約 2,621,303 件
https://w.atwiki.jp/index-index/pages/3325.html
【種別】 兵器 【初出】 とある科学の一方通行 第1話 【解説】 『警備員』内の組織、『DA』が運用する兵器。 菱形によって作成され、『DA』に提供されている。 その目指すところは「完全なる肉体と完全なる脳」とのことだが、詳細は不明。 棺桶の名が示す通り機械内部に能力者の死体が組み込まれており、 その人物の能力をおよそ2段階増幅して使用することができる。 (素体がレベル2ならレベル4、レベル3ならレベル5クラスとなる。) 「プロデュース」の研究者達が実験の末に発見した 「体が小さくなればなるほど能力の出力は落ちる」という結果が基となっており、 菱形は「身体を大きくすれば能力も強化されるのでは」と発想を逆転。 機械で出来た巨体を脳に「自身の肉体である」と錯覚させるための方法を探し、 エステルの死霊術を取り入れ、5年の歳月をかけて開発した。 現状ではエステルによって「特殊な処理」を施した死んだ脳でしか「錯覚」は成功していないが、 蛭魅が提案した、妹達の持つ「10031の死の記憶」を取り込むことでの完成を目指している。 最終的には蛭魅をこの理論で「完全なる肉体と完全なる脳」、即ち絶対能力者(レベル6)へ昇華させる事が目的らしい。 登場した棺桶 プロトタイプ 窮奇 渾沌 饕餮
https://w.atwiki.jp/kinsho_second/pages/3582.html
前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/とある科学の超荷電粒子砲(プラズマ・キャノン) 第3部 第01話 第一章(1) 8月31日(月) 午前5時 日中の残暑は厳しいが、朝は涼しささえ感じる。 今日も暑くなりそうだが、鰯雲やら澄んだ青空に確実に秋の訪れを感じる。 私は、朝焼けの街路をのんびりと散歩する。 エンゲージリングを指につけ、婚約を実感として満喫する。 婚約か・・。盛大に式まであげ実質的に夫婦の日々が今日から始まる。 それにしても・・。 私の婚約はいったい何人不幸にしたんだろう。 あの普段はおどけた食蜂の恨みがましい視線、とある高校の女子生徒たちの 悔しそうな視線。あの鈍感な、自称不幸な男はどれだけ不幸な少女たちの 心の支えだったのだろうか。胸が痛む。 だけど、いやだからこそ私は幸福にならなければと思う。 さて・・そのためには解決すべき問題をひとつひとつ解決するだけだ。 (世界の基準点)幻想殺しと(科学の頂点)超荷電粒子砲の婚約なんだからさ・・ 問題は山積し、解決は困難だろう。だけど・・やれないことはない。 さて・・そろそろ戻るか。 土・日は多忙で確認していない商売の結果(NY ダウ先物) も見なきゃないし。 私はPCで自分のファンドの損益状況を眺めにんまりする。 合衆国クーデタ未遂で、半値以下に暴落したNYダウがほぼ暴落前に 回復し、底値で投入した資金が数倍に膨らんだことを確認する。 先物でレバを利かせているので、2倍が数倍に膨らむのだ。 はっきり言えばインサイダー取引だが、タックスヘイブンをからませ、中国の 人民解放軍やロシアの闇資金を介在させているので全容は私と食蜂以外知らない。 私は、頭の中で再確認する。まだアイツには知らせるわけにはいかないわね。 アレイスターをぶちのめすその日まではさ。 でもいずれ全部をアイツへ差し出そうと思う。 結婚するその日には。 さてそろそろ食事の時間だ。 当麻の手のこんだおいしい朝食。でも・・もう明日からは私が作ることにしよう。 当麻は学校なんだからさ。学業へ専念してもらわないと困る。 「当麻おはよう」 「美琴、散歩はどうだった」 「気持ちよかったわね。だいぶ涼しくなったわ。もう初秋ね」 「俺も明日から散歩するよ」 「え?できる。」 「美琴ともっと一緒にいたいんだよ」 「へへ・・うれしいわね。」 私は、当麻が作ってくれた朝食を味わいながら、当麻の機嫌を確認する。 当麻は、以外に気分屋で、頑固でタイミングを間違うとろくな結果にならないのは 付き合いは長くはないが、わかっているので、話を切り出す時は、キッチと顔色 を確認してからしゃべることとする。 「当麻・・明日から当麻は学校で忙しいでしょ。朝は私が作ってあげるわよ」 「え?いや悪いよ。美琴だって仕事あるじゃないか。」 「夫婦は対等よ。だから家事も均等。お試し期間だと思って、私にやらせてくれない?」 「でもな・・稼ぎは美琴、家も美琴の家じゃな」 「男の沽券にかかわる・・か。でもね。当麻の仕事は今は学校だと思うわ。 だから一緒に家事くらいやらさせてくれない?」 「断ってもやる気なんだろう」 「わかってくれる。・・じゃ明日からね」 「じゃ・・最初は一緒にな」 「ありがと」 「で今日はどうする」 「そうね。明日から当麻学校だし、午前中どこか行く?」 「いいね。8時からか?」 「ええ。それでね・・当麻には試作車に乗ってもらおうかな・・」 「試作車?」 「ええ。学園都市が製作中の完全自動走行車プロトタイプACV2号よ」 「完全自動走行車?」 「ええ運転手のいらない、AI制御のね」 「すごいじゃない・・」 「まあお試しよ、気軽にしましょ。まずは大きく考え、小さく始め、すばやく学習するわよ」 ・・・・・・・・・ 8月31日(月) 午前8時 美琴のマンションのエントランス前 「当麻 どう?」 「え?ただのプリウスじゃない?」 「みかけはね。でもよく見て」 「なるほど運転者がいないと?」 「オートモードで研究所から走行させたのよ」 「免許とか道路交通法はどうなるんだ?」 「特例措置よ。統括理事会の許可は得ているわ。賠償責任は開発者である私が負うけどね」 「へえ勝手にドア開くんだ。」 「私の脳波を検知し、開くわよ。カギは不要ね。私の脳波以外では感知しないから」 「はあ・・すごいね」 「じゃ乗ろう」 私と当麻は後部座席に座る。 「まあ乗り心地はふつうよ。プリウスにセンサーとAIを搭載しただけだから」 車自体は排気量1.5LのPHVのプリウスなので、ある意味ふつうの小型車。 「まあ確かにふつうだな」 当麻は私の太ももに手をのせる。もう何度も一緒に寝たのに、当麻は 過剰なほどのスキンシップを求める。 「くすぐったいわね」 「へえ。いや・・美琴の太ももははりがあるからさ」 「へへ・・まあいいわ。車っていうのはある意味密室だからね」 当麻は、スカートの中へさらに手を伸ばす。 私は変な気分なる。 「ちょ。。当麻まだ朝なんだからさ・・」 私は気を取り直し、声で指示を出す。 「空港、貯水池、窓のないビル、そしてリアルゲコ太の病院から、最後へ自宅、そこで当麻を下して」 AIのモニターは私の音声を正確に認識し、カーナビの画面に通行ルートを表示し、 私は口でアクセプトと言う。 「へ・・・音声を識別するのか」 「あらかじめ登録した声紋と一致しないと反応しないわ」 「へえ・・・・」 「だから盗難防止機能も完璧よ」 「はあ・・」 AI搭載完全自動走行車は、私と当麻を乗せ、残暑厳しい学園都市を交通法規を順守して 走り始める。渋滞もなくスムーズな走りだ。基本学生の街学園都市ではめったに渋滞など 発生しない。 当麻は私の体を密着させる。 「当麻、ほどほどにして・・」 いまひとつ素直になれない私は心と裏腹に、当麻をけん制する。 だけど・・まあいいか どうせ婚約したんだし。 「いいじゃない・・」 「誰かに見られるとまずいわ」 「心にもないことを」 すっかり私の弱点を把握した当麻は、的確に私を責める。 「当麻・・気持ち良すぎて変になりそうだわ」 「美琴・・焦らすからだぞ。」 不思議なものだ。たわいもない会話だが、寝室で毎晩交わしているのに 車中という変わったシチュエーションのせいか、いつも以上に興奮する。 車は都市高速のゲートをくぐり高速道路を順調へ空港へ向かう。 「ああ・・気持ちいいわ。当麻ずるいわよ。」 私も負けずに、当麻のズボンを下げようとするが、当麻がさりげなく躱す。 「美琴は仕事中だろう。ダメだよ」 「いじわる・・」 (でも・・楽しいな・・) だが、お楽しみは無粋なスマホの着信音で中断される。 「当麻・・悪い 仕事の連絡みたい」 「ああ・・」 私は発信者を見てギョとする。 (アレイスター?なんなのこのタイミングで) 「もしもし、御坂ですが」 「はい・・わかりました。ええ・・では」 「誰?」 「統括理事長よ」 「はあ?」 「当麻、悪い私、窓のないビルへ行くから、このまま車に乗っていて、自宅まで 勝手に運転してくれるから」 「ええ?」 「大丈夫よ。コースの変更はしたから」 「じゃ・・」 私は窓のないビルへテレポートする。 統括理事長アレイスターはとんでもない提案を私にした。 彼の提案は私の想像もしない、ある意味狡猾な・・私は大人というものすごみを 知らされる。 私は、仕事を終え20時に自宅へ帰った。 「当麻、ただいま」 私の顔色があまりよくないか、当麻が心配そうに私の顔色を窺う。 「美琴、心配したぞ」 「心配してくれてありがとう」 「で・・アレイスターはどうだった?」 「まあ大した話ではないわ。でも・・人の仕事を増やしてくれたわね」 「で、どんな話だったんだ」 「私を風紀委員(ジャッジメント)にしてくれるんだってさ」 「美琴が風紀委員?」 「ただの委員じゃないわ。副委員長兼組織犯罪対策特別部長だとさ」 「へえ?」 「ようは、スキルアウト排除及び暗部の整理統合よ」 「それは//」 「汚れ仕事よ。しかも「法律の枠内」でスキルアウトや不要な暗部を処理しなきゃない」 「は?」 「ようは私が大人(アレイスター)を批判するなら、大人の苦労をお前も知れという話よ」 「とんでもないいいががりだな」 「でもさ・・当麻の関心ない?」 「いや・・俺はジャジメントは・・」 「まあ・・私も正義の味方というヤツにあこがれのあったほうだから、受けることに したのよ、アレイスターの提案をさ・」 当麻は自分は関心なさそうな顔をする。 不幸な美少女は無条件で助けるくせに、公的な、義務的な奉仕活動は面倒くさがる上条 当麻は、私の矛先を変えるように話をそらす。 (だけど、ニンジンが、特大のニンジンを前に彼の心がどこまで耐えれるか見ものだわ。) 「美琴は・・ある意味単純だな」 「ふふ・・アンタは変わらないわね。私は明日から風紀副委員長なのよ。少しは 口の聞き方を考えたほうがいいわよ」 「いや・・まさか」 「当麻・・月詠先生がね・・言っていたのよ。このままの成績が続くとまともな大学へ進学で きそうもないと言うのよ」 「はあ?それは・・」 「で・・当麻が風紀委員になれば、内申点を相当かさ上げしてくれるそうよ。それに能力開発 の授業も免除、なおかつ奨学金が今の倍になるわよ」 「ほ・・本当か?」 「当麻・・これはチャンスよ。嫌な能力開発はしなくてもいい、待遇はよくなる、名門校へ進学できる。成績もよくなるわ。もう当麻は不幸卒業よ。」 当麻の顔色が変わる。頭の中で損得の計算を始めたようだ。 (よし・釣った。あとは釣り上げるだけよ) 私は、決め台詞を言う。これで釣れるはずだ。 「それに・・当麻は私と一緒に仕事できるのよ。試しにやってみない? 不幸なスキルアウトを助けるのも、 それに・・暗部て結構美少女ぞろいよ。不幸な美少女を一緒に助けない?」 「え・・そうか、美琴と一緒ならいいかな」 「ありがとう。助かるわ。」 私はごそごそ鞄から誓約書や契約書を出す。 「ちょっといっぱいあるけど、いい?この書類にサインだけして」 「あ・・ああ」 (コイツ、絶対消費者詐欺に会うタイプだわ・・全然文書を読みはしない。心配だわ) 私は書類を回収し、サインもれがないか確認する。 私は、鞄から任命書を出す。 「ありがとう。当麻 じゃ・・これあげるわ」 「上条当麻 とある高校 1年7組 風紀委員会本部組織犯罪対策特別部長付委員に 任ずる。風紀委員会委員長代読 副委員長御坂美琴」 「え?」 「実際は私が任命状を書けば誰でも風紀委員にできるのよ」 「ええ・・お前・・」 「じゃなきゃうけないわよ。人事権がない役職は無意味だわ」 「お前・・」 「まあいいじゃないの。約束でしょ。当麻私に力を貸すんでしょ」 「え・・ああ」 「1月以内にスキルアウトと暗部を処分しろだとさ。しかも遺恨を残さず 殺さずにね」 「はあ?」 「しかも、法律の枠内でね。さあどうする?上条当麻」 「それは・・」 「まあそれは私の仕事だから。じゃ・・当麻明日からよろしくね。」 「当麻 まあいいでしょ。走りながら考えればさ・・今日は途中で中断させられからさ いい?」 当麻は少し険しい顔をしていたが、私の意図を悟ったのか、表情をやわらげ柔和な 表情へ変わる。 「無粋なアレイスターへ邪魔されたからな、美琴じゃ・・いいか?」 「ええ・・明日から忙しくなるわ。だから甘えさせて」 「ああ・・じゃ」 私は当麻の手をとって浴室へ向かい、いつもように、いつもの儀式を始めた。 9月1日(火) 午前6時 私は、当麻と一緒に朝食を作っている。ちゃんと5時から30分の散歩をして、シャワーを 5分で浴び、着替えを完了してから作業を始める。 前の日にある程度、下準備をし作業の合理化を図っている。 「美琴全然手際いいじゃない」 「まあ・・最低限はできるわよ。家庭科でやっていたし」 「まあ美琴のふつう・とか下手は信用できねえなあ 結局」 「え。。そう?まあありがとう。じゃ盛り付けするわ」 私は、給食で使うようなプレートに盛り付けをする。 本当はもう少し色気のある盛り付けをしたいが朝は時間がない。 私は妥協の産物で食器を減らす。 「共稼ぎだからちょっと配膳は合理化させてもらったわ」 「ああ・・でも美琴はなんでもできるんだな」 「ふふ・・ありがとう。でもごめんね手抜きして」 「いやいいよ。俺の夏休み前のメニューより全然丁寧だ。ちゃんと栄養バランスも考えて いるし」 サケと、卵焼きをごはんと同じプレートにのせて盛り付けする。 小さく小松菜と、数の子を小分けして色合いを少しだけ綺麗にする。 味噌汁だけは食器を分け、昨日に準備したねぎと絹ごし豆腐の簡単だが、味わいのある 朝食を配膳する。 「おいしい?」 「うまいじゃん。まったく・・下手ね。俺より全然いいじゃない」 「よかった。お代わりならまだあるわよ。そんなにがっつかなくてもいいわ」 「しかしごはんのあんばいがうまいな。いつもとおんなじ米か?」 「ええ、水の配合割合を最適化しただけよ。今はお米が全部古米みたいな時期だから水の量を 多少増やしたほうがいいいのよ」 「まったく・・・また美琴にはだまされた。何が食事は下手だよ。でもありがとうな」 「お粗末様でした。でもありがとうね。ほめてくれて」 私は食器を回収し、さっさと食器洗浄機へ入れる。 「さすがだな。食事うまいじゃん」 「恥ずかしいわね・・当麻ほめすぎよ。でもうれしいわよ。」 「さあ そろそろ準備して」 「ああ、でもさ・・昨晩のうちにちゃんと準備したよ」 「へえ・・いや当麻変わったじゃない」 「いやこうゆうとこは美琴を見習ってさ、朝あわてないようにね」 私は当麻に念を押す。素で忘れられると困るし。風紀委員の件を念を押す。 「当麻えらいわね、それと今日からジャッジメントの件よろしくね」 「16時ね。わかった校門で待てばいいんだな」 「まあ初日だから研修だとおもって」 「研修?いきなりスキルアウトの大物を排除するんだろう?」 「まあね。でも仕事するのは、別人よ、当麻は最後の締めだけでいいわ」 「でも・・」 「役に立ちたい気持ちはわかるけど能力者じゃないからね、駒場容疑者は」 「相性か。。」 「そう。当麻は銃器には強いとは言えないからね まあお膳建てはするから、ピクニック気分 でいいわよ。最初だし」 「わかった。」 「じゃ・・勉強がんばってね」 「ああ」 「じゃ そろそろ出ようか 7時30分だし」 「美琴も出るのか?」 「ええ、今日から仕事は8時30分から15時30分までにシフトチェンジよ 16時から 風紀委員会組織犯罪対策特別部長をボランティアでしなきゃないし。」 「多忙だな」 「当麻だって、学校と風紀委員の2足の草鞋だから一緒じゃない」 「どのくらいで終わる?」 「2時間で終わると思うけど、抵抗しだいね」 「そうか」 「さっさと終わらせよう。ね。」 「ああ・・、わかった」 「じゃ行こう」 「ああ」 「手をつないで一緒にね」 「でもたった3分だけどな」 「贅沢いわないの。遅刻のリスクがないだけいいでしょ」 「まあな。じゃ」 私は当麻を手をつなぎ、当麻の学校へ向かう。 スキルアウトと暗部の整理という面倒くさい仕事を押し付けられたが、まあ こうやって当麻と風紀委員ができるからいいかと前向きに切り替える。 「まるで夫婦みたいね」 「え?もう夫婦だろう。まあまだエンゲージだけどさ」 「エンゲージリング恥ずかしくない?」 「いまさらだな。もう婚約式で周知だしな・・」 「もうついたわね、じゃね」 私は手をふって当麻を見送る。 さあ・・忙しくなるわね。 何があっても、一緒よ地獄の底までついていくわ。 ごみ掃除でも、大事な仕事だからさ。。 続く 前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/とある科学の超荷電粒子砲(プラズマ・キャノン)
https://w.atwiki.jp/anipicbook/pages/1728.html
全てのトレーディングカードのBox・パックはこちら
https://w.atwiki.jp/pokecharaneta/pages/9281.html
fripSide 楽曲 コメント 八木沼悟志(sat)プロデュースによる日本の音楽ユニット。 楽曲 アルセウス:LEVEL5 -judgelight- 『とある科学の超電磁砲』後期オープニングテーマ。さばきのつぶて必須 キレイハナorドレディアorフラージェス:Flower of Bravery ホウオウ:hurting heart リザードン:Red-reduction division- ムウマージ:magicaride 通り名に「レジェンド」を持つポケモン全般:やっぱり世界はあたし☆れじぇんど!! コメント 名前 コメント すべてのコメントを見る 楽曲 ライチュウ、サンダース :only my railgun 『とある科学の超電磁砲』前期オープニングテーマ。 -- (ゆかりんご) 2015-01-11 04 18 19
https://w.atwiki.jp/index-index/pages/3417.html
【種別】 通り名 【初出】 とある科学の超電磁砲 第七十二話 【元ネタ】 blau=ドイツ語で「青」の意味 【CV】 川原 慶久 【解説】 『インディアンポーカー』利用者から『天賦夢路(ドリームランカー)』と崇められる、 Sランクのカード作成者の一人。 青く染めた髪と耳に付けたピアスが特徴の、嘘くさい関西弁で話す男子高校生。 純粋に相手を喜ばせるのが目的なので無償で配布しており、 その内容もあり、一部の男性から熱烈な支持を受けている。 カードの内容は、女性芸能人・有名人のあられもない姿を想像力で再現した映像。 標的は芸能人だけでなく御坂美琴や食蜂操祈までも含んでおり、 偶然その計画を聞いていた美琴と食蜂によってカードは焼却され、目撃者の記憶は改竄された。 この時ばかりは食蜂も目撃者の記憶を改竄するという形で美琴に加担しており、 圧倒的な汎用性を誇る2人の超能力者(レベル5)が手を組むとどうなるのかをこれ以上無い形で見せつけるワンシーンとなった。 その夢のような光景はコミックス11巻の裏表紙・カバー下を参照されたし。 【備考】 BLAUの標的にされた人たち 愛璃栖(女神っ子クラブのアイドル?) 雨月(お天気お姉さん) 富愚射華(ぽっちゃり系グラドル) 御坂美琴 食蜂操祈
https://w.atwiki.jp/index-index/pages/3571.html
【種別】 魔術 【元ネタ】 Wikipedia -ネクロマンシー 【初出】 とある科学の一方通行 第2話 【解説】 死者の肉体、魂を操る魔術。使用者の総称は死霊術師(ネクロマンサー)。 エステル=ローゼンタールによると、 脳内の残留思念をキーとして体に疑似魂魄を進入させ、肉体を掌握するもの。 制御下に無い残留思念は「地縛霊」と呼ばれ、下手に触れると非常に危険らしい。 一口に死霊術といっても神話伝承などで方式は様々だが、ローゼンタール家が使う死霊術はかなり特殊。 ローゼンタール家はもともとカバラのゴレムを研究していた家系で、 完全なるゴレムの作成を悲願としていたが、 その手法を探求する中で死体に疑似魂魄を植え付ける方法を編み出した。 人の脳を使うことで知性を劇的に高めたが、異端として追放され、東洋にたどり着いた経緯を持つ。 東洋に逃げた後も研究を続けていたようで、 四代目当主・イサク=ローゼンタールが跳尸術(キョンシー)の技術を取り込み、 現在のローゼンタール流とも言うべき術法が確立された。 基本的に疑似魂魄は術者の命に従うが、 仮に暴走・反逆した場合のため「舜帝の剣」という擬似魂魄を死者から強制的に分離させる霊装が存在する。 【関連】 →禍斗 →窮奇 →渾沌 →饕餮 →檮杌
https://w.atwiki.jp/railgun-yuri/pages/44.html
「ありがとう、初春さん!!!」 目の前が真っ暗になったような気がした。 力の抜けた手から、ノートが地に落ちる。その音で我に帰ったあたしは、慌ててノートを拾い、荷物もいい加減にまとめて公園から走り去った。 これ以上聞いていたくない。 見ていたくない! 信じたくない!! そうだ、きっとこれは夢なんだ。悪い夢なんだから。目が覚めたら全部元通りで、またいつも通りの日々が始まるんだ。 そう思った途端、何も無い所で躓いて転んだ。 口の開いたバッグから、ペンケースや小物が転がり出る。 立ち上がると、膝を擦りむいていた。 「痛い・・・」 足元に水滴が落ちて来た。雨かと思って空を見上げると、そこに雲はなく、忌々しいほどに太陽が自分の存在を自己主張していた。 頬を冷たい粒が伝う。 散らかした物をカバンに戻して、あたしはフラフラと家に向かって歩いていた。途中、どうやって帰って来たのかは覚えていない。 扉を開けてまず思ったのが、同居人が居なくて良かった、だった。 バッグを適当に放り投げて、転んで汚れた制服を脱ぎ散らかす。 あたしはそのままベッドに倒れこんだ。 何も考えたく無いのに、頭は勝手に思考を紡ぐ。 初春が手の届かないところに行ってしまった。 御坂さんに、取られてしまった。 あたしが背伸びしたって、逆立ちしたって届かない。そんな雲の上の存在は、あたしにできないことをやってのけて、あたしの欲しい物も全部持って行ってしまう。 なるほど、確かに御坂さんって太陽ですよね・・・底辺に立ってるだけのあたしじゃ、その高みを見上げる事しかできないですから・・・ 気がつくと、呻くような鳴き声が部屋中を飛び回り、布団が涙でぐしょ濡れになっていた。 虚しかった。あたしの学園都市における存在意義がなくなった気がして。 悔しかった。あたしは御坂さんのいる高みにはたどり着けない。 腹立たしかった。御坂さんが告白する時期がわかっていながら、ほとんど何の対策も打たなかった自分が。 憎かった。無力な自分と、愛しの人を奪った御坂さんが。 一発頬を叩いて、ネガティブな考えを追い払う。 窓の外は、すでにオレンジ色に変わりかけていた。明日も学校だ。元気のない顔を初春に見せて心配させたりしたら、それこそ罪だ。初春は優しいから、きっと過剰なくらいに心配してくれるだろう。 気分転換しよう。そう思って、音楽プレーヤーにもなっている携帯を、脱ぎ散らかしたスカートのポケットから取り出す。部屋着に着替えながらプレイリストを眺める。 その途端に思い出される、初春に向けたあたしの言葉。 「ほら、これ聞いて元気出しなよ!」 そうだ、このプレイリストは初春が聴きたがってた曲ばっかり集めた・・・ いつの間にか画面に水滴が落ちていた。 「アハハッ、これじゃ気分転換にならないじゃん・・・」 自嘲気味に乾いた笑いが口から出る。 新しい曲を入れよう。 パソコンを立ち上げて、音楽の販売サイトにアクセス。しばらくブラウジングしていたが、目ぼしい曲は見つからない。今欲しいのは失恋に沈む心を立ち直らせてくれるような曲だと言うのに、ヒットチャートにある曲は恋の歌ばかりだ。 「現実ってのは、こういう風にできちゃってるのかねぇ・・・」 呟いて、マウスの上に顎を乗せる。ホイールがぐるりと回って、意図しないところへとページがスクロールされていく。 「・・・あれ?」 普通ならリンクなんて無さそうなところで、カーソルが人差し指を伸ばしていた。 隠しページ・・・? そのページで目にしたものに、あたしは目を丸くした。 LeveL UppeR 都市伝説の中に時々出て来る、人の能力のレベルを向上させるアイテム。それと同じ名前のものが、目の前に転がっている。 気がつくと、その曲名はプレーヤーの画面に映っていた。 いつの間にプレイヤーに曲を転送したのか。夢にまでみた、あたしを能力者にしてくれるかもしれないアイテムを再生する準備は全て整っていた。曲名に触れようとして、一抹の不安がその手を止める。 「使っても、良い、のかな」 呟いた声が震えていた。 能力開発のカリキュラムは、きちんと実験もされて安全が確かめられている。こんな眉唾な音源で、本当に安全なのか、能力のレベルは上がるのか、無能力者の自分は能力を手にできるのか。 以前幻想御手(幻想御手)について調べたところでは、確かにレベルは上がるらしく、副作用があったという話は聞かない。 偽物だとして、音源を聴いたっておかしなことが起きるとも思えない。せいぜい、聴いた人をバカにするような音が入っていることだろう。 でも、もし、もし本当に噂どおりレベルが上がるとしたら? 無能力者の自分も能力が使えるようになるとしたら・・・? 「いや、でも何の努力も無しにレベル上げるなんて嘘っぽいし、なんか、楽して能力手に入れようなんて褒められた事じゃないし・・・それに、無能力者でもあたしは毎日楽しければそれでオッケー! ・・・」 自分の言葉に、はたと疑問を抱く。 これからの毎日は楽しいの? 御坂さんに初春をとられて、 何も知らない初春がいつも通り話しかけてくれて、 胸の奥がズキズキするのを隠して、 作った笑顔を顔に張り付けて、 毎日、楽しい? 曲名に指を乗せる。 丁度夕日が沈んで、部屋の中が暗くなった。 「最近お姉様の様子がおかしいんですの。初春、何か心当たりはありません?」 「様子がおかしいって・・・具体的にはどういう風にですか?」 「寮の部屋にいるとき、むやみやたらに機嫌がよろしいんですの。昨日なんて、『明日出かけるから』と言って寝る直前までずっとニコニコし通しでしたのよ。時々思い出したようにクスクス笑っては嬉しそうに、さぞかし嬉しそうにしていましたし・・・ わたくしの愛情表現にもいつものような電撃がなくて、黒子はすっかり不安になってしまいましたの・・・時々聞く、『超電磁砲のクローンが軍用に量産されている』という噂のクローンなのかと思ってしまうくらいにおかしいんですのよ?」 「確かに、白井さんに向けての電撃がないというのは不思議ですねぇ。で、なんで私に心当たりがあるか聞くんですか?」 「起きているときのお姉様があまりに不審だったので、お姉様が寝静まった後もお姉様のことをずっと監視していましたら、」 「うわぁ・・・」 「時々寝言で『初春さん』と聞こえなくもない言葉が何回か聞こえましたの。そこで初春が何か知っていないか、訪ねているのですわ」 「あー、そういわれると心当たりが無い訳ではないんですけれど・・・」 「詳しく教えてくださいまして?」 「え、いや、言うと私の身の安全が保証できなさそうなので、ちょっと・・・」 「大丈夫でしてよ、初春。このわたくし、白井黒子の名にかけて初春の身の安全は保証してみせますの! そう、例え相手が超能力者であろうとも・・・」 「じゃあ言いますけど・・・ホントに保証してくださいね? 私、御坂さんとおつきあいすることになったんですよ」 「・・・え?」 「私、御坂さんと恋人としておつきあいすることになったんです」 「ういはる・・・」 「キャー! だから言いたくなかったんです! 金属矢構えないでください! 白井さん、名前までかけて私の身の安全を保証するって言ったじゃないですかぁ?!」 「恋敵が排除できるなら名前の一つや二つは安いものですのよフフフフフフ」 「ひいぃ、目がマジですっ! ふ、二日前に御坂さんに告白されたんですよ、つきあって欲しいって!」 「へ? ・・・お姉様が?」 「はい、突然。『初春さんが花だったら、私は太陽になって毎日花を見ていたい』って。いくら相手が女の子でも、そんなこと言われちゃったら、やっぱりクラっときちゃいますよねぇ。多少、白井さんの気持ちがわかっちゃいました」 「・・・」 「白井さん? なんだか白くなってきてませんか? ・・・おーい、白井さーん! おーい! このままじゃ白井白子さんになっちゃいますよー!」 「はっ、い、今わたくしどうなってました?」 「口を半開きにしたまま真っ白になって突っ立ってました」 「そうでしたか・・・そこまでショックだったんですのね・・・」 「ああ、自分がどれだけショックを受けていたのかわからなくなるくらいショックだったんですね」 「いかなる理由があろうとも、お姉様は初春をお選びになったんですのね・・・このわたくしではなく・・・・・・初春!」 「は、はいぃ!」 「黒子は、黒子はお姉様の幸せを第一に考えておりますの! 絶対にお姉様を幸せにしてくださいまし!!」 「は、はぁ・・・」 朝から鼻歌が止まらない。 このままでは、私とシャツがお揃いだと騒いでいた黒子とほとんど変わらない、ということはわかりつつも、やはり嬉しいのだ。 初春さんとつきあい始めて三日目の今日、初春さんは風紀委員が非番。天気は晴れ。行き先は未定。目的は明確。 「初春さんとの初デートかぁ・・・」 何度目かわからない喜びの溜息をつく。 勝手に頬が緩んでしまう。どうにも締まりのない顔をしていることだろう。 クレープ食べに行って、一緒に服選びに行って・・・そろそろ夏休みも近くなって来たから水着を選ぶのが良いかなぁ。初春さんと水着を選びっこして、似合う似合わないで色々言い合って、で、それからそれから・・・ 幸せ色の私の想像は、しかしなぜか風紀委員の腕章をつけて黒子と一緒に待ち合わせ場所に現れた、初春さんの一言で消し飛んでしまった。 「佐天さんが行方不明なんです!」 泣き出しそうな顔でそう言う初春さんの後を、黒子が続ける。 「昨日の夕方頃、柵川中学の教員から捜索願いが出されましたの。警備員(アンチスキル)も人員を割いて、現在佐天さんを捜索中です」 「一昨日も昨日も学校に来てなくて、ずっと携帯も留守番電話で、それで心配になって佐天さんの家に行ってみたら誰も居なくて、今朝大圄先生に聞いたら『佐天の声で病欠の電話が来てる』って・・・おかしいじゃないですか、家には誰も居ないのに欠席の連絡が来てるなんて!」 「ひょっとして、佐天さん、自分で行方を晦ましたってこと?」 「その可能性もありますわ。しかし、それにしては奇妙なんですの。監視衛星以外のカメラを初春が調べたところ、監視カメラ網にそれらしい人影が映っていなくて・・・何者かが意図的に佐天さんを誘拐した、ということも考えられますわ」 「脅して連絡させてる、と、そういう可能生もあるわけね。衛星は警備員権限がないと見られないから、そっちの方は連絡待ちか・・・」 「うう、佐天さん・・・」 とうとう初春さんが泣き出してしまった。 携帯の電話帳を呼び出して、佐天さんの電話にダイヤルする。携帯が圏外にあるか電源が切れている旨を伝えるメッセージが流れた後、電話会社の留守番電話サービスに接続された。 「やっぱり出ないわね・・・」 「風紀委員は家出として、警備員は誘拐の疑いありとして捜査しています。・・・ただの事件の程度による管轄の問題ですけれども」 「佐天さん、何か事件に巻き込まれてないと良いんですけど・・・」 なおも涙を流す初春さん。 いたたまれなくなって、私は初春さんを正面からそっと抱きしめた。 「大丈夫、きっと見つかるよ。私にとっても大切な友達だもん。私も探すから。ね?」 「ぅう、はい・・・」 初春さんの背中を軽く撫でる。小さな背中が細かく震えていた。 「わたくしたちは佐天さんの自宅周辺を捜索することになっているのですけれど、お姉さまが合流してくださるというなら手分けするのが良いかもしれませんわね」 「じゃあ、初春さんと黒子は予定通りに佐天さんの家の近くを探しに行って。私は繁華街の方に行ってみる。佐天さんには悪いけど、もし佐天さんの部屋の中に入るなら黒子がいた方が良いだろうし。黒子、お願いね」 真顔で肯く黒子に初春さんを任せる。涙を拭った初春さんが黒子を促して、空間移動(テレポート)でその場から姿を消した。 「さあ、じゃあ私は・・・」 佐天さんの寮とは反対側、多くの店が軒を連ねる繁華街へと足を向ける。 放課後のこの時間は、学生だらけの学園都市における一番の稼ぎ時だ。数多の商店は呼び込みの戦略に成功しているらしく、繁華街は多くの学生でごった返している。 この人だかりで、果たして佐天さんが見つかるんだろうか。 もし佐天さんが自分で失踪したとして、原因は何だろうか。 最後に私が佐天さんに会ったのは、初春さんへ告白する前日。つまり四日前。その時は特別おかしな様子は見られなかったはずだが・・・ もし何者かに誘拐されていたとして、犯人の目的は何だろうか。 この前の虚空爆破(グラビトン)事件の時見たく、超能力者の私、もしくは風紀委員の初春さんか黒子に対する攻撃の一種なのかも知れない。 そう考えながら、さっきの初春さんとのやりとりを思い起こす。 初春さんは、佐天さんのために泣いていた。 可愛らしい顔をくしゃくしゃにして、大粒の涙をポロポロこぼして。抱きしめた初春さんは、見かけよりも小さく感じた。 ちょっと佐天さんを恨めしく思う。心配かけて、初春さんを泣かせたりしたから。 そして、ちょっと妬けてしまう。これだけ初春さんを泣かせるくらい、初春さんの中では佐天さんの存在が大きいのだ。 見つけたらデコピンの一発でもお見舞いしてやろう。 歩くうちに、繁華街を抜けるところまで来てしまった。この先は川しかない。河原が広く、「ここなら周りに迷惑がかからないから」と、ツンツン頭の高校生との喧嘩のときに連れてこられたことがある。アイツ、次見つけたら絶対負かしてやるんだから・・・ 川の方からそよ風が吹き付ける。川上の方から、雲が風に乗ってやって来るのが見えた。 風に促されるように振り返り、もう一度繁華街に戻って、今度は裏道を探してみようとしたとき。 見覚えのある髪飾りが付いた頭が、十字路の角、建物の陰に隠れるのを見た気がした。 「佐天、さん?」 交差点まで走り、急いで路地を覗く。 見覚えのある後ろ姿が、かなり離れたところを歩いていた。 「佐天さん!!」 呼びかけながら、私は人ごみをかき分け、佐天さん目がけて走り出した。 声が届いたのか、しかし、佐天さんはそのまま走り出す。見る間に次の角を曲がってしまった。 「あ、ちょっと!?」 まさか佐天さんが逃げ出すとは思っていなかったから、素っ頓狂な声が出てしまったのは仕方あるまい。 「佐天さん、待って!」 次の角を曲がると、佐天さんはまた別の角を曲がろうとしていた。その後に私が続く。 が、直後には佐天さんがさらに別の角を曲がる。訳がわからなくなりながらも、私は人の波に逆らって泳ぎ続けた。 しばらく追いかけていると、佐天さんが何をしたいのかがわかって来た。 何度も角を曲がってはいるが、結局川の方へと向かっている。 とりあえずそのまま追いかけ続ける事にした。 佐天さんと私では、私の方が足が速い。だんだん私と佐天さんの距離が縮まっていく。 とうとう繁華街を抜け、河原に出た。投棄された空缶や、骨だけになったビニール傘が散らばる向こう。そこに、佐天さんが背を向けて立っている。 「もう、どうしたの、佐天さん? 声かけたのに急に駆け出したり、学校休んだり・・・」 「・・・」 近づきながら声をかけるが、佐天さんは振り向きもしないし返事もしない。ただ、走ったからか肩で大きく息をついていた。 もしかしたら誰かに脅されているのかも、という一抹の不安を拭えないまま、私は声をかけ続ける。私が誘拐犯に気づいているとわかれば、佐天さんがどんな目に会うかもわからない。 誘拐犯の居場所に気づいていない事をアピールしつつ、誘拐犯にメッセージを伝えることができるようにしなくては。 「何かあったの? あー、ほら私で良ければ何でも話し聞くよ? 色々相談に乗ってもらったし・・・だからとりあえず、顔を見せてよ。ね?」 佐天さんに向けて話しかけてはいるが、もし何者かが佐天さんにマイクでも持たせているなら、これで何らかのアクションがあるはずだ。『用があるならコソコソしてないで私の前に顔を出して話を聞かせてもらおうか』というメッセージが伝わったのなら。 顔を見せる気がなくても、こんな辺鄙な場所に呼び出したのだ。陰から何か攻撃があっても不思議ではない。 しばらく黙って様子を見る。 しかし、何かが起こる気配は全く無い。ちょっと拍子抜けした。 「ほら、佐天さん。早く帰ろう?」 「・・・帰るって、どこにですか」 やっと佐天さんが口を開いた。今にも泣きそうな声に、少しだけドキリとする。 「そりゃ、もちろんみんなの居るところよ。初春さんも、黒子も・・・」 「そこに! ・・・あたしの居場所はあるんですか?」 誘拐の線はなくなったが、別の意味で不安をあおる言葉だった。 佐天さんは、自分の居場所がなくなったと思って私から逃げていたということになる。 原因は何だろうか。 「もちろんよ。私も初春さんも黒子も、佐天さんの事、大切な友達だと思ってる。もし佐天さんに居場所が無いと思ってるなら、それは勘違いだってば。ねぇ、一緒に」 「あっはっはっはっはっは!!」 私が言葉を続けようとした時、突然佐天さんが大きな声を出して笑い出した。突然の奇行に、驚いた私の肩がビクッと震える。 その笑い声は、突然止まった。 「御坂さんって随分ヒドい事言うんですね」 「・・・え?」 嘲るような声。普段の佐天さんとの違いに、背筋を冷たい物が伝う。 「初春も白井さんも御坂さんも、あたしの事を友達だと思ってる。・・・それじゃ困るんですよ」 「ど、どういう事? ちゃんと言ってくれないとさっぱり・・・」 わからないじゃない。 言いかけたその時、佐天さんが顔だけ振り返って、私をすごい形相で睨みつけていた。 「あたしから初春を奪ったくせにっ!!」 ぼろぼろと涙をこぼし、歯を食いしばった顔が放つその怒気に、私は気圧された。 「え、えっ? ど、どういうこと?!」 「あたし、初春の事好きだったんですよ。御坂さんと知り合うずっと前から・・・」 「そ、それじゃあ、佐天さんが言ってた『私以外の初春さんのことを好きな人』って・・・」 「あたしのことですよ。だから、友達じゃ嫌なんです。もっと、それ以上じゃないと・・・」 驚きすぎて、開いた口が塞がらない。 佐天さんが初春さんのことをそんな風に思っていたなんて・・・ 「全然気づいてなかったですよね、御坂さん」 「そ、そりゃだって、佐天さんと初春さん、いつもすごく仲良さそうにしてるけど・・・恋人同士っていう風には見えなかったし・・・まさか女の子の事好きな女の子が黒子と・・・その、私以外にもいるとは思ってなかったし!」 「それは思い違いですよ。結構いるんです」 「で、でもそれなら何で」 「告白しなかったのか、ですよね。・・・しましたよ、三日前。御坂さんが初春に告白する日の朝。・・・冗談だと思われてまともに取りあってもらえませんでしたけどね」 「そ、そんな・・・」 「わかってますよ、言いがかりだってことは」 佐天さんが俯いた。顔は見えなくなったが、頬を伝う大粒の涙は眩しく光っていた。 「でも、初春は、あたしにとっての『学園都市に居る意味』だったんです。いくら頑張っても能力は開花しない。成績だって振るわない。それに加えて、御坂さんや白井さんと知り合って、同じ中学生、同じ女の子なのに、あたしには手の届かない世界の人たちを身近に感じて 何度も、学園都市を出て行こうかと思いました。でも、初春の事、好きだったから、離れたくなかったから・・・」 「・・・」 初めて知った、佐天さんの内心。 私や黒子と知り合っていた事がプレッシャーになって、私が初春さんとつきあい始めたことでストレスが爆発してしまった。 それが今回の家出騒動につながった訳か・・・ こんな時、どういう言葉をかければ良いのか、私にはわからなかった。 言葉に詰まっていると、佐天さんが顔を上げてこちらを向いていた。 「でも、これで良かったと思ってます。初春ってほら、見た目からして超か弱いじゃないですか。実際腕立て伏せとかほとんど出来ないんですよ。 そりゃ、正義感とかは強いし、情報戦なら誰にも負けないと思いますけど。 だから、その背中を守ってくれる人が必要だと思うんです。・・・今までのあたしじゃ役不足なんですよ。 御坂さんくらい強ければ、学園都市の第三位、最強無敵の電撃姫くらいの力があれば、退けられない敵なんて二人しかいないじゃないですか! そんな人が初春の事守ってくれるなら、幸せにしてくれるなら、あたしは何も心配する事ないですから」 佐天さんは涙を頬に張り付かせたまま、うっすらと笑顔を浮かべていた。 胸がジクリとした。息苦しく感じる。 それと同時に、救われたような気がした。佐天さんが現状を認めてくれなければ、私は何を言って良いかわからなかったから。 「それで・・・佐天さんはどうするの?」 「あははっ、どうしましょうか。あたしって諦め悪いんですよ。そうですねぇ・・・御坂さん倒して、初春を奪い返すっていうのはどうですか?」 「・・・へ?」 佐天さんが言っている言葉の意味がわからなくて、間抜けな声が出てしまう。 「あたしが御坂さんを倒せれば、御坂さんの代わりにあたしがこの都市の第三位ってことになって・・・そうすれば初春の背中を守れる。御坂さんよりあたしの方が初春のパートナーに相応しいってことですよね!」 「え、ハハ、ちょっと何言ってるの佐天さん・・・」 佐天さんが私には勝負を挑む、ということなのか。 だとしたら佐天さんに勝ち目はない。佐天さんには何の能力もないのだ。もし相手が銃で武装して来ても、相手が打つよりも早く私の電撃が意識を奪う。もちろん佐天さん相手に全力を出したりはしないが、初春さんは渡したくない。 このままでは、再び佐天さんの心に傷を負わせるだけの結果に終わってしまう。 佐天さんが「何年かけても追いついて見せる」とでも言ってくれれば安心できるのに。そういう決意の宣言だったならば、私も安心できるのに。 願いはかくも虚しく届かなかった。 「どうします? あたしと戦いますか? 戦いませんか? 」 「・・・ちょ、ちょっと、悪い冗談はやめてよ・・・ハハハ・・・」 再び冷や汗が背中を伝った。 これが佐天さんの仕掛けた精神攻撃なんだとしたら、佐天さんは能力がなくても十分学園都市で生きていける。 私に残された選択肢は二つ。どちらもあまり選びたくない選択肢ではある。 もし勝負を断れば私は無能力者に不戦敗したことになり、周囲の私を見る目は変わるだろう。佐天さんとの今後の付き合いにも不和が生じるかも。 もし戦えば佐天さんは傷つき、本当に学園都市を出て行ってしまうかもしれない。そうなれば初春さんはきっととても悲しむだろう。 だったら選ぶべき選択肢は一つ。自分の評判なんて知ったことじゃない。 と、そこで何かが引っかかった。 『佐天さんがいなくなったら、初春さんが悲しむ』? 「恋と友情、どちらを取るか。なんて理由で悩むんでしょうね、御坂さんの事だから」 追い討ちをかけるように、佐天さんが私の考えを言い当てる。 なおも私が黙っていると、佐天さんは、わかってないなぁとでも言いたげに首を振った。 「御坂さん、これはテストなんですよ」 「テスト・・・?」 「そうです、御坂教官によるあたしのテストです。さっきあたし、『今までのあたしじゃ役不足なんです』って言ったじゃないですか。今のあたしは違うんですよ」 「え? ど、どういうこと?」 「じゃあぁ・・・種明かし一つ目! あたし、幻想御手使いました」 「!?」 幻想御手。 この前の虚空爆破事件の犯人を思い出す。 力を手にいれ、力に頼り、力に溺れた、風紀委員を狙った爆弾事件を起こした青年。 佐天さんの今までの行動全部が、もし幻想御手を手に入れて力に溺れた結果なのだとしたら? 「御坂さんって、努力しない人大っ嫌いでしたよね。そんなあたしに『戦わない』って言って、初春をとられちゃって良いんですかぁ?」 そんなのを許せるはずがない。 でも、心のどこかで安心もした。佐天さんが能力を持っているなら、佐天さんが抵抗してくれるなら、佐天さんの心の傷は小さくて済む。 頭のどこかで警報が鳴る。何かがおかしい、と。耳の奥がツーンとする。 しかし、口から一度出た言葉は、どうやったって取り消せない。 「良いわよ。受けて立とうじゃない」
https://w.atwiki.jp/index-index/pages/3962.html
【種別】 組織 【初出】 とある科学の超電磁砲 第131話 【解説】 水鏡凪紗が率いていた派閥。 作中本編時系列の一年前(美琴が入学した当時)の時点では全校生徒の19%を占め、 一時は支倉派閥を抜いて最大派閥にまで成長していた。 当時の「三大派閥」の中では支倉派閥に次ぎ古く、水鏡が入学してすぐ(またはさほど経たないうち)に立ち上げた様子。 派閥員は水鏡のバストを大きくしたりウエストを細くしたりすることもできる能力に惹かれた俗物的なメンバーが多い。 水鏡が方針として、派閥に貢献した生徒にだけその能力を使う旨の示していたこともあり、 メンバーたちは理想の身体・スタイルを手に入れるため派閥に貢献しようとするので、その熱量は三大派閥一。 登場キャラクターの所属派閥を表すための作劇上の都合か、 水鏡派閥の生徒は基本的に、塗りやトーンを用いない淡色系(一例として水鏡はブロンド系)の髪色で表現されている。 【メンバー】 水鏡凪紗(代表・3年生) 助澤世菜(水鏡の側近・2年生) 角坂凛奈(水鏡の側近・2年生) 朝倉・オリビア・萌亜(未編集)(3年生) 閏井葵花(未編集)(3年生) 花山院つかさ(未編集)(3年生) 学年は本編時系列の一年前当時。
https://w.atwiki.jp/index-index/pages/2293.html
【種別】 人名 【初出】 アニメ版『とある科学の超電磁砲』15話 【CV】 小西克幸 【解説】 スキルアウトの1つ、ビッグスパイダーの元リーダー。 Gパンに黒いライダーズジャケット。常にムサシノ牛乳を飲んでいる。 また、本気になると服を脱いで上半身裸になる。背中には大きな蜘蛛の入れ墨がある。 2年前に起きた事件により重傷を負い入院、退院後は捕まっていたために、 関係者からは死亡もしくは行方不明扱いだった。 かつて、レベルが上がらず悩んでいた固法美偉と出会い、 ビッグスパイダーという居場所を提供した。 だが、「彼女の居場所はここではない」とも考えており、 しきりに表の世界へ帰ることを進めていたようである。 自分が作ったビッグスパイダーが能力者狩りを行っていることを知り、 ケジメを付けるために行動を開始。 かつての仲間であり、自分の名を騙っていた蛇谷を鉄拳制裁した後、 風紀委員である固法に自ら捕まった。 自分の名を騙り悪事を重ねたことを「居場所を守るために仕方なかった」と言う蛇谷に対し、 「居場所とは自分が自分で居られる場所だ」と返答するなど、 スキルアウトにあっても筋の通った行いをする人物。 拳銃や鈍器をもった複数人数を相手に、素手かつ一人で勝ってしまう戦力を持つ。 その人物像については海賊ラジオでも言及されていた。
https://w.atwiki.jp/railgun-yuri/pages/42.html
私は、恋をしてしまったらしい。 相手は以前から喧嘩をふっかけてははぐらかされて来た高校生のあいつではない。 気がつくと、その人のことを目で追いかけてしまう。 気がつくと、その人のことで頭がいっぱいになってしまう。 その人と会う時はほとんど必ず他に二人が側に居るのに、いつの間にかその人しか視界に入っていない。 「初めて会った時から気になってはいたんだけどね・・・」 「は、はぁ・・・」 その人の名前は 初春飾利さん。 「なんか、あの声とかね、飴玉転がすみたいで可愛くて・・・」 「まあ、なんとなく分かりますけど・・・」 「なんか緑色の服とか、クローバーとか似合いそうだよね! あ、初春さん御菓子作ったりとかするのかなぁ・・・」 「さ、さあ、あたしは初春がおかし作りしてるところ見たことないんで何とも・・・」 よく行くファミレスで、私は親友の一人に相談に乗ってもらっている。 相談相手は佐天涙子さん。初春さんの友達で、私とは初春さん経由で知り合った。 私が知っている人の中で初春さんのことをよく知っているのは、寮で同室の黒子か、初春さんの同級生である佐天さん。 最初は、同性を好きだということで黒子に相談しようかとも思ったのだが、何を言われるのかわかったものじゃない、いや、わかりきっているから止めた。もの凄く反対したあげく、初春さんへの風当たりが強くなりそうだから。 そこで風紀委員の二人が仕事に行っている間に、佐天さんにお願いしたのだ。 『恋の悩みを聞いて欲しい』と。 流石に佐天さんも、同性に対する恋の話が、黒子のアタックに辟易している私の口から飛び出してくるとは思っていなかったのだろう。面食らった表情を顔に張り付かせたまま、先ほどから曖昧な返事をしている。 「ご、ごめんね、突然こんな相談に乗って、なんて・・・やっぱりイキナリすぎたよね」 「あ、いえ、そういうんじゃなくて・・・あたしも気持ちはわからなくないですし・・・で、でも、初春もモテモテだなぁ?」 どうやら同性愛のことで引かれた訳ではないらしい。内心で胸を撫で下ろす。 佐天さんはしばらく黙っていた後、なんだか俯き加減でつぶやいた。 「・・・他にも初春のこと好きな人がいるんだ・・・」 「えっ、初春さん、もう恋人いるの?!」 「え? い、いえ違いますよ! ・・・御坂さんの他にも、初春のこと好きな人居るんだなぁ、って思って・・・」 「あ、そ、そうなんだ」 一瞬慌ててしまったことを隠すように、紅茶を飲む。 平静を装ったつもりだったが、動揺は隠しきれなかった。口に運んだティーカップの中で、紅茶が波紋を作っている。 「でもそういう意味では、今はフリーですよ。初春」 「そっか、フリーなんだ・・・『初春さんのことを好きな人』かぁ。多分私の知り合いではないだろうし・・・あ、じゃあ、佐天さんは、その人の事を初春さんがどう思ってるか知ってる?」 「あー、それは・・・ちょっとわからないですね・・・好意はあるみたいですけど」 「そう、なんだ・・・あ、ありがとうね佐天さん。いきなりこんな相談に付き合ってもらっちゃって」 「え、いやいや、別に構いませんよ。それに!」 「それに?」 「『こんな』じゃないですよ。別に女の子が女の子を好きになったって、なんらおかしなところなんて見当たらないじゃないですか。好きになった人がたまたま女の子だった、ってだけの話ですよ」 腕を組んで、佐天さんは自分の言葉に頷きながらこう言った。 私は、良い友達に恵まれたようだ。 「ありがとう、佐天さん」 「ありがとう、佐天さん」 全然屈託のない笑顔で御坂さんにそう言われたとき、あたしは何て返事したら良いのかわからなかった。 あたしは初春が好きだ。 御坂さんと知り合う、ずっと前から。 超能力に憧れてこの学園都市に来たのに全く能力が発現しないあたしが、どうしてドロップアウトせずにここに居続けるか。それは毎日が楽しいから。 クラスメイトたちとおしゃべりしたり、授業中に空を眺めてみたり。そして、恋をして、その相手と買い物に行ったり、料理をしたりしているから。まるで自分がドラマや何かの主人公のようだと感じられるから、だからあたしは学園都市に居る。 それがあたしの心の拠り所だったのに。 あたしの好きな人を好きな人が現れた。 しかも、学園都市の第3位。超能力者(レベル5)。常盤台中学のお嬢様。 あたしの手の届かないところに居る人が、あたしの好きな人を狙っている。 自分が主人公だと思える要素が、目の前でなくなってしまうかも知れない。 そんな嫌な予感のせいで、御坂さんには曖昧な返事しかしてなかった。 ありがとう、なんて言われたとき、あたしはどんな顔をしていたんだろう。 そんなことを考えながら、あたしは御坂さんと別れて帰路についた。 それから一週間。あたしは、御坂さんに勝てる要素探しで頭がいっぱいだった。 「料理は・・・常盤台の授業とかですごいもの作ってそうだしなぁ・・・噂じゃ家庭科で食器の直し方やったりするらしいし・・・うーん、何だったら行けるんだろう・・・」 「何が行けるんですか?」 「えー、御坂さんにあたしが勝てるとしたらなんだろうなぁ、って思って・・・って初春?!」 「もうホームルーム終わっちゃいましたよ。なんだか佐天さんずっとボーッとしてたから、こうして話しかけてるんですけど・・・御坂さんと対決したりとかするんですか?」 「いや、別に対決って訳じゃないんだけど・・・ほら、御坂さんって色々すごいじゃん? 無能力者(レベル0)のあたしが御坂さんに勝てる事って何なんだろう、って思っちゃってさー」 「うーん、そうですねぇ。佐天さんの方が強い事・・・あ、噂話を集めてくる、なんていうのはどうですか? 佐天さん、私でも知らないような都市伝説のお話、沢山仕入れてくるじゃないですか」 「ま、まあ確かにそういう噂には敏感だけど・・・他に、何か他には無い?」 「他ですか・・・お金を探すのが上手いですよね。この前、私が部屋で無くした5円玉、佐天さんあっという間に見つけちゃったじゃないですか」 「うーん、金目のものにも鼻がきくけど・・・何て言うんだろう。そう言うんじゃなくて・・・もっと絶対的なもの、って言うか・・・」 「なんだか条件厳しいですねぇ。でもそうなると、佐天さんの方が長く続けているものとか・・・あ」 「何? 何かあった?!」 「あー、手前味噌で恐縮なんですけど・・・」 「言ってみ、言ってみ」 「佐天さんの方が、私といた時間が長い、とかじゃ駄目ですかね」 「それだぁ!!!」 大声出して立ち上がったあたしに初春が引いていたのは、また別の事。 初春が出してくれた答えは、確かにあたしの中で、御坂さんに負けない絶対の強さを誇っていた。流石に御坂さんでも、時間ばっかりは覆せまい。 そのまま校門前で風紀委員に行く初春と分かれてからも、あたしは優越感と幸福感に浸っていた。 御坂さんから電話で呼び出しを受け、前と同じファミレスに向かい、御坂さんがおごってくれるからというのでジャンボパフェを注文し、真っ赤な顔で紡がれたあの言葉を聞くまでは。 「私ね、う、初春さんに告白しようと思うの」 「私ね、う、初春さんに告白しようと思うの」 初春さんに告白した訳でもないのに、背中に緊張が走った。冷たい粒が転がっていくのがわかる。 ここ一週間。佐天さんに胸の内を聞いてもらってからずっと考えていた。 私の初春さんに対しての想い。 考えれば考えるほどに想いは募り、(黒子が言うにはつつましすぎる)胸は張り裂けそうだった。 私みたいな、常に前に進んでないと気が済まないタイプの人間にとって、こういう膠着状態は辛い。 相手が自分の心を知らなければずっと甘い恋をして居られる、なんて事はよく言われるが、こういう煮え切らないのには耐えられないのだ。 ならばどうするか。 答えは簡単。初春さんに私の心を伝えて、初春さんの返事を聞けばいい。 初春さんがオッケーしてくれれば万事丸く収まるし、もし駄目でも、流石に友達をやめて欲しいなんて事は言われないだろう。それにきっぱり断ってくれたら、私だってすっぱり手を引ける。 だから、告白。 緊張のためか、しばらく時間が止まったような感覚があった後、佐天さんが遠慮気味に口を開いた。 「い、良いんじゃないですか? そ、その、初春の気持ちを確かめる、て言うのも・・・」 「そ、そうよね! 気持ちを確かめるって感じで・・・」 佐天さんにとって、あまりに意外だったのだろうか。なんだか信じられない、というような顔をしている。 それでも肯定ととれるその言葉が、私にとってはありがたかった。 「えと、それで、初春さんがいつ暇なのか、とか知ってたりしない、かな」 「え、いや、あたしも初春の用事全部知ってる訳じゃないんで、流石に・・・」 「そ、そうよね、ハハハ・・・」 「アハハ・・・」 流石にここまで知ろうとするのは虫がよすぎるか・・・ でももう一つ、目の前の人には頼みたい事がある。 「あー、でさ、流石に同性に告白するのって、なんか気恥ずかしいというか、不安というか、ほら、言いづらいところがあるじゃない?」 「ええ、まあ、わかりますけど・・・」 「で、物は相談なんだけど、佐天さん。初春さんに告白するとき、立ち会ってくれないかな?」 水を飲んでいた佐天さんがいきなり吹き出した。 「だ、大丈夫?!」 「ごほっ、ごほっ・・・だ、大丈夫です、ちょっと咽せただけで・・・いや、そういうこと頼まれると思ってなかったんで・・・あー」 佐天さんは大きく息をすると、がっくりとうなだれた。 「ゴメンね、ホント大丈夫?」 「もう平気です。いや、あんまりに御坂さんらしくないお願いだな、と思ってビックリしただけですし」 「私らしく、ない?」 「そうですよ。白井さん曰く『厄介ごとに自分から首突っ込む』そうですし、あたしの目の前でレールガン使って銀行強盗吹っ飛ばすとか、虚空爆破(グラビトン)事件の犯人捕まえて来ちゃうくらい、攻撃的というか、積極的というか・・・ そんな御坂さんが『告白に立ち会ってくれ』なんて、ここまで気弱な御坂さん、初めて見ました」 「そ、そっか・・・気弱、かなぁ」 「あ、でも、御坂さんもあたしと同じ女の子なんだってちょっと安心しましたけど。ほら、なんだか御坂さんって『特別な人』ってイメージありますから」 佐天さんに言われた事は、結構意外だった。 確かに私は、レベルは5だし、名門と言われる常盤台中学に通っているし、浮世離れはしているかも知れない。でも私だって女の子で、おしゃれに気を使ったり、可愛いものが好きだったり、恋だってしたりする。 自分は普通でいるつもりでも、やっぱり端から見れば普通じゃないのか・・・ でも、とも思う。 その普通じゃないところが私の強みなのだとしたら、それこそ、その道を貫き通した方が良いのかも。 「そうね・・・ありがとう、佐天さん。励ましてくれて」 「えっ、ハハ、別に良いですって。大した事してないですし」 その後、用事があるのを思い出したと言って佐天さんは帰ってしまった。 でも、佐天さんのおかげで勇気がわいた。一人で正々堂々告白しよう。『私の他に初春さんの事が好きな人』より先に。 やっと運ばれて来たジャンボパフェを佐天さんの代わりに食べながら、まだ顔も知らぬライバルに先んずるべく、告白の日時を考えていた。 「明日、なんてどうかなぁ・・・」 「明日、なんてどうかなぁ・・・」 ファミレスを出たばかりの私に、ガラス越しの御坂さんの声が聞こえた気がした。 それと同時に、御坂さんに言った一連の言葉を反芻して、後悔する。 なんで、あんな励ますような事言っちゃったんだろう・・・ ここに来るまでの間の優越感が、あたしの余裕になっていたからかも知れない。その余裕も、御坂さんの「励ましてくれてありがとう」の一言でだいぶなくなってしまったが。 御坂さんの事だから、このままでは明日にでも初春に告白しかねない。 どうするか。 どうしよう・・・ 蘇る、初春の言葉。 「佐天さんの方が、私といた時間が長い、とかじゃ駄目ですかね」 御坂さんよりあたしの方に好感を持っている、という言葉ともとれる。 でも、裏返せばその好感が当たり前になっていて、友達としてしか見ていない、というようにも解釈できてしまう。 そう思ったとたん、あたしにとっての錦の御旗であったはずの初春の言葉が、唐突に色を失った。 どうしよう・・・ 翌日。学校の門をくぐったところで初春を見つけた。よぅし、ここは景気づけに一つ・・・ 「うーいっはるぅー!!」 「ぅひゃあぁ!」 「おー、今日はピンクのしましまかぁ。相変わらず子供っぽいけど、そういうところも好きだよ、初春♪」 「やー! なんて事するんですか、佐天さん! 何で毎回毎回私のスカート捲るんですかぁ!!」 「え、そりゃだって、う、初春だし?」 「理由になってませんよ!」 「だ、だって初春の事、好きなんだもん・・・」 「好きなら好きで、なんでその人のスカート捲るんですか!」 いつものように目尻に涙を浮かべながら、初春は早足で去ってしまった。 はあ、冗談にかまけて言ってみたところで、やっぱり伝わらないのかなぁ・・・ ストレートに言ってみれば良いのに、あたしの意気地なし・・・ 朝の事を後悔しながら放課後、初春を買い物に誘う。 「ねえ初春、セブンスミストに買い物に行かない? そろそろ水着の季節だしさ、どの水着が似合うか選んで欲しいんだけど」 「あ、ごめんなさい。御坂さんから呼び出しがあったんですよ。何か事件かもしれないですから、ちょっとそっちに行ってきます。風紀委員として、そういうの放っておけないですからね」 「えっ」 とうとう来た。来てしまった。 信じられない、信じたくない瞬間。 「そ、そっか。じゃあ御坂さんによろしくね」 「あれ、佐天さんも誘おうと思ってたんですけど・・・一人で水着見てもあんまり面白くないじゃないですか。一緒に行きません?」 「いやぁ、どっちにしろ食料の買出しには行かなきゃいけないからさ」 「それじゃあ仕方ないですね・・・じゃあ、佐天さん、また明日」 「う、うん。じゃーねー」 教室の外へ出て行く初春を見送って、あたしは歩き出した。初春の後を。 もちろん、御坂さんの告白の顛末を知るためだ。 一定の間隔を空けて、初春に気づかれないように後をつける。あんまり初春が気づいたそぶりを見せないから、風紀委員としてこれで大丈夫なんだろうかと多少不安になったりもしたが、そんな些細な考えはすぐに頭の片隅に追いやられてしまった。 御坂さんは初春に告白するんだろうか。 何所で? これから? それともちょっと買い物とかしてから? 一緒に甘いもの食べながら? 初春に似合いそうな、今のよりもっと凄い花飾り用意してたりして・・・? で、気をよくした初春に「私と付き合わない?」とか聞いたりするのかな・・・? あたしの頭の中で御坂さんの告白に初春がyesの返事を返しかける光景を、慌てて振り払う。 弱気になっちゃダメ! 初春と一緒になるのはあたしなんだから・・・! そうこうしているうちに、初春は大きな公園へと入っていった。噴水があって、それを取り囲むようにベンチがいくつか配置されている。何人かが腰を下ろして、午後の一時をくつろいでいた。 初春はベンチのうちの一つに座って、辺りを見回している。どうやら御坂さんとはここで待ち合わせていて、呼び出した当人はまだ来ていないようだ。あたしにはそっちの方が都合が良い。初春は尾行に気づかないかもしれないが、御坂さんなら気づいてしまうかもしれない。 これなら御坂さんが来る前に、話が聞こえて、かつあちらから見えない場所を探しておける。 大きな公園なら入り口はいくつかある。別の入り口から入ったあたしは、初春が座ったベンチから死角になる位置にあるベンチに腰を下ろして、顔を俯かせるためにノートを膝の上に広げた。 ほどなくして、御坂さんがやってきた。 噴水の音が邪魔して良くは聞こえないが、会話の内容ならつかめる。 「ごめん、待・・・・・・ちゃった?」 「ごめん、待たせちゃった?」 待ち合わせの時間5分前。約束の場所に来ると、すでに初春さんが待っていた。 遅れた私が悪いのに、初春さんは花のような笑顔を綻ばせる。 「いいえ、私もさっき来たところですから。ところで御坂さん、用事っていうのは・・・」 「あ、うん、これから話すね。・・・その前にちょっと念押しするけど、良い?」 「ね、念押しするほどすごい情報掴んで来たんですか?!」 「いや、別に何かのタレコミって訳じゃ無いんだけど・・・初春さんにとって多少なりともショッキングなことかもしれないから、あんまりびっくりしないで、ってくらい」 「い、一体どんなお話なんですか・・・」 初春さんの不安そうな顔をよそに、私の心臓は早鐘を打っていた。 さあ、言うのよ私! これでどっちに転んでも決着がつくんだから! 大きく息を吸って、吐く。そして初春さんに向き直る。 「あ、あのね。最近、空が羨ましいんだ」 「へ? 空、ですか?」 初春さんが拍子抜けしたような顔をした。構わず、私は言葉を続ける。 「そう。暖かい日射しで、花を元気にする。それで代わりと言っちゃあれだけど、きれいに育つ花を毎日見せてもらうの。私、あなたの空に、太陽になりたいの」 「えっ」 「毎日花を愛でたい、貴女と一緒にいたい」 初春さんの手を取る。初春さんは何も言わなかった。 「初春さん、付き合ってください」 言い切った後、緊張のせいで目をきつく瞑ってしまった。 手からは心臓の鼓動が伝わってしまうかもしれない。 ほとんど何も考えられずに、私にとっては永遠にも等しい時間が流れる。 「良い、ですよ」 初春さんの声がする・・・返事は、どうなんだろう。 「お付合いしましょう、御坂さん」 目を見開く。唐突に明るくなった目の前には、照れくさそうに微笑む初春さん。 「御坂さんの太陽、あったかいですから。時々、ちょっと暑すぎるくらいですけど」 何て言ったら良いんだろう、この感じ。 いや、言葉でなんか言い表せない。感無量なんて言葉じゃ全然足りない。 でも、それを初春さんに向けるとしたら。言うべきことは、ただ一つだった。 「ありがとう、初春さん!!!」