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表紙の折り返しコメント 藤真拓哉 この度は、「魔法少女リリカルなのはvivid」第2巻を購入していただきましてありがとうございます。 4期シリーズとして始まった「リリカルなのはVivid」、皆様の応援のおかげで2巻も無事出すことが出来ました。 これからもよろしくお願いします! この2巻からはオフトレ編がスタート、3日間の様々な出来事の中でヴィヴィオとアインハルトの2人がどのように成長していくのか、注目です。 またこの巻から出てくる《新技》も楽しんでいただけたら嬉しいです^^ それでは本編をお楽しみください!「魔法少女リリカルなのはVivid」第2巻はじまります。 都筑真紀 無闇に作家歴が長い分、すでに相当な数の「主人公」を生み出しているはずの自分ですが、 ヴィヴィオほど明るくて屈託ゼロな主人公って初めてだな、って事に、ついさっき気がつきました。 そんなヴィヴィオは今後も曲がる事なく、リリカルでマジカルにがんばっていく予定です。 帯の武内崇のコメント 可愛いはもちろん正義。だけど、正しいだけでは勝てない戦いがある!可愛く、しなやかで頼もしい!これが最先端の熱血魔法少女活劇!! 長谷川光司のあとがきコメント コロナいーですよね。 いよいよ2巻ですねぇ。すっきりした線と柔らかい質感が大好きです。この先の展開も楽しみにしてますですよ。 長谷川光司先生から応援コメントをいただきました。 あとがき 2巻です。合宿編です。 相変わらずゆるっとまったり、時々懸命路線で進んでいっております。ところで制作秘話というか、ViVidのもう一人の主人公、アインハルトが生まれたいきさつとか。 娘TYPE誌上での「Force」は新規主人公で「重大事件」を描くストーリーとして、コンプエース誌上の「ViVid」はヴィヴィオが主人公であんまり重くならない話。 ここまではあっという間に決まったのですが、実は一番最初の企画段階では「スポーツ格闘」のラインはまだ存在しておらず、 「ヴィヴィオメインの学園&ホームコメディもの、時々事件」くらいの方向性で考えていました。 そんな叩き台状態で組んだストーリープロットは、まだ格闘技やスポーツの要素はそれほどなく、 ヒロイン役として置いていたキャラも、「無口系で受け身型で謎多きヒロインだけど、実は戦闘力が高くて、 主人公(ヴィヴィオ)と闘う事になる」というくらいしか決まっておらず、かなりふんわりしていました。 でも、そんな叩き台状態のストーリープロットを見てくれた藤真先生が、初回打ち合わせの時に「ちょっと描いてきてみました」 と見せてくれた「少女」が今のアインハルトでした。 頂いたその「少女」の絵からはすぐに今の設定や「ViVid」が目指す作品ジャンルやストーリーラインが出来上がっていって なんだかかなりあっという間に今の「覇王っ子」アインハルト・ストラトスが完成しました。 2巻では大分、素の天然度合いも披露されてきてヴィヴィオとの会話やかけあいは、書いていてとても楽しいです。 そして成長過程まっさかりのヴィヴィオや生まれたてのクリスはもちろんとして、アインハルトも「作中で育っていく子」だったりします。 過去と向き合ったり、前を向いたり上を見上げたりしながらヴィヴィオやリオコロ・周りの大人達と一緒にアインハルトも日々育っていきます。 のんびり見守っていっていただけたら嬉しいです。 都筑真紀 追記…いろんな人に「いったい何があったの?」と心配(?)されたルーテシアですが 特に何もありません。もともとこんな子です。 アギトあたりに言わせると「性格変わった」という印象すらないらしいです。「そういえば声が大きくなったかな」くらいで。 藤真です。「魔法少女リリカルなのはViVid」1巻の発売から半年、ついに2巻が発売になりました!! これもたくさんの応援をしてくれているみなさんのおかげです。 ツイッター、ミクシィ、ブログ、はがき、とても暖かいコメントを本当に、本当にありがとうございます! いっぱいの元気を頂いていますよ!! さて、この2巻からはオフトレ編スタート!ということでたくさんのキャラが登場し、ますます賑やかになって来ました。 ついにヴィヴィオの友達、リオ、コロナもバリアジャケット姿をお披露目。 次巻ではヴィヴィオ、アインハルトとともになのはやフェイトにどう立ち向かっていくのか、ますます 白熱するバトル 合宿を楽しんでいただければと思います(笑)! たくさんのキャラといえば少し前、都筑先生に、「ViVid 好きに書いちゃってますが作業量とか大丈夫ですか?」とおっしゃて頂きました。もちろん大丈夫です!! 藤真も全力全開で楽しく描かせていただいてますよ!だって「せーの!」で12人全員変身ですよ! 藤真のテンションも上がるというものです(笑)。これからもテンションアップでがんばりますっ!! そして3巻ではなんと、限定版が出ます!「ヴィヴィオのねんどろいどぷち」が付きます! 祝!ヴィヴィオ初ですよ!!この本が発売している頃には予約が始まっていることと思いますので こちらのほうも合わせてよろしくお願いしますね! では、また3巻でお会いしましょー! 2010.06 藤真 拓哉
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ロリコンとは何か? 辞書的な意味ではロリコンとは、幼女や少女に対して抱く男性の性的嗜好、もしくはそういった性癖を持つ人物の事を意味する。 おそらくこの少女の求める答えはこういった明確な意味の回答なのだろうが、果たしてこの事を告げるのはなんとも憚られた。 というより………、 (なぜそのような事を聞いてくる? 一体何があったんだ?) 思考の海にいくら沈もうと答えは出ないし、もちろん状況を打破する事もできない。 窓の外に見える夕日は、そんな彼の姿を嘲笑うかのように悠々と沈んでいった。 リリカルなのはARC THE LAD 『第二話:ミッドチルダの車窓から(前編)』 「なかなか見つからねぇな………」 情報端末を操作しながらエルクはつぶやいた。 場所は自分のアパートの一室。 窓からは朝日が差し込み手元には自分で淹れたコーヒー。 一見清々しい朝の風景のようだが、当の本人は大分疲れた様子である。 普段は勢いよく立ち上がっている髪も、心なしか幾分萎びている様であった。 その原因は昨日受けた依頼にあった。 今エルクは二つの依頼を受けている。 その内の一つであるお届け物、その届け先のティアナ・ランスターの情報を得ようとしているのだがなかなかうまくいかない。 「もっと詳しく言ってくれよな………」 生憎会話する時間が少なすぎて分かるのは唯一名前のみ。 一応依頼者であるティーダと呼ばれていた男から、取り上げたまま持ち帰ってしまったデバイスが有るには有るが、知性型ではなかったため専門の機材がないと情報を得られない。 そのため悪いと思ったが依頼品の手帳の内容を見て、おそらくティーダと兄妹の関係にあるであろうと判断し今検索しているのだが、普段使い慣れていないエルクには大変な重労働であった。 というのも、複数の次元世界の情報の集積地であるミッドチルダの電子の海は途方もなく広大であり、まるで砂漠に落ちた針を探すような徒労感ばかり募ってゆくからだ。 こういった類のものは専門の情報屋に頼るのが一番であるが、荒事専門であったエルクにそんな知り合いは殆どいない。 (シュウならこういうのに詳しいんだが、今はもう一つ依頼があるからなぁ………) どうしたものかと悩ませていると、不意に部屋のドアの開く音がした。 「あの………、おはようございます」 「キュクルー」 現れたのはエルクの受けているそのもう一つの依頼の依頼主である桃色の髪の少女と銀の幼竜。 依頼内容は彼女達の保護である。 「ああ、おはよう。えっと………キャロだったっけ? 起きてすぐに悪いんだが詳しい話を聞かせてくれないか?」 昨夜空港で軽く話を聞いた際にエルクが知った事は、彼女達の名前と管理局に無理やり連れ去られたという事。 この時点で先程の黒服達の話を思い出したエルクは、彼女の依頼を受けてとりあえず自宅に保護したわけだが、事の詳細を聞く前に気が抜けたのか彼女らは寝入ってしまったのだった。 「詳しい話ですか? 何を言えばいいんでしょう?」 「どうしてさらわれたのか、その経緯を教えてくれないか?」 「経緯、ですか………」 エルクの言葉を受けると、少し顔を俯かせながらキャロはポツリポツリと言葉を紡いでいった。 まるで思考を過去へと遡らせるように、世界が変わった、そのときの事を。 ◆ 第6管理世界、その一地域であるアルザス、ここでは古くから竜が神として祭られてきた地だ。 その信仰の恩恵なのか力があるから信仰していたのかは定かではないが、この地では竜を呼び出し使役する「竜使役」という力を持つ者が少なからず存在している。 少数民族「ル・ルシエ」、その中に生まれたキャロもまた、特殊な力が使えるという事を除いては他と全く変わらない普通の子供であった。 ただし、その力は自身が持て余すほどに強大で、あまりにも暴力的であった。 他とは一線を画す力を周囲の人間は、黒き竜の力、災いを呼ぶ力として恐れ拒絶した。 伝統や慣習に縛られ、柔軟な発想のできない彼らには、キャロを受け入れるだけの心のゆとりなど存在しなかったのである。 しかし、唯一祖父だけは神に近い巫女たる力だと庇ってくれていた。 そのおかげもありキャロは祖父ヨーゼフの庇護の下、他者の思惑に触れることなく健やかに育っていった。 だが永遠のものなどなく、祖父により守られてきた平穏はやがて、ある日突然終わりを告げる。 その日はいつに無い快晴であり、吹き付ける涼やかな風に、キャロは今日もきっといつもと同じ穏やかな一日が過ごせると思っていた。 肩には自分で孵した竜フリードリヒを乗せ、祖父の洗濯の手伝いをしていた時、不意に空が陰ってきた。 不思議に思い見上げた空、そこには天を覆うようにして浮かぶ鋭利な形状をした巨大な無機物。 キャロは今までこのような存在を見たことは無かったが、何か良くないものが来たような気がしてならなかった。 「キャロ、中に入ろう、何か嫌な予感がする」 祖父もキャロと同じ気持ちだったのだろうか、キャロに呼びかけると隠れるように家の中へと入っていった。 そして、それからしばらくしてのことである。 「お邪魔するよ」 声のした方を向くと、そこに居たのは入り口に立つ長老と、見慣れぬ幾人かの黒服の男達。 「長老、いったいどうしたのじゃ?」 「………この娘です」 祖父の問い掛けには答えず、長老は黒服達をキャロの方へと促した。 男達は無言で家に入ってくるとキャロの周りに機材を並べ始める。 「なんじゃ、お前達は、何を………?」 詰め寄ろうとする祖父を長老は手で制した。 「二人だ。この数が何を意味するか分かるか?」 「何の話を?」 「ヨーゼフよ、彼ら異郷の者達は竜使役の力を求めている。もう二人連れて行かれた、これ以上長老として我が民の犠牲は出せん」 「長老、まさか………」 「一番力の強いキャロを差し出せば、もう我らに構うことも無いだろう」 「まさかそんな理由でキャロを売ったのか? あれだけ虐げておきながら犠牲になれと!?」 瞬く間に次々と積み上げられていく機材に、やがてキャロの姿が見えないほどになった。 「おおー! こ、これはすごい。ここを見てください。この少女の能力は未開発ながら、こんなに高い数値を示しています。全く素晴らしい………、使えますよこいつは」 「待て、この子に何をするつもりだ!?」 「じじい、邪魔するな!」 祖父は長老の制止を振り切り歩み寄るが、それは黒服に突き飛ばされ叶わなかった。 「おじいちゃん!」 キャロは悲痛な声を上げ近寄ろうとするも、黒服に抑えられて動けない。 黒服の一人は祖父に近寄ると、上から見下すように冷酷に告げた。 「何をするかだと? ふん、貴様には分らないだろうが言ってやろう。こいつは管理局の兵士として新しき人類となるのだ。このガキも恒久の平和の礎となれば本望だろうよ」 「おじいちゃん! おじいちゃん!」 「グルルルル!」 キャロはなおも祖父に駆け寄ろうとし、そんな彼女の不安な心を反映してかフリードは黒服の一人に飛び掛る。 しかし………、 「勝手に動くな」 黒服がつぶやくと同時、突然現れた光の輪のようなものに共に拘束されると、一切の身動きが取れなくなった。 そしてそのまま追い立てられるように、キャロ達は家の外に連れ出される。 非難の声を上げようとした時、キャロはふと横に居並ぶ人達に気付きそちらを見た、見てしまった。 道の脇に佇みじっとこちらを見てる大人たち、彼らのキャロを見る目は連れ去られる事に対する同情でも哀れみでもなく、――安堵である。 やっと余所者が消えてくれる、そんな様子で皆止めようともせず、連れ去られようとするキャロをただ眺めていた。 まるで他人事、連れ去られようとするキャロには何の関心も払いはしない。 その光景を見たくなくてキャロは目を閉じた。 だが、代わりに耳に入ってくる大人たちの囁きは、自分の想像を確信させるものでしかない。 このときになってようやくキャロは自分が嫌われた存在であり、部族の一員として認められていなかったのだと判った。 そしてそのまま、深い悲しみの中で住み慣れた村から連れ出されたのだった。 ◆ 「そうやって連れ出された後、いろんな研究所に移されて何度も検査を受けました。そして昨日、また別の施設に移されるために次元を超える船に乗せられて、空港に着いたら急に建物が揺れて………」 「その隙に逃げ出して俺と出会ったってわけか」 「はい。………村の外で優しくされたの初めてだったから、すごくうれしかったです」 痛々しい表情のキャロを見て、エルクは何とかしてやりたいと思う。 「じいさんの所へ帰りたいか?」 だが、その言葉にキャロはさらに表情を曇らせてしまった。 「………いえ。おじいちゃんに迷惑を掛けてしまいそうですから………」 「そうか………」 強大な力を持つというだけでキャロを忌避していた村である、その排斥は当然祖父にも向かっていただろう。 戻れば必ず迫害される、それ以前にそもそも村に再び受け入れるかも疑わしい。 それに逃げたとなれば、元の村に当然さらった連中の手は伸びる。 強引にさらうような奴等だ、庇えば何をしてもおかしくはない。 加えて、別世界の移動には必ず管理局の厳しい目が入るのが通例だ。 にもかかわらず奴等が検査を素通りしたという事は、管理局の名を騙る犯罪組織などではなく、管理局の裏の顔であると考えられる。 管理局に関する黒い噂は今まで幾つか聞いたことがあるが、所詮噂の粋を出ないものに過ぎないと思っていた。 しかしこうして本人から聞くと、それらの噂も事実ではないかと勘繰ってしまう。 表向きの正義と大義を盾にした、この非人道的な事がどれほど管理局の深くに組み込まれているかは判らない。 もちろん理念ある局員が殆どだとは思うが、やはり管理局との接触は出来る限り避けたい。 そのため管理局に頼み込むという、まっとうな方法では別次元には移動できなくなった。 となるとキャロを元の世界に帰す選択肢が選び難い今、これから彼女を安全に保護する方法はミッドチルダ内、それも管理局の影響の薄いところに行くしかないだろう。 だが、そういった場所は大抵治安が悪い廃棄都市か、そもそも住めないような極地である。 当然そんな所でキャロのような少女が暮らしていく事は極めて難しい。 「だったらキャロが安心して暮らすには、ギルドが幅を利かせている所に行くのがいいな」 「そんな所あるんですか?」 「ああ、俺の知り合いが居るインディゴスって所でな、少なくとも管理局にまた捕まる事はないと思うぜ」 エルクが知る限りで条件を満たす場所は、知人の住む町しかなかった。 そこも特別治安の良い所ではなかったが、ギルドが取り締まっている分いくらか安全である。 おまけに情報を得るのにも都合が良い、問題を一挙に解決できる方法だ。 「そんな所があるなら行ってみたいです」 「そうと決まればさっさと行こうぜ、早ければ早いほど追手は来難いだろうし」 そこで話を打ち切ると二人と一匹は支度を始める。 ただ目的地へと向かうだけ、簡単な旅となるはずだ。 ◆ 夜とは対照的に昼の大通りは活気に溢れている。 その通りの発端、行きかう人波の中心、それがレールウェイの駅である。 そこには凄まじい人だかりが出来ており、その中にはエルク達の姿もあった。 「凄い人数ですね。お祭りでもあるんですか?」 「休日ってのもあるが、昨日空港が焼けたせいだな」 エルクは切符を注文しつつキャロの質問に答える。 休日を利用して遊びに来ていた者は意外と多かったらしく、人の群れの中には旅行鞄を抱えた者が多数見られた。 「そういえばエルクさんの荷物はどこに行ったんですか? 色々用意してたみたいですけど」 エルクは服の上から暑苦しそうな外套を纏っているだけで、先刻まとめていた手荷物の類は見当たらなかった。 「服にいくつか収納スペースがあるんでそこに入れてるんだ」 動きやすいしな、と付け加えてエルクは改めて人波を見つめる。 異常な人数に、大変な時期に重なったものだと苦笑すると、キャロが迷わぬように注意しつつ駅へと進んでいった。 「………なんですか………コレ」 「キュゥ………」 エルク達が今居る駅のホーム、ソレは彼らの目の前に確固として鎮座していた。 大型輸送リニア『グラウノルン』。 古代の巨大列車と同じ名を冠すこのリニアは、その名に恥じぬ巨体に威厳を纏い、まるで見るもの全てを威圧しているようであった。 路線に対して不釣合いのサイズではあるが、そんな見た目の鈍重さとは裏腹に、最新の魔法技術とAI制御により、そこらのレールウェイ等より遥かに速い。 「こんな馬鹿でかいリニアは他に無いだろうから、驚くのもまあ無理ないな。とりあえず中に入っちまおうぜ」 おっかなびっくりなキャロの手を引きエルクは車内へと進む。 内部は当然のごとく広く、通路は二人並んでもまだ人とすれ違えるほどであり、両脇に並んだ個室と壁に施された質素な装飾は、照明と相成って柔らかで落ち着いた印象を受けた。 そんなホテルの様な車両の中ほど、そこにエルク達の座席があった。 部屋の前後には大きくゆったりとしたソファーが備え付けられており、中央に置かれたテーブルには鮮やかな装飾が成されている。 高級な席であることは一目で判るほどに明らかだった。 「あの………、エルクさん」 「なんだ? 腹でも減ったか?」 「いえ、そうじゃなくて………、まあ、確かにお腹は空きましたけど」 「じゃあなんか頼むか」 車内通信で食事の注文を始めてしまうエルクに対し、キャロは急いで訂正する。 「そうじゃなくて、こんな高そうな所でいいんですか?」 「ああ、その事か。今日は人が多かっただろ、そのせいでこういう席しか空いてなかったんだ。くつろげなかったらゴメンな」 「い、いえ! そんなことないですよ」 キャロが急いで否定するとほぼ同時、大きな音でベルが鳴り響く。 出発の合図だ。 ◆ 坦々と流れてゆく都市区画のビル群を横目に、エルクは先程運ばれてきた料理に手をつける。 だが正面に座るキャロは、何かを考え込む様にじっと皿を見つめていた。 横でフリードが物欲しそうにして肉料理を眺めているのだが、それも全く目に入っていないようである。 やがておずおずと顔を上げると、エルクの方を申し訳なさそうな顔で見上げた。 「どうして………ここまで良くしてくれるんですか? わたしは何のお返しも出来ないのに………」 「もしかして、さっきからずっと黙ってたのはその事を考えてたからか?」 エルクが手を止めてキャロの方を見ると、キャロはその通りだと言わんばかりにコクコクと頷いていた。 「んー、なんていうか俺も似たような境遇だったからかな」 「似たような境遇?」 「俺も六年前にシュウ―――これから行く所にいる人なんだが、そいつに拾われたんだ」 「エルクさんが………ですか」 「ああ。傷だらけで、昔の記憶全部無くしてて、シュウに出会ってなかったらのたれ死んでただろうな。だからもし自分と同じように行き場を失くした奴が居たら助けてやろうと思ってたんだ」 「そうですか………」 キャロは少し気兼ねしたようにしてエルクを見る。 「記憶無いんですか?」 「まあ、無くても生活に困らないからな。とりあえず冷めないうちに食事を終わらせようぜ!」 その場の気まずさを払拭すべく努めて明るく言うとエルクは食事を再開し、キャロもそれに習いようやく手をつける。 始終おとなしかったフリードはいつの間にか一皿勝手に平らげており、コロコロした玉のようになって満足そうに横になっていた。 しばらく黙々と食べ進め一段落したとき、思い出したかのようにキャロはエルクを見上げた。 「聞いてなかったんですけど、シュウさんって人もハンターなんですか?」 「ん? そうだぜ、俺にハンターの技術を教えてくれた人だ」 「ハンターってどういう仕事なんですか?」 「色々あるが俺がするのは大体荒事だな。指名手配犯の捕獲や依頼人の護衛、あとは最近急に増えてきた危険なモンスターの対処ってのもある」 エルクの答えにキャロは少し不思議そうな顔をする。 「モンスターって何ですか? 動物とは違うんですか?」 「モンスターってのは他時空からの外来生物、それも人間を襲う奴のことだ。魔法を使ってくる奴もいるから魔導師である俺達が処理するしかないんだ」 「処理って事は、やっぱり殺しちゃうんですか?」 少し悲しい顔をしてキャロが見つめる先には、幸せそうに寝転がるフリードの姿があった。 「………モンスターは次元移動なんて出来ないから、ミッドに居るのはペットや実験体として人間に連れてこられた奴らばかりさ。本来は被害者だが人間に危害を加える以上駆除するしかない」 すっかり暗くなった雰囲気にエルクは、話題を間違えたと今更ながらに思い顔をしかめた。 キャロは閉鎖された村に住んでいたというだけあり、何にでも関心を示し質問してくる。 話題に困らないのは良いが、どう答えてもキャロが喜んでいるようには思えなかった。 そもそもエルクはまだ一度もキャロが笑うのを見たことが無い。 感情の豊かなはずの年頃にもかかわらず、キャロの表情は老成しているかのように変化に乏しい。 ここまで感情を押し込めてしまうほどにキャロを傷つけてきた周囲への怒りで、エルクはなんとかしたいという思考は全て空回りしている様に感じるのだ。 楽しそうな話題を探してふと窓の外を見ると、車外の風景は画一的だった都市から無秩序に繁茂した緑の山々へと変わっていた。 「そうだ、ミッドの風景でも見てみないか? このリニアには確か展望台があったと思うし」 キャロがコクリと頷きフリードを抱きあげるのを見て、エルクも立ち上がり先導するように通路へと出た。 少しはこの雰囲気が払拭される事を望んで。 ◆ エルク達がしばらく歩いて行き着いた先、行き止まりとなる扉には貨物室と表示されていた。 「道を間違えたか?」 「反対側じゃないんですか?」 ろくに案内も見ず進んだせいである。 引き返そうと思ったとき、エルクは何か違和感の様なものを覚えた。 「妙だな」 「どうしたんですか?」 「防犯用レーザーセンサーが切られてる。これじゃ盗んでくれって言ってる様なもんだ」 いぶかしみ扉に軽く触れると僅かに開いた。 それと同時に何かを漁る音、くぐもったうめき声が漏れ聞こえてくる。 明らかに変だという思いから、エルクは隙間から内部を覗き込んだ。 荷物の積まれた棚の並んだ先、そこに数人の人影が見える。 中央には警備員と思われる数人が縛られて転がされており、その周りで四人ほどの男達が荷物を漁っていた。 (どう見ても強盗だよな………) ならば止めるべきとデバイスに手を伸ばしたが、急に強盗らしき男達の一人がこちらに向かって歩いてきたので、急いでキャロを連れて脇に隠れることにした。 入れ替わるようにのこのこと扉から出てきた男、エルクの中では既に強盗確定だが、その理由ぐらいは知っておくべきだと思う。 なぜなら、このリニアはかなり強力なセキュリティーを搭載している。 それを打ち破るにはそれなりの人員と機材が必要だった。 ただの物取りが狙うには割りに合わないのである。 エルクは極力気配と足音を消し、素早く滑るように男の面前へと飛び出す。 相手は驚いたような顔をしたが、もちろん声を出させるような隙など与えず、強烈なボディーブローを叩き込んだ。 抵抗するだけの気力を失った相手を暗がりに連れ込むと、後は極めて簡単である。 少しデバイスをちらつかせるだけで易々と口を割り、聞いてもいないのに全てを話す男。 そして………。 エルク達の今回の旅は簡単な物から一転して、厄介な事へと変わってしまった。 戻る 目次へ 次へ
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コメント欄です 感想や応援メッセージなどをお気軽にどうぞ(無名コメントも可能です) more than meets the eye! コメントを作るのが流行っているようですので、私も作成してみました。 何でもご自由にどうぞ。 デストロン圧倒的にTUEEEEE!!!ブラックアウトやメガザラックでこれ程のものとなると、一体メガ様はどれだけ強いのか・・・ -- 名無しさん (2008-11-27 12 41 58) 毎回楽しみに読ませて頂いてます。映画版第二弾の予告編も公開されたことですし、これからの展開にも期待しています(なのは達とサイバトロンの共闘は早く見てみたい!!)。 -- 名無しさん (2009-02-03 16 16 23) 管理外世界に基地作ってしかも現地人が出入りしてるってどうなの? -- 名無しさん (2009-07-27 19 35 11) 更新ありがとうございます!ゆっくりでいいので続きを待ってます! -- 名無しさん (2009-08-04 01 14 43) オートボットvsディセプティコンの戦いが早く気になる -- 松本真 (2009-08-16 18 04 38) 超科学VS魔法!強いのはどちらか非常に気になります。 そしてこの物語面白すぎです! -- ナナシ (2009-08-25 22 28 02) 更新待ってましたよ!完結するまで頑張ってください! メガ様が暴れる姿を早くみたいです。 -- 名無しさん (2009-11-27 23 02 46) オートボット軍団無しかw 万年人員不足の管理局じゃどうしようもないですね、 驚いたのが異性人が居るのは書きにくいのでは?と思いました。 -- YUU (2010-01-18 02 26 20) バンブルビーはアリサの愛車になってるっぽいけど、どーやってミッドに行くんだろーか? -- 名無しさん (2010-01-22 06 08 12) メガ様の復活思ったよりずいぶん早いんですね。これからも楽しみにしています! -- 名無しさん (2010-01-24 16 22 33) 毎回変わったオリキャラが出て来るんですね、 元ネタは知らないのも多いですが、独特のこだわりが感じられます。続きも楽しみにしてます。 -- 名無しさん (2010-04-03 15 25 49) メガトロン様復活で突然テンションあがって来た。 映画版はともかく、声は脳内アニメ版吹き替え余裕だぜ。 -- 名無しさん (2010-04-30 10 08 03) 魔法少女スバル無双、始まってます -- 衝動物 (2010-05-01 00 16 40) アニメも始まったことですしこれからも楽しみにしています! -- 名無しさん (2010-05-12 01 59 21) ボンクラやダブルフェイス等、映画ではチョイ役に終わったキャラがしっかり救済されていてとても嬉しいですね。自分が大好きなジェットファイア(本作の呼び方ではスカイファイヤー)爺さんもこの調子で大活躍させてほしいですww -- 名無しさん (2010-06-25 21 14 58) 数か月間ずっと更新まってました!オートボット速く来てー! -- 名無しさん (2010-08-10 21 49 42) 思ったんだけど、管理局が掲げてる「質量兵器の排除」って、 デストロンから見たら自分達を皆殺しにするって言われてるのと同じなんだよな。 オートボッツが来ても、管理局は質量兵器がどうとか言って、彼らにも攻撃しかけそうだけど…。 -- 名無しさん (2010-08-24 00 56 42) ↑デストロンじゃなくてディセプティコンの間違いだった -- 名無しさん (2010-09-06 17 39 58) 映画版TFとなのはのファンである俺には最高のクロス作品です!! とりあえずスバルがボーンクラッシャーと張り合ってるってのが驚き・・・ まぁ、そうでもしないと管理局側の負けは決定だもんな、この戦力差(--;) アリサのバンブルビーがいつ活躍するのか楽しみです!! -- 名無しさん (2010-10-03 17 27 52) スタースクリームが次回大活躍しそうな予感。魔導士だけで何処まで頑張れるか、またオートボットは助けに来てくれるのか。個人的には来なくてもいいけど。 -- なに和 (2011-03-22 00 34 57) 更新をはやく(^-^)/ 続きをみたい -- か (2011-06-12 21 39 25) バンブルビーの活躍を今か今かと待ち続けております〜 -- 名無しさん (2011-08-23 03 41 56) 「オプティマスプライム見参!!」と思いきや「コンボイ」だった… 次回はオートボット(サイバトロン)軍団が「トランスフォーム!ロールアウトッ!!」するんですね? 果たして『オールスパーク』は何処に? -- 名無しさん (2011-11-02 08 40 27) 劇場版最終作「TFダークサイドムーン」のBD買いました。 シリーズを見て思うのは、「劇場版TFは皆脆過ぎる」でしょうか 何はともあれこちらの作品も応援しております -- 名無しさん (2012-01-06 21 41 26) コンボーイ!! -- 名無しさん (2012-01-30 12 20 39) 続きが気になります!! 更新何時頃? 最後に一言、 コンボーーイ!!! -- 名無しさん (2012-04-26 23 28 25) メガトロンに栄光あれ。 グロリアスメガトロン!!! -- ナス (2012-04-27 20 09 50) 更新されてたのに今きずき読みました。 ショックウェーブとかは出ますよね? 更新待ってますよ! -- 名無しさん (2013-03-19 03 34 24) 面白そうな小説発見!全部みた結果 面白い よく見れば更新が止まってるみたいだが しかし続きをお待ちしてまする! -- アカサタナの助 (2018-09-21 06 37 42) 気持ち悪すぎる 文章いきが中学イキって書いたみたいな恥ずかしさがある オタクがキモイと言うより、オタクに属してる人間って気持ち悪いんだなと思わせる作品 ほんと気持ち悪いし下手くそ こういうやつってつかいもしないのにあやたらと難しい単語だけ知ってるのがより気持ち悪い -- 名無しさん (2022-08-08 04 23 32) 名前 コメント ページに戻る
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桜高屋上 唯「あっ、きたよー!」 MUGI「シュゴーーーーー」 律「うわっ!でかっ!!」 梓「見た目もまんまムギ先輩ですね…」 澪「ひいぃぃぃ…」 『みんなー聞こえるー?』 唯「あっ、ムギちゃんの声だ!」 紬『これがメカムギちゃんだよ』 唯「すごーい!かっこいー!」 律「ムギー、私達も乗せてくれないかー?」 紬『ごめんなさい…これ一人乗りなの…』 律「ちぇー」 梓「ていうかいいんですか?寄り道なんてしてて」 紬『あっ、いけない!そろそろ行かないと!』 唯「頑張ってねー!」 MUGI「ゴゴゴゴゴ…シュドーーーン」 オペレーター「MUGI、進路戻しました」 佐々木「なんなんだ一体…」 麻生「頭が痛い…」 デデデッデデデッデデデデデデデデデー♪(ゴジラのテーマ) ゴジラ「アンギャアアアオェ」ゴーーーー 東京タワー「」ドカーン ゴジラ「ギャアアオ」ゴーーー スカイツリー「」ボカーン ゴジラ「アンギャアアオェェェ」 紬『そこまでよ』 ゴジラ「!?」 MUGI「シュゴォォォ……ガシュウウン」 佐々木「ついにメカムギちゃんの初陣ですな」 麻生「うむ……」 ゴジラ「グゥルル……」 紬「わぁ…本物のゴジラ!初めて見た!」 紬「…って喜んでる場合じゃないわ。やっつけないと!」 紬「えーと、ここを押すと…」ポチ MUGI「ドントコイデス!!」 ゴジラ「!?」 佐々木「……」 麻生「……」 紬「次はこのスイッチ!」ポチ MUGI「ウイーン、ウイウーン」 MUGI「プクプクプク」パタパタ ゴジラ「!?」 佐々木「……」 麻生「……」 紬「次はこれね」ポチ MUGI「ウイーン」 ガシャン MUGI「」コポコポコポ 佐々木「な、なんだあれは」 麻生「巨大なティーセット…?」 MUGI「オチャガハイリマシター」 ゴジラ「!?」 MUGI「」ブン バシャアアアア ゴジラ「ギョアアアア!?」 麻生「お、おお…?き、効いてるぞ!」 紬「うーん、ここは肉弾戦でいったほうがいいかも…」 MUGI「」ガシャンガシャン 紬「えっと…パ、パンチ!」 MUGI「」ポカ 紬「キック!」ポケ ゴジラ「…」 紬「そんな!全然効いてないわ!」 ゴジラ「アンギャアアアアオェェェ!!」ゴバーーーー 紬「きゃっ」 MUGI「ボカーーーン」 佐々木「なっ!?」 麻生「お、おいなんだあいつ滅茶苦茶弱いぞ!?」 MUGI「ギギギ」 紬「いたた…。どうしよう、まるで歯が立たないわ…」 ゴジラ「アンギャアアアオェェェ」 麻生「あん……の眉毛親父ッ!!デタラメな設計しやがって!ポンコツじゃないか畜生!!」 ゴジラ「アンギャアアアアア!!」 紬「きゃあああっ!!」 佐々木「まずい!やられる!」 麻生「くっそぉぉ……!」 ゴジラ「」ゴバァァァーーー 『そこまでです!』 ゴジラ「!?」 佐々木「な、なんだ!?」 麻生「あ、あれは…UFO!?」 紬「あ、あなたは一体…」 『紬さん、大丈夫ですか?』 紬「その声は…!」 紬「憂ちゃん!?」 憂『遅くなりました。もう大丈夫ですよ』 紬「ど、どうして憂ちゃんがここに…。それにそのUFOは…?」 憂『今まで隠してましたが……』 憂『実は私、X星人だったんです』 佐々木「な、なんだってーーー!?」 麻生「な、なんだってーーー!?」 紬「X星人!?じゃ、じゃあまさか唯ちゃんも…」 憂『はい、X星人です。X星人の女はみんな同じ顔…。私とお姉ちゃんがそっくりなのも、それが理由なんです』 紬「そうだったの……」 憂『我々X星人は、ゴジラを倒すために地球人には内緒で対ゴジラ兵器を開発していました』 憂『そしてこれがその兵器…』 憂『その名も、メカオネエチャン!!』 フイイィィン… 麻生「なっ!?UFOが変形していく!?」 ウイイイーーーンガシャーン… YUI「ウーーーイーーー」 ゴジラ「!?」 YUI「アーーーイーーースーーー」ズボァァァァァ!!! ゴジラ「グゲェェェェ!?」ドカーン YUI「うん」 YUI「たん」ズゴゴゴゴゴゴ ゴジラ「グギャアアアア」 ゴジラ「」 紬「やった!勝ったわ!」 佐々木「…やりましたな」 麻生「あぁ…ついに我々の念願が叶った…」 三枝(あれ…超能力いらなかったんじゃ…) 紬「ありがとう憂ちゃん!助かっちゃった!」 憂『いえ、お礼には及びません』 紬「えへへ。…あ。そろそろ戻らないと!みんなとお茶しなきゃ!」 憂『はい。私も家に帰ってお姉ちゃんのご飯作らないと』 紬「うん!じゃあ明日また学校でね」 MUGI「ゴゴゴゴゴ……シュドーーン…」 憂『……』 憂『フフフ……』ニヤリ その夜 秋山家 モスラーヤッモスラー…♪ 澪「うーん…ムニャムニャ…」 『起きて…起きてください』 澪「ん……?あ、あれ…?妖精さんだ…。夢かな…?」 コスモス『私達ははるか遠くのインファント島からあなたにテレパシーを送っています。今、地球に危機が迫っています』 澪「ちきゅうのきき……?」 コスモス『X星人はゴジラを撃退してくれましたが…実はそれには裏があったのです…』 澪「え…?」 コスモス『X星人達には秘密の計画があったんです…』 澪「秘密の計画…?」 コスモス『そう…』 コスモス『全人類お姉ちゃん化計画が…!!』 終 戻る
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「ディバイン――」 その時、荒涼とした大地に凛とした声が響き渡った――ような気がした。 『本日は、クラナガン発特急206号線にご乗車頂き、誠にありがとうございます』 まるで押し寿司のように隙間なく乗客の詰め込まれたリニアレール車両内に、アナウンスの平坦な声が浸透していく。 停車予定に無い駅で突如停車し、その後一向に動き出す気配の無い列車に業を煮やし始めていた乗客達は、一字一句聞き洩らすまいとするかのようにアナウンスに集中する。 『只今前方の山岳貨物線にトラブルが発生しており、その影響により当列車も現在運行を見合わせております。 現場では現在時空管理局職員が全力で問題解決に当たっており、状況が改善し次第当列車も運行を再開致しますので、今暫くお待ち下さい。 お急ぎのお客様には大変ご迷惑をお掛けしますが、ご理解とご協力をお願い致します』 アナウンスの言葉は半時間前に告げられたものと一字一句だった、同じ内容の放送を既に三回以上も繰り返し聞かされている乗客達の顔に落胆の色が浮かぶ。 この何も無い辺境の駅に押し留められてから二時間が経とうとしている、一体いつになったら走り出すのか……乗客達の不満は限界に達しようとしていた。 不穏で剣呑な空気が列車中に蔓延し、子供は泣き叫び、堪え性の無い大人は露骨に愚痴を零し、そして比較的分別のある者も苛立ったように眉間にしわを寄せている。 「一体いつまで待たせるつもりなんだ」 「ママー、電車いつになったら動くのー?」 「管理局なんだからさっさと仕事しなさいよ。損をするのはいつも私達市民なんだから」 「他の世界にばかり力を入れて、俺達地元はいつも後回しだ。これだから管理局は……!」 足止めされて苛立つ乗客達が好き勝手に不平不満を口にしているその頃、話題の「全力で問題解決中の現場の管理局職員」達は――、 「ラケェェェテン、ハンマァァァァーーーッ!!」 ――戦っていた。 「紫電、一閃ッ!」 ――闘っていた。 真紅のドレスを纏う少女、ヴィータの鉄槌が敵を叩き潰し、紫色の甲冑に身を包む女性、シグナムの長剣が敵を斬り捨てる。 空は泣いていた、空は哭いていた。 撒き散らされる無数の破片が涙のように地上に降り注ぎ、両断された敵の断末魔の爆発が慟哭のように大気を震わせる。 群れをなして蒼穹に蠢く機械仕掛けの怪鳥、AMFの鎧を纏い質量兵器で武装した魔導師にとっての最悪の敵――ガジェット・ドローンⅡ型。 しかし悠久の時を越え数多の戦場を駆け抜けた歴戦の戦士達の猛攻の前には、そのような〝子供騙し〟など足止め程度の意味も為さなかった。 爆発音が怒号のように山間に轟き、吹き荒ぶ灼熱の風が空を紅蓮色に染め上げる中、二人の騎士は戦場を翔け抜ける。 そして――、 「――バスター!!」 ――怒号と共に撃ち放たれた桜色の閃光が、ガジェットⅡ型の群れを纏めて呑み込んだ。 空を突ら抜く破壊的な光の奔流、砲撃魔法ディバインバスターに撃ち抜かれたガジェットⅡ型は、爆発することすらも許されずに一瞬で蒸発消滅していく。 出力制限の鎖に繋がれようと、管理局の誇るエースオブエース、高町なのはの砲撃は一撃必殺――その看板を誇示するかのように、白い魔女は圧倒的な力と共に戦場に君臨する。 スバル達がリニアレール奪還に奮戦しているその頃、なのは達隊長勢もまた、空の上で戦っていた。 だん――激烈な踏み込みにリニアレールの車両が大きく震撼した。 弾丸のように床を疾駆するスバルに槍を携えたエリオが追走し、車両の奥に鎮座する巨大な球体――ガジェットⅢ型を目指して真っすぐに突進する。 魔法による攻撃や身体強化を無効化されているとはいえ、スバルもエリオも、生身での戦闘に関してもかなりの「性能」を自負していた。 〝戦うために生まれた〟生命……それが戦闘機人、それが人造魔導師。 破壊の意思を秘めた鋼の拳と刃金の切っ先は、あらゆる魔力結合を打ち消すAMFの結界に囚われても尚、必殺の看板を下ろすことなく己の道を突き進む。。 ローラーブーツのサスペンションを軋ませ、籠手に覆われた右腕を振り上げながら、スバルが大きく跳躍した。 敵の頭上から拳を繰り出すスバルに合わせるように、エリオも捻りを加えながら槍を突き出す。 「「ストライクドライバー!!」」 空中から放たれるスバルの打撃と、地上から撃ち込まれるエリオの刺突が、怒号と共にガジェットⅢ型の巨体に叩き込まれる――が、 「痛っ……何これ、硬っ!?」 「駄目だ……穂先の先っちょすらも通っていない!」 二人の渾身の一撃を受けながら、ガジェットⅢ型は全くの無傷だった。 何という面の皮の厚さ……出鱈目とも言える敵の重装甲にスバルが瞠目しエリオが歯噛みする中、ガジェットⅢ型が独楽のようにその場で回転を始める。 まわる、回る、周る、廻る……高速かつ無秩序に乱回転することで更に硬度を上げたガジェットⅢ型の装甲が、まるで反発する磁石のようにスバルとエリオを弾き飛ばす。 (二人とも、危ないからちょっと離れてなさい!) 踏鞴を踏みながらも体勢を立て直すスバル達の頭の中に、ティアナの声が響き渡る。 反射的にガジェットⅢ型から二人が飛び退いた、その刹那、 「ヴァリアブル・ファントムブレイザー!!」 まるで巨大な杭が打ち込まれるかのように、橙色の光の奔流が車両の屋根を突き破り、ガジェットⅢ型の背中を直撃する。 「ティア!!」 「ティアナさん!?」 屋根に穿たれた大穴の向こうに見知った人影を確認し、スバルとエリオがその名を叫ぶ。 多重弾殻砲撃――ティアナは対ガジェットⅠ型戦の際に自身が発見したAMF攻略法を、今度は砲撃魔法に応用した。 二挺拳銃型という己のデバイスの特性を生かし、片方で砲撃魔法の術式を構成しながら、同時にもう片方で弾殻を生成。 更に弾丸全体を殻で覆うのではなく帯のようなもので包み込むように外殻を形成することで、砲撃という〝どこまでものび続ける弾丸〟への応用を可能にしたのだ。 外殻維持に魔力を割かれる分威力は落ちるが、砲撃はAMFの結界を貫き、その中心に護られた目標へ確実に届く。 しかし代償が無い訳ではない……ハッキングという用途外の運用に加え多重弾殻砲撃という無茶を強行した結果、クロスミラージュの演算回路は限界に達していた。 《Circuit overloaded. System down》 「お疲れ様、クロスミラージュ。ゆっくり休んでて」 力尽きたように沈黙するデバイスに労いの声を掛け、ティアナは屋根の残骸とガジェットⅢ型の転がる床の上へと降り立った。 車両を覆うAMFの結界は消滅し、瓦礫に埋もれたガジェットⅢ型は一向に動き出す気配は無い。 「ティア凄い! 今のは本当に必殺技っぽかった!!」 「流石です、ティアナさん!」 自分達の苦戦した強敵をあっさりと沈黙させたティアナの手腕に、スバルとエリオが惜しみない喝采を送る。 ただでさえAAランク指定の多重弾殻射撃、それを――射撃と同系統の砲撃魔法とはいえ――「別の魔法」に応用しようとすれば、当然ながら難易度は急激に跳ね上がる。 その超弩級高等魔法をBランクに昇格したばかりのティアナが平然と使いこなしているという異常に、気付いた者はこの時誰一人としていなかった。 その時、床に力なく垂れるガジェットⅢ型の触手が、冬眠から目覚めた蛇のように不気味に動き始めた。 逆三角形に並んだガジェットⅢ型の三つ目――光線の発射口も兼ねたセンサーレンズに、鬼火のような光が淡く灯る。 「皆さん! まだ終わってません!!」 逸早く異常に気付いたキャロが警告の声を発した瞬間、ガジェットⅢ型が動き出した。 光が集う、光が集う、光が集う……ガジェットⅢ型の三つ目の光に吸い寄せられるかのように、魔力の光が螺旋を描いて集束していく。 水色の光が、薄桃色の光が、橙色の光が――エリオとキャロ、そしてティアナの魔法の残滓もまた、集束する魔力の渦の中に引き込まれていく。 「まさか……集束砲!?」 青ざめた顔で呟くティアナの言葉に、スバル達の表情が愕然と凍りついた。 大気中に拡散した使用済みの魔力を再度実戦レベルで集束させるには、Sランク以上の技術を必要とする。 その超高等魔法を機械が平然と駆使するなど……出鱈目にも程がある! ガジェットⅢ型の眼前に集束する光は次第にその輝きを増し、そして次の瞬間、荒れ狂う光の奔流がスバル達へと解き放たれた。 迫り来る破壊の光に、デバイスを失ったティアナの前にはスバルが、魔力切れとなったエリオの前にはキャロが盾のようにそれぞれ立ち塞がり、バリア系の防御魔法を発動する。 展開された青と薄桃色の魔力の壁がガジェットⅢ型の砲撃を受け止め……きれない!? 濁流のように容赦なく押し寄せる魔力の奔流の前に二枚の防御陣は悲鳴のような音を立ててひび割れ、生じた亀裂は蜘蛛の巣が広がるように防御陣全体を侵食していく。 刹那、崩壊を始める二枚の防御陣を更に護るかのように、橙色の魔力光を纏う防御陣が出現した。 いつの間にかスバルとキャロの背中にティアナが仁王立ちし、二人の隙間を潜るように右腕をのばしている。 突き出されたティアナの右手には、クロスミラージュの二挺拳銃とは異なる〝第三の銃〟が握られていた。 アンカーガン――クロスミラージュを支給される以前、つまりつい数時間前までティアナが愛用していた、自作の拳銃型デバイスである。 「備えあれば憂いなし……ってね!」 ティアナの怒号と共に橙色の防御陣が眩い魔力光を放つ、同時にスバルとキャロも己の防御陣に渾身の魔力を注ぎ込んだ。 三枚の魔力陣はガジェットⅢ型の砲撃と真正面から拮抗し、そして光の奔流の消滅と共に弾けるように消滅した。 安堵の表情で息を吐くスバル達三人の傍を、赤い影が疾風のように駆け抜ける。 自身の身長を超える蒼い大型の槍を両手で握り、ガジェットⅢ型へと一直線に突き進む小柄な影――エリオだ。 AMFの結界の消えた今ならば、自分達魔導師は魔法が使える。 自身の魔力こそ使い切ってしまったが、自分にはまだカートリッジが残っている。 なのはは言っていた……どんな魔法にも長所と短所が存在し、「万能無敵の切り札」などあり得ないと。 フェイトが教えてくれた……砲撃魔法は絶大な威力を誇る反面、充填時と砲撃直後は致命的な隙を生むと! 「エリオ君!」 三人の中でただ一人、エリオの意図に気付いたキャロがバリアジャケットを脱ぎ捨て愛しい人へと投げ渡した。 キャロ自身には戦う力はない、誰かに力を託し与えることしか出来ない。 逆に言えば、キャロには力がある……魔法に己の思いを託し、戦う者に力を与え、大切な人を守り助ける為の力が。 故にキャロはエリオに託す、力を、思いを、自分の全てを戦う者に捧げる! 「ツインブースト! スラッシュアンドストライク!!」 キャロの祝詞が車両内に響く中、受け取ったバリアジャケットをマントのように肩に羽織り、エリオはカートリッジをロードした。 デバイスの刃の根元がスライドし、空薬莢が三本同時に吐き出される。 ストラーダの魔導回路内を奔り回る膨大な魔力を、エリオは〝デバイスから体内へ〟取り込んだ。 普段魔法を発動する時、体内からデバイスへ魔力を流し込むプロセスの、ちょうど逆の要領で。 骨が軋む、肉が切り裂かれる、臓物が沸騰する、神経が焼き切れる……無理矢理取り込んだ異質な魔力が、エリオの身体を内側から蹂躙する。 「シュタール――」 体内を無秩序に暴れ狂う魔力に身体が拒絶反応を起こす中、エリオは己に鞭打ち高速機動魔法を発動、一瞬でガジェットⅢ型の眼前まで移動する。 「――メッサー!!」 迸る電光を穂先に纏い獣のように唸る愛槍を、エリオが咆哮と共に敵へ突き出したその時、まるで大口を開けるかのようにガジェットⅢ型の前面装甲が大きく展開した。 大きく口を開けたガジェットⅢ型の中から、太い円筒状の何かが舌のように迫り出す。 ――ミサイル! エリオが戦慄に目を見開いたその時には、ミサイルは多量の噴射煙と共にガジェットⅢ型の口内から吐き出されていた。 高速で撃ち出された金属とセラミックと爆薬の塊が突き刺さるように鳩尾を直撃し、鼓膜を突き破るような轟音と紅蓮の炎が零距離からエリオを襲う。 「う、わぁああっ!?」 キャロのバリアジャケットに護られ、エリオ自身にダメージは無い……が、爆発の衝撃で吹き飛ばされた小さな身体は壁を突き破り、エリオは車両の外へと投げ出された。 「エリオ君!?」 中空に投げ出されるエリオの姿に、キャロが短く悲鳴を上げる。 エリオを追うように壁の大穴へと走るキャロの傍を、白い影が追い抜いた――スバルだ。 マッハキャリバーのアクセルを全開に傾け、加速した勢いをそのままに大穴の向こうへと躊躇なくダイブ。 まるでカタパルトから射出されたかのように勢い良く空中に飛び出したスバルの鋼の右手が、落下を始めるエリオの手首を掴まえた。 手首のタービンが唸りを上げて高速回転し、エリオの身体を螺旋の風が包み込む。 「エリオ……ちょっと歯ぁ喰い縛ってて!」 言いながらスバルはエリオを握る右腕を大きく振り被り、 「リボルバーシュート!!」 怒号と共に右腕に渦巻く魔力の風を〝エリオごと〟撃ち出した。 衝撃波に吹き飛ばされたエリオの身体が――床に強かに全身を打ちつけながら――車両内に帰還する……が、逆にスバルの身体は反動でリニアレールから遠く突き放される。 何の足場も無い空の上では、当然リニアレールまでの道も無い。 だが、問題ない……道が無ければ作れば良い、その為の魔法が自分にはある。 「ウィングロード!!」 スバルの怒号が谷間に木霊し、足元に展開された魔方陣から光の道が列車へとのびる。 届け……ローラーブーツを全力で噴かし、矢のように突き進むウィングロードの上を疾走しながら、スバルは祈るように呟いた。 自分はまだ何も出来ていない、自分の拳はまだ天に届いてすらいない。 「届けええええええええええっ!!」 スバルの絶叫に応えるように、ウィングロードは更に加速し――次の瞬間、まるで風船が割れるかのように、突如音を立てて弾け散った。 AMF……スバルの――そして車両内からスバルを見守っていた全員の――瞳が絶望に凍りついた。 おちる、落ちる、墜ちる、堕ちる……翼を失った剥き出しの肢体を重力の鎖に絡め捕られ、スバルは暗い闇の底へとゆっくりと堕ちていく。 自分の掌はもう何も掴めないのか、自分の拳はもうどこにも届かないのか? 足掻くように空へとのばされた右腕は空しく空を切り、縋るように口に出た問いに答える者は誰もいない。 しかし、次の瞬間――まるで虚空を貫くように白い閃光がティアナ達の目の前を垂直に駆け抜け、、 「ううん、ちゃんと届いてたよ」 ――青いグローブに包まれた暖かい左手が、スバルの右手首をしっかりと掴まえていた。 ギシリ……と金属の軋むような音が、スバルの頭上で小さく響く。 糸が垂れていた。 刃物とワイヤーを繋ぎ合せたような奇妙で物騒な糸が、スバルの目の前に垂れ下がっていた。 見覚えがある……連結刃形態に可変する、ライトニング隊副隊長シグナムの長剣型デバイス、これはその刀身だ。 血が滴っていた。 スバルの手首を掴む掌とは反対の腕、ゆらゆらと振り子のように揺れる連結刃の「命綱」を握る右手から、血の滴が青いグローブを赤く染めながら止めなく滴り落ちていた。 そして血に染まる右腕と、スバルを掴まえる左腕の繋がる先には――、 「遅くなってごめんね、助けに来たよ」 そう言ってスバルに笑いかける、憧れのエースの顔があった。 連結刃の「命綱」の続く先――リニアレールの屋根の上で、足を踏ん張る二つの人影がある。 シグナムとヴィータ――二人の前線部隊副隊長が、魔法を封じられたAMFの結界の中、己の腕力と体力を総動員してなのは達二人の体重を支えていた。 「往けるか、ヴィータ」 「応よ、シグナム!!」 シグナムの音頭にヴィータが応え、二人の騎士は「命綱の柄」を握る両手に力を込める。 「「でぇえりゃああああああああああああああああああああああっ!!」」 雄々しい咆哮を轟かせながら、シグナムとヴィータは長剣の柄を思い切り振り上げた。 崖下のなのは達がまるで釣り上げられた魚のようにシグナム達の眼前まで引っ張り上げられ……勢い治まらず、二人の頭上を越えて空中高くに投げ飛ばされる。 「レイジングハート、セットアップ!」 連結刃を手放した右掌の中に、なのはは己の相棒を顕現させる。 血塗れの右手に握られる魔導師杖型デバイス、双頭槍の穂先にも似たその黄金色の頭部の先端に、桜色の魔力光が集束する。 「ディバインバスター!」 抜き撃ちで放たれたなのはの砲撃が、AMFの結界を突ら抜きながら眼下のガジェットⅢ型を直撃する……が、 「そんな……なのはさんの砲撃でも全然効いてない」 天空を穿つ破壊的な光の奔流を平然と受け止めるガジェットⅢ型、その異常な耐久力にスバルが愕然とした表情で呻き声を上げる。 しかしなのはは涼しい顔で眼下の敵を一瞥し、そしてスバルへと視線を向けた。 「征って、スバル」 唐突に紡がれたなのはの言葉。 短くも絶対的な信頼の籠められたその科白を耳にした瞬間、スバルは反射的に理解した。 なのはは敵を倒す為に撃ったのではない。 天地を繋ぐこの砲撃の光は、敵と自分を繋ぐ「道」……戦場に舞い戻る自分の為になのはが用意した最高級の「花道」なのだ。 なのはの左手に掴まえられていた右手首が解放され、偽りの無重力が身を包み込む。 スバルはなのはを見た。 連結刃を命綱代わりにしたリカバリーなどという荒技をやらかした破天荒な師匠は、相変わらず不安の二文字とは無縁な笑顔で自分を見つめている。 完全に自分を信じてくれている……なのはの思いに気付いた瞬間、スバルの中の不安や絶望、そういった「後ろ向きな考え」は消え去った。 自分はなのはを信じている、自分を信じるなのはを信じている。 だから自分を信じられる、なのはの信じる自分を信じられる。 恐れるものなど、何も無い。 「征ってきます」 なのはの笑顔に短く応え、スバルは砲撃の「道」を駆け下りた。 余計な言葉など必要ない……この「道」の真下にいる敵を全力で叩き潰す、それがなのはの信頼に応える唯一にして絶対の道だと知っているから。 ――IS発動、振動破砕! スバルの瞳が金色に変わり、魔法・螺旋力に続く第三の力――「兵器」として〝組み込まれた〟破壊の力が解き放たれる。 「振動拳!!」 怒号と共に振り抜かれたスバルの拳と、高速回転するガジェットⅢ型の装甲が激突し、火花を散らして激しくせめぎ合う。 一瞬の拮抗の後、スバルの身体がティアナ達の元へと弾き飛ばされた。 「「「スバル(*1)!!」」」 駆け寄ろうとするティアナ達三人を片手で制し、スバルは目の前の敵を油断なく睨みつける。 時を同じくして、ガジェットⅢ型もまた回転を止めていた。 すり鉢状に陥没したガジェットⅢ型の頭頂部、その中央にはスバルの拳の跡がくっきりと刻まれている。 ガジェットⅢ型の前面に再び魔力の粒子が集い始める。 水色と桜色、そして僅かな青色の光が渦を描いて回り、巡り、そして少しずつその輝きを増していく。 集束砲が来る……徐々に巨大化する色鮮やかな魔力光の塊を前に、スバルは懐に右手を突っ込んだ。 アンダーウェアの下から引き出した掌には、細いチェーンに繋がれた金色のペンダント――コアドリルが握られている。 まるで花開くかのように魔力塊が弾け、破壊的な光の奔流が撃ち放たれる。 同時にスバルもローラーブーツを全力で噴かし、ガジェットⅢ型へ突進を開始していた。 「うおおおおおおおおおおおおおおおっ!!」 咆哮と共に振り抜かれたスバルの拳と、ガジェットⅢ型の砲撃が激突する。 力は互角……押し迫る砲撃の壁と、それを打ち砕くべく捻じ込まれるスバルの拳は完全に拮抗し、一進一退の膠着状態を保ちながら車両中央で静止している。 否……金色の瞳に覚悟の焔を灯しながら、スバルは拳に更に力を込めた。 右手に握るコアドリルが、光を放ちながらゆっくりと回り始める。 思い出せスバル、自分を誰だと思っている。 自分の拳は天を突く拳だ、如何なる壁が立ち塞がろうとも打ち砕くのが自分の拳だ。 この程度の砲撃など、この程度の壁など、自分の拳の敵ではない! 回転するコアドリルの先端が光の壁を削り崩し、その度にスバルの身体は前に進む。 一歩ずつ、ゆっくりとだが確実に砲撃の壁を掘り進み、そして遂に、スバルは敵の眼前まで辿り着いた。 「コアドリルインパクト!!」 狼狽したように三つ目を明滅させるガジェットⅢ型の鼻面に、スバルは渾身の力を込めてコアドリルを握る右拳を叩き込んだ。 「スピン……オン!!」 怒号と共に捻り込まれるコアドリルを通じて、螺旋力の奔流が敵の体内に流し込まれる。 ガジェットⅢ型の球体が一瞬風船のように膨張し、まるでザクロの実が弾けるように爆破四散した。 「あたしを誰だと思っている!!」 身を焙る灼熱の風に額の鉢巻を遊ばせながら、スバルは雄々しく啖呵を切った。 残存敵戦力ゼロ、自軍の被害軽微――山岳リニアレール奪還任務、ミッションコンプリート。 天元突破リリカルなのはSpiral 第10.5話「初めて会っていきなりだけど、一緒に頑張ろうね」(了) 追加報告――、 ムガンが――そして恐らくガジェットも――狙っていたと推測される積荷、9と刻印されたレリックケースは、スターズ隊二人の素通りした第七車両でその後無事回収された。 結果だけに着目すれば、スバル達新人前線部隊の初任務は大成功だと言えるだろう……が、しかしそれまでの「過程」には、些かどころかかなりの問題を孕んでいた。 曰く、使用法不適切で新品のデバイスを早速壊した。 曰く、調子に乗って車両一つを消し炭に変えた。 曰く、頭に血が昇り結果魔力切れになった。 そして曰く……何も考えずにただ暴れ回った。 そんな部下達の不始末を本来叱責するべき立場にいる筈のなのはは、その頃……、 「なのは! 手前ぇまだその突撃癖抜けてなかったのかよ!?」 「レヴァンティンを命綱代わりに使うなど……貴様一体私のデバイスを何だと思っている!?」 烈火の如く怒り狂う副隊長二人による、雷の嵐に晒されていた。 「あうぅ……ご、ごめんなさい! ヴィータちゃん、シグナムさん!!」 半泣きの表情を浮かべて必死に二人に謝るなのはの後姿からは、エースオブエースの威厳など微塵も感じられなかったことは言うまでもない。 戻る 目次へ 次へ
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1 2 2010/10/25 ※クロス・参考:ゴジラ http //yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1288014161/l50 戻る 名前 コメント すべてのコメントを見る 何か色々投げっぷりと工夫とが混在してるのが面白いな。 うんたんじゃないだろ(笑) -- (名無しさん) 2015-05-23 23 54 46 最後のは憂の願望だろ -- (名無しさん) 2012-07-28 18 08 50 ラスト、澪はいいが律と梓はスルーされてるwww 澪がモスラなら律はアンギラス、梓はクモンガとカマキラス→合体してアズゴキラスにしてw 補足だけどメカムギちゃんより紬にはキングギドラでもよかったかも -- (名無し) 2012-07-17 14 46 48 梓「見た目もまんまムギ先輩ですね…」 …マジかよwww -- (あずキャット) 2012-03-16 10 50 43 ゴジラとけいおん!がコラボすればもう無敵。 -- (名無しさん) 2011-09-28 07 59 29 けいおん!とゴジラのコラボレーション、求む! -- (怪獣男) 2011-09-05 22 10 13 2012年の新作楽しみだ。 -- (20世紀少年) 2011-08-17 16 32 45 唯がゴジラと戦うSS無かったっけ? -- (名無しさん) 2011-08-09 19 04 56 続編希望……! -- (名無しさん) 2011-07-14 22 58 16 なんか色々ワロタwww -- (名無しさん) 2011-07-11 01 13 04