!」 「それはおめでたいですね」 「こなたには昨日会った時に言ったのよ。ね、こなた?」 「あ、うん!」 「そういえば、こなちゃんは今何やってるの?」 「うぇっ!?…えーと…」 とうとうこの時が来てしまった。 …言葉が出ない。 どうしたら… 「ア、アルバイトしてるの…」 「へぇ~、こなちゃんもなんだね」 「え?じゃあ、つかさもバイト?」 かがみが聞いた。 「うん。まぁね。生活費はほぼみゆきさんが賄ってくれてるけどね」 「つかさも早くいい仕事見つけなさいよ?」 「う、うん。分かってるよ、お姉ちゃん」 「こなた、あんた何のバイトやってんの?」 「…ぇ…まぁ、色々と…」 「色々?色々とは何ですか?」 「えーと…そうそう!困ってる人の手伝いをするバイト!」 「…」 会話が止まった。 「あ~なるほど。つまりボランティアね。こなたは偉い!」 「自分から進んで周りの人の役に立ちたいなんて、そうそうできることではありませんよ」 「すごいね、こなちゃん!」 「い、いやぁ~アハハ…まぁ、小さい頃からの夢だったもんで…」 何とか誤魔化せたようだ。 よかった…。 しかし、心の奥にある罪悪感だけは振り払うことが出来なかった。 そうして、会話は将来の夢へと進展し、この日のミニ同窓会は終わった。 私は将来の夢については、まだ考え中と言った。 かがみんはいいお嫁さんになる!と照れながら叫んでいた。 やはりデレは可愛いな、かがみんは。 つかさは、真夜中に一人でトイレに行けるようになりたいと言っていた。 やっぱり天然だなつかさは。 そして、みゆきさんは有名会社の社長になりたいと言っていた。 夢が大きいな、みゆきさんは。 家に帰ると、やはりネトゲに走ってしまう。 でも、今日は少しだけ安心した。 やっぱり、皆と居れば楽しいんだな。 そして月日は流れ─ 再び鬱な生活が毎日のように続いているとき、 久々に携帯にメールが入った。 メールはこの前のかがみんの時以来だ。 どうやら、つかさからのメールらしい。 慌てているのか、少々文字が乱れている。 『子供がうまたよ!』 こなたは瞬時に理解した。 そう、かがみの子供が産まれたこと。 この前妊娠したばかりだって言ってたのに…月日は早いものだな。 こなたは、いつの間にか外は雪景色であることに気づいた。 そうか…もう冬か… こなたは、ジャンパーを羽織り、家を出た。 携帯で再確認してみると、かがみは家の近くの産婦人科で出産したらしい。 こなたの家からは10分とかからない程の近さである。 みゆきさんも今、病院へ向かっているらしいのだ。 病院へ着くと、つかさが入り口で待っていた。 「遅いよこなちゃん!早くこっちだよ!」 「うわぁあ」 つかさがこなたの手を引っ張った。 まだ、つかさは出産直後のかがみんと会っていないらしい。 ガラス越しに、つかさは指をさす。 「ほら、あれだよ!奥から2番目の…」 ネームプレートには、柊かがみと書かれてあった。 かがみんの赤ちゃんは、静かに寝息を立てていた。 「本当だ。あの子なんだね…やっぱり可愛いな…」 「お姉ちゃんの子だからね」 「うん」 そして、私とつかさは次にかがみんに会いに行った。 病室に入ると、かがみんはベッドでぐったりしていた。 やっぱり、疲れたんだろうな… しかし、かがみんの主人は険しい表情をしながら病室を出た。 普通なら、泣いて喜ぶはずなのに… 何か、あったのだろうか… 両親は、つかさ曰く出産を見届けた後、先祖の報告のために帰宅したそうだ。 私は、かがみんの近くに居た医者に尋ねてみた。 「あの…かがみさんに、何かあったんですか?」 「言いにくい事ですが…」 医者は、口を開いた。 「実は、かがみさんの容態があまり良くないんです…」 「…と言いますと?」 「このまま昏睡状態に陥って、死に至ることも考えられます…」 「まさか…え…そんな…お姉ちゃんが…!?」 つかさは、言葉を失った。 私も言葉を失った。 他にも医者は何か言っていたような気がするが、よく覚えていない。 かがみんが、死んでしまうなんて。 何で、かがみんが… こなたは一日中考え続けていた。 何で、私じゃないの…? 神様は、どうして私を選ばなかったの…? これは、運命の悪戯なのだろうか。 それを考えていると、夜も眠れなかった。 自分には何かできることはないだろうか。 私は、タダの駄目人間。 今人として生きている価値は、あるのだろうか。 実際に、生きていなければならない人間が運命の悪戯を受け、 悲しい運命を目の当たりにするという… 神様は、時に人に幸福を与え、時に人を悲しみに陥れる。 それが、この世を成立させている鉄則であり、 これから先、それを打開することは不可能であろう。 かがみんは、私の親友の一人。 それと共に、私を精一杯支えてくれている親友より近い存在である。 思えば思うほど可哀想過ぎる。 かがみん…私…どうしたらいいの…? みゆきさんも後から病院に来たが、私が事情を説明するとその場で 泣き出してしまった。 かがみんも、実はこの事を隠していたのだろうか… だっから、お互い様だね。 こなたは、寝床で泣き明かした。 私なんかより、かがみんが生きていないと意味がないんだ… この世には、幸せに生きていくべき人達がいる。 かがみんは純粋な人生の道を歩いているが、私は道を完全に外れてしまっているのだ。 戻れるかどうかも分からない。 かがみんは、昔から身体は強いほうだと思い込んでいた。 しかし私が今日病院から帰るとき、つかさ曰くかがみんは、 京都に滞在しているとき、若い結婚や妊娠という過度のストレスや、 几帳面で真面目で、責任感は強いが周りの目を気にするという性格も重なり、 更に追い討ちをかけるような出産の所為で、 とうとう心臓に疾患を患ってしまったのだという。 つかさは絶望に浸りきっていた。 私が慰めてもただ「うん」と頷くだけで、耳には届いていないようだった。 こなたは、ふと自分の母かなたのことを思い出した。 かなたは、こなたが小さい時には亡くなっていたのだ。 私は、お母さんの温もりを知らない。 お母さんにひざ枕して貰ったり、一緒に買物をしたこともない。 ただ、その代わりにお父さんが人一倍頑張ってくれた。 私は、かがみんを死なせたくない。 ただ、その一心だった。 先生の言葉は、もうかがみは助からないという意味を持っていたのかもしれない。 かがみの子供が目を覚ましたときには、お母さんはこの世にいないのかもしれない。 かがみん…私達に相談してくれれば良かったのに… 思うたびに、私も人のことは言えないと実感する。 私も、大学を中退したことを皆に伝えていない。 しかも、ボランティアをしているという嘘をついた。 …このまま私達が何もできないままかがみんは死んじゃうのかな… 夜は明け… かがみが死んでいないことを願いながら、病院へ向かった。 産婦人科からかがみんは市民病院に搬送されたらしい。 市民病院の入り口のロビーには、つかさが座っていた。 何も食べていないのか、やつれているように見える。 「つかさ、かがみんは?」 「あ、こなちゃん…?うん、お姉ちゃんなら、集中治療室だよ」 「そうか…じゃあ、面会時間が限られているんだね」 「うん。11時からだって…」 「何分くらい会えるの…?」 「うん…10分だって。まずは、お母さんとお父さんが面会するの その次に私だったんだけど、今こなちゃんが来てくれたから、 私とこなちゃんね。 その後、お姉ちゃんの主人が会いに来る予定なの」 「みゆきさんは?」 「ゆきちゃんは、仕事場とか近所の人に、 臓器提供にかかる資金を寄付してくれる人を早急に募ってる。 もうお姉ちゃんの心臓も長くないからって」 「…そっか…」 「ごめんね、こなちゃん。迷惑かけちゃって… 私、お姉ちゃんに臓器提供しようと思ったんだけどね… 私のはあまり丈夫じゃないから、駄目だって…」 つかさは、とうとう涙を流した。 「でもさ、心臓を移植するってことはさ、 その移植した方の人は死んじゃうんだよね?」 「そうだよ。しかも、移植された方も 100%の確率で日常生活に復帰できるとは限らないみたい…」 「そうなんだ…」 そして沈黙の時が続き、いよいよ11時がやってきた。 面会時間はたったの10分らしい。 その時、かがみんのご両親が来たので私は一礼をした。 つかさは、両親に泣き崩れていた。 可哀想なつかさ… 可哀想なかがみん… どうして、こんなことに… 私まで涙が出てきた。 かがみんの両親は、つかさを励まして泣き止ませ、そのまま集中治療室に向かった。 10分というのは、本当にあっという間であり、 もう両親が帰ってきた。 両親曰く、かがみの意識は戻ったらしい。 つかさは両親に、こなたも面会をすると告げ、 二人の了承を得た後、つかさとこなたは集中治療室へ向かった。 私とつかさはガウンを羽織り、靴を履き替え、 そして手を念入りに洗い、病室に入った。 中に入って、私達は唖然とした。 点滴柱から何本もの管がかがみんの腕に挿入されている。 かがみんの口には酸素マスクが施され、 かがみんの呼吸音が明確に聞こえてくる。 それと共に、ベッドの隣にある心電図が弱弱しいかがみの鼓動を 短い電子音で明確に刻んでいる。 かがみんの顔は、少々やつれているように感じた。 あの、活気付いた優しい頼りがいのあるかがみんとは まるで別人のような気がした。 つかさは涙を堪えながら、かがみんに歩み寄って声をかけた。 「お姉ちゃん…私。つかさだよ。こなちゃんも居るよ?ほら」 かがみんは、目を開いた。 私も、かがみんに歩み寄る。 「かがみん…こなただよ」 「……おーっす……こな…た」 かがみんは、か細い声で返事した。 「かがみん……大丈夫?」 かがみんは、ゆっくり頷いてくれた。 私は、かがみんの手を握る。 「かがみん……きっと、大丈夫だよ!」 私には、これくらいしか言うことができない。 本当に情けない。 かがみんは、ゆっくり頷く。 つかさも、かがみんの手を握る。 「お姉ちゃん。がんばってね」 そうしているうちにもう10分経ってしまったので、 私とつかさは、最後に精一杯の笑顔をかがみんに見せた。 かがみんも、泣きながら笑ってくれていた。 病室を出てガウンを脱いでいると、かがみんの主人とすれ違ったので、 礼をしておいた。 主人の手元には花束があった。 「やっぱりショックなんだろうね…」 「かがみんのご主人?」 「うん。だって出産したのに赤ちゃんの顔もはっきり見れないで来たらしいから…」 「…そうなんだ」 こなたは、その後病院から帰ることにした。 そして、こなたは病院から帰るとき、ふと思いついた。 私が、かがみんに臓器提供をすればいいんじゃないか。 どうせ、私のような人間が生きていたって、社会に何の影響もないだろう。 しかし、それには大きな問題点があることもすぐに察知できた。 血液型の問題だ。 臓器提供には、血液型も大いに関係しているのだ。 高校生に入って尋ねてみた時、かがみんは確かB型と答えていた。 しかし、私はA型なのだ。 お父さんもO型で、お母さんもA型なので、私がB型であることはまず有り得ない。 臓器提供は、B型の人間はB型かO型の人間しかできないのだ。 やっぱり、私とかがみんの間には、越えられない壁が存在したのだ。 その夜、どうしてもそのことが気になるので、つかさに電話をかけた。 「もしもし」 「もしもし、あの、つかさ?いきなりで悪いんだけどさ…」 「何?こなちゃん」 「かがみんの血液型を教えてくれないかな…」 「あ、こなちゃんには言ってなかったかな… 実は、臓器移植ために改めてお姉ちゃんの血液型判定をしてもらったの。 そしたらね…お姉ちゃんはAB型だったらしいの」 「え?AB型?」 つかさ曰く、以前B型だという判定が出たのは かがみが産まれた直後に病院で出してもらった血液型らしく、 A型が凝集しにくく判定しづらい亜種であったこともあり、 今までB型と判定されていたらしい。 そして、出産直後からの検査で、AB型という判定が出たのだという。 こういうことは、結構あるらしい。 「分かった。ありがとう、つかさ」 「うん。何かあったの?こなちゃん」 「ううん、何でもないよ!んじゃね!」 こなたは、すぐさまパソコンに向かった。 ネトゲではなく、インターネットで臓器提供についてのサイトを開く。 AB型は、どの血液型の臓器提供も受けられるらしい。 よかった… やっぱり、天はかがみんのことを見放さなかったんだね… ありがとう、神様。 次の日、私は朝早くからランニングを始めた。 もっともっと私の心臓を丈夫にして、かがみんを確実に元気にしないと。 でも、私が臓器提供するってことはかがみんには秘密にしないと… 私には体力があるんだ。 もう、ネトゲなんてやっていられない。 親友を救うため、私はがんばる。 あれ、これってボランティア…かな? あはは、嘘から出た誠だよこりゃ。 こなたは、河原の土手を走る。 人通りが少ないので、とても走りやすかった。 私は今、人のために頑張っているんだ。 そう思うと、余計に元気が湧いてくる。 鬱な自分とは、おさらばだ。 いつの間にか、既に昼の12時を回っていた。 こなたは、病院まで走った。 つかさは、昨日のように病院の入り口に居た。 「今日も会ったの?つかさ」 「当然だよ…こなちゃん。あれ、どうしたの?その汗」 「あぁ、ちょっと走ってきてさ。あはは…」 「そっかぁ…こなちゃんは体力あるもんね。私とは大違いだね」 「私、もっともっと体力をつけたいんだ」 「こなちゃん、急にどうしたの?」 「つかさ!これは真面目な話だから、よく聞いてね」 「…う、うん」 「私が、かがみんに心臓をあげるよ!」 しばらく沈黙状態が続いた。 「な、何言ってるのこなちゃん… そんなの……駄目に決まってるでしょ」 「じゃあ、つかさはかがみんが死んでもいいって思ってるの?」 「…そ、それとこれとは話が違うよ。 だ、第一お姉ちゃんが許してくれないよ… だって…私達は親友なんだよ?」 「つかさ。私は本当にかがみんに 生きていてほしいと思っているから言ってるんだよ」 「うん。分かってるよ…気持ちだけもらっておくよ。ありがとう、こなちゃん」 「つかさ!お願い!お願いだから分かってよ!」 「こなちゃん。よく聞いてね。 心臓移植というのはね、心臓が動いているけど死亡している提供者を募って 行われるんだよ。 だから、別にこなちゃんじゃなくてもいいんだよ…」 「で、でもさ、私はこの通り健康なんだから! 絶対私のを移植したほうが生存率は高くなるよ!」 「それは…そうかもしれないけど… 私はこなちゃんにもお姉ちゃんにも生きていてほしいんだよ!」 つかさは涙を流した。 「つかさ…」 「だから、もうやめてよ。そんなこと言うの…」 「…」 つかさは、病院から出て行ってしまった。 こうなることは分かっていた。 でも…私は、決めたんだ。 絶対にかがみんに提供するって。 これが、唯一私にできることなんだって。 こなたは、その後もトレーニングを続けた。 その夜、つかさから電話がかかってきた。 「もしもし?」 「もしもし、こなちゃん?実は… お姉ちゃんの容態が急変したらしいの」 「えっ…」 つかさによると、もういつかがみんの心臓が停止するか分からない状態らしく、 早急に提供できる人間を探しているのだが、見つからないらしい。 医師曰く、もう諦めたほうがいいと言われたという。 「そんな…」 「こなちゃん。色々心配かけてごめんね。ありがとう…」 「何言ってんのつかさ!私が居るじゃん!」 つかさは黙り込んだ。 「私にかがみんの臓器提供をさせてください!」 「こなちゃん…ダメだってば」 「だってさ、私みたいなネット廃人が生きててもしょうがないでしょ」 「だからこなちゃん…」 「つかさ、実はね。私は大学を中退したんだ…」 「え…?」 そして、私は今まで隠していた事を、全部つかさに話した。 「そうだったんだね……でも…こなちゃん…」 「いい?つかさ。 かがみんにはね、子供が出来たんだよ? あの赤ちゃんのお母さんは、 世界中どこを探したってかがみんしかいないんだよ? 私にはよく分かる。 お母さんが居なかったことの辛さが。 今まで隠してたけどね。 本当は、物心ついた時に一目会いたかった… そんな気持ちにさせたくないよ、かがみんの子供にも。 かがみんにも、あの子供をもっとだっこさせてあげたいんだよ。 せっかく生まれたかがみんの子供なんだから。 分かるよね、つかさ? つかさには将来があるし、みゆきさんにも将来がある。 私の将来…まぁ、あるかもしれないけど、 かがみんより遠い将来なんか考えていない。 それに、今が私の夢を叶えられるチャンスなんだよ。 人のために役に立つ。 それって身近なんだけど、すごく大切なことなんだよ。 だから、もう一度聞くよ?つかさ。 私に、臓器提供をさせてください!」 私は、言いたいことは言った。 もう、全てを言い終えた。 あとはつかさの返答のみ。 「…では…お姉ちゃんを…よろしくお願いします」 こなたには、つかさが電話越しに泣いているのが伝わってきた。 「ありがとう…ひくっ…こなちゃん… そんなに…お姉ちゃんのことを…想ってくれていたんだね…」 「当然だよ、私達は親友じゃん!」 「じゃあ、こなちゃん…本当にありがとう…また明日ね」 「うん!また明日!」 そして電話は切れた。 やっと、つかさは分かってくれた。 そうと決まれば、明日もトレーニングだ! 翌日も、こなたのトレーニングは続いた。 病院に着くと、いつものようにつかさはロビーにいた。 「こなちゃん、今日もトレーニング?」 「うん!出来るだけ丈夫な心臓をかがみんに提供したいからね!」 「こなちゃん…ありがとう!」 つかさは涙を流した。 「つかさ。大丈夫。私は平気だから。かがみんのためだもん」 「でも、やっぱり親友がいなくなるのは…辛いね…」 「大丈夫!私は居なくなるわけじゃないよ!かがみんの中で生きるんだよ!」 「…そう、だね。うん、そうだよね!」 そして、つかさと私は医者に心臓提供について報告した。 医者は、本当にいいのかどうか何度も繰り返したが、 その度に肯定をした。 医者は、私の手をがっしりと掴み、 「本当にありがとう」 と言ってくれた。 このことは、みゆきさんにも伝えた。 みゆきさんにも、何度も止められたが つかさの説得によって涙ながらも納得してくれた。 私が自分の意思で臓器を提供する、 それも人間が生きていくうえで必要不可欠な器官を、 他人に与えようとしている。 それは、自殺に繋がっているということは自覚している。 しかし、かけがえのない親友のために役に立つことには変わりない。 将来、かがみんの子供にもよろしく言っておいてもらおう。 かがみんがこのことを知ったら、どんな顔するかな… ショックを受けないだろうか。 いや、多分大丈夫だよね。 こなたは、明日に迫る手術のため、必死でトレーニングをすることにした。 かがみんには、立派に生きてもらわないと。 そうしないと、私がこうしてがんばっている意味がないもんね。 今日は病院には行かない。 その代わり、今までにやり残したことがないかどうかを確かめる。 そうだ、ネトゲの住民にも伝えておかないと。 私は常連だったんだから。 誰もが冗談だと思うだろう。 しかし、私は嘘なんかついていない。 さようなら、みんな。 私は、トレーニングから帰宅した時、久しぶりにお父さんの顔を見た。 電気の消えた部屋の中で、お父さんは一人ソファに座って俯いていた。 お父さんは、かなりやつれているようだった。 いつもの、エプロン姿で飛んでくるお父さんはもういなかった。 自分が今までお父さんに頼りきりだったことをまざまざと感じさせられた。 私は、本当にこんなに自分を助けてくれた人を残して逝くのか…? 今私がこうして元気になったからこそ、これからはお父さんの為に 孝行していかなければならないんじゃないのか? 罪悪感がこなたの固い意志を蝕んでゆく。 「おぉ、こなたか…おかえり」 そうじろうは、暗闇に呑まれかけている部屋の前で立ち尽くしているこなたに気づいた。 そして、そうじろうが微笑みかけてくれるのが、こなたにははっきりと見えていた。 「お父さん…」 私は、お父さんに抱きついた。 「ごめんね、今まで…」 「こなた…」 とうとう感情を抑えきれなくなり、こなたはお父さんに泣き崩れた。 「本当に、ごべんなさいぃ…っぐ…ぇぐ」 「こなた…お前、いいのか?」 「えっ…」 「これまでずっと部屋に籠りきりだったお前が、 急に外に飛び出して帰って来ないもんだから… 何か予感がしたんだ…」 「全部聞いたんだね…」 「さっき柊さんの両親から電話がかかってきて、教えてもらったよ…」 「お父さん…勝手なことして…ごめんなさい」 私は、許してもらえるわけがないと判っていたが、 お父さんに深々と頭を下げた。 「…本当にそれでいいのか?」 「私、精一杯考えて決めたんだよ」 「考え直すことは…できないか…」 「……ごめん」 部屋の中は、沈黙に包まれた。 「俺は…ずっとお前の意志を大切にしてやりたいと思ってきた… でも、これはお前じゃなくても出来る事じゃないのか…?」 「お父さん、もう時間がないんだよ。 今、一番元気な心臓をかがみんにあげられる私しかいないんだよ」 「こなた…お前の実の父としてひとつだけ言う。行かないでくれ」 「…ごめん……お父さん…私の事、気が済むまで叩いて。 こんな馬鹿な子に、一生懸命尽くしてくれたのに、 それを裏切る様な行為をしてる私を、叩いて…」 そうじろうは、おもむろに立ち上がり… 暗闇に包まれた部屋に、初めて乾いた音が鳴り響いた。 その直後、そうじろうは泣き崩れながらも、頬の腫れたこなたを精一杯抱きしめた。 「こなた…逝かないでくれよ…頼むよ…」 こなたは、ただひたすら謝ることしか出来なかった。 そんな自分に殺意さえ覚えた。 手術は明日の朝行われる。 私の命は、その日でストップする。 そう想うと、無邪気にも涙が溢れ出てくる。 今まで幸せだったよ、みんな。 死ぬのは怖い。 それは誰だって同じ。 かつて国のために戦った神風特攻隊も、 私と同じような気持ちだったに違いない。 私の人生は、明日終わる。 もう、取り返しはつかない。 でも、私は軽はずみで決断したわけではない。 死んだら人間ってどうなるんだろう… 死んだものは、決して帰らない。 だから、死後の世界は今後永遠に不明なままなのだ。 他の何かに生まれ変わるのか、天国か地獄に行くのか… こなたは声を上げて、ひたすらそうじろうの胸の中で泣いていた。 自分の今までやってきた事の愚かさ、実の父に対する残酷な行為を全て吐き出す為に。 かがみん、つかさ、みゆきさん… その夜は、そうじろうと二人で床につくことにした。 私の20年以上の人生を、二人で回顧していた。 時には笑い、時には怒り、時には驚いたり。 明日から私は、かがみんの一部になるんだ。 たとえそれが違法だったとしても、人の命を救うのに法律なんて邪魔なだけ。 そうだよ。 私は明日からかがみんの中で生きるんだよ。 死ぬんじゃない。 新たな生活が始まるんだ。 そう思うと、少しばかり気が楽になった。 翌朝早朝─ そうじろうは、既に家に居なかった。 こなたは、ともかく病院へと歩いた。 自分が決断した処刑場へ。 それと共に、私の生まれ変わる場所へ。 もう未練はなかった。 たとえ残っていたとしても、私のやりたかったことは、 これだったから。 もう私達は、親友以上の存在なんだ。 病院に着くと、つかさとみゆきさん、かがみんの両親、かがみんの主人が待っていた。 私は、一人ずつ握手し、「今までありがとうございました」と告げた。 つかさは、涙を流していた。 もう、この可愛い顔を見ることはできない。 みゆきさんも、涙を流していた。 もう、この綺麗な顔を見ることはできない。 かがみんの両親も、私に精一杯のお礼を言ってくれた。 地球上の感謝の言葉を全て掻き集めても言い表せないくらいの感謝で一杯だ、と。 かがみんの主人も、泣いて喜んでくれていた。 私が神様だと言ってくれた。 …そうだね。これからは皆の神様になるんだね、私。 私は、親友を超越した存在として見送られ、 一番最期にお辞儀をしながら、手術室へと入った。 手術室にはまだ医者が居なかった。 私がごろんと手術台に横たわると、突然手術室の扉が開いた。 「お、お父さん…」 「よかった…まだ間に合ったか」 「どうしたの…?」 「二人で、一枚だけ写真撮らないか? 大丈夫、携帯じゃなくてデジカメだからな…さ、撮るぞ」 そうじろうは、近くの棚にカメラを置き、手術台のこなたの隣で微笑んだ。 私も、最期に精一杯の笑顔を見せた。 フラッシュが焚かれると、医者がぞろぞろと顔を出し、 かがみんを乗せた担架が手術室へ運ばれた。 かがみを担当していた医者が、そうじろうに声をかける。 「こなたさんの、お父様ですか?」 「はい」 「今から、こなたさんの手術を始めますが、よろしいですか?」 「はい、きちんと"娘"を見届けたいので…」 「そうですか…判りました」 こなたの腕に、麻酔が打たれる。 もう少しで、私の意識が途切れるんだ… お父さんの顔がだんだんぼやけていく… 最期に…かがみんと、話がしたかったな… でも、私は今からかがみんと一心同体になるんだ。 それはただの”たとえ”じゃない。 本当に私とかがみんは、一心同体になるんだよ。 みんな、ありがとう、さようなら。 私は、みんなの事を、絶対に…忘れない─ ─手術は、5時間程で終わった。 移植は成功したのだ。 皆は、結果を聞いて涙を流して喜んだ。 数日後、かがみの意識も回復し、普通に話せるようにまでなっていた。 医師曰く、この速さの回復は奇跡だという。 そして、いよいよつかさはかがみに打ち明けることにした。 ”こなた”が、今もなおかがみの中で動いていることを。 かがみは、涙を決して流さなかった。 別に泣くことなんてない。 確かに、こなたは居なくなっちゃったけど、 ”こなた”は、ここに居るんだから。 私の、中に。 かがみの中で鼓動を打ち続けているのだ。 これから先、ずっと。 ずっと。 退院後、リハビリの為に歩いて家に帰ろうとしていたかがみは、 前から歩いてくる見覚えのある顔に足を止めた。 「やあ、退院したのかい?」 微笑みかけてくる彼に、かがみは罪悪感を隠せない。 「この度は…こなたが…本当に…ごめんなさい」 気がついたら、頭を下げて謝っていた。 「いやいや、かがみちゃんが謝ることはないよ。 君が生きていると言う事は、こなたもちゃんと生きているんだし」 「…いつでも、逢いに来て下さい」 かがみは、胸に手を当てて言った。 「ああ、そうさせてもらうよ」 彼は、再び歩き始めた。 「じゃあね、かがみちゃん、こなた」 「さようなら、そうじろうさん」 かがみとそうじろうは、互いに振り返る事もなく、前に歩んで行った。 ─数年後、かがみの子供はもう4歳になった。 今では、幼稚園に通っている。 かがみに似て、活発で元気な女の子らしい。 かがみは、もう退院して普通の日常生活ができるようになっている。 そしてつかさは、今年いよいよ結婚する予定である。 みゆきは既に結婚し、主人との幸せな生活を送っている。 手術費用も、これからずっとかがみとかがみの主人が 払っていくことになるであろう。 でも、それはかがみの命を救うためだったことを考えると、安いものである。 かがみの子供の名前は、もちろんかがみにとって、 そしてかがみんの主人にとって最も尊敬する人間の名前である。 ”こなた” これからも、決して忘れる事はない。 「ねぇねぇ、お母さん、何かお話してよ。このアニメつまんないよ」 「今、洗濯物取り込んでるから、ちょっと待ってね」 「えーやだー、じゃあ夜のアニメ見るー」 夕方の教養番組で流れているテレビアニメに文句をつけているその少女は、 何故か深夜のアニメの方が好きらしく、夜になってもずっと起きてアニメを見ているのだ。 全く、誰に似たんだか。 「全く、こなたは本当にお話聞くのが好きね。 いいわ、聞かせてあげる。今日のはとても素敵なお話なのよ。 寝るんじゃないわよ?」 「寝ないよ、お母さん。早く!」 外で洗濯物を取り込んでいたかがみは、空を仰ぐようにこう言った。 ─それは、世界一神々しく美しい、”こなた”のボランティアのお話… (終)
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/597.html
今晩の夕食は魚にしよう。 男はそう思い、釣竿と魚を入れるたもと網を持って川に来ていた。 まだ夏になったばかりだが気温は高く、また魚は人を見つけると隠れてしまうので、木陰に隠れて糸を垂らす。 いっぱい釣れたら里で売ってもいいなと気楽に釣りを始めた。 釣りを始めてしばらくが経った。太陽もだいぶ移動している。 釣果は0。まったくと言って釣れていなかった。 餌が悪いんだろうか、と男はいろいろな餌を試してみたがどれにも魚は食いついてこなかった。 もはやあきらめたように木陰に横になる。川を見ながら時間を潰していると近くの草むらがガサゴソと音をたて、ゆっくりが現れた。 ゆっくりはゆっくりまりさと呼ばれる種類で、大きいのが1匹、中くらいのが2匹、小さいのが1匹。 おそらく家族だろう。男はそう思い暇つぶしもかねて様子を見ていた。 やがて川に到着したゆっくりたちは思い思いに水を飲みだした。 「ゆ~、つめたくておいしいー!」 「ゆっくりのむよ!ゆっくりまってね!」 「ゆっ!ゆっ!」 「みずにおちないようにね!あとあまりのみすぎないでね!」 勢いよく水を飲む子供達に親ゆっくりはやさしく注意をしていく。 親ゆっくりは真っ先に水を飲み、その後は子供達の後ろに回っていた。 子供を置いて先に飲むとは酷い親だと思ったが、どうやら水が安全か確かめたらしい。 今も、後ろに回っているのは子供達が水に落ちないように掴んでいるためだった。 やはりゆっくりと言えども子供は守るんだな。 男は知り合いに平気で見捨てる親ゆっくりの話を聞いていたので親まりさの行動に若干驚いたが、 子供を守る親が普通だと思い直し、ゆっくりの話に耳を傾けた。 「みんなそろそろあつまってね!」 「ゆっくりあつまるよ!みんなおねーちゃんについてきてね!」 「おねーちゃんまってー!」「ゆー!」 親の声に真っ先に反応した一番早く生まれたであろう姉ゆっくりがまだ水を飲んでいる妹ゆっくりと、赤ちゃんゆっくりを連れて親の前に集まる。 「ゆ!おねーちゃんはさすがだね!おかーさんうれしいよ!」 「まりさはおねーちゃんだからね!いもうとたちをたすけるよ!」 「おねーちゃんかっこいー!」「ゆゆー!」 「じゃあかわをわたるほうほうをおしえるからゆっくりきいてね!」 「「ゆっくりきくよ!」」「ゆっ!」 今なんと言った。川を渡るだと!? ゆっくりは泳げない。だから潰す以外にも池や用水路に落として殺す。 水の中に入ったゆっくりは必死に出ようとするが泳げないのでどんどん沈んでいく。 やがて体力のなくなったゆっくりは苦しみながら死に、死体は溶けて飾りだけが浮いてくる。 里で捕まえたゆっくりを一匹一匹潰すのは面倒なので最近はゆっくり用に作った池に放り込んで殺すのが里の人の常識となっていた。 男も今まで捕まえたゆっくりを池に捨てたことがあるのでゆっくりが水に浮かないことも知っていた。 そのゆっくりが川を渡ると言うではないか。 釣りに来ていた川は流れがほとんどないような場所で流れに流されるようなことはないだろう。 しかし深さは1mはあるので一度落ちるとゆっくりでは助からないだろう、池のように沈む前に魚の餌になって消える運命が待っている。 男は親ゆっくりの話を詳しく聞くため、ゆっくり親子に近づいた。まりさ種は警戒心が強いと聞いていたので慎重に物陰に隠れて聞き耳をたてる。 「まずはおかーさんがやってみるからね!しっかりみているんだよ!」 「ゆっくりみてるよ!おかーさんがんばってね!」 親ゆっくりがまず手本を見せるようだ。子供たちは飛び跳ねながら応援している。 すると親ゆっくりは自分の帽子を外した。すると帽子の中から木の棒が出てくる。 「みんなすでつくったきはわすれてないよね?!」 「うん!わすれてないよ!ちゃんともってきたよ!」 そういって子供達も親に習い帽子を外し、中から木の棒を取り出す。 木の棒は片端は細く、葉型が付いているので細い方を咥えて使うのだろう。もう片方は平たくなっておりまるでボートのオールのようであった。 ゆっくりが道具を使うことに驚いたが里で見つけたゆっくりたちは石を投げつけたり穴を畑に張り巡らしたロープを引っ張ったり外したりしていた。 ゆっくりの中で頭のよい方のまりさなら使ってもおかしくないだろう。 男はそう納得し、観察を続ける。 「まずはぼうしをみずにうかべるよ!なかにみずがはいらなようにきをつけてね!」 そう言って帽子の天井部分が底になるように水にいれた。帽子は防水加工しているらしく、水がしみこまずにぷかぷかと浮く。 親は帽子が流れないように木の棒で抑えながら、 「ぼうしがながれちゃうとたいへんだからね!きでしっかりおさえてね!」 「ゆ!わかったよ!ぜったいぼうしをながさないよ!」 「ならみんなもやってみてね!あかちゃんはこっちにきてやってね!」 親ゆっくりの注意を聞いて子供達も帽子を浮かべ始める。赤ちゃんゆっくりはまだ不安と判断したのか親ゆっくりがいっしょに抑えてあげていた。 「うかんだらぼうしにゆっくりのってね!ぴったりとはいるようにのるんだよ!」 「ゆっくりがんばるよー!」「「ゆー!」」 「すきまがあるとみずがはいってあぶないしにおうからね!」 慎重に帽子に乗る親ゆっくり、すっぽり入るとゆっくりの重みで帽子の鍔の部分が浮き上がり、水が入らないようになる。 器用に浮いた親ゆっくりは浮いた生首のようで気持ち悪かった。 「ゆ!ゆゆっ!」 「みずこわいよおおお!」 「おかーさんがささえてあげるからがんばってね!」 「ゆー!できたよ!ゆっくりできた!」 「まりさもできたー!」 水がやはり怖いのかなかなか乗れなかった子供達だが、親ゆっくりの手助けで無事乗れたようだ。 一番手間取った赤ちゃんゆっくりは親が咥えて子供達が押さえる帽子に載せることで浮かぶことができた。 「すごいよ!みずのなかがみえるよ!」 「あ、おさかなさんだー!」 「ゆっゆっゆ~」 「きをつかえばゆっくりいどうできるからね!こうやるんだよ!」 「おかーさんすごーい!」 「まりさもやってみるよ!」 「ゆー!!」 親に教えてもらいながらやがて木のオールで起用に動くゆっくり達 水に浮かんだ状態はゆっくりにはゆっくりしやすい条件のようだった。 男ははしゃぎまわるゆっくりたちを見て、面白いおもちゃだと思った。これはしばらく退屈しないですむなぁと。 急いで寝ていた場所にもどり釣り糸と針を用意する。もどるとゆっくり家族は向こう岸に行っておいしいものを食べようということを話していた。 ゆっくり達が向こう岸に行こうと男に背中を向け漕ぎ出す。その速さは名に違わず非常にゆっくりで追いつくのは簡単だった。 男はゆっくりの後ろから帽子に針を引っ掛けていく。4匹すべてに引っ掛けるとまた岩陰に隠れた。 針には釣り糸が付いており、ゆっくりが向こう岸に進むごとに流れていく糸を男は注意深く持ってゆっくりと遊びだした。 「ゆっくりすすんでいこうね!」 「ゆっくりすすむよー!」「ゆー!」 「むこうにはなにがあるの?」 「おいしいものがいっぱいあるよ!れーむやぱちゅりーはわたれないからわたしたちのものだよ!」 「ありすは?ありすはいないの?」 「ありすもいないよ!だからこわがらなくてもだいじょうぶだよ!」 「ありすいないのならだいじょうぶだね!」「ゆっ!」 「もしありすにおそわれたらこうやってにげるといいよ!ありすはかわをわたれないからね!」 「きははだみはなさずもっていてね!なくしたらいってくれたらまたつくるよ!」 「おかーさんありがと!でもこんどはじぶんでつくりたいな!」 「まりさも、まりさもつくる!」「ゆゆゆ!」 「じゃあこんどはきのつくりかたおしえてあげるよ!」 「「おかーさんありがとー!」」「ゆぅ~!」 「おかーさんなにかへんだよ!むこうまでいけないよ!」 「もうちょっとだよ!がんばってね!」 「もうつかれたー!ゆっくりしたいよ!」「ゆぅぅぅぅ」 「がんばってこげばすぐにつくよ!がんばってね!」 「ぜんぜんすすまないよー!」 親まりさは子供達が口を使い上手く漕げているのでとてもうれしかった。赤ちゃんにはまだ早かったがおねーちゃんが助けてあげているので大丈夫だろう。 早く向こう岸についてみんなでおいしいものを食べよう。向こうにはありすもいないから子供達も元気に跳ね回ることが出来る。 木の棒の作り方も教えないといけない。向こう岸にはいい木がいっぱいあるからもって帰ろう。 親まりさの頭はもう向こう岸について楽しむことでいっぱいだった。しかし、漕げども漕げども向こう岸に着かない。 何回もわたったことがある親まりさはおかしいと思いながらも、子供達と一緒だからと思い、子供達を励ましながら懸命にこいだ。 ゆっくりは水に弱い。 帽子に乗っているうちは安全だけども、帽子から落ちたら助からない。もし波がきたら親も子供もまとめて沈んでしまうだろう。 早く向こう岸に渡りたいと思いながら懸命に漕ぐ。しかしがんばってもがんばっても向こうに着かない。 「どゔじでえ゙え゙え゙え゙え゙え゙!」 「お゙がーじゃあ゙あ゙あ゙あ゙あ゙ん゙!」 とうとう疲れたのか漕ぐのを止めて休憩をしだした。早く陸に上がりたいがもう体力がない。子供達も限界だ。 水の上は怖いが、今はありすもいないのでゆっくり出来るだろう。 ゆっくりたちは離れないように木の棒で支えあいながら眠った。 男はそんな様子を岩に座ってみていた。手には4匹につないだ糸がある。 ゆっくりたちがなかなか向こう岸に付けなかったのはこの男が糸を引っ張っていたせいだ。 男はゆっくりが進む力より少しだけ弱く糸を引いた。引きすぎては気づかれる可能性があるからだ。 男がゆっくりが進む力よりすこし弱い力で引くのでゆっくりは自分が上手く漕げてないから遅く見えるだろうという考えだった。 近すぎると戻られたり、気づかれるかもしれないと思ったので引き始めたのは川の真ん中。 男のおかげでゆっくりたちは川の真ん中の辺りで動きがゆっくりになった。 懸命に漕ぐゆっくりの姿や、なぜ向こう岸につかないのかと騒ぐ子供にそれをなだめる親、一つ一つの行動が面白く時間がたつのを忘れてしまった。 男はまだまだ物足りなく、動かなくなったゆっくりが動き出すのを待つ。 それからしばらく経ったがゆっくりが動き出す気配がない。 気になった男はゆっくりに近い岩に移動する。するとゆっくりたちは寝ているではないか。 これでは楽しめない。俺はまだまだ楽しみたいのに。 男は糸の一つを引き始めた。 「ゆっ?ゆゆゆっ!」 「うるさいよ、ゆっくりできないよ」 「ゆ゙ゔゔゔゔゔ!!」 疲れて寝ていると赤ちゃんゆっくりが騒ぎ出した。姉ゆっくりはまだ寝たりないのか赤ちゃんゆっくりに注意する。 親まりさはその悲鳴に何か危険なものを感じたのか目を覚まし、赤ちゃんを探す。そして、 「い゙や゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!ま゙り゙ざのあ゙がぢゃん゙ん゙ん゙ん゙!!」 赤ちゃんゆっくりは先ほどまで一番近くにいたのに今はだいぶ離れてしまっていた。いまだ少しずつ離れていく。 親まりさはすぐに理解した。赤ちゃんが流されている。 「まっててね!すぐおいつくからね!」 「「ゆっくりまっててね!」」 先ほどの悲鳴に気づいたのか子供達も後ろから追いかけてきていた。 しかし、つい先ほど覚えたばかりの子供と熟練した親のオール捌きには明確な差があり、子供達はどんどん放されていく。 親ゆっくりは置いていかれる子供達のことも心配だったが、待っていると赤ちゃんが流されてしまう。 赤ちゃんを優先するべきと判断した親まりさは先ほどまでの疲れを見せないオール捌きで赤ちゃんに追いついていった。 親まりさは赤ちゃんゆっくりを追いかけ上流に上っていった。 男は上流に向かって歩いていく。手には糸。赤ちゃんゆっくりが上流に流れていくのはもちろんこの男の仕業である。 赤ちゃんゆっくりの糸と親と子供達の糸を操りながら男は上流に向かっていった。 赤ちゃんゆっくりに親ゆっくりが追いつこうとすると引く力を強める。離れると親ゆっくりは追いつこうとがんばる。 まだ気づかないのか。いい加減上流に行っていることか赤ちゃんが引っ張られていることに気づかないのかと、親ゆっくりを見るがどうやら気づいていない。 子供達などもう口では助けるよなどと話しているが引っ張っているのは男である。 親ゆっくりに声援を送っているが自分達はのんびりと休んでいるのを見て、置いていこうかとも思ったが後々取りに帰るのが面倒なのでしょうがなく引っ張っていた。 子供達の声援によって一時的に早くなる親ゆっくりのこっけいな姿を見ながら、岩に糸を引っ掛けないように注意して山を登っていった。 「「おかーさん!!」」 子ゆっくりの叫び声でところどころにある岩に注意がいっていた男が親ゆっくりをみる。 親ゆっくりは餡子をはきながら息も絶え絶えに「ゆ、ゆっぐりしでいって、ね・・・」といいながら赤ちゃんを追いかけていた。 そんな状態で赤ちゃんを追いかけ続けるのは母親の愛か。とにかくもう潮時だろう。 男はそう思い赤ちゃんゆっくりを引くのを止めた。赤ちゃんゆっくりの動きが止まる。 「あ゙い゙だがっだよ゙お゙お゙お゙お゙お゜お゜!!」 「おがーじゃああん!」 「ゆっ!しゃべれるようになったんだね!おかーさんうれしいよおおお!」 どうやら追いかける親を見て喋れるようになったらしい、よたよたと姉と親ゆっくりに近づく赤ちゃん。 それを子供達と親は幸せそうな顔で見ていた。赤ちゃんが親に擦り寄ろうと少し身を乗り出した。 「よっと」 「ゆっ?」 ぽちゃん。 男が糸を思い切り引っ張ると帽子が親ゆっくりから離れるように動いた。 乗り出していた子供はバランスを取れず川に投げ出される。 その場にいた者には赤ちゃんゆっくりが水に落ちるさまがスローで写った。 「い゙や゜あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!」 がこぼこと水の中で暴れる赤ちゃんゆっくり。しかしゆっくりは水に浮かない。暴れても沈んでいくのは避けれなかった。 そこに近づく小さな影。どうやら魚達が水に落ちた餌を食べに行ったのだろう。ここからじゃ見えないが親ゆっくりのすごい顔でどうなっているかは想像できる。 子供達も赤ちゃんを見ようと親と同じように乗り出したところで残りの三本の糸を引いた。 ざっぱーん! 三匹が川に落ちたことを確認すると、男は川岸に歩いていった。 「おじさん、だずげでえ゙え゙え゙え゙え゙!!」 親ゆっくりが自分の帽子に捕まりながら叫んでいた、掴んでいる場所から水が入ってすぐに沈むだろう。 自分の未来を想像して絶望していた矢先に男が長い棒を持ってやってきたのだ。まさに天の助けと思ったのだろう。 せめて自分だけでも助かる気なのか、男はそう思いながら釣竿を川に向けた。 男は魚で満たされた籠を持って里に戻った。 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/1855528/pages/127.html
暴言タイプワード一覧 足りない単語は、コメント欄で教えていただけると嬉しいです 以降汚い言葉が続きますがご了承ください NGワードについては(NG)の表記を入れています。 あ行 あなる、あこぎ、あほ、あく、あくとう、あま いしあたま、いぎょう 社会、いちいち、いんわい、いんじゃ、いんぎんぶれい 感情、いなかもの、いくじなし、いやみ、いのちしらず、いんぽ、いやがらせ 暴力、いらまちお、いんきゃ、いらな、いらない、いんぴ、いいあらそい 社会、いらち、いっぱつや、いいだしっぺ、いれぢえ、いいがかり、いきすぎ、いなかっぺ、いんしつ、いまらちお うまのほね、うりことば、うりことばにかいことば、うんどうおんち、うんこ、うんち、うせろ、うっす、うざい 感情、うじ 虫、うじむし 虫、うよ 社会、うらぎりもの、うすのろ、うれのこり、うまづら、うちべんけい、うわっつら、うすげ、うしろゆび、うるさい 感情、うわきもの、うぐ、うちわねた、うわづみ えろ 暴力、えごいずむ 感情、えこひいき おな、おなにー、おぶつ、おたく、おおぐち、おまえ、おもなが、おーるど か行 かんとんほうけい 人体、かまちょ、かす、かんぷ、かえるのこはかえる、かれいしゅう きじょうい、きらきらねーむ、きやすめ、きれいごと、きぶんや、きちく、きざ、きんたま、きえろ、きもい、きたくぶ、きらわれもの、きちがい(NG)、きかんぼう、きにゅう くそ、くそみそてくにっく 暴力、くそくらえ、くそったれ、くんに、くたばれ、くうり、くるくるぱー、くちさき、くいしんぼう、くず、くちべらし、くそげー、くちゃらー、くずやろう けなし、けんかごし、けしずみ、けだもの 動物 こしゃく 感情、こび、こざいく、ころす(NG) さ行 さいてい 感情、さいあく 感情、さいこぱす しね、しぬ、しな、しんけいしつ 感情、しりめつれつ、しっかく、しばく 暴力、しわ 人体、しっこ、しんで、しりがる すまた 人体、すらむ、すっとんきょう、すけべ、すてごま、すっとこどっこい、すきっぱ せくろす、せくはら 社会 そまつ、そあく た行 たんき、たいそう、たられば、たんそく、たんさいぼう ちび、ちーぎゅう、ちつ 人体、ちみもうりょう、ちんぷ、ちせつ、ちじょ、ちんかす 人体、ちんげ 人体、ちくしょう 動物、ちんこ 暴力、ちしょう、ちろう、ちんき つくりもの、つまんね、つくりばなし、つみつくり、つちぐも てこき、てき とんま、とりあたま な行 なきごと、なかだし 暴力、なまごみ、なきむし、なまいき、なんじゃく、なまけもの 動物 にんげんせい、にわか、にせもの、にもつ ぬすっと、ぬるい ねくら、ねらー、ねこぜ 人体 のんべえ、のうなし、のうてんき、のっぽ 人物、のろ、のろま は行 はげ 人体、はんぱ、はなくそ 人体、はめ 暴力 ひす、ひすてりー、ひゃくがい、ひきょう 感情、ひかげ、ひも ふーる、ふけつ、ふもう、ふりょう へんなやつ 人物、へんたい、へりくつ ほらふき、ほら、ほうけい ま行 まぬけ、まけいぬ、まんぽ、まねごと、ましょう、まがいもの、ませ、ませがき、まざーこんぷれっくす、まぞ、まとはずれ、まだお、まどぎわ、ますかき、まんこ(NG)、まかり みっかぼうず、みずしょうばい 社会、みじゅく、みしょう、みごろし、みみくそ むぼう、むだ、むっつりすけべ、むえき、むさい、むめい、むりげー、むしょく 社会、むのう めくそ、めざとい、めめしい、めんくい、めざわり、めくら(NG) もんきー 動物、もう、もぐり、もらはら や行 やぼ、やくび 時間、やくちゅう、やすもの、やから、やろう、やぶいしゃ 医療、やらせ、やじ 社会、やにかす、やくたたず ゆめものがたり、ゆうがい、ゆあか、ゆうめいぜい よわい、よわき、よわむし、よすてびと、よごれ、よまいごと ら行 らしくない、らんぱつ、らんぼうもの 人物 りょな、りんしょく るーぴー、るーざー れいしすと、れっか、れいけつ、れいさい ろくでなし、ろんぱり、ろうかい、ろうがい 人物、ろりーたこんぷれっくす、ろまんちすと、ろーとる、ろうぜき、ろてい わ行 わきが 人体、わる、わるもの 人物、わるさ、わがまま、わざわい、わすぷ 機械、わすれんぼう、わいざつ、わるぢえ が行 がんこ、がき、がいじ、がんくび ぎぜんしゃ ぐしゃ、ぐのこっちょう、ぐぐれかす、ぐず、ぐさく、ぐれんたい 人物、ぐこう げろ 暴力、げせわ、げどう、げす、げば、げばひょう 社会、げてもの 食べ物 ごみむし 虫、ごみ、ごうご、ごたく、ごろ、ごろつき ざ行 ざこ、ざつ じいしきかじょう、じこちゅうしんてき、じしんかじょう、じじい、じゃま 感情、じじー、じゅくじょ、じこちゅう、じぼうじき 感情、じゃあく、じゃくしゃ ずぶ、ずうずうしい、ずぼら、ずるがしこい、ずたぼろ、ずら 服飾、ずんぐり ぜいたく、ぜいにく ぞうきんがけ、ぞんざい だ行 だら、ださく、だいこんやくしゃ、だめだし、だっちわいふ、だすと でぶ、でっぱ 人体、でくのぼう、でまかせ どぶ、どうるい、どんぶりかんじょう、どかた 人物(NG)、どがいし、どんくさい、どーぷ、どれい 人物、どっちつかず ば行 ばか、ばかやろう、ばーか、ばばあ、ばとう、ばせい、ばちがい、ばじとうふう、ばけもの、ばばぁ びっち、びんぼう、びり、びじれいく、びっこ(NG)、びんぼうがみ 宗教、びょうき ぶさいく、ぶす、ぶんけい、ぶろう、ぶざま、ぶかっこう、ぶれいもの、ぶきよう、ぶーいんぐ、ぶりっこ、ぶっきらぼう、ぶらく(NG) べんとうもち 人物 ぼけ、ぼんくら、ぼろ、ぼぼ 人体、ぼろくそ ぱ行 ぱー、ぱぱらっち、ぱあ、ぱくり、ぱいぱい ぷー、ぷーたろう、ぷあ、ぷりけつ 人体、ぷっしー、ぷりまどんな、ぷぎゃー ぺー、ぺーぺー、ぺにす 人体 ぽえむ 芸術、ぽんこつ 機械 編著:ぴょん このページの最終更新日時は2023年08月06日 (日) 19時34分54秒です コメント 名前 しりがる が抜けていました - かりうむ (2023-08-05 15 21 49) なまけもの 動物が抜けています - はるよし (2023-08-04 23 10 18) 追加しました - ゟ (2023-08-05 00 24 06) いまらちお が抜けていました - かりうむ (2023-06-26 18 05 33) 追加しました - ゟ (2023-06-26 18 08 47) 修正を反映しました。 - ゟ (2023-03-08 19 55 42) いきすぎ、いなかっぺ、いんしつ、うぐ、うちわねた、うわづみ、はなくそ 人体、はめ 暴力、ひも、やくたたず、よまいごと、ばけもの、ばばぁ、びょうき 要削除:うすのろ(2個ある)、じじい(2個ある)、ぶー(ノーマル単体) 訂正:びれいじく→びじれいく 追記・修正は行なっておりません - かりうむ (2023-03-08 19 10 43) 暴言タイプはこれで過不足がなくなったと思われます - かりうむ (2023-03-08 19 12 25) いきすぎ、うわきもの、きかんぼう、きにゅう、くずやろう、しっこ、しんで、すきっぱ、のろ、のろま、まかり、むのう、ろうぜき、ろてい、ころす(NG) 訂正:かんぶ→かんぷ、どかた 人物→どかた 人物(NG) 追記・修正は行なっておりません - かりうむ (2023-03-03 23 18 27) むしょく 社会、ゆうめいぜい、ろーとる、ぐこう、だすと、ばじとうふう、わいざつ、わるぢえ 暴言タイプでない:わいせつ 暴力単体、ださい 感情単体 複合が未記載:わるもの 人物 追記・修正は行なっておりません - かりうむ (2023-02-27 22 28 10) しばくの複合は暴力だよね - 名無しさん (2023-01-30 10 49 23) いいがかり、おおぐち、おまえ、おもなが、おーるど、すっとこどっこい、たんさいぼう、ちしょう、ちろう、ちんき、なきむし、なまいき、なんじゃく、ますかき、ずたぼろ、ずら 服飾、ずんぐり、ぶっきらぼう、ぼろくそ - かりうむ (2023-01-14 16 21 46) なまごみ - 名無しさん (2023-01-06 11 50 57) 追加しました - かりうむ (2023-01-14 16 25 04)
https://w.atwiki.jp/futsu_netradio/pages/700.html
ふつらじマスコットキャラを作ろう! ~発表ページ~ ふつらじマスコットキャラを作ろう!の発表ページです。 たくさんのご応募ありがとうございました~っ!! ※五十音順 ※本企画は投票で1キャラに決める企画ではなく投稿を紹介する企画になりました。 【 キャラクター名 】DJ ダークメタモルフォーゼドラゴン 【 キャラクターについて一言(アピール) 】 さいきょうなので、だれもかてません 【 キャラクター名 】:徳川オセロット 【 キャラクターについて一言(アピール) 】: カッパの姿というのは、人それぞれのイメージで描かれていると思います。ふつらじDJの中でも聴いたことがない人は、放送中のレスやテンプレなどを見て自分の中でイメージをしていることもあると思います。そこから真の姿を見るために放送を聴くリスナー、真の姿を見つけるためにカッパを探す人々。この事が似ていると思いカッパをモデルにしました(もちろん、カッパは私の中のイメージですが)。ちなみに、胴体はキュウリに思われがちですが、バトンなのでお間違いなく。 また私は絵が下手ですが、「絵がダメな人でもふつらじマスコットに勇気を出して応募した=トークが下手だけど勇気を出してふつらじで放送を始めてみよう」という新人DJさんへのきっかけになっていただければ、これほど嬉しいことはございません。(制作者:ふつらじ界の若松勉) 【 キャラクター名 】バトン徒郎 【 キャラクターについて一言(アピール) 】 飽きっぽい性格で、ディアゴスティー二―の週刊シリーズの創刊号だけ色々持っている。最近、レクター博士をかっこいいと思ってしまう厨二な自分にとまどっている。ウィスコンシン州で、電気屋を営んでいる親戚にコンプレックスを抱いている。FMラジオ局に務めるのが夢。体は赤いが、スパイダーマンよりヴェノムの方がかっこいいと強調したがる。ハイスクール時代に無二の親友と女友達を取りあったことが、彼の心にちょっとした傷を残した。 【 キャラクター名 】:ふつらじ君 【 キャラクターについて一言(アピール) 】: 潜在能力ははんぱない。 , -ァ'´ ̄二ニ=-=ニ二 ̄`ヾヽ { { / BL `ヽ } } V∨ ,┐ ,┐ ムヘ/ / り り 、 ヽ ,イ ,イ / ̄`ヽ / ̄`ー-' } li // { `ー'´ __ -‐-∨'´ ̄` ー-イ !} .{ { ト ニ二_ --‐大´ ̄` ‐ブ !}{ { ヽ、___,/  ̄ ̄´ リ よくぞ放送してくれた ヽヽ ||| /′ 褒美としてふつらじで放送する権利をやろう \ .||| / \ 湯切り口 / ☆ /ヽ、--ー、__,-‐´ \─/ / ヽ▼●▼ \ ||ー、. / ヽ、 \ i |。| |/ ヽ (ニ、`ヽ. .l ヽ l |。| | r-、y `ニ ノ \ l | |ー─ |  ̄ l `~ヽ_ノ____ / ̄ ̄ ̄ ̄ヽ-'ヽ--' / ふつらじ /| .| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|/| | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|/| ______ / ̄ふつらじ /|  ̄|__」/_ ふつらじ /| ̄|__,」___ /| | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|/ふつらじ  ̄/ ̄ ̄ ̄ ̄|/ ふつらじ /| / .| | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|/l ̄ ̄ ̄ ̄| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|/| / | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| 百合大好き ヽニ=^ヽ ヘ二ニッ .l゛゛! ,,,,,,, ( (´ ,,,....,, ┌、 ` .| | |,,||,,|  ̄Ζユ ,, ,、ヽ`、ェ;、 ヽニ''ニ-ー、ヽ .| l゛,,-ニ,,!-、 .| |  ̄_Ζ_」 { ` r-J }l,_l _,,ノ ノ ,! ゛/゛ `゛l ゛l .| | ,l''ッ . /┌―┐ ´ `'ー''´ -=' - ' ´ ゛‐'` _ノ ," | ゛l、 ,,/丿 |_____」 'lニ二-'" ゛-二ニ-'′ 【 キャラクター名 】ふつらじ戦士ワクテカマソ 【 キャラクターについて一言(アピール) 】: 次DJにワクテカしながら踊ったり、落ち込んだらあれを歌ったりします。 今日もまったり進行なふつらじの平和を守ったり守らなかったり。 初心者さんでもラジオに挑戦だ! ♪ ∧,_∧ だから、次のDJにもwktk ((( ´・ω・`) っつんてんだろー!! __ 〃`ヽ〈_ . . γ´⌒´--ヾvーヽ⌒ヽ- ,, 落ち込んだらあれを歌おうぜ! /⌒ ィ ./\ ); `ヽ- ,, / ノ^ 、_| 普 | ._人 | . "- ,, ! ,,,ノ爻\_. \/_ノ_ ))) \, | _ \ヘ、,, _(_と____\_/ ヽ,, |ヽ_/ \)ゝ、__,+、__rノ ̄ \ | ヽ、____つ_)─┬〈 "-., | /. | リ |, | ゝ | (( /"" | レ.| | ミ | レ | |.| リ "- ,, | / ノ.|__| | "- ,, .| | ,, ソ ヽ ) ,,,-ー" | .,ゝ ) イ ヽ ノ ,,,-ー" .| y `レl 〈´ リ ,,,-ー" | / ノ | | / """" l ̄ ̄/ l ̄ ̄| ,,,- 〉 〈 `ー-ー-| |-ー" / | (_ \ (__ノ \___) 【 キャラクター名 】ふらすきー500 【 キャラクターについて一言(アピール) 】 ふつうのねこ。なぞのじんぶつミスターXもいるよ! 500はわんこいんってよむんだって! ぱくりじゃないよ! ( X ) ,.ヘ__ヘ し─J (^ω^U) わんわんお! u,__っ) 【 キャラクター名 】もっちん 【 キャラクターについて一言(アピール) 】 すっごいのびるよ! ._,,(~),,_ / ・ω・ヽ {i i i i i i i i i} 【 キャラクター名 】ひぐま 【 キャラクターについて一言(アピール) 】 聴いて、レスして、放送しよう! みんなダイスキふつらじを、 一匹のわんこで表現してみました。 下記投票結果により名前が決定しました!! ひぐま 35 (43%) ふつらべろす 23 (28%) スラッシャー板尾 6 (7%) 犬書きたかっただけだ朗 6 (7%) トライくん 3 (4%) 名犬フツラッジー 3 (4%) きょうのわんこ 2 (2%) 庶犬三(しょけんさん) 2 (2%) ふさとりお 1 (1%) パトラッシュ^^ 1 (1%) 投票総数 82 ※3/31以降の投票は無効になっています。 ⊂ミ⊃^ω^ )⊃ アウアウ!! な番外編 【 キャラクター名 】ふつわん 【 キャラクターについて一言(アピール) 】 犬です。中に人はいます。 【 キャラクター名 】:ハルちゃん 【 キャラクターについて一言(アピール) 】: かわいくかけました
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/1942.html
※東方キャラ出現注意 ※性格の悪いゆっくり出現注意 よく晴れたコバルトブルーの空を鴉天狗の少女が忙しそうに飛んでいた。 「号外~号外だよ~幻想郷一早くて正確な『文々。新聞』だよ~」 名前は射命丸文。 彼女は『文々。新聞』という新聞の発行を行っている。 とは言ってもこの新聞の発行は不定期で多くても月五回ほどしかなく、ほとんど趣味のようなものである。 「お~い、文ちゃ~ん」 文を見つけた老人が縁側から手を振る。 それに気付き文はゆっくりと速度を落とし庭先に降りる。 「こんにちわ、田中のお爺さん。はい、『文々。新聞』です」 「いつもすまないねぇ。歳をとると出掛けるのも億劫でな。文ちゃんの持ってきてくれる新聞は数少ない楽しみの一つなんじゃよ」 「あやや、ありがとうございます」 老人の嬉しそうな顔に思わず営業スマイルも崩れ、素の笑みが浮かぶ。 どちらかというと『文々。新聞』は内容を叩かれる事が多い(主に記事にされた人間や妖怪から)。 しかし里の人間には人知を超えた熱く華麗な弾幕ファイト、そして稀に特集される美少女たちを目当てになかなかの人気を博している。 お世辞にも娯楽が盛んだとは言えない幻想郷においてこの老人のように文の発行する新聞を楽しみにする人間は珍しくないのだ。 「おおぅ、そうじゃ。これを持って行きなせぇ。あのわんちゃんと一緒に食べてくれ」 「あややや! これはおいしそうなおはぎですね。ありがとうございます」 「それでは今後とも『文々。新聞』をご贔屓に」 「おう、気ぃつけてなぁ~」 その様子を縁の下から見ていた一匹のゆっくりがいた。 * 所変わって同日の夕方、人間の里付近のゆっくり集落にて。 「ゆゆっ? しんぶんをつくるの?」 「そうだよ! しんぶんをつくってにんげんからたべものをもらうんだよ!」 文の新聞配達を老人宅で見ていたゆっくりまりさは集落に帰るとゆっくり会議でみんなにその出来事を伝えた。 この会議では冬篭りのための食料収集が芳しくない状況をどう打破するかを話し合っていた。 昨年までは人間の家から盗んできた食べ物で賄っていたが人間たちがゆっくり対策を始めたせいで容易には侵入できなくなった。 そして会議と言っても所詮は餡の集合体でしかないのでいつも碌な案が出ずにお開きになっていた。 そんな状況の中、まりさから得られた情報はこの集落のゆっくりたちが春まで生き延びるための最後の望みになった。 だが一匹のゆっくりがまりさに疑問をぶつける。 「でもしんぶんってなにをかけばいいの?」 「ゆっ!? う~ん……」 まりさは新聞というものを人間にあげれば食料を貰えるということを知っているだけで新聞自体がなんであるかは知らなかったのだ。 せっかく見えてきた希望がまた遠ざかろうとしている。 困り果てていたみんなのところへ集落一の知識者であるゆっくりぱちゅりーが現れた。 「むきゅ! ごめんなさい! ばんごはんをゆっくりたべていておそくなったわ!」 「ゆゆっ! ぱちゅりー! ちょうどいいところにきたよ! 」 「ねぇぱちゅりー! しんぶんってなにがかいてあるかしらない?」 「ちんぽー?」 打ってつけのゆっくりの登場にみんながぱちゅりーに質問する。 その辺にいる見せ掛けだけのぱちゅりー種とは違い、まともに知識を持つこのぱちゅりーは冷静に答えを導き出した。 「しんぶんはおこったできごとやいろいろなじょうほうをみんなにつたえるためのものよ! でもそれがどうしたの?」 「ゆゆっ! まりさたちでしんぶんをつくるんだよ!」 「そしてたべものをもらうんだよー! わかるよー!」 取らぬ狸のなんとやらと言う言葉がお似合いのように、ゆっくりたちはまだ見ぬ食べ物を思い浮かべ涎を垂らしている。 新聞を作るという話を聞いたぱちゅりーはみんなとは対照的に浮かない表情をしている。 「むきゅう……でもしんぶんはつくるのがむずかしいわ! そんなことよりじみちにたべものをあつめたほうが……」 「そんなこというならぱちゅりーはひとりでたべものをあつめてね!」 「れいむたちはしんぶんをつくってらくしてたべものをあつめるからね!」 「わけてあげないよー!」 「おお、みじめみじめ」 ぱちゅりーの意見はもう食べ物が手に入った気でいるゆっくりたちの耳には届かなかった。 こうしてぱちゅりーも渋々新聞作りをやらざるを得なくなったのだ。 翌日。 ゆっくりたちは食料集めもせず朝から新聞制作を開始した。 紙はその辺の民家から盗んでいた和紙、筆記具は同じく盗んできたクレヨンと鉛筆だ。 大量に作らないといけないためゆっくりは家族ごとや気の合う仲間に分かれて作業をする。 「ゆゆっ! みんなおえかきしちぇるよ!」 「れいみゅもかかしぇちぇね!」 作業を見た赤ちゃんゆっくりが勝手に新聞に絵を描きだす。 「ゆゆっ! これはあそびじゃ……」 「まってよれいむ! あかちゃんたちのえをみてごらん!」 「ゆゆ?……うわあ! すっごくかわいいね!」 「でしょ? きっとにんげんもこのえをみてゆっくりできるよ!」 「そうだね! れいむたちのあかちゃんはてんさいだね!」 また別の場所では、 「まりさたちでれみりゃをたおしたことをかくんだぜ!」 「ゆゆっ! しんぶんにかいてみんなにつよさをしらしめるんだぜ!」 自身の武勇伝を書くものや、 「とかいはのありすはしんぶんにすっきりすとをかくわ!」 「やっぱりいちばんはまりさね! あのふわふわのかみとすてきなぼうしをみるとおもわずすっきりしたくなっちゃうわ!」 どのゆっくりが一番すっきりできるかを書くものや、 「きのうはばんごはんにおさかなをたべたよー!」 「それをしんぶんにかくんだねー! わかるよー!」 昨日食べた晩御飯を書くものや、 「ちんぽー!」 「ちんぽー!」 ひたすら卑猥な言葉を書くものがいた。 そして丸一日かかって新聞を作り次の日の早朝、ゆっくり新聞の配達の日がきた。 * 「ゆっくりおきてね! ゆっくりしんぶんだよ!」 「ゆっくちちんぶんだよ!」 民家の前で家族揃って大声で叫ぶゆっくり。 程なくして住民が現れた。 「朝っぱらからうっせぇぞ! 饅頭共が何の用事だ!」 非常に機嫌の悪い男が出てきた。 早朝から不快な声で起こされ玄関に並ぶ気味悪い大小の饅頭家族が目に入ったのだ。 これで機嫌を悪くしないほうがどうかしてる。 しかしこのゆっくりの一家は全く空気が読めなかった。 「ゆゆっ! おじさん! まりさたちしんぶんをもってきたよ!」 「だからゆっくりたべものをちょうだいね!」 「ちょうらいね!」 まりさは頭の上に乗せた新聞と思われるものを男の前に差し出す。 子供たちはれいむに輪唱する形で食べ物を要求する。 「次大声出したらぶっ飛ばすぞ!」 男はゆっくりを無視しさっさと玄関を閉めてしまった。 「ゆゆぅ! どおしてうけとってくれないのおぉ!? れいむのあかちゃんもいっしょうけんめいかいたのにぃぃ!」 「きっとまりさたちのげいじゅつがわからなかったんだよ!」 「ゆゆっ! そうだね! おじさんはばかだからわからなかったんだね!」 「つぎのおうちでゆっくりたべものをもらおうね!」 今度はその隣の家の前に整列した。 「ゆっくりおきてね! ゆっくりしんぶんだよ!」 「ゆっくちちんぶんだよ!」 しばらくして中年の男が出てくる。 扉を半開きにしてゆっくりの様子を窺っているようだ。 「ゆっくりしんぶんだよ! ゆっくりよんでね!」 「よんだらたべものをちょうだいね! おかねでもいいよ!」 「おきゃねでもいいよ!」 まりさが玄関の男の前まで行き口で新聞を差し出す。 やっとこのゆっくりたちが何をしているのかを把握した男は無言でまりさを蹴り抜いた。 「ゆぶぅぅ!!」 「ま、まりざあああぁぁぁ!」 「おとおしゃぁぁん!」 まりさは木に強く叩きつけられ持ってた新聞は宙を舞った。 餡子を吐き出しながらビクビク痙攣している。 幸いにも命に別状は無いようだ。 「ゆぐぐうぅぅ! どぼぢでこんなごとずるのおおぉぉ!?」 「ゆっくちおとうしゃんにあやまっちぇね!」 「あやまれー!」 れいむと子供たちが男の入っていった家に抗議の声を上げる。 だがそれがいけなかった。 「うるせえっつたろうがこのクソ饅頭が!」 さっきの家の男である。 隣でも大声を出しているのを聞いてとんできたのだ。 男は手に持っている爆竹の束をゆっくりに投げつけた。 快音を立ててゆっくりの近くで爆竹が破裂する。 「あちゅいよ! ゆっくちやめちぇね!」 「ゆぎいいぃぃ!」 「いだい! ゆっくちできない!」 爆竹は殺傷力の低いものだったが貧弱なゆっくりには大ダメージだった。 「次はねぇぞ! いいな!」 男は爆竹でところどころ焦げたゆっくりを見ると再び家に帰っていった。 新聞は蹴られた時に遠くへ飛んだので幸いにも引火する事だけはなかった。 「ゆゆぅぅ……ここはゆっくりできないよ!」 「ほかのところでゆっくりしんぶんをくばろうね!」 「ゆゆっ! きっとこんどはたべものもらえるよ!」 まりさたちは体に負った火傷も気にせず、食べ物が貰えると信じてまた配達を始めた。 しかしその希望も空しくどこの家でも追い返されてしまった。 このままではいけないと作戦を練ったまりさたちは一旦子供たちだけで新聞を配達させる事にした。 「「「ゆっくちおきちぇね! ゆっくちちんぶんだよ!」」」 「あかちゃんたちだけならきっとうけとってくれるよ!」 「ゆゆっ! れいむのあかちゃんたちかわいいもんね! これならきっとせいこうするよ!」 子供だけならかわいさのあまり受け取ってくれるかもしれない。 自分たちなら絶対引っかかってしまうすばらしい作戦だ。 まりさとれいむは近くの木の陰に隠れて子供たちの様子を見ていた。 玄関では男と子供たちが会話しているようだ。 今まで会話すら出来なかったのだから大きな進歩だ。 やはり作戦に間違いは無かったのだと両親は思った。 「……これは何が書いてあるのかな?」 ゆっくりたちが書き殴った文字のような絵。 当然人間に読めるわけが無い。 新聞を配達し始めて初めて話を聞いてくれる人間の登場に子供たちが饒舌に説明しだす。 「これはにぇ、かっこいいおとおしゃん!」 「こっちはおかあしゃんでふたりはらぶらぶなんだよ!」 「それでにぇ、こっちはかわいいれいみゅたち!」 説明を聞いたが絵はさっぱり分からない。 果たしてこれを新聞と言ってもいいものなのか。 聞いた限りだとこれはただの絵だ。 興味本位で見てみたがどうみてもただの紙ゴミにしか見えない。 断ろうと思っていた男に驚くべき言葉が聞こえてきた。 「よんだらゆっくちたべものをちょうらいね!」 「おきゃねでもいいよ!」 「いちまんえんでもいいよ!」 どうやら新聞と引き換えに食べ物を貰おうという魂胆らしい。 しかも向こうの影でこっちの様子を窺っているゆっくりがいる。あれはこの子の両親だろう。 男はゆっくりが赤ちゃんをだしに食料を集めている事を把握した。 そしてその腐った根性に腹を立てた。 赤ちゃんを隠れる両親にも分かるように高々と摘み上げる。 「ゆゆっ!おしょらをとんでいるみたい♪」 「ああ、今飛ばしてやるよ」 そのままの体勢から赤ちゃんを傍にあった井戸に投げる。 両親が止めに行こう駆け出した時には既に遅く、赤ちゃんが発した着水音だけが響いてた。 「ま゛、まりざのあがぢゃんがあああぁぁ!!」 「れいむ゛のあがぢゃんがえじでええぇぇ!!」 「まりしゃのおねえちゃんがあああぁぁぁ!!」 「あの子みたいになりたくなかったら二度と来るなよ!」 男は音を立てて玄関の扉を閉めた。 まりさとれいむは急いで子供の落ちた井戸に駆け寄る。 井戸の縁に登って中を見ると蟻のように小さい子供が見えた。 「ぶぐぶぐ……しじゅんじゃうよ! ゆっくちたしゅけてね!」 子供は両親を信じて必死に助けを求めていた。 「おとおしゃんたしゅけてね!はやくたしゅけてね!」 しかし人間の作った井戸はゆっくりにとっては深く、降りたら最後だ。 「ごぼっどぼじてえぇぇ! なんでみんなみてるだけなおおぉぉごぼごぼ!」 普段なら助けてあげてと騒ぐゆっくりの姉妹もこの深さに黙り込んでしまった。 「もっどゆっぐぢ……しだがっだよ……」 子供の最後を見届け、れいむとまりさは悲しみに暮れながらその家を後にした。 そして悲しみに暮れたゆっくりは変貌した。 「れいむ! まりさいいことかんがえたよ!」 「どおしたのまりさ?」 「にんげんがしんぶんにきをひかれているうちにやっつければいいんだよ!」 「そうだね! れいむたちのしんぶんをりかいできないにんげんがわるいよね!」 「そーだ! そーだ!」 「まりしゃはちゅよいもんね!」 ただの強盗に成り下がっていた。 だがこのゆっくりたちは非常に運が悪かった。 普通の人間に当たっても結末は変わらないのによりによって一番当たってはいけない人間に当たってしまった。 「ゆっくりしんぶんだよ! ゆっくりよんでね!」 「よんじぇね!」 まりさたちは他の家よりも少し大きくて豪華な屋敷の前にいた。 どうせ狙うのならお金持ちの家がいいと判断した結果だ。 しばらくすると家の中から女の子がでてきた。 頭に飾った綺麗な花と黄緑と黄色と赤のカラフルな着物が印象的なかわいい女の子だ。 (「ゆゆっ! よわそうなにんげんだよ!」) (「これなららくしょうだね!」) まりさとれいむは目を合わせニヤリと笑う。 「まあ、こんな朝早くから何の御用かしら?」 女の子は他の人間とは違い早朝に押しかけたゆっくりに対してとても礼儀正しかった。 まりさは新聞を口で差し出す。 「ゆっくりしんぶんだよ!」 「へぇ! 新聞を書いたんですか? どれどれ……」 そして女の子が新聞を手に取った瞬間、 「ゆっくりしね!」 隣にいたれいむが女の子に襲いかかる……がその言葉がれいむの最後の言葉になってしまった。 襲い掛かったれいむに女の子の手が貫通していた。 れいむは口をぱくぱくさせるがそれはもはや声にならなかった。 想定外の事に残ったゆっくりも悲鳴を上げるだけだった。 「れいむがあああぁぁぁ!!」 「おかあしゃああん!!」 「へんじしてええぇ!!」 騒ぐゆっくりをよそに女の子はれいむから腕を引き抜くと瞬く間に子供たちを捕らえた。 今、彼女の広げられた左右の手の指と指の間には子供たちが全員、合計で八匹挟まれている。 その一連の動きは非常に洗練されていて、とても普通の少女が成せる動きとは思えなかった。 「ゆゆっ! ゆっくちはなしちぇね!」 「くるしいよぉぉ!」 「おとうおしゃぁぁん!」 「ふふっ、早起きは三文の得と言いますけれどもまさか本当に得になるとは……私も驚きです」 女の子は指に挟まれた赤ちゃんゆっくりを観察する。 「あら? よく見たらところどころ焦げてるわね……なかなかのセンスね」 火傷を見て何かを把握したかのように女の子は頷いていた。 まりさはあの手馴れた赤ちゃんゆっくりの捕獲を見て思った。勝てる相手ではないと。 こうなるとその後の行動は早かった。 「ゆゆっ! ずらかるんだぜ!」 「どぼじでみずでるのおおぉぉ!?」 「おとおしゃんだずげでええぇぇ!」 「うらぎりも゛のおおぉぉぉぉぉ!」 まりさは子供たちの助けを無視し逃走してしまった。 「あらら……ここに玄翁があれば始末できたのに残念……まいっか、今日はこの赤ちゃんで楽しみましょう♪」 「ゆゆぅぅぅ! たしゅけてぇぇぇ!」 「いやあぁぁぁ! だれかあぁぁぁ!」 女の子は「稗田」と書かれた表札の付いた屋敷の中へ戻った。 連れて行かれた赤ちゃんゆっくりがどうなったかは誰も知らない。 * その日の夕方。 朝出発してなかなか戻ってこないゆっくりたちに留守番していたぱちゅりーは不安になっていた。 秋の天気は崩れやすく黒い雲が空を覆い、強い風が周りの木をギリギリと軋ませている。 「むっきゅ~ん……みんなどうしたのかしら?」 そこへ瞳を涙でぬらしたありすが帰ってきた。 ただならぬ事態にぱちゅりーが動揺する。 「むきゅう! ありすどうしたの? なんでないてるの?」 「かわいいあかちゃんがみんないけにしずめられちゃったああぁぁ! ありすはとかいはのしんぶんをくばっていただけなのにいいぃぃ!」 ありすを宥めていると続々とぼろぼろになったゆっくりたちが帰ってきた。 それぞれ配達先でひどいことをされたというのが見てわかる。 ぱちゅりーは他のゆっくりたちにも話を聞いた。 そして冬篭りの食料を集めるどころか多くの仲間を失う結果となったことを知った。 子供たちを見捨てたまりさもようやく帰ってきた。 「……た、ただいまなんだぜ」 「まりさ! あなたのかぞくはどうしたの?」 「まりさはすきをついてにげたけどれいむとあかちゃんは……」 「それいじょういわなくてもいいわ! つらかったわね……」 「ううっ、ぱちゅりーはやさしいんだぜ……」 ぱちゅりーに頬を擦り付けられるまりさ。 家族を失った悲しさなどここに帰ってくるまでにどうでもよくなっていたがぱちゅりーの肌が心地よくて悲しんだ振りをしていた。 そしてれいむがいなくなった代わりにぱちゅりーと結婚しようとなどと考えていた。 ぱちゅりーの肌を堪能していたまりさだがその帰宅に気付いたゆっくりたちがぞろぞろと詰め寄ってきた。 「もとはといえばまりさがしんぶんをつくろうっていったのがいけなかったのよ!」 「そうだねー! まりさのせいだよー!」 「おかあさんをかえせ!」 「ちんぽー! ちんぽー!」 ゆっくりたちが怒りの表情でまりさを責める。 まりさ種に優しいありす種でさえ怒っている。 雲行きのよくない状況を見たぱちゅりーが間に割って入る。 「むきゅー! まりさもかぞくをうしなってかなしんでるのよ! せめるなんてひどいわよ!」 「そうだぜ! まりさはひがいしゃなんだぜ! やさしくしてほしいんだぜ!」 まりさもいつも通り自分は悪くないと言い張る。 そんな陳腐な言い訳も今のゆっくりには火に油を注ぐだけだった。 「ぜんぶまりさのせいよ! まりさのせいでありすのかわいいあかちゃんはしんだのよ!」 「ぱちゅりー! どくんだよー! まりさはここにいちゃいけないゆっくりなんだよー!」 「おかあさんのかたきいぃぃ!」 「ちんぽー!」 ぱちゅりーの必死の静止も聞かず大人から赤ちゃんまでみんなでまりさに襲い掛かる。 「やめるんだぜ! いだいんだぜ! はなずんだぜ!」 「ゆっぐりじね! ゆっぐりじね!」 「わかるよー! まりさのようなやつがいるからせんそうがおわらないんだよー!」 「くるしんでしね!」 「ちんぽー!」 運動神経が高いまりさ種だがこの人数差ではなす術もなかった。 自慢の帽子は破れ、頬も食い破られ餡子が漏れ出している。 それでもゆっくりたちはまりさを攻撃するのをやめない。 「だれかああぁ! けんかをとめてぇぇ! まりさがしんじゃうううぅぅ!」 ぱちゅりーの叫びが巣の中を木霊する。 願いが届いたのか一人の少女が巣の前に現れた。 「あやや、やっと見つけましたよ! 貴方たちが新聞を配ってたゆっくりですね? 取材を伺いに来ました射命丸文です。どうぞよろしく」 いつもの営業スマイルをゆっくりにも向ける文。 ゆっくりたちもまりさへの攻撃を止め視線を射命丸へと移す。 ぼろ布になったまりさにもその姿が目に映る。 あの時縁の下で見た光景が、みんなで楽しく新聞を作る光景がまりさの頭の中にフラッシュバックする。 「お……おまえさえいなければ……まりさは……」 まりさがずるずると這いながら文に近づく。 「あやや!? どうしたんですか? このゆっくりボロボロじゃないですか?」 「おまえさえ……いなければっ!」 自分の方を激しい憎悪を込めた瞳で睨むまりさに文は疑問符を浮かべる。 面識の無い他のゆっくりはまりさが何故文を睨んでいるのかがわからない。 「あの……私、何か粗相をしましたでしょうか?」 「まりさはわるくない! おまえのせいでこうなったんだ! ゆっくりしね!」 まりさは質問に答えず文の足首に噛み付いた。しかし相手が人間ならいざ知らず、人間を遥かに越える鴉天狗である。 渾身の力を込めた噛み付きも文の白く細い足に傷一つ負わせる事ができなかった。 「……椛」 「はい、先輩!」 文の合図に草むらに隠れていた椛が写真機のシャッターを切る。 「今の光景を写真に撮りました。今度の新聞にあなた方が非常に危険で排除するべき存在であることを写真付きで掲載させて頂きます。取材ご協力ありがとうございました」 まりさに噛み付かれながらも笑顔を崩すことなくゆっくりにお辞儀をする文。 その笑顔に見る見るうちにゆっくりたちの顔が青ざめていく。 「むきゅううぅぅぅ! それだけはやめてぇぇぇ!」 「やめてよー! ゆっくりできなくなるよー!」 「おねえさんおねがいいぃぃ!」 「私のモットーは『清く、正しく』ですのでありのままをみなさんに伝えるだけです。それでは」 文は飛び立とうとしてまだ足に噛み付いているまりさに気がついた。 「……そしてこれは正当防衛です」 腰に挿していた団扇を一振りすると目の前に巨大な竜巻が現れた。 竜巻はその場にいた全てのゆっくりを巻き込み、巣を削り壊し、草を刈り取り、木をなぎ倒し、岩を跳ね飛ばした。 「せんぱーい、少しやりすぎじゃないですか?」 先を飛ぶ文に山から伸びる一本の竜巻を見ながら椛が問う。 「新聞記者に危害を加えてきたんだから当然です……あ、田中のお爺さんからおはぎを貰ってるんで夕飯後に一緒に頂きましょう♪」 「……はーい♪」 椛はこの人だけは敵にまわさないでおこうと決心するのであった。 * まりさは水滴の滴りで意識を取り戻した。 正確には雨が降り出していた。 ボロボロになった体を起こし周りを見渡す。 そこにはまりさの家も草も木も岩もなく、小石と抉れた大地だけが広がっていた。 「ゆうううぅぅ!? みんなどこ? おうちは? ぱちゅりーは!?」 まりさは体を引きずりながら仲間を探す。 帽子を失い、頭に雨が降ってくるのも構わなかった。 しばらくして折れた木の前に髪飾りが集められている場所を見つけた。 そしてそこにぱちゅりーがいた。 「ゆゆぅ! ぱちゅりー! いきてたんだね!」 「……」 「みんなしんだかとおもったよ! でもよかったよぱちゅりーだけでもいきてて!」 「……」 「ねぇ、ぱちゅりー! いきなりだけどまりさとけっこんしてほしいんだぜ!」 「……」 「みんなしんじゃったけどまりさといっぱいすっきりしてあかちゃんつくってまたたのしくやっていこうだぜ!」 「……」 「ぱちゅりーきいてる?」 呼びかけても反応の無いのでまりさが覗き込もうとした瞬間ぱちゅりーは振り返った。 ぱちゅりーの口には尖った枝が咥えられていた。 とっさの出来事に避ける事ができず腹を貫かれる。 まりさは目の前の現実が信じられないといった顔でぱちゅりーを見た。 「ゆ゛ぐっ……どぼじで……」 「まりさの……まりさのせいでれいむもありすもちぇんもみょんも……みんなしんだのよ! なんでまりさだけいきてるのよ!」 枝が引き抜かれそしてもう一度まりさに刺さる。 「ゆ゛っ……ぱ、ぱちゅり……や゛めで……」 「きやすくなまえをよぶな!しねっ! ゆっくりしねっ! このやくびょうがみ! ごみくず!」 もう一度まりさに刺さる。 「ゆ゛っ……ゆ゛ぶっ……」 もう一度。 「ゆ゛っ……」 ぱちゅりーは自分の体が雨で溶けて動かなくなるまで何度もまりさを刺し続けた。 後日、『文々。新聞』にゆっくりが非常に危険な生物であると書かれ、人々がゆっくりを殲滅していくことになるのだがそれはまた別のお話。 ―ゆっくり新聞―おしまい <あとがき> かぶってしもた上にかなり遅れた/(^o^)\ナンテコッタイ 『文々。新聞』って幻想郷の人里の人間から見ればすごく面白いものだと思うんだけどどうなんだろ? 求聞史紀見てもカフェーで人気程度しか書いてなくてわかんね。 あとこんなかわいい子が配達してくれるなら文自身にもかなりファンが多いと思う。 そんなことを妄想しながら書いた。 (積み重なる黒歴史) ゆっくりフルフォース お兄さんの歪んだ愛 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/kairakunoza/pages/543.html
「……こなたー」 休みの午後。私とこなた、2人っきりの時間。 「なに?」 「……キス、してもいい?」 最近の私は異常だ。 ここはこなたの部屋で、私たちのほかには誰もいない。だけど、こんなにおかしかったろうか、以前の私は。 私の肩に持たれかかっているこなたが頬を染める。 「もー、そんなにわたしのことが好きかー、かがみんはー。もう今日だけで3回目だよ? 」 そう。明らかに私はおかしい。こなたが可愛くてしょうがない。こなたが愛しくてしょうがない。 こなたが――――欲しくて、しょうがない。 「私は、こなたのこと、大好きよ」 ゆっくりと噛み締めるように言う。こうやって、照れたり流したりしないで真剣に答えてやると同じくちゃんと答えてくれるのだ。 …それに、甘えているのがわかっていてもやめられない。 「―――っ……! かがみん…いつからそんな常時デレデレに……」 ぶつぶつ呟きながら、こっちを向いて目を閉じるこなた。 ああ、本当に―――――可愛い。 青くて綺麗な髪、閉じている目の端にある、お義父さん譲りの泣きぼくろ、いつもは猫みたいに形を変える唇。 ―――全てが、欲しくて欲しくてたまらない。 でも。 求めすぎるのは、よくないことだ。 こなたの為にも、私の為にも。 爆発しそうな気持ちを理性でどうにか抑え、ゆっくりと顔を近づける。 こなたがこんなに近くにいる。 何故か、熱い気持ちはあっという間に安心感と安らぎに変わり、そのまま唇を優しく触れ合わせた。 甘い、甘いこなたの唇。 やっぱり、私はこなたに依存してしまっているようだ。 ゆっくりと唇を離していく。 重ねるだけの、軽いキス。激しく愛を確かめ合ったわけでもないけど、今はこんなに心が満たされている。 少しだけ目を開いて、上目遣いでこちらを見つめるこなたも、幸せそうで。 もう、それだけで、私はこんなに嬉しくなってしまっているんだ。 コメントフォーム 名前 コメント こな「ん~☆ やっぱりこのエンディングが一番だねぇ~」 かが「だからって何度もリプレイすんなっての!」カァ~/// -- 名無しさん (2011-04-14 06 03 37) ついに泉家の一員になったか!! -- 名無しさん (2010-08-08 14 05 02) 結婚後の話なのか?? -- 名無しさん (2010-07-18 12 18 54) >お義父さん >お義父さん >お義父さん すばらしいwwww -- 名無しさん (2008-12-28 15 01 45) 甘いな〜いいなぁ〜 -- にゃあ (2008-10-22 03 50 41) お義父さんですと!!?なんという甘々www -- 名無しさん (2008-06-02 21 23 27) かがみのデレもなかなかいいな! -- 名無しさん (2008-06-02 21 09 07)
https://w.atwiki.jp/kyoronosuke/pages/440.html
12月24日 男「ふーむ」 翌朝、俺は居間で一枚の紙切れを見てうなっていた。 そこにかなたが現われる。 かなた「あ! まだ行ってなかったんですか! 昨日あれ程言ったのに!」 子狐「くぅん!」 男「アホかお前ら。まだ1時間も余裕あるだろ」 かなた「むー。ちゃんと行くんですよ? 男の子は女の子をエスコートするものなんですよ?……私はされたことないけど」 男「わかったわかった。それよりさ、これ見ろよ」 かなた「んぅ?」 「クリスマス企画! タウンライトアップイベントのお知らせ!」 そう書かれた広告を、二人(?)に見せる。 さっきから俺が見ていたのは、これだ。 子狐「……」 かなた「クリスマスイベントですかー。いいですねー」 男「なんか街中をライトアップするみたいだぞ」 かなた「私も見たいなぁー」 男「無理。お前は狭く寂しい俺の家で一人きりのクリスマスを迎えるのだ」 かなた「すんすん……」 男「俺さ、街が一望出来る所を知ってるんだよな。これどうかな? あいつ、こういうの好きかな?」 かなた「いいと思いますよ。……ふふ」 男「……なんだ」 かなた「いえ。なーんにも?」 男「なんか腹が立つぞ、その笑顔」 かなた「ふふ。あ、でも……」 男「……心配すんな。夜には帰るよ。自分が死ぬ瞬間なんか、あいつに見せたくねーし」 かなた「……」 男「真夜中の夜景を見れないのは残念だが、まぁ我慢するさ」 かなた「……男くん……」 子狐「……」 男「お。そろそろ行くかな。……喜べ。帰りにケーキでも買ってきてやる!」 かなた「……はい。じゃあ……いってらっしゃい、男くん」 子狐「こん」 男「いってきます」 男「……あれ? あいつ、まだ来てねーのか」 そう呟いた瞬間、目の前が真っ暗になった。 男「っ!?」 (=ω=.*)「だーれ……」 俺は咄嗟にその腕を取り、背負い投げを放った。 男「セイッ!」 (=ω=.#)「トウッ!」 男「何ッ!?」 (=ω=.)「しゅたっ」 男「馬鹿な……。あの体制から自ら身を投げ出し、一回転して着地だと……?」 (=ω=.)「ふ。甘い、甘すぎるよ男」 男「タイミングは完璧だったはず……何故だ!」 (=ω=.)「坊やだからさ……」 男「……」 (=ω=.)「……」 男「……おはよ」 (=ω=.*)「うん。朝からノリいいね、男」 男「……言うな。我ながらアホなことしたとわかってる……」 (=ω=.*)「いやいや、それでオケオケ。嬉しいよー」 男「親子揃ってマゾか」 (=ω=.;)「親子?」 男「あ。いや、なんでもない。それより、早く行こうぜ」 (=ω=.*)「うんっ」 (=ω=.*)「どこ行く?」 男「んー。どうすっかなぁ」 (=ω=.*)「私は、男と一緒ならどこでもいいけどねー」 男「そうか? じゃあ……水族館でも行くか?」 (=ω=.)「それは絶対に嫌だ」 男「……」 (=ω=.)「……」 男「な、何故だ」 (=ω=.;)「あえて言うなら、前世の記憶か平行世界の記憶かが、私に行くなと言っている気がしたから」 男「お前の脳は本当にエロゲ脳だな。そんな世界が現実にあるわけないだろ」 (=ω=.;)「むー。まぁとにかく水族館は却下ね」 男「じゃあどこ行くんだよ?」 (=ω=.)「……カラオケ? ゲーセン? アニメイト?」 男「せ、せっかくクリスマスイブなのにか?」 (=ω=.;)「だって思いつかないんだもん」 男「……まぁいいか」 (=ω=.*)「うんっ。どこでもいいよー。男が一緒ならー」 男「そ、そういうこと言うなアホ!」 (=ω=.)「……」 男「なんだ?」 (=ω=.)「男ってさ」 男「……」 (=ω=.)「ツンデレ?」 男「塩(シ)ッ!」 (=ω=.;)「うわばっ! ぺっぺっ! なんで塩を投げるの!」 男「……間違えた」 ジョニー『ミストファイナー! ミストファイナー!』 (=ω=.#)「違うっ。そこでロマキャンだってば!」 男「こ、こうか!」 ジョニー『俺を本気にさせたのはぁ……ミステイクだったな』 男「勝った! 勝ったぞ!」 (=ω=.#)「相手が弱かったんだよ。慢心こそ己が敵だと思って!」 そうしてかれこれ二時間修行していると、ついにあいつが現われた。 この前対戦したカイだ。 男「この動きは……あのときの!」 (=ω=.)「大丈夫、今の男なら楽勝楽勝」 男「あぁ……俺の強さを見せてやるぜぃ」 戦ってみると、こなたの言う通り前のように苦戦することはなかった。 いやむしろ、俺が圧倒している。 男「見える、僕にも見えるよ! そこっ!」 ジャキーン! ジョニー『それがァ……俺の名だァ……』 YOU WIN! 男「やったぞ! ついに勝ったぁ!」 (=ω=.*)「おめでと」 男「ははは! 連コインも出来ないようだな! 俺が最強だ! 出来る、新世界!」 (=ω=.)「……最強?」 男「格ゲーなんか楽勝楽勝! 誰でもかかってこんかーい!」 (=ω=.)「……私、ちょっとトイレ行ってくるよ」 男「あ? トイレ?」 (=ω=.)「うん。あ……そうそう。前に言ったけど、私はスレイヤー使いだからね」 男「……そうか。わかった。行ってこいよ……トイレへ」 (=ω=.)「ふ……。いい目だね。じゃあ行ってくる」 男「ああ……」 男「……」 (=ω=.*)「ただいまー。いやぁ。トイレが込んでてまいったよー」 男「……」 (=ω=.*)「次から次へと人が来てさぁ。しかも全部同じジョニー使い。20戦もしちゃったー。もちろん全勝ね」 男「トイレの話じゃなかったのかよ」 (=ω=.)「おぉ。そうだったそうだった!」 男「……」 (=ω=.*)「あれぇ? どうしたの、男? よく見ると、なんかやつれてるよ?」 男「黙れアホ! 貴様とは二度と対戦しない!」 (=ω=.*)「あー。待ってよージョニー」 男「うっさいわ!」 (=ω=.;)「うわらばっ! だ、だからなんで塩を投げるの!?」 男「また間違えた」 (=ω=.*)「あ、ここにギルティの同人誌があるよ? 男、買わないの?」 男「まだ言うか!……というか」 (=ω=.)「ん?」 男「なんつーかさ、その……」 (=ω=.*)「あ。エロゲコーナーがご所望で? じゃあ行こうかー」 男「ち、違う! いや、行きたいのは行きたいが!」 (=ω=.)「じゃあ何ー?」 男「……なんか俺達、周りの客に見られてね?」 (=ω=.)「見られてるね。まさか男、そういうので感じちゃう人?」 男「アホか。だが何故見られてるんだ?」 (=ω=.)「クリスマスイブといったら、飢えた男性の敵だよね」 男「そうなのか?」 (=ω=.)「……その発言、色んな人を敵に回すよ?」 男「え?」 (=ω=.)「でさ、そういう人はやっぱアニメイトとかに引きこもるわけだよ」 男「ふむ」 (=ω=.)「男がそうだったとして、そこに幸せそうなカップルが現われたらどう思う? しかも貧乳な彼女」 男「貧乳は関係なく、腹が立つだろうな」 (=ω=.)「まさにそれですよ」 男「……」 (=ω=.)「……」 男「出るか……」 (=ω=.;)「うん……」 (=ω=.*)「男ーっ! 何か歌って欲しい曲のリクエストあるー?」 男「じゃあメス豚」 (=ω=.#)「だ、誰がメス豚かっ」 男「お前のことじゃねーよ! 銀杏BOYZだ!」 (=ω=.;)「そんなの歌いたくない」 男「そ、そんなの……」 (=ω=.*)「じゃ、オーソドックスにアニソンでいいか」 男「アニソン?」 (=ω=.)「送信」 ……チャラチャラチャラチャラ♪チャッチャチャ~♪ 男「あぁ。これは聞いたことあるな。ど、ど……ドランゴボールの主題歌だ」 (=ω=.;)「ドラゴンボールだってば。ドランゴはドラクエの竜だし」 男「……」 (=ω=.*)「よーし! 歌うよーっ!」 (=ω=.*)「すぱーきぃん!」 (=ω=.)「ひっかるく~もをつきぬぅけふぁいあえ~~~~~ぇっ!」 (=ω=.*)「からだっじゅうぅにぃひぃろがるぱのらむぁ~~~!」 (=ω=.*)「かっおを蹴られた地球がおこっおてぇ~~~~っ!」 (=ω=.*)「火山っをっばぁくぅふぁつさぁせるぅ~~~~~~ぁっ!」 (=ω=.*)「とぉっ! けぇたこぅおるぃのぬぁ~~~~かにぃ~~~!」 (=ω=.#)「恐竜ぐぁいぃたら~た~むぁのぉりしっこみとぅあいねぇーーーーーーーーっ!」 (=ω=.#)「ちゃあらぁ! へっちゃらぁ!」 (=ω=.#)「ぬぁにーがおぉきてぇも気分はぁぁぁ゛ぁ゛ーーーーっ! へのへのかぁぱぁぁああああーーーーーーーーーっ!」 (=ω=.#)「ちゃあらぁ! へっちゃらぁ!」 (=ω=.#)「むぅねぇぇぇ゛ーーがぷぁちぷぁちするぅほどぉ゛ぉ゛ーーーーーーっ!」 (=ω=.#)「騒ぐ! げ・ん・き・だ・まぁーーーーーーーっ!」 (=ω=.*)「すぱぁーーーーきぃんっ!」 男「……歌い切りやがった。……これでいいのか? いいんだよな?」 (=ω=.*)「じゃあ次の曲いくよーっ!」 男「だ、駄目だ! これ以上歌うと世界の法則が!」 (=ω=.)「法則?」 男「え? 俺、そんなこと言ったか?……まぁいい。というか俺にも歌わせろ!」 (=ω=.*)「いいよ。ちょうど鳥の詩いれたから、どうぞ」 男「……なに?」 (=ω=.*)「だから、鳥の詩。ほら、始まったよ」 男「……」 俺は歌った。 (=ω=.;)「……」 男「ふぅ。歌った歌った」 (=ω=.;)「じゃ、ジャイアンリサイタル……!」 男「あ? 何か言ったか?」 (=ω=.;)「まさかこの世に本気で『ぼえ゛ぇ゛ーっ!』て声を出す人がいるとは」 男「ぼえ? 褒めてんのか、それ? じゃあもう一曲いってみるか!」 (=ω=.;)「うおっ」 男「歌うぞー! 俺の歌を聞けーっ!」 (=ω=.;)「ちょっ! まっ!」 男「今度はシャウトするぞーっ!」 (=ω=.;)「ひっ――」 「アッー!(誰にも届かないこなたの悲鳴)」 男「あー疲れた。外ももう真っ暗だ」 (=ω=. )「……」 男「どした?」 (=ω=. )「なんでもない」 俺達は、イルミネーションで飾られた街を歩く。 ……そろそろ、切り出してみるか。 朝考えていた計画。 景色のいいあの公園からだと、この街をこれ以上なく見られるはずだから。 男「なぁ、こな――」 (=ω=.*)「そうだ、男!」 しかし、俺の言葉は彼女によって遮られてしまった。 男「な、なんだ?」 (=ω=.*)「これからさ、私の家に来ない?」 男「お前の? いいけど、その前に夜景……」 (=ω=.*)「夕食ご馳走するよ! おとーさんにも紹介するよ!」 男「だからその……夜景が……」 (=ω=.*)「手料理作るからねー! 実はさ、最初からこのつもりで、買い物は済ませてあるんだー」 男「ん……そ、そっか」 (=ω=.;)「……やっぱ嫌かな? おとーさんとかいると、困る?」 男「……いや。困らない。そうくん、だろ?」 (=ω=.)「あれ? 名前教えたっけ?」 男「ん。まぁな」 (=ω=.;)「でもその呼び方はやめた方がいいかも。ただでさえ私の彼氏ってことに嫌な顔するだろうし」 男「了解」 (=ω=.*)「じゃ、レッツゴー」 俺はこなたの後について、歩き出した。 夜景は見たかったが、まぁ、仕方ないさ。 男「料理なんて出来るのか?」 (=ω=.#)「し、失礼な!」 男「はは」 (=ω=.)「あ……」 男「ん?」 (=ω=.*)「今の顔、好きかも」 男「……うっせー」 そうじろう「名前は? 男「男……」 そうじろう「性別は?」 男「男……」 そうじろう「性癖は?」 男「おと――あっ、あぶねっ!」 そうじろう「チ……。男って言ったら、追い出してやるつもりだったのに」 男(……本気の目だ……) そうじろう「……」 男「……」 (=ω=.*)「おまたせー! ローストチキン完成したよ!」 そうじろう「……」 男「……」 (=ω=.;)「……って、何このムード。私は間違えて地獄に来てしまったのだろうか」 そうじろう「……」 男「……」 (=ω=.;)「もー。二人とも仲良くしてよー。特におとーさん。男くんに般若のような目つきを向けないように」 そうじろう「だ、だってこなた! おとーさんはこんな男男した男は絶対に認めないぞ!」 (=ω=.)「誰でも認めないくせに」 そうじろう「そうだけどっ!」 (=ω=.)「でもおとーさんの知らない所で娘は大人になるもんなんだよ?」 そうじろう「貴様ァーッ! ウチのこなたに何をしたァーッ!」 男「ぐえっ……な、何もしてないですってば!」 (=ω=.#)「おとーさん、ここにいたかったらやめなさい!」 そうじろう「こ、こなたっ!? ここ俺の家なんだけど!」 (=ω=.)「じゃあ私、男の家で食べようかな」 そうじろう「ゆっくりしていきなさい、男くん」 男「……」 ゆたか「わー。いいにおーい」 (=ω=.*)「あ。ゆーちゃん、帰ってたんだ?」 ゆたか「うん。みなみちゃんとご飯食べてきたんだけど、私もちょっと摘んでい……」 男「ん?」 ゆたか「……」 男「……」 ゆたか「あ、あの……えと……?」 (=ω=.*)「あぁ。その人はねぇ」 (=ω=.*)「私の恋人の男だよー」 そうじろう「ゲイが恋人の男だぞー」 ゆたか「……え? ごめんなさい、同時に喋ったから、よく聞こえなかった」 (=ω=.#)「私の恋人!」 そうじろう「ゲイ!」 ゆたか「う? ほ、本当にごめんね。また聞こえなかったの。もう一度だけ言って貰っていい?」 (=ω=.#)「おとーさんのばか! 五月蠅いよ!」 そうじろう「ゲイィィィッッッッッ!」 ゆたか「……おとーさんの……ゲイ……?」 (=ω=.#)「違うよ!」 そうじろう「違うぞ!」 男「違う!」 ゆたか「ひんっ!」 (=ω=.)「……というわけだよ、ゆーちゃん」 そうじろう「こなたにびんたされたこなたにびんたされた……」 ゆたか「へー。じゃあ男さんは私の……その……」 男「ん?」 ゆたか「おにーちゃん……?」 男「……」 おにーちゃん……。 おにーちゃん……。 おにーちゃん……。 男「 ア ッ チ ョ ン ブ リ ケ ッ ! 」 (=ω=.;)「あぁっ。男が限界を超えてしまった! 駄目だよ、ゆーちゃん、殺戮兵器だって言ったでしょ!?」 ゆたか「そ、そんなこと言われてないよぉ」 男「ぴくぴく……」 そうじろう「こなたにびんたされたこなたに……」 (=ω=.;)「ここはやっぱり地獄だ」 ゆたか「わー。このお肉、おいしいねー」 男「そうだな。……あ。こなた、ティッシュ取ってくれ」 そうじろう「ほらよ」 男「……アリガトゴザイマス」 (=ω=.;)「なんでおとーさんが取るのさ!」 そうじろう「いいじゃないか」 ゆたか「あつっ」 男「おい、気をつけろよ。その器、まだ熱いんだから」 ゆたか「ご、ごめんなさい」 男「火傷してないか?」 ゆたか「うん。ありがとうおにぃ――」 (=ω=.#)「ん゛ん゛ぅっ!(咳払い)」 ゆたか「……男さん」 男「おにーちゃんでいいのに……」 そうじろう「お前はこなただけでなく、ゆーちゃんまで誑かす気か! 俺の世界を返せバカヤロー!」 ゆたか「はわっ。お、叔父さん、私は別にそんなぁ」 ゆい「おぉ。なんか盛り上がってるねぇ……ヒック!」 (=ω=.;)「ゆいねーさん、また飲酒運転ですか」 ゆい「固いこと言わない言わない! ダンナがいないクリスマスなんてーっ!……って、おぉっ! なんと男少年じゃないか!」 男「こんばんは」 (=ω=.)「あれ? 知り合い?」 ゆい「ちょっとした私の弟子だよ」 男「そう弟子……弟子?」 ゆたか「ゆいおねーちゃんも一緒に食べようよー」 ゆい「もちろんさー! おじさん、お酒持ってきてーっ!」 そうじろう「……俺の世界……エロゲ世界……」 ゆい「騒ぐぞーっ! 飲むぞーっ!」 ゆたか「あ。これもおいしいなぁ」 男「はは……」 (=ω=.;)「男……(こそこそ)」 男「ん? どうした、こなた?」 (=ω=.;)「ごめんね、なんか騒がしくなっちゃって」 男「いや、なんつーか……」 ゆい「お! おじさん、今日はやけに飲むねーっ!」 そうじろう「ううっ! かなたがいたらなぁ! 娘があんなどこぞの馬の骨と付き合うのを止めてくれるのに!」 ゆたか「む。これはちょっと辛い……」 男「こういうのも、悪くないもんだな」 俺が今まで経験したことがないほど、その夜の食事は賑やかだった。 こなたの作る料理は旨いし、ゆたかは可愛いし、ゆいさんは酒を飲まそうとしてくるし 親父さんは泣くし、こなたは笑うし、ゆたかは可愛いしで、息つく暇もなかった。 最後に、デザートの大きな手作りケーキを食べた。 一切れ持ち帰ると言ったら「食いしん坊」の称号を与えられてしまった。 俺は密かにかなたを憎んだ。 ケーキを平らげた後、まずゆいさんが帰った。 ダンナが突然帰って来たらしい。 次にゆたかが寝たのを契機に、俺も帰ることにした。 そうじろう「帰るのか! 残念だなあ」 と言った親父さんの顔には、太陽のような笑顔が張り付いていた。 そしてこなたと共に、外に出る。 男「うお。さみ……」 (=ω=.;)「中は温かかったからねー」 男「だなぁ」 (=ω=.)「でも、この寒空の下で延々と恋人を待ってた人も、ここにいるけど」 男「罪悪感で殺す気か」 (=ω=.*)「あは」 男「はは」 男「……」 (=ω=.)「……」 男「……」 (=ω=.)「……あっ。そうだった」 男「え」 (=ω=.*)「ちょっと待っててね! すぐ戻ってくるからさ!」 男「お、おう」 そう言うと、こなたは家の中に走っていった。 俺は煙草を取り出そうとしたが、生憎切らしてしまっていた。 白い息を吐きながら、腕時計を見る。 21時30分。 男「まずいな……」 何が原因で死ぬのかは知らないが、これ以上ここにいるのはまずいかもしれない。 ……死ぬのではなく、殺されるってセンもあるかもしれない。 そんな嫌な考えが過ぎり、俺は辺りに通り魔がいないか確認した。 しかし、やはり誰もいない。 男「……ま。そりゃねーよな」 誰に恨みを買ってるわけでもない。 頭を軽く振っていると、こなたが帰ってくるのが見えた。 彼女は駆け寄ってくる。 ――もの凄い速度で。 男「ちょっ! アホっ! こっちくん……」 きらり、とこなたの手の中で何かが光るのが見えた。 男「……え……」 一人だけいた。 俺が恨みを買った人物が。 男「ま、まさか…………」 俺、こいつに殺される? みるみる内にこなたが近付いてくる。 というかもう目の前だ。 こなたは加速をたっぷり乗せて、俺の胸に飛び込んだ。 男「ぐぅっ!」 腹に鈍く重い衝撃が走った。 男「ぐあ……や、やられた……」 (=ω=.*)「誕生日、おめでとう!」 男「……へ?」 俺の胸から頭を離しながら、こなたは言った。 腹に置かれていた彼女の手が、目の前に差し出される。 男「これは……」 小さな手の中にあったのは、美しく輝く石を繋げて作られた、ブレスレットだった。 (=ω=.*)「ラピスラズリのブレスレットだよ。男、12月生まれだからね」 男「……知ってたのか?」 (=ω=.*)「当たり前だよ。男に関する情報なら、尻の毛一本に至るまで集まってるよ」 男「やはり貴様はストーカーだ」 (=ω=.*)「最近はそんなニーズもあるらしいよ」 男「ふーん……そういうもんか……」 (=ω=.*)「そういうもんよ」 男「そういえばお前、なんで俺のストーカーになったんだ?」 (=ω=.)「ん? なんでって、好きだからに決まってんじゃん」 男「だからなんで好きになったんだよ。話したこともなかったろ」 (=ω=.)「んー……」 男「……」 (=ω=.*)「……あぁ! そうだ、あのときだ! 学校の帰り道だ」 男「帰り道?」 (=ω=.*)「そうそう。私達はまだうら若き1年生のときでさぁ。強い雨が降ってる日だったね」 男「ふむ」 (=ω=.)「そんな日に、一匹の猫が路上に捨てられてた」 男「……」 (=ω=.)「誰も助けなくて、にゃーにゃー泣いてる猫はだんだん弱ってった」 男「……」 (=ω=.*)「そんな中! 現われたのが男!」 男「……あー……」 (=ω=.*)「男は辺りに誰もいないことを確認すると、さっそうと猫をつまみあげた」 男「……」 (=ω=.*)「でも実は私が見てたんだけどね。男もすぐに気付いたもんね?」 男「……」 (=ω=.*)「気付いた男は私に近付いてきて、怖い顔で言った」 (=ω=.)「誰にも言うな。それとペットフードってジャスコに売ってんのか教えろ」 男「ぐ……!」 (=ω=.*)「私は痺れちゃったんだ! ジャスコにはなんでも売ってるよ! わざわざ確認する男が可愛い過ぎたんだよ!」 男「う、五月蠅い黙れ! 過去の汚点だ!」 (=ω=.*)「可愛いなぁ、男は」 (=ω=.*)「それからというもの、私は男にひたすら片思いしてたよー」 男「知ってるー……」 (=ω=.*)「えへへ。だからさ!」 男「うわ!」 再度、こなたに抱き付かれた。 (=ω=.*)「こうして付き合えて、とっても嬉しいよ」 男「あ……」 (=ω=.*)「これから、もーっと男のこと教えて貰うからね!」 男「……」 それは、出来ない。 (=ω=.*)「年末には冬コミもあるから、手伝ってね?」 男「……」 それも、出来ない。 (=ω=.*)「そうだ。今回はコスプレもしよう! 男はどんな格好がいいかな?」 男「……」 俺にはもう、何も出来ない。 (=ω=.*)「それから……」 男「……っ!」 (=ω=.;)「わっ」 俺はこなたの身体を引き剥がした。 (=ω=.;)「お、男……?」 男「……いい加減離れろっての。二階から親父さんが睨んでたぞ」 (=ω=.;)「うぞ!」 嘘だった。 例え本当にいたとしても、涙の溢れ出したこの目では、見つけられはしない。 キョロキョロしているこなたに、俺は背を向ける。 男「じゃあな」 (=ω=.)「え……あ、うん!」 (=ω=.)「おやすみー!」 男「……」 (=ω=.)「また……」 男「……っ!」 俺は、声から逃げるように走り出した。 こなたが「また明日」と言う気がしたからだ。 彼女の家も見えなくなった辺りで、俺はようやく振り向く。 男「……さよなら」 かなた「あ……」 男「……」 かなた「おかえり……なさい」 男「おう。ただいま」 かなた「……」 男「ほれ、土産のケーキだ。こなたお手製だってよ」 かなた「あ、はい。ありがとう……」 男「なんだよ、もっと喜べっての。それを持ち帰ったせいで、俺は食いしん坊にされたんだぞ」 かなた「はい……ごめんなさい……」 男「……喜べというのに」 かなた「……」 男「ん? そういえば狐は?」 かなた「あの、部屋に……」 男「ふーん。あいつが出迎えなしとは、珍しいこともあるもんだ」 かなた「……」 男「じゃ、俺も部屋に帰るとするか」 かなた「はい……」 男「玄関なんかで最後の時を迎えたくねーしな」 かなた「……そうですね」 部屋に帰ると、狐が窓から月を見ていた。 暗い部屋の中で月明かりに照らし出される狐。 それは幻想的な光景だった。 男「……お前、何してんだよ?」 狐は答えず、ただ月を眺める。 男「……お前にも、主人が死ぬことがわかってんのか?」 部屋の電気も付けず、狐の横に座る。 かなたも同じようにした。 そのまま一緒に月を眺めていると、時刻は23時30分を回ってしまった。 男「……なぁかなた」 かなた「はい?」 男「本当に俺は死ぬのか? 今日は後30分しかないが」 かなた「……そのはずです」 男「そっか……。じゃあ、最後の一服といくかな」 俺は煙草を取り出そうとし、気付いた。 男「……切らしてたんだった」 がっくりした。 映画でよくある、こういう場面での最後の一服を試してみたかったのに……。 男「あ。そういえば、一個だけあるじゃないか」 俺は唐突に思い出した。 前に買った、パチモン煙草「ラッキースター」のことを。 机の奥深くにしまっていた、それを取り出す。 男「ま。ないよりマシだよな。どうせもう死ぬし」 ラッキースターと書かれたカラフルな箱から一本取り出し、火を点ける。 男「すぅ……」 吸い込む――途端にむせ込む。 男「げほげほ! あ、甘っ! まずっ!」 かなた「でもいい香りですねー。本当に煙草ですか?」 男「知らねーよ」 不味い煙草を吸いながら、俺は時を待った。 23時55分。 時計と月とを見比べるように、何度も視線を動かす。 23時56分。 時間が進むのがやけに遅く感じる。 23時57分。 鼓動が少し早くなる――まだか。 23時58分。 二本目の煙草に火を点ける。 やはり不味い。 23時59分。 俺は目を閉じた。 そして…… 00時00分―― 世界が、白く包まれた。 12月25日(?)。 (=ω=.)「……」 街を一望出来る、あの公園にこなたはいた。 (=ω=.)「……男……死んじゃったんだ……」 壊れた手すりを見ながら、こなたは呟いた。 (=ω=、)「ううっ……」 その目に涙が零れる。 (=ω=、)「いらない……」 (=ω=、)「こんな……男がいない世界……いらない……」 壊れた手すりに近付くこなた。 地面は遥か下に見えている。 (=ω=、)「想いも伝えられなかった」 (=ω=、)「私が本当に好きな人は……なんでこうなっちゃうの?」 (=ω=、)「もう……いい……」 (=ω=、)「……出来るなら男のそばに……いたかった……」 (=ω=、)「あの人が飼ってる猫みたいに」 (=ω=、)「ずっと……ずっと……」 そして、こなたは身を投げた。 エンディングB『悲劇の始まり』 次へ
https://w.atwiki.jp/ankoss/pages/2533.html
『ゆっくりと牛』 1KB パロディ 不運 日常模様 姉妹 子ゆ 自然界 人間なし 微修正再投稿 『ゆっくりと牛』 モトネタ通り 親は一匹のみ 一頭の牛がゆっくりたちの水飲み場にやってきた。牛がドスドスと水の中に入っていく時に、 水を飲みに来ていた ある子ゆっくり姉弟の弟まりさを泥の中へ踏みつけてしまった。 「ゆ?! ちゅぶ・・・ 「ゆ”ぎゃあぁぁ!れいぶの きゃわいぃおとうちょぎゃあああああああ!!!! しばらくして狩りから帰ってきた父まりさは,弟まりさが死んだことを知らされた。 「でぇーーーっかい ばけものさんが、おおっきいあしさんで ふんづけてったんだよ!!」と、姉れいむが言った。 「大きなバケモノって!? けど絶対にゆるせないよ!!! 可愛いいおちびちゃんを踏み潰したバケモノは まりさ様がぷくぅ!!して制っ裁してやるんだぜ!!!」 父まりさは頬を膨らしながら怒りを露わに言った。 「でもおとうさん!ばけものさんは,とってもおおきかったよ! つのさんもはえてたよ!!!」と姉れいむは叫んだ。 父まりさは更に大きく頬をぷくぅっ!と膨らませた。 「どうだ!!!これだけぷくぅすればそのバケモノよりずっと大きいだろ?」 「もっと、ずーーーっと おおきかったよ!」姉れいむが答えた。 父まりさはカチンときて、もう一度大きく思いっきり頬をふくらませ、これくらい大きかったか?と聞いた。 「もっとだよ!!おとうさん もっともっと、もおおおおっとおおきかったよ!」 更に力一杯息を吸い、頬をコレデモか、コレデモかと膨張させた。メキッ 父のプライドを賭け,ゆっくりの限界を超え,父まりさはどんどん膨らんでいった。ピシッ! 「どう・・だ!!ご・れでバゲモノは・・まりざ様に・・・泣いて謝・・・ゆでぶッ!!」ドパ---ンッ!!!! その刹那、頬が破裂,餡子を四方に飛び散らせ父まりさは絶命した。 「ゆ”ぎゃあぁぁ!れいぶの きゃこいぃおとうちゃぎゃあああああああ!!!! 直径30cmの彼が91cmまでぷくぅし、ゆっくりの限界を超えた父まりさの見事な最期だった。 返り餡を浴びた姉れいむは錯乱して巣を飛び出し、そして二度と帰ってこなかった。 ****************************************************************************************** 微修正再投稿。アネモネ。 物語の基本中の基本、イソップ童話からのパクりというか丸ごと置換 被ってそうだけどSSWiki検索やググッた限りでは大丈夫そう?だったので 投稿してみました。 でれあき 挿絵:にとりあき