約 2,850,182 件
https://w.atwiki.jp/akatonbowiki/pages/3660.html
このページはこちらに移転しました とある受験生の話 作詞/97スレ625 今日学校さぼった 別に体調はわるくないのに ただ眠かったんだ 昨日久々にエヴァ見てて4時に寝たから。 漢文と英語の出席日数がやばいらしい このままだと受験も危ういらしい 中間の世界史の点数は13点。平均点は60点 家では一分たりとも勉強してない、学校なんかじゃもちろんしてない 今日の予備校もさぼってやった。なぜなら期末一週間前だから でもテスト勉強はしてない ずっとニコニコでアニメをみてた 授業中はもっぱら携帯から2ちゃんか睡眠。なぜなら毎晩2時に寝ているから せっかく入った偏差値70の進学校涙目ww かーちゃんごめんww高い授業料払っておれ2ちゃんみてるよwwwっうぇうぇw そんな僕の志望大学は某WかK大学の法学部 オワタ\(^o^)/人生オワタ/(^o^)\ オワタ/(^o^)\人生オワタ\(^o^)/ オワタ\(^o^)/人生オワタ/(^o^)\ オワタ/(^o^)\人生オワタ\(^o^)/ とりあえず来年は自宅警備しそう
https://w.atwiki.jp/398san/pages/1202.html
《フォーチュンチャリオット》 効果モンスター 星4/光属性/天使族/攻 1000/守 1000 1ターンに1度だけ自分のメインフェイズに装備カード扱いとして自分の「ワルキューレ」と名のついたモンスターに装備、 または装備を解除して表側攻撃表示で特殊召喚する事ができる。 この効果で装備カード扱いになっている時のみ、装備モンスターの元々の攻撃力をエンドフェイズまで半分にする事で、 装備モンスターはこのターン相手プレイヤーに直接攻撃する事ができる。 (1体のモンスターが装備できるユニオンは1枚まで。 装備モンスターが戦闘で破壊される場合は、代わりにこのカードを破壊する。) 光属性・天使族であるユニオンの下級モンスター。 1ターンに1度だけ装備カード扱いでワルキューレと名のついたモンスターに装備、またはその装備を解除することができる効果を持つ。このカードが装備されているモンスターはもともとの攻撃力を半分にして、相手に直接攻撃できるようになる。 リクルーターで引っ張ってくることができる。 このカードで得られる直接攻撃能力はエンドフェイズまでもともとの攻撃力がダウンするとはいえ、なかなか優秀。相手の場に戦闘破壊できなモンスターがいる時や、攻撃したくないモンスターがいる時に使おう。 発動時メッセージ「ワルキューレ・ブリュンヒルデは運命の守護を受けた!」 関連カード ワルキューレ
https://w.atwiki.jp/codeofjoker/pages/3764.html
概要 デッキ構築 デッキのキーカード トリガー/インターセプトカード このデッキに対するメタの張り方、対策など 概要 Ver.2.3EX2で追加された英霊ケット・シーのCIP能力で【強制防御】を与え、 ラン・メイラン/威気衝天の籠で【貫通】付与とBP強化を行い、起動効果で【スピードムーブ】を付与するコンボ。 問答無用でユニット1体とライフ2点をもぎ取るお手軽殺人兵器。威気衝天の籠が選ばれていた場合は間違いなくこのコンボが搭載されている。 デッキ構築 どんなデッキからでもジョーカーゲージ小とケットシーさえ揃っていれば始動出来るのが強みであるため特にレシピは無い。 ラン・メイランが対戦相手であれば赤青侍や黄単からだって飛んでくるし飛ばすことが出来る。 デッキのキーカード 英霊ケット・シー 威気衝天の籠を使ってから起動効果を使うことでBP10000【貫通】【スピードムーブ】で動く殺戮獣。 コンバットトリックを複数枚使われるでもなければほぼ確実にユニット1体ライフ2点を奪う。 ラン・メイラン/威気衝天の籠 これがないとBPも【貫通】も足りないため必須。もう一方はデッキに合わせて選ぼう。 黒乙女ブリュンヒルデ ケットシーで狙えない行動権消費済みユニットを低コストで奪える。 威気衝天の発動の為に相手のアタックをライフで受ければブリュンヒルデの奪取効果も使いやすくなる。 トリガー/インターセプトカード セレクトショップ、微笑の占い師 当然ながらランを見た時点でガンガンに警戒してくるためトリガー除去は必須。デッキの色や枠が合うなら英霊ペンテシレイアで一掃するのもいい。 獣王の威光、洗練された演武 ある程度緑が濃いデッキでないと使用できないが、さらにライフをもぎ取りたい時に。 ケットシー対策として行動圏を消費しきってターンを渡す相手もいるので演武の方が致命傷を与えやすい。 このデッキに対するメタの張り方、対策など ミューズで【スピードムーブ】を禁止したり、デストラクションスピアで登場と同時に退場してもらうなど、とにかくケットシーに暴れられないように立ち回ろう。 前述の通り威気衝天の籠が採用されていればどこからでも飛んでくるので安易に行動権を残したままターンを終了しないようにしたい。 とはいえコンボの始動に必要なのがユニットカード1枚とジョーカーゲージ小だけなので、止め切れずにモロに喰らうこともある。ライフをなるべく多く維持して立ち回りたい。
https://w.atwiki.jp/indexorichara/pages/1086.html
「・・・判った。界刺、お前の条件を全て呑もう。但し、この条件は159支部・176支部・178支部・花盛支部・成瀬台支部に限って適用される。いいな?」 「それでいいよ。さすがは、椎倉先輩。話のわかる人が、成瀬台の風紀委員のリーダーでよかったよ。んふっ!」 「・・・これが固地なら、とてもじゃ無いがそんな条件は呑まなかっただろうな」 「だろうね。あぁ、そうだ。今回の債鬼の件は不問にしてあげるよ。彼も、1人で頑張っていたんだし。それに、今彼が抜けるのは痛過ぎるだろう?」 「そうか・・・。恩に着る」 「それと!債鬼の単独行動だけど、そのまま放っておくんだ。彼の思う通りにやらせてあげるといい。 まぁ、数人レベルの情報共有は要ると思うけど。彼の負担を軽くする意味でも」 「?何故だ?」 「内通者を炙り出すため」 界刺は、先程までの消極的な姿勢から一転、椎倉達に積極的に助言して行く。 「俺の勘だけど、内通者の方も債鬼の調査に気付いているんじゃないかと思うんだ。だからこそ、内通者“も”踏み込めていないんだと思う。 債鬼の存在自体が重石になっているんだね。つまり、それこそがチャンスなんだ。その機会を、わざわざこっちから潰してやる義理は無いね」 「成程・・・。もし、俺達が固地の単独行動を咎め、最悪除外することにでもなれば、内通者にとって願っても無い状況になるというわけだな」 「それもある。でも、それ以上に内通者を、『内通者の存在に気付いているのは固地債鬼唯1人』という状況に身を置かせることが重要だ。 そうすることで、何処かに油断が生まれる可能性が高い。それに、その内通者が仮に『ブラックウィザード』にとって重要な人物であったとしても、 東雲なら容易に切り捨てる。泳がせる意味でも、他の風紀委員が積極的に関わっちゃ駄目だ。きっと、債鬼もそれがわかっていたから皆さんに伝えなかったと思うよ。 んふっ、さすがは“風紀委員の『悪鬼』”。俺が債鬼の立場でも、きっと同じような行動を取っただろうね」 「だが、それでは・・・」 「うん。余りよろしく無い。・・・そうだ。椎倉先輩、ちょっとお耳を拝借(ゴニョゴニョ)」 「(ゴニョゴニョ)」 「(ゴニョゴニョ)」 「(ゴニョゴニョ)」 「(ゴニョゴニョ)。・・・成程、固地の行動を見習えばいいというわけだな。それと、固地を説得する必要があるな」 「そうだね。きっと、これで内通者を油断ないし焦らすことはできると思う。リスクは高いけど・・・」 「だが、リスクを恐れていては今回の件は解決できない。・・・よし、その方法で行こう!!」 置いてけぼりの他の風紀委員達は、唯見守るしか無い。 「さて・・・。形製。一応確認しておくけど、この場に内通者は居なかったよね?」 「うん。そこに倒れている男以外は、不良連中含めて全員『分身人形』で記憶を調べたけど、該当者は居なかったよ」 「お前・・・!!まさか、彼女は・・・!?」 「紹介が遅れちゃったね。彼女形製流麗は、『シンボル』の“参謀”だ。レベル4の精神系能力者で、強力な洗脳・読心能力を仕掛ける能力を持つ」 「・・・そんな高レベルの精神系能力者も居るの!?『シンボル』・・・大したモンね」 加賀美が感嘆の念を述べる。『シンボル』には戦闘に長けた能力者だけでは無く、搦め手を使える能力者も居ることに、素直な感想を抱く。 「界刺様!!私の紹介も!!」 「あぁ、ごめんごめん。この娘は、サニーこと月ノ宮向日葵。最近シンボルに加入した電気系能力者だ。 それと、今は無期限停職中の159支部メンバー、空間移動系能力を持つ春咲桜もボランティアとして受け入れている。 俺や真刺、涙簾ちゃんや仮屋様を合わせた都合7名が、今の『シンボル』のメンバーだ。以後お見知りおきを、風紀委員の諸君?」 「なっ!?春咲桜を・・・!?破輩先輩!!」 「別にいいじゃないか。ボランティアとして、学園都市の市民を守りたいんだろう?なら、私がどうこう言える立場じゃ無い。春咲には、もう正当な罰は与えられたしな」 「(破輩め・・・。一計案じたな?)」 「え~と、光学系・気流操作系・水流操作系・念動力系・精神系・電気系・空間移動系・・・。うわぁ、全部うまいことバラけてるなぁ。かなり理想的じゃない、これって?」 「そして、サニーこと月ノ宮向日葵が遠藤さん、真珠院さん、鬼ヶ原さんと結成した『引力乙女』は、『シンボル』の皆さんにお力添えをすることにしました!!」 「はっ!?そんなこと、俺は聞いてないぞ!?お、おい、真刺!?」 「私も聞いていない!!確かに、月ノ宮からは『朝練に「引力乙女」のメンバーを参加させて欲しい』という要望があった! 自分達を鍛えたいという彼女等の願いを、私は聞き入れたのだ!!だが、『シンボル』への力添え等・・・」 「得世様!!真刺様!!サニー先輩からお聞きしましたよ!!お二方がお金に困っていることを!!」 「「何で、そのことを!!?」」 「え、遠藤達がつい耳にしてしまったのです!!サニー様が、殿方達がお金に困っていることについて独り言を零していたのを!!」 「何でも、形製様への贈り物をワリカンというやり方で各々が費用を支払った際に、界刺様達がずっと愚痴を零していたのをサニー先輩が気にされておいでだったのです」 「私の独り言を聞いていた彼女達と相談した結果、私達『引力乙女』は『シンボル』の後方支援、主にお金の面で支援しようと思い立ったのです!! ちなみに、これは『引力乙女』の勝手でやるものなので、界刺様や不動様が何を仰られても変更するつもりはありません!!」 「・・・・・・どう思う、真刺?」 「・・・・・・お金に困っているのは事実だからな。主に、仮屋の食事代で」 「・・・・・・自分より年下の女の子に金銭面で支援してもらうのって、男としてどうよ?」 「・・・・・だが、そろそろ私達の財政面もレッドライン突入寸前だからな。主に、仮屋の食事代で」 「サニー?確認だけど、『引力乙女』はあくまで後方支援に徹するんだよな? 言っとくけど、俺等に関わったことでもし君等に危害が及んだとしても、それは自業自得だからね?」 「はい!とは言っても、私は『シンボル』の一員でもありますので、『シンボル』が動く時は界刺様達と共に」 「支援するのはいいが、私達がその分の金額を返済するのには相当な時間が・・・」 「返済なんて必要ありません!!これは、私達『引力乙女』が善意で行うことですから。 界刺様に導いて頂いたご恩に比べれば、この程度へっちゃらぽんです!!ねぇ、皆!?」 「「「はい!!!」」」 「・・・常盤台のお嬢様達の金銭支援か・・・」 「・・・これで仮屋の大食いに悩まされることも無い・・・」 「「わかった!!その申し出、受けた!!!」」 「界刺さん!!私だって、いざという時はあなたの力になるわよ!!月ノ宮がこんなに頑張っているのに、私だけ1人暢気にお茶なんて飲んでいられないわ!!」 「私も苧環と同じ思いです!!幸い、159支部の方針として、『シンボル』への助力が認められていますからね!!思う存分、あなたの力になれます!!」 「華憐・・・リンリン・・・ありがと。もし、俺が助けを請う時はよろしく!!」 「「はい!!」」 「うわぁ・・・!益々『シンボル』の力が大きくなって行く・・・!!」 「・・・界刺。握手しよう!!」 「え?何でいきなり・・・うおっ!?椎倉先輩の目が『$』に!?」 「お前達とうまく付き合えば・・・もしかしたら・・・俺達の懐事情も・・・ハァ、ハァ」 「内心ダダ漏れ状態になってんだけど、この人!!?他人の心理状態を見透かす人が、自分の内心をダダ漏れにしてどうすんだ!?」 「・・・不動よ。我輩達の友情は、永久に不滅である!!!」 「寒村先輩・・・。あなたも、お金には勝てませんか・・・」 「な、なんだかサニーに負けた気分になってきちゃいましたー!!わ、わたしだって、お金ならいくらでも・・・グヘッ!?」 「はいはい。お前の意気込みはわかるがこれ以上場を混乱させんなよ、抵部?」 「あっ!1つ言い忘れてましたけど、今後朝練の参加メンバーに“常盤台バカルテット”の皆さんも参加されるみたいですよ?」 「はぁ!!?何で!!?」 「得世様!!それは、私の口からご説明させて頂きます。金束様曰く、『敵情視察よ!!!』だそうです。他のご友人のケガが治り次第、参加されるとのことです。 そうだ、他にも『常盤台に通う女性の半分近くを1日にして平らげた罰よ!!』とも仰られていましたね。あれは、どういう意味だったのでしょう?」 「おい、得世・・・。貴様・・・まさか、それ程までの女ったらしだったのか・・・!!?」 「真刺・・・!!ち、違うんだ!!こ、これはだな・・・」 「問答無用!!この不動真刺が、貴様の心を叩き直してやろう!!」 「ちょっ・・・待っ・・・(ザッ!!)・・・涙簾ちゃん?」 「水楯・・・。貴様・・・またしても邪魔を・・・!!」 「また、この人に危害を加えるというのなら・・・不動先輩、あなたでも潰します」 「ほう、面白い。ならば、やってみろ!!先程の決着を着けてやる!!」 「その言葉、そっくりそのままお返しします!!」 「ちょっと待て!!俺の部屋で暴れるな!!つーか、何でさっきみたいなやり取りを再現してんだよ!?・・・(ガシャン!!)・・・あぁ・・・俺の骨董品が・・・」 「不動様・・・水楯様・・・やっぱり恐いです!!」 「サニー様。遠藤も同じ思いです!!あ、あの殿方のご友人は、やはり恐い人ばかりなのですね・・・!?」 「お、おい!神谷君!!君等は風紀委員なんだろ!?な、何とかしてくれー!!」 「はぁ?さっきは口を挟むなって言ったくせに、自分の都合のいい時だけ・・・」 「・・・“ホムラっち”(ボソッ)」 「ビクビクッ!!か、神谷先輩!!リーダー!!あの人の言う通りです!! 風紀委員足る者、その一般人が詐欺師だとしても困っているとあらば助けないわけにはいきません!!さぁ!!」 「ぐあっ!!?」 「緋花!?ど、どうしたの!?また、冷や汗ダラダラ状態だよ!?」 「な、何でもないです、アハハのハ!!あ、荒我!!荒我・・・」 「おい。今“ホムラっち”って言わなかったか?」 「言ったでやんすね。“ヒバンナ”とは別の渾名でやんすかね?」 「何ていうか、安易だよね。“~っち”って付ければっていう魂胆が見え見えでさ」 「利壱。紫郎。お前等、“ヒバンナ”と“ホムラっち”のどっちがいいと思う?」 「オイラは“ホムラっち”でやんすね。安易だからこそ、親しみやすいと思うでやんす」 「俺は“ヒバンナ”かな?発音に惹かれるというか・・・。荒我兄貴は?」 「俺か?俺は・・・」 「ちぇいさああああああー!!!」 「「「グハッ!!?」」」 「・・・・・・」 「全然気付かない。・・・まさか、ずっとこのままってわけ・・・・・・でもいいか」 「・・・破輩先輩?」 「・・・何かな、鉄枷君?」 「・・・ぶっちゃけ、俺達ってここへ何しに来たんすか?」 「・・・私にもよくわからなくなって来たよ」 この後に、場が収束するのに十数分掛かった。そして、更に界刺のコレクションが無残となったのは言うまでも無い。 「言っておくけど、形製の『分身人形』で残りの風紀委員を調査するのは無しな。グスン。そこまで、俺達はそっちと馴れ合うつもりは無いんで。グスン。 どうせ、そっぽを向かれたんだろ?風紀委員も警備員も。・・・『軍隊蟻』に居る“お嬢”にさ?グスン。あいつの相手は面倒臭いしな。グスングスン」 「よしよし。サニー・・・。あなたはわたしのライバルになる女ですー!!!(ベキッ!!)」 「なでなで。“サーヤ”・・・。いいでしょう、その勝負受けて立ちましょう!!!(バキッ!!)」 「“サーヤ”?そ、それってまさかわたしの・・・」 「そうですよ。あなたの渾名です。この私自ら名付けてあげたんですから、感謝して下さいね。フフフ」 「な、何かムカつくー!!!」 「ちなみに、あなたって年は幾つ・・・水楯様と同じバッチ?ま、まさか・・・私より年上!!?」 「な、何でおどろいているのー!!?ムキー!!!」 「(何か、サニーが華憐に似てきたな。ブルッ!何か寒気が・・・)」 本気で泣いている界刺を両脇で慰める“サニー”こと月ノ宮と、“サーヤ”こと抵部。その哀れな姿に少しばかり同情しながら、椎倉は返答して行く。 「・・・・・・本当に何でも知っているな。何処からそんな情報を仕入れて来るのやら。・・・“怒れる女王蟻”とも面識があるのか、お前?」 「さてね。後、さっき警告した殺人鬼を雇っているっぽいスキルアウトの名前は『紫狼』って言うんだ。最近勢力拡大中みたいだから、お気を付けて」 「・・・・・・もう、一々驚くのも面倒になって来たな」 「というか、さっきもちょろっと言ったけど、椎倉先輩って人の心理状態を読める精神系能力者だよね?何で、それを使わないの?」 「・・・これは、俺の信念だ。仲間である風紀委員に対しては、絶対に『真意解釈』は使わねぇっていう・・・な」 「風紀委員の中に内通者が居る可能性が高くても?」 「・・・あぁ。100%居るって決まったわけじゃ無い。だから・・・俺は使わない。甘いと言われても、俺はこの信念を貫くつもり・・・だ」 「・・・そうか。だったら、俺から言うことは何も無いね。椎倉先輩の思うようにしたらいいさ」 「・・・あぁ。そうさせてもらう」 「あぁ、そうだ。最後に、これも言っておこうかな。俺の推測だけど」 「・・・何だ」 界刺の口からポロポロ零れる情報に、いい加減自身の処理能力が追いつかなくなって来た椎倉が、辟易した顔で応じる。 「『ブラックウィザード』が、何で“レベルが上がる”なんて薬を売り始めたのかってことに対する俺なりの推測」 「・・・聞かせて貰おうか。お前の推測なら、覚えておくだけの価値はありそうだ」 「そう。なら、そんな椎倉先輩のご期待に応えてみようかな。これは、東雲が始めた世界への挑戦だ。“レベルが上がる”という薬は、そんな世界への挑戦状みたいなモンだ」 「・・・詳しく」 椎倉の表情が真剣になる。この男は、一度東雲と会話している。ならば、その時抱いた心証はきっと『ブラックウィザード』に関わる捜査に役立てられる筈だ。 会話したのが“『シンボル』の詐欺師”と謳われる界刺ならば、尚更。そう、椎倉は考える。 「あいつにとって、無尽蔵の『力』を持つこの広大極まる世界は疎ましくてしょうがねぇんだと思うんだ。 何せ、そんな世界に生れ落ちた自分は最初から世界に屈した“敗北者”だからだ。それが、あいつには我慢ならねぇんだろうよ。 だから、『力』を欲した。・・・いや、『力』を生み出せる『力』を欲したんだと思う。それが『ブラックウィザード』であり、“レベルが上がる”という薬なんだろうよ。 世界に『力』を与えられなくても、自分はこれだけの『力』を生み出したんだという証明をしたいんだろうよ」 「そ、そんな独り善がりの理由で・・・!!」 「おっと、ヒバンナ。それは、君が指摘できる事柄なのかい?」 「うっ・・・!!というか、その渾名・・・」 界刺の指摘に口ごもる焔火。界刺は、そんな焔火に視線を変える。 「心当たりアリ・・・か。それに、そんなことを言い出したら俺だって十分に独り善がりだったさ。人間、独り善がりにならなかった時期なんてあるわけねぇし。 そして・・・独り善がりは別に悪いことだらけじゃ無いよ?それは、ようするに自分を最優先に考えているってことだし。 その部分に関して俺はその在り方を認めるし、個人的に好きだ。俺も、自分を第一に考えて動いてるし。 だって、自分のことを最優先に考えられない人間に他者を救えるわけが無い。俺は、そう考えているからね」 「・・・意味がわかりません。どうして、自分のことばかり考えて動く人間が他者を救えるんですか? 普通は、自分のことより他者のことを考えて動くんじゃないんですか?誰かが困っているのなら・・・」 「君さぁ・・・“ヒーローごっこ”でもしたいのかい?」 「!!!」 『ねえねえ!わたしもゴリラさんみたいに、こまっているひとをたすけるヒーローになりたい!』 息が止まる。心臓が鷲掴みされる。自分の根っこ。『困ってる人間を助けられるヒーローになりたい』。それを、碧髪の男に抉られたようで。 “ヒーローごっこ”と揶揄されても、何度でも立ち上がる。そう、あの公園で誓った筈なのに。 何故、自分は動揺している?どうして、自分は爪が食い込む程に拳を握っている? 「・・・・・・・・・“ヒーローごっこ”・・・で、すか?」 「そうだ。“ヒーローごっこ”。・・・君は“ヒーロー”というものを、“どんな時も他者のために命を懸けて動くことができる立派な人間”みたいに捉えてそうだね? もしかして、そういう“ヒーロー”になりたいみたいな理由で風紀委員になったクチかい?」 「・・・それがどうしたって言うんですか?」 「いんや。別に。言ってみただけさ。んふっ!んふふっ!“ヒーロー”か・・・。んふふふふふっ!!」 「何がおかしいんですか!?」 「んふふふっ・・・いやぁ、ごめんごめん。今の君じゃあ、とてもじゃ無いけど全く身の丈に合ってない在り方だなと思って。高望みもいい所だ。 こりゃ、筋金入りの“ヒーローごっこ”を演じてくれるかもしれないな。んふっ・・・今の君じゃあ、“ヒーロー”になんてなれっこないよ? 自分のことを最優先に考えられない“ヒーロー”に、一体何を救えるんだい?例え救えたモノがあったとしても、その“ヒーロー”は納得し続けられるのかな? 馬鹿だねぇ・・・そんなこともわからないのかい?わからない?あっそ。なら、仕方無いね。 少なくとも、俺は今の君が考える理想の“ヒーロー”なんかになりたくない。羨ましくもない。俺からしたらだけど。 まぁ、俺だったら“ヒーロー”にはなれるかな?名前は・・・“詐欺師ヒーロー”とか? んふっ、別になりたくもないけど。ならせてあげるって言われても、こっちから願い下げだ。“ヒーロー”なんかに縛られたく無いし。 その理由は言わない。どうせ、今の君には言っても理解できないだろうから。んふっ!これは俺の戯言だから、無視したければどうぞ?」 「・・・!!」 自分の根本を、根こそぎ抉られる。蹂躙される。その見事なまでの手際の良さに、焔火は息をするのも忘れる。故に、反論するための声も出せない。 「にしても、君はさっき俺の言ったことも勘違いして理解しているようだね。 “ヒーロー”話と言っていることは殆ど同じなのに。つくづく君の馬鹿さ加減が露になってるねぇ。 その勘違いは、後の君へ手痛いしっぺ返しになって襲い掛かって来そうだ。ご愁傷様」 「えっ!?」 「まぁ、いいや。俺の言ったことが気になるのなら、ずっと考え続けてみるといい。悩み続けてみるといい。俺からは、このことに関してはもう何も言わない。 おそらく、これは君が成長できる1つの糧になると思うから。だから・・・自分で答えを出してみなよ、焔火緋花。 現在進行中で苦しみ続けてそうな君になら・・・きっと辿り着けると思う。何なら、デタラメばっかり言ってる俺のお墨付きを与えてあげようか?」 「・・・!!」 「繰り返しになるけど、俺の言うことなんて聞く耳持たないって言うんなら、別に考えなくてもいいよ?それは、君の自由だ。好きにするといい」 「そ、それって卑怯だね。そんだけズバズバ言っておきながら・・・。それにしても、あなたが言うと実際に現実として起こり得そうに聞こえて仕方無いわ」 「リーダー・・・」 界刺と焔火の問答に、焔火の上司である加賀美が割って入る。加賀美自身、界刺が焔火へ告げる不吉な言葉の数々に異様な寒気を感じていたからだ。 「君が、この娘の保護者さんかい?だったら、君が責任を持って指導してあげるんだね。この娘・・・危ないよ?独り善がりの匂いがプンプンする。 程々程度ならまだしも、これくらいキツイとね。しかも、“ヒーロー”というものを勘違いしているようだし。本人は、全く気付いていないけど」 「なっ!?わ、私の何処が独り善がり・・・!!そ、それに勘違いって・・・!!」 「ほら。全然わかってない。これは、危ない傾向だね。そこら辺は、債鬼の方がよっぽど理解してそうだ。この男は、独り善がりじゃ無い人間だろうから」 「固地先輩が・・・独り善がりじゃ無い!?」 更に、固地の部下である真面も口を挟む。挟んで・・・しまった。よりにもよって、この男に。 「ん?君は、彼の後輩かな?そうだよ、債鬼は独り善がりなんかじゃ無い・・・と俺は思う。彼は、自分のことを最優先に考えて動いているだけさ。以前に会った印象だとね。 それを言ったら、ヒバンナの方が債鬼よりよっぽど独り善がりだね。今回は、債鬼もミスったみたいだけど。・・・君等にはまだ理解できないかな? なら、今はそれでいいんじゃない?君もヒバンナも、後で手痛いしっぺ返しが来そうだね。 債鬼の苦労もわかる気がするな。昨日、俺も指導(それ)関係で中々に苦労したし。んふっ、“嫌われ者”は辛いねぇ。まぁ、自業自得だろうけど。 それに、今後債鬼の在り方の弊害が出てくるかもなぁ。勘違いしちゃ駄目だよ?弊害ってのは、債鬼に現れるんじゃ無い。債鬼は、十二分にそれを『理解している』筈だし。 債鬼の在り方に慣れた君や他の人間に現れるんだ。厄介そうだねぇ・・・。“風紀委員の『悪鬼』”も完璧とは行かないか。俺も、昨日それを改めて思い知らされたし。 うん、やっぱり債鬼は独り善がりじゃ無いだろうね。部下思いのいい上司だと思うんだけどなぁ。やり方がどキツイらしいから、合う合わないはあるだろうけど。 こんな上司を持てて、君は幸せに思わないの?思わない?あっそ。なら、仕方無いね。 そうだ、彼女にも言ったしそっちのリーダーにも指摘されたことだけど、嘘ばっかり言ってる俺の言うことなんて、別に気にしなくてもいいよ?ご自由に」 「(そ、そんなこと言われても・・・!!)」 「(よりにもよって、あの固地先輩を罠に嵌めて沈めたあなたの言葉よ・・・?気にするなって言う方が無理じゃない!!)」 一気呵成が如きマシンガントークを放つ界刺の“予言”に、真面と焔火は背筋が震えるのを止められない。 この男は、自分達が気付いていない自分の欠点や矛盾を看破している。そうとしか思えない。 何故なら、今までのやり取りからこの男の洞察力が並外れているのを嫌でも思い知らされたからだ。 この男はあの固地を相手取り、巧みな言葉と周囲の環境を用いて、結果見事に沈めて見せたのだ。自分達を看破すること等、この男からしたら朝飯前なのだろう。 (実際には、界刺でも無理なものは無理だが。常盤台のフィーサ=ティベルを見誤ったのが、良い例である。 実際、界刺でも焔火と真面・・・特に初対面である真面の人間性は理解し切れていない。無理なものは無理なのである。 故に、巧みに言葉を操ることでその人間の性質を上手いこと引き出し、その上で自分の言葉が正しく聞こえるように仕向け、結果として当人を“その気”にさせるのだ。 一種の洗脳。そして、それに焔火と真面は引っ掛かった。全く的外れでは無い、むしろ当人には図星・盲点なのがタチの悪い所である) 「本当に厄介な男・・・!!ね、ねぇ。い、今その理由とかって教えて貰えないの?」 「そりゃ、無理だ。こんなモン、人に教えられても意味無ぇし。自分で痛い目見て、それでようやく感得できる代物だ。その痛い目が、たとえ命に関わることであってもね。 そこら辺に、俺は関わらない。人間何時かは死ぬ。この2人が、自分の欠点や矛盾で死んだとしても、それは自業自得さ。わかったかい、リーダー?」 「・・・よくそんなんで納得できるね。私には無理だよ」 「君が無理でも、俺にはできる。それだけの話だよ。まぁ、しばらくは俺も死ぬわけにはいかなくなったけど。 ウチにも、未だに1人とんでも無い独り善がりが居るからね。あいつの場合は、もう危ないを通り越しちゃってるから、逆に危なくなくなっちゃったけど」 「・・・つまり、あなたも独り善がりを抱えていたってこと?」 「仲間内で言えば、ある1人とは何度も殺し合いをした末に矯正させて、ある1人とは数ヶ月程激ヤバストーカー行為を喰らった末に服従させて、 ある1人とは救済委員なんてモンに巻き込まれた末に気付かせたって感じかな?どれも、命の危険を伴ったよ?だから・・・警告してんの。 唯でさえ、『ブラックウィザード』の捜査に携わっているんだからな。それ込みで危ないって言ってんのさ。下手したら、命に関わるから」 「・・・あなたもかなり苦労したんだね」 「あぁ」 加賀美は、界刺の苦労話を聞いて同情の念を胸に宿す。何せ、自分も好き勝手ばっかりする部下を何人も抱えているからだ。 「わかった。私なりに色々考えて、緋花の指導に当たってみるよ。あなたの警告を無駄にしないためにも」 「そうした方がいいな。以前の公園で会った時も思ったけど、今日のやり取りで確信したよ。あの娘・・・かなりヤバイ。不安定過ぎる。 確たる自分を持てていない。あの状態は・・・敵方に付け込まれる致命的な隙になる。俺が敵方なら、まずはあの娘から篭絡する・・・というか潰す。 何せ、単純思考そうだし。騙されやすいだろうし。勘違いばっかしてそうだし。“ヒーロー”に間違った幻想を抱いてそうだし。纏めたら・・・根本的に馬鹿なんだろうな、うん」 「・・・あの~、全部丸聞こえなんですけど?結局、私が途轍も無い馬鹿だって言いたいんですか、界刺さん?」 すぐ傍に当人が居るのに、何ぶっちゃけ話してんのよ!!と言いたくて堪らない焔火が界刺に向けて言葉を発する。対する界刺は、焔火に対して哀れみを込めた言葉を送る。 「・・・何だ、今頃気付いたの?これも、もしかしたら独り善がりのせいなのかも、うん」 「な、何でもかんでも独り善がりのせいにすんじゃ無いわよおおぉぉ!!!あなたの考える独り善がりって、幅が広過ぎない!!?」 「だってねぇ・・・自分が馬鹿なのにも気付かないんじゃあねぇ・・・。致命的過ぎ・・・」 「それを言い出したら、あなたの部屋にあった趣味の悪い衣服とかはどうなのよ!!?」 「えっ?何を言っているんだい?全て、趣味の良い物ばかりじゃないか?カッコイイし、カワイイし。あれを趣味悪いと思っちゃう君のセンスの方がおかしいんじゃ?」 もう、何も言えない。・・・こんな人間にボロカスの駄目出しを喰らう自分って・・・思いっ切り馬鹿にされる自分って・・・。 「・・・・・・確かに、あなたも十分に独り善がりだわ。これと同レベル以下の私って・・・一体・・・」 「以下じゃ無いよ。以上だよ。もし、俺が今でも独り善がりだったとしても、君の方が俺なんかより圧倒的にレベルが上・・・」 「益々落ち込んじゃうようなことを気軽に言ってんじゃ無いわよ、バカ界刺!!」 「グホッ!!何で形製の口調が君にまで!!?」 焔火の右アッパーが決まり、吹っ飛ぶ界刺。これには、さすがの水楯も対処のしようが無い。何故なら、自分もあのファッションセンスは有り得ないと思っているからだ。 「・・・ぐぅ」 「・・・はぁ。全く、テメェは本当に読めねぇ野郎だな。本気なのか冗談なのか、サッパリ掴めねぇよ」 「美魁・・・か?」 吹っ飛んだ界刺を、閨秀の『皆無重量』が受け止める。 「とりあえず、その東雲って野郎の話を再開しろよ?まだ、話の途中だったろうが」 「あぁ、そうだね。え~と、何処まで話したっけかな・・・・・・あぁ、そうだ。でも、次に話すのが最後だけどね」 閨秀が促したこともあり、本題に戻る界刺。これが、風紀委員へ贈る最後のアドバイス。 「ヒバンナの言葉を借りるなら、東雲は独り善がりそのものと言っていいね。『力』を生み出せることを証明するためだけに、様々な極悪非道なことをやってのける。 そのためなら、他人を容赦無く切り捨てる。全ては自分のために。あいつの考え方自体は同調できる部分もあるんだけど、独善的過ぎるんだよなぁ。 何事も尖り過ぎは良くないっていう典型例だね。あいつは、証明するものを間違えた人間だ。だから・・・この辺りであいつを潰した方がいいのは事実だね。 仮に、薬の氾濫を抑えたとしても、あいつは別の手段で『力』を生み出せることを証明するだろうし。 そして、被害者はドンドン増えるって図式さ。だから・・・優先順位を間違えるなよ?わかってるとは思うけど。 風紀委員が最優先に考えなきゃいけないのは、『薬の氾濫を食い止める』ことでも、『薬物中毒者を救う』ことでも、『「ブラックウィザード」を潰す』ことでも無い。 『元凶である東雲真慈を潰す』ことだ。そこを履き違えたら・・・君達全員が痛い目を見ることになるよ?最悪命に関わるような・・・ね」 「「「「「「「「「「「・・・!!!」」」」」」」」」」」 この界刺のアドバイスに込められた真意を、例に挙げられずともこのアドバイスが想定したであろう起こり得る現実を、後に風紀委員は嫌と言う程思い知らされることとなる。 風紀委員は去り、現在部屋に居るのは『シンボル』・常盤台生・不良組である。 「・・・まさか、テメェが『ブラックウィザード』の親玉と出会っていたなんてな。あの時の会合じゃ、何も言わなかったくせによ」 「別に、俺は救済委員じゃ無いからね。だったら、報告する義理も義務も無い。違うかい、あらぎゃ君?」 「ブッ!!お、俺の名前は荒我だ!!」 「ごめん。噛んじゃった、あらぎゃー君」 「伸ばすんじゃ無ぇ!!」 何時かの救済委員の会合で、『ブラックウィザード』に関する報告を行った。その場に居た救済委員の荒我と、『シンボル』の界刺。 あれ以来、2人が直接対面するのは今日が初めてであった。 「リンリン。このあらぎゃぎゃ君は、救済委員の1人だ。まぁ、オフレコでよろしく」 「わ、わかりました」 「テメェ・・・わざとだろ?どう考えてもわざとだよなぁ!?」 「そんなことは横に置いといて・・・」 「置くんじゃ無ぇ!!」 「君は、ヒバンナとは親しいのかい?」 「!!!」 ヒバンナ。つまり、176支部メンバーの焔火緋花という少女のこと。 「もしかして・・・“コレ”?」 「ち、違ぇよ!!!俺と緋花は、そんな関係じゃあ・・・」 「・・・ふ~ん」 「な、何だよ!!」 「・・・どうせ、夏休みで暇なんだろ?だったら、あの娘の傍に居てやった方がいいな。彼女、このままだとヤバイかも」 「・・・!!ど、どうしてテメェにそんなことが・・・!!」 「君にはわからないのかい?俺より親しそうな君が?」 「!!!」 界刺の挑発が込められた視線が、荒我の体を射抜く。 「本当に彼女のことが心配なら、本当に彼女のことを大事に思っているなら・・・荒我、君は一度彼女の悩みを聞いてやるべきだ。 君にしか言えないことも、もしかしたらあるかもしれない。・・・手遅れになっても知らないよ?」 「・・・!!」 『手遅れ』。その意味は、先程のやり取りを聞いていれば自ずと答えは出る。 それは、『ブラックウィザード』の魔の手によって焔火の身に危険が及ぶこと。その引き鉄になるのは、他でも無い焔火自身である可能性があること。 「だ、だけど・・・あいつは今風紀委員の仕事が・・・!!」 「それなら、大丈夫だ。今日の午後と明日は、風紀委員活動がお休みになる。そう、椎倉先輩に進言してある」 「なっ!!?」 「・・・細けぇことは気にするな、荒我。今日はバタバタしてるから無理だとして、明日でもいいから緋花を遊びに連れて行ってやれよ! 見栄とか外聞とか気にしてる場合じゃ無ぇ。自分(テメェ)にとって緋花が大事な女なら、しっかりフォローしとけ!・・・そっちの連れはどう思う?」 「・・・荒我君。緋花ちゃんを遊びに誘うでやんす!!」 「そうだね。荒我兄貴。彼女を、『マリンウォール』へ誘いましょう!!」 「利壱・・・紫郎・・・」 荒我を後ろから支えるかのように、梯と武佐が寄り添う。『マリンウォール』とは、第7学区に去年新設されたばかりの大型プール施設である。 レジャー的且つ学生の部活動にも盛んに協力している施設で、夏限定であの焼肉屋『根焼』・喫茶店『恵みの大地』・屋台『百来軒』等も出店していると言われている。 実の所、夏休み初日に焔火を見掛けてからずっと梯と武佐は、荒我に対して焔火を『マリンウォール』へ誘おうと言って来たのだ。 だが、何故か荒我がそれを拒み続けたために実現には至っていなかったのだ。2人の狙いは、もちろん『水着の焔火と遊びたい』である。 「緋花ちゃんがもし悩んでいるなら、それを荒我君は放っておくでやんすか!?(水着・・・緋花ちゃんの水着・・・!!)」 「荒我兄貴・・・。ここは俺達に兄貴の漢(オトコ)って奴を拝ませて下さい!!(たわわに実った胸・・・ハァ~!!) 「ううう・・・」 「荒我君!!(緋花ちゃんの!!)」 「荒我兄貴!!(水着姿!!)」 「・・・わかった。わかったよ!!緋花を遊びに連れていきゃあいいんだろ!!!」 「さすがは!!」 「俺達が尊敬する!!」 「「荒我君(兄貴)!!!」」 舎弟の凄まじい熱意に当てられ、荒我は遂に決断する。焔火を『マリンウォール』へ誘うことを。 「そうと決まれば・・・」 「“善は急げ”でやんす!!」 「お、おい!!?」 梯と武佐に引っ張られて部屋を去って行く荒我。その後姿を見て、ようやく界刺は一息吐く。 朝目覚めてから今まで頭脳をフル回転させていたので、さすがの界刺も疲れているのだ。 「あぁ・・・疲れた。本当に・・・疲れた」 「・・・界刺様。大丈夫ですか?」 「あぁ。何とかね」 鬼ヶ原の労わりの言葉に気軽に応える界刺。そこに、親友の『本気』を久方ぶりに見た不動が言葉を掛ける。 「お前の『本気』を見るのは久し振りだな・・・得世。私と死合って以来じゃ無いか?」 「昨日辺りにもちょろっと出したよ?これも、準備運動の一環さ。・・・最近色々あったことも手伝って、真刺と殺り合っていた頃の感覚が戻って来た感じだよ」 「とは言っても、あの頃のお前に比べればまだまだ温いがな。以前のお前は、まるで閃光のように苛烈で、峻烈で、激烈だった。 一度『本気』になれば、敵(わたし)を失明状態では無く本当の失明に陥れようとした。敵を殺すために、容赦無い策を次々に繰り出した。何の躊躇も無く」 「そりゃね。『本気』の俺が、敵(しんじ)に情けを掛けるわけ無いし。敵を殺すためなら、幾らでも頭を使ったしね。でも、それはお互い様だったでしょ?」 「そうだな。私も、敵(なりよ)を地獄の底に叩き込むために、一切の手加減をしなかったからな。何時だったか、お前を廃ビルの下敷きにしようとしたり・・・」 「仮初の床や壁を作って、そこに平衡感覚を失わせたお前を誘導させて地面へ叩き落そうとしたり・・・」 「遠距離からの吹き矢で仕留めようとしたり・・・」 「他人に成りすました俺が後方からナイフを、同時に前から失明にするための光を叩き込もうとしたり・・・」 「当時の最大威力をお前の胸に打ち込んで心臓や背骨を破壊しようとしたり・・・」 「近赤外線で眼球や皮膚組織を破壊しようとしたり・・・」 「フッ、思い返してみると昨日のように感じるな。・・・お互い、良く五体満足で居られたものだ。 あの頃の私達は、まさか後に親友と呼べる程の間柄になるとは夢にも思っていなかったな」 「・・・そうだね」 「(・・・!!昨日も思ったけど、界刺さんと不動さんの出会いとか死闘とかってすごく気になるなぁ。とにかく凄まじかったんだろうなってことはわかるけど。 というか、界刺さんが苛烈で、峻烈で、激烈!?・・・全ッ然想像できないわね!!むしろ、気色悪いって思っちゃうわ!!『あの界刺さんに限って有り得ない』って!!)」 界刺と不動の(不穏極まる)昔話に、苧環は関心を抱く。昨日、界刺の口から明かされた2人の出会い。 敵同士という最悪な出会いから幾度にも渡る殺し合いを経て、一体どうやって親友にまでなったのか。 それとは別に、昔の界刺の姿に思いを馳せ・・・撃沈する。今の界刺からは、とてもじゃ無いが不動の言う在りし日の界刺を想像することはできなかった。 「私と和解してから、途端にお前は無気力ぐーたら人間になったからな。ウソツキなのは以前と変わりないが・・・。最近は特に酷くなって来たが・・・。 昔のようにとは言わん。せめて、今私達に見せたような真剣さを普段の生活にも発揮して貰いたいものだな」 「そこは、俺も丸くなったって言ってくれよ。それに、俺が張り切らなくても頼りになる親友が居るんだし。 あの時も言ったけど、真刺は俺にとって初めての友達だったんだから。お前のおかげで、『いわれある暴力』と『いわれなき暴力』の違いに気付けたんだから。 つーか、こんなモンを普段から発揮してられるかっての。普段から発揮するのは、ウソツキだけで十分だぜ」 「(『いわれある暴力』と『いわれなき暴力』・・・!!)」 「ハァ・・・。全くお前という奴は・・・」 苧環が、かつて己に投げ掛けられた言葉を反芻し、次いで不動の溜息が盛大に零れる。とそこへ、一厘が顔を膨らませながら辛口な言葉を吐く。 「昔話はそこまでです。・・・昨日とはやっていることが全然違うじゃないですか、界刺さん。私には、ここまで情報を教えてくれなかったのに」 「そりゃね。これで、風紀委員の一部は俺等『シンボル』に頭が上がらない。債鬼の件もあるし。メリット・デメリット双方を勘案した結果の行動さ。 それにさぁ・・・この盗聴器や小型カメラは“動いたまま”なんだぜ?『光学装飾』で、さりげなく存在を消していたからこそ、あいつ等は忘却しちまってるけど。 しかも、衝撃的事実の連続でその存在が完全に頭の外に行っちまってる。これで、あいつ等は俺との約束を反故にできねぇ」 「なっ・・・!?そこまでやりますか・・・!!」 「当然。そのつもりで、あんだけ長話をしてたんだしな。でなけりゃ、さっさと切り上げてるっての。 椎倉先輩が俺の出した条件を呑んだ後の会話は、全てこの盗聴器と監視カメラの存在から風紀委員の気を逸らすためのアドアイスだったんだよ。 そのアドバイスは、もちろん的確なものばかり。これを嘘で誤魔化すのは、二流・三流がする行いさ。 本当の中に真意を含ませる。そして、その真意という皮の中に幾つもの深意を潜ませる。 これが、一流だ。もし、俺がそうじゃ無かったら、あの頃の俺は真刺と殺り合えていなかったよ?」 「・・・まるで、何処かの悪者の台詞みたいに聞こえますね」 「さてね。“ヒーロー”の台詞じゃ無いのは間違いないけど。んふっ。でも、全体を通して俺のコレクションをボロボロにしてくれたのは予想外だったけどね。 ふざけんじゃ無ぇよ、くそっ。なけなしの金で集めた俺のコレクション・・・。今では手に入るかわからない貴重な品々・・・。おのれぇ・・・必ず仇は取る」 「(あっ・・・何か、嫌な予感が・・・。自業自得なのに・・・身から出たサビなのに・・・嘘ばっかり言うから罰が当たっただけなのに・・・)」 自業自得なのに、ブツブツ文句を垂れている界刺。そんな彼の足元に置かれたのは、固地か仕掛けていた盗聴器と小型カメラ。 「・・・これは、無線式でどっかにある別の機材と繋がっている筈だ。つまり、録画・録音は全て電波を使ってその機材にも行く仕掛けになっている筈だ」 「そ、それじゃあ、その別の機材には今も私達の声や姿が・・・?」 「そんな真似を俺が許すと思うかい?そんな無線は、涙簾ちゃんと一緒に洗い物をしに台所へ行った時にジャミング済みだよ。『送受棒』の機能でね」 「えっ・・・?界刺さん・・・まさか、その頃から・・・!?」 「うん。調べていたよ。俺は言ったよね?『部屋に大人数が雪崩れ込んだ辺りで、少し怪しい行動をしていたからね』ってさ? だったら、それに気付いた直後から調査をするのは当然のことじゃないか?」 ダークナイト の機能の1つ『送受棒 モニタリングスティック 』は、2つある警棒を連結することで傍受・記録した電磁波をジャミングすることが可能だった。 『赤外機』とも併用可能なこの機能を、界刺は朝食に使った食器を台所へ持って行った直後に使用していた。 通常この室内に存在している以外の電磁波を発生させている機械類をモニタリングし、可能性のある電磁波全て(例 携帯電話等)をジャミングした。 ちなみに、連結状態の ダークナイト は『光学装飾』で最初から不可視状態にして、台所付近に置いていた。赤外線通信さえできれば、持っていなくても問題は無い。 椎倉に告白した時は、実は盗聴器や監視カメラを見付けながら“それ以外”でジャミングした電磁波を特定し、そのジャミングを解除していたのである。 「ハァ・・・。何て人・・・」 「そういえば、何となくこの部屋にある色んな電磁波が増えたり減ったりしていたのは感じていたけど・・・。界刺さんの仕業だったのね?」 「そうだよ、華憐。俺としては、君がその存在を口に出すのが一番恐かった。ファインプレーだよ、華憐」 「・・・!!そ、そう。ま、まぁ、界刺さんのお役に立てたのなら、よ、よかったんじゃな、ない?」 「苧環・・・。口調、口調」 「だから、盗聴関係の心配は余り無かったんだよね。もし、盗聴器とかが存在しなくても、俺の勘違いだったってことにすりゃよかったし。 むしろ、この“手札”を何時切るかってのをずっと覗っていたんだよ。そんな時に椎倉先輩が取引を申し出てくれたから、『ここだ!!』と思って切ったんだよね。 更なる見返りを貰うチャンスだったから。効果抜群だったろ、リンリン?」 「・・・・・・恐い」 「・・・・・・だろうね。普通の感覚だと」 どうしてか、その一言だけが口から零れ落ちた。それは、正真正銘自分の本音。この男の手の平の上で、自分が途轍も無い程いいように転がされている感覚を持ったがために。 そういう感想は界刺にも理解できたが、そんなことは当然ながら無視する。そんなことに気を取られているようでは、“詐欺師”は務まらない。 「でも、この盗聴器とかってどうするの、アホ界刺?」 「俺の知り合いで機械に詳しい人が居るから、今からすぐに持って行って来るよ。あの人なら、この送信用の機械からデータを取り出せる筈だ。 ちゃんと複製して、証拠として残しとかねぇと。あいつ等が、盗聴器とかの回収を思い出しても、これでどうしようも無くなる。 んふふっ、これで159支部・176支部・178支部・花盛支部・成瀬台支部は、俺達と一蓮托生だ。リンリン?わかってるとは思うけど、これはオフレコな?」 「『「ブラックウィザード」の捜査に関わっている風紀委員は今後、「シンボル」の行動を原則黙認する』。個人的事情も含めて、もう後戻りはできませんから。了解です」 「んふっ!よろしい」 「・・・あなたって救いの天使の顔をして、本当は詐欺師面の悪魔なのかもしれませんね。『光学装飾』で様々な色に移り変わって、色んな人を惑いに惑わせる。 その人にとって、希望を齎す光にも絶望を齎す光にもなり得る存在。それが、あなた・・・界刺得世。 世界の一部足る存在として、光で、言葉で、信念で人の心を蹂躙する“『シンボル』の詐欺師”・・・界刺得世。 その感じだと、私達風紀委員と『ブラックウィザード』が戦っている戦場に現れるという可能性も眉唾モノですね。 可能性でさえ、碌に信じることができない・・・。有り得ない希望を私達風紀委員に見せるだけ見せて終わりですか、あなたは?」 「さてね。そんな未来のことなんか、俺には予測できないよ。予知能力者でも、この世界の神様でも無いんだし。 そもそも、俺ってそんなに頭良くないし。この前あったテストの成績も悪かったしな。んふっ!」 「・・・恐ろしい。とても恐ろしい人。・・・もしかしたら、私はとんでもない男に心を奪われてしまったのかもしれません」 一厘は、己の正直な心情を吐露する。これ程恐ろしい男を、“『シンボル』の詐欺師”界刺得世程恐ろしい人間を、他に知らない。 破輩が言ったことが、今になってよくわかる。自分はもう、後戻りはできない。否、本当は後戻りなんてこれっぽっちも考えていない“自分自身”に・・・心底戦慄する。 「なら、そっくりそのまま返してあげようか?」 「・・・もぅ。答えがわかっているのに、その質問は意地悪過ぎませんか?例えあなたが詐欺師面の悪魔でも、心底恐ろしい人間でも・・・私は界刺得世と共に居たいんです」 「そうなの?ふ~ん」 「でも・・・これは黙認ですから。私があなたに屈したわけじゃ無い。私は私の信念を育むことで、何時かあなたの信念と渡り合えるくらいに強くなってみせますから」 「んふっ!その時を楽しみにしているよ・・・鈴音?」 界刺が、本当に嬉しそうな顔をして一厘に微笑み掛ける。この男は少女の宣言を心から喜んでいる。それがわかったから、一厘はもう何も言えなくなる。本当に・・・卑怯だ。 「そんじゃ、ここで1つ。俺に心奪われた君達を含めたここに居る人間及び他の『シンボル』メンバーに素敵な提案がある」 「提案?何をするつもりだ、得世?」 「何、大したことじゃ無いよ。唯、皆で遊びに行こうってだけの話さ。本当は特訓するつもりだったけど、そんな気分にはなれそうにないし。 一昨日の件で、真刺達にも心配掛けちゃったからね。その埋め合わせ的な意味も込めて。 俺はこれから出なきゃいけないから、明日の午前10時に皆で集まって思いっ切り遊ぼうっていう提案だ。折角の夏休みなんだしね」 「・・・ねぇ、バカ界刺。まさか、その遊びに行く場所って・・・」 「んふふっ・・・察しがいいね、アホ形製。その通り、俺達が明日遊びに行くのは・・・」 形製の言葉を受けて、顔をニヤリとさせる界刺。彼の口から、明日の集合場所及び遊ぶ場所が宣言される。 「『マリンウォール』。この暑っ苦しい空間から逃れて、皆で思いっ切り涼もうぜ!!」 continue…?
https://w.atwiki.jp/indexorichara/pages/902.html
「潰すと言ったが、あれは嘘だ」 「ガクッ!!」 「「はっ・・・?」」 界刺のぶっちゃけ発言に春咲はガクッっとなり、躯園と林檎は呆気に取られる。何せ数秒前の宣戦布告を速攻で取り下げたのである。 「界刺さん!?ど、どういうつもりですか!?」 「いやね、こういう場面だし俺もキメた方がいいと思ってあんなこと言ってみたんだけど、何かしっくりこなくて」 「はい!?」 「え~と、そっちのツインテールの娘が春咲林檎・・・ちゃんかな?初めまして~界刺です!趣味は古着店巡りです!!よろしく!!」 「ど、どうも・・・」 「林檎!?何普通に返事しているのよ!?あの男は私達の敵なのよ!?」 「何合コンみたいに自己紹介してるんですか、界刺さん!?」 「へぇ。お嬢さんって合コンに行ったことあるんだ?俺なんか合コンに誘われもしないのに・・・」 「ブッ!!わ、私だって行ったことないですよ!!」 「林檎ちゃん。君のお姉さん・・・こっちのね、こんなこと言ってるけど、実は大胆且つ過激な女の子だったんだよ。知ってた?」 「桜が?大胆?過激?」 「うん。だってこのお嬢さん、俺に『自分のありのままの姿を見て下さい』つって、自分の裸を見せ付けてくるわ、自分の小ぶりな胸に俺の手を持って行グハッ!!!」 「ハァ・・・ハァ・・・」 「あ・・・あのお嬢さんが俺の鳩尾に一撃入れる程に成長するなんて・・・お兄ちゃん嬉しい・・・ガクッ」 「誰がお兄ちゃんですか!?誰が!!?」 「「・・・・・・」」 躯園と林檎は言葉を失う。色んな意味で。眼前にある光景は、春咲に鳩尾を殴られ、地面に倒れ込む界刺という何とも間抜けな絵ヅラであったからだ。 こいつ等・・・ここに何しに来た?というのが、躯園と林檎が抱いた正直な感想であった。 「桜・・・アンタ、何しに来たの?まさか、こんなコントみたいな姿を私達に見せに現れたってわけじゃないわよね?」 「躯園お姉ちゃん・・・。あ、当たり前です!!」 「り、林檎ちゃん・・・!!ヘルプミー。君のお姉さんがいじめるよ・・・!!」 「だ、大丈夫?すごい音がしたけど・・・」 「林檎!!」 「界刺さん!!」 「「はい!!」」 林檎と界刺は躯園と春咲の怒声に凍り付く。そして、2人揃ってコソコソ話を展開し始める。 林檎としては、界刺と会うのは初めてであるためか、先程のコント紛いの光景も合わさって何処と無く界刺に対する警戒心が薄いようだ。 「(だから、言ったろ?過激だって。家でもあんな感じなの?)」 「(いや、桜のあんな姿・・・家でも見たことないよ。あたしも今、すっごく驚いているんだから)」 「(俺、あの娘達の近くに居たくない。また、どやされる)」 「(・・・お兄さん、ここへ何しに来たの?)」 「(いやね、俺のスーツが過激派の連中に燃やされたっつーから、その借りを返しに)」 「(あ~・・・あの趣味の悪いスーツってお兄さんのヤツだったんだ)」 「(趣味悪いって・・・持ち主の前で堂々と言い放つなんて、酷くね?)」 「(だってねぇ・・・あれは・・・)」 何やらお互い気が合うのか、コソコソ話に熱中し始める林檎と界刺。その光景に躯園と春咲は苛立ちを隠せない。 「桜・・・アンタが連れて来たあの男・・・一体何がしたいの!?何が目的なの!?人様の妹に寄ってたかるハイエナみたいなあの男は!?」 「そ、そんなの私だってわかんないよ!!界刺さん・・・。つくづく常識外れな人・・・!!」 ここは、戦場真っ只中である。何時自分の命が脅かされるかわからない場所である。そんな所でふざけた言動を取る界刺に対して、躯園も春咲も混乱していた。 「お~い!!春咲のでっかい方のお姉さん!!それと、ちっさい方のお姉さん!!ちょっといい!?」 「気安く話し掛けないで!!ハイエナ風情が!!」 「だ、誰がちっさいですってぇぇ!!!」 「・・・ハイエナって・・・。それに、ちっさいってのはそっちの意味じゃ・・・。お嬢さん・・・案外気にしてたんだ」 躯園と春咲の罵声と抗議に少々凹む界刺だが、とりあえず言葉を続ける。 「とりあえずさ~、俺と林檎ちゃんはこっから退避すっから、後は2人でお好きにバトっても何でもしてねぇ。それじゃあ!」 「何が『それじゃあ!』よ!!全然意味不明なんだけど!!」 「界刺さん・・・!?」 界刺の突拍子も無い発言に驚きを隠せない躯園と春咲。 「だってさぁ。林檎ちゃんって救済委員でも何でも無いんでしょ?」 「そ、それは・・・」 「だったら、俺にとって林檎ちゃんは敵じゃ無い。俺の敵はあくまで過激派の連中だし。俺のスーツを燃やしやがった・・・な」 「界刺さん!」 「お嬢さん。前にも言ったよね。俺は君に何があっても何もするつもりは無いよ。そして、ここは・・・君の“戦場”なんだろ?」 「!!」 春咲の目が見開く。そう、ここは春咲桜にとっての“戦場”。 「落とし前・・・つまり、君のお姉さんとのケリは君がつけないと。俺が手助けしたら意味が無いよ。それがさ・・・君が果たすべき責任だろう?」 今回の元凶の1人である春咲桜が独力で果たさなければならない責任。 「そして・・・大きいお姉さん。君にはお嬢さんと向かい合ってやる義務があるよ」 「私が?フッ、そんな義務なんて・・・」 「何せ、君等の制裁を乗り越えてまでここに来たんだ。その覚悟分くらいは応えてやってもいいんじゃない?曲がりなりにも、同じ家族なんだし。 それとも・・・逃げるのかい?この“戦場”から・・・無様に尻尾を巻いて・・・ね?」 「!!!」 躯園は界刺の言う“戦場”の意味を即座に理解した。“戦場”・・・すなわち“春咲桜との決着”。 躯園は想像する。否、想像してしまった。“戦場”から逃げる自分の姿を。このターミナル(せんじょう)から逃げていた姿を重ねるように。 そんな姿を・・・そんな体たらくを・・・春咲躯園は許容できなかった。界刺の挑発を・・・決して看過することはできなかった。 「・・・いいわ。そこまで言うんだったら、受けてあげるわ。出来損ないのクズの言う足掻きを・・・ね」 「躯園姉ちゃん・・・」 「林檎。心配しないで。この私が、あんなクズに負けるわけがない。そうでしょ?」 「う、うん!!」 林檎の心配する声に応えた後に、躯園は界刺に向き直る。 「でも、それとあなたに林檎を任せるのは話が別。あなたに任せられると思って? 大体、偉そうなことを言っている割に、結局はあなたもこの戦場から尻尾を巻いて逃げるってことじゃない?桜をほったらかしにして」 「うん、そうなるね」 「プライドの1つも無いのね。怖気付いたの、ハイエナ?それに・・・聞いたわよ。あなた、雅艶にボコボコにされたんだってね。その借りを返さなくてもいいの?」 「あのさぁ~・・・何で俺の能力が効かない相手とまた戦わないといけないの?」 「・・・はっ?」 躯園は目の前の男から発せられた言葉に、迂闊にも素の声を出してしまった。 「何でもかんでもさ、根性とかで乗り切れるわけ無ぇんだし。相性最悪っつんならカチ合わない選択肢を取るに決まってんじゃないの。君・・・もしかして頭悪い?」 「・・・!!」 「それにさぁ、俺がわざわざ行かなくてもさぁ・・・見てるんだろ?ご自慢の透視能力で。この俺をず~っとよ」 「!!」 「(雅艶さん・・・)」 「(・・・気付かれていたか)」 林檎が念話で斬山と戦闘中の雅艶に話し掛ける。雅艶は自分に集めている『多角透視』以外、つまり2つの『多角透視』の内1つを界刺の監視に当てていた。 (ちなみに、もう1つは“花盛の宙姫”の早期発見目的で上空を回遊させていた) 「雅艶の透視範囲はよくわかんねぇけど、監視対象として『シンボル』のリーダーである俺を外さないってくらいは予測できる。 どうだ、雅艶。俺は林檎ちゃんに危害を加えるようなモンは何一つ持ってねぇぞ!」 「(雅艶さん・・・)」 「(・・・確かに、奴は武器の類を『何一つ』持っていない)」 雅艶の『多角透視』で覗いても、界刺には武器類に相当する物は所持していない。 「それにさぁ、雅艶の能力と林檎ちゃんの能力があれば、俺が何をしたって十分に叩き潰せるんじゃねぇのか?何なら、今から俺に『音響砲弾』の回線を繋いだっていいぜ?」 「えっ・・・!?」 「さ、林檎ちゃん。俺に攻撃用の回線を繋ぐんだ。もし、俺が君に何か危害を加えようとしたら、俺の頭に大音量をぶち込むといい。 そうすりゃ、林檎ちゃんの“鎖”で俺は無力化。穏健派の連中に加勢することもできない。一石二鳥じゃねぇか! 俺達の居場所は雅艶に筒抜けなんだろうし、俺が何か罠を張っていたとしても雅艶がそれを見抜くだろう。なぁ、何か問題でもあんの?」 「で、でも・・・」 「(こいつ・・・。頭がおかしいんじゃないの!?)」 「(界刺さん。一体何を・・・?)」 「(変人・・・。何を企んでいる!?)」 あっけらかんとした界刺の言葉に躯園、春咲、雅艶は訝しむ。界刺の言葉は確かに的を射ている。 だからこそ、理解できない。自分を苦境に追い詰めるような真似を率先してやろうとする男の意図を。 「・・・いいよ。あたし、お兄さんと一緒に逃げる」 「林檎!?で、でも・・・!!」 林檎の承諾発言に躯園は制止を掛けようとする。だが、 「お兄さんの言う通りだよ。お兄さんがあたしに何かしようとしても、この林檎ちゃんの『音響砲弾』で何とかしてみせる! それに、あたしも役に立ちたいんだ。さっきは・・・全く役に立てなかったから。このお兄さんを引き付けるくらいなら、あたしにだってできる!」 「林檎・・・」 林檎の目に決断した者が放つ光が見えた。見えたからこそ、躯園も決断する。 「・・・わかったわ。私の“唯一”の自慢の妹。あなたの決断を私は尊重するわ。必ず・・・ここから逃げ切るのよ。いいわね、林檎?」 「うん!躯園姉ちゃんも、絶対に逃げ切ってね!」 「えぇ。クズとの決着をつけたらすぐにあなたの元へ行くわ、林檎」 「・・・・・・」 躯園と林檎。2人の『姉妹』が織り成す光景に、複雑な感情を抱くのは春咲。何故自分はあそこにいないのか。どうしても考えてしまうそれを察したのか・・・ 「お嬢さん」 「界刺さん・・・」 後方から界刺の声が掛かる。 「ってなわけで、俺は林檎ちゃんとさっさと逃げるんで、後はよろしく」 「・・・全く。仕方の無い人ですねぇ、あなたは」 春咲は界刺が逃げるなんてこれっぽちも思っていなかった。彼の意図がわからずとも、そう思える程の“何か”を、2人は確かに築いていた。 「1人だけど、大丈夫?」 「あなたがさっき言ったんじゃないですか。私に何があっても何もしないって」 「あぁ・・・そうだったね」 だから、春咲は界刺を笑顔で送り出す。そこには、1人で躯園と対峙することへの不安は無かった。ここは―私の“戦場”。 「それじゃあ・・・」 バン!!! 「痛っ・・・」 界刺に思い切り背中を叩かれる。それは、まるで“戦場”へ送り出すかのような強さでもって。 「行って来い、春咲桜。自分の力を、君のお姉さんに・・・この世界に見せ付けてやれ!!」 それは、春咲に対する檄であり、励ましであり・・・信頼の証であった。 それがわかったから、春咲は大声で応える。体中が歓喜で震える余り、思わず涙が出てしまいそうな自分を厳しく律しながら。 「はいっ!!!!」 対峙するは、己が姉・・・春咲躯園。春咲桜の“戦場”が今―開始(はじ)まる!! continue!!
https://w.atwiki.jp/booklove/pages/112.html
初出:第183話(*1) 声(ドラマCD第10弾):潘 めぐみ 家族構成 夫:レーベレヒト 息子:オリスワルト 息子:第二子(*2)。14年春時点で結婚して独立済(*3)。 息子:ハルトムート(末息子(*4)) 弟:ハルトムートの叔父(*5) 容姿 瞳の色:橙の瞳 000000000 橙の瞳がハルトムートとよく似ている(*6) ハルトムートの母親なので人当たりの良い感じ 前髪の分け目は息子と一緒 後ろ髪のまとめ方はフレンチクルーラーっぽい(*7) 地位 階級:上級貴族 職種:側仕え・イルムヒルデの側近→ローゼマインの側近→ローゼマインの筆頭側仕え(*8) 年齢関連 ローゼマインとの年齢差(夏・秋):+28(*9) ローゼマインとの学年差:+28or29(誕生季による)(*10) 誕生季:秋以外(*11) オティーリエ視点の回 SS50話 オティーリエ視点 側仕えの初仕事 作中での活躍 ハルトムートの母であり、レーベレヒトの第一夫人(*12)。 洗礼後、側仕え見習いの最初の修行期間をイルムヒルデの館で過ごし、そのまま結婚して退職するまでイルムヒルデに仕え続けた経歴を持つ。(*13) 洗礼前の息子を連れて、家に何度も遊びに行く程エルヴィーラと仲良し。(*14) 子供が全員貴族院に入る年になったこと(*15)、エルヴィーラに頼まれたこと(*16)、養子縁組の裏をレーベレヒトが知りたがっていること(*17)、領主一族の側近に入ることでライゼガング系貴族の勢いを取り戻す一助とすること(*18)等の理由で、ローゼマインの教育係兼側仕えとなった。 ローゼマインの洗礼式後、打って変わってローゼマインに仕えたいと熱心に語る息子の様子に驚き、一年待つように告げた。一年もあれば頭も冷えるだろうと冷却期間を取ったつもりが、襲撃で更に二年間もお預けになった事でハルトムートが余計に加熱してしまい頭が痛い。その為、息子をローゼマインの側近に推薦しなかったが、結局のところリヒャルダが推薦した事でハルトムートはローゼマインの側近に就任している。 ハルトムートがヴィルフリートを追い落とすことを進言してきた際、却下するために告げた「皆を引き上げつつ、ローゼマイン様を聖女として盛り立てる方が効果的」という発言が(*19)、後にハルトムートによる聖女伝説加速活動として結実した。 息子夫婦であるハルトムートとクラリッサについては、匙を投げているところがある。(*20) 側近不足になったジルヴェスターにローゼマインがリヒャルダを返した後は、ローゼマインの筆頭側仕えとなった。 その後、中央へ行くローゼマインについていく側仕えの教育と引継ぎを行っていた。 15年春のエーレンフェスト防衛戦では、城に残った側近組のまとめ役として情報収集と共有を担当していた。(*21) 同春、婚約式を終えて一時的にエーレンフェストに戻ってきたローゼマインの側仕えを務める。 同春、アウブ就任式のため貴族院へ移動したローゼマインに付き従い、就任式の朝にエーレンフェスト寮のお茶会室で別れの挨拶を贈った。 同僚のベルティルデからブリュンヒルデの側近にならないかと勧誘されており、そのまま異動となりそうである。(*22) 「優しいお母さんって感じ。ホッとする」 経歴 前27(or 前28)年 誕生 前20(or 前21)年 洗礼式 前20年頃 イルムヒルデの元で側仕え見習いの研修(*23) 洗礼式後〜結婚までイルムヒルデに仕える 前17(or 前18)年冬 貴族院入学 前12(or 前13)年冬 貴族院卒業 前11年頃 レーベレヒトと結婚 前10年春 第一子を出産(*24) 前07年 第二子を出産(*25) 前03年冬 ハルトムートを出産 11年夏 ローゼマインの側仕えに就任(*26) 13年冬 ローゼマインの筆頭側仕えに就任(*27) 14年春 クラリッサの城勤務の監視兼同行者となる(*28) ハルトムートの名捧げに立ち会う(*29) 14年秋 ローゼマインの側近として、グレッシェルの広域ヴァッシェンを行う(*30) 14年冬 貴族院の卒業式でマティアスをエスコートする(*31) 15年春 ローゼマインの移籍に伴い、側仕えを辞任する(*32)(*33) 作者コメント 【2017年 10月11日 Twitter】 >ウィンク考察 オティーリエ:できなくはないってレベル。息子はあんなに上手なのにって思っている。 コメント このコメント欄はwikiの情報充実のために設けた物です。 編集が苦手な方は以下のコメントフォームへ書き込んで頂ければ有志でページに取り込みます。 表示される親コメントには限りがあるので、返信の際は返信したいコメント横のチェックを付けて返信するようご協力お願いします。 時系列見てるとそれまでライゼ系ってことで派閥的な苦労→ロゼマ側近着任後から息子のことで心労→息子夫婦のせいで匙投げ→二人が移動してようやく平穏になった、みたいな流れが見える… (2020-06-22 10 52 26) 夫の暗躍と友情の間に苦悩したり、領主会議での息子夫婦のやらかしに頭痛を覚えたりする日が見えるけどw<ようやく平穏 (2020-06-22 14 43 57) アーレンスバッハ戦で二人の姿に安心してるし、苦労してもいいお母さん。作中一番毒のない純粋な優しさの人かもしれない。 (2020-07-10 23 28 45) もしかしなくてもフロレンツィアの第四子の筆頭側仕え候補? (2020-07-14 15 41 49) 元ローゼマインの側近ってだけでアウブとシャルロッテとメルヒオールからの評価も実力も高いからありそう。シャルロッテが取り込む可能性もあるけど。 (2020-07-14 16 23 06) 領主候補生の筆頭側仕えは、叱り飛ばすことができるという理由で、領主の血筋に近い者から選ぶようだから、第四子の筆頭になることはない気がする。 筆頭ではない側仕えならなくはないけど、どちらかというとブリュンヒルデの側仕えになるのではないだろうか。第560話の流れ的に。 (2020-07-15 21 10 09) ブリュンヒルデの側仕えが馴染み的にありだが、フロレンツィアの側仕えとしてもも既に夫が仕えてること、粛清からのアウブ夫妻の側近補充の面からあり得る。 (2020-11-12 12 25 52) 元々エルヴィーラの要請で側使えになったんだし情報を得たい場所に配置されるんじゃないかなと考えたらフロとブリュは態々配置する必要無さそう (2020-11-12 12 55 49) ブリュにつけておいて、ブリュに子供ができたらその子供の側仕えにってパターンもあるかも。 (2020-11-12 14 42 11) どっちかにオティーリエつけとくと領主会議でアレキの側近との情報交換が円滑になるかもしれない (2020-11-12 15 03 17) ロゼマの側仕えに就任時期間違ってね? 08年夏だと思うけど (2021-05-10 17 03 54) ユルゲンのマナーには詳しくないが、エスコートは男性が女性に対してするものでは。 (2021-05-10 19 06 09) 年長者が新成人をエスコートしたと書き替えたら納得するかな? そう使われることが多いだけで男性が女性にすると限定された言葉ではないですよ (2021-05-16 01 06 23) 挿絵があるのにふぁんぶっくの設定資料にいないよね?結構長いこと仕えてるキャラなのに… (2021-12-25 23 06 18) キャラデザ初出が公式挿絵じゃなくて三部コミカライズだからね。五部になってようやく逆輸入 (2021-12-26 18 44 21) 長男はエッグ次男はランプと仲が良いのかな (2022-05-29 22 09 41) エッ「ク」ハルトだよ。 貴族同士の「仲が良い」つっても、家や派閥の利益優先で、わかりやすいもんじゃないと思うよ。コルネリウスとハルトムートみたいに。 (2022-05-30 02 34 38) 養子縁組を裏を探る為に側仕えになったけど、「あれほど優秀ならば、アウブが取り込んで当然でしょう」と納得して終わったかな? (2023-03-19 11 16 26) フロレンツィアも養子縁組を英断って言ってたから、夫婦でその認識だろうね。ローゼマインと全く関わってないはずのレーベリヒトがローゼマインの特性を知っていたあたり、密な情報交換は継続だろうけど。 (2023-03-19 11 41 41) オティーリエの息子が全員エルヴィーラの息子と歳が近い辺り、子供への愛情は普通にあるけど、情報種集の観点から時期を選んだ貴族らしさを感じる。 (2023-03-21 03 58 46) 祠巡りとか地下書庫に同行してなかったっけ? (2023-09-02 16 22 50) 行ってる。どちらの場面にも名前や行動がしっかり出てる。地下書庫に入れる上級成人側仕えは、当時のロゼマにはオティーリエしかいないから選択の余地がないね。 (2023-09-02 17 04 08) ライゼガング系のイメージが強いけど、彼女自身がどういう家系の人かって明かされてないんだねそういや。アレ布下げ渡しの件で彼女自身が第一(夫側)第二(家系側)どっちに付きたいのか見えてこなかった (2023-10-21 12 06 46) ライゼガング系の貴族でエルヴィーラの友達で、ライゼガングの古老とヴェローニカが嫌いでフロレンツィアの側近になったレーベレヒトの妻で、根強いライゼガングの側近入りを望まなかったエルヴィーラのお眼鏡に適って、領主一族の意向を探る目的で側近入りした女性。友人関係にも派閥が関係するところから、フロレンツィア派ということがわかる。布に関しては、どちらもフロレンツィア派だからこそかけた質問だろうね。 (2023-10-21 14 30 00) 確かにロゼマ側近入りの経緯を考えたらお家の影響は薄そうですね。フロレンツィア派って旗印はフロレンツィアだけど経緯的にライゼガング系が多いはずなので、お家を優先する人ならそのままブリュンヒルデ派に旗の名前を変えるムーブもあり得たのかなって。話題に出てこないのは中級貴族からの嫁入りとかの線もあるんかなぁ (2023-10-21 19 26 39) ライゼガングはほぼ上級。中級では、上級の家格最上位リンクベルクの奥様であるエルヴィーラに、直接側近入りを打診される友達にはなれないと思うよ。 (2023-10-21 19 38 23) 年齢的に貴族院でエルヴィーラに庇護されてた→その伝手で上級入りした後更に仲良くって線はあるのかなと。生まれがそれなりの家であった場合ここまで影響受けない理由は何なんだろ (2023-10-21 20 10 20) あと、ハルトムートの立場が側近の中で普通に上位。コル兄の次に家格高いだろうブリュンヒルデの嫁入り先として親からも当人からも妥当とされるくらい。だから母親のオティーリエが元中級なんてことはほぼない。上位領地の上級クラリッサを自分で抑えられる程度には上級としての感覚が根付いてる。レーベレヒトが実家離れしてる人だし、そこに嫁入りするくらいだし、子供もおかしい子が多いし、元からレーベレヒト同様実家がなんぞや系の人かもよ。 (2023-10-21 20 15 15) ↓の人が言っているように属性の話もあるしまぁ薄いか。引っかかっているのは迷いなくフロレンツィアの立場確保を優先する考えであればあの問いかけを何故したのかっていう (2023-10-21 20 26 36) むしろ引っ掛けというか、確認なんじゃないの?レーベレヒトは直前にライゼガングを古老事件で削ろうとしてたけどロゼマの動きで予定より穏便になっちゃった。レーベレヒトから見たらロゼマはライゼ派=ブリュン派に見えてしまった。なのに布のことではフロを推す。結局どっちなの?って確認。 (2023-10-21 21 15 30) 結局どっちっていうよりは、ローゼマインに対する教育の一環に見えるな。「静かにわたしを見つめながら問いかける」って文章が、疑問をぶつけるというよりは、やることを示しているように見える。その解が「わたしの答えがエーレンフェストに残る者達の動きに大きな影響を与えるのがわかる」なのではないかな。あとに残される者に対する言葉が必要でしょ? (2023-10-22 00 03 43) 彼女の出身が中級貴族だった場合、ハルトムートの4属性は難しい話かもしれませんねぇ。レーベレヒトもライゼガングの異母兄弟ですし。実際にお家を優先してブリュンヒルデに派閥を鞍替えする程度の考え方なら、ローゼマンのを次期領主に推したでしょう。彼女はあくまで、フロレンツィアの側近である夫の立場を守らなければ、自分の立場が危ういことも気が付くでしょう。 (2023-10-21 19 57 17)
https://w.atwiki.jp/zangeki/pages/17.html
神々 人間 巨神 神々 フレイ:浪川大輔 フレイヤ:遠藤綾 ブリュンヒルデ:沢城みゆき オーディン:大塚芳忠 ※戦闘には参加しないキャラクターです イズン:折笠富美子 ※戦闘には参加しないキャラクターです トール テュール フリッグ ヘイムダル 人間 シグムンド:中井和哉 ヘルギ:三宅健太 レギン:小山剛志 ヴェルンド:三木眞一郎 ラーン:佐藤利奈 グンター王:石塚運昇 ハーゲン:稲田徹 アルヴィルダ:植田佳奈 巨神 霧の巨神 大巨獣アウズンブラ 巨神の勇者フルングニル 魔船ナグルファル 魔竜ファフナー スヴァルトヘイムの魔物
https://w.atwiki.jp/midland_dollhouse/pages/523.html
南の森の入口 製作するアイテム 品質 材料 シスターの杖 レア グリーンクリスタル×2、見習いシスターの杖×9 シスターの服 レア グリーンクリスタル×2、見習シスターの服×9 シスターの帽子 レア グリーンクリスタル×2、見習シスターの帽子×9 南の森深部 製作するアイテム 品質 材料 探検家の鞭 レア グリーンクリスタル×2、革の鞭×9 探検家の服 レア グリーンクリスタル×2、探検隊の服×9 探検家の帽子 レア グリーンクリスタル×2、探検隊の帽子×9 麦の平原 製作するアイテム 品質 材料 近衛隊の剣 レア ブルークリスタル×2、鉄の剣×9 近衛隊の服(青) レア ブルークリスタル×2、銃士隊の服(青)×9 近衛隊の服 レア ブルークリスタル×2、銃士隊の服×9 銃士隊の服(青) ノーマル 青の染料×1、銃士隊の服×1 近衛隊の帽子(青) レア ブルークリスタル×2、銃士隊の帽子(青)×9 近衛隊の帽子 レア ブルークリスタル×2、銃士隊の帽子×9 銃士隊の帽子(青) ノーマル 青の染料×1、銃士隊の帽子×1 西の庭園 製作するアイテム 品質 材料 薔薇の杖 特レア 陽光の石×2、女官の扇子×6 女官の扇子 レア パープルクリスタル×2、侍女のモップ×9 薔薇のドレス 特レア ムーンストーン×2、女官のドレス×7 女官のドレス レア パープルクリスタル×2、侍女の服×9 赤石のティアラ 特レア ルビー×2、女官の髪飾×6 女官の髪飾 レア パープルクリスタル×2、侍女の帽子×9 霧の竹林 製作するアイテム 品質 材料 舞踏家の扇子 レア パープルクリスタル×2、ヌンチャク×9 武闘家の服(緑) レア パープルクリスタル×2、挙法着(緑)×9 武闘家の服 レア パープルクリスタル×2、挙法着×9 拳法着(緑) ノーマル 緑の染料×1、挙法着×1 武闘家の髪飾(緑) レア パープルクリスタル×2、挙法家の髪飾×9 武闘家の髪飾 レア パープルクリスタル×2、挙法家の髪飾×9 拳法家の髪飾(緑) ノーマル 緑の染料×1、挙法家の髪飾×1 東の遺跡 製作するアイテム 品質 材料 機械師の銃 レア クリスタル×2、鍛冶屋のハンマー×9 モーニングスター レア クリスタル×2、メイス×9 機械師の服 レア クリスタル×2、鍛冶屋の服×9 機械師の帽子 レア クリスタル×2、鍛冶屋の帽子×9 サーカス小屋 製作するアイテム 品質 材料 団長の鞭 レア レッドクリスタル×2、ジャグリングクラブ×9 団長の服 レア レッドクリスタル×2、道化の服×9 団長の帽子 レア レッドクリスタル×2、道化の帽子×9 錬金の館 製作するアイテム 品質 材料 錬金辞典(赤) レア パープルクリスタル×2、錬金ノート(赤)×9 錬金辞典 レア パープルクリスタル×2、錬金ノート×9 錬金ノート(赤) ノーマル 赤の染料×1、錬金ノート×1 錬金の杖 レア パープルクリスタル×2、錬金棒×9 錬金術師の服(赤) レア パープルクリスタル×2、見習錬金術師の服(赤)×9 錬金術師の服 レア パープルクリスタル×2、見習錬金術師の服×9 見習錬金術師の服(赤) ノーマル 赤の染料×1、見習錬金術師の服×1 錬金術師の帽子(赤) レア パープルクリスタル×2、見習錬金術師の帽子(赤)×9 錬金術師の帽子 レア パープルクリスタル×2、見習錬金術師の帽子×9 見習錬金術師の帽子(赤) ノーマル 赤の染料×1、見習錬金術師の帽子×1 ノルンの入り江 製作するアイテム 品質 材料 ブリュンヒルデの槍 特レア 首領の斧×8、ムーンストーン×2、ダイヤモンド×1 首領の斧 レア ブルークリスタル×3、子分の斧×11 メガクラッシャー レア ブルークリスタル×3、大金槌×11 ブリュンヒルデの服 特レア 首領の服×8、ムーンストーン×1、サファイア×2 首領の服 レア ブルークリスタル×3、子分の服×11 ブリュンヒルデの帽子 特レア 首領のヘルメット×8、サファイア×1、エメラルド×2 首領のヘルメット レア ブルークリスタル×3、子分のヘルメット×11 アルス高原 製作するアイテム 品質 材料 シルバーワンド レア シルバーステッキ×11、イエロークリスタル×3 ロングシルバーボウ レア シルバーボウ×11、イエロークリスタル×3 高級ディアンデル(青) レア ディアンデル(青)×11、イエロークリスタル×3 高級ディアンデル レア ディアンデル×11、イエロークリスタル×3 ディアンデル(青) ノーマル 青の染料×1、ディアンデル×1 エーデルワイスの髪飾(青) レア 三角巾(青)×11、イエロークリスタル×3 エーデルワイスの髪飾 レア 三角巾×11、イエロークリスタル×3 三角巾(青) ノーマル 青の染料×1、三角巾×1
https://w.atwiki.jp/indexorichara/pages/987.html
午前11時34分27秒。火蓋は切って落とされた。 一厘が宙に浮かせていた、最大250万ボルトもの電圧を発生させられる小型スタンガン『DSKA―004』の群れを界刺へ向けて射出する。 同時に、真珠院が触れた木を念動力で地面から引っこ抜いた。宙に浮遊したそれから、慌てて蝉が飛び去って行く。 『物質操作』による精密な軌道を描き、『DSKA―004』が界刺に突き刺さ・・・らない。 それは、『光学装飾』によって作り出された光のコピー。すり抜けていくスタンガンを確認した少女2人は、 不可視状態の界刺が何処に居るのかに神経を尖らせる。主に使うは聴覚。 下は芝生が敷かれており、近くに来ればその足音で多少なりとも位置を捕捉できる。 そう思った少女達を邪魔するのは、周囲から絶え間無く聞こえて来る蝉の鳴き声。その耳につく音が、少女の聴覚を妨げる。 シャン!! 聞こえた。芝生を踏む音が確かに。それにいち早く気付いた一厘が、音の聞こえた方に思わず顔を、視線を向けた・・・その時!! ピカッ!! 閃光が煌く。だが、思いの外眩しくない。やはり、口ではああ言っておきながら少しは加減をしてくれるのか。そんな“甘い”考えが一厘の脳裏を掠める。 付近に『DSKA―004』を滞空させて、閃光を腕で遮る一厘の視線の先にある閃光が消える。 それに伴い光を遮っていた腕を少し下げ、聴覚に集中しながら閃光のあった場所を見ようとした一厘の顔面に・・・ ドスッ!! 界刺が投射した警棒が突き刺さる。鼻っ柱にクリーンヒットした警棒、そして顔面へのダメージに気を取られた一厘の腹目掛けて・・・ ボコッ!! 不可視状態を解いた界刺の拳が叩き込まれる。吹っ飛ぶ一厘。急に姿を現した界刺に驚きながら、真珠院は宙に浮かせた木による迎撃行動を行おうとする。 一厘程では無いにしろ、高い精度を誇る自身の念動力で界刺を吹っ飛ばそうと操作し・・・ ビュン!! 突如として、瞳に映るのが界刺から建物―後方にある常盤台学生寮―に移り変わる。その突然の事態に硬直してしまった真珠院の顎に・・・ ガッ!! 警棒が振り上げられる。木では無く自分自身が宙に浮き、呆気無く地面に仰向けになって倒れる真珠院。 所要時間18秒。まずは、界刺の圧勝。そして、一厘・真珠院の完敗である。 「ガハッ!!ゴホッ!!」 「ッッッ!!」 一厘は、腹部へのダメージに何度も咳き込む。鼻からは血も流していた。 真珠院も、顎へのダメージと地面に頭から倒れてしまったダメージに苦しむ。何処かを切ったのか、口から血が流していた。 「ま、こんなモンか。・・・戦闘開始から20秒も経ってないんじゃねぇの?“講習”でよかったな、一厘!珊瑚! これが本当の殺し合いってヤツなら、お前等はもう死んでるぜ?」 界刺が突き付ける現実。それは、自分達が弱いという厳然たる事実。 「もしかしたら、こう思ってるのかな?『半径30m内なら接触する必要無く』15kg以下の物体なら支配下における自分に、何で一切の躊躇も無く警棒を投射できるのか? 『接触さえすれば』重量級の物体を支配下における自分に、何で一切の躊躇も無く警棒を叩き込めるのか?どうかな?」 「「!!?」」 内心を読まれる。物の見事に。この男は、それすらも戦術に組み込んでいるのか。 「それなら、話は簡単だ。俺達能力者は、全て演算によって能力を行使している。つまり、何らかの手段で演算を阻害すれば能力は行使できない。 例えば、『然程眩しくない閃光に油断させ、閃光が消えた瞬間に対象者へ無意識に思考空白を発生させる』とか、 『目の焦点を狂わし対象者に思考硬直を起こさせ、攻撃する時に接触する物体に念動力を行使させないようにする』とか・・・ね」 警棒を宙に投げ、取り、投げ、取りを繰り返しながら語る様は、今の戦闘がお遊び程度であることを意味するのか。 「どうする、一厘?珊瑚?もうやめとくか?お嬢様の矜持(プライド)を損ねるのは、俺の本意じゃ無いしな。んふっ!」 心にも無い声が、表情が、態度が自分達の心を不愉快にさせる。その理由が、他の誰でも無い自分自身にあるからこそ余計に。 「まだ・・・まだ行けます!!」 「この程度のこと・・・試練と呼ぶには軽すぎますわ!!」 少女達は立ち上がる。自分達がこうなるのは、心の何処かでわかっていたこと。みっともない姿を晒す羽目になるのも、承知の上。 それでも尚、掴みたい物があるが故に、一厘鈴音と真珠院珊瑚は挑む。 「あっそ。そんじゃ来い。次は、もうちっとマシな姿を見せてくれよ」 そう言って、再び戦闘が始まる。学生寮の庭を賑わす狂騒は、まだ始まったばかりである。 「苧環様・・・!!」 「・・・見ていなさい、月ノ宮。一厘や真珠院が、あの男に挑む姿を」 「界刺・・・!!」 戦闘場所からは少し離れて見学している常盤台生達。彼女達の目に飛び込んでくるのは、自分達と同じ生徒が何度も倒れる姿。それでも立ち上がり、男へ挑んで行く様。 必死。この空間には場違いな空気が、夏の日差しによって湧き上がる熱気と共に色濃くなっていく。 「一厘先輩と珊瑚が・・・圧倒されてる?」 「晴ちゃん・・・」 「なんば圧倒されちょんの、晴天!?今は、あん男の能力ば見極めるチャンスったい!!」 「た、確かに銅街さんの言う通りです。わ、私もしっかりこの目に焼き付けますです!」 今現在はというと、真珠院が念動力で操作していた木を4つに折って挑み、隙あらば界刺に接触しようと果敢に攻めていた。 一厘は、真珠院をサポートするために『DSKA―004』の他にも操れる物体を動員して界刺の行動を阻害しようとする。 「これで、あの殿方も!!」 「いえ、何だか作為的な雰囲気を感じる・・・。これは・・・」 「罠・・・か!?」 「すごい・・・」 だが、それはまたしても光のコピー。少女達の攻撃は、虚しく空を切る。土煙が、盛大に舞い上がる。 「クッ!!」 「界刺さんは何処・・・!?」 少女達は不可視状態に身を置く界刺を探すために聴覚に集中するが、それは自分達の攻撃が起こした音のせいで無意味も同然だった。 一厘は、界刺と1人で相対する“恐怖”に無意識の内に急かされ、真珠院に駆け寄って行く。 「真珠院!ここじゃ、周囲の音が聞き取り難いわ。早くここから・・・」 「そうは問屋が卸さない」 「グハッ!?」 真珠院へ駆け寄る途中に、界刺は待ち構えていた。またしても姿を現した界刺の拳が鳩尾に決まり、一厘は束の間呼吸困難に陥る。 「ガハッ・・・!!」 「一厘先輩!?」 「そして・・・」 「なっ!?」 ダメージによって身動きが取れない一厘を担ぎ上げ、真珠院へ突進する界刺。真珠院は、一厘が居るために攻撃することができない。 「仲良くご一緒に!!」 「クッ!!」 突進を喰らう直前に、真珠院は念動力を己に掛けて宙へ逃れる。自分を浮遊させるそれは、高速的な移動こそできないものの、ある程度は自在に操作できた。 「へぇ。さすがは『念動使い』。自分を浮遊させたか。自力で空を飛べるってのは、気持ちいいんだろうな」 「さぁ、これであなた様の打撃系の攻撃は私には届きません!これで・・・」 「んじゃこうする」 「ガアアァァッ!!!」 「い、一厘先輩!?」 真珠院の視線の先に、界刺の右腕で首を極められ左腕と両足まで使ったホールド技により身動きが取れなくなった一厘の姿があった。 「い、一厘先輩!『物質操作』でスタンガンを・・・!!」 「そんな暇を俺が与えると思う?もし向けて来たら、速攻で一厘を“落とすよ”?真刺の首絞めはこんなモンじゃ無ぇけど、俺もアイツからそれなりに習ったしな」 「ぐううぅぅ!!!」 「なので・・・さっさと降りて来い。お前は、一厘が俺から学ぶ機会を奪うつもりなのか?自分のために先輩を犠牲にする。大した後輩だねぇ」 「・・・!!」 真珠院は、界刺の卑劣な行為に憤怒する。あれは、人質を使った脅しだ。あんな人間の言うことに等、この自分が従うわけには・・・ 「・・・成程。お前の考えはよ~くわかった。んじゃ、後輩の犠牲になってね、一厘?それっ!」 「カハッ・・・ガアァ・・・アァ・・・・・・」 「ま、待って!!!・・・わかりました」 いよいよ、一厘は意識が飛びそうになる。その姿を見て・・・真珠院は決断する。それを示すかのように、界刺の前に降りて来た。 「これで・・・よろしいですか?」 「し・・・真珠、院・・・!!」 「あぁ、いいよ。いい後輩を持って、一厘も幸せモンだ。なのによぅ・・・」 真珠院の行動に、顔を歪ませる一厘。その行動に界刺は・・・気を振り向けない。何故なら、自分に迫る危機の存在に気付いていたから。 バオッ!! スッ!! 土煙から現れたのは、長手袋に包まれた手。その手が自分へ及ぶ前に、界刺は一厘へのホールドを解き、その場から離れる。 「・・・後輩の健気な行動を無駄にするのか?」 「あらあら、あんなものは健気とは言いませんわよ?卑劣極まる貴方の脅迫によって、止む無く取った行動ですわ」 「全く。私が電撃を飛ばしていた方が、あの男が怯む可能性は高かったのに。自分がやるって聞かないんだから」 「津久井浜先輩・・・!!苧環先輩・・・!!」 真珠院と一厘の前に立つは、サングラスを掛けた津久井浜憐憫と苧環華憐。2人からは、界刺への敵意に満ち溢れていた。 「あらあら、こんなことなら朝食の際に『発熱爆弾』による制裁を断行するべきでしたわね」 「界刺得世。あなたが言う『いわれなき暴力を振るわない強者』とは、まさかこんな卑怯な真似を平気で行う人間のことを指しているわけ? だとしたら・・・私はあなたのことを思い違いしていたようね。見損なったわ!!」 津久井浜からは熱気が浮かび上がり、苧環からは電流が迸る。その様を見て、界刺はある提案をする。 「あっ!そういえば、1つ言うのを忘れてた。お前等が参戦してもいいって言ったけど、少し条件を付けさせて貰うから」 「はぁ?条件!?」 「そう。苧環!お前は、電磁波による物体感知ってできる?」 「そ、そりゃあできるけ・・・!!まさか・・・!!」 「そう。そのまさか。お前、その能力は使用禁止な」 電磁波による物体感知。これを禁止させられると、苧環は不可視状態の界刺を見付けることが困難になる。 「あなた・・・!!そんな都合のいいことをこの私が受け入れるとでも!?」 「苧環!お前は、こんな卑劣な真似をした俺を・・・まだ信じられるか?」 「えっ・・・?」 界刺が苧環に向ける視線には、一切の曇りも嘲りも無かった。その瞳が、その視線が苧環の瞳を射抜く。 「何で俺がお前にそういう条件を付けるのか・・・。その意味は、今の時点じゃわからないだろうけど。俺も言うつもりは無いしね。 苧環。お前が知る俺っていう人間は・・・自分に都合のいいだけのことをするような人間なのか?」 「・・・!!」 『意味』。界刺が自分の能力の一部を制限する『意味』。 この言葉から連想するのは・・・界刺がただ単に、自分達へ力の差を見せ付けるために動いているわけでは無いということ。 人質を使った脅しという卑劣な真似をしてでも一厘や真珠院を追い込んでいるのには、界刺なりの理由があるということ。 これは・・・『いわれある暴力』。少なくとも、苧環はそう受け取った。故に、苧環は数秒後に決断を下す。 「・・・ふぅ。仕方無いわね。わかったわよ。あなたの言う通り、電磁波による物体感知はしないでいてあげる。但し、それ以外の能力はふんだんに使わせて貰うわよ?」 「どうぞ。お好きなように」 苧環の了承を聞いた界刺は、その場から離れる。仕切り直しというわけだ。 「あらあら、良かったの、苧環さん?あんな卑劣漢の言うことなんか聞き入れてしまって」 「・・・あの男なりの考えがあるみたいだし、卑劣漢かどうかはそれを見極めてからでも遅く無いと思っただけよ」 津久井浜と苧環が会話する中、真珠院は座り込んでいるボロボロな一厘に駆け寄る。 「一厘先輩!大丈夫ですか?」 「な、何とか・・・。やっぱ、界刺さんは容赦無いね。・・・私のことを、女として見ていないのかも(ボソッ)」 「あら、何か仰られましたか?」 「え?ううん、何でも無い。それにしても、あの不可視状態って本当に厄介よね。私達の攻撃が、悉く空振りに終わっちゃう」 「えぇ。苧環先輩の感知能力も禁止されましたし・・・。どうやって得世様の位置を見破るかが最重要課題ですね」 一厘と真珠院は、束の間の休憩時間に頭を働かせる。自分達が大々的に攻撃すれば、その音で不可視状態に居る界刺の足音を消してしまう。これでは、話にならない。 「一厘先輩の能力で、得世様を操作することは・・・ハッ!!」 「・・・私の『物質操作』は15kg以下の物体しか操作できないからさ、人間で操作できるのは赤ちゃんくらいなんだよね」 「そ、そうでしたね・・・。余計な質問をして申し訳ありませんでした」 真珠院は、自分の口から出た“できもしない願望”に歯噛みする。自分は、一厘の能力について事前に説明を受けていた。 なのに、聞いておきながらも出てしまった自分の言葉に、感情に愕然とする。これでは、あの男の言った通りではないか。 「そ、そんなこと無いって!こういう自己分析は大事なん・・・・・・」 「・・・一厘先輩?如何されましたか?」 真珠院は、自分へ向けた言葉を中断させた一厘を疑問に思う。何故なら、一厘の表情が驚愕に満ちていたからだ。 『リンちゃん。君は涙簾ちゃんと組んだこともあったでしょ?あの時、君はどう思ったの?』 「(私は・・・私は、とんでもないことに今まで気付いていなかったんじゃあ!!?)」 一厘は、高速で思考を纏め上げて行く。自分の能力、自分の経験、自分への言葉etc。それ等全てを纏めた後に・・・“試す”。 「ッッ!!!」 それは、確かな手応え。それは、今まで自分が思いもしなかった事実、否、気付いていたのに無意識の内に無視していた事実。しかし、それは紛れも無い現実である。 「一厘先輩・・・?」 「真珠院・・・。不可視状態に居る界刺さんを見破る方法を思い付いたよ」 「ほ、本当ですか!!?」 「うん。これなら・・・きっとイケる。ううん、絶対にイケる!!それに・・・真珠院の能力を活かす方法も思い付いた!!」 「ッッ!!そ、それは・・・?」 「え~とね・・・」 一厘と真珠院は、戦闘再開前まで作戦を練り続けた。何時の間にか、一厘の瞳に輝きが戻っている。彼女は、心の中で固く決意する。 散々自分を痛め付けてくれた借りを、ここで返す。自分を駄目出ししまくった男に、目に物を見せ付けてやる。 そんな一厘の自分へ向けて来る視線に気付いた界刺は・・・口の中だけで笑った。 「そんじゃ、仕切り直しと行こうか?1対4か。中々にしんどくなって来たかな?」 「あらあら、さっきまでの威勢のいい態度は何処へ行ってしまわれたのですか?そして・・・そんなことを言った所で貴方への制裁は止まることはありませんことよ?」 「こんな機会は滅多に無いし。今日は、存分に暴れさせて貰うわよ!!」 「真珠院・・・。段取り通りに。私達は後方でタイミングを探るよ?」 「わかりました」 そう各々が言葉を交わした直後に、戦闘が再開される。初手は、苧環。 「ハッ!!」 苧環の放った高圧電流が界刺を貫くが、これもまた光のコピー。そして、それは苧環の予想通り。 「津久井浜!!」 「あらあら、そんな大声を出して・・・はしたないですわよ?」 そう無駄口を叩きながらも、津久井浜は地面に手を置く。己が能力『発熱爆弾』を発動させるために。 ドゴオオーン!! 急激な発熱による体積の膨張を利用した爆発。角度や温度上昇等を調節して引き起こされた爆発は、方向性を持って広範囲に渡って地面を吹き飛ばす。 しかし、完全には制御できないらしく自分達にも巻き上げられた土が降って来る。 「ちょ、ちょっと!!あなた、何味方も巻き込んでいるのよ!?」 「あらあら、爆発自体には巻き込んでいないのですから、このくらいは大目に見て下さいな。あの卑劣漢への制裁には、このくらいが丁度いいのですよ?」 苧環の文句にも、平然と受け答えする津久井浜。彼女も彼女なりに、界刺に対して警戒している表れか。 「ひっでぇな。後でバカ形製に怒られちゃうじゃないか」 「「!!」」 とそこへ、土を体の所々に被った界刺が姿を現して近付いて来た。遠距離では『発熱爆弾』にいいようにしてやられると判断したからか、界刺は接近戦を仕掛ける。 「接近戦で、私をどうとでもできるなんて思わないでよ!!」 「うおっ!?」 危うく界刺が交わしたそれは、苧環が作り出した砂鉄の剣。生身に喰らえば唯ではすまない切れ味に、鳥肌が立つ界刺。 「あらあら、余所見はいけませんわ?」 「ぬおっ!?」 砂鉄剣に気を取られた界刺に後方から、手を伸ばして来る津久井浜。彼女に触れられれば一巻の終わり。 それがわかっている界刺は、すぐさま横っ飛びによって津久井浜の魔手をかわす。 「そして・・・気を抜いても駄目ですわ」 「!!」 界刺の目に映るのは、津久井浜が地面に手を置いている姿。数秒後にあの爆発が自分を襲う。そう判断したが故に、『光学装飾』による演算の阻害を敢行する。 グルグルグル 「なっ!?」 廻る周る世界が回る。それは、まるで万華鏡。様々な色や形を成す光が像が、反射に次ぐ反射を、屈折に次ぐ屈折を重ねて束ねてグルグル回る。 津久井浜のサングラス越しに―加えて顔とサングラスの隙間から―瞳へ入る可視光線を操作し、界刺は津久井浜の平衡感覚を狂わせる。 「!!・・・ウッ!!」 「津久井浜!?」 平衡感覚を狂わされ急激に気分が悪化した津久井浜は、口に手をやりその場に蹲る。その姿に驚く苧環を狙い、界刺が疾走する。 「このっ!!」 苧環は、界刺に向けて即座に電撃を飛ばそうとするが、その直線上には蹲る津久井浜が居るため躊躇する。もし界刺にかわされれば・・・ 「『津久井浜に当たる』ってか?」 「!!」 自分の躊躇を看破された。苧環は焦りのままに砂鉄剣を振るうが、 スカッ!! 「なっ!?残像!?」 砂鉄剣が当ったと思った―そして、空を切った―それは、光の残像。 界刺は、苧環へ突っ込むと見せ掛けて、疾走の途中から光のコピーを走らせていた。自分を不可視状態にして。 残像と入れ替わったタイミングは、苧環にもわからなかった。それ程までに見事な交代劇。これは、穏健派救済委員の1人である啄鴉から習った光の幻惑術(体重移動編)。 コピーを出すタイミングや場所、そこに界刺流のオリジナルを加えた残像を“素通り”して、不可視状態を解いた界刺が今度こそ苧環に突っ込んで行く。 「甘ぇ!!」 「ガハッ!!」 砂鉄剣を避けた界刺が手に持つ、絶縁性付き警棒による突きが苧環の胸の中心へ放たれた。今の界刺の基準は、昨夜戦ったあの殺人鬼の速度である。 それに届かない者に対処することは、今の彼にとっては容易であった。砂鉄剣が、唯の砂鉄に戻る。 吹っ飛び地面に倒れ込みながらも、苧環は電撃を放とうとする。しかし・・・ 「きっとだけど、今の状態じゃあそれって当らないぜ?」 「はっ!?」 それは、界刺が看破したもう1つの事実。 「お前等『電撃使い』は、日常的に電撃を放つ訓練をしているわけだろ?ってことはだ・・・電撃を放つ時にどうしても出るんだよなぁ。体に染み付いた癖ってのが」 「癖・・・!?」 「そう。例えば眉間に皺を寄せたりとか、思わず拳を握り込むとか、そんな癖。つまり、体のどこかに力が入るんだよ。そして、それによる僅かな体温変化を俺は見逃さない」 「・・・!!」 サーモグラフィを行使して、対象者の体温変化を見極めることで行動予測を立てる。界刺自身、この方法は今まで余り使って来なかった。理由は疲れるから。 それを日常的に使えるよう訓練するようになったのは、救済委員の1人である雅艶総迩に完敗したあの日の出来事が切欠である。 「逆に、俺はそんな前兆を感じさせる真似は一切見せねぇ。これでも、『光学装飾』で少しは操作してるんだぜ? お前等に俺の挙動を察知されないように。最低限レベルだけど」 「(!!・・・ということは、さっきの焦ったような顔は・・・)」 自分の砂鉄剣を危うくかわした界刺の焦った顔。あれは、『光学装飾』で作っていたとでもいうのか? 「姿を消していないからって油断するなよ?もし、お前が電磁波による物体感知をしていたとしても、俺は次のペテンを仕掛けるぜ? それに、幾ら雷の速度っつっても放つのは人間だ。その人間が放つタイミングさえわかれば、避けることもできなくは無いんじゃないか? ちなみに、俺が光を放つタイミングはわかんねぇだろうけどな。理由はさっき述べた通り。 その上、サングラスをしていても俺の『光学装飾』は防ぎ切れない。ってことで・・・苧環。お前は俺に勝ち目無ぇよ・・・!!」 「(!!ま、まさか・・・本当に・・・?私が初撃で電撃を放った際に、界刺は私の癖や電撃を放つタイミングを看破したって言うの!?)」 界刺のカミングアウトに、苧環は息を飲む。何時の間にか、暑さによる汗では無い何かが背中を流れる。 「(さ~て、苧環さん。さっさと降参してくれ!!確かに癖っつーか体温変化はわかるけど、俺だって実際に電撃をよけたことなんて無ぇし!! 頼むから早く引き下がってくれ!!)」 対する界刺も冷や汗ダラダラ状態である。『光学装飾』を使うことで、そんな素振りは一切見せていないが。 つまり、界刺お得意のペテン―リンリンが言う所の『詐欺話術』―である。 「それにさ、早く津久井浜を看病しなくていいの?あの娘、今もグルグル状態だし」 「くっ・・・。・・・わかったわ。この勝負、私と津久井浜の負けよ」 「そうかい。んふっ、それが賢明だ。(ふぅ~、よかった!!助かった!!!)」 苧環の言葉に、安堵する界刺。俯く苧環が、津久井浜の下へ行くために界刺の脇を横切ろうとする。それが・・・この男にできた唯一の隙。 ガッ!! 「ぐっ!?」 「でも、あの娘達の戦いはまだ終わっていないわよ!!」 苧環からの手助け。界刺が持っていた2つの警棒の内、左手にあった警棒を宙へ飛ばすため、苧環は界刺の左手に右アッパーを繰り出す。 「苧環!!」 「隙を見せたあなたが悪い!それに、電撃や砂鉄みたいに目に見えやすい攻撃に気を取られていたんじゃないの!?」 苧環の一撃を喰らい、警棒が宙に浮く。それを、少女は見逃さない。 「苧環!!ありがとう!!」 一厘鈴音。15kg以下の物体なら接触せずに操作できる念動力系能力者。その彼女が、界刺の持っていた警棒に己の念動力を掛ける。 「くっ!!」 「一厘先輩!!」 「苧環の助けを無駄にしないわよ、真珠院!!さぁ、行くわよ!!」 「はい!!」 界刺に奪い返されないように、即座に自分達の方へ警棒を引き寄せる一厘。真珠院と一緒に考えた作戦が・・・いよいよ敢行される!! continue!!
https://w.atwiki.jp/gcmatome/pages/1480.html
とある科学の超電磁砲 【とある かがくの れーるがん】 ジャンル 女子中学生奮闘アドベンチャー 対応機種 プレイステーション・ポータブル 販売元 角川ゲームス 発売元 アスキー・メディアワークス 開発元 シェード 発売日 2011年12月8日 定価(税込) 通常版 6,279円 / 限定版 9,429円 判定 なし ポイント 『禁書目録』とは大きく異なるシステムさてんさんファン向け? 電撃文庫シリーズリンク 概要 システム キャラクター 評価点 賛否両論点 問題点 総評 余談 概要 長編人気ライトノベルシリーズ『とある魔術の禁書目録』からのスピンオフ漫画作品『とある科学の超電磁砲』を基にしたゲーム。 同じくPSPでリリースされたゲーム版『とある魔術の禁書目録』は3D格闘アクションだったが、本作はアドベンチャーとなっている。 時間軸はアニメ終了後となっており、学園都市に広がる都市伝説を巡って原作者完全監修のオリジナルストーリーが繰り広げられる。 システム 会話パート 登場人物たちの会話を聞きながら、トピックを収集していくパート。入手したトピックによって次以降の展開が変わってくる。 特殊推理パート【ガールズトークモード】 「作戦会議」のイメージで、会話パートで集めたトピックを使用して会話の流れを変えることでストーリーが分岐していく。 トピックは投入するタイミングも重要であるため、適当にやっていると、ストーリーが思ったように分岐しなくなっている。 あまりにも的はずれなトピックを投入していくと、ガールズトークモードであってもバッドエンドに行ってしまうことも…。 特殊推理パート【ジャッジメントモード】 一般的な推理ゲームで言うところの「究明編」で、主に謎を解き明かすためのパート。トピックの投入や会話、推理を重ねていくことでジャッジメントゲージを上昇させて真相に迫る。 基本的にはガールズトークシステムと同じように進めていく。こちらも失敗するとバッドエンドに。 アクションパート ミルキィホームズのアクションパートに近い所謂「QTE」で、画面に表示されるアイコン通りにボタンを入力してアクションを繋いでいく。途中停止できないので、気を抜くと失敗してしまう。 失敗時にも専用のリアクションが用意されていたりする。レールガンを使用する場面で失敗すると、コインを取り落として焦る描写が入ったりする。 3Dモデルは「とある魔術の禁書目録」から一部流用。ビューモードでの鑑賞も可能。 以上のパートを経て、各シナリオを解決へと導いていく。 キャラクター 御坂美琴 学園都市に7人しかいない「超能力者(レベル5)」の1人で、序列三位。電気や磁場を自在に操り、その必殺技からとって「常盤台中の超電磁砲(レールガン)」と呼ばれている。本作ではプレイヤーの分身となる。実は意外と常識人なため、会話から取り残されることも…。 白井黒子 「大能力者(レベル4)」の「空間移動能力者(テレポーター)」で 学校内の治安を守る「風紀委員(ジャッジメント)」としても活躍。美琴に恋する暴走乙女。美琴が揉め事に首を突っ込むのを、内心では快く思っていない。そのため、早々に話を打ち切ろうとすることもある。 初春飾利 黒子とコンビを組む、風紀委員の一人。高い情報処理技能を持つ。頭から花が咲いているように見えるが、これは造花。本人が「これは飾りです」と言っていた。メインキャラの中では一番気が弱く、なかなか思ったことを伝えられない。発言数も一番少ない。 佐天涙子 初春のクラスメイトで、「無能力者(レベル0)」。天真爛漫を絵に描いたような性格だが、実は能力開発が進まないことを悩んでいる。うかつに話をふると、予想不能な方向に展開を持っていってしまうトラブルメーカー。かついろんな意味で強引。 そのほか、オリジナルキャラを含めて多数登場。ただし、例のツンツン頭の男子高校生は出ない。 ちなみに婚后光子ファンの方はプレイしてみる事をおススメする。ちょっと出番あればラッキー程度に考えておくと幸せな気分になれる。 評価点 原作人気に頼らず、ゲームとしてしっかり作られている。 全5章構成で、ボリューム・アドベンチャー要素ともに申し分ない。 話のクオリティやキャラ描写も、原作者完全監修というだけありクオリティが確保されている。 一部流用とはいえ、アクションパートの失敗部分なども細かい演出がされているのも嬉しいところだろう。 賛否両論点 さてんさん優遇? シナリオ中、やたらと佐天さんが好待遇になっている箇所がある。これに関しては、若干ファンの間で議論が交わされた。 陽気で能動的な人柄なので、シナリオライターにとっては扱いやすいキャラなのかもしれない。それが気になるかどうかは、プレイヤーの感性次第といったところだろうか。 問題点 ボリューム不足気味 全5シナリオというあっさりしたもので、分岐埋めやCG回収を含めてもそう長く遊べるタイトルではない。 2012年8月、無料DLCとしてEXシナリオの配信が行われた。内容は白井黒子による没シーン案内で、本編では使用しなかったCGとそれにまつわる再現イベントとなっている。 アクションパートで失敗すると、即最初に戻される これは「仕方ない」という声と「せめて直前からやりなおさせてほしい」という声が半々といったところ。 最終面の後半で失敗すると、やり直しがかなり億劫。 シナリオが終わると、毎回タイトルに戻る謎仕様 バッドエンドならともかく、ちゃんとシナリオを終えた場合でもタイトル直行。 そのまま続きのシナリオに進める方がテンポがいいと思うのだが…。 総評 キャラゲーではあるが、作品知識の無い人でも問題なく楽しめる一作。 劇中の会話も聞いていて楽しく、女の子のお喋りが好きな紳士の方にはとくにお勧め。 だがしかし、ボリュームがかなり不足気味。そこを何とかすれば、良作にもなりえたのだが…。 余談 本作のセーブデータを『とある魔術の禁書目録』で読み込むと、御坂美琴シナリオがアンロックされる。 過去作のデータではなく、かなり後発となるタイトルのデータをアンロック条件として用いるのは非常に珍しい。 ただし本作は、当初の予定から幾度も延期を繰り返しているタイトルである。