約 3,258,042 件
https://w.atwiki.jp/oretatizonbi/pages/40.html
1日目 【探索】ホームセンターを捜索。寝袋(【休息】が出た場合、本来の効果とは別にHPを1点回復する)を得た! 最近は歩ける寝袋というのもあるらしい。食糧:-2 http //shindanmaker.com/235938 HP100,食糧98,アイテム:寝袋 2日目 【探索】軍の施設らしき建物を捜索。軍服のゾンビをやりすごし、治療薬(ゾンビ化しつつある者を元に戻す。使い捨て)を得た! 4のダメージ、食糧:-3 HP96、食糧95、アイテム:寝袋、治療薬(使い捨て) 3日目 【戦闘】路地裏でゾンビに遭遇! 5のダメージ! 戦闘後、襲われていた女性からお礼に治療薬(ゾンビ化しつつある者を元に戻す。使い捨て)か食糧7のどちらかを貰える。 HP91、食糧95、アイテム:寝袋、治療薬(使い捨て) → HP91、食糧100に。 4日目 【戦闘】廃棄されたデパートの服売り場を通りがかる。ちょうどいい、ボロボロになった服を着替えよう・・・と、更衣室に先客が・・・ゾンビだ! 6のダメージ! 食糧:-2 HP85、食糧98。アイテムは寝袋(休息時HP+1)、治療薬(使い捨て)。 5日目 【アクシデント】食糧があるという場所への地図を発見。だが、まだ残っているのか? 今が24~11時なら食糧+5。それ以外なら徒労に終わって食糧:-5。 HP85、食糧93。アイテムは寝袋(休息時HP+1)、治療薬(使い捨て)。最高の徒労を見せてくれ! 6日目 【休息】ほとんど手つかずのコンビニを発見! 大量の食糧、日用品までよりどりみどり。ここは天国のようだ・・・! HP:+5、食糧:+5 HP91、食糧98。アイテムは寝袋(休息時HP+1)、治療薬(使い捨て)。 7日目 【探索】デパートを捜索。寝袋(【休息】が出た場合、HPを1点回復する)または、調理キット(【休息】で減少する食糧が本来より1点少なくなる。最低1)を得る。食糧:-2 HP91、食糧96。アイテムは寝袋(休息時HP+1)、治療薬(使い捨て)。 8日目 【アクシデント】ゾンビを撃退するも噛まれてしまう! 十日以内(あと10行動)に治療できないとゾンビ化しゲームオーバーだ! 皮肉なことに肉体が活性化し、HP:+7。 治療薬(ゾンビ化しつつある者を元に戻す。使い捨て)使用。 HP98、食糧96。アイテム:寝袋(休息時HP+1) 9日目 【拠点】金持ちらしき死体の上着から、無人のシェルターの鍵(アイテム扱い。以降【休息】が出るたび、その内容を「HP:+1 食糧:-2」に変更してもよい)を発見! 食糧:-2 HP98、食糧94。アイテム:寝袋(休息時HP+1)、シェルターの鍵(【休息】の内容を「HP:+1 食糧:-2」に変更可) 10日目 【アクシデント】同行者が噛まれゾンビ化、戦うしかない! 【同行者】がいる場合は1人失って6のダメージ。いない場合はあなたが襲われ9のダメージ。いずれにせよ食糧:-2 HP89、食糧92。アイテム:寝袋(休息時HP+1)、シェルターの鍵(【休息】の内容を「HP:+1 食糧:-2」に変更可) 11日目 【休息】今日もなんとか安全に休める場所を発見。だが食糧は刻一刻減っていく・・・いつまでもつか。HP:+6、食糧:-3 HP96、食糧89。アイテム:寝袋(休息時HP+1)、シェルターの鍵(【休息】の内容を「HP:+1 食糧:-2」に変更可)。寝袋効果でHP+1 12日目 【休息】ほとんど手つかずのコンビニを発見! 大量の食糧、日用品までよりどりみどり。ここは天国のようだ・・・! HP:+5、食糧:+5 HP100、食糧94。アイテム:寝袋(休息時HP+1)、シェルターの鍵(【休息】の内容を「HP:+1 食糧:-2」に変更可)。 13日目 【戦闘】ゾンビ達にじりじりと壁際に追い詰められた! ドアを開けて逃げ・・・あ、開かない!? 10のダメージ! フォロワーの助けを得られるなら6のダメージ。食糧:-2 HP90、食糧92。アイテム:寝袋(休息時HP+1)、シェルターの鍵(【休息】の内容を「HP:+1 食糧:-2」に変更可)。 14日目 【戦闘】建物の中でゾンビの集団と遭遇! 出口まで走れ! 8のダメージ! フォロワーの助けを得られるなら5のダメージ。 食糧:-2 HP82、食糧90。アイテム:寝袋(休息時HP+1)、シェルターの鍵(【休息】の内容を「HP:+1 食糧:-2」に変更可)。 15日目 【戦闘】見たこともない重武装の軍人たちに遭遇。救いの手か!? ・・・いや撃ってくる! 君を「処理」するつもりなのだと直感し、命からがら逃げた。8のダメージ! 食糧:-2 HP74、食糧88。アイテム:寝袋(休息時HP+1)、シェルターの鍵(【休息】の内容を「HP:+1 食糧:-2」に変更可)。 16日目 【戦闘】ゾンビの群れから逃走中「ここは俺に任せろ」と勇敢な男性が時間を稼いでくれた。おかげで助かったが、彼は・・・生きていると思いたい。4のダメージ、食糧:-2 0HP70、食糧84。アイテム:寝袋(休息時HP+1)、シェルターの鍵(【休息】の内容を「HP:+1 食糧:-2」に変更可)。 17日目 【探索】コンビニを探索。先客に荒らされたのか、棚はほぼ空っぽだが・・・とっておきのお菓子(食糧が0以下になった時、食糧を10に変更する。使い捨て)を得た! 食糧:-2 HP70、食糧82。アイテム:寝袋(休息時HP+1)、とっておきのお菓子(食糧が0以下の時+10、使い捨て) 18日目 【探索】廃墟となった駅前アーケード街を探索。とっておきのお菓子(食糧が0以下になった時、食糧を10に変更する。使い捨て)を得た! 食糧:-2 HP74、食糧80。アイテム:寝袋(休息時HP+1)、とっておきのお菓子(食糧が0以下の時+10、使い捨て) 19日目 【探索】まだ動かせる車(【戦闘】で受ける最終的なダメージが半分になる。端数切り上げ。何か【アクシデント】が出ると燃料切れでこのアイテムは失われる)を発見! 食糧:-3 HP74、食糧77。アイテム:寝袋(休息時HP+1)、まだ動かせる車(【戦闘】ダメージが半分。端数切り上げ。【アクシデント】が出ると燃料切れで失われる) 20日目 今日のLLF39:【戦闘】ゾンビ化した親を安らかに眠らせてほしいという少女に出会う。了承して戦うなら5のダメージ、お礼に拾った治療薬(ゾンビ化しつつある者を元に戻す。使い捨て)をくれる。 HP69、食糧77。アイテム:まだ動かせる車(【戦闘】ダメージが半分。端数切り上げ。【アクシデント】が出ると燃料切れで失われる)治療薬(ゾンビ化治す) 車のお陰でダメージ半減。 21日目 【探索】アウトドア用品店を捜索。平和だった頃が早くも遠い昔の夢のように思える・・・安全靴(【探索】で減少する食糧が本来より1点少なくなる。最低1)を発見! 食糧:-2 HP69、食糧75。アイテム:まだ動かせる車(【戦闘】ダメージが半分。端数切り上げ。【アクシデント】が出ると燃料切れで失われる)治療薬(ゾンビ化治す) 22日目 今日のLLF39:【探索】朝早くに食糧を発見! 早起きは三文の得、食糧:+4。今日は調子がいい、2回目の行動が可能だ(名前の後に「2」をつけて診断。同様の効果とは重ならない) HP69、食糧79。アイテム:まだ動かせる車(【戦闘】ダメージが半分。端数切り上げ。【アクシデント】が出ると燃料切れで失われる)治療薬(ゾンビ化治す) 2:【同行者】歴戦の老軍人(アイテム扱い。4点以上のダメージを受けるような【戦闘】でも最終的に受けるダメージが最大3点になる)が同行を申し出た。連れて行くかは好きにせよ。 HP69、食糧79。アイテム:歴戦の老軍人(4点以上ダメージの【戦闘】3点になる)治療薬(ゾンビ化治す) 23日目 【休息】満天の星空の下、仲間と生存を誓い絆を深めた。【同行者】がいる場合、HP+5。あるいはフォロワーひとりのHP+5。どちらもいない場合、孤独でHP-2。 HP74、食糧79。アイテム:歴戦の老軍人(4点以上ダメージの【戦闘】3点になる)治療薬(ゾンビ化治す)、回復した! 24日目 【戦闘】足の遅いゾンビが襲ってきた! だが、攻撃してもその歩みはなかなか止まらない! じわじわと追い詰められる! 4のダメージ! 食糧:-3 HP71、食糧76。アイテム:歴戦の老軍人(4点以上ダメージの【戦闘】3点になる)治療薬(ゾンビ化治す)、老軍人さんが早速活躍してくれました。 25日目 【探索】廃棄された研究所を探索。治療薬(ゾンビ化しつつある者を元に戻す。使い捨て)を得た! ゾンビ発生をあらかじめ予期していたのだろうか、それとも・・・。 食糧:-2 HP71、食糧74。アイテム:歴戦の老軍人(4点以上ダメージの【戦闘】3点になる)治療薬(ゾンビ化治す)、残念だけど治療薬なら持ってるんだ…… 26日目 【探索】元軍人から奪ったという奇妙な地図を持つ男。食糧6を渡せば譲ってくれる(アイテムではない「クリアフラグA」を得る)。襲って奪う? ならば6ダメージで君のものだ HP71、食糧68。アイテム:歴戦の老軍人(4点以上ダメージの【戦闘】3点になる)治療薬(ゾンビ化治す)、クリアフラグAをゲットした! 27日目 【休息】無人のマンションの一室で宿をとる。しかも運良く、未開封の缶詰をいくつか発見した。翌朝、窓をひっかく音で目覚め、急ぎその場を後にした。HP:+3 食糧:+3 HP74、食糧71。アイテム:歴戦の老軍人(4点以上ダメージの【戦闘】3点になる)治療薬(ゾンビ化治す)、クリアフラグA。 割と運が良い。 28日目 【戦闘】なんということだ・・・見知った顔がゾンビになっている! 戦って安らかな眠りを与えるなら8のダメージ。戦いを避けて逃げるなら6のダメージ。食糧:-2 HP71、食糧69。アイテム:歴戦の老軍人(4点以上ダメージの【戦闘】3点になる)治療薬(ゾンビ化治す)、クリアフラグA。逃げる、それが俺のジャスティス。
https://w.atwiki.jp/tsvip/pages/1039.html
85 名前: クラッキ6 投稿日: 2007/09/05(水) 00 38 13.85 ID xN3WK8ok0 子猫のように愛らしいその少女は、あまりにも傷だらけだった。 傷つけられ、傷つけられ、傷が治らないうちにまた、傷つけられ。 血だらけになりながらも、それでも彼女は生きようとしたのだ。 折れた足、塞がった目で、それでも彼女は前に進もうとしたのだ。 本当の強さって、そういうことなんじゃないだろうか。 ―――クラッキ6 86 名前: クラッキ6 投稿日: 2007/09/05(水) 00 39 18.01 ID xN3WK8ok0 夕日は落ち、濃紺の空に星が輝き始めた。 ガキ共は突如現れた健一を取り囲み、鼻息を荒くしている。 闇に浸食されつつある第一公園に、レイジの澄んだ声が再び響いた。 「殺せ」 美しい声色に似つかわしくない言葉だった。 その声を合図に、健一に群がっていたガキ共は一斉に動き出す。 最も速く健一に飛びかかった二人は、健一の神速のジャブで二人とも顔を潰された。 背後から近づいた奴には回し蹴りをお見舞いし、警棒で殴りかかってきた奴は服を掴んで投げ飛ばした。 相変わらず健一は強かった。 「すごい……」 先ほどまで健一の身の心配をしていたニコも、今では感嘆の息を漏らしている。 87 名前: クラッキ6 投稿日: 2007/09/05(水) 00 39 57.96 ID xN3WK8ok0 ガキ共が全員地面に突っ伏すまで、かかった時間はわずか五分程度だった。 「後はお前だけだな、金髪野郎! 一人になって寂しいだろうから、すぐにお前もぶっ倒してやるぜ!」 レイジは健一の言葉にきょとんとした表情を浮かべた。 「何言ってるの? 僕は最初から一人だ」 「は、はぁ?」 どうやらレイジは今地面に倒れているガキ共を、仲間ともなんとも思っていなかったらしい。 つくづくイカれた野郎だ。 そして、健一の戦いを見ても尚、その余裕そうな態度が怖かった。 健一は構えをとり、じりじりとレイジに近づいていった。 その時初めてレイジが構えた。 俺の時とは違い、警戒しているのだろう。 88 名前: クラッキ6 投稿日: 2007/09/05(水) 00 41 20.52 ID xN3WK8ok0 健一は俺とは比べものにならないスピードのパンチを、レイジの顎を狙って打った。 しかしレイジは間一髪でそれを避け、生じた隙に健一の顔目掛けてフックを放つ。 レイジのフックが健一に届く前に、健一は後ろに飛んでいた。 レイジも後ろに後退し再び構える。 辺りの空気がぴりぴりと張り詰めているように思えた。 「周也、ニコを連れて逃げろ」 俺は健一が何を言っているのかすぐには理解出来なかった。 「周也! 早くしろ! こいつ、やばいぞ」 健一が相手を畏れている。 五年近く付き合っているが、こんな健一を見たのは初めてだった。 「わかった。無理はするな」 「おう」 レイジに視線を合わせたまま、健一は短く返事をした。 おろおろするニコの手を引っ張って、俺は第一公園を後にした。 空には狂おしい程美しい半月が、圧倒的な存在感をもってそこにたたずんでいた。 89 名前: クラッキ6 投稿日: 2007/09/05(水) 00 42 21.30 ID xN3WK8ok0 「健一くん、大丈夫かな……」 街頭の光が照らす道を俺たちは歩いていた。 後頭部から流れていた血はとっくに止まっているが、後ろ髪が血で湿りごわごわして気持ち悪い。 右頬を殴られたらしく、その部分が大きく隆起している。 せっかくのイケメンが台無しだ。 「安心しなよ橘さん。あいつは今まで負け無しなんだ」 噂で聞く限りだが、健一が喧嘩で負けたことなど俺は知らない。 沈黙が流れ、虫の声がやけに大きく聞こえた。 先ほど見たトイレの中での事を聞きたいが、とても俺の口から聞けることじゃない。 とりあえずあいつらとどういう関係なのかを聞いてみることにした。 90 名前: クラッキ6 投稿日: 2007/09/05(水) 00 43 24.56 ID xN3WK8ok0 「あの人達は前の学校の人。レイジくんだけは違う。えと、レイジくんはチームのリーダーって聞いてる」 あのサド野郎にくん付けなんてしなくていいと思うが、そこは突っ込まずに適当な相づちを打っておいた。 「……周也くん。聞いて欲しいことがあるの」 静かに、しかしはっきりとした口調でそう言った。 俯いていた為、ニコの表情はわからない。 俺が黙っていると、ニコはぽつりぽつりと語り出した。 それは、平々凡々に育った俺にとって、あまりにも衝撃的な話だった。 集団レイプ。 耳を覆いたくなるようないじめ。 そして、自殺未遂。 聞いている内に心に黒い塊がどんどん溜まっていくようで、話を聞くのが辛かった。 全てを話し終えた後、ニコは顔をあげて言った。 91 名前: クラッキ6 投稿日: 2007/09/05(水) 00 44 35.28 ID xN3WK8ok0 その言葉を聞いた俺は耳を疑った。 「ぼく、ぼくね。レイジくんが言ったこと、正しいと思う」 「!」 信じられない言葉だった。 ニコは真っ直ぐ俺を見据えて、はっきりとそう言ったのだ。 「違う、違うよ橘さん。あいつの言ったことは全部デタラメだ」 「ううん。聞いて、周也くん」 ニコが立ち止まり、俺もそれに合わせて立ち止まる。 「……ぼくね、ずっと考えてたの。なんでぼくは女体化したんだろうって。なんでぼくはいじめられるんだろうって。 ずっとずっと考えてた。そのせいで、寝れない日もあった。ある日レイジくんに会ったとき、あの話を聞かされた。 ぼくだってレイジくんが良い人だとは思ってないけど、でも、結局世の中、そうなんだよ。 正義も悪もない。強い人だけがルールを作って、弱い人がそれに従うようになってるんだ。 ぼくはレイジくんの話、正しいと思う。ぼくは……」 92 名前: クラッキ6 投稿日: 2007/09/05(水) 00 46 25.91 ID xN3WK8ok0 街頭の光に照らされたニコは、目を離せばすぐに消えてしまいそうな程儚かった。 「……ぼくはいじめられることでしか、この世界にいちゃいけないんだって、そう思ったの。 いじめられることこそが、ぼくのソンザイイギなんだ」 聞いていて涙が出そうだった。 一体誰がここまでこの少女を追い詰めたのだろうか。 光の無い瞳に、ニコの底の見えない絶望を見た気がした。 違うと否定したかった。 力一杯抱きしめたかった。 伝えたい言葉があった。 でも俺は何一つ、出来なかった。 手が震え、口が渇き、頭の中で思考が駆けめぐるが、結局俺は何も出来なかったのだ。 俺の兄貴の時と、同じように。 93 名前: クラッキ6 終 投稿日: 2007/09/05(水) 00 46 59.37 ID xN3WK8ok0 「ぼくの家、近くだから。今日はありがとう。でも、もういいから。ばいばい」 俺は遠ざかるニコの背中を、見えなくなるまで見つめていた。 ニコが後ろを振り返ることは無かった。 ~to be continued~
https://w.atwiki.jp/tesu002/pages/5485.html
トンちゃん「トンギャアアアアアアアアアアアッッッ!!!」ガンガンガン 澪「怖い怖い怖い、水槽割れるぞ」 梓「なんなんすか、マジでなんなんすか」 律「しらねーよ」 唯「誰だよあんなん買ってきたの」 律「お前だ」 唯「あたしか」 紬「水槽から出そう」 澪「良いのか?」 紬「やってみないと分からないけど。とりあえず水槽から出そう」 梓「いやいやいや」 律「お前責任取れんのか」 紬「責任は……部長が取る」 律「おっほ、わたしですか」 紬「トンちゃん、今水槽から出してあげるからね!」 トンちゃん「ギャアアハハハッハハハハハッハアア」ガンガンガン 澪「……」 律「もう帰るわ」 梓「怖すぎる」 唯「トンちゃんどうしちゃったの」 律「あ」 澪「お?」 律「何だっけ、なんか忘れてる」 澪「なんだよ」 紬「きゃあああああああ」パリーン 律「思い出せん」 唯「ねぇねぇ」 律「うむむむむ」 唯「ねぇねぇ」 律「なに」 唯「トンちゃん紅茶に漬けてみよっか」 律「おうやれやれ」 梓「やっちまえ」 澪「おいまさか律」 律「なんだ」 澪「忘れたってあれのことじゃないだろうな」 律「ん? ちょっと待って」 澪「やっぱり……」 律「待て待て待て、それは覚えてるって!」 澪「お前ってやつは」 唯「ぎゃああああああああ」ガシャーン 律「覚えてるって!」 律「覚えてるよーやだなやだな」 澪「じゃあ言ってみろ」 律「えーっと、えーっと」 梓「あ」 律「ん?」 梓「あれのことじゃないですか」 澪「おい律を助けるな」 梓「私がみんなのお母さんってことを忘れてるんじゃないですか」 律「あ! それか!」 澪「やっぱり忘れてたじゃないか!」 梓「ふふふ、困りますよ」 律「ごめんね、おかにゃん」 梓「良いんですよ、ふふふ」 澪「おかにゃん、お腹すいたー」 唯「頭おかしいんじゃねぇの?」 紬「ついていけんすわ」 律「いやいや、梓のジョークに付き合ってやろうと思っただけで」 澪「頭おかしいのは梓一人だけだ」 梓「あーはいはい、どーせ私はつまらないですよ」 律「拗ねるなら変なこと言うんじゃねぇよ」 トンちゃん「トンギャアアアアアアアアアアアッッッ!!!」 梓「うるせぇ」 律「は?」 梓「今のはトンちゃんに言ったんですよ」 トンちゃん「はいはい、どうせ私はうるさいですよ」 律「おおやっと気付いたか」 澪「その通りだ。お前はうるさい」 梓「半年ほど黙ってろ」 紬「まぁまぁまぁまぁまぁまぁ」 トンちゃん「あーやってらんねぇ」 唯「トンちゃん紅茶に漬けてみよっか」 律「おうやれやれ」 梓「やっちまえ」 トンちゃん「勝手にしてくれ」 澪「そんなことより練習しようぜ」 紬「確かに」 律「明日学園祭だしな……」 唯「トンちゃん紅茶に漬けてからで良い?」 梓「やっちまえ」 律「あれ?私のドラムが無い」 澪「は?」 律「あれ?あれ?」 唯「もしかして」 律「ドラムパクられたわこれ」 紬「そんなことってあるんですね」 澪「ねーよ」 梓「さっき自分で物置に動かしてましたよね?」 律「え?」 紬「そうなの?律ちゃん」 律「違う違う!そんなことしてない!」 澪「私は見ていた」 澪「田井中がドラムを動かしているところを」 唯「あ、私が動かしました」 律「ほら」 澪「唯は黙ってろ」 律「なぜ唯は私のドラムを動かしたんだ」 唯「さぁ練習しましょう」 律「聞け」 唯「なに?」 律「なぜ私のドラムを動かした」 唯「動かしてない」 澪「お?」 梓「なんなんだ」 律「天才ってやつか……」ハァ 紬「良いから練習しません?」 唯「田井中が変なこと言うから冷めた。今日は帰るわ」 澪「天才ってやつか……」ハァ 梓「あの」 律「どうした」 梓「トンちゃんが逃げましたけど」 紬「やべっ」 紬「トンちゃんは部室から100km以上離れると爆発する」 律「おう、じゃあまだ大丈夫だな」 澪「何が?」 律「トンちゃんが」 澪「何で?」 律「え?100kmも離れられないだろ」 梓「やべっ」 律「は?」 梓「昨日トンちゃんが珍しく私に話しかけてきたんですよ」 唯「ほう」 梓「あいつ電車の乗り方をしつこく聞いてきたんで」 澪「まさか!」 梓「教えちまったよ」 紬「やっちまったな」 律「トンちゃん……」 唯「はぁ……帰るわ」 唯「お疲れしたー」ガラガラ 律「ちょっと待て」 唯「なに?」 律「ポケットの中見せてみろ」 唯「え? はい」 トンちゃん「お」 律「やっぱりここにいたか」 トンちゃん「へへ、見つかってしまいやしたね」 梓「トンちゃん埃まみれ」 律「ちょっと反対側のポケットも見せてみろ」 澪「あ!」 律「ん?」 澪「だ、ダメ……見ちゃダメ……」 梓「およよよーん? 何すか何すか」 律「見せろ唯」 澪「やめろ、見たら殺す見たら殺す」 律「ヒヒヒ、みーちゃお」ゴソゴソ 唯「ヒヒヒ」 律「ん? これは……これはなんだ?」 梓「え? なにそれ」 澪「ううう恥ずかしいよぉ」 紬「なにそれ?」 律「なんだこれ」 唯「え? え? 何なの?」 律「わからない……」 律「澪? これなに?」 澪「さぁ」 律「は?」 澪「よく分からんが、まぁあれだ。お前には早い」 梓「そうだな」 律「私にはまだ早いのか」 澪「そうだ」 律「そうだったのか」 紬「うむ、早い」 唯「そうだな。確かにそうだ」 律「そうか」 澪「残念だったな」 律「いや、別に良いよ」 唯「これ澪ちゃんに返すね」 澪「いらない」 唯「え、私もいらないんだけど」 紬「私もいらない」 律「そういうのは梓にあげとけよ」 梓「やったー」 澪「梓は変わり者だなー」 唯「田井中のカチャーシャとか金もらってもいらない」 律「おい返せよ」 梓「返さねぇ」 律「何か忘れてたと思ったら私のカチャーシャが無かったんだ」 澪「うっかりさん」 唯「まったくうっかりさん」 律「いやいやトンちゃんがうるさいからさぁ」 トンちゃん「あーまた俺のせいだよ、あーあ」 梓「おい拗ねるなら水槽帰れ」 律「梓はカチャーシャ返せ」 梓「いや返さねえ」 律「何でだよ……」 梓「絶対に返さない」 律「あれか私が好きなのか」 梓「おっほ、すげぇ思考回路」 唯「ドン引きやな」 澪「単純にタングステンが高く売れるからだろ」 律「え?タングステンじゃないよ」 梓「ウソついても無駄です!」 律「うそじゃねえよ」 律「それ劣化ウラン製だし」 梓「うわあぁああああああああああッッッ!!!」 唯「ドン引きやな」 トンちゃん「せやせや」 さわ子「おい」 律「お、ババア登場」 さわ子「11時過ぎてるぞ」 梓「帰らねえっすよ」 紬「明日学園祭なんで」 さわ子「え?」 澪「ん?」 律「あ!」 律「学園祭って先週だったわ、忘れてた」 梓「レンタルDVDの返却日忘れてた感じですね」 律「そんな感じ」 さわ子「帰れ」 律「明日は日曜日なんで」 梓「帰らなくても良いと思います」 澪「明日は月曜日です」 さわ子「え!?」 紬「え? ホント? え!?」 澪「うっそー」 律「馬鹿やろう焦ったじゃねぇか」 唯「月曜日提出の宿題まだやってないよーびびったー」 紬「明日は火曜日だぞ」 澪「ゲームオーバーだ唯」 2
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/3191.html
それはハルヒとふたりで下校した冬の日のことー・・・ 「あー、寒いわねぇ、寒い寒い。」 「そんなに寒い寒い言うな、うんざりする。」 北高通学路のうんざりするくらい長い坂道を俺たちは下っていた。 その日はたまたま古泉も、朝比奈さんも、長門もいなくて、 俺とハルヒはふたりだけだった。 「寒いんだから仕方ないでしょ。」 ハルヒはいつもの様に悪態をつき、俺はいちいちその言葉に突っ込んでいた。 いつものことだ。 俺はハルヒとこうしてふたりでいることに何の違和感も持っていなかった。 別に恋人じゃないが、ハルヒとふたりで歩いていることは自然なことで、当たり前のことだと、いつからかそんな風に思うようになっていた。 ハルヒもそう思っていてほしい、なんてな。 何かを話すたびに白い息が出て、手袋をしていない手が冷たくて痛い。 ハルヒはコートを着て、マフラーを巻いて、手袋も装備しているのにミニスカートで、下半身の方は大丈夫なのだろうか。まぁ、ニーソックスらしきものを履いているからな。それと毛糸のパンツでも履いているのだろうか。おっといけない、ちょっと今のはないな。 今後のSOS団の活動のことや、クラスでの出来事を話しているうちに、あっという間に俺の家路の中間地点まで差し掛かった。 そのあたりでふいに頬に何か冷たいものが触れた気がした。 「あっ、雪」 ふたつ、みっつ 「雪だわ、雪よ、キョン」 降ってきた雪はもう数え切れないほど絶え間なく空から降ってくる。 ハルヒは立ち止まり、空を見上げていた。さっきまで悪態をついていたのに、うっとりと空を見上げている。 その瞳はいつものハルヒらしくなく、どこか寂しげで、真っ黒な瞳がもっと深い闇のような色に染まっている気がした。 きっとコイツも寂しい気持ちを抱えているんだな。 ところで、俺はハルヒのことをどう思っているんだろう。 ハルヒは俺のクラスメイトで後ろの席、そして俺の所属しているSOS団の団長。別に好きってわけではない。けれども、ハルヒの全てを受け入れることができるのは俺だけだ、なんて心のどこかで自惚れている自分がいるような、いないような・・・まぁ、変わり者のハルヒを受け入れることができる人物なんて身内以外早々いないだろうな。いたとしても俺ぐらいだ。 そんなことを考えていると腕に衝撃が走る。 「何ボサっと突っ立ってんのよ。」 ハルヒが持っているかばんでぶん殴ってきたのだ。 まったくコイツはー 「ボサッとしてて悪かったな。」 俺はそんなことをぼやきながら、ハルヒの手を握った。 「ちょっと、何すんのよ。」 しまった。 「いや、俺手袋なくてつい、な」 「あ、手真っ赤じゃない。しょうがないわね。」 手袋をしているハルヒの手はあたたかい。 ハルヒと俺は手を繋ぎながら雪の中を歩いた。 気がついたら周りは誰も歩いていなし、車さえも走っていなかったから、まるでいつぞやの閉鎖空間みたいに俺たちしかこの世界にいないような感じだった。 ハルヒも俺も何も話さずに歩いた。 俺が何も話さなかったのは、話したら余計なことまでハルヒに言ってしまいそうな雰囲気だったからだ。心の底で眠っている言葉を話してしまいそうでな。それとも手を繋いでいるから俺の今の気持ちがハルヒに伝わってしまうのではないかーそんな幻想を抱きながら周りに誰もいない雪の中をハルヒとふたりで歩いた。 手を繋ぐのがやっとで、ハルヒがどんな表情をしていたのかはわからなかったがな。 しばらくお互い無言のまま、手を繋ぎながら歩いて、ハルヒと俺の家路が別れるところに差し掛かった。 俺はハルヒの手を離し、「すまんな」と一言呟いた。 「別に。もうここでお別れね。」 ハルヒは俺を見ないで話す。 「ああ、じゃあな。」 俺たちは別々の方向に別れた。 この気持ちは何だろう。 俺は後ろを振り返った。そうするとハルヒが俺の方を向いて突っ立っていた。 「お前、帰んないのか。」 「あんたこそ。」 俺たちはしばらく見つめ合っていた。何故なのか、このまま家に帰りたくなかった。 「なんか雨じゃないけど傘ないから濡れるな。」 「・・・そうね、雪も結構濡れるわね。」 俺はほかに話すことがないか探した。 ハルヒとあと少し一緒にいるための口実。 「雪やみそうにないし、コンビ二で傘買わないか。」 ハルヒはしばらくじっと俺を見て、「それもそうね」と呟いた。 「でもあたし傘買う気ないから、あんたが買いなさいよね?」 「はぁ?」 「だってあたしは何本も傘いらないもん。あんたが一本買えば十分よ。」 やれやれ、それは家まで送れってことですか。 まぁ、別に悪くはないかな・・・って思えてくる自分が嫌になるぜ。 「あっ、あと寒いから肉まんおごりなさいよ!」 ハルヒは急に満面の笑顔になって言った。 ったく、さっきまでおとなしかったのにすぐこれか。 ああ、やれやれ、やれやれだな。 俺はハルヒに対する密かな気持ちをしばらくはそっと胸にしまっておこうと思った。
https://w.atwiki.jp/kaeuta-matome/pages/2763.html
元ネタ:曇天(銀魂 DOES) 作:ヤジオーディエンス マヌケな奴 やけに意気込み 調子に乗っては常識を砕いて いつまでも困らせる じわりじわり 妙な跡目が 現実無視してポピュリズムに走る もうじきに候補者になる ※仰天の結果 我を忘れて はしゃぐ奴らはプロを嫌ってるので 誰も予想がつかなくて空を仰ぐ あれもこれも 煽りは上手 良識派にとって 屁理屈であっても 止まらない 止めれない 当然の結果 あららあらあら 迎え撃つのは 案じるがごとく 形式的な意見を振りかざす いったいどうなる ※繰り返し 検索タグ J-POP その他ネタ アニメ フルコーラス 銀魂 ヤジオーディエンス メニュー 作者別リスト 元ネタ別リスト 内容別リスト フレーズ長別リスト
https://w.atwiki.jp/vivids174uc/pages/543.html
あまにぃの別アカウント ピアノの天才(かもしれない)音感持ち。 最近一人暮らしを始めるが、初葉ちゃんに居候されているらしい(爆発しろ)。 イラストレーターであり、Twitterに絵をあげている(上手だった) 初葉ちゃんとは、幼馴染でありカップル関係(いつまでもつやら)である。 たまに無理をして迷惑をかけて怒られるが、意外な一面があったり… チャットで砂糖を振りまく要注意人物
https://w.atwiki.jp/kaeuta-matome/pages/2848.html
元ネタ:永遠のAstraea(機動戦士ガンダム THE ORIGIN III 暁の蜂起 柴咲コウ) 作:ヤジオーディエンス なびくスカートを押さえている 少しだけ見える風の出会い わずかな合間に消えたものは どんな色なのか? エロいやつか? 隠したものへの溢れる想いを いつまでも失くさぬように覚えてる 見ている 今そこに 冬寒でも元気に 歩いているあなたの Ah パンツを見るまで あとどれくらいだろう 温む春先が待ち遠しい 年の瀬に逸る人が急ぐ 「見えない」の声が 塞ぐ目の奥に いつまでも自分のエロを しまってる 愛しいものがある それで笑顔になれる いつだってそこにある ただそれが目の保養に ほらご覧 風が吹いた 隠さないで 冬の彼方に 新たに拡がる春が待っている 愛しいものがある それを力に変えて 見ている 今ここで 厚手の服透かして 歩いているあなたの Ah パンツはいったい 何色なのか 見せて 検索タグ その他ネタ アニメ ガンダムシリーズ フルコーラス ヤジオーディエンス メニュー 作者別リスト 元ネタ別リスト 内容別リスト フレーズ長別リスト
https://w.atwiki.jp/parallelparadox/pages/100.html
「この眼に写るは無明の世界。されど倖ある希望の世界」 “未来”という概念能力を発生させてしまった少女がいました。 その少女は自分では何一つ理解しないまま、平穏無事な世界から転がり落ちて硝煙と血潮が舞う戦場へとやってきてしまいました。 「この眼に写るのは枝葉の世界。未来に伸びる大樹の世界」 しかし彼女はそんな世界の中でも、諦めず、絶望せず、しっかりと前を見て歩くことができました。 自分の命が狙われる世界で。自分の身体が狙われる世界で。彼女は、いったいどうして諦めず絶望せず、歩いていくことができたのでしょうか? 『我らの眼に移るのは、困難しか無き闇の世界 頼れるものは何もなく、進むべき道すらない ただこの手には神断つ剣、そして万物視る神眼』 それには、一つの理由があるのです。 少女の隣には、常に一人の男の人の姿が在りました。 その人はとてもじゃないけれど騎士という雰囲気ではないし、少女のことを護ろうとする雰囲気も余りありません。 ただふてぶてしく世の中を睨みつけ、その手に握った刀を振るい、結果として少女を護ってしまったのだと、周りの人は言います。 『だから二人で進み行こう。光なき世界を歩き行こう 未来は常に見えぬもの、二人で探って走り行こう 漬きえぬ誓と穢れぬ誇りを胸に抱き、二人でどこまでも共に行こう』 でもそれは正しくないのです。 少女は、そのことを良く知っていました。 自分の隣に立っていてくれる男の人は、どんなに意地悪な言葉を言っても、どんなに冷たい態度を取ったとしても、でもその奥にはいつだって優しさが隠れていると言うことを。 皮肉屋でリアリストで容赦が無くて、でも暖かくて優しくて、とってもとっても強い人だと、少女だけが知っていました。 だから少女は、男の人と一つの約束をしました。 二人で一緒にいましょう、という約束を。 たとえ少女が傷ついても、たとえ男の人が傷ついても、どんなことがあったとしても一緒にいましょうという、そんな約束を。 少女と男の人は、約束を交わしました。 それは何人に断ち切ることのできない、強い強い約束(きずな)。 世界でたった二人だけの、尊い尊い、愛しい約束(ちかい)。 『我らは留まることは無い。そう――――“死がふたりを分かつまで”』 パラレル・パラドックス 外伝 “それ”は、唐突に襲い掛かってきた。 『護さん! 狙撃されます! 右に逃げて!!』 「……ちっ」 耳元から響いた声に従い、とっさに身体を右横へと投げ出す。 破砕音。 身体を動かした瞬簡に聞こえてきた音の元を見れば、数瞬前まで己がいたその場所が、深く抉られていた。 『二回目、来ます! 前に全力疾走してください!』 「了解、っと……ち、わかっちゃいたが今度はどんな奴だ、まったく」 再び聞こえてきた声に従い、視覚障害者の印が入った杖を片手に持つ護と呼ばれた男は、前方へと全力で駆け出していく。 先ほどの横転で軽くずれた、自らの生命線とも言えるサングラスの位置を左手で軽く直しながら。 果て無き無明のコンチェルト ~死が二人を分かつまで~ 「あん? 今日は外出しないほうがいい、だと?」 「は、はい……。今日はというか、今日も襲われます。それも、見えない敵に長距離から」 そこは、簡素なつくりをした二階建ての一軒家に存在する、地下室。 周りがコンクリートの壁で覆われている部屋の中央に置かれたソファーで寝そべっていた男――土方護は、自らが護ると決めた少女の言葉に身体を起こす。 身体を起こした先、向かい合うように設置されたソファーに腰掛けているのは、茶色……というよりも金色に近い髪色のそれを肩甲骨辺りまで伸ばしており、一部を両サイドで小さく結んでいる少女。 護にとってその顔の造形が線で表された凹凸でしか判別できないが、しかしそれだけでも立派に美少女だとわかる、そんな少女。 名を、遠山遥という。 三年前、護が現在属する組織に入りたての時、今目を覆っているサングラスの性能を確かめている際に出会った少女。 とある契約を経て、三年間護がずっと守護し続けてきた少女。それが、彼女である。 「長距離から、か。奴さんも馬鹿じゃないってこったな。ここ数ヶ月で、お前さんに対して近接戦闘を手段として持つ奴を向かわせるのは危険だと漸く悟ったんだろ。久しぶりに、完全長距離の刺客ってこったな」 ソファーで向かい合っている二人の後ろ側から、湯気を立てているカップを両手に持った男が現れる。 半そでのシャツから覗く左腕には幾つものタトゥーが入れられており、両耳はもちろん、顔にまで眉毛を挟むようにして二つピアスをつけている。 どこのちんぴらだという様子の男だが……名を井川という。 護の相棒であり、この三年間、共に遥を護ってきた信頼の置ける相手である。 もう一人シエラと呼ばれる女がいるが――――彼女は数週間前に差し向けられた刺客との戦いで負傷しており、今は戦線を外れている。 「だが、そうだといってネットワークの依頼をサボるわけにもいかんだろう。一応、俺たちが――むしろ俺が食いつないでいるのは、その依頼のおかげであるわけだからな。前にも言ったが、いちいち狙われるという位で仕事をしなかったら食いっぱぐれる」 第一、狙われるのなんて日常茶飯事なんだからな。 そう繋いだ護を見て、申し訳なさそうな表情になるのが一人。 そしてその一人を見てあちゃー、という顔をするのが一人。 更に言えば、それらの反応を“聞いて”口元を歪めたのが、一人。 「……前にも言ったと思うがな、遥。この仕事をしている以上、危険は承知の上だ。それに、その仕事以外の理由でお前を護っているのは俺自身の――ひいては井川やシエラ自身の意思だ。お前が狙われることにお前自身の責任は無いんだから、いちいち他人行儀なため息をもらすな」 「ぁ………………はい――うん。ありがとう、護さん」 「わかれば、いい。とりあえず、今夜は予定通りに出る。井川もそれでいいな?」 「ああ。とりあえず、狙撃されたらそん時はそん時さ。ま、いざとなったら俺が存分に『解析』してやるから、安心してくれよ」 任せたぜ、と口元を歪めていつもどおりに笑う護の様子にそのほかの二人が苦笑を漏らしながらも、頷く。 それが、このチームのあり方であり、今までこのチームが在り続けられた理由であった。 『次――右に飛んで!』 「わかった――ちっ、井川、まだか!」 そして今――――時間としては夜中の二時。護はサングラス越しに聞こえてくる遥の声に従い、姿無きスナイパーの攻撃からただひたすらに逃げていた。 既に最初の攻撃から十分ほど、かれこれ逃げ回っている。 これでは自分はともかく、能力使用による体力の消耗が激しい遥が先にダウンしてしまう。 遥の能力――“未来”の概念能力である“辿り着くべき細い糸(ジューン・ブライダル)”は、要約して説明するならば数多ある未来の中から可能性として拾い上げられる未来一つに確定する能力である。 この場合……護が狙われた狙撃を例に挙げて言えば、“護が避ける”という未来と“護が撃たれる”という未来があったとしよう。 護が避ける未来を選んだ場合“どのように避けたか”というパターンが無数に派生し、護が撃たれるという未来を選んだ場合にしろ、“どの部位をどのように撃たれたか”といういくつものパターンが無数に発生する。 数多ある未来を取捨選択する場合、選択者である遥はその選択肢が多ければ多いほど、限定すれば限定するほどに多量の集中力と体力を消耗する。 護と行動を共にするようになった初期の頃、遥はまだそのあたりの加減をつかめておらず、護が危機に陥るたびに過剰に能力を消耗して倒れることがしばしばあった。 今振り返れば随分昔のことに感じるが、ある時護はそのことについて遥を強く叱責して彼女を泣かせるという“大失態”を演じたわけだが――――それはまた別の話し。 とにかく、遥は護にとって有利な情報を得ようとすればするほど体力及び集中力の消耗が激しくなり下手をすれば倒れる危険性があるということだ。 その一件以降、遥は最小限度の未来だけを見ることにし、今のように護に指示を与えて回避させるという手段を取っている。 すこし未来の話になるが、この作業について「二人で行った最初の共同作業」だなどと“とある席”で発言したことで周りを大いに笑わせて護本人を大いにうんざりさせたという与太話もありえるかもしれないが、それもまた余談である。 ともかく。 そういう事情もあり、遥は今回のような護個人ではどうしようもない場合のみのナビゲーションとしてのサポートに徹しており、普段は井川と共に機械系等でのサポートを行っている。 「おい、井川」 『わかってる。あと少しで弾道からの解析が終わりそうなんだ。第一、高速で変化しているお前さんの“眼”の情報を解析するだけで手一杯だっての。今は遥ちゃんのサポートもないしな!』 「泣き言を言ってられる場合か? 第一なんとなくだが、奴には必殺という意志が無いように思える。暗殺者のわりに、な。これはおそらく、どこかに誘いこまれ――――」 『護さん、左前に避けて!』 「――――っと、誘い込まれてる可能性がある。そこまで遥に視させると負担が大きいからこのまま罠に乗るのも一興かもしれん」 『――――――――』 沈黙。 『お前、ほんっとうにそういうの好きだよなぁ……』 「面倒ごとは一度に片付けたほうがいいだろう。それに、有利な状況になれば奴さんも姿を見せるかもしれん。姿さえ見せれば――敵の数がいくら居ようと、俺たちの敵じゃぁない」 『俺と遥の、だ――――』 「井川!」 『井川さん!』 再度沈黙。 『ぅー、ぁー……頭がキンキンずる』 『ご、ごめんなさい、井川さん』 「自業自得だ。それより――――」 『ん、ああ。ビンゴだ。進行方向およそ五百メートル先に、二十種類程度の異なる魄冥波動が溜まってる。多分そこが奴等の狩場だろうぜ。こんな時間に大して人気の無いはずのその場所にこれだけの、ってことは確定だろう。それに……』 『護さん、今度は右!』 破裂音。 「……それに?」 『撃ち手の魄冥波動も、捕らえたぜ。今はお前さんの進路から見て右方向二千メートルの地点を並走中だ。どうやらお前の予想が当たりそうだ。相手の能力等はアルファから貰ったデータを照合して調べてみるから、少し粘っといてくれ』 「そうか。ならば――――」 二つの破裂音。 そして――――一度の、金属音。 「――――突っ込むぞ」 『――――突っ込むぞ』 スピーカーから聞こえてきた獰猛さを隠そうともし無い声に、はぁ、と井川は一つため息を付いた。 ヘッドマイクをつけてはいっ、と真面目そうな声で返している遥を横目で見ながら、どことなく赤く染まっているように見える彼女の頬を見とめて再びため息。 なんだかんだ、彼女は護の無事を喜んでいる一方で、奴が危険な目に合うのは嫌だがこうしてノっている雰囲気で危険な台詞を言うのを楽しみにしている帰来がある。 この前ふとした弾みに彼女の手荷物を見てしまい、そこに『護さん名台詞集・No.3』などとかかれた手帳を発見した時は、それこそため息以外の何者も出なかった。 「ったく……なんだかんだで、やっぱりお似合いだよ、お二人さんは」 同じ車内にいる遥に届かないような小声で呟き、カタカタと車に搭載されている機器を動かすためのボタンを操作していく。 今、井川と遥が乗っているこの車は、エレメンツ・ネットワーク―――“対犯罪者自警団情報網”と呼ばれる組織から提供された技術をつぎ込んだ改造車であり、護と井川のチームの居城のようなものだった。 移動要塞、である。 この車には様々な部位に魄啓学、化学、物理学などの最先端の技術――ネットワークに加わっている技術者からの提供――が使われており、井川と遥は車に搭載されているそれらの機器を用い、前線で戦う護のサポートを行っている。 遥の主な役割は、今の通り護が察知できないほどの遠くからの攻撃に対する未来予知によるサポート。それに加え、井川の作業などに対するサポートである。戦闘方面とは別に、チームの家事全般を担っている部分もあるが、それは置いておく。 そして井川の役割は、“護の視界”を作り上げること。 土方護。 彼は過去のとある事件でその視力を殆ど喪失しており、現在では一センチ程度先の陰影がようやく読み取れる程度の視力しかない。 そんな彼が人並み以上に動け戦える理由が、井川のサポートによる視覚の確保なのである。 無論、護自身の努力により得た人並みはずれた聴覚、嗅覚、平衡感覚などにより井川のサポートが無くてもある程度戦うことはできる。 しかし、視覚があるのとないのではやはりその差は大きい。 護が持っている視覚障害者を示す印の入った杖。その先端に、ネットワークの技術の粋を集めて創りあげた超小型の魄冥波動測定装置が備わっている。 魄啓能力者――だけではなく、“魂の力”に目覚めている者ならば誰しもが持っている、各々の魂の波動。それが魄冥波動と呼ばれるものであり、今までの研究においてその力には“波動”という言葉が示すとおり波に近い性質があることが解明されている。 音波や光といった波動の物理学の大部分がその性質には見受けられ、そしてそれを利用して人々は様々な機器を作り出した。 その代表的なものは、やはり魄啓量を計測する装置だろう。 詳しい原理を述べると冗長になってしまうので述べないが、ともかく護の杖やサングラス、服などに備えられたその装置を用い、護自身から発せられている魄冥波動の反響を車に詰まれた装置で解析することで情報を立体化し、それを護のサングラスに直接送りサングラスから網膜に直接投射することで映し出している。 無論、個人個人で異なる魄冥波動の全てを観測し解析にかけてしまうため、正確な情報を得るには途方もないでかさの機械が本来必要なのだが、表に出ていない最先端の技術があるおかげで、ある程度の――車に乗せて動かせる程度の小型化には成功している。 ただ、それは護が“通常の動き”をしている場合に限る。 兵器級の心器能力者である護が全力で動くと、それこそその動きの早さゆえに取りこぼす情報、また取り入れる情報が膨大になり既存の機器では処理しきれなくなってくるのだ。 そこで出てくるのが、井川の能力――“解析”の偽身能力、“我が小さき世界(パーフェクトワールド)”である。 護の持つ鞘から得た情報を瞬時に解析、最適化し護へと情報を送る。 コンマ一秒ほどのタイムラグすらない完璧な作業をこなす井川が居るからこそ、護はいつも無茶な戦闘ができるという側面がある。 「井川さん」 「ん? なんだい、遥ちゃん」 「その、今護さんと話していたんですけど……いざとなったら“アレ”を使います。そのときはこの車の未来も視ますので……その……」 「ああ、了解。じゃ、誰にも尾行けられずに家に戻る、ってのは……ちときついかな?」 「ぁ、いえ、そのくらいの条件なら……大丈夫、です」 「そっか。それじゃ、よろしく頼む。俺はとりあえず――――全力で、アイツの補佐をするからさ」 都心の袋小路ともいえるような、そんな場所。 ビルが立ち並ぶ都会の中で、まるで真空地帯のように出来上がった不可思議な広場。 雑多な塵が地面に散らばり、昼間――あるいはまだ宵の口この場所でたむろしていたであろう少年少女たちが置いていった様々な器具や遊具が転がっている、そんな場所。 そんなところに、凡そ三十人前後の人間が集まっていた。 その広場からの唯一の出入り口である路地から姿を見せた護を取り囲むかのようにして、おおよそ十メートルほど離れ半円になりながら様子を伺っている。 「はっ、随分手の込んだ誘導だったが……その先に居るのが殆どBランク程度の人間か。一体どういうつもりだ?」 『さてな。しかし気をつけろよ? 確かに殆どはBランクかそこらだが、中にはしっかりAランクもいる。いくらお前さんが実力者とはいえ、これだけの相手を敵に回して戦うのも久しぶりだろ? 普段は戦闘に関しては素人な連中が多いわけだし、暗殺者連中と戦う時もせいぜい三対一くらいだったしな』 「だが、泣き言を言うわけにも行くまい。それにあの時のように三位一体の攻撃を仕掛けてくる連中ならばともかく、今回の連中は見るからに集められただけの有象無象だ。こんな連中――――敵になりは、しない」 不敵にも、サングラスを片手で治しながら放たれたその言葉に、気の短い荒くれどもが反応しないわけは無く。 手に太すぎる鉄の棒を持ち、背中から大きな翼を生やした男――恐らく何かの式神との共鳴同化を行っている――が、手にしたそれを振りかぶり突進してくる。 そのスピードは通常の人間では考えられないほど早く。 彼が、少なくともBランクを超えた能力者であることを示している。 だが―――― 「……遅すぎる」 一閃。 一歩前に出ながら放たれた抜き打ちの一閃は、男の持っていた鉄棒を真ん中から真っ二つに断ち斬り、返す手で男の両足両手の筋を斬り裂いていく。 無様に悲鳴を上げて倒れる男を無視し、さらに一歩前へ。 護の左手には視覚障害者を示す杖――その中心部が細長い空洞になり、最上部がいくらか失われている――が握られており、だらりと下げられた右手には、先ほどまで握っていた杖の上部――握り手の部分が柄となった一本の刀が握られていた。 「おい、貴様ら。一体何のつもりで……いや、いったいどんな条件で釣られたかは知らんがな。だが――――」 ヒゥン、と風を斬り、刀が振られる。 刀を振る。 そう、たったそれだけの動きで。 剣先に合った地面が、軽く七メートルほど斬れた。 「その選択を後悔しろ。殺すことはしない。だが……悪夢と共に一生後悔させてやる」 戦いが、始まる。
https://w.atwiki.jp/gundamfamily/pages/5459.html
331 名前:いつでもいっしょ。1/10 :2011/05/19(木) 23 47 19.72 ID ??? 投下します! ガロード「おーいデュオ!俺、先に帰るわー」 デュオ「あれ?今日はやけに早いじゃんか。なんかあるのか?」 ガロード「ああ、あんま遅くなるとロラン兄がうるさいからさぁ」 デュオ「仕方ないな、このジャンクは俺が片付けてやるよ。そのかわり 今度メシ奢ってくれよ!」 ガロード「分かった、じゃあな!」 ……………… ガロード「ただいま~」ガチャ ロラン「あ、ガロード!」 ガロード「(ビクッ)ロラン兄!?きょ、今日は早く帰ったから! なんも危ないこともしてないし!」 ロラン「違います、お客さんですよ。ガロードに」 ガロード「俺に??」 ……………… オルバ「やあ、ガロード・ラン。待っていたよ」 ガロード「うわ出たな変態兄弟!何しに来やがった!? ……あれ?いつも一緒の変態兄弟(兄)がいないな」 オルバ「戸愚呂(兄)みたいな言い方はやめてくれ。君も相変わらずだね。 実は君に相談したいことがあってね……」 ガロード「相談?俺に?」 ドモン「どうせフロスト兄弟の悩みだ」モグモグ シン「たいしたことないんだろ……おい人の飯を取るな」モグモグ キラ「あ、お構いなく」モグモグ ガロード「……みんな聞いてるけどいいのか」 オルバ「構わないよ。むしろ聞いてほしい」 ガロード「まあ聞くだけなら(どうせシャギアのことだろ)」 オルバ「兄さんのことなんだけど……」 ガロード「やっぱり……」 332 名前:いつでもいっしょ。2/10 :2011/05/19(木) 23 49 21.64 ID ??? オルバ「実は喧嘩してしまってね、昨日から会話をしてない」 「「……………」」 ガロード「えっ?」 カミーユ「」ポト ジュドー「ちょっと聞こえなかった」 シン「ごめんもう一回」 オルバ「兄さんと喧嘩した」 「「……………」」 ガロード「ええぇぇえぇえーッ!!?」 コウ「ウソだろ?」 キラ「やめてよね」 ドモン「」 オルバ「昨日、兄さんがスーパーへ買い物をしに行ったんだ」 ……………… シャギア(オルバよ。今買い物の途中だ。何か欲しいものはあるか) オルバ(そういえばお菓子を切らしていたのを忘れていたよ、兄さん) シャギア(どんな菓子を買って行けば良いのだ、オルバよ) オルバ(そんなの聞かずとも分かっているくせに……兄さん) シャギア(フッ……そうだったな、お前が好きなのはチョコレート系の 菓子だったな、オルバよ) オルバ(頼んだよ、兄さん) ……………… ガロード「……………」 オルバ「そしたら兄さん、何を買ってきたと思う?」 333 名前:いつでもいっしょ。3/10 :2011/05/19(木) 23 51 10.03 ID ??? シャギア「今帰った」 オルバ「おかえり兄さん。例の物は買ってきた?」 シャギア「ああ、お前の分はその袋の中だ」 オルバ「ありがとう、兄さん。じゃあ早速」ガサゴソ オルバ「……うわああぁぁあ!」 シャギア「オルバよ、一体どうしたというのだ」 オルバ「『きのこの山』!!!」 ……………… オルバ「そう……兄さんは…… 僕の大好物である『たけのこの里』じゃあなく…… こともあろうに『きのこの山』を買って来たんだ! しかも10パック詰めのお徳用をだ!!」 ガロード「さてご飯にするか」 オルバ「待つんだガロード・ラン!君には僕の気持ちが分かるか!? 僕は……僕は、兄さんを信じていたのに……ッ!!」 ガロード「えっと……悪いけど俺、きのこ派だから……」 オルバ「君も兄さんと同じことを言うのか!ならば僕は世界を滅ぼす!!」 ガロード「そんな勝手な理由で、世界を滅ぼされてたまるか!! みんなぁ……こいつ何とかしてくれよ」 キラ「このご飯おいしいね。」 ヒイロ「やっぱり味噌汁は醤油味にかぎるな。」 シロー「明日は晴れるらしい。デビルガンダム日和だそうだ。」 ガロード「オイ!話をそらすな!」 334 名前:いつでもいっしょ。4/10 :2011/05/19(木) 23 52 46.79 ID ??? オルバ「ずっと兄さんと一緒にいたけどもう我慢ならない。 僕達兄弟の自慢であるツインズシンクロも使っていない」 ガロード「……それで?」 オルバ「兄さんは間違っている。きのこの山など低俗な者が食べるお菓子だ。 それを兄さんに分からせる。君に手伝ってほしいんだ」 ガロード「はあ!?」 アムロ「ガロード、そんな下らんことに付き合わなくても良いぞ。 お前も帰れ」 オルバ「そういえば昨日、面白い写真が手に入ってね。 ラー・カイラムの幹部と女性の逢引きを撮影したものなんだけど」 アムロ「よしガロード。オルバ君を手伝ってやりなさい。全力で。」 ガロード「ええっ!?マジで!?」 キラ「アムロ兄さん昨日は仕事で出張じゃn」 アムロ「オルバ君。キラも手伝ってくれるそうだ」 キラ「なんでーっ!?」 オルバ「と言うわけでよろしく頼むよガロード・ラン」 ガロード「うぅ……」 335 名前:いつでもいっしょ。5/10 :2011/05/19(木) 23 54 31.42 ID ??? ……翌日…… ガロード「はぁ……なんで俺があの兄弟の為にこんなことを……」 キラ「やめてよね、僕はとんだとばっちりだよ」 シン「……なんで俺がいるんだよ」 ガロード「シン兄、今日サテリコン非番でしょ?パーラから聞いた」 シン「あいつめ……今日はステラ&マユと出かける予定だったのに」 キラ「あ、あそこがフロスト兄弟の事務所だね」 シン「おい!無視すんな!」 ……………… ガロード「シャギアん所にお前は一緒に行かないのかよ」 オルバ「僕は君達の家で待つよ。兄さんに僕の言いたい事を伝えて来てくれ」 ガロード「ふざけんな!」 オルバ「上手く話をつけてくれたら、君のお姫様のとっておきの写真を」 っ〔とびきり笑顔のプロマイド〕 ガロード「よっしゃ行ってくる」 オルバ「頼んだよ」 ……………… ガロード「安請け負いしちまったかなぁ」 シン「ガロードおま……」 キラ「ごめんください」ピンポーン ガロード「いないのかな」ピンポーン シャギア『ガロード・ランか。開いている。入って来たまえ』 シン「いるのかよ」 337 名前:いつでもいっしょ。6/10 :2011/05/19(木) 23 57 26.90 ID ??? 支援ありがとう! シャギア「……オルバに変わって私を説得しに来たのか。下らんことを」 ガロード「俺だってホントはこんな事に関わりたくないぜ」 キラ「だってアムロ兄さんのプライベート流出ゲフンゲフン」 シン「余計なことを言うな!」 ガロード「……そういうわけだからオルバと仲直りしてやれよ」 シャギア「断る」 ガロード「なんでだよ!?」 シャギア「それはきのこの山こそ選ばれた者が食する神聖なものだからだ」 シン「(ダメだこの双子)」 キラ「じゃあ、どうすればいいんですか?」 シャギア「そうだな……オルバが間違っていると頭を下げに来れば 考えてやらんこともないがな」 ……………… ガロード「……だってさ」 オルバ「僕は兄さんに謝るつもりはないよ。正しいのは僕だからね」 シン「それじゃあいつまで立っても解決しないぞ」 キラ「普段仲が良いだけに一度亀裂が入ると深そうだ」 ドモン「お前達、何をゴチャゴチャと……男なら拳で決着をつけるべきだ!」 オルバ「僕は君みたいに単純じゃないのさ」 ドモン「なんだと!?」 ガロード「ま……まあまあ」 シン「でもドモン兄さんの言う通りかも知れない」 キラ「さて僕は部屋に」 ドモン「待て」ガシッ シン「あんたも最後まで見届けろ」ガシッ キラ「最初から僕は関係ないのにー!」 338 名前:いつでもいっしょ。7/10 :2011/05/19(木) 23 59 11.04 ID ??? カミーユ「……で、フロスト兄弟対決・変態頂上決定戦か」 ガロード「他に方法ないと思う……あいつらお互いを分かりきってるからな」 シン「俺達でセッティングするって言ったら渋々承知したよ」 ジュドー「さあ普段滅多に見られないフロスト兄弟の戦いだよ!」 ビーチャ「どっちに賭ける?」 デュオ「なんだガロード、いないと思ったら何してんだ?」 ガロード「実はかくかくしかじかで」 デュオ「へぇ……あの兄弟が喧嘩ね。世界の終わりじゃないか?」 ガロード「オイオイ縁起でもないこと言うなよ……」 ……………… オルバ(inアシュタロン)「兄さん、今までずっと一緒だったけど……」 シャギア(inヴァサーゴ)「我々兄弟がこうして戦うことになるとはな」 オルバ「でもこうなった以上手加減はしないよ、兄さん」 シャギア「フッ……弟が兄に勝てるとでも思っているのか?オルバよ」 ストーカー「それでは両者とも用意は良いでしょうか!?」 ガロード「うわ!あのオッサンどこから」 キラ「そこはツッコんじゃいけないよ」 シン「……もう慣れた」 339 名前:いつでもいっしょ。8/10 :2011/05/20(金) 00 01 59.81 ID ??? ストーカー「それではガンダムファイト!レディ……ゴォォォ!!」 シャギア「はあぁッ!」ガンッ! オルバ「くっ!これで!」バキッ! デュオ「なんでいきなりMSで殴り合いなんだよ?」 カミーユ「ビームは?メガソニック砲があるじゃないか」 ドモン「ビーム系、狙撃武装を兄弟の機体から外しておいた。 拳と拳のぶつかり合いこそ健全なガンダムファイトだ!」 ガロード「ここは安全だけどメガソニック砲なんか使ったら町まで 被害が及ぶしね」 シャギア「たけのこの里など!」ドガガガガ オルバ「きのこの山なんて!」ズガガガガ ガロード「凄い戦いなんだけど……」 シン「会話のせいでショボく見えるな……」 オルバ「だいたい、兄さんはいつも僕に命令してきたね! 僕も黙って従った。それが正しいと思ったからだ!」ドガッ! シャギア「くっ!それで良いのだオルバよ。弟を正しい方向へと導くのは 兄としての義務だ!」ズンッ! オルバ「だけどずっと疑問に思っていた!このまま兄さんの言う通りに しているだけで良いのかと!」 シャギア「……………」 340 名前:いつでもいっしょ。9/10 :2011/05/20(金) 00 04 16.43 ID ??? オルバ「昨日兄さんがきのこの山を買って来たのを見て僕は…… 僕は決めたんだ!もう二度と兄さんの言うことは聞かないと!」ガシュッ! シャギア「ぐあっ!!」 ガロード「アシュタロンのシザースがヴァサーゴの頭を挟んだ!」 ドモン「ガンダムファイト第一条!頭部を破壊された者は失格となる!」 オルバ「これから僕は、自分のことは自分で決めるんだ。兄さん…… これで、おしまいだね!」ミシミシミシ… シャギア「ふ……フッフッフ……」 オルバ「兄さん?なぜ笑う!何がおかしい!?」 シャギア「よくやった……いや、よく言ったぞオルバよ……」 オルバ「!?どういう意味だ兄さん!?」 ガロード「なんか……シャギアの様子がおかしいぞ」 シン「抵抗もしないなんて!?」 シャギア「オルバよ……私は嬉しいぞ……お前は今日、兄である私を 超えるのだ……」 オルバ「兄さん……まさか!?」 シャギア「その通りだ、オルバよ」 341 名前:いつでもいっしょ。10/10 :2011/05/20(金) 00 07 09.81 ID ??? シャギア「オルバよ……お前は昔から、私の後を着いてきたな。 『兄さん、兄さん』と……」 オルバ「……………」 シャギア「私は心配だったのだ……お前が私の言うことばかり聞いていると お前の成長が妨げられてしまうのではないか、とな……」 オルバ「じゃあ兄さん、昨日は……?」 シャギア「そうだ。お前がたけのこ派だと言うことは昔から知っている。 私はわざときのこの山を買って来たのだ。 お前の怒りを買うためにな。そしてその怒りが今日、ここで 私を超えたのだ」 オルバ「そんな……!じゃあそんなことも知らずに僕は、僕は……!」 シャギア「泣くなオルバよ……」 オルバ「兄さぁぁんッ!」 カミーユ「あれ……いつの間にか良い話に」 ドモン「うむ、美しい兄弟愛だ」 シン「イイハナシダナー」 キラ「さて帰ろっと」 ガロード「ちょっとでも心配した俺がバカだったorz」 ……………… オルバ「ありがとうガロード・ラン」モグモグ シャギア「君には感謝しているよ」モグモグ ガロード「何もしてねえし。てか当然のように人ん家で朝飯食うな!!」 シン「ガロードもツッコミが板についてきたなー」 ガロード「くそーっ!やっぱし変態兄弟に関わるとロクなことにならねぇ!」 シャギア「さて帰るぞ、オルバよ」 オルバ「そうだね、兄さん」 …おしまい… 342 名前:いつでもいっしょ。おまけ :2011/05/20(金) 00 09 03.75 ID ??? アムロ「ちっ違うんだチェーン、あの日は出張で」 アムロ「待ってくれベルトーチカ!君には……」 ガロード「そういえば忘れてた」 キラ「あの写真はどうしたの」 オルバ「ああ、あれなら何も言われなかったから」 シャギア「週刊誌に提供したが」 シン「一番の被害者はアムロ兄さんか……」 ドモン「いやあれは自業自得と言う奴だ」
https://w.atwiki.jp/kairakunoza/pages/1518.html
Miyuki-side ああ、そうでした……私は昨日つかささんのお部屋にお泊まりしたんですよね。 今日はたしか土曜日。学校はお休みでした。ゆっくりと上半身を起こし、時刻を確認します。 早朝6時半。つかささんは未だ眠りの中のようです。昨日の夜はあれだけ……疲れたのだから当然ですね。 昇りたての朝日が窓から差し込みます。リビングに降りればつかささんのご両親が朝食の準備でもしているのでしょう。 私はどうしましょう。二度寝というのも難しいですし……早起きもこういうときに困りますね。 「つかささん……」 小さな寝息を立てるつかささんにそっと近付き、その愛くるしい寝顔を確認します。 ああ……胸にズキューンときますね。小さなお口、キュートなお鼻、少しはれぼったい瞼……はれぼったい? (つかささん……泣いていたのでしょうか?) もしかして、昨日の、その……行為の最中に? 私の……私の名前を、呼びながら……。 思い出して、私は顔が熱くなるのを感じました。昨晩のつかささんの声、あれは私に向けられていたもの……。 本当は喜ぶべきことのはずなのですが、頭の中で整理が追いつきません。 (と、いうことは……私とつかささんは、その、両想いと考えてよろしいのでしょうか……) だとすれば私は、どのようにしてつかささんに想いを伝えればいいのでしょう。受け入れる気ならありますのに。 再びつかささんの寝顔に視線を移します。少しの力で壊れそうなくらい、小さくてか弱くて、いとおしいその寝顔。 胸の奥が強く締めつけられてたまらなくなり、私はため息をひとつ零しました。 なぜ、つかささんは泣いたのでしょうか。怖い夢を見た……ということはなさそうです。 お恥ずかしながら、私もつかささんのことを想っては、時折……ひとりでいたすようなこともあるのですが、 感極まってくると涙腺が緩むということは度々あります。しかし、瞼が腫れるほど泣く事はありません。 かがみさんがいないので、寂しさが抑えきれなかったのだとしたら……私は自分を呪うしかありません。 こんなに近くにいながら、つかささんが小さな胸に抱く寂しさを癒すことができなかったのですから。 (つかささん……私ならいつでもそばにいます。寂しがらせたりなんか、絶対にしません。約束します。 私じゃダメですか? つかささんのあの言葉が本当なら、私にあなたの寂しさを紛らわせてくれませんか?) もし、あのときのつかささんの言葉が……私のことを好きだと言ってくれたあの言葉が……。 勢いで出てしまっただけの言葉なら、寂しさのあまりに出ただけの言葉なら……。 私はそれでも構わないと思いました。つかささんの寂しさを、一緒に抱えてあげるだけの存在でもいいんです。 (苦しいです、つかささん) つかささんを包むシーツをつまんで、強く握りました。涙腺がまた緩くなってきたみたいです。 つかささんを起こさないように、その胸に顔を押し付けました。なぜか私まで寂しくなってきたみたいです。 (ごめんなさい、つかささん。私まで、つかささんに頼って寂しさを紛らわせようとしてしまっています) 愛する人が傍にいても、たまらなく寂しくなる事もあるようですね。シーツが私の涙を吸っていきます。 だとすれば……つかささんは私を想って泣いてくれたのでしょうか。あの言葉通りに私を好いてくれていたのなら、 今の私と同じ寂しさで泣いてくれていたのでしょうか。それは、私に都合のいい勘違いなのでしょうか……。 (こういうとき泉さんならどうするんでしょう。きっと、自分に正直に、愛しい人に甘えるんでしょうね。 かがみさんなら……できるだけ我慢して、ふとしたときに泉さんに思いっきり甘えてきそうですね。 お二人とも羨ましい限りです。私にも、それくらいの勇気や、行動力が、つかささんに対してあったなら……) そういえばあの二人、昨日はついに……なのでしょうか。私は二人に失礼だと思い、その考えを振り払います。 やがてシーツから顔を起こすと、私は少し残っていた涙を拭い、つかささんのお部屋から出ました。 リビングにいるつかささんのご両親に、何かお手伝いできることがあればと思ったのです。 つかささんの寝顔をいつまでも見ていると、切なさで潰れそうなので……。 * Tsukasa-side 「ふぇ……」 目を覚ました。枕もとの時計を見ると、朝の8時半だった。一瞬「遅刻!」と思ったけれど、そういえば土曜日。 それからゆっくりと昨日の記憶が戻ってきて、私はシーツを頭からかぶった。それからゆっくりと、ベッドの下を見る。 ゆきちゃんはいなかった。布団はしっかりとたたんであって、さすがは早起き……って私が遅いんだけど。 (やだな……起きたくない。いつまでも寝ていたかったのに……) それは、いつものように私がねぼすけだからじゃなかった。起きて、ゆきちゃんに会わせる顔がなかったから。 きっと昨日のあれは、全部ゆきちゃんに聞かれてた。はしたない声も、ずっと胸に秘めていた本当の気持ちも……。 そもそも、ゆきちゃんが隣にいるのにあんなことをしてしまった私のせいだ。ゆきちゃんに、イヤらしい女の子だと思われちゃったんだ。 ううん、思われたんじゃない。私はきっと、イヤらしい女の子なんだ。ゆきちゃんに嫌われても仕方ないようなことをしたんだから。 (……やだ) ゆきちゃんに嫌われても仕方ない? 本当に? 私の中で、仕方ないなんて言葉じゃ片付けられない事だった。 (……いやだよ、嫌われたくないよ。ゆきちゃんと離れるのなんて、絶対イヤだよ) たとえ私がゆきちゃんに想いを打ち明けて、それで二人が気まずくなる事があっても、離れ離れにはならないようにしてあげるって、 こなちゃんは電話で言っていたけど、こんなことで嫌われちゃったら、こなちゃんやお姉ちゃんがいくらフォローしても無理。 私だって、自分の事を考えてそんなことをされたら……驚くし、ちょっとイヤだなって思う。それが好きな人なら別だけど……。 (私、どうすればいいのかな……辛いよ、お姉ちゃん、こなちゃん、助けてよ……) もしも今顔を合わせたら、ゆきちゃんはどんな顔をするんだろう。ゆきちゃんは優しいから、そんなにイヤそうな顔はしないはず。 でも、戸惑ったような顔しちゃうんだろうな。それから私のことをちょっと避けるような感じで、口数も少なくなって……。 そんなことを考えるほどに、私は私を責めたい気持ちになった。人を叩いた事の無い私でも、もし目の前に私がいたらきっと叩いてる。 (ゆきちゃん、嫌いにならないで……たくさん謝るから、もう二度としないから、お願いだから……) 私はシーツに身体をくるんだまま、枕に顔を押しつけて、そんな言葉を唱えていた。ちゃんとゆきちゃんの前で、口にすればいいのに。 歯医者が怖いね、と何気ない話をすることも、もう無くなってしまうなんて私には耐えられなかったから……。 昨日の、私の髪を撫でたあの手が、ゆきちゃんが布団に入るあの音が、寝入り端で聞いた幻聴だったら、気のせいだったらよかったのに。 そんなことを考えてたら、ふと……ひとつの疑問が生まれた。 (どうしてゆきちゃんは……私の髪を撫でたの?) 隣であんなことを……しかも、自分のことを考えながらされたはずなのに、どうして私をあやすように、慰めるように、 あんなに優しい手つきで、私のことを撫でてくれたんだろう。私のことを、汚いとか思わなかった? 触るのもイヤだとか、考えてない? (私が疲れてるように見えたから、眠りやすいように撫でてくれたのかな……?) だとしたらゆきちゃんは、私のことを嫌いにならなかった? それとも、混乱してふいに出た行動? ゆきちゃんは優しいから? ますます私の頭の中はこんがらがって……でもそれは、ほんの少し希望を持たせてくれて、もしかしたらぬか喜びなのかもしれないけど。 (ゆきちゃんって、あのとき実は寝ぼけてました……とかじゃないよね) そんなことを考える余裕が、ようやく出てきた。あのとき頭を撫でられた、あの感触。傷付けないように優しく触れてくれたかのような。 好きだった。図々しいかもしれないけど、これからもああいう風に私のことを撫でてほしかった。叶わない願いなんだけど……。 (……逃げてちゃダメだよね) 私はシーツを脱いで、がばっと上半身を起こした。時刻は8時45分。あんまり寝ていると、ゆきちゃんが帰ってしまう。 (こんな大事な事まで、寝逃げに走っちゃダメだよね。……こなちゃんが応援してくれているんだから!) 嫌われるのは怖い。けど、いつまでも逃げていられるわけじゃないし、嫌われそうなら私も頑張って、ゆきちゃんの信頼を取り戻したい。 私って単純だと思った。ほんのちょっと嫌われていない可能性ができただけで、ここまで前向きになれちゃうなんて、笑っちゃうくらい。 (想いを伝えるのは難しいけど、こなちゃんだって、お姉ちゃんだって頑張ったんだよ? だったら今度は……私が頑張らなきゃ!) * Miyuki-side つかささんはまだ起きていないみたいです。つかささんのお母さんと一緒に朝食を作り、すでにみなさんお召し上がりになりました。 つかささんのお姉さん……いのりお姉さんが「起こしてくるよ」とは言ってくれましたが、昨日の事もあったので疲れてるだろうと思い、 いえ、まだ寝かせてあげてくださいとお願いしました。それまでの間に世間話などをして、時刻は8時50分を回りました。 「ゆ、ゆきちゃん、おはよー」 「えっ、あ……おはようございます、つかささん」 パジャマ姿のつかささんがリビングへと起きてきました。あまり起きぬけといった感じがしないのは気のせいでしょうか。 私はできるだけ自然な笑顔で返事を返しました。大丈夫、不安定なこの感情は、悟られてはいないみたいです。 「えへへ……ごめんね、ずっと寝ちゃってて」 「いえ、気になさらないでください。せっかくの休日ですしね」 「でも、ゆきちゃんが泊まりに来てるのに、なんだか悪いよ~……」 「そうよつかさ。みゆきちゃんなんか早起きしてご飯作るの手伝ってくれたんだからね。あなたもそのくらい、できるようにしなさい」 つかささんのお母さんが、呆れた顔で言いました。それから私に向かって「本当にごめんなさいねえ」と。 「うう~……自分でお弁当きちんと作ってるから、いいかなーって……」 「つかささん、料理はお上手ですからね」 「ゆきちゃん、ご飯作ってくれたの? お客さんなんだから、もっとゆっくりしてってもよかったのに……」 「いえいえ、他のお宅の台所を触れる機会もそんなにありませんし、むしろ楽しかったですよ」 「みゆきちゃん、お料理すごく上手で、今日なんかバルサミコ酢を使った……何かを作ってくれたのよ? レシピ教えてもらっちゃった」 「バルサミコ酢を使った……何かは割と簡単にできるので、忙しい朝型には最適ですね」 「うわぁ、楽しみだよ! ゆきちゃんの作ったバルサミコ酢を使った……何か!」 そんなに喜んでもらえると、私もお手伝いの甲斐があったというものです。昨日はつかささんのグラタンを堪能させていただきましたし。 「みゆきちゃんは本当に、物腰も柔らかくて、上品で、どこにお嫁に出しても恥ずかしくない女の子ね」 「そ、そんなことは……」 急に褒められてしまって、私は赤面したままかぶりを振りました。少しばかり褒め過ぎです……。 「本当、私に息子がいたらこんな子をお嫁にしたいくらい。この際娘でもいいからもらってくれないかしら。つかさとかいかが?」 「「えっ!!!!!」」 私とつかささんの声が見事にユニゾンしました。二人揃って頭のてっぺんまで真っ赤になって……。 「も、もう! お母さん変な事言わないでよ!」 「冗談に決まってるじゃないの」 「ううー……どんだけ~……」 私は返す言葉も無く、ふふふと笑っていました。冷静を装ってはいましたが、心臓はすでにはちきれんばかりの早鐘で……。 内心、『つかささんのお母さん公認!』とも思いましたが、そんなわけはなく……とりあえず、今だけは勝手に浮かれててもいいですよね? (つかささんは私の嫁……いえ、私はつかささんの嫁?) つかささんのお母さんは割と、お冗談がお好きなようです。柊家の台所に立って、いろんな知識を得る事もできました。 (これらは是非、『つかささん情報』に記入すべきですね) 私は「お手洗いお借りします」と告げると、トイレへと向かいました。トイレのドアを閉めると、メモ帳を取るためポケットに手を……。 ……何もありません。たしか今朝、パジャマから昨日のお洋服に着替えて、たしかポケットには常にメモ帳を入れるようにしていて……。 同時に、全身の血の気が引く音が聞こえ……たような気分になりました。先程よりもさらに早く、心臓がドクンドクンと鳴っています。 (……落とした? この家のどこかに、あのメモ帳を?) * Tsukasa-side ゆきちゃんの作ったバルサミコ酢を使った……何かはとても美味しかった。なんていうか、ゆきちゃんのように優しい味わいだった。 身はとても柔らかくて、でも歯ごたえがあって、味は甘からず、辛からず、さっぱりしながらコクが……って、よくわかんないや。 (朝からゆきちゃんの作ったご飯を食べられるなんて、幸せ~) 食卓には、私の分だけ朝食が並んでいた。みんなもう食べちゃってたみたい。私の目の前には、ゆきちゃんが座っている。 トイレを出たばかりのゆきちゃんは、なんだか浮かない顔をしていて、なにか落ち着かないようにそわそわ……。 お腹でも痛いのかな? 便秘気味だとか、月のものが始まっちゃったとか……それとも、私がゆきちゃんのお料理を食べているから? 「おいしいよ、ゆきちゃん♪」 「あ、ありがとうございます……」 「ゆきちゃん……お腹痛いの? なんだかずっとそわそわして……」 「あっ……いえ、なんでもありません。お気になさらないでください」 「……?」 ゆきちゃんはいつもの笑顔を私に返してくれた。 変なゆきちゃん。何かあったのかな……って思ったとき、私はすっかり頭から消え去っていた事を思い出した。 (もしかして、昨日の夜のこと……?) 私のお箸が止まった。ゆきちゃんはそのことを思い出して、私になんて言葉をかけてあげようか考えてるのかな? これは私の勘だから、あまりあてにはならないケド……ゆきちゃんは私が心配していたより、私のことを嫌ってないように思えた。 でもゆきちゃんはしっかりと、私が『好き』って言ったのを聞いてたんだよね。こんなにそわそわするのも無理無くて……。 それに気がつけば、食卓のあるリビングには二人きりで、お姉ちゃん二人は外出、お父さんは休日出勤、お母さんはお洗濯。 お互いに、どうしても意識しちゃうに決まってる。私は止めていたお箸を動かして、朝ご飯の残りをちょっと無理めに平らげた。 「ゆ、ゆきちゃん!」 「は、はい! ……なんでしょう?」 「あ、あのね……」 「は、はい……」 「……きょ、今日、お休みだし、どこかいこっか?」 違うのに~……私が言いたかったのかこんなことじゃなくて、昨日のことなのに。でも、時間はまだまだあるからいいよね? だけど私は、そこでゆきちゃんが断ってきたらどうしようかまでは予想してなかった。もしかしたら、ゆきちゃん帰っちゃうかも……。 「きょ、今日ですか? そうですね、お天気もいいですし……あっ、でも……」 「でも?」 「いえ、その……はい、あの、そうですね! あっ、でもつかささん、お勉強のほうは……」 「あっ! そっかぁ、そうだよね……」 そういえば昨日、してなかった。もうすぐテストも近いのに。それにしてもさすがゆきちゃん。私なんか完全に忘れちゃってたよ。 ……って、そうじゃないよね。一緒に遊ぼうって誘ったのを、流されたのかもしれないんだし……やっぱり避けられてるのかな。 「じゃあ、ゆきちゃんはおうちに帰ってお勉強しないといけないよね……」 「え、ええ……あ、いえ、そうですつかささん。よかったら一緒にお勉強しませんか?」 その言葉に、私はばっと顔を上げた。真っ暗な底無し沼に落ちているところを、急に引き上げられたような気持ち。 一緒に? ゆきちゃん、一緒にお勉強してくれるの? 私のこと、避けてないの? まだ一緒にいてもいいの? いてくれるの? 「で、でも、ゆきちゃんはいいの? 私、お勉強の足ひっぱっちゃうかもだし、それに……」 「いえ、お気になさらないでください。つかささんの教科書と筆記用具を貸していただければ、こちらでもできますし……」 「ありがと……ゆきちゃん、ありがとっ!」 天にも昇る気持ち。とりあえずゆきちゃんには嫌われてないってことがわかった。朝食、ゆっくり味わって食べればよかった。 あとは、タイミング。本当に大切な事を伝えるタイミングと、私の勇気だけ。 * Miyuki-side つかささん達にバレないように、私はしっかりと家中を凝視していました。どこかに、私のメモ帳が落ちているはずです。 あれをもし、つかささんに見られていたらと思うと……つかささんが嫌悪の表情で私を見つめるシーンが容易に想像できます。 せっかく両思いなのかも知れないとわかったのに、すべてが台無しになってしまいます。 運良くそれがつかささんではなく、つかささんのご家族の方に見られてしまったとしても……。 大事な家族がその友達に、しかも同性の友達に、ストーカーまがいのことをされているだなんて知られたら……。 「ゆきちゃん……お腹痛いの? なんだかずっとそわそわして……」 「あっ……いえ、なんでもありません。お気になさらないでください」 「……?」 どうやらだいぶ挙動不審になってしまっていたようです。つかささんでも気付いてしまうくらい(つかささん、ごめんなさい)、 私は動揺を隠しきれていないのでしょうか? つかささんはお箸を止めて、なんだか不安そうな顔をしていました。 おそらく、つかささんはメモ帳をまだ見ていないはずです。だとすれば、まだこの家のどこかにメモ帳は……。 つかささんは朝食を急いで食べると、私を外出に誘いました。お休みですし、それは当たり前の事なのかもしれません。 しかし、私はこの家を離れるわけには行きませんでした。迷惑な話かもしれませんが、アレを見つけるまでは……。 「いえ、その……はい、あの、そうですね! あっ、でもつかささん、お勉強のほうは……」 「あっ! そっかぁ、そうだよね……」 つかささんは露骨に落ち込んだ顔をしました。ああ、ごめんなさいつかささん。私もできればつかささんと遊びたいんですよ? こういうのをKYというのでしょうか、せっかくのお休みなんですから、ちょっとくらい一緒に遊んでもよかった筈です……。 「じゃあ、ゆきちゃんはおうちに帰ってお勉強しないといけないよね……」 「え、ええ……あ、いえ、そうですつかささん。よかったら一緒にお勉強しませんか?」 我ながら名案だと思いました。これなら、私は柊家にまだ居続けることができます。メモ帳を探す猶予が生まれます。 つかささんに断られたらどうしようかと思いましたが、「ありがと……ゆきちゃん、ありがとっ!」と素晴らしい笑顔で言われ、 私はあやうく昇天するところでした。愛らしいです、可愛すぎます。一緒に勉強できるのを、そこまで喜んでもらえるなんて。 もっとも私が、保身のために出した提案なのです。つかささん、ごめんなさい。でも私も一緒に勉強できて幸せです。 「じゃあ、私準備しちゃうね!」 「あ、私もお手伝いします」 「お勉強って苦手だけどね……ゆきちゃんと一緒ならきっと楽しいかも~」 「私もです。楽しすぎて、集中できないように気をつけないとですね」 私達はうふふあははと笑いあって……そのすごく和んでいる空気に対し、急に気恥ずかしくなりました。 今、二人揃ってちょっと恥ずかしい事を口にしていたような……いえ、単なる友達として、ですよね。でも両想いですし……。 万が一つかささんと私が結ばれることがあって……もしそうなったのなら、先程のような会話をいつものようにするのでしょうか。 お互いの何気ない言葉に笑い合って……それはあの昼食の時間のときとはまた違う空気があって、二人は頬を染めて……だばだば。 「私、数学でちょっとわからないところがあって……ゆきちゃん、よかったらちょっとだけ教えてもらえる?」 「ええ、わかる範囲でしたら……私も少し、英語のほうに不安がありまして……」 「う、それは助けてあげられないかも……」 ああ……つかささんつかささんつかさsんつつtかkkつかt……勉強があまりお得意でない所も可愛らしいです……。 私達はつかささんのお部屋に向かうと、テーブルと教科書、二人分のノートと筆記用具を用意しました。 「それでは、まずはつかささんが苦手なところを一緒に考えながら解いていきましょう」 「うん、よろしくお願いします、ゆきちゃん先生♪」 あ、だめです、血圧がアがってシんでしまいマス……。なんとか耐えきって、とりあえず勉強は始まりました。 そのほのぼのとした空気に少しばかりあやうく、メモ帳の存在を忘れるところでしたけれど……。 * Tsukasa-side お勉強をしている間、ゆきちゃんは何度かくらくらとしていたみたい。本当に大丈夫かな? ゆきちゃんは驚くほど教えるのが上手で、私もなんとかだけどついていけて、教え方の節々にゆきちゃんの優しさを感じた。 なにより、ゆきちゃんの声を聞きながらだと、どうしてもそれを聞きたくなるから、一つも聞き飛ばすことがないし、 ゆきちゃんの声をさらに聞きたくて、私は必要以上に何度も質問して……ゆきちゃんの迷惑になっていたかも。 「……それでここのBrsmks=dndk^120にこの公式を代入したようなフリをして、ここがこうなるわけです」 「あ、そっかぁ。う~ん……うん! 覚えた! ……と思う」 「つかささんはわからないところを中途半端にせずにきちんと質問していただくので、教えるほうも助かります」 「そうなの?」 「ええ、わからない部分を残したまま次に移ると、どうしても躓いてしまいますし」 えへへ……だって、ゆきちゃんの声、もっといっぱい聞きたいし……。 「ごめんね。ゆきちゃんのお勉強、全然はかどってなくて……」 「いえ、いいんですよ。私も復習のつもりでいますし、教える側に立つのも十分勉強になりますしね」 ゆきちゃんってば、やっぱり優しいよ~……『それに……つかささん……近付け……密着……』とか呟いてたけど……。 「次からはひとりでできる……と思う……」 「なにかわからないことがあったら、何でも聞いてくださいね」 じゃあ……ゆきちゃんの気持ちが知りたいな。そんなことを考えて、私はひとりで勝手に顔を真っ赤にした。 勉強も大事だけど、私には昨日の事を聞くことと、自分の気持ちを告白するっていう大事な仕事が残ってる。 告白って、今まで想像したことなんてなかったけど、もしもするんだったらロマンチックなところかなって思ってた。 自分の部屋で勉強中に……なんてことになっちゃうかもしれないなんて、全然思ってなかった。 せっかくゆきちゃんが教えてくれたんだから、きちんと勉強に集中しないといけないのに、いざ告白の事を考えていると、 どうしても心臓がバクバクいって、教科書の文字を追うことが出来なかった。ゆきちゃんはゆきちゃんで、まだそわそわしてる。 「ゆきちゃん……」 「はい、何ですか?」 「……ううん、なんでもない」 やっぱり何度決意を固めてみても、土壇場で尻すぼみになっちゃう。こなちゃんのエールを何度も頭の中で再生してみる。 今日の朝の反応や一緒に勉強してくれることから考えても、ゆきちゃんは私の想いを聞いても、嫌ってはくれないはず。 ……私の気持ちは昨日のうちにとっくにバレちゃってるんだけど……。 だから私は必要以上に怖がらずに、想いを打ち明けてもいいはず。ゆきちゃんは迷惑に思うかもしれないけど……。 それとも、もしかしたらゆきちゃんも、私のこと受け入れていいと思ってる? 私の勘違いとか、そうじゃなく? (ねぇ、ゆきちゃん。そうなの?) ゆきちゃんは聞こえるか聞こえないかの小さなため息をひとつ吐くと、ペンをノートに走らせていた。 座りっぱなしでお尻が痛い。何気なく座り方を帰ると、ポケットに何か感触がした。中に何か入ってるって、ようやく気付いた。 あ……そういえば昨日、ゆきちゃんのメモ帳拾ったんだっけ……たくさんの私が詰まった、ちょっと嬉しいメモ帳。 これ、ゆきちゃんに返さないとまずいよね。もしかしてさっきからそわそわしてたのも、これを探してたのかもしれないし。 「ね、これってゆきちゃんのだよね? 昨日拾っちゃって……遅れちゃったけど、返すね」 私はメモ帳をポケットから取り出すと、それを何気なくゆきちゃんの目の前に出した。 そのとき私は見ちゃったんだ……ゆきちゃんの顔が、一瞬で真っ青になっていくのを……。 * Miyuki-side 気がつけば私は……つかささんの手からメモ帳を強引に取り上げてました。 (どうして!? どうしてつかささんがこれを……!) そのメモ帳を隠すように、私はつかささんに背を向けてかがみこみ……全身から嫌な汗が吹き出るのを感じました。 つかささんが差し出したそれには、たしかに書いてありました。私の文字で、『つかささん情報』と。 (よりによってつかささんが……一番見られたくない人なのに……) 私はつかささんの顔を直視する事が出来ず、背を向けたままメモ帳を強く握りました。唇はふるふると震え……。 「あ、ゆきちゃん、その……」 「つ、つかささん……」 「う、はい……」 「その……中は覗きましたか?」 しばらく沈黙が流れて、つかささんは大きく頭を下げ、大声で答えました。 「ごめんなさいっ! いけないことだとは思ってたんだけど、私の名前が書いてあったから、我慢ができなくて……! すぐに返そうと思ってたんだけど、うっかり忘れちゃってて……ごめんね、軽蔑しちゃうよね、本当にごめんなさい!」 「ど、どこまで……」 「え?」 「どこまで見たんですか……」 「……たぶん、全部」 この家に来て、何度顔を赤くした事でしょう。しかし、今この瞬間が一番、私の顔が真っ赤になったのかもしれません。 見られてしまいました。よりによってつかささんに、一番知られたくない私の姿を、全て見られてしまいました。 (恥ずかしい……! つかささんに嫌われて……こんな私の本性を……つかささんはずっと知ってたなんて……!) もう何も考えられなくなりました。つかささんはきっと、私のことを気持ち悪いと思っていることでしょう。 このメモ帳をつかささんがいつ読んだのかはわかりませんが、朝からずっと私の前で、平気そうなフリをして……。 こういうときはきちんと、たとえ許してもらう事はなくても、相手の目を見て謝らなければいけません。 しかし私は、目から溢れる物を堪える事ができずに、つかささんに背を向けたまま口にする事しか出来ませんでした。 「つかささん、ごめんなさい! つかささんに黙って、こんな恐ろしい、気持ちの悪いことをしていてごめんなさい! 私、つかささんのことが好きで……つかささんのことを少しでも多く知りたくて、それでこんな出過ぎた真似を……! もう二度としませんから許してください! これは全部破いて捨てますから、嫌いになってもいいですから……!」 自分の知識欲を、生まれて初めて呪った瞬間でした。こんな風に生まれた自分を、殺してしまいたい気持ちになっています。 「ゆ、ゆきちゃん……」 つかささんはよろよろと近付くと、私の頭をそっと抱きかかえました。私の嗚咽に混じり、もうひとつのすすり泣く声……。 それでも私は顔を上げて、つかささんをきちんと見つめる事が出来ません。愛する人が、泣いているというのに……。 「お願い、ゆきちゃん、泣かないで……気持ち悪いだなんて思ってないよ、破ったりしなくてもいいから泣かないで……。 嫌いになったりしないから……ゆきちゃんの知られたくないこと、勝手に覗いちゃってごめんね。本当にごめんね」 「本当ですか? 嫌いになっちゃいませんか? 気持ち悪いって、思わないですか?」 「ホントだよ。だから泣かないで……私、あんなにたくさん私の事知られてるなんて思わなかったから驚いちゃったけど、 こんなに知ってくれて嬉しいって思っちゃった。あんなに私の事知りたいと思ってる人が、しかもゆきちゃんで……」 つかささんは優しすぎます。こんな私にも温かい言葉をかけてくれるだなんて。それだけで私は、赦しを得た気分になりました。 「そ、それにね……おあいこなんだよ? 私達」 「おあいこですか……?」 私はまだ顔を上げず、つかささんの胸に頭を預けたままでしたが、つかささんが小さく深呼吸したことはわかりました。 「ゆきちゃんも私の……は、恥ずかしいところ見ちゃったでしょ……?」 * Tsukasa-side 顔から火が出るくらい恥ずかしかった。だってもう知られちゃってるとはいえ、一人でしてたことを告白するんだもん……。 でも、私の大好きなゆきちゃんが、あのゆきちゃんが、泣きながら私に謝ってる。ゆきちゃんは何も悪くないのに。 ゆきちゃんは私のせいでたくさん恥ずかしい思いをしたのに。だから私も、恥ずかしい思いをしなくちゃいけないんだ。 「ゆきちゃん……昨日、見てたんだよね? 私が、その……ひ、ひとりでしてたところ」 「え……?」 ゆきちゃんがようやく顔を上げてくれた。眼鏡の奥の聡明な瞳は、今だけは強く潤んでいて、儚げに見えた。 「私がゆきちゃんの名前を呼んで……その……」 「わ、私が起きてたのを知ってたんですか……?」 「う、ううん! している間は知らなかったんだけど……ゆきちゃんが髪を撫でてくれたときに気付いちゃって……」 「あ……!」 ゆきちゃんは顔を真っ赤にしている。きっと私も同じはずだった。俯いたままスカートをぎゅっと握って、話し続ける。 「ゆきちゃんは寝ていると思ってたみたいだけど、私起きてて……それに、私がゆきちゃんのことを、その」 「つ、つかささん……」 「す、す……」 恥ずかしさはピークに達していた。たぶん、一人でしていたことを改めて告白した事より、ずっと恥ずかしい事だった。 『好き』の一言は私にとってすごく重く、勢いにまかせて言えてしまうかもって思ったけど、やっぱり怖くて。 「ゆきちゃんのこと、す……」 「つかささんっ!」 私は急に、強く抱き締められた。でも、全く苦しさや圧迫感を感じない、優しさと包容力に満ちた腕の強さで。 背中に回された、ゆきちゃんの両手。私のささやかな胸に押しつけられた、豊満で柔らかい感触。 「ありがとうございます。でも、もう大丈夫です。無理はしないで……続きは、私に言わせてください」 「ゆ、ゆきちゃ……」 「好きです、つかささん。世界中の誰よりも好きなんです。お願いですから、つかささんの全てを教えてください」 緊張が一瞬で全て解けていったのを感じた。やっぱりゆきちゃんの言葉が、私に一番の安心を与えてくれるんだ。 『好き』の一言は重い言葉だけど、好きな人から言われれば、とても嬉しい言葉で。私は胸の中に溢れる物を感じていた。 「ありがとう、ゆきちゃん……でも私、もう無理はしてないよ。今ならはっきりと言えちゃうんだから。 私も好きだよ、ゆきちゃん。ずっと言えなくてごめんね。ゆきちゃんに辛い思いをさせちゃって、ごめんね」 ゆきちゃんはさらに腕の力を強めて……ちょっと苦しいかな? 胸おっきいし。でも、全然イヤじゃない。 「どうしてなんでしょうね、私達は互いに想い合っていたはずですのに、ずいぶんすれ違っていました」 「あはは、おかしいね」 私達は落ち着くと、二人で並んで座ってベッドに背中をあずけたまま、勉強も忘れて寄り添い合っていた。 「ね、ゆきちゃん。聞きたい事があるんだけど……」 「はい、なんでしょう?」 「あのメモ帳、私以外の人の分もあるの?」 「あ……いえ、つかささんの分だけです。私が全てを知りたかった相手は、その、つかささんだけで……」 「私も。ゆきちゃんに、私のこともっとたくさん知ってほしいな。……だからね?」 私はゆきちゃんの目を、上目遣いでじっと見詰めた。それを口に出すにはすごく恥ずかしかったけど。 「ゆきちゃんのしたいように……私のことをたくさん調べてほしいな……?」 * みゆき×つかさ・後編 (2)へ続く コメントフォーム 名前 コメント 良いです、ものすごく良い作品です! 2人の気持ちが、お互いを強く想う 気持ちが伝わってきます!!! -- チャムチロ (2012-09-17 22 05 59)