約 683,637 件
https://w.atwiki.jp/apgirlsss/pages/936.html
ねぎぼうの140文字SS【3】 1.ラブせつで『目を閉じて、三秒(その2)』/ねぎぼう (明日の特訓に備えてしっかり休養をとらないと) 目を閉じて、三秒…… 焼き付いた悪夢。 絶望と悲惨の魔女が命を踏みにじっていく。 そしてシフォンの裏の姿。 あれから口をきいていないラブが眠っているのが ベランダから見える。 本当は一緒にいられれば…… そうさせなかったのは元戦士のプライドか。 2.ラブせつで『たった一分でいい』/ねぎぼう 「たった一分でいいからもうちょっと……」 「わかったわ。――3、2、1、はい、らぁーぶぅーおきなさぁーい!」 「ひぃーっ」――「せつな、いきなり背中に氷なんてびっくりしちゃうよ」 「ラブが一分っていいって言ったから、それまでは待ったのよ」 「それなら違う起こし方がいいなあ」 「……馬鹿」 *4.はその後のお話。 3.ラブせつで『恋、拾いました』/ねぎぼう 風が舞って空から帽子が飛んできました。拾った向こうで微笑んでたあの子。 初めての出逢いはちょっとミステリアス。そして今日はなんて偶然! 初めての半分こ、そして、驚きの『大当たり』! あの子と一緒にいると幸せになる……いえ、なりたいと思っちゃうんです。 帽子と一緒に、恋、拾いました! 4.ラブせつで『最終手段』/ねぎぼう 「こうなったら最終手段よ」 手には伝家の宝刀・氷。 (でも、違う起こし方がいいって言ってたわね) 氷を口に加えるとそのままラブの首筋に……甘い薫りにせつな自身の鼓動が高鳴る。 「っぴゃあっ!」―― 「あーびっくりした。でも冷たい中に何か柔らかいものが……って、せつな、顔真っ赤だよ!?」 5.ラブせつで『だいたいあいつのせい』/ねぎぼう だいたいあいつのせいだ。 あいつのせいで私はメビウス様に見限られることになったのだ。 メビウス様のお役に立つ、それだけのために生まれて、生きてきたのがこの私だ。 ならば、あいつに……友達などと思い込んでる馬鹿なあいつに……喪う不幸をぶつけてやる。 まあ、そう思う私が馬鹿なのかもな。 6.ラブせつで『男のロマン』/ねぎぼう 桃園ラブ。初めて出逢った時から東せつなを信じた女の子。 ひた向きにせつなの幸せを願い、ありのままの自分を曝す。 使命に傷ついたイースの痛みを共有することすら厭わず、拳の痛みに耐え抜いた。 そしてついにせつなの心に愛が生まれた。 これこそが純情漢女の男のロマンなのだ。 幸せ、ゲットだぜ! 7.ラブせつで『照れ隠しの仕草』/ねぎぼう 絆創膏だらけの指のその訳は照れ隠しのように誤魔化してた。 「慣れないこと、するからよ……」 でも、どんなに針を指に刺しても 「ちゃあんとウサピョン治してあげるんだ!」って頑張ってたのを見てたから。 貴女にだけ聴こえるよう「でも、そういうラブ、大好きよ」 私だけに見せる照れ隠しの仕草。 8.ラブせつで『普通の尺度』/ねぎぼう 「ラブが今度ラビリンスでツアーだって」 「せつなちゃんに会うんだ?」 「その後はラビリンスの出身者がいる世界を回るから、せつなも帯同するって。 『世界に通じる愛』と『ラビリンスの皆を笑顔にする』って随分大きなスケールなのね」 「ラブちゃんとせつなちゃんにとってはそれが普通の尺度なのよ」 9.ラブせつで『それ以上は許さない』/ねぎぼう キュアピーチに白い敵が次々と押し寄せてくる。倒しても倒してもその数は増えるばかり。 「覚悟しなさい」 「それ以上は許さないから!」 “ば○え~ん“ “うわあああ~“ ――「私の勝ちね」 「パッション強すぎ」 すごろく空間でのぷ○ぷよ対決。敗者は一回休みか勝者の命令に従う。 勿論選んだのは…… 10.ラブせつで『嘘、だったりして』/ねぎぼう 「ごめんなさい、せつな。ニンジンもちゃんと買いました」 「おばさまにもね」 「ついでにピーマンも買いました」 顔が青くなるせつな。 「嘘、だったりして」 脱兎の如く逃げ出す。 「もーっ、私から逃げられるとでも思ってるの?」 「捕まえて、くれるよね?」 『こあくま』の悪戯に今度は顔が赤くなる。
https://w.atwiki.jp/fleshyuri/pages/1072.html
ごくごく普通の、どこにでもあるような家庭だった。ほんのちょっとだけ裕福で、ほんのちょっとだけ敷地が広くて。 うんと優しいお父さんとお母さんの間に生まれた、ごくごく普通の女の子だった。 「お父さん、これは?」 「おまえが、ずっと欲しがっていたものだよ。開けてごらん」 それは、その子の五歳の誕生日のこと。 かねてより、おねだりしていたテディベアのヌイグルミを、お父さんが買ってきてくれたのだ。 テーブルの上には、五本のローソクが並んだ、大きなお誕生日ケーキ。そして、所狭しと並んだご馳走の数々。 そんなものには目もくれず、少女はもらったばかりのヌイグルミに夢中になった。 「テディベアちゃん? クマちゃんでいいよね! ずっと、お友達でいようね」 「大切にするのよ」 いつも一緒だった。雨で家の中にいる日も、お父さんとお母さんの帰りを待つ時間も、ヌイグルミと一緒なら苦にならなかった。 外でも一緒だった。晴れて公園で遊ぶ日も、お友だちと追いかけっこして遊ぶ時間も、ヌイグルミと一緒に手をつないで走った。 寝る時も一緒だった。お勉強する時も一緒だった。ずっと、こんな時間が続くと思っていた。 その時が、来るまでは―――― 『幸せの赤い翼――――おもちゃの国は秘密がいっぱい!?(古き友の呼び声)――――』 ラブ――――ラブ――――ラブ―――― ラブ――――ラブ―――― 誰かの呼び声が聞こえたような気がして、ラブはキョロキョロと辺りを見渡す。 「えっ? 今、なにか言った?」 「どうしたの? ラブ」 「なにも聞こえないわ」 「わたしも、なにも聞こえなかったよ」 「寝ぼけとんとちゃうか? 昨日も夜更かししてたみたいやし」 「失礼ね~、昨日はお部屋のお片づけしてたから」 「普段から、ちゃんとしてないからそうなるのよ」 「いや~、それを言われると……」 明日、公園でフリーマーケットが開催されるらしい。張り紙を見た四人は、不用品を集めて出品することにした。 美希は迷わず山のように、祈里は慎重に見極めて、ラブは、迷った挙句に何も出せずに……。 それでも、しぶしぶ古着や古雑貨などをカバンに詰めていった。 「せつなの準備は進んでるの?」 「私は、不用品なんて持ってないもの。みんなのお手伝いをするつもりよ」 「そっか、せつなちゃんの持ち物は、どれも買ってもらったばかりよね」 「それに、古くなっても売ることなんてできないわ。だから、本当に使えなくなるまで新しい物もいらない」 「ええっ~、どんどん買ってもらって、全部大切にすればいいじゃない」 「そうして、ラブの部屋のクローゼットみたいにごちゃごちゃになるんでしょ? お断りよ」 「そういうラブちゃんも、あんまり新しいもの買わないね」 「それでも物がたまるのは、整理整頓ができてないからよ。整頓の前に整理。不用品を処分しなきゃ」 「だって、全部大切な物だから……。捨てるなんてできないよ」 「そのためのフリーマーケットでしょ? 帰ったら、ちゃんと、もう一度整理するのよ」 「はぁ~い」 出品場所の確認と打ち合わせを終えて、四人は一端家に帰ることにする。 「それじゃ、また後でね」 「夕方、ラブちゃん家に伺うね」 「うんっ! 待ってるね~」 「ラブ。夕方って、フリーマーケットは明日のはずじゃあ?」 「明日の朝は早いでしょ? それなら、せっかくだから今夜はパジャマパーティーやろうと思って」 「パジャマパーティー?」 「えへへ、後のお楽しみ。せつな、今夜は寝かさないよ?」 「ええっ? 一体なんのことなの」 「ふわぁ~あ、結局、今夜も夜更かしかいな。付き合うこっちがもたへんわ」 「ぱじゃま、ぱーてぃー、キュア~」 不思議そうなせつなの表情を横目に見ながら、ラブはメモ用紙を取り出す。 じゃがいも、たまねぎ、カレールウ、それに……。 せつなが横から覗き込む。 「お買い物して帰るのね。メニューはカレーライス? それにしても、ずいぶん量が多いのね」 「そうだよね、ニンジンくらいは減らしても……」 「ダメよ、ラブ。ちゃんと書いてある通りに買わなきゃ」 「それじゃ、あたしの分も食べてくれる?」 「それもダメ。同じだけ食べてもらうわよ」 「ええっ~」 二人は、買い物をするために商店街へと急いだ。 大きな荷物を抱えた美希と祈里が、ラブの家の玄関の扉を叩く。 手持ち無沙汰だったせつなが、真っ先に駆け寄ってドアを開けて出迎えた。 「いらっしゃい、美希、ブッキー」 「美希たん、ブッキー、待ってたよ~」 「ありがとう、お邪魔します。おじさん、おばさん、ラブ、せつな」 「今夜一晩、よろしくお願いします」 「どうぞ、ゆっくりしていってね」 ラブの部屋に着いた美希と祈里は、タルトを押入れの中に閉じ込めて、すぐにカバンからパジャマを取り出して着替えていく。 突然服を脱ぎだして、下着姿になる美希と祈里に、せつなは驚いて目をパチクリさせる。 ラブに事情の説明を求めようとして、ラブも脱いでいることに気が付いた。 「ちょっと、一体なに? 食事も済んでないし、お風呂もまだよ、どういうことなの?」 「いいから、せつなも着替えて。パジャマパーティーなんだから、まずはそこから始めなきゃ!」 一足先に着替え終わったラブが、せつなの部屋にパジャマを取りに行く。 「嫌よ! 私は自分の部屋で着替えるわ。ちょっと、脱がさないでったら!」 「観念しなさ~い、これもコミニュケーションのうちよ」 「わたしたちは、小さい頃からで慣れっこだから」 ラブが戻ってきた時には、下着姿で涙を浮かべて睨んでるせつなと、すっかり着替え終わって苦笑している美希と祈里の姿があった。 「衣服ってのはね、気持ちに影響を与えるの。確かにちょっとだらしないけど、落ち着けるのよね」 「心も身体もリラックスして、ゆったりと時間が流れるのよ」 「フンだ。そんなんで、誤魔化されないんだから!」 「まあまあ、せつな。ふざけっこは仲良しのしるしだよ」 それから、トランプ遊びをした。神経衰弱に、ばば抜き、そして、ポーカー。どれもせつなが圧倒的に強く、罰ゲームで美希と祈里がひどい目にあったのは言うまでもない。 このトランプは、唯一、せつながラビリンスから持ち出したものだった。 「そろそろ夕ご飯の支度しなきゃ。今夜はカレーだよ」 「オーケー、何でも手伝うわ」 「わたし、自信ない……」 「美希は料理するのね?」 「その意外そうな口調は何よ? アタシは調理も得意なんだから」 「完璧って口にしないところが、ポイントよね」 「言ったわね! こうなったら料理勝負よ、せつな」 「受けて立つわ。ラブ以外には負けないんだから!」 「ちょっと、二人とも仲良くしようよ~」 「大丈夫だよ、ブッキー。さあ行こう!」 調理が始まる。ラブは鮮やかな手付きで野菜の皮をむいて、牛肉の下処理に取りかかる。 ジャガイモとニンジンをカットするせつなと、タマネギを刻む美希の包丁裁き対決は……食材選びの時点で決着がついていた。 「いっただきま~す!」 『いただきます』 祈里が遠慮がちに小声で祈りを捧げた後、みんなで夕ご飯をいただいた。 祈里は軽く、美希はもっと軽く、せつなはしっかりと。ラブは、盛り付けは普通だったが……。 「おかわり~」 「ちょっと、ラブ。食べすぎよ?」 「平気、平気。この後、枕投げで運動するんだから」 「どれほど投げる気なのよ……」 「でも、せつなも思ったより食べるのね」 「ラブがこうだもの。つい、つられてたくさん食べちゃうの」 「あっ~! せつなったら、あたしのせいにするんだ?」 「ラブちゃんって、楽しい時ほどたくさん食べるのよね」 「なるほど、せつなと暮らすのがよっぽど楽しいわけね」 「もう、からかわないで!」 賑やかな食事が終わり、それぞれが後片付けに取りかかった時、突如異変は起こった。 バラエティの放送中だったテレビ番組が、臨時ニュースに差し替えられる。 現在、街中から子供たちの玩具が消失する怪現象が起こっています。原因はまだわかっておりません。 販売店からも、各家庭からも、例外なく消えているらしく―――― ただ今、新しい情報が入りました。この現象は、世界各地で起こっている模様です。 また、詳しいことが判り次第―――― ラブ、美希、祈里、せつなの表情が変わる。怪現象、それは即ち、ラビリンスの襲撃を意味していた。 わからないのは、世界各地で起こっているということ。これまで、ラビリンスの攻撃による被害は、街の外に及んだことはなかった。 「ともかく、様子を見に行こう!」 『ええ!!!』 四人は、パジャマに上着だけを羽織って飛び出した。 家の外は、酷い有様だった。 家庭のおもちゃ。外で遊んでいる子のおもちゃ。喫茶店のマスコットや、キッズルームのおもちゃ。もちろん、玩具屋さんの商品も根こそぎ消えていた。 街は、消えたおもちゃを探す人々、警察や玩具屋さんに事情を問い詰める人々、泣き喚く子供たちなどで溢れ返っていた。 建物が壊されることを思えば、それほど深刻な事態とは言えないだろう。しかし、これまでの襲撃とは比較にならないほど被害が広範囲に及んでいた。 何より、全ての子供たちから笑顔が失われるのだ。それは、大人たちの気持ちにも影響を与えて……。 街全体が、暗い雰囲気に包まれようとしていた。 「あなたも、おもちゃを無くしてしまったの?」 「ひっく、だいじな……だったのに。お父さんから……。わあぁーん!」 とりわけ悲しそうにしている小さな男の子に、せつなが近づいてそっと声をかける。 その子はついに堪えきれなくなり、堰を切ったように泣き出した。 「そうなの……。単身赴任で遠くに行ってしまった、お父さんからの贈り物だったのね」 「ひどいっ。こんなこと、許せない!」 「子供たちから、不幸を集めるなんて……」 「心配しないで、私が――――。ううん、プリキュアが、必ず取り戻してくれるから」 せつなの力強い言葉に励まされたのか、その子もようやく泣き止んだ。 とは言え、今回は肝心のナケワメーケの姿が見当たらない。これだけ被害が広範囲だと、居場所の絞込みすらできない。 男の子を家まで送り届けた後、ひとまず帰って対策を立てることにした。 せつなはラブの部屋に戻ると、ためらわずにパジャマを脱ぎ捨て、昼間の服に着替えた。明るい部屋に、雪のように白く美しい肢体が舞う。 先ほど、恥ずかしがっていたのは何だったのかと思うくらい、周りの視線を気にする様子もない。 ラブ、美希、祈里は、顔を見合わせてから、同じように着替えた。 「これだけ広範囲に、一度に働きかける特殊能力……。サウラーのナケワメーケに違いないわ」 「でも、今頃どうして? もう、不幸のエネルギーは必要ないんじゃなかったの?」 「そのはずよ。奴らの目的も、シフォンの奪取に絞られていたもの」 「理由なんてどうだっていいよ! とにかく、早く倒して取り戻さないと!」 「いや、それなんやけどな。どうもラビリンスの仕業やなさそうなんや……」 「どういうこと?」 「よう見てみ? あいつらがやったんなら、クローバーボックスが光るはずやろ」 「確かに、沈黙したままね」 クローバーボックスは、シフォンの危険を知らせる能力を持つ。もしラビリンスの力が働いているなら、その発現地点まで映し出すはずだった。 「でも、ラビリンスじゃないなら、一体誰がこんなことを?」 ラブ――――ラブ――――ラブ―――― ラブ――――ラブ―――― 「ちょっと今、大事な話してるから待っててね。って! また、聞こえたよ!?」 「今のは、アタシも聞こえたわ」 「怖い。まさか、お化けなんじゃ?」 「みんな落ち着いて。確か、そこのクローゼットの中からよ」 「不思議な声……。初めて聞くはずなのに、なんだか懐かしいような」 「ラブ、気をつけて!」 「おともらち、よんでる。キュア・キュア・プリップ~」 ラブが立ち上がり、声の主を確認しようとする。それより早く、シフォンが宙に浮き上がり、額から力を放った。 クローゼットに命中した光は、やがて内部に吸い込まれる。 そして、音もなく扉が開き、中から一体のヌイグルミが飛び出してきた。 ピンク色の、ウサギのヌイグルミ。それが、フワリと宙に浮き、ラブの名を呼ぶ。 かなり古いものらしく、また、かなり使い込んだものらしく、色あせ、ところどころ破れて、中の綿が飛び出してしまっていた。 「ウサピョン!」 「ウサピョンって?」 「あたしが小さい頃に、よく遊んでいたヌイグルミなの」 「ヌイグルミが、なんでしゃべってんねん!?」 「あなただって、しゃべるフェレットじゃない?」 「ちゃうわ! わいは、可愛い可愛い妖精さんや!」 「はいはい、とにかく今はこの子の話を聞きましょう」 美希の言葉に頷いて、ヌイグルミは、今度はしっかりと話しだす。 「おもちゃや人形たちはね、本当に心の通ったお友達となら、お話ができるのよ」 心が通えば、おもちゃだって会話ができる。だから、自分はみんなのことを全部知っているのだと。 もっとも、これほど自然に話せるのは、シフォンの手助けによるものらしい。 「それで、あなたはどうして無事なの?」 「街のおもちゃは、みんな消えてしまったのよ」 「それは、トイマジンと呼ばれるヤツの仕業よ。なぜか、あたしにはその力が届かなかったの」 「なるほど。シフォンか、クローバーボックスの力で守られていたのね」 ヌイグルミ、ウサピョンの話によると、この世界からおもちゃが消えたのは、おもちゃの国に住むトイマジンと呼ばれる者の仕業らしい。 おもちゃの国は、役目を終えたおもちゃが集まって生まれた場所なんだとか。本来は、新しいおもちゃや、大事にされているおもちゃが連れて行かれることはない。 トイマジンはその禁を破り、世界制服の手始めとして、子供たちから全てのおもちゃを奪ったのだ。 「お願い、あたしと一緒におもちゃの国に来て! トイマジンの野望を止められるのは、プリキュアだけなの」 「わかった。あたし、行くよ。だって、ウサピョンは友達だもの。友達を助けるのは当たり前でしょ」 「ちょっと、ラブ! いきなり異世界に飛び込むなんて無茶よ!」 「落ち着いて、ラブちゃん。その国のこと、相手のこと、何もわかってないのよ?」 「行きましょう。ラブ、美希、ブッキー」 「せつなっ!」 「せつなちゃん?」 「この街の子供たちが、泣いている。戦う理由なんて、それだけで十分よ」 せつなの瞳が、闘志で燃え上がる。静かな口調に、返って怒りの深さがうかがえる。震える拳を開いて、リンクルンを取り出した。 美希と祈里も、頷いて立ち上がる。止めたところで、せつなは一人ででも行くだろう。何より、困ってる人々を助けたい気持ちは同じだった。 「行こう! 約束したものね。プリキュアが、必ずおもちゃを取り返すって」 「そうね、覚悟を決めましょう!」 「取り戻そう、わたしたちの手で」 「ウサピョン、おもちゃの国を強くイメージして」 「うん、まかせて」 「おもちゃの国へ!」 アカルンの輝きと共に、四人と一匹と二体は、時空の壁を越えて飛び立った。 おもちゃの国に到着した一行の前に、大きな門が立ちはだかる。建物の外周は高い壁で覆われており、他に出入り口はなさそうだった。 よく見ると、プラスチックのブロックで出来ており、規模の大きさに比べて、威圧感はまったくと言っていいほどなかった。 早速、守衛に問い詰められたものの、ウサピョンが用意していた精密なパスポートにより、事も無く入国が許された。 「ここが――――おもちゃの国?」 「わはっ、なんだかすっごく楽しそう!」 「どこも、とっても可愛い!」 「キュア~」 積み木とブロックで作られた建物には、大小様々な動物のオブジェが飾られている。 床はジグゾーパズルで出来ており、路面にはモノレールやミニカーなどが、縦横無尽に走り回る。 和洋、今昔、ごったまぜの人形やロボットが、自在に街を闊歩する。 どこまでも自由で、奔放で、はちゃめちゃで―――― それは、まるで子供のおもちゃ部屋のようでもあった。 「遊びに来たんじゃないのよ、ラブ。ここはもう、敵の手の内と考えていいわ」 「ごめん、そうだった」 「しかし、なんや、リアリティのない国やなあ」 「タルトがそれを言う?」 「そうよ、お菓子の国の王子のクセに、偏見はよくないわ」 「そんなことまで知っとるんかいな……」 ウサピョンにやり込められるタルトの様子を笑いながらも、せつなは周囲に対する警戒を高めていった。 異世界に慣れているせつなには、この世界に対してもみんなほどの驚きはない。 噴水広場にたどり着いたところで、ウサピョンに向き直る。 「こうしていても始まらないわ。トイマジンというのはどこにいるの?」 「それが、あたしにもよくわからないの」 「だったら、その辺の人に聞いてみればいいよ!」 「そうね」 「果たして、人と言えるかは微妙だと思うけど……」 街の住人たちは、皆、陽気で、声をかけたら親切に応対してくれた。 一緒に遊ぼうと誘う者、探し物があるなら手伝うと名乗り出る者、色々だった。しかし―――― 「アタシたちが探しているのは、トイマジンというの。何か知ってるなら」 「知らない! 知ってても教えるものかっ! もう、構わないでくれ」 「ソンナモノハ、コノマチニハ、イナイ。デテイケ! デテイケ!」 「聞こえない。わたしには質問の意味がわからない。さようなら~」 「みんな、どうしちゃったんだろう? 名前を聞いただけで逃げ出すなんて……」 「ラビリンスにおけるメビウスのように、絶対的な存在なのかもしれないわ」 「あっ、あっちにおまわりさんがいるよ、聞いてみよう!」 「待って! ブッキー」 祈里は、犬のおまわりさんの人形に話しかける。 動物の姿に安心したのか、警戒心も持たずに、単調直入にトイマジンについて質問する。 人懐っこいダックスフンドの表情が、たちまち険しいものとなる。 ワン! ワン! ワン! と、立て続けに吠えると、首に掛けていた笛を思いっきり吹き鳴らした。 それを合図にして、周囲のおもちゃたちが一斉にその場を逃げ出した。 「誰も……いなくなっちゃった」 「ワンちゃんも逃げちゃったね」 「違う――――もう、既に囲まれてるわ」 ザッ、ザッ、ザッ 規則正しい足音が、遠くから聞こえてくる。 その数は徐々に増えていき、その音は徐々に大きくなっていき―――― やがて姿を現す、無数の人形の群れ。 それは、きらびやかな赤い軍服を着て、黒くて長い毛皮の帽子を被る者。 ピカピカと輝く鉄砲や剣を持ち、颯爽と行進する衛兵たち。 おもちゃの兵隊と呼ばれる、この国の軍隊だった 百を超える銃口が、一斉にせつなたちに向けられる。 「はは……じょ、冗談よ、ね?」 「おもちゃのピストルだから、当たっても痛くないとか?」 口を開いた美希と祈里の間を狙って、兵士の一人が威嚇射撃を放つ。 轟音とともに、後ろの噴水の壁が一部砕け散る。 顔色を変えて、せつな以外の全員が両手を挙げる。 帽子に飾りをつけた、隊長らしき者がせつなたちに投降を呼びかける。 「お前たち、一体どこから来た? 街の治安を乱したからには、ただではすまさんぞ」 「治安を乱したって……、あたしたちはトイマジンの居場所を聞いただけだよ!」 「――――反抗の意思とみなす」 隊長の手が垂直に振り上げられ、そして、降ろされる。それを合図に、一斉に銃口がラブに向って火を噴く。 ドン! ドン! ドン! 「きゃっ!」 「危ないっ!」 せつながラブに飛びついて、とっさに弾丸から身をかわす。 「ラブっ!」 「ラブちゃん! せつなちゃん!」 「よくも……、やってくれたわね」 美希と祈里が二人を庇って前に出る。それを押しのけるようにして、怒りの形相のせつながリンクルンを構える。 美希と祈里も、頷いて、それぞれ変身の体勢をとった。 「あくまで刃向かうというのならば、もう容赦せぬぞ」 「容赦なんて、初めからしてないクセにっ!」 「待って!!」 隊長に向って、ウサピョンが抗議する。いよいよ一触即発のムードが漂う中、ラブの声が響く。 「おもちゃの兵隊さんたち、あたしたちをどうするつもりなの? それだけ聞かせて」 「素直に従うなら、おもちゃ城の地下牢に投獄する。処分は、国王様がお決めになる」 「わかった。抵抗しないから、乱暴なことはしないで」 ラブは前に進み出て両手を上げる。それに合わせて、兵隊たちも銃口を降ろした。 「ラブ、このまま捕まっちゃうつもり?」 「何をされるかわからないよ?」 「この数相手じゃ、ウサピョンたちまで守り切る自信がないの。それに、国王様と会えるなら、何かわかるかもしれないでしょ?」 「そうね、いざとなったら変身して逃げ出せばいいわ」 「ついて来い」 幸いにも、拘束するつもりはないようだった。 おもちゃの兵隊に囲まれて、せつなたちは連行される。 おもちゃの国の中央にそびえ立つ、おもちゃのお城に向って。 新-558へ
https://w.atwiki.jp/apgirlsss/pages/476.html
【逝く夏とともに】/恵千果◆EeRc0idolE 夏休み最後の日曜日、せつなとラブは、美希とともに祈里の家にお呼ばれしていた。 「ヤッホー、ブッキー」 「お邪魔しまーす」 「ブッキー、こんにちは」 「いらっしゃい!」 笑顔の祈里が、元気いっぱいに出迎えた。 身につけているのは、彼女をいちばん美しく見せる色。 爽やかなライムグリーンのブラウスに、レースをあしらったクリームイエローのミニスカートを合わせていた。 その装いはまるで、駆け抜けようとしている夏を惜しむ花の精のような、そんな儚さをたたえている。 彼女は今日、みんなを精一杯もてなそうと張り切っていた。 昨日から父や母を手伝い、余念なく準備をしていたのだ。 みんな、喜んでくれるかな?ふふっ。 みんなの驚いた顔を思い浮かべると、自然と浮足立ってくる。 今にもはしゃぎ出しそうな祈里を見て、お客の3人は口々に言う。 「ブッキー、今日の服とっても可愛いね!」 「ほんとね」 「おめかしして、スキップまでしちゃって、何かいいことでもあった?」 「いやだなー、何にもないよ。ただ皆と楽しく過ごしたいだけだってば」 話しながら4人が辿り着いたのは、山吹家の裏庭。 その真ん中に鎮座しているのは、若草色の装置だ。それを初めて見たせつなには、ミニサイズの滑り台に見える。 「キャー!やったー!」 「おじ様の手作り、久しぶりね!」 その装置を見たラブと美希は、喜びの悲鳴をあげている。 わけがわからずポカンとしているせつなの背中を、祈里がそっと押した。 「せつなちゃん、こっちこっち」 促されるままに装置に近づく。 縦に割った竹を幾つか組み合わせ、傾斜をつけている。 一番下にはザルの乗ったバケツが置かれていた。 「これは……なあに?」 尋ねるせつなに、祈里はウインクを返した。 「見てて。始まるよ!」 竹の滑り台の一番高いところから、祈里の母・尚子が何か白いものを置いた。 水が白い塊を押し流していく。 いつの間にか箸と器を持ったラブと美希が、争うように奪い合う。 「アタシの勝ちぃ!」 「ズルイよ美希たん!」 「まあまあラブちゃん、まだまだ沢山流すわよ」 尚子が笑う。美希も、ラブも笑う。それを見て、せつなも笑った。 そんなせつなに箸と器を渡しながら、祈里が教えてくれる。 「流し素麺、っていうんだよ。子供の頃、夏になるとよくここでしてたの」 「お素麺を流しているだけなのに、何だかすごく楽しいのね」 微笑むせつなの視線の先には、素麺バトルを繰り広げるラブと美希の姿。 「また美希たん!もおおっ!あたしも食べたいのにー!」 「悔しかったら取ってみなさい」 「むー!次こそ負けないよ!トリャー!」 ラブの箸先が素麺を捕らえようとした瞬間、真っ赤な塗り箸につかまれた素麺が宙を舞った。 「わたしの勝ちね」 口の端だけを引き上げて笑うせつなに、その場の者たちは気圧されたように静まり返る。 一瞬見せた婀娜っぽい微笑は、どことなく銀髪だった頃の面影にも似て。 「ず、ズルイよせつなー!!」 ラブの叫びなどものともせず、せつなは素麺をもぐもぐと頬張ると、ニッコリと微笑んだ。 「おいし!」 そこからは、皆で笑いながら沢山食べた。 ラブと美希は子供の頃と同じ笑顔で、せつなは心から楽しそうに。 祈里は感謝した。皆でこうして楽しい時を過ごせることに……このありふれた幸せに。 ――――ありがとう。
https://w.atwiki.jp/apgirlsss/pages/60.html
(これでよし、と…。) 祈里は慎重にゼリーを型から外し、器に盛り付ける。 硝子の器には直径5センチ程の色とりどりの球形のゼリーが並んでいる。 いかにも女の子が喜びそうな可愛らしい見た目と裏腹に、 中身は殆んどが高アルコール度数のテキーラ。ネットで偶然レシピを見付けた。 度数の高いお酒に濃く甘い味を付けて、球形の氷を作る型に入れて、固める。 見た目の可愛らしさに騙されて口にすると…アルコールに慣れていない人は 数個でメロメロに酔い潰れて、ちょっとやそっとの刺激では目も覚めない、らしい。 一部では有名な大人のナンパアイテムだそうだ。 もうすぐせつなが家にやって来る。ひとりで。 少しくらいおかしい、と感じても生真面目なせつなの事だ。 手作りだと言えば残さず食べてくれるだろう。 (ごめんね。) 自分のしようとしてる事。とても現実とは思えない。 良心の呵責と罪悪感。でもそれ以上にゾクゾクするような興奮と高揚感。 でもこうでもしないと、あの人を手に入れる事はできない。 心は、とうに諦めた。だから、せめて体だけでも。どんな卑怯な手を使ってでも。 例えそれが、取り返しのつかないほどの傷を伴うものでも。 「お邪魔します。」 せつなちゃんは相変わらず堅苦しいくらい礼儀正しい。 玄関でお母さんに挨拶したんだから、わたしの部屋に入る時までいいのに。 「今日もラブちゃんは補習なの?」 「そうなの。小テストの結果が悪かったんですって。でもラブったら、 勉強嫌いなのにわざわざ勉強の時間増やすような事するの、どして?」 どうやら、一度で合格すれば余計な時間を使わずにすむのに、そうしないのが 不思議らしい。 皮肉ではなく本当にそう思ってるらしい表情に、少しラブちゃんに同情する。 そううまく行くもんじゃないのよ、せつなちゃん。 暫し他愛ないお喋りに興じる。しかし内心は気もそぞろだ。 「そうだ、おやつ食べない?初めて作ったヤツだから味の保証は出来ないけど。」 何気無いふうを装い、例のゼリーをせつなちゃんの前に置く。 不自然にならないように自分の前にも同じ物を。 ただし、わたしのは本当にただのゼリーだけど。 「これなあに?すごく綺麗ね。」 警戒心のない笑顔で問い掛けられ、少し胸の奥がチクっとする。 「えっとね、少しお酒の入ったゼリーなの。ちょっぴり大人の味?」 「へぇ、ブッキーは何でも器用に出来てすごいわね。」 一つ、スプーンで掬って口に運ぶ。少し、せつなちゃんは驚いた顔をする。 「んっ…、結構、お酒効いてるわね。」 そりゃあ、そうよ。殆んどテキーラなんだもん。 「ホント?ごめんなさい。苦手だったら残してね?」 「平気よ。ちょっとびっくりしただけ。すごく美味しい。」 せつなちゃんは続けて口に運ぶ。 こういう言い方をすれば、彼女は断れない。それを分かってて言うんだから、 ずるいな、わたし。 わたし達はお喋りしながらゆっくり食べる。わたしはもう食べ終わった。 せつなちゃんの器には、後一つと半分。 せつなちゃんの顔を見ると眼が熱っぽく潤み、頬が紅潮している。 会話の受け答えが緩慢になり、かみあわない。 かなり、効いてるみたいだ。 「せつなちゃん、まだ残ってるよ。」 食べさせあげる。そう言ってわたしはスプーンで残りを口に運ぶ。 「あーん、して。」 彼女は虚ろな眼で、素直に口を開く。つるり、とゼリーが滑り込む。 開いた唇から白い歯と、奥にピンクの舌がチラリと見えた。 それがなぜかすごくイヤらしく感じてイケナイものを見てしまったような気分になる。 程なく彼女はわたしのベッドにもたれるようにして、うとうとと船を漕ぎだす。 寝るなら、ちゃんと横にならなきゃ…彼女を気遣う素振りで手を貸し、 そっとベッドに横たえる。 もう、そんなわたしの声も届いていないようだ。 ベッドの感触に安心したのか、すぐに規則的な寝息が聞こえ始める。 それから五分、十分…聞こえるのは彼女の寝息と時計の音。 そして、外に聞こえてしまいそうなくらいの自分の鼓動。 肩を揺すり声をかける。 「……せつな…ちゃん…?」 軽く頬を叩いてみても全く反応しない。 眼が、自然と規則正しい寝息を立てる唇に吸い寄せられる。 (…おいしそう……) ペロリ、と唇を嘗め、ちゅっと音を立てて吸い付く。甘いゼリーの味。 鼻をアルコールの匂いが掠め、自分まで酔ったような気分になる。 制服のネクタイをほどき、シャツのボタンを外して行く。 白い肌が露になり、年に似合わぬ豊かな胸が現れる。 背中に手を回し、ブラのホックを外す。 無理に手を差し込んだせいで、せつなは身動ぎ、軽く呻いて寝返りをうつ。 その隙に半袖シャツの腕からブラの肩紐を外し、ブラを完全に脱がせる。 (綺麗……) 再びせつなを仰向けにして、ゆっくりと乳房を手のひらで包み込む。 柔らかい、それなのに力を入れると指が押し返されそうな弾力のある感触に 祈里は陶然とする。 (気持ちいい……せつなちゃんの胸。) 最初は乳房を撫で回すように、次第に力を加えゆっくりと揉みしだく。 先端が徐々に尖り、ぷつりと手のひらに当たる。 「……ん…んん…、ふぅ…」 吐息に微かに声が混じる。乳首が擦れる度、息が上がってくる。 (殆んど意識ないはずなのに…。) 明らかに感じてるらしい反応に祈里の愛撫が大胆になってくる。 可愛い桃色の乳首は摘まんで捏ねると、だんだん色づき弾けそうなくらい 張り詰めてくる。 唇で挟み、舌でくすぐり、軽く甘噛みする。 「んあ…、はぁっ…あっ…んっ…んぅ…」 祈里の舌が、指が動く度にせつなは切な気な吐息を漏らし、身を捩る。 (…本当に、眠ってるの…?) 反応の良さについ、そんな事を考えてしまう。 でも意識があったら抵抗しないはずないのに。 胸元に顔を埋めたまま、そろそろと太ももを撫で、下着に手を潜りこませる。 秘裂を指でなぞると、そこはもう、蕩けるように熱い。 中指が軽い抵抗を受けながら呑み込まれる。 待ち兼ねたように蜜が溢れ、肉が絡み付いてくる。 くちゅくちゅと卑猥な音を立てて熱く狭い肉の中を探る。 こんなにされても起きないのか…、胸元から顔を上げ、せつなの様子を窺う。 せつなはきつく眼を閉じたまま微かに眉を寄せ、下腹部の感覚に集中している… ように見える。 指を入れたまま、性器の上にある突起を摘まんでみる。 せつなの体がビクンと跳ね、中がきゅうっと締まる。 「…あっ、あっ、あっ…はっ…あんっ…ああっ」 小刻みに体が震え、ひときわ声が高くなってくる。 普段の低く、落ち着いた声とは違う、鼻に掛かった甘えた声音。 確かに同じ声のはずなのに。 ビクッと大きくせつなの体が震え、力が抜ける。 (もしかして、イッちゃった…?) 荒い息遣いで胸を喘がせているせつなに口付ける。少し迷って 軽く舌でせつなの歯を抉じ開ける。 せつなの方から舌を絡めてくる。それに応えるよう、強く祈里も舌を絡める。 ただただ、嬉しかった。自分の拙い愛撫でせつなが達し、口付けに応えてくれる。 「……ラ…ブ、んんっ…ラブぅ…」 心臓を冷たい手で鷲掴みにされた気がした。思わず体が強張る。 せつなはそんな事にも気付かない風に、祈里の背中に腕を回し 愛し気に抱き締める。 (…なんだ…、ラブちゃんと間違えてるんだ。) 道理で抵抗しないわけだ。愛しい恋人の愛撫なら、逆らう理由なんてない。 せつながうっすらと眼を開けそうになる。祈里は慌てて、手のひらで せつなの瞼を覆う。 「……せつな…可愛い。大好き…」 そう、耳元で囁く。 「いい子ね…、お休み……。」 せつなは安心したかのように、また静かな寝息をたて始める。 (これから……どうしようか……?) 祈里はせつなが目を覚ました後の反応を想像する。 自分を抱いていたのがラブではなかったと分かったら……。 信頼していたはずの親友が、自分を騙して犯したのだと知ったら。 (…このくらいで、壊れたりしないよね?せつなちゃんは強いもの。) 祈里は椅子に腰掛け、せつなを見下ろす。 わざと着衣は乱したままにしておく。 (…早く、起きないかな…。) 祈里はゆっくりと微笑みを浮かべる。これからの事を思い浮かべながら。 黒ブキ11へ続く
https://w.atwiki.jp/fleshyuri/pages/158.html
(これでよし、と…。) 祈里は慎重にゼリーを型から外し、器に盛り付ける。 硝子の器には直径5センチ程の色とりどりの球形のゼリーが並んでいる。 いかにも女の子が喜びそうな可愛らしい見た目と裏腹に、 中身は殆んどが高アルコール度数のテキーラ。ネットで偶然レシピを見付けた。 度数の高いお酒に濃く甘い味を付けて、球形の氷を作る型に入れて、固める。 見た目の可愛らしさに騙されて口にすると…アルコールに慣れていない人は 数個でメロメロに酔い潰れて、ちょっとやそっとの刺激では目も覚めない、らしい。 一部では有名な大人のナンパアイテムだそうだ。 もうすぐせつなが家にやって来る。ひとりで。 少しくらいおかしい、と感じても生真面目なせつなの事だ。 手作りだと言えば残さず食べてくれるだろう。 (ごめんね。) 自分のしようとしてる事。とても現実とは思えない。 良心の呵責と罪悪感。でもそれ以上にゾクゾクするような興奮と高揚感。 でもこうでもしないと、あの人を手に入れる事はできない。 心は、とうに諦めた。だから、せめて体だけでも。どんな卑怯な手を使ってでも。 例えそれが、取り返しのつかないほどの傷を伴うものでも。 「お邪魔します。」 せつなちゃんは相変わらず堅苦しいくらい礼儀正しい。 玄関でお母さんに挨拶したんだから、わたしの部屋に入る時までいいのに。 「今日もラブちゃんは補習なの?」 「そうなの。小テストの結果が悪かったんですって。でもラブったら、 勉強嫌いなのにわざわざ勉強の時間増やすような事するの、どして?」 どうやら、一度で合格すれば余計な時間を使わずにすむのに、そうしないのが 不思議らしい。 皮肉ではなく本当にそう思ってるらしい表情に、少しラブちゃんに同情する。 そううまく行くもんじゃないのよ、せつなちゃん。 暫し他愛ないお喋りに興じる。しかし内心は気もそぞろだ。 「そうだ、おやつ食べない?初めて作ったヤツだから味の保証は出来ないけど。」 何気無いふうを装い、例のゼリーをせつなちゃんの前に置く。 不自然にならないように自分の前にも同じ物を。 ただし、わたしのは本当にただのゼリーだけど。 「これなあに?すごく綺麗ね。」 警戒心のない笑顔で問い掛けられ、少し胸の奥がチクっとする。 「えっとね、少しお酒の入ったゼリーなの。ちょっぴり大人の味?」 「へぇ、ブッキーは何でも器用に出来てすごいわね。」 一つ、スプーンで掬って口に運ぶ。少し、せつなちゃんは驚いた顔をする。 「んっ…、結構、お酒効いてるわね。」 そりゃあ、そうよ。殆んどテキーラなんだもん。 「ホント?ごめんなさい。苦手だったら残してね?」 「平気よ。ちょっとびっくりしただけ。すごく美味しい。」 せつなちゃんは続けて口に運ぶ。 こういう言い方をすれば、彼女は断れない。それを分かってて言うんだから、 ずるいな、わたし。 わたし達はお喋りしながらゆっくり食べる。わたしはもう食べ終わった。 せつなちゃんの器には、後一つと半分。 せつなちゃんの顔を見ると眼が熱っぽく潤み、頬が紅潮している。 会話の受け答えが緩慢になり、かみあわない。 かなり、効いてるみたいだ。 「せつなちゃん、まだ残ってるよ。」 食べさせあげる。そう言ってわたしはスプーンで残りを口に運ぶ。 「あーん、して。」 彼女は虚ろな眼で、素直に口を開く。つるり、とゼリーが滑り込む。 開いた唇から白い歯と、奥にピンクの舌がチラリと見えた。 それがなぜかすごくイヤらしく感じてイケナイものを見てしまったような気分になる。 程なく彼女はわたしのベッドにもたれるようにして、うとうとと船を漕ぎだす。 寝るなら、ちゃんと横にならなきゃ…彼女を気遣う素振りで手を貸し、 そっとベッドに横たえる。 もう、そんなわたしの声も届いていないようだ。 ベッドの感触に安心したのか、すぐに規則的な寝息が聞こえ始める。 それから五分、十分…聞こえるのは彼女の寝息と時計の音。 そして、外に聞こえてしまいそうなくらいの自分の鼓動。 肩を揺すり声をかける。 「……せつな…ちゃん…?」 軽く頬を叩いてみても全く反応しない。 眼が、自然と規則正しい寝息を立てる唇に吸い寄せられる。 (…おいしそう……) ペロリ、と唇を嘗め、ちゅっと音を立てて吸い付く。甘いゼリーの味。 鼻をアルコールの匂いが掠め、自分まで酔ったような気分になる。 制服のネクタイをほどき、シャツのボタンを外して行く。 白い肌が露になり、年に似合わぬ豊かな胸が現れる。 背中に手を回し、ブラのホックを外す。 無理に手を差し込んだせいで、せつなは身動ぎ、軽く呻いて寝返りをうつ。 その隙に半袖シャツの腕からブラの肩紐を外し、ブラを完全に脱がせる。 (綺麗……) 再びせつなを仰向けにして、ゆっくりと乳房を手のひらで包み込む。 柔らかい、それなのに力を入れると指が押し返されそうな弾力のある感触に 祈里は陶然とする。 (気持ちいい……せつなちゃんの胸。) 最初は乳房を撫で回すように、次第に力を加えゆっくりと揉みしだく。 先端が徐々に尖り、ぷつりと手のひらに当たる。 「……ん…んん…、ふぅ…」 吐息に微かに声が混じる。乳首が擦れる度、息が上がってくる。 (殆んど意識ないはずなのに…。) 明らかに感じてるらしい反応に祈里の愛撫が大胆になってくる。 可愛い桃色の乳首は摘まんで捏ねると、だんだん色づき弾けそうなくらい 張り詰めてくる。 唇で挟み、舌でくすぐり、軽く甘噛みする。 「んあ…、はぁっ…あっ…んっ…んぅ…」 祈里の舌が、指が動く度にせつなは切な気な吐息を漏らし、身を捩る。 (…本当に、眠ってるの…?) 反応の良さについ、そんな事を考えてしまう。 でも意識があったら抵抗しないはずないのに。 胸元に顔を埋めたまま、そろそろと太ももを撫で、下着に手を潜りこませる。 秘裂を指でなぞると、そこはもう、蕩けるように熱い。 中指が軽い抵抗を受けながら呑み込まれる。 待ち兼ねたように蜜が溢れ、肉が絡み付いてくる。 くちゅくちゅと卑猥な音を立てて熱く狭い肉の中を探る。 こんなにされても起きないのか…、胸元から顔を上げ、せつなの様子を窺う。 せつなはきつく眼を閉じたまま微かに眉を寄せ、下腹部の感覚に集中している… ように見える。 指を入れたまま、性器の上にある突起を摘まんでみる。 せつなの体がビクンと跳ね、中がきゅうっと締まる。 「…あっ、あっ、あっ…はっ…あんっ…ああっ」 小刻みに体が震え、ひときわ声が高くなってくる。 普段の低く、落ち着いた声とは違う、鼻に掛かった甘えた声音。 確かに同じ声のはずなのに。 ビクッと大きくせつなの体が震え、力が抜ける。 (もしかして、イッちゃった…?) 荒い息遣いで胸を喘がせているせつなに口付ける。少し迷って 軽く舌でせつなの歯を抉じ開ける。 せつなの方から舌を絡めてくる。それに応えるよう、強く祈里も舌を絡める。 ただただ、嬉しかった。自分の拙い愛撫でせつなが達し、口付けに応えてくれる。 「……ラ…ブ、んんっ…ラブぅ…」 心臓を冷たい手で鷲掴みにされた気がした。思わず体が強張る。 せつなはそんな事にも気付かない風に、祈里の背中に腕を回し 愛し気に抱き締める。 (…なんだ…、ラブちゃんと間違えてるんだ。) 道理で抵抗しないわけだ。愛しい恋人の愛撫なら、逆らう理由なんてない。 せつながうっすらと眼を開けそうになる。祈里は慌てて、手のひらで せつなの瞼を覆う。 「……せつな…可愛い。大好き…」 そう、耳元で囁く。 「いい子ね…、お休み……。」 せつなは安心したかのように、また静かな寝息をたて始める。 (これから……どうしようか……?) 祈里はせつなが目を覚ました後の反応を想像する。 自分を抱いていたのがラブではなかったと分かったら……。 信頼していたはずの親友が、自分を騙して犯したのだと知ったら。 (…このくらいで、壊れたりしないよね?せつなちゃんは強いもの。) 祈里は椅子に腰掛け、せつなを見下ろす。 わざと着衣は乱したままにしておく。 (…早く、起きないかな…。) 祈里はゆっくりと微笑みを浮かべる。これからの事を思い浮かべながら。 3-268へ続く
https://w.atwiki.jp/fleshyuri/pages/619.html
「ただいま」 誰も居ない自分の部屋に挨拶する。 窓を少し開けた。夜風が心地いい。 おとうさんの作ってくれた机をそっと撫でる。 タンスを開いてありったけの洋服に両手で抱きついた。 何もかもそのまま。当たり前よね、何日も開けたわけじゃない。 でも、随分久しぶりな気がしたの。 どれもこれも、おとうさんとおかあさんとラブの、愛情がこもった宝物。 ただいま…。ただいま! これからもよろしくねって挨拶した。 コンコン 「せつな、いいかな?」 「どうぞ、ちょうど行こうと思ってたのよ」 そっと手を取って一緒にベットに腰掛けた。 繋いだ手はそのままにした。 「帰って…きたんだよね」 ラブの優しい目が私を見つめる。ラブの瞳の中に私が居た。きっと私の中には ラブが居るんだ。そんな当たり前のことが、なんだかとても素晴らしいことに思えた。 二人だけの静かな至福のひととき。 ずっと―――この時間が続けばいいのに。 コクリと私は頷いた。 私たちを愛してくれる人たちがいる。愛していきたい人たちがいる。 流れていく時間の全てを大切にしよう。 出会えた全ての人たちと過ごせる瞬間を大切にしよう。 それもラブから教わったこと。 「ねえ、せつな。本当によかったの?」 ラブが心配そうに聞いてくる。それはラビリンスを旅立つ前のこと。 「イース、俺達と一緒にラビリンスに残ってくれないか。」 ウエスターが私の手を掴む。 痛いくらいに強く握る手が、彼が本気であることを 証明していた。 「僕からも頼む、彼女達の世界で長く過ごした君の知識は、きっと役に立つ。」 サウラーは私の肩に手を当てた。 「せつな…」 「せつな」 「せつなちゃん」 泣き出しそうなラブの顔。 歯を食いしばって平気な顔をしている美希。 そして不安そうに両手を祈るように重ねたブッキー。 確かにラビリンスは放ってはおけない。 元幹部として、責任をウエスターとサウラーだけに押し付けるのは気がひける。 でも……。 でも、私は帰ってくるって約束したんだ。 おとうさんとおかあさんに。 「私は……」 声が震える。言葉が上手く出てこない。 帰りたい、帰りたい、帰りたい…。 私は―――四ツ葉町に帰りたいんだ。 それで気がついた。 (帰りたい) それはもう、自分の本当の故郷はあの街に なっていることに。 言葉の代わりに涙が出てきた。 ごめんなさい―――ごめんなさい 「……ごめんなさい。」 「いいんだ。無理を言ってすまなかったな。」 ウエスターの手が緩んだ。 「行きたまえ。君の笑顔は、きっとあの街によく似合う。」 サウラーの手が肩から離れ、寂しげに微笑んでくれた。 「せつなっ!」 優しくラブが抱きしめてくれた。 「帰りましょう、せつな。アタシたちの街に!」 「戻ろう、せつなちゃん!わたしたち四人でクローバーよ。」 ウエスター、サウラー、そしてラビリンスの人たちに見送られながら アカルンの力を解放した。 「ラブはどうだったの?私が居なくなっても平気?」 言ってすぐに、後悔する。怖い、聞きたくない。 「あたしは……」 「そりゃあ寂しいよ。でも、せつなが本当にそれを望むならかまわないって思う。」 ―――かまわない、その一言が胸に突き刺さる。 「みんなで幸せになりたいから。だから、時にはガマンしなくちゃいけないことも あると思う。一緒に居られなくても、心はずっと繋がってるから……。」 「だけど、一緒に居てくれるって聞いてほんとに」 「やめてっ!!!」 もう聞きたくない。それ以上聞きたくなくて大声で遮った。 また涙が溢れそうになる。逃げ出したかった。でも、どこに……。 「せつな……」 繋いだ手にもう一方の手を重ねてきてくれた。 私、馬鹿みたい。仮の話なのに子供みたいにムキになって。 でも不安だった。いつかそんな日が来るんじゃないかって。 「私は……嫌よ。」 やめよう、こんなこと言うの。 「おとうさんやおかあさんやラブが私を置いてどこかに行くなんて、嫌よ。」 止まって欲しいのに言葉が勝手に紡がれる。 「私がおとうさんやおかあさんやラブを置いてどこかに行くのも、嫌なの…」 みっともない。美希が聞いたらなんて思うだろう。 ブッキーが聞いたらどう感じるだろう。 ラブはなんて思ったろう。嫌われたくない。軽蔑されたくない。 「あたしも嫌だよ。せつなと離れるなんて絶対に嫌」 ラブに抱きしめられた。最初は優しく、だんたん強く。温かい、離れたくない。 「でも……さっき、かまわないって…」 「せつなには本当に幸せになってほしい。だからあたしは―――自分の気持ちを入れなかったの。」 私はやっと気がついた。 ラブは私と別れるのが平気なんじゃない。 自分の幸せよりも私を大切に思ってくれてるんだ。 ラブの胸に顔をうずめて涙を隠した。 「ねえ、せつな。あたしはずっとせつなと一緒に居たい」 もう不安は無い。もたれかかって静かに耳を傾ける。 「一緒に過ごして、ずっと同じ夢を追いかけたいと思うよ」 うん、できれば美希やブッキーも一緒に。 「それでも、もし―――せつながどうしても他にやりたいことが出来たら。 あたしについて来れないと感じたら、その時は感じたままに行動してほしい。」 不安そうに見つめながら話してくる。自分の言葉が、私を傷つけるのを怖れるように。 「何があってもあたしとせつなの絆は変わらないから。だから、何も諦めちゃいけないんだよ?」 やっとラブの言っていた意味がわかった。 幸せの形は一つ一つ違う。だからラビリンスは間違っていたのよね。 ―――でもね。 「ラブは言ってたわよね。いつか世界中のみんなの心を愛情で一杯にしてあげたいって。」 あれはラブの名前の由来を聞いた時のこと。込められた意味と大きな夢。 「私はその手伝いがしたい。世界中のみんなを笑顔と幸せで一杯にしたい。」 過ちは消せない。だけど、生きている限り、新しい幸せを紡ぐことは出来るはず。 「一緒にやらせて、ラブ。私も同じ夢を見る。一緒に追いかける。 それでも道が分かれることがあるのなら――その時は、行ってきますって、胸を張ってそう言うわ。」 そう、私にはまだラブから、この世界から学ばなければいけないことが沢山ある。 私の本当の夢と幸せを見つけなければならない。 そして、それは人々の笑顔の中にあるような気がした。 愛情の無いところに幸せは無い。だから目指すものはきっと同じ。 「うん、一緒に頑張ろう、せつな」 将来のことはわからない。でも、出会った時から運命のようなものを互いに感じた。 だから信じよう。手を取り合って、一緒に幸せをつかみたい。 「精一杯頑張るわ!」 だから、これからもよろしくね、ラブ。
https://w.atwiki.jp/apgirlsss/pages/1835.html
新しい年に/一六◆6/pMjwqUTk 「スイッチ・オーバー」 胸の真ん中で両手を合わせ、左右に大きく開く。それと同時にラビリンス幹部の姿が、これから赴く世界の住人の姿へと変化する。 ラビリンスで開発されたばかりの、異世界潜入のための変身システム。メビウス・タワーの一角にあるラボにて、最終チェックのための初変身だ。 イースは、鏡に映った黒髪の少女の姿を無表情で一瞥してから、着慣れない服の具合を確認し、赤いカットソーの袖口から覗いた手を見て、一瞬だけ眉をひそめた。 華奢な細い指と、小さくて薄い掌。いつもは肘上までのグローブを身に着けているから、任務の際に素手を晒すことは無い。そのためだろうか、自分の手があまりにも非力で頼りなく見えて、イースは思わずギュッと拳を握り締める。その時、隣から人を小馬鹿にしたような声がかかった。 「へぇ、なかなか可愛いじゃないか。あの世界の奴らにも、仲良くしてもらえそうだね」 「何を馬鹿なことを。任務だぞ」 イースにニヤリと笑いかけたのは、アッシュグレーの長い髪を後ろで一つに束ね、白い上着を着た細身の青年――異世界人の姿になった、三幹部の一人・サウラー。彼は吐き捨てるようなイースの言葉を聞いて、フン、と鼻で嗤った。 「もちろんさ。この姿は、異世界の人間に怪しまれないためのものだからね。だから、君がその可愛い姿で戦闘することは無い。心配は要らないよ」 「馬鹿馬鹿しい。誰がそんな心配など……」 ますます険しい顔になったイースに向かい、サウラーは右手を上げてゆっくりと広げて見せる。 「素手であることにも意味があるのさ。あの世界には“握手”という風習があるらしい。こうやって互いに武器を持っていないことを示してから、相手の手を握る。それが友好の挨拶だそうだ」 「フハハハ……くだらないな」 不意に野太い笑い声がラボに響いた。不敵な面構えで二人を見下ろしているのは、三幹部のうちのもう一人。金色の髪をして、黒いシャツの上に鮮やかなオレンジ色のベストを着込んだ大柄な青年――異世界人の姿になったウエスターだ。彼はサウラーと同じく右手を開いたかと思うと、その大きな手をブンブンと振り回し始めた。 「武器が無いから何だと言うのだ。異世界の奴らなんぞ、平手でも五人や十人は薙ぎ倒せるぞ。それに俺様はお前たちと違って、普段から素手だ!」 「……君、僕の話をちゃんと聞いてたのかい?」 サウラーが呆れた声でそう問いかけた時、ラボのスピーカーから無機質な声が流れた。 『最終チェックが完了しました。幹部の皆さんは、元に戻ってください』 「スイッチ・オーバー」 いち早くラビリンス幹部の姿に戻ったイースが、鋭い目で二人を睨みつける。 「メビウス様が完全に管理された世界では、そんな愚かな風習など、必要ない」 そう言い捨てると、イースはくるりと二人に背を向け、足早にその場を後にした。 ☆ 「はい、出来たわ。せつなちゃんのヘアアレンジ、これでどうかしら」 そう言いながら、レミが合わせ鏡で後ろ髪をせつなに見せる。綺麗にまとめられた黒髪を彩る、赤い椿の髪飾り。せつなが薄っすらと頬を染めて嬉しそうに頷くと同時に、長襦袢(ながじゅばん)姿のラブが駆け寄って来た。 「わっはー! せつな、すっごく似合ってるよ~!」 「こぉら、ラブ。そんな恰好でうろうろしないの」 「え~。だってこれも着物でしょう? 着物と同じ形じゃない」 「長襦袢は着物の下に着て、着物を汗や汚れから守るためのものだよ、ラブちゃん。要するに、下着と同じね」 「さっすがブッキー。って、え~! あたしたち今、下着姿なの?」 「でも、こんな動きにくい格好で走れるなんて、凄いわ、ラブちゃん」 「えっへん!」 「ラブ、そんな恰好で仁王立ちして威張らないの! ブッキーも、変なところで感心しないで」 相変わらずのラブと祈里に、美希がハァっとため息をつき、せつながクスクスと笑い出す。 元日の朝早く、四人はレミの美容室に居た。ここで晴れ着を着付けてもらって、揃って初詣に行く予定なのだ。 全員のヘアアレンジが終わると、いよいよ順番に晴れ着を着せてもらう。美希がレミの助手を務め、二人掛かりで手際よく着付けていく。 浴衣なら、せつなも夏祭りの日にあゆみに着せてもらったことがあるが、晴れ着の着付けの手間と時間はその比ではなかった。 (かつては掛け声一つで、衣服はおろか姿まで一瞬で変えられたけど……。でも着物ってとっても綺麗だし、着付けっていうのも、見ていて何だか楽しい) 考えてみれば、衣類を着るだけのためにこれだけの労力をかけるなんて、驚くほど非効率的な行為だ。だが、そんな時間が不思議と楽しかった。まるで一枚の布のような着物が、次第に身体に添った美しい姿になっていく過程も、それにつれて笑顔になっていくみんなの表情も、見ていて何だか心が浮き立つ。 ラブが桃色の地に小花を散らした可憐な着物を着せてもらい、祈里は山吹色を基調とした着物に小鳥の柄の可愛らしい帯を締めてもらって、いよいよせつなの番になった。 エンジ色の地に金の縫い取りが入った着物に袖を通すと、美希の手がスッと伸びて着物の中心線を背中の真ん中にぴったりと合わせてくれる。レミがせつなの真向かいに立って、裾の長さを調節し、着物を腰紐で固定して、おはしょりを整えていく。 レミの無駄のない手の動きに見入っていたせつなが、突然、ぴくりと小さく身体を震わせた。襟元を整えていた美希が、慌てて手を引っ込める。 「ごめん。アタシの手、冷たかったわよね」 「ううん、大したことないわ」 首を横に振ったせつなが、ちょっと悪戯っぽく微笑む。 「それに、手が冷たい人は心があたたかいんでしょう? ラブが言ってたわ」 「あら、せつなちゃんは優しいのね。美希なんて『ママは手があったかいから、心が冷たいのよね』なぁんて言うのよ。ヒドいでしょう?」 「心が、冷たい……?」 「もう、ママったら。そんなことばっかりよく覚えてるんだから」 キュッキュッ、と小気味よい音を立てて帯を締めながら、レミが明るく軽口を叩く。美希は口を尖らせて言い返したが、せつなは何だか力のない吐息のような声を出した。 「あ、せつなちゃん、苦しい? 帯、もう少し緩めた方がいいかしら」 「あ……いえ、大丈夫です」 「そぉお? 苦しかったら、我慢しないでちゃんと言うのよ?」 「はい」 素直に頷くせつなに微笑みかけて、レミが後ろ帯を結ぶために背中側に回る。その視線が、晴れ着の袖口から覗いたせつなの手へと流れた。 娘の美希のひんやりとした手とは裏腹に、せつなの手はあたたかかった。そして今、その小さな手はいつの間にかギュッと固く拳を握っている。 レミはもう一度帯の締め具合を確認してから、後ろ帯をリボンのような立て矢結びに結び始める。そして手を止めることなく、いつもののんびりとした口調でせつなに語りかけた。 「ねえ、せつなちゃん。どうして手が冷たい人は心があたたかいって言うのか、知ってる?」 「それは……昔からそんな人が多かったからですか?」 「ざ~んねん、ハズレよ。だって心のあったかさなんて、同じ人でもその時々で変わっちゃうものでしょう?」 二人の会話を聞いて、ラブと祈里、それに美希も首を傾げる。 「そう言えば、理由なんて考えたことなかったね。なんでなの?」 「理由なんてあったのね……。どうしてなんですか? おばさん」 「ママ、もったいぶらないで教えてよ」 口々に問いかける娘たちに、レミはウフッと嬉しそうに微笑んでから、相変わらずのんびりとこう続けた。 「あれは元々、ヨーロッパの人が言い始めたんですって。確かイギリスだったかしら、そういう諺があるらしいわ」 「えっ? あれって外国から伝わって来たの?」 目を丸くしたラブに、レミが得意そうに頷いて見せる。 「ほら、西洋って昔から握手をする習慣があるでしょ? だから手が冷たい人は、握手をためらったり謝ったりしたことが、昔からあったみたいね」 「ああ、それは何となくわかるわ」 美希がそう言って、ハァっと手にあたたかな息を吹きかける。 「それで『そんな風にためらうなんて、手は冷たくても心があったかいんだから気にしないで』って、誰かが言い始めたんですって」 「へぇ。おばさん、物知りですね」 「ありがと。実は美容院のお客様の、素敵なマダムが教えてくれたの~」 祈里の言葉に嬉しそうに答えてから、レミはせつなに向かってパチリと片目をつぶって見せた。 「だからね、『手が温かい人は心が冷たい』なんて大間違い。せつなちゃんみたいに優しい人が作った言葉なのよ」 「そんな! わ、私は……」 せつなの顔が見る見るうちに赤くなり、声が震える。この世界に来る前、握手という風習について語っていた、サウラーの言葉が蘇った。 ――素手であることにも意味があるのさ。こうやって互いに武器を持っていないことを示してから、相手の手を握る。それが友好の挨拶だそうだ。 (あの時私は、非力な素の自分を相手に触れさせるとは、なんて愚かな風習だろうと思っていた。でも直に触れるからこそ、相手を気づかったり、思いやったりできるのね) あでやかな着物の柄を見つめながら物思いにふけっていると、ポンと優しく肩を叩かれた。 「はい、これで完成。素敵よ、せつなちゃん。ホントに赤がよく似合うわね」 「うわぁ、せつなちゃん、とっても綺麗!」 「すっごく可愛いよ、せつな!」 歓声を上げる祈里に続いて、ラブが今度は小さな歩幅でしずしずと歩いてきて、そっとせつなの手を握る。さっきまで強張っていたその手からは、いつの間にか余計な力が抜けていた。 「ありがとうございました」 レミに丁寧にお礼を言ってから、せつながレミと美希の顔に交互に目をやる。 「最後は美希の番よね。おばさま、もし良かったら、今度は私がお手伝いします」 「あら、それは嬉しいけど、晴れ着姿じゃ大変でしょう?」 そう言われて、せつなが着慣れない晴れ着の具合を確認するように数歩歩いて、にっこりと微笑んだ。 「大丈夫です。きっとおばさまの着付けが上手なんだわ」 「せつなちゃん、着付けのお手伝いなんてしたことあるの?」 「初めてですけど、さっき三人分の美希の動きを見てましたから」 「まあ、凄いのね」 さらりとそう言ったせつなに、レミが素直に感心する。美希は、濃紺の地に大ぶりの花模様をあしらった自分の晴れ着を手にして、せつなに向かってニヤリと笑った。 「じゃあ頼んだわよ、せつな。モデルのアタシに着付けるんだから、精一杯がんばってよね」 「ええ。おばさまのお手伝い、完璧にやって見せるわ」 二人で軽く睨み合って、どちらからともなくプッと噴き出す。そんな二人の笑い声に、ラブと祈里、それにレミの笑い声も加わって一つになる。 美希が晴れ着に袖を通すと、せつなは美希そっくりの手つきで、背中の真ん中と着物の中心線をぴったりと合わせた――。 やがてレミに見送られ、晴れ着姿の四人が、クローバータウンストリートをゆっくりと歩き出す。 新年の挨拶を交わす人々の声と、楽しそうな笑い声。通りを練り歩く獅子舞の、軽快なお囃子のリズム。いつもと同じ街なのに、何だか空気が違って感じられるのが不思議だ。 年の初め――人間が勝手に作った区切りだけれど、この新しい年を、全ての時間を大切に過ごそう。出会った全ての心に大切に向き合おう。そして少しでも多くの人たちと手と手を取り合って、幸せな時間を作ることができたら――。 (私、精一杯がんばるわ) 商店街の明るく溌溂としたざわめきが、風になって天に届いたかのように、空を覆っていた雲が切れた。 キラキラした目で辺りを見回していたせつなが、眩しそうに顔の前に手を翳す。その小さな掌に、新しい年の陽の光が優しくあたたかく降り注いだ。 ~終~
https://w.atwiki.jp/fleshyuri/pages/577.html
「ようこそ、お参りくださいました」 頭を上げたその姿を見て、 自然に、ため息が出た。 清楚な、白衣。 あざやかな、緋袴。 凛とした、微笑。 湖水のように、澄んだ瞳。 きれいな黒髪が、 巫女装束に映える。 「わはー!せつな、超似合ってるよ...」 「ちょっと、完璧なんだけど...」 「ぜったい、似合うって信じてた!」 働いている最中なので、 無駄話もなし。 それどころか、あたし達にも 他の参拝客と同じように、 敬語で接してくる。 完全に、お仕事モードだ。 四つ葉町にある神社は、 初詣で大にぎわい。 せつなに、初詣期間の 助勤のお願いが来た。 せつなは、もちろん 二つ返事。 あれっ、みんなで 初詣に行く予定は...? まぁいいか。 人から頼られると、せつなは 必要以上に頑張るタイプだから。 お祓いの呼び出し。 控え室への案内。 破魔矢やお守りの販売。 おみくじの案内。 御神酒の振る舞い。 せつなは、微笑みを絶やさず くるくると働いている。 あたし達が注目するのと 同じくらい、他の参拝客も せつなに注目している。 せつなが、お守りの 売り場に移動する。 お守り売り場に、 殺到する行列。 せつなが、御神酒の 振る舞いを始める。 何度もおかわりする、 おじさん達の行列。 せつなに案内してもらうために お祓いの順番を調整している 家族まで居る。 何だか、せつながあまりに 綺麗すぎて、遠くなっちゃったみたい。 嬉しいんだけど、 ちょっと、さびしい。 おみくじも、小吉。 「逃げられぬよう注意」だって。 おみくじを結んで、 ふと振り返る。 遠くで顔を起こしたせつなと、 目があった。 一瞬だけ、せつなが ニコッとわらった。 胸が、どきっとして あたしは、2歩ほど後ろに下がった。 「ラブ、どうしたの?」 「ラブちゃん、大丈夫?」 「うん...ちょっと」 あぁ。 ノックアウトされちゃった。 何度もおみくじ引いたり、写真を撮ったりして、 結局、夕方まで神社に居た。 境内を後にしようとしたあたし達は、 古札回収の箱を入れ替えている せつなを見つけた。 「せつな!お疲れさま!」 「ラブ...ごめんね、あんまり構えなくて」 「ううん!それよりもさ、すごく似合ってるよ!」 「ありがとう...何だか照れくさいわ」 「そんなことないよ、すっごく似合ってる!」 「アタシも自信を持って言うわ。完璧よ!」 「そう...かな」 せつなが、顔を赤らめる。 「せつな...この服って クリーニングに出すよね!」 「ええ、神社の方で 出してくれるらしいけど...」 「いやいや!これはやっぱり 使った人がちゃんと洗って返さないと!」 「そうなの...じゃあそう言っておくわ」 「うん!じゃああと少し、頑張ってね!」 「ええ、ありがとう」 せつなが持ち場に戻っていく。 「ちょっと、ラブ」 美希たんが肘であたしの脇腹をつつく。 「洗って返す前に、何かしようとしてるでしょ」 さすが。
https://w.atwiki.jp/apgirlsss/pages/135.html
「罰当たり?」/◆BVjx9JFTno 「ようこそ、お参りくださいました」 頭を上げたその姿を見て、 自然に、ため息が出た。 清楚な、白衣。 あざやかな、緋袴。 凛とした、微笑。 湖水のように、澄んだ瞳。 きれいな黒髪が、 巫女装束に映える。 「わはー!せつな、超似合ってるよ...」 「ちょっと、完璧なんだけど...」 「ぜったい、似合うって信じてた!」 働いている最中なので、 無駄話もなし。 それどころか、あたし達にも 他の参拝客と同じように、 敬語で接してくる。 完全に、お仕事モードだ。 四つ葉町にある神社は、 初詣で大にぎわい。 せつなに、初詣期間の 助勤のお願いが来た。 せつなは、もちろん 二つ返事。 あれっ、みんなで 初詣に行く予定は...? まぁいいか。 人から頼られると、せつなは 必要以上に頑張るタイプだから。 お祓いの呼び出し。 控え室への案内。 破魔矢やお守りの販売。 おみくじの案内。 御神酒の振る舞い。 せつなは、微笑みを絶やさず くるくると働いている。 あたし達が注目するのと 同じくらい、他の参拝客も せつなに注目している。 せつなが、お守りの 売り場に移動する。 お守り売り場に、 殺到する行列。 せつなが、御神酒の 振る舞いを始める。 何度もおかわりする、 おじさん達の行列。 せつなに案内してもらうために お祓いの順番を調整している 家族まで居る。 何だか、せつながあまりに 綺麗すぎて、遠くなっちゃったみたい。 嬉しいんだけど、 ちょっと、さびしい。 おみくじも、小吉。 「逃げられぬよう注意」だって。 おみくじを結んで、 ふと振り返る。 遠くで顔を起こしたせつなと、 目があった。 一瞬だけ、せつなが ニコッとわらった。 胸が、どきっとして あたしは、2歩ほど後ろに下がった。 「ラブ、どうしたの?」 「ラブちゃん、大丈夫?」 「うん...ちょっと」 あぁ。 ノックアウトされちゃった。 何度もおみくじ引いたり、写真を撮ったりして、 結局、夕方まで神社に居た。 境内を後にしようとしたあたし達は、 古札回収の箱を入れ替えている せつなを見つけた。 「せつな!お疲れさま!」 「ラブ...ごめんね、あんまり構えなくて」 「ううん!それよりもさ、すごく似合ってるよ!」 「ありがとう...何だか照れくさいわ」 「そんなことないよ、すっごく似合ってる!」 「アタシも自信を持って言うわ。完璧よ!」 「そう...かな」 せつなが、顔を赤らめる。 「せつな...この服って クリーニングに出すよね!」 「ええ、神社の方で 出してくれるらしいけど...」 「いやいや!これはやっぱり 使った人がちゃんと洗って返さないと!」 「そうなの...じゃあそう言っておくわ」 「うん!じゃああと少し、頑張ってね!」 「ええ、ありがとう」 せつなが持ち場に戻っていく。 「ちょっと、ラブ」 美希たんが肘であたしの脇腹をつつく。 「洗って返す前に、何かしようとしてるでしょ」 さすが。
https://w.atwiki.jp/apgirlsss/pages/411.html
【読書の秋~背徳のため息~】/恵千果◆EeRc0idolE 秋の夜更け。せつなは今夜もベッドにもぐりこんで読書。 この世界には本がある。本を読めば、いつの時代だってどこの世界にだって行ける。 せつなにはそれがとっても不思議だった。だって、ラビリンスには本はあっても、面白い物語なんてなかったから。 何冊も読んでいくうちに本に様々なジャンルがあることを知ったせつなは、図書館の本のようなおとなしいものでは飽き足らなくなっていた。 ラブの父が居間に放っていた本を部屋に持ち込んだせつなは、未知なるジャンルに自ら手を伸ばそうとしていた。 ベッドの中でおもむろに頁をめくる。 何これ…しとどに濡らし、ですって。どうして濡れたりするの? まぐわうって何かしら…淫豆って?分からない言葉ばかり。 せつなは人と人とが睦みあう場面や女性が自ら慰める場面を描いた本を読みながら、次第に身体を熱くさせてゆく。 人って皆、こんなことをしているの?ラブや美希や…あのブッキーも?信じられない。だけど…わたしも、してみたい。ほんの少しだけなら… 好奇心に駆られたせつなは、自らの中心に指を差し込んでみる。 下着の中は信じられないほどに熱く、粘っこい液体が溢れている。 これが“濡れる”ってことなんだ。じゃあわたしにも“淫豆”があるの?そこを擦ると… せつなが蜜を絡めた指で、屹立した突起を前後に揺さぶると、あまりの衝撃に思わず声をあげそうになる。 なんだか下半身が蕩けるみたい。この気持ち佳さ、病みつきになりそうだわ。あともう一回だけ… 指を器用に動かすと、さっきとは比べものにならない快感がせつなを襲った。 なんだか…はあっ、他のことを何にも、考えられなくなっちゃう…んんっ…んあっ、頭が真っ白になる…ああ気持ちいい… はあっ!なんか来る!あ!あ!これが“イク”ってこと?ああっ!ラブ!ラブぅ! それから毎晩、ラブを思いながら甘美なひと時を過ごす習慣のついたせつな。 彼女にとってそれは、背徳感に支配された、やめることのできない時間。 了