約 312,798 件
https://w.atwiki.jp/pokecharaneta/pages/8544.html
おしゃべりなちゅどんズ 重要人物 コメント テレビ東京系のファイテンション☆スクール内の第2・3クールで放送していたべんぴねこ・ホンゴウジュン作品。 重要人物 エルフーン♂:みかんなちゅどん チェリム♀ いちごなちゅどん マッスグマ♂ くりなちゅどん コノハナ♂ まめなちゅどん ウソッキー♂:キャプテンツリー コメント 名前 コメント すべてのコメントを見る キャラクターとだけ書かれた荒らしコメントを削除 -- (名無しさん) 2016-12-29 12 26 01
https://w.atwiki.jp/ankoss/pages/100.html
「ゆっ! ゆっ! ゆっ!」 一匹のゆっくりまりさが大急ぎで跳ねていた。 「ゆゆーっ! ぱちぇは!? ぱちぇはいるのぜ!?」 公園に駆け込んできたまりさは、そう言いながら周囲を見回す。 そこかしこにある段ボールのおうちからゆっくりたちが出てくる。 「ゆ? ぱちぇなら、おうちにいると思うけど、どうしたの?」 れいむがゆっくりしてない様子のまりさを不思議がって言った。 「とってもゆっくりできそうな話を聞いたのぜ! でも、ほんとうにゆっくりできるかど うかぱちぇに聞きたいんだぜ!」 「ゆゆっ!」 れいむばかりか、その場にいた他のゆっくりたちも「ゆっくりできそうな話」という言 葉に反応する。 まりさを先頭に連れ立ってぱちゅりーのおうちへと殺到、と言っていい勢いで跳ねてい く。 「むきゅ? どうしたの?」 ぱちゅりーはおうちにいた。押しかけてきたまりさたちに驚いた様子は無い。それとい うのも、元飼いゆっくりで今やこうえんのけんじゃと言われるぱちゅりーの所へ相談にや ってくるゆっくりは珍しくないからだ。 「ゆっ! まりさは、にんげんさんの話を聞いたのぜ」 まりさの言うところによると、餌を探してゴミ捨て場を漁っていたところ、人間がやっ てきた。慌てて隠れたまりさに気付かず、人間はその上にゴミ袋をぶん投げて去って行こ うとしたが、そこへ別の人間がやってきた。 その人間たちは知り合いのようで、挨拶をしてから世間話を始めた。 ゴミ袋に圧迫されながら、まりさは出ていくわけにもいかず、じっと動かずにいた。 そこで聞くともなしに、人間の話を聞いた。 「そういえば、こないだ火事になった湯栗さん!」 「ああ、おうちが全部燃えちゃったんでしょう、大変ねえ」 おうちが燃えた、という言葉に、まりさは震えた。 ゆっくりはとにもかくにもゆっくりすることを至上とするが、そのために自分の住居、 すなわちおうちに対する執着が強い。 「そりゃ大変だったでしょうけどね、保険がおりて、むしろ焼け太りらしいわよ」 「へえ、そうなの」 「ええ、そのお金で新しい家建てて、それでも余るって」 「まあ、うらやましいわねぇー、でもだからって今住んでる家が焼けるのは嫌だけど」 「そうよねえ、燃えたら二度と戻らないものもあるしねえ」 まりさの中でその話をなんとか整理した。 その結果、つまりはおうちが焼けるというとてもゆっくりしていないことがあったにも 関わらず、ほけんというものがおりたおかげでむしろ前よりも新しいおうちを手に入れる ことができて、その上にまだあまあまが余るということらしい、という結論に達した。 なんだか結果を聞くと凄くゆっくりしている話である。しかし、どうしてもおうちが焼 けるというゆっくりしていない事態から、なぜそうなるのかがわからない。 どうも、ほけんがおりる、というのがポイントのようなのだが……。 まりさの話を聞いて、ゆっくりたちもまりさと全く同じ疑問を抱いてあれこれと議論を 始めた。しかし、やはりわからない。 ここは、けんじゃのぱちゅりーの意見を聞きたい、と皆がキラキラした目をしながら頼 むと、ぱちゅりーは誇らしげに「むきゅん」とそっくり返った。 「保険っていうのは、おうちが燃えたり、損した時におりるものよ。損した分よりも多く のものが貰えることもあるわ」 飼いゆっくりだったぱちゅりーにはその程度の知識ならあった。言い換えれば、その程 度の知識しかなかった。 そもそも、街の公園に住むここの野良ゆっくりたちは、元飼いゆっくりというだけで、 なにやら自分たちが知らぬ人間の知識を持っている賢いゆっくりであると崇拝するところ があった。それがぱちゅりー種となれば尚更である。 ぱちゅりーは、飼い主の人間の生活が苦しいのを見かねて自ら家を出たかのように野良 になった経緯を話していたが、実際はただ単に捨てられただけである。 ぱちゅりー種にしてはあまり賢くないのに失望した飼い主が、無責任にも捨てたのだ。 その際にぱちゅりーは自分のプライドを守るために、最近餌の味が落ちたことから、飼い 主の生活が苦しくなったためだ、と思い込んだ。実際は、失望しかかった段階で餌のグレ ードを落とされただけである。 公園のそばに捨てられたぱちゅりーは、すぐにこの公園にやってきて、そこにいた野良 ゆっくりたちに自分は元飼いゆっくりで人間のところで勉強してとても知識があるとハッ タリ(とは当のぱちゅりーは思っていないが)をかまして、けんじゃと持て囃されるよう になった。 「ゆゆっ! それなら、おうちに火をつけて燃やせば、ほけんがおりてゆっくりできるん だね!」 まりさが言うと、みんながざわめいた。 「むきゅ! ……そ、そうよ!」 ぱちゅりーは、一瞬戸惑ってから断言した。 こうえんのけんじゃたるもの、無知蒙昧なぼんくらゆっくりどもの質問にはたちどころ に答えなくてはならぬ。 一瞬の戸惑いは、さすがにそんなうまい話があるだろうかと思ったからだが、飼いゆっ くり時代に、やはり家が燃えてしまったが保険がおりて却って儲かったという話を聞いて いたのがこのぱちゅりーの断言を後押しした。 「やけぶとり……そうよ! やけぶとりよ!」 聞きかじった言葉を口に出す。 「ゆゆ! そういえば、まりさが話を聞いたにんげんさんも、そんなようなことを言って たのぜ!」 「やけぶとり、っていうのは、やけてふとる、っていうことよ」 「ゆゆ! やけぶとりはゆっくりできるんだね!」 「やけぶとり! ゆっくりしないではやくやけぶとろうよ!」 「むきゅ、それには火をおこさないと……だれか、ライターかマッチを持ってないかしら」 ぱちゅりーに言われてゆっくりたちは各自のおうちに帰って、自分たちの宝物を持って きた。 ゆっくりは、珍しいものなどを「ゆっくりできるたからもの」などと称しておうちに持 ち帰ることが多い。 「むきゅ……むきゅ……むきゅ! これはライターだわ!」 とあるれいむが持ってきたのが、まさにライターであった。 喜び勇んで着火しようとするが、ゆっくりにはライターをつけるのは極めて難しかった。 噛んでつけようとすると、目の前に火が出現してしまうために誰も彼もついた瞬間にゆわ ぁと悲鳴を上げてライターを放り出した。 途中から、これは無理だと思ったぱちゅりーは、さらに宝物の山を漁り、とうとうマッ チの箱を見つけ出した。 一匹のゆっくりがマッチを口にくわえ、別のゆっくりが箱の上に乗って固定する。 勢いをつけてこすると、マッチに火がついた。 「ゆわああああ! やったあ!」 「ゆっゆっ! これでやけぶとりだよ! ゆっくりできるよ!」 しかし、マッチについた火はすぐに消えてしまった。 「ゆゆぅ……」 「ぱちゅりー……」 「むきゅ、まかせなさい」 ぱちゅりーはあれこれ考えて、可燃性のものを集めてそれにマッチの火が消えぬうちに 火を移すことを思いついた。 「むきゅぅぅぅぅ、そうだわ!」 さらに、少し離れて置いてあった段ボールのおうちを移動させてびっしりと密集させる ことを指示した。 「こうすれば、火はおとなりのおうちに燃え移るわ」 「ゆわぁ、さすがぱちぇ!」 「さすがこうえんのけんじゃだね!」 「むきゅきゅきゅ」 みなに褒め称えられて、ぱちゅりーはそっくり返った。 「それじゃあ、やるよ。じゅんびはいい?」 マッチをくわえたまりさが言うと、ゆっくりたちは今一度おうちの中に誰か残っていな いか、おうちの中から宝物やごはんは運び出したかを確認し合う。 「ゆっくりもういいよ!」 「ゆん! それじゃあ、いくよ!」 まりさがマッチをすり、生じた火をおうちの塊の傍らに積み上げられた落ち葉の山に着 火する。 ぼわっ、と火が燃え上がると、まりさは大急ぎで後ろに跳ねて距離をとった。 火は、落ち葉の山から接触していたおうちへ、そして、その隣、また隣へと計画通りに 燃え広がっていく。 「ゆゆーん! これでやけぶとりでゆっくりできるよ!」 「やけぶちょり! やけぶちょり!」 「まりしゃ、あたらしいおうちたのしみだじぇ」 「もえてね! ゆっくりしないでもえてね!」 歓声を上げておうちが燃えていくのを眺めているゆっくりたち。 「あ! なんだなんだ!」 そこへ通りかかった男が、燃え上がる炎に驚いて立ち止まり声を上げた。 「とりあえず燃え移らないように」 男が駆けてきて、燃え上がる段ボールの塊の周囲をぐるりと周った。 草に燃え移りそうなところを見つけると、段ボールを蹴って草から離す。 「……これで、延焼の危険はないかな……にしても、誰だ。こんなことしたのは」 なおも燃えている炎を見て、男が呟く。 「にんげんさん! なにしてるの!」 「ん? ここに住んでたゆっくりか……あ、これ、おまえらの家か」 よくこの公園を通るその男は、燃えている段ボールがなんなのかに思い当たった。 「いったいどうしたんだ。悪い人間にやられたのか」 まず思いついたのが、虐待好きの人間の仕業ではないかということだ。男はゆっくり愛 護家というわけではないが、このように火をつけたままどこかへ行ってしまうような行為 はゆっくり虐待の範疇を超えて、人間に対しても危険な行為であり、憤りを感じていた。 「ちがうよ! これはまりさたちが自分で火をつけたんだよ!」 「……は?」 だが、思わぬ言葉を返されて呆然とする。 「なんで? 家がないと困るだろ……なんで?」 まったく見当のつかない男は疑問符だらけの顔である。 「むきゅ、それはぱちぇが説明するわ」 ぱちゅりーがえらっそうに前に出てきた。その間にもおうちは燃え続け、それをゆっく りたちが大人も子供も嬉しそうに囃し立てている。 「……と、いうわけなのよ」 ゆっへん、とそっくり返ったぱちゅりーとその後ろでニヤニヤ笑っているゆっくりたち に、心底哀れんだ目を向けつつ、男はため息をついた。 段ボールは燃え尽き、火は小さくなっていた。 「ゆわーい! おうちがぜんぶ燃えたよ! これでほけんがおりるよ!」 「やけぶとろうね! ゆっくりやけぶとろうね!」 「やけぶちょり! やけぶちょり!」 狂喜したゆっくりたちが跳ね回っているのを見て、もう一度ため息をついた。 「いったいどうしたんだい」 そこへ、後ろから声がかかった。年配の男を筆頭に、近所に住んでいる人間が何人かや ってきていた。 「いやぁ……それが」 男が説明すると、案の定と言うべきか、近所の住人たちはこれでもかというぐらいに呆 れた顔をしてそれを見合ってから、はしゃぎまくっているゆっくりたちを見て、一斉にた め息をついた。 「ゆわーい、ゆわーい」 「ゆっくりできるよ! やけぶとりだよ!」 「やけぶちょり!」 「ほけんさんはゆっくりしないではやくおりてきてね!」 なおも喜び続けるゆっくりたちには、人間たちのため息はもちろん、年配の男が呟いて 他の者をハッとさせた言葉も全く聞こえていなかった。 「あいつら、火が使えるのか……」 「ゆぅ……ほけんはまだおりないの」 「やけぶとりはまだなの……」 「おうちがないとゆっくりできないよ……」 「ゆぅぅ、ぱちゅりー……」 さて、数時間もすると喜びも去り、いつまで経ってもほけんがおりてやけぶとりできな いことに不平と疑問の声が上がっていた。保険に入ってなどいないゆっくりたちに保険が おりるわけもないのだから当たり前だ。 「むきゅ! ほけんがおりるには時間がかかるのよ!」 ぱちゅりーは自信満々に言った。いつか聞いた家が焼けて焼け太りになった話も、ほけ んがおりるまでにはかなり時間がかかったという話であった。 「ゆぅ、とりあえずむーしゃむーしゃしようか」 「ゆん、そうだね、ほけんがおりればゆっくりできるよ」 おうちから運び出しておいた備蓄の食糧に口をつけようとしたその時、 「いたぞ、あいつらです」 「よし、まかせてください」 先ほどの年配の男が、ゆっくりたちを指差していた。そして、その周りには作業着姿の 男たち。 「よーし、やっちまうぞぉ」 袋を持って軍手をして、大きなトングを持っている。 もはや言うまでもあるまい、ゆっくり駆除業者の人間である。 「むーしゃむーしゃ、しあ」 そこまで言ったれいむが、トングで掴まれて袋に入れられた。 「ゆゆゆ!」 「な、なんなの! にんげんさん!」 「れいむになにするの! ゆっくりできないよ!」 慌て始めるゆっくりたち。だが、仕事で駆除をやっている人間たちは、ゆっくりの言葉 にいちいち反応しないようになっている。 次から次へとテキパキとトングを操ってゆっくりたちを袋に入れていった。 「むきゃぁぁぁ! なにずるの! ぱちぇはこうえんのけんじゃなのよ!」 「……」 そっくり返ったその姿勢が気に食わなかったのか、ぱちゅりーはトングで掴み上げられ て一度地面に叩きつけられてから、もう一度掴んで袋に入れられた。 「やべでええええ! れいむたち、なにもわるいごとじでないよぉぉぉ」 「やけぶちょり! やけぶちょりなのじぇ! にゃ、にゃんでぇぇぇ!」 「やけぶとりでゆっくりできるはずなのに、どぼじでごんなことにぃぃぃぃ!」 おうちを焼いたら保険がおりて焼け太りできる、などというしょうもない動機などどう でもよかった。 ゆっくりが火を使った、という事実が問題であった。 火は文明への第一歩だ。 だが、同時に使い方を誤れば恐ろしいものである。 それをよく知る人間たちは、ゆっくりのような後先考えない、或いは考えるだけの知能 が無い連中がそれを使うことを許さなかったのである。 ゆっくりが放火をするかもしれない――。 そんな恐るべき噂は広がっていった。 人間の家をおうち宣言してから、おうちを焼いて焼け太りしようなどと考えて火をつけ るのでは……そう思ってゾッとしない者はいなかった。 全国的に野良ゆっくり駆除が行われ、公園や空き地に、いわばおめこぼしで住むのを黙 認されていたものたちも次々に駆除されていった。 多くは、焼却処分された。 終わり また似たような話(半端な知識でひどい目にあう)を書いたのはのるまあき。 10kb前後の小ネタは乗ってしまえば二時間ぐらいで書けてしまうから続く 時は続くなあ。 そして、この手の話で賢くない方のけんじゃの便利さは異常。 過去作品 anko429 ゆっくりほいくえん anko490 つむりとおねえさん anko545 ドスハンター anko580 やさしいまち anko614 恐怖! ゆっくり怪人 anko810 おちびちゃん用のドア anko1266 のるま anko1328 しょうりしゃなのじぇ anko1347 外の世界でデビュー anko1370 飼いドス anko1415 えーき裁き anko1478 身の程知らず
https://w.atwiki.jp/ankoss/pages/2199.html
「むきゅう………にんげんさん、ぱちゅたちになんのようかしら?」 警戒心をあらわに、ぱちゅりーはそのお兄さんと向かい合った。 群れのゆっくり達は、怯えた表情で群れ長のぱちゅりーの背後に下がり、成り行きを見守っている。 突然群れを訪ねてきたそのお兄さんは、背中に大きなリュックを抱えてぱちゅりー達を睥睨していた。 その表情がゆっくりしているかどうか、にわかに判別はつかない。 わからないものはまず警戒すべきだ、それがわかる程度にはぱちゅりーは賢い。 かといって、相手は人間さん。警戒したところで対処しきれる相手ではない。 仮に、百匹以上を数えるこの群れ全員で挑んだところで、 このお兄さん一人に苦もなく殲滅させられるだろう。 「おにいさん、ぱちゅたちはなにもわるいことはしていないわ。 にんげんさんのすんでいるところにはちかづいたこともないし…… にんげんさんになにかめいっわくっをかけたならあやまるわ」 とにかく下手に出て、機嫌を損ねないようにする。 人間さんにとれる対策といえばそれぐらいしかない。 ともすればクリームを吐いてしまいそうなこの緊張感を、ぱちゅりーは長としての資質と矜持で耐え抜いていた。 お兄さんはぱちゅりーの前に屈みこみ、笑みを浮かべた。 「そんなに怯えなくていいよ、ぱちゅりー。 僕は君たちの群れにゆっくりできないことをしにきたわけじゃないんだ」 「むきゅう?」 「僕がここまでやってきたのはね、聞いてほしい頼みがあるからなんだ。 僕のお願いを聞いて、僕をゆっくりさせてくれたなら、 お返しに君たちをゆっくりさせてあげたい」 「むきゅ………おにいさん、ぱちゅたちはぱちゅたちでゆっくりできているわ」 ぱちゅりーは警戒を解かない。 人間の口車に乗ってゆっくりできなくなった仲間は数知れず、 ゆっくりとしては長く生きてきたぱちゅりーはその実体験から慎重になっていた。 「そうかい?たとえば、いつもこんなものを食べているかな?」 そう言うと、お兄さんはポケットの中から数枚のクッキーを取り出してぱちゅりー達の前にばらまいた。 「むきゅっ!?」 「ゆゆっ!!あまあまだよ!!あまあまがあるよっ!!」 「あまあま!!あまあまたべたい!!たべさせてね!!ゆっくりたべるよ!!」 ぱちゅりーの背後に引っ込んでいた群れのゆっくり達が勢い込んで前に出てくる。 ぱちゅりーはそれを強く制した。 「むきゅ、やめなさい!!にんげんさんのおはなしをきいてからよ!!」 「ゆううううぅぅ!!たべたい!!たべたい!!たべたいよおおぉ!!」 「いいよ、これはほんの挨拶だから。遠慮しないで食べてくれ」 「で、でも……」 「いいっていったよ!!にんげんさんがいいっていったよ!!これはれいむのものだよ!!」 「なにいってるのぜぇ!?まりささまのものなのぜぇ!!ゆっくりどくんだぜぇぇ!!」 「ゆっくり!!ゆっくり!!むーじゃ!!むーじゃあぁ!!」 たった数枚のクッキーに、群れの三割ほどの意地汚い数十人が群がり、 もぞもぞと押し合い舌を絡ませ合い蠢きながら涎を撒き散らして奪い合った。 「むきゅううぅ………」 「そんなに残念がらなくても、おかわりのあまあまは沢山あるよ、ぱちゅりー」 「むきゅ、にんげんさん、そういうことじゃなくて」 「ゆゆっ!!おかわり!!あまあまちょうだいね!!れいむにあまあまちょうだいね!!おかわりおかわりいいぃぃ!!」 「とかいはなあまあま!!ありすがたべてあげてもいいのよっ!?いいのよおおおぉぉはやくううぅぅ!!!」 「まりささまにあまあまよこすのぜぇぇ!!」 群れの醜態に、ぱちゅりーは眉間に深い皺を寄せる。 あまあまはいけない。あまあまはゆっくりの理性を狂わせ、分別を失わせる。 といって人間さん相手に強い拒絶を示してはあとが怖い。 あまあまの味を知ったこの数十匹をあとあとどう処置するか、頭が痛かった。 「もっと欲しいなら、僕の頼みを聞いてくれるかな?」 「むきゅ、でも」 「おさはきいてくれるよっ!!にんげんさん、なんでもいってね!!あまあまちょうだいねっ!!」 「きくよね!?おさ!!おにいさんのたのみきくよねええ!!あまあまもらおうねええぇぇ!!」 もはや殺意に近い、ぎらつく群れの視線に目を伏せ、ぱちゅりーは観念して答えた。 「……どんなおねがいかしら、にんげんさん」 「うん、簡単なことだ。僕の大事なゆっくり達を、群れに迎え入れてほしいんだ」 「むきゅっ?」 「まりさとれいむ、子供が八匹。合計十匹の仲よし一家さ。 都会で会って仲良くなってね、都会の暮らしは辛いから山の群れに行ってゆっくりしたいと言うんだ。 だから僕がここまで連れてくることにしたんだけど、群れの仲間として迎え入れてくれるかな?」 「………」 そんなものは、その一家の質による。 ゲスゆっくりを群れに入れたりしたら、たちまち被害を撒き散らすだろう。 ぱちゅりーの見立てでは、八匹という子供の多さからみて、 後先考えずにすっきりをする考えなしの厄介者、という公算が高かった。 「そして、迎え入れたからには、きちんと群れで面倒を見てやってほしいんだ。 絶対に死なせたりしないでくれ。 僕は定期的にここに来て、友達の様子を見にくるからね。 もし一匹でも死んだりしていたら、僕は怒るよ。その子が死ぬ原因を作ったゆっくりを突き止めて制裁する」 「そ、そんな……むきゅうぅ………」 「でも、生きているなら…… そう、生きていてさえいるなら、僕は嬉しい。 生かしてくれていた君たちに感謝して、確認するたびに沢山のあまあまをあげよう」 「ゆゆっ!!あまあま!!あまあまだよおぉ!!」 「おさ!!こんなうまいはなしはないのぜ!!むかえいれるのぜぇぇ!!」 あまあまの言葉が飛び出すたびにがなり立てる連中は、群れでもどちらかといえば無能なほうだ。 どうせ、人間さんのゆっくりが死んでも、長である自分に責任をなすりつけてくるだけだろう。 過去にそう感じた回数は数えきれないが、 ぱちゅりーは今また、群れの長になったことを後悔していた。 ぱちゅりーの苦悩を察したのだろうか? お兄さんは、念を押すように繰り返してきた。 「いいかい、繰り返すけど、生きてさえいればいい。 生きていてさえいれば文句はないんだよ。 僕の友達といっても、ゆっくりできないことをしたら、君たちのルールでせいっさいっして構わない。 群れのルールは大事だからね。群れに対してゆっくりできないことをするようなら、 僕に気兼ねしたりしないで、遠慮なくびしびしいっていいんだよ。死にさえしなければいいんだから」 「むきゅ、そ、そう?」 「そうだとも。さあ、僕の頼みを聞いてくれるね?」 「…………」 ぱちゅりーが渋っていると、お兄さんはリュックの中から大きな袋を取り出し、 その中身を群れの前にぶち撒けた。 「むきゅっ……………!!」 「ゆああああああああああまあまあああああああああ!!!」 「れいむの!!れいむの!!れいむの!!れいむのだよおおぉぉ!!!」 「まりしゃがたべりゅよっ!!じゃまちにゃいでにぇえぇぇ!!」 小山のように積み上がる大量のあまあまを前に、いまや群れの全員が突進する。 それらを手で制し、お兄さんがぱちゅりーに促した。 「さあ、どうだい。引き受けてくれないなら、僕はおとなしく帰ろう。 残念だけど、このあまあまも持ち帰るしかないけれどね」 「「「「「お゛ざあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁぁ!!!」」」」」 もはや明確な殺意をはらみ、群れのゆっくり達の視線がぱちゅりーを射抜く。 ぱちゅりーは目を閉じ、こみ上げてくる嘔吐感と戦いながら、やっとのことで答えた。 「………わかったわ、にんげんさん………ゆぷぅ」 「ありがとう!ゆっくりした君たちならそう言ってくれると思っていたよ」 口々にわめきながらあまあまに突進しようとするゆっくり達をなお制して、お兄さんはリュックの口をこちらに向けた。 「あまあまの前に、僕の友達に挨拶しておくれ。 さあ、まりさ、れいむ。君たちを迎え入れてくれる、やさしいみんなにご挨拶をしようね」 リュックの中から、群れの新入り達が、 苛立たしいほど緩慢な動作で、群れの前にその姿を現した。 ――――――― 「ごしゅじんさま、おきてください、ごしゅじんさま」 「ゆゆっ!おにいさんおきてねっ!あたらしいあさだよっ!!きぼうのあさだよ~ゆ~ゆ~♪」 「はいはい、ゆっくりゆっくり……おい、歌をやめろ」 「どぼじでぞんなごどいうのおぉぉ」 さくやとれいむが僕の布団の上で飛び跳ね、起床をうながす。 ゆっくりさくやは、従順なように見えて頑固なところがあり、僕が起きるまでてこでも布団の上から動かない。 飾りのないれいむの聞くに堪えない歌をやめさせるためにも、僕はさっさと起きる。 「ゆっくりおはようございます」「ゆっくりおはよう!」 「ああ、おはよう」 布団から起き出し、居間に向かうと、そこでもゆっくり達に出迎えられる。 「じゃーおーん♪」 「あさだち!むせい!おきぬけのいっぱつ!」 「うー♪あさごはんだっどぅー」 「おはよう、おにいさん!とかいはなあさね!」 れみりゃがぱたぱたと羽ばたき、口に食パン入りの袋をくわえて飛んでくる。 唯一飛べるれみりゃは、高いところに手が届くので、意外と一番役に立つ。 冷蔵庫を開けて食パンやバターを持ってくる、皿を並べるなど朝飯前だ。 さすがに、食パンをトースターに入れて焼くのは僕だが。 飼いゆっくり達のそれぞれ個別の皿に、ゆっくりフードを盛り付けてやった後、 簡単なベーコンつき目玉焼きを作り、作り置きの味噌汁と合わせて食卓につく。 僕が食卓について挨拶をするまで、全員がフードに手をつけずに待っている。 「いただきます」 「「「「「「ゆっくりいただきます!!(じゃおーん!)(でぃーぷふぇら!)」」」」」」 食事をしながら、我が家の飼いゆっくり達をひとしきり見渡す。 そもそもは、復讐のためだけにショップや街角で集めてきたゆっくり達。 目的を果たして頭が冷えると、処分に困った。 紆余曲折はあったが、結局、全員普通に飼っている。 れみりゃは、すっかり周りのゆっくりと打ち解けていた。 正直躾けるのにはかなり手間取ったが、いまでは飛行できるアドバンテージを生かし、 我が家のゆっくりファミリーになくてはならない存在だ。 さくやもめーりんもみょんも、それぞれ行儀よく飼われている。 赤ゆっくりだっためーりん達も、一か月たった今ではバレーボール大の準成体だ。 めーりん種は言葉のつたなさと気立ての優しさゆえに野良では虐められるのだが、 その実、ゆっくりの中でも非常に賢くて身体能力が高いことは人間にとっては常識だ。 犬猫を思えば、言葉が話せないことは全く問題ではない。むしろそれが利点だという意見も多い。 みょん種はその独特の言語のおかげで、実際敬遠されがちなのだが。 飾りのないれいむは、賢さや性能面から見れば、正直他の連中とはかなり見劣りする。 とはいえ、ずっと飾りのない野良生活を送ってきて、家族というものの有難さをよく理解しているせいか、 賢くないなりに懸命に周囲に気を配ろうとしているところがあり、なんとも憎めないムードメーカーになっていた。 未熟児のゆっくりは、やはり生体としての構成の不完全さはいかんともしがたく、二週間もたずに死んでしまった。 自然死だったようだが、れいむとありすが特に嘆いていたものだ。 レイパー気質だったありすは、元気に飛び跳ねている。 レイパー気質をどうにかしようとしていろいろ努力しつつも効果はあがらなかったが、 結局、去勢することで憑き物が落ちたようにおとなしくなった。 むしろかなり賢く、さくやと並んでゆっくり達のまとめ役を任じているふしさえある。 子供が作れなくなったことの傷は決して浅くはないだろうが、その分気を配ってやっているつもりだ。 どうしてもあの子の顔がちらつき、ありす種に対しては甘くなってしまう。 衝動で飼ってしまった総勢六匹のゆっくり達だが、充分に僕をゆっくりさせてくれていた。 やはり僕は、ゆっくりが好きだ。 「それじゃ、出かけてくるよ」 「「「「「ゆっくりいってらっしゃい!」」」」」 リュックを抱えて、さくやを伴い、週末のお楽しみに出かける。 ゆっくり達が笑顔で出送ってくれる中で、車の助手席に鎮座するさくやだけが複雑な表情でいた。 僕がどこに行き、何をしてくるのか、我が家の中で彼女と僕だけが知っている。 さくやは従順だったが、どこか冷めたところがあった。 そして、他種のゆっくりを見下しているようだった。 かつて二匹の赤ゆっくりの奴隷になるよう指示したとき、 赤ゆっくりの命令に従いながら、その瞳に宿る深い侮蔑に、僕はぞっとしたものだ。 僕と二人きりになるたびに、「あんなくず、つぶしてしまえばいいでしょう」と言ってきた。 そういう気質だと、あのまりさ達と同じ、他のゆっくりを虐めるゆっくりになってしまう。 それを危惧した僕は、あの一家のなれの果てをさくやだけには見せている。 「こんしゅうもいくんですか、おにいさん」 「ああ、行くとも。嫌かい?」 「…………いいえ」 ありすが死んだあの山に、今週もやってきた。 あの山のゆっくりの群れは、今日もゆっくりしていることだろう。 砂利と草を踏みしめ、通いなれた道を通る。 すぐに、狩りの途中で飛び跳ねているれいむが見つかる。 「ゆっ!!おにいさんっ!!ゆっくりしていってねっ!!」 「ああ、ゆっくりしていってね」 「あまあまがきたよおおぉ!!みんなあつまってねえぇ!!」 叫びながらさっさと跳ねていくれいむ。 毎回この調子で、すぐに群れは森の広場に集まってくれる。 群れに囲まれながら、ぱちゅりーが元気に挨拶をしてくれた。 「むきゅ、おにいさん!ゆっくりしていってね!!」 「ああ、ゆっくりしていってね」 「あのこたちはきょうもげんきにいきてるわ!あまあまをちょうだい!」 「あまあま!!あまあま!!あまあまちょうだいね!!」 「まあ焦らないで、まずは確認してからだよ」 「むきゅ、こっちにどうぞ!」 ぱちゅりーの後につき、僕とさくやは川べりの岩場に歩いていく。 その後を、涎を垂らした群れがぞろぞろとついてくる。 岩場の壁面に、川に面して大きくへこんだ洞窟状の空間。 そこにあの一家はいた。 すっかり大きくなった子ゆっくり達を含め、十匹が欠けることなく揃っている。 「むきゅ、ごらんのとおりよ。いっぴきもえいえんにゆっくりさせていないわ」 「うんうん、さすがだね。ありがとう」 「ゆゆっ!!おにいさんだよ!!あまあま!!はやくあまあまぁ!!」 洞窟の奥で十匹に群がっていたゆっくり共が、涎を撒き散らしながらこちらに向かってきた。 「ああ、今週の分のあまあまだ。たっぷり食べていってね!」 そう言い、リュックから大量のクッキーやチョコレートを地面にぶち撒ける。 長のぱちゅりーを始め、はふはふうめうめ言いながらゆっくり共が群がり寄る。 僕とさくやは洞窟の奥に進み、一家と対面した。 「やあ、みんな。ゆっくりできているかな?」 「ゆ゛………ぶ…………おぼっ…………」 「おびっ、おに゛………おに、いざっ……………」 「ゆぐじっ、ゆっぐ…………じだ……ぃぃ」 「……お、でが………ごろっ、ごろ………じでぇぇぇ…………」 岩壁に、一家が数匹ごとに間隔を開けて縛り付けられている。 二匹の子ゆっくり(といっても、もう全員がバレーボール大になっているが)が、 ロープで仰向けに縛り付けられ、フックで口を限界まで開かされている。 最初に家族に虐められた、あの子まりさと末っ子れいむだ。 「おごぉ………ぼ………ぶぼぉ…………」 「ゆぶう゛う゛う゛う゛う゛、ぼぶう゛う゛う゛う゛」 どちらも両方の目を抉り出されていたが、 僕の来訪を感じ取っているらしく、呻き声をあげながらちぎれかけのもみあげを弱弱しく振る。 口の中にみっしりと詰められている内容物のせいで喋れず、傷だらけの舌が先だけ出してへろへろと弱弱しく踊る。 言いたいことはわかりきっている。「助けて」「殺して」。むろん、どちらも叶えてやる気はない。 「ゆっ、ゆっ、おちびちゃん、うんうんはここでしようね!!」 「きゃわいいれいみゅのしゅーぱーうんうんたいみゅだよっ!!うんうんでりゅっ!!(モリッモリッ)」 「ゆわあぁ!!まだしないでねぇ!!ちょっとまってねぇぇ!!」 赤ゆっくりを頭に載せながら、れいむが跳ねてくる。 縛られている子ゆっくりの丁度眉間のあたりに子供を乗せると、れいむは促した。 「さあ、ここでうんうんしてね!!」 「うんうんちゅっきりー!!(モリュリュン)」 「ゆ゛ぶう゛う゛う゛ぅ………」 口内に新しいうんうんをひり出され、子まりさが屈辱と悪臭にぶるぶる震える。 脱糞した直後、赤ゆっくりがすぐに泣き喚く。 「ゆぴぇええん!!くちゃいよおおぉぉ!!」 「ゆぅ……うんうんつまりすぎだよっ!!おちびちゃんがゆっくりできないでしょ!! おといれさんはさっさとうんうんかたずけてね!!すぐでいいよっ!!」 「ゆぼっ!!ぼぼぉぉ!!」 口の中に詰まっているうんうんの固まりを呑みこませようと、れいむがおといれゆっくりに体当たりをする。 そのたびに呻き、むせ返りながら、必死にうんうんを呑みこもうとしてびくびくと跳ねる子ゆっくり達。 体中に刻まれた傷痕の中に、今回も新しい生傷が見受けられる。 逆らったりしようものならただちに制裁されるのだ。 足を運び、次の三匹のところへ向かう。 「んほおおおぉぉぉ!!ごみくずまむまむいいわあああぁぁぁ!!」 「ゆぶぐうううぅ!!やべで!!いやあああぁぁずっぎりじだぐだいいいぃぃ!!」 「とかいはなあいをそそぎこんであげるわねえええぇぇえぇすっきりいいいぃぃぃ!!」 「「ずっぎりいいぃぃ!!!」」 こちらの三匹はやはり縛り付けられ、まむまむとあにゃるを突き出した状態で固定されている。 そのまむまむにありす種が一匹ずつ取りついて腰を振っていた。 今、精子餡を注ぎこまれたれいむの腹が膨れ、二匹のまりさの方は植物型で頭から茎が生えている。 れいむの茎のほうはありすが折り取り、むしゃむしゃと咀嚼し、飲み下してしまった。 「むーしゃむーしゃ、それなりー!!」 「ばり、ばりざのあがじゃあああああ……………」 「んもうっ!こんなとかいはなあいをわけあたえてあげてるのに、なくなんてとかいはじゃないわ!! さあ、だいにらうんどよおおおおんっほおおおお!!」 「やべで!!やべでええぇ!!にんげんざん!!おにいざんだずげでえええぇぇ!!」 助けを求めてくるが、僕は答えない。 三匹のありすはさんざんにすっきりを繰り返し、植物型妊娠で生まれた子供を食べ尽くしてしまうと、 帰りがけに僕に挨拶してから行ってしまった。 この三匹のありすは、別にレイパーではない。予備軍ではあるが。 レイパーであったら群れにはいられない。 ありす種特有の強烈な性衝動を持て余した個体がここにやってきてすっきりをし、レイパーにならないように発散しているのだ。 ありす種に限らず、性欲処理のためにここにやってくるゆっくりは多い。 特にすっきり制限が課される冬籠り直前の時期は混雑が予想された。 並はずれて性欲の強い生き物であるゆっくりにとって、性衝動にからむトラブルは多い。 そのトラブルが、この性処理用ゆっくりの設置で驚くほど減少したと、長のぱちゅりーが喜んでいた。 次の三匹。 「ゆぢぢぢ!!ぢぢぃ!!ばっびびぃぃ!!ぢーっ!!」 「きゃわいいれいみゅのうんうんをかたじゅけさしぇてあげりゅよ!!こうえいにおもっちぇにぇ!!」 「ぴょぴょぴょ!ちーっ!!ちーっちーっ!!ゆぎゅじっ!!」 「しゃっしゃとまりしゃしゃまをゆっくちさしぇりょおおぉぉ!!ごみくじゅううぅ!!」 「ゆ゛ひぃ…………あ゛ひぃ………… おで、が……やずばぜでぐだじゃい………ぼう、ぼう、みっがも……ねでないんでずぅ……」 「ゆはあああああああぁぁぁぁ!!!!?にゃにいっちぇるにょおおおぉぉ!!?ばきゃなの?しにゅの!?」 「おみゃえみちゃいにゃごみくじゅにやしゅみなんちぇあるとおもっちぇるにょおおおぉぉ!!?」 「ぢぢぃ!!びぃ!!ゆぢぢーっぢーっ!!ぽびぇえぇ!!」 「あ、ああぁ………おちび、ちゃ……うんうんしちゃだべぇぇ………」 岩壁の一角に、プラスチック製の柵で仕切られた空間。 その中で、三匹の子ゆっくりが、数十匹の赤ゆっくりに囲まれて右往左往している。 群れの「ほいくじょ」の管理を、この三匹は任されている。 とはいえ、可愛い子供を、飾りのないゴミクズに預けるゆっくりなどいない。 飾りがなかったりどこかが足りない状態で生まれた未熟児や、 ゲス気質を現した子ゆっくりが、すべてこの「ほいくじょ」に預けられるのだ。 多産のゆっくりは、未熟児を産み落としたり、子育てに失敗してゲスにしてしまうことが多い。 忍耐力のないゆっくりは、たとえ我が子でも、そんな出来損ないはさっさと処分したがるものだ。 しかし、ほとんどの群れでは、「ゆっくりごろしはゆっくりできない」という掟があり、 殺すことはタブーとなっており、それを破ればゆっくりできない制裁が待っている。 そのため、嫌々ながら未熟児やゲスを育てるのが通例だったが、 ここでは、そういう厄介者はすべて「ほいくじょ」に預けられることになった。 実質捨て子なのだが、名目上は、子育てをサポートする施設である。 そして、ここで子ゆっくりが傷つけられたり死んだりしようものなら、 その責任はすべてほいくじょの管理者、この三匹に負わされることになる。 「あみゃあみゃよこしぇ!!ごみくじゅ!!」 「いだいっ!やべ、やべでねぇ……!」 「はああああぁ!!?いみゃれいみゅにめいりぇいしちゃにょおおぉ!!? ごみくじゅが!!こにょこうきでうちゅくちいれいみゅに!!めいりぇいしちゃにょおおお!!?」 「がまないでええぇ!!ゆぐううぅぅ!!あ゛ーっ!!あ゛あ゛ーーっ!!」 三匹は、数十匹に上る赤ゆっくり共に常時全身を噛まれている状態だ。 しかし、逆らったりしようものなら群れからの制裁が行われる。 子ゆっくりを傷つけず、つねに攻撃されながら世話しなければならない。 常にあちこちで、赤ゆっくりが眠れないだのお腹がすいただの泣き喚く。 そのたびに必死でぺーろぺーろしてなだめようとするが、 自尊心だけは例外なく始皇帝レベルの赤ゆっくり共は、飾りのないゴミクズに慰められることをよしとせず、 逆に舌に噛みつき返し、それによって憂さを晴らす。 それが三匹の子育てだった。 こちらの赤ゆっくりが眠れば、あちらの赤ゆっくりが起きだして叫ぶ。 朝から晩まで休みなしの無間地獄だった。 涙を流し涎をこぼし、ゆひいゆひい呻きながら這いまわる三匹の表情は疲労困憊を通り越し、もはや死相といっていい。 そこまでしても、赤ゆっくりは実にたやすく死ぬ。 たった三匹で百匹近くの面倒を見ることなどできるはずもなく、 狭い空間で他の赤ゆっくりに押しつぶされたりいじめ殺されたり、未熟児ゆえの自然死もあり、 赤ゆっくりは毎日しょっちゅう死んでいる。 そしてそのたびに、しっかりとチェックしている親たちになじられ、三匹は群れから制裁を受ける。 「ゆ゛っ……ゆ゛っぐ………ゆっぐじ、じだいいいぃぃ…………」 泣きじゃくりながら、子ゆっくりは赤ゆっくり共の食糧を調達するために、 やや離れたところに縛られた両親のところへ這いずってゆく。 その後について、両親のところへ向かう。 仰向けの状態で拘束されたまりさとれいむの夫婦は、近づいてくるわが子の姿を認めて弱弱しく首を振っていた。 「やべで………やべでぇ…………れい、むぅぅぅ……」 「おでがい………ゆぐじで…………ぼう、いやあぁ」 「いだいの……ぼんどに………いだいいのおおおお」 「ゆぐっ………ゆぐっ………ごべんで……ごべんでぇぇ………」 仰向けの夫婦は、その腹に、縦に裂かれてできた大きな傷があった。 そして頭と尻にフックをつけられ、岩壁の上部から吊り下げられて、腰のところで折り曲がった状態だ。 腹の傷はなかばふさがりかけていたが、 ほいく係の子れいむがまりさの傷口に口を近づけると、ぶりんぶりんと尻を振って抵抗しだした。 「やべでぇ……!おでがいいぃ………いだいの、いやあぁぁ……!!」 「ごべんで……ごべんで………あがぢゃんの、ごばんざん………だがら……… あがぢゃん、ぞだでだいど……でいぶが、でいぶが、ぜいっざいっざれるんだよぉぉ………」 「やだよおぉ!!ぼういやあぁぁ!!ゆっぐじでぎだい!!ゆっぐじじだいいいぃぃいぎゃあああぁぁ!!」 ブチブチブチ…… 癒えかけていた腹の傷を、子れいむが口に咥えて引きちぎる。 激痛に絶叫し身をよじるまりさの腹をこじ開け、露出した餡子を舌ですくいあげる。 「あごっ!!おごっゆぼぼっ!!ゆぶっ!!あがっばっゆがががががが!!」 「ごべんで……ごべんで……べーろ、べーろ…………」 「いぢゃいいぢゃいいぢゃいいぢゃいいぢゃいいぢゃいいぢゃあああああぁぁぁゆがばあああああ!!!」 内臓をほじくり出される痛みに、口から餡子を吐き出して悶絶するまりさ。 しかし、傷口を巧みに上に向けられているために、中の餡子が必要以上に漏れだすことはない。 「中枢餡が破壊される」「体内の餡子を三分の二以上失う」、この二つのどちらかの条件が満たされないかぎり、 ゆっくりというものは驚くほどの耐久力を見せ、なかなか死なない。 傷口を上に向けてこぼれないようにする、たったこれだけで、定期的に餡子を取り出せる便利な食糧庫が完成する。 そしてその中身は、日々与えられる想像を絶する苦痛によって甘くなりきった餡子だ。 赤ゆっくり達の食糧のみならず、 この三匹の餡子は、群れのゆっくり達にも愛好されていた。 そんなにすぐには補充されず、一度に供給できる量には限りがあるので、 定期的に行われる群れの集会において、特別ゆっくりできることをしたゆっくりにのみ、 褒美として群れの長から分け与えられることになる。 その餡子が食べたいばかりに、群れのゆっくりは掟を守り、この群れは実に順調に運営できているようだった。 ある程度まりさの餡子を掻きだすと、子れいむは母親のもとへと這いずっていく。 次の食糧庫れいむが甲高い歌を奏ではじめた。 この十匹の体には、それぞれ岩壁上部に備え付けられたタンクから伸びたコードが繋がっている。 タンクの中身は、群れには「生命維持のためのゆっくりできない薬」と伝えてあるが、 要するにオレンジジュースである。 点滴の容器を応用し、少しずつそれぞれの体内に注入され、生命活動を維持するようにしてある。 ゆっくりを味わえない程度に、少しずつ、少しずつだ。 そのタンクにオレンジジュースを補充する。 言うまでもなく、これらの仕掛けを考案、実行したのは僕だ。 ぱちゅりーの要請に応える形で、僕はいろいろ手助けしてやった。 人間からゆっくりを預かるぱちゅりー達は最初、萎縮していたが、 飾りのないゆっくりできないゆっくりだとわかると、さすがに抗議してきた。 「むきゅ、このゆっくりたちはゆっくりできないわ……」 「おかざりのないゆっくりだよ!!ゆっくりできないよ!!」 「こんなごみくずどもがむれにはいっていいとおもってるのかぜぇ!?」 「ゆーっ!でも、いれないとあまあまがもらえないよ……」 「ゆうぅぅぅ……!!でも、こんなやつらのめんどうなんかみたくないよ………」 飾りなしの面倒は見たくない、しかしあまあまは欲しい、 そんなジレンマから眉をしかめるゆっくり共に、僕はさらに念を押した。 「そんなに悩まなくていいんだ。たいした面倒は見なくていい。 生きていれば、いいかい、生きていてさえいれば、あまあまを持ってきてあげるからさ!」 毎週末に、僕はここにやってきて一家の様子をチェックする。 一家は当初から、群れの中では虐げられていたようだった。 露骨に悪罵を浴びせられ除け者にされ、視界に入ったというだけで体当たりをされる。 それでも長のぱちゅりーが、まがりなりにも人間からの預かり物だということで、 群れをなんとか抑えていた。 しかし、僕がやってきて家族の様子を見ても、 生きてさえいれば文句を言わずにあまあまをくれるのを見て、 群れはどんどん増長して、一家に対する虐めをエスカレートさせていった。 そのエスカレートを僕は喜び、ぱちゅりーを褒め称えた。 群れのストレス解消を推奨する、ゆっくりできる群れ長だと。 あとは、ぱちゅりーのアイデアに従い、一家に処置を施した。 岩壁に縛り付け、オレンジジュースの点滴で生命活動を保証し、 ここで虐げられ続ける生活を送ってもらうことになった。 そして三か月、今日もこの家族は元気に苦しみ続けているようだ。 「やあ、みんな、ゆっくり出来ているかい?」 僕が声をかけてやると、家族は泣き咽び、命乞いをする。 「だずげでぐだざい!!だずげでぐだざい!!ぼう、ぼうげんがいでず!!ゆっぐじじだいんでず!!」 「おにいざん!!おにいざぁん!!ごろじで!ぼう、ごろじでよおおぉ!!いやだよおおおぉぉ!!」 「あごっ!!ごぼっ………ゆげっ……!!おで、がいっ……ごろ、じで……」 「ごべんだざい……ごべんだざい………おにいざんごべんだざい………ゆっぐじでぎだいごびぐずでごべんだざい……… あでぃずをごろじでごべんだざい………でいぶも……でいぶも、ごろじで、ごろじでぐだざいいいいぃぃぃ」 「ゆっぐじ、ばんっぜいっじでばず……あでぃずをいじべでぼうじわげありばぜんでじだ…… づぐないばず……いっじょう、づぐないばず……だがら、だがら、だずげで………だずげでぐだざい………」 「うんうん、だからそこで一生償っていってね!」 「「「「ゆ゛んや゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」」」」 こいつらの懇願もすっかりワンパターンなルーチンワークになった。 もともとゆっくりのことで貧困な語彙なのだが。 うんうんを咀嚼しながら、空洞となった眼窩から涙を滝のように流してもみあげを振る子ゆっくり。 全身を赤ゆっくりにかじりつかれながら柵にしがみついて懇願する子ゆっくり。 口から餡子を断続的に吐き出しながら、弱弱しい声で命乞いする夫婦。 立ち去ろうと僕が体の向きを変えるだけで、一家はいよいよ必死に体を蠢かせて声を上げる。 毎週の僕の来訪、それだけが一家の希望なのだ。 僕に許してもらい、この地獄から解放してもらおうと、全身全霊をかけて詫び、乞う。 僕は座りこんで、にやにやと笑みを浮かべながら一家を眺める。 絶対に許してはもらえない、自分たちの懇願をせせら笑い楽しんでいる、 それがわかっていながら、それでもなお懇願するしかない一家。 みじめで無様なその姿を、僕はとてもゆっくりした気分で眺め続けていた。 「おでがいじばず……いっじょうの、おでがい、でずぅ………ごろじで……ごろじっ、でぇ……」 「ぼう、いいでじょお……だっぶり、ぐるじんだよおおぉ…………おわびじだよおおぉぉ…… あでぃ、あでぃずだっで………ごんなに、ごんなに、ぐるじんでないばずだよおおぉぉ………!」 「ごびぐずのぶんざいであでぃずをいじべでごべんだざい!! にんげんざんにばなじがげでごべんだざい!!にんげんざんのじがいにばいっでごべんだざい!! いぎででごべんだざい!!うばれでぎでごべんだざい!!だがら、だがらごろじでええぇぇ!!じなぜでえええええ!!!」 「ぼういやだよおおおお!!いぎるのいやだよおおおお!!いぢびょうだっでいぎでいだぐないよおおおお!! じにだいよおおおおおおお!!だんでじだぜでぐれだいどおおおおお!!? ばりじゃなんでなんのやぐにもだだないのにいいいい!!めいわぐがげるだげでじょおおおおお!!? だがらじにだいのにっ!!じぬのに!!なんでじぬのをじゃばずるのおおおおおおおおおぉぉぉぉ」 「おにい、ざん………ぼんどうに、ぼんどうに、おでがい、おでがいじばず……じばずがらぁ……… ごろじで、ごろじでぐだざいいぃ………あわれなごびぐずを、どうが、どうが、おでがい、おでがいじばずうぅぅ」 「う~~~~~~~ん………どうしよっかなぁ~~~~~~~~~」 僕は立ち上がり、うんうん首をかしげながらしばし考えたあと、 一家の前で両腕をクロスさせて満面の笑顔で答えてあげた。 「うん、ダメぇ~~~~~~~~~~♪」 悲しみ、絶望、怒り、悔しさ、諦め。 これをやった時のゆっくり達の表情は、何度見てもなんともいえない味わい深さがあるのだった。 ――――――― 「さて、あとどれだけもつかな、あいつら」 「………」 帰路、助手席のさくやは黙りこんでいる。 「さっきから塞ぎこんでるな、いつもの事だけど。 どうだ、さくや、ゆっくりできたか?」 「……………」 「泣き叫ぶあの家族を見て、どうだった?可哀想か?それともすっきりしたか?」 「………すっきりしました」 さくやは嘘をつかない。そこは信用できるやつだった。 「じゃあ、あの家族を虐めるあの群れは、僕はどうだった?ゆっくりできたか?」 「………いいえ」 「そうだろう。 虐めは楽しいさ。すごく楽しい。 ありすの復讐なんて言ってるが、結局は僕も、虐めが楽しいゲスだってことさ。 そしてさくや、お前もたぶんそうだ」 「………」 「僕がお前をあそこに連れていくのは、あの群れを見せたいからだ。 自分より弱い者をよってたかって虐めるその姿を見せるためだ。僕自身もね。 さくや、お前にはそんなふうになってほしくない。「ああなりたくない」、そう思ってくれ」 「おもってます。いえ、おにいさんはべつですけど」 「弱い者を虐めるのは楽しい。ゆっくりも人間も同じだ。 歴史を見てみれば、人間だってゆっくりとそう変わらない。 僕が愛したあの最初のありすも、飾りがない同種を見つければ虐めたくなっていたのかもしれない。 今、僕の家にいるゆっくり達も、なにかの拍子でいじめたい欲望が頭をもたげてくるかもしれない。 そんな時は、あそこに連れていくつもりだ。 あの群れは、お前たちの教材だと思ってくれたらいい」 言いながら、自分へのかすかな嫌悪が頭をもたげる。 最愛のありすを殺されたことで逆上し、それまで知らなかった自分を見た。 ゆっくりの家族をあそこまで虐げ、それを楽しんだ自分に、 冷静になった今でも、あの家族を許してやる気にならない自分に多少ぞっとする。 あまあまの味を知ったあの群れのその後がどうなるかも知ったことじゃない。 この期に及んで取り繕いはすまい。 これは制裁でもなく、正義の鉄槌でもなく、より強い者が弱い者を食い物にしただけのことだ。 僕のしたことはあの家族と同じだった。 この復讐劇はこれかぎりだ。 この件以後、野良ゆっくりには関わることなく、 飼っているゆっくり達の面倒を最後まで見て、それで終わりにしよう。 本当にそうか? 嗜虐の快感を知った僕が、一生この衝動を隠し通せるものか? なにかの拍子で、たとえば今飼っているゆっくりが危害を加えられたとしたなら、 その復讐を免罪符として、嬉々としてまた繰り返すんじゃないのか? そんな僕が、飼いゆっくりや子供たちに「虐めはよくない」と説教する資格があるのか? 「ははは」 自嘲の笑いが漏れ、さくやが怪訝な顔を向けてくる。 その頭を撫でてやりながら、僕は一人で頷いた。 そうするしかない。 自分にその資格がないとわかりながら、それでも子供たちの前では立派な顔をしていなければならない。 それが大人というものなんだから。 せめてこいつらの前では、「ゆっくりできるおにいさん」でいよう。 今はそれで充分だ。 〔終〕
https://w.atwiki.jp/slowlove/pages/857.html
かわいいゆっくりゲットだぜ!!外伝-中(ありがとうなんだぜ。れみりゃ) ゆっくりれみりあ(れみりゃ)の捕食種設定ありです。俺設定もありです ひどいあつかいのゆっくりと性格の悪いゆっくりや悪魔のような性格(?)のゆっくりがいます それでもよければどうぞよんでください れみぃと呼ばれるれみりゃは、自分の育ての親達を愛していた 迷子になった自分を連れて旅をしながら育ててくれた2匹には心から感謝していた だから、2匹のうちの1匹がいったことを何も疑いもせずに信じてしまったのだ そして、れみぃの本当の苦労は…その時から始まったのかもしれない では、本編開始です ある林の中の小屋、そこには数十匹のゆっくりと呼ばれる生物がすんでいる。 まんじゅうが生命を持ったでたらめな生き物…それがゆっくりと呼ばれる生き物である だが、その小屋の中のゆっくり達は名前と違って全くゆっくりしていなかったその理由は… その群れのリーダー格の50cm台のまりさはいくつかの問題を抱えていた。 一つ目の問題、越冬の食料が全然足らないのだ 二つ目の問題、誰でもゆっくりできる場所があると聞いたゆっくりが集まってくるのだ 三つ目の問題、…それはこの小屋の屋根裏にいるのだ そして、屋根裏からは楽しそうな声が聞こえてくるのだった 「うーうー♪ まんまぁー♪ 」 「むきゅ!れみぃは、ほんとうにゆっくりできるわね。わたしたちのじまんのこどもよ♪」 「こぁ、れみぃさまおいしいごはんをありがとうございます♪」 …食糧問題を抱える下のフロアーのゆっくりとは逆の楽しそうな声が聞こえてくる。 何故、このような状況になったのだろうかとまりさは悩んでいた まりさは屋根裏の3匹が群れに加わった時を思い出していた。 少し前までまりさはぱちゅりー達が隠している食糧があればゆっくり冬が越せると考えていた。 だが、まりさ達がおうちの入り口付近で騒いだために天井が崩れてしまったらしい。 もちろん、食料は土の中に埋まってしまったらしい。 その直前に出てきたぱちゅりーは自分たちのおうちが崩れたのはまりさたちが原因だから一緒に小屋に住むといい始めた。 まりさは表面上では反対していたが、内心で予定とは違うがれみりゃがいれば食糧問題は解決すると喜んでいた 群れの数は、大人が10匹で子供の数は赤ゆっくりを含めて40を超えている。 子供が大人になれば現在の食料では足りなくなるのが確実だった。 このゆっくりプレイスを手に入れたときに安心して子供を作ってしまったのが問題だったのだろうか… 時期的に食料調達ができる時間はあと少ししかない 食料調達係としてぱちゅりーの知力と手下のれみりゃに相談してみるかと考えながらまりさは眠りについた 次の日の朝にぱちゅりーが群れのみんなに提案をしてきた。 「むきゅ、これからしょくりょうちょうたつのためのぐるーぷをはっぴょうするわ」 そういうとぱちゅりーは群れ全体の食料調達の説明を開始した れみりゃは、木の上に残っている果物や木の実を集める係 体力のあるまりさとみょんとちぇんは森の中や川付近までいって虫などの生き物を調達する係 ありすはこぁと一緒に食べれる茸や山菜を覚えながら探しに行く係 子ゆっくりは、ぱちゅりーとれいむ種と一緒に地面に落ちている枯れ葉や枯れ草などの暖房道具とどんぐりなどの木の実を集める係 赤ゆっくりは、残りのれいむが面倒を見てあげる。子ゆっくりの係と交代制 まりさとしてはリーダーのように振舞うぱちゅりーに不満があった。 だが、自分自身の意見を持っていなかったのでぱちゅりーの意見を聞くことにした。 適材適所のこの作戦は、うまく作用して順調に食料を集めることができた そして、1週間が過ぎて冬ごもり開始の直前には小屋の中のゆくっりのいないスペースに木の実や茸と虫が小さな山のように集まっていた。 床にはみんなで集めた枯葉や枯れ草がひかれていてとても暖かい。 詰まれた食料を満足そうに見ながらぱちゅりーは群れのみんなに語り始めた 「みんなよくきいてちょうだい! これでふゆごもりのじゅんびがおわったわ!」 「「「「「ゆっくり、りかいしたよ!!」」」」 「このしょくりょうをじょうずにたべていけばふゆはこすことができるわ!」 「「「「「ゆっくり、りかいしたよ!!」」」」 「ぱちぇとこぁとれみぃはこやをでるけど…みんなはゆっくりしていってね!!」 「「「「「ゆっくりしていってね!!!…ゆっくり、りかいできないよ!?」」」」」 ぱちゅりーの発言に混乱している群れのゆっくりを無視してぱちゅりーとこぁとれみぃは小屋を飛び出していった その場所に残っているのは混乱しているゆっくりの群れだった。 その中であのリーダ格だったまりさが最初に冷静になった 「ゆっくりおちつくんだぜ!ごはんさんがこれだけあるんだからふゆさんがきてももんだいないんだぜ!」 その言葉に落ち着いたゆっくり達はゆっくりと好きなことをしはじめた。 まりさ種・みょん種・れいむ種・ありす種のおとなや子供たちがゆっくりとしている… その様子をみたまりさは考えていたこれからの幸せな冬ごもりの日々を・・・ 一方、そのころのぱちゅりー達 ゆっくり達のおうち(人間の小屋)から抜け出したぱちゅりー達は自分たちのおうちのあった場所の近くの大木に来ていた 周りを見回した後に咳き込みながらぱちゅりーはしゃべりはじめた。 「ケッホケッホ、ここまでくればだいじょうぶね」 「こぁ、だいじょうぶですか?ぱちゅりーさま」 「うー! うー! うー? うー!?」 「だいじょうぶよふたりとも…はやくいえにかえりましょう。わたしたちのゆっくりぷれいすへ」 「こぁ、ゆっくりわかりました♪」 「うーうー♪ まんまぁー♪」 そういうとぱちゅりーはこぁとれみりゃに木の根元あたりを掘るように指示を出して自分は周りに注意を払った。 5分ほど経つと木の根元にゆっくりの通れるぐらいの穴ができていた 「さあ、ゆっくりなかにはいるわよ」 「こぁ、ゆっくりわかりました♪」 「うーうー♪ まんまぁー♪…う、う、う…」 3匹は穴にはいるとそこにはゆっくりとした空間と奥に行く道が何本かあった 全員が入ったのを確認するとぱちゅりーは入り口に枯葉と木の板を置いて外敵にばれないようにカモフラージュをした 疲れたので奥の部屋でゆっくり休むと部屋を出て行った 「うーうー♪ まんまぁー♪…う、う、う…」 「こぁ、いなくなりましたね。れみぃさまやくそくはおぼえていますね?」 「…う、う、う…」 れみぃは約束のことを思い出して悲しくて泣きそうになるのをこらえた。 約束とは1週間ほど前にさかのぼる巣の裏口を破壊した時の約束の事だった。 「こぁ、れみぃさまにおねがいがあるのです」 「うーうー♪ うー?」 「こぁ、れみぃさまにこのすからでていってほしいのです」 「う、うぁ?」 「れみぃさまがいるとたのゆっくりたちにまんまぁーたちがゆっくりできなくなってしまうのです!」 「う、うぁ? 」 「こぁ、れみぃさまがいたおかげでむれをはなれてたびにでました。そして、このすにをみつけました」 「う、うぁ? 」 「でも、れみぃさまがいるためにおいだされそうになっています」 「うっぐ、ひっぐ……」 れみぃは泣きそうになりながら話を聞いていた 群れを出た理由は自分と一緒にいるためだった 柿の木の下に入れなかったのも自分のせいだった 外にいるゆっくりの群れに追い出されそうになってるのも自分のせいだ …ゆっくりできないのは誰のせいなのだろうか… 今までの楽しい出来事が両親にとっては自分がいたせいで両親がゆっくりできなかったことに気付いたのだ そして、たえきれずに泣き出してしまった その時に、こぁが耳元(?)に囁いてきた 「かんちがいしないでください。ちかくにすをつくってべつべつにくらして、はるにあえばいいのです!」 「……う~?」 「こぁ、ゆっくりりかいしてください!! ちかくにすをつくればはるになればまたあえるのです!!」 「うーうー♪ うー♪」 「では、ぱちゅりーさまがもどってくるまえにせつめいをしますね」 こぁの説明は、おうちの近くにある空洞の大木で冬をすごせばいいというものだった。 そこには非常食と防寒具も用意してあるという。 れみぃは家から出たくはなかったが、本当の母親の様においていかれるのではなくまたあえるのだからと自分に言い聞かせた。 そして、話しは今に戻る 「むきゅー!? おうちをでるとはどういううことなのれみぃ?」 「うっうー☆うあうあ☆」 「こぁ、ゆっくりりかいしてください!! れみぃさまはじぶんのおうちをつくられていたのです」 「むきゅー!? そこにすだちをしたいということなのれみぃ?」 「うーうー♪ まんまぁー♪」 こくこくとうなずくれみぃを見てぱちゅりーは納得がいかないようにこぁをみた。 確かに大きさや戦闘力ならばこの中で一番に違いない。 だが、少し前まで子供のようだったれみぃが一人で暮らせるのかが心配だった。 「ゆっくりとこぁにまかせてください」 「むきゅ…ほんとうにだいじょうぶなの?」 「こぁ、あくまでこあくまですから♪」 そういうとれみりとこぁは巣の裏口のひとつから出て行った。 木の根本に作られたこの巣は、うさぎやネズミによって掘られて出来たものだ。 木の根もとの大きな入り口とモグラが地面に出たときのような出口が二つある。 そのうちのひとつはこの前ぱちぇの手によって埋めてしまったのだが… 「れみりゃさま、つきましたよー」 こぁが案内した場所には落雷でも落ちたのか中に空洞のできた大木が倒れていた。 穴の大きさは人間でもかがめば入れるぐらいの大きさだった。 奥のほうには、毛布と大量の食料が置かれている 「うーうー♪」 「こぁはかえりますが、なにかあったらこぁたちのおうちにかえってきくださいね」 「うーうー♪」 わかったという様にれみぃは頷き返してた こぁはそれをみてパタパタとぱちゅりーのおうちへと戻っていった れみぃは自分がいなくなったことでまんまぁー達がゆっくりできると思い眠りについた。 夢の中では自分の本当の母親の胴体付きれみりゃや兄弟達、 それにこぁまんまぁーとぱちゅりーまんまぁーと一緒にさくやの作ったぷっでーんを食べる夢を見ていた。 そして、時間は過ぎていき11月が終わり、12月の暮れとなった。 ぱちゅりーの巣 「むきゅ、もうすぐ、くりすますね。くりすますにはさんたさんがいいものをくれるのよ」 「こぁ、ぱちゅりーさまにおねがいがあるのです。」 「むきゅ、なんなのいってみなさい」 「こぁ、えさのもんだいもないのにこのすでふたりですむのはさびしくありませんか?」 「むきゅ、れみぃがいないとひろいわよね。このすは・・・」 「こぁ、さんたさんではなくぱちゅりーさまにおねがいがあります…こどもをつくりましょう」 「そうね、しょくりょうももんだいないし…ふたりはさびしいわ」 そして、彼女たちが子作りを開始した。 こぁは今までの苦労を思い出していた。 川の土手にすんでいた時、まりさが好きなぱちゅりーを自分に振り向かせる方法を悩んだ日々。 土手を離れるためにれみぃを利用してしまった事に対する後悔 3匹でのつらくも楽しかった日々 ぱちゅりーと二人きりになりたくてれみぃを追い出してしまった事に対する後悔 この瞬間のおかげですべての苦労や後悔が報われた気がする。 「こぁ、あくまでこあくまですから♪」と内心で舌を出す小悪魔がいた 年が明けて1月、話は大量に増えてしまったゆっくり達とれみぃと呼ばれたれみりゃに戻る 大量のエサに満足した群れでは、若い越冬を知らない世代のゆっくりがすっきりを行い続けた。 植物型にんっしんっであり9・10匹の子供をそれぞれが授かる事となった。 大人が25匹、子供が40匹、赤ゆっくり30匹、蔦の子供が40匹に増えていた 床がバレーボールやソフトボールやミニトマトで埋められているような状態だ。 さすがにまずいと思った各種のリーダーの相談の結果、子作りを禁止にした。 冬籠もり中の餌不足は抗えぬ問題であった。 しかも巣周辺の食べられそうなものはすでに取り尽くした状態である。 妊娠した子供を持つ親はえさを取りに行く事ができない。 遠出をしても往復に時間が掛かるため量も沢山は採れず、取ってきた分はその日の内に消える。 加えて雪が降る日もあるので食料探しにいけない日もある 最近では、初めての子供のために頑張ろうとして力尽きたのか帰ってこない成体ゆっくりも増えてきた。 中には自分の寝具である干し草を食べたゆっくりもいる 怖がって食料調達にでないゆっくりもでてきている。 「どぼじでごはんがすぐな゛いのお゛ぉぉぉぉ!!」 「おかーしゃんおにゃかへっちゃよ!!」 「しゃっしゃとごはんもっちぇきてね!!」 「しゃむいよ! あったたかいかれはさんがないよ!」 「まりしゃもおふとんでねちゃいよ!」 ボロきれのようなシ-ツと中身がこぼれだしているフトンもあるが赤ゆっくりと小さな子ゆっくりで埋まってる 巣に轟く親の絶望の叫びとご飯も満足に出せない親への不満を口々に吐き出す子供達の叫び声が響いていた。 その状態にリーダー格のまりさは困りはてていた。 残りの保存食は、最低源の食料を食べたとしても半月もたないだろう。 ぱちゅりーが用意したのは冬ごもり前の子供が成長しても足りる分の食料を用意した。 だが、現在のゆっくりの数は冬ごもり前の2倍を越えているのだ。足りるはずがない。 「こまったんだぜ…」 どんなに悩もうと食料が出てくるはずもなく相談できる相手もおらず途方にくれるしかなかった 「まりさ、そうだんがあるんだよ。」 「いってみるんだぜ。れいむ」 そこには越冬を経験をした事のある1匹のゆっくりれいむがいた。 彼女は優秀でいつも他のゆっくりよりも多くの食料を拾ってきてくれる。 彼女の話したこと驚きの内容だった。 まりさは現在、それぞれの種でリーダー的役割になっているちぇん・みょん・ありすをよんで事情を話した れみぃと呼ばれたれみりゃの巣 「うーうー♪ うーうー♪」 巣の中でごろごろと転がっているゆっくれみりゃは上機嫌だった。 今日はあのゆっくりは来るのだろうかと最近、仲のよくなったゆっくりれいむのことを考えていた。 巣の食料をわけると喜んでくれて一緒に歌を歌ったりして遊んだ。 足音が聞こえるので外にでて木の上から近づいて脅かしてやろうと木の枝に隠れた。 だが、普段と様子が違うし人数も多い。 「ここにれみりゃのすがあるのかだぜ」 「そうだよ。いつもごはんをわけてくれるんだよ」 「こわいんだよー。はやくにげたほうがいいんだよー」 「ちんぽ!」 「とかいはなのだから、みんなでゆっくりなかにはいりましょう」 そういって5匹のゆっくりは巣の中に入っていた。 この5匹は群れに最初からいた中心的なゆっくり達で越冬についての知識も多く持っていた。 そのために自分たちの状況を改善するために食料を少しでも増やそうと考えていた れみりゃの食料を分けてもらえればと考えてやってきたのだ その様子をみていたれみぃはどうしたのだろうかと後ろからそっと近寄っていた。 「おさないでちょうだい」 「わからないんだよ! ありすのうしろのはだれもいなんだよ!」 「うーうー♪ うーうー♪」 「「「「れみりゃだぁぁぁぁ---っ!!!」」」 驚いて巣から逃げようとしますが入り口にはれみりゃがいて逃げられません。 そんな中かられいむが前に出てれみりゃに話しかけます。 「ゆっくりおねがいがあるんだよ! ごはんさんがなくなりそうだからわけてほしいんだよ!」 「うーうー? うーうー!」 れみりゃはその場から少し離れた木の洞に止まると中から木の実や茸を取り出し始めた。 「このごはんを…くれるのかだぜ?」 「うーうー♪ うーうー♪」 そういうとコクコクともっていけというように首を振ります。 「できればもっとほしいんだぜ。さがしてくれないんかだぜ!」 「うーうー? うーうー!」 れみりゃはあちらに行けと促すように首を左に振ります その先にあったのは松の木でした。 れみりゃは木の上に上ると松の実(まつぼっくり)を落とし始めました 5匹はそれをすごい勢いで食べはじめた。 少し硬いが空腹の5匹にとっては久々のごはんだ 次にれみぃはヒラタケ(シメジ)を落としてきた。 この様子をみていたまりさは足の速いちぇんに仲間をつれて来る様に頼んだ。 銀杏の実や山イチジク(イヌビワ、食用)の葉などの食べられる植物を1箇所に集めた。 これだけの量があれば冬を乗り越える可能性が出てきた。 何日も同じことをすれば全滅の可能性が格段に低くなるはずだ。 「ありがとうなんだぜ。れみりゃ」 心からの感謝をれみりゃに言った だがその希望はちぇんの報告によってもろくも崩れ去ってしまった 下編かわいいゆっくりゲットだぜ!!外伝 1-下に続く 【あとがき】 作者名無しです。 なんか矛盾点が出ているのは、ぱちゅりーの話を私(主人公)が勘違いしたりしたり子悪魔の罠です… ぱちぇたちの冬眠する前の話と3話との間のれみぃと野生ゆっくりとの外伝です。 野生の生き物を書くのが面白くて驚いてます。文章下手ですが・・・ 下編はここで書いて問題ないか悩んでます。 書いたもの かわいいゆっくりゲットだぜ!! 1・2・3 外伝 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/futabayukkuriss/pages/1294.html
赤ありすと、まりさ一家 後編 83KB 家出 同族殺し 餡庫ンペ09参加作品 餡庫ンペ09参加作品です。 テーマは差別、キー要素は家出です。 「ふたば系ゆっくりいじめ 598 赤ありすと、まりさ一家 前編」の続きです。 作者はマ・あき。 以前「まりさがんばる」「まりさがんばった」を書きました。 赤ありすと、まりさ一家 後編 届かなかった。 お家には夜毎いしさんがぶつかってきた。 もう一家にも理解できた。 いしさんが、ゆっくりできないのではない。 ゆっくりできない、ゆっくりの仕業だ。 一家のお家に、いしさんをぶつけているのだ。 一家は満足に眠れない。 一家が外を出歩けば、赤ありすとそれを匿う一家を非難する声が聞こえる。 だが、面と向かって言ってくるゆっくりはいない。 声のする方を見れば、みんな黙って視線を外す。 気が滅入る。 姉妹と一緒に遊んでくれる子ゆっくりが減っていった。 最初は気のせいかと思っていたが、どんどん数が減り、今ではもう何匹も残っていない。 特に仲の良い子ちぇんと他に数匹だけだ。 姉妹だけで遊ぶことが増えた。 自分達は何も悪いことをしていない。 こんな状況も時間が解決してくれる。 一家はそう信じていた。 だが、あの飼いゆっくりがプレイスを訪れて無法を働く度、 一家への風当たりは強くなる一方だった。 一家が何もしなくても、一家には何一つ関係がなくても状況は悪化する。 最初に赤ありすが襲われたときには、味方のほうが多かった。 だが、今では味方はほとんどいない。 「むきゅむきゅん!もうすっかりいいわ。よくがんばったわね、おちびちゃん!」 「ゆん!ぱちゅりーおねーしゃんのおかげよ!」 「ぱちゅりー、ほんとにありがとうだよ! おかげで、おちびちゃんもすっかり元気になったよ!」 まりさ、赤ありす、おいしゃさまのぱちゅりーの三匹がゆっくりと話をしている。 ここは、おいしゃさまのぱちゅりーのお家だ。 最初の診察から、既に数回診察を受けている。 やっとぱちゅりーから、赤ありすの完治宣言がでたところだ。 ゆっくりしているのは、そればかりではない。 一家には、もうほとんど味方がいない。 そんななかで、このぱちゅりーは一家にも分け隔てなく接してくれる 数少ないゆっくりの一匹なのだ。 さらに、職業柄プレイスのゆっくりたちからの信頼も厚く、影響力も大きい。 このぱちゅりーが一家を差別しないことが、 多少なりとも一家への風当たりを和らげてくれていた。 赤ありすは勿論、まりさや他の姉妹にとっても、頼もしくもゆっくりした存在だった。 「むきゅ!いろいろ大変だとおもうけど、 こまったことがあったらいつでもいらっしゃい。 そうだんにのるわよ!」 「ありがとう、ぱちゅりー!とってもゆっくりできるよ!」 「ぱちゅりーおねーしゃん、ゆっくちありがとうにぇ! とっちぇもとかいはよ!」 ぱちゅりーのおかげで、ゆっくりした気分になれたまりさと、 そのお帽子の上の赤ありすは、 「ぱちゅりーはほんとうにゆっくりしてるね! ありすのケガもぜんぶなおしてくれたよ!」 「ほんとにぇ!ありちゅも大きくなったら、 ぱちゅりーおねーしゃんみたいにゃ、とかいはじょいになるにょ!」 「ゆふふふ!おちびちゃんなら、きっとなれるよ!」 「ゆん!それにしても、おとーしゃんのおぼうち、とかいはにぇ!とってもすてきよ!」 「ありがとうだよ。おちびちゃんにそんなこと言われると、まりさてれちゃうよ。 でも、ありすのカチューシャさんもとってもきれいだよ! しょうらいは美ゆっくりまちがいなしだね!」 「ゆぅぅん!」 帰宅途中の道すがら、ゆっくりとした会話を交し合った。 「ゆびっ、ゆび!ゆぐっ!ゆえええええん!」 「なかないで、まりさ・・・。むきゅぅぅぅ・・・。」 お家に辿り着くと、様子が変だ。 お家がぼろぼろだよ。 おちびちゃんたちが、泣いてるよ。 一体何があったの。 呆然とする、まりさと赤ありす。 お家がぼろぼろに壊され、そのお家の前で子まりさが泣いている。 子ぱちゅりーは、その子まりさを慰めているようだ。 だが、呆けている場合ではない。 親としての責任感からか、いち早く立ち直り、子ゆたちの安否を確認する。 「二人ともだいじょうぶなの?ケガはない?」 「むきゅうん・・・。だいじょうぶよ、おとーさま。 わたしも、まりさもケガはないわ・・。」 幸い二匹ともケガはないようだ。 「ゆぐっ!ゆええええぇぇん!まりしゃのお家しゃん・・・。 みんなのお家しゃんがぁぁーー!! こんなのひどいのじぇぇぇぇ!!! ゆぴぃぃぃーーー!」 しかし、子まりさはお家が壊されたことが余程ショックだったのだろう。 凄い勢いで泣き叫んでいる。 普段、陽気で腕白な子まりさだけに、余計に痛々しい。 「ゆぅぅぅ・・・。なかないでね、おちびちゃん・・・。 ・・・だいじょうぶだよ!お家ならまた、おとーさんがつくるよ! だから、ゆっくりしてね!」 「むきゅ!そうよ。こんなことでまけちゃだめよ!」 まりさと、子ぱちゅりーが口々に子まりさを慰める。 その甲斐あってか、やっと子まりさが泣き止む。 「ゆぐっ・・・。ま、まりしゃ・・・、もう泣かないのじぇ! ゆっくちするのじぇ!」 「そうだよ!ゆっくりだよ!」 「むきゅきゅ!むっきゅりよ!」 「「「ゆっくりしていってね!!」」」 お互いへのゆっくりしていってね、で落ち着きを取り戻した三匹。 まりさは、子ゆたちの安否確認に続き、何があったのかを二匹に尋ねる。 「むきゅ・・・。」 「だじぇ・・・。」 言い辛そうな二匹。 しかし、子ぱちゅりーが意を決して口を開く。 「むきゅう・・・。せいっさいっだそうよ。 ゲスの飼いゆっくりをかくまうゆっくりに・・・。」 プレイスのゆっくりたちが集まってきて、一家のお家を壊したときの様子を説明する。 「「ゆ!?。」」 まりさと赤ありすの驚愕の声が重なる。 「ど、どうして!?そんなのひどすぎるよ・・・! まりさたちはなんにもわるいことなんかしてないのに!」 まりさは思う。 ゲスの飼いゆっくりとは誰のことだ? 赤ありすは悪いことなど何もしていない。 自分達家族の誰一人として、断じてゲスなどではない。 だが、現実としてとうとうお家まで壊されてしまった。 ここに来て、例の飼いゆっくりが今まで以上に無法を働いているのだ。 人間さんの力を恐れ、飼いゆっくりには逆らえない。 だが、例外的に人間さんとはぐれてしまった(と思い込んでいる)、 飼いゆっくりの赤ありすならば、せいっさいっをすることができる。 おそらくそういった理屈で、その鬱憤が一家に回ってきたのだろう。 嫌がらせはエスカレートする一方だ。 時間が経てば徐々に落ち着き、 また元の穏やかな生活が戻ると考えていた自分は甘かったらしい。 このままでは、おちびちゃんたちに直接危害を加えてくるのも時間の問題だろう。 ここは最早、自分達一家にとってゆっくりプレイスではないのかもしれない。 「・・・・・。」 赤ありすは思う。 自分はゲスなどではない。 何一つ悪いことなどしていない。 一家のお家を壊される謂れなどない。 これはあまりに理不尽だ。 ・・・・。 だが、理不尽であれどうであれ、自分が原因なのは間違いがない。 自分が飼いゆっくりであるばかりに一家に迷惑が掛かる。 これからも迷惑をかけ続ける。 壊されたお家を見ていると、自分を始め、 まりさや姉妹にまで危険が迫っていることが嫌と言うほど理解させられる。 自分は一家にとって、疫病神なのかもしれない・・・。 その日は、ボロボロのお家の残骸と、近くで拾い集めてきたダンボール片や ビニール片で作り直した仮設のお家で過ごした。 「ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛。しゃ、しゃむいんだじぇ・・・。」 「むっきゅしょん!そうね・・・。それにお腹も空いたわね・・・。」 「ごめんね、おちびちゃんたち・・・。 明日になったら、お家も、ごはんもなんとかするからね。 今日だけはがまんしてね。」 「ゆ!ゆっくりりかいしたのじぇ! まりさはいいこだから、わがままいわないのじぇ!」 「むきゅん!ぱちぇもがまんできるわ! あしたはみんなで、ごはんをさがすのよ!」 「ゆゆーん!おちびちゃんたちは、ほんとにゆっくりしてるね! ・・ゆ!そうだよ!みんな、こっちにあつまろうね! ほら、みんなですーりすーりすればあったかいよ!」 「「ゆゆーん!!」」「・・・・・。」 赤ありすも一家と一塊になってすーりすーりしてみる。 お家はボロボロで隙間風が身にしみる。 冬に備えた備蓄のごはんもほとんどが持っていかれてしまった。 一人でさまよっていたとき以来の空腹が寒さに拍車をかける。 だが、そんなことは大して気にもならない。 今の自分には、とかいはなみゃみゃがいない。飼い主さんもいない。 未だに離れ離れのままだ。 恋しい。 なのに、今日まではとてもゆっくりできていた。 この、とてもゆっくりした一家と一緒だったから。 このゆっくりした一家と一緒だから、寒さも空腹も気にならない。 この一家と自分が、寒くてひもじい思いをするのは自分のせいだ。 飼いゆっくりの自分が一緒のせいだからだ。 なのに、この一家は誰も自分を責めない。 今も、こうして一緒にすーりすーりしている。 寒さも、空腹も気にならない。 気にならないくらい、ゆっくりできない。 寒さより、空腹より、ゆっくりした一家と一緒にいることがゆっくりできなかった。 理由は分からないが、とてもゆっくりできない。 一家と一緒にいることに耐えられないほどに。 赤ありすは、こんなに酷い目に遭っているのに、 自分を責めることさえしない一家と一緒にいることが何より辛かった。 赤ありすは、お家を出ることにした。 そして朝。 一番に目覚めたのは子まりさだった。 「ゆ゛−・・・。ゆっくりしていってね!!!おはゆっくりだじぇ!!」 「「「ゆっくりしていってね!!!」」」 「おはようだよ、おちびちゃんたち!」 「むきゅー!おはゆっくりよ!」 「ゆっくりしていってにぇ・・・。」 この一家とも今日でお別れだ。 自分で決めたこととは言え、気分の良い朝とはいかない。 僅かなごはんでの朝むーしゃむーしゃを終えると、 昨日話していた通りお家の材料集めや狩りへ行くことになった。 いつもは、まりさだけでの狩りだが、場合が場合だけに 姉妹もプレイスの中で草花など安全に採れるごはんを採りに行くことになった。 「それじゃ、おちびちゃんたちも、きをつけてね! おひるにはまりさも一度もどってくるからね! おちびちゃんたちもおひるにはお家にもどるんだよ! それじゃ、ゆっくりいってきます!」 「「ゆっくりいってらっしゃい!!」」 姉妹は、まりさを見送ると自分達も出かけることにした。 「むきゅ!それじゃ、いきましょうか! あまりとおくへいくのはきけんだから、 プレイスと川さんのさかいのあたりで狩りをしましょう!」 「ゆ!わかったのじぇ!狩りならまりさにまかせてほしいんだじぇ!」 「ゆっくちがんばろうにぇ・・・。」 プレイスと隣接する川原の辺りは、草花やむしさんが比較的多く採れる狩場だ。 川原へはゆっくりプレイスから直接移動でき、 危険の多い人間さんのプレイスに出る必要がないため、 子ゆっくりが狩りをするにはうってつけの場所だ。 「ゆっくりのひー、まったりのひー!」 「むっきゅん、むっきゅん!むきゅむきゅむっきゅん!」 「・・・・・・・・。」 元気にお歌を歌う姉妹。 元来陽気で忘れっぽいゆっくりである。 加えて、今日は天気もよく過ごしやすい。 ちょっとした冒険気分だ。 そうなった理由は、お家が壊されごはんの備蓄も奪われたため、 子ゆたちにも少しでもごはんを採ってきて欲しいという切実なものなのだが、 赤ありす以外の子ゆっくりたちは楽しそうである。 しばらく移動すると、川原にたどり着いた。 「むきゅん!それじゃさっそく狩りをしましょうか! おひるには一度もどるから、それまでにごはんをあつめるわよ!」 「ゆん!まりさはあっちでむしさんをとってくるのじぇ!」ぴょーん まりさは、一匹で先に行ってしまう。 「むきゅ!?もう、まりさったら! ありすはぱちぇとお花さんでもあつめましょ。」 「ゆゆー・・・。ありちゅ、あっちでひとりでごはんをあちゅめりゅわ。」 「むきゅー・・・。ありすは、まだひとりはきけんよ。 ・・・しかないわね。でもとおくへいったらだめなのよ!」 むきゅ。 もともと危険の少ない場所だし、あまり遠くへ行かなければ大丈夫ね。 思いの外、赤ありすが頑固なのを見て、子ぱちゅりーのほうが折れた。 「ゆん!ありがちょう、ぱちゅりーおねーちゃん!」 赤ありすは、お礼を言うと茂みの中へと入っていく。 そしてそのまま、川の下流へと進んでいく。 このまま、一家ともゆっくりプレイスともお別れだ。 みゃみゃや、飼い主さんを探しに行こう。 みゃみゃや、飼い主さんに会えるかは分からないがここに留まることもできない。 こうして、赤ありすはゆっくりプレイスを出た。 赤ありすが、川沿いに進んでいると、姉妹と仲の良い子ちぇんに出会った。 多分、子ちぇんも狩りにきているのだろう。 子ちぇんは赤ありすよりも大分年長だから、一人でプレイスの外れにも来ているようだ。 「ありすー?一人でおさんぽなんだねー。 でも、ありす一人じゃあぶないから、ちぇんもいっしょにいくよー。」 子ちぇんは、今でも姉妹と遊んでくれるゆっくりとしたゆっくりだ。 きっと今も自分のことを心底心配して同行を申し出てくれたのだろう。 そんな心優しい子ちぇんを拒絶するのは忍びないが、 「ゆん!ありちゅは一人でおさんぽすりゅにょ! ちぇんみたいな、いにゃかもにょとは、いっしょにあるけにゃいわ!」 「にゃー・・・。ありす、ひどいよー・・・。」 尻尾と耳を力なく垂れさせる子ちぇん。 「それじゃ、ありちゅはしつれいすりゅわ!」 子ちぇんを振り切るように、出来るだけ高飛車に振舞う赤ありす。 が、 「ありすは、まだ赤ちゃんだから一人で遠くに行ったらだめなんだよー! わかってねー!」 それでも、赤ありすを心配して追いかけようとする子ちぇん。 「ぷくー!!ちぇんは、ありちゅをほうっておいてにぇ! ありちゅ、ほんきでぷくーすりゅよ!」 「にゃ!?ありすー・・・。わがらにゃいよー・・・。」 それでも心配そうな子ちぇん。 しかし、ぷくーまでされてしまっては結局赤ありすを見送るしかなかった。 お昼近く。 子ぱちゅりーは、そろそろお家に帰るために、 妹たちと合流しなければならないと考えていた。 「むきゅーん。もうじかんね。まりさとありすはどこかしら?」 と、 「ゆっゆゆーん!たいりょうなのじぇ!まりさは狩りの名人なのじぇ!」 子まりさが戻ってきた。 頭の上の小さなお帽子が大きく膨れている。 どうやら、狩りの成果は上々らしい。 「むきゅ!まりさ、狩りはうまくいったようね!」 「ゆん!あたりまえなのじぇ! 狩りのことなら、まりさにまかせてほしいんだじぇ! おねーちゃんとありすにも、ごちそうとってきたんだじぇ!」 「むきゅきゅ!ありがとう、まりさ。ところで、ありすを見なかった?」 「ゆーん?まりさはありすとはあわなかったのじぇ。」 「むきゅー。それじゃ、ありすをよびにいきましょ。あっちにいるはずよ。」 ありすの向かった茂みのほうへと跳ねていく二匹。 すると、がさごそと音を立てて、茂みの中から子ちぇんが出てきた。 「むきゅ!」 「ゆ!」 「にゃ!」 「「「ゆっくりしていってね!!!」」」 きれいに重なる三重唱。 お決まりの挨拶だ。 これさえあれば、いつでもゆっくり。 効果抜群の魔法のことば。 のはずが、子ちぇんは心なしか元気がないようだ。 「ちぇん、どうかしたのかしら?げんきがないわね。」 「まりさにはなすんだじぇ!そうだんにのるんだじぇ!」 心配する二匹。 「にゃー・・・。ちぇんは、ありすにきらわれちゃったみたいだよー・・・。」 子ちぇんは、赤ありすとの一部始終を姉妹に話した。 「むきゅー・・・。ありすが、そんなことを・・・?」 「ゆ!それより、そんなに遠くへいったらあぶないのじぇ! はやく探しにいくのじぇ!」 「ごめんねだよー。ちぇんがもっとちゃんと、とめてればよかったよー・・・。」 「ちぇんはわるくないんだじぇ!でも、ありすのこともゆるしてほしいのじぇ。 きっとなにか、りゆうがあったんだじぇ。」 「むきゅむきゅ。そうね、ありすはそんな、ゆっくりできないこじゃないわ。」 「いいんだよー、ちぇんはきにしてないんだよー。 それより、ありすをさがしにいくんだねー! ちぇんもいっしょにいくんだよー!」 「ゆ!いくのじぇ!」 「まって、ふたりとも!いくらありすでも、もうとおくへいってしまったわ! まずは、お家にかえっておとーさまにほうこくよ!」 「ゆ!?ゆゆぅぅ・・。しかたないのじぇ。 おとーしゃんなら、なんとかしてくれるのじぇ!」 「ぱちゅりーたちのおとーさんはとってもたよりになるんだねー!わかるよー!」 そうと決まれば、善は急げだ。 子ちぇんと別れ、姉妹はお家に大急ぎで戻ってきた。 お家には既に、まりさが帰っていた。 「ゆはー、ゆげー・・・。おとうさ・ごほっごほっ!!むぎゅんむぎょん!!」 「おちびちゃん、だいじょうぶ!そんなにあわてなくてもいいんだよ! まりさは、どこにもいったりしないよ!」 「ちがうのぜ!ありすが、ゆくえふめいなのじぇ! プレイスからでていったらしいんだじぇ!」 「ゆふー・・・。そうよ!ちぇんがありすをみたそうだけど、ようすがへんなの!」 子ぱちゅりーは、子ちぇんから聞いた話をまりさにも聞かせた。 「ゆゆゆ!?ありすが!?そんな・・・。」 まりさは、幾つかの可能性を考えた。 餡子脳にしては良く考えたほうだ。 一つは赤ありすが、家出してしまったこと。 これまでの、一家の苦労の原因と言えば、やはり赤ありすだった。 一家は誰も気にしていないが、優しい赤ありすにはそれも苦痛だったのかもしれない。 二つ目は、一人で狩りをしていて危険な虫さんに襲われたり、 川さんに流されてしまったということ。 比較的安全なプレイスとその周辺ではあるが、赤ゆっくりには危険も多い。 今回は、非常事態ということでおちびちゃんたちだけで行かせてしまったが、 自分も少し甘かったかもしれない。 三つ目は、飼いゆっくりを恨む一団に襲われたということ。 これまで、最初の襲撃以来おとなしかった為油断していたが、 いつ再び赤ありすに対して直接危害を加えようとするか分かったものではない。 まさか、ゆっくり気のないプレイスの外れで、赤ありすを・・。 いけない! すぐに赤ありすを探しに行かなくては! それに、危険といえばこうなった以上、他の姉妹から目を離すことも危険にすぎる。 全員で一緒に行動するべきだ。 「ゆ!みんなでありすをさがしにいくよ! おちびちゃんたちは、まりさのお帽子にのってね!」 「むきゅ!ありがとう、おとうさま!」 「ゆん!まりさもおとーさしゃんのお帽子さんにゆっくりのるのじぇ!」 よーじよーじ 「ゆ!二人とものったね!それじゃ、ゆっくりありすをさがしにいくよ!」 「「ゆっくりー!!」」 赤ありす捜索の決意もゆっくりと、一家が気炎を上げているその頃。 一方では、奴がプレイスに近づいていた。 「ゆふふふ!今日もゲス野良をせいっさいっだよ! 人間さんのためにもゲス野良くじょは飼いゆっくりのぎむだよ! ノブレス・オブリージュだよ! べ、べつにすきでやってるわけじゃないんだよ!!」 今日もゲス野良の住処で、ゲス野良駆除をするよ! ゆっゆっゆっゆ!今日の第一汚物消毒はどの汚まんじゅうがいいかな? きょろきょろと今日の獲物を物色する飼いゆっくり。 早くも、飼いゆっくりの存在に気づいた野良ゆっくりたちが、 あるものは大慌てで逃げ出し、 あるものは自分に注意が向かないよう体を縮めてやり過ごそうとする。 そんななか、一匹の野良ゆっくりに目が留まった。 「むきゅ!ゆ風邪ね!大丈夫よ。良く効くおくすりがあるわ!ちょっとまっててね!」 てきぱきと患ゆを診察する、あのおいしゃさまのぱちゅりーだ。 まだ、飼いゆっくりが現れたことに気づいていない。 ゆ!今日はあの紫もやしに決定だよ!ゆゆゆーん!! ぱちゅりーに向かって跳ねていく飼いゆっくり。 そしてそのまま 「ゲス野良はゆっくりしね!!」どすん 「むぎゅ!」ごろごろ 若干ぱちゅりーより大きな体で、勢い良くぶつかっていく。 「むぎゅぅぅぅぅ・・・。」 背後からの不意打ちに、大ダメージのぱちゅりー。 しかも、ぱちゅりーと言えば体の弱さでは定評がある。 このぱちゅりーも例外ではなく、一撃でほぼ行動不能だ。 「ゲス野良はゆっくりしね!おぶつはしょうどくだよ!ゆっはーー!」 ぼよんぼよん 「むぎょ!むげぇぇぇ!!や、やめ・・・。 ぱちぇ、むぎゅぅぅぅ!!!し・・・、しんじゃはぁふぅ!」 飼いゆっくりは、ころころと転がってそのまま起き上がれないぱちゅりーの上に 飛び乗ると、その上で全力で跳ねだした。 そのまま、何度も何度もぱちゅりーの上で飛び跳ねた。 「むぎゅぎゅ・・・。おねがいですぅぅぅ・・・。ぎゃふっ!! ぱ・・、ぱちぇはゲスなんかじゃありませんんんん。んぐぅっ!! みんなのけがやびょうきをなおす、いじゃなんでずぅぅぅぅ・・・。」 ぱちゅりーも、周りのゆっくりも手を出せない。 相手は飼いゆっくり。 背後には、恐ろしく強大な人間さんがついているのだ。 下手に手を出せば、自分のみならず、 このゆっくりプレイスのゆっくり全てが永遠にゆっくりさせられてしまう。 見ているしかない。 「ゆゆーん?おいしゃさまー!?ゲス野良が、かたはらいたいよ! だいたいゲスの野良を治すなんて、あくぎゃくひどうここにきわまれりだよ! くろっ!まっくろくろだよ!はんけつっ!しけいっだよっ!」 「そ、そんな・・・。ぱちぇは、「ぐちゃ」むぎょぎょぎょぎょ!!!」 えれえれえれえれ、びくんびくんびくん 言葉の途中で、飼いゆっくりに踏みつけられるぱちゅりー。 とうとう吐クリームと痙攣を同時に起こしてしまう。 「ゆっふー!!!いいしごとしたよ!!」 凄くいい笑顔の飼いゆっくり。 「ぱちゅりぃぃぃぃぃーーーー!!!ゆっくりよ!ゆっくりしてね!!!」 すると、瀕死のぱちゅりーの元へ駆け寄る一匹のゆっくり。 面倒見が良いと評判の、とかいはありすおねーさんだ。 ぱちゅりーとは同世代で、特に仲が良い。 コミュニティでも人気者のおねーさんだ。 「ゆゆ!?またゲス野良が寄ってきたよ?せいっさいっされたいんだね!!」 ゆふふふふ、と上機嫌の飼いゆっくり。 とかいはありすおねーさんは、この言葉にきっとなって振り返ると、 「だまりなさい!このいなかもの!こんなことをして恥ずかしくないの!! そのお飾りの銀ばっじと飼い主の人間さんにもうしわけないと思わないの!?」 「ゆゆゆゆゆ!?なにいってるの!うるさいよ! ゆっくりできない野良れいぱーはせいっさいっしてあげるよ!!」ぼよーん 「こんの・・・かっぺがぁぁぁぁぁーーーー!!!」ずどん 「ゆ!?ゆべぇぇぇ・・・!」ごろんごろん 体当たりをする飼いゆっくり。 それを迎撃する、とかいはありすおねーさん。 ありすおねーさん渾身のかっぺごろし(体当たり)で吹っ飛ぶ飼いゆっくり。 「ゆべべべべ・・・。な、なんでぇぇぇ・・・!?」 「なんでじゃないわよ! 今まであなたがみんなにしてきたことを思い出しなさい! もっと酷いことをいっぱいしてきたでしょう!」 「ゆー?なにいってるの!? 飼いゆっくりとゲス野良とじゃいのちの価値がちがうでしょぉぉぉーーー!! ばかなこといわないでね!!」 「いのちの価値がちがうですって!?そうね! あなたみたいなゲスと、 ゆっくりとしたぱちゅりーのいのちの価値は比べ物にならないわね!」 「ゆぎぎぎぎ!!!ちんこシューがうるさいよ!ばかにしないでね!!!」 「もんくがあるならかかってきなさい!!いくらでもあいてになるわよ!」ずいっ 「ゆ!?」ずざっ 「もうおわりなの?口ほどにもないわね! これにこりたら二度とプレイスにはちかづか・・・。」 「・・・フヒっ。フヒヒヒヒ!この銀ばっじがめにはいらないの!? ばかなの?しぬの?」 「銀ばっじがどうしたっていうの!? いまさら飼いゆっくりだからってゆるさないわよ!」 「ゆへへへへ!いいの!? 飼いゆっくりに逆らうと人間さんがただじゃすまさないよ! ありすだけじゃないよ! ここのゲス野良ぜんぶがえいえんにゆっくりしちゃうよ!」 「ゆ!?」 「ばかなありすはまわりをよくみてね!」 飼いゆっくりに言われ、辺りを見回す、ありすおねーさん。 「ありずぅぅぅ・・・・。」 「ありす・・・。」 「だめだよぉぉぉぉ・・・。人間さんにみんなころされちゃうよぉぉぉ・・・。」 「れいむとおちびちゃんをまきこまないでね!」 「むきゅ・・・。ありす・・・。」 「ありすのきもち、わかるよー・・・。 でも飼いゆっくりに逆らったらだめなんだよー・・・。わかってねー・・・。」 「ありす・・・。だめなんだぜ・・・!」 みんなの顔、顔、顔。 どれも今にも泣き出しそうな顔ばかりだ。 恐怖、悲しみ、怒り、屈辱。 どれもゆっくりしていない。 そのゆっくしていない顔が、ありすおねーさんに現実を突きつける。 「ゆ!そこのちんこシュー!」 「ありすは、ちんこシューなんかじゃ・・・」 「ちんこシューは飼いゆっくりに逆らうの?」 「ゆ・・・。ゆん・・・、ありすはちんこシューです・・・。」 「ちんこシュー!ぺにぺにをだすんだよ!ゆっくりしないでね!」 「そんな・・・!わがりまじだ・・・。これがありずのぺにぺにです・・・。」 天を衝くかのような立派な如意棒が、エレクチオン。 あまりの恥辱にありすは、涙をこらえるのに精一杯だ。 「そのままじっとしてるんだよ! うごいたら群れごとえいえんにゆっくりだよ!」 そう念を押すと、飼いゆっくりはありすに近づいたかと思うと、大口を開け、 「がぶりっ」 「ゆぎゃああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!!!!?」 「むーしゃむーしゃ、ぺっ!」 ありすのぺにぺにを噛み千切り、咀嚼したかと思うと吐き出した。 吐き出され地面に落ちた如意棒は、ぐずぐずに崩れ、原型を留めていない。 「ぴぴぴぴぃぃぃぃぃ!!あ、ありずのとかいはぺにぺにが・・・!」 半狂乱のありすおねーさん。 「うごかないでね!」 「ゆぐぐぐぐぐぐ・・・!」 それでも、飼いゆっくりの言葉に反応して動きを止める。 「ゆっふっふっふ・・・。それじゃ、はじめるよ・・・。」 嫌らしい薄笑いで、再び飼いゆっくりが近づいてくる・・・・・・。 「ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛」 楽しそうに飛び跳ね続ける飼いゆっくり。 飼いゆっくりの跳ねる音は最初は乾いていたが、今は水っぽい音がしている。 半ば体を潰されたありすが、自分自身のカスタードに塗れているせいだ。 そしてありすはとうとう痙攣しだす。 あらから、ありすおねーさんは散々に甚振られた。 特に噛み切られたぺにぺにの周辺は徹底的に痛めつけられた。 途中からは流石のとかいはも、狂ったように奇声を発し、 無様にのた打ち回るだけであった。 その姿は、普段のとかいはぶりを知るプレイスのゆっくりたちに大きな衝撃を与えた。 しかし、それも終わろうとしている。 (大変だよ!このままじゃ、ありすがゆっくりできくなっちゃうよ!) (だめだよ!飼いゆっくりに逆らったら、人間さんにゆっくりできなくされるのぜ!) (誰かケガを治せるゆっくりはいないの?) (むぎゅううぅぅぅ・・・。えれえれえれえれぇぇぇ・・・・・。) (たいへんだよー!ぱちゅりーもケガが酷いんだよー!) (どしよう・・・。ぱちゅりーしかおくすりは使えないよ! これじゃケガをゆっくりなおせないよ!) (おかーしゃーん!れいみゅきょわいよー!) (見ちゃだめだよ!おちびちゃんは、おかあさんの後ろにゆっくり隠れてね!) (ゆぅぅぅ・・・。ゆぅぅぅぅ・・・。はやく、はやくおわってね・・・。) (こんなの・・・。こんなの、とかいはじゃないわ!) 野良ゆたちが傍観しているしかない間に、 飼いゆっくりのせいっさいっが終わったらしい。 「ゆっふーー!こんなもんだね!今日のところはこれぐらいで許してあげるよ! かわいいあんよが、汚まんじゅうのせいで汚れちゃったよ! 早く帰ってお兄さんにきれいきれいしてらおうね!」 ぴょーんぴょーん ゆっくりプレイスから立ち去る飼いゆっくり。 「いったのぜ!はやくありすとぱちゅりーをたすけるのぜ!」 飼いゆっくりの姿が見えなくなるのを待って、飛び出す野良ゆたち。 「ありすー、だいじょうぶなのー!?」 「ありす!ゆっくりなのぜ!」 口々にありすを励ます。 しかし・・・・、 「と、とかいは・・・・。もっど・・・ゆっぐりしたかった・・・わ・・・。」 「わぎゃらないよーーーー!!!!?」 「ありずーーー!!!しっかりするのぜーー!!」 「なんで、ぱちゅがこんなめに・・・、なんにぼ・・・悪いごど・・・・むぎゅう・・。」 「ぱちゅでぃぃぃーーーー!ぱちゅでぃーがゆっぐりしぢゃっだーーーー!!!?」 「ぱちゅぅぅーーー、めをあけてーー!!こんなのとかいはじゃないわーーー!!」 以前から渦巻いていた飼いゆっくりへの怒りと憎しみ。 聡明でコミュニティの相談役でもあったおいしゃさまのぱちゅりーと、 世話好きで誰からも好かれたとかいはありすおねーさん。 この二匹が殺されたことで、それは頂点に達した。 もしかすると、頭の弱いゆっくりのこと。 たとえ人間さんの恐怖があっても、その場の勢いで飼いゆっくりに せいっさいっするということも有り得たかもしれない。 しかし、コミュニティにはしばらく前から暗黙の了解が成立していた。 飼いゆっくりへの怒りは、人間さんとはぐれた、ちびのゲス飼いゆっくりと それを匿う一家にぶつけること。 そうすることで、安全にガス抜きをしようというのだ。 今回も矛先は一家に向かう。 しかし、その怒りはこれまでの比ではない。 「ゆぎぎぎぎぎぎ!もうゆるせないんだぜ! 飼いゆっくりとそのかぞくをせいっさいっするんだぜ!」 「そうだみょん!ゆっくりプレイスのちあんのためにもほうっておけないみょん!」 「れいむ、もうゆるさないよ!ゲスのちんこシューをえいえんにゆっくりさせるよ!」 「これも飼いゆっくりがわるいんだよー!わかってねー!」 「むきゅ!こうへいにみてじょうじょうしゃくりょうの余地はないわね!」 「「「せいっさいっだよ!!!!」」」 ゆっくりたちは大挙して一家のお家へと向かっていく。 「にゃにゃ!?たたたた、たいへんだよー!!はやくしらせないとだめなんだよー!」 そして、子ちぇんは一家の元へと走る。 赤ありすはあれから当てもなくさまよっていた。 ただ、川原を川沿いに下っていた。 理由は特にない。 行く当てもないのだから、川沿いに移動しているだけだ。 川原を外れれば道路に出る。 あちら側は、ゆっくりの地獄が待ち受けている。 そのことは、赤ありすは身にしみて理解していた。 まだ、半日も移動していないし、子ゆ赤ゆからすれば別だが、 成体ならばゆっくりからすればそう大した距離を移動したわけではない。 しかし、赤ありすは赤ゆっくり。 やっとこれから子ゆっくりになろうかという時期だ。 半日近い移動で、あんよはすっかり痛んでしまった。 豊富な草花のおかげで、なんとか飢えを凌いではいるが、 狩りの名人であるまりさの採ってくるごはんとは比べ物にならない。 傍には誰もいない。 みゃみゃも飼い主さんも、おとーしゃんも姉妹も誰もいない。 独りで知らない道を進む。 赤ありすは赤ゆっくりだ。 赤ゆっくりにしては、今までずっと良く耐えてきた。 「ありちゅは、とかいは飼いゆっくりなにょよ! にゃんでだれもむかえにきてくれにゃいにょ? みゃみゃも、飼い主さんもありちゅのこときらいにゃにょ!? ありちゅのこちょ、いらないにょ!?」 「ありちゅ、なんにもわるいことしてないにょに・・・。 飼いゆっくりだからって、いじめるなんちぇひどいわ!」 「こんにゃのとかいはじゃにゃいわ!ありちゅ、もうお家かえりゅ! ありちゅ、おうちにかえりちゃいぃーー!!」 「ゆんやー!ゆんやーーー!!!ゆびーー!!ゆわーん!ゆええーん!!」 これまで我慢してきた不安や不満。 みゃみゃや飼い主さんを疑うなんちぇ、とかいはじゃないわ! お世話になっちぇるまりさおとーしゃんや、 おねーちゃんたちに我が侭言うなんちぇ、いなかもにょのすることよ! 自分にそう言い聞かせて押し殺してきた思いが爆発する。 一度言葉にしてしまえば、感情も抑えきれない。 なぜ、みゃみゃたちは自分を迎えに来てはくれないのか。 そもそも、みゃみゃと一緒にとかいはハウスで眠っていたはずが、 気がつけば見知らぬ場所に放り出されていた。 今まで、考えないようにしてきた。 しかし。 やはり、自分は捨てられてしまったのだろうか。 他に理由が思いつかない。 だとしたら自分は飼いゆっくりなどではない、ただの野良ゆっくりなのだろうか。 自分が野良ゆっくりならば、飼いゆっくりだからと自分が虐められることも、 一家に迷惑をかけることもなかったのではないか。 泣き叫びながら、お家に帰る宣言をした。 だがその「お家」がみゃみゃの待つお家か、一家の待つお家か自分でもわからない。 自分はどの「お家」に帰るというのだろう。 わからない。 わからない。 何一つわからない。 そして、どちらの「お家」にも帰れるわけもなく、赤ありすはさまよい続ける。 「おちびちゃーーん!!どこなのーーーー!!へんじをしてねーーー!?」 「ありすーー!でてらっしゃーーい!むきゅむきゅ。」 「ありすーー!!おこらないからでてくるのじぇーー!!」 まりさが、お帽子の上に子ゆたちを乗せて大急ぎで跳ねている。 一家は子ちぇんに聞いたとおり、ゆっくりプレイスと川原の境の辺りから、 赤ありすが向かったという方向へと進んでいる。 幸い川沿いに進んでいるだけであるし、赤ありすのペースなど高が知れている。 まりさなら子ゆ二匹を乗せていて猶、追いつくのにさほどの時間はかからないだろう。 だが、まだ幼い赤ゆっくりだ。 見知らぬ土地では何があるか知れたものではない。 急がねば。 どんどん進む。 そうして、跳ね続けていると、 ゆえぇぇぇーーーーん!!! 微かにだが、遠くからゆっくりの泣き声が聞こえてきた。 ・・・おちびちゃん!? 「ゆ・・・・。」 赤ありすの進むペースはどんどん落ちていった。 あんよはそろそろ限界だ。 ゆぅ・・・。ありちゅのあんよがいちゃいいちゃいだよ・・・。 やはり、その辺に生えている草花では赤ありすの口には合わない。 ゆぅぅ・・・。おとーしゃんのごちそうがたべちゃいわ・・・。 赤ゆっくりはそもそも庇護者の存在もなく、一匹で行動できるようにはできていない。 ありちゅ、さびしいにょ・・・。おねーちゃん・・・。 「ゆん、ゆぅぅ、ゆっぐ、ゆびぇぇぇぇぇん!!」 とうとう一歩も進めなくなった赤ありす。 なんで、こんなことになったのだろう。 うずくまったまま、一人泣き続ける。 「おちびちゃんーーーーん!!」 「ありすーー!!きこえるーーー!!」 「ありすーーー!!おへんじするんだじぇーーー!!」 ゆゆゆゆ!? 一家の声が聞こえる。 まりさに、子ぱちゅりーに、子まりさ。 三人とも揃っているようだ。 「おとーしゃーん!ぱちぇおねーちゃーん!まりしゃおねーちゃーん! ありちゅ、ここよーーー!!!」 我を忘れて必死に家族に呼びかける赤ありす。 そして、背の高い草むらを掻き分けてまりさが現れる。 勿論、お帽子の上には子ぱちゅりーと子まりさが一緒だ。 「おちびちゃん!ぶじだったんだね!しんぱいしたよ!」 「むきゅうぅぅ!だめじゃない、かってに遠くへいったりしちゃ! おねーちゃんしんぱいしたのよ!」 「とおくへ行くときはおねーちゃんたちにいわなきゃだめなのじぇ! つぎやったらぷくーするのじぇ!」 「ゆんやー!ごめんにゃしゃーーい!ゆっぐ、ゆっぐ・・・!」 「いいんだよ!もう、なかなくてもいいんだよ! あやまったりしなくてもいいんだよ!」 泣きじゃくる赤ありすの元にたどり着き、そっと頬を寄せるまりさ。 「むきゅー。ありすったら・・・。しんぱいしたのよ・・・。」 「もう、みんなにしんぱいかけたらだめなんだじぇ。」 姉妹もお帽子から降りて、赤ありすの元へとやってくる。 しばし、一家でゆっくりを噛み締める。 「ゆん・・・。おちびちゃん、どうしてこんなところまできちゃったの? おとーさんにゆっくりおしえてね!」 「ゆ・・・。ありちゅ・・・・・・。」 言いかけて、途中で黙り込む赤ありす。 「おとーさん、おこったりしないよ。 だからしょうじきにはなしてくれていいんだよ。」 急かしたりせず、ゆっくりと先を促すまりさ。 その甲斐あってか、途切れ途切れだが赤ありすが再び口を開く。 「ゆん・・・。ありちゅ、ありちゅが飼いゆっくりだから、おとーしゃんや おねーちゃんたちにめいわくをかけちゃうわ・・・。 ありちゅがいにゃければ・・・。 ありちゅがいにゃければ、 みんにゃゆっくりでしあわせーできるとおもったにょ・・・。」 「むきゅ・・・。」 「ゆ・・・。」 俯いて再び黙り込んでしまう赤ありす。 事態は悪化する一方で、赤ありすの悩みにも姉妹も何と言ってよいか分からない。 すると、 「ゆんゆん!よかったよ!」 「むきゅ!?」 「のじぇ!?」 「ゆ!?」 意外なまりさの言葉に驚く姉妹。 疑問を口にする。 「むきゅむきゅ!?どういうこと?なにがよかったの、おとーさま?」 「ゆー?わからないのじぇ?ぜんぜんよくないのじぇ?」 「ゆー・・・。やっぱち、ありちゅはでていったほうがいいにょにぇ・・・。」 赤ありすは、一層落ち込んでしまった。 まりさは、明るく先を続ける。 「ゆん!まりさはね、ありすがおと−さんたちのことがきらいになって でていっちゃたのかとおもってしんぱいしたよ! でも、そんなことがなくてよかったよ! それに、ありすはとってもやさしいね! だから、おとーさんはあんしんして、とってもゆっくりできたんだよ!」 いくら、信頼する父まりさの言葉とは言えあまりに気楽に過ぎないだろうか。 姉妹たちも流石に納得できない。 「むきゅ!?たしかにそれはよかったけど、お家もこわされちゃったし、 このままじゃずっとゆっくりできないわ・・・。どうにかしないと・・・。」 「そうなんだじぇ・・・。ありすはゆっくりできるいもーとだけど、 おうちをこわされたりするのはゆっくりできないんだじぇ・・・。」 「ゆぅ・・・。」 まりさは自信に満ちた態度で答える。 「だいじょうぶだよ!まりさはかんがえたよ。 もう、ゆっくりプレイスはゆっくりできないよ。 だから、あたらしいゆっくりプレイスをさがしにいくよ! まりさが、あたらしいお家をさがすから、みんなでゆっくりひっこそうね!」 「むっきゅり・・・!!」 「すごいんだじぇ・・・!!」 「と、とかいはーーー!!」 まさか、そんな大胆な秘策があったとは。 子ゆっくりたちは尊敬の目でまりさを見ている。 偉大な父を改めて見直した、といったところだろうか。 なんてとかいはなのだろうか。 もう二度と戻らない、顔を合わせることもないと思っていた家族が、 自分を探しにきてくれた。 それも、新しいゆっくりプレイスを探しておひっこしするそうだ。 確かにそれならば自分がお家を出る必要はない。 一家とお別れする必要もない。 「ゆゆーん!おとーしゃん、すーりすーり! おとーしゃんはとってもとかいはにぇ!」 思わず、まりさにすーりすーりしてしまう。 「ゆゆ!ありす、ずるいのじぇ!まりさも!すーりすーりだじぇ!」 「むっきゅー!もう、みんなこどもなんだから! むっきゅん!いいわ。ぱちゅもすーりすーりよ!」 「ゆゆ!おちびちゃんたち、くすぐったいよ! みんな、あまえんぼうだね!」 一家はすっかり、スーパーすりすりタイムに突入だ。 そうして、一家全員ですーりすーりしていると、 ぐぅぅぅぅぅ・・・・。 「ゆ!ゆゆゆゆゆ!?」 赤ありすのお腹の音が鳴り響いた。 「ゆふふふふ!ありすはおなかがすいたんだね!」 「むきゅきゅきゅきゅ!もう、ありすったら!」 「まりさもおなかすいたんだじぇ!」 口々に言い立てる。 「ゆ~!はずかちいわ・・・。」 真っ赤になる赤ありす。 まりさは、しばらくそんな姉妹の様子を幸せそうに見つめていた。 「ゆ!それじゃみんなでむーしゃむーしゃしようね! おとーさんのとってきたごはんがあるよ!」 「まりさもなんだじぇ! ごはんさん、おぼうしのなかにはいってるんだじぇ!」 「むきゅ!さすがね!」 「ゆーん!おとーしゃんもおねーちゃんも、とっちぇもとかいはにぇ!」 まりさと、子まりさがお帽子のなかに入れてあったごはんを取り出す。 まりさは勿論、子まりさも子ゆっくりにしてはなかなかの狩りの名人ぶりだ。 「たまにはおそとでむーしゃむーしゃもゆっくりしてるね!」 「すてきなぴくにっくね!」 「ありす!まりさのとったいもむしさんたべるんだじぇ! とってもおいしいのじぇ!」 「ゆゆーん!ありがちょう、おねーちゃん! いもむしさん、とっちぇもとかいはよ!」 思いがけず素敵なお昼のむーしゃむーしゃに、 一家はとってもゆっくりーで、しあわせーだ。 一家がそうして、ゆんゆんしていると遠くから、がさがさと、 草むらを掻き分けて近づいてくる気配がする。 方角からしてゆっくりプレイスの方から近づいてきている。 ずいぶんと急いでいるようだ。 ゆっくりだろうか。 いよいよ、気配が近づいてくる。 もうすぐ、自分達の居るところにたどり着く。 一家が軽く緊張して身構える。 すると、 「「「「ちぇん!?」」」」 姉妹と仲の良い子ちぇんが姿をあらわした。 余程急いできたのだろう 息も切れ切れ、草で切ったのだろうか体中に傷がついている。 「むきゅ!?ちぇんどうしたの?なにかあったの?」 子ぱちゅりーが問いかける。 「ゆはー、ゆひゅー、ぜーはー、・・・。た、たいへんなんだびょー・・・!」 荒い息のまま、やっとそれだけ搾り出すように言葉にする。 「ゆゆ!?たいへん?なにがたいへんなのじぇ?」 「ゆーはー、ゆーはー・・・。 まりさたちとわかれたあとで、 あのゆっくりしてない飼いゆっくりがプレイスにきたんだよー・・・・。」 子ちぇんは、ゆっくりプレイスを襲った悲劇の一部始終を一家に聞かせた。 「ゆゆゆゆゆ!?ぱちゅりーが!?そんな!なにかのまちがいじゃないの!?」 「にゃー・・・。ほんとなんだよー・・・。 おいしゃさまのぱちゅりーおねーさんは永遠にゆっくりしちゃったんだよー・・・。」 「むきゅ・・・。あのとかいはありすおねーさんが・・・。しんじられないわ・・・。」 「そうなんだじぇ!ありすおねーさんはとかいはでとってもつよいんだぜ!」 「飼いゆっくりには人間さんがついてるんだよー・・・。 ゆっくりプレイスのみんなをゆん質にとられて・・・。」 「むきゅう・・・。」 「そんなのないんだじぇ・・・!」 一家の受けた衝撃は計り知れない。 おいしゃさまのぱちゅりーは、一家がプレイスのゆっくりたちから 迫害されるようになった後も、変わらずゆっくりと接してくれた数少ないゆっくりだ。 迫害が酷くなる一方でも、どうにか無事過ごせていたのも、 プレイスのゆっくりに大きな影響力をもっていたぱちゅりーの存在あってのことだ。 それに赤ありすの命の恩ゆっくりでもある。 その赤ありすに至っては将来ぱちゅりーのような、じょいになる、とまで慕っていた。 ありすおねーさんは世話好きなとかいはで、姉妹に頻繁に声をかけてくれた。 ありすおねーさんもまた、最後まで一家への態度を変えなかったゆっくりだった。 プレイスでも評判の美ゆっくりで、みんなの人気者だった。 そんな二人がもういない!? だが、子ちぇんの話はまだ終わってはいない。 「にゃー!飼いゆっくりが二人を永遠にゆっくりさせて、 みんながおこっちゃったんだよー! ありすたちをせいっさいっするって、みんなのお家にむかってったんだよー!」 「ゆ!?まりさたち、なんにもわるいことしてないんだじぇ!?おかしんだじぇ!」 「ちぇんもそうおもうよー・・・。だけど・・・。」 驚きつつも納得がいかない子まりさ。 子ちぇんは俯いたままなにも言わない。 「むきゅ・・・。まりさ・・・。」 子ぱちゅりーも慰めの言葉もない。 「・・・・・。」 赤ありすは改めて衝撃を受けていた。 自分とプレイスを襲う飼いゆっくりは違う。 何の関係もない。 ゆっくりプレイスから引っ越すことが決まった今となっては何も悩むこともない。 さっきまではそう思っていた。 割り切ったはずだった。 だが、自分が飼いゆっくりだったという過去が付き纏って来る。 一家に迷惑をかけ続けることになる。 やはり、自分は一家といるべきではないのかもしれない・・・。 「ゆ!だいじょうぶだよ!いますぐひっこしだよ! おちびちゃんたちは、なにもしんぱいしなくていいんだよ! まりさがおちびちゃんたちをまもるからね!」 暗く澱んだ場所に落ちていこうとする思考を、力強い言葉がゆっくりと吹き飛ばす。 「ゆぅぅぅ!ゆっくち!ゆっくち!ゆっくちーー!!」 あまりの感動に言葉にならない。 ただ、ゆっくりを連呼するばかりだ。 姉妹も同様だ。 「にゃにゃ!?おひっこし!?みんなどこかにいっちゃうのー!?」 ただ一人、子ちぇんだけが驚きの声をあげる。 「ゆん!そうだよ! まりさはおちびちゃんたちと一緒に、別のゆっくりプレイスをさがすよ!」 「にゃーー!?それじゃ、みんなとはもうあえないのー?」 子ちぇんが泣きそうな顔で姉妹に問いかける。 姉妹もその言葉で、はっとなる。 お引越ししたら、もうちぇんと会えないの・・・。 「むきゅう・・・。」 「だじぇ!?だじぇ!?」 子ぱちゅりーは既に事態を理解しているらしく、何も言わない。 子まりさは、混乱して答えを求め、きょろきょろしている。 まりさが静かに、申し訳なさそうに答える。 「ゆ・・・。プレイスはきけんだよ。 もうプレイスにはもどれないんだよ・・・。」 「ゆゆゆゆ!?ちぇんにあえないんだじぇ!?」 「そんなのいやだよー!わからないよー!!」 やっと事態を飲み込む子まりさ。 子ちぇんも姉妹と会えなくなるのは嫌だと、目に涙を溜めている。 「まりさたちは、もうゆっくりプレイスじゃ暮らせないよ・・・。 それに、まりさたちといたら、ちぇんまであぶないかもしれないよ・・・。 ゆっくりりかいしてね・・・。」 「にゃー・・・。わがらないよー・・・。」 「むきゅ・・・。ざんねんだけど、ぱちぇたちはもういかなきゃ・・・。 ゆっくりさよならよ・・・。でも、ちぇんのことはぜったいにわすれないわ。」 「・・・わがらにゃいよー・・・。」 「ゆっぐ、ぐすん!まりさもなんだじぇ! あえなくなるのはゆっくりできないけど、 ぜったいちぇんのことわすれないのじぇ!」 「わがらにゃいよー!わがらにゃいぃぃーーー!!」 ちぇんは突然のお別れにわからない、わからないと泣き叫ぶばかりだ。 再びまりさが口を開く。 「ちぇん・・・。プレイスのみんなはまりさたちのお家にいったんだよね? いまごろみんな、まりさたちをさがしているよ。 きっとすぐにここにもきちゃうよ・・・。 だから、もういかなきゃだよ。 ちぇん、今までおちびちゃんたちとなかよくしてくれてゆっくりありがとうだよ!」 「にゃー・・・。わがらにゃいぃぃ・・・。」 子ちぇんはそれでも、わからない、わからないと繰り返すだけだ。 「おちびちゃんたちは、お帽子に乗ってね。」 まりさが、姉妹にお帽子に乗るように促し、姉妹もそれに従う。 ありすは、ずっと無言だった。 子ちぇんが、姉妹との別れを受け入れられず、泣き続けている間何も言わなかった。 ゆぅ・・・。ありちゅ、ちぇんにひどいこといっちゃったよ・・・。 いにゃかもの! ぷくー! ちぇん、おこっちぇるよね・・・。 「ゆびぇぇぇぇぇぇん!!わがらにゃいびょぉぉ!わがらにゃいいいーー!!」 「わがらにゃいーー!!」 「わがらにゃいよーー!!」 遠ざかっていく子ちぇんの姿。 姉妹との別れを悲しみ、わからないと連呼する泣き声。 優しく面倒見の良い子ちぇんとも、もう別れ。 二度と会えないのだろう。 「ゆっくちーーーー!!!ちぇーーん!!ゆっくちちていってにぇーーーー!」 気づくと赤ありすはお帽子から身を乗り出し、叫んでいた。 そうだ。 悩んでいる場合などではない。 これで、お別れ。 またね、じゃないんだ。 言わなければ。 「ちぇぇぇぇん!!ゆっくちごめんにゃさーーーい!! ちぇんは、とっちぇもとかいはよーーーーーー!!!!」 「ありずーーー!?ありずーーーーー!!!ゆっくりしていってねーーーー!!!」 子ちぇんも、赤ありすに気づいてくれた。 今までのお礼も、今日のことへの謝罪も、まだまだ言葉を尽くしていない。 その暇もない。 ただ、あふれ出る想いをゆっくりしていってねと、とかいはの二言に託す。 子ちぇんは、まだお顔は涙でぐしょぐしょだが、 精一杯ゆっくりしていってねを返してくれた。 「ちぇぇぇぇぇん! ありちゅも、ちぇんのこちょ、ぜったい、わすれにゃいわーーーー!!!」 「ゆびぇぇぇぇぇーーーーん!!ちぇんもわずれないよーーーーー!!!」 遠ざかる一家。 一人残される子ちぇん。 「わすれないんだよー・・・。わかってねー・・・。」 02へ続く
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau9/pages/513.html
夕日の中を木枯らしが吹き抜け枯葉を巻き上げる。 晩秋から初冬への境 豊饒の季節はもうすぐ終わりを告げる。 この季節はゆっくりたちがもっともゆっくりできない、否ゆっくりしてはいけない季節である。 なぜなら冬篭りの準備をしなければならないから。 皆準備の為に跳ね回り食料と資材を集める。 今年生まれた子供たちも母親と同じ仕事が出来るほどに成長し 姉妹達を率いて下草を集めたり、木の実を埋めたりと忙しい。 食料を集め、下草を敷き、入り口を塞ぐ頃には冬が来る。 「まつんだど~」「みゃ~て~」 「ゆ!ゆ!ゆうぅぅぅぅぅ…」 日に日に三日月に近づく月の下 ご多分に漏れず冬篭りの準備に急ぐのは体つきのれみりゃの親子 ただし彼らの準備は食料集めではない。 食いだめである。 冬の間に外に出るゆっくりは少ない。 必然的にれみりゃの餌も少なくなる。いくら狩りに出ても十分な食料は得られない。 したがってれみりゃ種は冬眠するゆっくりとなった。 冬の訪れまでに出来るだけ沢山の栄養分を蓄え、後は眠るのだ。 春先と盛夏に生まれた二匹の子供たちも狩りの仕方を覚え、多くのゆっくりを狩った。 体は指先まで丸々と太り、パンパンに張った血色の良い肌は白桃色に輝いている。 「やったどぉ~ごはんだどぉ~」 捕まえたゆっくりを抱えて巣に戻るれみりゃ親子 少々飛行するのに支障が出ているらしく がさがさと木の枝に体を擦っているが、この程度でなければ冬は越せない。 今回の冬眠場所は大きな木の下に掘った穴の中 入り口は残雪の心配の少ないよう東向き しっかりと下草を敷いたので寝心地は抜群 春まで快適に過ごせるだろう。 「お~いし~どぉ~」「う~」「さいごのでなーだどぉ~」 れみりゃ親子は今年最後の食事となるゆっくりありすを食べていた。 このありすは少々ゆっくりしすぎたの。 この季節の夜に外を出歩いていたのだから。 寒さに強くないゆっくりは晩秋の夜にはけして出歩かない。 夜はれみりゃの時間だからだ。 おそらくこのゆっくりしすぎたありすは 皆が巣を塞ぎ始めるのを見てあわてて冬篭りの準備を始めたのだろう。 食料になるものは殆どとり尽くされた森の中を彷徨い 冷たい秋風に吹かれ動きが鈍ったところをれみりゃに襲われたのだ。 たっぷりと栄養を取った健康なれみりゃは少々の寒さにもへこたれない。 秋風の中を自在に飛び、獲物を狩って冬に備える。 知能は消して高くないれみりゃが今日まで生き延びている理由は このあたりにあるのかもしれない。 「うぅ~はぁっぱぁ~ぱぁっぱぁ~はぁっぱぁっぱぁ~」 ばさばさと落ち葉や枯れ草、小石や小枝を巣の入り口に撒くれみりゃ 遊んでいるのではない。巣穴を偽装して隠しているのだ。 捕食種といえど油断は出来ない。長い眠りに付く冬眠中は尚更だ。 「うぅ~いぃしをつぅんでぇ~すぅきぃまぁをつぅめぇてぇ~つぅちぃをぉぬぅってぇ~」 親子代々伝わる歌のようなものを呟きながられみりゃは内側から穴を塞いでゆく。 巣穴の入り口に石と土と小枝を積み上げ、草や苔を隙間に詰め込む。 さらにその上から土をぺたぺたと塗りつければ封鎖完了だ。 「かんせいだどぉ~」 「やったどぉ~」「これであんしんだどぉ~」 入り口を塞いだらあとは眠るだけだ。 下草の上に親子三匹、川の字で寝転ぶ。 「う~!ふゆどをこすどぉ~!!はるまでぐっすりだどぉ~」 「はるまで~」「ぐっしゅり~」 おそらくもう数日で初雪が舞う。 この一家はそれすらも知らずに眠り続けるのだろう。 暖かい春の日差しが雪を溶かすまで となるはずであったのだが。 「うぅ~」 …ックザッ… …ックザック… 「う~?」 ザック…ザッ… 「うううぅ~!?」 ザクッ 「よしやったぞ!!」 「うー!!」 突然巣の中に光と寒気が流れ込んでくる。 飛び起きたれみりゃの目に白銀の世界と黒い二つの影が飛び込んできた。 「おし、大当たり!れみりゃだ。」 「やりましたね兄貴!!」 男たちはれみりゃを縛り上げると次々と袋の中へ放り込んでゆく。 「みゃあみゃあ!!」 「あがぢゃあああぁぁぁぁん!!あがぢゃあああぁぁぁぁん!!」 泣き叫ぶれみりゃたちを無視して袋を荷車に放り込む。 「ゆっぐりじねぇぇぇ!!」「だぜえぇぇぇ」「う~う~う~!!」 荷台には既にいくつもの袋が並んでいる。中身はすべて体つきのれみりゃかふらんである。 「こいつらは高く売れるからな。これで首が繋がったぜ。」 「兄貴が闘ゆっくりで有り金全部スっちまった時はどうなるかと思いましたけどね。 こんな特技があったんですね。兄貴って。」 この二人は人里に住む与太者たち。金策の為に一稼ぎしに来たのだ。 「死んだ親父がゆっくり取りの名人でな。俺もよく一緒に取りに行ったもんさ。」 「しかし饅頭なんざいつでも一緒じゃないんですかね?なんで今だけ高くなるんです。」 「ばーか、ゆっくりだって旬ってのがあるんだよ。れみりゃやふらんは今ぐらいの奴一番だ。 冬を越すためにたらふく食って油が乗ってるからな。質が違うんだよ。 知ってるか?なんでこいつらに体がついてるのか。」 「いえ、知りませんね。人間みたいに動けるからですかい?」 「それが違うんだよ。こいつらは道具を使える頭がねえからな。 栄養を蓄えるためなんだよこいつらが体つきなのは。」 「へえ、じゃあ兄貴の下腹といっしょですかい。」 「おめぇあとで覚えてろよ。まあそんなもんさ、冬眠中に困らないようにそうなったんだろうな。 同じ肉まんでも頭と体じゃ味も値段も違うんだ。」 荷車をがらがらと引きながら歩く二人 荷台には二十匹ほどのれみりゃとふらん。 「じゃあこないだのれみりゃに自分の子供で肉まん作らせてた店。 だから高かったんですね。」 「そうさ、あの店のは本物の親子だからな。体は取っても死なないってわかってるから体で作るんだ。 赤の他人のれみりゃに作らせると頭も体も関係なしに…おっとまたあったぜあそこだ。」 「よくわかりますね。俺にはぜんぜんわからねえや。」 「年季がちがうさな。年季が」 男はそういいながらスコップでざくざくと雪を掘っていく。 数十センチ掘ればぼこりと土がへこみその向こうには体つきの 「むきゅうぅぅぅ…ごほん……」 紫色の奇妙な物体。そして大量のチラシや新聞紙 一瞬ゆっくりぱちゅりーのようにも見えたが微妙に違う。 もやしのように細いが体がついているのだ。 「ありゃ、違ったぜこいつは」 「なんですこの紙くずまみれのは」 「こりゃあぱちゅりぃだな。体つきのゆっくりぱちゅりーだよ。 穴の塞ぎ方が似てるから間違えたんだ。」 「案外兄貴もあてになりませんね。」 「うるせえな久々なんだから仕方ねえだろ」 男達の会話をよそに冬眠中の巣穴を暴かれたぱちゅりぃは 大量の紙屑に囲まれて眠ったままだ。 いや、反応が薄いだけで起きてはいるのかもしれない。 どちらにせよ頭に霞が掛かっていることに代わりはないが。 「で、こいつは売れるんでしかい?兄貴 こいつの体も油が乗ってるんでしょ?」 「こいつの体はなぁ…ちょっと違うんだよ。」 「と、いいますと?」 「こいつは食うモンがなあ…ああ、見ろよほれ。」 むきゅむきゅと寝言を呟きながら手を伸ばすぱちゅりぃ その手が掴んだのは干からびた野菜くず。 ではなくなんと紙屑の山の中のチラシだった。 「えっと兄貴、まさかこいつ。」 「そのまさかだ。見てろよ。」 チラシを掴んだぱちゅりぃは 「むきゅうぅん。むきゅうぅん。」 それをそのまま口に運んだ。 しばらくの間もしゃもしゃと咀嚼したあとゆっくりと飲み込む。 この間なんと35秒、驚異のゆっくりっぷりである。 よく見てみれば紙屑だらけのぱちゅりぃの巣に食料はほとんどない。 あるのは紙屑ばかりである。 防寒材としては優秀かもしれないが普通なら食料にはならない。 それを食料にしてしまうのが歩く紫もやしことぱちゅりぃである。 虚弱でありながら妙に頑丈な肉体を持つ彼女は 生き延びるために驚異の消化力を身につけたのだ。 「こいつってこんなもんばっかり食ってるんですかね?」 「らしいな。弱くてまともな餌は取れないからこんなもんを食うんだろうが。 栄養も殆どないだろうからな。だから弱いのかもな。」 「卵が先か鶏が先かみたいな話ですね。で、こいつは食えますかね?」 「筋だらけだろうさ。やめとこう。」 その時男たちは下から見上げる視線に気づいた。 いつのまにかぱちゅりぃが目を覚ましていたのだ。 独特のどろりと濁った目で男達を見つめるぱちゅりぃ 常にもぐもぐと動き続ける口をゆっくりと開くた。 「ごほんはどこ?」 「は?」 「むきゅぅ、もってかないでぇぇ…」 蚊の鳴くようなか細い声で喋るぱちゅりぃ 白い雪と黒い土、灰色の紙屑と紫色のぱちゅりぃ 前衛芸術家かなにかなら喜ぶかもしれないが男たちにはもう限界だった。 「はいはいごほんね、ごほんだよ」 そういってちり紙代わりの天狗の新聞をぱちゅりぃに押し付ける。 「むきゅぅぅぅごほん、ぱちゅりぃのごほん」 嬉しいのだろうか上体を陽炎のように揺らすぱちゅりぃ 「あーはいはいよかったねごほんだね。おやすみね。」 「春までねむってようなぁぱちゅりぃ」 「むぎゅうううぅぅぅぅ!!」 ぱちゅりぃの体を紙屑の山に押し込むと そのまま土をかけて埋めもどす。 少々手荒すぎる気もするがなに紙を食べて生き延びられるゆっくりだ。 これくらいはどうということもあるまい。 「しかしあんなゆっくりもいるんですね。兄貴」 「わからんもんだな。案外と」 荷車を引きながら人里を目指す男達 荷台のれみりゃ、ふらんの体力も尽きたらしく静かなものだ。 冬を生き延びようとゆっくりを食べたこのゆっくりたちは 冬を彩る肉まんアンまんとして人々に食べられる。 なんとも因果な事ではないか。 「おそくなっちまったな。しかし」 「晩飯にこいつらでも食いましょうか。」 「馬鹿言うんじゃねえよ。まったく」 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/1666.html
注 だいぶ俺設定を含む。何の罪も無いゆっくりが死ぬ。 題「おにいさんの悪夢」 ある日、樹海でまりさとれいむとぱちゅりーが歩いておりました。 なぜかハッスルしていたれいむが突然浮き上がりました。 「ゆ!?れいむがういてるよ!?」 「これはきせきだぜ!れいむはもーせだぜ!」 「もーせってだれ?というか、そろそろおりたいよ!ゆっくりたすけてね!」 れいむはゆっくりと上昇していきました。 「ぱちゅりー!なんとかれいむをたすけるほうほうをかんがえるんだぜ!」 「むきゅー。れいむがうくにはうえむきのちからがかかったからよ。」 「んなことはじょうしきだぜ!」 「でも、れいむにふれているぶったいはくうきしかなかったわよ。」 「でもじじつれいむはういたぜ!じゅうりょくばからのちからはしたむきのはずだぜ!」 「むっきゅーん!じばからうけるちからとかんがえるとつじつまがあうのよ。」 こいつらがなぜそんな知識を得たのか。そしてなぜこの現象を単純に奇跡とかんがえないのかはまったくの謎である。 「ゆっくりのしんけいでんりゅうはたんじゅんなことにじめんにすいへいなわっかになってるわ。 それと、じゅかいのちじきはかなりくるっていて、こんぱすをもったにんげんがまようこともしばしばあるのよ!」 帽子の下から取り出したふたつきコンパスをとりだして地面にかざす。 それにしても、なぜこいつコンパスを持っているのか。 「ここのじめんがまるでじしゃくのえすきょくのようね。」 「ここで、ひだりてのほうそくをかんがえると、ごうりょくはうえむきよ!むっきゅーん!!」 そういうと、ぱちゅりーも浮き上ってしまった。 「りくつはよくわからないけど、なんでぱちゅりーまでうくんだぜ!」 「しんけいでんりゅうのおおきさにちからがひれいするからよ。ちょっとこうふんしすぎてげふんげふん」 おにいさんはキレたぞ。さっきから話を聞いてりゃ、物理の話ばかりしやがって! さっきから左手が吊りそうだ!幻想郷に俺の青春の悪夢を持ち込むんじゃない!! 俺は興奮がおさまりゆっくりと降下するぱちゅりーを虐待チョップでたたきおとし、地面にクリームのシミを作った。 「おにいさんやめてね!ぱちゅりーもまりさもわるいゆっくりじゃないよ!」 やかましい!!くらえ!! まりさは靴のかかとの跡になった。 さて、れいむはどうしてくれよう。 しばしの瞑目の後、おにいさんはくわっと目を見開き 虐待ビィィィィィム!!!!手から虹色のビームを出し、上空はるかのれいむを粉砕せしめたのであった。 fin ―――― 初スク 「ひだりてのほうそく」でつい… このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/2415.html
※いじめの対象はありすメイン他おまけ程度です ※肉体的虐待より精神的虐待を目指しました ※俺設定を含みます ※その他あれこれとあるかもしれません 幻想郷のとある人里、その近くにある里山にゆっくり達の声が響いた。 「ゆっ!にんげんさんがいるよ!」 「ゆぅ~。れいむのおかあさんはにんげんさんはゆっくりできないっていってたよ」 「むきゅ!れいむのいうとおりだわ。ぱちゅりーもおかあさんからそうきいたもの」 「れいむ、ぱちゅりー、おちついて!かんたんにとりみだすなんてとかいはじゃないわ!」 まりさが発見した人間にれいむとぱちゅりーが怯え、ありすがそれを宥めている。 四匹は成体に成り立てのまだ若いゆっくりだが、親の躾が良かったのか人間の恐ろしさを十分に理解していた。 普段は里山のこの辺りにゆっくりが出没することはない。人里に比較的近く、人間が山菜などの山の恵みを採りに来る ここはこの山の奥の方に住むゆっくり達にとってはゆっくり出来ない場所だからだ。 ゆっくりは成体になると育った巣と親元を離れて一人暮らしを始める巣立ちを行う。 この四匹は徐々に近づいてくる巣立ちの日に備えて、 仲良し四匹組で自分の巣を作る新天地の下見をしているうちに張り切って進みすぎていたのだった。 「ん?ここいらへんでゆっくりを見るなんて珍しいな」 人間の男の方もゆっくりに気付いたようだ。 「ゆ、ゆっくりしていってね!」 まりさが意を決して人間に声を掛ける。本当なら一目散に逃げ出したかった。 しかし、もしゆっくりより遥かに強いという人間が襲いかかってきたら、まず犠牲になるのは運動の苦手なぱちゅりーだろう。 友達を見捨てるようなことは出来ない。いや、仮に出来たとしても絶対にやっちゃいけない。 「ああ、ゆっくりしていってね」 返ってきたのは四匹にとっては予想外の返事だった。 緊張状態にあった四匹の体が男の一言で弛緩する。特に、いざという時は自分が男に立ち向かってその隙にみんなを逃がそうと、 内心で死をも覚悟していたまりさは安堵のため息を吐いた。 「ゆ、ゆふぅぅ~」 そんな風になにやら固まったり弛緩したりしている四匹を不思議そうに見ながら、男が質問する。 「お前達、何でこんなところにいるんだ?」 「れいむたちは、もうすぐすだちをするんだよ!」 「むきゅ!むれでしごとをするいちにんまえのゆっくりになるの!」 「だから、いちにんまえにふさわしい、とかいはなおうちをさがしてここまできたのよ!」 挨拶を返してくれたことで、この人間は言われていた程ゆっくりできない訳ではないらしいと判断した三匹が次々に質問に答える。 「へー、そりゃおめでとう。でもこの辺は人間のテリトリーだから巣を作るには危ないぞ。 それにここからだと群れが遠いから、仕事とやらもちゃんとできなくなっちゃうぞ」 男のその言葉に、まりさが慌てて反応する。 「ゆゆ!しごとができないのはだめだよ!いちにんまえになれなくなっちゃうよ! いちにんまえになれないとけっこんもすっきりーもできないよ! まりさは、けっこんしてあかちゃんをつくって、おかあさんみたいなりっぱなゆっくりになりたいよ!」 どうやらこの四匹がいる群れでは、成体となって巣立ちをし、群れのために仕事をすることでようやく一人前と認められるようだ。 そして、一人前としての義務を果たすことでようやく結婚や出産の権利が認められるらしい。 義務と権利の相関。ゆっくりの群れにしては随分立派なことだと思いながら更に男は尋ねた。 「仕事ってのはどんなことをするんだ?」 「まりさはかりをして、ゆっくりできるごはんさんをあつめるよ!」 「れいむはほぼさんになるよ!おかあさんのいないこどもたちのめんどうをみて、ゆっくりさせてあげるんだよ!」 「ぱちゅりーはじむのしごとをするの。ごはんのりょうやおうちやこづくりのもんだいをかいけつするのよ」 「ありすは、とかいはなこーでぃねーたーになるわ!おうちやひろばをかざって、とかいはなえんしゅつをするの!」 なるほど、男は納得して頷いた。どうやら四匹ともそれぞれの特長を生かした仕事に就くようだ。 食料集めは絶対必須の仕事だ。食べなければ何もできない。 保母さんも分かる。もろい生き物であるゆっくりの子育ての過程ではどうしても親を失った子が多く出るだろう。 その世話をして一匹でも多く一人前にすることは群れの繁栄に繋がる。 事務も群れのためになる仕事だろう。食料を集めたら集めただけ食べてしまって、ちょっとした怪我や雨ですぐ飢えるといった事態を避けるため備蓄の指示をだす。 また、家造りや子作りは特に越冬時に問題になりやすいため、事前に入念な準備と指導が必要だろう。 いや、しかし、コーディネーターというのは何だろうか?家や広場を飾ると言っていたがそんなことが必要なことなのだろうか? 生活に余裕を持てる強い生き物、例えば人間や妖怪が余暇を利用してそういった楽しみを追求するのは分かる。 しかし、ゆっくりは弱い生き物だ。そう、無い知恵を振り絞り、必死に頑張って働いても他の生物にあっさりとその命を踏みにじられるほどに弱い。 そんな生き物に必要なのはまずは生きるために働くことではないだろうか? 男はその疑問を四匹にぶつけてみた。 「まりさとれいむとぱちゅりーの仕事は分かった。でもありすのコーディネーターは本当に必要な仕事のか?」 「ゆ?」 「ゆぅ~?」 「むきゅきゅ?」 「どぼじでぞんなごどいうのぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!どっでも゛どがいはなじごどでしょおぉぉぉぉぉぉ!!!」 ありすを除く三匹の疑問の声とありすの絶叫が里山に木霊した。男はありすを無視して平然としたまま続ける。 「だって、そうじゃないか。なあ、まりさ。ありすは飾り付けをするよりご飯集めをした方が いっぱいご飯が集められて良いと思わないか?」 「ゆ?ゆぅ~、でも……」 「飾り付けは生きるために絶対必要って訳じゃないんだろ?なら、ありすには狩りに参加してもらって 美味しいものをいっぱい集めてもらう方が食べるものがたくさんになってゆっくりできるじゃないか?」 「ま、まりさにはわからないよ……」 「れいむはどうだ?ありすは飾り付けをするより、たくさんのこどもを育てて一人前にする方が群れに貢献できると思わないか?」 「ゆゆっ!」 「ぱちゅりーは?運動が苦手なぱちゅりーはありすが手伝ってくれれば、より効率的に働けるんじゃないか?」 「むきゅう……」 男が三人に声を掛けるのを聞きながら、ありすは焦っていた。まさか自分の仕事をこんなところで人間に完全否定されるなんて思ってもいなかった。 今の今まで都会派な自信に満ち溢れていた心が急速に萎えていく。もしも、群れで自分の仕事が認められなければ、仲良し組で自分だけ子供のままということになる。 嫌だ。絶対に嫌だ。 子供の頃からずっと一緒で仲良しだったみんなが一人前になるのを尻目に一人だけ子供のままでいる。 やがては結婚し、子供を作り、立派な親になるみんなに置いていかれて一人だけ結婚もすっきりもできないままでいる。 そんなの全然都会派じゃない。田舎者だ。とびきりの田舎者だ。 「ぞんなのい゛や゛だあ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!ゆ゛っぐり゛でぎな゛い゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛!!!」 「ありす、おちついてね!ゆっくりしてね!」 「むきゅ!とりみだしちゃだめよ、ありす!そんなのとかいはじゃないわ!」 「どがいはじゃないのはい゛や゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!!」 れいむとぱちゅりーが何とかありすを落ち着けようとしている。その様子を横目にまりさは男に食って掛かった。 「おにいさんやめてね!ありすをいじめないでね!」 「別に虐めてるつもりはないんだけどなあ。ただ本当のことを言っただけであって」 男には反省の色は全く無い。いや、男はそもそも間違ったことを言ったとも思っていない。 普段ゆっくりと触れ合う機会の殆どない男には、ありすの都会派へのこだわりとそれを自分が踏みにじったことなど分かるはずがなかった。 「なにがぼんどうのごどだあ!ゆ゛っぐり゛でぎないじじい゛はゆ゛っぐり゛ぜずにじねぇ!!」 先ほどの男の言葉を聞き咎めたありすがとうとう暴発した。 れいむ、ぱちゅりー、まりさを置き去りにして男の足に向かって体当たりを繰り返す。 「おいおい、なんて事するんだ。せっかく群れのためになるよう忠告してやったのに。まったくありすは悪いゆっくりだな」 男のその言葉に、まりさは自身のあんこが急激に冷えていくのを感じた。代わりに忘れていた人間への恐れが急激に浮上してくる。 ありすの気持ちは分かるが人間を怒らせるのだけはまずい。 ふと横を見る。するとれいむとぱちゅりーは既に恐怖にぶるぶると震えていた。とても動けそうな状態ではない。 自分がやらなければならない。ありすを落ち着かせ、人間さんに謝って、みんなを連れて一刻も早くここを立ち去らなければならない。 「お、おにいさん!ゆっくりごめんなさい!ありすもわるぎがあるわけじゃないんです!」 「ジジイ呼ばわりした挙げ句に体当たりまでしといて悪気はないって言われてもなあ」 「ゆ、ゆぅ……。ありす、そんなことしちゃだめだよ!ゆっくりできなくなるよ!」 男とまりさの会話の間も体当たりを続けていたありすをまりさが制止する。 「ゆっくりまっててね、まりさ!もうちょっとでこのじじいをたおせるわ!」 しかし、ありすは従わなかった。いや、むしろ攻撃が効いていると確信して勢いを強めている。 あまりの怒りに人間への恐怖も親の教えもあんこの遙か彼方へ飛んで行ってしまったようだ。 「にんげんざんをだおぜるわけないでしょおおおお!!おねがいだがらやべてよおおお!!」 「う~ん、もういいや。最初は礼儀正しいゆっくり達かと思ったけどやっぱり害獣なんだな。 放っとくと里に迷惑を掛けるかもしれないしお仕置きしとくか!」 男の口から死刑宣告にも等しい言葉が発せられた。 恐怖のあまり硬直していたれいむとぱちゅりーがその言葉に弾かれたように動き出した。二匹揃ってゆっくり式の土下座を繰り返す。 「おねがいだがらびゅるじでぐだざいぃぃぃ!あやばりばずがらあ゛ぁ゛ぁ゛!」 「むきゅう!むきゅきゅう、むきゅう!」 懸命に命乞いをする二匹、ぱちゅりーに至っては余りの必死さに言語を失っている程だ。 しかし男はそんなゆっくり達の懇願を全く意に介さない。 「い~や、ダメだ。お前達はクズだ。害獣だ。一匹残らずお仕置きする」 そう言うと、男はゆっくりからすると信じがたい程の速さでいまだに体当たりを続けるありすとそれを止めようとするまりさから それぞれカチューシャと帽子を奪い、それでも土下座を繰り返すれいむとぱちゅりーからも飾りを取り上げた。 そのままの勢いで宣言する。 「お前達はまだ悪いことをしたわけじゃないから命だけは助けてやる。だが、ゆっくりにとって一番大事だという飾りは破壊させてもらう」 そして間髪入れずに全ての飾りを力尽くで引きちぎり、たたき割った。 「「「「ゆぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!」」」」 四匹の悲鳴が里山に響き渡る。飾りのないゆっくりは仲間はおろか親姉妹からさえ排斥される。 これでもう四匹がゆっきりできる可能性は一切無くなったと言っても過言ではない。 「じゃあな!ゆっくりども!これに懲りたら少しは良いゆっくりになれよ!」 そして男は、悲鳴を上げた体勢のまま茫然自失の四匹を置いて意気揚々と里山を下っていった。 その顔には自分が悪いことをしたという罪悪感など微塵も感じられない。 逆に、里を害獣から守ったという達成感とその害獣にさえ更生の道を与えてやったという満足感に輝いていた。 おまけ どうしてこんなことになったんだろう。 男が去ってから数十分、ようやく思考を取り戻したまりさは自問自答した 大切な大切なお帽子さんを失ってしまった。 もうすぐ一人前になれるはずだったのに。お母さんや妹たちから祝福されて巣立ち、立派に仕事をこなし、 そしてやがてはれいむにプロポーズするはずだったのに。 全ては失われてしまった。 お母さんも妹たちも群れでの立場もれいむとの幸福な生活も生まれてくるはずだった子供達も、全て。 ほんのついさっきまで輝くような未来があったはずなのに。 今や残された未来は、飾りのない、ゆっくりできない日陰者ゆっくりとしてのくすんだ未来だけ。 どうしてこんなことになったんだろう。 「……ありすのせいだよ」 まりさと同じように沈痛な面持ちで何事かを考え込んでいたれいむがぽつりと言った。 そうか、ありすのせいだったのか。 「ありすがおかあさんたちのことばをわすれて、にんげんさんにさからったからこうなったんだよ……」 風の音に紛れてしまいそうなくらい小さな声だったその言葉は、しかし、今の四匹にはどんな音よりも大きく聞こえた。 そうだ、自分は必死で止めようとしたのにありすは……。 「むきゅ。それにありすはむれのためにならないしごとをしようとしてたわ。さいしょからゆっくりできないゆっくりだったのよ」 ぱちゅりーが更に付け加えた。 そうだよ、今考えればお兄さんが言ってたことが正しいじゃないか。 「ま、まって!ありすはそんなつもりじゃ「ばりずのぜいだよおおおおおおおおおおお!!!」 反論しようとしたありすの言葉を遮ってれいむが叫んだ。あんこの奥底から絞り出したような怨嗟に満ちた叫びだった。 「むきゅう。ありすにはしつぼうしたわ」 ぱちゅりーもありすを見限ろうとしている。 ありすは二匹の責めに耐えられなくなりまりさを見た。大好きなまりさ。とっても都会派で、格好良くて可愛いまりさ。 一人前になって、自分に自信が持てたその時には、ずっといっしょにゆっくりしようとプロポーズするつもりだったまりさ。 まりさならきっとありすを助けてくれる。 「……ま、まりさ」 まりさは何も言わなかった。ただその目だけが、怒り・憎しみ・絶望といった様々な負の感情が混じり合い爛々と輝いている。 まりさは何も言わなかった。何も言わないまま、ありすに渾身の体当たりを仕掛けた。 「ゆげぇっ!」 ありすは予想外の展開にまともな抵抗も出来ずにふっとんだ。全身に痛みが走る。 そして制裁はそれで終わらなかった。まりさと、感情を爆発させたれいむがありすに突っ込んでいく。 「……」 「ゆっくりしね!ゆっくりしね!」 「ごみくずありすはしにさない!しんでぱちゅりーたちにおわびしなさい」 無言で襲いかかるまりさの攻撃と怨嗟の言葉と共に襲いかかるれいむの攻撃。ぱちゅりーの罵声。 ありすは身も心も既に虫の息だ 「も、もっとゆっく――ゆべぇっ」 とうとうありすはお決まりのセリフすら言えずに息絶えた。 三匹はそれでも決して攻撃を止めようとしない。 攻撃を止めれば現実と向き合わなければならなくなる。これから死ぬまで全くゆっくり出来ないであろうという現実と。 それが何より恐ろしかった。先にあっさりと死んだありすはまだ幸せなのかもしれない。 これから先、この三匹に決して幸福は訪れない。 このSSに感想をつける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau9/pages/1161.html
「す~りす~り・・・とってもとかいはできもちいいわ!」 朝も早くから元気良くエクスタシー宣言しているのはある男性に飼われているありす。 今日も元気に頬を自分のお気に入りのあるものにこすりつけてそれの独特の弾力を楽しんでいた。 「ほんとうにきもちいいよぉ・・・!」 友達と(居ないから)遊ぶこともせず、今日も日長一日飼い主から与えられたコンニャクと戯れている。 最近の一番のマイブームはお兄さんにコンニャクでお尻をペチングしてもらうことだけど、今は彼がお仕事で出かけているので出来ない。 そんなわけで、ありすは仕方なく、少し前のマイブームの『ひたすら頬ずり遊び』に興じていた。 「す~りす~り・・・きもちい~♪」 ひんやり冷たくて、すごく弾力があって、どれだけ遊んでも文句一つ吐かない最高のお友達。 コンニャク、ああコンニャク、コンニャク・・・どうしてあなたはコンニャクなの? ありす一匹しかいない部屋でそんな風に一人ロミオとジュリエットよろしくな悲劇のヒロイン気分に酔いしれながらひたすら頬ずりを続ける。 「ゆぅ・・・ゆっ・・・ゆふぅ・・・ゆぅぅぅん・・・」 そうこうしているうちに変な気分になってきたありすは、ついにコンニャクに相手に交尾を始める。 激しく前後左右に揺れるありすの赤く上気した身体。それにあわせてぷるぷるんと揺れる大きなコンニャク。 「ぢゅごい!ぢゅごいわ、ごんにゃぐざあああああん!ありずもうがまんでぎない!!?」 そうしてありすはコンニャク相手にイった。それも13回も。 最後の絶頂の直後、ありすは交尾疲れで眠ってしまった。 翌朝。 ありすが目を覚ますと、そこには見たことのないゆっくりが5匹ほどいた。 体高3cmにも満たない小さな身体から察するにまだ赤ちゃんゆっくりだろう。 金色の髪をなびかせ、頂きにカチューシャを乗せているその姿は紛れもなくありす種のそれだ。 しかし、皮は半透明でコンニャクを髣髴とさせる色彩をしたその姿はゆっくりとは程遠い。 「「「「「ゆっくちちていっちぇね!」」」」」 が、生首がこの鳴き声を発する以上間違いなくゆっくりだろう。 その変な赤ちゃんたちは目を覚ましたありすを取り囲むと一斉に頬ずりをし始めた。 「「しゅ~りしゅ~り・・・」」 「ゆゆっ!おきゃーしゃん、やわりゃかきゅてきもちいいよ!」 「しゅごくゆっくちできりゅよ!」 「ゆゆ~ん!」 おかーさん・・・? その言葉を聞いたありすは何か思い当たるところがあったらしく、昨日すっきりしたコンニャクのほうを見る。 すると、予想通りというか何と言うか・・・コンニャクにゆっくりの赤ちゃんの成る蔦が生えていた。 「「「「「しゅ~りしゅ~り・・・」」」」」 ありすは思った。この赤ちゃん達もコンニャクと一緒ですごくいい感触をしている、と。 その瞬間、なんだかムラムラしてきて・・・あっという間に発情した。 「むほおおおおおお!ごんにゃぐあがぢゃんがあわいいっよおおおおおおお!!」 「ゆきゅ!?おきゃーしゃん、にゃにしゅるにょ!やめちぇね、ゆっくちやめちぇね!?」 「づんでれありずがわいいいいよおおおおおお!!?」 「やめちぇええええええええええええええええええ!?」 「ぢんじゃうううううううううう!」 「ゆっくちできにゃいよおおおおお!?」 ありすが我に返ったときにはこんにゃくありすの屍だけが残されていた・・・。 その白い肌・・・柔らかい感触、口の中でとろける優しい味・・・何もかもが大好きだった。 白くて角ばった柔らかいもの・・・いわゆるお豆腐に頬ずりしているのはゆっくりぱちゅりーだった。 「むきゅぅ・・・むきゅん・・・むっきゅ~・・・」 ぱちゅりーはすっきりした。豆腐で。 細かい経緯は面倒だし、ありすと似たようなものなので割愛。 翌朝。 ぱちゅりーが目を覚ますと、餡子を撒き散らした白い何かがお豆腐の傍に散乱していた。 それを眺めながらぱちゅりーが首をかしげているとお豆腐の上のほうから声が聞こえてきた。 「おきゃーしゃん、たちゅけちぇ!おちたらちんぢゃうよ!」 そこに居たのは異様なまでに肌の白い赤ちゃんぱちゅりーだった。 何故かは良くわからないが自分とお豆腐の間に赤ちゃんが出来たらしい。 「むきゅ~!ゆっくりまっててね!おかーさんがいまたすけるわ!」 そう言ったは良いもののぱちゅりーは貧弱なので非常に歩みが遅い。 そんなゆっくりしすぎた母の歩みと、今にも落ちそうな蔦の揺れに赤ちゃんは酷く怯える。 「おきゃーしゃん!おしょい!おしょいよ!ぱちゅりーゆっく・・・?!」 言葉を最後まで紡ぎ出すことなく、おとうふぱちゅりーは床に叩きつけられ、飛び散り、息絶えた。 「むぎゅうううう!?ばぢゅりーのあがぢゃんがあああああああ!?」 まだ頬ずりさえしていない、しかしそれでも可愛い我が子の死に嘆くぱちゅりーのめからはなみだがぽろぽろと零れ落ちる。 そうして、潰れた赤ちゃんを舐めながら悲嘆にくれていると・・・ 「むきゅ~!」 頭の上から、可愛らしい鳴き声が聞こえてきた。 声のするほうを見てみるとまだ一つだけ赤ちゃんの実が残っていたらしく、今にも生れ落ちそうなそれがゆらゆらと揺れていた。 「むきゅ!こんどこそゆっくりたすけるよ・・・」 そう言って、ぱちゅりーは赤ちゃんの落下地点に這いずって行くと舌を伸ばして絶妙のタイミングで落ちてきた赤ちゃんを受け止めた。 上手く受け止め、何とか赤ちゃんを死なせずに済んだのだが・・・・・・ 「むぎゅ!?いぢゃい!いぢゃいよ!おきゃーしゃん、ぱちゅりーあんよがいだいよおおおお!?」 それでも足が潰れてしまったらしい。残念。 ああ、何でこんなにねばねばなんだぜ・・・おにーさんがくれた特別大きいのが張り付いて取れないぜ・・・。 「ゆふぅぅぅぅううぅぅん・・・」 まりさはすっきりした。ガムと。 細かい経緯は(以下略 「「「「ゆっくちちていっちぇね!」」」」 「ゆふぅ~・・・まりさのあかちゃんはかわいいんだぜ!」 「「おきゃーしゃん、いっちょにあちょぼーよ!」」 「ゆゆっ!ゆっくりあそんであげるんだぜ!」 「「やっちゃー!」」 まりさは赤ちゃんまりさと遊ぶべくおうちの中の広い場所に跳ねて行った。 しかし、いつまで経っても赤ちゃんがついてこない。 不審に思ったまりさが赤ちゃんの様子を伺いに行くと・・・ 「あちがくっちゅいてうごけにゃいよおおおお!?」 「ぎゃ、ぎゃんばってはねりゅよ!」 「ゆゆっ!きゃらだがのびりゅよ!?」 「ゆぅ~・・・ゆかさん、ゆっくりはなれちぇね!」 ガムっぽい肌が床にへばりついたらしい。 この後、赤ちゃん達を助けようとしたまりさがどうなったかは想像に難くないことだろう。 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/758.html
「す~りす~り・・・とってもとかいはできもちいいわ!」 朝も早くから元気良くエクスタシー宣言しているのはある男性に飼われているありす。 今日も元気に頬を自分のお気に入りのあるものにこすりつけてそれの独特の弾力を楽しんでいた。 「ほんとうにきもちいいよぉ・・・!」 友達と(居ないから)遊ぶこともせず、今日も日長一日飼い主から与えられたコンニャクと戯れている。 最近の一番のマイブームはお兄さんにコンニャクでお尻をペチングしてもらうことだけど、今は彼がお仕事で出かけているので出来ない。 そんなわけで、ありすは仕方なく、少し前のマイブームの『ひたすら頬ずり遊び』に興じていた。 「す~りす~り・・・きもちい~♪」 ひんやり冷たくて、すごく弾力があって、どれだけ遊んでも文句一つ吐かない最高のお友達。 コンニャク、ああコンニャク、コンニャク・・・どうしてあなたはコンニャクなの? ありす一匹しかいない部屋でそんな風に一人ロミオとジュリエットよろしくな悲劇のヒロイン気分に酔いしれながらひたすら頬ずりを続ける。 「ゆぅ・・・ゆっ・・・ゆふぅ・・・ゆぅぅぅん・・・」 そうこうしているうちに変な気分になってきたありすは、ついにコンニャクに相手に交尾を始める。 激しく前後左右に揺れるありすの赤く上気した身体。それにあわせてぷるぷるんと揺れる大きなコンニャク。 「ぢゅごい!ぢゅごいわ、ごんにゃぐざあああああん!ありずもうがまんでぎない!!?」 そうしてありすはコンニャク相手にイった。それも13回も。 最後の絶頂の直後、ありすは交尾疲れで眠ってしまった。 翌朝。 ありすが目を覚ますと、そこには見たことのないゆっくりが5匹ほどいた。 体高3cmにも満たない小さな身体から察するにまだ赤ちゃんゆっくりだろう。 金色の髪をなびかせ、頂きにカチューシャを乗せているその姿は紛れもなくありす種のそれだ。 しかし、皮は半透明でコンニャクを髣髴とさせる色彩をしたその姿はゆっくりとは程遠い。 「「「「「ゆっくちちていっちぇね!」」」」」 が、生首がこの鳴き声を発する以上間違いなくゆっくりだろう。 その変な赤ちゃんたちは目を覚ましたありすを取り囲むと一斉に頬ずりをし始めた。 「「しゅ~りしゅ~り・・・」」 「ゆゆっ!おきゃーしゃん、やわりゃかきゅてきもちいいよ!」 「しゅごくゆっくちできりゅよ!」 「ゆゆ~ん!」 おかーさん・・・? その言葉を聞いたありすは何か思い当たるところがあったらしく、昨日すっきりしたコンニャクのほうを見る。 すると、予想通りというか何と言うか・・・コンニャクにゆっくりの赤ちゃんの成る蔦が生えていた。 「「「「「しゅ~りしゅ~り・・・」」」」」 ありすは思った。この赤ちゃん達もコンニャクと一緒ですごくいい感触をしている、と。 その瞬間、なんだかムラムラしてきて・・・あっという間に発情した。 「むほおおおおおお!ごんにゃぐあがぢゃんがあわいいっよおおおおおおお!!」 「ゆきゅ!?おきゃーしゃん、にゃにしゅるにょ!やめちぇね、ゆっくちやめちぇね!?」 「づんでれありずがわいいいいよおおおおおお!!?」 「やめちぇええええええええええええええええええ!?」 「ぢんじゃうううううううううう!」 「ゆっくちできにゃいよおおおおお!?」 ありすが我に返ったときにはこんにゃくありすの屍だけが残されていた・・・。 その白い肌・・・柔らかい感触、口の中でとろける優しい味・・・何もかもが大好きだった。 白くて角ばった柔らかいもの・・・いわゆるお豆腐に頬ずりしているのはゆっくりぱちゅりーだった。 「むきゅぅ・・・むきゅん・・・むっきゅ~・・・」 ぱちゅりーはすっきりした。豆腐で。 細かい経緯は面倒だし、ありすと似たようなものなので割愛。 翌朝。 ぱちゅりーが目を覚ますと、餡子を撒き散らした白い何かがお豆腐の傍に散乱していた。 それを眺めながらぱちゅりーが首をかしげているとお豆腐の上のほうから声が聞こえてきた。 「おきゃーしゃん、たちゅけちぇ!おちたらちんぢゃうよ!」 そこに居たのは異様なまでに肌の白い赤ちゃんぱちゅりーだった。 何故かは良くわからないが自分とお豆腐の間に赤ちゃんが出来たらしい。 「むきゅ~!ゆっくりまっててね!おかーさんがいまたすけるわ!」 そう言ったは良いもののぱちゅりーは貧弱なので非常に歩みが遅い。 そんなゆっくりしすぎた母の歩みと、今にも落ちそうな蔦の揺れに赤ちゃんは酷く怯える。 「おきゃーしゃん!おしょい!おしょいよ!ぱちゅりーゆっく・・・?!」 言葉を最後まで紡ぎ出すことなく、おとうふぱちゅりーは床に叩きつけられ、飛び散り、息絶えた。 「むぎゅうううう!?ばぢゅりーのあがぢゃんがあああああああ!?」 まだ頬ずりさえしていない、しかしそれでも可愛い我が子の死に嘆くぱちゅりーのめからはなみだがぽろぽろと零れ落ちる。 そうして、潰れた赤ちゃんを舐めながら悲嘆にくれていると・・・ 「むきゅ~!」 頭の上から、可愛らしい鳴き声が聞こえてきた。 声のするほうを見てみるとまだ一つだけ赤ちゃんの実が残っていたらしく、今にも生れ落ちそうなそれがゆらゆらと揺れていた。 「むきゅ!こんどこそゆっくりたすけるよ・・・」 そう言って、ぱちゅりーは赤ちゃんの落下地点に這いずって行くと舌を伸ばして絶妙のタイミングで落ちてきた赤ちゃんを受け止めた。 上手く受け止め、何とか赤ちゃんを死なせずに済んだのだが・・・・・・ 「むぎゅ!?いぢゃい!いぢゃいよ!おきゃーしゃん、ぱちゅりーあんよがいだいよおおおお!?」 それでも足が潰れてしまったらしい。残念。 ああ、何でこんなにねばねばなんだぜ・・・おにーさんがくれた特別大きいのが張り付いて取れないぜ・・・。 「ゆふぅぅぅぅううぅぅん・・・」 まりさはすっきりした。ガムと。 細かい経緯は(以下略 「「「「ゆっくちちていっちぇね!」」」」 「ゆふぅ~・・・まりさのあかちゃんはかわいいんだぜ!」 「「おきゃーしゃん、いっちょにあちょぼーよ!」」 「ゆゆっ!ゆっくりあそんであげるんだぜ!」 「「やっちゃー!」」 まりさは赤ちゃんまりさと遊ぶべくおうちの中の広い場所に跳ねて行った。 しかし、いつまで経っても赤ちゃんがついてこない。 不審に思ったまりさが赤ちゃんの様子を伺いに行くと・・・ 「あちがくっちゅいてうごけにゃいよおおおお!?」 「ぎゃ、ぎゃんばってはねりゅよ!」 「ゆゆっ!きゃらだがのびりゅよ!?」 「ゆぅ~・・・ゆかさん、ゆっくりはなれちぇね!」 ガムっぽい肌が床にへばりついたらしい。 この後、赤ちゃん達を助けようとしたまりさがどうなったかは想像に難くないことだろう。 このSSに感想を付ける