約 1,207,381 件
https://w.atwiki.jp/fleshyuri/pages/484.html
「ねぇ、せつな」 「なぁに、ラブ?」 「アタシ達、ずっとずっと、一緒だよね」 「もちろん」 そして少女達は夜空の下で、小指を絡めた。 Moon Child せつな、って言葉を辞書で引いてみた。 極めて短い時間。一瞬のこと。 そう、書いてあった。 知った時、不安になった。知らなきゃ良かったって、思った。 その言葉を名前に抱く、女の子を知っていたから。 ねぇ、せつな。 いつからかな。せつな、よく笑うようになったね。 皆と一緒にいて。お母さんお父さんと一緒にいて。 アタシといて。 昔の、イースだった頃とは大違い!! なんて言ったら怒るかな? それとも悲しむ? でもそう言っても、笑ってくれそうなぐらい、せつなはよく、笑うようになった。 アタシ、せつなの笑顔が好きだよ。 見てて、とっても幸せになる。 もっと見たくて、バカなことをしちゃうぐらいに。 今日も、いっぱい笑ってたね。 アタシがテレビに出てた芸人さんの顔真似をして見せたら、転げまわって笑ってた。 嬉しくって、何度も何度も繰り返しちゃった!! って、今思うと、ちょっと女の子捨ててたかも・・・・・・タハハー。 ホント、嘘みたい。 ほんの少し前まで、人前で笑うのは苦手だ、なんて言ってたことが。 今はダンスのレッスンでも、きっと一番、綺麗な笑顔をしてるよ。 でもね。 でも。 せつな、笑ってるのに。 なんだかとても、泣きそうな顔に見える時があるんだよ? どうしてかな。どうしてそう思うのかな。 せつなはいつもみたいに笑ってるのに、どうしてそんな風に見えるのかな。 そんな時、せつながとても――――遠い人に、思える。 ねぇ、せつな。 笑って? もっと、もっと笑って? アタシの不安を吹き飛ばすぐらいに、思いっきりの笑顔を見せて? そんなアタシの思いに、せつなは、やっぱり笑ってくれる。 心からの、笑顔だと思うよ。嘘は感じない。いつだって、どこだって。 弾けるような笑顔。幸せを呼ぶ笑顔。 なのに。 アタシの心は、寂しがってる。 時々、夜のベランダに出て、夜空を見上げてるよね。 遠い星を、眺めてるよね。 月の光を浴びてるよね。 その時のせつなは、とっても綺麗。 同じ女の子のアタシが、ドキッてしてしまうぐらいに、綺麗。 けどそれは、どこか儚い――――儚いって言葉、こう書くんだよね? 人に夢と書いて、儚い。 月を見ている時のせつなは、やっぱり笑顔。 けれどそんなせつなを見ていると、胸がキュンって苦しくなる。 子供の頃に読んだ絵本を思い出してしまうから。 かぐや姫。 いつか月に帰る、お姫様の物語。 せつなは。 どこにも行かないよね。 せつなの家は、ここだよ。 この家が、この部屋が、せつなの帰ってくる場所だよ。 たとえいつか、どこか遠くに旅立ってしまうのだとしても、せつなの帰ってくる場所は、ここにある。 ねぇ、せつな。 アタシ、変なのかな? ずっとずっと、せつなと一緒にいたいって思うなんて、変なのかな? そういえば、中学に上がる時に、美希タンやブッキーと違う学校になっちゃって、すごく寂しかったんだ。 でも、今でも仲良し!! いつも一緒じゃないけれど、いつでも会える。 けどね、せつな。 せつなとは、離れたら、もう会えないような気がして。 そんなこと、あるはずないのにね。 大人になって、二人とも、この家を出ていくのかもしれない。 それでも、きっとアタシ達は友達で、家族で。 戻ってくる場所が一緒だから、また会える筈なんだよね。 もしもその時、まだせつながアカルンを持っていたなら、ホントに、どれだけ離れてたとしても、すぐに会えるしね!! ――――わかってる。 それが、子供じみた考えだってことを。 そう。アタシはまだ、子供だ。中学二年になっても、半分も大人になりきれてない。 アタシ達はいつか、離れていく。 それぞれの道を、歩いていく。 毎日のように電話をして、メールをして、会ったとしても。 たとえ、同じ家に住んでいたとしても。 アタシ達の道は、離れていく。 ホントはね。 ずっと一緒の道を歩いていたいんだ。 いつまでもいつまでも、二人で笑っていたいんだ。 けれどきっと、それはダメなこと。 アタシ達は、やっぱり違う人間だから。 桃園ラブが一人しかいないように、東せつなも一人しかいない。 そして皆、人生は一度きり。 だから、それぞれの道を、歩いていかないと。 でも。でもね、せつな。 もしも、せつなと同じ道を歩けるなら。 アタシは、おじいちゃんにつけてもらったこの名前の意味を捨ててもいいかもしれない。 世界中の人にじゃなく。 せつなの為だけの、ラブになる。 ラブ。ねぇ、ラブ。 面と向かって言うことが出来ないから、心の中でこっそりと言うわね。 私に幸せをくれて、ありがとう。 私に、笑顔をくれてありがとう。 ダメね。やっぱり、恥ずかしい。 口に出してもいないのに、ね? Sun Child 私がこの家に来てから、どれぐらいの月日が流れたんだろう。 相変わらず、ラブは明るくて、輝いてる。 まるで、太陽みたい。 私の自慢の親友よ。 イースだった頃の私は、太陽を知らなかった。 こんなにも明るくて、優しくて、あったかいものだったなんて。 時々、暑っ苦しかったり、うんざりした気分になることもあるけどね。 あ、これはラブのことじゃないわよ? 私ね。本当に、感謝してるの。 東せつなとして生まれ変われたのも、こうしてお父さんお母さんと一緒に暮らしているのも、ラブと毎日一緒に学校に行くのも。 何もかもが楽しくて、仕方ないの。 ラブは私の一番の友達。家族。時々、手のかかる妹。時々、頼りになるお姉さん。 最後のは、本当に時々だけどね? 私ね、ラブと出会って、何が一番素敵だったかって、笑えるようになったことだと思うの。 生まれ変わってから、私はたくさん笑った。それまでの、ラビリンスで過ごしていた頃とは比べ物にならない程、いっぱい笑ってる。 お父さんのつまらない冗談に。お母さんのお茶目に。ラブのおっちょこちょいに。 箸が転んでもおかしい年頃、という言葉があるらしいけれど、私にはそれがピッタリ!! 本当に、毎日毎日が楽しくて仕方ないの。 そう!! 私、幸せよ!! 今なら、わかる。 私が、幸せのプリキュア、キュアパッションに選ばれたのも。 だって私、こんなにも幸せなんですもの!! 幸せの嵐を吹き荒れさせることなんて、お茶の子さいさいよ!! そしてこの幸せをくれたのは、ラブ、あなたよ。 本当に、本当にありがとう。 幸せをありがとう。 優しさをありがとう。 側にいてくれて、ありがとう。 だから、ね。ラブ。 いつか。 いつか、私は。 ラブとお別れしなきゃいけないと思うの。 幸せになっちゃいけない気がする。そんなことは、もう言わない。 だって、私は幸せになったから。 私の幸せが、ラブやお父さん、お母さんを幸せにしているのを見ていたから。 皆の幸せの為に、私も幸せになる。そう、決めてる。 でもね。 だからこそ、ラブ。 ラブには私だけを見ていて欲しくないの。 私は十分に幸せになったわ。もう両手に抱えきれないぐらい!! 一生分、幸せになったかな。 まだまだ足りない、なんていったら、バチがあたっちゃうかしら? けど、もっともっと幸せになりたいわ。 でもその幸せは、自分で見つける。 ラブには、もっとたくさんの人を幸せにして欲しい。きっとその力が、ラブにはあるから。 いつか、ラブから聞いたわよね。 ラブって名前は、おじいちゃんがつけてくれた名前だって。 世界中に愛を届ける、そんな人になるようにって。 そのことを話してくれた時のラブ、とっても輝いてたわ。 だからね、ラブ。 私を――――イースという敵だった私をも幸せにしてくれた貴方なら。 もっともっとたくさんの人に、幸せをわけてあげられると思うの。 それこそ、世界中の人に!! ブッキーみたいにいうなら。 私、信じてる。 ――――もちろん、本当は寂しい。 ラブと、ずっと一緒にいたい。 ラブと、いつまでも暮らしていたい。 でもきっとそれは、よくないこと。 私が幸せのプリキュアなら、ラブは愛を司るプリキュア。 たくさんの人に愛を届ける。その邪魔をしたくない。 貴方がその背中に翼を持っているのに、私が重すぎて飛び立てないなんて。 そんなことには、なりたくない。 ねぇ、ラブ。 私の心は、宙にふわふわ浮いていたの。 それを捕まえてくれたのが、ラブ。 ギュウって抱きしめて、地面に足を付けさせてくれたこと、忘れない。 嬉しかったの。 風に流されるままだった私が、歩けるようになって。 自分の足で。自分の足で。どこへでも行けるんですもの――――!! ラブ。 私、ラブのこと好きよ? だからラブ。 私、見ていたいの。 ラブが周りの人たちを幸せにしながら歩いていくのを。 私、見ていて欲しいの。 東せつなはもう、自分の足で歩けるってことを。 やぁね。 せっかくカッコつけてたつもりなのに。涙が出てきちゃった。 今日、明日ってわけじゃないのにね。 いつか、って言葉だけ。 でもそれはきっと、必ず来る日、なのよね。 ねぇ、ラブ。何度も言うけど。 私、とっても幸せよ。 もちろん、ホントはね。 ずっとラブと一緒にいれることが、一番の幸せ。 でもそうしたら、私、笑えなくなるかもしれない。 ラブを引き止めた自分のことが、嫌いになっちゃうかもしれない。 ああ。ホントに。 私、どうしたらいいのかしらね? ただ一つ、わかるのは。 やっぱり私は、ラブのことが好きってことだけ。 輝いている、太陽の子供のような、その笑顔が。 好き。 「ねぇ、せつな」 「なぁに、ラブ?」 「アタシ達、ずっとずっと、一緒だよね」 「もちろん」 そして少女達は夜空の下で、小指を絡めた。 天に月は無く、星も無く。 道しるべのない想いは、風に乗って。 空に、溶けていった。
https://w.atwiki.jp/apgirlsss/pages/107.html
夜が更にふけた、桃園家のラブの部屋。 隣では、ラブは気を失うように眠ってしまった。 私はそのまま眠ることもできず、かといって、自分の部屋に戻るのが惜しい気がして、窓から見える月を眺めていた。 私は、私とラブの関係が、このままではいけないと思っていた。 私達は同性どうし、世界的な流れとして、同性のカップルも認められはじめているし、 もしかしたら、将来法律が変わって、同性でも結婚できたりするのかもしれない。 けれど、永遠に変わらない問題。 自分達の間に子供はできないのだ。どう考えても、未来のない関係。 私には、おじさまとおばさまに大きな恩がある。 身寄りのない私を引き取ってくれ、学校へ行かせてくれた。 そしてなにより、家族のいなかった私に家族のぬくもりと、幸せを教えてくれた。 その恩に報いるためだったら、私はなんでもしたい。 必要なら死ぬことだって。 おじさま達が私達の関係を認めてくれたとしても、 私達の関係が未来も続くものであったなら、許してはくれないだろう。 私はどうしたらいい?どうすればいい? どうして今までのように、友人で居られなかったの。 私は月の中に答えを見出したい、そう思って、ずっと月を眺めていた。 「かぐや姫みたい」 眠っているとばかり思っていたラブが身を起こし、私を見ていた。 「かぐや姫って、何?」 「えっと確か、月から来たかぐや姫が、帝とかの求婚を断って、月に帰る話」 違う世界から来た異邦人?本当に私みたい。 「そう。だったら私はかぐや姫かもしれない。 違う世界から来て、違う世界へ帰っていく・・・」 そう呟く私の姿は、ラブには弱々しく思えたのか、 駆け寄ってきて私の背中を抱きしめてくる。 「せつな、あたしはせつなのそばにずーっといるよ。 これからも一緒にたくさんの幸せゲットだよ!!」 どうしてラブはいつも私の欲しい言葉をくれるのだろう。 涙が溢れそうになるのを、なんとか、瞼に押しとどめ、 「・・・精一杯、頑張るわ」 そう言うのが、精一杯だった。 次の日の夜、私とラブは夕食の後片付けをしていた。 私が洗った食器を、隣のラブが布巾で拭いていく。 「せつな、今夜あたしの部屋へ来る?」 とこっそり、おばさま達に聞こえないように聞いてきた。 「どして?」 私はわざとおばさま達に聞こえるように言う。口喧嘩しているように見えたのか、 何事?といった風におじさまもおばさまもこちらを見る。 ラブは悲しげな笑顔を浮かべ、何でもないといった風におばさま達に向かって首を振り、私のそばから離れていった。 これでいいんだ、と私は自分に言い聞かせた。 夜が更けて、私は一人ベランダに出ていた。 後ろを振り返ると、ラブの部屋が見える。 真っ暗になっていて、物音ひとつしない。 私より早く寝てしまう彼女のことだから、もう寝てしまっているだろう。 本来なら、私だって眠っているような夜更け。 私は、ラブが寝てしまった頃を見計らって、ベランダに出た。 中天に浮かぶ月を見上げる。 ラブが昨夜言ったように、私がかぐや姫だったら、月の使者よ来て。 そう思い月を眺めるが、かぐや姫でない私には使者など来るはずもなく。 第一、私には帰るところもないじゃない、と自嘲したくなる。 もう眠ろう。 どうしても見えない答えに、寝ることのほうが建設的に思えて、私は部屋へ戻った。 「せつな・・・せつな」 私を呼ぶ声がする? 目を開けると、ラブが私のベットに腰かけ、私の顔を覗き込んでいた。 しまった。さっき、考え事をしていて、ベランダ側の鍵を閉めなかったことに気づく。 いつもだったら、ドアもベランダ側の扉も鍵を閉めるのに。 そういう私の思考を読み取ったのかどうか、 ラブは私の大好きな笑顔で、私を見つめ続ける。 私はその笑顔に、胸が締め付けられ、言葉にすることができない。 無言でいる私に、 「せつな、せつなが悩んでること分かってるんだ。 お父さんとお母さんのことでしょ」 とラブが言う。 驚く私に、ホラやっぱりといった感じで笑いかけてくる。 「お父さんとお母さんのことは気にしないでとは言えないけど、 今はこのままでいちゃダメかな」 「あたしは今せつなと一緒に居たい。 せつなといっしょでなきゃ、たくさんの幸せゲット!できないよ。 今のこの気持はもしかしたら、未来にはなくなっているかもしれないけど。 ホラ、あたりまえのことなんてないでしょ」 本当にラブはいつも私の欲しい言葉をくれる。 嬉しさや哀しさや申し訳なさ、いろんな感情が私の体に溢れ、 体内から溢れ出たものは、目から一筋の涙として流れ出る。 声もなく泣いている私を見ていたラブが、突然、真剣な表情になって、 「せつな、いい?」 何がと問うまでもない。ラブの顔が近付いているのだから。 私はその問いに答えるように、目を閉じる。 「今日はあたしの番」 そう言い、私の唇に口づける。 啄むような優しい口付けは、私の口だけでなく、額、瞼、鼻、頬にも。 私の顔にキスの嵐が吹き荒れる。 最後に再び、私の唇に戻ってきて、舌で私の唇を開けるよう促してくる。 私はそれに応え、口を少し開ける。その狭い隙間からラブの舌が入ってくる。 ラブは挨拶するように私の舌をつつき、私も挨拶し返す。 優しいキスはだんだん熱を帯び、舌を絡ませ合うような濃厚なものへと変わっていく。 私がキスに夢中になっている間に、ラブの手は下の方へ。 いきなり下着の中に侵入し、昨夜私がしたように、入口に指の先しか入れてこない。 「せつな、どうして欲しい?」 あたしだって言わされるの、いつも恥ずかしいんだから。 と言って、私の顔を覗き込む。 私を恥ずかしがらせようと思ったんだろうけど、そうはさせない。 私は下着の中のラブの手を取って、自分の一番敏感な部分へと導き、 「ここを触って」 と命じる。 ラブはきょとんと、豆鉄砲でも食らったような表情をする。 そのラブの表情とこの場で行われていることのギャップが可笑しくて、 私の口から思わず笑いが漏れる。 「ふふふ」 「あはは」 一旦笑い始めたら、深夜だから止めなきゃという思いは、かえって笑いを増大させ。 私とラブはひとしきり笑った後、 「「もう寝よう」」 と、私とラブの声が見事に重なり、さらにお互い笑った。 私はその夜、ラブの腕に抱かれ、ラブに包まれて眠りについたのだった。 了 SABI3へ
https://w.atwiki.jp/fleshyuri/pages/321.html
美希はぐすっと鼻をすすり上げる。 あれから美希も祈里も無言になり、どちらからともなく公園を後にした。 何か、言うべきだったのかも知れない。 でも、何て? 美希は自分を過信していた、と思った。 ラブは、美希と話してから瞳に光を戻してくれた。少しは役に立てたのかも。 だから、祈里の役にも立てるかも。いい方向に導けるかも知れない。 そう思った。とんだ、思い上がりに過ぎなかったけど。 「………っう…、うっく………」 喉の奥から嗚咽が漏れる。ダメだ、堪えられない。 美希はしゃがみ込み、ひとしきり泣いた。 (なんでよぉ………。なんで、こんなになっちゃったの?) それでも腹筋に力を入れて泣き声を飲み込む。 えいっ、と立ち上がり少し回りを気にする。 こんなところでしゃがみ込んで泣いてしまったのが、少し恥ずかしい。 幸い、誰もいないみたいだ。 (……あんまり、ヒドイ事にはなってないな。) 鏡で顔をチェックする。少し瞼が腫れぼったくなって、目が赤い。 これくらいなら、家に帰って軽く冷やせば直ぐに引くだろう。 これから、せつなを見舞いにラブの家に行く予定だ。 祈里との話し合いの結果によっては、そのまま祈里も連れて行き、 謝らせる事が出来たら……。 そんな空恐ろしい事を考えていた自分に呆れかえる。 まったく、知らないって幸せだ。 家に帰って身支度を整える。泣いた跡はほとんどわからない。 けど、念のため目元に軽く色を入れてカムフラージュする。 ラブやせつなに余計な心配をかけたくない。 約束の時間までまだ少しある。 ぼんやりしてると祈里とのやり取りが頭に浮かび、口の中に飲み下せない 嫌な苦味が広がる。 祈里はラブとせつながレッスンに来ない事は知らなかった。 (よく……、来られたわよね。) 皮肉ではなく、真剣にそう思う。 美希はラブとのやり取り以来、せつなと顔を合わせるのは今日が初めてだ。 正直、まともに顔が見られるだろうか。 直接は関わっていない自分ですら、逃げ出したい。 祈里は、気まずいなんて言葉では言い表せないだろう。 それでも来た。 せつなだけではなく、ラブや美希もいるであろう場所に。 どんな気持ちだったのだろう。 何を言われても構わない、と覚悟を決めていたのか。 ただ単に開き直ってたのか。それとも……… (会いたかったのかな………。) せつなに。 多分、そうだ。根拠はないけど。 美希は少し不思議だった。 自分が、今回の事でまったくせつなにマイナスの感情を抱いていない事に。 少し前の自分なら、こう思っていたかも知れない。 (せつなさえ、現れなければ。) せつなが自分達の前に現れなければ。四人目でなければ。 祈里のした事を酷いと思い、せつながされた事に胸を痛めても、 ほんの少し、そんな風に思ったであろう自分が容易に想像出来る。 そのくらい、三人の絆は完璧!そう思っていたから。 自分も祈里と一緒だ。 ラブと祈里がいれば、他に友達なんて出来なくても平気。 だから、三人バラバラの中学に進んでも不安はなかった。 もし、何か上手く行かない事があってもラブと祈里がいる。 自分を丸ごと受け入れてくれる親友がいる。 だから、新しい環境にも思い切って飛び込んで行けた。 学校にも友達はいる。 でも芸能人を目指す子が多い中、周りは少ない椅子を取り合うライバル。 そう言う意識が根底に流れてる。 いくら表面上仲良くしてても、相手を蹴落さなくてはならない場面も 出てくるだろう。 同じオーディションを受けて、クラスメイトの一人が受かり、 もう一人は落ちる。今でもそんな話しはザラに聞く。 美希はまだ読者モデルだけとは言え、途切れずに仕事がある。 これから着実にステップアップしていける手応えも感じている。 まだ中二とは言え、鳴かず飛ばずの子達との間には何とも言えない ギスギスした空気があることを、嫌でも日々感じる。 小学生の頃からの友達だって、美希の容姿が類い稀に恵まれたものであり、 自分達との差を意識し出した途端に態度が変わったものだった。 よそよそしくなる子。逆に馴れ馴れしく媚びて来る子。 美希の整った顔や、スラリと長い手足に向けられる視線。 今でこそ軽くいなせるようになってきたが、少し前までは煩わしくて 仕方がなかった。 そんな中、ラブと祈里だけが変わらなかった。 美希が芸能科に進学しても、モデルとして雑誌に頻繁に載るようになっても。 ラブと祈里にとっては、いつまでも『美希たん』で『美希ちゃん』だった。 それが美希にとってどれだけ支えになっているか。 帰る場所がある、それだけで頑張れる。 そして、美希はふと気が付いた。そう言えばせつなもラブ達と同じだな、と。 せつなは人の見た目にまったく頓着しない。 初めて美希に会った時も、驚くでもなくお世辞に誉める事すらしなかった。 正直、容姿を誉められ慣れてる美希にとってはその方が意外だった。 せつな自身も相当に綺麗な子だったから、最初は自分なんて大した 事ないと思われてるのでは?と、少し穿った見方をしてしまったものだ。 まあ、少し見てればせつなが自分が容姿に恵まれてるなんて事に まったく気付いていない事は分かったけど。 そもそも見た目を誉める、と言う発想そのものがなかったのだろう。 かと言って美醜の感覚がずれているか、と言うとそうでもないのが また不思議だ。 (……って、こんな事考えてたってしょうがないわよね。しかも全然関係ないし……。) 家を出て、また公園に向かう。手土産にドーナツを買った。 何の気なしにラブもせつなも好物だから、と思ったからだが ラブの家に近づくにつれ、止めとけばよかったかな…… と思いが過る。 ダンスレッスンの後に、放課後に、四人で集まる時はドーナツカフェで お喋りするのが恒例だった。 そう言えば、初めて会った時のせつなはドーナツも知らなかったんだけ。 また少し感傷的になってしまった。 ラブの家に着く。鍵が閉まっていたのでインターホンを鳴らして名乗る。 (あれ?……今の声…。) 「いらっしゃい。」と言う声と供にせつなが顔を覗かせる。 パジャマの上にカーディガンを羽織っただけの病人ファッションだ。 「ごめんなさい、こんな格好で。」 「別にいいけど、起きてていいの?ラブは?」 「ラブは……」 今日はおじさんは休日出勤、おばさんはパート。家には二人だけって聞いてた。 だから、話しもしやすいかと今日訪ねてきたんだが、ラブもいないとは どう言う事だろう。 その時、タイミング良く美希のリンクルンが鳴った。ラブからだ。 「あぁ、もしもし美希たん?あのねぇ……」 前フリもなくラブは喋り出す。 ラブは圭太郎の忘れ物を届けに行く事になってしまったらしい。 「だからさぁ、あたしが帰るまでせつなに付いててくれないかなぁ。 まったくせつなってば、ちょっと良くなってきたと思ったら すーぐウロウロしようとするんだから!」 もう着いてるわよ。そう言うと、またラブがまくし立てる。 「そーなんだ!あっ!せつな、ちゃんと上に羽織ってる? 裸足じゃない?お茶入れるとか言っても聞かないでよ! すぐにベッドにもどしてね!それから………」 チラリとせつなを見ると、赤くなって俯いている。 ラブの大きな声はせつなにも丸聞こえだろう。過保護にされてるのが バレバレになって恥ずかしいらしい。 「……せつなに代わろうか?」 そーして!と言うのでせつなにリンクルンを渡す。 「もしもし……、うん、分かってるわ。…………分かってるってば。 ………うん、………うん、…………だから、分かってる。………」 電話の向こうで、ラブはまたひとしきり心配してるのだろう。 せつなは照れ臭いのか、美希をチラチラと窺いながら素っ気ない 言葉を繰り返している。 だけどその頬は、ほんのり染まったままだ。 大事にされている。そう実感するのが嬉しくないはずないから。 せつなが視線で、代わる?と聞いてくる。美希は首を降って、いい、と答える。 「うん、じゃあね。………もう!だから、分かってるから! ……うん…ありがと……」 せつなは電話を切って美希にリンクルンを返す。 「何よ……?」 ニヤニヤしながら見ている美希に、せつなが拗ねたような声を出す。 頬を染め、少し下唇を付き出してる様子が可愛らしくて、 ついからかいたくなってしまう。 「べっつにぃ~。ラブラブだなぁって思って。」 「………ラブったら、最近過保護なのよ。もう平気なのに。」 「まあまあ。早く部屋に戻りましょうか。アタシがダーリンに叱られちゃう。」 「……もう!美希!」 「愛されてるわねぇ。」 「だから!………もう!」 部屋に戻ってベッドに入っても、せつなはまだ拗ねた顔をしている。 「でも良かった。思ったより元気そうね。」 ベッドに身を起こす様に座っているせつなに改めて話し掛ける。 本当はそんな風には見えないけど。 明らかに痩せた。カーディガンの上からでも肩が薄くなったのが見て取れる。 元々白かった肌がますます透き通るように白くなっている。 (儚げ…って、正にこんな感じなのかしらね。) 実際の元気な頃のせつなは見た目と裏腹にハキハキした面も持っているのだが。 割りとハッキリものを言うし、結構頑固で融通が聞かない。 ラビリンスでも相当な訓練を積んでいたらしく、基礎体力や 運動神経はプロのダンサーのミユキさんでも舌をまいている。 そのせつながここまでやつれるんだから………。 「あのね………。美希は、知ってるの……?」 目的語のないせつなの問い掛け。何を?とは聞けない。 差すのは一つの事しかないから。 「うん……。ラブから聞いたし………今朝、ブッキーにも会った。」 そう……、とせつな俯いて、膝の上で拳を握り締める。 美希と、目を合わせられないらしい。 「祈……ブッキーはどうしてた…?」 祈里、そう言いかけてせつなは言い直した。 それだけで、何となく祈里とせつなの関係の一端が見えてしまったようで、 美希は居たたまれない気分になる。 「………私、全然気付いてなかったの。」 祈里の気持ちに。美希の返事も聞かないままに、せつなはそれが 途方もない罪悪のように口にする。 「知らないうちに、無神経な態度取ってたかも……。」 「……あるかもね。」 「無意識に、ブッキーを傷付けてた……。」 「……そーかも。」 「………ごめんなさい。」 「……………。」 「馬鹿じゃないの?」 「……え?」 「馬鹿、って言ったの!何でせつなが謝るの!せつなは何も悪くないでしょーが!」 「……でも……」 「でもじゃない!!」 気持ちに気付かなかった。だから何?それがどうしたの? 無神経だったかも?仕方無いじゃない!告白もされてないのに 分かれって方がムリでしょ! 傷付けたかも?好きになった人にもう相手がいる。そんなの珍しくも何ともないの! どう考えてたってブッキーが悪いでしょ! 裏から見ても表から見ても、上下左右タテヨコナナメどっから見たって 1%も同情の余地なんてないわよ! 「…………美希……………。」 頬を紅潮させて、一気に言い切った美希を見て、 せつなはポカンとして言葉を失う。 「………って、割りきれたらいいんだけどね…。」 無意識に探している。祈里を庇うための言い訳を。 酷い、そうとしか言い様のない祈里の告白。 祈里自身も、自分なら耐えられない、と言い切った。 もし、せつなをそんな目に合わせたのが他の誰かなら殺しても飽き足らない。 そう思っただろう。 目の前の力無く憔悴仕切ったせつな。 そうさせたのが、美希が知る誰よりも優しくて思い遣りがある、 そう思ってた祈里だと言う事実に胸が掻き毟しられる。 せつなは祈里が好き。そう言ったらしい。 好きだから、もう止めたい、と。 せつなも同じ気持ちなのだろうか。 これほど心身供に疲弊仕切るほどの目に合わされても。 まだ、祈里を庇いたいと思っているのだろうか。 だから、だからラブに祈里に脅され無理矢理に関係を続けさせられた事を 話せないのかも知れない。 (都合よく考え過ぎね……。アタシってば。) 美希はせつなのベッドに腰掛け、せつなの頭を撫でる。 どうして、この子ばかりこんな目に合わなくては行けないのだろう。 せつなの手の中にあるもの。その少なさを思う。 過去のすべてを、命さえ奪われたせつな。 その手が今持っているのは、 ラブへの愛情。 仲間への信頼。 その二つだけだろう。そして、少ない分だけ大きく、驚くほど深い。 一点の曇りも無い、無垢な全幅の信頼。 せつなは全身全霊で仲間を信頼してくれていた。 「………辛かったわね。」 せつなを抱き締める。 「……美希…。」 これ以上ないくらい、シンプルな慰め。 祈里はせつなの信頼を利用し、罠にかけた。 どれほどせつなが絶望するか分かっていながら。 胸が痛い。 それなのに、自分は更にせつなに辛い事を強いようとしている。 「………祈里を、助けて……。」 せつなを抱き締めたのは、せつなの辛さを少しでも分け合いたかったから。 それともう一つ。目を見てしまったら言えなかっただろうから。 闇に向き合うしかない、暗く冷たい水底を己の場所にしてしまった祈里。 ラブが、せつなが許しても、他ならなぬ祈里自身が自分を許す事を拒むだろう。 欲望の代償に、すべての許しも救いも拒絶している。 神の手に掬い上げられる事を、自ら拒む罪人が望む事とはなんだろう。 美希には分からない。でも、恐らくそれが与えられるのは せつなだけだ。 せつなだけが、祈里の目を闇から背けさせる事が出来る。 どれほど理不尽な願いなのか。 『辛かったね』そう抱き締めながら、更に傷口に塩を塗る。 自分の身勝手さに潰されそうになりながら、美希はせつなに乞い願う。 誰一人、失いたくないのだ……と。 「ね、………美希。」 耳元で吐息と供に感じる、せつなの囁き。 「ドーナツ………、食べたいわね。」 「………?…せつな……?」 「………また、四人で。」 美希は柔らかく体を預けてきたせつなを、全身で受け止める。 切ないくらい優しい声が胸に痛い。 美希は黙って抱き締めた腕に力を込める。 声は出せない。口を開けば、大声で泣いてしまうに決まってるから。 せつなにばかり、辛い役目を押し付けている。 なのに、なぜせつなは、怒りも詰りもしないのだろう。 「きっと……、ラブも同じ気持ちよね……」 美希はまだ口がきけない。 『ありがとう』も『ごめんなさい』も違う気がする。 ただ、美希は思った。せつなになら、この先のすべての自分の幸せを あげても構わない、と。 その手にあるもの。 それは――― 6-126へ
https://w.atwiki.jp/fleshyuri/pages/988.html
【5月1日】 『人のことは言えない』 サウラー 「5月って随分、爽やかな風が吹くんだね」 タルト 「気候も落ち着いて、一番過ごしやすい季節かもしれへんなあ」 ウエスター「おうよ! 身体を動かすにはもってこいだな」 サウラー 「君はいつもそれだね。そのバイタリティはどこから来るのか」 タルト 「世間では五月病なんてのもあるらしいけどな。新しい環境に馴染めんとかで」 サウラー 「理解できないね」 ウエスター「理解できないな」 タルト 「あんさんらは馴染みすぎや……」 【5月2日】 『心は大きいから』 ウエスター「おやおや、空に鯉が泳いでるぞ?」 タルト 「ウエスターはん、あれ、鯉のぼり言うんやで~」 ウエスター「鯉の滝登りか?」 タルト 「ちゃうちゃう、のぼり、ちゅううんは旗の一種のことや」 サウラー 「縁起を担いで、滝登りにちなんでもいるらしいけどね」 ウエスター「難しいことはよくわからんが、大空に飛ぶでっかい鯉、ロマンだなあ」 タルト 「そうそう、でっかいちゅうのは、男の夢やなあ」 サウラー 「それを君が言うのかい……」 【5月3日】 『遊ぶことばっかり考えてるわけじゃ』 クローバー「今日は憲法記念日!」 せつな「今日は何をして遊ぼうかしら?」 ラブ 「あ~、今度はせつなが言った! 何して遊ぼうって」 せつな「いけない、つい……」 美希 「ラブが移ったわね」 祈里 「朱に交われば赤くなる。というのよね」 ラブ 「なんでアタシのせいなのよ~」 【5月4日】 『四つ葉のクローバーの芯のマークなんです』 四人 「今日はみどりの日!」 美希 「木々の緑がとっても眩しいわ」 ラブ 「桃色に赤色、青色に黄色。そう言えば緑がイメージカラーの子はいないね」 祈里 「シフォンちゃんがそうじゃないかな」 せつな「なるほど、額のマークが緑色ね」 ラブ 「じゃあ、今日はシフォンの日だね! お散歩で公園の緑を見に行こうか」 シフォン「みどり、しゅき~。おさんぽいく~」 【5月5日】 『柱の傷はおととしの~』 四人 「今日はこどもの日!」 ラブ 「せ~つな! 2人で背比べしようよ!」 せつな「いいけど、どうして急に?」 ラブ 「こどもの日の唄にね、そういう歌詞があるんだよ」 せつな「うーん、引き分けかしら?」 ラブ 「ねえ、せつな。毎年ずっとこの日に背比べしようね」 せつな「かまわないけど、ラブったらずいぶん嬉しそうね」 ラブ 「あたしね、一人っ子だったらから、ちょっとさみしい気持ちでその唄聞いてたんだ」 【5月6日】 『甘いからスウィーツなんです』 タルト「クローバータウンストリートには色んなお店があるで~! みんなも遊びに来てや!」 美希 「勝手知ったる自分の街ってとこね。スウィーツ王国の王子としてはどうなのかしら」 タルト「他国を知って、見聞を広めるのも立派な王子の勤めなんや」 アズキーナ(フィアンセとしての勤めも、ちゃんと果たしてもらいたいどすなあ……) タルト「ん? アズキーナはん、今なんか言うた?」 アズキーナ「いいえ、うちはタルト様と一緒に居られるならどこでもかましません」 美希 「色んな意味でスウィーツな国よね……」 【5月7日】 『それぞれの癒し』 美希 「今日はアロマの香りでリラックスしよっと」 祈里 「美希ちゃんらしいね。わたしは動物さんと遊んでる時がリラックスしてるかも」 ラブ 「あたしは……なんでだろ? せつなと一緒の時が一番リラックスできるんだ」 せつな「私も、ラブといる時がリラックスしてるわね」 美希 「ほんと仲がいいわね。でもわかる気がするわ」 祈里 「リラックスって、安心できるってことなのね」 【5月8日】 『継続は力なり』 ミユキ「みんな、お休みで体が鈍ってない? ダンスレッスン始めるわよ!」 ラブ 「ミユキさんは、たまにはお休みしたりしないんですか?」 ミユキ「どんな時でもレッスンは欠かさない。それがプロのダンサーというものよ」 ラブ 「お盆もお正月もクリスマスも?」 ミユキ「当然」 ラブ 「ミユキさんって凄い!」 ミユキ「驚くってことはさぼってたのね! さあ、猛特訓よ!!」 ラブ 「あちゃー、やぶへびだった……」 【5月9日】 『フレッシュプリキュア42話より』 ラブ 「今日は母の日だよ!」 せつな「ねぇラブ、二人でごちそう作らない?」 ラブ 「うん! じゃあ、あたしはハンバーグ」 せつな「は、ナシね。せっかくだから普段はあまり作らないものにしましょう」 ラブ 「そっか、じゃあ一緒におかあさんから教わったラザニア作ろうよ」 せつな「賛成! 私はホワイトソースを作るから、ラブはミートソースをお願い」 ラブ 「よーし、負けないよ!」 せつな「勝ち負けはないわよ。一つの料理になるんだから」 ラブ 「そうだね。母の日にはぴったりだよ!」 【5月10日】 『願掛け』 祈里 「今日はステキな日になるって、わたし、信じてる!」 せつな「自己暗示ね。ラブも毎朝、今日も幸せゲットだよって口にしてるもの」 祈里 「せつなちゃんはしないの?」 せつな「必要ないもの。この街にきてから、素敵じゃない日なんて一日もないわ」 祈里 「祈るまでもなく信じてるのね、敵わないな」 避2-724へ
https://w.atwiki.jp/fleshyuri/pages/395.html
1 :名無しさん:2009/10/31(土) 19 13 14 フレッシュプリキュアで百合6 24時間妄想リレー祭り 2009年10月31日20 00~11月1日20 00 内容説明はこちら http //www12.atwiki.jp/fleshyuri/?page=%E5%A6%84%E6%83%B3%E3%83%AA%E3%83%AC%E3%83%BC%E7%A5%AD%E3%82%8A%E6%A6%82%E8%A6%81 2 :名無しさん:2009/10/31(土) 19 15 16 ミユキ「お疲れ様!今日はここまでにしましょう。」 ラブ「今日もバッチシ練習したぞー!」 せつな「私はお腹空いたわ。」 美希「これからどうする?」 祈里「うーん…」 3 :名無しさん:2009/10/31(土) 19 32 20 せつな「帰ってご飯にしない?私ハンバーグ作りたいな」 4 :名無しさん:2009/10/31(土) 20 02 17 ブッキー「いいなぁ。わたしも食べたい…」 美希「アタシも…」 5 :名無しさん:2009/10/31(土) 20 03 58 ラブ「じゃあ今日はウチでみんなでご飯作ろう!」 6 :名無しさん:2009/10/31(土) 20 04 09 「あたしのたのしみ取らないでよー」 7 :名無しさん:2009/10/31(土) 20 06 11 勝負するラブ?せつなもかかってきなさい。 ブッキーはアタシが守るわ! 8 :名無しさん:2009/10/31(土) 20 09 20 5 せつな「そうね。夕食はみんなで食べましょう。」 祈里「うん!」 美希「アタシも手伝うわ。」 ラブ「みんなで頑張るぞー!」 9 :名無しさん:2009/10/31(土) 20 10 06 8 美希「じゃあアタシとブッキーでスーパーに行くから」 せつな「私とラブは家で仕度すればいいのね」 アンカーつけないとどれに繋げてるのかわかんなくなるな 10 :名無しさん:2009/10/31(土) 20 15 07 7 ラ「まぁまぁ。あたしたちで頑張るから二人は買い物お願い!」 せつな「精一杯頑張るわ」 11 :名無しさん:2009/10/31(土) 20 18 18 美「二人で買い物も久し振りね」 祈「うん」 美(手繋いだ方がイイかな…) 12 :名無しさん:2009/10/31(土) 20 23 15 11 「美希ちゃん…」 「ん?」 「寒くない?」 13 :名無しさん:2009/10/31(土) 20 27 27 せ「ただいま」 ラ「ただいまー!」 あ「準備出来てるから手洗ってらっしゃい」 「「はーい!」」 ラ「楽しみだね。せつな料理上手くなったし。」せ「ラブも手伝ってよ。一人じゃまだ不安だし。」 14 :名無しさん:2009/10/31(土) 20 29 35 12 美希「んー別に寒くないけど」 祈里「私は寒いな……だから」 ギュッ 美希(わわっ、ブッキー、いきなり腕組んで来たっ) 「ブ、ブッキー!?」 祈里「えへへ……こうすると寒くないでしょ」 美希「だからって人前でこんな堂々とね」 祈里「ダメ?だって美希ちゃんもそうしたそうな顔してたし」 美希「…………っ(真っ赤)」 15 :美希:2009/10/31(土) 20 35 01 12 そういえば少し寒いわね… アタシのコートのポッケで一緒に温まる? 16 :名無しさん:2009/10/31(土) 20 36 33 14 美(ブッキー大胆…) 祈(真っ赤。可愛い美希ちゃん♪) 17 :名無しさん:2009/10/31(土) 20 42 51 ラブ「遅いなぁ美希たんとブッキー。」 せつな「二人にしたのがまずかったかしら。」 ラブ「イチャイチャしてるのかなぁ?」 せつな「私達には勝てないわよ!」 18 :ブッキー:2009/10/31(土) 20 45 12 「美希ちゃんの手……、あったかい。でもポケットに入れてるからじゃ…ないのよ?」 19 :名無しさん:2009/10/31(土) 20 46 39 ラブ「遅いからコロッケでも作って待ってようよ」 せつな「ハンバーグ…でもコロッケも好き」 ラブ「ねぇせつな…あたしとコロッケとハンバーグ、一番好きなのは?」 20 :名無しさん:2009/10/31(土) 20 51 27 19 せつな「もちろんラブよ。聞かなくてもわかってるくせに。」 ラブ「にゃはー。せつなほっぺ赤いよん。」 せつな「もう…」 21 :名無しさん:2009/10/31(土) 20 55 04 20 せつな「そんな意地悪するラブには……」 ちゅっ せつな「ん……」 ラブ「んっ……ふぅん」 22 :名無しさん:2009/10/31(土) 20 56 45 「買い物はこれで完璧ね!チョット遅くなっちゃったけど。」 「急いで戻ろ美希ちゃん。」 「チョット待ってよブッキー!」 「ほらほら早くー」 23 :名無しさん:2009/10/31(土) 20 58 15 21 せつな「ラブぅ!おばさまがお風呂から上がるわよ!らめぇ…」 24 :名無しさん:2009/10/31(土) 21 00 54 タルト「あかん…」 シフォン「キュア?」 25 :名無しさん:2009/10/31(土) 21 06 06 ブ「はぁ…はぁ…」 美「もう早すぎよ…」 ブ「こうやってふざけられるのも美希ちゃんだからなんだよ?」 美「……」 ブ「さ、入ろ?」 美「う、うん…」 (アタシ負けてるわね、完璧に。でも許しちゃうけど) 26 :名無しさん:2009/10/31(土) 21 09 13 せ「続きはまた二人の時にね?」 ラ「ケチ~」 せ「怒るわよ」 ラ「はーい」 27 :名無しさん:2009/10/31(土) 21 11 51 タルト「パッションはんが権力握っとるんやな」 シフォン「キュアキュア~」 ラブ「何見てんの!」 28 :名無しさん:2009/10/31(土) 21 21 27 美希「お待たせ~」 祈里「お邪魔しまーす」 ラブ「あ、二人ともいらっしゃーい」 せつな「買い物、お疲れ様」 29 :名無しさん:2009/10/31(土) 21 29 27 28 ラブ「みんなのハートを一つにするよ!」 美希「OK!」 祈里「うん!」 せつな「…」 ラブ「せつな?」 美希「どうしたの?」 祈里「せつなちゃん…」 せつな「大袈裟」 あゆみ「くすくす…」 圭太郎「せっちゃんは面白いなぁ」 30 :名無しさん:2009/10/31(土) 21 29 33 28 美希「野菜とかが安かったからいっぱい買ってきたわ。」 祈里「ほら、ニンジンとかピーマンとか。」 31 :名無しさん:2009/10/31(土) 21 39 33 30 ラブ「……」 せつな「……」 あゆみ「あ、私も一品作るわね。タコのマリネとかいいかしら」 美希「……」 祈里(三人とも、なんで下向いて青い顔してるのかな?) 32 :名無しさん:2009/10/31(土) 21 48 44 ラブ「せつな……美希たん……」 せつな「何?…」 美希「何よ…」 ラブ「頑張ろ。」 せつな「分かったわ。精一杯頑張るわ。」 美希「そうね。完璧な私になるには苦手な物を無くしていかないと。」 祈里(あっ、元気になった。) 33 :名無しさん:2009/10/31(土) 22 07 47 ラブ「でもみんなで作ったから美味しいよ!」 せつな「こっちも美味しいわよブッキー。はい、あーん」 ブッキー「!?」 美希「こっちから先に食べるんでしょブッキー。あーんして?」 ブッキー「!!??」 ラブ「変なの二人とも。あ、ブッキー、それあたしのお味噌汁。」 ブッキー「わわわわわ・・・」 美希せつ「間接!!!」 34 :名無しさん:2009/10/31(土) 22 16 05 33 ラブ「ふぅ食べた食べたー」 せつな「食べすぎよラブ。」 美希「でもホント美味しかったわね。みんなで作る料理、完璧すぎ!」 ブッキー「おいしいって、わたし信じてた。」 あゆみ「後片付けは任せてお風呂いってらっしゃい」 35 :名無しさん:2009/10/31(土) 22 20 39 ラブ(ブッキーまた胸大きくなってる…) 36 :名無しさん:2009/10/31(土) 22 29 59 せ「綺麗ね…美希」 ラ「うん」 祈「見とれちゃうね…」 美「いい加減湯船に入れてちょうだいよ!」 37 :名無しさん:2009/10/31(土) 22 36 40 せつな「湯煙の中の美希も綺麗ね…」 ラブ「うん」 祈里「見とれちゃうね…」 美希「なんで入れ替わりに全員出るのよ!」 38 :名無しさん:2009/10/31(土) 22 38 50 36 美「さすがに四人はキツいわね…」 祈「美希ちゃん…」 ラ「最高だよー!」 せ「私、精一杯頑張るわ!」 3人「何を!?」 39 :名無しさん:2009/10/31(土) 22 42 42 せつな「ところで、いつもお風呂って一人で入るのに、 今日はみんなで入るの、どして?」 美希「日本には裸のお付き合いって言葉があってね、 こうして身も心も解放することで お互いの親睦をより深めるのよ」 せつな「ふーん、じゃあ私とラブが毎晩していることも 『裸のお付き合い』なのね」 ラブ「せせせせせせせせせせせせつなっ! いやだなーもーなんかおかしなこというねーせつなってば あははははははははーーーっ!!」 祈里(毎晩……フッ、まだ青いわね二人とも) 40 :名無しさん:2009/10/31(土) 22 48 21 37 ラ「だから言ったじゃん、一緒に湯船はキツいって。」 美「だからってアタシを区切るような目で見ない!」 祈「ごめんなさい。わたし…」 せ「私も悪気があってした訳じゃ…」 ラ「あたし先出るよ。3人であったまってよ!」 美「……。ダメ」 ラ「え?」 美「リーダーがいてこそクローバーでしょ?」 せ「…美希」 祈「美希ちゃん…」 41 :名無しさん:2009/10/31(土) 22 54 44 39 祈里(胸が大きくなってるのも全て美希ちゃんが…) ラブ「ブッキー何ニヤニヤしてるの?」 祈里「へっ?」 美希「そろそろ出よっか。」 せつな「おばさまがアイスクリーム用意してくれてるはずよ。」 祈里「う、うん!」 ラブ(揉まれてるね絶対…) アイスリベンジ~ドーナツショップへレディゴー!
https://w.atwiki.jp/fleshyuri/pages/958.html
夏の朝の息吹。半開きのカーテンが、風にたなびいて揺らぐ。 緩やかな日差しが、部屋を澄んだ光で満たす。 街の木々は緑濃く輝き、花々は目覚め、美しく咲き誇る。 小鳥はさえずり、命の輝きを歌いだす。 爽やかな朝の訪れ。せつなはゆっくりとまぶたを開く。 素敵な夢を見たような気がした。はっきりと思い出すことはできないけれど。 そして、目を覚ました現実は、その夢よりももっと素敵だった。 気持ちが落ち着く不思議なベッド。柔らかくて、いい匂いのする布団。 せつなの腕に、しがみつくようにして眠っているラブ。 耳元をくすぐる寝息と、ほどいた髪から伝わる甘い香り。寝ぼけて抱きついてきたのだろう。 起こさないように、慎重に腕をほどきながら身を起こした。 こんな風に、人の体温を感じながら眠る日が来るなんて考えたこともなかった。 睡眠には、最も警戒を払うべき。そこに他人を招き入れることは、命を渡すも同然だと思っていた。 いなくなったせつなを、無意識に探しているのだろうか。 ラブがむにゃむにゃ言いながら、ベッドの中をごそごそと動き回る。 せつなはクスッと笑って、自分の枕をラブの腕に預けた。抱きしめたラブは、再び安心して眠りに付いた。 せつなは足音を立てないように、ゆっくりとベランダに向かう。 気のせいかもしれないが、小さな動物の気配を感じたのだ。 「あなたは――――」 カーテンを開いた先から見えたのは、人間のようにちょこんと座ったフェレットの姿だった。 その姿には見覚えがあった。せつなは窓を大きく開けて部屋の中に招き入れる。 その後を付いてくるように、空を飛ぶぬいぐるみも部屋に入る。 フェレットの姿をした生き物は、部屋に入るなり大声で話し始めた。 ラブはまだ寝ているのに……。この生き物はデリカシーがないのかしら? とちょっとだけ眉をしかめる。 「お久しぶりやなあ、せつなはん。ピーチはんから話は聞いてるで!」 「タルトと言ったわね、そちらはシフォンだったかしら。お久しぶり」 「キュアキュア」 ラブもさすがに目を覚まして、慌てて会話に加わった。 一昨日の夜まではラブと同じ部屋で寝ていたのだが、昨日は隣の空き部屋で寝てもらっていた。 せつなが桃園家に来て最初の夜ということで、ラブが気を回したのだった。 ラブはあらためて、せつなにタルトとシフォンを紹介していった。 「タルトとシフォンはね、本当はフェレットやぬいぐるみなんかじゃなくて」 「知ってるわ、タルトはスイーツ王国の妖精ね。シフォンは、ちょっとよくわからないけど」 「シフォンも一応スイーツ王国の妖精やで。の……はずなんやけどなあ」 「せつな、知ってたんだ」 「ええ、スイーツ王国には手を出すな。って諺があるくらい有名よ」 科学の力に頼らず、不思議な能力で発展してきた国。 体一つで異世界を渡り歩く力を持ち、伝説の戦士に護られていると伝えられてきた。 今思えば、それがプリキュアだったのかもしれない。 「せつな、この事はおとうさんとおかあさんには」 「わかってる。内緒にしておけばいいのね」 「よろしく頼むで、せつなはん」 「キュアキュア、せつな~」 「よろしくね、シフォン。としゃべるフェレットさん」 「わいはフェレットちゃうわ! 可愛い可愛いって……今話したばっかやないか!」 「きゃあ! ラブ、怖い」 「タルト、せつなをいじめちゃダメ!」 「いじめられてるんは、わいやがな……」 せつなの顔に浮かぶ悪戯っぽい表情と、そして笑顔。 昨夜から一転して明るいせつなの様子に、ラブも嬉しそうに笑った。 『翼をもがれた鳥(第十三話)――――相反する想い――――』 「おばさま、おはようございます」 「おかあさん、おはよう」 せつなの着ていた服はあゆみが洗濯していた。 ラブの洋服の一つを借りて、洗面台に向かったところであゆみと鉢合わせした。 今度はせつなから、おずおずと朝の挨拶をした。 深々と頭を下げてから、そっとあゆみの様子をうかがう。 あゆみは嬉しそうに微笑んだ。せつなも安心して緊張を解く。 「おはよう、せっちゃん、ラブ。それと、せっちゃん。挨拶はおはようでいいのよ」 「――――はい」 何気ない会話の中にも、深い愛情を感じてせつなは瞳を潤ませる。 本当に、家族としてせつなを迎えている。それが感じられるから。ラブも嬉しくなってあゆみに甘えた。 だから、一瞬せつなの表情によぎった苦しげな影に――――誰も気が付くことはなかった。 「今日はせっちゃんのお部屋作りね。せっちゃんにも手伝ってもらうわよ」 「はい!」 「えぇ~! せつなは休ませてあげようよ」 「一緒にするから楽しいのよ。ラブはせっちゃんとお部屋作りしたくないの?」 「あ……やっぱり一緒にやりたい!」 「それじゃあ朝ご飯をすませたらお掃除、そしてお買い物ね」 「はい」 「は~い」 朝食は簡単なメニューだった。それでも、せつなにはどんなご馳走よりも美味しく感じられた。 あゆみとラブとせつなの三人で頂いた。圭太郎は何か探しに行くとかで、朝早くから出かけていた。 せつなの部屋はラブの隣に決まった。 昨夜、タルトとシフォンが寝ていた場所。空き部屋で物置に使われていた。 一度空っぽにしてから、綺麗に掃除する。 といっても、普段から綺麗好きなあゆみの手入れのおかげで、そんなに汚れてはいなかった。 自分の部屋ができる。あるはずのない居場所ができる。 浮かれてはいけないと思いつつも、せつなの胸は期待に膨らんでいく。自然と顔もほころんでいく。 あゆみも、そしてラブも、そんなせつなの様子を嬉しそうに見守った。 「さて、どんなお部屋にしようかしら。せっちゃんは何の色が好き?」 「私は――――」 イメージカラー、その言葉はせつなも知っていた。 部屋のコーディネイトもそう。ファッションもそう。テーマを決めて統一感を持たせる。 ラブはピンク色、美希は青色、祈里は黄色。カラーが個性を与え、また個性がカラーに反映する。 だけど、それは自分には関係のない世界の話だと思っていた。 ラビリンスでは、支給されたものを身に付けるだけだった。与えられた部屋に住むだけだった。 好み? 選択? そんなことが、自分に許されるなんて思ってもいなかった。 そんなものに気を取られるこの世界の住人が、愚かだとすら思っていた。思うしかなかった……。 ラビリンスの暮らしを思い出す。そこは色彩のない世界。白と黒の濃淡だけのモノクロの世界。 実際には、そんなことはないのだろう。それが必要な場所には、複数の色だって使用されていたはずだ。 でも、せつなの脳裏に浮かぶ風景に、色彩なんて存在しなかった。 興味が――――なかったから。関心を持つことに、意味が見出せなかったから。 「好きな色、ないの? せっちゃんなら、清潔そうな白も似合いそうだけど」 「遠慮しなくていいんだよ。どうせ一揃え買いに行くんだから」 「赤……。赤い色がいいです」 言ってから、自分で驚く。それは美希の青と並んで、一番強い色だったから。 でも、きっと思いつきじゃないんだろうと思った。 黒と白と灰色。濃淡だけのイースの衣装において、唯一許された有彩色。 暖色。もっとも温かみを感じる色。情熱を連想させる色。 心のどこかでずっと温もりを求めていたイースが、無意識に身に付けていた色だった。 「そうね。ラブのピンクのパジャマも似合ってたし、いいかも!」 「うん! じゃあ買いに行こうよ!」 これだけいろんなものを買うんだからと、大きなデパートに足を運んだ。 お布団、カーテン、椅子に本棚。姿見と小さな鏡。時計にスタンドに筆記用具。 下着にパジャマに、部屋着に靴にスリッパ。おしゃれポイントにルーレット模様のカーペット。 コップやお茶碗、歯ブラシにその他色々な小物なんかも買い揃える。とても持てないから、家に配達してもらうことにした。 ひとつひとつ、ラブやあゆみに相談しながらせつなが選んでいった。 自分で好きなものを選ぶ。自分の居場所を、好みの部屋を作っていく。それが凄くわくわくして、楽しかった。 迷って、考え抜いて、なんとか一通り選ぶことができた。 嬉しすぎて現実感が持てなくて、夢見心地で家に戻った。 「ただいまー! あれ、おとうさん何作ってるの?」 「これはな、せっちゃんの勉強机だ」 「私の? 勉強って?」 「そうよ。夏休みが終わったら、せっちゃんもラブと同じ学校に通ってもらいます」 「私が――――学校に? ラブと一緒に?」 「ほんと! やったね!」 キョトンとするせつなと、大喜びするラブ。想像してみるが、イメージすら湧かなかった。 ラブと一緒に中学校に通う。同じ歳の子たちと勉強をする。 居場所が広がっていくようで嬉しかった。でも、少し不安に思えた。そんなことが、許されるのかって。 「それで机は買わなかったんだ。でも、どうして手作りなの?」 「それはだな――――」 圭太郎が、手を止めてラブとせつなに語りだす。 源じいさんから教わった、手作りに真心を込めるということ。 自身が仕事から学んだ。使う者の気持ちになって作り上げること。 せつなに自作の机を使ってもらうことで、心だけでも一緒にいる時間を持ちたかったんだって。 「僕は仕事があって、帰りも遅い。だから、せめて一番使って欲しい家具を自分の手で作ると決めたんだ」 「わぁ~、おとうさんカッコイイ!」 「おじさま。――――ありがとう」 その机作りに、せつなも手伝いを申し出た。 圭太郎の腕前は素人とは思えないものだった。鉛筆で描かれた机のデッサン。細かい寸法が描かれた図面。 その通りに正確に木材を切断し、組み立てていく。夕方には、素朴ではあるがしっかりとした勉強机が完成した。 その間に、ラブはせつなのネームプレートを作って扉に飾った。 この部屋が、せつなに幸せを与えてくれますようにって願いながら。 そして、荷物が配達される。全員で部屋に運んで配置していく。女の子らしい、可愛らしい部屋に仕上がった。 「よーし、せつなのお部屋の完成だよ! じっくり見たいけど、あたし先に夕ご飯作ってくるね!」 「待って、ラブ。私にも何か手伝わせて」 「今夜はラブが特製ハンバーグを披露するのよね。時間も遅いし、わたしも手伝おうかしら」 ラブの自慢のハンバーグ。付け合せにフライドポテト。インゲンとニンジンのグラッセ。バターで炒めたコーン。 茹でたブロッコリーにコンソメスープ。 せつなも、ラブやあゆみの手先を真似ながら、アドバイスを受けながら手伝った。 『いただきます!』 「今日は一段と美味しいなあ」 「せつながたくさん手伝ってくれたんだよ」 「せっちゃん、とても上手で驚いちゃった」 「そんな……。教えてもらった通りにやっただけです」 みんなで手を合わせて、四人一緒に食べる夕ご飯。一緒に作ったからか、より一層に美味しく感じられて。 自分がこれまで食事と思ってきたものは、一体、何だったんだろうと思う。 美味しいって――――口にした、楽しいって――――笑顔で応えた。 味覚だけでなく、まるで全身で味わっているみたいに感じられた。 お腹だけじゃなく、心の中まで満たされていくように思えた。 「ごめんなさいね、せっちゃん。お行儀悪くって。ラブったら、はしゃぎすぎよねぇ」 「だって……。せつなと一緒で嬉しいんだもの。せつなも楽しいよね?」 「うん、凄く楽しい。食べ終わるのが惜しいくらい――――」 終わるのが――――惜しい? いつまでも――――感じていたい? これが――――幸せ。 力ずくで――――終わらせてきたもの。 この手で――――奪ってきたものなんだ。 カラン せつながフォークを落としてしまう。急いで拾って、少しだけ汚れた絨毯を拭く。 そして、そのまま動きを止めて震えだした。 「せつな、どうしたの?」 「大丈夫よ、せっちゃん。掃除は後でしておくから、冷めないうちに食べなさい」 「ごめん――――なさい」 せつなは顔を伏せたまま謝って、そして走り去った。 パタパタと勢いよく階段を駆け上がる。 部屋に入ってドアを閉めて、そのまま座り込んだ。両手を口に当てて、嗚咽を押し殺す。 涙は流れるにままにした。それは――――誰にも見られることがないから。 ここの暮らしが嬉しくて楽しいほどに、胸は苦しみを訴える。幸せを噛みしめるほどに、罪の重さを知る。 もっと、もっと幸せを感じたいって欲望と、自分の体を八つ裂きにしてやりたいような自責の念。 相反する感情が、せつなを責め立てる。 ここで暮らすと決めたのなら、せめてみんなに心配だけはかけたくなかった。 だから、明るく振舞っていたつもりだった。 でも――――本当は違うんじゃないのか? それを言い訳にして、自分が幸せになりたいだけなんじゃないかって。 そんな気もしていた。 もう、気が付いていた。 本当は、自分こそが、誰よりも強く幸せを渇望していることに。 そんな資格が無いことを知りながら、それでも狂おしいほどに求めてやまない欲望があることに。 ふと、顔を上げる。 今日、みんなで作ってくれた私の部屋。あたたかい居場所。 手作りの机から薫る、優しい木の匂い。 赤を基調に可愛らしく揃えられた、調度品の数々。 ひとつひとつがせつなに語りかけてくる。幸せに、なりなさいって。 いっそ――――夢ならいいと思った。どちらかが――――夢ならいいと思った。 今この瞬間か、それとも過去か。どちらかが、嘘ならいいのにと思った。 そうしたら、自分を殺すことも、生かすこともできるのにと。 コンコン、部屋がノックされる。ラブが心配して様子を見に来た。 せめて――――今だけは、そっとしておいてほしかった。 「せつな、どうしたの? 何かあったの?」 「ごめんなさい。少しだけ、一人にしてほしいの」 ラブに返事は無い。立ち去る気配も無い。 そして、しばらくしてから、くぐもった声が聞こえてきた。 「せつな――――痛いの……。なんか、苦しいの……」 「ラブっ! どうかしたの?」 びっくりしてせつながドアを開ける。その瞬間に、ラブに抱きしめられた。 「ごめん、嘘……。やっぱり――――泣いてるじゃない」 「離して――――お願い、私を……」 「一人になんてしないよっ!」 怒った声でラブが叱り付ける。そして、更に腕に力を入れる。 「あたしが守るって、言ったじゃない。悲しいこと考えるのはやめようって、言ったじゃない……」 「ラブ――――ごめんなさい……」 ラブの身体が、とても小さく感じられた。震える声から、大きな悲しみが伝わってくる。 心配で――――せつなが不安になるほどに。 どちらが慰めているか、わからないほどに。 受け入れようって、決めたのに。ラブの笑顔と幸せを守ろうと誓ったのに。 舌の根も乾かないうちに、逆のことばかりしている。 それが悔しくて、情けなくて、悲しかった。 落ち着いてから、一緒に食卓に戻った。突然抜け出したことを丁寧に謝る。 あゆみは何も聞かずに、冷めたご飯を温めなおしてくれた。 その優しい表情は、何かを察しているようにも見えた。 「今夜は、あたしがせつなのお部屋に泊まるね」 「えっ? でも、せっかくベッドもお布団も用意してもらったのに」 「だから、あたしが泊めてもらうの。これでおあいこだよ!」 本当は、心配で一人で寝かせたくないのだろう。 せつなは、その好意に素直に甘えることにした。 昨夜の繰り返し。穏やかなラブの寝顔を見つめながら思う。 もう、迷うのはこれで終わりにしよう。 自分が成すべきことを果たすまで、その間だけでもいい。 辛くても、幸せと向き合おうと思った。 自分が幸せを求めていることも、認めようと思った。 それに溺れて、誘惑に負けて、目的を見失なわないようにすればいいだけだ。 今度は自分から、そっとラブを抱き寄せた。そして、せつなも目を閉じて眠りに付いた。 その温もりに、誓いを新たにしながら―――― 避2-637へ
https://w.atwiki.jp/fleshyuri/pages/404.html
ラブ「部屋にいても寒いよー」 せつな「ほんとね。11月がこんなに寒いとは思わなかったわ。」 ラブ「そうだ!あたしたちにはとっておきの物があるんだった!」 せつな「とっておき?」 ラブ「そ。」 ラブ「シフォ~ン。やっぱモコモコしてて気持ちイイ~!」 せつな「タルトのしっぽって何か変。むくむくって言うの?」 ラブ「じゃ行くよ!」 せつな「えぇ。精一杯がんばるわ!」 おーしくらまーんじゅーう、おーされて… シフォン「キュアキュアー!」 タルト「ぐふぁ!?」 ラブ「ね!こうして遊んでるとあったかくなるでしょ!」 せつな「って何処触ってるのよラブ!」 ラブ「むはー」
https://w.atwiki.jp/fleshyuri/pages/750.html
桜が散り始める。 四葉町に新緑の季節が訪れる。 いっせいに新芽が吹き出し力強く育つ。 道端では名も無き草花が誇らしげに咲く。 憩いの丘には、シロツメクサの花が絨毯のように広がった。 「はやく~はやく~。 美希たん、ブッキー、せつなぁ。こっちこっち~」 休日を利用して、四ツ葉町の公園の外れにピクニックに来ていた。 この季節特有の緑の匂い。生命力に満ちた薫りに誘われるようにラブが駆け出した。 「どの口で言うのかしら……。 約束の時間に30分も遅れたのはラブとせつなじゃない。まったく」 「まあまあ、美希ちゃん。わたしは待つの嫌いじゃないよ。 心配するのは嫌だけど、ちゃんと連絡あったんだし。急ぐ予定じゃないし、ね?」 「ごめんなさい。美希、ブッキー。 起こして返事あったから安心してたんだけど、寝直してるとは思わなくて……」 以前は、タルトが目覚ましを管理してくれてたんだけど。とせつながこぼす。 いくら正確に鳴って、起きても、それで安心してまた布団に潜っていれば意味は無い。 「もぅ、ラブ。はしゃぎすぎ!」 そう言ってせつなが手を繋ぐ。 ラブが嬉しそうに微笑んで、せつなの手を引くように駆け出した。 あまりに自然な動作に見とれてしまう。 羨ましくなって、ブッキーはそっと美希の顔をうかがった。美希も同じようにブッキーを。 クスッと笑いあって、同じように手を繋いだ。 久しぶりに集まったこともあって心が弾む。楽しみで眠れなくて、逆に寝坊しちゃったラブの 気持ちも頷ける。 みんなピクニックにもかかわらず、可愛らしくおしゃれもしていた。 ラブは淡いピンクのシャツに赤いジャケット。紺のショートパンツ。躍動感溢れる魅力を放つ。 美希は薄いブルーのタンクトップに、丈の長いレギンスパンツ。細く美しい体のラインが引き 立つ。 ブッキーは黄色を基調にしたオールインワン。ゆったりとした生地にフリルが優しさを際立た せる。 せつなは薄いグレーのワンピースに真っ白なボレロ。白いつば広の帽子。紫のリボン。清楚な 佇まい。 初めてラブと出会った時の服にそっくり。ラブとおかあさんのプレゼントだ。 色鮮やかな春の公園にあってなお輝く4つの花。美しい来客の訪れに、春風が包み込むように 歓迎した。 タンポポ。スミレ。チューリップ。レンゲ。アケビ。ヤマブキ。ヤマザクラ。 植物にも詳しいブッキーが、説明を加えながら散策する。 「色んな種類のお花があるのね。私、精一杯頑張るわ」 「せつなちゃん。そんなに必死に覚えなくていいのよ」 「綺麗ね、確かに。これは負けてられないわ」 「何と競ってるの美希ちゃん……」 「たは~これ可愛い! あっちに黄色くてちっちゃいの咲いてる! あ、そっちは紫のつぼみだ。どんなの咲くのかな」 「ラブちゃんは……。ちょっとだけお話聞いてくれると嬉しいな……」 コースを一巡りしたらお昼になっていた。ラブとせつなの自作のお弁当を広げていく。 蒸し鶏。玉子焼き。色とりどりの野菜たっぷりのサンドイッチ。 そして、おかあさん直伝のフルーツサンド。イチゴとキーウィの酸味。ホイップクリームのま ろやかな甘み。 一口食べたら幸せの笑みがこぼれる。 「さっぱりしてて、凄く美味しいわ。さすがはラブとせつなね」 「うぅ。フルーツサンド、凄く美味しい。でも、なんか嫌な思い出があるの」 「ナケワメーケに一緒に挟まれたんだよね。ブッキー」 「爽やかな声で言わないでラブちゃん」 「あの時ね。アタシにとっても楽しい思い出じゃないわね」 「そう、そんなことがあったの。ごめんなさい、ウエスターの仕業ね」 「まあまあ、サンドイッチに罪はないよ。さあ、どんどん食べて!」 「ラブは食べすぎ!」 お腹が一杯になったら、休憩を兼ねてお話した。 話すことはたくさんある。 ラブのダンスレッスンのこと。ソロダンサーとして、より厳しいレッスンを続けている。 美希のモデルデビューのこと。雑誌にも載って大活躍している。学校にあまり通えないのが辛 いとか。 ブッキーの勉強が順調なこと。成績だけじゃなく、病院の手伝いでも最近はあてにされている らしい。 そして、せつなのこと。 あれ……。せつなの話題が出ない。どうして……。 一休みしたら湖のボートに乗ることにした。 白鳥をモチーフにした美しいボート。ラブはせつなと。美希はブッキーとそれぞれ乗り込む。 こぎ手はラブと美希。せつなとブッキーは活動的な服を着ていないため、汚さないように慎重 に腰をかけた。 「見ててせつな。ダンスで鍛えた体力を!」 「もう。そんなに急がなくてもいいわよ。見て、水鳥が並んで泳いでいるわ」 爽やかな風。青い水面を太陽が照らし、金色の光を放つ。オールがはじき出す水しぶきと水玉 が、まるで宝石のように輝く。 「素敵。ほんとうに綺麗よ、ラブ」 「気に入ってもらえてよかったよ、せつな。せつなも凄く綺麗だよ」 「えっ、やだっ! 何言ってるのラブ。恥ずかしいわ」 「たはは、よ~し、飛ばすよせつな。たぁぁーーーー」 スワンのボートがどんどん加速する。その反対には美希の操るボートが迫ってきていて。 「ラブ! 危ないっ、ぶつかるわっ」 「きゃあぁ! 美希ちゃん衝突する」 『わぁぁーーーーーーーーーーー!』 ドーーーーーーーーン! 「わぁぁーーーーー」 ラブはがばっと飛び起きた。心臓がバクバク音を立てている。手が汗ばみ、呼吸が乱れている。 「ちょっと、突然飛び起きたらびっくりするじゃない。ラブ」 「大丈夫、ラブちゃん? 嫌な夢でも見たの?」 落ち着いて状況を確認する。ここは……レジャーシートの上だ。洋服も濡れていない。 食べ終わったお弁当箱がまだ出ている。 美希たんとブッキーは食後らしく、ゆったりとくつろいでいる。 そして、せつなは。 せつなは――――居ない。 ここには――――居ない。 どこにも――――居ない。 「本当に大丈夫? ラブちゃんはお昼食べ終わったらそのまま寝ちゃってたんだよ」 「しっかりしなさいよ。って、本当に顔色悪いわよ。ラブ」 「美希たんっ! ブッキーっ! せつなは? せつなはどうしたの?」 「落ち着いてラブ、せつなはここには居ないわ。ラビリンスに戻ったのよ。知ってるでしょ」 「ラブちゃん……せつなちゃんの夢を見たのね」 ここには居ない。どこにも、居ない。 わかってる。そんなのわかってる。 誰より――――わかってる。 でも、夢にしてはあまりにも生々しくて。 柔らかい手――温かい体温――優しい声――可愛らしい仕草。 ついさっきまで感じていた――幸せ。 「っ……」 喪失感が心を蝕んでいく。 ぽたり。頬を辿り、涙が一筋零れ落ちた。 一度も、人前では、一度も泣いたことがなかったのに。 とめどなく零れ落ちる。嗚咽も止まらない。 「いな……いの。せつな……が。せつなが……いないよっ」 わっと、ラブが大声で泣き出した。 ずっと、ずっと笑顔で頑張ってきた。せつなの幸せは自分の幸せだから。そう言い聞かせてき た。 でも……寂しいよっ。 やっぱり……さびしいよっ。 せつなに……会いたいよっ。 「泣かないで、ラブちゃん。会えるから! きっと、信じていれば、いつか会えるからっ」 「甘えてるんじゃないわよ、ラブ。せつなはひとりで頑張っているのよ。 アタシたちがこんなことでどうするの」 そう言う2人も涙を浮かべていた。しばらく3人で抱きあって、声をあげて泣きじゃくった。 バササッ 頭上で鳥の羽ばたく音がした。 ひらり。ひらり。羽が舞い降りてくる。 3人は空を見上げる。 抱き合った状態で見上げる姿は、まるでつぼみが花を開くようだった。 「あたしも、飛べたらいいのにな……」 ポツリ、とラブが呟く。 プリキュアになって、色んな経験を積んで、何でも出来る気になっていた。 でも、本当は非力で、とっても無力で……。今は、小鳥ほどの力もないような気がした。 「飛べるよ。どこにだっていけるよ。どんな願いも叶うよ。わたし、信じてる。 だって、ラブちゃんの背中にはいつだって翼が生えているんだから」 「アタシはせつなの気持ちを知っているもの。せつなはきっと帰ってくるわ。 いつか会える。希望を持ち続けていれば、いつか、必ず」 鳥の飛び去った方向に湖があった。ボートがいくつか浮かんでいる。 せつなと一緒に、夢で乗ったスワンのボート。 「そうだね。行こう! 美希たん、ブッキー」 ラブは2人の手を取って駆け出した。 そして、心の中で語りかける。 せつな。 あたしね、せつなの夢を見たんだ。 幻でも、嬉しかったよ。 あたしは、あたしたちは、きっと幸せを掴むから。 だから、せつなも、必ず幸せになってね。 そして、みんなで夢を叶えたら。 また、いつか会おうね。 心はずっと繋がってるよ。 でも、せつなの全てを感じていたいから。 同じ時間を過ごしたいから。 ラビリンス首都。 中央議会議事堂。復興計画対策本部。 「イース。おいっ、イース起きろ」 「もうじき、君のプランの発表だ。起きたまえ」 「う……ん。――――ここは?」 夢だったと……いうの? 不思議なほど現実感のある夢だった。余韻に引きずられる思考を無理やり引き戻す。 このところ徹夜続きだった。とは言え、大切な会議中に居眠りは迂闊だったと恥じる。 「本当に大丈夫なのか?」 「順番を遅らせてもらうかい?」 「ごめんなさい。平気よ」 姿勢を正し、胸を張って壇上に向かう。 「ラビリンスに緑を! そして憩いの場を設けます。 私は異世界で見てきました。非効率と思われるもの。無駄と呼ばれるものの中にこそ、幸せが 宿ることを。 人はひとりでは幸せになれません。そして、人間は人間だけでは、やはり幸せにはなれないと 思うのです」 理念と構想。事業と予算。綿密な調査に基づいた具体的な計画が、情熱を持って語られた。 巨大な功績と尊敬。そして現実の体験を伴った説得力のある提案に、会場中から拍手が沸き起 こる。 せつなは心の中でそっと語りかけた。 ねえ、ラブ。あなたの夢を見たの。 美希がいて、ブッキーもいて、白鳥のボートに乗ったの。 夢だなんて思えないくらい幸せな時間だった。 心が、今でも、ずっと繋がってるからかしらね。 心だけじゃない。夢だって繋がってるわ。 そして、いつか現実も繋げてみせるから。 ラビリンスが四ツ葉町に重なるような世界になったら。 そしたら、きっと、帰るから。 だから、待っててね。ラブ。 私、精一杯がんばるわ。
https://w.atwiki.jp/fleshyuri/pages/802.html
せつな 「ねえ、ブッキー。何してるの?」 ブッキー 「動物占い。おもしろいよ」 せつな 「へえ、私は何かしら?」 ラブ・美希「犬!」 せつな 「ラブと美希には聞いて無いわ。というか、なんでハモるのよ」 ブッキー 「あはは、せつなちゃん素直で真面目だものね。犬みたいに」 せつな 「じゃあ、犬なのかしら?」 ブッキー 「残念、犬は無いのよ。十二種類の動物に例えられるの。せつなちゃんはゾウかな」 ブッキー 「えっとね、ゾウの特徴。真面目・一途・努力家。そして、頑固で自信家で強がりを言う」 美希 「あはは、ホントせつなそのものね。凄く面白いわね」 せつな 「フンだ。美希は何なのよ」 ブッキー 「美希ちゃんは黒ヒョウ。美人でおしゃれ。弱みを見せない女王様タイプ。仕切り屋で攻撃的な一面も」 せつな 「なるほど、ピッタリね」 美希 「なんか、どこで納得されてるのか非常に気になるんだけど……」 ラブ 「あたしは猫かな?」 ブッキー 「猫も無いのよ。ラブちゃんは猿」 ラブ 「さっ……猿~~?」 ブッキー 「猿の特徴はね、明るく活発。世話焼きで、賑やかな場所を好む。おだてに弱いお調子者」 美希・せつ「あたってるわね」 ブッキー 「最後に、わたしは狸。愛嬌があって受身。天然でかわいい」 ラブ 「ちょっと貸して」 ブッキー 「あぁ、ダメ! ラブちゃん」 ラブ 「え~と、タヌキはね。かわいいとは書いてないよ? なんにでも化けられる。根拠のない自信を持っている。だって」 美希 「へ~自分だけ都合のいいことを言ってたのね」 せつな 「ブッキーは化けてるのね? 自信、あるのね」 ブッキー 「なっ、ないよ。化けてもいないよ。全部当たってるわけじゃなくて」 美希 「このさい、ブッキーの正体を調べてみましょう。自信の根拠もね」 ラブ 「くすぐってみる? あ、葉っぱを取ったら変身解けるとか聞いたことあるよ」 ブッキー 「きゃあ、やだやだ! あは、あはははは、くすぐったい、やめて! それに服を脱がさないで! たすけて~」 タヌキの本日の運勢。対人関係に注意。口は災いのもと。――――合掌。
https://w.atwiki.jp/fleshyuri/pages/48.html
せつな「ラブ喜んでくれるかな・・・」 ラブ「たっだいま~!お・や・つ♪お・や・つ♪って あ!お花だ~♪キレイ・・・。でも見た事ないなあ、、、。 ???アザレアって書いてある。」 せつな「お帰りなさい。今ドーナツ出すから。」 ラブ「キレイなお花だね☆せつなが買ってきたの?」 せつな「うん。ラブにプレゼントしようと思って。」 ラブ「嬉しい♪ありがと、せつな♪」 せつな「後で・・・、アゼレアの花言葉調べてくれると・・・、嬉しい。。。」 花言葉は 「愛されることを知った喜び」もちろんお花は赤です♪