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696 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2006/08/07(月) 12 05 38 ID gEb3WfrU サイトが惚れ薬を飲んでしまった 「ルイズ、一緒にお風呂入ろうよ」 「な、ななななんで一緒に入んなきゃいけないのよ!」 「好きだから、ルイズが大好きだから」 「そ、そんなのに騙されないもん!どうせ私の体を見たいだけでしょ!」 「好きな人の体を見たいと思っちゃだめなの?」 「ぅ・・うう・・・」 「シエスタは一緒に入ってくれたのにルイズは一緒に入ってくれないんだ やっぱりルイズは俺が嫌いなんだ、ぐすん」 「わわわ、わかったわよ!一緒に入ってあげるわよ!!」 「わーい、ルイズ大好きー」 完 716 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2006/08/08(火) 00 29 34 ID 0Xx/rJ9j サイトが惚れ薬を飲んでしまった 「ルイズ」 「あによ」 「俺のこと好き?」 「そ、そんな事言ってる暇あったらご主人様に紅茶でも持ってきなさい!」 「俺のこと好きっていってくれなきゃ」 「・・・なによ」 「シエスタの部屋に住む」 「そ、それはだめ!使い魔なんだからご主人様の言うこと聞きなさい! あんたは私のそばから離れちゃだめなの!わかった!?」 「好きって言ってくれないんだ・・・・じゃあね、シエスタのとこいってくる」 「あ!ちょ、うー・・・う・・す、すすすす好き!」 「何が?」 「さ、さささ、ささサイトがああぁぁ!」 完 722 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2006/08/08(火) 10 38 43 ID SqyYHaRg サイトが惚れ薬を飲んでしまった 「やっぱ胸は小さいほうがいいよな」 「なにいってんの急に」 「いや、俺はルイズみたいなかわいい胸のほうが好きだなって」 「あ、あんたもわかるようになったみたいね!」 「ルイズ、胸見せて」 「け、結局それが目的なのね・・・!」 「俺はただルイズのかわいい胸が純粋に見たくて・・・ 怒ったんなら謝るから、どこにもいかないで」 「うーぅー・・・」 「だけど・・・怒った顔もかわいいねルイズ。 君の色々な表情を俺だけに見せてほしい」 「・・?、何いってるのサイト?」 「ルイズ、結婚してくれ」 「な、なななな何いってるの急に!そ、そんなこと急に言われたって困るわよ!」 「俺はルイズと一生一緒にいたいんだ、結婚しよう」 「・・・ぐすん」 「え、ルイズなんか悪いこといった?ごめん、泣かないでルイズ」 「・・・・嬉し泣きよ」 完
https://w.atwiki.jp/20161115/pages/102.html
風が吹き、草木が優しく囁く。 そんな緑溢れる大地をゆったりと散策する少女二人。 一人は、可憐な容姿と纏うバラがファンシーな色気を醸し出しており、もう一人は赤髪に長袖のパーカー、ホットパンツとどこかボーイッシュな雰囲気を醸し出している。 傍目からは、少女二人と自然の調和というひとつの絵でも描きたくなる衝動に駆られるほどに見栄えする光景に見えなくもない。 それに反して会話はひどく物騒なものではあるが。 「佐倉杏子。あなたは北で戦ったと言っていましたがなぜ中央を目指すのですか?」 「あいつもそれなりに怪我をしてたし、あんな派手な騒ぎがあったところに留まるとは思えない。なら、どうせなら他にも人が集まりそうな中央から潰していった方が得ってわけさ」 「なるほど。一理ありますね」 とまあ、こんな具合である。 それもそのはず。なんせ彼女たちはその可憐な容姿とは裏腹に、自分たちよりも非力であろう『人間』を狩りに行こうとしているのだから。 一人は新たなる戦いの為に。一人は生きる為に。少女二人はこれよりその道を朱に染めんと進む。 「ん」 ピクリ、とクラムベリーの耳が動く。 クラムベリーが捉えたのは、足音と話し声。 間違いない。参加者を捕捉したのだ。 「どうやら近くに参加者がいるようですね。こちらに向かっているようです」 「あんたの魔法でわかるんだっけか。このまま歩いてればいいか?」 「ええ。数分もあれば姿が見えると思います」 場所は森。まだ太陽が昇りきっておらず薄暗がりのため中までは認識できないが、距離もさほど遠くはないため来訪者の判明も時間の問題だ。 「何人だ」 「二人...いえ、足音はひとつ...話し声もしているのでこちらに気がついている様子もないのですが...」 足跡が聞こえないとなれば、片方は背負われているのか。 なんにせよ構わない。『人間』であれば狩るだけだ 二人は、速さを抑えることなく堂々と歩む。 片や来訪者に期待を寄せ、片や己の襲撃のパターンを脳裏に張り巡らせ。 ほどなくして、二人は来訪者に遭遇する。 来訪者は、二人の存在を認識したところでようやく止まり、杏子もまたそんな来訪者の正体に小さくため息をついた。 「さ、佐倉杏子...!」 「悪い、クラムベリー。いまは手をださないでくれ。一応あたしの知り合いだ」 来訪者は、杏子もよく知る魔法少女、美樹さやかだった。 ☆ 「さやか、あのハンペン顔はよかったのか?」 「...仕方ないよ。ああも炎を吐かれたら近づきようがないし」 アリスと別れたさやかは、まどか達の探索に時間を割いていた。 できれば、ワイアルドから助けてくれたモズグスの力になりたいとは思っていたが、炎の勢いが存外強力であり、近づくことすら敵わない状況であったため、断念せざるをえなかった。 それでも、炎の下手人が敵方であるワイアルドなら多少無茶をしてでも加勢したかもしれないが、撒いたのはモズグスその人。 さやか達を近づけまいとしているのか、それほど周りが見えない人なのか...少なくとも、遭遇時に抱いた好印象はかなり薄まっていた。 それも、さやかが加勢を諦めた理由のひとつである。 (とにかく、いまはまどかを探さなきゃ...) ほどなくして、さやかと隊長は二つの人影を確認。距離が近づくにつれ、その正体も認識する。 一人は知らない女性だったが、もう一人はさやかの知り合い、佐倉杏子だった。 「あんた、その恰好...!」 さやかは、土煙で汚れた杏子の服を見て警戒心を高める。 理由はわからないが、彼女も誰かと交戦したのだと。 「ナリはあんたが言えたことじゃないだろ。あんたこそその様はどうしたんだよ」 かくいうさやか自身も、いや、杏子と比べれば明らかにさやかの方が傷つき薄汚れている。 全身に刻まれた擦り傷、ところどころが破れた衣類、乾いてはいるもののこびり付いている血。 さやかの知り合いでなければ、警戒しない方がおかしいレベルの惨状である。 「待つんじゃ、ワシらは殺し合いには乗っておらん!」 ひょこ、とさやかの背から顔を出し、隊長が制止の声を挙げる。 しかし、さやかはともかく杏子は最初から戦闘の構えとってはいなかった。 「こんな状況だ。戦いのひとつがあってもおかしくないさ。...そんな弱そうな爺さんを連れてるあたり、本当にあんたは殺し合いには乗ってないみたいだな」 「誰が弱そうな爺じゃ!ワシはこう見えても雅様の誇り高きしんえ」 「...乗ってないよ。そういうあんたはどうなのさ」 「遮るな!」 「あたしか?あたしは―――」 『あー、ごきげんようおめーら』 杏子の声をかき消すように、天より声が鳴り響いた。 「な、なによこれ!?」 「おそらく、参加者に現状を報せるための定期的な連絡でしょう」 「なんじゃお前は」 「森の音楽家クラムベリーです。いまは佐倉杏子と行動を共にしています」 「ど、どうも...」 杏子とは対照的に割りと礼儀正しく挨拶をしてきたクラムベリーに思わずあっけにとられながらも、彼女の佇まいから、もしかしたら杏子は杏子で殺し合いを止めるためにクラムベリーと共に行動していたのかなと頭の片隅に思い浮かべる。 が、そんな想いもすぐに塗りつぶされる。 『最後に脱落者だ。これから放送毎に死んだ奴らを読み上げてく』 「――――!」 脱落者。即ち、この約6時間ほどで死んだものたち。 これから呼ばれる一人の親友の名に腹を括り、未だ行方の知れぬ親友たちが呼ばれるかもしれない緊張で、さやかと隊長はごくりと唾を飲み込んだ。 そんな緊張の面持ちの二人とは対照的に、クラムベリーも杏子もさして変わらない佇まいで放送に耳を傾けていた。 『今回の放送までに死んだのは』 ドクン、とさやかの心臓が跳ねる。 『薬師寺天膳、志筑仁美』 呼ばれた。覚悟していたぶんの痛みが、さやかの心臓を締め付けた。 『南京子。一方通行』 呼ばれない。呼ばれない。 『ありくん』 呼ばれない。 『巴マミ』 呼ばれ――― それ以降の情報は、さやかの耳から全て零れ落ちていった。 気がついたときには、もう放送は終わっていた。 「おい、さやか大丈夫か」 「マミ、さんが」 隊長の呼びかけも耳から通り抜けて行き、ようやく彼女の名前を口に出せたかと思えば、抑えきれない震えがさやかを襲う。 なんで死んだ。なんで死んだ。なんで死んだ。 頭の中はそればかりで、悲しみ悼むべき涙も出やしない。本当に生き返ったのかという疑問も遥か彼方に飛んでいってしまった。 なんで死んだ。誰が殺した。誰が殺した。誰が 「殺したのは『人間』ですよ」 まるでさやかの脳内を読み取ったかのようにポツリと呟いたのはクラムベリー。 今まで微笑を携えていた彼女の顔も、その一瞬だけは確かに険しいものとなっていた。 「あんた、マミさんのことを知ってるの?」 「はい。わずかではあるものの、実に充実した時間を過ごさせていただきました」 「なら、教えて...マミさんになにがあったの!?」 「構いませんよ。ですがその前に...」 クラムベリーはそこで言葉を切り、北―――下北沢近辺の方角に視線を向け静止する。 「また参加者か?」 「ええ。人数は二人、それもかなり無用心に、堂々とこちらに向かってきています」 「さっきの放送を聞いた上でそれなら、よほどの馬鹿か、腕に自信があるのか」 納得しているかのように話す二人にさやかと隊長は困惑する。 「え、えっと...」 「私の能力ですよ。詳しくは教えませんが、歩いてくる者くらいは判別できます」 「なら逃げんのか?お前たちもワシらと同じ赤首輪じゃろう」 「こっちに真っ直ぐ向かってくるならここで待ってればいいだろ。変に隠れる必要もない」 堂々と佇む杏子とクラムベリーに倣い、来訪者の現れるであろう方角に目を凝らすさやかと隊長。 ほどなくして、さやか達の耳にも微かな足音が届き、来訪者の輪郭もおぼろげながら浮かび上がってきた。 そして、その姿が明確になり、さやかの背に凍りつくような怖気が走る。 さやかがその肉眼で捉えたのは二人の異様な男。 一人は一糸纏わぬ、文字通り全裸にランドセルという冒涜的な格好でスキップをする筋肉質な青年。 もう一人は白髪にタキシードの、どこかヴィジュアルバンドのような服装の男。 一目で異物だとわかる前者はともかく、後者は服装だけなら若干時代錯誤を感じる程度のものだろう。 だが、白髪の男がなによりも異様だったのは、口元を覆う赤黒い血液。 なにより、その手に持つだれかの残骸が、男の異様さと異常さを際立たせていた。 白髪の男は、四人のもとへたどり着くなり、ニイと口角を吊り上げた。 「これはこれは大層なお出迎えではないか」 眼前の男の放つ醜悪な気と異様さに、さやかは思わず変身し剣を構える。 「み、雅様!」 そんな彼女の背から隊長の声が響き渡る。 雅。その名は、確かに隊長から聞いていたものだ。 「雅様、ご無事でなによりです」 「ハッ、お前か」 目の前の男の異様さに気がついていないはずがないだろうに、朗らかに話しかける隊長に、さやかは困惑してしまう。 「た、隊長...?」 「よかったなさやか。これでもう安泰だ。こんなに早い段階で雅様と合流できるなど、なんて運がいい」 「いや、それよりも、その...」 隊長が嫌々媚を売ってるとは思えない。 なのに、たとえ信頼のおける者だとしても、眼の前の惨状を見てなぜ平気でいられるのか。 なぜ、いまが彼にとって当然とでもいうかのように平然としていられるのか。 さやかの中では、そんな隊長への複雑な感情が滲み始めていた。 「...何者だ、あんた」 いまの雅の姿を見れば、流石に杏子も警戒心を露にし、いまにも槍を突きつけんばかりに睨みをきかせる。 「ぼくひで」 だが答えたのはひでだった。 「あんたじゃねえよ。いや、あんたもわけがわからねえけどさ。...で、改めて聞かせてもらうけど、あんた何者だ」 「私の名は雅。吸血鬼の王だ」 吸血鬼。その単語に、杏子は思わず鼻で笑ってしまう。 別に彼を馬鹿にしたわけではないのだが、教会の出であるため、吸血鬼のような怪物の創作話はそれなりに馴染みのあるものだった。 雅がそれを名乗ったものだからつい噴出してしまったのだ。 「それで、その吸血鬼様がなんのようだ?」 「なに。血の匂いがしたのでね。どんな輩がきたのか見に来ただけだ」 「そうかい」 パァッ、と光が身体を包み、杏子の服が魔法少女のものに変わる。 その光景に、突きつけられる槍と殺意に雅は一切の動揺もなく笑みを深める。 「早まるな。なにも今すぐ戦りあおうというわけではない。私は珍しいものには目がなくてな。この機会に赤首輪の人外とは話をしてみたいと思っている」 「話、ねえ。どうするクラムベリー」 「構いませんよ。興味があるのは私も同じですから」 「だ、そうだ。あたしも構わないよ」 雅に全く物怖じせずに言葉を交わす杏子とクラムベリー。 そんな二人を見てさやかは戸惑うも、話だけなら、と遅れて了承する。 「おっと、忘れるところだった」 雅はひょいと右手に持った腕の形をした残骸を掲げ、口が耳元まで裂けるほど開き。 ガブッ。 血を撒き散らしながらバリバリと豪快な音を立てて噛み砕いた。 一連の流れとその際のご満悦な表情を見て、ドン引きしつつさやかは思った。 こいつとは絶対に相容れない、と。 ☆ 数分後。 情報交換の場を設けた5人の赤首輪たちは身を隠すこともなく、その場で輪となって。 「ぽかぽかして気持ちいいのら」 その輪から外れて、ひではひとりご満悦な表情を浮かべつつ日向ぼっこを始め、気持ちよかったのかそのまま寝息を立てて昼寝を始めてしまった。 「雅様。あれは新しい邪鬼ですか?」 「いや、拾っただけだ。私にもよくわからん...さて、ひでのことはともかくだ」 雅はジロリと一同を見回し、笑みを浮かべる。 「揃いも揃って幼い女とは。まさか貴様たち、暁美ほむらと同じ魔法少女ではあるまいな」 "魔法少女"と"暁美ほむら"の単語に、杏子の目つきは鋭くなり、さやかの心臓がドキリと跳ね上がる。 「あんた、あいつと会ったのか」 「つい先ほどまでは共に行動していたのだがな。結局牙を剥いてきたので返り討ちにしてやったよ。その証拠に奴隷の印も刻んでやった。...仲間だったか?」 「別に仲間じゃないさ」 嫌らしく笑みを浮かべる雅に対し、杏子は依然変わらず。 しかし、彼女の醸し出す空気が変わっていたのは誰もが感じ取っていた。 「おっと、恐い恐い。あんまり恐いからつい手を出してしまいそうだ」 「下らない茶番は止めな。殺されたいなら別だけどさ」 「コラッ、雅様になんて大それた口を!さやか、友達ならなんとかいってやれ!」 「ごめん、隊長。あたしから見てもあいつを止める気にはならないよ」 さやかは決してほむらと仲が良いわけではないし、むしろ警戒しているほどだ。 しかし、だからといって痛めつけたことを嬉々として語る男に肩入れをしようとは思わないし、それに苛立つ杏子の方がまともだとも思っている。 だから、ここで杏子が雅を殴り飛ばしたとしても止める言葉は持てないだろう。 「佐倉杏子の言う通りですね。私たちは茶番を楽しむ為に留まっているわけではありません」 そんな空気の中、険悪な空気を醸す二人に割って入ったのはクラムベリーだった。 「私には目的があります。確かに赤首輪の人外には興味がありますが、だからといって無駄なお喋りに時間を費やしたくはありません」 「ほう。そこまで急ぐ目的とはなんだ?」 「この場における、『人間』の排除。その後に赤首輪の参加者だけで闘争を繰り広げ決着をつけることです」 クラムベリーの宣言に、さやかは息を呑む。 『人間』の撲滅。それだけでなく、赤首輪の参加者間で脱出するための協力ではなく、赤首輪同士での戦い。 今まで大人しかった彼女からそんな物騒な言葉を聞かされたのだ。予想外にもほどがあり、驚愕するばかりで怒ることすらできなかった。 「弱者がロクに戦いもせず、疲弊した強者を屠る...これほどつまらないことはないでしょう。あんな不愉快な想いは二度と味わいたくないのですよ」 「奇遇だな。私も人間は嫌いでね。無意味に恐れ、無意味に嫌う。そんな愚かな生き物たちには心底呆れ果ててしまったよ」 クラムベリーだけでなく、雅もまた人間の抹殺を宣言する。 (そんな...こいつらを放っておいたら、まどかが...!) さやかの背を冷や汗が伝う。 もしもこの二人を放っておき、まどかが遭遇してしまえば。 考えるまでもない。ただでさえ争いを嫌うまどかだ。為すすべもなく殺されてしまう。 (そんなの嫌だ...) さやかの手に自然と力が込められる。 この二人はここで止めなければまどかが被害を被るかもしれない。 クラムベリーも雅もその実力は未知数だ。おそらく一人で挑んでも勝てはしないだろう。 だが、二人なら。この場にいるもう一人の魔法少女、佐倉杏子と組めば勝機はあるかもしれない。 (杏子...!) もとは、皆の幸せを願っていた彼女なら。共に、目の前の悪鬼たちと戦ってくれるかもしれない。 さやかは期待と懇願を込めて視線を投げかけた。 その先には 「いいこと言うじゃん、あんた」 かつて戦った時に見せたものよりも邪悪な笑みがそこにあった。 「大した力も信念も無いくせに、自分と違えば足を引っ張ることしか考えない。あたしもそんな奴等は大嫌いさ」 「ハッ。ならば、お前たちの目的は私と同じということか」 「ああ。あんな奴等を護るなんざ死んでもゴメンだね。さっさと殺すなり結界に放り込んで魔女の餌にするなりした方が世のためさ」 言ってのけた。 杏子もまた、嘘偽りなく『人間を狩る』ことを宣言した。 「な、なに言ってるのさ杏子!」 さやかは思わず叫んでしまう。 彼女は確かに利己的な魔法少女だ。 けれど、それにはそう為らざるをえない過去があり、冷徹なだけでもなかった。 実際、彼女は傍にいたまどかを攻撃するような素振りも見せなかったし、直接人間を魔女の結界に放り込んでいたとも聞いていない。 それを杏子は『する』と言ったのだ。さやかが反射的に声をあげても仕方のないことだろう。 「なに言ってるもクソもない。前にも言ったはずだろ、あたしはあたしの為だけに魔法を使うって」 「でも、あんたは...!」 「知ったような口を利いてんじゃねえよ。あんたがあたしのなにを知ってるのさ」 さやかはグッ、と言葉を詰まらせる。 杏子の過去は確かに彼女の一面だが、それが彼女の全てであるはずがないし、この殺し合いが始まってからの彼女のこともまだ知らない。 果たして彼女は、過去の経験から人間を殺すほど嫌いだったのか、それともこの殺し合いで嫌いになってしまったのか。 もしも後者だとしたらそれは何故? ―――殺したのは『人間』ですよ ふとクラムベリーの言葉が脳裏を過ぎる。 巴マミを殺したのは『人間』だった。 それをクラムベリーが知るのは、マミが殺された場面を彼女が知っているからだ。 そんな彼女と杏子は共に行動していた。 となれば。 (まさか―――) 「青髪の娘。貴様は、『人間』を護るということでいいんだな?」 さやかが解に辿り着くのとほぼ同時、雅の問いかけが被せられ、思考の停止を余儀なくされる。 かつての魔法少女の真実を知る前なら、躊躇わず感情のままに肯定することが出来ただろう。 けれど、さやかもまた知っている。 この世には救いたくない人間なんていくらでもいる。 自分に尽くしてくれる女を消耗品の道具としてしか見ない男や、仁美を殺した少年、そしてあの巴マミを殺した者。 彼らの影が、さやかに躊躇いを喚起させる。 「あ、あたしは...」 言い淀む。 この四面楚歌から逃れるためなら、他の三人と同様に人間の撲滅を宣戦すればいい。 嘘でも真でもそう同意してしまえばそれだけで済む話だ。 けれども、いつも自分を気遣ってくれた親友が、こんな狂宴においても友情に殉じてくれた親友の影が、嘘をつくことすら押し止めてくれる。 「ハッ。まあいいがな」 さやかの返答を待たずして、雅は目を瞑り薄ら笑いを浮かべる。 「貴様が人間を護ろうが狩ろうが、私が楽しめるならば構わない。せっかくの機会だ。明以外にも楽しませてくれる者がいれば歓迎しよう」 雅の意外な言動に、さやかはキョトンとしてしまう。 てっきり、自分に反する者はすべからく排除するつもりだと思っていたが、彼の言動を要約すればそういうつもりでもないらしい。 であれば、最悪三対一の構図になりかねない現状、退くべきかもしれない。 「ただ」 その微かな気の緩みを突いたかのように。 「自衛できるほどの力も持たん輩であれば別だがな」 雅のブーメランはさやか目掛けて投擲された。 「なっ!?」 あまりにも唐突な襲撃に、さやかは反射的に構えていた剣を盾にする。 甲高く鳴り響く金属音。 その衝撃に、踏ん張る為の力すら込められていなかったさやかの足はたたらを踏み数歩の後退と共に勢いよく尻餅をついてしまう。 「くあっ」 「どうした?貴様はそんなものか?」 戻ってきたブーメランをパシ、と掴み、雅はゆったりと歩を進める。 「そうならば貴様は不合格といわざるをえんな。他の参加者に食われる前に私が糧にしてやろう」 「ッ...のぉっ!」 飛び退き体勢を立て直すさやか。 雅は、ブーメランを持つ腕を振り上げ再び投擲し、さやかへの追撃を―――しなかった。 放たれた方向は左。目標は―――クラムベリー。 顔を傾け躱されたブーメランは、空を旋回し再び雅の手元に戻る。 「なんのつもりですか?」 「なに、ただのテストだよ。果たして貴様らが私に従うに値する強さがあるかどうかのな。いまのをかわせたあたり、そこの娘よりは素質がありそうだ」 「わかりやすい解説に感謝します」 上から目線の物言いに対しても、クラムベリーは不快感を顔に出さない。 どころか、浮かべていた微笑は崩れ、凶悪さすら醸し出す笑みへと変わる。 「お返しに私も試させて頂きましょうか。あなたが、巴マミのように私の闘争に足る存在であるかを」 タンッ、と跳躍し、雅との距離を詰めると同時、腹部に放たれるクラムベリーの拳。 雅は躱す素振りすら見せず、防御すらとらず、迫る拳をまともに受け、後方に吹き飛ばされた。 「み、雅様ァァァァ!!」 響く隊長の叫びも空しく、パラパラと砂粒が舞い降りる。 「その程度ですか?あなたこそ、口の割には実力不足の言葉が似合いそうですが」 「これは手厳しい。ならば、貴様の不満を打ち消す程度には頑張らねばな」 立ち上がり、口元を伝う血を拭い、ブーメランで切り掛かる雅。 振り下ろされる凶器に対し、クラムベリーは素手で立ち向かう。 ブーメランと盾のように翳された左腕はカキン、と音を鈍く響かせる。 クラムベリーは、右の拳を固め、雅目掛けて振るおうとするも、その雅の姿は確認できず。 僅かにブーメランへと意識が向いた刹那で何処へ消えたのか。 その解を出す前に、クラムベリーの右拳は、背後にまわっていた雅へと振るわれた。 パァン、と小気味良い音と共に鮮血が舞い、雅の上体がよろめいた。 「ぐがっ」 堪らず呻く雅に放たれるは、クラムベリーの後ろ回し蹴り。 無防備な胸板に振るわれたソレは、再び雅を後方に吹き飛ばし地面を舐めさせる。 「ッ!」 同時、拳に走る痛み。 見れば、叩き込んだ拳の皮が千切られ、中の肉が露出し血が流れ出していた。 「フム。なかなか美味いじゃないか」 もごもごと口を動かす雅を見て、クラムベリーは理解する。 拳を叩き込んだあの瞬間、雅に皮を食い破られたのだと。 (面白い) クラムベリーの笑みは愉悦に染まる。 やはり戦いは同等の力で行われるのが最良だ。 眼前の男は自分の望む闘争に相応しい存在であるようだ。 もっと味わいたい。もっと拳を重ねあいたい。今すぐにでもあの男を蹂躙したい。 (けれど、私はひとつの闘争で満足はしたくない) 湧き上がる闘争の衝動を抑え、クラムベリーはフゥ、と一息をつく。 (す、すごい...) 「5秒」 眼前の攻防の激しさに呆気にとられていたさやかに、クラムベリーは囁くように語りかける。 「あなたが起き上がるまでにかかった時間です。巴マミは本気でない時でも3秒以内には立ち上がっていましたよ」 「あんた...?」 「巴マミは美しく、気高く、強い魔法少女でした。あなたはまだ未熟です。いま喰らったところで甲斐がない。その実が熟す時を心待ちにしています」 自分の言いたいことを告げるだけ告げると、クラムベリーは駆け出し、雅もまたそれを迎え撃つ。 互いの力量は既に測ったのだ。互いに、ここで仕留めるつもりもないのだが、クラムベリーは巴マミとの、雅はぬらりひょんとの戦いでの消化不良感を満たさずにいられなかった。 「まったく...勝手に盛り上がっちゃってさ」 闘争という名のじゃれあいを遠目で眺めつつ、呆れたようにため息をつく杏子。 杏子にとって闘争など合理的に進め、さっさと片付けるべきものである。 いまの段階で雅にもクラムベリーにも争う理由などないというのに、ああも徒に体力を消耗する気がしれない。 (まあ、あのぶんじゃ気が済んだら終わるだろ) あほくさ、と杏子は退屈そうに欠伸をする。 「...それで、あんたはどうするのさ」 ジロリ、と視線をさやかに移し、雅に代わり杏子が問いかけなおす。 「あんたの友達が人間で、ここに連れて来られてるのは知ってる。あいつらはどうかは知らないが、あたしはわざわざあいつまで狩るつもりはないよ」 「!」 「なに意外そうな顔してるのさ。あたしは自分のためだけに戦うって言っただろ。あんたの友達なんて殺すつもりも護るつもりもないさ。 それに、クラムベリーはともかく雅はあたしも気に入らない。ここで殺しはしないが、精精、同盟だけ結んで一緒に行動はしないだろうね」 杏子はまどかを殺すつもりがない。 それだけで、さやかの葛藤は薄らいでいく。 そもそもの話、葛藤の大半がまどかの存在なのだ。 彼女の安全が確保されていれば、この会場の『人間』を排除することに反論する意義も薄くなる。 同盟するにしても、雅とクラムベリーはともかく、杏子ならまだ信頼はおける。 ならば、杏子と同盟を組み、『人間』を排除しマミと仁美の仇をとることこそが最善の道なのではないだろうか。 (でも...) けれど、もしも他の『人間』がもっとまともな者が多かったら。そのまともな者がまどかと親しい関係になっていれば。 自分としてはその人も助けたい。この殺し合いが終わってもまどかと共に一緒にいてほしい。 だが、彼らは違う。たとえ同盟者の友人であっても躊躇いなく殺すだろう。 彼らは良し悪しに関わらず、『人間』が嫌いなのだから。 彼らに同行し、いざというときにだけ止めるという芸当も、実力に差がある自分にはできまい。 唯一自分の味方をしてくれそうな隊長も、雅がいればあちらについてしまうことも考えれば、この選択肢は茨の道となるのは想像に難くない。 (あたしは...どうしたい?あたしは...) 【G-6/一日目/朝】 【ひで@真夏の夜の淫夢派生シリーズ】 [状態] 疲労(大)、全身打撲(再生中)、出血(極大、再生中)、イカ臭い。お昼ね中。 [装備] ? [道具] 三叉槍 [思考・行動] 基本方針 虐待してくる相手は殺す 0:雅についていく 1:このおじさんおかしい...(小声)、でも好き 【雅@彼岸島】 [状態]:身体の至る箇所の欠損(再生中)、頭部出血(再生中)、疲労(大)、弾丸が幾つか身体の中に入っている。 [装備]:鉄製ブーメラン [道具]:不明支給品0~1 [思考・行動] 基本方針:この状況を愉しむ。 0:バトルロワイアルのスリルを愉しむ 1:主催者に興味はあるが、もしも会えたら奴等から主催の権利を奪い殺し合いに放り込んで楽しみたい。 2:明が自分の目の前に現れるまでは脱出(他の赤首輪の参加者の殺害も含む)しない 3:他の赤首輪の参加者に興味。だが、自分が一番上であることは証明しておきたい。 4:あのMURとかいう男はよくわからん。 5:丸太の剣士(ガッツ)、暁美ほむらに期待。楽しませて欲しい。 6:ひとまずクラムベリーとの『テスト』で欲求不満を解消する。 ※参戦時期は日本本土出発前です。 ※宮本明・空条承太郎の情報を共有しました。 ※魔法少女・キュゥべえの情報を共有しました ※首輪が爆発すれば死ぬことを認識しました。 ※ぬらりひょんの残骸を捕食しましたが、身体に変化はありません。 【森の音楽家クラムベリー@魔法少女育成計画】 [状態]疲労(中~大)、全身及び腹部にダメージ(中~大) 、出血(中)、両掌に水膨れ、静かな怒り、右拳損傷(戦いにあまり支障なし) [装備]なし [道具]基本支給品、ランダム支給品1~2 巴マミの赤首輪(使用済み) [行動方針] 基本方針:赤い首輪持ち以外を一人残らず殺す。 0 ひとまず雅との『テスト』で欲求不満を解消する。 1:杏子と組む。共に行動するかは状況によって考える。 2 一応赤い首輪持ちとの交戦は控える。が、状況によっては容赦なく交戦する。 3 ハードゴア・アリスは惜しかったか… 4 巴マミの顔を忘れない。 5 佐山流美は見つけ次第殺す。 【佐倉杏子@魔法少女まどか☆マギカ】 [状態]:疲労(中)、雅への不快感 [装備]: [道具]:基本支給品、不明支給品0~1、鮫島精二のホッケーマスク@彼岸島 [思考・行動] 基本方針:どんな手段を使ってでも生き残る。そのためには殺人も厭わない。 0:さやかの返答を聞く。答えにいっては一緒に行動してやるかもしれない。 1:クラムベリーと協定し『人間』を狩る。共に行動するかは状況によって考える。 2:鹿目まどか、暁美ほむらを探すつもりはない。 ※TVアニメ7話近辺の参戦。魔法少女の魂がソウルジェムにあることは認識済み。 ※魔法少女の魔女化を知りましたが精神的には影響はありません。 【美樹さやか@魔法少女まどか☆マギカ】 [状態]:疲労(大)、全身にダメージ(大)、精神的疲労(絶大)、仁美を喪った悲しみ(絶大)、相場晄への殺意、モズグスへの警戒心(中) [装備]:ソウルジェム(9割浄化)、ボウガンの矢 [道具]:使用済みのグリーフシード×1@魔法少女まどか☆マギカ(仁美の支給品)、不明支給品1~2 [思考・行動] 基本方針:危険人物を排除する。 1:人間を狩るか、狩らないか... 2:仁美を殺した少年(相場晄)は見つけたら必ず殺す。 3:マミさん... ※参戦時期は本編8話でホスト達の会話を聞いた後。 ※スノーホワイトが自分とは別の種の魔法少女であることを聞きました。 ※朧・陽炎の名前を聞きました。 ※マミが死んだ理由をなんとなく察しました。 【隊長@彼岸島】 [状態]:疲労(大)、出血(小)、全身にダメージ(大)、全身打撲(大)、頭部に火傷 [装備]: [道具]:基本支給品、仁美の基本支給品、黒塗りの高級車(大破、運転使用不可)@真夏の夜の淫夢 [思考・行動] 基本方針:明か雅様を探す。 0:雅様と会えた! 1:明とも会えたら嬉しい。 2:さやかは悪い奴ではなさそうなので放っておけない。 ※参戦時期は最後の47日間14巻付近です。 ※朧・陽炎の名前を聞きました。 時系列順で読む Back 涙 Next I wanna be...(前編) 投下順で読む Back 涙 Next I wanna be...(前編) 誰の心にも秘められた想いがあって 美樹さやか アルピニスタ 隊長 TOP OF THE WORLD(前編) 雅 ひで Anima mala/Credens justitiam 森の音楽家クラムベリー 佐倉杏子
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律「よし! 練習はこれくらいにして、そろそろお茶にするか!」 梓「お茶の前に練習するようになったのは進歩ですけど 結局練習時間よりお茶の時間の方が長いじゃないですか~」 紬「じゃあ、すぐに用意するわね!」 唯「ムギちゃん、なんだか最近練習よりお茶淹れる方が張り切ってるね」 梓「ムギ先輩……」 梓ちゃんには悪いけど、私はこのティータイムが部活の時間で何よりも楽しみ 何故なら…… 澪「ムギ、今日のお茶も美味しいな」 ティータイムの時 私の隣には痩せてるくせにボイン…… 澪「ん、なにムギ? そんなに私の方ジロジロと見て。なにか私変?」 紬「え? ううん、なんでもないの」 標準体型のボインが座ってくれるから! ちょっと前までは仲の良いただの友達でしかなかった でも今は違う とあることがきっかけで友達以上の感情が芽生えてしまった きっと澪ちゃんも同じ気持ちを抱いていると思う そうであってほしい なんだか一度そんな意識をしちゃうと、普段の学校生活で 澪ちゃんの近くへ行くにはなんだか変に緊張しちゃって勇気がいる だから、気兼ねなく澪ちゃんの隣に座れるティータイムは私にとって大変貴重な時間となった だけど、そんな恋に障害はつきもの 律「ムギは、澪がそんなに飲んで食べてするから『澪ちゃん最近太ったなぁ』 って感じでジロジロと見たんだよ、きっと」 澪「なっ! なんだとぉ~!」 律「ひゃん! こわ~い」 澪「可愛く怖がっても駄目だ!」ペチン!! 律「いでっ! 私の可愛いおでこがっ!!」 このデコが私とボインの間に立ちふさがる 澪「ムギはそんなこと思ってないよな」 紬「え? うん……」 澪「いや、もうちょっと強く肯定してもらわないと……」 律「ほらほらぁ~、ムギだってそう思ってるってことじゃん」 デコというのは勿論、我が軽音部部長のりっちゃん りっちゃんは高校生のくせにおデコなんか出しちゃって 最初会ったときは正直ギャグかと思った あんなに積極的におデコを出すなんて私には考えられないし 少なくとも私には出来ない 律「いやぁ~、ムギを見てると昨日の私を見るようだ」 澪「どういうことだよ」 律「昨日、私も同じようなこと思ってたから」 澪「律っ!!」 律「ムギも、お淑やかなのはいいけど、ちゃんと言いたいこと言わなきゃ 私のようになれないぞ」 梓「律先輩のようになっても……」 律「おいおい、それはどういうことかな、中野よ」 澪「ムギ……本当に、そう思ってたの……?」 紬「ち、違うのよ澪ちゃん」 律「じゃあ、どのような思いで澪を見てたのかなぁ~?」 紬「えっと……澪ちゃん、今日も綺麗だな、って」 澪「えっ!? あの……えっと……。あ、ありがとう」 唯「あらあら」 梓「まぁまぁ」 律「おいおい、なに甘い空気漂わしてるんだよ……」 そう、私が澪ちゃんに対して特別な想いを抱き始めたのは 3年生になってから間もない頃 軽音部のみんなでお花見に行ったあの日…… ~ ~ ~ ~ ~ 律「じゃあ、明日の休みの日は軽音部で花見な!」 唯「わーい!」 さわ子「飲むわよー!」 梓「先生も来るんですか……」 さわ子「当たり前じゃない! 私だって軽音部の顧問なんですもの」 澪「あんまり羽目を外しすぎないで下さいね」 さわ子「それはシラフの私に言われても保証できないわね」 澪「はぁ……」 唯「で、昼間にするの? それとも夜?」 律「そりゃあ、花見と言ったら夜桜だろ」 紬「あの……ごめんなさい。私、その日は家のことで夕方から予定があって……」 律「あ、そうなんだ……」 唯「じゃあ、来週にする?」 梓「でも、今週逃すときっと来週には葉桜になっちゃってますよ」 紬「だったら私抜きでやってもらっても」 澪「そういう訳にもいかないだろ、昼間にやればいいじゃないか それだったらムギも来れるだろ?」 紬「うん。ごめんね夜桜見物じゃなくなって」 律「いやいや、いいって! 昼間だろうが夜だろうが桜の綺麗さは関係ないし!」 唯「そうそう、お弁当の美味しさは昼でも夜でも変わらない!」 梓「花より団子を包み隠さない唯先輩はさすがです」 さわ子「昼間っから酔っ払うってのも乙なもんよね~」 お花見当日 さわ子「ひゃっひゃっひゃっひゃ!」 紬「先生、大丈夫ですか!?」 さわ子「わたしゃ酔っ払ってませんよぉ~」 梓「なんか出来上がってる……」 律「この中で一番自制心を保ってなきゃいけない立場なのにな」 澪「うぅ……。周りの花見客の人の注目を集めまくってる」 さわ子「いや~、しっかしこのお弁当すごく美味しいわね」 唯「憂が持たせてくれたんだ」 さわ子「羨ましいわねぇ~。いっそのこと私も平沢家の子になろうかしら」 唯「さわちゃんと姉妹になっちゃうなんて、この世で一番最悪なことだよねぇ~」 さわ子「それもそっか! あ~っひゃっひゃっひゃっひゃ!」 さわ子「って、何あんた達黙ってるのよ! もっと盛り上がっていかないとっ!」 軽音部一同「……」 さわ子「まぁ~ったく……こんな良き日だっていうのにぃ……」 律「面倒くせぇなぁ……」 紬「今年の花見はいつにも増して楽しいわ」 梓「ムギ先輩の楽しいと感じる基準を詳しく知りたいです」 さわ子「私だってねぇ、PTAと学校の板挟みで大変なのよ」 さわ子「だから、こんな時くらい羽目外したっていいじゃないのよ!」 唯「大変な職についたねぇ、偉いねぇ」 梓「でも、生徒に対してはちゃんと教師らしく振舞ってもらわないと」 さわ子(ちっ! そっちがそうなら、無理矢理にでも盛り上げて……) さわ子「あなた達、もうコップが空っぽね。さぁさぁ、先生が飲み物入れてあげるわね」 さわ子(にひひ……)トクトクトク... さわ子「ほら、このカルピスソーダは誰が欲しい?」 澪「あ、じゃあ私がもらいます」 さわ子「ほい、澪ちゃんね。沢山飲むのよぉ」 さわ子「他の子は?」 唯「私、炭酸系苦手だからムギちゃんの持ってきてくれた紅茶でいい」 紬「魔法瓶に沢山作って持ってきたから、いくらでも言ってね」 梓「私も、ムギ先輩の紅茶がいいです」 律「春とはいえまだ少し肌寒いから温かいものが嬉しいよな」 澪「あ、だったら私もムギの紅茶の方が……」 さわ子「澪ちゅわ~ん! 私の入れた酒……じゃなくて カルピスソーダが飲めないっていうのぉ!?」 澪「ひっ! わ、わかりました。飲みます、飲みますからあんまり絡まないで下さい」 さわ子(うっひっひ。せめて澪ちゃんだけは道連れに) … … … さわ子「で、その男とはそれっきりってことよ」 律「へ~」 梓「ほうほう」 唯「すごいね~」 紬「先生も苦労なさってるんですね」 さわ子「その苦労が人生のスパイスになってるのよ」 唯「だとしたらスパイス効き過ぎな激辛人生だよね」 律「何がすごいってさわちゃんの恋愛遍歴のほぼ全てが片思いに始まり 恋に発展することなく終わっていくってとこだよな」 さわ子「ちょっと! 馬鹿にしないでもらえる!?」 澪 ポ~ッ 紬「あ、ちょっと私お手洗いに……」 梓「場所わかります?」 紬「うん、大丈夫」 さわ子「ったく……あなた達みたいな小便臭い小娘よりかは 私のほうがいくらか経験も豊富だし、魅力溢れてるわよ」 律「でも、私たち女子高だし。出会いとかないし」 さわ子「私だって桜高の生徒だったのよ!」 さわ子「でも、あなた達くらいの頃には好きな他校の男子に告白したりしてたし 恋愛に対して一切妥協はしてなかったわよ!」 唯「その結果メタルに走ることになってしまうとは当時のさわちゃんも思ってもみなかっただろうね」 さわ子「そういう軽口は男子とキスでもしてから叩きなさい。私なんてそれ以上のことも…… ウヒッ、ウヒヒヒヒヒ」 律「まだ昼間ですよ~」 澪「キス……トキメキとスキ」 梓「どうしたんですか? 澪先輩」 澪「なぁ、梓……キスってどんな感じかな……」 梓「えっ? えっと……残念ながら私も経験がないのでなんとも……」 澪「数奇な運命で好きになり 奇数の数だけキスをした」 梓「澪先輩!? 急にどうしたんですか!?」 律「ああ、いつもの発作だろ。にしてもこれはいつもの歌詞より酷いな」 澪「鱚がKISSして海に帰す」 唯「さすがの私でもこれは手放しで褒められない」 さわ子「澪ちゃん、そこは『鱚とFUCK』くらいにした方が勢いつくんじゃない?」 律「この公園のゴミ箱どこにあったっけ?」 紬「ただいま~」 唯「おかえりムギちゃん」 さわ子「ううっ、私もおトイレ」ブルッ 律「そのまま便器にでもはまってきて下さい」 紬「お手洗い結構混みだしてきてたから、もしあれだったら みんなも早めに済ませちゃった方がいいかも」 唯「だったら、私もいってこようかな」 梓「私もです」 律「じゃあ、私も」 澪 ポ~ッ 律「澪は?」 澪「わたしはらいじょうぶ」 律「ん? そうか。じゃあムギと澪でお留守番よろしく」 紬「わかった~」 紬「ねぇ、澪ちゃん。このお花見会場って露店もあるしなんだかお祭りみたい」 紬「りんご飴とか綿菓子とか帰りに買っていこうかしら」 澪「ねぇ、ムギ」 紬「なぁに」 澪「ムギはキスしたこと、ある?」 紬「私は……そういうことはまだ……かな」 澪「キスってどんな感じかな」 紬「ん~、イメージでは甘酸っぱいとか?」 澪「なんだかよくわからない」 紬「まぁ、いずれ私たちだって恋をして……」 そう私が言った時、一陣の風が吹いた 私はその風で髪の毛が乱れないようにしっかりと手で抑える 近くで「キャッ」と幼い女の子が小さな悲鳴を上げる どうやらさっきの風に驚いて持っていたキャラクターものの風船を離してしまったみたいだ きっと露天でお母さんに買ってもらったものだろう 桜の木の枝の間を縫って空へ舞い上がっていく 私は風船がその枝のどれかに引っ掛かればいい そうすれば木登りが得意な、そう例えばりっちゃん りっちゃんなんかはきっと木登りが得意だろうから どれかの枝に引っ掛かればきっとその風船はまた女の子の元に戻るんじゃないか そう思いながらじっとその風船の動向を見ていた 澪「ねぇ、ムギ」 不意に澪ちゃんに呼ばれて目が合う どういう訳か彼女の顔は私の顔のすぐ近くにあった これ以上近づけばきっと私と澪ちゃんは…… そう思った瞬間、また風が吹いた さっきの風よりは幾分穏やかな風 だけど私はその風に対してなんの抵抗もしなかった いえ、出来なかった ただ風が吹くままに髪が乱れる その乱れた髪が私と澪ちゃんの触れ合う部分を覆い隠す まるで二人だけの秘密を守るように どれくらいの間そうしていたのだろうか きっと私の頭の中はいまだかつて無い濃厚で凝縮された経験のために 処理が追いつかなくなりオーバーロードをしていたのだろう なので、私にはその時間を正確に把握することはできなかった ふと気づくとすでに澪ちゃんは私から離れていた 唇にはまだ微かに感触が残っている もう一度女の子が離してしまった風船を見る 2度目の風が吹く前とさほど変わらない高度を漂っている そこで初めてさっきの出来事はほんの一瞬のことだったのだと悟った 私はどういう訳かその風船がどの木の枝にも引っかからずに 大空へ舞い上がって欲しいと願った 女の子には悪いけど、なぜだかそう願わずにはいられなかった 唯「ふわぁ~、さっきすごい風だったね」 律「ほんと、Hな風だったわん」 梓「さわ子先生には幻滅しました」 さわ子「うひひっ、梓ちゃん白だったわね~」 梓「最低です」 唯「そういうさわちゃんは毛糸の赤いパンツだったね」 さわ子「い、いいじゃない。まだ肌寒いし暖かいのよこれ」 律「ババ臭っ」 梓「そんなんだから彼氏できないんですよ」 さわ子「ぐぬぬ……」 紬「……」ポケ~ッ 澪「……」ポ~ッ 律「って2人とも、ぼ~っとしてどうした?」 紬「えっ!? あっ!? な、なんでもないの!」 律「ん? そうか?」 紬「あの、私そろそろ帰らないと!」 梓「もうそんな時間なんですか?」 紬「え、えっと……う、うん、ごめんね」 さわ子「まだまだこれからなのにぃ~」 紬「私のことは気にせずに続けてください」 唯「そっか~、残念だなぁ」 紬「じゃあ、またね!」 澪 ポ~ッ あんなことがあった後だったのでなんだかいたたまれなくなって その場から逃げ出すように帰途に着く 少し歩いて冷静になると慌ててあの場を出てきてしまったことに後悔した なにより澪ちゃんには何も言わずに来ちゃったから でも戻ることなんて出来そうにない 紬「別れの挨拶くらいはしときたかったな」 もちろんさっきの行為に対しての「ごめんなさい」という返答ではなく ただ「じゃあね」とか「またね」といった類のもの ふと先程のことを思い返すと、顔がほのかに熱くなる 思ってもみなかったまさかの出来事、だけど嫌じゃない むしろ…… 私は来た道を振り返り軽音部が陣取っていた場所を探した だけどここからじゃ人ごみに紛れて澪ちゃん達を判別できない 空にはさっきの風船がフワフワと浮かんでいる 紬「どこにも引っ掛からなかったのね。あの女の子かわいそうに」 その言葉とは裏腹に私はなんだか嬉しくなってしまった 私はさっきの素敵な出来事を何度も何度も思い返し ゆっくりゆっくりと家路に着いた ~ ~ ~ ~ ~ 2
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anko1934 ゆっくり退化していってね!1 anko1964 ゆっくり退化していってね!2 anko2020 ゆっくり退化していってね!3 anko2346 ゆっくり退化していってね!4 anko2347 ゆっくり退化していってね!5 anko2450 ゆっくり退化していってね!6 anko2451 ゆっくり退化していってね!7
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―――― それから毎週日曜日、和ちゃんとの勉強会を開いた。 ……開くことになっていた。 「最低でも、軽音部が終わるころには今の私ぐらいの偏差値になっておきなさい」 「それで間に合うの?」 「間に合わせるわ」 強い口調でぴしゃりと言う。 和ちゃんらしくなかった。和ちゃんならもっと真剣に考えてくれる。 たとえ結果として私に辛辣なことを言うことになっても、 私のためを思って助言してくれる。和ちゃんの好きなところのひとつ、なのに。 「ねえ、和ちゃん……」 不安が波のように、時折引きながら寄せてきて、だんだんと近付いてきた。 「わたしが和ちゃんの大学についていくの……いや?」 訊いてはいけないことだったかもしれない。 和ちゃんの顔が、ちょっぴり凍る。 でも、もう言葉に出してしまった。 告白もこんな風に言えたらいいのにな、と場違いなことを考える。 「……うれしかったわ。唯がついてきてくれて」 「……」 喜べない。 これは和ちゃんの話の、前置きにすぎないと分かるから。 「でも、なんていうか……決して、唯が嫌いって訳じゃないのよ?」 「ただ唯は……軽音部に入ってから、変わったと思うから」 和ちゃんは大きく息を吸う。 「私ね。今まで私は、唯のお母さんみたいな存在だって自分を思ってたの」 「……澪ちゃんも言ってたよ。お母さんみたいだって」 「だけど、軽音部に入った唯を見ていると、違ったかなって思うの」 「違う?」 「私は唯のお母さん……お母さん代わりにもなれないし」 「なる必要なんて、なかったかなって」 「和ちゃん……? よく意味がわかんないよ」 おかしい。 和ちゃんを全力で追いかけているはずなのに、 その姿は私のほうを向きながら、ぐんぐん遠くへ飛んでいってしまう。 「気持ちとしては、娘を嫁に送ったような感じだったの」 「ちょっとした寂しさと、よろしくお願いしますって気持ち」 和ちゃんは悲しげな目をしていたけれど、やっぱり笑った。 「唯はね……軽音部にもらわれたんだと思うから」 「律と、澪と、ムギと。同じ大学を目指すべきなのよ」 胸の奥から、強烈な衝撃がつきあげてくる。 心臓の鼓動に、肩まで揺らされた。 「……和ちゃん」 あぁ、だめだよ。 今言うことじゃないよ、言わなきゃって思っちゃったのはわかるけど。 頭のどこかから、私の声で警告が聞こえる。 「そんなの和ちゃんの勝手だよ。私はそんなのやだ」 「やだって……」 「やだったらやなの! 和ちゃんと離れるなんて絶対いやっ!」 「唯、どうしたの?」 ばか、和ちゃん。それを訊いちゃったら。 「……和ちゃんが好きなのっ!」 「ずっと昔から、ずっとだよ! 私は和ちゃんのこと、小学校のときから……」 和ちゃんの顔がみるみる固まっていく。 「ねぇ覚えてるでしょ、小学校の修学旅行の夜」 「わたし、和ちゃんが好きって言ったよね。あれがほんとの気持ち。天然ボケなんかじゃなかったよ」 わかってる。 こんな勢いに任せて言っちゃいけないことだって。 だけどもう、止まれない。 理由のわからない涙がぼろぼろあふれてくる。 「女の子同士だから、おかしいって思ったけどっ……好きなものは好きで、わたしっ」 「和ちゃん、好きっ、ずっと好きだったの、だから……」 「母親なんて言わないで……私を勝手に見はなさないで!」 にじんだ視界の中、和ちゃんを探して抱きついた。 春服の下の胸が、ぎゅうっと潰れる。 「ずっといっしょだって、約束したじゃん……」 和ちゃんの心臓の音が聞こえる。 私の鼻が鳴らす雑音が邪魔だった。 和ちゃんの胸に顔を押し付けたまま、時間が過ぎる。 言葉の氾濫はおさまったみたいだった。 「……ずっと」 やがて、和ちゃんは静かに言った。 「?」 「ずっと友達だって、言ったのよ」 「……」 「無理よ、唯……わたしは」 「唯をそういう風に見たことがないし、これからも見れないわ」 「……ごめんなさい」 わたしが最低でも6年いだいた想いは、 1分とたたず、うち砕かれた。 「そっか、そうだよね」 私はそっと和ちゃんをつかまえていた手を外して、座りなおす。 和ちゃんの服に広がった涙のしみを見て、きっと大した悲しみではないと思うことにした。 「ごめん、おかしなこと言って……」 「……ちょっと、一人にさせてくれない?」 「……」 「お願い」 「……じゃあ、勉強会は中止?」 「そうだね。ていうか、もういいかも」 「一緒の大学行ったって、いつか和ちゃんが離れちゃうなら、もういい」 「……」 「好きになんなきゃよかった……」 「……そんなこと、言ったらだめよ」 テキストを集めてかばんに入れて、和ちゃんはすっと立ち上がった。 「また明日ね、唯」 和ちゃんはそう言って、部屋を出ていった。 私は床に耳を付けて、離れていく和ちゃんの足音をわざわざ聴いた。 「……」 終わっちゃった。 のんびりしてたら思った以上に終わりが近づいてて。 それで焦ったら、あっという間に何もかも終わっちゃってた。 どうするのが、正解だったんだろう? この問題だけは、和ちゃんにも解けないな、って思った。 ―――― 「朝令暮改ですか!?」 翌日、月曜日の軽音部にて、あずにゃんが私の知らない言葉を叫んだ。 「3日もたなかったな……」 「まあ唯にマジメキャラは向いてなかったって事だ!」 「嬉しそうだな、律」 「でも、よかった……」 ムギちゃんが胸をなでおろす。 「ムギ先輩?」 「唯ちゃんが勉強しようとしたのは、和ちゃんと同じ大学行くためでしょ?」 「う、うん……無理だって言われて、諦めちゃったけどね」 「でも私や澪ちゃんは、和ちゃんのK大とは志望校違うし、目指すのも厳しいから……」 「これで唯ちゃんも、一緒の大学来れるわよね?」 ムギちゃんはにこっと笑った。 「あ……」 「おう、私も澪とムギと一緒の大学行くぞ!」 慌てたようにりっちゃんが割り込んできた。 「今きめたでしょ、りっちゃん?」 「だ、だってさぁ!」 「まったく……」 仕方ないな、という感じの笑い。 でも、心の奥では。 ……なんだか、和ちゃんの言ったことが、わかったような気がした。 「いいじゃん。りっちゃん、みんなで一緒の大学目指そうっ!」 「うんっ」 みんなで頷き合う。 そうだ。こうして、友達の中にいるのが、いちばん良いんだ。 もしかしたら和ちゃんは、はなから私の気持ちに気付いていて、 ああいう忠告をしたのかもしれない。 そもそも、本人の前で好きって言っちゃったことあるもんね。 「それじゃ……」 「ティータイムにするか」 「律先輩、このタイミングでそれ言えるの逆にすごいと思います」 「冗談だっつの」 そうだよね。 きっと、こんな時間が好きなだけだったんだ。 ―――― 「……」 「……」 「家まで送るわ、唯」 「うん、ありがとう。和ちゃん」 「……なんかあっけなかったね」 「卒業式? そうね、卒業証書もクラス代表が受け取るだけだものね」 「中学の時は泣いちゃったけど、今年はなんだか……」 「空っぽな感じが、ずっと続いてた」 「虚無感ね。寂しいのよ、唯は」 「んー、やっぱりか。わかってはいたんだ」 「寂しいのは、やっぱり……和ちゃんが遠くに行っちゃうからなのかな」 「……まだ、好きなの?」 「わかんない。そういう気持ちをなくそうとはしてる」 「……忘れられたらいいわね」 「うん。それがいいって思うよ」 「……」 「……あ、公園」 「昔、よく遊んだわね。砂場の砂、みんな外に出しちゃって怒られたかしら」 「あの時はほんとすみませんでした」 「いいのよ。子供の頃のことだし」 「……子供のしたことなら、許せる?」 「?」 「私が和ちゃんを好きになったの……子供の頃のことだけど、許せる?」 「……唯に好きになられて、怒る人なんていないと思うけど?」 「……和ちゃんって、ほんとにばか」 「ええっ?」 「そんなこと言わないでよぉ……またぶり返しちゃったじゃん」 「……熱か風邪みたいな言い方ね」 「はぁ、もう……」 「難儀な人を好きになったよ……いろんな意味で」 「はあーぁ……」 「……唯、歩くの遅くなってるわよ」 「……だって。もうそろそろ、家に着いちゃうし」 「……」 「……」 「ねぇ、和ちゃん」 「なに?」 「……すき、だよ」 「唯……」 「でも。私が和ちゃんをすきなのは、今日までにする」 「今日からあなたは、私の愛した和ちゃんではなく、ただの幼馴染の和ちゃんなのです」 「……」 「……ねえ、眼鏡はずして?」 「あのころの和ちゃんの顔になってくれないかな」 「和ちゃんが、私の親友だったころの……」 「……ええ、いいわよ」 「……」 「……うん、そう」 「なつかしいね。卒園式の日も、こうだった」 「隣にお父さんとお母さんがいたけれど、和ちゃんが送ってくれて……」 「純粋だった。恋を知らない子供だったんだよね」 「……」 「和ちゃん。送ってくれてありがとう」 「もういいの?」 「うん。あ、眼鏡はそのままで」 「……じゃあ、ここで見送ってるわ」 「ん。じゃーね」 「ええ。さよなら、唯」 ありがとう、和ちゃん。 私の気持ち、もういっかい幼稚園からやり直すから。 今度は間違わないようにするから。 そしたら――また、出逢おうね。 おしまい 戻る
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116 名前: ◆PzD3ftv2xo [sage] 投稿日:2009/08/15(土) 21 41 33.02 ID vMwSdrnzO 律「お、おいおい、忘れたフリなんて冗談キツいよ梓。」 梓「私の名前…なんで知ってるんですか?」 澪「なんでって、同じ軽音部のメンバーだし…。」 梓「けい…おん…ぶ?」 紬「私達の事…何も覚えてないの?」 梓「…すみません。」 唯「思い出してよあずにゃ~ん!」 梓「ひっ!」ドカッ 唯「き、嫌われた…。」シクシク 189 名前: ◆PzD3ftv2xo [sage] 投稿日:2009/08/16(日) 01 01 02.00 ID 0tlxwTK0O 澪「まあ、私達と一緒にいれば、何か思い出すかも知れないし、しばらくは放課後、音楽室に来るといいよ。」 梓「は、はい!よろしくお願いします!」キラキラ 紬(これはいい展開…!)ニコニコ 律「唯、スキンシップはしばらく自重しとけよ。」ボソボソ 唯「そうだよね、これ以上あずにゃんに嫌われたら、私立ち直れなくなっちゃうよ。」ボソボソ 442 : ◆PzD3ftv2xo :2009/08/19(水) 00 57 51.58 ID 9ZiPfDJOO 翌日 梓「おはよー憂。」 憂「!?」 梓「どうしたの?」 憂「梓ちゃん、私の事覚えてるの?」 梓「当たり前でしょ?友達なんだから。」 憂「そ、そうだよね!ゴメンね、変な事聞いて!」 昼休み 憂「お姉ちゃん!」 唯「どしたの~憂?そんなに慌てて。」 憂「梓ちゃん、私の事ちゃんと覚えてたよ?本当に記憶喪失なの?」 唯「そっかぁ。じゃあ寝て起きたら思い出したんだよ、きっと!」 憂「そうなのかなあ…?」 放課後、音楽室 梓「唯先輩、律先輩、今日こそはちゃんと練習して下さいよ?」 唯律「………。」 澪「記憶、戻ったの?」 梓「え?」 澪「う、ううん。なんでもないよ。」 458 : ◆PzD3ftv2xo :2009/08/19(水) 02 20 03.17 ID 9ZiPfDJOO 練習終了後 梓「私、ちょっと用事があるので、お先に失礼します。」 律「おう、お疲れさん。」 パタン 澪「…なあ、おかしいと思わないか?昨日の今日で記憶が戻るなんて事あるか?」 唯「だから~寝て起きたら思い出したんだよ。」 律「それは普通に忘れたってだけだろ。」 紬「……………。」 644 : ◆PzD3ftv2xo :2009/08/19(水) 20 42 02.03 ID 9ZiPfDJOO 夕方、空き地前 梓「ここには…あるはずないよね。家がないんだし。」 澪「梓?何してるんだ?こんなとこで。」 梓「澪先輩、ここに家ってありませんでした?」 澪「家?…ああ、あったよ。四年前まではね。」 梓「火事…あったんですよね?」 澪「うん。住んでた人はみんな逃げ遅れて死んじゃったらしいよ。…ここの人と知り合いだったのか?」 梓「ええ、まあ。それじゃ、さようなら。」 澪「また明日な。」 660 : ◆PzD3ftv2xo :2009/08/19(水) 22 00 50.01 ID 9ZiPfDJOO 次の日の放課後、音楽室 梓「ここにもない…どこいっちゃったの…?」 紬「あら、梓ちゃん。何か探し物?」 梓「えっと、ピックを落としたみたいで…。」 紬「一緒に探しましょうか?」 梓「いえ、替えのピックがあるので、今日はそっちを使います。」 紬「そう。…本当は、ベースを探してたんじゃないの?」 梓「!? なんで、それを…!」 673 : ◆PzD3ftv2xo :2009/08/19(水) 22 24 39.91 ID 9ZiPfDJOO 紬「昨日の梓ちゃんの様子が気になったから、斎藤に調べさせたの。あの後、四年前火事にあった家の跡に行ったでしょ?」 梓「………。」 紬「あそこにも、ベースを探しに行ったのよね?…ミカさん。」 梓「………。」 律「うい~す。…どしたの?2人とも。」 紬「…いえいえ、今お茶を用意するわね。」 澪「おーっす。あ、梓。ちょっと聞きだい事が…。」 梓「………!」キッ 澪「い、いや、何でもない。」 律「どーした梓?」 梓「………。」プイッ 675 : ◆PzD3ftv2xo :2009/08/19(水) 22 42 26.43 ID 9ZiPfDJOO 律「おいムギ、梓のやつ機嫌悪いみたいだけど、何かしたのか?」ボソボソ 紬「私が来た時から機嫌が悪かったのよ。クラスで何かあったのかしら。」ボソボソ 唯「おいっす~!あずにゃん今日もかわいいね~。」だきっナデナデ 律(うわっ馬鹿!) …………… 梓 ほわ~ 澪(機嫌直った!?) 紬(うふっ☆いいデジャヴ…。)ニコニコ 708 : ◆PzD3ftv2xo :2009/08/19(水) 23 57 38.14 ID 9ZiPfDJOO さわ子「みんな~!新しい衣装作って来たわよ~!」 律「燕尾服だと!?」 紬「執事ですね、分かります!」 唯「イエス、マイロード。」 澪「ま、まあ、コレなら…。」 梓「相変わらずだね、さわちん。」 澪「えっ?」 唯「さわちん?」 律「梓?一体どうし…。」 さわ子「…!ミカちゃん!?」 唯律澪紬「ミカちゃん!?」 梓「嬉しいなあ。ちゃんと覚えててくれたんだ。」 さわ子「忘れられるわけ…ないじゃない…!」 169 : ◆PzD3ftv2xo :2009/08/20(木) 21 45 08.17 ID rZLPtuREO 梓「もうすぐあえるんだ、ユキヒロに…!」 律「ユキヒロ?」 さわ子「ミカちゃんが使ってたベースよ。」 澪「なんか、唯みたいな子だな…。」 バタッ 唯「あずにゃん!」 梓「う…ん。あれ、ここは…音楽室?」 紬「大丈夫なの?梓ちゃん。」 梓「はい。…ミカさんに体を貸していたんです。」 唯「貸してた?」 律「なるほど、だからか。なんていうか、ちょっと違和感あったんだよな。」 171 : ◆PzD3ftv2xo :2009/08/20(木) 21 50 04.97 ID rZLPtuREO 2日前の夜、夢の中 梓「ここは一体…。」 ??「はじめまして、中野梓さん。」 梓「誰…ですか?」 ??「あたしはミカ。よろしくね。」 ミカ「無理矢理取り憑いたから、軽く記憶喪失っぽくなったでしょ?ごめんね。」 梓「記憶をなくしてた時の事を覚えてないですけどね。ところで、どうして私に取り憑いたんですか?」 ミカ「ユキヒロを探したいの。あ、ユキヒロっていうのは、あたしが使ってたベースの名前ね。」 梓「名前、あるんですか…。(唯先輩みたいな人だな…。)」 175 : ◆PzD3ftv2xo :2009/08/20(木) 22 02 48.85 ID rZLPtuREO 梓「どうして私に取り憑いたんですか?」 ミカ「ちっちゃくて可愛いからつい☆」 梓(本当に唯先輩みたいな人だな…。) ミカ「火事で死んじゃった後からずっと探してるんだけど、全然見つからなくて。」 梓「すごく思い入れがあるんですね、そのベース。」 ミカ「さわちんが一緒に選んでくれたものだからね。」 梓「さわちん?」 ミカ「山中さわ子って人。知ってるよね?あたし、さわちんと一緒にバンドやってたんだよ。その名もDEATH DEVIL!」 179 : ◆PzD3ftv2xo :2009/08/20(木) 22 15 42.89 ID rZLPtuREO 梓「ああ…あの伝説の…。(さわ子先生の黒歴史…。)」 ミカ「あたしね、さわちんの事好きだったんだ。女性として。」 梓「あなたも女性だと思うんですけど。」 ミカ「女が女に恋して何が悪い!」 梓「す、すみません。」 ミカ「ユキヒロはあたしの宝物。だって、さわちんがあたしにぴったりだって言ってくれたんだもん。だから、もう一度ユキヒロに会いたいの。お願い、しばらく体を貸して?」 梓「分かりました。そこまで言われたら、断る訳にいかないし。」 ミカ「ありがと。」 189 : ◆PzD3ftv2xo :2009/08/20(木) 22 33 03.93 ID rZLPtuREO 梓「…という事がありまして。」 紬「そうだったの。私てっきり悪霊かと思ってたけど、良い霊(もとい百合)なのね。」 唯「ね~ね~さわちゃん、ミカさんってどんな人だったの?」 さわ子「そうねえ…。」 回想 ミカ「山中さん、軽音楽って興味ある?」 さわ子「え?う、うん。」 ミカ「そうなんだ!じゃあさ、あたしが作るから入って!軽音楽部!」 さわ子「ええ!?そんないきなり…。」 ミカ「あ…いや、どうしてもって訳じゃないからさ。一応、考えといてよ。」 193 : ◆PzD3ftv2xo :2009/08/20(木) 22 58 59.75 ID rZLPtuREO ミカ「部を作るには最低4人必要…つまり君達が必要なんだ!という訳で、ミユキ、キョーコ、今日からよろしく!」 ミユキ「…ギターなら、やってもいいよ。」 キョーコ「強制かよ!別にいいけど。わたしドラムね。…って、言い出しっぺが楽器持ってないじゃない!どーすんのよ!」 ミカ「あと1人入ってから考える!」 ミユキ「しかも演奏出来ないし。」 ミカ「ぐっ…。」 キョーコ「歌声変だし。」 ミカ「ぐはっ。」 さわ子「あの、私、ギター弾けるから、入ってもいいかな?」 197 : ◆PzD3ftv2xo :2009/08/20(木) 23 06 29.50 ID rZLPtuREO ミカ「おお!山中さん、入ってくれるのね!じゃあボーカルで。」 さわ子「ええ!?あ、あの、ギター…。」 ミユキ「弾き語りという、手がありますよ。」 キョーコ「あんたらねえ…。まあ、ボーカルは追々決めるとして。これでミカが使う楽器決まったわね。」 ミカ「え~と…カスタネット?」 キョーコ「ベースだよ!」 484 : ◆PzD3ftv2xo :2009/08/21(金) 21 00 16.72 ID nx37/sPHO 回想、楽器店 ミカ「ベースって弦4本なんだ。…ピンからキリまでありますなあ。…むがああああ!1人じゃ分からん!」 さわ子「ねえ、コレなんかどうかな?」 ミカ「おお、いたんだ。気づかなかった。」 さわ子「今日はミカちゃんのベース選びに来たんでしょ。キョーコちゃんとミユキちゃん自分の楽器見に行っちゃってるけど。」 ミカ「まあ、キョーコは新しいスネア欲しいって言ってたし。ミユキは…。」 ミユキ「やっと、見つけた。」ウルウル さわ子「まさか、迷子に…?」 491 : ◆PzD3ftv2xo :2009/08/21(金) 21 21 19.80 ID nx37/sPHO キョーコ「いや~、スネアだけのつもりが結局一通り新調しちゃった。販売戦術恐るべし!」 ミユキ「単にキョーコが、押しに弱い。それだけ。」 キョーコ「それは言わないお約束でしょ?」 ミカ「よし!次はあたしのベースを選ぶんだ!」 キョーコ「それはあんたが決める事でしょ?」 ミカ「そう言われてもよく分かんないし。あたし楽器初めてだし。」 さわ子「え!?楽器触った事もないのに軽音楽部作ったの!?」 ミカ「失礼な!ネコふんじゃったは弾けるから!」 ミユキ「すごく、遅いです。」 キョーコ「指一本じゃ弾けるとは言わないわよ。」 ミカ「あうち。」 513 : ◆PzD3ftv2xo :2009/08/21(金) 21 58 16.23 ID nx37/sPHO さわ子「私、コレがミカちゃんに似合うかなって思うんだけど。」 ミユキ「…ミカ、持ってみて。」 ミカ「う…重い…。」 さわ子「そっかあ…残念。じゃあ、他のに…。」 ミカ「コレ買う!」 キョーコ「でも、重いんでしょ?だったら…。」 ミカ「コレがいいの!コレにする!」 さわ子「ミカちゃん…。」 キョーコ「はいはい、分かったわよ。後悔するんじゃないわよ?」 ミユキ「また、押し負けた。」フフリ キョーコ「うるっさい!」 547 : ◆PzD3ftv2xo :2009/08/21(金) 22 35 57.41 ID nx37/sPHO 回想、再び音楽室 キョーコ「へえ~!さわ子好きな人出来たんだ!」 さわ子「ちょっと、声が大きいよ!」 ミユキ「ここは、音楽室。防音、ばっちぐ~。」 さわ子「そういう問題じゃないよ!」 ミカ「よしさわちん、早速告白だ!レッツゴー!」 さわ子「ええ!?ちょ、ちょっとミカちゃん!!」 …………… キョーコ「どうなるんだろ…。」 ミユキ「ドキドキ。」 ミカ「お、来た来た。どうだった?」 さわ子「もっと…ワイルドな人が好きなんだって…。」 ミカ「ワイルド…ワイルドと言えば、メタル!よし、明日からあたし達軽音楽部は、メタルバンドをやるぞ!さわちんの幸せの為に!」 ミユキ・キョーコ「おー!」 さわ子「なんでそうなるの~!?」 567 : ◆PzD3ftv2xo :2009/08/21(金) 23 08 50.11 ID nx37/sPHO …………… さわ子「とまあ、とにかく私に一直線な子だったわ。」 梓「きっと、よっぽどさわ子先生に惚れ込んでたんですよ。」 さわ子「私に惚れてたのか。…嬉しいけど、ちょっと複雑ね。」 紬「まあ、女子校ではよくある事ですわ☆」 澪(よくある事なのか!?) 律「んで、なんでさわちゃんがユキヒロ持ってんだ?」 さわ子「ミカちゃんちが火事にあう前の日にね、久しぶりにみんなで集まって演奏会しないか話になってね。」 さわ子「それでミカちゃん、ベースのメンテしてなくてさ、色々ヤバかったから私がメンテしてあげる為に預かってたのよ。その次の日にあんな事になって…。」 さわ子「ユキヒロ見ると思い出して悲しくなるから、ずっとしまい込んでたのよ。まあ、時々メンテはしてたんだけどね。」 57 : ◆PzD3ftv2xo :2009/08/22(土) 19 34 11.69 ID yjXr8ItVO 次の日 唯「やっほ~あずにゃん!…じゃなくて、ミカさん?」 梓「あずにゃんで合ってますよ、唯先輩。」 律「はっはっは、バレバレですぞミカさん!梓は自分の事あずにゃんとは言わないぜ!」 梓(ミカ)「バレたか。そんな事より、ユキヒロまだかな~?」ワクワク 紬「私も楽しみですわ~。」ニコニコ 澪(ムギは一体何を期待してるんだろう…。) さわ子「待たせたわね!持ってきたわよ!はい、ミカちゃん。」 梓(ミカ)「ユキヒロ!会いたかったよ~!」ギュッ さわ子「私がメンテしててあげたんだから、感謝しなさいよね?」 梓(ミカ)「さわちん!だ~い好き!」チュッ さわ子「んむ!?」 唯律澪紬「!!!」 72 : ◆PzD3ftv2xo :2009/08/22(土) 20 13 38.24 ID yjXr8ItVO 唯「あう~。あずにゃんのちゅ~…。」 律「羨ましいのかよ。」 紬「良いもの見せてもらいました~。」テカテカ 澪(お…女…同士で…キ…キス…!?)ドキドキ さわ子「いきなり何するのよ、もう!」 梓(ミカ)「…えへへ。ありがとね、さわちん。ユキヒロの事…よろしくね。」 さわ子「はいはい、分かってるわよ!…じゃあ、またね。」 梓(ミカ)「うん!絶対さわちんの子供になるから!じゃあね!」 114 : ◆PzD3ftv2xo :2009/08/22(土) 21 02 59.65 ID yjXr8ItVO 夜 prrr… さわ子「あっキョーコちゃん?ねえ、明後日さあ、DEATH DEVILのメンバーで久々に集まらない?」 キョーコ『さわ子から誘って来るなんて珍しいわね。どういう風の吹き回し?』 さわ子「ほら、明後日ってさ…ミカちゃんの命日じゃない?それに、ちょうどお盆って事もあるし。…笑って送り出してあげたいの。」 キョーコ『…もうそんな時期なのかあ。時間経つのって早いね。…オッケー。他のメンバーはわたしが集めとくわ。って、ベースどうすんの?』 さわ子「私が弾くわ。ちょうどユキヒロ持ってるし。」 キョーコ『ふ~ん。やっと失恋から立ち直ったか。』 さわ子「どういう意味よ?全く…。」 キョーコ『ふふ。明後日また会おうね。んじゃ。』ガチャ さわ子「ミカちゃん…楽しみにしててね。」 終わり
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申し訳程度にしか照らしてくれないアパートの廊下の電灯。薄闇の中で鍵をさして右に捻れば、ガチャリと金属音がして鍵が開く。 ドアを開けた先には、真っ暗な空間。壁にあるスイッチを押せば、チリっとフィラメントに通電する小さな音に半瞬遅れて、眩しすぎるほどの明かりが目が眩らます。 一人暮らしだから、イチイチ「ただいま」なんて言わない。 ああ、でも、一人暮らしを始めたばっかりの頃はなんとなくで毎回言ってたっけ。いつの間にか言わないのが当たり前になってた。この明るすぎる玄関の明かりにもいつの間に慣れたんだろう。 まぁ、そんな、なんてことないいつもの行動。 それなのに、 ガチャ 「あ、おかえりー」 それなのに、開けたドアの先が真っ暗じゃないとか、冬なのに室内が冷え切ってないとか、迎えてくれる人の声が聞こえるとか。 なんか、、こういうの、って、、全然慣れない。 なんていうか、、、心の底がむず痒い。それはもう、ものすごく。伸びた爪でガシガシと掻き毟ってしまいたいくらいに。 のっちが我が家に棲み付いてから一週間が経った。 ことあるごとに、あたしの“いつも通り”が崩されていって。 その度に、ああ、そっか、あたし、今は一人暮らしじゃないんだ、なんて妙に実感させられる。 だけど、たぶん、嫌ではない。 、、きっと、そんな感じ。 「ごはんにする?お風呂にする?それとも、のっ、ごぶっ」 「じゃーまー!」 のっちの顔にバッグを押し付けてさっさと部屋にあがる。 このアホの相手なんてイチイチしてられん。 これはこの一週間の二日目にはすでに学習したこと。 「あ、今日ガッコでゆかちゃん見たよ」 「うわっ。絶対話しかけんでよね」 あたしのカバンを抱えて、のそのそと後ろに続いてくるのっちに思いっきり顔をしかめながら言ってやった。 のっちの口がへの字の曲がって、眉がどんどん八の字に下がっていく。あ、その顔、ちょっとカワイイかもー。っていうかおもしろーい。 そうなの。なんと、のっちとは大学も一緒でした!・・・なんて、あの合コンに参加してる時点で当然っちゃー当然なんだけど。 たまたま授業が一緒になったあ〜ちゃんと同郷ってことで仲良くなったらしいけど、そんなあ〜ちゃんがのっちの唯一の友達だと言う。他に友達いないの?って聞いたら、「イラナイ」だって。やっぱり、変わった奴。 学内であたしがのっちと話すことはない。っていうか、あんだけ広いキャンパス内で偶然見かけるなんてこともないし、特別見つけようとも思わない。もちろん一緒に住んでることは友達には言わない。言いたくもないし、言う必要もない。 「ゆかちゃんさー、ガッコだとキャラ違うくね?」 「そうかもねー。ねぇ、ゆか着替えたいんだけどー」 「ってかさー、ガッコだとネコ被ってるよね」 「被ってにゃいよ。ねー、そこ邪魔ー」 のっちをどかして、今朝ベッドの上に脱ぎ捨てたままの部屋着に着替える。 これ、去年の誕生日にあ〜ちゃんからもらったんだ。パーカーとショートパンツがもこもこしてて、めちゃくちゃカワイーの。のっちには部屋でもそんな脚出して変態か!って言われたけど。むしろ誰も見てないんだからいーじゃん。あ、今はのっちが見てるか。ま、別にいーや。そんなことより、バイトのシフト、メールしとかなきゃ。 「ねぇ、ゆかちゃんさー、あ〜ちゃんのこと好きでしょ?」 のっちの突然の言葉に、メールをチェックしようと開いたばっかりのケイタイがツルっと手の内から滑っていった。 なに、今の?いきなり何を言い出すんだ、コイツは。 ケイタイ落っことしちゃったじゃん。傷がついたら、どうしてくれるんだっての。 「ゆかちゃん、あ〜ちゃんのこと好きでしょ?」 「言い直さんでも、聞こえとる」 うっわ、何そのドヤ顔。すっごいムカつく。ちょっとあたしが動揺したからって嬉しそうにしやがって。ちょームカつく。そのぷにぷにしてそうなほっぺた抓ってやりたい。 「いだだだ!いひゃい!いひゃいってゆかひゃん!」 「あぁ、、つい、思うままに手が・・・」 思ってたよりぷにぷにしてたのっちのほっぺたを抓ってた指を離すと、赤くなってた。 赤くなったところを摩りながら、なんか涙目になってるけど、謝ってなんてあげなーい。あたし悪くないもん。 「なんで、そう思うん?」 「んー・・・ゆかちゃんのあ〜ちゃんに対する視線、とか?」 マヌケ面して、なかなか結構鋭いんじゃない? 今まで誰にも気づかれたことなかったのになー。って、こんな感情、真っ先に隠してるけど。気づかせるわけないじゃん。 だって、フツーじゃないでしょ。 女の子が女の子に恋してる、なんて。 フツー、じゃないよ。 「うん。すきだよ」 「じゃあ、ゆかちゃんとのっち、恋敵じゃーん?」 「あー。。そゆこと・・・」 なんだよ、友達なんかじゃないじゃん。 ・・・ゆかとあ〜ちゃんはトモダチだけど。 トモダチ以上にも、トモダチ以下にも、もうなれないから。 「お、修羅場ですか?」 「・・・でもぉ〜」 だって、 あ〜ちゃんが望むミライと、あたしが望んだミライ。 あ〜ちゃんが望むシアワセと、あたしが望んだシアワセ。 それは決して交わらないから。 「ゆか、のっちのことも好きよ」 「え?」 「・・・・今日、一緒に寝よっか?」 「・・・!」 あ。 顔真っ赤。結構、純粋だったり?まさかねー。んなわけないか。 あたし、上目遣いには自信あるんでぃす☆なんつってー。 「ゆ、、ゆかちゃ」 「やだぁ〜真に受けてるぅ」 「・・・なっ!」 キミ、純粋どころか、めちゃめちゃ軽いでしょ。チャラいよ、チャラい。フツー出会ったその日に、酔っ払った子、抱かないでしょ。しかも同じ女の子だよ。抱かれる方も抱かれる方だけど。って、あたしのことじゃんね。 っていうか、本当にシたかどうかすら、全然覚えてないんだけど。 別に一緒に暮らして始めた今も、そんな雰囲気になったことないし。 「うっわ。。この人のっちの純情を弄んだよ!」 「だぇれが純情よ、どアホ」 だけど、、もしも、のっちがあたしと同じ立場で、もしも、同じ傷を抱えているのだとしたら。 友達なんてイラナイって言いながら、きっとあのあ〜ちゃんの屈託のない笑顔に魅了されるがまま、あ〜ちゃんに惹き寄せられていって。 ある日うっかり、それが恋に変わっちゃったりして。だけど、そんなの奇跡が起こらない限り叶いっこない恋愛で。ましてや、あ〜ちゃんには彼氏がいて。。 ううん。ホントはそんなこと関係ない。のっちが知ってるかどうかは分からないけど、それ以上に超えられない壁があるんだよ、あ〜ちゃんとあたしたちの間には。 ねぇ、キミにはできる? あ〜ちゃんのシアワセを壊すことを。あ〜ちゃんのミライを奪うことを。 ・・・・あたしには、できなかったよ。 だけど、それでも想いは募るばっかりで。だから、報われないって分かってても、それでもいい、なんて自分に言い聞かせて。。 だとしたら、、 ねぇ、キミのシアワセって、何? キミのシアワセはどこにあるの? 「くそぅ。。弄ばれた純情の代償として、冷凍庫に入ってるハーゲンダッツをのっちによこせー!」 「あ、明日安売りの日だから食べてもいいよ」 「え!?まぁじで?やったー!!」 まぁ、なんてマヌケ面。 まったく、気が抜けるよね。なんかちょっと難しいこと考えてたあたしがバカみたい。感傷に浸るなんて、ちょっとカッコイイことしてみたのにさ。 とりあえず、美味しいものが食べられればシアワセ、なのかもね?キミの場合は。 やっすいシアワセだこと。 「じゃあ明日、買い出し行って来てね。ストロベリーとクッキー クリームは必須だから」 うん。でもそれくらいが丁度いいよ。 それくらいで充分だよ。 あたしのシアワセ? んー、、そうだなぁ。。 とりあえず、今は、本物のモモンガが飼いたいな。 うん。できれば、図々しくない子で。 <02-終>
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「……そう、死んだの」 「……ええ。自殺、ということになっています」 「……ふん。あの化け物には相応しい死に方だわ」 「…………。 では、息子さんの亡骸はこの先に。 ご案内いたしま、」 「結構よ」 「……は?」 「だから結構よ。 それとあんなモノ。わたしの息子だなんて言わないでちょうだい」 「……そうですか。 では、書類手続きだけ―――カウンターの方で、お済ませください」 それに、彼女はふん、と不機嫌そうに鼻をならすと、高いヒールをツカツカ鳴らしながら部屋から去っていった。 「……ふう。 相変わらずね。あの親は」 まったく酷い親だ。 高貴な家の出だかなんだか知らないが、息子をああも他人扱いするなんて。 ……まあ、確かに。 変わった症状の少年だったけど。 「男くん……か。 私には、普通のいい子に見えたけど」 主治医として長く一緒にいたから、情が沸いたのかもしれない。 ……まあ、でも、あの安からな顔を見たら、あの子には、後悔はなかったのだろうけど。 「あなたには―――後悔が、あったのかしら」 そう、誰もいない中空に、私は一人、呟いた。
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カスミ/その他 カスミ/その他キャラ分析 勝利台詞(%は残り体力)レイヴン シルヴィス アヤ カミール カスミ セレス ハーディ クレスティス アローニア カケル マラク キャラ分析 この世界で唯一の普通人 カミール以外との関係としてハーディがあるが、いまだ詳細は不明 言動は特別戦闘狂というわけでもなさそう。常識人とも取れる 勝利台詞(%は残り体力) レイヴン 100-75% 「……で。『死蝕』とやらは、いつ見せてくれるワケ?」 「悪いけどさ……、遅すぎて止まって見えるよ、アンタ」 75-50% 「肩慣らしには丁度良いわね。で……これからが本番なんでしょ?」 「ん~……、こんな戦いじゃ、熱くなれないわね……」 50-25% 「確かに、腕は立つようだけど。でも、まだまだボディがお留守よ」 25-0% 「人を褒めるのはあんま得意じゃないケド、あんた強いわね……」 「なるほど?カミールがあんたにこだわるのも判る気がするわ」 シルヴィス 100-75% 「その歳で若白髪とはねぇ。手品師って、儲からないのね」 「あたしの正義から言わせて貰えば、アンタの白髪の方がよっぽど罪よ」 75-50% 「勝手に法の代行者気取るのは良いけど、鬱陶しいからあたしには関わらないで」 「遠くからちまちまと、うざったい!今度やったら、泣かすわよ!」 50-25% 「ねえ、アンタ……生きてて楽しい?」 「悪いんだけど、その目やめてくんない?不幸の値札見てるみたいで、吐き気がするわ」 25-0% 「強いのはよぉく判ったわ。けど、ちまちました戦いはお断りよ」 「信念に値段なんてないのよ。そこんとこ良く考えるのね……」 アヤ 100-75% 「……なんか、後味悪いわね……。もっと、さっぱり戦りたいんだけどな」 「弱いもの虐めは趣味じゃないんだけど……、これは、不可抗力よね?」 75-50% 「そのよく解らない力、何なの?弾けるわ、降ってくるわ、吹き出してくるわ……」 「……えーと。次、行くから」 50-25% 「実は、ちょっとだけ爽快だったり……、してなかった?」 「あんたが望まないなら、二度と戦わないに越したことはないわけ。……じゃあね」 25-0% 「本気で殺しにかかってこられてたら、かなりヤバかったのかもね……」 「止めたがってるように見えたけどさ……、本当に、止めようとしてたわけ?」 カミール 100-75% 「あんた、本気でバカ?どうにもなんない実力差も判んないとはね!」 「あんたのオツムでも解るように言うならば……、『あんた、弱すぎ』」 75-50% 「気合ばかり空回りして、全然技にキレがないわよ」 「あんた、人としてはダメダメだけど、サンドバッグとしては優秀ね」 50-25% 「あたしに寄るな、触るな、近づくな!」 「自慢の顔がザクロになる前に帰りなさい」 25-0% 「紙一重の差も、真剣勝負じゃ決定的な差よ。そこんトコ、理解した?」 「……あんた、手加減……ううん、なんでもないわ……」 カスミ 100-75% 「すごいすごーい、よくがんばったわねー。……ナメてんじゃないわよ、アンタ」 「せっかく真似するならさ、せめてもっと頑張ってよね。……つまんない」 75-50% 「な~んだ、張り合いのない……。期待して損した」 「……出直しておいで」 50-25% 「ん~、良い感じではあるんだけど……、もう一歩、ってところね」 「ふ~ん、なかなかやるわね。じゃあ、もう一頑張り、行ってみる?」 25-0% 「ここまで上手くコピーするなんて、やるわね。素直に感心したわ」 「あ、危ないわね……。同じ顔に負けるわけには行かないものね、さすがに……」 セレス 100-75% 「……まさか、今ので全力だった……、なんて言わないでしょうね?」 「どんな技も、当たらなければ意味が無いのよ。お解りかしら?」 75-50% 「もうちょっと、腕を磨いてから出直してくるんだね」 「アンタの負け。ま、やる前から、結果は見えてたけどね」 50-25% 「ふ~ん……なかなか面白かったわよ。また今度相手してね」 「歴史が違うのよ」 25-0% 「いい線行ってたけど……、ツメが甘かったみたいね」 「まあ、剣も魔導も無くても頑張れるってコトで。……こんなもんでどう?」 ハーディ 100-75% 「数撃っても当たらない下手な鉄砲じゃ、勝負にもならないってコト」 「そんな物に頼ってるから、動きが緩慢になるのよ」 75-50% 「これで……、少しはあたしも、母さんに近づけたのかな」 「あんたも人の親なら、フラフラしてないで彼女に会ってあげたら?」 50-25% 「一人で抱え込んでいれば、いつかは消えるとでも思ってるわけ? そんなの、欺瞞よ」 「今更、恨み言連ねたってどうしようもないって解ってるけど……、それでも……」 25-0% 「まったく、どいつもこいつも……。バッカみたい……」 「青河流の血は絶えてないわ。……その身に染みて、よく解ったでしょ」 クレスティス 100-75% 「……弱っ」 「……ふん、退屈させてくれるわね」 75-50% 「な~んか、戦ったって気分にならないわね……」 「法院のトップも大したことありませんでした、マル……と。……はあ、やってらんないわ」 50-25% 「魔導が強いのは判ったけどさ……、少しは自分で戦ったら?」 「……、こんなもんか。複雑……」 25-0% 「しつこい奴は嫌われるよ」 「火や雷を出せても、勝てないんじゃあね。じゃ、サヨナラ」 アローニア 100-75% 「ずいぶんとお上品だこと。ま、その結果がそのザマなわけね」 「法院に仕えるのがそんなに楽しいのかねぇ。あたしには理解できないな」 75-50% 「仕事熱心ねえ。法院って、何がそんなに魅力なの?お給金?職場環境?福利厚生?」 「キレイな顔に蹴り入れちゃって悪いけどさ、覚悟の上ってことで勘弁してよ」 50-25% 「ふ~ん、人並み以上には鍛えてるってワケね。……あ、一応皮肉だからね、コレ」 「あ~~~、苛つくな~、その宝石……!」 25-0% 「綺麗な顔して、やることがえげつないってぇの……。まったく、腹立つわ」 「火に雷に水に氷に……。ちょっと、やりすぎなんじゃない?」 カケル 100-75% 「なによ……やる気無いなら、そう言ってよね」 「これだけ弱いなら、せめて煙草吸うのはやめて、マジメにやって欲しいもんだけどね」 75-50% 「ゆとりが無いってゆーか、遊びが無いってゆーか。何か、悩みでもあるの?」 「はい、終了~。じゃっ」 50-25% 「間合いがつかみにくいなぁ……。変わった戦い方するのね」 「目ん玉ギラつかせちゃって、怖いなぁ。もっと、楽しくやりゃあ良いのに。ねえ?」 25-0% 「……ソレ、切り裂く武器に見えるんだけど。なんか、裂傷よりも打ち身の方が多いような……」 「結構、楽しかったわ。また戦ってよね?」 マラク 100-75% 「こんな程度でも、上位魔族って扱いなのね……。 もっと上には上がいるもんだと思ってたんだけどな」 75-50% 「んー。私の力、上級魔族にも通用するって思っていいのかね」 50-25% 「次から次へと、高いところから物投げてきて……! おちょくられてる気分だわ!」 25-0% 「え~、物を投げないでください。……ったく、鬱陶しいのよ!」
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純「あーずさ」 梓「何よ?嬉しそうだね」 純「今日、難しいパートを弾けるようになって先輩に褒められたんだ」 梓「良かったね」 純「うん!ジャズ研は競争激しいからね」 梓「…」 純「お互い頑張ろうね梓」 梓「うん」 純「じゃあね、帰ってまた練習だー」 梓「うん、バイバイ純」 梓「私、嫌な奴だな…」とぼとぼ 梓「純が上手くなったんだから喜ばなきゃいけないのに…」 梓「嫉妬してしまった…」 梓「ベースとギターなんだから本来は争っても仕方ないのはわかってるのに…」 梓「軽音部だって頑張って練習してる時もあるのに」 梓「ジャズ研か…一度練習見てみようかな」 梓「部活見学以来だけど」 翌日2年教室 梓「失礼します」 律「おう、梓」 梓「あの、今日少しだけジャズ研の練習見に行っていいですか?」 律「何だ?まさか軽音部辞めるのか?」 梓「違います!同じ音楽部だから見てみたいだけです」 律「冗談だって、良いよ行っても」 梓「ありがとうございます」 律「おう!ところでジャズ研の部長の許可はとってんのか?」 梓「あっ…まだでした」 律「仕方ねぇな~許可貰っといてやるよ」 梓「すいません…」 律「いいっていいって」 ジャズ研部室 梓「軽音部の中野梓です」 梓「今日は無理を聞いて頂いてありがとうございます」 部長「構いませんよ軽音部期待のエースが見学に来ると一年生も気合いが入りますから」ニコッ 顧問「いつ来て貰っても構わないよ」 梓「エースだなんてそんな///」 純「梓が来るならミス出来ないな~」 部長「何時もミスしたら駄目よ?鈴木さん」 純「も、勿論ですよ部長」 部長「じゃあ、練習開始」 部員「はい!」 梓「皆、真剣だ」 純「…」ベンベン 純「あっ…」 梓「純がミスった」 顧問「鈴木、昨日練習したのか?」 純「しました!」 顧問「なら、何故出来なかった?」 純「そ、それは…私が未熟だからです」 顧問「何時も言ってる事覚えてるのか?」 純「自分が未熟だと思うなら人の何倍も練習しろ」 顧問「お前は昨日、難しいパートを弾いてみせた」 純「はい…」 顧問「お前はそれに浮かれて練習を疎かにしなかったか?」 純「してた…かもしれません」 顧問「まだまだ半人前が調子に乗るな!わかったか!」 純「はい!すいませんでした!」 顧問「1日の練習で1年の差がつくと思って練習しろ!」 純「はい!」 梓(凄い…これがジャズ研なんだ) 部長「どう?ジャズ研の練習は?」 梓「圧倒されます…」 梓「私、戻ります純に負けたくないから」 部長「頑張ってね中野さん」 梓「はい!」 軽音部部室 梓「戻りました」 唯「あ~ずにゃん寂しかったよぉ」だきっ 梓「もう///」 澪「ごめん梓、遅くなると思って先に練習始めてた」 梓「いえ、構いませんよ」 紬「梓ちゃん、先に紅茶飲む?」 梓「先に練習が良いです」 律「じゃあ、準備しろ梓」 梓「はい!」 練習後 律「いやー練習したな~」 澪「うん、充実してたな」 紬「楽しかったわ~」 唯「あずにゃんジャズ研どうだった?」 梓「何て言うか圧倒されました…」 律「厳しくてか?」 梓「はい…」 律「軽音部より凄いと思ったか?」 梓「そ、それは…」 律「梓、もうすぐ梓にとって初めての学祭だよな?」 梓「はい」 澪「これは皆で話し合ったんだけど」 律「ジャズ研より凄い演奏してやらないか?」 紬「梓ちゃん、軽音部の意地をみせましょう!」 唯「そうだよ!あずにゃん」 澪「一緒に頑張ろう梓」 梓「はい!わかりました!」 律「よしっ!今日は終わり!自主練しとくように」 唯「帰ろうあずにゃん」 梓「私、今日は純と帰るので先に帰って下さい」 澪「そうか、じゃあ気をつけてな梓」 紬「また明日ね梓ちゃん」 梓「はい!お疲れ様でした」 梓「ジャズ研も練習終わったかな?」 梓「あれは純…」 純「ちくしょう!ちくしょう!上手くなってやる…絶対絶対に上手くなってやる!」ぐすっ 純「上手くなって見返してやるんだから!」ベンベン 梓「純」 純「な、何だよ梓」グシグシ 梓「純のそんな姿初めて見たよ」 純「笑いたければ笑えばいいじゃん」 梓「笑わないよ」 純「…」 梓「楽器は違うけど純は…」 純「何?」 梓「純は私の親友でありライバルだから」 純「梓…」 梓「私達、軽音部は学祭で絶対にジャズ研よりも凄い演奏するから」 純「私達だって…ジャズ研だって負けないから!」 梓「頑張ろう純」すっ 純「うん!」ガシッ 翌日 憂「梓ちゃん、純ちゃん」 純「どうした?憂」 憂「二人とも何だか燃えてるね」 梓「純には負けたくないからね」 純「私だって梓には負けたくない!」 憂「二人は本当に良きライバルだね」 梓「憂はどっちが上手いと思う?」 憂「うーん、技術的な事はわからないけど」 純「わからないけど?」 憂「私は楽しんで演奏してる二人が見たいかな」ニコッ 梓「楽しんで…」 純「楽しんでか…」 軽音部部室 律「今日から暫くティータイムは中止で練習をする」 澪「そうだな」 紬「頑張りましょう」 梓「やってやるです!」 唯「軽音部は一番だからね」 律「さぁ!始めるぜ!さわちゃんみっちりシゴいてくれ」 さわ子「覚悟しなさいよ?」 律紬澪唯梓「はい!」 さわ子(青春ね~) 2