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【種別】 人名 【初出】 超電磁砲 第50話 名前と能力は心理掌握 第9話 【CV】 山根 綺(*1) 【概要】 常盤台中学の生徒。 食蜂派閥の中心メンバーの一人で、芽生と共に行動するシーンが多い。 『超電磁砲』における大覇星祭編での初登場以来、 『アストラル・バディ』や『心理掌握』にも登場しているが、 『心理掌握』9話で明かされるまで、長年にわたって氏名や能力は不詳のままだった。 【人物】 明るい髪色(アニメでは明るいブラウン系)で腰まである長い髪の、ゆるふわウェーブ(*2)の少女。 服装は常盤台中学の制服に、黒か紺のハイソックスを着用している。 食蜂操祈曰く、紀伊と芽生は「私の秘蔵っ子」。 食蜂の親友であるドリーと警策看取の護衛も任されていた。 基本的には真面目な性格のようで、食蜂と芽生がボケていた際には呆れながらツッコミを入れていが、 食蜂と御坂美琴の喧嘩を「こんなに仲良く」と解釈して顔を赤らめて見ていたり、 「御坂様と瓜二つ」な人物(ドリー)の素性を知りたがって興奮していたりと、 派閥の女王である食蜂の人間関係について興味津々である様子。 【能力・スキル】 能力は『窒素穿壁(ピアシングウォール)』。 強度は不明だが、常盤台生であるためレベル3または4。 この能力による紀伊の追跡(後述)は、美琴ですら振り切ることができなかった。 【作中での行動】 9月20日、『超電磁砲』における大覇星祭編の第50話(8巻)で初登場。 食蜂派閥の監視の目から逃れようと走行中のモノレールの屋根に飛び乗った御坂美琴を、 芽生と共に追跡し、即座に確保した。 同日(第51話)、美琴を連れ派閥メンバーの元へ戻ろうとした際、 病院に救急搬送される婚后光子を見かける。 婚后が暴行されたと知った美琴が単独行動に移ろうとしたため、 食蜂派閥のメンバーたちの到着を待つよう説得を試みるが、 「私を殺してでも止める覚悟がないなら どいて」 という美琴の怒りのあまりの激しさに恐怖し、彼女の単独行動を許してしまう。 大覇星祭での事件解決の後は、食蜂操祈によって、 上記の、美琴が激怒し立ち去った理由が「腹を下してトイレに籠城」した旨に記憶改竄されているため、 芽生と紀伊も以後はそのように認識しているものと思われる。 なお、この「私を殺してでも~」のシーンはネタ的な回想として、 『超電磁砲』第71話(11巻)やアニメ『超電磁砲T』などでたびたび登場した。 9月末、『アストラル・バディ』第3話~4話(1巻)。 何者かの能力で操られたキツネザルに、食蜂の鞄が盗まれる事件が起きたため、 サルと鞄を捕獲するべく芽生と共に行動する。 この後、食蜂、芽生と三人で、サルを操っていた犯人の常盤台生を確保するが、 弓箭入鹿が張っていた罠によって、三人とも気絶させられてしまう。 10月、『心理掌握』第1話~第6話(1巻)。 生徒会副会長で雅王院派閥の長・雅王院司からの挑発で、 食蜂が生徒会長選挙に出馬することになってしまったが、 紀伊も食蜂派閥の一員として食蜂の生徒会長選勝利のための様々な作戦に参加・行動する。 雅王院が食蜂を三番棟校舎へ連れ込んだ際には、警護のため芽生と共にこっそりと二人の後を付けていた。 10月、『超電磁砲』の獄門解錠編、第106話(14巻)では、 ドリーと警策看取の警護任務として、食蜂の指示で第二少年院主催の脱獄トライアルに芽生と共に参加。 常盤台中学の冬服ではなく、サングラスとパンツスタイルの私服姿で素性を隠していたが、 護衛の仕方が露骨だったため、警策には食蜂派閥のメンバーであるとバレていた。 なお、「御坂様に瓜二つ」な人物についての情報は食蜂から伝えられておらず、 興味津々というよりも興奮ぎみに、警策の口からドリーに関する情報が漏れるのを期待していた。 11月、『禁書目録』新約11巻。 蜜蟻愛愉が食蜂を狙った事件に関連して、食蜂派閥メンバーが行動していたため、 作中本文での直接の言及はないが、紀伊もこれに参加していたものと思われる。
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【種別】 魔術概念 【元ネタ】 運命論 、もしくは 決定論 【初出】 新約十八巻 ※それらしき概念の解説が四巻にあり(土御門による天界の説明中) 新約十三巻でアレイスターが僧正に残した伝言でも言及されている 【解説】 「位相」同士の衝突から発生する、人々の「運命」を形作るもの。飛沫とも。 基本的に魔術は等価交換の原則を騙し、一の出費で十の成果を得るものだが、 同時に全ての魔術法則の元となる幾重にも重なった位相に干渉しており、 それが位相同士の接触・軋轢を誘発してしまう。 こうした軋轢によって「火花」と呼ばれるものが生じ、これが人々の運命に干渉する。 人の出会いや別れ、そして人の生死からコイントスの表裏まで、 幸・不幸関係なくあらゆる「運命」が、薄く広がった「火花」と位相の影響を受けている。 どのような魔術にもこのリスクは付き纏うが、特にヘルメス学、近代西洋魔術等といった多数の神話伝承を統合した魔術は 多数の位相に干渉するため、「火花」の量やもたらされる影響が大きい。 アレイスターの娘、リリスを死に至らしめた病の元もこれであった。 アレイスターは娘の命を奪った「火花」、そしてその原因たる位相と魔術の存在を憎み、 「真なる科学の世界」における天使であるエイワスの力を使って、あらゆる位相を破壊しようと目論んでいた。 『黄金』の魔術師であるメイザースなどは「火花」とその影響を知りながらも黙認しており、 ブライスロードの秘宝は、「火花」を回避するためにも使用されていた。 その庇護下にあったのはメイザースを始めとする「黄金」の魔術師達であり、アレイスターも同様だった。 現代の魔術師達は位相の火花に関する知識を持っておらず、 あらゆる魔術に関する知識を持つインデックスや、 世界最大の『黄金』系魔術結社の首領であるバードウェイですら、この事を知らなかった。 【余談】 シリーズの幾つもの出来事も位相の運命論によるもので、 本編における多くの死は、まさしく火花が悪い方向に作用した結果と思われる。 上条がヒーローとして極めて多くの人間を救えたのも、 『火花』を知らず知らずのうちに幻想殺しで打ち消していったためなのかもしれない。
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ここは2chスレ「とある科学の超電磁砲/魔術の禁書目録で百合萌え」に投下されたSSのまとめwikiです。 カップリング別まとめ 現行スレ とある科学の超電磁砲/魔術の禁書目録で百合萌え 10 http //pele.bbspink.com/test/read.cgi/lesbian/1309174386/l50 過去スレ とある科学の超電磁砲/魔術の禁書目録で百合萌え 9 http //pele.bbspink.com/test/read.cgi/lesbian/1297089926/ とある科学の超電磁砲/魔術の禁書目録で百合萌え 8 http //babiru.bbspink.com/test/read.cgi/lesbian/1293513658/ とある科学の超電磁砲/魔術の禁書目録で百合萌え 7 http //babiru.bbspink.com/test/read.cgi/lesbian/1284960194/ 【レールガン】とある科学の超電磁砲で百合萌え 6 http //babiru.bbspink.com/test/read.cgi/lesbian/1277904826/ 【レールガン】とある科学の超電磁砲で百合萌え 5 http //babiru.bbspink.com/test/read.cgi/lesbian/1274718809/ 【レールガン】とある科学の超電磁砲で百合萌え 4 http //babiru.bbspink.com/test/read.cgi/lesbian/1270806636/ 【レールガン】とある科学の超電磁砲で百合萌え 3 http //babiru.bbspink.com/test/read.cgi/lesbian/1267638060/ 【レールガン】とある科学の超電磁砲で百合萌え 2 http //babiru.bbspink.com/test/read.cgi/lesbian/1260983879/ 【レールガン】とある科学の超電磁砲で百合萌え http //babiru.bbspink.com/test/read.cgi/lesbian/1254590235/ とある魔術の禁書目録で百合 http //babiru.bbspink.com/test/read.cgi/lesbian/1226188060/ ○関連サイト ―ネタばれ注意― とある魔術の禁書目録Index :総合データベース@wiki、本編補完・スレ内ネタ等々 ttp //www12.atwiki.jp/index-index/pages/1.html rainbow spectrum :原作小説絵師・原作漫画キャラデザ担当 灰村キヨタカのHP ttp //r-s.sakura.ne.jp/ 製作速報VIP(クリエイター) :たまに超電磁砲の百合SSが投下されたりする ttp //ex14.vip2ch.com/news4gep/ カウンター - コメント 7スレのほうの「誕生日」作者です。ミスで時空のゆがみが多数発生していたのを修正しました。 -- 名無しさん (2010-11-14 21 24 32) 【#13’’’ 炎天下のマッサージも楽しいものですよ~】作者です。長文かと思ったのでこちらをお借りしました。 -- 名無しさん (2011-01-04 21 22 11) ねっ・・・ねこ春ですっ!【直投下】を直投下させていただきました。カプ別まとめも更新いたしました。 -- 名無しさん (2011-01-10 00 41 04) 「「「ガサ入れ隊でーす!」」」を直投下、カップリング別まとめを修正しました -- 名無しさん (2011-01-15 03 19 27) 【一杯の拉麺】ア・ボウル・オブ・ラーメンwo -- 名無しさん (2011-01-17 01 26 25) ミスりました・・・【一杯の拉麺】ア・ボウル・オブ・ラーメンを直投下、カップリング別まとめを修正しました。いつもお借りしてすみません。 -- 名無しさん (2011-01-17 01 27 33) ~【 あんしんしていいですよ 】~と、【 ~ 花飾りの詩 ~ 】を投下、カップリング別まとめを修正しました。 -- 名無しさん (2011-01-19 12 52 04) 【 ~ 病室の愚者 ~ 】(R-18)を投下、カップリング別まとめを修正しました。 -- 名無しさん (2011-01-24 01 20 29) 8スレ目のスレ投下、未収録2点を保管しました。;【 ~あったか初春、おしゃべり佐天さん ~】【 ~やわらかだいふく~ 】 -- 名無しさん (2011-02-10 22 21 51) 【 午睡幻想 ~Afternoon Dream~ 】を投下、カプ別まとめを修正しました。トップページ修正された方もお疲れ様です。 -- 名無しさん (2011-02-12 23 37 19) ~【-Vender Striker- 販機蹴手】~を投下、カプ別まとめを修正しました。 -- 名無しさん (2011-02-27 19 32 24) 9スレ目の未収録5作品を保存、カプ別まとめを修正しました。・・が、【 お し え て 】が何度やってもうまくリンクが作動しません・・・。すみません。 -- 名無しさん (2011-07-06 22 36 58) 名前 コメント まずはこちらをご覧ください。 @wikiの基本操作 用途別のオススメ機能紹介 @wikiの設定/管理 分からないことは? @wiki ご利用ガイド よくある質問 無料で会員登録できるSNS内の@wiki助け合いコミュニティ @wiki更新情報 @wikiへのお問合せフォーム 等をご活用ください その他にもいろいろな機能満載!! @wikiプラグイン @wiki便利ツール @wiki構文 @wikiプラグイン一覧 まとめサイト作成支援ツール バグ・不具合を見つけたら? 要望がある場合は? お手数ですが、メールでお問い合わせください。
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【種別】 異世界・魔術理論 【初出】 「異世界」としては四巻 「位相」としては二十二巻 【解説】 「真なる科学の世界」「純粋な物理法則の世界」の上に投影されている、異世界・宗教概念のこと。 即ち、 十字教・イスラム教・仏教・カバラ・日本神話・北欧神話・ケルト神話・ギリシャ神話・エジプト神話・アステカ神話・インカ神話などの 宗教・神話に語られる 「天国」「地獄」「六道」「四界」「黄泉」「ユグドラシル」「アヴァロン」「オリンポス」「冥界」「ミクトラン」「ティティカカ」といった 神、天使や悪魔などの超越存在が住まう異世界を指す。 また、上記の事実から単に「フィルター」とも通称される。 シリーズにおける魔術の源であり、魔術以外にもさまざまな形で作中世界に影響を与えている。 作中において、この宗教概念は単なる空虚な妄想というわけではなく、 位相の異なる異世界として確かに実体を持って存在し、現実世界に影響を及ぼすことさえある。 というより、寧ろ逆で、異なる位相で起きた現象が現世で 神話として伝わっているらしい。 例えば、魔術はこれら異世界における法則を強引に現実世界へ適用することで超自然現象を引き起こしている。 学園都市製の超能力が発しているAIM拡散力場の集合である虚数学区・五行機関も、限定的なものであることを除くと上記の異世界に相当する。 こうした宗教概念・異世界のことを、作中では(別位相の世界という意味で)主に「位相」と呼んでいる。 上記の宗教・神話由来のもの以外では隠世が該当している。 なお、新たな天地に関しては確かに異世界ではあるものの、「同一時間軸上の余剰領域」であるが故に該当はしない。 これら異世界は現実世界と位相、つまり次元が異なるため、人の身では如何なる手段を用いても観測することは出来ないし、 侵入することも不可能に近い。 但し、「不可能に近い」だけであって例外も存在し、 作中ではアレイスターが「存在しない数で埋め尽くされた座標を十進法に変換する」ことで 無理やり隠世に侵入している。その後隠世は崩壊し、「世界」としての体を成さなくなった。 魔術を用いる用いないに関わらず、人の目に映る世界はこうした宗教概念という色眼鏡を介した歪んだ景色に過ぎない。 故にもし、その色眼鏡を変化させる程の力があれば、世界の「見え方」はがらりと変わってしまうことになる。 その場合、向こう側にある「真なる科学の世界」そのものを直接弄っているわけではないが、 人の主観で言えば、世界そのものが作り替えられているのと全く変わらない。 魔神とは魔術を極め、人の身でありながら神格へと至ることで、位相を操り世界改変を行える程の力を得た者のことである。 魔神は基底世界と無数の位相から成る既存の世界の上に、 新しい位相を差し込むことで「世界の見え方」を変え、世界改変を行っている。 改変された世界は魔神の思い通りとなり、天国のように幸福な世界も、地獄のように不幸な世界も自由自在に作れる。 細かいところまで完全に掌握しているわけではないらしく、 オティヌス曰く 「事象の全てを一つずつ自分の手で設計するわけではなく、計算された中心核から無限に広がる雪の結晶を眺めるようなもの」らしい。 基本的に既存の位相は破壊せず、新しい位相を差し込んで「世界の見え方」を変化させるが、 唯一「黒一色の世界」だけは、重なった全ての位相を破壊して生まれる世界である。 (実際のところオティヌスは隠世の存在に気付いていなかったため、 「全ての位相」を破壊していたのかは疑問であるが。) なお魔神ほどではないにせよ、通常の魔術師たちも魔術を使う度に位相に干渉している。 結果、位相と位相の間に力が生じて衝突し、大小様々な「火花」が生まれる。 この「火花」こそが人々の運命・不幸と呼ばれるものの正体である。 【備考】 四巻での土御門の例えによると、 天界や地獄と呼ばれる世界は『波長』が異なり、高い波長が天界、低い波長が地獄というようになっているらしい。 例えば天使と悪魔が隣同士に居たとしても、 天界と地獄の中間地点である波長の『地上』に干渉しなければ波長の違いから気づく事はない。 分かり易く言うと、人間の目で赤外線を見る事はできないし、人間の耳で高周波を聞き取る事はできないという事。 しかし、赤外線を浴びせれば物体は熱を持つし、高周波をガラスに浴びせればビリビリ震えるのが分かる。 俗に言う天罰や奇跡はこれに当てはまるとのこと。 【関連】 火花 禁書世界の時間論
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前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/投稿者 「やヤヤ」 ヤシの実 ◆sz6.BeWto2氏 ▲ ヤシの実 ◆sz6.BeWto2氏 小ネタ とあるアニメのコメンタリー 超電磁砲第1話分 小ネタ とあるアニメのコメンタリー 超電磁砲第2話分 小ネタ とあるアニメのコメンタリー 超電磁砲第4話分 小ネタ とあるアニメのコメンタリー 禁書目録第15話分 とある子猫な超電磁砲(レールガン) 1 1日目 とある子猫な超電磁砲(レールガン) 2 1日目 とある子猫な超電磁砲(レールガン) 3 1日目 とある子猫な超電磁砲(レールガン) 4 1日目 小ネタ 盛夏祭でのワンシーンについて とある子猫な超電磁砲(レールガン) 5 2日目 とある子猫な超電磁砲(レールガン) 6 2日目 とある子猫な超電磁砲(レールガン) 7 番外編 ▲ 前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/投稿者 Back
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本日の実験を終えた垣根帝督は、木原研究所内にある資料室を訪れていた。 「やっぱり、研究資料と一緒に依頼の資料も放っぽってやがる。シュレッダーにもかけてねぇし。相変わらず、研究以外はズボラな野郎だ」 呟きつつ、垣根は姫神秋沙に関する資料を紙束の見つけ出す。 ざっと目を通して確認した後、それを小さく折りたたんでジーンズのポケットに入れたところで、突然資料室の扉が開け放たれた。 「こんな所にいたのかい」 言いながら入ってきたのは木原幻生その人。 「どうも、明日の依頼の資料を確認しようと思いまして」 努めて冷静に言いながら、垣根は部屋の隅に無造作に置かれている、明日行う予定の依頼についての資料の束を手に取る。 「……ふふん。熱心でいいことだ。ところでね、帝督くん。今日の実験の結果が出たんだけどね、見てくれるかな」 特に気にした様子もなく、垣根は資料室に設けられたら四角い机に数枚のコピー用紙を広げた。 「わかるよね」 「…………」 資料を覗いた瞬間、幻生の言わんとしていることは分かっていたが、 「……何が、ですか?」 垣根ははぐらかすような答えを返す。 「やれやれ、ここの数値だよ。一月に一回行っている検査実験。それの、ここ半年間の結果をグラフ化したものだ」 幻生は白衣の胸ポケットからボールペンを取り出すと、わざとらしく六つの棒グラフの天辺を繋ながら言った。 「段々上昇率が下がってきている。そして先月と今月じゃ、もうほとんど横這いだ」 「…………」 「天井が見えてきてしまったのかな。天上に届く前に、ね」 トントン、とボールペンの先で用紙を叩きながら、一体何がおもしろいのか、くつくつ、と声を押し殺して笑う幻生。 〈歴然。今のは『天井』と『天上』の音が同じことを利用した駄洒落と呼ばれる技法だ〉 (……いいからテメェは黙っててくれねぇか) 頭の中に響く声に釘を刺し、垣根は幻生に向き直る。 「確かに実験の結果が著しく良くなっている訳ではありませんが、悪くなっている訳でもありません。『未元物質』の能力は衰えていない、だったらまだ研究価値はあるでしょう。あなた方は、未だに『未元物質』が何であるか、その取っ掛かりすら掴めてはいないんですから」 文句を言うなら、まずは『未元物質』を解明してからにしろ。 その言い分は、今まで『未元物質』を研究してきた研究者たちが、今回のように垣根を手放そうとする度、『次の雇い主』を探すため、或いは移転のための時間稼ぎに言ってきたことだ。 こう言えば、その言葉を真に受けて――或いはその言葉が薄っぺらい自尊心に触れて、『未元物質』の研究を引き伸ばすことがあったのだ。 だが、 「何度も言うようだけど、私の興味は絶対能力、ただそれのみ。だから君の『未元物質』という能力それ自体には何の興味もないし――突き詰めてしまえば君が絶対能力者にさえなってくれれば、『未元物質』の実態を解明できなくとも構わない」 幻生が、気味の悪い笑みを浮かべる。 「そして今の君には、もう絶対能力者への進化の兆しが全く見られない。これは、新しい可能性に研究を移すべきかもしれないね」 「どういう……」 「新しい能力者を開発した方がいいかもしれないってことだよ。……あぁ、そういえば。姫垣くんは、能力開発していないんだっけ?」 「――――!」 ドガンッ、と大きな音を立てて。 机が真っ二つに弾けた。 「……それは、契約違反です。木原幻生さん」 幻生を睨みつけて、一言一言区切るように垣根が告げる。 「分かっているよ。流石に全く未知の可能性と現超能力者とでは、後者の方に天秤が傾かざるを得ない。――現段階では、ね。君にはもうしばらく付き合ってもらうよ。垣根帝督くん」 悪びれた様子もなく、飄々と言ってのける幻生に、 「…………失礼します」 垣根はそれだけ答えると、幻生の横をすり抜けて部屋を出て行った。 〈そちらにも、困難はあるようだな〉 木原研究所を出てしばらくしてから、頭の中からアウレオルスの声が響いてきた。 (テメェのに比べれば大したことじゃねぇ。禁書目録に例えるなら、まだヒメは『首輪』を嵌められる前の状態だ。何とでも、護り様がある) 半ば自身に言い聞かせるような言葉。 それすらもアウレオルスには伝わっているであろうことを知っていて、しかしだからこそ垣根はどこか安心した心地がした。 (俺の問題は俺が解決する。もとより超能力に関わりのねぇテメェには関係のない話だ。それより今はテメェの用件だろ) 心中で語りかけながら、垣根は先ほど資料室から掠めてきた姫神秋沙の資料を広げる。 (取り敢えず、こいつが生活してる霧ヶ丘女学院の寮の部屋を訪ねてみる。上手くいけばいきなり会えるかもだ) しかし、物事はそうそう上手くは運ばない。 「た、退学したってどういうことだよ!?」 「今朝方、姫神秋沙の所持するレベル4『吸血殺し』の能力が失われたとの報告を本人から受けました。そのため、姫神秋沙を退学処分にし、本学の学生名簿より抹消、それに伴い寮も引き払って頂きました」 一体どこに不明な点があるのか、とでも言うような事務員の視線にイライラとしながら、垣根はアウレオルスに問いかける。 (どういうことだ、オイ。能力がなくなったって……) 〈おそらく『私』が『歩く協会』の機構を応用して姫神秋沙の能力を封じたのであろう。禁書目録救出の暁にはそのように処置する契約になっていたからな。しかし、憮然。学園都市では能力を失っただけで退学処分になるのか?〉 (あぁ、クソ食らえなシステムだろ。もっとも、それもエリート校に限った話だがな) 「それで、姫神さんはその後どちらに?」 心中の会話とは180度違う態度で事務員に質問する垣根。 「本日付けで園の方に転属になっています」 そう言って、事務員は学園都市内にあるとある施設のパンフレットを提示した。 所謂、置き去りと呼ばれる子供たちが集められた場所である。 (そういや姫神秋沙は孤児だったな……) 「分かりました、どうもありがとうございます」 丁寧に礼をしてパンフレットを仕舞うと、垣根は即座に回れ右をして道を戻る。 (ま、これで次の手掛かりは掴めた。まだ糸は切れてねぇさ) ところが、悪いことと言うのは、なかなかどうして続けざまに訪れるものである。 「……まだ来ていない、と」 「えぇ、午前中には学院を出たらしいのですが……まだ……」 困った顔で対応する施設の保育士に、垣根は張り付いていると言うより凍りついていると言った方が相応しいような笑顔を向けて言う。 「何か心当たりとか……」 「そう言われましても、こちらはまだ一度も直接顔を合わせたことすらありませんし……」 「……そうですか。ありがとうございました」 踵を返し、施設を後にする垣根。 (どーすんだぁオイどーすんだよコルァ! 姫神秋沙はどこで油売ってんだ道草喰ってんだ!) 〈ふむ。おそらく学院を出たものの、施設に行くのが何となく嫌になってそのままそこらを放浪しているのだろう〉 そういう癖のある女だった、とあっけからんと言うアウレオルスに頭を抱えつつ、現状を打開しようと質問を重ねる。 (姫神の行きそうなところに心当たりは……) 〈皆無だ〉 (……だろうな。っつか、じゃあそれこそ禁書目録の方なんてどうするつもりなんだ? 手がかりがないどころか、ひょっとするとイギリス清教に連れ帰られちまって、もう学園都市にはいねぇかもしれねぇぞ?) 言い忘れてたが俺ら能力者はそう簡単に外には出られねぇんだよ、と言う垣根に、アウレオルスはやはり落ち着いた様子で返す。 〈それはないな。私が『どの段階まで』禁書目録を救出したにしろ……『首輪』が外れたこと、魔道書についての知識がなくなったことをイギリス清教が自ら公言することはないであろう。そしてそうである限り、禁書目録は他の魔術協会にとって忌避すべき脅威であり、かつ格好の獲物でもある。そんな風に危険がいくらでも寄ってくる禁書目録だ。イギリス清教は彼女を学園都市から出すまい。ここは、魔術サイドにとっての中立地帯であるからな〉 (……だが、どの道学園都市のどこにいるかは分からないんだろ。つーか、そもそも発信機とか付けてねぇのかよ) 〈発信機……そうか、そうだったな〉 はっ、としたようにアウレオルスが声を上げる。 (? 何かあるのか?) 期待を込めた垣根の声に、アウレオルスが自慢げに答える。 〈当然。私をあまり甘く見ないことだな。三沢塾へ行け。鍵はそこにある〉 (お、おぉ分かったぜ!) だがしかし、二度あることは三度あるとはよく言ったものである。 「……んで、これが何だってんだ?」 垣根はアウレオルスに指示された三沢塾校長室(当然不法侵入した)に置かれた机のとある引き出しから、ビニルに入った二種類の髪の毛を取り出した。 一方は黒、もう一方は銀色で、どちらも随分長い。 〈姫神秋沙と禁書目録の頭髪だ〉 (そういう趣味が……) 〈否。魔術とは便利なものでな。持ち物からその持ち主の居場所を特定する術式があるのだ。それを使えば、二人の位置などすぐに分かる。思い知ったか、これが錬金術師・アウレオルス=イザードだ〉 (…………あー) 垣根は脳内で誇らしげに騒ぐアウレオルスに、ビニル袋を揺らしながら問う。 (――んで、誰がその魔術を使うんだ?) 〈? 明然。私に決まっているであろう〉 (ほぅ、俺の脳味噌に寄生してるテメェが、どうやって魔術を使うって?) 〈…………………………〉 (確か超能力者の脳味噌じゃ魔術は使えねぇんだよな。三沢塾の学生は再生出来たからいいが俺はそうはいかねぇし、俺の脳がダメージを受けた結果テメェが消滅するっていうシナリオも有り得るぜ?) 〈………………………呆然。そういえばそうだったな〉 目を閉じれば、そこには脂汗を滝のように流しているアウレオルスの姿がありありと見えた。 〈だ、だが! そうだ! 禁書目録の『自動書記』なら、能力開発を受けていない人間に代わりに魔術を行わせることができ――〉 「だぁからその禁書目録を探してんだろうがこのスカシイケメンがぁぁぁぁぁ!!!!」 声に出して叫びながら、垣根は脳内でアウレオルスに向かって右ストレートの突っ込みを思いっきりお見舞いした。 (あー、もう止めよっかなー! 手伝ってやるの止めよっかなー!) 〈やれやれ、最近の若者はすぐに飽きただの何だのと言って物事を放り出す。嘆かわしいことだ〉 (誰のせいだと思ってるんだ、アウレオルスさんじゅうはっさい?) 〈……貴様、今の思考を間違っても漢字変換するなよ〉 垣根帝督は無駄足を踏んだとばかりにさっさと三沢塾を離れ、第七学区を放浪していた。 しかし今回ばかりは手掛かりも何もなく、本当にあてもなく彷徨っているだけだ。 「こんなんじゃどう考えたって見つかりゃしねーもんな」 姫神秋沙の資料を広げ、声に出して溜め息を吐く垣根。 相変わらず頭の中には涼しい声が響いており、それが垣根のイライラを一層高めている。 アウレオルスの思考は全て垣根に伝わる訳ではない、と言っていたが、垣根の思考に応えるだけにしてはどうにも言葉数が多すぎる。 どうでもいいことでこちらのツッコミを誘う様子はまるで構ってちゃんそのものだ。 〈ふ……そこで突っ込んでしまう貴様にとやかく言われる筋合いはないがな〉 「カッコつけといて否定はしないんだな……」 呆れながらもぼそり、と無意識に突っ込みを入れてしまう優しい垣根くん。 すると、 「もぅ、痛いですよー」 前方から突如声が聞こえてきた。 (痛い? しまった、今の声に出てたか? 白昼堂々大通りで独り言言ってる人間がいたら、確かに痛い!) 「え、えーと、いやこれは……」 垣根はまだ見ぬ突っ込み主に弁明しようとするが、 「あれ、いない……?」 目の前に人影はない。 「こっちですよー」 再び聞こえてきた声の出ところを探って視線を下に下げると、そこにはピンク色の髪をした幼女が一人尻餅をついていた。 「まったく、先生にぶつかっておいて謝りもしないなんて、一体どこの学校の生徒ちゃんですかー?」 「先生……?」 どうやら資料を見ながら歩いているうちに衝突してしまったようだ。 幼女は、立ち上がりながらよく分からないことを愚痴ったかと思うと、ふと垣根の持っている資料に視線を寄越した。 「姫神……秋沙……?」 「! テメェ、こいつのこと知ってるのか!?」 つい、語調を荒げてしまう垣根。 「むむぅ。度々先生に向かって失礼な子ですねー。でも、その様子だとやっぱりこの子を探しているんですねー。迷子ですか?それとも家出?」 対して、幼女は慌てた様子もなく垣根の手から資料を引ったくる。 「……あー、まぁ家出みてぇなもんだ」 正確には家を追い出された後、新しい家に行かずに放浪しているのだから、家出の真逆と言えなくもないが。 「で、テメェはこいつについて何か知ってんのか?」 「いいえ、この子のことは今はじめて知りましたが……先生、この子を捜すの、手伝えると思いますよー?」 そう言って悪戯っぽく笑う幼女。 この幼女こそ、四度目にしてようやく垣根の前に現れた救世主であったのだった。 「マジでか……」 〈恟然。マジ出島〉 突如現れた幼女――その後の自己紹介で月詠小萌と名乗った幼女は、実は成人女性で、学園都市内のとある高校の教師であった。 それも確かに驚きの内容だったが―― 「えっへん。言ったとおり、ほら、もう姫神ちゃん見つけちゃったのですよー」 無い胸を張って威張る月詠の指し示す先――人気のない児童公園のベンチに、大きな旅行用カバンを抱え、いつかと同じ巫女服を着た姫神秋沙の姿があった。 心理学の応用で家出した子の行動パターンなどを読み、そういった子供達が溜まっていそうなところに赴き、これを保護する――そんなことを『趣味』と言ってのけた月詠に半ば押し切られる形で(どうあっても姫神の資料を放そうとしなかった)彼女を姫神探しの一行に加えることにした。 大して期待はしていなかった垣根とアウレオルスであったが、姫神の資料を一読し、数分だけ考えた後月詠が提示した『候補地』。 数あるそれらの始めの二カ所目を巡ったところで、垣根たちは早速姫神秋沙の姿を発見してしまったのだ。 「それで、どうして姫神ちゃんを探していたんですかー?」 下手をすれば自身より年上に見えかねない少女をちゃん付けで呼び、月詠は垣根に問いかけてくる。 「ちょっとした野暮用だ」 「んー、不純なことじゃないですよねー?」 「全然、全く」 食い下がる月詠を適当に切り捨て、垣根は姫神に近づいていく。 「……!あなたは。……。いえ。何でもない」 垣根に気づいた姫神が、微妙な反応をする。 垣根の顔には見覚えがあるが、垣根は姫神のことを覚えていない筈であるということに思い至ったのであろう。 「久しぶりだな。姫神秋沙」 勿論実際は姫神のことを覚えている――思い出している垣根は、臆することなく少女に声をかける。 「!? あなたは。アウレオルスに。記憶を消去された筈」 「だったんだけどな。色々あったんだよ。今日はテメェに用事があって来たんだ……?」 そこで、垣根はあることに気づいた。 (そういやアウレオルス。姫神のその後を見るって話だったが、俺は実際何をすればいいんだ?) 〈言っていなかったか。簡単。私が姫神秋沙の能力『吸血殺し』を封じたとすれば、『歩く教会』の機構を利用した何かしらの霊装を姫神に持たせている筈〉 (だが見た感じ何も持ち歩いちゃいねーみたいだぞ?) 〈手に持つような物ではあるまい。身体から離してしまった途端に能力が再発してしまうのだからな。おそらく服の内側に隠してあるか、服そのもの、あるいは装身具といったものであろうな。だが不都合は無い〉 (何か見抜く方法でもあるのか?) 〈当然。今から私が伝える通りのことを姫神秋沙に言えばよい〉 (了解) 体感時間では数秒の遣り取りを脳内で済ませ、垣根は改めて姫神に向き直る。 「あー、用事ってのはだな……」 〈服を脱げ〉 「服を脱げ」 「…………………………」 「…………………………」 女性二人、どん引きである。 (って、全然不純じゃねぇかぁぁぁぁぁ!!!! 何言わせんだコラァァァァ!!!) 〈明然。不純な意図などない。霊装であるか否かなど、直接見れば魔術を使わずともすぐに分かる。故に衣服や装身具の提供を訴えただけだが?〉 (言い方ってもんがあるだろうが! 横柄なんだよ! 言葉数少なすぎんだよ!) 〈それが私のスタンスだ〉 (知らねーよぉぉぉぉぉぉぉ!!) 垣根が脳内で緊急会議を開いている間に。 「……垣根ちゃん……それは……何というか……余りにも露骨ですよ……」 月詠は携帯電話に手が伸びるまで後少しと言った雰囲気。 「あの時の仕返し? だとしても。頷くわけにはいかない。女として」 一方姫神はベンチから立ち上がると、どこからかスタンガンとしても使える学園都市製の特殊警棒を取り出し、垣根に向かって突き出してきた。 「あー、いや。ゴメン、今のは言い間違い。脱げじゃなくて、服を貸して欲しいというか……」 「私の服を。着たいと言うこと?」 「どうしてそうなるっ!?」 〈文脈的に正しい読みとり方だと思うが〉 (その一文目から間違ってんだよ! テメェのせいでな!) いちいちアウレオルスに付き合ってやる垣根も垣根だが、当然その議論は姫神には伝わらない。 「問答無用。女の敵は。魔法のステッキで。成敗」 言い、姫神が魔法のステッキもとい警棒を振り上げる。 〈よし、向こうが先に手を出したぞ。正当防衛と称して適当に揉み合って服を脱がせ。後は私が何とかする〉 (何ともならねぇよ! 俺の人間としての尊厳が真っ逆様に焼却炉行きだよ!) 思いながらも、垣根は左手に『未元物質』の籠手を出現させ、振り下ろされる警棒に向かって叩きつける。 「――!?」 何の抵抗もなく姫神の手から弾き出される警棒。 姫神は高圧電流が流れており、ちょっと触れるだけでも失神しかねないそれを弾かれたことに驚愕しているようだが、何のことはない、絶縁性の『未元物質』で籠手を形作っただけである。 「……。私を。どうするつもりなの」 武器を失い、後ずさる姫神。 だがその背中はすぐに、公園に設置された自販機に触れてしまった。 〈行け。今が好機だ〉 尚も阿呆なことを叫ぶ脳内の声に、垣根は。 ドンッ、と自販機を叩き、 「……黙れよ」 声に出してアウレオルスを諫める。 「………………………」 すると、何故か小さく抗議していた姫神の声がなくなった。 それに気づいて垣根が視線を下げると、 (……おい、アウレオルス。もしかしてこれじゃないのか?) 姫神の胸元に、ネックレスのようなものが架かっているのが見えた。 垣根は空いている右手をネックレスの紐部分に伸ばし、それを引き上げる。 すると、その先には十字架を模したアクセサリーのようなものが繋がっていた。 〈昭然。間違いない。これが姫神秋沙の『吸血殺し』を封じている霊装だ。確かに『歩く教会』の機構を利用している。だが私の作品ではないな。この手際は……禁書目録か? 彼女に製作を依頼したということなのか……〉 ぶつぶつと呟くように思考するアウレオルス。 (ま、何にしろ姫神との契約は果たせてたってことだろ。しかも禁書目録がこいつを作ったってことは間違いなくテメェは禁書目録と会えてる。嫌な可能性は見えないぜ?) 〈……そうだな。私なら霊装の製作も自分でこなすと考えていたが……禁書目録の方から申し出たということもあるだろう。問題はない〉 思うところがあったようだが自己完結したらしいアウレオルス。 問題がないと言うなら、ひとまずこれで垣根の役目の第一段階は終了である。 「………………………」 「………………………」 〈この、あからさまに不審な目で貴様のことを見つめている姫神秋沙と、今にも携帯電話で人を呼びそうな月詠小萌をどうにかしたらな〉 (…………テメェが言うな) 垣根はまず姫神に事情を話した。 『脳に寄生するアウレオルス=イザード』という事象を説明して理解してもらえるか心配だったが、もともとアウレオルスの魔術に触れており、自らも『吸血殺し』という異能を持っているためか、 「そう」 の一言で処理されてしまった。 何にしろ、垣根の意図せんことはきちんと伝わったようで、携帯電話を握りしめてわなわなしている小萌には、姫神の方から適当に説明してもらった。 「知り合い。スキンシップ」 ……それにしてもあんまりな説明ではあったが。 「もう、垣根ちゃん。紛らわしいことしないでくださいよー」 ……信じる月詠も月詠であったが。 「まぁ、やっとゆっくり話が出来るようになったからいいか」 「元はと言えば。あなたのせい」 「俺って言うか、アウレオルスな。そこは譲れねぇ」 的確な姫神の指摘をかわしつつ、垣根は姫神に言う。 「分かってもらえたと思うが、俺はアウレオルスのアフターサービスのためのただ働きのバイトだ。それでも頭の中からアウレオルスの五月蠅ぇ声を消去するためには仕方がねぇんで付き合ってやってる」 「えぇ。了解」 「そんじゃ、改めて聞くが……テメェのその十字架のペンダント。そいつはアウレオルスがテメェとの契約を果たすために、テメェに提供した『吸血殺し』封じのアイテムってことでオッケーなんだな?」 最初からこうやって聞けばよかった、と阿呆なことを言ったアウレオルスを恨みつつ姫神の返答を待つが、 「……………………」 姫神はこちらを見据えたままなかなか答えようとしない。 「どうした?」 「アウレオルスが。本当にあなたの脳内に住んでいるなら。自分のしたことくらい分かっている筈。どうして。そんなことを確認するの?」 「ん、あぁ」 確かにそれは気になるところであろう、と垣根はアウレオルスからの受け売りの知識を伝える。 「どうにも俺の中にいるアウレオルスには、俺が三沢塾に殴りこみに行った日――つまりは8月3日時点でのアウレオルス=イザードの知識と経験しかないらしい。だから、野郎は目的が果たされたのかどうか、直接知ってる訳じゃねぇんだ。ま、その十字架を見た時のアウレオルスの反応から察するに、問題はなさそうだが」 「…………そう」 何かを噛み締めるようにゆっくりと頷く姫神。 「……? もしかして、何か不具合でもあったのか?」 その様子に引っかかるものを覚えた垣根が問うが―― 「……何も」 俯いたまま。 ゆっくりと、しかししっかりと。 姫神は告げる。 「全て。あなたの言うとおり。この十字架は。私のチカラを封じるために。アウレオルス=イザードが与えてくれたもの。私は。アウレオルスに救われた」 言い終えてから、姫神は顔を上げて再度垣根を見る。 その顔は――かつて見た無表情なそれと寸分違わないように見えた。 (……だってよ) 自身と同じことを聞いていたであろう、脳内の三沢塾校長室のティーテーブルに座するアウレオルスに確認を取る垣根。 〈あぁ。了解した。協力に感謝する〉 それに、先ほどまでの釈然としない表情から解放されたアウレオルスが頷き返す。 (まだ、もう一個残ってるだろうが。むしろそっちが本題だ) 〈的然。分かっている〉 (ま、ここでもまた新たな問題が浮上するんだがな……) 思いながら、つい口に出して溜め息をつく垣根。 「ったく、禁書目録は一体どこにいるんだ?」 すると、 「インデックス……?」 「インデックスちゃんがどうかしたんですかー?」 その呟きに二通りの返答があった。 「なっ、テメェら禁書目録を知ってるのか!?」 思わず問うた垣根に、 「ええ」 「知ってますよー」 と当たり前だと言わんばかりに返答する姫神と月詠。 〈……楽あれば苦あり、苦あれば楽あり、か〉 どうやら今度はそれほど苦労せずに済みそうだ。 「第七学区の病院……あぁ、そこなら分かる。って、禁書目録は今入院してるのか?」 姫神と月詠から禁書目録の居場所を聞き出した垣根は、その予想外の答えについそう聞き返した。 「いいえ」 「入院してるのは上条ちゃんの方ですよ」 「上条?」 横から月詠が垣根の知らない名前を出す。 脳内のアウレオルスも、どうやらその名前には覚えがないようである。 すると、無表情ながらどこか言いにくそうな様子で、姫神が口を開いた。 「……上条当麻は。インデックスの。今のパートナー」 「………………」 チラリ、と脳内で対面の席に座っているアウレオルスの顔色を窺う。 それに気づいたのか、アウレオルスは垣根の顔を真っ直ぐに見ると、相変わらずの涼しげな調子で話し出す。 〈当然。禁書目録にはその年ごとにそばに寄り添うパートナーが存在した。一年しか記憶の保たない禁書目録と、ずっと一緒にいられるだけ強い者などいなかったからな。今は、その上条という人間がその位置にいるだけだ。何も不思議はないし、不都合もない〉 (だがよ、テメェが『首輪』の破壊に成功していればもう禁書目録は記憶を失うことはない。つまりその上条って奴はこれからずっと……) 〈当然だと言ったであろう〉 垣根の言葉を断ち切るように、アウレオルスが言う。 〈それで良い。例え禁書目録が私という存在の一切を忘れたままに救われようとも、私のことを思い出すことなく日々を過ごそうとも。彼女を助けることが出来れば、それだけで良い〉 (……とんだエゴイズムだな) 吐き出すような垣根の言葉に、 〈否定はせん。私は、彼女を救うことで自身を救おうとしている。或いは、救おうとしていた、か。……だが、貴様にそんなことを言われるとはな〉 (…………何だよ) 〈言ったであろう、嘘は吐けないと。貴様は私と同類。私と同じ思考を持つ。そんな言葉を吐きつつも、真実貴様は私の思考に賛同している〉 (…………ちっ) 〈感謝する〉 (っ………………) 〈守るべきものを第一に考え、そのために自身の相手への想いさえ押し殺してしまう不幸。自身と相手との時間さえ犠牲にしてしまう不幸。私と同じ思考をつが故に、そのことを知っている貴様だからこそ――私に意見することで、慰めようとでもしてくれたのだろう〉 ――貴様相手になら、吐き出しても良いのだと。 (……みなまで言うなよ、俺が凄い恥ずかしい奴みたいじゃねぇか。つーか、そう言えるってことは、テメェがトレースしたその俺の考えは丸ごと余計なお節介だったってことか) 〈覚悟していたことであるからな。それでも――嬉しくはあった。だから、感謝する〉 (…………禁書目録の居場所が分かったんだ。さっさと行って用事済ませて、テメェもどこへなりとも消えやがれ) アウレオルスの言葉には応えず、垣根はそう締めくくると精神世界から現実世界へ戻ってくる。 目の前には、アウレオルスに代わって仏頂面の姫神秋沙が立っている。 垣根の反応を窺っているのだろう。 「……そっか、了解。アウレオルスの用事は禁書目録に会うことだ。だれがパートナーだろうが関係ねぇよ。情報サンキューな」 垣根は、姫神に一方的にそう言うと、返答を待たずに公園を出た。 ――向かう先は、決まっている。 「………………」 公園を後にする垣根帝督。 その後ろ姿を、姫神秋沙は無言で見送っていた。 「どうして嘘吐いたんですか?」 隣から(と言うには大分高さが足りないが)、月詠が声をかけてくる。 「……バレてた?」 「先生は先生ですからねー。嘘吐いたって簡単に分かっちゃうんですよー」 相変わらずの無乳を強調するように胸を反らす月詠に、姫神は静かに語り出す。 「……あの人は。あの子を救いたかったんじゃなくて。本当は。あの子に救われたかった」 「………………」 抽象的な姫神の語りを、月詠は一切口を挟まずに、しかし真摯に聞く。 成る程確かに、その様は教師に相応しい。 「それでも。あの人はあの子を救うための努力をした。自分が救われるために努力をした。……対して私は。あの人に頼りきりで。あの子だけでなく私も救ってくれると言ったあの人に頼りきりで。私はあの人には何もしてあげられなかった。交換条件はあったけれど。それは私の努力によるものではないし。何よりその条件すら私は満たすことが出来なかった」 一度区切って、姫神は噛み締めるように言う。 「だからせめて。例えあの人の残滓に過ぎないとしても。その心を救ってあげたかった。私を救おうとしてくれたあの人の心を。――嘘を吐いてでも」 姫神が、無表情のまま涙を一筋流した。 アウレオルスは、偽りの物語の中で消えていく。 その筋書きが例えハッピーエンドだとしても。 アウレオルスが思い残すことなく消えることが出来るとしても。 おそらくアウレオルスはバッドエンドであれ真実を知りたかった筈であり。 それを偽ったのは――紛れもなく姫神自身なのだ。 「…………姫神ちゃんは、優しい子ですね」 月詠が、姫神を抱きしめる。 ともすれば身長差から姫神の方が月詠に抱きついているようにも見えるが、月詠は構わず、静かに涙を流す姫神の背中を優しく叩く。 「今日は先生の家で一緒にご飯を食べましょう。行くところがないなら、行きたい所が見つかるまで、先生の家にいていいですから」 慈しむような月詠の言葉。 その母親のような優しさに触れて、 「…………ありがとう」 姫神は、少しだけ表情を綻ばせたのだった。 垣根帝督の十番勝負 第五戦 『姫神秋沙』 対戦結果――完勝(決まり手・ドンッ!「……黙れよ」) 次戦 対戦相手――『禁書目録』
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前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/投稿者 「こごコゴコ」 こたつ~ ◆yCXoE.oqws氏 コウ(7-554)氏 コスモス(22-047)氏 コタケン(7-047)氏 コッカラ(7-028)氏 ▲ こたつ~ ◆yCXoE.oqws氏 特売デート? 1 (前) ▲ コウ(7-554)氏 小ネタ 防御結界 小ネタ 罰ゲーム 素直になったら 1 罰ゲーム 素直になったら 2 後悔と違和感 素直になったら 3 黒子の気遣い 素直になったら 4 シスターとして 素直になったら 5 似た者同士 素直になったら 6 子供 素直になったら 7 温泉旅行プロローグ 小ネタ 1Kに三人は無理だろ ▲ コスモス(22-047)氏 if 指輪 物語 とある二人の旅行物語 1 とある二人の旅行物語 2 とある二人の旅行物語 3 とある二人の旅行物語 4 とある二人の旅行物語 5 とある二人の旅行物語 6 恋する乙女の報告書 とある乙女達の乙女達による乙女達の戦い 2G(ゲームと現実)で叶える夢 全力で貴方たちを倒す! if√ 1 全力で貴方たちを倒す! if√ 2 全力で貴方たちを倒す! if√ 3 全力で貴方たちを倒す! if√ 4 全力で貴方たちを倒す! if√ 5 小ネタ とあるバカップルのインサイドプレイ もし美琴が同棲してたら 福引きで変える二人の関係 占いで幸せになる二人 アレイスターの思惑 アレイスターの思惑・続! 大学で始まる恋の予感 いちゃいちゃバカップル予備軍誕生!? 小ネタ のどかにのんびり 小ネタ His uneasiness アレイスターと美琴の共闘(?) 小ネタ ぬいぐるみの秘密 小ネタ 私はこうして上琴にはまった 小ネタ 私はこうして上琴にはまった 続 両親編 上琴・アート・オンライン 小ネタ 上条提督 ▲ コタケン(7-047)氏 名前を呼んで 入れ替わりデートで知る本音 小ネタ その先に遥かな想いを メイドとベッド Ⅱ 1話舞台裏 ▲ コッカラ(7-028)氏 「とある科学の超電磁砲」が終わって一週間経ちました。 上条兄妹シリーズ 1 例えばこんな上条美琴 一方通行氏の謎 1 一方通行氏の謎 2 小ネタ 野球デートの際の注意点 上条兄妹シリーズ 2 とある魔術の上条兄妹 前編 小ネタ そんなことは当然です 上条兄妹シリーズ 3 とある魔術の上条兄妹 中編 キャラ替えしよう 責任とってよ 抱き心地 御坂姉妹の家出 1 偽典の上琴 御坂姉妹の家出 2 1日目 御坂姉妹の家出 2 1日目 番外編浜面サイド 御坂姉妹の家出 3 1日目(お泊まり編) ▲ 前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/投稿者 Back
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第1章 献身的な修道女達の強制的要求 1 「と、言う訳です。理解しやがりましたか?」 …………おかしい。いやちょっと待ってほしい。 学園都市に住むレベル0の平凡な高校生、上条当麻は必死に思考する。 彼の前には黒を基調とした修道服に身を包んだシスター3人が、さも当然のように座っていた。 「やはり理解できませんでしたか?……シスター・アニェーゼ、やはりこの少年の頭脳レベルに合わせて解説するべきなのでは?」 (シ、シスター・ルチア!か、仮にもこれからお世話になる人にその言い方はちょっと……) (しかしシスター・アンジェレネ、実際に彼は固まったまま動かないじゃないですか) ヒソヒソ話まる聞こえだぞこの野郎。固まったまま動けないのはあなた達のせいですからね?つーか内容は理解出来たけど何でそういう展開になるんだと激しくツッコミを入れたいんですがOKですか? と、固まっている割には意外と激しく脳内思考をしている上条だったが、続くアニェーゼの台詞で反射的に口が動き、逆に脳内思考は完全に停止した。 「そーですか、そんじゃ簡潔に……………………私達をここに1~2週間ほど泊めやがれってんです」 「………はぁぁぁああああああああああああああああああああああああああ!!!???」 なんだかその1~2週間全てが不幸で埋め尽くされそうな気がした。 ○月×日・午後3時半 上条の絶叫から、遡ること2時間半前………… 今日の授業が終わり、上条の通う高校の廊下をデルタフォースの3バカトリオ、上条、青髪ピアス、土御門元春は、今日も他愛のない話をしながら帰宅の為に昇降口に急いでいた。 その中でも特に急いでいたのが他でもない上条である。 「今日はDiscountスーパーで冷凍食品の大安売り!!節約学生の第1人者である上条さんとしては行かない訳には参りません!!」 「………どおでもええけど、なんだかカミやん最近ずいぶん所帯じみてきたような…………なんでなん?カミやんが自炊派だってのは知ってるけどそれほど金に困ってる訳でもないやろ?1人暮らしなんやから。…………まさか、どっかの薄幸少女を家に連れ込んでたりすんのん?」 ビックウ!!と肩を震わせる上条。彼は訳あってアパートの自分の部屋に「インデックス」と言う修道女を保護しているのだ。 真っ白な生地に金色の刺繍を施した、ティーカップの様な修道服をきているそのインデックスがとにかく食べる食べる。 ある日の夕食なんか、インデックスが上条さん特製フライ定食(ご飯&サラダ&スープ付き)を上条の分まで平らげ、自分だけ「18秒で出来上がり!学園都市特製、速さ0、1倍、美味さ10倍!!真・カップラーメン・しょうゆ」の時があったほどだ。 そんな訳で家計簿をつけるのは当たり前、少しでも安い物を求め、スーパーを渡り歩くようになった上条は、お目当ての店が少し位遠くても足を運ぶようになっていた。 …………問題はとある事情により、この事実を周りに伝えられないという事だ。(1人暮らしの男の部屋に少女を連れ込んでる時点で話せるものではないのだが) 自分は勿論、インデックスの為にも。 上条がどう言い逃れしようと考えていたその時 「はっは~!夢があるニャー青髪は。朝起きたら「おはようお兄ちゃん?」って微笑んでくれる幼女メイドがいてくれたら最高なんだけどニャー」 「……そうやな~、考えてみたら日々フラグに塗れているカミやんがわざわざ「少女誘拐」なんてする訳あらへんもんな~」 「ブフッ!!?」 「少女誘拐」の所で思わず噴き出した。 もしかしたら自分は何も知らない他人から見たら犯罪に見えかねない事をやっているのではないだろうか?と、上条は少々本気で頭を抱える。 「……せや、よう考えたらカミやんはそーゆー事せんでもええんやないか!おかしない!?そーゆー事に手ぇ出さんでも大満足のフラグパラダイスなんて!!?つーかどっちかっていうと僕がそっちに手ぇ出しちまいそうやもん!!」 「……何だかお前が言うと、妙にリアルに聞こえるぞ…………」 「にゃー……あとで小萌先生に青髪注意報を呼びかけておこうぜぃ……」 同時刻。職員室で職務を全うしていた上条達のクラスの担任、月黄泉小萌は、小学生にしか見えないその小さな体全体で多大なる悪寒を感じとっていた。 2 上条の絶叫から遡る事18時間30分前・イギリス清教・必要悪の教会・とある公園の一画 「わかりました。そんじゃ、準備がすみしだい出発します」 必要悪の教会の女子寮近くの公園に呼び出されたシスター、アニェーゼ・サンクティスは仕事の説明を受け終わると、資料として渡された紙を手早く折りたたみ、修道服の中にしまう。 彼女、実は生粋のイギリス清教徒ではなく、ローマ正教の250人からなる1部隊を任されていたシスターのリーダー的存在だったのだが、現在はとある2つの事件によりイギリス清教に改宗した(本人はイギリス内にローマ正教支部を作ろうとしているらしいが)元・ローマ正教徒である。 「ああ、本当なら神裂達「天草式」の出番なんだろうけど、こんな術式が発動した以上、天草式は勿論、土御門も役に立たないだろうからね」 一方アニェーゼを呼び出したのはステイル・マグヌスという神父だ。 アニェーゼとは違い、此方は生粋のイギリス清教徒。ルーンカードを使った炎の術式を得意としていて、教皇クラスの術式も使える天才魔術師。 ……ただ、神父としては勿論、人としても見本にはならない格好をしていた。 真っ赤に染まったロン毛、両耳にピアス、目の下にバーコード、そして何より超タバコ臭い……と言うか、今も喫煙中だった。 「ニコチンとタールが無い世界の名は地獄」という名言を吐いた事があるほどタバコ好きで、彼の事を知る人はそれを注意しようとしない。なぜか「絶対に」無駄だからだ。 それはもはや「依存」や「中毒」どころの話では無く、彼にとって「酸素=タバコの煙」の方程式が成り立つほどの物だ。 彼からタバコを取り上げた未来は、取り上げた者が確実な燃えカスとなる、もしくは、ステイル自身が廃人になる、の2択だろう。 だからアニェーゼも (ったくこの喫煙神父が、自重しろってんです) と思ってはいても口には出さないのだった。 「んで、貴方はいかねぇんですか?」 「ああ、正確には「行けない」かな?状況が状況だし「外」でサポートさせてもらうよ」 「(ふん、ウソつきやがれってんです「ジュッチューハック」禁書目録の世話がしてぇだけでしょ)」 心の中で悪態をつくアニェーゼに 「…………ずいぶん余裕そうだね、ま、仕事を成功さる自信がそれだけあるって言うなら大いに結構だけど」 「……なにがいいてぇんですか?」 ステイルの目が微妙に細まる。 何の質問が来るか分かっているのに、いや、分かっているからこそアニェーゼは聞き返した。 「別に、ただ元・同僚である誰かと殺しあう事になるだろうからさ」 「…………あたしの仕事に甘さがあるってんですか?笑えねぇ冗談です」 そんな言葉を返したアニェーゼに、ステイルは嘲るようにフッ、と笑う。 「そんな事は言ってないよ?ただ「かつて仲間と慕ってくれた者が向ける敵意の視線」に耐えられれば良いね、そう言ってるんだ。まあ、君が嫌いだった人が来ない確率も無いわけじゃないし、出来ればそっちの可能性であることを祈っていてあげるよ」 ステイルはそう言うと、公園に掛けてあった人払いを解除し、自然な足取りで公園の出口へ向かい、人ごみにまぎれていった。 「…………ったく自分の経験を尊重しすぎてんですよ」 公園に一人残されたアニェーゼは、嘲るように、自分の意思を再認識させるように呟く。 「今も、そしてこれからも、あたしに昔はねぇんですよ」 3 ○月×日・午後5時半・上条の絶叫から、遡る事1時間前 「くっそ、だーもうちきしょう不幸だ~!!」 上条は街道を全速力で走っていた。 目的地は冷凍食品のタイムセールがあるスーパー…………のはずなのだが、何故か「全く逆方向に」走っている。このまま行くと上条の住んでいるアパートにたどり着く道のりだ。 上条の全力疾走の理由は何時も通り不良に追いかけられている……のではない。 逆だ「上条」が「不良」を、追っているのだ。 何でそんな事をする必要があるのかと聞かれれば、単純明快、とても分かりやすい答えを用意する事が出来る。 サイフヲスラレタ いや、正確にはスラれたと言っていいのかは分からない。何故なら………… 「ちっ、しつけーな!いい加減あきらめなよ!!」 「ふざけんな!こっちに近づいてきたと思ったらいきなり腹にグーをブチ込みやがって!!んでもってうずくまった人から財布奪ってそのまま逃亡開始する奴を上条さんは見逃しはしませんよ!?」 いきなり不意打ち&急所狙いをしてくる輩をスリと呼べるのかは分からないからだ。 まあとにかく財布だけは取り返さなくてはならない。 あれには1~2週間の食生活を保障するだけのお金が入っている。もし無くしたら……………とりあえず上条の頭が腹ペコシスターに噛み砕かれる事は間違いない。 そんな不幸な未来予想に身を震わせる上条が追っている暴力スリは全身を黒いコートで包んでいて、顔は勿論、外見が全く分からなかった。だが身長と声の高低から察するに、上条より二、三歳年下のようだ。 それにしても動きにくいであろう服装のくせにとんでもないスピードだ。長距離が得意なマラソン選手と言うよりは、こういう事(スリ)に慣れた、すばしっこい子ネズミの様な感じだった。 気を抜くとすぐに距離を離されそうだったが、上条も必死で食らいついている。 「しょうがねえじゃん!だってズボンの、しかも尻ポケットなんてスリやすい所に財布入れてるなんて思わなかったんだから!!日本人って不用心だよな~、でも銀行にはたっぷり貯め込んでんだから財布のカネ位いいっしょ?」 「ブ・ッ・ツ・ブ・ス、俺がどんな思いでやりくりしてると思ってんだテメェ!!」 上条が雄叫びと共にスピードを上げると、暴力スリは顔を引き攣らせ、同じくスピードを上げた……と言うより本能的に上げさせられた。 何と言うか、上条の表情に鬼気迫るものがある。「必死」そのものだ。 捕まったらどうなるか………………考えたくも無い。 ……同時刻・某国で新発見されたとある遺跡内にて…… 『と、言う訳なのよん♪』 「…………そうですか…………」 小宗教、天草式の女教皇である神裂火織。 片足が根元からバッサリ切られたジーンズを穿いている彼女は、遺跡入り口の大広間の様な場所に作った作戦拠点ポイントで必要悪の教会の拠点、イギリスはセントジョージ大聖堂にいる最大宗教、ローラ・スチュアートと連絡を取っていた。 『あれれ~?カ~ンザキ~、どうかしたのん?それはかとなく元気ない様な気がす』 「相変わらずとんでもなく変な日本語ですね、まるで貴女のマヌケスキルをそのまま形にしたような気がします。憐れみを覚えてしまいそうですよ」 『え、あの……カンザ』 「そんな貴女のマヌケスキルに振り回される彼は非常に迷惑でしょうね。彼にはただでさえあの子のお世話をして頂いているというのにあなたは厄介事ばかり押し付けるのですね」 『カン;』 「だいたい貴女はいつも何時も………………」 ……なぜだかひどく不機嫌な神裂に尻込みするローラ。 ちなみにこの状態で神裂を刺激するような事を言ってしまうと一気に「ブチギレモード」になってしまう事を知っている天草式のメンバーは「触らぬ神に祟り無し」の言葉如く、状況を静かに見守っている………………と思ったら大間違いだ。 (女教皇と五和が大ピンチなのよな!) (少年との距離を一気に縮めるチャンスだと言うのについてませんね~) (ほんとですよ、この機会に堕天使エロメイド&大精霊エロメイドで少年に迫る女教皇と五和が見れたかと思うとものすごーく残念です) ……なんだか神裂が聞いたら問答無用で叩きのめされそうなセリフをがんがん言っている天草式メンバー(おもに男)。 その顔は「せっかく面白そうな展開(もの)が見られたかもしれないのに!!」という無念でいっぱいだった。 (いろいろアプローチできるチャンスだったのにな~五和。どうするよ?あの少年が3人の内の誰かと……あ、いや、あの少年の事だから3人纏めてって事もぐぼはぁあ!!) (不安にさせる様な事言ってんじゃないわよ!!) (だ、だだだだだっだ、大丈夫ですよ!あああ、あ、あの人は、紳士で強くてヒーローで…………) (いや……安心はできねーのよ) (ど、どういう意味ですか?) 元・天草式教皇代理、建宮才二の意味深な言葉と表情に一段と反応する、恋する乙女、五和。 ……実はこういう時の建宮は、大抵の場合が面白がって話を煽っているのだが、テンパッているのか、五和はまったく気づいていない。 (そもそも俺達の思考レベルが低いって言ってるのよ。あの少年に「俺達の知っている奴らだけが」好意を抱いているなんて事は100%無いのよな!!) (ッツ!) 建宮の言葉に天草式のメンバーも、ああ!と、納得の表情を浮かべ、思考レベルを上昇させる。 (なるほど、確かにあの少年なら普通に1クラス位の女子は好意を抱いていそうですよね) (むしろ学校の女子全員?) (教師を忘れてるぞ!) (通っている学校だけじゃねえ!違う学校の……ほら!例えばどっかの破天荒お嬢様とか!!) (甘い!俺は学園都市の可愛い女子全員にかけるぜ!!) (フッ……これだからド素人は……問題は数だけじゃねーのよ。フラグの立て方なのよな) これだけでもかなりの精神的ダメージを負っている五和だが、ここで建宮がさらに追い打ちをかける。 (いいか?まずいくら好意を抱いている人間が山ほどいるって言ってもフラグの立て方が上手くなければ意味がないのよ。良い例えがアイドルなのよな。どんなに人気があってファンがいても、ファンはファン。よほど親しくならないとお互いは勿論、どちらかが完璧な好意を抱くなんて事はあり得ねーのよ) (え?じゃ、じゃあ……) (だがしか~~~~~~~し!!少年は強い印象を残し、ある程度間を開けるというやり方でこの常識を覆したのよ!!広く浅くと言うやり方は一見駄フラグに見える。だが植え付けた印象は根強く残るから何らかのきっかけで思考の輪廻に少年の事が組み込まれてしまえば後はずっと少年の事を考えるようになる!五和!お前がその良い証明なのよな!!) (!!??) (要は長距離恋愛の理論を取り入れる事によって多数の人間から同時に好意をもたれる様になる!根強く、幅広くと言う方法で夢のハーレムENDへの道を確立したのよ!!さらに通常の恋愛理論「長い時間」「1目惚れ」「血族」etc……などを計算に加えれば…………もはや少年のフラグ数は我らに想像できるものでは無いのよ!!!) ( ( ( ( (おォォおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!))))) 今日1番の盛り上がりを見せる天草式メンバー。 だが彼ら勿論、上条の周りに居る、彼を羨ましがる人々は何人が辿り着いているだろう。 上条がフラグ体質と言われ続けられている理由。その先にある答えに。 ……その一方…… 「ちょっと五和!しっかりしなさい!!いつわ~~~~~~!!!」 「ん?どうしたの…………んおわぁあ!!五和が壊れたのよ~~~!!」 「うふふ…………私って救われない……うふふ……」 「なんか日本の巫女霊がとり憑いてる気がする!!なぜだか分からないけど確信を持って言えるわ!!」 「しっかりするのよ!何故だか分からないけどこのままだと「忘れられた子」になってしまうような気がするのよ~~~!!」 4 「ち、ち、く……しょう……あの暴力スリ、今度会ったら……はぁ、はぁ………か、かみじょーさん必殺の一撃を……ぜぇ、ぜぇ…………」 結局あのスリに逃げられた上条は、自分の部屋がある学生寮に帰ってきていた。 エレベーターに貼られた『現在調整中です。階段をお使いください』という張り紙を恨めしそうに数秒見つめるが、使えない物は使えないので素直に階段で自室を目指す上条。だが朝は使用禁止になって無かった所から考えて、やはり不幸だった。 逃げられた原因は単純明快。 全力でスリを追い、距離もいくらか縮まってきたとき、スリは急に方向転換をして路地裏の道に入ろうとしたのだ。 これを今まで以上のスピードで追う上条、これまで何度も無能力者集団とやりあってきた上条には分かる。路地裏は彼らのホームグラウンド。縄張り。 逃げ込まれたらマズイ。そう思い、スピードを上げたのが間違いだった。 自らの経験をもっとよく思考すれば、こうなるかもしれない位の事は予想できたのに。 路地裏へと逃げたスリを追うため、上条も路地裏へと入ろうとしたその瞬間 ドゴン!!というすさまじい音が「自分の腹から」体全体に伝わってきた。ガハッツ!!と肺の酸素を強制的に吐き出させられ、上条はその場にうずくまる。 「奇襲」の2文字が頭をよぎる。対多数戦に有効なこの手は、上条がよくやる事でもあった。 喧嘩慣れしている上条は自分の実力を熟知していて、勝てるのは1対1まで。2対1なら危ういし、3対1なら迷わず逃げる…………のだが時々、逃げても逃げても追いかけてくる奴らがいたりする。 そんな時、手頃な脇道に入り、呼吸を整え準備をし、1番初めに入ってきた奴を殴り飛ばすのだ。逃げていると思っている&大人数と言う事で油断しきっているからこれがやたらと効く。さらに1人撃破する事で相手の指揮も乱れ、逃げ果せるチャンスも大きくなる。 …………まさかそのシュチュエーションを自分が受ける事になろうとは。 上条が蹲ったまま顔だけ上げると、案の定スリは逃げ果せた後だった。 「…………はぁ……これで少なくとも上条さんの1週間の食事は朝昼晩と食パン、そしてインデックスに頭を喰い千切られる事は決定ですはい……」 部屋で待つ超大食修道女の怒りをどうやって和らげようか考える上条が、自分の部屋がある階へと続く階段の途中の踊り場で立ち止まってから5分が経過しようとしていた…………その時だった。 「?」 踊り場から、ふと自分の部屋を見上げると、なにか違和感をおぼえる。階段を登り切り、近づいて違和感を確かめようと……した。 近くに行くまでも無かった。僅かだが確実に「ドアが開いている」 「んなッ!!」 上条は迷う事無く駆け寄り、ドアの具合を確かめる。 インデックスが部屋に居るならドアが開いているという事は無い。 部屋の合鍵も渡してあるから自由に外出が出来る……よって、鍵をかけ忘れたまま出かけるという事も無いはずだった。 考えられる可能性は………………かなり絞られてくる。 上条は、自身の不幸体質というのがあるから断言はできないが、ただの空き巣ではないと考えていた。 ただの空き巣が、学生寮、それも平凡な高校の平凡な高校生の部屋に狙いを定めるわけがない。それにこんな上の階じゃ無く、逃げやすさを考慮した下の階を狙うだろう。 …………魔術関連が1番高い、と上条は思う。 禁書目録―10万3000冊の魔道書を管理するインデックス。 ローマ政教の30億人に命を狙われている上条。 そっちの方がよっぽど納得がいく。実際には納得いってほしくないのだが、それ以外に思いつかない。 よって、誰かが無理やりこじ開けたのではと思ったのだが、その様な後は全く無い。空いている事を除けば、極々自然な状態だった だが油断は出来ない。上条の経験上、魔術師ってのは何でもありのとんでも集団だ。 聖人だったらその腕力だけでドアをへし曲げる事が出来るだろう。スパイ業を兼ねている者なら合鍵ぐらい持ってそうだし、タバコ好きの者なら人払いかなんかで人目に付くこと無く行動していそうだ。 だからいとも簡単に、かつ自然に、部屋へ侵入する事が出来る魔術だってあるかもしれなかった。 (インデックスは今どこだ!?携帯……ってどうせまた充電切れてんだろうな…………) このドアの先、自室には上条もしくはインデックスを狙う奴らがいるかもしれない。 ここでインデックスを呼ぶわけにはいかない、だが中で人質にされている場合だってあるかもしれない。 上条はドアを近距離で穴があくほど睨みつける。 その手はドアノブまであと数センチの所で止まっていた。 (……くそっ!どうする…………) 入るべきか、入らざるべきか (……どうする…………!!) と、ここで上条の意識は一度途切れかける。 ドアがいきなり内側から思いっきり開いてきたからだ。 超視近距離でドアノブとにらめっこしていた上条は、問答無用で手すりがある方の壁にぶっとばされる。 「そげふ!!??」 「………………なんだ、少年でしたか……んなとこでなにやってんです?」 顔を押さえてのた打ち回る上条の耳に、聞き覚えのある、少し生意気な女の子の声が聞こえてきて、上条はガバッ!と顔を上げる。 「な……!!」 「ちょうどよかったです、色々話したい事がありますんで早く入ってください」 いやそこ俺の部屋だし、そもそも俺に対する謝罪の言葉は無しですかそうですか、んでもってインデックスはどこ行った、つーか人の家に勝手に上がり込んでんじゃねえ。 と、言いたい事は色々あったが、とりあえず上条の口から出たのはその声の主の名前だった。 「アニェーゼ!!なんでお前がここに!!?」 5 上条の絶叫から15秒後…… 「つーわけであたし達3人をここに泊」 「まてまてまてまてちょっと待て!!話は分かったけどどうしてそういう展開になるんだっつーの!!」 「……話を聞いてましたか?それとも内容が理解できてねぇんですか?」 「いや分かったって言ったじゃん!たった今!!人の話聞いてねぇのはテメエらだろうが!!」 上条はテーブル向かいに座っている、アニェーゼ、ルチア、アンジェレネの3人に向かって、必死に説明を求めていた。 いや、正確には「アニェーゼ達がなぜここにいるのか」の説明では無くなぜ「上条の家に泊めてくれ」などと言ってくるのかなのだが、彼女達は全くくみ取ってくれない。 上条の絶叫から15分前・上条の自室 「1人暮らしの男の部屋としては結構片付いて……1人じゃねぇでした、同棲してんですよね。まああの禁書目録が進んで家事や手伝いをするとは思えねぇですが」 アニェーゼはまるで自分の家の様にベットの上でくつろぎ………… 「…………正直、修道女としてその事実は了承しかねますね。まったく……成り行きでこうなってしまったと聞きますが、あなたならこの調子で何名もの女性とパイプを持っていそうです……それと鍵はもっと解除が難しく、窓ガラスは防弾ガラスの物にしなさい、不用心ですよ?」 ルチアは礼儀こそ正しいが自分たちの行いなどまるで気にも留めていないかの様子で無神経にペラペラと話し………… 「す、すみません……ちょっと事情があって(モグモグ)……し、仕方なくなんですよ?勿論仕事であって(パクパク)……決して嫌がらせでは……(パクモグ)」 アンジェレネはインデックス様に買っておいたケーキ菓子を上条の了承も無く勝手にパクパク食べている………… 「……………………ちょ」 「「「?」」」 「ちょっと待てテメエら~~~~~~~~~~~!!!!!!!!!!!!!!」 と、ここで上条の今までためていた何かが一気に爆発した。それは怒りと言うより激しい混乱によるもので…… 「まず人の家に勝手に上がり込んでんじゃねえよ、なんでお前らがここに居る!?んでもってなに和んでんだ!ここは上条さんのお家ですよお分かりですか!?つーか本来ここに居る筈のインデックスはどこ行った!!?そしてあなたは自分の事を棚に上げて人を注意をするんじゃありません!最後にケーキをパクパク食ってるきみ!!君がそのケーキをパクパク食べると後に私が腹ペコ野獣と化したインデックスに頭をガブリと食べられてしまうのですが!!??」 勢い良く立ち上がり、息継ぎなしで怒涛のツッコミ連打をした上条は、ここでようやく息を整えアニェーゼ達をキッ!と睨む。 「了承なら最大宗教の許可を」 「俺の許可を取れよ!何度も言いますけどここは上条さんの部屋です!!」 「……じゃあ許可をください」 一瞬ドついてやろうかとも思った上条だったが、まずは状況を把握し、混乱を治めたい。 「…………まず何がどうなってるのか説明してくれよ…………」 溜息をつきながら再び床に座る。 「ん~……そうですね、色々説明しなきゃいけない事があんですよね…………取り合えず何かを言うなら禁書目録は無事ですから安心すると良いです」 「むしろ今頃大満足してるかもしれません…………まったく、禁書目録もそうですがあの喫煙神父も許しがたい。煙草もそうですが、あの人は禁書目録に甘すぎです」 「赤髪さん、今日の為に貯金を目一杯降ろして様々な料理店を貸し切りにしてましたもんね…………う、羨ましいです…………」 赤髪・タバコ、この2つに禁書目録が合わさるだけでインデックスがどこの誰といるかは明白だった。 「ステイルも来てるのか?だったら何でお前らと一緒じゃないんだ?」 「そりゃあとうぜんです、だって…………」 禁書目録は今、学園都市に居ませんから。 行間1 同時刻・学園都市の外・某有名料理店 「これと、これと………ああもうここにある料理全部食べてみたいかも!!」 「…………好きにすると良いさ……」 東京で超有名な和風料理店の最高級ランクの部屋。 そこには同じく最高級ランクの、少なくとも今の上条には絶対に手が出ないほど馬鹿高い料理をガンガン注文するインデックスと、それを見て溜息をつきつつも、内心かなり和んでいるステイル・マグヌスが居た。 純和風の部屋に英国の修道女と神父がいるというのはいささか奇妙な光景だったが、店の従業員は外国からの客に慣れているのか、そこまで気にしていないようだ。 ……そう「その事に関しては」気にしてない……だが 「お、お客様。お会計の方は大丈夫ですか?」 「最初にカードを渡しただろ?そこから会計の分だけ引き落としてくれ」 「は………はい」 「(ガツガツむしゃむしゃ)あ!あとこれとこれも~!!」 従業員は呆れたような困ったような顔で注文票に料理名を書くと、厨房へと走っていった。 驚いているのはその注文の量だ。 一見一人では食べきれないだろうと思われる膨大な数の高級料理が、次々とインデックスの胃袋へと吸い込まれてゆく。しかもステイルは料理に一切手を付けていない。 「…………随分と食い付きが悪いね」 この場にインデックスと関わりを持たない誰かがいれば迷わずツッコミをいれただろうが、実際に全力時のインデックスと比べれば若干スピードに勢いが無い。 「そ、そんなこと…………」 「…………さっきも言ったけど、その術式が発動する可能性がある以上、君を学園都市に置いておくわけにはいかない。」 「う、うん……分かってるけど…………でも……」 箸を止め、若干不安そうな表情をするインデックスに、ステイルはこんな言葉を掛けた。 「……あいつには護衛が付いている。任務が優先とはいえ、ある程度安全のはずさ。それにあいつなら巻き込もうが巻き込まれまいが、勘づきさえすれば自分から飛び込んでくると思うけど?」 「!!?」 バッ!と、こちらを見たインデックスに、ステイルはこの発言が失敗だったとすぐに気付いた。 …………が、もう遅い。 「そ、そうなんだよ!当麻ったらいつも何時も!!あいさ曰く当麻はフラグ体質~って言って次々と女の子と厄介事を引き寄せる体質らしいけど、ただでさえ色んな事に巻き込まれやすいって言うのに自分から関わっていくんだもん!私の知らない所でも色々あったみたいだし!!それと当麻は私がご飯をたくさん食べるから食費が大変だ~!って言ってるけど正直当麻の入院費もバカにならないかも!!あとあと………………」 「…………ハァ…………」 この後ステイルは、インデックスの気が済むまで上条への愚痴(ステイル曰く、そうは聞こえない)を聞かされ、上条に理不尽な殺意を抱くことになるのだが、肝心の上条はそれを知らない。 7 「ちょっ、ちょっと待てよ!学園都市にいないって…………」 「言った通りの意味です。禁書目録は今、学園都市にいねぇんです。危険だから置いとけねえって事ですよ」 「な……………………」 言葉を失った。 理由は嫌というほど分かっていた。 インデックスは魔術側の人間。イギリス清教、必要悪の教会のシスターで、完全記憶能力を生かし「禁書目録」10万3千冊の魔道書を脳内に保管している「魔道書図書館」だ。 この魔術と対する科学の街。学園都市に置いておくという事自体が危険だと判断されても不思議では無かった。 今まで上条とインデックスが共に暮らしてこれた事の方が奇跡なのだ………………だけど 「……………………………………………………………………………………でだよ……」 「は?」 「なんで今になってあいつを連れ戻そうって話になったんだよ!!?」 上条は叫ぶ。奇跡という幻想が消えていくのをただ黙って見ている訳にはいかない。 「……俺は魔術の世界や魔術は勿論、肝心のインデックスの事だって殆ど知らない無知野郎だけど………困った事や苦労した事だってあったし、危険な事に巻き込まれる事なんてもう数えんのもバカバカしい位だ…………だけど…………だけど俺達は今まで一緒に居たんだ!!インデックスに確認取らないでこんな事言うのもなんだけど…………最悪、俺の幻想かもしれねぇけど…………俺「達」の意思で一緒に居たんだよ!!!」 そうだ。現に今までインデックスは上条と一緒にいた。 それ自体が危険である事を知りつつも、この学園都市で、上条の部屋で、時を過ごしてきた。 それは、笑顔を絶やさない彼女が上条に見せてくれた信頼。 だったらそれを、自分が裏切るのは勿論、他の誰かにも断ち切らせるわけにはいかない!! 上条は知らず知らずのうちにテーブルの向こうの3人に思いっきり顔を近づけていた。 「だから……!!」 「ちょっ、お、落ち着いてくださいっ!!禁書目録を学園都市の外に連れ出すのは事件を解決するまでです!!」 ……………………………………………………………………………………………え? 「え?……あ…………は?」 「……シスター・アンジェレネの言うとおり。私達は禁書目録を回収、もしくは連れ戻しにきた。とは1言も言っていませんよ?」 「まったく、早とちりもいいとこです。……………それと、ちょっと身を乗り出し過ぎでねぇですか?」 「………………………あ、すみません………」 ……………………………………え~……と、と言う事は…… ゼンブカミジョウサンノカンチガイ? (うぎゃァアアア~~~~~!!!!!ハズッ!恥ず!!いま俺すっげぇ恥ずかしいんですけど!!?) 上条は頭を抱え、床をゴロゴロと転がる。途中ベッドの角に足の小指をぶつけ、悶絶しながら転がるという荒業を披露した。 「ふ、不幸だ~~~~~~~!!!」 「……今回はどう見てもあなたの失態の様な気が……………」 「やめて!心と体に瀕死の重傷を負った上条さんを追撃して止めを刺すような真似はしないで~~~~!!」 「はぁ……………………?…シスター・アニェーゼ。先程から俯いたままですがどうかしましたか?少しばかり顔が赤い様な気もしますが」 「い、いえ!何でもねぇです!!……んなことより、さっさと話を戻して、さっさとこのめんどくせぇ説明を終わらせちまいましょう」 アニェーゼはわざとらしく体制と口調を正すと、今度こそ、といった感じで口を開く。 「先週……つっても何時かは分からねぇんですが、学園都市を標的としてとある魔術が発動。今までにない強力な術式で、これを新たなる原典と断定。イギリス聖教はこの魔術を「魔力暴走」(マナ・ドライブ)と名付けました」 「マナ…………ドライブ?」 「…………詳しく説明するとなると色々な専門用語から知って頂かなくてはなりませんが構いませんか?」 ルチアの申し出に、上条は首をぶんぶん振った。 上条は以前、インデックスに魔術関連の質問をした事がある。その結果、彼女の説明のつぼに入ってしまったのか、半分以上訳の分からない、理解出来ない話を、えいえんと2時間以上語られてしまった事があった。 そして上条の不幸センサーは語っている。 このルチアと言う修道女はあの時のインデックスと同じ匂いがする、と。実際、ルチアの表情はどこか不満そうに見えた。 上条と同じくルチアに説明させるのが嫌なのか、アンジェレネが慌てて口を開く。 「え、え~~っとですね。簡単に説明すると、魔術師が魔術を使うために生み出した魔力にその魔力を生み出した持ち主本人を自動攻撃させるっていうものなんです」 「………………え~っと、つまり……あれか?例えばステイルの出した「魔女狩りの王」がステイルを攻撃しちまうって事か?」 「……まあ、遠からず…………近からず…………」 「実際にはその魔術になる前の段階である「魔力」が暴走すんですよ。今の話に合わせると「魔女狩りの王」になる前に内側から大爆発って感じですかね」 「ふうん…………でもさ、何でインデックスを外に連れ出したりしたんだ?その……「魔力暴走」を仕掛けた奴の目的がインデックスなのか?」 「分かりませんが最悪の場合、死ぬかもしんねぇからですよ」 死というワードに、上条は思わず身を固くする。 話を聞いただけでは、魔術を使わなければ危険はなさそうな魔術に思えたのだが、どうもいろいろ違うらしい。 「忘れてねぇですか?禁書目録の頭ん中には10万3千冊の魔道書があんですよ?どっかでうっかりこの魔道書の1つでも暴走すれば次から次へと連鎖を重ね…………管理してる禁書目録は勿論、周りの被害だって結構なものになる可能性があるんです」 「………………そ、そうか………………でもその「魔力暴走」ってのが発動してんならお前らだって魔術は使えないんじゃ…………」 と、いうかそんなものが発動しているなら魔術師全般が使い物にならなくなるはずなのだが、アニェーゼ達は何事もない様に平然としている。 「その心配はいりません。この魔術には決定的な欠陥があんですよ」 「欠陥?」 敵の弱点を語っているのに、アニェーゼ達の表情は浮かない。困っているようにも見える。 「この魔術の構造を簡単に説明すると、まず魔力Aを魔術発動の為の魔力及び保護対象に指定、それ以外の……保護対象に入れていない魔力B~Zの構造を崩し、暴走させるというものです」 「つ、つまり、この魔術を発動させている人達と同じ魔力を使っている人なら、その影響を受けずに済むんです…………」 「これで分かったんじゃねぇですか?どうしてあたし達3人が来てるのか」 「…………その術式を発動してるのがローマ政教の奴だからか?」 彼女達は元・ローマ政教のシスター達だ。魔力は勿論、術式もローマ仕込みの物ばかりだろう。だから送り込まれてきた。 「そういう事です。あたし達の今回の目的はこの術式の破壊」 アニェーゼは言いながら目をそらし 「並びに相手の目的、狙いを探って…………」 ルチアは溜息をつき 「必要ならばそれを阻止する事」 アンジェレネは前にもましてワタワタと挙動不審に慌て始めた。 「へ、へえ~………………;」 そして上条はこの時点から何か嫌な予感がしていた。 「「「…………なんですが…………」」」 ギクッッ!!!と、全身を嫌な感覚が走る。 様々な不幸を体験してきた上条には分かる。これは単に「事件を解決するのを手伝え」と言われるだけじゃ無い。寧ろそれに関しては上条自身も自分から手伝うつもりだった。 これはもっと別の不幸やハプニングの匂いだ。上条にとって理不尽かつ決定的な物が降りかかってくる前兆だ。 「そ、その………………つまりですね………………」 「……学園都市ってのと、敵の持ってるであろう原点とまだ分からない目的などの理由で訳なしじゃ色々行動が出来ないんですよ」 「ま…………そんな訳で………………」 続いたアニェーゼの言葉を聞き、上条は例の絶叫をあげたのだ。 「私達3人を1週間ほどここに泊めやがれってんです」 回想完了
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【種別】 人名 【元ネタ】 聖女ルチア[Lucia]。 Wikipedia - シラクサのルチア 【初出】 七巻 【CV】 伊瀬茉莉也 【解説】 ローマ正教のシスター。 アニェーゼ部隊の1人で、背が高く猫目。 修道服はスカート部分が短くガーターベルトに黒ストッキング。 目立つ服装なので、来日した際、通行人に 「なんかイベントっスか?」と声をかけられていた(漫画10巻オマケ4コマ)。 かなりの潔癖症と言うか度を越した十字教至上主義者で、 異教徒の上条に肩を掴まれただけで激昂しぶち殺そうとした。 現在では当麻に協力してもらった事なども含めて、ある程度は丸くなっていると思われる。 アドリア海の女王の一件では、アンジェレネにスカートをめくられ、盛大に下着を披露した。 特に飾り気が無く野暮ったいデザインの白であるあたりに彼女の潔癖且つ几帳面な性格が現れている。 アニェーゼ部隊の中では背が高い為に、スカートめくりの被害に頻繁にあっているらしい。 彼女たちの中での立ち位置としては基本的にツッコミ役。 時に暴走しがちなアニェーゼを諫め、未だお子様のアンジェレネのマナーを正すためにその手腕を振るう。 アンジェレネとはほぼ姉妹のような関係になっており、 彼女の生活、一般常識全般まで彼女が常に目を光らせて、一人前のレディとなるべく監督しているようである。 戦闘時には丸テーブルより大きな車輪を背に預け行動する。 使用する魔術は聖カテリナの『車輪伝説』をモチーフにした物で、 木製の車輪を爆発させ散弾銃のように数百という鋭い破片を飛ばすという物である。 また破片はルチアの号令一つで元の車輪に再生させる事が可能。 再登場時には護送用の馬車の車輪を代用品にしようとしていたので、 特定の車輪以外でも魔術の行使は可能であるようだ。 性格は禁欲的で、食欲に忠実なアンジェレネとは対照的。 十八巻にて女性的エロさは足りないものの、アニェーゼ部隊の中では巨乳であることが判明した。
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【種別】 人名 【元ネタ】 同名の実在した伝説級魔術師から。 Wikipedia-アレイスター・クロウリー 本作の「アレイスター=クロウリー」は、この実在した魔術師本人だという設定になっている。 【初出】 「学園都市統括理事長・アレイスター」としては二巻 「アレイスター=クロウリー」のフルネームは六巻 【CV】 関俊彦(男性体) 水橋かおり(少女体) 川澄綾子(コロンゾン体) 【概要】 【正体】 【過去】 【能力・スキル】 【作中での行動】 【口調】 【余談】 【関連】 【概要】 学園都市の創設者にして最高権力者、初代学園都市統括理事長。 同時に世界最高の科学者としての顔も持つ、名実共に科学サイドのトップに立つ人物である。 容貌は長い銀髪に緑眼の『人間』。 相対した者からは「男にも女にも、子供にも老人にも、聖人にも囚人にも見える」と評されており、 こうとしか表現出来ない、「中性的」という言葉を超越した見た目をしている。 窓のないビルと呼ばれる施設に居を構え、 内部に設置されたビーカー型の生命維持装置にて外界を伺い、基本的には表に出ない。 ビーカーには弱アルカリ性培養液が満たされ、その中に逆さまになって浮かんでいる。 この「生命維持装置」により、人間が行う活動の殆どを機械に任せている。 具体的には、目を動かすという僅かな動作ですら特別なアクションとして認識されてしまうほど。 本人曰く「機械にできることを、わざわざ人間が行う必要はない」とのこと。 一見不健康そうに見えるが、その推定寿命は1700年程。 肉体の仮死化と完全な機械の補助により、世界で最も健康的な体を維持しているらしい。 科学サイドのトップであるが、魔術サイドの存在も認知している。 イギリス清教とは協力関係にあり、最大主教であるローラとは度々連絡や取引を行っている。 学園都市、一方通行、幻想殺しなどを利用し、 虚数学区やエイワスを制御するための『計画(プラン)』の遂行に向け行動していた。 アレイスターという名はかつて世界最高を謳われた魔術師と同名だが、その大魔術師とは科学的・魔術的に特徴が一致しない為、 関わりを持つ人間のほとんどには「同姓同名の別人、もしくは偽名」と思われていた。 一度、土御門には察知・指摘されているが、それに対しては肯否も返さなかった。 【正体】 その正体は、かつて世界最高を謳われた大魔術師アレイスター=クロウリー、 本名エドワード=アレクサンダーその人。 そしてこの作品の事実上の裏主人公。 新約にて後述の詳しいパーソナリティが描かれた。 魔法名の1つとして『Beast666』を名乗り、 『法の書』を書き記したのも史実通り彼自身。 持論として、「法の書の完成と共に十字教の時代は終わった」と謳う。 活躍したのは70年以上も前の20世紀初頭だが、 その間で数千年を超える魔術の歴史は塗り替えられてしまったと言っても過言ではないらしい。 19世紀において台頭し、近代西洋魔術の雛形となった黄金夜明内部における中心人物の一人だった事も言及されている。 一言で言えば最悪の人間であったと記録されている。 ある魔術実験では守護天使エイワスと接触する器として共に世界旅行に出かけていた妻の体を使っていたり、 娘のリリスが死んだ時も顔色一つ変えずにmagickの理論構築を行っていたと言われている。 その上実験では娘と同い年ぐらいの少女達を犠牲にしていたようである。 しかし、それらの功績として天界や魔界などの層の異なる重なった世界の新定義を見出し、 それまでの魔術様式を一新した。 また、現在の魔術の共通規格とされる近代西洋魔術も、 『黄金』が雛形とされるものの、最終的にはアレイスターの手で編纂されて世界にリリースされた。 現在の魔術師の二割はアレイスターの亜流、何らかの影響を受けている者は五割にも上ると言われている。 だが、そんな魔術師の頂点に立っていた魔術師が魔術を捨てて科学に走ったため、 「世界で最も魔術を侮辱した魔術師」として世界中の魔術師を敵に回す羽目になった。 魔術師討伐組織に追われ、最終的には追っ手に致命傷を負わされる。 1947年12月1日、イギリスの片田舎で死亡したと公式には記録されているが、 実際は死の直前にカエル顔の医者に出会い、命を救われていた。 そして第二次世界大戦後のどさくさに紛れて日本に渡り、学園都市を設立した。 その際カエル顔の医者も都市の仕組みを作る手助けをしており、生命維持装置も彼によって提供された物。 因みに日本を再起の地としたのは、戦後で介入しやすかったこと、労働を苦としない国民の性質、 そして初めて鎌倉の大仏を見た時の衝撃が決め手だったらしい。 (学園都市の立地が神奈川に近い一因と思われる。 なお、史実の現実世界でもアレイスターは鎌倉の大仏を訪れている) イギリス清教は公式の死亡後にもこれまでに蓄積した『アレイスター=クロウリー』の情報を元に追跡を続けているのだが、 その情報は彼自身が意図的に掴ませている誤情報。 さらに前述の生命維持装置に生命活動を任せることで、魔力生成に必要な生命力を機械的に生み出し、あらゆる探査をかい潜ってきた。 そのため現在の彼は怪しいとは思われつつも、別人だと認識されていた。 しかし、ローラは以前から彼が死亡したと考えてはおらず、 フィアンマとの激突によってサーチ術式が反応した際には、「やはり生き延びていたか」と漏らしている。 因みに作品全体を通してキーワードとなっている「科学と魔術」だが、 実際にはアレイスターの『原型制御』によって、そこにあるものを分かりやすく切り分けて再配布されたものに過ぎない。 これは実際には無限の色の移り変わりで出来ている虹を、強引に「七色」として自分を納得させているようなものである。 つまるところ、科学と魔術には厳密な境など存在せず、アレイスターがその二者を区切って、世界が勝手にその区切りに乗せられたという表現が正しい。 科学と魔術が地続きである証としては対魔術式駆動鎧が存在するが、 実際にこれを分析した琉華からも「世界は統一した理論で説明できてしまう」と言われている。 これ以前にもレイヴィニアによって、魔術と科学が厳密に分かれていなかった時代がかつてあったことが語られている。 「成功も失敗も問わず、成功すればそれで良し、失敗さえも糧にして前へ進む」人物であり、 彼の『法(テレマ)』に基づく『計画(プラン)』もそのような思想の元に進められている。 成功、失敗、勝利、敗北、獲得、喪失、栄光、挫折、いかなる結果を得てもアレイスターの作る流れに何ら変化は起こり得ない。 たとえ1から6まで賽の目に何が出たとしても、結果として一つの向きに流れを整えられれば、アレイスターにとっての目的は達成されるのである。 合理の極致を歩む最適解の権化のような人間でありながらも、その実かなりの激情家の顔も持つ。 「聖人」や「魔神」のように一見完璧な存在に思えるが、 「成功しようが失敗しようが前に進む」ことが原因で、 デメリットやダメージを一切考慮せずにその場の思い付きで行動を起こすことがあり、意外とボロや黒星が多い。 上条には「危うい」と評されている。 【過去】 新約十八巻で、彼が『プラン』を目指すようになった経緯が明らかにされた。 少年時代、両親も含めた十字教の信者達が「正しさ」を押し付ける様を見て十字教を嫌悪するようになり、 神の支配する不完全な世界を、自らの手によって完全なものにするという夢を持った。 その後、夢を成就させるために魔術を学び、成人後は『黄金』に入ってメイザースらと交流を持った。 ちなみにこの頃、自作の官能小説を場末の出版社に持ち込む、皆の集まる儀式場で自分の精子を持ち込み実験を始める、 仲間の魔術師にセクハラじみた詩を語る…などといった、 下ネタ特化の暴挙と御乱心のバーゲンセールをしまくっていた。 なお、これらの行動の数々はそのほとんどが実在のアレイスター=クロウリーの行動に基づいたものである。 一方、中性的な美貌によりその破綻した性格をもってしても努力せずともモテたそうで、 その反動で普通の恋愛には興味を抱けない「良い御身分」だったという。 ある時、師と慕うアラン=ベネットから、『黄金』の魔術が「位相」の衝突を生み、 それによって発生した『火花』が世界に「不幸の運命」をもたらし続けていること、 そして、その運命が「将来的に生まれるアレイスターの最愛の娘」にも牙を剥く事を知らされる。 アレイスターは人が世界に跪く仕組みを、つまり世界に蔓延る「運命」を憎悪するようになり、 その原因である『魔術』の絶滅を、そして「呪い」を背負う覚悟をアランの前で誓う。 そして、 「この世界にある全ての位相を絶滅させ、位相に振り回されて不幸になる人を二度と出さない世界にして見せる」 という信念を持って生きるようになった。 つまり、彼が計画している『プラン』の目的とは、 端的に言えば世界に存在する『運命』とか『どうしようもない現実』等の世界の理不尽さを弾劾し、 世界から『理不尽な悲劇』を一掃して『誰もが当たり前に泣いて当たり前に笑える世界』にすることである。 「私はな、これから生まれる命がすでに偶発の死に堰き止められてしまっている事、 それ自体でここまで憤っているのではないんだ」 「これほどの悲劇が埋もれてしまう事。 そんなにも世界の日向の部分に悲劇が溢れ返ってしまっている事。 皆が素直に憤って立ち上がれば良いものを、仕方がないよで諦めてしまう事! それが哀しいと言っているのだ!!」 やがて彼は『黄金』を破滅に導くために反旗を翻した。 師ではあるが『黄金』の魔術師であるアランを殺害した後、「ブライスロードの戦い」を仕組んで『黄金』を空中分解に追い込み、 当時の黄金に纏わる全てを「呪詛」(何をやっても必ず失敗してしまう呪い)の力で破滅させた。 最終的にその「呪い」はアレイスター自身にも牙を剥き、 現代まで続く後の人生は「失敗」が付き纏ったという。 やがてローズ(未編集)という女性と恋に落ち、アランの占術通りリリスという娘を授かった。 このリリスのフルネームはNuit Ma Ahathoor Hecate Sappho Jezebel Lilith Crowleyという長ったらしいものだが、これは彼女が幸福であれるようアレイスターが考えてつけた名前だった。 その後、リリスを死の運命から救う魔術の研究のため、K2登山に挑戦したものの間に合わず、 アランの言葉通り、リリスは『火花』のもたらす「運命」によって幼くして病死してしまう。 最愛の娘の死に際に駆けつける事すら出来ず、 ただ全てが終わった後に簡素な手紙の形で結果だけを押し付けられることになった。 つまるところ、『人間』アレイスター=クロウリーの原動力はこの時代に隠されていたのである。 以降、彼の人生は転落が続くこととなった。 異常な言動を撒き散らし、世界最高でありながら最低最悪の魔術師とも呼ばれ、 時にマスコミの非難に晒される苛烈な人生を送った。 そしてその人生の最後、劇毒たる呪いを飲み干してなお、リリスを死に追いやった「ありふれた病名」だけは覆らなかった。 オティヌスによれば「宗教に依らない科学の世界(純粋なる物理法則の世界)を直接いじくる」ことを目的としているらしい。 その後、ブライスロードの戦いで失った追儺霊装『幻想殺し』を再び見つけて活躍させるために学園都市を構築した。 【能力・スキル】 世界最高の科学者と評され、超能力の概念を生み出して科学サイドと魔術サイドを切り分けた張本人。 科学技術という概念の中に含まれるもの全てを頭脳に収めており、最先端科学を自分の手札として自在に行使する。 また世界最高の魔術師とも評されるだけあり、その実力は次元が違う。 その腕前は本物の魔神から、「魔術の道を正しく進んでいれば魔神になっていた」と認められる程。 ただ当人は『人間』に拘っているため『魔神』になる気は全くなく、 それどころか敢えて魔神にならないように自分を制御しているらしい。 それでも魔術を極めた結果高次存在と化しており、存在そのものが曖昧。 シークレットチーフの『窓口』とされるアンナ=シュプレンゲルと同じように、 彼もまたエイワスの一学説「シークレットチーフの真なる者」への『窓口』として機能している。 その存在は0と1だけで表現する事が出来ない。 10億8309万2867通りの可能性 アレイスターは普段生命維持装置の中で暮らしているが、その場にいるアレイスターは一人だけではない。 その魂には、10億8309万2867通りもの「分岐先」、言い換えると 仮にアレイスターが現実と違う選択肢を取っていたらこうなっていた、という「ifのアレイスター=クロウリー」を秘めている。 本人曰く「私の魂は極彩に輝いていた」。 かつてこの「分岐先」を自らの分身として作る実験を思い付きで実行し、その産物として「分岐先」を顕現させることに成功した。 しかし世界に複数のアレイスターが存在したところで、ただいがみ合うだけで協力体制すら取れないと判明し、結果的に実験は失敗。 全てのアレイスターを重ねて一つの座標に留めることを余儀なくされた。 ファックスのように瞬間的にその存在を分化させることで、疑似的な瞬間移動をすることも出来る。 同じ原理で、学園都市に設置されたビーカーに居ながらにして、別の場所に並列して同時に存在することすら可能。 魔術の無効化 前述の通り現在世界に広まっている近代西洋魔術の理論は、アレイスターが都合よく広めた、 いわば「アレイスター流魔術解釈」である。 つまりアレイスターはその裏口や脆弱性を知り抜いているため、 近代西洋魔術の要素が含まれた術式に対して干渉や無力化、ひいては乗っ取ることすらできる。 (インデックスの『強制詠唱』と原理は似ている。) 逆に言えば近代西洋魔術成立以前の術式は通用するのだが、 そうした術式を持ち出しても、現代の魔術師ではどうあがいても近代西洋魔術の視点から術式を解釈してしまう。 つまるところ、人間の魔術でアレイスターを傷つけることは事実上不可能。 彼に魔術攻撃が可能なのは、 1.魔術師の意思が介在しない「近代以前の」無人自立霊装 2.アレイスター以前の、独自の魔術理論を保つ魔術師 3.魔神や天使などと言った、そもそも人の魔術に縛られない存在 の三通り。 とは言えこの条件を満たし、アレイスターを負傷させた(させうる)存在はほんのひと握りしかいない。 以下項目のある能力・術式については各リンクを参照。 衝撃の杖(ブラスティングロッド) 霊的蹴たぐり 飛沫 magick アブラ・クアタブラ 業(カルマ)の術式 呪詛の魔術剣 原型制御(アーキタイプコントローラ) 【作中での行動】 学園都市の設立後、一方通行、幻想殺しなどを利用し、 学園都市に秘められた虚数学区を制御するための『プラン』を進める。 断片的な情報によれば、エイワスを利用することや、『神浄』と関わる何かを目指しているらしい。 しかし、予想外の事態が多く重なり、元来の計画から逸れてきており、エイワスには「焦っている」と評される。 第三次世界大戦においては、計画の要となる上条当麻が自身の監視下から外れたことに対し憤り、 幻想殺しに内包される何かを垣間見たフィアンマを抹消し、計画を逆算される可能性を潰すために自ら出陣。 満身創痍とはいえ第三の腕を振るうフィアンマを簡単に下した。 だがフィアンマと彼が引き起こした第三次世界大戦により、この時点で『プラン』に許容できない誤差が発生。 修正方法が現状分からず、下手に行動を起こすと『プラン』に影響するためうかつに動けない模様。 北極海に沈んだ上条の回収を行わなかったり、学園都市に帰還した上条の確保に動かなかったのはこれが原因。 学園都市に接近するラジオゾンデ要塞への対応が遅かったのもこのためである。 その後、魔神オティヌス率いる『グレムリン』の数々の行動を問題視しつつも、 彼は『隠世』に潜む真のグレムリンである魔神たちに接触する方法の模索を優先。 存在しない数で埋め尽くされた座標を強引に10進法に変換することで隠世に侵入。 これを破壊し、彼らを現実世界に引きずり出す事に成功した。 この際、魔神の一柱『僧正』の挑発に乗る形で魔神達に無謀な攻撃を仕掛け、 結果として体の3分の1を焼き焦がされ、活動休止を余儀なくされた。 これに対し、木原脳幹には、 「一見理性的なくせに、実際には感情で片付けてしまおうとするのが君の悪い癖」と失笑された。 しかし実際には、魔神に共通するパラメータを体当たりで入手するために必要な敗北だった。 更に、先行して現実世界に現れていた魔神で、万全の状態だったはずの『ゾンビ』を木原脳幹が撃破。 ゾンビに適用された『鏡合わせの分割』を解析・改竄した上で、 ゾンビに成りすまして残る魔神らへ改変した術式を埋め込み、可殺状態に追い込むことに成功する。 そして、木原脳幹によって磔にされたゾンビの亡骸を彼らに投げ寄越し、魔神達へ宣戦布告した。 新約一巻ではレイヴィニア=バードウェイに「お前の焦りは透けて見える」などと煽られている上、 新約十巻では魔神に自分の娘の話をされて激昂した勢いで(元からそのつもりだったとは言え)交戦したりするなど、徐々に人間味を見せ始めた。 ローラの思惑によって木原脳幹が打ち破られ、コールドスリープを余儀なくされた際には、 彼は初めて自らの『プラン』を呪い、僧正と相対した時などとは比較にならないほどの感情を露わにし、1人号哭を上げていた。 その後、対魔術式駆動鎧に吹き飛ばされた木原唯一の前に姿を現し、 「自分を殺したいのなら構わない」と言いつつ、「その前に自らの仕事を果たせ。そうでないと お前を動かすために散っていった『彼』があまりにも無残だろう」と、 感情のない瞳で、それでも激情を裏にひた隠しにしながら唯一に告げ、 対魔術式駆動鎧に接触した美琴を新たな脅威と認定し、上里翔流と同様に排除する事を決定した。 新約十八巻では、自らの本拠地である窓のないビルに上条を呼び寄せ、 ミナ=メイザースを案内人として自らの過去を見せた後に最上層で対面。 エイワスを召喚するなどして上条を圧倒するも、 『プラン』に向ける信念を「天国という位相にいて幸せに笑っているかもしれないリリスを否定する行為」と上条に断じられ、幻想殺しを叩き込まれた。 世界の改変を願った男は、いつしか娘の魂と尊厳を守る側に立てなくなっていた。 かくして、どこにでもいる平凡な高校生の右手をもって『学園都市統括理事長』アレイスター=クロウリーの物語は幕を下ろすこととなった。 が、『魔術師』アレイスター=クロウリーの物語に関してはこの限りではない。 上条の握り拳に吹き飛ばされて床に伸びていたアレイスターは、 直後に窓のないビルに現れたローラ=スチュアートの発言で、 彼女の正体がアレイスターの2人目の娘「ローラ」であること、 そして、その「中身」がローラの体を乗っ取ったコロンゾンであることを知る。 コロンゾン曰く、ローラは日常的に父に対する文句を口にするほど嫌っていたが、 乗っ取られる直前に父に助けを求めていたらしい。 その事を聞いたアレイスターは激昂したが、怒りも虚しくダモクレスの剣で殺害された。 しかし、魂に10億8309万2867通りもの「分岐先」を秘めていた彼は、直後にそれらを群体として解き放ち、イギリス連邦を制圧。 曰く、右方のフィアンマや木原唯一と対峙した際に存在を分化させた事が原因で、分身を同じ座標に留めきれなくなっていたとのこと。 (世界の人口をいきなり10%近く増加させてしまったが、思い付きの行為だったため、 人口増加に伴う食料問題やエネルギー問題については考慮していなかった) アレイスターと面会した者たちが抱いてきた、 「男にも女にも、子供にも老人にも、聖人にも囚人にも見える『人間』」という印象は決して間違いではなく、 それだけの分化先を実際に魂に秘めていた。 英国本土とまではいかないものの、しかしローラの耳に入った時点ではロンドン郊外さえ陥落させていた。 ローラは勝利を収めたわけではなく、あくまでこの分岐の中のたった1つを出し抜いたに過ぎなかった。 その後、分岐先の1つである、「ベイバロン」をベースとした中学生か高校生くらいの少女の姿を取り、上条の前に再び姿を現した。 上条と合流した後は女性の性感を知るべくうぶな彼に性交を依頼したり、 ラブホテルを拠点としてこれまた上条相手に性魔術で敵味方の探知機を作ろうとしたり、 少女の姿でタオル1枚巻いただけで一緒にサウナに入ったりするなど、 かつてのような超越者然としたミステリアスさは日の目を見なくなった。 なおこれらの行動は「コロンゾンの息がかかっている箇所を探る護符を作る」ためのものであり、 その場のテンションで上条に迫っていたワケではない。 A.O.フランキスカの正体を暴いてカエル顔の医者の病院に辿り着き、 そこでエイワスによって新たに受肉したリリスと再会を果たす。 リリスと再会した後もしあわせになる事への恐れを抱いていたが、 エイワスからの「しあわせになる事から逃げるな」という言葉を受け、リリスと触れ合ったことで、 「魔術師・アレイスター=クロウリー」としての完全復活を遂げる。 直後、ミメティックプレデターを霊的蹴たぐりのビッグバン爆弾で消滅させ、 コロンゾンに乗っ取られた府蘭をガンマナイフにより『A・O・フランキスカ』だけを切除して救った。 書庫争奪戦に決着がついた後、『学園都市統括理事長・アレイスター=クロウリー』として 浜面仕上に暗部から逃れられる保険を約束し、一方通行とも落とし前をつけることを承諾した。 そして未だコロンゾンに管理権が簒奪されたままの学園都市を機能停止させ、 コロンゾンを学園都市に封印して足止めし、ローラを奪還する手段を確保すべく英国に向かう。 しかしコロンゾンの肉体はローラではなかったと判明。 激闘の末、一方通行に統括理事長としての全権を委譲した後、死亡した。 遺体はエリザードによって国葬が決定され、本人としても満足して死んでいくつもりだったが、 コロンゾン本体と分離して残った肉体に宿り、現世に留まることになった。 1909年に行われた召喚実験では、本来ならば「アレイスターの肉体にコロンゾンが宿る」手筈だったが、 この術式の火花が予想外の形で作用した結果、「コロンゾンの肉体にアレイスターが宿る」形になってしまった。 しばらくは身を隠し、科学でも魔術でもない「第三の領域(バックステージ)」に潜るつもりのようだ。 新約二十二巻以降、コロンゾンとアレイスターが同じ肉体に同居している。 創約三巻ラストで日本に帰還し、学園都市東側の外周部にほど近い新宿の高層ビルの屋上で脳幹と再会。 脳幹に諭され、再び「魔術の撃滅」に向けて動こうとする素振りを見せた。 創約四巻では脳幹を連れてロサンゼルス市のR&Cオカルティクス本社ビルに姿を現す。 アレルギー物質によるアナフィラキシーショックで相手の身動きを封じつつ殺人ヤドリバエを操り、 アンナ以外のR C経営陣を惨殺した。 学園都市暗部が生んだ負の科学技術は一方通行によって放棄されたが、 代わりにアレイスターがそれを「拾い」、行使することを宣言。同時にアンナに宣戦布告を行った。 創約五巻中盤にて、ある目的のため学園都市に帰還し、上条の前に姿を現す。 オペレーション・ハンドカフスの生き残りが起こした事件に右往左往する上条に「私に預けるか?」と問いかけたが、 「もうここはアンタの街じゃない」と断られると、「君と口ゲンカだけはしたくない」と笑って音もなく去った。 その後、窓のないビルの地下基部に隠していた、「アンナ=キングスフォード(未編集)の遺体が保存されている場所の情報」を取り出した。 【口調】 一人称は「私」で、基本的には冷静な口調。 「まさかとは思うが、お前達は私をただの馬鹿だと侮っていたのかね?」 が、素の口調は激情家のもの。下記は新約十五巻でイギリスから学園都市の様子を観察していたローラへ放った言葉である。 「……何見てんだアバズレ。今すぐここで呪殺でもして欲しいのか」 【余談】 ニンテンドーDSで発売された「電撃学園RPG CROSS of VENUS」にて最後の隠しボスとして登場。 主人公達の前に突如として現れ、異世界での物理法則の検証をプラン短縮の参考とすべく、手合わせを挑んでくる。 これがアレイスターのフィアンマ撃退時に先だった戦闘披露となり、瞬間移動や衝撃波、 上空より無数の光を放つ「衛星光波」といった能力を駆使し、隠しボスに相応しい実力を見せつけてくる。 戦闘終了時には、勝敗に関わらず「良いサンプルがとれた」と言って主人公の前から姿を消すが、 その余裕の様子から察するに、どうやら本気はまるで出していなかったらしい。 ここからも、アレイスターの凄まじい実力の程を垣間見る事が出来る。 【関連】 滞空回線(アンダーライン) イシスの時代 オシリスの時代 クロウリーズ・ハザード テレマ テレマ僧院 トートタロット プラン ホルスの時代 クロウリーの書(ムーンチャイルド) 問答型思考補助式人工知能(リーディングトート78)