約 2,329,230 件
https://w.atwiki.jp/yu-yokups/pages/79.html
ずっといっしょ ずっといっしょ ベスト http //www.nicovideo.jp/watch/sm18732
https://w.atwiki.jp/nohohondame/pages/26.html
トリップは◆TOROtPapR6→◆Sky/.feYPQ 「のほ本」の編集長さんです HNの由来は「どこでもいっしょ」に出てくるウサギのジュンのゲーム中の台詞から。初期のトリップがTOROで始まっていたように、2ちゃんに来た頃にちょうど「どこでもいっしょ」にはまっていて、一番目立つトロがらみでは面白くないのでお笑い系のウサギから選びました。あとは、中の人とのギャップをあえてつけるために、対極的で可愛らしい(?)名前をつけました。(本人談) のほダメの本「のほ本」を作ろう! http //namidame.2ch.net/test/read.cgi/nohodame/1030252224/l50 【登録タグ】 01年 02年 03年 04年 05年 06年 07年 08年 09年 10年 のほ本 コテハン スレで書いたように、ニコ動はじめました。のほ板(スレ)には転載しないでくださいね。http //www.nicovideo.jp/mylist/16979988 -- ウサウサ (2010-05-05 05 37 46) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/aniwotawiki/pages/28468.html
登録日:2014/05/08 (木) 18 19 30 更新日:2024/05/31 Fri 18 56 05NEW! 所要時間:約 3 分で読めます ▽タグ一覧 2013年 KOTY KOTYe どうして発売した エロゲー クソゲー クソゲーオブザイヤー ゲーム ゲー無ですらない シュレディンガーのエロゲー ファンディスク 雛といっしょ 雛遺書 ―だから、結婚しよう。 雛といっしょは2013年12月27日に発売されたEx-itのエロゲー。 クソゲーオブザイヤーinエロゲー板(以下KOTYe)2013次点作品。通称「雛遺書」。 前作『ひよこストライク!』のファンディスクで、ヒロインの1人であり人気投票1位だった神楽鳥雛にスポットライトを当てており、物語は前作ハッピーエンド後からスタート。 公式サイトが謳うように基本的に雛しか出てこない。キャラ紹介ページも雛と主人公のみというシンプルさ。雛ファンには待望?のファンディスクだった。 …が、12月13日にマスターアップ宣言し20日発売予定だったが、18日に発売延期を発表、発売日は27日になった。 マスターアップ後に発売延期発表というアクロバットを見せつけたEx-itだったものの、これで3作品連続マスターアップ宣言後の発売延期ということで特に波紋はなく、 寧ろ「またか」「知ってた」と本スレ住民は受け流した。 12月27日、その日にとんでもない内容を見せられるとも知らずに…。 ストーリー 兄妹の垣根を飛び越え、想いを結び合ったあの春の日。 それから続く、夢のような日々。 幸せで、幸せで。 暖かい日差しに包まれて、 いつまでもこの大切な時間が続くことを信じて。 ……でも、現実はそればかりじゃ成り立たなくて。 ゆるやかに移ろう季節の中、 俺たちはどんな未来を選択するのだろう? (公式サイトより引用) 概要 12月27日という正真正銘のド年末の発売、同年発売の『逃避行GAME』にて充実のメニュー画面、イラッシャイマセー、特典CDがフリスビー化、 明らかな未完成品の発売強行などをやらかして『ひよこストライク!』で得たユーザーからの信頼を裏切ったという経歴から薄々嫌な予感が渦巻いていた。 結果から言うと、その予感が最悪の方向に的中してしまった。 総評曰く「格別に瘴気の濃い逢魔が刻」に降臨したそれをまず手に取らずとも、しわしわでくったくたの梱包が目に飛び込んでくる。 これは一度開封して詫び状を入れ、また手作業で梱包し直したのが原因なのだが、その詫び状は「不具合によりパッチを当てるまでゲーム進行不可能」という旨が記載されていた。 取り敢えずプレイし始めると。10分足らずのプロローグ終了後、ルート分岐の選択肢が表示され、どれを選んでもエラーで強制終了する。 大切なことなのでもう一度。 10分足らずのプロローグ終了後、ルート分岐の選択肢に関わらずエラーで強制終了する。 後入れされた詫び状の内容を抜粋すると 「プレス製造工程にてファイルの受け渡し中にミスが生じてしまい、この影響で『雛といっしょ』本編のゲームプレイ中、 エラー表示と共にゲームがストップしてしまう症状が本日、確認されました」 といった具合で、ここまでわかっているならいっそ4度目の延期発表をした方が良かったのではないのか、という意見もあった。 しかも今作の開発自体は『逃避行GAME』より先に着手されており、製作発表は2012年1月で予定通りだったなら夏頃発売予定だったが2年延期した結果がこれである (2010年据置機KOTYに1年以上計5回以上、2008年度家庭用機KOTYに2年延期した結果ずっこけた女傑が2名ほどいたが)。 笑おうにも笑い飛ばせない―というか笑い飛ばすネタすら見れないゲー無さ、肝心の本編(中身)がパッチを当てない限り覗けない、という重篤っぷりに 「シュレディンガーのエロゲー」「パンドラの箱」終いには「 ー 」と呼ばれ、 「電気外祭り参加で28日配布は無理、29日中に修正して30日にパッチを配布する」と公式日記で宣言しておきながら、 「バグの原因が突き止められない(29日発表)」 「やっぱパッチ配布は31日20時にさせてください(30日発表、延期確定)」 「ミラーサイト担当者と連絡がつかないので1月1日15時にさせてください(31日発表)」 とあんまりな釈明(総評曰く「宿題を忘れた小学生並みの釈明」)と共に延期を連発、元旦に漸く修正パッチ1.10が公開されたものの、まだ特定ルートがエラー落ちすることが判明。 翌日の1月2日、公式日記で「本日の夜~翌日の早朝にVer1.20を公開する」と発表したものの、同時にVer1.10修正パッチを公開停止。 3日12時時点で修正パッチは来ず、18時に漸く1.20が公開された。 その後アップグレードパッチ配布を予告するも、2月7日時点で14日20時公開予定が当日になって15日20時に延期した上に15日の公開はなく、 16日に漸くVer1.30を仮設ページで公開した後、正式に1.31が公開された。ちなみに今度の延期理由は「大雪のため、代表者が北海道から事務所に戻ってこれない」。 …が、スレの解析班によって1.20修正パッチが解析された結果、シナリオやイベントCG以外にもスタッフロールの画像まで出てきたという事実が発覚。 (Ver1.10の修正パッチを当てても、EDは「ED曲が流れず無音で作中で使われた背景画像を垂れ流す誰得スライドショー」と化しており、 1.20修正パッチも「各ルートをOPからEDまでフルスキップすると10分以内でコンプリート可能」「前作の体験版と同じぐらいの長さ」というぺらぺらぶりである) 『逃避行GAME』で特典ディスクのフリスビー化(内容がほぼダミーファイルで実質空っぽ)をやらかしたEx-itだったが、 今度は本編ディスクがプロローグのみという体験版以下の極限まで薄い内容と分かっていながらの発売強行及びフリスビー化をやらかしたのだ(現在はパッチで修正済み)。 この事実にスレは「新たな伝説の誕生か!?」と騒然となり、本編がこの体たらくと分かっていながら、パッチ配布よりイベントを優先したり小学生レベルの言い訳を連発しながら 未完成であることを隠そうとしたのは擁護不可能としか言いようがない。この事実その他諸々を指して総評いわく「血統書付きの魔物」。 例えるなら、「ショーケースに並んでるデコレーションケーキ買ったと思ったら、一切合切が食えない食品サンプルのデコレーションケーキを買わされていた」といったところか。 定価4200円のミドルプライスで、パッチを当てたら内容は薄いもののネタ性や破綻要素がなかったのが不幸中の幸いというべきだろうか… (同年KOTYeノミネート作の8~9割はフルプライス)。 同年の大賞はこれを凌ぐ細菌兵器だというのだから恐ろしい…。 追記・修正は、雛と一緒に過ごせた人にお願いします。 △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] スポンジケーキならまだいいんじゃない?食えるんだから。これは食品サンプル並みだろ… -- 名無しさん (2014-05-08 19 31 33) え、これで次点って大賞どんな化け物だったの? -- 名無しさん (2014-05-08 20 30 43) なんか最近のKOTYは家庭版よりこっちが盛り上がってるな… そうか…これが修羅の国と言われる由縁か… -- 名無しさん (2014-05-08 21 44 41) ↑2 生まれ方がこの上なく悪かっただけの雛鳥と、すべてが腐れ落ちたキメラじゃ勝負にならないよ・・・ -- 名無しさん (2014-05-08 21 45 27) 大賞は言ってみりゃクソシナリオでメーカー対応に頼らないクソさが評価された -- 名無しさん (2014-05-08 23 08 16) 大賞は全裸ニートからの超展開バイオハザードエンドとか、名前を255バイトまで入力できるとか、クソ要素が強い上に面白すぎた -- 名無しさん (2014-05-09 15 08 15) 大賞に比べたら相当マシに感じる -- 名無しさん (2014-05-10 13 01 17) 2010年大賞も「パッチ当てなきゃオープニングから進めないゲーム」じゃなかったっけ、あれは本編もバグの暴君怪獣タイラント状態だったけど -- 名無しさん (2014-05-10 13 09 39) パッチ出さずに、あるいは1.1までで売り逃げしてたら、アイ惨超える伝説になれた逸材 -- 名無しさん (2014-05-11 19 39 29) これはゲーム自体がクソというより メーカー対応がアレすぎるっていう -- 名無しさん (2014-06-17 02 53 03) 逃避行したのはメーカーだったという最大のオチ -- 名無しさん (2015-04-05 01 32 23) クソゲーというか、遊べさえしないとか評価にも値しない -- 名無しさん (2015-05-12 22 06 25) 雛といっしょ(一緒に過ごせるとは言ってない) -- 名無しさん (2016-07-09 21 48 16) 今年の有力候補の村正もこれと同系統のクソだよな -- 名無しさん (2016-07-09 23 30 34) この項目、ディスクの内容にはほとんど1ミリも触れていないという恐ろしさ。どれだけ中身スカスカだったんだよ -- 名無しさん (2017-09-25 21 27 33) レビュー読んだ限り、シナリオの短さはともかく内容自体は割と評価されてるっぽい -- 名無しさん (2018-03-26 16 52 28) ひよこストライクが面白かったので怖いもの見たさでこっちも手を出してみたけど、今プレイする(Ver1.31)分には不具合とかほとんどないので本編好きならやってみてもいいと思う。(雛の掘り下げだけでなく主人公=真が実家を離れた本当の理由とか過去のトラウマとかも語られてたり) ただKOTYeの惨状を見る限り当時楽しみにしていた人からしたらふざけんなって思う気持ちは仕方ないって思えるね…。 -- 名無しさん (2024-05-31 10 51 56) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/aniwotawiki/pages/21584.html
登録日:2012/04/18(水) 00 15 12 更新日:2024/04/28 Sun 17 55 15NEW! 所要時間:約 14 分で読めます ▽タグ一覧 10年夏アニメ 11年春アニメ 4コマ Gackt OVA アニメ ガンタイン ドラマCD メディアファクトリー 大羽快 悪ふざけ 愛すべきバカ達 戦国 戦国時代 拡大解釈 月刊コミックフラッパー 殿といっしょ 漫画 眼帯 眼帯の野望 豪華声優陣 政宗『この項目を読んでいる人は……全員眼帯を付けていますっ!!』 家臣2人『ウソを言わないで下さいっ!!』 『殿といっしょ』とは、メディアファクトリーの月刊コミック誌『コミックフラッパー』で連載されていた漫画である。 作者は大羽快(おおばかい)。 ドラマCD2つの発売、OVA発売を経て、その後アニメ化された。 (詳しくは後述) 連載完結後、作者のX(旧Twitter)にて大河ドラマに便乗した『金柑がくる』『どうガマンする家康』というパロディ漫画が掲載された。 (後者では悪党ヅラすぎる光秀を流石に再現できなかったので代役になっている) 【マンガ(内容)】 基本的には…というよりぶっちゃけギャグ漫画である。 史実を元にしていないようでしている話、全く無視している話など様々である。 史実をわかっていると恐ろしいほどブラックなネタが入ることもある(主に信長関連)。 武将たちが放火魔、親バカ、男の娘、ブラコン、オネエ、露出狂など強烈なキャラにされていることも珍しくない。 序盤から出ている「こりゃ絶対オリキャラだろう」というようなモブが、実は歴史上の偉人だったりすることも珍しくない。 話と話の間にその武将の生い立ちを紹介しているページもある。 2017年5月に完結、全11巻。最終巻では打ち切りであることをほのめかしたセリフもある。 天下人なのに家康は最後まで表紙に一度も登場できず、エピローグで「12巻が出るまで我慢します」と言っていた。 【主な登場人物】 登場キャラの一部を紹介。基本的に戦国武将である。 また、多くの家が出ており、群像劇のテイをなしているので主役が分かりにくい(多分伊達政宗か)。 CVは「アニメ/ドラマCD」。 《伊達家》 伊達政宗 CV:鈴木達央 恐らく主人公と思われる。 生粋の眼帯マニア。新しい眼帯を発明したり、何かと眼帯を前面に押し出す。 なお、眼帯のためならばほんの軽い気持ちでオーバーテクノロジーを駆使する(*1)。 幼い頃は病気で目が見えないことで自信が持てなかったが、家臣の励ましのおかげ?で良くも悪くもユーモア溢れる(バカ)殿に育った。 性格は超がつくほどの天然で、先月号の内容を景綱から指摘されるまで完璧に忘れているなど非常に忘れっぽい人物。 いつも家臣(特に以下2人)を困らせている。 「機動武士ガンタイン」なるマンガを書いたこともある。(見た目はガンダムのパクリ) OVAのOPとED、アニメの主題歌を歌った。 片倉景綱 CV:小野大輔/三宅健太 伊達の智将。政宗の部下でこのマンガ屈指の常識人。政宗には通称の「小十郎」の名で呼ばれる。 伊達軍政宗ブレーキその1。 伊達成実 CV:杉田智和/白熊寛嗣 政宗の部下。武闘派であり、慎重派の小十郎と対立することもあるが、政宗に突っ込む所は一緒。 お抱えの眼帯職人に自分より高い給料を支払われていたことを知り、一時期出奔していた。 伊達軍政宗ブレーキその2。 どうでもいいけど中の人がSOS団だったり歴代ジョジョだったりしている。 伊達輝宗 政宗の父で先代城主。「先代殿といっしょ」コーナーに登場。超が付くほどのノンビリ屋。 義姫 政宗の実母。気が強く口やかましいが、実際は息子が気になって仕方がないだけの様子。 兄の最上義光のスパイとして伊達家に嫁がされたが、今では義光を完全に尻に敷いている。 喜多 景綱の実姉で、政宗の教育係。 弟思いだが、何かにつけて景綱を殴りたいだけなんじゃね?と言った描写も見受けられる。 愛姫 政宗にゾッコンの正室。あまりに政宗を溺愛しているため政宗本人からは苦手に思われている。 五郎八姫 最終巻エピローグで誕生。 《織田家》 織田信長 CV:黒田崇矢 お馴染み織田軍の頭領。初期の頃はまだ人間っぽい外見だったが、いつの間にか口と黒目が焼失した。 放火魔で新しいモノ好き。相撲、和歌、茶道を好む文化人だが、何かにつけて焼きたがるドS。 元服前からこのような超大うつけだったらしく、家宝の刀で焼き芋を焼いたりしていた。 ただし、言動がやたら過激なことを除けば史実におけるイメージからそこまで乖離しておらず、殿たちの中では比較的まともな部類に入る人物である。 蘭丸をよく可愛がっている。 光秀に対しては初対面時から裏切りをネタにからかっている。ノブリン・ダーナガ。 最近では濃姫と一緒に「裏切りダービー」という不謹慎な賭け事に興じている。 明智光秀 CV:平川大輔 織田家の家臣で史実では信長より年上であるが、比較的若く描写されている。 仕官を申し出たその場で信長と濃姫に「いつ裏切るか」で賭けの対象にされるなど、弄られキャラ。 史実同様に森蘭丸ともそりが合わず、信長・濃姫・蘭丸の三人からはおもちゃ扱いされている。ケツ火出さん。 鴉の濡れ羽色の長髪を持つが、ギャンブルで負けた妻の熙子に丸刈りにされて髪を売りとばされたこともある。 玉 光秀の愛娘。後の細川ガラシャ。なぜか父とも母とも似てない銀髪。 心の中から本音が丸出しであり結構欲張り。 最終巻で成長した姿が描かれたが、夫・細川忠興に対し金の生る木としてしか見なしていないことが判明。 森蘭丸 CV:小林ゆう 信長の小姓でショタ。光秀をよく弄り回す腹黒野郎。 森長可 蘭丸の兄。 大人しい蘭丸とは大違いの戦闘馬鹿で、腕力が高すぎるため武器をまともに使えず、自分の拳に「人間撲殺」なる名前を付けている。 濃姫 CV:沢海陽子(アニメ2期) 美人で、気品ある物腰とおしとやかな口調の織田信長の妻。光秀の従妹。 よく光秀を弄り回す。親父と兄に毒を盛ったことがあり、あの道三を手玉にとる大物。 柴田勝家 鬼柴田の異名を持つ荒武者だが、お市にはてんで弱い。 最初は信長の弟である織田信行の側近として登場したが、平手政秀にいいようにあしらわれてしまう。 平手政秀 若き信長の側近であり世話係だった老人。「交渉」という名の脅迫や裏取引を得意とする。 松永久秀 裏切りマニアのナイスミドル。何に対しても裏切る。裏切るという予告すら裏切る大嘘つき。 《豊臣家》 豊臣秀吉 サル。小柄でガリガリ体型。お笑いに命を懸ける。向上心が強い努力家だが、とりあえず何にでもお笑いに繋げるアホ。 本人曰く「笑いで天下を取ろうといろいろやってたらいつの間にか本当に天下取ってた」。 藤吉郎時代は信長のもとでお笑いの研究に勤しんでいたが、なにせ相手が信長なためツッコミも過激でしょっちゅう殺されかけていた。 なぜか信長の裏切り杯にも「サル」と書かれ出馬させられていた。 最終巻ではシメを飾った。 豊臣秀長 秀吉の弟。あまりにもカゲが薄く、半兵衛ですらその存在を知らなかった。 余りにカゲが薄いため秀吉がめっちゃ豪勢なヨロイを着せた所、ヨロイだけ動いていると勘違いされて味方の兵士からまでボコられていた。 それをネタにする秀吉も秀吉だが。 おね 秀吉の正室。どことなく世間知らずな所があり、秀吉を夫にした理由も「一目見ただけで大爆笑できるお顔」というもの。 茶々→淀殿 秀吉の側室。長政・お市の長女で初・江の姉。三人の中で顔は一番母親似の美人。 父のくだらないジョークを真に受けてしまったためにものすごいゲラ(笑い上戸)に育ってしまい、 嫁いだ秀吉とその部下たちのアホな空気に対しても必死で笑いをこらえている。 プライドが高く自分が一番でないと気が済まないため、お笑いに対しても厳しい(でもすぐ笑う)。 蜂須賀正勝 秀吉の最古参の家臣。外見は山賊みたいなゴツいおっさんだが異常に笑いの沸点が低い。 竹中半兵衛 秀吉が信長からヘッドハンティングして来いと言われ、最終的に軍師となった青年。 あまりにイケメンなため仕えていた斎藤龍興から疎まれ、それを不快に思った女中たちにより龍興の代わりに稲葉城主にされた。 あまりにイケメンなため、そのモテっぷりを見た新婚時代のサルから焼き殺されかけた。 あまりにイケメンなため、周囲のトンデモな面々に振り回されがちな、「豊臣家版光秀」みたいな扱い。 黒田官兵衛 有能だが外見がいかにも悪党ヅラで、何をやっても恐ろしく怖く見えるため好感度が低い。 石田三成 秀吉の三代目軍師。ギャグのセンスは秀吉も息を巻くレベルではあるが、裏を返せばそれに特化し(すぎ)ている。 親友の大谷吉継と「みっつん&よしぶー」というお笑いコンビを組んでいる。 大谷吉継 笑いを取らねば死んでしまう病。 リアクションがものすごくでかく、本人もそれをわかっているので過激なネタを振ってもらいたがる。 加藤清正&福島正則 名前は最終巻で判明。 笑いのセンスがないことを三成から「不暖派(武断とかけたシャレ)」とバカにされている。 《浅井家》 浅井長政 CV:立花慎之介 浅井家の若き当主。 史実では優れた為政者であり巨漢で勇敢な人物だったが、本作では2枡の米をやっとこさ持ち上げられるレベルのモヤシで何事にも臆病な優男として描かれている。 が、市のために身体を鍛えたことも。 クマッッッ!!! いつも被害妄想に駆られては「ヒイイイ」と悲鳴を上げたり、「浅井家滅亡…」と怯えている。隠れスキルは忍者並み。 お市激LOVEなのは史実と変わらず、お市絡みでは漢を見せる事も。 アニメの長政編はよくギャルゲー風に描かれていた。 お市 CV:能登麻美子 美人な浅井長政の妻であり、信長の妹。 その美貌から織田家家中では非常に人気があり、アンケートで事前に皆の意見を集めたら断トツで人気が一位だったため長政に嫁がされた。 ビビリな長政に困らされることが多いが、夫を好いてはいる様子。三人の娘に恵まれている。 クマ使いではない。 磯野員昌 なんでも突き崩さないと気が済まない。 遠藤直経 人を欺かないと気が済まない。語尾に「ゾナ」をつける。 藤堂高虎 力がある奴に付いていかないと気が済まない。たとえ敵であっても。 寡黙かつかなりの巨体で、織田兵からは「中に入って動かす巨大甲冑」だと勘違いされたほど。餅が大好き。 《長宗我部家》 長宗我部元親 CV:能登麻美子 姫若子(女の子のように大人しい子)と呼ばれていた史実をオーバーに解釈し、少女趣味で華奢な美少年として登場。女の子っぽいが男である。 声変わりしても大人になっても結婚しても息子が成人してもセーラームーンのような外見のままである。 戦場にお弁当を作って行こうとしたり、馬に乗るのを怖がったり、剣の稽古もままならない、庭の花や小鳥に話しかける、妻と一緒にはしゃぎまわるなど、 臆病で軟弱な性格の男の娘。かなりの天然。 きゅぱっ★ 元親親衛隊 「男の娘元親」に萌えている変た…もとい家臣によって結成された。元親が自分たち以外のものになることを恐れている。 アニメでは棒人間化して「皆の若殿♪ 可愛い若殿♪…」と歌っていた。 長宗我部国親 CV:杉野博臣(ドラマCD) 長宗我部家当主。 元親や元親に萌えている変た…もとい家臣達のいる長宗我部家の貴重な常識人。 長男とは似てない濃い顔。遺伝子が強すぎて娘(元親姉)にはかわいそうなことをしてしまった。 吉良親貞 国親の次男で、元親の弟。歯に衣着せぬ言い方が特徴的。 男性的な親泰と女性的な元親の中間的な外見。土佐で唯一元親に萌えない男。 元親バカの親衛隊の目を覚まさせるために遁走するが、いつも裏目に出てしまう。 香宗我部親泰 国親の三男で、父親に一番よく似ている。 初期こそ割とまともな武将だったが、次第に元親親衛隊に毒されて果てしなくブラコン化していき、 しまいには親衛隊隊長にまで「おお気持ち悪い、そのいきです」と言われる始末。 元親夫人 元親の妻で本名不明(作中ではガッシーという通称で呼ばれている)。 言動は完全に元親2号だがこちらは本物の女の子。 弥三郎(長宗我部信親) 元親の長男。「男装している美少女」の如き美貌を持つ超絶美少年で、周囲はメロメロ。 親父があんななので本人は勇敢な人間になりたがっているが、抱き枕やぬいぐるみに名前を付けるなど少女趣味は両親譲りで、 叔父・親貞からは呆れられると同時に諦められている。 《上杉家》 上杉謙信 CV:Gackt/三宅健太 不思議やん化ん身(*2)。ヒゲの似合うイケメン。 ボケ役の「殿」の中では、比較的まともな殿。お母さん的な台詞を言い、ツッコミで母ちゃん呼ばわりされることも。 毘沙門天を信仰し「ビシャえもん」なるキャラを生み出したが、どう見てもドラえもんである。アニメでは当然だがモザイクがかかっていた。 幼少のころから完全なアル中であり、酔うとボイン等の語尾が付く。 某説を反映してか、お姉さんの前ではオネエ口調になる。 アニメの中の人はNHKの大河で謙信を務めたこともある本物のGackt。よくつれてきたな。 上杉景勝 CV:長嶝高士(アニメ) 上杉家の殿。 無口で絶対に笑わない男と称されるが、実際は笑顔が睨んでいる表情にしか見えないだけで普通に笑っている。 側近の直江兼続のせいでよくとんでもない目に遭う。 直江兼続 CV:立花慎之介 ひたすら「愛」を強調したがるナルシスト気味な上杉家家臣。 ダメ出しの天才であり、石田三成とも「ダメだし甲斐がある」という理由でつるんでいる。 よく景勝の表情を勝手に解釈し、とんでもない目に遭わせている。 仙桃院 CV:朴路美 謙信の姉で景勝の母。 見た目はまんま叶○子を若返らせた感じ。謙信などをさん付けで呼ぶ。 非常にバブリーな暮らしをしており爆乳である。 彼女の前だけ謙信はなぜかオネエ言葉になる。 前田慶次 CV 杉山紀彰 戦国時代にあるまじき金髪ソリコミ髷を持つ大男。左頬に「不良」と刻まれた赤い刺青が入っている。 ツッケンドンで荒々しい性格だが、大のお人好しで極度の動物好き。 本人はイメージダウンを気にしており非常にツンデレである。 兼続に引き取られて前田家から護送…もとい出奔し、兼続に突っ込みまくる。 《武田家》 武田晴信→武田信玄 CV:長嶝高士 甲斐の虎と称される猛将。剃髪前の「武田晴信」時代で描かれることも多い。 短気で荒々しく意見をころころ変えるせいか、あまり部下(特に下のバカ軍師コンビ)からは信用されていない。 (史実を大幅に誇張した結果)バイセクシャルであり、晩年には謙信になぜか恋してしまったことも。 山本勘介 CV:園部好徳(ドラマCD) 信玄に仕える隻眼の軍師。ズーズー弁で話す。 小柄で髭面で色黒のブ男(今川氏直曰く「父さん(今川義元)よりブサイク」)であり、オマケに「治水」を「血を吸うこと」だと思っているなど、頭も相当悪い。 そんな彼が今まで武田家軍師として働けたのは、ひとえに父親思いの息子・勘市のおかげである。 幸隆とよく二人でつるんでいる。 真田幸隆 真田昌幸の父親。 過去には信玄の父・信虎に領地から追い出されたこともあったが、勘介の紹介で信玄に仕えることとなる武将。 「戦国時代何でも百科」というアカシック・レコードを持っている。 武田勝頼 信玄の次男で次期武田家当主。 顔こそ信玄にそっくりだが、ド天然で勘介とどっこいどっこいレベルのかなりのアホ。 一方で捕らえた鳥居強右衛門を罠にはめるなど親父譲りの狡賢さも持つ。 《真田家》 真田信幸→真田信之 CV:岸尾だいすけ 昌幸の長男。関ヶ原合戦以後は真田家当主。金髪。 真田家の常識人でいつも父の昌幸と幸村の奇行にツッコミを入れている苦労人。 家康(と家康の家臣)曰く「底の知れない我慢」。 忠勝の娘、小松が妻のドゲザムライ。 実は史実では前妻とよろしくやって隠し子を作っているのだが、本作では「浮気がばれたら」と部下からからかわれただけで吐血してぶっ倒れた。 真田昌幸 CV:伊藤健太郎 真田家当主で真田家暴走人1号。信幸、幸村兄弟の父。のぼりばしごのマサ。 幸村と気が合い、信幸をからかうことに生きがいを感じている。からかうためなら火の中水の中、危ないことも普通にする。 真田幸村 CV:前野智昭 真田家暴走人2号。 昌幸の次男。父のボケに便乗し、兄の家庭を掻き回す。父には「ユッキー」と呼ばれる。働かないのに子だくさんのムラ。 髪はボサボサで前髪が長く、目がいつも描かれていない。 祖父や父を凌駕するウザさと面倒臭さを持ち、彼を召し抱えた者は往々にして頭を抱える。 実は戦っていた時期よりもニートだった時期の方が長いため、人質道の第一人者を自称している。 祖父の幸隆に似ている(というより髪の色以外同じ)。 霜月かいりの『BRAVE10』『BRAVE10S』には「殿といっしょ 出張版」が掲載されており、『ブレ10』に因んで真田十勇士が登場している。 小松 CV:小林ゆう 信幸の妻で本多忠勝の娘(徳川家康の養女)。 腕っ節が強い上にいつも剣呑な表情をしており、完全に信之を尻に敷いているために鬼嫁扱いされている。 その鬼嫁度は江が信之に関して調査を行ったら「嫁さんがめっちゃ怖い」以外の情報が一切出てこなかったほどである。 ただ、信幸の思わぬ台詞に頬を赤らめたり、夫をいじめる徳川秀忠に拳を見舞ったりと、信幸を想ってはいる様子。ツンデレ。 《徳川家》 徳川家康 CV:桐本琢也(ドラマCD) 江戸幕府初代将軍。 知っての通り我慢強いのが特徴だが、我慢強さに固執するあまりドMの領域に達しており、 甕をぶち割る柴田勝家のヘッドバットを食らおうが、松明が倒れ込んで頭が大火事になろうが、 オッサンふたりにチューされそうになろうが我慢しようとするほど。 しまいには地面に腰を下ろすのを我慢して空中浮遊できるようになった。 そのくせプライドは人一倍高く、実は結構怒りっぽい一面もある。 幼少時代には織田家で「あの」信長の遊び相手をさせられていたせいで変に性格がねじ曲がってしまったらしい。 本多忠勝 CV:坂本頼光 徳川四天王の一角で、戦国最強とも言われる武将。小松の父。 豪快磊落で細かいことは気にしない性格だが、「戦傷を負ったことが無い」ということに関しては執着を見せる。 そのことを知られた真田親子に「人間要塞真田丸」というひどい仇名を付けられてしまう。 家康教徒その1。 本多正信 家康の側近であり、後に秀忠に仕える。 家康に「結婚したい」というほどの忠誠心を見せるホモおやじ。 家康教徒その2。 秀忠「たまたま苗字同じなのに仲わりーなこの二人…」 徳川秀忠 CV:鈴木達央 家康の四男であり、江戸幕府二代将軍。ただ兄弟は全く出てこない。 家康の短気な部分を色濃く受け継いでおり、関ヶ原の戦いで自分の評判を落とした真田家(おもに信之)をイビるのに情熱を傾ける。 家督を譲ってもらえないのを我慢できずに刺客を放ったりするなどといったアブナい人物。 江 秀忠の正室であり、浅井長政&お市の三女。 髪の色は市に、顔は長政に似ており、母親似(自分より美人)である姉二人にはコンプレックスを持っている。 史実では烈女説があるが、本作では真逆の長政をより極端にしたような被害妄想の激しい女性であり、何かにつけて物事をマイナスに捕えがちな苦労人。 そのせいで宿敵である真田親子からは「バッツさん」(バツ2であることと掛けてある)と呼ばれ、からかわれている。 親父譲りのビビリで、親父を上回る花瓶に隠れる超能力を手に入れた。 《室町幕府・細川家》 足利義輝 第十三代征夷大将軍。目元の涼しいイケメンだが、大剣豪であり重度の刀剣マニア。 しょうもない理由で暗殺者に敗北して戦死。 足利義栄 第十四代征夷大将軍。義輝の従弟。一人称は「ポク」。ネコ型ロボットみたいなマヌケな外見。 三好三人衆と組んで幕府復興を目指す。 「そんな奴いたか?」というくらい影が薄い。 でも創作作品の「足利義栄」としてはこれでも相当に出番が多い方である。 三好三人衆 ぞんざいな顔と性格のぞんざいな扱いの噛ませ犬。 足利義昭 第十五代征夷大将軍。ヘタレでモヤシでアホ。周囲から良いように扱われている。 細川藤孝 義昭の側近。あらゆる教養に精通したインテリざあます。 将軍のことも「ウソついてまで励ます教養は持ってないざます」と呟くなど全く尊敬していない。 細川忠興 最終巻で登場。外見は父そっくりだが語尾は「ざあんす」。 極めて苛烈な性格で、敵を自害に追いやるまで気が済まない凶暴な一面を持つ。 利家とは「信長からの寵愛」や「愛妻家」の教養をめぐって張り合う。 《その他》 他にも… 前田家(信長と妻大好きな利家、巨乳なまつさん他) 朝倉家(サボリ魔義景と虚弱景鏡、亡霊宗滴じいさん) 島津家(熱血おバカ四兄弟とカゲのうすいおとーさん貴久) 大友家(スケベ本マニアのうすらハゲ宗麟、人間発電機立花道雪、おにぎり法師高橋紹運、熱血バカの立花宗茂他) 北条家(脱ぎ魔の一族) 今川家(白ブタとサッカーバカ息子) 毛利家(ケツに矢) 蒲生家(とにかく怖い城主) 最上家(オーメン) 竜造寺家(熊と猫) …etc. などがある。 勿論全部はやらないけどね。 【メディア展開】 2009年6月にはドラマCDが発売され、2009年11月には第二弾が発売。 その後OVA(約1時間アニメ)が2010年3月25日に発売され、2010年7月よりテレビアニメが放送(15分アニメ)。 更に2011年4月には第2期が放送された。 また、舞台劇化もされている。 その他、メディアファクトリーから刊行されている『ナレッジエンタ読本』第22巻「それは誤解だ戦国武将!」では、本作が挿絵としてコラボしている。 【クロスオーバー】 殿といっしょ 出張版 霜月かいりの合法エロ漫画『BRAVE10』『BRAVE10 S』巻末に掲載されている出張4コマ。 真田十勇士を題材としているが、本編に出てくる徳川家の皆さんなども登場している。 後に『殿いつ』の方にも「出張版」の海野六郎、穴山小介(*3)、三好青海入道、そして初登場となる息子の真田幸昌(大助)が出演。 ちなみに『殿といっしょ』1巻では霜月氏がお礼にチチ眼帯を付ける政宗像を書き下ろしている。 信長の忍び コラボスペシャル 重野なおき『信長の忍び』(白泉社)との、出版社の壁を超えて戦国4コマ同士での夢のコラボ。 『殿いつ』には重野の、『信忍』には大都の書き下ろし4コマが掲載された。 皆の若殿♪ 可愛い若殿♪ 〇 〇 〇 /│\/│\/│\ │ │ │ /\ /\ /\ 笑って~♪天下を狙え~♪ (追記・修正)眼眼いこうぜ~♪ △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] 一巻読んで、即全巻揃えようと決めた漫画 -- 名無しさん (2014-01-09 22 41 02) なんでアニメはあんなに早く終わってしまったんだ・・ -- 名無しさん (2014-01-09 23 44 56) 遂に9巻キター 小寺時代の官兵衛キター -- 名無しさん (2014-08-28 22 34 05) ギャグ王でこなき爺とかぬりかべの漫画描いてた人・・・だよな? -- 名無しさん (2014-08-29 00 20 28) ↑うん、エニックスでドラクエを始めとするゲーム4コマ描いてた人だよ -- 名無しさん (2014-08-29 00 40 12) まつが一番かわいい -- 名無しさん (2014-09-02 21 24 40) 忘れたころに新刊が出る漫画って作者も言ってたな -- 名無しさん (2015-12-01 16 15 51) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/propoichathre/pages/1567.html
その提案は、実に唐突だった。 「ねえ、紅葉を見に行かない?」 季節はまだまだ夏の暑さが残るものの、秋神が頑張ったのだろうか、 今年はこの時期にも関わらず、妖怪の山は紅と橙の二色に支配されてるという。 無論断る理由もないし快く承諾……しようと思ったのだが、疑問が1つ。 「大丈夫なのか?お前が山に行って」 妖怪の山まで赴くとなると、当然あの秋神の姉妹と出くわす可能性もあるだろう。 お互いにいがみ合ってるのなら邂逅はまずいかな……とか考えたのだが、 「あら、大丈夫よ。今回の誘いは向こうからだもの。 こう見えても私、秋姉神の方とは仲がいいのよ、ふふっ」 見せつけるようにはにかむうちの雪女様の交友関係にやや驚愕しつつ、 ともかくそう言う事なら心配事はないな、と、俺はレティにオーケーのサインを出す。 同時にちょっとした違和感が頭をよぎったのだが、その時はそれが何かに気づけぬまま、 結局それに気づかされるのは当日の事となる。 当日。 ヒャッハァ!!紅葉狩りだぜ!!と意気込んでいた俺を待ち構えていたのは、 案の定と言うか何と言うか、見渡す限り緑に覆われた妖怪の山であった。 そう言えば、数日前に通りかかった妖怪の山も、大体こんな感じだったっけ。 頭の中でずっと感じてた違和感はこれだったのか、と今更ながら感心しつつ、 しかし一体どうするべきかと頭を悩ます。 「……騙されたか?」 「おかしいわね、静葉の話だと、もう見頃って話だったんだけど……」 レティにもこの情景は全くの想定外だったらしく、 一体どうしたのだろうかと辺りをきょろきょろ見渡すだけ。 「あら、いらっしゃい」 と、そこへ、この誘いを持ちかけた張本人、秋静葉がやって来る。 口調に何ら悪びれたような様子はない。やはり謀られたか。 「おいおい、どう言う事だ? 俺達はあんたに誘われたから、こうやって来たってのに」 「そうよ、静葉。説明をもらわないと納得できないわ」 「ああ、はいはい。ちゃんと説明するから、そう怒らない怒らない……と言いたいところだけど。 論より証拠って事で、実際にその目で拝んだ方が早いでしょ、着いてきなさいな」 そう言うなり、静葉は後ろを向けて山に向かって進みだした。 呆気に取られる俺とレティを尻目に、静葉はどんどんと山へと入って行く。 この状況下で彼女を見失う事は、それ即ち全ての情報を失うに等しい。 俺は考えるよりも前にレティの手を引き、静葉の後を追うようにして山へと入っていった。 「どこへ連れて行く気だ……?」 「さあ」 山道がどんどん険しくなるのを見ると恐らくは山の奥深くに進んでいるのだろうが、 奇妙な事に進めば進むほど、それまでずっと緑色だった木々の葉っぱの中に、 だんだんと赤や黄色、オレンジが混じり出しているのがはっきりと分かる。 ただ黙って静葉の後から山道を進む事30分、不意に、それまでずっと前を歩いていた彼女の足が止まる。 「さあ、着いたわ」 彼女が足を止めた先には、割と開けた広場のような場所が広がっていた。 そしてそこは先頃の静葉の言葉通り、「紅と橙の二色に支配されて」いた。 ひらひらと舞い落ちる紅葉が地面に積もり、さながら天然のカーペットを模っているかのよう。 目の前に広がる非日常的な光景に思わず目が眩む。 そしてそれは恐らくレティもそうなのだろう、信じられない、と言った目でぼうっと前を向いている。 「驚いたでしょ?」 そんな俺達に向かって、静葉はこれ見よがしに微笑む。 「ここは妖怪の山でも、私の力が最も強く働くところなの。 妖怪の山の木々はここを中心として、じょじょに葉っぱが色付き出すってわけ。 本当は秘密の場所なんだけど……友人のよしみって事で、今回は特別に、ね」 「静葉……ごめんなさい、疑って悪かったわ」 「俺も悪かった。すまない」 「いいのよ、別に。説明不足だった私も悪いわけだし。それじゃ、後は2人でごゆっくり」 「ごゆっくり」と言う言葉にかすかな期待の意を感じ取ったのは俺だけだろうか。 ともかく静葉は背を向けて、元来た道を帰って行った。 紅葉の舞う中、取り残された俺とレティの2人。 「……え、えーと、どうするよ?」 「どうするって言われても……静葉の言ったとおり、ゆっくりしていくしかないんじゃない?」 そう言うとレティはおもむろに、その体を横にした。 紅葉の絨毯の上で横になる雪女とは、これいかに。 とにもかくにも彼女に倣って、俺も紅葉の上で横たわる事にしてみる。 背中に伝わるふかふかした感触と、心地よい暖かみ。 しばらくの間は無言でこの幸せを味わっていたが、 「……ねえ」 不意に、レティの声が聞こえた。 同時に俺の左手に握られる、彼女の柔らかい手のひら。 「……あなたは今、幸せ?」 「愚問だな。もし仮に幸せじゃないとしたら、どうして俺はレティとここにいる? レティと1年中いる事ができて、とっても幸せだからに決まってるじゃないか」 「……ふふっ、そうね。私も、とっても幸せよ。 冬しか生きられなかった私が、春の桜を見、夏の花火を見、そして今、こうして秋の紅葉を見てる。 あなたと付き合う前は、とても考えられない事ばかりだったわ……」 「……レティ……」 その時の彼女の顔を、俺は見ていない。 声のトーンからして、見らずともどんな顔をしているかは大体想像がつくからだ。 だからこそ俺は目を瞑ったまま体を回転させて、横たわったままの彼女の体を抱きしめる。 と同時にレティもこちらに体を向けたらしく、彼女の息遣いが間近で感じられる。 「……もうすぐ、冬だな」 「……まだ3ヶ月くらいあるけどね」 「3ヶ月なんてあっという間だろ。こうやって愛していれば」 目を閉じたまま、俺はレティの唇を塞ぐ。 視界がない分だけ他の様々な感覚が研ぎ澄まされ、いつもより深く、レティを感じられる。 彼女も負けじと、より激しく、そしてより深く、口の中で俺を求めて来る。 やがて名残惜しそうに唇が離れ、俺は目を開ける。 レティのサファイアのような瞳からは、もう涙は滴ってなかった。 「……桜の下でも、花火の下でも、こうやって変わらず愛し合ったっけ」 「そして今日は紅葉の下で……ってわけかしら?」 「上かもな」 「ふふっ、確かに。それじゃ……続き、しましょ?」 一際強い風が吹き、紅葉が俺とレティを覆い隠すかのように舞い踊る。 それはさながら、紅と橙で模られた秋のカーテンとでも言ったところか。 全く自然も粋な計らいをするよな、と俺は思いつつ、再びレティの唇を――― 新ろだ684 ─────────────────────── 季節は秋も半ば、長月も終わりかけて神無月へ向かおうとしている、そんな頃。 幻想郷中が糖分で埋め尽くされそうになった『糖分異変』も終息し、 またいつものように、平穏でゆっくりとした時間が流れ……る暇もなく。 幻想郷中に配布された1枚のチラシが、にわかに人妖のカップルを慌ただしくさせていた。 そしてそれは俺達も例外ではなく…… 「外界旅行……ねえ」 ある日の早朝。 隣でぐっすりと眠っているレティを尻目に、俺はそのチラシとにらめっこしていた。 チラシには派手な色で、大きくこんな文字が書かれてある。 『今年も開催、神無月外界ツアー!!』 そう言えば去年もこんな事やってたっけ、と、ふと記憶が蘇る。 去年の旅行は残念ながら見送る羽目になってしまったが、今年は違う。 冬にしかいっしょにいられなかったはずの俺の恋人は、 春に花見を、夏に花火を、秋には紅葉を楽しめるようになり、 そして今、こうして俺の隣ですやすやと寝息を立てている。 もしこの話を持ちかけたら、喜んで彼女はオーケーしてくれるに違いない。 ヒャッハー、今から来月が楽しみだぜ!!とかいった気分に浸りつつ、 しかし同時に一抹の不安が頭をよぎる。 「……どこへ行こう……」 ずっと幻想郷に住んでいた彼女に、外の世界の知識など当然皆無。 よって必然的に俺がエスコートする事になるのだろうが、 情けない事に、外の世界の観光地に対する俺の知識は甘い。 自信を持って案内できるのは、せいぜい俺の故郷の近くくらいだろう。 そんな事で大丈夫なのだろうか、もっとメジャーなところの方がいいのでは、 とか色々思考を巡らせているうちに、どうやら早起きが祟ったらしく、眠気……が…… 「……ねえ、起きてよ。いつまで眠ってるのよ」 目が覚めると、さっきは隣で眠っていたレティの顔が、俺の真上にあった。 寝ぼけ眼でもその瞳に映る姿は相変わらず綺麗で美しい……じゃなくって、 時計を見た感じ、どうやら最初に目が覚めた時からかなりの時間が経ってるらしい。 我ながら不覚、と思いながら体を起こすと、 「これ」 目の前に1枚の紙が突き出された。 寝起きで拝むにはやや辛い文字色で書かれたそれは、 俺が早朝に眺めていた、外界ツアーの開催を知らせるチラシ。 「行くでしょ?」 にこやかに微笑むレティ。 まさか話を持ちかける前に向こうからこう言ってくるとは願ったり叶ったり。 まあ、となれば無論返事は決まってるわけで。 「ああ、いっしょに行こう。2人で楽しい旅行にしような」 そのままレティをそっと抱きしめ、優しく口づけを交わす。 もし天狗やらスキマ妖怪やらに見られてたら、朝からお盛んですね、とか言われそうなものだが、 いつかの糖分異変では時間や場所を問わず1日中イチャイチャしてたわけから、こんな事でいちいち茶々は入れさせない。 しばらくの間は、そうしてゆっくりと2人だけの時間が過ぎていき…… ……30分後。 さすがにやりすぎたと思っている、だが反省も後悔もしていない、 とか誰に言うまでもなく心の中で呟き、ようやく俺とレティは唇を離した。 長い間互いを求め合ったせいか、息は荒く、顔は赤い。 「……あ、秋なのに、何でこんなに暑いのかしら」 「……『熱い』の間違いじゃないか、それ」 体はやはり無意識のうちに砂糖を求めてしまうのかね、とか思いながら、 しばらくは茫然とその場に座りつくしていたが、ふとレティが口を開く。 「……旅行のプランは、全部あなたに任せる形になるのよね?」 「あー、うん、まあそう言う形になるだろうが……どうした?」 「ちょっと……行きたいところがあって」 「行きたいところ?どこ?」 これは意外な提案だった。 よもやレティに外の世界の観光地の知識があったとは、とか、 しかしあんまり知らないところだと俺も困るなぁ、とか思いながら、次の言葉を待つ。 「……あなたの、生まれ故郷」 「……みゃ?」 我ながら情けない声を出してしまった。 あー、まあ確かに、恋人の生まれ故郷を見てみたいっつーのは素直な願望だろうし。 深読みしてた俺乙、ってところか。 「……ダメ、かな?」 間の抜けた返事に不安になったのか、上目遣いでこちらを見てくるレティ。 ええい、その表情反則だって。例え最初から行く気がなかったとしても、 その顔でお願いをされたら喜んでプランに練り込むだろーっ。 「ダメなわけないだろ。連れてってやるよ、俺の生まれ故郷。 ……まあ、何にもない静かなところだけどな」 「それでいいわよ。あまり賑やかなところは、好きじゃないもの。 それじゃ、朝ご飯作ってくるわね。楽しみにしてるわよ、あ・な・た♪」 最後に俺の頬にキスをして、台所へと向かって行くレティ。 あまり過度に期待されても困るんだが、行くからにはしっかりとしたプランを練る必要がある。 1年に1回の楽しい旅行だ、どうせなら一生の思い出に残るようにしたい。 俺は紙と鉛筆を持ちだすと、今では霞んできている外の世界の記憶を掘り起こしながら、 あーでもないこーでもないと呻きつつ、再び紙とにらめっこするのだった。 神無月まで、あと少し。 _____________________ ガタンゴトン、ガタンゴトン。 田園地帯を走る電車に揺られながら、俺達は目的地を目指す。 新幹線が流通している都市部と違い、俺の故郷は残念ながら辺境の片田舎にある。 幻想郷に行く前は比較的利用客も多かったこの地域で唯一の電車は、 今や乗客もほとんどなく、現に俺達と同じ車両に乗ってるのは数えるほどしかいない。 「懐かしいなあ、俺も高校時代はよくこの電車にお世話になってたっけ」 「外の世界の人間って、みんなこんなのに乗ってるの?」 「いんや、今は車と、新幹線と、それに飛行機って辺りだな。 今更こんなローカルな移動手段を使うのは俺達くらいのもんさね」 「あら、私は好きよ?こう言うゆったりとした速度で移動するの。 別に時間はたっぷりあるし、急ぐ必要も皆無だしね」 「ところがどっこい、外の人間は効率よく時間を運びたがるから、 こう言った前世代型の乗り物はあんまり使わないのさ」 「ふーん、外の世界の人間って、もったいない事してるのね」 「どうし……んっ」 言い終わる前に、隣に座っていたレティに唇を塞がれる。 乗っていた数少ない乗客の視線が集まったのにも動じる事無く、 もっと深く、とせがまんばかりに俺の体を抱き寄せて来る。 全く仕方ないなぁ、とばかりに俺もその求めに応え…… ……とまあこんな感じで、電車に揺られる事2時間半。 車掌も含めた乗客全員に温かい目で見られながら、俺達は列車を降りた。 幸いにして小さな駅だったので、昼間とはいえホームには誰もいない。 秋半ばの涼しげな風が、妙に火照った体に心地いい。 「……結局、お前が積極的なのはどこでも変わらず……か」 「雪女は人を誘惑するのが趣味なのよ、うふふ」 「さいですか」 「それで、どこに連れてってくれるのかしら? あなたが案内してくれるのなら、私はどこへだってついていくわよ」 「そう言われると、逆にプレッシャー高まるんだが…… まあ、できるだけいい旅になるようにエスコートするつもりだ。不束者だが、よろしく頼む」 「ええ、喜んで」 そう言って俺はレティの手を取り、ホームを後にする。 先日から練ったプランはあるにはあるのだが、果たしてこれでレティを満足させる事ができるのか、未だに不安が残る。 しかし、その事を今更考えても仕方ない。来たからには楽しい旅にする、これが真情だろう。 全力でエスコートするのが今のあなたにできる善行です、って閻魔様も言うだろうしな!! そんなこんなで、市街地へと足を踏み入れたのだが…… 「……♪」 さっきからレティは何も言わず、俺の腕にしがみつきながら歩いている。 いや、別に幻想郷ではずっとこうして歩いてたから、行為自体に恥ずかしさを感じる事は微塵もないのだが、 周囲を歩いている人達の視線が、何と言うか痛い。それももの凄く。 電車の中でのアレはある程度自分も狂気に支配されてただろうから何ともなかったが、 今こうして正気に戻った時に、これは恥ずかしすぎる。 「な、なあレティ、そこまで密着しなくてもいいんじゃ……」 「あら、嫌だった?」 「い、いや、そう言うわけではなくてだな……」 レティの服装は、帽子がない事と服が半袖である事を除けば、ほぼ向こうでの姿と変わりない。 普段は帽子に隠れていた、ボリュームのある蒼みがかった銀髪には、雪の結晶を模った髪飾り ―――俺が出発前に、香霖堂で仕入れたものだ―――がついている。 それが一層彼女の可憐さを引き出しているのかは果たして定かではないが、 とにかくすれ違う男性は十人が十人ともこちらの方に視線を向けたし、 またこんな恰好で歩いているせいか、俺達の周りには半径5メートルほどの空間が広がっている。 あんまり近くに寄りたくない、って事だろう。 「……何と言うか、恥ずかしい」 「うふふ、何を今更。いつかの異変の時は常時こんな状態だったじゃない。 あの時はこれに追加して濃厚なディープキス、プラスαがついてたけどね」 「えーい、あの時と比較するなあの時と。と言うか、プラスαについてそれ以上喋るな。 故郷に帰って来てまであの紫魔女の声は聞きたくない」 「それもそうね……それじゃこの続きは、夜になったらいーっぱい話してあげるわ」 それもそれで困るのだが、と反論しようと思ったが、 どうやら幸か不幸か、本日1つ目の目的地に到着してしまったようだ。 「おー、ここだここだ。相変わらず変わってないなー」 街の大通りから、少し路地に入ったところにある小さな喫茶店。 一見してもただの小さな店だし特に雑誌とかに載ったりはしてないんだが、 それでもここのチョコレートパフェだけはどこにも真似できない美味しさだと俺は確信している。 いつか彼女ができたらいっしょに食べよう、と幻想郷に来る前から思っていたのだが、 よもやこんな形でその願いが叶うとは、俺自身予想だにしなかった。 「ここが、最初の目的地?」 「そう言う事。中で何が起こるかは、まあお楽しみって事で」 ドアを開くと、カランコロンという小気味いい音が店内に鳴り響く。 そしてその音を聞きつけて奥からやって来たのは、数年前によく見慣れていた顔だった。 「いらっしゃい……って、もしかして、お前さん……?」 「こんにちは、マスター。お久しぶりです」 「おお、誰かと思えば、やっぱりか!! ここ数年顔を見せなかったから、どうしたのかと心配したぞ? おっ、隣にいるのは、もしかして嫁かい?」 「い、いや、まだそんな関係じゃ……」 「あら、白々しいのね。もう既にあんな事やこんな事もしたというのに」 「ちょっ、レティ!?」 「おー、奥手かと思ったら、意外と積極的だったんだなァ、うんうん」 「いやいやいやいや、マスターまで何言ってるんですか!?」 「ハッハッハ、冗談だよ、冗談」 そんな風に談笑しながら、ふと店内を見渡す。 古いジャズがかかっている店の中には、俺達以外の客は誰もいない。 高校時代によく受験勉強とかで利用してた時は、少なくとも常時2桁は客がいたはずだが。 そんな目線に気づいたのか、それまで元気に喋っていたマスターの声のトーンが落ちる。 「……ちょうどお前さんが来なくなった頃からだな、客が減り出してのは。 そろそろ潮時か、と閉店でもしようかと思った矢先に、お前さんがこうしてふらっとやって来てくれた。 正直言って羨ましくなるような、綺麗な嬢ちゃんを連れてな」 「……マスター……」 「久しぶりだよ、あんなに笑ったのは。やっぱりお前さんがいると空気が違うな。 ……それで、注文はいつものかい?」 「え、あ、はい……覚えててくれたんですか?」 「当たり前だ。常日頃から、『いつかこのチョコレートパフェを、恋人と食うのが夢なんです』、 って聞かされてたら、そりゃあ耳にも脳にも残るわな。よかったじゃないか、夢が叶って」 「ぅ……」 そもそもここに来たのはそれが目的だったから、何も言い返せない。 気がつけばマスターのみならず、レティまでニヤニヤしながらこっちを見ている。 ええいやめろ、そんな目で俺を見るな!!当時の俺は本当に夢見てたんだ!! 「それじゃ準備してくるから、適当にテーブルに座っててくれ」 マスターが厨房に向かったのを見計らって、レティが口を開く。 「あらあら、よかったじゃない、夢が叶って♪」 「……やめてくれ、本当に恥ずかしい……」 冷房が効いた店内にも関わらず、やけに暑く感じるのは何故だろうか。 いや、何となく理由は分かるのだが、認知したくないというか、何と言うか。 そうこうしてるうちに、マスターがお盆にコーヒーとパフェを乗せてやって来た……って、ちょっとストップ。 「……なんですか、そのストローは」 「何の変哲もない普通のストローだが」 「そのY字型のストローが普通だと仰いますかッ!?」 「普通だろ」 「普通ね」 ……あれ、何でレティまでマスターの味方してるんだ? ……ああ、そうか、これが常識に捉われないってやつなのか。 そう言えば、某蒼巫女さんが最近外の世界の常識に捉われなくなったらしいが、 彼女よりも長く幻想郷にいるはずの俺が、常識を捨て切れてなかったとは…… 「……ああ、すいません、普通でした」 「分かったならいい。それじゃ、ゆっくりしていけ」 再び厨房に戻っていくマスターの姿を、俺は恐らく呆けた顔で見送ってたのだろう。 いつまで余所見をしてるのかしら、とレティに抓られるまで、はっきりとした記憶がなかった事だし。 とにもかくにも、数年ぶりのチョコレートパフェにスプーンを潜らせ、口に入れる。 ここでグルメリポーターならとやかく気の利いたセリフをたくさん並べるのだろうが、 生憎と語彙力に乏しい俺の口からは、この言葉しか出てこない。 「……うん、いつも通り美味しい。ちっとも変わってないな」 「へえ、どれどれ……」 つられるようにレティも一口味わうと、ふにゃりと顔を綻ばせた。 彼女の言葉を待つまでもなく、このパフェはレティの口にも美味しさを齎したのだとすぐに分かる。 その後もしばらくパフェをつつくうちに、当然ながら口の中が甘ったるくなり始めるのだが、 口直しのためのコーヒーには、何故か手を伸ばす気にはなれなかった。 やはり心の奥底で『このストロー絶対に普通じゃないだろ、常識的に考えて……』という思考が息づいてるに違いない。 それでも、やっぱり口の中をリセットしたい欲求には抗えない。 レティがパフェになってる一瞬のうちにコーヒーを飲んでしまえば……よし、今だっ!! ガシッ ストローを口に含む、その寸前。 頭にのしかかった妙な感覚の元は、無論レティの手のひらに違いない。 見上げるとそこには、俺の頭を片手で掴みながら、もう片方の手で優雅にパフェを食べている彼女の姿。 その顔には、これ以上ないまでの笑みが浮かんでいた。 「1人で抜け掛けしようなんて、そんなずるい事はさせないわ。 コーヒーを飲みたくなったら、私に一声かけること。いいわね?」 「……ハイ」 この場面でノーと言えないのは、やはり惚れてしまった弱みなのだろうか……そこ、尻に敷かれてるとか言わない。 と言うか、喫茶店でコーヒーを1本のストローでいっしょに飲むとかどんなプレイだよ、これ。 これ以上語ると羞恥で俺が死にそうなので、続きは読者諸兄の頭の中で補完していただけると助かる。 まあ敢えて言わなくても大体何があったかは想像つきそうだしな!!言っておくが丸投げじゃないぞ!!本当だぞ!! 「で、どうだった?」 「とっても美味しかったわ。いろいろな意味で、ね」 「……そうかい、そりゃよかった」 と言うわけで喫茶店で色々と堪能した俺達は、 次の目的地へと向かうべく、市街地を離れてゆくバスの中にいる。 「それで、これからどこに行くの?」 「んー、この旅行において、しばらく拠点となり得る場所かな」 「……あー、何となく予想ついたわ。それじゃ、楽しみにしとくわね」 「あんまり楽しみにされても困るんだがな」 さすがにレティもバスの中では自重してくれてたようで、 割と普通の会話を繰り広げている間に、目的地からいちばん近い停留所へと到着。 ここから更に20分ほど、長く単調な道を歩かないと行けないのだが、 心なしか、レティといっしょに歩いているとその道のりも短く感じるらしい。 あっという間に、その目的地に到着してしまった。 「着いたな、ここだ」 田んぼに囲まれた中にぽつんと点在する大きめの家。 何の変哲もない普通の家だけど、俺にとっては大きな意味を持つ家。 つまりは、ここが俺の実家というわけである。 「へえ……ここが、あなたの生まれ育った家なのね」 「正確にはここで生まれたわけじゃないけどな。えーと、鍵の置き場所は……っと」 庭にたくさん置かれている、様々な植物が植えられている植木鉢。 その右から4番目の植木鉢の下に……おっ、やっぱりあった。 鍵の隠し場所が変わってなかったのはありがたかったとか思いながら、玄関のドアを開け、中に入る。 「……まあ実家だし、一応言っておくか。ただいま」 「お邪魔します」 昔とちっとも変わっていない内観と、そして懐かしい我が家の匂い。 何もかもが、俺が幻想郷へ行く前とちっとも変わっていなかった。 ただ1つ、変わったものがあるとすれば…… 「……静かね」 「そうだな」 この家から、人の気配が一切なくなった事だろうか。 マスターから聞いた話だが、俺の家族は2年ほど前、他の地に引っ越したそうだ。 なんでも父親の仕事の事情とか言っていたが、果たして真意の程は分からない。 俺が幻想入りしてしまったのにも原因があるのだろうか、とか色々考えてると、 「はいはい、懐かしさに浸るのはいいけど、私の事も忘れないでね?」 と、レティに頬をぎゅっと抓られた。 3分ほど彼女から視線を外しただけでこれだからなぁ、まあこれはこれで悪い気はしないんだけど。 なんだかんだで嫉妬するレティも可愛いしな……って痛い痛い痛い!! 「ふーん、それじゃ、私を可愛くするためにわざと視線を外してるってわけね。 それならお礼をしなくちゃいけないわね、どんなお礼がいいかしら」 「ちょっ、分かったからやめろ、ストップストップ!!」 どうやら最後の方の言葉が自分の口から出てしまっていたらしい。 このままだと家の中で猛吹雪を味わう事態になりかねないと判断した俺は、 右隣にいたレティの背中に手を回して、そのまま引き寄せるようにして抱きしめた。 さすがのレティもこれには驚いたのか、手の力を弱めて俺の顔をじっと見据える。 「……償いのつもりなの?」 「これで足りないなら、もっと先に進んでもいいけど?」 「……バカ。私がどうされたいか、分かってる癖に」 「そうだな、悪かったよ」 ゆっくりと近づく互いの顔。 さっきから感じていたレティの甘い匂いが、さらに強いものとなる。 電車の中でも喫茶店の中でもやる事はやったのだが、その時は周りに人がいた。 しかし今、ここには俺とレティしかいない。 ならば、少しくらい激しくレティを味わっても特に問題はないだろう。 向こうも向こうで、きっとそんな事を思ってるだろうし。 そして互いの距離はほとんどゼロとなり、瑞々しく甘いレティの唇が俺のに触れ――― 「はいはーい、スキマ特急便でーす」 ―――るか触れないかのところで、八雲紫の声が辺りに響き渡る。 普通のカップルならこの突然の第三者の声で我を取り戻すのだろうが、 生憎と先頃の糖分異変のおかげで、第三者はあんまり気にならなくなった。 となれば、この後に俺達がとった行動は言わずとも分かるだろう。 「きーっ、私がいるというのに見せつけてくれちゃって。 いいわよいいわよ、荷物はここにおいとくから、どうぞゆっくりしていきなさい!!」 紫の怒ったような声が聞こえた気がするが、そんな事はもはや問題ではない。 再び静けさを取り戻した空間で、何事もなかったかのようにさっきの続きをする俺とレティ。 どうせ2人きりの旅行なんだ、こうやってひたすら愛を貪るのも悪くないだろう。 この旅行中はいつもよりもっと、レティの愛を受け止めてやる事にしよう。 崩落してゆく理性の中で、俺はそんな事を考えていた。 旅行はまだ、始まったばかり。 _____________________ ……あれから、2週間。 俺とレティは外の世界で思う存分楽しんだ。 遊園地では、2人ともまるで子供のようにはしゃぎながら遊びまわり、 水族館では、幻想郷では絶対に見れないその神秘的な光景にうっとりとするレティの姿を見、 そして気がつけば、神無月もあとわずか。 「……レティ、起きろー」 神無月旅行の最終日。 布団の中に包まっていたレティを起こしにかかる。 普段は俺がレティに起こされる側なのだが、今日ばかりは不思議と早い時間に目が覚めた。 まあ今日は遠出する予定だったから、結局早く起きなければいけなかったのだが。 「……んー、やだ~、あと5日寝かせて……」 「せめて分にしないか……っと」 ぐずる彼女の布団を無理やり剥がしとり、その姿を露に……って。 「ん……ふぁ~あ……おはよう……今何時?」 「……その前に、どんな格好で寝てたんだお前は」 「ああ……私にとっては今の時期も暑く感じるから、これくらいじゃないと暑苦しくて寝られないのよ……」 だからと言って下着だけで寝るのはさすがにどうかと思うぞ。 朝っぱらからこんなもの見せられちゃたまったものじゃない。 と言うか見てると色々とやばい気分になるから直視できん!! 「……で、今何時?」 「午前7時3分、幻想郷で言うところの辰の刻ってとこだな」 「ふーん……って、随分と早い時間ね、出かけるの?」 「あー、まあ喜んでもらえる場所かどうかは分からんが、一応出かける」 「あなたとなら、どこへ行ったって楽しいわよ。すぐ出るの?」 「20分後には出たい」 「分かったわ。それじゃ、手早く着替えなきゃね」 そう言うなり、レティは俺の前で着替えを始め……って、待て待て待て待て。 「……おい、まだ俺が目の前にいるわけだが」 「あら、私は別に構わないわよ?あなたには私の全てを見てもらいたいしね」 「そう言う問題じゃなくてだな……やれやれ」 仕方なく回れ右して部屋から出ようとするが、 ドアノブに手を伸ばしたところで、もう片方の腕に触れる柔らかい感覚。 大体何が起きたかは想像がつくが一応振りかえって見てみると、 そこには案の定というかなんというか、俺の腕にしがみつくようにしているレティの姿が。 「もう、旅行中は私から目を逸らさない、って約束してくれたじゃないのよ……」 そう言いながら潤んだ瞳でこちらを見つめてくるレティ。 あー、もう……それ反則すぎるって…… 「……そろそろお前は、羞恥心ってものを知るべきだと思う」 「あら、私だって恥ずかしいって感じる事はあるわよ?」 ……そんなこんなで俺とレティは今、今日の目的地へと向かうバスの中にいる。 あの朝の出来事からどんな風に発展したかは大体想像がつくだろうから割愛、 というか続きを口に出すと間違いなく某紫の魔女が来るから言えん!! 「それで、今日はどこに行くの?」 「んー、この季節に行くには季節外れも甚だしいところかな。 ま、多分喜べると思うぜ。レティにとっては初めての場所だろうし」 「私にとっての初めての場所……ねぇ。大体予想はつくけど、楽しみにしておこうかしら」 まあ俺の口から敢えて言わずとも、目的地は自ずと察しているだろう。 バスの窓から見る事のできる景色の変化は、彼女の目にもしっかりと映っているだろうし。 揺られ揺られて幾時経ち、小さな停留所で下りた俺とレティの目の前に広がる光景は――― 青い青い、大海原。 砂浜にシートを広げて、並んで座る。 吹き付ける潮風はさすがにこの季節だと肌寒く感じられるのだろうが、 不思議とレティと並んで座ってると、その寒さも全く感じられなかった。 「これが、海なのね……」 「どうだ、綺麗だろ? 幻想郷じゃ絶対に見る事のできない光景だしな」 「ええ、綺麗だわ……とっても……」 レティはそう言ったっきり、何かに取りつかれたかのようにじっと水平線を見つめていた。 しばらくはザブンザブンという潮騒の音だけが辺りを支配していたが、 これ以上の沈黙に耐えきれなくなった俺は、ゆっくりと口を開き出す。 「……今回の旅行、楽しかったか?」 「え? ええ、楽しかったわよ」 「……そうか、それならよかった。 実際言うと、俺の決めた旅行プランでレティを満足させられるかどうか、分からなかったからな」 「あら、今日の朝にも言ったはずよ、『あなたとなら、どこへ行ったって楽しい』ってね。 正直言って今回の旅は、あなたと過ごしてきたどんな時間よりも最高に楽しい事ばかりだったし」 そう俺に言うレティだが、その瞳にはどことなく憂いが感じられる。 声のトーンも無理に明るくしている感じで、彼女が心の底から楽しんでいたという風には見受けられない。 もしかしたら……と思うと申し訳ない気持ちでいっぱいになり、気がつけば俺は彼女に謝っていた。 「……何か、不満だったのか?もしそうなら謝る。すまなかった」 「な、何で謝ってるのよ……十分楽しかった、って言ってるじゃない……」 「……泣きそうな顔で言われても、俺はその言葉を意味通りに受け取れないんだけど。 何かあるなら言ってほしい。その方が俺もレティもスッキリするだろうし」 「……………」 レティはしばらく黙っていたが、やがて意を決したかのように、 ぽつり、ぽつりと、ゆっくり喋り始める。 「……旅行が楽しかったのは、本当。これは紛れもない事実よ。 喫茶店であなたと食べたチョコレートパフェも美味しかったし、 その後に連れて行ってくれた遊園地って場所も、おもしろい乗り物がいっぱいあって楽しかった。 幻想郷ではできないような体験があなたとたくさんできて、私は本当に嬉しかった。けど……」 「けど?」 「……数日前あたりからずっと、私の中の何かが、 『このまま旅行を終わらせちゃいけない』って言ってるような気がしてて。 それが何なのかは私にも分からない。ただ、これだけは確実に言えるわ。 ……私はまだ、完全には満たされてない」 「……そうか、」 うっかり『それは重畳』って言いそうになったのを必死で堪える。 この状況で軽い調子でその言葉を言ってしまうのは自殺行為に相当するし、 何よりこの先のサプライズをここで明かしてしまうわけにはいかない。 レティが物足りなく感じる原因を一瞬で解消できそうなほどだと自分では考えているが、果たして効果のほどは定かではない。 それでも、この外界旅行のフィナーレをこのプランで締めくくるつもりでいるから、実行するしかあるまい。 「……なあ、レティ」 「?」 「もう1つ、行きたい所があるんだが。……付き合ってくれるか?」 「……あなたとなら、どこまでも」 旅行のフィナーレを飾るその場所とは、鬱蒼とした森の中にある小さな教会。 俺が小さい頃から無人で、よく友人と忍び込んでは思う存分遊んでいたものだ。 「……ここも変わってないな、昔のままだ」 「ねえ、ひょっとして……」 レティも俺の意図を察したらしいが、それを制して教会の扉を開く。 あれから十数年、手入れなど全くされていない教会の内部はさぞ荒れ果てて―――はない。 埃など何一つ舞っていない床を、ステンドガラスから差し込む木漏れ日が照らす。 まるでいるはずのないシスター達が丁寧に掃除したかのような道を歩きながら、 俺は教会の片隅にある、小さな部屋の扉を開けた。 「あら、いらっしゃい。待ちくたびれちゃったわよ」 「すみません、待たせちゃって」 「あ、え、な、何であなたがここに……?」 レティが驚くのも無理はない。 そこにいたのは、八雲紫。俺は彼女に、この教会でやるべき事のためにいくつかの事を頼んでいた。 教会内部が綺麗になっていたのは、そのうちの1つである。 「全く、こんな事に私をこき使うなんて、代償は高いわよ?」 「でもこんな事を頼めるのは、あなたしかいませんでしたし。 代償云々の話はこの際おいといて……頼んでおいたものは、ちゃんと用意できてます?」 「もちろんよ、このヴェールの向こう側にあるわ。 せっかくだし……あなたから、彼女に見せてあげたら?」 「……言われなくても、そうする予定です」 俺はつかつかと歩み寄り、部屋の奥にかけられてあった紫のヴェールを取る。 その奥にあったのは―――純白のドレス。 「……!!!」 「……指輪は、こちらで既に用意してある。 もしよければ、だが……教会の入り口に、それを着てやってきてほしい。 ……お前がどんな答えを出そうと、そこで待ってるから」 部屋を出て扉をガチャリと閉めた瞬間、目の前に紫の姿が。 「あんな事言っちゃって……随分自信を持ってるのね」 「自信なんて、ありませんよ。断られる可能性も十二分に想定してあります。 ……ですが、もし彼女があの姿で僕の前に現れてくれたら、その時は……」 「分かってるわ。妖怪の賢者として、あなた達の門出を祝福してあげましょう」 「ありがとうございます」 別の部屋で俺自身も着替えを済ませた後、予め言っておいた場所へと向かう。 果たして、そこには既に“あの姿”の彼女がいた。 「……バカ、卑怯よ。 あんな事されて、断らないわけ、ないじゃない……」 「……綺麗だ、レティ……」 ウエディングドレスを身に纏ったレティの姿は、俺がこれまで見た彼女のどの姿よりも、美しく見えた。 小さな教会の中、紫に神父の役を務めてもらって、2人きりの結婚式。 「……汝、レティ・ホワイトロック。 この男性を夫として、未来永劫支えて行く事を誓いますか?」 「……誓います」 「……汝、○○。 この女性を妻として、未来永劫愛して行く事を誓いますか?」 「……誓います」 「……では、指輪の交換を」 この日のために買った指輪は、彼女の瞳の色と同じ大きなサファイアがついたもの。 その指輪をレティの薬指にはめると、彼女はヴェールの向こうから潤んだ瞳で俺をしっかりと見つめた。 「……誓いの、キスを」 そのヴェールを手でゆっくりと脱がせ、彼女の顔を露にする。 今まで何十回と口付けは交わしてきたし、ただ唇を重ねるだけの優しいキスだったが、 この時ほど心の中に幸せが満たされたキスは、未来永劫存在しないだろう。 永遠とも思える時間の中で、俺はただ、レティだけを感じていた。 そして、外の世界で過ごす最後の夜。 布団が敷かれた暗い部屋の中で、見つめあう俺とレティ。 今までは越えてはならない一線と言う事でなるべく避けてきたが、 晴れて夫婦になった今となっては、むしろ越えなければならない一線。 「……旅行、満足できたか?」 「うん、とっても。これ以上ないってくらい幸せ、だけど…… ……そう言えば、まだあなたの口から、プロポーズの言葉を聞いてなかったわね」 「……あー、そういえば…… ……順番は違ってしまったが、言わせてくれるか?」 「ええ、いいわ。あなたの口から聞きたい」 「……レティ。お前の事を誰よりも愛している。 これからもずっと、いっしょにいてくれ……結婚しよう」 「……喜んで。あなたといっしょに、幸せな家庭を築きましょう」 そうしてゆっくりと、互いの服は互いの手によって脱がされていく。 これから何をするのかは、無論彼女も了承しているだろう。 やがてお互いに一糸纏わぬ姿になると、レティは布団の上に横たわった。 「……私の初めて、もらってくれる?」 「ああ、喜んで。……不束者だが、よろしく頼む」 そうして俺とレティはゆっくりと口付けを交わし――― ……とまあ、この話はここで終わり。 あの夜に起きた出来事についてここで長々と語る気はないし、 旅行が終わって幻想郷に戻ってきた後も、俺とレティは以前と変わらぬようにイチャイチャしていた。 ただ、旅行前と1つ、変わった事があるとするならば。 レティの薬指に、蒼く輝くサファイアがはめ込まれた指輪が輝くようになった事、だろうか。 新ろだ730,764,802 ───────────────────────────────── 「トリック オア トリート?」 「は?」 レティにふとそんな事を言われたのは、 神無月旅行から帰ってきた日の翌日だったと思う。 言葉の意味が一瞬だけ飲み込めずにそちらの方を見た俺は、思わず絶句してしまった。 「……レ、レティ? 何だその格好は?」 いつもの青と白を基調にしたゆったりとした服ではなく、 彼女が纏っていたのは、胸元がぱっくりと開いた漆黒のドレス。 そして背中には某吸血鬼や某小悪魔のソレを模ったような黒い翼に、 極めつけはどこでどうやったのか、左右にふりふりと揺れる尻尾。 つまるところ、レティが小悪魔みたいになってたと言えば飲み込みは早いだろうか。 「うー、だ、だって……今日はハロウィンだって、あのスキマ妖怪が……」 赤面しているレティにそう言われて、俺はようやく状況を理解した。 ああ、幻想郷では今日がハロウィンの日に相当するのか。 ……というか、幻想郷にハロウィンの習慣があったのが驚きだ。 まあ某吸血鬼が辺り構わずカリスマを撒き散らかしてるわけだし、当然といえば当然かもな、 とかそう言う事を考えてると、 「……そ、それで、どうなのよ!? 悪戯されたいのか、それともお菓子をくれるのか、はっきりしなさいよ!?」 そう大声で叫ぶレティの顔は、既に赤より紅い。 このまましばらく何も答えずに今の彼女の様子を眺めるのも悪くはなかったが、 あまりにほったらかしにしてると溶けちゃいそうなので、そろそろ冷ましにかかるか。 「いやいやレティ、お前も別にお菓子貰って嬉しくはないだろう。 『お菓子をくれなきゃ悪戯するぞ』とは言うけど、俺は別に悪戯されてもいいぜ?」 「……もう口を聞いてあげないような悪戯でもしてやろうかしら」 「……それは困るな。かと言ってさっき言った通り、お菓子あげてもどうしようもないし…うーん」 しばらく思案した後、俺はあるひとつの結論にたどり着く。 『トリート』という単語には『施し』という意味もあったはず。 ならば、お菓子ではない別の何かをレティに施してやればいいわけで。 「よし分かった。ちょっとこっち来てみ」 「あ、あら、何かくれるのかしら……」 なおも恥ずかしがってるレティを近くに歩み寄らせると、 俺は彼女を優しく抱きしめ、そのまま唇を奪う。 こちらから半ば強制的にキスしたにも関わらず、レティは俺の唇をすんなりと受け入れ、 むしろ向こうから積極的に舌を絡めようと、俺の口の中で舌を暴れさせた。 しばらくそうしていた後、唇を離して改めて見るレティの顔は―――案の定というかなんというか、 キスする前より更に赤みが差していたようだったが、構わず俺は言葉を続ける。 「……これで、悪戯してくれないよな?」 「そうね……悪くはなかったし勘弁してあげようかしら、と言いたいのだけれど」 気がつけば、俺はレティに押し倒されていた。 顔だけでなく瞳にもどことなく赤みが差している、と思うのは果たして気のせいか否か。 ついでに、吐息も荒くて表情もどこか艶っぽい。 「この格好のせいか、いつもよりあなたが欲しくなっちゃってね…… うふふ、まあハロウィンの悪戯だと思って、素直に享受してちょうだい?」 あー、もう……好きにしてくれぇ。 新ろだ808 ───────────────────────────────── それは音もなく、突然やってくる。 「……あら、雪ね」 「おー、いよいよ冬の到来か」 空にひらひらと舞う白い結晶。 手に降り積もる冷たさと柔らかさが、俺達に冬の到来を優しく教えてくれる。 「この前は冬の訪れが待ち遠しくないとかなんとか言っちまったが…… こうして改めて冬になってみると、やっぱり嬉しいものだな、うん」 「あらあら、嬉しいのは私にこの前の続きをしてもらえるからじゃなくて?」 「なっ……いやいやレティ、決してそんな事だけとは限らないからして」 「つまり、期待してた面もあるってわけね、うふふ」 「うっ……」 クスクスと笑うレティ。 全く、誘導尋問と人を誘惑するのが得意な雪女様だよ、お前は。 ……悪い気はしないけどな。 「それにしても、やっぱり冬はいいものだわー。 春の桜も夏の花火も秋の紅葉も、もちろん綺麗だったけど、 やっぱり冬の雪ほど綺麗なものはないわね」 「そうか? 俺はもう1つ、今レティが言った以上に綺麗なものを知ってるがな」 「あら、それは是非とも教えてほしいものね。一体何なのかしら?」 「知りたいか?」 「ええ、もちろん」 そうやってレティの耳に何かを囁いてやると、案の定というか何というか、 雪のように真っ白な彼女の肌は見る見るうちに赤みを帯びて行く。 「……バカ、何言ってるのよ……」 「間違ってはないと思うがな。どこかおかしな点でもあったか?」 そう言ってる俺の顔には、きっと意地の悪い笑みが広がってるんだろうなぁ。 裏を返せばこの笑みは、さっき囁いた言葉に対する照れ隠しの意味が多分に含まれてる、って事なんだけど。 「……でも、そうね。確かに間違ってはないと思うわ。 恐らくあなたが言ったそれは、これから冬が深まるにつれてさらに綺麗になるんじゃないかしら」 「ははっ、そうか。そいつは楽しみにしとかなきゃな」 「……しかしまあ、早いものだな。 今日でようやく、恋人と1年中いっしょに過ごしたいという俺の夢は達成されたわけか」 「ええ、そうね。そしてそれは、私の夢でもあるわ。 春から夏にかけては本当にしんどくて、このまま地下の氷室で眠れたらどんなに楽だろうか、と何度も思ったりした。 でもそうしなかった理由は……言わなくても、分かるわよね?」 「うん、察しはついてるけど……レティの口から、聞きたいな」 俺がそう言うと、レティは再び顔を赤らめながら小さく何かを呟いた後、 俺にしか聞こえないような声で、こう言った。 「……あなたの事が好きだから、に決まってるじゃない。 恥ずかしいんだから、あんまり言わせないでよ、もう……」 言った後にさらに頬を紅潮させてるのを見ると、 今すぐにでも溶けてなくなりたいほどの恥ずかしさを感じているのだろう。 しかし、それは面と向かって言われた俺も同じであって。 恥ずかしさが募ってきた俺は気がつけば、レティをぎゅっと抱きしめていた。 「……全くもう、可愛いやつだよ、お前は。 俺も大好きだ、レティ。この世界の誰よりもずっと、お前を愛してる」 「……私も大好きよ。これまでも、そしてこれからもずっと、ね」 そうしてそのまま、どちらからともなく互いに顔を近づけていき、そして――― 「……存外、激しかったわね」 「……何がだ」 「あら、ここで言えるとでも思ってるの? まあ言わなくてもある程度想像はつくと思うけどね、うふふ」 「……………」 「あなたが積極的に求めてくるから、私も燃えてきちゃった。 今夜は寝かせないから、覚悟しなさい?」 あーもう……好きにしてくれぇ。 新ろだ879 ───────────────────────────────── 「……なんだこれ」 その日の文々。新聞の一面記事を見て、俺は唖然とした。 『激録!! 幻想郷に訪れたベビーブーム』と称したその記事は、 子供がいる人妖カップルに文がこれでもかと言うほど取材を行い、 あまつさえこれから子供を作ろうかというカップルの事まで、 細やかに(ただし新聞に載せられるギリギリの範囲までだが)書かれているという始末。 その中には当然、俺とレティの事も書かれており、 『神無月旅行の最終日に晴れて結ばれた注目のカップルですが、 その後はさっぱりそう言った噂を聞きませんね~。 あや~、冬だからもうちょっと活発になるかと思ったんですが』 などと言う、文自身のコメントまで掲載されてあった。 「……………」 半ば呆れ顔になりながら俺は新聞を畳む。 こんなのを新聞で書かれたら恥ずかしくて外も歩けなくなるってのを、 果たしてあの暢気な新聞記者は分かっているのだろうか。いや分かってない。 しかし同時に一理あるな、とも思う。 と言うのも、晴れて結ばれたあの日に、俺とレティは確かにいっしょになった。 どう言う意味でかは勘のいい人なら分かりそうなので俺の口からは話さないがな。 しかしその後はなんというか、普通にイチャイチャはしてるものの、 そういう一線を越えたような事は今日までないような気がする。 「子供……か」 子供。 愛し合う2人の愛の結晶といっても過言ではない存在。 カップルなら誰しも喉から手が出るほど欲しいが、そうするためには…… いやいや落ち着け俺、今はまだ朝日は昇りきってない時間帯。 そろそろレティが朝ご飯を作り終えた頃だ、何食わぬ顔で朝食の席につかないと一瞬で悟られかねない。 そうなったが最後、この家の半径500メートルくらいが砂糖塗れになる事必至である。 込み上げてくるよく分からない感情を強引に抑え込み、俺は朝食を食べにリビングへと向かった。 「話があるんだけど」 レティが唐突に喋りかけてきたのは、件の朝食がほぼ消えかけた頃だっただろうか。 食後の余韻に浸っていた俺はお茶を啜りながら、レティの言葉を聞く事にした。 「話って?」 「今日ね、夢を見たの」 「ほうほう、どんな夢だ?」 「私とあなたとの間に子供ができる夢」 「ぶっ!!」 思わずお茶を吹き出しそうになり、そのせいで激しくむせ返る。 あの新聞を見た直後だったからピンポイントすぎてすごく驚いたが、 何とか熱いお茶にむせ返った風を装って、続きを促す。 「……そ、それで?」 「子供は女の子だったわ。私とあなたの面影をしっかりと残してて、とっても可愛かった。 そして、3人とも皆、幸せそうに笑ってたの」 「……そうだろうな。子供が生まれて嬉しくない夫婦なんていないだろうし」 「うん……そこで、本題に入るんだけど」 あー、この展開は、まさか…… 「……子供、欲しいって思ってる?」 やっぱりな。 ここでの返答次第によっては強制打ち切りになる可能性も否定できんので、 あえて慎重に言葉を選びながら、俺は彼女の問いに答える事にした。 「もちろん、子供は欲しいに決まってるさ。 だけど、そんなに急ぐ必要はないんじゃないかな」 「だけど……あなたと私じゃ、寿命の差が……」 「寿命の差ぐらい、どうとでもなるさ。 なんてったって俺達は、愛の力で季節の垣根を取り払ったんだ。 蓬莱の薬なり妖怪になるなり、手はいくらでもある」 「……あなたは、それでいいの?」 「構わんさ。レティと永遠にいられるなら、俺は何だってやる。 『夜摩天より力があればどうとでもなる』とは八雲紫の言葉だが、 レティを愛するという力なら、他の誰にも負けない自信はあるからな」 「……もう、何言ってるのよ。 でも、ありがとう……とっても嬉しいわ」 何やら思いっきり恥ずかしい事を口走った気がするが、 レティの笑顔が見られるならそんな事は枝葉末節である。 愛があればどんな苦しい事も笑顔で乗り切れる、そう確信しているからこそ、 目の前にいる最愛の人とはできるだけ長くいっしょにいたい。 そしてそれはレティも同じ考えのはず。 「愛してるぜ、レティ。いつか、俺達の子供もできるといいな」 「ええ、私も愛してるわ。絶対にできるわよ、私達の子供」 「でも」 「?」 「時間はあるとはいえ、やっぱり早く欲しいとは思わない?」 「……まだ朝日が昇ってから少ししか経ってないぞ」 「逆に言えば、誰も邪魔しに来ない時間帯とも言えるわ。 ふふふ、今日という時間はたっぷりあるし……いっぱい、愛してちょうだい?」 あーもう……好きにしてくれぇ。 新ろだ857 ─────────────────────────── 「すっかり冬らしくなったわね」 「全くだ、本当はまだ始まったばかりって言うのにな」 師走に入り、暦の上でもいよいよ本格的に冬を迎えた幻想郷。 昨日から降り続いている雪は地面に白いカーペットを敷きつめ、 俺とレティが歩を進める度に、辺りに小気味いい音を響かせる。 「しっかし、例年より雪の降る頻度が多いように思うが。 やっぱりこれもレティの能力が関係したりしてるのか?」 「そう言う事になるかしらね。 寒気を操る事ができるのだから、それを一箇所に集めて雪を降りやすくさせるくらいは造作もないわ。 ……もっとも、私的には、これでも力をセーブしてるつもりなのだけど」 力を抑えてこの大雪なら、本気を出せばそれこそ幻想郷を氷河期に陥れる事など容易そうだ。 さすが冬の黒幕だな、とかそんな事を考えていると、 「そんなに大それた事はできないわよ」 と、肩を竦めながら言うレティ。 ……あれ、うちの嫁さんっていつの間に心読めるようになったっけ? 「長くいたから、ある程度の事は言わなくても伝わってくるわよ。 と、言うか……時々考えてる事が口から出てるから、気をつけなさい?」 「えっ!!?」 道理でこちらの思考が向こうに筒抜けになるわけだ。 確かに思い返してみれば、思った事をつい口にして彼女に頬を抓られた回数は既に2桁を数える。 ……綺麗だの可愛いだの、言ってる事自体は別に褒め言葉なのにな。 「バカ……な、何言ってんのよ……」 顔を赤らめるレティ。 ……しまった、さっきの思考も口から出てしまってたか。無意識って怖いね。 以後は気をつける事にしよっと。 そんなこんなで雪中の散歩を続けていると、俺はふと気づく。 「……あれ?」 「どうしたの?」 「いや……この道って、もしかして、って思ってさ」 「……あー、なるほど。思い出したわ」 人里へと続く、長い長い一本道。 それは1年と1週間前、その年の冬を迎えてからの初デートの時に通った道だった。 空に舞う、ダイヤモンドより美しく輝く雪の結晶。 よどんだ曇り空はさながら、その白さを際立たせるキャンパスといったところか。 まるで何もかもがあの日のまま、俺達を待っててくれていたかのよう。 天も地も白銀に包まれた中を、俺とレティはあの日と同じように歩く。 「何だかいろいろ思い出してきたわ。 あの時は確か、私達の別れ際がどうとか話してたんだっけ」 「そうだな。『私はいつでもあなたの中にいるから』ってセリフ、今思っても相当アレだよな」 「も、もう、その話はしないでよ……思い返すだけでも相当恥ずかしいんだから…… でも安心なさい、別れ際に相当泣いてたあなたの姿もしっかりと覚えてるから」 「ぐ……い、いや、あの時はまだ気持ちの整理がしっかりついてなかったって言うか……」 「ふふっ、お互い様ってわけね」 あの時に交わしてた会話も思い出してしまい、双方見事に赤面する。 そのまましばらくは何も言わずに歩いたが、やがてレティが口を開いた。 「……でも」 「?」 「あの時大泣きしてたあなたを見て……私、嬉しかったんだ。 ああ、こんなにもこの人は私の事を思ってくれてるんだな、って」 「レティ……」 「……次の冬に再会できた時、あなたはすっごく嬉しそうだった。 でもね、本当は私の方が、ずっとずっと嬉しかったの。 それこそ、あなたの顔を見た瞬間に胸の中で泣いてしまいそうだったくらい」 「別れの時に泣けなかった分と、会えない間の寂しさ……ってわけか。 考えてみりゃ、あの頃の俺達は相当理不尽で強力な力に制約されてたんだな」 「ええ、そうね。でも……」 繋がれているレティの手が、俺の手をぎゅっと握りしめてくる。 「今じゃ私達を縛りつけてるものは、何もないとまではいかなくても、ほとんどなくなってるわ」 「ああ、そうだな。季節という垣根は取っ払った。 種族という壁に関しても、ぶち壊すなり乗り越えるなり、その手段はいくらでもある」 「分厚くて高い壁よ?」 「構わないさ。レティのためなら、な」 それは1週間前、件の記念日にも誓った言葉。 誓い直すには些か早い気もするが、かと言ってあまり遅いのも問題だろう。 お返しとばかりにレティの手を握り返す。もう二度と離すものか、とばかりに。 冬はまだ、始まったばかりである。 「そう言えば」 「?」 「あの日はこの後、謎の風が吹いて抱きしめ合う形になったんだっけ」 「……そんな事もあったな、って、おい、レティ!?」 「ふふ、風がなくたってあなたを抱きしめる事くらいはできるわ。 さてこの後、あの時の私達は一体何をしたのかしらね……知りたい? 知りたいわよね」 あーもう……好きにしてくれぇ。 新ろだ899 ─────────────────────────── その日、俺は寝起きから自分の目を疑う羽目になった。 「……夢でも見てるのか、俺は」 ぼんやりとした視界に映るのは、何やら赤い衣装を纏った女性の姿。 いつもの青と白を基調にした服ではないから、その女性がレティだと認識するのに数十秒かかった挙句、 ようやく絞り出した言葉がさっきの言葉だった。しかも相当間の抜けた声で。 「酷いわ……今日がどんな日か知らないの?」 覚醒しきってない頭で、必死に考える。 そういえばこのレティの格好、確かにどこかで見覚えがあるようなないような。 しばらく記憶の海を探し続け、やがて1つの答えにたどり着く。 「クリスマスか」 「正解。という事は、私のこの恰好も分かるわね?」 「……ああ、なるほど。そう言う事か」 「そう言う事よ」 悪戯っぽく笑うレティ。 ハロウィンの時然り、いつもはこんな恰好をするのに若干の羞恥心を見せる彼女だが、 今回に限ってはそのような事は全くなく、むしろ普段から着慣れているような感じさえ見受けられる。 いやまあ、見えそうで見えない絶妙な長さのミニスカートやら、 冬だというのにやけに胸元が開いた服やら、彼女が恥ずかしさを感じるような箇所はいくらでもあるわけだが。 クリスマスの魔力って怖いね。 「で、今何時? 外がやけに暗いみたいだけど」 「そうね……午前2時、草木も眠る丑三つ時ってとこかしら」 「……OK。レティ、とりあえず落ち着こうか。 いくらクリスマスだからと言って気が流行り過ぎてはいないかね」 「あら、流行っちゃダメ?」 「いや、ダメとかそういう問題じゃなくて、別にレティ1人が気を流行らせる分にはいいんだが、 俺は人間だから寒いのにも眠いのにも苦手なわけで、そう言う事だからおやすみ」 言うだけ言って再び布団に潜り込む。 正直レティに悪い気もしたが、今回だけは情けなくも布団の暖かさに負けてしまった。 ちょっと怒ってるかな、とか思いつつも、そのまま心地よい眠気に誘われつつうとうとと…… 「あーあ、残念ね。ちゃんと起きてきたらプレゼントあげようと思ってたのになー」 ……していたのに、その言葉に一瞬で目が覚めてしまった。 毛布から顔を出して、レティの顔を覗き込む。 「……プレゼント?」 「そうよ。今日はクリスマス、私はサンタクロース。 だから、言う事を聞くいい子にはプレゼントをあげるってわけ。 で……どうするの? 欲しくないんだったらそのままでもいいけど?」 子供扱いされるのは少々アレだったが、それでも『レティからのプレゼント』という誘惑に完全に敗北してしまったらしい俺は、 毛布を跳ね除け、体を起こし、何故か正座までして彼女の顔を見据える。 どうやらここまで無意識の行動だったらしく、気付いたと同時に恥ずかしさが込み上げてくるが、もう後の祭り。 「あらあら……そんなにプレゼント欲しいのかしら。しょうがないわね」 そんな俺の様子を見て満足したのか、レティはその悪戯っぽい笑みを浮かべながら、 未だ正座し続けている俺の体に腕を回し、そのまま抱きしめてくる。 「それじゃ……メリー、クリスマス」 そしてそのまま、彼女に唇を奪われた。 ……プレゼントって、こう言う事か。ある程度予想はしてたけど。 まあ、確かに最高のクリスマスプレゼントだな、とかそんな事を思いつつ、 彼女の『プレゼント』に応えるかのように舌で口内を蹂躙し…… ……午前3時、ようやく理性の復旧完了。 レティとキスした後の1時間の記憶がすっぽりと抜け落ちている。何があった。 「……で?」 「何よ?」 「俺をこんな時間に起こした目的は他にもあるんじゃないのか、って事」 「あら、バレてたのね」 「どのくらいいっしょにいたと思ってるんだよ」 「それもそうね、うん。実はね……」 レティの話を大体まとめるとこうだ。 師走に入ったあたりに、八雲紫にこんな話を持ちかけられたらしい。 曰く、『クリスマスの日に、サンタクロースの役割を果たしてもらえないかしら?』と。 理由を聞いてもどうせ単なる気紛れだろうから聞かない事にしたらしいのだが、 とにかく紆余曲折あって、レティはその提案を受け入れたってわけだ。 見れば、彼女の後ろには非常に大きな袋が。恐らくあの中にプレゼントが入ってるのだろう。 「ふむ……経緯は分かった、が…… 何で受け入れたんだ? 別に断ってもよかっただろうに、そのくらいの提案」 「それに関してなんだけど……はい、これ」 そう言ってレティに手渡されたのは、茶色っぽい着包み。 とりあえず着替えてみたが……その行動がどんなに愚かしいのかを、俺は着替え終わった後に知る羽目となる。 「……えーと……」 「うふふ……似合ってるわよ、その格好」 頭から生えた2本のギザギザな角。 自分の姿を見なくても、俺がトナカイの装束を纏っているのは容易に理解できる。 レティはよほど俺がおもしろいのか、時折笑いを堪えるように顔を背けている。 ええい、俺だってすっごく恥ずかしいんだから笑うな!! 「……大方、この恰好が見たいのもあるから引き受けたってのもあるんだろ」 「あら、よく分かったわね」 「……分からない方がおかしいだろ、むしろ」 「ふふ、そうね。それじゃ……行きましょうか、トナカイさん?」 「はいはい……精一杯お供させてもらいますよ、我が愛しきサンタクロース」 俺がそう言うと、レティは頬を染めながらこちらに手を差し伸べてくる。 まあこれで一矢報いたって事にして、溜飲を下げるとするか。 俺は彼女の手を取り、雪がちらつく夜空の元へと歩みを進めていくのだった。 「これでよし……っと。お疲れ様」 そして、午前6時。 ようやく幻想郷中にプレゼントを配り終えた俺とレティは、 すっかり空っぽになった白い袋を持って再び家へと戻る。 寒さと雪ですっかり冷え切ってしまったはずの俺の体だが、不思議とそう言うのは感じない。 それが何故かは……わざわざ説明する必要はないだろう。 くれぐれも言っておくが、あのトナカイの装束の防寒機能が素晴らしかったからではないからな!! 「ああ、お疲れ。……にしても、大変だったな」 「そうかしら? それほど大変じゃなかったけどね、むしろ楽しかったわ」 「まあ……そうだな、楽しかった。トナカイ役ってのはちょっと癪に障らなくもないが」 「あら、じゃあ来年はあなたがサンタクロースになる? 付け髭と白髪のカツラとか付けて? それもいいかもしれないわね、ふふっ」 頭の中でその光景を想像したのか、またクスクスと笑い始めるレティ。 ……トナカイとサンタクロースと、どっちがマシなんだろう。 「ああ、そうそう、忘れてたわ……はい、これ」 「?」 今度は白い小箱を手渡される。 開けてもいい? と聞くと、いいわよ、と返されたので開けてみると、 そこには蒼く輝くサファイアがはめ込まれた指輪。 ちょうど、レティが薬指にはめている指輪と全く同じものだ。 「私がこの仕事を引き受けたもう1つの原因が、紫にこれをもらったから。 やっぱり……あなたとお揃いの方がいいもの」 「レティ……ありがとう。最高のクリスマスプレゼントだ」 「ふふ、どういたしまして」 嬉しさと愛おしさで俺は思わずレティを抱きしめる。 しばらくはそうして彼女の柔らかさと暖かみを感じていたが、 やがて夜が白み始めると、レティの方から抱擁を解いてきた。 「レティ……?」 「そんな残念そうな顔しないの。サンタとトナカイとしての関係はもう終わり。 一晩ゆっくり寝て……クリスマスは、素直に祝いましょう?」 「……そうだな」 もう一度、抱きしめられる。 そうだ、何せクリスマスはあと半分以上もある。 無理にここでその時間を貪る必要はない。ゆっくり楽しめばいいさ。 「愛してる、可愛い可愛いサンタクロースさん」 「私もよ。私の最愛のトナカイさん」 そうしてどちらからともなく、俺たちはゆっくりと唇を合わせる。 早くも今日2回目の口付けだが、せっかくのクリスマスだ、何も問題はない。 これからひと眠りして、目覚めたらまた愛を確かめ合うんだろうしな。 まあ……その時は今のような格好ではなく、ちゃんといつもの格好に戻すが。 次に目が覚めた時、俺とレティはひとつの布団の中で互いに抱きしめ合っていた。 隣ですやすや寝息を立てている彼女の服は、いつもの青と白を基調にしたソレ。 と言う事は、当然俺の格好もあのトナカイの着包みではなく、普段の格好そのものである。 一瞬あれは夢かとも思ったが、あの時最後に手渡されたサファイアの指輪は、間違いなく俺の薬指に輝いている。 お返しを兼ねて、夜のディナーの時にでも俺からのクリスマスプレゼントを渡すとするか。 「メリークリスマス、レティ」 ちゅっ、と彼女の頬に軽い口付けを落とし。 そうして俺は再び、心地よい暖かさの中で眠りについていった。 新ろだ932 ─────────────────────────── 本日三度目となる目覚めを迎えたのは、正午を少し過ぎたあたりだった。 せっかくの聖なる日にここまで惰眠を貪ってたのも俺ぐらいだろう。何とも情けない。 隣で寝ていたはずの彼女の姿は、当然の事ながら既にない。 まだ眠たい目を擦りながらキッチンへ向かうと、果たしてそこにはいつものレティがいた。 「おはよう、レティ」 「あら、おはよう。随分早く目が覚めたのね」 「もうかなり時間は経ってるがな」 「いいのよ。最悪夕暮れの起床を想定してたし、そう考えれば早いわ」 「……さいですか」 テーブルの上に置かれていたサンドイッチ―恐らく俺の昼食用に彼女が作ってくれたものだろう―に手を伸ばしながら、 さすがにそこまで空気を読めない奴じゃなくてよかったと、心の中で安堵。 新たな料理を作っていたのか、いつもの青と白の服の上から純白のエプロンを纏ったその姿に、改めて心を奪われる。 付き合い始めてから様々な格好のレティを見てきたが、どれも彼女によく似合い、 そしてその度にまた一つ、俺は彼女の事が好きになっていく。 「……もう、そんなに見つめないでよ。恥ずかしいじゃない……」 「あ……ごめんごめん、つい」 照れ隠しに顔を背けるレティ。 そう言うところも可愛いよ、などと言ったら、現在作ってるであろう料理に大幅な支障が発生するだろうから、 心の中でそっと言う事にする。とっても可愛いよ、レティ。 「それで、何作ってるんだ?」 「晩ご飯の時のお楽しみよ。だから、今はだーめ」 「ん、そっか。それじゃあ期待して待ってるよ」 「ええ、期待に添えられるように頑張るわ」 そうは言いつつも、後ろに見えるキッチンの様子から、 今晩のクリスマスディナーが何となく想像できてしまうのはご愛嬌。 俺の推理が間違ってなければ、今日のディナーは彼女お得意の……っと、答え合わせはまた後で。 生憎今日はちょっと行かなきゃならないところがある。 「それじゃ、ちょっと出かけてくる」 「あら……別にいいけど、あまり遅くならないようにしてよ?」 「分かってるさ、すぐ戻ってくるよ。 せっかくのクリスマスだ、レティといれる時間はできるだけ長い方がいいしな」 サンドイッチを食べ終えて玄関から外に出ようとすると、彼女に手を掴まれた。 「絶対にすぐ戻ってくるって……約束、してね?」 「……もちろん」 やや潤みを帯びたレティの瞳をしっかりと見つめながら、唇に軽くキスを落とす。 何か約束をする時は決まってこうするのが、俺とレティとの暗黙のルールとなっている。 ちゃんと約束を守った時のみ、この口付けの続きをする…… どちらから決めたのはもう定かではないが、とにかくこうして以来、俺達の間で約束が破られた事は一度もない。 前々から約束を破る事なんて滅多になかったけどな。 「じゃ……いってきます」 「いってらっしゃい」 未だ雪がちらつく外へと歩を進める。 さて……約束した以上、手早く用事を済ませないと。 「いらっしゃい……って、何だ君か」 「こんにちは、霖之助さん」 というわけで、俺が向かったのは香霖堂。 扉を開けた時に本を読んでいたらしき店主は、一瞬だけこちらを一瞥すると、 机の下で何かをパタン、と閉じ、後ろの棚をごそごそし始める。 「頼んでいた例のもの、まだ残ってますか?」 「ああ、その点については大丈夫だよ。 君が依頼してきた時から、魔理沙にも盗まれないように厳重に管理してたから。 何しろ彼女は普通に店頭に置いてあるものはところ構わず持っていくからね……ちょっと待っててくれ」 店主が探し物を見つけ終わるまで、俺は広くはない店内を見て回る。 昔懐かしいゲーム機、誰のものか分からない携帯電話、その他もろもろ。 ここと無縁塚だけは、俺が元いた外の世界の雰囲気がわずかばかり漂っている。 今まではここに来るたびに軽いホームシックを起こすからあまり訪れたくなかったのだが、 レティと出会って以降、特にあの神無月旅行の一件からは特に、それを感じなくなった。 彼女とこの幻想郷でずっといっしょにいたいという気持ちが、日を増すごとに強くなったからだろう。 「お、あったあった」 そんな事を思ってるうちに、どうやら店主の探し物が終わったらしい。 少々埃まみれになった頭を払いながら俺に差し出したのは、赤と緑の包装紙で包まれたプレゼント箱。 この日のためにと3週間前から予約してたのだが……こんなサービスがついてるとは計算外だった。 「察するところ、クリスマスプレゼントだろうと思ってね。 僕の方で包装はしておいたが……迷惑だったかな?」 「いやいや、とんでもありません。ありがとうございます」 「礼を言うのはこっちだよ。前払いとはいえ、久々の上客だったからね。 しかし……大変だっただろう? あれだけのお金を貯めるのは」 「あはは……可愛い嫁さんのためですから。あれくらいはしてやらないと」 「全く、この時期は糖分の取りすぎて苦いものが重宝するよ。 君の他にあと何人、同じような台詞を聞かされた事やら」 考える事は皆同じ、ってわけか。 もう少しこの人と話していたかったのだが、さすがにこれ以上は約束に支障が生じる。 俺はもう一度礼をし、レティが首を長くして待ってるであろう家へと駆け出すのだった。 家に戻るとレティは調理を終えていたらしく、エプロンを脱いで紅茶を啜っていた。 傍から見るとなんて事はない光景だが、その姿を美しいと思ったのは惚れた弱みか。 「ただいま」 「おかえりなさい。どこに行ってたの?」 「んー、レティと同じく晩ご飯までのお楽しみ、かな」 「あら、私に隠し事するつもりなの?」 「いやいや、別にそんなつもりは……」 「冗談よ、冗談。あなたが晩ご飯の時に明かしてくれるって言うなら、私はそれまで待つわ。 なんてったって約束は守ってくれるしね、うふふ」 「……レティ?」 急に立ち上がると、俺を抱きしめてくるレティ。 こうなってしまえば、次に起こる事を予想するのは容易い。 「夕方まで時間があるし……その前に、約束守ってくれたご褒美よ」 「……まだ昼間だぞ」 「あら、今日がどんな日か忘れたの? クリスマスって日は恋人達が互いの愛を深めあう日だと聞いてたけどな」 「大まかな解釈はそれで合ってるが……にしても、ここじゃ場所が悪すぎるだろ」 「それじゃあ場所がよかったらいいのね?」 「ぐ……そ、そう言う問題でも……んんっ」 言い終わる前に、レティに唇を塞がれる。 こう言う時の彼女のキスはただ唇を触れ合わせるだけではなく、 舌を絡め、唾液を送り込み、そしてそれを飲んでいく濃厚なもの。 今回も案の定、互いにたっぷり口内を蹂躙し合い、そして名残惜しそうに互いから離れていく。 「……毎度毎度、積極的だな」 「これくらいしないと満足しないでしょ? それに……私も、あなたが欲しいの。……ダメ?」 「いや……俺も、レティが欲しい」 「ふふ、また違った意味でのクリスマスプレゼントってわけね。それじゃあ……受け取ってくれるかしら?」 「喜んで」 そう言うと、今度はこちらから唇を塞いでやり、そして…… ……その後の記憶は、あんまりはっきりとはしてない。 ただ、気が付いたら日は既に暮れていて、慌てたレティが大急ぎで夕食の支度をし、 そして今、俺はこうして彼女と対面する形で食卓についている。 「ホワイトロックディナー再び、なんてね」 「まあ、ある程度予想はできてたけどな。とっても美味しそうだ」 深皿に入った真っ白なシチューに、カラフルな野菜サラダ、それにケチャップたっぷりのオムライス。 それはかつて、リベンジと称して彼女が作ってくれた夕食の品に他ならなかった。 ただ一つ違うのは、テーブル中央にあったはずのアイスティーのピッチャーはそこにはなく、 代わりに俺とレティの手元にはそれぞれ一つずつ、シャンパンが入ったグラスが置かれてある。 そのグラスを掲げると、彼女も同じようにしてグラスを手に持つ。 「メリークリスマス、レティ。今日という素晴らしい日をレティと迎えられた事に、乾杯」 「こっちこそ、メリークリスマス。あなたといっしょに今日を過ごせて、本当に幸せよ」 チン、とグラスを軽く触れ合わせる。 後はもう多くを語る必要はあるまい。 楽しく会話しながらレティの作った料理を堪能し、シャンパンを飲み交わす。 食後にはなんと、彼女が一から作ったクリスマスケーキまで出てきた。 どれもこれもとっても美味しくて、恐らく今年最も充実した夕食だったと思う。 「ふー……ごちそうさま」 「ごちそうさま」 そして料理はすっかり片付き、いよいよアレの出番がやってくる。 「レティ」 「何?」 「まさか先にもらうとは思わなかったけど……俺からのクリスマスプレゼントだ、受け取ってくれ」 「あ……ありがとう。開けてもいい?」 「もちろん」 プレゼント箱を開いた中には―俺は既に中身を知ってたが―雪の結晶を模った髪飾りが。 ガラスでも銀でも水晶でもない輝きを放つソレは、幻想郷では滅多に見かける事もないダイヤモンド製。 俺の数ヶ月分の貯金が結果として吹き飛んだが、レティの喜ぶ顔のためならこれくらいなんて事はない。 「これ……本当に、私に?」 「むしろ、別の理由が何か思いつく?」 「え、あ、いえ……ありがとう、とっても嬉しいわ……」 笑い顔とも泣き顔ともつかない何とも不思議な表情をするレティ。 後ろに回ってつけてやると、それはとても彼女に似合い、より彼女の美しさを引き立てる。 「どう……かしら?」 「ああ……よく似合ってるよ、レティ……」 「よかった……素晴らしいプレゼント、本当にありがとう……」 その言葉を境に、曖昧だった彼女の表情が一気に崩れ始めたので、 完全に崩れてしまう前にぎゅっと彼女を抱きしめ、顔が見えないようにする。 レティの顔を見れなくなるのは残念だが、かと言って泣き顔は彼女も見られたくないはず。 例えそれが嬉し涙―俺の思い上がりかもしれないが―によるものだったとしてもな。 「大好きよ、あなた……来年も再来年もずっと、いっしょにクリスマスを過ごしましょうね……」 「もちろんだ、レティ……愛してるよ」 やれやれ……よりによってクリスマスに嫁を泣かせてしまうとは、俺も情けない男だな…… 新ろだ947 ─────────────────────────── ふと、衝動に駆られる。 「レティ」 「何かしら……って、きゃっ!?」 反論させる間もなく、目の前の愛しい雪女をぎゅっと抱きしめる。 強く抱きしめれば壊れてしまいそうなくらい柔らかくて、 けれど、冬の化身とは思えないほどにとっても暖かい。 「もう……何よ、突然抱きしめるだなんて」 「嫌だった?」 「嫌じゃない、けど……びっくりしちゃった」 「そっか。ごめんな、レティ」 「ううん、別にいいわ……それより、しばらくこのままでいて……」 「もちろん」 しばらく、そうして彼女の柔らかさと暖かさを堪能する。 不思議とこうやって抱きしめてるだけで、相当な幸福感が心を包んでいく。 愛する人の全てを感じている気分になって、思わず抱擁の力を強くすると、 レティもそれに応えるかのように、背中に手を回してこちらをぎゅっと抱き返してきた。 「ふふ……こうしてると、とっても暖かいわ」 「俺もだ。……にしても、雪女が暖かいってのも妙な話だけどな」 「そうね……あなたにたくさん暖めてもらったから、かしらね。 今ではもう、あなたの暖かさを感じられないと生きていけない体になっちゃったわ」 「俺のせい、って事か」 「そう言う事よ。だから……責任、取ってよね」 「はいはい」 唇を優しく塞いでやる。 今年初めての口付けは、いつものように甘くて柔らかい。 レティの唇を割って舌を滑り込ませ、彼女の舌と絡め合わせる。 キスで互いに昂り始めたのか、自然と抱擁の力が更に強くなる。 まるで、文字通りひとつになろうとしているかのように。 「ちゅ、れろ、ちゅむ、んちゅ、ちゅぱ……」 「んんっ、ちゅぷ、ちゅう、はむっ、ぷはっ……」 一通り互いの口内を蹂躙し、そして息継ぎのために一度唇を離す。 改めて見据えたレティの目は既にとろんと蕩け切っており、その顔は赤く染まっている。 その眼差しにはどこか期待のようなものが含まれているように感じる。 返答がある程度見えていながらも、俺は一応彼女に『それ』を確認する。 「満足した?」 「……もっと、お願い……んんっ」 彼女の意思が見えた瞬間、再び唇を塞ぐ。 こうなってしまえばもはや誰にも止められる術はない。 互いに互いを貪り合いながら、どちらからともなく衣服に手をかけ――― ―――結局、年明け早々やってしまった。 何を、と言われても回答は返ってこないのでご了承いただきたい。 新ろだ966 ─────────────────────────── 「はい、これ」 「?」 レティからそのプレゼント箱を渡されたのは、如月も中旬を過ぎ、冬も終わりにさしかかろうとしている頃。 例年なら、共にいられる残り少ない時間を濃密に過ごそうとお互い無駄に焦っていた時期だが、 1年中いられるようになった今ではそんな事は全くない……と言えば語弊がありそうで、 少なくとも濃密に過ごすと言う点では全く間違ってないというか、なんというか…… とまあ、これ以上は話が脱線しそうなのでそろそろ本題に戻る事にする。 「……えーと、今日って俺の誕生日だったっけ?」 「違うわよ」 「え、それじゃこれは……」 「もう、鈍いわねぇ。今日が何の日か忘れたの?」 しばし頭を巡らせる。 と言うか、大体こうした時に咄嗟に答えが浮かばないのは呆けが進んでいるのか、 それとも目の前のレティに見惚れて脳内がフリーズしているのか。後者だと思いたい。 「……あ、そう言えば……今日ってバレンタインだっけ」 「そう言う事」 バレンタイン。 風の噂じゃ、最近の外の世界は彼女がいるにも関わらずチョコレートを貰えない男性が増えてるらしいが、 どうやらここ幻想郷ではそんな事は全くなかったらしい。 昔はバレンタインなんて滅んでしまえー、とか毒づいていたが、今ではこんな可愛い彼女からチョコを貰う事ができるんだぞ、と、 過去に行けたとしたら昔の俺にでも伝えてあげたいくらいである。 「で……俺に?」 「ホントに鈍い人。あなた以外に誰にあげろと言うのよ。 私が愛してる人は……その、あなただけ、なんだから……」 ぽっ、とレティの白い肌に赤みが差す。 そんなに恥ずかしいんなら最初から言わなきゃいいじゃないか、とふと思ったが、 これはこれでなかなかに嬉しいのでこれ以上は何も言わない事にする。 「……そっか。ありがと、レティ」 「どういたしまして」 プレゼント箱を受け取り、包みを解いて開く。 中にはスタンダードな――と言ってもいいのかは分からないが――ハート形のチョコレート、と、 彼女らしいと言えば彼女らしい、雪の結晶を模ったホワイトチョコレート。 ご丁寧にハート形の方には「I love you」と書かれてある。永久に保存しておきたいほどの代物だが、しかしそれは許されない。 「食べても、いい?」 「もちろん」 ハート形の方のチョコを手に取り、一口かじってみる。 ……うん、大方の予想通り甘ったるい。けど、レティが俺のために作ってくれたチョコレートだと思うと、 不思議とその甘さも苦にならない。むしろ美味しすぎて何個でもいけそうな、そんな気さえする。 「……うん、美味しい」 「それはよかったわ。もう1個の方も食べてよ」 促されるままに、今度は白いチョコレートを一口。 こっちはちょっと甘さ控えめ。それでも甘ったるい事には変わりないけど。 見た目通りのミルクチョコらしく、ほんのりと口に広がる生クリームの風味。 「んー、俺的にはこっちの方が好きかな。どっちのチョコレートもすごく美味しいけど、ね」 「当然よ。だって……あなたへの愛を、いっぱい……込めてるもの」 「レティ……」 またも頬を赤らめて、小声でぼそっと言うレティ。 そんな彼女がたまらなく愛しくて、俺はぎゅっと彼女を抱き寄せた。 ふんわりとして柔らかな彼女の体は、強く抱き締めると壊れてしまいそうな錯覚さえ起こす。 細心の注意を払ってできるだけ優しく抱き締めてやると、彼女も俺の背中に手を回し、抱き返して来た。 しばらくそうして無言でお互いの温もりを感じ合っていたが、やがてレティがおずおずと口を開く。 「……ねえ」 「何だい?」 「私さ……その、チョコの味見、してなかったのよね。 だから、どんな味か知りたいなー、なんて思ったりしてるの。……ダメ、かな?」 それが本当か嘘かは定かではないが、そんな事はどうでもいい。 彼女の本心が別のところにあると悟った瞬間、俺はチョコを一口かじり、そしてそのまま彼女の唇を塞いだ。 「んんっ……ん、ちゅっ……ちゅぷっ、くちゅ、れろ……」 口の中で溶けかけたチョコレートを、唾液といっしょにしてレティの口内に送り込む。 舌を絡める中で溶けていくその感触を味わいながら、同時にその味をも楽しむ。 彼女の唾液と混ざりあったチョコレートの味は、先ほどより格別に、それこそ身も心も溶けそうなくらいに甘い。 どの食べ物でも表現する事ができないであろうその甘みを、俺はひたすら彼女と貪る。 口の中でチョコレートの味がしなくなってもひとしきり舌を絡め続け、ようやく唇を離す。 つう、と唇の間に垂れた銀色の橋に、わずかな黒色が混じっていたのは気のせいか。 「……どうだった?」 「うん……とっても、美味しかった。もっと、食べたいな……んんっ」 さっきと同じようにして、再び彼女の唇を塞ぐ。 結局、チョコレートがなくなるまで彼女の“味見”は続き、 その頃には気がつけば、レティの顔にはすっかり赤みが差し、目はとろんとしている。 まあこうなった原因は俺にあるし、俺だって今更理性の崩壊を止めようなどとは思わない。 「ねぇ……お願いがあるの…… ホワイトデーのお返し……今、もらってもいい……?」 俺が頷くと、彼女は俺の服に手をかけて、そして…… (省略されました、続きを読みたい人はカカオ100個を丸かじりしてください) そして、夜。 隣の布団ですやすやと眠っているレティを見ながら、俺は思案に耽っていた。 彼女はああ言ったが、やっぱり素晴らしいバレンタインの贈り物を貰ったからには、 こちらも素晴らしいホワイトデーのお返しをしなければなるまい。 かと言って俺にはお菓子作りの才なんてないし、市販のもので済ませてはレティのチョコと釣り合わない。 どこぞの姫様が出す難題よりも難しい問題を突き付けられているのが現状である。 「うーん……」 あれこれ悩んでも仕方ない。 疎いなら疎いなりに誠意を尽くせばきっといい物が出来上がるだろうし、 よしそうならなかったとしても彼女は許してくれるだろう……多分。 そう考えると心がすっと軽くなり、俺はレティの頬にそっとキスをし、耳元で囁く。 「……ホントにありがとな。おやすみ、レティ。愛してるよ」 その時、彼女の体がピクッと跳ねたのは、果たして事実か気のせいか。 目を閉じる前にちらっと見た彼女の表情は、心なしか笑顔を浮かべているように見えた。 ―――最高のバレンタインを、ありがとう――― 新ろだ1015 ─────────────────────────── キッチンで悪戦苦闘してる彼の姿が見られるようになったのは、1週間ほど前からだっただろうか。 深夜、ふと目を覚ますと台所の明かりがついてるものだから、何があったのかとこっそりと覗いてみると、 そこには普段着る事などないだろうエプロンを身に纏い、時折後ろに置かれた本をちらちらと見ながら、 一心不乱に何かを作っている様子の彼がいた、と言う話だ。 「……何してたのかしら」 翌日、彼よりも早く――と言っても、彼は昨日夜中まで起きてたし、 朝食を作らないといけないから、私が彼より早く起きるのはいつもの事だけどね――起きた私は、 昨日彼が見ていたであろう本を探す。 こう言う時男の人は、自分にとって分かりやすく、かつ他人からは見つかりにくい場所をよく知ってるものだが、 彼の事を誰よりも詳しく知ってる私にとって、見つけるのは雪を降らせるよりも容易い。 「……あった」 リビングの床下に作られた、天然の氷室。 傷みやすい肉や魚などがびっしりと羅列されているその下に隠された、袋に詰められた1冊の本。 袋から取り出したその本の表紙には、ケーキ・プリン・クッキーなどのお菓子の絵と共に、こう描かれてある。 『初心者でも簡単!! 手軽に作れるお菓子作り』 本を袋にしまい直し、元あった場所に隠し直してから、私は誰に言うわけもなく一人呟いた。 「……なるほどね」 1ヶ月前のバレンタイン。 ……思い出すだけで恥ずかしいのだが、確かにあの時、こう言った記憶がある。 『ホワイトデーのお返し……今、もらってもいい……?』 バレンタインと対になるイベント、ホワイトデー。 私としては、あの時彼が私にしてくれた行動だけで十二分に満足だったのだが、 どうやら彼はまだ物足りなかったらしい。もう、それならそれであの時もっと…… ……自分が何を考えているかに気づいて、顔がほんのりと火照るのを感じる。 ともかく、普段料理すらほとんどしない彼が、私のためにお菓子を作っていると知ると、 胸の中が幸せで満たされていくのを感じ、不思議とうきうきした気分になる。 「おはよ、レティ……ん? 何か楽しい事でもあったのか?」 しばらくして起きた彼に指摘されるまで、鼻歌を歌いながら朝食を作っていた事に気づかないほどに。 「ここを、こうして……えーと……」 ホワイトデー4日前。 ここ最近、夜中に台所に立つ彼の様子を見るのが、私の密かな楽しみとなっている。 慣れないエプロン姿の彼も何だか可愛くて、また一つ彼の事が好きになった。 料理を一生懸命に作っている子供を見守る母親の気分って、きっとこんな気分なのだろう。 ……って、あれ? 煙? 「うわっ!!」 彼の慌てふためいた様子を見るに、何かただならぬ事が起きたようだ。 見つかるとか見つからないとかそう言う問題以前に、火事という最悪のケースも十分考えられる状況。 家は燃え尽きたとしても、彼が燃えてしまう事だけは何としても避けなければいけない。 魔力で寒気を練りながら私はパッと飛び出そうとして、 「あちゃー、また失敗しちまった。全く、ソースからこれじゃプリンなんて無理だよな」 寸前のところで思い留まった。 どうやらカラメルソースを作ろうとして、砂糖を加熱し過ぎたらしい。 ……この3日間、カラメルソースだけで悪戦苦闘してたのかしら? そうは考えたくない。 でも……うん、色んな意味で私も彼も一途だから、ある意味あり得るかも。 そもそもホワイトデーにプリンってのも……まぁ、何を作るかは彼の自由だし、 どのような出来でさえ、彼からの贈り物ってだけで私は幸せな気分になれるし。 さらに、翌日の夜中。 「ここまでは上手くいったが……さて」 辺りを包む甘い匂いは、きっとキッチンにあるオーブンから漂ってるものだろう。 この分だとクッキーでも焼いてるのだろうか。どうやらプリンは諦めたらしい。 心配いらなかったようね、と私が眠りにつこうとしたその時、 「……またやっちまった」 甘い匂いが一点、何かが焦げた様な臭いに代わり、もくもくと黒煙が立ち込み始める。 焼く時のミスだから数回焼けばきっと成功するだろうと思って今度こそ布団に入ったが、 その後、不快な臭いと黒煙は、結局彼が諦めて布団に潜り込んでくるまで漂っていた…… ホワイトデー2日前。 いつものようにキッチンに明かりがつき、そこではきっといつものように、彼が悪戦苦闘してる。 いつもと違うのは、私が布団の中にいるって事だけ。だから、彼の様子は分からない。 興味本位で彼を見守る事を始めたが、さすがにここまで失敗続きだと何だか申し訳ない気すら思えてくる。 これ以上見てるのも辛いので、私は布団に潜り込んで寝ようとした。寝ようとしたのだけれど…… 「……うぐ~」 眠れない。とにかく眠れない。 目を閉じて寝ようとしても、気がつくとどうしても明かりのついてるキッチンが気になって目を覚ましてしまう。 明かりが差し込んでるからとか、彼が立てる騒音がうるさいからとかそういうものじゃなく、 ただ何となく、しかし確実に私の睡眠を阻害している『何か』が私の中にある。 しばらく目を開けたり閉めたりしていた私だったが、ようやく睡魔が私の元にも訪れたらしく、私の意識は闇に溶けていった。 ホワイトデー前日。 「それじゃ、もう寝るよ。おやすみ、レティ」 「ええ、おやすみ、あなた」 寝る前の口付けを交わし布団へ潜る彼を、私はしばらく呆然と見つめていた。 あくまで私の感覚の話に過ぎないのだが、ホワイトデーが近くなるにつれて、 だんだんと彼がキッチンに立つ時間が減っていったように思う。 そして今日に至ってはそこに立つ事すらせず、私が寝るよりも早く布団の中に入ってしまった。 「……はぁ」 漏れた溜息は落胆か、それとも失望か。 お菓子作りは確かに難しい。バレンタインの時にチョコレートを手作りした私にはそれがよく分かるし、 料理に手慣れているわけでもない彼にとっては尚更だっただろう。 けれど、どんな形になっても、やる以上は最後までやって欲しかった。投げ出して欲しくなかった。 こんな事ぐらいで私が抱く彼への愛情が薄れる事はないだろうけど、それでもやっぱり…… 「……ま、いっか」 ここで色々と愚痴っても仕方がない。手作りを諦めた以上、明日のプレゼントは市販だろう。 値段は気にしない。彼の気持ちが籠っていさえすれば、私はそれでいい。 単に高級なものを買って気を引こうとする人ではない事を、私はよく知っているから。 そして、ホワイトデー当日。 いつもと変わらないゆったりとした時間が過ぎ、そしてあっという間に夜。 夕食をいっしょに食べ終えた彼が、何やら神妙な面持ちでこちらをちらちらと見ている。 「どうしたの? 私の顔に何かついてる?」 「あー、いや……レティ、今日何の日か覚えてる?」 「もちろん。ホワイトデー、でしょ? バレンタインのお返しに、あなたが私にプレゼントしてくれる日」 「ん……知ってるなら話は早い。手作りだから口に合わないかもしれないけど、受け取ってくれ」 「わぁ、ありがとう……でも欲を言えば、あなたの手作りがよかった……って、え?」 差し出されたプレゼント箱を受け取ろうとして、そこで私は彼の言葉に気づく。 「……ねぇ、今『手作り』って言った?」 「市販の方がよかった? そりゃそうだよな、お菓子作りド素人の俺が作ったものなんて……」 「わーっ、わーっ、そう言う意味じゃないから!!」 昨日の行動は、そう言う事だったのか。 つまり彼にとって満足のいくものが出来ていたから、台所に立つ必要がなかったと。 それを悟ると同時に、昨日の私は何て事を考えてたんだろうととっても申し訳ない気持ちになる。 銀色で統一された包装紙とリボンを外し箱を開けると、そこには白くて丸い物体が数個。 「これ……マシュマロ?」 「まだ向こうにいた時から、何となくホワイトデーにはこれを贈るべきって考えが頭の中でずーっとな。 結局それを実現に移せたのは、これが初めてなわけだけど。……別のがよかった?」 「ううん、ありがとう……食べてみるね」 手に取ってふわふわとした感触を楽しみつつ、私はマシュマロを1個、口の中に放る。 チョコレートと同じく口の中でだんだんとその形が崩れていく中に、砂糖の甘みとは違う甘い香り。 恐らくはバニラエッセンスでも入れたのだろうか、いいアクセントになっている。 味が気になるのだろうか、口の中でマシュマロを弄ぶ私の顔を、彼は不安げな表情でずっと見つめている。 この顔をもうしばらく堪能するのもいいが、彼を安心させてやろうと思って私はごくんとそれを飲み込む。 「……どう?」 「……うん、とっても美味しい」 「そっか。レティにそう言ってもらえて、よかった」 ぱぁっと、彼の顔に笑顔が綻んだのを見た私の中で、何かが弾けた。 「そうだ、あなたにも食べさせてあげるね」 「は?」 きょとんとした顔をする彼を尻目に、私は2個目のマシュマロを半分だけ口に含み、 そして彼の口元に、口から半分だけ出たマシュマロを近づけていく。 きっと私の顔は真っ赤になっているのだろう。顔の火照りでそれは分かる。 けどそれ以上に、今だけはどうしようもなく彼が欲しい。彼に思いっきりこのマシュマロを、そして、私を食べて欲しい。 「……ん」 おずおずと言った感じで、しかし彼もマシュマロを口に含んだようだ。 だって、二人の唇はしっかりと触れ合ってるもの。目を瞑っていてもそれだけは確かに分かる。 気が付いたら互いに抱きしめ合いながら、二人で一つのマシュマロをただひたすら貪っていた。 マシュマロが溶けきっても相手の口内を思う存分自分の舌で蹂躙して、そして唇を離す。 本当にわずかの間だけ息継ぎのための休憩を取ると、再びマシュマロを口に含んで二人で食べる。 そうしてホワイトデーの夜はゆっくりと、幸福に包まれながら過ぎていった…… 「おやすみ、レティ」 「おやすみ」 結局、マシュマロがなくなってからも私達の『味見』は続き、 ようやく私が彼といっしょの布団に潜り込んだ時には、既にホワイトデーは終わっていた。 明日の朝はきっと起きられないだろう。そして起きた時、二人して赤面するのだろう。 一度火が付いてしまうと羞恥心なんて忘れて互いに求めあうのに、我に返ると恥ずかしさを感じるなんて妙な気分だけど。 多分、これからも私達はそんな関係であり続けるのだろう。それに、それでいいじゃないか。 「……愛してるわ、あなた」 火が消えないうちに耳元で愛を伝えると、無意識からか、私の事をぎゅっと抱きしめてくる。 その事がたまらなく嬉しくて、こちらからも抱き返しながら私は眠りにつくのだった。 ―――最高のホワイトデーを、ありがとう――― 新ろだ2-039 ─────────────────────── 「ほらほら、早くしないとおいてくわよー」 「おいてかないでー」 人ごみの中、気を抜くとすぐに見失ってしまいそうなレティの姿を追って行く。 こうならないように最初から手を繋いておいたはずなのだが、出店が目に入った瞬間手を離してこれだ。 想定外の行動で少し面喰ったが、まぁこう言う風に振り回されるのも悪くはないかもしれない。 何せ彼女にとっては初めての夏祭りだ。気分がうきうきしない方がおかしいだろうと思う。 「すいません、リンゴ飴二つくださいな」 「あいよ、まいどありー」 「……やーっと追いついた、そんなに急がなくても……」 「はい、これ」 ようやく追いついたところで、リンゴ飴を満面の笑みで渡してくるレティ。 いつもとは違う淡い青色の浴衣と相まって、言葉では絶対に形容できないような反則的な可愛さだ。 受け取ったリンゴ飴にも焦点を合わせないまましばらく見つめ、ようやく我に返る。 「……二人でゆっくり巡る、って約束だっただろ? 楽しみだったのは分かるけど」 「ごめんなさい……でも、どうしても我慢できなくって。前からずっと食べてみたいって思ってたから」 「それなら仕方ないな。でも、レティって時々こういう子供っぽいところあるよね」 「む、失敬ね。こう見えてもあなたより長い年生きてるのよ?」 「うん、知ってる。それにそう言うところも可愛いから別にいいんじゃないかな」 ぽっ、と、レティの頬が紅色に染まる。 照れ隠しのようにリンゴ飴をちろちろ舐め始めたが、そういう仕草も無論可愛いわけで。 今すぐぎゅっと抱きしめてあげたい衝動に駆られるが、今はお祭りを楽しむのが先。 「ほら」 「あっ……」 リンゴ飴を握っていない方の手で、レティの手をぎゅっと握る。 今度は絶対に離れないように、指と指を絡め合って。 「こうしておけば、人ごみで離れる事もないよね」 「うん、そうね。でも絶対に離しちゃダメよ?」 「分かってるって。じゃ、行こっか」 「ええ」 こうして仕切り直して、二人でお祭りを楽しむ事にしたのだが…… 「あ、かき氷!! すみません、二つくださいな」 「あの焼きそば……美味しそうね。買ってもいい?」 「えへへ、たこ焼き食べたいなぁ……ダメ?」 どこぞの亡霊嬢を彷彿とさせるかのように、レティは次から次へと食べ物を買っては胃に収めて行く。 普段こんなに食べる事はあんまりないんだけど……お祭り効果、恐るべし。 ちなみに当然二つずつ買っているので、繋いでない方の手にはたくさんの袋がぶら下がっている。 俺としては隣ではしゃいでいるレティを見るだけでお腹いっぱいです。ありがとうございました。 「あ、ねぇねぇ、綿あめ売ってるわよ」 「買うかい?」 「もちろん」 出店に近寄るとなんとも甘い香りが広がる。 最初に買ったリンゴ飴がようやくなくなりかけてるのに、また甘いもの。しかも袋に仕舞う事もできない。 頑張って食べるしかないなぁと二つ分の代金を取り出そうとするが、 「すみません、綿あめ一つくださいな」 ……一つ? 気持ちを察してくれたのか、でもそうだとしたらなんだか申し訳ないなと思いつつ、 代金を渡したレティが引き換えに綿あめをもらうのをぼんやりと眺める。 「ふふ、そんな顔しなくても大丈夫よ。大きいから二人で食べようって思っただけだから」 「……あ、そう言う事か」 「そう言う事よ。少し疲れちゃったし、離れた場所でゆっくり食べましょう」 「うん、そうしよっか」 屋台の列から少し離れると、お祭りの喧騒は途端に鳴りを潜める。 人気が全くない林の中、手頃な大きさの岩を見つけ、レティと共に腰かけた。 近くに川でも流れているのか、うっすらと水の流れる音が聞こえる。 「賑やかなのもいいけど……やっぱり、こうして静かな中であなたといっしょにいる方がいいわ」 「賑やかでも静かでも、レティといっしょにいられるならいつだって幸せ……かな」 「あら、お上手なんだから」 「思った事はそのまま口にするタイプだからね。浴衣、とっても似合ってるよ」 「そ、そうかしら……ありがと」 暗闇の中でも、頬が赤に染まったのははっきりと分かる。 しばらく交わす言葉もなしにただただそうしていたが、やがてレティがゆっくりと口を開いた。 「……綿あめ、食べよっか?」 「そうだね」 差し出された綿あめに、一口かじりつく。 ふんわりと口の中で溶け、ざらめの懐かしい甘さが口いっぱいに広がる。 レティも向こう側からかぶりついたようで、しばらく口をもぐもぐさせていた後、ほうっと笑みが広がった。 「美味しい……」 「あぁ、美味いな」 あれだけ大きかった綿あめは、見る見るうちにその面積を小さくしていく。 軸になっている割り箸がくっきり浮かび上がるくらいまで小さくなると、当然二人の顔も近くなるわけで。 食べるのに夢中になってふと気がついてみれば、レティとの距離は唇が触れてしまいそうなくらいになっていた。 「っ!?」 「あ……っ」 レティもそれに気づいたようで、お互いパッと離れて赤面する。 別に誰もいないのだから見られると言う事はないのだけれど、それでもやはり気恥ずかしさはある。 あぁ、でも、食べるのに夢中になってたレティの顔、可愛かったなぁ……なんて。 「……なぁ、レティ」 「?」 「最後の一口……いっしょに、食べる?」 「うん……いいよ」 どちらからともなく、残り少なくなった綿あめに顔を近づける。 顔が近いのはもう気にしない事にしても、今の二人を隔てるものは割り箸一本だけ。 その事実に更に顔を真っ赤にしながらも、とりあえずは綿あめを食べ切る事に集中する。 やがて、割り箸からも完全に綿あめの残滓が消え失せると、レティはこちらを潤んだ目で見つめてくる。 「なくなったわね、綿あめ」 「そうだね」 「……でも、もっと食べたいわ」 「……もう1個買ってこようか?」 「バカ。そう言う意味じゃないって事くらい、分かってる癖に」 分かってる。 割り箸から綿あめは消えても、口の中に残っているこのかすかな甘み。 ゆっくりとその割り箸を引き抜いてやれば、もう二人を隔てるものは何もない。 「えへへ、それじゃ、いただきます……ちゅっ」 そうしてレティが唇を合わせて来たのを皮切りに、ただお互いを求め始める。 強く抱きしめながら舌を絡め、唾液を交換し、飲み干していく。 ともすれば口で繋がってるのではないかと錯覚させるような濃厚なキスに、頭の中がどろどろに溶かされていく。 肌蹴た浴衣から見えるレティの白い柔らかい肌。綿あめよりも甘美なレティの唾液。 それら全てが理性を秒単位で壊していき、気がつけば彼女を押し倒すような格好になっていた。 「っ……」 レティが息を飲む音が聞こえたが、それっきり時間が止まる。 これから何が起こるか、彼女もある程度想像しているのだろう。 「いいよ……来て……」 艶を含んだ声でそう言われ、 「……ダメだ」 「えっ……?」 それを、あえて断る。 「どうして? ……どうして、ここまでやって……」 「だって、ほら」 暗闇を一瞬で照らす光。空に響き渡る爆音。 「花火、始まっちゃった」 レティを起こし、肌蹴た浴衣を元に戻してやる。 座った岩の位置がちょうど絶妙で、林の中からでも木に邪魔されず、くっきりと花火が見えた。 赤、緑、黄などの様々な色の花が空に咲き、そして儚く消えていく。 「綺麗ね……」 初めて見るだろう花火を、レティもうっとりとした表情で見つめている。 互いを求め合うのも確かにいい事だけど、それで本来の目的を疎かにしては本末転倒。 『夏祭りをレティと楽しむ』、今回はそのつもりでここに来たのだから。 「……ありがとう。あなたのおかげで、夏も好きになりそうかも」 「あぁ、どういたしまして。そう思わせられたなら来た甲斐はあったよ」 片手だけ繋いでお互いを確かめ合ったまま、次々と空に上がる花火にただただ見惚れて行く。 ……と、不意に耳元で、レティが囁いた。 「花火が終わったら……さっきの続き、しましょうね?」 もちろん。 夏祭りを堪能した後は……レティを思う存分堪能させてもらおう。 新ろだ2-311 ───────────────────────
https://w.atwiki.jp/qujila/pages/46.html
いっしょに帰ろ 曲 読みいっしょにかえろ 作詞杉林恭雄 作曲杉林恭雄 解説 収録ディスク 「木星クラブ」編曲くじら 演奏メンバー杉林恭雄・楠均・松永孝義 Additional Musicians駒沢裕城?(pedal steel guitar)、関島岳郎(tuba, trombone, chorus) コメント 曲の感想などをどうぞ。 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/kokigame/pages/240.html
優姉といっしょ 321 :名無したちの午後 :2005/07/10(日) 09 35 54 ID aIjZjGZR 優姉といっしょはこのスレ的には核地雷。 手コキ足コキはサンプルにあった優姉のしかなく、且つ両方とも途中まで。 ヒロイン全員にチ○ポを見られるシーンでは、誰も指一本触れることなく視線と息と言葉だけで射精。 とりあえず途方に暮れた・・・ 関連レス
https://w.atwiki.jp/ganbarizing_matome/pages/555.html
いっしょにバトル 過去のいっしょにバトル 9月6日のアップデートより追加された、バーストライズ6弾限定で、CPUと戦う一人用モード。表示されてるオススメライダーが1人出て一緒にバトルしてくれる。チャレンジバトルステージの挑戦状の条件はクリアできない。 まずモードセレクトにて、「いっしょにバトル」を選ぶ。 ガシャットヘンシン弾にあった「このライダーと一緒にバトル!」と同じ物オススメライダーで戦う最初の1回のみ銀経験値アップを貰える。 オススメライダーがいるため、カードは2枚のみ使用可能(真ん中のレーンにオススメライダーが配置されるのでカードは左右のレーンに置こう)オススメライダーは操作はカードが無い時の代わりのライダーと同じでボタンで操作する。バーストはできない。 難易度は「かんたん」で固定な模様 期間 一緒に戦うオススメライダー 入手アイテム 9月6日9 00~BS6弾稼動終了まで 仮面ライダーセイバー ブレイブドラゴン データプログライズキー「ゼロツー」 過去のいっしょにバトル いっしょにバトル(BM1弾) いっしょにバトル(BM2弾) いっしょにバトル(BM3弾) いっしょにバトル(BM4弾) いっしょにバトル(BM5弾) いっしょにバトル(BM6弾) いっしょにバトル(RT6弾)
https://w.atwiki.jp/miraclequest/pages/143.html
ミラクルくえすと~どこでもダンジョン~とは CAモバイルが運営する、携帯用擬似MMORPGです。 アプリをダウンロードするのではなく、携帯サイト内のリンクをたどることで 冒険が進んでいきます。いわゆるブラウザゲームです。 日本によく似たミラクガルドという世界を旅しながら、各地の酒場から請けた 依頼(クエスト)をこなしていくことでゲームは進みます。 非常に自由度が高く、移動時間を気にしなければスタート直後から ほとんど全てのエリアへ行くことができます。 メインストーリーやラスボス的存在も一応ありますが、 それらを全く無視したまま冒険を進めることが可能で、 クエストをクリアしていきながらキャラクターを育てることが 最大の目的と言えるかもしれません。 コメント 名前 コメント 過去ログはこちら→コメント過去ログ 更新履歴 2011-04-22 10 41 33 (Fri);
https://w.atwiki.jp/yamamura2/pages/3311.html
【TOP】【←prev】【GAMEBOY ADVANCE】【next→】 仔犬といっしょ 2 タイトル 仔犬といっしょ2 機種 ゲームボーイアドバンス 型番 AGB-P-BI2 ジャンル 育成シミュレーション 発売元 カルチャーブレーン 発売日 2004-4-2 価格 5040円(税込) タイトル 仔犬といっしょ2 25周年廉価版 機種 ゲームボーイアドバンス 型番 AGB-P-BI2 ジャンル 育成シミュレーション 発売元 カルチャーブレーン 発売日 2005-11-9 価格 3129円(税込) 仔犬といっしょ 関連 GBA 仔犬といっしょ 仔犬といっしょ 2 駿河屋で購入 ゲームボーイアドバンス