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――大切なみなさまへ―― せめて思い出だけでものこせるよう、 私の思いをここに記すことにいたします。 【美食殿】のみなさま。 なにも言わずに去る勝手をお許し下さい。 わたくしは、かけがえのない大切な方たちを 傷付けぬよう、みなさまの元を離れます。 心配はいりません。 わたくしはみなさまのにぎやかで、すこやかで、 楽しい日々が続くことを遠くよりお祈りしております。 ……たとえみなさまの記憶から、わたくしが消えてなくなったとしても。 この祈りだけは、永久に消えることはありません。 『―『―『それがお前の心の闇か』―』―』 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 「申し訳ございません。キャル様。ペコリーヌ様。……主、さま。コッコロは、悪い子になってしまいました。」 その宣言は、正しく決別だったのか。後悔だったのか。それとも、歓喜と再誕の言葉だったのか。 掌に1枚の緑色のカードを握りしめ、コッコロと呼ばれるエルフの少女は乾いた呟きを漏らす。 耐えられなかった。 美食殿の仲間を、主であるユウキを傷付けないように、自ら一人になることを選んだ。 だが、或るカードによって増幅された孤独という名の心を蝕む闇は、いとも容易くコッコロの心を侵食する。 「やっぱり、寂しいのです、私は。」 忘れ去られるのは嫌だ。一人になるのは嫌だ。孤独という毒は、1枚のカードの手によってその思想ごと歪まされた。 「なので、お待ち下さい皆様。コッコロは、今直ぐにでも主様たちの所へ、戻りますので。」 ――コッコロの持つカードの名は『オレイカルコスの結界』 故に、彼女の歪曲は運命付けられた道筋だった。 【コッコロ@プリンセスコネクトRe Dive】 [状態]:オレイカルコスの結界による心の闇の増幅 [装備]: [道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1~2、オレイカルコスの結界@遊戯王デュエルモンスターズ(アニメ版) [思考] 基本:主様たちの所へ戻る、たとえどんな手段を使ってでも 1:コッコロは、悪い子になってしまいました [備考] ※参戦時期は『絆、つないで。こころ、結んで』前編3話、騎士くんに別れを告げて出ていった後 『支給品紹介』 【オレイカルコスの結界@遊戯王デュエルモンスターズ(アニメ版)】 このカードはいかなる場合にも無効にならず、破壊および除外することもできない。 自分フィールド上に存在するモンスターは攻撃力が500ポイントアップする。 自分フィールド上に前衛モンスターが存在する限り、後衛モンスターを攻撃することはできない。 このカードを手札から墓地に送る事で、あらゆるカードを無効にし破壊する。 このデュエルに敗北したデュエリストは勝者に魂を奪われる。 コッコロに支給。発動した者が持つ心の闇を原動力とする。 このロワにおいてはただ持っているだけで使用者の心の闇まで増幅させる他、単純な持ち主への強化として機能する。
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せつなさ。 ♀ (setsunasa) 中学3年ショタ声DJ 音楽のテストで宇宙人声で歌ったという強者 宇宙人声での「おにいちゃん、らめぇ」は癖になる味 親フラグにめっぽう弱い 11月4日放送中に親フラグ打開に成功する?
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せつなの捏造クリスマスイブの話 自分たちがプリキュアであることを、家族や友人に告げたラブたち四人。 その時、ウエスターが現れて――。 デビュー作にして大作の、本編45話以降改変SS! レス番号 作品タイトル 作者 備考 第1話 せつなの捏造クリスマスイブの話 そらまめ 第2話 続、せつなの捏造クリスマスイブの話 そらまめ 第3話 せつなとミユキと許されること そらまめ 第4話 せつなと美希とわがままになること そらまめ 第5話 せつなと祈里と祈ること そらまめ 第6話 せつなとラブと願うこと そらまめ
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せつなの捏造クリスマスイブの話 公園のステージで四人がプリキュアだと告げた。みんなが驚いている。当たり前だ。自分の子供たちが今まで町を襲っていた怪物と戦っていたんだから。 呆然とする人たち。引き留められた私たちも何も言えずに立ち尽くしていた。 その時せつなは暗い道の向こうから誰かがあるいてくるのに気付いた。暗くてよく見えないが体格的に男性だろう。ゆっくりと正面から近づいてくる。 そのうち街頭に照らされて、金髪の頭が見えた。黄色のダウンジャケットも着ている。 どうしてここに彼がいるのだろう。どうせなら見間違いであってほしかった。 しばらくするとみんなも人の気配に気づいてそちらを振り返る。ラブたちも気付いたようだが仮の姿では彼だと分からないようで、知らない人がまっすぐにこちらを見ながら近づいてくることに不思議がっていた。 「あれ?あの人よくカオルちゃんのドーナツ食べてた人じゃない?」 そう言ったラブに、 「ああ、そういえば…」 と美希とブッキーも思い返していた。 そうして、ステージの前まできた彼はいつものようなひょうきんな顔ではなく、無表情にせつなを見て 「よお、…イース」 と言った。 「…ウエスター」 せつながその名前を口に出した途端ラブは 「ええ!?ウエスタ―!?」 と驚き、美希は警戒し、祈里は戸惑っていた。 「どうしてあなたがここにいるの…?」 「ちょっとな…」 なんとなく歯切れの悪いウエスタ―の言葉に疑問を持ちながら続けて言った。 「シフォンを返しなさい!!」 「そ、そーだよ!シフォンはどこ!?」 「あなたここに何しにきたの!!」 「シフォンちゃんを返して!」 せつなに続きラブ、美希、祈里が今にも襲い掛からん勢いで口ぐちにウエスタ―に問いかける。 「あ?シフォン?…ああ、インフィニティのことか。あれならすでにメビウス様の元にある」 ウェスタ―のその言葉に四人はゾッとしない。今頃シフォンは泣いているかもしれない。そう思うと怒りや悲しみで心が覆い尽くされそうだった。 ミユキを含めた周りにいた人は、なんとなく四人とウエスタ―と呼ばれた男は敵対しあっているのだと分かった。そういえばウェスタ―と言う名前は町を襲っていた悪者の名前だったような…ミユキはそれに加えウエスタ―がせつなにイースと言ったのも気になった。その名前はトリニティのライブを度々襲ってきて、夏以来姿を見せなくなった悪者の中にそんな名前の人がいたような気がしたから。 敵意むき出しな四人の態度をもろともしないようにウエスタ―はせつなに話しかける。 「少し聞きたいことがあってな」 ウエスターが何の目的でここに来たか分からないが敵であることに変りはない。警戒する。 「…なによ」 「おまえ最近変わったことなかったか?」 「…は?」 こちらの内情を聞いてくるのかと思っていたらなぜか私のここ最近について聞いてきた。意味が分からない。 「だから、変わったことだよ!ここ一週間くらいで!」 「なんであなたにそんな近況報告しなきゃいけないのよ!!」 「あったのかなかったのかどっちなんだよ!」 突然始まった言い争いにラブたちもミユキたちも何が何だかわからずに警戒が薄れぽかーんとしてしまった。 あゆみはぎゃーぎゃーと言い争っている二人を見て、せっちゃんもこんな風になることもあるのね。と、普段落ち着きがあるせつなとの違いに驚いていた。 「…ぁああ!だから!最近、例えば急に意識を失って倒れたとか無かったかって聞いてんだよ!!」 さっきまで無表情だった彼がコミカルな顔になって大声でせつなにそういった。 「だから!なんであんたに…」 なんで私があんたにそんなこと言わなきゃいけないのよ、と言おうとしてふと思い出した。そういえば一週間前に、体育の授業中に突然意識がもうろうとして倒れたことがあった。ラブがあわてて保健室まで運んでくれたが、原因は分からなかった。きっといろいろあって疲れが出たのだろうと自分で解釈したが、そのことを知っているのは同じ学校に通っているラブとこの場に集まってくれた中では同じクラスの男子三人くらいなもの。ステージに乗った私を見上げているこの男が知っているはずがない。 「どうしてせつなが倒れたこと知ってるの…?」 ラブが目を見開いて驚きながら口にした。 その言葉を聞いて、「やっぱりか…」とうつむきながらウエスタ―はつぶやいた。 「あんたまさか私たちのこと監視してたの!?」 美希が驚愕しながら一歩後ずさりした。 「ち、違う!違うぞ!そんなことはしてない!」 ウエスタ―は手をぶんぶんしながら必死で否定した。 「と、とにかく!イースは最近倒れたんだな?」 仕切り直しとばかりに聞き直すウェスタ―に 「…それがなに…?」とせつなは厳しい表情のまま返事をした。 するとウエスタ―はまたまっすぐにこちらを見つめ 「俺たちのところに戻ってこい…イース」そう静かに言った。 せつなは驚いた。シフォンを奪って今更何を言っているのか。この期に及んでプリキュアの私にラビリンスに戻れなんて答えは言わなくても分かっているだろうに。 「せつなはもう私たちの仲間だよ!ラビリンスには渡さない!」 「そうよ!せつなは私たちの大切な仲間よ!」 「せつなちゃんは連れて行かせないんだから!」 ラブが美希が祈里がウエスタ―と私の前に立ち両手を広げてそう言った。 守ろうと力強くそう言ってくれた三人の背中をみて泣きそうになった。かつては敵だった私を今はこんなにも想ってくれている。仲間だと言ってくれた。こんな人たちのそばにいられて、私は本当に幸せだ。 せつながそう思っていると、今は目の前の三人で姿が見えないウエスタ―から、怒りのようなものを感じた。 「いいから戻ってこいと言っているんだ!!イース!!!」 あまりの声の大きさと殺気に周囲がたじろぐ。せつなを庇うラブたち三人も、敵であってもいつもひょうきんな彼からは想像できない雰囲気にビクッと体を硬直させた。 周りの反応と同じようにせつなも驚いていた。イースだったころ彼と任務を遂行していた時ですらこんなに殺気立ったのを見たことがことがなかった。せつなの中のウェスタ―は、馬鹿でアホで、いつもくだらないことで悩んでは一喜一憂しているが基本は何でも楽しんおり、とても侵略者には見えなかったから。それなのに今目の前にいるウェスタ―は敵意むき出しの悪役そのものだ。一体何が彼をここまでにさせているのかわからないが、私に向けられた言葉は返さなければならない。 私の前にいるラブたちの肩に手を置き後ろに下がってもらう。安心させるように大丈夫だからとほほ笑むと三人も渋々といった感じで引いてくれた。 「ウエスタ―、何度言われても私はあなたたちの仲間には戻らない。みんなの笑顔を守るためにもあなたたちがやっていることをもう認めることはできないの」 「今ならまだ間に合う!メビウス様もきっと許して下さるはずだ!管理データを書き換えてもらって前みたいに一緒に…!」 「ウエスタ―…過去の私はたくさんの人の笑顔を奪ってきた。でも今はそれがどれほどまちがっていたかが分かる。もうこの町の人たちの悲しむ姿は見たくないの」 これまでの会話で、きっとミユキやあゆみたちもせつなが以前町を破壊していたイースだと分かってしまっただろう。大切な人達に拒絶されることは怖い。でもこれは私の罪だから、嫌われてしまうことはきっとその罰なのだろうと、ウェスタ―と話しながら取り繕うことはやめた。 そんな私の言葉に、ウエスタ―は今にも泣きそうな顔で 「頼むから!…頼むから戻ってこいよイース…」 絞り出すような声でそう言った。 さっきの怒号が嘘のように力のない声に、せつなはいぶかしげる。いつものウエスタ―らしくない。なんだかせっぱ詰っているようにも感じる。 彼はどうして一人でここに来たんだろう。なんで私が倒れたことを知っていたんだろう。それに倒れたことを確認してからラビリンスに戻ってこいと声を荒げた。いろんな疑問がせつなの頭の中を駆け巡る。…そうしているうちに、記憶の奥底にあったあることを思い出した。 都市伝説のような話。ラビリンスではあらゆることが管理されている。生まれながらにしてその行く先が決められているように寿命もまた管理される。そんな中でも、ハプニングというのは存在する。突然交通事故にあったりけがをしたり…ラビリンスは様々な面で発達しているため、そういった突発的事故にあっても発達した医療でほとんどは解決される。寿命を延ばす医療があることでそうした問題が解決される。一方でその逆もまた存在する。例えば脳に外部から信号を送れたり、高度な技術で相手に触れずともウイルスを脳に侵入させることができたり…そんな技術を、寿命がきても不測の事態で生きながらえてしまった人たちに適応する。そうして予定通りにことを運んでいく。そんな技があるらしい。そして、そういう人たちは決まって寿命で停止する前に一度倒れるとか… 管理された世界でそもそも予定とは違うことなんて起きるはずはないのだからそんな話はただの噂だと、初めて聞いたときは興味もなかった。 でも、今分かった。都市伝説なんかじゃなかった。ラビリンスにいた者はラビリンスで死んでいくと誰かが口にした言葉は間違ってなかった… 彼はきっと、私にこの技術が使われたことを知り、ここにきたのだろう。私をラビリンスに連れて行き寿命を停止させるのをやめさせるために。パッションになってから幾度となく拒絶してきた私を、今でも仲間だと思っていてくれたことがなんだか嬉しかったし、そんな彼を見て愛おしくなった。 …でも、たとえラビリンスに寿命が管理され、この体が再び機能を停止するのだとしても、心までは管理されたくない。心はこの四ツ葉町に、ラブたちのもとにいるのだから。何もかも思い通りにはさせない。 「ありがとう。ウエスタ―」 突然感謝の言葉を口にしたせつなに、誰もが驚いた。さっきまであんなに平行線を辿っていた会話、厳しい表情が和らぎ、気持ちが通じたように朗らかにそういったから。ウエスタ―はその言葉に今日初めての笑顔を見せ、「じゃあ…!」と言いかけるが、せつなはそれを遮って続けた。 「そこまで必死になってくれて嬉しかった。でも、やっぱりラビリンスには戻れない。私は今までいろんなことを間違えてきた。だからもう、道を間違えることはしたくない。すべてを投げ出してでも守りたいものができたの。それはもう揺るぎないことだから。何かを惜しんで選択を間違えるようなことはしたくない。…それに、ラブたちと殴り合いなんてもうしたくないわ」 そう笑顔で言ったせつなに、ウエスタ―は見惚れてしまった。イースの頃、一度も見たことがないようなやさしい顔だったから。 ラブたちは、会話を聞いても二人が何を感じ合って話しているのか分からなかった。それでも一つだけわかったことは、せつなは自分たちの仲間であり、もうラビリンスに戻ることはありえないということだった。口にしてはっきりとそういってくれたことに嬉しかった。でも、ラブはなんとなく心がざわついた。せつなが達観したような言い方をしたから。まるでこの世に未練なんてないようなそんな清々しい言い方をしていたから。せつなはこのまま自分たちの手の届かないところへ行ってしまうのではないか。まるで、雨の日に戦ったときのように… ラブがせつなに声を掛けようとする前に、せつなは何も言わないウエスタ―に続けて言った。 「ねぇ、ウエスタ―」 「…なんだ」 「あと、どれくらい猶予はあるの?」 「……一か月以内だ…」 「…そう。なら十分ね」 「なっ…!」 十分だと言ったせつなを信じられないとでも言いたげなウエスタ―が驚いていた。 「十分なはずないだろう!!一か月しかないんだぞ!」 突然に声をあらげるウエスタ―に先ほどと変らぬ様子でせつなは続ける。 「あら。十分じゃない。それだけあればラビリンスに行ってメビウスの野望を止めてここに帰ってきてもおつりがくるわ」 「それならおまえは戦いに勝っても負けても結果がかわらないだろうが!!」 必死なウエスタ―、ゆったりとしているせつな。二人の対照的な会話に周囲の人間も困惑するが、ラブは先ほどからどうしようもなく胸騒ぎが止まらない。 二人はなにか大事な話をしている。そしてそれはきっと私にも大事なこと… 「ねぇ!せつな!さっきからウエスタ―となんの話をしてるのっ!?」 たまらずにせつなの腕をつかみ問いただした。せつなはラブを方を向く。よく見ると後ろの美希と祈里も悲しそうな顔をしていた。 その顔を見て、この会話が悲しいものだとみんなは気づいてしまっただろうかとせつなは苦笑いした。意外と聡いラブにいたってはつかんでいる手が心なしか震えていた。 「ねえ、ラブ」 静かに呼びかける 「なに?…せつな」 「私ね、ラブには感謝してるの。もちろん美希やブッキーにも。お母さんやお父さん、この町の人みんなにも。私にたくさん楽しいことがあるって教えてくれたし、ダンスも面白かった。家族の温もりまでくれて、私にはどれも過ぎたものだって思ったけど、それでもたくさんの幸せを感じる事ができて嬉しかった」 …せつなはどうしていきなりこんな話をするんだろう。どうして過去形で話すの?これからも一緒にたくさんの幸せをゲットするのではないのか。 こわい…せつなを遠くに感じてしまう。触れている腕から暖かな温もりをこんなにも感じるのに。 「プリキュアになって、仲間になれてたくさんの笑顔を守れて本当にうれしかった。だから、シフォンを取り返してこの世界も守って、これからもみんなが笑顔でいられるように精一杯がんばりましょう」 せつなは、そう笑顔で言った。 「…みんなの笑顔の中にせつなはちゃんといる?」 腕をつかんだ態勢のままのラブからの問いかけにせつなは少し驚いてから 「ええ、当たり前でしょ」 そう返した。だって心はいつまでもラブの傍にいるもの。という思いは口にせずに。 笑顔で当たり前だと言われてもどうしても信じられないラブは、何も言えずにただぎゅっと腕をだく手に力を込めた。 ウエスタ―はそのやり取りを見て、もうなにを言っても無駄なのだと悟った。そういえばイースは意外と頑固だもんな。一度決めたら突っ走るもんなと思いだした。 「イース」 ラブたちに微笑んでいるせつなを呼ぶ。 「なに?ウエスタ―」 「俺たちが次に会う時は戦場だ」 「そうね」 「…手加減なんてしてやらないからな」 「……望むところよ。あなたたちの思い通りにはさせないわ」 お互い目をそらさずに言った。この会話にいろんな気持ちを込めて。 「じゃあな。プリキュア。お前らも次会うときは今までのようにいくと思うなよ」 そういって踵を返し元来た暗い道に歩きだした。 「ちょ、ちょっと待ちなさいよ!」 美希があわてて呼び止めるがウエスタ―は一度だけ振り返りそのあとスッと闇に紛れて消えていった。 続、せつなの捏造クリスマスイブの話へ
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せつなと祈里と祈ること 「祈里ちゃん!ステップがワンテンポ遅れてるわよ!」 「は、はいっ!!」 「せつなちゃんも動作が遅れてるわ!もっと体を動かして!」 「はいっ!!」 「ラブちゃんもっと手を上に!」 「はい!」 「美希ちゃん周りとテンポ合わせて!」 「はいっ!」 厳しい指導が絶えることなく四人に向けられる。 「はーい。それじゃあ少し休憩しましょうか」 「「「「は、はい…」」」」 休憩の合図とともに四人はその場に座り込んだ。 みんながぜーぜー言っているのを聞きながら、せつなも必死に呼吸を整える。 今日はなんだか体が上手く動かなかった。久しぶりのレッスンだったせいもあるが、原因はそれだけじゃないだろうなと思った。多分、早朝に起きて体を動かしたせいだ… 朝早く、日が昇る前にせつなは起きた。着替えて防寒し、手には軍手をはめ、スコップと昨日買った球根と花の種を持ってアカルンである場所へ向かった。 そこはステージのある広場、イースが一番最初に破壊した場所だった。 せつなはその場所をしばらく見た後、広場の周り…舗装されていない場所に行き、買ってきた球根や種を植え始めた。冬ということもあり土は固く掘るのに手間取ったり、なれない作業に戸惑いながらも黙々と手を動かしていく。 せつなは、イースとしてしてきたことの罪はどうすれば償えるのかずっと考えていた。ミユキたちには許してもらったが、それで罪が消えるわけではないし、何より自分の気持ちがおさまらなかったから。 考えた結果、破壊してしまった場所に花の種を植えようと思いついた。こんな些細なことではなんの足しにもならないかもしれない。でも、今植えておけば春になってたくさんの花が咲いて、少しでも以前のような素敵な場所に戻ってくれる気がした。 私にはこれから先時間をかけて償っていくことができない。だから限られた中で後にも残るようなことがしたかった。そう思ったから、冬でも耐えられる種類の花を店員に聞いて、その種をちゃんと育つようにと一つ一つ思いを込めて植えた。 この作業は朝だけでは間に合わないだろう。でも人に見つかるわけにもいかないから人目のつかない夜にこっそりやるつもりでいる。早くしなければ…と思っていたため、初日にしてはずいぶん長い時間作業していた。 それがダンスにまで影響してしまうなんて…残り少ない機会をこんなことで不完全燃焼させるなんて嫌だ…頑張らなきゃ。 そう考えていたら、いつの間にか休憩が終わっていた。 ダンスレッスンが終わった夜にも、朝と同じようにアカルンで移動して作業した。少し怠いけどここで頑張らないと終わらない…そう思って必死になった。次の日もまた次の日も、せつなは早朝と夜に家を抜け出し作業を続けた。 そんな無茶をしていたからか、最近は食欲もなくなってきたし体の怠さは増すばかり。でもここで立ち止まるわけにはいかない。せめて最後まで… ――――――――― いつものように早朝に起きてアカルンで移動する。もうこなれたしまった工程。ただ今日は少し寝坊してしまった。本当なら目覚ましも必要ないくらい正確に起きられるはずなのに、今日はアラームが鳴っても起きられなかった。いよいよ疲れが本格化してきたのだろうかとも思ったが、あと少しで終わるため気にしないことにした。 一心不乱に作業をしていると、次第に日が昇り始めた。そろそろ人が来てしまうかもしれないので帰るための片付けを始める。今日は雲一つないいい天気だった。こんな日にただアカルンで家まで帰るのではもったいない気がしたので、少し散歩していくことにした。 鳥の鳴く声がする。霜が降りた葉が太陽の光できらきらしている。生活感あふれる音がしだした。息を吐くと白い雲ができては消えていく。当たり前のことに、なぜか泣きそうになる。 しばらくそうやって噛みしめるように風景を追っていたら、ふとどこからか動物の鳴く声がした。それは鳥のさえずりのようなものではなく、もっと痛々しいような弱い声…せつなはあたりを見回し懸命に声の出どころを探った。そうして見つけたのは、足にけがをしている猫だった。このままここにいれば間違いなく最悪の事態になる。こんな寒さだし、何よりまだ小さなその猫を放っておくことなどできないため、せつなは持っていた道具を茂みに置くと、代わりにその猫を抱き上げて祈里の動物病院へアカルンで移動した。 「せつなちゃん。あの猫もう大丈夫みたいだよ」 「!!ホントに!?ありがとうブッキー!!」 朝早くに来たせつなを快く受け入れ治療してくれたことに本当に感謝しながら、何度もお礼を言った。 無事だという報告にホッとしたら途端に疲れを感じて、待合室に座りボーとする。 「…で、…に……だけど…いい?せつなちゃん」 「!…え、ええ!もちろんよ」 「よかった。じゃあ行こっか!」 しまった。反射的にもちろんと言ってしまったが、自分が何を了承したのかちゃんと聞いていなかった…手を握られ、引っ張るように動き出した祈里の後を行先も分からないままついていく。 しばらく歩いて到着したその場所は、教会だった。 「わたしね?たまにこうやって朝早くにここにきて祈りを捧げてるの」 礼拝堂に向かって祈る動作は、習慣化しているのがはっきりと分かる程スムーズで様になっていた。 「せつなちゃんは、こうしてお祈りしたことある?」 後ろできょろきょろしていたせつなの方をくるりと向いて聞いてきた。 「ごめんなさい…ないわ」 知識としては知っていたが神に対する概念がなかったため、祈りを捧げるということにいまいちピンとこず、今まで足を運んだことはなかった。 せつなの申し訳なさそうな表情に、祈里は安心させるようににこっと笑いながら静かに話し出した。 「わたしって、すごく引っ込み思案で、ラブちゃんからダンスしないかって言われた時も一度は断ったって話したことあったでしょ?」 「ええ。覚えてるわ」 それはせつなにとって忘れることなんてできない日。新生クローバーとして仲間に迎えてもらった日だ。 「悪い癖だけど、周りの目を気にして自分がしたいことをしたいように出来なかった。人の視線が気になってばかりで、自分のしてることを変に思われたらどうしようとか、そんな事ばかり考えてたの。ダンスやプリキュアをやってるうちにだんだんその考えは薄れていったけど」 確かに祈里は変わった…と思う。ラブや美希から、最初の頃は公園のステージで踊ることにもそわそわしていたと聞いたことがあった。今ではそんな時があったなんて嘘のように、誰に見られようがいきいきとダンスを楽しんでいる。 「…でもね、周りの目を気にしていた時でも、この祈りだけはやめたことはなかったの。祈っている所を誰に見られても構わなかった」 「…どして?」 「…それはね………祈ることは自由なことだから」 「自由…?」 「うん。自分が思い描いていることやこうしたいと願う気持ちは誰にも止めることはできないし、それは他人から非難されることじゃない。そう思ってたから。祈りたいと思う気持ちの前では、地位も名誉も資格もいらない。どんな人だって自由に願いを込めていいの。 …それと、こうやっていると、自分が本当は何をしたいのかが見えてくる気がしたから。わたしはみんなより悩んでしまうことが多い分、迷ってしまうこともあるけれど、こうやって気持ちを落ち着けて心の中を整理することで、自分なりに答えをだしてるの」 祈里の口癖である、「わたし、信じてる」という言葉は、もしかしたらそうやって口に出すことで、自分自身に言い聞かせているのかもしれない。話を聞いていてせつなはふとそんな風に思った。 「ただ、それでもどうしようもない悩みがある時は…みんなに相談するようにしてる」 「みんなに…」 「悩み事を人に話すとね?自分の考えを整理できるし、自分は一人じゃないって勇気も出てくる。それに、言葉にしなきゃ伝わらないこともあると思うから」 「せつなちゃんは、祈りたいことある?」 「ないわ」 「そう…じゃあ願いごとはある?」 私の願いだったメビウスの野望を止めることは叶った。もう私に願いなんてない… 「…いいえ」 「……せつなちゃんは、無意識に感情を抑えちゃうところがあるから、自分の気持ちにも気づけていないのかもしれないけど………願いがない人なんてこの世には一人もいないと思うよ?」 「もっと、自分に正直になってみたら?」 そう言ってこちらを見てくる顔は、いつも以上に優しいものだった。 「それじゃあ、付きあってくれてありがとう。猫さんのお見舞いすぐには無理だと思うけど、出来るようになったら連絡するね?」 「こちらこそ本当にありがとうブッキー、あの猫のことよろしくお願いします」 そんな会話をして祈里と別れたせつなは、桃園家への帰り道、茂みに置いてきた道具を拾いながら考えるように歩いていた。 最近どうもいろんな人から含んだ言い方をされる。美希にしても祈里にしても、何をもっていった言葉なのか、どうして突然教会に連れて行かれたのか、分からないことが多い。もしかしてイブの日にウエスターと話した内容を、聞かれてもはぐらかし続けていることに怒っているのだろうか。確かに悪いとは思ってるけど、もう時間はほとんどない。今更誰に何を言ったところでこの現状をどうにかできるわけではないだろう。…奇跡は二度は起きないんだから。 ラブたちには悪いがこのまま最期までシラを切らせてもらおう。そう考えていた頭の片隅で、「言葉にしなきゃ伝わらないこともある」という言葉がサッとよぎった気がした。 せつなとラブと願うことへ
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【検索用 たいせつなこと 登録タグ 2018年 KAITO MEIKO Rella TSO UTAU VOCALOID た ふわりP 初音ミク 巡音ルカ 曲 殿堂入り 重音テト 鏡音リン 鏡音レン】 + 目次 目次 曲紹介 歌詞 コメント 作詞:ふわりP 作曲:ふわりP 編曲:ふわりP 絵:Rella 動画:とさお(TSO) 唄:初音ミク・鏡音リン・鏡音レン・巡音ルカ・MEIKO・KAITO・重音テト 曲紹介 曲名:『たいせつなこと』 歌詞 (動画より書き起こし) つきよのあかりを あびて ひびはやがて まぶたをこすり ときのさかいめを つげて あすのかたを なでた そらもようは あいもかわらず あおく あかく くろく ながれた もしもそれが えいえんならば ほほえみを うつして やさしさを たくして しあわせを はぐくんで ここに つたえて といかければ こえが こえが こえが こころに かたるだろう きっと きっと きっと こたえがみつかるように そっと せなかを おすだろう つきのあかり きこえるねいろに こころを すませて はれまのあかりを あびて まちはやがて にぎやかになり えきへなだれこむ ひとの たたかう あせを たたえた あゆむみちは あいもかわらず ながく とおく たかく そびえた もしも それが ひつぜんならば ほほえみを うつして やさしさを たくして しあわせを はぐくんで ここに つたえて といかければ こえが こえが こえが こころに かたるだろう きっと きっと きっと こたえがみつかるように そっと せなかを おすだろう はれのあかり きこえるねいろに こころを すませて アスファルト ほはばを かたむけて のこした じてんしゃに ライトが ともりはじめ いえじへと むかう たいよう いのちのこきゅうを むすぶ あのころの ぼくらから めのまえの ぼくらへと わたされた じかんと たくされていた いきるよろこび めまぐるしさに たちむかって けずれたこころ けれどそこに あのころの あなたの えがおをどうか わすれないでいて たいせつなことは いきるよろこび そしてけしきに つきがのぼった おりかさなった しずけさの こもれびの はて やすらかにつづいていく いぶきを つなぐように ほしがさいた ひかりが あわくふりそそいだ といかければ こえが こえが こえが こころに かたるだろう きっと きっと きっと こたえがみつかるように そっと せなかを おすだろう はしりぬけた かぜのきどう うちあがって かなたへととんだ らららららら おだやかに わきあがる らららららら かがやきを ほらね ぼくたちはここに うみだしつづける あすのあかり きこえるねいろに こころをすませて コメント 歌もいいし絵がきれい -- 名無しのものです (2019-02-11 10 51 59) 重音テトも入るなんて素敵すぎる!! -- 名無しさん (2019-02-12 00 28 14) オーケストラ+合唱団verも壮大でめっちゃ好き -- 名無しさん (2020-02-04 00 22 00) 優しい雰囲気が好きです -- 名無しさん (2022-02-28 20 26 25) オーケストラ感大好き…ふわりPさんほんとうに天才 -- 名無しさん (2022-06-23 15 15 24) 名前 コメント
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せつなとミユキと許されること 戦いが終わった。メビウスが人ではなく人間の作りだした機械だったことには驚いたし、サウラーとウエスターが復活して味方してくれたことにも驚いた。でも、本当にうれしかった。 突如としてできた高い塔もメビウスとともに爆発に呑まれ姿を消した。ラビリンスはこれから変わっていくだろう。いつか四つ葉町みたいな笑顔あふれる場所になってくれるはずだ。 死闘を繰り広げて誰もが疲労困ぱいしているが、みんな一様に笑顔だった。シフォンを無事とり戻し、世界も救うことができた。やっと終わった。ラブも、美希も、祈里も、そしてせつなも、泣き笑いになりながら抱きしめあっている。 ラビリンスの住人がプリキュアに駆け寄る。賞賛の言葉を口々にかけられあたふたしながらも照れくさそうにしている彼女たちの姿を、ウエスターはその場ににつかわしくない悲しそうな顔で見つめていた。 「どうしたの?そんな顔して」 住人に囲まれわいわいとしている輪から脱け出してきたせつながウエスターに話しかけた。 「…イース…」 「だから私はイースじゃないって…って何度このやり取りやらせる気よ。まあもういいけどねイースでも」 呆れながらもやっぱり嬉しそうな表情のせつなに、ウエスターはよくわからなくなった。なんでこんなに楽しそうなんだろう。そりゃあ支配から解放されて世界を守ることができたけど…けど… 「なあイース、お前はこの世界を救った。今の俺にはそれがどれほど価値のあるものか分かる。けどな、俺は素直に喜べない…」 「どうして?」 「メビウスがいなくなって、ノーザもクラインもいなくなった。だけどそれは…」 …それは同時にせつなに施されたウイルスの停止も不可能になったことを意味している。 処置を施したのはクラインだ。そしてそのウイルスは時限式のように体を蝕んでいく。せつなにウイルスを仕掛けたとクラインが言っているのを偶然聞いてしまってから、必死になってそのことを調べた。活字を読むのは嫌いだったが、それよりもイースがいなくなってしまうことの方が嫌だった。 うつむいて言いよどむウエスターに、「せつなはせつなだよ」と言ってくれたラブの言葉を思い出した。目の前にいる真っ白な服装の彼は、クリスマスイブの時敵として私の前に立った人でもある。見た目は大きく変わったが、こうやって心配してくれている所はあの時とまったく一緒だ。心の根底は変わることなくいつでもウエスターなのだろう。 「ウエスター」 「…なんだ」 「あの時も言ったけど、もう一度ちゃんと言うわ」 あの時ってどの時だ?と疑問に思いつつせつなの話に耳を傾ける。 「四つ葉町で私にラビリンスに戻るように言ってくれた時、それを受け容れることはできなかったけど、敵だった私を心配してわざわざ来てくれて、本当にありがとう。とても嬉しかったわ」 「ああ、そのことか」 ウイルスのことを知って、なんとかイースを連れ戻したくて四つ葉町に行った。結局、こいつの揺るぎない意志の強さに負けてしまい説得には失敗したが。 本当はあの時、力ずくでも連れて行こうと思っていた。無理やりにでもラビリンスに連れ戻す気持ちでいた。 でも、毒気を抜かれてしまった。全て分かった上でもあんな穏やかな表情をしていたから。 「私にはあと少ししか時間がないのだとしても、この状況に後悔なんてしてないわ。だって本当ならイースであったあの時に私は死んでいるんだもの。パッションになってここにいて、こんな素敵な光景を見ることができているだけで満足よ」 ドーナツをあげた小さな女の子と嬉しそうに話しているラブたち、それを見て笑っている大人たちの姿を、慈しむように見つめながらせつなは言った。つられてウエスターもそちらを見る。 まだ笑顔が不格好な人も中にはいる。けどそれも時間が解決してくれるだろう。少しずつ変わっていく様子を見守ることができないのは残念だけど、と思いながら続けて話す。 「ねえウエスター、お願いがあるんだけど」 「お願い?お前が俺に?」 幹部時代まで遡ってもお願いなんてされたことなかったような気がすると、少し驚きながら「なんだ?」と促した。 「二つあるんだけど、一つは私の体のことは誰にも言わないでほしい」 その言葉に集団をみていた顔をバッとせつなに向ける。先ほどまでのやさしい表情ではなく、真剣な顔でこちらを向いていた。 「おまえ…」 期限としてはあと三週間もない。自分の力だけではどうすることもできないから、サウラーにも事情を話してどうにかできないか相談してみようと思っていた。例えダメもとでもただ指をくわえているのは嫌だったから。 それなのにイースは誰にも言うなと口止めしている…わけがわからない… 「…おまえは死にたいのか?生きていたくないのか?」 言っていておかしなことを聞いていると思った。死にたいわけないだろ。さっきまであんなに嬉しそうにピーチたちを見ていたじゃないか。あいつらと離れたいわけないだろ。 …でも、あまりにも自分の死に潔過ぎて、今こうして目の前にイースはいるのに、地に足がついていないようにふわふわした存在に感じる。 「…そんなわけないじゃない。でも、どうすることもできないならラブたちに余計な心配はかけたくないの。悲しい雰囲気で残りの時間を過ごすのは嫌だもの」 「それに、やっとすべてが終わったんだから。水を差すようなことはしたくないわ」と言って再びラブたちに視線を向けた。 余計なこと…そんな軽い物のような言い方はやめてほしかった。人ひとりの命がかかっているというのに、なんでこいつは何よりも優先すべきことを後回しに考えているんだろう。あまりにも自分の存在をないがしろにしすぎだ。 これでは、潔いというより諦めてしまっているみたいじゃないか。世界を救うとあんなに意気込んでいたプリキュアが、自分の命はどうなっても構わないと思っているのだろうか… ………ああ、そうなのかもしれない。考えていて思った。イースはもともとキュアパッションとして蘇った。メビウスを倒し、戦う意味ももうない今、プリキュアであり続ける意味もない。ピーチもベリーもパインも、プリキュアの要素を除けばそれぞれ、ダンスが大好きでダンサーになりたくて、トップモデルを目指していて、獣医になりたい夢を持っていてと希望を持っている。 …ではイースは?プリキュアとして蘇ったイースの希望はなんだろう。イースの幸せはなんだろう 柄にもなく真剣に考えだしたウエスターだったが、「あ、あともう一つのお願いなんだけど…」という言葉に、考えを中断して意識をせつなに向ける。 「……なんだ?」 「あのね、ラビリンスのことなんだけど、この国を支えてあげてほしいの。投げ出すような形になってしまうけど、あちらの世界をよく知っているウエスターとサウラーに、楽しいことや嬉しいことがたくさんあるってここの人達にも教えてあげてほしい。私たち三人の中で一番あちらの世界を楽しんでいたあなたがきっとこの国には必要になるから。サウラーと一緒に支えてあげて」 「お願い」そう言ってこちらを見てくるイースに泣きそうになった。 なんでこいつは自分の命すら危ういのに他人の心配をするんだ。しかもこんな言い方…これじゃまるで遺言じゃないか…このままいけばそうなってしまうが、あまりにもそれらしくて、今にも消えてしまいそうな感覚に思わずせつなを抱きしめる。 「っ!…ちょ、ちょっと…!」 いきなり抱きつかれて驚いているせつなをさらに強く抱きしめた。存在を確認するように。 「…もうっ!」 少し怒っているせつなの横でウェスタ―がお腹を抱えて倒れていた。 「おい…っ!みぞおちに…膝蹴りって酷くねぇ…?」 「あんたがいきなり抱きついてくるのが悪い」 ふんっ!と倒れているウエスターを見下ろすせつなはなんとなくあのころのイースとダブって見えた。 「とにかく!私のお願い聞いてくれるわよね?」 構図がおかしい気がするが有無を言わせぬ気迫に、抵抗の意味で向けていた目線も空しく「……わかった…」 そう答えることしかできなかった。 「それじゃあ、私達は四つ葉町に帰るわ。きっとお母さんたちも心配してるだろうし。いろいろありがとう」 「ああ、僕たちはこちらに残って国の立て直しを手伝うつもりだ。しばらくはごたごたするだろうから、ひと段落ついたら連絡するよ。それまでそちらの世界でゆっくりしているといい」 せつなとサウラーのやりとり、ラブたちもウエスターやラビリンスの人達に挨拶を済ませ集まってくる。 「それじゃあ、ほんとにありがとー!」 笑顔いっぱいのラブの言葉とともに、せつなはアカルンで四つ葉町の公園を指定した 光に包まれて消えていく瞬間、せつなは見送るウエスターとサウラーに笑顔を向けた ――――――― 「ただいま――っ!!!」 大きな声でラブが玄関を開ける。少しもしないうちにバタバタと音がして二人が走ってきた。私たちの無事な姿に目を潤ませて駆け寄ってくるあゆみと圭太郎。もみくちゃにされながらみんなで笑いあった。 …それからはあゆみの手料理や圭太郎の肉じゃが、ラブとせつなの好物が所狭しとテーブルに並んでプチパーティーが始まり、もう隠す必要もないのでシフォンやタルトも楽しそうに食事をした。 もうすぐ日付が変わる頃、せつなはベランダにでていた。 ラブは戦いのこともあって早い時間に寝てしまった。タルトとシフォンもだ。お母さんとお父さんも私たちが無事に帰ってきたことで気が抜けたのか、いつもより早い時間に寝室へ入っていった。 今、この家で起きているのは自分だけ。物音一つしない家に、さっきまでのプチパーティーは嘘だったんじゃないかと思うほど。 …本当に嘘みたい。メビウスの野望を止めて、ラビリンスの人々を解放して、シフォンを助けて、誰一人欠けることなく帰ってこられた。 良かった…本当に。ラビリンスに行く時にラブは守ると誓った。お母さんには少し怒られてしまったけど、ちゃんと約束を守れた。 私の願いはメビウスを倒してシフォンを救うこと。願いは叶った。約束も守れた。もう何も思い残すことはない。そう…なにも…… あ、でも、ミユキさんにはまだイースのこときちんと説明しきれていなかったな。 あの時はかいつまんでしか説明する時間がなかったからちゃんと言いに行こう。ちょうど明日の午後からみんなで会うことになっている。その前に一対一で話を聞いてもらおう。 許されるためではない。これは置き去りにしていい問題じゃないから。私がしてきたことを伝える事は、やり残してはいけないことだ。 私はもうイースじゃない。でも、イースであったことも、してきたことも今でも思い出せる。私がいなくなるまでに、その罪を償うために何ができるんだろう… 「すみません。お呼びだてしてしまって。来てくださってありがとうございます」 「いいのよ。今日は一日オフだし午後からみんなに会う予定だったんだから」 ちゃんと話そうと決めた翌日、朝早くにミユキに連絡をとった。みんなで会いに行く午後とは別に、一対一で話がしたいので10時に公園に来てほしい。と 「よかったわ。みんな無事に帰ってきてくれて。ありがとう。この世界を救ってくれて」 その言葉に奥歯をグッと噛みしめる。 「…ありがとうなんて…言わないでください。私にはそんなこと言ってもらう資格なんてありません。その言葉はラブたちに言ってあげてください。本当に頑張っていましたから」 何かを耐えるようにそう言うせつなに、ミユキは悲しい表情になる。 「…あの、私の話を聞いてもらえないでしょうか?聞いていて怒りをぶつけたくなったらいつでも殴ってもらって構いません」 「……わかったわ」 せつなは自分がイースだった頃にしてきたことを話した。何度もトリニティのライブを襲った理由、ラブと仲違いさせようとしていたこと、任務のために、友達として迎えてくれていたラブをずっと騙していたこと。そしてイースの最期まで。全部話した。 「羨ましかったんです。ライブ会場でたくさんの人が幸せそうにしていたのが。ダンス大会でラブたちが楽しそうにしていたのが。憎くてしょうがなかったんです。だからすべてめちゃくちゃにしてやろうと思って、ドームを破壊しました。その後はさっきも話した通りです… 本当に、申し訳ありませんでした。」 今できる最大限の謝罪の気持ちをこめて頭をさげた。言えた。ちゃんと最後まで伝える事が出来た。気を抜くと体が震えだしてしまいそうだったけど、なんとかこらえて言い切った。もうひと息だ。 「…そう。事情はよくわかったわ」 「最後まで話を聞いてくださってありがとうございました。あの…一つお願いがあります。謝罪しておいてお願いと言うのも虫が良すぎるかもしれませんが……今話した通り、ラブたちは私に騙されて友人として行動を共にしていました。私に対しての怒りは十分承知の上ですから、これからは私との関係は切っていただいてかまいません。ですが彼女たちにはこれまで通りに接してあげてほしいんです。それが私からの最期のお願いです。どうかよろしくお願いします!」 「ちょ、ちょっと待って!」 せつなが最後の願いだと言って頭を下げたことに驚いてしまった。この子はほんとに…なんというか一直線だな。と内心苦笑いする。 待ってと言われたことに、せつなは自分の願いが聞き入れてもらえないかもしれないと慌てた。 私のせいでラブたちがこれから先ダンスを教えてもらえなくなったら最悪だ。それだけは避けたい。 「っ!…あの、ラブたちは私がしていたことを止めようと必死で、ライブ会場も観客も守っていました!彼女たちは何も悪くありません!恨むのは私だけにしてください!!ラブとの関係を…終わらせないでください…そのために私にできることがあるなら何でもしますから!」 …お願いだから! 「待ってっていってるでしょせつなちゃん!まったくもうっ!私はこれから先もラブちゃんたちのコーチはしていくつもりだし、普段の付き合いも辞める予定はありませんっ!!」 ぷくっと頬を膨らませながらそう言ったミユキにほっとした。よかった…私が原因でこれ以上誰かが仲違いするのは嫌だ。みんなには笑顔でいてほしい。 「それに、せつなちゃんとの関係も終わらせるつもりはありません!」 「………え…」 ミユキのその言葉にせつなは驚きで目を見開いた。今何と言った?ラブたちだけでなく私との関係も終わらせない?そんな…嘘だ。私は到底許されないことをしたんだ…そんなはずは… 「嘘じゃないわよ」 せつなの反応を見て、ミユキは心を見透かしたように言った。 「どう…して…?」 「どうしても何も、私がせつなちゃんとのつき合いを終わらせたいなんて思ってないからよ」 「どうして?だって私はあんなにひどいことしたのに…!」 訳が分からなくなって敬語も忘れて疑問をぶつけた。なんで?どうして? 「そりゃあ、イースがしたことはたくさんの人に迷惑をかけたし、危ない目にも何度かあった。ライブを中止させられたことは今でも少し怒ってる…」 「なら…」 「…ねぇ、今私の目の前にいるあなたは誰?町を破壊していたイースという女の子?…違うでしょ?あなたはせつなちゃんよ。何事にも精一杯に取り組んで、真面目でがんばりやで、他人のことを思いやれるやさしい子よ」 「で、でも、私がイースだったことに変わりはないんですよ…?」 「そうね。私も目の前にいるのがあの頃の、町を破壊することに疑問もなかったイースだったら、許してはいなかったわ。 …でもね、せつなちゃんだから。目の前で謝ってくれたのがせつなちゃんだったから私は許せると思ったの。 せつなちゃん。人は変わっていくのよ。私がこうして気持ちを変えられたように、あなたも変わっていけるの。いいえ、こうして反省できているのだからもうとっくに変わっているわね………………それとね…私はあなたのこと大好きよ。覚えておいてね」 そう言ってミユキに抱きしめられた。 …許してくれるのか?こんな私を。 憎悪をぶつけられたまま終わるのだと思っていた。そしてそれは当然のことだとも思っていた。でも、ミユキさんはこうして私を抱きしめてくれた。私はイースではなくせつなだと言ってくれた。 「ぅ…ぐすっ……あ、りがとう…ござ…います…」 たまらずに涙がこぼれてきて、嗚咽をあげながらでは言いにくかったけど、今の気持ちを言葉にした。 ……あの後いったん家に帰り、今度はみんなで会いに行った。午前中のあの憂鬱とした気分が嘘のように足どりが軽い。 みんなはまだ私とミユキさんが仲直りできていないと思っていたので、二人で楽しそうに話をする光景を見て驚いていた。 カオルちゃんのドーナツを食べながら、ラビリンスに行ってからの事を話した。 「じゃあ、えーと、ウエスターとサウラー?も仲間になってくれたのね?」 「そうなんですよ!一緒に力を合わせて戦ってくれました!」 ラブが先ほどから嬉しそうに話している。それをみていると、こっちまで自然と表情が和らぐ。 「今彼らはラビリンスにいるの?」 「はい。あちらで復興の支援をしてくれています。本当は私も残るべきだったんですが、サウラーにしばらくこちらにいるといいって言ってもらえたので、こうしてラブたちと一緒にいます」 せつなもラブにつられて嬉しそうにそう話した。 今、彼らはどうしているのかな?昨日の今日だけどもう動き出しているだろうか… ――――――――――――― ラビリンスでは、ウエスターとサウラーが、崩壊した建物のがれきを撤去する作業をしていた。 「ウエスター、そろそろ休憩しようか」 「……ああ…」 またか…戦いが終わってプリキュアが帰ってからどうも様子がおかしい。なにか考えているかのように返事もおろそかだ。 そう思って観察していると、さっきまで心ここに非ずだったウエスターがいきなり 「ぁあああああ!もういい!うだうだ考えるのはやめだ!」 そう言ってこちらをキッと見てきた。 「な、なんだい?さっきから。疲れているのか?」 「なあ、サウラー!今は休憩中だよな?」 「あ、ああ。そうだけど…?」 「俺はさっきまでの労働で喉が渇いたから飲み物を買ってこようと思う」 「そんな宣言しなくても買ってくればいいじゃないか」 「ところで、突然だが俺は昨日から日記を書き始めたんだ」 「…は?」 何言ってんだこいつ?なんで飲み物の話をしていたのに日記の話?突然どころの話じゃないんだが。しかも活字嫌いなウエスターが文章を書くなんて…漂白されると頭までクリアになるのか? 「そしてその日記を書いたノートがここにある。俺は今からこれをうっかりここに置き忘れていく。ほんとは中は見ちゃだめだけど、俺がいない間に読もうとしたならそれはきっとどうすることもできないだろう。そして俺は飲みたいものが見つからないかもしれないからしばらく帰ってこない」 「…はあ…?」 なんだ?つまりは中を読めってことなのか?まどろっこしい言い方はウエスターらしくないしなんか馬鹿っぽいけど、本人は至って真面目なようで、こちらを見つめている。 「じゃあ、しばらく留守にする」 そう言って歩いて行ってしまった。 よく分からないけど、活字嫌いな彼が日記を書いたんだ。その内容にも少し興味があるし、読んでやるか。 そう思って先ほどまで彼が座っていた場所に置かれた日記を手に取った。 せつなと美希とわがままになることへ
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このページはこちらに移転しました たいせつなもの// 作詞/400スレ366 今日も見つからないや きっと此処にはないんだろう あの時貴方に見せて貰った あの眩しさが忘れられなくて 探しつかれ休んでる時 貴方の言葉を思い出す 誰もが持ってるって それはきっと大切な物 届かなくても追いかけてく それはもっと必要な物 大切なんだと気付いたから それはずっと心にあった物
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せつなの武装神姫 書いた人/駄文繰り メニュー せつなの武装神姫 主な登場人物 僕とティキ Y.E.N.N なつのとびら 雪那とティキと――僕とティキのつづき―― ―断片― せつなの武装神姫 時系列まとめ 最新更新情報 2009 01 09 ―断片― ―僕とティキの番外編― せつなの武装神姫 時系列まとめ 更新 コラボは大歓迎です。こんなのでも、「使ってやるか」という方がいましたらご自由に使ってやってください。 神姫狩人 凪さん家シリーズ ねここの飼い方 『不良品』 魔女っ子神姫☆ドキドキハウリン HOBBY LIFE,HOBBY SHOP いつか光り輝く おまかせ♪ホーリーベル ツガル戦術論 音声ファイル2036 など、参照ならびにゲスト出演、リンクさせております。ご容赦ください。 今日 - 昨日 - 全体 -
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続、せつなの捏造クリスマスイブの話 ウエスターが去って行ったあと、再び沈黙が流れる。せつな以外ウエスターがここにきた目的が最後まで分からなかったし、シフォンはやはりメビウスの手に渡ってしまっていた。それに、どうやらせつなはあのイースと同一人物らしい。シフォンの現状を知ったことの悲しさや、事実を知ってしまった人たちの困惑で誰も何も言えなくなってしまう。 そんな中、沈黙を破る声がした。 「ねぇ…せつな…」 ラブが、先ほどまでつかんでいた腕を離しせつなに呼びかける。表情は下を向いていてわからないが、少なくとも楽しい雰囲気でないことは確かだ。 「…なに?ラブ…」 「ウエスターと何の話をしてたの?さっきは結局教えてくれなかったよね?」 上手くはぐらかせたと思ったんだけどなぁ…やっぱりラブは侮れない 「ラビリンスの管理体制の話よ。私がイースからパッションになったことで、データの書き換えが行われるみたいね」 「…嘘」 「嘘じゃないわ。管理できない人間がラビリンスにどのくらい不都合があるか分からないから今の状況を偵察しにきたみたい」 「…じゃあ一か月がどうとかって話は?」 「前のデータの書き換えにそれくらいかかるみたいね。ウエスターは馬鹿だから内情をぽろっと言っちゃったのよ。でもそれだけ時間があればイレギュラーとしてラビリンスの隙をつけるわ」 …これでかわしきれるだろうか。ツッコミどころ満載の言い訳だが、これから大事な戦いなのだ。私のことがマイナスになって戦闘に影響でもでたら大変だ。 そんな風に考えていると、それまでずっと下を向いていたラブが顔をあげて私をまっすぐにみつめた。ラブの目に私の顔が映る。その目に映る顔はいつもと変わらない。ただ、ほんの少しだけ表情が硬かった。 「…わかったよ。せつな。あたしせつなの言ったこと信じる」 「ちょ、ちょっとラブっ!いいの?!」 「ラブちゃん…」 ラブが信じると言ってくれた。その言葉に美希と祈里は驚いている。三人にはきっと私がなにか隠していると感じ取ったのだろう。それでもラブは私の話を本当のこととして受け取ってくれた。ただ、その表情は納得なんてしていないようだが。 「美希たん、ブッキー、今は一刻も早くシフォンとこの世界を救いに行かなきゃいけないんだよ。だから…」 …だから、今は何も聞かない。全てが終わったら話してほしい。言葉にはしなかったけどせつなの目にそう訴えかけた。 「ラブ……そうね。アタシたちが今やらなきゃいけないことはメビウスの野望を止めることよね」 戸惑っていた美希だが、ラブの言葉を聞いて気持ちを切り替えた。ただ、 「せつな…あとで覚えてなさいよ」 そうせつなに向けて声を掛ける。あんたアタシたちに隠し事なんていい度胸じゃない…そんな副音声も聞こえた気がした 「……」 ちょっと憂鬱になった。 「せつなちゃん」 心なしかテンションが少し下がった時、祈里に名前を呼ばれる。 「なに?ブッキー?」 「……」 ただ私を見つめてくるだけの祈里にどうしたんだろうと不思議に思っていると 「……わたし、信じてる」 それだけを口にした。 そんなやり取りをしている間、ミユキは混乱した頭をどうにかしようと必死になっていた。 せつなちゃんがあのイースだって…?何の冗談だ。真面目でひたむきなせつなと破壊的な印象のあのイースは似ても似つかない。 コンサートやダンス大会をめちゃくちゃにされた。せっかくがんばって練習していたラブちゃんたちも、その成果を存分に発揮することができなかった。悔しかっただろう。私だってコンサートに向けて幾度となくレッスン、リハーサルを積み重ねて本番に臨んだ。プロとして応援してくれるお客さんにいい加減なパフォーマンスは見せられないと思ったから。そういったいろんな想いを会場と一緒に破壊していったイースには、怒りを覚えている。それは今でも変わらない。 でも、ラブちゃんたちがプリキュアだと私に言ってくれた少し後に、新しい仲間だと言って紹介してくれたせつなちゃんは、本当にいい子だった。ダンスをするのは初めてだと言ったけど、三人に追いつかんばかりのスピードでどんどんうまくなっていった。まるで乾いたスポンジのように教えたこと以上を吸収し、私ですら目を見張るその成長スピードに驚きを隠せなかった。なによりも、一生懸命さが伝わってきた。真剣にダンスを学ぼうとする彼女の姿勢は、コーチをしている身としては本当に嬉しかったし、そういう子に教えるのは楽しかった。ダンスだけじゃない。普段の生活で触れ合っていても、その性格の良さは全身からあふれ出していた。 ……一体、どちらが本当の彼女なのだろう? ぼうっとしながらせつなを見る。それに気づいた彼女と目があった。せつなは少し戸惑った後、とても、とても悲しそうな顔をして 「ミユキさん…私は、トリニティのコンサートやダンス大会をめちゃくちゃにしていたイースです。ダンスを教えていただいていたのに、恩を仇で返してしまいました。許してもらおうとは思っていません。ですが、謝らせてください。本当にすみませんでした。」 そういって深く頭を下げた。この言葉にラブは息をのむ。今まで話していなかったのは申し訳ないと思っていたが、タイミングがあまりにも悪い。 「………」 せつなから直接イースだと言われた。謝られた。怒ればいいのだろうか。罵ればいいのか。でも、目の前で頭を下げているせつなの顔に、今にも抱きしめたくなるような感覚もある。ごちゃごちゃした感情で、なにもいえないまませつなを見つめることしかできない。 「ミユキさん…!あのっ!せつなは確かに敵だったけど、それには理由があって!!」 「そうですっ!!コンサート会場を襲ったことも本当に反省していて…!」 「その事を気にしてミユキさんにダンスを教わるのも断ろうとしていたんです!でも私たちがそれを説得して…!」 なにも言わないミユキにラブが慌てて説明するのを、続けて美希と祈里が必死にフォローする。 「ラブ、美希、ブッキー、ありがとう。でも…いいの」 その三人のフォローを静かに止めるせつな。 「っ!!」 ラブが何か言いたげだったがそれを遮る。 「理由なんて関係ない。例え今プリキュアだったとしても過去に私がイースとしてこの町を襲っていたことに変りはないわ。そんな人間許せるわけないし…」 「許されるなんて思っていない」そう思いながらラブたちに言った言葉は、自分の心の中で反響して消えない。そう、これは罰だ。 ラブちゃんたちが必死に私に何か言っている。せつなちゃんを庇っている。それでも何も言えないでいたら、せつなちゃんがそれを止めて私に許してもらえるはずないと言った。…待って、待ってほしい。許さないだろうなんて決めつけないで。まだ事実を受け止めきれていないの。整理しきれていないのだ。時間が欲しい。考える時間が。 「ねえ、みんな。とりあえず一度お家に戻らない?」 それまで沈黙を保っていたあゆみが、ゆっくりとそう言った。 「ずっと外にいるでしょう?みんな体が冷えているだろうし、いろいろあって疲れているだろうから一度落ち着いた方がいいと思うの。」 「そうだな。まずそれぞれ家に帰って今後のことを考えよう」 あゆみに続き圭太郎もそう言う。 たしかに、ここに集まってもらってからずいぶんと時間がたってしまったし、驚くようなことがたくさんあって…事実を知ってしまった人たちに必要なのは、時間だった。 それから、その言葉に同調しそれぞれの家へと帰っていく。イースだと分かってしまった以上、あゆみたちと一緒に家に帰るのはどうなのかと戸惑うせつなの手を、ラブはしっかりと握り桃園家へと歩いていく。 「それにしても…ラブとせっちゃんがプリキュアだったなんてねぇ」 「ほんとに驚いたぞ」 「いやー、それは…黙ってたのは悪いと思ってたんだけどね?…」 家に帰ってきてとりあえず一息つくためにお茶をいれてから、リビングのソファに座っていると、同じく座っているあゆみと圭太郎にそう言われて、ラブもたははっ…と苦笑いしながらプリキュアになった話なんかをしている。 その間、せつなはまともにあゆみと圭太郎の顔を見れずに膝の上のマグカップを見つめていた。恐れていたことが起きてしまった。自分がイースだとばれてしまった。家族と言ってくれたやさしい人たちを騙していたことの後ろめたさと、これから大好きな人達に拒絶されてしまうことの恐怖を考えると、ひどく気持ちが沈んでいく。今までそんなこと思わなかったのに、今ではこの空間に息苦しさを感じる。 いや…でもこれは相応の罰じゃないか。幸せを奪っていた私には拒絶されるだけの正当な理由がある。公園でウエスターと話をした時、今までの関係は諦めようと腹をくくったじゃないか。…しょうがない。パッションになってからの生活があまりにも幸せすぎて、手放すのが惜しくなってしまっていた。私はキュアパッションなのだ。過去の行ないを悔いるなら、命を懸けてこの人たちの笑顔を守ることが、今の私にできる最大のことなんだろう。 まずは、ラブの話がひと段落ついたら謝罪しよう。 そう一人で結論づけて、せつなはマグカップに入っているお茶をちびちびと飲みだした。 その様子をあゆみはそっと窺う。 ラブに紹介される前、あの丘でせつなを見かけた時、その思いつめた顔につい声を掛けた。なんだか放っておけない気がしたから。そのあとラブに紹介され、一緒に食事をして、家に来ないかと誘った時、「幸せになってはいけない気がする」と彼女は言った。こんな少女が何を思ってその言葉を口にしたのか。驚いてしまった。でも、「ひとつひとつやりなおしていけばいい」とあの時言った言葉は、間違っていなかったのだと改めて思った。 今年になってから町を襲う怪物が現れだして、同時にプリキュアも出現して、その戦いは度々テレビ中継されていたから知っている。中継を見ていてたまに怪物に指令を出している人も映っていた。その中には女の子もいた。ラブと同じような年齢の、銀髪で、刺すような目が印象に残っているイースという子。ここ最近は見かけなくなったが、それがせつなだったとは… …あれ?ということはラブとせっちゃんは最初敵同士だったの?敵すらも丸め込んでしまえるラブの力量に親ながら舌を巻く。うちの子は本当にすごいわねと親ばかなことを思った。 イースがしていたことは確かに間違っていた。ただ、それを悔いプリキュアとして町を守るために戦ってきたのだとしたら、せっちゃんは十分にやりなしができている。お手伝いをよくしてくれるし、料理も必死に覚えようとして、少し遠慮するところは今も変わらないけど、せっちゃんが家族として来てくれたことで、笑顔が増えた。ラブも以前以上に毎日が楽しそうだし、それは私もお父さんも感じている。 …だからそこまで自分を追い詰めないでほしい。そう思った。 ラブは、プリキュアになった経緯とともにせつなについて話をした。いままでちゃんと言えなかったが、どうやって仲良くなったのか、どんな出会いだったのか、そして、イースのことも。 ラブが一通り話し終わると、せつなは意を決したように立ち上がりあゆみと圭太郎に深く頭を下げた。 「あの…今まで黙っていてすみませんでした。ここに来る前は、私はイースとして町を襲っていて、ラブたちと戦って、そのあと寿命で死にましたがキュアパッションとして生まれ変わって、ここに御厄介になっていました。家族といってくれていたのに、暖かな家庭を壊していました。謝って済む問題じゃないと思います。でも、これから世界を救うためにラブと一緒にラビリンスに行くことを許してください。ラブは私の命にかえても守りますから!」 「せつなっ!」 命に代えてもと言われてラブは怒りを覚えた。どうして守る中に自分を入れていないのか。いつもいつもせつなは自分自身を大切にしない。それがすごく腹立たしかった。 「…せっちゃん」 せつなの言葉を聞いたあゆみはいつもの穏やかな風ではなく、厳しい表情だった。 怒っている。お母さんが…口に出してお母さんとは呼びにくくなってしまったけど、心の中では変わらずそう呼ぶ。せめてそれだけは許してほしかった。 お母さんがおこるのも当たり前だ。家族として迎えた者が実は町を破壊し苦しめていた張本人だったんだから。 あゆみは立ち上がりせつなの正面まできた。手が上がる。殴られてしまうのだろうと思った。そらさずにいようとしたけどたまらずに目を閉じた。 …くるはずの衝撃は思っていたのとは違うものだった。 抱きしめられた。強く強く離さんばかりの力で。 「…あ…」 驚きで思わず声が出た。抱きしめられるとは思わなかった。温かい。体温だけじゃない、あゆみの想いまで伝わってくるみたいで泣きそうになる。 「ねえ、せっちゃん」 抱きしめたままでせつなに話しかける。 「…はい」 「せっちゃんが今までどれだけ大変な思いをしてきたか少しだけど分かったわ。いっぱい辛いことがあったのね。それを投げ出さずに後悔して、一生懸命にやり直そうとしているのはとても偉いわ。 でもね…やり直すために自分自身を置き去りしては意味がないの。 もっと自分を大切にして。あなたも私の大切な娘なのよ?それはいつまでも変らないわ。」 こらえきれずに涙が出た。私をまだ娘だと言ってくれた。こんな私を家族だと思ってくれている。いいのだろうか。こんなに幸せをもらっても。抱えきれないくらい大切な想いが溢れてくる。 「…ごめんなさい……ありがとう…お、お母さん…」 震える声でお母さんと呼んでみた。抱きしめる力が強くなった。 ラブも私に抱き着いてきた。お父さんもみんなを囲むように抱きしめる。 ああ、私にはもったいないくらいの幸せだ。この幸せを守りたい。いや、守ってみせよう。そしてまたラブとこの家に帰ってくるんだ。 そう固く決意した。 せつなとミユキと許されることへ