約 1,207,231 件
https://w.atwiki.jp/fleshyuri/pages/84.html
ラブ「ごちそうさまでした!」 祈里「とっても美味しかったね」 美希「あとはデザートね」 せつな「デザートって何があるの?」 ラブ「えーと、桃とパイナップルとブルーベリーだよ」 せつな「うーん、どれにしようかしら?」 ラブ「もちろんぷりっぷりの桃で幸せゲットだよね!?」 祈里「あまーいパインで癒されるって私信じてる!」 美希「ノンノン。甘酸っぱいブルーベリーでリフレッシュよ。うん完璧!」 三人「ねえ、どれにするの!?」 せつな「私選べないわ…。どれかなんて選べない。だから全部精一杯頑張るわ!」 ラブ「わはー。せつなってば頑張り屋さん!」 美希「クス、意外と食いしん坊ね」 祈里「私達も頑張らなきゃね」 せつな「さあみんな、行きましょう!」 行った先がベッドだなんて妄想は禁止
https://w.atwiki.jp/apgirlsss/pages/680.html
「欠けている完全な君」/そらまめ 「あら、そんなところまで手伝ってくれなくてもいいのに。せつなちゃんだってやることあるでしょう?」 「大丈夫ですおばさま。私がやりたいだけですから」 「そう…?あまり気を遣わなくてもいいからね?ここはあなたの家なんだから」 こうやって言うと決まってせつなちゃんは、 「…はい。ありがとうございます」 困った顔で笑いながらありがとうと言う。彼女がこの家に来て随分経ったが、最初と変らないリアクションにまだこの家に慣れないのかと不安になる。 ラブが連れてきた女の子。家族がいないと言うが詳しいことはよく分からない。だから本当に家族がいないのか帰れない事情があるのか… それでも、ラブが一生懸命にせつなのことを話している姿は真剣そのものだったから、自分の子供の言う事を信じることにした。親ばかと言われるかもしれないが、ラブはまっすぐでいい子に育ったと思うから、たとえ親にさえ言えないことがあるのだとしても、それはラブなりに考えた誰かのためだと思う。 せつなは驚く程手のかからない子だった。 素直で、礼儀正しく、我が儘なんて言わず、家の手伝いをよくして、勉強だって出来るみたいで、ラブの夏休みの宿題を見ながらわからないところを教えていた。大抵の事なら一人で何でもやってしまえる。どうすればこんなにいい子に育つのだろう。 子育てをしているからわかるがここまでの子を育てるのは本当に大変な事だ。 ラブだっていい子だがなにか質が違う。ラブは勉強も苦手だし我が儘も言う。好き嫌いだってある。思ったことが顔に出るタイプだから、考えていることが余計分かりやすいのかもしれない。 そんなラブと長年暮らしてきたから、正反対のようなせつなに余計驚きを感じた。せつなは思ったことを表面には出さない子のようで、同じ家に住んでいるのに未だに欠点と呼べるものを見つけられない。 だから、こう思うのは何か変かもしれないけど、いつかせつなの苦手なものを見つけられたらと思っている。そうすれば、彼女らしさが見えてくる気がしたから。 「おかあさーん。今日の夕飯なに?」 「んー…そうねぇ…あ、そういえばお隣の家からたくさん野菜を頂いたんだったわ。それを使った料理にしましょう」 「え゛…ま、まさかニンジンももらった…?」 「ええ。ニンジンだけじゃなくて他にもたくさん。実家が農家らしくて出荷もしてるんですって。すごいわねぇ。うちも家庭菜園くらい始めようかしら?」 「ニンジン…ニンジン…はあ…」 「好き嫌いはだめよラブ」 「ぶー、お母さんだってほうれん草嫌いなくせに…」 「私はちゃんと出されたものは食べてるからいいのよ」 「うー…せつなぁー、せつなもニンジンってまずいと思わない?」 「私はニンジン好きよ。少し甘いところがおいしいと思うけど」 「えー、そこが嫌なんだけどなあ」 「そうかしら?」 「ほーらラブ。夕飯出来るまで宿題してきなさい。おいしい野菜料理作っといてあげるから」 「なんかやる気でない…野菜だけとか…」 「じゃあ、ピーマンの肉詰めも作ってあげる」 「ほんとっ!? ちょっとやる気でたよ! せつな、勉強教えて!! 宿題多分解んないと思うから!」 「そんな嬉しそうに残念な事言わないでラブ。なんだか悲しくなるわ」 「まあまあ、細かいことは置いといて。ほら早くあたしの部屋行こう」 「そんなに腕引っ張らないでラブっ!…あ、おばさま。夕飯楽しみにしてます」 「ええ、おいしく作るからラブのことお願いね」 「はい」 バタバタと騒がしく階段を駆け上がっていくラブと、それに巻き込まれたせつなを見送ったあゆみは腕まくりをして台所へ向かった。 「「いただきます」」 「はい、どうぞ。残さず食べるのよ」 ラブは手を合わせていただきますと言うやいなやすごい速さで料理を口に入れていく。 せつなはその様子に少しあっけにとられながらもゆっくりと箸を動かした。 「おいしい! 特にこのピーマンの肉詰めなんて最高!!」 「ありがとうラブ。そう言ってもらえると作った甲斐があったわ。でもお皿の端に寄せたニンジンもちゃんと食べるのよ?」 「うっ! ばれてた… ねぇねぇせつな、こっそり食べてー」 「……」 「…せつな?」 いつもなら、「自分の分は食べなきゃだめよ」と諭されるはずなのだが、今日はその声が聞こえなかった。 どうしたのかとせつなの方を見ると、なぜか硬直している。箸でピーマンの肉詰めをはさんで、一口分だけ減ったそれを持ち上げているところでフリーズ。よく見ると体全体がプルプルと震えていた。 「え、ちょっとどうしたのせつな?」 「せつなちゃん? もしかして中まで火が通ってなかった?」 「い、いいえ! ピーマンって初めて食べたから、その、少し驚いてしまっただけです」 「せつなピーマン食べた事なかったの!?」 「ええ。ラビ……じゃなかった前に居た所ではこういうのはあまり出なかったから」 素材の味なんてどうでもよくて、栄養が取れればそれでいい。そんなスタンスのラビリンスでは、食べ物本来の味を気にした事も、それを生かした料理もなかった。だから、今言ったことは嘘じゃない。 「そうなの。ピーマンは栄養一杯だからたくさん食べてね」 「は、はい」 「あたしも食べるー!」 そうやっていいながら勢いよく食べるラブの大食いチャレンジがいつの間にか始まり、それを「ゆっくり食べなさい」と注意するあゆみと、変わらない笑顔のせつなとの夕食は過ぎていった。 「はーっ…」 ため息交じりに空気を吐き出せば、体の振動が持っていた紙コップに伝わり中のジュースと氷がガシャガシャと音をたてた。 図らずも発見してしまった自分の弱点。こういってはなんだが、自分には弱みと呼べるものはないと思っていた。プリキュアになってからはみんなを失う事が怖くなったけど、それとは訳が違うと言うか、イースであってもせつなであっても共通して苦手なものは今まで無かったと思う。弱みは付け入られる隙を生むばかりでハンデにしかならない。だから苦手なものは、見ず、作らず、近寄らず。どこかの三原則のように自分から遠ざけていた。 なのに。なのにだ。 あんな緑の物体がこんなにも憂鬱な気分にさせるなんて… いや、違う。 こんなにも落ち込むのはあの野菜のせいではなく、苦手なものが自分にあると知ってしまったからだ。 ドーナツを揚げる音やその音を出している人からの鼻歌、歩きながら話す声、色んな雑音を右から左に聞き流す。 ドーナツ片手でここに座っているのは何となく居づらくて、ラブから借りたファッション雑誌をテーブルの上で開きパラパラと流し見していた。 通りを歩きながら視線をあさっての方に向けている人や、カフェテリアから感慨深げにショウウィンドウを見つめる人。洋服を紹介しているのかモデルを紹介しているのかよく分からないなと思いながら、ふと、見覚えのある人物がポーズを決めてこちらに微笑んでいた。いつもとは違う笑顔。なんというか、綺麗な整った顔だった。 「アタシ完璧」が口癖の彼女は自分のよく知る人で、普段からも美しさに気を使っている。でもたこは苦手。 これは他の人には秘密だけど。 それを思うと、アタシ完璧という言葉には少し違和感がある気がした。だって苦手なものがあるのに、美希は変わらずこの言葉を使う。嫌にならないのだろうか。悩まないのだろうか。 気になりだしたら疑問が止まらない。 食べていたドーナツのかけらをプラプラと無意味に動かしていると、見ていた雑誌に影が差した。 「難しい顔してどうしたの?」 「ブッキー…」 見上げると、不思議そうにこちらを見下ろす祈里がいた。 今日は別に待ち合わせをしていたわけではない。一人でなんとなくここに来ていた。だから、予想だにしない彼女の登場に少し面食らって手からするりとドーナツが落ちる。コロコロとテーブルの上に落ちたそれは、結局地面に着地した。 「ごめんねせつなちゃん!」 「いいのよ。気にしないでブッキー。落とした私が悪いんだから」 必死に謝る彼女に苦笑いしながら大丈夫と伝える。 買い物の帰りだと言う彼女を向かいの椅子に促して、申し訳なさそうな彼女の前には少し早めのおやつが並ぶ。お皿に乗る三つのドーナツのうちの一つを、さっきのお詫びにとこちらにさしだす。断ろうとしたらそれに先回りするように、 「セットが安いからで三個入りを買ったけど、こんなに食べたら夕飯が食べられなくなっちゃうからよかったら食べてくれない?」 なんてニコリと笑いながら言われてしまった。 雑誌の美希と同じ「笑顔」なのに、目の前の祈里の笑顔は暖かい感じがして心が落ち着く気がした。 「なんの雑誌見てるの? あ、それ 美希ちゃんが載ってるのだね」 「よく知ってるわね」 「この間ね、美希ちゃんがお仕事上手くいかなかったって落ち込んでた時に聞いたの」 「これ、上手くいってない時なの? 全然そうは見えないわね」 「そう? いつもよりキリッとしてない?」 祈里からそう言われて見れば… 「そうね。いつもより凛々しい気はするけど…でも私には完璧に見えるわ」 「美希ちゃんはダメな時ほど自分に厳しいからね」 そう言って柔らかい眼差しを雑誌に向ける。今この場には居ない親友を想っているのだろう。 そんな祈里を見ていたら、さっきの疑問を問いかけてみたくなった。彼女なら、自分の悩みを解決する手助けをしてくれるかもしれない。 「ねえブッキー」 「なに? せつなちゃん」 「美希はよく、アタシ完璧って言うじゃない?」 「うん。いうね」 「けど、この雑誌の時のように本人も駄目だったって思うって事は、失敗したって事でしょ? それだと完璧って変にならない? 完璧っていうのは、失敗しない。間違わないってことじゃないの?」 少しだけ、驚いたような顔と無音が続く。 突然で不躾だったかもと言い切ってから思ったが、言ってしまったものはしょうがない。 固まる彼女は少ししてから動きだし、こちらを見ていた目を一瞬だけ下げて雑誌を見る。それから笑って自分に目線を戻した。 「美希ちゃんは、完璧じゃない…完全じゃないって解かっているから完璧なの」 目の前の祈里の言っている事がわからず今度はこちらが固まった。言葉遊びのように完全と完璧の意味がごちゃごちゃと頭の中を回る。何も言えないでいたら、続けて祈里がゆっくりと口にする。 「人にはそれぞれ欠点ってあるでしょう? それは人によって違うから、個性って言い方にもできると思う。個性ってその人の金型みたいなものだとしたら、そんな個性がなくなってしまったら、その人は何になるんだろうね」 「欠点がないなら困らなくていいじゃない。悩まなくてもよくなるんじゃないの?」 「せつなちゃんは、完全な、完璧な人に会った事ってある?」 完全な人… 一人だけ、頭の中に思い浮かんだ人がいた。 それはかつて自分の全てだった人。今は、最も憎むべき相手。 「その人は…ちゃんと実在した?」 「え…?」 「その人の事全てを知って、それでも欠点のない人だと思った?」 自分はあの人の事を、どれだけ知っていた? 「自分の理想と想像で作り上げていたなら、それはせつなちゃんにしか見えない、まるで幽霊みたいなあやふやな存在だったのかもしれないよ」 幽霊…? まさか。いた。ちゃんと。だってあんなにも私の心を支配していたじゃないか。 ただ…彼の事を私は何も知らない。 「で、でもっ…!」 当時は、あの人の言う通りにしていれば、間違える事は無かった。全てが正しくて、あの人のいう事が正しくて、間違いなんて、失敗なんて起きなくて… 「せつなちゃんは、失敗する事が悪い事だと思ってるんだね」 「そんなの…」 当たり前じゃないか… 失敗は怖い。色んな物を失ってしまうから。それに自分はイースの時に大きな失敗をしてしまっている。 だからこれ以上踏み外してしまわないようにしなければ。 だってそうしないと…( 見捨てられてしまう ) 「完璧な人って、間違わないとか苦手なモノが無いとか、そういう事を言うんじゃないと思うな」 そんな言葉を言いながら、「そろそろ帰るね」と買い物袋を持って行ってしまった祈里の背中を見送る。時計を見れば、二個のドーナツなんてゆうに食べ終えている時間が経ち、紙コップを持てば先ほどより水気の増した音がして、中のジュースも味が薄くなっていた。 夕日に反射して、河原が光る。土手沿いを普段よりもゆっくりと歩いて歩いて家路に向かう。帰りたくないわけでは決してないのに、足取りが重くて、まっすぐ前を見るのが少しだけ居心地が悪かった。 これを世間では後ろめたいというのだろう。 こんな気持ちになるのは、自分に苦手なものがあるのにそれを黙っているからだ。だからこんなにも心が重い。やはり弱い部分を作るのはマイナスでしかないんだと改めて思った。 そんな時だった。 こちらに走ってくるジャージ姿の人影に気付いたのは。 整ったフォームと一定のリズムで動く肩。まっすぐ前を見て、私の眼を見て走ってくる彼女はやっぱり完璧に見えた。 「せつなっ…こんなところで会うなんて奇遇ね」 「偶然…とも言い切れない気はするわ」 「偶然よ偶然」 私は知っている。彼女が走るランニングコースにこの土手沿いが含まれていない事に。そしてこんな時間に走る事が稀だって事も知っている。 「それで、今日はどうして走ってるの? しばらく仕事は入ってないって言ってたから身体作りの必要はないでしょ?」 「仕事は無くても常にベストの状態でいたいからに決まってるじゃない。それと、今日の体育の時間にあった持久走のタイムがちょっとね…」 「後半が理由よねどう考えても。それにしても…」 「…な、なによ」 持久走のタイムを計るなんて、運動部で大会に向けて練習しているわけではないのだからこれっきりだろうに、それでも美希は走っている。誰に見せるわけでもなく、ただ自分の気持ちのままに。 「美希は、どうしていつもそんなにまっすぐなの? いえ、美希だけじゃなくて、ブッキーもラブも。私だけ…」 自分だけがいつも後ろを向いている。三人と背中合わせでいるようで、異質さを感じてしまう。何が違うのだろう。きっと、何もかもが違う。 「せつなっていっつもそうやって何かに悩んでるわね。悩むのが趣味なの?」 「…そんなわけないじゃない」 「そうよね。で、悩んだ結果何か答えはでた?」 「私には足りないモノばかりって事は改めてわかったわ」 ぽつりと呟いた言葉に美希はどう反応してくれるのかは分からなかったが、ネガティブな事を言うと怒り出す彼女は、今回もお説教してくれるのだろうか。 今までわざと美希から視線を逸らしていたが、ちらりとその表情を伺ってみた。 「何言ってんのよ。そんなの当たり前じゃない」 怒った、ではなく、キョトンとした顔だった。 当たり前のこと過ぎて、朝はおはようって言うのが普通でしょ?と同じくらいのノリでそう言ったかと思ったら、ビシッと人差し指をこちらに向けてきた。思わずびくりと肩が上がる。 「せつなは仙人? それとも神様にでもなったの? アタシ達はね、まだ十数年しか生きてないのよ。出来ない事なんて山のようにあるし、自分に出来る事の方が少ないわ」 依然として向けられる指先。私の胸に突き刺さるようなまっすぐさ。それと同じくらい、美希の言葉が胸に響く。 「だから、他の人と出来る事を足し合って協力すれば普段以上の事ができるし、出来る事を増やすには自分に何が出来ないか知ってからじゃないと努力の方向性もわからないわ」 「今のアタシ達に必要なのは、できない事がある。そんな弱い自分を受け入れる事よ。あの時、自分の弱さを人に話せたからそう思える様になったのよ」 そう言われた。それも満面の笑みで。 その笑顔は見る人を惹きつける輝きと自信に満ちていて、でも優しさで溢れた普段の彼女らしいものだった。 「それをふまえてアタシはアタシの為に完璧になりたい。せつなは、誰の為に完璧になりたいの?」 ――風が吹いた。それは、河原の草を揺れさせ、髪をなびかせ、流れに逆らって水を波立たせるように心をざわつかせる。そして髪は時折視線に交じり、そのうち視界を黒く染めた。夕日の陰影でオレンジに交じった黒は、その色を纏っていたあの頃を思い出させる。 ――自分の力を証明したかった。 幹部になっても、どんなに追いかけてもこちらを見てくれなかったあの人に、自分を認識してほしくて、望むことはなんだってやった。それで認めてくれるなら。 当時はそれが理由だった。 なら今は…? みんなに迷惑を掛けない人になりたい。足手まといにならないように、いつだって誰かを見据えた考え方を、行動をとってきた。 (失敗したら見てくれなくなる) あれ… なんだこれ…これじゃまるで、前と何も変わらない… こんなんじゃ、こんな自分じゃ…みんなが…私から…… …離れて… 「別にアタシ達は聖人君主みたいな完璧なせつななんて望んでないわよ」 その言葉にハッとして下を向いていた顔を上げると美希と目があった。 その眼が、表情が、本当だと言っている。 そうだ。みんなは私の事を見限って離れるようなことはしないし、いつだって私を見てくれている。そんなのわかっていたはず。 …私は、誰を見ていた…? 「幽霊みたいなあやふやな存在だったのかもしれないよ」 あの時の祈里の言葉が頭の中で反響した。 相手は何を思っているのか。それを想像し、先読みし、考える事は自由でも、決めつけてはいけないのかもしれない。でなければ、その考えはいつかきっと自分自身を傷つけてしまう。かも。 怒られる。そう決めつけて言わずにその嘘に苦しむより、言ってしまって存分に怒られた方が長期的に見れば自分の為かもしれないと思った。 ので… 「あの、おばさま…実は私、その、ピーマンが苦手みたいで…」 「……」 「ご、ごめんなさい! 好き嫌いは駄目だってわかっていますがあの苦みがどうしてもっ…!」 「まぁっ…!」 ニンジンを残すラブの事をあんなにも怒っていたから、第一声は怒鳴り声かと身構えていた。そして、嫌われてしまうのではないか、幻滅されてしまうのではとも思って体が知らずに強張っていた。 でも、最初の一言に、怒りの感情は含まれていなかった。 むしろ少し嬉しそうな声音。 ごめんなさいと頭を下げた状態から恐る恐るあゆみの顔を窺ってみると、何か嬉しい事でも発見したような表情で、その反応に自分の頭の上に?マークが浮かんだ。 「そう…そうなの…! せつなちゃんは…せっちゃんはピーマンが苦手なのねっ」 そう言いながら、あゆみに抱き締められた。 怒られるのは覚悟の上、あっさり了承される未来も少し思い描いたが、まさか喜ばれるとは思わなかったので、状況が読み取れずにぽかんと呆気にとられる。 「あーっ! おかあさんがせつなにハグしてるっ!! ズルい!! あたしもせつなにぎゅーってしたい。えいっ!」 「ら、ラブっ…! おばさまも、く、くるしいわっ…」 「あははっ、せつなってば顔真っ赤だー」 結局、ピーマン嫌いはラブのニンジン嫌いと一緒に今後克服していくということになった。なぜピーマンが嫌いといった時に喜んだかとあゆみに尋ねると、 「それはないしょよ」 と微笑みながら言われたが、馬鹿にされたようなマイナスなものではなく、優しい感じだったので秘密の理由はあまり気にならなかった。 ただ… 「今日の夕飯はチンジャオロースよ。ふたりとも残さず食べてね」 「えー…なんでチンジャオロースにニンジン入ってるの…」 「ピーマンが…」 「の こ さ ず 食べるのよ?」 「「はーい…」」 これからピーマン料理が増えそうで少し心配になった。
https://w.atwiki.jp/llnj_ss/pages/1244.html
元スレURL 【ss】ラブライロンパ!Ô(序章) 概要 全国から超高校級の才能が集まる私立虹ヶ咲学園で 閉じ込められた侑たちを待ち受けていたのはコロシアイ学園生活、そして―― 今、誰も予想の出来ない物語が始まる 参考:ダンガンロンパシリーズ タグ ^高咲侑 ^虹ヶ咲 ^[[μ’s]] ^[[Aqours]] ^パロディ^ミステリ ^サスペンス 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/fleshyuri/pages/959.html
⑧ 「かわいいわねー犬。ブッキーが羨ましい」 「せつな犬欲しいの?確かに癒されるけど」 「美希ちゃんも犬飼ってるよね」 「うん、家に帰ると不法侵入でしっぽ振って待ってるし、勝手に膝の上に乗ってくるし、寝る時布団に入って擦り寄ってくるし……」 「ええ、私の美希なのに!そんな羨ましい犬がいるの?」 「自覚症状がないんだけどね……せつな、お手」 「美希とならずっと手を握ってたいわ」 「私今度首輪プレゼントしてあげようかな」 ⑨ 「せつなー、ご飯できたって」 「わかった。ねぇ、ラブ」 「何?」 「私にこんなに優しくしてくれるのはどして?」 「嫌だった?」 「ううん、嬉しいの。私にはもったいないくらいで……」 「だってあたしにとってせつなはお姫様だから」 「そうなの?」 「うん」 「ありがとう。私にとってラブはお殿様よ」 「いや、位の話じゃなくて……」 ⑩ 「美希ちゃん、風邪大丈夫?ゼリーとか買ってきたよ」 「こほっ、熱がなかなか下がんなくて。ありがとうブッキー」 「せつなちゃん呼ばないの?」 「騒がしくなるからいい。あ、新発売のプリンもある。やった」 「薬も入ってるから」 「ありがとうー……え、これネギ?」 「知ってる?風邪の時ネギをお尻に刺すと効果あるんだよ」 「へ、へぇ~……ブッキー物知りぃ」 「私ね試してみ―― 「せつなああぁぁぁ、アカルンで今すぐ来てえぇぇ」 ⑪ 「面白いねこの番組」 「この滑舌問題勝負しようよ」 「ラブノリノリね。まぁいいけど」 「楽しそう」 「じゃああたしから。有料道路料金!よっしゃー。次美希たん」 「有料道路料金。余裕ね。じゃあ次せつな」 「有料道っりろ料金!……駄目?」 「ぎりぎりセーフかな」 「んじゃあブッキー」 「ゆうろうどうっりょろうきん!」 「アーーウト!ブッキー意外とこういうの苦手なんだぁ。あはは……はっ!殺気?」 (小声)「ラブ、ブッキー唇噛み締めてる……」 (小声)「よっぽど屈辱だったのかしら……」 「だ、誰よ!こんなことしようって言い出したの!!!」 「「お前だよ!」」 ⑫ 「そろそろ眠くなっちゃった」 「お客様用の布団持ってきたよー。皆何処に寝る?」 「ラブの部屋だしラブはベッドね。あたしは下でいいわ」 「じゃあ私も下で寝ようかな」 「えー、だぁめ!せつなはあたしの隣」 「あたしはどうでもいい」 「じゃあさこうしよ―――」 「うぅ、あたしの隣が美希たんなんて。しかもベッドじゃないし……」 「しょうがないでしょ!あたしとラブだとベッド狭いんだから」 「私はブッキーとなのね。よろしくねブッキー」 「やっぱりベッドはふかふかだね」 「ベッド組楽しそう……」 「こっちは結構寒いわよね……」 「なんか言った?」 「「ノープロブレ厶です長官!」」 ⑬ 「美希何やってるの?」 「ストレッチ。体の線とか大事だからね」 「私が手伝うことある?」 「ない」 「じゃあ雑誌でも読もうかしら」 「一緒にやる気はないんだ。確かにせつなは羨ましいぐらいバランスのとれた体型よね。よっと……」 「美希柔らかーい。あ!……………」 「何?」 「つ、続けて!な、何でもないから」 「何で慌ててるのよ」 「慌ててないわ。美希が前屈した時シャツの間からブラなんて見えてないし!」 「馬鹿?」 ⑭ 「ブッキー、せつなが振り向いてくれない……」 (棒読み)「ラブちゃんは可愛いから大丈夫だよー」 「感情なし!?はあぁ、だってせつなってば口を開けば美希美希って」 「だから大丈夫だって。せつなちゃんヘタレだから」 「ちょっ、あたしのせつなを!そ、そうだよね。大丈夫だよね」 「当分はね」 「はうぅ」 「ラブちゃんもヘタレだから」 「むー、ブッキーってば優しくなーい」 「諦めないの?」 「諦めないよ!あたしはせつなが大好きだからね」 「あ……そう」 「ん?なんか元気なくない?あたしはブッキーも美希たんも大好きだから」 「うん、私もラブちゃんが好き」 「へへー、じゃあそろそろ帰るね。まったねー」 「うん。バイバイ。……………………………私のヘタレ」 み-734へ
https://w.atwiki.jp/fleshyuri/pages/235.html
キスを見てしまった。 女の子同士のキス。 けれど、それは幼い時に父親や母親にしたような、軽い口付けではなく。 舌を絡め、体を密着させ、昂ぶり合いながらの淫らなもの。 公園の、森の中。太陽に雲のかかった空の下、少女の目の前で二人は絡み合う。 「ん......せつな、こんなとこで......誰かに見られちゃうよ......」 幼馴染の少女は、拒絶の言葉を口にしながらも、抵抗はしていない。顔を真っ赤に しながらも、されるがままになっている。 新しく出来た友人、せつなの手は、彼女の服の中に差し込まれ、優しく、時に激しく ラブの胸を揉みしだしている。時折、ラブがビクンと体を震わせるのは、胸の先の蕾を 弄ばれたから。 見てはいけないものを見ている。祈里はそう自覚する。だが禁忌と知りながらも、 目をそらすことは出来ないでいて。 「ラブ――――可愛い」 「......せつなぁ」 喘ぐように名前を呼ぶラブの、ミニスカートの中にせつなは手を差し入れる。あっ、 と小さく声を出して顔を上げる彼女の首筋に、せつなは舌を這わせる。真っ赤な舌は、 まるで生き物のように彼女の白い肌を蹂躙して。 「我慢出来ないんでしょ? もうこんなに濡れてる」 チュク、チュクと音がする。それがラブの奏でる音だと気付いて、祈里は頬を染める。 ふあ、と腰砕けになりそうな彼女を、さらに指で攻めるせつな、その視線が。 不意に、こちらを向いて。 見つかった!! そう思った瞬間、自分がとても恥ずかしくなって、祈里は体を硬直させる。 だが彼女の目は、すぐにラブの元へと戻っていって。 冷や水を浴びせかけられたように、背筋が凍っているのを感じながら、祈里は。 ゆっくりと音を立てないように、その場を去って行った。 「ふぁ......どうしたの、せつな」 「なんでもないわ」 ラブの服を捲くり上げ、あらわになった乳首に吸い付きながら、せつなはほくそ笑む。 うまくいったわね。次は――――あの子。 思いながら、彼女は。 「ふぁ、あ......」 「いっぱい気持ち良くなってね、ラブ」 蠱惑するような声で囁いて、その指と唇でラブの体を天国へと導いていったのだった。 Eas of Evanescence II 家に駆け戻り、自室に入った祈里は、ベッドに横になっていた。 思い出すのは、つい先程のシーン。せつながラブの体を貪っているところ。 なん――――だったの。 思いながら、胸に手を当てる。動悸が激しくなっているのは、走って戻ってきたから、 だけではなかった。 ラブ。桃園ラブ。ラブちゃん。幼い頃から、よく知っている彼女。けれどあの時に 見せた顔は、祈里の知らない彼女の顔。とても気持ち良さそうで――――少女と言う よりは、女の顔、だった。 あんな風に胸を触られて――――無意識に祈里の左手は、自分の胸を服の上からまさぐる。 あんな風にアソコを触られて――――祈里の右手が、スカートの中に潜り込む。 そっと下着の上からなぞってみれば、冷たい感触。汗、ではない。自分の中から生れた甘い蜜。 ゆっくりと、こする。その度に生れる快楽に、彼女はぼぅっとなる。下着がどんどん、 濡れていく。それでも祈里は、手を、指を止めることが出来ない。ぎこちない動きは、 段々とスムーズになっていって。やがて自分が一番、気持ちいい場所を探し当てる。 「......く......ん......」 枕に顔を押し当てて、声を押し殺しながら、祈里はわずかに残った意識で自分を 見つめて、恥ずかしく思う。 大切な友達の秘め事を見てしまっただけでなく、それで興奮してしまうなんて。 だがあまりの快楽に、理性はあっと言う間に吹き飛んでしまって。 黄色のシャツをめくり、ブラをずらし、胸をさらけ出す。蕾をいじりながら、 アソコに指を入れて、ゆっくりとかきまわす。 目を閉じて、彼女は快楽を追い求める。ほんの少しも逃がさないように。 どんどんと熱を帯び、昂ぶっていく体。 だがそれは。 カチャリ 部屋に響いた一つの音――――鍵を『閉める』音で、一気に冷める。 目を開けた祈里は、そこに信じられないものを見た。 「そういうことは、鍵を掛けてからするものよ、祈里」 薄く笑いながら自分を眺めるせつなを、彼女は呆然と見つめる。 どうして、ここに。 「祈里の家に遊びに来たくて、ラブに教えてもらったの。ご両親はお仕事中だった みたいだから、部屋だけ教えてもらって上がってきたんだけど――――驚いたわ、 扉を開けたら、祈里が夢中になってるんだもの」 その声に我に返り、祈里はタオルケットで自分の体を隠す。だがそれを見て、 せつなは不満そうな顔になって。 「どうしたの? 続ければいいじゃない。私のことは、気にしなくていいわ」 「そんな......」 あまりの恥ずかしさに消えてしまいたくなる祈里。どうしてわたし、鍵をかけて なかったんだろう。こんな......こんなところを見られるなんて。 小さな体をさらに縮めて萎縮する彼女の姿に、せつなは酷薄な笑顔を浮かべて、言った。 「そ。じゃあラブに言っちゃおうかしら。祈里が私達を覗いてたこと、その後に 自分の部屋で、一人でしてたこと」 「え......」 か細い声をあげて、祈里は顔を上げる。そして、ぞくっと背筋を凍らせる。 立ったままのせつなが、彼女を見下ろす、その目の冷たさに。 すぐにわかる。せつなは本気だ。 「嫌......嫌......」 知られたくない。こんな恥ずかしい部分を。汚い自分を。大好きな友人にだけは、絶対に。 「お願い......なんでもするから......ラブちゃんには言わないで」 「そう。じゃ、脱いで」 せつなは祈里の勉強机の前の椅子に腰掛けながら、冷酷に宣告する。 「え――――?」 「聞こえなかったの? 全部、脱いでって言ったのよ」 ビシリ、と鞭のように放たれる言葉に、祈里はのろのろと体を起こす。そして、 一枚、また一枚と着衣を落としていって。 「全部、よ」 最後に残った下着に躊躇した彼女だったが、それを見透かしたかのようにせつなは 厳しい口調で――――だがどこか愉悦の混じった声で、祈里に強制する。 観念して、彼女は一糸纏わぬ姿になる。たわわに実った胸と、髪と同じ山吹色の 恥毛を両の腕で隠しながら立つ祈里に、せつなは頷く。無論、それで彼女が満足した訳がなく、 「ほら、さっきの続きを始めてよ」 全部、見ててあげるから。意地悪く笑いながら、せつなは椅子の背もたれに背を 預けて、ベッドを目で指す。 「..................」 無言でベッドに戻った祈里は、ゆっくりと先程の続きを始める。が、その目はチラチラと せつなに向かい。 気持ち良くないわけではない。だが、昂ぶるという程ではなく。 「どうしたの? 楽しそうじゃないみたい」 「無理だよぅ......見られてなんて......」 消え入りそうな声で囁く祈里に、仕方ないわね、とせつなは言って椅子から立ち上がる。 どうするつもりだろう、と目で追う祈里をよそに、彼女はベッドの上に上がって、 後ろから裸の体を抱きしめる。 「ふぇ――――?」 「手伝ってあげるわ」 言いながらせつなは祈里の手をつかみ、指を絡めるようにしながら、彼女の秘所にあてがう。 自分の手、が、自分の手でなくなってしまったような感覚。そのまま、ゆっくりと せつなは彼女の手を使って、祈里の敏感な部分を的確に弄り始めて。 「あ――――っ」 コリコリとクリトリスを指で弾かれて、祈里は背筋に電撃が走るのを感じる。 何、これ。こんなの、初めて。 「ふぅん。祈里はここが感じるのね」 彼女の裸の肩に顎を乗せ、せつなは祈里の裸身を覗き込む。逆の手も掴み、やはり 自身の手で年齢の割に大きな乳房を触らせて。 「いいのよ? 気持ち良くなって。私に見せて――――祈里の淫らな姿を」 耳元で囁かれ、耳たぶを甘く噛まれる。ぞくり、と快感が体中を巡り、自分の 乳首が硬くなるのを祈里は感じ取る。 やめて、そんなこと、言わないで。そんな風にされたら――――これがいけない ことだって、忘れてしまう。 だってせつなさんは、ラブちゃんのもので、ラブちゃんとキスしていて、ラブちゃんと―――― ジワリ。 盗み見たあのシーンを思い出した瞬間、自分の中からさらに甘い蜜が溢れ出す のを祈里は感じる。背徳感に彼女は顔を真っ赤にするが、その思考はすぐに快楽に塗りつぶされて。 「ふぁ......あ......」 祈里は秘所に指を入れて、激しく中をかきまわす。せつながそうさせているのか、 自分からそうしているのか、もうわからない。 背中から抱きしめてくるせつなのぬくもり、首筋を這う舌、髪から漂う甘いフローラルな香り。 その全てが彼女の理性を溶かしていって。 「あ......ん......気持ち......いい」 解き放たれたように祈里は、素直な気持ちを口にする。グチュッ、グチュッという 湿った音が部屋に響く。自分からせつなに顔を寄せ、その唇を奪い、舌を絡めあって。 「もう、一人でも大丈夫みたいね」 長いキスの後、意地悪にそう言って体を離そうとするせつなの手を、祈里はギュッと握り締める。 「や......いや......いかないで」 「ふふ。どうして欲しいの?」 「一緒に......一緒に、して欲しい」 何の躊躇いもなく、祈里はそう言った。自分一人の指だけでは、足りない。せつなと 一緒でなきゃ、イケない。それがわかってしまったから、祈里は必死に彼女を求める。 こんな中途半端なところで離れられたら、おかしくなってしまう。 「可愛い子」 堕ちた。そう心の中でほくそ笑みながら、せつなは祈里の耳にキスをし、その穴を 舌で軽くつっつく。 初めての感覚に体をのけぞらせる彼女を抱きかかえながら、せつなは祈里の手を 掴んだまま、その指を彼女の秘所の中で激しく動かす。 クチュクチュクチュクチュクチュ。間断なく溢れる音は、彼女の昂ぶりの証。弛緩す る彼女の口に、もう片方の手を当てると、祈里は自分からその指にキスをし、舌を絡めてきて。 「祈里......イッて?」 「ふぁ、あ、あぁっ――――イ、く――――イッちゃうっ!!」 苦しそうな、しかし甘い声をあげながら、祈里は。 バチン、と体中に走る快楽に体を震わせて。 イッてしまったのだった。 「ハァ......ハァ......」 「ふふ。よっぽど気持ち良かったのね――――すごくヤラしい顔してたわ、祈里」 力が入らず、荒い息のまませつなにもたれかかっていた祈里は、彼女の言葉にカァッと 赤くなる。わたし――――恥ずかしい。 だがせつなは、彼女が我に返ることを許さないかのように、祈里の耳元で囁く。 「次は、私を気持ち良くしてくれる?」 「え......?」 戸惑う祈里から離れ、座ったまませつなはスカートの中の下着を脱ぎ、ベッドの上で M字に足を広げる。祈里は、露になった彼女の秘所から目を離せなくなる。綺麗な桃色の アソコは、自分と同じように濡れそぼっていて。 「舐めて」 簡潔な言葉。それが命令だとも気付かずに、祈里はベッドの上で四つんばいになり、 彼女の秘所に顔を近づける。 一瞬、躊躇するが、すぐに振り切って。目を閉じて祈里は、せつなの蜜を舌ですくう。 不思議な味。しょっぱい。けど――――美味しい。 おさまりかけていた火が、再び体の中で燃え上がってくる。もっと、もっと味わいたい。 思いながら祈里は、一心不乱にせつなのアソコを舐める。舌を硬くして、秘所に 差し込み、中からかき出す。 「そうそう。いい感じよ」 楽しそうに言うせつなの声に、甘いものが混じっているのを感じとって。 祈里は、嬉しくなる。いっぱい気持ち良くなって欲しい。私で気持ち良くなってもらいたい。 それに――――私も気持ちよくなりたい。 すでに、羞恥心をどこかに放り投げてしまった祈里は、彼女に奉仕を続けながら、 自分の秘所にも手を伸ばす。太ももまで溢れた愛液が、冷たい。けれど、熱い。 「ふふふ」 快楽の虜になった祈里の姿に、せつなは笑いながら彼女の髪を撫でる。 「そうしてると、祈里、動物みたいね」 四つんばいになって、ただ快感だけを追い求める自分の姿がそう見えていると知って、 一瞬、祈里は体を強張らせる。だがそんな彼女の耳に、せつなの声が優しく響く。 「大丈夫よ。私が飼ってあげるから。ペットみたいに、可愛がってあげる」 動物。飼う。ペット。普段の祈里ならば戸惑っていただろう。 だが今の彼女には、それがとても素敵なことのように思えて。 私――――大切にされてる? 可愛がられてる? 愛されてる? なら――――ペットでもいい。 無意識の内に倒錯的な快楽に溺れながら、祈里は、より一層激しく、せつなのアソコに貪りつく。 まるで犬が、大好きなご主人様にじゃれついて、その顔を舐めるかのように。 「そう、そう――――上手よ、祈里」 褒められながら頭を撫でられると、嬉しくなる。心の快楽に体を追いつかせようと、 自分を責める指も、激しくなる。 気持ち良くなって、せつなさん。私の舌で、私の唇で。 いっぱいキスをさせて。あなたの体に。 そうして祈里は、何度も自らの指で果て、力尽きて眠りにつくまで。 せつなに奉仕を続けたのだった。 他愛ないこと。 思いながら、幸せそうに膝の上で眠る祈里の顔を見下ろす。その瞳に、光は無い。 自分が支配され、逃げられなくなっているとも気付かずに、快楽に溺れて。 そっとせつなは、祈里の髪を撫でる。う、ん、と幸せそうな声を上げる、彼女。 チクリ、と胸が痛んだ。 祈里は何の疑問も持たずに、ずっとずっと、彼女に尽くし続けた。最初の一度こそ、 せつなは彼女を気持ち良くさせたものの、後は何もしなかったというのに、だ。 そしてせつなが昂ぶり、気をやるごとに、嬉しそうに笑いながら、自分も続くように果てて。 まるで彼女がイクことが、最高の快楽のように。 気が付けばせつなも全ての服を脱ぎ捨て、その全身に祈里のキスを受けていた。 彼女の体で、祈里の唇が触れなかったところはどこにも無い。 尽くさせていること、すなわち、支配。そう思っていた。 けれど、彼女はあまりに幸せそうで。 何も与えていないのに、どうして、こんなに幸せそうなの。 わからない。 自分がメビウス様にお仕えすることを嬉しいと感じるのと一緒か。 思って、何かが違う気がした。 その違和感の正体を、せつなは捕まえきれず。 ただ。 こうして祈里の安らかな寝顔を眺めていると。 何故か穏やかな気持ちになって。 何故か、胸が痛んで。 それは、ラブに笑顔で、 「好きだよ、せつな。大好き」 と言われた時と同じ感覚。 どうしたんだ。私は―――― 自らの心の変容に、せつなは慄く。これではまるで、まるで―――― 私がイースではなく、東せつなになっているみたいじゃないか。 せつなの瞳に、光は無い。 だがそれは、微かに揺らいでいて。 5-293へ
https://w.atwiki.jp/apgirlsss/pages/690.html
【あたたかな冬の朝】/一六・夏希・恵千果 冬。この季節になると管理国家ラビリンスを思い出す。そこには四季なんて無くて、常に身を切るほどに寒かった。 もちろん、それは気温としての寒さではない。ぬくもりの感じられない機械化された国ならではの、冷たい肌触りを持つ空虚な寒さ。 今のラビリンスは、かつてのような冷たい国ではなくなった。だからこそ忘れられない。ぬくもりを知ってしまったからこそ切実に感じる、厳しい寒さを。 そう――この街の寒さは違った。 あたたかなスープを口に運びながら、せつなはカーテンの隙間から、雪の舞う外の景色を覗き見る。 四ツ葉町に住み始めて何度目かの、冬の訪れだった。 さく、さく、さく。 最近買ってもらったばかりのお気に入りの赤いブーティで新雪を踏みしめながら、せつなは一歩、また一歩と、足を進めていく。 視界いっぱいに広がる、真っ白な世界。 すっかり見慣れてしまったが、この光景を初めて見た時の衝撃は今でも忘れられない。穢れなき白雪に覆われた街は、幻想的なまでに美しかった。 もちろん良い事ばかりではない。指先や頬は凍え、吐く息は白く、足元は積雪のせいで歩きにくい。気候や天候まで管理されたラビリンスに比べれば、まるで合理的じゃない世界。そんな不便さすらも、きっと大切なもの。 ふと空を見上げると、鉛色の雲から、クルクルと円を描くように無数の雪が舞い降りてくる。 せつなは、初めて雪を見た日のことを思い出した。 「雪って……素敵ね!」 「ふぅん。せつなって、雪が好きなんだ?」 「ええ。歩いても歩いてもちっとも進まないし、寒いでしょう? 全然思い通りにならなくて……そこがとても素敵」 「アタシも雪は嫌いじゃないけど、せつなの理由は変わってるわね」 「夏の砂浜で走るのが、楽しいみたいな感じかな?」 「ちょっと違うけど……それも好きよ」 「何だかわかるな、せつなちゃんの気持ち。わたしも初めて雪を見た時はきっと、ワクワクドキドキしたと思うもの」 「ありがと、ブッキー」 「うふ、どういたしまして」 寒さで赤くなったせつなの頬がわずかに緩む。他愛もない仲間との会話は、一つ一つがそれぞれ違う。そのどれもが美しくて、まるで雪の結晶のようだった。 こうして年月を重ねるごとに、キラキラと静かに降り積もって、ますます重みを増してゆく。 指先や頬は凍えていても、心は温かさを失うことがない。 あたたかいのに寒い、ラビリンスとの違い。寒いのにあたたかい、それが四ツ葉町の冬だった。 ようやく東の空に太陽が顔を出したばかりの早すぎる朝の中、まだ誰にも踏まれたことのない雪を踏みしめながら、今の幸せを噛みしめながら、歩き続けた。 「お帰りなさい、せっちゃん」 そう言ってせつなを出迎えてくれたのは、母親のあゆみだった。 「た、ただいまお母さん……でも、どうして?」 ラブにも話さず、黙って出かけたはずだった。足音すら立てず、ドアも静かに開け閉めしたのに――。 「昨夜、窓からじっと外を眺めてたでしょ? せっちゃんが朝のお散歩に出かけるサインよね。さあ、寒かったでしょう。熱いお茶入れたから」 ポカンと見つめるせつなの肩に、あゆみが後ろから手を回して、二人でリビングに入る。 コートを脱ぎ、熱いお茶の入った湯呑みを両手で包むと、少し遅れて、かじかんだ指の先にジワリと熱が伝わってきた。 「ずいぶん積もったわねぇ。どこまで行ったの?」 「クローバーの丘まで行こうと思ったんだけど、歩くのに時間がかかっちゃって……。だから、商店街をぐるっと歩いてきたの。一面真っ白で、いつもの商店街じゃないみたいだった」 「そう。雪の日って、よく知っている景色でも何だか違って見えるわよね。全てが白くお化粧されたみたいで、静かで、そして……」 あゆみがそう言いかけたとき。 突然、部屋の灯りが消えて、辺りが真っ暗になった。 「えっ、何!?」 「あら、停電かしら」 驚いて叫ぶような声を上げたせつなに向けて、あゆみがいつもと変わらない調子でつぶやく。 「……停電?」 それは、せつなにとって初めての経験だった。 さっきより目が慣れてきたとはいえ、まだ雨戸を閉めている部屋の中では、目の前に居るあゆみの姿すらおぼろげにしか見えない。 穏やかで満ち足りた時間が、こんな風に突然闇に閉ざされてしまう。そんなことは、少なくともここ数年の日々の中では無かったことだった。 だからだろうか? こんなこと、大したことではないと頭では分かっているのに、何だか足元の地面が急に無くなったような、不安な気持ちに囚われる。 「もしかしたら、雪の影響かも知れないわね」 「どれくらいで復旧するのかしら」 普段通りおっとりと響くあゆみの声に比べて、いつもより硬くこわばっている自分の声。それに気付いてせつなが無理に笑顔を作ろうとしたとき、あゆみがスッと立ち上がった。 「ちょっと寒くなるけど……暗いよりいいから、雨戸開けちゃいましょう!」 まるで楽しい提案か何かのようにそう宣言してから、あゆみが暗がりの中を窓の方へと移動する。ガタガタという重々しい音と共に、白い光が部屋の中に射し込んできた。 薄明かりの中、あゆみがニコリと笑ってせつなに手招きする。立ち上がって窓から外を覗いたせつなは、思わず小さく歓声を上げた。 そこには一面に、眩しいくらいの光を放つ白銀の世界があった。さっきより高く上った太陽に照らされて、全てのものが光り輝くベールを纏っている。 冷たい雪に覆われて、シンと静まりかえっているのに、同時に明るくて、日の光のあたたかさまで感じさせる光景だった。 「きれい……」 「雪灯りというのよ。さっき言いかけたのはね、雪が降った後って、キラキラしていて何だか明るいってこと。たまにはこういう自然の灯りもいいわよね。電気代もかからないし」 あゆみが茶目っ気たっぷりにそう言って、うふふ、と笑う。その顔を見て、せつなも今度こそ心からの笑顔になった。 「おーい、停電かぁ? ……ああ、これならロウソクは必要無いな」 パジャマの上にガウンを羽織った姿の圭太郎が、何やら両手一杯に荷物を抱えて部屋に入って来た。 テーブルの上に、大きな懐中電灯と非常用のロウソクを置く。そして、寝室から持ってきたらしい二枚の毛布を、よいしょと抱え直して、さっさとリビングへと歩いて行く。 「そこに居ちゃあ、寒いだろう。二人ともこっちにおいで」 「まあまあ。それなら、ちょっと待って」 あゆみが圭太郎の意図を察し、心得た様子でキッチンに入っていった。二人のやりとりを不思議そうに見つめていたせつなが、再び促されてリビングへと向かう。 圭太郎はソファの真ん中にせつなを座らせると、自分もその隣に腰をかけて、二人の身体を一枚の毛布でくるんだ。 すぐにあゆみもやって来ると、湯気の立つお盆をサイドテーブルに置き、せつなの反対隣に座って、もう一枚の毛布で自分とせつなの身体をくるむ。 「わっ! 私、二階に行って自分の毛布、持ってくるわ」 「いいからいいから。何故だかね、二人で一枚の毛布にくるまった方が、あったかいんだよ。ほら、ちゃんとくるまるんだよ、せっちゃん。風邪引いちゃうからね」 「そうよ。こっちの毛布もちゃんと使ってね」 真っ赤な顔で慌てるせつなに、両側から競うように掛けられるあたたかい毛布の感触と、もっとあたたかな二人の声。すぐにあゆみが、お茶を入れ替えた湯呑みを手渡してくれた。 「まずはこうやってゆっくりあたたまってから、朝ご飯にしようじゃないか。雪見酒ならぬ、雪見茶だな。ハハハ……」 「雪の日の停電はこの辺りじゃそう長くは続かないから、心配しなくていいわよ。寒くない? せっちゃん」 「ううん。凄く……あったかい」 毛布でくるまれた腕が動かしにくくて、お茶を飲むのも一苦労だ。くっついて座っているせいで窮屈だし、おまけに薄暗くて、三人の話し声の他には何の音もしなくて……。 そんな、全く合理的でない不自由な空間が、やっぱりとても嬉しかった。 「お父さん、お母さん」 「ん?」 「なんだい? せっちゃん」 「私、雪の日って好き。停電になっても……何だか素敵」 せつなの照れ臭そうな小さな声に、圭太郎とあゆみが思わず笑顔になったとき。 パチパチ、と瞬きをするようにして、部屋の灯りが点いた。 「あら」 「ハハハ……せっちゃんに褒められた途端に、停電が復旧しちゃったなぁ」 明るく笑う圭太郎の肩の向こうで、まるで眠りから醒めたかのようにエアコンが温風を吹き出し始める。それを合図にしたかのように、リビングの入り口の扉がバタンと開いた。 「おはよ~。あれっ? この部屋やけに寒くない? えっ? みんな、そんなところで何やってんの?」 寝ぼけ眼をこすりながら入って来たラブが、ソファに座る三人の姿に、目をパチクリさせる。 突然の停電が招いた、あたたかで不思議な時間が終わった。それに少しだけ寂しさを感じて――せつなはちょっとしたイジワルを思いつく。 隣の圭太郎とあゆみの顔をもう一度見やってから、いたずらっぽい笑顔でラブを振り返った。 「ナ・イ・ショ。三人だけの、とびっきり楽しい話をしてたのよ」 「え~っ! なになに? せつなだけズルいよぉ」 「ほらほら、まだ寒いから、ラブもこっちにいらっしゃい」 今度はラブがあゆみと毛布を一緒に使って、四人でくっついて座る。 窮屈というより、もはやギュウギュウ詰めのソファの上は、ラブがもぞもぞと動き回るせいで、少しも落ち着かない。 それでも――。 「あれ? なにこれ……。あっ、こんなところにお母さんの手が!」 「ちょっと、ラブ! そんなに動き回ったらお茶がこぼれちゃうでしょ?」 「あーっ、いいなぁ。あたしもお茶飲みたい!」 「はい、ラブ。私の半分あげるわ」 「ありがとう、せつな! うーん、やっぱり寒い朝のお茶は美味しいねっ!」 「ワハハハ……一番のお寝坊さんの台詞じゃないよなぁ」 家族みんなで笑い合って、その息遣いと、明るい笑顔を肌で感じて……。 今朝もまた一つ、とっておきの美しい思い出が、雪の結晶のようにせつなの記憶に降り積もる。 とても寒いのにあたたかい、四ツ葉町の冬のように――。 了
https://w.atwiki.jp/ritsuss/pages/204.html
803 名前:たいせつなひと[1][sage] 投稿日:2009/06/25(木) 00 32 42 ID 3Ay9vuap ピンポーン♪ 唯&紬「こんにちは~♪」 律「おお、二人とも。あがってあがって!」 唯「お邪魔しま~す♪」 紬「お邪魔いたします♪」 今日はムギちゃんと一緒に りっちゃんのお家に遊びに行きました。 紬「りっちゃんのご自宅にお邪魔するのは、あの時以来かしら?」 唯「え?あの時・・・?」 律「ほら、私が風邪を引いて皆がお見舞いに来てくれた時だよ」 紬「くすっ・・・あの時は唯ちゃんも一緒に寝ちゃったのよね」 律「ホントだよな~。目が覚めたと思ったら、目の前に誰かの頭があるんだもん」 唯「いやぁ~、あの日は私も勉強疲れでつい・・・えへへ・・・」 律「いつも授業中は寝てばっかりのくせに(笑)」 そんな他愛のない話をしていると ムギちゃんが一冊の分厚いアルバムに気がつきました。 紬「あ、これはアルバム・・・かしら?」 唯「ホントだぁ♪りっちゃん、見ていい?」 律「まあ、良いけど・・・なんか、照れくさいなぁ」 紬「澪ちゃんも一緒に写ってたりするのかしら」 唯「そういえば、澪ちゃんとあずにゃんは?」 律「二人なら、今日はライブハウスに行くってさ」 唯「そうなんだ。残念・・・」 律「まあ、ずっと前から約束してたみたいだしなぁ」 唯「ラブラブなんだね~♪」 紬「ら、ラブラブ・・・」 唯「む、ムギちゃん?鼻血!鼻血が出てるよ!」 そんなわけで、早速りっちゃんのアルバムを見せてもらう事になった私たち。 りっちゃんの子供の頃の写真を見てると、私はある事に気がつきました。 唯「りっちゃんって、色んなカチューシャつけてたんだね?」 私が尋ねると、りっちゃんはこんな話をしてくれました。 804 名前:たいせつなひと[2][sage] 投稿日:2009/06/25(木) 00 34 03 ID 3Ay9vuap 幼律「あ、みおちゃん。今日はもうおそいから、お母さんがとまって行きなさいって」 幼澪「え・・・いいの?」 幼律「うん!だって、みおちゃんのパパとママ、今日はいなんでしょ?」 幼澪「う、うん・・・ありがとう、りっちゃん」 幼澪「すう・・・すう・・・」 幼律「むにゃむにゃ・・・」 幼澪「すう・・・う~ん・・・」 幼澪(うう・・・おトイレに行きたくなっちゃった・・・) 幼澪(まっくら・・・こわくて歩けないよぉ・・・ぐすっ・・・) ドンッ! 幼澪「いたっ・・・うぅ、りっちゃん・・・」 幼律「むにゃ・・・むにゃ・・・みおちゃ・・・えへへ・・・むにゃむにゃ・・・」 幼澪「・・・こわいよぉ」 グニャッ・・・ 幼澪「ひっ!」 幼澪(ど、どうしよう・・・なにかふんじゃったよぉ・・・ぐすん・・・ぐすっ・・・) 幼律「みおちゃん、おはよー・・・って、あー!髪どめ~!」 幼澪「ビクッ!」 幼律「あれ?あれれ?なんで~?なんでまがってるの~?」 幼澪(あぅ・・・きっと、あの時ふんづけちゃったのかな・・・) 幼澪(ど、どうしよう・・・りっちゃんにおこられちゃうよお・・・) 幼律「う~ん・・・今日は髪どめしないで学校に行っちゃおっと」 幼澪(りっちゃん・・・) 805 名前:たいせつなひと[3][sage] 投稿日:2009/06/25(木) 00 35 29 ID 3Ay9vuap 幼澪「りっちゃん、これ」 幼律「え?くれるの?」 幼澪「あけてみて」 幼律「・・・うわあ!髪どめだ~!」 幼澪「・・・えへへ」 幼律「ありがとー!でも、どしてぇ?」 幼澪「みお・・・本当はりっちゃんに、あやまらなきゃいけないの・・・」 幼律「ええ?なになに?」 幼澪「前にりっちゃんのお家におとまりした時にね・・・」 幼律「うん」 幼澪「おトイレに行きたくなって・・・それで・・・」 幼律「う、うん・・・」 幼澪「お部屋がまっくらで・・・こわくて・・・それで・・・ぐすっ・・・」 幼律「うん・・・」 幼澪「それで・・・ぐすん・・・りっちゃんの・・・髪どめをね・・・」 幼律「な~んだ!そんなことだったんだ!」 幼澪「・・・え?」 幼律「おトイレに行きたかったら、おこしてくれればよかったのに~」 幼澪「ぐすっ・・・りっちゃん・・・」 幼律「みおちゃん、こわかった?」 幼澪「う・・・ん・・・。お、おこらない・・・の?」 幼律「おこらないよ~!だって、髪どめはこんどからコレを使えばいいんだしさ!」 幼澪「ぐすっ・・・ひっ・・・ひっく・・・」 幼律「私の大好きなみおちゃんは、せかいに一人しかいないもん♪」 幼澪「り・・・っちゃん・・・ぐす・・・」 幼律「だから、私ずっとみおちゃんのそばにいるからね!」 幼澪「うええええええええええええん!!!」 幼律「ははは・・・よしよし、みおちゃん良い子良い子♪」 808 名前:たいせつなひと[4][sage] 投稿日:2009/06/25(木) 00 36 38 ID 3Ay9vuap りっちゃんのお話をしてる時の澪ちゃんの顔。澪ちゃんのお話をしてる時のりっちゃんの顔。 なんだか、二人とも幸せそうで私はとっても羨ましくなりました。 律「ほら・・・澪ってさ、たまに少し頑固な所があったりするけど 不器用なだけで、本当はみんなと一緒に楽器を演奏したりライブやったり 部室でああやって楽しくワイワイ話したりするのが、一番好きなんじゃないかな・・・」 澪「くしゅん!」 梓「だ、大丈夫ですか!?澪先輩!」 澪「う、うん・・・誰か私の噂でもしてるのかな・・・ははは・・・(苦笑)」 梓「はは・・・あ、今日は律先輩のお家に唯先輩とムギ先輩がいるんでしたっけ?」 澪「そうだな。そういえば・・・律の家、この近くだったな」 梓「皆さん、まだいらっしゃるんでしょうか・・・?」 澪「ちょっと覗いて驚かせてやろうよ」 トントントントン・・・ 唯「あははは♪」 紬「うふふふふっ」 律「そしたら澪のヤツ、おねしょ・・・って、この足音・・・」 ガチャ! 澪「ふ~ん・・・小さい頃の私がなんだって?」 律「あ・・・あれ・・・澪しゃん・・・?どうしてここに・・・」 澪「たまたま近くを通りかかったんだ」 律「あ、そ、そうなんですか・・・だったら連絡くれれば・・・」 澪「こいつ~!この!この~!」 律「あひゃひゃひゃ!やめ!くすぐったいでば!ひいっひいっ!」 梓「近くに美味しそうなパン屋があったので・・・差し入れ、持ってきました」 唯「あ~ずにゃ~ん♪会いたかったんだよお~」 梓「ち、ちょっと、ゆ、唯先輩~!あ~!」 紬「あらあら・・・本当に仲良しさんねぇ。うふふっ」 その後は5人揃って、りっちゃんのお家で楽しくお茶をしました。 でも、今日はなんだかそれ以上に心がポカポカした一日でした。 軽音部のみんなだけじゃなく、私も和ちゃんや憂のこと・・・もっともっと大切にしなくちゃ。 たいせつなひと[番外編] 唯「ただいまぁ~」 憂「あ、お姉ちゃん!おかえりなさい♪」 唯「おお、いい匂いだねぇ」 憂「今日はひき肉が安かったから、ハンバーグにしてみたの♪」 唯「おっほほ~♪楽しみ~。あ・・・憂、ちょっと部屋に行ってるね」 憂「うん。出来あがったらすぐ呼ぶから♪」 唯「あいあい~」 唯「もしもし、和ちゃん?」 和「唯。どうしたの?」 唯「今度の休みに和ちゃんと遊びたいなぁ・・・と思って」 和「あら・・・でも最近、生徒会の仕事が忙しくて・・・」 唯「え~?そんなぁ・・・」 和「ごめんなさいね。本当は久しぶりに唯との時間もとりたいんだけれど・・・」 唯「う~ん・・・じゃあ、都合のいい日があったら教えてよ♪私も時間あけとくから!」 和「申し訳ないわ。それじゃ、その時になったら連絡するわね」 唯「うん!そっか~、和ちゃん、生徒会のお仕事か・・・大変そうだね」 和「そうね。もう、先輩方も引退して、私たち2年生が動かなくちゃいけないから・・・大変よ」 唯「そうなんだ・・・」 和「でも、やる事はだいぶ片付いてきたし・・・幾分かは楽になってきたわ」 唯「そっか。和ちゃん・・・無茶しないでね?和ちゃんは世界で一人しかいないんだから」 和「ふふふっ。唯に心配されるなんて・・・わかったわ。じゃあ、そろそろ切るわね」 唯「うん、連絡待ってるね~♪おやすみ、和ちゃん」 唯「憂の作るご飯はいつも美味しいね~」 憂「お、お姉ちゃん・・・(照)」 唯「今度、和ちゃんと一緒に遊ぶ約束したんだけど、憂も一緒に行こうよ♪」 憂「え?いいの?やったあ~、楽しみにしてるね♪」 憂(今日のお姉ちゃん、なんだかいつにも増してご機嫌みたい♪) 憂「お姉ちゃん、今日は律さんのお家に行ってたんだよね?」 唯「うん。あ、そうそう・・・今日はね、りっちゃんに色んな話たくさん聞かせてもらったんだ~♪」 憂「ホント?なになに?私にも聞かせて!」 唯「んとね・・・これは、りっちゃんと澪ちゃんがまた小さかった頃のお話なんだけど・・・」 出典 【けいおん!】田井中律は><可愛い27【ドラム】 このSSの感想をどうぞ 名前 コメント すべてのコメントを見る 俺も大事にします -- (聡の後輩) 2010-12-29 23 32 21 可愛い♪ -- (名無しさん) 2010-10-08 14 32 22
https://w.atwiki.jp/fleshyuri/pages/362.html
秋の夜更け。せつなは今夜もベッドにもぐりこんで読書。 この世界には本がある。本を読めば、いつの時代だってどこの世界にだって行ける。 せつなにはそれがとっても不思議だった。だって、ラビリンスには本はあっても、面白い物語なんてなかったから。 何冊も読んでいくうちに本に様々なジャンルがあることを知ったせつなは、図書館の本のようなおとなしいものでは飽き足らなくなっていた。 ラブの父が居間に放っていた本を部屋に持ち込んだせつなは、未知なるジャンルに自ら手を伸ばそうとしていた。 ベッドの中でおもむろに頁をめくる。 何これ…しとどに濡らし、ですって。どうして濡れたりするの? まぐわうって何かしら…淫豆って?分からない言葉ばかり。 せつなは人と人とが睦みあう場面や女性が自ら慰める場面を描いた本を読みながら、次第に身体を熱くさせてゆく。 人って皆、こんなことをしているの?ラブや美希や…あのブッキーも?信じられない。だけど…わたしも、してみたい。ほんの少しだけなら… 好奇心に駆られたせつなは、自らの中心に指を差し込んでみる。 下着の中は信じられないほどに熱く、粘っこい液体が溢れている。 これが“濡れる”ってことなんだ。じゃあわたしにも“淫豆”があるの?そこを擦ると… せつなが蜜を絡めた指で、屹立した突起を前後に揺さぶると、あまりの衝撃に思わず声をあげそうになる。 なんだか下半身が蕩けるみたい。この気持ち佳さ、病みつきになりそうだわ。あともう一回だけ… 指を器用に動かすと、さっきとは比べものにならない快感がせつなを襲った。 なんだか…はあっ、他のことを何にも、考えられなくなっちゃう…んんっ…んあっ、頭が真っ白になる…ああ気持ちいい… はあっ!なんか来る!あ!あ!これが“イク”ってこと?ああっ!ラブ!ラブぅ! それから毎晩、ラブを思いながら甘美なひと時を過ごす習慣のついたせつな。 彼女にとってそれは、背徳感に支配された、やめることのできない時間。 了
https://w.atwiki.jp/fleshyuri/pages/99.html
みんなの幸せが私の幸せ みんなの笑顔が私の元気の源 ずっとそう思っていたのに、何故か最近空しくなる。 ホントに私って幸せなのかな? 私を幸せにしてくれる人は現れるの? せつなと一緒に暮らし始めて毎日が楽しい。 美希たんやブッキーと話したり遊んだりするのも勿論楽しい。 お父さんやお母さんは私を大切にしてくれる。 四葉町のみんなが私に優しくしてくれる。 でもね、何か足りないんだ・・・ 私を〝愛してる〟と言ってくれる人がいないの。 寂しいのかな、桃園ラブは。 そうだよね、今までずっと走り続けてきたんだもん・・・。 だけど、暗くなっちゃうのは私のプライドが許さない。 そんな時、私の心を癒してくれるの場所がココ。四葉町が見渡せる丘。 いつでも私を快く出迎えてくれる。 目を閉じて横になると自然に落ち着けるんだ。心が安らぐ瞬間を感じれる。 いつしか眠ってしまった私に誰かが声をかける。聞き覚えのある声だ。 「探したよ、ラブ。」 「せつな・・・」 「最近良くここに来てるでしょ?どして?」 「知ってたんだ・・・。理由なんて無いよ。何となくね。」 私がここに来てる事を知ってた驚きと、気持ちを悟られたくない葛藤で 返す言葉が冷たくなってしまった。 「隣座ってもイイ?」 「うん。」 「元気ない。ラブらしくないわ。」 「そんな事ないよ。考え事してただけ。」 「そう?だったらそんな寂しそうな顔にはならないはずよ?」 せつなはそう言うと、着ていたカーディガンを私にかけてくれた。 気がつくと陽も暮れ始めていて。 「せつなには嘘つけないね、やっぱ。」 「どうしたの?何か辛い事あったの?ずっと気になってたのよ私。」 「何だが空しくなっちゃって・・・。私ね、疲れちゃったのかもしれない。」 情けなかった。話を聞いてくれてるせつなの顔も見れなかった。 しばらく沈黙が続き、重い空気の中こう叫ぶ。 「今度は私がラブを助けたい!ラブのために何かしてあげたいの!元気になって欲しい!」 心の叫びのような声だった。せつなのこんな表に出した感情は初めてだった。 「私ね、不安なの・・・。誰も私の事、〝愛してる〟って言ってくれないんじゃないかって・・・」 今思うと恥ずかしい台詞だよね。ドラマじゃあるまいし。 「そんな事ないわ。私はラブを愛してる。けどね・・・」 「けど?」 「こーゆー時、どうしたらいいのかわからないの。本当に助けてあげたいのに・・・。 力になってあげたいのに・・・。ごめんなさい・・・。」 「ううん。ありがとせつな。気持ちだけでも十分嬉しいよ。」 「気持ちだけじゃない!気持ちだけじゃ・・・」 せつなは泣いていた。感情を上手く伝えられないのが悔しかったのだろう。 悪い事をしたなって今でも反省してる。 「本当にラブを愛してるわ。ずっと言おうと思ってた。それに、私をここまでにしてくれたのはラブなのよ?」 「私の力だけじゃないよ。美希たんやブッキー、お父さんやお母さん、四葉町のみんな、 それとせつな。せつな自信なんだよ。」 「ラブ・・・」 いつの間にやら私よりせつなを気にしちゃってる自分がいて。これもまた私らしくて。 「さ、帰ろう。風邪引いちゃうぞ~」 そう言ってせつなの手を引っ張る。 「あっ」 勢いあまって重なる二人。 「ラブ・・・。私じゃダメ・・・かしら?」 「ダメじゃないよ。」 そっと涙を指で払ってあげる。 「愛してる、ラブ。」 「ほんとに~?」 「ええ。」 「絶対~?」 「絶対。」 「神様に誓う~?」 「しつこいわよ。」 「ごめんなさーい・・・」 せつなの愛してるは世界一、いや宇宙一私に効く特効薬かもしれないね! ~END~
https://w.atwiki.jp/fleshyuri/pages/1031.html
“ひゅん” 突然、せつなの足元から旋風が巻き起こる。それが広がるかのように強い風が吹き付け、木々の梢を大きく揺らす。 たっぷりの水分を含んだ、青葉の匂いを運ぶ温かい風。 陽の短くなった秋の夕方には、決してあり得ないはずの――――それは、真夏の風だった。 せつなを中心にして、空間があるはずの無い姿へと変転していく。 儚げな夕日は、突き刺さるような暑い日差しに変化する。 木々はそれまでの紅葉が嘘であったかのように、深緑の命の輝きを取り戻す。 (何が……起こっているの?) 背後から人の気配を感じて、せつなはとっさに身構える。そして気が付く。 それは、近寄ってくる人物を敵として認識していること。相手から、殺気を、戦意を感じ取っていること。 この世界に住むようになって、久しく忘れていた感覚だった。 一人の少女が近づいてくる。 薄いグレーの半袖シャツに、黒のハーフパンツ。年頃の女の子にしては珍しいシンプルな服装。 何も持たない両手は、固く拳を握りしめる。瞳に闘志を讃え、ミディアムレイヤーの黒髪を風に揺らしながら―――― 『帰ってきたせっちゃん――ある日のせっちゃん。せつなが帰る日(後編)――』 (これは――――かつての私? 夢でも見ているの? 違う! 夢は匂いまで感じ取ったりしないわ) 黒髪の少女はせつなに気が付くこともなく、歩を緩めずに一本道を真っ直ぐに進んでいく。 このままでは衝突する! せつなは横に移動して道を譲ったものの、肩と肩とがぶつかりあってしまう。 ぶつかりあってしまう――――はずだった。 少女の肩はせつなの肩をすり抜け、何事もなかったかのようにそのまま歩き続けた。 (幻覚……じゃない、気配や殺気まで感じ取っているのだから。時間、いや、空間がズレているの?) だとしたら、自分だけ相手を知覚できるはずもない。原因は判らないが、ラビリンスの科学力すら超える奇跡の力が働いているらしかった。 とにかく少女の後を追う。 (私の記憶の通りなら、後、二百メートルほどで……) 向かい側から、同じくらいの背格好の女の子が駆けて来る。 ピンクにハート柄のタンクトップ。黒のショートパンツ。そして、薄茶色の髪の大きなツインテール。 瞳に強い決意と、深い愛を讃えた少女。 二人が対峙したその瞬間、空が彼女たちの心を映したかのように雲を纏う。風は、見守るようにピタリとその動きを止めた。 「お前を探しに行くところだった。わざわざ現れるとは、手間が省けたよ」 「気が合うね。あたしもせつなに会いに行こうとしてたとこだよ」 「今日こそ! お前と決着を付ける」 「うん、そうだね。こんなこと、もうやめにしよう。ううん、必ず止めさせてみせる!」 “スイッチ・オーバー” “チェインジ・プリキュア・ビートアップ” 「お前が友達だと思っていたせつなとは、この私。お前の変身アイテムを奪うために近づいたのだ。そうとも知らず気を許すとはな」 「今でも友達だと思っているよ。その友達をラビリンスから抜け出させるために来たの。あたしの全てを賭けて!」 「お前の――――そういうところが頭にくるんだよ!」 何もかも記憶の通り。イースとキュアピーチに変身した少女たちは、激しい戦いを繰り広げる。 静まった風の代わりに、イースとピーチの拳と蹴りが大気を切り裂く。 更に近づいてくる二人と一匹の足音。美希、祈里、タルト、シフォンだった。彼女たちもせつなには気が付かない様子だ。 (干渉のできない過去の追体験というわけね。私に何を見せようというの? 全て知ってることなのに) 「アタシたちも変身よ!」 「うんっ」 「待って! ここはあたしに任せて。お願い、二人は手を出さないで」 イースはピーチ以外の者には一瞥もくれない。どうでもいいからだ、彼女たちが参戦しようとしまいと。 勝利のために、戦っているのではないのだから……。 雨足が強くなる。風の吹かない静かな森の中、小さな水滴だけが自然の存在を主張するかのように。 二人の悲しみを、共に嘆いているかのように―――― イースとピーチの戦いは更に激しさを増す。 見ているだけで、せつなにも二人の気持ちが伝わってきて、苦しみに胸が張り裂けそうになる。 (二人の気持ち? イースの気持ち? イースはかつての私のはず、他人として何かを感じているというの?) 「こんなはずじゃ……。こんなはずじゃなかった!」 “国民番号ES4039781イース様。あなたの寿命は今日限りです。 お疲れ様でした” 間近に迫る死を前に、嘆きと悲しみ、そして悔しさを拳に込めて振るうイース。 その姿は、まるでピーチに泣きついている子供のようでもあった。 実際に泣いているのはピーチだった。イースの苦しみを感じ取り、自分の悲しみに変えて泣いていた。 そんなピーチの悲しみを感じ取り、美希と祈里も泣いていた。 (そうだったの……知らなかった。みんな泣いていたのね) 笑顔と幸せが輪になって広がっていくように、悲しみと不幸もまた輪となって広がっていく。 (だから――――私はいつも周りを不幸にしてしまう) 「お前といると、私の中の何かがおかしくなっていく。お前といると、私が私でなくなっていく!」 「せつなっ!」 「初めて会ったあの日、幸せが訪れるなどとデタラメな占いを真に受けては喜び、その後も些細なことで幸せを手に入れたと言ってははしゃぎ、 罠にかけようとしているのに微塵も疑うそぶりも見せず、いつもいつもバカみたいに笑ってる。 そんなお前が……お前が――――! うらやましいと思った!」 “魂の叫び” 死を前にして自分の気持ちと向かい合う。これほど純粋な想いが他にあるだろうか? うらやましい―――― その言葉には一切の希望がなく、祈る余地もなく、ただ、届かぬものに対する憧れだけがあった。 互いの想いの全てを込めた、イースとピーチの渾身の一撃が空中で交差する。 眩い閃光の後、力を使い切った両者は地表へと落下する。 「うらやましいと……思ったんだ」 「そっか、よかった。やっぱりイースじゃない、せつなだったんだね」 穏やかな表情、素直な気持ち。やり残したことを終えたイースの、本当の素顔がそこにあった。 「変ね。あれだけ激しく戦ったのに、心が清清しい」 「それはね、ラブの心が伝わったからよ。ラブはね、ラビリンスからせつなを取り戻そうとして、心を鬼にして全力で戦ったの」 「心を、鬼にして……」 「あたしも、悩んでた気持ちがすっきりしたよ。せつなの心が伝わったから」 「ほら、立てる?」 「フン、私の心など……。あっ……あれは――――幸せの素?」 「すごいよ! せつな。幸せを運ぶ四つ葉のクローバーはね、心から幸せを望んでいる人じゃないと見つけられないんだよ」 「心から幸せを?」 「今からでも、きっとやり直せるよ。さっ、幸せをつかみとって。せつなが見つけた幸せでしょ? ほらっ!」 それは、イースの境遇を知らないからこそ言えた言葉。 やり直せない――――もう、間に合わない。だからこそ、会いに来たのだから……。 それでも、イースは手を伸ばそうとした。 そう――――届かないなんて、叶わないなんて、許されないなんて。 そんなこと、夢を見ない理由にはならない。見れない理由になんてならないんだ! “時間です” 「せつな……どうしたの?」 「えっ?」 「なっ、何?」 「どうしたんや、急に?」 後、数センチ。もう少しで四つ葉のクローバーに手が届こうというその時、イースの身体が崩れ落ちる。 苦しみも、痛みも感じることなく。まるで、糸の切れた人形のように―――― そこで時間が止まる。 ピーチも、美希も、祈里も、タルトやシフォンまでも。 森の木々や風や雨までも、その全てが動きを止める。 せつなは駆け寄る。 うつ伏せに倒れたイースの身体を、触れないと知りつつも抱き起こそうと手を伸ばす。 (えっ? どうして……) 先ほどはすり抜けた彼女の身体に、何故か触れることができた。 まだ、ぬくもりが残るイースの身体を抱き上げる。 (くっ……。っぅ――――――――!!) 泥に汚れた銀色の髪をかき分け。せつなはイースの顔を覗き込む。 ゾクリと感じる恐怖と嫌悪。雷が落ちたかのような衝撃に襲われ、せつなは声にならない悲鳴を上げる。 安らかとは言い難い死に顔は、まさに彼女の人生そのものだった。 恐怖を感じる暇もなく、後悔する時間も与えられず、ただ一欠けらの幸せも手にすることなく。 何の感情も浮かべずに、瞳孔の開いた瞳をいっぱいに広げて―――― ポタリ、ポタリ―――― 雨は止んでいるはずなのに、イースの顔が濡れていく。 次々にこぼれ落ちる雫は、泥に汚れた少女の顔を少しづつ綺麗に洗い流していく。 それが自分の涙なのだと気が付くまで、せつなはしばらくの時間を必要とした。 (どうして、泣いているの? 知ってること、過去にあったことなのに) ただ、無性に悲しかった。せめて、幸せの素をつかむ時間を与えてあげたかった。 一度でいいから、笑顔になれる時間を与えてあげたかった。 幸せの喜びを、教えてあげたかった……。 生きる資格なんてないと思った。まして、プリキュアになるなんて―――― 自分は、幸せになってはいけないような気がした。 それなのに、今、確かにイースを救いたいと思った。幸せになってほしいと願った。 (そうだったのね……。やっとわかったわ、自分は自分では見えないものね) 「許せない過去の私を、イースを、救うべき他人として見せるためにここに呼んだんでしょ? アカルン!」 その言葉に反応するかのように、景色が再び変転する。 腕の中からイースの重さがなくなり、やがて実体を失った。 ピーチも、美希も、祈里も、タルトやシフォンも。みんな透き通るようにして姿を消していく。 薄暗い雨空は、日の沈む前の紅い夕焼けに変わる。 深緑の森の木々は、赤と黄色の、美しい紅葉へと戻っていく。 そして、せつなの前に姿を現す懐かしい姿。プリキュアの妖精。幸せの赤いカギ、アカルン。 リンクルンを返却し、スウィーツ王国に戻ったはずの、東せつなのパートナーだった。 「久しぶりね。どうしてあなたがここに?」 「キ――――」 「そう、そうだったわね。私とアカルンは繋がっている。あなたの力で生きていられるのだから」 「キ――――」 「ええ、もうわかったわ。やっと、全部わかったの。あなたのおかげよ」 罪を感じること。反省し、後悔するのは大切なこと。生き方を改めて償うのは必要なこと。 だけど、自分を傷つけて、その幸せを認めないのは間違ったことなんだ。 自分を傷つけて罪の意識を和らげたって、そんなんじゃ誰も救われない。 今、自分がイースの不幸を悲しく思ったように。 東せつなを愛してくれた人たちだって、その不幸を悲しまないはずがないのだから。 「ラブのように自分から笑えなきゃ、誰も幸せにはできないのよね」 もう一つ、わかったことがある。 “そっか、よかった。やっぱりイースじゃない、せつなだったんだね” ピーチの言葉を思い出す。ピーチは、ラブは、最後までイースをせつなと呼び続けた。 東せつななんて、この世界に潜入するために自分で付けた名前。だから、そんな子は始めからいなかったんだって思っていた。 「せつなは居たのよね、ラブの中に。私を一番最初に愛してくれた人の心の中に」 そして、あゆみと圭太郎。美希や祈里。クラスのみんなや商店街の人たち。 せつなを知り、その名を親しみを込めて呼んでくれる全ての人たちの中に。 愛を込めて付けられた名前じゃなくても、愛された名前となり、愛される人として居場所を得たんだって。 「キ――――」 「帰る時間なのね。ありがとう、アカルン。私はもう大丈夫よ」 アカルンは一瞬微笑むと、空高く上昇して消え去った。せつなはその姿を記憶に焼き付けて、アカルンの消えた赤い空に誓う。 幸せの妖精に選ばれた者として、恥ずかしくない生き方をしようと。 そのためには―――― “幸せを運ぶ四つ葉のクローバーはね、心から幸せを望んでいる人じゃないと見つけられないんだよ” あの時、イースがつかめなかった幸せの素。キュアパッションが受け取るのを拒んだ四つ葉のクローバー。 もう一度探して――――そして、自分の手で摘み取ってみよう。 そこから始めようと思った。 夕焼けの薄暗い森の中、せつなは目を凝らして四つ葉のクローバーを探し始めた。 陽が沈み、森は深い闇に包まれる。あれからずいぶん時間が経っていた。 木々の間から覗く星の光だけを頼りに、せつなは四つ葉のクローバーを探し続ける。 (必ず見つける。そして――――帰るんだ!) どうしても、今、ここで見つけたかった。 ここはイースの最期の場所。そして、東せつなの生まれた場所なのだから。 “そんなお前が……お前が――――! うらやましいと思った!” やっと、見つけたから……。自分だけの夢――――自分の幸せのために見る夢を。 せつなじゃない、イースが見ていたんだ。その人生の最期に、届かぬ夢として、それでも叶えたい願いとして。 (どうして、もっと早く気が付かなかったんだろう) さっき、アカルンが見せてくれた過去。あれと同じことを、アカルンは前にもやってくれていたのだ。 それは、キュアパッションに生まれ変わる時。東せつなの心の中で。 公園でダンスに励むラブたちを、寂しそうに見つめる自分。ダンス大会の夢に挑むラブたちを、辛そうに見ている自分。 本当の自分の願い――――本当の自分の夢を。 決して見えないはずの自分の姿を、アカルンは見せてくれていたのに。 “なりたい自分を思い描いて、その目標を実現させる”それが夢なのだとしたら、自分がなりたいものなんて決まってる! (ラブがミユキさんに憧れたように、私はラブになりたい。ラブの輪の中に入って、その幸せを一緒に広げていきたい!) それこそが自分の夢。イースが、その恵まれない人生の最期に見た、本当の自分の夢だった。 「やっと、見つけた。あなたの夢は私が叶えてみせるから。お帰りなさい――――イース」 せつなは大切そうに四つ葉のクローバーを摘み取る。今度こそ、自分の幸せのために。 そして、背後から近寄る気配に振り返る。この良すぎるタイミングも、運命なのかもしれなかった。 「せつな、探したよ」 「ラブ、私――――自分の夢が見つかったの」 せつなは手にした四つ葉のクローバーをラブに見せる。これは、“心から幸せを望んでいる人じゃないと見つけられない”もの。 だから、イースには見つけられたもの。そして今、イースから受け継いだもの。 「“幸せ”に、みんなの幸せと自分の幸せがあるように、“夢”にも、みんなのための夢と自分のための夢があるのね」 「うん、そうだね」 「私もラブのようになりたい。二兎を追って、両方ゲットしたい。ううん――――必ずしてみせるわ!」 それは一年前、ラブがせつなに誓った決意。せつなが自分の言葉に置き換えて、言い直したものだった。 「ねえ、せつな。せつなの幸せは何? せつなの夢を聞かせて」 「私はラブのようになりたい。ラブのように笑って、同じ夢を叶えたい」 「あたしの夢? ダンサーの夢のこと?」 「ええ、私はプロのダンサーになる。ダンスで、みんなを笑顔と幸せでいっぱいにしてみせる」 「ダンスで、ラビリンスを幸せにするの?」 「世界中のみんなを、よ!」 「そっか。なら、せつなの夢はあたしの夢と一緒だね!」 「そうよ、私はラブのようになりたいんだから」 “いつか世界中のみんなの心を、愛情いっぱいにしてあげられる人になりたい” それが、ラブの名前の由来。そして、ラブがおじいちゃんの写真の前で語った夢だった。 「もう一度作ろうよ! あたしたち二人で、ダンスユニット“クローバー”を」 「ええ!」 「待ちなさい! 二人じゃユニットにはならないでしょ」 「わたしたち四人でクローバーじゃなかったの? ラブちゃん、せつなちゃん」 「美希たん! ブッキー!」 美希と祈里が木陰から姿を現し、そのまま会話に加わる。 ラブより少しだけ遅れてここに来ていたのだが、お話し中だったので様子を見守ることにしたのだ。 「ダメよ! 美希にはモデルの夢があるじゃない。やっと叶ったんでしょ」 「まあ、ここまで来たんだもの。モデルに専念するのが最善の道なんでしょうね」 「だったら!」 「でも、アタシは完璧なの。bestではなくperfect。それは、何もあきらめないということよ!」 「わたしもあきらめない。自分の夢も、みんなと一緒に見る夢も」 「ブッキー!」 「美希ちゃんと話したことがあるの。せつなちゃんが本当にやりたいことを見つけて、それがダンスだったならって」 「そんな……どうして? ブッキーだって、獣医の夢があるじゃない!」 「うん、ダンス大会の前から迷ってた。わたしの夢は獣医だから、プロになりたいわけじゃなかったし」 「浮かない顔してたことあったよね、あたしも気になってたんだ……」 「わたしね、引っ込み思案を治したくてダンスを始めたつもりだった。だけど、本当はそうじゃなかったの」 ラブにダンスに誘われた時、祈里はみんなの前で踊るなんて自分にはできないと断った。 それなのに、毎日のようにラブと美希のダンスの練習を盗み見ていた。 胸が締め付けられるような憧れと、羨望と、そして悔しさ。それもまた、自分の夢だったんじゃないかって。 「逆だったの。ダンスがしたいのに言い出せなかった性格を治したかった。わたしも、ダンスが好きなんだって!」 「本当にいいの? ブッキー」 「うん。歌って踊れる獣医さん、全然ありだって言ったのラブちゃんだよね?」 ラブ、美希、祈里、せつな。四人の視線が交わる先に、それぞれの腕を真っ直ぐに突き出して掌を重ねる。 「ダンスユニット“クローバー”再結成だね。みんなの幸せも、あたしたちの幸せも、まとめて両方ゲットだよ!」 「当然でしょ! アタシたちは完璧だもの」 「きっと叶うって、わたし信じてる」 「私、精一杯がんばるわ!」 今度こそ、せつなは心に誓う。この手のクローバーが、自分の幸せを運んでくれるように、 ダンスユニット“クローバー”を、みんなの幸せの素にしようって。 「さっ、そろそろ帰りましょう。いくらアタシのママが奔放でも、この時間じゃね」 「わたしも連絡はしてあるけど、さすがに心配してると思う」 「そうだね。帰ろう、せつな。あたしたちの家に」 「そうね、私たちを心配してくれる人のところへ」 帰り際に、せつなは今日あったことをラブと美希と祈里に話した。 「アタシたち、アカルンに先を越されちゃったわけね」 「どういうこと?」 「ううん、なんでもないの」 「でもいいな~、あたしもピルンやシフォンやタルトに会いたいよ」 「アカルンちゃんは瞬間移動があるもの」 「もともと、自由気ままな子だったしね……」 昨年の夏のあの日のこと。アカルンと再会したってこと。懐かしい思い出に、会話を弾ませながら。 ラブとせつなが家に帰り着いたのは、日付も変わろうとする時刻だった。 あゆみと圭太郎が心配して玄関に飛び出してくる。 安堵と喜びの表情を浮かべたあゆみが、やがてうつむいて震えだす。その手はギュっと握られていて―――― 直感で危険を察して、一歩下がるラブ。せつなはキョトンとその様子を眺める。 「せっちゃん、こんなに遅くまで、一言も無しにどこに行ってたの?」 「ただいま、おかあさん。あのね……」 「勝手にいなくなって、遅くなってごめんなさい」 玄関で頭を下げるせつなに、険しい表情のあゆみがツカツカと歩み寄る。 そして、大きく手を振り上げた。 パァァ――ン 少し離れて様子を見守っていた圭太郎がびっくりするほどの、大きな音が深夜の桃園家に響き渡る。 “平手打ち”ラブですら、ここまで強く打たれたことはないかもしれない。そのくらいに強烈な愛の鞭だった。 「せっちゃん、覚えておきなさい。親に心配かける子は、こうやって叱られるのよ」 頬に走る衝撃よりも、混乱の方がずっと大きかった。一体何が起きたのか、しばらく理解できなかった。 ようやく事態が飲み込めて、せつなは恐る恐る口を開く。 「おかあさん……。一つ教えて」 「なあに?」 「ラブは、心配してもらえるのは幸せだって言ってた。でも、心配するのは幸せなことなの?」 「心配するのは幸せじゃないけど、心配な人がいるのは幸せなことでしょ。だから、ほどほどにしなさいね」 「はい……。ごめんなさい――――おかあさん!」 せつなはあゆみの胸に自分から飛び込んだ。そして、身体を震わせて泣いた。 ごめんなさいと、ありがとうを繰り返しながら。 まるで――――小さな子供のように。 それは、今まで厳しく律していたせつなの心の開放だった。 ラブの幸せを分けてもらっていたんじゃない。ラブに憧れたせつなが手に入れた、本当の自分の幸せなんだって。 頬の痛みが、髪を優しく撫でる手の動きが、確かにそう教えてくれていた。 せつなは部屋に戻って異空間通信機を起動させた。ウエスターとサウラーに今日の出来事を話し、やっぱり戻れないと伝える。 この世界で、叶えたい夢を見つけたから。 いつか、自分自身とラビリンスを含めて、 世界中のみんなを、笑顔と幸せでいっぱいにしたいから―――― 新-270へ