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autolink N2/W25-008 カード名:理想の家族 フェイト カテゴリ:キャラクター 色:黄 レベル:2 コスト:1 トリガー:1 パワー:8000 ソウル:1 特徴:《魔法》?・《クローン》? 【自】このカードが手札から舞台に置かれた時、他のあなたの《魔法》?のキャラが2枚以上なら、そのターン中、このカードのパワーを+2000。 『私がずっと欲しかった時間だ… 何度も何度も夢に見た時間だ…』 レアリティ:R SR illust. おにねこ 登場ターン限定だが、僅か1コストでパワー10000でアタックできる。 条件も他の自分の《魔法》?のキャラ2枚以上と非常に緩い。 昨今の早出し優勢な環境においては、サブアタッカー的な存在として使いやすい部類に入るレベル2キャラだろう。 「フェイト」ネーム持ちなので使い魔アルフとの相性も良好。
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autolink N2/W25-004 カード名:友達のために フェイト カテゴリ:キャラクター 色:黄 レベル:0 コスト:0 トリガー:0 パワー:2000 ソウル:1 特徴:《魔法》?・《クローン》? 【自】このカードが手札から舞台に置かれた時、そのターン中、このカードのレベルを+1し、パワーを+1000。 【自】[①]バトル中のこのカードがリバースした時、あなたはコストを払ってよい。そうしたら、このカードを思い出にする。 なのはぁぁー! うああああっ! レアリティ:R illust.藤真拓哉 13/04/17 今日のカード。
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9:恐怖! 百合ショッカー四天王編 各々のバイクへ乗ったまま百合ショッカー本部内へ突入したディケイド達。そして内部の通路を通り奥へ奥へと爆走する。 「外から見るより随分と広いんだなここ。」 クウガはトライチェイサー2000を運転しながらも周囲を見渡しそう呟いていた。百合ショッカー本部の内部通路は 外から見える建物の大きさ以上に長かった。恐らく外から見える建物はただ魅せる為の演出で内部は地下に広大な基地が 建造されていると推測された。 そして長い通路を通り、通路の先にあった大きな部屋に出た。その向かい側には次へ進む通路の入り口らしき物が 見えたのだったが、それを遮る様に何者かが立ち塞がっていた。 「僕はシャドームーン様直々のご指名によりゴルゴム本隊からやって来たフェレット怪人だキュー。」 「フェレット怪人!?」 ゴルゴム怪人の名称は、一般的にベースとなった生物の名称の後に怪人と付く形を取る。(例:クモ怪人・ヒョウ怪人) そして彼はフェレットをベースとしたフェレット怪人だったのである。その姿は元になったフェレット同様に 可愛らしい様にも思えたが、シャドームーン直々に指名されて来たと言うだけにかなりの戦闘力を持つ事が予想された。 「お前達の中にもフェレットがいるらしいじゃないかキュー! そいつを今すぐに出せキュー! 僕が相手になってやるキュー!」 フェレット怪人が言うフェレットとはすなわちユーノの事。それもディケイドの力によって巨大フェレットに ファイナルフォームライドした状態を指しているのだろう。しかし、今のユーノはクロノと共に仮面ライダーWになっていたのだった。 「こっちも色々あって君の要求には応えられないけど…。」 「代わりに僕達が相手に立ってやろう。」 「ユーノ君! クロノ君!」 ここでユノクロWがハードボイルダーから降りて前に出た。これにはなのはも驚いていたのだが それを追う様に同じく前に出ようとしていたなのはをユノクロWは止めていた。 「僕達が奴を食い止めている間に先に進むんだ。」 「で…でも…。」 「でもじゃない! こんな所でグズグズはしていられないのは分かってるでしょ!?」 「!」 ユノクロWを心配して躊躇するなのはに対し、ユノクロWの内のユーノの部分が思わず怒鳴っていた。 彼の言う通り今はフェレット怪人だけに構っている暇は無い。故にユノクロWは自分がフェレット怪人を 食い止めている間になのは達に百合ショッカーの本隊を倒して欲しかったのである。 「行くんだ! 僕達がコイツを食い止めている間に行くんだー!!」 「う…うん…。」 「行くぞなのは! 今度はこっちに乗れ!」 単身フェレット怪人に突撃し、正面から組み合っていたユノクロW。その隙になのははディケイドに手を引っ張られる形で マシンディケイダーの後部座席に乗り込み、ディケイド達はさらに先へ進んで行った。 「お前なんかがこの僕に勝てるのかキュー!?」 「勝てると思うから挑むんじゃない! お前の相手には僕達じゃないとダメだからやるんだ! 行くぞぉ!」 ユノクロWとフェレット怪人の戦いが今始まった。 マシンディケイダーに乗ったディケイドとなのは、トライチェイサー2000に乗るクウガ、バトルホッパーに乗る BLACKと朱里ちゃんはさらに通路を突き進んでいたが、ここで再び広い部屋に出た。そして、やはりそこにも何者かの姿があった。 「な…何だコイツ…。」 その部屋にいた何者か…それは巨大なウサギだった。しかし、ウサギを元にした怪人…と言うわけでも無く、 むしろウサギのぬいぐるみを巨大化させた様な代物だったのである。 「まさか…クリス!」 なのはは思わず叫んでいた。クリス…正式名称・セイクリッドハート。なのはが義娘であるヴィヴィオの為に用意した ウサギのぬいぐるみ型デバイスである。しかし、本来のクリスは子供の掌の上に乗る程度の大きさしかない。 だが今目の前にいたクリスはのべ三メートルの巨体であったのだ。 「でもどうしてこんな大きさに…。」 「恐らく百合ショッカーによって強化改造でもされたんだろうな。」 まあ現状ではそう考える他は無いだろう。百合ショッカーの科学力ならばクリスを巨大化させつつ自らの尖兵として 扱う等造作な事では無い。 ここは通さんと言わんばかりに一歩一歩歩み寄って来る巨大クリス。その可愛らしい外見からは想像も出来ないシュールさと迫力。 だが、ここでクウガが前に出ていたのだった。 「ユウスケ?」 「ここは俺の出番だ。後は俺に任せて士達は先へ進め。」 クウガは単身巨大クリスに挑むつもりらしかった。流石のクウガも分が悪い戦いになると思われるが、だからと言って 巨大クリスだけに構っている事は出来なかった。 「分かった…後は頼んだぞ。」 「ああ! 俺も一刻も早くアイツを倒して後を追う。」 巨大クリスに挑むクウガを残し、ディケイド達はさらに進んだ。しかし、巨大クリスの存在がなのはに新たな心配事を作っていた。 「まさかクリスまで…と言う事はヴィヴィオも何処かに…。」 クリスが百合ショッカーによって改造され敵に回った。それはクリスの持ち主であるヴィヴィオも何処かに囚われている事を連想させた。 ヴィヴィオの事を思うとなのはは気が気では無かった。 ディケイド達が先へ進んだ後、クウガは巨大クリスに対し構えていた。 「さあ行くぞ!!」 クウガは巨大クリスへ挑みかかり、ここでも戦闘が始まった。 マシンディケイダーに乗ったディケイドとなのは、バトルホッパーに乗ったBLACKと朱里ちゃんはさらに通路を進む。 そして例によってまた広い部屋に出たのだった。 「また誰かいるよ。」 「今度は誰だ?」 「あれは…。」 「はわわわわ…。」 部屋の中にはまたも行く手を遮る刺客と思しき者の姿があった。しかし、それはいわゆる『怪人』の類では無かった。 闇の様に漆黒のドレスを見に纏い、左側の背中に悪魔のごとき翼を生やした黒髪の美女。その瞳は刃の様に鋭く、 そのまま突き刺してしまわんばかりの勢いでディケイドを睨んでいた。 「久しぶりだな…破壊者…。」 「お前は…ダークプリキュアか…。」 ダークプリキュア。かつてディケイドが旅したプリキュア世界の一つ、『ハートキャッチの世界』において、 世界を砂漠化させようとしていた砂漠の使徒によって作られた人造プリキュアとでも言うべき存在。 先にいたスナッキーもそうだが、何故彼女が百合ショッカーに所属していると言うのか… 「まさかお前まで百合ショッカーにいたとはな。」 「こっちもまたお前と出会う事になるとは思わなかった。」 「知り合いなの?」 ディケイドとダークプリキュアの会話から察するに、双方は既に互いを知り合っている様だった。 「ああ…。俺がハートキャッチの世界に行った時、成り行き上とは言えそこでプリキュアと砂漠の使徒の戦いに介入しちまったからな。」 「そうだ! 貴様の邪魔が無ければ私はキュアムーンライトを倒す事が出来たと言うのに…。そして砂漠の使徒も崩壊し… 私は死にそびれた敗残兵として虚空を彷徨っていた所をシャドームーンに拾われ、後はこの百合ショッカーなる得体の知れない連中の 一員として戦わざる得なくなった。この屈辱……貴様に分かるかぁ!?」 「色々説明ありがとうな。」 「くっ…貴様…。」 詳しい事は不明だが、彼女の言葉からするととにかくディケイドとダークプリキュアの間にはただならぬ因縁があった様だ。 「もうこうなってしまった以上私は今更キュアムーンライトに再び挑もうとは思わない。だが…貴様は許さん!! はぁ!!」 ダークプリキュアは猛烈な勢いでディケイド目掛け跳びかかって来た。が、そのディケイドを狙っていた拳を掌で 受け止めていたのは何とBLACKだった。 「光太郎!?」 「ここは俺に任せて先に進むんだ!」 BLACKはダークプリキュアの相手を引き受け、その内にディケイドとなのはを先に進ませるつもりだった。 「邪魔をするなぁ! 貴様には用は無い! 私の狙いはあの破壊者だけだぁ!」 「そうはいかん!」 最初からディケイドしか眼中に無いと言わんばかりのダークプリキュアはBLACKを突破してディケイドへ 向かおうとしていたが、BLACKは身体を張って遮っていた。 「何をしている!? 今の内に進むんだ!」 「ああ!」 「光太郎さん頑張ってください。」 ディケイドとなのはは再びマシンディケイダーに乗り込み、先へ進んだ。BLACKはそれを見送った後、 さらにバトルホッパーに目を向けていた。 「バトルホッパー、その子を守ってやるんだ。」 「はわわわわわ…。」 バトルホッパーには未だ朱里ちゃんが乗っている。ディエンドの三国ライドによって呼び出された存在とは言え 少女が戦いに巻き込まれて大怪我をしてしまう様を見るのは辛い。それ故にBLACKは自分がダークプリキュアの相手を している間、バトルホッパーに朱里ちゃんの護衛を任せるのだった。 「こうなったら仕方が無い…。まず貴様を倒してから破壊者の後を追わせてもらう!!」 「来い!!」 こうしてBLACKとダークプリキュアの戦いが始まった。 沢山いた仲間もついにディケイドとなのはの二人きりになってしまった。こうなってしまうと流石に心細い物があった。 「これ以上何か出て来たらたまらんな。」 「あ、次が見えて来たよ。」 なのはの言う通りだった。長い通路も終え、再び広い部屋に出た。 「ここが終点の様だな。」 ディケイドの言う通りだった。その部屋で行き止まり。それを証明する様に、部屋の奥には首領の椅子に座る フェイト=T=ハラオウンと、その側近として君臨していたシャドームーンの姿があったからだ。 「フェイトちゃん!」 「ついにここまで来たな…。」 思わずフェイトの所へ駆け寄ろうとしたなのはだったが、シャドームーンに立ち塞がれ思わず止まっていた。 そしてなのはを下げつつディケイドが前に出る。 「月影ぇ~! お前も百合厨だったとは堕ちる所まで堕ちたな~!」 「如何にも。創世王として世界を…全てを支配する為ならば私は百合厨にでも何にでもなってやる……と言いたい所だがな…。」 「?」 「正直の所、私は百合厨どもの言うなのフェイに関してはどうでも良いのだ。しかし、なのフェイの百合に多くの人々が 支持している事実は見逃す事は出来ん。考えても見ろ。愚民どもが好むと言う民主主義とやらで考えても、数多くの賛成者、 支持者のいる百合こそが正義となり、逆にそれに反対しようとする者は悪とされる。現に筆者の奴はその為に一方的に悪とされ 正義の徒を気取った百合厨どもの総攻撃を受けてまさに満身創痍の状態にあるでは無いか。これが意味する事… それは我々百合ショッカーこそが世界を支配するに相応しい正義であり、それを破壊しようとするディケイド…貴様が悪なのだ。 故にそこにいる高町なのはと私の後にいるフェイト=T=ハラオウンには精々私の世界支配の為の人形として利用させてもらおうか。」 シャドームーンは百合ショッカーに与してはいても、百合そのものを好んでいるわけでは無かった。 あくまでも己が世界を、全てを支配する為に利用価値があるからそれを利用していると言う、手段でしか無かったのである。 力と恐怖で支配するのでは無く、人々から支持を得ている物を利用する事で人々からの支持と賞賛を得て 逆に反対意見を一方的に悪にして反対し難くする。なんと言う恐ろしい計画であろうか。 そして、シャドームーンは己の世界支配の為に高町なのはへと手を伸ばそうとしていた。 「そうはさせん! コイツはレズビアンの真似事なんて嫌だってよ。」 「そうか…ならば世の中には嫌でもしなくてはならない事があると言う事を教えねばならんな。」 シャドームーンは己の持つ世紀王専用剣・サタンサーベルを抜いた。 「ついに最後の戦い…と言う所だな。気を抜くなよ!」 「うん!」 ディケイドはライドブッカー・ソードモードを、なのははレイジングハートを握り構えた。 「行くぞ!」 「来い!」 こうしてディケイド&なのはVSシャドームーンの戦いが幕を開けた。 時同じく、仮面ライダー1号・2号・V3は激闘の末に百合ショッカーライダー部隊を全滅させていた。 「ハァ…ハァ…後はお前だ…地獄大使…。」 「いや…今はガチ百合大使と名乗っているんだったかな…?」 地獄大使改めガチ百合大使の変身体・ユリユリンダに向けて構えるが、ユリユリンダは余裕の笑みを浮かべていた。 「ハッハッハッ! 良くぞやったと褒めてやろう。だが、随分と息が上がっているな。」 その通りだった。確かに百合ショッカーライダー部隊を全滅させた三人だったが、それ相応に疲弊し 体力も大きく消耗していたのだった。 「今の疲れきった貴様達等、倒すのは容易いわ!」 「そうは行くか!」 「この程度でヘバる程甘い鍛え方はしていない!」 疲れきった身体にムチを打ち、三人はユリユリンダに跳びかかる。しかし… 「本当にムチ打ってやるわぁ!」 「ぬあ!」 ユリユリンダはムチ状の腕を振り回し、トリプルライダーをまとめて弾き飛ばしてしまった。 三人も疲弊・消耗があるとは言え、物凄いパワーとスピードである。 「くそ…こうなったらこっちにも考えがある。」 「どうせ三人まとめてライダーキックと言うのだろう? そんな物弾き飛ばしてやる。」 ユリユリンダは正面から迎え撃ってやらんばかりに大きく胸を張る…が、次の瞬間1号・2号・V3は三方向に散開した。 「何!?」 「ライダァァァァ! トリプル!! キィィィィィック!!」 「ぬあ!?」 トリプルライダーの正面・左・右からの三方向同時ライダーキック。これではユリユリンダも どう迎撃して良いか分からず、真っ向からそのライダートリプルキックを受けてしまうのだった。 「うああぁぁぁぁ!!」 手足をバタ付かせながら大きく吹っ飛んで行くユリユリンダ。そして大地を砕かんばかりの勢いで地面に叩き付けられるのだった。 「偉大なる百合ショッカーに…百合バンザァァァァァァイ!!」 ユリユリンダは最後の力を振り絞った百合万歳と共に…大爆発を起こした。 「やったな。」 「おお。」 「後はディケイド達の頑張りを祈るのみだ。」 仮面ライダー1号・2号・V3は百合ショッカーアジトのある方向をじっと見つめていた。
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No.062 フェイト・テスタロッサ 制服ver. (Fate Testarossa School Uniform Ver.) 「ごめんね、アリシア…だけど、私は行かなくちゃ。ありがとう…ごめんね、アリシア・・・」 情報 作品名 魔法少女リリカルなのはA s 価格 2,500円(税込) 発売日 2010年03月31日 商品全高 約115mm 付属品 表情:笑顔、目瞑り顔 手首:×9(バルディッシュスタンバイフォーム持ち×1) 共通付属品(スタンド、スタンド用アーム、収納袋、di stage用カバースキン) その他:通学カバン、交換用リボン、アルフ(子犬形態) 写真 キャラクター概要 フェイト・テスタロッサ プレシア首謀の一連の出来事(PT事件)における重要参考人として裁判を受けていたが、ヴィータの襲撃を受けた高町なのはの窮地に駆け付け闇の書蒐集の為に暗躍するヴォルケンリッターとの戦いに身を投じる。 今回商品化されるのは留学生という形で転入した私立聖祥大附属小学校に通学する時の制服姿である。 また、PT事件後にリンディ・ハラオウンが申し出た養子縁組はこの頃は保留しており、闇の書事件解決後に正式受諾した。 以降はフェイト・T・ハラオウン バリアジャケットver.を参照。 アルフ ミッドチルダ山奥に住む、生まれて間もなく死病に侵され群れから見放された狼が、フェイトに拾われ使い魔として転生した存在。 人間態への変化も可能である。 フェイトとの関係は主従というよりは仲のいい姉妹に近く、彼女を心から慕っている。 イヌ科動物が素体のためか、なのはの世界のドッグフードが大好物。 闇の書事件における最終局面ではある一言により状況打開の一手を導きだした。 尚この姿はA sにて初めて登場した「こいぬフォーム」である。 商品解説 版権問題があるとされていた『A s』名義での商品化となる。 パッケージに不備があった為、発売2日前という店頭に並ぶ直前で発売が約1週間延期した。 劇場版フェイトとは対照的に、表情に対しては概ね好評な様子。 良い点 悪い点 注意点・不具合情報 関連商品 高町なのは 制服ver. フェイト・テスタロッサ The MOVIE 1st ver. フェイト・テスタロッサ ライトニングフォームver. フェイト・テスタロッサ ソニックフォームver. フェイト・T・ハラオウン バリアジャケットver. 高町なのは セイクリッドモードver. 八神はやて The MOVIE 2nd A s ver. シグナム 騎士服ver. シャマル 騎士服ver. ヴィータ 騎士服ver. コメント 名前 コメント
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1 サウンドステージ01の地球派遣任務にシンも同行してると脳内補完して下さい シン「ふ~・・・何かこんなに落ち着いて風呂に入るのも随分と久しぶりな感じがするなあ」 エリオ「大きな公衆浴場ですよね。こういうのミッドには無いですし そういえばシンさんもなのは隊長達と同じ地球生まれなんですよね?」 シン「ん?そうだけど、俺の居た世界と隊長達の故郷のこの世界とでは時間軸そのものが違うというか・・ 寧ろパラレルの様なモノというか・・・俺にもよくわからないな。 それはそうとエリオ、せっかくフェイト隊長達やキャロが誘ってくれたんだから一緒に女湯に行けば良かったんじゃないか? 年齢も容姿も全然セーフだと思うぜ?(笑)」 エリオ「な、な、何言ってるんですか(汗)(汗)(汗)。そういうシンさんだって部隊長やなのは隊長に一緒に入る? って言われてたじゃないですか!」 シン「バ、バカ!あれは隊長達の冗談に決まってるだろ・・・(多分) つうか犯罪だっつうの」 はやて「は~シンと一緒に入りたかったなあ」 すずか「は、はやてちゃん・・・いくらなんでもそれは・・・でもシン君って今日初めて会ったけど何だか不思議な感じがするね 深く吸い込まれそうなワインレッドの瞳に、何処か寂しそうなふいんき(何故ry がして思わず抱きしめてあげたくなる感じが・・」 なのは「すずかちゃん、自重なの」 アリサ「そーかなあ?アタシにはただの無愛想な子供にしか見えなかったけど、とてもアンタ達程の女を釘付けにする男には思えないんだけど」 フェイト「とってもいい子なんだよ。少し不器用なだけで・・・でもとても一生懸命。 話してみればきっとアリサもシンの事気に入るよ」 はやて「フェイトちゃん!余計な事言わんでええ」 なのは「そうだよ!(これ以上シンに他の子にフラグ立てられたらたまったモンじゃないもの)」 アリサ「アハハ・・まあご心配無く。アタシは男の人はやっぱり年上がいいし♪ さてと、何か少しのぼせて来たから先に上がってるね」 すずか「うん。じゃあまた後でね」 シン「じゃあエリオ。俺は先に上がってるぞ」 エリオ「はい。僕はもう少し浸かってますね。またいつ来られるかもわからないし」 アリサ「あ」 シン「あ」 アリサ「あーシン君だっけ?どうだった?スパ銭は。なのは達のいる世界にはこういう所って無いんでしょ?」 シン「ええ、まあ。でも俺の故郷には似たような所もありましたから、丸っきり初めてってわけじゃないです」 アリサ「ふーんそっか。ところで一つ聞きたいんだけどさ・・・君はなのは達の事どう思ってるのかな?」 シン「え?な、何ですかいきなり・・・」 アリサ「マジメな質問だよ。あの子達の親友として君が彼女達をどう思ってるのかアタシは知りたい」 シン「・・・・・。隊長達には感謝しています。周りの世界に絶望して、もう生きていても意味が無いとさえ思ってた抜け殻人間だった俺に 手を差し伸べてくれた。 もう一度立ち上がろうと、自分の信念をもう一度貫いて行こうと決意させてくれた。そして・・・帰る場所も くれた・・・隊長達には感謝してもし切れません。尊敬もしています。俺なんかよりずっと強い精神を持っていて・・・ でも・・・その、アリサさんが知りたがってるような・・・今の俺が隊長達に対してそういう感情を抱いてるかどうかは自分でも 正直分かりません。 ただこれだけはハッキリ言えます。俺はもう誰も傷つけさせない。・・隊長達の仕事は時に生命に関わる任務もあ る危険な仕事です。 俺は隊長達を絶対に守りぬく。隊長達だけじゃない、エリオやキャロも、スバルもティアナもそして普通の人達 も・・・俺がこれまで培ってきた経験と力は壊す為のモノじゃない、守る為のモノだって。今ならハッキリそう確信出来ます。 ・・・って聞いてます?」 アリサ「う?うん・・聞いてるよ・・・(うわ~フェイトが言ってたこの子の一生懸命さってこういうことだったのか。 思ってたよりずっと熱いヤツじゃん・・・。シン・・アスカ・・か)よ、よしこの話はこれでオシマイ!ありがとうね。 素直に教えてくれて。 あ、あとアタシのことはアリサでいいから!呼び捨てでいいよ」 シン「ええ?あ・・ハァ・・・?」 なのは「何だかイヤな予感がするの・・・」 フェイト「私も」 はやて「私もや」 ティア「私もです」 スバル「?」 2 シン「そろそろ寒くなってくるし免許も取ったから新しく車を買おうと思うんだ」 六課の皆がびくりと体を振るわせた 同時に何故か皆から黒いオーラが吹き出て場があっという間に異様な雰囲気に包まれた 俺何かおかしい事を言ったのだろうか? 便乗 「シン?丁度フェラーリの旧車でかなりよい状態の中古車の情報が手に入ったから一緒に見に行きませんか?」 シン 「へ?フェラーリですか?でもイタリアの車ってけっこう愛が無いと乗れないくらい壊れるって――」 なのは「フェイトちゃん、仕事でも使うんだよ?まず整備暦の書かれた書類が付いてるか調べないと駄目なの」 はやて「せや!仕事で使うとなったら大事な所で壊れたら大変やで!?せやからここは固くインプレッサにしとき」 シグナム「お待ちください主はやて、まだ仕事も使うとはシンも仰っておりません、ここはステーションワゴンであるオペルの――」 シャマル「駄目よ、ホンダ・アヴァンシアの参考品なんてシンに似合わないわ。ここはマセラティの――」 ヴィータ「オペルのコルサ!シン、これにしとけって!!」 ユーノ「うわぁ、出るの初めてじゃないかな?……マツダのロードスターなんてどうかな?でもこれでもう出番無いんだろうな、 でも本望だよ出番くれて。ああ桃色の光が(ry」 レティ「初登場その2~。Zよ!フェアレディZS30改!直6キャブターボの悪魔のz(ry」 ザフィ「(日野自動車のレンジャーのダカールラリー仕様車とか……いやなんでもない、忘れてくれ)」 スバル「レガシィもいい車だと思うんだけどなー」 ギンガ「360なんてどうかな?でも台数もうそんなに無いから……リベロ――」 スバル「ギン姉、ミツ○シは敵だよ敵」 ティアナ「日産よ!日産のGT-R、もう発売までもう少しなんだからこれしか……別に薦めてる訳じゃないわよ!?」 エリオ「スズキのエスクードなんかどうかな?」 キャロ「あ、あの……マツダキャ――」 ヴァイス「シン!漢ならルノーだろ?!」 ヴィヴィオ「じゃあわたしお母さんといっしょのくるまがいいなー」 はやて「あーーー!!みんな自分の意見ばっかりでシンの意見聞いてないやん!ここは一つどれがええかシンに…… あれ?シンおらへん!?どこいったシン!?」 シン「・・・・・・それでセインさん、何で俺はここにいるんですか?」 スカリ「君が新しい車を決めると聞いてね、わざわざつれてきてもらったのだよ。ところでどうかねこのルーテシアと言う車は。 かつてラリー選手権でラニョッティがうんぬんかんぬん(ry」 「アウディに乗りましょう「チンクェとかダメカナ?「ギャレットにするッス!「わいわいあーだこーだぎゃあぎゃあモフフフフフ…はよせ な!サバダッササンサンサバディ~(ry」 どうやら俺の車の選択権は皆無のようだ。この時 シンは改めて「女の子は ヤンキーの17倍怖い」と思った 現在のシンの友達(現状) 友達 多数、仲間 大勢、変態 多数 もはや言葉も出ないシンだった… シン 「素直にホンダのスーパーカブにしようかな……、頑丈だし燃費凄いし安いし…でもバイクだし、困ったな……チゼータとかフォードに すればいいのかな。まだその名前の人出てない(ry」 補足 ウーノ「所で博士、ラニョッティが乗ったのはサンクターボとクリオ、主にルノー系列では?」 スカリ「クリオ=ルーテシアなのだよ、厳密にはサンクターボとクリオ・ウィリアムズだがね」 ウーノ「そう言えばランチア関連の人もいないですね」 スカリ「メルセデスやBMW、マクラーレンにランボルギーニ、数え上げたらキリが無いじゃないか」 ウーノ「日本車やフランス車が多いのは趣味でしょうか、特に富士重工の多さは異常――」 スカリ「それを言ってはいけないよウーノ、そういえば君は参加しなかったね?フィアットは結構有名の筈だが」 ウーノ「今回は妹達に譲るのも良いかと思いまして……」 スカリ「ふむ、君も彼に対して素直になれば私は嬉しいのだがね」 ウーノ「わ、私はドクターの秘所ですから……妹たちが羨ましいとかそう言う事は」 スカリ「君も素直になりたまえ、ほらまだ談義は続いているようだ。行っておいで」 ウーノ「……・・・失礼しますドクター」 シン 「俺、車買うのやめようかな…」 終われ。 スカリ「それにしても、何故私はフェラーリを薦めようと思ったのにルノーを薦めていたのだ?」 ルー子「作者のミス、ルーテシアとスカリエッティを混同していた」 スカリ「まったく呆れた物だね、しっかりと情報を確めてから書かなくてはいかんだろうに。 まあ紹介にはなっただろうし私も自分を勧める訳にいかん」 ルー子「男同士、801、新しい女難なの」 スカリ「……・・・ルーテシア? クアットロに毒されてないかね?」 ルー子「私はシンにアルピーヌを勧める。でも新世紀エヴァに出てきたあれじゃなくて古いほう、あっちのほうがかわいい」 3六課で飲み会がありました。 シン「もってこーい」 すっかり出来上がるシン(おかわりする度に徐々アルコール度数を増やしていった為) なのは「どう?シン盛り上がってる?」 ティアナ「らのはさん、そこ壁、あははははは」 スバル「ZZZZZZZZ」 はやて「何回も何回もアプローチしとんのになんでわかってくれへんのや、昨日かて(ぐだぐだ)」 シグナム「すいまぜん~主。許してくださ~い、えっくえっく。」 シャマル「箱根のみなさ~ん、機動六課ですよ~」 フェイト「(皆、ひどいなぁ)」←酔ってはいるものの唯一まとも ちなみにヴィータと年少組は参加していない。 シン「おう、フェイトさん」 フェイト「ん?な、なにかな?」 シン「あんた何でそんなに黒いんだ?」 フェイト「はい?」 シン「着てるもんぜーんぶ黒ってさ、お陰で下着姿黒でも全然違和感ないッスよ~」 フェイト「へ、へぇ~」(ピキピキ) シン「おう、それなら今度黒以外の服着てきてくださいよ」 フェイト「え、えぇ~?」 シン「何だったら服買いに行きましょうか?フリッフリのワンピースとかーはははは、ひっく」 フェイト「え、う、うん。いいよ。」 シン「よーしならけって~~~い(バタン)スースー」 後日この時の会話が録音されたテープによりフェイトと強制デートをする事になるのだが、 次の日、このテープが六課全員の知る事になりシンは地獄を見ることになる。 -19へ戻る 一覧へ
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―――6 カリム・グラシアの視界に最初に入って来たのは、聖王医療院の真っ白に塗装された天井と、暖色系の光を放つ据え付け型の室内灯だった。 「騎士カリム?」 その声のした方に顔を向けると、カリムのベッドの傍らでシャッハ・ヌエラが椅子に座って心配そうにこちらの顔を覗き込んでいる。 「シャッハ…」 カリムは一言呟いた後、窓の方を振り向く。 空は夜の帳に覆われ、正面に見える大聖堂が、キャンドルライトで仄かにライトアップされているのが見えた。 カリムは、シャッハに顔を向けて尋ねる。 「私…どれ位気を失っていたの?」 「丸一日眠られてました」 「正確には10時間42分29秒です」 シャッハの後ろに控える、同じ修道士服を着たロングのストレートヘアーに感情の読み取れない表情をした若い女性が、空間モニターを操作しながらシャッハの言葉を訂正する。 「と、いう訳です。騎士カリム」 シャッハが苦笑しながら両手を広げて“お手上げ”のポーズを取ると、カリムも笑みをこぼしながら言う。 「相変わらず、ディードの体内時計は極めて正確ね」 「恐れ入ります」 ディード・ハルベルティルダは、丁寧に頭を下げた。 「失礼します」 ディードと同じ顔立だが、ショートヘアーと執事の格好で一見男女か判別の付かない、中性的な雰囲気の女性が、病室に入って来た。 彼女は、ティーポットと二つのカップに、食べやすいように切られた、赤い色の林檎のような実が並べられた皿の載るカートを持っている。 ディードが空間モニターを操作すると、窓側のベッドサイドから折り畳み式のテーブルが迫り出し、同時にカリムのベッドも上半身部分が持ち上がる。 デザートの皿をテーブルに乗せ、紅茶をカップに注いだ後、頭を下げて退出しようとする二人を、カリムは手で制した。 「オットー、ディード。あなた達も一緒にどう?」 カリムの言葉に、ディードとオットー・ハルベルティルダは顔を見合わせると、これ以上ない見事なユニゾンでカリムに尋ねる。 「よろしいのですか?」 カリムは微笑みを浮かべながら、首を縦に振った。 湯温、葉の匙加減共に完璧なオットーの紅茶と、ディードが選んだ丁度いい甘さのデザートがその場の空気を和ませ、暫くの間は和気あいあいとした雑談が続く。 頃合いを見計らって、シャッハは改めてカリムに朝起きた事についてを訪ねた。 「今朝は何故、気を失われたのですか?」 シャッハの言葉に、カリムは自分のティーカップに視線を落として考え込む。 「はっきり言って、私もよくわからない」 そこで一旦言葉を切ると、今度はシャッハの方を振り向いて言葉を続ける。 「起きた時から、目覚めているのに…まるで意識に靄がかかったかのような感じが…」 今度は天井を見上げ、目を細めて何かを思い出そうとする。 「…心が体から切り離されて浮遊しているかのような感覚…何て言ったかしら?」 「夢遊病…ですか?」 シャッハがそう言うと、カリムは頷いて話を続ける。 「そう、まさにそんな感じね。最後に覚えてるのは、礼拝所でオルガンを弾いてる途中、聖王様のステンドグラスを見なければ…という義務感が突然湧き上がった事。そこから先は覚えてないわ」 「そう言えば、陛下のステンドグラスを見上げられてた時、何か口走ってられる様子が見受けられましたが、その事は?」 ディードの問掛けに、カリムは首を横に振りかけたが、ふと何かを思い出したらしく、顎に手を当てて言った。 「ひとつだけ、覚えている言葉があるの」 「何でしょう?」 「“トランスフォーマー”」 「トランス…フォーマー?」 シャッハがオウム返しに答えると、カリムは頷いた。 「どういう意味なのでしょうか?」 シャッハが尋ねると、カリムは首を横に振った。 「私にも分からない。オットー、ディード、あなた達は?」 二人とも首を横に振って、“自分たちも知らない”と意思表示する。 「無意識の中でそれだけ覚えてた…って事は、相当重要な言葉なのでしょうけど…」 突然、カリムの目の前で金色の輝きを放つカードの形をした物体が現れた。 「“プロフェーティン・シュリフテン”!?」 カリムは自らのレアスキル“預言者の著書”が何の予告も無く突然発言した事に、戸惑いの表情を見せた。 「二つの月の魔力が揃っていないのに…、何故!?」 カードは二枚、三枚、四枚と次々に分裂し、やがてカリムの周囲を輪のように囲んでグルグルと回る。 しばらくして、その中からカードが一枚飛び出して、カリムの眼前で止まる。 旧い結晶と無限の欲望が交わる地 死せる王の下、聖地より彼の翼が蘇る 死者達は踊り、中つ大地の法の塔は虚しく焼け落ち それを先駆けに数多の海を守る法の船は砕け落ちる 「これは…“JS事件”の予言!?」 発現されたカードの文を読んだシャッハが、怪訝な表情をする。 「すでに終わった筈の予言が、何故今になって―――」 シャッハがそこまで言いかけた時、カリムは何時になく厳しい表情で、ハルベル ティルダ姉妹に言った。 「これから法王様へ拝謁に向かいます。オットー、ディード、急ぎ着替えの用意を」 二人が頭を下げて退出すると、シャッハが戸惑った様子でカリムに尋ねる。 「騎士カリム!?」 尋常でないカリムの様子に、シャッハが戸惑った様子で尋ねる。 「この予言が、“JS事件”を指していないとするなら…」 カリムの言っている意味を理解すると、シャッハは自分の顔から血の気が引いて行くのが分かった。 「予言は、まだ終わってない…?」 詰まり気味にシャッハが言うと、カリムは頷いて厳しい表情のまま言葉を続ける。 「もしかしたら、始まってすらなかったのかも知れない。いずれにしても、至急法王様に報告しなければ…」 オットーとディードが外出着を持ってやって来ると、カリムはベッドから降りながらシャッハに言った。 「シャッハ、あなたも立ち会い人として同行して」 「かしこまりました」 シャッハは頭を下げると、空間モニターを開いて法王直属の秘書官へ、至急法王への面会を取り次ぐよう依頼した。 シャーリーはコンソールに両肘を付いて、目の前でリピート再生されている、フレンジーのクラッキング信号をじっと眺めていた。 「これを解析できる可能性のある人間と言えば…」 シャーリーは独り言を呟くと、モニターから顔を上げて周囲を見回して、誰もが仕事に没頭している事を確認。それから空間モニターをもう一つ開いてコンソールを操作する。 「コピー完了」 その表示が出ると、シャーリーは次には右手首上の時計型空間モニターを操作し、タイマーを起動させる。 1 29 59 タイマーがカウントダウンを始めると、シャーリーは急ぎ足で部屋を出ていった。 ジーンズYシャツにジーパンという、シンプルな服装に着替えて本局ビルを出たシャーリーは、歩道や渋滞で動けない車の間を人々が歩く大通りを五分ほど走った後、何かを待つように路肩に立って大通りを見回す。 シャーリーが待つのは、交通渋滞著しいクラナガンで最近人気の、“シュランピーゲ(運び屋)”という動物や人力によるタクシー便。 暫くして、シャーリーが居る側の路側帯を黒衣のフードで身を包んだ人間を乗せた馬がゆっくりやって来ると、シャーリーは両手を大きく振ってその前へ出た。 「ねぇ、待って待って!」 馬が動きを止めると、シャーリーは騎手が何か言う間も与えず、後ろに素早く飛び乗る。 「どちらまで?」 フードで顔も見えない騎手が、低い、歯車の軋りのような声で行き先を尋ねる。 「43区のイトゥメヌゥ通り、大急ぎで!」 シャーリーの注文を受けて、騎手は馬の脇腹を軽く蹴ると、馬は軽快に大通りの路肩を走り始めた。 「時間はどれぐらい?」 シャーリーの質問に、騎手は前を向いたまま答える。 「大体30分ですな」 「チップは弾むわ、20分で行って!」 シャーリーはそう言って財布から高額紙幣を取り出し、騎手の眼前に突き出す。騎手はちょっとの間紙幣を見つめた後、それを受け取って言った。 「かしこまりました、しっかりおつかまり下さい」 騎手が気合いの声と共に手綱を激しく振ると、馬はそれまでとは段違いの速さで走り始め、シャーリーは振り落とされないよう騎手にしっかりしがみ付いた。 イトゥメヌゥ通りのある43区は、機能性を重視したモダン様式の建物が主流の行政・経済区域とは対照的に、アラビアや東南アジア様式が混ざりあったような、独特の民族様式の建物が密集する区域である。 その裏通りは、イスラム教のモスクと同じ形の屋根をした一軒家や、どこかの次元世界の神々のレリーフが壁一面に彫られた高層アパートなどが、所狭しと立ち並んでいて、陽は路面まで射し込む事はない。 蛙か何だかよく分からない生物の干物がびっしりと吊り下げられたり、得体の知れない不気味な生き物の切身や背開きが並べられた、怪しげな露店がズラッと立ち並んでいる。 露店で買い物または値段の交渉(中には揉めた挙句喧嘩)をしたり、屋台の飲食台で酒を飲み交して談笑(または喧嘩)を年末のアメ横を彷彿とさせる活況を呈する中を抜け、シャーリーは更に細い路地へ入る。 路端のゴミを漁っていた羽の生えた恐竜が、シャーリーに驚いて物陰に身を隠し、安楽椅子に座って水煙草を味わっていた、人間に似たゴキブリ型生物が触角を振るわせながら興味深く見やる。 タイの仏教寺院に似た尖搭の屋根をした、比較的大きな一階建ての家に来ると、シャーリーはチャイムを3回鳴らす。 ドアを開けたのは、黄緑色のTシャツにショーツ短パンの、シャーリーとほぼ同年代だが体格は彼女の三倍はあろうかと言う黒人男性。 シャーリーの姿を見た途端、男性は慌ててドアを閉めようとするが、シャーリーはすかさずドアに足を挟み込んで、それを食い止めた。 「シャ、シャーリー!? 何しに来たんだ」 男性はドア越しに、シャーリーを疫病神を見るような目つきでた尋ねる。 「グレン、あなたの助けが必要になったの」 シャーリーの言葉に、グレン・ホイットマンは表情を歪ませて言った。 「勘弁してくれ。以前、そっちの頼みで交通システムにクラッキングした時、危うくこっちの位置がバレそうになったんたぞ」 「だから、バルゴア社の超高密度チップをプレゼントしたんじゃない。あれ、幾ら掛ったと思ってんの?」 「そういう問題じゃ――」 グレンがそこまで言いかけた時、家の奥から老婆と思われるしわがれた、しかしドスの効いた低い怒鳴り声が響いてきた。 「グレンー! 誰が来たんだい!?」 「友達だよ、お婆ちゃん! 心配しないで!」 それに負けじとでかい声で怒鳴り返した後、グレンは意を決したように、ドアを開けてシャーリーを中に入れる。 「ったく、此処は俺の心の安息所なんだぞ。外界の面倒事は一切持ち込まない事にしてるのに…」 苦虫をつぶした様な表情でグレンが呟くと、シャーリーは若干申し訳なさそうに言った。 「突然お邪魔したのは悪かったわよ。でもそれだけの価値は――」 シャーリーの言葉を遮って、再び祖母の金切り声が廊下の奥から響いてきた。 「グレンー! ロダの実のジュースは何処だい!」 それに対して、グレンも負けず劣らずの大きい声で場所を教える。 「冷蔵庫の二段目の棚の奥だよ、お婆ちゃん!」 「…心の安息所?」 シャーリーの疑わしげな視線に、グレンは笑いで返した。 「ちょっとしたBGM、さ」 グレンはシャーリーと議論しながら、自分の部屋へと入って行く。 そこは、様々な次元世界から集められた品々が溢れ、ちょっとした博物館のような雰囲気を呈していた。 部屋には二人の他、グレンと同じような服装をした、外骨格型の体をした半漁人似の友達が、レイジングハートの形をしたコントローラーを両手で持って、大型の空間モニターにそれ向けてゲームをやっている。 彼はグレンを見ると、モニターを指差して叫んだ。 「おい見ろ! “ブラスターモード”まで来たぞ!」 それを聞いた途端グレンの眼が輝き、シャーリーを放ったらかしに、巨体に似合わぬ猛スピードで部屋を突っ切って友達の横に立つ。 「マジか!? 俺、“エクシード”が精一杯だったのに!」 「マジマジ!! もう少しでスターライトブレイカーが射てる!」」 「おおお! スゲェ!!」 エキサイトするグレン達を、シャーリーは呆れた眼で眺めながら呟いた。 「小学生か…」 そんなシャーリーの事など意にも介さず、二人はゲーム上のなのはが、ゆりかご内でスターライトブレイカーを放とうするのを夢中で見入っている。 「スターライト―――」 画面内上なのはが、クアットロに照準を合わせて永唱するのに合わせて、二人も唱和する。 「ブレイカーッ!」 なのはの凛とした声を、シャーリーの言う小学生レベルの青年二人組の野太いダミ声が掻き消す。 画面がピンク一色に染まると、グレン達は手の平を叩き合わせて、歓声を上げた。 余韻冷めやらぬまま、幾つも空間モニターが表情されている自分の席に座ったグレンに、シャーリーはフレンジーの信号が映る小型の空間モニターを開きながら 、猫撫で声で言う。 「ねぇグレン? 国家機密を覗いてみたくなぁい?」 次の瞬間、グレンの眼の色がまたしても変わり、シャーリーのモニターに手が伸びかけるが、何かを思い出したかのように手を停めた。 「いやいやいやいやいやいや、その手には引っ掛からないぞ! こないだので懲りたからな」 グレンは誘惑を振り切るかのように目を閉じ、首を横に激しく振るが、動揺しているのは誰の目にも明らかだった。 「あらそう? それは残念ねぇ」 シャーリーはそう言いながら、匆体付けた動作でモニターを消して席を立とうとする。 「待った、待ってくれ!」 グレンは慌ててシャーリーの腕を掴むと、ゲームを一時停止させる。 友達が難詰するような眼でグレンを見ると、肩をすくめて申し訳なさそうに言った。 「悪いが少し席を外してくれないか?」 シャーリーも、両手を合わせて頭を下げる。 「ごめんなさいね」 友達はグレンとシャーリーを交互に見比べると、肩をすくめて言った。 「データはセーブしといてくれよ」 友達が退出すると、グレンは周囲を見回してから、シャーリーに声を潜めて尋ねる。 「機密レベルはどれぐらいだ?」 グレンの問掛けに、シャーリーも声を潜めて答えた。 「あんたに洩らしたのがバレれば、あたしは軌道拘置所送りの後、どっかの管理外世界の無人惑星に永久追放されるレベル」 それを聞いたグレンの表情とリアクションは、一番欲しかった玩具を手に入れてはしゃぐ子供のそれだった。 前へ 目次へ 次へ
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その日、機動六課のメンバーはホテルアグスタに展開していた。 もちろんパーティーを開くためではない。 今日開かれるオークションで レリックが出品される可能性があるという情報を得たからである。 前回の山岳列車襲撃事件を振り返っても この情報を掴んだスカリエッティが動くことはほぼ確実だろう。 彼の動きに備えるため、機動六課はホテルの警備任務についていた。 「ヴィータ、いい加減気持ちを切り替えろ。 そんな状態を続けていてはフォワードの4人にも示しがつかんぞ」 作戦開始前から仏頂面を崩さないヴィータを ウンザリした顔でシグナムが諭した。 時間は作戦の前日に遡る。 山岳列車襲撃事件におけるジルグの単独行動は 当然問題となっていた。 わざわざ演技をしてまで味方を欺いた上での事である。 とはいえフォワード陣のジルグに対する感情は そこまで悪化した訳ではない。 ティアナなどはシャーリー同様「この人はこういう人だから」 という認識で既に諦めの境地に至っており、 スバルは自分達があれだけ苦戦した相手をあっさり退けたジルグに 素直に尊敬の眼差しを向けるようになっていた。 エリオとキャロはやはり「どうせなら初めから自分達と行動してくれれば…」 という感情もあるにはあったが、演技の後とはいえ、 飛行魔法も使えないのにあの高空から移動中の列車の開いた穴に向かって強襲を仕掛けた事は 作戦前に抱いた侮蔑の感情を払拭して余りあるものがあった。 だが隊長陣にとっては『それはそれ、これはこれ』である。 一応現場における直属の上司に相当するなのはなどは 作戦直後とは打って変わって、どのようにジルグと接するべきか悩んでいたし はやては今後の作戦においてジルグをどう扱うかが頭痛の種となっていた。 その状況を本人達以上に苦々しく思っていたのははやての配下であるヴォルケンリッター達 特に現場での暴れっぷりを直接見ていたリインフォースに変わって いまや反ジルグの急先鋒となっていたヴィータである。 もともとヴィータは過去の戦いや事件を通じて、なのはとは特に仲が良い。 そして他のヴォルケンリッター同様、はやてには絶対の忠誠を誓っている。 その二人を自分勝手な行動で振り回して悩ませているジルグは 陸士第108部隊の味方撃ち事件の事を差し引いても許せるものではなかった。 そしてその感情が、ホテルアグスタにおける任務の前日に ついに爆発したのであった。 「あぁ? なんだって?」 ヴィータが険のこもった眼差しをジルグに向けた。 現在は訓練時間中である。 これまでと同様、フォワード陣とは別メニューで 訓練とエルテーミスの調整を行っていたジルグの前にヴィータが姿を現したのである。 最初、ヴィータが姿を現してもジルグは全く意に介せず訓練を続行していた。 『無視された』と感じたヴィータがジルグを怒鳴り声で呼びつけると 初めて存在に気づいたかのようにヴィータの元に歩みを進めるジルグ。 「おいジルグ、前からそうだが上司に対する態度がなってねーな?」 「…………」 普通ならヴィータはこんな事は言わないだろう。 彼女は本来快活明朗な性格だ。 だが今は目の前の男に対する嫌悪感と、そこから派生したイラつきで冷静さを欠いていた。 いつものようにすました顔を崩さないジルグに、ヴィータのイライラはさらに募る。 「毎日毎日デバイスの調整だけじゃ腕もなまるだろ? あたしが稽古をつけてやるよ」 ヴィータがここに来た目的は単純だ。 体育会系にはありがちのかわいがりである。 『早めにこの男の鼻っ柱を折っておかないと、この先もどんどん増長して止められなくなる』 一応、ヴィータなりに六課の今後を考えての行動であり ジルグの元に向かったヴィータを、他のヴォルケンリッターは止めずに黙認した。 だが─── 「お断りします」 この一言がヴィータの機嫌をさらに損ねることになったのである。 「なんだ、ビビってんのか?」 ヴィータの挑発にも、ジルグは眉一つ動かさない。 「まだこのエルテーミスは、分隊長殿を相手に出来るほど使いこなせてはいませんので」 台詞だけなら殊勝である。 だが、笑みすら浮かべた表情で言っても何の説得力もない。 ヴィータからしてみれば『眼中にない』とでも言われていると勘違いしてもおかしくない態度であった。 ジルグ本人としては単純にめんどくさかったから、というのが最初の答えの理由である。 実際のところ、エルテーミスはまだまだ様々な機動を取ることが可能と思っていたし その為の訓練をしているところに、わざわざ分隊長殿がちょっかいを仕掛けてきたのは 甚だ迷惑なことであった。 それに、ジルグは自身の『戦闘技術』に自負を持ってはいたが 『まともに戦う』事になった場合、 なのはやフェイトはもちろん、ヴォルケンリッターにも自身の『戦闘能力』自体は劣ると考えている。 魔力ランクを見れば一目瞭然だがヴィータはAAA+であり、ジルグはA+だ。 隊長陣は普段魔力にリミッターをかけられているとはいえ この世界の戦い方におけるキャリアは、つい最近この世界に現れたジルグの比ではないし シンプルな魔力合戦となった場合、はじめからジルグに勝ち目はない。 だから、実際に敵対した場合ならともかく 今は新しい玩具である『エルテーミス』の調整を楽しんでいるジルグからすれば ヴィータの申し込みは単なる面倒事でしかなかったのだ。 だが、二言目の台詞と自身の態度がヴィータに対する挑発となり、 結果逆上させる事をわかった上で言っているあたり ジルグは自身が認めるように『ガキ』なのだった。 「……これは分隊長命令だ、あたしと勝負しろ。ジルグ」 「了解」 動揺する雰囲気など微塵も見せず、平然と了承するジルグ。 「場所を移すぞ、ついてこい」 そう言ってヴィータが向かった先は…… 「ヴィータちゃん!?」 「よう、なのは。新人どもの訓練も一段落したみてーだな」 突然現れたヴィータとジルグに戸惑った声をあげるなのは。 「う、うん。今終わった所だけどどうしたの? ジルグさんまで連れて……」 不穏な空気を察したのか、なのはの顔に不安の影がよぎる。 「これからあたしとジルグで模擬戦をする。 ジルグもデバイスの調整ばかりじゃ腕もなまるだろうし、新人共にゃいい参考になるだろ。 なのはは立会いと訓練の開始役をしてくれ」 ヴィータの言葉になのははその意図を察し止めようとする。 「だ、だめだよ! ジルグさんのデバイスはまだ調整中なんだし さっきまで訓練してたんでしょ? そんな状態でヴィータちゃんと模擬戦なんて……!」 なのはの抗議は予想のうえだ。 だからこそヴィータは先にジルグの元へ向かったのだ。 「ジルグの方は了承してるぜ」 上官命令として引っ張ってきたのはヴィータだ、ジルグがそれを言えば模擬戦の話は消滅する。 ヴィータはそこを危惧したがジルグは 「そういうわけなのでよろしく」 とあっさりと承諾した。 なのはは未だ渋っているが、本人達はすでに開始位置に歩みを進めている。 フォワード陣も、初対面以外でジルグの戦いを直接見るのは初めてだ。 しかもその相手は、自分達もその力を良く知っているヴィータである。 興味津々の面持ちで開始の合図を待っている。 こうなれば後はなるようにしかならない。 なのはは観念し、せめてジルグが軽傷で終わるように祈りながら開始の合図を下した。 「じゃあ、二人とも用意はいいね?……はじめ!!」 まずはセオリーどおり、ジルグは後方に下がり距離をとりながらライフルをヴィータに向けて連射する。 ヴィータはそれを最低限の動きでかわし、 かわしきれない弾はグラーフアイゼンを盾にして防ぎながら魔方陣を展開する 「シュヴァルベフリーゲン!」 ヴィータの周囲にいくつもの大型の魔力弾が形成され グラーフアイゼンがそれをジルグに向かって打ち込む。 そしてヴィータもジルグへの距離を詰めるべく滑空する。 「……!」 自分に向かって来る魔力弾を冷静にライフルで迎撃するジルグ。 単体の破壊力ではジルグの魔力弾に勝るであろう大型魔力弾の中央を正確に穿つことで魔力を四散させ そしてそのまま向かってくるヴィータにも魔力弾を斉射する。 それを防ぎながらジルグとの距離を詰めてゆくヴィータ。 「さすがに狙いが正確だな、だけど…… 狙いが正確すぎるってことは逆を言えば来る位置が予測できるってことさ!!」 そう叫ぶとヴィータはさらに距離をつめ、 「いくぜアイゼン!」 『Raketenform』 空中に飛び上がり、ジルグに向かって魔力による加速を増したグラーフアイゼンを振り下ろす。 ヴィータの18番であるラケーテンハンマーが唸りをあげて 後方へステップして逃れようとするジルグに襲い掛かる。 「!?」 だが完全に捕らえたと思っていた一撃は空を切る。 ヴィータの一撃が当たる直前に、4箇所の姿勢制御デバイスを全開で前方に出力 瞬間的に後方へ移動することで正に間一髪で必殺の一撃をかわしたのだ。 そのまま間をおかずにヴィータへライフルの攻撃を浴びせるジルグ 「チッ!」 だがヴィータも至近距離から放たれる高威力の魔力弾に対して 怯まず真っ向からプロテクションを絡めたグラーフアイゼンで受け止め、さらに距離を詰める。 確かにジルグの射手としての技量は高い。 だが先程ヴィータも言ったように『狙いが正確すぎる』故に 来るとわかっていればヴィータほどの戦士であるなら 直線移動しかしない魔力弾を防ぐこと自体はそこまで難しいものではない。 誘導弾で後ろから狙われる可能性もあるが 逆を言えばわざと狙いを外した時点でその意図は看破できる。 加えてこの距離はヴィータの間合いである。 銃身の長いロングライフルは近距離においては取り回しが難しく、小回りが利かない。 事実、近距離戦を挑んでからジルグがライフルを発射する回数は激減していた。 ヘタに撃とうとすれば、ジルグ自身には当たらなくとも グラーフアイゼンの重い一撃が銃身の長いロングライフルを破壊するだろう。 そしてジルグは後方に下がって間合いを取ろうとするが、 跳躍補正デバイスは背面にあり後退には使用できない。 後方に下がるには姿勢制御デバイスだけしか使えないのだ。 ギリギリでヴィータの攻撃をかわし続けてはいるものの、完全にジリ貧状態であった。 何度目の事か、僅かに間合いをとったジルグがライフルを構えヴィータに魔力弾を発射する。 だが、その弾道を見たヴィータは勝利を確信した。 狙いはヴィータを外れている、弾道も今までに比べれば僅かに遅い。 焦れたジルグがついに誘導弾を放ったのだ。 これまでは高威力の魔力弾に対し、グラーフアイゼンを盾にした上で プロテクションを発動させる必要があった。 そうでなければ、いかにグラーフアイゼンが頑丈といえどもあの攻撃を耐え切ることは出来ない。 だが、後方から自分を狙うための誘導弾であれば 今この瞬間のプロテクションの発動や防御の動作は不要である。 誘導弾といえどもあの弾速ではヴィータを通り過ぎた後 彼女の背中に着弾するまでには十分すぎるほどの時間がある。 これまで届かなかった『後一歩』の間合いに踏み込める。 ヴィータは一気に間合いを詰め、横薙ぎで仕留めようとグラーフアイゼンを振りかぶった。 「なっ!?」 驚きの声をあげたのはヴィータの方だった。 ヴィータが踏み込むと同時に、ジルグは跳躍補正デバイスを出力させて 一気にヴィータへの間合いを詰めたのだ。 ヴィータの眼前にしてやったりという表情をしたジルグが迫る。 だが、ヴィータとて歴戦の猛者であるヴォルケンリッターの一人だ。 ヴィータはあえてそこで止まらずに、無理やりラケーテンハンマーを振り切ってみせた。 ジルグのいる位置はグラーフアイゼンの柄の部分である。 本来の威力を与えることは当然出来ない。 だが、それでも当たりさえすればジルグに対しては十分なダメージを与える事が出来る。 そして何より二人の距離は近すぎてライフルは使えない。 「でえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇい!!」 その場にいた誰もがヴィータの勝利が決まったと思っただろう。 だが─── 「あ………?」 グラーフアイゼンを振り切ったヴィータの顔面に、ジルグのライフルが突きつけられていた。 フォワード陣は何が起こったのか理解できず、一様に呆けた表情を見せている。 ジルグが何を行ったかを理解しえたのは、 なのはと模擬戦をモニターしていたシグナムとザフィーラだけであった。 「今の模擬戦、どう見る?」 シグナムに尋ねるザフィーラ。 「半分はヴィータの油断だ。だが──」 とシグナムは続ける。 「『普通に戦って』あの男に勝つのは私でも難しいだろうな」 そう言ってシグナムはモニター室を出て行った。 その瞬間に何が起こったのか? 自分に迫るグラーフアイゼンの柄に対し ジルグは姿勢制御デバイスと跳躍補正デバイスの全てを動作させ 身体をデバイスの複雑な出力方向制御のみに任せて 体勢を自身に向かってくるグラーフアイゼンの柄を軸に回るように変化させた。 そして、急激な速度でまるで棒高跳びの如く、柄をなめるようにかわしたのだ。 そのままジルグは左手を地面につけ、逆立ちの状態から右足の姿勢制御デバイスを全開で出力させ ヴィータの脳天に向けて凄まじい速度の蹴りを降らせた。 かろうじて頭への直撃を避けたが、蹴りはヴィータの右肩に叩き込まれる。 思わず片膝をついたヴィータの目の前には 逆立ちでヴィータの肩に蹴りを叩き込んだまま左手一本で自分の身体を支え 右手のライフルを眼前に突きつけているジルグがいた。 誘導弾は跳んでこない、という事はあの魔力弾は誘導弾に見せかけたただの射撃 つまりここに至るまでのプロセスは全て…… 「……ハッ! そ、そこまで!模擬戦終了!!」 我に返ったなのはが慌てて模擬戦の終了を告げる。 後一歩遅かったらジルグがヴィータにライフルを発射していたかもしれない ギリギリのタイミングであった。 「さて、訓練は終了らしいのでこれで失礼いたします。ヴィータ分隊長殿」 軽やかにヴィータの肩に乗せられた足を下ろして立ち上がったジルグは 勝ち誇るでもなくヴィータにその一言を投げかけ、さっさと訓練場を出て行った。 あっけに取られたままのフォワード陣をよそに、なのはがヴィータに近づき声をかける。 「ヴィータちゃん………」 ヴィータはなのはのほうをチラリと見ると再び地面に視線を戻し 「……ごめんななのは。悪ぃけどしばらく一人にしてくれ……」 肩が小刻みに震えている。 相当に悔しいのだろう、なのははそれ以上何も言わずに フォワード陣に声をかけて彼らと共に訓練場から出て行った。 「チクショウ……確かに強ぇ……だけど、あたしは絶対にお前の事を認めないからな……」 心の奥底から搾り出す様なヴィータの声は、訓練場の静寂と共に消えてゆくのだった。 前へ 次へ
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ティアナとスバルがジルグに朝の自主錬への参加を求めてから3日が経った。 今のところジルグは朝錬に来る様子はない。 昨日などは朝食時にスバルの冗談交じりの「何で来てくれないんですかー?」 という言葉に「寝坊した」と冗談とも本気ともつかない顔でジルグは答えていた。 そして早朝の訓練場、今日もティアナとスバルの朝錬が開始されようとしていた。 「さて、そろそろ始めようか」 「そうだね」 「でもその前、にっ!!」 「うわっ!!」 と突然ティアナがスバルを引っ張り横に跳んだ。 直後にその場所を通り過ぎる魔力弾。 「よく避けたな」 物陰からジルグが姿を現す。 「あ、危ないじゃないですかー!!」 とスバルが抗議の声を上げるが無視するジルグ。 「訓練の手伝いを頼んだ時点でこういうケースも予想してましたから」 「なるほど、良い判断だ」 スバルとは対照的に涼しい顔をして答えるティアナ。 「で、俺は具体的に何をすれば良い?」 ジルグの疑問にティアナが答える。 「私とスバルでジルグさんとの模擬戦です。 実力が違いすぎるのでジルグさんからすれば物足りないかもしれませんが 模擬戦を一戦こなすごとにミーティングをして 修正する点やジルグさんが気づいた私達の欠点などを指摘してもらえないでしょうか?」 ティアナの言葉に頷くジルグ。 「手加減は有りでも無しでも構いませんし、それはジルグさんにお任せします。 ……ただ、ミーティングができなくなると困るので二人同時に昏倒させるのは すみませんけど遠慮していただけないでしょうか?」 「わかった、だがこれはどちらかというとなのは教官殿の仕事じゃないのか?」 ジルグの言葉にティアナは少し口ごもる。 「なのはさんは……ある意味優しい所があって あからさまに欠点を指摘してくれるタイプではないですから…… そういえば『高町教官』じゃなくなったんですね」 「この間捕まったときに命令されてしまったからな、今後その呼び方をしたら減給だと」 可笑しそうに笑うジルグを見て、思わずその場面を思い浮かべて噴出しそうになる二人。 「ではお願いします!」 「行きますよジルグさん!!」 「了解だ」 ……一分後、早くも地べたに転がる二人の少女の姿があった。 「…は…はや……」 「……もうちょっと粘れるかと思ったのに……」 「さて、ミーティングを始めるか?」 「は…はい……」 二人は痛む体を無理やり動かしてジルグを加えて三角形になって地面に座り ミーティングを開始した。 ちなみに先ほどの戦闘の経過はこうである。 スバルがプロテクションを発動させながらジルグに突っ込み ティアナはクロスファイアシュートで左右からジルグを攻撃したのだが 後退して射撃するかと思いきや、ジルグはギリギリまでスバルが接近するのを待ち 突如跳躍補正デバイスを吹かして間合いを詰めた。 突然接近してきたジルグに完全に攻撃のタイミングをずらされたスバルは慌てて拳を構えるが ジルグは左手をスバルの肩に当ててフワりと跳躍、スバルの拳は空を切った。 そのまま空中で姿勢を回転させ、ジルグはダガーをスバルの背中に叩き込む。 ジルグが瞬間的に間合いを詰めたことで誘導弾は外れる。 ティアナは次の魔力弾を放とうとクロスミラージュを構えるが ジルグは着地と同時にティアナに向かって射撃 これを回避しながらティアナはシュートバレットを放つが、 かわしたはずの魔力弾が後ろからティアナを直撃。 こうしてあっという間に戦闘は終了したのであった。 「まず敗因は何だ?」 「あたしの場合は……ジルグさんはまず距離をとって射撃戦をしてくると思い込んでたから……かな?」 「あたしはジルグさんの射撃を誘導弾ではなくただのシュートバレットだと思い込んでた……からですね」 二人の言葉に頷くジルグ。 「相手の装備や戦闘スタイル、見た目や思い込みだけで対処を考えるな。 俺の装備は近接戦闘にも対応できるようになっているし 手持ちでなくとも近接戦闘や射撃の手段を相手が持っている可能性は常に頭に入れておくことだ」 真剣な表情でジルグの話を聞くティアナとスバル。 「わたし達の攻撃にも問題があったのでしょうか?」 「様子見の攻撃としては悪くない。 だが、相手もそれに合わせて様子見で済ませてくるとは考えないことだな。 スバルが突然の間合いの変化に対応できなかったのは修正すべき点だろう」 ティアナの問いにジルグが答える。 「漫画やアニメだと最初はお互い様子を見終わって A「これが私の本気です」 B「私はその倍強いです」 A「実は実力を隠してました」 B「奇遇ですね。私もまだ本気ではありません」 A「体に反動が来ますが 飛躍的にパワーアップする術を使わせていただきます」 B「ならば私も拘束具を外します」 A「秘められた力が覚醒しました」 B「私は特殊な種族の血を引いており、 ピンチになるとその血が力をもたらします」 A「覚悟によって過去を断ち切ることで 無意識に押さえ込んでいた力が解放されます」 B「愛する人の想いが私を立ち上がらせます」 ってなるんだけどなー」 スバルの例え話に苦笑するジルグ。 「そんな相手なら実戦では本気を出す前にやられて終わるだろうな」 「ですよねー」 事実あっさりとやられてしまったのでスバルもそれは認めざるを得ない。 「理想を言えば相手に力を出させずに勝つことだ。 力が劣る相手に真っ向からぶつかっても勝てるはずがない。 多対一なら数の優位性を生かして一対一の状況を減らすことで相手の手を詰まらせろ。 逆の状況であれば瞬間的でも構わない、一対一の状況を作り上げろ」 「何とかして不意を突いたり一斉に一人にかかれって事ですか?」 スバルが尋ねる。 彼女の性格上、余りそういうのは得意ではないし、好きでもない。 「正面から戦って勝てるならそれでいい。 だが、それが出来ない場合を考えてこの訓練をしているんじゃないのか?」 「う……」 元はティアナが言い出したこととはいえ、確かにジルグの言うとおりである。 「まぁ地力を付けるのが一番だというのは否定しない。 その為に訓練をしているんだろうしな」 ジルグの癖に至極まともかつ建設的な台詞である。 「そうですね、それはそう思います」 ティアナも頷く。 なのはの訓練に不満があるわけではない。 事実、彼女の訓練プログラムのおかげで自分達の実力は短期間で飛躍的に向上しているのだ。 だがそれだけでは足りない、 どんな相手であろうと多彩かつ意表をつく手で 魔力に勝る相手すら翻弄するジルグの技量を取り入れることは 実力では隊長陣に比べて数段劣る自分達にとって強力な武器となるはずである。 だがジルグの言うとおり、地力を付けるのも大切なことだ。 元々の実力があってこそ搦め手が生きるのである。 その点についてはティアナもちゃんとわかっていた。 だからこそ普段の訓練でなく、自主錬に付き合ってもらっているのだ。 「この調子だと、今日は後一戦か。どうする?」 「「お願いします!!」」 「わかった」 ミーティングは思った以上に長引き、朝食の時間まであと僅かであった。 ……そして予想通り、朝食の時間前にきっちりと二人を叩きのめしたジルグは 「じゃあ先に行く」 と二人に声をかけ、朝食をとりに食堂へ向かうのだった。 「ねぇティア……」 「なに……」 「手加減……してくれてるのかな……?」 「たぶん……ね…」 「朝ごはん……どうする?」 「……あと五分休んだらいきましょ」 「……うん」 そして数日後、今日もフォワード陣は隊長陣を相手に個別訓練を受けていた。 「グッ!!」 「もっと魔力を一点に集中させろ! そんなんじゃ防御の意味がねーぞ!!」 「ハ、ハイッ!!」 グラーフアイゼンの一撃を拳に集中させた魔力で受け止めるスバル。 あらかじめ来ることはわかっていてもその威力はやはり凄まじい。 上からの一撃で足が地面にめり込み、前からの一撃に危うく吹っ飛ばされそうになる。 「どうした! もう終わりか!?」 「ま、まだまだぁ!!」 「よし! もういっちょ行くぞ!!」 「ハイ!!」 別の場所ではなのはの放つアクセルシューターをティアナが必死に迎撃していた。 (数が多すぎる……撃ち落しきれない!!) 至近に迫ったアクセルシューターを回避しつつ何発か撃ち落し、とっさにしゃがみこむ。 「!!」 直前までティアナのいた場所を回りこんでいた魔力弾が通り過ぎる。 「うん、いい判断だよティアナ。 センターフォワードの役割は足を止めて視野を広く持ってみんなを助けること。 目の前の事だけに集中するんじゃなくて常に全体を見る癖を付けて」 ティアナの息が荒い、流石にここ連日のオーバーワークが体に影響を及ぼしているのだろうか。 それに気づいたなのはが気遣わしげに声をかける。 「ティアナ、大丈夫? ちょっと、疲れてるみたいだし少し休憩しようか?」 「いえ、大丈夫です。それに実戦では疲れてるからといって敵が手を止めてくれるわけじゃありません」 「それはそうだけど……」 なのははホテルアグスタの事件以降、ティアナの訓練に対する気の入りように少し危惧を抱いていた。 確かに訓練熱心なのは悪いことではない。 だが、それで体を壊してしまっては本末転倒である。 「一旦一息入れるよ、私も少し疲れちゃった」 にゃはは~と笑いながらアクセルシューターを打つ手を止める。 「……わかりました」 上司にこういわれては流石にこれ以上強情を張るわけには行かない。 ティアナは渋々頷くのだった。 一方、シグナムはその様子を眺めていた。 ティアナ、スバルとは別の場所でエリオとキャロがフェイトから個人スキルの訓練を受けているのが見える。 「シグナム姉さんは参加しないんで?」 ヘリの整備を終えて手持ち無沙汰になったのか、 同じく訓練の見物に来たらしいヴァイスがシグナムに声をかける。 「私の戦い方は古いからな、人に教えるには向かん。 戦法など”届く距離に近づいて斬れ”ぐらいしか言えん」 「ヘヘ、それも凄い奥義だと思いますけどね」 いかにもシグナムらしい答えにヴァイスは笑う。 「そういえば……」 「なんです?」 「お前は最近ジルグとよく話しているようだが、どんな様子だ?」 シグナムの唐突な話題振りに一瞬考え込むヴァイス。 「いや、どうって言われても……別に普通ですよ? 起きる時間が同じくらいみたいなんで洗面所でよく会いますね。 たまにエリオがいる時もありますけど、普通に挨拶してって感じです」 「そうか……」 「? 前から思ってたんですけど、なんか隊長の皆さんジルグに対して神経過敏すぎじゃないですか? 確かに山岳列車の時やヴィータ副隊長に勝っちまったって聞いたときは 俺もびっくりしましたけど」 「そう……そうだな。すまん、さっきの話はしなかったことにしてくれ」 シグナムの言葉に不思議そうな顔をしながらヴァイスは「わかりました」と返すのだった。 「模擬戦?」 「はい、明日スバルと一緒になのはさんと模擬戦を行いたいんです」 「それは……構わないけど」 なのはが口を濁す。 最近のスバルとティアナは明らかにオーバーワーク気味だ。 体調が万全でない状態で模擬戦を行っても100%の力を発揮できるかどうか…… 「では失礼します」 なのはの言葉を肯定ととったのか、ティアナはスバルと訓練所を出て行った。 その夜、ティアナとスバルはジルグの部屋を訪れていた。 「なるほど、しかし勝てるとは思えないが?」 「はい、良くて勝率は5,6割だと思います」 「ティア……」 ならどうして?という言葉をスバルは飲み込む。 なぜティアナが無茶といえるほどの努力を続けてまで強くなろうとしているのか 彼女は知っているからだ。 「で、今話したのが対教官殿の作戦か」 「はい」 「足りないな」 「え?」 ジルグの言葉にティアナは戸惑った声を上げる。 現状ではこれが自分達にできる最善の作戦であると思っているのだ。 「万に一つ成功すれば”勝つ”事はできるかもしれない。 が、おそらくは読まれて終わるだろうな」 「そんな……じゃあ、どうすれば……」 すでに申し込みはしてしまったのだ。 「”勝つ”のではなく”一矢報いる”ならもう一手打てるだろう?」 ジルグの言葉にティアナは考え込む。 自分の魔力… 自分達の作戦… なのはの実力… もし作戦が読みきられたら?… その後自分達はどうなる?… ”勝つ”のではなく”一矢報いる”… 視野を大きく… さまざまなワードがティアナの頭を駆け巡る。 そして…… 「あ……」 何かに気づいたようにティアナの口から呟きが漏れる。 「明日の模擬戦、面白そうだから俺も見物させてもらうとしよう」 他人事のように言うジルグにティアナは敬礼する。 「ありがとうございます! 大変参考になりました!」 そしてスバルの存在すら忘れたように部屋を飛び出してゆく。 取り残されるスバル。 「何があいつをああも突き動かす?」 一人残ったスバルに問うジルグ。 彼が他人の事を聞くというのは極めて珍しい。 「ティアには……死んだお兄さんがいるんです」 ジルグのほうを向くでもなく、淡々と語り始めるスバル。 ティアナにはかつて管理局の一等空尉だった兄がいたこと。 その兄が逃走した違法魔術師の追跡任務中に殉職したこと。 殉職した兄が「能無し」扱いされたことを見返すため、 兄から教わった精密射撃魔法を手に、その力を証明しようと努力し続けていること。 「……なるほど」 自分がその立場だったらどうだろう? 今の自分ならなんとも思わないだろう。 だが幼い頃に父親が死に、「無能将軍」などと呼ばれていたとしたらどう思っただろうか? やはりティアナのように努力を積み重ねて父親を超える将軍になろうとしていただろうか? (意味の無い仮定だな) とジルグは頭に浮かんだ考えを打ち消す。 そしてふと、あの能無しだったらどうだろうか、と考える。 あいつは自分が味方殺しの危険人物であるにもかかわらず そんなの関係ないとばかりに真っ向からぶつかって来るような奴だ。 結局交わした約束を守ることは出来なかったが 『ジルグの死』を奴はどう受け止めたのだろうか? あの大バカはきっとティアナのように馬鹿正直に他者の死を背負い込み、足掻き続けるのだろう。 「……バカな奴だ」 「え?」 「なんでもない。それよりそろそろ眠りたいんだがいつまでそこにいる? それとも一緒に寝るか?」 冗談で言った言葉にスバルは耳まで真っ赤にして飛び上がる。 「い、いえっ! おやすみなさーい!!」 慌ててジルグの部屋を飛び出してゆくスバル。 こういうところの反応は姉のギンガとよく似ている。 その様子を苦笑しつつ見送ると、ジルグはベッドに体を横たえた。 ジルグはティアナたちがなのはに勝てるとは思っていない。 だが、戦いようによっては…… 「確かに一矢を報いることは出来るかもしれないが、な……」 その後どうなるか、ジルグにはなんとなく予想がついていた。 だがそれは彼女達の問題であってジルグの問題ではない。 なるようにしかならないだろう。 こうして波乱を予感させる模擬戦前日の夜は静かに更けていった。 前へ 次へ
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マクロスなのは 第2話「襲撃」その1←この前の話 『マクロスなのは』第2話その2 (*) 30分後 アルトはガウォーク形態のVF-25を、超低空で飛行させながら郊外へと向かわせていた。 管理局の広報担当者曰く、 「例えあなた達の物でも、質量兵器を管理局本部ビルの前に置くのは体面もあり困ります。だから受け入れ先が見つかるまで、郊外の施設中隊のヘリ格納庫に移動してください」 との事であった。 また、今後VF-25は機体自体がシール(封印)されるか、武装が全て撤去されてしまうそうである。 「しかし、魔法の世界とはなぁ・・・・・・」 簡易的な検査によると、俺とランカにもクラスオーバーA相当のリンカーコアが存在することが確認されていて、この世界でも十分やっていけることがわかっていた。 (EXギアなしで空を飛べるのか・・・・・・) この青い空を風を切って飛ぶ自分の姿を想像して内心ほくそえんでいると、レーダーに映る多数の小さな機影を発見した。 そちらの方向をみると、人間ほどの大きさの全翼機、魚でいうエイのような形をした航空機がいた。数は60機ほど。それらは綺麗な編隊を組んで飛んでいた。 (管理局のゴースト(無人機)か?) そんなことを考えるうちにそれらは急降下し、レーザー様のものを撃ち始めた。 (なに・・・・・・?) 驚愕しつつもモニターで彼らの行方を追う。着弾地点はどうやら学校だ。どう見てもそこは軍事基地には見えないし、下で逃げ惑う子供は小学生程度にしか見えなかった。 そこでは警備の者が散発的な対空射撃を行っているが、当たらないのかそれらはびくともしない。 そのゴーストは後に『ガジェットⅡ型』と呼ばれる機体で、速い上にAMFとシールドを展開しているので全く歯が立たないのだ。 防衛側は徐々にそのレーザーに倒れていく。建物に当たってもなんともないところを見ると非殺傷設定のようだが、それは子供に当たれば後遺症を残すに十分だろう。なぜなら彼らはバリアジャケットと呼ばれる装甲服を着ていないからだ。その程度のことははやてやなのは達からこの世界のこととして説明されていた。 いますぐ反転して救援しに行きたい衝動にかられるが、はやて達から厳重に質量兵器(VF-25)の使用禁止命令を受けていたため、あと1歩を踏み出せずにいた。 その時、視点がそのある一点に止まった。運動場の端の小屋からみんなのいる校舎に逃げ込もうとしたのだろう。子供が1人、運動場の真ん中を走りながら横切っていた。 (バ、バカ野郎!小屋にいれば安全なのに!) もちろん思いは届かない。 また、更に悪い事に彼は転んでしまった。それに興味を持ったのか、数機のゴースト(ガジェット)達が子供へと向かい、撃ち始める。 そこに1人の警備員が校舎から駆けつけた。彼は全方位バリア(魔力障壁)を張って子供を庇う。 しかし、ゴースト達は執拗だった。何発も何発もレーザーを撃ち込む。それは無人機が行うのに殺意すら感じられる。 その猛攻は遂にバリアを破り、レーザーが子供に覆い被さった彼の身を焦がす。 その光景はかつてフロンティアを襲った第2形態のバジュラの大群が、そこを蹂躙する光景をまざまざと蘇らせた。それと同時に、恋人を守って宇宙に吸い出されていった親友であり戦友であった者の姿が、その警備員と重なった。 瞬間、彼の中で何かが切れた。 45度傾いていた左手のスラストレバー(エンジン出力調整レバー)をさらに倒して真横に。 するとガウォーク形態だったVF-25は即座にファイター形態に可変した。続いて空力特性を悪くする翼下のフォールドスピーカーをパージ、スラストレバーを押し出しA/B(アフターバーナー)を点火。後ろから蹴られたかのように一気に増速する。しかしその手はコックピット前面の多目的ディスプレイを操作し続け、全ての兵装のプロテクトを解除していく。 多目的ディスプレイに映る兵装モニターが緑色の〝SAFETY(セーフティ)〟の文字から赤い〝ARM(アクティブ)〟という文字に変化する。 そして現場への到着と同時にさっきの2人とゴーストの間をわざと飛び、フレア(赤外線誘導型ミサイル回避用の高熱源体)を数発撒き散らした。 すると、予想通り危険度の優先順位を再設定したゴースト達は、こちらを追ってきた。その数は総数の半分程度にすぎないが、2人が逃げ込むには十分な隙を与えたはずだ。バックミラーで2人の退避を横目で確認すると、一路、海を目指す。 (こんなとこに墜とせるかよ) 下は住宅地。ゴーストが墜ちたらその被害は計り知れない。また、VF-25の装備するFASTパックの追加武装であるマイクロミサイル型HMM(ハイ・マニューバ・ミサイル)は、対バジュラ用のMDE(マイクロ・ディメンション・イーター)弾頭を搭載している。 バジュラの反乱に備えて改良と生産の続くこの弾頭は1発、1発が超小型のブラックホール爆弾のようなものだ。そんなものが万が一外れて民家に当たったら・・・・・・と思うと背筋が寒くなる。 幸い海までは10キロなく、すぐに眼下は青く染まった。 「ここなら・・・・・・!」 呟くと、押し出していたスラストレバーをフルリバースして簡易ガウォーク形態(噴射ノズルのついた足を展開するだけで、腕を省略した形態)に可変して足を前に振り出し、強烈な逆噴射を行う。それによって、従来の戦闘機のエアブレーキとは比較にならない加速度で減速、さらにバックした。 対してVF-25を全力で追っていたゴースト達は当然そんな機構などなく、勢い余って通り過ぎていった。 その航跡を目で追いながらミサイルのスイッチに指をかけると、ゴースト達を流し見る。するとそれに連れてコンピューターが敵にマルチロックオンを掛けていった。そして数にして10強の敵をロックオンレティクルに収めたのを確認した。 「アタァークッ!!」 掛け声と同時に、VF-25のエア・インテーク(吸気口)上に装備されたミサイルランチャーの装甲カバーが〝ガパッ〟と開く。 それと同時に内部のHMMが飛翔していった。 音速を遥かに超える戦闘機やバジュラに対抗する為に作られたこのミサイルは、内蔵するAI(人工知能)によって回避行動をしつつ1機につき3発ずつ、着実に命中した。 炸裂と同時に30もの紫色の異空間が出現し、空間をえぐりとっていく・・・・・・ あっという間に10数機の友軍を失ったゴーストだが、学校からやってきた分隊との合流を果たすと再び向かってきた。 これにはさすがに焦った。 VF-25は単体としてミサイルを搭載していないが、ブースター以外パージしていなかったFASTパックの追加武装によって肩部に38発のマイクロミサイルを搭載している。こちらの圧倒的な力を見せて撤退に追い込もうと思って、その数の4分の3強にも上るミサイルを一斉に使う大盤振る舞いをしたのだが、相手は損害をまったく恐れていなかったようだ。 また、MDE弾頭はお世辞にも安全とは言い難い。大気圏内で空間を抉り取れば、そこにあった大気は当然消滅する。すると気流がめちゃくちゃになり飛行を妨害する。 炸裂と同時に放射される大量のフォールド波の奔流も人体に悪影響を及ぼさないという保障はない。 それらを勘案して残ったミサイルの斉射を見送ると、兵装をチェックする。 「ガンポッドとビーム機銃、あと格闘でしのぐしかないか・・・・・・」 VF-25は再加速して敵に対峙した。 (*) 5分後 残る敵の4分の1を撃破したが、ガンポッドの残弾はすずめの涙となっていた。 撃破した敵に比べて弾の消費が多いのは、ここが大気圏であるせいだった。普段無重力で、ほぼ真空である宇宙での戦闘に慣れているためその修正に多くの弾を割(さ)いてしまったのだ。 また、敵もこちらが完全無欠の質量兵器だとわかったのだろう。エネルギーを防御力に転換するアドバンスド・エネルギー転換装甲(ASWAG)にかかる負荷が先ほどから大きくなっていて、構造維持のキャパシティ確保を脅かしている。これは相手の攻撃が殺傷(物理破壊)設定になったという事だろう。 そして転換装甲にエネルギーを回したため、両エア・インテークの隣(バトロイド時は腰)に装備された2基の『マウラーROVー25改 25mm荷電粒子ビーム機銃』、2門の頭部対空レーザー砲『マウラーROVー127C 12.7mmビーム機銃』も打ち止めだ。 脚部の装甲兼用のコンフォーマルタンクに入った推進剤もこの戦闘機動を続けるには残り少ない。通常飛行なら無尽蔵に存在する空気を圧縮膨張させて推進剤にすれば十分だが、通常の推進剤を使えば推進力は空気に比べて約6割アップする。またVF-25の各所に装備された高機動スラスターを作動させるにも推進剤は必要だ。自らを数倍する敵にあたるには推進剤に頼る他に選択肢はない。 しかし、ガンポッドに残る弾同様、推進剤はほとんどなくなってしまっていた。 「おっと!」 敵の激突覚悟の特攻攻撃に、ファイター形態のまま可変ノズル基部に装備されたスラストリバーサを吹かして急減速。そのままバトロイドに可変して肩すかしを食らったゴーストに射角を調整すると、『ハワード GU-17V ガンポッド』を一斉射。装填されていた対バジュラ用58mmMDE弾で大穴を空けて撃墜した。 しかしその機動でほとんど空中に止まってしまったことにより、ゴースト達は集中砲火を浴びせようと反転してくる。だがそれを甘んじて受け入れるほど馬鹿ではない。 即座にガウォークへと可変していたVF-25はその場から滑るように急速に離れ、こちらの動きについて来れなかったらしい1機のゴーストをバトロイドに可変してマニュピレーターで鷲掴みにする。 そして真後ろからこちらを追尾してきた3機のゴーストに向き直ると、フリスビーのように投げてやった。 金属同士がぶつかり合う鈍い激突音。 3機は密集していたため即席フリスビーは見事ゴースト達の追尾を阻止していた。続いて止まったそれらをガンポッドで照準、スリーショットバースト(3点射。3発だけ連続で撃つ事)を行う。しかし58mmMDE弾の狭い炸裂範囲に4機全機を見事に巻き込んでこれを海の藻屑とした。 だがその戦果に満足することなくすぐにファイターへ可変し、位置を変えた。次の瞬間にはその場所を敵の集中砲火が覆った 周囲を警戒しつつガンポッドに残る残弾を確認。 (もう持たないな・・・・・・) さきほどのフリスビー戦法も拳やコンバットナイフを用いた肉弾戦も加速や制動の多いせいで推進剤を大量に消費する。かといってガンポッドは残り1秒ぐらい全力で斉射すれば無くなるほど弾が欠乏していた。 (残った推進剤を全部注ぎ込んで一気に戦線離脱するしかないか・・・・・・) と思い始めた時、陸の方から飛んでくるものがあった。目を凝らすと、人が音符のような杖を持ち、編隊を組んで空を飛んでいる。ようやく管理局の空戦魔導士のご登場らしい。 「ほんとに新・統合軍みたいに遅いやつらだ」 フロンティアのそれを思い出して呟く。そしてそれゆえに内心気が気でなかった。空戦魔導士部隊を擁する地上部隊は新・統合軍とは似た苦境であるという。そして統合軍はバジュラに手も足も出なかった。だからどうしても彼らが統合軍と重なって見えて、 「あいつらにゴーストが落とせるのか?」 と心配になった。 その結果はすぐ出た。 ゴーストに対して魔力ビーム(砲撃)による攻撃が行われるが、AMFによって出力を下げられ決定打にならない。そこで魔導士達は2人1組になって1機に同時に着弾させる事によって初めて撃墜することに成功した。なるほど、その技量はなかなかのものだ。しかし、いかんせん数が足りなかった。 速度もゴーストの方が速く、5~6機撃墜したあとその機動力で連携を崩され、逃げ惑うばかりになった。 「・・・・・・やっぱりか」 仕方なく虎の子のミサイル8発を、彼らの後退を援護するように全弾発射。必要なくなったミサイルランチャーをパージする。 この援護によって魔導士のほとんどが敵の追尾を逃れたが、1人だけ孤立してしまった魔導士の少女がいた。 彼女は他の魔導士のように飛ばず、足元に道を展開しつつその上を走るように移動する方法をとっていた。 また、敵を撃破するときも魔力弾や魔力ビームでなく、直接殴って撃破するという珍しい戦い方をしていた。それゆえ1人でも撃破率は高かったが、移動方法は効率が悪く、MDE弾頭の起こした気流の激変に煽られて逃げ遅れたらしい。 周囲は彼女を助けようと援護するが、彼女は周囲の敵の数に翻弄されて動けなかった。 (*) 彼女の名はスバル・ナカジマといい、今回の出撃は有志だった。なぜなら通常スクランブルするはずだった空戦魔導士達はさっきまで労働争議をやっていて、疲労のため使い物にならなかったからだ。 彼女は『ミッドチルダ防衛アカデミー』と呼ばれる管理局員を養成する学校の3年生である。 防衛アカデミーの推薦を獲得した彼女は、最後の実習地として『本局第1試験中隊』と仮称で呼ばれているはやての部隊を彼女の親友と共に志願していた。と言っても教官からは難しいかもしれない。期待しないでくれ。と言われていたが・・・・・・ まだ実績もない、難しいと言われる部隊であることに級友たちが敬遠する中、彼女がそこを強く志望した理由は簡単だった。それはガイドブックの教官の欄に、彼女の尊敬する「高町なのは」の名があったからだ。 (最後にもう1度、なのはさんに会いたかったなぁ・・・・・・) 時折ベルカ式魔力障壁を越えてくるレーザーに身体を焼かれる痛み。それは徐々に彼女の気力を奪っていき、観念しかけていた。 しかしその時、ノイズ混じりの念話が入った。 『(させるか!)』 どこだと思い発信源を辿ると、こちらを援護してくれていた質量兵器からだった。それは機関砲を乱射しながらこちらに突撃してくる。そして自分のすぐ隣を擦過していった。 よく見れば、質量兵器はその間にいた航空型魔導兵器を全て蹴散らしていて、そこにはぽっかりと切り開かれた道があった。 (チャンス!) 即座に自身の移動魔法『ウィングロード』を開けてもらったその包囲の穴に高速展開し、その上をインラインスケート型の簡易ストレージデバイスで駆け抜けていく。 しかし、そこに1機の航空型魔導兵器が体勢を立て直し、立ち塞がる。 (ここで止められてたまるか!!) カートリッジを2発ロード。その間もレーザーが身を焼いたが、かまわず最高速で走りながら篭手型のデバイスを着けた右腕を振りかぶる。 「一撃、必倒!ディバイィン、バスタァァーーーーー!!」 右腕から発射されたゼロ距離の魔力砲撃は、粗いながらも強靭な破壊力を見せ、シールドを貫通。それを粉砕した。 その後抜け出るまでの包囲の穴の保持は友軍と、いつの間にかロボットに変形した質量兵器がやってくれたらしい。 それ以上詳しい事は分からなかった。なぜなら抜け出すと同時にさっきとは違う念話が入ったからだ。 『(総員直ちに射軸上から退避してください)』 それは聞き覚えのある声だった。同時に出現したホロディスプレイの射軸線を頼りに発信源を辿ると、地上の海岸線だった。果たしてそこには巨大な魔力球が集束されつつある。それはオーバーSランクレベルの魔力砲撃を示唆していた。瞬間、誰もが射軸上から逃げ出す。 自身も友軍に肩を貸されて退避しつつ、あの魔力球に不思議な懐かしさを覚えていた。桜色の魔力光。あの声。そしてSランクの魔導士。それらは1本につながった。 「(あれは、)なのはさんだ!」 その名を叫ぶのと、なのはが発砲するのは同時だった。 空を切り裂く一条の桜色の光は、あやまたずガジェット達に突き刺ささった。そしてそれらの展開するシールドを易々と貫き、その3分の1を一瞬で叩き落とした。 スバルはそれを神を見るかのように見つめ、次の瞬間にはやってきた傷の痛みと安心感で意識を喪失した。 (*) 少し離れたところで、ガウォークに可変してそれを眺めていたアルトは驚愕した。 ガンポッドに残る全弾を注ぎ込んで管理局の魔導士を助け、機体の通信システムのプロテクトをスルーして出現したホロディスプレイの退避要請に従って退避してみればこのビーム砲撃だ。 VF-25のセンサーによると、VF-27『ルシファー』の重量子ビーム砲と比べても、見劣りしない数値を叩き出していた。 (いったいどんな兵器だ?) そう思い、モニターで発砲地点の倍率をあげる。するとそこには、自身の特徴的な杖から大量の煙を出し、構えを解いた高町なのは一等空尉の姿があった。しかし彼女の顔は先ほどまでランカと談笑していた少女の顔ではなく、歴戦の戦士の顔がそこにあった。 (*) その後残るゴーストの掃討は彼女の参加で拍子抜けするほどあっけなく終わった。 (*) 気づくと私は寝かされていた。全身が痛みに悶えるが、なんとか目を開けてみる。はたして視界には青い空。どうやらまだ外らしい。しかし素手で触った寝床の感触は布だった。 そして見回してみると、ここは海岸で自分は救急車に乗るために担架に乗せられていたようだ。というような状況把握がどうでもよくなるような光景があった。 「なのはさん・・・?」 おもわず救助隊員に簡単に負傷場所と理由を説明していたらしい彼女の名を呼んでしまった。 「ん? 大丈夫だった?」 なのははこちらの意識が戻ったことに気づいて、こちらへやってきた。それだけで全身の痛みを忘れてしまうほどパニックに陥ってしまった。 私がなのはを尊敬し、憧れる理由。それは6年前の事故がきっかけだった。 その日デパートに家族と出かけていたが、運悪くはぐれ、これまた運悪く火災にまかれてしまったのだ。 この時まだ幼かった私を救助に来たのが、当時出世街道を順調に登っていたエース。高町なのは二等空尉だった。 記憶に残る彼女の姿は凛々しく、カッコよくて、それ以来なのはに憧れ続けた。 私はクラスAのリンカーコアを持っており、成績も主席、次席クラスと、極めて優秀だったため、再三再四 「次元宇宙で働かないか?」 と本局の誘いが来た。しかしそれを全て断り、わざわざミッドチルダを守る道を選んでいた。それは陸士部隊の部隊長である父や、同じく陸士部隊に籍を置く姉の影響もあったが、同じぐらいに大きくなのはの存在があった。 それほど自分の人生を大きく左右した憧れの人が目の前にいる。 パニックに陥るには十分な理由だった。 『は、はい!いえ、あの、高町教導官・・・・・・一等空尉!』 痛みを忘れたといってもやはり無理に動けば痛いもので、上体を起すことが精一杯。しかもその痛みとパニックでなのはに関する知識がこんがらがり、状況に合わない「教導官」という役職が出てしまった。 しかし彼女はそんな小さなことを関しないかのように答える。 「なのはさんでいいよ。みんなそう呼ぶから。・・・・・・6年ぶりかな?大きくなったね。スバル」 「!! えっと・・・あの、あの・・・」 「うん。また会えて嬉しいよ」 その笑顔を伴ったセリフと、頭に置いてくれた手は反則的なまでのスピードで私の心に深く染み渡った。おかげで涙腺が瞬時に決壊。止まらなくなってしまった。 そんな私をなのはは、救急車に担架と共に搬入し、担架の横にある席に座りながらながら根気よく落ち着くのを待ってくれていた。 (*) 海岸にはなのはの要請した救急車が待機している。そこには先ほどの傷の酷かった魔導士の少女が担架に乗せられて救急車に搬入された。 しかしなかなか搬送されない。様子を見に行こうにもガウォーク形態で着陸するVF-25の周りには先ほどの空戦魔導士部隊が質量兵器使用でこちらを警戒するように配備されているため動けない。それでも理由を知りたくなったアルトは、高感度指向性マイクを照準した。 すると少女の声に混じり、なのはの声が聞こえてきた。 ―――――――――― 『私のこと、覚えててくれたんだ』 『あの・・・覚えてるって言うか・・・・・・あたし、ずっと、なのはさんに憧れてて・・・・・・』 『嬉しいなぁ。バスター見て、ちょっとびっくりしたんだよ』 『んあっ!』 〝ガタッ〟という、その救急車を大きく揺らすほどの彼女の驚きは、 「なんだ元気そうじゃないか」 と、彼女を心配していたらしい周囲の魔導士達に笑顔をよんだ。 『す、すみません。勝手に・・・・・・』 『うふふ。いいよ、そんなの』 『え、でも、その・・・・・・』 『まぁ、確かに独学で使うには少し危ないかな。これから〝私が見ていてあげられる〟から、一緒に頑張っていこうね』 『はい!・・・・・・え!?』 『ふふ。隊員さん、この子の搬送、よろしくお願いします』 『了解しました』 ―――――――――― なのはを降ろした救急車は一路、病院へと走っていった。 (*) その後、VF-25に関する事情がなのはの口からその場の空戦魔導士部隊の隊長に説明された。 そしてなのはが責任を持ってVF-25を格納庫までエスコート・・・・・・と言えば聞こえがいい。しかしそれは見かけだけだが、機体をバインドする強制連行になった。 これは 「『質量兵器は禁止』という主張を堅持するための体面的なものだろう」 と、たかをくくっていたアルトはその後質量兵器、とくにD(ディメンション・次元)兵器の使用について(「次元震が起こったらどうするんや!」とかで)はやてから恐ろしいお叱りを受ける事になるが、それはまた別の話である。 (*) 現場から少し離れたビルの屋上には、事件のすべてを見ていた1人の人影があった。 「またあの子達?まったく恐ろしい程の悪運ね」 彼女は普段のキャリアウーマン風の緑色のスーツに身を包み、呟く。 いつもならここで遠いい所から見ている〝彼ら〟が茶々を入れる所だが、今彼女は時空どころか次元おも通り越してしまっている。そのため、いかがフォールドクォーツを使用した精神リンクと言えど繋がらなかった。 「まぁ、その方が面白いわ。健闘を祈るわね。フロンティアと、ミッドチルダの皆さん」 転送魔法が行使される。そして彼女、グレイス・オコナーのいた痕跡を何一つ残す事なく、いずこかへ消え去った。 次回予告 踏み出した歩み。 彼らを待つものとは――――― 次回マクロスなのは、第3話『設立、機動六課』 ミッドの空に、彼らは何を描くのだろうか? シレンヤ氏 第3話へ
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フェイト・テスタロッサ&ランサー ◆lHaWUMA7LM 「……」 「……」 無言。 音と呼べるものは、カチャリ、とナイフとフォークが食器に触れる音ぐらいなものだ。 少し年嵩のいった女は感情の読めない表情を貼り付けたまま、小さく切り分けた料理を口に運ぶ。 金色の髪を側頭部で二つに縛った童女は、隠し切れない動揺と喜色を努めて隠そうとしている。 カチャリ、カチャリ、と。 音だけが響く中で、しかし、童女は現状を受け入れている。 女が童女に激情をぶつけてこない日は珍しい。 ましてや、食事を共にするなど、それ以上だ。 「……どうかしら」 「え?」 年嵩のいった女『プレシア・テスタロッサ』は、やはり感情の見えない言葉を発する。 童女『フェイト・テスタロッサ』は、その意図が読み取れずに 「味は……料理なんて久しぶりにしたから」 「その……」 「昔は、よく作ってあげていたけど……美味しい?」 言葉とは裏腹に、ひどく興味の薄い様子だった。 それでもフェイトにとっては稀な、大げさに言ってしまえば、夢の様なことであった。 何が正解なのかを考えつつ、言葉を探る。 しかし、このような出来事に『慣れて』いないフェイトにとっては最適解の経験がない。 ゆっくりと考えたフェイトは、怯えるように声を出した。 「美味、しい」 「そう」 「また、作って欲し――――」 フェイトが言い切る直前、半ば被せるようにプレシアは言葉を紡いだ。 やはり、興味のなさそうにカチャカチャと、小さな音を立てながら。 「昔は苦手だったのにね」 「……え?」 プレシアは、やはり興味のなさそうに、ナプキンで口を拭う。 フェイトはプレシアの言葉を理解できず、口をつむぐ。 そんなフェイトの様子にすら気を取られず、プレシアは言葉を続けた。 フェイトに言葉を与えながら、その感情はフェイトに向かっていなかった。 「根菜が苦手なのね……体質的な問題なら考えたけど、単なる好き嫌いで。 だから、調理の仕方について色々と考えては見たけど、ダメなものはダメだったわ」 「……」 プレシアは自身の言葉がどんな意味を持っているのか理解しながら、しかし、何の躊躇いもなくフェイトへと告げる。 フェイトはその言葉の意味を理解できずも、脳に宿った記憶情報の曖昧な部分が痛みを発し、口を鎖す。 それは言葉を発することを辞めただけでなく、食事を摂ることも止める行動だった。 プレシアはもう一度尋ねた。 「美味しい?」 「……」 「ゆっくり食べなさい」 カチャリカチャリ、と。 音だけが響いた。 ◆ フェイト・テスタロッサは、プレシア・テスタロッサの実の娘ではない。 プレシア・テスタロッサが腹を痛めて、自然出産によって産んだ娘ではない。 アリシア・テスタロッサこそが、プレシア・テスタロッサの実の娘である。 「今から、貴女には聖杯戦争に参加してもらうわ」 「えっ……?」 プレシアの言葉にフェイトは虚をつかれた。 ジュエルシードの回収を命じられ、未だジュエルシードは揃っていない。 その最中に出会った少女との関係も、未だ曖昧なまま。 何も成し遂げておらず、心には自身も理解できない歪な想いだけが残されている。 「あの、ジュエルシードは……?」 「……貴女が考える必要のないことよ、フェイト」 プレシアは決してフェイトに本心を伝えようとしない。 フェイトもそれを知っている。 ジュエルシードは重要なものなのだろう。 それでも、ジュエルシード以上の物を見つけた、と言ったところか。 あるいは、ジュエルシードの索敵こそが時空管理局の目眩ましなのか。 目眩まし、といえば、全てが目眩ましなのだろうか。 本当の目的は聖杯戦争であり、万が一にでも時空管理局の介入を避けるために、ジュエルシードを用いた。 超のつくロストロギアであるジュエルシードならば、これ以上とない目眩ましだ。 先ほどの時空跳躍という大魔法の行使によって、大きな動きは当分ないと思っているはずだ。 正しく、機会は今なのかもしれない。 フェイトに様々な疑問がよぎるが、その疑問を口にすることは出来なかった。 「媒体は用意してあるわ。貴女は儀式を行えばいいだけ」 そう言って、プレシアはフェイトに手渡す。 触れ合った際に感じた手の温度は、ぞっとするほどに冷たかった。 手渡されたものは、次元固定された胎児のような形をした何か。 ジュエルシードとは異なる聖遺物であった。 遺失された世界――――あるいは書き換えられた世界に残されたもの、ロストロギア。 その聖遺物の名は白き月、『第一使徒アダム』である。 「始まり、あるいは、終わりを求めれば、誰もがその部屋に辿り着く」 「……?」 「ガフの部屋、そこに至るまでの道……今はまだ……」 すべての魂が生まれ、すべての魂が還るとされている空間の例え。 なぜ、今、その単語を口にしたのか。 フェイトは訝しみながらも、その意図を尋ねることは出来なかった。 フェイトはプレシアを愛している。 しかし、同時にフェイトはプレシアを恐れていた。 心の壁がフェイトとプレシアを確かに隔てている。 ◆ 「素に少女と杯。礎に使徒と契約の大公。祖には光の始祖アダム。 そびえ立つ十字には白雪を。四翼の天使は堕ち、白より出で、黒に染めし星を収束せよ」 「閉じよ(みたせ)。閉じよ(みたせ)。閉じよ(みたせ)。閉じよ(みたせ)。閉じよ(みたせ)。 繰り返すつどに五度。 ただ、満たされる刻を補完する」 「―――――Anfang セット 」 「――――――告げる」 「――――告げる。 汝の身は我が剣に、我が命運は汝の仮面に。 聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ」 「誓いを此処に。 我は生命の実を摂る者、 我は知恵の実を捕る者。 されど汝はその貌を獣に覆いて侍るべし。汝、衝撃に囚われし者。我は汝を祖とする愛し子――。 汝、死海を導く始祖、黒き月へと至れ、白き罪人よ―――!」 ◆ 「至らなければいけない……」 聖杯戦争におけるサーヴァント召喚の痕跡を眺めながら、プレシアはふらふらと歩き始めた。 プレシアの目的は、真に『魔に至る法』。 現在プレシアやフェイトたちが行っている魔法は、『魔を展開する法』。 この二つには大きな違いがある。 法を土台にして扱う術である後者に対して、前者は法そのものを扱う。 科学が物理法則を塗り替えることが出来ないように、後者は法を覆すことは出来ない。 言ってしまえば、後者の魔法は奇跡ではない。 前者は、まさしく法を塗り替えるものだ。 「……ッ!」 瞬間、プレシアの身体が震える。 喉を震わせ、口内から血が吹き出る。 時間がなかった。 崩壊に近づいているプレシアの身体。 それでもなお、ジュエルシードを放棄し、フェイトを聖杯戦争へと向かわせた。 己の目的のために、己の悲願のために。 『人類補完計画』 『天の杯』 『プロジェクト・F.A.T.E』 そのどれでもあって、そのどれでもないもの。 あるいは、流転する魂からの乖離。 あるいは、喪失した魂のサルベージ。 神をも否定する、始まりの魔法――それは彼女が求めた運命の夜。 『第一の魔法――― 魂のルフラン 』 ◆ 「……」 少女を精製し、少女性を確立し、少女を聖杯へと至らせる聖杯戦争。 フェイトは聖杯戦争参加の正しき手順を踏み、その正しさ故にこの聖杯戦争では異端となる参加者へと至った。 「……貴女が、私のマスター?」 そこに居たのは、白雪のような少女だった。 白い肌は雪原のようで、薄い青に染まった髪は青空のようで。 だからこそ、真っ赤な真っ赤な、血に染まったような槍が目を引いた。 感知の類に秀でているわけでもないフェイトでもわかる、超級の神秘を保持した槍だ。 「貴女が、私のサーヴァント?」 「……ランサーのクラス」 フェイトの問いに、少女、ランサーのサーヴァントは短く応えた。 ステータスは、低い。 ひょっとすると、対人戦闘においてはフェイトの方が秀でている可能性もある。 それでも、絶望や失望に似た感情を抱かないのは、やはり槍の存在。 その槍は、絶えずフェイトの目を惹く。 神秘とは、まさにその槍のことを言うのだろう。 「貴女の願いは、なに?」 儀礼めいた問い。 フェイトも感情の表現に長けた存在ではないが、ランサーはその比ではない。 心と呼べるものはないのではないかと、勘違いしてしまうほどだ。 「……願いは」 ふと、その答えを口にしなければいけないことに躊躇いを覚えた。 それでも、フェイトは一度だけ喉を震わせただけで、その願いを口にした。 ある意味ではフェイトの願いであり、フェイト自身の望みではないもの。 「母さんの、幸せ」 「……」 ランサーはその白さをそのままフェイトへと向ける。 あらゆる色を感じさせない、白さだった。 「その答えが、貴女の願い?」 「……」 「もう一度、きっと尋ねる時が来る。 貴女が、聖杯 ??? に願いを託すとき」 そのまま、ランサーと視線がぶつかった。 白雪のような、ある種の不気味なものを感じさせるランサー。 奥底の見えない言葉を紡いでいく。 フェイト自身も咀嚼できない、曖昧な記憶の答えを、真実を知っているのではないか。 そう思わせるような、不思議な少女だった。 「私 ?? は、貴女にもう一度、願いを尋ねるわ」 ランサーのサーヴァント『綾波レイ』の不可思議な瞳に。 フェイトは視線を逸らすことが出来なかった。 【クラス】 ランサー 【真名】 綾波レイ@新世紀エヴァンゲリオン(漫画) 【パラメーター】 筋力:E 耐久:E 敏捷:E 魔力:B 幸運:D 宝具:EX 【属性】 秩序・中庸 【クラススキル】 対魔力:EX 心の壁であるA.T.フィールドによって隔絶されている。 A.T.フィールドを中和しない限り、綾波レイに対して攻的な魔術で干渉することが出来ない。 【保有スキル】 A.T.フィールド:- 誰もが所有している心の壁を物理的な障壁として現界させたもの。 A.T.フィールドは中和されない限り、あらゆる攻撃を隔絶する。 一定の衝撃を超えることで貫くことも可能ではある。 誰もが持つものであるため、このスキルに神秘としてのランクは存在しない。 【宝具】 『残酷な天使の運命(ロンギヌス・オリジナル)』 ランク:A++ 種別:対使徒宝具 レンジ:2-5 最大捕捉:5人 人の魂と生命に干渉して『卵』、すなわち、『ガフの部屋』あるいは『英霊の座』へと強制的に還す力を持つ槍。 地球の生命体の始祖である第一使徒アダムと第二使徒リリスを拘束した槍、それ自体が生命である神造兵装。 他の宝具と同様に、真名を解放しない限りは能力は発揮されない。 『心よ、原始に戻れ(サード・インパクト)』 ランク:EX 種別:補完宝具 レンジ:1.083 207×1012 km3 最大捕捉:3,500,000,000 アダムとリリスが融合することで、自身の系譜である地球上の生命体の心の壁を破壊させる。 レイの魂であるリリスが持つ、A.T.フィールドを消滅させるアンチA.T.フィールドの力である。 心の壁を融解させることは人と人の垣根である、魂の入れ物である身体を喪失させることである。 すなわち、自身の心と他人の心を区切るための身体を消滅させ、『現代の多様な人類』を『原初の海』の形にする。 A.T.フィールドが隔てている心を持っている限り、この宝具からはどのような存在であろうとも逃れることが出来ない。 【weapon】 『ロンギヌスの槍』 A.T.フィールドを貫くアンチA.T.フィールドとしての特性を持ち、転じて、あらゆる魔術障壁を貫く神秘を持っている。 【人物背景】 汎用人型決戦兵器人造人間エヴァンゲリオン『EVA零号機』のパイロット、ファーストチルドレン。 ほとんど感情を表に出さず、寡黙で常に無表情だが、感情の表現の仕方を知らないだけである。 当初は育ての親とも言える『碇ゲンドウ』にのみ心を開いていた。 が、『碇シンジ』と出会ったことで彼とも絆を深めていき、次第に様々な感情を見せ、自我といえるものが芽生えていく。 あらゆることに対しての『経験』がなく、浮世離れしたところもある。 その正体はシンジの母親でありゲンドウの妻でもある『碇ユイ』と『第一使徒アダム』のハイブリットクローン。 何らかの原因でレイが死んだ場合、魂を多数のクローン体の新しい肉体に移し変えることで復活する。 その際に記憶はリセットされ、また、学んできた感情も白紙に戻る。 魂は『第二使徒リリス』のものである。 また、レイが心の奥深くにいるリリスと会話したり、地下の磔にされている肉体だけのリリスと会話する場面も存在する。 そして、魂が移され綾波レイになったことで、リリスだった頃の記憶はほぼ持っていない。 綾波レイとしての肉体が長く保てないのは、本来の自分の肉体ではないからとされている。 レイはリリスとしての己を取り戻し、アダムと結びつくことで『人類補完計画』を発動させた。 A.T.フィールドが喪失し、あらゆる心と心が一つになった。 その世界の中でシンジに願いを問いかけた。 その後、補完世界は再生され、人類は元に戻った。 ただ、地面に量産型EVAが十字架のように突き刺さり、 綾波レイは人としての形を喪失させ、ただ、降り積もる白雪としてシンジたちを包んでいる。 ちなみに、A.T.フィールドは超電磁スピンで壊せる。 【サーヴァントとしての願い】 綾波レイはある種の願望器の一つであり、碇シンジの願望器としての役目を果たしている。 そのため、明確な自身の願望を持たない。 【基本戦術、方針、運用法】 ロンギヌスの槍は強力な宝具だが、レイ自身の基本的にスペックが低いために直接戦闘には向かない。 サード・インパクトさえ発動してしまえば、その際にはマスターであるフェイト自身の意識も飲み込まれてしまう可能性が高い。 【マスター】 フェイト・テスタロッサ@魔法少女リリカルなのは 【参加方法】 コーディングされた第一使徒アダムを媒体とした儀式。 【マスターとしての願い】 母の願いを叶えるために、聖杯を持ち帰る。 【weapon】 『バルディッシュ』 「闇を貫く雷神の槍、夜を切り裂く閃光の戦斧」 インテリジェント・デバイス。 魔法の行使を補助する、発動の手助けとなる処理装置、状況判断を行える人工知能も有している。 意志を持つ為、その場の状況判断をして魔法を自動起動させたり、主の性質によって自らを調整したりする。 その上、人工知能を有しているためかインテリジェントデバイスは会話・質疑応答もこなせる。 待機状態におけるペンダント状のスタンバイフォーム、中距離状態における戦斧型のデバイスフォーム 、 近接戦闘特化した鎌状のサイズフォーム、ある一つの魔法に魔力を向ける槍型のシーリングフォームがある。 【能力・技能】 『魔導師』 魔導師として高い適正を持ち、一桁の年齢でありながら上位階級であるAAAクラスに匹敵する才能を持つ。 高い機動力を生かした中~近距離戦、射撃と近接攻撃を得意としている。 特にスピードは現時点でも本作登場の全キャラクター中で最速と言えるレベル。 また、彼女の攻撃魔法には雷を伴うものが多い。 回避力に優れる一方、防御にはやや難ありで、バリア出力はあまり高くない。 本人曰く、「速く動くこと、動かすこと」「鋭く研ぎ澄ますこと」は得意だが同時発動や遠隔操作は苦手とのこと。 『魔力変換資質』 魔法によるプロセスを踏まず、魔力を別のエネルギーに変換する事が出来る能力。 本来魔力によるエネルギーの発生には魔法というプログラムによる組み替えが必要とされるが、この資質を持つ者は魔法を介さずにエネルギーを発生させる事が出来る。 その代償なのか、この資質を持つ魔導師は純粋な魔力攻撃は不得意になる傾向があるようだ。 フェイトは魔力を電気に変換する資質を持っている。 【人物背景】 ジュエルシードの探索を続けていたなのはの前に現れた魔導師の少女、9歳相当。 「魔法少女リリカルなのは」のもう一人のヒロイン。 長い金髪をツーテールにまとめているのが印象的。 また、バリアジャケットはもとより、普段着も黒を基調としていることが多い。 母親のプレシアに言われるままにジュエルシードを集めるために地球へ現れる。 同じくジュエルシードを集めていた高町なのはとは幾度も戦いを繰り返した。 その正体は、母であるプレシア・テスタロッサが娘のアリシア・テスタロッサを失った哀しみから創りだしたクローン。 記憶も転写されており、アリシアそのものとなるはずが、実際は利き腕も魔導師としての資質も人格も異なっている。 そのため、プレシアからは失敗作と心中で憎まれている。 高町なのはとの戦闘を重ねて、意識していなかった記憶の曖昧な部分となのはの真摯な想いで動揺が積み重ねっている。 一期9話後からの参戦。 【方針】 聖杯戦争を優勝する。 BACK NEXT -016 シルクちゃん&ランサー 投下順 -014 江ノ島盾子&ランサー -016 シルクちゃん&ランサー 時系列順 -014 江ノ島盾子&ランサー BACK 登場キャラ NEXT Happy Birthday! フェイト・テスタロッサ&ランサー(綾波レイ) 000 前夜祭 018 ふ・れ・ん・ど・し・た・い