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前へ 異形の怪物は十の目でスネ夫を睨む。 スネ夫は殺気を感じ、ボールに手をかけるが、 「待って!」 しずかの声が入る。「スネ夫さんは先に行って」 スネ夫は耳を疑い、しずかを見つめる。 「な、何言ってるんだよ、しずちゃん! こんな奴の相手なんか」 「大丈夫、策はあるの」 しずかの台詞は自信に溢れていた。 スネ夫はますます青い顔になる。 (しずちゃんをここに残していいのかな。大丈夫って言ってるし。 ……いや! ぼくだって男だぞ! そんなことできるわけ) ギラリ、と怪物の眼光がスネ夫を射る。 その瞬間、スネ夫は決心した。 「しずちゃん、任せた!」 スネ夫は意気揚々と怪物の股をくぐる。 怪物が奇声をあげ、嘴が伸びるが―― 「てっぺき!」 しずかの繰り出したポケモンが、体を強固して嘴を止める。 怪物に動揺の感が走る。 それはスネ夫も同じだった。 「しずちゃん、そのポケモンは!?」 「ええ、道中で仲間になったの」 しずかの仲間はてっぺきを解く。 象徴的な大きな口――いや、それは角が変形したもの。 それはクチートだ。 「さあ、行って! スネ夫さん」 そう言われるが速いか、スネ夫は階段を駆け上った。 スネ夫は二階に着く。 廊下は小奇麗で、壁の白さが際立つ。 赤い絨毯は高級感を漂わせた。 スネ夫は一先ず呼吸を整える。 (さて、過ぎたことは考えるな。スネツグを探さないと) そう、スネ夫の目的はスネツグの奪還。 実を言うとジャイアンたちより先にスネツグを見つけた場合、 二人で脱出しようと考えていた。 スネ夫はにやりとする。 (一人になれたのは都合がいいや。これなら脱出もより簡単になる) スネ夫は自分の計画に酔いしれながら、通路を進んだ。 ところが、脇の扉から突然、意外な人物が飛び出す。 スネ夫は目を見開いた。 「どういうこと?」 しずかは崩れ落ちる怪物を尻目に、その人物を見た。 その人物はスネ夫と入れ違いに、部屋に入ってきたのだ。 「なに、こいつさ」 その人物は指を鳴らす。 すると、怪物のそばの空気が揺らぎ、ポケモンが姿を現した。 ゴースだ。 「僕のポケモンのさいみんじゅつで眠ってもらったのさ」 「そんなことをきいているんじゃないわ!」 しずかが語調を強める。「あなたがどうしてこっちに来たのかってことよ! 出木杉さん!」 その人物、出木杉は肩を竦める。 「ああ、そんなことか。簡単だよ」 しずかの前に、ぬっとゴースが現れる。 「あなた、約束したわよね。あたしには手を出さないって」 しずかが問いただす。 「安心しろ。ゴースに手なんかないから」 しずかの反論より速く、ゴースのさいみんじゅつ。 しずかはその場に崩れた。 「スネキチじゃないか!」 スネ夫は絶句した。 真っ暗。 体の感覚は無い。 周りには何も見えず、どこが上やら下やら…… 突然、視界が晴れてきた。 ぼんやりと、ゆっくりと、光が広がる。 緑色の――海? 時々泡が視界に入る。 《見えるか……》 言葉が伝わってきた。 言われたのではなく、聞いたのでもなく、ただ伝わってきた。 テレパシーとでも言うのだろうか? 《私の姿が見えるか……》 (……誰だ?) 《私の姿が》 (……誰なんだ!?姿を見せ) 《少し待て》 言葉は短い。 でも、重かった。 一気に心の底に落ちる言葉は、深く、冷たく――それでいて哀れだった。 視野が変わる。 牢獄のようだ。 鉄格子の中は小窓から差し込む光によって何とか見える。 ベッドと、その脇に黄色いポケモン。 ベッドの中には誰かいる。 そう、誰かが。 《……こいつだ》 言葉が静かに伝わってくる。 《少年。ベッドの中のこいつを殺せ》 (な!?……何で!?) 《いいから約束しろ》 (……いやだ) 何故かそう伝えていた。 ベッドの中の誰か。 それは殺してはいけない誰か。 《歯向かうのか?》 (ああ、そうだ) 視界が再びぼやける。 また、緑色の海。 《私の姿が見えるか》 何度かきいた質問だ。 だけど、今度は違う。 姿が見える。緑色の海の中に。 そいつの目は閉じていて、でも意識は恐ろしく鋭く、そして…… 「ジャイアン!!」 スネ夫の声が、ジャイアンの耳を貫く。 ジャイアンは目を白黒させ、辺りを見回した。 「あれ……あいつは?」 「あいつって?」 スネ夫が首を傾げる。 「ほら、緑色の海の中に」 スネ夫は吹き出した。 「ジャイアン、海は青いよ」「いや、だけどさっきまでは」「夢でも見ていたんじゃないの?」 ジャイアンの血液は急流により一気に頭に上る。 「何だと!?このやろ……あれ?」 ジャイアンは何故か動かない自分の体を見た。 縄で縛られている。 「あれ、俺どうして縄なんかに……というか」 ジャイアンはもう一度辺りを見渡し、スネ夫に焦点を合わせた。 「ここどこだ?」 スネ夫は呆れたようにため息を突いた。 「ジャイアン、君こそ行方不明になるまでどこにいたんだい?」 ジャイアンは首を傾げ、そして「あぁ」と思い出した。 ジャイ子と話している最中、後ろから殴られ、気を失った事を。 スネ夫は話し始めた。 いなくなったジャイアン、ジャイ子、スズナ、スネツグ。 フスリの振興が民衆を使い、仲間たちを捕らえ始めたこと。 スネ夫としずか、出木杉とドラえもん、のび太とハヤトに別れ、捜索を始めたこと。 そしてスネ夫がしずかと別れ、スネツグに出会ったこと。 「だからこうしてジャイアンのいる牢屋がわかったんだ」 ジャイアンは押し寄せる情報の大所帯を何とか整理する。 「じゃあ、ここは牢屋ってことか……俺はどうして、誰に襲われたんだ?」 「覚えてないの?」 明らかにスネ夫の期待していない答えを、ジャイアンはする。 「ああ、覚えてない」 スネ夫はがっくりと肩を落とす。 「じゃあ、いったい誰が」 「それは……」 牢屋の入り口で、ガチャリと音がする。 施錠の音が。 ジャイアン、スネ夫は息を呑み、振り向く。 格子の向こうに、スネ夫の弟、スネツグがいた。 「僕さ」 スネツグは口端を上げる。 「どういうことだ?スネツグ」 スネ夫は静かに質問した。 「言ったとおりだよ、兄さん」 スネツグは腹黒い笑みを浮かべ、話し出す。 「僕がジャイアンを気絶させた。 ジャイ子とはもともとグルだった。 だから、ジャイ子がジャイアンの隙を作り、僕が襲った。 詳しくは言えないが、僕らの任務は兄さんらを捕らえることだ。 今頃兄さんの仲間たちも僕らの仲間に追い詰められているだろうね。 まあ兎に角、僕の任務は遂行したんだ。 僕は行くけど、恨んだりとかしないでね。アハハ」 (流石スネ夫の弟、話が長い) ジャイアンがぼんやりそんなことを考えてる間に、 スネツグは鍵を指で回しながら去ろうとした。 「……もういいよ」 スネ夫がぼそっと呟く。 スネツグが振り返る。 「うん?今何かいt――」 スネツグの指先を何かが掠める。 スネツグはハッと指を見る。 「あっ!」 鍵が消えていた。 「……ムウマ」 スネ夫が〔弟より数段高く〕口端を吊り上げる。 ムウマが格子の向こうで、得意そうに鍵を持っていた。 「くそっ、ポケモンを外に残しておいたのか」 スネツグが悪態をつく。 ムウマが鍵を開け、スネ夫が出て行く。 「ふ、たとえ兄さんでも僕は負け」「行け、ドガース!」 スネツグの話を遮って繰り出されたドガースは、 スネツグの愚痴を無視して煙を撒き散らす。 「ゲホッ……だがこんなえんまく、晴れるのを待てばすぐに」 「残念だったな。これはどくガスさ!」 スネ夫はそう吐き捨て、牢屋を向く。 「さ、ジャイアン速く」「させるかぁ!!」 スネツグの声が響き、何かが起動する。 スネ夫の目の前で、何かがせりあがった。 「うぉ!?うぅおおぉぉぉ……」 ジャイアンの叫びがだんだんと小さくなる。 「ジャイアン!?」(何だこの壁。一体どこから飛び出して、飛び出して……) スネ夫ははたと気づく。 「これは、床ごと上がっているのか!」 「その通り!!」スネツグがガスの中から叫ぶ。 「僕が……ゲホ……今押したのはゆ、床を……グホッガバァぁ……ハァハァ 押し上げるス、スイッチだったん、がハァ!……だよ」 「よし、ジャイアンは二階に行ったんだな。急がなきゃ」 実弟の命がけの言葉には耳を貸さず、スネ夫は階段を求めて駆け出した。 「……えんまくと思わせてどくガスを張り、僕を完全に無視するとは…… さすが兄さん。やることがちが……」 スネツグはその場で倒れた。 フスリの郊外―― 「……あ、いたよ」 のび太はエアームドの上から指差す。 一人用のテントが、小高い丘にぽつんと建っていた。 「どうやらあれみたいだな」 のび太の後ろからハヤトが顔を出す。 「やれやれ、町中で民衆に追いかけられて冷や汗かいた」 ハヤトはほっとため息をつく。 「もっと早く気づくべきだったね。『仲間なら、町中にいると捕まってしまう』って」 ‘全くだ’とでも言うようにムックルが一声鳴いた。 やがてエアームドはテントの周囲を旋回しながら降下を 「こごえるかぜ」 突如どこからか指示が聞こえてくる。 「よけろ、エアームド!」 ハヤトは指示したが、冷風は既にエアームドを捕らえていた。 苦しそうな声を上げるエアームド。 速度は急激に落ちていく。 のび太とハヤトはエアームドから飛び降りた。 「もどれ、エアームド!」 エアームドが墜落する寸前、ハヤトはボールに収めた。 「出てきてもらおうか」 ハヤトがテントに向かって言う。 だが 「って!!」 飛んできた氷の塊とハヤトの頭が鈍い音を奏でる。 「バカね。こっちよ」 ハヤトの背後の岩陰から、スズナとユキカブリが現れた。 「っこのやろ」「待ってよ、ハヤト」 いきり立つハヤトをのび太が抑える。 のび太はハヤトの前に出る。 「スズナさん。僕らと一緒に来てくれない?」「どこへ?」 「フスリの振興っていう、大きなビルへ」「なんで?」「え、えーと……」 のび太、ハヤトにバトンタッチ。 「兎に角、お主の連れだった武殿がさらわれたのだ。 フスリの振興にいるかもしれない。だから俺たちは探している。 で、お主について来て、一緒に武殿を探してほしい」 スズナは最初こそ驚いた素振りを見せたものの、無表情を通す。 「だいたい、わかったわ。 でもあたしはいかない」 ハヤトは首を傾げる。「どうしてだ?」 「どうしてもよ。どうせあたしは武とは関係無いんだもの。このまま故郷に帰るわ」 「……いや、関係無いことは無いであろう。 少なくとも旅の間は一緒にいたはず。助け合ってもよいではないか。 それとも何か助けにいけない事情でも」 「うるさいわね!!行かないって言ってるんだからそれでいいでしょ!」 スズナに怒鳴られ、ハヤトはカチンとくる。 「ずいぶん冷たいんだな。……やはりこおりタイプのポケモン使いだからか」 「……どういうこと?」 「なに、ひこうタイプのジムで代々伝えられている言葉だ。 『こおりタイプのポケモントレーナーにろくな人間はいない』ってな!」 その言葉にスズナは反応した。 もっとも、ハヤトとは正反対だったが。 「あら、たまたまひこうにこおりがよく効くだけじゃない。言いがかりもいいところね!」 「だが実際そうではないか」ハヤトは食って掛かる。 「初めて会った時だ。貴様、このムックルを思いっきり蔑んでみたな! やはりポケモンを蔑むとはろくなトレーナーのすることじゃ」 「別にどんな目で見ててもいいじゃない! そんなんで人間性判断されたんじゃたまったもんじゃ」 「ほう、じゃあ蔑んだのは認めるんだな!えぇ!」 「雑魚を雑魚として見て何がわるいのよ!!」 「あー!!貴様、ムックルを愚弄したな!!愚弄したな!! もう許さねぇ。ムックルの威厳の仇をとってやる!」 「やってみなさいよ!ひこうタイプごときで!」 ハヤトがボールに手を伸ばしたが、 「ちょ、ちょっと待って!!」 のび太の必死の制止が、二人の間に入る。 「僕らの目的はジャイアンたちを救うことだよ!! 今争っている場合じゃないよ!!」 のび太の叫びで、喧騒はようやくおさまる。 のび太はほっと息をつき、スズナを向く。 「スズナさん。僕らはジャイアンを救わなきゃならない。 そして、それにはあなたの力が必要なんです」 スズナは顔を背けながら頷く。 「わかったわよ。行ってあげる」 のび太は振り返り、ハヤトを向く。 「さ、ハヤト。行くよ。みんなのところへ」 「だが……あの女はムックルを」 呟くハヤトを無視してのび太はハヤトのボールを掴み、エアームドを出す。 「フスリの振興」最上階―― 仮面を被った少年は椅子にもたれ掛かる。 「それで、奴らは?」 少年は気だるそうにモニターに言う。 モニターに映るのはサカキだ。 「現在、しずかという少女一人。 また、スネツグはやられ、ジャイアンは今クリスチーネの所にいます」 「そうか……スネツグめ。やはり年下は信用できねえ。 だが、しずかは捕まったか」 少年はその事実を誇らしそうに思った。 「今でも信じられないよ。 僕の側に出木杉君がついているなんて」 実を言うと、しずかは少年にとって一番やっかいな相手だった。 実力は定かでないが、旅に出た四人の中で知力はずば抜けている。 だが、そのしずかももはや手中に収めた。 出木杉の手によって。 「ところで、マツバの計画はまだか?」 少年は話題をかえる。 「ええ。どうやら急いで充填を終わらせたため不備があるようです」 「ふん。まあしかたあるまい。 ……だが、あれがあれば僕は……ふふ」 少年は狂喜して高笑いした。 少年の思い通りに進んでいる。 ここまでは。 そして、もうすぐ思惑は覆る。 ジャイアンは再び格子の中にいた。 どうやら二階の牢屋に着いたらしい。 初めはポカンとしていたジャイアンも、自分の状況を把握した。 そして、牢屋の前に佇む姿も認識した。 「ジャイ子……」 ジャイアンは力なく呟いた。 ジャイ子はジャイアンを一瞥し、再び目を逸らす。 「おい、ジャイ子!きこえているんだろ!? どうしてこんなことするんだ?」 「お兄ちゃんには関係ないことよ」 ジャイ子は冷たく言い放つ。 「関係ない……そんなことあるもんか!!」 ジャイアンは必死で訴える。「ジャイ子の悩みは俺の悩みだ」 ジャイ子はひどく疲れたようにため息をつく。 「もういいの。お兄ちゃんなんて。 ……アタシはあの方についていくことを決めたの」 「誰だ、あの方って?」 ジャイアンが話を誘いかける。 「ふふ、お兄ちゃんも知っているはずよ」 ジャイ子はゆっくりと顔をあげ、笑みを浮かべながらジャイアンを見る。 一瞬兄妹は見つめ合った。 ジャイ子から、その名が上げられる。 「あの方、そう、アタシの思いの人。 この世界にも来ているのよ。 茂手モテ夫様がね!!」 「……言いやがったな、あの女」 少年はモニターで事を見ていた。 ジャイ子が簡単に乗せられて、話してしまった。 「もうこの仮面も意味はないな」 少年はそう言って仮面を外す。 茂手モテ夫が不服そうに顔を現した。 「ふん。使えない女だ」 モテ夫は舌打ちして仮面を回す。 「サカキ、あとどれくらいで完成する?」 モテ夫の後ろの人物から返事がくる。 「マツバからの連絡はまだです」 「……仕方あるまい。まだ待っておくか」 モテ夫は不満げに言い残す。 ――この時振り返っていれば、モテ夫は不幸を免れたかもしれない―― モテ夫の後ろで、サカキはこっそりとポケモンを出す。 異常なまでに小さいコラッタだ。 サカキはコラッタにメールを〔ほとんどコラッタの背中一面に〕つける。 コラッタは音も無くサカキから飛び降り、部屋を出て行った。 「……誰だっけ?それ」 冗談ではない。ジャイアンは純粋にきいた。 もちろん、ジャイ子は気に食わなかったようだ。 「へえ、覚えてないの」 ジャイ子はそれだけ言うとジャイアンから目をそむけた。 ジャイアンはあわてて言い繕う。 「わ、悪かったよ。ジャイ子。 とにかくそのモテ郎ってのが」「モテ夫よ!」「そうか、その……そいつがお前を」 「黙って!」 ジャイ子は一喝する。 ジャイアンは不意をつかれ、きょとんとするが、すぐに原因がわかる。 階段を駆け上る音が聞こえる。 誰かが上ってくる。階段から。 ジャイ子は立ち上がり、牢屋の前に立つ。 ジャイ子の正面には通路。その先には階段。 この階は非常に単純なつくりだ。 階段から、人物が現れる。 「……ここは、牢屋の階なのかい?」 スネ夫は辺りを見渡しながら言う。 「よくきたわね。お兄ちゃんを救いに」 ジャイ子は仁王立ちしながら言う。 スネ夫は呼吸を落ち着かせ、笑ってみせた。 「ああ、仕方ないさ。仲間だから」 ジャイ子は顔色を変えず、話題を変えた。 「アタシがここにいることに疑問を感じないの?」 「ん?なーに、僕の弟がべらべらと喋ってくれたんでね。 君が僕らの敵だってことも。 そうそう、ついでにわかったこともあるんだ」 「へぇ、どんなことを?」 ジャイ子は試すようにきいてきた。 「推測だけど。旅立ちの日にマスターボールを盗んだのは出木杉とドラえもん。 君やスネツグのボールは偽物だ。 さっき、いったん引き戻してスネツグのボールを確かめたんだ」 スネ夫は『まだどくガスが残っているかもしれない』という恐怖心から息を止めてスネツグの元へ戻った。 だから急いで階段を上ってきたのだ。 「あいつのボールは、本当になんでも無かった。 ただの紫色に塗った空のモンスターボールだった。 おかしかったんだ。ジャイアンを見張るなら如何なる場合でもポケモンを出しておいたほうが効率いい。 なのにスネツグは生身でいた。 なんでか……答えは簡単。ポケモンを持っていないから。 スネツグは誰かに招待されたんだ。 そして君は彼の仲間。君も招待された人物。 きいていいかい?君はポケモンを持っているのか?」 スネ夫は鋭く問う。 「すごい推理ね」 ジャイ子はそれだけ言った。 「でも、ちょっと違う。 アタシは招待客なんかじゃないわ。 ちゃんとあの方におつきして来たのよ。 だから……アタシはもらったの」 ジャイ子はベルトに手を伸ばす。 モンスターボールだ。 「あの方にもらったのよ。 自分のポケモンをね」 ジャイ子は勝機を悟ったように語る。 「さあ、あなたのポケモンはここまで来るのにかなり疲れているはず。 あなたに勝ち目は無いわ」 「さぁて、どうかな」スネ夫ははぐらかす。 「僕がものすごく運がよくて、体力を温存しているかもしれない。 逆に危険なのは君じゃないのかい?ポケモンは一体だけのようだし」 ジャイ子は一瞬歯を食いしばったが、すぐに笑みを浮かべる。 「どうかしら?このポケモンがどれほど強いかわからないわよ」 「この世界はゲームと違ってレベルがわからない。 強さなんてそう簡単にわかるものじゃないよ」 スネ夫の言葉にジャイ子は反論しようとした。 その時だった。 岩が、ジャイ子の肩を掠めて落ちてくる。 瞬時に青ざめるジャイ子。 それはただ、命の危険を感じたからだった。 だが 「ムウマ!!」 スネ夫が目を見開いて叫ぶ。 ジャイ子は振り返り、宙に浮く岩を見た。 岩の少し下には鍵があり、悲鳴と共に落下する。 だんだん岩の下がぼやけ、隠れていたポケモンが姿を現す。 ムウマが弱りきった姿でそこにいた。 ムウマは姿を消していた。 スネ夫がジャイ子と話している間に、こっそり鍵を盗む。 そして鍵を開け、ジャイアンを救出する――はずだった。 「もどれムウマ」 スネ夫がボールにムウマを戻す。 「ステルスロック」 突然天井から声が聞こえてくる。 天井を突き破り、幾つかの菱形岩が床に突き刺さる。 (まずい。ポケモンを交代しにくくなった) スネ夫は舌打ちして天井を見る。 そこには穴が開き、イワークが首を出していた。 「ジャイ子さん、気をつけて下さいよ」 イワークの頭に跨る青年が朗らかに言う。 「……ええ、ありがとう。ヒョウタ」 ジャイ子の礼と共に、ヒョウタが降りてくる。 「ヒョウタ?ジムリーダーじゃないのか?」 スネ夫が問う。 ヒョウタは肩を竦め、答える。 「確かに昔はジムリーダーだった。 だが今はロケット団に加わっている」 ヒョウタはそれを示すように、作業着の「R」の紋章を見せた。 「僕らはジャイ子さんの手助けを任された。 だから君のような人間と戦わなくてはならないんだ」 「僕ら?」 スネ夫が眉を顰める。「じゃあ他にも仲間が」 「その通り」 女性の声が聞こえてくる。 スネ夫が辺りを見渡すと、床の異変に気づいた。 「っぅわ!?」 床から蔓が延び、床板を破壊する。 「こんにちは」 中から和服姿の女性とモンジャラが出てくる。 「エリカです」 (……まずいぞ。一気に不利になった) スネ夫は歯噛みした。 (ジャイ子を戦力に含めないにしても二対一。 しかもジムリーダーだ。そこら辺のトレーナーとは違うはず) 「……ぉ、おい、何だ?ジャイ子」 スネ夫の耳にジャイアンの声が届いた。 見るとジャイ子が牢屋の方を向いて何かしている。 「ジャイアン?どうした!?」 スネ夫は叫んだ。 「ワープ装置を起動させるのよ!」 答えたのはジャイ子だ。 「一気に最上階まで送ってあげる」 「お、おいやめろ!!そんな面倒なこと」 スネ夫は駆け寄ろうとしたが、再び落石が起こる。 「ここは通さないよ」 ヒョウタのイワークがスネ夫の前に立ちふさがる。 「ジャイ子!やめろ。何を……おい何か光って――ぎゃああぁぁあぁ!!」 ジャイアンの叫び声が、はたと止まる。 ワープしてしまった。 「さて、アタシも最上階まで行くわ。 あとは任せたわよ。二人とも」 ジャイ子はそういうと、ワープする。 スネ夫は一歩退いた。 (まずいぞ~、これはやば~い) スネ夫は歯噛みしながら二人を見据える。 「悪いけど、任せるって言われちゃったからね」 ヒョウタが軽く言う。 「逃がしはしません」 エリカが告げた。 (ああぁ、どうにかならないか!? 一体どうすれば……どうすれば……どう) 突然破壊音が空間を切り裂く。 その場の三人と二体は壁を見た。 壁が外からの衝撃によって粉々に砕けている。 その衝撃をあたえたのは鋼の怪鳥―― 「エアームド?」 スネ夫の呟き通り、それはエアームドだ。 そして 「それに……のび太とハヤト!?」 エアームドに跨っていたのはのび太とハヤトだった。 「あ、やあスネ夫!」 のび太は朗らかに手を振る。 その時、壁の穴からまた何かが飛んできた。 いや、それは根っこでエアームドと結びついていた。 ユキカブリとスズナだ。 「スズナさん……みんな来たんだ!」 (ひゃっほう!僕ってやっぱついてるうぅぅ!!) スネ夫が高笑いしてる中、空から来た三人は体制を整えた。 次へ
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【SFC】ドラえもん のび太と妖精の国 このタイトルは現在1つの記録方法が存在しています。 ゲームクリア【ふつう】 (連射機無し) 「スタート」を選択してからラスボス撃破後画面が切り替わるまで 順位 タイム 日付 配信者名 その他一言 No.1 53 52 2009/11/05 gameO 雲ステージだいすき!
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マーセナリーシリーズ 制作者:957氏 制作ツール:RPGツクール2000 概要 のびハザに登場したキャラクターを操って敵を倒していくミニゲームタイプの作品。 本家・ETからの変更点 作品全体を通したシナリオはなく、ステージ制になっている。 ステージに仕掛けが追加された。 その他 現時点で本編は未完成であるため、全てのシナリオをクリアすることは不可能である。間違っても新ステージ解禁の仕方が判らない等、スレで質問しないように。 未完成作品のため、プレイできるのはステージ1の『坑道』だけで、選択できるキャラクターものび太のみ。 更新が一度もされていないため、バグが修正されずに残っている。 最新版が公開されてから、一年以上更新がない。作者が失踪している可能性があります。
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【ゲーム】ドラえもん のび太のFinal Fantasy 【作者名】ななこ 【完成度】現行 【動画数】現行 【part1へのリンク】 【マイリストへのリンク】http //www.nicovideo.jp/mylist/26114402 【備考】
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あえてのプラチナ ◆QxWLPEFfHw モンスターボールGT ◆XbJjp4HhQQ 七凛 ◆7URfw5wlqw 大人のび太のポケモンストーリー◆BdUP9kGduU 700◆BdUP9kGduU
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見やすさ・使いやすさ向上のため、新サイトへ引っ越しました。新サイトはこちらです! トップページ カレ一覧 学年・クラス別 メニューはこちら 学年・クラス順 このページでは、カレ(攻略対象)を学年・クラス別に、名前の50音順に表示しています。 1学年 2学年 3学年 教師・その他 1年生は青、2年生は緑、3年生は赤に色分けしています。 キャラクター名をクリックで詳細をご覧いただけます。 キャラ登場条件はこちら 1学年 藤城学園の1年生は、青いネクタイをしています。(していない子もいますが……) ヒロインの後輩。 宮ノ越 涼太(みやのこし りょうた)1-A 新海 凛十(しんかい りんと)1-B 桜沢 瑠風(さくらざわ るか)1-C 芳屋 直景(よしや なおかげ)1-C 宝生 瑞季(ほうしょう みずき)1-D ツヴァイ※ボイきら未登場1-? 野宮 一期(のみや いちご)星蘭学院 1年8組 2学年 2年生は緑色のネクタイをしています。(していない子もいますが……) ヒロインの同級生。また、ヒロインは一ノ瀬先生や如月斗真くんたちと同じ、2年A組です。 一ノ瀬 学(いちのせ がく)2-A(担任) 如月 斗真(きさらぎ とうま)2-A 北城 猛(きたしろ たける)2-A 守部 匡治(もりべ くにはる)2-A 喜多川 翔太(きたがわ しょうた)2-B 穂高 夏生(ほだか なつき)2-B 明神 堅梧(みょうじん けんご)2-B 周 圭斗(あまね けいと)2-C 廣瀬 櫂(ひろせ かい)2-C 鷺坂 柊(さぎさか しゅう)2-D 白川 基(しらかわ もとい)2-D 日向 湊(ひゅうが みなと)2-D 泉 愛之丞(いずみ ちかのじょう)2-E 逢坂 紘夢(おうさか ひろむ)2-E 鳴海 雅人(なるみ まさと)2-E 渡世 千里(わたせ ちさと)2-F アインス※ボイきら未登場2-? 雨宮 久遠(あまみや くおん)2-? 城戸 戦治(きど せんじ)星蘭学院 2年8組 冴刃 シン(さえば しん)星蘭学院 2年8組 3学年 3年生は赤いネクタイが特徴です。(していない子もいますが……) ヒロインにとって先輩。 真山 恭一郎(まやま きょういちろう)3-A(担任) 芹澤 悠吏(せりざわ ゆうり)3-A(理系進学) 鷹司 正臣(たかつかさ まさおみ)3-A(理系進学) 九条 生晋(くじょう きしん)3-B(文系進学) 黒霧 時宗(くろぎり ときむね)3-B(文系進学) 西園寺 蓮(さいおんじ れん)3-B(文系進学) 不破 渓士(ふわ けいし)3-B(文系進学) 加賀見 朔(かがみ さく)3-C(芸術進学) 桑門 碧(くわかど あおい)3-C(芸術進学) 月読 理京(つくよみ りきょう)3-C(芸術進学) 遊馬 百汰(あすま ももた)3-D(体育進学) 東雲 巽(しののめ たつみ)3-D(体育進学) 皇 アラン(すめらぎ あらん)3-D(体育進学) 瀬名 竜之介(せな りゅうのすけ)3-D(体育進学) 堤 誠志郎(つつみ せいしろう)3-E 桃越 ハル(ももこし はる)3-E 音琴 嵐(ねごと あらし)3-G 奥結 望(おくゆい のぞみ)3-H 壬生 虎冴(みぶ たいが)3-H 神凪 統(かんなぎ みつる)星蘭学院 3年1組 戌亥 幸太朗(いぬい こうたろう)星蘭学院 3年1組 教師・その他 大人のみなさんです。年齢を秘密にしているキャラが多いです。 一ノ瀬 学(いちのせ がく)古典教師 2-A担任 高村 英嗣(たかむら えいじ)生物教師 東麻 慶史(とうま けいじ)校務員 真山 恭一郎(まやま きょういちろう)数学教師 3-A担任 向井 和樹(むかい かずき)実習生 若桜 郁人(わかさ いくと)養護教諭(保健室の先生) ページトップへ
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新入生の音ゲー力を見つつ交流できたらなと ルール 機種は寺ポプDDRギタドラ指リフボルテ+maimai(ダンスエボーダガッキグルコスは未定) チーム分けは在学年数で1年vs2,3年vs4年vs5年以上とします。 3年次編入の方など自分の学年と異なるので気をつけてください。 基本的には前回と同様4チームから1曲ずつ課題曲を出し合って4曲の課題曲のスコアを合計し、1位4点2位3点3位2点4位1点で各チームに点数を与えて最終的にその合計でチームごとの順位をつけます。 課題曲は4曲ありますが1つの機種につき2人までが提出できるようにしたいと思います。 (例:Aさんが1曲目と2曲目と4曲目、Bさんが3曲目を担当など) マルチプレーヤーが1人で全機種やっても面白くないので1人あたり2機種の制限をかけさせてもらいます。 ※1つの機種を2人で担当しても1機種としてカウントするので気を付けてください。 上の例だと1曲しか担当していないBさんも1機種やったことになります。 集計等↓のスプレッドシートを使いたいと思うので目を通してください。 https //docs.google.com/spreadsheets/d/1EuWN72Ez0A-kO0V2WSbNUcuqEQrcHWXWQHbsr6IsUoA/edit?usp=sharing 期間 ~5/20 課題曲決定 5/21~6/3 開催 質問は@kkkirssschまで 適当に加筆修正してくださいお願いします
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前へ 「今回の特別ステージは……これです」 そう言って、司会者が右手のボタンを押す。 すると、ステージの床が金網に変化し、その穴から風が吹き始めた。 「何だよ、これ」 「このステージでは、強力な竜巻が起きます。 真っ直ぐ立って居る事すら難しい、このステージでは、上手く風を利用したトレーナーが、勝利を掴む事が出来るんです。 それでは、準備をして下さい」 『出木杉の奴……また姑息な手を… この風じゃ、クリスの攻撃を避けるのは余計に困難だ』 そんなスネ夫の考えを知ってか知らずか、クリスは言う。 「…早く……始めるぞ…」 スネ夫は、左手でボールを取った。 「試合……始め!」 「レジアイス…」「ジバコイル!」 2体のポケモンがステージに現れる。 でも、先手を取ったのはジバコイルの方だった。 「ジバコイル、かみなり!」 激しい雷音を発て、レジアイスに雷がレジアイスに直撃した。 だが… 「くっ、そんな…」 「…ははっ…そんなの無駄…」 レジアイスのボディには、傷1つ付いてはいなかった。 「ジバコイル、10万ボルト!」 強力な電撃が、レジアイスを襲う。 だが、やはりレジアイスの体は傷つかない。 「クソッ、何でだ!」 「…レジアイス……ド忘れ…」 スネ夫の気持ちとは裏腹に、クリスの指示でさらに特防は上がっていく。 「…最大限まで…特防を上げた……レジアイス…」 「ぐっ、また改造ポケモンか。 でも、スネ吉兄さんは最後の1体まで追い詰めてた。 勝機は絶対あるはず! ジバコイル、どくどくだ!」 ジバコイルの両腕から、勢い良く黒い液体が吹き出す。 「よしっ!これで持久戦に…」 「…ははっ…無駄……無駄無駄……」 「なっ、どくどくが…」 ジバコイルから噴出した毒液は、強風により掻き消された。 そう、このステージでは、どくどくの様な液体を当てる事は不可能。 クリスは、その事も理解した上でこのステージを選んだのだ。 「…もうそろそろ…反撃を始める……」 クリスの言葉で、レジアイスの巨体が動き出す。 その透き通った体の中央にある目は、スネ夫を捉えていた。 「…レジアイス……原子の力…」 巨大な岩石の塊を軽々と持ち上げ、ジバコイルに投げつけた。 「ジバコイル、避けろ!」 ジバコイルが体を横へずらそうとする。 だが、強風に煽られ、体は思う様に動かない。 石の塊は、巨大な金属音を発ててジバコイルに直撃した。 「ジバコイル!?」 「…ふふっ…もっと……もっとよ…」 次々と岩石が投げ込まれ、ジバコイルに反撃の余裕を与えない。 ジバコイルは、急所に当たるのを避けるので精一杯だ。 だから気付けなかった。 レジアイスが、ゆっくりと接近している事に… 「な!?ジバコイル、離れろ!」 ようやく気付き、叫ぶスネ夫。 だが、もう遅い。 すでに、ジバコイルはレジアイスの射程範囲内に居た。 「……レジアイス…アームハンマー…」 こん棒の様な右腕が振り上げられる。 クリスは勝利を確信し、フードの下で不気味な笑みを浮かべた。 だが、予想とは裏腹に、その腕の動きは止まった。 「…!?……どうして…」 初めて、感情が入った声を漏らすクリス。 そんなクリスを見て、スネ夫はにやりと笑った。 「幾ら硬い氷の塊だって、確実にダメージを与えれる技はあるさ。 そう、ソニックブームって技がね」 「…ソニックブーム…ですって?…… …なるほど…この風に紛れて…大量のソニックブームを当ててた……って訳ね…」 「へへっ、その通りさ! さっき原子の力を撃っていた、あの時にね!」 『まさか、この風をそんな風に使う何て… でも、甘い。まだ、レジアイスには力が残ってる』 「レジアイス…大爆発…」「!? しまっ…」 レジアイスの体が、眩しい光に包まれる。 そして、巨大な爆発が起こり、ジバコイルの体を一撃で吹き飛ばした。 「クソッ、まだあんな元気が有った何て!」 「…ははっ…勝負は……振り出しね…」 両者は、共に腰のボールを掴む。 そして、ボールから2体のポケモンが飛び出した。 「……アンタ…バカ?…」 クリスの二番手はレジロック。 それに対して、スネ夫が出したポケモンはクロバットだった。 「バカじゃないさ。クロバットなら勝機がある。 そう思ってコイツを出したんだ。例え、コイツが飛行タイプでもね」 「…そう…レジロック…ストーンエッジ…」 巨大な岩石の嵐がクロバットに迫る。 「クロバット、飛び上がれ!」 だが、スネ夫の指示により、クロバットはストーンエッジを避けた。 「…バカ……この風で……上手く飛べる…訳が無い…」 「どうかな?僕のクロバットを舐めるなよ」 スネ夫の言葉通り、クロバットは風に負けず、空を自由に飛び回っている。 それは、スネ夫が今までクロバットを必死で鍛えてきた証でもあった 「これが僕の一番のパートナー、クロバットの力だ!」 「…生意気な……ハエ… でも…私には……関係無い…」 レジロックの腕が、スネ夫の体に向けられる。 「クロバット!」 「…電磁砲…」 電撃の塊がスネ夫を襲う。だが、間一髪クロバットがスネ夫を助け出した。 「忘れてたよ…お前が人を狙う冷酷な奴だって」 「……はは…」 冷酷な目で、空中のスネ夫を見上げるクリス。 その顔は、既にスネ夫の心臓を握ったかのように、余裕に満ちていた。 「…破壊光線…」 鋭い閃光が空を割き、クロバットに乗ったスネ夫を襲う。 強風が吹いてる上、クロバットは高速で飛行しているのに、 レジロックの光線はクロバットの翼をかすめた。 『何て奴だ……こっちは避けるだけで精一杯だってのに… だけど、破壊光線を撃った今がチャンスだ!』 一気に急降下し、クロバットがレジロックの体に飛び込む。 「クロバット、鋼の翼!」 クロバットがレジロックの体を通り過ぎると、一瞬で肩の岩が砕けた。 「クロバット、さらに鋼の翼!」 Uターンし、またレジロックに突撃する。 レジロックが防御の構えを取った時には、既に足の一部が削り取られていた。 『…レジロックの硬い体が簡単に…… 風の回転と、落下の勢いを利用してるのね。全く…何て悪賢い奴なの…でも』 「……でも…もうお仕舞い…」 レジロックの体に、再び力が戻る。 「…レジロック…ロックオン…」 腕を前に突き出し、動き回るクロバットの体を捉えた。 「!?」 「…ははっ……レジロック…電磁砲…」 クロバットとスネ夫に、強力な電撃の塊が迫る。 『しまっ…避けられ…』 空中で爆発が起こり、眩しい閃光が弾けた。 「……はぁ、はぁ…うぐっ!」 スネ夫もクロバットも生きていた。 だが、無傷のクロバットと違い、スネ夫の体には大量の傷が付いている。 しかも、スネ夫の右半身の神経は、電撃によりマヒしていた。 「…まもるで……防いだの?… でも…アンタ自身は…守り……切れなかったのね…」 「…へっ!だからどうした! こんなの痛くも痒くも無いさ!(痛いよぉ、ママァ、助けてぇ) クロバット、また鋼の翼だ!」 また、クロバットの攻撃が再開する。 その激しい連続攻撃により、レジロックの体はかなり削り取られた。 「…無駄な……こと… こっちは…もう一発……当てれば…勝てる… …レジロック…ロックオン…」 再び、レジロックが先程の構えをとった。 「…終わり…ね……電磁…」 「同じ手を食らってたまるか!クロバット、超音波!」 ドーム内に強力な音波が響き、レジロックの電磁砲は足元に放たれた。 「…うそっ…」 「クロバット、鋼の翼!」 その隙を逃さず、クロバットの翼がレジロックを砕く。 気付くと、レジロックの体は、最初の頃よりかなり小さくなっていた。 「戻れ、クロバット」 クロバットが戻り、スネ夫は地面に尻餅をつく。 そして、代わりにナッシーが現れた。 「これで終わりだ、クリス」 「…そんなポケモン……潰して…やる…」 「出来るかな? ナッシー、サイコキネシス!」 「…無駄よ……レジロックには…そんな攻撃…」 そう言い切るクリス。 だが、そんなクリスの予想は外れ、レジロックの体は空中に浮き上がった。 「…そんな……有り得ない…」 「バカだね。 レジロックの重さを限界まで減らす為に、 僕はクロバットに今まで鋼の翼で攻撃させてたんだ。 それに、下から追い風だって吹いてるだろ?」 どんどんレジロックの体は上に上がっていく。 そして、天井ギリギリまで上がると、勢い良く地面に放たれた。 「戻れ、ナッシー…そして、クロバット! レジロックに向かって、最大まで加速して鋼の翼!」 「…レジロック……下に破壊光線…」 破壊光線がクロバットに当たる。 だが、クロバットの勢いは止まらない。 勢い良く落下するレジロックと、飛び上がるクロバットが上空で交わった。 レジロックの落下速度、クロバットの加速、下からの追い風…… その全てが足された渾身の一撃が、レジロックを切り裂く。 そして、レジロックの体は空中でバラバラに砕けちった。 「さぁ、後はレジスチルだけだね。早く出しなよ」 スネ夫は、勝利を確信してそう言った。 スネ夫はまだ2体残っている。 幾らレジスチルが強くても、状況は絶対にスネ夫が有利だからだ。 「……ふふっ…バカな…男……」 「何だと!」 クリスの言葉に反論するスネ夫。 クリスは、笑みを浮かべたまま言葉を続けた。 「…最後のポケモンが……レジスチル……って保証は無い…」 「…何!?」 クリスが空高くボールを投げる。 すると、ボールから見たことも無いほど巨大なポケモンが現れた。 「こ、このポケモンは…」 「…ふふっ…レジスチルは……前の戦いで…爆発した… だから…この子を…代用……これは…仕方がないこと… この……レジギガス…をね……」 デカイ とにかくデカイ ジャイアンのバンギラスよりもデカイ。 スネ夫は、しばらくその姿に腰を抜かしていた。 『ビビるな、僕! レジギガスは、特性のせいで出たばかりの時は少し弱い。 倒すなら今のう…』 ヒュンッ! そう思っていたスネ夫の横を、何かが通り過ぎた。 激しい轟音が鳴り響く。 横を見ると、クロバットにレジギガスの腕がめり込んでいた。 「そ、そん…な…」 「…悪い特性は……全て排除……ははっ… 限界まで能力を上げ……特性も無くした……レジギガス…」 スネ夫は、全てを理解した。 このレジギガスの強さを……そして、自分の勝てる確率の低さを… 呆然とするスネ夫。 スネ夫は、完全に試合を諦めてしまった。 『この試合…勝った』 そんなスネ夫を見て、自分の勝利を確信するクリス。 だが、そんな二人を見ていない所で、予想外の出来事がていた。 「…何?……レジギガスの様子が…」 急に苦しみ始めるレジギガス。 その腕には、ボロボロになったクロバットが噛み付いていた。 「クロバット、お前…」 「…レジギガス……そいつを握り潰せ…」 激しい音を発て、クロバットの体が潰される。 力無く地面に落ちたクロバットに、スネ夫は走って近づいた。 「…!? クロバット、お前さっきの攻撃…」 苦しそうな顔で笑うクロバット。 そんなクロバットを、スネ夫はボールに戻した。 「ナッシー、後は頼んだぞ」 ボールから無傷のナッシーが現れる。 だが、その瞬間、さっきと同じ様にナッシーにレジギガスの拳が襲った。 「…終わり?……じゃない…」 「ナッシー、最大パワーでリーフストームだ!」 ナッシーは倒れず、残った力で巨大な竜巻を作り出した。 ヨロヨロとバランスを崩しかけるレジギガス。 その姿を見て、スネ夫は一瞬希望を抱いた。 『やったか?』 「…甘いわ…」 竜巻が弾け、元気なレジギガスが姿を現す。 そして、その巨大な腕が空高く振り上げられた。 「……さよなら…」 「ナッシー、こ…」 腕が勢い良く叩きつけられ、地面が激しく砕け散る。 ナッシーがどうなったかは、簡単に想像がついた…… 「お、おい…あれ…」 観客の誰かがクリスを指差した。 一斉に、ステージのクリスに視線が集まる。 クリスの被っていたフードは、さっきの攻撃の風圧で外れていた。 「な、そんな…ウソだ…ろ?」 長い黒髪、痩せ細った小さな顔、そして、大きな丸鼻。 面影はまるで無いが、その顔は、のび太達が良く知っている人物だった。 「ジャイ子!!!」 ジャイアンは、我慢出来ずにそう叫んだ。 「ジャイ子!」 ジャイアンの声がドーム内に木霊する。 フードの中から出てきたクリスの顔は、紛れもなくジャイアンの妹であるジャイ子の顔だった。 「ジャイ子だって!? ジャイアン、それは間違いじゃないの?」 「間違いなく……あれはジャイ子よ」 のび太の質問に答えたのはジャイアンではなく、いつの間にか後ろにいたジャイアンの母だった。 「タケシ、のび太君。 ジャイ子は変わってしまったんだよ。 そう……出木杉様の忠実な下部になってしまったんだ。 あんなに痩せて、髪もボサボサにして……もうあんな子の事は忘れておしまい」 「…母ちゃん」 ジャイアンには直ぐ分かった。 この言葉の真意が、そして本当の気持ちが… 『母ちゃん、安心してくれ。 ジャイ子は俺が必ず助ける』 「オバサン、少し話を聞かしてくれませんか? その…ジャイ子ちゃんが変わってしまう…切っ掛けのような事を…」 「それが良く分からないんだけど… ジャイ子が変わる2日前に出木杉様が店に来たんだ。 その日の夜、ジャイ子がとても嬉しそうにしてたのを覚えてるよ」 「…やっぱり出木杉か! クソッ、俺のせいだ! 家族が狙われる事くらい…予想出来たはずなのに…」 ジャイアンが、思いっきり腕を床に叩きつけようと腕を振り上げた ――その時 《…えるか……の声が聞こえるか?》 「ふは…ふははははははァ! 勝ちましたよ、出木杉様ァァ! 出てきて下さいィ! そして……褒めて下さいィィ! このあたしの事をォォォ!」 ジャイ子の枯れた声が、ドーム内に響き渡った。 その絶叫にも似た声の余りの大きさに、観客全員が耳を覆う。 やがてドーム内の空気が戻り始めた頃、黒いミュウを従えた出木杉が姿を現した。 「頑張ったね、ジャイ子君」 「…出木杉様ぁ……相変わらずとても素敵です…」 ジャイ子が再会を喜ぶ中… 出木杉は計画が思惑通りに事が進む優越感に浸っていた。 《聞こ…るか?》 「その声……ミュウかい?」 のび太はなるべく小さな声でそう言い、隣のジャイアンを見た。 黙って頷くジャイアン。 どうやらジャイアンにも聞こえてる様だ。 「ミュウ…なんだい?」 《…私……木杉に操ら…てしま…た。 こ…以上、お前達…サポー…をする事…出来ない…許し…くれ》 「えっ!?」 思わず大声を出してしまい自らの口を抑える。 そして、のび太は聞いた。 「何が…あったの?」 《…私…頭に…特殊な…械が搭載さ…ていた。 そ…で身動き…止められ…あるポ…モンに思考を完全…操られ…んだ。 何故か…この試合が始ま…前辺りから…こう…て少し力…使えるがな…》 「おい、まさか!?」 「ジャイ子も……そのポケモンに!?」 二人の脳は、同時に1つの答えを弾き出した。 《も…分か…ただろ? そのポケ…ン…いや、デオ…シスは、生物…体内に特殊な電流…流し、 …分の支配…に置く事が出来…んだ。 た…し、一度に完全…操る事が出来るのは一匹のみ。 複数を一度に操…うとす…と、力が弱…る。 だから出木杉は…》 「…今日までミュウを支配してこなかった」 そう言って、のび太は前を見た。 良く見ると、出木杉が手に何かを持っている。 きっと、ミュウが逆らった時殺す為の機械だろう。 『クソッ…』 のび太には、どうする事も出来ない自分を責める事しか出来なかった。 スネ夫が負けた 敵はジャイ子 ミュウが操られた 余りに多くの事が一度に頭に入り、のび太の頭がパンクしそうになる。 そして、のび太の頭に浮かんではいけない言葉が浮かんだ。 『…もう無理だ』 ゆっくりと下を向くのび太。 ……だがその瞬間、ジャイアンが驚くべき事を口にした。 「スネ夫が……笑ってる」 「何笑ってるの? ついに頭がおかしくなったのかしら? お兄ちゃんの下僕さん」 「…いや、面白くてね。 余りに自分の思惑通りに事が進んでいるのが」 「何だって?」 そう言ったのは出木杉だった。 出木杉は、最初からジャイ子とジャイアンの兄妹対決を準決勝で再現する事を計画していた。 つまり、この試合でジャイ子が勝つことは、出木杉にとって計画通りなのだ。 それなのに、スネ夫は自分の計画通りに進んでいると言っている。 出木杉は、その事がとても気に食わなかった。 「骨川君、どういう意味だい? まさか…この試合君が勝つとでも言いたいのかい? もう…ポケモンも残っていないのに」 その言葉は聞いたスネ夫は、ニヤリと歯を見せて笑う。 そして、ジャイ子を指差し、こう言った。 「勝つんじゃなくて、勝ったのさ。 出木杉、ジャイ子の体を揺すってごらんよ」 その言葉を聞いた出木杉は、ゆっくりとジャイ子の肩に手を伸ばす。 「ジャイ子く……な…何だと!?」 ジャイ子の体は、ゆっくりと地面に吸い込まれていった。 深い眠りにつき……とても気持ち良さそうな表情をしたまま…… 「こ、こんなはずは……まさか、お前!?」 「そのまさか、さ。 前を見てみな」 前を見ると、さっき倒れたはずのナッシーが立っていた。 傷だらけで、片膝をついており、その体は今にも倒れそうだ。 しばらくそのナッシーを眺め、出木杉は言った。 「"こらえる"を使ったな…骨川…君」 「その通りだよ、出木杉。 僕はこの試合中に、クリスがジャイ子である事に気が付いたんだ。 理由は3つある。 まずは口調だ。 ずっと気になってたよ。 小さめで、途切れ途切れに喋る特徴的ある口調。 小さな声で喋るのは分かるが、声が途切れるのはいくら何でもおかしい。 そして、分かったんだ。 その喋り方が、正体を隠す為の作戦だってね」 その言葉を聞くと、出木杉は怪しく笑った。 「……良く気が付いたね、その通りだよ。 普通に《あいうえお》と言うと、声質が良く分かるけど… 《あ…い…う…え…お》と間を入れると、声質は分かり難い。 そう、バラバラのパズルでは、描かれた絵が分からないのと同じようにね」 「……それで気が付いたんだよ。 クリスの正体はバレると不味い人物……つまり、僕らに関係のある人物って事にね」 「2つ目の理由は…ジャイアンの話だ。 ジャイアンが言ってたよ。 ジャイ子が居なくなったって… そして、クリスの口調と、ジャイアンの話が、僕の中で1つに繋がったんだ」 「骨川君、1つ良いかい? 君は大きな勘違いをしているよ」 出木杉が、スネ夫の話に割り込んでそう言った。 そして、出木杉はさらに話を続ける。 「ジャイ子君が僕と話している間に、ナッシーを密かに接近させ、 催眠術でジャイ子君を眠らせた……そこまでは良かったよ。 でも、もう終わりだ。 ジャイ子君が眠っても、君の勝ちにはならない。 ジャイ子君に勝ちたいなら、あのレジギガスを倒さないといけないんだよ。 …君のナッシーにそれが出来るかい? 絶対無理だ。 ジャイ子君はもう直ぐ目を覚ましッ! そのナッシーを粉砕するッ!」 出木杉がそう叫んだ。 確かに…出木杉の言う通り、試合に勝つにはトレーナーを棄権させるか、 トレーナーかポケモンを戦闘不能にしないといけない。 相手が眠っているうえ、仲間であるジャイ子である以上、 スネ夫が試合に勝つには、改造レジギガスを倒さないといけないのだ。 圧倒的に不利な状況…… だが、スネ夫の顔はやはり笑っていた。 スネ夫の笑みを見た出木杉は、声を荒げ叫んだ。 「な、何がおかしいんだ!」 「…出木杉、お前も見てたんだろ? さっきクロバットがレジギガスに噛み付くのを。 あの攻撃は……ただの噛み付くじゃなかったのさ」 そうスネ夫が言った瞬間、レジギガスの巨体が地面に沈んだ。 ドーム内に轟音が鳴り響き、辺りが一面砂煙に包まれる。 その煙が晴れると、出木杉の顔は悔しさの色に染まっていた。 「…どくどくの牙だったのか。 今までわざわざあんな長い話をしたのも、 "どくどく"に気付かれない為の布石だったって訳だね」 「最初からナッシーにその指令を全て教えておいたんだ。 ここまで上手くいくとは……流石に思ってなかったけどね」 スネ夫の言葉を聞いた出木杉は、今度は楽しそうに笑う。 その顔は余裕に満ち溢れ、自分の計画に絶対的自信を抱いている……そんな顔だった。 「全く……君の思いつく作戦の狡猾さ、斬新さ、強力さには驚かされる。 完敗だよ……僕もまだまだ甘いって事かな。 …ミュウ、帰るぞ。 作戦の練り直しだ」 出木杉がそう命令すると、二人の体が光に包まれる。 だが、二人の体が消える直前、出木杉は再び口を開いた。 「骨川君、もう1つ質問だ。 クリスの正体が分かった3つ目の理由は?」 スネ夫は短く笑い、その質問に答えた。 「…簡単さ。 名前だよ。 クリスチーヌ剛田、略してクリス…だろ?」 「それでは、Dブロック決勝の勝者を発表します! 勝者は……骨川スネ夫!」 その名前が呼ばれた瞬間、スネ夫にドーム内から惜しみ無い拍手が贈られた。 『僕への…拍手だよな?』 スネ夫は、少し自分の頬っぺたを引っ張ってみた。 痛い…てか伸びてた爪が刺さった。 『夢じゃない…僕は勝ったんだ、あのクリスに』 予選でクリスから逃げ、一回戦では大怪我も負った。 二回戦で初めての完全勝利を味わい、命がけの修行も乗り越えた。 そして……現在。 あのクリスを倒し、自分はこのドームの全ての観客に認められている。 スネ夫は思った。 今まで頑張ってきて、本当に良かったと。 「スネ夫、戻って来いよぉ!」 後ろを向くと、のび太とジャイアンが手を振っている。 スネ夫は、ジャイアン達の方に足を伸ばした。 ――ミュウ? 『…ちょっと待て……まさか、ミュウは僕に…』 スネ夫の中で新たな答えが見つかり、作戦が作り上げられていく。 スネ夫は、伸ばしてた足を戻し、のび太達に背を向けた。 「ス、スネ夫?」 のび太達が驚きの声を上げる。 スネ夫は、後ろを向いたままこう言った。 「ジャイ子を放ってはおけないだろ? …僕は棄権して、一緒に下へ落ちる事にするよ」 「な、何言ってんだよ! せっかく…勝ったのに…俺はお前とも戦いたいんだぞ!」 「…ジャイアン、僕らはここに戦いに来てるんじゃない。 優勝して、ドラえもんと出木杉を助け出す為にここに来てるんだ。 僕には考えがある。 だから二人は……全力でジンを倒して、しずかちゃんを助けてくれ!」 「ス、スネ夫…お前…」 スネ夫が司会を呼び、事を説明する。 頷く司会、そして…司会は最後の確認をした。 「悔いは無いですか?」 「……はい」 司会がボタンに手を伸ばす。 「スネ夫!」 ジャイアンがスネ夫の名前を呼んだ。 「……お前、カッコ良かったぜ!」 一生続きそうな程盛大な拍手の中、二人の体は消えていった。 のび太とジャイアンは、拍手が鳴る間、まばたきもせず……その光景を見守っていた。 次へ
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14ページ目 ジャイアン「す、スネ夫!助けてくれ!」 スネ夫「ジャイアン!どうしたの?」 ジャイアン「ど、ドラえもんが。のび太が。しずかちゃんがっ」 スネ夫「落ち着いて話してジャイアン!僕は君の味方だから!」 ジャイアン「おぉ心の友よ!」 ジャイアンは今までのことを話した。 スネ夫「なるほど。ならば大丈夫」 ジャイアン「何がだよ!」 スネ夫「しずかちゃんがのび太と結婚してめでたしだろ?今子作りしてるんだしほっとけば僕たちに害はない」 ジャイアン「本気で言ってるのか?」 スネ夫「うん」 ジャイアン「あばよスネ夫。お前はもう仲間じゃない。殴る価値もない」すたたた スネ夫「な、なんだよ!本当のことじゃないか!」 ジャイアンは泣きながら走り続けた。あの人のところへ行くために 次へ トップへ
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【しずか】 ばちーん! ビンタの音が響く まだまさこと喧嘩をしているのだ まさこ「ちょ、イタタタ痛いわよ! つねるのは反則だったら!」 はぁ…はぁ… かれこれ30分経ったところで、しずかが話をきり出した しずか「…まぁ今からジム戦だし、とりあえず休戦しましょうか」 (いつか殺ってやるわ。 私がチャンピオンになったその日にね!) まさこ「えぇ。それがお互いのためよ」 (この糞アマが。 まあいいわフリーザー様と会うまでの辛抱よ) 二人がそれぞれの思惑を乗せてニビジムに挑もうとしたその時― 「待て!俺と戦え、ブス!」 わがままジャイアンが目の前に立ちはだかった 初のトレーナー戦が始まろうとしていた 【ジャイアン】 ジャイアン「お前は男の中の男だぜ!」 ワンリキー「何言ってんだよ、相棒! パートナーがお前で本当に良かったぜ」 二人はジュースを飲みながら友情を語り合っていた 虫採り少年から奪い取ったお金で。 血も涙もない奴らである 「早くお前の力を世に見せ付けたいぜ!」 そうジャイアンが言っていた時に格好のトレーナーを見つけたのである ジャイアン「…いたぜ!不細工なトレーナーが さらにボコボコにしてやる!」 自己中ジャイアンはしずかのもとへ向かった 「待て!俺と戦え、ブス!」 ビンタの応酬でボコボコに腫れたしずかとまさこの顔を見ながらジャイアンは言った そして 「あれ?しずか…ちゃん?」 やっとジャイアンは気付いたのだ しずか「そうよ、剛さん」 (いい度胸じゃない) ジャイアン「顔パンパンだぜ、何かあったのか?」 「転んだだけよ!ほっといて!頼んだわ、まさこ!」 (この豚ゴリラ絶対につぶす) ジャイアンとしずかの戦いが始まった― 【のびドラスネ夫】 3人はポケモンセンターにいた スネ夫は祈るようにピカチュウに呼び掛けている 「大丈夫だからね、ピカチュウ。絶対助かるから!」 (ここで死なれちゃ困るんだよ) のび&ドラ「スネ夫…」 その様子を感動しながら見ている二人 純粋な奴らである そして治療が始まって数十分後― ジョーイ「もう大丈夫です。強い一撃を受けていたみたいですけど、そんなに傷自体は深くなかったので」 「ピカー」 スネ夫にピカチュウが飛び付いてきた スネ夫「良かったな、ピカチュウ」 (ピカチュウGetだぜ!) のび&ドラ「スネ夫…」 その様子を感動しながら見ている二人 まったく。純粋な奴らである かくして完全に懐いたピカチュウをスネ夫はPTに迎え入れたのだ この男かなりの策士である 【出来杉】 出来杉はハナダにある、森の中にいた そこの地下に大きな施設がある。 もちろん内密にではあるが― なんとR団のために各地にレベル上げ専用の場所が配置されているのだ さらに楽にレベルを上げられるようにと相性まで考えてポケモンを出現させてくる (これがサカキの力…か) 出来杉は感心しながら淡々とレベル上げをしていた こんなシステムを作れ、そのための場所を各地に確保できるサカキの権力は計り知れないものがある ちなみに一緒に来た盾の下っぱはその間にハナダの家を襲うそうだ (待てないのかね、あのタコは。一人で動いたってテメエの実力じゃ捕まっちゃうよ?ま、僕が手伝ってあげるけどね) 黙々と出来杉はレベル上げをしている― そして二日後 (そろそろ行きましょうかねー) ついにR団出来杉の大暴れが始まった 出来杉 (ゴースLV23!) 現在 おたふくしずか (まさこLV15) 強欲ジャイアン (ワンリキーLV13) 感動中のび太 (カビゴンLV7) 感動中ドラ (ニャースLV7) 策士スネ夫 (メタモンLV5・騙されたピカチュウLV5) 暗躍出来杉 (ゴースLV23) しずかVSジャイアン(初顔合わせ) しずか「そんな馬鹿はボコボコにしてやりなさい!まさこ、れいと……あくまのキッス!」 (しまった。技がーー!) しずかは喧嘩ばかりしていて、まさこの技をまだよく把握していなかったのだ その一瞬の隙をジャイアンは見逃さなかった― ジャイアン「今だカメダ!からてチョップ!」 カメダのからてチョップがクリーンヒットした― (つーかあだ名決めてたんだねジャイアン) その瞬間にワンリキー(カメダ)もあくまのキッスを受けた ジャイアン「カメダ!?」 (ギリギリ助かったわ…) 息をつく間もなくしずかは次の指示を出す しずか「落ち着いてる暇は無いわよ、まさこ!おうふくビンタ!」 まさこ「しずか直伝のビンタを喰らいなさい!」 (だてに私もビンタ喰らいまくってないのよ!) げしげし けたぐりしずかに突っ込みを入れられながら まさこはおうふくビンタを― しなかった 勝者カメダ 決め技 しずかのけたぐり 【のびドラスネ夫】 3人はとりあえず近場の草むらでレベル上げをすることにしたのだが… スネ夫が一向にレベル上げに参加しないのだ 必死にメタモンに何か教えているだけなのである さすがに見兼ねたのび太たちが 「何やってるの?」と聞いても スネ夫「今はやりのメンタルトレーニング略してメタトレをやってるんだよ。今の時代は心からだよ」 としか言ってくれないのだ。それどころか 「じゃあついででいいからコイツを見ててくれよ」 と言ってやる気満々のピカチュウを渡してきたのだ 「ホントについでだけどいいの?」 と念を押しながら二人はピカチュウをあずかった そんなスネ夫のあまりの行動に半ば呆れながらも、のび太たちは黙々とレベル上げをした そしてそれぞれのび太がポッポを ドラえもんがキャタピーを仲間に入れレベル上げに励んでいた ドラ「やったよのび太君、トランセルがバタフリーに進化したよ!かわいいなぁ」 のび「いいなぁ。でも僕のカビゴン…さんとポッポも順調に育ってるよ!ドラえもんには負けないぞ」 ドラ「僕だって負けないさ!」 二人は仲良くレベル上げをしていた。しかし― のび太たちは知らない メタモンを使ったスネ夫の型破りな作戦が進行中であることを 【出来杉】 出来杉が着くと男は民家を荒らしていた 怯えている住民を尻目に。 (もっと上手くやれんのかね…) 呆れながらも出来杉は加勢をすることにした これも仕事である 「すみませーーん。少し遅くなりましたー」 出来杉は大して悪びれることなく言った R団下っぱ「遅すぎるぞ」 出来杉「許してくださいよ、今から倍働きますから」 と話しながら家の端で震えている夫婦に目をやり― 「余計なことしなければ命の保証はしますよ」 優しく語り掛けた 夫婦はコクコクと頷いている しかし― ファンフアンファンフアン R団下っぱ「ち。察が来やがったか!」 「どれだけ暴れたんですか。もう少し穏便にね」 出来杉は下っぱをたしなめた 下っぱ「うるさい、逃げるぞ」 (だからお前は三流なんだよ…) 貸してもらったドガースのモンスターボールを見ながら 出来杉は足を止めた― 下っぱ「何をしている!察が乗り込んでくるぞ!」 出来杉「アンタは勝手に逃げるなり何なりどーぞご自由に。 あとは僕がやりますんで」 下っぱ「!? どーなっても知らんぞ!」 出来杉「はーい」 (バカが) 二人は同時に思っていた 「ここで逃げたらダメでしょ」 出来杉は警官を倒すつもりなのである そう、今回の出来杉に与えられた指命それは― ハナダシティに行き、ロケット団の恐ろしさを見せつけて帰ってくる事だった (捕まらない程度に頑張りまーす) そこへ3人の警察官が入ってきた! 警察官「大丈夫ですか…!?」 ロケット団がまだ現場にいるのである これにはさすがの警官達も驚いた 「自首でもするつもりかな、坊や?」 警察官は目の前の少年に語り掛けた 出来杉「んー、そーですねー… 戦ってみましょうか?」 言うなり出来杉は仕掛けた! 現在の状況 のび太 (カビゴンLV14・ポッポLV12) ドラ (ニャースLV12・バタフリーLV13) 策士スネ (メタモンLV5・貸したピカチュウLV8) 自滅のしずか (まさこLV15) 棚ぼたジャイアン (カメダLV14) 戦闘間近出来杉 (ゴースLV23・補助技充実借り物ドガースLV20) 【しずか】 しずか「…」まさこ「…」 二人はしばらく茫然として言葉が出なかった 正直どーやってニビのジムリーダーを倒したのかも覚えていない。いや、何かイライラする名前だった それだけは覚えている そして長い沈黙を破ってしずかは言った しずか「今回のことは全面的に私が悪かったわ…」 まさこ「…」しずか「…」 そしてまた長い沈黙が訪れた おつきみ山をもう越えようかというその時― 「いいのよ、誰にでもミスはあるわ」 まさこは言った しずか「まさこーーぅ!!」 しずかはまさこぅの胸へ飛び込んだ― よしよし 違った、げしげし まさこはしずかにけたぐりをしながら和解をした しずかは喜んでそれを受け入れた トゥルリーン しずかに若干のMっ気が生まれた! 【ジャイアン】 「勝ちは勝ちだぜカメダ」 ジャイアンは優しく言った 「…」 カメダ(ワンリキー)は無言である あんな勝ち方では凹むのもわかるが。しばらくして― 突然ジャイアンが走り去っていったのだ! (ついに、相棒にも見捨てられちまったか。仕方ねえよな、こんなザコがパートナーじゃよ) カメダは石ころを蹴りながら考えていた しかし数分後 「カメダーー!」 ジャイアンが帰ってきた。右手にある物を持って 「それは?」とカメダが尋ねた。 ジャイアン「これか?これはな、付けた者は必ず勝てる『必勝ハチマキ』なんだぜ!」 カメダ「そんな物…」 「疑うのか?これはウチの家宝として代々受け継がれてきたハチマキなんだぞ!!」 カメダ「なんだって!?」 ジャイアン「嘘だと思うなら付けてみろよ、ほら」 と言ってカメダにハチマキを付けてやった カメダ「お、おおおぉう!!凄え、何だか力が湧いてくるぜ剛!これなら俺は勝てるぜ!!」 「そうか、良かったじゃねえか、カメダ。もうそれはお前の物だぜ!」 「…ありがとよ、相棒。もう俺は格好悪いところは見せねえ。このハチマキに誓ってよ!」 がしっ。二人は抱き合った!その影で― ぽい。優しいジャイアンは 【これで安心受験グッズ第三弾『必勝ハチマキ!』】のレシートを捨てた 【のびドラスネ夫】 レベル上げの甲斐あって難なくニビのジムリーダーを倒して二人は帰ってきた スネ夫「お帰りードラえもん、のび太」 「爽やかに言ってる場合じゃないよスネ夫」 のび太は言った ドラ「そうだよ、バッジも無くてどうすんのさ」 「そう思って今の間に鍛えてたのさ、コイツをね!」 そう言ってメタモンのモンスターボールを取り出した いちいち格好のつけたがる奴だ のび「何だーしっかりやることはやってたんだ」 スネ「当たり前だろ、じゃあ僕は華麗に勝ってくるぜ…う、うわっ!」 どしーん 勢いあまってこけてしまった。二人は目の前で笑っている スネ夫「く、くそぅ。かっこ悪…」 まあそれはご愛敬である スネ「じ、じゃあ行ってくるよ。ゆっくり待ってて」 そしてスネ夫がニビジムに入り数十分後― スネ夫はニビジムのバッジを付けて帰ってきた 【出来杉】出来杉VS警察官×3 ―いきなり出来杉は仕掛けた! 出来杉「行け、ゴースさいみんじゅつ!」 出来杉の速攻により警官一人はモンスターボールを出す前に寝てしまった 警官AとB「!?」 出来杉「驚いてる暇はないよ、お巡りさん!ゴース、もう一度さいみんじゅつだ」 咄嗟に二人は身構えた 警官AとB「くっ……!?」 (眠って…いない?) 眠らずにすんだ二人は顔を上げた。しかし― (いない!!) そう、出来杉の姿が見当たらないのである。さらに― 警官B「霧か!」 黒い霧が室内を覆い始めていたのだ (これはマズイ) 警官Bは一旦外に出ようとしたが… 警官B「!?」 体が動かないのである。その横で どさっ 人が倒れる音がした 「逃げられると面倒なんで黒い眼差しをつかわせてもらいました。ちなみに2回目のさいみんじゅつはドガースが黒い霧を使うための囮ですよ」 淡々と出来杉は言った 出来杉「それじゃおやすみなさい。よい夢を」 そこで警官Bの意識は途切れた― 現在の状況 のび太 (カビゴンLV17・ポッポLV14) ドラ (ニャースLV14・バタフリーLV16) 勝っちゃったスネ (メタモンLV5・貸したピカチュウLV10) M女しずか (まさこLV19) 優しいジャイアン (カメダLV19) 戦闘終了出来杉 (ゴースLV24・補助技ドガースLV20) 【しずか】 あの後踏まれることに悦びを感じていたしずかだったが その一行もやっとおつきみ山の出口まで来ていた しずか「ねぇ、まさこ?」 まさこ「何よ」 しずか「言いにくいんだけど、さ。おつきみ山を抜ける記念に― もうひと踏みしてくれない?」 げしげし まさこ「このアマ!癖になりやがって!」 あの後しずかは、かれこれ30分ほど踏まれ続けた結果 いけないものが開眼しようとしていたのだ 「あんあぁ!まさこ、いえまさこ様ーー!私めをもっとお踏み下さい」 しずかが怪しく叫んでる後ろからポケモンがやって来た 「ピッピーピッピー。ピッピピッピー」 ピッピだ。そしてしずかの傍までくると― 同じ体勢になった まさこ「またMか!」 げしげし 優しいまさこは踏んであげた 今ここに変態パーティが結成されようとしていた― 【ジャイアン】 僕はオニスズメ。いじめられているところをこの男に助けられた。それだけなら良かったんだけど… その後コイツはあまりにもナヨナヨしてる僕を見て― ジャイアン『このふぬけが!俺が鍛えてやる!』 と言って嫌がる僕を紐に繋いで強引に連れていったんだ せめてモンスターボール→ゲットの流れは守って欲しい ハナダのジム戦もひどかった。 なんと捕まえたばかりのLV10の僕をいきなりジム戦にぶつけた。対するヒトデマンはLV18 勝てるわけないじゃないか! ジャイアン「何事も挑戦だ。諦める前にとりあえず行ってこい」 ぶんぶん 僕は必死に首を振った。命に関わるからね。しかし― 「行・っ・て・こ・い」 がつん 殴られた いきなりHP半分からのスタートだ。 僕は泣きながらヒトデマンに向かっていった ぎゅーーーーーん 一撃でやられた。ひんしだ ジャイアン「立て、ふぬけ。そんなんで死にはしねえ。俺が殺すぞ?」 ひんしなのに。この男はポケモンのシステムを根本から覆す気なのか。 そして地獄の特訓が始まった― あれから 草むら→ポケセン→カメダさん→ポケセン→ジム→ポケセンを幾度となく繰り返してついに勝利した 僕は生まれて初めて努力というものをしたんだ! ジャイアン「よし、よくやったぞ。ふぬけ!やれば出来るじゃねーか これでお前もジャイアンブラザーズの仲間入りだぜ!」 そんな称号はどうでもよかったが、僕は生まれて初めて褒められた。その事が何よりうれしかった もう少し―頑張ってみようかな そして勝利の余韻に浸りながら(実際はスターミー戦ではカメダに手伝ってもらった) ポケモンセンターで回復していると― その時事件は起きた ドガーーーーーーーーン! ジャイアン「何の音だ!?」 カメダ「わかんねぇ、とりあえず行ってみようぜ!」 オニスズメ「じ、じゃあ僕はここでゆっくり回復して―」 がつん ピコンピコンピコーン 「…」 僕は黙って付いていった ジャイアンと出来杉の初バトルが行われようとしていた 【のびドラスネオ】 「僕出番少ないニャ」 かわいい声でニャースは言った 落ち込んでいるのだ のび「仕方ないさ。だってかぶってるんだもん」 スネオ「君を出すとドラえもんの出番が少なくなるからさ。なぁ?ドラえもん」 ドラ「そ、そそそんなつもりは無いよ!僕はニャースが大好きさ」 「んー。ホントかニャ?」 ドラ「ああ、もちろんだとも!目に入れたって痛くないさ」 「ぎゃーーー」 ニャースがドラえもんの目を引っ掻いたのはお約束だ 正直言ってドラえもんはキャラかぶっているニャースが嫌いだった 属に言う『おせじ』と言うやつである コイツは今までこうして生きてきたんだ のび太とスネオは顔を合わせてため息をついた スネオ「ま、まあ。そんなことよりさっさとジムに挑戦しようぜ!」 ピカチュウを持っているスネオは意気揚々とハナダジムへ向かって行く そういえばまだスネオの戦い方は見たことが無い のび「スネオ。ジム戦、僕も見学していい?」 スネオ「もちろんさ!僕の雄姿を見ておきなよ」 (この辺で一度安心させておいた方がいいだろう) スネオのバトルが始まろうとしていた 余談だが― 実は自称『僕』のニャースは♀なのだ。しかしこの時はみんな気付いていなかった 機械とポケモン禁断の恋が始まるのはもう少し先のお話 【出来杉】 警官B「う、うわあああぁぁぁ!」 俺は飛び起きた 恐ろしい夢【悪夢】を見ていたのだ(もちろんそれは出来杉の仕業なのだが) ジョーイ「だ、大丈夫ですか!?」 警官B「ジョーイ…さん?」 どうやらここはポケモンセンターらしい 「あの…私はいったい?」 ジョーイ「民家で警官が倒れてるって通報があったものですから。救急車でここまで―」 とジョーイさんが言ったところでやっと気付いた 警官B「!!ロケット団っ…痛っう」 まだ全身が痛む 「しばらくは安静にしてないとダメです!」 ジョーイさんは止めた 警官B「しかし―」 ドガーーーーーーーーン! 続きの言葉を遮るように爆発音が響いてきた ダッ 「こら、待ちなさい!」 俺はジョーイさんの声を背にしてポケモンセンターを飛び出した。 (この町を―守らないと) あの後出来杉は逃げずにあちこちで暴れ回っていた その途中でケーシーを捕まえて森の施設との往復を繰り返していたのだ 「暇だなあ」 ぱらっ 出来杉は【しずかアルバム体操服編】を捲りながらつぶやいていた さすがに正体ばれたかしら。見た人は内緒ね 現在の状況 のび太 (カビゴンLV22 ポッポLV16) ドラ (ニャースLV18 バタフリーLV23) ジム戦前スネオ (メタモンLV5 やる気満々ピカチュウLV16) 覚醒しずか (まさこLV20 MピッピLV12) ジャイアン (カメダLV25 ふぬけLV19) 暗躍出来杉 (ゴースLV25 ケーシーLV15 借り物ドガースLV20) 【ジャイアン】 ジャイアンブラザーズは噴煙のあがっていた民家へと着いた そこには黒い人影がある (あれは―) 「ロケット男!」 団 何かを眺めていたR男がこちらを見て少しビックリしていたのは気のせいか ジャイアン「この世界でそんなことするとは許せねー。 行くぜ、カメダ!ふぬけ!」 カメダ「おうよ、相棒! ちなみに防衛成功したぜ!金は… きっと使ってない!」 訳のわからない事を言いながら二人は向かって行った― ふぬけ「僕も、行かなきゃ…ダメかな?」 後ろでオニスズメは呟いていた R団「おもしろい、僕とやろうって言うんだ?」 歳で言えばジャイアンと同じくらいか。R団の少年はそう言うとゴースを繰り出した 【出来杉】 何やらニヤニヤしながら少女の写真を眺めている少年― そうです。わたすが変な出来杉です アルバムを見ながら悦に入っている出来杉は急に声を掛けられた 「ロケット男!」 (あっ? …豚ゴリラか!?) 何という事だろう (絶対にトップでやって来るのはしずかたんだと思っていたのに。 そしてR団だというのをいい事にあんな写真やこんな写真を撮ろうと思っていたのに!!) まだまだお子ちゃまな出来杉は怒りに燃えていた 目の前の豚ゴリラは何やら吠えている (うぜぇゴリラが) 出来杉は戦うことを決めた 「おもしろい、僕とやろうって言うんだ?」 極めて平静を装って出来杉は言った R団として。いや、出来杉としてもドラ一味との初めての戦闘だった 【しずか】 しずかはハナダジムをクリアした後、一足先にマサキの家に行くことにした 町はR団の話で持ちきりだったがしずかには関係ないことだった 「どうせ。めんどくさいイベントは全部アイツらが引き受けてくれるでしょ」 ジャイアンがそのイベントを必死にこなしている頃マサキの家に辿り着いた 中では――省略 「いやー助かったで。スマンかったな」 (こんのガキャー。人が下手に出とりゃつけあがりやがって) コラッタマサキが逃がされそうになった時は泣きそうだった ・・ 「良かったわね、私のおかげで元に戻れて」 (礼はいいからさっさと渡しなさいよ) 普段はSの源静香。いや、Sizuka Minamotoは冷ややかな笑みを浮かべていた コイツ両性か そしてマサキがチケットを出すと同時に奪い取って去っていった― 「糞ガキが。さて、体も戻ったことやし」 マサキは後続の人たちのために― コラッタになり続けるべく実験を続けた 「あんなマヌケな男が何で存在するのかしらね」 マサキの存在価値を否定しながらSM一行は来た道を引き返していた そこでハナダシティの惨状を知る (何が――あったの) 【のびドラスネオ】 スネオ「じゃ、言ってた通り僕から行かせてもらうよ」 のび太「いいとも。スネオの実力見せてもらうさ」 スネオのジム戦が始まったた スネオVSカスミ(ハナダジムリーダー) スネオ「行け、ピカ!」 カスミ「威勢のいいトレーナーね。行きなさい、ヒトちゃん!」 試合開始の合図が鳴ると同時に ―スネオが仕掛けた 「先手必勝!ピカ、電気ショックだ!」 カスミ「そんなに慌てちゃダメよ。ヒトちゃん、水鉄砲!」 辛うじて先手をとったピカチュウの電気ショックがヒトデマンに炸裂する 一気に半分以上は減っただろう。しかし― 「タイプの相性なんて百も承知!」 すぐに体勢を建て直したヒトデマンの攻撃により、ピカチュウもかなりのダメージを受けた (やはりレベル差か…) スネオはもう少し育てておけば良かったとも思ったが 今更そんな事言っても仕方がない 「ピカチュウもう一度!」 2発目の電気ショックを受け、あっけなくヒトデマンは倒れた― が、カスミは笑みを浮かべている。勝ちを確信したのだろう 「行きなさい、スターミー。本当のバトルはここからよ。そんなレベルで勝てると思わないことね!」 スネオ「思ってるさ。叩きのめせ、ピカチュウ!電磁波」 「遅い! ミーちゃん、バブル光線!」 ピカチュウが技を繰り出すより先にカスミの切り札が直撃した― 「ピ、ピカ…」 辛うじて耐えたがもう虫の息である。それでもピカチュウは全身から電磁波を放出させスターミーの動きを止める カスミ「後は運頼み…か。まあそれもいいでしょう ミーちゃんが動け次第とどめを刺してあげるわ」 カスミは勝ち誇ったように言った スネオ「運頼み?僕はそんなことしないよ、ピカチュウ影分身!」 (運頼みじゃねえか!) のび太はツッコミを入れたかったが我慢した スネオが命令を発すると2体のピカチュウが出現した― (どっちが本物なの…) カスミ「なるほど。動けなくした上、さらに攻撃を受ける確率を下げようと言うわけね。 おもしろいじゃない。ミーちゃ―」 カスミが命令を出そうとした瞬間 カスミ「なっ!?」 スターミーが電気ショックを受けたのだ これにはさすがのカスミも驚いた。スターミーは麻痺していたが、行動を起こす前に ・・ スネオの攻撃が来たのだ 「連続技!?」 衝撃の事実にカスミの動きが止まる― (しまった!ミーちゃんに指示を出してない!) そして 目の前にはピカチュウがいた 「電気ショック!!」 至近距離から放たれた一撃は、傷ついて麻痺したスターミーを倒すのには十分だった 「もったいない。1ターン無駄にしちゃったね。 いや、2ターンかな?」 ニヤリと笑いながらスネオは言った カスミ「そう言うことだったの、納得したわ。私もまだまだ甘い。 おめでとう、ブルーバッジはアナタのものよ」 スネオはカスミからバッジを受け取ってジムを出ていった 「待てよ、スネオー」 興奮したのび太が後ろから走ってきた のび「スネオ!凄いじゃないか!!今のバトル痺れたよ!特に後半の連続攻撃!!!」 (ああ、あれか) スネオ「!ばっかり使うなよ、恥ずかしい。そんな大したことはしてないさ」 (このアホは気付いてないのか) 「よーし。僕も負けずにジムで戦うぞー!!」 そういってのび太はドラえもんとジムに入っていった― スネオ「よくやったな、ピカ。それに、メタ」 メタモン「楽勝だよ」ピカチュウ「ピーカ!」 二匹のピカチュウはニッコリ笑った スネオが影分身と言った時、実際のピカチュウは初めの指示通り電気ショックを行っていた 一方でスネオは事前にメタモンをピカチュウに変身させて隠しておいたのだ そして影分身の合図と供にカスミの死角から出現させたのである 後は驚いて隙の出来ている敵をピカチュウが倒すだけだった もちろんシングルバトルの時、2匹で戦うことはその時点で反則負けだが 影分身したメタチュウは、ただ見学をしていただけなので問題ない それどころかスネオはバトルフィールド上より、わずか外側にメタモンを配置していたため もしメタチュウの方を誤ってカスミが攻撃すれば カスミ側の反則負けになるところだった スネオは勝つべくして勝ったのだ 現在の状況 のび太 (カビゴンLV22 ポッポLV16) ドラ (ニャースLV19 バタフリーLV23) スネオ (メタピカLV5 ピカチュウLV18) 両生類しずか (まさこLV23 MピッピLV17) 戦闘前ジャイアン (防衛カメダLV25 ふぬけLV19) 戦闘前出来杉 (ゴースLV25 ケーシーLV15 借り物ドガースLV20) 【ジャイアンVS出来杉】 「行け…ゴース」 「何!?」 ジャイアンは予想外のポケモンに驚いた まさかR団にゴースを使う奴がいたとは しかし、そんなことを言っている暇はない (カメダじゃ不利だ) 「ふぬけ!」 いない (あんのバカがー!) 込み上げる怒りを抑えジャイアンは言った 「仕方ねえ、カメダ。やってくれるか?」 カメダ「元からそのつもりだ!」 その瞬間カメダ君は― おねんねした 「よく寝てるね。ゴース…ナイトヘッドだ」 ジャイアン「起きろ!起きるんだカメダ!」 「…ナイトヘッド」 「お前の夢はこんなところで終わるのか?世界に挑戦するんじゃないのかー!」 「…ナイ―」 とその時 「警察だ!」 警官Bが入ってきた (このタイミングで来るなよ、ザコが) 「空気読めない奴だね。まぁいいさ、やってやるよ。 行け、ドガース」 出来杉はため息をつきながら言った ジャイアン「何言ってんだ!お前の相手はこの俺だろーが!」 「僕としてはそうしたいんだけどさ。どうやらその警官はそう思ってくれてないみたいでね」 警官B「絶対に逃がさない。行け、コイル!」 ジャイアンにとっては不本意だが2VS1のバトルが始まった― (コイル?雑魚にふさわしいじゃないか) 出来杉は余裕の笑みを浮かべている 警官B「先日はポケモンすら使わせてもらえなかったからね。 コイル、金属音!」 「迎え撃て、ゴース!催眠術だ」 出来杉お得意の催眠術が先に決まった。行動の遅いコイルでは当然の結果だ 「さて、次は―」 出来杉が次の命令を下そうとしているところに ぎぢぃ コイルの金属音が響く! (寝たんじゃないのか!?) さすがの出来杉もこれには驚いた 警官B「二度も同じ手にやられるわけにいかないからね」 そう言って警官Bはカゴの実を見せた 何だか警官Bかっこいいぞ この世界ではDPまでの技、道具が全て存在するのだ (そういや、初めに言ってたな) 「ちぃ、ドガース援護しろ。黒い霧!」 すぐさまゴースの異状を治す さらに出来杉はちらりとジャイアンの方に目をやると ワンリキーが起き上がるところだった (急いだほうがいいな…) 出来杉「じゃあ三度目はどうだい?ゴース。コイルに催眠術だ」 しかし― 眠らない! 「ちぃ、こんな時にはずしやがって。このバカが!」 すでに出来杉の顔から余裕の表情は消え去っていた 警官B「自分のミスをポケモンのせいにしちゃいけないよ。 外すことも想定しない君が悪い。コイル、スパーク!」 「なっ!」 (一撃でこんなに喰らうのか?コイツ…雑魚じゃない) 想像以上のダメージに出来杉も焦る しかしそんな余裕はない 「カメダ、みやぶれ!」 ジャイアンも臨戦態勢に入っている (戦闘じゃ負けたみたいで嫌なんだけど…仕方ない) 出来杉は決断した 「ドガース…自爆」 その号令と共に激しい爆音が室内を覆う! しばらく辺りは白い煙に覆われていた 煙が晴れ、立っていたのは― ゴースと コイルだけだった 「さすが、しぶといや」 出来杉は手放しで褒めた 警官B「なんて…ことを」 今の衝撃で屋根が崩れだしている (急がないとねー) 「止めは直接刺してあげますよ。ゴース!ナイトヘッド」 「くっ…コイル!スパー」 「遅いよ」 数秒後立っているのはゴースだけとなった 「雑魚のくせに時間かけさせやがって。 そこの豚ゴリラ同様ただじゃおかないよ?」 その時だった オニスズメの攻撃が出来杉をかすめたのは― (つばさでうつか!) 隠れていたふぬけはずっと戦況を見守っていた。 そして自分の腑甲斐なさを思い、泣いていた しかしHP赤ゲージの自分に何ができるだろうか いや、何もできはしない ふぬけはそういう結論に至った その時、凄まじい爆音が聞こえてきたのだ そして煙が晴れた後ふぬけの目には 倒れたカメダさんと泣きながら必死に呼び掛けているジャイアンの様子が飛び込んできた 後はよく覚えていない。覚えている事と言えば 泣きながら放ったつばさでうつ攻撃がR団の少年― の後ろに置いてあったアルバムを襲ったことぐらいだ 少年は泣き叫びながら写真を捕まえていた (つばさでうつか!) 出来杉「ふん、まだポケモンがいたのか。でもそんな的外れの攻撃じゃ――」 そこまで言ってやっと出来杉も気付いた。後ろを振り向くと アルバムの中から飛び出した写真が宙を舞っているところだった (うそだと言ってー) その後はまるでスローモーション 僕の写真が 花びらのように散りゆく中で― 出来杉は全ての写真を集められるという奇跡を祈っていた