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第三章『彼方の行方』 我等はこれより道を行く 奴等は後ろから見てるだけ 全てを知るから我等に託し ● 不意に戻った感覚が、佐山に身を包む暖かさを知らせる。 ベッド、か? 横倒しの身、背面にはシーツの硬さ、前面には掛け布団の軽さがある。 瞼を開けて見えるのは白い天井と灯る蛍光灯、身を起こせば同色の部屋や配置物も確認出来る。瓶の並ぶ戸棚、モニター付きの机、壁には午後八時半を示す時計がある。それらが佐山に現在位置を予測させた。 「医務室、か」 む? そこで佐山は違和感を得た。言葉が覚えの無い声で紡がれたからだ。 「――女性の声?」 今も出るのは女性のもの、思えば妙に身も軽い。そこで佐山は部屋の角に鏡を発見、ベッドから移動する。 「今度は一体何だ?」 最早楽しみですらある異常事態、鏡の前に着けば自身の姿が見れた。 「・・・誰だ君は」 女性が映っていた。赤い瞳と銀色の長髪、体つきも如実に現すタイトな黒服。体格も顔の造形も、その他全てが佐山本来のものと異なる。だが一つだけ、本来の姿と共通するものがあった。 「腕の傷痕。・・・私が異形から与えられたものか?」 川沿いで人狼の牙を受けた位置、そこには白く膨らんだ円形の皮膚がある。それを見て思うのは、あれは夢ではなかった、という確認と、あの深い傷がもう治るのか? という第二の疑問だ。 だが当面の問題は、この姿だ・・・ どーしたものか、と佐山は考えていると、かつて見ていた特撮“帰って来たトラウマン”を思い出す。 あれは全裸巨人に変身して都心で戦うというトラウマを抱えた主人公が、しかし秘密組織によって連れ戻されて戦わされるという人格矯正をテーマとする作品だ。それに寄ると変身する原因は、 「体内にスガタカワリンが溜まる為・・・!!」 そこで気付いた。女性の異常に膨らんだ胸部に。 ここにスガタカワリンが溜まっているな!? 佐山は確信、即座に掴んで絞る。出ろ諸悪の根源め、と思いを込めて。そうすれば、 『・・・何をしている、お前は』 突然、脳内に声が響いた。 出たな、スガタカワリンの精め・・・!! 『・・・何だそれは』 佐山は声を無視、より一層の力を込めて絞る。 『――もう少しユニゾンした方が良いのだが。・・・解った、出るからもうやめろ』 脳内音声の屈服と共に変化が起きる。佐山の体から人影が出て来るという変化が。それは、先ほど鏡に映ったのと同じ姿の女性だった。横目に鏡を見れば、簡素な寝間着を着る佐山本来の姿がある。 「・・・よもやシャマル達以外に手を出す者がいるとは」 銀髪の女性は佐山を見て溜め息。誰だ、と佐山は問おうとし、 「何やってるんだよ君は!」 顔面にスリッパを叩き付けられた。聞き覚えのある声と共に。 「・・・新庄君」 医務室のドアを背景に立つのは、茶色のスーツにスカート姿の新庄だ。 「見舞いに来れば君って人は! 覗き魔じゃなく変態だったんだね?」 「誤解だ新庄君。私はこのスガタカワリンの精を体から搾り出すべく・・・」 「何だよスガタカワリンって! 君の脳内物質!?」 「まあまあ、そのぐらいにしときましょ?」 新庄の後ろ、ドアを閉めて新しい人影が入ってくる。新庄と同じ茶色のスーツ、その上に白衣を着た金髪の女性だ。 「でも佐山君だっけ、貴方良い目をしてるわね? ・・・リインの胸に目を付けるなんて」 「先生っ!」 うふふ、と黒い笑いを浮かべる女性に新庄が注意する。 「・・・誰だ貴女は。それにここは一体・・・?」 「ここは時空管理局っていう組織の医務室よ。私は医療関係の長でシャマル、こっちは補佐を兼任してくれてる、リインフォースよ」 「先生、何言ってるんだよ! それは機密事項で・・・」 「隠す必要は無い」 それをリインフォースと呼ばれた銀髪の女性が遮る。 「どのみち彼はこの時空管理局へ来る事になっていた。・・・そうだろう? 佐山・御言」 「・・・私が呼ばれたのはIAIだが?」 「そのIAIの裏の顔だ、この時空管理局・地上本部は。・・・IAIの最奥地下に隠された主要施設、IAI社員達でも知らない特殊区画だ」 「・・・本当はね、問われても答えちゃいけないんだよ?」 囁いてきた新庄に、そうか、と頷きを返し、 「――ではリインフォース君とやら、君は何故私にそんな事を話す。・・・君にその権限が?」 「権限があるのは私ではない、お前だ」 話そう、とリインフォースは続け、シャマルは可笑しそうに喉を鳴らして笑う。 「お前は見てきたな? 山中で空間の異変や人狼を。――あれらはかつて滅んだ十の異世界、その残滓だ」 ● 「・・・で? そんなトンチキ話を私に信じろと?」 リインフォースの眼前、佐山が茶色のスーツを着込みつつ言った。着替えとして渡した地上本部の制服で、手首には自弦時計も付けさせた。着替え終えた佐山の右手には耳まで赤くした新庄の後ろ姿と、 「何考えてるの佐山君、女の子三人の前で生着替えなんてっ!! ・・・眼福だわぁ」 「前後の台詞が一致していないのだが? 大体貴女が女の子という歳かね」 薄ら笑いを浮かべたシャマルを一刀両断、リインフォースに佐山が向き直り、 「で、リインフォース君。・・・嘘ならもっとマシな事を言ってみては?」 「嘘ではない。まずは結論に至る説明を聞いてくれないか」 抗議に喚くシャマルを背景にリインフォースは答える。佐山はしばし間を空け、 「いいだろう。ここで頭から否定しても仕方が無い、話してみたまえ。・・・十の異世界があって、何故それが滅びた?」 ああ、とリインフォースは頷き、 「十の異世界はこの世界を中心とし、一定周期で交差して影響を与え合っていた。しかしある時、全ての交差周期が重なる事が判明した。そうなった場合、最も強い世界だけが生き残り・・・他は全て滅びる事も」 「それはいつの事かね? まさか明日とでも?」 「予測での衝突時刻は・・・この世界で言う一九九五年とされていた」 「・・・そんな事は起きなかったが?」 「当然だ、全ての異世界はそれ以前に滅ぼされたのだから。・・・お前の祖父達によって」 何? と佐山は返し、新庄も初耳だったのか目を丸くする。 「リインさん、どういう事? 佐山君、だっけ。まさか彼、八大竜王の孫って事・・・?」 「――八大竜王?」 十の異世界を滅ぼした者達の総称だ、リインは短く答え、 「そうだ、新庄。・・・この少年の祖父の名は佐山・薫、二つの異世界を滅ぼした男だ。そして我々は世界の存亡を賭けたその争いを―――概念戦争と呼んでいる」 そこまで聞き、佐山は顎に手を当てる。ここまでの説明を吟味する様に。 認めるか? 佐山の孫・・・ リインフォースは佐山の答えを待ち、そして出された佐山の答えは、 「条件次第では信じても良い」 というものだった。その言葉にシャマルが軽く驚き、 「あら、随分早く納得するのね」 「言っただろう、条件次第で、と。・・・それに私の中には君達を肯定する記憶がある」 「・・・山中での記憶、か?」 あぁ、と佐山は頷く。 「閉じられた空間、脳裏に響いた声、有り得ない異形、炎を吹く貴金属、さっきリインフォース君が私の体から出てきた事も含めてもいい。・・・そして極めつけは新庄君の感情だ」 「ボク・・・の?」 新庄が佐山の顔を見た。佐山は深々と頷き、 「あの時、君の表情は本物だった。真性の恐怖と緊張、腹に浮いたあの冷たい汗は演技で出せるものではない。・・・そう、腹に! 露にされた君の腹に浮いた汗は! 真なる君の感情!!」 「腹腹連呼しないで! ・・・ていうか誤解されるからやめてよ!?」 新庄が佐山のネクタイを牽引、喉を封鎖して言葉を止めさせた。 随分仲が良いのだな・・・ 慌てる新庄と痙攣する佐山、それを診るシャマルを眺めながらリインフォースは思う。 「――で」 顔を青ざめつつ佐山が復帰。リインフォースに向き直り、 「確かに異常事態はあった、しかしあれらが異世界の証明とはなりえない。世界は存在するからこそ証明されるのだからね。・・・十の異世界の存在証明は出来るのかね?」 「厳密な意味では出来ない、もう滅びているのだから」 しかし、と続け、 「解るだろう? どんな現象もある一定以上はトリックと考えない方が自然となる。異世界も同じだ、ある一線を超えた時から世界は別世界となる。・・・シャマル」 「はぁい。―――クラールヴィント」 佐山の隣、シャマルが腕を伸ばした。その人差し指と薬指には金の指輪がある。 『お呼びですか、ロード』 シャマルの指輪から女性の声が響いた。 「・・・人語を解する指輪とは。呪われていたりするのかね?」 「違いますぅっ! この子は私の大事なデバイスなんだから!! ・・・クラールヴィント、この失礼な子に見せてあげて? ・・・概念という、異世界の力を」 『Tes.。――近辺の概念をトレース、合一展開します』 金の指輪が小さく光り、 ―――地に足がついている。 世界が一変した。 ● 佐山の脳裏に響くのは自分のものに似た声、山中で聞いたものと同種だ。だが今回は別の異変もある。 「――腕時計が」 先ほどスーツと共に渡された黒い腕時計、それが振動していた。文字盤に一瞬赤い字が走る。 仕掛け時計か・・・? 見れば時計はその針を止めていない。山中ではあらゆる機械がその動きを止めていたのに。 「それは自弦時計という、概念空間に入る為のストレージデバイスだ」 リインフォースが腕時計を指して言う。 「デバイスとは?」 「概念を扱う機械達の事だ。多くは自我を持たないストレージデバイスという機種で、それはその一つだ。・・・シャマルが持つクラールヴィントの様に、意思を持つものもあるが」 「概念空間に概念? ・・・何だそれは」 「――説明しよう」 リインフォースは机へ移動してモニターを操作する。映されるのは、十の球体が一つの巨大な球体を囲んで並ぶ映像だ。 「十一の世界は歯車に見立てられ、Gと呼ばれていた。それぞれ1stーG、2ndーG、3rdーGという風に呼び分けられ・・・それぞれ個性を持っていた」 十の球体に1stから10thまでの数字が割り振られる。 「各Gの常識は全く異なっていた。あるGでは文字が能力となり、別のGでは金属が命を宿した。理屈も何もない・・・“それはそういうものだから”としか良い様の無い根本原因、それを概念と呼ぶ」 そこで映像は、“概念”と書かれた一つの球体が浮かぶものに切り替わる。 「概念を含んだ区域を概念空間、入った際に聞こえる声は概念条文と呼ばれる。概念条文は含まれた概念の象徴で・・・一定以上の強さを持って初めて声に聞こえる」 球体は大きな半球型となり、載せる字も“概念空間”と“概念条文”へと変わる。 そして急接近して内部に侵入、今度は波形が表示された。 「私達は概念を、変化する一定周期の震動波・・・つまり自弦振動だと考えている」 「ならば十のGとは――各々で自弦振動の周期が異なった世界という事か」 その通り、とリインフォースは応じ、それと同時に波形が三本に増えた。 「自弦振動は三種存在する。一つは世界そのものの自弦振動で、他の二つは世界に存在する全てのものが持つ自弦振動だ。所属Gを示す母体自弦振動と、個性を示す個体自弦振動という」 「ふむ。・・・三種の自弦振動、か」 「難しい事は無い。世界の自弦振動は地方別の風土、母体自弦振動は姓、個体自弦振動は名前の様なもの、そう思えば良い」 成る程・・・ 「名前が違えば別の人、姓が違えば別の家系とされるのと同じか。ならば山中で私が閉じ込められた空間は姓、・・・母体自弦振動のズレた空間か」 「少し違う、母体自弦振動が完全にズレればその空間は掻き消える。あれは母体自弦振動を一部ズラしたものだ。そうすればズレたものは二分化する。通常空間側と異世界側の両方、同時に重なって」 「あの山中は・・・通常空間側と異世界側に二重化したのだな? 振動差で異世界側にあるものはそこから出られず、通常空間側からの影響も受けない」 要するに、と佐山は区切り、 「世界の一部を間借りして異世界を再現する、・・・それが概念空間か」 「そう。そして概念空間を出入りするには母体自弦振動を合わせる必要がある。その変調を起こすものは“門”と呼ばれ、それを発動するのがその自弦時計だ」 リインフォースの指摘に佐山は黒の腕時計を見やる。機能の割に随分小さな機械だ、と思い、 「・・・ではこの時計を持っていなかった私が概念空間に入れたのは?」 「お前の個体自弦振動を密かに読み取り、入れるよう概念空間に登録させた者がいると聞く。・・・大方、大城の孫だろう」 聞き覚えのある姓に佐山は気付くが、しかし今は最後の確認を、との判断で後回しにする。 「・・・で、ここがその概念空間という証拠は?」 「それについては自分で確認した方が早いわ」 シャマルの声に佐山がそちらを見やれば、 「――壁に、立つだと?」 シャマルはドアのある壁、そこに垂直に立っていた。佐山から見てシャマルの体は真横に見える。 「今この部屋に展開されている概念条文は“地に足が着く”。つまり足裏側が下となり、引力の方向は個人で異なるの。・・・5thーGの概念を変化複製させたものなのよ?」 「真横の顔に話されるのも妙な感覚だが・・・変化させた複製? 新しくは作れないのか」 「概念は世界の根本、洒落て言うなら神の創造物よ? 人の身で作るのは矛盾するわね。・・・研究はされたそうだけど成功例は聞かないわ。今は劣化版、せいぜい亜種を作るのが精一杯」 「・・・これで解ってくれたかな、佐山君?」 新庄は窺う様に言う。その声色に浮かぶのは、やっとかな? という期待だ。しかし佐山は、 「あと一歩、かな。もう少し現実離れして欲しいのだが」 「・・・注文の多い人だね」 新庄は溜め息をつく。その様子にシャマルは笑みつつドアまで移動し、 「だったらこんなのはどうかしら?」 シャマルはしゃがんでドアを開く。そこに見えるのは通路ではない。 「・・・何だこれは」 見えたのは巨大なフロアだった。そこには作業着姿の人間達や異形達があり、それに稼働練習なのか巨大な人型ロボットがタンゴを踊る姿もある。シャマルと同じく、壁も天井も床として。 「あっちは元々地上本部で展開されていた概念空間ね。今私達がいる概念空間は、クラールヴィントがそれを読み取って展開したものなの。・・・同種だから連結させる事も出来たって訳」 「どうだ? これで私達の話を信じてもらえただろうか」 佐山は軽く頭を抱え、 「――ああ良いだろう。認めようじゃないか、その異世界とやらを。否、こんなトチ狂った事実がこの世界の現象と言えるものか」 新庄とシャマルは、やったぁ、とハイタッチ。リインフォースは薄く笑っていた。 ● フロアの人々に挨拶して扉を閉め、佐山達は話を再開した。 「つまり概念戦争とは、概念の所持量を巡る争いだった訳か」 「そうだ。世界そのものと言える超密度の概念、それを概念核というのだが・・・それを五割以上を失うとGは滅びる。そして現在、十種の概念核は全てこの世界にある。管理局が全て持つかは別にして」 「時空管理局は、そういった時も空間も異なる異邦人達に対応、管理する為に設立した組織って事ね」 「最初は本局っていう所だけだったんだけど、概念戦争に出る為にこの地上本部が作られたんだって」 「そして佐山・薫は初期の地上本部に所属、その一員として十のGと戦い、概念核を奪い滅ぼす事で戦いを終わらせた。――この世界の勝利でな」 ふむ、と佐山は応じ、 「それについていいが・・・しかし解せない。何故今になってそれを話す? 祖父が亡くなったから、という訳ではないだろう?」 あ、と新庄は口を開ける。 「そ、そう言えば何で?」 「新庄ちゃん・・・何も知らずに説明してたの?」 だって、と涙目の新庄にシャマルは苦笑し、 「それはね? この世界、LowーGが・・・再び滅亡の危機に瀕しているからよ」 「何?」 その答えに佐山は身を乗り出す。それはどういう事だ、と。 「それに抗う為に管理局は一つの計画を起こした。全竜交渉という計画を」 「交渉・・・? 一体誰と交渉するのかね。いや、それよりも世界の滅びに抗う手段が?」 ある、とリインフォースは答え、それは、と続けようとした。その時、 「それ以上言ったら困っちゃうでなーッ!?」 突然医務室のドアが開き、一つの物体が飛び込んだ。 それは老人だった。眼鏡をかけた初老の男、それがCの字の体勢で飛来したのだ。 「・・・ッ!?」 佐山は反応、右の拳を初老の腹に叩き込む。そうすれば今度は>の字になり、ドアの向こうへ飛び戻る。 今の顔と声に覚えが・・・ しかし佐山はかぶりを振る。あんな珍動物を知る筈が無い、そう思うからだ。だが、 「・・・ふ、ふふふ。葬式以来だな、御言君。――覚えておるかな? この大城・一夫を」 吹っ飛んだ老人が戻ってきた。今度は這いつくばった姿勢で、トカゲの様に。その顔に佐山は、あぁ、と頷き、 「そう言えば私は貴方に呼ばれたのだったな、御老体。・・・どうした、そんな這いつくばって。客を呼んだのなら茶の一つも出したまえ」 「うわ久しぶりに腹が立つナイス反応じゃな!?」 見下ろす佐山に大城は立てた親指を下に突き出す。それから佐山はリインフォースに今一度問うた。 「一つ聞き忘れたのだが・・・概念空間内で破壊があった場合、どうなる?」 「ああ、概念空間には元々存在したものの自弦振動が一部使われている。一度壊れた位ならば問題無いが・・・幾度も使用すれば何らかの形で本体にも被害が及ぶだろう」 「リ、リインちゃん!? そんな不吉な事言っちゃ大城泣いちゃうでなー!?」 「大城全部長! その穢れた口でうちのリインを呼ばないで下さい!」 「何っ? わしの発言って全否定ー!?」 シャマルは大城に詰め寄り、しかしリインフォースはどちらも無視して、 「しかしこれに生物は含まれない。少量の自弦振動では生命力に乏しく、未来への可変性も無い。動くだけですぐに砕けてしまう」 「山中の概念空間に動物がいなかったのはその為か。・・・つまりここにいる御老体は生100%か、実に汚らわしい」 「あ、汚らわしいになった! 穢らわしいから汚らわしいになったよ!?」 「・・・何を言っているのかね、どちらも同じ言葉ではないか」 「何か違うのっ! こう、含まれたグレードというか意味合い的なものがー!!」 うわぁん、と大城は泣き真似。佐山達は、痛いものを見た、という顔でそれを見下す。 「あ、あの皆!」 そこに新庄の声がかかった。 「大城さんが何しに来たか聞くべきだと思うんだ! 地上本部全部長が来るからには何か訳がある筈だよ!」 「だそうだが御老体、何か弁明はあるかね?」 「いきなり問い詰め系!? ・・・だってリインちゃんに全竜交渉の事まで言われたら、わし、出番無くなっちゃう」 「よーし諸君、今からこの痛い老人を拷問にかけようと思うのだが?」 「さんせー」 「異議はない」 「し、新庄君! 今わし酷い目に遭いそうなのだが助けてくれんかね!?」 「・・・」 「そっぽを向いちゃいやぁーッ!?」 それから数刻、包帯で簀巻きにされた大城に佐山は、 「で? 止めたからにはしっかり説明して貰おうか。全竜交渉とは何だ?」 「老人虐待の若人には教えないもんっ。・・・あぁうそうそ、だからその座薬はしまってお願いだから」 ふう、と大城は溜め息を一つ。 「この世界がマイナス概念で滅びそうなのは聞いたでな? それを知った管理局は全概念核を解放、このLowーGを強化してそれに対抗する事を決定した。その為に各Gの生き残り達と交渉し、概念核の使用許可を得ねばならん」 ふむ、と応じた佐山に大城は言った。 「それが全竜交渉。・・・そして我等が八大竜王、佐山・薫はその交渉役を君に譲ると言ったのだよ」 ● 「―――これが1st-G勢力の現状となります、至様」 Sfが書類を机に置いた。至はそれに反応もせず、書類の一枚を取って紙飛行機を作る。それを飛ばせばSfの額に当たり、 「・・・何か反応したらどうだ、Sf」 「では・・・至様、その折り方では空気抵抗が増えて飛び難いかと」 「そこじゃないだろ言うべきは!? ・・・全くつまらん奴だなお前は」 「Tes.、それが至様のご要求ですので」 そう答えたSfに至は、はん、と鼻を鳴らて残った書類を見やる。 「管理局に恭順した和平派、奴等を引き込もうと交渉に来た王城派の人狼は死んだ、か。それを発見した通常課にも死者数名、Sf、お前これをどう思う?」 「後の1stーGとの全竜交渉で、交渉材料になるかと」 「彼等の犠牲は無駄にしない、と言うんだ馬鹿。・・・覚えておけ、とりあえず表向きはそう言う、と」 「Tes.、ですが意訳として解り難いかと」 解り難いからこそ良いんだよ、と至は呟き、しかし、と続ける。 「親父も大変だな、王城派みたいな雑魚に振り回されて。1stーGの概念核、その半分を持つのは奴等ではなく市街派だというのにな」 「それ故に市街派は高い戦闘力を有します。迂闊に手を出せば被害は甚大かと」 「だから佐山・御言を交渉役にする、か? あんなガキに随分入れ込むな、親父も。・・・随分甘くなった」 「かつての一夫様は今と違ったのですか?」 「ああ、昔はそれこそ俺達を死地で鼓舞したものだ。・・・今は影も形も無いが」 「・・・全竜交渉とは如何様にして行われるものなのでしょうか」 「知りたいか」 「いえ別に」 「では教えてやる」 至は再び書類を一枚取り、手元で折っていく。 「十のGはそれぞれ独自の概念で作られていた。それらを総じてプラス概念というが、・・・逆にこのLowーGは何の力も無い、むしろ害を有するマイナス概念で作られていた」 「Tes.、それ故にLowーGは最底辺の世界とされ、真っ先に見捨てられたと」 「ああ、マイナス概念などあっても仕方ないからな。十のGは己の世界が滅びるのを厭い、LowーGを戦闘の場所に選ぶ事も多かった」 「各Gの生き残り達がLowーGに向ける遺恨はそれですか? 最底辺の世界が生き残った、と」 「理由の一つに過ぎんさ。・・・だが結果的に十のGは滅び概念核はLowーGに持ち込まれ、多くは管理局によって封印された。これが解放されればLowーGの常識が崩れるからな」 言葉の合間に紙を折り、擦る音が響く。 「だが十年前、ある事件を期に概念核が活性化した。放置すればLowーGが今よりも、それこそ自壊する程マイナスへ傾く事が解ってな、最早世界が変わるのを覚悟しての事だった」 しかし、という区切りが入り、 「分割された概念核は恭順しない生き残りが持つものも多く、その使用許可を得る為の・・・交渉が必要となった」 今さら勝者気取りで好き勝手は出来んしな、と至は笑う。 「マイナス概念の活性化に対抗してですか? ぶっちゃけ真実とは思えませんが」 「その証拠はお前自身だ、Sf。お前の体を造る技術元、3rdーGの戦闘機人達が何時目覚めたのか言ってみろ」 「・・・一九九五年、十二月二十五日です」 「そして聖者誕生と浮かれる日本で、その日何が起きた?」 「Tes.―――関西大震災が」 「そうとも。大阪を中心にして関西広域に広がった大災害。あれを期に概念核が活性化、LowーGにも僅かだが概念が漏れ出し、彼女達もギリギリで動ける様になった」 「・・・」 「マイナス概念の活性化は今も進行中、臨界点は活性化より十年後と予測されている。・・・つまり」 「二〇〇五年、今年の十二月二十五日ですか」 Sfの確認にも応えず、至は折り紙と化した一枚を書類の上に置く。その形を見たSfは、 「船、ですか?」 「馬鹿め、塔だ。・・・こう見るんだよ」 そう言って至は折り紙の置き方を変えた。そうすれば、確かに突き立つ塔に見える。 「これが、全ての始まりだ」 ● 黒い風は深夜の空を流れる。 漆黒に重ねられた漆黒は見る者にそれを判別させず、文字通り疾風となってある場所に入り込む。 そこで一つの偶然があった。疾風となったそれが、その場所である少女にぶつかったのだ。 その身の体現と同じ名を持つ少女に。 「ひぇっ!? ・・・か、風か? 驚かさんといて」 八神・はやて。黒の風は尊秋多学院校舎で、彼女の髪をそよいだ。 ―CHARACTER― NEME:大城・一夫 CLASS:地上本部全部長 FEITH:史上最高の変態 戻る 目次へ 次へ
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「ん、後はこれを持って行けば任務完了やね。」 今回の任務地は第162観測指定世界やった 任務内容はロストロギア、レリックの確保というもの その中でAMF搭載の未確認機も現れた 今回現れたんが全部であってほしいんやけど… って今考えても仕方あらへんか もうちょい情報がないとなぁ… さて、気持ちを切り替えてっと 「それじゃ、転送ポートに…あれ?」 「どうしたの、はやて?」 「いや、これ…。」 そう言って近くにあった水晶を拾う 「これって水晶…だよね?」 「さっきの未確認機持っていた物…じゃないよな。」 「こんな色をした水晶など、この世界には存在しない筈…。」 「でもこれ何の魔力反応もないですよね。」 となると唯の水晶なんやけど…何か気になるんよねぇ 「そうだ、アースラにユーノ君がいる筈だから聞いてみたら?」 「そやね。こーゆーんはユーノ君の方が詳しい筈やしね。」 そういえばなのはちゃんとユーノ君の関係って… 昔と何も変わってへん…仲のいいお友達レベルのままや 多分…あの二人の関係は一生あのまんまなんやろうなぁ 「気を取り直して転送ポートに行こか。」 「ただいま戻りましたー。」 レリックの方は渡してきたし、後はここを出るのを確認すれば一安心や って凄い量の料理があるな~ 「おお、何だこの食事の量!!」 「すごいわねー。」 「このへんはアコース君から。」 「あ、ロッサ来てるんですか?」 「クロノ君と一緒に本局まで護送だって。」 ロッサに挨拶くらいしとこうかと思ったけどクロノ君と一緒やったらお邪魔やね えーと、ユーノ君は…いたいた 「なぁなぁユーノ君、この水晶見たことあらへん?」 そう言ってさっきの水晶を見せる 「うーん………ちょっと見たことないな。どうしたの、これ?」 「さっき拾ったんや。何の魔力反応もないんやけど何か気になってな。」 「ふーん…じゃあ時間がある時でも調べておこうか?」 「それじゃあお願いな。」 「アースラ本局直通転送ポイントに到着。クロノ君とアコース査察官は転送室から無事出立!!」 エイミィさんから報告が入る これで一安心やな 「というわけで、みんなは安心して食事を楽しんでねー。」 『はーい!!』 それじゃさっきの水晶をユーノ君に…ってどっかいってもうた 後で渡せばええかな さっきの水晶を近くにあるテーブルにでも置いて私も食べよ みんなと集まって食事したりするんはやっぱ楽しいなぁ 集まったりするんは休みとか調整すればええんやけど一緒に任務やるんはあと何回あるか… 「はやてちゃん、どうかしたんですか~?」 「あ、何でもあらへんよ。」 「主はやて、いくつかよそった物をお持ちしたのですが…。」 「ありがとな、リインフォース。」 「いえ。ほら、リインも。」 「ありがとです~。お姉ちゃん。」 二人はホント仲がええなあ リインはリインフォースⅡゆうてみんなはリインと呼んどる 家の末っ子や 私等の中でもリインフォースに一番懐いとる リインがお姉ちゃんゆうんはリインフォースだけやしね 「もう、シグナム!!あなたはまた…。」 っと、向こうの方でシグナムがフェイトちゃんをまたからかっとる フェイトちゃん執務官の試験一回落とるからなぁ あの時はなのはちゃんが大怪我したって連絡が入ったんよね その時のフェイトちゃんはたしか試験真っ最中やったし… 落ちても仕方あらへんよね… フォロー入れといた方がええかな 「まぁまぁ、シグナム…。」 「し、試験の時に私が色々心配掛けたりしましたしー。」 「ま…それもそうだな。」 シグナムがからかうのをやめたのでフェイトちゃんも持ち直した 「でも、なのはがすぐに直ったのは悟飯のお陰だよね。」 「うん。悟飯君にはちゃんとお礼を言わないとね。」 なのはちゃんがすぐに回復したんは悟飯が置いていってくれた仙豆のお陰や なのはちゃんが大怪我したって報告受けた時私は仙豆を持ってなのはちゃんの所に向かった 酷い怪我やったんやけど仙豆食べさせたらすぐに直ってもうた フェイトちゃんには時間差があったためか、なのはちゃんが直ったって情報が伝わらへんかった ぶっちゃけそのせいでフェイトちゃんは試験に落ちたんよね ちょっとした運命の悪戯やね…これは 「そういえば悟飯の居る世界ってまだ見つかってへんのですか?」 ふと思ったことをリンディさんとエイミィさんに尋ねてみる 「ええ、まだ…。」 「ごめんね、必死に探してるんだけど…。」 「あ、いや、ええですよ。」 そう言ったものの気落ちしてまう… 悟飯がいなくなってから五年くらいは経つんやなぁ… となると悟飯は今十八歳くらやね… 無事っていうのはわかってるんやけど………会いたい… 悟飯……… 「………あれ?」 「どうしたの、はやて?」 「今何か光らへんかった?」 何かピカピカって… 「って、あー!!さっきの水晶!!」 「何か光ってるです~!!」 「でも魔力反応は何にも出てないわよ!!」 さっきの水晶がもの凄い光を発する 思わず目を瞑る 光が収まっってきたので目を開けると大きくなった水晶があり その水晶に映ってたのは… 「悟飯…。」 オレンジ色の胴着… 紺色のアンダーシャツ… ちょっとツンツンした短い黒色の髪… そしてさっきチラっと見えた背中にあった『飯』の染め抜き… 何よりあの顔つき… 「間違いない!!悟飯や!!」 そう言った後みんな水晶に注目する 私ももう一回悟飯の顔をじっと見てるんやけど… 悟飯…めっちゃかっこようなっとる 私かてもう十五やし、出るとこ出とるし、引っ込むとこ引っ込んどるし 女らしゅうなってきとると思っとる… せやから悟飯もかっこようなってるんやろうなぁと思っとったんやけど… 思っとった以上や 心無しか顔が赤こうなっとる気がする 心臓もバクバクしとる お、落ち着け、私 「あらあら、悟飯君すっかりカッコよくなっちゃって。」 「あの~、この人が…?」 「うん。孫悟飯君って言って私達の大切な友達で、はやてちゃん達の大切な家族。」 みんな水晶に映ってる悟飯にに色々話しかけてるんやけど… どうもこっちの声が届いてないみたいなんや… 「………孫の様子…少しおかしくないか?」 そう言われて悟飯の顔を見てみると…悟飯が険しい顔をしとる どないしたんやろ… そう思っとると画面が少し遠くなり全体像が見えるようになる 氷山の上に立つ悟飯、その悟飯を取り囲むように三人の男の人が空に浮かんどる 『やっと復興が進んできた町を破壊しやがって。何者だ…貴様等?』 向こうの声はこっちに届いてるみたいや でもなんか今物騒なこと 『俺は人造人間13号。そっちの大きい方が14号。もう一人が15号だ。』 『な!?人造…人間…だと…!?』 人造人間って… 「お姉ちゃん、人造人間ってなんですか?」 「悟飯のいる世界で破壊の限りを尽くした奴等だ。そのせいで数百億人いた人々が 数百万人にまで減ってしまったと聞いている。だが…」 「そーだよ!!人造人間は悟飯が倒したじゃねえか!!」 そや、人造人間は悟飯が倒した… 『驚くのも無理はない。16号以下の全ての人造人間は処分されたということになっている。』 『なっている…だと?』 『そうだ。他は知んが俺達三体は封印されているだけだった。』 『………。』 『だが数日前に大きな地震があってな。』 『…まさか!?』 『その通り。その地震の衝撃で俺達を管理していたコンピューターが再起動。 そして数日の調整の後、俺達を起動させたという訳だ。』 『貴様等の目的は?』 『孫悟空の抹殺。』 『父さんの!?だが父さんは…』 『孫悟空がこの世にいないことは知っている。だからもう一つの目的を果たさせてもらう。』 『もう一つの目的?』 『レッドリボン軍本来の目的…世界征服だ。その世界征服にもっとも有効なのは力による支配。 そのために町を破壊し、人間どもを殺そうとしたのだがな。』 「な!?」 みんなが驚く そないなことを実際に起こそうとするやなんて 『ふざけるな!!やっと平和になったんだ!!やっとみんな進めるようになったんだ!! またあんな地獄のような世界に逆戻りさせて堪るか!!平和は…未来は俺が護ってみせる!!』 『ほう…それはつまり俺達を貴様一人で倒す…と?』 『ああ、そうだ。』 『孫悟飯、貴様のデータはある程度入手済みだ。たしかに貴様のエネルギー値は一般人の それを遥かに超えている。だが貴様程度では俺達に万に一つも勝ち目はない。』 『それは…どうかな?』 そして 『はあああああああああああ…!!』 逆立った金色の髪、エメラルドグリーンの瞳の色、金色の気を纏った姿… 超サイヤ人になった 『ほう…。』 悟飯が超サイヤ人になった時氷山の端の部分が崩れ落ちる それが氷の大地に落ちた瞬間、三体の人造人間が悟飯に接近し攻撃を仕掛ける 「悟飯!!」 危ないと言おうと思ったら悟飯は三方向からくる攻撃を両腕と足で防御し 『はあ!!』 気で人造人間を吹き飛ばす それで吹き飛ばされた14号と15号は氷山に激突する だが13号の進行方向には氷山が無く、悟飯が13号に追い討ちを掛けようとする 13号は悟飯の攻撃が来る前に体勢を立て直し悟飯の攻撃を腕で防御し蹴りを放つ 悟飯はそれを体を引いて避け、連続で攻撃を放つ そのまま激しい攻防を繰り返す 途中で14号と15号が復活して悟飯に攻撃を仕掛けようとしてくる それに気付いた悟飯は当身で13号の体勢を崩して上空に退避する だが15号が悟飯の進行方向に先回りしておりそこからエネルギー弾を放つ それを悟飯は体の位置をずらして避ける 今度は悟飯の死角から14号が拳を放つ 悟飯は体を回転させ14号の腕を掌で弾いて距離を取る その先には13号がおり悟飯に攻撃を仕掛けてくる 悟飯はそれを腕で防御する その瞬間悟飯の両サイドから14号と15号が接近戦を仕掛けてきた けど悟飯は三方向からくる攻撃を防御と回避で凌ぐ 「凄い…。」 「三対一っていう不利な状況なのに悟飯君は全然負けてない。」 「悟飯、頑張れー!!」 三方向からの攻撃がほんの一瞬止まった時悟飯後ろに下がる そして三体の人造人間に向かって連続でエネルギー弾を放つ それは避けられたみたいなんやけど距離は取れたみたいや 『成る程…こちらのデータを遥かに上回る強さだ…。だが…』 『孫…悟飯…。』 『ソン…ゴハン…。』 14号と15号が悟飯の名前を言う てかあの二体喋れたんや… そう思とったら14号と15号の姿が消え、悟飯の後ろに現れる 悟飯には見えてるようで背後に蹴りを放つ 『な!?』 その蹴りが避けられてしまう 蹴りを振り切った瞬間、悟飯は14号に蹴りとばされ、その先に現れた15号に叩き落とされる 悟飯は途中でブレーキを掛けて氷の大地に叩きつけられるのを回避する その後、近づいて来た13号に接近戦を仕掛ける 『どうした、当たらないぞ。』 『く!?』 悟飯の攻撃が掠りもしない 13号は悟飯の腕を掴み膝蹴りを当てて蹴り飛ばす 蹴り飛ばした先には15号がおり、飛んで来た悟飯を斜め上空に蹴り飛ばす そしてその先にいた14号に殴り飛ばされ氷の壁に叩きつけられ、氷の壁に少しめり込む 『が!!…ぐ………。』 「悟飯!!」 悟飯は…よかった、無事みたいや 『何故自分の動きや攻撃がこうも簡単に見切られているのか?そう思っているだろう? 教えてやる。俺達の見た映像は全て俺達を管理していたコンピューターにリアルタイム で送られる。』 『…まさか!?』 『察しがいいな。そう、貴様の行動は全てリアルタイムで分析、解析されている。 その分析、解析されたデータは常に俺達に送られる。』 な、それじゃ… 『攻撃力、防御力、スピード、動きの癖、戦い方、その全てが手に取るようにわかる。 諦めろ…貴様に勝ち目はない。』 『誰が…諦めるか!!』 そう言い放ち悟飯は金色の気を纏い直し、体の周囲にあった氷を吹き飛ばし 14号と15号に接近戦を仕掛ける …悟飯の無事を祈ることしかできへん自分が煩わしい… 私だけやない…みんな助けにいきたいと思っとる 映像が映っとるんやから悟飯の居る世界の座標がわかるかもってシャマルにリンディさんに エイミィさんが調べてくれてるんやけど…まったくわからへんみたいや 助けに行きたいのに行けない… これは対応がいつも遅い今の管理局にも言えることや… ………悟飯は必ず勝つって信じてる…誰よりも せやけど…それでも心配はしてしまう… まして今は悟飯が圧倒的に不利な状況や… 悟飯… 「………ん?」 「どうした、リインフォース?」 「徐々にだが悟飯が押し始めてきている。」 そう言われて映ってる映像をみな凝視する ………ほんまや 悟飯に当たる攻撃が少なくなって悟飯の攻撃が当たり始めてきとる 「いいぞ、いけ悟飯!!」 次第に悟飯が有利になってくる 『馬鹿な…計算ミス!?…いや違う、これは…こちらの計算を上回る速度で進化、成長 しているのか!?この短時間で!?』 戦況はもう悟飯が完全に押してる 『これが…戦闘民族…サイヤ人…。』 急に14号と15号が後ろに下がり連続でエネルギー弾を放つ 悟飯はそれら全てを避ける その間に14号と15号は氷の大地に降り、悟飯も同じように降り立つ 睨み合っている時に15号が懐から…お酒?…らしきものを取り出し飲み始める それを飲み終えて懐にしまった後、14号と15号は斜め後ろ上空に飛び去った 悟飯もそれを追おうとして 『S.Sデッドリィボンバー!!!!』 突如、上空にいた13号が血ように赤い大きなエネルギー球を悟飯に向けて放つ 悟飯はそれを避けようと 『避けても構わんが、それが地球に激突した場合地球の半分は跡形もなく吹っ飛ぶぞ。』 『何!?』 な 「なんやて!?」 「そんな!!」 「卑怯な!!」 悟飯は避けるのをやめてその場に留まり、むかってくるエネルギー球を受け止める 『ぐ…ぐぐ…ぐ………ぐ…ぐ…!!』 少しずつ悟飯は後ろに滑っていく 「悟飯君!!」 「頑張れ!!」 『ぐ…ぐぐ…ぐ…!!』 「悟飯!!」 「踏ん張れ!!」 『ぐ…ぐぐ…!!』 「孫!!」 「あともう少しよ!!」 『う…お…お…おおおおおおおおおおおおおお!!!!』 悟飯はそれを斜め後ろ上空に投げ飛ばした 「やった!!」 『ハァ…ハァ…ぐあ!!』 「悟飯!!」 一時的無防備になった悟飯に14号と15号が体当たりを当てて悟飯を吹き飛ばす 悟飯は氷山に叩きつけられ、体勢を立て直す前に14号と15号が連続で拳を叩きつける そのまま悟飯は氷山にめり込み、氷山が崩れる 「悟飯!!」 悟飯はどうなったんや 「悟飯…あ!!」 悟飯の埋もれてると思われる場所から光が溢れ出す 大きな爆発音がしたのと同時に無数の氷の塊が吹き飛んでいく その氷を目晦ましにし、飛び出してきた悟飯が15号を殴り飛ばす 悟飯は飛んでいった15号を追いかける すぐに追いついた悟飯は15号に向かって 『だだだだだだだだだだだだだ!!』 連続で拳を放ち 『だああありゃああああああ!!!!』 また思いっきり殴り飛ばした そしてすぐさま両手を合わせてエネルギー波を放つ 『はあ!!!!』 悟飯の放ったエネルギー波は15号に命中し、15号をある程度吹き飛ばした後爆発を起こす そして煙が晴れる 「健在!?」 15号はボロボロになりながらも立っていた 『フッフッフッフッフッ…フ…ッ………フ………ッ…………フ…………』 だがすすぐさま爆発した 辺りにはチップとかタンクとかコードとかが散らばる その数瞬後、背後から14号が襲い掛かる 悟飯はそれを前に一歩出て避け、体を反転させバック転で距離を取った後14号に向かって突っ込んでいく そして悟飯と14号が一瞬交差する その数瞬後14号が爆発する 辺りには15号と同じようにチップとかタンクとかコードとかが散らばる そして悟飯は上空に行き13号と向かい合う 『14号と15号を倒したか。』 『次は貴様の番だ。』 『フフフ、それはどうかな?』 『何?』 『パワーアップができるのは貴様だけではないということだ。』 13号が少し手を動かすと先ほどのチップとタンクが13号目掛けて飛んでいき吸収される 『な!?』 『ハアアアアアアアア!!!!』 そして13号は肩と胸元は白銀色の肌で他は青い肌、逆立った赤い髪、 少し巨大化した体、瞳の色は全て黄色という姿に変貌する 『さて、どうやって殺してほしい?』 『なめるな!!』 悟飯は13号に接近し連続で拳と蹴りを当てる 『はあ!!!!』 最後に渾身の力を籠めた拳を放つ けど、13号はまったく微動だにしてへんかった 『何!?』 「そんな!?」 13号は左手で悟飯の顔を鷲掴みにして右手で悟飯のお腹を殴る 『ガハ!!』 悟飯が血を吐き出す 「悟飯!!」 13号は悟飯を掴んだまま急降下し、悟飯を氷の大地に叩きつける その衝撃で氷の大地は真っ二つに割れ、悟飯が海の中に沈んでいく ………悟飯が上がってこない 「悟飯!!」 悟飯は… 『はああああああ!!!!』 海から悟飯が猛スピードで上がってくる そして、13号の顎に膝蹴りを当て、首に回し蹴りを放つ その後、後ろに下がり両手を合わせてエネルギー弾を放つ そのエネルギー弾は13号に命中し、大爆発を起こす 「やったのか?」 『な!?』 突如煙の中から13号が現れ悟飯を殴り飛ばす 『うわあ!!』 殴り飛ばされた悟飯は氷山を三個ほど貫通し、その進行方向に現れた13号に斜め上空に 蹴り飛ばされ、また進行方向に現れた13号にハンマー打ちで斜め下に叩き落とされる 氷の大地に叩きつけられる前に悟飯はブレーキを掛けて空中に留まる 『これならどうだ!!かぁぁぁぁ…めぇぇぇぇ…はぁぁぁぁ…めぇぇぇぇ…』 悟飯がかめはめ波を撃つ体勢に入る 13号は何もせず佇んでいる 『波ああああああ!!!!』 悟飯がかめはめ波を撃った瞬間、13号は自分からかめはめ波に向かって飛んでいき かめはめ波の中に入っていった 『な!?』 「そんな!?」 「嘘だろ!?」 13号は少しずつ悟飯に近づいていく 『ぐ…ぐぐ…ぐ…!!』 悟飯も堪えようとしたんやけど、13号は悟飯の近くでかめはめ波から上半身をだして悟飯を殴り飛ばす 『うわあ!!』 殴り飛ばした悟飯を13号が猛スピードで追いかけ、悟飯の真横に来た瞬間 『が!!』 膝蹴りを当てて上空に吹き飛ばす 13号は先に上空に来ており、悟飯が目の前きたら悟飯の胸倉を掴み動きを封じて何度も悟飯の顔を殴る 「悟飯!!」 何発か殴った後、13号は悟飯を投げ 『S.Sデッドリィボンバー!!!!』 先程見せたよりも大きい血のように赤いエネルギー球を悟飯に向けて放つ そしてそれは悟飯に命中し大爆発を起こす 「悟飯!!!!」 『か………は…………。』 煙の中から悟飯が出て来た でも悟飯は…上半身の胴着が全部吹き飛び、傷だらけで、ボロボロやった… そのまま落下し、氷の大地に落ちた瞬間、超サイヤ人でなくなる 『ぐ…ぐ……ぐぐ…!!』 何とか悟飯は立ち上がろうとしているが、その前に13号が現れる 「もう…やめて…。」 13号は悟飯の顔を掴んで投げ飛ばし、悟飯の真横を走りながら肘打ちと膝蹴りを連続で当て また悟飯の顔を掴んで投げ飛ばす 悟飯は氷の崖の中を何度も跳ね返りながら氷の大地に落ちる 『が………ぐ……!!』 悟飯は何とか立ち上がるがその瞬間エネルギー波が悟飯に当たる 『うわあ!!』 悟飯氷の大地転がるように吹き飛びを滑りながら止まった 13号は悟飯に近づき首を掴んで持ち上げる 『が……あ…あ……ああ………。』 『地球最強の男もこれで最期か…。あっけなかったな。』 そう言った後13号は更に力を籠める 『あ…あ……ああ………あ…………。』 「はわわわわわわわわわ!!」 「やべえんじぇねのか!!これ!!」 「おい!!しっかりろ!!孫!!」 「気をしっかり持て!!」 「悟飯!!」 「悟飯君!!」 このままじゃ悟飯が死んでしまう いや…いやや 悟飯が死んでしまうなんて いや 悟飯 悟飯悟飯悟飯悟飯悟飯悟飯悟飯悟飯悟飯悟飯悟飯悟飯 「悟はあああああああああああああああああああん!!!!!!」 『悟はあああああああああああああああああああん!!!!!!』 「!!」 気付いた時には俺は13号を蹴り飛ばし、その反動で奴から距離を取っていた 「ゲホ!!ゲホゴホゴホ!!ゴホ!!…はぁ…はぁ…はぁ…。」 何だ…今………はやての声が………聞こえた… 幻聴………いや、今もはやての声が耳の奥で響いてる… だけどはやての気は…感じない… ………そういえば…あれから…もう五年も経ったのか… みんな…元気かな… 「まだそんな力が残っていたのか!!」 13号が俺の近くまで来ており、右ストレートを放ってくる 俺は左手を翳してそれを受け止める 「何だと!?」 そうだ…俺はまだ…死ぬわけにはいかない 平和を護るためにも…あんな地獄のような世界を繰り返させないためにも そして…はやてやみんなにまた会うためにも 「はあああああああああああああああ!!!!」 俺は…今出せるだけの気を開放し爆発させ再び超サイヤ人になる ………自分でも不思議なくらい気が溢れ出て来る 俺が立ち上がるとのと同時に13号は右手を引っ込める 「ガア!!」 今度は左ストレートを放ってきたので、それに合わせる様に右ストレートを放つ 俺と13号の拳がぶつかり合う 「ウオ!!」 押し勝ったのは俺の方だった 13号が体勢を崩した瞬間に回し蹴りを放ち蹴り飛ばす そして13号に一歩一歩確実に、そしてゆっくり近づいていく 「馬鹿な!!何だこのエネルギー値は!?この戦闘力は!?ありえん!!計算を遥かに上回る強さ!! ありえん!!ありえない!!貴様、一体何なんだ!?何者なんだ!?」 「俺は、サイヤ人の誇りを持った地球人だ!!!!」 そう言い放ち気を更に開放すると氷の大地が割れ、俺と13号の周りは海だけになる 「貴様のような奴にこの星を…この地球を滅茶苦茶にされて堪るか!!」 「ク…オオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!」 13号は狂ったかのよに俺に突っ込みながら拳を放ってくる 「はあああああああああああああああああ!!!!」 俺も全身全霊を掛けた拳を放つ 「ガ!!」 13号の放った拳は俺の頭上にあり、俺の放った拳は13号の胴体を貫いた 「ガ…ア…ア…ア…」 突如13号の体が光り始める 「!!」 俺はすぐさま拳を引き抜き13号から距離を取る 俺がある程度の距離を取ったのと同時に13号は大爆発えお起こす その後、近くにあった氷の大地に着地し超サイヤ人を解き両膝に両手を掛ける 「はぁ…はぁ…はぁ…はぁ………勝った……。」 危なかった…一歩間違えてたら確実に死んでた… あの時はやての声が聞こえてなかったら俺は… 「ん?」 ふと視線を感じて顔を上げてみたら空にはやての姿が映っていた はやてだけじゃなく、シャマルさん、シグナムさん、ヴィータ、ザフィーラさん リインフォースさん、なのは、フェイト、ユーノ、アルフ、エイミィ、リンディさん それに…リインフォースさんに似てる…妖精?小人?みたいな人も映っている ………幻覚…じゃないな はやてになのはにフェイトにユーノにアルフは大分印象変わったなぁ… ってあれから五年も経ってるから当然か 俺も成長したしね でも、アルフは何か小さくなったみたいだけど… そうやってみんなのことを見てるとはやてと目が合った もしかして俺のこと見えてるのかな?だったら声も届くかな? 「ありがとう、はやて。お陰で助かった。」 『ありがとう、はやて。お陰で助かった。』 「え?」 悟飯と目が合った思うたら悟飯がそう言ってきた 「もしかして悟飯君からもこっちの様子が見えてるんじゃない?」 「ホンマ!?」 そうなら悟飯と話たいことが山ほどある 「あ、あんな、悟飯」 いきなり水晶全体に罅が入る 「ちょっとまって!!」 「まだ壊れんな!!」 私等の願いも空しく水晶は粉々になってしもうた 「あ…。」 「悟飯君の世界が見つかる手がかりになるかもしれなかったのに。」 たしかに、ちゃんとしたとこで調べたら何かわかったかもしれへん でも 「でも、悟飯は無事やった。」 そう言っていつの間にか流れそうになってた涙を拭う 途中凄くハラハラしたんやけど悟飯は勝った 「悟飯が無事がわかっただけでも十分や。それに…」 「それに?」 「えへへー、内緒や。」 「ええー!?何それ!?」 みんなには聞こえへんかったのかもしれへんけど私にはちゃんと聞こえた 水晶が砕ける瞬間、悟飯が『必ずまた会える。』って言うたのを 悟飯がそう言うとなんでか本当に信じられる 理由なんてないんやけどな でも、私は信じる …もしかしたら…そう遠くないうち会えるかもしれへん これは私の勘やけどね 前へ 目次へ 次へ
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銃の形をした召喚器。それはトリガーに過ぎない。 本来ならば、その身体を銃身とし、精神を火薬とする。 ならばその撃鉄は、この言葉であろう。 ――ペルソナ。 03 Burn My Dread 藤堂綾也は星が好きだ。月が好きだ。それらを抱く夜空が好きだ。 何故、と聞かれると返答に窮する。ただなんとなく、ぼんやりと好きと感じるだけだからだ。 幼少の頃、引き取ってくれていた義父とともに夜空を見上げることが多かった。もしかするとそのせいかもしれない。 十年前……両親を亡くし、綾也自身にも重大な惨禍をもたらしたあの事故の後。 ただでさえ親戚が少なく、なかなか引き取り手が現れなかった綾也の前に現れた人物。 それが彼の義父となる男、藤堂 尚也だった。 義父は不思議な人だった。子供心に、何かを感じ取った覚えがある。 その何かは綾也を惹きつけてやまなかった。 綾也が中学生になった時、同時に正式な養子となって性を貰った。 妙に嬉しく感じたのを、覚えている。 ミッドチルダの夜。綾也はあの頃と変わらないように見える月を見上げ、そして腕時計に視線を落とした。 あと数分で、影時間が訪れる。感慨に浸る時間もそろそろ終わりだ。 これからの事に、視線を向けるべきだろう。 目下の所、問題はシャドウの出所だ。自分の知る限りでは、あのように市街地に出現するのは少数のイレギュラー。 大半のシャドウは、「巣窟」のような場所にいる。と思われる。 それが以前のように巨大な塔だったら分かりやすいんだけど、と内心独りごちた。 「タルタロス」。ギリシア神話の冥界の最奥地、「奈落」の名を持つそれは、神話とは逆に天へと昇る広大な塔の形をしていた。 その正体は、以前の世界での有数の複合企業、桐条グループが起こした“実験事故”の影響で、影時間にだけ姿を現す迷宮だ。 桐条グループは、いや正確には、桐条鴻悦……つまり当時の桐条グループの総帥は、「時を操る神器」を作ろうとしていたらしい。 そのため、鴻悦はシャドウを研究し、その特性を調べていたそうだ。 しかしシャドウを調べるうち、鴻悦は次第に虚無感に苛まれ、世界の滅びを願うようになったという。丁度その頃から、鴻悦の研究は当初の目的とずれていった。 破滅願望をもった鴻悦は、世界を滅ぼす研究へと身を投じたのだ。晩年の鴻悦の狂気を、その孫娘はこう語る。 「祖父は、何かに取り憑かれているようだった」……と。 鴻悦の研究は進み、もう少しで実験が完成する、最終段階まで来ていた。最後の実験……その最中、一人の研究者による実験の強制中断によって、その研究は「実験事故」という形をもって終結した。 実験事故は同時に、大惨事を引き起こした。周辺一帯を吹き飛ばす程の大爆発、住民の被害も甚大。 この時、綾也は両親を亡くしていた。 そしてその実験事故の禍根はそれだけに留まらない。後腐れ、副産物とも言うべきものが発生していた。それが、影時間とタルタロスだ。 これは後に知った事なのだが、実際には、影時間の発生は大量のシャドウを集めたことにより、起こるべくして起きたことだという。 シャドウには微力ながら、時空間に干渉する力があると考えられている。そしてシャドウが寄り集まり、時空間に干渉する力が集積した結果、影時間が発生する。 シャドウを大量に集めた結果。時空間に干渉する力の集大成。それが影時間というのは、ごく自然に思われる。 つまり、影時間とは「シャドウの力の正しい表れ」なのだ。 そうなれば、この世界でもシャドウの力を集積、増幅させた何らかの要因、そしてその原因があるはずである。 シャドウの力を増幅させた何か、それがそのまま巣窟である可能性もある。が、それは考えにくい。 何故ならそんなことができるのは、シャドウの事をよく知る「人間」である可能性が高いからだ。 どちらにせよ、敵の居場所が分からない以上こちらからのシャドウへのアタックは不可能なのが現状。 とはいえ、今のところ戦力は綾也ただ一人。いくら綾也が強いといっても、一人で敵地に乗り込むのも危険過ぎるために、身動きが取れない。シャドウの巣窟を見つけたとしても、結局は動けないのだ。 何か、嫌な感じがする。 シャドウがこの世界に蔓延っているのは事実なのに、こんな膠着状態のままで落ち着いていていいのだろうか? 現状に対する不安や焦りが、綾也の心中にあった。 しかしひとまず綾也はそれを打ち消し、今できることに集中することにした。すなわち、六課の周辺にシャドウが現れた場合の掃討である。 攻めることはできなくても、守ることはできる。守ることしかできない、とネガティヴに考えることもない。 守ることができるというのは、それだけでも重要なことだからだ。 イレギュラーが発生した場合、機動六課の周辺だけならば、綾也一人でもカバーできるはず。 しかし……と、どうしても考えてしまうことがある。 (僕が、探査型のペルソナを持ってさえいれば……) ペルソナには、戦闘に向かない「探査能力」に特化したものがある。「生体エネルギー」のようなものを敏感に感じ取り、それを解析できる能力。 広域をサーチすることにも長けたこの能力は、今の綾也にとって必要不可欠なものだ。この能力さえあれば、シャドウの居場所や出所も突き止められるはずである。 しかし生憎、綾也は補助能力に特化したペルソナを持ちこそすれ、それはカテゴライズするなら「戦闘用」にすぎない。 数多のペルソナを使いこなし、どんな敵とでも戦ってきた綾也に欠けている能力。それは「戦わない」力。 探査能力のスキルや素質を、綾也は欠片も持ち合わせていなかった。 いわゆる、適材適所。ペルソナにもそれがあるということだ。綾也は今まで常に先頭に立ってシャドウを倒してきた。 リーダーという役割があったからだ。 その裏で、バックアップの役はいつでも存在していた。その大切さが、今になって身に染みる。これでも十分、その重要性は理解していた筈だったのだが。 溜息をつきたくなった。確かにイゴールの言うとおり、前途多難だ。 直後、体が異様な感覚を受けた。時間と時間の境界に足を踏み込む時の、あの一瞬の感覚。 深い暗闇に身を置いた時のように、胸の奥がざわざわとして、胃が空くような感触を受ける。 闇が頭上に迫り、覆い包まんと被さってくる。そして、月が不気味に光り輝く。 影時間の訪れだった。 綾也は素早く辺りを見回す。 この瞬間だ。シャドウの住処が影時間にだけ現れるのなら、影時間に入った瞬間、何処かになんらかの動きがあるはずだった。 少なくとも、シャドウの住処になるような巨大な場所が出現するのならの話だが。 しかし、そのような動きは見られなかった。つまり、シャドウの住処は堂々とそびえ立つような建造物ではない、ということになる。 もともとこれでシャドウの住処が見つかるとは思ってなかったし、「見つかればいい」程度に考えていたので、そこまでショックなことでもないのだが。 そして、本題はここからだ。イレギュラーによる被害を減らすための、パトロール。 古典的だが、先人の知恵は借りるもの。タルタロスや影時間を消そうとしていた先輩たちも、戦力が増えるまではこのようにゲリラのような活動をしていたと聞く。 召喚器を腰に、綾也は市街地へと繰り出した。 月明かりだけを光源に、とは言っても十分に明るいのだが、不気味に静まり返った市街地はさながらスプラッター映画の舞台のようでもある。しかし飛び出してくるのは殺人鬼ではなくシャドウだ。人を襲うという点で、似たようなものだが。 血溜まりのように足元に広がる赤い染みや、異様に明るい月に青緑に染まる空と地面。 所々に西洋風の棺が樹立している。適正無き人間の、象徴化した姿だ。 シャドウと影時間の影響を遮断する作用が、影時間の中において視覚化されたものである。 象徴化している人間はそもそも影時間に立ち入ってはおらず、適性のある人間からすれば、象徴化している人間は相対的に言えば「止まって」いる。 故に象徴化している間の人間は、影時間に起こるさまざまな事象に影響を受けない。しかしシャドウによって影時間に引きずり込まれた者は、シャドウの格好の餌食となるのだ。 餌食。自分で考えていて胸が悪くなる。見慣れた影時間の風景が、今は少し不快だ。やっとの思いで消した影時間が、この世界でも。 ぐちゅり、と背後で奇妙な音がした。 綾也は振り向き、道路に蠢く黒いわだかまりを認めた。青白い仮面が、同じく綾也を捉えている。 ホルスターから召喚器を引き抜いた。そのまま流れるような動作で銃を回転させ、その銃口をこめかみに向ける。 躊躇なく引き金を引きながら。 「タナトス!」 そして、死を司るその名を叫ぶ。と同時に現れる棺を纏う黒衣の死神。タナトスが、跳躍したその勢いのまま、その腰に佩かれている剣を引き抜くと、その身体を真っ二つにすべくシャドウに切り掛かる。 シャドウがその兜割りのような上空からの強烈な一撃を受けきれるはずもなく、敢え無く一刀のもとに両断された。 両断され、二つに分裂したシャドウはすぐに原形を失い、霧消した。役目を終えたタナトスはかすかに揺らぎ、消えていく。 綾也は召喚器をホルスターに戻す。 内心、拍子抜けしていた。手ごたえがまるでない。これまで幾度となく強敵を相手に戦ってきた綾也には、雑魚同然だった。 しかし、と気を引き締める。そんな雑魚でも、野放しにはしておけない。無力な一般人は、いかに惰弱なシャドウであろうとも、それから逃れることはできないのだ。綾也は散策を再開した。 シャドウは、人間の精神のエネルギーを餌として食らう。餌食となり、精神を食われた人間は心神を喪失し、完全な無気力状態に陥る。 こうなった人間は「影人間」と呼ばれ、誰かの保護なくしては生きてゆくことさえできないような状態に追い込まれるのだ。 つまりそれは、緩やかな殺害に他ならない。 ミッドチルダ……この大都市だ、イレギュラーの数も少なくないはず。 綾也一人ではどうしたってカバー出来ないところもある。多少の被害は、諦めるしかない。 しかし、影人間となった人を見殺しにすることもできない。 影人間を元に戻す方法が、ひとつだけある。大型の、他とは一線を画す強力なシャドウを倒すことだ。 これは強い力を持った、いわばリーダーを失ったシャドウの勢力の低下が原因と思われる。 しかしそれも一時的なものだ。いずれまた大型のシャドウが現れ、影人間が増殖する。 イタチごっこのようだが、それを続けなければいずれは全ての人たちが影人間と化してしまう。 それを防ぐためにも、不毛に思える戦いを続けなければならないのだ。 しかし無限に思われるそのサイクルに、どうすれば終止符を打つことができるのか。その方法は、おそらくこの世界の影時間を消す方法と同じはずだ。 シャドウの存在は、影時間と直接の関係はない。 しかしシャドウがその姿を現し、人を襲うことができるのは影時間の中でだけだ。 影時間を消せば、シャドウがこの世界に直接関与することはできなくなる。 シャドウの存在そのものを完全に消し去ることはできないが、シャドウがこちらに干渉してこれる時間を消すことで、シャドウによる被害は無くすことができるのだ。 そのためには、影時間を消す手がかりと、影時間ができた原因を突き止める必要が……。 結局、思考は堂々巡りだ。今は考えても無駄なこと。綾也は考えるのをやめた。とりあえず今は、この時間の中、出てくるシャドウを消していくだけだ。 そうすれば、少なくともこの周辺での被害は減るはず。 その綾也の考えは間違ってはいない。しかし、同時に一つ簡単な、それでいて重大な見落としをしていた。 シャドウが出現するのは、なにも屋外だけとは限らないのだということを。 機動六課、局内。 灯りは全て落ち、窓から差し込む月明かりだけが廊下を照らしだしている。 時の刻みが停止し、静寂に包まれた暗闇で、なのははひたすら走っていた。 背後に迫る気配。振り返らずともその姿はなのはの目に焼き付いている。影のように黒い体に、のっぺりと青ざめた仮面を張り付けたような異形。なのはは知る由もないが、「マーヤ」と呼ばれるタイプのシャドウだった。 最もポピュラーで、戦力もさほど高くない小型のシャドウ。マーヤは、仮面ごとに1~12までのタロットのアルカナになぞらえて分類される。 このマーヤのアルカナは、魔術師。逆位置の啓示を名に持つ、「臆病」のマーヤだ。 数あるマーヤの種類の中でも最弱の「臆病のマーヤ」だが、今のなのはにとっては十分な脅威となりうる。 マーヤは真っ直ぐに、獲物であるなのはを追っていた。 どうする?どうすれば。頼みの綱の綾也は、周辺のイレギュラー掃討に向かっている。 影時間が明けるまで帰ってこないだろう。救援は望めない。 この時間内、なのはは、それどころか六課全体は完全に無防備になる。魔術師の要のデバイスが使えず、機械も使えない。 こんな悪夢のような状況でできることと言えば、あのシャドウから逃げ続けることくらいだった。 しかしそれもいつまで持つか。戦闘時の機動を飛行魔法に頼っているなのはは、普段は極度の運動音痴。 持久力だって高くない。走り続けることもできなくなったら、待つのは死。それだけだ。 (そんな……っ) いくらなんでも、あんまりではないか。局内は安全だと思い込んだが故の危機。しかしその判断ミスを誰が責められよう。 シャドウは外からやってくるものだという認識が、四人の内に共通していた。 ほんの数分前、影時間が訪れてすぐのこと。なのはは六課の局内を捜索していた。 影時間の事を、局員にどう伝えるべきか。日中は、綾也が六課に入隊することを決めた後、なのはも含めた四人で、対策を話し合った。 結果、影時間に適応していない者にはそれを伝えず、適応者のみに影時間を打ち明けることになった。 適応していない、その事実をしらない者たちに真実を話したところで何ができるわけでもなく、いたずらに混乱させるだけだと考えてのこと。 不安を煽るメリットは、皆無だ。下手をすればこちらの正気を疑われかねない内容なのだから、尚更である。 よって、影時間に入ってから適応者を捜索するという手順に至り、影時間内での行動も、ここで決められた。 綾也は周辺のパトロール、残った三人は六課内部で適応者の捜索。 三人で手分けして、象徴化していない適応者を探す事になっていた。 しかし、まさかこんな事になるなんて。 とりあえず行くあてもなく、なのはが廊下を歩いていた時、不気味な音と共にそれは訪れた。 聞き覚えのある、気味の悪い音。なにかが潰れたような、得体の知れない奇妙な音。 恐る恐る振り向けば、そこにあったのは小さな黒い塊だった。丁度月の光が届かない、影になっている部分に生じている「何か」。 いや、正体は分かっている。この闇の中、生じる影よりもなお黒く昏いその異物。 塊は徐々に大きさを増し、奇妙な箇所から腕を二本生やすと、なのはの方を振り向いた。 大きさ、高さはせいぜいなのはの膝程度。昨夜のシャドウと同じように、光を全く映さないゴムのような表面。 仄かに発光している、青白くどこか物悲しげな表情をした仮面。その仮面が、なのはの姿を「見た」。 瞬間、なのはの背筋に氷柱が通ったがごとく全身が強張る。 マーヤがなのはの方へ滑るように向いだしたのと、なのはが逆方向へ逃げ出したのはほぼ同時だった。 一度覚えた恐怖は、そう簡単に拭い去れるものではない。この異形の正体を知っていても、それを前にして立ち向かうことなどできない。 昨夜出くわしたあの大型のシャドウとは違って体も小さく、腕だって二本きり。 その手に刃が握られているわけでもない。 少なくとも、あれよりは遥か格下の存在だということは分かった。 しかし風貌的に昨夜のシャドウを思わせるマーヤは、なのはの心の根元的な部分にある恐怖を呼び起こす。 この先一度でも立ち止まったら、きっとその場で動けなくなる。なのはは直感的にそう感じていた。 シャドウの動きは、ともすれば子供の駆け足並みに緩慢だった。しかし、それでいてなぜか振り切れないスピードでなのはを追ってくる。 足を必死に動かし続ける限りは、捕まることはない。しかし、影時間が明けるまで走り続けることができるのか。 綾也によれば、影時間はおよそ一時間。 (できっこない……!) だからと言って、諦めるのか。ここで己の生が終わる事を、よしとしていいのか。 目を、逸らしてはなりません…… 「!?」 心の奥底で、自分のものではない声がした。いや、本当に声だったのだろうか? なのはは呆然と立ち止った。漠然と心の中に溢れる、この不思議な感覚。心臓が、早鐘を打っている。 人が誰しも心に抱える恐れや怖さというものは、自分にとって何が危険なのかを教えてくれる重要なもの。 そして逆に言えば、何も恐ろしいと思わなくなったとき、人は立ち止まらなくなる。 自らの行いを、そしてその行動の結果を、恐れなくなるからだ。 人は、恐れに縛られれば、何もできなくなる。 かといって、恐れを全く抱かなければ、行動に犠牲を出す事すらを厭わなくなる。 真の恐怖を覚えた時、何が人を支えるのか。それは自分を信じる心。そして、自分の信じる何かへの信頼。それだけだ。 自分から眼を逸らさず、向き合ってこそ、恐怖へ立ち向かうことができるのだ。 背後のシャドウを振り返り、緩慢な動作で迫るそれを見据える。 なのははシャドウを通して、見詰めていた。真の恐怖の、その先にあるもの。 そして信じた。自分の力を。自分の中に眠る、可能性を。 (綾也君……) 心の中で彼の姿を思い描く。その後ろ姿が、拳銃を自らの頭に突き付ける。 なのはは、自分の手を銃を持つ形にしてこめかみに宛がった。 仮想のトリガーを握る指の動きが、彼の動きとリンクする。 今、この行為の意味が理解できた。必要なのは、勇気と覚悟。そして……この、言霊。 震える吐息を吐きだして、深呼吸を一つ。気持ちを落ち着かせて、一音ずつ、呟くように。 恐怖を燃やせ。 ……トリガーを、引いて。 「ペ・ル・ソ・ナ」 そして。 弾丸が放たれた。 なにかが弾けるような音とともに、なのはから精神の欠片である青白い結晶のような板が散乱し、そしてそれは徐々に人の姿を象って行った。 なのはを立ち止らせたその 声なき声 が、なのはの脳裏に囁きかける。 我は汝……汝は我……。 我が名は内なる仮面。 汝の心理に宿りし魂が刃。 我は汝の心の海より出でしもの。 白銀の車輪、アリアンフロッド。 極彩の虹もちて、あらゆる悪を調伏せしもの。 我、汝の運命の刻みと共にあらん……! 現れたのは、後光が差しこむように感じる光の女神、アリアンフロッド。 後光のように見えていたのは、一定の速度を保ちながら絶えず回転している、巨大な白銀の煌めく車輪だった。 その車輪はそれ自体が光を放っており、赤から紫へと七色のグラデーションを燈しながら周囲を染めている。 その光を受け、流麗に流れる絹糸のような頭髪。まさに虹のように光り輝き、その軌跡に淡い燐光すらを残してゆく。 その身にはゆったりとしたローブのようなものを羽織っており、額にはティアラを頂いている。 頭上には、天使の輪の如くに虹が浮かんでいた。 ゆっくり、誘うようにアリアンフロッドがその手を差しのべた。 するとその手は聖なる光を発し、虹のような七色のスペクトラムの流れがシャドウを射抜く。 たちまち蒸発を始め、もとから存在しなかったかのように、跡も残さずに消え去った。 それと同じように、白銀の車輪が揺らぎ、アリアンフロッドの姿も消えてゆく。 なのはは、召喚のショックからか、呆然とその光景を眺めていた。 「わたしが……ペルソナを、出せた……」 やがて呟いた一言には、紛れもない驚きが含まれていた。 あのとき自分は何をした?無我夢中で、心が導くままにトリガーを引いたのは覚えている。 あのときの不思議な感覚。シャドウに対する恐怖のくびきが抜き取られ、すべてがクリアに、鮮明に感じられた。 言葉にするなら……そう、覚醒。あれが、もう一人の自分。 アリアンフロッド、それがわたしのペルソナ。 わたしは、ペルソナを得たのだ。 余韻に浸る暇もなく、なのはは眩暈を感じると、そのまま意識を失い、倒れこんだ。 それからほどなくして、影時間が明けた。 最後のシャドウを消し終えた綾也の息は、少し上がっていた。 小一時間ぶっ通しで、唯一人現れるシャドウを倒し続けるのは、相手がいくら雑魚とはいえ消耗を強いられるものだった。 ともあれ、綾也は通常の時の流れに身を戻し、六課への帰路を急いだ。 何故か、自然と早足になる歩みを抑えられない。 問題はないはずだ。なのに、何か嫌な予感がしていた。ぼんやりと、実体をもたない漠然とした不安。 僕は、何か見落としをしている――? 何を見落としているのか。それがわかれば、スッキリするものを。 しかし、この不安は杞憂ではないと、直感的に感じていた。 ……急ごう。綾也は、ついに走り出した。 前へ 目次へ 次へ
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登録日:2011/09/01(木) 02 58 10 更新日:2023/05/29 Mon 11 08 15NEW! 所要時間:約 6 分で読めます ▽タグ一覧 AI S2U ⊃星⊂ ● ちょっとやりすぎた?←Don't woryy. とらいあんぐるハート インテリジェントデバイス オムライス オートマチック グレートハイジン デバイス レイジングハート ロストロギア? 不屈 不屈の魂 大体砲撃専門 好戦的 新幹線のアナウンス 次元連結装置 漢 自爆 薬(カートリッジ)中 飴 高町なのは 鬼に金棒 魂 魔法少女の杖←ではなく「魔導師の端末」 魔法少女リリカルなのは レイジングハート (Raising Heart) CV:Donna Burke 魔法少女リリカルなのはシリーズの主人公、高町なのはの使用する魔導端末。 ミッドチルダ式のインテリジェントデバイスで独立した意志と高い知性を持つ。 助けを求める声(広域念話)を聞いてかけつけたなのはにフェレット状態のユーノが「今の僕じゃアレを止められない」と、暴走するジュエルシード封印を依頼し、 その際に待機状態のレイジングハートを渡され、それ以降なのはが正式なユーザーとなる。 インテリジェントデバイスの使用には「相性」の問題が大きく関わってくるため、通常はあらかじめユーザーを限定した上で専用の調整を施し、 本人もそのデバイスの使用を前提とした訓練を積むのが一般的で、それ故かレイジングハートは誰からの使用者登録を受け付けなかった。 しかし、 風は空に、 星は天に、 不屈の魂はこの胸に! この手に魔法を! レイジングハート! セーット、アップ! ● stand by ready, set up. レイジングハートは見事起動し、なのはをユーザーとして登録した。 また、魔法戦闘経験の少ない主なのはの為、砲撃魔法に特化したデバイスとして自身を構築した。 元々はユーノが所持していたデバイスだが、彼は完全には使いこなせていなかったようである。 本編以前にはスタンバイモードのレイジングハートを用いてジュエルシードを一応封印している。 起動呪文(正確には、起動用パスワード)は以下の2種類が確認されている。 我、使命を受けし者なり。 契約のもと、その力を解き放て。 風は空に、星は天に、そして不屈の魂はこの胸に。 この手に魔法を。 レイジングハート、セットアップ! 風は空に、星は天に、輝く光はこの腕に、不屈の魂はこの胸に! レイジングハート、セットアップ! 『ORIGINAL CHRONICLE 魔法少女リリカルなのは The 1st』によると、 原作同様、魂と書いて『こころ』と読む。 本編のなのはとフェイト、2人の少女の出逢いの物語に隠れて影が薄いが、 ここにもまた1つ奇跡の出逢いがあったことを忘れないでもらいたい。 なおレイジングハート自身のAIの性格は冷静かつ情熱的なのだが、 「バルディッシュはフェイトの負担が過ぎないように気を配るのに対し、 レイジングハートは一心同体ゆえになのはと一緒になって無茶をする」 としてフェイトが心配してるほどかなり無茶をしやすい部分もある。 以下デバイスとしての性能。 ◇レイジングハート ユーノから渡された初期の状態。モードは3つ。 スタンバイモード 出典:魔法少女リリカルなのは The MOVIE 1st、DVD付属特典パンフレット、キングレコード、2010年11月26日発売、© NANOHA The MOVIE 1st PROJECT 待機状態。赤い球体でなのははペンダントのように首から下げている。 この状態でも、ある程度の魔法の補助が可能。 デバイスモード 出典:魔法少女リリカルなのは/魔法少女リリカルなのはA's ビジュアルファンブック、晋遊舎刊、©なのはPROJECT 、2006年3月10日 基本形態。射撃能力を主とした魔導師の基本的な性能をもつ。 シューティングモード 砲撃に特化した形態。なのはの得意とする砲撃魔法はこれで放たれる。 アクセラレイションでさらなる強化も可能。 シーリングモード 出力を強化した形態。本体から翼が発生する。ロストロギアの封印処理や集束砲撃に使われる。 一応、A's以降で言うフルドライブ形態らしい。 ●劇場版 物凄くよく喋るようになり状況分析や航空軌道・空間戦術の教練など上記の設定に違わぬハイスペックAIと化す。この辺はA's以降からの設定の逆輸入という面も。 ついでにユーノが遺跡から発掘したデバイスということになっている完全にロストロギアじゃないですかヤダー! デバイスモード 出典:魔法少女リリカルなのは The MOVIE 1st、DVD付属特典パンフレット、キングレコード、2010年11月26日発売、© NANOHA The MOVIE 1st PROJECT なのはのバリアジャケットのカラーリングに合わせたパーツが追加される カノンモード 出典:魔法少女リリカルなのは The MOVIE 1st、DVD付属特典パンフレット、キングレコード、2010年11月26日発売、© NANOHA The MOVIE 1st PROJECT 形状が1から変更され、鋭いイルカヘッドのような形になる。カッコいい。 さらには収納型のグリップとトリガーまで追加される 劇場化にあたり、「魔法少女の杖」ではなく「魔導師の端末」へと完全にシフトしているようである ◇レイジングハート・エクセリオン (Raising Heart Exelion) A s第一話にてヴィータの攻撃を受け止めきれず破壊されたレイジングハートが、 その後自らメカニックに依頼しカートリッジシステムCVK-792A搭載をした新しい形。 6連装オートマチック型カートリッジシステムを装備。性能を大幅に強化している。 ついでにこの辺からよく喋るようになる。 シーリングモードはオミットされ、モードは4つ。 スタンバイモード 以前とかわらず。ペンダント型。 第五話でなのははヴィータに話し合いを求めたときに「和平の使者は槍を持たない」と拒絶されたので、 その後の第七話なのははヴィータに対して、最初はスタンバイモードにしたままで声を掛けている アクセルモード 出典:画像左、魔法少女リリカルなのは/魔法少女リリカルなのはA's ビジュアルファンブック、晋遊舎刊、©なのはPROJECT 、2006年3月10日 出典:画像右、魔法少女リリカルなのは The MOVIE 2nd A's、DVD付属特典パンフレット、キングレコード、2013年3月22日発売、©NANOHA The MOVIE 2nd A's PROJECT 中距離射撃と誘導管制、強靭な防御力を含めた中距離高速戦専用モードとなっている。 なのはの特性に合わせて、魔力弾を加速(Accel)させることに特化したところからこの射撃魔法の操作性・加速力を向上させた形態。 圧倒的な弾幕と敵の射撃を撃ち落とす精度に応えるだけの性能を持つ。 StrikerS後期以降は基本的にエクシードモードを使うためか教導の時くらいしか出て来ずサナギマン状態。 でもOPで毎回登場するので意外と目立つ。 バスターモード 出典:画像左、魔法少女リリカルなのは/魔法少女リリカルなのはA's ビジュアルファンブック、晋遊舎刊、©なのはPROJECT 、2006年3月10日 出典:画像右、魔法少女リリカルなのは The MOVIE 2nd A's、DVD付属特典パンフレット、キングレコード、2013年3月22日発売、©NANOHA The MOVIE 2nd A's PROJECT 砲撃特化の遠距離戦用形態。カートリッジで強化された砲撃は更なる威力やバリエーションを生む。 シューティングモード同様、形状自体は管理局魔導師が使用している量産型ストレージデバイスと変わらない。 劇場版では前述したカノンモードの進化形態として、『バスターカノンモード』となっている。 エクセリオンモード 出典:魔法少女リリカルなのは/魔法少女リリカルなのはA's ビジュアルファンブック、晋遊舎刊、©なのはPROJECT 、2006年3月10日 レイジングハート・エクセリオンのフルドライブ。 本体破損を防ぐ出力リミッターを解除した状態で、魔力消費と引き換えに爆発的出力を生み出し、術者の全能力を底上げする。 位置的にレイジングハートのシーリングモードに対応するモードだが、形状はまるで違い、もはや杖というより槍である。 この時点ではフレームの耐久力や使用者の負担など問題が多く残っていたため絶対に使ってはいけないと要注意をされた。 劇場版ではなのはのバリアジャケットカラーの装甲部品が新たにつけられている。 A.C.S展開状態 A.C.Sは「Accelerate Charge System」の略。瞬間突撃システム。 エクセリオンモード及び後述のエクシードモードのみ使用可能なシステムで半実体化した魔力刃『ストライクフレーム』を備え、六枚の羽根を広げる。 因みに、本来は近接戦の為のシステムではない。 エクシードモード エクセリオンモードに変わり登場した形態。旧エクセリオンモードを改良したもので強力な射撃と大威力砲撃に徹底特化している。 段階的に出力をエクセリオンモードと同等以上に引き上げるブラスターシステムを切り札とし、 常に莫大な魔力消費と引き替えに能力を底上げするエクセリオンモードより負荷が少なく、一点特化により無理なく扱いやすくなっている。 ブラスターモード レイジングハート・エクセリオンのリミットブレイク。 使用者であるなのは、デバイス両方の限界を超えた力を無理やり引き出す自己ブーストによる強化。三段階のリミッターがつけられている。 聖王ヴィヴィオ戦では単なる強化にしか見えなかったが、 本来は後方からの一撃必殺を目的とした、短時間の使用が望ましい文字通りの切り札らしい。 ゲーム版によるとA'sの時代から開発中だが存在していて、なのはもテスターだったらしい。(11歳での撃墜も当然である) ◆ブラスタービット ブラスターモード時に、なのはが任意で最大4機まで展開できるレイジングハートの子機。 レイジングハートと同様の機能を持ち、本来なら近づく必要のある拘束魔法や砲撃補助など、あらゆる面で強化を施す。 単独飛行形態 ストライクカノンとフォートレスの同時使用に際し、両腕がふさがってしまうなのはのために自分で考えた形態。 一部第五世代デバイスのパーツを使用している なおvivid以降ではスタンバイモードに羽を生やした状態で独立稼働したりする。 ヴィヴィオがセイクリッド・ハートを入手するまではヴィヴィオのデバイス代わりも務めていた模様。完全にオカンである。 やたら高性能な面が目立つが、シューティングモードなど、 モブの魔導師が持っているデバイスと形は大体同じなので、規格そのものはわりと普通なのかもしれない。 しかし長いことやってるリリカルなのはシリーズだが、 レイジングハートの製作者はいまだに判明していない。(INNOCENTのRH-1はおそらくグランツだが) まさか、ロストロg二二二⊃← 出典:とらいあんぐるハート3 リリカルおもちゃ箱、ivory、JANIS、2001年6月29日、©1998~2002JANIS©ivory 実はアニメ版のレイジングハートは3代目。 初代は嘘予告で月村忍が造った完全な兵器だった。 このレイジングハートには重火器二対にスタンガン、発煙機能、世界時計、スケジュール&アラームにスナップショットを搭載しており、 さらに男のロマンを追求する忍の趣味で自爆機能を搭載する等、 とってもお買い得だと忍が言っていたが、いかがわしくも物騒な兵器だと、なのはは怖がっていた。 どこかの恭也は喜びそうだが……。 近年のレイジングハートはこの初代に戻りつつある。 ちなみに魔法の国も領収書が落ちないのでお金も要求されるなど、世知辛い世界観だった。 2代目はリリカルおもちゃ箱でリンディが所持していた赤い宝石、起動時には白い羽がついていて、中心がハートだった。 そのため元祖レイジングハートの対となっているS2Uには、クロノの心を映した鋼の翼がついている。 2代目も起動詠唱が存在し、これを唱えなければ、なのはは起動できず魔法も使えない。 起動詠唱は以下の通り。 我……、使命を、受けたもうものなり。 ……契約のもと、その力を解き放ち給え……。 ……風は空に、星は天に……そして、不屈の魂は、この胸に。 この手に魔法を……。 ……レイジングハート、力を! 最終回でシンクロするまで必ず唱えていた。 2代目も意思疎通ができるが、光り輝くだけでその意思はなのはにしか伝わらない。 2代目の魔法は祈願実現型魔法、なのはの強い意志と魔力を使用して願いを叶えるという正統派な魔法。 3代目も祈願実現型ではあるが系統が違う。 2代目は副次効果で持ち主の魔力を強化したり、その人特有の力を強化したりできる。妖狐なら妖力とかを。 そんな2代目だが、最終決戦の際壊れてしまった。 そしてリンディ帰還時に久遠には鈴を、なのはには2代目を、思い出としてプレゼントした。 ……壊れ物だが、リンディにはこれしか持っていないのだから仕方ない。 そしてネックレスとして、S2Uと思い出と共になのはを見守っている。 The MOVIE 1stのコミック版の扉絵でこの2代目は登場している。 気になる人は探してみよう。 ●<You haven't heard anything, have you? ――All right. 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(何も聞いていませんね? ――結構。 追記・修正をお願いします。) △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] そういやS2Uの無駄な翼はレイハさんの対の為だったんだっけ、……S2U(泣) -- 名無しさん (2013-09-09 10 33 23) あんな時期からエクセリオンや開発中のブラスター使ってたらそりゃ撃墜されるほど負担たまるわなぁ -- 名無しさん (2013-10-21 00 29 53) ↑そう考えると何のためにAI搭載してんだってレベルの欠陥兵器だな。 -- 名無しさん (2013-11-09 17 22 51) 原作では魂と書いて「こころ」って読むはずなんだけど……、アニメ版はどっちだったっけ? -- 名無しさん (2013-11-09 17 26 54) AIが処理しても無理だったって事だろ。元よりエクセリオンもブラスターも『極力使わない』のが望ましいけど、必要があって搭載・使用せざるを得なくなったモノだし。ついでに言うならなのはが自分の身体に気を遣わないで出撃したのも原因 -- 名無しさん (2013-11-09 17 32 28) ↑フェイトに心配されるレベルで頑張りすぎるからな二人とも -- 名無しさん (2013-11-09 17 34 11) ↑3キャッチコピーとかでも不屈の魂ってなってるし、変わってないんじゃないかな?…多分。 -- 名無しさん (2013-11-09 17 49 31) ↑ただキャッチコピーのほうのルビは『エース・オブ・エース』だからなぁ。なのはWikiでも不屈の魂表記は一か所しかないし -- 名無しさん (2013-11-09 17 52 59) 主人公の武器が「高性能な基本型で唯一無二の機能はありません」というのはかなり珍しい気がする -- 名無しさん (2013-11-09 18 47 02) ↑レイハさんは極端なオリジナル機構持ってないしな。オリジナルに見えてもなのは以外にも使用者いたり、なのはの要望で付けてるだけでつけようと思えば誰にでもつけられるし -- 名無しさん (2013-11-20 20 18 24) 初代:兵器、二代目:魔法少女の杖、3代目:その中間、次はどうなるのかな? -- 名無しさん (2013-11-26 16 34 43) ↑その前にINNOCENTの「4代目 データ」も追加で -- 名無しさん (2013-11-26 16 47 00) 今分かっている製造者は、初代:忍、2代目:リンディかクロノ、3代目:???、4代目:フローリアン博士……こんなとこかな。 -- 名無しさん (2013-11-27 13 46 57) 充実してんな -- 名無しさん (2013-12-29 20 31 10) デバイスなのに劇場版でなのはやフェイトが敗れたのは自分達の性能不足と解析し、自らカートリッジ搭載を進言するとか漢気パネェす。さらにおそるべきは勝負を最後に決めるのは『根性』とレイハさんに認めさせたナノハさんか…… -- 名無しさん (2014-02-11 17 54 15) レイジングハートは日本語だと「起き上がる心」→「不屈の心」ってところだろうか? -- 名無しさん (2014-04-07 00 54 14) "Let's shoot it, Accelshooter"って、「あの虫けらを撃ちましょう、アクセル・シューターで」と聞こえるw -- 名無しさん (2014-05-30 23 49 06) なかの人は東海道新幹線の外国語版のアナウンスをやってます -- 名無しさん (2014-09-01 09 35 28) Don't woryyでいいんじゃないでしょうかはいい皮肉 デバイスの言語は英独で区別してるんだっけ? 1期じゃクロノのデバイスはもろ日本語だったが -- 名無しさん (2014-10-19 02 37 48) ↑一応オリジナルのミッド語だけどね。(AccelがAxelになってたり)、クロノのS2Uはリリちゃの設定故かリンディさんの声だったらしいけど -- 名無しさん (2014-10-19 12 57 42) 使用者の負担を無視してまで要望に応えて出力するあたり、ロストロギアの香りがぷんぷんするぜw -- 名無しさん (2014-11-27 14 44 12) オリジナルクロニクルだと魂にこころのルビがふってあったか -- 名無しさん (2014-12-23 16 27 42) ブルースワットのディクテイターみたいに、電動ブローバック式の玩具出てほしかったな。 -- 名無しさん (2015-01-13 13 07 58) 実は自己進化自己増殖自己再生ができるロストロギアなんだよ!!11!! -- 名無しさん (2015-01-13 14 52 39) 進化し過ぎですから!! -- 名無しさん (2015-06-13 12 57 25) 最近は伝説のボスが似たような声の端末を使ってるよ -- 名無しさん (2015-10-31 02 26 38) もしなのはの手に渡らずユーノがそのまま持ってたら、主に探索・維持・解析・修復方向に進化してたんだろうな。主の望みに沿う方向で。 -- 名無しさん (2023-01-01 01 44 46) 名前 コメント
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「じゃあよ、カルラは?」 「俺はアリ。見た目と同じで凄いよ。彼女」 「僕も・・・・・アリ・・・・」 「えー、まー確かにツラもスタイルも良いけどさ、アイツ軽く革新(○チガイ)入ってんじゃん!ナシ!」 どん百姓の馬鹿と、馬鹿に轢きずられるコーンスと、テラネの肥沃な大地が産んだ大馬鹿。 馬鹿の馬鹿による馬鹿のための最高首脳会談。今日のお題は「コイツならヤれる?ヤれない?」 「次ー。ユーリス」 「アリ。以外に積極的、と思う。」 「僕・・・・・アリ・・・・」 「顔だけならアリだけどさ、ナシだろぉ。だってアイツカルラとは別のタイプの革新(キ○ガイ)だし。」 「えー、じゃあ、次。ザギヴ姉さん」 「アリ!大アリ!マジお願いしたいよね!」 「・・・・・・アリ。」 「無論。俺もアリ!おっ、全3票!!ついに決まりが来た! つーかさ、ナッジさっきから全部アリだな。溜まってんの!?」 「ちっ違うよ!だってナシなんて失礼じゃないか!!理想が高いんだよヴァンは!ねぇ、チャカ?」 「うん。ザギヴさん以外全部ナシだよね。なーんか理由つけて」 「いいじゃんよ高くて、理想!理想は高ーく持たんとナッジくーん。ところで、ルルアンタ」 「・・・・・・・ア、アリ」 「ほら!ヤバイって、ありゃ犯罪だよ!お前そのうちエルファスって言ってもアリって言うぞ!」 「あー、ハイハイ。ナッジにヴァン。俺からも行くよー。フェティ」 「ナシダネ!!×3」 「ちょっとアンタ達。さっきから何してんの、アタクシの尊さについてでも語ってるのー?」 振り返ると、今のお題、フェティがエプロン姿で館の主オルファウスを抱き締め、訝し気な表情で覗いていた。 「ご飯よ。アンタ達みたいなギガど下等生物にも餌を用意したアタクシの慈悲に感謝なさい。」 言うより早く、ヴァンはもともとオルファウスの寝床であったベットを飛びだし、一目散にリビングへと跳ねていった。 「ああ、私のお布団が・・・・」 神聖王国暦1204年10月 すでに、獅子帝ネメアが亜空間にほうり出されてから半年が過ぎようとしていた。 とは言うものの、リーダーである無限のソウルを持つ者が「大丈夫、生きてんじゃない?」の鶴の一声で 完っ璧に放置しきっている状態のまま。のほほんと時だけが過ぎていた。 その間、エンシャントの住民消滅等の大事件が有ったが、概ね彼等には「平穏」な毎日が過ぎ去っていた。 「ちょい!カーチャン!何で俺のだけこんな飯少ねーんだよ。ナッジの半分も無いじゃん!」 「ウルサイわね!じゃあアンタはナッジやルルみたくキノコ拾いしてきた!? フェティみたく料理してくれた!?チャカみたく芋や小麦を持ってきてくれた!?」 と叫ぶのはケリュネイア。そもそもアンタの母親になった覚えは無いとぼやく。 仕方なく器に入った芋とキノコのスープを飲み干す。 現在、この猫屋敷には居候を含めて6人と2匹が共同生活を強いられていた。 もともと住人であったオルファウスとネモとケリュネイアに加え、 帰る場所の無いナッジ、まだ帰るわけにいかないフェティ、帰る必要の無いルルアンタと、ただ帰らないヴァン。 そして丁度穀物の収穫が終わり、おすそわけに来たチャカ。 チャカは疲れた顔でスープをすする。 「今年もさー、ネーチャン全然手伝ってくれねーの。」 「え、今年は収穫時期は特に何もイベントらしいイベント無かったよね?」 「突然さ、ニイサンと婚前旅行だーって、姿暗ました。」 「あー、『ゴリ』とレムレム兄やん。ホンット奴等もテキトーだよなー」 口でスプーンをくるくる廻すヴァン。傍らでネモと遊ぶルルアンタを見ながら、 あーっ、つっまんねーなー。なーんかこう俺の熱いハートを焦がすイベントはねーかなー。 バキッと柄杓がヴァンのデコを直撃する。「食べたら片づけなさい!」とケリュネイア。 いそいそ片付けをしながら、洗い物をするフェティとケリュネイアの尻を見比ていた。 フェティの小振で締まったお尻と、ケリュネイアの大きめで肉付きのよいお尻。 どっちもナシにはしたけど、あーっ、こんな良い女が近くでケツ振ってんのに、何で俺等は童貞なんだーっ。 とムシャクシャ。 「そろそろじゃないんですか、ケリュネイア。」 「あ、そうね父さん。今呼ぶわ」 ブゥンという眩しい光を放ち、リビング中央に配置された転送機から見覚えの有る黒いミニスカートが帰ってきた。 「お帰りザギヴ。どうだった?」 「駄目ね。アキュリースだけじゃなくて近くの漁村まで廻ってきたけど、無理、出せないそうよ」 「やはりそうですか。確かにワッシャー海賊が無理なものは他も無理というわけですね。」 「ええ。イークレムンからもお願いしてもらいましたけど、今の海の荒れ具合の原因は、 ダレカサンがお戯れに海王様を殴り殺したのが原因じゃないかって最後に嫌味言われてきました。」 全員、特にチャカが大きく頷くと、ザギヴとケリュネイア「だけ」が大きな溜め息をついた。 「兄さん・・・・心配だわ。闇の門の島までの足も無いから・・・・」 「ネメア様・・・・・」 鼻をほじほじ、先ほど最高得票数を獲得したザギヴを眺めるヴァン。 「帰ってきたばかりで悪いんだけど、アミラルまでお願いできるかしら。1週間ぐらいで戻るから」 「ええ、アミラルからじゃ遠回りになるけど、方法も無いものね」 と、ケリュネイアが転送機に手を翳そうとした瞬間。 「ア、ジャストモーッッッッメンツ!!!!」 馬鹿。基いヴァンが、突然ケリュネイアとザギヴの間に入り込んで制止した。 「ちょいちょいちょーい。俺もアミラル行くーっ!!だって姉さんアミラルはロストール圏よ! 元、とは言えディンガルの将軍様が闊歩してたら悪い冒険者に捕まっちゃうよ!俺ボデーガードで連れてってよ」 フゥン、とザギヴは鼻で溜め息をつく。「結構よ。あなたに来てもらわなくても自分の身は守れるわ。」 「そんなこと言わないでさ。あ、大丈夫。ナッジとチャカも連れてっから!」 ええっ!とヴァンのいきなりの発表で、驚くナッジと、まぁいいかな?という表情のチャカ。 「ちょっと!ヴァン勝手に決めないでよ!僕まだ他所行きの用意もしてないし・・・・」 とナッジが慌てると、そのままナッジとチャカの肩を両脇に抱えて、3人で頭をゴツンとぶつけて 「ちょい、聞け。俺すっげえこと思いついた。」とコソコソ話。 「なっ、何?何?変なことならイヤだよ・・・・・」 「俺、だいたい予想付いた」 「ザギヴ姉さんとアミラル。行こうぜ。何ってったて最高得票だぜ!これほどおあっつらえ向きは無ぇって」 「何?さっきの!?」 「オウ!第1回!アユテラン杯争奪、チキチキ『姉さん、僕のチンコがソリアスです』大会開催だぜ!」 「あの、ケリュネイア、早く送ってもらえないかしら。」 ザギヴがうんざりした表情で促すと、ケリュネイアは両手を広げて訴える。 「まぁ、あの馬鹿の言うことも確かだし、危険かもしれないから、連れて行ってよ。ね。ね。」 本心はこうだ、ナッジとチャカは良いとして、無駄飯食らいの馬鹿の食い扶持を減らしたい、 ザギヴには悪いがこの際1週間ほど子守りを放棄したいから、とのこと。 「ハーイ!決定!決定!ナッジもチャカも行くからさ~!どーんとラドラスにでも乗った気分でいてよ!」 「お願い。早く送って」 「ごーめんなさーいザギヴ!ホント。いいじゃない楽しいわよ。みんなで行くのも」 「お願い」 かなり険しい表情で睨むザギヴにケリュネイアは手をスリスリ、苦笑い。 結局、ケリュネイアに押し切られる形でザギヴも仕方なく了承した。 「お願いだから邪魔しないで。アミラルに着いたら他所で遊んで来て」 相当イライラしているザギヴの話なんてヴァンはおかまいナシ。 「じゃあ、お願いねザギヴ・・・・・ゴメンネ」 「あ、お土産お願いしますね。この身体になってからお魚が恋しくて」 「ほら、ブサイク猫さんもバイバイして!バイバイ!」 「あー、バイバイバイ!ったくうるっせえのが消えてちったあ楽になると思ったら!」 「別に帰ってこなくてよくってよ。特に宿屋の馬鹿息子~」 ────ブゥン。 四人の姿が光の彼方へ消えた後、ふとケリュネイアは呟いた。 「ねえ、父さん。今ふと思ったんだけど、転送機で闇の門の島って行けないの?」 「あー、行けるんじゃないんですか?でもやっぱり旅をするなら徒歩に限るじゃないですか」 アミラル──── チャカ的にはかなり思い入れの有る街。 ユーリスを助けるのに必要な3000ギアを払うため、突然姉から「お前、今から殴られ屋をやれ!」と指示され 海王の像の前で顔面が20倍くらいになるまで「お客様」にボコボコにされた、思い出の地。 宿屋の店主が、あの時ゃ大変だったなぁ!と笑う。 チェックインを済ますと、3人はまた作戦会議。他の部屋に泊まると聞かないザギヴを残して。 ヴァンの作戦として、サンポデモシマセンカ?→頃合を見計らって拝み倒す→アライケナイボウヤタチネ。 絶対に上手く行く訳の無い愚弄ファイターの都合の良い絵空事。 ナッジはヴァンに「ヤれる」「捨てる」と人指し指と中指の間に親指を入れるアレで説得され、渋々OKを出す。 夜になるのを待って、明らかに負け戦確定の作戦が決行された。 「あ・・・あ・・あ、ザ、ザギヴさん・・・・」 呼び出す役に廻ったのはナッジ。この作戦、成功すれば貴様が特隊だ!と焚き付けらての事。 「何?」 「その、あの・・・・・一緒に、散歩しませんか・・・・?」 「散歩?」 「あ・・・はい・・・あ、あのイヤなら別にいいです!ゴメンナサイ!!」 言葉少なく応えるザギヴに直感的にヤバいと感じたナッジはすぐさま逃げの準備に入る。 「・・・・いいわよ。夜風に当たりたいわ。」 「ス!スミマッ!えっ?」 思いの他、すんなりと承諾するザギヴに、最初の段階から失敗必至と踏んでいたナッジはたじろぐ。 「どうしたの、行かないの?」 「あっ!いっ行きます!お願いします!」 夜風が涼しい。石段を渡り付かず離れずの距離で歩く男女、月光を頼りに歩む。 「少し涼しいわね。」 「え、あっ・・・・はいっ。」 思いの他、ザギヴは優しい。一重にナッジに対する信頼の現れである。 長い階段を降りると、昔、ユーリスが破壊した宿屋の別館の方へと足を運ぶ。 「よっ」 突然ザギヴが階段の端の縁石に乗り、両手を水平に広げて、トットッとコミカルに歩き出す。 「あ、大丈夫ですか?危ないですよザギヴさん。」 「ふふっ。大丈夫よ。そんなに運動神経は悪く無いわよ」 以外な一面。こんな姿を見るのはナッジも初めて。 よっよっ、とバランスを取りながら進むザギヴを見て、何故だか鼓動が早くなるナッジ。 その瞬間、宿屋の別館の手前の茂みから何かが飛びだしてきた。何かと言うか、アレである。 ソレは土下座の状態でロングフィードしてくると、そのまま土下座の体制で着地。 「きゃっ」少し体制を崩すザギヴの肩を倒れないようにナッジが抑えた。 開口一番、目の前でロストール→ノーブル間の手紙配達よりも安い土下座をする馬鹿が叫んだ。 「姉さん!一生のお願いです!俺のアンギルダンで姉さんのロストールを攻略させて下さい!」 目をぱちくりとさせるザギヴと、少し抱き締める形で抑えてしまい、わわっ、と申し訳なく離れるナッジ。 「・・・・何を言ってるの?」 「あ、だから、その、俺のオチンロンを姉さんのオマンレンに出会・・・・」 一人土下座外交を行うソレが、即座にヴァンだと察したザギヴの目は冷たく輝く。 すると、ナッジも突然土下座。「ごっゴメンナサイザギヴさん、僕です!僕が全部悪いんです!」 「馬鹿!ナッジお前まで謝るな!」「だってだってだって!ホント謝らないと!」 スゥーと息を深く吸い込むザギヴ、そして深い溜め息をふはぁー、と吐く。 「あなたが一緒に来た理由はよくわかったわ。宿屋に帰りなさい。そして10日間私の前に現れないで。」 「ナッジ君も。彼に指示されたことだろうけど、私を失望させないで。自分をしっかり持ちなさい。」 と冷たく放ち踵を返し、もと来た路を帰ろうとした瞬間、ザギヴより少し背の高い少年の陰が立ちはだかる。 瞬間、少年はするりとザギヴの胸元のスカーフを抜き取ると、くるりと慣れた手付きでザギヴを後ろでに縛った。 「なっ!チャカ!?よしなさい!あなた何をしているのかわかっているの!!」 チャカは聞かない。まるでそれが当たり前の行為かのようにそのままザギヴを軽々、お姫様だっこ。 「チャカ!!」「うぉぉぉぉぉぉ!!すげえ、根性有るなお前!!」 チャカはニカッと笑うと「こういうのはさ、ちょっとの勇気と強引さが必要なんだよ。」 埃を被ったベットの上、崩れた天井から月の光が漏れる部屋。 少年3人が妙齢の美女に絡まる。一見すれば、少年をはべらかす妖女の姿。 しかし、その妖女であるべき人物が後手に縛られ、一番その状況に緊張しているのが少し不思議な画。 裸にされているワケでは無い。長いブーツだけを脱がされて、狭いベットの上で4人が抱き合っている。 チャカはザギヴの背もたれのように後ろから抱き締め、ヴァンは左の脇に顔を押し付けてお腹に手をあてて、 ナッジは裸足の足を身体で包みながら、膝小僧に鼻をつけて寝そべっている。 最初こそ、ザギヴは冷たい脅しの言葉で三人を恫喝し解放させようとしたが、3人とも突然襲うようなことはせず じっ、とこの状態を保ち続けている所を見ると、どうやら少しは安心してよさそうだ、と勘繰らせた。 3人とも嫌いでは無い。仲間としてはともかく人間としては、好き。 だから、光のほとんど届かない空間ならば、少しは冒険してみたいな。と女心を揺らしていた。 心配なのは、アキュリースからここに来るまでにお風呂に入っていない。足は体は匂ってないか、 そして、この子達にこのまま自分の知らない遠くの場所まで連れていかれるのではないかということ。 「あの・・・・もう辞めましょう。こんなこと・・・あなた達にも良くないことだから・・・・」 そう自戒のように呟く。が、虚空に声だけが掻き消されるのみ。 くくん。と髪の匂いを嗅ぐチャカ。そしてうなじを鎖骨を肩甲骨を、指でするりするりと撫で回す。 「辞めましょう・・・・今なら今日のことは全部忘れるわ・・・・・」 「どうして?」とチャカ。 「こんなことで・・・・貴方達のこと嫌いになりたく無いわ・・・・」 すすん。とビスチェのすそから脇の匂いを嗅ぐヴァン。お腹に置かれたヴァンの手が熱い。 「どうして?嫌いじゃないってことは俺達のこと、好きってことでしょ?ザギヴさん」 膝小僧にちゅっと口付けるナッジ。足がナッジの体温でじとっと温もる。 「あの・・・・私は・・・・男の人とソウイウカンケイになったこと無いの・・・・」 「・・・・い゛!今何と!??」 「あの・・・・だから、私、その、男の人とソウイウカンケイになったこと、無い。だから、怖い・・・・」 スライムのように、ズルリとヴァンは脇から崩れ落ち、ナッジはぴょいんと飛び上がりザギヴから離れた。 「あ、え、ゴメ、ゴメンナサイ!!」「てっ、撤収!撤収!姉さんマジゴメン!!」 すでに逃げる準備の二人、逆にそれが勇気の告白を行ったザギヴを傷つかせるとも知らないで。 「しようよ」 二人が離れたので、身体に触れる面積の増えたチャカは、ぎゅうっと強くザギヴを抱き締める。 「え・・・駄目。やだ。怖いわ。イヤ。イヤよ。出来ないわ。そんな。私なんて・・・・」 「最初はさ、誰でもそうだよ。怖いよね。俺もそうだったもん。 でもだからって怖い、自信が無いって逃げてたら一生出来ないよね。頑張ろうザギヴさん。」 優しく諭すチャカ。ザギヴの頬に口付ける。 「って、他人様を後手で縛るような奴の台詞じゃないけどさ。」 少しおどけると、ザギヴも深い深呼吸を行う。 「うぉっ!何だお前!何?今『俺もそうだった』とか言ったよな!お前俺等側の人間じゃないの?」 「え、誰!?誰!?僕知ってる?絶対絶対言わないから教えて??」 「あ、うん。カルラと、オイフェと、ユーリスと、エステルと、あと姉ちゃん。」 「・・・・チャカ。俺は親切な男だから、敢えて最後の言葉だけ聞かなかったことにしてやる。」 薄い月明かりの部屋で美女と少年達の甘い吐息が交差する。どちらもぎこちなく揺れて。 黒いビスチェを脱がすと、見た目からは想像も付かないほどの地味な白いブラジャーが覗く。 ヴァンとナッジはザギヴの背中をこねくりまわして、どうにかしてブラジャーを外そうと悪戦苦闘。 「わ、わかんない?」「め、めんどいから上にずらそうぜ?」 「あ、ソレ多分前ホックだよ」とチャカの声。近くで椅子に座りながら外を気にする。 そして、簡単にブラジャーの形式を見破られてしまったことが少しだけザギヴの心にちくりと刺さった。 月明かりで透けるような白さを讃える乳房、大きくて、そして甘い香りがする乳房。 せーの、でナッジとヴァンは左右の乳首をはぷっと口に含んで、舌で転がしたり、 きっと光の下で見たら凄く奇麗なおっぱいなんだろうなと想像しながら愛撫する。 目を瞑り、表情を変えず、ザギヴは微動だにせず黙りこくる。 「あのね、ザギヴさん。ウソでもいいからさ、少しだけ声出して『ハァ、ハァ』と呼吸してみてよ。 男はさ、特に始めての時って女性のリアクションが無いと上手く波に乗れないんだ」 チャカのアドバイスはザギヴの心をまたちくりと突き刺し、顔をこわばらせる。 一番チャカに傷つけられたのは、3人じゃ大変だろうから、と見張りを買って出てくれた彼の優しさ。 いや、今自分より全てに於いて上回るチャカの存在がザギヴの心をちくりちくりと刺激する。 「・・・・はぁ・・・・・あ・・・・はぁ。」 ちくりと傷つけられたと思う心が、いつのまにか身体の火照りの焚き付けに変えられたことにザギヴは気付く。 ああ、イヤな女。7つも年下の少年にアドバイスされて、勝手に傷ついて。でも、それすら火照りに変えるなんて。 ぷはっ。二人とも乳房を堪能すると、ザギヴの顔がこわばり紅潮しているのに気付き、 どうやら今までの行動に間違いは無いみたいと安心し、顔を見合わせ頷き、持ち場を変える。 ナッジはそのまま先ほどの足の部分に顔を移すと、内腿に唇を這わせる。 ヴァンは目を瞑るザギヴの耳をはむっと甘嚼みすると、「チューしていい?」と聞く。 ザギヴは答えない。ヴァンは最初イヤなのかな?と不安になるが、少しだけ唇を震わせるザギヴを見て 直ぐ真意を察知し、6つ年上の女性の柔らかな唇に自らの唇を重ねた。 下手なキスはお互いの前歯をカチリとぶつける。 唇を離して、ヴァンは先ほどの前歯のぶつかる感触が楽しかったのか、またカチリと歯をぶつけながら口付けた。 はむ、はむ、と内腿を少しずつザギヴの熱を持った部分へと、ナッジの口が進む。 スカートをたくしあげられ、色気の無いただ箇所を覆うだけの白い下着。 ショーツの中心にはぐっしょりと、ザギヴの描いた乙女の鏡が水面をたたえる。 母犬の乳房を探す子犬のように、ナッジは鼻をショーツの中心に擦り当て、熱い吐息を吹き掛ける。 ぴとっ、鼻を離すと、熱くねっとりと滲み出た愛液が鼻の頭で糸を引く。 そのまま、無造作に伸びる腕がショーツの端を掴み、優しく脱がそうとする。 が、脱がせれない。腰を落としてこわばらせるザギヴの身体がそれを阻止する。 「あ、ザギヴさん。腰をちょこっと浮かせてあげて。でないと上手く脱がせれないからさ」 ズキン!心臓を鷲掴みにされるようなチャカの一言。 阻止したわけでは無い。どうしていいか解らなかっただけなのに・・・・。 屈辱と恍惚と、情けなさと淫らが入り交じり、ザギヴはパニックになっている。 仕方なく、脱がすことを諦めて、ナッジはショーツの中心を横にずらした。 クロッチの部分に触れた瞬間に絡むように濡れるその部分。初めて目にする、女性の一番大事な部分。 シールミア貝の身に似てるって聞いてたけど、全然違うな。凄く、綺麗。 「あの・・・・・ザギヴさん。ザギヴさんのおま・・・・『ライラネート様』は、 す、凄く綺麗です。あと、凄くいい匂いがします。あの、甘い花の蜜みたいな・・・・」 ナッジなりにザギヴの緊張を解すための言葉だった。 本当は、ほんのり醗酵したチーズケーキと表現すべき香りだけど、これじゃ傷つくかも・・・・ と気にするが、初めて男性に視られ触れられた部分の匂いを形容されること自体、既に羞恥。 硬直したザギヴの手足の指が、埃まみれのシーツをぎゅううと掴む。 美の女神に形容したその部分を、ナッジはまた母犬の乳をねだる子犬のように、舌を鼻を這わせた。 くちょ、ぺちょ、ピリピリと光の波が脳と秘所を行き交うような快楽。次第に荒い吐息がザギヴから漏れ出る。 ヴァンは、過去に「ゼネのおっさん」と「レルラのおっさん」から聞いたテクニックをフル動員させていた。 首筋を舐め、背筋を指で愛撫し、そして乳首をくりくりと引っ張る。付け焼き刃のヘタクソな愛撫。 「ふぅ・・・・ふっ・・・・はぁ・・・・」吐息を漏らすザギヴを見て、勝利(=ヤれる)を確信した。 「やい、ザギヴ」 ・・・・呼び捨てにされた。 「俺の名前、呼んでみろよ。ザギヴ」 突然、手を止めて顔を真正面まで向けて呼び掛けるヴァン。 「ぁえ・・・・・・・・・・ヴァ・・・・ン?・・・・・」 初めて名前を読んだ。嫌いなわけではなく、人物的に「あなた」や「彼」と呼ぶ方がしっくり来るのに。 「駄目だ。聞こえない!ちゃんと呼べ!」 悪戯に微笑む少年の瞳。今、こんな淫らな行為を行っているのに、目の前に居るのはいつもの瞳の大きな少年。 「・・・・ヴァン」 「聞こえない!心もこもってない!もっかい!」 「・・・・ヴァ・・ン!ヴァンッ!」 ン、の部分で甲高く声を上げる。ナッジに愛撫される秘所からの快楽の伝達が、語尾を荒げさせる。 「よし。よくできました。」にこりと笑うと、ヴァンはザギヴの唇を荒々しく奪い舌を絡めた。 「あ、やばっ」 突然、ザギヴとヴァンを現実へと引き戻すチャカの声。 「もしかしたら、誰か来たっぽい・・・・。」 顔を見合わせ、お互い無言で目を皿にするザギヴとヴァン。ナッジには聞こえていない。 「俺ちょっとおっぱらってくるね。それまで、静かにしててね。」 チャカはその場を離れ、外で揺れるカンテラの灯の方へと走っていった。 黙って見送るザギヴとヴァン、そして、また顔を見合わせると、さっきよりも更に悪戯な瞳でヴァンは微笑む。 (声出したら、外に聞こえるぜ) 耳もとでぽしょぽしょと話すと、ザギヴの唇の前で人指し指を立てて「シィー」のポーズ。 その人指し指と中指をザギヴの唇から口腔へと滑り込ませた。 つるつるした歯を指の腹でなぞり、舌の上に溜まった唾液を丁寧にこそぎ取る。 今ナッジに奏でられている淫らな音と同じ音を口の中でも鳴らされている。 指をちゅぽん、と抜くと、てらてらと指が濡れほぞり、その指が地虫のようにそのままシーツと背中の間を進む。 「!!!!!!?」 濡れる指が汗ばむ尻の谷間を経て、ナッジの顔から約10cm下ほど、もう一人の『ライラネート様』で止まる。 くりくりと弄ばれると、元々汗で湿る部分に指に絡んだ唾液が潤滑油となって、中指が第ニ関節の先まで侵食する。 「!!!ぁヤぁっ!!!」 叫ぶザギヴに驚き、ヴァンはとっさに乳首を責めていた左手で口を包む。 (バカザギヴ!声出したら外の人にバレるだろ!) その間も中指は止まらない。上下上下と指を運動させ、ナッジの愛撫とは違う退廃的な快楽がザギヴを襲う。 身をよじり、何とかその特異な愛撫から逃れようとするが、腰を浮かすとナッジの角がお腹に刺さる。 逃げられない。この愛撫から。「他の事には使わない」ような所を「こんな事」に使われてしまうなんて・・・・。 目をヴァンの方へと泳がせ、ザギヴは潤む瞳で懇願する。 (やめてほしいの?) 止めて欲しい。こんな快楽を覚えてしまったら、もうきっと帰ってこれない。こくりと首を縦に振る。 (何でもする?なら、やめていいよ) こくり、こくり、と二回ザギヴは頭を縦に振った。言葉の真意を読む気は廻らない。 (いいよ。約束だからな) ぬぽん、中指が抜かれた。安堵感と空虚な感覚が同時にザギヴを襲う。 しかし、さらにヴァンの意地悪がザギヴを襲う。 抜いた指を、口元まで持って行く、そして信じられないような言葉をヴァンは吐く。 (何でもするんだろ?じゃあ、指がよごれたから綺麗にしろよ!) びくんっ!体全体がまるで死後硬直のように固まり、大腿が愛撫するナッジの顔をぎゅっと押さえ付ける。 (やだ、なに、こんな、汚い。信じられない。無理よ。何?え?何?) 調子づくヴァン。しかしザギヴの意志を尊重するように、唇の手前で指を止めている。 やだ、やだ、やだ、と心の中で呟きながら。 ゆっくりと、ザギヴは舌を伸ばし、指を口に含んだ。 そして、脳内で言い訳を吐く自分の意志とは関係なく、ちゅっ、ちゅっ、と音を鳴らして、指を吸った。 (やだ、私、何・・・・してるの?信じられない。気持ち悪い。浅ましい。下品。いやらしい・・・・) 脳の裏側で言い訳を吐けば吐くほど、快楽があらぬ方向へとうねり、心と身体が分離したような気分になる。 ヴァンは、赤子のように指を吸うザギヴの口から指を抜くと「汚くないよ」と、また唇を奪い舌を絡めた。 いつも、言い訳ばかりをしていた。 恋愛の経験が無いのは、人並みの人生を送れないのは、身体に巣食う魔人の「せい」だ、と。 誰からも疎まれる存在、誰からも遠ざけられる存在なのは、ゾフォルの予言の「せい」だ、と。 そして、全てに打ち勝ち、言い訳の拠り所が無くなった時、 己自身、ザギヴ・ディンガルを一人の女性として心の底で認知するようになった。 だが、認知すればするほど、更なる言い訳で塗り固めて逃げようとする自分が居た。 私は違う。私は浅ましくは無い。カルラや、オイフェや、双子の妹のような奔放な女とは違う、と。 しかし、奔放な女というカテゴリーが有るとするなら、そこにエステルやユーリスや、あの子ですら入ってしまう。 結局の所、自分の作った、「男性経験の有る」奔放な女というカテゴライズで、自縄自縛に陥っていた。 いつも、女性陣がケセラセラと性の話題を語る中、全く同じ理由でザギヴとフェティだけが蚊屋の外に居て、 同じように「下らないわ」という言い訳で自己弁護し逃げていた。そんな自分が大嫌いだった。 が、更に自己嫌悪に陥るのは、遠くで聞き耳を立てる「浅ましい」自分の姿だった。 また、記憶をぐるりと1回転させる。 あの子が、「ザギヴを一人にするのは心配だから!」と猫屋敷から冒険に連れて行ってくれた時。 宿屋で夜中に、エステルとユーリスとあの子が、今まで出会った男性の話で盛り上がっていた。 この人とならエッチしたいよね!という話題。 寝たふりをしながら、またしても聞き耳を立てていた。 浅ましい。恥を知りなさい。そんな目で男性を見ているなんて信じられない。と言い訳をしながら。 ・・・・言い訳をしながら、声を出さずに一人、参加していた。 (あんな、誰でも女性と観たら口説くような男の何処がいいのよ!ふしだらに胸を開けさせて!) (確かに・・・・カッコイイけど。姉離れの出来ない男なんてイヤよ!それに、何よ、あのお腹丸出し!) (ベルゼーヴァ様・・・・・・・・・・・・・・・・・・) 沢山の言い訳を重ね、お眼鏡に叶ったのは、尊敬するネメアとベルゼーヴァと、温和で誠実なロイの3人だった。 本当は、いつも意識していた。 ふしだらな男のさり気ない優しさや開けた厚い胸板を、姉離れの出来ない男の美しい顔や割れた腹筋を、 少年達の甘酸っぱい汗の香りや真っ直ぐな瞳を、男性という存在を、いつか受け入れたいと。 本当は、いつも期待していた。 ヴァンが一緒にアミラルに行こうと言ってくれた時、ナッジが一緒に散歩をしようと誘ってくれた時、 チャカにどこかのお姫さまのように抱きかかえられ、優しくベットに寝かし付けられた時、 期待で高まった胸を言い訳の外壁で覆い、イヤな女を演じ、逃げて逃げて、孤独を求めていた。 幸福の熱で覆われたら、自分のような存在は溶けて無くなってしまうのではないかと怯え。 ねっとりと絡まる舌をやさしく離す。何度も口付ける内にヴァンは上手にキスが出来るようになっていた。 (・・・・意地悪してごめん。) 流石に調子に乗った、とバツが悪そなヴァン。そんなヴァンの姿ではっと追憶から現実に戻された。 ザギヴは、少し戸惑った表情で眉をひそめ、そして普段は見せないような柔和な笑顔でまた唇を求めた。 (・・・・・なんだか、もうどうにでもなっていい気分・・・・・) 「いやー、びっくりした!宿屋のおっさん!よくココがアミラルの若者の溜まり場になってるからって 見回りしてるんだって!てゆうか、ザギヴさん!声!びっくりした!猫じゃないですか~って誤摩化したよ!」 戻って来たチャカの声で二人はびくりと震え、身体を離した。勿論ナッジは気付いていない。 「あ・・・・ゴメン。いいよ。続けて続けて。」 「・・・・・ぁはぁ・・・・・あの・・・・・ふぁ・・・・・したい。」 悦楽の吐息に混じり、ザギヴは心に溜まっていたどす黒いものを吐くように、心情を吐露した。 流石にこれはナッジにも聞こえた。ポジション的に先発隊確定のナッジはびっしょりと濡れた顔を上げて、刮目。 「じゃ、ヴァン、そろそろさ、ザギヴさんの手を外してあげてよ。大変そうだから」 全裸の美女が月灯に照らされ、柔らかな隆起を晒し、八の字に太腿を開き寝そべる。 そして、ズボンを脱ぎ、下半身を露出させる少年。ブルブルと震え、額の先端の角が振動する。 「あ・・・・駄目だよ・・・・どうしてだろう。さっきまでガチガチだった僕の・・・・勃たない。」 「ナッジ!頑張れ気合いだ!エロいこと考えろ!アレ、カルラのケツとか、あと、アーギラシャリア?とか!」 見知る女の名前を上げられ、ザギヴは少しだけ寂しそうな顔をして、太腿を閉じる。 「ナッジ。リラックスリラックス。ザギヴさんもね。リラックス」 「あ、うん。リラックス。あとエロいこと・・・・・」 カルラのお尻、ああ、ちっちゃくて張りがあって、いいなぁ。。。。 アーギラシャリア?って、確かセラのお姉さん?美人だよね。スタイルいいし。実はおっとりした人だったし。 アレ?アーギルシャンマ?だっけ、アーギルダリアン?だっけ、アレ?それともアンギルダリアン?だっけ? (アンギルダン?) 「うっ!!!!!わぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」 「どっどどど、どーしたナッジ!」 「ゴメンナサイゴメンナサイ!!僕は駄目なコーンスです!!全然勃たないし変な妄想しました!!」 「馬鹿っ!こんなとこでコシんな!一世一代のチャンスだぞ!ゴウに入ればゴーティダイモン!」 いつも通りの少年達の即席寸劇に、ふと、今自分は何をしているんだろう?とはにかむザギヴ。 そして、白く長い指先を慌てるナッジの顔まで伸ばし、「抱き締めて」と哀願するように両手を掲げた。 ナッジは、伸ばされた手の先に自らの手をかいくぐらせ、優しく互いに抱き締めあう。 ザギヴの豊かな胸に顔を埋めるナッジ。乳房の奧から、ドクンッドクンッと早い鼓動を感じる。 僕と、同じだ。ザギヴさんも緊張してる。・・・・どうでもいいけど、おっぱい温かいな・・・・。 顔を見遣ると、慈母のような恋人のような、優し気で淫らな表情で谷間に潜むナッジの顔を見つめている。 ドクン。また海綿体をつたい、憤るような快楽がナッジの股間に集中する。 そして、恐る恐る、腰を落し、先端をザギヴの秘所に押し当てる。熱くて柔らかい。 「しっ!失礼します!」 素っ頓狂なナッジの台詞に、ザギヴはクスリと笑うと、静かに「・・・・どうぞ。」と答えた。 そうして、嘘つきで意地っ張りで寂しがり屋のライラネートは、男神を館へと迎え入れた。 「!!ぃっだぁっ!!!」 ザギヴの叫喚。先程までの甘い吐息とは真逆の耳を劈く悲鳴。 じわりじわりと、敷かれたシーツが赤く染まる。 「ああああっ!スミマセン!だっ大丈夫ですか!!」 「・・・・っ・・・・だ、大丈夫・・・・いいの・・・・続けてっ・・・・・」 ズリッ、ズリッ、愛撫される快楽とは違う、内臓を抉られるような苦痛。 どこかに傷を癒す快楽を探そうと、ザギヴは痛みだらけの空間から逃げるようにナッジの唇に縋る。 くっつけ離し、くっつけ離し、今痛みを産む空間と同じような動きで、唇を鼻を舌で舐る。 「ね、ね、ザギヴ・・・・姉さん?」 ナッジに独り占めされる形となったヴァンは、寂しそうにもじもじと呼び掛ける。 「あのさ、折角だから俺の、口でしてよ・・・・。我慢できない」 顎先に押し当てられるヴァンの生殖器。初めて見る。想像しているよりも、大きい・・・・・。 今、私の中で暴れるモノ、こんなモノが入ってるの?? 心で冷静な台詞を吐きつつも、痛みを堪えるために快楽を探す唇はヴァンを拒まない。 あくん、口を大きく開け、舌をチロチロと動かしながら含む。もう恥も外聞も無い。今有る痛みが全て。 涎が溢れ、くんくんと鼻を鳴らし呼吸しながら、喉元に蓋をするようにヴァンの生殖器を飲み込む。 初めての行為、上手に出来るわけも無く。上下の歯の突起がちくんちくんとヴァンを痛めつける。 「・・・・・っつ・・・・」 (姉さんだってナッジの我慢してんだ。俺も痛いとか歯とか言わない!我慢!) ちゅぽ、ちゅぱ、口の端から溢れた唾液が滴る。 やがて擦れる歯の刺激も快楽の糧となり、ヴァンは1分と持たず、達する。 「あっ・・・・ゴメッ、出る。出しちゃうねっ!」 ビクンとヴァンが震えて、口の中広がる苦味走るゼリーのような感覚。 と、同時に、自己の快楽まかせに腰を振るナッジも絶頂に達した。 「アアッ!!」少女のように高い声を上げ、引き抜き、力無くザギヴの腹部に射精した。 どろり、と粘膜を張る白濁の愛の欠片。お腹の上で熱く迸ると、体温を奪うように冷めていく。 呆気無かった。 もっと。濃厚で退廃的で、粘っこくて心と身体が乖離するような快楽に襲われるのかと思っていたが、 愛撫されていた時の方が、よっぽど想像のモノに近い、何とも味気の無い行為だった。 よく、カルラ達が言う、「向こうに行く」「ドロッと出る」「頭がパーになっちゃうような」 そういったモノとは懸け離れた、まるで儀式のような行為。 ただ、内臓を抉られたような痛みと、口の中を覆う苦みと荒い呼吸が、今までの全てが真実だと訴えかける。 なんだ・・・・こんなものなの?それとも、私はまだ本当の愛の営みを知らないだけ、なのかな? ごくん、とそれを飲み込むと、心の中に開いた風穴を埋めるように、一つの思考が定まった。 ────まだ、足りないな。まだ、したいな。もっと愛して、愛されたいな。 「ザギヴさん、お疲れ様。」 一部始終を観ていたチャカが、ザギヴの額にやさしく手を当て、ベッドの横に腰掛けた。 優しく微笑む少年の顔。額に置かれた手が汗を拭い、長い髪をそっと撫でる。 「わっ!!」 不意を突くようにザギヴの手が、チャカの股間へと伸びていた。其所は、熱く硬く勃起している。 「・・・・ごめんなさい。こんなになるまで我慢させて。」 「あ、いや、いいんだよ。大丈夫。」 「もう少し・・・・・身体を休ませたら、大丈夫だと思うから・・・・・その時は、チャカも一緒に、ね。」 普段の低く響くような声色とは違う、甘えるような艶やかな口調のザギヴ。 ニコリとチャカは笑うも、これは、大変なことを教えてしまったのかなぁ・・・・と少し心配の情を湧かせる。 さわさわと服の上からチャカの性器を摩るザギヴの手、チャカはその手を掬い上げて、優しく繋いだ。 「うん。じゃあ。体力が回復するまでゆっくり休も。今度は俺も仲間に入れてもらうよ。」 ザギヴは繋いだ手をさらに指1本1本互いに絡ませる形で繋ぎ直し、ぎゅっと握り返し、ナッジとヴァンに目を配る。 息を切らすナッジ。先ほどと同じような体制で、太腿を枕にして休んでいる。 ヴァンもまた先ほどと同じように、左脇に顔をつけ、二の腕を枕にして惚けている。 3人の体温がザギヴの身体と心を温めて、少しだけ下腹部の痛みを和らげて行く。 そうして、惚けるヴァンの唇にザギヴは唇を重ねると舌を滑り込ませ、口に残る苦いものをヴァンに返した。 「!!わっ!!!!きったねっ!!何すんのさっ!」 「・・・・さっきの仕返し。」 クスクスと笑うザギヴ。ヴァンは嫌そうに口を拭うと、耳もと囁くように語りかけた。 「ねぇ、ザギヴ姉さん?」 「ん?」 「あのさ、俺、結局チンコを入れて無いワケだからさ、俺だけまだカテゴリー的に童貞じゃん。 なんか、そんなズルいよな。2回戦の時は俺が入れる番で、いいよね?」 「ちょっと・・・・正直まだ痛いからそういうのは無しで・・・・。他ならどうにかするわ。」 少し寂し気な顔をするヴァン。だがすぐににんまりと邪な笑顔を浮かべる。 「他なら?」 「うん。なんとか。」 「じゃさ!じゃさ!俺コッチでエッチしたい!」 懲りないヴァンは、また先ほどと同じように、お尻の谷間に指を滑りこませると、トントンッとソコを刺激した。 ────バシッ! スナップの効いたザギヴの平手が、ヴァンの頬に放たれて乾いた音を発する。 そしてまたクスクス笑うと、翻した掌をそのままヴァンの頬に当て撫でると、呟いた。 「調子に乗らないっ。」
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10日ぶりの更新である。というわけで文字通りやりたい放題やった結果が、今回のフェイトの大冒険である。手持ちのアイテムを少しづつ無くしていって、最後に何も持たなくなった時に、求めるものを得られる、という文法は、ロシアの童話では結構頻繁に使われていたと記憶してる。そういう意味では、今回のお話は書いていて非常に楽しかった。やはりオーソドックスなものはオーソドックスであるだけの事はある、ということであろう。 フェイトは基本的に食が細い。そして極めて幸運なことに、これまでの短い人生の中で飢えるという経験をしたことがなかったりする。さらに、一般庶民の食事は一日二食であるのが当たり前の世の中で、三度三度欠かすことなく食事をすることができていた、ということも理由としてあった。食べ物にがっつかなくて済む環境で育ったことが、彼女の口をきれいにしていたといえる。 「先輩が焼いてくれた焼き菓子だ。さあ、食べたまえ」 「はい。ありがとうございます」 そして何かというと、こうして食べ物を勧めてくれる人にこと欠かなかったせいで、食べることにさほど執着を持たずに済んだともいえた。 自習室で教科書に目を通すつもりでいたフェイトは、気がつけばノイナに勧められた薄焼き菓子を一枚とって端から少しづつかじっていた。一人机に座って数学の教科書をひろげようとしたところで、ノイナが声をかけてきたのだ。その教科書はすでに何回か目を通していたため、断る必要もないだろうと席を一緒にする申し出を受け入れたところ、さっそくお菓子を勧められたというわけである。 丁寧に挽かれた上質の小麦粉に、卵と砂糖と牛乳をふんだんに使ったとても美味しいお菓子であった。香り付けにナツメヤシの実から抽出した果汁を使っているのか、とても甘い。 基本的に外から食材を搬入しなくてはならないこの「学院」で、どうやって生ものである卵と牛乳を入手したのか、それがフェイトには不思議であった。もっとも、魔導を行使することをクラウディアから禁止されているため、その来歴を観測するようなことはしなかったが。 勧められた焼き菓子を一枚食べ終わると、フェイトはにこにこと微笑んでいるノイナにぺこりと頭を下げて感謝の気持ちを表した。 「ご馳走になりました」 「遠慮することはない。さあ、もう一枚ゆきたまえ」 「ありがとうございます。ですが、夕食が食べられなくなります」 「ははっ、君は本当に小食だなあ! まるで小鳥のようだ」 なにが嬉しいのか、ノイナは声をあげて笑う。フェイトにとって間食とは、誰かに勧められるか、お付き合いで食べるものであって、特に自分から食べたいと思ったことがなかった。なにしろここしばらくは第901大隊の営舎で暮らしていたのだ。軍隊式のこってりとしていて量のある食事を三度三度食べていたのである。それだけで十分お腹がくちくなる。「学院」の食事も、おかずが一品少ないくらいで、味はともかく量だけならば十分なものがあった。 フェイトと一緒に焼き菓子を口にしていたノイナが、嬉しそうに話を続けている。 「先輩の焼く菓子は、本当に美味しいなあ。うちから砂糖を取り寄せた甲斐があったというものだ」 「砂糖の精製をしているのですか?」 「そうさ。砂糖大根の栽培をやっていてね。いや、他ににも色々と手広くやっているのだが、あまり無心するのもはしたないからなあ」 領主というものは、できる限り自分の領地で採れたものでやってゆくのがたしなみなのだ。 自慢げにそう答えたノイナは、ぱちりと片目をつむってみせた。 そんな彼女のフェイトは目の前に山とある焼き菓子を見て、そういえば無名やクラウディアはこれを口にしたらどういう感想を述べるのだろう、と、興味を抱いた。確かにこの菓子は、ノイナが自慢するだけあって、大層美味しい。 二つ折りにされている袖のカフからハンケチを取り出したフェイトは、お菓子を何枚か包んで席を立った。 「ああ、ウェーラが焼いたお菓子だね。美味しかったよね」 「はい」 離れた席でアウレリアと一緒に勉強をしていたクラウディアのところにお菓子をもっていったフェイトは、これを焼いたのがクラウディアの友人であることを聞かされた。すでに二人とも同じものを口にしていたようで、ハンカチに包まれた焼き菓子を見て嬉しそうに微笑んでいる。 「フェイトさんは、どちらでそれを?」 「ノイナさんから頂きました」 「ああ、ウェーラと同室の子だね。そっか。さっそく友人ができたみたいでよかったよ」 「ケイロニウス御一門の方とうかがっていましたけれども、仲良くやっていらっしゃるようで良かったですね」 話は焼き菓子からノイナのことに移っていて、フェイトはそれにどう反応したらよいのか迷った。 皇統であるケイロニウス一門が「帝國」では大変に大きな存在であるということは、「学院」に入学してしばらく過ごすうちに実感として理解できた。なにしろレオニダス公爵家姫君のノイナと同じ学級なのである。学友達が畏れを抱いてか、あまり彼女に近づかないようにしているのを見れば、いやでも判るというものである。敬して遠ざけられるとはこのことであろう。そんな彼女だからこそ、特に畏れたり取り入ろうとしたりしないフェイトに、こうして好意を示すことができるのではないかと思ったのだ。 二人がすでにこの焼き菓子を口にしているのであれば、特にここにいる理由はなくなる。 次は無名に食べてもらおうと思って自習室を見回してみるが、どこにも彼女の姿は見えない。 無名はどこにいるのか、それをクラウディアに聞こうと視線を向けたところで、足音も高く近づいてくる少女がいた。 「クラウディア、無名を見なくて?」 「いや、見ていないけれど? 何かあった?」 「あの子! 人が勉強をみてあげるというのに、それを断るなんて!」 一期生学生代表のセレニアである。長く真っ直ぐの黒髪を後ろに流し、萌黄色の髪留めでとめて秀でた額をあらわにしている。何か気に入らないことでもあったのか、まなじりを決していて、肩をいからせていた。普段はつとめて優雅に振舞っている彼女が、こうも感情を激発させている姿を見せるのは、それはそれで珍しい。 「そっか。それで?」 「私が、復習を見てあげるから、と言ったらなんて返事したと思って? 「勉強は嫌いだ。だから授業中だけで済ませるようにしている。いい」ですって!! まったく、次の試験で上位に入らなかったらただでは済まさなくてよ」 「あはは。無名らしいや」 「笑い事ではなくってよ!」 確かに無名らしい、と、フェイトも思った。 ナタリアに「学院」受験のための勉強を見てもらっている時も、はっきりと興味なさげな様子であったし、そもそも自習室で教科書を開いているところを見たことがない。そういえば、彼女は二言目には、あいつがいるから入学するんだ、と、口にしていたか。 フェイトの記憶では、無名はむしろ本はよく読んでいたようであるが、自分の興味の向かないことにはまったく見向きもしないのが彼女らしいといえばいえた。 腹立たしさに頬を上気させているセレニアに、フェイトは両手で包みを開いたハンカチの上の焼き菓子を差し出した。 「いかがです?」 「あら、ウェーラの焼いたお菓子ね。ありがとう。でも私も頂いているの。気持ちだけ受け取っておくわ」 一瞬前の激発が嘘の様に落ち着いた様子になって、セレニアはフェイトに向かって微笑んだ。 「取り乱したところを見せてしまってごめんなさいね。ええ、もう大丈夫よ。それは貴女がお食べなさい」 「はい」 「本当にあの子、勉強が終わったらこれを食べさせてあげようと思っていたのに。今日はお預けね」 まったくもう。憤懣やるかたない、という口調でそう言葉にしたセレニアに向かって、ぺこりと頭を下げたフェイトは、無名を探すべくその場を離れた。 無名は基本的に人見知りする上、気分を害するとすぐ殺気立つ。そんな彼女がのんびりとした時間を過ごすには、誰か人の気配のしないところが必要である。「学院」の敷地は広いが、かといって人の気配のしないところ、というのが難しいところであろう。何がしかの必要があってのこの広い敷地なのであり、ゆえに何がしか人の気配があるものなのだから。 フェイトは、脳内に「学院」の敷地を地図として展開し、そのどこならば無名のいる可能性が高いか考察した。 寄宿舎、ということはまずない。この学院で最も他人の気配が濃く、彼女にとって最も居心地が悪い建物であるから。 校舎、これもない。今の時間帯は、課外活動のために多数の学生がおり、人目を引きたくない彼女が近づく可能性は限りなく低い。 講義棟、図書館、食堂、職員棟、礼拝堂、以上どこも同様の理由で除外。 倉庫棟。ここの近辺ならば、基本的に人の気配はしないはず。そこは今すぐ必要ではないものを格納しておくための場所であって、常に人がいるわけではない。この近辺ならば、人の気配のない場所があるだろう。 フェイトは、入学以来あちこち歩き回って自分の目で確かめて廻った経験をいかして、倉庫棟に向けて歩き出した。 「「「眠りは甘い砂糖菓子、もろくも崩れて再びの地獄♪」」」 フェイトが倉庫棟の近くにまで足を運んだところ、透き通るような美しい声色で、だがコブシの効いた腹の底から出される腰の据わった歌声が聞こえてきた。 「「「ゆらめく影は、よみがえる悪夢♪」」」 フェイトの記憶であれば、この歌は兵隊歌謡のはず。少なくとも、修道会系の学校で女生徒が歌っているはずのない代物である。 誰が歌っているのだろう。存在するはずの無いものが現実にはここに在る。その事実に興味が沸いたフェイトは、そっと気配を忍ばせて歌声のする方に近づいていった。 「「「炎に焼かれ煙にむせて、ここで生きるがさだめであれば、せめて望みはぎらつく孤独♪」」」 歌っていたのは、食堂でフェイトの右隣に座しているダリアという二期生学生代表の娘と、最近になってその隣で食事をするようになったルスカシアとアルブロシアの三人であった。 歌のリードをとっているのはダリアで、それに音階を合わせてルスカシアとアルブロシアが歌っている。三人の中ではダリアが最も歌が上手で声量も音感も抜群であった。アルブロシアも声量で敵わず、腹ではなく喉で歌っているところがあったが、音感は決して悪くはない。最も下手なのがルスカシアで、大声で叫ぶようにして声を出している上、音階など無視して調子っぱずれで勢いのままに歌っていた。 腕を振るい、全身を揺らして歌う様は、礼拝堂で練習している聖歌隊の学生らとは正反対の様子であったが、それでも歌うことの楽しさを三人揃って全身をつかって表現していた。 「はぁはぁ、いやー やっぱ人数いたほうが気持ちいいじゃん。な、次「さよなら兄弟」いこうぜ、ダリア」 「待てってばよ。少し休ませろっての。あー 水、水。っと、アルブロシアも飲め」 「うん。ありがとう」 一通り歌い終わってから水筒の水を回し飲みし始めた三人の姿を見て、フェイトはここにも無名はいなさそうだと見当をつけ、くるりと背を向けて立ち去ろうとした。 だが、なんの偶然か、ルスカシアがフェイトの後ろ姿を見つけて声をあげた。 「おぉうっ!! ふぇいとだ、ふぇいと!!」 「は? 誰だよ、そいつ?」 「お前の左隣に座ってる子だってば! おーい、ふぇいとぉー 一緒に歌おうぜー」 「おい、待て、なんでそぅいう話になるんだよ、お前はさぁッ!!」 目ざとくフェイトを見つけたルスカシアが、猛然とダッシュをかけ、フェイトに向かって飛びつく。 それを避けて逃げるくらいフェイトにとっては特に難しいことではなかったが、しかし、魔法を行使することを禁じられているのと、ここで逃げ出しても食堂であれこれ詮索されることが明白であるため、この場はあえてルスカシアのなすがままにさせることにした。 「そぉいっ!!」 そのままフェイトに跳びついたルスカシアは、ぎゅっと抱きしめると、少女の金髪の頭にほほを摺り寄せ、すんすんと匂いをかぐ。 「うおっ! すげぇー ぷにぷにでさらさらで最高ぉーっ!!」 「なにオヤジ臭ぇこと抜かしてんだ、お前はよッ。ほれ、こいつ驚いているじゃねぇか。離れろってばッ」 「……ごめんなさい。大丈夫?」 「はい」 うっとりとした表情でフェイトの全身をぺたぺた触り始めたルスカシアをダリアがひっぺがすと、アルブロシアが腰をかがめてフェイトの顔をのぞきこんだ。 背が高く大人びたアルブロシアが気遣わしげな表情をしているのを見て、フェイトは、ぺこりと頭を下げた。 「お邪魔をしたようで、ごめんなさい」 「ううん、平気だよ。こちらこそごめんね、驚いたでしょう?」 「いえ、大丈夫です」 跳びつかれた時に、よろけて倒れそうになったものの、半身になり腰を落として構えておいたおかげで転がらずに済んだ。そして、ぎゅっと抱きしめられたり、頬をすりよせられたりするのは、ナタリアを相手にしていることもあって特段驚くようなことでもない。 だが、そんなフェイトの側の事情を知るよしもないアルブロシアは、そっと軍用水筒を差し出した。 「回し飲みでごめんね。湯冷ましだけれども飲む?」 「頂きます。ありがとうございます」 手渡された水筒を両手を持ち上げて、一口水を含む。歩き回っていて身体が水分を欲していたのであろう、その湯冷ましは大層美味しかった。 「いかがですか?」 湯冷ましのお礼のつもりで、ハンカチで包んでいた焼き菓子をアルブロシアに向かって差し出す。 「おっ、もーらいー ……うまっ!!」 「おめーって奴はッ、少しは考えろってばよ。……おろ、本当に美味めぇ」 「うん、これ美味しいよ」 フェイトが差し出した焼き菓子を、横からルスカシアが一枚さらって口に放り込む。それをたしなめたダリアも、フェイトがハンカチを引っ込める様子が無いのを見て自分も一枚とって一口かじり、最後にアルブロシアが手をつけた。 三人が三人そろって焼き菓子が美味しいことに驚いている様子に、フェイトは、三人にも食べてもらって良かったと思った。 「よしっ、もう一枚~」 「おめぇは少し遠慮しろッ!」 さらにもう一枚と手を出したルスカシアの手の平を、ぺしっと叩いてひっこめさせたダリアが、フェイトに向き直って頭を下げた。 「美味しいものを、ありがとうございました。改めて友人の無礼をお詫びします。申し訳ありませんでした」 「いいえ。問題ありません」 「ごめんなー フェイトって、あんまりに可愛いからさー 一回抱き心地を確かめてみたかったんだー」 「それもどうかと思うよ」 てへへー という表情で笑ってごまかそうとするルスカシアを、アルブロシアが冷めた目で見、ダリアがやれやれという表情になった。 そんな三人の仲の近しさに、フェイトは色々なことを不思議に思った。見たところ、生まれも育ちも性格も随分と違う様子の三人であるのに、こうして仲良く歌を唄って楽しんでいる。その様な関係というものは、少女はこれまで見た事がなかった。 「そーいや、ダリアってば、せっかく隣なのに全然フェイトと話さないのな」 「たりめぇだろうが。そもそもきっかけが無かったんだからよ。あと、食事時にぺちゃくちゃおしゃべりすんのは無作法なんだよ。お前もちっとは反省しろ」 「いやー でも食事って、にぎやかな方が楽しいじゃん」 「生憎と世の中には、礼儀作法っていうもんがあんだよ。お前は少し勉強しろ」 ぎゃあぎゃあと言い合うダリアとルスカシアの二人を、じっと見つめているフェイトに、困ったな、という表情でアルブロシアが視線を向けてきている。 「お、そーだ。お菓子のお礼なー」 いい加減ダリアとじゃれあうのに飽きたのか、ルスカシアはフェイトに近づくと、自分の頭の両脇で癖の強い茶髪をまとめていた黒いリボンをほどいて、フェイトの髪をまとめ始めた。 さすがにルスカシアのこの行動は予測できなかったフェイトは、目をなんどもぱちくりとまばたきしつつ、彼女のやりたいようにさせるしかなかった。 「……うおっ、可愛ぇっ!!」 「うわ……、確かにこれは反則だぜ……」 「うん……」 両耳の少し後ろあたりの上の方で黒いリボンでまとめられた金髪が肩から後ろに二筋流れ、「学院」の黒い制服と白いケープ付きカラーのせいでよく映えている。フェイトの瞳はどこまでも澄んだ真紅の色合いで、ま白い肌と透き通るような金髪の中で一点の輝きとなって強い印象を他人にあたえた。 だが、そうした自分の容姿に全く興味がないフェイトにとっては、あまりのことに絶句した三人の態度は理解の外であった。ただリボンを譲ってもらったという事実だけが彼女にとっては意識するべきことであって、少女はルスカシアの前に歩を進めると、ぺこりとおじぎをした。 「ありがとうございました」 「お、おう。……皆には黙っとく」 頭を下げたフェイトの耳元に唇を寄せたルスカシアが、そう一言つぶやいた意味を、少女は正しく理解した。 なにしろ彼女はフェイトの髪をまとめるために頭に触れているのだ。少女の側頭部に本来は生えているべきものが切り落とされた跡にも触れている。だが、その事実をおくびにも出さないだけの性根がルスカシアにはあった。彼女が黙っている、と口にした以上、本当に墓場まで黙ってもってゆくつもりなのであろう。それだけの覚悟が、彼女の短い一言の中に感じ取れた。 だからフェイトは、もう一度深く腰を折って、ルスカシアのその覚悟に礼を述べた。 ルスカシア達三人と別れたフェイトは、一度寄宿舎の方に戻ってみることにした。人がいないはずのところにも、ああして人がいる以上、無名が人のいないところにいるとは考えられなくなったからである。人の気配が感じられても、実際には人が訪れないところ。そういうところを探してみることにしたのだ。 そうして建物へ向かって林の中を歩いていると、不意の開けた場所に出た。そこは人の手が入っていて、小さいながらもよく手入れされた菜園になっている。諸々の作物のみならず、各種の薬草までも植えられていることに興味をもったフェイトは、立ち止まって観察を始めた。 「フェイト学生じゃね」 その老人の気配に声をかけられるまで気がつけず、フェイトは、はっとして声の方向に向き直った。 そこには、粗織りの粗末な修道服に麦わら帽子をかぶった老修道僧が、農機具を手に立っていた。真っ白い髭を綺麗に整え、すっくと真っ直ぐに背筋を伸ばしている姿は、とても見た目通りの老人には思え無い。さらに老人が声をかけてきたのが、フェイトの間合いのすぐ外側からということが彼女の注意を喚起した。 「そこで立っているのもなんじゃろう。こちらに来て座りなさい」 「はい。学院長殿」 彼が入学式の最後に色々な講話をしたことを覚えている。エウリュネス・クラウディウス・ネロ導師。かつて帝國元帥にして帝國方伯であり、副帝レイヒルフトにも匹敵するとも噂された軍事的才能の持ち主。今では出家し、この「学院」の学院長として「帝國」の次を担うべき若者らを育てている教育者にして聖職者。 だが、フェイトの目の前に立っている老人は、奥深さこそ感じさせるものの、ただ姿勢の良い好々爺にしか見えない。 エウリュネス導師にうながされるままに菜園の外れに据えられている丸太の長椅子に腰を下ろした。 「どうやら馴染めている様子じゃな。善き事よ」 「ありがとうございます」 「探し人は見つからぬ様子じゃが、案外近くにおるかもしれんよ。人は往々にして足元は見えぬもの故にの」 「!?」 フェイトが無名を探していることは、この老人は知らぬはずである。傍から見れば、ただ林の中をさ迷っていたようにしか見えないはず。 「ふむ、驚いた様子じゃな。何、歩いている人を見る時、まず足元を見てみなさい。歩き方と靴は、嘘をつかぬからの」 「よろしいでしょうか、学院長殿」 「なにかの?」 「私の足元から何を知り得たのでしょうか?」 フェイトは、自分の足元を見、学校指定の短靴と長靴下をはいていることを確認し、そこからこの老人が何を知り得たのか理解できずにいた。 「その事か。靴に泥と裏手の倉庫の辺りの樹の葉が付着しておるな、そして手に包みを持ち、疲れておるのか膝があまり上がっておらなんだ。その上で林の中を真っ直ぐに建物へ向けて歩き来た。今の時間帯は、学生は寄宿舎か校舎におるはずじゃからの。そこから倉庫の方に歩いてゆき、そしてまたこうして真っ直ぐ戻ってきたわけじゃ。何か誰かを探しておったのじゃろう、とは、まあそう思ったわけじゃよ」 「了解いたしました」 「ついでに言えばの、そのまとめてある髪も、左右で長さが違うておる。その黒いリボンを貰って、その場で髪をまとめてみた、そんなところかの」 「……はい」 本当によく見ている。多分今口にした以上の事もフェイトのあり方から見てとっているのであろう。これが副帝レイヒルフトに特に請われて「学院」を任されることになった男か。少女は内心、この老人にどういう態度をとればよいのか判らず、色々な可能性を考察しようとした。 「難しく考える必要はないんじゃよ。ただ見たものを見た通りに見る。感じたもの感じた通りに感じる。意味を付けるのはその後のこと。そう師から教わらなんだかの? 事物はただその場に在るもので、それの意味は、意味をつける者の数ほどにも種類がある故にな」 その言葉はフェイトにとっては馴染みのある内容であった。そもそもが魔導とは、観測者と観測対象との相互性で成立している。そして両者の存在の意味は、その時その場で相互の関係性によって規定されるものであるのだ。 「ただ歩いてみるだけでも、人は、見るべき様に見れば、未知に出会うことができる。故に未知を既知とするために人は歩いてゆくものじゃよ。そなたは今日は多くの未知と出会い、受け入れた様子じゃな。善き事かな。善き事かな」 皺深い顔に穏やかな微笑みを浮かべてそう語った老人に、フェイトは、ただうなずいて返すしかできなかった。この老修道士がフェイトの事情について何も知らぬわけがない。むしろ全ての事情を知った上で学院に受け入れたのであろう。魔族である自分を、そうと知った上で受け入れてくれる人がここには何人もいる。その事実にフェイトは知らず知らずのうちに感謝の気持ちを抱いていた。 「……よろしければ、いかがでしょう?」 「ほう。これは美味しそうなお菓子じゃな。それでは、それをお茶請けにするとしようかの。ついてきなさい」 丸太から立ち上がったエウリュネス導師の背中にぺこりとお辞儀したフェイトは、そのまま老人の後ろをついていった。 エウリュネス導師の元でお茶を喫し、お礼を述べてからその場を去ったフェイトは、ふと思い立って礼拝堂の方へと歩いていった。老修道士の話は含蓄に富んでいて、色々と考察してみる価値のあるものであった。その充実した時間の余韻を感じたままでいたくて、あえて寄宿舎の方には戻らなかったのである。 そうして歩いていると、礼拝堂と校舎の間の人気の無い敷地で、一人木刀を振るっている少年がいた。いや、この「学院」の女生徒の制服を着用している以上、少年と呼ぶのは相応しくはない。だが、少年としか形容しようのない雰囲気を身にまとった者であった。 彼が新しく第901大隊の第766教育隊に配属された学生の一人で、モリフォリウスと呼ばれていることをフェイトは思い出した。 「やあ。君はフェイトだね。僕はモリフォリウス」 「ごきげんよう」 フェイトの視線を感じたのか、木刀を振るうのを止め、真っ直ぐの姿勢をとり右手の人差し指で天を指しつつ左手を組み人差し指と小指を立て、モリフォリウスはそう名乗った。 そんなモリフォリウスにフェイトは軽く会釈して挨拶した。 「礼拝堂に何か用かな。もう誰もいないけれどね」 「いえ」 別に礼拝堂に用があるわけではない。ただ無名を探して歩き回るのは止めにしただけのことである。歩くために歩いている、というのが今のフェイトの気持ちに近いところであろうか。だが、それを口にするつもりはなかった。 「誰かを探しているなら自習室にゆくといい。何かを探してるなら舎監のところにゆくといい。物事には、かく為るように為る「道理」というものがあるのだから」 「はい」 このモリフォリウスが何を考えているのか、フェイトには別の意味で判らなかった。多分何も考えていないのではないか、というのが正解に近いのではないか、とも思えてくる。 そんなフェイトの困ったような雰囲気を察したのか、判っていないのか、モリフォリウスは話題を変えた。 「是非教えて欲しいんだが、その手にしているハンカチの中身はなんだい?」 「先輩が焼いて下さったお菓子です」 「そうか。そういう行為もここでは許されているのか。修道会の寄宿舎といいつつ、なんという自由さ。いいね、気に入った」 「……………」 「そういうわけだ。僕にも一つ食させて欲しい」 「駄目です」 なにしろ色々な人に配って歩いたせいで、焼き菓子は残り一つだけになっている。最後の一つは無名の分なのだ。ここでモリフォリウスに食べさせるわけにはいかない。 「……フェイト。君は人が何のために生きているか知っているかい?」 「いえ」 「それはッ! 「欲する物を手に入れること」!! ひと言で言うならッ、人が生きるということは「ただそれだけ」なのさ!!」 すっと体捌きでフェイトの前に移動したモリフォリウスが、くるりとその場でひと回転し、少女の右手に移動する。 フェイトが左手の方に身体を移した時には、すでにハンカチはモリフォリウスの手に移っていた。 「うおォン! 美味い、美味いぞーッッ!! フェイトぉおおッ!!」 ハンカチに包まれた最後の焼き菓子を口に放り込んだモリフォリウスが、全身を使って喜びを表している。さしものフェイトであっても、彼のその姿にはいらっとくるものがあった。次の訓練日には、ナタリアに頼んで是非ともモリフォリウスと模擬戦をすることを心の中で誓う。 わずかに目を細めて無表情なまま、内心ではそれなりに不愉快な感情を覚えていたフェイトに、少し離れたところから声がかけられた。 「よう。どうしたフェイト」 「無名さん」 「機嫌、悪そうだな」 礼拝堂の影から現れた無名が、軽く右手を上げてすたすたとフェイトの方に向けて歩いてくる。学院長の言う通り、ごく近いところにいた。その事に内心では舌を巻きつつ、フェイトは無名に向けてぺこりとお辞儀をした。 「髪、まとめたのか。似合っているぜ」 「ありがとうございます」 ふっ、と目を細めて笑った無名に、フェイトはもう一度ぺこりとお辞儀をした。普段、人の容姿について何も口にしない無名が褒めるのだ。きっととても良く似合っているに違いない。 「で、何があったんだ」 「焼き菓子を頂きました」 「そうか」 「無名さんにも食べていただくつもりでしたが、無くなってしまいました」 「そうか」 「最後の一つを彼が食べました」 「そうか」 次の瞬間、無名はまるで「転移」したかの様にモリフォリウスの前に立っていて、軽く左肘を上げて身体を半回転させていた後であった。 そして、モリフォリウスはすとんと膝から崩れ落ち、その場に尻餅をつくようにして地面に座りこむと、そのまま仰向けに倒れた。その無名の動きを、フェイトは全く目で追う事ができないでいた。 「どうやったのですか?」 「肘をおとがいに当てた。しばらく寝ているだろ」 「はい」 無名にモリフォリウスの行為について伝えたのは、単に事実を知らせるべきだと思ったのが理由である。まさか即座に意識を刈り取るとは、さすがにここ数ヶ月一緒に営舎で暮らしていたフェイトにも読めなかった。クラウディアが彼女のことであれこれ心配するのが何故か、今この瞬間はっきりと心と身体で理解できた。確かに彼女は危険だ。ささいなきっかけで何をしでかすか判らない。 「なあ、本当にもう無いのか?」 「セレニア先輩が持っている可能性が高いです」 「本当かよ。まいったな」 そんな無名であっても、セレニアは苦手とみえる。眉をハの字にして、どうしたものかと思案顔で困っている。 だからフェイトは、初期の目的を達成するべく、無名に提案してみることにした。 「私と一緒に、お菓子を食べさせてもらえないか、頼んでみましょう」 セレニアは、フェイトのお願いに抗うことはできなかった。
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というわけで、何故かフェイトが覚醒するの回。本来彼女は受身キャラのはずが、自分からクラウディアや無名にアプローチをしかけたり、キャラが勝手に動くというのはこういうことか、と、いう感じである。もっとも、口調からして元のリリなののフェイトとは違っているわけであり、このフェイトはあくまで「帝國」SSのフェイトということであると再確認したわけだが。 ここしばらくフェイトは、勉強する時には自室に戻ってきてから帳面をひらくようにしている。自習室で勉強しようとしても、色々な人間が近寄ってきて話しかけるので勉強にならないのだ。特に髪の毛を二つにまとめるようになってからは、その傾向が強くなっている。ただそれだけの事であるのに、何故他人の態度にこうも変化が起きるのか、不思議でならなかった。 確かに不思議であるが、だからといってそのまま放っておくのも実生活に支障がある。髪をまとめるのを止める事も考えたが、無名とクラウディアが露骨に残念そうな表情をしたので、そのつもりも失せた。 「何故、皆さん私に触りたがるのでしょう?」 「……うん? そうだね、きっとフェイトが可愛いのと、さわり心地がよいからじゃないかな」 同じ様に自室で勉強していたクラウディアに、その手が止まったところを見はからって声をかけた。 クラウディアの答えはフェイトの推測の範疇にとどまっており、現在の状況を改善するための材料にはなりえない。 「はい。ですが、皆さんは互いに触りあったりしていません。私だけが触られたり抱きしめられていたりしています」 「もしかして迷惑だった?」 「このままですと、「学院」での生活に支障をきたすのではないかと考えました」 クラウディアは腰を上げると、椅子の背に両腕を乗せて、さらにその上にあごを乗せてフェイトに向き直った。 「迷惑なら、止めさせるよ」 「いえ、そういうことではないのです。何故、私だけが皆さんにとって特別に可愛がられるのか判らないのです」 「うーん、そうだね、一つにはフェイトが嫌がるそぶりを見せないというのは大きいと思う。だから、みんな遠慮しなくなってきているというのはあると思うよ」 「はい。ですが、示される親愛を拒むのは、私にはできません」 フェイトは魔族である。それも双性者であり魔導八相に達した導師でもある上級魔族なのである。その自分が人族の集団に受け入れられ、純粋な好意を示されるということは、とても価値があることだと思っていた。かつて自分を救ってくれた黒騎士ヒュドの言葉を、彼女は一度として忘れたことはない。この「帝國」においてすら、魔族が差別されることなく生きてゆけるのは軍隊の中だけである、ということを。 ここはあくまで「教会」に所属する修道会が経営している寄宿舎制学校である。その集団の中で自分が魔族であることが明らかとなった時、どのように排除の対象として扱われるのか、それが非常に陰惨なものとなるであろうことをフェイトにも簡単に予想ができた。 「……そうだね。ばれてはいないけれど、フェイトには事情があるからね」 「はい」 「まあ、でも、その全か無か、という割り切りはちょっと違うと思うんだ」 「といいますと?」 「親しき仲にも礼儀あり、ってね。どんなに仲の良い間柄でも、守るべき礼儀はあるってこと。フェイトも、困るならば、相手にそう伝える必要はあると思うよ」 「……………」 確かに礼儀は人間関係を円滑に保ってゆくために必要なプロトコルである。それが理解できないほど、フェイトも物知らずというわけではない。だが、その線引きがよく判らない。元々彼女は、森の中で母親と二人きりで生活していたのだ。微妙な人間の間柄の機微にうとくても仕方がないといえた。 「まあ、そのあたりはおいおい学んでゆけばいいんじゃないかな?」 「はい」 フェイトの困惑をみてとったのか、クラウディアは、それ以上深く話を進めなかった。 フェイトは、クラウディアのそうした気配りを常々好意的に思っていた。だから、この瞬間、ふと親愛の情を抱いているのだ、と、彼女に示したくなったとしても、それはそれで自然ななりゆきであったといえよう。 「クラウディアさん」 「なんだい? あらたまって」 「もふもふしてよいですか?」 「はい?」 突然のフェイトの希望に、さしものクラウディアも思考がおいつかず固まってしまっている。 クラウディアの思考が再度動き始めるまで、フェイトは黙って待ち続けた。 「……ええと、なんで突然そういう話に?」 「もふもふしたくなったからです」 この「学院」に来てから、クラウディアはフェイトのことを親身に世話してくれていて、そして温かく見守ってくれていた。そのことには常々感謝していたし、そして感謝しているという事実を示したいと思うこともままあったのだ。ただそれを示したくても、これまではそのための手段を彼女が知らなかっただけである。触れたり、撫でたり、抱きしめたりすることが相手への親愛の情を示す行為ならば、さっそくそれを実行してみるべきであろうと、彼女はそう考えたのだ。 「う、うん。それは構わないけれど」 「ありがとうございます」 フェイトはぺこりとお辞儀をすると、そのままクラウディアの寝台の横に移動した。 「つまり?」 「クラウディアさんは、私よりもずっと背が高いです。そのままではもふもふできません」 「うん。じゃあ、そこに座ればいいんだ?」 「はい」 クラウディアは、フェイトの返事にうながされるようにして、自分の寝台の上に腰を下ろした。 フェイトは、自分も靴を脱いで寝台の上に上がると、クラウディアの横に膝立ちとなって彼女を抱きしめた。まずは彼女の頭を自分の胸に抱きしめ、ゆっくりと髪をなでる。それから鼻先をその黒い真っ直ぐの髪にうずめ、ほほすりした。普段知っているよりも、ずっと強く彼女の体臭と体温が感じられる。 クラウディアの体温が徐々に上がってゆくのを感じ、フェイトは、自分の心臓の鼓動がそれに合わせて早くなってゆくのを自覚し、どうしようかとしばし考えた。 「……はいぃ!?」 フェイトが出した結論は、クラウディアのことをもっと強く抱きしめることであった。 そのまま彼女の膝の上にまたがり、腰を下ろす。眼鏡越しに見開かれたクラウディアの蒼い瞳をのぞきこんで、彼女の上げた声にフェイトもびっくりしてしまった。 「ええと?」 「……駄目ですか?」 「い、いや、かまわないよ、うん」 「ありがとうございます」 クラウディアのかけている眼鏡が、なんとなく二人の間の壁になっているような気がして、フェイトは少し不愉快に思った。彼女はそのまま両手でそと眼鏡を外し、クラウディアの机の上に「転移」させた。 素顔の彼女は、頬を上気させていて、そしてその蒼い瞳がすっと吸い込まれるように澄んでいて綺麗だとフェイトは感じた。彼女の瞳に映る自分の顔も、きっと頬が上気していて、そしてその瞳を綺麗だと思ってくれると嬉しい。そう思った少女は、自分の鼻先を彼女の鼻先にすりつけ、また彼女の匂いをかいだ。今度は、少し汗の匂いが混じっている。 その汗の匂いが自分のものか、彼女のものか判らず、フェイトはクラウディアの身体に両腕を回し、鼻先を彼女のほほにあてた。 「……………」 「汗の匂いがします」 ほほから首筋に鼻先を移動させ、そして互いの身体を密着させる。とくとくと早くなってゆく心臓の音はどちらのものか。 「あ、あのさ」 「はい」 「ええと、すごい言いにくいことなんだけれど……」 「はい」 「膝に、当たってる。その、固いのが」 「?」 ほほが熱いくらいになってしまっているクラウディアが、かすれがちな声でそう言ってきたとき、フェイトはその言葉の意味が理解できていなかった。 しばらくその言葉の意味を考え、そして、自分が双性者で、そのもう一つの男性としての自分も上気していることに気がつく。 「問題なのですか?」 「……ええとさ、さすがに嫁入り前の身としては、ちょっと刺激が強すぎるというか、いや、フェイトのことが嫌だとかそういうんじゃなくて、つまり、乙女として恥ずかしいというか……」 「つまり、問題なのですね」 「……うん……」 問題があるというのならば、仕方がない。これ以上クラウディアをもふもふできないのは、本当に、真に、心の底から残念であるが、しかし、今は諦めるしかない。 フェイトは、心惹かれる思いの辛さを必死になって我慢しつつ、ゆっくりと自分の身体を引き離した。 目の前のクラウディアは、顔は真っ赤に茹で上がっていて、そして今すぐにも崩れ落ちそうなくらいに脱力している。自分も体温が上がり、心臓の鼓動がいつになく早くなってしまっていて、このまま同じ寝台にいる事がいたたまれなくなる。 いう事をきかない身体を無理矢理動かして、寝台から降りて靴をはいたフェイトは、クラウディアの顔をじっと覗き込んだ。 「……また、もふもふしてもよいですか?」 「……毎日、とかじゃなければ、いいよ、うん」 なんとか自分を取り戻したクラウディアは、何度かまばたきをしてから、フェイトの瞳を見つめ返しつつそう答えた。 フェイトは、何故に皆が自分のことを抱きしめ、もふもふしたがるのかが理解できた。次の機会には、抱きしめるだけではなく撫でてみよう。そういう欲求が心のうちに湧いてきて、その事実に新鮮な驚きを感じる。そして、きっとそれはとても気持ちがよいことに違いない、そうも思った。 フェイトは、新たに知った感情の動きに軽い驚きと、大きな満足を感じ、そのまま寝巻きに着替えて自分の寝台にもぐりこんだ。 そんなフェイトが寝息を立てるまで待ってから、クラウディアはのろのろと身体を起こし、自分も着替えて寝台に転がった。 次の日の朝には、二人とも普段の通りに戻った様子になっていた。正確には、何も無かったかのように振舞うことで、二人の間に生まれた微妙な雰囲気を無視することにしたのであるが。ただ、その事実を理解していたのはクラウディアだけであって、フェイトは本当に普段どおりに振舞っていたのであったが。 そんな二人が食堂へと向かう途中、同じように食堂に向かう無名と一緒になった。 「よう」 「おはよう」 「お早うございます」 「……?」 互いに挨拶を交わしたところで、無名が足を止めていぶかしげな表情になる。 フェイトは、そういえば無名にも親愛の情を示さないといけない、と、突如そういう思考が発生していた。クラウディアに親愛の情を示したのである以上、無名にも同じ様に振舞うべき、と、そう考えたのだ。 「無名さん」 「ああ?」 「もふもふしてもよいですか?」 「!?」 フェイトの突然の言葉に、無名は、驚愕に目を見開いてわずかに口をあけた。そして、何度も視線をクラウディアとフェイトの間をいったりきたりさせ、最後にクラウディアのことをにらみつけた。 「お前、フェイトに何をした?」 「……わたしじゃないよ。ううん、正確には、皆にされていることを自分でもしてみたくなったんだ、フェイトは」 「臭い、混じっているぜ」 すっと目を細めて殺気だった無名を、フェイトは、そっと近づいてからその両頬を両手ではさんで自分の方に顔を向けさせた。 「もふもふしていいですか?」 「……お前」 「いいですか?」 じっとフェイトに瞳をのぞきこまれ続け、無名は、まとっていた殺気を消し軽く頬を上気させて呟いた。 「好きにしろよ」 食堂へと向かう女生徒らの注視の中、存分に無名をもふもふしたフェイトは、何かすっきりした憑き物が落ちたような表情で食事をとりに歩き去った。 残された無名は、顔を真っ赤にし、腰が砕けたのが廊下にへたりこんだまま、軽く口をぱくぱくと動かしている。クラウディアは、そんな無名のことを抱き起こすように立たせると、肩を貸し抱きかかえるようにして食堂へと向かった。 「……なあ、クラウディア」 「なに?」 「俺もお前の事をもふもふしていいか?」 「……人目につかないところでなら」 「お前、本当にいい奴だよな」 「そんなんじゃないよ」
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autolink N1/WE06-01 カード名:代わりの人形フェイト カテゴリ:キャラクター 色:黄 レベル:0 コスト:0 トリガー:0 パワー:4000 ソウル:1 特徴:《魔法》?・《クローン》? 【自】バトル中のこのカードがリバースした時、あなたは自分の山札の上から1枚を、クロック置場に置く。 母さんの捜し物・・・・・・ ジュエルシードは、ここにある・・・・・・ レアリティ:R illust.西又葵 デメリット付きでバニラよりサイズが大きくなるカード。 ツァーレンシュヴェスタン、夢への一歩 涼に継ぐ3枚目のサイズ4000。 前述の2枚とは違いデメリットは場に出た場合やアタック時には発生せず、そのためギミックを組む事なく安定したサイズが見込める。 更には「フェイト」?であるため使い魔アルフからの恩恵を受けられるため後列2つからの援護を受けると、 攻撃時には6000防御時には5000というレベル0帯の【ミハネム】さえもこえる高スペックを発揮する事が出来る。 反面デメリットも大きく、リバースした時には強制1点ダメージ。 終わりなき聖杯戦争バゼットに近いデメリットではあるが、あちらは2点なのに対しこちらは1点。 ただし「クロック置き場に置く」なのでダメージキャンセルが発生せず、そのカードがクライマックスであろうとダメージとなる。 序盤には不要なキャンセルでレベルが上がらない場合にメリットとなりうる内容ではあるが、 終盤となるとチャンプアタックする事自体が自分を追い込む事に繋がりかねないので要注意である。 とはいえ、条件はあくまで「リバースした時」。 「圧殺」や「除去」の場合はリバースを介しないためデメリットは無く、負けず嫌い伊織等の能力で生贄に捧げる場合にも影響はない。 終盤を考えるのならば手札交換効果のあるカードや手札アンコール持ちと一緒に運用すると良いだろう。 ・関連ページ 「フェイト」?
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なのはシリーズ 【作品名】魔法ニンジャ活劇 【作者名】ダニール 【URL】https //novel.syosetu.org/4455/ 【原作】魔法少女リリカルなのは 【地雷条件又は注意事項】 オリジナル主人公 キャラ背景や年代の設定変更 【あらすじ・概要・感想】 記憶の無い主人公がテスタロッサ一家に引き取られた事から始まるほぼオリジナルなストーリー 現在は原作無印に該当する時代の切りの良い所まで投稿されている 設定変更があるので読み進めると「あれ?」という点が出てくるが、一応最後まで読む事で疑問は解決した 文量は多めで描写等も安定しているので、まとまった話をまるっと読みたい人にはお勧め ちなみにニンジャと題名にあるが、これは主人公の能力や格好がそれらしく見えるというだけであり チャクラやジツを使ったりはしない、あしからず 【作品名】凡才 【作者名】マダラッコ 【URL】https //novel.syosetu.org/6719/ 【原作】魔法少女リリカルなのは 【地雷条件又は注意事項】原作はリリカルなのはだが、その要素は薄い 【あらすじ・概要・感想】 高町恭也、赤星勇吾の交友を描いたまったりする短編。魔法少女成分を期待してはいけない。 日常の1シーンを切り取ったようなその空気感、読後感が良い。 さらりと読め、読んだ後縁側でお茶をすすりたくなるようなSSだった。 【作品名】ユーノの子育て日記R 【作者名】ZEROⅡ 【URL】https //novel.syosetu.org/2288/ 【あらすじ・概要】 Vividの時代を舞台にユーノの立場を変更し、マテリアル3人娘を混ぜ込んだ作品 マテリアルは設定改変されていて闇の書とは無関係な存在となっている、と思う この時代にこのキャラを入れてきゃいきゃいさせたいという目的が明確に感じられ そして正しくほのぼのとした日常の描写がされている ユーノの立場改変の過程で多少のシリアスがあるが、それほど引っ張る事もなく解決する 読んでいて、とても安心 【作品名】すべては奴を倒すため 【作者】明日はきっと雨が降る 【URL】http //novel.syosetu.org/7367/ 【原作】魔法少女リリカルなのは 【地雷条件又は注意事項】 オリ主 【あらすじ・概要・感想】 幼少期からなのはを超えるべき壁と定め、修練を重ねる少年の話 潜在的にかなりの魔力量は持っているものの、体質からか魔法は上手く使えない 近接戦最強を謳い、打倒高町なのはと常々宣言しているが、なのはからは可愛い弟分として見られている 若干のご都合主義はあるが、一話ごとの文量はそれなりで恋愛要素もほとんどなし チ―レムの多いリリなのに嫌気が差している人も読めると思う 【作品名】逆行なのはさんの奮闘記 【作者名】銀まーくⅢ 【URL】https //novel.syosetu.org/598/ ①【あらすじ・概要】 28歳独身なのはが歳下の男に告白されて幸せ絶頂の時にフェイトに刺されて無印に逆行 ユーノには未来の恨みで冷たく当り、フェイトは親友を超えて調教の領域で手なずけてる 思考の節々がナチュラルになのはさんだが基本万事いい方向に向かいまくる ②【地雷要素又は注意事項】軽いノリ、パロネタ多し 【あらすじ・概要・感想】 とうとう結婚のできないまま齢28を数えてしまった高町なのはさん。やっとこ出来た彼氏からプロポーズされるもヤンデレズは怖かった。私と一緒に死んでくれるよね、とばかりに無理心中。気付けばなのはさん(28)は無印開始時の年齢、高町なのはちゃん(8)になっていた。 文体は一人称、地の文からして口語が多い、序盤は少し読みにくいものを感じてしまうかもしれない。中盤あたりからはこなれてきたのか、情景や動作の描写もまた入るようになり、文章力は上がっている。 短所として、高町なのはの面影が微塵もない事だろうか。いみじくも作中でプレシアが呟いた通り、脳筋娘に仕上がっている。口も悪く、砲撃大好き。先の事をあまり考えない少年誌的NANOHAさんと言える。 当然ながらノリも男性的、使うネタ、ふしぶしに混ざる荒い言葉も、どちらかというと男オリ主が下地に憑依していて、その影響であんな風になってしまっているのだと考えた方が納得できたかもしれない。 全体的にコメディとしてのノリが古い、センスも今ひとつ。作者にはすまないが、正直言ってスベっている。笑えない。 長所として、バトルシーンなどが妙に練り込まれており、なかなか秀逸。シリアス場面の心情描写やキャラの個性の立て方も悪くない。むしろこれはネタ作というより全体的にシリアス路線で行けば化けたのではないか。 個人的評価は、佳作にはできないが惜しい作品。 主材料に据えているはずのコメディが今ひとつなのに、副材料のシリアスが良い味を出している。 傑作というより奇作怪作のたぐいかもしれない。 【作品名】魔法少女リリカルなのはViVid~ダンブルドア異世界記~ 【作者名】大魔元帥 【URL】http //novel.syosetu.org/3933/ 【あらすじ・概要】 校長がヴィヴィオに憑依 始まったばかりで短いから説明不足か出し惜しみしてるだけなのかよくわからないが今の所は文章的にも設定的にも弱いところがあるとしか言いようがない というかダンブルinヴィヴィオには妹がいるらしくこっちが元のヴィヴィオクサイ 今後に期待という意味で今回紹介させていただく 【作品名】「俺、シグナム先生と結婚する!」 【作者名】Vitaかわいきつら 【URL】http //novel.syosetu.org/1370/ 【原作】魔法少女リリカルなのは 【長さ】中編12話72,758文字 【状態】完結 ①シグナム(のおっぱい)一途な青年が主人公。 プロローグは少年の頃からスタートで、ダイジェスト的にシグナム一途になる所から今に至るまでが描かれ。 現在魔法について知り物語が動き出した所。 まだ序盤のためにストーリーについては判断しかねるが、目的が一貫しているためにとっつきやすさはある。 また描写も上手くはないものの必要最低限は描けており、気になるというほどでもない。 三人称なのが個人的には好みである。 主人公がおっぱい星人であるがハイテンションではなく、 真面目な青年というように比較的落ち着いた風に描かれているためにそこまで問題なく受け入れられるのではないだろうか。 剣道だと同年代最強だが一般人的な強さに過ぎず、 シグナムには全く及ばない強さが程よく、作風に合っていると思う。 ②【紹介理由・感想】 最近ロリヒロインものばかり読んでたので反動で。あと同作者のチラ裏エター再開しねーかなーと 正直オリ主に魔力要らんかった気がしないでもないがまあ一緒にいる理由付けにはちょうどいいか 【地雷要素又は注意事項】 オリ主、おっぱい星人、おっぱいネタ、オリ主による自分語りがティアナに流れ弾、捏造剣道知識 ③作者も後書きで述べていたが、プロローグは凄く面白そうで期待できた。そこから序盤にかけてはその期待感で面白く感じる。 が、最後まで期待感のままで終わる。 設定からして長編向きではないんだろうなあといった所。 展開のさせかたによっては面白くなったかもしれないが、期待感を煽られたが盛り上がらなかったので作品としては微妙か。 戦闘描写などは割合しっかり描かれてるが、リリカルなのはの戦闘として見ると地味。 剣道として見たら物足りないという惜しいものになっている。 寧ろ中編にせず短編で描いたほうが良かったかなあって感じ。 プロローグと序盤は凄い面白くなりそうだから見ても良いと思うが、消化不良に終わる。 取り敢えず打ち切りぎみでも完結を描いたことは素直に称賛したい。 【作品名】魔法少女リリカルなのはF 【作者名】ごんけ 【URL】https //novel.syosetu.org/469/ 【あらすじ・概要】 なのは世界に飛ばされた士郎がはやての家に住みつく話 最初はアーチャー口調だったのだが、飛ばされた際に肉体が若返ったためにだんだん士郎口調になっている 肉体に引っ張られて口調が変わるということがあるのだろうか…… 全体的にほのぼの。ヴォルケンズがまだ出てきていないのでこの先どう転ぶかはわからないが、今のところは面白い作品 ただ、たまに文章がおかしいときがある 【作品名】幻想幼女リリカルキャロPhantasm 【作者名】もにょ 【URL】https //novel.syosetu.org/814/ 【原作】魔法少女リリカルなのは ①にじファンからの移転組 現在は19話ほど投下されているがにじファンでは80話くらい投下されていたはず 原作キャラであるキャロへの憑依ネタだが、純粋な憑依モノではなく東方Projectとクロスしている 内容はいわゆるオリ主TUEEEEE系 具体的には東方キャラの能力を再現できるデバイスでMUSOUする毒にも薬にもならない話 ②にじファン時代から時折ランキングに載るなど知名度だけならば洞窟でも屈指であろう本作品 タグにキャロ魔改造とあるがオリ主が憑依しただけなので、実際はキャロ魔改造でもなんでもないオリ主物である 余談ながらシリアルとはコミカル+シリアスの造語で、私の知識が誤ってなければニコニコ動画発祥のスラング ただ二十六話現在で大凡シリアスと思しき展開はない キャロに憑依した主人公の一人称(ですます口調)を中心に展開される 終始敬語で展開される一人称はよくあるハイテンションオリ主ギャグと相俟って、人によっては鬱陶しい要素となるかもしれない 時折別視点での一人称や三人称が唐突に展開される傾向にあるので、それも読者によってはマイナス要素になると思われる 描写や文章作法自体に可もなければ不可もないのだが、上記諸々の要素により少々灰汁のある作品ではなかろうか また作中節々で原作介入などの面倒事を避けたいとのスタンスでありながら話の随所で妙なリスクを負おうとするなど、 火中の栗を拾う為に夏の火に吶喊する虫の如き後先をしない典型的オリ主な点も本作品の主なマイナス要素であろう キャロに憑依(転生?)した主人公は修行により三、四歳の時点で本来のキャロ並の実力を得、原作より早期に村を追放される 一切修行せず才能のみで六歳のとき村を追放された本来のキャロと、修行したことにより早期に追放される主人公は一見整合性がある しかしこれも読者によってはオリ主物の典型的な修行()演出と取られかねない要素であるので留意されたし (ただ「無力な子供の振りしてればいいんじゃね?」とした矢先に「魔力の運用」の練習をするのはさすがにダブスタではなかろうか) 村を追放される際に宝物庫から「幻想縁起」というアイテムを貰った主人公はそれの封印を解き、八雲藍(仮)と邂逅する デバイスであり隷属である為に「幻想縁起」から離れられない藍(仮)の境遇を不憫だと思った主人公は藍(仮)と対決することになる (ここはアニメの世界だがここの住民は皆生きてるんやというよくある転生ダブスタなので読者によっては苦手と思われる展開であろうか) なんやかんやで勝利した主人公はユニゾンデバイス藍(仮)と契約し、ここで暫定的ながらも東方勢の能力をすべて得たも同義となる 最初こそ紫など大妖怪の能力は碌に発動できなかったが、話が展開するにつれてなんやかんやで様々な能力が幅を利かすTUEEE要素となった 博麗の巫女の結界術やスキマによる瞬間移動などに、なのはメンツが驚愕する小粋な演出も忘れない 現状では微妙な能力クロスとユニゾンデバイスの藍(仮)、それと何故か管理外世界に存在する妹紅と輝夜と東方要素としての魅力はそれほどない リリなのに関してもキャロは中身主人公なので一切別物、主人公TUEEEに弄ばれるリリなの勢などこれまたそれほど魅力はないと思われる 私はにじファン時代の本作品はノータッチであったのでここからの展開がどうなるかは一切知らないのだが、 このまま似たような展開が続けられるのであれば先の展開にはあまり期待できないと評する他ない 最新二十六話にて主人公がいよいよ幻想郷に向かうと思われるので、きっとここからシリアス(シリアル)展開に入るのであろうか (「幻想縁起」に関して、裏があると思しき幕間が作中で都度撒かれていた節がある) 癖はあるものの描写自体に不可はなく諸々の要素もスコップを爆ぜさすほどの破壊力はないが、本作品はよくあるオリ主物の域を外れていない リリなのと東方という二次人気作に肖ったはいいが、二兎追う者は一兎も得ずという結果になったのではと苦言を呈したい 総評としてTUEEEしながら奔放に周囲に被害を齎すよくある典型的オリ主物であるので、 本作品も頭を空にしなければ人によっては読むのが苦になるかもしれない一品である 【作品名】魔法少女リリカルなのは~雁字搦めの執務官~ 【作者名】紅月玖日 【URL】https //novel.syosetu.org/1190/ 【あらすじ・概要】 非転生オリ主モノ ツッコミは少なめで済むなと思ったら最新話でオリ武術が出てきてああうんって感じに 内容は原作キャラよりやや劣る魔導師ランクAA-な執務官がトリッキーにがんばるという話だと思う A sのなのは撃墜アースラ収容後から開始してすぐにヴィータ無力化とかしている ただし特に原作の流れへの影響は無さげで俺TUEEEEEが見せたかっただけに見える 努力とアイデアと根性で泥臭くというがどうせ面白トリックプレイに走るだけだろう タグが簡潔なのは非常に好感が持てる 【作品名】レアスキル持ちのなのはさん 【作者名】子義 【URL】http //novel.syosetu.org/884/ ①【あらすじ・概要】 再構成モノ ユーノに合う前にジュエルシードを拾ったなのはさんが断片的な未来視のようなレアスキルに目覚める話? レアスキルが未来視なのかデバイス無しでの魔法運用なのかちょっと分からない まだ4話しかない上ほとんど話が進んでいないので内容については言及し難い ただ八神家に突撃して猫に目をつけられたというのは誰でも想像できるのであとがきで明言するのはやめてもらいたかった コレもタグが簡潔で良い ②【地雷要素又は注意事項】パロネタがちょこちょこ 【あらすじ・概要・感想】 無印時点での高町なのはが主人公。拾ったジュエルシードの影響で未来の知識が、記憶が、最盛期の経験がダウンロードァッッ! LV99なのはちゃん爆誕の瞬間である。 とはいえ知識も記憶も穴だらけ、大人の記憶に少女の感性、力に振り回されないだけまだマシか。 子供の感性のままに走った結果、ユーノと邂逅するより先にはやてと出会う。 同時進行するジュエルシード事件、闇の書の起動、動かざるを得ない猫の使い魔、果てやあのドクターまでが動きだした。 バタフライエフェクトはとこまで波及し、どこに帰着するというのか。 文体は三人称、地の文は普通でありライトノベル感覚でさくさく読める。 短所としては、際だって酷いと言える部分は見あたらない。 目に付いた部分といえばなのはの口調がにゃーにゃー言い過ぎたり、なのなの言い過ぎたりしているあたりか。 ご都合主義的な展開や、妙に感情的にされているキャラも見受けられるがそこは好きずきだろう。 パロネタは多いというより挿入箇所がちぐはぐで悪目立ちすると言える。そこにわざわざネタ入れなくていいだろう、という所でネタが入っている事がかなりあった。 長所として挙げられる部分は、まずその構成力。原作キャラに原作知識を突っ込んでみたらどうなるのか── もしかしたらこうなるのか、その上でこんな展開になってしまうのか、という部分がしっかり考えられていて、再構成ものとして頷けるクオリティになっている。 個人的な評価として、良作に入るだろうと思う。 この作者さんのはネギまモノを最初に読んでいたので主人公持ち上げすぎるのではないかと用心しながら読んでいたが、今作についてはその心配はなさそうだ。 キャラの造形に関しては首を傾げるような部分もあったが、変に低脳化しているわけでもなく許容範囲。 全体的なノリは緩めで、緊張せず、のんびり構えて読む事ができる。欲を言えば話にもっと大胆に起伏をつけても良いとは思ったが。 現在、なかなか見ない展開、これから面白くなってきそうな所で更新が停止しており、今後が待たれる。 余談だが、闇の書が笑いの衝動で身を震わせたりくるりと回ったりするSSは初めて見たかもしれない。 【作品名】『転生オリ主に会う前に、僕の話を聞いてくれ』 【作者名】鬼火 【URL】https //novel.syosetu.org/179/ 【原作】魔法少女リリカルなのは ①【あらすじ・概要】 ハーメルンで跋扈している転生オリ主物に、ある意味で啓蒙的な衝撃を与える一作。 魔法少女リリカルなのはが題材ではあるが、知らなくても十分に本作の内容は楽しめる。 むしろ転生オリ主というジャンルを知らないと楽しめない恐れあり。 文法もきちんと守られていて、改行空白も良い感じに入って目が滑ることがない。 一話完結の短編なので、さっと読めるの嬉しい所。 思わず膝を叩くような作品でした。 ②【紹介理由・感想】 タイトルに偽りなし。これほどまでに痛烈に転生オリ主という存在をメタファーな内容とはいえ書ききった作品はないだろう。 皮肉でもなく、批判でもない、ハーメルンに溢れる転生オリ主を、嫌になるほどうなずかせてもらえる。 魔法少女リリカルなのはという作品を知らなくても、読めるのも良いところであるが。 それもそれである意味痛烈な皮肉なのかもしれない。 【地雷条件又は注意事項】メタファー 【作品名】踏み台転生者に憑依しました 【作者名】黒雛 【URL】https //novel.syosetu.org/339/ ①【あらすじ・概要】 テンプレオリ主に憑依した主人公。 高感度マイナスからのスタートであるが、 恋愛より戦闘に重きをおくという作者の言葉通り魔法関連でなのはと普通に話すようになるだけで高感度は基本低いまま。 文章は主人公一人称+その他三人称で充分描写されている。 ストーリーは結構なオリ展開が入るために嫌いな人は嫌いに思うだろうがオリ展開が楽しめるならそこそこまとまっている。 殆どが戦闘。チートな魔力と武器ではあるがそこまで強いという印象は受けない。 今大きなオリイベント発生中のため、この後どうなるかで評価が決まると思われる。 難点をあげるならば主人公の一人称か。「w」や「☆」などが頻度は極稀なものの疲れており、三人称とくらべてテンションが高いためにそこが気に入らないひとはいるだろう。 ②【地雷要素又は注意事項】オリ主、神様転生(憑依) 【あらすじ・概要】 タイトルの通り、銀髪オッドアイのテンプレオリ主キャラに憑依してしまうというオリ主の話 デバイスがTODのソーディアンのディロムスとアトワイト 憑依前は原作キャラにしつこいほどアプローチをしていたために、好感度最低の状態から始まる が、事件に関わった原作キャラとの邂逅で徐々に打ち解けていく。勘違い要素は低め 肉体と精神に齟齬があるのか、内面は明るめでも外面はぶっきらぼうで表情の変化が乏しい 設定が地雷に見えるけど、戦闘シーンが丁寧に書かれていてシリアスな展開が多い 無印から開始しているが、ジュエルシードの事件が原作とは違いオリジナルの展開になっている 【作品名】魔法少女リリカルなのはZX 【作者名】bmark2 【URL】https //novel.syosetu.org/2714/ ①気付いたら憑依してた主人公がなのはの世界で頑張るお話。 オリ主はリリカルなのはについての知識はない。個人的にロックマンが好きなので頑張ってもらいたい。 気になるところは主人公の個性があまり出てない。 ②簡単に言えばオリ主(原作知識なし)がなのはの世界でいろいろやる話。 そこまでおかしいってレベルの文章じゃないけど、読んでると戦闘シーンが多くて疲れるかも。 ただ描写はしっかりしてる方だと思う。 【作品名】(略)のはAce -或る名無しの風- 【作者名】Hydrangea 【URL】https //novel.syosetu.org/1475/ 【あらすじ・概要】 少し変わった掲示板形式 最初から一風変わってるので、序盤で大丈夫なら後は素直に楽しめると思われ 人によって評価が分かれるであろう奇作 【作品名】【習作】完膚なきまで空転せよ! 【作者名】のんべんだらり 【URL】https //novel.syosetu.org/3471/ 【あらすじ・概要】 逆行ユーノの別人憑依で一人称視点 変な読み難さはなく、文字数も程良い感じ 特別目立つ面白さはないものの安定はしていると感じる作品 【作品名】『魔法少女リリカルなのは』 作者:『転生者』 【作者名】am24 【URL】https //novel.syosetu.org/3742/ 【あらすじ・概要】 リリカルなのはの二次 愉快犯的な転生者がネットにリリカルなのはやとらハのSSを公開。それにより原作の流れが変化していく とらハ勢の出番が多くて楽しい。とりあえず恭也はもげろ 【作品名】魔法少女が許されるのは15歳までだと思うのだが 【作者名】神凪響姫 【URL】https //novel.syosetu.org/3962/ 【あらすじ・概要】 リリカルなのはの主人公憑依というか一部キャラの性格改変モノ なのはに丁寧腹黒系の人格が憑依している、原作知識等は無し 呼吸するように憑依した自分を偽り、地の文で突っ込みが入る類のギャグがテンポ良く続く 兄のシスコン設定等ネタ系二次創作のテンプレ要素を含んでいるので苦手な人は注意 【作品名】あぁ神様、お願いします 【作者名】猫毛布 【URL】https //novel.syosetu.org/3263/ 【あらすじ・概要】 どっかのスレで名前上がってたんで読んでみたが、意外にもしっかりとしてきた作品。 オリ主の設定が悲しい過去持ち、斜に構えた性格、チート能力、他にテンプレ転生者ありととてつもなく地雷要素があるので序盤で切るやつも多いだろう。俺もそれで前切ったし。 しかしそれを乗り越えると良い意味で期待を裏切ってくれる。 まず地雷要素絡みを述べると。 オリ主の能力が『分割思考』で魔法に関してはチートだったり、もう一つのチートとして『触手』のお蔭で魔力容量もチートだったりするのだが代償を設けることで(それでもチートだが)バランスを保っている。 主人公の過去もありチートだけどそこまで鼻につくものではないように思う。 恋愛関連も複数(三人くらい?)に好かれる描写はあり尚且つ主人公は鈍感という設定もあるために地雷要素だが、まあ耐えられないほどしつこい恋愛展開はない。 会話などで主人公が言葉遊びを好んでいるためにそれが合わない人はきっとこの作品自体読むのは難しいと思う(わりとずっとそんな感じで進んでいくため)しかし合うならば終盤までには癖になるんじゃなかろうか。 また『分割思考』の名の通り主人公の一人称で色々な思考が描かれるのだが、わりとはっちゃけているハイテンション(に近い)思考もあるので気持ち悪く思う可能性もある。 行動も気持ち悪いことしていたりする。 他の転生者に関してだが、一貫して所謂踏み台転生者のように描写されているため(あながち間違ってないのだが)拒絶反応を起こす人もいるだろう。結構駄目な奴的な扱いなので(オリ主サイドにとっては)注意。 最後とか所々で良い扱いされるけど。 またオリ主SUGEE的要素、勘違い要素などなど地雷要素となりえるものはふんだんに含んでいる。いちおうそれらに理由となり得るものがあるので明確な地雷ではない。 他の地雷作品よりは丁寧に上手く料理されてるため多少の地雷を耐えれば楽しめる筈。 特に無印を越え、A sの中盤から面白くなってくる。そこから終盤にかけては伏線を散りばめたりして最後に回収するのは爽快。これまでの主人公の行動などが意味を成しているのがわかる。エピローグなどの余韻は心地よいものであると思う。 そして何より本編が完結していることを評価したい。作者としてはそれで終わりにするつもりだったらしいがルート分岐させて諸々を諸々するらしい。 地雷要素を起爆させないで描いているとでもいうか、最後まで読んで面白かったなと思える作品だった。 【作品名】無能少女マジだるなのは 【作者名】ポイテーロ 【URL】http //novel.syosetu.org/21457/ 【原作】魔法少女リリカルなのは 【あらすじ・概要・感想】 物語は1期からスタート。原作知識なしのマダオなオリ主がなのはに転生。 幼女の身体じゃ、酒もたばこも女も嗜めないので少し禁断症状が出てる。 吾輩は猫である的な文体で海鳴市の様々な出来事に突っ込みを入れる。文章力はなかなか。 【地雷要素又は注意事項】 TS転生。主人公の性格はズボラなオッサン。なのはの婆さん等に関してオリ設定あり。 本人が原作イベントに遭遇しないせいで、脇キャラやモブが代わりに何とかする。 【作品名】オリ主ハウス 【作者名】朝苗 【URL】http //novel.syosetu.org/34471/ 【原作】魔法少女リリカルなのは 【地雷要素又は注意事項】 オリ主 転生者複数 神様転生 キャラクターの能力・容姿持ち 【あらすじ・概要・感想】 「神様転生でdiesiraeの能力持ち主人公:容姿練炭」「王の財宝持ち転生者:容姿子ギル」「すべての斬魄刀持ち転生者:容姿一護」の三人が原作介入していく話。 ここまで書いて地雷要素満載ということが分かっていただけたと思う。上記の要素で絶対受け入れられないと思うなら読まない方がいい。 現在のところ原作開始前で、転生者が3人仲良く日常を過ごしているほのぼの話が多い。転生者複数でよくある主人公だけ特別な転生者だったり、転生者同士の争いだったりは皆無。使いこなせないチートを主人公たちが頑張ってどうにかこうにかしながら日常をすごす話。 理想郷にあった「パチ物語」やハメでエタってる「テンプレチートオリ主のテンプレな物語」によく似た雰囲気。 原作突入したらどんな話になるのか不安と期待が入り混じってる。 【作品名】レヴィちゃんのお尻はキュート 【作者名】グラビ屯 【URL】http //novel.syosetu.org/31226/ 【原作】 魔法少女リリカルなのは 【長さ】長編 【状態】連載中 【地雷要素又は注意事項】 オリ主 パンツ 【あらすじ・概要・感想】 稀代の下着職人である主人公がレヴィのお尻に惚れ込み、イチャコメ(?)に似たような何かをする話 題名から分かる通りマテリアルメインで、山も谷も無い日常コメディもの。パンツを履かせたり尻を揉んだりと、ちょっとあざといエロコメも混じってるから嫌いな人は居るかもしれない 深いこと何も考えずに読めるので、俺は結構気に入っている。ああレヴィもいいけどシュテルも可愛いなぁ 【作品名】楽しく逝こうゼ? 【作者名】piguzam] 【URL】http //novel.syosetu.org/6908/ 【原作】 リリカルなのは ①【地雷要素又は注意事項】 オリ主 残酷な描写 ご都合主義 【あらすじ・概要・感想】 とにかくはちゃめちゃで今時珍しい熱血お馬鹿だけど常識人な主人公がクレイジーダイヤモンドと波紋をひっさげてジョセフのごとく原作キャラを巻き込んでヤンチャするお話 ただ、おかしなアンチ要素とかはまったくないので基本的に原作キャラと良い意味で絡んでくれる所も高ポイント ストーリーもはちゃめちゃでシリアスをシリアルに変える主人公だけど決めるべき場所はビシッと締めてくれるので良い意味で読んでいて楽しいお話である スクライドのカズマやテイマーズのマサルダイモンみたいな主人公が好きな方はオススメ ハーメルンではAs編の始めまでしか更新されてないけど、TINAMIでAs編の最後から変則的StSまで読めるので続きが気になる場合は検索しておくれ 細かい事は気にせず頭からっぽにして読むのがオススメ ②転生オリ主特典添えジョジョ能力のみクロス。 その場その場のノリで動くハイテンションオリ主がフェイトソンをナデポしたり、ナノハチャンを小馬鹿にする話。 三話まで読了。 にじふぁん平均的なゴミ。テンプレに醤油をかけただけレベル。 能力はクレイジーダイアモンドと波紋。 スタンドがオリ設定でリンカーコア持ちには見える。 それはいいのだが、なんか知らんが特典が足りんかったとか言い出して波紋を流した物は宙に浮くとかいうイミフ改変。 あらゆる意味でにじふぁん作品じゃないだろうか 【作品名】リリカルなのはに転生 【URL】http //novel.syosetu.org/47486/ 【原作】魔法少女リリカルなのは 【読んでほしい点】 学生の妄想をそのまま生で味わいたい人にオススメの一品 外見が能力が一方通行、知能が無いに等しい踏み台達、何故かオリ主に惚れてる原作主要人物たちと香ばしい要素が溢れ出てる テンプレから外れようとオリジナルな展開をしようとしてる部分はちょっとだけ好印象 中高生の黒歴史をみて思わずほっこりしたい人にオススメ 【地雷要素又は注意事項】 各話毎に書かれる作者自身のあとがきが大変痛々しいので大変注意 一例『踏み台転生者を主人公をかっこよくするための存在なので扱いはめちゃくちゃザツです笑』 という文を読んだ時は痛々しさのあまりブラワザバックを押すレベル 感想欄は絶賛ばかりなので自演と正気を疑うレベルだったが、きっと楽しんでいる人もいるのだろうと思う(白目 【作品名】魔砲使いになった理由 【作者名】タニアホテル 【URL】http //novel.syosetu.org/18282/ 【原作】魔法少女リリカルなのは 【長さ】長編 【状態】連載中 【あらすじ・概要】 原作のような才能のないなのはが主人公な死に戻りループもの 敵はSTGのボス並に強化されているため何度も死ぬ 歳相応の反応や考え方をしており、日常パートと非日常パートの落差が良い 【地雷要素又は注意事項】 死に戻りループ作品ということもあり、非常に死にやすい また、魔法も最新話まで手探りで強化を進めているため強くなる速度はかなりゆっくり 【作品名】アンチリリカルな日々 【作者名】平乃 【URL】http //novel.syosetu.org/51486/ 【原作】リリカルなのは 【地雷要素又は注意事項】 地の文がたまに長い 【あらすじ・概要・感想】 タイトルに反して別にアンチテーゼという感じでもなく、魔法少女が魔法少女の服をコスプレ扱いするという不条理さが笑える。 【作品名】転生失敗!八神家の日常 【作者名】ハギシリ 【URL】http //novel.syosetu.org/52556/ 【原作】リリカルなのは 【地雷要素又は注意事項】誤字がたまに多い 【あらすじ・概要・感想】 トラックに轢かれたけど転生できなかった主人公だが、もともと原作世界の人物なので全く問題ないという珍しい作品。主人公の姉や友達がやらかすシュールギャグは必見 【作品名】パンツ脱いだら通報された 【作者名】烈火1919 【URL】http //novel.syosetu.org/48900/ 【原作】リリカルなのは 【地雷要素又は注意事項】下ネタ 【あらすじ・概要・感想】 もはやタイトルがすべての作品。主人公が次々とやらかす予想の斜め上を行く奇行が面白い。オリ主がヒロインにゴミ扱いされる珍しい作品 【作品名】すずかお嬢様の下半身事情 【作者名】酒呑 【URL】http //novel.syosetu.org/52192/ 【原作】リリカルなのは 【あらすじ・概要・感想】 タイトルは完全地雷。パロディを読んでいた筈なのにいつのまにかラブコメってた。 【作品名】オレを踏み台にしたぁ!? 【作者名】犬神リンク 【URL】http //novel.syosetu.org/24648/ 【原作】魔法少女リリカルなのは 【地雷要素又は注意事項】 オリ主 アンチ・ヘイト 勘違い 憑依 転生者複数 神様転生 【あらすじ・概要・感想】 神様転生で王の財宝、ベクトル操作、ニコポナデポを貰ったオリキャラに憑依する話 ただし上記の能力は主人公が憑依した時点で喪失している ある日、目が覚めたら陽の光に煌めく銀髪に、赤と青のオッドアイ。そして不自然なまでに整った美貌の10歳くらいの少年になっていた憑依主 これはどういうことかと自分がいた部屋を探してみると日記を発見する。そこには銀髪転生者の少年の能力や彼の立ち位置が書かれていたが 憑依主はこれを元々の体の持ち主の少年の妄想ノートと断定 勝手に「この体の彼は見た目とヲタ趣味のせいで友人がおらず妄想の世界に逃げ込むしかなかったんだ」と憐れむ そこからもしも本来の体の持ち主がいつ帰ってきてもいいように彼らしく振る舞うことにしようとするが 実は銀髪転生者は持っていた力で好き放題振る舞っていたせいで周囲から嫌悪されていた 内容は勘違いもの。主人公は一切戦わない。自分なりに周囲にアドバイスしたりするが 何故か常に明後日の方向に事態が暴走していくお話 なお、タイトルはあれだがガンダム要素は一切ない 【作品名】Magic game 【作者名】暁楓 【URL】http //novel.syosetu.org/3558/ 【原作】魔法少女リリカルなのは 【長さ】長編 【状態】連載中 【あらすじ・概要】 神様の悪意のある遊びでオタクたちが1期海鳴に集団転生、願いを叶えるスターチップのためにバトルロイヤル! 悪意を持って転生させた神様にオリ主たちは反逆するぜ!ついでに神の指令でなのはのストーリーに関わってくぜ! 【地雷要素又は注意事項】 神様転生 大量のオリキャラ アンチヘイトタグあり(あまり気にならなかった) ぱっと最新を見たら 34 38 40(リリカルなのは 黄色評価 転生者複数)の要素があったのでレビュー 評価できる点としては継続力 無印以前からスタートでA sマテリアル編空白期まで書いていることはハメの中では相当評価できることではないのであろうか 作者の中で書きたいことは最後まではっきりしているようなので今後の更新にも期待できる また神への反逆というテーマがあるためただ原作沿いで終わることがなくオリジナル展開にも期待ができる 欠点としてはオリキャラの出番がかなり多いSSなのに日常シーンの地の文が少ないため何をしているのかよくわからなくなること 反面戦闘シーンはこだわりがあるらしく細かく描写されて拮抗したバトルが多いためそこそこ読み応えがある 原作キャラ崩壊もしていないのでオリキャラだけで話が進む序盤を乗り越えられる人は読めるのではないだろうか 個人的には悪意のある神様転生・転生オリキャラ一杯・無印スタート・泥臭い戦闘スタイルとどっかの理想郷のSSとくらべてしまう為イマイチではあった 【作品名】元踏み台ですが? 【作者名】偶数 【URL】http //novel.syosetu.org/53512/ 【原作】 魔法少女リリカルなのは 【地雷要素又は注意事項】オリ主 複数転生者 【あらすじ・概要・感想】 オリ主がなのはと交際を始め失恋した原作ヒロイン達を元踏み台の主人公が慰める切ない物語 正統派オリ主に惚れてる原作キャラ達がクズっぽく見えてアンチ風になってしまってるのが勿体ない 原作がリリなのじゃなくて元からハーレム主人公がいる原作なら違和感なくなるんだろうけど まだ出番がない正統派オリ主に読者の期待値が高くなりすぎてるからエタりそうな気配が濃厚 【作品名】san値直葬? 何それ美味しいの? 【作者名】koth3 【URL】http //novel.syosetu.org/6194/ 【原作】魔法少女リリカルなのは 【長さ】長編 【状態】完結済 【あらすじ・概要】or【紹介理由・感想】 アザトース含む3柱がリリナノに転生者を一人ずつ送り込むゲームをしてる世界 しかしアザトースによって生み出された肉体が普通の人間であるはずもなく、徐々に狂気に蝕まれ、邪神への道を歩んでいく話 転生者複数、神様転生とかこの時点でスゴイ地雷臭がするんだけど、そこを堪えて序盤を乗り切るとそこそこ面白い 狂気や戦闘の描写が全体的にチープではあるけれど、クトゥルフ要素を取り入れている作品の中では読める方 【作品名】幽霊たちでリリカルマジカルゥ! 【作者名】じーらい 【URL】http //novel.syosetu.org/53499/ 【原作】リリカルなのは 【地雷要素又は注意事項】 オリ主 ハイテンション 【概要・感想】 幽霊アリシアと幽霊オリ主が漫才する話 テンション高めに進行する割に無理矢理テンション上げてるイタさはあまり感じない稀有な作品 最新話で蘇生した。今後の展開に期待してる 【作品名】天才少女リリカルたばね 【作者名】凍結する人 【URL】https //novel.syosetu.org/122773/ 【原作】魔法少女リリカルなのは 【長さ】長編 【状態】連載中 【概要】or【紹介理由・感想】 なのはの世界にISの束さんがいたら?というキャラクロス再構成もの。 原作でも扱いずらさ満載の束さんを主役に据えている。 モルモットのユーノ君とお話してコミュ力回復して人間らしくなってく束さんの成長を優しく見守るなのはさんが個人的に一番の見所。 【地雷要素又は注意事項】 リメイク作品 なのはさんが千冬枠 【作品名】最近の小学生が大学生時代の俺よりもしっかりしている件について 【作者名】全裸羊ローブ 【URL】https //novel.syosetu.org/121918/ 【原作】魔法少女リリカルなのは 【地雷要素又は注意事項】 オリ主で説教要素あり 【概要・感想】 短編の方のランキングで結構目に付いたので読んでみたんだが、なのは達が前世の記憶ありなオリ主の前世の頃の小学生時代と違って凄くしっかりしているのでもっと小学生らしくしろよ!って言う説教の話。 幼稚園~小学中学年の頃の行動にそういう事もあったなぁ……と昔の小学生だった頃の自分の事をふと思い出す切っ掛けになって懐かしい気持ちになった。 別に何が良かった訳でもないんだけど、懐かしい気持ちにさせてくれたのでレビュー。 【作品名】噛ませ転生者のかまさない日々 【作者名】変わり身 【URL】https //novel.syosetu.org/50317/ 【原作】魔法少女リリカルなのは 【地雷要素又は注意事項】 オリ主、日記形式、噛ませ犬 オリ主の名前が六千六百六十六堂院ベルゼルシファウストとか言うレジェンド 二次ヲタがリリカルなのはの世界にハーレム目的で魔力SSSチート、女の子AIデバイス 生活に困らない資金、銀髪オッドアイの容姿といった核地雷級の踏み台転生者になるものの 自分から見た世界が三次元である事に絶望、原作ヒロインたちに完全に執着を失い 原作ヒロインと真のオリ主と思われる転生者を一歩引いた状態から眺めていく物語 目立ちたくないオリ主ではなく、痛い行動等でガンガン目立つ行動をするものの 面白い具合に物語に直接かかわらずにずっとゲームしたり趣味に走ったりしてる 後ヒロイン枠の眼鏡っ娘が可愛い 【作品名】仮面と変態と常識人と 【作者名】あんころもっちー 【URL】https //novel.syosetu.org/1890/ 【原作】リリカルなのは (×ペルソナシリーズ) 【地雷条件又は注意事項】 TSオリ主 複数転生者 一部神様転生 原作キャラ一部改造 【あらすじ・概要・感想】 良く解らない内にTS転生をしていた、とらハ知識しか持っていない主人公が無印の時代で色々な問題に直面していくお話 踏み台転生者や巻き込まれ型の展開、TS主人公等々と設定や環境面の地雷要素が目立つが 文章や描写はそれなりのレベルに書かれていて、文字数も十分にある また、能力だけでなく実は融合していたペルソナシリーズの世界観や主人公の容貌など それぞれの作品や背景を知っていると、いかにも何らかの関係や意味を匂わせる要素を組み合わせていて 場当たり的にキャラクターや能力を持ってきたのではなく、一つのテーマを設定して話を作っていると感じられる 今後の展開が少し気になる作品 【さくひん】リリカル・パニック! 【作者名】ジェスタ 【URL】https //novel.syosetu.org/1209/ 【原作】リリなの × フルメタ ①【あらすじ・概要】 リリカルなのはと懐かしきフルメタルパニックのクロス 加減を知らずアースラの訓練施設を模擬戦で破壊した魔法少女三人娘をメリダ島で相良が躾け直すお話。躾ってレベルじゃねーぞ! 基本ギャグ進行。 なのは側はPSPのBOA後、フレメタ側は時間軸が合わせられないのでパラレル時空らしい。 ②【地雷要素又は注意事項】クロスオーバー 【あらすじ・概要】 リリカルなのはとフルメタルパニックのクロスオーバー 闇の書の欠片事件以降で、膨大な魔力のせいで破壊ばかりするなのはたち三人に クロノが管理局と協力関係にあるミスリルの相良軍曹に彼女たちの矯正を依頼するというストーリー コメディであり、両者の特徴をよくつかんで書いてある作品 逆に言うと両方の知識が無いとネタがわからない物が多い 作者はバクガールズ書いてる人 【作品名】とあるチートを持って! 【作者名】黒百合 【URL】https //novel.syosetu.org/1835/ ①【あらすじ・概要】 無印に特典持ちで勘違いオリ主として転生した主人公だが、物語開始前になのはを泣かせて正気に戻る。 でも改心前の痛い勘違いキャラが元祖三人娘ともう一人のオリ主に知れ渡ってて可哀相な位酷い目に合うお話。 全編ギャグ、ヒロインはデバイス。 ②【地雷条件又は注意事項】・神様転生・地の文がキツく感じる人が多いかも・デバイスとの掛け合い・踏み台っぽいオリ主 【あらすじ・概要・感想】 現在24話。他連載作品はNARUTOのTSオリ主物が一本。 なのはは一期しか見たこと無かったから、ウィキと大百科を頼りに以下略。 行動が変態的すぎて原作キャラクター達からひかれまくりの銀髪オッドアイ(主人公)。 性質の悪いことに、彼は自分が彼女たちに好かれているという勘違いをしている(勿論、実際は真逆である)。 ある日なのはにセクハラ行為をしてしまった主人公は、それが原因で転校する事態に。 半年後中二病を克服したオリ主だったが、未だに原作キャラクターの前には顔を出せない。 変装した主人公は図書館で月村すずかと偶然再会する。 そこで誘われてお茶会に出席するのだが、他の転生者に正体を見破られてしまい……。 そこそこオススメできるかもしれない。 【作品名】マテリアルズRebirth 【作者名】てんぞー 【URL】https //novel.syosetu.org/12715/ 【あらすじ・概要】 マテ娘+ユーリのクローンらと、オリ主のイチャイチャもの。 オリ主ものではあるがチートではなく、あくまでそこそこ優秀な魔導師な所が好感。割と庶民臭い所もグッド。 マテ娘達はクローンではあるものの、原作マテ娘をややコミカルにした感じなので違和感はない。 まだマテ娘らが子供なので恋愛描写は殆どないが、今後に期待。 【作品名】白き不屈の魔導師 【作者名】子義 【URL】http //novel.syosetu.org/8327/ 【あらすじ・概要】 並行世界の男なのはが女なのはの前に現れて、という話。 物語は好きだけどもうすぐ二か月ほど更新なしなのでペースは遅め。 とりあえず原作なのはさんチート。男なのは涙目 【作品名】魔法少女リリカルなのはStrikerS~道化の嘘~ 【作者名】燐禰 【URL】https //novel.syosetu.org/3473/ 【あらすじ・概要】 よくあるなのはをかばった男オリ主が正体隠して6課行き。 よくあるけどこういう展開好きだから特に気しない。 だけどペースが遅いのでちょっともどかしい。2か月更新なし 【作品名】魔法少女リリカルなのは―流水の魔導師― 【作者名】竜華零 【URL】https //novel.syosetu.org/1004/ 【原作】魔法少女リリカルなのは 【地雷条件又は注意事項】オリ主、オリキャラ、やや説教 【あらすじ・概要・感想】 もはやリリなのには付き物と言えるよくある管理局所属のオリ主魔導師の話。 闇の書事件の事故で父親が死んで母親は精神が弱り、リンディに引き取られて育った結果 執務官補佐という役職の下、クロノのとは兄弟のような関係となっている。 オリ主の過度の蹂躙という訳でも過度のアンチ・ヘイトがあるという訳でも無く 基本的に原作の展開をなぞりつつもある程度のオリ展開も交えて話が進んでいく。 上述の人間関係上、クロノの見せ場は3割増しといった感じで彼のファンにはオススメだろうか。 空白期含めて無印~stsまでの話が完結しており、現状はA s編まで読み終えているが、なかなか面白い作品だと思う。 注意としては序盤数話に三転リーダーの使い方とかで文体が怪しいということ。 主人公の経歴上、闇の書事件関連で少々の衝突があることと、多少の説教成分が含まれることか。 凡百のチートオリ主が使うSEKKYOよりかは遥かにまともであるけど、そういうのに抵抗がある人は注意が必要か。 極端な蹂躙などは無いと言ったが、逆を言うと話が淡々としすぎているみたいに思う人もいるかもしれない。 【作品名】リリカループ 【作者名】にえる 【URL】http //syosetu.org/Novel/5817/ ※現在実験室のフラスコに統合されています 【原作】魔法少女リリカルなのは 【地雷条件又は注意事項】オリ主・オリキャラ 【あらすじ・概要・感想】 奇作と言うか発想がモノを言うネタ作品と言うか頭をからっぽにして楽しむ作品 タイトルの通りループもので主人公が死ぬことから物語が始まる オリ主とオリキャラが居るものの作風が軽いので気にならないと思われる なんとなく勢いに身を任せたまま深く考えずに楽しみたい時読むのに向いている印象を受けた 多少の脳内補完は必要かもしれない 【作品名】I,Sniper 【作者名】ゼミル 【URL】https //novel.syosetu.org/14570/ 【原作】魔法少女リリカルなのはStrikerS 【地雷条件又は注意事項】 シリアル、というか突き抜けすぎなギャグ、オリ主、転生、変態 【あらすじ・概要・感想】 スカリエッティ一味に所属するスナイパーな転生オリ主の全三話の短編。 冒頭からの転生カミングアウトから地雷だと思いきや第一話後半でのぶっちゃけでそれも吹き飛んだ。 オリ主がとにかく清々しいくらいの変態であり、スカリエッティの頭脳も駆使しながら 自らの欲望に忠実すぎるくらいに従い、六課の魔導師達をその毒牙にかけていく完全なギャグ話である。 ギャグチートと言っても単にチート能力でやりたい放題やるだけの陳腐な話ではなく 自らの技能と知識をフル動員して自分の欲望を満たす為に全力全快に行動しているところも好感が持てるポイントだろうか。 変態と上述してるが本当に文字通りであり、特に二話ラストでの描写はもはやただのアウトでしかない。 突き抜けたバカというのはこういうのを言うのかもしれない。 注意点は……このバカ短編に特筆することはあるんだろうかとも感じてしまうが 突き抜けすぎて逆に引いてしまう可能性があること、それでも転生オリ主には変わりないといった点だろうか。 特にオリ主の地の文が色んな意味で懇切丁寧なので、それを許容できるかどうかもあるか。 【作品名】もし幻想郷にBARがあったら 【作者名】ゆーむ@狐巫女 【URL】http //novel.syosetu.org/11779/ 【原作】東方Project 【地雷条件又は注意事項】 オリ主、淡々、構成に難あり 【あらすじ・概要・感想】 ほぼタイトルそのまんまで、あるオリ主妖怪が経営するBARとそこにやってくるキャラとの交流が中心。 常連客の脇巫女や騒霊三姉妹などを筆頭に、オリ主との様々なちょっとしたエピソードで話が進んでいく。 転生でもチートでもハーレムでも無く、典型的地雷要素は見当たらない作品……かな? 幻想郷にBARという時点で何かがおかしいかもしれないが、あまり深くツッコんだら負けだと思う。 ともあれ一話辺りの文量や展開もクドくなく、幻想郷住民とのちょっとクスりと笑える話の数々を楽しめたらと思う。 注意点としては一話辺りの文量が少ない割に改行が多く、少々読みにくい感じがすること 場面転換がわかりづらくて、どういった状況下にあるのかを把握しづらいこととかだろうか。 他、東方の設定に関して色々とありそうだけど東方二次にはお約束でもあるので、こっちはそこまで気にする程でも無いか。 【作品名】魔法少女リリカルなのは これがメイドの歩む道 【作者名】クラッチペダル 【URL】https //novel.syosetu.org/2503/ 【原作】魔法少女リリカルなのは 【地雷条件又は注意事項】 オリ主、オリ展開、流れが唐突 【あらすじ・概要・感想】 幼少期、一人ぼっちの寂しさで泣いていたなのはの下に突如姿を現し そのまま住み込みで高町家のメイドになってしまったある女オリ主の物語。 オリ主であるメイドさんは自らをさすらいのメイドと自称する謎多き人物。 お嬢様であるなのは一筋のあります口調で超絶武闘派なウザ可愛いメイドさんの活躍が一番の見所。 魔法も使わず素手ゴロ一つでなのはと共に戦いに乗り出すその姿は色んな意味でオーバースペックである。 とはいっても年相応の羞恥心も持つ可愛らしい一面もあったりするのだが…… 未だに無印編の終盤であるが、今後が楽しみな作品。 注意点としては色々と唐突で粗の多い駆け足気味な展開が多いこと。 未だに全容が明かされていないとはいえ、オリ主がなのはに仕えることになった経緯とか オリ展開でのなのはの身を案ずる士郎への説得と心境の変化が早すぎるなどが目に付く点だろうか。 【作品名】魔法少女リリカルなのは~復讐者の選ぶ道~ 【作者名】びーびー 【URL】https //novel.syosetu.org/6319/ 【原作】魔法少女リリカルなのは 【地雷条件又は注意事項】オリ主、アンチ・ヘイト、文体に難あり 【あらすじ・概要・感想】 タイトルの時点で言うまでもない、リリカルなのはではお約束の闇の書&微量の管理局アンチ・ヘイト物。 過去に闇の書の守護騎士に両親を殺され復讐を誓う女オリ主がレジアスの支援の下管理局の魔導師となり A s編での闇の書事件に関わるというこれまたよくある構成。 動機が動機故にオリ主の精神は色々と不安定、仲間を気遣ってるように見えて自分のワガママを押し通したいだけの方便にも見えたり。 それでも実直に管理局員としての責務をこなし、闇の書事件を無事に解決したと思いきや…… この話の本番は寧ろ本編終了後の主人公が暴走するところからと言えなくもない。 無駄に話を引っ張らず、復讐というマイナスな動機を肯定しきることも無く オリ主が肯定されて勝利して終わることも無く、寧ろバッドエンドな完結の仕方もなかなかで 中途半端にアンチ・ヘイトを謳ってチートでやりたい放題する陳腐な話ではなかったことから、個人的にはなかなか面白く読めた作品。 注意点は言うまでもないがアンチ・ヘイトという時点でまず人を選びまくるのでそこは注意。 闇の書の設定については色々と改変があるのかもしれないが、自分はそれ程詳しくないのでわからん。 率直に言ってしまえば「はやてより前の主の時に普通に人を殺してた」というテンプレに則ったものなので そういうのが嫌いという人にもオススメできない。 あと、三点リーダーが使えてなかったり「」の中に「」を使ったりと文章構成にも粗が多い。 あまり深く考えずにサックリとなのは系のアンチ・ヘイトを読みたいという人向けと言えるかもしれない。 【作品名】レジアス曰く、儂の部下が最強過ぎて困るんだが 【作者名】ころに 【URL】https //novel.syosetu.org/5787/ 【原作】魔法少女リリカルなのは 【地雷条件又は注意事項】オリ主、チート、キャラ改変、やりたい放題 【あらすじ・概要・感想】 所謂リリなのの最強オリ主物、といっても全編通してギャグなのでその手の話に付き物の不快感は薄いと言っていい。 レジアスの部下でラーメン大好きな女オリ主が最強(物理)な力でやりたい放題、その所為でレジアスも常に胃を痛めている苦労人に。 どういうわけかゼストが生き残っていたり、スカリエッティも色んな意味で影響受けまくってたりとギャグ特有の平和時空。 オリ主に相対する機動六課の面々のお通夜ムードには不覚にも笑ってしまった、あとはやてちゃんマジ外道&ザフィーラマジ忠臣。 他にも奇妙な黒タイツの集団とか、平和的終わりを迎えちゃってるプレシア&アリシアとか、只管にカオスな世界が繰り広げられている。 「やりすぎちゃいました」「四肢骨折程度に留めろと言ったろ!」←レジアス中将、それなんか違う。 注意としては、やはりギャグと言ってもチートには変わりないのでそれが嫌いな人にはオススメできないこと。 あと、地の文が恐らくオリ主の口調なのだろうが、本人が居なくとも変わらないので文体に結構クセがあること。 書きたい場面でぶつ切りになっているので時系列が飛び飛びでわかりにくいこと、などだろうか。 【作品名】リリネギカルま! 【作者名】藍上 尾 【URL】http //novel.syosetu.org/14911/ 【原作】リリカルなのは×ネギま! ①コンナハズジャナカッタ悲しい過去を背負って死んだ最終回後のネギがアリシアクローンに憑依する。 元の人格も残っており二重人格状態。 エピソード1まで読了。 文も整っており、ちゃんとゴールを決めて書いている感もある。 内容も悪くなく地雷要素は俺tsueeeeくらいじゃなかろうか(原作通りではあるが ただもうネギが誰これ状態。 話が進むにつれて出て来るのかも知れないが読んだところまでではネギである意味が全くない。 これからに期待といったところか ②【地雷要素又は注意事項】 捏造、オリ設定、TS? 【あらすじ・概要・感想】 原作とは違う歴史を辿ったネギが何らかの要因でプレシアのプロジェクトFATEの素体に精神だけ飛ばされて、身体の本来の持ち主と二重人格のような状態になって生きていく話 ネギは原作のような子供ではなく色々な悲劇や戦場を見てきた大人なネギであるのでそこは安心 戦闘方法は基本的に殴る蹴る 強さ的には原作メンバーに並ぶかどうかといったところ ただし身体の主導権をネギに渡して戦ってもらうことができ、その際に闇の魔法を使う場面が来るのだが…… 全体的に良い意味でなのはっぽい物語なのでおすすめ ただしフェイト、古、闇の魔法と設定上の不安要素もあるのでそれに対してどう対処するかも見どころかと ちなみにヒロインはユーノである 【作品名】ボクは仗助、 君、億泰 【作者名】ふらんすぱん 【URL】http //novel.syosetu.org/5964/ 【原作】魔法少女リリカルなのは 【長さ】長編 【地雷要素又は注意事項】転生者複数 【あらすじ・概要】 時期は無印、オリキャラはなのはたちと同い年で、ジョジョの東方仗助と、虹村億泰に転生したキャラ。それぞれスタンドが使える 他にもなのはの幼馴染に一人だけ転生者有り 原作はリリカルなのはではあるが、ジョジョも一部改変されクロスしていて (例えば花京院が生存している、アンジェロを捕まえたのが仗助の祖父と高町士郎に改変されている) ジョセフや承太郎などジョジョのキャラクターもちょっとだけ出てくる 作品としてはコメディ この仗助たちはジョジョの原作は微妙に覚えているが、リリカルなのはは全く知らない上 察しが悪いので、夜の一族である月村家に対して妙な誤解をして話をこんがらがらせたり、 (なまじジョジョの吸血鬼を知っているので、月村忍を自らを吸血鬼と名乗る頭のいかれた人だと勘違いしたり) ジュエルシードがらみの事件をスタンドの仕業と考えたりする そのあたりの仗助たちの思考や行動が笑いを誘う やや空行が多く一話が短いのが難点だが、OHANASIなどなのは二次テンプレの 笑いどころがわからない寒いギャグはほとんどないので、純粋にコメディとして読める作品 【作品名】おたくなはやてちゃん 【作者名】凍結する人 【URL】http //novel.syosetu.org/11460/ 【原作】魔法少女リリカルなのは 【長さ】長編・長期更新なし 【地雷要素又は注意事項】アニメネタ 【あらすじ・概要】 ヴォルケンリッター登場前、足が不自由なはやてがもし「おたく」だったらというIFの話 そんなはやての影響を受けてヴォルケンリッターもおたくになっていくさまが面白いコメディ そのため、他のアニメや漫画のネタが多い 【作品名】ある日の会話、アースラにて 【作者名】茅橋 小春 【URL】http //novel.syosetu.org/7960/ 【原作】リリカルなのは 【長さ】短編 【状態】完結 【あらすじ・概要】 時系列的には闇の書事件後。なのは、フェイト、ユーノ、クロノがデバイスや管理局の来歴について独自設定を交えながら会話する。 ありそうだなと思える歴史と露骨に綺麗すぎず、かといって貶められたわけではない管理局の描写はいいバランスで個人的に好感触。 【地雷要素又は注意事項】 物語というより設定の説明としての要素が強いかもしれない。 【作品名】魔法少女リリカルなのはViVid Another Story 【作者名】インド人を右に 【URL】http //novel.syosetu.org/1133/ 【原作】魔法少女リリカルなのは 【長さ】長編 【状態】連載中 【あらすじ・概要】or【紹介理由・感想】 vivid編から始まる作品 主人公は原作の主人公達が通う学園の中等部の生徒だが、性格は根暗、魔法がからっきしで学年の落ちこぼれという、マイナスから始まる珍しいタイプ とはいえ、本当に何の才能も無いわけでは無く、主人公だけが持つ特殊能力がある。 が、扱いが難しいので戦闘場面ではここぞという時にしか使えず、基本は相手の不意を突いた攻撃や作戦など、主人公の知略が主になる。ジョジョ二部のジョセフの様な戦い方 原作の人物との交流や、自身の暗い過去から起因する胸に秘めた復讐心を糧に、少しずつ成長していく過程を楽しめる作品 【地雷要素又は注意事項】 主人公のデバイスがウザい、俺は気にしなかったが多くの人がウザがるだろう 暗い過去、復讐が暗い過去()、復讐()に見えてしまう人は読まない方がいい 全体的に行間が多くて、指がやや大変 【作品名】されど殺人者は魔法少女と踊る 【作者名】お茶請け 【URL】https //novel.syosetu.org/9590/ 【原作】魔法少女リリカルなのは 【地雷要素又は注意事項】グロ描写 クロスオーバー 【あらすじ・概要・感想】 されど罪人は竜と踊るの猟奇殺人鬼ヒルダがリリカル世界に来て暴れる話 なのはの時系列はJS事件の前 まだなのは達とは接触してないけど文量は多いし文章力も地の文がされ竜っぽさを表現できていると思う ただ、され竜を読んでないときついかもしれない され竜の用語が結構出てくるし原作キャラの名前も出てくる オリキャラも出てくるけど文章力のおかげか不快さはあまり感じられなかった 更新はそんなに早くない 【作品名】テスタロッサ家の日記帳 【作者名】Mamama 【URL】http //novel.syosetu.org/16326/ 【原作】魔法少女リリカルなのは 【長さ】中編 【状態】連載中 【地雷要素又は注意事項】オリキャラ、一部日記調 【あらすじ・概要】 アリシアがたまたま見つけた無地の日記帳にアリシアとプレシアが日記を綴るという話 プレシアが離婚して以降のテスタロッサ家の日常が綴られていく 一部日記調であるが、基本的にどういった背景で日記が書かれているのか描写されているので読みやすいと思う 原作知ってる人はだいたい想像できると思うけど、かなりシリアスなのでほのぼのとかコメディ期待した人は読まない方がいい 日記を書くプレシアの心理描写がうまい。天才の彼女と母親としての彼女の姿がよくかけていると思う オリキャラは同僚などがチョイ役で出る程度 無印完結まで続く予定らしいのでプレシアが無印のあの結末に至るまでの軌跡を描く作品になると思われる 作者は長谷川千雨は喫茶店に足を運ぶを書いていた人 【作品名】吸血姫に飼われています 【作品名】ですてに 【URL】https //novel.syosetu.org/8469/ 【原作】魔法少女リリカルなのは 【地雷要素又は注意事項】ヤンデレ 【あらすじ・概要・感想】 すずかさんに飼われる話 読み途中なので詳しくは語れないが、心情描写が秀逸 なんだかよくある説教系とは違った何かを感じる きちんと心のこもった薄っぺらくない説教というか…… 文章力もあるし、キャラの掴み方も的確 最近読んだなのは二次の中では一二を争うレベル 【作品名】知世の野望 ~The Magic of Happiness~ 【作者名】(略して)将軍 【URL】https //syosetu.org/novel/118949/ 【原作】カードキャプターさくら、魔法少女リリカルなのは、その他 【地雷要素または注意事項】メインストーリーはなのはだが、2章から大きく脱線していく、展開改変、クロスオーバー、魔改造 【あらすじ・概要・感想】 フェイトとの初邂逅時、ピンチのなのは達の前に さくらカード編後のさくらが乱入してくるところから始まる話 基本は、なのはとフェイトを主軸にしたジュエルシード争奪戦だが ユーノが早い段階で元の姿に戻るうえ、2章以降はその他に含まれる作品が混ざってくる 基本的に、ある作品以外は、メインキャラが小学生括りでまとめてあるので 意外と話はまとまっている感じ
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反逆の探偵 ◆ga/ayzh9y. 「……デスゲームですか。 全く、死神より厄介な真似をしてくれますね」 人気が無い軍事基地の一室。 そこで今、一人の参加者が考えをまとめていた。 全世界の警察組織を動かす事が可能である唯一の存在。 世界一の探偵と称される、天才的な頭脳の持ち主……L。 彼は、冷静に己が置かれている状況を受け止めていた。 いきなり殺し合いをしろと言われた時は、流石に肝が冷えたが……彼は、このゲームに乗るつもりは一切なかった。 その逆……ゲームからの脱出、さらには主催者の逮捕を目的に、考えを纏めている最中であった。 (私がこのゲームに参加させられたのは、ユーノさんとの会話を終えた直後。 給湯室を出た時からの記憶は無く、気がつけばあの広場にいた……私を、いや私達を連れ出した方法が魔法なのは明らかだ。 広場でバインドを使った事からも、まず間違いない) 己の首に巻かれている首輪を触りながら、広場での光景を思い出す。 プレシアと呼ばれていたあの主催者らしき女性は、全員をバインド魔法で束縛していた。 名簿に記されている名前は、自分を含めて全部で六十名。 それだけの人数を一人で全員束縛していたとしたら、その魔力は相当なレベルに違いない。 仲間がいるという可能性も勿論あるが……これに関しては、現時点では確認の仕様が無い。 (プレシアがこのゲームを開いた目的は分からない。 だが、これに関しては知る方法がある) 広場でプレシアが姿を現した時。 集められた参加者の内数名は、明らかにプレシアを知っていると思われる反応を見せた。 そして……その中には、自分が知る者の姿が何人かあった。 なのは、フェイト、ユーノ。 己と面識があり、かつプレシアの事を知っているのはこの三人。 また、面識が無い人物としては、クロノと呼ばれた者がプレシアの事を知っていた。 今の所、この四人は確実にプレシアの事を知っている……優先的に接触を図りたい。 そしてこの四人の中でも、出来るならば最優先で会いたい人物は…… (フェイトさんは、プレシアの事を母さんと呼んでいた。 ……フェイト=テスタロッサ=ハラオウンと、クロノ=ハラオウン。 同じハラオウンの性を持っていながらも、クロノさんの方にはテスタロッサのミドルネームはない。 そしてあの広場において、クロノさんはプレシアの事を母さんと呼ばずにプレシアと呼び捨てにしていた。 これらの事から察するに、プレシアの本名はプレシア=テスタロッサ。 フェイトさんはハラオウン家の養子であり、あのプレシアの実子。 なのはさん達の反応を見るに、プレシアは過去にも重犯罪を犯している凶悪犯である可能性は高い。 フェイトさんがハラオウン家の養子となったのも、それが理由なのは間違いない。 ……彼女は現時点において、プレシアに一番近い人物だ) プレシアの実子であると思われるフェイト。 彼女は一番プレシアに近い存在……プレシアに関する知識を、参加者の誰よりも持っている筈である。 是非とも接触を果たし、情報を入手したいのだが…… (しかし……彼女との接触には、一つ気がかりがある。 広場での光景、そしてこの名簿の名前……) フェイトとの接触に当たり、一つだけLには気がかりがあった。 それは、名簿に記された不可解な点……なのは、フェイト、はやての三人の名前が、何故か『二つ』あるという点だった。 一人だけなら印刷ミスと考えられるが、三人と言うのは幾らなんでも妙だ。 つまりこれは、意図的な表記でありミスでも何でもない。 そして……そこに、広場で感じた違和感を合わせれば、全ての辻褄が合う。 (私が広場で確認できたフェイトさんは一人。 しかし、あの時……明らかに、他の誰かがプレシアの事を母さんと呼んでいた。 だが、その他の誰かの声は……紛れも無い、フェイトさんの声だった。 そしてこの名簿……これが意味する事は一つだ。 高町なのは、フェイト=テスタロッサ=ハラオウン、八神はやて……この三人は、文字通り二人いる) 名簿の謎の正体。 それは文字通り、彼女等三人はこの会場に二人いるという事である。 同一人物がいるというのは、普通に考えれば決してありえない事だが、生憎そのありえない事をLは自ら体験している。 自分がいた地球となのは達のいた地球とでは、常識が違っていた……平行世界同士であったのと、同じ原理である。 彼女等三人は、それぞれ平行世界の自分達が存在しているのだ。 (……この事実から察するに、この三人、いや、私が知る全ての参加者は皆、私と出会っていない同一人物である可能性が高い。 私と繋がりを持つ人物が皆無である事は十分ありえる……) そしてそこから更に考えを広げ、ある仮説を立てる。 この会場に集められた参加者達は、もしや全員が平行世界の類から呼び寄せられたのではなかろうか。 全員というのは流石に言い過ぎかもしれないが、それでもそれなりの人数は高い確立で当てはまっているだろう。 だとすれば……気になるのは、何故そんな真似をしたのか。 (参加者間に誤解を生ませて、戦いを促進させるのが目的か……? 確かにゲームを円滑に進めたいと思うのならば、中々いい手段ではあるが……ッ!!) Lは推理を途中で中断し、己の支給品———首輪探知機へと視線を移す。 半径50m以内にある首輪の反応を察知し、それを光点としてモニターに映し出す一種のレーダーである。 その中央部にある光点は、紛れも無い自分自身。 そして……たった今、モニターの隅に一つの光点が出現した。 己の半径50m以内に、何者かが入ってきたのだ……光点の動きから察するに、この基地内を探索している様である。 (ゲームに乗っていない人物であれば、是非とも接触したい。 今の私には、戦力と呼べる戦力は何一つ無い……仲間は必要不可欠。 しかし、もしもゲームに乗っている人物であれば……賭けに出るしかないか) 不運にも、Lには武器になるような支給品は一つも支給されていなかった。 ここで襲われれば一巻の終わり……相手とコンタクトを取るのは、完全に賭けであった。 Lは部屋のドアを僅かに開く……コツコツと、何者かの足音が聞こえてくる。 つまり、相手はこちらの声が聞こえる範囲にいる……Lは迷わず、相手へと言葉をかけた。 「止まってください、そこにいるのは分かっています」 「———ッ!!」 足音がピタリと止まる。 こちらを警戒し、動きを止めたようである。 Lはそのまま、相手に問いかける。 「安心してください、私はゲームには乗っていません。 それで、あなたはどうなんですか?」 「……俺も同じだ。 このゲームには乗っていない」 「そうですか、なら、次の質問です。 今から読み上げる名前の中に、知っている人の物がありましたら返事をお願いします」 Lは相手の言葉を、すぐには信用しなかった。 ゲームに乗っていないと言っておきながら、油断させて殺しにかかってくるかもしれないからだ。 そこで彼は、ある方法を使って相手がゲームに乗っているかどうかを確かめる事にした。 それは、名簿の名前を読み上げ、それを聞いた相手の反応を見るというものであった。 ゲームに乗っていないであろう人物と親しい間柄にあるようならば、少なくとも白と見て間違いは無い。 まずLは、自分の知人の名前を読み上げていく事にするが…… 「八神はやて、ユーノ=スクライア、高町なのは、フェイト=テスタロッサ=ハラオウン……」 「!! 待ってくれ、お前は主はやてを知っているのか!!」 相手はいきなり、一人目……はやての名前に反応した。 それも、彼女の事を主と言った……つまり、彼女とは主従に近い関係にある人物という事になる。 はやては性格上、ゲームに乗るとは到底思えない……ならば。 Lは部屋を出て、廊下に出る。 そして、周囲を見渡し……己に声をかけてきた人物の姿を発見した。 筋骨隆々とした肉体に、それに不似合いな犬耳と尻尾をした男性。 一目見て、それなりの実力者である事が分かる風体をしている。 容姿は異様といえば異様ではあるが、そもそもこんな異様なゲームに放り込まれた時点で、それはどうでもよかった。 「はじめまして、私はLです……失礼な真似をして、すみませんでした」 「俺はザフィーラ、主はやての守護獣だ。 それと謝る必要は無い……状況が状況だ、警戒するのは寧ろ当然だ」 「そう言っていただけると助かります」 相手———ザフィーラは、Lに対して不快感は抱いていなかった。 寧ろその逆……彼の事をそれなりに評価した。 殺し合いという状況下において、その警戒心は十分な武器になるからだ。 その後、ザフィーラはLに質問を返す。 「それで……お前は、主の知り合いなのか?」 「ええ、はやてさんには色々とお世話になりました。 尤も、私が知るはやてさんは、ですが」 「……? どういうことだ?」 「それに関しては、今から説明させていただきます。 とりあえず立ち話はなんですから、こちらへどうぞ」 Lは先程まで己がいた部屋へとザフィーラを案内する。 そして、机の上に名簿を広げた後、先程の己の推理をそのまま彼へと聞かせた。 話を聞いた彼の表情に浮かんでいるのは、やはりというべきか、驚愕の意である。 しかし……それは、Lの推理が信じ難いからというだけではなかった。 「……見事なものだ。 よく、名簿の名前だけでそれだけの事が分かったな」 L自身の推理力の高さに、驚いていたからでもあったのだ。 確かに自分も、名簿を見たときには違和感は感じた。 だが、彼ほど深く考えはしなかった……いや、出来なかった。 全くもって、大したものである。 「お褒めいただいて、ありがとうございます……それで、どうでしょうか? 私の知るはやてさんと、あなたの知るはやてさんにズレはありましたか?」 「ああ……お前が主と出会ったという空港火災は、俺にとっては二年前の出来事になる。 だが……」 「私はその空港火災を、ホンの一日前に経験している……決まりですね」 ザフィーラと話を照らし合わせ、Lは己の推理が正しかった事を確認する。 やはりこの会場に集められているのは、様々な異世界・平行世界から呼び寄せられた者達ばかり。 ならば、次に確かめなければならないのは……プレシアについて。 「ザフィーラさん、あなたはプレシアに関して知っていますか?」 「ああ、一応話には聞いている。 俺は直接関わっていた訳ではないから、詳しい事情までは分からないが……」 「分かっている範囲で結構です、教えてください」 「分かった」 ザフィーラは、Lの質問へと答える。 次元犯罪者プレシア=テスタロッサが、強力なロストロギアであるジュエルシードを狙った事。 ジュエルシードの力を使い、アルハザードへと渡ろうとした事。 アルハザードの技術を使って、実の娘であるアリシアの蘇生を試みようとしていた事。 それをなのは達に阻止され、アリシアと共に虚数空間へと落ちていき、その姿を消した事。 己が知っているすべての事について、Lへと説明したのだ。 「成る程……やはり、そうでしたか」 プレシアとフェイトが実の親子であるという推測も、やはり当たっていた。 そうなると……やはり、彼女とは早いうちに合流した方がいい。 情報を聞き出すのは勿論だが、それ以上に……色んな意味で、今の彼女は危険なのだ。 死んだ筈の母親がいきなり目の前に現れ、殺し合いをしろと宣告され…… そして、挙句の果てには親友の一人を目の前で殺された。 ゲームに乗るなんて真似は流石にしないだろうが……まともな精神状態を保つのが、極めて難しい状況にあるのは確実。 「……フェイトさんとは、早急に合流しませんとね。 幸い、私にはこの探知機があります……相手が何者かまでは判別できませんが、付近に誰がいるかは確認が可能です。 他の参加者と比べて、若干ながら他者との接触が容易に行えます。 いきなり危険人物から奇襲を仕掛けられる可能性も、御蔭で大分低くはなりますが……ザフィーラさん。 あなたが知る限りで、参加者の中にゲームに乗っていそうな相手はどれだけいますか?」 「確実に乗っていると断言できるのは、クアットロという戦闘機人だけだ。 他には、乗っているかどうかが分からないというレベルだが……チンク、ディエチの戦闘機人が二人。 ゼストにルーテシアの魔道士二人。 それと……俺以外のヴォルケンリッター全員だ」 「……つまりそれは、そのクアットロという人物以外は全員、一時は管理局側と敵対関係にあった。 そして今は、無事更正したと……そういう事でいいんですか?」 「……概ね当たっている。 ゼストに関しては、こちらが逮捕する前に死亡してしまったから、判別をする事が出来ないのだ。 ちなみにクアットロは、更正の余地無しという事で牢獄行きになっている」 「分かりました。 とりあえず、最初の五人には最大限の注意を払うとして…… ヴォルケンリッターは、ザフィーラさんにお任せします。 もしも乗っていた場合は、あなたが説得する以外に手はありません」 「ああ、分かった」 「さて、それでは次は……いえ、何でもありません」 何でもないと言いつつ、Lはメモ用紙とペンを取り出す。 そして、指で首輪を指差し……それを見て、ザフィーラもその行動の意味を察した。 すぐにL同様、メモ用紙とペンを取り出して答える……プレシアからの盗聴に備えての筆談である。 こんなゲームを態々開催しておきながら、参加者をほったらかしなんて事は絶対にありえない。 確実に、自分達は監視なり盗聴なりをされている……そしてそれに最も適した道具は、首輪である。 『理解が早くて助かります。 下手に主催者に対して情報を漏らしたら、即爆破なんて事になりませんからね』 『ああ……しかし、もし監視されていたらどうする? 筆談も意味がなくなってしまうが……』 『少なくとも、この首輪にはレンズらしきものは取り付けられていませんから、カメラの類は仕掛けられてないでしょう。 外部からの盗撮に関しましては……少なくとも、この部屋は大丈夫です。 私が隅から隅まで、既に調べてあります……尤も、魔法による監視をされているならば、意味はないのですがね。 ですが、それも今は大丈夫でしょう』 監視に関しては、もしも魔力によるものが相手だとすると、防ぐ手段が無い。 しかし、そうではない可能性もあるにはある……いや、寧ろその可能性はかなり高い。 ザフィーラからの話を聞く限り、今のプレシアには協力者がいるとは考えにくい……これは彼女の単独犯行とみていい。 ならば、参加者の管理も彼女が一人で行っていると考えられるが……たった一人で、六十もの参加者を監視できるとは思えない。 監視をするにしても、それこそ戦いの真っ最中といった目立つ舞台に対して行うはず。 魔力を無駄にしない為にも、単なる情報整理をしているだけの自分達に監視は行わないはず……彼はそのまま、筆談を続ける。 『ザフィーラさんの話から察するに……プレシアがこのゲームを開いた目的は、アリシアの蘇生と見て間違いはないでしょうね』 『このゲームを利用して、アルハザードに渡ろうとしているのか。 それとも、このゲーム自体にアリシアを蘇生させる何かがあるのか。 一体、どちらかまでは流石に分からないがな……俺達は生贄というわけか』 プレシアの目的は、かつて同様にアリシアの蘇生。 そう、二人は確信するが……だとすると、一つ引っかかる点がある。 それは……何故、殺し合いなんていうゲームを行わせているのか。 『引っかかりますね……単に命を取りたいのであれば、こんなゲームにする必要がありません。 プレシアは今、参加者の全員をすぐに殺せる状況にあるのですから。 殺し合いという極限状況に私達を追い込んだ事に、何かあるのでしょうか……』 もしも、自分達を単なる生贄として使うのだとしたら、すぐに殺せばいい。 なのにそれをしないという事は、出来ない理由があるという事。 態々、殺し合いというゲームにしたのには何か訳があるに違いないという事である。 その訳が何なのかまでは、流石に分からないが……少なくとも、殺し合いという形には何かしらの意味があるのは確実である。 Lはそれが何なのかを、色々と考えてみるが……ここでザフィーラが、ある重大な事実に気付いた。 『……待て、L。 アリシアの蘇生が目的だと断定するのは、早すぎるんじゃないか?』 『……どういうことですか?』 『お前の推理通り、ここには平行世界から呼ばれた者達が集まっているというのは間違いない。 だが……それならプレシアは、蘇生のためにこのゲームを開く必要そのものがないぞ』 「!!」 ザフィーラの言わんとしている事を、Lはすぐに察した。 そう……確かに彼の言うとおりである。 平行世界に干渉が出来るのであれば、それを利用して、死亡する前のアリシアを己の元に呼び出せるではないのか。 現に先程、ザフィーラははっきり言った……参加者の一人であるゼストは、死んだ筈であると。 プレシアは死亡した人間を一人、ここに呼び寄せている……明らかにおかしい。 アリシアの蘇生が目的にしては、これは奇妙すぎるのだ。 『……アリシアの蘇生が目的ではない……? なら、プレシアは何故こんな真似を?』 『管理局と、その関係者に対する復讐が目的か……?』 『……分かりません。 参りましたね……犯人の目的がさっぱり分からないというのは、中々厄介です』 プレシアが殺し合いを開いた目的。 これだけが、二人には全く検討がつかなかった。 アリシアの蘇生という、最もありえるであろう可能性が一気に無くなったからだ。 無論、完全に0というわけではないが…… 『……兎に角、これに関しては保留ですね。 推理材料が無い事には、考えていても仕方が無いですし……とりあえず、今後の活動方針を決めるとしましょう。 今の私達に必要なものは、大きく分けて三つ。 まず一つ目に、私達と同じくゲームの阻止が目的である仲間。 二つ目に、プレシアに関しての情報。 そして最期に……この首輪です』 プレシアの野望を阻止する為に必要不可欠なもの。 それは、自分達に着けられている首輪だった。 首輪を解除しない限り、自分達は決してプレシアを止めることは出来ない。 その為にも、まずは首輪を解析する必要があるのだ。 『不運にも、ゲームに乗った人に殺害されてしまった人を見かけましたら、お気の毒ですが首を落とさせていただきます。 また、ゲームに乗っていることが明らかであり、かつ説得も不可能と判断した相手に対しては容赦なく挑むとします。 そうしなければ、首輪の入手は勿論……我々の命が危ないですしね』 殺し合いに乗った相手には、容赦をするつもりは無い。 そうしなければ、自分達は勿論……他の全ての参加者の命が危ないのだ。 二人とも、この事は重々承知している。 『なら、これから何処へ行く? 少なくとも、端にあるこの施設に留まるのは得策ではないぞ』 『ええ、一先ずは街に向かって南下しましょう。 しかし、最も参加者が集中するであろう中央近くは避け、なるべく端の方を回る事にします』 『下手に参加者が集まる場所に向かうと、危険人物と鉢合わせする可能性も高いからか?』 『その通りです……構いませんね』 『ああ、異論は無い』 一先ずの方針は決まった。 二人はここから街へ向けて南下し、他の参加者を探す事にした。 早速荷物を纏め、その場を去ろうとする。 そして、部屋の外へと出た時……Lはザフィーラへと、不意に口を開いた。 「ザフィーラさん」 「どうした?」 「私達の手で、思い知らせてあげるとしましょう。 最後には、正義が必ず勝つという事を」 満面の笑顔で、Lははっきりと告げた。 ザフィーラは勿論、この会話を聞いているであろうプレシアに向けての……完全な宣戦布告を。 【1日目 深夜】 【現在地 A-1】 【L@L change the world after story】 【状況】健康 【装備】無し 【道具】支給品一式、首輪探知機、ランダム支給品0〜2個(確認済み、少なくとも武器には使えない) 【思考】 基本:プレシアの野望を阻止し、ゲームから帰還する。 ゲームに乗った相手は、説得が不可能ならば容赦しない。 1.ザフィーラと共に街へ向けて南下、他の参加者と接触を図る。 2.機動六課の面々並びにヴィヴィオ、ユーノとの合流。 特にはやてとヴォルケンリッター、フェイトは最優先とする。 3.首輪の入手。 【備考】 第三話からの参戦です。 参加者の中には、平行世界から呼び出された者がいる事に気付きました。 盗聴の可能性に気付きました。 また、常時ではないにしろ、監視されている可能性もあると考えています。 クアットロは確実にゲームに乗っていると判断しています。 ザフィーラ以外の守護騎士、チンク、ディエチ、ルーテシア、ゼストは、ゲームに乗っている可能性があると判断しています。 ※首輪探知機について 首輪の存在を探知する小型のレーダー。 自分の半径50m以内に首輪がある場合、モニターに光点が映し出される。 【ザフィーラ@魔法少女リリカルなのはStrikerS】 【状況】健康 【装備】無し 【道具】支給品一式、ランダム支給品1〜3個 【思考】 基本:プレシアの野望を阻止し、ゲームから帰還する。 ゲームに乗った相手は、説得が不可能ならば容赦しない。 1.Lと共に街へ向けて南下、他の参加者と接触を図る。 2.機動六課の面々並びにヴィヴィオ、ユーノとの合流。 特にはやてとヴォルケンリッター、フェイトは最優先とする。 3.首輪の入手。 【備考】 本編終了後からの参戦です。 参加者の中には、平行世界から呼び出された者がいる事に気付きました。 盗聴の可能性に気付きました。 また、常時ではないにしろ、監視されている可能性もあると考えています。 クアットロは確実にゲームに乗っていると判断しています。 自分以外の守護騎士、チンク、ディエチ、ルーテシア、ゼストは、ゲームに乗っている可能性があると判断しています。 Back オタクと吸血鬼とレバ剣と 時系列順で読む Next 二人の兄と召喚士 Back オタクと吸血鬼とレバ剣と 投下順で読む Next なごり雪 GAME START L Next アイズ GAME START ザフィーラ Next アイズ