約 312,800 件
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/2195.html
ぱちゅりーは不幸だった。 どういう風に不幸だったかというと、 「んほおおおおおおおおお!!!!ばじゅりいいいいいいい!!!」 「むぎゅうううううう!!!!!やべでええええええええ!!!!!!」 とまあこういうことだ。 そんなわけでぱちゅりーはレイパーありすに犯され、望まぬ子を作らされた。 さらに不幸なことにその六匹生まれた子供達はすべてがありすだった。 親によってはこんな有様ならば子供を殺してしまうことは少なくないのだがこのぱちゅりーは子ありす達を殺そうとはしなかった。 「「「「「「おかあさん!ゆっくりしていってね!」」」」」」 ありす達が生まれてすでに半月ほど、すでに子ゆっくりと呼べる大きさにまで成長した子ありす達。 彼女等は今日も朝の挨拶にお決まりの文句を親のぱちゅりーに叫ぶ。 親ぱちゅりーはそんな子供達をにっこりと笑顔で見つめている。 「おかーさん、おなかがすいたわ!」 「むきゅ!はい、ごはんよ!ゆっくりたべてね!」 「おかーさん、おうたをきかせて!」 「いまはごはんのじかんだから、あとでゆっくりきかせてあげるわね!」 「ありすはおかあさんとすりすりしたいわ!」 「むきゅ、すりすりましょうね。す〜りす〜り。」 そんなわがままな子ありす達の態度にもいやな顔一つ見せず常に笑顔で世話をする親ぱちゅりー。 長女である子ありすはそんなおかあさんが大好きだった。 彼女の口から聞かされたいなかものの片親の話。 最初はショックで無様だった。 自分の片親がレイパー……というものはよく分からないが、いなかものであると知らされれば誰だってそうだろう。 しかしそんな自分たちをおかあさんは見捨てなかった。 「おかあさん!」 「むきゅ?どうしたの、ありす?」 笑顔で振り向く親ぱちゅりー。 そんなぱちゅりーに長女ありすは声をかける。 「おかあさん!ありすはとってもとかいはなありすになるわ!おかあさんのこどもとしてはずかしくないように!」 すべての子ありす達、皆が言いたいこと。 しかし自分の片親がとんでもないいなかものであったため言うに言えなかった誓いの言葉を口にする。 親ぱちゅりーがいなかもののありすを嫌っているのはよくわかっていた。 『いなかもののありすはいきるかちがない。』 『いなかもののありすはゆっくりではない。』 『いなかもののありすはほかのゆっくりからさげすまれる。』 『いなかもののありすは…』 ありす種はとかいはでなければいけない。 とかいはにならなければいけない。 何度も何度もそう聞かされて育った。 だから自分達は絶対にとかいはになるのだ。 話で聞かされた片親のようないなかものにはならない。 そうおかあさんに誓うのだ。 「ありすもとかいはになるわ!おねえちゃんにまけないくらいのとかいはに!」 「ありすもなるわ!」 「ありすもよ!」 妹のありす達は長女ありすに続き口々に言い合う。 誓いの言葉を受けた親ぱちゅりーは一瞬驚いた顔になる。 しかしすぐに、子ありすが見た今までで最高の笑顔でこう口にした。 「むりよ。」 長女ありすは時間が止まったような気がした。 今おかあさんはなんと言ったのだろうか? 「おかあさん、い、いまなんて?」 「きこえなかった?むりだといったのよ。」 妹達も硬直している。 そんな子供たちに向かって、今までで最高の笑顔のまま親ぱちゅりーは普段の諭すような口調で言う。 「とかいはのありすはね、あいしあったふたりのあいだにできたこどもでなければなれないの。あなたたちはいなかもののくそれいぱーのこどもだからいっしょうかかってもとかいはにはなれないのよ。」 「「「「「どおじでぞんなごどいうのおおおおおおおお!!!!!」」」」」 お母さんの言うことが理解できない。 子ありす達は火のついたように泣き出した。 目の前ではあの糞レイパーの子供が泣き叫んでいる。 どれほどこの時を待ち望んだことだろう。 この生ゴミ共が生まれたときからずっとどうすればこいつ達を苦しめられるか、それだけを考えていた。 こいつらが生まれた時、ありすばかりであった事で閃いたのだ。 ありすはいなかものであることを極端に嫌う。 こいつらには自分がいなかものであると知らしめるのが面白いかもしれない。 しかし奴等は独自の自分勝手なとかいはの概念を持ち、自分がとかいはであることを決して疑わない。 ならば、とかいはの概念をあの生ゴミ共が親と思っている自分で固定化してしまえばよい。 「にどはいわないわよ。あなたたちはいなかものなの。ほかのゆっくりからさげすまれ、ばかにされ、きらわれる、ね。 うまれたときから、いいえ、うまれるまえからきめられていたこと。あなたたちのおやであるくそれいぱーのありすがわたしにあなたたちをやどしたときからあなたたちはいなかものなのよ。 でもしんぱいしないで、おかあさんはあなたちをみすてはしないわ。どんないきるかちのないいなかものでもわたしのこどもだもの。しかたがないからそだててあげるわ。」 最高の笑みでそう子供たちに言う親ぱちゅりー。 「ありずはどがいはよおおおおおお!!!!!」 「いまはちがってもきっとなるからああああああ!!!!!」 「おがあざああああああああああん!!!!」 子ありす達はもはや半狂乱だ。 そういえば、ふと唯一黙って呆然としていた長女ありす気づく。 おかあさんは一度も自分達にゆっくりしていってねと返してくれたことがない。 ゆっくりにとって当然の挨拶であるそれを、反射行動に近いそれを。 そして、答えを聞きたくも無いのに、聞かずにはおれぬ質問を呟く。 「おかあさん、ありすたちのこと、きらいなの?」 ぱちゅりーは更なる最高の笑顔で当然のように言った。 「だいっきらいよ。」 それからの日々は一変した。 親のぱちゅりーは相変わらず笑顔で子ありす達の世話をしている。 しかしその笑いがただ表面上笑っているように見えるだけの仮面であることを子ありす達は知っていた。 子ありす達は自分たちがいなかものであることを自覚させられた。 少なくとも本人達はそう思っている。 他のゆっくりと接触することもしない。 いなかもののありすはどんな目にあうかをぱちゅりーに吹き込まれた彼女たちは他のゆっくりと会う事を極端に恐怖した。 彼女達の唯一の希望は親ぱちゅりーだった。 たとえ自分達を嫌っていても、おかあさんだけがいなかものの自分達を助けてくれる。 そう思い込んでいた。 夜に寝言だと言いながらいなかものを罵倒しても、 忘れていたと言って三日もの間一切の食事を与えられなくても、 末の妹が野犬に食われた時声を上げて大笑いしていても、 狩に行って大怪我をした長女を無視して食事を始めても、 次女が川で遊んでいた時叩き落されても、 ありす達は親ぱちゅりーが唯一の救世主だと信じて疑わなかった。 久々なのでリハビリ程度に。 過去書いたもの 奇跡のゆっくりプレイス 醜い男 生きるための選択 体つきゆっくり愛好家 ありすの戦い 黒歴史 byデストラクション小杉
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/1385.html
ゆっくりぱちゅりぃというゆっくりが居る。 ご存知ゆっくりパチュリーに四肢が付いたゆっくりだ。 しかし、このゆっくりは四肢がないゆっくりと違い、少し頭が悪い。 そんなゆっくりぱちゅりぃの生態を、少し覗いてみよう。 「むっきゅ~~♪ むきゅむきゅ♪」 煙が移動するように、道を歩いているのがゆっくりぱちゅりぃだ。 「むっきゅ~~♪ むっきゅきゅ~~~♪」 その、濁った目を大きく見開き、目の前の人間を凝視する。 その右手。 そこに持っているのは、この男が買ってきた本だ。 「むっきゅ~~~♪ それはぱちゅりぃのごほんのなのーーー!!!!」 「うわ!! なんだおまえ?」 突然、誰かに話しかけられたと思った男は、目の前でワンワン泣いているゆっくりを見て声をあげる。 「むっぎーーー!! それはぱちゅりぃのごほんなのーーー!!!!」 「この本がお前の?」 「むっきゅ~~~♪ そうなの!! だからかってにもってかないでね♪」 四肢有りは総じて切り替えが早いのだろうか? このぱちゅりぃも、先ほどとは打って変わって満面の笑みで両手を差し出してくる。 「フザケンナ!! これは俺の本だ!!」 「むっぎゅーーー!!! ごほんかえじでーーーー!!!」 男がブツクサ言いながら去っていくと、懸命にその後を追いかける。 「まっでぇーーー!! もっじぇがないでーーー!!!!」 「…………」 男は大事そうに本を胸に抱えて無言で歩く。 「まぁ……じぇーーーー!!!」 その後ろを、ぱちゅりぃがヒィヒィ言いながら歩く。 「……。ほら、待ったぞ!!」 「!! もっじぇがないでぃーーーー!!!!」 男が止まったのを見て、一気に間合いを詰めようと、残っていた体力で懸命に駆け寄る。 しかし。 「ほ~ら♪ もっていっちゃうぞ~~~~♪」 「むぎゅ!!!」 後一歩。 後一歩のところで、勢い良くスタートを切った男に逃げられてしまう。 「むーーーーーー!!!!」 そのまま、スカートに足を取られて前のめりに地面とキッス。 「むっぎゅーーーー!!! ぱちゅりぃーーのごほんがーーーー!!!」 全身泥だらけになったぱちゅりぃの目は、涙をいっぱいに浮かべ、すでに姿が見えない男を追いかけていた。 「むっきゅ~~~♪ むきゅきゅ~~♪」 それから暫くして、漸く機嫌が直ったぱちゅりぃは、勇み足で人里の中へ。 「むっきゅ~~~♪」 目的は人間の家に侵入すること。 しかし、食料をとることが目的では無い。 「むっきゅ~~♪ おじゃまします~♪」 目的は本を見つけることだ。 丁寧に、挨拶をして家の中に入っていくその顔は、既に血眼になって本を探していた。 「……むきゅ~~~? むきゅ~~~?」 押入れ、冷蔵庫、風呂桶、食器棚。 何処を開けてもなかなかお目当てのものがでて来ない。 「むっきゅ~~~!! ごほんをよまないばかのお~ちなの?」 フツフツを怒りが湧き起こってきたその時、偶然あけた隣の部屋で、大きな本棚を見つけることができた。 「むっきゅ~~~♪ ごほんがいっぱ~~い♪」 吸い寄せられるように近づいていったぱちゅりぃは、手当たり次第に本を引き出すと、乱雑に並べてから、一冊の本を開いた。 「むっきゅ~~♪ ごほんをたくさんだしたぱちゅりぃはどくしょかなの~~♪」 ペラペラッと本を捲っていく。 その行為は、この家の主が帰ってくるまで続いた。 「おい!! そこでなにしてるんだ!!!」 「!!!! むきゅ? ここはぱちゅりぃのとしょかんよ? しずかにごほんをよめないおに~さんはでていってね!!」 さも当然のように言い放って視線を戻す。 「むきゅ! かしだしはしてないの」 視線を合わせず、思い出したかのように呟く。 勿論、貸し出しが何の事だかはサッパリ分かっていない。 「ここは俺の家の俺の本棚だ。人の家に勝手に入りやがって!! 出て行け!!」 「むきゅ~~♪ どくしょちゅうはおしずかに!!」 「……」 ここで、男の限界が来たようだ。 「むきゅ?」 何も言わず、首根っこを掴んで顔を近づける。 「それは、おれの、ほんだ!!」 「むきゅーー!! ぱちゅりーのごほんなの!!!」 「うるさいよ!!」 「むぎゅ!!」 そのまま外に投げ捨てる。 「むきゅーーー!! いれでーーー!! としょかんにいれてーーー!!!」 「嫌だ!! お前の図書館だったら、自分で入ってこられるだろ?」 「むぎゅーーー!!!!」 ガラス戸をペチペチ叩くが、ぱちゅりぃの力では割る事はできない。 中に入ろうとしても、昼間は開いていた玄関もしっかりと鍵がかかっている。 「むっきゅーーー!! ぱちゅりーーのごほんもっでがないでーーー!!! ぜんぶもっでかないでーーーー!!!!」 なけなしの力で最いっぱい叩くが、既にカーテン越しに明かりは消え、物音一つしなくなった。 「むっきゅーーー……」 仕方が無い。 この図書館を手放す事にしたぱちゅりぃは、とぼとぼと自分の巣の中に戻っていった。 ―― 巣の中は大きな空間が一つあるだけ。 その奥に、ぱちゅりィが拾ってきた本が山積みにされている。 「むっきゅ~~~♪ ねるまえにごほんをよまなくちゃ!!」 ここに帰る途中に拾ったくず野菜の夕食をとり、横になったぱちゅりぃは、その本の山から無造作に一冊取り出す。 三ページ程のA4の紙には、カラフルな文字で○○店オープン!! と書かれている。 「むっきゅ~~♪ ハラハラするだいぼうけんね!!!」 一冊捲り終える頃には、ぱちゅりぃはスヤスヤと寝息を立てていた。 ―― 翌日 「むっきゅ~~♪」 今日も朝から町へ出かける。 勿論本を探すためだ。 「むっきゅ~~♪ むきゅ!! むきゅ!!」 昨日の失敗は忘れてしまったようで、意気揚々と町の中へ乗り込んでいく。 「むきゅ? むきゅーーーー!!!!」 そこには、大きな図書館が存在していた。 一面に沢山の本が並んでいる。 まさにぱちゅりぃにとっての桃源郷だった。 「むっきゅ~~~♪ ぱちゅりぃのとしょかん~~~~♪」 「あら? ゆっくりぱちゅりぃね?」 「むきゅ? おねーさんだれ?」 「私はここの司書をしているの。貴方は?」 「むっきゅ~~~♪ ぱちゅりぃはここのとしょかんのあるじよ!! かってにわすれないでね!!!」 「そうだったわね」 ぱちゅりぃの自分の図書館と言う発言に食って掛からなかった司書は、更に言葉を続ける。 「だったら。そっちじゃないでしょ?」 「むきゅ?」 「この図書館の主人専用の部屋は、こっちじゃない」 指差す先には、確かに扉が有った。 「むきゅ!! そうよ!! あなたをためしただけよ!!!」 真っ赤になった顔を見られるように、勢い良く世の扉へと消えて行ったぱちゅりぃ。 「さようなら」 その言葉は、読経の様に静かな図書館内に良く響いた。 「むっきゅ~~♪」 中に入ったぱちゅりぃが見たのは、目の前にある本棚だった。 「むっきゅ~~~♪ むきゅ? むきゅ?」 取り出そうとしても取れない事に怒り出すぱちゅりぃ。 それもその筈、この本棚は精巧に印刷された本棚なのだから。 「むぎゅーー!! かえるーー!! さっきのほんだなのところーーー!!!」 泣きべそをかき、入ってきた扉をがさごそ弄る。 「むきゅ? むっきゅ~~~!!!!」 が、扉は開かない。 「むっきゅーーーー!!! なんであがないのーーーー!!!!」 何故なら、鍵がかかっている為だ。 「むっぎゅーーー!! ……むきゅ?」 漸く、この部屋の中に存在する唯一の立体物を発見したぱちゅりぃ。 「むきゅ? むきゅ?」 丁寧に描かれた絵に従って、自分の体にベルトを付けていく。 「むきゅ? これをおすのね!!」 最後に、大きなボタンが描かれた絵がある、その隣には本の絵が。 「むっきゅ~~~♪ はやくごほんがよみたーーい!!」 ポチ 「むっきゅ~~!! ……!!! むっぎゅ!! むぎゅ!!!」 スイッチを入れた途端、四肢に繋がれたベルトが勢い良く動き出した。 「むぎゅ!! むぎゅ!!」 それは一定のリズムを刻んでいる。 しゃがみ込み、地面に両腕を付ける。 そのまま足を後ろに伸ばす。 足を戻し勢い良くジャンプ。 この時、両腕を叩くのを忘れない。 「むっじゅ!! どめでーーー!!! ゆっぐりざぜでーーー!!!」 一回この動作をしただけで、既に息が上がってしまったパチュリー。 「む……はぁはぁ!! むぎゅ!! どめでーーー!!!」 息も絶え絶えに、懇願するが生憎と全自動のこの装置に監視員は居ない。 「むぎゅーー!!!! むぎゅーーーー!!!! おえ!! おぇーーーー!!」 口の中から勢い良く餡子が漏れ出す。 綺麗な緑色をした鶯餡。 「おぇ!! お゛お゛お゛お゛お゛ね゛がい゛じま゛ずーーー!!! ゆ゛っ゛ぐり゛ざぜでーーー!!!」 既に大量の餡子を吐き出して居るが、体は余り細くなっていない。 顔が若干やつれているだけだ。 「ゆーーーー!! もううごげないいいいい!!! だずけでーーー!!!」 延々と、無理矢理体を動かされ続けるぱちゅりぃ。 幸いな事に、後一時間もすれば、致死量の餡子を吐きだしゆっくりできるだろう。 「ゆ!! おぇ!! おぇええーーーー!!!!」 体が弱い分、少なくなった餡子を高速で生成できるゆっくりぱちゅりぃ。 その能力が苦しみ以外を与えてくれた事は、後にも先にも無いだろう。 「むっぎゅーーーーーー!!!!」 ゆっくりいじめ系426 ゆっくりぱちゅりぃ2 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/2662.html
ゆっくりぱちゅりぃというゆっくりが居る。 ご存知ゆっくりパチュリーに四肢が付いたゆっくりだ。 しかし、このゆっくりは四肢がないゆっくりと違い、少し頭が悪い。 そんなゆっくりぱちゅりぃの生態を、少し覗いてみよう。 「むっきゅ~~♪ むきゅむきゅ♪」 煙が移動するように、道を歩いているのがゆっくりぱちゅりぃだ。 「むっきゅ~~♪ むっきゅきゅ~~~♪」 その、濁った目を大きく見開き、目の前の人間を凝視する。 その右手。 そこに持っているのは、この男が買ってきた本だ。 「むっきゅ~~~♪ それはぱちゅりぃのごほんのなのーーー!!!!」 「うわ!! なんだおまえ?」 突然、誰かに話しかけられたと思った男は、目の前でワンワン泣いているゆっくりを見て声をあげる。 「むっぎーーー!! それはぱちゅりぃのごほんなのーーー!!!!」 「この本がお前の?」 「むっきゅ~~~♪ そうなの!! だからかってにもってかないでね♪」 四肢有りは総じて切り替えが早いのだろうか? このぱちゅりぃも、先ほどとは打って変わって満面の笑みで両手を差し出してくる。 「フザケンナ!! これは俺の本だ!!」 「むっぎゅーーー!!! ごほんかえじでーーーー!!!」 男がブツクサ言いながら去っていくと、懸命にその後を追いかける。 「まっでぇーーー!! もっじぇがないでーーー!!!!」 「…………」 男は大事そうに本を胸に抱えて無言で歩く。 「まぁ……じぇーーーー!!!」 その後ろを、ぱちゅりぃがヒィヒィ言いながら歩く。 「……。ほら、待ったぞ!!」 「!! もっじぇがないでぃーーーー!!!!」 男が止まったのを見て、一気に間合いを詰めようと、残っていた体力で懸命に駆け寄る。 しかし。 「ほ~ら♪ もっていっちゃうぞ~~~~♪」 「むぎゅ!!!」 後一歩。 後一歩のところで、勢い良くスタートを切った男に逃げられてしまう。 「むーーーーーー!!!!」 そのまま、スカートに足を取られて前のめりに地面とキッス。 「むっぎゅーーーー!!! ぱちゅりぃーーのごほんがーーーー!!!」 全身泥だらけになったぱちゅりぃの目は、涙をいっぱいに浮かべ、すでに姿が見えない男を追いかけていた。 「むっきゅ~~~♪ むきゅきゅ~~♪」 それから暫くして、漸く機嫌が直ったぱちゅりぃは、勇み足で人里の中へ。 「むっきゅ~~~♪」 目的は人間の家に侵入すること。 しかし、食料をとることが目的では無い。 「むっきゅ~~♪ おじゃまします~♪」 目的は本を見つけることだ。 丁寧に、挨拶をして家の中に入っていくその顔は、既に血眼になって本を探していた。 「……むきゅ~~~? むきゅ~~~?」 押入れ、冷蔵庫、風呂桶、食器棚。 何処を開けてもなかなかお目当てのものがでて来ない。 「むっきゅ~~~!! ごほんをよまないばかのお~ちなの?」 フツフツを怒りが湧き起こってきたその時、偶然あけた隣の部屋で、大きな本棚を見つけることができた。 「むっきゅ~~~♪ ごほんがいっぱ~~い♪」 吸い寄せられるように近づいていったぱちゅりぃは、手当たり次第に本を引き出すと、乱雑に並べてから、一冊の本を開いた。 「むっきゅ~~♪ ごほんをたくさんだしたぱちゅりぃはどくしょかなの~~♪」 ペラペラッと本を捲っていく。 その行為は、この家の主が帰ってくるまで続いた。 「おい!! そこでなにしてるんだ!!!」 「!!!! むきゅ? ここはぱちゅりぃのとしょかんよ? しずかにごほんをよめないおに~さんはでていってね!!」 さも当然のように言い放って視線を戻す。 「むきゅ! かしだしはしてないの」 視線を合わせず、思い出したかのように呟く。 勿論、貸し出しが何の事だかはサッパリ分かっていない。 「ここは俺の家の俺の本棚だ。人の家に勝手に入りやがって!! 出て行け!!」 「むきゅ~~♪ どくしょちゅうはおしずかに!!」 「……」 ここで、男の限界が来たようだ。 「むきゅ?」 何も言わず、首根っこを掴んで顔を近づける。 「それは、おれの、ほんだ!!」 「むきゅーー!! ぱちゅりーのごほんなの!!!」 「うるさいよ!!」 「むぎゅ!!」 そのまま外に投げ捨てる。 「むきゅーーー!! いれでーーー!! としょかんにいれてーーー!!!」 「嫌だ!! お前の図書館だったら、自分で入ってこられるだろ?」 「むぎゅーーー!!!!」 ガラス戸をペチペチ叩くが、ぱちゅりぃの力では割る事はできない。 中に入ろうとしても、昼間は開いていた玄関もしっかりと鍵がかかっている。 「むっきゅーーー!! ぱちゅりーーのごほんもっでがないでーーー!!! ぜんぶもっでかないでーーーー!!!!」 なけなしの力で最いっぱい叩くが、既にカーテン越しに明かりは消え、物音一つしなくなった。 「むっきゅーーー……」 仕方が無い。 この図書館を手放す事にしたぱちゅりぃは、とぼとぼと自分の巣の中に戻っていった。 ―― 巣の中は大きな空間が一つあるだけ。 その奥に、ぱちゅりィが拾ってきた本が山積みにされている。 「むっきゅ~~~♪ ねるまえにごほんをよまなくちゃ!!」 ここに帰る途中に拾ったくず野菜の夕食をとり、横になったぱちゅりぃは、その本の山から無造作に一冊取り出す。 三ページ程のA4の紙には、カラフルな文字で○○店オープン!! と書かれている。 「むっきゅ~~♪ ハラハラするだいぼうけんね!!!」 一冊捲り終える頃には、ぱちゅりぃはスヤスヤと寝息を立てていた。 ―― 翌日 「むっきゅ~~♪」 今日も朝から町へ出かける。 勿論本を探すためだ。 「むっきゅ~~♪ むきゅ!! むきゅ!!」 昨日の失敗は忘れてしまったようで、意気揚々と町の中へ乗り込んでいく。 「むきゅ? むきゅーーーー!!!!」 そこには、大きな図書館が存在していた。 一面に沢山の本が並んでいる。 まさにぱちゅりぃにとっての桃源郷だった。 「むっきゅ~~~♪ ぱちゅりぃのとしょかん~~~~♪」 「あら? ゆっくりぱちゅりぃね?」 「むきゅ? おねーさんだれ?」 「私はここの司書をしているの。貴方は?」 「むっきゅ~~~♪ ぱちゅりぃはここのとしょかんのあるじよ!! かってにわすれないでね!!!」 「そうだったわね」 ぱちゅりぃの自分の図書館と言う発言に食って掛からなかった司書は、更に言葉を続ける。 「だったら。そっちじゃないでしょ?」 「むきゅ?」 「この図書館の主人専用の部屋は、こっちじゃない」 指差す先には、確かに扉が有った。 「むきゅ!! そうよ!! あなたをためしただけよ!!!」 真っ赤になった顔を見られるように、勢い良く世の扉へと消えて行ったぱちゅりぃ。 「さようなら」 その言葉は、読経の様に静かな図書館内に良く響いた。 「むっきゅ~~♪」 中に入ったぱちゅりぃが見たのは、目の前にある本棚だった。 「むっきゅ~~~♪ むきゅ? むきゅ?」 取り出そうとしても取れない事に怒り出すぱちゅりぃ。 それもその筈、この本棚は精巧に印刷された本棚なのだから。 「むぎゅーー!! かえるーー!! さっきのほんだなのところーーー!!!」 泣きべそをかき、入ってきた扉をがさごそ弄る。 「むきゅ? むっきゅ~~~!!!!」 が、扉は開かない。 「むっきゅーーーー!!! なんであがないのーーーー!!!!」 何故なら、鍵がかかっている為だ。 「むっぎゅーーー!! ……むきゅ?」 漸く、この部屋の中に存在する唯一の立体物を発見したぱちゅりぃ。 「むきゅ? むきゅ?」 丁寧に描かれた絵に従って、自分の体にベルトを付けていく。 「むきゅ? これをおすのね!!」 最後に、大きなボタンが描かれた絵がある、その隣には本の絵が。 「むっきゅ~~~♪ はやくごほんがよみたーーい!!」 ポチ 「むっきゅ~~!! ……!!! むっぎゅ!! むぎゅ!!!」 スイッチを入れた途端、四肢に繋がれたベルトが勢い良く動き出した。 「むぎゅ!! むぎゅ!!」 それは一定のリズムを刻んでいる。 しゃがみ込み、地面に両腕を付ける。 そのまま足を後ろに伸ばす。 足を戻し勢い良くジャンプ。 この時、両腕を叩くのを忘れない。 「むっじゅ!! どめでーーー!!! ゆっぐりざぜでーーー!!!」 一回この動作をしただけで、既に息が上がってしまったパチュリー。 「む……はぁはぁ!! むぎゅ!! どめでーーー!!!」 息も絶え絶えに、懇願するが生憎と全自動のこの装置に監視員は居ない。 「むぎゅーー!!!! むぎゅーーーー!!!! おえ!! おぇーーーー!!」 口の中から勢い良く餡子が漏れ出す。 綺麗な緑色をした鶯餡。 「おぇ!! お゛お゛お゛お゛お゛ね゛がい゛じま゛ずーーー!!! ゆ゛っ゛ぐり゛ざぜでーーー!!!」 既に大量の餡子を吐き出して居るが、体は余り細くなっていない。 顔が若干やつれているだけだ。 「ゆーーーー!! もううごげないいいいい!!! だずけでーーー!!!」 延々と、無理矢理体を動かされ続けるぱちゅりぃ。 幸いな事に、後一時間もすれば、致死量の餡子を吐きだしゆっくりできるだろう。 「ゆ!! おぇ!! おぇええーーーー!!!!」 体が弱い分、少なくなった餡子を高速で生成できるゆっくりぱちゅりぃ。 その能力が苦しみ以外を与えてくれた事は、後にも先にも無いだろう。 「むっぎゅーーーーーー!!!!」 ゆっくりいじめ系426 ゆっくりぱちゅりぃ2 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/1732.html
※ぬるいじめです。 「むきゅ~、ここはぱちゅりーたちのはたけよ!」 俺が畑にやってくると、珍しくゆっくりぱちゅりーが居て、いきなりそんなことを抜かしやがる。 どうしたものかと考えながらも、付け上がらせないように軽く蹴り飛ばしてから反論した。 「いいや、ここは俺の畑だ」 「むきゅ~、ちがうわよ!ぱちゅりーたちのはたけよ!」 「お前ら農業しないだろうが!」 言っても聞かないなら容赦する理由はない。害獣としてさっさと潰してしまおう。 そう心に決めたとき、ぱちゅりーが面白いことを言い出した。 「むぎゅー!ずっどむがしはばちゅりーだぢのもりだったの・・・ゲフッゲフッ!」 つまり、こいつの主張はこういう事だ。 人間の畑だというがここには元々ゆっくりの住む森があった。 そして、人間が後から入ってゆっくりを追いやったのだ。 だからお前らに偉そうに所有権を主張する資格はない。 「なるほど、一理あるな」 「むきゅ!そうでしょ!だからぱちゅりーにおやさいを・・・」 「ん、待てよ。元々って言うけどそれってどのくらい昔の話なんだよ?」 よくよく考えてみれば人間が始めてゆっくりを見つけたのは10年ほど昔だったはず。 そして俺は現在21歳。つまり、ゆっくりの存在が知られるようになったのは俺が11歳のときのこと。 付け加えるともう死んでしまった爺さんの話を聞いた限り、俺の一家は60年以上昔からこの地で生活している。 「そんなのわからないわ!でも、おかーさんがむかしはここはぱちゅりーたちのもりだったらしいっていってたからまちがいないわ!」 平仮名ばかりで読みにくいが、母親がここら辺は昔はぱちゅりー達の森だったらしい、と言っていたからそれで間違いないそうだ。 つまり、母親の時点で既に伝聞になっているのだ。そしてこのぱちゅりーは伝聞の話を事実だと思っている。 なんだ、やっぱりただのゆっくりか。 「なあ、お前の母さんはその森を見たのかよ?」 「みてないわよ。だから“らしい”っていったのよ~!」 「じゃ、お前の母親が言っていたことが間違ってるんだな」 「むきゅー!ぱちゅりーのおかーさんうそなんていわないわ!」 「じゃあ、どっかの見栄っ張りなまりさの言葉を鵜呑みにしたんだろ」 「むぎゅううう・・・おかーさんをばかにしないでー!」 母を侮辱されたと思い激怒したぱちゅりーは貧弱な体を引きずって体当たりを仕掛けてくる。 勿論、痛くもかゆくもないので適当に喰らいながらも俺は淡々と話し続けた。 「大体さ、お前らの寿命ってせいぜい5,6年じゃん?」 「むきゅ!むきゅ!・・・むきゅ!」 「それにさ、お前らがここいらに出没するようになったのって10年前じゃん?」 「ゆぅ・・・ゆぅ・・・」 もう息切れしてるよ、このぱちゅりー。 しかし、相手の様子なんてお構いなしに俺は話を続けた。 「でもさ、俺10年以上前からここに住んでるんだよ」 「むきゅう・・・それが、なんなの、よ~・・・」 「だからさ、どう計算してもお前らの森がここいらにあった時期なんて存在しないんだよ」 「・・・・・・・・・!?む、むきゅうううううううう・・・!?」 流石ぱちゅりー、ちゃんと3以上の数字の計算が出来るらしい。 俺の示した数字と母の言葉が矛盾すると言う事実を前にしてぱちゅりーは思いっきり青ざめている。 かと思えば、突然顔を真っ赤にしてこんなことをわめき散らしやがった。 「お、おにーざんがうぞをづいでるのよ!?・・・ゲホッゴホッ!」 「うんにゃ、ついてないよ」 「だっだらしょうごをみぜでね!」 一応、子どものころに物好きな天狗に撮ってもらった写真が証拠になりそうではある。 しかし、ゆっくりに写真がどういうものか理解できるとも思えないし、揺るぎようのない証拠なんて早々用意できるものじゃない。 勿論、人間相手ならいろんな書類や近所の人の証言で何とかなるかもしれないが、相手はゆっくりだ。 わけのわからないことをわめき散らして、証拠の正当性を認めようとしないのがオチだろう。 そう判断した俺は適当に切り返してやった。 「じゃあ、お前のお母さんが嘘をついてないって証拠を見せてくれ」 「むきゅ!?・・・おにーさん、しょうこがないからってうそをごまかすなんてきたないわよ!」 「お前が証拠を出せなければそれが証拠ってことで」 人間相手なら無茶振りもいいところだが、相手は変にプライドの高いゆっくり、それもインテリ気取りのくせに根本的にはお馬鹿なぱちゅりーだ。 まりさ種なんかならまだしもぱちゅりー種は自分が提示した条件に反する言動や行動はしないはず。 つまり、さっきのやり取りによって「ぱちゅりーが証拠を出せなければぱちゅりーが嘘つき」になる状況を自ら招いてしまったのだ。 「ぱ、ぱちゅりーたちはかよわいのよ。やさしくしてね!」 「つまり証拠を示せないんだな。ところで、お前らが来てから森から消えた動物が居るんだけどどう思う?」 「むきゅ?ぱちゅりーたちにはかんけいないわ」 「そうでもないぞ。お前らが食べるものを食べていた連中は競争に敗れてどこかに消えていったんだからな」 「そんなのじゃくにくきょうしょくよ~!ぱちゅり・・・むきゅ!?」 流石ぱちゅりー。だが、所詮はゆっくり。 「じゃあ、か弱いぱちゅりーを俺が食べてもいいんだな?」 「む、むきゅ~!ぢがだながっだのよ!もぢのゆっぐりがふえずぎてだべるものがないのおおおおお!」 「それは、お前らが、考え無しに、すっきり、するから、だな」 ついに泣き脅しまではじめたぱちゅりーをニヤニヤ笑いながら見下ろし、踏みたい衝動を堪えて話を続ける。 「そうか、ゆっくりが増えすぎたのか・・・それじゃあ、餌集めも大変だろう?」 「むきゅ~・・・ぱちゅりーいつもおなかぺこぺこよ~・・・」 「じゃあ、加工所の人にでも駆除してもらおうか?」 「むぎゅ!?」 その言葉を聞いたぱちゅりーはさっきの泣き脅しの表情のまま青ざめていく。 恐らく、食料集めに苦労しているのは事実だろうが、だからと言って仲間が駆除されることを是とするほど薄情ではないのだろう。 恐怖ゆえか、プルプルと体を振るわせながら俺の足元にすがり付いてきた。 「やべでえええ!ぎっどにんげんとぎょうぞんでぎるはずよ・・・グホッゲハッ!」 「共存?どうやって?」 「むきゅ!にんげんはぱちゅりーたちにおやさいをさしだすの!」 「うん、それで?」 「ぱちゅりーたちはこのおうちでゆっくりしてあげるわ!」 「ほうほう?」 「そうすればぱちゅりーたちもにんげんもゆっくりできるのよ!」 「なるほどなるほど・・・・・・却下」 正直に言おう。最後のせりふを聞いた瞬間に「こいつらある意味すごい生き物だな」と思った。 「どほぢでええええ!?」 「農作業と収穫量の減少で余計ゆっくりできなくなる」 「むきゅ?」 「まさか、野菜が勝手に生えてくるなんて思ってないよな?」 「むぎゅ!?ちがうの?」 「あれは人間が手間隙かけて作ってるんだよ。雑草と一緒にするな」 野菜は人間が作っている、ぱちゅりーはその事実に驚愕しながらも口を開いた。 「むきゅ~、だったらみんなでおやさいづくりをてつだってあげるわ!」 「お前らにくれてやる野菜の量、お前らに仕事を教える時間、お前らが盗み食いするリスク・・・それらを総合的に考えて却下」 「むぎゅ!?どほぢ「お前らじゃ非力すぎて役に立たないからだ。寧ろ邪魔?」 俺とぱちゅりーはしばし黙りこくって見つめ合う。 「「・・・・・・・・・・・・」」 が、間が持たなくなったぱちゅりーが半端に長い沈黙を破った。 「じゃ、じゃあ・・・ぱちゅりーたちのたべものをわけてあげるわ・・・」 「何で虫や雑草と野菜を交換せにゃならんのだ」 というか、当初の目的を見失っとるぞ、ぱちゅりーさん? などと俺が心の中で突っ込んだところで、ぱちゅりーがそれに気づくことはなく、今度はこんな提案をしてきた。 「は、はたけをあらしたなかまとむれのおきてをやぶったこをゆっくりたべてもいいよ・・・!」 ついに仲間を売るか。とは言えゲスだけって条件を出しているあたりに意地を感じるが。 しかし、この条件はなかなか悪くないのではないだろうか? ゆっくりでも邪魔なのは畑を荒らす奴だけだし、規律を破るものはゆっくりにとっても邪魔だ。 しかも、ゆっくりがゆっくりを制裁したところでそれを食べることは出来ない。 ならば俺にそいつらを引き渡して、野菜と交換してもらうというのはWinWinの関係と言えなくもないような気がする。 「ふむ・・・それくらいなら考えてもいいかな?」 「むきゅ!だったらぱちゅりーをゆっくりたすけてね!」 「ああ、わかった。でも、こんな大事なことをお前だけじゃ決められ無いだろう?」 「むきゅ、とうぜんよ!おさにそうだんしないとだめよ!」 「じゃ、俺が長と直接相談するから、集落に案内してくれないか?」 「ゆっくりりかいしたわ!」 そう言って嬉しそうに跳ねるぱちゅりーを抱きかかえるた俺は彼女の指示に従って森の奥へと進んでいった。 「むきゅ!ここがぱちゅりーたちのむらよ!」 「ゆゆっ!みんなぱちゅりーがかえってきたよ!」 「ゆゆっ!にんげんもいっしょだよ!」 「ん、あー・・・ゆっくりしていってね!」 「「「「「「ゆっくりしていってね!」」」」」」 1時間ほど歩くとあっけなくたどり着いたゆっくりの集落では想像以上の数のゆっくりがゆっくりしていた。 なるほど、確かにこれだけの大集落になれば餌集めも大変だろう。 もっとも、森の様子やぱちゅりーが単体で人里までやってきていた事を考えると餌集めが大変なのは他の要因もありそうだが。 そしてその他の要因が俺の予想通りなら俺はぱちゅりーにしてやられたことになるのだろうか? 「「「「「ゆっへっへ・・・おにーさん、まりささまにたべものをよこすんだぜ」」」」」 予想通りだ♪ この群れは勤労意欲の無い怠け者やゲスが多いらしく、さっそく5匹ものゲスまりさに絡まれてしまった。 しかし、こうもゲスの多い群れ相手にゲスと野菜を交換すると相当の量の野菜を持っていかれてしまいそうだ。 よし、この交渉はなかったことにしよう。 即座にそう結論付けた俺はゲスどもの中にぱちゅりーを放り込み・・・ 「やっぱり加工所の人連れて来るわ」 と、言い残してゲスの多いゆっくりの集落を後にした。 加工所の人を連れてきたときには群れはほんの300mばかり北に移動していたが、特に問題なく捕まえることが出来た。 その後、ぱちゅりーの姿を探してみたが、やっぱり見つからなかった。 ‐‐‐あとがき‐‐‐ ぱちゅりーと真正面から話し合ったお兄さんの優しさは異常 byゆっくりボールマン このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/ankoss/pages/1887.html
* 当作品はメカあき氏の「ゆっくりスクール」、餡小話の「ユグルイ」シリーズから一部設定をお借りしています。 * 非常に賢いゆっくりが登場します。 * 連作の第1話です。プロローグが予想以上の長さになりました。虐待分薄めです。 * 初SSです。拙文ですがお楽しみ頂ければ幸いです。 * 俺設定含有。 * 何か問題があればコメント欄にお願いします。必要に応じて削除致します。 ある名家の当主が急逝した。診断はクモ膜下出血。享年50歳、早すぎる人生の幕であった。 地元に多大な影響力を持つ彼の死は、瞬く間に町民から町民へと伝播した。 葬儀には他県の有力者が訪れ、町民総出で厳かに行われた。 かつての村興しに最も尽力した男の突然の逝去は、町の空気を暗く彩った。 家の跡継ぎには彼の一人息子が選ばれ、周囲にも異議を唱える者もなかった。 それどころか普段から品行方正で穏やかな彼を応援する町民達声は大きかった。 それもその筈、新当主の有能さは誰の目から見ても明らかだったからだ。 周囲の支えもあり、さして大きな環境の変化も起こらずに家庭内は再び機能し始めた。 こうして田舎町の一大事は人間達を混乱に陥れる事なく静かに終息した。 ただ一つ決定的な日常の変容を被ったのは、当主の飼いゆっくりだけであった。 * o + # * o ~ぱちゅりーのお話~ 第1話「崩壊」 いつも通りのある日のこと。ぱちゅりーはゆっくりと目を覚ました。 「むきゅ、今日もいい朝ね・・・ご主人様はもう起きているのかしら?」 ぱちゅりー種にしては皮の引き締まった均整の取れた体。 上質な和菓子のような質感に聡明な顔立ち。 厳しく教育を施されたゆっくりである事は一目瞭然だった。 特に目を引くのは、朝日を受けて煌めく三日月を模した飾りの横にある それ だろう。 それ は全ての飼いゆっくりの目標であり憧れ。 ほんの一握りのゆっくりしか触る事さえ憚られる それ の存在感は、まるで陽光が固形化したかのよう。 金バッジである。 * o + # * o ぱちゅりーは生まれてすぐに親に捨てられた。 理由は分からないし、今更知る術もない。 親から生まれた時の記憶はない。 「ゆっくりしていってね!」と声高に叫んだ経験もない。 ただただ、孤独だった。 意味が、分からなかった。 ろくに食事を取る事も出来ず、ただ道の端で震えているところを人間に拾われた。 ぱちゅりーにとって幸運だったのは、身を潜めていた場所がたまたま屋敷の前の道であり、見つけたのがたまたま当主自身であった事だろう。 気まぐれで知られた当主がたかが野良ゆっくりに声をかけてみたのも、単なるいつもの気まぐれだったのかもしれない。 が、その行動がこの孤児ぱちゅりーにとってはゆん生の転換であり、間違いなく、奇跡であった。 「どうして君みたいな赤ゆっくりがこんなところに一人でいるんだい?」 「む、むきゅうぅ・・・ぱちゅもわかりゃにゃいにょ・・・にんげんしゃんはぱちゅににゃんにょようにゃにょ・・・?」 「・・・・・・・・・私は君を助けに来たんだよ。分かるかな?今日から私の飼いゆっくりになるんだ」 「む、むきゅぅ・・・・・・きゃいゆっきゅり・・・?」 突然の展開を理解しようと少ないクリームを総動員したが、そこはまだほんの赤ゆっくり、とても処理しきれる筈もなかった。 何も言わないのを人間は是と取ったのか、そのままぱちゅりーを手に収めて屋敷へと歩いて行った。 人間の発した「かいゆっくり」という言葉の意味は知らなかった。 ただ、ぱちゅりーの本能的な部分が自分より遥かに巨大な生物に逆らう事は危険だと教えてくれた。 それゆえに、生まれて初めて本能レベルで嗅ぎ取った危険にぱちゅりーは微動だにする事もできなかったのだ。 ゆっくりとは古来から捕食するよりもされる方が圧倒的に多い種だ。 自分よりも大きな種族には刃向かうべきではない・・・本来遺伝子レベルで刷り込まれている情報だが、どういう訳だかそれに気付かず短いゆん生を終えるゆっくりが多数を占める。 * * * 「ゆっ?おいくちょにんげん!れいみゅにゆっくりあみゃあみゃをよこちてね!」 「さっさとするんだじぇ!まりしゃ、ぐじゅはきりゃいだよ!」 「ときゃいはなありしゅにあみゃあみゃをよこしにゃちゃい!にんげんにゃんてぴゃぴゃがいっぱちゅでえいえんにゆっくりさせちゃうにょよ?」 「むきゅきゅ!ぱちゅのいんちぇりぶりにおしょれをにゃしてりゅにょにぇ?ばきゃにゃにんげんはあみゃあみゃもっちぇきょい!」 * * * 対してこのぱちゅりーはすぐさま本能に埋もれた先祖の記憶を呼び覚ました。 非常に珍しいケースではあるが、決して有り得ない振る舞いではない。 事実、このぱちゅりーは全くと言って良いほど飼い主や他の人間に逆らう事はなかった。 人間の手に優しく包まれたぱちゅりーは戸惑っていた。 今の今まで自分は冷たいコンクリートの上で震えていたのにどうして? 人間は危険な生き物なのではなかったのか? このまま自分は「かいゆっくり」になるのだろうか? 疑問は次から次へとクリームを駆け巡ったが、そのどれに対しても明確な答えを導く事は出来なかった。 お気付きの読者もおられるだろうが、明らかに生後間もなくの赤ゆっくりのし得る思考・状況把握能力ではない。 ぱちゅりーのそれは既に通常の成体れいむ種のものと比べても優れていた。 疑問に疑問を重ねるぱちゅりーだったが、このようなクリームの酷使も初めての経験だった。 生まれて初めて肌で感じる生き物の暖かさに精神的疲労も重なり、ぱちゅりーはゆっくり夢の世界へと旅立った。 目が覚めるとぱちゅりーは小さなプラスティック製のケージの中、小さなクッションの上に横たえられていた。 ゆっくりフード、水、ふかふかのクッション、トイレ・・・ぱちゅりーにとっては初めて見るものばかりだったが戸惑う事はなかった。 食べ物と水はすぐに理解し、クッションの用途もなんとなく今の使い方で合っているのだろう、と思った。 トイレだけは何のために存在しているのか分からなかったが、きっと必要なものなのだろう、とも思った。 相変わらず不明なのは、「どうして自分が今ここにいるのか?」という一点だった。 と、部屋の扉が開いた。 「目が覚めたかい?そこの居心地はどうかな」 「む、むきゅ!にんげんしゃん!たべものちょおみじゅをわけちぇくれちぇありがちょう・・・」 「・・・、いや、いいんだよ、ぱちゅりー。(・・・赤ゆが初対面の人間にお礼が言うのか・・・こいつは、少し・・・驚いたなあ・・・)」 「にんげんしゃん、ぱちゅはしりちゃいこちょがありゅの・・・おしえちぇくれにゃい?」 「ブツブツ・・・(どうやら当たりを引いたか。私の勘もまだまだ捨てたもんじゃないかもな・・・)」 「に、にんげんしゃん・・・?」 「あ、ああごめんな、なんだい?(敬語も不完全ながら使える・・・)」 ぱちゅりーは貪欲に知識を求めた。 ぱちゅりー種はゆっくりの中でも概して知識欲の高い種ではあるが、その事を踏まえても凄まじい勢いだった。 「かいゆっくり」とは?自分はどうしてここに?おじさんはだれ?なぜこんなにやさしい?じぶんはこれから何をすればいい?・・・etcetc 多少気圧されながらも当主は聞かれるがままに情報を与えた。 飼いゆっくりとは人間をゆっくりさせるゆっくりである事、自分がこの屋敷の主人である事、気まぐれで野良を探しに行ったら家のすぐ前でぱちゅりーが震えていた事、これからぱちゅりーには自分をゆっくりさせて貰いたい、という事・・・etcetc 何も知らない人間が見れば、赤ゆっくりと中老を控えた人間が熱く言葉を交わしているという、世にも奇妙な光景が広がっていただろう。 そんな奇妙な問答は日が暮れるまで続いた。 * o + # * o 「ごしゅじんさま!ぱちゅはきんバッジをとりたいです!」 そんな事を言い出したのは、ぱちゅりーが当主の「飼いゆっくり」となってから2週間が過ぎ、言葉から赤ちゃん言葉も抜けた頃の出来事だった。 飼いゆっくりは所定の機関へ届けを提出すると、その証である「銅バッジ」が送付されてくる。 無論このぱちゅりーの頭にも鈍く輝く小さなブロンズのプレートが確認できた。 しかしぱちゅりーが言っているのは「金バッジ」の事だ。 ・・・飼いゆっくりなら誰もが一度は夢見る黄金色のバッジ。 意匠が凝らされた造りのそれを装備する事、それは飼いゆっくりヒエラルキーの頂点に位置する事を意味する。 つまりこの世で一番飼い主をゆっくりさせられるゆっくりであるという絶対の証明だ。 そんな金バッジだが、当然銅バッジのように金を払えば配布される、訳がない。 最難関バッジ取得試験、通称THEY(The Highest Examination for a YUKKURI)と呼ばれる試験を突破しなければならないのだ。 ゆん生で一度しか受ける事を許されていないその試験、野良ゆっくりはおろか、銀バッジの飼いゆっくりでさえも1次試験で落とされる難度とされる。 そんな試験をぱちゅりーは生後わずか3週間足らずで志すと言うのだ。 「・・・・・・ぱちゅりー。君は確かに優秀なゆっくりだ。本当だよ。だから私はもうとてもゆっくりしているんだ・・・君を拾って良かったと、そう思っているんだよ」 「むきゅ、ぱちゅもごしゅじんさまのおかげでゆっくりしています。でもぱちゅはもっともっといろんなことをしりたいんです!きんバッジをとってもっとゆっくりしたいです!」 「なんてゆっくりだ、君は。生まれてこの方君のようなゆっくりは見た事も聞いた事もないよ。・・・そうだね、君にはやりたい事をやって貰うのが一番私も嬉しいかな」 「ありがとうございます!ぱちゅ、がんばるわ!」 「そうだ、ぱちゅ。どうせなら最高のゆっくりを目指してみないか?」 「むきゅ、さいこうの、ゆっくり・・・?」 「ああそうだ、最高のゆっくり、つまりゆっくりスクールで首席になるんだ」 「むきゅう、ゆっくり、スクール・・・?」 「うん。そこには金バッジ取得を目指すコースもあるんだよ、ぱちゅりー。首席で卒業すれば学費も免除だし、飛び級というか、優秀なら早めに卒業させてくれる制度もあるそうだ」 「む、むきゅうう!ぱちゅ、ゆっくりスクールににゅうがくするわ!ごしゅじんさまにめいわくをかけないようにいっしょうけんめいべんきょうして、しゅせきさんになります!」 「私が思うに、君には他にはないような才能がある。ただし、驕ってはいけないよ。驕るっていうのは・・・そうだね・・・努力をせずに怠け、自分には力があると思い込む事だ。忘れちゃ駄目だよ。がんばるんだ。」 「む、むきゅーん!!!」 ぱちゅりーは当主に褒められ、激励されたのが相当嬉しかったのか、頬を紅潮させて飛び跳ねている。 早速ぱちゅりーは自分のゆっくりプレイスに戻ると当主から貰ったまどうしょ(ひらがなの本)を読み始めた。 ぱちゅりーは、天才であるにも関わらず努力を怠らないゆっくりであった。 それからの6ヶ月間、ぱちゅりーのゆん生において最も努力し、涙し、そして充実した期間が待ち受けていた。 厳しいながらも楽しい学友との生活、みんなで食べる食事の美味しさ、ゆっくり道という古武術を原案にした辛い特訓、金バッジ取得コース内のエリート養成コースでの勉強。 何もかもがぱちゅりーの向上心を刺激し、そして刺激された分だけぱちゅりーは成長した。 そして見事にぱちゅりーはエリート養成コースでの首席の座を、入学後わずか5ヶ月で手に入れた。 年間100万円もの高額の学費は免除、年度を少し折り返した時期にも関わらず、その年の最優秀学生賞に輝いた。 卒業後、1ヶ月間の中で5度に分割されたTHEYの試験においても満点を連発、ゆっくりブリーダー界を散々に騒がせ、難なく金バッジを引っ提げて屋敷へと帰っていった。 たった、6ヶ月間の出来事だった。 * o + # * o 「それからぱちゅは言ってあげたんです!あなた、洗ってない犬の臭いがするわよ、って」 「はははっ、それはきつい一言だなあ。そのまりさも可哀想に。全くどこでそんな言葉覚えたんだよぱちゅ・・・」 「むきゅ、スクールにあった漫画さんに書いてあったんです。思った以上に効き目がありましたわ!」 「本当に、ぱちゅには適わないなあ」 「ぱちゅが漫画さんを読めようになったのも、金バッジを取れたのも、全てご主人様のお陰ですよ。いくら感謝してもしきれません!」 「そうかそうか、そう言ってくれるとこちらも世話してあげた甲斐があるよ。ぱちゅのお陰で私はゆっくりしっぱなしだ!」 「むきゅ!ぱちゅもゆっくりし過ぎて夢みたいですわ!ご主人様もぱちゅと一緒にもっともっとゆっくりしていってね!」 この時ぱちゅりー、生後8ヶ月。 当主、49歳と8ヶ月。 奇妙な1人と1匹の、幸せの絶頂期だった。 * o + # * o ぽにょん、ぷにょん、と。 朝日に飾りを光らせて、板張りの廊下をぱちゅりーが跳ねて行く。 「むきゅーん・・・またみたいね・・・もう、ご主人様はお寝坊さんですね!全く、もっと家の当主としての自覚を・・・ブツブツ」 最近、当主の起床時間が遅い事が多々ある。 その度にぱちゅりーは当主の様子を見に行き、その度に当主は笑いながらぱちゅりーに「心配してくれてありがとう」と声をかけた。 ぱちゅりーはここのところ、主人の「何か」がおかしい、そんな淡く朧げな印象を抱くまでに至っていたが、それが何なのかは全く分からなかった。 久しぶりに直面した難問に、ぱちゅりーは謎の焦燥を覚えたが、同時にわくわくもしていた。 THEYよりも難しい、答えを知りたい、ご主人様なら知っているだろうか、聞いたら教えて貰えるだろうか、・・・。 そんな、妙な期待をクリームに秘め、日課になりつつある早朝の当主訪問を愚直に行った。 * o + # * o 当主の部屋の障子を器用に開け、中に入る。 案の定まだ布団が膨らんでいる。 まったく毎朝毎朝、ご主人様にも困ったものね。 頭の方へと擦り寄る。 そしていつものように 「ゆっくりおきてね!あさですよ!」 声量の調整は完璧だ。 スクールで何度も教え込まれた基礎の一つ、体に染み付いている。 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・むきゅん?」 いつもの声が聞こえない。 いつもなら1度挨拶をすれば、やおらに身を起こし、こう言ってくれるのだ。 「心配してくれてありがとう」 どうして起きないのだろう? 今日は朝一番からご主人様に聞きたい事があるのだ。 早く起きないかな、まだかな。 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」 ??? なんだ?どうしたのだ? 自分をからかっているのかな? ずり、ずり、と。 主人の顔を覗きに行く。 畳さんの上を動く時は自分の体を知らずに削り、汚してしまう事があるので細心の注意をもって移動する。 今年度のTHEYにも出題された頻出作法である。 もちろん完璧にこなせる。 ずり、ずり、ずり。 着いた。 ・・・ご主人様?ぱちゅはお見通しですよ?ご主人様? 依然として穏やかな表情を湛えて目を閉じているご主人様。 人間の耳さんと距離が縮まったら声量にも気を付けなければならない。 人間さんはゆっくりとは違い、全身で音を感じる体ではないのだ。 しかし、どうやら普通にやっていてはご主人様も動く気がないようだ。 何故だかは分からないが。 正直、そんなに面白い遊びだとは思えなかったが飼い主の機嫌を損なう行動だけは取る事はしない。 金バッジ保持ゆっくりの矜持だ。 次の手を考える。・・・よし。 今度はご主人様の手の元へ移動する。 すーりすーりして、起こしちゃうんだから、むきゅ! ・・・正直なところ、ぱちゅりーはすこし楽しみだった。 初めて拾って貰ったあの日、当主の手の中に収まって屋敷へやって来たあの運命の日。 あの暖かで優しい手の温もりをぱちゅりーが忘れた事は今まで一度たりともなかった。 そんな当主の手に近づいて・・・ 「すーり、すーり、おきなs・・・・・・ゆゆゆゆゆ!?」 ガタン!!! ぱちゅりーは跳ねていた。ただひたすらに遠くへ、遠くへと。 嘘だ、そんな、嘘だ、嘘だ・・・。 ぱちゅりーは跳ねていた。ただひたすらに遠くへ、遠くへと。 * o + # * o かちっ。 薄暗い部屋に穏やかな顔立ちをした男が立っている。 手には着火したライター。 透明なプラ板を組み合わせた立方体の前で中で震える「何か」を見つめている。 「ゆ゙っゆ゙っゆ゙っゆ゙っゆ゙っゆ゙っゆ゙っゆ゙っゆ゙っ・・・」 「ゆ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!もうやべでえええええええええええ!ばでぃざがわるがっだでぃず!!だがらもっっっっ・・・・・・!!!」 男が命乞いを遮り、備え付けられた穴から手を突っ込む。 生々しい、かつて眼があった部位の傷口へ、揺らめく炎をあてた。 1拍、2拍、3拍。 「ばあああああああああああああああああ゙づいあ゙づいあ゙づいいいいいいいいいいいいいいいいぎぎぎぎぎぎががっぱぴぱぱぱぷぷうううう!!!!!!!!」 体の穴と言う穴からぬめぬめとした液体を出しつつ踊り狂う片目のないゆっくりまりさ。 耳を劈く悲鳴を目の前で堪能しながら、男は白い歯を見せとても爽やかに微笑んだ。 まりさが奇妙なダンスを披露する横で餡子玉がびくんびくん痙攣している。 皮は全て剥がされ、もみあげと飾りが現代芸術を彷彿とさせるような形状で餡子に突き立っている。 どうやら数時間前までそこにはゆっくりれいむがいたようだ。 どういう経緯でこの惨憺たる状態になってしまったのかは透明プラ板の汚れ具合から大体想像できる。 一方びたんびたんとのたうちまわった末に餡子玉をそこら中にぶちまけて痙攣しているまりさ。 「ぽぴぴぴぴぴっぷぷううぴぴぱぱぱあああああああああああえへえへへへへええええええええええぺぺぺぺぺぴぴぺえええええひひひ」 「もう終わりですか・・・このまりさは心が弱いですね、まったく、けしからん。女房を見習って貰わないといけません・・・」 「ぴいぴぴぴぴゅうううぺええ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ぴょるんっ!」 おおよそ耳にした事のないような断末魔を残し、まりさは事切れた。 後に残ったのは雲のような静寂と甘い甘い餡子の香り。 「また野良を補充してこないといけませんね・・・どこか使わない部屋の窓を開け放しておきましょうか・・・」 「・・・じゃおっ・・・じゃおんっ・・・」 物言わぬ糖分の塊と化したれいむ・まりさの番を器用に片付けていくのはめーりん種だ。 この虐待部屋の掃除係としてなんとか生き長らえさせて貰っている。 人間にしてみればただの甘ったるい餡子の香りだが、ゆっくりにとってみれば凄まじい死臭に感じるらしい。 めーりんは時々自らの中身を吐き出しそうになるのを堪えながら必死に片付けている。 集めた亡骸が次の虐待の日まで持たせなければならないめーりんの餌だ。 一通り綺麗に掃除しためーりんは掻き集めた餡子をまりさの帽子に入れ、部屋の片隅に落ち着いた。 男が部屋を舐める様に見回し、去ろうとしたその時、 「よし、綺麗に掃除出来ましたね。えらいえらい・・・・・・!?」 「じゃおおん!?」 ガタン!!! 障子が思い切り開く音と同時に猛スピードで飛び跳ねて行くゆっくりが見えた。 「(あれは・・・確か・・・金バッジを取ったとかいう・・・。・・・何があった?)」 男はぱちゅりーが飛び出してきた場所を確認しに向かう。 何か胸騒ぎがする、何か、確実に、悪い事が。 廊下を大股で歩く男の胸中は、夜中に鳴り響いた電話を取る時のそれと酷似していた。 そして・・・。 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・父さん」 * o + # * o 第1話「崩壊」 了 ゆ虐SSの筈が・・・どうしてこうなった・・・。 2話では話が大きく動く予定ですので多分大丈夫・・・? 私はメカあき氏の大ファンです。 餡小話のSSはどれも好きですが、特にD.O氏の作品と「ゆうかの花」が好きです。 あと金バッジ試験の名称候補だったもの↓ ゆっくりのための最高の試験(The highest examination for a YUKKURI)=通称、THEY? ←採用! ゆっくりのための金バッジ検定試験(Gold badge certificate examination for a YUKKURI)=通称、GCEY? ゆっくりのための金バッジ資格試験(Gold badge qualifying examination for a YUKKURI)=通称、GQEY? ゆっくりのための金バッジ取得試験(Gold badge acquisition examination for a YUKKURI)=通称、GAEY? 一番上を採用したのは単純に「略称が読めたから」・・・。 その方が、格好いいじゃないすか・・・。 以後、ぜろあきと名乗らせて頂きます。 今後ともよろしくお願いします。
https://w.atwiki.jp/ankoss/pages/3936.html
『はつめいかぱちゅりー!』 6KB 虐待 観察 自業自得 日常模様 人間なし あんまりいじめてない気がします 2作目。地の文難しいです。 オリ設定注意。 ここはみんなのゆっくりぷれいす。いろんなゆっくり達が思い思いにゆっくりしています。 なかにはゲスも混じっているようですが。 まあ、ゲスへの対処なんてリーダーのドスが考えればいいことだし、ゲスなゆっくりはたいてい いつのまにかいなくなっているのでどうでもいいですね。 そんな素敵なゆっくりぷれいすのすみっこに、ちょっと変わったぱちゅりーが住んでいます。 彼女はゆっくり呼んではつめいかぱちゅりー。いろいろな道具を作ってはみんなを喜ばせています。 でも、どういうわけか作ったものの大半はなくしてしまうようです。うっかりさんですね。 今日は、そんなはつめいかぱちゅりーの暮らしをのぞいてみましょう。 「むっきゅーん!ついにできたわ!!ぱちゅりーのだいはつめい!!”むっきゅりすこっぷ”!! くせつさんじゅうねん、ついにぱちぇのどりょくがみのったのね!」 おや?早速なにかつくったようですね。木の枝に石を括りつけたようです。 ひもが結べるなんて器用ですね。ちなみに実際の制作時間は30分です。 「むきゅ!これがあればかんたんにおうちがほれるわ!!きょうはつかれちゃったから あしたどすのところにもっていきましょう!!」 まだ昼過ぎですが、ぱちゅりーはお休みタイムのようです。けっかいも張らないなんて、 ちょっと不用心ですね。 ・・・そんなことを言っている間に、見て下さい。あの岩陰にゆっくりが隠れています。 あれは嫌われ者のれいむですね。あんなところでなにをしているのでしょう。 「ゆふふふ。いいことをきいたよ。あのどうぐをつかえばれいむもゆっくりしたおうちをつくれるよ! ぱちゅりーはれいむのためにあたらしいどうぐをつくったんだね!!!とうぜんれいむがもっていって あげるよ!!ぱちゅりーはれいむのやくにたてたことをかんしゃしてね!!!」 こんなこと言ってます。どうやらぱちゅりーの発明品を持って行ってしまったようですね。 ちょっと追いかけてみましょう。 ・・・れいむはどうやらぱちゅりーの発明品を使っておうちをつくるつもりのようです。 ちなみにれいむはおうちを作るのは初めてです。どんなおうちができるのか、たのしみですね。 やわらかそうな土をどんどん掘っていきます。 「ゆっくりおうちをつくるよ!!!ざーく、ざーく・・・ぜんぜんぼうぢでぎないぃぃぃ!!!」 おやおや、20cmくらい掘ってもう泣き出してしまいました。すごい勢いで暴れていますね。 あの元気をつかえば、あっという間におうちもできそうなのですが。 ところで、浅いとはいえ掘ったばかりの横穴のなかで暴れても大丈夫なのでしょうか? あっ!天井がどんどん崩れてきていますね。れいむも今気づいたようで、あわてています。 「ゆがぁぁぁ!!!どぼぢででんじょうざんぐずれでぐるのぉぉぉ!!!でいぶをごごがらだぜぇぇぇ!!! ゆっぐりでぎなぃぃぃ!!!!!でいぶにべんなものわだじだばぢゅでぃーばじねぇぇぇぇ!!!」 うん。それでは、ぱちゅりーに視点をもどしましょう! ちょうど、目を覚ましたところみたいですね。 「ふああ・・・。むっきゅりおきたわ!!!それじゃあさっそくどすのところに”むっきゅり・・・しゃべる”!! をもっていきましょう!」 名前がかわっていますが、些細なことですね。ぱちゅりーはドスの所に持っていく気満々ですが、 発明品はいまごろれいむといっしょに土の中です。ぱちゅりーもどうやらなくなっていることに気付いたようですね。 でも、これもいつものことです。 「むきゅ?またぱちぇのはつめいひんがなくなっているわ。しょうがないからつぎのはつめいをつくりましょう。」 作り終わったものには執着しない、職人気質ですね。もう次の発明をすることで頭がいっぱいなぱちゅりーです。 というか、もうできました。今回は早いですね。 「むきゅっ!できたわできたわ!!!これぞゆっくりのれきしをかえるはつめいひん!!!”むっきゅりふれいる”よ!!!」 新しい発明品は木の枝に丸い石を括りつけたものです。石が丸いのでさっきとは別物なんです。 さて、これはどんな時に使うんでしょうか。 「むきゅきゅ!!これをつかえばぱちぇみたいにからだのよわいゆっくりでもおおきなむしさんとたたかえるわ!!!」 どうやらあれは武器のようですね。ぶんぶんと振り回しています。ぶつかった石が遠くまで飛んで行っているところをみると、 今回の発明は成功みたいですね。 「むきゅぅ。からだをうごかしてつかれたわ。すこしおひるねしましょう。」 ぱちゅりーはまた寝てしまいました。ひきこもりなので運動不足なぱちゅりーです。食料とかどうしてるんでしょうね? おや。そうこういっているあいだにぱちゅりーのおうちに怪しい影が。あれは暴れん坊で有名なまりさですね。 「ゆっへっへ。きいたのぜ。あれはこのまりささまにこそふさわしいぶきなのぜ。ありがたくゆっくりつかわせてもらうのぜ。 そろーり、そろーり。」 まりさはぱちゅりーの発明品が目当てでここまできたようですね。さっき出来上がったばかりのぱちゅりーの武器を持って行ってしまいました。 外にでて、大喜びで振り回しています。 「ゆゆーん!!!まりささまはさいっきょうなのぜぇ!!!みんなみちをあけるのぜぇぇぇ!!!」 叫びながら駆けまわっていますがまりさ、そこには木しかありませんよ。 「ゆ!!じゃまなきなのぜ!!まりささまのじゃまをするげすなきはこうしてやるのぜ!!!」 発明品の棒の部分をくわえて木に体当たりをしていますね。でもそんなことをすると・・・ 「ゆべぇぇぇ!!もっど・・・ゆっぐり・・・。」 のどに突き刺さっちゃいましたね。ドンマイ! まあ、今はそんなことよりぱちゅりーです。どうやらドスがおうちを訪問しているようですね。 にこにこ、とってもいい笑顔です。 「ぱちゅりー!ぱちゅりーはいる!!?」 「・・・むきゅ。どす、どうしたの?」 ぱちゅりーはいままでお昼寝を楽しんでいたようです。よく寝ますね。 「いつもむれのげすをせいっさいっしてくれてありがとうね!!きょうもたべものをもってきたよ!!」 「・・・せいっさいっ?なんのことかしら?もらえるものはもらっておくけど。」 「けんそんしなくてもいいよ!!!いつもげすにたいするとらっぷさんをつくってくれて、みんなかんしゃしているんだよ!!!」 「・・・とらっぷさんなんてつくったかしら・・・むきゅぅぅ」 ゲスゆっくりの死体のそばにいつもぱちぇ印の道具があったから勘違いしちゃったんですね。ドスもなかなかお茶目さんです。 いろんなゆっくりによくわからない感謝をされながら、ぱちゅりーはきょうも発明します。たいていいつのまにかなくなっていますが、 そんなことはきにしません。今もゆっくりぷれいすに元気な声を響かせていることでしょう。 「できたわ!!かんせいよ!!!」 あとがき 読んで下さった方、こんな文章にお付き合いいただきありがとうございました。 構想ではぱちゅりーがどんどん発明してそれを使ったゆっくりが大量に死んでいく話だったのにどうしてこんなことに。 あと、感想下さった方、どうもありがとうございました。コメントがあると本当にうれしいですね。 でも私は東北の方々に謝らなくちゃいけないよね。甘い赤飯馬鹿にしてごめんなさい。 過去の作品 anko3766 学生寮での会話風景
https://w.atwiki.jp/ankoss/pages/1191.html
こちらが先でも漫画の方が先でもおそらく問題ないです。 いわゆる蛇足というやつなんで生暖かく見てください。 『大福ぱちゅりープロローグ』 まりむあき 曇天の下を一人の人間と一匹のゆっくりが帰宅の道を急いでいる。 頬を撫でていく風に湿気がほんのり混じり、もうすぐ連夜の雨が来そうだからだ。 「これだから梅雨の時期は気が滅入るな」 空の様子を見て男は一人ごちる。 雨が降ればここらに多く生息するゆっくりにとっても、もちろん人間にとっても外出が不便になってしまう。 そう考えながら男は腕に掛かる負担に難儀していた。 開いた傘と買い物袋とゆっくりを同時に持つのはいささか骨が折れる。 そんな苦労も当のゆっくりは気にもしてない。 まだ鼻の頭にも感じないほどの雨なのに、ペットは濡れぬようにと主人の腕で丸く収まっている。 この状況になってしまっているのも自分の甘さだと頭では分かっている。 しかし、それほどにゆっくりちぇんは可愛いと少なくとも男は思うのだ。 ともかく両腕の痺れに目をつむれば、このときまでは穏やかな夕暮れだった。 男の家は少し山を入ったところにあるため、帰路は山道となる。 この日もいつもと変わらない少しならされただけの道を歩く。 昨晩の雨で土から泥へと変化していて、ぬかるみに足を捕られないようにしなければならない。 それゆえ男は足下ばかりに気を取られ、それそのものを最初に発見したのはちぇんだった。 「ゆぅ?おにいさん、ぱちゅりーがいるよー」 どれ、とばかりに視線を上げるが視界のどこにもゆっくりの姿は見えない。 「ちぇん、ぱちゅりーはどこだ?」 「そこでねているよー」 なんでねてるんだろうねーわからないよーと言ってちぇんは男の手から飛び降りる。 「あ、こら。足が汚れるだろ……」 泥も意ともせず跳ねていくちぇん。 男がその様子を目で追っていくと、ちぇんは大きい土塊の隣で止まった。 「ぱちゅりー!! どうしたのーわからないよー!!」 ちぇんの悲鳴に似た叫びに男が駆け寄る。 震えるちぇんの前にいたのは確かによく見ればぱちゅりーだった。 「これはひどいな」 そこにいた口からクリームを吐いているぱちゅりーは、ゆっくりの姿から既に掛け離れた形をしていた。 帽子はなく、薄紫の長髪も土で汚れ痛み、多くの小さい傷と顔には大きく開いた傷を負っていた。 おおかた山道の片側を占める斜面の上方から足を滑らして転げ落ちて死んだのだろう。 彼らの死因の多くは自身の不注意か、本人達のいざこざによる結果である。 そして男の家の周辺では、このようにゆっくりらが死んでいる姿を見るのは少なくなかった。 「ぱちゅりー……」 野生のぱちゅりーの酷い成れの果てを目にして、ちぇんは深く悲しんでいるようだ。 ちぇんのその声色に男もつられてチクリと胸が痛んだ。 自分達がもはや野生のそれと違った存在になっていることを、 餡子のどこかで理解していてもそれでもやはり同族の死は辛いらしい。 男とちぇんが買い物に出かけたときにはこの死体は見当たらなかった。 ということはこのぱちゅりーが息絶えたのはかなり最近なのだろう。 「もう家に帰ろうちぇん。このぱちゅりーはずっとゆっくりしてるよ」 男はうつむくちぇんの隣にしゃがみ、そう言って帰宅を促した。 これ以上ここにいてももうすぐ本格的に雨が降ってきてしまうからだ。 「わかるよー……」 沈痛な面持ちなちぇんも素直にそれに従う。 自分達の家の方向に足を向ける直前、ちぇんは最後にとばかりにぱちゅりーに優しく頬擦りをした。 もうこれ以上苦しまないよう、そしてゆっくりできるようにと。 一人と一匹は重い足取りで再び帰宅の道を急ぐためぱちゅりーに背を向けた。 一旦雨で緩んだ地面に降りてしまったためちぇんの底部は汚れてしまっている。 家に帰ったらまず洗ってやらねばと男が思いながら足を一歩出した。 その瞬間、背後からかすかに声が聞こえた。 男とちぇんは慌てて振り向き、まさかと思いながらぱちゅりーを凝視する。 「……ゆ゛っ……」 「おにいさん!!」 「ああ、まだ生きてるな」 男とちぇんはぱちゅりーの生存を確かめ合う。 確かにうめき声と共にぱちゅりーが微かに動いているのだ。 だがこの傷だ、もはや助かるまい。 「おにいさん!!」 「どうした、ちぇん」 今度はちぇんがこちらを見ながら叫んでいた。 男はこの後に続く言葉は十分に予想できた。 空いた手で頭を掻きながら、ちぇんのキラキラと輝く目を見続ける。 「……わかった、俺の負けだ。だけどもう手遅れかも知れないな」 ちぇんへの甘さは自覚している。 だからこれしきの願いも叶えてやらないわけにもいかないのだ。 「やるとは言ったものの、これは難しいな」 ちぇんの代わりにぱちゅりーを抱えて帰宅し、今は台所で症状の深さを診ている。 いつもより早めの晩ご飯をやり、ちぇんには部屋で大人しくして貰うことににした。 男はまずある程度ぱちゅりーの表面の汚れを取り払ってやった。 髪や体に付いた泥土を水を含ませたタオルでそっと拭き取る。 すると次第にぱちゅりー本来の色を取り戻していき、実際の状況が見えてきた。 帽子は無くなってはいたが、そのほかの飾り、そして髪の毛は無事だったようだ。 顔や底部の皮は水分を含んで若干緩くなっているようだ。 また皮に付いていた傷は数は多いが、思った以上に深くないという印象だ。 どうやらその長い髪のお陰で比較的岩肌との接触を避けながら転落したようだ。 一箇所の大きい傷は皮をかなり欠損しているものの、倒れていたときには上を向いていた。 「だから中身の流出は少なくて済んだわけか」 そして生き長らえることができた。 現在進行で痛みで苦しんでいるという裏返しでもあるが。 しかしここで疑問もある。 たかだか傷が多く中身も口から出た少しの量だけで、こうも弱るものだろうか。 そう、ぱちゅりーの命はもはや風前の灯火なのだ。 同じような傷をそこらのゆっくりに与えてもうるさく泣き叫ぶのがオチだ。 激しく地面に叩き付けられたから? いや、あの様子だと斜面を転がり、柔らかくなった地面でうまくその速度を殺して止まっていたようだった。 「まあ……、とりあえず傷の修復からかな」 少し引っかかるところはあるが、ひとまず皮の傷を治してやることに決めた。 家の外では日も沈み、いつの間にか雨が降り始めていた。 最初に取りかかるのは皮の欠損した部分の治療だ。 これを塞がないとクリームの流出が止まらず、後の行程に支障が出る。 そのほかの傷は自身の回復力でも十分対処できるだろう。 腕まくりした男はおもむろに買い物袋から普通の饅頭を取り出す。 甘い物好きだがゆっくり製の和菓子は食傷気味なので、たまたま買っていたのだ。 「運の良い奴だよほんと」 意識を失っているのか、あれからぴくりともしないぱちゅりーに向かって呟いた。 ゆっくりは饅頭がまるで生物のように動いているものと言っていい。 そうなるとゆっくりの皮も饅頭の皮も同じようなものだ。 厳密には違うのだろうけど、皮は皮、餡子は餡子とそれぞれ対応している。 詰まるところ代用が効くのだ。 今回みたいなゆっくりの大きな怪我には饅頭から部品を持ってきて張り合わされる事例があるのを知っている。 男自身は初めてだが、それほど難しくないと文献や伝聞が示していた。 男は買ってきた饅頭の皮をナイフを駆使して慎重に剥ぎ取る。 皮を最大限利用できるよう十字に切れ目をいれていき四等分する。 そして皮と餡子を分割すると大きく饅頭の皮を得る事が出来るというわけだ。 「餡子はあとでゆっくり頂くとしよう」 よもやナイフも饅頭を果物のように切る時が来ようとは思いもしなかっただろうな。 綺麗に剥ぎ取った饅頭の皮は早速クリームの露出している部分に被せられた。 できるだけ隙間が出来ぬよう細かく切った皮も利用して蓋をするように敷き詰めていく。 ゆっくりの傷を治すのにこんなに静かな空間も珍しいだろうなと男は思った。 聞こえてくるのは換気扇の回る音と雨の降る音くらいだ。 ぱちゅりーがあまりにも動かないのに若干の不安を感じながらも皮を張り終えた。 「ん?」 新しい皮を張り終えた男はぱちゅりーを見て違和感を覚える。 本来の皮の色がさきほどより黒ずんできているようにも見えたからだ。 「気のせいではないな」 部屋の光量が減ったからかと考えたが、先程貼り合わせた饅頭の皮と比べれば一目瞭然だ。 表皮を覆っていた泥は払えたが、染み込んでいた水分まではどうしようもなかった。 おそらくその水分で少し変色して見えるだけだろう。 「とにかくひとまずこれで様子を見てみるか」 饅頭の皮を自分の皮だと認識して定着する頃には、きっと乾燥して元の色に戻っているだろう。 翌朝男とちぇんはぱちゅりーの様子を見た。 「うーん……」 「ぱちゅりーはやくよくなってねー」 一晩経つと状況はより悪化していた。 ちぇんがまだぱちゅりーを気味悪がらない点をみると死んではいない。 死んではいないが、明らかに皮の黒ずみが増えている。 移植した皮は変化無しでその場所にあり続け、隙間からは白い中身が見える。 顎に手を当てて考えてみてもどうもこの状態がピンと来ない。 一晩もあれば饅頭の皮は定着すると聞いていたのだが違ったのか? いや、そもそも他の小さい傷も塞がった様子すらない。 となると自然治癒力そのものが失われているとみていい。 ならなぜその力が無くなっているのか。 「いや、まてよ。そもそも生き物の常識が通用する奴らじゃないんだ」 生きていて、なおかつ元気なら傷が治る。これは生き物の基本だろう。 だがそんなことはゆっくりでは当てはまらない。 ゆっくりするために存在する、それがゆっくり。 つまりゆっくりしたいが為に食べて、寝て、そして傷を治す。 今、ぱちゅりーに起こっている現象はその真逆。 「ということは、このぱちゅりー……」 暖かな陽気を感じた。 目を瞑っていても分かるほどのお日様さんの光だ。 体はまだゆっくりしているようで上手く動かせない。 しばらくするとなんとかまぶただけは開く事が出来た。 目を開けると普段はなかなか見られない木々の頭が並んでいた。 緑が眩しい、そう思って目を細めていると急に隣から声が聞こえた。 「ぱちゅりー、ゆっくりしていってねー」 声の主はどうやらちぇんのようだが、知らないちぇんだ。 いつから隣にいたのだろう。 ちぇんの顔を覗こうと振り向こうとしたがそれは叶わなかった。 何故か体が上手く動かない。一体どうしてしまったのだろうか。 「おにいさんをよんでくるよー。ゆっくりまっててねー」 そう言ってちぇんはこの場を去ったようだ。 動かない体に反して動く思考でぱちゅりーはこれまでを振り返ってみた。 どうしてこんな場所にいるのだろうか? 早く帰らないとご飯の分配も、すっきりの抑制も、外敵の撃退も、越冬の準備も何もできないじゃないか。 でも帰るってどこに帰るんだっけ? 私の帰る場所は……。 「ようやく目を覚ましたか」 まとまらない思考を遮るように、背後から人間さんの声がした。 反射的に隠れようと試みたがそもそもやはり足は動かない。 すると体が宙に浮き、前後反転させられて自然と人間さんと対面する形になった。 「おはようぱちゅりー。ゆっくりしていってくれ」 「……」 私を持ち上げている人間さんは友好的な挨拶をしてきた。 この人間さんは警戒すべき相手では無いのかも知れない。 「まずこいつから紹介しようか。ちぇんおいで」 私を元の場所に降ろした人間さんは次に足下に寄ってきたちぇんを抱いた。 「ちぇん、ぱちゅりーに挨拶してやってくれ」 「わかるよー。ちぇんはちぇんだよー。ゆっくりしていってねー」 「……」 私はぱちゅりーだ。そう言いたいのに口が開かない。 「ぱちゅりー、今はまだ動けないはずだから、無理はしなくていい。」 ちぇんを抱く人間さんは私の考えを見透かしたようにそう言った。 「君が全ての事を理解できるかはわからないが、君の現状を説明してあげよう」 「……」 人間さんの言葉に、私は無言を頷きの意とした。 「ぱちゅりー、君は今から二日前死にかけていた。違うな、二回太陽が沈む前ずっと ゆっくりしようとしていた。それをちぇんに頼まれて私が助けた。最初は傷の修復 だけでなんとなるかと思ったが、皮、あー、つまり君の肌は黒くなり、剥がれてし まったんだよ」 人間さんはとてもゆっくり、私にもわかりやすく話をしようとしてくれた。 「黒くなって剥がれた君の肌は二度とくっつく事はなかった。それは君の肌は失われ たということだ。肌は新たに肌を生み出すが、餡子は肌を生み出さないからだ。ま あ、簡単に言うと君の肌はもうない。これからもずっとだ」 そうなのか、と私は冷静に理解した。本来ならとても信じられる内容では無いが。 「そうなると君の体の中身が外に出てしまう。餡子が体から出てしまっては困るだろ? そこで私は君をおもちで覆った。饅頭の皮が定着しないから仕方なくね」 その後、よそからゆっくりの皮を剥いできてもよかったのだけどと物騒なことを人間さんは呟いた。 「あとここからは予想だが、これから君を包んでいるおもちは新しく君の肌となるだ ろう。それまではしばらく動く事も喋る事も出来ないし、そのあとも不便な生活に なるだろう。だからこれからは君は私の家にいて、ちぇんと一緒にゆっくりして欲 しい。そのほうが君にとってゆっくりできるだろうからね」 「これからいっしょにゆっくりしようねー」 「……」 やはりどうしても理解しきれない内容ばかりだった。 自然と眉が歪んだようで人間さんは私にある物を見せた。 「これを見て貰えれば全て理解できるはずだ。これは鏡といって君の姿を映すものだ」 人間さんが部屋の隅にあったものを持ってくる。そこには部屋の風景が映っているようだ。 それが私の目の前に置かれたとき、恐怖に包まれた気がした。 「君の肌は薄く柔らかくなった。これからは少しの衝撃にも気をつけなきゃならない」 人間さんが説明する言葉が遠くなっていく。 私の目の前にいるゆっくりはとてもじゃないがゆっくりできない姿だった。 水たまりの反射で自分の姿を見た事はあった。 だがその姿と全く一致せず、鏡に映った私は目だけが生きている状態だ。 逃げたい。 一刻も早くここから逃げないと頭がだめになりそうだ。 でも動く事が出来ず、自分を見つめる自分の視線が刺さってくる。 それにここから逃げてどこにいく? そうだ帰らなくちゃ。 今すぐ帰らないといけないんだった。 でもどこに帰るんだっけ? 「それにしてもぱちゅりー。君はどうしてあんなところで倒れていたんだ?」 焦る心に人間さんの言葉が侵入してきた。 そういえばどうして私は死にかけたのだったか。 あ、そうだ……。ゆっくりと事の顛末を思い出してきた。 「あとは肌の傷が治らなかったのも気になるな。あの程度の傷なら勝手に直ってもお かしくないんだが。あれじゃまるで“ゆっくりしたくない”ようだった」 そうだ、全て思い出した。 もう私には帰る場所はないんだった。 いつからか周りのゆっくり達の様子がおかしくなった。 ゆっくりがゆっくりを殺すことが平然と起こった。 殺したゆっくり、殺されたゆっくりは仲の良い番だったのに。 番の一方が相手以外の他のゆっくりをやたらと褒めちぎる。 その状況にゆっくりできなくなったもう一方が相方をゆっくりできなくした。 そしてあのまりさは私を褒めたれいむでなく、れいむが褒めた私を殺そうとした。 私が突き落とされた時すでに帰るべき場所である私の群れは崩壊していたんだった。 そして死を受け入れてまりさの攻撃を甘んじて受けたんだった。 「ともかくこれからはここでゆっくりするといい。ちぇん、ぱちゅりーの世話を頼む」 「わかったよー。ぱちゅりーゆっくりしようねー」 一度死を受け入れた私は、再びこうして生きることとなった。 もはや自分の居場所はここにしかない。 帰る群れはなく、自分の飾りや容姿を失い、全く新しいぱちゅりーになってしまったのだから。 だけど、餡子の奧に疼く痛みだけは消えはしないのだろう。 ゆっくりできないこの痛みを解消するために再び死を選ぶことはもう私にはできない。 部屋を去る人間さんの背中と隣にいるちぇんの笑顔を見ながら、私は声にならない声でさけんだ。 どうしてあのままずっとゆっくりさせてくれなかった。 あとがき ここまで読んで頂きありがとうございます。 一度投稿した瞬間とんでもない誤字をしていたので再投稿するはめにorz まだまだ誤字ありそうだけどどうぞスルーしてください。 あと本編できちんと補足しきれていない脳内設定はゆっくりぱるすぃですね。 ぱるすぃのすることは「あのゆっくり素敵だよね」って番の片割れに言うことだけです。 すると自然に内部崩壊を起こす→死体が増える→それをぱるすぃ食べる、というような流れになるわけですよ。 本家の妖怪の能力ってほどでもないですけど、間接的に嫉妬させるイメージです。 ぱるすぃなりの狩りの手段とでもいいましょうか。 久しぶりに文章書いて疲れたのでもみじもふもふしてくる!! どうも、まりむあきでした。 挿絵:まりむあき
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/437.html
男には、常々考えている疑問があった。 男の住んでいる付近では、ゆっくりはほとんど姿を見せない。 しかし男の住んでいる村では、なぜか定期的にゆっくりによって畑を荒らされていた 被害がさほどでもなく、荒らされるのも大きく間が空いている為、村人達は駆除の手間を考えて気にせず放置しているのだが、男は1人帰って行くゆっくり達の後をつけ、巣を特定していた。 しかし後日、巣を訪れた時、そこはもぬけの殻となっていた。 しばらくしてまた畑を荒らされた際、改めてゆっくり達をつけていったが、結局たどり着いたのは以前と同じ住処だった。 ならばその後、ゆっくり達はどこへ消えてしまうのか。 今日はその疑問を解決させるため、男はゆっくり達の住処をじっと観察していた。 「むきゅーっ!」 「ゆっくりしていってね!」 最初に外へ飛び出してきたのはゆっくりぱちゅりー、そしてゆっくりまりさ、れいむ、ありす等、7匹のゆっくり達が後へ続くように外へ飛び出して来た。 「それじゃみんな、ゆっくり帰ろうね!」 「早く子供達とゆっくりしようね!」 「むきゅー」 リーダーなのか、そのままゆちゅりーは合計8匹の先頭に立ち、そのまま森の奥へ進ん でいく。 音を立てないように後をつけながら男は考えた。 ゆちゅりー達が向かう先は川がある。 人なら太もも辺りまで濡らせば渡れる深さだが、ゆっくり達が無事に渡るには深すぎる川だ。渡っているうちに皮が破れ、中身が溶け出してしまうだろう。 ゆっくり達でも下っていけば渡れるほどの浅瀬な所もあるものの、ゆっくり達の速度でそこまで移動するなら丸1日はかかる。 普通のゆっくりならともかく、ゆっくりの中でも頭のいいゆちゅりーが無謀に、ただ目的地へ向かっているだけとは思えない。 新たな疑問と尽きない好奇心に、男の足は自然と速まっていった。 ゆっくり達が、川の前へたどり着く。 「ゆゆ? まだ来てないよぱちゅりー」 「とかい派をまたせるなんてしつれいきわまりないわね!」 「むきゅー。わるくいったらだめ」 問題が起きたのか、たどり着いてからすぐにゆっくり達は騒ぎ始めた。端から見ていると、突然の出来事に戸惑っているように見える。 やはり間抜けなゆちゅりーだったのだろうか……男が落胆しかけたその時、どこからともなく羽音が聞こえ始めた。 男は空を見た。 太陽を背に、四角い影が空に浮かぶ。 「むきゅー」 「ゆゆっ! ゆっくりしていってね!」 「うー♪」 自慢の羽根を大きく羽ばたかせ、何匹ものうーパックが、空からゆっくり達の元へやって来た。 ようやく男の中で疑問が氷解した。 うーパックはゆっくりの一種だと言われている生き物だが、その体は下膨れの饅頭型ではなく正方形で、背中に生えた羽根で空を自由に飛び回っている。 特徴的なその体は、形の通り箱なのか、中が空洞になっており、その中に何かしらの荷物を入れて運ぶのがうーパック達の習性だ。 あのゆちゅりーはそれを知っていたから、うーパック達に頼み、自分たちを荷物として運んでもらったのだろう。 「ゆっくりさせてね!」 「とかい派のわたしにぴったりな旅をたいけんさせてね♪」 「うー♪」 ゆっくり達が全員入ったのを確認すると、うーパックは空へと飛び去っていく。 ゆっくりの一種だと言われる理由はそこなのか、飛行速度はかなり遅い。見失わなければそのまま追っていける。 男は追いかけようと、濡れるのも構わず川へと入っていった。 「むきゅー、ありがとう。今回のお礼よ」 「う、う~♪」 本来の住処まで送ってもらったゆっくり達は、うーパックの中へ花や幼虫などをたくさん入れていく。 喜びの声を上げて飛び去っていくうーパック。ゆっくり達もその場で散り散りに別れていく。 男は立ち止まって悩んだが、しばらくしてうーパックの方へ歩き始めた。 うーパック達は上機嫌な様子でそれぞれ木の枝へ立ち止まっていく。呆然と男は、その様子を見つづけていた。困惑している。 うーパックの生態に詳しくない男は、しばらくすれば地面に降り立つと思っていたのだ。しかし木に降りられると、地面からでは細かな様子を観察出来ない。 それでも男は諦める事を知らず、うーパックが止まった1本の木を必死によじ登り始めた。 うーパックが比較的低い枝に止まっており、さらにその木の枝が多いのが、男にとって幸いだった。 離れていき、小さくなっていく地面を見ようとせず、男はうーパックのいる枝までやって来た。 そこには枝の根元に作られた巣の中で楽しげに鳴くうーパックの姿と。 「うー♪」 「うー♪」 「うぅー♪」 サイコロのような大きさの子供達が、母親であるうーパックの周りを飛んでいた。 全部で14匹の子供達は、全員が蚊か蠅のように母親の周りに集まっている。 元気そうな子供の様子に満足げなうーパックは、今日の成果を子供達に伝えた。 「う~♪」 「うぅー?」 「うー!」 「うぅー♪」 餌があると聞いて、一斉に母親の箱の中へ入っていく子供達。慌てて入って来たのがくすぐったいのか、うーパックの鳴き声が頻繁に続く。 「うー♪」 「うぅー♪」 美味しい餌にありつけてご機嫌な声が中から聞こえ、その声へ合わせるようにうーパックも続けて鳴く。 その枝の上にあったのは、どこよりも暖かな一家の団欒だった。 その暖かな様子に感動した男は、愛を込めてうーパックに火を放った。 「うっ!? うぅうぅうぅっ!!」 燃える体に慌てて狼狽えるうーパック。何が起こっているのかわからない子供達のうー? うー? 鳴く声が、体の中から聞こえていく。 「うぅっ、うぅうううああああああああっ!!」 火は完全に体を覆い、うーパックは燃えたぎる美しい火の玉にその身を変えた。 「うっ!?」 「うぅーっ!」 「うぅううううううぅうぅうっ!!」 中にも火が出始めたのだろう、母親の鳴く声と重なった悲鳴の合唱が火の玉パックから聞こえていく。 きっと母親に助けを求めて叫んでいるのだろう。 しかしその母親は、白玉楼に出てきそうな人魂のようになっている。 その愛らしい子供達の様子を想像して、男は体を痙攣させて喜んでいた。 「うううぅうぅううううううぅうううううっ!!」 今まで以上に甲高い鳴き声が響く。 断末魔だったのだろう、それからうーパックは枝に降り、まるで動かなくなってしまった。 木が燃えないよう、必死に男は火を消し止める。 枝に残ったのは正方形の炭の固まり。中を覗けば、小さな正方形の炭が14つほど転がり出てくるだろう。 愛らしかったうーパックの無惨な姿に、男は涙し、地面に降りて埋葬してやった。 合唱していた男は、しばらくするとまた別の木へ向かって歩いていく。 恋しい恋しいうーパックの姿を求め、木を登り始めた。 「ゆゆっ? ぱちゅりー、あの子たちがこないよ?」 「これいじょう、またされるなんてとかい派としてくつじょくよ!」 「むきゅー……」 ゆちゅりーが不安げに鳴く。他のゆっくり達はゆちゅりーに頼りきりだが、今までなかった出来事にゆちゅりー自身も困っている。 また野菜を盗りにいこうと、ゆっくり達は川の近くまでやって来ていた。うーパックは普段から辺りを飛んでいるので、こうして待っていたらすぐに気づいてやって来るのだ。 しかしうーパック達は、待っても待ってもやって来なかった。 「どうしよう……このままだとゆっくりできないよぅ……」 「ぱちゅりー……」 「むきゅぅ……」 困り果てた様子のゆっくり達に、男は静かに近づいていった。 「どうしたんだい、君たち?」 「ゆっ!?」 突然聞こえた人間の声に、ゆっくり達は慌てて飛び跳ねて人との距離を作った。 みんながみんなゆちゅりーを囲うように動き、いざという時は必死に守ろうと動いている。 リーダーであり、体の弱いゆちゅりーを死なせないように自分たちが守らないといけない、そういう気持ちがそこから伝わってきた。 「なにか困っているみたいだけど、私で良かったら相談にのるよ」 「……むきゅ」 ゆっくり達の囲いからゆちゅりーが出て行く。藁をも掴む気持ちだったのか、自分たちの状況をその人間に相談してみた。 「なるほど……確かに今日はうーパック達の姿が見えないね……。私も飛び回る姿が見た くてここに来たから、ちょっと残念だよ」 「むきゅ? そうなの?」 「ああ。だって可愛いじゃないか、あの鳴き声や飛んでいる姿。そう思わないか?」 「むきゅ!」 ゆちゅりーは思わず声を上げていた。 うーパックの事が大好きなゆちゅりーにとって、自分と同じ気持ちの人間がいるのは、まさに世紀の発見だった。 「それで、川を渡る方法だったね。色々私に案があるよ」 「ゆっ! おじさんほんとうに?」 「そのあん、とかい派のありすにふさわしくおしえてね!」 ゆちゅりーの信頼した様子に、他のゆっくり達も自然と男への警戒を緩めていった。 「いいかい? 流されないようにしっかり棒で支えるんだよ」 「ゆっ! わかったよ」 男の声に、元気よくまりさが応える。 自分の帽子を川に浮かべ、その上に乗ることでまりさは川に浮いていた。 「ゆゆっ! おじさんもぱちゅりーをよろしくね!」 「とかい派らしくえすこーとしてあげて!」 「むきゅぅ……」 他のゆっくり達も、その辺りで拾ってきた木の板や大きな葉っぱに乗って川に浮いている。 唯一ゆちゅりーだけは、体が弱いからとおじさんの腕の中にいた。 「それじゃみんな、ゆっくりすすんでいこうね!」 「ゆっくりがんばろうね!」 帽子に乗ったまりさを先頭に進んでいくゆっくり達。男はゆっくり達とは少し離れた所をゆちゅりーを抱えて進んでいった。 「ゆゆっ! ゆれるよ! すごくゆれるよ!」 「れいむ、ぼうでゆっくりそうさしてね!」 危なげなゆっくりもいる中で、確かにゆっくり達は川を渡っていく。 しかし真ん中まで来たところで、先頭のまりさに異変が起きた。 「ゆゆっ!?」 「ど、どうしたのまりさ?」 「ぼ、ぼうし、わたしのぼうしの中にみずが……!」 「ゆっ!?」 まりさの帽子は、厚みは違うもののまりさと同じ皮で出来ている。 短い間なら水につけても平気だが、この川を渡り切るには脆すぎる乗り物だった。 「ゆぐぅううううぅうううぅううぅうっ!!」 沈む帽子に連れられて、まりさも川の底へと沈んでいく。 「まり゛ざぁあ゛あ゛ぁあ゛あ゛ぁあ゛あ゛あ゛ぁあぁぁあっ!!」 「れいむあぶないわ! そんなにあばれてたら! とかい派はどんなときでもえれがんとに──あ゛ぎゃぁあ゛ぁあ゛あ゛ぁあぁあぁあっ!!」 先頭を進んでいたまりさの沈没に連鎖して、ゆっくり達は川の中に落ちていく。 男に連れられて先に川を渡りきったゆちゅりーは、目の前の悲惨な光景に思わず涙した。 「むきゅううぅうううぅうううぅううっ!! みんながぁあぁああぁあっ!!」 「駄目だ! もうみんな助からない!」 ゆっくりが乗っていた板や葉っぱが、重りを失い、流されていく。 「ぱ、ぱちゅりーたずげ……」 「ゆ、ゆぐぐぐぐぐぐっ!! 水が、みずがからだのなかががががががががっ!!」 「やべで! おざがな゛ざん! でいぶのがらだだべないげぎぇびぎゃっ!!」 「ゆ……ゆっぐりじだがっだ……」 川に散った餡子が流されていき。 後には何も残らなかった。 「むきゅぅうううぅうううぅううぅううううぅううぅううっ!!」 「……」 泣き叫ぶゆちゅりーを抱きかかえながら男は震える。 ゆっくり達の綺麗な散りざまに、軽く絶頂を感じていた。 「ほら、顔をみせてみなさい」 「むきゅ……」 涙の染みたゆちゅりーの顔を男は軽く拭いてやる。 仲間達を全員失った悲しみから、ゆちゅりーはまだ元気を取り戻せないでいた。 「……君に1つ頼みたい事があるんだが」 「……」 「うちにいるうーパックの子供達を育ててくれないかね?」 「……むきゅ?」 予想外の言葉に顔を上げたゆちゅりーに、男は続けて説明していった。 「以前、親を失ったうーパックを拾ってね。育てていたんだが……やはり同じゆっくりの親が必要かと思っていたのだよ」 「……むきゅ」 「だから君に親代わりになって欲しいのだが……駄目かね?」 ゆちゅりーは深く考え始めた。 男が自分に気を遣って言ってくれているのは、ゆちゅりーも理解している。 そんな男の気持ちを無碍にしたくないと、ゆちゅりーは思う。 なにより、うーパックの子供というのが、ゆちゅりーの心を突き動かした。 「むきゅっ! やるわおじさん!」 「おおそうかい! そう言ってもらえると私も嬉しいよ!」 「むきゅ! 私がその子をりっぱにそだててみせるわ!」 「ああその意気だ!」 元気を取り戻したゆちゅりーに男は笑顔を見せながら、自分の家へと戻っていく。 男の住んでいる付近では、ゆっくりはほとんど姿を見せない。 それは付近のゆっくりのほとんどが、男の愛によって土に還ったからだった。 End ぶっちゃけ、燃えるうーパックが書きたかっただけの話。 by 762 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/ankoss/pages/879.html
・どぼぢでHENTAIなんでいうのおおおおおお! ・怒ったから今回は真面目に書くよ! ・一部賢い高性能ゆっくりが漢字を使って話します ・それでもいいというひとはゆっくりよんでね! ある所に一匹のぱちゅりーがいた。このぱちゅりーは普通のぱちゅりーのように賢者だと自認していた。 普通のぱちゅりーならただの思い込みや間違った知識をひけらかし自滅するか、野たれ死ぬがこのぱちゅりーは 他のぱちゅりーと違い日々自分の知識を増やそうと様々なことを学んでいった。 人間との力関係、野菜や花が勝手に生えるのでなくとてつもない労力のうえで育つことも学んだ。 群れの運営法やゆっくりにも分かりやすいような指導法といったものもこれまでの生活で学習していく。 一ヶ所に定住せず常に新たな知識を手に入れる為に放浪の旅を続けたぱちゅりー。そして野生では学習することが出来ない 人間の知識を求めて、ぱちゅりーは人間が多く住むという町に向かったのだ。 「むきゅ!にんげんさんゆっくりしていってね!」 そう挨拶をするぱちゅりー。ここは市民の憩いの場である公園。ゆっくりにとって数少ないゆっくりぷれいすでもあり 当然のことながら多くのゆっくりが住んでいた。過去形なのはつい最近加工所の一斉駆除があったからだ。 いるわいるわで十組ほどの番が住んでおり、子供も合わせれば百に近いゆっくりがここを根城に生活をしていた。 今ではゆっくりは一匹もおらず、静かな公園になっている。 「もうゆっくりが住みついてやがるのか。」 ぱちゅりーが話しかけたのは加工所に勤める人間だった。確認のために公園に訪れ、ゆっくりがいるか調べていたのだ。 そんなことに気付かずぱちゅりーは人間に話かける。 「にんげんさん、ぱちゅはにんげんさんのちえをしりたくておやまからひっこしてきたの。 どこかおべんきょうできるばしょがあるかしらないかしら?」 その言葉に加工所でゆっくりを研究している男はこのぱちゅりーに興味を抱いた。 普通ならばあまあまをよこせだの、まどうしょをよこせと言うのにこのぱちゅりーは人間の知識を知りたいというのだ。 ペットショップにいるゆっくりなら、買われやすくなるために勉強もするだろう。しかし野生のゆっくりが勉強をしたいなど そんな余裕があるはずがない。男はぱちゅりーに質問をする。 「なあぱちゅりー、お前は一体どんなことを勉強したいんだ?」 「たくさんよ!にんげんさんはゆっくりにはわからないことをたくさんしってるって、きいたことがあるわ。」 ますます興味を抱く男。最近新しい研究を始めてみようとも思っており、男はこのぱちゅりーを加工所の研究室に運ぶことにした。 男がまず始めたことはぱちゅりーの知識テストだ。野生のぱちゅりーでも悪くても数ぐらい数えられると思い、 おはじきを並べることにした。 「さてぱちゅりー、今ここにおはじきさんはいくつあるか分かるかな?」 そう言うとぱちゅりーはおはじきを眺め、むきゅむきゅと考え始める。 「わかったわ!このおはじきさんというきれいないしさんはいちたくさんと、よっつあるわ!」 なんだかよくわからない単語を言うぱちゅりー。四つあるということはわかるが一たくさん? 男はたくさんとはどういうことかを尋ねる。 「むきゅ!たくさんはぱちゅりーがかんがえてみたかずさんよ!たくさんがひとつできゅうことおなじことよ!」 なるほどそういうことかと男は感心する。ゼロという数字を知らないため二桁の数を表すためにこう考えたのだ。 つまりぱちゅりーはおはじきが十三あるということを示したのだ。 男はぱちゅりーを褒めると同時にゼロという数字をさっそく教えてやった。そのことを聞きぱちゅりーはひどく興奮している。 「むきゅうううう!すごいわ!ぜろさんがあればたくさんなんかよりもっとかずがかぞえやすくなるわ!」 興奮し終わるとぱちゅりーは男に礼を述べた。新しいことを教えてくれてありがとうと、もっと新しいことを教えてくれと 頭を床に擦りつけて男に頼み込む。 「よしわかった。じゃあこれからはせんせいと呼ぶように。そうすればもっとぱちゅりーに色んなことを教えるよ。」 「むきゅ!ありがとう先生、これからよろしくおねがいします。」 ここからぱちゅと男の個人授業が始まることになる。男にとってこれは野生のぱちゅりーの知識がどこまでいくかという実験でもあった。 半年ほど経った頃には、ぱちゅりーは金バッジクラスの知識を獲得することになった。これには男の方も驚く。 野生のゆっくりがいくら優秀であろうと、取れるバッジは精々銀バッジであるとされている。 ごくわずかの例外はゆうかやきめえ丸といった希少種かそれに近い能力のある捕食種ぐらいだ。 通常種では頭が良いとされるぱちゅりー種でもこの壁を超えることは難しい。 にも関わらずこのぱちゅりーは僅か半年で金バッジ取得のレベルまで成長をしたのだ。 「すごいなぱちゅりーは。こんなに早く覚えるなんて、まさに賢者だよ。」 「むきゅ!先生の教え方が上手だからよ。おかげでぱちゅはこんなに賢くなれたわ!」 今では人間に近い喋り方までできるようになったぱちゅりー。元から賢かったこともあったが、何よりもぱちゅりーの 貪欲ともいえる知識欲のすごさがここまで成長させる結果を生んだのだ。 そこで男は実際の金バッジである同じぱちゅりーと知恵比べをさせることにした。 「むきゃっきゃっきゃっ!またぱちゅのいだいなずのうをかりたいのね!まったくにんげんさんはおばかさんだらけね!」 人間を見下した態度と発言をしているのは元金バッジだったぱちゅりーだ。金バッジ試験ではトップの成績だったが 慢心して完全に人間を見下すようになったのだ。今ではペットショップで飼育箱を温める仕事をしていたが はれてこの加工所のモルモットという新たな職につくことになった。 「さてお前にはこの俺が飼ってるぱちゅりーと知恵比べをしてもらうぞ。問題は俺が出すから、わかったら言ってくれ。」 「むきゅ?こんなおばかそうなぱちゅりーにこのけんじゃがまけるはずがないわ!ぱちゅはてんっさいなのよ!」 そう自信満々な発言をするゲスぱちゅりー。一方のぱちゅりーは早く問題を解きといてうずうずしている。 「では問題だ。ある所にまりさが三匹、れいむが六匹、ありすが二匹いる群れがある。ゆっくりは全部で何匹だ?」 「むきゅ!かんたんね、こたえは十一よ!」 腐っても金バッジだけあって、即答するゲスぱちゅりー。ゲスぱちゅりーはニヤリとする。 「もういちどいう、ぱちゅはてんっさいよ!ぱちゅをかわなかったにんげんさんはこうかいしてるわ。 むきゃっきゃっきゃっ!」 あくまでゆっくりレベルの賢さを自慢げに男にいうぱちゅりー。その言葉についつい潰そうとするが、 必死に我慢する男。大きく深呼吸をして気分を落ち着かせる。 「では次の問題だ、こんどはちょっと難しいぞ?五×六はいくつになる?」 「むきゅ?かける?」 はじめて聞く言葉に呆けるゲスぱちゅりー。金バッジといえ教えられるのは百以上の数を数えることと、 簡単な足し算と引き算だ。 「分かったわ!答えは三十よ!」 「正解、さすがぱちゅりーだ。」 少しの間をおいて男の研究するぱちゅりーが答える。今のぱちゅりーにとってはこれぐらい簡単なレベルだ。 一方ゲスぱちゅりーはというと 「むぎゅううううううう!いまのはなしよ!きっとにんげんさんがこたえをおしえていたのよ!」 自分が分からないというのに、他ゆんが分かるという事実に激高するゲスぱちゅりー。 だがそんなことは無視して続けて次の問題を出し続ける男。 「じゃあ次だ、ある所に一匹のありすが都会派な愛を与えて子供を九匹作りました。その後子供達も 他のゆっくり達に都会派な愛を与えてそれぞれ七匹づつ子供を作った。ありすの子供達は何人子供を産ませた?」 「むきゅ!答えは六十三匹よ!」 「むぎょおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」 餡子の回転が追い付かずに頭から湯気を出すゲスぱちゅりー。もはや口答えする余裕も無くなっている。 結局この知恵比べはぱちゅりーの圧勝で幕を閉じた。 「えれえれ・・・、こんなのまちがいよ。てんさいのぱちゅがこたえられないことなんてないのよ・・・。」 クリームを吐き現実逃避をするゲスぱちゅりー。そんなぱちゅりーに男は優しく言う。 「御苦労さま。それじゃあお前の役目も終わったからもう死んでいいよ。」 「むきゅ?にんげんさんなにいって・・・、むぎゃあああああ!ぱちゅのくりーむさんをださないでええええ!」 男はぱちゅりーの口に手を突っ込み、中身のクリームを吐き出させていく。 吐き出させたクリームは後で美味しく男が頂きました。 「むぎゅ・・・どうぢでえええ、てんっさいのぱちゅがこんなめに、ゆわらば!」 断末魔をあげて体中のクリームを吐き出したゲスぱちゅりー。いい仕事をしたとばかりに額の汗を拭うと、 今日一日のテストの結果をノートに書き込んでいく。それを横から興味深そうに眺めるぱちゅりー。 「むきゅ、先生さんは何をしているの?」 「これはな、一日でわかったことを書きまとめているんだ。まどうしょを書いてるって言えば分るかな。」 「すごいわ!ぱちゅも自分でまどうしょを書いてみたいわ!」 目を輝かせて言うぱちゅりーに男はつい笑みがこぼれた。手もないというのにどうやって字を書くのか。 口でペンを持って書いたとしてもそれはただの絵でしかないだろう。そういってぱちゅりーをなだめるが、 ぱちゅりーは諦めずいつか自分でまどうしょを書くと意気込む。 そしてここからぱちゅりーは大きく進化していく。 「なあぱちゅりー、最近お前なんかでかくなってないか?」 「むきゅ?そうかしら、自分ではあんまりよく分からないわ。」 男が心配するほどぱちゅりーの体が巨大になっていく。いつも同じ量の食事しか与えていないというのに、 まるでにんっしんしたかでいぶにでもなったかのような体が丸く太っていた。 しばらくすると、こんどはまた思考が一段と冴え渡る様になったのだ。今まで与えていた小学生低学年程度の問題から 高学年程度の問題を解き始めるようになったのだ。 そして最後に決定的な違いを見せるようになった。 「先生見て!ぱちゅは胴付きさんになれたわ!」 嬉しそうに男に報告するぱちゅりー。常に冷静にを心がけている男にも冷静になることは出来なかった。 「ぱちゅりーさん、一体どういうことでしょう?」 「前から体がむずむずしてたの!それで今日起きたら体が生えてきてくれたのよ!」 どうやら今までの体の巨大化はこの胴付きになるための準備だったようである。そして中身が増えていたこともあり それまでよりもさらに頭がよくなっていたのだ。胴付きとなったぱちゅりーはこれにより念願の自分でまどうしょを書くことを始めた。 内容は今まで知ったことを書き連ねた日記のようなものだったが、ある一部分に男は目を疑うことになる。 その内容は胴付きになる条件についての推測がぱちゅりーの今までの経験によって書かれていたのだ。 「胴付きになるのは豊富な栄養と、それぞれの種による特定の条件を達成したときに進化する。」 大まかにまとめるとたったこれだけのことだが、ぱちゅりーはこれを今まであったことのあるれみりゃやふらん、ゆうかを例に この持論を補足していた。 「れみりゃはどうやって胴付きになったの?」 「うー!かんたんなんだどぅ~、たくさんゆっくりをたべたらこうなったんだどぅ~。」 ふらんに聞いてもこうした答えが返ってきたようである。群れを守るためにゲスを差し出す取引をして仲良くなった れみりゃに聞いたようである。ぱちゅりーはこのことかられみりゃやふらんはゆっくりを食べることで栄養を、 そして吸血鬼のように多くのゆっくりの中身を吸い込むことにより知識を引き継いで胴付きになると考えた。 また、胴付きのゆうかにも同じような質問をしている。 「ゆうかはおはなさんをたくさんそだてたらどうつきさんになれたわ。」 このことからぱちゅりーはゆうか種が花を育てるのは花を愛でる為だけでなく、胴付きにと進化するためではないかと 日記に書き記している。脆弱で常に死の危険と隣り合わせのゆっくりたち。少しでも生存するためにも ゆっくりたちは胴付きに進化しようとそれぞれの条件を満たそうとそれをゆっくりできるものとして行おうとしているのだ。 「ぱちゅは賢者になるためにお勉強をたくさんしたわ!きっと他のぱちゅりーも胴付きさんになるために 賢者になろうとお勉強するのよ!」 他にもまりさ種のキノコを好む習性やありすのコーディネートと称する行為、ちぇんのらん種に対する依存ともいえる親愛、 みょん種の道具を使った行動も胴付きになるための一つの過程ではないかとぱちゅりーは締めくくった。 この内容は後に男の手によってまとめられ、ぱちゅりーに行った実験や胴付きに至るまでの経緯を記録したレポートと一緒に ゆっくり学会に発表され大きな反響を呼ぶことになった。 おまけ 腐ってやがる・・・早すぎたんだ! 「先生さん、このご本さんに書かれていることがわからないわ。」 「どんなことだぱちゅりー?」 「男の子がぺにぺにさんをもう一人の男の娘のあにゃるに入れてるわ。赤ちゃんも出来ないのにどうしてこんなことするの?」 「誰だ!ぱちゅりーに『月刊おちんちんランド』を読ませたのは!」 「分からないことは実践あるのみね!だから先生、ぱちゅりーにもご本と同じことをして。」 「なんでそうなるんだよ!そもそもお前にぺにぺに無いだろ!ていうか俺はHENTAIの趣味は無い!」 「むきゅ、ゆっくりはぺにぺにさんもまむまむさんもリバーシブルなのよ。だからぱちゅにもぺにぺにはあるわ!」 「そういう問題じゃねーよ!何で俺がゆっくりなんかに欲情しなきゃいかんのだ!」 「嘘ね先生。先生がぱちゅのおっぱいさんを偶にじっと見てるのは知ってるのよ。我慢しないでお勉強を教えて。」 そう言って小さな体に不釣り合いな大きさの胸を男の体に押し付けるぱちゅりー。 結局この後男はぱちゅりーとの個人レッスンをすることになる。個人レッスンはその後も続けられることになり、 ぱちゅりーの知識もそれに比例してさらに多くなることになっていった。 後に男はぱちゅりーを研究用ゆっくりから自分の助手とすることを申請するとともに、飼いゆっくりとしても登録することにした。 家に連れ帰ることもできるようになり、個人レッスンは毎夜行われることになる。 後書き 今回はちゃんと真面目な考察ものだからHENTAIなんていわせないよ! といっても他の作家さんに比べたら虐待よりHENTAIをメインに書いてるしこれからはHENTAIあきとして頑張ります。 胴付きあきやれみりあきと考えてくれた人もありがとうございます。 胴付きぱちゅりーは巨乳の陥没乳首はZあきさんが証明してくれてます! 大作が書かれてもHENTAIを貫くHENTAIあきでした。 以前書いたもの ふたば系ゆっくりいじめ 993 初めてのおつかい ふたば系ゆっくりいじめ 1003 寂れた神社で ふたば系ゆっくりいじめ 1014 ゆーパチ「ヒャッハー!虐待だぁ!」 ふたば系ゆっくりいじめ 1024 めーりんの憂鬱 ふたば系ゆっくりいじめ 1036 別れと出会い ふたば系ゆっくりいじめ 1043 夜の怪奇現象 ふたば系ゆっくりいじめ 1058 S計画 作られたゆっくりたち
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau9/pages/2133.html
母ぱちゅりーの受難 作ゆっくりな人? 「むきゅ~♪ゆっくりうまれてね♪」 一匹のゆっくりぱちゅりーが頭から生えた茎に実った三匹の赤ちゃんゆっくり達に話しかけている。 茎に実った赤ゆっくり達は母ぱちゅりーに言葉は返してくれないものの、笑みを浮かべながらゆっくり眠っている姿は母ぱちゅりーをこの上なくゆっくりさせていた。 群れの幼馴染だったまりさとの間に出来た赤ちゃん達が可愛くて愛おしくてたまらないんだろう。 僕はそんな母ぱちゅりーの様子を見てにっこり笑顔を浮かべる。 母ぱちゅりーはまだ自分の夫のゆっくりまりさがついさっき僕の手によって餡子を辺りにぶちまけて絶命した事を知らない。 母ぱちゅりーはささやかな幸福をただの娯楽で踏みにじられたことを知らずにゆっくりしている、そう思うと最高にいい気分になる。 夫であり父であった父まりさは森で木の実を集めている所を捕まえた、僕は暴れる父まりさから対話と多少の肉体言語を用いて母ぱちゅりーと巣のことを聞きだした。 最初は絶対にぱちゅりーと子供達を守ると言っていたのに、五分もせずに父まりさは泣きながら巣の場所まで案内してくれた。 僕は用済みになった父まりさを勢いよく踏みつぶすと母ぱちゅりーの観察を始めたってわけだ。 「むきゅきゅ~♪みんなとってもゆっくりしているわ……」 やっぱり幸せそうなゆっくりを見ていても面白くないな、そろそろ虐待するとしますか。 僕はハンディカムを片手に構えてもう片方には水鉄砲を持って母ぱちゅりーの巣に突撃することにした。 「やぁ!!元気かいぱちゅりー?」 「む、むきゅ!!おにいさんだれ?」 母ぱちゅりーは巣に突然やってきた僕のことを明らかに警戒している、後ろにじりじりと這いながらジト目でこちらを不安そうに見つめてくる。 巣の奥まで引き込まれると僕も困るから水鉄砲を地面に置いて、巣の中に腕を突っ込んでぱちゅりーの紫色の髪を掴んで引っ張る。 「むきゅ!!いたいわなにするのはなして!!」 「君は何をやっているんだい、こんな天気の良い日はお外に出て日向ぼっこと相場が決まっているだろう、引きこもってないで外に出てきなさい」 母ぱちゅりーは嫌がって抵抗するが人間とゆっくりの力比べ等始める前から勝敗が決まっている、僕は何の苦もなく巣から母ぱちゅりーを引っ張り出す事に成功した。 「ほら、どうだい?おひさまがぽかぽかと温かくて気持ちいいだろ?あんな薄汚い穴倉に引きこもってるよりゆっくりできるだろ」 「ぱちゅとまりさのおうちはきたなくないわ!それにぱちゅはあかちゃんがいるのよ!!わかったらおうちでゆっくりさせてね!!」 「赤ちゃんがいることは見ればわかるさ、そうだ!どれ位ゆっくりした赤ちゃんか味見させてくれ」 僕はそういうと母ぱちゅりーの茎に実った赤ゆっくりを一匹ひょいと摘まむと口の中に放り込み咀嚼する。 口の中にほのかな甘みが広がる、それなりに美味しいが野生のゆっくりは何を食っているか分からないのでその場に吐きだす。 「ぺっ!……良くも悪くもない凡庸な味だな」 「むきゅきゅ~!!!!なにするの!!!!ぱちゅのあかちゃんが!!!」 母ぱちゅりーは僕が吐き捨てた赤ゆっくりに這っていき、その小さな涎まみれの死体に頬擦りしながら泣く。 僕の歯で噛みつぶされた赤ゆっくりは身体がぐちゃぐちゃに裂けていてぴくりとも動かない、恐らく即死だったのだろう。 「むきゅ~んむきゅ~ん、あかちゃん!あかちゃん!」 「おいおい、何泣いてるんだい?まだ二匹もいるんだから泣かないでくれよ、泣いてちゃきみのだらけきった馬鹿面が台無しだよ」 僕は泣いている母ぱちゅりーの顔に水鉄砲を向けトリガーを引く。 水鉄砲から塩水が発射され母ぱちゅりーの口の中に入る。 「むぎゅ!!べっ!!ぺっ!!からくてまずいわ!!」 「塩水だからしかたないさ」 僕はもう一度トリガーを引く、今度は母ぱちゅりーの眼に当たった。 「むぎぃっ!!いだいいだい!!むぎゅぎゅ……」 「おいおい!!ゆっくりしなきゃダメだろ、そんなんだからお前の子供は不味くてゆっくりできないんだよ」 僕は目の痛みで苦しんでいる母ぱちゅりーの顔をハンディカムで撮る。 塩水が入って真っ赤になった右目はちょっとキモいがそこがゆっくり虐待の醍醐味なのだ。 僕は難しい表情を作ると涎まみれの赤ゆっくりの死体を見つめながらぱちゅりーに話しかける。 「おい、こんな不味い赤ゆっくりは将来きっとゲスになってしまうぞ、それでいいのか?」 「むぎゅ!!あかちゃんはみんなげすじゃないわ!!ゆっくりあやまってね!!」 「あぁそうか、お前の赤ゆっくりはゲスじゃなくてドゲスだったな!!はっはっはこりゃすまん!!うっかりしてたよ」 「むぎゅぅぅ!!あかちゃんたちはみんなゆっくりしてるわ!!げすでもどげすでもないわ!!!」 顔を真っ赤にして怒る母ぱちゅりーを見てどんな遊びをするか決めた。 「良し、決めた」 「きめなくていいからもうどっかいってね!!おにいさんとはゆっくりできないわ!!」 「お前らぱちゅりーは皆体が弱いといって引きこもっているな、そんなんだからドゲスな赤ゆっくりができるんだ」 「そんなことないわ!!ぱちゅはからだはよわいけどゆっくりしてるわ!!」 「だからお前には強制的に運動してもらう、お前の茎になった赤ゆっくりを水鉄砲で狙うから、子供を殺されたくなきゃ必死になって逃げろ」 「はなしをきいてね!!ぱちゅはからだがよわいのよ!あかちゃんもいるからうごくのがつらいのよ!」 「はい、カウントダウン開始な3……2……」 「む、むきゅ~」 「1……はいスタート!しっかり動けよ!!」 「やめて!こないで!!」 母ぱちゅりーはのろのろと這いだした、カメと競争させたらいい勝負になるかもしれないスピードだ。 しかしその遅い歩みも二分もすると休み休みになり五分後には尺取虫程の早さになった。 「遅いぞっ!!もっとペースあげろ!!」 「むきゅ~きゅ~」 「気合入れろよ!!頑張れ!!頑張れ!!やればできるぞ!!頑張るんだよ!!もっと熱くなれよ!!」 「きゅ~……むり……むりよ……」 僕の応援もむなしく母ぱちゅりーはその場にへたり込んで動かなくなってしまった、荒い息で体を小刻みに震わせるその様子は確かに限界に見える。 しかし僕には分かる、このぱちゅりーに秘められたパワーがあることが分かる。 かの有名な某戦闘民族の宇宙人は友を殺された怒りで秘めた力を覚醒させたと聞く、なら赤ゆをころされたぱちゅりーはどれほどのパワーアップをするのだろうかそれを試してみる事にしよう。 僕は心を鬼にして茎に生えた赤ゆっくりを狙い撃つ、塩水に当たった赤ゆは顔を苦悶の表情を浮かべて体を揺らす。 「むきゅ!!あかちゃんがくるしそうだわ!!」 「ほらそう思うんなら這え!!前に進め!!お前が動かないともう一匹もゆっくりできなくさせるぞ!!」 「きゅ……むきゅ~」 僕の思惑通り母ぱちゅりーは這いだした、そうだよ!!やればできるんだよ!!結局母ぱちゅりーはそれから5分間這う事が出来た。 「きゅ~……む……きゅ~」 「よくやった!!お前の頑張りに感動したぞ!!これでお前の子供はゆっくりした子供になったぞ良かったな」 身体を揺らしていた赤ゆは塩水が体に染み込んだのか黒く干からびていしまっていた、しかし茎には一匹だけだが赤ゆが残っている母ぱちゅりーの努力の結果だ。 そのたった一匹の生き残りがふるふると震え始めた、どうやら出産の様だ。 「むきゅ!!あかちゃんがふるえてるわ!!」 「生まれるみたいだな」 茎になっていた赤ゆっくりが茎から離れ地に落ちる、紫色の小さな帽子をかぶった可愛らしい小さな赤ぱちゅりーだ。 「むきゅ!ゆっくちちていってね!!」 小さな赤ぱちゅりーの元気な声に母ぱちゅりーの表情がパァーッと明るくなる、母ぱちゅりーは喜びの涙を流しながら赤ぱちゅりーに挨拶する。 「むきゅ~♪ゆっくりしていってね!!」 本当にゆっくりした可愛い赤ぱちゅりーだ、僕の試練は母ぱちゅりーを鍛えその赤ゆっくりの心と体も鍛えることができたらしい実に喜ばしいことだ。 僕は親子同士仲良く頬擦りをしているのを邪魔するのは気が引けたが赤ぱちゅりーを掴んで素早く持ち上げた。 「むきゅぅ?おしょらをとんでるみたいだわっ!!」 「む゛ぎゅきゅぅ~!!!!なにするのいますぐあかちゃんを……」 僕は怒って膨らむ母ぱちゅりーの顔をハンディカムで撮りながらその口に目掛けて赤ぱちゅりーを勢いよく放り込む。 「む゛ぎゅ!!」 「むきゅ!」 口の中に赤ぱちゅりーを放り込まれて母ぱちゅりーは急いで吐き出そうとする。 そんな母ぱちゅりーを片手で捕まえて上下左右に振り回す。 「良いゆっくりは食べると美味しいゆっくりだ、僕の訓練の結果どれだけ赤ぱちゅりーがゆっくりできるようになったか味見しなさい」 「んきゅ~!!!むぎゅぎゅ!!!」 「きゅ~……くりゃ……たしゅ……」 母ぱちゅりーの中から赤ぱちゅりーの小さな悲鳴が聞こえる。 僕は母ぱちゅりーの中から赤ぱちゅりーの悲鳴が聞こえなくなるまで振り回し続けた。 僕は母ぱちゅりーを地面に置いてやる、顔を茹でダコの様に真っ赤にしてぐったりとする母ぱちゅりーの顔をドアップで撮影する。 母ぱちゅりーは僕に放り込まれた赤ぱちゅりーを吐き出そうとしている、ここからが見ものだ。 「むぎゅうぅう!!!みゅげぇえ……」 母ぱちゅりーの口からは赤ぱちゅりーは吐き出されず紫色のクリームを吐き出す、しかしそのクリームの中には赤ぱちゅりーがいない。 「むぎゅうぅう!!どこ!?あかちゃんでてきて!!」 「赤ちゃんが出てこないのは当たり前だろ、お前が食ったんだからな美味しくてゆっくりできただろう?」 母ぱちゅりーは嘔吐物の上でいやいやと首を振るように体を揺らす、そして何を思ったか故意にクリームを吐こうとしだした。 「むきゅぅう!!むげっむげぇえ……」 母ぱちゅりーが泣きながらクリームを吐こうとする様子を余さずハンディカムで撮影する。 苦悩の表情や真っ赤になって力む姿、何とか口から吐き出した少量のクリームの中から赤ぱちゅりーを探す哀れな姿を記録する。 「むげぇ……きゅ~んきゅ~……あかちゃん……あかちゃん」 「無駄だと思うけど、まぁ頑張れよ吐き続ければそのうちひょっこり口の中から出てきてくれるさ」 暫くして母ぱちゅりーに飽きた僕は頑張る母ぱちゅりーにエールを送るとその場を後にした。 父まりさを殺した事を教えなかったのは彼女に対する慈悲だ、赤ゆっくりが全滅した上父まりさまで死亡してるなんて教えたら自殺してしまうかもしれないからな。 三日後、男の娯楽によって家族を皆殺しにされたぱちゅりーはまだ生きていた。 ぱちゅりーはゆっくり一匹が住むには大きな巣の真ん中で死んだような眼で静かに草を食んでいた。 む~しゃむ~しゃもしあわせ~の一言もない静かな食事、三日前は違った。 『む~しゃ!む~しゃ!しあわせ~♪』 『むきゅ~♪ゆっくりしたごはんだわ♪』 まりさと一緒にご飯を食べながら、頭に生えた茎に実った赤ちゃんを見つめる。 赤ちゃんがぴくぴくと動くと二匹で一緒にゆっくりした赤ちゃんだねと笑いあっていた。 しかし今のぱちゅりーには優しく笑いかけてくれる働き者の優しいまりさも、茎に実って笑みを浮かべながらゆっくりしている赤ちゃんもいない。 ぱちゅりーは草を食べ終えるとまりさがゆっくりできる形をしていると、大事にしていたすべすべの大きな石に体をぶつける。 痛みに顔がゆがむが何度も何度も体を岩に叩きつける、そうするうち体内のクリームが口内までせり上がってくる。 「みゅげぇっ……げっ~ぇ……」 口の中をクリームが流れて息が出来ない苦しさ、体内のクリームが減って体が冷める強い不快感がぱちゅりーを苦しめる。 ぱちゅりーは嘔吐したクリームの中に赤ぱちゅりーの可愛い笑顔を探す。 「けほっ……けほっ、むきゅ~いないわ……」 草の少量混じったクリームを見てぱちゅりーはため息を吐く。 まだ赤ちゃんが出てきてくれない、お腹の中がゆっくりできるのは分かるけどそろそろ出てきてほしい。 ぱちゅりーは咳きこみながらそんな事を思う。 「むきゅ~……そろそろでてきてね……ぱちゅもまりさもあかちゃんといっしょにはやくゆっくりしたいよ……」 ぱちゅりーはお腹の中でゆっくりしている赤ちゃんが出てきたらまりさも帰ってくると思っていたし、赤ちゃんはお腹の中でまだ生きていると信じていた。 クリームを吐いて疲れた体を休めるため、ぱちゅりーは巣の奥にある寝床に這っていくとそこでゆっくりしながらお腹の中にいる筈の赤ちゃんに歌を歌ってあげる 「むきゅ~ゆっくり~♪……ゆっくり~♪ゆっくりのひ~♪……」 げっそりと痩せこけたぱちゅりーはこれからも、赤ちゃんが自分の口の中から出てくるまで自分の体を痛めつけてクリームを吐き続けるのだろう。 そして死ぬまで夫であるまりさが明るい笑顔を浮かべて帰ってきてくれるのを巣の中でじっと待っているのだろう。 「まいにちゆっくり~あしたもゆっくり~……みんなでいっしょにす~り……す~り♪」 巣の中の保存食はもう三日分も残っていない、自傷行為と繰り返し行われるクリームの嘔吐で弱り切った体では外に出て食料を確保することも無理だろう。 「なかよしかぞくでゆっくりごはん~……みんなそろって……し~あわせ~♪……」 やつれ果てたぱちゅりーの途切れがちで小さな歌声だけが薄暗い巣の中に響いていた。