約 3,882,658 件
https://w.atwiki.jp/kinsho_second/pages/2097.html
前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/とある不幸な都市伝説 5日目 中編 今思えば、今日は朝から何かがおかしかった。 寮の中はいつもよりざわついていたし、 普段から注目を浴びてはいるが、今日はいつにも増して視線を感じている気がした。 白井も朝から滝【シャワー】に打たれながら、なんだかぶつぶつ呪文を唱えている。 まだ上条を呪い殺す事を諦めていないらしい。 「スベテハアイノターメリック ハラハラハラペーニョ ナカレチャヤダモンシナモンカルダモン ムリカパプリカ―――」 節子…それも黒魔術の呪文やない。おいしいカレーを作るための呪文や。 うん、白井だけは通常運転だったようだ。 とまぁそんなわけで、御坂は今日一日中、授業も集中できなかった。 そう、今日は朝から何かがおかしかったのだ。 そして現在は放課後。 御坂は大勢の少女達に囲まれている。 「御坂さん! 好い殿方がいらっしゃるというのは本当ですか!?」 「さすがは御坂さんですわ! 是非、私にも紹介してくださいな!」 「御坂様がお選びになった方なら、きっと素敵な御人なのでしょうね……羨ましいですわ。」 なぜか、「御坂には恋人がいる」という噂が広まっていたらしく、彼女は放課後になると同時に質問攻めにあっていた。 どうやら噂の出どころは婚后らしい。 おそらく婚后は、昨日風紀委員第177支部で聞いた話を学校中に広めたのだろう。そして噂には尾ひれがつくものである。 たしかに常盤台の生徒にとって、これ以上の話のネタはない。 なにしろ御坂は、校内ツートップのひとりだ。 しかもそれが恋愛話となれば、それはもう盛り上がるだろう。 いくらお嬢様といえど、そこはやはり中学生なのだから。 だが当の本人はたまったものではない。 昨日、上条への想いを姫神にぶちまけたおかげで、多少吹っ切れたことは確かだが、それでもこの状況はあまりよろしくない。 「え…あの…だから…それは…アレが…コレで…ふにゃ…ふにゃ…」 御坂はあまりの恥ずかしさに、うまく否定することもできず漏電しかかっていた。 このままでは多くの少女達が犠牲になってしまう。 だが、ついに御坂が「ふにゃー」しかけたその瞬間、 周りを囲んでいた少女達は、一糸乱れぬ動きで一斉に御坂から離れ、 突然、腕を前から振り下ろして、前曲げを深く大きく反り始めた。 「なっ……!?」 おどろく御坂だが、彼女達が急にラジオ体操第二を、しかも途中から始めた事におどろいている訳ではない。 むしろ原因が分かっているからこそおどろいているのだ。 こんなことができるのは、学園都市広しといえど、いや、世界中探しても彼女だけかもしれない。 常盤台中学のもうひとりのLEVEL5。 食蜂操祈だ。 (……何を考えてるのかしら………) 助かったが、素直に喜べない。 食蜂は無償でこんなことをする人物ではないのだ。 ただの気まぐれか、何か企んでいるのか。 まぁ十中八九後者だろう。 だが問い詰めたところで、はぐらかされるのがオチだ。 なので、御坂は食蜂に会わずに教室を出た。 というより、そもそも会うのも嫌だったのだ。 それほど食蜂のことが苦手なのである。 走り去る御坂の背中を見つめながら、食蜂は何を思うのか。 「くすくすっ…上条当麻ねぇ………面白いこと聞いちゃった☆」 おそらく、ろくでもないこと思ってる。 御坂はいつもの公園に向かっていた。 上条と会うのは気まずいはずなのに、気が付くとそこへ足が向いていたのだ。 いやはや習慣とは恐ろしい。 ここは、上条のエンカウント率が最も高い場所だ。 とはいえ毎回会えるわけではない。 狙って会おうとすると会えず、忘れた頃にばったり会ってしまうのだ。 まぁ、はぐれメタルのようなものである。 見慣れた自販機が見えてきた。いつもハイキックをきめる、あの自販機だ。 するとその隣に人影が見えた。 その人影は、こちらにどんどん近づいて来る。 嫌な予感がする。 見間違えるわけがない。あのツンツン頭。 御坂が今、一番会いたくない人物。 上条当麻だ。 やはりこの男は、会いたくないときほど、ピンポイントで会えるらしい。 御坂は、上条の存在に気付くやいなや、即座に踵を返し逃げようとした。 このままではマズイ。 一昨日の出来事が鮮明に蘇ってくる。 上条の顔を見ただけで、体温が1℃上昇しているのだ。 話しかけられたら、どうなるか分かったものではない。 しかし上条はそんなこと知る由もないらしい。 御坂は腕をガッと強引に掴まれた。 逃げられない。 いつもならこんなとき、適当に電撃でも浴びせて相手から距離をとるのがセオリーだ。 だが上条に能力【でんげき】が効かないことは、過去の経験【おいかけっこ】から分かりきっている。 そういった意味ではまさに天敵だ。いまなら神・エネルの気持ちがよく分かる。 「すまん美琴!! この前のは、俺が全部悪かった!! 謝ってすむ問題じゃないけど、とにかくゴメン!!」 腕を掴まれて心臓がバックバックしている中、上条が一昨日のことを謝ってきた。 御坂も、自分の心音が上条に伝わらないか心配しながら答えた。 「べべべ別にいいわよ!!! あ、あれは事故だって分かってるし!!」 冷静に対応した(つもりだ)が、目は合わせられない。 もう何がきっかけで漏電するのか分からない状態なのだ。 だが、せっかくこっちが漏電しないように必死に頑張っているというのに、 上条は「知ったこっちゃねぇよ」と言わんばかりに、次々に追い討ちをかけてくる。 「美琴、ひとつ聞くけど……お前、俺のこと好きか?」 突然なんちゅう質問してくるんだコイツは。 きっと上条の作戦は「ガンガンいこうぜ」なのだろうが、「いのちだいじに」に変更したほうがいいのではないだろうか。 御坂的には当然「YES」なのだが、そんなもん言える訳がない。 だって恥ずかしいから。 「バッ!! ババババカじゃないのっ!!!? そそそんなことあるわけないじゃない!!! バカじゃないの!!? あ、あ、あたしが何でアンタのこと、す、すすすす好きじゃないといけないのよ!! バカじゃないの!!?」 思いっきり拒否ってしまった。 本当にツンデレというのは、苦労が絶えない生き物である。 しかし上条は諦めていないらしい。 彼は、少し切羽詰ったような真剣な顔で、御坂にある頼みごとをしてきたのだ。 それは御坂にとって、とんでもない要求だった。 「頼む美琴!! 俺の恋人になってくれ!! 俺にはお前が必要なんだ!!」 …………………………? 御坂は、上条の言った言葉を頭の中で繰り返す。 始めはその意味が分からなかったが、彼女はこの学園都市でも三番目の頭脳だ。 30秒間じっくり演算した結果、ついにその意味を理解する。 !!!!!!!???? 「美琴? おい美琴!!」 理解した結果、彼女は立ったまま気絶した。 氷帝の部長のように、この後坊主にされないか心配である。 「くそっ…美琴まで……」 突然気絶した御坂を、上条はゆっくりと公園のベンチに寝かせた。 きっと魔術によってこうなったとでも思っているのだろう。 (これからどうすっかな……) 上条はどう動くべきか悩んでいた。 一刻も早く魔術師を見つけなければならないが、御坂をこのままにしてもおけない。 そもそも敵の情報が少なすぎるのだ。 というかそんなものは端から無いのだが。 下手に動くこともできず、上条は御坂の隣に腰掛けた。 その様子を食蜂はこっそり見ている。 彼女はあの後、御坂のあとをつけていたのだ。 御坂にさとられないように大分距離をとっている為、会話はまったく聞こえなかったが、 二人の様子を見た感じ、確かに恋人同士に見えなくもなかった。 (あの御坂さんに彼氏ねぇ……情報力には自信あったけど、直接見るまでは半信半疑だったのよねぇ。 それにしても、いまどき公園デートだなんて、なかなかカワイイ所があるじゃないのぉ。 まぁ、御坂さんには子供っぽいデートの方がお似合いだけどぉ。) そこで食蜂はニヤリと笑った。 (本当、その幸せそうな空気、私の改竄力でぶち壊したくなっちゃうわぁ……) 食蜂は、バッグからリモコンを取り出し、そのまま上条に向けた。 「ピーリカピリララポポリナぺーペルトー! 御坂さんのことが大っ嫌いになぁ~れ☆」 ……………おかしい。 食蜂が、お邪魔な魔女のような呪文を唱えたことがおかしいのではない。 何も起きないことがおかしいのだ。 彼女の能力は「心理掌握」。 精神に関することならば、読心、念話、洗脳はもちろんのこと、 記憶の消去や意志の増幅など、もはや何でもござれな能力だ。 その応用性の高さから、十徳ナイフに譬えられる程である。 ベガ様のサイコパワーだって、ここまで便利ではないはずだ。 彼女が、「牛丼を嫌いになれ」と言えば、牛丼一筋300年の人だって食えなくなるのだ。 だが上条が御坂を嫌いになった様子は無い。 相変わらず御坂の隣に座っているし、 たまに御坂の髪を撫でてみたり、ほっぺをプニプニ突付いてみたりしている。 上条的には、「早く起きてくれないかなぁ…」と刺激しているつもりなのだが、 傍から見れば、カップルがじゃれ合っているようにしか見えない。 (ど、どうしてぇ!? 私の改竄力は完璧なはず……なのにどうして効いてないのぉ!?) 今までこの能力は、御坂以外に破られたことはない。 しかも、御坂のときのように電磁バリアで遮られている感覚はない。 まるっきり効いていないのだ。 まるでその場で打ち消されているような、そんな感覚だった。 全く出会ったことのない未知の能力に、食蜂は顔を強張らせた。 まさか「幻想殺し」なんてトンデモ能力がこの世にあるなんて、想像もつかなかったであろう。 しかし、ここで諦める食蜂ではない。 (………ほ、本人に効かないなら、周りの人間を使えばいいだけじゃない。) 食蜂は辺りを見回した。 すると、映画のパンフレットを二冊持って唸っている、小柄な少女を発見したのだ。 「むー……超迷いますね。 『エイリアンVSプレデターVSジェイソンVSフレディ』にするか、 それとも『実写版 ジョジョの奇妙な冒険(第5部)』にするか…… どっちもC級の匂いが超しますが、今月はあの超名作『義妹』のDVDも発売することですし………う~ん……」 何かぶつぶつ言っているが、関係ない。 食蜂は「今度こそ!」と、意気込みながら、少女にリモコンを向けて能力を使う。 すると少女は、一目散に上条のところへ駆けつけた。 (……今回は全速力で効いたわねぇ。本当にさっきのは何だったのかしらぁ?) 上条はベンチに腰掛けながら、ケータイをじっと見ている。 (一応、一方通行と浜面にも連絡しといたほうがいいかな…? あいつらも『闇』に深く関わっちまってるし……) などと思っていると、向こうから小柄な少女が猛ダッシュしてきた。 名前は知らないが見覚えはある。 確か、屈辱のバニーがどうとか言っていた子だ。 「えーと……何かご用でせうか?」 「好きです! 超好きです! 超付き合ってください! 今すぐに!」 上条は内心「またか」と思いながら、念のため少女の頭を触ってみる。 するとあっさり洗脳が解けた。 「あ、あれ? 私は何をしてたんですかね…?」 (解けた!? 姫神たちにはダメだったのに…… 幻想殺しも効くときと効かないときがあるのか。 何か法則があるのか?) おどろく上条だが、その一方でもっとおどろいている人物がいた。 (な、な、な、何でなのぉ!? 私の洗脳力がまったく通用しないなんて、一体どんな能力なのよぅ!! くっ……ここは一旦退くしかなさそうねぇ…… 一度、彼のことをじっくり調べてから出直しましょう……) 食蜂は作戦を立て直すために、そそくさと帰っていった。 彼女は、もはや御坂を邪魔することよりも、上条本人に興味がそそられていることを、はたして自覚しているのだろうか。 「何だかよく分かりませんが、超助かりました。 ありがとうございます。」 「いや、気にしなくていいって。 それよりも、あんたを洗脳したヤツに心当たりはないか? 犯人を追う手がかりが、ひとつでも欲しいんだ。」 「う~ん、分かりませんね……でもこの私の精神を乗っ取るってことは、 相手は超やり手の能力者だと思います。 それこそ「心理定規」や「心理掌握」クラスの……」 「そっか…ありがとな。(なるほど、魔術師だとばかり思ってたけど、能力者って線もあるのか。)」 さらにドツボにはまっていく上条。 その上条を横目で見ながら、少女はケータイを取り出した。 「ケータイの番号、超教えてください。」 「? なんで?」 「協力します。 私もやられっぱなしじゃ超気が済みません。 情報が入ったら連絡しますので。」 「ありがと。 そう言えばお互い、自己紹介してなかったな。 俺は上条当麻。 よろしくな。」 「私は絹旗最愛です。 超よろしくおねがいします。」 アドレスを交換して絹旗と別れた。 食蜂と絹旗。 新たに二本の小さい旗【フラグ】を建てたことは、当然上条は知らない。 (それにしても、思ったよりも事態は深刻なのかもな…… やっぱり恋人役は必要だな。 返事もまだだし、早く起きてくれ美琴~!!) 深刻なのはお前の頭の中だけである。 目を覚ますと、そこは公園のベンチだった。 (あれ……どうしてあたし、こんな所にいるんだっけ……) ぼんやりとした頭が徐々にはっきりしてくると、なぜ自分が気絶したのか思い出してきた。 「!!!!!!!!」 御坂はガバッと起き上がる。 すると目の前には、いきなり上条の顔があった。 「おっ! やっと起きたか美琴……って、うおーい!!!」 再び気絶しかけた御坂を、上条は抱きかかえた。 そんなことするから気絶するんだってば。 「しっかりしろ! 美琴!!」 「ううううるさいわね!!! アアアアンタが変なこと言うのが悪いんでしょうが!!! ああああたしにだって、その、こ、こ、こ、心の準備ってもんが……(ごにょごにょ)」 変なこととは、先程の告白のことだろう。 確かに変だった。 「そっかぁ~…やっぱダメかぁ~…… そりゃそうだよなぁ~……」 「!!! ダ、ダメなんて言ってないでしょうが!! 何で簡単に諦めんのよ!!」 「えっ? じゃあいいのか?」 「えっ!!? ま、まぁどうしてもって言うなら? 考えてあげても? いいけど?」 テンパって自分でも何を言っているのかきっと分かっていないだろうが、御坂は恋人になることを否定しなかった。 この無自覚男が突然、本当に突然、不自然なくらい突然に告白してきたのだ。 聞きたいことなど山ほどあるが、そんなことは後でいい。 このチャンスを逃してはならない。 本当のところは、もういっぱいいっぱいなのだが、気絶なんかしていられない。 御坂は気合と根性で漏電を堪えていた。 そもそも、向こうから恋人になってくれと言っているのだ。 そりゃもう、なってやろうじゃありませんか。 「良かった~! ありがとな美琴!!」 「~~~~~!!!」 何かもう、うれしいとか恥ずかしいとか、色んな感情が入り乱れすぎて、どんな気持ちか分からない。 「じゃあ詳しく説明しなきゃな。(事件のこととか。)」 「い、いいわよ! あ、あ、あたしだって子供じゃないんだから!! ど、どうすればいいかなんて分かってるんだから!! (今のアンタの気持ちなんか詳しく聞いたら、絶対にまた気絶しちゃうじゃない!)」 「そっか、じゃあこれからヨロシクな!(美琴は事件のこと知ってるのか……まぁ説明する手間が省けたし、いいか。)」 「う、うん! ヨロシク!!(ヨロシクってことは……やっぱりそういうことよね…… うわ~!どうしよ~!!)」 こうして晴れて恋人同士(?)になった二人。 しかし、二人にはこれからも様々な障害が立ち塞がることだろう。 だって会話が成り立ってるようで成り立ってないんだもん。 そしてそんな二人のもとに、8人の魔術師が近付きつつあった。 彼等は果たして何者なのか。 敵なのか、それとも……? つづく。 なんだこの状況。 前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/とある不幸な都市伝説
https://w.atwiki.jp/agewiki/pages/9.html
接続方法 Ragnarok Online公式HPよりクライアントをダウンロードし、インストールする インストールが終わったら本家ROを立ち上げてパッチを最後まであてる 接続キット、Sdata.grf、追加パッチをAge鯖HPよりダウンロードする ダウンロードしたデータを解凍し、本家ROをインストールしたフォルダに解凍したものを入れる ROフォルダ内にsakray.exeがあるので立ち上げてパッチをあてる(桜井パッチ 以上が終了したらAge.exeより起動 『***.rar』ファイルとは rar形式で圧縮されたファイルのことです。rarに対応した解凍ソフトを使用して解凍しましょう。 接続・DL関連FAQ ダウンロードがうまくいかないダウンロード支援ソフトを使用して下さい。 dllエラーがでてAge.exeが起動できないdllはRO公式クライアントに含まれています。un○○○.dllはもう一度DLしたものを確認してみよう。 Age.exeの起動に失敗する(エラーが出る)場合はマイクロソフトのHPへいき.NET Framework Version 2.0(3.0でも可)をインストールして下さい。 Notice.txtエラーがでる告知は見えれませんがそのままOKすればゲームはできます。告知は告知スレ、WikiTOPページを参照して下さい。Age.exeを立ち上げて、鯖に接続を試みて~のときにいちどキャンセルし、再度たちあげると読み込むこともあるそうです どうしてもAge.exeからの起動ができない。run.exeから起動してください。ただし、最新パッチがあたらないため、AgeHPへの追加パッチ待ちとなります。そのためパッチをあてれるまではエラーがでる等はあるかもしれません。 sdata.rarって解凍できないっぽいのですが?rar形式に対応した解凍ソフトで解凍してください。(WinRAR、Noah等)
https://w.atwiki.jp/jyakiganmatome/pages/1518.html
名前:羽黒 鬼百合(はぐろ おにゆり) 名跡は『赤輝血(あかがち)』。鬼百合は本名だが姓の本来の綴りは『刃畔』。 よって全名は『刃畔 赤輝血 鬼百合(はぐろあかがちのおにゆり)』。 神力:『潯眼』(しんがん) 全ての物質に存在する『ほころび』を、視覚情報として捕らえる。 『ほころび』とはすなわち物体に存在する『死線』そのものであり、ここを正確に攻撃すれば、それは確実な一撃必殺となる。 潯眼発動時、その瞳は紅に染まる。 本来この能力は『神眼』であり、現実の視界によってある程度その性能が落ちるが、鬼百合は修行と鍛錬によってこれを完成させた。 現在は視界を有したままでもほぼ完璧に『ほころび』を見切ることができる。 ちなみに『潯』とは「水を湛えた底知れぬ淵」の意。 種族:稲荷 性別:♀ 年齢:??? 中の人:イザングラン◆JAgRVpOyBc 一人称:私 二人称:貴様 三人称:奴 口調:無口でぶっきらぼう 口癖:「黙れ」 好きなもの:刃物で斬られて血が噴出す一瞬前の肉の断面 嫌いなもの:人や物の多い場所 容姿1: 黒い着物に紅い襦袢と帯、黒い袴姿。 履物は編み上げのブーツを履き、長い黒髪を頭の上で結んでいる。 左腕は二の腕から無い。 装備: 神器:狐刀『真打陸奥丸』(ことう しんうちむつまる) 『刀』型神器。鬼百合が装備した場合、和製のナイフのような形状になる。 能力は液体の操作。鬼百合が「液体」と認識しているものを、物理法則を無視して操る事ができる。 柳が持つ影打陸奥丸の真打であり、鬼百合は稲荷を抜ける時にこれを奪い盗み出した。 使用技: 『羽黒神源流抜刀術・“改”』 抜刀術と居合にその技術の殆どを置いた、稲荷に伝わる剣術の一流派。 その発祥は羽黒の血統にあるべくして、あくまでも暗殺剣。 刀を抜き、斬るまでの時間を極限まで短縮するという思想が根底にある。 納刀状態から瞬間的に最高速度に到達するその剣先は、気配を立って得物に近付き一撃で仕留める獣の狩りを思わせる。 鬼百合はこの抜刀術を自己流に改良し、片手の抜刀状態から連続で神速の斬撃を繰り出すまでに昇華した。 ◆神器第一開放 液体、特に水の操作。 しかし、使用者が「液体である」と認識しているものであれば何でも操れる。 鬼百合はこれをしばしば左腕代わりに使う。 ◆神器第二開放 開放のための“見得”は『殺(ころ)せ』。 刀身から指向性を備えた特殊な音波を発し、刃そのものの切れ味の上昇、また遠距離に斬撃を飛ばす。 しかしこの能力は攻撃する場所の正確さが失われるため、正確すぎる鬼百合の『潯眼』との相性はあまり良くない。 戦術: 潯眼の能力とその神速の居合いで、射程距離内に入った相手を瞬間的に殺す事ができる。 超人的な反射神経や予知能力が無ければ、受けるのは至難の業。 しかし同様に『死線』を見切れる『神眼』を持った者との戦いにおいては、相手にこちらの狙いを読まれるために戦い辛い。 職業:抜け稲荷。 花札:『柳の屑』、或いは『柳に鬼』 柳は唯一、屑札がこの一枚しかない。 他の屑札にはそれぞれの植物が単体で描かれることが多いが、この柳の屑だけは柳そのものが描かれない。 赤と黒で描かれた図案は、多くが“雷雨の中で太鼓を拾う鬼の腕”である。 そのためこの札は別名『柳に鬼』、或いは『鬼札』と呼ばれる。 地方によってはこの鬼札に“全ての札を取れる札”という効果を持たせるルールも存在し、文字通り他の手を殺す鬼の札である。 鬼百合 真っ赤な花を燃やすように咲くので、その激しさゆえに鬼の名が冠せられた。 黒い斑点があるせいか、その香りをかぐと、そばかすができるともいわれた。 また、ヨーロッパではこの斑点が醜いと見られた。 代表的な花言葉は「嫌悪」「侮蔑」「純潔」「飾らぬ美」「荘厳」「軽率」。 設定 羽黒 柳の実姉。 過去に羽黒家当主の座を求め、それを柳に奪われた過去がある。 しかし、これには羽黒の掟が深く関わって来る。 詳しくは『過去』参照。 戦う際にはただ只管に斬りかかるが、真に恐ろしいのはその瞬間的に振り切れる殺意。 全く初対面の相手であろうと、殺す必要があれば生まれた時から怨んでいたかのような強大な殺意を“意図的に”持つことができる。 この殺意はある種の才能だとも言えるが、逆にこの殺意は鬼百合自身を殺人の衝動に突き動かすものでもある。 度々、ふらりと夜の街に出ては返り血を浴びて戻ってくるが、どこで何を斬っているのかは不明。 過去 柳はずっと知らないものだと思っていたのだが、実は鬼百合もまた、羽黒家の当主が眼を潰すという掟を知って居た。が、同時に、ひとたび当主になればその権力と引き換えに、羽黒の血筋に永遠に縛られ続け、その手に血を浴びなければならないということも、『完全なる神眼』を持って生まれた柳がこのままでは否応無く当主となる事も知っていた。そのため鬼百合は柳にそんな仕来りを背負わせまいとし、柳よりも強いことを証明して自分が当主となるつもりであった。 そして次期当主を決定するための御前試合、あらかじめ鬼百合は柳を呼び出して話しを通し、自分を勝たせるように柳に言う。そして鬼百合はその予定通りに柳に一太刀を見舞った。 が、柳はそれを避け、逆に鬼百合を打ちのめしてしまった。 柳は羽黒の当主が眼を潰し、光を奪われるという事を知っていた。しかし、この事を鬼百合が知っているという事は知らなかったのだった。同時に、もしも面と向かってその事を伝えても、姉は決して当主の席を譲らないまま自分の眼を潰すだろうという事は、妹として痛いほどに解っていた。 柳は鬼百合が光を失わないようにという愛情で鬼百合を倒し、そしてまた鬼百合も、羽黒の血筋に柳が縛られないようにという思いから当主の座を奪おうとしていた。 そんな姉妹の思惑は互いにすれ違ってしまい、結果的に、裏をかいた柳が羽黒家当主となることになった。 がその夜、鬼百合は刀を手に柳の寝込みを襲い、柳に斬りかかる。しかし殺すつもりは無く、ただ柳が二度と剣を取れないようにしようとしただけであった。剣が振れなければ当主にはなれない。鬼百合はそんな歪んだ愛情から、柳を斬ろうとした。 だが、柳は鬼百合が思う以上の存在であり、そして羽黒の当主に相応しき決断の速さとある種の残酷さを持ち合わせていた。 斬りかかった鬼百合の一閃は寸前でかわされ、逆に振り切った鬼百合の左腕は、柳の枕元の短刀によって切り落とされてしまった。確かに鬼百合は柳に深手を負わせようとして斬りかかったが、しかし柳もまた、その攻撃に対してただ機械的に反応したわけではなかった。 「剣が振れなければ当主にならずに済む」。 柳もまた鬼百合と同じ、血を分けた姉妹を思う愛情から、鬼百合の腕を落としたのだった。 次期当主を殺そうとした鬼百合はすぐさま取り押さええられ、腕の治療を施された後、地下牢に幽閉され、柳と鬼百合は互いに会う事すら不可能となった。互いに互いの本心を伝えられぬままに、鬼百合はやがて柳を、自分の愛に気付かず当主という座に溺れたのだと思い込み始める。。 やがて鬼百合は遠くの分家へと引き取られることとなるが、その際に牢の扉が開いた瞬間を見計らって見張りの懐刀を奪い、見張りを刺して脱走。修羅の如き形相のままで蔵へ押し入り、当主の証である神器・『真打陸奥丸』を奪って姿を晦ませる。 以上が、稲荷側の把握している鬼百合の顛末である。 しかし稲荷から抜けた鬼百合はその後、陸奥丸と共に自ら命を絶とうとしている所を信楽一派の首領、信楽厳三郎綾御津に拾われ、それ以来信楽一派に身を置く。 が、厳三郎綾御津に協力しているというわけではなく、その理由はただ『此処に居れば殺せるから』である。 閉じ込められていた暗い牢獄の中で、鬼百合は「自分に柳を斃すだけの力さえあったならば」という思いを巡らせ続けていた。その思いは信楽一派に拾われた後にもじわじわと姿を変えながら鬼百合の心を蝕み続け、次第に「柳以上の強さ」を求める心は、「柳への殺意」へと変貌していった。 鬼百合の歪んだ愛憎は強烈で無差別な殺衝動として、未だに心の奥に、水底の泥の様に淀み凝っている。 .
https://w.atwiki.jp/kinsho_second/pages/3613.html
前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/とある科学の超荷電粒子砲(プラズマ・キャノン) 第3部 第16話 第四章(1) 9月26日 (土)5時 薄暗い早暁の街並みを、いつもように散歩する。 長すぎた夏は終わりを迎え、乾いた冷涼な空気が辺りを包む。 昨夜は、深夜まで祝勝会でどんちゃん騒ぎで結局床に就いたのは午前2時だった。 生体電流を操作し精神の制御ができる能力は便利なもので、 生体電流を操作し2時間死んだように眠り、何事もなく起きる。 (まあ電極までぶっこんで能力者にもなってこのくらいできなきゃメリットないわ) 婚約者にはその恩恵はなく、いまだに死んだように眠っている。 叩き起こすのも可哀そうなので一人で歩く。私は選手兼警備責任者としての 慌ただしい日々が終わり、いつも通りのリズムを取り戻す 過酷な能力開発時も雪が降ろうが欠かしたことのない朝の散歩。現時点の 自分の位置を確かめ、将来への道のりを再確認する場。20分ほどだが、眠気もとれ頭の回転をよくする 儀式として欠かせないもので私の生活のリズムに組み込まれている。 落ち着いてみると、この街の大人の事情に嫌でも関わる自分の立場に気づかされる。 木原の乱の後処理は何も終わっていないのだから。 ・・・・・・・・・・ 7時 私は、久しぶりにブルームバーグの経済ニュースを聞きながら、朝食 を作り終える。 ECB(欧州中央銀行)が、金融危機対応で量的金融緩和政策とマイナス金利政策を決定した 以外に特に大きなニュースもなく、淡々と作業を続ける。 久しぶりに、朝食に時間をかける。かぼちゃの冷製スープ、オニオンと大根、ニンジンとレタスに軽くオリーブ油を軽くかけたサラダ。そこにいり卵と軽く焼いたベーコン、カットして軽く焼いたフランスパン (まあささやかな朝食だけどね・・) パンとベーコンの香りが食欲を誘う。寝坊助の婚約者を起こしにベットルームに向かう 婚約者は、まだ眠そうだが一応起きていた。 「おはよう目は覚めたようね。朝食ができたわよ」 「ありがとな・・でも美琴て本当タフだな・・」 「まあ体力は自信あるからね・・それに能力で最適化できるし」 「さすがだな・・でも無理するなよ」 私は当麻を連れて食卓へ向かう、久々の休日思いっきり当麻に甘えよう。 一山超えた安ど感が2人を包む 当麻が食卓に座り、目を凝らす 「久しぶりに手間かけたね」 「まあ、普通の朝食メニューだけど」 「いやいや、本当に食欲をそそります」 私と当麻は、呼吸を合わせて唱和する 「いただきます」 15分ほどで食事を食べ終え、一方通行の影響で飲むようになったブラックコーヒー を飲みながら、私は話を切り出す。昨晩突然急きょ決まった出張その話を婚約者に 告げなければならない。私は、コーヒカップを食卓におき、おもむろに語り始める 「当麻、突然なんだけどフランスへ出張することになった」 「え?」 「私もびっくりよ、本当なら木原唯一が主宰するAI兵器開発の国際学会に統括理事会から 直々のご指名で代わりに私が指名されたわけよ」 「だけど・・」 「代わりがいないそうよ」 「そうか・・まあ美琴ならそうかもな」 「学園都市のAI兵器開発部門の元締めは木原唯一だった」 「その穴を埋める存在は私しかいない。そうゆうわけよ」 「でいつからいつまで?」 「現地時間で9月27日から9月29日までよ。明日正午に出国するわ」 「えらく急だな」 (まあ当麻がそう思うのも、無理はない私が聞いたのも昨晩だしな・・) 「で・・風紀委員会副委員長はどうする?」 「まあ、AI任せかな、その辺はいつもと一緒」 私は少しいたずらっ子のような表情を作り、話を続ける 「それと・・当麻にはボディーガードを頼みたいわ」 「はあ?美琴にそんなものいるのか?」 当麻が釈然としない顔をする。学園都市のレベルファイブとは軍隊に比肩する存在 一人で戦争ができるレベル・・ましてやその1位。お遊びで本気のレベル3~4の 能力者1000名を片手間で捻りつぶした存在だ。 私は多少笑いながら話を続ける 「もともとレベル5の出国には制約があるのよ?それに能力の使用は原則禁じられている」 「何枚の誓約書を書かされて、やっと出国ができる」 「え?まあ・・だけど・・美琴は無視するじゃん」 当麻はイギリスやアメリカで私が少々実力行使をしたことを指摘している。 後で大量の始末書を書かされたことは当麻はしらないだろうけど。 「前わね、緊急事態だったし」 「それに・・あの時と違って今回私はただの科学者としての身分・・」 当麻が、まじまじと私の顔を見つめる。 「どうせ、刑法36条の正当防衛とか言うつもりだろう?」 ふふふふ・・・私は声を出して笑い始める。 「当麻わざと言っている?」 「え?」 「まったく・・そんなの建て前に決まっているじゃない」 当麻がきょとんとしている 「え?」 「婚約旅行したいだけよ・・実際は」 当麻が申し訳なさそうな顔で私をみつめる 「ああ・・そうか御免・・」 私はわざとらしく溜息を聞こえるようにつく 「ふ・・まあもう少し乙女心の機微に敏感にならないと当麻は砂鉄剣か電撃の槍で刺されるわよ」 当麻が苦笑いする 「ああ怖い怖い、そのうち殺されそうだ」 「馬鹿ね・・そんなことするわけないじゃない」 「愛しているからね」 「俺もだ・・」 私は軽口をたたきながら、化粧を整え、出立の準備をする。出張前の準備をするために 玄関で軽くいつもようにキスをかわし出勤する。 ・・・・・・・・・・ 9時 私は、久々に研究所へ出勤する 約1週間ぶりの出勤だ。実際には、ウエアブル端末を脳に直接脳につなぎリアルタイムで 研究員の研究状況や体調もデータで把握はしているが、やっぱり顔を見たい時もある。 それに今日は、私にとって大事な日でもある。 唐突な人事異動なのだから。 「所長1週間ぶりに出勤しました」 「いや悪いね、フランスなんかに付き合わせて」 「いえ私たちの研究成果が学園都市幹部に認められた成果ですから」 「木原唯一も失脚したしな」 「ええ・・その分面倒なことも増えますが」 「で・・今日は」 所長は立ち上がり机の上の辞令を取り出す 「御坂君へ新たな任務を付与しなきゃな・・」 「御坂美琴:9月26日付けで、統括理事会兵器開発部開発主幹に任ずる」 「それと当面はここの副所長は兼務ね」 「え?」 私は絶句する。統括理事会兵器開発部開発主幹? (まあ確かに・・木原唯一の後任だけど・・いきなり?) (14歳の若造がやる仕事じゃないでしょ) 所長がにやにや私の顔を眺める。 「まあ御坂君も疑問に思うのも無理はない」 「実は私も昨日付で開発部長になった」 (なるほど・・論功行賞か・・) 私は頭の中で統括理事会の権力抗争の見取り図を描く。 (統括理事会の中で親船統括理事代行が、木原幻生派を重用するという話か・・) (その子飼いの所長と私を重用すると・・) (まあ、学園都市のパワーバランスなんかどうでもいいけどね) まあ、統括理事長でない今所詮は宮使えの身、ありがたく受けることにするか・・ 私は、常盤台で叩き込まれた完璧な作法で、恭しく辞令を受理する。 「学会の出発前に親船統括理事代行に会わなくてよろしいですか?」 「いや・・帰国後でいいと本人から聞いた」 「親船さんは、能力者の人権について殊の外、考慮されている」 「本来なら、まだ14歳の御坂君にこれほどの重責を負わせることについて、 代行も忸怩たる思いだが、現状は余人に代えがたいそうだ」 「そうですか・・」 所長は私の顔を眺めながら、少々含み笑いを籠めて話始める。 「ところで、婚約者さんも連れていくそうだが」 「ええ、欧米では夫婦同伴というのがレセプションの決まりですから」 「まあそうだな、南仏はそろそろ秋だしな。まあ婚約旅行を楽しみたまえ」 私は、所長に黙礼をし、話を切り上げる。 急遽決まった、出張前にどうしても済ます行事があるのだから ・・・・・・・・・・・・・ 10時 風紀委員会本部 「御坂さん、おはようございます」 私は、ほとんどこの部屋にいないので、実際の主はこの花飾りの女性と言っても 過言ではない。その部屋の実質的な主に私も返礼する 「おはよう、初春さん」 「あれ・・でも今日は休みじゃないの?」 初春飾利ははきはきと返答する 「御坂さん・・犯罪者に休みなんてないですよ」 生真面目で、なおかつ情報システムの構築に全精力を注ぐ彼女は、土日も関係なく 大覇星祭のさいには、ほぼ泊りがけで捜査の管制指揮をここでとっていた。 「まあそうだけど、ほぼ完全オートなシステムだからログ解析と、ウイルスチェックだけ してくれればもう十分よ。ほぼ1月運用して初期不具合も解消したでしょう?」 「もう一覧端祭までは、1日5分間のリモートコントールでいいわよ」 「まあ釈迦に説法かもしれないけど」 私は、この糞真面目で職人肌の彼女に言い聞かせる。まだ13歳の女の子、少しくらい、気を楽にしてほしい。それに大学院へ入学した私と違ってまだ高校入試だってある。この 能力偏重の学園都市でレベル1の生徒が、進学するのは結構大変な事だ。 風紀委員活動は確かに内申点の底上げになるが、それでもレベル3以下ではきつい、ましてや恐らく彼女が行きたがっている長点上機では・・今のままでは、学力点・・特に語学は大丈夫だろうか?まあ英語くらいは大丈夫だろう。 でも第2外国語はどうだろう?フランス語が今の状況で手が回るだろうか? 名門校の受験はレベル1、2の学生にとってはたやすいものではない。能力値の下駄 がない彼女には相当つらいはず・・だから彼女には早く日常へ復帰してほしい。 だが・・彼女は私の想いとは違う返答を始める。 「御坂さんが今、私の成績や学校を気にされて、仰ったことは感謝します」 「ですが、私はこれに命をかけています。」 普段は、穏やかな彼女が心境を吐露し始める。私はそれを黙って聞く。 「私は・・実戦で司令官ができる御坂さんと違って、これしかできません」 「国際学会を主催できるほどの学識も、ほぼすべての言語を流ちょうにしゃべること も、できません」 「御坂さんが構築したこのシステムを一から立ち上げるなんてこともできません」 「だから、御坂さんが私に預けたこの子を完全なものにさせてください」 「私はこの子に人生をかけています」 正直、過大評価もいいとこだ。 (学園都市のありもののリソースを繋ぎあわえた、アレに人生をかけるなんてね・・) (だけど・・初春さんは本気だ・・) 私は、腫物をさわるように慎重に言葉を選ぶ 「初春さんありがとう、でも無理はしないでね」 「ええわかっています」 私は、初春さんの表情を確認し、さきほどの激情が収まったことを確認し、話を続ける 「初春さんが倒れたら、佐天さんやご両親に申し訳ないわ」 「だから絶対無理しないで、私だって力になれるから」 「御坂さんありがとうございます。」 初春さんの少しにこやかになった笑顔を確認し、私は離席する。 他に何か所か回らなければならない私は初春さんのサインに気が付くことはなかった。 だが、私はもう少し、初春さんの立場で考えるべきだったかもしれない。 もの見え方や視線が立場によって異なり、その認識のずれがもたらす問題に だが私のその時点でその問題に気が付くことはなかった。 それが引き起こす問題の深刻さに ・・・・・・・・・・・・・ 12時 常盤台中学 談話室 私が社会生活を営む上で必要な資金を拠出するために盟友である食蜂とはどうしても 会う必要があり、いつもようにここで幕の内弁当をテークアウトして食べる。 味の事はよくわからない。ただようは時間の節約。ある程度の品質と栄養バランス をしっかり管理栄養士が判断している点で安心だ。 まあ、アウトソーシングよね。 時間は無限ではなく、人生は有限。専門家にある程度権限を譲渡しなければならないこともある。私は、統括理事会の兵器開発の実質的な長になった以上、今の広げすぎた手を縮小して、非中核事業を他者へ引き渡す必要がある。 その一つが、投資ファンドの実質的な共同経営者の地位。私はそれを、全部食蜂へ引き渡すつもりを固めている。もうちょっとした国家の年金ファンドに匹敵するほどの規模のそれを、片手間でやること自体に無理がある。 学園都市の幹部、殊に統括理事会や、常盤台の父兄、つまり日本の政財界に巨大なコネを 持つ食蜂なら私の資金も含めてうまく運用してくれるだろう。 所有と経営の分離は近代資本主義の原則、私は一株主の立場として経営からは身を引こう。 食蜂が幕の内弁当を食べ終え、ナプキンで口を拭きながらしゃべり始める 「御坂さん、正気力ある?投資ファンドの経営から手を引くなんて」 「ええ?ああ・・まあコンプライアンスの観点でね」 「統括理事会事務局入りするからァ?」 「ええ利益相反取引とかいわれると面倒だしね」 食蜂のしいたけのような目が、いたずらぽい輝きを発し始める 「御坂さんも変わったわね。権力者になりたがるなんて・・研究と金さえ あればそれでよかったんじゃないの?」 「別に権力に色気があるわけじゃないわ」 食蜂が愉快げに笑い始める 「権力は目的のための単なる手段とでも」 私は食蜂に聞こえるように溜息をつく 「私は不幸な婚約者を不幸から救いだけよ。究極的にはね」 「え?」 食蜂があっけにとられた顔をする。が、しばらくして私の意図を理解したかのように 少し真面目な顔に変わる。 「なるほど、彼の不幸力の根を断ちたいと?」 私は苦笑いを始める。 「まあ、私の力なんて微力だけどね」 「せめてこの街だけでもきれいにしたいわ」 食蜂が音と立てて笑い始める 「御坂さんて難儀な性格ね、御坂さんならなれないものなんてないでしょ。 そうゆう面倒な事をせずに世俗的な成功を求めるだけなら」 はっきり言ってそんなものならもうすでに達成済みだ。 金、地位、研究成果、14歳の少女では過分すぎるほどのそれを だが、・・・ 「そうね・・でもアイツは、上条当麻はそれで止る男ではないでしょ」 「この街が非人道な街であり続ける限り、アイツは不幸であり続ける」 「私はアイツを幸せにしたい」 「誰よりも不幸や不条理を許せない目の前の不幸な奴すべてを救おうとするアイツをね」 「だから私は少しでも内側からこの街を変えたい」 私は水で飲みながら話を続ける。 「簡単な話じゃないでしょ。実験動物と学生を呼んで憚らない 研究者、それを放置し、わけのわからないプランを推進する 独裁者に取り入り得体のしれない実験を、壁に囲まれた閉鎖 空間でマスコミの監視もない、親御さんのけん制もない環境で ひそひそ行う、いかれた研究者の意識を変えるのは」 「それが私は微力という本当の意味」 食蜂が面白そうに私の顔を眺める 「で、微力と言いはる学園都市1位の御坂美琴さんは この街をどうしたいの?」 そんなのは簡単な事だ。私ははっきりと言う。 「上条当麻が右手で幻想を壊す必要がない学園都市にしたい」 「で?・・統括理事長でもなりたいの?」 「それが上条当麻を幸福にできるならね・・どんな手も使う。 手段は選ばない」 食蜂が溜息をついて語り始める。 「そうね・・私も旗幟を鮮明しなきゃないかな・・」 食蜂が私の手をしっかりと握る。うんちで握力が25KGくらい しかないはずなのに 以外にしっかりと握ってくる、まるで決死の覚悟でもあるかと 告げるように 「美琴、私の命と派閥の力を全部貴方に捧げる」 「ありがとう、操折。あなたの力を無駄にしない。」 私と食蜂は立ち上がり、がっちりと抱擁を始める。 人の心理を操るエキスパートと、機械・兵器のエキスパートが がっちりと手を握る これ自体がささやかなでも重大な転換点かもしれない。 「上条当麻を、一緒に幸せにしましょう」 「私達の力で」 こうしてささやかだが、重大な意味を持つ同盟が成立し、私は 食蜂に深々と礼をして退出する。顔さえ覚えてもらえない少女は、それでも 彼を信じて、その婚約者である 私ともともに立ち上がる。 ・・・・・・・・・・・・ 16時 私は、学会出席前に必要な挨拶をすまし、自宅へ戻る。 婚約者はリビングでPCの端末でせっせと、学校の課題をこなしている。 だいぶ、学習も慣れてきたのだろうか、動作が洗練され板についている。 その光景が微笑ましい。 私は婚約者がやる気を出してくれたことを素直に喜ぶ。 「ただいま」 「おかえり」 「どう?はかどっている」 「ふ・・、まあ徐々にですよ・でも少し勉強も楽しくなったかな」 「よかった」 「でもさ・・前に美琴が言った通り小さな結果積み重ねは大事だな」 「そうね。どんな小さな一歩でも自発的にやることが大事よね」 「まあそれも美琴の開発したアプリのおかげだけどな」 「それも当麻がやる気をだしてくれなきゃ意味がない。 当麻が一歩前に進んでくれた」 「それがどんな小さな一歩でもね」 「だから私は全力で当麻を支える」 私は立ち上がり、こぶしを握り、上条当麻の顔を見つめる。 「美琴・・」 当麻がほほえましい表情を作り私を見つめる。 「ああそうだな、2人で不幸を卒業することにした」 「小さな幸福を積み上げ、幸福のためを作るだったな」 私は、当麻の言葉にうなづき、さらに言葉を繋ぐ。 「そう。ヒロインを救う主人公が不幸だなんて、シャレにならないわ」 「ジャンヌ・ダルクのように一つの国家を奇跡で救い、死後聖人になっても、処刑されて は意味がない」 「私は、当麻にはガンジーやマンデラのように最後は成功し、盛大な葬式の元死んで欲しい」 「私は、そのために必要な事はなんでもする。能力・人脈・財力・科学知識すべてを捧げる」 「だから・・ともに荒海へ漕ぎ出そう」 私と当麻は立ち上がり抱擁を始める。無言で2人の体温を、吐息を、鼓動を感じながら (もう言葉なんていらない) 熱い何かが、まるで生体電流の奔流のように私の体を貫いていく。 (やっぱり私にはコイツしかない。それは理屈じゃない) だから、・・私はこいつを、上条当麻を何があっても支える。 限界なんて知らない、意味ない、この力が光り散らすその先まで 続く 前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/とある科学の超荷電粒子砲(プラズマ・キャノン)
https://w.atwiki.jp/index-ss/pages/1441.html
学校の教室にて 当麻「でっ何のようだ?」 土御門「実はカミやんにやってほしいことがあるにゃー」 当麻「……重要なことか?」 土御門「あぁ…かなりな…」 スッと、あるディスクを取り出し、 土御門「コレをやって欲しい」 当麻「なんだ?」 土御門「いいから…ほれパソコン」 ノートパソコンを手渡され取りあえず当麻はディスクを入れると 『とある少女の恋愛シミュレーション』 ゲームタイトルが出てきた。 当麻「……何コレ?」 土御門「そんなに知りたきゃ教えてやる…こいつは!どんな少女達とのフラグも完璧にこなす為に 学園都市の最新技術で作り上げた!!!最新恋愛シミュレーションゲームだぁぁ!!!!」 当麻「なに訳わかんねぇ物作ってんだ!!」 大声で何を言ってんだと思いながら、ツッコミを入れた。 当麻「なんでゲームに学園都市の最新技術をつぎ込んでんだよ!!」 土御門「まあまあ、そう言わずに作るのかなり苦労したんだぜーい」 当麻「って!?お前が作ったの!?そっちの方がすごいんだけど!!」 土御門「ほらっ細かい事は気にせず、やってみるにゃー」 当麻「まぁ…いいけどさ」 『ゲームスタート』 当麻「でも、俺恋愛シミュレーションなんてやった事ないぜ」 土御門「大丈夫、俺がいろいろと説明するにゃー」 当麻「……まぁ取りあえず話を進めていくか…んっ?なんでライフゲージがあるんだ?」 土御門「あぁそれなら後で分かるから、今は気にしなくていいぜーい」 当麻「…?だってコレ恋愛シミュレーションだろ?ライフゲージなんて何に使うんだよ?って、おぉ?」 御坂ルート 目の前に常盤台の超電磁砲の御坂美琴が歩いている…話しかけますか?yes or no 当麻「御坂出んのかよ」 土御門「そりゃあ、俺の知っている女子だけで作ったからにゃー」 当麻「なるほど…まぁ話さなきゃ始まんないよな、yesっと」 土御門「あぁ、言い忘れたたけどカミやん、あんまり不用意に近づくと…」 御坂『なんで、あんたがここにいんのよ!!』ズドォォォォォン!!! ライフが50減った。 土御門「レールガンでライフが減る」 当麻「いやっ!!何でだよ、話しただけだぞ!!しかもライフってここで使うのかよ!?おまけに開始1分で 半分になったぞ!!」 土御門「だから、不用意に近づくなって言ったにゃー、ほらギャーギャー言ってないで選択肢を選んで」 当麻「選択肢?」 御坂『でっ?何のよう?』 A いや、ただお前に会いたくて… B 可愛かったから…つい C 殺し合いをしよう 当麻「おいっ!!なんだCって!すげー危なっかしいのがあるけど!?」 土御門「細かい事は気にせず、ほらっA,B,Cのどれか選ぶにゃー」 当麻「ん~、まぁ急にこんな事言うのは変だと思うが…Aぐらいにしとくか」 御坂『なっ!?何よ急に!?べっ別にうれしくないんだからねっ!!』 『GAME CLEAR』 当麻「なんでだぁぁ!!始まって2分で終ったぞ!!」 土御門「『超電磁砲』はこの中で一番簡単におとせるにゃー」 当麻「簡単すぎんだろ!!」 インデックスルート 数分後… インデックス『ねぇーお腹すいたぁー』 A 分かったよ、なんか食べに行こう B 家まで我慢しろ C そんな暇はない 当麻「インデックスのルートか…」 土御門「にゃー、どうするにゃー?」 当麻「つーか、ゲームの中でもこのキャラかよ」 土御門「俺なりに実物に近づけたつもりなんだけどにゃー」 当麻「近すぎんだろ…まぁゲームの中でくらい我慢してもらうか…Bっと」 インデックス『お腹すいたぁーお腹すいたぁー!!』 インデックスが噛み付いてきた…ガブリ……ライフが0になった 『GAME OVER』 当麻「何でだぁぁぁぁ!!」 土御門「インデックスは腹ペコゲージがMAXになると噛み付かれゲームオーバーになるにゃー」 当麻「つまりあれか!?最初の選択肢の3分の2がゲームオーバーになるってことか!?」 神裂ルート またも数分後… 神裂『どうも…お久しぶりです…』 当麻「神裂のルートか…」 土御門「にゃー、ねーやんの攻略は困難だにゃー」 当麻「まぁ…俺もそんな気がするけど…」 土御門「数ある選択肢の中で一つでも間違えると…」 神裂『うるっせぇんだよ!!ど素人が!!!』 ドシュッ!! 『GAME OVER』 土御門「バッドエンド…」 当麻「難易度高っ!!」 小萌先生ルート またまた数分後… 主人公『やっべぇ、遅刻だ!!』 主人公は、学校へと急いだ… 当麻「これは、ありがちだな…」 車が飛び出してきた。キキッー!、ドゥゥゥゥン!! 小萌先生『大丈夫ですかぁー!?』 土御門「これは、ちょっとベタだったかにゃー?」 当麻「ベタとかじゃねぇーよ!!コレは事故だ!!つーか小萌先生ルート!?」 姫神ルート またまた数分後… 姫神『コレ…運ぶの手伝って…』 手伝いますか? yes or no 当麻「姫神ルートか…これは結構まともだな」 土御門「にゃー、他のヒロインと違って毎日会ってる分、作りやすかったにゃー」 当麻「いろいろめちゃくちゃだったけど…こういう学園ものなら分かりやすいな…」 土御門「だけど、一回姫神フラグを立てて、一日一回も会わない日が会ったら…」 姫神『私って…影が薄いのね…』 その日から…彼女を見なくなった。 『GAME OVER』 土御門「行方不明になる…」 当麻「なんでだぁぁぁぁ!!」 土御門「寂しがりや何だにゃー」 当麻「そういう問題じゃねぇーよ!!姫神に謝れ!!そして姫神ファンにも!!」 吹寄ルート またまた数分後… 吹寄『貴様!!なんのようだ!!』 A いや、ただお前に会いたくて… B 可愛かったから…つい C お前が好きだ 当麻「吹寄ルートか…」 土御門「にゃー、吹寄はねーやん以上に攻略困難にゃー」 当麻「まぁ…確かに難しいだろうな…選択肢もなんか同じようなものばっかだし、取りあえずAっと」 土御門「にゃー言い忘れたが…ちなみに吹寄は」 吹寄『このっ!!』 ドカンっ!! 『GAME OVER』 土御門「口説こうとすると、99.9%の確率でバッドエンド」 当麻「コレもか!?つーかこの不幸の塊である上条さんに0,1%の奇跡なんて起こるわけねぇだろ!!」 土御門「ちなみそれを10回繰り返す」 当麻「確率で言ったら!0,000000って、あぁぁもう何回言えばいいのか分からん!!」 舞夏ルート またまた数分後… 舞夏『メイドは大変なんだぞー』 当麻「舞夏まで出したのか…」 土御門「にゃー、こうすればいつでも舞夏との、初々しい初恋が何回でも出来るにゃー」 当麻「動機もやる事も不純でしかないな」 土御門「ちなみ舞夏は攻略すると専属のメイドになってくれるにゃー」 当麻「意味は分からんが…嫌いではない」 土御門「最終的には…兄である俺と戦って勝つとハッピーエンド」 当麻「……結局のこのゲームのジャンルはなんなんだ?」 土御門「………ラブストーリー?」 当麻「今のところ全部のストーリーで命が危険にさらされてるぞ」
https://w.atwiki.jp/kinsho_second/pages/2745.html
前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/とある二人は反逆者 第1章 ①魔術師の誘い 「たこ焼き、いかがっすかー!!」 とある高校の校庭で、上条は自分のクラスの出展であるたこ焼き屋の前でいわゆる売り子をしていた。 しかし笑ってしまうくらい客足が悪い。 いや客足が悪いというよりは客が各方面に分散してしまっている。 それも上条の通う高校の出展の大半が食料品の出店というアンバランスな状況だからだ。 本来学校は出展の種類を制限しバランスがよくなるよう配慮するものだが、 下手に生徒の自主性に任してしまったために食料品の屋台が校庭に並び立つという結果になってしまっていた。 「カミやんのフラグ建築能力に依存しても客足が伸びないとは… このままじゃ材料費だけで赤字決定なんだぜい!!」 「でも他のクラスに比べたら、まだいい方なんやないの? 大覇星祭でカミやんが有名になったお陰で、物珍しさで寄ってってくれるお客さんもいるみたいやし… 隣のフランクフルト店なんて…何だか見てるだけで可愛そうになってきたわ」 上条のクラスの隣の屋台では上級生が暇を玩び、カードゲームを始めてる始末だった。 「このご時勢にトランプってところが何とも哀愁を帯びてるが、このままじゃウチのクラスも人事じゃなくなりそうだな」 と上条が不安を口にした時、上条と土御門は底知れぬ圧迫感に背筋を凍らせた。 青髪ピアスは特に何かに気付いた様子もなく、たこ焼きを作る手伝いに屋台に戻っていた。 気配がした方向を上条と土御門が見ると、そこには一人の中性的な顔をした少年がチョコバナナを片手に佇んでいた。 思わず身構えた土御門のことを上条が制止する。 「へぇー、戦闘に関しちゃまるで素人って聞いてたけど中々雰囲気あるじゃん。 それなのに何であの程度の奴に負けちゃったわけ?」 「…その言い方だと神の右席ってわけじゃないな、何者だ?」 「取り合えず元グレムリンの直接戦闘担当、雷神トールとでも名乗っておこうかね」 「グレムリンだと、機械に悪戯する妖精のことか? でもそんな組織の名前聞いたことが…」 「物知りだね、でも犬に構ってる暇はないんだ。 俺が用があるのはこの場じゃ上条ちゃんだけだからさ」 トールという少年が静かに放ったプレッシャーに土御門は押し黙る。 「それで俺に何の用だ?」 「何か上条ちゃんを見てるとウズウズするな。 中身がドロドロの癖に全くブレることがない筋が通ってやがる。 本当は思いっきり喧嘩をしたいとこだけど、今日は上条ちゃんにお願いしたことがあって来たんだ」 「お願いだと?」 「俺と一緒に戦ってくれないか?」 少年の登場と共に上条の日常は終わりを告げようとしていた。 「もうすぐ戦争が起こるぜ」 学園都市内のファミレスに四人の少年と一人の少女が集まっていた。 ファミレスの六人席に腰を掛けているのは上条、美琴、一方通行、垣根、トールの五人。 トールは窓の外に見える景色を見ながら何処か他人事のように呟くように言った。 それに対して垣根は何処か忌々しげに毒づくように言う。 「科学と魔術が本格的にぶつかり合う時が来たって訳か…」 しかし垣根の言葉にトールは首を横に振りながら溜息を吐いた。 「…そんなに単純な話だったら良かったんだがね」 「そいつはどォいう意味だ?」 一方通行が口にコーヒーカップを運びながらトールに尋ねる。 「お宅ら科学側の人間の組織と違って、魔術師の組織構造はそんなに単純じゃないってことさ」 その場にいた全員はトールが説明を続けるのを待つ。 「魔術師っていうのは宗教、あるいは神話に則って力を使うことが殆どだ。 そして上条ちゃんが対立した神の右席っていうのは十字教に属し十字教の神話に則って魔術を使う、 ある意味では真の十字教魔術師ってところだ。 だが魔術師っていうのは十字教に所属していながらも平気で異教と呼べる他の神話に基づく魔術を使いやがる奴がいる。 まあ要するに自分の目的のためなら手段を選ばない節操がない連中で、組織を作るのにはあまり向いてないのさ。 十字教は本来唯一神を崇める宗教なのに他の神話を利用するなんておかしいだろ?」 しかし宗教関係にあまり詳しくないトール以外の四人はキョトンとしてしまう。 「あー、例えば上条ちゃんの知り合いにステイルって奴がいるだろ。 アイツはルーン文字、まあルーン文字っていってもゲルマンや北欧など種類があるんだが… とにかくアイツはルーン文字を使っているが、伝承に基づけばルーン文字は北欧神話の主神オーディンが生み出したとされている。 でもイギリス清教に所属するアイツがある意味では異教と呼べる北欧神話の産物を使うのはおかしいだろう?」 言われて見ればその通りだった。 ステイルは十字教を進行する神父なのに他の神話の魔術を使うのは道理に合わない気がする。 「っていうか何でステイルのことを知ってるんだ?」 「ああ、何かアイツが無茶やってるところに出くわしてね。 何かガムシャラに力を手に入れようとしてる姿が他人事に思えなくて、少しばかり力を貸してやったんだよ。 アイツが使う魔術はさっき言った通り北欧神話に連なるもので、俺との相性が良かったからな」 上条の質問にトールは特に気にした様子もなく普通に答える。 「あなたの名前って北欧神話に出てくるアース神族の中でも特別強力な力を持つ雷神トールに由来するの?」 「へー、美琴ちゃん物知りだね。 とても科学に染まりきった街の人間とは思えないぜ」 「魔術師と事を構える以上、知識はあるに越したことがないからね。 私もあなたの言う通り、十字教の人間が他の神話に基づく魔術を使うのは疑問だった。 天草式みたいに特別な歴史背景があるならまだしもね。 もしかして魔術側で内部分裂が起ころうとでもしてるの?」 「…上条ちゃんといい美琴ちゃんといい、科学側にも面白い人間がたくさんいるんだな。 美琴ちゃんの言う通りだ、魔術側で大きな戦いが起ころうとしている」 「なら俺達にとったら大万歳じゃねえの? 勝手に敵が潰しあってくれるんだから」 垣根は茶化すように言った。 言い方は悪いが垣根の意見に他の科学側の三人も納得していた。 「垣根君の言いたいことは分かるよ。 でも戦争が起こって犠牲になるのは罪のない一般人が殆どだ」 「裏の世界の戦いなのに一般人が犠牲になるってェのはどォいうことだ?」 「今回魔術サイドで起ころうとしてる戦いは十字教とその他の文化圏に所属する魔術師との戦いだ。 十字教っていうとどうして迫害されたほうに目が行きやすいが、それ以上に他の信仰に対して迫害を行ってきた。 そのツケが今になって回ってきたってわけさ。 何時の時代だって迫害されるのは上の人間じゃない、民衆だろ?」 「そォいうことか、糞ったれ…」 「そして十字教に対する最大の敵が俺が所属していたグレムリンってわけ。 構成員の数が多いわけじゃないけど、その実力は幹部に至っては神の右席を上回っている」 その言葉に上条は今はない左腕が疼く気がした。 美琴はそんな上条の表情を心配そうに見つめている。 「それでお前は俺達に何を望むんだ?」 「出来れば第三勢力として戦いから一般人を救うのに協力して欲しいんだ」 「でも俺達が介入したら、学園都市にまで火の粉が降り注ぐんじゃ…」 「それについては気にする必要はない」 その時、一人の「人間」が何の前触れもなくその場に現われる。 「人間」に対して全員臨戦体勢になる中、「人間」は特に動じることもなく言葉を続ける。 「君達は自分の思うままに行動したまえ。 降りかかる火の粉は必ず私が払ってみせよう」 「てめェの言葉を信用できると思ってやがるのか!!」 「全てプランのためだ、それ以上でも以下でもない。 別に君達の信用を得る必要はない、君達が戦争を放っておくなら別に構わないさ」 「チッ!!」 そしてちょうどその頃… 「無駄な抵抗はせずに、その霊装を俺様に渡せ」 「あの子に必ず害が及ぶものを君のような人間に渡すと思っているのか?」 「貴様の上司の許可は既に得ているぞ」 「あの女狐が例え何を許可しようとも、僕はあの子の笑顔を守るためなら何だってする」 「このままでは十字教に属する全ての人間に害が及ぶのだぞ」 「言っただろう、あの子の笑顔のためなら何だってすると」 「…たかが教会の道具に随分とご執心なものだ」 「あの子は道具なんかじゃない!!」 そう叫ぶ少年の手に炎によって形作られた剣が出現する。 「一介の魔術師ごときが俺様に敵うと本気で思っているのか? …貴様のその哀れな幻影を圧倒的な力で破壊してやろう」 そう言った男の肩から本来あるべき腕とは別に、 出来損ないの翼のような不格好な五本指を備えた巨人の腕のような歪な光の塊が出現した。 「…それが聖なる右か。 不完全とはいえ天使長ミカエルの力そのもの、確かにその力は圧倒的だ」 「…貴様も十字教徒なら分かるだろ、この力の意味が?」 「確かに以前の僕なら手も足も出ずに敗れ去っただろう。 実際に今も僕の実力は君に遠く及ばない」 「ならば何故…」 「…僕の実力はね!!」 男が尋ね終える前に少年は懐からある一本の杖を取り出す。 「…霊装か? だがそんな杖を一本取り出したところで…」 「北欧神話は武器の神話だ」 「何を言っている!?」 「英雄の物語から神々の黄昏まで、その全てにおいて武器が物語の中枢を成す。 それは黒小人の伝承にも顕著に現われてるんだけど、まあその話は置いておこう」 「…」 「僕は才能がないから様々な代償を支払って力を得てきたけど、コイツを使うために支払った代償は飛び切りだった。 でもそのお陰であの子を君程度の人間から救う力を得ることは出来たよ」 「俺様を侮りすぎてはいまいか? 貴様程度の魔術師がいくら足掻いたところで…」 しかし男が言い終える前に、圧倒的なプレッシャーが場を支配する。 「…悪いが、あの子のためにも君にはここで消し炭になってもらう!! 現われたまえ、破滅の杖レーヴァテインよ!!」 人知れぬ場所で一人の天才と呼ばれる魔術師と通常の魔術師を遥かに超越した男が激突した。 この戦いの結末がやがて訪れる魔術と科学を巻き込んだ戦いの行方を左右することになるのだった。 前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/とある二人は反逆者
https://w.atwiki.jp/kinsho_second/pages/2736.html
前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/とある二人は反逆者 第6章 ②ヒーローの敗北 「すまない、これは僕の腕でも繋ぎ止めることは出来ない。 切断するしか道はないだろう」 冥土帰しから残酷な現実を告げられてから数時間、上条は病院のベッドの上で眠っている。 しかし上条の左肩から先は存在しない。 前方のヴェントに敗北した上条は徹底的に痛めつけられ蹂躙された。 ヴェントの天罰術式によって昏睡した美琴の目が覚めた時には上条はすでに虫の息の状態だった。 奇跡的に一命を取り留めたものの上条の体の損傷は大きく、特に左腕は冥土帰しを以ってしても修復することは不可能だった。 しかし上条もただ敗北したわけではなく、ヴェントの天罰術式の霊装を破壊しヴェント自身を撤退させることに成功していた。 そして上条が眠る病室には三人のレベル5が重苦しい空気を放ちながら集結していた。 その中の一人である美琴は上条の残された右手を握りながら、涙を流して祈るように目を閉じていた。 「私が当麻のことを守れれば…」 悔やむような美琴の呟きに、レベル5の一人…垣根帝督は諭すように言った。 「だから何度も言ったろ、第三位。 あの魔術には上条以外どうやったって抗うことが出来なかった。 いくら悔やんでも結果が変わるわけじゃねえんだぞ」 しかし垣根の言葉は美琴に届いた様子はない。 そして残るレベル5の一人…一方通行は何処か怪しむように垣根のことを見据えていた。 「てめェ、一体何を知ってやがるンだ? それに俺のことを屑だと言いながら、どォして助けるよォな真似をしやがった?」 猟犬部隊のリーダーである木原数多に敗北した一方通行と打ち止めを救い出したのが垣根だった。 一方通行も相当な重症を負っていたが今は治療を終え、体のあちこちに包帯を巻いているものの歩けないほどではなかった。 「第一位、てめえは俺がもっとも嫌悪するタイプの人間の一人だ。 圧倒的な力を持ちながらも、自分より遥かに劣る弱者をてめえの勝手な都合で嬲り殺してきた。 確かに俺にはてめえのような屑を助ける義理なんて全くねえよ」 「…」 「だが、てめえの隣にいる女の子まで見殺しにしていい理由にはならねえ」 垣根は一方通行の隣に立っている打ち止めを横目で見ながら言った。 「…それに俺は確かにてめえが嫌いだが、てめえが自分を殺して変わろうとしてることも知ってる。 その証拠に木原以外の人間は殺そうと思えば簡単に殺せたはずなのに止めを刺そうとしなかっただろう? 人によっちゃあ甘いって言うのかもしれねえが、以前のてめえから見れば少しは変わったって証拠だろ」 「チッ」 (アレイスターの直属部隊を潰しても何のお咎めもねえし、一体どうなってやがるんだ? それに科学と魔術の敵対の構図がここまで表面化しちまった以上、 俺や上条たちが目標とする学園都市の上層部を潰す計画も遅れることは必須だろう。 あれ以来あの人との連絡も取れねえし、まあ今は様子見をするしかないんだろうな) それ以降は一方通行と垣根の会話が続くことはなかった。 そして会話のない病室には上条の心電図の音だけが響いていた。 上条が目を覚ましたのは学園都市にヴェントが襲撃してから二日後の10月2日のことだった。 学園都市で起きた事件は謎のテロリストが起こした事件として発表され、 死亡者が出なかったと発表されたことから多くの人間が昏睡に陥った大事件であったものの 9月30日の事件が人々の記憶に深く残ることはないのだった。 上条が目を覚ますと美琴は上条に大まかな事件の顛末を話した。 「…そうか、特に混乱も起きてないのか」 「…うん」 「でもまだ安心することは出来ないな。 あの敵意を抱いた人間を無条件で昏睡させる霊装は何とか壊せたけど、いつまた襲ってくるか分からねえし」 「…ねえ、当麻」 「どうした?」 「二人で逃げよう」 「美琴?」 「もう過去のことは全て忘れて二人だけで暮らすの。 科学とか魔術とかそんな危険なことにもう関わる必要はないよ」 「…」 「いつかは子供も出来て、その子供が結婚したら孫も生まれて… 本来の人の幸せってそういうことでしょ? 誰か見知らぬ人のために頑張る必要なんてない、二人の幸せだけ考えようよ」 「…それもいいかもな」 「でしょ?」 「俺達って都会育ちだし、田舎に行って自然に囲まれて…」 「うん!!」 「確かに俺は少し気張ってたかもしれない。 俺が一番に幸せにしたいのは美琴なんだから…」 「…当麻」 「…でも、美琴を本当に幸せにするためにも俺は逃げるわけにはいかない」 「え?」 「自分じゃ気付いてないかもしれないけど、美琴って夜に魘されて涙を流してるんだ」 「…」 「それに俺はまだ本当の美琴の心からの笑顔を見たことがない。 そんな状態で逃げても、俺はきっと本当の幸せを美琴に与えることが出来ないと思う。 アイツらが狙ってるのは学園都市だ。 でも学園都市の上層部だけじゃない、学園都市そのものを破壊しようとしている。 そうすれば俺達の大事なものまで壊されちまうかもしれない」 「…」 「そうしたら美琴は優しいから二度と笑えなくなる。 そして美琴が笑えなくなったら、俺も幸せになることなんて出来ないよ」 「…当麻」 「だから俺は他の誰のためでもない俺と美琴の幸せのために戦う。 …ごめん、これは俺の我侭だ。 だから美琴は安全な場所で、俺の帰りを…」 しかし上条が言い終える前に美琴が上条の口を塞いだ。 「私こそ、ごめんね。 当麻が目の前で死に掛けてたのを見て、自分を見失ってた。 だからそれ以上は言わないで、今度こそ私は当麻の隣で戦って当麻の背中を守るから」 そう言って美琴は上条のことを抱きしめた。 上条も美琴のことを抱きしめ返そうとするが、今になって左腕がないことを痛感する。 (でも俺にはまだ右腕がある。 そして例え右腕を失っても戦いようはあるはずだ。 だから俺は逃げない、本当の意味で美琴を幸せにするまでは…) 上条は残された右腕で左腕の分も心を込めて美琴のことを抱きしめながら誓う。 そんな二人の下に冥土帰しと一人の「人間」が現われる。 男にも女にも、子供にも老人にも、聖人にも囚人にも見える「人間」と対面した時、 二人の反逆者の物語は次のステージへと進む。 科学と魔術の均衡が崩れる時、新たな物語が幕を開けようとしていた。 第一部完 前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/とある二人は反逆者
https://w.atwiki.jp/kinsho_second/pages/2691.html
前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/とある二人は反逆者 第一部 序章 「だからお前は笑っていいんだよ。 妹達は絶対に、お前がたった一人で塞ぎ込む事なんか期待してないから。 お前が守りたかった妹達ってのは、自分の傷の痛みを他人に押し付けて満足するような、そんなちっぽけな連中じゃねーんだろ?」 この言葉によって美琴の悪夢のような幻想は真の意味で壊され、そして少年に対する新しい幻想が生まれた。 少し考えればその幻想を生み出した感情の正体はすぐに分かった。 ただ美琴はその感情を受け入れていいかどうか分からなかった。 例え少年や妹達が自分のことを許してくれたとしても、自分に人並みの幸せを送る権利があるのだろうか? それに死んでいった妹達の本当の気持など誰にも分かるはずがなかった。 だから自分はこの罪を一生背負っていかなければならない。 だから美琴は敢えて少年の言葉を突き返すように言った。 「いい加減なことを言わないでよ。 例え皆が許してくれたとしても、私の罪が消えるわけじゃない。 それに死んでいった10031人の妹達の本当の気持ちなんて誰にも分かるわけないじゃない。 私は一生この罪を背負って生きていく。 アンタには感謝してもしきれないけど、あまり適当なことを言うと承知しないわよ!!」 病室の中には耳が痛くなるほどの沈黙が訪れる。 美琴はこれで良かったと思いながら病室を去ろうとした。 自分はこれから学園都市を敵に回した、学園都市そのものを崩壊させるための戦いを行おうとしている。 絶対能力進化の実験の中身を学園都市だけでなく、外部にも漏らそうとしているのだ。 そうすれば学園都市の体制そのものが瓦解する。 縦しんば学園都市の体制が変わらなかったとしても、非人道的な実験は行えなくなるはずだ。 そして上の人間はどんな手段を以ってしても、学園都市の危険分子になる自分を消しにくるだろう。 少年がそれを知れば自分のために一緒に戦ってくれるに違いない。 これは自惚れではなく、少年の性格を知った上での考えだった。 ここから先は誰の手も借りない。 自分と妹達を救ってくれた上条の恩に報いるためにも、絶対に勝たなければならない戦いだった。 しかし美琴が病室のドアの取っ手に手を掛けたその時… 「…お前、学園都市に喧嘩を売るつもりだろ?」 「え?」 美琴は上条が何を言っているか分からない。 何故自分が考えていることが分かった? でも上条を自分の戦いに巻き込むわけにはいかない。 美琴は平静を装って茶化すように言った。 「アンタ、一体何を言ってるの? 学園都市の第三位で誰よりも学園都市の恩恵を預かってる美琴センセーが何で学園都市に喧嘩売らなきゃいけないのよ?」 「…馬鹿な俺でも分かるんだ、お前が気付いてないはずないだろう? 例えお前や妹達を救っても根本的な解決にならない。 まあ俺も裏の事情に詳しいわけじゃないけど、この件で学園都市に巣食ってる何かの一端は理解したつもりだ」 「…」 「ここまで来たんだ、最後まで付き合わせろよな。 まあ上条さん無能力者なんで出来ることは限られてるかもしれないが、お前が辛い時に支えてやることくらいは出来るはずだ」 「…どうして、どうしてアンタはそこまで!?」 「鉄橋でお前と対峙した時、俺はお前の強さを知った。 自分の命を賭して妹達を救おうとしているお前を見て、誰かのために戦うってこういうことなんだって初めて知った」 「アンタだっていつも誰かのために戦ってるじゃない? 虚空爆破事件の時だって、自分の危険を省みずに…」 「…昔のことは後で話すとして、とにかく俺はお前に誰かを救うための決意を教わったんだ。 それと同時にお前のことを理屈抜きに守ってあげたいと思った。 だからお前が一生罪を背負って生きていくっていうなら、俺にも一緒に背負わせてくれないか?」 「一緒に背負わせてくれないかって、人が聞いたら勘違いするようなこと言ってるんじゃないわよ!!」 「勘違いってどういう意味でせうか?」 「そ、それはその…プロポーズみたいに聞こえるじゃない!!」// 美琴の言葉を聞いた瞬間、上条は顔を赤くして俯いてしまう。 (なんだ、やっぱり勘違いだったじゃない。 でもアンタがそう言ってくれるでけで私は…) しかし次に上条から出てきた言葉は美琴の幻想を殺すでもなく守るでもなく、一転させてしまうものだった。 「軽々しくプロポーズみたいな言葉を口にしたことは謝る。 でも好きな女の子のためなら、その覚悟はある!!」 「え?」// (ちょっと、どういうこと? 好きな女の子って、そのまんまの意味に捉えていいの!?) 「でも私、アンタに好かれるようなこと何もしてないし…」 「まあ確かに二千円札を呑み込まれたのを笑われたり電撃ぶつけられたり、色々あったもんな」 「うっ…」 「でも自分を犠牲にしてまで妹達を守ろうとしたお前のことを、俺は他の誰でもない自分の手で守ってあげたいと思ったんだ。 それにお前、誰か傍にいないと無茶ばっかりしそうだし…」 「アンタに言われたくないわよ!!」 「とにかく俺はお前と一緒に歩いていきたい、お前のことを支えてあげたい。 それだけじゃ駄目か?」 「…駄目じゃないわよ、馬鹿!!」 そう言うと美琴はベッドの上にいる上条に駆け寄り、上条の胸に顔を埋めるようにして泣いた。 本当は死ぬのが怖かった、でもそうするしか道はなかった。 そして絶望の淵にいるのを上条に救ってもらい、日常に戻れるとそう思った。 しかし自分の罪を清算するために、美琴は再び死地に向かわなければならない。 だが上条はそんな自分のことを見透かしたように傍にいると言ってくれた。 この先の戦いに上条を巻き込んでいいのかは分からない。 でも上条と一緒なら学園都市に巣食う闇を取り払える、美琴にはそんな確信があった。 「お前はもう一人じゃない。 俺とお前は同じ道を歩んでる、そのことを忘れるな」 上条は美琴のことを優しく抱きしめながら、美琴のことをずっと傍で支える覚悟を固める。 それは美琴から教わった大切なものを守るための決意だった。 そしてここに学園都市に対する二人の反逆者が生まれた。 しかし二人は知らなかった。 特殊な力を持つ無能力者と学園都市第三位の反逆ですらも学園都市統括理事長のプランに含まれていることを… 前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/とある二人は反逆者
https://w.atwiki.jp/kinsho_second/pages/2550.html
とある底辺と頂点の禁断恋愛 【本文】 プロローグ 最下層の生活 ◆ 第一話 女王と大罪人 ◆ 第二話 専属黒服学生としての役割 ◆ 第三話 廃棄処分される人形達 ◆ 第四話 暗部組織の暗躍と意外な人物達との戦争 ◆|◆ 最終話 学園都市の崩壊と自覚と救出 ◆|◆ 【著者】 サッド(22-344)氏 【初出】 2013/01/31 初投稿 2013/02/16 完
https://w.atwiki.jp/index-ss/pages/1568.html
当麻が目を覚ました場所は、見慣れた病室だった。 「今度はお腹に銃弾かね?君は本当にこの病室が好きみたいだね?」 当麻の視界には、カエル顔の医者がいた。 病室内に、カエル顔の医者の言葉だけが響く。当麻は、ぼーと天井を見つめていた。 「そうそう。彼女に感謝するんだよ。えーと、春木っていったけね?」 がたっと、当麻は起き上がった。 「風波ですか?あいつ今どこにいるんですか?」 「所々に傷があったからね?まだ病院内に居るんじゃないかな?」 捜しにいこうとして、靴を履こうとした。その時ガラッと、病室のドアが開いた。 そこに居たのは、銀髪に紅茶のカップのような修道服を着たインデックスだった。 「・・・・・・で?今度はどんな女の子を助けたの?」 顔は笑っていた。怒りを隠したある意味怖い顔だ。当麻は一瞬で身の危険を察知した。 「いっインデックスさん?なぜ笑いながらも、歯をカチカチ鳴らしているのでせうか?」 「それはね、とうま」 言葉がいったん途切れ、インデックスは当麻の後頭部に飛びついた。 「とうまがとうまだからだよ!!」 ガブリと何かを噛む音と、男子高校生の悲鳴が病院内に響き渡った。 たいへんご立腹のインデックスは、思い出したように袖口から封筒を取り出した。 「とうまとうま、これ、外に居た女の子から貰ったんだよ」 「女の子?知ってる子か?つーかどんな子だった?」 当麻はゆっくりとした動作で封筒を受け取る。 「んーとね、茶髪ロングで、青っぽい制服着てた」 「風波!!」 封筒の中にはお金と、手紙が入っていた。 『上条へ 私のせいで怪我を負わせちゃって、ごめんなさい。 負担させちゃった分のお金、入れといたから。今までありがとう。じゃあね。』 短い文章だった。必要な事だけ書いているようだ。 当麻は再び靴を履き始めた。 「とうま!どこ行くのとうまー」 当麻は走り出した。 「これで・・・いいんだよ・・・・」 春木は人のこない病院内で人があまり来ない場所に居た 周りに人が居る訳ではない。自分に言い聞かせてるのだ。 会いに行きたいという気持ちを抑えるために。 「なんでかな・・・・なんでなのかな・・・・もしも私が暗部にいなかったら、上条と一緒にいれたのかな・・・・」 春木は泣いていた。すごく小さな声で。誰も聞こえないくらいに押し殺した声で。 「こんな世界もぉヤダよぉ。逃げたい。抜け出したい。平和な生活に戻りたい」 もちろん、出来るはずがない。それは春木も理解している。春木が言ってるのは、ただの幻想(ゆめ)だ。春木は闇に浸りすぎている。今さら抜け出せる訳が無い。 その時。春木の耳に自分を呼ぶ声が聞こえた。 「風波!!」 春木は顔を上げた。そこに居たのは―――― 「ふぇ?上条?」 当麻は拳を握り締めながら、口を開いた。 「なんでだよ・・・。なんで、一人で抱え込むんだよ。どうして、誰も頼らないんだよ!! お前がどんな事を抱え込んでいて、どんな世界に浸ってるのか、俺には分からねぇ。 でも抜け出したいんだろ!だったら、相談しろよ!お前がどんな所に立ってようが、俺が救い出してやる!!」 春木は幸せだった。たぶん、上条は助けるだろう。どんな傷を負ってでも、救うのだろう。 でも、たとえそれが、自分のためでも。 「上条には無理だよ」 助けてくれるって、信じていても。 「上条には、絶対に無理だよ」 春木には、跳ね除けることしか出来なかった。 「上条はこの街の、闇を浅いものしか知らない。絶対能力進化実験だったっけ?あんなもの、まだまだ浅い」 当麻の身体が固まった、やがて当麻はゆっくりと質問した。 「お前は、あの悲劇以上のものを、見たことあるのか?」 春木は軽く笑った。まるで「イエス」と言ってるように。 春木は当麻の両手を満面の笑みで、ギュッと握った。しかし当麻は分かった。それが偽物の笑顔であると。 「上条と出会えてホントに良かった。さよなら。」 当麻の両手を離すと、春木は消えた。当麻はしばらく、誰もいない通路を見ていた。 助けられなかったという、あまりにも残酷な現実を突きつけられ、しばらく動けなかった。 「私にあんなもの、見せないでくれる?気分悪いわ」 春木が消えた理由は簡単だ。空間移動して貰ったのだ。 「ごめんね、淡希。ご苦労様」 「まったく。休日にまで働く事になるなんて」 結標は片目で春木を見た。 「で?良かったの?あんな結果で」 「あれで良いの。だって」 春木は断言する。 「私にはまだ、やるべき事があるから」