約 1,574,502 件
https://w.atwiki.jp/nwxss/pages/214.html
「来いよ、銀之介え!」 オオカミが笑うと同時にオオカミから瘴気があふれ出す。 それはオオカミの動きを蝕み鈍らせる代わりに強い破壊力を与える。 「今度こそ、ぶち殺してやるぜ!」 黒い瘴気をまといながら、オオカミが吠えた! 「お願いだ。僕の中の狼…」 銀之介はゆっくりと目を閉じる。 瞳に映るのは、明るく黄色い、丸い月。 もう、恐れない。狼は飼いならせるって気づいたから。 「僕に力を貸してくれ…」 銀之介の銀の毛皮が艶を増す。そして、引きしまる。より、戦いに特化した姿へと。 「今度は僕が終わらせなきゃならないんだ…」 ゆっくりと開く、その瞳はいつもの優しい瞳では無い。 「こんな悲しいのは、もうたくさんなんだ!」 野生の獣性と狩人の理性。その2つを併せ持った瞳で。 銀之介もまた、吠えた! 「ククク…今度こそ息の根を止めてやるぞ。赤毛の悪魔…」 アラキの魔力が増大する。空に輝く紅き月が魔力を分け与えているのだ。だが。 「ふん。それはアンタの専売特許じゃないわ」 不敵に笑うサフィーの魔力も同じように増大する。 「なんだと…?」 「アタシが気付かないとでも思ったの?」 そう、空に輝く紅い月が加護を与えるのはエミュレイターだけじゃない。 「常識から外れた存在って意味じゃあ…ウィザードもエミュレイターも大して変わらない」 紅き月は等しく、加護を与える。 「アンタにできること、アタシに出来ないとは限らないって思わない?」 自らを糧とするものに等しく加護を。 「だって、アタシもアンタも…もとはこの世界の吸血鬼だったんだもの」 その小さな牙をさらすように。 サフィーが歯をむき出して、笑った。 「…一気に行くよ」 いのりが自らの相棒にプラーナを注ぎ込む。 いのりには分かっていた。長引かせれば、こっちが不利だ。 いのりはちらりとそちらを見る。今なおへたり込んでこちらをみている、自らの友を。 「ファイアーワークス…」 だったら… 「全力で焼き滅ぼせええええええええええええ!!!!!!!!!!!!」 速効でブッ倒すしかない! 「銀之介君は、オオカミを、いのり君はアラキを抑えてくれ!」 的確に指示を出しながら、静は準備を始める。 「サフィーちゃんは僕と一緒に!」 移動しながら、体内でゆっくり練り上げる。 「頼む。時間を稼いでくれ!」 静は、魔術師だ。魔法を扱う専門のクラス。 全力で魔法を発動させれば。 「僕が魔法を完成させる時間を!」 その威力は、吸血鬼にだって負けないのだ! 「ぶっ壊れろ!銀之介ええええええええ!!!!!!!!!!!」 オオカミが振りかぶり、突っ込んできた銀之介に向かって、振り下ろす。 瘴気をまとった一撃。喰らえばただでは済まない。だが。 「なんだと!?」 それを銀之介はかわしてみせる。 「僕は…」 かわしきった銀之介はそのまま、オオカミに向かって蹴りを放つ。 「負けるわけにはいかない!」 その一撃は今までで最高のスピードで、オオカミを的確にとらえた! 「がふぁ!?」 内臓にまで達する一撃に、オオカミが血へどを吐く。早く、重いその一撃をオオカミの目は捉えられなかった。 「ちきしょう…てめえいつの間にそんな技を…」 オオカミが悔しそうに呟く。 それは、生まれついての狼であったが故に、狼であることに固執した男には決して到達できない領域。 狼であることを受け入れてなお人として生きる道を選び、その力を飼いならしたとき。 そうなったとき、彼らは変貌する。人も獣も超えた存在へと。 今の銀之介は、ただの狼では無い。 狼であることを超えた…人間なのだ。 「赤毛の悪魔に、死を!《ヴォーテクスランス》!」 アラキの魔法。槍のように尖った魔法がサフィーへと放たれる。だが! 「サフィーちゃん!危ない!《プリズムアップ》!」 「なめんじゃないわよ!こっちが、何の準備もなしだと思うな!《ダークバリア》!」 魔法の鎧と闇の盾。2つの防御魔法がその力の大半を奪う。 「…っつう!?よくもやったわね!」 それでも漆黒の槍はサフィーにわずかに傷を負わせる。だが、その程度では、サフィーは止まらない! サフィーの脳が灼熱する。不可視の力のとっておきが爆発寸前の爆弾のように膨れ上がる。 「まとめて…ふっとべええええええええええええええええええ!!!!!!!!」 それを開放し、まとめて吹っ飛ばす! 「ぐがあ!?」 既に銀之介に手傷を負わせられていたオオカミが突然の追いうちに悲鳴を上げる。 「くっ!?《ダークバリア》!」 アラキの方は予想していたのだろう。サフィーと同じ、闇の盾で持って不可視の力を軽減する。 だが、それはサフィーの狙い通り。 アラキがサフィーの魔法に気を取られる瞬間、それを待っていた。 「今よ!いのり!」 この戦いの場にあってなお、サフィーは冷静だった。 「行くよファイアーワークス…思いっきりぶん殴っちゃえ!」 ファイアーワークスの丸太のように太い腕から放たれる一撃が、アラキをとらえる。 「ぐおぉ!?」 メキメキと、背骨のへし折れる音が響く。強力な再生能力を誇る吸血鬼にとっても大きなダメージだ。 「忘れんじゃないわよ。アタシらは…4人いる!全員で、あんたらをぶっ倒しに来てんのよ!」 そう、彼らは既に仲間であり、パーティーだ。4人の力を合わせたそのとき…彼らは一気に強くなる! 「ちぃ…こっちがやられっぱなしと思うなよ!」 オオカミが吠え、再び銀之介へと攻撃を仕掛ける。 ゴアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!! 攻撃の瞬間、吠え声を上げる。威嚇のための魔獣の咆哮。 それは、銀之介の動きを止め、銀之介をとらえる。 「死ねや、銀之介え!」 自らの生命力すら瘴気へと変え、ありったけを銀之介にぶち込む! 「っく!?」 攻撃を避けられないと直感した銀之介が防御姿勢からとっさに攻撃を繰り出す。 パッと。 同時に鮮血が舞った。 「ククク…残念だが…強いな…」 わずかな時間で大きな傷を負わされて、アラキは苦笑する。 目の前の連中は、強い。守り手の分まで攻撃に回しているのは、伊達じゃない。 「いいだろう。私も、命をかけてやる…」 詠唱。だが、今度はただの魔法じゃあない。 「今度こそ、葬り去ってくれる!《ヴォーテクスランス》!」 「またそれ!?そいつはアタシには…っくう!?」 2重に張られた防御魔法。それすらも貫通し、アラキの魔法はサフィーへと到達する。 「どうだ…?私は…貴様らを撲滅するためならなんだって…ごふっ!?」 アラキもまた血を吐く。 落し子である2体は、その技を共に持っている。 自らの生命力をも瘴気に変える荒技、《リバースストライク》 自らの命をも削る、捨て身の荒技である。 形成は5分と5分。このままでは、サフィーかアラキ、そして銀之介かオオカミのどちらかが力尽きる。 そしてその可能性は…体力に劣るエミュレイターでは無い2人の方が高い。 「シズク!魔法、まだなの!?」 痛みと呪いに顔を歪めながら、サフィーが静に問う。 「御免!急いでるんだけど…もう少しかかる!」 焦りながらも、静はサフィーに返した。 威力と詠唱の長さは比例する。強力な魔法には時間がかかるのだ。 「…分かったわ。もう少しね?」 「ああ、もう少しだ」 サフィーの念押しに、静が頷く。 「させん…今度はまとめて葬り去ってくれる!」 いのりの再びの攻撃を喰らい、ボロボロになってなお、アラキの狂気は止まらない。 今度の詠唱は…《ヴォーテクストライデント》 アラキは、銀之介以外の3人を同時に葬り去ろうとしていた。 「試してみるか?赤毛の悪魔。もっとも、お前の魔法では、私を止められはせんがな!」 魔法への抵抗力の高いアラキが嘲笑する。サフィーの全力の《ヴォーティカルカノン》を持ってしても、アラキは止まらない。 そのことを、サフィーは理解し…笑う。 「言ったでしょう?こっちが、何の準備もなしだって思うなって!」 サフィーは不敵な笑みのまま、それを使うことを決意した。 「行くわよ!」 月衣からそれを取り出し、投げつける。 実のところ、それは賭けだった。成功するかも分からない賭け。だが、それでもサフィーは信じる。 500年間、ピンチから何度も自分を救った、自らの強運を! 「…《ヴォーティカルカノン》!」 「ククク…結局それか!芸が無いな!《ダークバリ…ぐふぁ!?」 サフィーの《ヴォーティカルカノン》がアラキの頭上にたっしたそれを正確に貫くと同時に。 アラキが身を丸め、口元を押さえる。立っていられない。 こらえきれないほどの吐き気が襲う。油断していたため、アラキはもろにその被害を受けていた。 「ぎ、ぎざまあ…」 アラキがうめく。鼻をつまんだまま。まさかこんな隠し技にやられるとは思っていなかった。 確認するのも馬鹿らしかったので、すっぱり忘れていた。その結果が、これ。 アラキは一瞬にして行動不能へと追い込まれた。 「一番最初に、言ったわよね?」 賭けはサフィーの勝ちだった。できれば使いたくなかった、不確定な切り札。 そんなことを微塵も感じさせない口調で、楽しげにサフィーは言う。 「アタシらは…もとは“この世界の”吸血鬼だって」 シリアスな場面。だが、それを微妙にぶち壊しているものが辺りに漂っている。 「気づいたのはついさっき。ウィザードになったからって吸血鬼の特徴と弱点が完全になくなったわけじゃない。 だったらそれは…エミュレイターでも変わらないんじゃないかって思ったの」 それは、匂い。 アラキの周りには先ほどまでビニール袋の中に真空パックで入っていたそれが散乱している。 「100年単位の色々に愛と感謝を込めて、アタシからのプレゼント。気に行ってもらえたかしら?」 最大級の皮肉をこめて、サフィーが笑う。 それは田舎のお土産の定番。長野県、飯波市で育った大根を使った、こだわりの逸品。 「これって…」 アラキの近くにいたいのりがちょっぴりぼ~ぜんとして呟く。彼女もその被害を受けてはいたが、特に問題は無い。服がちょっぴりばっちくなっただけだ。 大好きってわけじゃないけど、嫌いでもない匂い。ってか、冷蔵庫の中に普通に入ってるし。だってそれは和食の定番。 「たくわん?」 黄色い大根だったのだから。 「アラキの野郎何やってやがんだ!?」 突然悶絶しだしたアラキに毒づきながら、オオカミが構える。 オオカミの人間の数万倍はある嗅覚は正確にそれがなんであるかを嗅ぎとっていた。 だから余計に理解できなかった。なんでアラキがあそこまで悶絶しているのかを。 「しかたねえ!まずはてめえだけでも仕留めるぜ!銀之介えええええ!!!!!!!!」 もはや余裕は無い。オオカミは持てるすべての力を使い、目の前の狼を狩ることを決意する。 「くぅ…こうなったら!」 銀之介は迎撃の態勢をとった。一か八か、やってみるしか無い! 「死ねや…ゴアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!」 咆哮と共に突っ込んで来たオオカミに再び身がすくむ。 「くっ…ダメか…」 動けない。これでは…無理だ。 こうなったら耐えるしか無いと、銀之介が身を固くした、その瞬間だった。 カッ! 銀之介のポケットが一瞬光る。その瞬間。 「動ける!?これなら…」 すくんでいた身が嘘のように軽くなる。 「いける!」 銀之介が目の前のオオカミを見据え、紙一重で攻撃をかわす。そして… ザシュッ! 銀之介の爪が返す刀でオオカミの腹を切り裂く。 「ぐおお!?なんでアレがかわせる!?」 理解できない事態にオオカミが混乱の声を上げた。 一方その頃。 銀之介のポケットの中では今回の役目を終えた幸福の宝石が輝きを失っていた。 「シズク!後は任せたわ!」 「静さん!後は頼む!」 サフィーと銀之介の声が同時に静にかけられる。 「ああ、任せてくれ!」 静が力強く頷き、ついに魔法を完成させる。 「マユリさん…ありがたく使わせてもらいます」 サフィーや銀之介の色々を用意してもらうときに、静はそれを取り寄せていた。 ヴァンスタイン家が保有する魔法の中でも最高クラスに位置するもの。広範囲殲滅用の、高レベル魔法。 「…《ジャッジメントレイ》!」 《グレートスペル》、《ドロウルーン》、《マジックコントロール》…静の知る限りの魔術師の秘儀を詰め込んだ、静の最大の魔法。 天から降り注ぐ光の雨が、オオカミとアラキを焼いて行く。近くにいる銀之介やいのりを正確に避けて。 やがて光の雨がやんだとき。 そこには完全に致命傷を負った2体のエミュレイターの姿があった。 「勝った…だけど、やっぱりまだ終わらない、か…」 空と穴を見て、静が呟く。まだ月匣は崩れていない。 「ククク…そのとおり、先ほど言っただろう?」 致命傷を負い、崩壊が始まってなお、アラキは笑う。 敗北と滅び。今度は蘇ることは無いだろう。だがそれでも良い。 自らが主と認めた魔王は、いまだ無傷のまま。必ずこいつらと吸血鬼を滅ぼすだろう。 「私とあの男…そして…我が主が全力で貴様らを排除する、と…」 「魔王…」 アラキの言葉にサフィーが呟く。そうだった。まだ一番手ごわいのが残っている。 「その通り…そして、我が主もどうやら…準備を終えたようだ…な…」 そう、アラキが呟いた瞬間。 再び天から光の雨が降り注ぐ。今度はその場にいる全員を焼きつくすように。 …たった1人をのぞいて。 アラキとオオカミは焼きつくされ、黒こげの灰と化した。 「くぅ…みんな、大丈夫!?」 焼きつくされ、かなりの重傷を負いながら、サフィーが傷を再生しながら全員に確認する。危なかった。 とっさに《ダークバリア》を張らなければ、死んでいたかも知れない。 「僕は何とか…今のは一体…?」 持ち前の超体力で生き延びた銀之介が辺りの様子を窺うように辺りを見回す。 「ジャッジメント…レイ…まさか」 《プリズムアップ》で持ちこたえた、魔法に詳しい静が、何かに気づく。 ジャッジメントレイの射程はさほど長くない。そうそれこそ…この屋上のどこかにいないと、届かないはずだ。 「…!春美ちゃん!春美ちゃんは!?」 ファイアーワークスの《シールドフォーム》で比較的軽傷のいのりがバッと屋上の扉の方を見る。 友達の安否を確認するために。だが… 「いやあここでの戦いで安定を保つように穴を補強するのにちょっぴり時間がかかっちゃいました」 そこには、にこやかに笑う1人の少女が立っていただけだった。 「それにしても、ウィザードって案外丈夫なんですねえ…うちの魔法で、1人も倒せないなんて。あ、でも駒犬先輩はウィザードじゃあないんでしたね」 いつもと変わらぬ、いやむしろちょっぴりテンションの上がった、ぐるぐるメガネのその少女。 「ま、いいです。どのみち最後の決着は、うちがつけるつもりでしたし」 三石春美は、どこか楽しげに宣言した。 ← Prev Next →
https://w.atwiki.jp/nicobookmark/pages/39.html
■怪しい伝説 トップページ 科学 怪しい伝説 link Wikipedia mylist ゼア氏のリスト mylist capslo氏のリスト mylist pornograffitti氏のリスト mylisthttp //www.nicovideo.jp/mylist/9878423#+sort=0 mylisthttp //www.nicovideo.jp/mylist/11730552#+sort=0 mylisthttp //www.nicovideo.jp/mylist/15058305#+sort=7 関連動画 nicovideoエラー ( 正しい動画URLを入力してください. ) nicovideoエラー ( 正しい動画URLを入力してください. ) nicovideoエラー ( 正しい動画URLを入力してください. ) nicovideoエラー ( 正しい動画URLを入力してください. ) nicovideoエラー ( 正しい動画URLを入力してください. ) nicovideoエラー ( 正しい動画URLを入力してください. ) nicovideoエラー ( 正しい動画URLを入力してください. ) nicovideoエラー ( 正しい動画URLを入力してください. ) nicovideoエラー ( 正しい動画URLを入力してください. ) nicovideoエラー ( 正しい動画URLを入力してください. ) nicovideoエラー ( 正しい動画URLを入力してください. ) nicovideoエラー ( 正しい動画URLを入力してください. ) nicovideoエラー ( 正しい動画URLを入力してください. ) nicovideoエラー ( 正しい動画URLを入力してください. ) nicovideoエラー ( 正しい動画URLを入力してください. ) nicovideoエラー ( 正しい動画URLを入力してください. ) 関連動画 nicovideoエラー ( 正しい動画URLを入力してください. ) nicovideoエラー ( 正しい動画URLを入力してください. ) tag community back
https://w.atwiki.jp/retrogamewiki/pages/1203.html
今日 - 合計 - ズール 魔獣使い伝説の攻略ページ 目次 基本情報 [部分編集] ストーリー [部分編集] 攻略情報 [部分編集] Tips [部分編集] プチ情報 [部分編集] 関連動画 [部分編集] 参考文献、参考サイト [部分編集] 感想・レビュー 基本情報 [部分編集] 『ズール 魔獣使い伝説』(ズールまじゅうつかいでんせつ)は、1999年6月11日にイマジニアが発売したNINTENDO64専用ソフトである。ジャンルはRPG。NINTENDO64初のRPGであり、本体の発売から3年遅れで同ハードで初めてRPGが初めて発売をした。開発はパンドラボックス。 ストーリー [部分編集] はるかな場所に人と魔獣の共存する世界がある。 緑豊かな大地は、多くの命を育んできた。 人も魔獣もそのひとつにすぎない。 魔獣は、なわばりをおかさない限り、人を襲うことはない。 それを知っている人間は、城壁に囲まれた街で静かに暮らし、魔獣と共存してきた。 それが人と魔獣の関係なのである。 しかし、中には魔獣をいつくしみ、仲間として、ともに冒険する者達がいるという。 人は、彼らを”魔獣使い”と呼び、好奇心と少しの尊敬を持って見守っている。 ここに、小さな魔獣使いが誕生する。 つぶらな瞳に、すんだ心を持つ少年。新たな冒険の物語が、今、はじまる。 攻略情報 [部分編集] Tips [部分編集] 3つのほうぎょく入手方法 赤のほうぎょく:コミューンにある家に住んでいるジーナおばさんの頼みごとを全部聞く 黄のほうぎょく:セオドアの村にいる酒場のマスターにとりついた幽霊を追い払う 青のほうぎょく:ゲームを1度クリアし、魔獣使いのムタに済んでいるミンツの魔獣を助ける。 プチ情報 [部分編集] 関連動画 [部分編集] 参考文献、参考サイト [部分編集] 感想・レビュー 名前 コメント 選択肢 投票 役に立った (0) 2012年11月24日 (土) 21時28分48秒 [部分編集] ページごとのメニューの編集はこちらの部分編集から行ってください [部分編集] 編集に関して
https://w.atwiki.jp/hmiku/pages/36785.html
あおいいろすてっふ【登録タグ Meis Clauson VOCALOID あ しぐれうい ゆいこんぬ 初音ミク 曲】 作詞:ゆいこんぬ 作曲:めいこ 編曲:めいこ 絵:しぐれうい 動画:Silve 調声:ゆいこんぬ 唄:初音ミク 曲紹介 -世界は少しずつ 変わり始めてきらめく- 曲名:『葵色ステップ』(あおいいろすてっぷ) めいこ氏 の3作目。 『魔法のための少女クラブ』のCDに提供した楽曲のボカロバージョン。 歌詞 寂しくはないなんて嘘をついても 何も 変わるはずのない事くらいわかってるけど つい誤魔化してしまう 不器用な人形のように 俯いたままじゃ思うように動けなくて 不安ばかりが行く手を阻んでく それでもまだ 見つけたいの 夢は大きくどこまでも続くように いつか見えるよ そこに在る光 腕を伸ばして掴もうとしてもまだ この手に触れた瞬間に見えなくなる あの日見つけたのは幻じゃないと信じさせて 浅く広がってゆく波紋のように それは 音を立てずにこの胸に届いたメロディ 初めて触れたようで懐かしいその記憶は また秒針を導いてく 運命のよう 昨日の虹はもう二度と見られない だから新しい空へ向けて… どんな小さな光よりも眩しい 夢の欠片をこの手にしたくて 踏みしめた一歩 それだけの勇気があって 傷を恐れず前に進むのならば それはほんの少し形となって見えるだろう 本当はまだ 探してる途中 暗い部屋で怯えていたんだ 気持ちそっと綴った手紙を 未来の自分へと届けて “今のちからじゃ簡単に直せなくても いつかわかるよ とびきりの言葉(まほう)” かざした手にはあたたかい温もりが かけがえのない貴方を見つけたから 世界は少しずつ変わり始めてきらめく ほら! コメント 追加乙です。 -- 名無しさん (2017-09-29 12 52 15) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/nwxss/pages/215.html
「な、なんで…」 春美の様子にいのりが声を絞り出して、問う。それに春美は笑顔のまま、答えた。 「いのりさん、ひとついいことを教えてあげます」 トレードマークのぐるぐるメガネの下に隠された瞳はうかがい知れない。 「三石春美って言う人間は、最初から存在しなかったんですよ」 春美の言葉に、いのりがビクッと体を震わせる。 「知ってます?この街って吸血鬼と人狼が住んでたせいか常識の壁がとっても薄いんです。裏界と繋ぐのにはもってこい。 特にこの学校は完璧ですね。この街でも特に繋ぎやすい。古い血筋の吸血鬼が2人もここで死んでて、狼人間が通ってたお陰ですかね? だから潜りこんだんですよ。この学校の生徒として」 もっとも半ばこの学校の守護霊と化していた方を黙らせるのに半年くらいかかっちゃいましたけどと何気なく言う少女を見て、銀之介の尻尾がきゅっと巻き込まれる。 いつの間にか、様々なことをわめいていた銀之介の中の狼の声がたった1種類に統一されていた、すなわち、今すぐ全力で逃げ出せ、と。 「それにちょうどいい彷徨える魂も拾えましたし。本当、蘇らせてちょっと力を与えるだけで、あれだけ強くなるんですから。本当にお得でした」 サフィーは知らず知らずのうちに唇を噛みしめる。やはり目の前のコイツが… 「あ、そうだ。忘れてました。新聞部の春美ちゃんは偽物だったんだから、お教えしとかなきゃ駄目ですよね」 そう言うと春美はゆっくりとメガネを外した。その下に隠されていた瞳があらわになる。 見た目だけなら、ごく普通の可愛い女の子。だが、同時に開放された魔力の量に気づいて静は驚かされた。 強すぎる。魔王の名前は、伊達じゃない。 「改めて自己紹介…させてもらうで?」 クシャッと。 手にしたメガネが握りつぶされる。女の子とは思えないほどの握力。当然だ。彼女は…人間じゃないのだから。 「うちの名は、ファルファルロウ。裏界で男爵やっとる。まあ、平たく言うと…魔王って奴や」 宣言と同時に今まで秘められてきたとんでもない量のプラーナが解放される。 2体のエミュレイターを遙かに凌駕する量のプラーナに、全員が身をすくめる。 あるものは経験で、またあるものは本能で感じ取っていた。 目の前の存在は…女の子なんかじゃない。あの2人よりさらに恐ろしい何かだ、と。 「最初はカミーユはんがなんや面白いことやっとる言うから見に来ただけだったんやけどなあ…」 おかっぱ頭を結いあげてポニーテールにしながらどこか嬉しそうにファルファルロウが語り出す。 「プラーナは豊富。世界結界は無し。ウィザード級の連中がごろごろおるから遊び相手にも困らん。ほんま、ええところや」 カミーユが狙ったのも分かる。良質なプラーナを求めるのならば、これ以上好条件の世界も無いだろう。 特に、公爵より下の、プラーナが切実に必要なエミュレイターにとっては。 「もともとうちは領地とかにはあんまし興味が無い方なんやけどなあ…」 爵位や領地にこだわりは無い。だからこそ、男爵に甘んじていた。 面白いことを見に行けるだけの写し身と力があれば充分。そう考えていたから。 「この世界の連中と、裏界の連中つぶさせあったらホンマおもろい記事になると思たら、我慢できへんかったわ」 この世界にはまだまだ面白い連中がたくさん潜んでいる。そう、ファルファルロウは確信していた。 「せやからな、まずは飛び地作ることにしたんや。いうなればファルファルロウ領、飯波支局ってところやな」 そのために、邪魔な奴らには退場してもらう。 「ちゅうわけで、あんたらには、ここで消えてもらうで?」 紅き月の光が濃さを増す。世界が紅で塗りつぶされる。 「さ、はじめよか」 何気ない口調で、飯波高校の制服に身を包んだ魔王、ファルファルロウが戦いの始まりを宣言した。 「まずは二手に分かれて!僕とサフィーちゃんが下がるから2人は春美ちゃん…いや、ファルファルロウの方へ!」 このまま固まっていては《ジャッジメントレイ》の格好の的。そう判断し、静が指示をだす。 「ほお…やっぱ腐ってもウィザードやな。なかなかの司令塔っぷりやで」 それを見てもファルファルロウの余裕は崩れない。そうなることは予測済みだ。 伊達に魔王は名乗っていない。 「春美ちゃん…どうして」 ファルファルロウに迫ったいのりが悲しげに呟く。友達だと思っていた。それを最悪の形で裏切られた。 だが、そんないのりをファルファルロウはへっと鼻で笑った。 「きまっとるやん。裏切られて絶望した人間のプラーナはな。最高にうまいんや。ウィザードなら余計にな。 1ヶ月前からわくわくしとったで。いつばらしたろかってな。ばらしたらええ顔みしてくれるやろうから。 …ほんま、期待通りの顔やで?今の自分」 けらけらと笑う。 「さ、今度はうちと遊ぶ時間や。力の限りを尽くして敵わなかったときの絶望したウィザードの顔、みしてくれ」 その笑顔のまま、ファルファルロウはいのりに言った。 「まずはあんたらが先でええで?」 プラーナを開放し、行動力を底上げするのを見て、ファルファルロウが不敵に笑う。 別に早く動く必要は無い。後攻でも問題なし。そう、彼女の瞳は語っていた。 「う、うおおおおおお!!!!!!!!!!」 迫りくる恐怖を必死に抑え込んで銀之介がファルファルロウに全力で襲いかかる。 狼人間の超再生能力で回復したお陰か、動きにダメージは感じられない。 銀之介は悟っていた。目の前の魔王は…手加減とか考えていい相手じゃない! 「春美ちゃん…いや、魔王ファルファルロウ!行くよ!」 一方のいのりにはまだ迷いがある。魔物と魔物使いは一心同体。主の動揺が、ファイアーワークスの攻撃を鈍らせている。 銀之介といのりの同時攻撃!だが、ファルファルロウは動じない。 「…《ヴァニシング》」 光の結界を展開し、その攻撃の大半を減衰させる。 「くっ…」 「嘘!?」 並みのエミュレイターなら一瞬で消滅するほどの連携。だがそれはファルファルロウにわずかなダメージを与えるにとどまった。 「甘いで。この程度じゃあ、うちは倒せん。ちなみに…」 「《ヴォーティカルカノン》!」 「《ヴォーティカルショット》!」 たたみかけるように放たれた魔法の守りを貫通する特性を持つ虚の魔法にも動じない。 虚無の弾丸がファルファルロウの身体を貫く。人間ならばかなりのダメージ。だが、元よりプラーナの塊である写し身には大したダメージとはならない。 「使徒の魔法防御と魔王の体力、なめたらあかんで?」 その攻撃でも、ファルファルロウには有効な一撃とはならない。 「くっ…《ドロウルーン》で目いっぱい強化して、この程度か…」 「硬すぎる…」 静とサフィーが悔しそうに呟く。 「さ、お次はこちらの番や」 そう宣言すると同時にファルファルロウの手の中に、闇が発生する。 「まずは、前衛からや…《ダークフォール》!」 ファルファルロウの言葉と共に、漆黒の闇が広がっていのりと銀之介を飲み込む。 「ぐうう!?」 「きゃああ!?」 闇の魔力が取り込まれた2人の体力を容赦なく奪っていく。 その闇が消えたとき。 2人はひざをついていた。 「く…これは…」 「何これ…」 2人が身体に違和感を覚える。身体が重い。力が出ない。 「こんなの…勝てないよ…」 いのりの心が折れそうになる。強すぎる。 ファルファルロウの力はかつて戦った夢を喰らうものを遙かに凌駕している。 確かな死の予感。それは16歳になったばかりの少女には、ひどく重いものだった。 「くそ!負ける…もんかあー!」 一方の銀之介の心は、いまだ折れてはいない。 心を奮い立たせて再び襲いかかる。 銀之介は、今までで最高に…怒っていた。 守りたい人がいる、大事な思い出のたくさんつまったこの街をくれてやるわけにはいかない。 自分勝手な理由で魔王なんかの好きにはさせない! 1撃目は、ファルファルロウの結界に阻まれた。だけど。 「僕には…守りたい人がいる!絶対に守って見せる!」 大声で宣言する。そこでへたりこんだいのりにも聞こえるように。 無茶するな!死ぬぞ!逃げろ!と叫ぶ自分の中の狼を黙らせるために! 「喰らええええええええええええええええええええ!!!!!!!!!!!!!!」 無理な動きに傷を負った身体から血が噴き出す。だが、気にしない。痛くない。 痛がってる暇があったら…全力で攻撃しなくちゃならない! ズバンッ! 間髪入れず放った2発目。銀之介の爪がファルファルロウの結界をも貫きその身体に深い爪痕を刻み込む! 「くぅ!?」 ファルファルロウの顔が初めて苦痛に歪む。 とっさにいのりの方を見る。畳みかけられたら…ちょっとだけやばい! だが、いのりは俯いたまま動かない。 「残念やったな…うちを倒すには…まだまだ足りん…まとめて消えろや!」 にやりと笑って高速で詠唱。目標は前の2人にあの魔術師! 「《ヴォーテックス…トライデント》ー!!!!」 ファルファルロウの放つ闇の三叉槍が銀之介といのり、そして静を襲う。 爆発するように、一瞬紅き世界を黒い闇がおおった。 「はぁはぁ…どうや…」 わずかに肩で息をしながらファルファルロウは辺りを確認する。 静の方はボロボロになりながら、辛うじて立っていると言う様子だ。 どうやら防御魔法とプラーナを駆使してぎりぎり生き延びたらしい。 銀之介の方は地面に倒れ伏している。わずかに息があるのを見ると、死んではいないのだろう。 だが、すでに限界を超えているのは明らかだ。立ちあがるだけの余力は、ない。 「これで、1人。あとは…!?」 銀之介の戦闘不能を確認して、残りの1人を見たファルファルロウが目を見開く。 そこには、いのりが立っていた。 酷いありさまだ。全身傷だらけ。恐らく、ほんの少し小突かれただけで、いのりは昏倒するだろう。 だが、ファルファルロウが驚いたのは…いのりの瞳。 立ち上がったいのりの瞳は…死んでいない。 「さっき…攻撃…しなかったのは…」 ゆっくりと、いのりがファルファルロウに言う。 「こうなるの…待ってたから…」 銀之介の叫びはいのりの心に確かに届いていた。 「あたしも…おんなじ…」 京介、ねがい、静、輝明学園にいるみんな。 「いっけえ…」 ここで負けたら、2度と会えない。そんなの、嫌だ。 「ファイアー…ワークス…」 だからこそ、いのりは選んだ。捨て身の賭けを。 「全てを…」 自らの命すらも魔物に分け与え、最大最強の一撃を放つことを! 「焼き滅ぼしちゃえええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」 主の命令を受けて、ファイアーワークスが己が全てを攻撃力へと変換してファルファルロウへと突撃する。 赤を超えた白。数万度に達してプラズマと化したファイアーワークスは、ファルファルロウの防御結界を易々と貫く。 そしてその肉体がファルファルロウへと達した瞬間。 ファイアーワークスは、盛大にその熱量を吐き出し、爆発させた! 「どう…なったの?」 爆炎に包まれて様子が分からない。頭が朦朧とする。 いのりは自らのプラーナを限界まで使い切っていた。 「勝った…の?」 確認するように、おずおずとさっきまでファルファルロウのいた方へと手を伸ばす。 その、瞬間だった。 ガシッ! 力強くその手がつかまれ、いのりがビクッと痙攣する。 「そんなに…怖がらないでくださいよ…」 「い、いや…」 空っぽになった心に、恐怖が注ぎ込まれる。 ありえない。だって、あたしは全部つぎこんだもの。あれで死なないなんて… 「ほら…もっとよく見せてください…」 正真正銘の化け物じゃないか。 「私…言ったじゃないですか」 確かに大きなダメージを与えてはいた。制服だって原型をとどめないくらいボロボロだし、体中に血の流れない傷が刻まれてる。 だけど、それでも… 「力の限りを尽くして敵わなかったときの絶望したウィザードの顔…見せてくださいねって」 魔王は、生きていた。 「いやああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」 いのりの恐怖の絶叫が響き渡った。 その場にへたりこんでしまったいのりに、ファルファルロウはそっと耳を寄せた。 「いのりさん…ちょっとだけ、待っててくださいね」 ビクリと、いのりが身体を震わせる。 「いのりさん以外、ぜ~んぶ殺したら、選ばせてあげますから」 天使のように慈愛に満ちた笑みで、ファルファルロウは囁く。 「私の落し子になるか、ここで仲良く死ぬか…いのりさんは友達だから…特別ですよ?」 悪魔の囁きを。 「さてと…あとは、あんたらだけやな」 うつろな目のままへたりこんでいるいのりの様子を見て、ファルファルロウは立ち上がり、残った2人の方を見る。 「せっかくだから教えといたるわ。うちは次に《ジャッジメントレイ》でアンタらを焼きつくす。 止めようとしても無駄やで?うちの魔法の方が…あんたらより速い」 それは、残念ながら事実だった。2人の魔法より、ファルファルロウの魔法の方が速い。 そしてその魔法は…2人同時に焼きつくすのには十分過ぎるほどの威力がある。 「さ、終わりにしよか…」 ファルファルロウの魔法が詠唱される。 「…サフィーちゃん」 「何よ」 苦渋に歪んだ顔で、静がサフィーに話しかける。 「僕にはもう、あいつに対抗する手段は、1つしか思いつかなかった」 「…奇遇ね。アタシも色々考えたんだけど、こっからの逆転の手は1つしか思いつかなかったわ」 そう、戦局判断に長けた2人は同じ結論に達していた。 すなわち《ジャッジメントレイ》に耐え抜いてからの反撃。 銀之介といのりのお陰で崩壊寸前の今のファルファルロウなら、あと1撃で、ぎりぎり倒せるかもしれない。そのためには…1人だけ生き残ればいい、と。 「…ちなみに僕は、サフィーちゃんの方が可能性が高いって思うよ」 《ジャッジメントレイ》は広範囲をなぎ払う魔法。単体を相手にするのなら《ヴォーティカルカノン》の方が、強い。 「…いいの?」 「構わないさ」 2人とも、既にボロボロだ。防御魔法くらいでは耐えられない。片方を生き残らせるには…もう1人が捨て身で受けきるしか無い。 「僕は…ヴァンスタインの人間だ」 全滅するか、1人で済ませるかだったら、考えるまでも無い。 それに…と、静は考える。 「サフィーちゃんが死んだら、悲しむ人がいるだろう?だけど、僕らは…ヴァンスタインはそんなでも無い」 魔術師の名門として星の数ほどウィザードを輩出してきたヴァンスタイン家では、様々な任務、使命で命を落とすのは良くあることに過ぎない。 そういう家なのだ。ウィザードの名門ってやつは。 「だからさ…サフィーちゃんには僕の分まで生きて欲しいんだ。サフィーちゃんには、まだまだ沢山、楽しいことが待ってるはずだから」 そう、静は言って笑う。邪気も何も無い満面の笑顔。すべてを諦めた…悲壮な決意のにじみ出た笑顔。 それを見てサフィーの決心は、完全に固まった。 「分かったわ…」 「…そっか。ありがとう」 サフィーが頷いたのを確認し、再びファルファルロウの方を向く。 「…で、お別れの挨拶は終わったんか?」 不敵な笑みでファルファルロウが聞く。それに静はあえて頷いた。 「ああ…いつでも来いよ。クソ魔王!」 「…よう吠えた!こいつでしまいや!《ジャッジメントレイ》ー!!!!!!!!!!!」 天に無数の光点が刻まれ、それが急速に大きくなる。 それをメガネに反射させながら静はサフィーをおおうように仁王立ちし… ガシッ 「え?」 足をつかまれて。 「うわあー!?」 真後ろに投げ飛ばされた。 「サフィーちゃん!?何考えてるんだ!?」 「覚えときなさい。女は、嘘つきなの。いつだって、必要な嘘なら平気でつけるものよ」 静の位置からはサフィーの顔は見えない。サフィーも振り向かない。 「それと…もう一つ」 迫りくる光に臆することなく、ゆっくりと右手をファルファルロウに向ける。 「アタシはね…50年も生きてないようながきんちょに捨て身で命を救われる趣味はないの」 雄々しく、揺らぐことなく、サフィーはただ立つ。 「そんなのは…」 最後は、優しい声で。まるで我が子を守ろうとする母親のように。 「1回だけで十分よ」 「サフィーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」 静の絶叫は。 空から降り注ぐ光にかき消された。 ← Prev Next →
https://w.atwiki.jp/tubukuro/pages/43.html
・まほうきょうだいと おかしなほん ハロウィン的アトモスフィアな物語。 要はお菓子が貰える物語です。イベントには乗っていこう。 お菓子には総じてはた迷惑な効果が付いています。解除アイテムもあるぞよ。 NPCを描くのはたのしいですね。色んなキャラが描ける。物語っていいものです。 NPCは全員「ある児童書の登場キャラクター」という設定になっています。 ・じゃくりーん かぼちゃの おひめさま。むかしは こまづかいのように はたらいていたがいろいろあって おひめさまに なった。 ばしゃうまのように はたらいてくれる こいびとのおうじさまが だいすき。 アイコンでは見えませんがピンクのドレスを着て箒を持っています。 シンデレラのカボチャの馬車とハロウィンによく見るカボチャをくっつけたらこうなりました。成り上がりのかぼちゃ系女子。 ジャックオランタンの女の子なので「ジャック」の女性名に当たる「ジャクリーン」という名前をつけました。 気が強くて高飛車。被攻撃回避時や味方の戦闘離脱時に性格が垣間見れます。 ・こうもりがさ いきものに かみついて ちを すう かさ。あたたかい ところが すきなのですきあらば にんげんの いえのなかへ はいってかさたてに ひそんでいる。 日常に潜んでたら嫌な感じのモンスターにしました。 振舞いは品の無い感じ。よだれ垂れてるしね。 実際それなりに家族が多いと傘が一本増えてたって分かんないと思うんですよ。もしかしたら我々の家にも何かしらいるのかもしれません。 ちなみにコウモリは暖かい人間の家を好み、戸袋などに潜んでいることがあるようです。 ・つぎはぎねこ つぎはぎの ねこ。うまれたときから つぎはぎだったがなぜ つぎはぎなのか ねこには わからない。しゃみせんが にがて。あいしてくれる ひとを さがして さまよいあるく。 服装は吸血鬼っぽいですがフランケンシュタインの怪物をイメージした猫です。寂しがり屋の人造キャット。 尻尾がコンセントプラグになっているので多分その辺で充電とかしてます。 最初は灰色の毛並だったのですが、適当に色調をいじったらぬめっとした緑になったのでそのまま本実装しました。 この猫だけ台詞を喋ります。 ・おくりおおかみ おおかみの ほねの あたまを した しにがみ。こんぱくとな かまを からだから ずるずる とりだす。かおに ぬのを かけられた ものは あのよに いってしまうと いわれている。 「送り狼」というまあフワーオな言葉と某冠婚葬祭映画の名前をくっつけて出来たやつです。 スーツを着て手に白い布を持っています。 頭はオオカミの頭蓋骨。下半身は霊体で、そこから鎖鎌が伸びてきます。死神といえば鎌ですからね。 ・まほうしょうねん 「ぷちぃーに・ばたーなっつ」という少年。お菓子作りの魔法使い。緑をベースとした色合いの服装。 魔法でお菓子を呼び出すことが出来ます。 後述するろろんの弟。上から目線で生意気な性格ですが、姉の圧力には逆らえない小物です。 彼の帽子につぎはぎがあるのは姉に引きちぎられたのを縫い直したものだから というどうでもいい設定があります。 気が進まないと魔法効果の入った性質の悪いお菓子を出してきます。最悪お菓子ですらないこともあったりなかったり。 ・まほうしょうじょ 「ろろん・ばたーなっつ」という少女。橙色をベースとした服装。 お菓子作りの魔法使いで、ぷちぃーにの姉に当たります。 彼と比べると魔法では劣り、一方で手作業でのお菓子作りや箒乗りなどの技術で勝る肉体派。 生意気なぷちぃーにに対して大人しいように見えますが、怒ると迫力を醸し出し、あげく弟の帽子を引きちぎります。 弟の行動パターンを理解しており、彼がお菓子を配った後は魔法の解除アイテムをくれます。 ちなみに最近、自分たちの容姿に関する「しろい かみに あかい め いかにも まほうつかい でしょ」という台詞が追加されたりしています。 ろろんとぷちぃーにの二人はカボチャをイメージした色合いで描いており、 「プチィーニ」「ロロン」「バターナッツ」という名は全てカボチャの品種からとっています。 ↓全身図。並ぶとこんな感じ。メカメカしい箒は姉の所有物です。
https://w.atwiki.jp/superfalconworld/pages/84.html
スマブラシリーズに登場する対戦ステージの紹介 ここでは、スマブラシリーズの基本的な対戦ステージを初登場順に紹介していきます。残念ながら詳しい解説はしません。対戦ステージ数は凄まじく多い。 説明はまだありません。簡易的に書く予定。ステージ数が多すぎて、初期ステージや隠しステージの総数を調べる事さえ大変になっています。 特殊なステージやイベント戦用のステージも書いてます。アドベンチャー系のステージは新しいページに書く予定です。 作品名/ステージ名からさがす 作品名 ステージ名 64 ピーチ城上空 - コンゴジャングル - ハイラル城 - 惑星ゼーベス - ヨッシーアイランド(スーパーしあわせのツリー) - プププランド - セクターZ - ヤマブキシティ - いにしえの王国 - プププランド(How to Play) - メタ・クリスタル - デュエルゾーン - 終点 DX キノコ王国 ピーチ城 - キノコ王国 レインボークルーズ - DKアイランド コンゴジャングル(いかだと滝) - DKアイランド ジャングルガーデン - タルミナ グレートベイ - ハイラル 神殿 - 惑星ゼーベス ブリンスタ - ヨッシーアイランド ヨッシーストーリー - ヨッシーアイランド ヨースター島 - プププランド 夢の泉 - プププランド グリーングリーンズ - ライラット系 惑星コーネリア - ライラット系 惑星ベノム - カントー地方 ポケモンスタジアム - F-ZEROグランプリ ミュートシティ - イーグルランド オネット - いにしえの 王国 - 無限氷山 アイシクルマウンテン - 惑星ゼーベス ブリンスタ深部 - カントー地方 ポケモン亜空間 / F-ZEROグランプリ ビッグブルー - イーグルランド フォー・サイド(フォーサイド) - いにしえの 王国II(いにしえの王国 USA) - 超平面 フラットゾーン - クリボー - エンテイ - ムジュラの仮面 - スペシャル 戦場 - スペシャル 終点 X ドルピックタウン - いにしえっぽい王国 - マリオサーキット(エイトクロスサーキット) - 大滝のぼり - オルディン大橋 - ノルフェア - フリゲートオルフェオン - ヨッシーアイランド - 戦艦ハルバード - ライラットクルーズ - ポケモンスタジアム2 - ポートタウン エアロダイブ - ニューポークシティ - 頂上 - 攻城戦 - 天空界 - メイド イン ワリオ - とある星 - すま村 - ピクトチャット - シャドーモセス島 - ルイージマンション - マリオブラザーズ - 75m - 海賊船 - テンガンざん やりのはしら - フラットゾーン2 - エレクトロプランクトン - グリーンヒルゾーン 3DS 3Dランド - 野原 - レインボーロード - ペーパーマリオ - ゲルドの谷 - 汽車 - プププランド(プププランド GB) - イッシュポケモンリーグ - プリズムタワー - ミュートシティ(ミュートシティ SFC) - マジカント - フェリア闘技場 - 初期化爆弾の森 - コトブキランド - バルーンファイト - 子犬がいるリビング - すれちがい伝説 - トモダチコレクション - ピクトチャット2 - パックメイズ WiiU マリオUワールド - マリオサーキット - バナナジャングル - スカイロフト - パイロスフィア - ヨッシー ウールワールド - 洞窟大作戦 - オービタルゲート周域 - カロスポケモンリーグ - 闘技場 - エンジェランド - ゲーマー - 再会の花園 - 村と街 - Wii Fit スタジオ - レッキングクルー - パイロットウイングス - ウーフーアイランド - ウィンディヒル - フラットゾーンX - パックランド for 特設リング - ガウル平原 - ワイリー基地 - ダックハント - Miiverse - スーパーマリオメーカー - 朱雀城 - ミッドガル - アンブラの時計塔 SP タチウオパーキング - 始まりの塔 - ニュードンク市庁舎 - ドラキュラ城 - メメントス - 天空の祭壇 - クルクルやま - KOFスタジアム - ガルグ=マク大修道院 - スプリングスタジアム - マインクラフトワールド - 北の大空洞 - アルストの雲海 - 三島道場 - ホロウバスティオン 特殊 戦場(化) - 終点(化) - 大戦場 - 小戦場 - ステージ作り ニンテンドウオールスター!大乱闘スマッシュブラザーズ ステージの数は全部で12。初期は8。隠しは4。 ピーチ城上空 『スーパーマリオ64』の一部のコースの要素があるステージ。空中には1ダメージを受けるバンパーが左右に動いており、一番下には左右に動く足場がある。for以降は動く足場の端を掴めるようになっている。 出典作品 スーパーマリオ シリーズスーパーマリオ64 登場作品 64,for,SP(初期:64,SP)(DLC:for) コンゴジャングル 出典作品 ドンキーコング シリーズスーパードンキーコング 登場作品 64,DX,WiiU,SP(初期:64,SP)(隠し:DX,WiiU) ハイラル城 『ゼルダの伝説 時のオカリナ』のハイラル城がモデル。竜巻に巻き込まれると真上にふっ飛ばされる。 出典作品 ゼルダの伝説 シリーズゼルダの伝説 時のオカリナ 登場作品 64,for,SP(初期:64,SP)(DLC:for) 惑星ゼーベス 出典作品 メトロイド シリーズ 登場作品 64 ヨッシーアイランド(64) / スーパーしあわせのツリー 出典作品 ヨッシー シリーズヨッシーストーリー 登場作品 64,DX,SP(初期:64,SP)(隠し:DX) プププランド(64) 出典作品 星のカービィ シリーズ 登場作品 64,DX,for,SP(初期:64,SP)(隠し:DX)(DLC:for) セクターZ 出典作品 スターフォックス64 登場作品 64 ヤマブキシティ 出典作品 ポケットモンスター赤・緑 登場作品 64,SP いにしえの王国 出典作品 スーパーマリオブラザーズ 登場作品 64,SP(隠し:64)(初期:SP) プププランド(How to Play) 出典作品 星のカービィ シリーズ メタ・クリスタル 出典作品 ニンテンドウオールスター!大乱闘スマッシュブラザーズ デュエルゾーン 出典作品 ニンテンドウオールスター!大乱闘スマッシュブラザーズ 終点 出典作品 ニンテンドウオールスター!大乱闘スマッシュブラザーズ 大乱闘スマッシュブラザーズDX ステージの数は全部で29(+3)。初期は18。隠しは11。その他は3。 キノコ王国 ピーチ城 出典作品 スーパーマリオ64 登場作品 DX,SP キノコ王国 レインボークルーズ 出典作品 スーパーマリオ64 登場作品 DX,X,SP DKアイランド コンゴジャングル / いかだと滝 DKアイランド ジャングルガーデン タルミナ グレートベイ ハイラル 神殿 惑星ゼーベス ブリンスタ ヨッシーアイランド ヨッシーストーリー ヨッシーアイランド ヨースター島 プププランド 夢の泉 プププランド グリーングリーンズ ライラット系 惑星コーネリア ライラット系 惑星ベノム カントー地方 ポケモンスタジアム F-ZEROグランプリ ミュートシティ イーグルランド オネット いにしえの 王国 無限氷山 アイシクルマウンテン 惑星ゼーベス ブリンスタ深部 カントー地方 ポケモン亜空間 F-ZEROグランプリ ビッグブルー イーグルランド フォー・サイド / フォーサイド いにしえの 王国II / いにしえの王国 USA 超平面 フラットゾーン クリボー(フィギュア) エンテイ(フィギュア) ムジュラの仮面(フィギュア) スペシャル 戦場 スペシャル 終点 大乱闘スマッシュブラザーズX ドルピックタウン いにしえっぽい王国 マリオサーキット(X) / エイトクロスサーキット 大滝のぼり オルディン大橋 ノルフェア フリゲートオルフェオン ヨッシーアイランド(X) 戦艦ハルバード ライラットクルーズ ポケモンスタジアム2 ポートタウン エアロダイブ ニューポークシティ 頂上 攻城戦 天空界 メイド イン ワリオ とある星 すま村 ピクトチャット シャドーモセス島 ルイージマンション マリオブラザーズ 75m 海賊船 テンガンざん やりのはしら フラットゾーン2 エレクトロプランクトン グリーンヒルゾーン 大乱闘スマッシュブラザーズ for Nintendo 3DS 3Dランド 野原 レインボーロード ペーパーマリオ ゲルドの谷 汽車 イッシュポケモンリーグ プリズムタワー フェリア闘技場 初期化爆弾の森 コトブキランド 子犬がいるリビング すれちがい伝説 トモダチコレクション ピクトチャット2 プププランド(3DS) / プププランド GB ミュートシティ / ミュートシティ SFC マジカント バルーンファイト パックメイズ 大乱闘スマッシュブラザーズ for Wii U マリオギャラクシー マリオサーキット バナナジャングル スカイロフト パイロスフィア ヨッシー ウールワールド 洞窟大作戦 オービタルゲート周域 カロスポケモンリーグ 闘技場 エンジェランド ゲーマー 再会の花園 村と街 Wii Fit スタジオ レッキングクルー パイロットウイングス ウーフーアイランド ウィンディヒル フラットゾーンX パックランド 大乱闘スマッシュブラザーズ for(共通) 特設リング ガウル平原 ワイリー基地 ダックハント Miiverse スーパーマリオメーカー 朱雀城 ミッドガル アンブラの時計塔 大乱闘スマッシュブラザーズSPECIAL タチウオパーキング 始まりの塔 ニュードンク市庁舎 ドラキュラ城 メメントス 天空の祭壇 クルクルやま KOFスタジアム ガルグ=マク大修道院 スプリングスタジアム マインクラフトワールド 北の大空洞 アルストの雲海 三島道場 ホロウバスティオン 特殊 戦場 終点 大戦場 小戦場 ステージ作り 終点化 戦場化 ↑上に戻る Last Update 2021/10/06 00 12 39
https://w.atwiki.jp/nwxss/pages/181.html
サフィーがどこからか仕入れてきた情報を元に、飯波高校に通っていた人狼“銀之介”について調べ始めて数日。 飯波高校不思議研究部部室で、静といのりはお互いの成果について報告しあっていた。 「駄目。やっぱ1年生はほとんど知らないみたい。春美ちゃんも知らないって」 溜息と共にいのりが言う。いのりの方は色々と調べてはみたものの、さっぱり情報が得られていなかった。 「で、せんせいはどうだった?」 「ああ、僕の方は色々分かったよ。完璧とは言えないけどね」 対する静は満足げに言いながらメモを取り出した。 「よく調べられたね。去年の卒業生って言っても下がる男じゃあるまいしそんなに有名ってわけでも無いのに」 短期間でここまで調べて来たいのりが素直に関心する。それに静は肩をすくめて言う。 「いや、運が良かっただけさ。僕のクラスの担任の柏持先生が銀之介くんの担任だったのと、小夏さんが詳しく知ってたんだ」 「あ、そうだったんだ。確かに不思議研の部長なんだし、詳しくても変じゃないね」 「まあ、その代わり小夏さんからは獣化した銀之介くんがどんなに格好いいか聞かされたけどね。2時間ほど」 「…そっか、大変だったね」 いのりは同情をたっぷりと込めて静に言う。小夏のことは良く知らないが、春美を見る限り、その話がどんなだったかは想像がつく。 「なあに。元々調査もできるからって理由で送り込まれたわけだからね。このくらい、どうってことないさ」 静が相変わらずのにこやかな笑顔で言いながらメモを読む。 「本名は駒犬銀之介。今年の3月までこの学校に通っていた人狼で、正体がばれてすぐにどこかへ引っ越したらしい。日本じゃないって噂もあるけど、どこだったかは分から ない。 どうも彼らの一家はこんな風に正体がバレては引っ越しを繰り返していたらしいね。この飯波高校にも、2年生の頃に転校生として入学したと聞いたよ。 評判は…温和な性格のお人好し。たまに獣化してこの学校でも目撃されていたって言うから、もしかしたら獣化を完全には制御しきれてないのかも知れない。 ちなみに卵の黄身を見ると獣化するんじゃないかって話だよ」 「へえ。すご~い」 静の調査の成果にいのりは目を丸くした。 多数の魔法を使いこなし、かつ実戦経験も豊富な静は、戦闘特化のウィザードとは違い、調査や情報収集も得意としている。 この手の、敵が何なのか探るところから始めなくてはいけない任務には適任なのだ。 「でも、2人以外からはあんまり詳しい話は聞けなかったなあ。どうも銀之介君の話題を出すのを避けてるみたいで」 「あ、それはあたしも思った」 普通の高校に現れた狼男。もう本人はいないとは言え、もう少し話題になってもよさそうなものだ。 「ど~もみんな反応が薄いんだよね。それに男の子は銀之介って言うとたま~に嫌そうな顔するし」 「そういえば柏持先生からも変なことを言われたよ。銀之介のことはあんまりおおっぴらに言わない方が良いって」 「なんで?」 「さあ?なぜだろうね。ただ、倉地先生が好きってわけじゃないなら、その方が楽しい高校生活になるとも言ってたなあ」 「倉地先生ってあたしのクラスの担任の倉地先生?」 「ああ。なんでかは分からないけど…」 2人してそんな話をしていたときだった。 ガチャ 「あ、ど~もこんにち…は?」 小夏か春美が入って来たと思って挨拶をしたいのりの目が点になった。ぶっちゃけて言うと、2人じゃなかったのだ。 柔道部、剣道部、空手部にレスリング部、相撲部…筋肉モリモリの男がどやどやと入ってくる。 「静=ヴァンスタインに要いのりだな?」 その中の1人、何故かガクランを着た男が2人に確認する。 「そうだけど…なんなのよあんたらは?」 「我々はァー!」 その中の代表らしい何故かガクランの男の声にあわせて、男たちはいっせいに、懐からそれを取り出す。 それは、はちまきだった。全員おそろいの。そこに書かれた文字は…『くら』の2文字。 「倉地香ファンクラブ!」 全員で声をそろえて言った。言いきった。そりゃあもう堂々と。 「倉地香…ファンクラブぅ~?」 なんだそりゃ~って気持ちを限界まで込めて、いのりが怪訝そうに聞く。 「その通り!我々は陰ながら飯波高校の女神、倉地香様を守護すべく集いし集団!」 そう言う彼の眼は、マジだった。そりゃ~もうやばいことほどに。 「…で、その倉地香ファンクラブの皆さんが僕たちに何の用だい?」 「うむ。貴様らだろう。我らが宿敵、駒犬銀之介のことを調べまわっていると言うのは!」 「宿敵?どういうことだい?」 宿敵。一般人が普通は使わないような言葉に、静が反応する。それに男は大きく頷いて答えた。 「うむ!思い起こすこと2年前、駒犬銀之介は我らが女神、倉地様を脅かした!その罪は許しがたい! あの男はどこぞへ去ったが、いつ戻ってくるかも知れん!もし見つけたならば、すぐに我らに知らせるのだ!」 言いたいことを言うと、男は2人にポスターを押しつけてどやどやと去っていく。 「ファンクラブって…」 残されたいのりがぼ~ぜんとして言う。 「なるほどね。確かにあ~ゆ~のがいたらおいそれとは話したがらないだろうね」 うんうんと頷いて1人納得する静。 「けどまあ、これで分かったよ」 「何が?」 「新しい情報。銀之介くんの人間としての顔さ」 静はいのりに先ほど渡されたポスターを見せる。そこには柔和な少年の顔と、銀色の狼の顔写真が並べて載っている。 WANTEAD 駒犬銀之介 見つけたものは速やかに倉地香ファンクラブまで なんてな言葉と共に。 「これって…」 「指名手配書。理由は分からないけど、銀之介君は彼らにはずいぶんと嫌われているらしい」 いのりに説明しながら、学生鞄の中にポスターをしまう。 「さ、今日はもう帰ろうか。サフィーちゃんにも教えてあげないと」 なんてなことを言っていたときだった。 バタンッ! 「静さんいますか!?」 ぶっ壊れんじゃねかってほどの勢いで扉を開けて不思議研の部長こと三石小夏が入ってくる。 「ああ部長、今日はちょっと用事があるので「よかった!やっぱり部室にいたんですね!」 静の言葉を遮って静の手をとって、言う。 「すぐ職員室へ行ってください!私じゃど~しよ~もありません!」 * 予想外の来客を出迎えた倉地香はひどく不機嫌だった。 「…久し振りね」 目の前の来客に、倉地は敵意を隠そうともしない。 「本当に久しぶりでしゅね」 それをさらりと流す来客は、小学生くらいの赤毛の美少女。 「久しぶりで…少し老けたんじゃないでしゅか?」 サフィーである。 ピキィ サフィーの挑発に空気が凍る。気の弱い奴ならあっさり失神するほどに。 「…永遠にお子様体型のあなたと違って、あたしは、女として磨きをかけてるの」 倉地がセクシーでダイナマイツなプロポーションで胸をはる。 サフィーに見せ付けるように。 カチンと来た。だが、すぐに思い直して答える。 「そうでしゅね。ずいぶんきれいになっと思うでしゅ。前よりきれいになって…あとは落ちるだけでしゅ」 ニヤリと笑って。 プチ 倉地の額に青筋が浮かぶ。 「…ジルちゃんなら大歓迎だけど、あなたは好きになれそうもないわ」 「そこは同意するでしゅ。アンタとは永遠に分かり合えないでしゅね」 サフィーの方も頷く。 「ま、アタシは、静を迎えに来ただけで、アンタには用はないでしゅ」 「静って…留学生の静くん?…あなた、まさか静くんから血を吸うためにたぶらかしてるんじゃないでしょうね?」 倉地は知り合いの吸血鬼の少女から聞いたことがあった。 目の前の少女が、美少年の血しか吸わない偏食家であることを。 「…そう言えば、1回しか血を頂いたことはないでしゅね」 今度また吸ってみようかなんてなことを思いながら、サフィーが答える。 「ちょっと。留学生とは言え静くんはうちの生徒なんですからね。変なことをしないでちょうだい」 「生徒…ねえ」 遠くを見ながら、この学校に通っている2人のことを思う。 「そんな可愛いもんじゃないでしゅよ。静も、いのりも」 「ちょっと、どういうことよ?」 サフィーが静だけでは無くいのりのことまで知っていることを聞き咎め、倉地が怪訝そうに聞き返す。 「…ま、色々あったんでしゅよ」 こちらに向かってくる足音を吸血鬼の聴力で聞き取り、肩をすくめて立ち上がる。 「迎えが来たようだから、そろそろ行くでしゅ」 ガチャ 「失礼します」 サフィーの言葉にあわせるように静といのりがやってくる。 「それじゃ、バイバイでしゅ」 なにか言いたげな倉地を残して、さっさとサフィーは行ってしまう。 「あ、ちょっと待ってくださいよ。結局倉地先生とはど~ゆ~関係なんですか?」 「ちょっと」 倉地は残された2人に問いかける。 「あなたたち、あの子とどういう関係なの?」 その言葉に、静は少しだけ考えて、答える。いつもの笑顔のまま。 「そうですね。強いて言うなら…戦友、ですかね」 最強に怪しい関係を。 * 飯波の秋の日は暮れるのが速い。 そんなわけでぼちぼち太陽もすっかり沈んだ頃、3人は連れだって見回りを開始する。 「倉地先生とサフィーちゃんって、知り合いだったんだね」 呑気に話かけるいのりの言葉には、気負いは感じられない。 そりゃ~そうだ。 ベテランのウィザード2人に、やっぱりベテランの吸血鬼。並大抵のエミュレイターでは敵にもならないのだから。 「昔、ちょっと色々あったんでしゅよ」 いのりの言葉にサフィーが溜息と共に答える。 「あんまし良い思い出じゃあないんでしゅけどね」 6年前のことを思い出して、少しだけ眉をひそめる。 厄介な相手だった…敵として。 思わずこぶしを握り締めるサフィーを見ていて、静は思い出した。 「ああ、そうだ」 月衣からポスターを取り出す。 「サフィーちゃん、これ。例の人狼…銀之介君の素顔らしい」 先ほど手に入れたポスターをサフィーに手渡す。 「へえ…これが…うん?」 ポスターをしげしげと眺めて、サフィーは気づく。 「この子…見かけたわよ」 「え!?いつ!?」 サフィーのつぶやきにいのりが驚いて問い返す。 「お昼ごろ」 サフィーはその時のことを思い出した。 もやもやもやもやもやもやもやもや サフィーの朝は遅い。 と言っても、吸血鬼なだけに夜行性だからとかそんな理由ではない。 ウィザードになって、太陽光を克服したサフィーには、別段昼間寝てなきゃいけない理由なんてないのだ。 ついでに言えばここ何日か、いのりや静と一緒に暮らしているせいか、昼起きて、夜寝る生活を送っている。 にも関わらず、サフィーの朝は遅い。 その理由はただ一つ。 吸血鬼には学校も、試験も何にもないのだ。 きゅるるるる… アパートの一室。いのりが使っている部屋でその音は鳴り響いた。 割と可愛らしい音だった。 その後、少しして、その音の主がのっそりと起き上がる。 「ふぁぁぁぁ~」 大きなあくびをして、寝ぼけ眼でポツリと呟く。 「…お腹減ったでしゅ」 ベッドから降りてキッチンへ向かう。いつも通りならいのりが何かしら作っておいてくれるはず… ごめん!ねぼ~した!お昼はてきと~に食べて! いのり …だったのだが、テーブルの上にはほとんどひらがなで走り書かれた手紙と、野口さんが1人。 「…しょ~がない、でかけるとするでしゅ」 そして30分後… ガラッ お昼時からはだいぶ遅くなった時間、サフィーは1人で前に2人と来たうどん屋に来ていた。 「お邪魔するでしゅ」 すぐに店の奥から1人の少年が出てくる。 「いらっしゃいませ~」 「…あれ?今日はこの前のうどんのお姉ちゃんじゃないんでしゅね?」 少年を見て、怪訝そうな顔でサフィーが言う。 「うどんのお姉ちゃん…ああ、唐子ですか。唐子は今ちょっと買い物に行ってるんですよ」 「ふ~ん」 てきと~に相槌を打ちながらながら、お子様用の椅子に座る。 「ま、いいでしゅ。じゃ、お子様うどんを」 「はい。ちょっと待っててくださいね」 そしてさらに30分後… 「しっかし…吸血鬼がうどんってのも色々間違ってる気がするでしゅ」 食べ終えて、満足げな溜息と共にサフィーが呟く。 「にしても…」 サフィーはちらりと少年の方を見る。 ぼさぼさの頭、服の下の身体つきは細いと言うより…貧弱。 義理の弟を思わせるどこか憎めない、のんびりした雰囲気はサフィーの好みにも合うが… (…30点でしゅね) 残念ながらサフィーのお眼鏡には叶わなかった。 ジリリリリリ うどん屋の黒電話が鳴る。それを少年が取る。 「はい。七味うどん亭で…!?」 少年の表情が一変する。 「その声は…まさか!?」 のんびりした雰囲気から驚愕の表情に。 「どうして!?確かにあの時…」 そして、シリアスな表情に。 「…なんで叔父さんが生きてるのかは分からない。でも、唐子を巻き込むな!」 それは、何かを決意した、男の表情。 「…分かった。じゃあ、6時に」 やもやもやもやもやもやもやも 「…ってなことがあったから、覚えてたんだけど」 話しているうちに色々とつながったんだろう。サフィーが、本気モードになる。 「6時か…」 静が時計を見る。時計は、6時を少し回っていた。 「でも、場所が分かんないよ?ど~するの」 「任せといて」 いのりの言葉を受けて、サフィーが月匣を展開し、空へと上がる。 集中して、辺りを見回す。人間の限界をはるかに上回る目で持って、それを探す。 「…いた!」 街外れ。廃車置場になっている場所でぶつかり合う銀色の影をサフィーの目がとらえる。 明らかに一方の動きが悪い。どっちが負けてるかなんて、言うまでも無い。 「まずいわね…おされてる」 見たままを、静といのりに伝える。 「先に行くわ」 その様子を見ながら、サフィーは瞬間的に決意する。 見てすぐに分かった。でなければ、間に合わない。 「大丈夫かい?あいつは…」 「だからよ」 静の心配を一蹴する。 あいつに思い知らせなくてはならない。 「あいつには、アタシも借りがあるから!」 吸血鬼を怒らせたら、怖いってことを。 ← Prev Next →
https://w.atwiki.jp/nwxss/pages/216.html
静寂が、訪れる。 紅き世界で、喋るものはただ1人。 「いやあ。本当に楽しめたわ」 ファルファルロウがどこか嬉しそうに言う。 ゆっくりと、崩壊を始めた月匣の中で。 「大公はんがなんだってあんなに世界侵略が好きなんか、ちょっと分かった気がする」 ルーラーを失い、月匣が崩れ去るのに連動して、裏界の穴も小さくなって消滅する。 それを気にも留めずファルファルロウはその手を胸元へと持って行く。 「負けるのも…意外と楽しいもんなんやな」 完全に、いっそすがすがしい位なにも無くなった胸の穴へと。 「まさか最後の最後で、あんな隠し玉出てくるとは思わんかった」 そちらを見る。その…光で焼きつくされ、全身が焼け焦げた吸血鬼の方を。 「まったく、とんでもない適応能力やな…」 ファー・ジ・アースの吸血鬼の中にすら、その使い手は少ない。 使えるとしたら、そいつは気が遠くなるほど長生きした吸血鬼か、血反吐を吐きまくって戦い続けてきた吸血鬼だけだ。 「ええやろ。この告発者ファルファルロウが認めたる」 死に瀕したとき、人間はとんでもない力を引き出すことができる。 それは…元は人間だった吸血鬼でも同じこと。 「アンタの最後の一撃。最高やったで」 吸血鬼の最後の必殺技に対してそう、言い残し。 月匣と共にファルファルロウはこの世界から消滅した。 「サフィー!」 静が駆け寄り、小さな身体を抱きかかえる。 「なんだって、こんな真似…」 その身体は軽かった。悲しくなるほど。 「…うっさいわね。さっき言ったじゃない…」 「サフィーちゃん!?」 抱きかかえられたまま、サフィーがうっすらと目を開く。 「あんな目にあうのは…1回で…十分よ」 温かい。生きてる人間の腕だ。 その腕の感触が酷く懐かしくて泣きそうになりながら、サフィーがささやくように言う。 (死ぬときには今までの思い出が全部蘇るって言うけど…) もう助からないことを自覚しながらサフィーは回転が止まりそうな頭でぼんやりと考える。 (嘘だったのね、あれ) 思い出されるのは最近のできごとばかりだ。あの、クリスマスの夜より後ばかり。楽しかった思い出ばかりだ。 (ま、いいか…ん?) 顔に生温かい感触を感じる。唇から入ったそれは…しょっぱい。 「もう…そんなに、泣かないの」 そう言いながら静の涙をぬぐおうと小さな右手を上げた瞬間…その右手が土くれに返って崩れ去る。 「ちぇ…もうちょっとくらい気を…きかせろっての。だらしのない…身体」 今度は足。くるぶしより下が無くなる。 「しょうがない…1回しか…言わないわ」 今度は左手。時間はそんなに無さそうだ。そう悟ったサフィーが目の前で泣く少年に伝える。 「ありがと。あんたのお陰で、結構楽しかったわ。じゃあ…さよなら…」 そう言うとサフィーはゆっくりと目を閉じて。 動かなくなった。 「せんせい…」 「静さん…」 我に帰ったいのりと目を覚ました銀之介がサフィーを抱きかかえたままの静に声をかける。 何を言っていいのか、2人には分からなかった。ただ、静のどうしようもない悲しみだけが伝わってくる。 沈黙が、再び訪れる。ただ、ボロボロと少女の肉体が崩壊して、土くれに帰って行く音だけが辺りに響く。 「あんなのは…1回で十分…」 それを破ったのは…静の言葉だった。 「奇遇だね。僕もさ」 ギリッと唇を噛みしめる。唇から血が流れおちる。 「目の前で、女の子を助けられないで終わり…そしてずっと後悔し続ける」 体内に残ったプラーナをかき集める。 「そんなのは…1回で十分だ!」 うまくいく可能性がどれだけあるのかは分からない。 「だから…」 だから、ただ信じる。信じてやる。目の前の女の子の悪運の強さを! 「帰って来い!サフィー!」 そう、静は叫んで。 サフィーの唇に自らの唇を重ねた。 * (どこよ?ここ…) 気がつくと、サフィーは川べりにたっていた。辺りには無数の花が咲いている。 (確かアタシは魔法で焼かれて…) いつの間にやら傷どころか服の破れすら無くなっている。不可思議な現象に首をかしげる。 (何がど~なって…) 「サファイア」 声をかけられて、サフィーの体がピクッと反応する。その声には聞き覚えがある。 サフィーの知る限り、ありえないはずの声。とっくの昔に、死んだはずの奴の声。 「…なんでアンタがここにいんのよ」 不機嫌な顔で顔を上げる。 川の向こうには一人の男が立っていた。背の高い壮年の男。ロマンスグレーの髪と異様に悪い顔色と黒い服。そしてとどめに黒マント。 どっからどう見てもあれ以外には見えないその男。 「クソ親父…」 「相変わらず元気そうで何よりだよ。サファイア」 老齢吸血鬼、フロイデッドは相変わらずの自らの娘にちょっとだけ苦い微笑みを返した。 「ここはな、いわゆる…あの世とこの世の境目って奴らしい」 フロイがサフィーに語りかける。 「…そう」 それを聞いて、サフィーはむしろ冷静さを取り戻した。 胡散臭いが、本当ならば逆に色々と説明がつく。 まったく覚えのない場所に傷一つ無い身体、そして、とっくの昔に死んだはずの男。 そう言えば普段なら非常にゆっくりとだが確実に動いているはずのものの鼓動がまったく感じられない。 どうやら今のサフィーは… 「…そういや昔トナが言ってたっけ。死ぬと川が見えるとかどうとか」 「その通り。ここはそう言う場所だ」 サフィーの考えをフロイが深く頷いて肯定する。 「そう。じゃあやっぱりアタシは…」 冷静に考えればむしろ当然だ。あれだけのダメージを受けて生き伸びれるほど化け物だった覚えは無いし、実際肉体の崩壊だって始まっていた。 あそこから蘇れる吸血鬼なんて…サフィーの記憶にある限りでは、いやしない。 「あ~あ…とうとうアタシも終わりか」 「不満かね?」 溜息をついて呟いた言葉に、フロイが聞き返す。 「う~ん、そうね…」 その言葉にサフィーは今までの人生を振り返って。 「…まあ、いいわ」 そう、結論した。 「本当だったらあの時に死んでたはずだから、6年分得したって思う事にする。今さらあっちに未練も無いし、ね」 微笑んで、言う。 だが、その言葉に、フロイはむしろ意外そうな顔をする。 「…そ、そうなのか?」 「何よその顔は?」 その顔に不満を隠そうともせずサフィーが問い返す。 「別に迎えとかそ~ゆ~つもりじゃあ無かったんだが」 う~んと考え込んでしまう。まさか娘がここまで覚悟してるとは思わなかった。 「は?じゃあど~ゆ~つもりだったのよ」 怪訝そうに問い返す。迎えじゃなかったら、なんなのだ。 その言葉に、フロイはこう答えた。 「いやなに。ちょっとだけ、話をしておきたい、そう思ってな」 「話?なんの?」 「ああ、話だ」 そう言って、フロイはその言葉を口にする。 「おめでとう。サフィー」 「は?」 意味が分からないと言った顔のサフィーを気にも留めず語り続ける。 「実はね。少しだけ後悔していたんだよ。お前を、幼いままの姿で吸血鬼にしてしまったこと。 あのままくたばるよりはマシかも知れんが、その姿では永遠を共に過ごすものを得るにはあまりに不利だ、とね」 「…いいわよ。もう。その話は」 苦虫をかみつぶしたような顔でサフィーが言う。 サフィーだって考えなかったわけじゃあない。むしろ何度も考えたし、フロイを恨んだことだってある。 自分が、あと10歳年を取ってから吸血鬼になっていたら、もう少しましだったんじゃないかって。 永遠の7歳は、男女の愛を育むには、あんまし向いていない。 「だが、その心配はどうやら無用だったようで、安心したよ。流石は我が娘だ」 「ちょっと、ど~ゆ~意味よ?」 「なかなか知的な好青年じゃないか。少し胡散臭いがそれもまた、味のうちだ」 「だから、ど~ゆ~意味かって聞いてんの!」 サフィーの問いを無視して延々と語る。時間が無いのだ。 …娘が帰ってしまうまで。 「なぁにお前ならすぐに隙の1つや2つ…「《ヴォーティカルカノン》!」げふぁ!?」 そうだった。こいつは思い込んだら一直線だったと思い出しながら、突っ込みをいれる。 射程4sqは伊達じゃない。きっちりと川の向こうまで届いた。だが… 「痛いじゃないか。サファイア」 顔面へのクリーンヒットをもろともせず、フロイはサフィーに抗議する。 効いて無い。流石はサフィーの父親と言ったところか…もう死んでるからかも知れないが。 その様子にサフィーは溜息と共に返した。 「だから、話が見えないって言ってんの」 「おお、そうか。そう言えばおめでとうとしか言ってなかったな。改めて、言いなおそう」 今気づいたとでも言うようにポンと手を叩いて、フロイが言う。 そして、その言葉を口にした。 「お前にも、恋人が見つかって本当に良かった。おめでとう。サファイア」 * 「まだ違うわよ!?」 サフィーが叫ぶ。顔が熱い。ついでに心臓もドキドキ言っている。 …ドキドキ? 思わずサフィーは心臓へと手をやる。いつもより大分元気に動いている。ここまで跳ね上がったのは6年ぶりだ。 …手? 自分の手の方を見るといつの間にやら新しく手が生えていた。崩れ去って土くれに帰ったはずの手が。 肌寒い。空にはいつも通りの黄色い満月が輝いている。 そして…口の中にはなぜだか覚えのある味がまざまざと残っていた。 「え?これって…」 「良かった!生き返ったんだね!」 頭が状況を認識する前にギュッと抱きしめられる。 端正で知的な顔が、泣いたせいで台無しになってる。 「シズク…?」 その少年の名をサフィーが呼ぶ。 「一体、何が、どうなってんのよ?」 サフィーの問いに、静は涙をぬぐい、笑顔で答える。 「言っただろう?サフィーちゃんは…ウィザードに“なった”って」 ヒーラーがいないことを嘆いていても始まらない。こういう場合こそ冷静に可能性を模索する。 そして、静はその方法に達した。 「いいことを教えて上げる。ファー・ジ・アースの…ウィザードの吸血鬼はね…」 静の血をすすったことでサフィーはウィザードになった。ウィザードの“吸血鬼”に。 だから、自らの血液を媒介にプラーナを分け与え、あとは信じる。 「灰からだって…蘇る!」 目の前の少女が“ウィザードの吸血鬼”であることを。 「本当に…本当に良かった…また、失うところだった」 再び抱きしめる。涙が止まらない。でもいい。だってこれは…嬉しいから出てる涙だから。 (親父が言ってたのは…このことだったのね) 静を抱き返してサフィーは目を閉じる。 いい匂いがする。サフィー好みの匂いだ。 頭がよくて、皮肉屋で、プライドの高くて、優しい…少年の匂い。 (ったく。そんなに泣かないの。男の子でしょ) 母親のように、泣きじゃくる少年をあやし、抱きしめながら。 ―――少女は、生涯2度目の、恋をした。 ← Prev Next →
https://w.atwiki.jp/dqmj2p/pages/5.html
開始日 終了日 配信内容 タイトル 2007年2月1日 2007年2月14日 レオパルド DQMJ1 2007年3月1日 2007年3月14日 レオパルドレティス DQMJ1 2007年8月23日 2007年9月5日 トロデレオパルドレティス DQMJ1 2010年5月20日 2010年6月9日 メタルキング DQMJ2 2010年6月10日 2010年7月7日 キャプテン・クロウ DQMJ2 2010年7月8日 2010年8月4日 ヘルクラウド DQMJ2 2010年8月5日 2010年9月1日 わたぼう DQMJ2 2010年9月2日 2010年9月29日 かみさま DQMJ2 2010年9月30日 2010年10月20日 ゆうしゃスラリンガル DQMJ2 2010年10月21日 2010年11月10日 バルボロス DQMJ2 2010年11月11日 2010年12月1日 スペディオ DQMJ2